ヽヽヽ ブーン
丶 /⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
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( ヽノ
ノ >ノ
レレ
腕が ││
│││折れたぉ
∩││││∩
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Lニ( ^ω^)」
| /落ちるぉ
( ヽノ
ノ >ノ
レレ
│││パイルダー
`___ ││___ オン!
| |/⌒ヾ| |ス
`丶丶^ヽ ^ω^/´7 ポ
「Λ ̄ヘ__| ̄7 ッ
-=二)_ ̄^ヘ | ̄7ニ=-
|_  ̄-―三-1
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_-| /T ̄ ̄T|-_
\/ | ||  ̄
 ̄‐_ ‐′
>>1乙
>>1 GooDJob 乙です。
前スレからの続きです。
これまでシンの存在によって戦闘のストレスから守られていたステラの精神が、シンの不在という事態をよりにもよってこの土壇場で経験した事で、極めて不安定なものになっているのではないだろうか?
加えてシンの妹マユと交わしたというシンを守るという約束を頑なに守りぬこうとし、その事がかえって新たなストレスとなって、ステラの幼く無垢で脆い精神に、何が何でも守らなければならないという脅迫概念を植え付けている?
このかつてない最大規模の戦場で、ステラ・ルーシェの心はかつてないほど、束縛され弱っている?
だとしたら
「そいつは不味いぜ、ステラ、シン!」
胸中に鉛を含んだ様に重い不安を抱き、スティングは急ぎステラのヒュッケバインを追いかける。三機のバスターダガーの集中砲火を交わしながら、オクスタンライフルで撃ち返し、援護に来たコスモリオンを無視するように、スタンドプレイに走っている。
拙いなりに連携戦闘と言うものを実践できていたはずのステラの、その姿にスティングは抱いていた不安をほとんど確信に近いものに変えた。
「あいつ、やっぱり……!」
指揮官らしきバスターダガーにオクスタンライフルの照準を合わせたスティングが、不意にレーダーが捉えたアガメムノン級を中心とする十数隻の艦隊に気づいた。すでに戦端が開かれ相応の時間が経過している。
地球連合に月基地から増援が到着したという情報は聞いていない。最初から連合側が用意していた増援だろう。大きく戦場を迂回し、DCやザフトを挟撃するのか、それともヤキンを叩きに向かっているのか。
いや、
「直接プラントに向かうつもりか?」
いぶかしむスティングの目の前で、艦隊から数十機のMSに守られ、百以上のMAメビウスが出撃する。
フォビドゥン、カラミティ、レイダーのみならずストライクやバスター、ロングダガー、量産型ガルムレイドまでも展開している光景は、そのメビウスが通常とは異なる役割を持った期待である事を暗に告げている。
スティングはそれらのメビウスが例外なく巨大なミサイルを抱えているのに気づいた。
その編隊に気づいたザフトのMSがたちまちの内に群がって、メビウスを護衛するMSと交戦を始める。遠目に見ても安い腕は一人もいない、水準を上回るレベルのパイロットで構成されたガード達らしかった。
その光景にスティングは言い知れぬ不安を覚えたが、あちらはザフトの連中に任せると割り切り、ステラとアウルの援護に意識を割いた。
「シンがいないとステラがああも脆くなっちまうとはな。兄弟分としては情けない限りだがッ」
改めてシンとステラの間に繋がれた絆の深さを目の当たりにした気分で、スティングはラボ時代から擬似兄妹のような関係にあった自分達よりもステラの心の深い所に住むシンの存在にかすかな嫉妬と、そこまでステラと深く結ばれたシンに感謝の念を抱いた。
こんなおれ達の友達になってくれて、ありがとうよ。もし、この戦いを生き抜けたなら、そう言おうと、スティングは心に誓った。
GAT−Xナンバーや量産型特機の存在は、通常のMSしか持たぬザフトにとっては頭痛の種であったが、伏兵であったメビウス部隊に対してミーティアの量産型であるヴェルヌを装備したフリーダムとジャスティス二機を回していた。
ゲイツと後方に下げられていた旧式のジンや鹵獲したダガータイプで構成された部隊も必死にビームや銃弾で弾幕を展開し、一機、また一機と撃墜しては撃墜されを繰り返す。
護衛のMSを撃墜されたメビウスが、一気に加速して放たれるビームや銃弾に被弾しながらも抱えていたミサイルを発射する。メビウスそのものは即座に機体中央をシグーの突撃銃の猛打を浴びて爆発したが、放たれたミサイルはまっすぐにプラントめがけて白煙を引いてゆく。
本国付近に設置された機雷網に掛かるより早く、防衛用のビーム砲台がミサイルを探知し、すぐさまそれを撃墜する。
吸い込まれる様にビームを受けたミサイルは当然の如く爆発し、迸る光の洪水が当たりの暗黒を過剰なまでに照らし出していた。
小さな太陽が突如生まれ落ちたような途方もない白い光は、モニターとヘルメットの遮光機能を持ってしても目がつぶれるのではと危惧するほどに強く輝いていた。
その輝きの届く所全てを呑みこんでしまう暴虐の光、熾烈な光。触れるもの全てを融かし、蒸発させ、灰塵へと帰する途方もない熱量。
人類がたった十メートルにも満たない円筒の柱にそれだけの破壊を可能とさせる代物は、今のところ一つしかなかった。すなわち――核だ。数世紀の昔より人類が手に入れた自ららを星ごと滅ぼそう事も出来るメギドの火。
新人類を自称するコーディネイターの生み出したニュートロン・ジャマーによってパンドラの箱の中へと封じられた悪徳の様に、その存在を消していた筈の力が、今ここに解き放たれたのか。
たった一発の核ミサイルが、何の影響も及ぼさぬ宇宙空間で爆発したのは不幸中の幸いだった。ミサイルを迎撃した砲台が一基飲み込まれただけで済んだからだ。
だが、核ミサイルの使用と言う無意識に否定していた事態に、ザフトの防衛部隊が呆ける間に、数機の核装備メビウス――ピースキーパー隊が防衛網を突破し、それを許せばどうなるかと、心身を凍つかせるザフトのMSをお鋭のMSが足止めする。
はやく追わねばと焦る思考と早鐘の様に体内で鳴り響く心臓の音。対ヤキン・ドゥーエ戦まで温存されていた地球連合の切り札の一枚が切られ、その効果を最大に発揮しようとしていた。
核の使用を躊躇わぬどころか、嬉々としてそれを行う精神の持ち主達によって構成される核メビウスのパイロット達はが狂気に染まった笑みを浮かべてトリガーに指を添えていた。
「青き清浄なる世界の――」
聖句を唱える悪魔の様な醜い感情を吐き出そうとした彼らを、彼方のプラントから放たれた光条が真っ向から飲み込み、防衛部隊を突破したメビウス全機を撃墜していた。
同時に核ミサイルが誘爆を招き、極めて巨大な熱量を孕んだ光球が幾重にも連なって宇宙の暗闇を一時払拭した。
核ミサイルに気づき愕然と背後を振り返ったスティングとアウルが、その偽りの太陽の向こうから姿を見せる巨人に気づき息を呑む。
凶を告げる忌むべき鳥の名を持つ巨人の胸中で、幼い女修羅の双眸へと追い詰められつつあったステラ・ルーシェの表情に安堵と喜びが瞬く間に広がる。
DC艦隊旗艦マハトの艦橋で、ビアン・ゾルダークの口元に喜びとそれ以上の悲しみとが心の奥深くに隠された笑みが浮かんだ。
世界の暗黒を白に染める偽りの太陽を引き裂いて姿を見せる巨人を、誰が見間違えよう。青を基調に胸に金色の星を持ち、ファンを備えたジェットエンジンの様な両肩と引き絞ったような細い胴に長い脚。
長い風月に削られた岸壁が人となったような重く、厚く、厳しく口元を引き締めた戦士の顔立ち。右肩にはパイロットと同じ名字『飛鳥』を勇躍と踊る筆で描かれた追加装甲。
ディバイン・クルセイダーズ総帥親衛隊ラストバタリオン特別任務部隊クライ・ウルブズ所属シン・アスカの愛機、グルンガスト飛鳥に他ならなかった。
オメガレーザーの一射によって核とメビウスを撃墜した事を確認し、グルンガスト飛鳥のコックピットの中で、シンは小さく息を吸い、細く吐いた。
次元の狭間で見続けていた夢と可能性と因果の混じり合った世界から目覚め、病室を抜け出してアプリリウス市に残っていたDC兵に連絡を取り、最大限に危機を打ち鳴らす自分の勘に従って再び戦場へと舞戻ったのだ。
シンが病室を抜け出した直後にであったDCの兵士に導かれるまま、宇宙港に向かったシンを待っていたのは、ベルゼボでの死闘の傷を癒し、主の帰還を待っていたグルンガスト飛鳥であった。
生体認証を解除し、シン以外のパイロットを乗せる事もそうする時間もあったろうに、それをせず、わざわざシンの居たアプリリウス市に飛鳥を残していったのがビアンであると、シンには言われずとも分かった。
自分が目覚めると信じていたのか? 信じていたのだろう。あの人は。そして自分が再び戦場に立つ事を悲しみ、そうさせた自分を責めているのだろう。ビアン・ゾルダークは。
完治しきっていない傷はしきりに痛みの信号をシンの脳髄に送っていたが、シンは意思で咀嚼し飲み込んだ。
おれは戻ってきた。おれの居るべき場所、おれの居たい場所、おれの望む世界に!!
飛鳥の手が背のスラスターへと延び、白銀の弧月を描き引き抜かれた刃は、圧倒的な威厳と勇壮な姿で百獣の頂点に君臨する、獅子王の名を冠する一振りの業物。
静かに力強くシンはそれの名を呟いた。
「獅子王……斬艦刀!!!」
かつて戦場を飛ぶ鳥と言う意味も含め名付けたと言われたグルンガスト飛鳥は、主と機人一体の境地へと至り、今、この戦場へと舞い降りた。
パンドラの箱の神話は最後にこう締めくくられる。最後にパンドラの箱に残されていたのは『希望』だと。
――つづく
投下以上です。新スレ立て大変お疲れ様です。そして支援して下さった皆様もありがとうございました。
GJ!
おつでした。
キラ&フレイもアスラン&カガリもなんとまぁいい雰囲気。
その一方で精神的にキッツイ状況っぽいラクスの対比が…。
シン復活、ノバラノソノ組の参戦が控え、その先は魔装ボスやらメディウスやら底が知れない感じですが、はてさてどう帰結するのか楽しみです。
ところで、フリーダムは全周囲モニターだとか…。
なんかまるでシンが主人公のようだw
しかし、マトモに戦えるのだろうか?
下手に戦場に出て来るとムラタとかウォーダンとかが来るからニゲテーとも言えんしなぁ…
あとさり気に死亡フラグ立てんなよ、スティング…
シンなら、その死亡フラグの群れを一刀両断してくれるに違いないと信じつつ、乙、と言わざるを得ない。
シン・アスカ復活!!
数々の平行世界を覗いた後の復活はみなぎってくる!!
何このスレ
シン厨の巣窟かwww
総帥とは逆にかなり短いデス…スマソ…
第35話「決戦!闇騎士VS無限正義」
シロガネの後部格納庫の壁をぶち破って飛び出したラミアのアンジュルグ、そしてシンが手に入れた新しい力であるヴァイサーガであったが、そのシロガネはシャドウミラーの先行部隊の制圧した基地へ間もなく到着しようとする
ところであったため、基地からは緊急発進したエルアインスとゲシュペンストMK−2がシン達の迎撃に向かってこようとしていた。
「ラミアさん!」
「バックスは任せてもらおう」
「お願いします!」
そう言ってシンがヴァイサーガの手に握られた剣、五大剣を構えさせると、それに先んじて脇にいたアンジュルグの腕部から4条の光の矢シャドウランサーが放たれる。命中させるため、というよりも他の目的―
敵の動きを牽制することを目的に放たれた攻撃は、その狙い通り迎撃に向かってきたエルアインスとゲシュペンストを回避のために散開させる。そしてヴァイサーガはそのうちの先頭にいた一機、
両肩のビームキャノンと背部搭載型テスラ・ドライブを備えたアルブレードの改良進歩機エルアインスに向かって突っ込んでいく。シンがこれまで乗っていたデスティニーやビルトビルガーよりも
一回りほども大きい機体サイズのヴァイサーガであったが、そのスピードはそれらの機体と同等か又はそれ以上のものであり、搭乗しているシンがその速度に最も驚いていた。
そしてヴァイサーガは、エルアインスが接近に気付くのとほぼ時を同じくして、一瞬の光とともにその脇を通り過ぎる。左上段から右下段にかけて振り下ろされた五大剣の刃は
自分の機体がやられたのだということも認識させずにエルアインスを二つに分断し、エルアインスはまもなく大きな爆発となって姿を消した。
続けてシンが近くの敵機に目をつけると、ヴァイサーガは両腰部に備え付けてある列火刃を左腕が素早く抜き取り、僚機の撃墜に狼狽する2体に向けて投げつける。
その2機は、あまりにもあっけなくエルアインスが撃墜されたことに狼狽していたため、ヴァイサーガの投げつけたうちの1本は頭部に命中して破壊、もう一本はコックピット直撃こそ免れたものの、
下腹部付近に直撃してバランスを失い、海上へと落下していった。他方で、離れた距離にいたゲシュペンストがビームライフルの照準をヴァイサーガに合わせてその引鉄をひく。
だが、ヴァイサーガはそれを回避するそぶりも見せずに、ビームに対して機体をやや横に向けると、放たれたビームは機体に突き刺さる前に、背部で風になびいている真っ赤なマントに
軽々と振り払われてしまった。ビームコーティングの施されたシールドとしても使える特殊な素材で作られたヴァイサーガのマントは、通常のメガビームライフル程度の威力であれば機体本体に
ダメージを通すことはない。極めて近く、限りなく遠い世界のテスラ・ライヒ研究所でソウルゲインとともに建造された特機であるヴァイサーガは、他の大多数の特機ほどの群を抜いた
防御力・耐久力こそ備えないものの、それを補っても余りある機動性と追従性を有している。ただ、他の特機と同様に対多数の戦闘を考慮しつつ、高い機動性を両立させるために
備えつけられたのが背部のマントなのである。しかし、ヴァイサーガは連続して放たれるビームをこれ以上受け止めることはしなかった。
再び五大剣を両手に構えると、一直線にビームを放ち続けているゲシュペンストへ突撃していく。その動きは放たれるビームに対し、機体を上下左右に必要最低限の僅かな動きで回避しながら
距離を詰めていくというもので、シンが得意とする接近方法である。CE世界ではインパルスとデスティニーでデストロイの大火力を掻い潜り、この新西暦の世界ではビルトシュバイン、
そしてビルトビルガーという機動性が強みの機体で、凄まじい力をその身に秘めている特機と渡り合ってきたシンが得意とする戦法の1つであるといえよう。
「いっけぇぇぇっ!!!」
シンの雄叫びとともにヴァイサーガのツインアイが輝き、さらにヴァイサーガの速度が増す。そして、ゲシュペンストがライフルを捨ててプラズマカッターを手に取る前に、
前方に突き出された五大剣が敵ゲシュペンストのコックピット部分を貫いて串刺しにした。そして、ヴァイサーガがその剣を力強く横に振り抜いてゲシュペンストの脇を切裂くと、
力を失ったゲシュペンストは地球の重力に引かれて落下を始め、その途中で爆発して姿を消した。
「この機体…ビルガーより速いのにパワーが全然違う…!」
感想・実際に初めて乗る特機のパワーに驚きつつ、ラミアの方へと目を向けると、そちらもアンジュルグのミラージュソードがゲシュペンストを突き刺しているところであった。
少し息をつくシンであったが、すぐに続けてコックピットに鳴り響く警報が新たな敵機の接近を教える。彼の視線の先にあるモニターにはもはや見飽きるほどに何度も見かけた鶏冠と背部の大型ユニットが特徴的な機体、
インフィニットジャスティスの姿が映っている。
その一方で、迎撃部隊の発進が急がれている基地の方でも見覚えのある機体、ソウルゲインが動き出そうとしていた。
「ラミアさん、マスタッシュマンをお願いできますか」
「…構わんが、慣れない機体で大丈夫なのか?」
「あの凸っ禿には返しておきたい借りが山ほどあるんですよ。それにアンジュルグだとあの再生能力付きの相手はしづらいでしょ?」
「…そうだな、それにソウルゲインが相手なら手の内はある程度わかる。こっちはまかせてもらおう」
「よろしくお願いします…じゃあラミアさんも気を付けてくださいね」
「了解した」
そう言ってソウルゲインの方へとアンジュルグが向かっていくのを一瞬だけ見て、改めてシンは前を見る。インフィニットジャスティスは既にビームサーベルを抜いて戦闘準備をほぼ終えており、
対するシンのヴァイサーガも剣を構えており、両者・両機ともに戦いの始まりを告げるゴングが鳴るのを待っている、とでも言うべき状態になっていた。
しかし、戦いを前にしてシンは妙な心境に至っていた。これまで幾度となく行われてきたアスラン・ザラとの戦いの記憶が走馬灯のようにシンの頭の中を駆け抜け、これから始まるであろう戦いで何かの区切りのようなものが
つくのではないかという予感がするのであった。
それが乙女座のセンチメンタリズムか、ただの拘りかはわからないが、これから始まる戦いが特別なものだという根拠なき確信だけは否定できない。
「シン!馬鹿な真似はやめろ!」
「アンタ達だけにはそんな台詞を言われる筋合はない!」
自覚の有無は別として覇王の唱える自由と正義につき従う者、覇王に刃を向けて幾度もの生き恥を晒し心折れそうになりながらも戦い続けることを選んだ者、決定的に相容れぬ者同士による戦いがまた始まった。
サーベルを振り下ろすインフィニットジャスティスに対して、ヴァイサーガも斬撃を放つ。それぞれの剣が纏うエネルギーがぶつかり合って、干渉し合う。意地とエネルギーが火花を散らしながら互いを拒絶し合う。
だが、数少ない特機のうちの1つであるヴァイサーガの方が地力では勝っていたようで、交わされた刃はパワーで勝るヴァイサーガによって徐々に押しこまれていく。
それを嫌ったアスランは押し出そうとするヴァイサーガの力を利用して後方へと逃れて斬撃が届かないように距離を置く。そこへヴァイサーガが五大剣を振り上げて追撃をしかけようとするのだが、
その前にはインフィニットジャスティスの背部から飛び出したファトゥムが立ちはだかり、マシンセルの力で巨大化してヴァイサーガの行く手を阻んだ。
「邪魔をするなあっ!」
五大剣が振り下ろされて一筋の傷がファトゥムに生まれる。さらに振り上げられた刃が新たな、より深い傷をつける。闇騎士を阻む正義の壁に対して高速で繰り出される斬撃がダメージを積み重ねていき、
マシンセルによる再生速度を斬撃によるダメージが上回り、やがて穴が開く。そして、その先にいるインフィニットジャスティスの姿が見えて、斬りかかっていこうとしたシンであったが、
直後、その開いた穴の中、穴の先にいたジャスティスのビームライフルから放たれた数条のビームがヴァイサーガへと襲いかかった。
「!?」
とっさに機体を下げながらランダムに機体を動かして回避行動を取ると同時に、背部の対ビームコーティング措置が施されたマントで機体を覆う。
かすったビームが散り散りとなってコックピットの中のシンの目をチカチカとさせたが、なんとかビームから逃れるのに十分な距離を確保してヴァイサーガは態勢を整え直した。
しかし、態勢を整えなおしたのは対峙するインフィニットジャスティスも同じである。さらにそのジャスティスを乗せているファトゥムはマシンセルの自己修復能力によって損傷の回復を完了して傷一つない状態を取り戻していた。
「クソっ!相変わらず…!」
始末が悪い、厄介だという言葉を、歯を喰い縛って封じたシンは再びヴァイサーガを駆ってインフィニットジャスティスに向かって斬り込んでいく。
機体を激しく動かしてビームを回避しながらジャスティスとの距離を詰めていくヴァイサーガに対し、CE世界においてはMS戦・肉弾戦を総合した戦闘能力では間違いなく最強クラスの実力を持つアスランは
現状の機体の性能差を踏まえて接近戦を嫌ったのであろう、片方の腕でサーベルを構えつつも、もう片方の腕で握ったライフルからビームを放ち、
ビームが命中しないと認識するとすぐに足元のファトゥムをヴァイサーガに向かわせた。再び大きく展開したファトゥムがシンの視界を奪うのと同時に行く手を阻み、ヴァイサーガは斬撃を繰り出すのだが、今度は風穴が開く前に
アスランが攻撃を仕掛けた。ファトゥムの影から突如として姿を現したインフィニットジャスティスはビームブーメランを投げつけ、さらにサーベルを構えてヴァイサーガへと向かっていく。
ビームブーメランを五大剣で振り払うシンであったが、さらにそこへインフィニットジャスティスが迫る。ビームサーベルを機体正面から振り下ろすと、それは五大剣で受け止められてしまう。
この単調に見える攻撃に一瞬だけシンは油断した。油断を誘うべく繰り出された攻撃に続けて、ビームブレードを搭載した右脚がヴァイサーガへと襲いかかったのである。
「しまった!?」
とっさにヴァイサーガの左腕でビームブレードの根元付近を掴ませ、力任せにジャスティスを投げつけようとするシンであったが、投げつけられながらもジャスティスの左脚を繰り出すと、
その先端のブレードはヴァイサーガの装甲表面付近スレスレを通り過ぎていった。もしもいま少し反応が遅かったならばやられていてもまったく不思議ではない攻撃に、
特機を得てわずかながらはしゃいでいたシンは今の攻撃によって我に帰らざるを得なかった。
改めてアスラン・ザラの勝負強さ・粘り強さと、機体各所に武器を持つインフィニットジャスティスのトリッキーな動きは、この世界においても文句のつけようがないほどに強敵であることをシンに再認識させる。
「もうわかっただろ、シン!今からでも遅くはない、投降して俺達と来い!」
「俺はアンタ…いや、お前達のやり方を認めない!そう言ったはずだ!」
「お前が欲しかった未来は俺達と同じはずだ、どうして俺達が戦わなくちゃならないんだ!?」
「戦ってはいけない、憎しみあってはいけない、それを言いながら平然と戦ってる奴の言葉が信じられるか!」
五大剣を振り下ろしたヴァイサーガの中でシンが叫ぶ。対するアスランもそれをビームサーベルで受け止めつつ、再び脚部のビームブレードで斬りかかる。
「やっぱりお前はまだ議長に騙されてるんだ!議長をあのままにしていては世界を…自由を殺す!」
「だから戦ってもいいかよ!結局、終わった戦いを最後に蒸し返したのはお前とフリーダム、それにラクス・クラインだ!」
「キラは戦いたくて戦ってるんじゃない!俺だって、ラクスだって同じだ!もう憎しみで戦うのはよせ、シン!」
「憎しみを振り撒く連中が言うな!それに…もし俺が憎しみを持つんだとしたら…それはお前達がいるからだ!」
「この大馬鹿野郎!」
「だったらお前はもっと馬鹿野郎だ!」
失せろラクソズ厨が
本当にもう何回も繰り返されてきた同じようなやり取りをまたも繰り返しながらの攻防であった。次に来るであろう攻撃がシンの予想通り、脚部ビームブレードであったことから、片腕で剣を握りながら、
もう片方の腕で腰部から列火刃を抜き取ってビームブレードを受け止める。そしてそれを力任せに弾き飛ばしたヴァイサーガは、ファトゥムに攻撃を阻まれる前に一気に攻撃を仕掛けようとするのだが、
対するインフィニットジャスティスはビームブレードが弾かれるとすぐにヴァイサーガと距離を取り、ビームライフルでの牽制を行う。このアスランの徹底した一撃離脱戦法にシンはあることを理解した。
ファトゥムは、再生する防御壁であるというだけでなく、その内側にいるアスランにどの方向から攻撃が繰り出されているのかを教える攻撃通知機能を果たしているため、
普通に五大剣で斬撃を仕掛けたのではアスランに迎撃及び対処の時間を与えてしまうのである。
純粋に機体が持っているパワーではヴァイサーガの方が勝っているが、マシンセルの自己修復能力があることからすれば持久力ではインフィニットジャスティスに軍配が上がる。
中のパイロットの腕は互角…とシンとしては言いたいところであるが、「わずかながらに」相手のほうが上手であることは否定しがたい。まったくもって厄介で、なんといやらしい戦いをする、強敵であると感じられた。
パワーで上回る機体に対し、機体の性能をフルに活かした戦いをしてきたのは、デスティニーでデストロイの大軍に立ち向かい、ビルトビルガーでソウルゲインやスレードゲルミルと接近戦を行ってきたシンに他ならない。
だが、そうだとしたら相手の弱点を突くしかないとすぐに思考を転換できたのも、同じような戦い方をシンが幾度も繰り返してきたからであった。
距離を置いたインフィニットジャスティスが放つビームを避けながらシンは必死に思考し、相手の弱点が何であるかを思考した。
戦いが始まってから、インフィニットジャスティスは徹底して一撃離脱の戦法を繰り返し、攻撃を繰り出すとき以外には意地でも距離を取りたがろうとしていた。
だが距離を詰めての戦いでファトゥムの防御機能が作用したことはほとんどない。ファトゥムに攻撃を阻まれたのは中〜遠距離からの攻撃を仕掛けたときだけである。
それを思い出したとき、一つの確信が生まれた。ファトゥムの防御壁は高い耐久力を持つものの、近距離戦での攻撃の応酬に対処できるほどの速度はない。
そうならば、ファトゥムが発動する前に、一気にインフィニットジャスティスに直接攻撃を仕掛けるしかない。そして、そこに思考が至ったとき、先ほど読んだ簡易マニュアルにあったヴァイサーガの能力を思い出した。
「アスラン!キラ・ヤマトの前にお前は潰す!今日、ここで!!」
「憎しみで戦うお前に俺は負けない!またお前を倒して無理矢理にでもキラ達の所へ連れて行く!!」
「ほざいてろ!ヴァイサーガ、フルドライヴ!!!」
コックピットの中に響いたシンの声が機体に認識されると、機体及びパイロットの安全性のために設けられているリミッターが一時的に解除され、ヴァイサーガの出力が次第に上昇していく。
機体の加熱を押さえるために気化した冷却剤は機体外に放出されて、背部のマントを激しくなびかせる。その様は抑え込んでいた闘気を解放し、纏う戦士を思わせて歴戦の戦士であるアスランにも圧迫感を与える。
そして操者であるシンの瞳と同じ赤色をしたヴァイサーガのツインアイが一際眩く輝くと、両腕で剣を携えたヴァイサーガは先ほどまでとは比較にならない速度でインフィニットジャスティスへと斬り込んでいった。
当然その行く手には覇王の正義の壁、マシンセルの力による自己再生能力と自動防御能力を備えたファトゥム01が立ちはだかる。
しかし、ヴァイサーガとファトゥムが接触する直前、ファトゥムの前からヴァイサーガは忽然と姿を消し、インフィニットジャスティスの右脇に現れた。それに驚いたアスランはインフィニットジャスティスを
後退させると同時にファトゥムがヴァイサーガとインフィニットジャスティスの間に立ちはだかるべくジャスティスの下へと戻っていく。しかし、ファトゥムが主の下へと帰還するより先に再びヴァイサーガは姿を消して今度はインフィニットジャスティスの直下に現れた。
「何だこのスピードは!?」
当然のことながらヴァイサーガは転移の類を行っているわけではない。リミッターを外したことによる機動性の向上とパイロットの思考を機体動作へ反映させるダイレクト・フィードバック・システムが合わさることにより、
ソウルゲインをも上回る最大戦速が生み出され、ファトゥムはおろか、アスランでさえ機体の姿を追うので手一杯になっていたのである。
そして直下から五大剣を携えて向かってくるヴァイサーガが、インフィニットジャスティスをその斬撃の間合いの内に捉えた。それになんとか反応したアスランはとっさに機体を上昇させるが、
振り上げられた刃は先端が辛うじて主の下へと到達したファトゥムの一部とインフィニットジャスティスの右足をビームブレードごと斬り裂いた。
切断面から火花を散らすインフィニットジャスティスをアスランは上昇させながら、さらに速度を上げて周囲を激しく動き回るヴァイサーガの軌道を追うが、
高級という形容では足りぬほどの質の高いコーディネートを受けたアスランの動体視力ですら、徐々にヴァイサーガの姿を捉え損ね始めていた。
再びインフィニットジャスティスの脇から斬りかかって来た闇騎士の刃に対してアスランは辛うじてビームサーベルを向けるが、繰り出された斬撃は機体の速度が乗っている分だけ相当の重さを持っており、
マシンセルによって飛躍的な性能向上を遂げたインフィニットジャスティスのパワーでも対抗できない。結果として機体は後方へ弾き飛ばされるが、さらに追撃の斬撃が闇騎士から振り下ろされる。
そこにはファトゥムが割って入ってきたことで追撃は免れることができたが、もう既にファトゥムの速度ではフルドライヴ状態ヴァイサーガの速度に対処できていないことはアスランの目にも明らかであった。
一方、相手の速度を遥かに凌駕するヴァイサーガを駆っているシンであったが、決して彼にも余裕があるわけではなかった。リミッターを外し、さらにソウルゲインほどでないにしても高い追従性が実現する
ヴァイサーガのスピードはそれが最大戦速に近付いていくにつれてシンの体に小さからぬGを与えているのである。機動性がウリの機体を乗りこなしてきて、相応に体が適応できているはずのシンであっても、
このまま最大戦速になったとして、長時間戦闘を継続するのは難しいと彼の直感が告げていた。だがここで、もうこれ以上、目の前にいる正義を振りかざした宿敵に負けるわけにはいかない、
理由はどうあれ戦いを撒き散らし続ける者と戦うのだ、それらの決意が操縦桿を握るシンの拳に力を与えていた。
そして機体が最大戦速に到達したことを告げると、正面から見舞った斬撃がジャスティスのサーベルにより防がれたヴァイサーガは再びインフィニットジャスティスの前から姿を消し、即座にその背後へと回り込んだ。
しかし、慣れない、というよりも初めての機体での、最大戦速による体への負担がここで一瞬だけシンの闘志を上回った。ほんの一瞬だけ、瞬間的に機体制御が遅れたことで、
ジャスティスの背後のヴァイサーガが剣を構えるタイミングがほんの僅かだけ遅れてしまったのである。だがシンは折れぬ心と気迫で再び闘志を取り戻し、機体を忌まわしき宿敵へと向けた。
「光刃閃!!!」
腹の更に奥、心臓よりも更に奥にある、まさに魂ともいうべき場所からの叫びとともに、ヴァイサーガが構えた五大剣が光を反射して輝く。
そしてファトゥムの自動防御も、サーベルによる防御も、脚部ビームブレードの迎撃も間に合わぬ速度でインフィニットジャスティスの懐へとヴァイサーガが飛び込む。
この瞬間になってようやくヴァイサーガの接近に気付き、本能で自機を動かすが、直後に光となって機体と操者の全ての力を乗せた闇騎士の刃が振り抜かれた。
最大戦速とともに光となった機体から繰り出される斬撃である、ダークナイトこと闇騎士ヴァイサーガの奥義・光刃閃。機体が光となるのと同時に振り抜かれた、機体とともに輝く刃は無限正義の両腕ごと、
腹部を基点に無限正義の胴体を上下に分断していた。だが、シンが一瞬だけ機体制御を失ったことがここで最悪の結果を招く。
「しまった!?」
光となったヴァイサーガの繰り出した斬撃が通過したのは、インフィニットジャスティスのコックピットのわずか下であり、アスラン・ザラの本能による、機体を僅かに上昇させるという操縦を許してしまったのである。
そして上半身の一部だけとなったインフィニットジャスティスは、光刃閃の勢いで弾き飛ばされながら、残された上腕部で辛うじてファトゥムにしがみつく。
「くっ…!シン、よくもジャスティスを…!」
機体ごと両断されなかったのが奇跡に近いことをアスランは知る由もなく、敗れたことによる悔しさと無念さ、自分よりも格が下だと思っていたシンに敗れた怒りをにじませながら、
機体を操作してファトゥムに離脱したシロガネへの帰還を指示すると、早々に戦場を後にした。
一方のシンも、予想以上だった体への負荷からすぐにファトゥムを追跡することはできなかった。しかし、宿敵の撃破にわずかに心を躍らせながらもこれ以上、追跡をしようとはしなかった。
まだ、戦闘は終わっていないからである。レーダーをチェックしてラミアのアンジュルグの位置を確認すると、シンはそこへとヴァイサーガを向かわせるべく、再び力強く操縦桿を握り締めた。
つづく
乙で、シンが漸く真っ向勝負のタイマンで凸に勝てたな
色々感慨深いだろうねぇ
11氏来とった
乙
GJ!初めて乗った機体でここまで順応するとは。並行世界からガロードが乗り移ったかのようだw
きちんと機体能力を把握してモモゼイン・クライマックスフォームと連携すればキラだろうと勝てるさ。
それにしてもいつまでもシンを格下と思ってる凸ざまあwww
仕留めきれなかった反動がどうなるか、凸は何人道連れにしやがるか不安
OO見たいです
えー、00に11氏のラクシズ乱入させるの?w
さすれば
奪い取られん
>27
てめぇww吹いたじゃないかwww
11氏乙です!
しっかし凸はほんっっっとうに人の話を聞かんなw
これから先どんな大迷惑をまき散らすのか楽しみだw
凸にしてもニートにしても台詞ってか喋り方が
いかにもラクシズっぽいんだよな
核心や難しいことは結局覇王任せなとこも含めてw
30 :
通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 09:36:16 ID:KFfFwcHr
そんな馬鹿な、姫が姫が自力で危機を潜り抜けた上、騎士ラミアの援護に回るだと…グッジョブ!
周りにいる人間がマトモ(比較対象がアレですが)な上、格上が多いと成長も早い。
そしてモモゼインの活躍の機会が華麗にスルーされてしまいました……「濃い」教導隊メンバーとアクセル隊長がいるのでは姫も含めて空気になりそうです。
あげないでくれ
>>28 今更だが人の話を聞かないのはラクシズ全員だと思われ。
しかし何だな、このラクシズたちはアギラ以上に惨めに死んでくれんものか。
ノイマンだけは助けてあげて。
アークエンジェルもスパロボの世界に来てたっけ?
第1話から抜粋
「やめろ、シン!キラは…キラは正しいんだ!」
「…今行くよ、ステラ…」
「キラァァァァァァ!!!!!!」
次の瞬間、デスティニーとジャスティス、そしてレクイエムの爆発が起こり、辺りを光が包み込んだ。
その光は崩れ落ちたメサイアから脱出したストライクフリーダム、そしてその母艦エターナルをも包み込み、
光が消えたときに残っていたアークエンジェルのブリッジは、メサイア・レクイエム陥落の朗報と共に
フリーダム、ジャスティス、エターナルという造物主の至上の愛を受けた存在の反応消失という信じ難い事態に騒然となっていた。
また最後の行がえげつない言い方だが、アークエンジェルは転移してないっぽい
どういうわけか知らんが痔悪化だけは転移しているようだが
逆にザフト側はシンとレイだけかな?
少なくともルナは来てないようだが。
たぶん二人だけだろうな
それにルナマリア好きには気の毒だがいまさら出て来ても…
もうヒロインは姫だからな…
痔にしたってあくまでも痔っぽい人ってだけだったしな。
ラクシズ除けばシンとレイだけっぽいね、CE組は。
ルナは……あれだ、壁際のいぶし銀辺りが何とかしてくれないかなぁ、とかw
でもモモゼイン以上のインパクトは……諦めろと奴が囁く!
>32
すまん、言葉が足りなかった。ラクシズの中でも特に、だな。
でも個人的にはキラ4,5人目辺りが仲間になってもいいのかもとか思ってるんだぜ?
Zでのきれいなキラさん見てるとなんとなくね。
レーツェルに炒飯作りを教えて
日本で弁当屋やってたよなw
ルナさんはラクスを超える真・歌姫として、フォールド波を放ったり、世界を調律したりすればいいんじゃないかな
>>41 だが坂本真綾はアニメでは歌わないジンクス
まあ同じ調律ならステラ(orナタルorフレイ)も居る訳だが
むしろ歌繋がりでシンには可変戦闘機に乗って貰いたくなるな
無茶な後付けユニット装備したりとかさ
じゃあ中の人繋がりで、シンには古代兵器とシンクロしてもらいたい
ワイルドアームズのロディか
中の人ネタというと
総帥氏のバカSS(褒め言葉)のせっちゃんや11氏のSSのラミアが
幼女になっちゃうというネタを
前者は普通にキスで、後者はラッキースケベ発動で元に戻るw
シンとセツコと愉快な変態達――その8というか7・5というかまあ番外? う〜んまあその8でいいか
『シン君はケダモノです by セツコ』
常に大切な人のぬくもりが自分の傍にあるという事実は人の心を安らがせる。たとえば、このシン・アスカなどはその最たる例だ。ガルナハン近くの町を離れ、今はライン河のほとりに在る小さな町に腰を落ち着けていた。
シンとその想い人であるセツコ・オハラが籍を置くビーターサービスの代表を務めるランドとメールは、まだMS運搬用のトレーラーで眠っている頃合いだろう。
シンとセツコは相変わらず安上がりな――シンがセツコに毎夜挙げさせている嬌声の為に少し余裕があれば、防音設備の整っていそうな――ホテルに寝泊まりしている。
かつてシンが愛とも恋ともつかぬ感情と共に、守ると誓った少女が焼きつくした都市にほど近いこの町の周囲は、やはりかつての大戦の名残を色濃くとどめ、四季の巡りを経てなお焼け焦げた大地が広がり、破棄されたMSの残骸が風雨に打たれている。
約一年前には、それに自分も参加していたのだという事実が、時折シンの心に忍び入って暗い影を落とすが、その度に傍らにいる愛しい人がシンの心を慰めてくれた。過去を想うのはいい。だが、それで今を生きようとする足を止めてはいけない。
どんなに辛くても、悲しくても、苦しくても、過ぎ去った過去は変えられず、変えられるとしたなら、それは今とそこから繋がる未来だけだから。
そうして、過去の想いの残滓を受け止めて、シンはこの町の付近での仕事に精を出した。
機能もMSを引っ張り出しての大掃除から故障した家電の修理までと、師走の頃の様な忙しさで動き回り、くたくたに疲れ果てて泥のように眠っていた。
その疲労を表すように、普段、最低三回はしないと満足しないシンが、セツコとのナニを一回で終えている。
海の底からゆっくりと海面へ浮上してゆくように、緩やかな意識の覚醒に伴い、シンは裸で横になった姿勢のまま、ゆっくりと瞼を開いた。
「?」
いつも目を覚ますシンの目の前で微笑を浮かべているシンだけの女神がそこにいなかった。あれ? という当たり前の出来事がいつもと違う違和感に、シンの脳が不理解を覚えるのに一刹那。
シャワーかなにかか? と思い、無駄な肉がごっそりと削ぎ落された上半身を露わにして体を起こす。薄いカーテンから沁み込むようにして部屋の中に侵入する朝陽に、薄く暗闇の帳を残しながらされる室内を見渡す。
ぐるりと周囲を見渡し、求めた人影がいない事に気づいた。シャワーの音もしない。トイレか? とデリカシーに欠ける事を考えながら、隣のセツコの寝ていたスペースが変に盛り上がっている事に気付く。
まるで丸まった姿勢の子供が頭から毛布やシーツを被っているような不自然な山だ。
「セツコ?」
びく、とその山が揺れた。何を思ったのか、セツコはシンの目に触れぬように隠れているつもりらしい。
たぶん、シンが目を覚ます直前にセツコも眼を覚まして何らかの理由でシンの目から隠れようとしているのだろう。それでとっさにシーツを頭から被っているのだろうか?
まさか、いきなりかくれんぼがしたくなったわけはないよなあ、とシンは幼少の頃、近所の子供や、妹マユとして遊んだ遊びを思い出し、優しい記憶に口元を綻ばせた。口元に浮かぶ優しげな笑みはそのままに、伸ばしたシンの手がシーツの塊を揺すった。
「セツコ、どうかしたのか?」
「シ、シン君?」
「そうだよ」
声をかければいつもより小さく、どこか幼げなセツコの声が返ってくる。理由は分からないが、不安に震えている事が、シンの心に疑惑の種を植えた。恐怖はないようだが、困惑と不安の度合いが強い声だった。
セツコがこんな声を出すのを、シンは初めて耳にする。ひょっとして、何か体に異常が表れたのだろうかと、真黒な不安がシンの胸の中で大手を広げ、心を焦らせた。
「なにかあったの、セツコ? おれに言えないような事?」
「う、あの、ね。別にどこか調子が悪いというわけではないの。ないんだけど、ちょっと信じられないというか、在り得ないというか……」
「? とりあえずどこか怪我をしたとか、病気かもしれないってわけではないんだな?」
「どう、なんだろう? ひょっとしたら、病気……かもしれない」
「なに? だったら早く医者に診せなきゃじゃないか! まだ早いけど、急ぎだって言えば診てくれるさ!」
“病気かもしれない”と告げるセツコの声に、一気にシンの中で余裕や落ち着きが失われ、ベッドの上で膝立ちになってセツコの隠れたシーツの塊に近づき、両手を添えて優しく揺する。
「大丈夫か? ほら、一度おれに見せて。そりゃ医学の勉強なんかしてないけど、それでも単純な打撲とか切り傷とかなら手当てできるし、動けないってんなら抱えてでも、背負ってでも連れて行ってあげるから」
「えっと、あのね、たぶんお医者様に診てもらってもダメだと思う。でも、本当にどこかが痛いとか苦しいとかじゃないの。普通に動けるし、熱があるとかでもないんだけれど」
「なのに、普通じゃないって解るのか? 体のどこかが腫れてるとか、そういうの?」
「……シン君にも見てもらった方が早いと思う。あの、驚かないでね? 私もどうしてこうなったのか、分からないから」
「え? あ、ああ。じゃあ、見せて」
「うん。恥ずかしいけど、ちゃんと私を見て……」
どこか恥ずかしげにセツコが言って、シーツの塊が浮き上がる。中で立ち上がったのだろう――にしてはやけに低い位置で止まった。膝立ちになったシンより少し上くらいだ。
そして、深窓の令嬢を守る様に閉ざされていた白いシーツが、ゆっくりと左右に開かれていく。その奥に隠されたシン・アスカにとって至上の宝物が徐々にシンの赤い瞳に映し出される。
「っな、どうして……」
絞め殺される間際の家畜の様な声を絞り出し、驚愕に瞳を大きく開いて固定したまま、シンは目の前のセツコの変わり果てた姿に、茫然と膝立ちの姿勢から尻餅をついて固まる。
「シン君……」
やっぱり驚いたと、セツコはさほど失望はしていない様子で溜息をついた。自分より慌てている人間を目にした事で、かえって落ち着いたからか、先程シンを不安にさせた気弱な調子は、幾分薄らいでいた。
地平線を黄金に染め上げ、今や眼下に広がる大地を構成する山並みや鬱蒼と生い茂った深い森、大地を横切る雄大な河川を金色に染め上げる陽光の美しさと眩しさに、その男――アサキム・ドーウィンはかすかに目を細めた。
やや小高い丘の上に佇むこの青年は、その黒づくめの衣装から、遠くから見れば地面ではなく空中に描かれた人影のように映るだろう。
靴の先から顎先、両手の指先まで徹底的に黒で統一した異装は、どこであっても、いつであっても変わらない。
地に投げ落とされる影がそのままこの青年の衣服へと変わったかのように、常に黒を纏っている。
血を凝固させたような赤い瞳に染み一つなく真っ白な領土を広げる肌。それに漆黒の衣装が加わった時に描かれる三色のコントラストが、その全ての色を互いに引き立て合い、元より妖美な魅力を待っていたこの青年に危険な魅力を付与していた。
その異様な装いさえも、出会うものを惑わす魅了の力へと変えるほどに美しく、どこか浮世めいた雰囲気を持った青年。それがアサキムだった。
その右手に湯気を燻らせる黒い水面。白い陶器のコーヒーカップに注いだコーヒーである。後ろに立つストライクノワールことシュロウガと共に鮮やかな陽光に照らし出されながら、アサキムはコーヒーを一口含み、細く吐息を吐く。
「美しい……、ぼくのシュロウガ。そして違いの分かる男、アサキム・ドーウィンとはこのぼく。ふふふ、今日も退屈しない一日になりそうだ」
黄金に彩られたシュロウガをうっとりと見つめながら呟いたアサキムが、彼方から土煙を盛大に上げながら近づいてくるMSの機影に気づき、愉快気に口元を釣り上げて残っていたコーヒーを一息に飲み干した。
朝も早くから向こうから楽しい話題がやって来たようだった。
昇降用のラダーを使ってシュロウガのコックピットまで登り、開かれたハッチに悠然と足を掛けて来客の到着を待った。向こうに害意が無い事は分かっている。さて、どんな理由でぼくの元を訪れたのかと、アサキムはその答えに期待しながら黙して待った。
シンの愛用しているワークスジンが、点火していたスラスターを停止し、アサキムのシュロウガの目の前で足を止める。勢いよく、とは言っても速度そのものは変わらぬがハッチを開いて、ワークスジンからシンが顔を見せる。
「アアアアアサァァァアアキイィィムウウゥゥゥウウ!!!!!」
「ふふ、ははははは!! どうしたんだい、運命の君? まるで瞳が紅蓮の炎を閉じ込めたように激しい怒りに燃えている。獄炎に魂を焼かれる罪人も君の瞳に映る事を恐れるだろう。君の瞳は怒りの赤が実に似合う」
「うるせえ、このヘッポコポエマー!!」
「ふふ、君の怒りの罵声もなかなかに心地よいものだが、一体どういう用件なのかな。いつも隣に侍らせている、君が乙女ではなくした悲しみの乙女はどうしたんだい? よもや、彼女に飽きて男に目覚めたなどとは言うまいね。
生憎と君の眼差しに心揺れる趣味はぼくにはないのだが。まあ、ランドならいいかな、などと思ったり思わなかったりする乙女心が止まらない昨今のぼくとはいえ、求愛ならば謹んで断らせていただこう」
「だ、誰がお前なんぞを欲しがるかあ!!!」
「ふむ? ではなにかな? ぼくは今ツィーネの相手で忙しくなる予定なのだが」
「本当に心当たりがないのか知らない振りをしているかは分からないけど、セツコの事だ!!」
「?」
そう怒鳴るや否や、シンは一度コックピットに引っ込み、傍らに小さな人影を引き連れてまた顔を見せた。
シンのものらしいダボダボの白いYシャツ一枚を羽織ったきりの女の子だ。Yシャツの裾から零れた生の太ももは、女の色香よりも幼い子供の活力と無垢さに眩いまでに輝いている。
どこか気弱な影の射す顔立ちは、幼いながらにも将来慎ましくも見るもの全ての目と心を引き付ける、美しい花を咲かせることを約束した蕾の愛らしさに満ちていた。
ふっくらとした秋の林檎の様な赤いほっぺに、シンの指先ほどの小ぶりな唇。きらきらと小さな星の光を宿しているような大粒の瞳は翡翠の色。長く伸びた黒髪をそのまま流し、風に揺れる髪は黒い花弁の様に可憐だ。
シンの左手に右手を握られながら姿を見せた少女を見て、アサキムがおや? と首を捻る。この青年には珍しい素直な感情の発露を示す挙措だ。基本的にアサキムは根性がひん曲がっている。
「これは、何時の間に悲しみの乙女を孕ませ、無垢な命をこの世に産み落とさせていたんだい? 言ってくれればぼくなりに祝福の言葉の一つも捧げようものを。ずいぶんと母親似だが、中身は君に似ているのかい? 運命の君」
「……本当に知らないのか? この子はなあ、セツコだ!!」
「ほう? なるほど何処の違法機関とつながりがあるかは知らないが彼女のクローンを作ってまで幼女との禁断の性宴を催したかったというわけか。ふ、存外君も爛れた性根の持ち主だね。それとも悲しみの乙女と三人とで毎夜、朝が来るまで語り合っているのかな?」
「だ・か・ら! この小さい女の子が、セツコなんだよ!!」
「……嘘偽りなく、真実を語っていると誓えるかい?」
「お前にそんなウソついておれに何の得がある!?」
「そうだな……君とその無垢なる幼女と悲しみの乙女が三人で身も心も溶かし合っている淫らな宴を、二次元の世界で展開してあげてもいいが? 無料で進呈して差し上げよう」
「……だ、誰がいるか!! そんな本!!」
……の部分にシンなりの葛藤が見え隠れしていたが、それを誤魔化すようにシンは怒鳴り返す。シンに手を握られていたセツコ(幼)が、シンの言っている事が事実だと告げる様に口を開いた。
「シン君の言う通り、私は正真正銘のセツコ・オハラです。アサキム、貴方ならどうして私がこうなったのか、心当たりはありませんか。私達を困らせて喜ぶのなんて、あなた位でしょう? なにか知っていないの?」
「なにもかもをぼくのせいにされても困る。しかし、本当にセツコ・オハラなのかい? これはまた珍妙なこと極まりないが、確かに彼女の面影が残っている。ちなみに、運命の君にはもう骨の髄までしゃぶられているのかい? その幼い肢体の隅々までを」
「シン君はロリコンじゃありません!!」
「ふむ。まあ、運命の君の性癖がどれほどおぞましくこのぼくにしてさえ口にする事が憚られる様なものだとしても、さして問題はない。それに、悲しみの乙女、君ならば運命の君に与えられるモノが苦痛だろうと恥辱だろうと魂を歓喜させて甘受するだろうしね」
そう言って、またアサキムはセツコ(幼)の爪先から頭のてっぺんまでを見回した。シンとほとんど変わらない背丈は、今はシンの胸くらいにまで縮まっている。身長差はおおよそ4〜50センチと言った所か。
前方に突き出るシルエットを描いていた乳房や、想い清くくびれた腰に繋がるまろやかな曲線を描く尻肉も、今は引っ込んでなだらかなラインへと変わっていた。いかにも子供な小さな造作だ。
しかも身に着けているのがシンのYシャツ一枚きりと来た。無論、そんな子供サイズの衣服をシンとセツコが持っている筈もないから、下着の類も穿いていないだろう。
セツコが残る手でYシャツの裾を抑えて、足をもじもじとさせている事が何よりそのことを証明している。悪戯な風が一陣吹けば、その奥に隠されている体の部位があられもなく露呈してしまうからに違いない。
そのテの趣味の持ち主なら涎を垂らして自分のものにしたいと願うような美幼女ぶりといえた。アサキムはその趣味はないのか、本当にあの悲しみの乙女らしいと判断したのか、すぐに視線をシンへと向けた。
「残念だが、本当にぼくには心当たりがない。それにこんなに面白い事をしておいてぼくがこうも落ち着いているわけがないだろう?
とっくにその姿を撮影して、世界中に配信し、『元ザフトのトップガンが幼女と援助交際!? 秩序を失った性の失楽園』だの『年齢を超えた愛、ここに誕生した禁忌の性愛、背徳の幼女愛 プゲラww』とか、面白おかしく副題を着けているさ」
「………………いろいろと気になる所はあるけど、まあ、そうだな」
「本当に心当たりがないんですか?」
「ない。よって君を元に戻す方法も知らない」
「マジかよ」
がっくりと首をうなだれるシンの様子に、当事者たるセツコの方がむしろ慰める様に、握ったシンの手を強く握り返し、気にしないで、と囁いていた。シンの方が十歳近く年上の外見なのに、シンを慰める姿は正しく姉の様にアサキムには見えていた。
「そう気を沈める事もないだろう、運命の君。なんなら、このアサキム・ドーウィン、アサのみならず昼ならヒルキム、夜はヨルキムとなって君達の心に潤いを与える道化師にも喜んで扮して見せよう。
ちなみにそんな僕の好物は豚キムチ、ブタキムと覚えておいてくれたまえ。アサキムヒルキムヨルキムの好物はブタキム、ブタキム。さあ、君達も……」
「死ね」
「バナナの皮で足を滑らせてお豆腐の角で頭を打って死んでください」
「ふ、ふふ、いつにも増して研ぎ澄まされた刃に氷の冷たさを帯びたような言葉。君達の言葉は千の刃に勝る痛みとなってぼくの心を苛むよ。
なんだったら、黒いゴシックロリータの衣装を纏ったツィーネと二人で、運命の君を『お兄ちゃん』と呼んであげようか? 悲しみの乙女も機会があったら言ってみるといい。彼の脳内で様々な葛藤がイグニッションして君を喜ばすことだろう」
恍惚に赤らんだ頬のままそう言うアサキムに対するシン達の返答は、痛烈な無視であった。もうお前の言う事なんか聞いてらんないよ、とそそくさとワークスジンのハッチを閉めて、元来た道へと向かっていた。
背後にシュロウガとその主である思考体系がねじり曲がって迷宮を形成している変態を置き去りにして、シンは途方に暮れていた。直感的にアサキムが犯人かと思って来たのだが、最大の宛が外れてしまったのだ。少しは落ち込みもしよう。
(ていうかおれよりもセツコの方ががっかりしただろうな。おれが気を落としてちゃ不安にさせてしまうな)
自分の膝の上に座っているセツコの白いうなじを見つめ、幼く変わってしまった恋人に声をかける。かつて愛妹マユ・アスカにそうしたように優しく、君の事が大切なんだと告げるような声で。
「大丈夫か、セツコ? なに、そのうち元に戻るさ」
「うん。でもやっぱりお仕事とかでもランドさん達に迷惑をかけてしまうよね。この体でも手伝える事があるといいんだけど」
シンの太ももにずいぶんと小ぶりになった尻を乗せ、シンの胸に頭を預けていたセツコが、愛らしさを数倍に増した顔で振り返し、ミルクのような甘い匂いをふわりと漂わせながら、シンの顔をまっすぐに見つめて答えた。
見た目通りに幼い仕草をして、中身も子供になってしまったのではないかと思う時もあれば、不意にシンの愛と性欲をすべて受け止めて来た女の艶やかな仕草が現れ、シンの胸を妖しく揺さぶる。
ランドさん達になんて説明しよう、そう呟いて前を向き直るセツコ。向き直る仕草の一瞬、目に映った光景に、シンは息を呑んだ。
急いでホテルを出た為に、枕元にあった自分の着替えをセツコに着せているのだが、サイズがとことん合っていないYシャツの隙間から、セツコのまな板の様に隆起を失った胸に二つの薄い桜色の突起がを見て、いやに大きな音を立てて生唾を飲んでしまった。
(…………はっ!? いやいやいやいやいやいや、いくら相手がセツコといってもこの外見で欲情したら、おれは間違いなくアブノーマルじゃないか!! まずいまずいまずいまずい、心を鎮めろ。落ちつけ、落ちつけ、おれ)
そんなシンの葛藤を知らず、セツコはどうすればいいのだろうと途方に暮れていた。
「うわぁ、『できちゃった婚』じゃなくて、『できてました』婚?」
「シンよぅ、今月厳しいから、ご祝儀少なめでいいか?(エッチなお店的な意味で)」
というのが、メール・ビーターとランド・トラビスが、セツコ(Ver.幼女)を見た時の第一声であった。おい! と突っ込みを入れたい衝動を抑えつつ、ビーターサービス所有の大型トレーラーの応接ルームで、シンとセツコは事情を説明した。
それからセツコとメールが女同士の秘密として、お互いにだけ伝えていた内緒話をして確認を取り、ようやくセツコは本人として二人に認められた。
セツコ用のホットココアを出しながら、メールは自分よりも小さくなったセツコをしげしげと眺める。
両手でおずおずとホットココアのカップを持ちあげたセツコは、メールの視線に恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「あんまり、見ないでください」
「ええ〜? 可愛いのに〜〜。シンだってそう思うよね?」
「え? ああ、そりゃ、可愛いさ。なんたっておれのセツコなんだからさ」
シンは自慢げに胸を張って言うと、右手でずいぶんと低い位置に変わったセツコの頭を撫でた。愛しい者にする行為には違いないが、今は恋人のそれと言うよりも兄が妹に対してする愛情の度合いが強い。
シンの手が撫でる度にセツコの頬は喜びに緩んでいた。年端も行かぬ美幼女が、愛情を伝える行為で、花の蕾も笑顔になって開くような微笑みを、少し恥ずかしげに浮かべている様子は、それを見ているランドとメールからしても可愛らしいことこの上ない。
(可愛いなあ、おい)
(かわいいねえ)
で結局、セツコは物理的に手足の長さが足りないという事でMSの操縦は断念し、今日一日はメールが普段行っている経理や事務関係の仕事を手伝う事になった。
ガサツな所のあるランドやシンの代わりに、こういった細々とした業務を手伝っていたから、メールの邪魔になるような事がなかったのは幸いだろう。
なんとか一日の仕事を終え、借りていたホテルの一室に戻り、二人はシンのベッドに横に並んで腰かける。相変わらずセツコはVer.幼女のままであった。
「結局、今日一日戻らなかったね。私の体」
「まあ、寝ている間に何があったのか分からないけど、すぐに戻るようなものでもないのかもしれないな。どう? 体の調子でどこか変なところとかないか?」
「ううん。大丈夫。そっちの方は平気だよ。ただ、今までと同じ感覚で歩いたり座ったりするから、椅子から落ちちゃったり、物を掴めなかったりとかそういう距離感がつかめなかったりで困りはするけど」
「そればっかりは慣れないとなあ。まあ、慣れる前に元に戻るのが一番だけど」
やれやれと嘆息し、シンは隣のセツコを見下ろす。今はサイズが一番近いメールの私服を借りて、薄黄色のパジャマを着ていた。普段、豊潤極まりないセツコの肢体を飽く事無く堪能し、啼かせている為か、こうも平坦な体と言うのはなかなかに新鮮であった。
あのかすかに膨らんでいる胸はそれでも柔らかいだろうか。まだ青く芯の固さを残しているような小ぶりな桃尻はどんな味わいだろうか。椛の様に小さな手の平や、本当に桜の花びらを張り付けた様な唇は甘い感触のままだろうか。
(うわあああ!? おおお、おれはなにを考えているんだよぉ!!)
それはめーでしょーーー!? と心の中で頭を抱えて悶絶しながら、シンはいくらセツコ本人とはいえ、ここここ、こんな小さな女の子の体に性欲を滾らせちゃったら、もう人間として終わりでしょうがあああああああああ。
「シン君」
「ひゃいっ!?」
「ふふ、へんなシン君。なんだか考え込んでいたみたいだけど、どうかしたの?」
そう言って、セツコはちょいちょい、とシンに手招きをした。少し頭を下げて、という合図だ。なんだろうと思いつつも、腰をかがめ、セツコに自分の顔を近づける。そっと、小さく柔らかなセツコの手がシンの頬を優しく挟んだ。
柔らかく、小さく、暖かい手だった。
「ごめんね、私がこんな事になって迷惑かけちゃったね。でもね、私、昔より我儘になっちゃったの。
私がこんな風になったのに、シン君にしてあげられる事がずっと減っちゃったのに、それでもシン君の隣にいたいって思っているの。シン君、こんな私でも、貴方の隣にいてもいいですか?」
「……そんな事を気にしてたのか。馬鹿だな」
「そう、かな?」
「ああ、大馬鹿だ。そんな当たり前の事をおれに聞くなんてさ。セツコがどんなふうに変わったっておれの隣に居て良いに決まっている。それに、おれだってセツコがおれの隣にいたいって思うのと同じくらい、セツコの隣にいたいんだからさ」
「そっか。ありがとう」
ようやく、自分の願いや我儘を言うようになってきてくれたセツコに対し、自分を求めてくれるという事実を感じられて、シンの心は無上の喜びに満たされていた。
そっとセツコの小さく細い腰に手を回し、ひょいっと持ち上げて自分の膝の上に乗せて、腕の中に収まる位に小さな体を、卵を温める親鳥の様にそっと抱き締めた。
子供の体温は大人よりも高かっただろうか。慣れ親しんだセツコのぬくもりも少し暑く感じられる、今の幼いセツコの体のぬくもりを感じ、甘さをほんのりと強めた体の香りを肺いっぱいに吸い込み、シンは変わらぬセツコへの愛情を感じていた。
そのままお互いを抱きしめ合って十数分、シンの腕の中のセツコが小さく、ふわぁ、と手で口元を隠しながら可愛い欠伸を漏らした。体が小さくなった分疲れも溜まりやすいのだろう。
眠たそうな眼を、小さな手でこすりこすりするセツコの仕草に、シンは微笑む以外の術を知らなかった。可愛い以外の形容詞が見つけられないセツコの姿であった。
「もう寝る?」
「うん。シン君は? 私の事は気にしなくていいよ」
「ふふ、一緒に寝るよ。おれだけ起きていても詰まらないからな」
「そっか、じゃあ、一緒に寝よぅ」
「うん、分かったよ」
ひょい、とセツコの膝の裏と背中に手を回し、お姫様だっこで持ち上げて、優しくベッドの上にセツコを横たわらせた。その隣に自分も潜り込み、枕元のスイッチで部屋の電気を消そうと手を伸ばす。
なんとかセツコの純粋無垢な幼い肢体に対して抱いた欲情の嵐はしのぎ切れたようだった。と安心したのが良くなかった。毛布を口元まで引き上げたセツコが、上目使いにシンを見上げ――
「おやすみなさい。お兄ちゃん」
「…………」
アサキムがシンが喜ぶと言っていた事を思い出し、純粋にシンに喜んでもらおうと呟いたのだろう。しかし、それがシンの理性の堤防を粉砕した。
ここであえて述べておくが、シンは、死別した妹マユに対して別段強調するほどシスターコンプレックスを抱いていたわけではない。
とはいえ、父母に加え妹が目の前で焼死体となり果て、自分の目の前には鮮血が滲み、千切れた妹の腕が転がり、形見と言えるものが妹マユの携帯のみとなってしまっては、それに固執するしかないのも、仕方のない事だろう。
むしろ異国であるプラントへと移住し、わずか二年でエリートの証である赤服を纏い、それなりに友人関係も築いていたバイタリティと社交性は評価してもいいだろう。
何を言いたいかと言えば、つまりは、セツコに『お兄ちゃん』と呼ばれてマユを思い出したのではなく、その言葉が純粋にシンの中の男をきわめて強力に刺激してしまったという事だ。
シンは自分の体の中でいろいろなものがブチブチとちぎれる音が聞こえた。堪忍袋の緒、道徳、理性、倫理、そういった人間を人間たらしめるモノの全てが、あっという間に消えてしまった。
「シン君?」
「優しく、するから……」
許しを乞うように囁き、シンはセツコのパジャマの胸元をはだけて、露わになった小さなサクランボを口に含んだ。
「シン、君……や、あ、ふう、んああん」
胸元から自分の唇までねっとりと唾を乗せて舐めるシンの舌が、自分の唇に辿り着き、唇そのものを呑みこむように暴力的で、貪られるようなキスに、セツコは幼い体でありながら、脳の奥から広がる、痺れるような快感に喘いだ。
で、翌朝。二人の様子を心配したメールが部屋を訪れ、鉤の掛っていない室内に入り、ベッドの上ですやすやと眠る二人と、ベッドの惨状から昨日の夜一体何が繰り広げられたのかを悟り、こう呟いた。
「ケダモノだ」
――つづく
>>48さん。
こんなんでよろしいでしょうか? 中の人ネタが正直わからなかったのですが、まあ、ほどほどにエロくやってみた結果こうなりました。
セツコの幼女化は、次も続行を望む声がありましたら次で解除、特になかったら次からはもう解除された状態にしておきます。
ええと、水をかぶるとょぅι゛ょになってお湯をかぶると元に(ry
>>54 幼女せっちゃんに凄く萌えたwww
もちろん続行だ!!そして、エロも望む!!
せっちゃんに合わせてシンがビッグマグナムなバベルの塔の持ち主になるんですね、わかります
58 :
48:2008/11/30(日) 21:28:37 ID:???
総帥殿、リクエスト受諾ありがとうございます
元ネタはシンの中の人が主役の「円盤皇女ワるきゅーレ」でしたw
>>55 ランド「おいおい、いくら俺でもそんな(ry」
GJです!
ようじょせっちゃんでも容赦ないんだなシンよ、どこまでケダモノなんだよ……
それにしてもアサキムさん、あんたランドから求婚ならいいのかよ。
逆に、大人セツコとショタシンっての所望してみたり……
>61
あっそれいいかも
つまりシンもぁゃιぃ泉にどっぽーん!と
せつこ「しんくんはわたしのこいびとなんだから、あなたはちかづいちゃ、めーなの!」
ツィーネ「おやおや、そんな小さなナリで、坊やの相手が務まるのかい? その内飽きられて捨てられちゃうかもよ」
せつこ「そんなことないもん! きのうもいーっぱいだっこしてくれたもん!」
ツィーネ「(ふふ、意地張っちゃって可愛いものね)だっこねえ? 具体的にどんな事をしたのかしら?」
せつこ「えっとねえ、しんくんがじぶんの○○○○をだしてわたしの○○○○に……」
ツィーネ「……はい?」
※天使のようなほほ笑みを浮かべた幼いセツコ改めせつこが、頬を赤らめながらあまりにも生々しい内容を、事細かに語り終えるまで少々お待ちください。
せつこ「○○○○であたまのおくのほうがじーんてしびれて、そのままねむっちゃったの。つぃーね? どうしてだまっているの?」
ツィーネ「……セツコ、私ちょっと、シンと話をしてくるわ」
せつこ「えー!! だめえ、しんくんとふたりっきりなんてゆるしません」
ツィーネ「分かっているよ。ザ・ヒートとメールも一緒に連れていくから、それなら安心だろう?」
せつこ「んーー、わかりました。でもしんくんとえっちなことしたら、ちょめっ、ですよ!!」
ツィーネ「分かっているってば。ほら、指だしな。お前の国じゃ、こうして約束をするんだろう? ゆーびきりげーんまん」
せつこ「うーそついたらはりせんぼんのーます。ゆーびきった」
ツィーネ「ほら、ちゃんと約束は守るから安心しな」
せつこ「わかりました。あのね、つぃーね」
ツィーネ「なんだい?」
せつこ「ほんとはね、わたしあなたのこときらいじゃないの。おともだちになりたいっておもっているの。だからね、しんくんともなかよくなってほしいけど、しんくんはわたしのいちばんなの。だから、あの……」
ツィーネ「ふふ、分かっているよ。お前からシンを取ったりはしないさ。本当に、お前はいやになるくらい、良い子だね(頭ナデナデ)」
せつこ「えへへ」
その後、どこか遠い所で生皮を剥がされるような苦痛にまみれた某S・A少年の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。
こんな感じで中身も幼女化したほうが良かったのか大人のままでよかったのか、それともランダムで切り替えたほうが良かったのか。
ショタシンの場合も中身はそのままの方が良いのかどうなのか。悩みます。ムムム。幼女セツコのイメージは、某スパロボスレまとめサイトに投下されたレフィ好きな方のイラストをイメージしております。
ではおやすみなさい。
あなたは神だ
ロリせっちゃん、エロくて神です!!
ショタシンは個人的にツィーネのツボに入りそう…黒髪赤眼なところがグリーンリバーそっくりだから、
『逆光源氏計画』がとか画策しそう…
アサキムのセリフに某黒ウサギ君の人気番組で話題に出てた『獅子に焼かれた闇の果実』
を思い出した。たしかランドがつなぎを着た「イイ男」として出てきたはず…
ショタ化シンをシミュレーションしてみた。
ケースA:中身がそのままの場合
セツコ「うふふ、シン君はかわいいなあ〜(なでなで)」
シン「こ、子供扱いはやめて下さいよ」
セツコ「だってとってもかわいいんだもの(ぎゅっ)」
シン「(うお、胸が直接顔に……)」
セツコ「ずっとこのままでもいいかも、なんてね」
シン「ならこっちにも考えがありますよ」
セツコ「え?ちょ、どこ触って……あ、ああっ!」
ケースB:中身が外見相応の場合
セツコ「うふふ、シン君はかわいいな〜(なでなで)」
シン「えへへ」
セツコ「ほんと、食べちゃいたいくらいかわいいなあ」
シン「わっ、セツコお姉ちゃん?どこ触ってるの?」
セツコ「うふふ、食べちゃいたいくらいにね……」
シン「わっ、なんか変だよっ、ああっ!」
どうも俺の頭はイカれているようだ。
ケースC
しん「ううう、スカートなんて…」
セツコ「ごめんね、シン君。でも合う服がメールのお下がりしかないの」
メール「大丈夫、似合ってるよ」
なんだただのアスカ姫じゃないか
なんて思った俺の脳は終わってるな
相変わらずアサキムが素敵過ぎるwwwww
保守
日曜ぐらいに投下できそうですと報告しつつ保守。
チョイ今さら気味だが声優ネタ。
魔王の剣から冥王の剣に鞍替えしたアサキムとかどうよ?
風の技から氷の技にも変えて。
元ネタも黒騎士名乗ってた時が一時期あったし、修羅を自称してたり煉獄に落とされろとか
アサキムっぽい言い回ししてた時もするし。
どうよと言われても元ネタわからんことにはどうしようもない
>>75 「英雄伝説Y 空の軌跡」のグリリバライバル、剣帝レーヴェ。
ついでに言うと
スチャラカ演奏家を装った帝国皇子のネオ
「不動」と作中では言われるがファンの間では「不遇」呼ばわりのジニン
超大食いのシスターステラ
常に煙草を咥えてる新聞記者サーシェス
なんかがいたりする。
で、それがどうしたのかね
>>76 前スレの菊池儲といい、どうしてこのスレはこういうのが集まってくるんだ…
せめて「スパロボ」「種死」「OO」のどれかひとつでも当てはまる話題を振ってくれよ
もしも○○が種・種死世界に来たら
スレの存在も忘れないでください
もし○○が××だったらっていうネタを振るのは、そういうのに
該当するスレでやるのが妥当なんじゃないかと思いました。
声ネタは元ネタ知らなきゃ面白くない。
んで、その内に元ネタ知ってても面白くなくなってくる。
声が同じだからってキャラそれぞれの人格は違う事に気付いて。
俺がそうでした。
こんばんわ。三十分後に投下します。なにか問題ありましたらお知らせください。
投下します。
ビアンSEED 第七十二話 創世の光、創り上げるは天国か地獄か
“そこ”には無限のシン・アスカがいた。言葉通り限り無く存在する可能性、世界、運命、命、魂を――持ち、失い、失う、これから手に入れる――ありとあらゆるシン・アスカがいた。
紅に染め上げた新たなる“運命”と共に怒りの翼を広げ飛び立つシン・アスカがいた。
血涙を流し家族の命を奪った怨敵がたたずむ蒼穹の空を睨むシン・アスカがいた。
ほたほた、という擬音が似合う歩き方をする二足歩行のねずみと、柔和な顔立ちの青年の二つの姿を持つシン・アスカがいた。
奈落の底の様な絶望に堕ちて世界の全てを羨み、妬み、ひそみ、憎み、嫌い、欲するシン・アスカがいた。
乙女座で神に最も近い男と称される黄金聖闘士となったシン・アスカがいた。
意思ある魔剣の主となって邪悪を討つ、御伽噺の中の勇者の様なシン・アスカがいた。
地球の防衛機構たる鋼の巨人達と共に立ち上がり滅びを望む魔星に挑むシン・アスカがいた。
形成さぬ分子の塊にすぎぬシン・アスカがいた。
誰にも手の届かぬ高みへと上り詰め、超越者の行き着く先に辿り着き、惰眠を貪るだけになったシン・アスカがいた。
雨に打たれながら、薄暗い路地の片隅で誰にも看取られる事無く永遠の眠りにつく惨めなシン・アスカがいた。
焼けた砂の星で、その右手に天使を宿す青年や巨大な十字架を背負った牧師と共に旅をするシン・アスカがいた。
ただただ平凡な人生を歩み、ありふれた幸せを手に入れて幸福な人生を送るシン・アスカがいた。
夢幻の心臓を持つ人造生命として生まれ、八つに分かたれた秘宝ユダの痛みを宿し、救世主の鎧たる竜戦士の操者となったシン・アスカがいた。
無限の正義との戦いに敗れ月の大地に運命と共に堕ちるシン・アスカがいた。
光の巨人の意志と力を受け継ぎ人と怪獣たちの命の双方を守れないのかと苦悩するシン・アスカがいた。
平和と言う名の狂気を包み込んだうたかたの夢と、守るという呪いに縛られて心狂わせたシン・アスカがいた。
大海賊時代に迷い込み後に海賊王となる麦わら帽子の少年と行動を共にするシン・アスカがいた。
石持て追われ、誰にも受け入れられる事無く、救われる事無く、骨と皮だけになって飢えに苛まれて死んだシン・アスカがいた。
世界との契約により反英霊へと堕落したシン・アスカがいた。
アーモリーワンの戦闘であっけなく戦死し、何もなす事無く死んだシン・アスカがいた。
錬金の秘術が生み出した人造の奇跡『核金』を手にいれ、非日常の戦いに身を投じるシン・アスカがいた。
あらゆる世界のシン・アスカを憎悪するシン・アスカがいた。
黒ウサギでお姉さんや年上美女との仲を茶ウサギに嫉妬される、三児の父親となったシン・アスカがいた。
太陽の様な黄金に輝くシン・アスカがいた。
あらゆる物質を分解再構築し、自らのエゴを具象化するアルター能力に目覚めたシン・アスカがいた。
あらゆる可能性を見つめるこの自分に気づき、逆に見守っている高次元の存在となったシン・アスカがいた。
もっとも新しき神“旧神”となったシン・アスカがいた。
血に塗れた復讐の刃と化したシン・アスカがいた。
体も魂も捧げて姿を変えた意思ある化け物器物スピア・オブ・ザ・ビーストを振るい、魂を食われて字名さえ伏せられた妖怪へと変わり果てたシン・アスカがいた。
今まさに命の火が消えようとしているシン・アスカがいた。
ラ・グースを斃したゲッターエンペラーと共に、大いなる宇宙を食らい尽くす新しきモノ時天空との戦いに挑む、進化を遂げたシン・アスカがいた。
腕は千切れ足は膝から下が無く、腹からは腸が零れ落ち、目はすでに機能していないにも関わらず、闘志をより一層激しく燃やし、立ちあがらんとするシン・アスカがいた。
銭湯の番をしていたら、墜落してきた戦女神の名を持つ宇宙人の所為で死に、生き返る代償に魂の半分を共有する事になったシン・アスカがいた。
今まさに世界に産声を上げようとしている赤子のシン・アスカがいた。
ミスターシュラドーと呼ばれ、仮面で顔を隠し、ガンダムと戦う乙女座でセンチメンタリズムな運命を感じているシン・アスカがいた。
心を壊し、ただの人形と化したシン・アスカがいた。
時空管理局に拾われ、その身に宿した魔導師の力を見込まれて、半ば流される様に局員となったシン・アスカがいた。
男なのにアスカ姫と呼ばれるシン・アスカがいた。
永遠神剣地位『刹那』の主となって宇宙開闢以来続くカオスとロウの永遠者、そして『盾』と呼ばれる者たちの戦いに、大きな役割を果たすシン・アスカがいた。
生まれる事さえ許されなかったシン・アスカがいた。
甲竜の鎧を纏いヴィルガストの世界で戦うシン・アスカがいた。
象に踏み潰される蟻の様にあっけなく、オーブの海岸でMSに踏み潰されたシン・アスカが居た。
体内のダイナモで周囲のアザトースを吸収し、変換し、変神の掛け声とともに黒き戦天使となるシン・アスカがいた。
そして今ここに、他の誰でもない、どのシン・アスカでもないこの世界の『シン・アスカ』がいた。
全面モニターに映る地球連合の艦隊とそこから出撃したMS,そしてなにより核を装備したメビウスの群れが、シンの目を引いた。
今のシンには、すでに次元の狭間で出会った少年の事も、そこで見たありとあらゆる世界の自分の可能性も記憶にはなかった。
生死の境を彷徨い、カルケリア・パルス・ティルゲムの暴走によって辿り着いた因果の道筋から外れたあの世界の出来事は、通常の世界に帰還する際に全て忘却の霧の彼方へと持ち去られていた。
だが、それでも憶えている事はある。あるいは、魂に刻んだ事と言うべきか。
自分が、自分の意思で、この世界を選んだと言う事。この煉獄の修羅道の様な戦いの続くこの世界で生きる事を選んだと言う事。
自分の意思で選んだ道といえど、所詮は人間。時にはそれを後悔する事もあるだろう。もしあの時、違う道を選んでいたならと悲嘆に暮れる事もあるだろう。
時に足を止め自分の歩んできた道の軌跡を悲しみと共に思い返す事もあるだろう。暗雲に閉ざされた未来に怯え、震える事もあるだろう。
だが――おれは行く。このおれが、シン・アスカが、自分の意思で選んだ道であるのなら、ここがおれの生きる場所であると決めたのなら、おれは行く。
どんなに道に迷っても、どんなに傷ついても、どんなに恐ろしくても、おれは歩き続ける。おれは生き続ける。この命を最後の最後まで燃やし続けてみせる。
「それが、おれの生きると言う事だ!! 行くぞ、飛鳥!!」
猛る魂の胎動をそのまま乗せ、シンが咆哮を挙げる。
帰還を果たした主に応えるかの如く、グルンガスト飛鳥もまた腰を落とした姿勢から、メインスラスターを爆発的な勢いで点火し、青く輝く一筋の流星となって宇宙を切り裂いて飛ぶ。
赤く血に濡れた様な瞳の奥に、強く輝く新たな光を宿した少年の目に映るのは、暴虐の破壊の炎を携えたメビウスの群れと、それを守る無数のMS達。
「核なんてものを持ち出して! そこまでして戦争に勝ちたいのか、そこまでしてコーディネイターを滅ぼしたいのか!? 戦争だからって、やっていい事と悪い事があるだろうが!! それでもお前ら、人間かああ!!!」
ふつふつと精神の水面に、怒りが湧き立ち水面を大きく乱し始める。グルンガスト飛鳥に搭載された精神感応系統のセンサーやシステム、デバイスの類が反応し、飛鳥の出力を徐々に上昇させる。
右手に携えた獅子王の太刀からかすかに朱に染まった不可視の霧が立ち上りつつあった。シンの怒りに呼応して増幅された思念が、徐々に物質化するほどの濃度とエネルギーを持って顕現しようとしている。
怒る、怒る、怒る。
目の前で行われんとした人間の醜い行いに。
それをさせてしまう人間の業に。
そうしてしまう人間の愚かさに。
賢しげに言葉を振りかざしながらも、力を振るって他人を傷つける事しかできぬ自分に。
右下段、後方に切っ先を流した獅子王の太刀は斬艦刀を展開していないシシオウブレードの状態だ。
獅子王斬艦刀の柄と飛鳥の手の鋼の接触によって、橙色の火花が数片咲き零れる。
魂が飛び立ってしまいそうなほど果てしない虚空を一瞬彩った火花が、迅雷疾風の如く描かれた刹那の銀月に散らされた。
機械の挙動でありながら生身の達人のそれと等しい、グルンガスト飛鳥の振るった横薙ぎの一閃が、虚空に描かれた銀月の正体であった。
半弧を描いた獅子王の爪牙は、対艦刀シュベルトゲベールを右上段に振り上げて斬り掛かってきたソードダガーLの胴を、腰から上下に両断していた。
右手一刀で振るわれた無造作な動作に見えて、その実人間の目には捉えられぬ神速の斬撃――もはや魔刃と称し得る剣。
鋼と鋼が奏でる音を聞け。もしここが母なる地球の大地の上であったなら、打ち合う鋼の音ではなく、鋭く風を斬るかすかな音だけが君の耳に届くだろう。
断じて分厚い人型機動兵器の装甲を、実体を持った鋼の刃が切り裂く音ではなかった。レーザーや超振動、帯熱させた刃を持ってしても同じ現象を引き起こす事は出来まい。深淵無辺なる人の技なればこその一刀である。
斬られたソードダガーLの切断面を見よ。覗き込む君を、静夜の水面に映る満月のように映った君自身が見返しているだろう。
断じて機動兵器の戦闘で生じる現象ではなかった。達人・名人と謳われる、一つの道に人生のほとんどを捧げた求道者のみが成し得る奇跡の如き現象の領域だろう。
手の平には血が滲み、噛み締めた歯がことごとく砕けようとも、どれほど風雪や嵐が荒れ狂おうとも、愚直という言葉を越えて一つの道を進み続けた者が、ある日唐突に辿り着く境地。それが、コレを可能にする唯一の道ではないか。
斬り捨てたソードダガーLを振り返る事無く飛鳥は動いた。振るった獅子王斬艦刀の柄尻を左手で握りしめ、周囲で戦闘を行っているザフトの防衛部隊と連合のピースメーカー部隊の位置を瞬時に把握すべく、ぐるりと周囲を見回す。
DCの部隊が数機こちらに気付いて迎撃の為に向かってきているが、もう数分かかるだろう。核攻撃の動揺が収まらぬザフトの部隊は、決死の覚悟で猛攻を仕掛けるピースメーカーとその護衛部隊に苦戦している。
ならば、その元凶を叩く。グルンガスト飛鳥の緑の双眸が、主の赤い瞳に変わり核弾頭を装備したメビウス部隊を捉える。
グルンガスト飛鳥――この土壇場で姿を見せた特機という厄介な相手をしようと、量産型ガルムレイドが何機かこちらに集まってくる。
ザフト、DC、地球連合の三勢力で唯一量産化された特機だが、それでもその戦闘能力はMSでは二倍の数を用意してもただ蹴散らされるのみだ。
同数のMSと特機では対等に戦い得ない。すでにザフトや連合でも暗黙の了解となった戦場のセオリーに従い、特機の相手は特機で持って行う腹積もりなのであろう。
だが、ここに一つの大きな誤算があった。あるいは無知であったと言い換えても良い。確かに特機の戦闘能力は局所的な戦況を単独で変えるほどに凄まじいものだ。
しかしてその特機の戦闘能力を完全に発揮し得る人間がどれだけいることか。そして特機とは、廻り合った操者次第によって性能が大きく上下する、兵器としては不安定な存在なのだ。
それは、逆を言えば操者次第で特機が本来の力を行くほども発揮出来ぬ愚物になる事と、途方もない力を持った味方からすれば武の神の如き、敵からすれば悪鬼羅刹の如き存在に化ける事も意味している。
そして、語るまでもないかもしれないがシン・アスカは、この世界では数少ない特機の性能を十全以上に引き出す事の出来る稀有な操者であった。
量産型ガルムレイドは、ヒューゴ・メディオの駆るオリジナルガルムレイドに比べ、出力は低いがTEエンジンの稼働がより安定し、どんなパイロットが乗っても一定以上の能力を発揮するよう改良されている。
グリーンに塗装された巨体は製造コストとスペックの両方を高い水準で維持し、量産型としては申し分ない性能を誇る量産型ガルムレイドだったが、出会った相手が悪かった。
相手はオンリーワン特機であり、そしてそれを駆るのに最も相応しい者の一人が操者として、そのコックピットに座っていたからだ。
しかもその胸の内に、遥かなる距離と時間を超えて宇宙に輝く太陽よりも熱く燃える闘志を抱いていた。
量産型ガルムレイドの内の一機が両肩のファングパーツを右手に装着し、グルンガスト飛鳥めがけて射出する。
ターミナス・エナジーの灼熱の光を纏い、がちがちと牙を打ち鳴らしながら迫ってくる拳は、縦一文字に描かれた獅子王の太刀の軌跡に呆気なく両断される。ファングナックルが纏っていたTEも歯牙に掛けぬ、凄絶な一刀であった。
低く唸る様に、飛鳥の瞳が鈍く輝く。翡翠の双眸に映すは冥府の魔犬の名を冠した緑の巨人達。
ひゅっ、とシンの喉の奥で小さな音が一つ鳴る。戦の始まりを告げる戦神の笛の音が、短く吹かれたような音であった。
虚空さえも踏み抜くと見えた飛鳥の渾身の一歩は、背のメインスラスターとテスラ・ドライブの助けを得て、見えない翼で飛ぶかのように、先程ファングナックルを斬り裂かれた量産型ガルムレイドの懐へと飛鳥を運んでいた。
迫りくる飛鳥の姿が、気づけばモニター一杯に映し出されている事に気づいた量産型ガルムレイドのパイロットは、その事実に気付くのと機体の額に在るブラッディ・レイのトリガーに指を伸ばすのを同時にやってのけた。
そのわずか一秒にも満たぬ時の間に、シンは目の前の敵を斬り捨てていた。
右腕を突き出した姿勢だった量産型ガルムレイドの首は、飛鳥の右腕から伸びた銀蛇が触れるのと同時に呆気なく胴体と別れ、弧を描いて戻った銀の蛇は真っ向から残る胴体を縦に割っていた。
量産型ガルムレイドの首から股間までを縦一文字に割った銀の蛇――獅子王の太刀が描いた銀の軌跡は、わずかに・一秒の停滞の後に再び動いた。
振り下ろした刃が、地上であったなら大きく大地を割っている位置から、足首、膝、腰、背、肩、腕を通じた螺旋の動きが生むエネルギーを余す事無く刃に伝え、上半身と共に旋回する。
飛鳥の背後から膝にある鋸――サンダースピンエッジを叩きつけようとしていた量産型ガルムレイドの左腰から銀刃がずるりと滑り込み、水を断つ様な手応えと共に右胸部上方から獅子王の刃が抜け出る。
斬られた衝撃で上下に分かれ、飛鳥の左右を通り過ぎて行く量産型ガルムレイドの胴体二つ。
核動力MSの高出力ビームを受けても一撃で撃墜される事はない重装甲を誇る特機の、その装甲が何ら意味を成さぬ一刀。魔性のモノが憑りついたかのような一刀は、まさしく妖刀・魔剣の呼び名こそが似合う。
二機を斬り伏せるのに要した一秒の間に、残る量産型ガルムレイドと周囲のバスターダガー、ダガーLの銃口が飛鳥を捉えている事を、シンは肌を突き刺す殺意から認識していた。
装甲越しにも殺気を感じるほどに鋭敏になった知覚能力は、増幅された念能力やゼオルートとは別の師から学んだ武道が培った第六感に加え、幾度も戦場に身を晒し死線をくぐった戦士として蓄積した経験が生んだものだ。
言葉や文章によるイメージよりも早く、危険、敵、攻撃――と言った散逸した思考が、シンの四肢の末端にまで行き渡り、飛鳥の巨躯を軽やかに操っていた。
飛鳥から見て右下方四〇〇メートルにいるバスターダガー目掛けて左のブーストナックルを放つ。同時に直上方向へテスラ・ドライブの、静止状態から最高速まで瞬時に加速する特性を最大限に生かし、跳躍に似た飛翔を行う。
コンマ数秒遅れて飛鳥の居た空間を穿つブラッディ・レイや、ビームの矢。それを眼下に納めるよりも早く、獅子王斬艦刀を握ったままの右手の袖口から特殊成型炸薬を仕込んだ十字手裏剣“ブレイククロス”で周囲を薙ぎ払う。
DC謹製の特殊成型炸薬を、目一杯に仕込んだブレイククロスが突き刺さったダガーLや105ダガーのシールドが、掲げていた腕ごと爆発の中に飲み込まれ戦闘不能の状態まで追い込まれるのが数機分確認できた。
ブレイククロスの直撃を受けつつも、胴体を庇った左腕を損傷しただけで済んでいた量産型ガルムレイドを、最も早く片付けるべき敵としてシンは飛鳥の正面に深緑の色に変わった冥府の魔犬を捉えた。
量産型ガルムレイドの挙動に、こちらの存在に気づいた節が見られた時には、飛鳥の金色の星が、その瞬きを無慈悲なまでに強めていた。音声による武装選択システムの補助もあり、シンは武装名とトリガーを引くだけで攻撃を実行に移せた。
「こいつでえっ! オメガレーザー!」
一瞬網膜を焦がすほどに爆発的に増した星が、光の洪水をまっすぐに量産がガルムレイドに向けて解き放つ。
煌々と飛鳥の巨体を照らしあげた金色の光は、両腕で機体前面を庇った量産型ガルムレイドの機体を丸々と飲み込み、やがて黄金の奇跡の中に大きな火の玉が生じるのと、バスターダガーを粉砕した左手のブーストナックルが再装着されるのは同時だった。
その時、気を緩める事無く周囲へ警戒の意思を放つシンの意識に、ほんの数日離れていただけだと言うのに、思わず胸が熱くなるほど懐かしい気配が触れた。
全天周囲モニターの片隅で、高出力のビームの帯が小隊規模で行動していたストライクダガーを丸々薙ぎ払い、金色に輝くドラム状のポッドが敵を翻弄する様に飛び回ってはオレンジの火の球を幾つも生むのがシンの目に映る。
「へ、やっぱり来たなあ、シン! 待ちくたびれたぜ」
「スティング! 悪い、遅くなった。その分は働くさ」
「ま、当然だな」
星と太陽の輝きをその黄金の鎧に映しながら、飛鳥の周囲の敵機を牽制し駆け付けたスティングのアカツキだ。その名に相応しく黒い天を払拭する金色が、飛鳥を囲もうとしていた連合のMSを追い払う。
そして、暁の訪れとともに彼方に消えゆく暗闇の如く、追い払われたMS達は猛然と襲い掛かって来た流星に、その存在を抹消された。
テスラ・ドライブの翡翠の輝きを月光で編んだ紗幕の様に纏い、右手に握ったインパクトランスを突き出した姿勢で猛チャージを駆けた、中世の騎士の様な機体はガーリオン・テストベッドことナイトガーリオン。
主兵装であるインパクトランスを展開し、ブレイクフィールドを形成しながら敵機に突撃するブレイクチャージを敢行。目にも鮮やかな翡翠の道筋には撃墜されたMSの爆光が宝石の様に煌めいた。
ブレイクチャージの解除と共に、臀部のミサイルランチャーと胸部のマシンキャノンで敵機を牽制しているナイトガーリオンのパイロットの名前をシンが呼ぶ。小さい頃からの悪友を呼ぶような、親しげな声であった。
「アウルか!」
「へっへ〜、お前が寝ている間に活躍させてもらったぜ! ていうか今さら目を覚ましても遅いっつーの!」
「何言ってんだ。おれが間に合わなかったらやばかったじゃないか、プラント!」
「それはザフトの連中の仕事。おれらの仕事じゃないって」
交わし合う軽口には三人共隠しきれぬ喜色の色が浮かぶ。気を抜けば即座に死につながる戦場に置いて尚、その存在が健在である事を喜ばずにはいられないのだろう。シン・アスカとは、アウルとスティングにとってそんな存在になっていた。
そしてシンは、やはりここが自分の居るべき場所なのだと言う事を強く感じていた。
人の命の価値があまりにも軽い、命令次第で人を殺せる・殺さなければならない兵士という人種が集うような場所であっても、そこに自分を必要としているモノ、自分が必要としている人がいれば、そこには言葉では表しきれぬ価値と意味が生まれる。
それが幸か不幸かは分からぬが、シンの心に充足の感情が広がっていたのは確かだ。
飛鳥やアカツキ、ナイトガーリオン他コスモリオンやガームリオン部隊の援護が間に合い、隊列を乱していたザフトの部隊はかろうじて連合の核メビウス部隊を抑え込む事に成功していた。
互角に盛り返したこの局所の戦況を、DC・ザフト側に傾けさせたのは、シンらの元にさらに一人、誰よりもシンの心と体を案じていた少女が駆けつけたからに他ならない。
すなわち、凶津事を告げる災厄の鳥“ヒュッケバイン”のパイロットたるステラ・ルーシェである。
ステラは飛鳥の反応をヒュッケバインの中で確認し、心の中で何度もシンの名を呼んだ。
シンが戻ってきた。また、ステラの名前を呼んでくれる。きっと、ステラの事を見てくれる。シンが、シンが、シンが、帰ってきた!
だから、一刻も早くシンにあの言葉を言う為に、ステラはヒュッケバインを黒い魔風の如く操り、立ち塞がる地球連合の機体全てを容赦なく破壊しながら飛鳥の元へと向かった。
ヒュッケバインのマイクロミサイルによって敵機を大きく散開させ、そのど真ん中を大胆に飛び、集中砲火を浴びせようとする敵機に、マイクロミサイルと同時に放っていたリープスラッシャーが襲いかかっては、光の鋸の餌食にする。
「わたしは、シンの所に行く! その邪魔をするなぁあ!!」
ヒュッケバインの右手に握らせたオクスタンライフルの銃口からは絶え間なくビームと実弾が放たれ、左手のロシュセイバーはブラックホールエンジンの産む莫大なエネルギーによって稲妻の如く迸り、テスラ・ドライブの翼は鋼の機体に神速を約束していた。
思考よりも先に動く肉体が操縦桿を操作し、ヒュッケバイン目掛けて四方から降り注ぐ光から逃れる。ふわりと宙に舞った羽毛を力任せでは掴めないように、ヒュッケバインはテスラ・ドライブの恩恵によって縦横無尽の動きで虚空に踊る。
重なり連なる銃声、銃声、銃声。幾度も描かれる翡翠の弧月は斬撃、斬撃、斬撃。
一メートルが何百倍に、一秒が何千倍にも感じられる中、ステラの思考は戦闘とシンの元へ行くという行為を並列して処理し、ヒュッケバインは番いとなる飛鳥の元へ向かう道筋に無数の凶事――MSの鋼の骸を生んでいた。
「シン! シン、シン、シン!」
「ステラ?」
「シン!!」
もし飛鳥やヒュッケバインに乗っていなかったら、そのままシンに抱きついていたに違いない勢いで、ステラはシンの元へと、ようやく辿り着いた。
決して見間違える筈もない、シンの愛機グルンガスト飛鳥。先ほどから通信で拾っていたシンの咆哮。機体越しにも確かに見えるシンの怒りの顔。
シンの顔に浮かぶのが笑顔でなくても、怒りでも良かった。シンが、そこに、いる!
「シンだ。シン、シン!!」
シンの名前しか知らないように、ステラは何度ものシンの名前を呼ぶ。呼ぶ事を止めてしまったら、目の前にいるシンが儚い幻のように消えてしまうのだと言うように。
シンもまた、ずいぶんと懐かしく感じられるステラの声と変わらぬどこか妖精めいた無垢な顔に、口元を綻ばせた。シンが心惹かれた大粒の宝石の様な瞳も、何の代償も求めぬ純真な笑みも、目の前に在る。
落日に染まる夕闇の空の様な赤い怒りに染まったシンの心を、穏やかな風が吹き抜けていた。ステラと一緒にシンの心に吹いた風は、シンの昂った心を優しく慰め、荒ぶっていた感情の波が静まる。
ただそこに居る。それだけでこんなにも心の在り方を変える大切な人。ステラにとってシンとは、そしてシンにとってステラとはそんな存在だった。
「シン」
「なに?」
「お帰りなさい」
モニターの中に映し出されたステラの笑顔がより一層愛おしく変わる。かすかに潤んだ瞳はまっすぐにシンを見つめ、ほのかに桜色に染まった頬はステラの抱く感情の強さを物語り、シンの胸にこの上ない喜びと幸福の感情を抱かせた。
そして、シンはこう答えた。それ以外の答えなどありはしなかった。
「ただいま、ステラ」
「え、何? シンが戻って来たの!?」
「そのようだ! アウルとスティングにステラが接触した。連合の核部隊と接敵したようだ」
荷電粒子砲のチャージ中をカーラに護衛されながら、ユウがシンの復帰をカーラに伝える。弟分の復活に、カーラは輝くような笑みを浮かべるが、シンの容態を思い出してすぐに心配の仮面を被って気遣う声を出す。
「でもシンは怪我していたじゃない。こんなにすぐ戦闘なんかできるの?」
「さて、な。いずれにせよ、こちらに合流する筈だ。それにスティング達も一緒なら大抵の事はどうとでもなる。それに!」
咄嗟に回避行動に映るランドグリーズ・レイブンとラーズアングリフ・レイブン。ロングダガー二機とカラミティで構成された小隊とエールダガーL一個中隊が、カーラとユウに砲火を集中させてきたのだ。
レイブンユニットの搭載で機動性や運動性が増したとはいえ、元来鈍重な部類に属する両機は、特に火力の高いカラミティのシュラークやケーファー・ツヴァイを回避し、通常のビームライフルは、機体に施された対ビームコーティングと厚い装甲を頼りに耐え凌ぐ。
「わっと、あたしたちもシンの事を気にする余裕はないって?」
「そう言う事だ!!」
再チャージを終えた荷電粒子砲の咆哮を轟かせ、ユウのラーズアングリフ・レイブンが一気にエールダガーL三機をまとめて吹き飛ばし、カーラはマトリクスミサイルとリニアライフルで弾幕を形成する。
これに連携して後方のタマハガネとアカハガネの連装衝撃砲の光条が突き刺さり、蜘蛛の子の様に散った機体へは、DC最強の剣戟技能者“剣皇”の異名を持つゼオルートのM1カスタムの刃の露と消え果てた。
一機目のM1カスタムに蓄積されたデータを反映し、各関節部の柔軟性と可動範囲や耐久性を強化し、よりゼオルートの技量を活かす事が出来る仕様に変わっている。携帯しているロングソードも、錬金術による加工を施した業物だ。
ダガーLののっぺりとした顔が縦に二つに割れ、左右に散らばっていたロングダガーに右肩、両膝への斬撃のフェイントの後、稲光の様な刺突が機体中央部を深々と貫く。光の速さで貫いた刃は等しい速度で血振りの動作と共に引き抜かれる。
シンの復帰を耳にし、その口元に常よりも幾分柔らかな笑みを浮かべ、ゼオルートは愛弟子の復活を喜んだ。
「さて、弟子が頑張っている以上、師匠が情けない所は見せられませんね」
イーゲルシュテルンにビームサーベル、ロングソードのみの武装のM1カスタムを、遠距離から仕留めようと遠巻きにビームライフルを撃ちかけてくるエールダガーLの残りを見つめ、ゼオルートは浮かべた微笑を冷たいものに変えた。
右八双に構えたロングソードが、冷たく輝いていた。引き絞られる引き金を視界の内に認め、ゼオルートの肉体が瞬時に反応する。向けられた銃口からビームの軌跡を予測し、発射される前に回避行動を終わらせる。
近接戦闘に偏重したM1カスタムの特性を最大限に発揮するため、フライトユニットや機体各所のアポジモーターをはじめ、推進力が徹底的に強化されている。
強化された機体性能に加え敵のパイロットの呼吸さえも機体越しに見抜く洞察力とが、彼方の敵機の攻撃のタイミングをゼオルートに手に取る様に把握させる。
エールダガーLがビームサーベルの柄に手を伸ばすよりも早く、懐に飛び込んだM1カスタムの右手が動き、その回数だけエールダガーLの機体に斬痕が深々と残る。
また一つ、剣皇の伝説を彩る命の散華の花が咲いた。
核搭載メビウスによる“ピースメーカー”隊の苦戦に、アズライガー専用の輸送艦で待機していたアズラエルは、意外にもさほど怒りを感じていなかった。
「おやおや、せっかくの核を撃つ間もなく撃墜されちゃあ、何の為のNJCなんだか。アレ、結構なレアメタルが必要なんですけどネ?」
体に馴染んだ専用のパイロットスーツ越しに両手の指を組んで、こきこきと小気味よく音を鳴らす。商人としての自分が、せっかくのNJCが何の成果も生まずに宇宙の藻屑になる事に悲鳴に近いものを挙げていたが、それは簡単に黙殺する事が出来た。
経営者でもブルーコスモスの盟主でもない自分が心の中にいる事を、アズラエルは理解していた。何よりも今自分の心の中で猛っているモノ、喉が破れて血が溢れるほどに咆哮を挙げようとしているモノが、いまかいまかと牙を打ち鳴らして爪を研いでいる。
「それにしても、はやく、ああ、はやくコロしたいなァ……」
うっとりと一方的な殺戮が齎す恍惚の記憶に、アズラエルは頬を淡く朱に染めて笑む。アズラエルに残された記憶はボアズにおける圧倒的な虐殺だ。
サイバスターやイスマイル、ジャスティスやフリーダムに一矢を報いられた事と、リュウセイのヴァイクルに攻撃を仕掛けた際の記憶は過度の負担になりかねないとアギラに判断され、抹消されていた。
今のアズラエルに残っているのは、思い出すだけでも股ぐらをいきり立たせる性的快楽を伴った、圧倒的優位に立った者が弱者を嬲る際に得る残虐な優越感だ。
コーディネイターに対するコンプレックスと相まったそれらの感覚は、麻薬など及びもつかぬ危険な魅惑でアズラエルの精神を侵食し、魅了していた。一度知ってしまったらもう離れる事は出来ない甘美な毒。
そしてその毒は他者の命を奪う事でのみ得られるおぞましい毒であった。指先、爪先、心臓、網膜、五臓六腑と体中に見えない根を張り巡らす樹木の様に、アズラエルの心体に溶け込んだ毒が、腐りかけの果実の様に過度に甘い匂いを放ち、思考を曇らせる。
核であの遺伝子操作の果てに生まれた化け物どもを一掃するのもいいが、このアズライガーとぼくの手で二千万の害虫共をじかに皆殺しにするのはもっとイイ。
精一杯の抵抗を見せているザフトの鉄屑どもを蹴散らして、あの不細工な要塞を微塵に砕いて、何も守る者がいなくなった忌々しい砂時計を一つ一つ、ゆっくりと時間をかけて壊してやろうか。
それとも自分達の死の足音が聞こえる様に、生命維持機構を破壊するか、毒ガスをプラント一基ずつに流し込もうか、あるいは食糧の輸入を完全に停止させて、緩慢にプラントの全住民が飢え死にするのを待つのもいい。
即刻皆殺しにするか、じわじわと嬲り殺しにするか。どちらもひどく魅力的な考えであった。
『アズラエル理事』
「ああ、コッホ博士ですか。どうかしましたか?」
『なあに、そろそろお前さんの出番じゃと伝えにの。露払いはお前さんが用意したω特務艦隊がやってくれておるぞ』
「はは、そうですか。この戦闘が終わったら彼らに特別ボーナスでも出してあげますかね。ああ、でも、そうですかぼくの出番ですか。アハハハ……待ちくたびれましたヨ? くくっ」
『スポンサーに死なれては困るでな。あまり無茶はしてくれるなよ』
「無茶? ぼくが? はは、何を言うんです。このアズライガーで無茶の仕様などありませんよ。さあ、早く出撃させてください。一刻も早く、あいつらを踏み潰したいんですよ。ええ、もうさっきからそうする事を思うと、体の震えが止まらないのですよ」
血走った目でこちらを睨み殺さんばかりの勢いで見るアズラエルの様子に、アードラーはいかにも悪の科学者然とした、醜い欲望に塗れた顔に笑みを浮かべ、アズラエルの欲望を解き放つ事を許した。
『じゃったら、好きにしてくると良い。世界はお前さんを中心に回っておるぞ』
アズラエルの口の両端が、三日月の形に吊り上がった。空に浮かぶソレを見た誰もが、自分の体を思わず抱きしめてしまうような、不気味な笑みであった。
正面から大物量を持ってザフトの防衛部隊と戦闘を繰り広げている地球連合艦隊の中に、連合艦隊最強戦力にして、現地球人類最強の機動部隊の称号をウルブズと争う一大戦力ω特務艦隊の艦影があった。
旗艦ゲヴェルをはじめアークンエンジェル級三隻にシルバラード級輸送艦といった新型艦に、MSの搭載と整備用の施設を増設した旧地球連合艦艇で構成されている。
独自に配備された試作機や実験機、最新鋭機に軍の最高峰の腕を持つパイロット達を組み合わせた部隊は、核動力機とメディウス・ロクスやゲイツといった量産機に、ザフト側のトップエース部隊WRXチームで構成されたザフトの精鋭部隊と正面から激突していた。
艦隊司令を務めるレフィーナ・エンフィールド中佐と副長を務めるテツヤ・オノデラの指示が矢次早に飛ぶ中、オペレーターのユン・ヒョジンが送られてきた通信の内容に、一瞬表情を曇らせた。
「旗艦シンマニフェルより通達、アズライガーを護衛しつつ敵戦線を突破せよとの指示です。アズライガー、ベルゲルミル、ヴァルシオンの出撃を確認」
「っ、分かりました。スクイッド小隊を呼び戻してアズライガーの直衛に着かせます。ωナンバーズはダンディライオンに合流しこのまま正面から突破を図ります。コンキスタドールとロンド・ベルは左翼に展開し、敵部隊を包囲してください」
自軍の核兵器の使用直後は信じられないとばかりに開いた口をそのままにしていたレフィーナも、今自分がしている事が戦争である事を自覚しなおしていた。
そして自分の座っている席が艦長席である事、この艦の乗員の命を預かる立場にある事を思い出し、普段の明晰さを取り戻して指揮に当たっていた。
ボアズでの話半分にしても信じられない戦果を挙げたアズライガーの出撃は、少なくとも眉をひそめる様な報告ではない筈だったが、リュウセイを通じて伝えられたアズライガーの暴走が、かすかに疑念と不安を抱かせた。
あの機体はなにかよくないものだと、明確に言葉にはできない、悪い予感の様なものがレフィーナの慎ましい胸の内に湧いていた。
それらの疑念をレフィーナは細い頤をかすかに左右に振って打ち消した。今目の前で砲火を交えている敵は、何度となく激突してきた因縁の相手だ。その実力も、嫌というほど知っている。
余計な事を考えて失われるのは自分の部下、いや仲間の命だ。
「ゴッドフリート、一番、二番、右方へ扇状に十秒間隔で二斉射。機動部隊を援護します。対空砲火は密に!」
レフィーナからの指示を受け、ω特務艦隊機動部隊の面々は素早く行動に移った。カイのデュエルカスタム、オルガのカラミティ、シャニのフォビドゥン、クロトのレイダーが後方から高速で接近してくるアズライガーの左右を固める。
アズライガーの僚機役を務める量産型ベルゲルミルとヴァルシオン改から、カイのデュエルカスタムに通信が入った。映し出されたのは、言うまでも無くグレース・ウリジンとアーウィン・ドースティンである。
「シンマニフェルMS部隊、アーウィン・ドースティン少尉です」
「同じくグレース・ウリジン少尉ですぅ」
「ゲヴェル機動部隊隊長のカイ・キタムラだ。これからおれ達スクイッド小隊がお前達の護衛につく。アズライガーのパイロット、聞いているか!」
「……」
アズライガーのコックピットの中で、蹂躙・虐殺・殺戮への渇望に飢えた笑みを浮かべた口の端から涎を垂らすアズラエルが、カイの声に応えるわけもない。
苛立たしげに眉間に皺を刻むカイだったが、上層部からアズライガーのパイロットへの干渉は過剰なまでに禁じられている。本来なら怒鳴りつける所を思い止まったのは、その命令を忘れていなかったからだ。
「申し訳ありません。少佐。我々にもアズライガーのパイロットに関しては機密事項として何も知らされてはいないのです」
「気にするな、アーウィン。だが、背後から味方に撃たれるのは簡便だぞ」
リュウセイがヴァイクルで援護に駆けつけたと言うのに、その助けに入った対象であるアズライガーに執拗なまでに攻撃を受けた事を揶揄しているのだろう。とはいえ、この問題はアーウィンとグレースに正しい答えを告げられるわけもない。
短く了解ですと答えるのが妥当な所だった。
今まで問題を抱えた連中ばかりを部下にしてきたが、この最後の最後の戦いに来てまで、また新しい問題児を抱える羽目になろうとは。しかもその問題児がこれまででも最悪の手合い。問題児などというレベルでは済まない相手かもしれない。
戦闘中の緊張を忘れ、カイは小さく溜息を吐いた。吐き出した小さな息一つで気分を切り替え、高速で飛翔を続けるアズライガーの援護へと向かおうとし、
「遅せえぞ、少佐ぁ。早く指示出せよ!」
「好きにやっていいの?」
「はははは、ほらほら滅殺、必殺、絶殺!!」
「……お前達」
もとから抱えていた問題児達の景気の良い声に、もう一度溜息を吐かされた。三人が三人共核動力を搭載した愛機の特性を最大限に活かし、拙いなりに連携らしい行動も見せている。
「まあ、こちらも癖のある連中を抱えているのは同じか。……グレース、アーウィン、おれに続け! 一気に敵の部隊を突破するぞ」
「了解!」
「ラジャ、ですよ〜」
ヴァルシオン改と量産型ベルゲルミルを引き連れて、アズライガーの前方を塞ぐ敵機と改めて交戦に入ったスクイッド小隊と、イングラムのWRXチームを見ながら、アズラエルは気分良く歌っていた鼻歌を止めた。
「さぁて、露払いばかり任せておくのも心苦しいですし、そろそろぼくも働くとしましょうかねネェ? アズライガー、皆殺しにしますヨオォオ!!!」
アズラエルが吠えるや否や、傷一つ残さず完璧に修復されたアズライガーが背部の推進機関の出力を最大にし、一気にザフトの防衛部隊のど真ん中めがけて踊り込む。
その進路上にいる友軍機が慌てて左右に退いて出来た道を、アズライガーは悠々と、しかし誰よりも早く飛んだ。
いくつもの武装を積載したコンテナ“デス・ホーラー”側面部から計八発のミサイルをばら撒き、周囲を囲んでいたダガーL六機を仕留めたイザークは、接近する巨大な熱源を捉え、わずかに息を呑んでヴィレッタやシホらに強敵の出現を告げた。
「隊長、ルナマリア、レイ、シホ、アクア、アズライガーが来たぞ!」
イザークの警告に耳を傾けるのと同時に、ザフトWRXチームの各人がボアズで猛威を振るった破壊王の姿を認める。周囲の友軍も、ついに姿を見せた地球連合の切り札的存在を前にして、恐怖と怒りとを混ぜた感情を胸の内に沸き立たせていた。
ふざけた名前同様にふざけた戦闘能力を持つ敵を前に萎縮する様子が見えない味方は数えても少ない。WRXチームと同チーム預かりになっているアクア・ケントルム他、実戦経験豊富な少数のベテランくらいだろう。
現状でさえ落として落としても一向に数の減らない連合の部隊と、地球連合最強戦力と名高いω特務艦隊の異常戦力を相手にして、相応の被害と疲弊を強制されていると言うのに、アズライガーの出現はこの戦況を傾けるものだろう。
「隊長、こうなればWRXで!」
「まだよ。WRXの使い所は慎重に見極めなければならないわ。それに、まだ司令部が切り札を残している状況でしょう」
「しかし、あのアズライガーを我々が足止めしても、他の連合の特機やあちらのWRXがいます。フリーダムやジャスティスを持ってしても、どこまで相手が出来るかどうか!!」
「分かっている。けれど、あちらもWRXを出してきた場合、互いに潰し合うだけになるわ。それにこう言う時の為の味方もいるでしょう?」
「DCですか。しかし!」
「言い合っている暇はないわ。各機散開、数の差は連携でカバーするわよ!」
ヴィレッタのR−SWORDパワードがツイン・マグナライフルを発射するのと同時に、イザークもまたR−1の両手に三つ首の魔犬の左右の首を握らせ、フレーム越しにコックピットにまで伝わる重々しい銃撃の反動を連続させた。
戯れに開発者が装弾数十億発と称した魔銃ケルベロスシリーズのライト・レフトヘッドは、流石にそれほどの装弾数ではあるまいが、無尽かと思えるほどの弾丸を放ち続ける。その合間にもデス・ホーラーに内蔵された大型ミサイルやバズーカが火を噴く。
デス・ホーラーの火力を得たR−1に、レイのR−3パワードやルナマリアのR−2パワード、シホのR−GUNパワードも、極めて高い火力とパイロットの能力があいまって多数で攻める連合軍相手に善戦していた。
新兵であるルナマリアとレイも、度重なる実戦を経て今や何処の勢力に居てもエースと称されるだけの実力を身に着けている。
マイクロミサイルをばら撒き、加速を生かしてレールガンを浴びせてきたメビウスの編隊を無数の爆発に変えたレイがルナマリアよりも一足早くその存在に気づいた。
「ルナマリア、回避しろ!」
「え!? きゃあっ!」
レイの警告に反射的に操縦桿を傾け、R−2パワードに咄嗟に回避行動を取らせたルナマリアがつい先ほどまで居た空間を貫き、そのまま直線状に在るデブリもMSも戦艦もまとめて吹き飛ばしてゆく高出力などという言葉では足りぬビーム。
カイの率いるスクイッド小隊とヴァルシオン改、量産型ベルゲルミルを着き従えたアズライガーの威容よ。暗黒の宇宙の只中に在ってなお色濃く浮かび上がる漆黒の巨躯。アズラエルの狂気を立ち上る陽炎の如く纏い、死と破壊を振りまくか。
これまで散々にザフトを手古摺らせてきた連合のWRXチームに、アークエンジェル級からなる艦隊だけでも厄介極まりない敵だが、ここに加えてアズライガーとそれに従う深青の魔王と勾玉を背負った巨人もいる。
一応支援
いかにイザークといえども純粋なザフトの戦力だけでは、立ち向かう事が難しいのは理解できる。不平を告げるプライドをかろうじて抑え込み、イザークは目の前の敵に集中する。
過程がどうあれ、ザフトを、ひいてはプラントを守れればそれでいいのではないか。そうやって自分を納得させ、イザークの目は生来の気性通り激しく戦意に燃えながら、迫る破壊王を睨み据えていた。
「いたいたいたいたいたいたあーーー!! ザフトの屑ども!コーディネイターの虫けらども!! さあさあさあああ、お前らみんな、この世にお別れさせてやるぞおおお!!」
かろうじて保たれていた最後の理性をかなぐり捨て露わになるアズラエルの腐敗し増幅され、歪み切った狂気と兇気と凶気。
護衛を務めるカイやグレースらの存在を思考の彼方に追いやり、アズラエルはアズライガーの火器管制を務めるソキウス達に敵の殲滅を命じた。
「来るか、バケモノが!!」
アズライガーを前にして怯む様子の無いイザークを、果たして勇敢と称すべきか蛮勇と言うべきか、それはこの戦いの結末次第だろう。
ステラ、スティング、アウルと合流し、腹に巻いた止血帯に新たな血を滲ませながら、すべての核メビウスを殲滅したシンは、プラントの後方にかすかに移った星の光とは違う光を見つけた。
止血帯にプリントされた痛み止めのお陰で一時的に苦痛は感じずに済んでいたが、モニター上に拡大したその光の先に在るものに、頭を鈍器で殴られたような鈍い痛みと衝撃が走った。
モニターに映っていたのはいずれも巨大なミサイルを携行したメビウスの編隊とそれを吐き出す地球連合の艦隊。シン達が今殲滅したばかりの核メビウスの別動隊が、戦場を大きく迂回する形でプラントの後方に姿を見せたのだ。
いくらグルンガスト飛鳥やヒュッケバインの機体性能が頭一つも二つも頭抜けているとはいえ、この位置からでは到底間に合わない。考えるまでも無い結論が、シンの脳裏に核の炎に飲み込まれ、崩壊するプラント群のイメージを鮮明に描いた。
本隊とは別に動かしていた核メビウス隊。さらに正面から姿を見せたボアズ陥落の最大の切り札アズライガー。この二枚を囮にした上での三枚目の切り札が、核メビウスの別動隊だったのだ。
くそっという短い叫びと、コンソールを叩く音が聞こえた。スティングが事態に気づき、シンと同じく間に合わないという事実の苦い味を噛み締めたのだろう。
プラント付近に敷設された砲台や衛星の砲火をかいくぐった先頭のメビウスから、ついに一発の核ミサイルが放たれた。たった一発、しかし数万、数十万の人間を死の淵へと叩き落とす一発であった。
たとえ間に合わなくとも、そんな思いに駆られて飛鳥を動かさんとしたシンの視界の中で、地球連合の別動隊が姿を見せたのとは別の方角から飛来した、無数のビームが数十発の核ミサイルの全てを撃墜した。
ビームに貫かれるのと同時に発生した白い光はさらに核ミサイルの誘爆を促して、巨大な閃光の球体を無数に生みだす。思わぬ――歓迎すべきではあるだろう――事態に瞳を見開くシンが、核ミサイルを防いだ者達の姿を捉えた。
シンにとってもなじみ深く、また、切っても切れぬ因縁を繋いだ者達。
地球連合、DC、ザフトの入り乱れる戦場に、戦乱を導く歌姫の声が、凛と木霊した。
<地球軍は直ちに攻撃を中止してください。あなたがたは何を撃とうとしているのか、本当にお分かりですか?>
全周波通信に乗った歌姫の声は鋭く地球連合の行為を糾弾し、その声が耳に良く馴染んだザフト兵達にも少なからぬ衝撃を与えていた。
無論、プラントの歌姫の言葉などで地球連合の艦隊が動きを止める筈もない。ザフトWRXチームと核動力機部隊と熾烈な戦いを始めたアズライガーも、プラントの後方に姿を見せた別動艦隊も、変わらず戦闘を行っている。
それでもラクスは言葉を止めない。歌で何もできなかった自分が、言葉で何かを成す事などできないのではないか? そんな不安や迷いは一切感じさせぬ凛々しい顔と声で。
<繰り返します。地球軍は直ちに攻撃を中止してください。あなたがたが撃とうとしているものは、本当に滅ぼさなければならない相手なのですか?>
支援
ラクスの声と共に、姿を見せた三十を超えるノバラノソノの艦隊から無数の機動兵器が出撃する。その中には、スレードゲルミル、ゲシュペンスト・タイプS、マガルガ、ラピエサージュ、ガーリオン・カスタム無明、フリーダム、ジャスティスの姿もあった。
発射された核ミサイルを一挙に撃墜して見せたのは、ミーティアを装備したキラのフリーダムとアスランのジャスティスだった。
核メビウスの大本たる連合の艦隊へと一挙に襲いかかり、ラクス・クライン一派とアスハ派旧オーブ軍からなるノバラノソノ軍は、最後の戦いへと遂に姿を見せたのだった。
ヤキン・ドゥーエの管制室でパトリック・ザラとその傍らに控えたシーゲル・クラインは、自分達の子供らが選びとった道と手段を黙して見つめていた。
地球連合が再び核を使用した事に対して激高した様子を見せぬ事が、かえってシーゲルの胸中に不安の焔を呷ったが、パトリックは表面上は平静を保っているように見えた。
「パトリック……」
「撃たねばならぬか」
「撃つのか?」
重々しく吐きだされたパトリックの言葉が意図するものを理解し、シーゲルはかすかに目を開いたが、静かに聞き返した。撃った後では遅い。撃てば、想像もできぬほど取り返しのつかない事態になる。
パトリックがこれから使わんとするものはそう言うものなのだ。管制室のオペレーター達が通信機に向かって警告を発し始めた。ザフトの事実上最後のカードとなる決戦兵器の使用。使わずに済めば越した事の無い存在を使わなければならぬ時であった。
軍事衛星にいるエザリアに部隊を下がらせるよう指示を出し、パトリックはプラント後方に姿を見せた巨大な物体を悲しげに見つめていた。
本来、人類が残された無限のフロンティア――外宇宙に進出されるために開発された装置を、自分達は同じ人類に対して使用しようとしている。それも、一撃で無数の命を奪う事の出来る兵器として。
「新人類などと、我らの驕りだと言うのか……」
ビアン・ゾルダークは、DC艦隊旗艦マハトの艦橋で、雲に隠れた月が姿を覗かせるようにして表れた巨大な物体に、険しい目線を送っていた。巨大な円形の物体。いや、円錐形だろうか?
これまでセンサーに反応せず、肉眼などで視認できなかったのはミラージュコロイドで姿を隠していたからだろう。その周囲には何か鋭い針の様な物体がいくつも規則正しく並んでいた。
針と円形の物体の二つで構成される構造物なのだろう。傍らのシュウも興味深げにそれを見つめる。
やがて、ザフトから射線上からの退避勧告と射線のデータが通達され、その射程にオペレーターやマイヤーが目を見張る。
「これが、ザフトの切り札か」
「さしずめコロニー・レーザーのこちら版といったところでしょうか」
唸る様に呟くビアンに、シュウが元いた世界で耳にした決戦兵器を思い出し呟いた。このような状況で使用される以上、地球連合の核と同等に近い威力を秘めている事は間違いあるまい。
そして、見守るビアンとシュウとシンの目の前で、暗い鉄灰色から、フェイズシフトによってミラー部分が磨き抜かれた銀に、基部が白に変色する。PS装甲、ミラージュコロイド。かつて強奪した連合のMSから手に入れた技術の粋を持って建造されたのだろう。
その名を“ジェネシス”。
やがて、NJCの効果によって筒状になっている基部の奥に在るカートリッジがはじけ巨大な核のエネルギーと放射線が発せられる。それらは一度基部の前面に移動した一時反射ミラーに集められ、次に巨大な二次反射ミラーに跳ね返る。
そして、戦場に一筋の光が描かれた。
「この一撃が、我らコーディネイターの創世の光とならんことを――発射!」
――続く。
支援ありがとうございました。今回はここまでです。ゲッペラーがラ・グースを倒した云々はアンソロジーでそういう話があったなあ、という思いつきです。
それではご指摘・ご助言・ご感想お待ちしております。
ゲーム屋でデタラメな商売ばかりする店長に凸と並んでブチ切れるシン・アスカがいた。
それはともかくWRXの顔面デザインは何だろうかと思うんだ
秘奥義を作られず、シリーズの黒歴史と化したシン・アスカがいた
ついに発射ですか、GJです
妻と娘と大草原の小さな家で幸せな家庭を築く、そんな甘い夢を振り切り最期の決戦に赴く、不死の獣人たるシン・アスカがいた
次々と斃れていく仲間達、加速する時間、一巡後の世界において、友の遺したDISKで酸素を集め邪悪を打ち倒したシン・アスカがいた
昭和56年の夏の惨劇を生き延びたと思ったら、その5年後に嵐の離島で起こった惨劇に巻き込まれて行方不明になったシン・アスカがいた
もはや何も言うまい、決着の刻は今!
さあさ皆様方、全てを賭した命の眩き輝きを見せて下さいませ!
>>97 黒歴史とは失礼な
そういうのは召喚師のあれとかこすぷれのあれに冠されるべき二つ名だ
どれだけの被害を出してアズライガーが止められるか
ってか、これ、シンが死ぬんじゃね?という悪寒が未だに拭えないなw
などなど、続きがwktkで仕方ないですね
GJです
紅に染めた運命…某氏のクリムゾンな運命ですか!?
てか黒ウサギの行に吹いたw
101 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/08(月) 10:46:24 ID:q7Bo+Oxu
GJ
>>99 それは絶対にないね>シン死亡
なにせ、ビアン種死でセツコさんと三角関係になることが既に明示されているからな。
しかし、この調子で魔剣化が進むとその内アサキムになってしまいそうで怖い。
丁度、邪気眼病に掛かりそうな年齢だしな……。
星薙の太刀やマサキ、ラ・ギアスの剣豪達の必殺技に触発されて必殺剣とその名前を考え始めてしまうシン、とかな。
>>101 どっちかっていうとデモンベインがかってるから、アサキムとは真逆だろう、声優ネタ的な意味で……
必殺剣の名前を叫びながらっていうのは、アサキムに限らずスーパー系のロボなら全部なので、むしろ王道だと思う。
……個人的にはアサキムがどう出てくるのかが気になるな。
スパロボ的には、並行世界移動者で同一人物がいた場合って上書きされるんだよね。
マサキ=アサキムなら、ちょっとマサキが色々可哀そうなことに……
>>101 こういうことわざがある。
「中二が中二病で何が悪い」
いや、今のシンの年齢って確か丁度中二でしょ?
今回もデモベネタ、
しかも旧神とサンダル兄さん化と言う2パターンの世界が有って吹いた
>>アサキム
そういや外伝アンソロで時間移動時に真ゲとカイザーの防衛本能と戦う話が有ったな、懐かしい
何故かアサキムとマサキが藤竜版の太公望の成れの果てな感じに融合する姿を想像しちまった……
むしろ仮面ライダー龍騎のリョウガみたいな感じかな。
CEで実体を得るためにマサキにとり憑くアサキムって感じで。
>>105 >>リョウガ
リ ュ ウ ガ のことかーーーーー!
あぁあの数値では完全に勝ってるのに負けて取り込まれた……。
しかしライダーキックと南斗獄屠拳が最近同じに見えてきて困った。
誰かゲシュペンストキックにあの声を当てたりする修羅はいないものか。
┌┤´Д`├┐ナントゴクトケン!!
龍騎のキックが6000、対してリュウガは7000
サバイヴ龍騎のひき逃げアタックは9000
以上の結果からリュウガがサバイヴ化するとオーディーンの10000とタメをはれるようになり
リュウガのみが正攻法でバトルロワイヤルの勝者となれる可能性がある=願いを叶えられるライダーである、みたいな裏設定があったとかなかったとか
どう見てもスレ違いですね、わかります
個人的にシンは真司、レイは連などと言ってみて誤魔化してみるテスト
今気付いたが名前の響きも似てるしね! オルガはゾルダ!
>>108 >>オルガはゾルダ!
そのまんまかよ馬鹿野郎www
>>中二病
ああっ、カズマがシンを熱い眼差しで見つめてる!
しっかし、ミスターシュラドーとアスカ姫でゲッペラーのインパクトがすっ飛んだようなw
アサキムの正体……とりあえずLOEだけじゃなくアニバスターとか真魔装とかが絡んでるっぽいけど
まだほとんど謎なんだよな。
>>108 正攻法で勝者になれるのがミラーワールドのライダー=イレギュラー的存在っていうのは
ライダーバトルの真相知ってるとこれ以上ないほどの皮肉だなぁ。
王蛇は……キラ?
キラ=ダグバ=タイガ=北崎
保守
ほしゅ
妄想を垂れ流しにしてまとめていたら、種運命編でシンが七角関係にまで発展してしまいましたよ、と。そのうち三人が人外でした……。どんだけチートキャラだよ、と反省。頭を冷やしてきます。
というか、シンってそんなハーレム作れるようなキャラじゃないよなあ、とは思うのですが、実際のところどうなんでしょうね? 原作におけるステラとの関係は純粋な恋愛感情とは呼べないでしょうし、ルナマリアとの関係もまたしかり。
モテモテというのはどうもシンのイメージと違和感があるようなないような?
ハーレムの主にはなれなくても、ラブコメチック優柔不断主人公にはなれると思うんだ。
本編の扱いに対する成仏してね成仏してねって同情があるんでしょうかねぇ
ぶっちゃけあの世でハーレムにしてあげたら化けて出ないだろうって(ry
>>118 シンおよびのちの関係を明示した二人に加え、とりあえず原作をなぞるかということで種原作一名、さらにスパロボオリ二名、版権キャラも一名いましたが、さすがにこれはまずいと除外して七角関係になってました。
とりあえず、スとセのつく人以外、みんなシンより年下になってしもうて、桃色の人外魔境になって手に負えないわと断念いたしました。
まあ今だとハーレムとか言われてしまうけど、昔っから熱血王道主人公がモテるのは定番といえば定番だがね
特にシンはシローやガロードみたいに一人の女の為だけに命賭けるぜ!っていうよりは、目に映る者はとにかく助けるってタイプだし
少年誌でいうと、藤田漫画の主人公に一番ノリが近いかなあ
最近のなよなよ優柔不断な主人公よりも
熱血純情少年な主人公の方がハーレム作っても個人的には好感がもてるしね。
最近のだとゲームのペルソナ4の主人公がいいね。
寡黙で超がつくくらい冷静、しかし芯は熱血漢という巷で有名な番長w
>>121 シンはうしおというよりは鳴海かな
種テレビ版ラストのシンとからくり編最終章直後あたりの鳴海のイメージが重なった
「オレは…強くなったはずだったんだよ……
二度と死んだ両親やマユみたいな犠牲者を生まないために……
強く…強くなった…はずなのに!!
また…また命は…
オレをすり抜けて…行っちまった!」
こうだな
>>120 もう、その妄想を文章化しちゃいなYO!
誰も文句は言わないはずだぜ
>>123 鳴海兄ちゃんより勝じゃね?
初期でもリーゼフラグ立ってたけど終盤だと人形修行編でフラグ立て捲ってたし
総帥さんのシンと結構被る部分が
……すまん目欄にS入れ忘れて上げてしまったorz
>>126 勝はサーカス編の頃は良かったけど(特にリーゼの登場編は神エピソード)
黒賀村以降の完璧超人化でリアルタイム連載中には「まるでキラみたい」と叩かれてたからw
>>128 勝は頑張ってたじゃないか
確かにLv一桁からいきなりLv99に行っちゃった感はあったけど
サハラ編以前のしろがねってテラヨワスwにしちゃった感もあったけど
それでもキラ呼ばわりされるほどじゃないと思いたい。精々種割れってとこだ
アンジェリーナ編はいまだにクルものがあると思う
ギィの最後は狙い過ぎててちょっと嫌だ
はいはい、スレ違いスレ違い
導き手のいない種本編世界ではシンは勝のポジションにはならんからな
自然と鳴海ポジになる
レイが洒脱な性格ならギィみたいな相棒として機能してくれたんだが
ルシールはタリ…い、いえ、なんでもありません艦長
>>123 >>124 「オレは一直線にお前たちを追う、もうお前たちが好き勝手出来ないように、お前らを倒すためならオレはなんにでもなってやる
猟犬にでも、悪魔にでも、ラクシズをぶっ潰すためならシン・アスカは人間だって捨ててやる」
似たようなネタが避難所時代にあったような
>スとセのつく人以外、みんなシンより年下になってしもうて
総帥は巨乳メェーニアだと思ってたから意外だな
そんな…
頭文字が「ラ」で最後が「ア」で終わる人が要ると信じてたのに
何だと?
アスカ姫の騎士がいない・・・?
そういや総帥、ゼオルート登場する前の分岐でもう片方のルートだったらレビが出ていたとか言ってたな
このシンは念動力者だし、総帥はリュウセイ×アヤ派らしいから、もしかしてそういうことか
>>134 あの人余裕でシンより年下じゃないですか
それよりも頭文字が「エ」で最後が「ナ」で終わる人をですね…
139 :
134:2008/12/14(日) 10:29:17 ID:???
>>137 確かにララァもそうだけど、バンプレストオリジナルじゃないでしょw
と言ってみる
>>138 な…………に…
すまないが、そこの所をkwsk
製造年数が何年も経ってないってことでしょ
あとWシリーズといえば、無限のフロンティアに出てきたカルディアが良過ぎる
>>138 俺、その蛇女さんはアクセルとだと思うんだ……
あのツンデレレッドシーグラスはロリk(でぃぃぃや!
アクセルは一心同体でアダムとイヴなょぅι゛ょがいるからなぁ(公式です)
しかしアクラミはA時代から妄想し続けた浪漫の結晶…
ソウルゲインとヴァイサーガが合体してスーパーソウルゲインになった後
ペルゼインのグレート三身合体で…とかなんとか
いっそアースゲインとヴァイローズを出して四体合体w
つか元ネタでは合体じゃなくてパーツ取りしただけだったような
スパロボで四体合体……真・龍虎王?
>>145 つ竜虎雀武王(別名四神召魂竜虎王)
真竜虎のような融合じゃなく大破した四神機の寄せ集め合体
玄武甲や黒蛇刀とか有って真以上に強いんだが知名度が無さ過ぎる……
>>146 『超機人 龍虎王伝奇』の入手が困難すぎて見てみたいけどいまだに叶ってないなorz
超機人関係の話で色々絡んでるようだから見たいのに重版してくれないものかね
>>144 元ネタはもともと師匠が使ってた一つの機体(スーパーアースゲイン)→弟子が二人いたんでアースゲインとヴァイローズに分離→ また一つの機体に戻してスーパーアースゲインの流れだったと思う。
64プレイした時に改造して魂かけた最強技の一撃でアクシズと融合したデビルガンダムを瀕死に追い込んだ思い出がある。
>>147 東郷師匠のご先祖(微妙にキョウスケ似)の魂削って戦う竜虎の話だな
妖鬼人、百邪、虎龍の分身、応龍の龍王機、孫光竜とグリムズ、ブランシュタイン家の確執とかが書かれてる
二部も有り娘が出てきたけど打ち切りエンドでな……
64をプレイしておらずネットの情報でしか知らない人の特徴
・セレインをツンデレだと思っている
・ブラッドやカークは、生身でGFやエキスパート並に強いと思っている
×カーク
○カーツ
博士!
>>140 その理屈でいくとヴィレッタも年下になるな
逆にレビは、αやOGの設定だとアヤより年上
スピリッツ設定では年下になるのか?
ここ最近、総帥と11氏しか更新していないなあ
矢張りこの時期はキツいのか
個人的にシンパチ氏の作品の続きを首長くして待ってるんだが
生きてます。
最近自分のHP作ってる最中で、別の小説に時間を割いていまして………
それとスパロボZやムゲフロ及びOGシリーズのやり直し(アクVSベオに修羅関係の話の確認)をやってる最中………
コッチもZ関係で話を修正&総帥氏に習ってシンセツかましてやろうかと思ってますが………どうでしょう?
遠慮することはありません。存分に投下なさい。
あ〜でもあんまり糖度が高いならシンセツスレ向きの可能性もあるので注意。
って短編じゃなくて現状のシリーズでのシンセツでしたね失礼。
どちらにせよ言いたいことは一つ!
「反対する理由はない、存分にやりたまえ」
>>156 ヘマをすると第一話が前作のニートと凸の邂逅になる可能性が高い………
>>158 すまない。ヘマをすると第一話が前作のニートと凸の“様な”邂逅になる可能性が高い………
ATX氏が別のスレで誤爆というか酉間違えてここでの酉出してたのは見たなw
RoAの二巻発売したな
相変わらずハードな世界観でOGのifを突き進んでて面白い
取り合えず巻末の飛龍コスのレフィーナ艦長に萌えた直後のアレに吹いた
八龍さん暴走し過ぎや
>>159 まああのシチュ自体は別に珍しいわけじゃない。
その後の展開を種は失敗してたってだけのことだしそんなに気にせんでもいいだろ。
ビアンSEED 第七十三話 “I am AI1”
プラント本国後方から姿を見せたノバラノソノ艦隊旗艦エターナル、アークエンジェル、クサナギ、スサノオを筆頭に各艦艇から一斉に機動兵器が出撃していた。
冷たく暗く、そして限りなく広大な暗黒の世界へと繋がる扉が、一筋の光明をきっかけに徐々に開放され、視界に満点の星空が煌めき、そこにぽつぽつと人間が作り出した生と死が激しく入り乱れる花火の様な火の玉が、まだら模様に連なって輝いていた。
それだけを見るならば、美しかった。一瞬だけ煌めいては消えゆく光の明滅は、それを映した心を魅了してしまうほどに美しい。
美しいのだ。人の死が。人の生が。憎悪に駆り立てられ、悲憤に煽られ、闘争を欲し、依る我も無く諾々と、あるいは己が信ずる道を行くままに殺し合い、そして無限の闇に描かれる生と死の光輝が。
“殺せ、生きろ、戦え、守れ”――誰かにそう命じられて、自分でそう決めて、そうやって何時果てるともなく繰り返し続け、誰も彼もが死に果てて息絶えて飽きるまで、人間は戦い続けるだろう。
数多の世界の異分子を取り込んだこの世界の人間の戦いも、所詮は人間であるが故の戦いに過ぎないのだろう。どこの世界でも、いつの時代でも、交わらぬ筈の世界が交わっても尚、人間がそこに居るのならば、戦いが起きる。
今もこうして、同じ星に生まれた筈の同胞たちは、自分達自身で同じ者と違う者とを線引きして争っているではないか。これまでも今もこれからも、人間はそうやって歴史を積み重ねて行くのだ。
今この瞬間に死ぬ者達も、これから死ぬ者達も、やはり、これまでと変わらぬ人間の所業の証明にすぎないのかもしれなかった。
管制官が進路上の障害物の有無などを確認し、出撃に問題が無い事をパイロットに告げ、百を超えるパイロット達が銀の砂時計を守らんとする者と、それを屈服させんとする者、そしてそのどちらでもない者達の戦場へ出陣する。
M1アストレイ、ストライクダガー、ジン、ゲイツ、シグーなど勢力を問わず揃えられた混成部隊は、罪なきプラントの国民に突き刺さらんとする核ミサイルとそれを運用するメビウスと、その護衛部隊と壮絶な戦いを演じていた。
その中には当然のことながら、ノバラノソノに協力する異邦人らの姿もあった。
クライ・ウルブズ同様に、オウカはククルとカナードとの三人で小隊編成を組み、遺憾なくその実力を発揮していた。
オウカのラピエサージュが中〜遠距離を、ククルのマガルガが近距離での戦闘を担当し、カナードのドレッドノートHが全距離に対応する形で臨機応変に援護している。
それぞれが単機で無双と言える活躍を可能とする機体とパイロット達の組み合わせが、連携を取ってそれぞれの役割を完璧と言っていいレベルでこなす以上、その視界に映り、捕捉される事は死と破壊をもたらされる事に等しかった。
ラピエサージュはオーバー・オクスタンランチャーの実弾モードの連射とHスプリットミサイルの時間差攻撃で、白煙をたなびかせながら飛翔するミサイルと鉛弾の雨が複数のダガーLを同時に撃墜する。
DCやザフトと違い、遅れて戦場に参戦したノバラノソノの面々は体力や精神力、集中力という点に置いてまだまだ余裕があり、加えて自分達そのものが伏兵として不意を突いたつもりであった連合の部隊は、更に自分達の後に現れた敵に動揺を隠せずにいた。
ヤキン・ドゥーエのあるザフトやDC、後方にまだ無数の艦隊を温存している地球連合と違い、自分達が戦力を回復・補充する余地のない事を理解していたオウカは、突出した力を持つ自分達が先頭に立つべきと判断し、積極的に攻勢に出ていた。
オウカが滅多に見せぬ攻撃的な姿勢に、五指を揃えたマガルガの手刀でデュエルダガーの上半身を貫いていたククルは、時折危ういものを見るような、憐れみを交えた瞳でラピエサージュとその中のオウカを見つめていた。
ヤキン・ドゥーエ攻防戦への介入を行うべく宇宙航路をひた走る戦艦の中で、ラピエサージュを前に佇むオウカにククルは声をかけた。カナードを連れて戻ってきた折に、プレアが怪我を負った事を知り、オウカの心はこれまでになく不安定な状態が続いている。
灯台の明かりだけを頼りに世界を白く濁らせる濃霧の中を行く船が、唐突によすがである灯台の明かりを見失ったように、向かうべき場所を見失っている。
今はまだキラやアスラン、ククルやウォーダンらのフォローもあって、表面上は落ち着いて見えるが、戦闘を重ねる度に蓄積された心理的重圧によって、徐々に取り返しのつかない事態へのカウントダウンが始まろうとしていた。
キャットウォークの手摺をしなやかなオウカの指が握り締めていた。PT乗りの操縦だこがある以外は、映画や小説の中に出てくる、どこまでも広がる濃緑の森の奥に佇む古式ゆかしい屋敷の令嬢と見える指だ。
何を堪えているのか、見ているこちらがあまりの痛ましさに目をそらしてしまう様子で、オウカはただ床の一点を見つめていた。痛むのは体か? それとも心か?
ふわりとまさしく天女の羽衣の様に翻る裾を繊手で押さえながら、ククルは音も無くオウカの隣に爪先を着け、その動き自体が一つの典雅な舞の様にゆるゆると着地した。
その場をどこか荘厳な雰囲気へと変える侵し難い神秘さを纏う古の巫女に気づいたオウカが、それまで浮かべていた表情を慌てて繕い、常と変わらぬかすかに愁いを帯びた笑みを浮かべた。
オウカとククル、共にまだ二十歳にもならぬ少女だと言うのに、二人がその身にまとった不可視の雰囲気は、月の明るい番にだけ咲く一輪の花の様に儚く、どこかうたかたの夢の様に淡い。
佳人薄命という言葉があるが、この二人はまさしくそう例えられるのに相応しい、天上世界の高貴なる人の貴品にさえ通ずる、儚さがあった。
人の夢と書く言葉を儚いと初めて読んだのははたして誰であったろうか。その言葉の綾そのもの自体が儚さを帯びて、どこか皮肉的だ。
「相変わらず眉間に皺を寄せているな」
「そうかしら? 自分では気付かなかったけれど」
「お前がそう言う顔をする時はいつも自分以外の誰かの事を考えている時じゃな。それなりの付き合い故、その程度の事は私にも分かる」
「そうね。プレアの事を考えていたわ。マルキオ導師様が私達と一緒にあの子を宇宙に挙げた時は、導師様の使いだとばかり思っていたけれど、まさかあんな危険な事をしているなんて思わなかった。命が助かってよかったけれど」
「……ならば、ステラとシンも同様であろうな。今この瞬間にもどこぞの戦場に立ち、我らが顔も名前も知らぬ誰かと戦い、傷つくか、最悪死に至っているかもしれない」
「そんな事を言わないで。私は……」
「“私は”、なんじゃ? その続きは出て来ぬか? どちらにせよ、次の戦いがかつてない規模で行われる事は明白。ステラとシンが無事生き延びて折るならば、またそこで会う事もあるかもしれぬ。問題はその時お前がどうするか、どうしたいか、ではないかな?」
「私は、戦いたくはない。できるなら、また昔みたいにみんなと笑顔で居たい。本当に、それだけで私は十分なのに。どうして、私とシン君やステラちゃんたちが戦わなければならないのかしら?」
「選んだ道の交わりをどういっても始まらぬが、天の配剤という事にでもして、運命とやらに侮蔑の言葉を吐くくらいしか私は思いつかん。
だが、何も戦わなければならぬと決まったわけでもなし。ここの連中の考えで行くなら、我らが無理にDCの者どもと矛を交える必要性もない。
シン達ならお前の言葉を聞くだろうし、それにここの者共に戦えと言われてもいざとならば無視すればよい。元より我らはマルキオの言葉に踊らされてここに身を置いただけの事。
お前の事じゃ、とっくに情が移ったキラやアスランが気に掛かると言うならば、この戦いの終わりくらいまでは私も付き合ってやる」
「ククル、貴女には迷惑ばかりかけているわね。ごめんなさい」
「気に病むな。私は私の好きなように振る舞い、ここに居るのだからな。それに、ここにきて面白い者とも出会えたし、得るモノもあった」
「ふふ、貴女は強いわね」
「失礼な。これでも蝶よ花よと、黄泉の国の父と母に育てられたのだぞ?」
「そうだったの? ごめんなさいね」
オウカの銀鈴を転がすような笑い声に、ククルは、少しはオウカの気休めになったかと、らしくもない事をした自分にかすかに照れを感じながら、心中で胸を撫で下ろす思いだった。
そのまま戦闘前の緊張を紛らわすように談笑に耽っていると、コツっと硬質の音がして廊下の向こうから、青いコートに身を包んだ逞しい灰銀の髪の男の姿が見えた。
左手に提げた日本刀もさることながら、全身から立ち上る風格そのものもまた鞘に収められた刀の様に鋭く、またそれを律する鉄の精神の持ち主であることをうかがわせる。
ウォーダン・ユミル。三勢力からの離反者達を主軸としたこの組織の中で、最強のパイロットの一人に名をあげられる強者の中の強者。そして、ククルの言った“面白い者”当人である。
なにか、常に苦難に耐えている謹厳な修行者の様な視線は、爛漫と咲き誇る花も恥じらう様に可憐な少女達を見据えた。
ウォーダンがこの三勢力の離脱者達の中で比較的交流の多い者の一人がククルだ。ククルにとって忘れ難いとある男と言動のみならず、姿形もまた瓜二つのウォーダンに興味を抱いたのが、二人の縁のきっかけだ。
ククル同様にウォーダンに対して、少なからず関心を抱いていたカーウァイ・ラウとも情報交換をし、互いの知るゼンガー・ゾンボルトとの相違点なども確認した。
その甲斐、というべきか今ではククルもウォーダン・ユミルがゼンガー・ゾンボルトとは別の人間であるという結論に達している。
もしウォーダンに死没する直前の記憶があったなら、ククルと共にゼンガー・ゾンボルトと死力を尽くして戦った間柄として、今とはまた違った関係が築けていたかもしれない。
オウカとククルもウォーダンに気づき都合四つの麗しい視線が、武骨な男に集められた。その視線の注目を浴びる事が出来るなら、なんでもすると言いだす男が後を絶たぬほどに美貌の少女二人を前にしても、ウォーダンの表情は相変わらず固い。
ククルがどこかおどける様に、袖で口元の笑みを隠しながら楚々と上品な仕草で口を開いた。古の貴種の血が滔々と流れるこの巫女少女の四肢は、指先に至るまで気品が行き渡っている。
どこか人をからかうような所作の中にも、思わず対峙した者が居住まいを正してしまうような、確かな品があるのだ。
「どうしたウォーダン。歌姫の傍にはいてやらぬのか?」
「四六時中おれの様な者が傍に控えていては心が休まるまい。お前達はどうだ? その様子では、余計な気負いはなさそうだが」
「ええ、ククルが色々と気遣ってくれましたから」
柔らかく微笑んだオウカの笑みに、ウォーダンは短く、そうか、とだけ呟いて応え、一瞬だけ言葉を選ぶように沈黙した。
「……詳しい事情は知らんが、何か戦いに出るのに迷いがあるのだろう?」
「……はい」
「お前はこれまで良く戦ってくれた。それはおれも他の者達も良く知っている。今ならまだお前を戦場に立たせずに済む。ラクスやラミアス少佐、ダイテツ中佐にも了承は取ってある。迷いを抱えたままの者を戦場に立たせても仕方あるまい」
「いえ、私も戦います。あそこには、きっと私が会いたいと願っている子達がいるに違いありませんから」
「会ってどうするのだ? 戦場である以上、悠長に言葉を交わす余裕があるとは思えん」
「それは分かっています。それでも銃火を交える前に、私はあの子達と話をします。皆さんに迷惑はかけません」
「相手は、シン・アスカとステラ・ルーシェ、それにスティング・オークレーとアウル・ニーダだったな?」
「はい」
「既に報告はしてあるから知っているかもしれんが、シン・アスカならばグルンガスト――右肩に『飛鳥』と書かれた装甲を着けた特機に乗っている。他の三人は分からんが、余裕があるならば探して見るといいだろう。
だが、本当に言葉を交わすつもりがあるのならば、ムラタよりも早くシン・アスカを見つける事だ。おれはともかく、奴はシンと剣を交え、斬る事を楽しみにしている。こちらの制止の声を聞くとも思えん」
「どうして、その事を私に?」
「さて、な。だが出来る限りはおれもサポートしよう。どこまで出来るかはわからんがな」
「ありがとうございます」
予想もしなかったウォーダンの言葉に、オウカは一瞬呆気に囚われる様に口を閉ざしたが、すぐに言葉の意味を理解して礼を述べた。傍らのククルもやや意外という様子で。この人造の剣士を見つめていた。
「ウォーダン、一体どういう風の吹き回しじゃ?」
「こういう風の吹き回しだ」
「…………これは、この世の終わりか? お前が冗談を言うとは」
「いかんか?」
「大いによろしくない。鳥肌が立つ」
「……肝に銘じておこう」
ウォーダンはやや憮然とした様子だった。ククルの評価が心外であったらしい。
ククルやウォーダンとのやり取りで多少なりとも気を持ち直したオウカが、本当にこの戦場でシン達と出会った時どうするのか、ククルはその出会いが生む結果が、両者にとって幸いとなる事を切に願った。
そして、少なくとも二人が出会うまではやられるわけには行かない。眦を険しく引き締めたククルは、対艦刀を構えて斬り掛かってきた105ダガーへと、マガルガの手刀を向ける。
「冥府への案内、このククルとマガルガが仕る。暗き黄泉路へと落ち行くが良い!」
ククルやカナード、ムウやジュリ、アサギ、マユラがノバラノソノ艦隊から突出して連合の核攻撃部隊と砲火を交える地点より、やや後方にカーウァイ・ラウのゲシュペンスト・タイプSの姿があった。
カーウァイの駆るゲシュペンスト・タイプSは電子戦用のオプション装備を搭載して統括司令機として機能し、機動兵器部隊の指揮と戦闘を同時にこなしていた。
ズフィルードクリスタル製の装甲は多少の被弾などまったく意味を成さなかったし、ゼ・バルマリィ帝国の技術で強化された機体は、本来の性能を十二分に発揮してコズミック・イラの巨人達を阻む鉄壁の砦として活躍している。
ノバラノソノ艦隊の出現で戦況がまた互角の状況に持ち直され、連合・DC・ザフトの戦線もより激しさを増している。
カーウァイの視界の彼方でひときわ巨大な爆発と光が発生した。ミーティアを装備したフリーダムとジャスティスが、放たれた核ミサイルの第二波を一気に撃墜したのだ。
プラント防衛の為に展開したザフトの背後を突いた連合の伏兵艦隊も、その横腹をノバラノソノ艦隊に深く抉られ甚大な被害を被っている。
特に決定的なのが、すでに伏兵艦隊の懐まで斬り込んでいる二機の機動兵器の存在だろう。ムウのドラグーンストライクなどの火砲支援を得て、迎え撃つ連合部隊の砲火をものともせずに斬り込んでいたのはスレードゲルミルとガーリオン・カスタム無明。
共に異世界から死と共に訪れた異邦人達が、各々の機体に持たせた蒼と白の刀剣のみを頼りにMSを両断し、MAを真っ二つにし、艦艇さえも斬り捨てながら、艦隊中枢めがけて突貫していたのだ。
両機が近接戦闘に特化した機体である事は外見からして一目瞭然であり、これまでの交戦記録から連合側の防衛部隊が、遠距離からの包囲砲撃によってスレードゲルミルと無明を撃破しようとしたのは当然の流れだったろう。
事実、艦隊中枢付近まで誘い込まれた両機は、周囲を囲んだMSや駆逐艦などから十字砲火を浴びせられ、互いの誤射も厭わぬ密度の高い火の雨の中に放り込まれる事になった。
十中八九、撃墜は免れぬこの事態を力づくで突破したのはやはり、と言うべきか、ムラタとウォーダンの戦闘能力があってこそだろう。
ムラタは無明の両肩に増設したテスラ・ドライブの最大加速と、装甲越しにも敵機の動作や呼吸、心理さえも見抜く洞察力、気配察知能力を最大に活かし、肌を突き刺す殺気の針の最も薄い所へと無明を走らせる。
瞳を半眼に閉じ、視覚と直感を研ぎ澄ませ、視界に映る光やミサイルの白煙を認識し、自機との相対速度や位置、未来予測の観点から接触地点とその時間を統合的に見て無意識に調節し、最も被弾しないルートを選択。
それでもなお機体に直撃する対空砲火は展開したブレイクフィールドと、掲げたシシオウブレードで弾き落とす。
テスラ・ドライブの高加速にブレイクフィールドはMS程度のビームライフルなら十分に防ぎ、またフィールドを突破してきた高火力のビームは、フィールドを抜くまでのわずかな時間の間にムラタに認識され、シシオウブレードの刃に斬り散らされる。
速度と斬撃の鋭さを持って包囲を突破するムラタに対し、ウォーダンが愛機スレードゲルミルと共に取った手段はいかにも特機らしい、真正面からの突破――いや、蹂躙であった。
この場にかつてトロイエ隊に属していたユーリアらがいれば、かつてグルンガスト零式に乗ったゼンガー・ゾンボルトと繰り広げた死闘を思い起こしただろう。
機動性、運動性などに置いてAMやPTに劣るスーパーロボットに乗りながら、その卓越した技量と機体の重装甲、圧倒的な攻撃力を最大限に発揮し、対ゼンガー用の戦闘マニュアルを最適化・実行したトロイエ隊の多くの隊員を地獄に送ったあの戦いを。
「斬艦刀、電光石火!!」
エネルギー化したマシンセルが斬艦刀の刀身からまさしく雷と化して迸り、刃から一条の鞭の様にしなった雷光は、そのまま周囲のMSを一息に薙ぎ払った。無論、ウォーダンがそうする間も周囲からの砲火は止む事はない。
盛り上がった腹筋の様な腹部や白い丸型装甲の肩、赤い螺旋衝角を持つ顔面にもひっきりなしに無数のつぶてが当たっている。傷ついた機体でなおそれに揺るがぬのはスレードゲルミルの重装甲故か、それともウォーダンの意地か。
伸ばした雷刃を収束し、元の八十メートル長にも及ぶ大剣に斬艦刀を戻し、ウォーダンはスレードゲルミルの背に在るドリルから赤い光を噴射させ、一気に目の前のドレイク級やアガメムノン級へと走らせた。
途中行くてを立ち塞ぐダガーLやメビウスを、無造作な斬艦刀の一振りで斬り砕き、あるいは頭部のドリルを旋回させて叩きつけるドリル・インフェルノを持って微塵に破砕してゆく。
撃破した機体の破片をその道筋にまき散らしながら、スレードゲルミルは大上段に振り上げた斬艦刀をアガメムノン級の船体のど真ん中へと振り下ろす。固く食い縛られていたスレードゲルミルの頤が開き、周囲の虚空を震わせる大音声が轟いた。
「チェストォオオオーーーー!!」
瞬き一つ分の時間も要さずに真っ二つに両断されるアガメムノン級。斬断された船体は、はたして地上であったならどのような断末魔の悲鳴を上げてスレードゲルミルとウォーダン・ユミルを呪っただろうか。
伏兵として配置していた別動艦隊の思わぬ苦戦やDC・ザフトの共同戦線を前に、今だに二の足を踏んでいる地球連合軍ではあったが、唯一防衛戦線に食い込んでいる戦場があった。
アークエンジェル級三隻を筆頭にしたω特務艦隊と、同所属の機動兵器部隊である。そこにボアズに死と破壊と鮮血の悪夢を齎した暴虐の破壊神アズライガーが加わったことで、ザフトWRXチームによって、かろうじて拮抗していた状態が大きく動かされたのだ。
デス・ホーラーとライトヘッド・レフトヘッド、またEFナックルなどを用い、地球連合WRXチームや数で攻めてくる連合MS部隊を、牽制していたイザークのR−1をはじめとしたWRXチームは、既にω特務艦隊所属のエース達を前にして窮地に陥っていた。
友軍の核動力機部隊も善戦しているが、それ以上にω特務艦隊所属のエース達の戦闘能力は頭一つ飛び抜けていたからだ。
ヴィレッタの駆るR−SEOWDパワードと肩を並べ、最前線で弾幕を展開していたイザークは、先程から自分達を抑えている連合のWRX各機と、デュエルやストライク、バスターなどの発展期らしいMSを相手に、徐々に押され苛立ちを覚えていた。
敵機の連携や性能、パイロットの能力のどれをとっても侮りがたい強敵ばかりだ。しかも数も倍以上で攻めてくる。
こちら側もシホやレイ、ルナマリア、ヴィレッタだけではなくホーキンス隊のハイネ・ヴェステンフルスや、別部隊に配属になったミゲル・ハイマン、サトー隊のサトーらがジャスティスに乗り援護に駆けつけてはいるが、芳しいとは言えない戦況だ。
今もムジカ・ファーエデンの搭乗するR−1とスウェンのストライクノワール、ミューディーのブルデェエルが、ジョージーのR−2パワードとシャムス・コーザのヴェルデバスターの援護を得て猛烈な攻撃を仕掛けてきている。
回避しきれぬ攻撃を時にデス・ホーラーを盾にしながらやりすごし、アクア・ケントルムのサーベラスと合わせて銃撃の隙間を縫って反撃の一打を加えてはいるが、まだ互いに致命となる一撃を与えられてはいない。
イザークのみならずルナマリアやレイも、この状況が長く続けば先に膝を屈するのは自分たちだと分かってはいたが、焦ったからと言って敵が落ちてくれるわけでもなく、まだ年若い二人の精神の消耗は加速度的に増していた。
更に戦線を支える彼らザフトの諸兵の心を挫く事態が起きた。後方よりヴァルシオン改と量産型ベルゲルミルを従え、GAT−X後期ナンバーにエスコートされて、アズライガーが姿を見せた。
「隊長、副隊長、あれ、アズライガーですよ!」
「分かっている!」
「落ち着きなさい、ルナマリア。ブランシュタイン隊がこちらに向かっているわ。それまでもたせるわよ」
ルナマリアの半ば悲鳴に近い声とヴィレッタの落ち着いた声を耳にしながら、イザークはぎり、と噛み締めた奥歯の音を聞いた。これだけの物量と質を揃えられ、さらにそこに単機で戦場の勝敗を容易く左右する兵器の投入。
迎え撃つ自分たちザフトの敗北の色が濃くなってゆくのが、目に見える様な気さえした。頼みの綱、というにはイザークには抵抗があるが、ボアズ戦でアズライガーと互角に渡り合ったDCの部隊も、ザフトの救援要請を受けて動きを見せている。
ヴィレッタの言うとおりザフトの誇るブランシュタイン隊も、こちらに向かっている。前回アズライガーと交戦した彼らの構築した対アズライガー戦闘用のマニュアルもある。ボアズの時の様にただ一方的に負ける事はないはずだ。
イザークの耳をけたたましいアラームの音が打った。アズライガーが姿を見せた方向から高エネルギー反応。のべ二百に届くザフトのMSを葬ったアズライガーの持てる火力を叩きつけるフル・バーストの前兆だ。
イザークが叫ぶのは、アズライガーから無数の光が放たれるよりもほんの少しだけ早かった。
「全機散開――!」
「いぃいいけぇええええーーーー!!!」
過剰に分泌されたエンドルフィンやアドレナリンをはじめとした脳内麻薬の齎す高揚に、どっぷりと侵されたアズラエルの狂笑は、引き金を引く指と共にアズライガーのコックピットに溢れる。
次の瞬間、アズライガーの攻撃に気づいて回避行動に移るも、間に合わなかったザフトのMSが十数機ほど光の本流に飲み込まれてまた新たな爆発となって散った。
アズライガーの初陣に比べればはるかに少ない被害だが、それでも一撃でこれだけの戦力を持っていかれるのは、無視できない被害だ。
「くそっ!」
R−1の両手に握らせた魔犬の双頭の照準を、恐怖を具現化した様な巨体を誇るアズライガーへ。複数の防御フィールドを持つアズライガーの機体に銃弾は届かぬだろうが、そうせずにはいられなかった。
アズライガー側もこちらの戦闘態勢に気づき、展開していたターミナス・キャノンの砲身を折りたたみ、十二基のビームガンバレルを展開し、十指のスプリットビームガンを広げ、爆発的な加速で迫ってくる。
「ちょっと、こっち来たわよ、どうするの!」
「落ちつけ、ルナマリア。アレの相手が出来るのはザフトではおれ達位だ。である以上、こちらに来るのは都合が良い」
「よくそんな落ち着いていられるわね。怖くないの!?」
「多少はな。だが、どうせ戦わねばならないのならば、怖がるよりも開き直って闘志を燃やす方がまだ建設的だ」
「なによ、いつもと変わんないからてっきり怖がってないんじゃないかと思ったじゃない」
「おれとて人の子……というわけだ。一応、な」
「ふぅん? ああもう、何か露骨にビビっていた私がバカみたいじゃない。こうなったらもう私達だけのデカブツ落とすくらいのつもりで行ったろうじゃないのよ!!」
「その方がお前らしいな」
落ち着きを取り戻したルナマリアの様子に、レイはかすかに安堵の吐息を吐いて、先程から交戦を続けている連合側のR−3パワードや、エールダガーL、デュエルダガーの集中砲火を交わす。
ナチュラルとしては類稀な素養を秘めたとある男の血縁である事に加え、徹底的に鍛えあげたレイの能力は、かろうじて数の不利を補い互角に近い戦闘を可能としていたが、長時間に渡って与えられる緊張と疲労は加速度的にレイの集中力を削る。
「ちぃっ」
ばらまいたマイクロミサイルの雨を突破してきたPS装甲機――エールストライクやデュエルFSに対し、レーザーキャノンの照準をあわせ、レイはトリガーを引いた。この戦いだけで一体何機を撃墜したのか、レイはとっくに数えるのをやめていた。
アズライガーの左右を固める四機のω特務艦隊所属のMSの内、デュエルカスタムに乗るカイ・キタムラと、超直感的な知覚能力を開花させたグレースとアーウィンがそれに気づき、前に出て戦っている友軍に全力で警告を発した。
「全員、散開しろ!!」
「逃げろ!!」
「だめぇ!」
最大速度で最前線に赴かんとするアズライガーも、機体制御のほとんどを任されたソキウス達と再調整を施されたゲーザが、カイ達の警告と接近する敵影に気づき、機体の突撃を急停止させた。
はるか彼方からオレンジの火の玉と宇宙の闇、星星の黄金の輝きを切り裂いて走る白銀の輝きが、疾風の如く迫っていた。ミーティアの莫大な推進力を持ってしても追いつけぬほどの、超高速。
これを可能とするのは静かなる狼に属する風の魔装機神ただ一機のみ。そしてその機体の持つ装備は――
「いっけええ! サイフラーーッシュ!!」
神鳥デュシュナスを模したオリハルコニウムの戦鳥と姿を変えたサイバスターが、操者マサキ・アンドーのプラーナを媒介にプラーナコンバーターが爆発的に出力を上げ、敵と味方を識別する機能を持った広域先制攻撃兵器サイフラッシュの輝きを放つ。
世界の全てを瑠璃色の光の中に飲み込みながら、流星の如く戦場のど真ん中に踊り込んだサイバードから球形に広がる光。ザフトの機体には一切のダメージを与える事無く、効果範囲内に居た地球連合のMS達を次々と撃破し、一挙に数十単位の機体が破壊される。
それまでレーダーを埋め尽くしていた地球連合機を示す赤いマーカーがあっという間に消失し、代わりに白銀の神鳥から騎士の麗躯を持った機神の姿があった。
四大属性の精霊の内、風の加護を受けたサイバスターだ。
後方に出現した連合艦隊をノバラノソノ艦隊が完全に抑え込み、DCの戦線も、重い腰を挙げたギナのギナシオンと直属であるソキウス達のソードカラミティ、制式仕様レイダー、ゴールドフレーム天が加わり、維持している。
その速度故にサイバスターのみが先行してアズライガーの出現した戦場へと姿を見せたのだろう。アカハガネ・タマハガネの船影と、両ウルブズの構成機も姿を見せはじめていた。
他人の力を借りるわけで、やや情けなさは残るが、ザフトにとってはこれ以上ない援軍の出現だった。
「へ、あのデカブツにはおれも借りがあるんだ。悪いが手出しさせてもらうぜ」
左腰の鞘から抜き放ったディスカッターの切っ先と左手に構えた銀銃の銃口をアズライガーへと向け、マサキは勢いよく啖呵を切った。一挙に味方を失った事への動揺とサイバスターへの警戒と恐怖から、周囲の連合MSの動きは鈍い。
この機に乗じようとザフトの部隊も低下した士気を盛り返し、反撃の狼煙を上げている。サイバスターに対して怯む様子を見せないのは、すでにこの機体と交戦した経験のあるω特務艦隊の機体とアズライガーのみであった。
ボアスでの戦闘の記憶を書き換えられたアズラエルにとってサイバスターは初めて見る敵であったが、アギラを持ってしても手の届かぬ深層心理の記憶は、銀騎士の姿を目の当たりにしてかすかなノイズとなってアズラエルの神経をささくれ立たせた。
「なにか知りませんケド、ムカつくんですよ、君はぁ!!」
「きやがれってんだ!」
たちまちアズライガーからサイバスターへと描かれる十条の光を、サイバスターは流石に風の魔装機神、軽やかにかわし、銀の魔銃からエーテルで形成した弾丸を放って牽制しながら挑みかかる。
ボアズでの交戦で、アズライガーに痛打を浴びせたサイバスターの性能を鑑み、ヴィレッタは素早く指示を出した。
「各機はサイバスターを援護! ほかの連合の機体はホーキンス隊、サトー隊、ブランシュタイン隊に任せる! まずはあの機体を落とすわよ」
「了解、プラントを守るのはおれ達ザフトだ!」
「まだまだ私達の運も尽きてないって事かしら?」
「あまり楽観的に考えるものでもあるまい」
「ルナマリアもレイも、それより隊長の指示に従わないと」
「シホの言う通りよ。アズライガーだけじゃなくってヴァルシオンとか他にも色々いるんだから」
シホとアクアの窘める言葉に、ルナマリアも気を引き締め直し、息巻くイザークにつられる様に気合を入れ直し、すっかり慣れたダイレクト・フィーリング・コントロールによってターミナス・エナジーの出力を高めに調整しながら、残る連合部隊を睨みつけた。
「アクアさんの言う通りね。私も赤らしく活躍させてもらうわよ!」
「調子には乗るなよ?」
「いちいち釘を刺さなくってもいいじゃない!」
通信機越しに聞こえてくるレイとルナマリアのやり取りに、シホとアクアはある意味大物なのか? と顔を見合わせた。
「仲が良いって事なのでしょうか? アクアさん」
「まあ、そうなんじゃないかしら?」
アレで彼らなりに戦場で感じるプレッシャーを解しているのだろうと解釈し、アクアとシホもDFCでTEを調整しながらω特務艦隊の精鋭たちを迎え撃った。
DC艦隊旗艦マハト周辺はいまも地球連合の部隊を寄せ付けずに、ユーリア・ハインケルを隊長に置く精鋭部隊トロイエ隊とラスト・バタリオンが果敢に戦っていた。
所属する機動兵器の性能の高さと高性能OSのサポートを受けたパイロット達の能力もあり、またロレンツォ・ディ・モンテニャッコのヴァルシオン改タイプCFの存在も大きかった。
問題は月から到着するだろう増援艦隊の規模だ。今戦っている連合の戦力と同等近い規模であったなら、やがてこちらの体力が尽きて敗北の泥に塗れる可能性は高い。
トロイエ隊に配備された量産型ヴァルシオーネが一斉に放ったサイコブラスターの朱色の光が、無数の連合MS部隊を呑みこんで破壊する光景を見ながら、マハトの艦橋でビアンとマイヤーは、動き始めた戦況を見守っていた。
ビアンとマイヤーに、ヤキン・ドゥーエ後方に突如出現した巨大な構造物の報告がされたのは、アズライガーとサイバスターが交戦に入ったと言う連絡を受けた直後の事であった。
そして、ヤキン・ドゥーエの戦場に居たあらゆるものがそれを見た。
人間が塵芥程度にしか映らない巨人が、粗雑に描いた直線の様に、突然戦場を貫いた一筋の光を。
プラント本国の後方に突如出現した白銀の円錐形の物体が、放った稲光を纏った真紅の光柱が無慈悲に伸び、その光に触れたものは全て融解し、破砕され、消滅した。
はるか彼方まで延びた太い光柱を飾る様に大小無数の爆発が生まれ、宇宙の片隅を白々と照らし出し、理解の及ばぬ突然の事態に多くの者達が呆然とそれを見る事しかできなかった。
直撃を免れたものの、船体に無数の傷を負い航行もままならぬ艦艇や、母艦を失った連合のMSが呆然と漂うMS、そしてあまりの事態に戦意を喪失した連合の兵士達ばかりが残された。
どの勢力に所属する者達もたった一撃で数百のMSと数十の艦艇、数万の兵士達の命を呑みこんだ、悪夢の様な兵器の威力に目を奪われ一時戦場が静寂に支配された。
マハト艦橋でも、ザフトが隠し持っていた切り札のあまりの威力に、誰もが息を呑んでいた。たった一撃で戦況を覆す兵器。この宙域を埋め尽くすほどに展開していた地球連合の艦隊はおよそ五割の戦力を失っている。
あれだけいた地球連合の艦隊が、どれだけ犠牲を払わねばならぬか分からなかった敵が、こうも容易く撃退どころか、消滅するとは。唐突に勃発した事態の理不尽さに、理解が追い付かないのだ。
沈黙が長く支配しようとしてい場を、ビアンが破った。傍らに居たシュウとミナが、ビアンの語気に何か感じるモノがあったのか、思わず視線を集めた。
「いつでもあの構造物を攻撃できるよう艦隊を動かすのだ、マイヤー。それとネオ・ヴァルシオンの出撃用意を。いざとならば私の手であの構造物を破壊する」
「ジェネシス、最大出力の六〇パーセントで照射。地球軍艦隊は戦力の五割を喪失と推定」
「冷却開始、ミラーブロックの換装作業はじめ」
自軍の兵器が齎した効果の凄まじさに、息を呑んでいたヤキン・ドゥーエの管制官達が我に返り、自分達の仕事を再開する。
その様を見つめながら、パトリックの傍らでレイ・ユウキもまたぼうとしていた意識を取り戻し、背筋を昇っていたうそ寒い感触に蝕まれつつも、発射を命じたパトリックの横顔を盗み見た。
パトリックは一瞬も目を逸らさずにメインモニターに映し出された戦場の映像と、戦況を伝えるマーカーが慌ただしく変化する様子を見つめていた。
自分の判断で失われた命を刻みつけようとしているのだろうかと、ユウキはいささか意外な気持ちでいた。きりりと噛み締めていた奥歯を離し、パトリックは次の指示を出した。
エザリアの居る軍事衛星に通信を繋いだ。
「なにをしている、エザリア。すぐに連合艦隊への攻撃を再開させろ! この機を逃すな。月からの増援艦隊が来れば、また振り出しに戻るぞ。我らと奴らの戦力差がそれほど開いている事を忘れるな」
ユウキはひそかにパトリックの指示に顔に苦いものを浮かべた。もともと掃討戦が好きではないと言う事もあるが、一気に味方の戦力の半数を失い、完全に戦意を喪失している敵を討つと言う行為が、卑怯という言葉を越えて残虐なものに感じられたからだ。
戦争をしているという自覚がある分、自分の感じているモノが干渉であり、甘すぎるものだとも思うが、それを感じる感覚を捨てる気にはなれなかった。
「戦争は、勝って終わらねば意味がないだろう……」
パトリックの呟きに、ユウキも確かにそうだと同意した。もし、地球連合の放った核ミサイルがただの一発でも迎撃に失敗していれば、プラントは破壊され、残酷だ卑怯だなどと感じているどころではない結果に終わっていた。
それに戦力の半分を喪失したとはいえ、地球連合の保持している宇宙戦力はまだ嫌というほど存在している。事実、月からの増援艦隊だけでも、ヤキンに展開しているザフトとDCの戦力を合わせた以上の数なのだ。
ザフトはもう、プラントを守る為に手段を選ぶ余裕などとっくに失っているのだから。
「あ、ああ……」
ω特務艦隊旗艦ゲヴェルの艦橋でも、一瞬で失われた味方の被害に誰もが呆然と戦慄き、恐怖に震えていた。
まだ年若いレフィーナが自制する事が出来ずに唖然とし、それがクルーにも伝播して動きが止まっている。それを正したのは副長であるテツヤと遼艦ドミニオンの艦長ナタル・バジルールの叱咤の声だった。
「エンフィールド中佐、友軍の指揮を」
「レフィーナ、気をしっかり持て!」
「えっ、テツヤさん……」
「貴女はこの艦の艦長です。自分の役割と貴女が座っている場所を、忘れるな!」
「っはい! 残存艦の把握を急いでください。旗艦シンマニフェルとワシントンは!?」
「ワシントンの識別コード、消失しています! クルックおよびグラントも応答ありません! シンマニフェルは……識別コードありました。無事です!」
かろうじて旗艦シンマニフェルこそ無事だった者のそれに準ずる艦の多くが沈み、大雑把に見て一気に戦力の半数以上を奪われ、指揮する者を失った多くの者達が混乱に至り、救える命も失われ続けている。
通信越しに見えるナタルが極力動揺を表に出さないように自制している様子が分かり、レフィーナもまたかろうじて冷静さを取り戻そうと、必死に自制する。テツヤの叱咤もよく効いていた。
「周辺の残存艦には本艦を目標に集結するように指示を! ユン、シンマニフェルから撤退の指示は!?」
「シンマニフェルから指示ありません!」
爪を噛みたい衝動を抑えながら、レフィーナは指示の遅いシンマニフェルを罵りたい衝動に揺さぶられた。
「あ、ああ、あああああああーーーーー!!! あいつらあ!!」
元より血走っていた眼をさらに赤く染め、アズラエルは一瞬で自軍の戦力の半数を奪ったザフトの兵器ジェネシスを睨みつけた。情報部からザフトが極秘に開発している決戦兵器があるという情報は得ていたが、それがあれほどのものだったとは。
ジェネシスの発射から間もなく行っていた計算結果に、アズラエルは口の端から血が滴るほどに強く歯を噛みしめ、旗艦シンマニフェルと残存艦を集結させているゲヴェルに通信を繋いだ。
『何を悠長にしているんだよ、お前達ィ!!』
「あ、アズラエル理事!?」
「まさか、理事がアズライガーのパイロット?」
『そんな事はどうだっていいんだよ。それよりも早く再攻撃の用意をしろ!! 補給も、整備も、救援も! 全部、後回しだ!! 今すぐにあのザフトの連中の兵器を叩き潰せ、残っている核も全部使うんだ』
「む、無茶です! わが軍がどれだけ深刻なダメージを受けているのかお分かりですか!? 生き残った者も戦闘が可能な者は決して多くありません! 少なくとも増援艦隊が到着するのを待つべきです」
「バジルール少佐の言う通りです。もう一度あの兵器を撃たれれば、こちらの戦力が壊滅するのは確実です。ザフトもDCもまだ十分に戦力を残しているのですよ!? 月からの増援の無い現状で戦っても!?」
『分からない奴らだな。だったらお前らだけじゃなくて、生き残っている奴らもこれを見ろ! それでもまだ、そんな悠長なことが言えるのかな!?』
生き残っている残存艦とMS・MA部隊、そしてレフィーナとナタルの手元のコンソールに、ジェネシスのシミュレーションが映し出され、換装中のミラーの角度が調整された場合が何通りも表示される。
『あそこからでもアレはゆうに地球を撃てる――!』
アズラエルの言葉に、ナタルとレフィーナのみならずその通信を聞いている連合兵の誰もの背筋が凍った。これまで無意識にそんな恐ろしい可能性を否定していたからだ。まさか、プラントが地球を滅ぼすなどと。
だが、自分達は核を使った。核を使い、彼らの母国を破壊しようとした。自分達にとっての地球に当たるプラントを。先にそうしようとした自分達を相手に、プラントがそうしないという保証があるだろうか? 彼らが地球を撃たないという保証が。
『奴らのあのとんでもない兵器はいつでも地球を狙えるんだぞ!? どういうことか分かっているのか、お前らの家族だけじゃ無い、地球に住んでいる人間もそれ以外の生き物もみんな、あの兵器で皆殺しにされるかもしれないって事だよ!!
分かったか! 無理でも無茶でも何でも! もうぼくらはあれを破壊しなきゃならないんだよ。地球が撃たれる前にあれを壊せなかったら、ぼくらは滅亡するんだよ!?』
プラントを滅ぼそうとしたアズラエルの言葉だからこそ、彼の告げる滅亡の未来は明確な者として、彼の言葉を聞く者達を捕えた。万に一つ、億に一つの可能性であろうとも、地球を滅ぼせる可能性があるのなら、それをなんとしても摘み取らねばならない。
モニターの向こうで爆発し、轟沈した友軍艦の爆発の光に白皙の美貌を照らされながら、レフィーナとナタルは固く身を強張らせた。自分達の戦いが、地球に住まう数十億の同胞の命を駆けた戦いであると、理解した為に。
実際の戦場に居る者達にとってもジェネシスの発射と、撤退するどころか退かずに再攻撃を開始しようとしている地球連合とそれを迎え撃とうとするザフト・DCの兵達に影響を与えていた。
特に所謂ニュータイプの素養を高いレベルで発露させたグレースとアーウィンは、一瞬の間に生まれた無数の死者の最後の思念を感じ取り、半ば恐慌に陥りかけていた。
172 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/18(木) 00:29:42 ID:zNDJCtqG
「あ、あああ!? いや、いやあぁああ!!!」
「なんて、事を……。人が、死、たくさん、ぐぅう」
「どうした、アーウィン、グレース!? く、パニックを起こしているのか、無理もないが。……シャニ、クロト、二人を連れてゲヴェルに下がってそのまま直衛につけ。友軍がこんな状況では、敵に好きなように戦線を抜かれかねん」
「いいのかよ、少佐? ぼくら抜けたら結構やばいぜ」
「いいの?」
「構わん。今のグレース達では足手纏いだ。おれ達だけでもやってみせねばならん」
「まあ、少佐が言うなら良いけどさ。勝手に死なないでよね」
「戻れそうだったら、戻ってくるからさ」
「早く行け。……オルガ、お前はおれとアズライガーの援護を行え。友軍の支援はω特務艦隊以外はあまり期待するな。月からの艦隊が到着するまでは、今度はこちらの方が数で劣るぞ」
「はいよ。でもよぉ、アレ壊せるのかよ?」
「壊せる壊せない以前に壊さなければならん」
「地球が撃たれたっておれにゃ家族も何もいやしねえしあんまり関係ねえけどよ。艦長や少佐の家族は居るんだったよな。まあ、その分は働くぜ」
「お前の口からそんな言葉が出るとはな。少しは拳骨も効果があったか」
「けっ、あんなのは二度ともらいたかねえよ。おら、さっさと行かねえとだろうが。DCのあの連中も姿を見せてやがるぜ」
オルガは乾いた唇を舐めて湿らせ、再び攻撃を開始したアズライガーと交戦し始めているクライ・サイレントの二つのウルブズの見慣れた機体を睨みつけた。
カイはたったの一撃で戦況が圧倒的に連合の振りに傾いた事実を認識し、配色の濃厚さを理解しながらも、前に出る事しかできない事を苦々しく認めていた。
ジェネシス発射前よりもさらに苛烈になったアズライガーの攻撃をかわしながら、サイバスターの動きは精彩を欠いていた。友軍勢力であるザフトの放った一撃の凄まじさと、その無慈悲さに青臭い少年の心はひどく動揺していた。
「ちい、こいつら撤退しないのかよ!? あんだけ味方がやられてんだろ!」
「マサキ!」
「っ、テューディ、リカルド!」
サイバスターに遅れて到着したイスマイル、ザムジード、それ以外にもグルンガスト飛鳥やヒュッケバイン、ナイトガーリオンやジガンスクードも姿を見せ、事実上ノバラノソノを覗く勢力の最強戦力が一堂に介した事になる。
ジェネシスの発射は彼らDCの兵達にとっても大きな衝撃を与えるもので、同盟勢力であるザフトの切り札に頼もしさを覚えるよりも、大きな不安と一抹の恐怖を抱くものがほとんどだった。
そんな中、マサキは唯一明るい材料がある事に気づいた。グルンガスト飛鳥――瀕死の重傷を負って入院している筈のシンの愛機の姿があるではないか。
別のパイロットが乗っている可能性もあったが、大好きなご主人様に会えた子犬よろしく近くにいようとしているヒュッケバインから判断するに……
「お前、シンか!」
「ああ、おれだよ。少し遅くなったけど、なんとか間に合ったかな?」
「へ、まああらかた決着はついたと思うがよ。連合の連中はまだあきらめていないみたいだぜ。核ミサイルも、アズライガーも残っているし、月からの増援もあるみたいだからな」
「そうか。でも連合も核を使ったけど、ザフトもあんなのを持っているなんて」
「確かにいい気分はしねえな。それに、あのラクス・クラインの連中も来ているんだろう? あそこにはオウカやククルがいるからな。こいつらをさっさとぶちのめしてあっちに行きたい所だぜ」
「……オウカさんか、そうだよな。あの人も守りたいよな。いや、守らなきゃな」
「そういうこった。というかそれが、おれがDCに参加した目的なんだしな」
「そうだったな。だったら、早くあのアズライガーを倒して、こっちの決着をつけないと」
「おれ達がいりゃ、あの化け物もすぐに肩がつくさ」
「油断するなよマサキ。それでもあいつらとんでもない強敵なんだからさ」
「言われるまでもねえ。この前の戦いであいつがどんだけやばいかはたっぷりと体験したからな。ザフトの連中には悪いが、対抗できるのはおれ達位だぜ」
「イザークさんやルナが聞いたら絶対に怒るぞ」
「聞かれなきゃいいんだよ」
支援必要でしたかの?
母なる大地“地球”を焼かせるわけには行かぬと背水の気迫を陽炎の如く立ち上らせる連合部隊を前に、勢ぞろいしたウルブズの面々はいよいよこの戦いにも決着がつくかと、息を呑み操縦桿を握り直した。
たしかに決着は着く。地球連合とDC、ザフトら常識の範囲に収まる者達の戦いは。
ヤキン・ドゥーエの戦いを見守りながら、その女は嘲りの色をありありと浮かべた艶めいた笑みを口元に刻んでいた。二十代後半か三十歳前後の美貌に並みならぬ知性の光を宿した瞳が特徴的な美女だ。
がらんとした格納庫に設置したコンソールのモニターに映る外の様子を見つめ、一人嗤っている。いや、女以外にもそこには別の存在があった。天上世界の住人達との戦いに敗れ、地の底に在る奈落の世界に帰る事も出来ず、地上に落ちた悪魔の様な影。
節くれ立ち、瘤のように盛り上がった極彩色の鋼の筋肉を繋ぎ合わせた様な巨躯は、今そのほとんどを格納庫の床や壁に溶け込ませ、徐々に浸食の根を広げていた。
悪魔はオリジナルのメディウス・ロクス、宿りし人工知能はAI1――便宜上AI1セカンドとする――という。そしてそれらを生み出した女はエルデ・ミッテ。ザフトのTEアブソーバーを開発した科学者にして異世界からの招かれ人の一人だ。
ザフトから失踪し行方知れずとなってから、ずっとこの場所で息を潜めて密かにメディウス・ロクスの修復と侵食を見守っていた。だがそれも今日までだ。外で開幕している喜劇に閉幕を告げる為に、いよいよ自分達が舞台に立つ時が来た。
「さあ、始めましょう。AI1。全てがあなたと一つになるのよ。あなたがすべてとなるの。どこまでも高みに登り詰めなさい。いつまでも永遠に存在し続け、至高の存在となるのよ。あなたこそ究極の存在なのよ」
メディウス・ロクスもAI1セカンドも無論答えるわけもない。だがエルデは恍惚と酔いしれた様に謳いながら、メディウス・ロクスのコックピットに乗り込み、コンソールにある無数のボタンの一つを押した。
「さあ、このジェネシスを食らい尽くし、地球連合とザフト、DCの連中を貪りつくして、やがては地球を、宇宙の全てをあなたで埋め尽くすのよ!!」
どくん、とメディウス・ロクスが胎動した。やがて、ジェネシス全体に伸ばされた自己再生機能を搭載した自律金属細ラズナニウムが、ジェネシスを食らって変化させ、メディウス・ロクスの一部へと変え始めた。
まだ誰も、それに気づいた者はいなかった。
――つづく。
ageしまいました。申し訳ないです。
>>173さん、ありがとうございます。今回はここまでです。年内に終わるわいとか思ってたら全然終わりそうにない……。
投下乙です。
そろそろ終わりの時かと思いきや
MX最終戦の恐ろしい事態まであとわずか
wktkが止まりませぬ。
後お体に気をつけてください。
ゆったりとしたペースで俺は一向に構いやせんぜ!
GJ!
そういえば、某スレが飴5つ目になってましたね〜
急に過疎ったからビックリしてたらいつの間にやら…
おつでした。
なんだか連合対ザフトという形に限ればボアズより随分早く決着しそうなヤキン戦。
カイのお陰でしっかり丸くなった三馬鹿が妙に印象的でした。変われば変わるもので…死んでほしくないかなぁ。
メディウスはどこに雲隠れしてたかと思ってたらよりにもよってというか。
エネルギー的にラ・ムーの星の代わりになるとは思えませんが、質量的にはMXでの第三形態も真っ青サイズ…ていうか、デビルマスドライバーまんまになりそうな予感。
そしてMX本編でのAI1が蓄積したデータはセカンドもそっくり持ってるらしいですが、ラスボス脳味噌モードは来るのか。
しかし、こうなるとジャスティスの自爆が無くなりそうですね。
感想ありがとうございます。気合いだけならもう運命編の最終話まで描き切る気分なのですが実際にキーボードを打つとちっとも進まないこのジレンマ。
しかし携帯機のDのキャラが登場させずらかとです。出そうか出すまいか悩む日々。ラスボスのチート設定のせいでしょうか? どうせ出すならジョシュラキとかリムウェンのコンビで出したいしなぁ……。
ちなみに、没にしたシン七角関係には、やはりというべきか、ラで始まってアで終わる人とかエで始まってナで終わる人とか、デで始まってスで終わる人とかサーガつながりでKで始まってSで終わる人がいました。
実年齢ないしは外見年齢でシンより年下なのですね。なお私は別にリュウセイ×アヤ派というわけではないので、リュウセイの女性関係はどうなるか分かりません。アヤかもしれないしマイかもしれないしクスハかもしれないしレビかもしれないのです。
乙であります、これからどんどこボス連中が出てくるんでしょうか。個人的にはルオゾールあたりが気になるところです。
ジョシュラキは大好物なのですが、完璧親父を倒す際の犠牲を考えると……ウッ
とりあえずリュウセイ関係でブリットとラトゥーニが泣いてます。
乙レス兼生存報告
スレをROMってはいるけどなかなか執筆時間が取れないのが現状
投げ出す気はないのでスレがある限りは何とか続きを書いてできれば完結させたいですな
>>160 やはりここの住人に見られてたかw
良かった、まだ職人さん達はこのスレを見捨ててはいなかったか・・・
11氏はまあ現スレになってからも投下してるし大丈夫だろう
あとは鉄SEED氏か
このスレどころかSSスレ全体見渡しても珍しい真っ当なキラ描いてる人だから(まあ総帥のキラもそれなりにマトモではあるけど)、出来れば続けて欲しいところだが
総帥さんGJ!!
しかしまとめで66話以降が読めませんTT。
勝手なお願いですが。
HPをたちあげてほしいです。
>>179 >リュウセイの女性関係
いっそ全員ということで、特にクスハ。
今でも忘れられない、OG1が出たばかりのあの頃。
クスハに「リュウセイの幼馴染」なんて紛らわしい後付け設定を追加して
妙な期待を持たせやがって、それで結局公式通りにブリットと
結ばせやがったあの恨み。
むしろリュウセイに女はいらない
奴の相手はヴァルシオーネとアンジュルグだけで十分だ
>>179 リュウセイの相手ですが少なくともクスハだけは絶対に止めて貰いたいです
OG1の悪夢再びなんてまっぴらごめんですよ
中の人と隠し技能(射撃)でフラグ立っているんじゃないのかい
>>184 OGが初スパロボで「ブリットに寝取られた」と騒いでたアホはいたが
元々の設定知っててそんな期待してたやつはお前さんが初めてだよw
竹尾GCのお姉さんをナンパしてた新スパロボのリュウセイやマサキの環境を
羨んでいたαシリーズのリュウセイならなんとかw
ぶっちゃけロボゲ板だとリュウセイやブリットって、新シャアにおけるラクシズ並に嫌われてるからなー
191 :
通常の名無しさんの3倍:2008/12/21(日) 23:54:05 ID:fUBjymcL
それだと過半数以上の住民に嫌われてることになるジャマイカwwww
ブリットもリュウセイも中の人が同じキャラのネタが急激に増えていって
これからまたキャラが変わる可能性もあるからまだマシかな?
ぶっちゃけ今のあいつらは未完成品って感じがかなりするんだな、これが
リュウセイ:本スレよりアンチスレの方が伸びている
ブリット:そもそもアンチスレのみで本スレが無い
リュウセイは新作でやらかしては、次作品でそれを無かった事にするの繰り返しで、キャラとしての軸がブレまくっている
ブリットはそもそもクスハのオマケ的存在としか認識されてなかったのに、近年やたらと優遇されて目立ってるからウザがられている
クスハの公式な相手はイングラムだと思うんだが
あいつらってウザイのか。OGSだとそうでも無かった気がするんだけど。というか
OGSしか、しかもOG1しかやってないんだけどね。
リュウセイは異常にプッシュされてきたからなぁ
寺田はSRXを魔装機神的なポジションに置きたかったのかもしれないけど正直失敗してるよな
リュウセイプッシュ失敗の歴史
スーパーロボットスピリッツ → 作品自体が知名度低くてさほど問題にならず
α → 袋叩きにされたためDC版では台詞が修正され、α外伝では反省会
OG → OG2では主役はいなくなったが、事実上の主人公であるキョウスケと比べると完全に一パイロットに格下げ
落ちちゃいなさ〜い スゲーいらっとくる言い方だったw
つーかテンザンは外見こそ違え新スパロボでのリュウセイというキャラだろ?
つまりイケメン無罪w
新スパロボのリュウセイは「憧れのスーパーロボットに乗れた」という以外には
いい目は何一つ見てないからそうでもない
どう考えてもテンザン>新スパリュウセイ
版権キャラであるトライダーG7の郁恵といい仲になってたじゃないか。
専用BGMは新スパ月面マップから流用され、年齢的にきついコスチュームを強制され、
イングラムからは使い捨てられ、アレな親父と電波な妹に挟まれ気苦労が耐えず、
終いには玉にされたアヤに比べれば……
新スパの頃はノリノリで着てたんだけどな、あの服w
新スパはアヤと同年代かそれ以上のOLがあんな服でお立ち台で踊ってた時代の名残だな
あの頃のお立ち台ギャル達も、今はもう…
>>197 おおっとリアルロボッツファイナルアタックも忘れるな!
ブリットくん(笑)ではなく“ブルックリン・ラックフィールド”を無印αで主人公キャラに選んでた俺としては
ニルファ以降でのブリットの扱いにこそ問題があったと言わざるを得ない
つーかなんでクスハが最高クラスのサイコドライバーってことになってんの?
αで選べる8人のキャラ性能ではブリットが最高(念動力Lv9、切り払いLv9 能力値もユウキと同じぐらい)で
クスハが最低(技能は両方Lv8止まり、能力低い)だったろうに
洗脳されて誘拐される役も、男がやったら只のギャグでしかないしw
そもそも最強のサイコドライバーってビッグファ(ry
αのスーパー系タスクは正直、犬夜叉以外の何者でもなかった
異論は認める
>>210 ぶっちゃけると、α当時の人気が、クスハ>>>>>>>>>>>>その他、だったから
一番人気だったから続編でも主人公に抜擢されて、それに合わせて設定も変わった
ブリットが続投できたのは単に「クスハの相方だったから」という理由に過ぎない
Zスペシャルの後日談って、
種死の場合やっぱりキラ白服になってプラントへなのかな?
保管庫で検索したんだがシャイン王女って出番ないんだね
一国の代表でありながら機動兵器で戦場に出る人だし
シンと絡んでるのみてみたいな
いまさらながリュウセイとクスハの幼なじみ設定ってドラマCDのα外伝(プロトOG1)が最初だっけ
>>209 あれバンプレオリ枠で出てるだけで別にプッシュされてなくね?
そもそも隠し機体に近いし
リュウセイのカップリング……知っている限りでやっぱりというかマイ、ラト、アヤ、次点でレビ、ムジカとかあたり?
αであまり絡まなかったクスハとのカップル化は、個人的にはあんまりイメージできないですねぇ。
それと、まとめのほうにシンセツを更新してくださった方、ありがとうございます。仮題に関しましてはお好きなようにつけてくださって結構です。
しかし、その1と2は18禁か……。えっちぃのは自重の方向ですね。発作的に書きたくなるのが困りものですが。あとHPとかブログとか、私は無精なので立ち上げても更新とかしないで放置しそうなので作る予定はないです。
>>183さん、ごめんなさい。
>>217 いえ、それほど気になさらないでください確かにHPやブログは面倒ですし大変です。
それとサルファとOGをプレイしたのでどうしてもリュウセイ*マイが一番、リュウセイ*ラトが2番に来てしまいますな。
どちらにしろ超有望株(特にマイはロボアニメオタクの美少女というまさに超レア中のレアものです)を手に入れた勝ち組だから今日がクリスマスと相まってリュウセイに殺意が湧きます。
しかしαリュウセイはウェンディとかセニアが好みなんだろ
二人ともロボ関係者ではあるがw
>>210 そもそもα時代の各種主人公は、αのストーリー上でキャラが立ってないという罠
ブリットだろうがタスクだろうがヒロイン助けるために真面目に一生懸命で、うじうじしてたシンジや大作にとって兄貴分的な存在だったりするんだぜ
OGシリーズでの、バンプレオリキャラだけで話を転がそうとし始めたあたりから扱いが変わってったんだろうな
ゼンガーが格闘一辺倒の刀バカになったのもOG以降だな
α外伝の彼の「射撃」パラメータって、結構高いんだよ?
アレはスレードゲルミルをデザインした富士原先生も悪いがwww
色々な意味でαの中でキャラ立ちしてたのは紅茶だけかもしれないなw
某コンバインマシンに驚いたり、
ティータイムだからとED打ち切ったりとw
しかもαは主人公の性格も変えられたし・・・
初めての主人公は熱血のリョウトでしたw
楠葉を恋人にしたかったんですね。わかります
俺も主人公紅茶でそれやったwww
今思えば逆に違和感バリバリだったなw
タスクで冷静が一番ありえなくて笑える
Zはファンディスクを出してシリーズ終了だな……。
まあ仕方がないが、OVAの新ゲッター竜馬VSTV竜馬の対決が見たかったが、もっともTV竜馬はゲッター信者になってエンペラーによる侵略に加担しそうな気がする。
石川(英朗版)竜馬だけなんだよな……ゲッターに立ち向かったのは個人的には石川竜馬の方がすきだな。いや原作の方を見ているとあまりにお気楽でゲッターの危険性に無知なTV版のキャラに疑問を感じざる負えない。
>>227 脈絡が無さ過ぎるレスだが、ひょっとして誤爆?
それとも単なるKYなZアンチ?
つかファンディスクで終了って何を根拠に語ってるんだ
売上げ落ちたとはいえ、プレステ2の衰退ぶりと不況を考えれば、十分な売上げ叩き出してるのに
何だかんだ言われてもキッチリ黒字だしなあ>Z
一部で言われてた、ファンディスクで出てくる新規ボスユニットがドン・ザウサーじゃね?って予想も、最新の寺田発言で完全否定されたし
まあ普通にシリーズ化するだろ
多分その前に携帯かOG3が出るだろうが
OG3は第四次とニルファの親分・クスハ・アイビスルートがベースか
OG外伝との間にアイビスが墜落してやさぐれ、鰤が失踪しとると
ピンチの親分を助けるのがトロンベだとして
まさに仮面を被ったキバットを助けるときの援軍はライバル的に変態蝶々仮面か
Dが絡みそうだがそうなるとスレイはリムと絡みそうだな
ジョッシュの親友になれそうなツンギレなあの人は旅立っちゃったしインファレンスとかジョア=ムでも連れてくるのか?
OG2でA、OGSと外伝でRとコンパ3という順番からするとDとMXかな
MXは兵庫とエロ水着と熊隊長とミッテ先生は前振り済みだし
とりあえずカズマは(二部序盤的な意味で)アサキムと絡むって信じてる。
α、というよりバルマー絡みが実はほとんど進行してないんだよね、OGって。
ユーゼスはおろか、ラオデキヤですらまだ出てない罠。久保はいつ出れる事やら……
このままじゃ4,5でも出れるかどうか怪しくね?
>>234 だってミッテ先生だし、としか言いようがない。
なんかあの人、ゼゼーナンを差し置いて3のラスボスになりそうな気がするのは俺だけか?
ミッテ先生といえば、某所で一時期、しかもかなりマイナーに展開してた
コンビニ店員の加納(叶?)くんと仲良くなってるのが好きだったな
しかしトウマの場合、サルファで周りがプロやらサイボーグやら越えられない壁の超人集団ばっかり
味方の機体も早い段階でチート級のものが揃っているという環境下で
唯一ほぼ素人、機体も未完成かつ微妙なところからの成長物語が面白かったから
OG組の環境では、バランや親分との絡み以外に輝けるチャンスがあるかは微妙かも試練な
ネオグランビームまだ―?
っていうか、OG世界ってバルマーあるのか?
ホワイトスターは自律機械だったし、ガイゾックみたいに母星はすでに滅んでる
なんてこともありそうだ。
ニブハムがそれっぽいこと言ってたな
南極に来てたのはゲストだろうけど、フーレを使ってたのはバルマーの
武器が鹵獲されてるということか
そこで平行世界ネタで
メテオ3落ちてないのにトロニウムあるのはバルマーが密かにもたらしていた
で次元を越えてやってくると
今年の更新はもうないかな?
今年一年、楽しませてもらいました。
来年もよろしくお願いします、と。
どうもお久しぶりです
つか12月頭あたりから修羅場りましてゴタゴタしてたらあっという間に大晦日www
36話が4割ほどしか進んでないですができれば正月中に完成させたいです
ではみなさまよいお年を〜
>>238 あるとは思うよ OGsで新たな仮面男(ゴッツオ一族?)も出た事だし>バルマー
と言うか今度こそ12支族の残り出してもらわないと
アレがユーゼスならバルマー人とは限らんがな
ユーゼスがバルマーのゴッツォ一族に生まれたのはα世界だけのようだし
アナ・スタシアとゲトゥビュームまだー?
>>244 そーいや、スパヒロのユーゼスはバード星人だっけ。ギャバンの同僚で。
関係ないけどWのシン・アリア→シン・シホミ姉な夢を見た
................眼が開いてた
660さんもたまに投下されている某スレを覗いたら、ファンだった職人さんが
ブログ立ち上げたせいか、すっかり姿を消されていた…
何か妙な寂しさを覚えるなああいうのは……660さんはいつまでもこのスレの
重鎮でいてくださいね!!
スレ
蛹を破り、蝶は舞う。
桶を破り、鰈は舞う。
活きが良いんですね
魚屋泣かせ
>>227 虚無も魔獣もTVアニメ版も見てないのにゲッター語る奴はクズ
ウルトラセブンをウルトラマンセブンと呼ぶぐらいクズ
逃げてください→達磨のコンボをやる奴ぐらいクズ
ちょ、おま、最後の一行はひどすぎね?
K准将と同等ってそれもう人間じゃねーぞ
途中報告というか、キャラを出しすぎた弊害で年末年始、浮気していて話が進んでいなかったりしてます。今年最初の投下を、今度日曜あたりを目処にがんばります。
たぶん、一月か二月でビアンSEEDも終わる筈。
>>253 ゲッターと絡んだ真説魔獣戦線は蛇足
独自の世界ではなくなり虚無・ゲッター世界に組み込まれちゃうくらいなら未完のほうがよかった
ゴラク版で完結したがデビルマン世界に組み込まれちゃったバイオレンス・ジャックと同様
真説魔獣は虚無戦記と繋がっても、ゲッターロボサーガとは繋がっていないはずでは。
作者はゲッターを虚無に繋げる気はないと言ってたんじゃ。
いや「宇宙を破壊するような悪魔の機械」ってゲッターの事じゃないの?
明らかに唐突すぎるし
賢ちゃんに伏線とか期待すんなよw
αの主人公はスーパー系のリョウトでした。
悲観的で最悪の事態を考えているが前向きという性格とヒロインがMIAで記憶を失って敵になる展開が素晴らしくマッチしていた。
ニルファ、サルファでα主人公がクスハだけになったのが残念だった。脳内でリョウトに変換してプレイしてたよ。
OGのリョウトはヘタレすぎ。
ニルファでヴィレ姉がヒュッケMK-Vの本来のパイロットについて言及してたから
それがリョウトだと脳内補正
>>260 αでスーパー系主人公がブリットだっただけに、何でクスハが龍虎王のパイロットになってんだよと思った。
>>261 俺もニルファでヴィレッタがいっていたのはリョウトだと脳内変換してた。
そういえばリョウトとヴィレッタって、スパヒロのセーブキャラ繋がりで、未だに根強いカプ厨がいるんだよな
何気に公式のリオとのカプより人気高かったりする
一応、ブリットも同じヴィレッタ用セーブキャラなのに、こっちは全然話題にもならないがw
>>262 冨士原の「スーパーロボット大戦α外伝 前伝」でも、龍虎のパイロットが逆になってたりする
これはニルファ発売前に書かれたものだからだけど
まあシンを龍虎王パイロットにする構想練ってる俺には最早どうでもいい話ではあるが
>>255 総帥、遅れながら新年おめでとう
完結期待してます
>>262 俺もブリットお前なんでヒュッケマーク2なんだよとオモた。
>>259 そうか?八犬伝とか魔界とか纐纈城とかきちんと完結した作品読むと分かるけど
あの人伏線張ったりするの実は結構巧い。ただ分投げるだけだ
多分、頭の中で組み立てた物語を自分でも描ききれないのが分かっちゃうんだろうな
後100年ぐらいして向こうに行ったらそれが描ける位進化した賢ちゃんのゲッターを読むんだ
>>265 中島かずき曰く、
「元になるアイデアと辻褄合わせも可能な状態を持ち合わせながら、
それを一度捨て風呂敷を広げた状態から収束させる、大変に構成力の高い人物である」
だそうで。
そういや、前に種死とゲッターのクロスオーバーものがあったね。
αであったテーマ音楽に歌詞付けて歌にするのまたやってくんねーかなあ。
カラオケモードか、α外伝を最後になくなったな。
あれはPS3じゃなきゃ復活は無理だろ。ただでさえ最近は音質削って画質上げる流れだし。
Zなんか音質最悪だったじゃねーか。
いや串田ダイバーみたいに、大地の章とかに入ってた歌ってるやつ。
あー
歌詞つきのオリジナルBGMね
>>265 おいおい、それ原作つきばっかりだろw
まあ原作を大幅に逸脱した展開ばかりではあるがw
>>270 龍虎天翔とか鋼の戦神は歌になってる
個人的にはベーオウルフとか悪を断つ剣、疾・風・神・雷何かを歌にして欲しいんだがなあ
バランドバンの歌とガンレオンの歌をきちんと聞きたい
つか、誰が歌ってるんだ、あれ
>>272 八犬伝は原作付きじゃないぜ。八犬士の設定を使っただけで内容は完全オリジナル。
ついでに纐纈城も原作の国枝氏が完結させる前になくなったから3巻以降は完全にオリジナルの筈
そして俺は石川魔界を山風信者に進める勇気はないw
なぜケン・イシカワを語るスレになってるの?
なぜケン・イシカワを語るスレになってるの?
ケン・イシカワ作品がラブクラフト作品だとすると、グレンラガンはダーレスの旧神シリーズみたいなものだって話を聞いたことがある
>>275 映画魔界二作やアニメ魔界よりはお勧めかとw
ケン・イシカワといえばグレンダイザーのコミカライズの紹介にあった「漫画犯罪者」
というキャッチコピーにワロタ
内容見たら確かにそんな感じだが
(人質が奪われたグレートマジンガーにくくりつけられて、ダイザーは無抵抗でもグレート
が暴れるたびにブチブチ潰れていく)
>>274 や、作者の超兄貴な人以外の何者でもないでしょw
wktkしながら開いたけど、投下がなかった…orz
お前ら、何の話してんだよ…?
新作参戦キター……と思ったら和田がパッケージだと?
参戦作品がカオスすぎるし大丈夫かこれ……
>>281 種死関係はスタゲがメインで本編連中は中盤までスルーだってりしてな
少なくとも無印種がキャラ&機体だけ参戦なのは確実
あらすじ見ると、既に無印の戦争終わってるから
無印ゾイドじゃないのかよ…
バーチャロンマーズ参戦で俺歓喜
ジーグがあるってことは噂の九州ジュピターに何作品か放り込まれるっぽいな。
出てきたらガンソードかジェネシスみたいに荒廃してるとか
いや、ガイキングも参戦してるから
ストーリー説明にある不可思議な失踪ってのはガイキングの舞台である異世界行きっぽい
カイキンク出ろ
コンパクト3以上のカオスの予感。
覇王とプロイストのキチガイピンクコンビに期待だな
新作スパロボ楽しみでしかたないのですが! というわけで、投下します。日曜を目処にとか言って実質木曜になってしまって申し訳ありません。
ビアンSEED 第七十四話 妖婦蠢動
無数の橙色の火の玉が煌めく暗黒の中を、白と黄色の人造の幻獣たちが幾度も交錯し、衝突し、激突し、反発し、戦い合っていた。
彼らは出会う度にそうしてきた。おそらくはこれからもずっとそうなのだろう。どちらかの命が果てるまで争い合う運命なのかもしれない。
リュウセイ・ダテの駆る白いヴァイクルと残る片方はテンザン・ナカジマの黄色のヴァイクルである。同じ出自を持つ機動兵器は、異なる陣営の二人を操者に選んだことで争う運命の渦中にあった。
白と黄に染まった幻獣の周囲で乱れ交うは、翡翠色の光刃を煌めかすカナフ・スレイブの群れだ。テンザンとリュウセイの昂った戦闘の意思に従い、かつてないほど迅速に、そして苛烈に互いの装甲を抉らんと飛ぶ。
通信を交わすまでもなく、ヴァイクルの機体に搭載されたシステムによって増幅された二人の思念が、目に見えぬ不可視の波となって二機の周囲で大きな唸りとなって荒れ狂っている。
「直撃だあ!!」
「当たるかよっ」
野太いテンザンの声が、余裕はないが過度の焦りもない精神状態にあるリュウセイの声が、お互いの脳裏に直接届く。二人がお互いを強敵と認めるからこそ、仲間達に牙を剥かせるわけには行かぬと猛っていた。
「お前なんかに構っている暇はないんだよ! あんなもんを二度も撃たせてたまるか!!」
ジェネシス――創世を意味する破滅の光の中に散った幾万もの同胞の命に、怒り、嘆き、憤るリュウセイ。
「ちっ、確かに気分のいいもんじゃねえが、てめえらの使った核とどれほどの違いがあるってのよ!!」
ザフトの隠していた切り札に、ビアン総帥はどんな手を打つつもりだと、内心で疑惑を抱き、かすかに集中を欠くテンザン。
機体性能では、エペソのデータ提供によってオリジナルとほぼ同等の水準を維持しているテンザン機の方がやや上。また純粋な操縦技術でもテンザンが上回る。
しかし、戦意を迸らせ、急速に戦闘中に成長する潜在能力と爆発力を併せ持ったリュウセイが、徐々に二人の間にあった実力の差を埋め始めていた。
「この野郎、生意気だっての!」
「やらせねえ、これ以上おれの仲間達はやらせねえ!!」
二人の怒涛の気迫を乗せて、白と黄の幻獣達は飽く事無く激突する。
「おああああああああーーーーーー!!!」
アズラエルの喉から、血をそのまま吐きかねぬ勢いで叫びが解き放たれる。背後に輝く地球を守る為、そして目の前に存在する忌わしい銀の砂時計を破壊する為に。
百メートルを超すアズライガーの全身からは常に幾筋も破壊の光条が放たれ、それは例外なくいくつもの光球を伴っていた。
アズライガーを筆頭にω特務艦隊と残る地球連合艦隊残存艦艇が、紡錘陣形を取って、厚く重ねられたザフト・DCの防衛網を一つ一つ、ゆっくりとではあるが確実に突き破っていた。
彼らの前に立ちはだかるザフト・DC部隊もまたこの決戦に背後のプラント市民に洗面の命運、そして地上の旧オーブ領に住まう人々の命運が決まるとあって、怒涛の如く迫りくる暴力を前にしても退く様子はない。
対するザフト・DCは、やはりというべきであろうか、数よりも突出した質を持ってω特務艦隊を筆頭とする連合部隊を迎え撃っていた。
すなわち、クライ・ウルブズ、サイレント・ウルブズ、そしてザフトWRXチームである。
特機をはじめ異世界の超技術を取り込み、CEのレベルに合わせてではあるが再現された機体群が激しく交差して銃火を交わし合い、なまなかな技量のパイロットたちではその渦中に踏み込むだけで誰彼を問わず粉砕されてしまう。
ヤキン・ドゥーエに集った三勢力の最高戦力同士の激突は、もはや彼ら以下の力しか持たぬ者達に介入さえ許さぬ戦場を構築していた。
その、CE史上最高峰の機動兵器戦闘が行われている宙域の後方、ジェネシス周辺ではジェネシス防衛部隊が、接近していたノバラノソノ艦隊と相対していた。
プラントを核攻撃から守り、ザフトの援護を行ったノバラノソノ艦隊に対して、司令部からこちらから攻撃を仕掛けるような真似は慎むようにと厳命されており、肌がぴりぴりと痛むような緊張感が漂っている。
旗艦の一つであるエターナルの艦橋で、艦長席の横に用意されたオブザーバー席に座るラクスが、バルトフェルドとダイテツ、マリューらに意見を述べていた。
エルザムやクライン派を通じて、ラクスに届くようパトリックが意図的に流した情報を元に、艦隊の展開を行っている。
「おそらくジェネシスの第二射は月基地及び増援艦隊に向けて発射されるでしょう。そうなれば連合艦隊は降伏ないしは撤退を余儀なくされます」
ラクスの言葉に、元は地球連合の軍人であり、祖国の同胞たちを守りたいという願いから軍人になったマリューは複雑な色を浮かべる。今こそこうして第三の道を選んでいるが、やはり地球とそこに住む人々への愛着は強い。
また、それ以前にジェネシスと言う大量虐殺兵器に対する恐怖と嫌悪が強く心を絡め取っている。地球連合の使用した核と同等以上の脅威。ザフトと連合はお互いを滅ぼすに足る力を手にしてしまったのだ。
「ラクスさんの言う通りだけど、万が一ジェネシスが地球に向けられたら」
「おそらくは脅しであろうが、プラントに完全な自給自足を可能としていたら地球と言う環境は必要ないといえる。万が一が億が一の可能性であっても、ジェネシスは脅威だが……」
「マリューさんとダイテツさんが危惧されている事は重々理解しております。ですが、プラントは地球との助け合いが無ければその社会を維持できないのが実情。ザラ議長も本当に地球を撃つ事はないでしょう。残念ながら、撃たないと断言はできませんが」
「……連合もジェネシスを落とそうと動ける艦隊はすべて動かしているわね。もう決着はついているようなものなのに」
「アズライガーを始め旗艦と主力が残っておる事もあるが、やはりジェネシスが撃たれれば地球が終わるという事実に気づいたからじゃろう。それで、どうする?
このままザフトを援護して地球艦隊を無力化するか。それともジェネシスを破壊し、連合の残った核攻撃部隊も殲滅し、この場を後にするか。後者は限りなく不可能に近いな」
「核攻撃部隊の撃破は確実に行わなければなりません。そして、もし万が一ザラ議長が地球を撃たんとした時の為に、わたくしたちも即座にジェネシスを破壊し得る手段を選びましょう」
「あれだけの巨大な構造体を? どうやって……そうか、スレードゲルミルを?」
「はい。彼の機神ならば、最悪の事態を防ぐ最後の刃としてうまくやってくれるはずです」
ウォーダン・ユミルの半身とでもいうべき存在スレードゲルミルの究極奥儀“星薙ぎの太刀”。
まさしくその名の通りに星を薙ぎ払うがごとき威力の凄まじさをかつて目の当たりにしたマリューが、確かにあの光雷の一刀ならば、ジェネシスさえも破壊するだろうと得心した。
ジェネシス本体は無理でも、最悪ミラーブロックを破壊すれば時間は稼げる。地球を狙うとなれば、地球に本拠地を持つDCもザフトに対して容赦なく牙を剥くだろう。そう考えれば万が一にでもザフトが地球を本気で撃つ事に対する抑止要素は確かにあった。
だが、人間とは時に正常な判断を失う。それが戦場の狂気の只中とあればそれは、珍しい出来事ではなくなる。パトリック・ザラがその例外でないと誰が言えよう。そしてまた、この場に居る自分たちもまた例外ではないと誰が言えよう。
こうして行動している事の結果が出るまで、自分達のしている事が正しいかどうか確証を得る事は出来ぬ不安を、その胸の中に抱きながら、マリューはより一層戦火の激しくなった虚空を見つめた。
「ブーストナックル!!」
豪炎を噴いて射出されたグルンガスト飛鳥の左拳を、アズライガーはその巨大な手で生え出も払う様に叩き、頭部の火器を一斉に放ってきた。装甲越しにも皮膚を焼かれそうな光の奔流を避けて、シンが苦い舌打ちを口の中で響かせる。
アズライガーを破壊し得る攻撃手段は、二つのウルブズが勢揃いした事で複数あった。
強固なアズライガーの多重防御フィールドを突破可能とみなされているのは、サイバスターのアカシックバスター、イスマイルの最大出力のオメガブラスト、飛鳥の獅子王斬艦刀、ヒュッケバインのブラックホールキャノンなどだ。
格納モジュールであるムゲンシンボから四連装Gインパクトキャノンを船首に備えたスペースノア級の主砲でも撃破は可能であろうが、いかんせんアズライガーの、その巨躯に対してあまりにも高い機動性が撃破の可能性を低く見積もらせている。
またその周囲を固めるω特務艦隊の超エース達が、背水の陣を敷いて並みならぬ気迫で挑んできている。
シン自身、連合の核攻撃の報復として姿を見せたジェネシスに対して、無慈悲なまでに敵を焼き尽くしたその光景に嫌悪感や恐怖、そして苛立ちを覚え完全に戦闘に集中しきれずにいる。
射出した腕を再び再装着し、スティングやアウルに援護されながら、再びアズライガーめがけて突撃する。
飛鳥もまたこのサイズの機動兵器としては破格の運動性、機動性、加速性能を併せ持つが、その姿を無数のビームが迎え撃ち、これまでと同じように道行き半ばで足を止められてしまう。
スウェンのストライクノワールと、シャムスのヴェルデバスター、ミューディーのブルデュエルによる牽制だ。
GAT−Xナンバー初期シリーズの発展期であるそれらを駆るスウェン達は、見事なチームワークで隙の無い光の弾幕を形成し、防御フィールドと堅牢な装甲を誇るグルンガスト飛鳥でも正面からの突撃を諦める他ない威力を発揮していた。
飛鳥が加速を止め、機体前面のスラスターを逆噴射させて聖堂を駆ける姿を認め、スウェンが小さく呟いた。感情を表に出す方法を忘れた彼にしては珍しい行為であった。
「かかった」
生来の獣じみた直感と、ゼオルート、そしてイザヨイの下で鍛え抜いた超直感とでもいうべき知覚能力が、飛鳥のセンサーよりも敵機の発見に気づくのが遅れたのは、やはりジェネシスの存在への動揺と、巧みなスウェン達の連携攻撃による。
機体に走る衝撃に揺らされて、慌ててシンは飛鳥の後方の映像を手元の3Dウィンドウに表示させた。そこには、飛鳥の胴を背後から締め上げる漆黒の機体が、徐々に姿を現しつつあった。
「ミラージュコロイド!? くそ、熱源に反応が無いって事は、スラスターを使わずに動いたってことか」
「おとなしくしていてくれよ、てのは虫の良い話か。パワーがダンチだ。そんなに長く保たないな、こりゃ!」
ミラージュコロイドを解除し、PS装甲を展開し終えたネロブリッツのコックピットで、パイロットであるダナが、MSとはケタ違いの馬力を誇る飛鳥を抑える心労に冷や汗を流していた。
少しでも操縦を誤り、飛鳥に自由を取り戻させたら、次の瞬間には死を覚悟していなければならない。それほどの緊張感が、ダナの血流の中を冷たく流れていた。
「エミリオ!」
「分かっている!」
ダナの声に応え、ロッソイージスの可変を終えてスキュラの砲口を飛鳥に向けたエミリオが、トリガーに添えた指を引き絞る。命中の直前にダナが離脱する、などと言う話ではなく、飛鳥に直撃させてから離脱するという命がけの行為であった。
特機の装甲ならばスキュラの直撃にも即座に破壊される事はないという推測を元に、確実に飛鳥に最大の火力をぶつける為に打ち出した苦肉の策であった。
半ば成功しかけたそれがひっくり返されたのは、ひとえにシンが一人で戦っていたわけではなかったからだ。スウェン達がチームで戦っていたように、シンにもまた共に戦う仲間達が居る。
エミリオのロッソイージスにリープスラッシャーを見舞い、光のチャクラムによってその左足を奪ったのはステラのヒュッケバイン。
「シンは、やらせない!」
三機が並び、ビームの雨を降らしていたスウェン達にはブレイクフィールドを展開したナイトガーリオンがその加速性とブレイクフィールドの防御能力を盾に突っ込み、散開させる。
「いったぜ、スティング!」
アウルが見事に役目を果たし、散開させられた事に気づいたスウェンの視界の端で、黄金に輝く飛翔物体が映る。
「シャムス、ミューディー、動きを止めるな! 報告にあったDCのガンバレルだ」
アカツキの背から飛び立ち縦横無尽に飛び回り、さらにエミリオとダナも攻撃範囲に収めて、スティングは機体と兵装ポッドの操作を同時にこなす。
「あれだけ撃って被弾無しかよ。流石に安い腕じゃねえな」
熱を帯びる思考をクールダウンさせ、あくまでも冷徹に敵を見つめるスティング。アカツキの金色に輝く機体は今も眩く煌めき、被弾の無いヤタノカガミの装甲はいまだ健在を示していた。
「悪い、助かった!」
「いいってよ。おら、次が来たぜ!」
ストライクノワールを筆頭に、再び五機のMSが、シン達に銃火を向けている。乾坤一擲の一撃となり、ザフト・DCの守備の壁を突き破らんとする彼らの士気はこれまでになく高い。
グルンガスト飛鳥、ヒュッケバインを擁するシン達四人でもやすやすと勝利は勝ち取れぬ強敵であった。
シンのグルンガスト飛鳥には、あのアズライガーの相手をしてもらった方がいい――眼前の強敵の打倒よりも、地球連合の切り札と言っていいあの巨大機動兵器の破壊の方こそが重要だと悟っていた。
そして、スティングはそれを許さぬかの様にこちらの手を煩わせるスウェン達に対して、苛立ちを募らせる。シン達抜きでアズライガーを撃破できるだけの戦力はないわけではないが……。
「ちっ、この腕、おれ達と同じで体を弄くられた御同輩かエースかは知らねえが、おれ達はDCの人間だ。手加減はしねえ!」
プラントの後方から回り込んできた地球連合艦隊の伏兵を掃討し終えたアスラン、キラ、ニコル、オウカ、ククルはシンやステラ達が地球連合艦隊と激戦を広げている宙域へと急行していた。
戦力の大半を振り分け、エターナルと少数の護衛艦を覗く、ノバラノソノ艦隊の大多数の戦力だ。特にミーティアを装備したフリーダムとジャスティスの足は速く、この二機が突出している。
瞬く度に近づく戦場の炎を瞳に映していたキラが、瞬間、背筋を走った悪寒に従って操縦桿を倒し、フットペダルを踏み込んで機体に回避行動を取らせた。
わずかな空白の間をおいてフリーダムの前後左右から降り注いだビームは、確かにコンマ秒以前の時間、フリーダムが存在していた場所であった。宇宙空間を割いて肌を突き刺さってくる冷たい殺意に、キラは覚えがあった。
「アスラン、先に行って! あの人はぼくが止める!!」
「っ、分かった。クルーゼ隊長か! ザフトの他の部隊が仕掛けてくる様子はない。独断か?」
キラの言葉にかすかに迷いを見せるも、アスランは再びミーティアに最大加速を命じてその場を離れた。アスランに先に行けと告げる間も、間断なくこちらの命を狙って襲い来るビームを回避し、キラもまた反撃に転じていた。
七十門を越す対艦ミサイルが、発射管から一斉に飛びたち、レーダーが捉えた熱源をすっぽりと覆い尽くすように囲む。駆逐艦程度なら容易く轟沈せしめるその火力を、四方から交差して四角形を描くビームの檻が防ぐ。
その中心に、憎悪と怨念の源が居た。ザフト製核動力ガンダムの一つ、プロヴィデンス。そして、それを駆るラウ・ル・クルーゼ。キラとムウの両者と、因果の鎖で結ばれた男であった。
「まったく、厄介な奴だよ、君は!」
「っ、貴方は! なんとも思わないんですか!? プラントが破壊されたらどれだけの人間の命が無くなると!」
「それで構わないさ。母国を焼かれた事実は、人々の心に消えぬ憎悪の炎を燃やし、それは敵対する者達全てにとって地獄の業火となって降り注ぐだろう。さすれば! 地球も、プラントも、互いを滅ぼし尽すまで止まらぬ戦いの口火を切る。
いや、すでに切っているのさ。私は、ただそれをほんの少しだけ速めるように仕向けただけに過ぎない。そして、ようやくここまで来たのだ。今さら盤をひっくり返されるような真似は御免被る!」
「戦争を、人の命を、ゲームの駒にするつもりか! 何様だ!!」
「私の命さえも駒なのだよ、キラ君。さあ、愚かしくも必然の成り行きを迎えたこの戦争ゲーム!! その結末がどうなるか、互いの命を掛けて語り合おうじゃないか!!」
「戯言を!!」
ミーティアとフリーダム、そしてプロヴィデンスの二機が持つ全火力が、両機の中間に存在するすべての物質を吹き飛ばし、蒸発させ、消滅しながら幾度も放たれる。
自分の肉体の様に機体の四肢の隅々まで把握し、理解したキラとクルーゼは、エースの領域さえ超えた機動をお互いの愛機に与え百分の一秒のミスが死につながる戦いの幕を開いた。
キラは因果律の番人によって与えられた異世界の記憶、そして多くの教師達の導きによって本来の歴史を大幅に上回る実力を発揮し、クルーゼは萌芽したニュータイプの能力を十二全に引き出していた。
機動性と言う点では難儀なものを抱えるミーティアをパージしたキラは、ルプス・ビームライフルの二射でドラグーンを一基破壊する。
狙いは二基を落とす事だったが、もう一機はキラの殺気を感じ取ったクルーゼの操縦が間に合い、ビームを軽やかに回避している。
「ラウ・ル・クルーゼ!」
「キラ・ヤマトォオ!!」
互いの機体の頬をビームが掠めた。純然な殺意の糸が両者を繋ぐ。
アズライガーの猛攻は変わらなかったが、ザフト・DC側も十分とはいかぬまでもそれなりに対策は用意していたと見え、スーパースキュラをはじめとした超火力は、Eフィールド搭載の援護防御用の艦艇や、ジガンスクードの前に防がれる。
アズライガーに続く地球連合の友軍艦隊も、マイヤーの指示で前線に出たトロイエ隊の量産型ヴァルシオーネが放つサイコブラスターの連続攻撃の前に、一機、また一機と数を減らしている。
今やω特務艦隊とアズライガーのみが地球連合艦隊最後の頼みの綱となっていた。長引くに連れ悪化する戦況に、苛立ちを募らせていたムジカが、ゲイツ二機をビームカタールソードで切り裂いたイングラムに通信を繋げる。
青い髪の冷徹な青年は、黙ってムジカの提案を聞いていた。
「イングラム少佐、今しかありません! アズライガーはまだ健在だけど、このままじゃ味方が壊滅するのは時間の問題です。お願いします!」
「確かに、友軍の消耗を考えればここで一手打つしかない、か。ジョージー、グレン、おれとギリアム少佐、アヤが援護する。パターンOOCを承認する」
「本当ですか!?」
「……了解です」
驚く声をあげるグレンと、淡々と返事を返したジョージーも、ようやく許された切り札に心中では闘志の炎を燃やしていた事だろう。単機で戦局をも覆す。それだけの力を、彼らは与えられている筈であった。
OOC――Only・One・Crush。成功確率の低さと失敗時に危険性からそう名付けられたコードが各機で入力され、プログラムに従い、R−1、R−2パワード、R−3パワードの順に激しく交差しながらフォーメーションを組む。
イングラムからパターンOOCの解禁を求められたレフィーナは、現状を打破する一手として、一瞬の沈黙ののちに承認し、各機に可能な限りWRXチームの援護を行わせる。
アンチビーム爆雷、スモークディスチャージャーをはじめとした目晦ましや砲撃支援が飛び交う中、Rシリーズ各機の変形が始まる。
R−1は頭部および胸部へ、R−2パワードは両腕と胴部を、R−3パワードは腰と脚部へと変形し、パワードパーツの組み換えも同時に行われ、そこに巨大な人型が徐々に形作られてゆく。
その光景にいち早く気づいたヴィレッタが、ついにその姿を見せる地球連合側のWRXの姿を、どこか懐かしそうに、そして寂しそうな複雑な眼差しで見つめていた。
時間にすればわずか数秒にして、R−3パワードが展開していたがった維持への攻撃に対する防御用Eフィールドの中から、全高五十メートルを超す巨大人型機動兵器が姿を見せた。
トロニウムエンジンの代わりに複数のTEエンジンと核分裂炉を搭載し、T−LINKシステムは無く念動フィールドによる関節部の補強の代わりにEフィールドやPS装甲を用いて補ったCEのSRX――WRXの誕生の瞬間であった。
めったに使われる事の無いR−1のシールドがゴーグル上の頭部となり、独特のシルエットを描くWRXのメインパイロットを務めるムジカが、即座に火器管制を行っているグレンとTEエンジンの出力調整を一手に引き受けるジョージーに声をかける。
「ジョージー、グレン、最初から全力で行くよ!」
「おうよ、おれ達の力を見せてやれ、ムジカ!」
「出力調整はお任せを。お望みのままに制御して見せます!」
「いっけえええーーーーーー!!!」
計十門の両手指のハイTEランチャー、脚部に収納されているマイクロミサイル、頭部ゴーグルからのガウンジェノサイダー、脳波制御によるストライクシールドを始めとしたWRXの全火力が、アズライガーと共に一斉に宇宙の漆黒を七色に染め上げた。
アズライガーにも匹敵しよう暴力的なエネルギーの塊が直線を描き、そこに数珠繋がりの光の球を幾つも結んだ。その圧倒的な火力、そして選び抜かれたパイロット達によって遺憾なく性能が発揮されれば、ただしく戦局を左右する超絶の兵器と化すであろう。
幸いにしてウルブズの各機は巻き込まれなかったものの、これで最後と息を巻いていたザフト・DCの部隊がいくらか飲み込まれ、防衛布陣に綻びが生じてしまう。
「ローエングリン、一番二番……」
「撃てえーーーー!!」
レフィーナのゲヴェルとナタルのドミニオン、さらにほかの艦隊に配置されていたアークエンジェル級からも一斉に陽電子破城槌の光が放たれるや、WRXが生んだのと同じだけの光球を伴って、防衛布陣に太い空隙が一文字引かれてしまう。
「いかん!」
「本艦を前に出せ。フィールド出力を最大にして展開、ジガンスクードを艦首に固定」
「タマハガネに続け、本艦と合わせて盾にするぞ」
一気に加速し始めたアズライガー他連合の部隊に気づき、甚大な被害に動きを鈍らせるザフトやDCの中で、エペソとフェイルが即座に対応し、スペースノア級二隻を艦隊の空隙に滑り込ませた。
タリア・グラディスが艦長を務めるブランシュタイン隊旗艦ウィクトリアの他にも、数隻の艦艇が、エペソ達に続き、その左右や後方に艦を動かして砲撃を加え始めた。
乱れ交うビーム、ミサイル、設置された機雷群をことごとく跳ね返しアズライガーとWRX、ガルムレイドをはじめとした特機を戦闘に、連合の部隊が半ば特攻じみた勢いで進撃する。
これまで無数の攻撃を跳ね返してきたジガンスクードも、度重なる攻撃の前についにフィールドを破られ、機体自体と両腕の分厚いシールドで攻撃を防ぐしか術がなくなる。
「やべえ、根性出せよ、ジガン! いまが、ここぞって時だろうが!!」
「タスクっ」
アズライガーのスーパースキュラの一撃を受け、左腕のシールドを丸々破損したジガンを、レオナが脇から支え、そこに出来た隙を埋める様にしてカーラとユウが弾幕の雨を広げてカバーする。
「レオナ、ジガンを牽引して格納庫に戻れ。ユウキ、リルカーラ、ジャン、ゼオルート、補給のいる者はいるか」
オクスタンライフルの連射でMA形態のレイダー一個小隊を撃墜したアルベロだ。シン達もこちらに合流しようとしているが、スウェン達に阻まれて思うように動けずにいるようだ。
機体スペックでは上回る筈のシン達の足を止めている事実から、相手は相当の手練だろう。もっとも、手練でないパイロットなど、この場には一人もいないだろうが。
「マサキ、リカルド、テューディ、アズライガーに砲火を集中させろ! オールト、シカログ、アギーハ、ヴィガジはマサキ達の援護を。直衛はいらない、それよりもあの機体を止めろ!」
デュラクシール・レイで出撃していれば、と歯を噛みしめて悔みながらフェイルが指示を飛ばし、エペソの同様の判断を下したか、ウルブズ所属のほぼ全機がWRXとアズライガーへと向かってゆく。
「邪魔を、する、なあああああああーーーー!!!!」
アズラエル自身こそ半ば発狂したような状態にあるものの、機体制御を司るソキウス達とゲーザはあくまでも機械的な冷徹さでアズライガーを動かし、立ちはだかる敵に対して正確無比な狙いで攻撃を加え続けていた。
サイバスター、イスマイル、ザムジードが果敢に攻撃を加えているが、周囲のカイやオルガ、ギリアム、アヤの連携の前にいま一つ調子がそろわず、アズライガーやWRXにわずかな傷を刻んでは、後退をするという行為を繰り返していた。
DCの精鋭達の思わぬ苦戦を見ていたイザークは、すかさずヴィレッタに進言する。レイやルナマリア、シホ達も同じだろう。
「隊長、WRXを!」
「……」
「隊長、何を迷う事があるというんですか! 今、ここで、おれ達の力を使わずに、いつ使うというのです」
「隊長!」
「分かったわ。ヴァリアブル・フォーメーションを承認する。WRXチーム各機、フォーメーションを再構築、ここで一気に敵を叩く!!」
R−GUNパワードのコックピットの中で、この日十数機目になる敵機を撃墜したイングラムが、独特の機動を始めたザフトWRXチームに気づき、かすかに目を細めた。その果てに姿を見せる者を見極めんとするような仕草であった。
「見せてみろ、ヴィレッタ。お前が作り上げたこの世界のSRXを」
そう呟くイングラムの視界の中で、地球連合WRXチーム同様にザフトWRXチーム各機も変形を始める。相違点は、イザークの愛機R−1に装備されているデス・ホーラーがそのまま大口径レールガンに変形して右肩部に装着された事だろう。
「WRX――貴様の力をおれ達が引き出してやる!」
吠えるイザークのバイザーに、アズライガーと地球連合WRXをロックしたマーキングが映る。さらに続き、その後方に居る数を減らした連合部隊も捉えていた。
「ルナマリア!」
「敵機ロック、オッケー! あとは撃つだけです!」
「よし、落ちろおおおお!!」
躊躇なく引かれるイザークのトリガー。それは、ほとんど先程の地球連合WRXが開いた撃墜劇の再現であった。残りわずかになっていた量産型ガルムレイドも、105ダガーやダガーLも、一挙に撃墜される。
残っていたドレイク級、ネルソン級も、同様だ。紙でできた船の様に呆気なく大火力によって、船体を真っ二つにされ、爆散されてゆく。この一撃で、突入してきた連合残存艦隊の戦力は、実に二分の一ほどにまで減っていた。
左舷部に被弾し、船体を大きく揺らされたドミニオン内部で、ナタルが状況報告を受けきつく結んでいた唇の端から、赤い筋を零した。もはや絶望の二文字のみであった。
残った核ミサイル部隊も、わずかに一個中隊、二十四機ほど。それでは残るザフト・DCの部隊を突破する事は出来まい。
しかし、それでも後退は許されなかった。旗艦シンマニフェルからは再三に渡ってジェネシスを破壊せよという指令のみが通達され、また、地球破滅の可能性がある以上ジェネシスを破壊せずに済ますわけにもゆかない。
このまま、ただ邁進し続けて誰も彼もが討ち死にするしかないのかもしれない。月の増援艦隊がついた頃にはこちらは全滅しているだろう。今からでも降服してジェネシスの仕様が必要の無い状況にすれば、最悪のシナリオは防げる。
『バジルール少佐、リー少佐、よろしいですか?』
「エンフィールド中佐……」
レフィーナも同じ考えに至ったのか、こちらに繋がれた画面の向こうでナタルと同じくザフトへの降伏も已む無しという考えを告げてきた。
ブルーコスモス派と目されるイアンの反応が気になったが、重々しく息を吐き出すや、止むを得んでしょう、の一言共に了承の意を伝えてきた。
コーディネイター憎しの思想は変わらぬが、地球を撃たれるような事態とでは背に腹は代えられないと考えたのだろう。
となるとそれを認めさせなければならぬのはシンマニフェルのサザーランド大佐と、アズライガーのコックピットで半狂乱になっているアズラエルだろう。
その二人をどうやって止めるか、それはある意味現状からジェネシスを破壊するのと同じくらいに困難な事だろう。事実、三人が顔を突きつけ合っている間にも、アズライガーは立ち込めた爆煙と変わらず降り注ぐ攻撃の中を、暴虐の嵐となって駆け抜けていた。
もし、アズライガーの同型機がもう二、三機もあったならこの現状にも希望の光が指していた事だろう。アズライガーの指に光が灯る度に最大十機に及ぶMSが撃墜され、両膝と両肩の超巨大回転衝角の前には砕けぬモノはなかった。
しかし、孤軍奮闘では覆せぬ状況が、今のこの戦場であった。アズライガーと肩を並べる超性能を誇るWRXは、同型機同士の戦いとなり、それを援護する友軍機との連携が決着を左右する状況に陥っていた。
高級コーディネイトを施されたイザークと、ニュータイプの片鱗を開花させたムジカらの能力差がほぼなく、機体性能も同等という関係から生じた状態であった。
数える事に苦痛を感じるほどに繰り返されたスーパースキュラの輝きが、鎖から解き放たられるのを待つ獣のように凶悪に輝いたその瞬間、無数のミサイルと大口径ビームがその胸部へと突き刺さり、その攻撃によって胸部の三連の砲口を潰された。
「誰だDAあああAA!!」
彼方より飛来する真紅の機体は、アスラン・ザラの駆るミーティア装備のジャスティスだ。更にエルザムの漆黒のジャスティス・トロンベとライディースのフリーダムだ。
これまでの激戦で機体もパイロットも消耗していたが、勝負所を見間違える兄弟ではない。ノバラノソノに属しザフトに反旗を翻したとされるアスランの機体に気づいたが、あえて無視した。
「アスラン、ライディース、一気に畳みかけるぞ」
「エルザム隊長……すみません」
「足手纏いにはなるなよ!」
三機の核動力機がそれぞれアズライガーの各所へと光刃と光矢を放った。対空レーザー機銃の五月雨を、パージしたミーティアを盾にして回避し、その煙を割いて姿を見せたアスランのジャスティスが両手に握ったビームサーベルを縦横に動かした。
光の刃の軌跡は十文字の斬痕をアズライガーの左肘に刻み、斬り落としていた。
「があああ、生意気なんダヨ!!」
傍らを駆け抜けたアスランのジャスティスの背へと向けられるターミナスキャノンを、ライのフリーダムからのフルマット・ハイバーストが吹き飛ばし、堅牢な重装甲に幾筋ものビームとレールガンの弾丸、プラズマが突き刺さって抉る。
ようやくその動きを鈍らせたアズライガーめがけてボアズで苦杯を舐めたサイバスターとイスマイルが、とどめの一撃を加えんと機体から立ち上るプラーナの不可視の光が激しく揺れる。
「行くぜ、アカシック……バスター!!」
「地獄の番卒どもの顔を見てくるがいい、オメガブラスト!!」
神鳥へと姿を変じて緋炎を纏って虚空を飛翔するサイバードと、それを守護する様に左右を流れるオメガブラストの破壊の光流。ゲーザとソキウスの超反応が、破滅必死の二連続攻撃をかわさんと機体を動かす。
人間的限界を超えた機動を見せるアズライガーの両脚部をオメガブラストが飲み込み、上方に逃れたアズライガーを、獄炎の断罪者と化したサイバードが追っていた。
メインモニターを埋め尽くす炎の神鳥の神々しさと雄々しさを前に、アズラエルの喉から零れる凶声は、犯した罪の裁きを前にした罪人の様に許しを乞うものに変わっていた。
「な、ああああ、ぼくが、ぼく、が、が、ああああ、こんな処でぇええぇえぇえええ!?!?!?!?!」
「手前は灰にする! いっけええええ」
暗い闇の中に嘴を突き立てるサイバード。拒絶を告げるように固く在り続けるPS装甲とラズナニウムの複合装甲との戦いは、しかし、瞬時に決着がついた。
「おおおおおおお!!!」
昂ったマサキのプラーナに比例しその炎の熱量と輝きを増すサイバードの嘴がついにアズライガーの内部に潜り込み、炎の羽根を散らしながら翼が羽ばたくや、一挙にその機体の胴体を真ん中から貫いた!
「そ、ん、な……バカナアアアア!!」
『畜生、チクショ……おれは、おれはまだゲーム……オーバー、するわけにゃ、まだ、楽し、むん、だ』
アズライガーの背から抜けたサイバードが、纏っていた断罪の焔を払い、銀に輝く麗騎士サイバスターへと変形し、背後に生まれたひときわ巨大な爆発の光を浴びて輝いていた。
「っ、なんだ? どこかで聞いた声のような……」
「ああ? なんだ、おれの声かぁ?」
アズライガーの撃墜と同時に、ヴァイクル同士の死闘を継続していた二人の脳裏に、断末魔の瞬間に再び自我を取り戻したゲーザの声が届いていた。
テンザン・ナカジマとして、ゲーザ・ハガナーとして、そしてアズライガーの制御中枢として三度目の死を迎えた哀れな男の死を知る者は、誰もいなかった。
そしてアズライガーの撃墜は大きく地球連合残存艦隊の士気を著しく低下させるには十分だった。アズライガーの奮闘を最後の縁にしていた兵士達は呆然と最後の希望であった破壊王の消滅に、我を失う。
ようやく姿を見せる事の叶ったWRXに乗っていたムジカも、カイやスウェン、ヒューゴ、アヤらももはや逆転の眼が無い事を悟り、重く口を閉ざしていた。
スウェンらと交戦を続け、ミューディーのブルデュエルの左足を斬りおとし、ネロブリッツの右腕を撃ち抜いたグルンガスト飛鳥のコックピットの中で、シンもアズライガーの撃墜を確認し、眉間に刻んでいた皺を幾筋か解した。
戦闘の最中ながらわずかに緊張を弛緩させた所為か、ぬるりと首筋を濡らす冷たい感触に今さらながらに気付く。念能力の暴走による全細胞への過剰負荷による出血と細胞の壊死が、今もシンの体のあちこちに潜んでいる。
無理に戦闘に出たせいで、徐々にシンの体の中で外で、死の歩いてくる音が響き始めていた。戦闘の集中に耐えられるのは、もって一時間か二時間だろうか。
「でも、アズライガーを落としたんなら、いくらなんでも」
地球連合も諦めるだろう、そう安堵したシンの赤い瞳に、再びあの創世の光が流れた。ジェネシス、その二射である。
「そんな、もう決着は着いたも同然なのにまだ撃つのか!? 目標は!」
まさか地球が、と焦るシンが射線を解析するとジェネシスの射線が狙ったものが月からの増援艦隊と、月基地プトレマイオス・クレーターであると判明した。
地球連合は月の裏側にも大規模な基地を持っているが、それでもプトレマイオス・クレーターと増援艦隊を壊滅させた事で失った人的・物理的な損失を補う事は、如何に地球連合といえど容易ではないどころか大難事の筈だ。
数カ月単位で大規模な戦闘が起きる事もないだろう。そう安堵するシン。だが、前線でそのように決着を確信して安堵する兵士達とは裏腹に、ヤキン・ドゥーエと軍司令衛星に詰めていたザフトの上層部とパトリック・ザラは混乱の極みにあった。
ジェネシスの第二射は、彼らの命じたものではなかったのだ。目標こそ設定どおりであったが、その命令を実行したのは彼らではなかった。
突如自分達の手を離れた切り札に動揺を露わにする司令部の中で、パトリックだけが平静を保ち、怒号を持って慌てふためくオペレーターや司令達を落ち着かせた。
「落ち着いて状況を報告しろ。なぜジェネシスがこちらのコントロールを受け付けないのか。その原因の解明と分析を急げ」
「ぎ、議長!? モニターを」
「むぅっ」
さしものパトリックを唸らせたものは、ヤキン・ドゥーエの司令室の全モニターを埋め尽くす『All In One』の文字であった。
そして、急速に、それまで潜めていた息を大きく吐きだし、吸いこむように、ジェネシスの表面が、ぼこりと蠢いた。
今回ここまでです。投下宣言から大幅に遅れまして申し訳ありません。若干駆け足な内容なので薄味かなぁ。
総帥乙です
いよいよ第一部最終決戦!
最近、冨士原屋の龍王逆襲を手に入れたせいで、シンとウォーダンがAI1相手に十文字竜巻斬艦刀を繰り出す妄想が浮かんで困るw
乙〜
スウェンたちは流石にやるなぁ
果たしてスパロボでどんな掛け合いがあるかに期待してますが
ついにアズライガーが墜ちたか
まあ、こんだけフルボッコにされれば仕方ないね
次辺りがヤキンの最終決戦に…なるかな?
とりあえずシンは相変わらず死にそうで
キラは宿敵と見えた訳ですが…次の投下、お待ちしてます
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総師乙です!
ラスト近いですね・・・AI1がどうなるか楽しみです
誤字かな?っていうのがあったので報告しておきます
「ライのフリーダムからのフルマット・ハイバーストが吹き飛ばし」
フルマット・ハイバーストではなくハイマット・フルバーストでしょうか?
最もスパロボ以外で技名を聞かないので問題ないとも思いますが
やっぱりマサキムがおいしいとこを持っていったかw
それにしても携帯の最新作でゾイドが参戦したことにマジで驚いた。
グレンラガンをはじめとする、版権関係の作品無理なんじゃね?に対する
強力な希望の灯だな、ゾイド参戦は
Zでラクシズいじめちゃって、なんだか反響大きかったから
パッケージもストフリにしてバランスとって、今度はキラがあくのぎちょうをこらしめるシナリオ・・・
と見せかけて、Wのアストレイのごとくスタゲメインにしてくれると信じてる
スパロボである以上、まさか新規参戦作品の主役二人(スウェン&セレーネ)死なせるわけにはいかんだろうし
ぜひとも二人で生き残ってイイ感じになってソル涙目wwwになってくれんものか
ストライクノワールはもち換装可でよろ。
スタゲ二人乗りも捨てがたいが、襲撃事件が落ち着いたら戦闘用としては封印されて
やっぱ仲間に加わるのはノワールだけかもな
…問題はその「部隊」がザフト寄りだとブルコスのスウェンが居づらい場所になるってことか
バックが軍だとエグゾダス組やガンソのアウトロー達とも相性悪そうだし、やっぱ今回は反体制気味の「部隊」になって
ラクソズの居心地がいい集団になっちゃうんだろうかorz
>>309 とはいっても、サルファのIWSPの様なスペックなら……
ノワールに全ストライカーパックの登場キボン。
X105Eは肩のアーマーが干渉してウェポンポッドとかつけられないんじゃね。IWSPとノワールSPなら大丈夫そうだが
Z発売前にも言ったことあるけど、シンの扱いが良ければマンセーする
悪ければここで再構成SSを書く、それだけだ
シンのライバル位置にスウェンだな
>>313 いや、ストライクE仕様のソードとランチャーは「アナザーストライカー」として存在してる
でもこれってアストレイやMSV扱いだったらどうしよ
>>308 つかラクシズフルボッコってそんな反響デカかったっけ?
Zが文句言われてるのは自軍内での同士討ち展開とか、声バグとか、アサキムとかが大半だと思ったんだが
そもそもZとほぼ平行して開発してて、既に完成率9割のKに、物理的に考えてZの反響を踏まえてストーリー作るなんて時間があるわけない
そりゃパッケージくらいなら描けるだろうが、無双2だって表紙和田だったけど扱いはアレだったし、Zですら雑誌やCMではシンも運命もそっちのけでキラと和田プッシュしてたんだぜ
>>316 背景的に考えるとMSVじゃね。ノワールは量産機じゃないし、ノワールストライカーが有るのに元からあるストライカーパックが使えないから新しく作ったりはしないだろう。
だがテラー・ダ・マジックが有るからなぁライトニングとか、IWSPとか、
ネタ抜きに考えてもヴァン一味とラクシズが仲良くやっていけるとは思えんが
その辺如何するんだろう
今までのスパロボ見ると、ラクシズ連中はDボゥイや黒アキトといったガチの復讐キャラとは全く絡まないんだよね
これは明らかに脚本が、最初から合わない事が分かりきってるから、意図的に絡ませないようにしてるんだろう
黒アキトはそもそも原作で単独行動型だから出番が少ないだけでは?
Dボゥイは普通に絡んでたと思うぞ。JにしろWにしろ。
だいたいヴァンは復讐キャラだけどそこまでガチじゃない、ガチなのはレイ兄さんだ。
そりゃ黒アキトにラクシズのお題目なんて唱えてみろ
ブチキレた黒アキトが太陽の中にラクシズをボソンジャンプ投棄しかねんよ
もしくはトランザム搭載機体を作って
阿修羅すら凌駕する変態仮面をけしかけたりしてなw
>>321 その2作通じて、Dボゥイとラクシズが会話してたシーンが全然記憶に無いんだが、具体的にどのあたりで会話してたっけ?
あとヴァンはどう考えても滅茶苦茶ガチだろ
ガンソってラクソズアンチっぽいと聞いたんだがマジ?
ラスボスのカギ爪の男が、議長とラクスを合わせてドロドロに煮詰めた感じのキャラ
あと☆演じるミハエルというキャラが、借り物の理想を動機に戦ったり、童貞捨てた途端調子に乗りまくったりするところがキラと被る
マジ
見ればわかるが
大切な人を奪われた主人公ヴァンの復讐劇
あからさまな部分は
キラみたいなキャラ(声:保志総一朗)がキラみたいな言動でフリーダムみたいな機体で正義ごっこする
敵側の大ボスは『話の通じない』教祖的な存在
それらをボコボコにして計画をつぶす物語
328 :
通常の名無しさんの3倍:2009/01/20(火) 04:54:43 ID:gqABNUlx
シャキーンとかっこいいポーズをとるサウダーテはとってもフリーダムだった。
乗り手のミハエル君の洗脳されっぷりはとってもキラキラしていた。
ガンソは良いね。
買ったらヴォルケインとエルドラVのフル改造はするだろうと思うけど、レイ兄さんはどうなるんだろう。
ファンとしてはあのまま死なせてやりたい気もするんだけどねー。
保守
ほす
保守
保守
ほす
☆
保守テッカァァァァァァァァァ!!
保守
最近人いなくてさみしいな
レイ兄さんと鉄也じゃない剣は間違いなくKで絡むだろうな
ラクシズは・・・Wでの彼ら同様にスルーか
今度こそ殲滅ルートアリで・・・
スウェンとか最終的に軍を抜けるなら受け入れるのがスパロボクォリティ
シャムスとミューディーはまず無理だろうけど
スウェンとの縁で今度はスティングやアウルも仲間になるといいなぁ
Zをやった後だとより切実に願うようになっちゃったよ
下がってきたから一応age
こんなスレがあったとは知らなかった
統合スレでバルディオスと種死のクロスを書いてる
ちょいと質問。
スパロボZをまだやったことないんだが、シンってキラ・アスランと比べて
何か勝ってる部分あるの?
魂が使えるとか? もちろん格闘値はキラより高いよな?
マジレスすっとルート次第だけど序盤からずっといるんで育てやすい
凸は機体が大した事ないけど迅速持ちなんで小隊員確定
キラは強いっちゃ強いが、ブラックサレナとかジェネシックガガガみたいな
「本当に最終版加入する機体」のわりには大した事無い。ファン以外は使う必要ない感じ
シンはインパルスのが使い勝手良いとか言われる事も有るけどデスティニーも中々
凸はセイバーが良機体だったのにインジャになると使い辛いとか育てた射撃が無駄になったとか言ってたな
セイバー残して置いてくれって意見も多かった
つか和田は中途半端で使いにくい
隠者は迅速要因だから主戦力外
和田さんの識別MAPWには地味にお世話になった
あれでレイ辺りに載せ替えられればもっと使えたんだが……
和田さんは手加減もち識別MAPWだったからな、使えた
今回のMAPWには二人乗りかつ覚醒持ちかつ広範囲なニルヴァーシュという
壊れ性能がいたからあれだけどセブンスウェルと月光蝶を除けば、トップクラスに使えると思う
>>340 魂はキラさんも使えるからなぁ
ちゃんと機体改造して育ててやれば、敵陣に放り込んで反撃で落としまくれるよ
まあ、ガンダム系の中では十分にトップクラスなんじゃなかろうか?
Zはスパロボが強くてなぁ、グラヴィオンとかグラヴィオンとかグラヴィオンとか
後はリアル系でもエウレカとかキンゲとかに負けている気がしなくもない今回のガンダム系
シンがキラより勝ってる点…反撃が二割増しなとこかな
全ユニット中二番目にダメージがでかくなる要素がある
SEED、格闘400、気力限界突破、反撃、サイズ修正無視、魂、直撃
ラクス隣接、武器MAX改造でフルウェポンコンビネーション
相当に落ちにくい
高い運動性で当たりにくい、当たっても50%で分身、実弾ならさらに切り払い
どちらも発動しなくてダメージを受けてもシールド防御+VPS装甲でダメージ6割+1500カット
ALLの射程1が無かったりMAPが無かったりするがそこは女主人公と組ませてカバー
俺の4週目はシン、カミーユ、セツコの新生グローリースター縛りでクリアした
>>348 スゲェ…
そりゃリアル系男主人公とか言われる訳だわ
キラが熱血で、アスランが魂の方が使いやすかったんだけどな
Zでシンがキラにかってる部分
出番と防御と最大SPと機体の引き継ぎと仲間との信頼
攻略本みると格闘値レベルMAXでも負けてるOTL
アニメでもスパロボでもキラとシンを比較すると、この一言につきる
キラ「そんな…! スペックでは圧倒してる筈なのに……!?」
スパロボZの私的ガンダム能力比較
運命・ν>>>>Z・髭>>>衝撃>>>>>和田・セイバー・GXD>>陰者・伝説>>>>DX
ダブルエックスはGビットあると使い勝手が全然違う
DX弱いか?
GXからの引継ぎあり
サテライトキャノン、Gビットの火力
拡散ビーム砲のPALL
ガロードの小隊長能力、強運、エースボーナスで1.7倍の資金
最高3人乗りが可能
外伝やRよりは弱体化したけど、十分強いだろ
>>355 >GXからの引継ぎあり
資金の節約にはなるけどそれだけでは強さに繋がらないと思う
>サテライトキャノン、Gビットの火力
>最高3人乗りが可能
確かに強い事は強いのだが他と比べて条件が明らかに厳しすぎるよ
>ガロードの小隊長能力、強運、エースボーナスで1.7倍の資金
それDXじゃなくてガロードの強みじゃないか?
DXが一線級になるのにGビット入手&ティファ加入がほぼ絶対条件になってるのが
正直かなりのマイナスになってると思うんだ
弱い弱い言ってる奴が弱いんだよ。
ウインキー時代の弱いは本当に弱かった。
今のスパロボで心底使えない奴なんざ居るはず無いだろJK
そんな中でも間違いなく強弱がある事に目を逸らしちゃあかん
スレ違いになるからあまりやりたくないけど、
引継ぎがあるって事は、新型が手に入ったらその機体は改造済みになるから即戦力になるし、
本来DXの改造に必要な資金でほかの機体を改造できるから部隊の全体的な強化につながる。
サテライトキャノンが使いにくくなったのは事実だし、Gビットは隠し扱い。
でも使えない時は使いやすいPALLなどあるから、必殺要員から雑魚の掃討に役割を変えればいい。
ガロードについてもあえて乗せかえる人ってあんまりいないんじゃないかな?UCのNT3人は乗せ変えてたけど
Gビットのことを考えると、NTになるからジャミル、ランスロー、カリスの3人が載せ変え候補になる。
ジャミルは同じ運用が可能なGXに乗っているから載せかえる意味はあまりない。
ランスローはガロードよりも能力高いから戦果は期待できるけど、周回はもちろん一週目でも早期参戦のガロードの方がPPがあるから能力値もハンデにならないし、
複数乗り、資金UPのガロードの方が役に立つと思う。
カリスは覚醒が使えるのがメリット。でも熱血などが単独で使えないしから、Gファルコンのパイロットに代行してもらう必要があるし、ガロードと能力値も変わらない。
それにGビットとティファ加入って簡単じゃないか?セツコ、ランドのどちらでも取れるし
セツコルートだとSRポイントが厳しきなるが、SRポイントって落とすほうが難しいと思うんだが…
まぁ、どの機体が最強って言うよりもそれぞれにあった運用法があるし、プレーヤーによっても異なる。
OG外伝のヤルダバオト並みの反則機体があれば別だけど
>>360 お前自身の個人的な意見なんざどーでも良い
俺自身の個人的な意見も正直どーでも良い
まあその話はおいといてKについて語ろうや。
今回主軸となるガンダムは運命・和田・ノワール・スタゲだ。伝説・隠者・ルナ衝撃は一旦おいておく。
運命と和田にかんしてはZである程度の予想がたつ。ノワールとスタゲがどんな扱い・能力になるか未知数だ。
一応スタゲはVLでビーム無効化っぽいようだが。
mjd?
ノワールはそこまで強くないだろ
贔屓目に見てもインパと同程度じゃないの?
ストフリは弱いというより使い勝手が極悪。
ALLが強い機体なのに気力がたまらないとALL使えない、でもキラの気力は技能と性格上なかなか上がりにくいという罠。まさにNEET仕様。
それ以外にも地形適応が微妙に悪い、使えるようになるの遅すぎ、(セツコルートでは)機体の改造引き継ぎ無し、
合体攻撃の相方がエターナル(戦艦)、気軽に使える射程それなりのP武器が微妙、せっかくの着弾指定敵味方識別MAP兵器もセブンスウェルで存在意義を見いだせない、
ただでさえ精神コマンドの習得数が減ったにもかかわらず終盤では不要なてかげんを覚える(Wでは覚えなかった)、素の射程がデスティニーはおろかブラストインパルスにすら勝てない・・・
と、愛を注がなければものすごく辛い仕様になってる。
とはいえ、散々言っておいてあれだけど、好きなやつに改造資金とPPつぎ込みまくって俺tueeee!すればいいんだよ。
極めるんじゃなきゃそれで充分だと思うけどね。
>>359 >SRポイントって落とすほうが難しい
さすがにそれはない。周回重ねてるんならともかく初回プレイでは全部とるのはかなり大変。
ストフリと隠者は何故かビームサーベルの演出に物凄い力が入ってるから
そればっかり使わせてたぜ
>>357 あの時代のコウの使えなさは、まさにボロットボスより酷かった…
NT以外パイロットじゃねえと言わんばかりな勢いに俺は泣いたな
>>366 友人が「F完結編のオージ、アレは無理。なんでイデオンガン当たったのに(以下略)」
と帰り道に昔のスパロボのマゾゲー度について力説されたんだが、
ウィンキーっスパロボってどのくらいやばいんだ? なんかマジンガ―が一撃で落とされるとは聞いたが。
368 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 01:06:42 ID:tlhngaSP
スパロボ以降にでたウィンキーの魔装機神系SRPGの力関係を、
ドラゴンボールのベジータ襲来時に準えて説明しよう
主人公 ……悟空
敵ボス ……べジータ
中ボス ……ナッパ×3
敵手下 サイバイマン&ラディッツ沢山
味方 天津飯×2+ヤムチャ多数
味方NPC ピッコロ大魔王(ナメック星到着時)
>>366 まあ補給でLVあげればそこそこ使えるようにはなったけどな
通常のプレイで到達できる成長レベルではまず二回行動できないし当たらず避けないから
使えないけどw
つかFではそれまで役立たずだったボスが脱力と挑発という有益な精神コマンドで一躍
使い勝手のいいサポートパイロットになったから比較するのが間違い
下手するとジュドークラスよりよっぽど重要
>>367 キュベレイ、ヤザンハンブラビ、ジ・O、ネームド乗りのバウンドドック辺りの攻撃を受ければ即死はほぼ確定
スーパーロボ系は攻撃が当たりにくいから寧ろ安全パイ。
此処風に言えば、ザフトVSスパロボDC(第二次版)に挑むくらいきついだろうね
オリジナル敵は硬い上にHPが高かった
ラストのネオグランゾン三体とか苛めを超えてる
名無しに『踏み込みが甘い!』をされて反撃でアボーン
そんな光景が日常的に起こります
後半に入ると敵増援多発
倒したと思ったら団体さんでさらに増援
疲弊してるとこに名無しエリート兵からのマスドラ無双で自軍フルボッコ
つーか、根本的にFやF完結編は、ゲームバランスが破綻していたと思う。
味方のスーパー系より硬くて攻撃力のでかい雑魚MSが群れを成して出てくるって……
アムロ、リアル系主人公、カミーユ、ショウ、魔神皇帝、ドモン辺りが必死に削って
万丈、ノリコ、竜馬、断空光牙剣使用可能の忍辺りが止めを刺すって感じで進めてたな。
野生化+断空光牙剣+熱血の威力でラスボスのヴァルシオンのHPを半分以上削れたのは良い思い出
俺はαTからやり始めたけどあれで十分難しかったな。
まあラストのズフィルードと黒ジュデッカが魂かけたGソードダイバーの一撃で落ちたのは笑ったがw
αTは初心者向け
……比較相手が間違ってる
そのαTすらJやWと比べたらかなり厳しいと思う。
初めてやったスパロボがαTだったが、Zやνが移動後にライフル使えなくて当時唖然としてた俺。
アムロなんてずっとVダッシュに乗せてたし。
射程1以外P武器ほとんど無いがα以前のスパロボだったな
昔のスパロボってそんな言うほど難しいかね
SFCの最初の三次なんて、手こずった記憶があるステージといえばガルガウが初めて出てきた32話(だったかな?)ぐらいしか記憶にない
四次にいたってはビルバイン一機で余裕で無双できるしな
個人的にはスパロボは今も昔もヌルゲーだと思うよ、昔のFEとかに比べれば
>>380 それコンプリートボックス版と第四次Sじゃね?
少なくともスーファミ版第四次はビルバインの使用が必要十分条件ではあるが、
それ一機だけで勝てるほど甘いゲームじゃなかった
お前らせめて種かOOの強さの話しろよwww
スパロボの話をしてるんだからスレ違いじゃない
致命的なまでに板違いだが
子供の頃にクリアできたしそんなに難しいもんじゃないとは思う
とはいえ今やったら面倒でクリアできないだろうな
Zで久々にスパロボに戻ったら格闘系の射程の長さにびっくりしたぜ
最近はビームサーベルなのに2とか3とかだもんな
つか、Zの難易度が高すぎるとか言ってるスレがあったんだが…どういうことだ?
結構シンプルで簡単だし味方機割と強いし…昔のスパロボ絶対やってねーよ…
そういやF完結編は投げたなぁ。
ヒィヒィ言いながらエンディングまで残り二話って所まで来たその晩に落雷が家に落ちてさ。
コンセントに繋いだままだったサターン本体とメモリーカードが壊れてな。
アレ以来やってない。
第四次を語るなら特殊誕生日リアル系主人公を乗せたGP02で無双しかないでしょ
マジンガー系とガンダム系の補給と再動使えるのを修理と補給で99にしておけば完璧w
>>387 割と新しいけどα外伝のスレードゲルミルは異常。
出撃人数限界全部VSスレードゲルミルで余裕こいてたら
全滅したのはいい思い出。武装二つしかないのにあの強さは反則。
ウインキー時代は難しいというより理不尽なんだよ。
神様ですら第三次のネオグランゾンが一番辛いって言ってるぐらいだしな。
好きなユニットorキャラを育ててもあんまり俺tueeeeできないのはキャラゲーとしては問題アリだよなぁ・・・
シミュレーションゲームとしてならあの難易度でいいんだろうけど。
>>387 一週目でSRポイント全部取るってんならウインキー時代並みにキツイ。
逆に取らないんならW並みに楽。そんな感じの難易度だったけどな。
Zはリアル系で回避反撃無双できないから難しく感じるのでは?
オーガスとオーバーマンがわりと無双してね?
話はまったく変るんだけど、このスレってスパロボと種のクロススレなんだよね?
じゃあ、無限のフロンティアとのクロスはスレ違いになるのかな?
いや、書くわけじゃないけどなんか気になったんだよ。
無限のフロンティアもOKだと思う
ワンピースとかリリカルネタでもMSネタは使えるから結構面白そうではあるよな
無限のフロンティアネタも上手く調理できそうな予感がするんだけどなぁ
ムゲフロと言われると、どうしても某の○太A○Eを思い出してしまう
あれだとシンが零児・小牟コンビとスゲー仲良いんだよな
シンをオルケストルアーミーに放り込んでみても面白いかも
見えるぞ……
ヘンネのおっぱいを揉み、虎と同じ声のカマ猫に気に入られ、ロリ魔女キュオンに弄り回されるシンが……!
400 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/14(土) 03:20:33 ID:7o80o1K5
あ
>>399 唯一の癒しはエイゼル隊長かよw
これは酷い職場ですね。
>>399 キュオンと一緒にとんでもない場所に閉じ込められる姿を幻視した。
お久しぶりです。約一か月ぶりに、投下させてください。19:00くらいからいたします。
ビアンSEED 第七十五話 流転戦場
磨き抜いた鏡の様に周囲の暗黒と星のきらめきを映すジェネシスの装甲が、ふいにぼこりと盛り上がった。ぼこり、ぼこりと癌細胞が正常な細胞を侵食して、その領土を広げて行くように。
肉腫の様に盛り上がったジェネシスのPS装甲が、瞬く間に色を変える。紫に、赤に、橙に、青に、銀に、黒に、見る者の視神経を犯し、脳を狂わせる狂気の色に変わってゆく。
節くれ立った触手が、ねじくれた山羊の様な角が次々と装甲表面を突き破り、人造物らしき構造が、瞬く間に生物的なシルエットを帯びて行く。暗闇の彼方から悪意の身を持って訪れた異形の侵略者の姿であった。
ジェネシス周囲に浮かんでいた換装ミラーへと金属の触手が伸びて絡み取り、たちまち大地に根を張る大樹の様に取り込んでゆく。全てのミラーが取り込まれるのには、ものの数分で事足りた。
ひどく悪夢じみた光景を前にして、ジェネシス防衛に任されたザフト部隊も、ノバラノソノ艦隊も、地球連合残存艦隊も、そしてDCさえもその尋常ならざる光景を前に固唾を呑む事しかできずにいた。
ヤキン・ドゥーエ管制室では突如コントロールを離れ、想定外の変形といっていいものかどうか、変わり始めたジェネシスを前に、凍りついた様に静まり返っていた室内で、プラント最高評議会議長パトリック・ザラの怒声が響いた。
「事態を報告しろ。なんとしてもジェネシスのコントロールを取り戻せ」
ジェネシスの第二射が、想定しないタイミングで発射されたとはいえ、すでに地球連合の残存艦隊は切り札となるアズライガーを失い、増援艦隊も、月基地の一つも破壊されてもはや敵ではない。
かといって無視できる相手でもないのだ。またそれとは別にしても、ジェネシスは殲滅兵器と呼んでも差し支えない代物だ。それが自分達のコントロールを離れたとなれば、戦時下であろうとなかろうと国家の命運にかかわる一大事だ。
パトリックの声にオペレーター達がようやくコンソールを叩く指と、インカムへ向ける声を再び発しようとしたとき、画面いっぱいを埋めていた『I am AI1』の文字が切り替わり、そこに一人の女が映った。
艶やかな亜麻色の髪を振り乱し、紅を刷いた唇を嘲笑の形に釣り上げた妙齢の美女であった。狂的な光を湛える瞳に、確かな理性の残光を浮かべながら、女――エルデ・ミッテはパトリックへ向けて、口を開いた。
「お久しぶりでございますわね、ザラ議長閣下」
「エルデ・ミッテ!? 貴様、貴様がジェネシスのコントロールを奪ったのか」
「正確には、私のAI1が、ですが。ジェネシスはちょうど良い苗床になりましてよ。内蔵されていたNJCも核燃料も、PS装甲も、本来のあの子に見合うほどのものではありませんが、ありがたく頂戴いたしましたわ」
「苗床? あの子だと? 貴様、何を言っている。そして、何が目的だ?」
「強いて言えば何もかもを手にする事が目的かしら? あの子とは、申しました通りAI1の事ですわ。ご覧になられますか、私の愛し子の姿を?」
エルデの笑みが正気の皮を破り捨て、どこかが壊れてしまった人間の笑みの深さを増す。そして、エルデの映る画面の半分にAI1に同化されたジェネシスが映し出された。
まるで出来の悪いホラー映画か何かの様な光景に、さしものパトリックやシーゲル達も息を呑む。それは彼らの常識を逸脱した光景であった。
「貴方方に提供したラズナニウムのサンプルを覚えていますかしら? AI1は、ラズナニウムの自己再生機能に自己増殖と自己進化機能を兼ね備えているのよ。その力でこうしてジェネシスと一つになったの」
「お前は、お前は何をしたいのだ」
呻くパトリックに、エルデはにっこりと、大輪の薔薇が咲いた様な笑みと共に答えた。ひどく明るいのに、見る者の背筋を凍らせるナニカが混じっていた。人が悪魔に出会ったら、同じものを感じるかもしれない。
「何を? そうねえ、今も昔も変わらないわ。AI1がこの世のすべてとなる事よ。人間も、動物も、植物も、鉱物も、天体も、宇宙も、何もかもと一つになり、すべてがAI1となる事、それを、私はこの子と一つになりながら見守るのよ」
それこそが至上の幸福であると、エルデは信じ切った顔で恍惚と呟いた。
それまで史上空前の規模ではあるが、常識的と言える戦闘を繰り広げていた各勢力の部隊が、このような事態によく対応できたか、といえば否であった。
アズライガーを失い、今だWRXやω特務艦隊こそ健在ながら、戦力の大多数を喪失し、いよいよ降伏するしかないと諦めた地球連合。
背水の陣を敷いた勝負に勝ち、これで隷属させられていた地球連合との関係を逆転させ、コーディネイター達の新しい世界が造れるのだと、安堵を覚え、明るい明日を思っていたザフト。
ジェネシスの発射に神経を割きながら、戦いの趨勢を見守っていたノバラノソノ艦隊。
そして、重傷を負ったままネオ・ヴァルシオンに搭乗し、いざとならばザフトも地球連合同様に駆逐する心構えで待つビアン・ゾルダークが率いるDC。
誰にとっても、エルデ・ミッテとAI1セカンドという第五勢力の出現は、想定外の事態と言う他はなかったろう。よりにもよって、四勢力の戦力が消耗されているこの状態で、よりにもよって、戦争の趨勢を左右する兵器が一個人に乗っ取られるなどと。
そして、AIセカンドが、ジェネシスを完全に取り込んだ事で、単独で一勢力と呼べるほどの戦力を生み出す事が可能になったなどと。
悪夢と狂気の産物の様な汚穢な塊と化したジェネシスが、徐々に宗教画に描かれる悪魔の様な姿を取りはじめるや、肉の瘤が引っ切り無しに収縮し、増殖する表面を突き破って、およそ二十メートルほどの人型が飛び出し始めた。
黒に僅かに銀を混ぜた様な装甲の色は、メディウス・ロクス。ゲイツを上回る性能を持ちながら、コスト面から少数のエース様に配備されたザフトのMS。だが、その実態は、ターミナス・エナジーを用いた機動兵器ターミナス・アブソーバーの試作五号機だ。
今はアルベロと共にDCに在る初代AI1が搭載されていた機体であり、ザフトにその機体の残骸ごと所属したエルデが、CEの技術で復元・再現したものだ。
今、AI1から生み出されているメディウス・ロクスは、CE製のレプリカではなくオリジナルに限りなく近い高性能機であった。
メディウス・ロクスの群れはたちまちの内に数十を数え、構えた銃口を――ザフト、DC、ノバラノソノの部隊へと向けた。唯一、ジェネシスまで距離のある地球連合の艦隊だけが銃口の祝福から免れる。
鎮火するかと思われた戦火は、いままた新たな悪意によって豪火へと燃え盛らんとしていた。突如の事態に混乱する戦況に、ザフト、ノバラノソノ、DCは浮足立ち、襲いかかるメディウス・ロクスの群れを前に一機、また一機と撃墜され、爆光の中に飲まれてゆく。
ザフトの各部隊長も、ノバラノソノのダイテツやマリュー、キサカらも、この事態に思わず目を見張り、何が起きているのかと情報を求めるのに、黒幕が答えた。
人道を外れながら、あまりに人間らしい自己顕示欲に突き動かされての事だろう。ヤキン・ドゥーエ攻防戦の行われている宙域の全艦艇、全MSに向けて一方的に通信が繋げられたのだ。
映し出されたのが誰かは、あえて書くまでもあるまいが、エルデ・ミッテである。
『聞きなさい、そして見なさい。愚かな子羊達。私のAI1が世界のすべてとなる瞬間を。そして光栄に思いなさい。貴方達如きが、このAI1と、私の愛する子供と一つに慣れる事を』
画面が切り替わった。そこには鋼の玉座に腰かけたエルデ・ミッテが映し出される。白衣らしき衣装の胸元をあられもなくはだけ、飛びきり上等の麻薬を飲んで夢中の世界に居る様な笑みを浮かべている。
だが、それを見た誰もの目を引いたのは、玉座と一体化しつつある彼女の肉体であった。見れば画面に映らぬ外から無数の蛇の様にコードが鎌首をもたげながらエルデの肉体に突き刺さり、血管の代わりとなって皮膚の内側で蠢いている。
皮膚の一部は硬質の輝きを放ちはじめ、時折エルデの瞳が緑の電子の色に輝く。血肉さえもラズナニウムを介してAI1と一つになっている。
確かにエルデの言葉通り、このままAI1が増殖し続ければ何もかも、誰も彼も一つになってしまうのだ。それがたとえ、地球であっても。
世界中の悪夢の中の産物を揃えても、これほど非現実と現実が中途半端に混ざり合い、現実に牙を剥いた例はほかにあるまい。
エルデの笑みが浮かぶ間もメディウス・ロクス達は安堵の吐息を吐いていた者達へと襲いかかり、新たなる死者の山を作り出している。
恐慌に陥ってしゃにむにメディウス・ロクスと銃火を交わすもの達が、ささやかな抵抗を示す中、ザフトの部隊はヤキン・ドゥーエの管制室へとひっきりなしに応答を求め、自分達がどうするべきか指示を待った。
エルデが乗っ取ったジェネシスは明らかにこちらのコントロールを離れ、つい数分前まで存在していた切り札とはまるで別の、巨大な悪魔の様な姿に変貌しているが、明確な命令もなしに攻撃して良いのかという迷いがあった。
地球連合の残存艦隊は動きこそ見せぬがいまだ健在で、地球連合との講和に置いてもあのジェネシスという決戦兵器が最大の抑止力と最悪の恫喝になる。ジェネシスなしでは、ザフトに地球連合と戦う力はもうほとんど残されていないようなものだ。
ジェネシスの変貌についての火矢の如き問い合わせは無論、ザフトのみでは終わらない。DC艦隊の総指揮を任されているマイヤーもヤキン・ドゥーエやプラント付近に浮かぶザフトの軍事衛星に向けて、ジェネシスについての回答を待っていた。
苦吟に苛まれるパトリックの背中を押したのは、傍らのシーゲルではなく、やや青ざめた顔に変わらぬ意思の光を湛えた男であった。ビアン・ゾルダークである。
パトリックが何か言おうと口を開くよりも早く、ビアンが言った。突き離すような物言いであった。
『ザラ議長、われわれDCは乗っ取られたジェネシスを破壊する』
「……ふ、ふふ」
返す言葉など聞く耳持たぬと言外に告げるビアンの口ぶりに、パトリックは一瞬呆けに取られたがすぐに小さく笑うや、どこかすっきりとした顔でこう答えた。
「派手にやってくれ。我らの新世界を造るはずだった創世の光だ。散り様はせめて華々しく、といきたい」
『では、言葉通りにして見せよう』
それだけ言うや、ぶつんという音と共に黒一色に変わるモニターを見つめながら、パトリックは声を大きくして指示を飛ばした。
「DC、ザフト、ノバラノソノへジェネシス破壊を通達せよ。あれはテロリストに占拠された。第三射を撃たれる前になんとしても破壊するのだ!」
「議長!? ですが、まだ取り戻せないとも限りません、よろしいのですが?」
黒服の一人が、眉間に深い皺を刻みながらそう告げるのに、パトリックははっきりと答えた。心中の想いは聞きとれぬ鉄の響きの声であった。
「構わん。あれは地球も撃てる。ましてや、エルデの眼を見て、声を聞いたならば分かるだろう。あいつめ、自分とあのAI1とかいう存在以外全てがどうでもよいと思っているぞ。ジェネシスの破壊をためらった事を後悔するのは、あの世でする事になる」
この事態にレフィーナを司令とするω特務艦隊は、比較的早期に対応した。先程のジェネシスの第二射で、旗艦シンマニフェルが消滅し、サザーランド大佐やアードラーらもまた運命をともにしている、
アズライガーが撃墜されてしまった事で、指揮系統に横やりを入れてくる者もいない。即座に体勢を立て直すべく撤退信号を上げさせたレフィーナの指示に、茶々を入れる者はなかった。
ゲヴェルのメインモニターにはヤキン・ドゥーエからの指示が行き渡り、突然の事態の変化に戸惑いこそ隠せぬものの、襲い来るメディウス・ロクスと交戦に入ったDC・ザフトの連合部隊が映っている。
主力は抜けたが、地球連合残存艦隊を警戒して、いくつかの部隊は残っている。地球連合よりも緊急性の高い敵と判断したのだろう。指を組み、美麗な肌に皺を刻むレフィーナにドミニオンのナタル・バジルールとスヴェルのイアン・リーが通信を繋いできた。
「エンフィールド中佐、戦況の変化はおそらくは先程の通信の女が何かをしかけたものかと思われますが……」
「それ以外はないでしょうね。とはいえ、私達もアズライガーを失い、月からの増援艦隊を失っています。このままジェネシスの破壊を行うにも、ザフトとDCと交戦せずにはすまないでしょう」
「DCとザフトがあの兵器を破壊するような動きを見せていますが、せめてそれだけが不幸中の幸いですかな?」
苦虫を百匹も噛み潰したような顔でいうリーに、ナタルが不安げな影を帯びた顔で言った。
「なぜ、そうしなければならないのかが問題でしょう。先ほどの女がプラントの意向を全く無視した形で乗っ取ったとしたなら、やはり危険です。国家という抑制の無い個人が好きに使うには過ぎた力です」
「いずれにせよ、私達が介入するには、戦力を失いすぎました。動くとするならば、タイミングを見計らう位しかできる事はありません」
唇から血が滴りそうなほど強く食い縛り、レフィーナ達はめまぐるしく、狂気を孕んで流転する戦場から離れて、推移を見守るしかなかった。
WRX以下、R−GUNパワードやガルムレイド、ストライクノワール、ブルデュエル、ヴェルデバスター、ネロブリッツ、ロッソイージスなど、他にもギリアムやアヤ達も合流し、残ったわずかな友軍の盾となる位置で、彼方の戦場を見つめていた。
テンザンとの戦闘を切り上げたリュウセイのヴァイクルも合流し、整備と補給、休憩の居る者達をローテーションを組んで交代させる。後退して距離を置いたおかげか、メディウス・ロクスがこちらに襲いかかってくる様子はない。
そんな中、秘匿回線を通じて、ギリアムとイングラムが余人の混じらぬ会話をしていた。
「ギリアム少佐、あれは確か……」
「AI1。エルデ・ミッテが作り上げた人工知能だ。彼女もこちらに来ていたらしいが、よりによってジェネシスを奪うとはな」
「馬鹿になんとやら、か。ならば問答無用で地球も食いつくす、いや同化するつもりだろうな。ならば我々も手をこまねいて見ているわけにも行かんだろうが……」
「難しいな。我々もつい先ほどまでザフトとDCを相手に戦っていたのだ。信用されるわけもない。かといって、彼らを振り切っておれ達だけでジェネシスを破壊する事も出来まい」
「しばらくは傍観に徹するか。ヴィレッタもいる以上、簡単にはやられまい。それに、まだDCは戦力を温存しているようだからな」
冷え冷えと輝く刃のような瞳で、イングラムは艦を転進させ、ジェネシスめがけて部隊を進ませるDC艦隊を見ていた。
「各機を呼び戻せ! ジェネシスのコントロールが奪われるとは、何をやっているんだ!?」
流石に苛立ちを込めて呟くバルトフェルドの指示を、オペレーター達は友軍各機に通達し、直衛に着けていた以外の部隊を呼び戻し始めた。
特に、対地球連合党の最前線に到着していたラピエサージュやマガルガ、ジャスティス、フリーダム、ガーリオン・カスタム無明の不在が手痛い。
エターナルやクサナギ、スサノオ、アークエンジェルに狙いを定めて襲い来るメディウス・ロクスの群れは、AI1セカンドの遠隔操作によって、異世界のエース達に匹敵する技量を与えられて圧倒的な力を見せていた。
機体構造そのものを変化させて、三機のフォーメーションで攪乱しているのは竜騎兵の戦闘データを与えられた者たちだろう。まるで肉体の延長の様に機体を操り、撃たれる前に回避して見せるのは、ニュータイプと呼ばれた者達のデータのコピーだ。
挙げればきりがないほど、どれも一流から超一流レベルの戦闘技能を見せるメディウス・ロクス達は、百にも満たぬ数で、恐るべき戦闘能力を発揮して見せた。
「ぬおおおおおおお!!!!」
その、メディウス・ロクスに回避の余裕を与える間もなく一刀のもとにまとめて胴を横薙ぎに真っ二つにして見せたのは、いざという時にジェネシス破壊の為にエターナルの近くで待機していたスレードゲルミルであった。
機体こそ半死人といっていい惨状ながら、この世界に来てから数段向上した操者ウォーダン・ユミルの戦闘技能と、波濤の如き気迫が唸らせる斬艦刀の一太刀は、水を断つ名刀の様にラズナニウムの装甲を切り裂く。
スレードゲルミルは、異世界のエースの技術を完璧に模倣したはずのメディウス・ロクスであっても、抗し得ぬ理不尽な暴力の化身だ。
「迸れ、斬艦刀――」
横に倒した刀身を、右半顔にまで引き絞り、一陣の烈風の様な怒声と迫力を伴い、マシンセルが変化した雷電が宇宙の闇を貫いて走る。
「電・光・石・火!!!!」
それは太陽の光を阻む分厚い灰色の雲を切り裂く天空の雷にも勝る轟と共に、進む先に在るメディウス・ロクスも、スペース・デブリも飲み込み、消滅させてゆく。
大きな顎を開いた雷竜が、満たされぬ飢餓を満たすべく、暴食する様に。
エターナルの淡い紅色の船体に無残な穴を穿つべく迫っていたメディウス・ロクス四機を、ものの数秒で殲滅したスレードゲルミルである。鷹よりも鋭く巌よりも厳しいウォーダンの青い瞳は、吹雪の様な冷たさと共にAI1セカンドを映している。
もし、ジェネシスの第三射の照準が地球であり、かつ第三射を放つべく換装ミラーが動き始めたら、即座に斬艦刀究極の一閃を持ってジェネシスを破壊する算段を立てていたウォーダンは、今がその時と判断した。
ジェネシスを吸収し、換装ミラーすべてを取り込んだ以上、AI1セカンドとエルデ・ミッテはいつでも好きな時に地球やプラントへ向けてジェネシスのγ線を放てる。ここで破壊しなければ気まぐれに人類を滅ぼせる狂気の女の存在を許す事になってしまうだろう。
「ウォーダン、ジェネシスを破壊してください!」
「委細承知っ!!」
想定外の事態に顔色を白いものに変えたラクスに、間髪入れずウォーダンが答えた。スレードゲルミルのコンディションは、相も変わらず不調のままだ。まともな整備は行えず、元いた世界とこちらで蓄積したダメージは、機体全体に浸透している。
そんな状態で、これほどまでの戦闘能力を発揮して見せるのは異常という他なかった。ウォーダンの意思に答えて、スレードゲルミルの心臓である、マシンセルによって変異・強化されたプラズマ・リアクターの凶暴な唸りがより一層激しさを増す。
しかし、ウォーダンには聞き慣れたその駆動音に、時折肺病に侵された病人の咳の様なものが混じっている事に気づいていた。この愛機の限界が近い。その事実を噛み締めた歯の軋りと共に、意図的に忘却した。
今は、目の前の醜悪な悪意を断つ。例えそれが、戦友たるスレードゲルミルと引き換えにする事になっても。例えそれが、自身の命を天秤に乗せなければならぬ事であったとしても、ウォーダンは刃を振るう事を選択しただろう。
「伸びよ、斬艦刀――っなに!?」
機体後方に雷光の刃を伸ばし始めようとしていたスレードゲルミルめがけて、直径百メートルを超す巨大な触手が、まるで意思を持った森の様に迫っていた。
おそらくは、この戦場で今駆動しているMSや艦艇よりも莫大なエネルギーを放出し始めたスレードゲルミルを感知し、自身にとって危険ないしは価値があるとAI1セカンドが判断したのだろう。
咄嗟に回避行動に移ろうと、ではなく構わずエネルギー化したマシンセルの刃で、触手もろともに斬り飛ばそうとするスレードゲルミルに、四方からメディウス・ロクスが組み付き、あろうことか閃光と共に爆発する。
「無人機故の自爆か!? おのれっ」
周囲への注意を怠った己への叱責を混ぜた声は、姿勢を崩し、マシンセルの光刃が元の青い刀身に戻った状態のスレードゲルミルと共に、ラズナニウムの触手の中に飲み込まれた。
その光景を見ていたラクスは、まるで人形に変わったように息を飲んで、言葉を忘れた。常に頼りにしていた絶対の味方が、今、目の前で!?
「ウォー、ダン?」
「ラクス? ラクス、しっかりしろ!」
「あ、え?」
「ちい、部隊の合流を急がせろ、あちらさんのメディウス・ロクスは数が少ないが、相当にやるぞ。単独では闘うなよ」
初めて戦場で呆然とした様子を見せるラクスに、バルトフェルドは仕方がないと判断して即座に指揮に意識を戻した。もとより戦争の素人であるラクスが戦闘の指揮をとった事はない。
あったとしてもウォーダンに指示を出すが、士気鼓舞の意味で、各部隊の隊長に通信を繋げてバルトフェルドの代わりに命令を伝える位だ。彼女一人が呆然としていようが指揮に関しては問題が無い。
(とはいえ、いつも動じずにそこに座っているだけでも、ラクスの存在がプラントのコーディネイター達にとっては救いになっていたからな。クルーには多少の動揺が出るか)
よくも悪くも、ラクス・クラインという少女の影響は強く、またクライン派の兵士達は一人の少女に寄りかかり過ぎなのだ。結束している時は強いが、自分達が崇拝する象徴が望ましからぬ面を見せると脆さを露呈する。
「まったく、溺れる者は藁をも掴むというが、似たようなものなのかねえ」
そう呟くバルトフェルドの口元に浮かぶ笑みに、自棄が幾分混じっている事を、恋人であるアイシャだけが気付いていた。
突然のジェネシスの変貌と謎の第五勢力の出現と襲撃は、クライ・ウルブズやサイレント・ウルブズの猛者達のかなり太めの神経でも、動揺を隠せずにはいられないものであったが、降りかかる火の粉は払わねばこちらが火傷する。
加えてマイヤーとビアンの両名がジェネシス破壊命令を下した事で、ゆるみかけていた緊張感の糸を張り直し、つい先ほどまで守っていた筈のジェネシスを破壊する為に向かうという、どこか喜劇的な戦いを始めた。
現地球圏最強戦艦であるスペースノア級といえども、圧倒的だった地球連合の大物量と最精鋭部隊との交戦で船体のあちこちに焼け焦げの跡や穴が開き、また整備が必要な機体も相当出ていた。
現在、応急処置と弾薬の補給を受けているのはジガンスクード、ガーリオン・カスタムTB、ラーズアングリフ・レイブン、ランドグリーズ・レイブン、ヒュッケバインMk−U、サイバスターだ。
サイバスターは機体にダメージは少なかったが、サイフラッシュやアカシックバスターの使用によるマサキの消耗を慮り、ほんの数十分ほどではあるが休ませるべきと判断されている。
まだかまだかと、機体の出撃準備が整うのを躍起になって待つタスクや、ユウ、レオナ、カーラ、ジャン、マサキ達は、戦場に残った仲間達の無事を祈る思いだった。
口の中に広がる鉄の味さえも分からなくなったのはいつからか、シンには分からなかった。少なくともアズライガーを守るGAT−Xナンバーの発展機達と交戦している間はまだ分かっていたと思う。
狭霧が立ち込めた様に霞む瞼を瞬いて、元の視界を取り戻し、眼前に迫っていたメディウス・ロクスの胴にグルンガスト飛鳥の巨拳を叩きこんだ。
さらにトリガーを引き絞り、音声による武器選択システムのサポートも着けてゼロ距離からブースト・ナックルを放つ。
ラズナニウム装甲を持ってしても大質量・超加速・ゼロ距離からのブースト・ナックルには耐えられなかったと見え、目の前のメディウス・ロクスの機体が吹き飛ぶ。
しかし、敵機の撃墜を喜ぶ声をシンは挙げなかった。グルンガスト飛鳥の左脇腹を、メディウス・ロクスの振るった光剣が切り裂いていたのだ。本来のシンなら十分な余裕を持って回避できたはずの攻撃であった。
「くそ」
一語一語を区切る様にして呟く。唇を開く事さえ億劫であった。流れる血潮の事は考えない事にした。視界を塞がないよう、ヘルメットの吸引機を常に作動させてそれっきり考えていない。
耳にかすかな吸引の音が響いて集中しようとする意識に雑音を混ぜてくるが、それでも視界に赤い粒が混じるよりは、心情的にも、戦闘の邪魔にならないという意味でもまだましだ。
右手に握った獅子王斬艦刀に、斬って捨てたメディウス・ロクスの潤滑液が滴っていた。負傷する前ならば、不凍処理を施されたオイルであっても、その粘着力に勝る剣速を誇っていたはず。
それが、今や見る影もない。もっとも、その見る影もない状態でさえ、平均的なエースクラスでは一合斬り結べるかどうかという高みにまで、今のシンは上り詰めていた。
ゼオルートとの濃密な修行に加え、あの精神世界での決断、精神における成長を促した結果であろう。
目下、シンの最大の敵は、衰弱し、完治しきらぬままの自身の肉体であった。それが分かっているのか、眼の下にうっすらと隈が浮かびあがり始めたシンを庇うように、いや庇うフォーメーションを、ヒュッケバインとアカツキ、ナイトガーリオンが組んでいる。
落としても落としても、AI1セカンドの表面から産み落とされるメディウス・ロクスは、連合の大物量とは異なる恐怖を呼び起こすものだった。大本であるAI1セカンドを破壊しない限り、無限に生まれ出てくるのではないだろうか。
先行するリカルドのザムジードが、超振動によって分子結合を崩壊させてあらゆる物質を灰燼に帰す、レゾナンス・クエイクでまとめて敵機を葬るが、今も毎秒複数が産み落とされるメディウス・ロクスは、空いた空隙をあっという間に埋める。
常にどこを向いてもメディウス・ロクスの姿が映る状態は、さしものリカルドやヴィガジらにも疲労の影を負わせている。タマハガネとアカハガネの周囲で敵機を迎え撃つスマゥグ達の動きも、戦闘序盤に比べ明らかに精彩を欠いていた。
北天方向から迫る新たな敵機に気づき、シンはそちらを飛鳥に振り向かせる。十二機に及ぶメディウス・ロクスである。人間に依らぬ機械故の正確な出力制御でターミナス・エナジーを制御し、構えた銃口の奥に眩い光が灯る。
「させるかあっ」
そう叫んで気力を振るい起こさねば、今にも瞼を閉じてしまいそうな自分を鼓舞し、シンは飛鳥の胸部に膨大なエネルギーを集中させた。飛鳥のプラズマ・リアクターが一時的に限界を超えた莫大なエネルギーを放出する。
「オメガレーザー!」
星型の破壊の光の軌跡は、迫るメディウス・ロクスの内二機を呑みこみ、一機の右半身を持っていったが、それ以外の九機は無傷で通した。アウルやステラ達は、別の敵の対応に神経を割かれ、迎え撃つ者はシンのみ。
メインスラスターの駆動に呼吸のタイミングを合わせ、おそらくC.Eでも数えるほどしかいない位に絶妙な踏み込みをしようとしたシンは、しかし、わずかに自分の意思に遅れた指先に気づいていた。
まるで氷の浮かぶ海に着けていたかの様に指先が冷たい。そのまま腐り落ちてしまったのではないだろうか。
そんな吐き気を催す想像が過ぎったが、かろうじて反応していることからそんな心配はなさそうだ。青紫位には変色しているかもしれないけれど。
わずかな遅れはシンにとって舌打ちに値するものだったが、メディウス・ロクスには変わらぬ脅威であった。シシオウブレード形態の銀刃が、すれ違いざまにメディウス・ロクスの首を刎ね、翻った刃が縦一文字に両断する。
次を――!!
加速するシンの思考を、機体に伝わった振動が妨げた。シンが斬り捨てた機体を囮にするつもりだったのだろう。一秒にも満たぬ時間、動きを止めた飛鳥の巨躯めがけて他のメディウス・ロクスの放った光弾が集中する。
機体に走る振動が、シンの傷をさらに広げ、まだ流れる量があったのかと驚くほどに流血を強いた。ゼオルートの前の師匠に教わった呼吸と血流、自律神経の調整による肉体の活性化及び痛覚の麻痺や血止めを駆使していなかったら、とっくに失血死している。
ただし、痛覚の麻痺だけは行わないでおいた。痛みはまだ自分が生きている証拠だ。その痛みが走る度に、もうこんな怪我はしないぞ、という教訓にもなる。
絶え間なく瞳を焼く光の雨粒の隙間を見つけるべくシンの眼球はせわしなく動き、磨いた第六感をフルに駆使するが、いっかな飛鳥の動きを束縛するライフルの連続攻撃に間隙は出来ない。
このまま機体を砕かれるまで言い様に撃たれるのか? 情けなさに、悲しみや恐怖よりも怒りと悔しさが先立つシンは、しかし、次の瞬間ピタリと止んだ銃撃と、反応が消えた敵機に、はっと視界を上げた。
シンの周囲だけではない。二つのウルブズや付近のDC、ザフトと交戦していた四十以上のメディウス・ロクスが、ほんの一秒かそこらの間に全て撃墜されてしまったのだ。シンが、後方から高速で接近する機体に気づき、サブモニターに映した。
「あれは……!?」
驚きと共に絶句するシンの瞳に映ったのは、無機物でありながら、より猛々しさと重厚な威厳を纏った機動兵器。
初陣で見せた絶対的な暴力と、知的生命体に畏怖を与える外見から、血に濡れた魔王を前にしたような恐怖を見る者に与える巨人――ネオ・ヴァルシオンであった。
周囲で瞬くあらゆる光を、その真紅の装甲の中に飲み込んでしまいそうなほど深い紅の鉄機は、右手に液体金属の刃へと変わったディバイン・アームを引っ提げていた。そして、その左手の甲に、膨大というも愚かなエネルギーの残滓があるのに、シンは気付いた。
「今のは、総帥が?」
シンの予想は当たっていた。グランゾンが持つワームスマッシャーの空間歪曲による遠隔・全方向からの射撃攻撃を、クロスマッシャーに応用した、ワーム・クロスマッシャーで一気に撃墜して見せたのだろう。
「総帥!」
「シンか? あまり顔色は良くないな」
「総帥も似たようなもんです」
「だろうな」
まるで同じ病室の人間に話しかける入院患者の様なやり取りであった。たしかに二人の顔色はモニター越しにも紙の色に近くなっているのが分かったし、共に顔に浮かぶ死相を見ていた。
ネオ・ヴァルシオンの姿に気づいたステラ達も、敵機と交戦しながら通信を繋げてくる。
「ステラ達も、良く頑張っているな」
「そんな事より、いいのかよ、前に出て来てさ!?」
唾を飛ばしかねぬ勢いのアウルに、苦笑するようにビアンは答えた。
「後方に座したまま見過ごすわけにもゆくまい。指揮はもとよりマイヤーが取っている。それにネオ・ヴァルシオンは私にしか動かせぬようになっているし、これに乗っている方がマハトに座しているよりも安全だ」
「そりゃ、その機体を斃せるMSも特機も在りはしないでしょうけれど」
力無く反論したのはスティングである。確かにネオ・ヴァルシオンの前身であるヴァルシオンからして空間歪曲フィールドという、ふざけた防御機能を持ち、重力操作兵器という前代未聞の武装を持った超高性能機だ。
その発展型であるネオ・ヴァルシオンならば、特機や高性能MSが氾濫し始めた現在でも、戦局を単機で覆せる超ド級の規格外機であるだろう。
とはいえ、人間の方はそうはいかない。シンよりはだいぶましとはいえ、ビアンもまた軽くはない負傷を追っている筈だ。今も、普段の気迫は変わらぬがどこか纏う雰囲気に活力が欠けている。
そんな中、雨に打たれている捨てられた子犬みたいな顔で、ステラが心配そうにビアンとシンの顔を見ていた。
ステラにとって大きく心を占める二人が揃って、顔色を悪くし、どこか死の雰囲気を纏っている。そう言った感性が鋭いステラには殊の外、不安が胸の中で渦巻いているのだろう。
「なに、すぐにこやつらを片づけてベッドで眠ればすぐに治る傷だ。そう、心配そうな顔をしなくてもいいぞ、ステラ」
「本当に? シンは?」
「おれも、大丈夫だよ。ステラを置いて遠い所に行ったりしないよ」
あまり長く離すと舌がもつれる。かすれそうになる声を必死に隠して、シンは笑顔を浮かべて答えた。なんとか、笑みを形作る事は出来たようだ。ステラは曖昧に笑った。
ネオ・ヴァルシオンが先頭に立ち、飛鳥やアカツキ、ナイトガーリオン、ヒュッケバインを引き連れる形でAI1セカンド目掛けて再び動き出す。
魔王の配下の軍勢の中でも、取り分けて優れた力を持つ精鋭達の出陣であった。
「行くぞ、シン、ステラ、アウル、スティング! 我らDCの真の力、あの異形に知らしめる」
「はい!」
「ステラ、頑張る」
「任せときな、おれらナメたらどういう目に遭うか、教えてやるぜ」
「アウル、シン、前に出過ぎるなよ!」
テスラ・ドライブの翡翠色の粒子と共に、ビアン達は巨大な流星となってすべてと一つにならんとする、狂気の産物めがけて宇宙を飛翔した。
短いですが、今回ここまでです。次あたりでAI1戦は決着の予定です。だいぶあいてしまいましたが、読んでくだされば感謝感謝です。
GJ! GJ! GJ!
うおお、来たー!
遂にビアンも復活し、いよいよ一部最後も近い
一部最後の戦い、そして来たるべき二部を楽しみにしてます
総帥キター
つかアードラーと綺麗なアギラは一瞬でフェードアウトかwwwwwww
おつでしたー。
メディウス第一形態量産はMXでAI1の使ってきた技が大規模になった感じかな?
…こえぇ。
ついでにテルグム、フロンス、シニストラ、デクストラの群れも加わった場面を想像してみたり。
…カオスだ。
ときに、ヒューゴ、アクアにアルベロの三人が蚊帳の外なのが寂しいところですが。
ブレイズ&イグナイトにもなってないし、見せ場はあるのだろうか。
乙カレッシャー
アードラーと(外見的には)綺麗なアギラは本当に死んだのか・・・?
うそくせー、なーんか嘘くせー・・・
OG本編でも地獄大元帥の如く復活する気がしないでもないほど典型的悪の科学者が
こんなところでご退場とは思えない気が
決着編、楽しみに待ってます
ついに総帥のお出ましか
うまいこと戦場もばらけて、かつ混乱しているみたいだし、
AI1とやり合っている内に他のトコでも色々と決着がついて行く感じになるのかな?
…ところで、本当にシン死なないよね?
なんかこのままAI1を倒した後にウォーダンとやり合って相討ちになりそうなんだけど…
>>417 なんだか、アルヴァアロン倒した後のGNフラッグVSエクシアみたいな流れですね。つまり、シンのミスター・シュラドー化、そしてDC壊滅ですね、了解です。
ミッテ先生は確かにラスボスにうってつけの人材だけど、ここで退場してしまうとアクアとアルベロが空気になってしまいそうな悪寒
出来れば次の戦いで2人に何らかの見せ場を
……もう一人いたような気がするがきっと気のせいだろう
>……もう一人いたような
ゾンビ兵になった人だろ?
>……もう一人いたような
アルベロのところに居るAI1だろ?
ミスター・シュラドーなんかハマり過ぎてて吹いたw 種死も大筋だけは原作通りかYO
>>417 未来のシンの評価や二股状態から斜め上の決着みたいな話が以前に出ているから、シン死亡だけは無いだろ。
ただ、記憶を失って、今までの仲間達を失った薄幸のお姉さまに拾われ、
恋仲になっていちゃいちゃしているところを発見されるくらいならあるかもしれないが……。
いきなり黒い服纏って痛みと恐怖を刻み込んでいくんですね。
総帥さんGJ!!
あまりにもシナリオの出来が良いのでつくづくZのシナリオも総帥さんがしてくれたなら……と思わざる負えません。
さてステラと某不幸姉さまとの男のロマンな決着がつくまで話が続くことを願っています。
しかし、私のような下手な菊地厨なら、ここでイザヨイが専用機に乗ってテレポートしてけりをつけるというろくでもない展開になろうだろうな……。
こんばんわ、十分後位から投下します。今度は長めなのでさるさんくらいかねないので途中、支援していただけますと幸いです。
支援
ビアンSEED 第七十六話 汝、誰が為の剣か?
際限なく生まれ出るメディウス・ロクスの群れを相手にするザフト・DCの戦闘を目に映しながら、ゲヴェルの周囲で警戒態勢にあるガルムレイドのコックピットで、ヒューゴ・メディオは奇妙なデジャ・ヴュを覚えていた。
MSとは異なり、数人が入ってもまだ余裕のあるコックピットの中は静寂ばかりが満ちていて、ヒューゴの呼吸音がいやに大きく響いている。
乱れ交ってはビームと銃弾、そして破壊の意思と殺気を交差させているメディウス・ロクスを目にする度に、脳の奥でチリチリと何かが焼けるような感覚を覚えている。
メディウス・ロクスそのものは以前に交戦した事があったが、その時にはこのような感覚は覚えなかった。
だが、突然こちらの通信に介入してきたあの女と、AI1と呼ばれたモノに乗っ取られたジェネシスを目にした時、一際強く心臓が鼓動を打ち、一瞬にも満たない時間、脳裏にとある光景が浮かんだのだ。
どことも知れぬ宇宙で、地上で、すべてが混沌の渦に飲み込まれてゆくような空間で、数限りなくガルムレイドに、あるいはザフトの開発したサーベラスに乗り、誰かと共に戦う自分の姿と、声を。
――多少の無茶は
――承知の上よ!
自分の言葉を継いで共に戦う『彼女』は一体誰なのだろう。そして、なぜ自分はこんな白昼夢を見る? どうして幻聴が聞こえるのだろう?
ガルムレイドの操縦桿を強く握りしめながら、ヒューゴは、炎の様な形をしたオレンジ色の眉を寄せて、今にもガルムレイドを突撃させたい衝動を抑えながら、ジェネシス破壊に動くザフト・DC、ノバラノソノ達の戦いを見つめていた。
「受けるがいい、ビッグバン・ウェーブ!!」
ビアンの容赦の響きを捨て去った声に応じて、ネオ・ヴァルシオンの胸部に連なった三つの白銀の球体の一つが輝きを増し、宇宙開闢を引き起こした現象の名前を持つ広域攻撃兵器を起動させる。
ビッグバンの鬼の超エネルギー、とまでは行かぬが、戦場で浴びせられるのは御免被りたい莫大なエネルギーが白い光と共に、ネオ・ヴァルシオンの前面に放射される。
光の速さで放射される破壊の波をモロに浴びて、ネオ・ヴァルシオンの周囲を取り囲もうとしていたメディウス・ロクスがまとめて十機ほど消滅する。破壊されたのではない、消滅したのだ。
ビッグバン・ウェーブの超高出力エネルギーの直撃が、塵芥を残す事さえ許さなかったのだ。シュウのネオ・グランゾンが装備するゾヴォーク星間共和国の技術を、この真紅の大魔王に移植していたようだ。
天地創造のごとく光芒を煌めかせて、爆砕し散るメディウス・ロクスの様を見ながら、ビアンは周囲に視線を巡らせる。識別機能を持たせた広域先制攻撃兵器を搭載していない事を、今ほど悔いた事はない。
ワーム・クロスマッシャーや通常のクロスマッシャーなどはともかく、メガ・グラビトンウェーブやビッグバン・ウェーブ、オメガ・ウェーブなどは、味方を巻き込みかねない。
誤射を防ぐ安全装置やシステムは無論あるが、それを補助する人間の方に問題がある。ビアンの時折混迷する意識が、ネオ・ヴァルシオンの操作を危ういものにしてしまいそうになる。
パイロットの安全を考慮した緊急医療システムを起動させ、コックピットシートからせり出した細い銀色のロボットアームが、先端に備えた無針アンプルをビアンの首筋に打ち込み、増血剤や各種の栄養剤・興奮剤を投与する。
同時にシートに微弱な電流が流れて、ビアンの神経系に作用し強制的に意識を覚醒状態にする。過剰な投薬の副作用を抑えるセーフティーを、ビアンはすでに外している。戦闘が終わった後に襲い来る負荷の数々を、ビアンは考えない事にしていた。
ニュートロン・ジャマーの妨害作用など問答無用で機能する重力センサーや空間測定レーダーが映し出す、さらにジェネシスから生まれるメディウス・ロクスとは異なる熱源反応を睨む。
緑と赤の二種の塊。いずれも地球の昆虫などを元に、悪夢のような色彩の変貌と形状の変化を与えた様な、吐き気を催す姿をしていた。それぞれシニストラ、デクステラという名の、大本を正せば調査用の機械だ。
メディウス・ロクス内に残っていたデータを、ラズナニウム装甲で再現し、さらに強化を施したものだ。エルデやアルベロが生前、最後の戦いを繰り広げた世界でも、同じモノが生み出され、マグネイト・テンの面々と激闘を繰り広げている。
メディウス・ロクスの量産よりもコスト的な面で増産しやすいのか、メディウス・ロクスの生産比率が変わり、シニストラとデクステラの数が加速度的に増している。
その背後で、ようやく変形を終えて、人類の心の中で常に邪悪なささやきをしてきた悪魔が現れた様な姿へと変わった、AI1セカンドの姿と生み出された三種の機動兵器達の共演する光景は、地獄の底から湧いてきた悪魔の群れを思わせた。
「ふん、プロジェクトURの成果の相手がプロジェクトMXか。面白い」
出力を最大にしたクロスマッシャーを、群れなす赤と緑の魔物どもへと放ち、ビアンは先陣を切った。
ネオ・ヴァルシオンに追従するシン達も、新たに姿を見せる敵の影を絶えず撃ち抜き、破壊し続けている。ステラはヒュッケバインのブラックホールキャノンこそ温存しているものの、マイクロミサイルや八連装ミサイルはすでに撃ち尽くしている。
アウルは近接戦闘主体の機体故にインパクトランスとビームサーベルで戦っているが、臀部のミサイルランチャーはとうにエンプティだし、胸部のマシンキャノンも残弾が心許ない。
スティングのアカツキは、オクスタンライフルのBモードのカートリッジは既に無く、メディウス・ロクスのディバイデッド・ライフルの光弾を、シン達を庇って数度受けたヤタノカガミも、今は軋む音を立てている事だろう。
そして、シンは
「っ!」
声を絞り出す事も出来ず、音声入力を切り、半ば本能的な操作のみでグルンガスト飛鳥を駆り、明らかに鈍った反応でかろうじてシニストラやデクステラと戦っている。
脊髄反射的な戦いでも、それだけ戦えるのだから大したものだが、本来のシンを知る者からすれば無残と見える戦いぶりだ。シンがこのざまでは、ムラタも相手にしようとは思わないだろう。
シンのフォローに意識を割きながら、スティングは同時にビアンの容体にも気を配らねばならなかった。なにしろ一勢力の頂点が、自ら最前線に赴くという戦闘における最悪とも取られる選択肢を選んでいる。
ビアンの容体が万全なら、乗機であるネオ・ヴァルシオンの非常識ない性能とあいまって、スティングもさほど心配はしなかったかもしれないが、今のビアンは撃墜される可能性よりも、コックピットの中でひっそりと息を絶える可能性の方がはるかに高い。
戦闘以外に肝を冷やさねばならない対象が二人も居る状況で、スティングは上手く戦えていたといえよう。
対AIセカンド戦の先鋒を務めるビアン達の周囲に、味方の識別信号が増えた。ビアン直属の親衛隊ラストバタリオンである。LB仕様のガームリオン・カスタムやバレルエムリオンが編隊を組んでビアン達の周囲に群がるメディウス・ロクス達と交戦を始める。
ひときわ巨大な熱源反応に、ビアンが目を向けた。ビアンのオリジナルヴァルシオンを元にして、C.E.の技術で再現したヴァルシオンシリーズの特機“ヴァルシオン・ギナ”である。
返り討ちにした勇者の血で濡れた様に赤いネオ・ヴァルシオンと比べれば、夜の帳を燕尾服の様に纏った貴公子然としたヴァルシオン・ギナことギナシオンが、ネオ・ヴァルシオンの隣に並ぶ。
さらに後方からテスラ・ドライブの光の尾を引いて、鋼の戦乙女ミナシオーネと従者である超音速の妖精フェアリオンたちも姿を見せる。スティングはおい、と頬が痙攣するのを意識した。
ギナシオンとミナシオーネのパイロットはそれぞれ、ロンド・ギナ・サハクとロンド・ミナ・サハクDC副総帥の両名だ。よりにもよってDCのトップ三人が最前線に顔を並べているのだ。
自分達が万が一にも撃たれる事態をまるで想定していないのかと、スティングは説教を垂れたくなっても無理はないだろう。
「なんといおうがお前について行かせてもらうぞ」
とミナ。ヴァルシオーネタイプ用の専用パイロットスーツに身を包みながら、どこか憮然と告げる。置いて行かれるのは心外だとばかりに告げる表情であった。
「ふ、総帥を討たれたとあってはDCの名折れだ。ラストバタリオンの名誉にも関わるのでな、私も轡を並ばせてもらうぞ」
ギナが隊長を務めるラストバタリオンは、ウルブズに並ぶDC内の最高戦力集団だ。とはいえ、二つのウルブズに続きラストバタリオンまで前線に出ては、マイヤーの居る主力艦隊の安否が気遣われる。そういう疑問を顔に浮かべたビアンに、ミナが答えた。
「トロイエ隊にロレンツォ、それにエリカ・シモンズの調整した疑似人格コンピュータ搭載の無人MS部隊も配置してある。背後の連合艦隊に挟撃されようが、容易くは落ちん」
支援
疑似人格コンピュータ搭載MSは、以前から開発していた戦闘用AI搭載型MSの発展型だ。要するにジャンク屋ロウ・ギュールの所に居る『8』というコンピュータとほぼ同じモノと言っていい。
アルベロと共にコズミック・イラに来たAI1などを元に開発されたAIで、戦闘以外でも日常的な会話をこなす器用さも見せている。開発者達の間では、ほとんど人間と同じ扱いを受けているという。
「我らは後方を気にせず、ただただ眼前のクズ鉄どもを蹴散らし、蹂躙し、粉砕すればよいのだ」
傲慢なまでのギナの口調に、むしろ頼もしさを覚えてビアンは薄く笑った。サイレント・クライの両ウルブズは、先行するビアンよりかなり後方に居る。このままネオ・ヴァルシオンとLBの戦力で一気にAI1セカンドの喉元まで突っ切るのも手か。
そう思案しながら、ザフトのWRXや残った核動力機部隊との合流を図る中、ジェネシス破壊に動くビアンをはじめとした全員の機体に、アルベロのガームリオン・カスタムからデータリンクが成された。
予備機のガームリオン・カスタムに乗り換えたアルベロが、彼方に見えるAI1セカンドを見て、苛立たしげに舌打ちを打った。
この世の産物とは思えぬ異形の姿に変わり、おぞましい咆哮を今にも上げそうな姿へと変わったAI1セカンドの姿は、生前の世界で見た憎むべき仇敵デビルガンダムを思い起こさせた。
アルベロが隊長を務めていた本来のクライ・ウルブズを壊滅させ、一度シャッフル同盟によって倒されながらも、ある者たちの目的の為に蘇り、マスドライバーと融合したデビルマスドライバーを。
さしずめデビルジェネシスとでも呼ぶべき姿に変わったジェネシスと、先程のエルデ・ミッテの通信で、アルベロは消えた筈の復讐の火種が燻り始めるのを感じていた。答えはないと知りつつも、アルベロはAI1に問いかけた。
「見ろ、AI1。貴様の生みの親があそこに居るぞ。おれ達同様に、やはりこの世界に来たらしいな。あの世界での敗北で、お前は兵器としての在り方を学び、そしてそれを受けいれた。
だが、奴は何も変わらなかったようだな。死してなお妄執からは逃れられなかったようだ。ならば、おれの手で生の辛苦ではなく、死の恐怖を奴に選ばせる。良いな?」
AI1はやはり答える事無く、アルベロの指示によってDC、ザフト、ノバラノソノの全機へのデータリンクを続行している。
かつてMXの世界での最後の戦いで、ラ・ムーの星を取り込み暴走したAI1が記録していた戦闘データを共有する事で、オリジナルメディウス・ロクスに残されていたデータを反映させたAI1セカンド軍団との戦いを有利なものに変えるためだ。
「その動きは、カミーユ・ビダン! そっちはヤマダ・ジロウか、そしてこいつらはガンダムチーム」
ふん、と嘲りの笑いと共に、アルベロは時に敵として、最後に味方として戦ったあの世界の戦士達の動きを思い出しながら、彼らの癖を思い出し、的確に機体を操作して反撃をする。
「動きそのものは確かに奴らのものだ。だがな、やはり貴様は学ばなかったか、エルデ・ミッテ。機動兵器の性能を最大に、いやそれ以上に引き出す最大の要因が、『人間』である事を!」
そのアルベロの言葉を証明するように、本来のパイロット達であったなら苦戦必至のエース達のデータを忠実に反映したはずの写し見達を、見る間に撃墜してゆく。
機械は機能を百パーセント引き出せる。だが、人間は百パーセントを超えるものを引き出す。それを、今まさにアルベロは実演して見せているのだ。
シン達に追いついたアルベロに、ステラが嬉しそうに声を上げた。厳しくて怖い部隊の隊長というよりは、熊みたいなお髭のおじさん、とステラの中では認識されている。どうにも中年との相性がステラは良いらしい。
「アルベロ!」
「隊長を着けろと言っているだろう、ステラ。お前達も無事なようだな。あの女の頬を張りに来たか。ふん、エルデ・ミッテめ、あそこまで突き抜ければいっそ見事という他ないかもしれんな」
「なに、隊長、知り合いなわけ、あのオバサンと? ていうかさ、隊長のAI1て名前同じじゃねえ? どういうわけだよ」
これはアウルだ。若干疲労の色は見えるが、まだまだ溌剌とした活力を輝かせていて、このまま長丁場の戦闘が続いても最後まで、軽口を止める事はないだろう。
「軍の極秘プロジェクトで色々と関わり合いがあってな。以前、おれが引導を渡し損ねた相手だが、確かに冥土送りになったはずなのだが、ここでもう一度止めを刺してくれる」
「因縁ありの相手だったか」
以前、アルベロから聞かされた話を思い出したビアンが、短く呟くのも大儀そうに言った。AI1やアルベロの居た世界の話を聞いた時に聞かされた中に、エルデ・ミッテの名は何度も出て来たのだ。
ビアンの声色に危険なものを聞き取り、アルベロは浮かべた獰猛な笑みの代わりに、険しい表情を浮かべた。何度も戦場で聞きとった、死の手に掴まれた者の声に極めて似た響きだった。
ビアンでさえこれでは、より重い怪我を負ったというシンなど、いつ落命してもおかしくはない状態に違いない。我が身を可愛いと思う神経は、この二人に期待してはならぬようだ。
さらにリカルドのザムジード、インスペクター四天王の三人、ザフトのブランシュタイン兄弟、ノバラノソノのアスランが駆るジャスティス、さらにサーベラスも加わり出す。
ムウやディアッカ、三人娘らはすでにノバラノソノ艦隊へ戻り、カーウァイの指揮下で襲い来るAI1セカンドの生産部隊と激戦を繰り広げている。ザフトの方も、ホーキンス隊やサトー隊といった精鋭部隊が獅子奮迅の戦いぶりを見せる。
相手がわけのわからない気が触れたとしか見えない女であっても、それが本来守るべきはずだった決戦兵器ジェネシスであろうとも、戦わねば故郷は守れず家族を守れない。
その一点が、プラントに所属するコーディネイター達の精神に闘争の焔をごうごうと燃やす。彼らの戦いぶりは故郷を守る誇りに満ちた戦士達のものだった。
「AI1に奴らの戦闘データをお前達の機体にリンクさせた。これでずいぶんと戦いやすくなるはずだ。さあ、一気に蹴散らしてあの女に人間の底力というものを見せ付けてやれ!」
鬨の声を挙げるアルベロに応え、ネオ・ヴァルシオンを旗頭にした軍勢は、デビルジェネシスを支配するAI1セカンドと、その狂気の根源エルデ・ミッテを討つべく銃火をさらに激しいものへと変えた。
AI1セカンドとの魔戦を繰り広げる戦場からわずかに離れた虚空の闇で、自由と神の意思を冠する二つの機体が、因縁に決着を着ける為の戦いを繰り広げていた。
人類最高のスーパーコーディネイターとして生まれ、異世界の因子を取り込み、その想定されたスペック以上の数値を叩きだす進歩を始めたキラ・ヤマトと、その愛機フリーダム。
その生まれからして人間の業の産物たる己を憎み、世界を憎み、破滅を望む絶望の影を背負った男ラウ・ル・クルーゼと、その力プロヴィデンス。
虚空に乱舞するプロヴィデンスのドラグーンは、すでにその数を五つにまで減らしていた。
宇宙に適応した知覚能力を発芽させたクルーゼの操るドラグーンは、本来の歴史における彼の技量をはるかに上回る威力を発揮していたが、キラの成長はそれ以上のものであった。
終焉の運命を覆した銀河で戦い抜いた『キラ・ヤマト』の記憶が刻印された、この世界のキラ・ヤマトは、数多の戦友と師に恵まれた事もあって、シン・アスカ同様に驚くべき成長を遂げていたのだ。
「あんな人まで世界を滅ぼそうとしているのも、貴方の望みどおりだというんですか!?」
「ふん、私にとって予想だにしなかった事態ではある。どうやらエルデ・ミッテの望みは全てをあのAI1とかいう化け物に取り込ませることらしいが、それもまた人類の破滅の形だ」
「だったら、それでも構わないと!?」
フリーダムのルプス・ビームライフルとプロヴィデンスのユーディキウム・ビームライフルとがお互いをセンターマークに捉える。引き金を鋼の指が引き切り、同時に回避行動に移っていた両機の背部ユニットをかすめた。
左腰アーマー側にマウントされているクスフィアス・レールガンの砲身を展開して、キラはフリーダムに横滑りさせながら、立て続けに超音速の砲弾をプロヴィデンスめがけて見舞った。
背部ウィングユニット内のバラエーナ・プラズマ収束砲は、高機動形態では使用できないし、クルーゼの張る重厚な光の網から逃れるには、フリーダムを常に動き回らせるしかないから、使用していない。同じ理由でハイマット・フルバーストも論外だ。
放たれるキラの殺意に脳を刺されるような痛覚を覚え、クルーゼは絶妙なタイミングで宇宙空間を穿つ様に襲い来る超加速弾頭をかわす。到底人間の視力では認識できぬ、音速をはるかに超えた弾頭も、放たれる前から避けていれば当たる道理もない。
それを可能とするのは、クルーゼが目覚めたニュータイプの感覚によるものだ。だが、その感覚と、ナチュラルとしては極めて優れた天才の部類に属するクルーゼの身体能力を持ってしても、今のキラが相手では互角がようやくといった所であった。
果たして、何を持って気付いたのか、キラは背後に回り込んだドラグーン二基を振り返りもせずに、ルプス・ビームライフルを肩越しに背後に向けて二射するだけで撃ち落として見せる。
かすかな熱源反応? それともドラグーンが噴き出す推進の炎が目に映ったのか? あるいは、ドラグーンが弾いたスペース・デブリの動きに気づいたのか? クルーゼのドラグーンの操作の癖を覚えたのか?
どれ一つとっても、ちょっと人間離れした芸当だが、キラが成したのはその全てが理由であった。終焉の銀河世界の戦いすべてで得た経験値を手にし、強化されたキラの能力は、今まさにこの世界で最強のレベルにまで達していたのである。
ようやく互角と称したクルーゼとキラの技量だが、それは、やはり撤回しなければならないだろう。
なぜなら、今またドラグーンを失い、プロヴィデンスに軽微な傷を負っているクルーゼに対し、キラの操るフリーダムには一切の損傷が無い。パイロットであるキラの疲労は別にして、今だフリーダムは無傷なのだ。
戦場での戦闘経験でははるかに自分が上回る筈だというのに、この現実を前にして、クルーゼはやはりスーパーコーディネイター、自分達をはじめとした数多の代償を引き換えにして生み出された存在か、と半ば自嘲するような思いを胸に抱いた。
「願わくば、この私の手で人類の終幕劇の幕を下ろしたかったがね。あの女ただ一人が生き残るというのも腹立たしい。だが、ジェネシスが破壊されてはこれまでの喜劇が水の泡だ。万剋の涙を飲んで、あの女のもたらす破滅で妥協するさ」
「喜劇? これまでの人死にも、全部、そう言うのか!? 貴方は、そこまで人間を憎んで!」
「憎まざるを得なかったのだよ。愚かな人間の振る舞いを見れば、体験すれば、誰だって私の様になるさ。そんな世界を作り出した人間の歪みを私は憎むのさ。その最たる象徴、スーパーコーディネイター!! 君は、君だけは、私の手で討つ!」
「そこまで貴方がぼくを憎むというのなら、ぼくは貴方の憎悪を真っ向から受け止めて見せる。ぼくは貴方が思うほど優れた存在じゃないけれど、貴方の憎悪を受け止める位の度量と覚悟は、ある!」
図った様に二機の動きが止まる。残った三基のドラグーンが、エネルギーを再チャージする為にプロヴィデンスの元へと戻り、接続される。ひゅ、と細い呼吸の音を立ててキラが息を飲んだ。
フリーダムめがけて、三方へ散るドラグーン。同時にクルーゼは真正面からビームを撃ち、キラはフリーダムの半身を反らせて回避。間一髪の回避は、わずかにフリーダムのPS装甲を焼く。
正面からのビームに遅れて三方から襲い来たドラグーンのビームは、回避後全スラスターと、バーニアを全開にしてプロヴィデンスめがけて突撃したフリーダムが、一瞬前まで居た空間を貫いた。
クルーゼの眼には、ドラグーンのビームがフリーダムの残像を貫いたと映った。見る見るうちに大きくなってゆくフリーダムの機体が、こちらへ向けてルプス・ビームライフルの銃口を動かすのが、いやにゆっくりと見えた。
クルーゼの思考もまた、この極限状況で最鋭敏化し、最速に至る。思考と肉体はほぼタイム・ラグなしに連動して見せた。ドラグーンの子機を失ったバックパックをパージしたかったが、メインバーニアでもある為、そうもゆかぬのがもどかしい。
ビームがプロヴィデンスの右肩アーマーを貫いて融解させるのと同じくして、弾かれる様にプロヴィデンスもフリーダムめがけて真っ向から突撃した。
「おおおおおおお!!!」
「あああああああ!!!」
二人の喉から迸る原始的な叫び。胸の奥に蟠る激情の全てを、憎しみを、悲しみを、恨みを、妬みを、二人の人間が心の底に積らせ育てていた感情という名の獣が、叫ぶのだ。
互いに向けあった銃口から何度も光の矢が放たれる。ただまっすぐに突っ込みあっているように見える二人は、最小限の回避行動をとり合い、必中必殺を狙った互いの攻撃を回避し続けた。
傍から見たものが、激突しばらばらに砕け散る二機の姿を思い描く勢いでぐんぐん近づく二機が、ほぼ同時に空いていた左手を動かした。
プロヴィデンスはシールドと一体化したビームサーベルを振り上げ、フリーダムは左腰にマウントしてあるビームサーベルを逆手で抜き放つ。
光で描かれた上弦の弧月が、プロヴィデンスが横薙ぎに振るった光の刃を受ける。正確には、プロヴィデンスのシールドのビームサーベル発生器の基部を見事切り裂いて見せたのだ。
キラは振り抜いたビームサーベルを、プロヴィデンスの左側頭部へと突き立てる。反応する間もなく頭部を貫かれ、メインカメラが死ぬが、サブカメラに切り替わるよりも早くクルーゼは散ったドラグーンを動かした。
支援
残る三基がフリーダムの背中を狙って同時にビームを放つ。後ろに目が有ろうとも回避できるとは思えぬその攻撃を、キラはフリーダムを飛び込み前転をさせる要領で機体を半回転させ、左手のシールドで受け、クスフィアスの三射で破壊する。
シールドが光の矢三本を受け止めた時、すでにフリーダムの右手にライフルは、プロヴィデンスの胴を狙い、プロヴィデンスのライフルもまたフリーダムのコックピットを正確に狙っていた。
息つく間も、瞬きをする間もない一瞬の攻防は、目まぐるしく攻守所を変え続ける。同時に放たれたお互いのコックピット狙いの一撃は、虚しく虚空を貫いた。
再び離れる二機。肺いっぱいに吸い込んだ息を吐くより、キラは銃口を向ける事を選び、それを牽制するように彼方から降り注いだビームを回避した。
突如出現したAI1セカンドに誰もが眼を向けて、キラとクルーゼには誰も眼をくれなかったが、ここにきて例外が生まれたらしい。
その正体を見て、キラの眼が大きく見開かれ、聞こえてきた声に、クルーゼもまた驚きに目を見張った。
「あれは、確かWRX!? ザフトのスーパーロボットか」
「ラウ!」
「レイ、君か」
血の絆故か、クルーゼと自分にとっても因縁のある相手キラの存在を感知したレイがイザークやルナマリア、シホらを説き伏せて――いや懇願して、この場に急行したWRXであった。
地球連合を除く全ての者達がデビルジェネシスに注意を向ける中、当然WRXもそちらに向かうべきであったが、イザークやルナマリアらかしても初めて目にするレイの必死な様子に折れて、こうしてこちらに向かったのである。
ヴィレッタやシホ達は先に対AI1セカンド戦線に向かっている。
フリーダムの姿に、アラスカで呼びかけてきた少年を思い起こし、イザークはわずかに眉を寄せた。あの時の少年とは限らぬが、こんな状況で戦っている場合ではないだろう。
「ラウ、怪我は!?」
「損傷は貰ったが、私自身は無事だよ。その機体、たしかイザークも乗っていたな」
「クルーゼ隊長、お久しぶりです」
「いや、助かったよ。危うく討たれる所だった。君も立派になったものだな、特機を任されるとはね」
「いえ、ですが今はあのフリーダムを。相手にするよりもジェネシスとの戦いを優先すべきでは?」
「そうも行かぬのだよ。私にとって、そしてレイにとっても」
「レイに? どういう事よ、レイ」
WRXに合体した状態での出力制御に四苦八苦していたルナマリアが、クルーゼの言いぶりに含む所を聞き取り、戦友に問いただした。
レイは、クルーゼの声の奥底に秘められた怨念を感じ取り、目の前のフリーダムのパイロットに思い当たり、麗美な顔立ちに深い嫌悪の情を浮かび上がらせる。
「まさか、キラ・ヤマト!」
「そうだ、レイ。あのキラ・ヤマトだよ」
二人から向けられる憎悪を、肌に突き刺さるプレッシャーとして感じながら、キラは目の前に立ちはだかった新たな敵の姿に、脅威を感じ取っていた。
クルーゼ一人でもメンデルの時とは段違いの実力に苦戦していたというのにザフトがその威信をかけて作り上げた機体と、それに相応しいパイロットが乗り込んでいるに違いないWRXを同時に相手にする事は、敗北に直結している。
それでも、恐るべきはキラ・ヤマトといえた。WRX単体とでなら、フリーダムで互角に戦えるほど、終焉の銀河の戦闘経験を完全覚醒させたキラの技量が卓越しているのだ。
だが二対一、加えてクルーゼとの戦いで神経を減りすらし、AI1セカンドの出現で気が急いてもいる。二機がかりで来られては、一分も保つまい。
フレイとの約束を胸に、まだ死ぬわけにはいかないと、気力を振り絞るキラであったが、死の横槍はさらに続いた。それまでこちらに向かってこなかったシニストラやデクステラの大群が、大量発生した蝗の様に襲いかかって来たのだ。
狙いを着けていないかの様にでたらめに放たれるビームや、高速で襲いかかる体当たりを、とっさにその場に居た三機が回避する。
「こいつらあ、撃墜するよりも増殖する方が速いのか!?」
「ラウ、下がって、おれ達が一気に片付ける! ルナマリア!!」
「分かっているわ。TE、フルドライブ! 全火器のファイアリングロックオープン!
イザーク隊長、照準お願いします!」
「分かった、行くぞ! 貴様ら全部、まとめてデブリにしてくれる。この、WRXでな! WRX……フルッバァアーーストッ!!!」
支援
破壊の光を灯すWRXの両手十指、ゴーグル型のメインカメラ、内蔵したミサイル弾頭を開放する脚部、肩部のデス・ホーラーも内蔵火器を解放する。
一斉に放たれた光が襲い来る敵機を、イザークの宣言通り一瞬で破壊し尽す。
ザフトの技術の結晶と呼ぶにふさわしい、途方もない戦闘能力である。さしものクルーゼも一瞬呆気に囚われ、キラもクルーゼの存在を忘れていたかもしれない。
宇宙の一角を光の絨毯が覆う中、最大火力を放ち、機体全体にかかる負荷に動きをとめるWRXへと襲いかかる影に、クルーゼだけが気付いた。いち早く彼が気付いたのは、単なる偶然だったろう。
光の絨毯の中から飛び出て来た半壊状態のメディウス・ロクスが、残った右手のコーティング・ソードをWRX目掛けて突き出しながら、突っ込んでくる。
気づいたイザークが、回避しようとするも、最大出力での砲撃に、機体の反応が鈍っていたWRXは、イザークの操作に誤差を生じて反応した。
「くそ、間に合わ」
イザークが、WRXを貫くコーティング・ソードの衝撃に備えようとした時、二機の間に割り込む別の機影があった。プロヴィデンスである。
深々とプロヴィデンスを貫いたコーティング・ソードの切っ先が背から抜け出るのを、レイは、いやにゆっくりとアイスブルーの瞳に映していた。
プロヴィデンスのビームライフルが、やや窮屈な角度からメディウス・ロクスの胴を貫いて沈黙させる。コーティング・ソードに貫かれた箇所から、白い雷の花を咲かせはじめるプロヴィデンスの様子に、レイが気付いた。
「あ、ああ、ラウ!」
「無事だな……レイ?」
ひどく苦しげなクルーゼの声が、レイに返ってきた。プロヴィデンスのコックピットには、貫かれた際の衝撃で小さな爆発がいくつも起き、クルーゼも内蔵のどこかをやられていた。
口の中に溢れる血の味を感じながら、クルーゼは、自分の行動に疑問を覚えていた。確かに、レイは自分にとって唯一家族と呼べる存在だ。だが、だからといって、こうして身を張ってまで庇うなど、自分には信じられなかった。
自分自身のみならずレイさえも含めて人類の破滅を望んだのが、このラウ・ル・クルーゼではなかったか。なのにレイの危機を目の当たりにするや、機体を盾にして庇うなど、まるで矛盾している。
(なぜ……私は、レイを、庇った?)
「ラウ、ラウ!?」
「隊長、今助けます、コックピットから脱出してください!」
「内臓をやられた。どの道助からんよ……」
「ラウ、そんな……」
「くっ」
ノイズを交えながら、かろうじて生きているモニターに、くしゃくしゃに顔を歪めたレイが映っていた。かつてのクルーゼと全く同じはずの端正な顔が、流した涙で濡れていた。
(泣いているのか、レイ。誰の為に? 私の為に?)
それは、こんな時だからこそ、クルーゼに大きな驚きを与えた。自分の様な存在の為に涙を流すものが居るなど、例えそれが自分の半身とも呼べる存在であれ、信じられなかった。自分の命さえ駒にするような自分の死を悲しむ者が居るなど。
「レイ、泣いて、いるのか?」
「ラウ、当たり前でしょう……。貴方は、おれの、家族なのだから」
「そう、か。私は君の家族か、そう、だったな……」
ふっと、自分の口元から力が抜けるのをクルーゼは感じた。“家族”、だからか、自分が体を張ってまでレイを守ろうとしたのも、レイが涙を流すのも。
今際の際に悟ったその事実に、クルーゼは不思議と穏やかな気分になっていた。
「レイ」
「ラウ……?」
「君は、君だ。私ではない。……君は君のなりたい自分になりたまえ。アルダでもラウでもない、レイ・ザ・バレルに、他の……誰が何と言おうとも、君は世界にただ一人の君なのだから」
「ラウ、そんな、そんな事」
「ふふ、ああ……そう……だ。キラ・ヤマト」
クルーゼに声を掛けられたキラは、ひどく固い声で答えた。はたしてこの男が、死の間際に何を言い残そうというのか。それが呪いの言葉の様な気がして、キラは思わず身構えてしまう。
「そう、身構える事もあるまい。……マルキオに気をつけろ」
「え?」
「正確には、奴に憑いたモノに、だ。奴自身、どうにかしようと足掻いてはいるが、無駄な……努力だ。世界が、このまま、憎悪に進めば……鍵が開く。門の、鍵が……」
「ラウ・ル・クルーゼ!?」
「ラウーーー!!」
「ああ、レイ、どうか、私の様には、なるな。そして、私の……分まで」
“生きろ”。
そう言い遺して、狂気の道を選んだ男は、新たに生まれた爆発の中に飲み込まれ、消えていった。
こんな気分で死ねるのなら、悪くない――そう思うクルーゼの想いの残滓と、生きろという言葉が、レイに残されたクルーゼの全てであった。
大口径プラーナ砲エレメントバスターの一撃が、シニストラの群れを掃射し、ブリッジトカノンもそれに続く。LBのガームリン・カスタム部隊のオクスタンランチャーの一斉射撃も加わり、AI1セカンドを守る壁が、徐々に削り取られてゆく。
絶えずマシンガン・ポッドを撃ち続け、時にコーティング・ソードで切り結ぶサーベラスのコックピットで、アクア・ケントルムはヒューゴと同様のデジャ・ヴュに襲われていた。
サーベラスのパイロットとして、開発者であるエルデ・ミッテとはそれなりに親交があったが、先程の強制通信で見せつけられた狂気は、その時には片鱗もなかった。
アクアがWRXチームと行動を共にするようになってからは会う機会もなかったが、その間にあの狂気を育んだものか。どこか背筋にうそ寒いモノを感じながら、アクアは懸命にプラントを守る為に戦い続けていた。
『あぁら、まだ死んでいなかったの、アクア・ケントルム?』
「ミッテ博士!?」
サーベラスだけにつなげられた回線から、鼓膜にべっとりと張り付くような声が聞こえてきた。映し出されるのは狂気を孕み、産み落とした女の美貌。
「貴女は、こんな事をしてまで、AI1を成長させたいのですか!?」
『そうよ、そうよそうよそうよそうよ!!! 私のAI1が、世界すべてを内包し、頂点に君臨する! これが、これに勝る至福があって!? 最も貴女には理解できない事は分かっているわ。
貴女なんかにはこれっぽっちも価値を認めてはいないけれど、そのサーベラスに搭載したTEエンジンには多少の価値があるの。感謝しなさい、貴女も、このAI1の一部にしてあげるわ!!』
「狂ってる!」
『あはははは、私の望みが狂気だというのなら、それで構わないわ。この幸せを否定するものが正気だというのなら、私は全ての正気を否定し尽すまでよ!』
「貴女という人は!?」
『じゃあ、さようなら、アクア・ケントルム。すぐにAI1の一部になるでしょうから、その時、また、ね?』
そう言って、ぶつん、とモニターが消える。暗黒に変わるモニターを睨みつけ、アクアは嫌悪を露わにした顔で吐き捨てた。
「貴女の思い通りになんてさせないわ」
コーティング・ソードを一振りして、貫いたシニストラの残骸を彼方に打ち捨てて、アクアはモニターを埋めるAI1セカンドの巨大な影を睨んだ。
無論の事だが、アクアのサーベラスのみならず、ビアンをはじめとしたDC部隊も、ザフト部隊も決死の覚悟でAI1セカンドと死闘を繰り広げ、その膝元までじりじりと迫っていた。
「ぬおおおおお!!」
投与した薬物が効を奏し、鮮明な意識を取り戻したビアンはネオ・ヴァルシオンの性能に巻かせた力押しで、一気にAI1セカンドを守る壁の突破を敢行した。単調な力押しは愚策だが、それ最善の策となる時もある。
今は最善となる場合だった。ビアンにギナ、ステラ、シン、スティング、ステラ、アウル、さらにアクアとアルベロも続く。
ぽっかりと開いた穴を埋めるべく、残ったシニストラやデクステラが集まった所で、ミナシオーネが最大出力のサイコブラスターが押し留める。さらに、リカルドのザムジードも、二発目となるレゾナンス・クエイクで群がる敵を砕く。
「行け! 行って、あの女の顔面に拳を叩きこんで来い!」
「あと、ここにはいない連中の分もまとめて頼んます!」
「全力の一撃を見舞ってくる!」
ミナとリカルドにビアンが答え、突入した八機がAI1セカンド目掛けて各々の武器を振りかざした。
『来たわね、脆弱で愚かな人間達! AI1と一つになる幸せを否定する哀れな子羊。さあ、自分達の無力を知って、嘆きの中でAI1と一つになりなさい』
「うるせえ、ババア! おれ達はおれ達のまんまでいいんだよ」
「ステラは、皆が好き。一つになれたらさみしくなくなるかもしれない。でもステラはステラのままでいたいの。皆は皆のままでいて欲しい。ステラと違う皆、皆と違うステラ。だから楽しいって思えるんだと思う」
「おれの言いたい事はアウルとステラに言われちまったんでな。アンタを斃す事だけにしとくぜ」
『ふふ、子供の戯言よ。AI1の中で一つになってから、それを拒んでいた事を後悔しなさい』
クライ・ウルブズの子らが叫び、それにギナとシン、アクアとアルベロも続く。
「子供らでさえ異常と分かる貴様の語る狂気の夢など、耳にするだけで汚らわしい。我が前から消えよ」
「アンタに言う事はない。斬る、それだけだ!」
「エルデ・ミッテ、貴女の夢は夢想のままに終わりなさい!」
「ふん、死んでも学習せんとはな。馬鹿は死ねば治るというが、貴様はそうでもなかったか」
『その声、アルベロ・エスト!?』
「久しぶりだな、エルデ・ミッテ。それが貴様の新しいAI1か、ではおれの所にあるAI1はお前にとってなんだ?」
『あはははは、貴方もこちらの世界に来ていたとはねえ。なら、その失敗作が一緒なのも分かるわ。私がメディウス・ロクスの残骸と一緒だったように、貴方は失敗作と一緒だったのね』
「失敗作だと?」
狂気そのものの愛情を注いでいたAI1を、失敗作と断じるエルデに、アルベロがいぶかしげな声を出した。
『そうよ! ただの機動兵器として在り続けようとするなんて、私が愛し、育て、創り上げたAI1ではないわ。
私の言葉に耳を塞いで自己の消滅を受け入れ、究極の高みに登ろうとしなかったソレは、ただの、失敗作よ! 今度こそ私は、真のAI1を育て上げるの。貴方達はその生贄になりなさい』
「ふん、結局は自分の思い通りに動くおもちゃしか認めぬというわけか。いいだろう、その狂気、今度こそこのおれが、この世界で終わらせてやる」
『やってみせなさい。そんな貧弱な機体と、AI1の失敗作如きで人間が出来るものならねえ!』
エルデがアルベロに荒げた声を浴びせるのと同時にAI1セカンドの表面に、鋭い爪を備えた触手と、砲口を持った触手が無数に伸び出して、一斉にアルベロ達に襲いかかる。周囲に展開していたシニストラらを巻き込むのも厭わず、狂ったように連射される。
AI1セカンドが健在である限り無限に戦力が生み出される事を思えば、無謀な攻撃方法ではなかった。その巨体に相応しい無数の砲口は、狙いを着ける必要などないほどに膨大な数であった。
回避行動を取ったその先にも襲い来るビームと触手の一撃に、休む暇など一秒たりとも与えられず、一層激しくなる攻撃を前にして、シン達もさすがに攻めあぐねた。
突破したメディウス・ロクス達はLBとミナが引き受けているが、それを上回りかねぬ攻撃の嵐であった。
広域に展開した空間歪曲場と重力偏光場で、襲い来る攻撃の全てを跳ねのけていたネオ・ヴァルシオンのコックピットで、ビアンが叫ぶ。言うべき事は全て子らが語った。ならば、親たる自分は子供らの未来を塞がんとする眼前の敵を討ち滅ぼすのみ。
「行くぞ、ネオ・ヴァルシオン! あの女に、単独で戦局を覆すスーパーロボットの真骨頂というものを教育してやるのだ」
ネオ・ヴァルシオンの前方の空間に、ワーム・クロスマッシャー使用時に展開する歪曲空間の黒い穴が開き、ネオ・ヴァルシオンの巨躯がその穴に飛び込んだ。抜け出る先はAI1セカンドの、頭部に当たる個所のすぐ目の前だ。
ジェネシス本体と換装ミラーの中間地点にあたる。歪曲させた空間を通過する事によって、一種のワープ現象を引き起こしたのだ。AI1セカンドを目前に置き、ネオ・ヴァルシオンの胸部装甲が開く。
展開された胸部から、三種の破滅の嵐が吹き荒れ始めた。
「オメガ、ビッグバン、メガ・グラビトン、フル出力! 受けよ、ドライ・ウェーブ!!」
ビアンが口にした通り、オメガ、ビッグバン、メガ・グラビトンの三種の波状攻撃を同時に放ち、それぞれの威力を相乗的に増幅させて対象を破壊し尽すネオ・ヴァルシオンの必殺の一撃である。
ドライ・ウェーブの放射を受けたAI1セカンドのラズナニウムとPS装甲の複合装甲が、見る間に形を崩し、砕かれてゆく。波紋のように広がるそれが、瞬く間にAI1セカンドの巨躯を穿ち始めた。
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ヤラファス島でのヴォルクルス分身体との戦いでは、例えディバイディングドライバーの形成したバトルフィールド内であっても、強力すぎて使用を控えた兵装であった。
正常な細胞を侵食する癌細胞の様に、見る見るうちにAI1セカンドの巨躯を、漆黒と黄金と緋色が混ざり合う破壊の嵐が蹂躙してゆく。
悪魔そのものの存在と化したと言えるAI1セカンドに、こうも容易くダメージを与えるとは。
『私のAI1に、傷を!? よくもやってくれたわね、ビアン・ゾルダーク!!』
「貴様は狂気の夢に沈んだまま命尽きてるがよい!」
『言ってくれるわね、けれど、私のAI1はこの程度の進化では終わらないわ。その機体も、貴方の頭脳も取り込んであげる!』
目下の強敵はネオ・ヴァルシオンと見定めたエルデが、膨大というも虚しいAI1セカンドのエネルギーを、ドライ・ウェーブを受けたラズナニウム装甲へと集中させる。
一方的に破壊されるだけだった装甲が見る間に癒着し、新たな装甲を装甲が生み、破壊と再生が拮抗する。
「む!?」
『あははははははは、見るがいい。AI1は不滅、AI1は永遠、AI1は究極! 誰にも何を持ってしても、このAI1を滅ぼす事などできはしないのよ!! 抗うのも諦めるのも好きになさい。結果は同じなのだから!』
エルデ・ミッテの哄笑も無理はなかった。ネオ・ヴァルシオンの攻撃の中和に多くのエネルギーを割きながら、展開するTEスフィアとラズナニウムの再生機能、さらにPS装甲の対物理、ビーム耐性によって、他の機体の攻撃もほとんど効果を見せていない。
群がる蠅の鬱陶しさを笑う様なエルデの狂い笑いが木霊する。
「ぬ、く、機体よりも先に私が保たんか」
度重なる投薬の効果も薄らいだのか、ふいに眩暈を覚えて、ビアンは重くなる瞼をかろうじて堪えながら。唇を噛み破って意識の覚醒を促した。噛み破った唇から溢れて、口の中に満ちる血を飲み下し、目の前の敵を睨み据える。
「いざとならば、この身と引き換えにしてでも……」
ネオ・ヴァルシオンの動力に用いているEOTから開発した超動力源の暴走を引き起こし、相討ちに持ち込む事も厭わぬ覚悟を決めた。
ひっきりなしに放たれる光の矢と触手の嵐の中で、もっとも動きが鈍っていたグルンガスト飛鳥が、最初に捕まり始めた。機体を何度も打ちつけ、穿とうと襲い来る衝撃に、シンは必死に歯を食い縛って絶えた。
「シン!?」
「ぐあ、く、しまった!」
ステラの悲鳴と共に、振るわれた触手の先にの鉤爪に、飛鳥の左腕が肘関節から破壊され、両手で構えていた獅子王斬艦刀が左腕ごと彼方へと飛んで行ってしまう。
ウォーダンとスレードゲルミルによってシシオウブレードを斬り砕かれた時に、二度と手にした刃を落とさないと、砕かれるような事はしないと誓ったのに、今、自分は刃を手放してしまった!
その事実の認識は、途方もない後悔をシンの胸に湧き起した。
「くそ、また、おれは!?」
『あははは、どうしたの? 貴方達に出来る抵抗はその程度なのかしら? それっぽっちの力しか持たないのなら、生きている価値もないでしょう。AI1の糧となる事を光栄に思って……』
「黙れ!!」
快刀乱麻を断つかの如く、エルデの言葉を遮った口上に、後悔に焼かれる意識の中で、シンが反応した。
「この声、ウォーダン・ユミル!?」
『なにがっ』
「ぬおおおおおおおお!!!」
『これは、さっき取り込んだ特機!』
ぼこり、とAI1の装甲のある一点に隆起が生じ、それは宇宙をどよもす轟の様な声と共に一気に内側から破裂した。上半身にラズナニウムの残骸を生物の臓物の様に纏いながら、傷ついた戦神――スレードゲルミルが姿を見せた。
右手に斬艦刀を握り、いまだ下半身はAI1セカンドの内部へと埋もれながら、ラズナニウムに取り込まれる事無く、姿を現したようだ。
『なぜお前が……。ラズナニウムの特定部位の再生にエネルギーを集中させたせいね? それでお前を取り込むのに障害が出たんだわ。
それにその機体、機能は停止寸前だけれど、ラズナニウム同様の自律型の金属細胞で構成されている。同種のラズナニウムに取り込まれた事でわずかに活性化した様ね』
「それ以前に、貴様のような者の手に下るなど到底受け入れられる話ではなかったのでな」
『あらぁ、そんな口が利ける状態かしらねえ?』
「……」
エルデの弄う様な声には相応の理由があった。今はAI1セカンドの制御装置の一部と化したエルデには、スレードゲルミルのコックピットで、侵入してきたラズナニウムに侵されつつあるウォーダンの状態が、手に取る様に分かっていた。
『機械仕掛けのお人形が、一人前の人間の真似をするなんて傑作ねぇ? 大人しく元の鉄屑に戻りなさい』
どんな難関辛苦にも、厳然とした表情のまま立ち向かうであろうウォーダンの顔に、苦痛の色が広がっていた。人工筋肉や疑似神経、電脳の最深部へと、じわじわとラズナニウムが浸透し、ウォーダン・ユミルを構成する人造の肉体とメモリーを食らい始めている。
ウォーダンのみならずスレードゲルミルもまた同様にラズナニウムの極彩色の触手に、その雄々しい巨躯を汚されている。汚汁とぬめぬめと金属らしからぬ光沢を放つ触手に絡め取られた姿は、古えの魔物との戦いに敗れた神代の戦士の様だ。
「なるほど、確かにおれは神ならざる人間の手によって作られた偽りの命、虚構の意思、仮初の心かもしれぬ。だが、このおれを突き動かす、この衝動を、熱く昂った精神の鼓動を、決して偽りとは言わせぬ!!」
ウォーダンの血を吐くような叫びと共に、スレードゲルミルは右腕に絡み付くラズナニウムの触手を引きちぎり、大きく振りかぶるや、手にした斬艦刀を思い切りグルンガスト飛鳥へと、最大の好敵手シン・アスカへ目掛けて投じたではないか。
「受け取れ、シン・アスカ! 我が魂、斬艦刀を!!」
「ウォーダン!?」
まるで飛鳥を串刺しにするように投げられた斬艦刀を、シンは見事隻腕となった飛鳥で柄を掴み、その手に蒼茫と濡れた刃の大剣を握らせた。あまりに高速で投じられた物体を掴んだ反動が、飛鳥の関節にかすかな軋みを立てさせる。
「斬艦刀を手放すなんて、どうして!?」
砂嵐が混じった様に乱れる小さなウィンドウの向こうに映った、ウォーダンが小さく笑うのがシンには見えた。灰銀の髪の下で、岩の厳しさに確かな優しさを秘めた男は、ひどく澄んだ笑みを浮かべていた。
「どうやら、おれはここまでのようだ」
「な、何言ってんだよ。あんなに強いあんたが、その程度で弱音なんて吐くなよ!」
「出来れば、お前との三度目の決着を着けたかったがな……」
さみしげに呟くウォーダンは、自分の腹部を背後から貫いたラズナニウムの触手を見下ろした。ウォーダンの体内に侵入したラズナニウムが、人間でいう五臓六腑へと細い触手を枝のように伸ばし、ウォーダンの存在を内側から蝕んでゆく。
『ウォーダン!!』
「ラクス、か」
ジェネシスの付近に居た為に、メディウス・ロクスやシニストラらの攻撃を受け、大きな損傷を受けたエターナルの艦橋に居るラクスであった。この世界に転移してきたウォーダン・ユミルを見つけ、その仮の主となった少女。
世界の行く末を憂い、自らの行いの愚かさを知りながら、この道を選んだ少女が、本当はどこにでもいる普通の少女に過ぎない事を、ひどく脆い面を持っている事を、傍らで見守り続けてきたウォーダンだけは知っていた。
口の端から人工血液を滴らせながら、ウォーダンは愛娘を見る慈父の眼差しでラクスを見つめ返した。
支援
『ウォーダン、いやです。貴方がいなくなるなんて、そんな、貴方はずっと、私のそばに居てくれると、私は……』
「すまんな。できればおれもそうしてやりたかったが、それは叶わぬ夢であったらしい。ラクス、お前と会えた運命に感謝しよう。達者でな」
『ウォーダン!!』
オブザーバーシートから身を乗り出し、涙で頬を濡らしたラクスの姿を映すウィンドウは、唐突に閉ざされた。より一層深くラズナニウムがスレードゲルミルとウォーダンを侵食したのだ。
ごぶ、と嫌な水音を立てて口から鮮血の流れを零したウォーダンは、息も絶え絶えに、呟いた。
「最後は、笑顔を見たかったが、これも修羅の道を言った者の末路か。……スレードゲルミルよ、我が最大の戦友よ。お前を付き合わせてしまってすまんが」
そのまま言葉を続けようとするウォーダンを、低く重く唸るプラズマ・リアクターの音が遮った。まるで、そんな言葉はお前にもおれにも相応しくはないと告げる様に。
「ふ、ふははは。そうだ、そうだな。おれにもお前にも謝罪の言葉など似合わぬ。地獄の底までも共に行こうぞ、友よ!!」
凄絶な笑みを浮かべるウォーダンに答え、スレードゲルミルは固く食い縛った口を開き、さしものエルデでさえ、慄くほどの咆哮を挙げた。神々の黄昏を前にした勇猛なる戦士の如く。
『な、なにを、死に損ないのスクラップの分際で!』
「黙れ!!」
『!?』
「そして聞け。我はウォーダン、ウォーダン・ユミル。我は……」
同時にスレードゲルミル背部の二基のドリルが一気に最大回転に達し、周囲のラズナニウムを掘削しながら、その内部へと射出される。斬艦刀を手放し、空となった右手は、大きく振りかぶられて、あろうことか、スレードゲルミルの胸部へと叩きつけられた。
手首まで沈みこんだスレードゲルミルの右手は、その中に熱く激しく脈打つ心臓を握りしめていた。臨界寸前まで稼働したプラズマ・リアクターを。
そのまま右拳は、ブースト・ナックルとして、ドリルが穿った空洞を飛び、AI1セカンドの内部へとスレードゲルミルの体を貫いて飛翔し、その最深部で一気に秘めたエネルギーを解放させた。
プラズマ・リアクターとジェネシスそのものの動力源が連鎖反応を起こして生じた大爆発のエネルギーを背に感じながら、ウォーダンは高らかに叫んだ。己の存在を告げる様に。自分という魂の存在を歌うように。
「我は―――――剣なり!!」
そうして、溢れた爆発の中にスレードゲルミルとウォーダン・ユミルは飲み込まれ、ただの一欠けらも残さず消滅した。
投下終了です。最後にウォーダンが自らを何の剣と読んだかは、ここまでお付き合いくださった皆様方にお任せします。それでは、支援、ありがとうございました。おやすみなさい。
お疲れ様でした
総帥GJ!
アルベロ今回テラ主役すぎるw
そしてウォーダンの死様に合掌
シンにとっては永遠に超えられぬ壁となってしまったな
ラウがそんな漢な散り方をするとは…!と思っていたら、
なんかウォーダンに大分持ってかれちゃった気がするぜ
最終決戦はこれが恐ろしい
獅子王斬艦刀から斬艦刀になったようだけど、ここからシンの活躍はなさそうだな
トドメは総帥かアルベロかアクアか……他にいたっけ?
しかし、ここでキラにマルキオへの不信感を抱かせちゃうと種死話が読めなくなるな
ステラが二人いたような気がしたが
別にいつものスパロボと変わらないんで無視する事にした
門とかいうとDのペルさんを思い出した
うおおお、ウォーダン最後まで漢だった!
ゲッターやガンバスターよろしくな散り様カッケー
斬艦刀はシンに受け継がれたが、これはまさか星薙ぎ継承フラグか!?
種死期には斬艦刀二刀流が見られるか…?
何気にウォーダンとラクスの別れ際のやり取りに泣けた
このSSのラクスは年相応の少女としての弱さが描かれてるから好感が持てる
結構交流あったのに別れのシーンをスルーされたククルは涙目だがw
あと出来れば150ガーベラと斬艦刀の共演を見たかったとか言い出したらキリの無い事をあえて言ってみる
極自然な綺麗なクルーゼを見れて驚いている自分は異端か?
>>451 つーかそれでしょ
憑いたとか言ってるし
>>454 そういやリ・ホームやサーペントテールは何してんだろ
アッシュと戦ってるのか
457 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/20(金) 21:28:43 ID:l5B+n22I
D知らない私は○キオに憑いてるのはZの兄貴だと思った
うおおおーーーーー!!
シンにとうとう念法が開眼するのか!!
十六夜の教えがとうとう目を開きそうです。
それにしても運命編のシンは投石で200メート先の標的をうちぬいたり、レーザービームを紙ナプキンで受け止めたり、テレポートできるようになったりするのだろうか?
>>450 本当に、ステラが二人いたんだな、これが。あ〜、まあ、スパロボFで夜間迷彩ビルバインと通常ビルバインの二機が手に入ってお得みたいなものだと思っていただければ。
バグだったのかもしれませんが、私はビルバインが二機手に入ってウハウハでした。
>>459 念法に関してはなかったことにしようかなと思っているので、ありえません。
私が諸悪の根源ですが、出してしまったものは別として、菊地系のネタをあからさまにやるつもりはもうありません。
つまりステラはカイの分身拳を修得したと
GJ!
クルーゼの漢死にに涙出そうなったっす
レイが力強く生きていくことを願います・・・
ところで・・・野暮な突っ込みかもしれんが
MXにヤマダさん居なかったんじゃ・・・
これはつまりたまに意図的にバグってみせる展開もアリということかな?
>>462 それがバグ技で出したということなんだろう、あるいは
つ【PAR】
何、深く考える事も無い。
ステラの数が増えれば増えるだけその凶悪なツインボムの数が増えるんだ。
これ程嬉しい事は無いじゃないk(斬艦刀二刀流
465 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 20:04:51 ID:H30ux2Fa
あ
466 :
通常の名無しさんの3倍:2009/02/21(土) 22:11:38 ID:xBWuWx/x
>>463 ああ、なるなる・・・野暮な突っ込み失礼しました
スパロボオリで最強なのって、現時点だとスクコマ2のラスボスなんだっけ
聞く所によると神化した綾人すら遥かに上回ってるとか
多分Dの親父完全体じゃね?
本体出て来た瞬間世界が発狂して滅ぶと言うクトゥルフな方だから門自体壊してお帰り頂いた程だ
ユニットステータス的に最強は誰だろう
三次のネオグラ?
誰か水木アニキを思い出してやれよ…
多分オリ最強は468の言う通りペルフェクティオの本体だと思う。
そもそも出現した瞬間に宇宙消滅な時点で戦う前に全てが終わっちゃうわけだし。
ペルフェクティオ本体を除いたらケイサル(3α)かアゾエーブ(SC2)かと。
アゾエーブは基礎スペックは強力なスーパーロボットレベルぐらいだと思うけど、必殺技の「破滅の波動」が鬼畜すぎる。
歌エネルギーやオーラ力、ラ・ムーの星の力を解放したムートロンエネルギーの力を加えた神聖ラーゼフォンとライディーンのボイスでも
防ぐので精一杯、しかもその時点での主人公部隊の周囲以外の全ての世界(全ての並行世界)を破滅させてしまう程の威力だし。
後にも先にも全ての並行世界が滅亡した状態で最終決戦に突入するスパロボはSC2だけだと思う。
SC2がそこまで鬼だとは知らなかった。SCで即効挫折して以来食指が動かなかったもんだから。バトルコマンダーは楽しかったのに。
ところで気は早いけれど、ビアンSEED第二部 主人公選択をば。
シン・アスカ @サキガケ DCの新型MS。通称ブシッド、OOでミスター・ブシドーが最初に乗ってたアレ。
Aサーバイン エペソ提供によるオーラバトラーのデータを基にしたレプリカ品。第四次の隠し機体。
Bズワウス 同上。個人的にはこっちをダンバインと引き換えにして手に入れていた。
Cインパルス 原作を尊重して。
Dリオン DCの原点ですね。
とりあえず原作でのユニウスくらいでの乗換イベントまでの初期シンの機体候補です。皆さんも何かご意見ありましたら出して下さいませ。第二部始まるまで募集させていただきます。
しかしまあ、OOでもずいぶんと亡くなられて、死人召喚の選択肢が増えましたな。どうしても出したかったら、レフィーナたちよろしくもとから種世界の住人にしてしまえばいいわけですが、登場キャラ数がさらに際限なく増えてしまうこのジレンマ。
週休六日になんないもんかな。週休六日のデビルハンターがうらやましい今日この頃でした。
@
斬艦刀的にもネタ度数的にもこれしか無い。
サキガケって一回くらいしかまともに戦ってねーな。
ヴァイサーg……げふん、ここは一つインパルスで。
刀持ったアストレイ!
既にいたか・・・
水木の旦那は設定ほどの強さを感じない
多分サルファが長いせいで、最終面あたりには自軍が相当強化されてるからだろうな
瞬く間にHPを減らされて行くのに、自軍が弱音吐いてて猛烈な違和感がw
インパルスで
ここは衝撃さんしか
インパルスで
やはり乙女座としてはブシッドだね
ただハムも第二部にでるなら被り防止のためにサーバインかなあ
>476
斬艦刀と打ち合う150ガーベラ、とか?
サキガケ
シンはオールレンジに対応できる万能選手だけど、このSSのシンは原作より遥かに接近戦よりだからその特色を生かして
また原作でも然程出番の無い機体だったので、ある意味初期で出番終わってもまあいいかなと思える
サーバインとズワウスは好きな機体だけど、いくらレプリカといえ初期機体として扱うには少し勿体無い
インパルスの場合、このSSのシンは、原作よりスピード重視の剣士なので、鈍重なツイン対艦刀のソードインパでは合わない印象がある
ブラストは他に火力担当がいくらでもいるし、フォースは個性に乏しいので、これだけ百花繚乱な機体群の中だと埋没しそう
リオンは初期に乗ってたからいいかも知れないけど、もう少し目新しさが欲しい
以上の理由から、自分はサキガケを希望します
>>480 死人として出るなら、ハムの機体はマスラオになってるんじゃ
>>483 え、ハムはGNフラッグが最後の機体だろ?
ブシドーvsCEのグラハムというのも面白そうだ
まあブシドーが死ぬかどうかまだ分からないけど
インパルスで。
何も原作同様にする必要はない。
ガームリオン飛鳥のように専用カスタマイズを施せば良い。
そういやハムスレでは新たにマスラッグとかいう名前が出てきてたな
ブシッドかな
インパルスはザフトのガンダムだし、DCの機体としてアヘッドはうってつけ
量産機のカスタム機ってのがガームリオン飛鳥に通じるものがある
ノブッシみたいな名前だなぁ
種死でのZAFT開発陣には元オーブの技術者も大量に加わってるらしいし、DCにインパルスがいても違和感はない。
つかやっぱシンにはインパルスに乗って欲しい
そしてマッドな人達が凶悪な改造を施すんですね
もっと戦闘機っぽいチェストとレッグフライヤー
シルエットに異質な物が混じって
でもってガイア・カオス・アビス・セイバーと合体と
守りたいリオンが有るんだ……
リオン・マグナス
サキガケとインパルス人気あんなあ
個人的にはインパルスも捨て難いが、サキガケで戦う乙女座剣士なシンも見たい
なんというジレンマ……この気持ち、まさしく愛だ!
・・・・・・女装させてゴスロリオン
シンに女装か…黒髪に白い肌であることを考えると赤系が映えるか?
いや、俺にファッションセンスは皆無だが
>>493 そういや、修羅の死人がいない気がするなぁ
元々のC3ではフォルカ以外全員死んだし
全員来るのもありだわねぇ
OG性能のアルカイドは二度と会いたくないが
術で次元転移とか将軍の修羅神再生とかどんだけーて感じだ
シンの念法・柔破斬で爆死するマグナス
まあ種死編じゃ念法は出てこないみたいだから不可能な妄想だが
>>491 ドリルが付いた姿しか想像できん、マッドな人達的にw
ええ、あの最凶のキ●ガイの出番ですとも
ドリルストライカーはもう持ってかれてしまいましたが、ネタとして
アレも一応死人だった時期があることはあるんだよな、外伝的に
ただスレ違いという最大の問題が屹立しているわけでして
ここはデストロイの金型流用したインパルスの新シルエットでどうっすか
ユニクロンに対するプライマスな感じで、金型的に
やはりインパルスで魁シルエット(チェストとレッグノミ)ヲデスネ
>>499 他スレだけどドリルシルエット有るぞ
ローエングリン突き抜けてった
アスカリオン
カリオンみたいな戦闘機型
だが換装パーツと合体して場所を問わず戦える
アスカリオンは変形して機首コックピット部分が折れて
Gガンのコアランダーみたくなる
こんなんどうよ
ブシッドに獅子王ブレード持たせれば序盤としてはいいんじゃないかと思う
なんかアスカリオンってネーミングからして女性用っぽいなw
いっそのことサキガケシルエットを装備したサキガケインパルスで。
ところで現時点での00の死人って、
・ロックオン(ニール)
・クリス
・リヒティ
・モレノ
・セルゲイ
・ダリル
・ハワード
・ヨハン
・ミハエル
・大使
・アニュー
・イノベ赤髪組
こんなところか
これから先もゾロゾロ死にそうだなあ、下手すると刹那含めて主要キャラほぼ全員候補になるかも
>>506 そういやアヘッドやジンクスって、頭部のカバー剥がすと下にガンダム顔があるんだよな
>>507 伏線の回収が不可能なキャラは「非業の死」という美名の下に始末されます
ビアンSEED 第七十七話 さらば母よ
「ウォーダン?」
天女の羽衣を思わせる装甲を外し、より人間的なフォルムに変わったマガルガのコックピットの中で、雪色の髪をした少女は、茫然と男の名を呟いた。
峻烈といえるほど、気性の激しいククルが、これまでの人生でこうまで呆けた事は数えるほどしかなかっただろう。
この世ならざる魔的な変異を遂げたジェネシスの近海に居たエターナルの元へと取って返し、襲い来る無数の魔虫の如きデクステラやシニストラの群れを片づけていた時であった。
AI1セカンドの内部から、マガルガに記録していた友軍機の識別信号を受信し、それが姿の見えなくなっていたスレードゲルミルのものだと判別した。
それを知った時、よもや、討たれたのかと、ククルは黒い不安の粒を胸中に抱いていたがそれでも、自分でも驚くくらいに安堵した。
かつての因縁の敵ゼンガー・ゾンボルトと同一人物としか思えず、探りを入れる様にして交流を持った相手であったが、いつしか完全に、とは行かぬまでも心許せる仲間になっていたのはそう昔の話ではなかった。
だから、スレードゲルミルが機体と主共々にとって魂と言っていいはずの刃――斬艦刀を、手離し、まるで師が最愛の弟子に託すように、グルンガスト飛鳥の手に渡らせた光景は、ククルに残酷な事実を暗に告げた。
なぜ、スレードゲルミル最大最高の武器を敵に託す? ウォーダンがあのグルンガスト飛鳥のパイロットの事を単なる強敵としてだけではなく、旧来の友の様に、あるいは出来は悪いが可愛い弟子か弟の様に、複雑な感情を抱いていたのは知っている。
だが、彼は味方ではない、仲間ではない。確かに、力量を鑑みれば斬艦刀を託すにふさわしい相手ではあろう。
いや、そうではない。
ククルが答えを知りながら知る事を拒絶していた問いとは、飛鳥に斬艦刀を託した事ではなく、誰かに託さねばならぬ状況なのか、という事だ。そして、ウォーダンが己が半身ともいえる刃を手離すとするならば、それは、落命の時を悟ったからに違いない。
その推測は、すぐに現実となってククルの目に映し出された。離れた位置に居るマガルガの機体そのものを揺るがすスレードゲルミルの咆哮。それはククルの魂を揺さぶる声であった。
今、目の前で、一人の剣士の魂が、最後の輝きを放とうとしているのだ。ククルは固く唇を噛みしめ、見開いた眼をスレードゲルミルと、そのコックピットの中のウォーダンへと向けた。
目を背けるな。耳を塞ぐな。口を開かず黙して受け入れよ。
ウォーダン・ユミルの散りゆく様を、決して見逃すな。その最後の存在全てを歌う様な声を聞き逃すな。その存在が失われ、記憶の中にのみ生きる存在へと変わる瞬間を、自分の心に刻まねばならぬ。
勇ましく雄々しく冥府の門を開かんとする戦士の姿を、ククルは荘厳な面持ちで見守った。黄泉の国の姫たる己が、死を前にして眼を背けてはならない。まして勇猛無双の勇者の、そして仲間の死から、眼を背けてはならなかった。
そして、ククルの目はスレードゲルミルが、己が心臓を握り締めた拳を飛ばし、AI1セカンドの内側に巨大な爆発を起こして、その中に飲み込まれて消える姿を映した。その操者たるウォーダン・ユミルもまた消滅した事を告げる光景を。
「ウォーダンよ、これから私が舞うはお前の死出の旅路に贈る手向けの舞じゃ。心尽くして舞おうぞ」
頬を流れる清らかな流れを拭う事もなく、ククルは、目にするだけで汚されたような不快感を催す魔物の群れを、その瞳に映した。死者への哀悼に濡れた瞳は、悲しいまでに鮮やかな戦意に輝いていた。
「あ、ああ………ウォーダン、ウォーダン? どうして、返事をしてくれないのです? ウォーダン、ウォーダン・ユミル……」
ラクス・クラインは、その最後の光景を記憶の底から抹消したいと痛切に願った。目の前で、彼が消滅する様を見てしまった。あのウォーダン・ユミルが、彼が、あの心も体も鋼で出来ているような、ウォーダンが。
ラクスがウォーダンと出会ったのは開戦当初の頃の話になる。
各プラントへの慰問やコンサートで、あちこちを飛び回っていたラクスが搭乗していたシャトルの護衛を任されたジンのパイロットが、とある航宙ルートを行く道すがら、微弱ながら熱源反応を示していたスレードゲルミルに気づいたのである。
あまりに特異なスレードゲルミルの姿は、地球連合の新型の兵器、というよりも傭兵やジャンク屋ギルド、海賊がハッタリの為に作ったショー的な意味合いの強い機体としか見えなかった。
また、コズミック・イラの世界に転移する直前まで行っていたダイゼンガーとの魂削る死闘の果てに大破したも同然だったスレードゲルミルの姿が、そういったハリボテめいた印象を強めてもいた。
パイロットらしい生命反応があると聞いたラクスの懇願もあって、また目的地のプラントまで間近であったという事もあり、スレードゲルミルは回収される事となった。
宇宙港で待機していたメカニック達と医療班によってウォーダンは、スレードゲルミルの中から引きずり出された。
大きな問題となったのは、言うまでもないかもしれないが、ハリボテと思われたスレードゲルミルが、明らかに技術大系の異なる文明圏によって作り出された“兵器”と断定できる代物であった事。
そして、医師達が詳細な検査の結果、パイロットと思われる男性が、人間ではないという結論に至った事だった。
ウォーダン・ユミルは、Wシリーズと呼ばれる潜入・破壊工作などを専門とする特殊な人造人間の中でも突出した戦闘能力を持ったW15と呼ばれた存在だ。
後発のW16やW17が、潜入任務を考慮しメディカル・チェックを受けても容易くは人間ではないと看破されぬよう製造されているのに対し、ウォーダンはあくまでも戦闘、特に機動兵器による戦闘を主眼に置かれ、製造されている。
それ故に、潜入・工作任務などを想定はしておらず、簡便な検査なら誤魔化す事は出来ても、詳細な検査を行われると人間ならざる、機械と有機物の混合存在であると発覚してしまう。
気絶、いや、機能をほぼ停止し意識を失っている状態のウォーダンが、人の手からなる人造物であるとするならば、あのMSと比較しても巨大な兵器を操った時、一体どれほどの戦闘能力を発露するのか。
それがまるで“想像できない”事に、かえって人々は戦慄した。
ただ一人、ピンク色の髪を持った、その時はまだ天真爛漫な少女でいられた歌姫をのぞいて。
「わたくしは、ラクス・クラインです。貴方のお名前を教えていただけますか?」
そういって、鏡の様に澄んだ青い瞳が、自分の顔を覗き込みながら言った言葉が、ウォーダンが、この世界で初めて耳にした他者の声であった。その声の響きの、なんと幼子の様に無邪気であった事よ。
人間ならざる人間の姿をした者が、はたしてどのような意思を持ち、命令を与えられ、プログラムを組まれているのか想像すら――碌でもない想像ばかりが頭をよぎる周囲の者達の制止を無視して、ラクスは孤独に宇宙を彷徨っていた男に名前を問うたのだ。
ラクスの言葉の意味が分からぬのか、しばしウォーダンは無言であったが、ラクスは辛抱強く返事を待った。にこにこと、赤ん坊が親に向ける様な無償の笑みは、言葉を覚えたばかりの幼子が口を開くのを待つ母の様に慈しみに満ちていた。
「おれ、は……」
「はい」
ぼう、と霞み、焦点のずれていたウォーダンの瞳が徐々に意思の光を取り戻しはじめ、自分の目の前に居る無防備な少女の姿をはっきりと捉えた。
何かを思い出そうとすると、こめかみにきりきりと、まるで万力で締めあげられているような痛みが外と内側から生じ、ウォーダンはかすかに眉を寄せながら、苦悶の響きは押し殺して、自分の名前を告げた。
「ウォーダン、ウォーダン・ユミルだ」
「貴方はウォーダン・ユミルさまと仰いますのね。力強い響きのお名前ですわ。でも、貴方の瞳は、とても優しい」
「?」
そういって自分を覗きこんできたラクスが、不意にクスクスと忍び笑いをするものだから、ウォーダンはかすかに眉を寄せた。鉄と鉄の擦れ合う音が聞こえてきそうな仕草であった。
支援
ウォーダンは首を巡らして周囲の光景を見回した。どうやら自分は病院の検査室の様な場所で、ベッドの上に寝かされているらしい。自分と目の前の少女の周囲に、身を強張らせてこちらを見ている複数の人影が見えた。
ウォーダン自身を恐れているのと、このラクスと名乗った少女に何か起きてしまう事を恐れているのが半々といった所か。よほど大事な人物と見える。ウォーダンは、回転しきらぬ頭で、ぼんやりとそう考えた。
「周りの皆さんは、貴方が私に何かするのではないか、暴れるのではないかと心配していらっしゃるのですわ」
「当然の事だろう。少なくとも、おれを見知った連中はいまい。ならば、得体のしれぬ男に、お前の様な子供が近づいているのを見て心配せぬ者はいまい」
「そのように言われる時点で、貴方は悪い人ではないと分かります。ところで、体の具合はいかかでしょう? お腹がすいていたりとかは? 私、医術の心得はありませんけれど、お食事を運ぶ位なら出来ますわ」
「腹は、すいていない」
と答えるウォーダンは、自分の言葉に違和感めいたものを感じていた。腹がすく、という現象が、自分にはありえないという様な、まるで自分が食事を必要としない存在であるような気がしたからだ。
不意に、ウォーダンの瞳が見開かれ、その顔に一瞬だけ強い驚きのさざ波が過ぎったのを、ラクスは見逃さなかった。優れた洞察力や観察眼は、天与のものであるらしい。
「どうかなさって?」
気遣う言葉も、ウォーダンの厚い胸板にそっと添えた手にも品が満ちていた。生まれた時からそうなるよう躾けられたか、周囲も同じような人間ばかりであったのだろう。
「なにも……」
「はい」
「思い出せんのだ。おれの名前がウォーダン・ユミルであるという事以外。おれは、これまで何をしてきたのか、どこで生まれたのか、親や兄弟、恋人、家族、友人の存在も、おれは、なんの記憶も、持っていない」
この時以前と、以後のウォーダンを知る者からすれば己が目と耳を疑うほど、驚きに支配されたウォーダンの声と表情であった。後にも先にもこの血肉も魂も鋼の強さを持った男が、このような声を出したのは初めての事であった。
ラクスは、さすがに驚きの顔を浮かべたが、それもすぐに穏やかな笑みに変わり、そっとウォーダンの頬に触れた。
「それは、とても不安な事でしょう。けれど、どうか安心なさってください。ここには貴方を傷つけようとする者はおりません。もし、そのような方がいらしても、私は貴方の味方です」
「……」
「ごめんなさい、本当はもっとお話ししたかったのですけれど、私の役目を果たさねばなりません。また、貴方とお話をしに来ますから」
「そうか」
「はい、ではごきげんよう」
その日から、ラクスの父シーゲル・クラインの息のかかった病院のVIP用の個室に入院――悪く言えば幽閉されたウォーダンの元へと、時間を見つけては通うのがラクスの日課になった。
戦争が長期化するにつれ、プラントを構成する各コロニーへの慰問コンサートなどの回数も増え、そう多く足を運ぶ事は出来なかったが、ラクスはウォーダンの元へと通うのをやめず、取り留めのない話をしては、時間を過ごしていった。
やがて、自己診断プログラム及び人工筋肉などの有機物で構成されるパーツの機能の回復を終えたウォーダンは、そのままラクスの強い意向もあってクライン邸預かりの身となった。
終始監視役が影の様に張り付く生活ではあったが、穏やかな時間ばかりが流れるクライン邸で、ウォーダンは闘争の場に立てば戦鬼と化すとは信じられぬほど、静かに時を過ごしていた。
景観の為にプラントの内部に放たれている小鳥や、当時ラクスの婚約者であったアスラン・ザラが大量に作ってはラクスに贈っていたハロに囲まれる日々。
それに対してウォーダンはさしたる不満もなく、自分がはたしてこのような時間を過ごす事が許されるのか、という罪悪感めいたものを覚えていた。
自分という存在は、もっと過酷で、呵責ない命を削り合う様な凄惨な修羅の世界こそが、本来生きるべき場所ではないだろうか。
今ここに居る自分はただの幻か、修羅の時の間に見た、夢ではないだろうか。
人間の存在を許さぬ暗黒の宇宙に浮かぶ人造の世界での生活は、ウォーダンにいささか退屈ではあるが、穏やかに過ぎる時間を与えていたのだ。
転機が訪れたのは、ラクスが父シーゲルを伴い、テラスで小鳥を肩に止めながら、旧世紀のドイツの詩人の詩集に目を通していたウォーダンを訪ねてきた時だった。
それまで極稀に姿を見る程度に過ぎず、家の主たるシーゲルときちんと顔を突き合わす事になったのは、その時が初めての事だった。
巨大な岩が動いた様なゆったりとした動作に、鈍重な印象が欠片もないのは四肢の末端に至るまでウォーダンの意識が行き渡り、必要とあらば即座に野の獣にも劣らぬ俊敏な動作へと移るからだ。
ゆるりと周囲を睥睨しながら歩く虎に、鈍重な印象を受ける人間がいないのと同じ理屈だ。
目礼するウォーダンに、シーゲルはどこか疲れた様な穏やかな笑みを浮かべ、ここでの暮らしはどうか? 何か困った事はないかと当たり障りのない事を口にした。答えるウォーダンもまた言葉少なく、型通りの返答をするに留めた。
シーゲルの傍らのラクスが、ひどく固い表情をしている事に、ウォーダンは始めから気付いていた。ふっくらと桃の色を帯びた柔らかなラクスの表情が、この時ばかりはセルロイドの人形の様な印象を受けるモノに変わっていたのだ。
そう時間をおかずシーゲルは本題を口にした。ウォーダンの素性と、搭乗していた巨大な人型機動兵器について、であった。
この時すでにザフト内部に食い込んでいたイーグレットの手によって、内部のシステムの調整と、プラントの技術陣によって応急修理が済んだスレードゲルミルは、それ故にオーバーテクノロジーの塊である事が発覚していた。
もし、仮に地球連合が極秘裏に開発した機体であったなら、あるいはザフトでも地球連合でもない第三の存在が開発した機体であったなら――どちらにせよ、大破した状態で発見された謎は残るが――、軽視出来るわけもなかった。
ウォーダンが人間ならざる存在であり、おそらくはあの兵器の操縦などを目的として造られた存在であるなら、それらが数を揃えた時、ザフトは果たして抗し得るのか、誰も自信を持って答える事は出来なかったのだ。
ラクスに知らせずに盗聴・盗撮した記録と、監視役からの報告と合わせ、ウォーダンが記憶を失い、またその人格が極めて理性的なものであると判じ、シーゲルはラクスと物陰にわずかな護衛を控えさせただけで、ウォーダンの前に姿を晒した。
シーゲルの問いはウォーダン自身が、自分に幾度となく問いかけたものであった。やはり、自分には記憶が無い事を包み隠さずに告げ、またシーゲルから自分が人間ではないと告げられても、ウォーダンには驚きは少なかった。いや、無かったと言っていい。
むしろ、やはりか、と納得したものだ。自身の心に大きく巣を張っていた疑念が正しかった事が証明されたウォーダンの心には、不安や恐怖、事実を拒絶しようという思いは少なかった。
だから、スレードゲルミルの起動実験をはじめとしたウォーダン自身の肉体の詳細な調査の申し出も、進んで承諾したのだ。
口の悪いものが実験という数々の調査には、ウォーダンもいささか難渋を示したが、スレードゲルミルに搭乗した事で脳裏に、スレードゲルミルに匹敵する鋼の巨人と戦う光景などがよぎり、ウォーダンにわずかな記憶の復活を齎したのだ。
それ以来、ラクスとの穏やかな時間の多くは、ウォーダン自身とスレードゲルミルの詳細なデータ取りに費やされる事になった。
新しく変わった日々が続いてしばらく、シーゲルやその取り巻きたちの口から対地球連合との戦線の長期化や、それに伴うプラント市民の疲弊がのぼり、ウォーダンの胸の内にささやかな波を立たせた。
オリジナルであるゼンガー・ゾンボルトの人格の影響が大きいだろうが、力ある自分が、何もしないでいる状況に疑問を覚えぬ男ではなかった。
だが、いかに恩義があろうともザフトに力を貸す事が果たして正しい事なのかどうか、ウォーダンにはそれもまた分からぬ事であった。今の自分を形作った過去を持たぬウォーダンには、容易く決められる事ではなかった。
そんなウォーダンの迷いを断ち切ったのは、ラクスを乗せたシルバーウィンド号が行方不明となったという報せが、プラントを揺るがした時であった。幸いにしてラクスは婚約者であったアスラン・ザラによって無事救出される事となる。
しかし、ウォーダンの拳は怒りに震えた。朗らかに笑い、自分に話しかけてきた少女の危機を知っても何一つ出来ぬ自分の無力にである。この世界で唯一の知人、親しい人物と言えるラクスの苦境を知ってなおただ待つ事しかできぬ自分の不甲斐なさにである。
無事プラントに戻ったラクスは、表には出さずに己を責めるウォーダンの心を、命の危機にあったというのにいつもと変わらぬ笑みを浮かべたまま見抜いていた。
「ここに帰ってくれば、貴方が待っていてくださると信じていたから、私、何も怖くありませんでした。貴方のお陰です」
「そうか」
ウォーダンが、この世界で誰かの剣となることを決めたのはこの時であった。スレードゲルミルに乗る中で、明滅する様に蘇った光景と記憶の中で思い出していたのだ。自分が誰かの為の剣であった事を。
そして、今は、自分はラクス・クラインを主とする事を決めた。こうして、ラクスはコズミック・イラ最強の剣の主となったのだ。それ以来、ウォーダンは周囲の懐疑と警戒の視線を浴びながらラクスの傍にあり続けた。
世界の混迷が深まり自らの役割を戦争の只中に見つけたラクスは、世界の誰よりも、父よりもアスランよりも、これまで出会った人たちの中でもっとも頼りになり、実直で、どこか不器用な男のそばでだけただの少女でいる事が出来た。
戦乱の悲しみを癒す美しく優しい歌姫でも、志ある者を引き連れて立ち上がった戦姫でもなく、ただのラクス・クライン、ただの一人の少女でいられる。
悲しみも、怒りも、喜びも、笑顔も、誰かの眼を気にする事無く素直に浮かべる事が出来る。ウォーダンの傍なら。
その、ウォーダン・ユミルが、今、ラクスの目の前で消滅してしまった。もうあの声を聞く事はない。もうあの姿を見る事はない。もうあの分厚い掌のぬくもりを感じる事もない。もう彼の名前を呼んでも答えはない。
もはや、ラクスがラクス・クラインという名のただの少女でいられる事はない。絶対の守護者はいない。時に兄の様に、時に父の様に、ラクスの傍に居る事が当たり前になっていた男は、もう、この世に……
「ウォーダン、ウォーダン、ウォーダン…………」
ぽろぽろ、大粒の涙が無重力のエターナルの艦橋に、真珠の様に無数に浮かび上がる。背を丸め、両手で顔を覆うとするラクスを、厳しい声が諌めた。風に揺れた風鈴の様な声は、しかし、耳を打つ強さを帯びていた。
「しっかりしなさい、ラクス・クライン!」
砲撃手を務めるアイシャであった。艦長席のバルトフェルドが、残った瞳をちらりと向けるほどに強い叱咤の声だ。ラクスが、わずかに肩を揺らしてアイシャの方を見た。その間も涙は溢れて止まらない。
アイシャは、いつもどこかからかうように柔和な光を浮かべている瞳を鋭いものに変えて、ラクスの瞳を見つめた。
「貴女がそんなんじゃあ、彼も報われないワ。貴女が知っているあの人なら、こんな時、貴女になんて言うと思ウ? 貴女にどうあって欲しいと思う? 彼の事を思うなら、そうしなさイ。泣くのはそれからヨ」
「……」
ラクスは、アイシャの言葉を噛みしめるように眼を瞑り、指先で涙の粒を拭い、閉じた瞼を再び開いた時には、そこにこれまで以上に輝く強い意志の光を宿していた。生きてさえいれば泣く事も悲しむ事も後悔する事も出来る。
ならば、今自分がするべき事は何か。ウォーダンが自分に望む事は何か。自分がウォーダンにしてあげられる事とは何か。自己満足に過ぎなかろうと、自分はただそれをしよう。
自分は、あの、勇敢で無口で、誰よりも気高く、大いに不器用で優しいあの男に主と呼ばれたのだから。
「お見苦しい所をお見せしました。各員に通達を。ラクス・クラインの名において、死力を尽くしてあの敵を討つのです。このような戦い、もはや一刻なりとも続けてはなりません!」
胸を満たす悲しみを振り切り、凛然と命ずるラクスに、エターナルの艦橋に居た者達、その声を聞いた者達は唐突な事態に困惑していた心に、鋼の芯を通し、ウォーダンの犠牲をもってついに崩れんとするAI1セカンドの牙城へと雄叫びを上げた。
スレードゲルミルの最後の一撃によって内部に多大なダメージを負ったAI1セカンドは、展開していたPS装甲やTEスフィアの発生に支障をきたした様で、これまで通らなかった攻撃が次々と命中し、AI1セカンドを破壊してゆく。
傍目にも極彩色に濁っていた表面装甲が、どろりと水飴の様に溶けて、まるで混沌の海から生まれ落ちたばかりのアメーバの様に変わっていた。空気を入れすぎた風船の様にあちこちが内側から破裂し、この悪魔もついに終焉を迎えるかと思われた。
『まだよ、まだよ!! 私のAI1が、この程度で終わるわけがないわ!?』
血走った眼、吊り上がった唇、逆立った髪、まさしく人食いの鬼女の様な表情を浮かべ、美貌を歪めたエルデ・ミッテだ。AI1セカンドに内部の核を起動させて発生したエネルギーを使い、再生する様に命令を下す。
一時的にメディウス・ロクスやシニストラなどの生産を止め、現状の戦力で防衛線を再構築しながら、AI1セカンドの回復に集中する。
そのエルデの瞳に、死の運命を告げる大魔王の如く立ちはだかるネオ・ヴァルシオンの姿が映る。AI1セカンドの表面が波打つ度に発せられる光を浴びて、絢欄と輝く真紅の大魔王は、無慈悲にはるかに巨大なAI1セカンドを見ていた。
それは、まるで天に角突くほどの巨人に、大地を這う虫けらの自分が見下ろされているような錯覚を覚えるほどの、途方もない重圧を伴っていた。
増血剤や止血作用のある薬を摂取していなかったら、とっくに出血多量で気を失っていたはずのビアンは、乗機の創造主として相応しい気迫と共に、音声入力によってネオ・ヴァルシオンの武装を解き放った。
「二連重力衝撃砲、穿てい!!」
ネオ・ヴァルシオン背部にある、双頭竜の頭部の様なパーツが前方に倒れ、上下に開閉して内部に納めていた砲身が展開された。紫色の光に縁取られた暗黒がその砲身内部に生じ、超重力が渦巻く巨大な闇の光条が二筋、ネオ・ヴァルシオンから放たれる。
ビアンの生前の世界で、ヒリュウ改が艦首に備えていた超重力衝撃砲をダウンサイズしたものだ。小型化に比例して威力も下がっているかと言えば、否。
異世界の技術を取り入れたネオ・ヴァルシオンの冗談じみた超出力に支えられた超重力衝撃砲の破壊力は、ヒリュウ改のそれにも匹敵する。
数百メートルに及ぶAI1セカンドの巨躯を貫いた超重力は、周囲の装甲をひしゃげさせ、破壊しながらAI1セカンドを蹂躙した。
「おおおおお!!」
『ビアン・ゾルダーク!? どうしてなの、どうして誰も理解しないのよ! AI1と一つになり、世界のすべてと一つになり、至高の存在、究極の高みへと昇れるのよ。矮小な人間ごときが、この幸福に預かれるというのに、どうして誰もそれを望まないの!?』
「独りよがりな貴様の欲望に過ぎん。自己の行いを正当化し、罪の意識を誤魔化す為の、ただの良い訳だ。そんなものに心惹かれる者がいる道理など、あるはずもない!」
『おのれ、おのれ、おのれえぇええ!!! ならばお前達は跡形もなくこの世から消してやる。AI1の素晴らしさが理解できないような者達に、一つになる権利など与えはしないわ。あの特機のパイロットの様に、無駄死にするがいい!』
「無駄死にだと……?」
エルデの言葉に、グルンガスト飛鳥のコックピットの中のシンが、わずかに反応した。
右手に託された青い刀身を持った斬艦刀をさげ、唯一無二の強敵の死に呆然としていたシンが、ウォーダンを蔑むエルデの言葉を耳にし、赤い瞳にAI1セカンドを映す。
ぎりりと操縦桿を握るシンの手に力が込められた。死神を傍らに侍らせた瀕死の体のどこにそんな力が残っていたのか。パイロットスーツを食い破りかねぬほど強い力で拳を握り締めている。
あの男の死を、笑ったのか、こいつは? シンの瞳の赤がより一層深みを増し、熱を帯びて行く。ふつふつと、心の奥底からわき上がる感情があった。シン・アスカ最大の力の源たるそれの名は“怒り”であった。
『そうよ、あの特機の様にじわじわと侵しながら始末してあげるわ。最後の瞬間まで体を外から中から壊されてゆく恐怖を味わいながら死に腐ってゆきなさい! あのガラクタの男同様に、無駄な抵抗だけして、絶望に塗れて死ぬのよ。あははははははははは!!!』
「……ったな」
防備に当たらせていたメディウス・ロクス軍団を、長大な触手で絡め取って食らいはじめ、再生の速度を速めるAI1セカンドと、その制御を司るエルデの狂い笑いが木霊する世界で、シンの瞳が怒りの炎に爛々と燃えていた。
「笑ったな……。あの男を、ウォーダン・ユミルを、嗤ったなああ! てめええええええええ!!!」
尾を引くシンの絶叫と共に、心をいっぱいに満たした怒りの感情は全細胞に行き渡り、衰弱しきったはずの体に一時の活力を与えていた。
飛鳥に搭載されたカルケリア・パルス・ティルゲム、そしてエネルギー・マルチプライヤー機構が、かつてないほど猛り狂うシンの感情と心に呼応し、飛鳥の機体を強化してゆく。
悪鬼羅刹も怯え逃げ惑う様な怒りの形相を、飛鳥が主共々浮かべ蒼い斬艦刀の刃を振りかぶる。
スウェンやシャムス、ミューディーをはじめとしたω特務艦隊との戦闘、そしてAI1セカンドからの猛烈な攻撃によって左肘から先を失い、機体各所の装甲に罅が走り火花が散る無残な姿と変わっても、その総身から吹き出す不可視の闘気は激しさを増すばかり。
マシンセルによって形成される斬艦刀はマシンセルの制御ユニットを持たぬ飛鳥では、その形状の制御などは本来できぬ代物であった。だが、それを、新たな第三リミッター“トロメア”の領域まで高められたシンの念の力が補助する。
強い念動力の発露の際に生じる緑の光が、飛鳥のみならず斬艦刀の切っ先までを薄靄の様に多い、斬艦刀の刀身がやにわに崩れるや、それは根元から瞬時に目を焼く苛烈な光を放ち始めた。
飛鳥の心臓たるプラズマ・リアクターから供出される莫大なエネルギーを貪り、そこにカルケリア・パルス・ティルゲムが生み出す力も加え、今や斬艦刀は縛された鎖が解かれる時を待つ龍の如く荒々しい稲光へと変わっていた。
「伸びろぉおお、斬!」
右手一刀、巨大な刀身を支えるには頼りなく見える隻碗に握られた刃は、シンの叫びと共に光の速さで、八十メートルを優に超す刀身をさらに桁を跳ね上げて長大なものへと変える。
「艦!!」
瞬時にエネルギー化し、全長数キロメートルにも及ぶ途方もない光刃と化す斬艦刀に、ザフトやDCの機体が巻き込まれなかったのは、幸運といえた。そして、誰もがその刃を見た。宇宙の闇さえも切り裂くかと見えるその光の刃の、激しくも美しい輝きを。
「刀ォオオオオオ!!!」
マシンセルに関する制御プログラムを持たず、干渉する術の無い筈の飛鳥は、シンの意識と同一化したかの如く荒々しく斬艦刀を振りかぶっていた。
その斬艦刀の柄を構成するマシンセルが、わずかに水の様に溶けだして飛鳥の機体へと流れ込んでいる事に、誰も気付いてはいなかった。
斬艦刀に宿るウォーダンの魂がマシンセルに働きかけて、斬艦刀究極の一閃を放たんとするシンに助力しているかのようであった。
星薙ぎの刃と化した斬艦刀の超エネルギーに耐えられず、飛鳥の巨躯のあちこちが、内側から火を噴き、コードが断絶し、装甲が弾け、全身を紫電と火花が彩り始めた。だが、コックピットにけたたましいアラートの音が鳴り響く事はなかった。
主の邪魔をしてはならぬ、この身と引き換えにしてもこの一刀だけは振るわねばならぬと、飛鳥が奮起しているかのように。
「吼えろ、グルンガスト飛鳥! スレードゲルミルの様に!! ウォーダン・ユミルの様に!!!」
シンの頬を伝う血とは異なる透明な流れ――自分が泣いている事にさえ気付かぬまま、シンは戦友と己に命じる。死力を尽くせ、そして、見せつけてやらねばならぬ。あの男を嗤った目の前の女に、それがどれほど自分達を怒らせたかを。
シンの心で超新星の如く爆発した感情は、感情を力に変えるエネルギー・マルチプライヤーの究極形を発動させるほどに凄まじいものだった。
エネルギー・マルチプライヤーの至高点、すなわちスーパーモードである。シンの乗るコックピットから飛鳥の全身を瞬く間に金色の輝きが染め上げて行く。
生と死のはざまの先に見出す明鏡止水の境地とは異なるが、シンの心を満たす悲しみと怒りが到達した領域の力であった。
波紋の無い水面の様に静かな心が明鏡止水、怒りと悲しみの二つの波紋のみが揺れるシンの心はともすればそれには劣るかもしれない。だが、それは誰かの為の怒り、誰かの為の悲しみ。人間が持って生まれた善性に根付く感情であった。
だからこそ、明鏡止水に至らずとも、エネルギー・マルチプライヤーは、グルンガスト飛鳥に金色の輝きを許したのかもしれない。
スーパーモードとなった事で、機体そのものにも強化が施され、斬艦刀へエネルギーを供給する為に機体内部を流れる力の圧力に、内側から弾け飛ぶ個所や、外圧によって装甲が軋む音がおさまってゆく。
「斬艦刀、究極奥義。一閃っ!! 星薙ぎのぉおおお、太刀いぃいいいいいい!!!!!」
悪鬼羅刹を踏みつけ周囲を睥睨する神仏を思わす怒涛の威圧感と迫力を噴出させる飛鳥が、その、光る雷の刃を振り下ろした。ネオ・ヴァルシオンをはじめとした無数の機体からの攻撃の再生の途中にあったAI1セカンドを、一気に両断してゆく星薙ぎの刃。
『あ、アァああ蛙AAア亜あ亜あああ!?!?!?!?!?』
「雄オオオオオ!!!」
発動したスーパーモードの庇護さえ超える莫大な星薙ぎの太刀のエネルギーに、斬艦刀を振るう飛鳥の腕の関節が弾け、腕の根元から断末魔の如き軋みが上がる。
骨格たるフレームに罅が走り装甲はあちこちが内側から弾けて砕け、ただその瞳だけが力強く輝いていた。
それでもなお飛鳥は振るう刃を止めない。振り下ろしきる前に機体の方が砕けてもおかしくないだけの超エネルギーを、はたしてどこから絞り出したものか、あるいは、シンの心に飛鳥が応えたか。
ついに雷光の刃がAI1セカンドを両断した時、すでに飛鳥の心臓の鼓動は止んでいた。もはやぴくりとも動かぬ機体の中で、シンは真っ二つに切裂かれ、小爆発を起こし始めたAI1セカンドを睨み据えた。
『そんなそんなそんなそんな馬鹿な事が馬鹿な事が!? あぁぁりえなあああいいいい!! そ、そうよ、まだよ、AI1、再生するのよ、この程度の傷、アナタの力なら』
だが、エルデの声にAI1セカンドは答えず、崩壊する我が身をそのままにしている。滅びを甘受しているというのだろうか。
自分の命令を受け入れないAI1セカンドに、エルデはかつて最初のAI1もまた同じように拒絶し、消滅を受け入れた事を思い出し愕然と身を強張らせた。
『どうして、どうしてなのAI1!? ようやくここまで来たのよ。貴方はこんな所で終わるべき存在ではないわ。どうして私の言う事を聞かないの』
「分からんか、エルデ・ミッテ?」
『アルベロ・エスト……』
エルデが網膜に直接投影した画像には、オクスタンライフルの銃口をこちらに向けるアルベロのガームリオン・カスタムの姿があった。同時にアルベロの姿もまた映し出されている。
「AI1同様に、お前の新たなAI1もまた兵器としての在り方を学び、敗北を受け入れたのだ」
『嘘よ、ウソ嘘ウソ嘘!! 私が、また同じ過ちを繰り返したと言うの!? っ、これは、AI1に外部からリンク? アルベロ、貴方ね!? 貴方と失敗作が、私のAI1に何か余計な真似を!?』
「確かにおれの方のAI1が、お前のAI1にリンクを繋ぎ、おれ達が経験した戦いの全記録を伝えたのは確かだ。だが、その記録から何を学びとるかまでは干渉していない。結果としては、二つ目のAI1もまた同じ答えに辿り着いたようだがな」
『そん、な、そんな事が』
「エルデよ、お前は失敗などしていないのかもしれんぞ。お前が望むようにAI1が成長しなかった事は確かかもしれんが、こいつらはお前が思う以上のモノになったのかもしれん。
復活したデビルガンダムの打倒や人類補完計画の阻止をAI1は肯定し、また戦いの中で学習し、自ら考え判断を下すまでに成長したのだ。まるで人間の様にな」
『私のAI1を人間などと同じにしないで! 私が作り上げようとしたのは人間などはるかに超えた存在のはずよ』
「それが、お前の不幸か。どの道、貴様はここで終わりだ。行け、無明の世界へ!」
『アルベロ・エスト!!』
見る見るうちに崩壊してゆくAI1セカンドのアメーバ状に蕩けた装甲の表面に、数百メートルに及ぶ巨大なエルデ・ミッテの顔が浮き上がるや、その額をオクスタンライフルから放たれた弾頭が穴をあけた。
それが、最後の一撃となったか、エルデの顔は瞬く間に崩れ落ち、ジェネシスを侵食していたラズナニウムは機能を停止し、内部からの爆発によって次々と消滅してゆく。シニストラなども機能を停止して自壊をはじめて、跡形もの残らずに消えて行く。
長い長い、悪夢が終わりを迎えたのだ。
ふと、アルベロは手元のディスプレイにとある文章が表示されているのに気づいた。表示させているのはAI1であった。その文章に目を通したアルベロが、目を細めた。こう表示されていたのだった。
『Good Bye、Mam』
「そうか、お前にとって、エルデは母親も同然だったな」
それだけ呟いてアルベロは眼を閉じて黙祷を捧げた。この世界に一人くらい、あの女の魂の安息を願うものが居てもいいだろう。
そして、飛鳥の中で最低限の生命維持機構のみが生きるコックピットで、打ちひしがれたように背を丸めていたシンは、唐突に脳裏に差し込むように流れ込んできた光景に目を見開いた。
それは、エルデが死の間際に見た走馬灯であった。二十代に入ったばかりの頃、エルデ・ミッテの傍らには一人の男がいた。研究の虫であったエルデが生涯で唯一心を許した男であった。
人並みの幸せをその男と共に歩んでいたエルデの体に新たな命が宿ったのは至極当然の話であった。この上無い幸福の日々は、しかし、ある日唐突に終わりを迎える。
生まれ来る我が子と愛しい男との暮らしに思いを馳せ、二人肩を並べて家に帰るその道すがら、夜路を蛇行する車の眩いライトが、二人を照らしたのだ。
気付いた時、エルデは、病院のベッドの上に居た。全身に包帯を巻いた自分の姿よりもエルデは男とお腹の子供の安否を看護師と医師に問い、これ以上ない絶望を味わった。男はエルデを庇い即死、お腹の子は流産していた。
幼くして両親と死別し、身よりの無い二人はお互い以外に家族もなかった。エルデは、その日からまた天涯孤独の身になってしまったのだ。
愛する男と死別し、二度と子供の産めない体になってしまったエルデが、研究していた人工知能の開発により一層没頭し始めたのはその頃だ。
死に別れる事の無い、一度結ばれたなら未来永劫不滅のままでいられる存在をこの手で生み出す。エルデはこの狂おしいまでの想いに身も心も縛られた。
『そう、よ……私は……今度こそ、ちゃんと、この子を……産んであげるの。……誰にも傷つけられない……体で、もう、死んだりしないように……私は、お母さんになる……の』
そして、拡大したシンの超知覚に触れていたエルデの想いの残滓は消えた。なぜそんなヴィジョンが見えたのかシンには分からない。だが、それを見てしまった以上、シンにはもうエルデを憎む事はできなかった。
越えるべき壁を失い、侮辱された怒り悲しみに流した涙が、また一筋新たに流れ落ちた。夫と子供を失い心を狂わせてしまった母として、女としての想いを、シンはまだ子供ながらに、理解していた。
狂おしいまでの愛を注いだ相手を失った時、人である事を捨てたエルデに対して、ただ悲しみを覚えていた。
「ばかやろう。……お母さんがこんな事をしたって、生まれてくる子供が喜ぶもんかよ。ちくしょう、ちくしょう……。おれは、もう、アンタを憎む事さえできないじゃないか。おれは、おれは……うわぁあああああああああ!!!!」
胸に抱く怒りも悲しみも憎しみも、向けるべき相手を見つけられず、シンは泣きながら叫んだ。そうしても、この胸の苦しみが晴れる事はないと理解しながら。
エルデ・ミッテとAI1セカンドとの戦いはこうして終わりを迎えたのだった。
「いいえ、まだ終わってはいませんよ」
「シュウ?」
いつのまにか、ネオ・ヴァルシオンの傍らに姿を見せていたグランゾンに気づき、ビアンは暗黒のまどろみに落ちそうになる意識をかろうじて振るい起こし、シュウに問いかけた。いや、この男がこうして戦場に立つ以上、来るのだろう。アレが。
「来るか、神を名乗る凶人が」
「はい。…………来ました」
ぐにゃりと、宇宙のとある一点が、解けたあめ細工の様に歪むのを、その場に居たすべての人間がみた。
投下終了です。支援ありがとうございました。第二部はこのままだとサキガケインパルスになりますでしょうかね。今回は、MXファンの方にはごめんなさいな登場比率でした。ヒューゴ完全に蚊帳の外。
なおエルデの子供云々は私の妄想です。では、またいつかお会いしませう。
何にしろGJ
そうだ、完全の存在を忘れてたよルオゾール
>>490 あれはオーブが連合に占領されたからだから、このSSだとそうはならないぞ。
総帥GJ!
きっとアレだよ。
変形機構を盛り込んだ真・グルンガストの製作に燃えるビアン博士が、
シンが変形機構をキチンと使いこなせるようにと、状況に対応してパーツを取替え、
あらゆる状況に対応できるトンデモインパルスを作るんだよ。
アストレイをDC技術でリファインしたものを基本ラインにさ……。
……ただ、個人的にはリオンがいいなぁ。
というか、サキガケを知らなくて、他の機体は個人的に許容できない感じなだけだけど……。
こっちの世界の総帥はABを知ってるし、データも持っているし、
オーラ的な力に目覚めさせたシンにそちら系の剣戟対応機体と言うのはわかるけど、
ABは基本、バイストンウェルに住む生物の体組織を利用した兵器だから、突然それ系の機体というのは無理がある。
だったら、基本機械技術で行けて技術者もいる魔装機系列の機体や、
剣戟特化と操縦法の合致を考えてエネルギーマルチプライヤーが既にあるGガン系の機体の方がしっくり来る。
インパルスは種死ストーリー的には正しい選択なのだろうけど、
機体システム的に論外な面が多々あるから、感情的に、ねぇ……。
まぁ、弐式は許容範囲内だけど、基本的にグルンガストからは変形機構を外したい男の戯言ですけど……。
次期リオンシリーズのテストベットを元に、本命の新規開発機のデータ取り用にでっち上げた機体、
特別な機能はコクピット周り以外無いけれど、基本となるスペックが高いRe.ガーリオン飛鳥みたいなものが理想、かなぁ。
もうやめて!シンのライフはゼロよ!
そう訴えたくなるようなタイミングでのルオゾールktkrでした
ラクスとウォーダンは割とまともな交友関係があったんだな
騙くらかしたんだと思っていてゴメンなさい
ついでにそこでアイシャが出て来ると思ってなくて噴き出してゴメンなさい
っていうか片手で星薙ぐなよwこのシンは疑いようもなくスーパー系だなw
それにしても、総帥とシンはもう病院に行くべきだと思うんだ…
おお、ペース早い
総帥、乙です
スーパーモード+星薙ぎとか、シン凄ええ
種編ラストでこの熱さだと、種死編になったら天元突破か魔を断つ永遠の剣の領域にまで達しそうw
まあMXファン的にはちょっと残念な部分も
アルベロは格好良かったけど、主人公であるアクアが蚊帳の外じゃん!……え?ヒューゴ?
ラストはルオゾールかあ
流石にシンはもう戦闘不能だし、後は総帥+サイレントウルブズやシュウのターンかな
総帥GJ!ウォーダンのあまりのかっこよさに惚れた。
ルオゾールとの決戦も非常に楽しみです。連合側の強キャラの多くがAI1と戦わなかったのがどう出るんだろう。
なんか、変態鬼畜博士どもが死人になって出てきそう。
インパルスは泣きながら飛んでくる上半身をどうにかすればいいと思うんだ。
それにしても、アクセルと違ってヒューゴの省みられなさは異常。
ヒューゴって
・過去の惨劇で機械の体に
・薬を接種し続けないと生きられない
・死んだ親友の事がトラウマになっている
・かつての師匠と敵味方になっての再会
と並べてみると美味しい要素持ってんだけど、それが原作では物語の一部として十分に機能しなかったからなあ
あとキャラデザや性格が無個性で、影薄いぐらいしか弄るネタが無いのもキツい
別に嫌われてるわけじゃないんだけど、かといって特に好かれてるキャラというわけでもないという
本人の性格が良すぎるとかえって空気になってしまうって事なんだな、これがな
総帥GJ!
シンtueeeeeeeee
これでまだ15歳くらいってまじでやべえ。
でもさすがにもう戦闘不能かな……つかこれ以上やったら死ぬ。
>>522 うん、占領される前にDCになったから、原作で流れたっていう人材がほとんどDCにいることになるだろ?
だからインパルス作れてもなんら問題ないと思うんだけど。
まあインパルスはザフト製ストライクの"テスタメント"とシルエットテスト用のザクのデータで作られたからな
でも総帥はVガンのデータ持ってるだろうし行けるか?
それにしてもザフトはフライヤーと言う分離式移送ユニット開発してるのに何で無茶な変形に拘ったんだ……
フライヤーモジュールがユニット接続と同時にばらける方が説得力あるし浪漫なのに
むしろ総帥ならば三体合体三変化なゲッターやアクエリオンのようなものを嬉々として設計するんじゃないか?
一人乗りの機体にするならコアユニット含めて四体合体三変化になるかもしれないけど。
シンが強くなればなるほどラッキースケベも強化され
いづれは世界を救った勇者であろうとその力の前に倒れるだろう
>>529 サンクス
しかし、マスラオカッコエー(違)
後継機でマルチプライヤー&カルケリアパルスディグデム組み込んだマスラオとか出てきたらマジで燃えるな。
それは全力で嫌だ。
>>535 微妙な公化でWの邪気眼カズマみたくなりそうなんですが
その辺りは安心していいんじゃないかね?
喩え今回限りだとしても、星薙が使えた時点で既に、シンは邪気眼を越えた何かでしかないんだから……。
だって今の時点で既に、
「吼えろ、グルンガスト飛鳥! スレードゲルミルの様に!! ウォーダン・ユミルの様に!!!」
だぜ?
俄かの俺が言うのもなんだけど、この調子でシンがヴォーダンの技を受け継ごうとし始めたら、その時点でベクトルは違えどMr.ブシドーやん。
いや、シンだったらMr.シュラドーか、今後種死で予想される修羅場を考えるに……
その台詞はむしろ、ウォーダンの死を侮辱された怒りとか、敵でありながらも尊敬しライバル視していた人の死への悲しみを表してるんだと感じた。
ていうかいくらまだシンが年頃とはいえ、そんななんちゃってネタキャラにはなって欲しくない……
しかし今回シンが託されたスレードゲルミルの斬艦刀、どうなるんだろうな。
マシンセルとか考えると使えなくなりそうだが、続編でもシンの愛機の装備として登場してくれると燃えるな。
染み込みまくってスレードゲルミルの如く超進化とか
そこには斬艦刀のマシンセルで変異したグルンガスト飛鳥「だった」ものが!?
まさかのグルンガストが斬艦刀に進化
斬艦刀・飛鳥
どこのファイナルフォームライドだよwww
Kは様子見確定だな……キラマンセーならスクコマ2のように
存在を記憶から抹消しとこう
Kの出来次第では、ZシンがKも含めたあらゆるスパロボ平行世界を渡るSSでも考えるかな
全てを壊し、全てを繋げ!
最新プロモ見たけど動きがマジパねえ
あと凸のウザサは異常だと思ったな
ダンナ―とバリキングの再現っぷりも凄いし
エルドラはフリーフォール・グラッチェからエルドラ・フィスト等コンビネーション技になってるわ
無敵団参戦だわで大変なことになってるよ
3/20!3/20!
(´・ω・`)オカネノヨウイマニアウカナ……
給料日、全国的に昨日だろ
学生ならお年玉とか崩せばなんとかなるはず
>>531 つ「ユニウス条約のMSの保有数の制限」
つまり、フライヤーがMSのパーツを運んでる形になるからアウトになる。
だから自律飛行可能な飛行機が合体してMSになる形にした。でおk?
今読みました
お疲れ様でした
エルデの過去に関してはどうかなぁとも思ったけれど
アリかもしんないすね、そういや以前にも余所で同じような予想されてましたっけな
ラクスはこのラクスなら信頼できる感じです、本編のラクスだったら眉毛一本動かさないでしょうが
とりあえず、シンお疲れ様・・・そろそろ休んでおくれ
総帥も
そしてウォーダンとエルデもどうか安らかに・・・
>>545 「Dの世界」
間違いなくシンにボコボコにされるオールバックの赤い人
そういや空軍が開発した航空戦闘機扱いのガンダムが居たな
同じく変形するザクと相打ちになったけど
それにしても今回も八房節が凄かったなrATX
総帥の"力有るものの無知、それこそが罪だ"って台詞とか
各機重力変動で動けない中突っ込んだ規格外な人とか
>>544 だがスクコマは良作なので記憶に残しててください
五飛の部下になりプリベンターとして働くシンとルナも良いじゃないか!
ゴメン、
>>544じゃないけど、五飛あんま好きじゃないんで、それ聞いてますます記憶から抹消したくなった
>>83の別のシン達の中にちょっと前の流れを予測したような話が
なんか性格がひねくれてきたせいか、あまりスパロボで自軍の正義の味方的空気がなじめないです。
むしろ正義の味方的な理由でなく、たんに相手が気に入らないから叩き潰すというシンプルな理由の方が共感を持てるようになってしまった。
スパロボもそろそろ卒業する時が来たのかも・・・・・・。
それは卒業というより退化(ry
ワンパターンになりがちだからな
だからこそグラフィックやシステムを新しくして、新規参入をしないと衰退化する
総帥GJであります!!
シンのスーパーモード&星薙ぎの太刀炸裂!!
ミッテさんの過去を幻視してからの慟哭が……泣ける。
あとアルベロ様とアイちゃんにも泣けた!
『Good Bye、Mam』
「そうか、お前にとって、エルデは母親も同然だったな」
ライフルで撃ちぬいたシーンではMX版ではなくOG外伝でのアルベロさんのテーマが脳内再生された(かっこいいんだよね〜OG編では死なないで自軍であのテーマが聞けたらいいな)
でも闘いはまだ終わっていない(忘れていたり)。
次回も楽しみです。
>>557 それただのDQNじゃねーかwwwヤンキー漫画でも読んだらいいと思うよw
「強襲、教導隊」
シンのヴァイサーガとアスランのインフィニットジャスティスの決着が着いた頃、ラミアとアクセルによる、互いに決め手を温存しながらの戦いがいまだ続いていた。
アンジュルグ、ソウルゲインともに互いに相手の隙をうかがうように距離を置きながら技を繰り出しており、双方とも目立ったダメージもなく、まともな攻撃が命中してはいない。
だがこの状況において先に痺れを切らし、仕掛けていったのはアクセルのソウルゲインであった。
ファイティングポーズを取ったソウルゲインが大地を踏みしめながらアンジュルグとの距離を詰めていく。そして、これに対してアンジュルグはそれを上空に逃れつつ牽制するべく腕部を正面に構え、
グリーンに光輝く4条の矢、シャドウランサーをソウルゲインに向けて放った。これに対してソウルゲインは上空から向かってくる一本目の矢を上半身を屈めてやりすごし、すぐに向かってきた2本目を
機体を左前方に飛んでかわす。さらに、迫ってくる3本目の矢は首を右に傾けたソウルゲインの頭部のすぐ脇を通過するに終わり、ソウルゲインが前方に突き出した左の拳が4本目の矢を打ち砕いた。
「!」
「喰らえ、玄武剛弾!」
予想以上の動きにラミアはわずかに眉を動かす。対するアクセルのソウルゲインが右の拳を繰り出すと、その勢いも受けてソウルゲインの右腕の先端の拳が高速で回転を開始するのと同時に、
アンジュルグへと向かって射出された。ラミアが当初に想定していたのよりも近い間合いから繰り出された鋼の拳は、回転速度を増しながらアンジュルグとの距離を詰めていく。
ラミアはそれを回避不能だと判断すると、アンジュルグは手にしていたミラージュソードを構えて迫り来る拳撃を迎え撃つべく、剣を振り抜いた。
だが、真っ直ぐ向かってくる拳の勢いをすぐに殺すことは特機であるアンジュルグであっても難しく、高速で回転する拳を受け止めた剣ごと徐々に後方へと押し込まれていく。
回転する拳と銀色に輝く刀身が凄い勢いでぶつかり合って無数の火花を散らす中、アンジュルグはそれでもなんとか剣を振り抜くが、コックピットにはすぐに新たな攻撃を告げる警報が鳴り響いた。
ラミアがその方向に目を向けると、アンジュルグの脇からもう1つの拳、つまりソウルゲインの左の拳が機体の死角を突くかのような角度で向かってきていた。
「しまった!?」
それでも何とか反応し、刀身でもう1つの拳をアンジュルグは受け止めるが、今度は拳の勢いに容易く敗北してしまい、緩やかに機体が下降を開始する。そして、アクセルはそれを待っていた。
ソウルゲインは生じたこの隙を狙ってアンジュルグをその間合いに捉えると、大地を蹴って飛び上がり、第2の拳撃の衝撃の余波に見舞われていたアンジュルグを、腰の回転を加えた回し蹴りが襲う。
コックピットを狙った必殺の蹴りは、辛うじて両腕をクロスさせてガードしたアンジュルグを地面に叩きつけるに終わったが、地面に激突したアンジュルグは地面の土を数十メートル抉り取ってからようやく動きを止めた。
そしてそれを好機としてアクセルは再びアンジュルグとの距離を詰めるべく、ソウルゲインはアンジュルグに向かって突っ込んでいく。
「これでトドメだ、W17!…何?!」
だが敵機の襲来を告げたのは地面に倒れ込んでいるアンジュルグではなく、コックピットに警報が鳴り響いたのは今まさに攻撃をしかけようとしていたソウルゲインの方であった。
アクセルはとっさにソウルゲインの足を止めさせると、その目の前を一直線に青い衝撃波が通り過ぎていく。アクセルはその跡に目をやると、決して広くはないが、衝撃波が通過していった地面は深く切り裂かれている。
その特徴的な痕跡を見て一瞬でその犯人の正体を理解したアクセルは鼻で笑い、表情にもほんのわずかに笑みを浮かべながら攻撃が繰り出されてきた方へと目を向けた。
「この技…ほう、あの人形はやられたか。ざまぁないな」
アクセルが目を向けた先からこちらへ向かってくる機体の正体は、風を受けて背部のマントをなびかせながら真っ直ぐにソウルゲインを見つめる蒼い特機。
鞘に収められた剣、五大剣を腰部に引っさげ、先端が鋭角的なデザインとなった頭部に、青と黒をベースの色とした装甲、シン・アスカと同じような赤い瞳を持ったその特機の名はVR−02ヴァイサーガ。
もはや言うまでもなく、CE世界の覇王と本質的な部分で相容れえぬ科学者であり、ラミアの母ともいうべきレモン・ブロウニングによる、ある種の嫌がらせの結果としてシン・アスカの手に渡った、
極めて近く限りなく遠い世界で製作された特機の1つであり、シン・アスカの手に渡ることがもう少し遅れていればマント以外の部分のほとんどを金色に塗られ、脚部に大型ビームブレード発生装置を取り付けられる予定であった。
「よくもラミアさんを!水流…爪牙っ!!」
当然ながらシン・アスカがそのような舞台裏の事情を知るわけもない。今現在彼の頭にあるのは、ソウルゲインに追い詰められつつあるラミアのアンジュルグを救出することのみであった。
ソウルゲインから目を離さずに向かってくるヴァイサーガは、接近戦のレンジに入る直前に、両腕の先端にカギ爪を伸ばし、構え、飛びかかる。
振り下ろされた右腕先端の赤い爪をソウルゲインはバックステップしてかわすが、ソウルゲインが反撃態勢に移る前に、ヴァイサーガはその左腕の爪を掬い上げるように振り上げる。
それをソウルゲインは上半身を仰け反らせて攻撃をやり過ごすと、アクセルは第三撃が来ることを嫌がってソウルゲインを大きく後方へと下がらせる。
だがヴァイサーガによる連続攻撃はまだ続いており、振り上げた右腕を再びソウルゲインに向けて振り下ろした。
「甘いっ!」
「っ!?」
しかしアクセルもそう易々とシンに連続攻撃を許すべくもない。振り下ろされようとするヴァイサーガの右腕であったが、アクセルはソウルゲインの左半身を強引にヴァイサーガの右腕の内側にねじり込ませる。
続けて、流れるような動きでその左腕によってヴァイサーガの右腕を内側から弾き飛ばすと、今度はカウンターを見舞うべくソウルゲインが、右の拳をヴァイサーガの顔面に向けて繰り出した。
しかし、今度はヴァイサーガの左腕が、やはり強引にではあるが、いち早くソウルゲインの右腕の内側に潜り込んでおり、ソウルゲインがしたのと同じように繰り出された攻撃を内側から弾き飛ばす。
これにより両機ともが正面から激突すると、両機のコックピットのその衝撃で大きく揺らされ、中のパイロットにも衝撃が伝わる。シン、アクセルともに特機どうしがぶつかるという小さからぬ衝撃にほんのわずかに攻撃の手が緩むが、
すぐさまソウルゲインは空いている右足を振り上げる。だがこの攻撃はいったん距離を置くべく機体を急上昇させようとしていたシンの判断が幸いして空を切ってしまう。
そして上空へと逃れながらもヴァイサーガの態勢は整え直しつつ、腰部に備え付けられたクナイへと手をかける。
他方のソウルゲインもすぐさま態勢を整えるとほぼ同時に、機体正面に構えた双方の掌を近づけ、エネルギーのチャージを開始していた。
ソウルゲインの両腕に青と白に光るエネルギーが集まっていき、それらが徐々に混ざり合っていく。そしてアクセルとソウルゲインが上空を見上げるのとほぼ同時にエネルギーを収束させた両の掌を、上空へと向けた。
「列火刃っ!」
「喰らえ、青龍鱗!!」
ヴァイサーガの両腕に握られていたクナイが上空から投げ下ろされるのと同時に、上空へ向けられたソウルゲインの掌から青と白のエネルギーが混ざり合った光弾が放たれる。
クナイと光弾は、互いにソウルゲインとヴァイサーガを捉えるべく一直線に向かっていくが、ほぼちょうどソウルゲインとヴァイサーガの中間地点において両者はぶつかり合い、瞬間的に小さからぬ爆発を起こした。
そして爆煙がソウルゲインとヴァイサーガを後方へと吹き飛ばすのと同時に両者の視界を覆いつくし、互いの姿を覆い隠す。
「くそっ!やっぱり一筋縄じゃいかないか!」
誰に向かって言うでもなく、シンは刃を交えるのが数えて3度目となる相手パイロットと、戦うのが2度目となる特機の手強さを口にした。
アスラン・ザラとインフィニットジャスティスとの戦いを終えて自らを一度は平常的精神状態に戻すが、汗は先ほどぬぐったはずなのに、額から熱とわずかながらも重さを感じさせる脂汗が流れ落ちようとしている。
前方を注視しつつも、呼吸を整え直すべく、口内にわずかにたまった唾液とともに空気を飲むと、やがて視界を覆っていた爆煙が空気の流れにより薄められてきた。そして、煙の奥からと呼ばれる機体が姿を現す。
「初めて乗るにしてはなかなかやるな」
「俺だっていつまでもアンタにやられてやるほどお人好しじゃないっ!」
「ふん、口は相変わらず達者らしい。だが俺だけでなくこのまま基地に待機させている連中も相手に……なに!?」
何かによってアクセルの言葉が遮られた。ソウルゲインのモニターに映ったのは、基地敷地内に待機させていたエルアインスや量産型ヒュッケバインで構成されている部隊が、大出力のビームに飲み込まれ、消えていく映像。
さらに、間髪置かずに今度はまだ戦闘空域近辺で様子見をしていたシロガネ付近で小さな爆発が数回発生する。
シンとアクセルが視線を向けると、そこには機銃と発射管から土砂降りの雨のように降り注ぐ弾幕を潜り抜けながら黒い機影がシロガネへ迫っていくところであった。
銃弾を一手早い移動で回避し、ミサイルのほとんどを、機体を上下左右に振り回すことで切り抜けながら、頭部のバルカンでミサイルを迎撃し、シロガネとの距離を詰めていく。
そしてシンの目が黒く塗られたボディ、機体にペイントされた赤黄黒の家紋がペイントされたヒュッケバインの姿を捉えた。
「黒いヒュッケバインMK−V…エルザム少佐かっ!」
「何者か知らんがこれ以上好き勝手にはさせん!」
アクセルがそう言うと、腕を伸ばしたソウルゲインの左右の拳が高速回転を開始し、急速にその回転速度を上昇させる。
そして、その拳をシロガネへと迫る黒いヒュッケバイン、ヒュッケバインMK−Vトロンベへと射出した。
空気を切り裂いて回転しながら、2つの拳がヒュッケバインMK−Vトロンベへと向かっていく。他方、そのヒュッケバインのコックピットではソウルゲインが放った回転する拳撃、
玄武剛弾の接近を告げるが、今現在は謎の美食家レーツェル・ファインシュメッカーと名乗っているエルザム・V・ブランシュタインはわずかに鼻で笑うのみで攻撃を回避しようとはしなかった。
「攻撃を避けないだと…!?」
自分で攻撃を仕掛けたとはいえ、全くの不意打ちというわけでもないのに回避行動を取らないという、常識的には考え難いその行動に驚きを隠しえないアクセルであったが、その直後にその理由は明らかとなる。
ヒュッケバインMK−Vトロンベへと迫る拳であったが、ヒュッケバインを捉える前に玄武剛弾は下方から急上昇してきた回転する別の物体によって弾き飛ばされたのである。
「また邪魔が入っただと!?誰だっ!!」
拳自体が回転しながら敵を砕く玄武剛弾を弾き飛ばすと、突き出た先端ごと回転している物体は地上に山がそびえるかのように直立する青、黒、赤で塗られたボディを持つ特機の下へと戻っていく。
その回転する物体を両腕に装着し、先端のドリルユニットを両肩上部へと戻した一振りの刀を下げる機体、シンやラミアにも見覚えのある3代目の超闘士、その名はグルンガスト参式。そして、それを駆るのは…
「俺か?…我が名はゼンガー…ゼンガー・ゾンボルト!悪を断つ剣なり!」
「ゼ、ゼンガーだと!?」
「ゼンガー少佐!」
「その声、シン・アスカか!?」
「はい!」
「だがその機体は…」
「敵艦にあった新型の特機です!」
「私もいるぞ」
「ギ、ギリアム少佐!?」
ヴァイサーガのモニターに最も端、壁際的位置に通信ウインドウが開いて、ちょうど外淵を背にしたような角度で緩やかなウエーブのかかる薄紫色の髪をなびかせたギリアム・イェーガーの表情が映し出される。
そしてヴァイサーガの前を見慣れない、オリジナルのものよりも鋭角的なラインと巨大なビーム砲、テスラ・ドライブ搭載型の背部フライトユニットを装着したゲシュペンストらしき機体が通り過ぎていった。
他方、次々と現れた援軍に苛立ちを増しながらそれを見ていたアクセルは、黒いゲシュペンスト―ハロウィン計画に基づいて強化改造されたものである―ゲシュペンストRVが
巨大なビーム砲−メガバスターキャノンを携行していたことから、さきほど基地を砲撃した機体の正体がこのゲシュペンストであることに気付いた。
そうであるとすれば、いち早くこのゲシュペンストを落とすべく攻撃を仕掛けたいところであったのだが、今のアクセルは、斬艦刀を背負ったグルンガスト参式だけでなく、今の今まで戦っていたヴァイサーガ、
それに加え自分と互角の腕を持つラミアのアンジュルグがいる以上、迂闊に攻撃を仕掛けることができないでいる。
アクセルがそんな状態にあることを知ってか知らずか、ギリアムはシロガネとの距離を縮めながら手元の通信機器を操作していた。
「シン、マスタッシュマン相手によく頑張ったな…あとは俺達、いや俺の仕事だ」
「え!?どういうことですか?!」
「…いずれ説明するさ。応答せよ、シャドウミラー隊指揮官……ヴィンデル・マウザー大佐」
「何者だ?」
「ヘリオス……と言えばわかるだろう」
「!!」
「ホントに!?」
「顔はともかく、あの声は……!」
「ふ、ふふふ……久しぶりだな、ヘリオス……ヘリオス・オリンパス。それがお前の素顔か?」
その場にいたシンだけでなく、ゼンガーやレーツェルもが顔をしかめた。聞き覚えのない名詞の意味を思考しながら、ギリアムの持つ偽名か何かだという想像は可能であったが、
だからといって、「影」と呼ばれる正体不明の部隊の、それもその首魁と一介の情報部員に過ぎないギリアムが何かのつながりを持っているとは素直には考えられない。
人間性こそ知っているものの、素性自体あまり分からないギリアムだからこそ、そのような繋がりがあってもおかしくないとも考えられたが、
そうであるとしても敵勢力の親玉とおぼしき人物と何かの因縁があろうとは通常であれば考えられない。
シャドウミラーの構成員であるアクセルの他には、元シャドウミラーというべきラミアが事態の推移を静かに見守っていたくらいであった。
だが、ギリアムとシャドウミラー首魁のヴィンデルらとの通信を聞いて、シン達にも確実に分かったことがある。いかなる理由があるのか詳細な理由まではわからないが、
自分達の仲間であるギリアムとシャドウミラーが明確に敵対しているということ及びシャドウミラーの企みが世界規模で何らかの災いをもたらすおそれがあるということ程度なら理解できた。
そして、それだけわかっていればシンたちもどちらにつくべきか、何をすべきかは簡単にわかる。
ギリアムとヴィンデルの話が決裂に終わり、その場にある機動兵器のパイロットの誰もが些細なきっかけさえあれば戦闘を再開できる心の準備を完了させている。あとは誰が戦闘再開の合図を出すかであった。
「ここで決着をつけてやる。貴様ら全員まとめてな」
ギリアムらの話を黙って聞いていたアクセルがコックピットのモニターに映し出されたゲシュペンストRV、ヒュッケバインMK−Vトロンベ、グルンガスト参式、アンジュルグ、そしてヴァイサーガをそれぞれ一瞥した。
「出来るとお思いですか?……私だけならまだしも…」
「俺だっているぞ、アクセル・アルマー!!」
「シン!?だが彼女は…」
「キョウスケの部下だが、しかし…」
「Wシリーズ……君は我々の味方なのか?」
「連中に捕まった俺を助けてくれたのはラミアさんです!だから…!」
「…いいだろう。ゼンガー、レーツェル、異存は?」
「ない」
「行動でその証を立てるのであれば…」
「…了解」
「ありがとうございます、少佐!」
シン達の意思が揃ったところで、ソウルゲインは両肩の正面に左右の拳を構えさせてファイティングポーズを取った。そしてその両眼に再び闘気と殺気が戻ると、
握った拳はヴァイサーガやゲシュペンストに向けられて、交渉が決裂したことを蛮勇に物語る。言うまでもなくまだ戦いはまだ続いているのである。
突然の乱入者にあたるギリアムやゼンガーら旧教導隊の出現で戦闘が一時的に止まっていたにすぎない。
そして、戦闘の最中に容易に他者を信用し、受け入れた(ようにアクセルには映る)シンやヘリオスことギリアムら旧教導隊の様をアクセルは呆れ果てたような目で見ていた。
「甘い…その甘さが新しい世界の妨げになるとわからんようだな、お前には」
「今まではわかろうともしなかっただけです。私は指令さえこなしていれば良かった。ただ…その味を知ってしまった。それだけです、アクセル隊長」
「ふん……ならば、お前はこの世界をどうする気だ?戦いを終わらせ、平和をもたらすつもりだとでも言うのか?」
「…平和は何も生み出さん。ただ世界を腐敗させていくのみ。そして、闘争を忘れた者達は兵士を……軍を切り捨てる。我らの存在を否定するのだ」
「わかっておられないようですね、ヴィンデル様」
「何だと?」
「戦いに他人を巻き込み、殺すことでしか存在を見出せない……その後に何が残りますか?生まれるものと失われるもの…それは等価値ではない。彼らの中の一人もそう言っていたはず」
「貴様…」
「アンタ達をほっといたら、また戦いに巻き込まれる人達が出てくる…!もしアンタが言うみたいに腐敗するんだとしたって…戦いが続くことに比べればはるかにマシだ!」
「ええい!何も分からぬ小僧が!そのような甘い考えこそが世界を腐らせていくのがということがわからんのか!」
「そんなこと…わかってたまるかぁっ!」
劇的な戦争のないまま緩やかに時が流れて腐り始めた世界を憂い、人類の衰退防止と発展のためにコントロールされた争いを世界にもたらそうとするヴィンデルの思考と、
身近な人間だけでなく、その目で見ることができる人々、争いと関係なく平和に生きることを望む力なき者が1人でも傷付き、息絶えることのないよう、戦争を終わらせたいと願い戦士となったシンの思考は
双方とも世界や人類の行く先・未来を思っているものである点及び覇王のように世界は己のものであると考えているわけではない点において共通する。
だがヴィンデルの意識は世界に住まう個々の人間ではなくほとんどが世界全体のみに向けられている。いわば戦いの中及び先についてマクロ的なアプローチをしているヴィンデルに対して、
連合・オーブ間の戦争とフリーダムの戦闘参加により家族を失い、戦争の中で仲間や守ると誓った女を失ったシンの意識は戦争や争いにその者の意思とは関係無しに巻き込まれる個々の人間に向けられている。
いわばこのようなミクロ的アプローチはヴィンデルとは真逆のものであるといっても過言ではないであろう。
そうであるとすれば、双方とも戦士である以上、最終的には戦いという形によってそれぞれの義・信念をぶつけ合い、実現していく他はない。
そうであれば次に問題になるのは、戦いのゴングを誰が鳴らすか、何時いかなる時に鳴らすかという点にシフトしていく。
「レモン、通常転移だ。この場から離脱するぞ」
「でも、私達がずっと捜していたヘリオスを放っておいていいの?」
「万が一にも、ここでシステムXNをこれ以上損傷させるわけにはいかん」
「そうね……。コアを手に入れても、システムが壊れちゃ意味ないものね」
「最悪の場合、奴なしでもあの機能は発動できる。……我々がこちらへ来たようにな」
「その分、確実性には欠けるけどね」
ここでヴィンデルが選択肢の中から選んだのは、自分達の本来の本懐の達成のための撤退であった。
「…アクセル、そろそろハガネやヒリュウ改が来るわ。基地は放棄して下がるわよ」
「…わかっている。W17、それにシン・アスカ。いずれ必ずベーオウルフのついでに、ケリをつけてやる。そのときを楽しみにしておけ」
「!?待てっ!」
先ほどまではいつ戦いが再開されても何らの不思議もなかった状態であったが、現在おかれている状況からシャドウミラーの面々が選んだ撤退という選択肢にシンは驚きの顔を隠すことはできなかった。
残っていたわずかなシャドウミラーの機体が急いでシロガネへと戻っていくのを見て、ヴァイサーガのモニターに映っている、これまた後退を開始せんとしていたソウルゲインに追撃をかけようとするが、それはレーツェルが遮った。
「いやここは深追いするな、シン!」
「どうしてですか、エルザム少佐!?」
「このまま戦い続ければいずれ干上がって戦えなくなるのは補給もままならない我々だ。それに間もなくハガネとヒリュウ改が来る。今はそれを待て」
「………了解です」
クロガネと別れて密かに動いていたレーツェルやゼンガーらは、いくら根回しなどにより最低限の補給を受けることが出来たとしても、ここから連戦を続けるに足るだけのバックアップ体制はない。
また、真相の一部を口にしたギリアム、シャドウミラーと袂を分けたラミアらとしては、シンらだけでなくヒリュウ改やハガネの仲間達に真相を告げなくてはならない。
以上からすればこれ以上の追撃・追跡は断念せざるを得なかったし、シンとしても心配をかけたであろう仲間達に自分の安全を知らせなければならないであろうと思い至り、今回の追撃は断念することとした。
それにハガネには今でこそ記憶を失っているものの、同じ世界からやってきた戦友であり仲間であるレイ・ザ・バレルが待っているであろうから、というのもあったことは事実であろう。
だが、間もなくシンたちと合流したハガネにレイの姿はなかった。アスラン・ザラとキラ・ヤマトに捕獲・拉致されたシンを助け出すべく、レイとペルゼイン・リヒカイトがシンらの後を追ったことはまだシンの知るところではない
そしてちょうど1つの戦いが終わりを告げようとしていたとき、レイに災厄が降り注ごうとしていた。
「クソっ!動け、動きやがれ!」
コックピット内の計器類と思しき部分を手当たり次第に動かし、レバーを上下させるなどしていたレイは、シン救出の途中で休憩のために立ち寄ったとある無人島において、アインストの群れ、そして
それらを率いるオリジナルのペルゼイン・リヒカイトに包囲されようとしていた。攻撃こそ仕掛けてこないものの、既にレイのペルゼイン・リヒカイト周辺はアインスト・クノッヘンにグリート、ゲミュートなどにより取り囲まれている。
雨風がしのげる洞穴で休んでいるところに、突如として頭痛が走り、本能的に身の危険を察知したレイが変身という名の機体召喚を行って、大剣を手にした、御伽噺に出てくる赤鬼のような面をしたペルゼイン・リヒカイトに
乗り込んだまではよかったのだが、その後がどうすることもできなかった。
歪んだ空間の中から現れた骸骨武者のような空洞のボディと両肩に1つずつ鬼の面をつけた機体、オリジナルのペルゼイン・リヒカイトが手にしている刀を大地に突き刺すと、そこから光が溢れ出し、その光がおさまったと思ったら
今度は機体が操作をまったく受付けなくなり、身動きがまったく取れなくなってしまっていたのである。
そのような状態のレイとペルゼイン・リヒカイトを見て静かに笑みを浮かべるアルフィミィは、オリジナルのペルゼイン・リヒカイトをレイのペルゼイン・リヒカイトの傍へと近づけると、レイの機体の顔面部たる鬼の面へと手をかけた。
「ふふ…あなたの力…有効につかわせてもらうのですの…」
「何!?どういうこ…と………だ………………………」
アルフィミィがそう言った途端、レイの意識は暗闇の中へと徐々に引きずりこまれ始め、疑問の言葉を言い終えるのとほぼ同時に、意識は完全に闇の中へと落ちていった。
そして、レイのペルゼイン・リヒカイトを少し重そうに抱えたオリジナルのペルゼイン・リヒカイトがゆっくりと浮き上がると、引き連れていたアインストらも連れて歪んだ空間の中へと姿を消していく。
パイロット・機体ともに予想以上に高い戦闘能力を秘めているだけでなく、戦場で適宜新たな力を獲得してゆき力を増してきたレイのペルゼイン・リヒカイトの利用価値は、アルフィミィらアインスト低いものではない。
シャドウミラーやインスペクター、ノイエDC、それにラクシズとはまた異なった意図を持つアインストが本格的な活動を開始するための準備は、最終段階に到達しようとしていたが、それを知る者は誰もいなかった。
つづく
お久しぶりです、超・電王のクライマックス・フォーム、よく見ると背部に小さいウイング、頭部中央おでこの部分にちゃっかりロックオン…じゃなくてジークの翼のマークが加わってる…
こうなったらART−1の試作機かなんか出してリュウセイ乗っけて食わせるか(爆)
G・Jです!
頭の中で英雄戦記が止まりませんよ
お久しぶりです
あぁ!レイが捕まってしまった!
ちょwwwガンフォームのお披露目無しっすかw
おっしゃ11氏来たああっ!
ヴァイサーガvsソウルゲインは燃えるのお
アクセルとも互角に戦うとはシンも強くなったものだ
もうキラや凸じゃ相手にならないな
お久しぶりでした、そしてお疲れ様です。
モモゼインがどうなっちゃうのでしょう。レイの記憶の行方もそうですし、これからどうOG世界に変化が起きるのか楽しみにしています。
では、私も投下させていただきます。
ビアンSEED 第七十八話 人の黄昏、神の黄昏
まるで気まぐれな狂気画家の筆が、パレットにぶちまけた絵の具をとくように宇宙空間がぐにゃりと蕩けて混ざり合う。AI1セカンドの撃破によってようやく安堵を迎えようとしていた者達全ての心を裏切る様に、それは極彩色の歪んだ世界の先より現われた。
グランゾンの中のシュウ・シラカワが、ネオ・ヴァルシオンの中のビアンが、冷たい光を帯びた瞳でそれを見た。かつて、旧オーブ本土を襲った汚らわしく忌わしく、しかし強大なる敵を。
まず出たのは、巨大な爪であった。異様に真白いそれは象牙細工のように滑らかな光沢を放っていたが、それの生えた肉は、決してこの世にあって良い造形ではなかった。
表面は磨き抜かれた装甲の様な個所もあれば、魚の様な鱗を連ねた個所もある。まるで機動兵器の様な硬質の装甲を持った個所もあった。あるいは、生きた人間の様な、腐乱した死人の様な個所もあった。
およそ人間が不快さを覚えるありとあらゆるモノを繋ぎ合せた様なその姿。人間の描く想像の中の産物もこれほど汚らわしく気味の悪いものは他にあるまい。
でたらめに体のあちこちから突き出した牙、角、触手、無数に開かれた瞳。様々な色に染まり、ぬらぬらとぬめり、どう見ても岩石の様な外見なのに軟体動物の様な柔らかさを持った個所もあった。
かつてシュウの目の前では法衣の下に奇怪汚穢なものへと変わった肉体を隠していたルオゾールは、今や完全に同化し、復活した哭霊機ナグツァートとヴォルクルス完全体の融合した真ナグツァートを露わにしていた。
頭部と思しき箇所にナグツァートのわずかな名残をとどめ、実に一二〇〇メートルに及ぶ巨躯を余す事無く曝け出し、生前よりもさらに異形化した真ナグツァートの姿を誇示している。
地球連合の核兵器の使用、ザフトの隠していた地球滅亡さえ可能とする決戦兵器ジェネシス、ジェネシスを取り込み野望を露わにしたエルデ・ミッテ。どれ一つとっても心臓を止めるほどの衝撃であり、絶望の暗い影が心をよぎった。
今、そのすべてを乗り越え、ようやく安堵の息を突いた人間全てに、ルオゾールはシンの絶対的絶望を与える為に顕現したのである。世界の終末に、人類を裁くべく姿を現す裁判神の様に。
真ナグツァートは、さらに数体のヴォルクルスを引き連れていた。ヤラファス島で姿を見せた上半身、下半身のみの分身体ではない。上下の体が融合した完全体と呼ばれるものだ。
かつてシュウが地底世界ラ・ギアスで意図的に蘇らせて倒したヴォルクルスは真ナグツァート同様に一キロメートルにも及ぶ巨体であったが、これらはルオゾールの生み出した分身体である為か、その十分の一、百二十メートルほどだ。
それでもアズライガーに匹敵する巨躯であり、人知を超えた不気味な不可視のオーラを噴出している。人間の理解の及ばぬ存在は、冷たい宇宙空間でもおぞましく映った。
真ナグツァートの頭部に、ぼこぼこと肉の瘤が泡立って、それは一人の人間の顔を造り出した。二十メートルを優に超す巨大な顔は、削いだ様にこけた頬に、水死人の様な色をしていた。
魔神官ルオゾールである。本来の世界でシュウ・シラカワによって二度に渡る死を与えられた男。
三度目の生をこの世界で得て、自分を斃したシュウ・シラカワの可能性の一つを、こちらの世界に呼び込んで蘇らせた男。
自らの蘇らせたシュウ・シラカワを、自らの手で恥辱を与え、無様に命乞いをさせてから殺すべく復讐を図った男。
地球連合に力を貸して死者の力を貪りながら雌伏し、十分な力を取り戻すや連合に反旗を翻し、シュウへ悪意を剥き出しにした男であった。
ルオゾールは、他のすべての人間に目もくれず、シュウとその傍らのビアンに目を向けた。それ以外の人間は、すべて自分に捧げられた供物にすぎぬのだろう。無力な人間を見下す、神の傲慢であった。
「お久しゅうございます。シュウ様、ビアン・ゾルダーク。どうやら、私が手を下すまで無事命を長らえたご様子で誠に重畳」
「貴方も、ヴォルクルスの制御に失敗して野垂れ死にをしたかと思っていたましたよ。私がDCに身を置いてから何の音沙汰もなかったものですから、てっきり怖気づいたかとも思いましたが」
「はっはっは、そう仰られますな。ようやく貴方方と決着を着けるに相応しい舞台が整いました故な」
慇懃に言葉を交わすルオゾールとシュウ。二人の関係と互いに備える力を知る者からすれば、これ以上ないほど恐怖を覚える両者の対峙であった。ルオゾールは、それから、この場で注意を向けるに値する二人目の人間を見た。
ネオ・ヴァルシオンの創造主にして操者、DC総帥ビアン・ゾルダークを。
「おや、顔色が優れませぬなあ。先ほどの戦闘で負った傷ではありますまい。満足に傷を癒す事も出来ずに立たねばならぬとは、定命の人間の身でご苦労な事です」
「貴様こそようやく引き篭もるのをやめて、下らぬ企てを披露する気になったようだな。あのエルデ・ミッテとの戦いも傍観していたか」
「いやいや、面白い見せものでしたぞ。身の丈に合わぬ野心を抱いて滅びた女と、その女を相手に必死に抗う小虫どもの争い。そしてその戦いに安堵した貴方方の顔が、私の姿を見て恐怖と絶望に陰るのもまたなんと心地良い。くくく、待ったかいがあったというもの」
「下衆が。それで神を名乗るのか。あまりにも卑小、あまりにも下劣、あまりにもくだらぬ。その腐った性根を、存在の一片も残さぬように滅ぼしてくれよう。この私とディバイン・クルセイダーズが」
「ふくく、そう、その大言が実に心地よい。そうのたまった貴方の口から恐怖に塗れた断末魔の声を絞り出して差し上げよう」
再びビアンの心身に燃える戦意が充ちた。衰弱の一途をたどる体を突き動かす衝動は、目の前の邪悪を許さぬ強い意志。今のルオゾールを前にいかなる言葉も大義名分も必要ない。
目にすれば分かるのだ。アレが存在を許してならぬものだと。この世に生きるあらゆる全ての者にとっての反存在。関わったもの全てを破滅に導く生命そのものに対する敵だと。
ネオ・ヴァルシオンの右手に握られたディバイン・アームは、真ナグツァートの妖気を前に鈍く輝いていた。ビアンの最後の命の火が乗り移ったものか、液体金属で構成される刀身は陽炎を纏ったかの如く揺らめいて見えた。
「さて、そろそろ始めさせていただきます。背教者クリストフ、愚者ビアンよ。今こそ、滅びの時。一瞬でも長く生き延びられる事を願いなさい。神となったこの私に! はははははは」
「やれやれ、相変わらず品の無い笑い声ですね。少しは他人の目と耳を気にする神経を期待したいものでしたが、あれほど驕り高ぶった愚か者では仕方ありませんか。ですが、慈悲も容赦も与えはしません。チカ、形態変化を」
「しょっぱなから飛ばして行きますね、ご主人様!」
「言ったばかりですよ。慈悲も容赦も与えはしないと」
グランゾンをにわかに闇が飲み込んだ。一片の光の通過も許さぬ闇の球体は、わずかに一瞬のみ生じ、それが霧散した時にあったのは、真の姿を開放した闇色の魔神ネオ・グランゾンであった。
もとより無機物でありながら、途方もなく強大な力を持った神像を前にしたような畏怖を見る者に与える機体であったが、背に黄金の光輪を背負い、四肢に新たに重厚な装甲を纏ったその姿は、神も魔も滅ぼす問答無用の破壊神の如き圧倒的な威圧感を放っていた。
ただそこにあるだけでも世界に冷たく恐ろしい何かを満たす、まさしく魔神の名で恐怖と共に讃えられるに相応しいその姿。
真紅の大魔王と闇色の魔神。並び立つその姿は数十倍の巨躯を有する邪神を前にしても決して引けを取らぬ存在感を醸し出している。
万の軍勢を持って対するよりも、この二機の巨神の存在こそが、邪神にして破壊神たるヴォルクルスとの戦いに置いて要となるであろう。
AIセカンドを前にした時の恐慌を今一度来しかねない中にあって、比較的平静を保っていたのはDCの諸兵であった。ヤラファス島での戦闘の情報が規制付きではあるが軍内で、テロリストの有する生物兵器として通達されていたからだろう。
とはいえ、事前に見た記録映像などと比してもあまりにも巨大すぎ、あまりにも禍々しすぎるその姿は、知識を与えられていたDCの諸兵をしても息を呑み、恐怖に心臓を縮こまらせても無理からん事であったろう。
実はヴォルクルスとそれを操るルオゾールの情報それ自体は、ザフトにも地球連合にも知れ渡っていた。地球連合はもとからルオゾールを子飼いにしていたと言う事もあるが、ザフトにも知られているのは、DCからリークされたからだ。
DC本土を襲い多大な被害を強いたヴォルクルスの事が知られる事は、DCの立場を悪くしかねぬものであるから、無論そっくりそのまま教えるわけには行かなかった。
DCから秘密裏にリークされた分身体やデモンゴーレム、ゾンビー化するMSの事など、一笑に伏せられつつも、隊長格をはじめとしたザフト兵士に伝えられている。半信半疑、どころか九割九分九輪信用されぬ情報であったが、それでもその甲斐はあったろう。
AI1セカンドや核攻撃といったあまりに度肝を抜く事が続いた所為で、ある程度神経が麻痺し、事前情報で知っていた荒唐無稽な生物兵器の一群らしきヴォルクルスの出現を前にして、半ば機械的に引き金に指を添えていたのだ。
DC兵、ザフト兵が、心臓をきゅっと縮め、恐怖に目を見開きながらも引き金に指を添え、反射的に迎撃しようとしていた。だが、その最後のひと押しが足りなかった。60兆に及ぶ人体を構成する細胞が恐怖のあまり動かぬのだ。
ぶお、と地球の大気圏内であったら、どんな巨大な生物の首も落とせそうな風切り音を伴ってディバイン・アームが振り下ろされた。ネオ・ヴァルシオンだ。
添えた引き金を引く最後のひと押しとなるべく、ビアンは酩酊する意識の芯に鋼を通し、鬼神も三舎を避けかねぬ形相を浮かべた。全周波に通信を繋げ、喉が張り裂けんばかりの叫びを放った。
「皆に告げる。私に続け!! アレはここで斃さねばならぬ敵だ。諸君の命を私に預けよ。故郷の父母を、友を、子を、あの様な汚らわしいものに蹂躙されてはならぬ。行くぞ!」
「お供しますよ、ビアン博士。個人的にも、あれは始末せねばならぬ理由がありますし、またそろそろお世話になった借りも返さねばなりませんしね」
ネオ・グランゾンの右手の甲にある黄金の球体が発光し、局所的に増大した重力で歪められた空間の先から、重厚な刃を持った剣の柄が伸びる。
それを一息に抜き放ち、グランワームソードを右手に提げたネオ・グランゾンは、テスラ・ドライブの光の粒子を放ちながら先を行くネオ・ヴァルシオンの後を追った。
その道筋を、周囲に漂っていた無数の残骸と化していたMS達と、空間転移によって数百単位で召喚されたデモンゴーレム達が立ちはだかった。ルオゾールの魔術によって使役されるゾンビーMSをはじめとしたルオゾールの兵団である。
ルオゾールの死霊を用いた魔術は時間をかければかけるほど、斃された味方が敵となり、戦いの趨勢はより敗北に傾く。
細胞の一片さえ残っていれば時と共に復活するヴォルクルス、そして死者を弄び、力に変えるルオゾールを相手にする場合、極めて短期でかつ圧倒的な火力でせん滅する事が犠牲を最小限に留める術だ。
「合わせよ、シュウ」
「ふ、お任せを」
ネオ・グランゾンの胸部とネオ・ヴァルシオンの左手の先に空間の穴が穿たれる。同時に無数の空間歪曲によるワームホールを作り出し、同時多面多数攻撃を可能とする恐るべき武装の同時使用。
「ワームスマッシャー、発射」
「ワーム・クロスマッシャー!」
一瞬、正しく一瞬で両機の前に立ちはだからんとしたデモンゴーレムやゾンビーMSの群れがゼロとなる。並び立つ二機の前方が、無数の球体が連なった光の帯となる。
本来の世界と、このC.Eの世界どちらでもあまりにも頭抜けた力を持つ二機の力を、わずかに披露しただけで、これであった。
果たして、人類の作り上げた人造の破壊神ともいえるこの二機と、ラ・ギアスで滅亡した巨人族の怨念が形をなした邪神を取り込んだ魔神官と、勝利の勝鬨を挙げるのはどちらか。
数多の神話で運命を司る神達にも到底結末を見通せぬ戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
サイレント・ウルブズ母艦アカハガネ、クライ・ウルブズ母艦タマハガネから補給と応急修理を終えた機体達が飛び立つ中、サイバスターのコックピットの中で、マサキが予測していた通りに、聞こえてきた悲痛な叫びにこめかみを押さえた。
サイバスターの機体が、マサキの変調に応じる様にしてふらついているのに気づいたテューディが心配げな声をかけた。愛しい者の体を案じる声音だ。
「マサキ、ヤツか!?」
「ぐう、そうだ。サイバスターが泣いているぜ。サイフィスもな。来る!」
かつて南米近海で対峙した、ヴォルクルスの呪いを受けたもう一体のサイバスターの出現を告げるサイフィスの声を聞き、マサキは目の前の虚空を睨み据える。
デモンゴーレム同様に無数の空間の歪みが生じ、その先から魔装機サタナギーアと、異世界のサイバスター“イズラフェール”がその姿を見せた。右手には、今首を跳ねたばかりの様に紅に染まった湾曲刀バニティスラッシュを握っている。
ともにポゼッション――精霊憑依を行い、シュウをしてグランゾンでは負けると断言させるほどの力を見せ、超自然的な戦いを行った両機は、同じく風の高位精霊サイフィスの加護を受けながら、かたや邪神の使徒として世界に破滅の歌を歌うべく対峙していた。
イズラフェールは移植されたヴォルクルスの細胞によって侵され、唯一オリジナルサイバスターの右腕のみが、清らかな白銀の輝きと原型を留めている。もとより焼け爛れた様な腹部や、悪魔めいた容貌ではあったが今はそれをはるかに醜悪に誇張させた姿だ。
サイバスターの周囲をぐるりと囲む無数のサタナギーアと対峙したのは、マサキの恋人テューディのイスマイル。
そしてアカハガネの指揮を副長に任せ、オールトのブローウェルカスタムを守りに着かせて、デュラクシール・レイで出撃したフェイルロードの二人であった。
リカルドのザムジードはシカログやヴィガジ、アギーハらと一緒に先行してAI1セカンドの軍団と戦端を開いているから、こちらにはいない。
ルオゾールの意識がシュウとビアンとの戦闘に向けられているから、イズラフェールと内部のソッドに今以上の干渉を行いはしないだろうが、それでもイズラフェールを犯すヴォルクルス細胞の魔力と強制力は、ソッドの自由を束縛して解放を許さない。
ゆるりと赤く染まった妖かしの気を立ち上らせ、血臭薫る刃をイズラフェールが構えた。小休憩を挟み、気力を取り戻したマサキは今度こそイズラフェールに宿るサイフィスを開放せんと、腹腔に気迫を溜め込み、イズラフェールの一挙手一投足に目を光らせた。
呪縛されたサイフィスの力にヴォルクルスの魔力を併せ持つイズラフェールの戦闘能力は、グランゾンさえも一蹴する。一瞬の気の油断が齎すのはマサキの死とサイバスターの破壊の二つのみであろう。
マサキは、不意にサイバスターのコックピットに風が吹くのを感じた。空調ではない。気のせいでもない。それはサイバスターに宿る風の精霊が、緊張に身を強張らせるマサキを慰めたのだ。
精霊との高すぎる親和性を危惧したテューディによってリミッターが設けられ、サイフィスとの交感にはある程度の壁が築かれたが、対となるイズラフェールの出現を前に、サイフィスの影響力も強まったと言う事だろう。
高ぶった神経を鎮め、精神に余裕を取り戻させてくれたサイフィスの優しい手のぬくもりに、マサキは穏やかな微笑を浮かべた。サイバスターの右手のディスカッターの切っ先がイズラフェールの胸元へ、応じる様にバニティスラッシュもまた動く。
清浄なりし白銀の風と凶気に侵されし魔風。わずか二度目の邂逅。しかし決着を着けるには十分に過ぎる二度目の出会いであった。共に戴く力は同じなれど、それを行使する手段はまるで異なった。
かたや精霊に認められた人の意思と、精霊とが共に力を高め合うサイバスター。
かたや邪神の力を取り込んだ狂人の呪縛によって力を引き出すイズラフェール。
サイフィスの意思は無論サイバスターの勝利と、イズラフェールを縛るヴォルクルスの呪いからの解放を願っている。
である以上サイバスターの方がサイフィスの力を引き出し得るのは明白であるが、精霊ならぬ人間のマサキが操者である以上、扱う事の出来る力にも限度があろう。
元より亡者であり、ヴォルクルスの細胞によって作られた偽りの肉の枷に閉じ込められたソッドには肉体的な制限はない。強制的に引き出されるヴォルクルスの力に自壊する事はないのだ。
ルオゾールの呪術によってサイフィスの力はサイフィス自身の意思とは別に抽出され、その際に途方もない苦痛を伴う。
精霊の感じる苦痛というものは人間の感じるものよりも、はるかに強大なエネルギーとなってルオゾール自身にも還元され、いっそうイズラフェールの支配を強固なものにしてしまう。
「フェイル、テューディ。周りの奴らは任せたぜ。おれは、あのイズラフェールを斃す」
「言われずとも任せるさ。サイフィスの解放は、必ず成せ」
フェイルは、そうなると分かっているように頷き、群れなすサタナギーアへと愛機と共に挑んでいった。
「マサキ……」
「ん? どうした、テューディ」
「言っても無駄かもしれないが、無理はするな。精霊憑依は操者への負担が大きすぎる。サイフィスとの相性が良すぎるお前では、その負担も……」
「へ、心配すんなよ。おれはテューディを信じている。テューディが作ったサイバスターもな。絶対に勝つ。そして生き延びるぜ。テューディとこれからも一緒に生きたいからな」
「ふふっ、15歳の子供が生意気な事を言う」
そう言うテューディも、このような状況ながらもどこか嬉しそうだ。半死人であった頃から比べれば、ずいぶんと変わったものだ。その様子にフェイルはいささか呆れた様であったが、彼ららしいとどこか頼もしくもあった。
二人の様子を待っていたのか、それまでバニティスラッシュを突きつけたままだったイズラフェールが動いた。口は動かしつつも目線はイズラフェールに向けていたマサキが即座に反応する。
イズラフェールとの二度目の戦闘とはいえ、やはり瞠目に値する速さで闇の魔装機神は目前に迫っていた。実にシンの最速最高の踏み込みを凌駕する早さであった。
イズラフェールの背の翼から吹きこぼれる黒い粒子と、サイバスターの背から舞散る翡翠の粒子とが交差する。
「行くぜ、サイバスター、GO!!」
衝突する紅刃と銀刃。瞬く間に数十単位で交わされる剣戟は、闇に堕ちた魔装機神と風の司たる魔装機神の周りにのみ愁雨が降っているように、無数に剣花を咲き散らした。
球形のコントロールスフィアを力いっぱい込めた指で握りながら、マサキは高まるプラーナの鼓動のままに、サイバスターを己が手足の様に操り、サイフィスの声の導きと共に戦う。
付与された風の属性そのままの如き疾風の一太刀は、イズラフェールの左頸部に叩きこまれ、木刀で大岩を叩いた様な衝撃がサイバスターを越えてマサキの全身を痺れさせた。
サイバスターが疾風ならばイズラフェールもまた疾風。受けたディスカッターの刃を、同速度で受けて、遥かに上回る剛力で弾き返したのだ。体勢を崩したサイバスターの頭部へ振り下ろされる紅の縦一文字。
弾かれた勢いを利用し、機体を回転させてその一刀をかわして、マサキは風を巻く横薙ぎの一閃をイズラフェールの右胴へ。刀身に巻いた風さえも切り裂くマサキの一撃は、後退したイズラフェールの残像を裂いた。
振るった刃に伝わる虚しい手応えを認識するのと、刃をかわした直後に再び前進しサイバスターの左胸部へイズラフェールがバニティスラッシュの切っ先を突きこんでくるのに気づくのは同時だった。
まるで刃そのものが血を欲しているように見えるのは、イズラフェールの纏う妖気の所為か。
紅の一筋は、白銀色の残像に紛れた。手を伸ばしても決して掴む事の出来ない風の様に、サイバスターもまたイズラフェール同様の神速で回避して見せたのだ。
自分自身が風と同化した様な感覚の中で、マサキの感覚はより鋭敏になってゆく。宇宙に充満する無数の宇宙線や、放射能、太陽風、電磁波に至るまですべて知覚できているかの様。
イズラフェールの背後に姿を露わにしたサイバスターのディスカッターとバニティスラッシュが、飽きる事無く斬撃を交わした。
ズフィルードクリスタル製の機体を揺らす衝撃に視界を揺さぶられるなか、マサキは四基のファミリアレスを起動し、イズラフェールの周囲を取り囲ませ、同時にサイバスターの左腕をかざしアートカノンを連射した。
テューディの施したリミッターはすでに作用しておらず、マサキはイズラフェールを前に高まるサイフィスの解放を求める声に突き動かされて、際限なく高まるプラーナのままにイズラフェールに挑む。
かつてない破壊力で放たれるアートカノンを、イズラフェールは左腕を振るって巻き起こした黒い風で無効化した。ヴォルクルスの魔力を乗せたプラーナの風であろう。黒い紗幕の様に翻った風はそのままサイバスターへと襲いかかった。
ヴォルクルスと融合したルオゾールの悪意をそのまま乗せた風を、サイバスターは同じように左腕を振るって巻き起こした風で相殺した。イズラフェールの魔風に対し、変わらぬ清らかなままの聖風であった。
「冥府の刃、ディスカッター。いくぜ!! ダンシングディスカッター!!」
アズライガーへ見舞った速度重視なだけの乱舞の太刀ではない。すでにディスカッターは真・天空斬を放つ際のサイブレードへと昇華されている。高まったプラーナを供給されたプラーナコンバーターは、際限知らずに出力を上げて行く。
生体エネルギーたるプラーナがサイバスターのコックピットにも充満し、マサキ自身の細胞も活性化させ、身体能力を根底から跳ね上げる。
眼に映る銀の風は、今や戦艦も木の葉の様に吹き散らす大嵐の如く荒れ狂い、すべての斬撃は真・天空斬の威力で放たれるのだ。
かつてスレードゲルミルと対峙したガームリオン・カスタム飛鳥も恐るべき斬撃の嵐を放ったが、はるかにそれを上回る鋭さと迅さを備えているのは、やはり魔装機神、精霊、人の三者が互いの力を高め合っているからだろう。
しかし、恐るべきはその全てを捌くイズラフェールであったろう。同じようにオリジナルサイバスターの右腕を保有している為に、互いの位置や機動、魔力の流れを把握しているのだろう。
数十単位の敵を一度に相手にしているに等しい超超高速の刃の中、時折放たれるファミリアレスの砲撃にも完全に対応しきり、あまつさえ反撃の一刀を振るってさえいる。人間の肉体の限界を超えた能力と耐久性を与えられたイズラフェールならではか。
振り上げた大上段からのディスカッターを、イズラフェールのバニティスラッシュの刀身が受ける。交差した二つの刀身から舞散るのはプラーナとオリハルコニウム、魔力が混ざった火花だ。
赤々とサイバスターの顔を照らす火花。マサキの闘志とイズラフェールを支配するヴォルクルスの悪意とが、さらに透明な火花を散らす。
イズラフェールの瞳を濁す悪意が、より一層深さを増した。マサキがサイフィスの告げる警戒の声に、まだ少年としか見えない顔に緊張の波を走らせた。マサキの全細胞が脅威を感じ震えた。サイフィスの声を聞いた心が、覚悟に震えた。
たとえ瞼を閉じても分かる。目の前で刃を交わすイズラフェールの総身から、途方もない魔力が噴き出すのを。コレが、シュウ・シラカワにグランゾンを持ってしても勝てないと言わしめたのだ。
それは、人と精霊と両者を繋ぐ魔装機のみが可能とする筈の奇跡。
「精霊憑依!?」
物理的な圧力を伴ってサイバスターの機体をイズラフェールの放つ魔力波が弾き飛ばす。その魔力波の余波だけで、周囲のファミリレスは全て撃墜された。脳髄を揺さぶる衝撃に片目を閉じたマサキの目の前に、すでにイズラフェール。
漆黒の薄靄を纏い、サイフィスの力を強制的に顕現した一撃が、サイバスターの右頸部へと振り落とされる。
受ける――否。
受けたその瞬間にディスカッターを砕かれて、ズフィルードクリスタル製のサイバスターの機体毎真っ二つにされるのがオチ。
回避――不可。
疾風の速さと烈風の荒々しさを併せ持ったサイバスターと、これまでで最高の能力を見せるマサキの二人を持ってしても、これは、かわせない。
血肉を割って心臓を冷たい手に握られるような悪寒がマサキの背を走った。実際にそうされた事などありはしないが、死神とやらが本当に居て命を奪われる瞬間は、きっとこんな恐怖を覚えるのだろう。
だが、その恐怖を上回るモノがマサキの腹腔から湧きあがり、瞬く間四肢の末端まで行き満ちる。サイフィスを呪縛するヴォルクルスへの怒り、サイバスターを汚された事への怒り。それらがマサキに目の前の邪悪を許す事をさせなかった。
宇宙を満たすエーテルが、今、世界を構成する四元素のひとつ“風”に染まり、サイバスターを中心に目に見えぬ渦を巻いた。サイバスターの機体そのものが大きく脈打ちを瞳からは清冽な光が零れる。
かつて行われた精霊憑依を行った機体同士の、しかも根源を同じくする精霊の力の激突が、今、再び。
「サイバスター!!」
サイバスターの機体から溢れだした白い光が、ルオゾールの出現と同時に周囲を満たしていた悪意を払拭する。
イズラフェールを侵食するヴォルクルスの細胞は、太古の昔、自身と争った精霊の力を感じ取って憎悪を募らせ、イズラフェールの右腕は今こそ解放されんと打ち震え、コックピットの中の操者ソッドは、滅びを願っていた。
魔装機系統の技術を持たぬDC以外の勢力には未知の巨大なエネルギーが、サイバスターとイズラフェールを中心に瞬く間に世界を満たし、“精霊”の力をこの世に顕現する二機の、真の戦いが始まった。
ルオゾールと共に出現した死霊兵団は元より、特に脅威となったのは真ヴォルクルスの分身体だ。
サイズこそ十分の一で、また特殊な防御能力――たとえばビーム吸収能力などを持たぬから攻撃こそ通るが、その再生能力は戦艦の主砲の直撃を受けても瞬く間に穴を塞ぎもとの状態に戻るほど強力であった。
そして見るからに分かるその異形のおぞましさ。対峙するだけで内臓を掴まれているような恐怖に襲われるその姿。
ましてや襲い来る土人形達の中には斃された筈の友軍機や敵群の機体も混じり、はたしてここが自分達が生きていた世界かどうかさえ分からなくなってくる。正気のままでいるには、あまりにも過酷な戦場であった。
大気圏内ならばあらゆる物質を崩壊させるヴォルクルスのスーパーソニックウェーブは、大気の無い宇宙空間では、エーテルを振動させる魔力波となって放たれ、目に見えぬ攻撃の前に果敢に挑んだMSを粉微塵に破壊していった。
原形を留めぬほどに破壊された者達はまだましだったかもしれない。少なくともヤキン・ドゥーエ近海を覆い尽くすルオゾールの呪術によって死霊となって戦わずに済むからだ。
狂気と正気と現実と非現実と悪夢と、そして生と死との区別が曖昧になってゆく世界の中で、それでもなお敢然と戦うもの達が居たのは、絶望を前にしても決して人間は膝を屈するだけの存在ではないと証明するためであったろうか。
「ガウンジェノサイダー!!」
特徴的なゴーグル型のビームが折り重なるほどに密度の濃いフォーメーションのデモンゴーレムとゾンビーMS達を一直線に貫き、その先で猛威を振るうヴォルクルスに直撃し、その汚肉を焼き潰す。
しかし、見る間に新たな神経や血肉が泡立つ様に溢れ出してその傷を埋め尽くすのを視認し、ザフトWRXメインパイロット、イザーク・ジュールは舌打ちを隠そうという素振りもなく大きく打った。
「非常識な化け物め。一気に奴を消し飛ばさない限り斃せんという事か」
「WRX単機の火力じゃあ、これ以上は望めませんよ?」
「……」
そうイザークに告げてから、ルナマリアは黙ったままのレイに目を向けた。モニターの向こうのレイは、すでに涙を流し尽したのか、もう泣いてはおらず、凛然とした美貌を厳しく引き締めている。
あの強奪されたフリーダム一号機のパイロットや、ザフトでも有名だったラウ・ル・クルーゼとの間に、レイにどんな因縁があるのかは分からなかったし、家族であったらしいクルーゼの死が、どれだけレイに衝撃を与えたかも、計り知れなかった。
なにか声をかけてやりたいが、どんな言葉を言えばいいのか。それが分からず、戦闘中でありながら、ルナマリアはどうしてもレイに意識を向けてしまう。
モニター越しにルナマリアの視線に気づいたのか、レイはコンソールに向けていた視線を上げ、ルナマリアの目をまっすぐ見返した。いつもと変わらないように見えるレイの瞳、ルナマリアは何も言えなくなってしまった。
「レイ、その……」
「気にするな。おれは、ラウの言った通り生きて見せる。ラウに言われたからだけではなく、おれ自身の意思で。這い蹲ってでも、泥水を啜ってでも必ずな」
「レイ」
「だが、その為にはお前の力も必要だ。力を貸してくれるか?」
「……ふふ、そうね、ちょっと高くつくわよ? ランチ奢るってだけだったら許さないわ」
「ふむ。後で考えておこう」
「それと、どうせなら泥水啜ってでも生きるより、優雅に人生楽しんで生きる方が得でしょ? だから、余裕を持っていきましょうよ。私達はあんたなんかに負けないんだって。怖くないんだってさ」
「そうだな。それが、生きているおれ達の特権か。ラウ、おれは生きる。貴方の分まで、この命が燃え尽きるまで!」
強い意志を込めたレイの言葉に、黙って二人の会話を聞いていたイザークは、ヒヨッコが一人前になったなと、頼もしく感じて微笑を浮かべていた。
イザーク自身尊敬していたクルーゼが、目の前で戦死した事には少なからず衝撃を受けていたが、今はそれに囚われている場合ではないと割り切っていた。
それに、クルーゼが家族だと言ったレイの命を預かっている状況なのだ。あのクルーゼの遺言をレイに果たさせる為にも、今自分に出来る事は、目の前のわけのわからない化け物をはっきりと消滅させることだ。
「シホ、隊長!」
WRX単機の武装でもヴォルクルスを斃す事は不可能ではないかもしれないが、出力の安定しないTEエンジンに加え、初の実戦投入でこの長丁場の上に奇奇怪怪な敵だ。万全を期し、イザークはWRXの全戦闘能力の使用を決断した。
イザークと同じことを考えていたヴィレッタとシホの、R−SWORDパワード、R−GUNパワードが、それぞれ変形シークエンスを開始しながらWRXの元へと加速する。
「R−GUN、変形シークエンスを起動します! R−GUN、モード・メタルジェノサイダー!」
「R−SWORD、モード・メタルスレイヤー。WRXとのシステム同調に入る」
付近の友軍機が三機の護衛に回る中、シホのR−GUNパワードは機体そのものが巨大な手持ちの砲へ。ヴィレッタのR−SWORDパワードもまた、機体そのものが巨大な両刃の剣に変わる。
WRXの武装として開発されたR−ウェポンシリーズの真価を発揮する場が、今になってようやく与えられたのだ。
右手にTEバスターキャノンと変わったR−GUNパワードを、左手にH・TEソードを握り、天上天下無敵のスーパーロボットは、そのゴーグルアイに、ヴォルクルスの姿を映した。
ザフト最強の機神の姿を認めた他の部隊も、ザフトWRXを中心にMSを終結させ、ヴォルクルス分身体一体と、それらの周囲に侍る無数のデモンゴーレムなどとの戦いを始めた。
完全武装したザフトWRXは、TEバスターキャノンの砲口をヴォルクルスへと向け、イザークの漲る闘志を叫びに変えて突撃した。
「行くぞ、バケモノ。人間の底力というものを、骨の髄まで教えてやる!」
クルーゼにマルキオに気を付けろと告げられたキラは、その真意が何を意味するものかいぶかしんではいたが、AI1セカンドを斃した直後に出現した到底理解できない、常識の外にあるルオゾールに、意識を割かざるを得なかった。
地球連合艦隊及びアズライガーとの戦闘の為に、ノバラノソノ本隊からはだいぶ先行していたから、そこから戻るのには敵機との戦闘もあり、時間がかかった。
それに、あのウォーダン・ユミルが死んだという衝撃も、キラの胸に黒いしこりとなって残っていた。最強最大の戦力の中核であり、またあの寡黙な、大昔の武人然とした姿は、ただそこに居ると言うだけで精神を支える支柱となっていた。
それはキラだけでなく、彼と共に轡を並べる者なら誰でも感じていたものだろう。それに、ラクスがウォーダンに対し強い信頼を抱いていたのは傍目にも分かる。そのウォーダンが死に、はたしてラクスが無事でいられるか、キラには分からなかった。
キラは、フリーダムの光学カメラが、ヴォルクルスの一体と交戦しているノバラノソノ艦隊の姿を映すのを、一日千秋の思いで待った。
すでにAI1セカンドとの戦闘で、エターナル、スサノオ、クサナギ、アークエンジェルをはじめとした各艦艇は大小の損害を負い、機動兵器部隊も少なくない被害が出ている。
キラより先に戻ったアスランのジャスティスや、ムウのドラグーンストライク、カーウァイのゲシュペンストタイプSなどを中心に、アズライガーと同等の巨体を持つ邪神の写し身と砲火を交えていた。
フリーダムに気づいたデモンゴーレムに、なんだこれは!? と驚きを覚えながら、キラの戦士としての勘が、向けられた殺意に反応する。
即座に腰部のクスフィアスレール砲とビームライフルで、撃たれる前に撃ち、それだけに留まらぬ火線は瞬く間に十体のデモンゴーレムを土くれに粉砕した。
「な、これは。本当に土だけ? 一体……」
「無事か、キラ」
「ムウさん」
デモンゴーレムのみならず、明らかに撃墜されている筈の機体までも襲い掛かってくる光景に唖然とするキラに、ムウが声をかけた。周囲に展開したドラグーンで弾幕を張り、左舷から黒い煙を盛大に立ち上らせているアークエンジェルを守っていたのだ。
カナードのドレッドノートHも、アークエンジェルの防備についていたらしく、背のH型の下部砲身から長大なビームサーベルを形成し、縦横無尽に弧を描いては迫る敵を両断していた。
ゲシュペンストやマガルガ、ラピエサージュが主にヴォルクルスの相手をし、残ったMS部隊がデモンゴーレムや死霊部隊の相手を担当しているようだ。
「ムウさん、被害は?」
「分からねえ。とにかくメチャクチャだ。さっきのエルデだかいう女とジェネシスとの戦いでもだいぶやられたが、今もその途中だ。特にウォーダンの旦那がやられちまったのが響いている」
「やっぱり、ウォーダンさんは……。ラクスは? 彼女はウォーダンさんがいないと」
「いや、気丈に胸を張って檄を飛ばしているよ。こっちの部隊の恐慌が崩れていないのには、それもある。とはいえ、MSだけじゃあのデカブツを止められない。なにせローエングリンでも仕留め切れなかった相手だ」
「な、ローエングリンで!?」
「だいぶ利いたし、斃せたと思ったんだがあの野郎、再生しやがった。右肩辺りが抉れているだろう? ちょっと前まであそこに大穴が開いていたんだがな」
動く死人と同じ存在になったシグーやゲイツを、推進剤の詰まっているタンクやエンジンを狙って爆発を引き起こし、二度と動けないように粉砕しながら、キラはムウの言う通りにヴォルクルスの姿を改めて見た。
下半身は無数の大鎌を先端に付けた様な節足動物の足、そこから正面に向かって伸びるのは緑の皮膚に赤い眼を幾つも連ねた爬虫類のような頭部。
胴は巨大などくろの様な外見で、背中からは強いて言えば蝙蝠に似た翼が大きく広げられ、肩や頭部からはねじくれた角が伸びている。その右肩と首の接合部辺りが奇妙にねじくれて、瞬きする間にも蠢いているのが見えた。
先ほどのジェネシスを乗っ取ったAI1という相手もそうだったが、新たに姿を見せた謎の敵も、これまでの常識をはるかに逸脱した異次元の何かとしか思えなかった。
ヘリオポリスでザフトの襲撃に巻き込まれてストライクのパイロットとなり、幼い頃の親友と思いもかけぬ再会を果たして、遠い世界の出来事だった戦争に身を投じる事になった。
キラにとっての世界はそこで一変したが、フリーダムを受け取り、オーブで宇宙に上がってから更に変化の唸りが大きくなっていた世界は、今またおぞましい何かに変わろうとしていた。
絶え間なく操縦桿を動かし、襲い来る死霊どもと戦いながら、キラは言わずにはいられなかった。
「どうして、こんな事に!?」
キラの叫びは、この場に居るほぼすべての人間の心の中の叫びと合致していた。
今回ここまでです。次回でイズラフェール決着付けて、八十話で終わればちょうどキリが良いですね。ではおやすみなさい。
11氏&660氏 GJ!
寝る前に一言だけ
>マント以外の部分のほとんどを金色に塗られ、脚部に大型ビームブレード発生装置を取り付けられる予定であった。
良かった…シンが奪ってくれて本当に良かった…
GJ!
なんて趣味の悪い機体ができなくて良かった
ヴァイサーガは剣とクナイという古臭いからこそいいのに
>>584 水流爪牙も忘れてもらっちゃ困るぜ!あれは良い爪だ
11氏のキラってラピエサージュ(もどき?)が新しい機体なんだっけ?
キラがパイロットだといくら機体性能が良くてもパイロットの腕が微妙だからなぁ
イマイチっつってもラピエサでモモタロスと互角だったからわりかし強いんじゃないか?
ゲイムシステムもあるし
最近のガンダム乗りは機体性能に頼りっ放しの連中が多すぎで困る
「シン!!」
「アスラァァン!!」
「止めて!二人が戦う事なんてないのよ!」
「シン!おまえの家族は死んだって言ってるけど………実は生きてるぞ!」
「何ぃ!!」
『あー、ん?いいの?んっんっ、あーシン?おー大きくなったなぁ』
「父さん!?」
『あらあらあら、本当にもう立派になっちゃって』
『シン、そういえば父さんなぁ、お前に言ってない事あるんだ。
実は父さん達な………異次元人なんだ』
「え?ちょ、何それ聞いてないよ!」
『私はな、シャドウミラーってまぁ諸君私は戦争が好きだ、大好きだ。みたいなところ
にいてね、なんていうかまぁそんな組織に嫌気が差して当時敵だったルイーナって組織
にいた母さんとこっちに駆け落ちする事にしたんだよ』
『もう、お父さんったら。行き成り僕のお味噌汁になってください。なんて言って。
あまりに突拍子もなくてハートにビビビだったわ』
『テンパってたんだよ母さん』
「何だよ、それわけわかんねぇよ。っていうか生存報告早々いちゃつくなよ!」
『こっちの技術のおかげで母さん普通に生きられる様になってなぁ、うん色々あったなぁ』
『うん、そうね』
「ああ、もう!マユ、マユはどうしたんだよ」
『ああ、マユかい?マユはなぁ…実はお前と血が繫がってないんだ。
でもすごいぞーマユはなんだっけかな…まぁとりあえずガンオデンの巫女だったけ?母さん』
『ガンエデンですよお父さん』
『おお、そうそうガンエデンだ。そのガンエデンさんとこの巫女の血統らしくてなぁ。
今そっちに向かってるぞ』
「何?何そんなのさらっと流してんだよって敵の反応!?」
『お兄ちゃーん』
「わぁーーーっ、なんか巨大な怪獣がこっちに!?」
「そういうわけだ、シン久々の再会楽しんで来い」←蹴りを入れるジャスティス
「うわーーーー………どうして…俺はここにいるんだろう………」
後日、アスランとの戦いの敗因について『なんか色々迷いがありすぎて力が入らなかった』
とシンは語った
590 :
589:2009/03/02(月) 23:23:29 ID:???
うん、なんかこっちでも軽い小ネタできないかなと思ってやったんだ、すまない
本当はセツコ=マユ(生き残ったのがシンではなくマユだったらの世界から)
にしようと思ったんだけど、せっちゃんUCの生まれだよなって事を思い出して断念。
年上の実妹って萌える設定だと思ったんだけどなぁ
マユがガンエデンの巫女……それ何てプロキラ?
>>590 いや、平行世界だって考えれば意外とありなんじゃないの?
セツコ=平行世界のマユ設定
11氏のラピエはキラに回されたようだが、オウカ姉さんはどうなったんだろう…
確かに…ヴァイスセイバーあたりか?
もしくはベルゲルミルのプロトタイプとかかもな。
そういやビアンSEEDでイーグレット・フェフってまだ死んでないよな
アーチボルトもだけど
種死編での敵キャラかな?
アーチボルトとフェフはどう考えても種死編だろうな
どっちも今から死亡シーン描いても微妙だし、特に後者を倒すとなるとアウルゲルミルが出場ってくる
この状況下であんな化物が出てきたらどう考えても収集付かん
フェフとの決着はやっぱりゼンガーが登場して欲しいと思っている
アウルゲルミルにはネオグランゾンに瞬殺されたイメージさかないんだが
>>590 別にセツコがUC(を源流とする)世界の生まれでなくてはならない理由はないでしょ…
そんなこといったらコズミック・イラ年号のJ世界にGガンがいたりすることを突っ込まなくてはいけなくなってしまう
セツコがマユかぁ・・・
「ようやく会えたね・・・お兄ちゃん」
こうですか、こうですね
過去に飛ばされて苦労してドン底に落とされちゃったんですね
>>601 セツコが何かと説明したがるんですね、わかります
>>603 それだと、セツコはおばさんになって……
おや、誰か来たようだ……
おいおい熟女×少年ならマサキ×ウェンディが通った道じゃないかw
そこにステラでも加えればまさにパーフェクトだ。
>>604 無茶、しやがって……
ナデシコ以外でそれ系のネタは……
シンと親しくなった後変質し始めるとか?
>>605 ウェンディは一部で26歳、二部でもまだ29歳なのに熟女とは何事かw
某所じゃ女傑達による争奪戦が勃発しかけてるが
ここではせっちゃんとステラの一騎打ちだな
スペシャルなやつ買ってきた
まだ全部やってないけど
酔って語尾にぁとかぃが付くなんか可愛いせっちゃん
エイジがカラオケなら得意と言ってそれをおまえの声じゃ期待できないというシン
レコアと組んで大人の恋に憧れるシン
まだちょいちょいだからこんなとこかな
多分、一ヶ月もすれば500円ぐらいになってそうだから、そしたら買うかも
保守
総帥のところのイザークは種死編で怒髪天状態となって
デュランダルをぶっ飛ばし、その後ポーズを決めそうな気がする。
声優&装備ネタ的に。
総帥のラクスはシンと接点ができたな。
ウォーダンが最後に斬艦刀を託した相手となれば興味を持つだろうし。
シンもウォーダンとラクスの間柄知れば、その遺志を継いでラクスも守るとか言い出すかも。
あれ、キラはフレイと縁りを戻したし、種死編で参入確定のあの人に次いで新ヒロインフラグ?
ラクス以上に黄泉の巫女が絡んで来そうな件
シンが間違った道に進まぬよう見守る姉ポジションとか
そういやあの人も姉だったっけ
ここのラクスは一人で立てるだろ
ウォーダンの死をきっかけに覇王として完全覚醒するんだよ
デュエルディスク装着で容赦がなくなるんですね、わかります
セツコ=マユも興味あるが、
セツコの体にマユの魂が宿るとかどうだろう?
>>617 んでセツコinマユがシンの貞操を奪うのか
マユがセツコに転生したとかどうよ?
年齢違うのは時間軸のズレが云々ってことでw
>>619 シンとセツコが恋人関係になり、もうすぐ結婚…ってところで前世であるマユの記憶を取り戻す
そんな展開が浮かんだ
夜になるとマユモードに変身
妹プレイでシンに迫る!
ビアンSEED 第七十九話 闇に堕ちる
アークエンジェル級三番艦ゲヴェル艦橋にて、AI1セカンド殲滅から時を置かずして出現した理解不能な魔怪変化・悪鬼羅刹の類としか思えぬ、一キロメートルを超す巨大な生物を、レフィーナは呆然と見ていた。
というよりも、生き残った地球連合の将兵全員が同じ思いであったろう。故郷を守らなければならないと言う、問答無用の想いがあればこそ何も考えずに戦えているザフト兵らに比べ、連合の将兵には自分達を突き動かすモノが無い。
本作戦における地球連合の大敗は決定したも同然であったが、ジェネシスが変容したとはいえ、破壊された事によって地球滅亡のシナリオは回避できたと安堵し、緊張の糸が緩んだ所に、コレだ。
まっとうな判断能力を維持できる者など、居る方がおかしいだろう。目の前では真ナグツァートを相手にネオ・グランゾンとネオ・ヴァルシオンが、同じ人類には決して向けなかった破滅の牙を振るっている。
それは、ザフト、地球連合の全戦力を持っても、例え核兵器を用いても勝利は不可能ではないかと悟らざるを得ない圧倒的な、神代の戦の様であった。世界の覇権を賭けて争う天上世界の神と魔界の王との、最終戦争。
ネオ・ヴァルシオンの右手の一振りでデモンゴーレムの群れがまとめ十数体ほど吹き飛び、形状を再生する魔力も失ったか、デモンゴーレムは一体残らず微細な土に還元する。
ディバイン・アームの刀身が帯びた莫大なエネルギーの余波だ。そのまま斬撃の軌跡を描いて飛んだディバイン・アームのエネルギーは、背後のゾンビーMSもまとめて寸断してみせた。
触れた端からゾンビーMSのシルエットがぼろぼろと崩壊してゆく。超高熱による物質の崩壊現象だ。朽ち果てた機体を傀儡と変えて操る魔力も同時に消し飛び、二度と蘇る事はなかった。
真ナグツァートが、現実や人々の悪夢の中に存在するどんな種類の蛇よりもはるかに汚らわしい下半身をくねらせて、直径数十メートルを超す無数の尾の一つが、ネオ・ヴァルシオンとネオ・グランゾン目掛けて振り下ろされる。
容易く音速を超えた尾は、莫大な魔力を纏い、闇色の燐光を纏っていた。その巨大な質量のみならずヴォルクルスと融合し、死者の魂を食らって増したルオゾールの魔力を纏った一撃は、はるかに強化されているに違いない。
受け止めた空間歪曲場にかかる負荷の数値に、ビアンとシュウの眉が揃って動いた。同様の空間干渉機能を有するか、空間をねじ曲げるほどのエネルギーを持ってのみ突破可能な空間歪曲が破られる寸前であった。
いや、接触から一秒、尾からの負荷は更に強化された。一撃でプラントの枢軸を支えるシャフトもへし折る純粋な破壊力に、ヴォルクルスの魔力に支えられたルオゾールの呪術が加わった時、ほぼ無敵の空間の防御は硝子細工のようにあっけなく破られた。
ディバイン・アームで受けた機体がはるか彼方へと吹き飛ばされそうになるのを、テスラ・ドライブと重力操作の併用で立て直し、ビアンは真ナグツァートの頭部めがけ、背の超重力衝撃砲の照準を向けて放つ。
二筋の黒い光は、絡みつく不可視の鎖から解き放たれた獰猛な黒い獣のように、襲い掛かる。
デビルジェネシスへと変貌したAI1セカンドに痛打を浴びせた二条の黒い筋は、しかし、汚らわしい邪神の肉体に触れる寸前で無数の細かな筋へと変わって散り散りになる。
ガラス状のドームに雨が降り注ぐように、真ナグツァートの表面で無数の微細な粒子となって、束ねられ志向性を与えられた超重力が霧散するのを見届けて、ビアンがひび割れた大地の様に固い声で言った。
「あれがアストラルシフトか?」
「それもありますが、それだけではありません。ヴォルクルスの放つ魔力そのものが空間を歪め、重力干渉を防ぎました。アストラルシフトを排除しても、存在そのものが極めて強固な防御機能を備えているようですね」
シュウが、常と変わらぬ冷徹さの中にわずかに称賛する様な響きを交えてビアンに答えた。存在を許さぬほど絶対に滅殺せねばならぬ敵とはいえ、評価するに値する能力を備えていると言外に認めているのだろう。
時折砂漠に生じる蜃気楼のように真ナグツァートの姿そのものが半透明に透き通っては、揺らいでいる。いまだにネオ・グランゾンとネオ・ヴァルシオンの攻撃は、ただの一度たりとも真ナグツァートに届いてはいなかった。
幽界と現界の狭間を行き来する大魔術は、二つの世界に同時干渉を可能とする術や兵器を持ってしか打ち破る事叶わず、また、それを可能としても強大という言葉では足りぬ魔力の庇護を持つ真ナグツァートの防御を貫くにも、莫大な力が必要とされる。
さらにいままだ無傷である為に確認こそできていないが、真ナグツァートがヴォルクルスと同等かそれ以上の再生能力を備えているのは間違いない。ましてや、それをルオゾールが取り込んだC.Eの無数の死者の魂達の苦痛が支えているのだ。
真ナグツァート=ルオゾールを斃すには、これまでのプラントと地球連合との戦い、ひいてはナチュラルとコーディネイターの争いで死した人々すべてを凌駕するほどの力が、あるいは想いが必要なのであった。
真ナグツァートの巨体に、一斉に無数の瞳が開いた。粘液に塗れた蛇のようにうねくる体にも、鱗にびっしりと覆われた触手にも、異様に真白い角にも、所構わずまんまるい満月の様な瞳が、肉を割り、鱗の奥から覗いた。
その瞳の中で常に鮮血を溢れさせているような赤い色だ。爬虫類の様に縦に細まった光彩から、直径十メートルを越す球体が次々と吐き出される。
紫色の炎の中心で明滅する火の玉に、血の涙を流して苦痛を訴える人々の無数の顔を見て、ビアンが低く唸った。ルオゾールが取り込み、まるで子供が飴玉をしゃぶる様に弄んでは苦しみを与えている無数の霊魂だ。
ファントムビュレットと呼ばれるそれは、総数六万を超す死者の霊魂を、ルオゾールの魔力によって霊魂さえも燃やす異界の炎に包みこみ、死者の訴える苦痛を倍増化させて、敵対する者達の精神と肉体を焼く怨念へと変える。
一目でも見つめられれば、永劫に昼日中でも悪夢に苛まれるだろう狂気の瞳が、一斉に見開いた。同時に解き放たれるのは、むざむざと苦痛を刻んだ死者の顔が浮かぶ紫炎の球。
ネオ・グランゾンとネオ・ヴァルシオンに群がる万単位の死者の魂達を、シュウが冷ややかに迎え撃った。生者も死者も、敵する者には等しく制裁の刃を向けるこの青年の精神もまた、決して尋常な人のものではない。
ネオ・グランゾンの性能を完全に発揮し得る唯一の操者たるシュウの手で、ネオ・グランゾンは思う様、その強大なる力を開放する。
青色の重厚な鎧に身を包んだ魔神の胸で輝く黄金球が、唸るような音と共に鈍く光を放つ。
鼓膜ではなく、魂そのものを直接震わせる死者達の苦しみの声ばかりが、虚ろな宇宙を満たす中、ネオ・グランゾンとネオ・ヴァルシオンを取り囲む六万超の霊魂達に寄り添うように、深い冥界へと続く洞穴を思わせる黒い穴がぽっかりと開いた。
せせら笑うように、冷たく、どこか妖しくシュウが唇を動かした。
「残念ですが、私も手加減する余裕はないのですよ。ワームスマッシャー、発射!」
同時に六万を越す死霊の全てを捉え、放たれたワームスマッシャーの超高圧縮破砕エネルギーは、霊的な力であるアストラルネルギーが織り込まれ、物理法則の楔から解き放たれた筈の霊魂の全てを貫いて霧散させて見せた。
異世界のグランゾンは同時に最大65535の目標を攻撃可能とする能力を有していたが、こちらのネオ・グランゾンもまた同等以上の能力は有しているらしかった。
十二万の光の輝きが衝突して生み出した六万の輝きは、金色と紫の二色が互いを貪り合う様に混沌と混ざり合い、一度瞬く間の時間だけ峻烈に輝いて三つの影を照らし出す。
止むに止まれぬ状況とはいえ、邪な神に囚われた死者をさらに殺してみせるとは。その心、その力、共に人間ならず。ラングラン王国に託された予言の魔神とは、ヴォルクルスでもグランゾンでもなく、正しく汝を指示したものか、シュウ・シラカワよ。
周囲を闇と光の洪水で埋め尽くされたような光景に、ネオ・グランゾンのコックピットの中のチカが、器用に青い羽根の先をくっつけて、南無南無ともごもご嘴を動かした、
「成仏してくださいね」
「さて、余所見はそこまでにしなさい、チカ」
一進一退の攻防、と言いたい所だが、ビアンの負傷や人間の肉体と規格外のバケモノと化したルオゾールとの肉体的耐久力の差なども考慮すれば、長引けば不利なのはこちらであるとシュウも内心で理解していた。
億単位の霊魂を取り込み、今も戦場で死した者達の魂を貪り食って、その苦痛と負の感情全てを糧にして力に変えているであろうルオゾールは、むしろ秒単位でその魔力や邪悪さを強化している。
いかにシュウ・シラカワとネオ・グランゾンを持ってしても死力を尽くした果てにあるのが勝利の二文字とは、言いきれぬ強敵であった。
真ナグツァートの頭部に、ぼこぼこと泡立つ様に浮き出た肉の瘤がルオゾールの顔を形作った。額から顎先まで三十メートルはあるだろう。勝利の栄光は自らのものと信じ切り、余裕の笑みは脂ぎった俗人の低劣さを湛えていた。
『見事見事、よくもここまで私と戦えるものです。ところで、クリストフ、いやシュウ殿、どうやらご自分に防御魔術を施しておるようですな。私の精神干渉を防ぐ重厚な壁が分かりますぞ。記憶の復活に伴う契約の復活、流石に予期しておられたようだ』
「それ位は想像がつきましたよ。記憶の喪失と共に失われた契約が、記憶の復活に付随する可能性はね。その為に、貴方と袂を分かってから色々とこの星を巡ったのです。おかげで今の貴方といえども、私の精神に鎖を巻く事はできません」
『ふむ、臆病なほど慎重な方が、神に抗う者にはちょうど良いでしょうな。であれば、貴方の魂を包む肉体という殻を壊してから、その心を私が蹂躙して差し上げる』
「そう、容易く行くとでも? チカ、アストラルエネルギーを」
「了解! カバラ秘数に、ゲマトリア変換、虚無関数−∞、ラプラスの虚海とコネクトします。アストラルシフト破り、いつでもできます、ご主人様!」
「ビアン博士、そちらは?」
「問題ない。ディバイン・アームに仕込んだ異次元干渉システムの起動は終わっている」
『ほう!?』
青黒い肉瘤の集合体であるルオゾールの顔に、紛れもない感嘆の色が浮かんだ。その極彩色に濁る二対の瞳に、青い魔神と真紅の大魔王の総身から溢れる異界のエネルギーを感知したのである。
ネオ・グランゾンの胸部の装甲が開き、まるで鋼の花弁の様な中央にある金色の球体を中心に、漆黒の魔法陣が展開された。数十万を越す微細な魔法文字が、世界の闇に精随した魔道士たちが解き明かしてきた法則に従って羅列される。
人類誕生以前に存在していた古代種族の呪術までも組み込み、大天才シュウ・シラカワの頭脳が完成させた対アストラルシフト破りの為の魔法陣であった。
二つの世界に同時に存在し、この世の物理法則の外にも身を置く事で物理的干渉の一切を防ぐルオゾールの魔術を破る為の切り札だ。
同じく、ネオ・ヴァルシオンが両手で握りしめたディバイン・アームの柄にある突起物が伸び、スチームを噴き上げる。刀身を形成する液体金属の分子レベルで刻んだ魔術文字が、プログラムに従って光を放ち、霊的存在への干渉作用を励起する。
ネオ・ヴァルシオンとネオ・グランゾンの桁違いの出力に支えられ、両機が手中に収めた異世界への干渉能力が花開く。
「ブラックホールクラスター、発射!」
「ディバイン・アーム、モード選択“慶雲鬼忍剣”!」
闇と闇と闇とが、果てしなく交わり続け果てに生まれた様に、どこまでも深い黒い異界への門と、白銀の刃から放たれたこの世とこの世以外の存在を同時に切裂く光の剣閃が、真ナグツァートの魔力と妖気が織りなす防御圏を突破し、その巨体に直撃する。
陽炎のように揺らいで見えていた真ナグツァートの姿が、光と闇の二つの攻撃によって徐々に固定化され、透き通っていた体により濃密な色を帯びはじめる。
向こう側に存在していた真ナグツァートの半身とでも言うべき存在部分が、アストラルシフトの崩壊によってこちら側に固定されようとしているのだ。これで、残るは真ナグツァートそれ自体が備える妖気圏さえ突破すれば、こちらの攻撃も通る。
「なに!?」
「アストラルシフトがっ」
『ふははははははは!! これもまた私の思ったとおりでしたな。我が異界への衣を剥ぎ取ろうと貴方が画策していた事など、すでに一度味わった身。ならば貴方が我が呪縛に対する策を練ったのと同じように、私もまた工夫を凝らしてみました。
わが身に宿る神の魔力で即座に連鎖崩壊したアストラルシフトを再構築したのですよ。しかも、常に増し続けるこの魔力が、より強靭にしてゆくのです。いかに貴方方といえど、たった二人で神の身に触れようなどと、不可能!!』
揺らぎはじめ色を帯びていた筈の真ナグツァートの姿は、今また幽幻の世界の住人と化し、狭霧を挟んだ様に半透明に戻ってゆく。
「どうだ、シュウ?」
「計測しましたが、ネオ・グランゾンとネオ・ヴァルシオンと同等クラスの存在がもう一機、いえ、二機加わればシフトを破る事は可能です。
その上で、アストラフルシフトを再構築する暇を与えずに大ダメージを負わす必要があるでしょう。精霊憑依をしたサイバスターを加えたとしても、まだ足りません」
「……」
苦いモノが広がるビアンの顔が見えたわけではないだろうが、真ナグツァートと同体となったルオゾールは、自身の勝利を確信し、高らかに宣言した。
625 :
通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 22:18:39 ID:Q9uLNKbU
sien
『人間よ、哀れな子羊よ、無力な虫けらよ。神が、このサーヴァ=ヴォルクルスが、このルオゾールが、お前達に救いを与えよう。死こそが世界のあるべき姿! 我がもたらす破壊こそは真実の祝福。馥郁たる死の福音に酔いしれながら我と一体となるべし。
死して後、汝らの霊魂は我が血肉となり、我が魂と共に不滅となる。恐れよ、震えよ、しかる後、汝らは至福に包まれるであろう。永遠不滅の存在の礎となれた幸福に』
ザフト・DCと激しく争うヴォルクルス分身体達が、真ナグツァートに応じて耳にした端から体が腐ってしまいそうな咆哮を挙げた。魔力を帯びた音の波は心の弱い者達を即座に発狂させ、死の淵へと叩きこむ魔性の歌声であった。
宇宙空間であると言うのに、込められた魔力によって群がるMSを粉砕して、ヴォルクルス分身体の咆哮が無色の津波となって四方に走る。瞬く間に微塵に砕けるMS達の中で、不可視の攻撃を、回避した一団が反撃の砲火を浴びせた。
クライ・ウルブズ所属のMS部隊である。フルドドを失い、残っていたダブル・シールド・ブースターを装備したガームリオン・カスタムに、ジガンスクード、ランドグリーズ・レイブン、ラーズアングリフ・レイブン、M1カスタム、ヒュッケバインMk−Uだ。
先行して、AI1セカンドと戦っていたシン達を回収する為に船を速めて向かっていたのだが、その半ばほどでヴォルクルスの出現に遭遇し、大急ぎで機体を出撃させて、このアズライガーを上回る巨躯の化け物と戦っているのだ。
残存していたザフトの部隊はもう哀れなほどに倒され、相当数が残っていたDCの部隊も、見る間に数を減らしている。それに反比例して、ルオゾールの死霊魔術によって使役されるゾンビーMSは数を増し、分身体の繰り出す攻撃の苛烈さは増すばかり。
「仕掛けるぞ、おれに続け、カーラ!」
「分かってるってば。こんなわけの分かんない奴に負けてなんかいられない!」
ラーズアングリフ・レイブンの荷電粒子砲が直径五メートルを超す穴をヴォルクルスに穿ち、ランドグリーズ・レイブンが全身から放ったミサイルの雨が、全身に非の花を咲かせて肉を弾き飛ばし焼き尽くす。
アルベロが置いていった半壊状態のビルトシュバインからはぎ取ったグラビトンランチャーを構えた、ジャン・キャリーのヒュッケバインMk−Uが、のけぞって苦痛を露わにするヴォルクルスの額に超重力の槍を突き刺した。
異形のモノを前にして、これまで以上の連携を見せて邪神の巨体を破壊し続ける。しかし、息つく間もおかずに叩きこんだ連続攻撃の大きな痕は、見る間に新たに生まれてくる肉によって徐々に埋もれ、吐き気を催す皮膜が覆い始める。
なんて無節操な、そんな感想を抱いたレオナの機体めがけて四方から触手の群れが襲いかかった。ヴォルクルスが肉体の一部を変化させて造り出した生ける肉の槍であり鞭であった。
鮮やかなバレルロールと三次元機動で回避し、オクスタンライフルのセレクターをEモードの連射に合わせ、毎分五百発を越すビームの連射でぼろ屑の肉に変える。
ビームを浴びた先端からグズグズになってゆく触手に気を取られた背後から、デモンゴーレムが、均整の取れていない腕を振り下ろさんと身構えていた。背筋を貫く氷の針の様な破壊衝動を察知し、レオナが機体に回避行動を取らせようと操縦桿を傾ける。
生と死の凝縮した一瞬の後、デモンゴーレムは胴体を横断した銀色の筋に従って斜めにずれてすぐに元の土くれに戻った。
ビルトシュバインのシシオウブレードを手に握ったM1カスタムである。
「ゼノサキス一尉!?」
「無事の様ですね。ですが、まだ来ていますよ」
「っ!」
さしものゼオルートも、故郷に伝わる忌わしき神の出現を前にして常の様な冷静さは保てぬか、わずかに声に苛立ちの様なものが混じっていた。その声の変調に気づくよりもレオナはゼオルートの指摘した背後を振り返った。
その視界を紅の壁が塞ぐ。何度も見たその姿は、まごう事無きジガンスクードの背だ。
新たに迫っていた触手の槍を、光の壁で遮り、雷光を纏った振りかぶった巨大なシールドで殴り飛ばす。
「おれのレオナちゃんに、指一本触れさせるかってえの! シーズサンダーとギガ・ワイドブラスターだ、まとめて持ってけえ!!」
シーズサンダーに焼かれて黒炭に変わり痙攣する触手と、その大本であるヴォルクルスめがけて胸部から金色の三角形の大出力ビーム砲を叩きこんで、触手を根元から吹き飛ばす。ただし、ヴォルクルス本体はいまだ健在だ。
「くそ、あのわけのわからないモンスター映画の産物みたいなやつ、どうすりゃいいんだよ」
通信機越しに聞こえてきたタスクの珍しい言葉に、レオナは同意する様に秀麗な眉を寄せた。確かにタスクの言うとおり、こちらの攻撃を上回る速度で傷を癒すヴォルクルスを前に、彼らは手詰まりを感じていた。
タマハガネの艦首の四連装のGインパクトキャノンを警戒してか、ヴォルクルスの周囲を取り巻くデモンゴーレムや死霊の操るMS達はタマハガネへと群がり、レオナ達もヴォルクルスへの攻撃に集中し切れていない。
大本の元凶であろう相手は、ビアン総帥と見知らぬ機体が相手をしてはいるが、傍目にも苦戦の様子は明らかだった。
ネオ・ヴァルシオンやネオ・グランゾンの助力があればヴォルクルスの分身体やデモンゴーレムの類などは数が鬱陶しい程度の敵でしかなかったが、現状の戦力では打破の道のりは果てしなく遠いもののようだった。
そんな、鉛の様に思い不安が心の中に渦巻き始めた時だった。レーダーに新たな反応が映り、それは、地球連合の残存艦隊である事を示していた。このタイミングでの彼らの動きに、誰もが注意を向けるのは仕方のない事だろう。
さきほど脳に直接聞こえてきたルオゾールと名乗る男の言葉を聞いたならば、彼らもヴォルクルスとの戦闘に力を貸してくれるものと、誰もが大なり小なり期待してしまう。だが、だが、と同時に確かな不安も抱いていた。
この状況を好機と見て、ザフトとDC、ひいてはプラントを殲滅せんと攻撃を仕掛けてくる可能性がないと、言いきれぬモノが、彼らの間にはあった。
これまでの戦いと、つい先程まで行われていた核ミサイルとジェネシスという兵器の存在が、容易くは埋められぬ疑暗という名の溝を掘っていたのだ。
そして、地球連合艦隊をまとめる、白い船体に紫のラインが走ったアークエンジェル級の艦長からの通信を、彼らは固唾を飲んで聞いた。
「本当によろしかったのですか、艦長」
「ええ。こうするしか、私達が生き延びる道はないように思えましたから。記録に残しておいていただいても構いませんよ?」
「いえ、自分は貴女を信じていますから」
ザフト・DCに向けて援護する旨の通信を終えたアークエンジェル級ゲヴェル艦長、レフィーナ・エンフィールドの横顔を見ながら、副長であるテツヤ・オノデラが確認した。
どこか作業的なのは、この選択を選んだことを、レフィーナが後悔していないと分かっているからだろう。
AI1セカンド戦では傍観に徹した地球連合の残存艦隊であったが、さきほどこの宙域にいるすべての生ある人間の脳裏に届いたルオゾールの破滅の宣言と、おぞましいヴォルクルス達の姿を見る間に、ようやく決心を固める事が出来た。
残されていた艦隊を再編成し、指揮系統を再構築して、DCとザフトの部隊に襲いかかってきたヴォルクルスの軍勢の背後から一気に責め立てている。
機体の応急処置と補給を終えたω特務艦隊の精鋭達も、一時、ザフトとDCとの禍根を胸にしまい、悪夢という現象の粋を集めてこしらえたような化け物の群れへ剣と銃口を向けている。
レフィーナの直感この上なく正常に機能したと言える。現在の地球の戦力では、今、ルオゾールを斃す事が出来なかったら、破壊神の蹂躙を妨げる存在はありはしなかっただろう。
ドミニオンからもMS部隊が光の尾を引いて飛び立つのを横目に、レフィーナはこの戦いを生き残れるだろうかと自問しながら、メインモニターに映る複数のヴォルクルスと真ナグツァートの姿を睨みつけた。
その華奢な肩がわずかに震えているのに、傍らのテツヤだけが気付いていた。
「総員に通達。死力を尽くせ、地球人類の命運、この戦いに掛かっているぞ!」
破壊の神と異邦人とこの世界の人間たちの戦いの舞台となった宇宙で、今、二種の風が吹き荒れていた。ひとつは血の中に夜の色を混ぜた色をした、不吉を運ぶ魔の風。対するは世界の穢れを取り払う正常な白銀の風。
サイバスターとイズラフェール。二機の魔装機神を中心に、宇宙空間に風が吹き荒れ、他者の足が踏み入る余地の無い風の決戦場を構築している。
過程は異なるが、精霊の力をこの世に顕現させる精霊憑依によって、無限とも言われる力を我がものとしたサイバスターとイズラフェールは、真ナグツァートとネオ・グランゾンらが繰り広げる魔戦に劣らぬ戦いを繰り広げていた。
魔装機を超えた超魔装機の操者たるフェイルロードやテューディでさえ、介入する余地の無い超絶の戦闘であった。
サイバスターの機体そのものを源に四方に吹き荒れる翡翠と白銀の混ざった風は、マサキの意思に従って自在に吹き荒れ、同じくイズラフェールの機体から吹き出す地獄の瘴気の様な風と食らい合って霧散する。
マサキは、今やサイバスターとサイフィスと風と一体となっていた。サイバスターはマサキであり、サイフィスもまたマサキであり、風そのものがマサキだった。どこにでも行ける、どこまでも広がってゆける。
故に風は自由だ。故に風は無限だ。どこへでも行けると言う事はどこでも行けないと言う事ではない。風は、どこへでも行けるが故に、どこへ行こうかと胸を高鳴らせているのだ。
そしていま、風そのものと化したマサキは、乱れ交わる清と濁の風の中で、斃し、そして救うべき敵の姿を捉えていた。視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚・第六感のすべてとそれ以外の何か神がかった感覚が、同じ風の精霊の力を行使する者がいる事を伝えていた。
“そこか!!”
人間の声帯では決してあり得ぬ響きは、マサキの言葉ではなく思考であった。心に聞こえるサイフィスの導きに従って、マサキはサイバスター=自分の瞳をある一点に向ける。
そこに見えた。発狂しながらなんの法則もなく吹き荒れる風の只中に、より暗く、より禍々しい影が見えた。イズラフェール、敗れた身をルオゾールに捕えられて傀儡と成り果てた魔装機神の姿が。
“おおおお!!”
かすかに残るマサキの人間の感覚が、右手にサイブレードを握っていると告げている。本来ならサイバスターが右手に握っている筈のサイブレードを、自分自身が握り締めている感覚。いまや身も心も同一化しつつあるようだ。
二色の風の唸りの中で、二機の機影がわずかに影絵の様に浮かび上がり、それらは共に振り上げた刃を打ち合わせ、エーテルを震わす振動を放って別れた。
すべてを吹き飛ばす猛風をイメージした。左手を振るう感覚に従って、機動戦艦だろうがこの葉の様に吹き散らすであろう、きわめて純度の高い霊風が吹き荒れる。物質の概念を越え、高次元の現象へと昇華した風は、同様の風に相殺される。
マサキは疾風であった。イズラフェールは烈風であった。マサキは聖風であった。イズラフェールは魔風であった。共に風という現象でありながら、帯びる聖性はまるで正反対の二人の戦いは、しかし、決着を迎えようとしていた。
“今度こそ解放してやる! コール・フェニックス!!”
サイバスターから吹き荒れた風が、まるで龍と隼を掛け合わせたような、幻想の中の生物へと変わる。かつて、一人の勇者と共にサーヴァ=ヴォルクルスを封じた神鳥ディシュナスの姿へ!
翼長五百メートルを超す風の鳥となったサイバードの形をした影が、巨大な悪魔の如く形を変えた黒い影と挑む。
風のディシュナスの中心部で、サイブレードが描いた魔法陣から炎の不死鳥が召喚される。紅の不死鳥は、その中にサイバードを抱きながら、ディシュナスとも融合し、この世のものも、この世ならざるものも打ち砕く破邪の意思となる。
悪魔の影もまた、両腕を交差させ、腹部を中心に血の色の粒子が収束し、魔の風もまた形を変えて行く。今のサイバスターにテューディが実装させること叶わずにいたコスモノヴァの、イズラフェールの武装だ。
“いくぜえ、アカシック・バスタァアアアー!!!!!”
世界の隅々までも響き渡る清澄な嘶きと共に風を纏ったサイバードは、放たれたイズラフェールの最強の武装カオスノヴァと真っ向から激突した。
共に精霊憑依を行い、かたやヴォルクルスの力を与えられ、サイバスター本来の最強武装を持つイズラフェールに、はたしてどこまで通じるのか。
暗黒、いや、純粋な邪悪な魔力の塊である紅の魔弾を凝縮させた光は、超エネルギーによって空間を歪め、異次元からの風さえを招来し、一つの異界を構成していた。
世界を歪めるほどのエネルギーによって異空間へと対象を落とし、無数の星を叩きこむコスモノヴァにも匹敵しよう破滅そのものと、アカシック・バスターは互いを消滅すべくぶつかり合う。
マサキは体の中から聞こえる軋みに、もうあるかどうかさえ分からない眉をしかめた。
半ば融合したサイバスターの肉体を構成するズフィルードクリスタルが、徐々に再生機能と纏ったアカシック・バスターの炎の衣を凌駕するカオスノヴァの超エネルギーに悲鳴を上げつつあるのだ。
イズラフェールの瞳がぬらりとどこかねばついた輝きを放っていた。鏡に映した様な存在であるサイバスターの破滅を、イズラフェールの中のヴォルクルスが喜んでいるに違いあるまい。
より一層大きくなるイズラフェールの右腕から伝わる苦しみの波動が、マサキと融け合いつつあるサイフィスと同調してマサキの心の中に同様の苦しみを与える。サイフィスとサイバスターとマサキの境界は、今や曖昧なものへと変わっていた。
“一つで足りないっていうんなら、もう一つくれてやる! ダブル・アカシック・バスターだ!!”
カオスノヴァとアカシック・バスターの激突点に、直径一キロメートルを超す巨大な炎の魔法陣が瞬時に描かれ、そこをくぐるサイバスターに更なる炎の衣が纏われる。
二枚一対の翼は付け根から新たな二枚の翼を生やし、炎の羽毛を散らしながら再びカオスノヴァを貫く新たな嘶きの声を挙げる。
押し込まれ始めていたディシュナスの形をした風と炎の鳥は、勢いを盛り返すも一瞬、瞬く間にカオスノヴァの光の中へと嘴を突きたて、貫く。
ヴォルクルスの細胞に侵され、オリハルコニウムの装甲に有機的な再生能力と魔術による強化が施されたイズラフェールの機体は、見る間に神鳥の炎と風に浄化され、本来の姿を――それでも宗教絵画に描かれる悪魔の様であったが――取り戻し、消滅してゆく。
貫いたイズラフェールの後方で、纏っていた風を散らし淡く機体を縁取る輝きと共に、サイバスターは背後を振り返った。翡翠色の光の中で輪郭を失い消滅してゆくイズラフェールの姿を最後まで見届けるためだ。
光の粒子へと変わってゆくイズラフェールの姿の中で、オリジナルサイバスターの右腕だけが清浄な輝きを放っていた。装甲の分子まで浸透していたヴォルクルスの細胞が全て焼き尽くされ、ようやく呪わしく呪縛から解放されようとしている。
マサキは、これまで何度か耳にしてきた少女の声と、初めて耳にする男の声を聞いた。まだ青年と呼べる年ごろだろうに、声にはひどく疲れた老人の様な響きが強かった。
“ありがとう、マサキ”
「サイフィス……。おれだけの力じゃねえよ。それに、まだ終わってねえ」
“サイバスターの操者よ、礼を言う。おかげで、あの破壊の神の呪縛から逃れる事が出来た”
「あんたは」
“ゾット、イズラフェールの操者だった人よ”
“マサキ・アンドーよ、頼む、あの破壊神を倒し、世界に安寧を齎すのだ。精霊と共にある魔装機神の操者ならば”
「言われるまでもないさ。いくぜ、サイバスター、おれのプラーナを全部燃やしてでも、あいつを倒す!!」
精霊憑依によって多量のプラーナを失い、顔色を青く透き通ったようなものに変えつつも、マサキは変わらぬ闘志のまま、残るヴォルクルス分身体達へと、サイバスターを飛翔させた。
右手に握った斬艦刀こそ手放さずにいるものの、何の反応も見せず、通信にも応答の無いグルンガスト飛鳥とそのパイロットであるシン・アスカを守るために、ステラ、スティング、アウルが周囲で襲い来る死霊達とが戦っていた。
アルベロやアクア、リカルドらはこちらへ向かっているタマハガネの進路を確保すべく、途上の敵機の掃討に動き、ギナが率いたラストバタリオンも同じようにして周囲で三機の小隊を組んで戦っている。
ステラのヒュッケバインが飛鳥の機体を押しやって、一刻も早くタマハガネに合流しようと急ぐが、その道行きを悉くデモンゴーレムや半壊したMSの群れが立ちはだかり、一刻を競うステラ達の精神に多大なジレンマを与えていた。
不可視のおたけびを挙げるデモンゴーレム達を、撃たれる前に撃って倒して、腕だけになっても襲い来るゾンビーMS達は半ば無視する。
地上での戦闘では、例え腕だけ足だけになっても這いずりまわって襲ってきたが、この宇宙ではアポジモーターやバーニアの無い手足だけでは到底同じ真似は出来ないからだ。
浮かんでいる手足に不意を突かれて抱きつかれたりする事はあるかもしれないが、そこまで気を回しては戦えない。
「シン、シン!」
ステラの何度目になるか分からない呼び声に、シンの答えはない。グルンガスト飛鳥の中のシンは、暗闇に包まれたぬるい感覚の中で、自分の名前が何度か呼ばれているのを聞いてはいた。
しかしかろうじて聞きとれるのが自分の名前であるとかろうじて分かるのみであった。もう何もない。唇を動かす力も、指先を震わせる力さえも。本当に、もう、シン・アスカは空っぽになってしまっていた。
これまでで最も強大な念の力を発現させ、怒りのスーパーモードと共に残っていた全力全身全霊の一撃だったのだ。閉じた瞼を開く力さえも残っていない。自発的に呼吸する体力が残っているだけでも幸いと言うべきだろう。
それはグルンガスト飛鳥もまた同様であった。AI1セカンドによって左腕はなく、星薙ぎの太刀によって限界を超えた稼働を行ったプラズマ・リアクターは生命維持に必要な最低限のエネルギーを供給しているのが奇跡とさえ言えた。
機体の全体に罅が走り、爆ぜ割れた装甲の中から断たれたコードや、フレームが覗いている場所もあった。人間であったなら五回は死んでいる惨状であった。機体も主も、共に黄泉路の案内人と挨拶を交わしていてもおかしくはあるまい。
飛鳥を必死で守るスティング達が、センサーの捉えた膨大なエネルギーと、急速にこちらに近づいてくる物体と、その識別に目を向いた。
ジェネシスさえ可愛らしく思える超強大なエネルギーを生み出したのは、ルオゾールこと真ナグツァートであった。
真ナグツァートから放たれた七色のエネルギー波に空間歪曲フィールドを突破され、原子レベルで強化された装甲に大きな罅を入れて、ネオ・ヴァルシオンがここまで吹き飛ばされてきたのだ。
「総帥!?」
「ぬぐぅ……スティング? アウルに、ステラもか。シンは、気を失っているようだな」
自分自身、今すぐ病院のベッドに磔にされてしかるべき重症だと言うのに、ビアンはシンの状態に痛ましげに眉を寄せた。コックピットの内部に、先程の一撃で被ったダメージが表示されて、ネオ・ヴァルシオンに無視できない損傷があるのを確認した。
「むっ!? ステラ、スティング、アウル、皆、散れい!」
ネオ・ヴァルシオンのセンサーが、三万近いファントムビュレットを補足していた。シュウのネオ・グランゾンにも五万を越す霊魂が放たれている。ビアンのネオ・ヴァルシオンを破壊する為に放ったものであろう。
真ナグツァートとネオ・ヴァルシオンの過程にある全ての存在を、打ち砕きながら破壊の怨念のみを宿す紫炎の球体が、天の川の様に流れた。
ビアンの声に、脊髄反射的にスティングとアウルは機体を霊魂の川の流れから外したが、飛鳥を庇おうとしたステラのヒュッケバインは回避が遅れた。
展開していた空間歪曲と、ワームクロスマッシャーで、直撃コースの霊魂を全て迎撃していたビアンが、ファントムビュレットの一撃にヒュッケバインの左わき腹が抉られるのに気づく。
「きゃあああっ!?」
「いかんっ」
一撃を食らい、機体の制御に支障をきたしたヒュッケバインに、次々と群がるファントムビュレットの流れを、即座にワームスマッシャーのワームホールを経由してヒュッケバインの前に現れたネオ・ヴァルシオンの空間歪曲場で庇う。
弾かれても尚誘蛾灯に群がる蛾の様に方向を転じて襲い来るファントムビュレットに対する為に、ヒュッケバインとネオ・ヴァルシオン、飛鳥をすっぽり囲う様にして球形の空間歪曲場を構築する。
たちまちのうちに、数千単位のファントムビュレットが三機を破壊し尽くさんと三百六十度を覆い尽くす。ジェネレーターにかかる負荷に眉間に寄せた皺を深くしながら、ビアンはステラに声をかけた。
シンに声をかけても答えが無いと分かっている。
「ステラ、機体は無事か?」
「う、うん。……あ!? ブラックホールエンジンが」
「!」
ステラの言葉と同様が意味する所を即座に理解したビアンが、ヒュッケバインの機体の中から溢れだす重力波に気づき、背後カメラの映像を映し出した。
まるで、母の胎を食い破ってこの世に生まれ落ちた子のように、ヒュッケバインの中から、光さえも飲み込む黒い球体が溢れだし、ヒュッケバインと飛鳥を呑みこんでしまったではないか。
ヒュッケバインに直撃したファントムビュレットがどのように作用したものか、厳重に施されたブラックホールエンジンの安全機構を無効化し、ダメージによって暴走したエンジンが、擬似的なブラックホールをその場で造り出してしまったのだ。
ネオ・ヴァルシオンの重力制御系の機能を持って干渉するよりも早く、ビアンはネオ・ヴァルシオンごと、暗黒の牢獄の中へと飲み込まれた。
投下終了です。よ、ようやくイズラフェール戦が終わりますた。……あと、二、三話くらいで終れるかと思います。ではでは。
投下乙、そしてGJ!
神を自称するだけあって強いな、小物のくせにw
GJっす、総帥
真ナグツァート強すぎだろ……種死編でこいつより強い敵って出るのかw
完全ポゼッション状態のサイバスターが加わっても勝機無しとは
果たしてブラックホールに飲み込まれたビアン・シン・ステラが状況を打開する鍵になるのだろうか
GJ!
>>632 こいつより強いって……ケイサルしかいねぇーーー!!
ケイサルのリアルモデルが見たい……。
金子絵のイラストは超クールです。
FLAGを見たせいか、ミリアリア主役の話が読みたくなってきたぜ
ミスターブシドーにおいで願うか
638 :
通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 02:10:23 ID:SBrYhSge
シンとステラで龍虎王フラグがたったのかと思った。
エヴィデンス01、ハネクジラだっけ?
あれを龍虎王とかが戦ってた魑魅魍魎(正式名忘れた)の一種、と考えれば龍虎は出せる…のか?
エヴィデンス01は原作じゃ殆ど意味なかった死に設定だよなぁ…
宇宙くじらならマクロスが宇宙怪獣ならガンバスターが出ます
ブラックホールに飲み込まれたってんならあれだ、
ホワイトホールから出てくるときに結晶生物と融合してスペース化するんだよw
シンがおならしたら出てこれるんじゃねーの?
イエローホールかw
まぁ、特異点ってことは今のところ要らん事しぃで空気が読めない銀髪の彼が出てくるんだろうなぁ……。
ネオ・ヴァルシオンはそのままとしても、奴ならグルンガストとヒュッケバインと三体融合合身、Disグルンバインとかやりかねん。
アニメOGs的に……。
きっと出て来たら三体合体ロボに乗り換えているんだな
>>645 グルンガスト飛鳥とヒュッケバインの融合ならば
シンプルにグルンガスト凶鳥ってのもありかと
超闘士と凶鳥なら雀武王と言う可能性もですね
そろそろ新スレの時期かしら
Kでのシンの扱いは如何程かねぇ
>>650 色んな意味で予想外だった
新スレ立ててくる
完結編でいいとオモ
俺も無理だった
誰か頼むー
誰も立てられないのか・・・ってかそれ以前に誰もいないのか?
やってみたがだめだった
kは種系の話三話だけでクロスも薄い
ただカガリが別人と言うかカガリさんに変わってるらしいな
ネタバレ見たけどヴァンが色んな意味で流石過ぎる
種死だと、ファンの意見なのか脚本のせいなのか、シンとキラの関係がコロコロ変わってました。
もしアレが初志貫徹でキラ=家族の敵だった場合、シンとヴァンがどんな会話をしてくれたろうかと、思わずにはいられません。
鮒との絡みも気になる
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