状況証拠の積み重ねによる裁判

このエントリーをはてなブックマークに追加
345無罪判決事例(ちかん冤罪問題 1:)
判示事項:いわゆる 路上での チカン疑惑について、無罪判決が言い渡された事例

判決要旨 (一)いわゆる 被害者供述のうち、被害申告じたいには不自然な点はない
     (二)また、状況証拠や警備員の目撃証言などを検討すると、当裁判所は、
        被告人が 被害者サイドから声を掛けられた際に 逃走を図ったと 確信した。
     (三) しかしながら、犯人性に関する 被害者供述・目撃者供述はいずれも信用できず、
        当裁判所は、被告人と被害者の接触は、偶然の産物だったと確信する。

2005年11月08日判決宣告 裁判所書記官 C
事件番号:平成15年(わ)4766号
被告事件名:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する,大阪府条例 違反

被告人:不拘束(在宅)

被告人に対する 上記 被告事件 について、当裁判所は 検察官P13-a(後に P13-b)および
弁護人A・B出席のうえで審理を遂げ、次のとおり判決する。
                    主 文
                  被告人は、無 罪。

                  理 由(要 旨)
第一:公訴事実
      本件 公訴事実は、「被告人は、2003年6月30日21時47分ころ、大阪市北区
<番地略>の 交差点において、X子(当時30代後半)の臀部を、手で撫で上げるなどし、
もって、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、公共の場所
において、衣服等の上から、又は直接人の身体に触れた( 同条例.6条一号 )ものである」という
346無罪判決事例(ちかん冤罪問題 2:):2005/11/19(土) 23:08:05 ID:xIsw0ifm
第2:争点
     本件では、証拠上、争いのない事実としては
・被害者と、被告人が、起訴状記載の日時、場所において、共に、交差点の横断歩道
上を移動
 していたこと である。
              争点としては、
被害女性は、<被告人から>公訴事実記載の チカン被害を受けたと 供述があり、
同伴男性も これに沿う供述をするのであるが、

検察官は、この両名の供述は全面的に信用できる、と 主張し、
弁護側は、両名の供述は、捜査段階・公判段階、ともに信用性がない、
と主張し、激しく対立している。
(被告人は、本件公訴事実につき、身に覚えがない、と
して <捜査段階から>全面否認を貫いており、自白調書は、存在 しない。)
347無罪判決事例(ちかん冤罪問題 3:):2005/11/19(土) 23:08:52 ID:xIsw0ifm
         第3:当裁判所の検討
そこで検討する。
       (1)被害女性の供述と目撃男性の供述の要旨
なお、本項は、
当裁判所は、公判廷においては、時間の都合上、朗読はすべて割愛することとした。

         (2)警備員男性2名の公判供述

ところで、警備員男性2名は、事件直後に現場に駆けつけ、被害者らからも事情を聞
いているが、
・うち1名は、<過去に>チカン被害者からの 聞き取り対応なども<経験済>であ
ること
・両名はまったくの第三者であり、虚偽供述をして被告人を陥れる利益のないこと
 は 関係証拠上明らかである。
そうすると、両名の 法廷証言には<高度の,信用性>を認めるべきであるから
【要旨第1】 これら、信用性の高い 警備員証言から、被告人は 被害者サイドか

声を掛けられた際に、ムービングウオークを 逆送して、逃走を図ったと【当裁判所
は】確 信 する。
348無罪判決事例(ちかん冤罪問題 4:):2005/11/23(水) 23:47:16 ID:HUSAY1kA
(3)争いのない、現場状況

なお、その際の現場状況としては、
1)被害女性は、自分に 接触した男性がチカン行為の犯人だと思って、その腕をつかんで抗議
  したこと
2)同伴男性も、被告人に声を掛けたこと___これらの<事実>を<認定>することができるし、
 これらは、弁護側提出の証拠(弁3号証のカタチで証拠採用済の、事件当日の被害者申告など)
によっても裏づけがされている。
【要旨第1】従って、チカン被害か、どうかはともかく、被害者と被告人の間で、何らかの身体的
     接触があったと、【当裁判所は】判断した。

(4)被害者の供述の評価

しかしながら、被害女性らの供述には、その後、時間の経過と共に大きな変遷(引用者注:http://school5.2ch.net/test/read.cgi/shikaku/1073684011/130-132 参照)
が見られる。

たとえば、被害女性の<公判供述>では 2003年6月30日付け警察官調書や同年7月7日付検事調書には
ない供述が、たびたび登場する。(いわゆる、「信号待ちの際に、被告人がいやらしい視線を
向けているのを<私は>見ました」旨の,公判供述。)

これらの供述が 仮に 真実だったのであれば、 これらの出来事については遅くとも
同年7月7日に録取されていて然るべきである。
349無罪判決事例(ちかん冤罪問題 5:):2005/11/23(水) 23:48:09 ID:HUSAY1kA

しかし、これらの供述は同年7月15日になって、はじめて 調書記載 がされているのであり、

その 供述経過(≒証拠物としての,供述)には 不審な点が見受けられる。

かつ、この供述は第15回公判において、さらに変遷を重ねているのである。
結局、これらの 供述「経過」に照らせば、被害女性が <この件>について
真に体験した記憶を述べているのか、どうか、<当裁判所においては>疑問が有る。
   すると、このような供述変遷については、
   本件における証拠構造上は、
被告人の 犯人性につき、重大な影響を及ぼすことになる。

なお、乙3号証・乙2号証___いわゆる、 否認調書____で被告人は、
「 わたしの前に、女の人は立っていましたが、その人が被害者か、どうかは 私には
わかりません」 などと述べており、位置関係についても 述べている。

これに対して、同年7月15日付警察官調書において 被害者らは 縷々と説明をしているが、
・被害女性と同伴男性の位置関係について、被害者の供述は変遷している のである。
350無罪判決事例(ちかん冤罪問題 6:):2005/11/23(水) 23:48:48 ID:HUSAY1kA

【要旨第2】結局のところ、当裁判所が、<捜査報告書>などを精査して検討する限り、被害女性・同伴男性は、
      その後、捜査が進展するにつれ、【警察官から得た情報】を下にして 2人で
話し合いをススメる中で、 次第に【記憶】が変遷していった可能性が高い,という結論に到達した。

  しかも、着衣の上から触られただけで、被告人による 手の動作 を 被害女性が感じることが
可能だったか、どうかについても、<本件の証拠関係>に照らすと 疑問がある。

そうすると、結局、被害女性の供述のうち,<犯人性に関する>部分は、捜査・公判を通じて、
信用性に乏しい、というほかないのである。

 (5)同伴男性の供述の信用性
同伴男性は、
被害者と同じ学校に勤務する,教育関係者であるが、
被害者の供述が変遷するたびに、同人の 捜査供述・公判供述も変遷をしている。

これは、先に 被害女性の項で触れたように、
その後、捜査が進展するにつれ、【警察官から得た情報】を下にして 2人で
話し合いをススメる中で、 次第に【記憶】が変遷していった可能性が高い。
    そうすると、結局、同伴男性の供述も、<犯人性に関する>部分は、捜査・公判を通じて、
    信用性に乏しい、というほかないのである。
351無罪判決事例(ちかん冤罪問題 7:):2005/11/23(水) 23:49:24 ID:HUSAY1kA

(6)状況証拠の積み重ねによる検討
 さて、
 ・警備員の目撃証言(当裁判所は、これに、高度の信用性を認めることは、すでに述べた。)
 ・捜査報告書による、初動捜査・初期「被害申告」
 ・その他、状況証拠を踏まえて 検討をする。

これによると、
(1)被告人は、同伴男性から声を掛けられた際に、かなり狼狽していたこと(→被告人は、これを否定する。)
(2)先に述べたように、被告人が「動く歩道」を逆送しようとしたこと(→被告人は、これを否定する。)
を<認定>できるのであるが、
【要旨第3】 本件現場は、夜の、しかも大都会での雑踏での出来事であり、その他状況証拠を踏まえて検討すると、
      被告人が意図的にチカン行為をすることは 困難であった、と言わざるを得ない。
      結局、被告人の 不審行動 は、チカン「加」害者と 誤解 された者の行動として
充分、合理的に説明ができる。
よって、当裁判所は、被告人が 偶然、被害者に接触したに過ぎないという結論に到達した。
352無罪判決事例(ちかん冤罪問題 8:):2005/11/23(水) 23:50:09 ID:HUSAY1kA

                 第4.結論
そうすると、本件公訴事実
については、【犯罪の証明】は【ない】ことに帰するから、刑事訴訟法336条後段により、
被告人に対しては 無罪の言い渡しをするほか、ない。

(なお、本判決の 事実認定については、被告人からは不満があるかもしれぬが、
裁判実務では 無罪判決について 被告人からは上訴を許さないことが 確定的な
取り扱いとして定着している。従って、宣告においては、その旨を簡潔に口頭で
説示した次第である。)
                              2005年11月08日
                        大阪地方裁判所刑事13部.単独1係
                         (単独係)裁判官: 宮崎 英一
http://courtdomino2.courts.go.jp/K_hotei.nsf/CoverView/HP_C_Osaka?OpenDocument&Start=1&Count=1000&Expand=1
http://courtdomino2.courts.go.jp/K_oshirase.nsf/$DefaultView/E6C45FF4164EA759492570BD0008D2C0?OpenDocument