機動新戦記ウィードガンダム2

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1通常の名無しさんの3倍
・sage進行
・前スレの>>1ホイホイスレです

前スレ:
機動新戦記ウィードガンダム
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1219696965/
2通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 18:24:38 ID:???
〜前スレ>>1の華麗なる設定〜


機動新戦記WEEDGUNDAM

アフターグリード世紀0078年。

2月3日。その頃小さな国‘ダルタイル共和国‘が、
新たな金属製小惑星を発見した。
これが全面戦争の切欠になるとも知らずに。
ダルタイル国は巧みな憲法術数で占領権を連合からもらい、
即その星(計:小惑星3個)
を占領した。22年後、
たった22年にして最高文化を作り上げた。国力と軍力を持った
ダルタイルは5月1日、
地球連合に対し宣戦を布告した。
この頃主人公ライト・ロダン以下6人が軍に入る。
焦った連合は兵に呼びかけて、
必死の防衛網を形成するが、
防衛網は極めて薄かった。
まずダルタイルは最新核兵器‘アモスボーン‘
を使い連合に降伏を求めるが受諾しなかった。
その為、ダルタイルはアモスボーンを連邦の主力艦隊に向け
発射。見事に命中したが、被害はあまり深刻な物ではなかった。
次にダルタイルは最新の‘コロニーレーザー団‘、
を使い、連合に降伏を求めた、
だが何故か連合は引く気配は無かった。
怒ったダルタイルは作戦を強行。
‘コロニーレーザー団‘を
連合本拠地ジャブローとコロニーに向け
発射。連合側の人類の約66%が失われた。
連合は降伏した。
後にダルタイル共和国はダルタイル帝国に改名した。
これと言う。
が、直にゲリラが始まりダルタイル帝国は
内政崩壊、治安が悪くなり、
紛争が始まる。
しぶとい連邦との激闘によって戦力を失い、
国力が大幅に減っていたダルタイルは、
占領していた直角地をどんどん奪われていく。
この戦争によって地球の環境がガタガタにひきさかれ、
朽ちていくのを誰もが予想していた。
戦争は泥沼と化し、両者とも7〜8歳の子供を戦場に借り出す始末であった。


もはや戦争に勝ちも負けもなかった。
3通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 18:42:48 ID:4+Uh9FpX
現在ある作品

・本編
前スレ>>1の作品。
実際はあらすじばっかなので作品とは言えない

・異説機動新戦記ウィードガンダム

七四三氏の作品。本編より面白い

・機動新戦記外伝ガンダムS(ストレングス)

ミィル・ライズ氏(名無しさんは外伝)の作品。本編より面白い

・新機動戦記外伝ガンダムA(アヴェンジャー)

ジョー・グレイグ氏の作品。プロローグで止まっているので、続くかどうかは不明

・機動新戦記ウィードガンダム外伝

835氏の作品、続くかどうかは不明
4通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 18:52:06 ID:???
〜本編MS紹介〜

MS紹介
地球連邦
量産型ヘビーデーモン         …RXη-:無し
ライサーガンダム           …RXο-000:中期ライト・ロダン
ガンマガンダム            …RXο-001:ガンマ・ルビー
デルタガンダム            …RXο-002:モナーク・ホプキンド
ガンダム改量産型           …RXο-003:エリオット・アビス:モケ:フェイド:初期ライト              
カイザーガンダム           …RXv-001:ミュート・レネラォリ〜オベリスク・カイザー
ウイングハートガンダム(ウィード改造) …RXv-002:後期ライト・ロダン

ダルタイル帝国
ヘビー・トライポット       …MB-xxx:ギグルスタン・カーメン
コンドルグリード         …MA-K00A:ロイ
デス・フォーン量産型       …MS-K00B:
デス・フォーン          …MS-K00B-X: ウジサト・ガモウ
ベータ・トライフェル       …MSL-1:ベータ・ルビー
アルファクラスト         …MSL-2:ハン・ゲルド
カッパァ・デルミンタルゾイド   …MSL-3:ブロッケン・カイパーベルト
パラス・マオネ …MSDRTRO-BOOT-2007:まだ決まってない
ゴーデスガンダム         …MS-003:まだ決まってない
イプシロンエックス        …MSX-998:まだ決まってない
サイクロプスエックス       …MS]-999:まだ決まってない


テンプレってこんぐらいで十分か?
まぁ、後は好きにやってよ。
5通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 19:03:43 ID:???
>>4
ブラックエンペラーガンダムは?
6通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 19:12:13 ID:???
これも忘れずに

・糞スレと思っても言わないこと
・世界観は>>2MS系は>>3主なキャラは>>4各話は>>5。終わるまでカキコしないでね。
・僕を叩く名無しは荒し。
・勝手にコテさんは来てもいいけどキャラの中から選んでください。
・変なAAを貼らないこと。
・あと作った人は本当に11才です。難しいことは言わないでね。だからと言っておちょくるのはやめてね。
そんだけです。
良いスレになったら良いなぁ。
7通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 19:31:11 ID:???
ぼくたちのかんがえた
ブラックエンペラーガンダム
ぜんちょう・・・220メートル おもさ・・・500トン
ぶき
かくビームほう×4 かくのビームなのですごいいりょく
きょだいテポドン×8 10おくキロさきのてきもやっつける
ウイングファンネル×100 さいしんがたのファンネル
ちょうぜつエンペラーフィンガー いんせきもにぎりつぶす
ひかりのつばさ×6 6まいのつばさをひろげたすがたはだてんしそのもの
ナノスキソ どんなダメージもたちまちかいふく
げっこうちょう すべてをほろぼす

>>1のかんがえたガンダムを100まんかいなぶりごろしにできるちからをもっているらしい
8通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 19:43:31 ID:???
ブラックエンペラーいい加減うぜえw
91:2008/09/20(土) 19:59:30 ID:???
>>7
いや、俺はガンダム考えてねーからw

以下、前スレの>>1は前スレ>>1と呼ぼうか
10通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 20:06:55 ID:???
>>7
つか、グレンラガンに似てるな。

ギガドリルブレイク ぎがなのですごいいりょく
気合ワープで10億先のてきをもやっつける
超銀河グレンラガンいちばんあたらしいぐれんらがん
天元突破グレンラガンは銀河もなげとばす
気合でどんなダメージもたちまち回復
螺旋力でなんでもできる

ほら、似てるだろ?
11通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 21:31:20 ID:???
新スレを見て、11歳がなんと言うのやら
12通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 21:46:06 ID:???
結局なんだかんだでこのスレ好きだった奴とかいるんじゃないかって思うようになったw
あ、外伝抜きでな
13通常の名無しさんの3倍:2008/09/20(土) 21:59:24 ID:???
まとめとか作んないの?
14通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 07:07:22 ID:???
>>13
そんなたいそうなもの作る奴いないだろw
ほとんど話し進まないまま2スレ目なんだぞ?w
(本編はあらすじのみなのでまとめる必要なし)
15通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 09:10:31 ID:nZvN84Pf
ライトロダンは主人公の名前といていい加減だな、
荒川ショウにしとけ! 
土門的な感じなら行けるんじゃないか?
必殺技は三百三点系列波ーとイナズマードロップ_スクリュースカイドライバー
とイナズマードロップ_スクリュースカイドライバー改
兎に角主人公に魅力とインパクトが全く足りていない
今現在の駄作チャンピオンは機動新戦記ウィードガンダムで間違い無いよ
16通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 14:16:04 ID:???
主人公が毎回自殺未遂起こしたらインパクトあるんでね?
17通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 14:42:07 ID:???
作者がもう少し謙虚な奴だったら、あらすじのコピーくらい貼ってくれる人がいたんだろうけど、
誰も貼ってないんだね

誰か外伝のストーリーまとめて貼っといてくれないかな〜 と期待してみる
18通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:09:27 ID:???
七四三氏の一話貼っときますね

名前:七四三[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:20:11 ID:???
>>636で話を書いた。
出来はともかく、いい練習になった。

注:この話は本編とは全く関係ありません。ほぼ別物の世界観の上に成り立っています。質問があったら適当に聞いて下さい。

異説機動新戦記ウィードガンダム

第一話  帝都の少年 前編

拝啓
父さん、母さん、お元気でしょうか。
俺は元気です。
帝都の生活は順調ですが退屈です。
ここには全長20m越えの謎の宇宙生物が襲来してきたり、マッドサイエンティストが創った怪生物が下水から溢れ出てきたりしないので闘う相手がいなくて暇です。
宇宙生物と書いて思い出したけど、今年は宇宙ドラゴンが襲来する年ですね。前回、俺が30mサイズのボスを一刀両断にしたので、今年はその敵討ちに例年より多くのドラゴンがやって来るんでしょうね、楽しみです。
ドラゴン狩りの日には間に合うように帰ります。
どうか、風邪など引かぬよう、お元気で。

あなた達の自慢の息子でありたいと願う。
ミカド・アーサー・カエサル・シャルルマーニュ・アレキサンダー・ナポレオン・トクガワ・セイソウインより。


まぁ、こんな風に親への便りを書いた、ミカドだったが、実際は生活は順調という訳でもなかった。
とにかく、金がない。それが問題だった。一応、ミカドは社会的には学生という身分なので、恥を忍んで、親に金を無心する選択肢もある。かと思いきや、それは、絶対無い!
そもそも、故郷自体が、
貨幣経済? ナニそれ、おいしいの?
という、現代文明に真っ向から反逆するような、有り得ないド田舎なのだ。
そんな所に住む両親が金を持っているだろうか? いや、ない!!
「マジで、金がねぇんだよぉぉぉぉぉぉ!!」
殆ど、病気レベルの勢いで発作的にミカドは絶叫した。迷惑なのは周囲の住人達だ。ミカドの住んでいるボロアパートは防音性など、無いに等しく、絶叫はアパート全体に響いた。
「うるせー!! 今、何時だと思ってんだ!! 死ねっ!!」
当然のように抗議の声がした。言葉が悪いのは、まぁあれだ、そういう筋の人だからだ。
この時、時計の針は朝の4時を指していた。
「っざけんな!てめえが氏ねっ!っていうか死ねっ!!」
「上等だガキ!表出ろや、ぶち殺したるっ!!」
売り言葉に買い言葉、間違いなく、ミカドが悪い筈なのだが、なぜかそれはうやむやに、事態は喧嘩へと発展した。ミカドは勢いよく部屋から飛び出し、表へ出た。
19通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:10:15 ID:???
名前:七四三[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:24:15 ID:???
三分後、ミカドは部屋に戻った。表では一人の男が口から泡を吹いて気絶している。ミカドは強かった、とにかく強かった、ありえないぐらい強かった。
ふと、ミカドは時計を見る。
バイトの時間だ。すでに、先程の男の事は忘却の彼方。ミカドはいそいそと身だしなみを整え始め、バイトに行く用意をする。
一般的な生活を送っているならば、まだ、寝ている時間なのだが、ミカドはそうもいかない。
働かなければ、学費が払えないからだ。両親に金を無心出来ない以上、自分で稼ぐしかない。
準備もそこそこ、朝食はアルバイト先で調達する事にした。
「よしっ! 準備オッケー、行ってきます!!」
部屋には誰も居ないのだが、実家にいた時の習慣で、出がけの挨拶をし、ミカドは部屋を出た。

アパートの廊下に出るなり、ミカドはばったりと、冴えない中年男に出会った。
「おはようございます」
顔見知り、というか隣人なので一応、挨拶する。
「おはよう。これから、バイトかい?」
覇気の無い様子で中年男は訊ねる。
「はい、ウジサトさんは今帰りですか?」
男は頷き、力無い笑みを浮かべる。
「お互い大変だねぇ……」

中年男の名はウジサト・ガモウ。
ダルタイル帝国の軍人でどこかの要塞の司令官をしているらしく、たまにしか部屋に帰ってこない。
離婚した元妻から毎月、莫大な額の慰謝料を請求されており、生活は苦しいとミカドは聞いている。
趣味は縫い物でそれに関してはミカドも色々と世話になっている。頼めば、格安で服のほつれや破けの修繕に加え、一から服を作ってくれたりする。

「それじゃあ……」
挨拶も程々に、ウジサトは疲れ切った様子で自室に入った。
あれで、軍人なんか勤まるんだろうか…?
出会う度、そう思わずにはいられないミカドだったが、まぁ大丈夫なんだろう。という感じのいつもの結論にたどり着き、さっさとバイトに向かうことにした。

ボロアパートを出たミカドは徒歩で帝都53番地区、通称くず町から出る。
くず町から出たミカドは最寄りの大通りへと真っ直ぐ向かう。
日中は多くの人で賑わう大通りも、朝の四時ともなれば、薄暗く、まだ活動している人も少ない。
未だ、人混みに慣れないミカドにとっては気楽な時間だった。
ミカドは大通りを帝都の中心に向かって進む。ミカドは帝都の中心にある建物を目指していた。
20通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:11:04 ID:???
名前:七四三[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:27:01 ID:???
帝都の中心にあるもの、それを指す言葉は帝都には一つしかない。
帝都の中心ある、たった一つの物、それは皇城だ。
広大なるダルタイル帝国を治め、銀河に覇を唱える男、ダルタイル帝国皇帝、ギルグスタン・カーメンの居城にしてダルタイル帝国の全てが決定される場所。
その、佇まいはまさしく、中世の城のそれであり、その壮麗優美、絢爛豪華さたるや古今に比類無く、まさに宇宙の王たる者に相応しい城と言えた。

何故、そのような場所に一介の貧乏学生であるミカドは用があるのか?
その理由は簡単だ。
なぜならば、皇城こそが、ミカドのバイト先だからだ。
だが、そこで普通の感性を持つ者ならば思うだろう。何故、格式高い、皇城でバイトの者など雇わねばならないのか?
その理由も簡単だ。
なぜならば、皇城は人手不足だからだ。
メイドの数こそ足りているものの、致命的なまでに男手が足りないのだ。
後腐れ無く、安い賃金でこき使えるバイトは非常に扱いやすい存在だ。
といっても、現在、バイトはミカド一人しかいないが。
そもそも、皇城でバイトできるなど知っている者などいない。
皇家の格式とメンツを考えると大っぴらには広告できないからだ。
では、何故ミカドは現在のバイトに就いたのか?それは、ミカドに常識が無かったからだ。
ミカドは帝都に降り立ったその日に皇城の大きさに感動し、皇城で働きたいと思い、その旨を伝えた。
その結果、バイトととして雇って貰えることとなった。


常識の無い少年、ミカドは薄暗い大通りを進み、広場に出た。
城門前広場、文字通り城門の前に作られた広場だ。早朝なので人はいないが、ここも日中は露店やら何やらがあり活気がある。
不意に、ミカドは足を止め背後を振り返る。
日の出だ。
薄明かりが広場を染め、輝かせる。
ミカドは再び歩みを進め、真っ直ぐ城門へと向かい、その前に立つ。
門扉に彫られた繊細な彫刻が朝の日差しに照らされ、幻想的な光景を生み出す。
それを見る度、ミカドは圧倒される、MAでさえ容易にくぐり抜けられる巨大さもさることながら、何よりも、こんな物を作れるこの国の力に、この国の人々に。
21通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:11:50 ID:???
名前:七四三[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:29:53 ID:???
惚けたように城門を見つめるミカド。しかし、その時間は長くは続かない。
ミカドは急に表情を引き締め、その場から飛び退く。自分を狙う殺気を感じたからだ。
何の前触れもなく、先程まで、ミカドが立っていた地面に銀色の物体が突き刺さる。城門広場を構成する石畳に突き刺さった物、それはナイフだった。ナイフと言ってもそれは軍用のモノではなく、どこにでもあるようなテーブルナイフだった。
間違いなく殺意が有ったのだろう、テーブルナイフは完全に石畳に突き刺さっている。
ミカドには、もう犯人の目星がついている、テーブルナイフを投擲し、石材に突き刺す。そんなマネを出来る人間をミカドは一人しか知らない。
城門の上に先程までは感じられなかった気配が生じる。
ミカドは気配の主に対して叫ぶ。
「何してくれてんだ!!この、クソメイドがぁぁぁぁぁぁぁ!!」

城門の上に佇む人影。それは特徴的な衣服を身にまとった一人の少女だった。
すらりとした肢体は、体の凹凸こそ少なめだが、女性にしては割と高めの身長と相まって、無駄のない刀剣のような美しさをかもし出していた。
朝日を受け、宝石のような光沢を放つ艶やかな黒髪を所謂、ポニーテールの形にまとめた少女は、鳶色の瞳でミカドを城門より見下ろす。
美しい少女だった。
薄く整った鼻梁、花のように可憐な朱色の唇、透き通るような、それでいて決して病的ではなく高貴さを感じさせるような白い肌。
そして、それら全てを昇華させる、紺色のワンピースにフリルのついた純白エプロンドレスの組み合わせ、所謂メイド服という服装の持つ魔力が少女の魅力を増幅させていた。城門の上に佇み、朝日を受け輝く少女。
その、名画にも似た幻想的な光景を目にした人々は必ず呟くだろう「天使だ……」と。
少女の名はセレア・ゴッドウィン。皇城て働くメイドだ。
不意にセレアは城門より身を投げる。MAでさえ容易にくぐり抜けられる大きさの門、その高さたるや並ではない。常人ならば間違いなく即死の高さ。しかし、セレアは常人ではなかった。数十mの高さでありながら物音一つさせずに着地する。
何事もない様子でミカドと同じ高さまで降りてきたセレアに、ミカドも何事もないといった様子で尋ねる。それは、先程の数十mの高さからの着地など日常茶飯事だという様子だ。
22通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:12:37 ID:???
名前:七四三[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:34:34 ID:???
「なあ、何でおまえ、俺を殺そうとしたの?正直に言ってごらん、怒らないから」
質問をしながら、ミカドは自分は無駄なことをしてるなぁ、と思わないこともなかった。
目の前の少女はいつも何を考えているかわからない上、人の話を全くと言って良いほど聞かず、自分だけの理屈に従って行動する恐ろしく危険な人物で、思いこんだら一直線な傾向がある。
ミカドは皇城でバイトを始めてから三ヶ月、五回ほど常人には訳の分からない理由で殺されかけ、セレアの危険さは身にしみている。正直な話し、ミカドはセレアをコミュニケーションの取れる相手だとは思ってない。
今回も半殺しにされるのかなぁ……
半ば諦めたような気持ちになると、不思議なことに頑丈な体に産み、育ててくれた両親に感謝する気持ちが芽生えてくる。
顔とかは好み何だけどなぁ……
質問には答えず、ただ佇むセレアの顔を見て邪な気持ちを抱くミカド。
その時、ようやくセレアの口が開いた。
「どこの誰だか知らないが、怪しい奴め。私の目が黒いうちは、何人たりともこの門は通さん!」
……電波だ。あまりにも電波だ。
「ちょっと待て!? 色々、おかしいぞ!!つーか毎日、普通に会ってるのに誰だか知らないって何よ!?って、その前におまえメイドじゃん!!なんで門番気取り!?」
先ほどまでの鬱気味なテンションは吹き飛び訳の分からないことを言うセレアにツッコミを入れるミカド。
「今宵は、いい月夜だ……戦うには相応しい……」
ミカドの言葉には一切耳を傾けず、自分だけの世界に突入するセレア。こうなると、どうしようもない事をミカドは知ってはいたが、それでもツッコミをせざるにはいられなかった。
「なんで、おまえ人の話しを聞かないの!?つーか、今は夜じゃねえよ!!朝だよ!早朝だよ!!月なんか出てねえよ!!」
ミカドは必死に叫ぶが、自分の世界に入ったセレアはうっとりとした様子で言葉を紡ぐ。
「見るがいい、あの月の輝きを、月も貴様の命を欲しているぞ」
セレアはゆっくりと自分の目には月に映るモノを指差す。
23通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:13:24 ID:???
名前:七四三[sage] 投稿日:2008/09/11(木) 21:36:35 ID:???
「それは、月じゃねえ!!太陽だぁぁぁぁぁぁ!!っていうか、おまえ昨日何を見た!?映画か!?ドラマか!?アニメか!?見たモノ全てに影響されてんじゃねえよ!この、テレビ娘がっ!!」
ミカドの叫びが届いたのかどうか、セレアはようやくミカドの方を向く。
「今宵の私は血に飢えている」
「武器じゃなくて自分が血に飢えてるっておかしいだろ!!おまえは何か!?吸血鬼か何かか!?つーか、今は夜じゃねえよ!!朝だよ!!」
「問答無用!!」
セレアはそう言うと勝手に会話? を打ち切りミカドに向かって走り出す。
「最初っから、問答なんて無用――ってか出来てねえじゃねえか!!」
最早、言葉による説得は無理だとわかったミカドは自らも、セレアを迎え撃つため、構えをとる。

ミカドに向かい走るセレアの姿が消える。
正確には消えたのでは無く、常人の視覚では追いきれない速度で移動しただけだ。同様に常人では無いミカドにはセレアの動きが見えた。
後ろか!!
ミカドはすぐさま振り向き、腕を上げガードを固める。
セレアは拳を握り、わざとガードを固めた相手の腕に拳を叩きつける。意図は一つ、相手の力量を計るためだ。
ミカドの腕に尋常ではない威力の拳がぶつかる。
感覚からいって、恐らく軽装甲のMSなら一撃でスクラップにできる重さだった。
割としょっちゅうくらっている威力の攻撃だが、流石に痛いことは痛い。
ミカドは少し顔を歪めながらも耐えきり、次の攻撃に備える。
だが、攻撃は続かない。セレアは拳を放った姿勢のまま固まっている。
ミカドはそんなセレアを怪訝な顔で見つめる。
「……いいだろう」
ふいに、セレアがつぶやく。
セレアはミカドの瞳を見つめ、今度は大きく、相手に聞こえるように言う。
「いいだろう……認めてやる。貴様はこの私、セレア・ゴッドウィンの好敵手に相応しい存在だと!!」
それまでとは比べものにならないほど濃密な殺気がミカドを襲う。
しかし、ミカドは臆することなく叫ぶ。
「そのセリフは通算三十回目だ!おんなじ相手に何度言ってんだ!このっ、電波女が!!」

後編に続くかもしれない(評価次第で)
24通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:27:50 ID:???
478 :ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/06(土) 22:41:44 ID:???
第1話  コロニーの少年

人類の生活圏が宇宙に広がった時代
最も古いコロニーのスラムで生まれ育った少年、ライト・ロダンは
仲間とともに押し入った豪邸で
謎の少女、ゼベーナ・アルスと出会う。
アジトに帰った彼等を待っていたのは軍の強制徴兵だった
為す術も無く銃を突き付けられ連行され配属されたのは新型MS運用艦だった
適正審査でライトはパイロット候補生に選ばれる。

第二話・脱出

MSを貰えると聞いてワクワクしていたライトに紙が届いた。
ライサーガンダムが輸送中に撃破されたとの紙だった。
だが、そんな事にシックリ来る暇もなく、スポーンシップは発進するのだった。

第三話・哀しみの始まり

ライトは急襲のベルを聞く。皆まだ機体が届いてないため、
仕方なく宇宙用戦闘機で出撃する。が!参謀のアーモン・リーとエア・リーが寝返り
ぺジオ・モケ・フェイド達は生捕されてしまうのだった。「が!ライトは命からがら逃げ出すのだった。」
(なんと運のいい・・・)

第四話・翼を奪われたガンダムの肖像

ライトはNTの検査実験をしてNTだと言う事が発覚した。
そして本当より1歩速くガンダムが届いた。
だがその中にライサーの姿は無かった。
ライサーガンダムは筋肉システムを搭載したモビルスーツの為、
正式な作る場所が無く、かなり時間が掛るそうだ。
まもなく急襲のベルが鳴った。ハン・ゲルド大佐率いる艦隊だ。
「シックリ」来てる暇も無いライトは量産型ガンダムに乗って出撃する。
ライトはこの戦いでNT能力を出し切って戦い、
戦艦2隻を沈めるなどをし、ハン・ゲルドは戦線を離脱した。
ライトは帰路についた。

第5話  裏切りのその先

スポーンシップに新たな伝言が届いた。
内容はセルーリアン星の侵攻をしていた軍が一斉に裏切ったとの伝言だった。
ライトは大人の考える事に涙するのだった。
25通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:28:53 ID:???
480 :ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/06(土) 22:45:07 ID:???
第6話  空が飛ぶ
アフターグリード世紀0078年5月16日
ダルタイルの皇帝ギグルスタン・カーメンはテレビ演説で、
脅迫をした。連邦が降伏しない場合は、バンコロニーをジャブローへ向けて
飛ばせる。という内容だった。ライトはそれを食い止めるため、
艦の連中と組んで占領を食い止める。
この時の敵の総大将はウジサト・ガモウである。
ウジサトは最前線にてデス・フォーンで出撃するが、
スポーンシップ軍の大打撃を受け、軍を後退させるのだった。

第7話  深刻な本部
アフターグリード世紀0078年5月20日
またもダルタイルの皇帝ギグルスタン・カーメンはテレビ演説で、
脅迫をした。連邦が降伏しない場合は、新型爆弾アモスボーンを連邦側主力艦隊へ向けて
発射する。という内容だった。ライトはまたもそれを食い止めるため、
またも艦の連中と組んで発射を食い止める。
このときに総大将を務めたのはガンマ・ルビーである。
ルビーはウジサトのような大敗はしないで、
アモスボーンはスポーンシップ軍の弾幕を潜り抜け、
見事、主力艦隊に命中してしまい、スポーンシップは後退するのだった。

第8話  地球へ
スポーンシップの損傷は大きかった。
艦長のギアルゥは補給のため地球降下を宣言する。
地球へ向かい、地球は日本の鹿児島の桜島に降下が完了したところでボブ・ルビー率いる
デス・フォーン量産型の大軍団が待ち伏せていたのだった。
そして直に交戦になり、スポーンシップは撃破寸前に追い詰められ、
MSの保管庫も潰れてしまったとき、謎の連邦部隊、デルタ隊が応戦にかけつけてくる。
応戦が始まってたった7分で決着がつき、ボブは討死するのだった。
戦いの後、デルタ隊の隊長は艦長と会見する。そして、そのデルタ隊の隊長は、
22年前の新惑星の侵略戦で英雄になったモナーク・ホプキンドだという事が、
発覚したのだった。
26通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:29:39 ID:???
第9話  ジャブロー危機 (修正版)

スポーンシップは一命をとりとめ、デルタ隊と行動を共にする事になった。
だが、スポーンシップは勢力を失っていた。そこで、また強制徴兵を実行した。
その中に、艦長の双子エリオット・アビスの姿もあった。
そんな事でぼちぼち回復しつつあった。
アフターグリード世紀0078年5月23日 緊急伝令が来た。
スポーンシップ大改造を行うとの内容だった。
なんだか良く分からなかったが、スポーンシップは発進した。
だが、それはスパイ、アーモン・リーの策略だと誰も知る由などなかった・・・。
一方、連邦政府はダルタイルにコロニーレーザーで本拠を狙うぞ。と
脅迫され、どうにか止めさせようと、ガンマ・ルビーが外交を通じて必死に頑張っていた。
今、ガンダムシリーズ以来最大の外交戦が始まろうとしていた。

第10話連邦壊滅

コロニーレーザー団をダルタイル本拠地サイコ・クロプス・コアに、
発射すると脅迫し、降伏を求めた連邦だが、この後大事件が発生する。
なんと、コロニーレーザー団の管理取締役、ロイ中佐がガンマと内通し裏切ったのだった。
そのときスポーンシップは・・・・東京上空で休息中だった。
ロイ裏切るとの令を聞いていないスポーンシップは、何も知らずにジャブローに向かっていた。
ロイはそのコロニーレーザー団を使って連邦の重要な基地を粉砕した。
そして、ジャブローもその熱戦の中に焼かれていった。

連邦は降伏した。

スポーンシップは降伏とのラジオを聴き、乗員は涙した。
そして、ライトは艦長と相談し、艦長はライトの言う通りゲリラの支援に協力する事にした。

そして、3年の時が過ぎた。
27通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:37:20 ID:???
誰か他の外伝のストーリーを貼ってくれる人は…いるかなぁ
28通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:41:46 ID:???
603 :通常の名無しさんの3倍:2008/09/08(月) 02:05:00 ID:???
即興で思いついたのを今から書くぜ。
ちなみに当て付けのつもりだ。

新機動戦記外伝ガンダムA(アヴェンジャー)

アフターグリード0080

先の大戦から2年経ち、世界はようやく落ち着きを見せ始める。
この物語は、ある女性兵士の死から始まる。
死因は白血病であった。
AG0079.9.23 ライト少年が乗るウィングハートガンダムがウランミサイルを使用した日
彼女は兵士として、その付近の戦場にいたのだ。そして、不運にも、その時に自機が機動不能に陥り
寮機のコックピットに乗り移る最中、大量の放射能を浴びてしまったのだ。
その時の寮機もとい、婚約者のジョー・グレイグは彼女の墓前の前でこう誓った。
「…俺は、君をこんな体にした奴らを許さない…あのモビルスーツもパイロットも…作った奴も指揮した奴も…すべて…俺が殺してやる」
こうして、ジョーによる復讐劇が始まったのだった。

登場人物

ジョー・グレイグ(25)
元連合軍兵、味方によって殺された婚約者の仇を討つため、裏切りを決意
ウィングハートガンダムの設計者であるエリオット・アビスを殺害し、新型機を奪取
その後、ダルタイル軍残党「ゴールドアームズ」に移り、連合をつぶす為に戦う
歪んだ憎しみが高まり、NTとは違う別の能力を発動できるようになるが、同時に死期を早めることになる

ヘイトレッドガンダム
全長 21.2m
武装
アンチMSバリアジャマー、NT−D
高出力型ビームハンドガン×2、レーヴァンテイン(15m超のビームサーベル)
60連装スプレーミサイル

三つある新型の一つ、対ウィングハート戦を想定して作られたMS
人工知能AIが搭載されており、オートで動くことも可能
29通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:42:32 ID:???
604 :通常の名無しさんの3倍:2008/09/08(月) 02:27:56 ID:???
全12話(SS書かないけど)

第一話 墓前の誓い
第二話 憎悪機動
第三話 黄金の腕
第四話 慈愛と嫉妬
第五話 命の軽さ 罪の重さ
第六話 親友
第七話 悲劇
第八話 慟哭、そして
第九話 決着
第十話 復讐者
第十一話 終焉(前)
第十二話 終焉(後)

まぁ、流れとしては、1〜3は主人公が裏切るまでの過程
4で、設定出してないけど、他二機が出てきて(NT専用型、改良強化型)
5で一旦主人公が挫折して、6に親友登場(改良強化型のパイロットでNT専用型のパイロットと出来ている)
7でまぁヒロインのポジションのNT型パイロットを殺して
8、9で親友同士戦って、憎悪が勝つ
10、まぁネタバレだけど、主人公機じゃなくて、ライバル機がアヴェンジャーだったりする
11、12で親友を殺して、主人公は燃え尽きるか、射殺かな

かなり乱雑で穴だらけではあるが、物好きがいたら補完してくれると脳汁が出る
ちょこちょこっと設定変えたり足してもいいお、どうせ酔った勢いで書いたんだから気にしねぇ
30通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:43:15 ID:???
605 :第一話 プロローグ :2008/09/08(月) 03:10:19 ID:???
 AG0079.9.23

 ザザ……ザジョー? ――こザザ此処よザザ……
 ノイズだらけの通信回線から辛うじて婚約者の声を拾いだしたとき、
ジョー・グレイグは踊りだしたい気分だった。量産型デス=フォーンの狭苦しい
コクピットでなければ、確実にそうしていただろう。

「メリッサ……ああ良かったよメリッサ!」
『ジョー? 感激してないで早く回収してくれると嬉しいんだけど?』
 一見しては動力が生き残っているとは思えないほど損傷した量産型に
無骨な機体の指が触れると、接触回線を通じて彼女の声がする。

 あの阿呆――ウィングハートにメリッサ機がやられた時は気が気でなかった。
ガキの声と気配がするガンダムは、未だ元気に戦場で暴れている。
 回収するなら今のうち、だ。

「あ、ああ……! 今外からハッチを開けるよ。今日ほど神に感謝した日は無いね」
『あら、私から"イエス"と返事をもらった日は、二位以下に転落かしら?』
「それは別格さ――開いたよ」
 ありがと――とこの声は、メリッサのノーマルスーツから聞こえた声だ。
聞こえは悪くなったが、それはメリッサとジョーの距離が縮まったという事、
ジョーはメリッサが熱烈な抱擁とキスの雨を降らせてくれる瞬間を、今か今かと
待ちわびていた。

 ジョーが開けたデス=フォーンのハッチから、損壊した量産型が見える。
 そして、こちらに向けて泳いでくる彼女の姿も。
 ジョーは手を伸ばした――レーダーに反応? ジョーが叫ぶ。
「――メリッサ! 早く来い!」
 メリッサは、ダンスホールでジョーがエスコートを申し出た時のように手を差し出し――
その体を、ウランミサイルの放射線がなぎ払った。
「メリッサあああああああああぁぁぁーー!!」



「あああああああああああっ――! メリッサぁ――!」
 格納庫で眠っていたジョーは、己の悲鳴に飛び起きる。しばらくあたりを警戒して
自分ひとりであると確認すると、憎悪に握りしめていた掌に滲む血をウェスで拭った。
「ふ……まだ俺の血も赤い――か」
 AG0080. 6.11 と、デジタル時計で日付を確認する。
 技術主任エリオット・アビスも帰宅し、深夜の格納庫に残るのはジョーだけだった。
「いや、お前が居たな」
 そしてジョーは傍らに立つ"相棒"を見上げる。
「もうすぐ――もうすぐだ。完成したお前と共に、奴らを血祭りにあげてやる!」
 ヘイトレッド――全長 21.2m。紅蓮の憎悪と名を冠されたガンダムは未だ沈黙の中、
その超長ビームサーベル"レーヴァンテイン"を振るう復讐の時を待っていた。
31通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 15:55:01 ID:???
俺も外伝のストーリー便乗してコピってきたZE

名前:通常の名無しさんの3倍[sage] 投稿日:2008/09/14(日) 13:53:46 ID:???
読んでるより書いた方が面白そうなので、何か書いてみよう


機動新戦記ウィードガンダム外伝

主人公は引きこもりの少年ダイ
連邦軍の行っているデスティニー計画により選ばれたエースパイロット
しかし実際には試験を受けるのが嫌で代わりに出した人工AIプログラムの実力であった

実際にダイ少年が作成したプログラムは優秀であったため、
軍ではMSを無人でコントロールする計画を進める事となった
こうして命懸けの戦場に、ただ1人命を懸けない男の物語が始まった


第一話 選ばれた男

ダルタイルとの戦いにより人材が不足した連邦軍において優秀な人材の確保は急務であった。
一時期は手当たりしだい問答無用に採用していた時代もあったようだが、いざ採用したものの
使い物にならない場合というのが現場の責任者の手を焼かせていた。

そこで考えだされたのがデスティニー計画というプログラムを用いた適性検査であった。
名前からしてSEED DESTINYのパクリそのものだが、意味もほとんど同じであった。
ただ違うのは遺伝子で調べるのではなく、ただの適性試験というのがショボさを表していた。

試験は学生のうちに受けさせられて、卒業と同時に進路が決定する。
現在卒業生のうち9割以上が軍への配属が決まっておりそれ以外の進路は事実上皆無と言っていい。

ダイ・サンゲンは学校が嫌いだった。
試験も受けたくなかったが、受けないと卒業させてもらえないので適性試験用のプログラムに
代わりに試験を受けてもらう事にした。

後日、試験の結果が発表された時にダイだけは校長室に呼び出された。
ダイは不正がバレて怒られる事を覚悟していたが、なんと言い渡されたのは
連邦軍の中でも最もエリート部隊と言われる部隊からの採用の知らせであった。


自分で書いてみると以外と難しいもんだね、続き書いてもよさそうだったら書いてみようかな
32通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 16:01:34 ID:???
機動新戦記外伝ガンダムS(ストレングス)


一話:ヘボパイロット


アフターグリード0078、5月1日…それは、ダルタイル共和国が地球連邦に対し宣戦布告を行った日である。

5月3日午後2時45分…この日の戦闘をきっかけに、この物語は始まる――…


コツ…コツ…
格納庫に足音が響き渡る。足音からして二人だろう。一人は青年、もう一人は中年だ。
「…本当に俺…じゃなく自分みたいなヘボパイロットでよかったんですか?」
最初に話したのは青年の方だった。
「もちろんだ。寧ろ、君でないと駄目なんだよ、ミィル・ライズ曹長。」
中年はそう返した。
「しかしなんでまた…おr…自分より、もっと有能なパイロットをテストパイロットにすればよかったじゃないですか」
「君が今から乗るMSには操縦をサポートしてくれる最新のAIを搭載している。そのテストも兼ねているから、
君のような弱小パイロットでないとAIの性能がはっきりわからんのだ」
しかしミィルはまだ納得していないようだった。
「でも大事な次期主力MSのテスト機でしょう?やっぱり俺…もとい自分じゃ役不足ですよ」
「それでm…」
中年が何かを喋ろうとしたその瞬間、ドォン!と言う震動がした。
「な、なんだ!?」
ミィルが喋ると同時に、警報がなった。

…そう、敵襲だ
33通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 16:02:20 ID:???
運悪く連邦の基地にダルタイルの軍が攻めてきたのだ。
「敵襲か!MS、早く出撃しろ!!」
中年の男、いや、ハーバード・オックス中佐はそう言うと司令室へ早足で向かった。
「……自分…いや俺はスルーかよ………中佐………」
ミィルがそう呟くとまた格納庫に衝撃が走る。
ドォォォォォォン!!
さっきより音が大きい。ミィルは小窓から外を覗いた
「ひい、ふう、みい…確認出来ただけで6機か。それなら俺がいなくても大丈夫だな…」
安心したその瞬間、ミィルはある事を思い出した。
「そ…そうだった…近くにあるダルタイルの基地に殴りこみにいってるから、
ここにはMSパイロットは俺含めて三人しかいねーんだった……!」
今、この基地の危険な状態を察したミィルは顔が青ざめ、何をトチ狂ったのか叫びだした。
「やべぇやべぇやべぇやべぇって!!!俺の機体は前、流れ弾に当たって大破したし!!
殴りこみにいった奴等も都合よく戻ってこねぇだろ!!!やばい!やばいよ!志村!!俺死にたくねぇぇぇぇ!!!」
軍人とは思えない程焦るミィル。お前は本当に軍人かと殴りたいぐらい焦っている。
……40秒焦っていると、ある事をミィルは閃いた。
「機体…あるじゃん。あのテスト機が!!!!」
俺は天才!流石!!!やるじゃん俺!と言いたげな顔で言う。
「となると善は急げだ!俺でも、何かのタシにはなる筈だ!」
そう言うとテスト機に乗り込み、慣れた手つきでMSを起動させる。
「この機体…そういやぁガンダムストレングスとか言うんだったな…どうでもいいけど」
そう呟くと格納庫のハッチを開け、敵のいる外へと出撃するのだった…
34通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 16:03:06 ID:???
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
必要の無い雄叫びをあげると敵機、ダンデスがモニターから確認できた。
ミィルは確認すると腰に装備されているビームライフルをさっと取り出し3発敵MSめがけて撃った。
ドガァァァァン!ズガァァァァン!!
3発中、1発は外したが2発は見事ダンデスに命中し、爆散する。
「うぉっしゃ!今までの俺とは考えられない命中性だ!流石最新のAIとMSだぜ!!!」
興奮しているミィルの油断を突き、敵MSが背後から射撃しようとした。
「え!?」
とっさに回避行動を取ろうとしたが、時既に遅し。ビームは見事命中した…ミィルはここで死ぬのか!?
……そんな訳なかった。
ビームは確かに命中したが、機体は損傷しておらず、焦げ目が小々ついているだけだった。
「あ…危ねぇ…こいつ…ビームコーティングが施されてるのか…?」
運が悪ければまさに『死んでいた』…その恐怖がミィルを襲う。ハッと気を取り直し恐怖を振り払うミィル。
「よくもやってくれたな!!この野郎!!!」
背後から射撃した敵MSめがけて走る。敵に近づいた瞬間、ビームサーベルを抜き敵のビームサーベルでの反撃をサイドステップで華麗に避け、横からコクピットを貫いた。
バジィィィィ!!音が鳴るとそのまま敵は爆散する。その2秒、ミィルはもう一本のビームサーベルを抜き、
ビームサーベルで反撃してくる2体の敵の攻撃を回避、その直後にコクピットにズブリ。
「やっぱスゲェ…俺がここまでやれるなんて…って後は1機だけか?」
辺りを見渡すとあるのは味方のMSの残骸とミィルがさっき倒した敵MSの残骸だけである。
「逃げた…?それとも隠れたのか…?」
2分ほどそのまま沈黙。
……後ろから何か音がする。…そう、MSが歩いてくる音だ。…え?MSが歩いてくる音……!?
「!!!!」
敵が背後からビームサーベルでミィルのガンダムストレングスを貫く。全く、学習能力のない主人公…じゃなく、
ミィルはギリギリで回避、敵のビームサーベルはコクピットではなく左肩を貫いていた。ダランと手が垂れ、持っていたビームサーベルを落とす。
「あ…危ねぇ…(二回目)」
その瞬間、ミィルは何をトチ狂ったのか、うぉぉぉぉぉぉ!!と大声をあげ、敵のメインカメラを肘打ちで思い切りぶつけた。
大した損傷ではないが、相手は一瞬怯み、その隙を逃さずミィルはコクピットにビームライフルを3発ぶち込む。
「ハァ…ハァ…やった…なんとか…やった…!」
ミィルにとって初めての勝利、その喜びを感じずにはいられなかった。
35通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 16:03:56 ID:???
ミィル・ライズ(20)
生年月日:5月1日
所属:地球連邦軍
階級:曹長
詳細:
連邦軍では有名なヘボパイロット。
何でMSパイロットになれたのか不思議なくらい弱い。
接近戦はなんとか並のレベル。
一応この物語の主人公。


ハーバード・オックス(42)
生年月日:3月24日
所属:地球連邦軍
階級:中佐
詳細:
ミィルがいる基地の責任者の一人
ミィルの存在を忘れるなど、うっかり屋(?)な一面もある


これでコピペ終了。外伝はこれで全部だよな?
36通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 16:04:46 ID:???
俺がビグザムだ!!!
37通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 16:05:32 ID:???
誤爆しました、サーセン
38作者(ライト) ◆UoQ22XTzNs :2008/09/21(日) 17:29:12 ID:???
俺は重複スレと言われようと自分でスレを立てるからな。
39通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 17:46:51 ID:???
>>38
だったら埋まる前に立てろよな!
お前だけの掲示板じゃないってわかってるか?
40ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/21(日) 18:02:21 ID:???
それを速く言いなさい。
俺は修学旅行に行ってたから知ったこっちゃない。
41通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 18:05:42 ID:???
>>40
自己中乙
42ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/21(日) 18:05:59 ID:???
あ、これ重複スレね。

本スレ↓
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1221986601/
43ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/21(日) 18:08:00 ID:???
間違えた。
このスレ重複スレね。
悔しかったらかかって来なさい。

本スレ↓
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1221986601/
44通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 18:28:09 ID:???
どうするよ? このガキ
45通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 18:37:10 ID:???
削除依頼通ると思うよ
むこうが独りで連投してれば
46名無しさん外伝 ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/21(日) 18:51:04 ID:???
どうも…新スレ、おめでとうございます。前スレより来ました…
それより、外伝って投下してもいいんですかね?
投下しちゃ駄目だよオーラがあるような気がして(ry

>>43
無駄に挑発すると荒れる原因になるぞ…
つか、俺がテキトーに考えた量産MSが載ってた時は目を疑ったけどな…

>>18-35
乙です…
47七四三:2008/09/21(日) 19:11:59 ID:???
>>46
別に気にせず、投下していいんじゃないか?
俺も気にせず投下するし。
48ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/21(日) 19:32:36 ID:???
ミィルは俺のスレで外伝是非やってほしいけど、

七四三は最初に俺に言った設定が気にエロイからなぁ・・・難しいところだなぁ。

ミィルさん。はっきり、僕のスレで一緒にやりましょうよ。
外伝やってほしいと思ってますから。ね?(過度なのは駄目ね。)
いや、まじで、だって、なんか俺的に性格が合うような気がしてね。
是非おこしくださいね。
いや、きてくれたらガチで嬉しいぜ・・・。涙出るぜ・・・。
49通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 19:42:26 ID:???
ここで、外伝作者の皆さんから>>48に何かコメントを
50ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/21(日) 20:00:11 ID:???
おれに聞かれても困るぜ。
まぁ、好きにやらせておけばいいんじゃない
えらそうにしてるのも今のウチだろうしな
はなから勝ち目なんてないのにムキになって
しょうがない奴だよな
ねたらすぐに忘れるんだろうなコイツ
ばかだもん。キチガイなぐらいに
いまさら、どうこういわねぇよ。まぁ…
いい加減にしないと
どうなるかしらねぇからな
51通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 20:07:13 ID:???
とりあえず、皆でこのスレ盛り上げていこうよ。
外伝の人たちにも頑張ってほしいし。
でも本編もないと寂しいから、誰か本編書いてよ。
52名無しさん外伝 ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/21(日) 20:12:33 ID:???
>>47
ΩΩΩナ、ナンダッテー!!!

そんじゃ〜明日ぐらいに投下しよーかな…

>>48
そう言ってくれるのはありがたい…
でも俺は皆とわいわいやって行きたいな〜と…
七四三さんみたいなネタ系も本編に花を添えるともとれるしね。
ジョー・グレイグさんのも本編主人公との絡みとかあったら燃えるジャマイカ?
あんまり増えすぎるのもよくねーと思うけどさ。
後、設定が気にエロイって…どういう意味なんだ?

>>50
規制解除、おめでとうございます。
ついでに、縦読み乙であります。
…アレ?俺ってKYじゃん…
53通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 20:14:44 ID:???
>>51
七四三を本編にすれば?
駄目か、七四三が他の外伝の設定にも合わせなきゃいかん
54通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 20:20:57 ID:???
まずは何より設定を煮詰め直さない?
せっかく目の上のたんこぶが取れたんだから。
55通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 20:35:43 ID:???
>>49
俺も特に言うことは無いなぁ…
ただ、ちゃんと国語の勉強しとけってぐらいかな言うとしたら。

>>53
俺のはネタ方向だからなぁ……
今更人に合わせるってのも、ちょっとな…
56通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 20:36:46 ID:???
とりあえず向こうのスレに俺の考えたブラックエンペラーガンダムの設定を投下してきました
57名無しさん外伝 ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/21(日) 20:43:32 ID:???
>>55
名前欄が名無しだけど…
七四三…だよ…ね…?

>>56
段々強くなってるなブラックエンペラーwwwww
58通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 20:56:46 ID:???
おぉ、レポートやってる間に進んでるなw

>>ブラックエンペラー
うぜえwwwwww

>>外伝の人々
乙です。
5956:2008/09/21(日) 21:35:46 ID:???
誰だブラックエンペラーガンダムMk-Uの設定投下したのwww
60七四三:2008/09/21(日) 21:56:49 ID:???
>>57
名前入れるの忘れてた。
ミイルの方が呼びやすいんだけど、戻す気ない?
61通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 22:39:21 ID:???
ブラックエンペラーウジサトwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
誰だあの設定投下したのwwwww
62通常の名無しさんの3倍:2008/09/21(日) 23:02:47 ID:???
向こうのスレがブラックエンペラーだらけにwwwwwwwwwwwwwwwwww
63ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/22(月) 11:27:33 ID:???
>>53のレスにははっきり泣いた。

だけど>>51のレスで泣き止んだ。

でもやっぱり泣いた。今も。
64ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/22(月) 11:31:29 ID:???
僕はもう止めます。
機動新戦記ウィードガンダム2
続・機動新戦記WEEDGUNDAM
未来機動戦士ウィードガンダム
は埋めてください。
続編やパクリは作らないでください。
65通常の名無しさんの3倍:2008/09/22(月) 11:48:38 ID:???
次回から機動大魔王ブラックエンペラーガンダムが始まります!お楽しみに!
66ミィル・ライズ ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/22(月) 21:29:52 ID:???
>>60
呼びやすいなら戻そうっと…

>>65
もう一個のスレで投下しただろwwwww
67七四三:2008/09/22(月) 21:50:17 ID:???

異説機動新戦記ガンダムウィード

第二話 追憶 前編

静かな闇の世界
まどろみの中、誰かが、自分を呼ぶ声がする。
もう少し寝かせてくれ。頼むから。
誰かが肩を揺らす。
ちょっと、ホントやめてくれ。
肩を揺らす力が強くなる。
わかった。わかりました。今起きますよ。
そこで、ミカドは目を開けた。


目の前にいたのは客室乗務員の女性。その女性はミカドの肩に手を乗せている。
ミカドと目が合うと女性は大人の笑みを浮かべ、穏やかな声で言った。
「ダルタイル帝国へようこそ」
ミカドは周囲を見回す。そこは星間シャトルの中、しかし周りに人影は無い。
あれ?と首を傾げるミカド。その様子を見ると客室乗務員の女性はクスリと笑いながら言った。
「他のお客様は入星審査に向かわれましたよ」
それを聞いたミカドは慌てて、手荷物をまとめ機内から駆け出した。

なんつうか、かっこワリイなぁ。
右目に移植してある生態端末を起動させながらミカドは思った。
新天地での生活の出鼻を挫かれた気がした。
とりあえず、生態端末を使いから両親にダルタイルに到着したとメールを送る。今送った所でダルタイル本星と故郷コロニーがあまりにも離れているため実際に届くのは1ヶ月後ぐらいだろう。
それでも、送らないよりはマシだ。
16年間育ててくれて、さらにはダルタイル帝国への留学までも許可してくれた両親に対して感謝する気持ちもあるし、心配はさせたくない。

入星審査の順番を待ちながら、ミカドは生態端末でついでにニュースを調べる。
周りを見ると順番待ちをしている殆どの人々が同様に生態端末を起動していた。
何をしてるかまでは、わからないが恐らく、テレビやダウンロードした書籍を眺めているのだろう。ビジネスマン姿の人に限って言えば、端末をリンクさせチャットで仕事の打ち合わせでもしてるのかもしれない。
電脳化、ミカドはふと、旧世代の創作物に出てきた単語を思い出した。
ネットと脳を繋ぐ、確かそんなものだった気がする。
今の自分たちの生活そのものだと思った。義眼の生態端末から伸びたナノワイヤーが脳に接触し、直接影響を与える。旧世代の創作物では手術だった気がするが、与える結果はどちらも同じだ。
ネットの世界を現実世界のように生きれるようになる。そんなところだ。
━━まぁ、俺の付けてる安い端末じゃそんな事できる性能ねえけど。
様々なことに思いを巡らせながらもミカドはニュースに目を通す。
68七四三:2008/09/22(月) 21:52:09 ID:???

殆どが興味を惹かれない内容。だが、一つだけ興味を惹かれるものがあった。
見出しにはこう書いてある。
『セルーリアン星侵攻作戦、順調に遂行中。連邦軍、北半球を掌握』
連邦が発見した、人類の居住可能な惑星、セルーリアン星。その星の先住生物と連邦軍との戦闘のニュースだった。
ミカドは別に戦争自体に興味は無い。セルーリアン星に住む先住生物に興味があるだけだ。
最果てのコロニーを故郷に持つミカドは幼少期から多くの先住生物とは違うものの、外宇宙から襲来して来る宇宙生物と接触した経験がある。
といっても、その殆どが知能の有る無しに関わらず人類のとっての侵略者に過ぎなかった。
人類の生活圏の外から迫る侵略者、ミカドの住むコロニーはそれらに対する防人の役目を果たしている。ミカド自身も幼い時からMSに乗り、宇宙生物と戦っていた。
ミカドはニュースの内容に目を通す。
書いてあるのは大したことではない。その殆どが明らかに誇張したと判る連邦軍の活躍についてであり、先住生物について具体的に書いてある文章は何一つない。
これでは何と戦っているのか解らない。
宇宙を飛び襲来してくる宇宙生物と星に住み人類に抵抗してくる先住生物。その違いを知りたかったのだがこれではどうしようもない。ミカドは冷めた気分でスクリーンを閉じた。

69七四三:2008/09/22(月) 21:54:44 ID:???
スクリーンを閉じたものの、入星審査の順番はいまだにまわってこない。
手持ち無沙汰なミカドは何気なく、手荷物の鞄の中から冊子を取り出した。
星間シャトルの中で貰ったそれの表紙には『ダルタイルの歴史』と書いてある。
一応、義務教育課程を修了しているミカドは内容は大体は知っているのだが、する事も無いので適当に読むことにした。


ダルタイルの歴史は連邦の成立と共に始まった。

連邦設立の際に起きた争いで国家を失った人々。
連邦は彼らをコロニーへ押し込み、あまつさえ、宇宙開発事業と銘打って、彼らの住むコロニーを移民船へと改造、彼らを地球圏の外へと旅立たせた。だが、これは追放に他ならない。
地球圏の人口の増加による諸問題を抱えていた連邦は、手っ取り早い解決方法として数を減らすという方法をとったのだ。

追放された人々は数十年もの間、宇宙をさまよった。
数多の星を渡り、銀河を駆け、遂に安住の地とも言える星、ダルタイル星へとたどり着いた。
一つの太陽に二つの月、そして、地球と全く同じと言っていい、奇跡ともいえる自然環境を持つダルタイル星。しかし、そこにも問題はあった。
居住可能な陸地があまりにも少なかったのだ。
険しい山々に広い海、彼らは宇宙を旅する方法こそ知っていたものの、それら自然を征する方法は知らなかった。
彼らは悩んだ。星に住むことは彼らの夢だったからだ。
だから、待つことにした。夢が叶うその日まで。
討議の末、一隻の移民船がダルタイル星へと降下し、惑星の経ち、人口も増え、その結果、全ての人々を星に住まわせることは出来なくなってしまった。
しかし、得るものもあった。彼らはその百年の間に連邦に匹敵するだけの国力を手にすることに成功した。
この発展の陰には常にある特殊な鉱物の存在があった。
━━エーテリウム、それが、その物質の名だ。
ダルタイル星圏から採掘される特殊な鉱物。加工を施す事により重力制御装置の基幹部、莫大エネルギーを生み出す永久機関の中心部になる他、ワープユニットの重要部品ともなる鉱物、それが彼らの躍進を支えていた。
そして、彼らは自らをダルタイル帝国と名乗るようになった。

70七四三:2008/09/22(月) 21:56:09 ID:???
帝国成立当初、連邦と帝国の関係は最悪だった。
連邦は帝国をエーテリウムを産出する鉱山程度にしか思っておらず、帝国は連邦を自分たちの祖先を追放した存在として憎んでいた。

しかし、現在では、両国の関係も少しずつ改善されている。
過去には、エーテリウムの独占を求め連邦が帝国を侵略したり、帝国が連邦に対する復讐を掲げて、地球圏に侵攻するという事もあった。が、それも今では昔の話だ。
現在、連邦と帝国の間に大きな争いの芽となるものはない。
両国ともに相手をそれなりに尊重し、波風を立てないように配慮してるからだ。
戦争によって得るものよりも失うものの方が大きい。その事に、人類はようやく気づいたのかもしれない━━

そこまで読むと、ミカドは冊子を閉じた。読み終えたわけではない。単純につまらないから読むのをやめた、ただそれだけだ。
ミカドの個人的な希望としては、もっと連邦の侵略や帝国の侵攻について詳しく書いて欲しかった。
帝国のエースパイロットや連邦の名将の活躍なら面白く読めたのだが……と思ったミカドだったが、パンフレット程度の冊子にそれを求めても仕方ないと自ら結論を出し、冊子を鞄の中に戻した。

━━さて、ヒマになってしまったぞとミカドがどうしようか悩んだ、その時、名前が呼ばれた。
どうやら、入星審査の順番がまわってきたようだ。
ミカドは椅子から立ち上がり、審査へと向かった。
71七四三:2008/09/22(月) 21:57:31 ID:???
十数分後、そこには顔面を蒼白にしたミカドがいた。
別にミカドは入星審査に失格した訳ではない。理由は他にあった。
「マズい、マズいぞ、これは本当にマズいぞ、親父とお袋に顔向け出来ないぞ、コレ」
ミカドは宇宙港内で、尚且つ、周囲に人がいるのにも関わらず、ぶつぶつと独り言を洩らしていた。
端から見れば完全に危ない人だったが、本人はそんなことには気付かずに独り言を続ける。
「何だ!?何がいけなかった!?正直に所持している理由を答えたのがいけなかったのか!?『父から、もし帝都で謎の巨大生物と遭遇した際にはこれで身を守れと言われ、餞別に貰いました』って言ったのがマズかったのか!?
いや、だって俺の故郷じゃ、それが普通なんだよ?謎の巨大生物と戦うための道具なんだよ、MSは、俺の故郷ではっ!!」
端的に言えば、ミカドは入星審査の際に父親から餞別として貰ったMSを没収されていた。
別に帝国では、MSの個人所有を認めていない訳ではない(といっても、火器の類を装備した機体は認められていないが)。
だが、例外として、ダルタイル本星においてはMSの個人所有は認められていない。この事をミカドはさっき初めて知った。

強力な兵器であるMSが帝都のすぐ近くにある危険はわかる。
現行のMSのほとんどにはエーテリウムが使用されており、短距離ワープを用いた機体の転送が可能だ。
それにより、帝都の中心部に生身で潜入した後、生体端末で機体を自分のもとに転送、破壊活動を行うといったことも可能な以上、徹底的に管理する必要があるのだろう。
ミカドもそれはわかる。だが、それでも━━
「それでも、あれがないとマズいって、謎の巨大生物に遭遇したらどうすんだよ!? つーか、それよりも、没収されたなんて、親父に申し訳が立たねえ!! いや、ホント、マズいぞコレ!」
ミカドは宇宙港の床に膝をつき、四つん這いになりながら、現状を嘆いていた。既に、独り言は独り言という音量ではなく、ミカドを中心に周囲に円を描くように人だかりが出来ていた。
いつ追放されてもおかしくない状況、絶対絶命の危機のミカド。
其処へ、天の助けが舞い降りる。

72七四三:2008/09/22(月) 21:58:41 ID:???
それは、人だかりをかき分け、ミカドのもとに辿り着き、こう言った。
「大丈夫ですか…?」
抑揚のない、ともすれば冷淡にも聴こえる声。
ミカドは顔を上げ、声の主を見る。
眼鏡をかけた少女だった。
年の頃はミカドとほぼ同じ、大人しいというよりはクールといった方が相応しい雰囲気に、知的な眼差しが印象的な整った顔立ち。
肩の辺りまで伸ばした銀髪に、少女の年齢には不相応な女性物のスーツを一部の隙もなく着こなしている。

氷の花
ミカドは少女を見た瞬間、そんな例えが頭に浮かんだ。
しかし、冷たさを感じさせる容姿とは裏腹に困っている自分に声をかけてくれたことから、ミカドはこの少女が善人であることを確信した。
ミカドは正直に事情を話し、少女に助けを求めようと思った。
「どうしたんですか……?」
感情のこもらない声で少女は訊ねる。
勘違いかもしれないが、ミカドはそこに気遣うような響きがあるのを感じ取った。
「実は……「ごめんなさい…ここでは、ちょっと……」
ミカドが事情を話そうとした、瞬間、ミカドの言葉は少女に遮られた。
少女はミカドに周囲を見るように促した。
ああ、なるほど。
周囲の人だかりを見るとミカドは納得し、頷いた。
「立てますか…?」
少女の問いかけにミカドは頷き立ち上がる。別に怪我をしていた訳でも何でもないから当然だ。
少女は人だかりから逃れるように歩き出し、ミカドもその後に続いた。
73七四三:2008/09/22(月) 21:59:55 ID:???
少女に連れられて、ミカドがたどり着いたのは宇宙港内のオープンカフェだった。
少女は慣れた様子で椅子に座るとミカドにも座るように促す。
すぐに、ウェイターが注文を取りに来た。
少女はコーヒーを注文、こういう場合は自分もコーヒーを頼んだ方がいいような気がしたミカドだったが、コーヒーは苦手なので自分に正直にコーラを注文した。

ほどなくして、ミカドのコーラが先に運ばれてきた。
ミカドは運ばれてきたコーラを一口飲む。
口の中に炭酸の刺激が広がる。ことはなかった。
━なんで、店で出るヤツって炭酸抜けてる場合が多いんだろうな。
そんなことを思いながら、ミカドは再びコーラに口をつける。
某大手ジュースメーカーの味だ。
ミカドとしてはこれの半分以下の値段で売ってる、聞いたことのないメーカーで作ってるコーラの方が好みだ。
━あの、微妙さ加減がたまんねえんだよな。
さすがにそれを普通に出す店には来たくないが……
下らないことを考えている間に、少女のもとにもコーヒーが運ばれてきた。
少女はそれをブラックのまま飲む。
うわっすげー。
16歳にもなってコーヒーといったらコーヒー牛乳ぐらいしか飲めないミカドとしては、何も入れずにブラックで飲める少女は純粋に尊敬に値した。少女は一口飲むとカップを置く。

その時、ミカドは急にあることに気づいた。
喫茶店に二人、過程はどうでもいいとして結果的には、向かい合ってお茶している。
あれ? もしかして、これってデートの一種? うわっ俺すげー!帝都に着いて数時間で彼女できちゃったよ!!

一人で盛り上がるミカドを尻目に、少女は冷静な顔を崩さずに訊ねる。
「先ほどは、どうされてたんですか?」
少女の抑揚のない声を受け、現実に引き戻されたミカドは、とりあえず事情を話すことにした。
「かくかくしかじか……」
少女は冷たさを感じさせる容姿とは裏腹に穏やかな性格のようだ。ミカドの拙い喋りにも一言も口を挟むことなく、辛抱強く最後まで聞き続けた。

74七四三:2008/09/22(月) 22:03:10 ID:???
「つまり━」
ミカドの話しの要点を少女がまとめようとする。
「ご両親からいただいた大事なMSを取り戻したい━そういうことでいいんでしょうか?」
ミカドはうなずく。
でしたら、と少女は言葉を続ける。
「今すぐに━というのは無理ですが、取り戻す方ー・ナポレオン・トクガワ・セイソウインです。呼ぶときはなんて呼んでもいいですよ」
初対面の相手なのでミカドは自分に可能な限りの丁寧さで話す。
少女は頷き。
「ミカド・アーサー・カエサル・シャルルマーニュ・アレキサンダー・ナポレオン・トクガワ・セイソウインさんですね。失礼しました、お名前も聞かずに、一方的に話してしまって」
いえ、お気になさらずに。とミカドは普段の彼を知っている者には想像もできない礼儀正しさで言葉を返す。

内心、ミカドは感心していた。いつもならば、名を名乗ると相手は戸惑うか、偽名ではと疑がってくるのだが、目の前の少女にはそんな様子は全くなかった。
それどころか、自分の名前を一字一句間違えずに繰り返した。
普通は少しぐらい間違えたりするんだけどな……
ミカドは自分が少女に好感を抱き始めたことを感じた。
75七四三:2008/09/22(月) 22:04:48 ID:???
ミカドは少女に先程の続きをうながす。
うなずき、少女はやはり、あまり抑揚のない声で言う。
「先程も言ったように、今すぐに、というのは無理ですが、セイソウインさん次第で取り戻すことは可能です」
俺次第?
ミカドは疑問に思ったが、口は挟まずに少女の言葉の続きを聞く。
「セイソウインさんがMS所有許可証を取得すればいいんです」
聞き慣れない言葉にミカドは首を傾げる。その様子を見た少女は自ら説明をする。
「呼んで字のごとく、帝都内でMSを所有することに対する許可証です。取得するには試験を受けていただく必要があるのですが……」
「難しいの?」
ミカドが訊ねる。
「ええ、かなり」
それを聞いたミカドはうーんとうなり、椅子の背もたれに体重をかける。
「…貴族や軍に知り合いがいれば、コネでかなり有利になるとは聞いているのですが…」
そういう知り合いはいないなぁ…
ミカドは座りながら天井を仰ぎ見る。
まぁ…頑張ってみるか。
そう思った瞬間、ミカドの耳に電子音が届いた。

携帯電話?珍しいな。
生体端末の普及により、廃れつつある携帯電話。その電子音は少女から聞こえていた。
視線をずらしてみると少女が電話に耳を当てながら小声で話している。
ミカドの聴力なら、その気になれば聞き取れる。
だが、聞かないのが礼儀だ。ミカドは意識して耳に音を入れないようにした。
ほどなくして、少女は電話を終えた。
少女は無表情だが、何となく申し訳なさそうな様子でミカドを見ながら言う。
「大変申し訳無いのですが、急用が入ってしまいまして……」
ああ、いいですよ。とミカドは軽く手を振り、
「こちらこそ、長い時間引き留めてしまい申し訳ありません。俺の方はもう、大丈夫ですから気になさらずに」
少女はやはり無表情だが、どこか申し訳無いという様子で立ち上がり、それでは、とミカドに頭を下げる。
こっちの方が頭を下げるべきだよなぁ…
そんなことを感じながら、ミカドは自分に背を向け去ろうする少女に最後に一つだけ訊ねる。
「あの、なんで俺に声をかけてくれたんですか?」
背に声を受けた少女は振り返り、ミカドを見て言う。
「困っている人を助けるのは当然のことですよ」
少女の顔には微笑が浮かんでいた。
まいったな……
あまりにもシンプルな答え、ミカドは頭を指で掻き、困ったような表情を浮かべる。
その間に、少女はミカドに背を向け歩きだしていた。
76七四三:2008/09/22(月) 22:05:55 ID:???
その後ろ姿を見送ると、ミカドは自分もコーヒーを注文した。


後編に続く。

長文失礼しました。
77通常の名無しさんの3倍:2008/09/22(月) 22:41:07 ID:???
乙です
78ミィル・ライズ ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/23(火) 07:58:47 ID:???
>>七四三
乙&GJです

んじゃ〜俺も便乗して投下しますかね

…戦闘シーンって難しいなぁ……
79ミィル・ライズ(1/3) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/23(火) 07:59:41 ID:???
四話:攻防

「ビームシールドか…なら接近戦しかない…だが…」
ミィルのストレングスをモニターからちらっと確認する。
その姿は実に滑稽。敵MAのトリモチガンによって動けなくなったミィルがもがいていた。
ミィルが通常の状態ならば迷わず接近戦に持ち込める。だが、今は身動きが取れない状態だ。
ミックが接近戦をしている間、あのザリガニ野郎の飛び道具でやられかねない。
一行で言うとにミィルは足手まといである。
ミックが悩んでいるのに気付いた様子のミィル。
「俺の機体はビームコーティングが施してるから1発や2発やられても大丈夫だぜ、思う存分やってこい!」
ミックに雑念を払わせるため安心させようとする。
「…すまない!」
ビームサーベルを抜きザリガニ野郎に突進するミック。
ガキィン!!敵のカニバサミ、いやザリガニバサミと鍔迫り合うミック。
敵も負けずに反撃。ビームサーベルで受け流す度に火花が散る。
ザリガニのハサミがミックのMSの肩をかすると同時に一旦後退した。
「くそっ!敵は接近戦タイプなのか?…こっちに分が…」
そう言い終わらない内に敵のビームが襲う。ミックは回避、ミィルのストレングスの足にかする。
「あっ、危ねぇ!!!」
自分で大丈夫と言った癖になんて情けない。
ミックは一瞬の隙を突き、ザリガニの背後に回る。そしてビームライフルで射撃、敵は避けきれず左バサミに命中する。
左ハサミは破損、もうこの戦闘では使い物にはならないだろう。
「……よし、俺の読み通りだな。これなら…いける」
さっきの攻防でザリガニ攻略のヒントを得た様子のミック。
現在主人公の出番は全くなし。おいしい所をとられていいのか、主人公?
「おい、ミィル、ビームライフルは撃てるか?」
通信でミィルに話しかける。ストレングスはまだもがいていた。
「あぁ!?適当に撃つぐらいならできるぞ!」
動けない事にイライラしているのか、荒っぽい言い方で答えるミィル。
「そうか、ならできるだけあのザリガニに向かって撃ってくれ、外してもいい」
「了解っ…くそったれぇぇ!!!」
ミックはザリガニに向かってダッシュ、ミィルはミックの事をおかまいなしに撃ちまくる。
3発程、ビームシールドに弾かれる。敵も黙ってはいない、ビームをミィルめがけて発射。
「うぉぉおぉおおおぉぉぉぉおおおぉ!!!???」
ビームは命中、だが耐ビームコーティングにより焦げ目一つで済んだようである。
ザリガニはストレングス向かって突進しようとする、その時だった。
「後ろがガラ空きだ!!」
ミックがコクピット内で叫ぶ
「お前のビームシールドは後ろからじゃ効かないからな!これで堂々と…」
ミックが喋り終わらない内に敵の砲門がガコン、と180度回転する。
「しまっ…」
ザリガニからビームが放たれる。ビームはミックの専用ヘビーデーモンに見事命中した。
「くそっ…油断した…」
左手と右脚を破損したヘビーデーモンは立てなくなり、右脚は地面に膝をついた。
「…これが絶体絶命と言う奴か?」
80ミィル・ライズ(2/3) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/23(火) 08:00:27 ID:???
ズシン、ズシン、地響き鳴る。少しずつミックのヘビーデーモンに近づいていくザリガニ型MA。
その姿は蜘蛛に足を取られた蝶とも言える。
「ちっ…!これでもくらえ!!」
ヘビーデーモンの肩に収納されいているマイクロミサイルを発射、しかし手元が狂ったのか、
ザリガニには当たらず、ミィルのストレングスに見事ヒットする。
「#☆□@◆★'*ふじこ!?」
声にならない声を上げるとともに、とてつもない震動がミィルを襲う。
お陰でビームライフルが故障、右手も若干破損している。
「てっ!てんめぇぇぇえ!!狙い外してんじゃねーよ!!死ぬかと思ったわ!!」
大声で通信機に怒鳴りつけたミィル。かなり怒り狂っている。…当然だろうが、下手糞に言われたくない気もする。
「こっちは足が破損して上手く狙いが定められないんだよ!文句言うな!」
ミックもキレて怒鳴り返す。しかしこんな時に喧嘩をするとは、大丈夫かフランチェン?てかネタ古いな
「ん…?ま、まさか…」
ある事に気付くミィル。その顔は驚きの中にやっとか、と言う表情が浮かんでいた。
「こいつ…動くぞ!!!」
……セリフぱくってんじゃneeeeeee!!!!!
どうやらミサイルの爆風でトリモチが吹っ飛んだという奇跡、と言うかありえない事が起きたようである。
今か今かと出番のチャンスを待ち望んでいたミィルにとってはこれ程のチャンスはない。
「今までのツケ、たっぷり払ってやるぜこのヤロー!!!」
ビームサーベルを抜き突撃するストレングス。ザリガニはもちろん自慢の右ハサミで防御。
「これでおしまいだな!もう一本のビームサーベルで突き刺してやr………」
コクピットに衝撃が走る。ストレングスにはビームサーベルが突き刺さっていた。
「おいおい…冗談…だろ?」
ザリガニのまさかの隠し腕とビームサーベルに沈黙するミィルとストレングス。
「ミィル!!大丈夫か!!??生きてるなら返事しろ!!」
後ろから見ていたミックが通信回線でミィルに返事を求めた。しかし、ミィルは返事はしなかった。
しかし、この時、ザリガニは馬鹿なのかアホなのか、ミックのヘビーデーモンが後ろにいるにも関わらずまったくのシカトである。
「…よくもっ…!」
ミックはロングレンジバレルを装着しているビームライフルを抜いた。
足が破損し上手く狙えない為、少しでも命中率をあげるためである。
「死ね!!!このザリガニ野郎!!」
―――バシュンッ!
一筋の光がザリガニを貫く。爆散せず、…音もなく崩れ落ちた。
ミックはコクピットハッチを開け、ミィルの生死を確認しようとした。
「お、おぉーい…助けてくれぇーい…」
コクピットハッチを開け、情けない声で助けを求めるミィルの姿だった。頭から血がとめどなく流れている。
「情けない声をあげるなよ…泣きたくなるじゃないか…」
ちなみに作者は0083を見た後にこれを書いたと言う。

ボロボロの体と機体で、二人は帰路についた―――……


      _________|\
     | To Be Continued...?   >
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/
81ミィル・ライズ(3/3続く) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/23(火) 08:01:43 ID:???
機体名称:グルスター
型式番号:MA-K0A
装甲材料:チタニュウム合金
武装:
トリモチガン
巨大ビームシールド
180度回転式2連装ビームキャノン×2
ビームシザーズ
隠し腕
ビームサーベル
詳細:
ダルタイル帝国の試作MA
一言で言えば『奇抜』この一言に尽きる。
装備が貧弱、デザインがザリガニとかふざけている、
等の理由で三機生産されたのみで終ったある意味不幸なMA
ビームシールドは前面を覆い隠す程の大きさ。
研究施設破壊の任を受けて行ったが、
不幸にもミィル等と鉢合わせしてしまい、撃破されてしまった。
そしてザリガニだからと言って水陸両用では無い事を追記しておく。



今回も3レスで終りましたサヨウナラ
82通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 12:13:26 ID:???
外伝乙ッス
83前スレ835:2008/09/23(火) 13:10:55 ID:???
>> 七四三、ミィル 乙です
これだけの文章が書けるのがすごいですよね
自分にはとてもマネできません…

>>31 遅くなったけど、自分のヤツも貼ってくれてありがとう
思いつきと勢いで書いてしまったので、続き書くか迷ってたんですが
みんなのを見てたら時間かかっても書いてみたいと思ってます。
84ミィル・ライズ ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/23(火) 15:08:51 ID:???
>>83
頑張れ〜

…俺も頑張らないとなw
8583:2008/09/23(火) 16:22:10 ID:???
>>84
どうもありがとう
だけど、どうも固有名詞を考えるのが苦手みたいです
思い切って募集してもいいでしょうか?

大まかなキャラだけ書いておくので、名前つけてくれる人がいてくれたら嬉しいな

@主人公

 特徴…他人とのコミュニケーションが苦手な性格。プログラム作成が得意で軍の適性試験に合格してしまう。
    当初は周りに上手く馴染めなく自分の事で精一杯だったが、自分の能力を見出され徐々に周りの事に気を配れる様に成長する。

A主人公が配属される組織名と戦艦の名前

 特徴…軍の中でも優秀な人材が集められるエリート部隊。
    以前から人材不足のためにMSの無人化のテストを行っており、プログラマーとしての主人公の力を評価して採用する。
    戦艦名は「スポーンシップ」でもいいのかもしれないけど、出来たら違う名前がいいと思っています。

B戦艦の艦長

 特徴…思いの他若い艦長で、軍隊では珍しく個人の個性をある程度尊重してくれる人物。
    組織内では変わり者との噂もある。

C同期のパイロット1

 特徴…別の地域からスカウトされてきたMSパイロット。
    主人公とは正反対の熱血漢で、近接戦闘が得意。

D同期のパイロット2

 特徴…もう1人別の地域からスカウトされたパイロットで、女の子。
    冷静な性格だけど、面倒見がいい。
    武器に詳しく戦闘時は火力の高い武器を好んで用いる。

MSは初期は本編に出てきた量産型ガンダムに実験用装備を付けて戦う感じです。
だけど、正直本編をそれほど理解していないので違うかもしれないですが。
86通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 16:28:28 ID:???
@シャール・ロト
A組織:アルフォンデスト
 戦艦:クレイツィア
Bグレッジ・ハマー
Cカスタフ・マイド
Dマイ・アサギリ

元ネタなしで勢いで考えた。
87通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 18:59:29 ID:???
そういやヘイトレッド、ブラックエンペラーと来たから次はブルーとホワイトを考えないか?w
88通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 19:00:49 ID:???
アンリミテッドブルー 最果ての蒼
ホワイトブランケット 虚無の純白

厨臭く行ってみようか。
8987:2008/09/23(火) 19:06:05 ID:???
>>88
…決定!w
次の外伝の主役ガンダムとかなったらいいなwww
90通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 19:12:43 ID:???
赤眼の魔王(ルビーアイ)
とか
闇を撒くもの(ダーク・スター)
とか
蒼穹の王(カオティック・ブルー)
とか
白霧(デス・フォッグ)
とか思い浮かべちゃうなw
91通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 19:16:38 ID:???
ウルトラスカーレットガンダム
92通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 20:02:19 ID:???
アクアスプラッシュガンダム
93ミィル・ライズ ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/23(火) 20:18:56 ID:???
もうちょっとで五話完成しそうだー…

>>85
あ〜それわかるわw
俺もそれには滅茶苦茶困ってるんだがwww

>>88-92
俺、その名前パクりそうで自分が怖いw
94ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/23(火) 20:41:36 ID:???
英語が苦手な酔っ払い参上。とりあえず、外伝第一話は明日か明後日に書くぜ!!

間違いというか確認したいことがあるんだがいいか?

ヘイトレッド=憎悪じゃなくて
ヘイト=憎悪なのか?カオスレギオンでヘイトレッド=憎悪になってたからそう思ってたが勘違いかな

あと、頼みが一つ

ガンダムの名前を感情に絡んだ名前にしようと思って
憎悪
慈愛
嫉妬
にしたんだが、英訳だと
慈愛=チャリティー
嫉妬=ジェラシー
と鼻汁が飛び出るぐらいダサい。
もうちょっとマシな名前があるなら頼む
あと細かい設定もあれば嬉しい

慈愛(仮)
NT専用機 専用兵装ブリューナク(槍状マザーファンネル)
嫉妬(仮)
ウィングハート強化改良型 専用兵装 ミョルニル(核エネルギー砲)

専用兵装は神話武器絡みにしているけど、今一なら変えていいよ
95通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 20:56:30 ID:???
>>94
慈愛
慈愛の意味合いからはずれるけど、武装がブリューナク(@ケルト神話)なんで
トゥアハー・デ・ダナンのダナ→派生した川の名前ドニエストル(Doniester)
ってのはどうだ?
96通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 21:06:01 ID:???
アカガンダム
ヒートロッド、ビームスピア、ギガドリルを装備した格闘機
アオガンダム
銃撃戦を得意とする機体。ライフルが銃剣つき。
キガンダム
コンピューターウイルス等、電波攻撃を得意とする。特殊な機体なのでスペックは低めだが、以外と頑丈で、格闘戦もそれなりにこなせる。
モモガンダム
ミサイルやグレネード、ファンネル等による支援攻撃機。
ミドガンダム
ブーメランを使った特殊な戦法をとる。ブーメランは格闘戦でも高い威力を発揮する。

ごめん、無理矢理過ぎた。
97通常の名無しさんの3倍:2008/09/23(火) 22:17:07 ID:???
ぼくのかんがえた
スペシャルドリームミラクル超スーパーウルトラガンダムダブルツインマーク2セカンド
おおきさ…250メートル おもさ…600トン
ぶき
ムラマサブラスター×4
メガビームほう×8
フィンファンネル×80
サテライトキャノン×4
ばくねつゴッドフインガー
バスターライフル×2
きょだいノドン×6
マイクロミサイル×300
げっこうちょう
ぶんしんこうげき
98七四三:2008/09/23(火) 22:25:26 ID:???
みんな乙&GJっす。


二話の後半を書いてるけど、まだまだMSが出せそうにない……。
自分としては少しマズいとも思うが、そこんとこどう思う?

99通常の名無しさんの3倍:2008/09/24(水) 00:06:19 ID:???
>>ジョー
イノセントエンヴィー(汚れなき嫉妬)とかどうだ?w
今テキトーに考えたんだがwww
100通常の名無しさんの3倍:2008/09/24(水) 00:22:20 ID:???
>>七四三
反乱軍でもテロでもいいからとりあえずMS出してミカドがその騒動に巻き込まれるとかはさんだらどうだ?
101ミィル・ライズ ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/24(水) 18:11:28 ID:???
コレ見て思ったんだが…↓

機体名称:量産型デスフォーン(デスクラブステイショム)
型式番号:MS-K00B
装甲材質:チタニュウム合金
全長:27b
武装:
スーパーライフル
ビームソード
ギガ粒子砲×2
手部ビーム爪×4
主な乗員:無し
タイプ:機動性タイプ

初期量産期にしてはちょっと強くない?
やっぱもうちょっと弱くした方がいいと思うんだ
って事で身勝手で悪いけど、若干弄りたいんだがいいのかな?どう思う?
102ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/24(水) 18:33:51 ID:???
第22話 モナークのスパルタ教育

どうやらモナークは僕のガンダムのシュミレーションをこっそり用意していたらしい。
それを強引にやらせた。
ライト「これをやれば良いんですね。」
と言って、練習を始めた。
練習のことを言っても面白くないので、飛ばす。
モナーク「練習終了!」
ライト「ぷはぁ!・・・流石ファンネルだ・・・頭が・・・」
と言ってへばった瞬間、スポーンシップは宇宙に向って上昇した。
ライトは転んだがワクワクのし過ぎで、痛みは感じなかった。
103ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/24(水) 18:43:04 ID:???
>>101
これでどう?

機体名称:量産型デスフォーン(デスクラブステイショム)
型式番号:MS-K00B
装甲材質:チタニュウム合金
全長:27b
武装:
ビームライフル
ビームソード
肩部キャノン砲×2(ガンキャノンのあれ的な物)
サテライトキャノン的な物【指揮機用装備】
手部ビーム爪×4
主な乗員:無し
タイプ:機動性タイプ
104七四三:2008/09/24(水) 18:47:22 ID:???
>>100
一応、その構想もあるんだけど、そこまで行くのにもう少しかかりそうなんだ。
それまで、のんびり展開で平気かなぁと少し不安なんだ。

>>101
11歳の設定なんてそのままじゃ、使いにくくてしょうがないから、別に変えてもいいと思う。

>>102
何でこっちに投下してんの?
本スレは向こうだろ?
105通常の名無しさんの3倍:2008/09/24(水) 18:47:50 ID:???
せっかく住民の棲み分けしてるのにこっちに来るんじゃねえよ糞作者
重複って言ってたのどこのどいつだよ
106ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/24(水) 18:48:21 ID:???
>>101
ゴメンゴメン、話の意味が分からんでものを申してしまった。
え〜といいよ。エンペラーみたいなのは絶対駄目ね。
  

どうにでもな〜れ。
107ミィル・ライズ ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/24(水) 18:56:38 ID:???
>>103
サテライトキャノン的な物はいらないな。指揮官機なら多目的センサー強化、コレ
後、ビーム爪じゃのーてビームクローの方がやっぱいいんじゃね?

>>104
そっか、ありがとう

>>106
ブラックエンペラーはネタだからまずないw
108ミィル(1/4) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/24(水) 19:05:55 ID:???
んじゃぁ、第五話投下しまっす。
ついでに、これから登場してくるキャラの名前、全員トイレしてる時に考えたものですwwwww


MAとの激闘(?)から6日がたった。
その間、ミィルはストレングスのテスト等をしていた。
偶然か、奇跡か、その間は全くと言っていいほど敵は来なかったという…
束の間の平和、それを戦争中とは言え、ミィル達は堪能したのだった

しかし―――…
           暗雲は―――…
                      ゆっくりと…そして…確実に近づいていた―――……


           五話:Calm before the storm


「隊長、遂に6日たっても研究施設破壊へ行った奴は帰ってきませんでしたね」
男はそう話かけた。いかにもやっぱり、と言う感じだ。
「連邦の奴等にやられたのか、それとも―…」
「まぁ、いいさ。研究施設を破壊出来ただけで十分だ」
隊長と呼ばれるその男はもう一人の男が喋り終わらない内に話し返した。
「あの施設、精神攻撃の実験データが詰まってたんですよね?」
「うむ、確かそうだったな。それよりキース、研究施設に一番近い連邦の基地はわかるか?」
話題を変える隊長と呼ばれる男は冷静な口調で言う。
「わかりますけど…それが何か関係あるんですか?」
キースと言う名前の男は疑問気に言った。
「あぁ、7日程前に研究施設と同じ区域の基地がやられたのは知っているな?
それと今回のMAの事も関係している筈だ。となると一番近い連邦の基地が怪しい事になる」
話の内容からしてこの二人はダルタイル軍なのだろう。数分の沈黙を破り、キースと呼ばれる男は喋りだした。
「出ました。一番近いのはD-042ポイントです、ここの基地には、
試作MS奪取の任務を受けている仲間が潜伏しているみたいですね。」
台詞が長いが気にせず隊長は切り返した。
「成る程、好都合だな。それでは――………をそいつに伝えておいてくれ」
「了解しました。では、その旨を伝えておきます」
109ミィル(2/4) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/24(水) 19:06:42 ID:???
男達の会話をよそにミィル達は―――…

「ミィルさん、早く起きないと朝食の時間に遅れますよ!」
ミィルとほとんど歳が変わらない青年がミィルをゆさゆさ揺さ振る。
ミィルは寝ぼけ眼で時計を見ると既に10を過ぎていた。
「あ、やべー…11時過ぎたら朝食食べられないんだったな…すまんマーチ、今すぐ起きる―…」
ベッドから立ち上がるとミィルはよろめき、2、3歩前に進む。
その姿は酔ったおっさん並にあぶなっかしい。
「大丈夫ですか?フラフラですよ…」
「んにゃ…ただの立ちくらみだよ、キニスンナ」
立ちくらみと言えば立ちくらみだが、ここ最近立ちくらみがかなり酷い。
前から立ちくらみはよくあったが、こんなに頻繁に起こった事はなかった。
「んじゃ、さっさと行こうぜ。タラタラしてると朝食食べられなくなっちまう」
前回のMAとの戦闘で頭を怪我し、包帯を巻いているミィルがそう言うと、そそくさと出て行った。
――…食堂に着いた。もう10時をすぎているせいか、人は少なかった。
「ミィル、今日も来るの遅いな」
朝食を食べているミックが話しかけてきた。
「あー朝寝坊は俺のステータスだっての」
食堂のオバチャンに朝食を貰いながら話す。
「怪我の方は大丈夫か?」
「そんな大した事ねーよ、医者が大そうに包帯巻いただけ――」
「よっ!ミィル、ミック、マーチ、何の話してんだ?」
体格のいい、いかにもベテランな男が話しかけてきた。
「「「トリントン大尉、お早うございます」」」
ミィル達はほぼ同時に挨拶をする。
「ミィル、怪我の方は大丈夫か?戦争中だからって、あんま無理するなよ」
「大丈夫ですよ、大尉は心配性なんですって」
大尉はハハハ、と笑うと話題を変えた。
「知ってるか?今日は試作可変MSが届くらしいぞ、
しかもその護衛の女性パイロットが今日からこの基地の担当になるそうだ」
「「「ΩΩΩナ、ナンダッテー!!!」」」
「この基地には異常な程女性が少ないから華が出ていいな」
「そうですね、可愛いのかなー…」
夢見る二人をよそにミィルは…
「馬鹿、可愛いとは限らないだろうが」
かなり冷静だった。一番夢を見そうな奴が冷静とは…二人は驚きを隠せない様子だ。
「冷静だな、ミィル…とりあえず、もう来る頃だから見に行くか?」
大尉も例外なく驚きを隠せていない。まったく、どんな主人公やね〜んルネッサーン
「そうですね、  可  変  M  S  を  見  に  」
過去に何かあったのだろうか、かなり女の話題を避けている。
それはともかく、四人は立ち上がると、女性…げふんげふん、試作可変MSを見に行った。
110ミィル(3/4) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/24(水) 19:07:32 ID:???
来て見ると、かなりの人だかりが出来ていた。
ミィル達以外のMSパイロットや、整備士、オペレーターetc…もちろん全員男だ。
お察しの通り可変MSを見に来た訳ではない。
「うっわー…すげぇ男ばっかだな―…むさくるしいぜ」
ミィルが暑そうに手をうちわ代わりにパタパタさせていると、可変MSを見つけた。
「あの人だかりじゃぁ、MSのところまで行くのは困難だな…また後でこよ――…」
ミックが話してる最中にミィルはあの男の海へと行ってしまった。お察しの通りMS目的だ。
「くぁwせ;p(#+*ふじこ」
ミィルはもみくちゃにされながらもズンズン進む。ある意味男だ。
それでもなんとか、女性パイロットのとこまでこぎつけた。しかし勘違いして欲しくないがあくまで目的はMSだ。
「もうちょいでMSんとこまで…」
女性パイロットをシカト、可変MSまで一直線である。 
「ちょっと待ってください」
いきなり肩を捕まれ、勢い余ってこけるミィル。
「い…いってぇ…頭打った…」
お察しの通り根性のない主人公です、えぇ………
「何か用スか…急いでるんですけど…」
ふと見上げると男の園ならぬ海でよく見えなかった顔がはっきりと見えた。
さらさらのオレンジ色の髪に、これでもかと言う美貌。パイスー(パイロットスーツ)を着てなければ完璧だっただろう。
しかし、女とは無縁の世界に存在するミィルの童貞前線には全く異常無し。
「用がないならサヨウナラ」
「挨拶は?」
「…………ハァ?」
しかめっ面で言うミィル。かなりどうでもよさそうな表情である。
「この基地の人は挨拶の一つもできないんですか?基本中の基本だと思いますけど」
……仕方ねーなー…と言う感じで渋々言う。敢えて言おう、マヌケであると
「あー…ミィル・ライズ曹長であります…今後ともよろしくお願いいたします…」
ダラダラと感じ悪く、嫌々言う。こんなので言われれば相手もいい気分ではない、俺ならマジギレ。
「あら、私はセシル・フェアリー少尉です、今後ともよろしくお願いしますね」
ミィルは感じ悪く言ったがセシルははきはきと言った。まさに正反対、右曲がりと左曲がり、砂糖と塩――その時だった。
突然MSが動き出した。皆が逃げている最中、突如動き出した可変MSはハッチをビームサーベルで焼き切る。
「あれ?可変MSが逃げた!?奪取されたの!?こんな人だかりの中で!?ありえない!!」
男の海の外のいたマーチが叫ぶ。普通ならば人がいないときに強奪するモンだがまさに逆転的発想。
こんな馬鹿げている事考え付く奴はそういないだろう。しかし、今回はその馬鹿げている事が奇跡か、見事成功した始末である。
「ちっ!人のモン(MS)パクられて黙っていられるかよ!!」
ミィルはストレングスへ乗り込む。
「ミィルさん!?パイスーぐらい着て行ってくださいよ!!」
「たかだかMS取り返すぐらいでパイスーなんぞ必要ない!」
そう言うと可変MSが焼き切ったハッチからミィルは出撃した。
111ミィル(4/4続く) ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/24(水) 19:08:33 ID:???
マーチ・フレッツ(19)
生年月日:1月12日
所属:地球連邦軍
階級:曹長
詳細:
軍学校出たての新米パイロット。
ミィルの目覚まし時計的存在。
腕は並だがそれでもミィルよりは強い(笑)

ファーム・トリントン(30)
生年月日:8月29日
所属:地球連邦軍
階級:大尉
詳細:
ベテランパイロット。
MSパイロットのリーダー的存在。
皆から人望も高く、尊敬されている。

セシル・フェアリー(20)
生年月日:10月4日
所属:地球連邦軍
階級:少尉
詳細:
試作可変MSの護衛をしていた。
MS操縦の腕は中々で、可変MS輸送時の護衛を担当していた。


今回は1レス分長くなりましたサヨウナラ
112100:2008/09/24(水) 19:23:41 ID:???
>>七四三
じゃあライバル組織的なの考えてその戦力を小出しにしていくとかはどうだ?
それか反乱軍的なものにミカドが勧誘されてそれを断って戦闘とか

今眠いからこれくらいしか思いつかないけど
113通常の名無しさんの3倍:2008/09/24(水) 19:24:18 ID:???
あ、それとミィル乙
114七四三:2008/09/24(水) 20:58:55 ID:???
>>112
色々、ありがとう。
参考になった。
とりあえず、二話の後半からは無理そうなので三話からかな
115ライト ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 18:52:31 ID:???
>>105
てめえの死に方分かる気がしてマジウケルwww
どうせニートになって孤独死すんだろwww
天麩羅にでも中って死ねwww

どう見たって不利だろww
だってどうせここが完走して
また機動新戦記ウィードガンダム3とかになって
それで外伝の餌食だろ?wwwwwwwwww
でもって本家は完走しないで外伝はいつか本編になってwww
おかしいだろwww本家のほうが慕われんのが普通だろwww
ホイホイスレ立てたんなら、本家のルールに従えョwwwww
外伝は俺の作ってるようなものと同じにすること。
外伝は1レスで終わらすこと。
ね?www守れなかったらキモ過ぎてマジウケルwwww

せっかくだからみんなで煮詰めていこうよ・・・・本家をさ・・・・
外伝もぜんぜん良いんだけどさ・・・なんかこう・・・・・・・・・
おれが素直に何か言ったら何も言ってこないじゃん。
それはお前等にはただ外伝やりたい。あるいは荒らした言ってのが目的なんだろ。
ミィルは別として七四三最初俺にどんな設定投下したと思う?
それに最初の頃だって荒らしだもんって言ってるしwwww。
まぁともかく文句言ってくる連中がいると思うけど、上から目線で言うよ。
俺に許可を得て、許可をもらった上で外伝をして、
キャラとかの作成許可をもらって、MSの作成許可をもらって、
その上で一レスで、俺が作ってるような物にして出せ。
絶対に。
出来なかったらキモくてマジウケルwwwww
116通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 18:55:45 ID:???
あれ、縦読み…じゃない……?
117通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 19:29:27 ID:???
>>115
マジキチだ…キモすぎる
118通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 19:32:50 ID:???
おめーの方がキメェわ
死ねや糞が
119ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/25(木) 20:16:22 ID:???
00ガンダムも買いたいし、スパロボZも買いたい…う〜んww

>>114
がんがってね〜

>>115
>おかしいだろwww本家のほうが慕われんのが普通だろwww
面白い方が慕われるのが普通だと思うが(俺除いて)
>ホイホイスレ立てたなら本家のルールに従えョwwwww
その後に重複立ててこっちが重複スレなんて言ったのは誰でしたっけ
>外伝は俺の作ってるようなものと同じにすること。
あらすじとスーパーチート級のMS設定書けって言いたいの?
>外伝は1レスで終らすこと。
書き方まで指図される覚えは無い。
何でもかんでもお前の支配下におきたいなら2chなんざやめろ
>ね?www守れなかったらキモ過ぎてマジウケルwwww
つまり、『俺様のルールを守れない奴はきめぇwww』って事か?
>せっかくだからみんなで煮詰めていこうよ・・・・本家をさ・・・・
最初のスレでそれを拒んだのは誰だっけ?虫がよすぎるんじゃないの?
>七四三が最初俺にどんな設定投下したと思う?
君の手本となるべき設定を投下したと思う
>まぁともかく文句言ってくる連中がいると思うけど、上から目線で言うよ。
文句言ってくるのわかってるなら上から目線で言うなよ、と
>俺に許可を得て、許可をもらった上で外伝をして、キャラとかの作成許可を貰って(ry
わざわざ本スレ(笑)を自分で立てて別々になってるのに何でお前に許可貰わなきゃなんねーんだ。
大体さ、俺が作ってるような物にして出せって、
君と同じチート級設定で、ただのつまらないあらすじを書けってか?つまり全部駄作にしてくれと?
>出来なかったらキモくてマジウケルwwwww
お前のエゴを外伝の人達におしつけるな。皆はお前の玩具じゃねーんだよ。
思い通りにいかないからってファビョってんじゃねーよ馬鹿


以上、チラ裏&長文失礼しました
120逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 20:41:31 ID:???
>>119
都合の悪いところは抜かしてる件。
フェラ豚め。
都合が悪いところだけ抜かしておれに悪口か?
そんな糞豚同然の行為をするなら、
外伝なんざ止めろ。
はっきりミィルとかきめぇよ。
で、どうせ俺のライトの事いってくるんだろ?
ばかが。
おめぇ売っても30円にもなりゃしない。
外伝なんか良いと思うから本家のなんか勢いで書いた奴の仲とか、
本家に付いてる設定の中にてめぇごとき便所の作ったダンデスとか言う
自己満足だけのMSを入れてやったりしてやったんだぞ?
>あらすじとスーパーチート級のMS設定書けって言いたいの?
ばかめ。俺がスーパーチート級と言ったか?
いってねえよフェラ豚。
あらすじにしろ。てめえの外伝なんざ全然面白くねぇよ。
いやカス以下だ。いやカスに失礼だな。
そんなに俺の作品の外伝にしたいなら別の作品としてスレ立てて作れ低脳。
東京駅のど真ん中でオナニーしながら世界観ほざいてろフェラ豚。
121通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 20:59:00 ID:???
>>105
ギレンの死に方分かる気がしてマジウケルwww
どうせ閣下になって演説すんだろwww
妹にでも打たれて死ねwww

どう見たって不利だろww
だってどうせ連邦が包囲して
またザンジバルで脱出とかになって
それでシャアの餌食だろ?wwwwwwwwww
でもってザビ家は脱走しないでミネバはいつかお姫様になってwww
おかしいだろwwwお姫様のほうが慕われんのが普通だろwww
ジオン残党兵なら、お姫様に従えョwwwww
アクシズは俺の作ってるようなものと同じにすること。
ネオジオンは1年で終わらすこと。
ね?www守れなかったら弱過ぎてマジウケルwwww

せっかくだからみんなで煮詰めていこうよ・・・・ザビ家をさ・・・・
アクシズもぜんぜん良いんだけどさ・・・なんかこう・・・・・・・・・
連邦がジオンに何か言ったら何も言ってこないじゃん。
それはお前等にはただジオン兵やりたい。あるいは再構した言ってのが目的なんだろ。
ミネバは別としてシャア最初俺にどんな設定投下したと思う?
それに最初の頃だってララァだもんって言ってるしwwww。
まぁともかく文句言ってくる連邦がいると思うけど、上から目線で言うよ。
ジオンに許可を得て、許可をもらった上でアクシズをして、
ネオジオンとかの作成許可をもらって、MSの作成許可をもらって、
その上で一年で、ギレンが想像してる物にして出せ。
絶対に。
出来なかったら弱くてマジウケルwwwww
122七四三:2008/09/25(木) 20:59:27 ID:???
>>120
いい加減にしろよ。
人に何か言うんだったら、自分のことをちゃんとやってからにするんだな。
まともに世界観の一つも構築できないくせに偉そうなこと言うな。
123ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/25(木) 21:04:09 ID:???
>>120
>都合の悪いところは抜かしてる件。
日本語になってないし、言う価値もない文だから抜かしただけだべ
>フェラ豚め。
オナニー知らない癖にフェラは知ってる不思議
>都合が悪いところだけ抜かしておれに悪口か?
まずは国語を勉強して皆にわかる言葉にしろ、話はそれからだ
>そんな糞豚同然の行為をするなら、
自己紹介はしないで下さい
>外伝なんざ止めろ。
その言葉、そっくりそのままお返ししときますね
>はっきりミィルとかきめぇよ。
自分に友好的でないと判断した途端に文句ですか、あなたが糞豚同然の行為をしてますね。
>で、どうせ俺のライトの事いってくるんだろ?
エスパー乙です
>ばかが。
自分の事ですね、わかります
>おめぇ売っても30円にもなりゃしない。
前後との関連性がないですね
>外伝なんか良いと思うから本家のなんか勢いで書いた奴の仲とか、
>本家に付いてる設定の中にてめぇごとき便所の作ったダンデスとか言う
>自己満足だけのMSを入れてやったりしてやったんだぞ?
別にいれてくれなんて一言も言ってないですけどね。
>>あらすじとスーパーチート級のMS設定書けって言いたいの?
>ばかめ。俺がスーパーチート級と言ったか?
決めつけではなく聞いてるのにそんな偉そうに言われても…
>いってねえよフェラ豚。
オナニーは知らないのに(ry
>あらすじにしろ。てめえの外伝なんざ全然面白くねぇよ。
そうだよね、俺も、お前のも全然面白くないよね
>いやカス以下だ。いやカスに失礼だな。
カスとか汚い言葉が好きだね。
>そんなに俺の作品の外伝にしたいなら別の作品としてスレ立てて作れ低脳。
別にそこまでしてやりたい訳じゃない。そんなに文句言うならぬるガッスレ用AA作るほうがマシ
>東京駅のど真ん中でオナニーしながら世界観ほざいてろフェラ豚。
最後は文句で終るんですか、そうですか、見事なファビョリっぷりですね


内心怒ってる俺の駄文です、スンマセン。んじゃ、邪魔になるのでもう消えます。サイナラ
124通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 21:34:53 ID:???
>>115
>>120
糞レスさらし上げ
125ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 21:55:27 ID:???
流れブッタ斬って悪いが、うpるぜ
2連続規制でPC書き込み出来ないんで、ZIPファイルあげることにしたぜ
本編他、オマケで二本酔っ払いの戯れ言が入ってるから好きにしろ

http://www.uploda.org/uporg1690091.zip.html
パスは「バカライトワロス」だ
126ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 22:15:06 ID:???
1レスで済ませたぜ?
別に外部使うなとか一切言ってないんだからいいだろ?
とんちじゃないんだから許さないってか?
なら、ついでにお前のやり方で書いてやるよ


新機動戦記外伝ガンダムA(アヴェンジャー)

連合軍のパイロットであるジョー・グレイグは、ライト・ロダンの攻撃に巻き込まれた同僚であり、恋人でもあるメリッサ・リーの救出に向かう
救出の最中、ライトの放った核ミサイルの衝撃波によりメリッサは吹き飛ばされるが
なんとか無事に救助することに成功した。しかし、既に二人は放射線汚染を受けていた
二年後、メリッサは白血病は悪化し入院、ジョーも新型の白血病にかかっていることが発覚し、メリッサは二ヶ月後に死んでしまった。
彼女の墓の前で、ジョーは泣き崩れ、そして
瞳に憎悪を宿し、彼女の墓前で連合への復讐を誓う。
127逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 22:18:31 ID:???
>>123とっとと出て行け。
邪魔だフェラ豚。
どうせROMって馬鹿にして、
うんこ漏らして見てんだろ。
とっとと出てけや。
人が最初お前が外伝やったときに
褒めてやったが、
結局こんなフェラ豚だったとはな。
てめぇの外伝なんざ和式便所の端に捨てられてるしっこ臭い広告だ。

>>122トリップ付けてないだけあって、
そいつが本物なのかも分かりゃしない
そんなにでかい口が叩けるんなら、
いっその事、自分でガンダム作って、
偽者に荒らされて2ちゃんから出てけこのフェラ豚2号。
もうくんな、だがてめぇだけはしぶといな。
そこん所だけは気に入ったぜフェラ豚2号。

>>126
・・・う〜ん・・・
言い方は気に入らんが・・・
それだけでもよく分かる。
人のつぼを付いている。
僕は君を見習うべきかも知れないな。
128通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 22:26:38 ID:???
>>127
どんだけレス早いんだよ
ずっと張り付いて監視してるのはお前じゃないか
129逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 22:28:20 ID:???
>>126なんで視聴率落ちるか分かった。
ともかく、俺はやろうとしても、
どっちにしろ下手だから、
代わりに書いてくれる人が見つかるまで
一応このままにしておこう。
130通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 22:35:21 ID:???
>>129
テメェのレスが人を遠ざけてるっていい加減気付け馬鹿
131ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 22:36:26 ID:???
>>127
それで、なんか言ったり、変な設定を出せばフェラ豚三号か

スカウトしといて、そりゃねーよ。
もうちょっと周りと仲良くやってけねぇのか?
あと、本編だから偉いとか外伝だから従えとか頭堅すぎるぜ?
ちょっと私事だが、フェイトゼロの後書きに本家と外伝の作者のやりとりというかそんなニュアンスの話があるんだが
少なからず、お互いを認め合って
和気あいあいとやっていた的なことが書いてあったぞ
もっと身近な例えを言えば、二次創作だ。
色んな媒体を介して作られてるが、企業、作者はそのことで訴えたか
まぁ、「そのつもりじゃなかったけど」っていうのはよく聞くが
言ってもそこまでだろ?
少なからず、勝手な設定増やして書くんじゃねぇなんて言ってないぜ
132逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 22:53:48 ID:???
>それで、なんか言ったり、変な設定を出せばフェラ豚三号か
>スカウトしといて、そりゃねーよ。
なんか、今本気で自分変わらなきゃと思ったわ、3号は俺にしとこう。
>もうちょっと周りと仲良くやってけねぇのか?
したいけど・・・俺信長タイプだからな・・・認めちゃ駄目かww
>あと、本編だから偉いとか外伝だから従えとか頭堅すぎるぜ?
むむむ・・・それもあるな・・・
>ちょっと私事だが、フェイトゼロの後書きに本家と外伝の作者のやりとりというかそんなニュアンスの話があるんだが
>少なからず、お互いを認め合って
>和気あいあいとやっていた的なことが書いてあったぞ
>もっと身近な例えを言えば、二次創作だ。
>色んな媒体を介して作られてるが、企業、作者はそのことで訴えたか
>まぁ、「そのつもりじゃなかったけど」っていうのはよく聞くが
>言ってもそこまでだろ?
>少なからず、勝手な設定増やして書くんじゃねぇなんて言ってないぜ
ああ、うん。簡単に言ってくれよ。
133逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 22:57:47 ID:???
つけたし

>それで、なんか言ったり、変な設定を出せばフェラ豚三号か

>スカウトしといて、そりゃねーよ。

うん。ごめん。だけど、
そこらへんかの有名人ハマーン・カーンに似てない?
134通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:02:38 ID:???
>>132
なんか、こいつ気持ち悪い……
135通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:06:43 ID:???
>>133
自分がカス以下だと認めたようなもんだよな。
お前みたいな性根の腐った放射性廃棄物は皆に謝って死ね。
何が逆襲だ。皆がテメェに逆襲したい気分だろいよ。
自分の思い通りにいかなかったらキレるとか愚の骨頂だよな。
この自己中め
136ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 23:07:08 ID:???
>>132-133
じゃあ、自分の立てたスレで今まで通りやってくれ
こっちは民主主義というか勝手に和気あいあいとやってるよ
俺はある程度ストーリーは出来てるから、今更変な設定増やしたりとかしても関係無くやるから

あと、勘違いしてることが一つ
スカウトしてそりゃねーよってのは
ミィル君に対しての発言についてだ

あと、最後の一言の意味が分からない
137通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:15:14 ID:???
とりあえず>>1以外の全員
つっても数人だろうが落ち着け
相手が自分が怒るほどの価値がある人間かもう一度冷静になって考えろ

でも最後の一言は確かにイミフ
138通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:20:23 ID:???
>>137
人を散々なじっておいてそりゃ無いだろう
舐めてるとかそういう問題じゃない
139通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:29:33 ID:???
>>138
俺ライトじゃないんだが…
140七四三:2008/09/25(木) 23:31:05 ID:???
>>ジョーさん
乙、そしてGJです。
次回も楽しみにしてます。

>>137の言うとおりだな。
俺はもう、相手すんのが面倒くさくなったよ。
これからも、俺は我が道を行くよ。


後、やっぱり、俺も最後の一言の意味は理解できない。
141ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 23:31:52 ID:???
ちょっとクールダウンしに、テクテク海底記を1から見てくる
142フェラ豚三号:2008/09/25(木) 23:38:16 ID:???
>>129
じゃあまず七四三に全力で謝ることだな低脳wwwwww
クソガキはママのおっぱい飲んで寝てろwww
143ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 23:40:20 ID:???
>>142
自虐ネタwwwコーラ吹いたwww
144通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:42:52 ID:???
IDあぼん最強伝説

それはそうと最後の最後で礼儀正しいミィルにちょっと萌えたw
145142:2008/09/25(木) 23:43:22 ID:???
>>143
それは何よりwww
あとジョー、気をとり直してさ、>>95>>99について意見を聞かせて欲しいもんだ。
146フェラ豚七四三号:2008/09/25(木) 23:45:01 ID:???
>>142
俺を巻き込まないでくれ
俺はもう、そいつと関わるのは嫌なんだ
147通常の名無しさんの3倍:2008/09/25(木) 23:48:07 ID:???
>>146
そうか、すまん。
続編楽しみにしてるからさ、気が向いたら投下ヨロ
148ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/25(木) 23:56:00 ID:???
>>145
最高!なんだが、機体名が一機だけ地名ってどうゆうことだぁぁぁクソがぁぁ
とギアッチョしちゃう奴がいるかもしれんから
ドニエストルはパイロット名にするか
一つだけ、別の会社性だからイーじゃんイーじゃんスゲーじゃんしちゃおうか考えてる
149七四三:2008/09/25(木) 23:56:45 ID:???
>>147
草生やし忘れたせいで、マジっぽくなってしまった。
むしろ、こっちがすまない。
150逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/25(木) 23:58:39 ID:???
なんてこった・・・・おはぎがキーボードに・・・・落ちてない。

色々言ったが、最後にこれだけは守ってくれ。

このスレが落ちたら、本家に非難してください。
本家が(乾燥)したら、僕があたらしいスレを建てます。
それまで皆さん静かに待っていてください。
そうでもしないとこのスレの二の舞になります。
絶対にこれだけは守ってくれ・・・・頼む・・・・・
151ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/26(金) 00:01:30 ID:???
>>150
だが断る(AA略
152通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:02:51 ID:???
>>150
二の舞って…自分で荒らしといてなんだよお前…

まあ、本家を「非難」はしとくから安心しろ。
153逆襲の作者 ◆UoQ22XTzNs :2008/09/26(金) 00:05:00 ID:???
>>151
なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!
154通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:05:14 ID:???
>>ジョー
慈愛はむずいな…
俺は>>99なんだが、慈愛=キリスト教っぽいから、クライストガンダムとかじゃ駄目かい?w
155通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:06:52 ID:???
この誤字っぷり…わざととしか思えんwwwww
156フェラ豚のミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/26(金) 00:17:18 ID:???
皆、3レスも無駄にして本当にごめん…
謝って許してくれるとは思ってないけどさ…
ただ、俺はこのままSSを投下していいんだろうか
おこがましいとは思ってるけどさ…気になったから…ごめん
あ、ライトには言ってないから勘違いするなよ。
157七四三:2008/09/26(金) 00:18:29 ID:???
>>ジョーさん
慈愛じゃなくて慈悲になるけれど。
ケセドガンダム、もしくはゲドゥラーガンダムなんてのは?

引用が引用だから、浮くかもしれないけど。
158通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:22:15 ID:???
>>156
自分の思うようにしたらいい。
あとコテも自分の思うように直せ。

それと馬鹿は構うな。つけあがるだけだ。
159通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:24:30 ID:???
>>ミィル
応援してるからさ、続けてくれよ。
お前が信じるお前を信じろ!
160通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:32:27 ID:???
ここにいるみんなミィルさんのこと応援してる。
161ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/26(金) 00:33:00 ID:???
>>158
レスありがとう…
スルースキル低いからつい餌を巻いて自爆するんだよな…俺
今度からはいや、今から頑張って見るよ、俺

>>159
カミナ兄貴ありがとう
162ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/26(金) 00:35:30 ID:???
>>160
皆の力がガンダムに!
…俺、支えられてるなぁ…
本当嬉しいよ、ありがとう
163ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/26(金) 00:37:10 ID:???
>>154
確かに俺も難しい問題を出したかもしれん
>>156
凹むな。ユーアーヒューマン
何も気にせず、ただ楽しめばいい
>>157
そうか、そっちがあったか採用だ!

ケセドガンダム
パイロット名:クライスト-ドニエストル(愛称クライ、クリー)
アイヴィーガンダム
パイロット名:未定

>>99さんには悪いが、イノセントが入ると語呂が悪いから外させて頂きました。ごめんなさい
あと、アイヴィーの専用兵装名をミョルニルからヴァジュラに変える。
理由は、神話被りしてるのとミョルニルだとやっぱりゴルディオンハンマー的なのを連想してしまいそうだから
それに、ヴァジュラは元々雷を形にした武器らしいんで、砲撃のイメージに近いかなと
コロコロ変えてすいません
16499:2008/09/26(金) 00:46:25 ID:???
パソコン復活。

>>ジョー
いいんじゃない?
続き楽しみにしてるよ

ミィルも七四三もあと一人外伝の人も頑張ってくれ。
俺はアイディア出し(つってもほとんど役に立ってないが)やら感想言うくらいしかできないけれど
165通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 00:59:52 ID:???
>>162
量産型のガンダムがミィルの主軸となってるMSだろ?
ここは量産型ガンダムなんて堅苦しい呼び方じゃなくて
ミィルが呼び方考えちゃうのはどう?
俺、ミィルが考えたダンデスって響きは嫌いじゃないぜ
166通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 01:55:23 ID:???
>最後の一文
つまりライトは自分勝手な書き込みが、信長やらハマーンみてえに傍若無人w俺SUGEEEE
状態に酔ってるってことだよな?
ライト的にはそこまで真剣じゃないのかもよ
ま、バカは放っておこうぜ
それと蒸し返してすまん

>>165
ガンダムストレングスじゃなかったっけ?
167通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 19:03:01 ID:???
>>166
亀レススマン
ストレングス以外のヤツでジェガンとかガンイージみたいなヤツを希望したいんだ
ガンダムに比べれば華はないけど、GMだって活躍出来るからな
168通常の名無しさんの3倍:2008/09/26(金) 21:30:21 ID:???
確かにミックの機体はもうヘビーデーモン(笑)にこだわらなくてジム的なの出してもいいかもな。
169ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 07:41:08 ID:???
>>165
ダンデスって1分ぐらいで思いついたMSなんですけどね。

>>167
この大型ジェガンタイプじゃ駄目だ!な訳ですね、わかります

>>168
多少遅くなりますけど、登場する予定は…あります
170七四三:2008/09/27(土) 09:36:27 ID:???
なんかうまくいかない。

異説機動新戦記ガンダムウィード

第二話 後編1

━━彼女のようにはいかないな……
苦さに顔をしかめながら、ミカドはコーヒーを飲み干した。
大人の味というのだろうか?ミカドにはいまいち、美味いとは感じられなかった。
まだまだ、ガキってことかな……
ミカドは自嘲気味な微笑を浮かべると、代金をテーブルの上に置き、店から出た。

心配事を解決する目処も立った。
それもこれも、全部あの少女のおかげだ。
もしも、神という存在がいるのなら、良い出会いを与えてくれた事を感謝したい気分だった。
そんないい気分のままミカドは、そろそろ宇宙港から出ようと思い、出口へと向かう。
これから先、色々なことがあるだろう、でも、自分はそれを乗り越えられる。
そんな、根拠の無い自信を抱きながらミカドは宇宙港の中を進み、出口へとたどり着いた。
扉の向こうは帝都、ここから新たな生活が始まる。そう思うと、否が応にも胸が高鳴った。
これから、数年の間過ごすことになる街だ。
ミカドは前途洋々たる未来を信じて、扉をくぐり抜けた。


青空だった。

扉をくぐり抜けたミカドの目に映ったもの、それは、一面に広がる青空だった。
171七四三:2008/09/27(土) 09:38:21 ID:???
失敗した。続き


コロニーでは決して見ることのできない光景。ミカドは一瞬にして心を奪われ、惚けたように立ち尽くす。
不意に、ミカドの胸に郷愁のような感情が芽生えた。
これは、遺伝子に刻まれた記憶なのかもしれない。ミカドは急に湧き上がった感情を冷静に分析する。
懐かしんでいるのだ。
遠い昔、人々が星に住み、空を見上げていた時代、その時より、受け継がれてきた遺伝子が。
きっと、初めてこの星に降りてきた人々もこんな気持ちだったに違いない。
センチメンタルな気分に浸るミカド。その頬を風が優しくなでる。
花の匂い、草の匂い、土の匂いが通り抜ける。
ミカドは辺りに見回す。帝都においては高台に位置する宇宙港からは帝都の全景を望むことができた。
宇宙港より望む帝都の街。
緑の多い街並みだとミカドは思った。
高台からでも至る所に緑の葉を繁らせた木々があり、緑の芝生が生えた公園があることがわかった。
先程の匂いもそれらから、運ばれてきたのだろう。

いい街だな……
風に運ばれる自然の匂いを受け、ミカドは素直にそう思った。
172七四三:2008/09/27(土) 09:43:58 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード 第二話2

高台より帝都を眺めていたミカドだったが、しばらくすると、おもむろに歩き出した。
さすがに、何時までも眺めているわけにはいかない、ミカドは帝都に降りることに決め、帝都の中心部へと向かう、宇宙港発の路面電車に乗り込んだ。
やはりというかなんというか、路面電車の中は混んでいた。多くがミカドと同様に帝都の中心部に向かう人々だ。
もともと、人の多い所が好きではないミカドにとっては、その混雑は拷問に等しい、
ミカドは当初予定していた停留所に着く前に、逃げるようにして電車から降りてしまった。

仕方ないので、ミカドは歩いて中心部に向かうことにした。
中心部に向かうには帝都の真ん中にそびえ立つ皇城を目指せば良かった。
結果として、それは良かったとミカドは思う。
ゆっくりと自分のペースで帝都を観察できるからだ。
ミカドは歩きながら、周囲の街並みを観察する。
━なんていうか、タイムスリップした気分になるな…
ミカドは周囲の建物を眺め、思った。
周囲の建物はどことなく中世の雰囲気を漂わせる石壁に外観だった。
おそらく、皇城にあわせた景観を作ろうとしたのだろうとミカドは推測する。
コロニーで機械的な建物に囲まれて生活していたミカドには帝都の建物は新鮮で好感が持てた。
ミカドはキョロキョロと周囲を見回す。その様子は田舎者まるだしだったが、本人は全く気づかない。
だが、ミカドは自分のことこそ気づかなかったものの街並みに対しては気づくことがあった。
高い建物が少ないな
高台から帝都の全景を見たときは、それほど感じなかったが、実際に街中を歩いてみると、そう感じた。

ミカドが気付いた通り、帝都には高層建築物という物が少ない。
高層ビルも幾つかはあるが、基本的には高さを抑えた建築様式だ。
その理由は皇城を目立たせるためだとも言われているが、実際は違う。
本当の理由は空がよく見えるようにという子供じみて聞こえるような理由だ。
これは、数十年もの間、宇宙を旅していた時の空の無い暮らしの反動だとも言われおり、
緑が多いのも、自然環境の少なかった宇宙を放浪していた時代の反動とも言われている。

173ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 14:44:51 ID:???
>>七四三

乙&GJっす


俺も晩になったら投下しようかなぁ
17483:2008/09/27(土) 15:37:13 ID:???
>>170-172 乙です

>>173 楽しみにしています

それと遅くなってしまいましたが、>>86ありがとうです
なんか知らないんですが、書き込もうとしたら規制されてるみたいなエラーが出て書けませんでした
才能だけでなく運も無いのかと思って絶望してました

それにしてもライトってよくわからないヤツですね
175通常の名無しさんの3倍:2008/09/27(土) 16:54:03 ID:???
>>174
今更印象操作してんじゃねえ糞作者
死ね
176ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 18:23:52 ID:???
今から投下するけど、何かガンダムじゃなくなった気がする
177ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 18:24:39 ID:???
何なんだろう――…真っ暗で何も見えない―――…

   感覚がない―――……  俺はどうなったんだ――?

           まさか―――――……    ……――――俺は死んだのか?

        ……――――何時間経ったんだろう―――…… 今こうしている間にも1時間は経ったのだろうか―?わからない――

              死んだら川を渡るってよく聞くけど、きっとアレは嘘何だろう―――――…
  
                        今の俺がいい例だ――…  真っ暗で、何も見えない…暗黒の世界だ――――

               ―――アレから何分何秒経ったんだろう?―――わかるのは今まで考えるのをやめてた事ぐらいだ―――…

          皆はどうしているだろうか――――――…     ミックや大尉、マーチや食堂のおばちゃんは―――?

                       …――――無事生きているだろうか? 出来るなら、生きていて欲しい

                何だ―――…?妙に明るい?―――これが天国?今まで真っ暗だったのに、段々明るくなってきた――…

                     それに声も聞こえる――…天使が俺に早く来い、と囁いてくれてるんだろう―――……
                         
                            皆―――生きろよ―――――………………   
178ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 18:25:30 ID:???
          六話:死のその先(前編)

そこには荒ぶる荒野。森林の伐採により、荒野へと成り果てたのだ。 
荒野の中でMSと言う名の二匹の獣が、戦いを繰り広げていた。
「くそがっ!一体何処まで追っかけ回す気だぁ!?」
飛行機型の形状をした可変MSのパイロットは叫ぶ。その表情には焦りが見えていた。
「テメェはとっととソイツを返せこの野郎ォォォォ!!!!いつまで逃げる気だぁ!?」
もう一人、ガンダムタイプのMSに搭乗しているパイロットも叫んだ。そう、我等が主人公ミィルである。
その表情にも焦りが見える。二人とも違う意味の焦りだが、この荒野、いや、戦場では緊迫感、焦りが伝わる。
可変MS『ライアット』は飛行機の形状から人型の形状へと一瞬で変形する。
「コイツで墜ちな!!!!!」
ビームを連続で発射する。連続と言うより、乱射と言った方がいいのかも知れない。
ミィルは右へ回避と同時に、ライフルで一発牽制のビームを撃つ。発射されたビームはライアットの足元に当たった。
「ハッ!テメェがコイツを狙わないのはわかってるんだよ!!何たって大事な大事な可変MSだもんなぁ!!!」
チッ、と舌打ちするミィル。ライアットはまた飛行機型の形状へと変形する。
「これじゃぁ、奪い返すどころか、逃げられちまう…MA形態の可変MSじゃぁストレングスじゃ、追いつけないし…」
その刹那、ミィルは上空に何かを発見した。とてつもなく大きい何かだ。
「あれは…ダルタイルの戦艦!?それも―――二隻か!?」
そこにはダルタイルが誇る主力戦艦『セクメット』の姿があった。
「アイツ―――まさか最初っからこのつもりで――!?」
その瞬間、MSの機影と共に、ストレングスの左腕は何かによって切断される。
「フッ、作戦は成功したようだな、ベイン中尉。君は早く艦に戻りたまえ」
「レイヴ隊長、ちょっと来るの遅すぎじゃありません?連邦基地を無事破壊出来る様、頑張ってください」
「出来る確証はないがね」
レイヴと呼ばれる男は可変MSライアットを奪取したベインに対して話し掛けると、
そのままミィルのいるストレングス目掛けて何かを投げる。
「何が起こったんだ――――うおぉぉっ!?」
ストレングスが持っていたライフルは一刀両断、そのまま爆散する。
「くそっ!!何なんだよ!!あの武器は!!!!」
突然の出来事、不可解な武器、ダルタイルの戦艦二隻―――ミィルは混乱していた。
179ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 18:27:54 ID:???
セクメットは二人の対峙を無視するかのように進んだ。そう、ミック達がいる基地へと――――…


ミィルの緊迫とした戦闘をよそに、ミック達は悩んでいた。
「やっぱり私も出撃します。私の責任でもありますし―――…」
「いや…ミィルの後にマーチも出撃させたし、問題ないと思うけど…だから大丈夫だと」
さっきから出撃すると言って聞かないセシル。
ライアットを奪取されたのは自分の責任だからせめて自分で取り返すと言って聞かないのだ。
「セシル少尉…子供じゃないんだ、その気持ちで十分だと思うよ、うん」
トリントン大尉もテキトーに落ち着かせようとする。しかし言う事は聞かなかった。


「くそっ…勝てない…こいつには―――…」
ミィルは絶望していた。先のビームサーベルの切り合いだけでわかってしまったのだ。
      『今の俺ではコイツには絶対に勝てない』、と
「どうした!?連邦のパイロットと言うのはその程度なのか!?」
ビームサーベルの応酬。左腕を切られてしまったので不利な事この上ない。
パイロットとして未熟なミィルにとっては大きすぎるハンデだった。
「さらばだ、連邦の戦士よ」
呟くと、何かを投げる。二度も何も出来ずにやられた不可解な武器だ。
「俺は!!こんなところで死ねないんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
謎の武器はストレングスの肩にかする。いつものミィルとは思えないほど反応速度があがっていた。
いつもとは何かが違っていた。強くなったとか、修行の成果だとか、そういう物ではない。
「ほう、私のトライブレードを避けたか。三度も同じ手は食らわないという事か?」
レイヴは気付いていなかった。ミィルの中の『何か』が目覚めている事に。

「俺は――――生きる!!!!」
その目には、生きると言う信念が渦巻いていた。
180ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 18:28:43 ID:???
機体名称:ライアット
型式番号:RX‐K01
装甲材料:バーグーリデンス合金
武装:
アーム・ビームガン
ビームサーベル
ミサイルポッド
詳細:
連邦の試作可変MSで、地上での使用を前提としている。
駆動部にマグネット・コーティングを施している為、0.06秒で変形できる。
装甲が若干貧弱ではあるが、大気圏内での飛行速度は抜群。
アーム・ビームガンは通常のビームライフルより威力は低いが、速射性は高い。

ベイン・ピクルス(31)
生年月日:4月4日
所属:ダルタイル帝国
階級:中尉
詳細:
ダルタイルの隠密兵。
スパイが主な任務。
試作可変MSライアットを奪取した。

ルツィア・レイヴ(27)
生年月日:6月2日
所属:ダルタイル帝国
階級:少佐
詳細:
ダルタイル帝国に所属する男。
27歳と言う歳で少佐になり、艦長も任されている。
MSパイロットとしても優秀で、戦艦一隻を一人で落としたと言われる。
ミィルのライバル的存在。
181ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/27(土) 18:29:29 ID:???
やべ、ageちまった。スマン
182:2008/09/27(土) 18:38:38 ID:???
>>ミィルさん
これだけできるんなら、
うざいライトなんかの外伝止めて、
自分で作品作ってみたらどうです?
183通常の名無しさんの3倍:2008/09/27(土) 18:42:31 ID:???
ライアットがメタスに見えるw
184通常の名無しさんの3倍:2008/09/28(日) 03:59:57 ID:???
>>ミィル
GJ!お前はガンダムだ。

が、艦長は確か緊急時以外は中佐以上しかなれなかったような…
…まあ気にしないでくれ
185ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/09/28(日) 09:44:38 ID:???
>>184
俺は…ガンダムにはなれない…
艦長は中佐以上かぁ…無知でごめん
今度からは気を付けないとなぁ。
設定は次話で直しとくよ。
指摘してくれてありがとう
>>182
はは…ご冗談を…
186七四三:2008/09/28(日) 10:15:09 ID:???
やっぱり、ミィルは上手いなぁ。
それに比べて俺はダメダメだ……
187ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/09/28(日) 12:57:03 ID:???
お前ら…歯ぁ食いしばれぇ!
188通常の名無しさんの3倍:2008/09/28(日) 13:00:43 ID:???
今朝咳したら喉から血が出た…ライトの小説がつまらなすぎたせいだ…謝罪と賠償を要求する
189通常の名無しさんの3倍:2008/09/28(日) 15:48:57 ID:???
>>188
やつあたりw
もっとやれwwww
190通常の名無しさんの3倍:2008/09/29(月) 18:45:44 ID:bPlaIweT
名無し的に、外伝作者らの順位とか評価とかしようぜ。
191通常の名無しさんの3倍:2008/09/30(火) 08:59:16 ID:???
ここで空気読まずに…
前からミィルに色んな指摘(?)を上から目線でしてきたKYな俺だが、それは安全圏からの物言いで自分だけ何もしないのもアレだと思ったんだ。
もういっそとことんKYになろうかと。
で、前置きが長くなったけど、俺もなんか外伝投下するかもしれません
ダルタイルサイドの主人公がいたらいいかなーとか思ってたんで

ただ、部活やらバイトやらゼミやらで忙しいからいつになるかはわかりません
192通常の名無しさんの3倍:2008/09/30(火) 14:35:35 ID:???
>>191
とりあえず、設定うpキボンヌ
193通常の名無しさんの3倍:2008/09/30(火) 21:39:48 ID:???
>>192
今部活終わった…
もう少し待ってくれ
需要ないようならやめるけどw
194191:2008/09/30(火) 22:02:00 ID:???
ウィード外伝
ガンダムL(ライトニング)←適当

AG0065 ダルタイル帝国と地球連邦の争いが最も激しかった時代
両親を地球連邦軍に殺されたダルタイル人の青年、エルト・ロウは自らのような者をこれ以上増やさないためにも、ダルタイル帝国軍に志願する
戦争の早期終結を願い、軍に籍を置くエルトだが、そこで見たものはダルタイル帝国軍の過剰とも言える地球侵略であった
自らの理想と現実の狭間で苦しむエルトが戦いの果てに見たものは…


…まあ話としては葛藤に苦しむ主人公が戦っていく(軍裏切るかはまだ決めてない)
で、戦争って結局なくならないんだ…的なバッドエンド→本編

ガンダムは今んとこ一機だけを考えてる
あと時代が本編より前だからミィルのダンデスを使わさせてもらうかもしれない
今へろへろで勢いで書いたやつなんで矛盾とか指摘とかフェラ豚とかライト乙とか遠慮なくどうぞ。
195通常の名無しさんの3倍:2008/10/01(水) 00:01:15 ID:???
悪いんだが、ライトが創作発表板の“だから俺たちに新作ガンダム作らせろよ”で
二番煎じ投稿始めてるんだが、もう放置しとけばいいのか?
196通常の名無しさんの3倍:2008/10/01(水) 12:32:38 ID:???
機動陰茎WE EDガンダム 予告編
聖ダルダイル病院に1人の男がやってきた。
男の名はウジサト・ガモウ、33歳で未だ無職である。
ウジサトは強いストレスによりED(勃起不全)に陥ってしまったのだ。
自慢のブラックエンペラーちんちんを復活させる為、ウジサトの長く苦しい治療が始まるのだった…。
197191:2008/10/01(水) 18:02:27 ID:???
ウジサトネタキャラ化しすぎだろw

空気読まずにキャラ設定的なものその1
エルト・ロウ(20)
所属:ダルタイル帝国 クロス隊
階級:少尉
詳細:主人公。幼少の頃両親を地球連邦軍に殺害され、それがきっかけで軍に志願する。
   但しそれは復讐心によるものではない。正義感が強く、優しい性格。

クロスキー・クロス(26)
所属:ダルタイル帝国 クロス隊
階級:大尉
詳細:エルトの所属する部隊の隊長。明るくお調子者でややひねくれている。
   自らが軍属であることや現在の戦争を仕事であると割り切っている
   
198191:2008/10/01(水) 18:16:59 ID:???
その2
ティエル・レナード(20)
所属:ダルタイル帝国 クロス隊
階級:少尉
詳細:クロス隊の紅一点。但し主人公の愛人(笑)ではない。
   レナード大佐(後述)の娘。エルトをライバル視する部隊のエース。優等生的存在。

ドレーク・レナード(45)
所属:ダルタイル帝国
階級:大佐
詳細:エルトの育ての親で、ティエルの父。
   実直で正義感が強い人物。

ウジサト・ガモウ
ダルタイル帝国の軍人。謎の計画「ブラックエンペラー」に携わっている。

モナーク・ホプキンド
ライバル的存在。詳細はライトの頭の中に

とりあえず以上です。書き方はミィルのを参考にさせてもらった、ミィルごめん
文句や苦情、罵倒はいつでも受け付けてます、スレ汚しすいませんでした
199通常の名無しさんの3倍:2008/10/03(金) 02:22:49 ID:???
>>191
GJ

>>195
うん、放っておいていいよ
200ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/03(金) 20:21:52 ID:???
やあ(´・ω・`)
ようこそ、秋の気配が漂うウィードスレ2へ
この落ち葉はサービスだから、まず見て落ち着いて欲しい。

うん、「まだ出来てない」んだ。済まない。
スパロボZに夢中だったしね、謝って許してもらおうとは思っていない。

でも、このレスを見た時、アナタは、きっと言葉では言い表せない
「憎しみ」みたいなものを感じてくれたと思う。
厨腐が蔓延する新シャア板で、そいつらに潰されたスレを忘れないで欲しい、
そう思って、このレスをしたんだ。

じゃあ、最新話を書こうか。

>>196
何て素晴らしいネタキャラでしょうかww

>>198
乙&GJっす。

頑張って下さい。

って俺が一番頑張らないとなー…
201通常の名無しさんの3倍:2008/10/04(土) 19:34:41 ID:???
本編と外伝の関係はマックとモスで例えることが出来る

本編は、速さと使用するレスの少なさに長けるが内容が薄く、面白みに欠けるゴミである
外伝は、内容、量、面白さは本編の2の10乗ぐらいではあるが
時間がかかる。

本編の目標は、アニメ化であり、外伝の目標は、本編作者の妨害に耐えることと、くだらない本編から面白い作品を作ることである

みんな、頑張れ
俺は全裸で待っている
202通常の名無しさんの3倍:2008/10/04(土) 21:04:52 ID:???
つパンツ
203通常の名無しさんの3倍:2008/10/04(土) 22:20:16 ID:???
つシャツ
204通常の名無しさんの3倍:2008/10/04(土) 22:23:25 ID:???
つ靴下
205191:2008/10/04(土) 23:30:06 ID:???
つネクタイ

機体名称:ライトニングガンダム
武装:ビームハルバード、ビームサーベル×2、ツインビームライフル
   マシンキャノン×2、シールド、脚部ビームブレイド
詳細:ダルタイルの新型(AG0065当時)MS。装備がライトのと変わらない気がしてきた。反省はしている。
   可変機。コンセプトはまあ高速で接近→可変→格闘→離脱。理由は俺がキュリオス好きだから
   開発コード(エクシアで言うセブンソード)は「闇を横切る閃光」
   後に地球連邦はこの機体を参考にライサーを開発することとなる

機体名称:ダンデス
詳細:ミィルの頭の中
   この時代におけるダルタイル軍の主力MS

なんか色々好き勝手書いてすいません
206ライト・ロダン ◆H5WgPJ.0TA :2008/10/11(土) 09:08:36 ID:???
えーと、
ぬけぬけときてすんまへんね。
これだけだよ。

つ(ズボン)
207七四三:2008/10/11(土) 17:35:30 ID:???
久しぶりに投下してみる
208七四三:2008/10/11(土) 17:36:38 ID:???
久しぶりに投下してみる
そうこうしている内に、ミカドは帝都の中心部へと到着した。
そこは帝都の中心も中心、皇城のすぐそばの城門前広場だった。
広場は露店や屋台が多く軒を連ねていた。だが、ミカドの目当てはそれらではなく、宇宙に名高いダルタイル皇城の観光にあった。
そして、それはすぐに果たされる。ミカドは広場に入った瞬間に心を奪われた。
遠くから見たときにはそれほど揺り起こされなかった感情が、その姿を見た瞬間に強く動いた。
ミカドは皇城に魅了されていた。
天を衝くその偉容に見惚れ、ふらふらと一番近くから、その巨大な姿を眺めることができるベンチへと腰掛けた。

皇城を眺めるミカド。その心にある欲求が芽生える。
しかし、その時、広場の一角から怒鳴り声がミカドの思考を邪魔するように響いた。
「てめえ、人に怪我させておいて詫びの一つもナシたぁ、どういう了見だ!?」
思考を中断されたミカドは苛立たしげな視線を声の方に向ける。
そこには、一人の青年が男達に取り囲まれているという光景があった。
こんな昼間にこんな場所でやるなよ…
ミカドは呆れたような表情を浮かべて事態を見守る。
「いや、詫びって…俺さっきから謝ってると思うんだけど」
青年が男達に訴える声が聴こえた。
金髪、碧眼、白皙の容貌を持った青年だ。身なりからして、いい家の生まれだということがわかる。
だから、絡まれてるだろうなとミカドは思った。
「ああん!?骨折っといて、謝るだけか!?俺の弟はこんなに痛がってて、てめえは口先だけ謝ってすまそうってのかよ!?」
「兄貴ぃぃ、痛ぇ、痛ぇよぉぉぉぉ」
急に先程まで元気に見えた男の一人が痛がり出した。
「ほら、こんなに痛がってるじゃねえか!! てめえはこれ見て、何にも思わねえのかよ!!」
うぜえ奴らだなぁ…と思ったミカドだったが、関わり合いになると面倒になることは確実だと思い。見て見ぬ振りをして、城を眺めることにした。
しかし
「誠意を見せろや!誠意を!! 治療費よこせやぁぁぁぁぁぁ!!」
「兄貴ぃぃぃ!痛ぇ、痛ぇよぉぉぉぉ!死んじまうぅぅぅぅぅ!!」

あまりにも男達の声がうるさい。
「……ふぅ…」
ミカドはため息をつき、立ち上がった。
そして、先程まで自分が座っていたベンチに手をかけ
「うるっせーんだよ!!」
叫びと共に投げ飛ばした。

209七四三:2008/10/11(土) 17:38:35 ID:???
投げられたベンチは地面と平行の軌道をとり、弾丸の速度で飛翔し、そして――青年に直撃した。
「な、何だ!?なにが起こった!?」
「あ、兄貴ぃ、やべえよ、こいつ白目向いてるよ!し、死んじまったのか?」
「と、とにかく、ずらかれ!!」
男たちは逃げるように立ち去り、地面に横たわる青年だけが残された。

……うん、こういうこともあるよな?
ミカドは周囲を見る。
露店や屋台の人々が一斉にミカドから目を逸らした。
「ふむ……」
ミカドは少しの間、考えるような仕草を見せ、それから地面に倒れた青年に近寄った。
近づいて見るとわかったが、年齢的には青年とミカドはそれほど差が無いようだ。
ミカドは青年に息があるかを確かめる。
とりあえず、息はあった。
次に致命傷になりそうな怪我がないか調べる。
かすり傷一つ無い。かなり頑丈だ。それに、かなり鍛えている。
「うーん……」
青年の口からうめくような声が漏れた。
どうやら、目覚めるようだ。
ミカドは先程考えていたセリフを準備した。
青年の目がゆっくりと開いた。
「大丈夫ですか?あいつらは俺が追い払いましたよ」「いや〜ありがとう。キミは命の恩人だ」
広場のベンチにミカドと共に座った青年は大仰な仕草でミカドに感謝の意を示す。
黙っていれば、高貴な容貌の美青年で通りそうな男なのだが、世の中はなかなか上手くいかないものだとミカドは思った。
「しかし、あいつらもひどい奴らだよな。後ろからベンチを投げつけてくるって明らかに殺す気満々じゃん」
ミカドは自分のやったことをおくびにも出さずに青年の言葉に頷く。
「そういえば、名前を言ってなかった」
青年は思い出したように言うとミカドに右手を差し出し、そして言った。
「ウィリアム・ケインズだ」
ミカドは応えるように自らも右手を差し出し握手する。
「ミカド・アーサー・カエサル・シャルルマーニュ・アレキサンダー・ナポレオン・トクガワ・セイソウインです」
一度では覚えられないだろうとミカドは思い、そしてその通りになった。
「ごめん、ミカド・アーサー何?」
やはり、ウィリアムはもう一度聞いてきた。よくあることなのでミカドは適当な対処をする。
「ミカドでいいですよ」
ミカドにとってはいつもどおりのことだったが、ウィリアムはひどく申し訳なさそうに見えた。
210七四三:2008/10/11(土) 17:40:56 ID:???
それだけで、ミカドはこの男が善良な人物なんだと察し、急に、ベンチをぶつけたことを申し訳ないという気持ちになった。
「ミカドって旅行者? だったら助けてくれた礼に帝都を案内してやるよ」
申し訳なさを振り払うように青年が言った。
ミカドの正直な気持ちとしては男のガイドなど吐き気がするほど嫌だったが、かといってガイドをしてくれる知り合いもいないわけで、ここは、ウィリアムに頼むのが一番妥当な選択な気がした。
「じゃあ、お願いします」
ミカドが頭を下げるとウィリアムは笑みを浮かべた。何の邪気もない人の良い笑みだ。
「オーケーオーケー、任しとけ。でも、その代わり、敬語はやめてくれよ。あんまりそういうのは好きじゃないんだ」
ミカドは頷く。といってもいきなりに素を出すのはマズいと思ったので、最低限に気を使うことにした。
「じゃあ、頼む。ウィリアム」
ウィリアムは笑みを浮かべ、ミカドに訊ねる。
「それで、どっか行きたい所とかないかい? 無いんだったら俺が適当に案内するけど」
そうだな、とミカドは考え込むような仕草を見せ、半分冗談、半分本気でウィリアムに言う。

「皇城の中を案内して欲しい」
211七四三:2008/10/11(土) 17:43:01 ID:???
世の中とは何が起こるかわからないものだとミカドは思った。

たまたま、助けた相手が皇城の関係者で、頼んでみたら案外簡単に城に入れ、そして、城の中に入るとポニーテールのメイドが襲いかかってきたなど、
誰に言っても信じてもらえないだろうとも思うが、ミカドにとっては全てが現実の出来事だった。
そして、ミカドは今おそらく人生最大の危機を迎えていた。


城の中、広間にてミカドは、メイド服の少女の蹴りを受け止める。ローと見せかけてハイ。と見せかけてミドルキックという変幻自在の見たこともない蹴り技を受け、肌が粟立つ。
ガードできたのは偶然、ガードした腕に感じる衝撃からして直撃したら昏倒は免れないとわかる。
ミカドは渾身の蹴りをガードされたことにより自らのガードが甘くなった少女に正拳突きを放つ。
しかし、ミカドの拳は空を切る。少女が後ろに跳躍し、間合いを離したからだ。

強い

その一合だけでミカドは少女の強さが理解できた。
重い一撃に素早い身のこなし。かなり厄介な相手だと判断する。
「おい、なんなんだ。あのメイドは?」
ミカドは、自分の後ろにいるであろうウィリアムに尋ねる。その時も、ミカドはメイドから目を離さない。
少しでも目を離した瞬間にやられる。そう思ったからだ。
ウィリアムの答えを待つミカド。しかし、いくら待っても声は返ってこない。
「おいっ!!」
思わずミカドは声を荒げて呼びかける。
そのタイミングでメイドが動く。

速い!
舌打ちしながらミカドは迎撃の拳を突き出す。
メイドは身を屈めることで拳を避け、屈めた姿勢のまま、ミカドの懐に入り込む。
不意にメイドの体が弾かれる。
ミカドの膝だ。拳は誘い、懐に入り込んできたところを膝でしとめる。最初からそういう作戦だった。
女性にこういう事をするのに気が引けないわけではなかったが、相手が相手だから仕方ないとミカドは自分を納得させた。
ミカドはメイドが倒れている、今のうちに後ろを振り返る。
しかしそこには、いるはずウィリアムはおらず、代わりに一枚の紙が床に落ちていた。
『俺は逃げます。後は任せた』
紙にはそれだけ書いてあった。

は?
状況が理解を超えた。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声をあげるミカド。城の中でそんな大声をあげれば、誰か来そうなものだが、不思議なことに誰一人として来ることはない。
212七四三:2008/10/11(土) 17:44:43 ID:???
ミカドはそんなことに気づくことなく叫びをあげている。
やがて、怒りと共に肺の空気を全て吐き出すと心持ち、落ち着いてきた気がした。

落ち着いたせいだろうか、ミカドの耳にはある音が届いた。
「フフフ、フフフフフフ…」
死神の声だと思った。
ミカドは声の方を見る。すると、そこには倒したと思っていたポニーテールのメイドが立っていた。
頭を下に向けているので、表情こそわからないもののミカドは凄まじく嫌な予感がした。
「なるほどな……ウィリアムめ…助っ人を連れてきたな…」
メイドはふらついてる、よく見ると顔からポタポタと血が落ちている。
ミカドも流石に女性の顔に傷をつけたと思うと、罪悪感を感じずにはいられない。
「いや、本当にゴメン。悪気があったわけじゃないんだ。ちょっと加減する余裕が無くて、それで…」
ミカドは言い訳じみた謝罪する。
その時、メイドが顔を上げた。鼻からは一筋の血が流れている。鼻は折れてはなさそうだったが、ミカドは申し訳ない気持ちになり、それと同時に今すぐここから離れろと本能が叫びだした。
「お、俺…用事を思い出したから…じゃ、じゃあね」
ミカドはメイドに背を向け帰ろうとする。だが――
「待て」
いつの間に間合いを詰めていたのか、メイドはミカドの肩を掴んでいた。
「あの……離してくれないかな?」
メイドは首を横に振る。
それを見てミカドは覚悟を決めた。
女の顔を蹴ったんだ、責任ぐらいはとるさ。
「わかった。好きなだけ殴られて――」
声もなく、ミカドは崩れ落ちた。
それはメイドの放った頭部へのハイキックが原因だった。
メイドは崩れ落ちたミカドを見下ろしながら、鼻血を手で拭うと、この闘いの大元の原因、ウィリアム・ケインズを半殺しにするために移動を開始した。
これが、後に毎日のように死闘を繰り広げることとなるセレア・ゴッドウィンとの出会いであった。

気絶したミカドが発見され城内の医務室へと運ばれたのはそれから一時間後の出来事だった。

三話に続く。
213七四三:2008/10/11(土) 17:48:06 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第三話 始まりの火

最悪の一日だ……
皇城内の医務室のベッドで目覚めたミカドは、つくづくそう思った。
バイトに来たはずなのに、セレアに殴られ、気を失い。気を失ってる時に見た夢の中でもセレアに蹴られ、気を失った。
感覚的には一日に二度、同じ相手と戦い、二度とも負ける。そんな感じだった。
呪われてんのかなぁ、俺……
ミカドはベッドの上で盛大にため息をつき、次いで時計を見た。
時刻はもうすぐ十二時になろうとしている。
どうやら、午前中はずっとここで寝ていたようだ。つまり、バイトには出られなかったということだ。
ミカドは肩を落とし、再びため息をついた。
午前中に出来なかった仕事は午後にまわさなければならない。午後には学校の方でも授業があるのだが、恐らく出られないだろう。
こういう積み重ねが出席日数に響くんだよなぁ……
ミカドはしみじみと思い、ベッドから出る。
体の調子は良い。セレアに折られた鼻も元通りになっている。
流石は皇家専属の医師、腕は確かだ。
最初にセレアに気絶させられてから3ヶ月、医務室に運ばれてくる度にミカドはそう思う。
ミカドは医師に礼を言い、医務室から退出した。医務室から退出し廊下へと出たミカドは城内にいつもと違う慌ただしさを感じた。
何かあったか…?
一瞬、気になったがすぐにどうでもよくなった。
別に何かあっても平気だろうと楽天的な発想のミカドは、とりあえず時間も時間なので昼食を摂ろうと城内の食堂に向けて歩き出そうとした。

「おっ!ミカドじゃん。何してんの?」
歩き出だそうとした所に急に声をかけられた。よく知った声だ。
振り向くとそこには、これぞ貴族といった容姿をした青年、ウィリアム・ケインズがいた。
「セレアに殴られて昏倒してたんだよ」
ミカドはぶっきらぼうな調子で応えた。
親しくない相手にほど丁寧な態度を見せるミカドとしては非常に友好的な態度だと言える。
「ああ、そりゃ可哀想に……」
ウィリアムは悲痛そうな言葉を放つも、その表情は自分じゃなくてよかったという安堵に満ちていた。

3ヶ月前、ミカドとセレアが戦う原因となったウィリアム。しかし、現在は共にセレアから被害を受ける者同士、それなりに良い友人関係を築いていた。

214七四三:2008/10/11(土) 17:50:11 ID:???
「今、暇だろ?メシ食いに行こうぜ」
寂しがり屋のクセに、城内に殆ど友人のいないウィリアムは数少ない友人であるミカドをよく食事に誘う。
「ざけんな。男同士、2人っきりで顔突き合わせてメシなんか食えるか」
「そう言うなって、奢るからさ」
奢る。
ウィリアムのその発言は魅力的だった。
金欠苦学生のミカドは、タダというものにこの上なく弱かった。
しかし、躊躇する気持ちもある。目の前にいる貴公子の風貌をした青年が気前のよいコトを言い、それに相伴する時、ミカドはかなりの確率で事件に巻き込まれることを身をもって知っていた。
だが、それでも、ミカドはタダ飯の魅力には勝てなかった。
「いくらまで奢ってくれるんだ?」
「いくらでも」
こともなげにウィリアムは言う。
完璧な貴族の容姿をした青年は家柄も完璧な貴族であり、金持ち。その上、ウィリアムはミカドと一歳しか違わないのに就いている仕事は遥かに高給取りだった。

気づいたら、ミカドはほいほいとウィリアムについていってしまった。


二人が辿り着いた場所は皇城の中の食堂。
季節と空気を読まないメニューが評判であり、洋風の城なのに現在は和食フェア開催中、それに加えて、帝都の季節は夏なのだが鍋物がオススメとなっている。

ミカドはカレーを注文する。もちろんウィリアムの奢りだ。
ウィリアムはオススメとされている、おでんを注文した。

「この暑い中、よくそんなものを頼む気になるな」
ミカドは鍋から漂ってくる熱気にげんなりしたように言う。
「わかってないなー、こういうのは暑い中で食べるからいいんじゃないか。そのカレーだってそうだろ?」
「カレーと鍋は別の次元のモノだろうが」
ミカドはうんざりした様子で自分のカレーを食べる。
食べているとミカドは視線を感じた。
見ると、ウィリアムがミカドのカレーを物欲しそうにじっと見ている。
「人が食べているモノって自分も食べたくならないか?」
「ならない」
ミカドは一言でウィリアムの言葉を切って捨てた。
「そう言わずに、ほら、おでんも美味いよ」
「………」
ミカドは無言で拒否を示す。
ウィリアムはそれを見て諦め、夕食はカレーにしようと心に決めた。
その後、二人はしばらくお互いに黙々と食事をした。
215七四三:2008/10/11(土) 17:52:47 ID:???
「ところでさ…」
沈黙を破り、ミカドは思ったことを口にする。
「なんで、こんなに人が少ないんだ?」
今更ながら、気付いたが食堂の中は昼時にも関わらず、閑散としていた。
「あれ?聞いてねーの? 今日、姫様が帰ってくんだよ」
「姫様?」
「姫様っていうか、皇女殿下って言った方が良いのか? まぁ、その姫様、地球に留学してたんだけど、色々あって帰ってくることになったらしいんだわ」
ウィリアムは喋りながら、ミカドのカレーに箸をのばす。ミカドはそれをスプーンで防ぎながら訊ねる。
「それと、食堂に人が居ないのにどんな関係があるんだよ?」
「それは、あれだ。姫様が帰ってくるってんで、陛下が舞い上がっちまって、帰国祝いのパーティーを開くとか言い出して、みんな、その準備に大忙しってわけだ」
ふーん、と頷きながらもミカドは自分の疑問は尽きることがなかった。
「なんで、急に帰国することになったんだ?」
ウィリアムはうーん、と唸り、もったいつけるような口振りで話し始めた。
「なんか、噂で連邦のとある基地がテロリストに襲撃されたらしいんだわ。それを知った陛下が、そんな危険な国に大事な娘を留学させたままにはできないって無理矢理、連れ戻すことにしたらしい」
「なんだそりゃ? 過保護すぎだろ」
その程度の危険で帰って来なければいけないのなら、毎日、死の危機に直面している俺はどうなるというのだ。
「あー、ミカドくんミカドくん、君が何考えてるかは解らないけど、相手は一応、女の子だからね。宇宙生物と素で切った貼ったできる君と一緒にしないようにしようね〜?」
暗に、異常と言われたミカドは面白くないといった様子で、ふん、と鼻を鳴らす。

「だが、過保護には違いあるまい」
声を発する。
その声にウィリアムはおろか、ミカドすら困惑した。
男らしい口調、しかし、その声音は女性のもの。当然ミカドのものでもなく、ウィリアムのものでもない。
だが、二人はその声の主を知っている。
二人は恐る恐る、声のほうを見る。
それは、ミカドのすぐ隣にいつの間にか座っていた。
「そんなに見るな。テレるではないか」

そこに居たのはミカドとウィリアムの天敵、セレア・ゴッドウィンだった。
216ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/11(土) 22:31:59 ID:???
>>七四三さん

乙&GJっす

俺もほぼ完成したので明日くらいに投下できると思う…多分
217通常の名無しさんの3倍:2008/10/12(日) 00:39:41 ID:???
AGE
218通常の名無しさんの3倍:2008/10/12(日) 02:32:55 ID:???
乙です
219通常の名無しさんの3倍:2008/10/12(日) 10:46:55 ID:???
GJ!
220191:2008/10/12(日) 14:30:46 ID:???
>>七四三
GJ!
221ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/12(日) 19:59:58 ID:???
ここで七四三との性能差を思い知らされて投下しづらくなったミィルっす。

※このお話にはさりげなくチート要素が含まれています。
222ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/12(日) 20:00:23 ID:???
七話:死の待つその先(後編)

「トライブレードを避けたところで君がここで死ぬのは変わらん!」
レイヴの操縦しているデスフォーンはビーム・クローを展開、中破したストレングスへ一直線に突撃する。
「だから俺は生きるんだよぉおぉぉぉぉぉおぉぉおッ!!!」
ミィルは叫ぶと、右腕のサーベルをブン、と一度振り左手のビーム・クローを受け流す。
「それで避けたつもりか!?」
右手のビーム・クローがコクピットを狙う。ストレングスはコンマ1秒早く2歩下がる。
ビーム・クローはコクピットハッチを削り、コクピットハッチには穴が開き、ミィルの顔が見えた。
「まだ…だっ!!!」
右手のサーベルで、左腕を溶断する。火花が散り、デスフォーンには衝撃が走った。
「さっきとはまるで別人だッ…!」
一旦体勢を整えるため、後ろへ後退するデスフォーン。そしてマウントされていたビームライフルを取り出すし、メインカメラを射撃する。
見える―!ビームの軌道が!はっきりと!かわせる!心の中で呟く。まずビームの軌道が見えるなどと言う事はありえない。
すなわち現在のミィルは人間を超越している事を表していた。しかし、メインカメラにはビームが直撃した。
「くそっ!見えたのに避けれない!?俺の反応速度に機体が追いついていないのか!?」
これでは宝の持ち腐れ。そして状況は悪化していく―――…

「数が多すぎる!これじゃぁ時間の問題だぞっ!」
同時刻、トリントン大尉は戦闘の最中だった。ダルタイルの戦艦セクメットが襲撃に来たのだ。
兵力に乏しいこの基地で、物量戦は不利な事は火を見るより明らかだろう。
「ゴキブリみたいによく沸くなっ!!」
ミックはダンデス二機をビームライフルで撃墜しながら言う。
「後は時間の問題ですねぇ、ベイン中尉…ってアレ?何処いったんだろう…」
五話冒頭に登場して以来未登場のキースはベインがいない事に気付く。そのベインはと言うと…
「ったく、黙って戦艦の中にいるわけねーだろ!!俺だって闘いたいんだよォ!!!」
ベインは強奪した機体ライアットを駆り、戦場を駆け回っていた。
「…………ん?警告音?うぉっ!!」
MA形態のライアットの肩にビームがかする。
「チクショウ!誰だ!?撃ち落としてやろうか!?クソ!」
声を荒げ、操縦桿を強く握り締めるとベインはあらゆるところにビームを放つ。
「そこの、貴方の相手は私よ」
冷静な声でライアットに対して言い放ったのは、
登場しておきながらほとんど登場しなかったセシルだった。いや、何かごめん、うん。
「テメーか!さっきのビームを俺に撃ったのはよォォォ!!クソアマ!ぶっ殺してやらァ!!」
ベインは汚い言葉を吐き捨てると、MS形態に変形し、ビームサーベルを持つ。
そしてセシルの搭乗するヘビーデーモンに突進していった。
223ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/12(日) 20:01:02 ID:???
「突進するだけなら誰でも出来るわ」
左へ回避し、左手でビームサーベルを握ると、着地したセクメット目掛けて勢い良く振り下ろす。
「そんなもんわかっとるわこのヤローッ!!!!!」
ビームサーベルで右から左へ受け流すの歌、じゃねー受け流す。
「振り下ろすぐれーなら誰でも出来るぜ!?単細胞!!」
「そんな幼稚な返ししか出来ないの?単細胞はアナタでしょう」
書いていてどうでもいい言い合いをしながらビームサーベルでの攻防を繰り広げる。
「ヘッ!ここは戦場だぜ!?俺達だけが闘ってるんじゃないぞ!?単細胞!」
「そんなの言われなくてもわかってるわよ、何を今更――…」
敵のダンデスが、ビームライフルで背後からセシルのヘビーデーモンを狙撃した。
ビームは左腕に見事命中し、肩から下を失う。
「っ…迂闊だった………!」
慌てて後退するセシル。先のダンデスはそれを追う。
セシルのヘビーデーモンはダンデス目掛けてビームライフルを連発する。3発撃ったところでコクピットにヒット、爆発する。
ライアットはMA形態に変形、アーム・ビームガンを連発しながらセシルを追撃する。
「流石ライアットね…機動性は一級品だわ…でも、勝ってみせる…!」
ライアットの方へ方向転換し、ビームライフルを撃つ。ライアットは余裕で回避、そのまま突っ込んで来る。
「ありがとうよ、この機体のテストになってくれてよぉ!」
MS形態に変形し、そのまま斬りかかるライアット。
「後方注意よ、お馬鹿さん」
ベインは心の中でえ?と思った。その瞬間、二発のビームがライアットを襲う。
「大丈夫か?セシル少尉?」
ナイスプレー、ミックが援護に回ってきたのだ。お陰でライアットの左足と右手は爆散した。
ここまで話を書くのが辛い事辛い事…おっと、愚痴ってしまった。
「すいません…なんとか助かりましたミック少尉」
アレ?なんか親密な関係?と思うがここは夜神月ばりに計画通り、と適当に流しておく。
「くそっくそっくそっくそっ!テメーら、ツラ覚えとくからなァ!今度はギタギタにしてやる!」
いかにも小者っぽく怒りをあらわにしながらボロボロのセクメットをMAに変形させ、逃げて行った。
ここでずんぼり様に負け惜しみをっ!と言って貰いたい物である。何故アムロじゃないかって?坊やだからさ。
「とりあえず戦艦を墜とそう、そうすれば敵も撤退するはずだ」
「そんな簡単な事じゃないですよ…それが出来れば苦労しませんから」  
「…ですよねー」
恥ずかしそうに頬を掻きながら言うミックだった。
224ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/12(日) 20:01:46 ID:???
一方、もう一つの戦場では虎とハムスターが戦っていた。
もちろんハムスターは我等がヘボ野郎、ミィルである。
といっても不思議モードで強い事強い事…窮鼠猫を噛むとはこの事だろう。
「テメェもしつっこいんだよっ!」
ミィルはまだ闘っていた。ほぼ互角の勝負だけに決着が中々着かない。
これも不思議パワーのお陰というモンである。
「これでは平行線だ、いつまでたっても決着が着かん…一気に仕掛けるしかないかっ!」
長々と続くビームサーベルの斬り合いに痺れを切らしたレイヴは一気に決着を決めようと突撃してくる。
レイヴはトライブレードを投げつけた。しかし最強厨の申し子・作者が生み出した超不思議モードによっていとも簡単に避けられる。
ミィルのストレングスが回避したその瞬間にビームライフルで地面を撃つ。爆風と砂煙が辺りを覆い、ほぼ周りが見えない状態になった。
「雑魚キャラみてーなセコい真似しやがって!何処にいるんだよチキショー」
全国の雑魚キャラを敵に回しながら視界状況の悪い砂煙の中を探し回る。

ピーピーピー

警告音がコクピット中に鳴り響く。ミィルは待ってましたと言わんばかりにビームサーベルを構える。
しかし、ストレングスへ近づいたのはレイヴのデスフォーンではなかった。
「うわぁっ!」
コクピットに近い場所をトライブレードで切り裂かれる。
コクピット内の回線や機器が火花を散らせながら壊れる。機器の一部が額を切った。
ミィルの額には赤い液体、血液が流れ出る。多少の痛みは感じたが、どうって事はない。
砂煙が段々晴れていく。レイヴのデスフォーンの機影がミィルには容易に確認出来た。レイヴはまだこっちには気付いていない。
「うぉぉぉぉぉぉおおおぉぉっ!!」
これで最後だ、と言わんばかりに叫び、特攻する。ビームサーベルで敵を切り裂ける範囲まで近づいた時、レイヴはやっとミィルに気付いた。
「何っ!?作戦を逆手に取られたかっ!」
まぁただの偶然なのだが運も実力の内と言うし、ある意味逆手に取ったかも……ないな、うん。
デスフォーンの両手をビームサーベルで切り裂く。レイヴのデスフォーンはよろめき、2、3歩下がる。
「ふっ…艦長を任される身にまでなったと言うのに、よりによって1対1で敗れるとは…情けないな…」
一歩、また一歩と悪魔が近づいてくる。レイヴに恐怖はなかった。だが、まだやりたい事が残っているとなれば、死ぬのは惜しいと感じる。
「はぁ…はぁ…すまんな、殺さなきゃ、殺される…それが戦争なんだ、
お前の分まできっちり生きるし、死んだら天国でワビも入れるからさ、だから―――――…」
ミィルの体に異変が起こる。体が動かない、筋一つ動かせない。頭が割れるように痛い。
動け、動け、そう念じる度に頭から、脳が飛び出そうなくらい痛くなった気がした。
喋れない、何も出来ない、とどめもさせない、頭が痛い。死ぬほど痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い――――…
「とどめをささない――?何が起こったのだ?
とりあえず、ここから逃げさせて貰うか―…全く、惨めだな…この屈辱、今度晴らさせてもらうぞ、連邦の戦士」
ボロボロのデスフォーンを動かし、レイヴは去っていった。

駄目だ――意識が遠のいていく――俺…どうなるんだ?

操縦桿を握ったまま、ミィルの心肺は――――停止した
225ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/12(日) 20:02:25 ID:???
機体名称:デスフォーン(レイヴ専用機)
装甲材料:チタニュウム合金
武装:
ビームクロー×2
ビームサーベル×2
トライブレード
ビームライフル
シールド
詳細:
レイヴの専用機。
量産型との違いは、機動性の向上と多目的センサーの強化、そして
特異な武装である投擲兵器、トライブレードである。
トライブレードは視認性が悪く、スピードも速い為並のパイロットでは避けられない。
シールドは接近戦の邪魔にならないように左肩に固定されている。



あんなに時間かけたのに少ないっす、すんません
226191:2008/10/12(日) 22:17:20 ID:???
>>ミィル
GJ!
なんかミィルや七四三のを読んでたら自分が本当にちゃんとしたの書けるかどうか不安になってきた…
227191:2008/10/12(日) 22:30:53 ID:???

機体名称:ダンデス
型式番号:MS-K00A
装甲材質:チタニュウム合金
武装:
ビームライフル
ビームサーベル×2
バルカン×2
脚部マイクロミサイル

詳細:
AG0065における、ダルタイル軍の最新鋭機。主にエースに優先的に支給される。
主人公を始めとするクロス隊はダンデスのテストパイロットを務めていた。

機体名称:ゴウラ
装甲材質:ライトの考えたなんとか合金
武装:サブマシンガン、プラズマソード、頭部バルカン、ハンドグレネード、シールド
詳細:
ダルタイル軍のMS。フラッグやイナクト的な立場のダンデスに対し、こちらはリアルドやヘリオン的な存在。
ビーム兵器が搭載されていないが、低コストで生産できるのが利点。一般兵用の機体。

228通常の名無しさんの3倍:2008/10/12(日) 22:48:46 ID:???
乙です。
229191:2008/10/12(日) 23:05:25 ID:???
機体名称:ダンデス(エルト専用機)
装甲材質:チタなんとか合金
基本武装:ダンデスと同様。但しマイクロミサイルは無し
追加武装:
アサルトビームダガー×2
→名前がアレだけどただのビームダガー。両肩にマウントされる。
接近戦を得意とするエルトは敵の至近距離まで踏み込み、ダガーによる高速戦闘を行う。
場合によっては投擲することも。
シールド
→小型の盾。ビームコーティングが施されている。先端部が尖っている為刺突攻撃が可能。

詳細:
エルトの乗機。接近戦用にカスタマイズされている為、脚部マイクロミサイルの搭載は見送られた。
例えるならこれはオーバーフラッグ的な存在。

機体名称:ダンデス(隊長機仕様)
基本武装:ダンデスと同様
追加武装:
センサー類
シールド→こちらは比較的大型のもの。ビームコーティング有。
ホーミングミサイル→両肩に装填されている。

詳細:
総合的な能力が通常のダンデスよりも高い。また、通信能力に長ける。
クロスキー・クロスは黒に塗装した本機に搭乗する。

機体名称:ダンデス(ティエル専用機)
基本武装:ダンデスと同様。但しライフルが専用のもの、ビームサーベル無し
追加武装:
高出力ビームライフル→射撃を得意とするティエルのメイン武装。イメージはバスターのあれ。
ビームサブマシンガン→予備の武装。イメージはキュリオスのあれ。
シールド→大型のもの。射撃の邪魔になる為ダブルオーのあれみたいな感じ

詳細:射撃を得意とするティエルの乗機。後方支援仕様

なんかすいません、一話も投下できてないのに設定ばっかで…
そのうち一話投下します




230通常の名無しさんの3倍:2008/10/12(日) 23:24:29 ID:???
乙です
231191:2008/10/13(月) 18:39:28 ID:???
とりあえず今から第一話前半投下します
ぶっちゃけおもしろくないと思う
232191:2008/10/13(月) 18:43:28 ID:???
機動新戦記ウィードガンダム外伝
機動戦士ガンダムL(ライトニング)

第一話

アフターグリード世紀0065年…それは地球連邦に対するダルタイル帝国の侵略が最も激しかった時代。
ダルタイル帝国は非人道的で残虐な弾圧行為を地球側に対して行っていた。

AG0065 7月 地球 南アメリカ山岳地帯上空

ダルタイル帝国の輸送飛行艇が数機、夜空に弧を描く。その中の一機の中に、憂いを帯びた表情の青年が乗っていた。
エルト・ロウというその青年は、紫の瞳で窓の外を眺めていた。
整った黒髪とまだ幼さが残る顔つきからは彼が軍人、しかも少尉の階級を持つ将校だとはわからないだろう。
「……ふう」
エルトがため息をつくと、部屋のドアが開いた。
「おっ、何してんの?エルトロー」
「…ティエル?やめてくれよ、その呼び方。アウトローと語感が似てて嫌だって言ってるだろ」
…つまらないとかダジャレにすらなってないとかそんなことは言わないで、というのは置いといて…
まあとりあえず、ダークレッドの髪を持つ少女、ティエル・レナードがふふっと笑いながらエルトの隣にやって来る。
「隣いい?」
「どうぞ」
「そう呼ばれたくないなら、名前なんて変えなきゃ良かったのに」
「…これは俺の覚悟なんだよ、軍人としての」
「お母さんの旧姓なんだっけ?」
「まあね。ほら、俺じいちゃんが軍人だったから」
「ゴディアス・ロウ中将…こんな奴がそんな人の孫だなんて、ちょっと信じらんないわ。あたしより成績悪いクセに」
「酷い言い草だな。ティエルこそ、立派なおじさん…いや、レナード大佐の娘じゃないか。父娘そろってエリートなんて、素直にすごいと思うよ」
青年には両親が無かった。
新聞記者の父と、普通の主婦であった母との間に育った平凡な少年時代に、地球軍の攻撃に巻き込まれ二人ともこの世を去った。
その後、母方の祖父の副官であったドレーク・レナード大佐のもとに引き取られ今に至る。
青年の祖父、ゴディアス・ロウ元中将は「闇を横切る閃光」と呼ばれたダルタイル軍の英雄だった。
しかし彼もまた寄る年の波には勝てず、青年の両親が亡くなる前に亡くなっている。
戦争の早期終結を願い、軍に志願した青年はやがて一般人であった父方の名を捨て、母方の姓を名乗ることにしたのであった。
「なあ」エルトがティエルに話しかける。
「今作戦で襲撃する連邦の基地ってさ、ダンデス6機とゴウラ10機も出すほどのとこかな。俺はちょっとやりすぎだと思うんだけど」
「サカザキ少佐、焦ってんじゃない?ほら、こないだドニ少佐が三等勲章貰ったじゃない。それで何か手柄を立てないと〜みたいな」
サカザキというのはエルトの所属するクロス隊と共に今作戦を遂行することになっている隊の隊長である。また、今回の作戦を提示したのも彼だ。
「それにしてもやりすぎだと思うんだけど。殲滅でもしろってことか…?」
エルトがそうつぶやいた時、警報が鳴る。
「目標降下ポイントまで20分。サカザキ隊、クロス隊所属の者は各自MSへ搭乗せよ、繰り返す…」
「やれやれ、それじゃ行こうか」
青年は重い腰を上げた。
233191:2008/10/14(火) 02:07:49 ID:???
なんか目が覚めた…
この時代の地球軍主力MSを二種類考えようと思ってるんですが名前が思いつかない…
そんなわけで募集します
1.地球軍最新鋭機(エース用)
2.地球軍量産機(一般兵用)

なんかいいのあったらお願いします
234通常の名無しさんの3倍:2008/10/14(火) 02:20:07 ID:???
@ヴィルザード
Aテンプレス
また勢いで考えた、当然元ネタはない

ところで投下終わった時は「続く」とか入れた方がいいと思うがどうだろうか
235191:2008/10/14(火) 02:48:38 ID:???
>>234
ありがとう!それでいきます
入れるの忘れてたよ…すまん、次から気をつけます
236通常の名無しさんの3倍:2008/10/14(火) 23:50:39 ID:???
>>232
GJです
237ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/15(水) 01:22:56 ID:???
あんまり話題に上がらない地味な私がやってきましたよっと
あんまり時間がとれなくて作業が思ったほど捗らないが…明日までには、なんとかする予定だ

その前に、携帯用に再放送とかするべきか?
ZIP配信だったからあらすじのみの奴もいるんじゃないのか?
そうなら、少々迷惑になるかも知れないが、1、2話まとめて出すことになるが…


とりあえず、次世代型量産機を考えてみた

ReW(リィウ)
リファイン・ウィードの略
凡人にでも扱えるようファンネルなどの特殊な武装を排除し、コストダウンした機体
238通常の名無しさんの3倍:2008/10/15(水) 16:12:28 ID:???
>>191
乙です
キャラのネーミングセンスがいいですね

>>237
乙です
わかんない人もいるかもしれないから1話から投下した方がいいのでは?
楽しみにしてます
239七四三:2008/10/15(水) 18:01:17 ID:???
>>237
俺も基本的にはケータイの人だから、そうしてもらえると嬉しいかも



それとは、別にとりあえず続きを投下します。
240七四三:2008/10/15(水) 18:03:55 ID:???

「うわぁああぁぁぁぁぁ!!」
天敵の突然の登場にウィリアムは恐怖に顔をひきつらせ悲鳴をあげる。
それに対してセレアは、
「五月蝿い」
そう言ってウィリアムに対して何かを投げつけた。
投げつけられたソレは目視出来ない速さで、ウィリアムの眉間に直撃し、意識を奪う。
ウィリアムは糸の切れた操り人形のように力無くテーブルに倒れ込み、その頭が鍋の中に突っ込む。
「やはり、貴様はギャグキャラだな。狙ったのかそうでないのか判断がつかんが、なかなか出来ることではない」
おでんの鍋の中に頭を突っ込んだウィリアムを不遜な態度で眺めるセレア。
「おまえは本当に、いろんな意味で人として最低だなぁ」
ミカドは鍋の中で溺死しそうなウィリアムの頭を引き上げ、テーブルの上に置く。その時、ゴンッと鈍い音がしたような気がしたミカドもセレアも気にしない。

「ふっ、貴様は今、私を最低と言ったが私はその言葉に対して、何も思うことはない! なぜならば、それは貴様の主観的見解に過ぎないからだ!客観的事実として、私が最低という証拠が出て来ない限り私は反省しないぞ!」
「……何でおまえそんなに男らしい口調なの?」
もちろん、セレアは女、それも美少女だ。場合によっては超が付くほどに。
「つーか、おまえ客観的事実とか言ってるけど、前は
『誰か一人でも私を信じる者が居るのならば、私はその者の信頼に応えるために自分の生き方を貫き通し、決して自分に対して反省する事はない!』
とか言ってただろ。コレって、99%の人がおまえが最低って言う客観的事実があっても、1%の主観的見解がある限りおまえは反省しないってことだよな?」
ミカドはセレアを見る。
「あーあー聞こえない聞こえない」
そんなセリフを言いながら、平然と自分の注文したうどんを食べていた。
「おまえ、本当に最低だなぁっ!」

思わず、大声をあげたミカドだったが、セレアは完全無視でうどんを啜っている。
もういいや……
ミカドの中に諦観の念が芽生えた。
とりあえず、食事を続けよう、そう思い、手に持ったスプーンでカレーを食べようとした、その時、ミカドは気づいた。
「スプーンが……無い……!?」
さっきまで、ウィリアムの箸を防いでいたハズのスプーンが手の中から消えている。
「おまえ、何した?」
努めて冷静にミカドはセレアに聞く。

241七四三:2008/10/15(水) 18:07:47 ID:???
「投げた」
一言で答えがきた。ミカドは脳内でセレアの言葉を補完する。
セレアが投げる動きをしたのは一度、ウィリアムへの攻撃の時。
つまり――
「武器にしたのか!?」
セレアは肯定するでもなく、ただ、うどんを啜っている。
手に持った物を相手に気づかれずに奪い取る。そんな技をセレアは習得していた。
使いどころを考えろ!!
そう言ってやりたいミカドだったが、正直、もういいや……
という気持ちになってきた。
ミカドは席から立ち上がり、代わりのスプーンを取りに行こうとした。
「ついでに、七味唐辛子を取ってきてくれ」
背中にセレアの声。

この女、いつか必ずぶっ殺す!!


スプーンと七味を持って、戻ってくるとウィリアムが復活し、セレアと何か話していた。
天敵とは言いながらも、なんだかんだで、この二人は仲がいい。
そもそも、セレアもウィリアムも嫌いな相手には口もきかない。それどころか、近寄ろうとすらせず、相手が近寄ってきたら逃げるような奴らだ。

「おお、持ってきてくれたか。誉めてやる、よくやった」
ミカドはセレアに七味唐辛子を渡す。
不遜な態度のこの女がこれでも恐ろしくモテるのがミカドには不思議だった。
やっぱり、顔がいいからなのか?
と、セレアと同じ学校に同じ学年で同じクラスの隣の席に座るミカドは思った。
「パシリにするなんて、ミカド可哀想」
「パシリになどしてはいない。私は頼んだだけだ」
ウィリアムとセレアのやり取りを聞き流しながら、ミカドは残ったカレーを食べる。
食べながら、ミカドはセレアに訊ねる。
「なんで、おまえ此処にいるんだ? パーティーの準備を手伝わなくていいのか?」
すると、セレアは薄い胸を張って言う。
「ふっ、私のように有能な人材は秘密兵器と呼ばれ、ここぞという場面で投入されるのだ!――だが、何故か何時までたっても、一向に呼ばれる気配は無いっ!これは何故だっ!?」
「知るかっ!!」
そう言ったものの、ミカドは、すぐにその理由に思い至った。
この美少女メイド、セレア・ゴッドウィンは戦うこと以外に能が無いのだ。
「それって、ハブられてるんじゃないか?」
ウィリアムが言ってしまった。
242七四三:2008/10/15(水) 18:10:11 ID:???
「何を言う! この私がハブられているだと!? バカなことを言うな!根拠を言って見ろ!!」
そんな、ムキになるなんて自覚あるんじゃないのか?おまえ。
思ったが、口に出すと厄介なことになりそうなのでミカドはだんまりを決め込むことにした。
「胸に手を当てて考えてみ? 思い当たることあるだろ?」ウィリアムの言葉にセレアは、ふむ…と頷き胸に手を当てた。
少し考えるような仕草を見せ、そして言った。

「柔らかい」

「嘘だっ!! そんな、まな板が柔らかいわけ――」
ウィリアムの叫び。
セレアがテーブルの上に飛び乗り、向かいの席に座るウィリアムの頭に蹴りを入れる。
ウィリアムはやはり、声もなく崩れ落ちた。

………あれ? なんか色々とおかしくないか?
困惑するミカドをよそにセレアはテーブルから飛び降りた。
「不愉快だ!寝る!」
ふて寝かよ……パーティーの準備の手伝いはどうするんだ?
そう思ったものの、ミカドは背を向け、歩き去るセレアに声をかける気にはならなかった。
単純に面倒臭いというのもあるが、余計なことを言うと自分がウィリアムの二の舞になるような気がしたからだ。
ミカドは適当に見送ることにした。
――しかし、突然、セレアが振り向いた。
何故か、微妙に頬を染め、恥じらうような仕草だった。
「ひ、一つ聞いておきたいのだが、貴様は…ミカドは…やはり巨乳派か?」
急に何を言い出すんだ、この女は?
何故そんな話が出てくるか全く理解不能なんだが…
「別に、そうでもない。俺はすらりとした感じの方が好きだ」
「つまり、貧乳派ということだなっ!そうかそうかよくわかった!」
いや、別に、そういうわけでもないんだが……
否定しようと思ったミカド。しかし、セレアが何故か喜んでいるため、否定するのを躊躇う。
「私は少し寝る。それでは、おやすみ!」
セレアはスキップさえしかねない様子で、食堂から出て行った。

243七四三:2008/10/15(水) 18:13:00 ID:???
「なんなんだ、あれ?」
いつも以上に訳の分からないセレアにミカドは困惑した思いを抱く。
「あーあー、羨ましいなぁキミ」
声がした。見ると、ウィリアムが復活している。
「フラグ、立っちまったぜ。キミ」
ビシッとミカドを指差し、ウィリアムが言った。
「ナニ言ってんだ? おまえ」
胡散臭いもの見るような目のミカド。
「わからないか? フラグだよフ・ラ・グ! この間、貸したゲームで学ばなかったか?」
「ああ、あれな。男と女が肉弾戦するヤツ。あれ、イマイチだったぞ。なんか、おまえの趣味が透けて見えるようで気持ち悪い。つーか、おまえが貸してくれるのって、何で男も攻略対象に入ってるんだ?」
「男じゃない!男の娘だっ!!ってゲーム談義をしたいわけじゃない!」
「じゃあ、なんだよ。ハッキリ言え」
ミカドは面倒臭いものを見るような目で言う。
「うわっ、なにその態度、ヒドくない? もういい、教えてやんねーから」
そう言って、ウィリアムは立ち上がった。
「おい、どこ行くんだよ?」
「帰る」
拗ねてんのか、こいつ?呆れるミカド。
「パーティーどうすんだ? おまえ、インペリアルガードだろ。出席しないとマズいだろ」
ミカドの言葉にウィリアムは肩を竦めながら返す。
「俺が出なくても、他の真面目な奴らが出るから大丈夫さ」
そういう問題じゃねーだろ。
こんな、適当勝手な性格であってもウィリアムはインペリアルガード。皇族の護衛、ひいては帝都の守りの要となる最精鋭の部隊の一員だった。
隊員それぞれが文字通り、一騎当千の実力を持つ集団、ウィリアムはその中でも史上二番目の若さで加わった、まぎれもない天才だった。

だけど、性格とかがなぁ……
詳しい理由はわからないが、ウィリアムは他のインペリアルガードと折り合いが悪かった。
おそらく、性格の不一致だとミカドは思う。大概のインペリアルガードは皆、真面目なふりをしながらも、しかし腹に一物を抱えているような奴らばかりだと、今まで会ったことのあるインペリアルガードのことをミカドは思い出す。
あけすけな性格のウィリアムはそういう奴らが嫌いなんだと結論づける。

「とにかく、俺は帰る!」
そう、断言するとウィリアムは食堂の出口に向けて歩き出した。
ミカドは止めようとはしなかった。言っても聞かないだろうし、単純にめんどくさかった。
ウィリアムは食堂の出口付近にさしかかると、ミカドの方を振り返った。
244七四三:2008/10/15(水) 18:17:57 ID:???
「本当に帰るからな? いいんだな? 帰っちゃうからな?」
ミカドは無視する。
なんだか、今日はどいつもこいつもテンションおかしいなぁ……と、そんなことを考えていると。
「そこは引き止めるところだろう! うわーん」
と、変な声をあげて、ウィリアムが食堂から走り去っていった。
残されたミカドはウィリアムとセレアが片づけることなくそのままにしていった食器を片づけ、自らも食堂を後にした。


食堂を出たミカドは廊下を歩きながら考える。
とりあえず、何をするか…?
やることはいくらでもあった。
窓拭き、トイレ掃除に倉庫の片づけ、空中庭園の草むしりや花の水かけもやっておいた方が良いだろうか?
考えながら歩いていると不意に、皇城の警備兵とすれ違った。

「今の誰だ…?」
すぐさまミカドの中に疑問が生まれる。
しかし、ミカドが振り返った時には警備兵の姿はなかった。
警備兵が歩いてきた方を見ると、そこにはインペリアルガードの制服をまとった男がいた。
マグナス・クラーバという名前だったとミカドは思い出す。
金髪のオールバックに長身のインペリアルガード、マグナス・クラーバは冷めた眼差しでミカドを見る。それには、どこかこちらを見下すような色があった。
その視線を不快に感じたミカドは一刻も早くこの場を立ち去りたい気持ちに駆られた。
今なら、ウィリアムが他のインペリアルガードが嫌いな理由もミカドにはわかる。
しかし、ミカドはこの男に先ほど、すれ違った警備兵について聞いておかなければいけないと思った。
ミカドはその場から立ち去ろうとするマグナスを小走りで追いかけ、そして単刀直入に訊ねた。
「さっきの警備兵は誰ですか?」マグナスは振り返り、ぼそりと呟いた。
「無礼だな……」
その目には先程以上に見下す色が強まっていた。
無礼なのは承知だった。
インペリアルガードと雑用係にどれほどの身分の差があるかは理解している。それでも、さっきの警備兵については話しを聞く必要がある。ミカドはそう思った。
マグナスの見下すような視線に対し、ミカドは身分の差を盾に逃げることは許さないと自らも視線に力を込めマグナスを見る。
睨み合い、やがて観念したのかマグナスは口を開く。
245七四三:2008/10/15(水) 18:20:34 ID:???
「ただの警備兵だ。私は彼と今日の祝典の警備について話しただけだ」
鬱陶しいと言わんばかりの口調。ミカドはそれに対し真っ向から、自分の疑問をぶつける。
「変ですね。俺は、この城の殆どの警備兵とは顔見知りなんですけど、さっきのヤツはこの3ヶ月で一度たりとも見たことが無かった」
「新入りなのだろう」
マグナスの言葉にミカドは釈然としないものを抱く。
「気になるのならば本人に直接、話を聞けばいいだろう?」
そう言うとマグナスはミカドに背を向け、
「私は忙しい。こんな事で時間を取らせないで欲しいな」
言葉を残し、歩き去った。
ミカドはマグナスの背中を目で追いながらも、モヤモヤとした気分に苛まれていた。

自分は仕事をしなければならない。しかし、さっきの見知らぬ警備兵のことも気になる。
「あー、もうっ!くそっ!」
ミカドは頭をかきむしり、警備兵が歩いていった方へと自らも走り出した。



インペリアルガードの副隊長を務めるガルヴァ・ガウンズは華やかなパーティーの空気を味わいながら満足していた。
ダルタイル帝国第一皇女、マリア・カーメンの帰国祝いのパーティー会場にてガルヴァは皇帝陛下のそばに控え、油断無い戦士の表情をしながらも、その心の中は喜びに満ちていた。
目障りなあの男がおらず、そしてあの男の代わりに、自分がこの場の指揮を取る立場にいることがガルヴァには快感だった。
あの男さえいなければ、自分は今頃、インペリアルガードの隊長だったはずだと、常々抱いている思いが報われる、そんな瞬間だった。
現在、皇城にいるインペリアルガードは自分とマグナス、そして皇女の専属警護を務めるベアトリスの三人だけだが、それぞれが一騎当千の実力を持つ猛者たち、この布陣の前では滅多なことは起こるまい。そうガルヴァは高をくくっていた。
ガルヴァの頭の中は既に無事に祝典を終えた際に、自分に与えられるであろう高い評価へと向かっていた。
そして、その評価の積み重ねによりあの男を、インペリアルガードの隊長であるあの男を追い落とし、自らが隊長になる姿をガルヴァは夢想していた。

246七四三:2008/10/15(水) 18:21:43 ID:???
だが、そんなガルヴァの思惑とは裏腹に異変は確かに起きた。
それは、皇城から離れた帝都の一角。

突如、爆音と共に帝都が揺れた。
次いで、炎が帝都の一角を包み、火柱が立ち上った。

城内にて見知らぬ警備兵を追うミカドは揺れを感じ異変を察した。
帰ると言いながら、帝都を遊び歩いていたウィリアムは間近でその揺れを感じ、火柱を見た。
医務室で昼寝をしていたセレアは何も気づかなかった。
パーティー会場となった広間の窓から火柱を見たガルヴァは、自分の夢が儚く散るものだということを確信した。


第三話 始まりの火 ―終―

四話に続く
247七四三:2008/10/15(水) 18:27:01 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第四話 西風の騎士

帝都の一角より上がる、天を焼くような炎の柱。
それに対し、最も速く動き出したのはウィリアム・ケインズだった。
帝都をふらふらと遊び歩いていたウィリアムは炎が上がるやいなや、別人のように真剣な顔となり走り出した。
向かう先はもちろん、炎の上がった区画。
先程の爆発音から、人為的なモノだと確信したウィリアムは躊躇うことなく走り出した。
走りながら、ウィリアムは生体端末を起動させ、皇城との連絡を取ろうとする。
しかし、応答はない。
不穏な気配を感じたウィリアムは生体端末からある操作を行う。
『転送、開始シマス』脳内に声が響いた。数秒のタイムラグの後、目の前に一体のMSが現れた。
ゼピュロス改――インペリアルガードであるウィリアムの専用機。
背中に畳まれた羽が特徴的な淡いブルーの機体。ウィリアムはすぐさま、愛機に乗り込む。
どんな状況にせよ、おそらくMSが必要になる、そんな予感がした。
ウィリアムは機体を起動させる。
機体には何の問題もない。ウィリアムは機体を操作し、空へと舞い上がらせる。エーテリウムジェネレーターの副次効果である重力制御機能による浮遊だ。
浮くだけなので、移動するにはスラスターを使うしかない。
ゼピュロス改は脚部のスラスターから光を放ち、一直線にその場から、炎が上がった区画へと飛び去った。


その頃、皇城では――

祝いの席は、一転して緊迫した状況となっていた。
原因は一つ。
それは参加者達に向けられた銃口にあった。
帝都の一角より上がった火柱、それと時を同じくして会場に突入してきた襲撃者達は瞬く間に会場を制圧した。
多勢、それに加えて完全武装の襲撃者達に対して、武器も無く、数も少ない状況ではインペリアルガードといえども戦いようはなく、ガルヴァ、マグナス、ベアトリスの三人も敢えなく、捕らわれの身となった。
そして、それは彼らの主たる皇族も例外ではなく、皇帝も皇女も共に縄をうたれ、床へと座らせられていた。
「何が望みだ…?」
縄で縛られた痛々しい姿ながらも、ダルタイル帝国皇帝ギグルスタン・カーメンは平時と変わらぬ威厳を保ち、襲撃者たちに問い掛ける。
その視線は銃口を向ける襲撃者達の背後に、悠然と佇む一人の男に向けられていた。
襲撃者の中で一人だけ仮面で顔を隠したその男は皇帝の視線を受けながら、答える。
248七四三:2008/10/15(水) 18:28:34 ID:???
「WEEDを我々に渡せ」

WEED…?
聞いた事のない言葉だった。困惑し、頭の中に疑問符が生じる皇帝だったが、すぐさま切り替え、平静な表情を維持する。
何が弱みになるかわからない以上、可能な限りこちらの情報は隠し、不利にならないようにするしかない。そういう判断だった。
「WEEDをこちらに渡しさえすれば、あなた方はすぐに解放しよう」
男は仮面の奥からくぐもった声を発する。
WEEDというものが何かわからない以上、皇帝にはどうすることもできない。
しかし、皇帝はそれをおくびにも出さず、威厳のある声で男に訊ねる。
「渡さねばどうなる…?」
「その時は――」
男は間を空け、顔を窓の外の帝都へと向け、言う。
「帝都が焼け野原になる――それだけだ」
事もなげに男は言う。
つられて、窓の外を見た皇帝、ギグルスタン・カーメン。しかし、その口の端には笑みが浮かんでいた。
彼は見た。
一機の青いMSが帝都の空を飛ぶ姿を。
「何がおかしい?」
仮面の男は、皇帝の口許に浮かぶ笑みを見咎める。
「残念だが、貴様等の望みは叶わんぞ」
そう言うと、皇帝ギグルスタン・カーメンは、はっきりとわかる笑みを浮かべ、そして言った。

「ダルタイルを…嘗めるなっ!!」

皇帝の大喝が、広間に響いた。

続く
249ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/15(水) 19:26:06 ID:???
 AG0079.9.23

 ザザ……ザジョー? ――こザザ此処よザザ……
 ノイズだらけの通信回線から辛うじて婚約者の声を拾いだしたとき、
ジョー・グレイグは踊りだしたい気分だった。量産型ガンダムの狭苦しい
コクピットでなければ、確実にそうしていただろう。

「メリッサ……ああ良かったよメリッサ!」
『ジョー? 感激してないで早く回収してくれると嬉しいんだけど?』
 一見しては動力が生き残っているとは思えないほど損傷した量産型に
無骨な機体の指が触れると、接触回線を通じて彼女の声がする。

 あの阿呆――ウィングハートの攻撃にメリッサ機が巻き込まれた時は気が気でなかった。
ガキの声と気配がするガンダムは、未だ元気に戦場で暴れている。
 回収するなら今のうち、だ。

「あ、ああ……! 今外からハッチを開けるよ。今日ほど神に感謝した日は無いね」
『あら、私から"イエス"と返事をもらった日は、二位以下に転落かしら?』
「それは別格さ――開いたよ」
 ありがと――とこの声は、メリッサのノーマルスーツから聞こえた声だ。
聞こえは悪くなったが、それはメリッサとジョーの距離が縮まったという事、
ジョーはメリッサが熱烈な抱擁とキスの雨を降らせてくれる瞬間を、今か今かと
待ちわびていた。

 ジョーが開けた量産型ガンダムのハッチから、損壊したヘビーデーモンが見える。
 そして、こちらに向けて泳いでくる彼女の姿も。
 ジョーは手を伸ばした――レーダーに反応? ジョーが叫ぶ。
「――メリッサ! 早く来い!」
 メリッサは、ダンスホールでジョーがエスコートを申し出た時のように手を差し出し――
その体を、ウランミサイルの放射線がなぎ払った。
「メリッサあああああああああぁぁぁーー!!」


新機動戦記外伝ガンダムA(アヴェンジャー)

「第一話 墓前の誓い」

AG0080
先の大戦から2年経ち、世界は少しずつではあるが、落ち着きを見せ始めた。
だが、人々が心に負った傷は今だ癒えず…各地では、内戦が絶えることはなかった。
250ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/15(水) 19:27:04 ID:???
=== コロニー『ガニメデ』内、共同墓地 ===
「メリッサ・リーここに眠るか…」
この物語の主人公、ジョー・グレイグは墓の前に立ち、ゆっくりと煙草を一服していた。
「なんで…こうなっちまったんだろうな」
あの時、ウィングハートの撃ったミサイルが近くで爆発し、メリッサはその衝撃で吹き飛ばされはしたが
なんとか無事に救出することは出来た。
だが、そのときにはもう手遅れだった。
俺とメリッサの体は大量の放射能に既に汚染されていた。
戦争が終わり、俺たちは軍を辞めて、普通の暮らしを始めるつもりだった。
リクルートスーツを着て、商社マンをやるのでもいいし、どっかの工場とかで機械弄りするのも捨てがたい
いっそ、2人で店でもやるか、そんなことをいいながら、俺たちは俺たちが掴んだ平和を生きるつもりだった。
それがまず牙をむいたのは、愛しいメリッサからだった。
結婚式前、メリッサが倒れ、病院へ運ばれ、入院することになった。
俺は始めは、軽い貧血とか性質の悪いマリッジブルーとかそんな寝ぼけたことを思いながら、病院へと急いだ。
そのときの俺は、まさか、こんなことになるなんて夢にも思わなかった。
「ジョー…グレイグさんですね」
メリッサの病室へ向かう途中、医者が何か重苦しい表情を浮かべて俺を引き止めた。
「そうだが…なんかようか?」
「先ほど運ばれたメリッサさんについて、お話があります。少しよろしいですか」
医者の様子がおかしいと感じた俺は、大人しく医者についていくことにした。
診察室に入ると、医者は訳の分からない書類を俺に渡し、静かに話し始める。
「右が健康な人の血液検査の内容です。左が彼女の…見てほしいのは、白血球の項目
 彼女の数値が異常に高いのがわかりますよね?」
え…白血球?それぐらい個人差はあるだろ?
「念のため、彼女の白血球を調べたのですが…」
医者が二枚の写真を俺に渡す。
「右が健康な人の白血球です。そして、左が…」
医学なんて俺にはわからない。だが…待て…
もう医者の声なんて聞こえない。
「…率直に言わせてもらいます」
 止 め ろ
「彼女は…」
 言 う ん じ ゃ な い
「白血病です。それもかなり進行している
251ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/15(水) 19:28:38 ID:???

「非常に言いにくいのですが…手遅れです。もって数ヶ月…いや、一ヶ月持つかどうか」
何も聞こえない。
何も見えない…真っ暗だ……

「何か心当たりはありますか」
「……」
「…お2人は元MS乗りでしたね。放射能レベルが強いところには?」
「……無い…」
「では、核を使用した武器、兵器に」
「条約に違反している。ありえるはずが………」
あの時の光景がフラッシュバックする。
「どうかなされましたか」
「1つ…1つだけ、心当たりがある。だが…その前に俺も血液検査してもらえないか」

採血をした俺は、その足でメリッサの元へ言った。
病室に居た彼女は、いつもの笑顔を俺に向けた後、すまなそうな顔で
「ごめんなさい。明日は大事な日なのに…式は当分先ね」
と残念そうに言う。
俺はただ、「あぁ」としか答えられなかった。
その後も俺は、彼女のいう言葉にそうとしか答えられずにいた。
顔に出たのかも知れない。彼女はまるで悟りを開いたかのように、躊躇いなくこう言った。
「ジョー…私死ぬのね」
俺は、言葉に詰まった。
「少し前からね…体の調子がおかしかったの…疲れとかよくある病気かと思ってたわ
 でも…違うのね…私たち人を殺してきたもんね…幸せになりたいなんておこがましかったのかな」
「……強がりは…やめろよ」
俺は泣くのを堪えながらいう。
「強がりじゃないわ…それに、今はどんな病気だって治る時代なのよ
 どんな難病にだって私は負けないわ、少し時間が掛かるかも知れないけど、でも、私は幸せになる」
「…でも」
「治ってから償いをしても遅く無いでしょ?ね…だから」
「…あぁ、頑張って…幸せになろう…なっ」
「ジョー・グレイグさん。検査の結果が出ましたので、診察室へお願いします」
「…はい、じゃあ…今日はもう帰るよ…おやすみ」
252ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/15(水) 19:30:19 ID:???
「白血病でしょ俺」
診察室へ入った俺は開口一番に医者にそういった。
「………」
あっけにとられた医者は言葉を飲み込んだ。
「俺とセットってことは、原因はその1つしかない」
「…知っているなら、なんで病院に」
「核は条約で禁止されている……心理の隙をつかれたんじゃ、わかるわけねぇよ
 …まぁいい…俺は後何ヶ月生きられるんだ?」
「それが…医学的にはありえないというか…新発見というか」
「どういうことだ?」
「白血球の数は確かに増えていますが、正常に動いている白血球が普通と同じなんです」
「もっとわかりやすくお願いできないか」
「艦載機が全部で100機あるならば、50機しか飛んでいないということです。
 白血病は、この艦載機が全て出撃して、味方を攻撃している状態なんですよ」
「…数が多いだけで、後は問題ないってことか?」
「現段階は、しかし…私もこんなのは初めてで…」
「…そうか」

そこから二ヶ月、彼女の闘病生活は始まった。
薬で日に日に、枯れていく姿を見るのは、心痛いもので、でも、少しでもそんあ素振りを見せると
彼女はその度に、俺を叱ってくれた。
俺は俺で、彼女の見舞いの後で毎度検査し、対処法を考えるのが日課になった。
そして、二ヵ月後、AG0080.6.9…彼女は最後まで諦めず病気と闘い果てた。
枯れきった死に顔は、安らかではあったが、悔やんでいる表情をしていた。
そして、葬式を経て、今に至る。

「なぁ、いつもみたいに叱ってくれよ。煙草なんて百害あって一理も無いってさ」
そんなこと言っても、彼女は二度と帰って来ない。
そのことを一番わかっているのは、俺じゃないか
「クソッ…なんで…なんでこうなっちまったんだよ!
 なんで…なんで…味方の攻撃で死ななくちゃならないんだ!理不尽じゃないのかよ」
俺は知らぬ間に涙を流し、彼女の墓に拳を打ち付けていた。
痛みなんて全く感じなかった。痛みでこの気持ちがまぎれるなら、爪を剥ぎ
四肢を切り落とし、傷口を赤く焼けた鉄板に押し付けてもいい。
その時、あの光景がフラッシュバックする。
253ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/15(水) 19:31:06 ID:???
あのクソガキとあの艦の連中が表彰される様を、俺は会場の脇から眺めていた。
止めろ、なんでソイツらを評価する。
そのクソガキは俺の愛しい人を殺し、俺の命も削っているんだぞ
なんで、ソイツを褒める。
条約違反の装備を開発して、クソガキに渡したんだぞ。
ソイツらを何故昇進させる。
クソガキにそんな物騒なものを持たせているのを黙認したんだぞ
拍手なんかするな。祝いの言葉も要らない
………
……

そうか、そうなのか
ここは、腐っていたのか…なら
「…俺は、君をこんな体にした奴らを許さない…あのモビルスーツもパイロットも…作った奴も指揮した奴も…すべて…俺が殺してやる」
その時、彼の目には憎悪の炎が灯った。
これが、新たな戦乱の火種になることを人類はまだ知る由も無い。

プロローグ

「あああああああああああっ――! メリッサぁ――!」
 格納庫で眠っていたジョーは、己の悲鳴に飛び起きる。しばらくあたりを警戒して
自分ひとりであると確認すると、憎悪に握りしめていた掌に滲む血をウェスで拭った。
「ふ……まだ俺の血も赤い――か」
 AG0080. 6.11 と、デジタル時計で日付を確認する。
 技術主任エリオット・アビスも帰宅し、深夜の格納庫に残るのはジョーだけだった。
「いや、お前が居たな」
 そしてジョーは傍らに立つ"相棒"を見上げる。
「もうすぐ――もうすぐだ。完成したお前と共に、奴らを血祭りにあげてやる!」
 ヘイトレッド――全長 21.2m。紅蓮の憎悪と名を冠されたガンダムは未だ沈黙の中、
その超長ビームサーベル"レーヴァンテイン"を振るう復讐の時を待っていた。
254191:2008/10/15(水) 21:52:49 ID:???
>>七四三
おお、遂にMSが!
ウィリアムがかっこいい件w

>>ジョー
GJです。ジョーが復讐劇の中で、何を思いどう戦うのか楽しみ。

ところで今から一話後編を投下しようと思うんだけど、よろしい雰囲気なのかしら?
255191:2008/10/15(水) 21:55:29 ID:???
第一話 月下の攻防戦(中編&後編)

「よおっ、遅かったじゃないか、何やってたエルト」
「…隊長」
陽気な金髪の男が通信で話しかけてくる。
この男が、ダルタイル帝国軍第10分隊、通称クロス隊の隊長であるクロスキー・クロス大尉であった。
「嬢ちゃんも。今からオペレーターによる作戦確認だぜ」
「だから隊長!その呼び方やめて下さいって!」
「ハハッ、いいじゃんか。呼びやすいんだし」
エルトはティエルの方を見てくすっと笑う。
「!ちょっと!エルト!」
ティエルが言った時、オペレーターによる通信が入る。
「ちょり〜っす☆今からクロス隊に本作戦の簡単な概略を説明するぜ」
「………」
全員明らかに引いていた。一人を除いては。
「よう、アレン。よろしく頼むぜ」
「あ、クロス大尉…お久しぶりで…ちょり〜っす☆初めての奴ら、ヨロシクな。
本作戦におけるクロス隊オペレーターのアレン・コーリー准尉だ。好きな食べ物はチョリスだ」
「………」
「OKOK。いいね、その反応。ただし俺は空気なんて、たとえ地球軍に負けることになっても絶対に読まねぇぜ」
さらりと問題発言をした後、アレンは続ける。
「本作戦の目標は、山岳地帯に存在する連邦の補給施設を叩くことだ。もっとも、駐屯しているMSなんざ大したことはない」
「まずはエルト小隊。先陣切って敵の撹乱だ。自慢のダガーでばっさり頼むぜ、ロウ少尉」
「ああ」
「次にエルト隊が囮になってる間に、クロス小隊が敵本陣と補給プラントを叩く」
「OKだ」
「最後に嬢ちゃん隊が後方支援。でかいのぶちかましてやれよ」
「ちょっとアンタ、仮にも私は…」
「OKOK。お茶のお誘いなら今度な」
ふくれっ面のティエルを軽くあしらい、アレンが言う。
「さあ野郎ども、このまま順調に行くとあと3分で到着だ。あー…実は今日は俺の誕生日なんだ、プレゼントには勝利を頼むぜ。地球軍のビッチ共に、目にもの見せてやれよ!」
「そういうわけだ。それなりの戦果を期待しているので、ひとつよろしく」
依然としてポカーンとしている一同に対し、クロスがどっかで聞いたようなセリフを吐く。
ティエルは少し前まで怒っていたが、今では真剣な表情になっている。
対照的に、エルトは先ほど考え事をしていた時の表情ではなく幾分かリラックスしている。
…わけのわからないオペレーションのおかげかどうかは本人のみぞ知るところだが。
256191:2008/10/15(水) 21:57:22 ID:???
そして…
「3,2,1…GO!」
アレンの掛け声と共に、ハッチが開く。
「ィィヤッホォォォォーーーーー!」
クロスが隊長らしからぬ叫び声をあげながら降下する。
「エルト・ロウ、ダンデスカスタム、出る!」
「ティエル・レナード、ダンデスカスタム、いきまーす!」
勢いよく降下したのは、ダンデスカスタム3機と、ゴウラ6機。
さらに、後続隊として、サカザキ少佐率いるサカザキ隊がいるのだ。
この基地を落とすには、度が過ぎていると言える戦力である。
何かがあるな、とエルトは考えたが、すぐに考えるのをやめた。
敵MSの気配を感じたからだ。
「足音からして、テンプレス四機か…一機は高機動型、一機は重装型だな」
冷静な判断で、味方に指示を出す。
「敵MSを確認した。俺とジョシュアで行く。パトリック、援護を頼むぞ」
ジョシュア、パトリックと呼ばれた男達は静かに頷く。
さすがに「いつまでも隊長ヅラしてぇ!」とか、「わかってねぇだろ、俺は(ry」とか言う奴はこの場にはいない。
ただそろそろモブの名前を思いつかなくなっただけで…
早えぇwって突っ込みはご容赦。
グン!と速度を上げ、エルトのダンデスが一機のテンプレスに接近する。
「なッ!速…」
敵がそう呟いた時にはもう、ズバッ!と一閃、二振りのアサルトビームダガーによって切り裂かれていた。
一瞬のうちに、ビームサーベルではもう対応できないほどの間合いにまで近づかれ、ダガーの高速戦闘の前に敗れ去ったのだった。
「…クソッ!ダルタイルの狗共め!」
重装型とジョシュアが、通常型とパトリックがそれぞれ戦闘に入り、エルトは高機動型と対峙する。
「ほう、この俺に機動性で勝負を挑むか」
不敵に微笑む地球軍のパイロット。なんか凄い奴なのだろうか。
テンプレスがビームサーベルを抜き放つ。
「少しは楽しませてくれよ、ダルタイルの新型!」
右手にビームサーベルを、左手に実弾ライフルを構え、凄い奴(仮)が接近してくる。
一閃!の斬撃をクロスしたダガーで受ける。
「胴がガラ空きだぜ!」
凄い奴がライフルを構える。
(やられるッ!)
すかさずダンデス頭部のバルカンで対応するエルト。
「ぅああ!この野郎!」
バルカンがテンプレスの頭部を掠め、凄い奴がのけぞる。
「そこっ!」
ダガーの一つをしまい、ビームサーベルを抜き放ったエルトが斬りかかる。
257191:2008/10/15(水) 21:59:13 ID:???
「ぐおっ!さすがは新型か…!」
テンプレスの右手が切り裂かれる。
接近戦は不利と考えた凄い奴は、撹乱しつつライフルを撃つ戦術をとることにしたようだ。
「うおおおおおお!」
暑苦しい気合いと共に放たれるライフル弾の雨。
エルトはシールドをかざし、身を守りつつ、敵機との距離を狭めていく。
そして、テンプレスが弾切れにより予備のライフルに持ち替えようとした隙に!
「ぐあああっ!」
ドォン!機体が爆散する。ビームサーベルとビームダガー、二刀流による攻撃であった。
「二人は…!?」
エルトは自らの部下の方を見る。
パトリックの方は、辛くも勝利したようである。さすがはスペシャル様。
しかしジョシュアは押されていた。所詮かまs…ゲフンゲフン。
「ジョシュア!」
エルトが叫んだ時…
ビュン!一閃のビームライフルが敵テンプレスを直撃、破壊した。
「これは…ティエルか!」
ティエルから通信が入る。
「やれやれ、これで貸し一つね、つけとくから」
「なんだよソレ…ま、助かったよ、ありがと」
「アンタってなんか変に素直なんだよね…」
「いいだろ、別に。それより隊長は?目標ポイントに到達したの?」
「みたいね。エルト少尉殿のおかげで」
「よせよ。何でそんなにつっかかるのさ。こっちは感謝してるんだぜ?」
「別に。それより隊長の援護、行くわよ。必要ないと思うけどね」
「…了解」
エルト小隊・ティエル小隊…
ダンデス二機とゴウラ四機は、夜の闇に吸い込まれるように、基地内部の目標ポイントへ向かって行った。
258191:2008/10/15(水) 22:00:50 ID:???
一方その頃、クロス小隊は…
「ふう、疲れたぜ、ったく。あ〜…ちゃんと休みとらしてくれんのかね、お偉いさん方は」
先ほどエルト小隊がテンプレスと交戦している間に、クロスは一人でテンプレス四機を撃破していた。
「す、凄えぇ…!」
「ああ、尋常じゃねえよ…!」
いかにもなセリフを吐き、わかりやすい感嘆を示してくれたゴウラ二機のパイロットに、クロスは言う。
「おいおい、ボサッとしてないでお前さん達は燃料プラントの焼却な」
「「は、はい!」」
「やれやれ、サカザキ少佐の出番ねえな、こりゃ。どうせ後で俺が嫌味言われるんだろ〜な…理不尽な世の中だ」
クロスは呟く。
が、理不尽なのはもっともだ。私達は、戦争をしているのよ!(ミサトさんな艦長の声で)
と、そこに。
エルト小隊とティエル小隊が到着した。
「「隊長!」」
「おっ、よう、無事みたいだな」
クロスはフッとほほ笑む。
と、同時にアレンから通信が入る。
「ちょり〜っす☆サカザキ隊から入電。目標ポイントに到達した模様で☆」
「来たよ、どうせ今から何も残ってないここを殲滅すんだろ、あのおっさん」
クロスが大げさなジェスチャーと共に溜息をつく。
「まあ何かしらしないと、手柄立てたことにはなりませんからね」
ティエルが言う。
「だったら何で俺ら呼び出すんだよ…自分楽したいのか?それともアイツただのSかっての」
皆が笑う。どうやらサカザキ少佐はあまり好かれていない人物のようだ。
「おい、引き揚げ準備な。あとはサカザキ隊に任せるぞ!」
クロスが言う。
「ふぅ〜エルト、帰ったら一杯どうだい?嬢ちゃんも」
「隊長、オヤジくさっ」
「いいですね。自分はお酒苦手なんですけど」
エルトとティエルがそれぞれの反応を示したその時、再びアレンから通信が入る。
259191:2008/10/15(水) 22:02:14 ID:???
「お邪魔ちょり〜っす!サカザキ隊、目標ポイントへの降下、失敗!現在ポイントS32で謎の敵MS部隊と交戦中!」
「なんだって!?」
「クロス隊は今すぐポイントS32へ向かい、サカザキ隊の救援を!」
「「「了解した!」」」
通信を切る。
「妙だな…あのオヤジ、性格は嫌味だがパイロットとしての腕は確かだ。救援なんて…」
クロスが神妙な表情で呟く。
「…ヴィルザード、じゃないでしょうか」
ティエルが言う。
「連邦の新型か…有り得るな」
エルトが答える。
「とにかく急ぐぞ!どっちにしたって、こりゃ一大事だ!」
ゴオォッ!クロス隊のMSが加速する。

エルト達が辿り着いた時には、凄惨な状況であった。
サカザキ少佐のダンデスカスタム、ダンデス一機、ゴウラ一機が残るのみであとは無残にも破壊されていた。
「少佐!」
クロスがサカザキ少佐の元へ向かう。
「遅いぞ、大尉!それより援護を早くしろ!」
サカザキが横柄に言うと同時に、救援に駆け付けたクロス隊のゴウラ三機が、瞬く間に破壊される。
「ジョシュアーッ!パトリックー!」
エルトは叫び、ビームライフルを撃ちながらサーベルを抜き、敵機に向かう。
「うおおおおおおおおお!」
バチッ!ビームサーベル同士が激しくぶつかり合う。
地球軍の最新鋭機、ヴィルザード。この機体に乗ったパイロットは静かに呟く。
「また戦いか…」
そう、その男こそ、9年前一躍名を馳せた地球軍の英雄、若きモナーク・ホプキンドであった。

続く
260191:2008/10/15(水) 22:05:14 ID:???
キャラ設定やMS設定の投下は後ほど。
間違いや矛盾などがあったら、遠慮なく指摘してください。
ではスレ汚し失礼しました
261191:2008/10/15(水) 23:08:18 ID:???
とりあえずキャラ設定をば。

アレン・コーリー(24)
所属:ダルタイル帝国
階級:准尉
詳細:
ダルタイル帝国軍のオペレーター。
MSパイロットから転向したらしい。
いわゆるウザキャラ。好きな食べ物チョリスの詳細は不明
てか00のドラマCD聞かなきゃわかんないな…サーセン

オルト・サカザキ(42)
所属:ダルタイル帝国
階級:少佐
詳細:
ダルタイル帝国第8分隊の隊長。
パイロットとしての腕は確かなようだが、性格は良くないようだ
昇進に燃える野心家。

モナーク・ホプキンド(22)
所属:地球連邦軍
階級:少佐
詳細:
連邦軍で最も誉れ高い隊「デルタ隊」の若き隊長。
異例の出世をしている人物。エルトのライバル的存在。
262191:2008/10/15(水) 23:23:11 ID:???
機体名称:テンプレス
装甲材質:チタなんとか合金
武装:
ビームサーベル×1、ライフル×2、シールド、ハンドグレネード

詳細:
AG0065における地球軍の主力MS。高機動型、重武装型などのバリエーションがある。
ザク的存在。

機体名称:ヴィルザード(通常型)
装甲材質:チタなんとか合金
武装:
ビームサーベル×2、ビームライフル、ディフェンスロッド、バルカン×2、胸部ミサイル

詳細:
AG0065における地球連邦の最新鋭機。テンプレスに比べると機動性、攻撃力が高い。
こちらはゲルググ的存在。
連邦は、この機体を元にヘビーデーモンを開発する。

以上です
263ライト・ロダン ◆H5WgPJ.0TA :2008/10/16(木) 17:42:14 ID:???
ちょっと待て。
ダルタイルと戦争が始まったのは0078だぞ?


スレ汚しすまん
264通常の名無しさんの3倍:2008/10/16(木) 18:49:21 ID:???
>>263
本編出来たんじゃないの?
265通常の名無しさんの3倍:2008/10/16(木) 21:36:12 ID:InUlq2Zy
外伝多すぎww
266191:2008/10/16(木) 21:41:41 ID:???
>>263
それをもっと早く言えwww
もうどうしようもねえじゃんかwww
267191:2008/10/16(木) 21:46:05 ID:???
>>263
連投になって悪いが、22年前モナークが英雄になったのに何で開戦がその22年後なんだよwww
268七四三:2008/10/17(金) 00:06:18 ID:???
ライトに伺いたてるよりも、自分で考えたほうがよっぽどマトモになると思うんだが……
つーか、世界観は自分で考えるしかないから。
ライトは殆ど状況についてしか書いてないから、世界観なんて知りようがない
269191:2008/10/17(金) 00:24:46 ID:???
レス早くてアレだが、別に貼り付いてたわけじゃないんでwたまたまです

>>七四三
んー…まあ伺い立てるというより、若干歩み寄ったつもりだったんだが…やっぱ無理だったw
あくまで外伝ってとこにこだわってライトに色々質問してたんだが、何を尋ねてもちょっとアレな返答しか来ないw
本編と矛盾があったとしても、やっぱ独自の道を行くことにするわ
所詮俺のはオナニーだしな
270ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/17(金) 19:34:03 ID:???
どうも、投下ラッシュの日に便乗出来なかったヘタレです、えぇ…

ここで重大なお知らせです。

左足を骨折しました、…これもライトの設定が胡散臭いからだ、謝罪と賠償を要求する……なんちて
あぁ、理由は聞かないでやってください、とてつもなくダサいので。
ってか書くスピードには関係ないんですけどねw

投下は今日中にやると思いますよ…駄文投下を…

>>七四三
いつも乙っす、その投下スピードの早さ…羨ましい限りですよ…

>>ジョー
あー俺、基本携帯なんで一話投下してくれて嬉しいです、GJです。

>>.191
一話面白かったです、乙
モナークの22年前云々〜は>>2の巧みな憲法術数で金惑星の占領権を連邦から貰って云々〜の所を、
金惑星を手に入れる為にダルタイルと連邦との間に争奪戦かなんかが勃発したとか、なんとかかんとか…どうかなーと1分で考えた設定を言ってみる。
でも、もし仮にコレでいくならダルタイルは絶対に勝たなきゃいけないから、191の考えてるラストと違ってたりする訳で…はぁ
とりあえず怪我人の戯言ということで適当に受け流してくれw

それじゃ、投下するその日までバイナラ
271191:2008/10/17(金) 22:26:38 ID:???
>>ミィル
大丈夫かい?左足骨折はきついな…
無理なさらないように、お大事に
今はゆっくり休んで

で、ぶっちゃけ助かったwww
そのアイデアでいくことにしますw
正直ラストどうするかまだ決めてないんだよねw
272ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/17(金) 23:12:18 ID:???
よ〜っし、大して長くないのに投下に遅れた八話を投下するぜ!
書いてきた中で一番ガンダムっぽくない気がした…うん…

八話:序曲は終る


ダルタイルが誇る主力戦艦セクメットに、ボロボロのデスフォーンで帰還したレイヴ。
「あちゃ〜大佐、よくこんなに機体をボロボロにしましたねぇ、敵はそんなに強かったんですか?」
中破しているデスフォーンを舐めるよう見る整備士。また仕事が増えるなぁ、と苦虫を噛み潰した顔で喋る。
「私が弱かっただけさ…敵も最新の機体に乗っていたしな…パイロットも並の腕ではなかった」
実際、並の腕以下なのだが最強主人公補正が付いてしまったのだから負けてもしょうがないだろう。
「そんな強い奴から逃げ切れた大佐も十分凄いですよ、それより、その最新の機体ってのは?」
やはりメカニックの性なのだろうか、敵様の最新鋭機に興味津々である。
「あぁ、どうやら連邦との宙域戦闘で確認された新型MSだろうな」
腕組みをし、整備士をみながら喋るレイヴ。
「おっと、こんな所で立ち話している暇はないのだ、失礼する」
今思い出した様子のレイヴ。急ぎ足でブリッジへ向かっていく様子を整備士は手を振りながらレイヴの背中を見つめる。
「まったく、忙しない艦長様だぜ―――な、相棒さんよ」
中破したレイヴ専用のデスフォーンの足をコン、と叩き、呟いた。

艦の自動ドアが開き、レイヴはブリッジに入る。
「大佐、よくご無事で」
レイヴに声を掛けたのは副艦長であるリアブック・キャップだった。
名前にセンスの欠片も感じられないのは仕様である。
「この通り情けなく帰艦しただけさ、ははは…」
苦笑しつつ言い出すレイヴ。仮にもエースと言われた男がこの様ではプライドも確かにズタズタだろう。
「もう少しで制圧は完了しそうですよ、大佐。あ、後ベイン中尉が強奪した試作可変MAを、勝手に使ってぶっ壊してきましたよ」
キースがレイヴに現状を報告する。ベインにとっとと処罰を与えてくれと言いたげな表情で。
「そうか、それなら向こうの艦にも伝えてくれ、弾幕を張ながら後退・脱出ルートを確保しろと」
「!?」
ブリッジにいた全員が仰天した。有利すぎるダルタイルサイドとしては後退などありえなかった。
こんな事を言うのは予知能力者か、頭がおかしい奴のどちらかである。
「た、大佐…いくら自分がやられたからってそんな事しなくても…」
「そうですよ、兵力の乏しい連合なんてすぐ潰せますよ…こっちはダメ押しでセクメット二隻も持って来てるんですから…」
キースとリアブックは口々に反対する。確かに有利すぎる状況では反対するのは当然だろう。
「落ち着け…私の予想が正しければこの戦闘ではまず勝てないだろう。それに窮鼠猫を噛むとも言うだろう?」
落ち着いた様子で喋るレイヴ。まるでこの戦闘の末を予知したかのように。
273ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/17(金) 23:12:54 ID:???
「まったく…何で僕がこんな事しなきゃいけないんだろう…」
ブツブツ文句を言いながらヘビーデーモンを動かす登場シーンほぼなしマーチ・フレッツがいた。
「というか基地大丈夫なんだろうか?さっきから基地の方で爆発が起きてるんだけど…っと、そろそろかな?」
ヘビーデーモンを止め、あたりを見渡すマーチ。カメラにMSらしき物が見つかったが、よく見えず望遠カメラを使う。
ピ、ピ、ピッとカメラを拡大しながらMSらしき物体を見る。ボロボロの状態で、ビームサーベルを手に持ちながら止まっているMS――…
それはまさしくミィルの搭乗するガンダムストレングスだった。
まさか死んだ?仲間が死んだ?そう考えると急に恐ろしくなった。
「あ、あれって…!はは…まさかな…嘘…だよな…」
半信半疑で喋りつつもマーチは全速力でヘビーデーモンをダッシュさせた。
ヘビーデーモンは数十秒でストレングスの元へ着いた。近くで見るとその戦闘の激しさがよくわかる程ボロボロだった。
マーチは一応生存確認しようとコクピットハッチを開け、ヘビーデーモンから降りる。
せっかくのテスト機なのに勿体無いとミィルの安否をあまり考えずストレングスを見つめるマーチ。
いや、考えたくなかったのかも知れない。
「あ、やべ、はやく生死確認しないと」
誤魔化しながら、ストレングスのコクピットハッチを外から開けた。
もしグロい死体がいるかと思うと気絶するかも知れない、とドキドキしながらこっそり見る。
MSで人を殺しても確かに実感はあまりない、生の死体を常人が初めて見ると吐く事だろう。
そんなものを見て何も思わないのは強靭な精神の持ち主か、経験者か、単に頭がおかしいかのどれかだろう。
そこには操縦桿を握ったまま、頭から血を出し眼を開けたまま動かないミィルがいた。シートには破損したコード等が少し散らばっている。
「…生きてる…のか?わかんねぇ…頭から血は出てるけど…それでも致死量じゃないし…とりあえず気絶してるだけなのを祈ろう…」
ミィルの体を持ち上げ、ストレングスの狭苦しいコクピットを出るマーチ。
ヘビーデーモンに乗ると、コクピットの余剰スペースにミィルの体を置き、ミィルの事はあまり深く考えないようにヘビーデーモンを動かす。
「あ〜何か俺、ハブられてる気がするな〜くっそ」
愚痴でミィルの生死を考えないように移動した。もし死んでいたら…そう考えると怖くなったからだ。
274ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/17(金) 23:13:50 ID:???
「くそっ、ウジャウジャと涌いて出てきやがって!」
マーチが基地へ向かうと時を同じくして、トリントン大尉はダンデスに囲まれていた。
この数ではまず生き残る事すら怪しいと内心諦めかけている。
「――…俺一人じゃ死ねないな!お前らも道連れにして死んでやる!!」
ビームサーベルを抜き、ダンデスに切りかかる。2機を切り倒した。
無駄な抵抗だとはわかっていた、だが何もせず死ぬよりは敵に一泡吹かせた方がマシ、そう考えた。
一機のダンデスが切りかかってくる。敵のビームサーベルをシールドでガード、そしてコクピットを一刀両断する。
「さっさと掛かって来い!相手になってやる!!」
1、2、3、4、5機と20機近くいたダンデスの半分ほど撃墜するトリントン。やはり場数が違うのだろうか。
「ヘッ、腕は衰えてねーな、さて、次はどいつだ――――」
背後にいたダンデスがトリントンのヘビーデーモンの右腕を容赦なく切り落とす。
続いてメインカメラを切断され、トリントンのヘビーデーモンは岩にもたれ、残りのダンデス囲まれる。
「まったく…ここまでか…ツイてない一日だったな…」
ダンデスが一斉に切りかかろうとした。
一瞬だった。
一瞬の内にダンデスはビームライフルによって撃墜されたのだ。
「無事ですか、大尉?」
「よかった、無事ですね」
セシルとミックが10機余りあるダンデスを撃墜したのだ。トリントンは自分の死ぬ間際に吐いた台詞が恥ずかしくなった。
「やってくれるじゃねーか、こんちくしょうっ!俺は出来のいい部下を持って幸せだぜ!」
MSの中にいなければそのまま二人を抱きしめていた程嬉しかった。まぁ、片方は今日来たばかりなのだが。
「「「!」」」
三人は気付いた。ダルタイルの戦艦セクメットが後退していく事に。
「これで戦闘はおわるんですか…よかったぁ…」
ほっと胸を撫で下ろすセシル。軍で心身を鍛えたとは言え、泥沼の戦場を初体験したのでは当たり前と言える。それが女性なら尚更だ。
「まだだ、一隻ぐらい落とさないと割りに合わない!」
ロングレンジバレルのビームライフルを敵戦艦めがけて構えるミックだった。
275ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/17(金) 23:14:29 ID:???
「お、おい、流石にそれは無理だろう、徒労に終るぞ」
先の戦闘でダメージを受けまくったヘビーデーモンに乗るトリントンは呆れ口調で答えた。
「ブリッジか、動力部でもピンポイントで狙わないと落とせないですよ…」
流石に無理だろうとトリントン(何か名前イルカっぽくね?)と同じく諦め口調で言うセシル。
「やって見なくちゃわからない、いや、やるんだ」
集中し、セクメットのブリッジを狙うミック。今なら何もかもが見える気がした。
「今だ!」
ヒュンと、一筋の光は二隻あるセクメットの内、レイヴ達の乗っていない方のブリッジを見事命中した。
ドォン!!
爆音を上げ、段々と落下するセクメット。ブリッジからは煙がもうもうと上がっている。
「ダメ押しだっ!」
落下しゆくセクメットの動力部にビームを発射、見事命中させる。
セクメットは基地とは逆の方向に落下したと共に音をあげ爆発した。
「次は…っ!」
残ったセクメットに標準を定め、射撃。ビームはブリッジを外し、外装に当たる。
「直撃です!被害は大したことはありませんが、味方の艦は墜ちました!」
「くっ…私の予測通りか…撤退するぞ!」
艦に衝撃が走ると共に撤退命令を出すレイヴ。レイヴの目には一機のヘビーデーモンを睨みつけていた。
この艦を墜とそうとしていた、ヘビーデーモン…そう、ミックを。
「はっ…はっ…もう無理だ…集中できない……」
ミックはヘビーデーモンのコクピットで操縦桿から手を離し、腕を目に当て、声を荒げる。

「あーくっそ大丈夫なのかなー…皆生きてるかなー…さっきすんげー爆発したぞ…?」
基地のすぐ傍まで来ていたマーチはふっと空を見上げた。
雲は黒く染まり、基地を覆うかのように静かに、それでいて早く近づいていた。


                     ――続く――
276ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/10/17(金) 23:15:02 ID:???
リアブック・キャップ(38)
生年月日:11月4日
所属:ダルタイル帝国
階級:大佐
詳細:
レイヴの艦の副艦長。
名前がダサいのは仕様である。

キース・シュバルト(22)
生年月日:1月1日
所属:ダルタイル帝国
階級:三等兵
詳細:
レイヴの艦のオペレーター。
親はそれなりの金持ちで性悪。
そんな親から逃げ出す為、ダルタイルの軍に入隊。

ルツィア・レイヴ(27)
生年月日:6月2日
所属:ダルタイル帝国
階級:大佐
詳細:
ダルタイル帝国に所属する男。
27歳と言う歳で少佐になり、艦長も任されている。
MSパイロットとしても優秀で、戦艦一隻を一人で落としたと言われる。
ミィルのライバル的存在…だと思う。
設定、おかしかったんで修正しました、すんません
277通常の名無しさんの3倍:2008/10/17(金) 23:28:43 ID:???
ミィル投下乙!
278通常の名無しさんの3倍:2008/10/18(土) 00:16:17 ID:???
投下乙!
イルカみたいって…トリトンのことかwww
279191:2008/10/18(土) 03:27:59 ID:???
うっうーなんか寝れない…これもライトのSSが(ry

>>ミィル
投下GJっす。やっぱおもしれーなぁ、それに比べて俺は…
俺の中でルツィアさんは勝手にクルーゼ隊長な声で再生されてますw

寝れんし深夜の誰もいないうちに、二話前半投下します
正直超やっつけですがw
280191:2008/10/18(土) 03:30:31 ID:???
ガンダムL 
第二話 邂逅 (対象年齢下げると…→決戦!デルタ隊!)

アフターグリード世紀65年…ダルタイル帝国と地球連邦の争いが最も激しかった時代…
9年前に新たに発見された金属製小惑星の所有権を巡り、両者の間では断続的に紛争が生じていた。
そんな中、ダルタイル帝国軍第10分隊に所属するエルト・ロウ少尉は、自軍による弾圧的な作戦行動に戸惑いを抱きながらも、任務を遂行していた。
そして、エルトは戦場で、運命の男と対峙するのであった。
男の名はサーシェs…ゲフンゲフン、モナーク。モナーク・ホプキンド。
エルトは戦いの果てに、何を見出すのか…(以上アムロナレ)

(右か!?左か!?ライフル?サーベル!?)
目の前の敵はあまりにも速すぎた。対峙するだけで命を擦り減らされるような感覚。
…ただしそれは、悪意によるものではない。奇妙な感覚。
まるで、知っていたかのような。出会うべくして出会ったかのような…
………
戦闘開始からわずか二分しか経っていないが、それでも戦意を喪失させるには、十分すぎる時間であった。
敵部隊は五機。いずれも胸を張ってエースパイロットを名乗れるほどの実力の持ち主である。
中でも隊長機と思しきその機体の実力は群を抜いていた。
さすがに動きが見えるんだよォ!とかは言わないが。
281191:2008/10/18(土) 03:31:36 ID:???
「クッ!」
バシッ!何度目だろうか、ビームサーベル同士が激しくぶつかり合う。
「うおおお!」
エルトが一瞬の隙を見つけて叫ぶ。
刹那、もう片方の手にもビームサーベルを構え回転しつつ、上から下へ大きく薙ぎ払う。
しかし、敵も相当強かであった。わざと隙を見せ、誘っていたのだった。
斬撃を避けつつもエルトの駆るダンデスカスタムの左手首を、ディフェンスロッドで大きく跳ね上げ、そのまま蹴りを入れる。
「ぐああっ!」
自らも若干後ろに跳躍し衝撃を殺そうとしたエルトだが、そこにビームライフルによる連撃が繰り出される。
シールドを翳しつつ、ダガーを投擲する。攻撃は防げたものの、シールドは大破し、投擲したダガーもサーベルによって阻まれてしまった。
絶体絶命、とはまさにこの状況を指す為の言葉であると言える…

…そこは凄惨な、まごうことなき戦場であった。
エゴとエゴのぶつかり合う場所。憎しみと憎しみがぶつかり合わない場所。
ただ純粋に、それぞれが、どうしようもなく、それぞれの命を守ることのみが、戦う理由。
クロスが呻く。ティエルが叫ぶ。そして幾多の声…声…声…
ダンデスとヴィルザード、両陣営の最新鋭機同士の戦いに、旧世代機であるゴウラがついてこれる筈もなかった。
それぞれが、それぞれの想いと共に散ってゆく。
不思議とエルトには、このような状況にも関わらず、彼らの声が聴こえたような気がした。
(シニタクナイ…シニタクナイ…!)
無理もない。わずか二十歳の青年が小隊長を務める部隊、当然それより年少の者もいた筈だった。
282191:2008/10/18(土) 03:33:13 ID:???
一方、若干背中合わせの形になったティエルとクロスは、同様に二機のヴィルザードと戦闘を繰り広げていた。
それぞれ専用にカスタマイズされたヴィルザード相手に、相当苦戦を強いられているようである。
「ハッハッハハッハ、さすがは専用にカスタマイズされたダンデス!君達のしぶとさには頭が下がる思いだ!」
専用のビームロッド(ヒートロッド的な物)を振り回しつつ、一機のヴィルザードが言う。
「そうかい、だったらこのまま見逃してくれないかねえ?こっちは疲れてんだよ!」
ビームサーベルで受けつつ、マイクロミサイルを発射したクロスが言う。
「馬鹿も休み休みに言いたまえ!君達はここで死ぬのだ!さあ、死を想え!この私が引導を渡してくれる!!」
とても地球連邦に所属する者のセリフとは思えないようなことを言いながら、男は攻撃の手を緩めることは無かった。
「あーあー、仕事熱心ですこと!お前さんそんなんだったら彼女もできないぜ!?」
バルカンで弾幕を巻き起こし、体勢を立て直したクロスが言う。
「……なっ!き、君!わ、私が気にしていることを!よくも!」
なんだか男の逆鱗に触れたらしい。
「許すまじ!君はッ!私をッ!怒らせた!!」
せっかくのシリアスな流れが…この男相当プッツンしてるな。…やれやれだぜ。
「地球連邦軍の騎士、デルタ隊所属のッ!このタケル・クロードがッ!君を討つ!!」
ヴィルザードの目が輝き、ビームサーベルを抜く。
「へっ、接近戦が御所望かよ!」
クロスは舌打ちをしながらも、ビームサーベルを構えなおした。
283191:2008/10/18(土) 03:34:37 ID:???
対照的に、ティエルの方は射撃戦が中心となっていた。
数分の戦闘で、ティエルは、火力は自らが上であること、機動性は相手が上であること、狙撃の精度は同等であることを感じ取っていた。
「まさかあたしと射撃で互角に渡り合えるのが、連邦にいるなんてね…!」
ティエルは決して天狗になっているわけではない。
実際、軍の士官学校では、射撃に関しては、常に開校以来史上最高の成績を保ち続けていたから言えることだった。
それくらいの腕を持つ者同士の戦いがこれほど長引いたのは、やはり各々の回避能力が、射撃能力と同じくらい高いことを意味していた。
狙撃手同士の戦いにおいて、回避能力は重要なファクターである。(ごめん正直よく知らない)
「ふむ、そろそろか…」
敵はそう呟き、バルカンを放つ。その間に、隠していた武器に持ち替える。
「ここまでよく耐えた。さらばだ、ダルタイルの若き戦士!」
「うそっ!ビームランチャー!?」
ティエルは動揺を隠せないでいた。上だと思っていた火力で相手に追い抜かれたからだ。
「なら…!こっちだって!」
武器の持ち替えはスナイパーの十八番だ。(ごめん正直ry)
専用のスナイパーライフルと、予備武装のビームサブマシンガンを素早く持ち替える。
そして発射体勢の相手のコクピット目掛けて、ランチャーを背負った肩口の方へ、袈裟掛になるようトリガーを引く。
「うおおおっ!!」
のけ反る。が、決定打にはならない。
しかし、相手がビームランチャーを使うことができない状況にはなった。
「だが…それでも!」
相手はその銃口を、ティエルの先で交戦しているクロスに向け、引き金を引いた。
「隊長!逃げて!」
ティエルが叫ぶ。
284191:2008/10/18(土) 03:35:55 ID:???
…ちなみにこの間も、サカザキ少佐と、もう一機のダンデスパイロットも激闘を繰り広げているのだが、ここでは割愛する。

エルトは疲弊していた。既に乗機の左腕は無い。頭部カメラも半壊している。
ボロシア顔負けの状況である。だからってボロ布は無い。
ちなみに俺は布的な装備をしていいのはサンドロックカスタムだけだと思っている。
まあ、それは置いといて…
しかし、それは敵機にも言えることだった。ライフルを失い(始末書ものだ)、ディフェンスロッドを装着した腕も無い。ビームサーベルも失っていた。
専用のビーム薙刀を、独特の低い構えで、隙無くエルトと対峙する。
(次で、終わるな…!)
両者共に、そう考えていた。

後半に続く
285191:2008/10/18(土) 03:47:54 ID:???
時代背景等を、ミィルのアドバイスを参考に改めました。
あと今後は七四三が指摘してくれたように、極力自分で世界観を作り上げられるよう頑張るっす。
矛盾とか指摘とか、俺のせいで足の小指をぶつけたとかあったら、いつでも言ってください。
そんなわけで、寝る努力をしますかね…
286通常の名無しさんの3倍:2008/10/18(土) 14:53:11 ID:???
>>285
投下乙
面白かったよ。
287通常の名無しさんの3倍:2008/10/19(日) 21:39:13 ID:???
>>ジョー
エリオット・アビスって男、女?
288ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/19(日) 22:31:28 ID:???
>>287
4,50ぐらいのガチムチジジィで高給取りの癖に、給料上げないと仕事しないってのがライトの設定なんだが…
いつの間にか存在すら消されているな
うん、ライトは死ねばいいよ。あの超設定は視神経を介して脳にダメージが来るね。
間違ってもライトのスレを>>1から読む真似はしないほうがいいかもしれない。

んで、二話書こうと思ったんだけど、時間が無かったに加え、とりあえず、設定を見直すというか
まとめて、コッチに出すべきだと思ったんで、ちょっと時間がかかるかもしれない。
本当に申し訳ないと思っている。ライト死ね
289通常の名無しさんの3倍:2008/10/23(木) 16:34:21 ID:???
向こうのスレを埋める事になりました。ご協力お願いします
290七四三:2008/10/24(金) 18:50:43 ID:???
「やっぱりと言うか、なんて言うか…だな、こりゃあ」
眼下に広がる光景を見て、ウィリアムは呟いた。
ゼピュロス改に乗り、到着した爆発地点は想像以上にヒドい有り様だった。
爆発地点の中心はクレーターとなり、建物はあらかたなぎ払われて瓦礫の山、残り火もくすぶっている。死者の数などは想像もつかない。

下衆だ…
ウィリアムは吐き捨てるように犯人を思った。
爆発物を設置した奴はここに民間人しかいない事を知っていてやったに違いない。
静かな怒りにうち震えるウィリアム。
その時、コックピットの中にアラートが響き渡った。
「MSの反応!? オイオイ、マジで?」
ウィリアムは反応のあった方向へと機体を向ける。
カメラを通し、コックピットのモニターに映るのは確かにMSの姿。それは連邦の量産型MS、シビレーだった。

モニターに何もない場所に突如としてシビレーが出現する光景が映る。
エーテリウムを用いたワープ装置による転送。だが――
ありえないだろ、コレ。
ウィリアムはそう思った。
通常、帝都内へのMSの転送は不可能なハズだった。
現在のような状況になるのを避けるため、帝都には常に転送を阻害するためのジャミングがかけられ、どんなに頑張ったところでMSの転送においては一部分、手や脚程度までしか転送出来ず、
例外としてウィリアムのようなインペリアルガード、そしてインペリアルガードの許可を受けた者、それだけしか帝都にMSを転送出来ないハズだった。
だがしかし、シビレーはそんなコトは関係ないと言わんばかりの勢いでその数を増やしていた。
「オイオイ、マジでありえないでしょ。コレ」
ウィリアムがそうつぶやいた時、ようやく転送が止まった。
シビレーの総数は24機、一般的なMS二個中隊が編成できる数だ。
「ははっ、マジで戦争か? こりゃ……」
もう、呆れるしかないといった様子のウィリアム。
シビレー各機はそんなウィリアムが乗るゼピュロスに、手近な獲物を見つけたという様子でライフルを構え、何の警告も言葉もなく――撃った。

「ちょっ!? オイ、シャレになんないから、それぇ!」
情けなくも聴こえる叫び声をあげながらも、ウィリアムは機体を巧みに操り、一斉に襲いかかる十数本の光の矢を余裕すら感じさせる動きで避ける。
「ヘルプヘルプ!! 数が多すぎ、誰でもいいから援軍くれ!!」
ウィリアムは皇城へと通信、援軍を要請する。
しかし、何の応答も無い。
291七四三:2008/10/24(金) 18:52:58 ID:???
どうなってんのさ、一体
そう思った瞬間、ゼピュロスの横をビームでは無い何かが通り過ぎた。
瞬時、ゼピュロスが振り返り、即座に腕部に内蔵されたビームガンを向けて撃ち落とす。

「ミサイルかよ……!」
吐き捨てるように呟くと背筋を冷たいモノが這う。
シビレーの一機が撃ったミサイルの狙いはゼピュロスではなく、帝都市内だった。その事実にウィリアムは叫ぶ。
「戦うのは俺達だけで充分だろっ!? 平和に生きてる奴らを巻き込むなっ!!」
それまでのどちらかといえば飄々とした態度とはまるで違う、強い想いのこもった言葉だった。
だが、敵はウィリアムの言葉になんの反応も見せる事はなく再び、ミサイルを放つ。
「クソッ……!」
悪態をつくウィリアム。
ゼピュロスは再びビームガンでミサイルを撃ち落とそうとする。
そのタイミングで数機のシビレーがビームライフルを撃つが、やはり当たらない。
ゼピュロスはビームとビームの隙間を縫うように空中を駆け抜けながらミサイルを撃ち落とす。そして、そのついでのように軽々と地上のミサイルランチャーを装備したシビレーのコックピットを撃ち抜く。
継戦能力と安全性においては間違いなく、AG199年現在において、最高を誇るシビレーは胴体をただ撃ち抜かれた程度では何の問題も無く稼働する。
ゼピュロス改のビームガン程度の火力では最低でも四、五発は撃たなければ無力化は出来ない。だから、ウィリアムはコックピットを狙う。それが最も効率が良いからだ。
一般的にライフルと比べたら威力、命中精度などにおいて、ビームガンは遥かに劣る。それは高性能機であるゼピュロスに装備されている物も同じだった。
だが、ウィリアムはそんな性能をものともせずに一撃でコックピットを撃ち抜く。
技量という点では、ウィリアムはシビレーのパイロット達に勝っていることは明らかだった。

傍目では一対二十の圧倒的不利。しかし、ウィリアムのゼピュロスは常に余裕のある動きで敵をあしらっているように見える。
だが、実際の所、ウィリアムにはそれほど余裕が有るわけでも無かった。
「あ〜、きっついなぁ〜」
そう言って、大きく息を吐く。
年齢にそぐわぬ実力を持ちながらも、その経験は年相応のウィリアム。実戦は初めてではないものの、数える程度しかない。
未だ馴れぬ戦闘の空気は体力を奪うのに充分な物だった。
292七四三:2008/10/24(金) 18:54:52 ID:???
いつまでも避けきれないよなぁ…
些か、ぼんやりとしてきた頭でウィリアムは思う。
しかし、ゼピュロスの動きは変わらず。滑らかな、ともすれば踊っているように優雅な動きで空を駆け、ビームを避け、そして、自らもビームを撃つ。疲れなど感じさせない動き、だが、ウィリアムの疲労は確実に蓄積していた。
戦い方が悪いともウィリアムは思う。
こんな、相手の動きに合わせて、攻撃を避けて、反撃するのは自分のスタイルではないと、そう思う。
自分のスタイルは切り込む事だ。常に最前線を駆け、敵陣に切り込む。
それが自分の戦い方だとウィリアムはそう確信している。

「だったら…!」
ゼピュロスの動きが変わる。優雅にも感じる動きから、雄々しい動きへと。
「やることは、決まってるだろっ!!」
スラスターを最大にゼピュロスがシビレーに突進する。空中から地上への急降下、地上に居るシビレーは当然、ビームを撃ち迎撃する。
それに対してもゼピュロスは速度を緩めない、回避運動は最小限、直撃コースの攻撃はビームシールドで防ぐ。
余計な動きは速度を妨げる。全てが速度の為の行動。
ビームの驟雨の中、市内に向けてミサイルを放つシビレーの姿をウィリアムは見た。
「なめんなっ!!」
ビームガンの片手撃ち、ミサイルを見ずに勘だけで命中させる。
その間も動きは止まらず、前進を続ける。
シビレーの最前列にいる機体がビームサーベルを抜く。
それでもウィリアムは速度を緩めるつもりはない。ゼピュロスは速度を維持したまま突き進む。前腕部からビームシールドを展開したままで。
シビレーが突っ込んでくるゼピュロスを迎え撃つべく、タイミングを合わせビームサーベルを振り下ろす。
普通ならばシールドで受け止め、そこで終わりとなる状況、しかしそんな結果は訪れない。

最大限の加速をしたゼピュロスの突進の勢いは余りに強力だった。サーベルを振り下ろしたシビレーはサーベルごと一気に押し倒された。
MSの全重量、それも加速を加えた状態の物を支えられるほど、シビレーの足腰は強くなかった。
倒れた相手を押さえつけながら、ゼピュロスはわきの下からビームサーベルを引き抜き、コックピットを突き刺す。
「ここからが、俺の本領だぜ!!」
コックピットの中、通信回線を相手に聞こえるようにしてウィリアムが叫ぶ。

293七四三:2008/10/24(金) 18:58:28 ID:???
直後、ゼピュロスが動く。
滑るような動き、その速度に戸惑うシビレー各機、その動きに対応しライフルを構える者も居たが、すでに集団の中にゼピュロスが飛び込んでいた為、同士撃ちの危険を恐れて、引き金を引くのを躊躇う。
その隙を見て、ゼピュロスが地面を踏み跳躍、浮くことなら反重力浮遊で事足りるが加速は別だ。
跳躍したゼピュロスは、ライフルを構えながらも戸惑うシビレーに向けて飛びかかる。その時になって、ようやくシビレーはライフルを撃ったが、とっさの事であり狙いも付けずいたため、そのビームはゼピュロスの横を駆け抜けていった。
ゼピュロスは飛びかかりながら蹴りを放ち、ライフルを蹴り飛ばし、続けて、シビレーの頭部を踏みつける。そして、その反動を利用し、また別方向へと跳躍する。飛び去り際には踏み台にしたシビレーのコックピットに向けてビームガンを放つことも忘れない。
跳躍し移動するゼピュロスは進行方向に居る機体に向けてビームガンを撃つ。
それを、シールドで受け止めるシビレー。
「ちっ」
ウィリアムは舌打ちし、スラスターを入れ機体を加速、シールドの上から蹴りを叩き込む。
MS一体の重量が速度を伴って激突する。それにシビレーが耐えられ訳もなく、当然のように吹き飛ぶ。
ゼピュロスはその蹴りによる反動を利用し後方に跳躍。その瞬間、ゼピュロスはその姿を変えた。
背中に畳まれた羽根が展開され鳥の翼のような姿となり、代わりに腕が畳まれる。背中から頭部を覆う機首が現れる。また、折り畳まれ隠されていた二門のビームカノンが露わになる。
瞬時にゼピュロスは人の姿から巨鳥へと姿を変えた。
変形と同時に、二門のビームカノンそれぞれから、一筋の光が放たれた。
狙いは蹴りを受けて倒れたMSではなく、その後ろにて援護を行うべく、ビームライフルを構えた二機のシビレー。
二機の放ったビームとゼピュロスのビームが交差する。

ゼピュロスの二門のビームカノンから放たれたビームはそれぞれがシビレーを貫き、二機は同時にその動きを止める。
しかし、二機の放ったビームは前進し、倒れたシビレーに向かうゼピュロスにはかすりもしなかった。
294七四三:2008/10/24(金) 19:01:07 ID:???
倒れたシビレーが起き上がろうとする、それに合わせるようにゼピュロスはMA形態のまま、地面付近まで降下、地を這うように突進しながら、MS形態に変形。
起き上がろうとしたシビレーの横を駆け抜けながら、ビームサーベルで胴を薙払う。
ビームサーベルの刃は確実にコックピットを斬り裂いていた。
ゼピュロスはそこで立ち止まらずに、すぐさま動き出す。
先程まで立っていた場所をビームが焼くが、すでにゼピュロスは移動している。
高速で地面を滑るように移動するゼピュロス。
一機のシビレーがライフルを乱射し、一発でも当てようとヤケクソになっているように見えた。
ウィリアムはその機体を次の獲物と定めた。
ゼピュロスは乱射されたビームをかいくぐり、近づく。ヤケクソ故に判断力が鈍っているようだった。接近されようともライフルの乱射を止めない。
そして、とうとうサーベルの間合いに近付かれた。
慌てて、動き出すシビレーにウィリアムは、
「遅いぜ、どん亀」
ゼピュロスは上体を屈め滑り込むように懐に入る。
エーテリウムジェネレーターの副次降下による反重力浮遊とスラスターによる滑るような陸上機動はシビレーの動きより遥かに速かった。
ビームサーベルが一閃し、ライフルを持つ腕が宙を舞う。腕を失い呆然とし、動きが止まるシビレーの胸部にゼピュロスが蹴りを入れ体勢を崩させる。

その瞬間、別方向から別のシビレーがサーベルを片手に斬りかかってくる。それを片手のビームサーベルで受け止めながら、ゼピュロスはもう片方の腕に内蔵されてビームガンを体勢を崩したシビレーのコックピットに向けて撃つ。
直撃を確認するより速く、つばぜり合い状態を打開すべく、ゼピュロスはもう片方の手にもビームサーベルを抜く。
二刀を使い、軽々と相手のサーベルを弾き上げる。サーベルは宙を舞い、たまらずシビレーは後ろに下がり、ビームライフルを構える。

295七四三:2008/10/24(金) 19:03:45 ID:???
しかし、ゼピュロスはその動きを追っていた。
ビームライフルを構えると同時にサマーソルトキックをライフルに叩き込み、ライフルを弾き上げる。
サマーソルトキックの勢いのまま、その場で宙返り。同時にゼピュロスはその状態のまま、瞬時に変形。
腹を天に向けた状態のMA形態。背後でライフルを構えていたシビレー二機を二門のビームカノンでまとめて貫く。
そして、すぐさまMS形態に戻り、眼前に立つ丸腰のシビレーの胴をわきの下から再び抜いたビームサーベルで薙ぎ払う。

全てが一瞬、まばたきする間の出来事だった。

「幾つ墜とした?」
ウィリアムは自問する。しかし、答えはでない。
テンション上げすぎたと少し反省する。疲れは無い。全てが自分のペースだからだろうかとウィリアムは考える。
考えている間も動きは止まらない。ゼピュロスはビームを撃ちながら動き回る。

「あれ? ミスった」
両腕のビームガンで二方向の敵を同時に仕留めた瞬間に、ウィリアムの直感がそう告げた。
その瞬間、機体に衝撃が走る。
ゼピュロスにシビレーの指揮官機と思しき機体のタックルが直撃した。
押し倒されこそしなかったものの、弾き飛ばされた。体勢を崩し、膝をつくゼピュロス。
それに向かってシビレーの指揮官機が突進する。
至近距離、指揮官機がビームサーベルを抜き、斬りかかる。
ウィリアムは恐れも何の感情も無く、ただ反応し、それに応え、ゼピュロスが動く。
ゼピュロスは相手の動きに合わせるように踏み込む。
振り下ろされるビームサーベル。それに対して、ゼピュロスは何の動き見せない。ビームサーベルを抜く様子も、ビームシールドを展開する素振りもなく、ただ踏み込み、そして――蹴り上げた。

296七四三:2008/10/24(金) 19:05:24 ID:???
ゼピュロスの蹴りが強かにシビレーの持つサーベルの柄を打つ。その衝撃に手からサーベルが弾き飛ばされる。

だが、その指揮官機のパイロットは優秀だった。すぐさま反応し、残った武器であるビームライフルをゼピュロスに向ける。
しかし、その時にはゼピュロスはそこに居なかった。ゼピュロスはさらに踏み込み、指揮官機をまるで階段のように駆け上がる。
ゼピュロスの重量にシビレーがたたらを踏む。
ゼピュロスは指揮官機のシビレーを踏み台に跳躍し、一瞬でその背後を取った。
シビレーの背後、跳躍したままの状態でビームガンを撃つ、ビームは指揮官機の首の後ろから入り、コックピットを貫き、そして地面を焼いた。
それと、ほぼ同じタイミング。蹴り上げたビームサーベルが落下してきた。ビームが出力されたままのそれをゼピュロスは蹴り飛ばす。

加速を与えられたサーベルは飛翔し、ゼピュロスに気付かれぬようにライフルを向けていたシビレーのコックピットに突き刺さった。

「なかなかだろ? 俺も」
ウィリアムはおどけた口調で言葉を発し、それに合わせるようにゼピュロスもおどけたような仕草を見せる。
道化のように振る舞いながらも、戦場で相対する限り、それらはまさしく死神だった。

春の訪れを告げる豊穣の西風。それを司る神の名であるゼピュロス。
この機体にその名をつけた者は、死神のように命を奪う姿を見てどのように思うだろうか。

ふと、そんなことを考えながらウィリアムは再び機体を操り、敵の中に突っ込んだ。

第四話 西風の騎士  ―終―

第五話に続く
297七四三:2008/10/24(金) 19:06:49 ID:???
機体名:ゼピュロス改
パイロット:ウィリアム・ケインズ

武装
・ビームガン
・ビームサーベル
・バルカン(MA形態時のみ使用可能)
・ビームカノン(MA形態時のみ使用可能)
・ビームシールド

特徴:一秒間に二回変形できる。

ウィリアムの専用機。
可変機構を備え、高速戦闘を得意とする。
ベース機はダルタイルにて最速を誇りながらも、操作性の悪さによりパイロットのいない機体、ゼピュロス。
それをウィリアムの技量に合わせてさらにピーキーな仕様にカスタマイズしている。
武装は強力なものはないが、どれもが対MSにおいては充分な威力を備えている。
全体的に高性能な機体だが、インペリアルガードが乗る機体として既存機の改修型というのはかっこがつかないため、
現在、ウィリアム用に一から新型機を開発中。

武装解説
・ビームガン
ゼピュロス改の主武装。
腕部に内蔵されており、必要に応じて手首の辺りから銃身が引き出され、その状態で使用される。

・ビームサーベル
格闘戦用の武装。
被弾や不測の事態により破損する事を避けるため機体の内部に収納されている。収納場所は脇の下。

・バルカン
MA形態時のみ使用可能な武装
変形時における機首部に内蔵されている。
バルカンとしては大口径で対MSにおいても充分な威力を持つ。

・ビームカノン
MA形態時の背中に背負った砲。
大きさは大きくはなく、威力もビームライフルに毛が生えた程度。
しかし、連射がきくため時間あたりの火力はかなりのもの。
MS形態時には折り畳まれている為、基本的には使用できない(使えても射角の点で問題あり)。

・ビームシールド
前腕とMA形態時の機首に装備されている。
小型なためそれ程性能は高くないが、元々の機体コンセプトが被弾しないことを前提としているため、あまり問題にならない。
298七四三:2008/10/24(金) 19:07:46 ID:???
機体名:シビレー

武装
・ビームライフル
・ビームサーベル
・シールド
・ミサイルランチャー(オプション装備)

連邦の量産型MS。
パイロットの生存率の向上を考えて設計されている。
とにかく爆発しない、大破してもパイロットは無傷といった例が数多く報告されている。
また、継戦能力も高く、過去にコックピット以外の上半身が殆ど潰れながらも、自力で基地に歩いて帰還した等の逸話が絶えない機体でもある。
機体性能はお世辞にも高いとは言えず、既に連邦では後継機が開発、配備されている。しかし、その性質ゆえにパイロットからは人気が高く、前線から退く気配は未だ無い。

エーテリウムジェネレーターは搭載されておらず、稼働時間に制限がある他、単独での飛行も不可能。
例外として指揮官機等の一部の機体には搭載されている場合もある。
299七四三:2008/10/24(金) 19:11:06 ID:???
書いたはいいけども何か違うんだよなぁ…
盛り上がりに欠けるっつーか、くどいっつーか、淡々としてるっつーか、面白みがないっつーか、文章が下手っつーか、一度ちゃんと書き方勉強した方がいいんかなぁ…と思ったり
300通常の名無しさんの3倍:2008/10/24(金) 19:21:58 ID:???
おもしろかったし十分盛り上がってたと思うけどなぁ
あえて言うなら敵との会話がないのが残念ではあるけど

つーか出番のないミカド涙目w
301通常の名無しさんの3倍:2008/10/24(金) 21:03:45 ID:???
あげとくか
302通常の名無しさんの3倍:2008/10/24(金) 21:49:41 ID:FQptsQgN
巽は1
303通常の名無しさんの3倍:2008/10/24(金) 22:49:14 ID:H90FXKWJ
淡々としているな
主人公の視点から見るとか言葉を言い換えるとか
304通常の名無しさんの3倍:2008/10/24(金) 23:12:57 ID:???
>>303
なるほど。正直な所どうすればいいかイマイチわからんけど、考えながら書いてみるよ。

ところで、登場人物のまとめみたいなのをいい加減、書いた方がいいんだろうか?
305七四三:2008/10/24(金) 23:14:41 ID:???
>>304
名前欄書くの忘れてた
306通常の名無しさんの3倍:2008/10/24(金) 23:24:13 ID:???
>>304
簡潔に頼む
長々と書かれても読む気が無くなるんで…
307191:2008/10/25(土) 01:29:32 ID:???
>>七四三
乙です。
なんだか上から目線ですまんが、俺個人の意見としては、うまく書けてると思うんだが
戦闘シーンも迫力があるし。
セリフは少ないかもしれんが、ウィリアムの人柄は十分わかる

他の人々のSSを読んでると非常に勉強になるなー
さて、俺も日曜にでも駄文投下しますかね…
308通常の名無しさんの3倍:2008/10/25(土) 11:51:40 ID:???
>>307
楽しみにしてます。頑張ってください。


309七四三:2008/10/25(土) 19:31:22 ID:???
>>307
そう言ってもらえると嬉しいです。
俺も続き期待してます。頑張って下さい。


後、聞いておきたいんだけども、もしかして俺の文て長すぎてウザい?
310東西 ◆1eW7huNls2 :2008/10/25(土) 19:49:57 ID:???
|_・)コソーリ

>>309
長文を気にする事なくて面白いよ

|ミ サッ
311191:2008/10/26(日) 03:39:16 ID:???
>>七四三
気にするほどのことでもないと思うよ。
俺はそうは感じないし
ただ、設定だけが先走りしてもしょうがない面もあるかもだから、出来るだけ本編で描写できる部分はそうした方がいいかもしれないね
俺はミィルのやり方がうまいなあと思ったんで、ミィルの書き方を勝手にパクってるんだけどw
(ミィルすいませんw)
色々とまたもや上から目線ですいませんw
312191:2008/10/26(日) 03:48:21 ID:???
東西さん乙っす。
今回もおおいに笑わせて貰ったw
313東西 ◆1eW7huNls2 :2008/10/26(日) 18:04:22 ID:???
>>312
そう言って貰えると作った甲斐があります。
感謝。
314通常の名無しさんの3倍:2008/10/26(日) 21:35:32 ID:???
ブラックエンペラーのエピソードを書いてくれてる東西氏を応援する意味でブラックエンペラーの設定の改訂版を投下

ぼくたちのブラックエンペラーガンダム(かいていばん)
たかさ…220メートル おもさ…500トン
ぶき
かくビームほう×6 かくのビームなのですごいいりょく
きょだいテポドン×8 10おくキロさきのてきもやっつける
ファンネル×100 さいきょうオールレンジこうげき
バスターエンペラーソード せんかんもいっとうりょうだんするきょだいなけん
ひかりのつばさ×6 6まいのつばさをひろげたそのすがたはだてんしそのもの
げっこうちょう すべてをほろぼす

くそライトのかんがえたガンダムを100まんかいなぶりごろしにできるさいきょうのガンダムだ
315ジョー・グレイグ ◆lzv.FrYF6I :2008/10/27(月) 19:52:45 ID:???
使い捨てのネタなのに異常な程の細かい設定のガムダンもとい今週のこち亀に俺が泣いた
第二話明日か明後日辺りに投下予定
316七四三:2008/10/27(月) 23:18:14 ID:???
>>315

期待してます
317191:2008/10/28(火) 23:15:25 ID:???
どうも今晩は、約束の一つも守れないマダオです。
最近リアルで色々忙しくて、風邪引いてダウンしてました
ええすいません、そんなことどうでもいいですね
とりあえず、二話後編投下します。
318191:2008/10/28(火) 23:17:01 ID:???
ガンダムL 二話 後編
「ハッハッハハッハ、さあ、裁きを受けよ!ダルタイルの戦士!」
地球軍の男、タケル・クロードがビームサーベルを大きく振りかぶる。
「誰が!」
相対するクロスは、正確にその軌道を見極め、サーベルを持たない手の方へ小さく前に出、そのまま転身する。
「そんな大ぶりな攻撃、当たるかっての!」
更に踏み込み、半ばタケル機の懐に入り込む形になったクロスも、地面と平行になるようサーベルを両手で構える。
「悪りぃがこれでお終いだ!かわいい部下たちの救援に行きたいんでね!」
そのまま機体を横に両断しようとした時、タケルが笑う。
「誘っていたのだよッ!」
すかさずヴィルザードのディフェンスロッドで、クロスのダンデスの頭部を強く殴打する。
ガシャン!頭部のカメラが損壊し、一気に視界が悪くなる。
「クソッ!」
舌打ちをしたクロスは、相手の追撃が来る前に後ろに下がり、距離をとる。
「よくぞ!だがこれはどうかな?」
いちいち大げさな動作で、ビームライフルを連射するタケル。
「見えまい見えまい、実に重畳だ!」
…なんだか日本語変な気がするけど、こいつのセリフは正直書いてて楽しいw
「チッ!調子に乗ってんじゃ…」
連射されるビームライフルをすべて正確にかわし、ライフルを構えるクロス。
「ねえぞ!!」
タケルに応えるように、ビームライフルを撃つ。
319191:2008/10/28(火) 23:18:39 ID:???
「何ッ!」
自慢のディフェンスロッドをコクピットの前にかざし、回転させつつ後退する。
「カメラの破壊が甘かったか!しかしだ!」
専用のビームロッドをしならせる。
「その視界状況では、これはかわせまい!」
「なめんな!こちとら隊長機だっての!」
クロスの回避能力と、隊長機仕様のダンデスの強化されたセンサーで、トリッキーな攻撃を、巧みにかわしていく。が、しかし…
「どうした、動きがのろいぞッ!ダルタイル!!」
左腕が切り裂かれる。
「クソ!エネルギー切れまであと少しって…冗談だろ!?」
ピピッと鳴り続けるクロスのコクピット。エネルギー切れが近いことを指している。
「一気にカタをつける!」
右手に持っていたライフルを、タケル機の頭部に勢いよく放る。
「血迷ったか、愚か者め!」
ディフェンスロッドで弾こうとした時、私の目の前にはビームサーベルを槍投げのごとく投擲したヤツの姿があったッ!ま・さ・に!青天の霹靂!!
…戦闘中にさり気なく視点を変えてみた。こうですか、わかりません
「おおおおらああああ!」
ドッ!勢い良く投げられたサーベルが左肩部分を貫く。
そして!右手に構えたサーベルで攻撃を受けつつ、近づき…
320191:2008/10/28(火) 23:19:34 ID:???
「フッ、何をするかと思いきや!!」
タケルがバルカンを放つ。
「意味などなかろう!確かにこれはダメージだがね!」
バルカンにも怯まず、クロスは先ほど刺さったサーベルに手を伸ばし、そのまま横に薙ぐように引こうとする。
「終わりだ!」
「何!?この私がぁッ!」
心の底から悔しそうな表情をするタケル。既にコクピットの隅の方がサーベルの熱で溶解しかかっていた。
その時…
「隊長!逃げて!」
ティエルからの通信である。
「熱源反応!?」
とっさに回避しようとしたが、後方からのビームランチャーがクロス機の右足を直撃、破砕する。
「ぅあっ!」
崩れ落ちるクロス機。
が、そこは流石に隊長である。追撃を避けるため、スラスターをフル稼働させ、タケル機の若干後方に逃れる。
「これは…サムソンか」
タケルが呟く。
「「死ぬかと思った…」」
タケルとクロスが、同時に言う。
321191:2008/10/28(火) 23:20:39 ID:???
「お前は撤退だ、タケル」
厳かに言うヴィルザードのパイロット。
先ほどまでティエルと戦っていた男、サムソン・ランガードが言う。
「…了解した、現戦闘ポイントより速やかに離脱、合流ポイントへ向かう」
「クッ!機体機能が著しく低下している…ここは撤退かッ…!おのれダルタイルの戦士め…!次に会う時が、貴様の最期だ!」
おーぼーえーてーろー…
ありがちな捨てゼリフを吐きながら、連邦のエース、タケル・クロードは夜の闇に消えて行った。
「さて」
重武装型にカスタマイズされたヴィルザードに乗った男、サムソンが言う。
「お前たち二人には、まとめてここで死んでもらう」
「おいおい、俺動けねえっての!しっかり頼むぜ、嬢ちゃん。
俺まだ死にたくねえからさぁ、腕の見せ所だぜ!俺を守ってくれ!」
クロスが微妙な冷や汗をかきながら、ティエルに言う。
「隊長!だからその呼び方やめて下さいって!チョーシ狂うから!」
「うるさーい、もう何でもいいから俺を助けろ、俺は隊長なんだよォー!」
「変な所で威張るなぁ!」
「何をゴチャゴチャ言っている!行くぞ!」
某スペシャル様のような口調で言うクロスと、それにツッコミを入れるティエル。
そこにサムソンが割って入る。
ぶっちゃけKYなのだが、まあ戦闘中だから仕方ない。
私たちは、戦争を(ry (byミサトさん)
サムソンは早速ビームライフルをクロスに向ける。
322191:2008/10/28(火) 23:21:47 ID:???
「えええ!?俺ぇ!?」
「まずは弱者から排除する!さらばだ!」
「させない!」
ティエルがビームサブマシンガンの引き金を引く。
…と同時にサムソンもまた、ディフェンスロッドでそれを受けつつ、バルカンを放つ。
「その火力では!ビームコーティングで強化したこの機体には効かん!」
通常のヴィルザードと異なり、サムソン機は全身にビームコーティングが施されていたのだった。
言いながら、サムソンは持ち替えたビームランチャーを撃つ。
「…くっ!」
ティエルのダンデスが、クロスのダンデスを抱え、間一髪でそれを避ける。
「ひゅう、やるねぇ」
「からかわないで下さいって!貸し一つ、付けときますから!」
「お礼に今度、食事でもどうだい?」
「…隊長が破産するまで食べますけど?」
どっかで聞いたようなセリフを言うティエルと、黙り込むクロス。
…と同時に、二撃目が来る。
「…うっ!」
「いつまで弱者を庇うつもりだ!君が死ぬのも時間の問題だ!
 この場において弱者は切り捨てろ!生き残りたいのならばな!」
「誰が!」
ティエルのダンデスがマイクロミサイルを放つ。
敵は、その巨大な体躯に似合わず、案外素早い身のこなしでそれをかわしていく。
が、さすがにそのすべてはかわせなかった。(そりゃそうだ、閣下じゃないんだしw)
ドン!いくらかが胴体に命中する。
「ぐおっ!」
大きな隙ができる。
(チャンス…!)
ここでカットイン(笑) いけよ!00モード発動!…とかはならない。
「隊長!ちょっと借ります!」
「ん?あぁ、おい!」
ティエルはクロスのダンデスから、ビームサーベルを抜く。
「流石に燃料ちょっときついし、意地はってる場合じゃないもんね!」
ティエルのダンデスには、ビームサーベル、もといあらゆる格闘戦用武装が搭載されていない。
それは、射撃に絶対の自信を持つティエルの自らの矜持の為である。
…まあぶっちゃけそんなもんつけるなら予算内で予備のサブマシンガンつけてよってのが本音らしいけどもw
(台無しだ…)
323191:2008/10/28(火) 23:22:39 ID:???
「はああぁぁぁ!」
右手に構えたビームサブマシンガンを連射しながら、左手のビームサーベルを振りかぶる。
「なかなかやるな!しかし!」
バチッ!ビームサーベル同士が激しくぶつかり合う。
…この文章何度目だろ、結局接近戦に持っていく俺\(^o^)/
「うそっ!ビームサーベルまで!?」
「覚えておけ、生き残る為、あらゆる状況に対応するには相応の下準備が必要なのだと!」
「装備が多いからってぇ…!」
ティエルが歯を食いしばる。
「戦いに必要なのは、生き残る覚悟!積み重なった幾つもの死体の上を歩き、生きていく覚悟よ!」
ティエルが語気鋭く言い放つ。
「戯言を!それは若さだ!」
弱くはないつもりです。…はい。嘘です、超絶ヘタレです、俺。
サムソンがディフェンスロッドで殴りつける。
「…ッ!」
若干後ろに下がり、サブマシンガンそのもので攻撃を受け、そのまま足刀蹴りを放つティエル。
「パワー不足だ!」
「別に!ハナから蹴っ飛ばす気なんか無いっての、エルトじゃないんだし!」
勢いをつけ、敵を蹴り込むことで自ら後方に下がり、更に距離をとる。
そのままサーベルを投擲し、スナイパーライフルを構え直す。狙い撃つぜ!
「なっ!サーベルを!?」
投げられたサーベルをかわし、敵が着地した刹那!
「いっけぇー!」
ティエルの全集中力を以て、これ以上ないほどの精度で、ビームライフルの雨を放つ。
敵も必死にかわそうとするが、そのうちの一発が、コクピットに命中する。
324191:2008/10/28(火) 23:23:58 ID:???
「…!これ以上はナンセンスだな、撤退もやむ無しか…」
強い奴は引き際も潔い。ダメな奴はスペシャルだなんだとわめいて突っ込むのです!
…って、オレが言ってたよ。どうです、説得力ないでしょう!?
まあコーラさんもジョシュアさんも好きなんだけどね。
さて、そんなわけで、子曰く、敵を撃退した。
(ぶっちゃけ獄のDVDってどうなの?金欠で…)
「はあ…はあ…なんとか…やっぱ慣れないことはするもんじゃないわね」
ティエルが地面に落ちたサーベルを見ながら言う。
「ふぅ…なんとかこの場は助かったな」
「増援来たらヤバイですけど」
「何、君と一緒に死ねるなら、本望さ」
「さっき助けろーとか言ってたくせに。今更似合いませんから、そーいうの」
「…まあいいさ、それより他の奴らは無事なのか?」
急に真剣な表情になるクロス。
(エルト…!)
ティエルとクロスは疲弊しながらも、共に仲間の無事を祈った。
死闘に感化されたのか、妖しく輝く夜の月に向かって…
消えていく魂はどこの向かうのだろう。
星々の輝きは、戦いの場所を移す。

二話 終 三話に続く(かもしれない)
325191:2008/10/28(火) 23:25:27 ID:???
キャラ設定なんぞを。

タケル・クロード(25)
所属:地球連邦軍 デルタ隊
階級:中尉
詳細:
デルタ隊隊員。連邦のエース部隊、デルタ隊の中でもエリート。
接近戦を中心としたトリッキーな戦い方が得意。
彼女募集中。

サムソン・ランガード(36)
所属:地球連邦軍 デルタ隊
階級:上級大尉(ホントはこんな階級ないっぽいらしいがw)
詳細:
デルタ隊の副隊長であり、参謀。若く経験の少ない(?)モナークをサポートする。
6年前のデルタ隊結成にも尽力した。
重武装型にカスタマイズしたヴィルザードに搭乗する。
326191:2008/10/28(火) 23:27:28 ID:???
機体設定はまたいずれ。今回はここまでで。
矛盾とか指摘とか、最近…学校が、楽しくないんです…
とかあったらいつでも言ってください。それじゃあサヨウナラ
327通常の名無しさんの3倍:2008/10/29(水) 22:12:56 ID:???
投下乙乙WEED
328191:2008/10/29(水) 23:32:34 ID:???
さあ、空気を読まずに俺が来たぜ!
今日突如一限が休講になったので、その間のうち30分くらいで書いた三話、投下します
329191:2008/10/29(水) 23:34:33 ID:???
ガンダムL 第三話 死闘の果て

絶妙な間合いの中、エルトはコクピットの中にいるだろう奇妙な敵を睨む。
(なんだろう…この感じ…)
焦って先に動いた方が負けだ…そう言わんばかりの緊迫した雰囲気…
耐え切れず、先に動いたのは意外にもモナークの方だった。
勢いのついたビーム薙刀の斬撃を、エルトは膝を屈曲させ、姿勢を低くして避ける。
そのまま間合いをとるエルト。迂闊には近づけない。
((彼と話がしてみたい…いや、話さなければならないのか…?))
二人は同時に思う。
ここまでまったくと言っていいほど会話の無かった二人だが、戦闘中常々そのように感じていたのだった。
だが、油断は隙を生む。隙は命を奪う。お互い逡巡して、動けないでいた。
そんな中、沈黙を破ったのは、またしてもモナークの方だった。
私は我慢弱い!のかな?
「君は戦いには向かない。優しすぎるよ」
(!…通信!?)
エルトは戸惑いを隠せないでいた。モナークが続ける。
「その気になれば君は俺を倒すことができた筈だ。
 けどそれが出来ない、それは君が優しすぎるからさ」
少しの沈黙の後、エルトが言う。
「ハッ!アンタの強さが異常なだけだよ」
「戦うこと以外の道を、見出せなかったのか?」
唐突に、けれどそれは必然の問いであるかのように、モナークが目を細めて言う。
エルトは迷う。どう答えたらいいのか、それともこの問答自体が罠なのか。
「…今の両国間の情勢を鑑みたら、外側から解決することなんて、出来ないさ」
「優しいだけじゃなくて、冷静さも持ち合わせているんだな」
「まさか。臆病なだけさ」
エルトは自嘲気味に笑う。
「俺も内側に立つことでしか、戦うことは出来ない。
 当事者にならなければ、人の痛みはわからない。それが俺の言い訳さ」
モナークが答える。
330191:2008/10/29(水) 23:35:25 ID:???
「人の痛み…」
エルトは思い出す。
ダルタイル帝都近郊に燃え上がる炎…天高く降り注ぐビーム兵器の雨…崩れ落ちる建物…
そして、救いを求め逃げ惑う、数多の人、人、人…
泣き叫ぶ幼い自分の姿と、崩れ落ちる父と母の姿…!
血の匂いに、戦いに狂った連邦の戦士たちが、帝都近郊を蹂躙していく!
ああ、そして俺は!
………

「だけど、それは俺たちも同じだ」
幾らか残酷に、そして悲しそうにモナークが言う。
「血に飢えてる」
「…!!」
「俺達の戦いが、俺達のような者を生み出すのさ」
エルトは思い出す。
今までの自分はどうだっただろうか?
これ以上自分のような者を、戦争という怪物が生み出さないよう、軍に志願したはずだった。
地位がないから?皇帝じゃないから?力がなかったから?
俺は…
………

「戦いを、戦い以外の方法で終わらせることはできないのだろうか」
沈黙したエルトにモナークが問いかける。
「それが分からないから、俺たちは、人類は、戦い続けるんだろうな」
モナークが続ける。
「そうかもしれない。だけど本当は、心の底から戦いを望む者なんていないはずだ」
エルトが言う。自分の信じた何かに、縋るような目つきで。
そうでもしなかったら、胸の奥の何かに、飲み込まれそうだったから。
「君は純粋なんだな。きっと違う場所で会えてたら、いい友人になれてた」
「かもしれないな」
エルトはモナークの、モナークはエルトのことを考えてみる。
今目の前にいるこの敵は、一体どんな生涯を送ってきたのだろう?
どんな経緯で軍に入ることになったのだろう?
何故戦うことになったのだろう?
331191:2008/10/29(水) 23:36:31 ID:???
「なあ」
エルトが顔を上げて言う。
「そろそろ再開しよう。これ以上アンタと話していたら、俺は多分アンタを討てない」
「…それもそうだな!」
モナークが言う。
(そうだ!あの頃の…エクレルス・コナーだった俺はもういない…!)
鋭い目つきのモナーク。
(俺は連邦の…モナーク・ホプキンドだ!)
「うおおおおお!!」
猛々しい雄叫びと共に、ビーム薙刀が目にもとまらぬ速度で舞う。
「はああぁぁぁ!!」
それに応えるように、エルトのビームサーベルが、一筋の軌跡を描く。
ビーム薙刀の二つの刃を、サーベルが弾く。
サーベルが伸びたなら、薙刀がそれを阻む。
二つの武器は、それぞれがまるで意思を持っているかのようにうねり、舞い続けた。
何度目かの攻防の末、モナークの薙刀が、エルトのダンデスのコクピット付近を掠める。
ザシュッ!胸部の装甲がはがれ、ダンデスからエルトの顔が覗く。
「…ッ!」
視線を向けるモナークと、先程の勢いに体勢を崩すエルト。
ピピッピピッピピッ…
最早エルトのダンデスは戦闘を行える状態ではなかった。
残るは自爆装置のみ…死ぬほど痛いぞ、トロワ。
「さあ…」
大量の汗をかき、息を荒げたモナークが言う。
「さよならだ!」
ビーム薙刀の切っ先をエルトに向ける。
「ここで…!」
頭を強く打ち、気絶しかかっていたエルトだが、その瞳はまだ輝きを失ってはいなかった。「死ねるか!!」
尻もちをつき、建物の残骸にもたれかかった姿勢のまま、腰を回転させ、タメをつくる。
そしてそのまま腰の回転を利用し、ビームサーベルを思い切り振りぬく!
一閃!そのまま薙刀を持った手の甲を破壊する!
332191:2008/10/29(水) 23:37:18 ID:???
「何!?」
勢いはとどまらず、そのまま反対の肩口の方にまで刃が及ぶ。
「うっ!」
モナークの胸部装甲も破壊され、エルトと同様の状態になった。
「………」
視線が交差する。
その瞬間、二人は奇妙な感覚に捉われる。
((なんだ、これは!?))
暫く動けなくなる二人。
しかし、その沈黙を破ったのは、今度はエルトの方だった。
「俺は…生きる!!」
再びサーベルを構え直す。
戦慄するモナーク。しかし…
「…!燃料、切れか…」
エルトのダンデスが沈黙する。
しかし、モナークの方も到底戦闘を行える状態ではなかった。
「………」
暁の空へ、去ってゆくモナーク。
その姿を、どうしようもなく、嬉しそうに見守ったエルトは薄く笑い、そのまま気を失った。
333191:2008/10/29(水) 23:38:55 ID:???
同刻
ダルタイル帝国皇居の、最深部…
そこに、二人の男がいた。
一人は、ダルタイル帝国軍の軍服を纏っている、抜け目がない表情の男。
その瞳は、人間とは何であるか、といったテーゼに対してすら、容易に答えを紡ぎだすことのできると感じさせる程の重い光を湛えている。
もう一人は、生まれながらの覇者としての風格に、血生臭い王位継承権獲得を勝ち上がってきた者のみが持ち得る、誇りと憐憫を含んだ鈍い瞳を持っていた。
ダルタイル帝国先代皇帝、ノワール・カーメンである。
かつて弱小と言われたダルタイル共和国を、わずか数年で連邦と渡り合えるほどの国力に育て上げた人物だ。
人々は尊敬と畏怖の念を込めて、彼のことを「漆黒大帝」
そう、ブラックエンペラー、と呼んだ。
「やはり、出たか。ガモウ」
厳かに言う。
ガモウと呼ばれた男、軍服の男が答える。
「はっ」
「デルタ隊。向かわせたのだろう?迎撃をかって出たのはどこの愚か者だ?」
「余が言うのもなんだが、あれは強い。
あれに勝てるのは、かの『闇を横切る閃光』くらいであろう。ゴディアス…惜しい男を失ったものだ」
「それが」
ガモウが言う。
「たった今報告がありました。第一師団、第八分隊と第十分隊が、これを退けたようです」
「何?」
大帝の目が光る。
「更に、生存者の中に興味深い名が」
ガモウが続ける。
こちらを、ガモウが言うと、モニターに映像が出る。

オルト・サカザキ…
キール・ニール…
クロスキー・クロス…
ティエル・レナード…
エルト・ロウ…

「ふはははっ!そういうことか、閃光の血は、生きていたのだな!」
エルトの名を目にした大帝が笑う。
「これでダルタイルは安泰と言ったところか」
ガモウは曖昧に笑う。
ここで変な受け答えをしてしまったら、どんな目に遭うかわからない。
いかな先代皇帝とはいえ、幼き息子ギグルスタンにその地位を譲ったとはいえ、実権は大帝にあった。
所謂大御所である。
「さあ」
大帝が再び笑う。
「始まりだ」

三話 終 四話へ続く(と思う)
334191:2008/10/29(水) 23:40:52 ID:???
ノワール・カーメン(51)
所属:ダルタイル帝国
詳細:
ダルタイル帝国先代皇帝。
その暴虐さから、人々は彼のことを、畏怖の念を込めて「漆黒大帝(ブラックエンペラー)」と呼ぶ。
弱小だったダルタイル共和国を、わずか数年で強大な帝国に仕立てあげた。
現在は、息子ギグルスタンにその地位を譲り、自らもまた暗躍している。

機体名称:ヴィルザード(モナーク専用機)
基本武装:
ビームサーベル、ビームライフル、ディフェンスロッド、バルカン×2、胸部ミサイル
追加武装:
ビーム薙刀、センサー類
詳細:
モナーク用にカスタマイズされた機体。機動力向上の為、スラスター類が強化されている。
また、通信機能に長ける。

機体名称:ヴィルザード(タケル専用機)
基本武装:
ビームサーベル、ビームライフル、ディフェンスロッド、バルカン×2
追加武装:
ビームロッド→グフのあれみたいなの。実体の鞭にビームを纏わせてある。
ビーム刀→形状が日本刀のようになったサーベル。次回あたりで使用予定
センサー類
詳細:
タケル用にカスタマイズされた機体。追加武装が充実しているが、ミサイルはない。
トリッキーな戦術の下使用されるので、誰もが扱うことができるわけではない。

機体名称:ヴィルザード(サムソン専用機)
基本武装:ビームサーベル×2、ビームライフル、ディフェンスロッド、バルカン×2、胸部ミサイル
追加武装:
ビームランチャー→チャージに時間がかかるが、威力は高い。
ショルダーシールド→両肩に装備された盾。
センサー類
詳細:
サムソン用にカスタマイズされた機体。重武装型の為、防御力が高い。
本来の機動力を落とすことなく操縦されるのは、サムソンの技術の賜物である。
335191:2008/10/29(水) 23:42:16 ID:???
今回は若干短くなりました。
ちなみに、あのワードを出したことについては、反省していませんw
それではサヨウナラ
336七四三:2008/10/30(木) 18:42:13 ID:???
191さん。乙です
俺も投下します
337七四三:2008/10/30(木) 18:43:40 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第五話 各個反撃

帝都の一角が爆発するより少し前。

皇城の医務室にて医師ジェイソン・オーラムは困り果てていた。
ジェイソンは平凡な外見の中で唯一の特徴である赤髪をポリポリと掻きながら、その原因に呼びかける。
「セレアちゃんさぁ、流石にこれはちょっと困るんだよねぇ」
視線の先にはセレア・ゴッドウィンがいた。
セレアはベッドの上に横たわり、スヤスヤと寝息をたてている。
美少女が医務室で静かに眠っている。そう書くといかにも病弱で儚げな印象を与えるが、実際に見てみると尋常ではない光景に驚くに違いない。
セレアが眠るベッドはあまりに巨大だった。それは一つの物ではなく、医務室にあるベッドを全て集め、連結し特大サイズにした物だった。
それはセレアには余りに大きく、結果、ベッドの中心にちょこんと丸くなって眠っていた。
「いや、別に医務室で昼寝するのは構わないんだけどさぁ。でも勝手にこんな事やられると僕も困るし、他の人も迷惑すると思うだよねぇ。実際」
寝ているセレアには聞こえていないと思うが、ジェイソンは言わずにはいられなかった。
ジェイソンは赤髪をポリポリと掻く。

正直な所、ジェイソンは口で言うほど困ってはいなかった。
慣れというのは恐ろしいものだと思う。
幼少期のセレアを、そしてその兄を知り、面倒を見ていたジェイソンはゴッドウィンの兄妹の奇行には慣れきっており、大抵の事に対処する術は心得ていた。
不意にセレアが「う〜」と唸る。
医務室の中はエアコンが効いているので涼しい。少し体が冷えたのだろうと思い、セレアに薄い夏用の毛布をかけてやる。

美しい少女だ。
ジェイソンは毛布をかけながらつくづくそう思う。
美の女神。そう称しても、おそらく宇宙の誰からも文句を言われることがないだろうと思わせる、異常とも言える程に整った顔立ちだった。
「まぁ、兄貴の方がもっとスゴいんだけどねぇ」
苦笑しながら呟く。綺麗な顔立ちだとは思うがジェイソンの好みではない。

毛布をかけ、そっと離れようとした。その時、ジェイソンの顔が急に険しいものに変わる。
「揺れたな……」
帝都の市街地からやって来た微弱な振動に対して呟く。この時、帝都の一角で爆発があったのだが、防音設計のなされた医務室にその音は届かなかった。
ちょっと様子を見てこようか。そう思い、ジェイソンが出入り口に近寄ろうとする。
その瞬間、ドアが蹴破られた。
338七四三:2008/10/30(木) 18:45:13 ID:???
「動くなっ!!」
その声と共に男が一人、医務室の中に入ってきた。
男は装甲服に身を固め、小銃を構えていた。
「まいったなぁ」
場違いな響き。ジェイソンはそんな声を出しながら赤髪をポリポリと掻き、男には目もくれずに男が蹴り破ったドアを心配そうに眺める。
皇城の内装を考えて木材を使ったドアだ。乱暴な男のせいで
339七四三:2008/10/30(木) 18:46:42 ID:???
「動くなっ!!」
その声と共に男が一人、医務室の中に入ってきた。
男は装甲服に身を固め、小銃を構えていた。
「まいったなぁ」
場違いな響き。ジェイソンはそんな声を出しながら赤髪をポリポリと掻き、男には目もくれずに男が蹴り破ったドアを心配そうに眺める。
皇城の内装を考えて木材を使ったドアだ。乱暴な男のせいで傷がついてないか心配になったジェイソンは近くで確認しようとドアに向かって歩き出した。
「動くなっ!!」
銃を突きつけ威嚇する男。しかし、ジェイソンは動じず、歩みを止めない。
「大人しくしていろ!でなければ――」
「どうすると言うのだ?」
女の声。
セレアが起きていた。傲岸不遜にベッドの上に仁王立ちするメイド服の美少女。
「貴様っ!!」
威圧されながらもセレアに銃を向けようとする男。だが――
「随分と威勢がいいな。素手でどうするつもりだ?」
男が気付いた時には既にセレアは男のすぐ脇にいた。その手にはいつの間に奪ったのか、男が持っていた筈の銃があった。
「なっ!?いつの間――」言い終わる前に男は崩れ落ちる。
男の鳩尾。耐弾耐刃耐衝撃の装甲服にセレアの拳がめり込んでいた。
誰の目にも装甲服がその役割を全く果たせていない事は明らかだった。
「医者の目の前で怪我人を出すのは止めてくれないかな?」
ジェイソンは赤髪をポリポリと掻きながら言う。
「すまないな」
全く反省の色の無い口調で言い、セレアは拳を男の鳩尾から引き抜いた。
男は医務室の床に崩れ落ちた。ジェイソンはすぐさま近寄り、男の容態を診る。

ジェイソンが男の治療を始める中、セレアは目をつぶり、じっとその場に佇んでいた。
セレアの鋭敏すぎる聴覚は場内に響く銃声と争いの音を確実に捉えていた。
「ミカドが心配だな……」
思わず口をついて出た言葉。ジェイソンは男の治療をしながらも、それを耳聡く聞き取っていた。
「そこで、特定の相手の名前が出るなんてセレアちゃんも女の子になったんだねぇ」
感動三割、からかい七割にジェイソンが言う。
セレアはそれに対して真顔のまま
「だが、この心配は杞憂だろうな」
「ん?」
セレアはそこにきて、ようやく口許に微笑を浮かべた。

「私が好きになるのは、私より強い男だということさ」
340七四三:2008/10/30(木) 18:48:35 ID:???
その頃ミカドは――

「止まれっ! 止まらんと撃つぞ!!」
「うるせえっ!! そう言われて止まる馬鹿がいるかっ!!」

追跡する者が追跡される者へとなっていた。
警備兵の服装をした見知らぬ男を追跡していたミカドは最悪のタイミングで追跡に気付かれた。
男は仲間を呼び、その手に銃を持ちミカドを追いかける。
「冗談じゃねえよ、全く…」
呟きながら、ミカドは後ろを振り返る
どう見ても、男たちはカタギではない。間違いなくプロだとミカドは推察する。
なんで、あんな奴らがここに居るんだよ!?
と、叫びだしたい気持ちだった。
武装した男達が皇城の中にいる、これはただ事ではない。

「警告はしたぞ…!」
背後から聴こえる声の質が変わった。
ミカドは直感的に危険と判断。床を蹴る。
直後、銃声が廊下に響き、先程までミカドがいた地点を銃弾がなぎ払った。

「危ねえだろっ!! 当たったらどうすんだ!」
ミカドは走りながら、後ろを振り返り叫ぶ。その体にはかすり傷一つ無かった。
男達はミカドが走るその姿に目を見開いた。それは、ミカドが無傷であることが原因ではない。
男達はミカドが走っていること自体に純粋に驚愕していた。

ミカドは床を走ってはいない。
発砲の瞬間、床を蹴ったミカドは壁に向かって跳躍、壁面の僅かなとっかかりを足場に壁を走る。
その速度は床を走っていた時と殆ど変わらず、慌てて男達が追いかけるものの、一向にミカドとの距離が縮まる様子は無かった。

「撃てっ!撃ちまくれっ!!こんなものは一度限りの奇跡、次は当たる!!」
リーダー格らしき男の言葉と共に走りながら、男達は再び銃を構える。
「本当に今のを奇跡と思うなら、てめえらはそこで詰みだっ!!」
ミカドは壁を走りながらちらりと背後を走る男達に目をやる。
その一瞬だけで、ミカドは男達の動きを予測する。
銃口の向き、銃の構え方、引き金にかかる指の力、体格、視線、精神状態、全てを一瞬で把握し、分析、そして導き出される未来をイメージする。誰から習った訳でもない、防人として過ごす中で自然と身につけた技能。
ミカドの目には男達の動き手に取るようにわかった。

銃声が鳴り響く。
しかし、ミカドは男達の構えた銃口の先にはいない。
ミカドは廊下の壁、床、天井を飛び跳ねながら移動し、男達に狙いを定めさせない。
341七四三:2008/10/30(木) 18:50:49 ID:???
「猿がっ!!」
「断定かよ」
男達の苛立ちの言葉を適当に返しながら、ミカドは男達から逃げる。
男達の表情には驚愕と焦りが浮かぶが、それでも男達は足を止めずにミカドを追いかける。
「面倒だな……」
追いかけてくる男達を見て、ミカドは呟く。予想していた以上に男達は粘り強かった。
ただのガキ相手になんでそこまでムキになるんだよ…?
ミカドの目に映る男達の表情には殺意がこびりついていた。

これは、こっちから攻めないとダメだろうな…
ミカドは逃げ切る事を諦め、迎撃を心に決める。しかし、実際に行動を起こすことは躊躇われた。
ミカドは素手、男達は銃。真正面から相対するにはいくらなんでも、分が悪すぎる。
現状、銃撃を避けられてはいるが、これは全精力を避けることに傾けているからこそ出来ることであって、少しでも攻撃に意識を向ければ、一瞬で蜂の巣になることは確実。
何か得物でもあれば……とミカドは思う。
別に銃でなくてもいい、とにかく、武器さえあれば、と思いながらミカドは辺りを見回す。しかし、使えそうな物は見当たらない。
「洋風の城なんだから、壁に槍とか剣とか立て掛けておいても良いだろうに……」
ゲームやら映画やらで得た知識で物を言う。
それと同時、ミカドは不意に頬に熱を感じた。

「あつっ!?」
熱は痛みに変わり、ミカドはとっさに頬に手をやる。手のひらにぬるりと水っぽい感触を感じ、ミカドは恐る恐る、手のひらを見る。
赤かった。とにかく赤かった。
「くそっ!」
ミカドは吐き捨てるように言うと、頬のことは忘れて、再び武器になりそうな物を探す。
とにかく、得物が無いとシャレにならない状態になりつつあった。ミカドは焦り、周囲を見回す。すると、廊下の先に何やら、棒のような物が見えた。
一縷の望みを得たミカドは必死の思いで、棒のような物が立て掛けてある場所まで進む。
この際、どんな物でもいい。とにかく、得物になりさえすれば、とミカドは弾丸が体を掠めるのも気にせずに一心不乱に進み、そして遂に棒を手に取る。

ミカドは改めて棒を見、そして愕然とした。
手に取った棒はモップだった。ご丁寧に傍らにはバケツまで置いてある。
342七四三:2008/10/30(木) 18:52:54 ID:???
男達はモップを持ったミカドの姿を見ると、引き金を引く手を止め、ニヤニヤとバカにしたような表情でミカドに近づいた。
「掃除でもするつもりか? 諦めて投降しろ」
先程までの焦りに充ちた表情から一変、男達の表情は余裕に満ちたものとなっていた。
ミカドはそんな男達と目を合わせず、モップの柄をコンコンと爪先で叩く。
次いで、片手でくるりとモップを回し、ミカドは今度はモップの頭の方を爪先で叩き、そして、何かに納得したかのように頷き、「悪くない……」と呟く。

「おい小僧、それを置いて手を――」
言い終わる寸前、男の顔面にバケツが直撃した。ミカドがモップを使い、ゴルフクラブの要領でフルスイングしたバケツは恐ろしい勢いで飛翔し、金属製ということも相まって、凄まじい威力で男の意識を彼方へと弾き飛ばした。

「『掃除でもするつもりか?』だって?」
ミカドはバケツの直撃により倒れた男には目もくれず、片手でモップを回転させながら、残った男達を見回す。
「ああ、やる気満々だぜ」
ピタリと回転が止まり、スッと流れるような動作でモップを構える。男達の目にはモップがまるで本物の槍のように見えた。
目の前に立つ少年の雰囲気が変わった事に、息をのむ男達。ミカドはそんな男達を見回し口の端に微笑を浮かべる。
「おまえらみたいなゴミを掃除できるとなりゃ、否が応でもやる気が出るってもんだ!!」
叫び、そして踏み込む。

男達にはまだ余裕があった。
三人が二人になったものの手には銃がある。銃と槍が戦えば、間違い無く銃が勝つ。男達はそう確信していた。
しかし、男達はそれが過信であることを、すぐさま、身をもって知ることとなる。

踏み込み、迫るミカドに男の一人が銃を向ける。その瞬間、男の手を衝撃が襲い、手に持っていた筈の銃の感触がなくなる。
男はふっと、上を見上げる。そこにはほんの一瞬前まで、持っていた筈の銃が宙を舞っていた。
銃をモップの柄で弾き飛ばしたミカドは、勢いはそのままに柄で男の鳩尾を突くと、モップをクルリと回し、トドメのつもりでモップの頭の角を男のこめかみに叩きつけた。
もし、男達が装甲服を着ていたならば全く効きはしない攻撃だったが、幸いにも男達は装甲服を着ていなかった。

343七四三:2008/10/30(木) 18:55:40 ID:???
こめかみを打たれた男が崩れ落ちる。
その姿を最後に残った男が唖然とした表情で見つめる。しかし、男は次の瞬間、ハッと我に返り、ミカドに銃を向ける。
距離はあった。この距離ならば今のような銃を弾き飛ばされる状況は無いだろうと最後に残った男は高をくくる。
だが、それも所詮は甘い考えだった。
ミカドはモップの柄の端を片手で握り、大幅にリーチを稼ぐと一気に振り回した。
軌跡すら見えない高速の一撃は男の構えた銃を軽々と弾き飛ばす。
「ひっ」
男の口から情けない音が漏れる。
ミカドにもその音が聞こえたが、欠片も可哀想などという気持ちは湧き上がらない。
むしろ、戦いの最中にそんな声を漏らす、男の情けなさに嫌悪さえ覚えた。
ミカドはその場でクルリと回る。そして、自身の回転を加えた渾身の一撃を男の脇腹に叩き込む。
片手で放たれた一撃だったが、それは男の体にめり込み、男を軽々と弾き飛ばし、床へと叩きつける。
「いっちょ上がりっと…」
ミカドはくるくるとモップを回しながら呟く。が、その直後、廊下に乾いた音が響く。

「危ねーだろ」
とっさに身を屈めたミカドは冷静に音のした方に顔を向ける。
そこには、バケツが顔面に直撃し、意識を失っていた筈の男がいた。男は目を血走らせながら、拳銃をミカドに向け、引き金を引いた。
あ、これは当たるな。
そう思った瞬間、ミカドの体は自分の意思とは関係なく反応し、モップを振った。
「あっ!」
とっさに取った自分の行動にミカドが思わず声をあげ、驚きを露わにする。だが、男の驚愕はそれ以上だった。
「化け物だ……」
恐怖に満ちた声で男は口走る。怯えきった男の視線の先には、無傷のまま佇むミカドがいた。唯一変わったところと言えば、手に持ったモップが折れて短くなっていることくらいだ。
「化け物…ねぇ…」
「ひいっ」
ミカドの呟きなど耳に入らない。男は再び引き金を引く。
再度、ミカドに襲いかかる弾丸。だが、ミカドは慌てずにモップを振る。微かな金属音が鳴る。ただ、それだけだった。

「どうよ?」
ミカドは肩を竦め無傷をアピールする。
「ば、化け物めっ!!」
わめき、男は狂ったように拳銃の引き金を引く。
乾いた音が連続して響く。それに対してミカドはまた同じようにモップを振る。
やることは単純、飛んできた弾丸をモップで叩き落とす。それだけだ。
まあ、叩き落とす時にモップの方も少しずつ、折れるんだがな…
344七四三:2008/10/30(木) 18:57:30 ID:???
良いモップを折ることに些か心が痛むが、命を守る為には仕方ない。ミカドは心を鬼にして弾丸を叩き落とす。
「あんた、俺のことを化け物って言ったけどさ。そりゃあんた、物を知らなすぎるぜ」
手を動かしながらミカドは男に話しかける。既にモップの長さは最初の半分以下になっているがミカドにそれを気にする様子は無い。
「世の中にはこんな事出来る奴なんか結構いるんだぜ。俺の知り合いの兄妹なんか、素手で銃弾はじいたり、指で掴んだりするしな」
世間話のような調子でミカドは男に話し掛ける。
だが、男はミカドの言葉など耳に入らず、狂乱し、引き金を引き続ける。
しかし、無限に撃てる銃などはなく、とうとうその銃が音を発することは無くなった。
その瞬間、ミカドが動く。疾風のような速さで懐に飛び込むと既に原型を留めない程に短くなったモップを男の鳩尾に突き立てる。最早、限界に達していたモップはその一撃により砕けた。
だが、その一撃は確実に男にダメージを与えている。
「悪いな。得物さえあれば俺はセレアにだって負けねえんだよ」
そう言うと、ミカドは苦悶の表情を浮かべる男の延髄に手刀を落とし、意識を刈り取った。

345七四三:2008/10/30(木) 19:12:00 ID:???
実戦は3ヶ月ぶりだし、こんなもんだろ。
今の自分の戦闘を冷静に分析しながら、ミカドは倒した敵の武器を拾う。
銃は使えないことは分かっている。ID認証でロックが解除される銃器だったからだ。
試しに手に取り引き金を引く。しかし、何の反応もない。ついでに、持ちやすい所を探し、振り回して見る。
「重さのバランスが悪いな…」
鈍器としても使いづらいようだった。
ミカドは銃をその場に置き、代わりに倒れた敵から使えそうな装備を剥ぎ取ることにした。
手に取ったのは軍用のナイフ。試しに振ってみる。
突き、払い、斬りつける動作をし、締めに短刀術の基本の型を繰り返す。
「良いものだな…」
しみじみと呟きながら、ミカドは敵からナイフの鞘を剥ぎ取り、ナイフを納めると鞘を腰に吊した。
ミカドとしては銃よりも刃物が手元にある方が有り難かった。
幼少期から防人として、大抵の武器の使い方を習っているので銃も問題無く扱えるが、何故かいつもしっくりとこなかった。
「生まれた時代を間違えたかな……」
自嘲するように呟きながら、腰のナイフに触れる。
手に触れる硬い感触に不思議な安心感を覚える。
本音を言えば刀や長剣の方が良かったが、そんな物が無いのは解っているので贅沢は言わない。
それに、先程の敵の練度からしてナイフ一本あれば大抵の状況を切り抜けられるだろうとミカドは予測する。

ミカドは後始末に男達の装備を剥ぎ、真っ裸にする。男の服を脱がすのは最悪に気分の悪くなる作業だったが、仕方無いと諦める。
ミカドは裸の男達を縛り上げる。近くの手近な部屋に叩き込み、その場を後にする。

恐らく、城の中にはさっきの男達ような武装した集団が数多くいるに違いない、とミカドは走りながら考える。
「気に入らねえな……」
底冷えのするような声で呟く。
こういう事に関して、憤りを感じるくらいの正義感はミカドとて持ち合わせている。
ミカドはその正義感を原動力に行動する事に決めた。

346七四三:2008/10/30(木) 19:13:03 ID:???
「行くのかい?」
ミカドが行動を決意した時、医務室にも動きがあった。ジェイソンはエプロンドレスを外し、紺のワンピースだけの戦闘態勢となったセレアに訊ねる。
「ああ」
セレアは素っ気なく頷く。
「ミカドも恐らく動き出すだろうしな。手助けをしてやらないとな」
「酔狂なことだねぇ」
呆れたような口調だったが、ジェイソンは笑っていた。
「僕も、そういうのは嫌いじゃないけどね」
「だったらついてくるか?」
つられたように口許に微笑を浮かべながら、セレアは軽口を叩く。
ジェイソンはとんでもないことだと首を振り
「僕はここにいて怪我人が来たときに備えるよ」
セレアはその言葉に頷き、納得すると何も言わずに医務室から出て行った。
医務室を後にするセレアの背中を見て、ジェイソンは赤髪をポリポリと掻き、これから、ここを訪れるであろう、怪我人達を受け入れる為の準備を始めた。

六話に続く
347サクシャイン ◆H5WgPJ.0TA :2008/10/30(木) 19:15:06 ID:???
>>333
ぬけぬけと来て悪いが言わせてもらうよ。

共和国創立と反感鎮圧(戦闘型)男:初代皇帝ペスター・カーメン「34」
ダルタイルの再興に尽力(政治型)男:二代皇帝ノワール・カーメン「36」
連邦の重臣(全幅型)男:三代皇帝ファルウェア・カーメン「17」
新惑星発見と地球外生物の鎮圧(戦闘型)女:四代皇帝セフラ・カーメン「16」
連邦に宣戦布告、自刃(全幅型)男:5代皇帝ギグルスタン・カーメン「28〜30?」
父の自刃により、6代皇帝に連邦との和睦(知的型)男:6代皇帝ウィンド・カーメン「87」
連邦との本土決戦、ダルタイル滅亡(戦闘型)男:7代皇帝皇帝スペルド・カーメン「34」
でいいな!?い、いいよな!?
348議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/30(木) 20:10:16 ID:wH2gN+wB
>>347
却下
349サクシャイン ◆H5WgPJ.0TA :2008/10/30(木) 20:54:37 ID:???
>>348
残念!君の意見は取り入れられなかった!
350議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/30(木) 21:10:50 ID:???
>>349
それなら聞くなカス
巣に帰れよ、鬱陶しい
351議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/30(木) 21:12:13 ID:???
>>349
お前人様のネタをパクる以外で人の意見なんぞ聞かんじゃないか
352191:2008/10/30(木) 22:28:36 ID:???
>>七四三
乙です。やっぱ上手い!

>>ライト
だから早く本編進めてくれってw
そんなん知らんがなw
俺も独自に行けないじゃんw
まあ気にしませんけどね
ただブラックエンペラーって異名の人出してみたかっただけだし
353議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 01:05:55 ID:???
なんでライトって態々あおるような事を書き込むんだろう?
不思議でしょうがない
354七四三:2008/11/01(土) 00:40:25 ID:???
俺も本編ではない物を書いてしまったのでライトの事をどうこう言う資格はなくなってしまったわけで……
本編とは全く関係ないけど、勢いで思いついたミカドとセレアが出てくる話を投下します。
続けるかどうかは空気を読みます
355七四三:2008/11/01(土) 00:42:06 ID:???
ミカドの帝都日記

それは俺が帝都に来てから2ヶ月が過ぎた、ある日の出来事だ。

平日の朝、俺は駅に居た。初夏の帝都は日中、恐ろしく暑くなるが、朝はまだそうでもない。
俺はぼーっとアホ面をさらし、駅前に立ち尽くして一人の女を待っていた。
正直、朝で良かったと思う。コロニーという安定環境で育った俺は情けない話だが気温の変化に弱い。暑いのも駄目だし、寒いのも駄目だ。
待ち合わせの時間が日中だったら、俺は暑さのあまり、逃げ出していたいたに違いない。
だが、待ち合わせている相手が相手なだけに逃げ出すということは、俺の死を意味する。
女相手に何を言っているのかと思うかもしれないが、恐らくその女の名を聞けば、誰であろうと納得してくれるに違いない。
女の名は、セレア・ゴッドウィン。
俺が知っている中で最強の女だ。


事の発端は超簡単。
セレアが水族館に行きたいと言い出した。
別に、本人が勝手に行くのは構わない。
俺は「行ってこい」と言った。
そしたらどうだろう、セレアは俺の肩を握力計が壊れるくらいの力で掴み、
「貴様も一緒に来るんだ」
なんて言い出した。
どう考えても脅しに他ならない。俺は必死に金がないとか暇がないとか言い訳した。
だが、それも無駄だった。セレアは俺が何を言うのか予測していたのだろう。
金がないという言い訳には、ウィリアムのコネでウィリアムの親族が経営してる水族館の無料チケットを入手していた。
暇がないという言い訳はそもそも通用しなかった。
学校では殆ど同じ授業を選択しているので、空き時間や授業の無い日は殆ど把握されている。バイトに関しても職場が同じせいで、シフトを把握されている。
打つ手なしの状況、それでも、俺は頑張った。
でも、頑張ったからってどうなるものでもない。結局、最後はセレアに殴られそうになったので、俺は了承した。

まぁ、本当の事を言えば、俺も楽しみは楽しみだ。
よくよく考えれば、異性と2人っきりで水族館。これはデートに他ならないだろう。
年頃の思春期真っ盛りの男子としては心躍らない訳がない。
ましてや、相手は性格はアレにしても、美少女。それも、そんじょそこらの女優やアイドルなんかは裸足で逃げ出す、超がつくレベルの。
これで、テンションがあがらない訳は無いだろう。
現に、セレアを待っている俺のテンションは正直ヤバいレベルだ。

356七四三:2008/11/01(土) 00:43:58 ID:???
テンションのやり場がない俺はキョロキョロと辺りを見回す。
駅前は平日の朝ということもあり、そこまで人は多くない。通勤、通学時間を外しているということもあるのだろう。
休日はまた別の理由で混むだろうし、結果として授業の無い平日を選択したのは良かったかもしれない。

「おい、私が来たぞ」
不意に声がした。俺は声の方を振り向く。
そこには、美少女が居た。
口調や性格とは裏腹にプライベートでは基本的にフェミニンで上品な服装を好むセレアは、普段はポニーテールにしている黒髪を下ろし、白いワンピースにサマーカーディガンを羽織っていた。
顔立ちと相まってその姿は深窓の令嬢というしかない。
うーむ、ぐっとくる。セレアのクセになかなかどうして…
「おい、貴様、私が来たのだから何とか言え」
「ばーか、逆だ。こういう時はおまえの方から何か言うんだよ」
ごめーん、待ったぁ? とか言って、俺を萌えさせてみろよ。クソメイド。
「ふむ…」
いっちょ前に顎に手を当てて、悩んでやがる。さぁ、言え、言ってみろ。
それがなきゃデートが始まらねーだろ!!
「おい、貴様。昨日はちゃんとマスを掻いたか?人面獣心の貴様にとって望む所な展開は今日は来ないと知れ!
だから、昨日はせめてもの譲歩としてケダモノの貴様があまりに可哀想だから、妄想することを許してやったのだ。私の好意に甘んじて、猿のようにティッシュを無駄遣いしたのだろうが、私は寛容だから許してやろう。
だが、先も言ったように貴様が待ち望んだ展開は来ないぞ。
ポロリもタッチもスケスケも、ぶつかった拍子にキスとかいうラブコメ展開なんかは決して無い!!私はプラトニックな恋愛派だ!婚前交渉も一切却下、許してやるのは手をつなぐまでという、超清純派で18歳以下にも優しい仕様だ!
だからといって気安く手をつなごうとか思うな!そこまで行くには、様々なフラグを立てねばならんのだ!この間、ウィリアムから借りたゲームで私はそれを良く勉強した。
だから、貴様も努力しろ!!
以上、セレア・ゴッドウィンでしたっ!!!」
「…………」
えっ?ツッコミ?無理ですって、今の電波セリフに対してどうやって反応すればいいのか、俺には全くわかりませんから。
「何とか言ったらどうだ?私はまだまだ言うべきことが有るような気がするから黙るつもりは無いぞ」
めんどくさいなぁ、この女…やっぱり逃げときゃ良かった。
357七四三:2008/11/01(土) 00:44:58 ID:???
とりあえず、さっさと終わらせよう。俺はそう思いセレアに時計を見せて、言った。
「そろそろ、出発したほうがいいぞ」
「うむ」
良くわからない所で恐ろしく素直なセレアは、頷くと、俺の手を引っ張り駅の構内へと駆け出した。
あれ?様々なフラグはどうした?
俺、もうセレアの手握ってるんですけど。っつーかこの女が自分から握ってきたんで〜す〜け〜ど!
ホントにわけわからんよ。この女……
俺はもう、諦めた気持ちでセレアに引っ張られていった……

続きは気が向いたら
358議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/01(土) 18:41:48 ID:???
う〜ん…これはちょっとw
359議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/01(土) 21:33:19 ID:???
俺はいいと思うけど。
360議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 10:21:02 ID:???
これをガンダムでやらんといかん話なのかと言われると首を傾げるなw
361358:2008/11/02(日) 12:54:37 ID:???
>>360
そう、俺が言いたかったのはそれなんだよ!
362議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 22:15:19 ID:???
ジョーとミィルのSSマダー?
363191:2008/11/03(月) 17:39:41 ID:???
どうも。あんまり話題に上がらない地味な私です。
そして無駄に速筆(?)です。
最近また暇になってきたんで、四話投下します。
繋ぎとして、暇つぶしにお読み下さい。
364191:2008/11/03(月) 17:41:22 ID:???
ガンダムL 第四話 束の間の平穏

デルタ隊との死闘から五日後…
あれからあの激闘を生き残った戦士達は、後に来た救援部隊に助けられ、北アメリカ大陸に存在するダルタイル軍基地に、無事帰還していた。
比較的軽傷で済んでいたクロスとティエルに対し、エルトの方は三日三晩眠り続けていた。
戦いの傷も大方癒え、それから二日が経過していた。
(ちなみにクロスはその間ずっと、始末書と格闘していた)

四日目、目を覚ましてからエルトは変な夢を見るようになった。
(ちなみにティエルはエルトが目を覚ました時、嬉しくて泣いてしまった)
幼い頃の夢だ。
炎に包まれる故郷、崩壊する大地、駆け抜けるMS、血に叫ぶ両親…
もっとも、ここまではこれまでもたまに見ていた夢だった。
そして場面は変わり、血に倒れた両親の隣には銃を持った己自身。
叫ぶエルトに剣を向ける男、モナーク・ホプキンド。
激闘の果てに、やがて場面は移っていき…
やがて、知らない少年が見たこともないようなMSに搭乗し、戦っていく物語の数々。
その中には、同じ年頃の青年や、復讐に燃える男、帝都の少年、更に別の知らない機体と中年の男の戦い、なども含まれている。
そして、その場のそれぞれに己がいないことを知る。
戦いは終わる。けれど、人はまた同じ過ちを繰り返していく…
そこで目が覚める。
365191:2008/11/03(月) 17:42:26 ID:???
「コラー!エルト!いつまで寝てんのよ!さっさと起きないと、『アレ』!食べらんなくなっちゃうわよ!」
ティエルの声だ。エルトの携帯端末に、映像付きの音声が鳴る。
「…また、あの夢か」
ゆっくりと起き上がり、口をゆすいでから少し水を飲む。
いつもより寝グセがひどい。まあ、寝グセがついているのはいつものことだが。
「ちょっと、聞いてんの!?さっさと起きる!!」
「!ごめん!今行く!」
慌てて服装を整え、部屋を出るエルト。そうしないとティエルがうるさいからだ。
やがて、男性寮と女性寮の間の談話室に、ティエルの姿を見つけると、エルトは片手を上げてかすかにはにかんで見せる。
「遅い!」
「ごめん」
「…まあいいわ、アンタが寝ぼすけなのは小さい頃からだし。早く食堂行くわよ!」
「ああ」
早足のティエルと、まだ足取りがおぼつかないエルト。
ティエルは、去年の誕生日にエルトから貰ったお気に入りの時計を見る。
六時四十五分…
「よし、この時間ならギリギリ大丈夫かな。今日こそ念願の『アレ』を…!」
自然と早足になるティエル。
「なあ、『アレ』ってさぁ、ホントにうまいのかな?」
エルトが眠そうな目をこすりながら言う。
「何言ってんの!絶対おいしいって!アンタも楽しみにしてたでしょ?」
あれ、俺そんなこと言ってたっけ…
「いや、俺は別に…」
「いいからさっさと来る!」
「…はい」
食堂に到着する二人。この食堂はとにかく広かった。
なんといっても、二人が所属しているこの基地は地球に存在するダルタイル軍基地の中でも、最も重要な拠点の一つである。
その分、所属する軍人の数も多い。
ガヤガヤガヤガヤ…
人々の話し声が聞こえる。今のところ、80人くらいか。
食事を摂ったり、談笑したりしていた。しかし、この食堂にはまだまだ人が入る。
今の状況がガラ空きだと言えるくらいの広さだった。
366191:2008/11/03(月) 17:43:50 ID:???
「!あった!」
ティエルが食堂の隅に向かう。
「エルト早く!あ、おばちゃん!『アレ』、二人前ね」
なんだか弾けんばかりの笑顔なティエル。
「はいはい。ティエルちゃんの分と、彼氏の分ね」
「ちょっと、カレシじゃないって!」
「はいはい、ちょっと待っててね」
「もう。『アレ』、久し振りなんだから早くね!」
もはやお約束のやり取りである。正直書いてて恥ずかしいw
さて、エルトの方は…
「『アレ』、ねぇ…」
神妙な顔つきで、ティエルの後ろにいた。
「スペシャルスイーツ(笑)ハワイアンハニーホットケーキ…うまいのかなぁ…」
そう、名前があまりにも長すぎる為、この基地では「アレ」で通っている。
その美味さに、食べた人は絶句して絶叫して絶望を通り越してなんだか舌が絶体絶命なことになってアンドリバース!してしまうほどの代物らしい。
朝しか販売しないうえ、1日限定100食の為、食したことのない者も多い。
「前に一回食べたことあるでしょ。忘れたの?」
首をかしげながら問うティエル。
「そうだっけ…よく覚えてないや」
「ふーん…まあいっか」
そんなことを言っていると、遂に「アレ」が二人の前に姿を見せる。
「はいよ。『アレ』、二人前ね」
「ん、ありがと」
「アレ」を受け取り、どこか手頃な席を探す。
すると…
「お〜い、お二人さん!」
「ちょり〜っす☆」
聞きなれた声だ。クロスキー・クロス大尉と、アレン・コーリー准尉である。
「あ、おはようございます!」
エルトが二人の元へ向かう。なんだか面白くないといった表情のティエル。
「や、おはよう。今日は早いなぁ」
「ええ、まあ。ティエルのヤツがどうしても『アレ』食べたいって言うもんで」
はにかみながら答えるエルト。
ちなみにクロスとアレンの二人はとっくに「アレ」を食しており、食後のコーヒーまで飲んでいた。
クロスの朝食は毎日「アレ」らしく、「アレハンター」「モーニングスター」「早起きクロス」などセンスの無い異名を持っていた。
まあそれは置いといて…
367191:2008/11/03(月) 17:44:40 ID:???
「エルト、朝弱いもんなぁ」
「正直自分はもう少し寝てたいんですけどね…」
「何か言った?」
「いや、別に?」
睨むティエルと焦るエルト。
ニヤニヤしながらコーヒーを飲むアレン。
いただきます、と二人が言い、食事を始める。
「で、体調の方はどうなんだい?エルト」
「はい。まだ包帯が全部取れないんですけど、任務には差し障りありませんよ」
「仕事熱心だねぇ。ま、だいたいいいならOKさ。無理はするなよ」
「でも、ホントに驚きましたよ」
ティエルが幸せの絶頂といった顔で、割って入る。
「先日戦ったのが、あのデルタ隊だったなんて」
「俺も驚いたさ」
頷く一同。
「損耗率78%、16名中11名死亡…生存者機の被弾率はいずれも90%超。マジパネェっすよ、こりゃ」
アレンが言う。真剣な顔つきの後、いくらかおどけて見せて。
「命があっただけでも、めっけもんだ」
溜息をつきながら、またもどっかで聞いたようなセリフのクロス。
「ま、失ったモノはでかいがな」
四人は殉職した仲間達のことを想う。
「クロス隊、どうなるんでしょうね…」
ティエルが言う。残った隊員が3名しかいないので、もっともな問いだ。
「わからんよ。増員されるか、転属命令か…お偉いさんが決めるこった」
「転属命令…」
エルトが呟く。
「あ、転属命令と言えば!」
アレンが話題を変える。
「この基地の司令と副司令が変わるらしいZE☆」
「へえ…それは、知らなかったな」
エルトが「アレ」を一口食べながら言う。
「特に嬢ちゃん!驚けよ、新司令はあのドレーク・レナード大佐だって話だ!
 今回の転属命令で、准将に昇進なされるそうだZE☆」
「父さんが!?」
驚くティエル。
「へぇ…おじさんが」
モグモグ、と口を動かしながら言うエルト。
なんだかんだで「アレ」がうまくて食べ続けずにはいられないみたいで。
「そっかぁ、父さんが…最近、忙しくて連絡取ってなかったからなぁ…」
嬉しそうな顔をするティエル。この表情は、きっと「アレ」のおいしさだけによるものではない。
「良かったな、エルト、嬢ちゃん。あの人は軍の英雄だからな、きっと色々と良くなるだろうぜ」
クロスが言い、コーヒーを飲む。
368191:2008/11/03(月) 17:46:05 ID:???
「で、副司令の方なんだが…」
なんか勿体ぶるアレン。正直アレン以外の三人は副司令のことなどどうでもよかった。
「ウジサト・ガモウ大佐だそうだ。元インペリアルガードの」
「インペリアルガード?なんだってそんなエリートが…左遷か?」
おどけて言うクロス。
「大尉、ガモウ大佐はまだ28歳ですぜ。それに今回の転属で昇進もしてる。二階級」
「はあ!?二階級特進!?」
クロスがテーブルからひっくり返りそうになる。
「おいおい、殉職かっつーの。つーか俺はいつになったら少佐になれるんだよ。一個分けろよ、ウジサトさんよ」
溜息をつく。この男、意外と出世欲があったみたいで。
が、クロスとて若干26で大尉なのだからエリートと言っても差支えないだろう。
「着任式は三日後って話だ。ま、とにかく良かったな、嬢ちゃん」
はにかんで見せるアレン。
「うん…って、准尉、仮にも階級下なんだからさぁ、その呼び方…」
ティエルが言いかけると、
「……おおっと!こうしちゃいられねえ!俺は時間だ!
皆様に、勝利と幸福があらんことを!それじゃ皆さんお疲れちょり〜っす☆」
アディオスちょりっす〜…
ダルタイル軍式の敬礼をした後去っていくアレン。謎の多い男である。
「そんじゃま、俺も始末書の続きに取り掛かるとすっかね」
せっかくの休日を…可哀想な男である。
そんじゃなー…バックハンドで手を振りながら人々の中に紛れていくクロス。
少しずつ人も増えてきた。
「あたし達も、そろそろ行かない?」
「そうだね」
席を立つ二人。食器を返却口の方へ持って行こうとする。
ティエルが歩いていると、前の方からいかにも意地の悪そうな男が三人、やって来てすれ違いざまにティエルに足をかける。
「わたっと!」
こけそうになるが、すんでのところでエルトが支える。ちなみに、食器も無事だ。
「ちょっと!何すんの!?」
「…これはこれは。レナード少尉。おはようございます、いい朝で。いやあ、まったく気づきませんでしたよ〜」
いるよね。こういう奴。現実にいるかどうかは別として、お話とかには特に。
「朝からおデートですか?少尉殿。いいですよねえ、少尉殿は。父上に頼めば何だって手に入って。階級さえもね」
あ〜ん、お父様ぁ〜…残りの男達がはやしたてる。
「アンタら…」
怒るティエル。ちなみに結構ケンカっ早い性格である。
堪忍袋の緒が切れた!許さんぞ、ガンダm
369191:2008/11/03(月) 17:47:04 ID:???
「気にするなよ、行こう」
エルトがティエルに言う。
男達がまだ何か言っていたようだが、二人は聞こえない振りをした。
「何よ、あいつら…サイッテー」
女性の少ないこの基地において、しかも若干二十歳で少尉という階級を持つティエル。
他の男性士官達からこういったやっかみを受けることが少なくない。
容姿端麗、成績優秀、おまけに父は軍の准将…
およそ嫉妬されない要素が無かった。
だが逆に、彼女には多くのファンも存在していた。
少ない女性士官達は彼女に憧れ、目標としていたし、男性達からもほぼ毎日、うざったい程のラブレター(笑)や求婚を受けていた。
その存在は高嶺の花で、ファンクラブまで存在する有様だ。
「あまり気にしない方がいいよ。ティエルはティエルだろ?…はい」
そんなわけで、数少ない友人のうちの一人である、エルトがティエルにジュースを差し出す。
エルト自身もまた、ティエルといることで謂れもない誤解を受け、そういった男女達から非難されることがしばしばあった。
もっとも、本人は気にしていないし、そういうことがある、ということは決してティエルには言わなかったが。
「ジュース。俺のおごり」
自販機で買ったジュース。意外と気づかいのできる男だった。
「ん、ありがと」
ジュースを飲みながら、談話室に向かう。
370191:2008/11/03(月) 17:47:57 ID:???
「ね。今日暇?」
ティエルが尋ねる。
「うん、まあね」
何気なく答えるエルト。
「だったら午後からちょっと買い物付き合ってくんない?荷物持ち」
「…」
ジュースを吹き出しそうになる。
「はい、決まり!それじゃね!私、今から射撃の訓練行ってくる!」
見送るエルト。
ティエルは休日でも必ず射撃の訓練を怠ることは無かった。
いかにティエルの成績が良いといえど、才能だけで突っ走れる人物などそうはいない。
その成績を支えているのは、こういった努力の賜物だ。
任務を忠実にこなす為、自らの仲間を助ける為、そして己の矜持を保つ為、そうしているのだった。
対して、エルトは…
「さて、と」
立ち上がって大きく伸びをする。
「歯磨いて寝よ」
午後から襲いくるであろう、疲れに備えて休むことに決めた。

同刻
ダルタイル(ry
そこに不敵に笑うブラックエンペラー、ノワール・カーメンがいた。
「ガモウ…余は期待しているぞ」
なんか片手にワイングラスとか持ってる。
きっと雨が降ってて雷なんかも鳴るんだ。そら来た!
ピカッゴロゴロゴロ…
…コロニー内ではあるが、雰囲気を醸し出す為とかいう訳分からん理由で、自然現象が再現されているのだった。
「さて、余は来るべき新時代に向けて、例の計画を進めるとするか…」
夜明けの鐘が、厳かに鳴り響く…
371191:2008/11/03(月) 17:49:16 ID:???
遂に表舞台に登場することになったウジサト。
襲い来る混乱、迫り来る刻に、戦士達は何を想うのか。
そしてノワールの計画とは。

次回「動き出す刻」

想いという名の剣戟が、ぶつかり合う (以上アムロナレ)

四話 終 五話に続く(気がしてきた)
372191:2008/11/03(月) 17:50:52 ID:???
今回は若干長くなったような気がします、それではスレ汚し失礼しました
373七四三:2008/11/03(月) 19:29:21 ID:???
>191乙&GJ

俺も投下します。
とりあえず六話と七話の冒頭。
六話はちょっとアレな精神状態で書いてたせいで、ヒドいことになってます。
374七四三:2008/11/03(月) 19:30:45 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第六話 皇城の魔人

皇城の一角にてミカドは新たな敵の部隊と遭遇、交戦を開始していた。

「う、うわああぁ〜!」
悲鳴をあげた男の顎にミカドがアッパーカットの一撃を叩き込む。
「怯むな!!撃てっ!撃て〜!!」
別方向から声と銃弾。
声の方はどうにもならないが、銃弾はどうにでもなる。ミカドはナイフを振って銃弾を弾き落とす。
「お、おい、あれだ。あれを出せ」
弾幕の向こう側で男達が何かを取り出そうとしている。ミカドは銃弾をナイフで叩き落としながら、その光景を眺める。
男達はようやくといった感じで、手間取りながら、一本の筒状の物体を取り出した。
何だっけ、あれ?とミカドが疑問を抱いた瞬間
「死ねぇ!化け物ぉ!!」
その声と同時に筒状の物体から、何かが飛び出た。
火を噴きながら、自分に向かってくる物体。
それを見てミカドは、あっ、これはヤバい。
そう思いながらも、結局のところ、やることは変わらない。
ミカドは自分に向かって襲いかかってくる物体に対してナイフを振る。多少違ったことと言えば、刃を立てていた事だ。
刃を立て、弾くのではなく切り裂く。その目的で振るわれたナイフは物体を一刀両断にする。
2つに切り裂かれた物体は勢いを弱めぬまま、ミカドの背後に飛び去り、次いで、爆音を鳴り響かせた。
「バズーカだかロケットランチャーだか知らねえが、言っとくぜ――」
ミカドはナイフの切っ先を唖然とした表情を浮かべる男達に向け、宣言する。
「俺に飛び道具は効かねえ!!」
それを皮切りに、ミカドは男達に襲いかかる。
弾幕はナイフで防ぎ、ミカドは突進、あっという間に男達の懐に入る。そうなってしまうと男達はどうしようもない。そもそもの動きの速さが格段に違うのだからどうしようもない。
ミカドの速さに翻弄され男達は殴り倒される。
基本的にミカドはナイフを防御にしか使わない。攻撃は殴る蹴るの肉弾戦、それでも身体能力の差かミカドは圧倒的に強く、ものの数分で男達は全滅した。

375七四三:2008/11/03(月) 19:33:04 ID:???
「疲れた…」
ミカドは自分が昏倒させ、床に倒れ伏している男達を眺めて呟いた。
もはや、皇城の機能が完全に掌握されていることは明白だった。
ミカド自身も、既に何度も城内で敵の部隊と遭遇し、これを撃破している。
(とにかく、いつまでも一人でいるのはマズいな……数が違うわけだし、多勢に無勢で何時までも戦ってはいられねえ…)
ミカドは、早急に誰かと合流して反撃態勢を整える必要があると考え、合流の為に一歩踏み出そうとし、止めた。
敵が近くにいる予感がしたからだ。
ミカドは辺りを見回す。だが、見えるのは自分が倒した男達だけだ。なのに、どうしても歩き出すことを躊躇う。
(敵がいるような気がする)
全く確信が無いがミカドは確かにそう思った。
「見事なお手並みです」
不意に声がし、同時に衝撃がミカドを襲う。
「がっ!?」
全身に響くような一撃に思わずミカドは声をあげた。
純粋な威力ではセレアの方が上かもしれない、だが、ミカドはその一撃に耐えられず膝をつく。
(パンチ?キック?間違い無く当て身の筈だ。なのに、何をされたかわからねえ……)
ミカドは膝をついたまま辺りを見回し、自分に攻撃を加えた相手を探す。
しかし、辺りには自分が倒した男達が床に転がっているだけで、他に人影は無い。
「私はここにいますよ」
声と気配。
ミカドは膝をついた体勢からとっさに転がり、気配から逃れるように動いた。
そのままにしていたら、攻撃を受けていたに違いない。
ミカドはふらつく体に鞭打ってなんとか立ち上がり、気配を感じた方へと視線を向ける。が、やはり、敵の姿が見えない。
「良い勘です」
すぐ近くで声がした。
(女…いや、男の声……?)
改めて聴くと、敵の声は性別すらハッキリとさせない不思議な響きがあった。
ミカドは声の方に振り向こうとする。だが、解らない。
すぐ近くで聞こえた筈なのに、それがどこから聴こえたか解らない。
どれほど辺りを警戒し、見回しても、ミカドの目に敵の姿は捉えられない。
376七四三:2008/11/03(月) 19:35:58 ID:???
ナイフを握る手に無意識に力がこもる。
「初見で二撃目をかわせた人なんて、そうはいませんよ」
純粋に感心するような言葉がミカドに届いた。
「なんだ…これ……」
ミカドは呻きを漏らす。
ミカドに届いたのは声ではなく言葉だった。
男の声にも女の声にも聴きようによっては獣の唸り声にも似た響きが、あまりにも多くの声音で重なり合い、声として認識出来ない。なのに、認識出来ないはずなのに、どうしてか言葉の意味だけが理解できる。
「くそっ……気持ち悪……」
今までに感じ事のない感覚にミカドは強烈な不快感を感じ、頭を抱えてよろめく。その顔色は蒼白を通り越し土気色になっている。
「随分と感受性が強いですね。普通だったら、キミのようにはならないんですが…」
不快感を助長する言葉を認識しながら、ミカドはそれでも、必死で呼吸を整えながら、敵に問う。
「…おまえは…何だ……?」
「さぁ? なんなんでしょう? 月並みですが、私に勝てたら教えてあげてもいいですよ」
ふざけやがって、そう言おうとしたミカドだったが、緊張のあまり、口の中が渇ききり上手く言葉が発せられない。
直後、気配がミカドに襲いかかる。
全く殺気が感じられない攻撃をミカドは紙一重で避ける。
やはり、敵の姿は見えない。だが、攻撃の瞬間までは自分の全てを隠すことは出来ないようだった。
(だったら、気配を読んで避けるくらいは出来る……後はこっちの攻撃をどう当てるかだ…)

敵の言葉に慣れたのか幾分顔色が回復したミカドは静かに反撃の機会を窺う。
「ふむ…失礼ですが、出身はどちらですか?」
唐突な質問、ミカドは警戒しながらも一応、答える。
「辺境のコロニー、ラクア」
「ああ、成る程、道理で……」
敵はミカドの故郷を知っているようだ。
言葉の直後、急に敵の気配がした。
ミカドは気配に合わせるように頭を下げる。一瞬前まで頭があった場所を何かが風を切って通り抜ける。
(いける!動きがわかるぞ!)
そう思った瞬間、ミカドを衝撃が襲った。
気配は感じなかった。
「ワザとです」
言葉が聞こえた。
ワザと気配を出していたのだとミカドは理解した。
直後、頭を床に叩きつけられ、そのまま頭を床に押さえつけられる。
ミカドには、敵がどうやって自分の押さえつけているのかわからない。頭には何の感触もないのだが、確かに押さえつけられていると感じる。
「クソっ…」
自らの敗北を悟りミカドは、死を覚悟し、目を瞑る。
377七四三:2008/11/03(月) 19:38:01 ID:???
すると、急に頭を押さえつける力が緩んだ。
何だ?ミカドがそう思った時、声が聞こえた。

「合格です」
言葉ではなく純粋に声と認識できる音。それは男の声だった。
ミカドは体を起こし、声の方を振り向く。解らなかった筈の声の元が、今はすんなりとわかった。
振り向いた先には、男がいた。見知らぬ男、だが、その男が身にまとう服をミカドは良く知っていた。
それは、インペリアルガードの制服だった。
男は、ミカドと目が合うと口許に微笑を浮かべて、うやうやしく一礼する。
「お初にお目にかかります。インペリアルガードのカガミ、と申します。二つ名は「影走者(シャドウランナー)」、以後、お見知りおきを」
ミカドは挨拶をした男を改めて観察する。
ハッキリ言って、印象に残らない人物だとミカドは思った。
カガミと名乗る男の顔には個性という物がまるでない。まるで、空気が人間の形をとっているかのような稀薄な雰囲気を纏っている。
だが、ミカドの本能は叫ぶ。
この男はあまりにも危険だと。
「あんたはなんなんだ…?」
ミカドはカガミに対して警戒を解かずに尋ねる。
「インペリアルガードです」
「だったら、どうして城の関係者の俺を攻撃した?」
ミカドは声を荒げず、冷静そのものの様子でカガミと向かい合う。
「少し、腕前を見る必要があったもので」
「何のために?」
「この状況を打開する協力者に相応しい人物を探していたのですよ」
「それで、俺は合格ってか?」
「ええ、その通り。キミの力なら協力者として申し分ない」
そうか、とミカドは頷き、いきなりカガミの頭にハイキックを叩き込んだ。
それを受けても、カガミはビクともせずにその場に佇んでいた。
「ワザと受けやがったな」
「ええ、怒られて当然の事をしましたからね」
それを聞くと、ミカドはふん、と鼻息荒くカガミに背を向けた。
気に入らねえな…
そう思いながらも、ミカドはどうするべきか解っていた。
「いいぜ、協力してやるよ」
「ありがとうございます」
カガミはミカドに礼を述べるとミカドに背を向け、背中合わせになる。
「とりあえず、今の状況を何とかしましょう」
「ああ」
ミカドとカガミの視線の先にはいつの間に集まったのか、武装した集団の姿があった。
武装集団は二人を取り囲むような配置を取りながら、銃を構えていた。
二人は全く恐れる様子もなく、一気に敵の集団へと切り込んだ。
378七四三:2008/11/03(月) 19:39:54 ID:???
「……で、あんたが特命とかなんたらで城を離れていた事は解った。ついでに他のインペリアルガードも第一皇子と第二皇子の外遊の護衛についていて、当分の間、皇城には帰って来ないこともな」
「理解が早くて結構です」
二人は武装集団が周囲に倒れ伏す中で会話を続けていた。
「それで、あんたの隊長は何してんだよ? あの人が皇子の護衛に行くとは思えないが…」
ミカドは個人的な知り合いであるインペリアルガードの隊長の顔を思い出す。
カガミはミカドの質問に肩を竦め、
「隊長は休暇の真っ最中です」
と、申し訳なさそうに言った。
ホント、タイミングが悪いな……
ミカドは天を仰ぎ、大きく溜め息をついた。
視線を戻すといつの間にか、カガミが何やら、倒れた男の懐を探っている。
「何やってんだ?」
「探し物をしてます」
見りゃ解るよ……
要領を得ない会話にうんざりとしながら、ミカドは何かを探すカガミの背中を眺める。
不意に、カガミの手が止まった。
「ふむ……」
何かを考えこむ様子のカガミ。
「どうした?」と、ミカドが訊ねても返事は無い。その代わりにカガミはミカドに何かを放り投げた。
受け取ったのは軍の認識票だった。
ミカドはそれに目を通し、記されたモノを読み上げた。
「…連邦軍……?」
そう言って、ミカドはハッとしたように倒れたテロリストたちに目をやった。
冷静に男達の装備を観察してみると、それは明らかに最新式であり、一介のテロリストが用意出来る物には見えない。
成る程、連邦軍か…
ミカドは一人、納得したように頷いた。
「違いますよ」
それまで黙っていたカガミがミカドの心を読んだように口を開いた。
「それに記載されている限りではそうなんですが、実際は違います」
「どういうことだ?」
ミカドはテロリスト達からカガミへと視線を移し、次の言葉を待つ。
「注目するべきは、その認識票に記載されている所属部隊です」
ミカドはそれを聞いて、もう一度、認識票に目を通す。
「そこに記されている部隊は既に連邦にはありません」
「は?」
「その部隊は壊滅――まぁ、これは連邦軍の公式発表なのですが……実際は行方不明なんです」
「行方不明?」
「ええ、そうです。行方不明、いや、集団失踪のほうが表現的には合ってるかもしれませんが…」
そう言うと、カガミは腕を組み、困ったような表情を浮かべた。
379七四三:2008/11/03(月) 19:42:37 ID:???
「何から話せばいいんでしょうかね……まず、キミは最近起きた、連邦軍基地への襲撃事件を知っていますか?」
「皇女殿下の緊急帰国の原因ってヤツか?あまり詳しくは知らないんだが…」
ミカドは昼食の際にウィリアムから聞いた話をそのまま、カガミに伝える。
「まぁ、その程度の認識で問題ないでしょう。重要なのは襲撃を受けた基地とそこに居た人々ですからね」
そう言うと、カガミはミカドが手に持っている認識票を指差した。
「実はキミが手に持っている認識票、その襲撃を受けた基地を警備していた部隊の物なんですよ」
「は?」
思わず、間の抜けた声を漏らすミカド。キョトンとした様子で、手に持った認識票とカガミを交互に見やる。
その様子を見てカガミはクク、と笑いを堪えている。
「とりあえず、歩きながら話しをしましょう。そろそろ、敵が来そうです」
そう言って、カガミはミカド促し、二人は移動を開始した。


380七四三:2008/11/03(月) 19:44:31 ID:???
「実のところ、その基地は襲撃なんて、受けていないんですよ」
走りながらカガミは唐突に言った。
ミカドは隣を走るカガミに胡散臭いモノを見るような視線を送るが、カガミはそれを気にせず淡々と言葉を続ける。
「その事件の真相というのはですね――」
一拍、間を置き、カガミは朗々と語り出した。

「ある日、突然その基地に居た全ての人が失踪したんですよ。整備士や事務員から基地指令まで、全ての人々が痕跡もなく消え、それと同時に基地に置いてあった全ての兵器も消失していたそうです。
……で、流石に連邦軍の上層部は、この異常な事件をありのままに発表するのは控え、テロリストによる襲撃事件と公表したようです。…理解しましたか?」

「…うさんくせぇ話だな…」
ミカドが言葉を漏らすが、カガミは微笑を浮かべるだけだ。
「良くわからねえけど、城を襲撃してきた奴らは、みんな行方不明になった筈の連邦の軍人てことか? 何だってそんなことが…」
「私にもその理由は解りません。確実なのは彼らが私達に危害を加える敵だということです」
カガミの表情は微笑から一転し、険しいものへと変わっていた。
「敵は倒す。私の仕事はそれだけです」
不意に、カガミは隣りを走るミカドの顔を見た。既に険しさは消え、穏やかな顔に戻っていた。
「ところで、一つ頼みたいことがあるのですが?」
カガミはニコリと笑う。その顔に不吉なものを感じたミカドだったが、カガミは有無を言わせない気配を発し、ミカドに逃げ道を作らせない。
ミカドはこの男に出会った事を後悔しながら、従順にその頼みを聞き届け、カガミの行く先とは反対の方向へと走り出した。

七話に続く
381七四三:2008/11/03(月) 20:00:49 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第七話 ガンダムアレス

所変わって、そこは皇城の旧MS格納庫。
城の敷地内に在るものの、城自体からは少し離れた所にある、その建物はその在所ゆえ、未だに城内を制圧した武装集団の侵入を受けていなかった。

格納庫の中では、数十人の人々が、城が制圧されたという事を知りながらも、自分たちの作業に没頭していた。
彼らは城がどうなろうと興味はない。
平時ならば少しは気にしたかもしれないが、今の彼らには心底どうでも良いことだった。
彼らの興味の矛先はただ一つのMS。彼等が寝食を忘れて作り上げた、愛しい我が子のような機体にあった。
ここはある意味、人外魔境。人の世の理から若干外れた人々が集う場所だ。
城内に設けられた新MS格納庫の完成により用済みとなったこの場所に集うのは、技術者達。
それも、巷では異端の天才や奇才などという、聞こえは良いが実際は鼻つまみ者に過ぎない人々が、ダルタイル帝国第三皇子の肝煎りで集められていた。
普段は一部のインペリアルガードの機体の整備や設計に携わる彼等も、この日は格納庫の中央に陣取る一体のMSの完成に向けて余念が無かった。
382191改めエルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/05(水) 20:32:31 ID:???
トリつけてみることにしたがちゃんとなってるのだろうか…
しかしキャラの名前って思った以上に恥ずかしいな…
もうすぐ五話できそうなんだけど、なんか他の人々来ないまま俺ばっかり投下していいものなんだろうか…
うざかったら言って下さい
383議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 01:16:46 ID:???
>>382
特に問題ないと思います。
384議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/08(土) 19:12:28 ID:???
そろそろまとめサイトの季節だと思うんだ
385ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:05:09 ID:???
どうも、なんだかんだで一ヶ月ぐらい放置してましたね、すいません。
パソコンの調子が悪かったと言うかなんというか…言い訳はやめときましょう。

出来?あぁ、何か書いてたらアレな感じになりますた。

>>七四三
いつも上手いですね
乙です

>>エルト
速筆は羨ましい限りです。
いつも乙です

>>384
まぁ、確かに後200KBくらいで容量完走ですし、次で3スレ目ですし…
俺はそんなモン作れませんけどねw


どうでもいいんですけど、ウィードに出てくるMSは飛べるよ!って設定なのでしょうか?
いつもMSは大気圏内は飛べないってつもりで書いてたんですけど…


では、朝から投下させていただきます。
386ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:06:02 ID:???
九話:そして戦いを繰り返す


 ――何処だここ?何も見えない、暗闇?

   ―――何時間経ったんだ?わかんねぇ?もしかして俺死んだ?地獄逝っちゃった?…ってうそぉぉぉぉ!?

  ―――何か声がする、誰かいるのか?閻魔大王じゃないって事だけ祈っとくぜ…

         
            …け………………な

      …――毛糸のマフラー?聞こえねぇ、もっとはっきり喋れよ!

            けっし………………うな

           次はウナギかよ?今日は丑の日なのかよ?はっきり喋れアホ!


                  決して…あの…力は…使うな……                    


             …あの力?俺にそんな大そうな力があんのかよ、ってか、ツラぐらい見せろ!


                 ――――おい…嘘だろ?何で俺がいるんだ…お前は誰だよ!?答えろ!  


そこにいたのは自分と同じ顔――暗闇は晴れ、光が体を包み込んだ…
387ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:06:41 ID:???
男は目を覚ました、頭がガンガンする、体も痛い、最悪のコンディションだ。
「………………(前がよく見えねぇ、目の焦点がまだ合ってないのか?)」
ぼやけていた天井がはっきりと見えた、ここが何処なのか確かめようと体を動かそうとすると、体中に激痛が走る。
「うぐっ…何だよ…くそっ…滅茶苦茶いてぇ……」
少し上を見ると窓から陽光が漏れている。冷静になりここは何処なのか思い出す。
「えーっと……この懐かしいようで懐かしくない、寧ろ嫌な感じがする場所は何処なんだ…?」
ふと、掛け布団を見る、なんて事ない、普通の病室に置いてあるような奴だ。
チラリと隣を見ると病室らしき部屋で昼寝している馬鹿を発見する。そいつはとても見覚えのある奴だった。
「……あぁ、成る程ね…ここ、基地か…何か頭がボケてんな……」
ミィルはフッと苦笑する。あーよく生きて帰ってこれたな…と。
「おぉ、ミィル、起きたのか…心配したぞ?」
ミィルに声を掛けた男は、白髪で若干タレ目の男。白髪で十分な特徴だろうが、更に加えると白衣を纏っている。
どうやら隣で寝てたアホ(仮)が目を覚まし、ミィルに声を掛けたようだ。
「……おぇ、嫌な顔見た、電波野郎めとっとと帰れ、つか起きたのはお前だろーが」
顔見た途端文句を言い出すミィル、何か因縁があるのだろうか。
「つれないねぇ…俺は電波じゃなくてドレイクって言うれっきとした名前があるんだ」
「医務室で寝てるアホ軍医が何を言うんだ」
完璧のコンビネーションで、天然漫才(?)を繰り広げる二人。どっちもアホである。
「心肺停止状態のチミを頑張って心肺蘇生させた俺って普通は称えられるべきだと思うぜ」
「…そうか、ありがとな、助かった」
目を瞑りながら礼を言うミィル。態度はアレだが本当は心奥底ではちゃんと感謝しているご様子。
「そういう素直なとこ嫌いじゃないぜ、好きになりそうだ」
「キモい事言うんじゃねーよ、寒気がするぜ」
素直かどうかはよくわからない主人公と電波の華麗なボケとツッコミ、もっともミィルは冗談で言っている様子ではないが。
「それより、心肺停止と頭を切った以外にも脳や筋肉、
他内臓にまでダメージがいってたけど、一体どうやったらそんな事になるんだ?」
「……そんなもん、俺が聞きたいぜ」
といっても作者は医療についてドシロウトなので実際よくわからないが。
「…俺の推理、聞くかい?」
「断る、お前の電波推論なんぞ聞き飽きた」
「よし、じゃぁ話しちゃうぞー!」
「………無視かよ」
おなじみというかなんと言うか…まぁドレイクはこういう性格なのでしょうがないだろう、多分。
「お前にはNTとは違う能力があって、その能力は自分の全ステータスを底上げするんだよ!
でもその能力は体に負担がかかりすぎる為、リバウンドして自分にダメージがきちゃう訳、どうよ?」
得意げに話すドレイク。ミィルは呆れながら適当に聞いている。
「……電波テイストあふれるどうしようもない不燃物じゃねーか、そんなアニメみてーな事あるかよ」
「でも、ニュータイプなんて人種もいるんだしさ、ありえると思うんだよ、いやホント」
冗談だと思って適当に言うミィルと大真面目のドレイク。間違いなく厨二病である。
388ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:07:17 ID:???
「え〜ゴホンゴホン…何だ結構元気そうだ、心配して損したな…」
いつのまにか二人の近くにいたのは見舞いに来た最近活躍中のミック。
「そんな事ないさ〜一応絶対安静だからね〜」
ドレイクがへらへらと答える。それを早く言えと言ってやりたい物である。
「よ、心配はしなくていいからフルーツセットか何か持って来てくれよ!」
鬱陶しいのでドレイクをスルーしてミックに冗談混じりで言うミィル。
「馬鹿なこと言うな、今基地は襲撃されて大変なんだぞ」
真面目口調で喋るミック。まぁ状況も知らないまま敵様と闘って自滅したんだからしょうがないっちゃぁしょうがない。
独断で強奪された機体を追い、尚且つヘマしてこの様のミィルも悪いのだろうが。
「え?何でだよ?俺が可変MA追っかけまわしてた間に何があったんだ?」
「あぁ、お前がいない間にダルタイルのセクメット2隻に襲撃に合って危なかったんだぞ?
なんとか撃退したがな。恐らくライアットを強奪した後一気に攻めて墜とす気だったんだろうな」
ため息を付き隣の壁にもたれながら言うミック。さらに喋るのを続ける。
「相手は猫の手も借りたいぐらい人不足な連邦に戦艦二隻で攻めてきてボコにされたんだ、あいつ等、また来るだろうな」
「今度は俺がいなかった間にそんな事しやがって……ところで今、何日だ?」
自分がいない間そんな事をされ、活躍できなかった事に怒るミィル。
「今日かい?今日はAG0078の5月13日さ〜丁度3日経ってるね〜」
「…俺3日も寝てたのかよ…ありえねー…」
愕然とするミィル、のそのそと体の姿勢を変えようとする。
「…っつーかさ、何でいちいち試作の可変MSなんか奪う訳?あいつら可変機のデータなんかいらんだろ…」
可変機のデータがいらないのも当然である。13年前、闇を横切る線香、じゃない閃光と恐れられた可変MS“ライトニングガンダム”を造っているからだ。
「あいつらが欲しいのは可変のデータじゃないだろうね、寧ろライアットに付けられたもう一つの機能だろうさ」
ドレイクが得意げにペラペラと喋る。2人はその『もう一つの機能』なるものに興味を示す。
「もう一つの機能…?なんだそりゃ、教えろよ」
ミィルは気になってしょうがない。こういう秘密は誰でも気になるものである。
「Armed Forwarding System…略してAFS…だったかな?つまるところ武装を転送、というか瞬間移動により様々な戦闘に戦場で対応出来るシステムだよ」
文なげぇうぜぇと思っているだろうがご安心を、もっと長くなるから。
それに大そうな名前だが実際そんな大したモノではない。
「凄そうな名前のシステムのようですが、ようするに戦闘で色々な武器を使えるって事ですか」
「げ…ショボ……つまんねーの」
もっとすんげー武装かと期待していたのに失望するミックとミィル。ざまあみろってんだ
「これなら武器がもし壊れても戦艦や基地から転送する事で大丈夫って訳さ、これなら色々な武装を装備して機体が重くなる必要がなくなるだろ?
それに、巨大拠点破壊用の重い装備をしている時に機動性の高いMSを相手にしなくちゃならなくなった時どうする?圧倒的に不利だろう?」
ベラベラと長い説明をするドレイク。ようするに七四三のMS転送のアレのパクリである。
「うっ…確かにそう言われると必要な気がする…!」
ドレイクの長文により確かに必要な気がする…な感じになるミィル。
「でも試作だから転送時間も長いみたいだけどね、
それにこれが更に発展すればMSを手軽に転送して使えるようになったりするかもね」
またクソ長い文、皆はこれを読んでいる時にイライラしている事だろう。
何かひっかかるところがあるが、気にしてはいけない。
ぼくがぱくったせってい(笑)の説明してるだけでこんなに長くなるなんて作者もビックリである。
389ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:08:05 ID:???
「よっ、俺が見舞いに来てやった」
「情けない人ですね…あれだけ派手に出て行ったのにこれですか…」
イルカ…ではなくトリントン大尉とセシルが見舞いに来たようだ。一人は見舞いというより嫌味を言いに来ただけの気がするが…
「アリガトーゴザイマス、キテクレテカンシャカンゲキアメアラレ…」
ロボットの如くすんごい棒読みで礼を言うミィル。あれ?当初の予定じゃこんなのじゃなかったのに…
「うひょーっ、野郎だらけのせまっ苦しい部屋へようこそセシル少尉〜」
ドレイクが椅子でクルクル回りながら言う。確かにヤローだらけの部屋はキツい。
「いえ、お構いなく。私はあくまで用事で来ましたから」
ニッコリ笑顔で返すセシル。お堅い軍の人じゃなければ完璧だっただろう。
「用事?こんな怪我人のいる部屋で何の用事だ?」
ガンガン頭が痛いのを辛うじて動く左手で抑えながら言うミィル。
「ええ、少尉以上は全員知ってると思いますけど…ここにいる二人の人を除けば」
冷たい視線でギラリと睨むのはもんでイルカ大尉ことトリントンとミックである。
「いや、サボった訳じゃなくて忘れてたんだよ?いや本当だから少尉」
「老兵をそんな冷たい視線で睨まないでおくれよ少尉、すまない、いやまったく」
上からミック、イルカ様である。こういう時の言い訳は大体通じないもんである。
「…とりあえずその話は置いといて…色々省略して話しますと、この基地を『放棄』します」
「嘘だろ…俺…怪我してんのに…」
ミィルめ、そっちを気にしてる場合ではないと小一時間説教してやりたい。
「…しかし、気が早すぎるんじゃないか?まだ深手を負った訳じゃないんだし…」
ミックが冷静に返す。もうおまいが主人公だ。
「あの部隊はリベンジでまたこの基地を襲撃してくるでしょう。ただでさえ少ない我々では消耗戦は不利です。という事で放棄と言う形になりました」
作者もビックリのまたまた長ったらしい文。流石に自分でも嫌になってくるが、ここは堪えるしかないだろう。
「さってと、話が長くなりそうなので僕は退散するかな」
椅子から立ち上がり白衣についているポケットに手を突っ込みながら部屋を出るドレイク。
「退散っつーか、お前が働いてる部屋だろーが」
的確のようなそうでないようなつっこみをいれるミィル。しかし、ドレイクはもういなかった。

「……で、君はここに残るのかい?建前でもここの責任者は僕さ、君も一緒に来なよ」
そこは明かりを消しカーテンを閉め切った部屋。まだ昼だというのに顔が見えないほど暗い。
「あなたはまだ若い、オッサン一人が生きるより若い人が生きる方がいいでしょう…それに、私は疲れた」
ふう、と溜息をつき、さらに続ける。
「私は何人もの人が死んでいくのを見た。――13年前の紛争でな。そして、多くの人も殺した。―もう疲れた」
13年前の紛争、それは金属小惑星の所有権を巡る戦いの事である。紛争は断続的におき、多くの人が死んだのだった。
「そうか…あなたは一度決めるとてこでも動きませんから…しょうがない事かもしれないけど…」
溜息を一度つき、髪をくしゃっと掴む。
「――では、後のことは頼みましたよ、ベン・ドレイク大佐…いや、シェーダ・シュバルト…と言った方がいいかな?」
ドレイクが何かを喋ろうとした時、部屋の自動ドアが開く。
「二人でコソコソ密談かい?おっさんも混ぜてくれよ」
そこにはトリントンもとい海豚。そこにはワインを一本何故か持っている。
「――それじゃ、酒でも飲みながら三人でコソコソと密談でもやりますか?」
苦笑しつつ言うドレイク。そこにはいつもの電波なドレイクがいた。
390ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:14:19 ID:???
―そして更に5日の時が流れる。

「――で、体の方は大丈夫なのか?」
「あぁ、足はまだ動かすといてーけど、他は大体オッケーだ」
それはミックとミィルが戦艦内の医務室での会話。
戦艦内の医務室なのでそこまで広くはない。
「しかし、あの白髪の人、大佐だったんですね…」
意外そうに喋るセシル。ここもやっぱり医務室。
「何であいつ軍医なんてやってたんだろうな…それより、中佐だ」
腕組みをし、何か考え込みながら言うミィル。
「本当、何でだろうな…何で一人であの基地に留まるんだろう」
誰もオックスが戦争は疲れたので死なせてくださいと思ってるなどとは思わないだろう。
「おーい、後二時間後には出発だからさ、ミィル以外は持ち場にいってくれよ」
そこには白衣ではなく軍服に身を包んだドレイク。
白髪な頭以外は、なかなか様になっていると言える。
時間がかなりハイスピードで進んでいるが、それは作者が下手糞だからだろう。
「了解しました艦長様っと……」
ミックが喋ると、二人はミィルに手を振り自分の持ち場、というかMS格納庫に向かった。
「あー、准将だからってお前が艦長になんのは何か気にくわねーんだよな…」
ミィルが本音をズバっと言う。ちなみに本音をズバズバ言う人は時として嫌われる。
「ま、僕だって自分が艦長になるのはおかしいと思ってるけどね、だけど階級が階級だからしょうがないさ」
確かにお気楽な人が艦長ってのは行き先が不安になるだろう。
「んで、どこ行くんだ?アテなんてねーだろ」
「一度、本部に行こうと思ってる。そうすれば何処かに配属してくれるでしょ」
妥当言えば、妥当かも知れないが、何処か頼りない。
「…ま、艦長はお前なんだから文句は言わな…」
全て言い終わらない内に艦内放送が流れる。
「敵機接近中!敵機接近中!」
トンズラする前の最悪のタイミングで敵が現れたのだ。
391ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/09(日) 08:15:50 ID:???
―投下があまりにも遅くなったのでしょぼいオマケで次回予告―

またのレイヴの襲撃に襲われるミィル達。
迎撃に向かうが、戦力差で押されてしまう。
出撃出来ないミィルに主人公的な活躍はあるのか?

次回、ヒーローは遅れて登場する(仮)

あまりお楽しみにせずお楽しみに。


ベン・ドレイク(26)
生年月日:2月20日
所属:地球連邦軍
階級:大佐
詳細:
軍医の癖に大佐とか言う不思議な男。
頭が毒電波に汚染されているが、気にしてはいけない。
本職はMSパイロットらしいが…


遅くなったのに、ショボくてすいません…(´・ω・`)
それでは、スレ汚し失礼致しました…
392エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:27:19 ID:???
どうも今晩は。駄文投下マシーンです。
今から五話投下します。

>>七四三
乙です。遂にガンダムがw

>>ミィル
久し振り&投下乙です。
べ、別に心配なんかしてなかったんだからね!
393エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:28:21 ID:???
ガンダムL 第五話 動き出す刻

キール・ニールは考えていた。
ひとえに考えていたとは言っても、迷っていたり、ただ単に考えてみるだけだったり、納得をしようと努力してみたり色々ある。
もっとも、現在のキールは、そのすべてを混ぜ合わせたような状況にあった。
先のデルタ隊との戦闘に巻き込まれ、唯一カスタム機でないダンデスに搭乗し、戦場を生き残った。
キールは別段腕が立つほうではない。しかし、自らが所属するサカザキ隊のもう一人のダンデスパイロット、ソーン中尉は死亡していた。
ソーン中尉は能力が高かった。けれど死んだ。それもあっさりと。
キールは考える。自らは生き残るべくして生き残ったのだと。
偶然ではなく、必然だ。僕は選ばれた命なのだ…
それ程腕の立つ方ではないが、命令に忠実なのと、上官に対して尽く素直であることから、サカザキ少佐を始めとする上官達からの、キールに対する評価は高い。
(どうでもいいが学科の方は優秀である、所謂ガリ勉タイプだ)
激闘の後、色んなことを考え過ぎて変に胸の鼓動が速くなったり眠れなかったりすることが続き、今に至る。
彼は今少し、別のことについて考えていた。
「何で寮の部屋、移動しなくちゃならないんだろ…」
基本的に二人で一部屋を使用することになっているこの基地で、キールは長いこと一人で過ごしていた。
(キールの部屋には幽霊が出る、という噂があり、誰も入りたがらなかったというのが主な理由であるが)
それが今日になって、クロス隊所属のエルト・ロウ少尉と相部屋になるように命じられたのだ。
エルトもまた二人部屋に一人でいたのだが、先のデルタ隊との件で共闘していたので、もしかしたら二つの隊は統合するかもしれないな、と思っていたのだった。
少し迷った後、息を大きく吸ってから、エルトの部屋のドアの認識システムに自らが相部屋となることの旨や、個人データを登録したカード型端末を通す。
少しして、ドアが開く。
394エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:29:08 ID:???
「やあ、君か」
目の前の男は、意外と優しそうな印象だった。まずホッとする。
「サカザキ隊所属、キール・ニール軍曹であります!先の戦闘では、大変お世話になりました」
とりあえず挨拶を。出来るだけ礼儀正しく。
「クロス隊所属、エルト・ロウ少尉です」
エルトが返礼をする。そして少し笑いかけてから言う。
「あれはお互い大変だったね。荷物、運ぶだろ?手伝うよ」
「あ、いえ…お構いなく。自分で出来ますので…」
「いやいいよ。これから一緒に暮らすんだし、何か手伝わせてくれよ、俺にも」
折角の厚意を、無下に断ることもないだろう。
キールはこういう場合、断るよりも頼んだ方がいいことを経験から学んでいた。
「では、お言葉に甘えて…」
二人して、引っ越しの準備を進めていく。
昨日ティエルとの買い物に付き合わされたこともあってか、少々キツイ。
(軍属であることを隠すことを条件に、デルタ隊交戦メンバーには外出許可が出されていた。地球にいる間に買い物をしないのは損だとティエルは言う)
もっとも、キールが予め荷物を綺麗にまとめていたこともあって、それらを運ぶだけで済んだのだが。
一段落してから、エルトが言う。
「君がここに来たってことはさ、やっぱり統合しちゃうのかな、サカザキ隊とクロス隊」
キールは、彼もまた自分と同じことを考えていたのだ、と思った。
「さあ…建前は寮の部屋を効率良く使う為、と聞きましたが」
「どっちにしろ、その辺は新しい司令と副司令の判断に委ねられるみたいだね」
はい、言いながら、キールにミネラルウォーターを渡す。
「あ、ありがとうございます」
キールはこの男となら、うまくやっていけそうだと安心した。

それから二日の間、二人はそれなりにうまくやっていた。
もっとも、食事を摂るのに余計なオプションが付いてくるようになったティエルにとっては面白くなかったようだが。
395エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:30:17 ID:???
そして着任式の朝…
式典用の帽子をかぶり、久し振りに軍の正装をしてから部屋を出る。
ティエルと待ち合わせて、式典用の大広場に向かう途中、一人の男が話しかけてきた。
「おーい!エルト!ティエル!」
振り向くと、そこには二人のそう多くはない友人のうちの一人、ローランド・アルス少尉がいた。
「「ランド!」」
愛称でその名を呼ぶ。
「今から行くのかい?」
「ああ」
人懐っこい表情と、かけている銀縁の眼鏡がなんだかミスマッチな印象を与えないでもないが、よく見ればしっくりくるという不思議な印象の男だった。
「なら少し急いだほうがいいぜ」
真剣な顔つきのランドに戸惑うエルト。あれ、時間間違ったっけ…?
「時間は、まだ大丈夫だろ?何かあるの?」
「なんてな。いや、今行けば司会任されたサカザキ少佐の緊張っぷりが拝めるみたいだよ」
冗談っぽく言う。ティエルは笑い、エルトは少し赤くなる。
「そういえばエルト、聞いた?クロス隊長、式の下準備で散々サカザキ少佐にこき使われたって」
「そりゃ大変だな」
ドンマイ☆クロスは与えられた休日を全て仕事に奪われていたようだ。これでは出世欲があって当然と言えよう。
それから四人は、軽く談笑しながら広場へ向かう。
ランドの人懐っこい性格のおかげで、キールはハブられずに輪の中に入っていけたようだ。
外に出ると、立ち並ぶ式典用のダンデスが、日の光を反射して輝いていた。
「あー…あー…本日ハ晴天ナリ」
ブツブツとマイクテストを繰り返すサカザキ。既になんだか顔が赤い。
「な?」
四人は声を殺しながらも笑った。
やがて人も集まり、基地にいる者すべての整列が完了する。
前に出てくるサカザキ。緊張している。あがりやすいタイプなのだろう。
「あー…その、なんだ…諸君。心しておもてなしするように。くれぐれも、粗相のないようにな」
言うことも固い。シーンとしている。
次に、緊張した面持ちでクロスがマイクを取る。この男もあがりやすいタイプなのだろうか。
「あー…その、なんだ…野郎共!全力で迎えてやれ!サイッコーの拍手と、声援でな!鼓笛隊の奴らも、頼んだぜ!」
わあぁー、声援と拍手と楽器の鳴る音。うつむくサカザキと手を振るクロス。
やがて、一機の航空輸送機の影が見える。
「あれか…」
まぶしそうに手をかざし、それを見るエルト。先ほどまで騒いでいた者達は、既に真剣な表情になっている。
ゴオオォォ…輸送機はやがて静かに着陸し風が巻き起こる。そして、中から部下を伴った二人の男が出てくる。
396エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:31:09 ID:???
一人は、戦士の目をした壮年の男。厳しさの中にも人としての優しさを持つ、歴戦の戦士といった感じだ。
そしてもう一人は、重い光を湛えた目の男。まだ若いが、その年齢に似合わず油断なく引き締まった全身からは覇気のようなものが感じられる。
この基地の新司令と新副司令、ドレーク・レナード准将とウジサト・ガモウ大佐であった。
静かに、かつ厳かに、歩み出る。サカザキが、恭しくマイクを渡す。
横に控えているクロスも、心なしか緊張しているように見える。
「御苦労だったな、皆」
レナードが口を開く。
「私達の為にわざわざ集まってもらって済まない。本日付けで当基地の司令に着任することとなった、ドレーク・レナード准将だ。今後とも宜しく頼む」
わあぁー…拍手と声援。焦るサカザキ。
無理もなかった。ドレーク・レナード准将はかつての軍の英雄、「闇を横切る閃光」ことゴディアス・ロウ元中将のかつての副官で、有名人だからだ。
ロウ元中将を支えた知将としてその腕を存分に振るい、また、彼自身も軍の英雄であった。
エルトとランドは、殊更大きな拍手と声援で、レナードを迎えていた。
もっとも、ティエルは恥ずかしいから、という理由でややうつむきがちだったのだが、その顔には嬉しそうな表情を浮かべている。
それから簡単な挨拶が五分ほどあった後、レナードは敬礼し、ウジサトにマイクを渡す。
人気者の後に何かしなければならないというのは、それだけで気が引けるものだが、ウジサトは物怖じすることなく淡々と喋り始める。
「同じく、新たに副司令に着任することとなった、ウジサト・ガモウ大佐だ。諸君らの働きに期待しているぞ」
レナードほどではないが、拍手と声援が起こる。
ウジサトの方は、AG0065現在、軍の中でそれほど名がしれている存在ではなかったが、この基地では事情が違った。
若干28歳で少佐相当官からの二階級特進、副司令への着任…そして元インペリアルガードという経歴…
それだけの情報は噂好きにはたまらない情報で(アレンはこのことをあちらこちらで喋りまくっていた)、着任前からよく話題に上る人物であった。
ウジサトの方から手短な挨拶があったクロスによって式は無事終了した。
397エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:32:04 ID:???
いつもより一段と活気のある食堂で、エルト達は夕食を摂っていた。
「それにしても、よかったね。式」
スパゲティをフォークに巻きつけながら、エルトが言う。
「俺は無事に済んでよかった、の方のよかっただけどな」
疲れた顔でソーダを飲み干すクロス。
「お疲れ様でした、大尉」
クロスを労うランド。
「…ところでいいのかい?嬢ちゃん。レナード司令と食事しなくても。いくらなんでも家族だ、お邪魔ちょりすてことはないだろ」
アレンがホットドッグを齧りながら言う。
「面会時間とるくらいは出来そうなんじゃないか?まあソウルメイトな俺らとの食事を優先してくれたことは嬉しいけどよ」
「え?あぁ、うん…父さん、じゃなくて司令もお疲れだろうから、そのうちゆっくり時間がとれる時でいいかなって」
ティエルが答える。もはや呼び方についてのツッコミはない。
その時、不意にキールの端末が鳴る。
「…司令部から?」
「俺の端末にも来た」
心底嫌そうな顔をするクロス。呼び出しは司令ではなく、副司令のウジサト・ガモウ大佐によるものだった。
始末書は提出したし、今日の式だって何も問題はなかった。…ちょっと騒ぎすぎたか?
「本日二○○○、以下の者は副司令室に来ること…って短っ!」
ティエルが一人でツッコむ。
呼び出しを受けたのは、サカザキ少佐以下のデルタ隊交戦メンバーであった。
「ガモウ大佐が、俺たちに何の用だろ」
エルトがそれはもうたっぷりと、スパゲティに粉チーズをかけながら言う。
もっとも、用件は大方予想できることであるが。
「わからんよ。あ〜、めんどくせっ」
「色々大変だな、エルト。俺からは月並みだけどこの言葉を贈らせてもらうよ」
ランドが勿体つけてから言う。
「頑張れ!」
…予想通り、計画通り!
「それじゃ俺は部屋に戻るよ」
「お邪魔ちょり〜っす☆」
クロスに敬礼をしてから、手を振り帰るランドとアレン。
残った四人は、夕食を食べつつしばし談笑して、その時を待った。
398エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:33:07 ID:???
時間の五分前に一同は副司令室を訪れていた。
「失礼します」
「入りたまえ」
厳かな声がする。扉の向こうのウジサトの声だ。
「オルト・サカザキ少佐以下五名、只今到着いたしました」
ピシッ、と敬礼をする五人。
「うむ」
頷きながらも、五人それぞれを探るような視線で見つめるウジサトに、エルトは本能的に警戒心が強まる。
「要件はもう分かっているであろうが、先日のデルタ隊との交戦後の君達の処遇についてだ」
単刀直入に淡々と言うウジサト。長ったらしい前置きや挨拶等が嫌いなタイプの人間なのだろう。
「まずは、生還おめでとう」
「はっ、ありがとうございます」
敬礼するサカザキ。プライドが高いことから、自分より10以上も年下の上官の物言いに対して、少しイラッときたようだがそんな素振りはおくびにも出さない。
しかし、ウジサトはその鈍く鋭い眼光でそれさえ見抜いている。
「しかしこれからは腕を上げんと多少キツイかもしれんぞ」
「存じております、大佐」
大佐、のとこで若干イントネーションが変わるサカザキとあれ?意外と前置き好きだったウジサト。
「喜びたまえ、サカザキ少佐」
ウジサトが皮肉たっぷりに言う。
「君達五名は今回の件で全員、一階級ずつ昇進となった」
素直に喜ぶサカザキ隊の面々。やっぱプライドもクソもねえや。
そして、怪訝な顔をするクロス隊の面々。あれだけの被害が出たというのに?
「それだけの手練れということだ、デルタ隊というのは」
答えを先読みしたウジサトが、三人の方を見て言う。
「そしてだ、サカザキ少佐…あー、失礼。サカザキ中佐以下五名は今後、私直属の遊撃部隊の一員として再編成されることとなる」
399エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:34:03 ID:???
「「「!」」」
「全員これを」
ウジサトが指を鳴らすと、控えていた軍人が恭しく五つの箱を持ってくる。
「バッジだ。いいだろう?」
中には、太陽の光を模した金色のバッジが五つ、入っていた。
「これは…」
「バッジは印だ。印は象徴だ。そして、象徴とは、主義主張の下に存在するものだ」
質問には答えずに、ウジサトが続ける。
「独立遊撃部隊ブレイズ…その司令は私だ。君達にはこれをその胸に高々とつけて貰いたいものだ」
「あ、あの…」
ティエルが緊張した様子で尋ねる。
「フン、質問か。よかろう、レナード中尉」
鈍く光る目をティエルに向け、ウジサトが言う。
「失礼ですが、この件について司令はご存じなのでしょうか?」
「中尉、君は確か司令のご息嬢だったね。簡潔に答えると、私は私だ。何故司令にお伝えしなければならない?むしろ私が尋ねたいものだ」
尊大な物言いのウジサト。やっべえ、なんだか小物臭がプンプンするぜ!オラワクワクしてきた!
「…っ!」
「ああ、この件は私の独断だよ。私には上層部の方から独自の免罪符が与えられているのでね」
それなんてブシドー?
「それで、だ。君達にはブレイズの隊員として、様々な特権が与えられることとなるが…その前に、君達の隊長を紹介しようと思う」
入りたまえ、ウジサトが言うと、外から190cmはあろうかという大男が入ってきた。
「ジェノバ・パク中佐だ。ブレイズ総隊長であり、私の副官でもある」
紹介された大男は、大人しそうな表情の中に獣のような残忍さを潜ませているようであった。
「作戦の指揮は私が取る。現場の責任はパク中佐にあるがね。そうそう、副隊長は」
ウジサトがサカザキの方をちらりと見る。地味に嬉しそうなサカザキ。もうダメだこいつ。
「クロスキー・クロス少佐を任命する!」
不意にクロスの方を見るウジサト。サカザキが信じられないといった表情をする。
「!…はっ!」
慌てて敬礼するクロス。
400エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:35:28 ID:???
「各々色々と戸惑いもあろうが、そういうことだ。君達のダンデスも改修してある」
全体を嘗めまわすように見るウジサト。これがこの男の本性なのだろうか。
「さて、記念すべき最初の任務は…」
緊張する面々と怒りに震えるサカザキ。
「明朝だ。各々、体を休めておくように」
再びウジサトが指を鳴らすと、今度は別の軍人がやってきて、五人にデータの入った端末を渡す。
「ミッションの詳細はその中に入っている。確認しておくように。では解散!」

夜の談話室で、サカザキ少佐を除いた四人が話していた。
「なんていうか、いきなりでしたね」
キールが言う。
「ああ、やべえよ。俺もたまげた。…あ〜あ、またサカザキのおっさんからの風当たりが強くなるぞ。やだやだ」
クロスがため息をつく。
「なんかアイツ、いけ好かないよね」
ティエルは先ほどのウジサトとのやり取りに、まだ怒っていた。
微妙な雰囲気を取りまとめようとするエルトが、ある提案をする。
「ねえ、どうせだから今ここで、四人でミッションの確認をしようよ」
「そうね。部屋で一人で見てたらハラワタ、煮えくり返っちゃいそうだし」
ティエルが賛成する。
「で、でも一人一人ミッション内容が異なったら…」
キールの指摘。ごもっともで。
「んー…じゃあ各自のミッション内容は各自他言しないこと!副隊長命令だ!さ、確認しようぜ」
大丈夫かこの男。まあ疲れてるんでしょう…
端末でデータを読み取った瞬間、四人の表情が一変する。
「…なっ!」
(一般人の虐殺…だと!?)
戸惑いを超えた怒りと恐怖が、エルトの全身を駆け巡った。

五話 終 
401エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/09(日) 23:39:08 ID:???
キール・ニール(18)
所属:ダルタイル帝国 サカザキ隊
階級:軍曹→曹長
詳細:
サカザキ隊のダンデスパイロット。命令に忠実で真面目。
やや堅い一面もある。一応後々重要人物になる予定。

ローランド・アルス(21)
所属:ダルタイル帝国
階級:少尉
詳細:
エルトとティエルの友人の一人。彼らより一年年長である。
士官学校からの仲で、学校を次席で卒業したという側面も持つ。
人懐っこい性格をしている。

ウジサト・ガモウ(28)
所属:ダルタイル帝国 皇城警護隊「インペリアルガード」
階級:少佐相当官→大佐
詳細:
エルト達の基地の新副司令。先代皇帝ノワールの命を受け、暗躍することとなる。
その権限は、上官であり司令であるレナード准将の干渉を受けることがないらしい。

ジェノベ・パク(35)
所属:ダルタイル帝国 ブレイズ
階級:中佐
詳細:
ウジサトの手足となったサカザキ隊・クロス隊の総隊長。
残忍な性格。ウジサトの副官となったが、心の中ではその失脚を望んでいる。

今回は若干長くなったような、そうでもないような…
書いててなんだかティ○ーンズやア○ウズとは被らないような描写を考えなきゃなーとか思ったり。
でも出来るかな…
まあそんなわけでサヨウナラ
402エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/10(月) 00:03:54 ID:???
>>396の最後の文訂正
ウジサトによる手短な挨拶が終わり、司会進行を一任されたサカザキと、その補佐のクロスによって式は無事終了した。

申し訳ないっす。
では今度こそサヨウナラ
さるさんうぜえw
403通常の名無しさんの3倍:2008/11/10(月) 22:14:53 ID:???
ミィル&エルト投下乙!
404通常の名無しさんの3倍:2008/11/12(水) 18:36:10 ID:???
そういや本編ではミノフスキー粒子云々てあったけど、外伝のでもそれは一緒なの?
そこらへん曖昧だからよくわからない

やっぱり外伝用に設定煮詰め直した方がいいかもね。
405通常の名無しさんの3倍:2008/11/12(水) 20:01:56 ID:???
設定煮詰め直しついでに誰かが本編書き直した方がよくない?
原型留めないかも知れないけど。
406エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/12(水) 21:46:18 ID:???
以前七四三が言っていたようにライトが本編じゃ何がどうなってるか設定が把握できないw
で、好き勝手やらせてもらってるんだがこの雰囲気的に誰か軸のしっかりした本編を書く人がいるのかもしれないね
ミィルも>>385で疑問を抱いてるみたいだし…
407七四三:2008/11/12(水) 23:00:42 ID:???
七話

>>381の続き

完成まで後は各部の最終調整を残すのみ。
と言っても、この機体はまだテスト仕様なので、本当の意味での完成はまだ遠いのだが、そんな無粋な事を言い出す者は一人も居ない。
技術者達は皆、自分達の手掛けた機体を誇らしげに見上げ、完成の喜びを分かち合っている――ように見えた。

機体の周りに集う人々の喧騒から、独り離れる少女がいた。
格納庫の片隅に逃げるように移動し、そこから中央に座す機体を見つめる白衣を着た少女。
煌めく銀髪に透き通るように白い肌、そして、目の覚めるような蒼い瞳。まるで、氷の花のように美しい少女だった。
少女は美貌を悲痛な面持ちで曇らせながら機体を見つめる。その瞳に宿っているのは嫌悪の色だった。

唇を噛み締める少女、そうでもしなければ、叫びだしていただろう。少女は肩を震わせ、心の奥底から湧き上がる感情に堪えていた。
実際の時間にして数十秒。しかし、少女の感覚からすれば、永遠とも思える時間。険しい表情で機体を見つめる少女の耳に、不意に携帯電話の着信音が届いた。
先程までの姿を人に見られた。そう思い、少女は驚いた様子で辺りを見回すが、近くに人影は無く、すぐに自分の電話だと気づいた。
機体を見つめる自分の姿を誰にも見られていないと判ると、少女はどこか安心した様子で白衣の懐に手を伸ばし、電話を取り出した。
生体端末による通話が主流となった現在、一般ではあまり見かけなくなった携帯電話だが、技術者達の間では、そう珍しい物でもない。
仕事柄、未加工のエーテリウムに触れることの多い彼らは、未加工のエーテリウムの干渉によって生体端末が機能不全に陥るため、端末を移植しない者が多い。少女もその一人だ。
そんな技術者達は、端末を用いた通話が出来ないため、連絡をとる際は携帯電話を用いる必要がある。

少女は手に取った携帯電話のディスプレイを見て、誰からの着信なのかを確認する。
今は、あまり人と話す気分になれない少女は相手によっては居留守を使おうと決め込んでいた。
が、ディスプレイに表示されたのは、ミカドという名前だった。
少女はそれを見て、苦笑するように口許を歪めると、沈んだ気持ちを心の奥底にしまい込み、数少ない同年代の友人からの電話に応えた。
「もしもし?」
そう言おうとした少女だったが、それよりも速く、ミカドの言葉が届いた。
408七四三:2008/11/12(水) 23:03:00 ID:???
『大丈夫か!?シエラ!』
唐突な呼び掛けに、名前を呼ばれた氷の美貌を持つ白衣の少女、シエラ・レオーネは困惑した表情を浮かべる。大丈夫かと訊ねられても何についてのことなのかわからない以上、答えようがない。
シエラは仕方なく、ミカドの問いに自らも問いで返した。
「…それは、何についてのことでしょうか…?」
『だから、そっちは大丈夫かって聞いてんだよ!』
切羽詰まったように声を荒げるミカドからは要領を得た答えは返ってこない。
それでもシエラは落ち着いた様子で根気強く、相手をなだめるように訊ねた。
「申し訳ないのですが、もう少し具体的に話していただけないでしょうか…?」
ともすれば、イヤミにも聴こえそうな台詞だったが、涼やかな声と柔らかな物腰が不思議とそう感じさせない。
『………悪い…』
シエラの声を聴いて、少し冷静になったのか、ミカドは謝り、そのまま言葉を続けた。
『悪い…ちょっと色々あってアツくなってた…怒鳴ったりしてすまん…』
「いえ…気にしないで下さい。それよりも、どのような要件で電話をかけて来たんですか?」
さほど、気にした様子もなくシエラはミカドに続きを促す。
『今、俺は格納庫に向かっている最中なんだが、そっちにテロリストが来てないか聞いておこうと思ってな……』
「テロリスト…?」
疑問気に口にしたシエラだったが、直ぐにそんなことも起きていたなぁ…と些か他人事に近い気持ちで思い出した。普通に考えれば忘れそうに無いことだが、そこはやはり旧格納庫の住人、シエラもまた、常人とは若干違う感覚の持ち主だった。
『で…そっちは無事か?』
シエラの呟きを気にも留めずに言葉を続けたミカド。
言われて、シエラは一応、格納庫の中を見回してみて、
「問題ありません。大丈夫です――」
そう言おうとした。その時、突然轟音と揺れがシエラを襲った。
「――っ!?」
揺れに耐えかね、声も出せずにその場に倒れ込むシエラ。
電話からは『どうしたっ!?』とミカドがしきりに声をかけてくる。
シエラは身を起こし、辺りを見回すと、自分以外の技術者達が慌ただしく走り回っている姿が見えた。
「敵襲だ!!さっさと地下に非難しろっ!!」
開発主任のガジール・ヘイドが声を張り上げ、技術者達を急かしている。
それを見ながら、シエラは電話を取りミカドに話しかける。
409七四三:2008/11/12(水) 23:06:38 ID:???
「すみません…こちらはあまり、大丈夫とは言えそうにありません。だから――」
こちらには来ないで下さい。そう結ぼうとしたシエラだったが、それよりも速くミカドの言葉が届いた。
『大丈夫じゃないんだな?』
ゆっくりと念を押すような口調だった。
『だったら、今すぐそっちに行く』
「えっ?」
シエラが声をあげた時には既に、第一声と同じような唐突さで電話は切れていた。


「って、もっといい会話の締め方あっただろ。俺は馬鹿かっ!?」
それまで、走っていたミカドは立ち止まり、頭を抱えて叫んだ。
かなりの大声を出した筈なのだが、敵が近づく気配は感じない。その代わりに
「美少女が、美少女がぁぁぁぁぁ!」
「エプロンをつけてないメイドもどきに殺されるぅぅぅ!!」
というような悲鳴が城のあちこちから聴こえてくる。何が起きてるのかはわからないが、敵の注意がそちらに向かっている以上、好機には違いなかった。
ミカドは立ち直ると、再び旧格納庫に向かって走り始めた。
モチベーションは最高だ。そのせいか、体も軽い。
カガミに頼みとか、そんな理由よりも、ピンチの女の子を救うという目的の方が、俄然やる気が出る。
今も考えるのはシエラを助けた後のことばかり、そこは、いくらかっこつけても所詮、ミカドも思春期真っ盛りの男子、女性に関しては色々と思うところがある。
いかんいかんと思いながらも、頭に浮かぶのは口に出すのを些か躊躇うような妄想ばかり。自然と口の端がにやけてくる。
だがまぁ、動機やら何やらは別にしても、ミカドのシエラを助けたいという気持ちは真実の物だった。

色々と考えている内に、ミカドは城内を飛び出し、屋外の旧格納庫に向けて走り出していた。
旧格納庫が在る方角からは煙りが立ち上っている。
(MSがいるな……)
旧格納庫は既に瓦礫の山だろうとミカドは予想する。シエラと他の技術者達は地下に避難しているだろうから無事に違いないとは思うが、敵のMSに地下の存在がバレたらそれで最後だ。
(何にしても、さっさとシエラ達と合流した方がいいな。カガミの頼みも果たさなけりゃいけないわけだし…)
とりあえず、ミカドはもっと目的地に近づくことにした。
ミカドはMSに見つからないように注意しながら移動する。と言っても、城から格納庫までの道のりは、遮蔽物のない庭園の中なので、見つからないようにと言っても、どうしようもないのだが……
410七四三:2008/11/12(水) 23:09:04 ID:???
それでも、ミカドは幸運に恵まれ、敵に見つかることなく、格納庫にたどり着いた。
そこは、ミカドの予想した通り瓦礫の山だった。数発のビームに耐えられる頑強な建物である格納庫だったが、現在は無惨な姿を晒している。
廃墟となった建物の近くにはMSがいる。確か連邦のシビレーだったとミカドは思い出す。
おそらく、消えた技術者達の行方を探しているのだろう、シビレーは辺りを見回していた。
物陰に伏せ、その様子を眺めていたミカドは長居は出来ないと悟ると、速やかにシエラ達と合流しようと思い立ち上がり、移動しようとして、固まった。
「あっ」
頓狂な声をあげたミカドの視線の先には、廃墟の中にスクラップとして横たわる一体のMSがあった。
それは、ミカドのMSだった。
それも両親から餞別として受け取った大切な機体だ。
置いておく所が無いという理由で、無理を言って旧格納庫の中に駐機させてもらっていたのに、まさかこんな事になるとは……
両親になんと言い訳をすればいいのかと、うなだれるミカドだったが、今やることは見失ってはいない。
ミカドは格納庫の地下に入るための隠し通路へと移動する。
格納庫から少し離れた茂みの中にあるそれはマンホールのような入り口だった。ミカドは蓋を開けると、ハシゴをつたい中に降りる。
なぜ、一介の雑用係にすぎないミカドがこのような場所を知っているかというと、それは雑用係であるが故だった。
以前、不審な物音がするからその原因を調査して欲しいと、雑用係の仕事で言い渡されたミカドは調査の過程で偶然、皇城のありとあらゆる場所に張り巡らされた隠し通路を発見したのだった。
不審な物音の原因は結局、遺伝子操作で2mもの大きさに成長したネズミの化け物だったのだが、別にそれはどうでも良く、何よりの収穫はこの通路を発見したことだった。
第一発見者であるミカドはこの隠し通路において誰よりも詳しい。
ミカドは、ゆっくりと薄暗い通路の中を歩き出す。行き先は勿論、シエラ達のいる旧格納庫の地下だ。

後編に続く
411七四三:2008/11/12(水) 23:13:33 ID:???
今更だけど、異説の舞台設定

A.G.(アフターグリード)199

太陽系連邦とダルタイル帝国という二つの大国があり、その間でポツポツと自治を保っているコロニーがある時代。
基本的には大きな争いは無いが、小競り合いはそれなりにある。

舞台としては他の外伝よりもだいぶ未来のパラレルワールド、というつもりです。

基幹技術ということで何でもエーテリウムで片づける方向性で俺は行きます。

エーテリウム技術の進化は

ワープ装置

重力制御

慣性制御

エーテリウムジェネレーター

WEED

みたいな感じです。

412七四三:2008/11/12(水) 23:14:21 ID:???
後、どうでもいいような設定群


ミュータント

A.G.150年代より発生しだした、異常とも言える程に優れた能力を持って生まれた人々の総称。
150年代以前にも、同じように特異な能力を持った人々がいたが、それらの人々が優れていたのは直感能力や他者との共感能力等に限定されるが、
ミュータントの能力はそれに限定されず、人間離れした身体能力を持つ等、個体によって発現する能力は様々。
発生の理由は明らかになってはいないが、一部では、エーテリウムが与える影響だという説がある。
姿形こそ、ヒトとなんら変わりは無いが、その精神構造は個人によって差が有るものの、世間一般からかけ離れている。


エーテリウム

ダルタイル星圏にて産出される特殊な鉱物。
エーテリウムジェネレーターや、ワープ装置、重力制御や慣性制御などの各種物理制御装置の基幹部品として用いられている。

ワープ装置はエーテリウムを用いずとも作ることは可能だが、その際は安定性に著しく劣る。


エーテリウムジェネレーター

永久機関。
開発、実用化が開始されたのはA.G.180年代MSや艦船に搭載される。
エーテリウムを特定環境下にて、回転をかけるという、非常に単純な方法でエネルギーを得る。
構造上、小型化が可能。
エーテリウムの大きさや純度により、一度に取り出せるエネルギー量が増減する。
駆動させるにしても、エーテリウムの大きさ、形状、純度に合わせた特定環境の調整や回転設定が必要であり、ジェネレーター毎に一つとして同じ設定の物はない。
現状、設定調整は技術者の勘と経験に頼るしかなく、量産には不向き。

駆動時に粒子が生成されるが、それがどんな効力を持つのかは研究途中。


インペリアルガード

ダルタイル皇帝直属の精鋭部隊。個々人が一騎当千の実力を持つ。
帝国議会の承認を必要とせずに皇帝が自由に動かせる、皇帝の私兵。
皇族の警護が主任務と思われがちだが、実際は皇帝の命を受け、前線にて指揮を執る他、諜報、暗殺等を行う者もいる。
その際の人選は過去の経歴を考慮し、行われる。

現在、次期皇帝の座を巡る、第一皇子と第二皇子の派閥争いにより、第一皇子派と第二皇子派に分裂中。


413七四三:2008/11/12(水) 23:20:44 ID:???
愚にもつかない設定も投下したわけですけど、これは微妙とか言うのがあったら言って下さい。


本編というか根底にある世界観、設定に関してはとりあえず、各々が原案みたいなのを出してみたらどうでしょうか?
414通常の名無しさんの3倍:2008/11/13(木) 01:16:20 ID:???
七四三投下乙!
直の未来ではなく、パラレルワールドってこと?
415七四三:2008/11/13(木) 21:29:11 ID:HXIkj7fH
>>414
そっちの方が他の外伝とか本編との整合性を考える時、いいかなって思ったんだが。
416エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:06:21 ID:???
どうも今晩は。明日も朝早いというのにまだ起きてるアホです。
深夜の誰もいないうちに六話投下します。

>>七四三
投下GJ&乙です。
俺はてっきり直の未来かと思ってたw
あと事後承諾になっちゃったんだけどインペリアルガードの設定パクってすいませんでした
417エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:08:01 ID:???
ガンダムL 第六話 ジレンマ

「エリオット!聞こえるか、エリオット!」
地球連邦軍デルタ隊駐屯基地…そのMS整備室に、一人の男の声がこだまする。
連邦軍の最新鋭機、ヴィルザードを整備していた一人の整備員がその声に反応する。
どうやらエリオットというのが彼の名であるらしい。
「…んだよ、タケルか」
溜息をつきながら、持っていたスパナを右肩に乗せる。
「聞いてくれ、エリオット!私は喉が渇いたのでジュースが飲みたいと考える…!しかし、なんと!サイフを忘れてしまったのだよ!」
「…んなもん電子マネーで済ませりゃいいだろ」
「フッ、男たるもの、小銭でジュースを飲みたいのだよ」
「金なら貸さねえぞ」
「無茶は承知!だがそんな道r」
…これ以上は何も言うまい。
エリオット・アビス少尉…デルタ隊専属のMS整備士だ。
その腕は確かなのだが、いかんせん金にうるさすぎるのが玉にキズだった。
「今日の私は!阿s」
「わかったから向こうへ行け。今お前の機体を見てるとこなんだ」
「無念…!」
タケル・クロード中尉は大人しく引き下がることのしたのだった。

デルタ隊には、上官に対して敬語を使う、という慣習が存在していない。
それ故、エリートの集まりで名誉も十分過ぎるほどあるのだが、中には変人の集まりと揶揄する者も少なくない。
「おお、モナーク!」
「タケル?」
モナーク・ホプキンド少佐。わずか12歳で武勲を立て、22歳の現在、その年齢にも関わらずデルタ隊の隊長を務めているのだった。
「ちょうど良かった、来てくれ」
「な、なんと!私が要件を切りだす前に…」
有無を言わさずタケルを連れていくモナーク。ブリーフィングルームだ。
そこには既に二人以外のデルタ隊隊員が既に集合していた。
「…何か、あるのか?」
「ああ。こないだやりあった奴ら、覚えてるだろ?」
「…しない」
418エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:09:00 ID:???
「え?」
「忘れはしないと言った!そうとも、忘れるものか!彼奴ら、この私に恥をかかせてくれおった!」
「…あ〜あ、始まったよ」
肩口で切りそろえた黒髪に特徴的なヘアピンをつけた少女が言う。
「ああなると、タケル止まらないから…続けて?モナーク」
「ああ、フウラ」
フウラ、と呼ばれた少女は頷く。
「どうも、間諜の情報によると、旧メキシコ領土内でダルタイル軍の新作戦が展開されるらしいんだ」
「そこに、奴らが出る可能性が高いと?」
割って入るのは副隊長兼参謀のサムソン・ランガード上級大尉。
「ああ、可能性はある」
「旧メキシコ領土内っていうと…奴ら遂にミトラの暗殺に踏み切る気かしらね」
「みたいだな。どちらにせよ、向ってみる価値はある」
フウラとモナークの会話。
「ねえ、モナーク」
「あなた、今なんだか凄く嬉しそうな顔をしてる」
「…かもしれないな」
モナークは答え、自嘲気味に笑う。
(俺としたことが…戦いを楽しんでる…?)
いや、モナークにはその笑みが何からくるものなのかがはっきりとわかっていた。
(また君に、会えるのかもしれないからね…!)

AG0065 七月 旧メキシコ地区
ミトラ・ミトラの朝は早い。
この領土全てを統治していた名士である亡き父の後を継ぐことを決意してから数年…
父娘二代続いての善政と、自らの掲げる平和主義思想とが相俟って、民からの支持は厚い。
やがて地球連邦政府の議員に選出されるだろうことも、当然の流れと言える。
「おはよう、ミトラ」
彼女に声をかけるのはノトラ・ミトラ。少し女性らしい柔らかさを持つ、彼女の双子の弟だ。
「そろそろ時間だ。今日の仕事は町での演説だったね」
「…ええ」
「うまくいくといい。民衆はダルタイルの侵略に対して大きな不安を抱いている…今日の演説で少しでも彼らの不安を取り除けるように」
「ありがとう、ノトラ」
彼女の唱える平和主義…それは、反ダルタイル思想に基づいたものである。
つまり、純粋に平和を求める心から来るものではなく、一方的に紛争を仕掛けてくるダルタイル帝国のやり方を非難する、という思想であった。
平等な立場に立つものではないが、彼女自身、地球側の人間であり物事を客観的には見られないのであろう。
しかし、確かにAG0065におけるダルタイル帝国のやり方は暴虐…その一言に尽き、彼女がダルタイルに義憤を感じている、とも取れる。
結局は、善悪など一面的な見方で捉えることのできないものなのだ。
419エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:10:15 ID:???
「独立遊撃部隊ブレイズ…その初任務は、S級危険思想人物、ミトラ・ミトラの暗殺及び当該人物の居住する町の徹底殲滅…」
エルトは自らの眼を疑う。
(そんなこと…この俺が、出来るのか?)
殲滅戦なら今までの任務でもいくらかこなして来ていたし、多少心が痛みはするものの、そのすべては完全に遂行してみせた。
しかし…
(いくらダルタイル側に不都合であるとはいえ、民間人にまで手をかけるなんて…)
彼自身、そのジレンマが偽善であることなどとうに気づいている。
だが、気づかない振りをしていたいのだ。
命の重さに、価値に、軍人も民間人もなく、等価値なのだ…
(それでも、俺は偽善者でいたいのかもしれない)
命令に背くと待ち受けるは銃殺刑…そうウジサトからは告げられていた。
(俺は偽善者であり続けたいと願う自分自身に酔っているだけなのか…)
その答えは、彼だけが知っている…

「…おい、ロウ中尉!しっかりしろよ、ったく」
ダンデスのコクピットの中で物思いに耽っていたエルトに通信を入れるのはアレン。
今や彼はブレイズ専属のオペレーターとなり、階級も少尉へと昇進していた。
「あぁ、済まない。なんでもないよ」
「あと10分弱で降下ポイントに到着するんだぜ。それじゃ俺の方から作戦の概要を、もう一度伝えさせてもらうぜ」
ダルタイル帝国軍独立遊撃部隊ブレイズ…13名から構成されるダンデスパイロットのみの部隊である。
司令官ウジサト・ガモウ大佐の下、ダルタイル正規軍とは異なった任務を遂行する為に創設された。
そのメンバーはダルタイル軍の中でも選りすぐりのエリートパイロットばかりであった。
まあ要するにオーバーフラッグスみたいな感じなのだが。(おい)
巨人兵と恐れられるジェノベ・パク中佐を筆頭に、その戦闘力はとてつもなく高い。
そう、ブレイズは紛れもなく、AG0065当時におけるダルタイル軍最強の部隊であった。
その初任務…パイロット達は各々、戦果を挙げ、自らがダルタイル帝国軍のトップガンであることを示そうと、十分すぎる意気込みで待機している。
「さて、まずは嬢ちゃん隊だ。いつも後方支援だが、今回ばかりは射撃戦でド派手におっ始めるみたいだな」
「了解。ヘンリー、スチュワートは私と」
ティエルが淡々と言う。まるで何らかの感情を押し殺しているかのように。
「次は本隊…パク中佐・ロウ中尉を中心としたゲリラ部隊だ。ミトラ・ミトラの暗殺だ。が、当然敵MSの出現も考えられる。ミトラの弟ノトラは連邦の軍人だからな」
「了解した…ハワード、ダリル、キールは中佐と俺に」
エルトも感情の籠らない声で言う。
「最後に殿を務めてもらうのが、サカザキ中佐・クロス少佐の部隊…任務開始と同時にセカンドフェイズへと移行」
「了解だ。残りの者はサカザキ中佐と俺について来い」
「そしてファーストフェイズ…嬢ちゃん隊がミサイルポッド・ビームライフルで襲撃、パク隊はミトラ・ミトラの暗殺及び敵MS部隊との戦闘」
「これが終了次第、クロス隊と合流、全員で速やかにセカンドフェイズへ移行」
「了解」
セカンドフェイズ…この作戦において中核を成す作戦行動…即ち、町の徹底破壊のことを指す。
420エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:11:19 ID:???
「最後に一つ言っておくぜ。今日は俺の誕生日だ。しみったれた任務ではあるが、プレゼントには勝利を頼むぜ」
「少尉この前も誕生日じゃなかったっけ?」
ティエルの指摘。
「いぃっ!?そっか、お前さん達の前でそれガイシュツだったか…」
ガッデム!呟くアレン。どうでもいいがこいついい加減この口調で大丈夫なのだろうか。
「そりゃそうだ、なんたってアレンの誕生日は三月だもんな」
おどけて言うクロス。
「ちょ、少佐自重汁w」
「いいじゃねえか。こりゃお前さんのミスだぜ。それに、どの道バレるさ」
「もっとも俺はそういうの好きだけどな。優秀なオペレーターである証拠だ。これからも頼むぜ、アレン」
「…こちらこそ宜しくちょり〜っす☆」
一連のやり取りで、エルトの気が和む。
対して、キールは緊張している。
但しそれはエルトと同じ理由によるものでなく、自らが何かミスを犯してしまうかもしれないという心配によるものだ。
「皆」
声の主はジェノベ・パク中佐。低く渋く響き渡る声だ。
「そろそろ降下ポイントへと到着する。諸君らの働きが、ダルタイル帝国の繁栄に繋がらんことを」
「はっ!」
全員の気が引き締まる。戦いの前の静かな空気…
今、その静寂が、自らの正義を語る一筋の閃光によって引き裂かれようとしていた。

ミトラ・ミトラがダルタイル軍上層部より危険人物であるとされるのには、もう一つ理由があった。
それは優れた天文学者でもある彼女の記した論文だ。
そこには発見された小惑星のうちの一つ、リズエッサ星の所有権がその発見の経緯と共に正当に連邦側にあることを論拠してある。
ダルタイル側の天文学者がすべからく反論することのできないような論理で、だ。
加えて連邦政府は小惑星を、ミトラの論文を根拠に発見した連邦の学者にちなんで、ダルタイルの許可を得ることなく、独断で「リズエッサ」と命名したのだった。
これに憤ったダルタイル軍上層部…いや、ノワール・カーメンは今回の作戦をウジサトに命じたのだった。
421エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:12:39 ID:???
「しっかし解せねえなあ」
先日の談話室、任務確認後にクロスが言う。
「そんな直接的に動いたら、連邦側も黙っちゃいねえぞ」
本格的な戦争でもする気かねえ、コーヒーを飲みながら言うクロス。
「関係ないですよ」
真っ先に答えたのはキール。三人は一斉にキールの方を見る。戸惑うキール。
「あ、いや…実行部隊の自分達は、忠実に任務を遂行するだけです…」
最後の方が消え入りそうになるが、その瞳は揺らいでいない。
「君は割り切れるのかい?」
今度は他の三名が一斉にエルトの方を見る。
キールは少し逡巡したのち、今度ははっきりと答える。
「それを上からやれと言われたのなら、自分はやります」
「…」
しばしの沈黙。ティエルが居心地悪そうにしている。
「なあ、エルト」
沈黙を破ったのはクロスだった。
「…キールの言うことが正しいよ。俺達は軍人だ。軍服を着ている以上、俺達の大義はダルタイル帝国の意思にある」
「…わかって、ますよ。わかってはいるんですけど…」
「だったら迷うな。足を止めるな。進み続けるんだ」
たとえそれが、修羅の道であったとしても…
「戦いに必要なのは」
不意にティエルが口を開く。焦点の定まっていない瞳で。
「生き残る、覚悟…積み重なった幾つもの死体の上を歩き、生きていく覚悟…」
かつてデルタ隊のサムソン・ランガードと戦った時に彼女が口にした言葉だった。
「…今日は色んなことがありすぎた。疲れてんだろ…部屋に戻ってもう休め」
クロスが言い、席を立つ。寝坊すんなよー、と言い去って行った。
ティエルとキールも部屋に戻り、エルトは一人暗闇の中で、三人の言葉について考え続けた。

………
「さあ、到着だ!ミトラの野郎…アマをすっぱ抜け!SAY!3、2、1…GO!」
アレンの掛け声と共に輸送艦のハッチが開く。
「エルト・ロウ!ダンデスカスタム、出る!」
誰も知らなかった。戦場へ向かう一人の戦士が、この時静かに涙を流していたことを…
その心のように澄み切った大空に、一筋の閃光が舞う。

六話 終 七話に続く
422エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/14(金) 02:14:49 ID:???
ミトラ・ミトラ(31)
所属:地球(一般人)
詳細:
地球のとある町の、女性指導者。ダルタイルの弾圧に強く反発する。
周辺にも強い影響力を持っている為、ダルタイル軍にとっては危険人物である。
優れた天文学者でもある。

ノトラ・ミトラ(31)
所属:地球連邦軍
階級:中尉
詳細:
ミトラの双子の弟で、軍人。町の警護を一任されている。
非道なやり方のダルタイル軍を嫌う。ヴィルザードに搭乗する。

エリオット・アビス(34)
所属:地球連邦軍 デルタ隊
階級:少尉
詳細:
デルタ隊専属のメカニック。鍛え上げた肉体が自慢。
腕は確かだが、金にうるさくケチくさい。

フウラ・レジスター(19)
所属:地球連邦軍 デルタ隊
階級:少尉
詳細:
デルタ隊の紅一点で、最年少だが、その腕は他のパイロットに引けを取らない。
操縦における機動力はモナークに匹敵する。

今回は若干短くなりましたサヨウナラ
423通常の名無しさんの3倍:2008/11/16(日) 20:48:59 ID:???
エルト投下乙!


…ジョーのSSマダー?
424通常の名無しさんの3倍:2008/11/17(月) 01:11:57 ID:???
エルト投下乙!
425七四三:2008/11/19(水) 19:28:19 ID:???
後編

隠し通路を通り抜け、格納庫の地下へと姿を現したミカドが見たのは、平時と全く変わらずに作業を続ける技術者達の姿だった。
その中の一人が、急に現れたミカドに目を留め、声をかける。
「おう、どうした。何か用か?」
どうした?……って、何やってんだよあんた達は……
間違い無く非常事態の筈なのに、いつもと変
426七四三:2008/11/19(水) 19:30:49 ID:???
後編

隠し通路を通り抜け、格納庫の地下へと姿を現したミカドが見たのは、平時と全く変わらずに作業を続ける技術者達の姿だった。
その中の一人が、急に現れたミカドに目を留め、声をかける。
「おう、どうした。何か用か?」
どうした?……って、何やってんだよあんた達は……
間違い無く非常事態の筈なのに、いつもと変わらぬ様子で過ごす彼等に呆れたような思いを抱くミカド。
そんなミカドの心情を知ってか知らずか、その技術者は世間話を続ける。
雑用係りとして、色々と城内の面倒を片付けているミカドは多くの人々と面識があった。特に、旧格納庫の技術者連中は自力で出来ることの範囲があまりに狭く、ミカドもよく仕事を頼まれる。
その結果、ミカドと技術者達とはそれなりに親交があった。
「なあ、シエラはどこにいるんだ?」
取り留めのない話を続ける技術者の言葉を遮り、ミカドは訊ねる。
「なんだ、またシエラか? いい加減に諦めろって。おまえじゃ釣り合いとれないって」
そう言いながらも技術者はミカドを案内する。
何かもっと大事な用事があったような気がするが思い出せない。
思い出せないということは、さして重要なことでも無いのではないかとミカドは思うことにした。

何も言わずに後をついて行くミカド。やがて、案内されたのは地下の中でも一際、広い空間だった。
「ドタバタしてたせいで散らかってるけど、我慢してくれよ」
技術者が言葉を発するが、今のミカドには届いていない。惚けたような表情で、広間の中央に陣取る物を見上げるミカド。その視線の先には一体のMSがあった。
黒を基調に赤のラインが目を引く、必要以上に鋭角的なシルエットを持つ細身の機体だった。腰には実体剣を収めた鞘が見える。そして、何より特徴的なのはその機体の頭部。
二つ目にV字型の角を持つ、太陽系連邦とダルタイル帝国のどちらのMSにも見られない形状の頭部だった。
それに何か心惹かれようなものを感じたミカドは、食い入るように機体を見つめる。
この瞬間、ミカドは城を襲う敵もカガミからの頼みも、シエラのことでさえ、きれいさっぱりと頭の中から消えていた。

「ガンダムアレス――」
不意に、この場に似つかわしくない、やわらかな声が聞こえた。
「それが、この機体の名前です」
ミカドは声の方に振り向く。そこに立っていたのは煌めく銀髪を持った、氷の花のような少女だった。
その姿を見て、ミカドは少女の名を呼ぶ。
「シエラ…」
427七四三:2008/11/19(水) 19:32:54 ID:???
シエラは思い詰めた様子でミカドと同じように、ガンダムと自身が呼んだ機体を見上げている。
その横顔は宇宙港で初めて出会った時と同じ、知的な雰囲気を帯びながらも、以前とは異なり、どこか疲れたような顔色だった。
「大丈夫か?」
ミカドが訊ねると、シエラは向き直り、憂いを帯びた表情でクスリと微笑む。
その表情を見た瞬間、ミカドは冷や水を浴びせかけられたような気がした。
先程まで、心を占めていたガンダムと呼ばれるMSのことなどきれいさっぱり消え失せ、今のミカドの心中にあるのは、疲れた様子のシエラを心配する気持ちだけだった。
「大丈夫ですよ」
どちらかといえば、抑揚の無い声。だが、その中には確かに、穏やかでやわらかな響きがあった。
「ここでは、話しづらいので、ついてきていただけますか?」
そう言うと、シエラはミカドを促した。
その様子は、この場にて自分達を見下ろす、ガンダムと呼ばれるMSから少しでも遠ざかろうとしてるようにミカドには見えた。
ミカドはシエラについて行く前に、ここまで案内してくれた技術者に適当に礼を言う。すると、技術者は「頑張れよ」とでも言うような、生暖かい視線をミカドに送ってきた。
それに対し、ミカドは曖昧な笑みを浮かべながら、技術者と別れ、シエラの後に続いて歩き出した。

シエラは何も言わずにミカドの前を歩く。
その様子に、自分が来たことでシエラの機嫌を損ねたのではと、心配になったミカドだったが、やがてシエラがまんざらでも無いようだとミカドはそれだけでに先客がいた。ミカドも知っている人影、それはガジール・ヘイドだった。
2mを優に越える筋骨隆々の体躯は一見すると技術者には見えないが、これでも、名実ともに旧格納庫の技術者達のトップに立つ男。
ガジールは、椅子に座り、書類に目を通していたが、急な来訪者に顔を上げてドアの方を見る。
「なんだ、おまえか」
一瞥をくれるとガジールは興味を失ったように、手元の書類に目を落とした。
何故に、この人がここにいるんだ?
てっきり、シエラが2人っきりで話しをするために自分を連れてきたと思い込んでいた、ミカドはこの状況に戸惑った。
そんなミカドをシエラは肘で小突き、
「何か用事があると言ってませんでしたか?」
小声で呟き、ミカドを促す。
428七四三:2008/11/19(水) 19:49:26 ID:???
用事……
そう言われて、ミカドはああ…!と、頓狂な声をあげかねない様子で思い出した。
そういえば、自分はシエラを助けに来たのではなく、カガミの頼みを果たしに来たのだった。
思い出したミカドは、単刀直入に言った。
「MSを貸して欲しい」
ピクリと、ガジールの動きが止まった。
「ああん?」
巨漢の開発主任は目を細めてミカドを睨む。
「俺に頼まなくても自分のMSがあるだろうが」
「そのMSは上でスクラップになってた」
ガジールは思い当たることがあったのか、顎に手を当て、何かに悩むような姿勢をとる。
「俺のせいではないぞ」
数秒の間を開け、ガジールが発したのはそんな言葉だった。
「あれは事故だ。重ねて言うが、俺のせいではないぞ」
「別に何でもいいさ、後で修理さえしてくれたらな」
数秒の間を開け、ガジールが発したのはそんな言葉だった。
「あれは事故だ。重ねて言うが、俺のせいではないぞ」
「別に何でもいいさ、後で修理さえしてくれたらな」
本当は恨み言の一つでも言ってやりたいのだが、それも男らしくないし、何より、借りということにしておけば、この後も色々とやりやすくなるだろうという打算もあってミカドは寛容な態度でガジールに相対した。
「とにかく、少しでも悪いと思っているなら、MSを貸してくれないか?」
うーむ、と唸りながら、ガジールは椅子の背もたれに体を預けた。2mを超える巨体の重量により椅子が軋む。
「俺の心情としては貸してやってもいいと思うんだがな…状況的にそれは無理だ。ここに使えるMSは無いからな」
本当かどうか確かめるため、ミカドはシエラの方も見る。
「本当です」
頷くシエラ。
「でも、さっき俺はMSが有るのを見たぞ。確か、ガンダムアレスとか言う機体だ」
「あれは、試作機だ。おまえには渡せねえよ」
それでも食い下がろうとするミカドにガジールは言う。
「諦めろって。何でMSを貸して欲しいのかは知らねえが、所詮おまえは素人。争い事は本職に任せておきゃあいいんだよ」
そうは言うものの、そういう訳にもいかない事情がミカドにもある。MSを借りてこいというカガミの頼みには続きがある。
借りたMSに乗り、ある作戦を行うようにカガミからミカドは命令されていた。
言い訳は聞かない。
失敗したならば、それ相応の罰を与えるというあの男のセリフをミカドはまざまざと思い出していた。
正直な所、今のミカドにとっては敵よりも身内の方が遥かに恐ろしい。
429七四三:2008/11/19(水) 19:52:53 ID:???
敵からは逃げられるが、カガミからは逃げられない。
「そういう訳にもいかないだろ。本職の奴らはなんだかしらんけど、動きがないし、この場合は動ける奴が動くべきだろ?」
本音を隠し、ミカドは建て前で物を言う。
一応、城内の人々を守りたいという正義感もミカドは持ち合わせてはいたが、それをハッキリと口にするのは些か、気恥ずかしかった。

真剣なミカドの眼差しを受け止めて、まいったな…と、ガジールは心の中で呟き、ミカドの後ろに立つ、シエラに視線を送る。
シエラの瞳には、断固としてミカドの要求を拒否するべきだと言いたげな光りが宿っていた。
戦いに巻き込みたくないのか、いや違う、ガンダムに近づけたくないのだとガジールはシエラの心情を理解する。
だが、ガジール自身はシエラの心情を理解しつつも、別の意見を持っていた。
「どうしたもんか…」
誰にも聞こえないような小声で呟いた。

ぶっちゃけて言えば、ガジールはミカドをガンダムに乗せてもいいと思っていた。
試作機とはいえ、ガンダムアレスは既に実戦を行える程度には出来上がっている。
どのみち、何度か戦わせて、データを取り、より実戦的な仕様に改良していかなければならない。その途中で破損するのも折り込み済み、別に大破しようが構わない。
最終的に機体の核となる部分さえ無事ならいいのだから、別に戦わせることは何でもない。
それを除いても、ミカドの技量にもガジールはある程度、信頼している。
MS所有許可証をこの年齢で取得できるのだから、並の才能ではないし、以前に見た、ミカドの操縦はアレスの機体コンセプトに適した動きだった。
ガジールとしてはミカドは間に合わせのパイロットとしては充分過ぎると判断している。
もう一度ガジールはシエラの方を見る。だが、やはりシエラはミカドをガンダムに乗せる事に拒否反応を示している。
エーテリウムジェネレーター、そしてガンダムの核となる部分の調整を行える唯一の存在であるシエラの機嫌を損ねるのはこれからのコトを考えても良くない。
ミカドの要求を受けて、ガンダムに乗せれば、シエラの不興を買うのは間違いない。そのため、ミカドの要求には二つ返事で答えられないのがガジールの現状であった。
「長老がいれば、こんなに悩む必要はねえんだがな……」
ここには居ない者のことを思い、再び聞こえないような小声でガジールは呟いた。
それきり、場は沈黙。誰も口を開こうとはしなくなった。
430七四三:2008/11/19(水) 19:54:57 ID:???
元々、喋りがそれ程好きではない者が集まっている為、沈黙は永遠に続くかと思われた。が、それは唐突に破られた。
沈黙を破ったのは声ではなく、音。それも轟音と形容される物だった。
「ガジさん! 敵襲だ!!」
一人の技術者が、叫びながら部屋に飛び込んできた。
「ヤツらここに気づいた!上から攻撃してくる!!」
「どれくらい保つ?」
ガジールは冷静な声で訊ね、立ち上がった。
「わからねえ…けど、そんなに長くは保たねえ」
「チッ、おもしろくねえ状況だな」
苛立たしげに頭をかきむしると、ガジールは技術者に細かい指示を伝える。指示を受け取った技術者はすぐさま、部屋を出た。
その様子を見たミカドはガジールに詰め寄る。
「俺をガンダムに乗せろ」
突き刺すような視線、それを受け止めるガジールはミカドの提案を悪くない考えだと受け取っていた。。指示を受け取った技術者はすぐさま、部屋を出た。
その様子を見たミカドはガジールに詰め寄る。
「俺をガンダムに乗せろ」
突き刺すような視線、それを受け止めるガジールはミカドの提案を悪くない考えだと受け取っていた。ミカドがガンダムに乗って、敵を倒せれば万々歳。もしも、負けたとしても、自分を含む、技術者達が逃げる時間くらいは稼げるだろう。
ガジールとしては、また作り出せるMSよりも、それを作り出せる技術者達の方が遥かに大事だ。
既に、ガジールの中では結論は出ている。
もったいつけるように顎を撫で、「いいだろう」そう口にしようとしたガジールだったが、
「だめです!!」
という、シエラの叫びに遮られた。
切実な表情を浮かべるシエラを見て、気まずさを覚えるミカドは同時に、何故そこまで、感情的になるのだろうと不思議に感じていた。

面倒だな……
ガジールは二人を交互に見ながら、つくづく、そう思った。
今も、依然として地上からは攻撃が続けられており、その音が地下に響いている。
さっさと、片付けなければな…
そう思い、ガジールは口を開いた。
「なぁ、シエラよ。今がどんな状況か、わかってるか? わがまま言うのも程ほどにしようや。な?」
ガジールは「でも…」と、食い下がるシエラからミカドに向き直る。
ミカドはシエラに反対されたせいか、気まずそうな表情を浮かべ、気落ちしているようにも見えた。
431七四三:2008/11/19(水) 19:56:49 ID:???
女にちょっと、反対されたくらいで、そのザマは何だ!!
と、怒鳴ってやりたい気分になったが、ここは、ぐっとこらえ、手元にある書類を渡す。
「マニュアルだ。読んどけ。あと、ノーマルスーツも着とけ。それだけで大分、生存率が変わる」
マニュアルを受け取ったものの、ミカドはすぐには動き出さない。躊躇うような仕草で、シエラの方をチラチラと窺う。
俯いていたシエラだったが、ミカドの視線に気づいたのか、やがて、顔を上げた。その表情は切実なものから、ある種の覚悟を決めた顔へと変わっていた。
「がんばってください」
シエラが言った。
それを受けて、ミカドが「おう!」と、答え。 それから、笑みを見せながら、部屋から走り去っていった。
単純な男だ…
と、ガジールは思いながら、そんな男を送り出した女を見る。
頭のいい女だ…
つくづく、そう思う。感情を理性と状況で制し、現実との折り合いをつける。簡単なようで、なかなか出来るものではない。
こんな女だったら、俺も今のような生活を送らずに済んだのだろうな……と、ガジールは別れた妻のことを思い出しながら、自分も自分の仕事を果たすべく、部屋を後にした。

しばらくして、着替えを終えたミカドがどこか面白くない様子でシエラ達の前に現れた。
「コレしか無かったのか?」
ノーマルスーツの襟元を正すミカド。ミカドが身に纏ったノーマルスーツはインペリアルガード用の物だった。
野暮ったさなど微塵も感じさせないスマートな黒いスーツに金糸の細やかな刺繍が施された豪奢な逸品だ。小脇に抱えたヘルメットも黒地に金の彫刻が施され、芸術品のような輝きを放っている。
着心地こそ悪くないものの、派手な外見にミカドは居心地の悪いものを感じる。
「似合ってますよ」
シエラは本心からそう言った。が、ミカドはそれを世辞と受け取り、渋面を作る。
「それしかねえんだから我慢しろよ」
「わかってるよ」
ガジールの言葉にぶっきらぼうに返答しながら、ミカドはアレスのコックピットに向かう。
その後をシエラがついて行く。

「今なら、まだ、間に合います」
ミカドの背中を追いながら、シエラは言う。
「間に合うって、何が?」
訊ねながら、ミカドは速度を緩め、シエラの隣を並んで歩く。
「ガンダムに乗ることです。――気づいていますか? ヘイドさんはあなたを捨て駒にしようとしてます」
432七四三:2008/11/19(水) 19:58:54 ID:???
「知ってる。だけど、別におかしなことじゃないだろ。あの人はここの責任者だし、部下の命を守る義務がある。その為に何かの…誰かの犠牲を強いることはある意味仕方ないことさ」
まるで、他人事のような調子のミカドに対して、シエラはまるで、自分の事のように悲痛な表情を浮かべている。
そんなシエラを好ましく思いながら、ミカドは言葉を続ける。
「もしかして、勘違いしてるのかもしれないから、言っとくけど、俺は自分で望んで、乗るんだぜ」
普段を知る者ならば、驚くに違いないほどにミカドは饒舌だった。
「俺はさ…この城も、その中にいる奴らも結構好きなんだよ。好きなものを守りたいと思うのは当然だろ?」
シエラはミカドの言葉を聞き、そして、その横顔を見て、息をのむ。
ミカドは笑っていた。
笑うミカドの瞳の奥に狂気のようなものを感じ、シエラの肌が粟立つ。
(戦いに酔っている……)
「守る」という言葉を口にしながらも、ミカドの瞳の奥にあるのは闘争への欲求だけに見えた。
(こんな人ではなかった筈だ……)
シエラは初めて会った時からのミカドを思い返す。シエラの記憶の中には、戦っているミカドの姿は、一瞬たりとも無かった。
その点だけで言えば、シエラはミカドに関して、全く理解していなかったのかもしれない。

シエラは気づいた、きっとあれのせいだと。
あのMS、ガンダムのせいだとシエラは思った。
あれには魔力に似た何かがある。そうシエラは感じていた。それが、何かは解らない。だが、、それは人を戦いに誘う、おぞましい何かだとシエラは確信していた。
(乗せてはいけない…)
シエラは強く思った。
この機体とミカドの組み合わせはあまりに不吉だ。
戦闘時の狂乱を神格化したとされるアレス。
その名を冠する機体に戦いに狂った者が乗る。
なにか取り返しのつかない事が起きる。そんな予感をシエラは覚えた。
「ミカ――」
言いかけたシエラを、それまでよりも強い揺れと音が襲った。
おもわず倒れそうになるシエラをミカドが抱き止める。
「そろそろ、逃げた方がいい」
そう言うと、ミカドはシエラから手を離し、自分はさっさと、コックピットに乗り込んだ。
一人残されたシエラだったが、唇を噛み締めると、やがて、アレスから遠ざかるように走り出した。
433七四三:2008/11/19(水) 20:00:29 ID:???
悪くない……
コックピットの中のミカドは操縦どころか、起動さえしてないうちから、感慨に浸っていた。

ガンダムアレス――
ある特殊なMSである「ガンダム」タイプの2号機。
マニュアルには目を通したが、その特殊なシステムとやらには何一つ、記載が無かった。
ミカドがそれについて、ガジールに質問すると、「リミッターがかかっているから起動する事はない。気にするな」と言われた。
言われた通り、ミカドは気にしなくなった。アレスに乗る前こそ、気にはなっていたが、乗った瞬間、どうでもよくなった。
というよりも、この機体に乗った瞬間、頭に思い浮かぶのは戦いのことばかりで、他の事に気が回らない。
機体に呑まれてる…?
ふと、そう思ったが、不快感は感じない。むしろ、心地良いとさえ感じる。
これは危険だな……
どうして、シエラが乗ることに難色を示したか、ミカドはよくわかった。
どうして、こんなことが起きるのか、ミカドには想像もつかないが。
とにかく、このままだと、意識をいいように操られる。
そう思ったミカドは、とりあえず、別の事だけをひたすらに考えることにした。
その時、役に立ったのが、自分の手だった。
実は、シエラを抱き止めた時にその手はシエラの胸を触っていた。
状況が状況だっただけにシエラは気づいていないが、それは偶然ではない。全て計算した上での行動だった。
普段はそんな面をおくびにも出さないミカドだったが、実のところ、その本性は典型的なむっつりスケベという人種だった。
ウィリアムのような男性の友人の大半はこの事を知ってはいるが、ミカドの知り合いの女性ではセレアでさえこの事を知らない。勿論、シエラもだ。
思春期相応、いや、それ以上のリビドーをその身に抱えながらも、しれっとしている、ミカドは、興味なしという表情で油断させておいて、常にチャンスを狙う、生粋のハンターだった。
――とまぁ、そんなことは置いといて、とにかくミカドはじっと自分の手を眺め、シエラの胸の感触を思い出すことで、機体に意識を呑まれることを防いでいた。
ミカドにとっては、ささやかな幸福の時間であったが、そんな時間も長くは続かない。
とうとう、敵の攻撃が地下へと届いた。
「来たか…」
呟くと、ミカドは手を眺めるのを止め、ノーマルスーツのヘルメットをかぶった。
凄まじい変わり身の速さであった。
434七四三:2008/11/19(水) 20:03:28 ID:???
ミカドは真面目な表情で機体を起動させる。
マニュアルを読んで、スペックに関しては大体、理解しているし、武装に関してもそうだ。機体操作に関しては帝国のMSの共通規格とさして変わらないため、問題ない。
これなら、充分戦える。ミカドは確信し、敵の地下への侵入に備える。


地上からはだめ押しの一撃が放たれ、地下の天井が爆発。MSすら通り抜けられる巨大な穴が、地上と地下を結んだ。
その直後、地上から一体のMSが地下へと侵入してきた。それは連邦軍の量産型MS、シビレーだった。
地下へと侵入したシビレーの最初の行動は、これ見よがしに地下の中心に陣取る一体のMSの破壊だった。
シビレーがアレスにライフルを向ける。いくら最新鋭機といえどもビームライフルの直撃を受けて、無事で済む訳がない。
爆発の余波で降ってきた瓦礫を避けながら、ガジールは叫ぶ。
「狙われてるぞ!ミカド!!」
「わかってるっ!!」
集音機を通して来た声に対して、叫び返す。
「ガンダムアレス、出るぞっ!!」
ミカドは機体を急発進。アレスは一直線にシビレーに突進する。

驚いたのは、シビレーのパイロットだった。
見たこともないタイプの二つ目、角付きのMSが、いきなり自機に突進、つかみかかり、そのままの勢いで、苦もなく地下から地上へと押し出した。その間、シビレーはスラスターを全開にしていたのに関わらずだ。
なんて、出力だ…
そうシビレーのパイロットが思った瞬間、アレスの手が、シビレーの頭部を掴んでいた。
「だぁりゃあぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
ミカドは叫び、アレスの手に力を込め、シビレーの頭部を握り潰そうとする。
普通のMSならば、不可能な事だったが、ガンダムは普通のMSではない。
握り潰すとまではいかないものの、シビレーの頭部は明らかに変形し、その頭部の機能が完全に死んでいる事は明白だった。
何が起きたかわからずに、呆然としているのだろう、シビレーの動きは止まっていた。
アレスは、頭部から手を離し、今度は腕を掴む。
その時になって、ようやくシビレーのパイロットは我に返ったが、既に遅い。
次の瞬間、そのパイロットが感じたのは、今までに味わったこともない衝撃だった。


アレスは、片手で軽々とシビレーを振り回すと、力任せに地面に叩きつけた。
「すごいな…」
コックピットから、モニター越しにシビレーを見下ろしながら、ミカドはまるで、他人事のような口振りで感心するように呟いた。
435七四三:2008/11/19(水) 20:05:28 ID:???
無茶ができる機体と事前に知ってはいたが、まさかこれほどとはな……
叩きつけた機体は動き出す様子はない。おそらく、パイロットが失神か何かしているのだろう。
「もしかしたら、死んでるかもな……」
深刻そうな様子もなく、軽々しく呟くミカド。
その直後、立ち尽くすアレスの脇をビームが駆け抜けた。
振り向くと、別のシビレーが居た。
ミカドはニヤリと口許を歪めると、アレスのスラスターを噴射、新たな敵に向かって、機体を加速させる。
アレスは機体を左右に振りながら突進する。全身のアポジモーターを使った、左右への反復運動は尋常の機動ではなく。
その動きに翻弄され、シビレーはライフルの狙いがつけられない。
その間にも、アレスは前進を続け、見る見るうちにシビレーとの距離を詰める。


「なめるなっ!!」
射撃は当たらない。そう判断したシビレーのパイロットはライフルを捨ててビームサーベルを抜き、アレスに対して構える。
それを見ても、ミカドは速度を緩めない。それどころか、ビームサーベルを抜く様子も見せず、全くの無手でアレスを突進させる。
「もらったっ!!」
パイロットは声をあげ、シビレーは接近するアレスに対して、サーベルを振り下ろす。
勝った!この間合いでは避けられない!
そう思った瞬間にシビレーのパイロットが見たのは、あろうことかビームサーベルに拳を叩きつけようとする敵機の姿だった。
「馬鹿が!ビームだぞ!!」
嘲りの声をあげるパイロット。
直後、ビームサーベルと拳がぶつかり、盛大なスパークを生じさせた。
結果としてサーベルは切り裂け無い。その光刃はアレスの拳と接触した状態のまま、全く動かない。
「ビームコーティングか!?」
パイロットは叫ぶ。が、すぐに自分の考えを否定した。
ビームサーベルをここまで無力化できるビームコーティングなど有るわけがない。だとしたらこれは――
その刹那、シビレーのパイロットは大きな衝撃を感じ、意識は途切れた。
「二つ……!!」
ミカドの目に映るのは、自分の操るガンダムの拳にコックピットを貫かれたシビレーの姿だった。
MSの拳でMSの装甲を貫くという、一般的には有り得ない現象を引き起こしたミカドは、コックピットの中で笑いを堪えていた。
ヤバいな、愉しいぞ
嬉々とした表情で、ミカドは倒したシビレーから視線を外す。
436七四三:2008/11/19(水) 20:10:28 ID:???
「次っ!!」
ミカドが叫ぶと同時にアレスはシビレーに突き刺した腕を引き抜き、残った一機に向けて、またもや突進する。

「よくもっ!!」
仲間を殺された怒りのままにトリガーを引く、最後に残ったシビレーのパイロット。
シビレーのライフルから放たれたビームが一直線に突進するアレスに向かう。左右に機体を振らずに真っ直ぐ進むアレスには避けられない。
だが、ミカドは
「俺に飛び道具は効かねえ!!」
叫ぶと同時に振り回したアレスの拳がビームを掻き消す。拳は青白い燐光を纏い、振り回した軌道に青白い光の軌跡が残っている。
「何なんだよ!何なんだよ! それは!?」
攻撃が完全に無力化されたことにより、一種の恐慌状態に陥りながらも、最後のシビレーのパイロットはトリガーを引くことを止めない。
放たれたビームをその都度、青白い燐光を纏った拳でかき消しながら、アレスは進む。

フィールドナックル。
それが、光る拳の名称だった。
アレスに搭載された超高出力のエーテリウムジェネレーター。そこから発生した粒子を物理制御などで固定し、拳にフィールドとして纏わせる。現状ではアレスにのみ搭載された最新鋭技術。
その効果は簡潔に言えば、ビームサーベルの性質を持った拳。

ミカドの操るアレスはビームを叩き落としながら、ゆっくりと進む。
半狂乱の様相でライフルを乱射するシビレーを見るミカドの口許は酷薄な微笑に歪んでいる。
ミカドは愉しかった、MSを操縦するのがこんなに愉しいと感じるのは初めてだった。ここまで自分の思い通りに動き、更には自分の闘争本能を受け止め、加速させてくれる機体には出会ったことがない。
ミカドは満足感を覚えながら、機体を前進させる。

変わらずに前方からは、シビレーがビームを撃ち掛けてくる。
集中さえしていれば、ミカドの眼はビームを視る。
直感と予感と予測と計算を視覚で認識し確信に変える。
何故できるのか解らない。
ただそういう生き物(ミュータント)なのだとミカドは漠然と認識している。
今もミカドの眼はビームを捉えている。現実ではなく、予測の範囲内だが、確信はある。
ミカドは確信に従い、アレスの拳を振る。
拳は光を放ちながら、飛来する光弾を打ち消す。と、同時に急加速。
「終いだ」
437七四三:2008/11/19(水) 20:11:49 ID:???
一瞬で間合いを詰めたアレスはえぐり込むように、下方から、シビレーの胴体腹部に拳を叩き込む。
勿論、フィールドナックルを展開している以上、ただの打撃では済まない。
振るわれた拳はのコックピットを巻き込みながらシビレーの装甲を貫いた。
「コイツで、終わり――」
ミカドが途中で言葉を止めると、アレスは即座にシビレーから拳を引き抜き、その場から飛び退く。
一瞬前まで、アレスが立っていた場所をビームがなぎ払う。
「――っ!?」
ミカドはビームを撃った敵を捜す。だが、その姿は見つけられない―ー
「ワケねえだろっ!!」
アレスは後ろを振り向くと同時にビームサーベルを抜き、背後から迫る刃を受け止めた。
敵の機体はシビレーの指揮官型。だが、若干通常機とはディテールが違う。
「シビレー・エーテリウムジェネレーター装備型…」
シビレーからアレスへの通信だった。
「この機体で部下達の仇をとらせてもらうぞ!!ガンダムのパイロット!!」

八話に続く
438七四三:2008/11/21(金) 22:43:23 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第八話 皇子起つ

前編

ミカドのガンダムアレスとテロリストの操るシビレー改が、お互いにビームサーベルをぶつけ合う。
「『敵を討つ』か…、随分と威勢のいいことを言うじゃねーか。そんなに部下が大事だったら……てめえが真っ先に俺に突っ込んで来りゃあよかったじゃねーかっ!!」
カスタム機相手とはいえ機体のパワーではミカドのアレスの方に圧倒的に分がある。
サーベル同士の鍔迫り合いになった時にそのパワーは遺憾なく発揮された。
「そうすれば、大事な部下が命を捨てずに済んだだろうよっ!!」
鍔迫り合いになった状態から、アレスは力任せに相手を弾き飛ばす。
「私自身の行動の遅れが、部下の死を招いたというそしりは、甘んじて受けよう。
 だが、だからこそ、私は私のあやまちを償うために貴様を倒さなければならない!!そうでもしなくては、死んでいった部下達に顔向けできんのだ!!」
シビレー改は弾き飛ばされた状態から、すぐさま機体を立て直し、距離をとるために後方に跳躍、エーテリウムジェネレーター搭載機特有の浮遊機動を行いながら、後退しつつ、アレスに向けてビームライフルを連射する。
「エラそうな事を言うわりには戦い方がずいぶんと消極的じゃねーか!!」
ミカドは闘争本能の命ずるままに機体を前進、後退するシビレー改を追う。
前方から飛来するビームを拳とビームサーベルで叩き落とし、アレスは、宙に浮き後退する敵機にめがけて、自らも跳躍する。
スピード、パワー、反応速度等、ほぼ全ての能力においてシビレー改を上回る性能を持つ、ガンダムアレスは一瞬にして間合いを詰める。
「もらったぁっ!!」
「甘ぁいっ!!」
交錯する言葉。そして、交錯する二つの光刃がぶつかり合うように見えた、その時、ふいにアレスの持つビームサーベルの刃が消えた。
「何っ!?」
驚きの声をあげる男を尻目に、ミカドの操るアレスは光刃をかいくぐり、シビレー改の懐にもぐり込んだ。
密着するような超至近距離。
通常のMSには、この距離で有効に立ち回れる武装はない。だが、アレスには有る。
「コイツが本命だ!!」
アレスは光を纏った拳をシビレー改の腹部に向けて放つ。
隙をついた攻撃。タイミングもスピードも完璧。だが――
「それでも、甘いっ!!」
男はアレスの動きに充分以上に反応できていた。
439七四三:2008/11/21(金) 22:45:44 ID:???
男はアレスの拳と自機の腹部の間にサーベルを持たない方の腕を滑り込ませ、ビームシールドを展開、アレスの拳を受け止める。
その際に腕の取り回しを良くするため、手に持ったビームライフルを投げ捨てていたが、接近戦には無用の長物、男に後悔は無かった。

「やはりな……」
男はシールドに拳をぶつけたままの敵の姿を、モニター越しにじっと見ながら、確信を得たような口調で語りだした。
「手を抜いているわけではなく、ただ単に未熟ということか…」
「なんだと!?」
男の言葉に目をむき、ミカドはシールドに拳を叩きつけたままの状態で、アレスのスラスターを噴射。強引にシールドを突き破ろうとする。
そんなアレスの動きを見計らっていたように、シビレー改はタイミングを合わせ、ビームシールドを消した。
急にシールドの抵抗がなくなったことにより、アレスは拳を突きだした姿勢のまま、つんのめり。さらには、スラスターを噴射していた事もあり、アレスはバランスを崩した体勢でシビレー改に突っ込んだ。
それを、シビレー改は半身になってよけると、すぐさま自分の横を無様に駆けていった機体の背後を襲うべく動き出した。
「クソッ!!」
ミカドは吐き捨てるように言うと必死で機体を立て直し、背後から迫るシビレー改を迎え撃つ。
空中戦であることはミカドにとって幸運だった。地上だったらこれほど素早く体勢を立て直せなかっただろう。

ぶつかり合う、二機のビームサーベル。
「圧倒的な性能を持つMSであるガンダム。それに乗りながらもシビレー程度と互角の戦い…」
男の言葉には強い侮蔑の色があった。
「これを未熟と言わずして何というか!!」
叫び、シビレー改がもう一本のビームサーベルを抜き放つ。
二刀流だ。
ある程度、剣術を嗜んでいるミカドからすれば、そのシビレー改の二刀流自体は、拙いレベルのものだったが、それでも明らかに手数は増えているため、かなり厄介な代物だった。
ビームすら見切るミカドの眼も接近戦では役に立たない。その眼で完全に予測できるのは、直線的な軌道のものだけであり、変幻自在に刃が乱れ舞う接近戦ではその予測は不確定過ぎ、アテにならなかった。

ミカドの操るガンダムアレスは襲い来る二つの刃を拳とサーベルで防ぐ。
余裕などは殆どないが、それでも、ミカドは虚勢を張る。
「俺が未熟なんじゃねえ!!まだ機体に馴れてねえだけだ!!」
440七四三:2008/11/21(金) 22:47:52 ID:???
「負け惜しみっ!!」
シビレー改の蹴りが、アレスの胸部に直撃した。
コックピットを襲う衝撃にミカドは、一瞬、息ができなくなる。
「私が知っているガンダムとは、もっと恐るべき存在だった…」
機体同士の間合いを開け、男は語り出した。
その間に、ミカドは息を整える。
「戦場で見た、その力は圧倒的だった。たった一機で百を超える軍勢を蹂躙し殲滅する姿に心奪われなかった者は誰一人としていなかっただろう。それほどまでに、百機以上のMSの屍の山の上に立つガンダムの姿は神々しかったのだ…」
男は朗々と語り続ける。
「機体自体も凄かったが、何よりも凄まじかったのは、そのガンダムのパイロットの技量だ。あのパイロットが貴様の機体に乗っていれば、私は最初の一瞬で敗れていたに違いないだろう」
男はさらに言葉を続ける。
「これでは、私の部下が哀れでならない。自らの命を奪った相手が、ガンダムに乗るに相応しい勇者ではなく、機体性能頼りの、ただの雑魚とは、死んでも死にきれんだろうな……」

通信機から聴こえる男の言葉に、ミカドは眉をピクリと震わせる。
「雑魚……か…」
男の言葉を遮るように呟いた。
「む…!?」
声から伝わってくる雰囲気の変化に男は警戒の色を強める。
「…別に、弱いって言われるのも構わねえし、舐められるだって平気だ……実際、俺より強い奴は幾らでもいるわけだし、それは仕方ねえ……だけどな――」
ミカドとミカドの操るガンダムアレスは目の前の敵を見据える。
「雑魚として区分されるのはどうにも、我慢できねえ!!」
アレスは鞘に収められ、左腰にマウントされている実体剣の柄に手を伸ばす。
「これは、男の意地の問題だ!だから本気を出す!!そして、あんたを後悔させてやる!!」
そう叫び、アレスは勢い良く、鞘から実体剣を抜きはなった。
「たぶん……いや、間違いなく、俺はあんたを殺せるぞ…!」
それは、ミカドから男への死の宣告であった。

虚勢だな……
シビレー改のパイロットは哀れなものを見るような目で、大言を吐いたガンダムを見る。
ガンダムの手には実体剣が握られている。
刀の形状をしたそれは、いかにも切れそうな見た目だったが、
「所詮は実体剣だ…」
切れ味ではビームサーベルに遥かに劣る。
今更、策を弄するつもりなのだろうか。男は疑問に思うと同時に怒りを覚えた。
441七四三:2008/11/21(金) 22:50:05 ID:???
そして、何よりもその物言いが気に入らない。
「未熟者ならば未熟者らしく、自分の無力さを理解しながら抵抗できずに朽ち果てろ!!」
ここまで来て、勝てないとみるや、小細工を弄そうとする姑息なガンダムのパイロットへの怒りを叫ぶ。

通信機からはその声が聞こえたが、ミカドは無視する。
ミカドには小細工を弄するつもりなど無い。
ミカドは必殺の一撃を狙い、意識を集中する。
高揚感は無い、心は静かだ。
先程まで、ミカドの闘争本能を煽っていたアレスが大人しくなり、どういう心境の変化か、自分を応援しているようにさえミカドは感じた。
「けっこう、いい奴なんだな。おまえ…」
MS相手には、ふさわしくない言葉だったが、ミカドはアレスに意思があるようにしか思えなかった。
「きっと、おまえもエラそうなアイツがムカつくんだよな……」
ミカドはアレスの眼前に佇む一体のMSを睨みつける。
「任せろよ。俺が倒してやるさ」
アレスは刀をゆっくりと構える。刀剣の扱いに関してミカドは並々ならぬ自負がある。
刀さえ有れば、負けはしない。そう豪語してもミカドはいいと思っている。
それが、MSの武器だとしてもだ。

「来い!!」
ミカドは高らかに声をあげた。
それが、引き金となり、シビレー改が飛び出した。
ビームサーベルを両手に握り、一直線にアレスに突進する。
それに対してアレスは動かずに、その場にてただ刀を構える。
疾風のような速度で、シビレー改はアレスに迫り、サーベルを振り下ろした。
アレスの刀は、その一撃を受け止める軌道で振るわれた。ビームサーベルと刀がぶつかり合う。

その瞬間、アレスの刀がビームサーベルをが切り裂いた。
「なぁっ!?」
同時に、刀はシビレー改の腕も切り裂く。
「ハァッ!!」
返す刀でアレスは再び刃を振る。
それは、とっさに展開したシビレー改のビームシールドを腕ごと切り裂いた。
瞬く間に、両腕を失ったシビレー改。ミカドの操るアレスは刀を突きつけた。

「なんだ、それは……!?」
両腕を失ったシビレー改を操るパイロットは呻くような声をあげる。
「刀さ。見りゃあわかるだろ?」
「ふざけるな。ただの刀で、このようなことができるものかっ!!」
「そこんところは俺の技量がなせる技ってことで。それに、言ったろ?本気を出すってさ」
勝者の余裕か、ミカドの口調は軽い。
余裕が無いのは男の方だ。
442七四三:2008/11/21(金) 22:51:09 ID:???
なんとかこの場を切り抜けねばならない。
男は必死に隙をうかがう。
その時、ガンダムが突きつけた刀を下ろした。
「逃げてもいいぜ」
通信を介して聞こえてきた声に男は、はじかれたように、機体を動かしガンダムから遠ざかろうとする。が、
「見逃すとは言ってねえけどな!!」
それは、男の短慮が招いた失敗だった。
背を向けたシビレー改の両脚をアレスの刀が切り落とした。
両腕両脚を失いながらも、シビレー改のエーテリウムジェネレーターは機能し続け、反重力浮遊により、シビレー改は未だに宙に漂う。
「言っただろ。あんたを後悔させてやるって」
最後にそう言い放つと、ガンダムアレスはシビレー改の残った部分である胴体を一刀の下に切り捨てた。

「本気を出したってビームなんか斬れるわけねーだろうが。タネも仕掛けもあるんだよ」
吐き捨てるようにミカドが呟くと、アレスは手に持った刀を鞘に収めた。
そうして、辺りを見回し、敵がいない事を確認すると、落下したシビレー改の残骸の近くに降り立った。

前編 ―終―
443七四三:2008/11/21(金) 22:53:54 ID:???
後編

皇城の敷地は広大だ。
その敷地の広さ故に、移動には車が使われることが多々ある。
広大な敷地には、ダルタイル帝国皇帝が住み、政務を行う皇宮である、光輝宮(主に皇城と呼ばれるのはこの建物)があり。
それを中心に皇帝以外の皇族の住まう幾つかの離宮がある。
現在、それらの離宮の殆どは突如として現れた、正体不明の襲撃者達によって制圧されている。
だが、それでもたった一つだけ抵抗を続ける宮殿があった。
そこは、紅玉宮
ダルタイル帝国第三皇子、アルトリオ・カーメンの住む宮殿であった。
紅玉宮内では警護隊と襲撃者との激しい銃撃戦が続いている。
そんな危険な宮殿の中で、現在、皇城において唯一無事な皇族である、ダルタイル帝国第三皇子、アルトリオ・カーメンは自室で読書を楽しんでいた。

御年、17歳。親しい友人からはダブり皇子と呼ばれるアルトリオ・カーメンは、周囲――というか、城に勤める殆どの人々のからの非常に低い評価に恥じない姿で、自室のソファーに寝転んで本を呼んでいた。
その姿は、下半身はトランクス一枚のほぼ真っ裸。きらめく金髪も整った容姿も全てが台無しになる姿だった。

エアコンの効いた涼しい部屋で、アルトリオは読書する傍ら、手近にあった瓶を手に取り、その中からワイン色の液体――というかワインをグラスに注ぐ。
ダルタイル帝国では、18歳未満の飲酒は法律で禁止されているのだが、人生の楽しみを、『酒、書、女』と定めているアルトリオは、法律などはどうでもいいと言わんばかりの勢いで、グラスを口に運び、一気に飲み干す。
そんな飲み方で味がわかるのか?と以前に問われた事があったが、その時は、年代等そのワインに関する事柄の全てを答え、相手に舌をまかせた事もある。

〇〇通、凝り性、趣味人、好事家、収集癖。言いようは幾らでもあるが、詰まるところ、アルトリオ・カーメンはそんな男だった。
それは自身が住む、紅玉宮にも表れている。
紅玉宮の一室は模型好きが高じて、部屋を丸ごとホログラフで宇宙空間のように見えるようにして、その中に艦船やMSの模型を浮かべてジオラマを作り上げている。
444七四三:2008/11/21(金) 22:56:04 ID:???
そのジオラマが何よりも凝っているの当時のダルタイルと連邦、両軍の陣容を調べ上げ、完全に再現していることだった。MSの数も、艦船の配置も完璧。
当時の戦場の様子を知りたければ、紅玉宮に行け。と、歴史学者に言わせる程の出来栄えだった。
模型以外にもアルトリオには様々な趣味がある。そして、それらの趣味が高じた結果、紅玉宮はもはや、博物館と言っても言いような物に変貌を遂げていた。
だが、その中でも何よりもアルトリオが情熱を注いでいたのが、書籍の収集だった。
『第三皇子の書籍狂い』
そう揶揄される程に、アルトリオが連邦、ダルタイルを問わずに全宇宙から集めた書籍は並の図書館など足元に及ばないほどの冊数に達した。
そのジャンルは様々、専門家でさえ理解するのに手間取るような難解な学術書から、低俗なR18のエロマンガまで、とにかく豊富な種類だった。勿論、アルトリオは全てを読破している。
今も、読んでいるのは難解な歴史書だ。
それには人類が地球だけに暮らしていた時代のことについて書いてある。
部屋の外から聴こえてくる銃声をBGMにページをめくる。
「いつの時代も人は変わらないものだな」
だが、それでいいとアルトリオは思う。
争いがなければ人生はつまらない。
ニヤリと笑うアルトリオ、その耳には部屋の外から聴こえてくる銃声と怒声が天上の音楽のように聴こえている。
「このまま、面白くなってくれるといいんだがな…」
呟きながら、アルトリオは状況が変わるまでのしばらくの間、読書に没頭することに決め、だらけた姿勢で本にのめり込んだ。しばらくして――

「つまらんなぁ……」
ワインの瓶を二本空にし、歴史書を読み終え、エロマンガを一通り堪能し、今朝、皇城をこっそり抜け出して買ってきた、週刊マンガ雑誌をパラパラと捲りながらアルトリオは呟いた。
マンガがつまらない訳ではない。今の状況がつまらないのだ。
アルトリオの視線が自室の壁一面を覆う、巨大なモニターに向かう。
普段は映画やら何やらを一面に映すのだが、今は画面に複数の映像が映っている。
445七四三:2008/11/21(金) 22:58:45 ID:???
それは、アルトリオが密かに皇城の各所に設置した隠しカメラだった。
それを使い、アルトリオは紅玉宮に居ながら、皇城の様子を全て把握していた。
「面白かったのは最初だけ……ミカドがカガミに遭遇した事ぐらいだな……」
その後は全て予測通り。
カガミがミカドに何を頼むのかとワクワクしていたら、結局、アルトリオにとって一番つまらない結果になってしまった。
ミカドが旧格納庫に向かうのは、すぐ解ったし。その後、アルトリオが自身の命令で旧格納庫の技術者達に作らせたガンダムに、ミカドが乗ることは想像がついた。
おそらく、その時にシエラは唇を噛みしめていたに違いない。
わかりすぎるというのもつまらんもんだなぁ……

「やはり、祭りは見物より参加する方がおもしろいか…」
アルトリオは呟くと、ソファーから立ち上がり、ついでにモニターを消す。
「殿下、侵入者を排除いたしました!次の御命令を!!」
「待っていろ。すぐ行く」
アルトリオは自室の奥に消えると、暫くして現れたのはダルタイル帝国軍将校の礼服を纏い、軍刀を手に持ったアルトリオだった。
アルトリオは勢い良く、自室の扉を開けた。
それと同時に居住まいを正し、整列する紅玉宮の警護隊。
アルトリオは兵士達の前に立ち、それぞれの顔を見回す。
歴戦の猛者達。顔を見ただけでわかる。アルトリオが手間をかけて、集めた兵士だ。
能力は有るものの、問題を起こし軍に居られなくなった男達。だが、その反面、実戦経験は豊富で、歩兵としてはこれ以上に頼りになる兵士はいないだろう。
軍歴に箔をつける為だけに入隊している貴族の子息で編成されている、他の離宮警護隊とは比べ物にならない戦力だ。
アルトリオの口からくっと笑いが漏れる。
つられたように、警護隊の男達も口許に笑みを浮かべる。
笑いながら、アルトリオは男達に語りかけ始めた。

「諸君。戦争と洒落込もうじゃあないか」
気取った仕草でアルトリオは男達に背を向け、歩き出した。
「我々は、これより敵軍に制圧された光輝宮を奪還するために行動を開始する!
 作戦目的は単純明快!!光輝宮を制圧する敵軍を可及的速やかに鏖殺!!」
アルトリオは歩きながら後ろを振り向き、自らが率いる男達に告げる。
「そう、つまりは……」
一拍、間を空け、そして高らかに宣言する。
「皆殺しだっ!!」

こうして、皇城での戦いは完全に戦争の様相を呈してきた。

九話に続く
446七四三:2008/11/21(金) 23:00:25 ID:???
人もいないし、ぶっちゃけ、もうダメぽ……
447通常の名無しさんの3倍:2008/11/21(金) 23:53:32 ID:???
>>七四三氏
投下乙。
元ネタのサクシャア、じゃなくて作者がアレなのがもったいないと思う次第。
448エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/22(土) 00:14:24 ID:???
>>七四三
投下乙!俺も週末には七話投下できると思う…
449七四三:2008/11/22(土) 18:32:49 ID:???
>>448
楽しみにしてます。
でも、どるだの方にもエルトのコテでSS投下してるみたいだし、大変じゃないか?
450七四三:2008/11/23(日) 20:54:58 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第八話 狂者達の宴

前編

「起きろよ」
その声と同時に、頬に痛みを感じ、男は目を覚ました。
男が、最初に目にしたのは、自分のノーマルスーツの襟首を掴み上げている少年だった。
男は、まだ覚醒しきっていない、ぼんやりとした頭で少年を思いだそうとする。
それをじれったく思ったのか、少年は、
「目を覚ませよ」
聞き覚えのある声でそう言うと、男の頬を平手で打った。
何を!?
少年の平手打ちにより、急激に意識を覚醒させた男は、自分に暴力を振るった少年に報復をすべく、つかみかかろうとする。が、動けない。
気づいてみると、両手足を縛り上げられ、身動きが取れない状態だった。体の自由が効かず、まるで芋虫のような姿で地面に転がされている自分の現状に、男は強い屈辱感を覚え、うめき声をあげる。
その姿に嗜虐心を満足させたのか、少年は屈辱に悶える男の襟首から手を離した。
掴まれることで持ち上がっていた上半身が地面につき、男は完全に横たわった体勢となる。
少年は立ち上がると、男に背を向けて歩き出し、男から2、3mの位置に立ち止まると、 手に持った何かを読み上げた。
「アラン・リーバー太陽系連邦軍大尉」
手に持ったそれは、男の認識票だった。
少年は男の方へ振り向く。
「いくつか聞きたいことが有るんですが、答えていただけますでしょうか、大尉殿?」
少年は口許をニヤリと歪め、慇懃無礼に男に尋ねた。
男はそこにきて、ようやく、この少年が何者か気づいた。
少年の纏うノーマルスーツと、少年の背後に佇むMSが男に気づかせた要因となった。
男は少年を睨みつけ、唸るような低い声で尋ねた。
「貴様が、ガンダムのパイロットなのか…?」
威圧するように発したつもりの声だったが、無様に地面に横たわった状態では、さほど効果はなく、かえって、少年を失笑させるだけだった。
「そうさ、俺がガンダムのパイロットさ」
勝者の余裕がそうさせるのか、少年――ミカド・(中略)・セイソウインは極めて軽い調子で答える。その顔には、男をあざ笑うような微笑が張り付いていた。
「ところで、大尉殿。さっきの頼み――俺の質問には答えていただけるんでしょうかね?」
「ふざけるな!!貴様のような男と、いや、敵軍と話す舌などは持ち合わせおらん!!どうせ、貴様が聞きたいのは、我が軍の情報だろう。私は、味方を売るような真似は断じてしない!!」
451七四三:2008/11/23(日) 20:56:53 ID:???
にべもない調子の男。その様子にミカドは一瞬、拷問でもしてやろうかと思ったが、
アルトリオほどに暴力的に振る舞えない自分には無理なはなしだと、結局、諦めて、無駄だろうとは思いながらも、とりあえず、質問だけはしてみた。
「この作戦を指揮しているのは誰だ?」
それは、カガミから適当な士官を捕らえたら、聞いておくようにと、頼まれた質問だった。
「そんなことを敵に話すと思っているのか!!」
男は、話す舌を持たんと言いながらも、結局、ミカドと話している。
親切なのか馬鹿なのか…きっと、馬鹿なのだろうと、ミカドは断じ、今度はカマをかけてみることにした。
「そんなこと言って、実は知らないんじゃなねーの? あっ、そうか。もしかして、忘れてんのか。そりゃあ仕方ないよな、あんた見た目からしてアレだもんな」
「何だと!!」
目を剥いて、怒りを露わにする男。どうやら、侮辱的発言に強く反応するようだ。
「馬鹿にするな!!当然、そんなことは覚えて――」
男の言葉が急に途切れた。ミカドの狙いに気づいたというわけではなく、ただ呆然としている。
わからないんだな…
ミカドは男の様子から、なんとなく理解した。
ミカドは質問を変えてみることにした。
「あんたは、誰から命令を受けたんだ?」
「誰だと?そんなもの――」
やはり、男の言葉は途切れた。
洗脳か…?
ミカドの脳裏を、そんな単語がよぎった。
とりあえず、カガミが聞いておくようにと、言っていた質問は二つで終わりだ。
これがどんな答えに結びつくのか、ミカドにはわからなかったが、とにかく、カガミに報告するため、その場を後にしようと、ミカドは男に背を向けた。
「待てっ!!」
ミカドの背に呼び止める叫びがぶつかった。
「この場を去るというのなら、俺を殺してからにしろ!!」
男は懇願するような目つきで叫び続ける。
ミカドは振り向きもせず、男に背を向けたまま、立ち止まっている。
「部下が全員死んでいるのに、自分だけおめおめと生き延びるような、そんな生き恥、俺は晒したくない!!頼む、殺してくれ!!」
私から俺へと、一人称が変わっている。
それもそのはず、男――アラン・リーバー大尉は仰々しい物言いで自分を飾ってはいるものの、実のところ、25歳のほんの若造に過ぎなかった。
だからこそ、命よりも名誉が大事だった。
452七四三:2008/11/23(日) 20:58:28 ID:???
彼にとって、その若い自尊心が傷つくことは、命を失うことよりも遥かに苦痛であり、
もしも、このまま自分だけ生き延びたときに向けられるであろう周囲の視線を思うと、身が引き裂かれそうになるような思いだった。
それなら、いっそのこと、部下と共に戦って死んだという方が、遥かに外聞が良いと思い、アランはミカドに自身の殺害を懇願しているのだった。
死をおそれない。
そう言えば、聞こえは良いが、結局のところ、アラン・リーバーという男は、命の価値を理解できない、自尊心のみが異常に発達した、ただの若造だった。
それを理解すれば、彼の大仰な、大物ぶった言葉も、自分を飾り付け、自尊心を充たすためだけの虚しいものにしか聞こえない。
「どうした!!俺が殺せないのか、この臆病者め!!〇〇〇〇野郎め!!俺を殺せぇぇぇ!!」
アランは何としてでも自分を殺させようと、縛り上げられ、地面に転がった状態のまま、わめき続ける。
聞き苦しい罵詈雑言が放たれ、それに耐えかねたのか、ミカドはとうとう、男の方を振り向き、歩き出した。
よし、俺を殺せぇー!!
アランは心の中で喝采するように、自分のそばに辿り着いたミカドに声援を送った。
死への恐怖などは無い。
むしろ、死後に自分に与えられるであろう、栄誉のことを思えば、アランにとって、それは喜ばしいことでさえあった。

アラン・リーバー大尉、いや、殉職だから二階級特進で中佐か……
アラン・リーバー中佐、ダルタイル帝国帝都襲撃作戦の際、皇城にてガンダムと交戦、部下と共に名誉の戦死。
悪くない…悪くないぞ……いや、むしろ良い!!
特に“部下と共に”というのが良い、これを知った者は、きっと俺が部下を見捨てない素晴らしい隊長だと思うに違いない。
アランの歪な自尊心は、既に狂気とも言える領域に達していた。
ちなみに、アラン――というより、皇城と帝都を襲撃している、連邦軍の兵士達は、太陽系連邦では現在、行方不明という扱いになっているため、死亡したところで記録になることはなく、アランの妄想はけっして実現する事はない。
だが、アランは自分が記録になることを信じきっており、自分が殺される瞬間を、今か今かと待ち望んでいた。
そして、そこにミカドの手が伸ばされた。

やった!!
そう思ったのも、つかの間。アランはすぐに拍子抜けする事になった。
ミカドがしたことは、アランに猿ぐつわをかませるということだけだった。
453七四三:2008/11/23(日) 21:01:18 ID:???
アランは、目の前の少年は自分を黙らせてから殺すのだろうと、思いこもうとしたが、次に放たれた一言がアランの全てを打ち砕いた。

「俺はあんたを殺さない」
ミカドは淡々と言った。
アランは、少年が何を言っているのかわからず、ただ、呆然とする。
ミカドはその様子に斟酌することなく、言葉を続ける。
「俺はあんたに後悔させてやると言った。だから――屈辱に塗れろ」
それは、アランにとって死よりも重い言葉だった。
勿論、ミカドはアランの狂気的な自尊心などは知らない。だが、結果として、ミカドはアランにとって、死よりも辛く、苦しい罰を与えたことになる。
ミカドの言葉の意味を理解したアランは、もはやここまでと、舌を噛みきって自殺する事を決意するが、猿ぐつわを噛まされている以上、それは不可能なことだった。
なんとしても、俺を死なせないつもりか!?
アランはミカドの非道に涙さえ流し始めた。

ミカドとしては、何で泣き出したのか理解できなかった。
屈辱と言っても、味方に「何やってんだ? おまえ」と、ちょっと言われるぐらいで済む程度のミカドにはアランの自尊心など理解できないし。
猿ぐつわだって、うるさいから黙らせようという気持ちでやっただけで、自殺されるのを防ぐつもりなんて、毛頭なかった。
猿ぐつわを噛まされながら、こちらを睨みつけつつ、号泣する男に気味の悪いものを感じながらも、ミカドはアランに対して、言ってやろうとずっと考えていた言葉を放った。
「散々、未熟者とか雑魚とか罵ってたクセに、そのザマはなんデスかぁ?
 機体性能頼りのガキに負ける気分は、きっとスゴく楽しくてやみつきになるんでしょうねぇ? でなければ、大尉殿のようなエースが負けるわけないデスもんねぇ?」

屈辱だった。
アランはミカドの嘲笑を抵抗もできずに受け止めながら、心の中では、既にミカドを数億回は殺している。
「じゃあ、大尉殿。俺はこれで失礼します」
一通り言い終えたミカドはアランに背を向けた。
この時、アランの中でのミカドを殺戮した回数は兆を超えたところだった。
立ち去ろうとするミカド。だが、ミカドは最後にトドメの一撃を放っていった。
「あんたの今の姿、ガンダムについてるカメラ使って、ネットに流してるぞ」
当然、嘘だ。ガンダムにそんな機能はついていない。
454七四三:2008/11/23(日) 21:02:25 ID:???
「これに懲りたら、雑魚とか人を貶めるような発言は慎むんだな」
要はそれだけ言いたかったのだが、肝心の相手はそれを聞いていなかった。
アランは気を失っていた。
自分の今の姿が全世界に晒されている。そう聞いた瞬間、アランの心と体は自らの防衛を図った。
強制的に意識をシャットダウンすることで、アランの心と体は外部からの与えられる負荷を防いだのだ。
意識を失わずにいたら、アランは間違いなく壊れていた。それ故の自己防衛本能だった。

無自覚の悪意
そんな言葉が、今最も似合う男、ミカドは、一人の人間を壊しかけたことに全く気づいていなかった。
多少、恥ずかしい思いをさせて反省を促す。
その程度の軽い気持ちで行ったことが、後にミカドを危険な状況に追い込むことになるとは、今は知る由もなく、この時のミカドはアランに背を向けて、歩き去るのみであった。

前編 ―終―
455七四三:2008/11/23(日) 21:03:55 ID:???
アラン・リーバー

性別:男
年齢:25歳
所属:太陽系連邦
階級:大尉
乗機:シビレー改(エーテリウムジェネレーター装備型)

大仰な言葉で自分を飾り、歪な自尊心と名誉に対する異常な欲を持つ狂人
MS部隊の隊長であり、高い技量を持つ。
皇城での戦いでガンダムアレスに敗れた後、ミカドに自我が壊されかけるほどの屈辱を与えられる。

危ない人のような書き方しかしてないが、社会的にはミカドなどとは比べものにならない、非常に立派な人物。
だが、他人から賞賛を受け、自尊心を満足させる為にはどんなことでもやる男。
例えば、上官から何を言われても部下を守るし、同僚を助ける。
戦い方も人から立派だと言われるために、正々堂々と戦う。
ボランティアも忘れないし、寄付だってする。
学生時代は人から凄いと言われたいがために、常に主席をキープし続けていた。
弱きを助け強きを挫くを地でいく、動機はアレだが、それを知らない人々にとっては、まるでヒーローのような人物。
反面、他者からの悪意に関しては、非常に打たれ弱い。
それが原因で、ミカド、ひいてはミカドの操るガンダムアレスに恐るべき復讐心を持つことになる。

新兵時代に、アレス以外のガンダムを見たことがある。

ミュータントでは無いが、人から凄いと言われたいがために、常軌を逸した鍛錬を続け、ミュータント並みの身体能力を手に入れている。
ちなみに、ミュータントに対する差別意識は無い。(その方が人として、立派だと言われるから)

生物ならば本能的に恐れる死を、名誉ためならばまったく恐れない、ある意味で生物の限界を超えた存在。
456七四三:2008/11/23(日) 21:05:40 ID:???
ガンダムアレス

所属:ダルタイル帝国
パイロット:ミカド
武装
・ビームサーベル
・フィールドナックル
・試作壱式対MS刀

特殊なシステムを搭載したMS、「ガンダム」の二号機。

見た目こそMSとして完成されてはいるものの、実質的には未完成。
その開発プランはテストを重ね、その結果を見ながら機体と武装を少しずつ改修していくという計画になっている。
つまり、これからどのような機体になっていくかはわからない、可能性を秘めた機体だと言える。

機体コンセプトは
「格闘特化による敵陣への単騎突撃、そして敵指揮官の撃破もしくは斬れるだけ斬って後退」
という、無茶にしか聞こえないもの。
だが、実際、相当に無茶が効くように機体が設計されているので、始末に負えない。
搭載されているエーテリウムジェネレーターは通常は戦艦に搭載するタイプの物だが、エーテリウムジェネレーターは小型化が可能なためこのような無茶ができる。

機体名のアレスはギリシャ神話の軍神アレスから。
ギリシャ神話のアレスは戦闘時の狂乱と破壊を神格化した存在。
また、神話のアレスは二つ名として「城壁の破壊者」という異名を持っている。それにちなんで、「破城刀」なる対要塞兵器をガンダムアレス用に開発中。

射撃武器は開発途中

武装解説

・ビームサーベル
前腕部に収納されている格闘兵装。
二本を柄で連結することで両端からビームサーベルを出力するツインサーベルモードと、片側にのみビームを発生させる代わりに二倍の長さとなるロングサーベルモードを持つ。

・フィールドナックル
ビームサーベルとほぼ同じ性質のフィールドを拳に纏わせた武装。
MSが通常、想定していないゼロ距離戦闘で、圧倒的なアドバンテージを誇る。

・試作壱式対MS刀
刃の部分にビームを纏わせた実体剣。刀に見える部分は全てビーム発生機。
発生機の大型化に加え、刀にビームを纏わせるという形状のため、ビームを伸ばす必要が無く、その分のエネルギーをビームの威力を高めることのみに使える。
また、ビーム発生機には最新のコーティング剤を使った耐ビームコートが施されており、ビーム兵器対しての備えは万全。
しかし、発生器自体は非常に脆弱であり、扱いには注意する必要がある。
所詮、名前の通りの試作兵器であり実戦に耐えうる代物ではない。
457七四三:2008/11/23(日) 21:13:36 ID:HhGXOhGy
紙に下書きやると、筆が随分速くなるもんだなぁ。


勝手な話で申し訳ないんだけど、以前に書いたパラレルワールドって設定は無しで、未来の話しってことにしてもいいだろうか?

458通常の名無しさんの3倍:2008/11/23(日) 21:45:59 ID:???
>>457
どうぞどうぞ
459エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/23(日) 23:14:49 ID:???
>>七四三
投下乙&GJです。どうぞどうぞ、むしろ直の未来のが個人的にいいw
どるだは…まぁ、うん(何
投下、明日の夜になりそうだ…
460通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 19:29:37 ID:???
このスレ絵師いないの?
461通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 19:52:23 ID:???
>>460
いないぞ
462エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:30:49 ID:???
こんばんは、今から投下します。

>>446
(今更だが)その道理、私の無理でこじ開ける!

>>460
是非とも欲しいところっすね。
463エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:31:52 ID:???
ガンダムL 七話 正義の名の下に

「エルト・ロウ!ダンデスカスタム、出る!」
ダルタイル帝国MS輸送艦「レオパルド」のハッチが開き、ダンデスが一斉に降下ポイントへ降り立つ。
町からやや離れた場所にある荒野…先行するレナード小隊からの合図があるまではここで待機となっていた。
「夜襲じゃなくて早朝からおっ始めるってのもなあ…」
クロスが皮肉たっぷりにぼやく。
「黙っていろ、少佐」
「…へいへい」
(いよいよ、始まる…!)
キッ、と口を真一文字に結んだエルトの瞳にはもう、先程までの悲しみは消え去っていた。

「ここね…」
町の中心部、最も大きな建物…ここが、ミトラ・ミトラの屋敷である。
ティエルを始めとするブレイズの三名は上空から攻撃の機会を窺っていた。
ミトラ・ミトラが現在屋敷には不在で、画面演説を始める為に別ポイントへ移動していることは既に把握済みである。
しかし、町の象徴であるこの屋敷を破壊することから、本作戦は開始されるのであった。
レナード小隊のファーストフェイズは、屋敷を上空から狙撃・破壊することであった。
(ここまで来て、迷ったところで…)
違う、私は、そこまで弱くない…!必死の思いで手に持つスナイパーライフルを構える。
「ティエル・レナード!ダンデスカスタム、いきます!」
今回の作戦の為にレナード小隊に与えられた特製のスラスター。これにより、短時間ではあるが、上空の飛行が可能であった。
スラスターをフル稼働させ、先行するティエル。照準を合わせ、引き金を引く。
「いっけー!」
放たれた数発のビームライフルが屋敷を破壊する。跡形も残さない程に。
「「よし!」」
それが合図と言わんばかりに、ティエルの左右に控えた別のダンデス二機が、追加武装のホーミングミサイルポッドとロケットランチャーの引き金を引く。
ドドドドドド…
崩れ落ちる建物。人々の悲鳴は死の恐怖から来るものか、突然の攻撃による驚きから来るものか、愛する者を失った悲しみから来るものか…
「ヘンリー、合図を」
静かな声で呟くティエル。
ヘンリー機から放たれる信号弾。これが、合図であった。
「…レナード隊、ファーストフェイズ終了」
ティエルは、自らが破壊した屋敷の中にいた人々のことを考えてみた。
何気ない、いつもの朝の1ページ…自らの引き金で、その人々の物語の続きは破かれ、燃やされたのだ。
けれど、すぐに面を上げ澄み切った空を見た後、声を張り上げて言う。
「これよりセカンドフェイズに移行する!」
短い時間ではあったが、永遠のように感じられた。
だが、頭の中に浮かんでは消えた様々な思いのすべてを消化しきるには、やはり短すぎるものだった。
464エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:32:48 ID:???
「やはり来たか、ダルタイルめ…!」
避難警告が出されることなく行われた一方的な攻撃…
ノトラ・ミトラの柔和な顔立ちが、義憤と憎しみと、幾らかの戸惑いに歪む。
「敵襲―!敵機はダルタイル帝国所属のMS、ダンデス13機と断定!駐留する連邦軍及び自警団は直ちに迎撃されたし!」
「了解した!ノトラ・ミトラ、ヴィルザード…出るぞ!」
ヴィルザード5機と、テンプレス35機…これだけの戦力が、この町を守るすべてであった。
譲れぬ信念を掲げ、町の自警団と共に出撃するノトラ。
(ミトラを、ここで死なせるわけにはいかない…!そうさ、地球とこの町の未来の為にも…!)
鋭く前を見据えるノトラ。普段の彼を知っている人物なら、今の彼の表情を見たら驚くことであろう。
(待っていてくれ、姉さん…!)
仲間と己を鼓舞する為、ノトラは声を荒げて叫ぶ。
「我々は、ダルタイル帝国なぞに屈してはならない!どこの世界に民間人の虐殺が許される正義があるというのだ!奴らの掲げる正義の旗を今こそ打ち破る時だ!」
オオォー!!編隊を組んだMS部隊が、ノトラのヴィルザードに続く。

既に町は、正義の名の下に動き出した閃光によって、蹂躙されつつあった。
クロス小隊と合流したレナード小隊が、市街の破壊工作に当たっていたのだった。
「まったく、嫌になるねえ…!こういう弱い者イジメってのは!」
「無駄口を叩くな、少佐!!」
「へいへいっと。サカザキ中佐殿」
各々が手に持ったビームライフルで、市街地の破壊を続ける8機のダンデス。
助けて助けてたすけてたすけてタスケテタスケテ…
ビームによりその顔に苦悶の表情を浮かべることなく一瞬で蒸発する者、燃え盛る炎にその身を蝕まれる者、崩れ落ちる建物に希望を奪われる者…
閃光が、奪っていく。この町に生まれ、静かに死んでいく筈であった、すべての生きとし生ける者の命の輝きを。
命の輝きよりも強い光が、正義の名の下に、その大義を実行していた。
「やはりか…!」
その様子に、顔を歪める人物がいた。
ふと一人のダンデスパイロットが慌てて言う。
「熱源反応!?MSか!?は、速い!!」
閃光を横切る一筋の闇…黒い鎧兜を模した形にカスタマイズされたヴィルザードが、手に持つビームライフルを正確にダンデスに向け、放つ。
「貴様ら!こんなことが、許されるとでも思っているのか!」
「あの声は…!」
険しい顔つきになるクロス。
「各機、サカザキ中佐の指示の下、セカンドフェイズを続行せよ!あのヴィルザードはこちらで引き受ける!」
言いながらビームサーベルを抜き放ち、ヴィルザードへと特攻する。
「少佐!」
叫ぶティエル。が、その声はビームサーベルとビーム刀のぶつかり合う音と迫力でかき消される。
465エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:34:30 ID:???
「やはり出たな、ダルタイルめ!この連邦のもののふ、タケル・クロードの前に貴様らのような存在があってはならない!!成敗!」
…あれ、こないだは連邦の騎士じゃなかったっけ、というツッコミは置いといて…
「てめえはこの前の!」
「ああそうさ、君を倒す為、私はやってきたぞ!」
「何でてめえがここに…!」
「フッ、それは…!」
歯を食いしばるクロス。こいつ、腕を上げたな…!
「以前からこの町が危ないらしいと聞き、一般市民のフリをして潜伏していたのだよ!」
…ごもっともで。うん、まあそうだろうけどさ…
「そうかよ!お前さんにオンナがいない理由、わかったぜ」
「なんと!」
「男なら、もう少しロマンチックにいけないもんかねえ…?」
ニヤけるクロス。マイクロミサイルのスイッチを押す。
「運命の赤い糸だとかよ!」
ドッ!放たれる脚部のミサイル群。
「おのれ!成程、そういう理屈か…不覚にも、一本取られてしまったではないか!」
言いながらミサイル群を避け、または撃ち落とすタケル。ていうか、ツッコむ所そこなんだ…
「まさか君が、こんなに下劣な作戦に加担するとはな!実に!ヘドが出るよッ!」
ビームライフル同士の応酬が始まる。
「何とでも言えよ!そしてこの下劣な俺を!」
市街地を利用し、隠れつつも撃つといった銃撃戦。
「あの世で笑ってくれ!」
隊長機仕様のダンデスにのみ搭載された、肩部のホーミングミサイル群が、ヴィルザードに降り注ぐ。
「そんなもの!この私にはッ!!」
紙一重でその全てを避けていくタケル。
「通用せん!そして貴様はッ!」
クロスが身を隠す建物…もはや生存者はいないであろう半壊したそれに、両手にビーム刀を構え力任せに突っ込む。
「万死に値するッ!!」
…そこでティ○リアなんだ。
ドオン!散らばるコンクリートの雨に打たれるクロス。
「ぅあっ!この野郎!」
「それはこちらのセリフだ!さあ、メメントモリ!」
「こんな所で、死ねるか!」
二振りのビーム刀を、舞うように振り回す。押されるクロス。
(このしつこさ、尋常じゃねえぞ…!)
閃くビーム刀を、膝を屈曲させ体勢を低くして避けるクロス。そのまま転身し、二撃目を受け止める。
「いい加減、しつこいんだよ!」
「フッ、運命の赤い糸で結ばれているのだからな!」
「上出来!その話術でその辺の姉ちゃん口説いてこいっての!」
「君が!君達が!この町の、その辺の姉ちゃんの命を奪ったのではないか!」
「!!」
「そうら、胴がガラ空きだ!」
ガァン!ヴィルザードの三日月蹴りがダンデスを吹っ飛ばす。
466エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:35:25 ID:???
「ぐうッ!」
「今更後悔しても遅いぞ!貴様らは、この私が裁きを下す!!」
「…ヒーロー気取ってんじゃねえぞ!」
「ほざけ、この巨悪が!」
「俺達の大義はダルタイルにある!軍人として、今ここでお前を倒す!」
「何が大義だ!守る物のない大義など、存在する価値はない!!」
「咎は受けるさ…」
「何?」
「お前を…連邦を、倒した後でなぁ!」
「ならば今ここで受けろ!後悔する暇も与えはしない!!」
シリアスなところ悪いが、それなんてロック○ン?
何度も何度も、自らの正義とか信念とか大義とか過去とか、そして幾ばくかの闘争心をぶつける為、ビームサーベルとビーム刀はぶつかりあった。
「うおおおお!気合いで居合い!」
「言ってろ!」
回転しつつも、二振りのビーム刀をまるで生き物のように操り、どんどんクロスを追い詰めていく。
「クソ!寄ってくんじゃねえよ!」
全ての太刀を一本のビームサーベルで受け止めつつ、徐々に後退していく。
「絶対に許さんぞ!貴様らは!」
やがて、二機のMSは被害を受け半ば難民と化した市民が集う避難場所へと到達したのだった。
「なんだ、アレ…?」
「MSじゃないか!皆、逃げろー!!」
パニックに陥る人々。人の弱さが、町全体を包んでいく…!
「ハア、ハア…!万死!引導!」
汗だくになりながらも、人としての正義をその太刀に込めて、思いっきりダンデスに振り下ろす。
「ぐあっ!ああっ!」
今までのようにビームサーベルで受け止めるが、襲い来る疲れのせいで、体勢を崩し倒れる。
「うあああああああああ!!!」
逃げ遅れ、ダンデスの下敷きになる人々。そして自らのしたことを知り、愕然となるタケル。
「わ、私は、何ということを…!」
「ハハッ、これでてめえも同類だ!連邦のパイロットさんよ!」
横転し、起き上がって体勢を立て直したクロスがビームライフルを撃つ。
「何が正義だ!てめえらの身勝手のせいでどれだけのダルタイル人が地球を…故郷を追われたと思ってやがる!」
ビームライフルがヴィルザードに直撃、倒れるタケル。
「ぐああ!」
「あー、けったくそ悪りぃ…」
ガァン!駆け寄り追撃の蹴りを入れるクロス。その瞳は既に、いつもの陽気な彼のものでは無くなっていた。
「偽善者が!この世界から、消えてくれよ…!」
…それなんてサーs(ry
倒れたヴィルザードのコクピットに、一分の狂いもなく照準を合わせるクロス。
ドン!無情なる引き金が、静かに引かれた…
467エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:36:10 ID:???
「何と、いうこと…」
悲しみに身を委ねたミトラ・ミトラ。
既に町の人口の三分の二が失われている状況にあった。
「私の、私のせいで…?」
演説の途中、襲撃をかけてきたダルタイル軍から逃げる為、地下のシェルターに避難していたのだった。
「あなたのせいではありませんよ」
「オックス中尉」
オックス、と呼ばれた男。後に、ミィル・ライズの所属することとなる基地の司令部の一人、若きハーバード・オックス中佐であった。
「この惨状…人は、ここまで愚かになれるものなのか…」
顔をしかめ、モニターを睨みつける。
「今、御弟であるノトラ・ミトラ中尉が迎撃に当たっています。しばしの御辛抱を。それでは、私も」
敬礼し、自らの乗機であるヴィルザードの元へ向かうオックス。
ミトラ・ミトラは、生まれて初めて自らの無力さを呪いながら、その姿を見送るしかなかった。

「各機、隊列を乱すな!敵部隊はたかがテンプレスだ!速やかに掃討する!」
戦いというものに心を躍らせながらも、隊長としての規律ある声でジェノベ・パクは言い放つ。
「ニール曹長!地下シェルターの断定はまだか!」
向かってくるテンプレスを袈裟懸けに斬りながら、パクは声を荒げる。
索敵機能を付与されたキールのダンデスが、エルトのダンデスに守られつつもミトラ・ミトラの避難しているシェルターを探していた。
「…!」
三機のテンプレスをアサルトビームダガーと、足払い、ひざ蹴りで撃退しつつエルトはダンデスのレーダーでシェルターを探す。
20機近くのテンプレスのうち、残るは4機。もはや敵ではない。
焦る必要はないが、急ぐ必要はあった。逃げられるという可能性も否めない為だ。
不意に、地下に熱源反応を見出すエルト。そうしながらも、テンプレスの一機を切り裂く。
「中佐!指定ポイントの断定!ポイントR74です!」
言いつつ、残りのテンプレスをダガーの投擲で串刺しにする。
「よくやったロウ中尉!もういいぞ、曹長!」
この役立たずめ…!小さく呟くパク。落ち込むキール。
「!増援の確認!」
ハワード機からの通信であった。
テンプレス7機と、ヴィルザード3機。
そのヴィルザードの中に、デルタ隊のサムソン・ランガードの姿があった。
「おのれ、ダルタイル!やはり潜伏していて正解だったな!」
「こしゃくな!ロウ中尉とニール曹長はミトラの元へ向かえ!ここは引き受けたァ!」
残忍な表情で言い放つパクとサムソンのビームサーベルがぶつかり合う。
468エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:37:10 ID:???
「了解!」
戸惑い、慌てふためくキール。
「向かえと言われても…どうしましょう、中尉」
「ティエルに連絡を取る!ティエル達の小隊の装備なら…!」
「了解ね!」
エルトが言い終わる前に、レナード小隊が到着する。
「ティエル?何で、君が…?」
「パク中佐から通信受けてすっ飛ばして来たの!そんなことより、退いた退いた!」
パク中佐…意外と気の利く男であった。
レナード小隊の放つビームライフル、ロケットランチャー等が、地面を抉り取っていく。
「させん!」
一機のヴィルザードが突如乱入してくる。ハーバード・オックスの機体であった。
「ぼ、僕が!」
ビームライフルを撃つキール。
戦いは、混戦を極めていく。

七話 終 八話に続く
469エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/24(月) 22:38:39 ID:???
ハーバード・オックス(29)
所属:地球連邦軍
階級:中尉
詳細:
ノトラと共に町の警護に当たっていた。13年後、ミィルの所属する基地の責任者の一人となる。

すいません、ミィル先輩…
ってなわけでサヨウナラ
470通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 23:01:13 ID:???
エルト投下乙!

そして支援age
471通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 23:42:50 ID:???
エルト乙&GJ

>>462
絵師が欲しいのは同意

とりあえず、今日は設定だけ投下するです。

カガミ

性別:男
年齢:不詳
所属:ダルタイル帝国
役職:インペリアルガード
二つ名:「影走者(シャドウランナー)」

帝国の影を走る者。
インペリアルガードの中でも、公にはできない任務を主に行う、異質な存在。
皇帝、もしくはインペリアルガードの隊長の命を受け、帝国から連邦の何処にでも潜入し任務を果たす。
任務の種類は諜報活動から破壊工作、武装勢力の援助など、多岐に渡り、その中には要人の暗殺も含まれているいる。
(ちなみに、インペリアルガードには代々、カガミのような任務を行う者が必ずいる。)

任務の性質上、他の公にできる事を主任務とするインペリアルガードからは白い目で見られているが、本人はさして気にする様子はない。
皇帝よりも隊長の方に強く忠誠を誓っており、隊長の命令があれば、皇帝でも暗殺すると公言している。
二つ名の「影走者」というのは隊長から名付けられた。

カガミというのは偽名。
変装の名人でもあり、性別を問わず、どんな人物にでも成りすますことができる。
戦闘能力においては最強クラス。インペリアルガードの中でも屈指の実力者。
472七四三:2008/11/24(月) 23:46:00 ID:???
>>471
名前欄忘れた……

機体名:ヘルメス
パイロット:カガミ
所属:ダルタイル帝国
武装
・高周波ナイフ
・ブレードワイヤー

インペリアルガードであるカガミの専用機。
設計の段階から極限まで装甲を削り、機体の軽量化を図っている。
その結果、圧倒的な運動性を誇る機体となった。
また、機体の隠密性も重視した設計認する方法は目視以外に無い。

機体名であるヘルメスというのはギリシャ神話の神の名前。
ヘルメスは旅人、泥棒等の守護神であり、また、体育技能、夢、眠り等の神とも言われる。
特にゼウスの忠実な部下であり、暗殺などの多くの密命を果たしている。

武装解説

・高周波ナイフ
ビームサーベルとしての機能も持ち、刃の付いてない方の柄からビームを発生させることが可能。

・ブレードワイヤー
切断力を持った、強靭なワイヤー。ワイヤー自体はかなり細く、MSでの戦闘中に視認することはほぼ不可能。
切断能力はオマケのようなもので、その本来の能力は別の所にある。
473通常の名無しさんの3倍:2008/11/24(月) 23:58:00 ID:???
エルト&七四三乙&GJ!
474通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 03:09:24 ID:???
エルト&七四三 GJ!

MSは無理だけど、見てみたいキャラいるんなら描いてみようか?
どーしてもイメージ沸かなかったらごめんなさいするかもだけど。
475エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/25(火) 10:30:35 ID:???
>>474
マジっすかw
ありがたいですね。
とりあえず外伝四つの主人公をリクしてみたい。
無理なお願いかもだがまあ出来たらでいいんで…
476七四三:2008/11/25(火) 20:12:25 ID:???
>>474
ありがたいです。
イメージのわくキャラでいいので書いてくれると嬉しいです。

とりあえず、今日もまた設定投下。設定と言ってもメモ書き程度のものだけど


ミカド・アーサー・カエサル・シャルルマーニュ・アレキサンダー・ナポレオン・トクガワ・セイソウイン

性別:男
年齢:16歳
身長:175cm
体重:59kg
所属:ダルタイル帝国
職業:学生(バイトとして皇城の雑用係り)
乗機:ガンダムアレス

主人公
10人中4〜6人が
477七四三:2008/11/25(火) 20:14:26 ID:???
セレア・ゴッドウィン

性別:女
年齢:16歳
身長:164cm
体重:46kg
所属:ダルタイル帝国
職業:学生(バイトとして皇城のメイド)
搭乗機:ウィクトーリア

黒髪に鳶色の瞳を持つ絶世の美少女。

異常とも言えるほどの美貌に、異常とも言える強さ、そして異常とも言える精神構造を持つ、ミュータントの典型のような存在。

ミカドとは拳で語り合った仲であり、それが基でセレアはミカドに対して一方的な好意を抱いている。

性格的には危ない人物と思われがちだが、相手のありのままを理解しようと努める誠実さも持っている。

服装の好みは男らしい口調とは裏腹に地味目でフェミニンな物。
胸部の薄さにも定評がある。
メイドではあるが、メイドとしての能力は皆無であり、その戦闘能力を活かし、殆ど警備兵の扱い。

当初はパイロットではないが、後にパイロットとして、ウィクトーリアに搭乗することとなる。
ウィクトーリア(ギリシャ神話におけるニケ)とはローマ神話の女神の名前。
勝利を司り、マルス(ギリシャ神話におけるアレス)に付き従う。



シエラ・レオーネ
性別:女
年齢:17歳
所属:ダルタイル帝国

銀髪の美少女。
エーテリウム関連の技術に関して造詣が深く、専門の熟練技術者が勘と経験だけで行うしかない、エーテリウムジェネレーターの調整を、独自の理論に基づいて体系的に行える唯一の人物。
エーテリウム関連の技術に携わる者たちの間では知らない者がいない程の有名人。

「氷の花」と例えられるような絶世の美貌を持ち、周囲には冷たい印象を与えるが、実際は物腰やわらかな穏やかで優しい少女。
エーテリウム技術の戦争利用に関しては嫌悪感を抱いているが、仕方のないことだと諦めてしまってもいる。

ミカドからは好意を寄せられており、シエラ自身、まんざらではない様子。
だが、ミカドの本質を理解しているわけではなく、相手に対して幻想を抱いてしまっている状態。
多少、夢見がちな傾向があるせいか、後にミカドのことを、つらい現状から救い出してくれる白馬の王子様だと思いこむようになる。
478通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 20:30:03 ID:???
なんか落としてよさげな雰囲気なので早速。

ミカド:http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82686.jpg
エルト:http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82687.jpg
ミィル:http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82689.jpg
ジョー:http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82690.jpg

細々してある落書きは気にしない方向でお願いします。
…ミカド17歳のつもりで描いちゃった('A`)
479通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 21:08:25 ID:???
>>478
GJ
エルトが少し意外だったけど他は想像通りだったなぁ
480通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 21:23:40 ID:???
>>478
GJ!
ジョーがカッコいいな
481七四三:2008/11/25(火) 21:49:45 ID:???
>>478
乙&GJ!
すごくいいと思います!

ちなみに17歳と16歳だとなんか書くときに違うんですか?
482通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 22:40:27 ID:???
>>478
GJ!
ただ一つ気に障ったらスマソ。
キャラデザ見て改めて外伝全て読み直してみたんだが、エルト黒髪寝癖って設定じゃなかったっけか?
まあスルーしてくれ
他は本当にGJ!
キャラデザがあると物語が生きてくるな。
ジョーワイルドだしw
483エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/25(火) 23:14:43 ID:???
>>478
おお、素晴らしいwGJです!
個人的には>>479氏と同意ですねwでもイメージ通りっちゃイメージ通りです
なんか上から目線な物言いですいませんw
とにかくリクに答えて下さってありがとうございました。

ところで、他の外伝ではもうガンダムが登場して盛り上がってて最高におもしろいんですが、拙作はガンダムの登場が十話以降になりそう…
これっていいんだろうか…
あと、七四三氏がメインキャラの詳細設定を投下してるのを見てなんだか真似してみたくなったw
そういうのって投下してもいいんだろうか…
484通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 23:18:14 ID:???
いいと思うけど、ほどほどにしないとライトみたいになるから注意してね。
485エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/26(水) 02:10:41 ID:???
んー…じゃあ無難にやめとくw
486通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 02:48:13 ID:???
七四三氏・エルト氏をはじめとした皆さん、ご意見・感想ありがとうですよーノシ
にしても、勝手にダルタイルと地球側の制服作っちゃったけど
あんな感じでよかったんだろうか…

>>481
うーん、なんていうか顔のや目の丸さ、といいましょうか。
てか顔だけ描きなおしてきました|ω・`)
>>482
一番最初に「整った黒髪」ってあったのを参考に。
でも寝癖のインパクトは確かに強かったんでそれも描いてみたw
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82714.jpg
487通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 03:41:40 ID:???
>>486
絵上手すぎる
是非コテつけてくれ
488エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/27(木) 00:14:02 ID:???
>>486
GJ!
まさかそんな細かい所まで読んでいただいたとは…
整った黒髪も寝ぐせ描写もすっかり忘れてたよw
ミカド、なかなかの男前で。

制服に関してはあれで全然いいと思いますよ。
489NEM ◆GfHMKmRAUs :2008/11/27(木) 20:07:22 ID:???
とりあえずコテトリ付けてみた。
そして全く美少女に見えないような気がしつつもセレアさんを描いてみた。
うん、なんか正直スマンカッタ|ω・`)
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82787.jpg

>>488
ありがとうです、これで一安心w
490七四三:2008/11/27(木) 22:01:45 ID:???
>>489
完璧っすパーフェクトっす。
ですが一つ、本当に申し訳ないんですが、一つお願いがあります。

メイド服は長袖、ロングスカートがいいです……
贅沢を言っているのはわかってます…それでも…それでも…俺は長袖、ロングスカートの地味なメイド服が大好きなんです!!

ただ単に、これは俺の趣味の問題だから別に書き直さなくても良いです。
わがまま言ってすいませんでした。
491七四三:2008/11/28(金) 01:13:25 ID:???
中編

アルトリオ・カーメンの参戦により、光輝宮は戦場へと変貌を遂げた。
アルトリオと、彼が率いる紅玉宮警護隊は、敵軍との戦力差を物ともしない、圧倒的な強さを見せつけていた。

「殿下、周囲の敵兵力の殲滅を確認いたしました」
敬礼し、報告するのは、紅玉宮警護隊長のカンプ曹長だった。
髭面に大柄な体格の熊としか例えようのない男は、殺戮の余韻も冷めやらぬまま、爛々とした瞳で次の指示を待っていた。
アルトリオは鷹揚な仕草でカンプ曹長の報告に頷くと、命令ではなく質問をした。
「こちらの損害は?」
「負傷者が2名、どちらも重傷ではありますが、戦意は失っておらず、多少の処置を施せば、まだまだ戦えるものと自分は判断いたします」
「却下する。優れた兵をこんな戦いで失うのはつまらない。負傷者は多少の処置を施したら、自力で後退させろ。
 後退させる場所は…そうだな、医務室がいい。あそこにはオーラムもいる。負傷者も満足な治療が受けられるだろう。
 曹長、医務室の周囲の様子はどうか?」
「あの辺りはセレア嬢が散々と暴れ回ってくれたおかけで、殆どの敵兵は駆逐されております」
「よし、念のために兵を3人ほど医務室の守りに回せ。兵の人選は貴官に一任する」
「ハッ!」
敬礼をし、カンプ曹長は立ち去った。
これでいい…
背を向けて走り去るカンプ曹長を眺めながらアルトリオは思った。
命を捨てるべき戦いはこれから、いくらでもある。こんなつまらない戦いで命を捨てるなど、あまりにも勿体無いことだ。
アルトリオ自身、自分の参戦によって起こるであろう事態の変化を楽しむということぐらいしかこの戦いに意味を見出してはいない。
ぶっちゃけた話、アルトリオにとっては皇帝の命でさえどうでも良かった。
父であるギグルスタン三世にはアルトリオも含めた三人の皇子と、現在、皇帝と共に捕らわれている一人の皇女がいる。
正直な話、皇帝など、いくらでも代わりがいるのだ。
それに、皇帝と共に捕らえられている有力貴族のメンツを思うと、いっそのこと皇帝ごと爆殺してしまえば、後々、面倒がなくていいとさえ、アルトリオは考えている。
実は、こんな事もあろうかと、皇帝が捕らえられているパーティー会場には、だいぶ前から爆弾を仕掛けており、その気になれば、アルトリオは今すぐに皇帝もろともこの事件の首謀者を爆殺することが出来るのだ。
492七四三:2008/11/28(金) 01:15:00 ID:???
だが、アルトリオには爆弾のスイッチを押す気は無い。
それはひとえに、ダルタイル帝国第一皇女、マリア・カーメンの存在があったためだった。
別に、アルトリオはマリアに対して肉親の情を抱いている訳ではない。
そもそも、アルトリオは父であるギグルスタン三世を含め、皇族を肉親だと思ったことなどは一度もない。
遺伝的に%8
493七四三:2008/11/28(金) 01:16:14 ID:???
だが、アルトリオには爆弾のスイッチを押す気は無い。
それはひとえに、ダルタイル帝国第一皇女、マリア・カーメンの存在があったためだった。
別に、アルトリオはマリアに対して肉親の情を抱いている訳ではない。
そもそも、アルトリオは父であるギグルスタン三世を含め、皇族を肉親だと思ったことなどは一度もない。
遺伝的にダルタイル皇家には決して生まれることのない金髪を持って産まれた皇子、アルトリオ・カーメンにとっては皇族というのは赤の他人に他ならなかった。
では、なぜ赤の他人のために、アルトリオは爆破を躊躇うのか?
それは、皇帝がわざわざ、皇女を帝都に呼び戻したという所にあった。

表向きは娘を溺愛する過保護な父親。事実、ギグルスタン三世は情に厚い人物だが、それだけで一国の主が務まる訳はない。
アルトリオは、皇帝が皇女を呼び戻した本当の理由については見当がついている。
この予測が現実の物となれば、間違いなくおもしろい展開がやって来ると、アルトリオは確信している。
だからこそ、爆破出来ないのだ。ここで、皇帝と皇女を殺せば、これからやって来るであろう、おもしろい展開をふいにする事になる。
それだけは、なんとしても避けなければならない。

「殿下、選出した三名を医務室へと派遣致しました」
カンプ曹長からの報告を受け、アルトリオは現実に引き戻された。
すぐさま思考を切り換える。
「よろしい。では、戦闘再開だ」
アルトリオはカンプ曹長に具体的な作戦案を出す。
「部隊を分ける。本隊と遊撃隊の二つにだ。本隊の指揮は曹長、貴官が執れ。俺は遊撃隊の指揮を執る」
「ハッ」
「遊撃隊は城内に張り巡らされた隠し通路を通り、本隊と交戦する敵に対して、側面及び後方から奇襲をかける」
「お言葉ですが、殿下。城内の隠し通路に関してはミカドの小僧の案内がなければどうにもなりません」
毅然とした態度で問題点を挙げるカンプ曹長。そこには、皇族というダルタイル帝国において、尊いとされる存在に対して媚びへつらうような感情は一切見えなかった。
アルトリオはその事に関しては感心しながらも、曹長の挙げた問題点に関しては一笑に付した。
「貴官は俺が、ミカドの知っていることを知らないとでも思っているのか?」
訊ねるような口調だったが、心得違いを叱責するような響きもあり、その声を聞いただけで、熊のような男が恐縮したように巨体を縮こませる。
494七四三:2008/11/28(金) 01:18:36 ID:???
歴戦の猛者であり、貴族、皇族、将軍、何であろうと、屁とも思わないカンプ曹長だったが、どういうわけか、現在の主であるアルトリオは恐ろしくてならなかった。
理由はわからないが、アルトリオを恐ろしく感じるのは他の警護隊員も同じらしい。
カンプ曹長はアルトリオの機嫌を損ねないようにする事を第一に考えて、最敬礼、謝罪の言葉を述べた。
「失礼しました!!」
簡潔な言葉だったが、カンプ曹長にとっては有り難いことに、アルトリオは気分を害した様子はなかった。
「曹長、遊撃隊の人選は任せる」
「ハッ! 了解であります!!」
敬礼し、命令を受諾すると、カンプ曹長はアルトリオに背を向け走り去った。


一方その頃

セレア・ゴッドウィンは戦っていた。
ミカドがカガミと遭遇した時も、そこから旧格納庫に向けて移動を始めた時も、ガンダムに乗って、敵MSを撃破した時も、
アルトリオが配下の警護隊を率いて、光輝宮に向かおうとしたその時も、本隊と遊撃隊に部隊を再編成している時も、
ずっとずっとずっと……セレアは独りで戦っていた。

ハブられている。
考えようによってはそうなるし、セレア自身もそう思いこみ、寂しくて若干泣きそうになっていた。
だが、本当に泣きたいのはセレアではなく、セレアと戦っている敵の方だろう。
容姿に関しては胸部装甲が薄い以外は完璧な美少女。
艶やかな黒髪に、清楚でありながら気品ある深窓の姫君のような顔立ちだった。
だが、そんな少女が重装甲服を装備した男をパンチ一発で戦闘不能にする。
そんな光景を目にしたら、訓練された兵士でも、どうしていいかわからなくなっても仕方ないだろう。
困惑した状態のまま、歩兵戦力としては最強の重装甲歩兵部隊25名が素手の少女の前に全滅するまで三分もかからなかった。
その一部始終をまざまざと見せつけられた、それ以外の兵士達。
その統一的見解とは、
(ああ、これは無理だわ…)
諦めに似た感情をその場にいた兵士達全てが抱いた。

勝てる相手だ。
などとは、絶対に思えない。
この美少女の皮を被った化け物と戦うには、最低でも戦車がなければ無理だと、その場にいた兵士達全てがそう考えた。
一応、彼らの手にも、小銃という対人用には充分過ぎるほど強力な火器があるのだが、素手で重装甲歩兵をなぎ倒す敵が相手では、あまりにも心許なかった。
撤退。
常軌を逸した敵を前にした兵士達の脳裏をそんな単語がよぎった。
495七四三:2008/11/28(金) 01:20:45 ID:???
敵前逃亡は重罪だが、撤退は作戦行動の内に入るので問題はない。
言い訳じみた理屈で自分を納得させると、兵士達はセレアに背を向け、一目散に撤退行動を開始する。
だが、セレア・ゴッドウィンは甘くなかった。
雪のように白くたおやかな手が、撤退する兵士達の背中に突き刺さる。
どうすれば、そんな華奢な腕でここまでの威力を出せるのか、セレアの手は一撃必殺の破壊力を持って、兵士達を蹂躙。逃げ惑う敵を次々と昏倒させていった。
ものの数分、たったそれだけの時間で、セレアは撤退しようとした兵士達のあらかたを駆逐した。
累々と横たわる兵士達。それを尻目に無傷で立っているセレアは自らが作り出した惨状には目もくれず、つぶやいたのは、「ミカドはどうしているのだろうか?」という一言だった。

もともと、ミカドを捜して城内を徘徊しているだけで、セレアには積極的に戦う意志は無い。
が、襲ってくる敵には、容赦なく反撃を加えている。
その結果、本人は気づいてないが、セレアは既に独りで城内の敵の1/3を戦闘不能に追い込んでいた。
その結果、敵は城内の部隊の配置を大幅に変更する羽目になり、その混乱の隙をついてアルトリオ達が敵兵力を撃破していた。
だが、セレアはそんなことは全く知らない。もし、知っていたとしても興味を持つことはないだろう。
今のセレアにとって何よりも、大事なのはミカドに会うことだった。
その理由は、色々と思うところがあってこんな時は一緒にいたいな〜という微妙な乙女精神に基づいた、端から見れば、些か不謹慎なものだが、当人はかなり本気だ。

しかし――
「だが、困ったぞ。一向に会える気がしない」
本気だとしても、能力的な向き不向きの差は埋めがたく、ミカドに会いたいとばかり考えても、それを実現させる能力がセレアには著しく欠けていた。
「やはり、ただがむしゃらに捜すだけでは駄目だな。今度はそれらしい雰囲気がする方に行くことにしよう」
普通の思考であれば、それも駄目だと気づきそうなものだが、今この場にはセレアと意識を失い倒れ伏している兵士達しかいないため、セレアに対して否定意見を述べる者はいなかった。

「む…!?」
セレアの耳にどこからともなく銃声が聞こえてきた。それも一つではなく複数だ。
「ふふふ、銃撃戦か。これは何かある、何かあるぞ……!!」
そう言ってセレアは走り出した。
行く先は当然、銃撃戦が行われている場所だ。
496七四三:2008/11/28(金) 01:22:09 ID:???
ちなみに、ミカドは現在、光輝宮の外にいるので、ぶっちゃけセレアのこの行動はミカドに会うという目的の上では、全くの無駄足だった。
だが、このセレアの行動が皇城の戦いに決着をつける為の第一歩となるのだった。



「やあ」
銃撃戦が行われている場所にやってきたセレアに向けられたのは、銃口ではなく挨拶だった。
497七四三:2008/11/28(金) 01:23:35 ID:???
ちなみに、ミカドは現在、光輝宮の外にいるので、ぶっちゃけセレアのこの行動はミカドに会うという目的の上では、全くの無駄足だった。
だが、このセレアの行動が皇城の戦いに決着をつける為の第一歩となるのだった。



「やあ」
銃撃戦が行われている場所にやってきたセレアに向けられたのは、銃口ではなく挨拶だった。
声の主のアルトリオ・カーメンが爽やかな笑顔を浮かべて親しげに近づいてくる。
アルトリオの本性を知っているセレアは露骨に嫌悪感を表す。
「なぜ貴様がここにいる」
剣呑な雰囲気を含んだ声に、アルトリオの後ろについている紅玉宮警護隊も震え上がる。
歴戦の猛者でさえ震え上がるセレアの殺気を直接ぶつけられているアルトリオだったが、どこ吹く風といった様子で平然としている。
「俺は、皇子だぞ。皇帝陛下をお助けするのは当然じゃないか」
思ってもないことを平気で口にするアルトリオ。
その答えにセレアは更に不機嫌な表情を浮かべた。

後編に続く
498七四三:2008/11/28(金) 01:33:53 ID:???
なんかエラーが頻繁に起きる……
うまくいかない時はありとあらゆるものがうまくいかなくなるものだなぁ…
文章の方も、どこがどうだとか説明は出来ないけど失敗したような気がするし…

>>489
俺の言ったことは気にしないでください。
次の作品も、楽しみしてます。
499通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 22:44:10 ID:???
七四三投下乙でっす!
500東西 ◆1eW7huNls2 :2008/11/28(金) 22:51:41 ID:???
続きマダー?(AA略
しかし外伝の作者さん達、良くこんなに難しい単語が出てきて感心します。スゲー!
501東西 ◆1eW7huNls2 :2008/11/28(金) 22:57:22 ID:???
日本語がおかしかったですorz
素直にすごいと思っている、という解釈で間違いないです汗
スレ汚し失礼しますた
502NEM ◆GfHMKmRAUs :2008/11/29(土) 00:45:58 ID:???
>>七四三氏
GJ! 皇子サマがいい味だなぁw

裾の長さ等、実は元々ロングにするつもりだったんですが
ミカドを半袖で描いちゃったんでそれに合わせただけっていうw
頭に付けるアレ忘れてたんで、書き直してみましたノシ
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/82851.jpg

特に希望がなければ次はエルト氏のとこのちょりっす兄さんにチャレンジしたいと思います
503ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:14:45 ID:???
え〜いっつも不定期&遅くてすいません。
とりあえず影が薄い男、久々にやってきました。
時間かけてるくせにそんなに長くなくていつもすいません。

>>七四三
いつもGJです。書くの早いですね。

>>エルト
いつもGJです。
お、俺のキャラが!
他の外伝の方の話に自分のキャラが登場するとは嬉しいです

>>東西氏
いつもブラックエンペラー笑わせてもらってます。頑張って下さい

>>NEM氏
ついに絵師さん登場ですか。
わざわざ俺のキャラまで書いてくれてありがとうございます。


前置きはこの程度にして、投下します。
504ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:15:30 ID:???
十話:撤退

そこは牢。知ってのとおり、捕虜を閉じ込めておく場だ。
牢は何処でも薄気味悪い。薄暗くて、幽霊でも出そうな勢いだ。
その中に一人、牢の中に座っている男がいる。
男は足音に気が付く。前を向くと、そこにはレイヴの姿が。
「ベイン、出ろ」
牢の鍵が開き、ベインは数日まともに動かしていない体を持ち上げる。
何故こんな便所のような所に閉じ込められているかと言うと、数日前に強奪した可変MSライアットを無断で使用したからである。
せっかく強奪したくせに無断使用、あまつさえそれをも中破させておめおめと帰って来たのだから当然である。まぁ銃殺刑にならんだけマシだろうが。
「やっと出れたか、5日もこんなトコに閉じ込めやがって…」
ふうっと、ため息を付く。早く部屋に帰りたくてウズウズしている。
「よく休んでおけ。明日はお前も出撃だ、ライアットのデータはもう取っておいたからライアットで出て構わない」
そう言うと出口へ歩き出すレイヴ。
「人使いが荒いぜ…と言いたいところだが、戦いに参加させてくれるのはありがたい事だね。
見てろよ、俺が次の戦闘での撃墜王になってやるからよ」
レイヴは自動ドアの認識システムに艦長用のカード型端末を通す。
艦長用のカード型端末なら、隊員の部屋等を除いて全て開けられる。
「その意気込みは評価しよう。だが、気合が入りすぎて空回りしないようにな」
フッ…と薄ら笑いをするとレイヴはとっとと出て行った。

「フンッ前はちょっち油断しちまったが、今回はそうはいかねぇ、見てろよ連邦共!」
そして現在、ライアットのコクピットの中。ベインの尺取回想は終了。
ライアットのコクピットに多々あるボタンの中央に、小型の画面がある。
そこには何かの武装が画像つきで表示されている。
何の事かはよくわからないが、とりあえず何かありそうではある。
ベインがコクピットハッチを閉じるとそれとほぼ同時に前面のカタパルトのハッチが開く。
ハッチの外から光が漏れ、雲一つない碧い空が見える。それを呆然と眺めていると、突如オペレーターの声がした。
「発進シークエンスに異常はありません。ライアット発進、どうぞ」
ベインはオペレーターの声を慌てて聞き取ると、MA形態のライアットの空へと滑らせた。
505ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:16:08 ID:???
そして現在、ミィル達の元基地周辺で敵さんがまた現れたやべーって感じである。
「くそっ何処からともなく涌いて来るな、こいつらは!」
ビームライフルを2、3発撃ちつつ愚痴るミック。
現在ヘビーデーモン3機、専用のヘビーデーモン1機にヴィルザード1機では確かに愚痴りたいかもしれない。
警告音が突如ミックのコクピットで鳴る。よく見るとMA形態のライアットが突撃してくるではないか。
「くそっ!盗った機体をそのまま戦力にしてくれて!覚えてろよ――」
ライアットはスレスレでミックのヘビーデーモンを避ける。威嚇のつもりらしい。
「あいつは俺をコケにしやがった機体か!…まぁいいさっ!俺の本命はあの戦艦だからな!」
連邦生産のネーミングセンスなしの戦艦パーマネントに向かって突撃するベイン駆るライアット。
「転送終了マデ、残リ30秒デス」
不意にライアットのコクピットに音声が流れる。ベインはそれを見向きもせず突っ込んでいった。
「やばい!やばいですよミックさん!敵さん艦に向かって突撃していきましたよ!!」
「初の戦場だからってそこまで焦るなマーチ、あそこにはヴィルザードとトリントン大尉がいる!」
一連のやりとりをしながらビームサーベルで敵と切り結ぶミックは流石と言えよう。
主人公がヘタレなのでミックの登場が自然と増えてしまう。
「敵の数も多いです、指揮官機を狙った方がいいですよ!ミック少尉っ!」
と、セシルが言うがかなしかな現在指揮官機は登場していない。狙うならやっぱ敵全滅だよ、うん。
「といっても指揮官機なんていない――ん?」
ミックは喋り終わる前に戦艦から発進する期待をモニター越しに確認した。
専用のデスフォーン…レイヴ専用のデスフォーンだ。
通常のデスフォーンが黒に対しレイヴのデスフォーンは白の為かなり目立つ。
「ほう…あの機体が前、セクメットを落とした専用のヘビーデーモンか」
レイヴはミックのヘビーデーモンに向かって突っ込んでいく。
突っ込む際に腰にマウントされているトライブレードを投げ込む。
投げたトライブレードは弧を描きながらミックだけを狙う。
「こういう時は一機ずつ確実に敵を倒すものだ!」
レイヴのデスフォーンはミックのデスフォーンだけを狙って攻撃していく。
506ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:16:40 ID:???
トライブレード共に突っ込んでくる。ミックはまず向かってくるあの視にくいブーメランのようなアレを破壊すると決め込んでいた。
二機のトライブレードが近づいてくる。動きを奪う為、足を狙ってくるのがわかった。
といっても経験や戦闘パターンを読んだとかそういうのではなく、なんとなくそう来ると思ったからである。
最近なにかと敵の攻撃を判断しやすい。シュミレーターでも不思議なほど敵の攻撃パターンや弱点が付ける。
と、考えていた刹那、トライブレードが目の前に来る。ミックは雑念を払い、集中する。
トライブレードは狙い通りヘビーデーモンの足を目掛けて飛んで来る。
足を狙ってくるとわかっているミックは足を守るようにしてシールドを構え、ビームサーベルを抜く。
トライブレードは予想通り、弾かれる。弾かれた瞬間にレイヴのデスフォーンはビームサーベルを二本構え、切りかかって来た。
「初めまして、というべきかな?ニュータイプの素質を持つ男よっ!」
レイヴがオープンチャンネルで話しかけると同時にレイヴの二本のサーベルとミックのサーベルは火花を散らしながら鍔迫り合う。
「ニュータイプ…?戦闘中に馬鹿な事を言ってぇっ!!」
主人公をのけ者にした激戦が今、幕を開けた。

「あぁぁぁあ―――くそっ!数が多いんだよぉっ!!」
一方、戦艦付近でも戦闘は繰り広げられていた。
ライアットと共に20機はいるダンデスとデスフォーンが襲い掛かってきたのだから、
二機で護衛しているトリントンと名無しパイロットは大変だろう。
「そこの飛行機、勝手に近づくんじゃねー!」
ビームライフルで牽制をするトリントン。MA形態のライアットは戦艦頭上でクルクル旋回していた。
「あー鬱陶しい弾幕と護衛だなっ!迂闊に攻撃できねーだろうが!」
ビームを避けると、仕返しにビームをトリントンに撃つ。
ビームはそのままシールドに防がれ、ベインはチッと舌打ちをした。
「そらよっ!」
前方のデスフォーンに切りかかる。デスフォーンはシールドで防ごうとするが、間に合わずコクピットを両断される。
続いてデスフォーン二機がビームサーベルで斬りかかってくる。
トリントンはそれを回避し、後ろからビームライフルで狙ってくるダンデスを撃ち落とす。
「飛行機野郎!いつまでクルクル回ってる気だ?攻撃しないのか?それとも逃げてるのか?」
20機あまりの敵を相手にしながらベインを挑発するトリントン。当然、単細胞のベインは黙って入られない。
「誰が逃げてるだとぉっ!」
MS形態に変形し、ビームサーベルを右手に持ち突撃してくるライアット。
流石可変MSと言うべきか、スピードはなかなかのもので。
「ほぉら、簡単にノってきてくれちゃって!」
ビームサーベルとビームサーベルがぶつかり合い、火花が散る。
ヘビーデーモンは鍔迫り合いの中、足でライアットの横腹を蹴る。
突然の衝撃にライアットは地面に倒れ、ビームサーベルを落とす。
「そぉら、ガラ空きだっ!」
倒れたライアットにビームサーベルを突き刺そうとするトリントン。
「こいつでゲームオーバーだ…悪く思うなよ!!」
507ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:17:18 ID:???
「ところがぎっちょんっ――!」
それなんてひろし?は置いといて…
怯まずアーム・ビームガンをヘビーデーモンの手を打ち抜こうとするライアット。
普通なら防御するかダメだ、やられる!の二つだろうが、そうはいかなかった。
命知らずのベインは防御どころか反撃をしかけたのだ。攻撃は最大の防御とはよくいったものだ。
だが、結果としてトリントンはそれに怯んでしまい、サーベルをライアットではなく地面に突き刺してしまう。
地面に突き刺すと同時にサーベルを持っていた右手はライアットの放ったビームによって吹き飛ぶ。
「あの距離で外すかよっ、俺のアホ…!」
自分に暴言を吐き捨て、後ろに飛びのくヘビーデーモン。不意に、近くで爆発がする。ヴィルザードがやられたのだ。
デスフォーンとダンデスは半数以下に減っていたが、手負いの自分だけではピンチとしか言えない状況だった。
「お前ら、ちょっとそこで見物してな。俺がいいモン見せてやるからよ」
ベインがデスフォーンとダンデスの部隊にそう言うと同時に、ライアットの手から何かが現れる。
巨大な砲をもった兵器――それが今、ライアットの手に何もないところから出てきたのだ。
「これがAFSって奴だ!よーく覚えとけよヘビーデーモンのパイロット!そしてこいつがてめぇへの冥土の土産だ!」
巨大な砲をもった兵器、メガ・バズーカ・ランチャー…
巨大で重く、機動性がウリの機体ではデメリットしかない兵器だが、AFSを使う事によって、その弱点を克服したのだ。
「こいつの威力を味わえ!そして絶望しろ!あばよ何処かの誰かさん!」
強力なビームをライアットはメガ・バズーカ・ランチャーで放った。トリントンは必死で回避するが、遅かった。

508ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:17:51 ID:???
「あー…さっきからかなり揺れるな…一体何がどうなってんだよ?」
医務室から独り寂しくぼやくミィル。自分だけ闘えない無力さにイライラしていた。
今までで一番大きい揺れが、ミィルを襲う。うわぁっ!と叫び声をあげ、ベッドから転げ落ちた。
足に痛みが走り、苦しむ。ついでに頭も打って、色々と大変だ。
「あぁぁぁぁああぁぁっもう我慢できねぇっ!」
大声で叫び、立ち上がる。といっても、まだ思い通りには動かない足を無理矢理動かした為、激痛が走った。
「いてぇけどよ…やっぱ俺一人だけノコノコとベンチで休憩って訳にはいかねぇよな…」
と、デカい事をほざくが松葉杖をつき、まるで爺さんのように足を引きずりながら医務室から出て行った。

「もうっ、さっきから揺れが激しいのよ――きゃぁっ!」
格納庫にあるそこらへんの柱に捕まりながら叫ぶヤヨイさん。二話以降出番なくてざまぁwではなくて…
「あっ!ミィルこんなとこで何やってんのよ!危ないから帰れーっ!」
松葉杖おじさんミィルを発見、すぐさま文句を言うヤヨイ。
ミィルがストレングスに乗り込もうとすると、整備士Aに当然止められる。
「怪我人がMSに乗るなんて無茶だ、やめとけ」
整備士がガンダムに乗るのを止めようと説得するが、今のミィルには鬱陶しい事にほかならない。
「うらぁっ!邪魔だどけ!!」
整備士をはったおし、強引にストレングスに。
定期的にやってくる頭痛と足の痛みを堪えながらコクピットに乗り込む。
整備士のどよめきを感じながらコクピットハッチを閉める。
「このシールドとフライング・アーマー、借りるぞ!」
フライング・アーマーはドダイ的なアレをイメージしてくれるとありがたい。
「おらおら!とっとと出させろや!じゃねーとカタパルトハッチぶっ壊してでも行くぞ!?」
最早暴走族みたいな口調になってしまった。まぁただの脅しだろうが。
整備士はこりゃいかん、と急いでハッチを開ける。
フライング・アーマーをカタパルトに乗せ、その上にストレングスを肩膝立てて座らせるミィル。
「んじゃ、俺が死なないように祈っててくれよっ!」
カタパルトは火花を飛び散らしながらストレングスを外へと飛び立たせた。

509ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:18:26 ID:???
一方その頃、トリントンは戦闘不能状態に陥っていた。
「くそっ、動け!動けよ!」
メガ・バズーカ・ランチャーに左腕と左脚をやられてしまい、動かないのだ。
「デスフォーン、ダンデス隊はそこのスクラップを処理しとけ、俺は戦艦をやる」
吐き捨てるように言うと、艦に照準を定める。
エネルギーのチャージを開始しようとすると、MSが出てきたのが見えた。
「なんだ、ありゃ?MSか?よく見えないな。ま、一緒にお陀仏してくれ!」
メガ・バズーカ・ランチャーを発射しようとした刹那、ベインは驚愕する。
「俺がいない間好き勝手してくれたじゃねーか!!」
フライング・アーマーで突撃してくるストレングス。そのコックピットには、ミィルがいた。
「あれは俺を追っかけまわした奴…何でこんなタイミングでぇぇぇっ!」
メガ・バズーカ・ランチャーは発射寸前、もう止められない。その瞬間に、敵が突っ込んできたのだ。
ストレングスはフライング・アーマーから飛びのき、フライング・アーマーをそのままライアットに突撃させる。
「うぉぉぉっ!?」
フライング・アーマーはライアットのメガ・バズーカ・ランチャーを弾き、ライアットも後方へ吹っ飛ぶ。
ストレングスはビームサーベルを抜き、メガバズ(めんどいので略)を十文字に切り裂いた。
発射寸前だったメガバズは当然の如く大爆発する。その付近にいたダンデス二機は爆発に巻き込まれる。
「まだ終りじゃねーんだよ!!」
後方へふっとんだライアットの体勢を立て直そうとするベインは、「え?」と心の中で呟いた。
ベインがモニターを確認した瞬間、ストレングスが空中を落下しながら蹴りを入れる。
コックピットにはとてつもない衝撃が走り、ベインはシートに頭をぶつけた。
大して痛くないが、一瞬怯んだ。その怯みが結果として、死を招いたのだ。
蹴りを入れたストレングスは、近くを浮遊していたフライング・アーマーにふたたび乗り込み、ライアットの周りを旋回する。
「いつまでも食らってるばかりじゃねーんだよ!」
ライアットはビームサーベルは抜き、構える。
「いけぇぇぇぇぇぇぇぇええっ―――!!」
ミィルは叫ぶと、再びフライング・アーマーから飛びのき、突撃させる。
「甘いんだよ三下が!ここでいつぞやの借りを返させてもらうぜ!」
ビームサーベルでフライング・アーマーを真一文字に斬り、フライング・アーマーは落下しながら爆散する。
と、ほぼ同時にストレングスが空中を落下しながら突っ込んできた。
ストレングスはもう一本サーベルを抜き、二刀流になる。
ベインはストレングスがビームサーベルの間合いに入った時に気付いた。
「いつの間に…!?」
ベインはそう呟くと、ストレングスのビームサーベルがライアットに襲い掛かる。
まずライアットの右腕を左手のサーベルで斬る。ライアットの持っていたビームサーベルは空中を舞う。
右手のビームサーベルで左脚を斬り、左手のサーベルで右脚を続いて斬る。
右手のサーベルでコクピットを突き刺し、左手のサーベルでライアットの左腕を切り裂いた。
極め付けに空中に舞っていたライアットのサーベルを持ち、左右にコクピットを縦に切り刻む。
ライアットは最早原型を留めておらず、サイコロステーキと化している。当然、中のベインも…
ライアットのサーベルを捨て、息を荒げながらミィルは呟いた。
「ミンチよりひでぇな」

中編(後編?)へと続く
510ミィル ◆RnDZbLS6Qc :2008/11/29(土) 09:19:22 ID:???
久々の投下でなんか恥ずかしいです。
では、スレ汚し失礼致しました。
511エルト ◆hy2QfErrtc :2008/11/30(日) 02:32:10 ID:???
>>七四三
投下GJ&乙!
最近いい感じに早いっすね(展開も投下も)俺も見習わんと

>>ミィル
久し振り&投下乙!
九話を拝読して、オックスは戦場に放りこまないかんなーって、勝手に思ってやっちゃいましたw

>>東西
どうも。ブラックエンペラーいつも乙です!

>>NEM
GJです!ちょりっすですか…なぜまたそんな脇役をww
期待してます

で、俺も明日中には投下しますんで…駄文をね…
512七四三:2008/11/30(日) 20:50:00 ID:???
>>NEM
乙&GJ!!
わざわざ、書き直してもらえるとはご苦労様でした。

>>ミィル

久方ぶりの投下乙&GJっす!
513通常の名無しさんの3倍:2008/12/01(月) 17:19:04 ID:???
ご苦労様は目上の人間が目下の人間に使う言葉だぞ>七四三
514七四三:2008/12/01(月) 20:34:09 ID:???
>>513
そうなの?知らんかった。
上から目線ですいませんでした
515NEM ◆GfHMKmRAUs :2008/12/01(月) 22:04:13 ID:???
>>ミィル氏
GJ!ミィルTUEEEEEEEEEE!!

>>514
お気になさらずですよーノシ

ていうわけでちょりっす兄さんことアレン投下しにきてみた
http://hisazin-up.dyndns.org/up/src/83052.jpg
516エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/02(火) 01:10:25 ID:???
>>NEM氏
GJです!意外とイケメンでワラタw
右下の二人もいい感じでw
ところで投下遅れそうだ…
517七四三:2008/12/02(火) 21:49:31 ID:???
後編

「随分とおもしろくなさそうなツラだな」
アルトリオは兵士達に命令を下す時とは違う、気安い調子で不機嫌な表情を浮かべるセレアに話しかけた。
「そういう貴様は楽しそうだな。そんなカッコまでして、コスプレ趣味があったとは知らなかったぞ」
仏頂面のセレアはアルトリオの着る軍服を指差しながら言った。
その言葉にアルトリオは苦笑を浮かべる。
「コスプレじゃねえよ、本物だ。まぁ、楽しいってのは否定しないがな」
「ふん、どうせ皇族の権力で手に入れたのだろう」
「違うな。金の力だ」
アルトリオは悪びれもせず、言葉を続ける。
「適切な目標を定め、必要な量の弾薬を出し惜しみせず、最も効果的なタイミングでばらまく。ただし、弾薬は鉛じゃなくて黄金だがな。
たったそれだけのことで、大抵の物事がなんとかなるのが人の世だ」
「夢のない奴め。本当にそれだけでなんとかなると思っているのか?」
咎めるようなセレアの言葉にアルトリオは肩を竦める。
「人の話はちゃんと聞けよ。俺は言ったろ?
 “大抵”ってな。何とかならないことだって有るのは解ってる。だからこそ、俺はおまえやミカドと仲間でいるのさ。なんとかならないことを何とかする為にな」
――そう、俺のつまらない世界をおもしろくしてもらう為にもな。

「ふっ……」
セレアはアルトリオの言葉に対して口許を歪め――
「おまえ、恥ずかしい奴だな…もしかして、自分カッコいいと思っているのか?いや、それよりもアタマ大丈夫か?」
揶揄するように口開いた。
セレアの言葉を聞き、アルトリオに付き従っていた遊撃隊の面々が一斉に目を見開く。

明らかに不敬罪が適用される言葉だ。
時代が時代ならば、その場で銃殺されてもおかしくはないし、今だってかなり厳しい処分が与えられてる場合が多い。
もし、この場でセレアを銃殺せよとの命令が下ったらどうなるか。
セレアの実力を知っている遊撃隊の面々は、その場合の自分達の悲惨な末路がありありと想像できた。
遊撃隊の面々は戦々恐々としながら、主であるアルトリオの様子を窺う。

だが、予想に反して、アルトリオはひどく楽しそうに笑っていた。
それは、紅玉宮警護隊の者たちには一度として見せたことのない笑顔だった。
「何を笑っている、気持ち悪い奴め」
セレアの辛辣な言葉。
だが、アルトリオはそれを聞いても、なお笑顔を浮かべている。
518七四三:2008/12/02(火) 21:51:04 ID:???
「そうやって、ハッキリと物を言ってくれるから、おまえらはおもしろいのさ」
権力に媚びる奴らのおべっかも悪くはないが、歯に衣着せぬセレア達との会話の方が刺激的であり、アルトリオにとってはそちらの方が、遥かに好ましかった。
楽しそうに笑う自分を奇異な物のように見るセレアに対して、アルトリオは言う。
「なぁ、ミカドに会いたくはないか?」
「なに…?」
唐突に話しを変えたアルトリオを、セレアは胡散臭いもののように見る。
「そんな目で見るな。俺を楽しい気分にさせてくれた礼だ。別に深い意味はない」
――嘘だけどな。
意味のない言葉なんてのはこの世にないんだよ、セレア・ゴッドウィン。言葉ってのは口に出して、相手に聞こえた時点で大なり小なり必ず意味を持つ。
「ミカドに会いたいんだろ? 俺がその手助けをしてやろう」
――その代わり、俺の手助けをしてもらうけどな。
「なぜ私がミカドに会いたいと知っている…?」
「俺は何でも知っているのさ」
警戒するセレアに対して、アルトリオは芝居がかった仕草で髪をかき上げ、事も無げに言う。
そのふざけているようにも見える振る舞いに、セレアは形の良い眉を歪める。
――どうにも、ペースが乱される。
アルトリオとの会話に、そんな感想を抱きながら、セレアは口を開いた。
「何が望みだ?」
アルトリオのことを友人とは思いながらも、同時に、油断のならない相手だと知っているセレアは、言葉の裏に隠された真意を探るため、単刀直入に切り出した。
すると、アルトリオは
「ミカドに会わせてやる代わりにやってもらいたい事がある」
思いのほか、あっさりと言うアルトリオに、セレアは顔をしかめて見せる。
「そんな顔をするな。美人が台無しだぞ」
「わかったような口をきくな。私はどんな顔でも美しい」
「それは失礼。だが、そんなに嫌な顔をするほど、大変な仕事じゃあないことは確かだぞ。それに、一人でやってもらうわけでもないしな」
「む…? どういうことだ?」
「ミカドと一緒にやってもらうってことだ。まぁ、言うなれば、おまえとミカドにとっての“初めての共同作業”というわけだ」
自分でも、妙な言い回しだとは思うアルトリオだったが、その言葉はセレアを本気にさせるには、充分すぎるほど効果があった。
「ふ…ふふ…初めての共同作業か……良い響きだ…」
自分の世界に入ってしまったセレアは、ぶつぶつと独り言を漏らし始めた。
519七四三:2008/12/02(火) 21:52:49 ID:???
いくら、絶世の美少女とはいえ、ニヤニヤとしながら、ぶつぶつと独り言を言っている姿は流石に気持ち悪く、アルトリオの率いる遊撃隊の面々も明らかに引いていた。
が、アルトリオは、
――計画通り
と、セレアの様子を見て、内心ではほくそ笑んでいた。
「さぁ、言え!!貴様の頼みとやらは何だ!!今の私は絶好調、なんだって聞いてやるぞ!!」
アルトリオの策略に嵌ったことも気付かず、セレアは、俄然はりきっていた。
アルトリオはテンション上がりっぱなしのセレアを、まぁまぁとなだめる。
「とりあえず、一回、ミカドと連絡とるから待っていろ」
そう言うと、アルトリオは右眼に内蔵された生体端末を起動させ、ミカドではなくガンダムアレスへと、通信をつないだ。

その時、ミカドは暇だった。
アラン・リーバーという名前の太陽系連邦軍大尉にひとしきり、嫌がらせをした後、ガンダムアレスのコックピットに戻ったミカドは、カガミに報告をしようと、通信をつないで連絡をとったのだが……
『今、忙しいので連絡されても迷惑です。必要がある時には私から連絡するので、キミはそれまで、大人しく待っていなさい』
……強いものに従うのが世の道理だとしても、これはあまりに理不尽だろうと思ったが、ミカドは結局、「すいません」と謝り、自分から通信を切ってしまった。

それから、数十分。
ミカドは手持ち無沙汰にぼーっとしていた。
敵が来ない以上、自分から行動すべきだとは思ったが、何をするべきかわからないため、どうしようもなく、ひたすらに悩んでいるうちに時間だけが過ぎていき、そうこうしているうちに、これまでの疲れのせいか、ウトウトとしてきたミカド。
だが、そのまどろみも、唐突に破られることとなる。
『俺だ』
コックピットに備え付けられた通信機から、聞き覚えのある声がし、ミカドはハッと目を覚ますと、すぐさま通信を切ろうとする。が……
「なんだこれ、切れねえ!?」
『残念だったな。俺からの通信は切れない。そういう仕様なんだよ』
声の主はアルトリオだ。
それだけで、ミカドはそこはかとなく嫌な予感がし、通信を切ろうとしたのだったが、無駄だった。
ミカドは後に知ることになるのだが、ガンダムアレスはアルトリオが開発を命じた機体であり、色々とアルトリオに都合の良い細工が施されているのだった。
520七四三:2008/12/02(火) 21:54:25 ID:???
「悪あがきせずに俺達とおしゃべりをしよう」
「俺“達”…?」
ミカドはいぶかしむような声をだす。
アルトリオはミカドの声に「そうだ」と、答えると、セレアの生体端末と自分の端末をリンクさせ、チャットモードに変更する。
「もしもし、私だ。セレア・ゴッドウィンだ。どうだ、元気か? 私は元気だ」
さっそく、セレアが言葉を発し、ミカドに伝わる。
ウンザリするようなため息が聞こえてきたような気がするが、セレアもアルトリオも気にするような性格ではない。
自己中二人…最悪の組み合わせだと思いながら、ミカドは口を開く。
「なるほどな…“達”ってのはそういう事かよ…で、なんでおまえらが一緒にいるんだよ?」
「聞きたいか? 聞きたいんだな? 聞きたいんだろう? よしっ!わかった。私がどれほどの苦難を乗り越え、ここまで来たか、涙なしには語れない物語を、今ここで、たっぷり、じっくり、聞かせてやろう」
アルトリオと話していた時とは、打って変わって、水を得た魚のようにしゃべり出すセレア。が、アルトリオはそれを遮る。
「やめろ、セレア。今は時間がない、後にしろ。後でミカドと2人っきりの部屋を用意してやるから、語るのならば、そこで語れ」
「おい、てめえ、何言ってんだ!!」
「よしっ!!それならば、語るのはやめるとしよう。だが、その代わり、頼んだぞ」
「ああ、任せておけ。皇族の権力と金の力で、おまえら2人に最高の部屋を用意してやる」
「ちょっと待て!なに勝手に話を進めてんだ!!」
(別にいいだろうが、相手はセレア・ゴッドウィン。誰もが羨む美少女だぞ)
セレアには聞こえない、秘匿回線モードでアルトリオはミカドに話しかける。
(おまえ程度のツラとステイタスじゃあ、どう考えても釣り合わない相手だ。この際、性格には目をつぶれ、そしてシエラのことは諦めて、妥協しろ)
――まあ、それがグダグダになって三角関係になる方が俺にとっては、おもしろいがな
(妥協ってなんだ!妥協って!? つーか、おまえなんか企んでるだろ!!)
流石にセレアとは違い、一筋縄ではいかない。
このままでは、墓穴を掘るとかもしれないと考え、アルトリオは無理矢理、話を変える事にした。
「ところで、おまえら早く帰りたくはないか?」
秘匿回線ではないので、セレアにも聞こえる。
ミカドは、未だに秘匿回線でアルトリオに食ってかかっているが、アルトリオは一向に気にしない。

521七四三:2008/12/02(火) 21:57:13 ID:???
「早く帰りたいかと聞かれたら、私はYESと答える」
セレアが口を開いた。
「今日は観たいドラマがある。毎週、観ている恋愛ドラマが今日は良いところなので、見逃したくない」
(スイーツ(笑))
(スイーツ(笑))
セレアには聞こえない、秘匿回線上で、ミカドとアルトリオの意見は密かに一致していたが、お互い、表には出さずにそのまま話を続ける。
「別に俺は早く帰らなくても良いけどな」
ミカドは言う。が、それに対して、アルトリオは
「いいや、早く帰った方がいいだろう。おまえがレンタルしている映像メディアの返却日は今日の筈だ。貧乏人のおまえには延滞料金とて、安いものではないだろう?」
「ああ、そうだったな。教えてくれてありがとう――って、ちょっと待て!!なんでおまえがそんな事を知っている!?」
「俺は何でも知っているのさ」
「ふざけんな!!何カッコつけてんだ、てめえ!!スパイか!?スパイを使ったのか!?」
「わめくなよ。おまえが借りた作品のタイトルばらしてやろうか?」
「うむ、是非とも聞きたいな、教えてくれ」
「おまえは黙ってろ!!つーか、話に入ってくんじゃねえ!!興味津々に聞くんじゃねえ!!」
「ふ、そこまでムキになるとは、どうやら、いかがわしい物のようだな。ならば、なおのこと、私はそれを知らねばならない!!妻として、夫の趣味を正確に把握しておく必要があるからな!!」
「妻ってなんだ!? 何言ってんだ!? おまえの妄想はどこまで行ってんだ!?」
「結婚して、子供を産んで、貴様の両親に孫の顔を見せに行くところまでだ!!」
「こえーよ!! この女、こえーよ!! ストーカーのする妄想じゃねえか、それ!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐミカドとセレアを、通信機越しによくやるなぁ……と思いながら、アルトリオは呆れたように口を開いた。
「いい加減に痴話喧嘩は終わりにしろ」
「痴話喧嘩じゃねえ!!」
「夫婦喧嘩だ!!」
「それも、ちがぁぁぁああぁぁう!!」
「だから、いい加減にしろ。おまえらが一緒だとまったく話が進まん」
おもしろいことは、おもしろいが、このままではいけないと思い、アルトリオは柄にもなく場を取りなそうとする。
「元はと言えば、てめえが原因じゃねえか!!何を偉そうなこと言ってやがる!!」
食ってかかるミカド。アルトリオは面倒なので、シカトする事にした。
522七四三:2008/12/02(火) 21:59:14 ID:???
とりあえず、交換条件さえつければ言うことを聞くセレアを説得する事にした。
「とりあえず、後で教えてやるから、セレアは静かにしていてくれ」
「そこまで言うのなら、良いだろう。私は口を挟まん」
「おい、おまえら勝手に何言ってんだ!」
説得終了。通信機からミカドの食ってかかるような声がするが、アルトリオは無視して、話を進めようとする。
「とにもかくにも、俺達には早く帰るという不謹慎ながらも共通の目的があるわけだ――」
「おい、てめえ。無視してんじゃねえよ!」
「黙ってろ、俺が話している最中だ」
ミカドの言葉を一刀両断に切り捨て、アルトリオは何事も無かったように話を再開する。
「共通の目的があるという以上、ここは協力すべきだということは解るな?」
セレアが頷く、ミカドも納得しているのか黙っている。
「そこで、目的を達成するために、おまえ達二人にやってもらいたい事がある。
――作戦内容は単純だが、効果は絶大。うまく行けば一瞬で全てが解決する。そのぶん、内容は無茶でもあるし、失敗すれば全てが終わる――」
「質問、私はミカドと、いつ会えるのだ?」
口を挟まないと自分から言った筈なのに口を挟むセレア。
「静かにしていろ。トリ頭」
容赦ない罵倒。だが、アルトリオの顔に浮かぶのはひどく楽しそうな笑みだ。
「この作戦の要は、おまえとミカドが合流するところにある。心配せずとも、必ず会わせてやるから、静かにしていろ。おまえらが口を開くと話が進まんからな」
ウンザリしたような口調だったが、やはりアルトリオの表情は楽しそうだった。
実際、アルトリオにとっては今の状況はおもしろくて仕方がない。
自分の考えた策で相手が狼狽する様を想像するのはアルトリオにとってはひどく楽しいものだった。
「さて、それでは作戦を説明しようか」
そう言って、アルトリオは年相応の笑みを浮かべながら、嬉々として、自らの作戦を話し始めた。
九話に続く
523七四三:2008/12/02(火) 22:04:03 ID:???
粗製乱造って感じになっちまったなぁ…と反省中
524エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:13:19 ID:???
七四三乙&GJ
俺も真昼間から投下します。
525エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:14:26 ID:???
ガンダムL 八話 涙 

「ぼ、僕が!」
ビームライフルを撃ち、ビームサーベルを抜くキールのダンデスが、オックスのヴィルザードを迎え撃つ。
ビームサーベル同士が激しく火花を散らす。
しかし、オックスは急に力を抜くことで、キールを前のめりの体勢にすることに成功する。
キールの腕が未熟であると、一太刀で見抜いていたのだった。
「うおおおお!」
前のめりになったダンデスに向けて蹴りを放つ。
「うあああああ!」
崩れ落ちるキール機。
「キール!」
叫ぶエルトがビームサーベルを抜き、オックスに立ち向かう。
「邪魔だ!」
今度はオックスとエルトのビームサーベルがぶつかり合う。
(こいつ、出来るな…)
互いに互いを賞賛しつつも、一歩も譲らない両者。
そんな中、キールは一人己の無力さを噛みしめていた。
(僕は…)
目の前が真っ暗になり、ガチガチと震え始める。
…但しそれは死の恐怖などという安っぽい理由から来るものではない。
自分が今作戦で何一つとして活躍らしい活躍を見せていないという劣等感が、ゆっくりと彼の体を突き刺してゆく。
彼は怖かった。自分が役に立たない人間であると、他人に少しでも思われてしまうことが怖かった。
(そして皆、僕の元から離れていくんだ…)
幼少の頃から何一つとして他人より秀でた面もなく、またその後ろ向きな性格の為、彼はずっと一人だった。
もっともそれは彼の性格が原因だったのだが、キールは考える。
クラスのスポーツマンや、天才肌で要領の良い学生達を多く見てきたことで、彼は自分が客観的に見て優れてはいないから一人なのだと。
何より彼は、この年齢になって初めて出来た友人の信頼を失いたくはなかった。
(中尉もきっと、こんな僕にあきれているかもしれない…)
恐怖と絶望を交えた感情に捉われた中で、キールは自らの学生時代を思い出す。
そして、頭を振る。
(違う、僕は違う…!僕は決して駄馬なんかじゃない…!そうさ、見せつけてやるんだ…僕は証明してみせる!)
面を上げ、前を見据える。しかし今度は彼に別な不安がよぎった。
証明する…一体誰に…?
彼は学生時代のクラスメイト達の顔を思い浮かべる…次にエルトの顔を。
そしてウジサト、サカザキ、ティエル、クロス…
最後に、デルタ隊との決戦で殉職した仲間達の顔を思い浮かべ、彼はこの上もなく楽しそうに笑う。
(ああ、そうだ…彼らがいる…)
僕の命は、選ばれた命なのだ!彼らは死んで、僕は生きている…
生と死の境界を彼らが越えてくることなど、出来やしない!
526エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:15:36 ID:???
胸に訪れた安堵。そして彼は躊躇いもなくオックスのヴィルザードに突進する。
あの状況を生き抜いたのだ、僕が、この僕が、こんなところで死ぬ筈がない!
「うおっ!?」
驚愕のオックス。エルトもまた、驚きを隠せない。
「キール!?」
仰け反るオックス機に対し、そのまま滅茶苦茶に連撃を加えていく。
「わああああああああ!!」
やがて追い詰められ、半壊した建物に崩れ落ちる形となるオックス。
「くっ…!」
苦痛に顔を歪めるオックスに、楽しそうな表情を浮かべるキール。
静かにビームサーベルを抜くと、少しの躊躇いもなくそれを振り下ろす。
「…!」
オックスは自らの無力さを噛みしめながら、死を覚悟していた。
結局、俺はこの残虐なダルタイルの者達から、人々を守れないまま、死ぬのか…!
刹那、一閃のビームライフルがキール機に直撃、サーベルを持った右腕を破壊する。
「!」
オックスが顔を上げると、そこにはノトラ・ミトラの駆るヴィルザードの姿があった。
…前話で出撃させときながらも、こいつを出すタイミングをすっかり忘れてたorz
「無事か、オックス中尉!?」
「…なんとか、な」
安堵するオックス。そして気を引き締め立ち上がると、キール機を睨みつける。
「油断した…」
今も昔も、うっかり屋なところは相変わらずのようであった。
「うぅ、く、そ…!僕の、邪魔を!するんじゃなァい!!」
よろめくキール機。しかし狂ったように、今度はノトラの方へ飛びかかる。
「当てる!」
静かにビームライフルのトリガーを引くノトラ。
当然、真っ直ぐ考えなしに突っ込んでくるキール機に直撃する。
「うわあああー!」
吹っ飛び、今度こそ半壊するキールのダンデス。額からは血が流れていた。
あと一発食らえば、間違いなく大破するであろう。
527エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:16:41 ID:???
「キール!」
再び救援に駆けつけるエルト。
「気をつけろ、ヤツはエースだ」
ノトラに通信を入れるオックス。
ノトラがビームライフルを撃ちつつも、エルトを追い詰めていく。
その全てを紙一重で避けるエルトに、サーベルを抜き放ったオックスが襲いかかる。
(やっかいだな…!エース級のヴィルザードが二機!)
バチッ!右手のサーベルで、オックスのサーベルを阻む。
「貰った!」
不意にノトラがビームサーベルを抜き、エルトの左側へと回り込んだ。
「!」
エルトは左手でサーベルを抜き、ノトラの斬撃もかろうじて防いだ。
エルトを中心に、全ての力を込めてオックスとノトラが左右から攻めてくる。
(これ以上は…!)
歯をくいしばるエルト。さすがに二対一では分が悪い。
それに加え、相手の二人はそれぞれが自分と互角かそれ以上の実力を持っていることは明らかだった。
「うぅ、ああああ!」
叫ぶエルト。必死に二人の斬撃を阻み続ける。
(まだ耐えるか!)
オックスもノトラも、エルトの尋常ではない精神力と力に内心舌を巻く。
「あああああああああ!」
ガキィィン!一斉に二振りのビームサーベルを弾く。
「「何!?」」
驚きを隠せない二人。ほぼ同性能の機体に二人でかかって弾かれたのだ。
しかし、隙を見せないようすぐに構え直す。
(持久戦なら、こちらに分がある!)
冷静な判断を下し、フォーメーションを崩さない二機。
対してエルトの方は少々焦っていた。
(これ以上はさすがに無理だな…)
グン!とスラスターを全開にさせ、機体速度を上昇させる。
(一気にカタをつける!)
その手に構えた二振りのビームサーベルを振り回し、ノトラとオックスの放つビームライフルを弾きながら、オックス機へと向かう。
弧を描くエルトのビームサーベル。正確にオックス機の胴を捉えた筈であったが、オックスは上に跳ぶことでそれを避ける。
もう一振りのサーベルが脚部を捉える。が、これも宙返りすることで避けるオックス。
…この時代、オックスは意外とアグレッシブで血気盛んであった。
当時の彼を知る人物が、13年後の彼の決断を耳にするとさぞや驚くであろうってかミィルマジでサーセン。
528エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:17:45 ID:???
(二度も避けた!?)
驚く暇はない。サーベルを振りかぶるノトラと、宙返りからのかかと落としを放つオックスの猛攻がエルトを襲う。
(一つ!)
かかと落としを自らの体位をわずかに転身させることでかわし、持ちかえたダガーをオックス機に投擲する。
「ぐあああ!」
投げられたダガーがオックス機の脚部を破壊する。
(二つ!)
ノトラの二撃目をサーベルで受け、またもや持ち替えたビームライフルを至近距離で撃つ。
「くっ!」
よろめくノトラ機。大きな隙が出来る。
「これでラスト!」
サーベルとダガーの二刀流で、鮮やかな軌跡を描くようにしてノトラ機を破壊する。
「ぐああああああ!」
爆散するノトラ機。エルトは少し唇を噛むと、再び動けないオックス機に向かう。
今度こそ自分の死を覚悟するオックス。目の前で自らの仲間を殺され、そして自分にはどうすることもできなかった…
襲い来る無力感に体を震わせながらも、覚悟を決め深呼吸して、静かに言う。
「殺すなら殺せ」
対してエルトの方は、無抵抗の、もう動けない相手にとどめを刺すことに逡巡していた。
(わかってるさ…偽善だってね…)
ゆっくりとサーベルを構え、オックス機に振り下ろす。
不意に、ティエルから通信が入る。
「エルト、指定ポイント確保!このままミトラ暗殺に踏み切るわよ!」
「了解」
エルトはオックス機の胴体に振り下ろしかけたサーベルの軌道を変え、オックスのビームライフルを破壊すると、そのままオックス機に背を向ける。
「何故、殺さない…?」
静かに語りかけるオックス。
「…その必要がないからさ。俺達の任務は町の徹底破壊であってMSの徹底破壊じゃない」
「情けをかけるつもりか!?」
「…そんなものじゃないよ、ただ俺は、少しでも偽善者でい続けたいだけなんだ」
そう、相手の命を奪うのが怖いのではないのかもしれない。
ただ、自分のこの手を血に染めることが怖くて。出来るだけ白に近いままでいたくて。
エルトはそんな風に思った自分に恐怖し、そして自嘲の笑みを浮かべながら、キール機を連れてティエル達の元へ向かって行った。
529エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:18:41 ID:???
同刻、互角の戦いを繰り広げるパク中佐とサムソン上級大尉が激しい火花を散らしていた。
「巨人兵と恐れられたこの私の力、思い知るがいい!」
「黙っていろ、この木偶の坊が!」
…舌戦の方は微妙に幼稚だった。
サムソンが放つビームランチャーを、しなやかに避けていく。
意外と柔軟な動きを得意とするパクの前に、サムソンはその射撃精度の高さを見せつけることが出来ないでいた。
一応、数人の名無しパイロットを戦闘不能状態に陥れ、一機撃墜していたのでこの戦いでにおける連邦側のMVPは彼なのかもしれないが。
が、同様に連邦側の戦力ももはやサムソン一機であった。
つまり今は突出した二人のエースが火花を散らしているという状況だ。
これがどっちもオッサンじゃなかったらなー、とかは敢えて言わない。
いいじゃんひろしカッコいいじゃんオッサンでも。
「いい加減に落ちろ、連邦の狗め!」
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらうぞ、ダルタイルの狗!」
パクの放ったホーミングミサイル群の一つ一つをビームライフルで撃ち落としていくサムソン。
「ぐわははは!そら!隙が出来た!」
ビームサーベルを抜き、サムソンの懐へとしなやかに躍り出る。
ザシュッ!サムソンはかろうじて避けたが、ビームライフルを失ってしまった。
(おのれ…!)
狙撃手にとってライフルを失うのは始末書物以上の問題だ。もしかしたら戦場から生還して始末書も書けないことになるかもしれないのだから。
「さァ!死ね、死ねぇ!」
パクの顔が残虐な、それでいてプリミティブな悪意に歪む。ビームライフルを連射しながらサーベルを振りかぶる。
バチッ!ビームサーベルで斬撃を受ける。が…
(この状態のまま、ビームランチャーをチャージするのは無理があるな…!)
悔しそうに歯ぎしりをしながらも、サムソンは自らの前に立ちはだかる悪と徹底的に戦い抜くことを決意したのだった。
530エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:19:32 ID:???
無情なる引き金が引かれたと思しき後でも、自らが生きていることに驚愕するタケル・クロード連邦軍中尉。
「な、なんと!私はまだ生きているではないか!ハレルヤ!」
神への感謝の言葉を口にする。が、生きて帰れると思うなよ!(ヤッターマンな超兵の声で)
「ちくしょう!邪魔が入りやがったか…!」
クロスは、自らが引き金を引くほんの少し前に、何者かによってビームライフルを受けていた。
「どこのどいつだ!俺の邪魔をしやがったのは…!」
タケルを救ったヴィルザードを睨みつける。
「…生きてる?」
若い女の声。
「ああ、私は生きているぞ、フウラ!しかし助かった!かたじけないな、まさにハレルヤだ!」
もう言っていることが滅茶苦茶だった。
「もしかして、頭打っちゃった?…まあ、タケルが電波なのはいつものことか…」
フウラ、と呼ばれた少女、否、デルタ隊所属のフウラ・レジスター少尉は呟く。
「敢えて言わせてもらおう!私は正常であると!」
「はいはい、大丈夫ならそれでオーッケ。それで、まだ戦えそうなの?」
「もちろんだ!二対一で卑怯者と罵られようが、私は戦うぞ!覚悟したまえ、ダルタイルの!」
「じゃあ、ま、そーゆうことで、第二ラウンド開始ね?」
微笑みかけるフウラ。
「クソ!近くにいい女いるじゃねえかよ…」
舌打ちしながらも、クロスはビームサーベルを抜き、向ってくる二機のヴィルザードを迎え撃つ。

「エルト!」
ノトラとオックスを撃破し、動けないキール機を連れて、エルトは合流ポイントに到着する。
「シェルターの外観がむき出しになるまではやってみたけど、ここから先はライフルじゃダメみたい。あとはよろしくね」
「了解」
地下シェルターの外観がむき出しになるまで、ビームライフルで地面を抉り取ったティエル達の顔には、疲労の色が見える。
だったら事前にスパイ活動でもなんでもして爆弾仕掛けとけよ!って話だが、急遽決まった任務なのでそんなこと出来る筈もなく。
(ビームコーティング…?ライフルを弾くのか…)
エルトはビームサーベルを構える。
(だったら、サーベルで!)
エルトは深呼吸し、これで一応目的が達成される、自分は戦場から解放される…と思い気を紛らわすことで、サーベルをシェルターに突き刺す。
バチチチッ!火花が散り、シェルターに傷がつく。
その傷を両手でこじ開けると、中には悲痛な面持ちの女性と、戸惑う人々、老人と子供たちがいた。
531エルト ◆hy2QfErrtc :2008/12/03(水) 12:20:47 ID:???
「!」
パニックに陥る人々の声は、エルトには届かない。
(俺は、今から何をしようとしているんだ…!?)
息が荒くなり、ドッと汗をかく。
しかし、やっとの思いで、中にいる悲痛な面持ちの女性へと語りかける。
「ミトラ・ミトラ、だな?」
「…ええ」
「俺は、今からあなたを撃たなければならない」
「覚悟は出来ています、私はこの町と運命を共にするつもりです」
気丈な顔で、エルトのダンデスを見据える。
エルトはその視線に真っ直ぐに射抜かれ、一瞬何も出来なくなった。
「エルト!」
叫ぶティエル。
「…何か、言いたいことは、あるか…?」
やっとの思いで口にした言葉。
ミトラは驚いて、そして穏やかな表情で答える。
「これで、ノトラや父さん達の元へ行ける…そして」
キッと再びエルトを見つめ、フッと悲しそうにわらうと、その声にありったけの憐憫を込めて言う。
「あなたを、恨みます」
「!」
全身が震える。涙が溢れる。しかしもう戻れはしない。自分はやってしまったのだ…
エルトは静かに、ビームライフルの引き金を引いた…

いっそ清々しくさえあった。こんなにも、自分の心が黒に近づくなんて。
エルトは消えていく魂のことを想い、再び静かに、涙を流した。

八話 終 九話に続く
532通常の名無しさんの3倍:2008/12/03(水) 21:13:10 ID:???
 
533通常の名無しさんの3倍:2008/12/03(水) 22:54:24 ID:???
エルト&七四三投下乙!

残り20KBぐらいだしそろそろ次スレの季節だね
534通常の名無しさんの3倍:2008/12/04(木) 00:12:14 ID:???
エルト投下乙!
その前に俺はまとめサイトが欲しいと思う今日この頃
535通常の名無しさんの3倍:2008/12/04(木) 20:19:33 ID:???
次スレは本スレと合流すんの?
536通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 00:50:31 ID:???
ライトいないし合流していいと思う
537通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 19:43:27 ID:???
ぶっちゃけ向こうが重複スレ、ってのはこの際ツッコんじゃいかんかw
538通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 23:37:58 ID:???
>>537
いや、まあそうなんだけどねw
ライトは消えたしもう別スレ立てることはないだろう
539通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 01:32:06 ID:???
向こうと合流してももう1000間近なわけだが
540通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 01:46:14 ID:???
じゃあ新スレで

機動新戦記WEEDGUNDAM3

AG(アフターグリード)という共通の世界観に基づいたオリジナルのガンダムを創作するスレです。

現在ある作品

AG.0065 ウィード外伝ガンダムL(ライトニング)

AG.0078 機動新戦記WEEDGUNDAM(本編)

AG.0078 機動新戦記外伝ガンダムS(ストレングス)

AG.0080 新機動戦記外伝ガンダムA(アヴェンジャー)

AG.0199 異説機動新戦記ガンダムウィード

AG.???? ブラックエンペラーガンダム

共通の世界観といっても、設定に関してはそれほど窮屈というわけではないので、書きたい人は気軽に書いて気軽に投下して下さい。

本編
続・機動新戦記WEEDGUNDAM
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1221986601/

前スレ
機動新戦記ウィードガンダム2
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1221902478/

541540:2008/12/06(土) 01:49:26 ID:???
自分は立てられなかったのであしからず
542通常の名無しさんの3倍:2008/12/06(土) 20:38:21 ID:???
なんかイマイチだな。せめて作者ぐらいは書いておいた方がいいと思う。
543通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 12:37:08 ID:???
>>540そのままだけど、一応立てといた
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1228617371/
何かあったら適当に付け足しておいて欲しい
544七四三:2008/12/07(日) 21:45:52 ID:???
>>543


九話の前半を投下します
545七四三:2008/12/07(日) 21:49:22 ID:???
異説機動新戦記ガンダムウィード

第九話 動き出す者たち 前編

帝都

ゼピュロス改とシビレー部隊の戦闘が繰り広げられている帝都の一角。
その光景を一望できる建物の屋上に少年は居た。
一般的な十代後半の体格を持ちながら、それに比べて容姿は若干、幼い印象を与える少年だ。
奇妙なことに帝都は夏場だというのに、少年は真紅のロングコートをまとっている。だが、それでいて全く暑さを感じている様子は無い。
少年は汗一つかかずに、値踏みするように、ゼピュロス改の戦いぶりを眺めていた。
「インペリアルガードと言えば〈魔王〉や〈剣聖〉が有名どころだけど、なかなかどうして、腕の立つ奴がいるもんだ」
感心したかのような言葉とは裏腹に、少年の瞳には何の感情の色も浮かんではいない。
少年は、口許に負の感情を帯びた微笑を浮かべると、言葉を続けた。
「ウィリアム・ケインズ。帝国有数の大貴族、ケインズ家の嫡子にして、同家が経営する、複合企業ケインズグループの御曹司であり、史上二番目の若さでインペリアルガードとなった天才パイロット」
そこまで言った時、何の感情も浮かんでいなかった少年の瞳に明確な憎しみの感情が宿った。
「むかつくなぁ…本当にむかつくよ…。金持ちで家柄も良いお坊ちゃんのクセに兵隊やってて、さらには天才? はは、すっげーむかつく」
少年は憎しみのこもった眼差しでゼピュロス改を見つめる。その口許には歪んだ微笑が絶えず浮かんでいる。
「ああ、ヒドい目にあわせたいなぁ…本当にヒドい目にあわせてやりたいよ…。一族郎党、あいつの目の前で最高に屈辱的な方法で皆殺しにしてやりたいなぁ…。でも、まだるっこしいしな…、やっぱり、今ここでボクがぶち殺しておこうかな…」
少年の瞳に狂気が宿る。だが、
「あまり目立ってはいけないんじゃなかったかしら?」
不意に少年の背後から声がした。
声の主は、少年のコートと同じ真紅のドレスを纏った妙齢の女性だった。女は妖艶な笑みを浮かべながら、いつの間にか現れ、少年の背後に佇んでいた。
「冗談だよ冗談。ちょっとふざけただけさ」
少年は突如現れた女に対して、動じることもなく言った。その瞳には先程まで宿っていた狂気の光は無い。
「ところで、何しに来たんだ? そっちの担当は城の筈だろ?」
「それが、恥ずかしい話だけど〈影走者〉に見つかっちゃってね…命からがら逃げてきたのよ」
546七四三:2008/12/07(日) 21:50:57 ID:???
女は微笑を浮かべながら、少年に肩をすくめてみせる。
「それはご愁傷様」
少年はなおざりなねぎらいの言葉をかける。
ただ任務が一緒というだけで少年は女と必要以上に関わり合う気は無かった。
だが、女の方はそういう訳でもなく、必要以上に少年に触れようとする。
今も女は少年のすぐそばに近寄り、しなを作ると少年の体にもたれかかっていた。
女の顔が少年の顔に息が吹きかかりそうな程近づき、そして口を開いた。
「WEEDが動いたわ」
女のなまめかしい唇から紡がれた言葉に少年は淡々と反応する。
「WEEDじゃない、ガンダムだ。ガンダムアレス。間違えるなよ」
「あら、失礼」
女はそう言うと、妖艶な笑みを浮かべながら、少年の体にさらに密着する。
女の体から溢れる甘い香りが少年を不快にさせる。
「悪ふざけはほどほどにしてほしいんだけどな」
少年がそう言うと、女はクスクスと笑いながら少年から離れる。
「若い子には刺激が強すぎたかしら?」
女の問いに少年は答えない。ただウンザリしたように肩を竦めるだけだ。
女はそんな少年の様子にひどく愉しげな笑みを浮かべながら訊ねた。
「それで、ガンダムはどうするの?」
「放っておけばいい。いつかは手に入れる必要があるけど今すぐ必要ってわけじゃないしな。城にいる“人形”でもぶつけておけばいい」
淡々と言い放つ少年の言葉に対して、女は妖艶な笑みを浮かべながら納得したように頷く。
城には女が苦労して用意した最高の“人形”がある。
もしもの時に備えて“現役”のインペリアルガードを素体にしたそれならばガンダム相手でも良い勝負ができるだろう。
「アラン・リーバー君も、あと少しで勝てると思ったんだけどね…」
女は自分が“処置”を施した“人形”の事を思い出しつぶやいた。
その声は少年には届いていない。少年の目はゼピュロス改とシビレーの戦いの場に向いている。

「やっぱり、並程度の“人形”じゃ役に立たないな。これならデルタ隊の奴を一人、二人さらってきた方がマシだな」
少年は文句をつけるよう女を見る。
その視線に対して、女は苦笑を浮かべるほかない。
「私としてもそっちの方が楽なのだけどね。上からは、今は数を揃える段階と言われてるから仕方ないわ」
それを聞いて少年はため息をもらす。
上の方針がそうであるのならば、少年にはどうすることもできない。だからできる範囲で目の前の事を何とかする事にした。
547七四三:2008/12/07(日) 21:54:35 ID:???
目の前の事とは、任務の邪魔であり、更には目障りでむかつく相手を消し去るという事だ。
少年は左目の前にスクリーンを展開する。
「何をしているの?」
女が訊ね、少年は答える。
「叩き潰すのさ。アイツを」
少年はゼピュロス改を指差し、言う。
「太陽系連邦製、試作型拠点攻撃用MA、ヴリトラ。パイロットは先日、製造されたばかりの“兵士”。こいつで、あのお坊ちゃんと帝都を焼き尽くす」
直後、少年と女がいる建物の上空に一体の異形が現れた。
大きさはMSの約二倍。両腕は砲となっており、脚部はフライトユニット、背中にも砲を背負い、機体のありとあらゆる場所から小型の砲塔突き出ている。
「ステキね…」
女はうっとりとヴリトラを見上げる。
これからコレが帝都を焼き尽くすと思うと、否が応でも胸が高鳴った。

「燃え上がる帝都。この火が忘却の彼方に消えた世界の罪を照らす灯りとなる」
少年は誰に言い聞かせるでもなく、口開いた。
「白日の下に暴き出される世界の罪。ボクたち〈マレブランケ〉がそれを罰する」
少年は口許をニヤリと歪め、言い放つ。

「さぁ、祭りはこれからだ」



その時皇城(光輝宮)

「――ここまでが、俺の作戦だ。どうだ、簡単だろう?」
尊大な態度で、自らが立案した作戦を語ったアルトリオは、聴衆であるミカドとセレアに同意を求める。
『確かに簡単だ。でもな――』通信を通して、ミカドはアルトリオに言う。
『こんなのは作戦とは言わねえ!!』
不満を爆発させるように放たれた大声に、アルトリオは困ったような表情を浮かべて言った。
「何が不満なんだ?」
『何がもクソもあるか!! こんな無謀なことやったら、セレア死ぬぞ!!』
感情のこもった声だ。セレアの身を本当に心配しているのがわかる。だが、アルトリオはそんなミカドの声を聞いても、さして動じた様子は無い。
「別に心配するほどのことは無いと思うがな」
冷静に言うと、アルトリオはセレアの方に目をやる。
ミカドの心配をよそに、セレアはいつもと全く変わらない、泰然自若とした様子だった。
その姿からは、自分が傷を負う筈がないという傲慢ささえ感じられる。

「心配する必要などない」
セレアはミカドとアルトリオの通信に割り込み、そして、不遜の態度で言い放つ。
「なぜなら、私はゴッドウィンだからな」
当然の事のように、セレアの言葉にアルトリオも頷く。
548七四三:2008/12/07(日) 21:56:07 ID:???
だが、ミカドだけは納得しなかった。
『ゴッドウィンだから何だってんだよ。そんなの理由になりゃあしねーだろうが』
ミカドとしては、至極真っ当な反論のつもりだったが、その言葉は通信機の向こう側にいる、セレアとアルトリオをキョトンとさせるだけだった。
いくばくかの間を置いて、全てを理解したアルトリオは、苦笑いを浮かべながらセレアに言った。
「ズルい女だなぁ。おまえ」
その言葉に対して、セレアはいつもの強気はどこへ行ったのか、ばつが悪そうにただ顔を背けるだけだった。
『おい、何だよ? 何の話だよ?』
アルトリオの側の様子が見えないため、何が起きているか把握できないミカドはしきりに様子を訪ねる。
だが、「何でも無い。とにかくセレアの事は心配いらん。おまえはそこで、事が始まるまで待っていろ」
アルトリオは一方的に言うと、その勢いのまま、一方的に通信を切った。

「あいつはいい奴だな。なんだかんだ言いながらも、おまえのことを気にしてる」
アルトリオはセレアに向き直り、苦笑しながら言葉を続ける。
「それに比べて、おまえはズルい女だよ。セレア・ゴッドウィン…、自分を隠しながら、相手の愛を手に入れようとはな」
「いつかは話すつもりだ」
アルトリオとは目を合わせようとせず、セレアはうつむきながら言う。
「いつかって、いつだ? それこそ結婚して、子供を産んで、あいつの両親に孫の顔を見せに行くときか?」
非難するようなアルトリオの言葉にセレアは言い返しもせず、ただ無言でうつむく。
――都合が悪くなるとだんまり。ガキかおまえは……
呆れたようにため息をつきながら、アルトリオは言葉を続ける。
「別に話したって問題は無いだろうに。まぁ確かに、ゴッドウィンの事情には拒否反応を示す奴もいるだろうが、ミカドが気にするとは俺は思えないがな」
慰めのつもりはなく、ただ自分の思ったことを口にするアルトリオ。その言葉にセレアは「ううむ…」とうなる。
――面倒な奴だ。
アルトリオは再び、呆れて、ため息をもらす。
「まぁ何にしても、後は自分で考えて、おまえの好きなようにするんだな。ぶっちゃけ、俺としては色恋沙汰は口を挟んだり、首を突っ込んだりするより、端から見てる方がおもしろいんでな。精々、頑張って楽しませてくれ」
特に深い意図は無く、アルトリオは本心から言った。
結局の所、他人ごとに過ぎない為、アルトリオはそこまで干渉する気にはならない。
549七四三
それに、色々と言ってやった時点で、セレアに対しての友人としての義理は果たしたので、これ以上、手を貸す気もなくなったという事もある。
だが、そんなアルトリオの事情など知らないセレアは恨めしそうに言った。
「薄情者め…」
聞こえるように言ったつもりだったのだが、アルトリオはまるで聞こえてないように、別の方向に顔を向けた。
対人関係を含む日常生活ではグダグダになりがちなセレアだったが、戦闘に関しては他者の追随を許さない。セレアはアルトリオの意図を即座に察し、口を開く。
「敵だな…。距離は100、周囲を警戒しながら、移動しているから速度はそれ程でもない。数は20前後、足音から装甲歩兵はいないし、特殊部隊というわけでもない」
「少しノンビリし過ぎたな」
まるで自分の目で見てきたように語るセレアの言葉を、動じる様子も無く当然のように聞き届ける、アルトリオ。
先程とは打って変わって、自信に満ちた表情を浮かべるセレアを見て、アルトリオは命令をする。
「行け」
余計な言葉はいらない。その一言だけで、セレアは自分が何をすべきか理解する。
セレアは頷くと、アルトリオに背を向けて走り出した。

その姿を見送ることもなく、アルトリオはすぐさまミカドに連絡を取る。
「セレアが行った。うまく拾えよ」
『勝手なことを…』
一方的な言葉に、ミカドは苛立たしげな声を出す。
だが、アルトリオはそんなことは全く気にしない。
「勝手を言うのは、皇族の特権だ」
『皇族の血なんか一滴も入ってねえくせによく言う』
ミカドは即座に言い返す。
遠慮などない友人との会話は刺激的であり、アルトリオの気分を愉快にさせる。
「それでも、俺は皇子なんでな。家系図から戸籍謄本にも、そう書かれている以上、誰がなんと言おうとも、俺の立場を揺るがすことは難しい」
――仮に皇帝になったとしても、誰からも文句を言われないほどに俺の社会的地位は盤石だ。
『……おまえ、何か悪巧みしてるだろ?』
何か感じるところがあったのか、ミカドは訪ねるが、アルトリオは頭の中で策謀を練りながらも、そんなことはおくびにもださない。
「さあな」と言うと、アルトリオはミカドに対して行動を促すように言葉を続ける。
「そんなことよりも、さっさと動け。そろそろ、セレアが落ちるぞ」
そこまで言って、アルトリオはまたもや一方的に通信を切った。