乙
深く逝きましょう
『敵艦捕捉、距離8000、コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ』
モビルスーツデッキに満ちた沈黙を艦内放送が破る!
「最終チェック急げ!始まるぞ!」
「ルナ! ……申し訳ありません議長! この処分は後ほど必ず!」
あたしを掴もうとするレイを振り切ってあたしはパイロットスーツを着に行った。あたしは間違った事は言って
ない!
「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
「レイ・ザ・バレル、ザクファントム、出る!」
シンとレイが先行して、その両脇をショーンとデイルのゲイツRが固めて行く。
みんな無事だといいけど。
自分が何もしないでいると、コクピットで待機していると焦りが襲う。
ボギーワンをロスト、そしてまた捕らえたと言う報告が入った!
艦が揺れる! 攻撃されてるの!?
その時間は長く感じた。
『『グフイグナイテッド、発進スタンバイ。カタパルトが使えません! 歩いてでも出てください! 敵、MS2機、MA1機を確認! 気をつけて!』
「了解! ルナマリア・ホーク、グフイグナイテッド、出るわよ!」
ミネルバのみんな、やらせない!
6 :
赤き月の鷹:2007/03/31(土) 22:00:39 ID:???
デブリの間を縫って行く……――! あの全方位からの攻撃!
あのメビウスゼロの新型か!?
「ええい!」
シールドを構え前のダガーLに突進! 密着したら、撃てないでしょう!? ガンバレルさん!
まず一機! 相手が砲撃する間も与えず、スレイヤーウィップでダガーLを真っ二つにする!
しょせん砲戦使用のダガーなんか!
あと一機! あんたには盾になってもらうわ!
右側のダガーLのバックパックをテンペストを引き抜きながら削ぎ落とす!
安心してね! 爆発しないようにうまくやったから! 動揺する敵機の手も切り飛ばす!
こいつの影からドラウプニル4連装ビームガンでガンバレルを弾幕で包み込む様に撃つ!
そうそう、その動くルートしかないよねぇ!
一気にダッシュしスレイヤーウィップを叩きつける! ガンバレル一基爆散!
すぐさまダガーLのそばに戻る。
ほーらあぶない、ガンバレルさん。気をつけないとダガーL撃っちゃうよ?
――! とっさに避ける! あたしが盾にしていたダガーLが爆散した。
新型メビウスゼロはガンバレルを本体に戻すと撤退して行った。
間違いない。あのパイロット、あたしじゃなくてダガーLを狙った――
ミネルバの方を見ると、ボギーワンにタンホイザーを撃つ光景が見えた。
ボギーワンは撤退していく。
よかった。危機は脱したんだ。
7 :
赤き月の鷹:2007/03/31(土) 22:01:54 ID:???
ミネルバの周囲をぐるりと回る。ひどい有様だ。
「おーい! 無事かー!」
「あ、ショーン、ゲイル!」
「レイが、最初に捕らえてたボギーワンがデコイだって気付いてね。先に返されたのよ」
「遅いわよー。でも、手ひどくやられたけど、ミネルバはなんとか無事だったわ」
「よかった! 帰るところが無くなるんじゃないかと焦ったよ」
あたしたちはミネルバに帰艦した。
そのうちシンとレイも帰ってきた。無事だったんだ。よかった。
「あ! お姉ちゃん、レイ、シン、みんな! お疲れ様。大丈夫?」
「疲れたけどなんとかな」
「うん、大丈夫よ。怪我もしなかったし」
「よかった。そうそう。飛び切りのニュースがあるの!」
「えー!アスハ代表の随員が、あのアスラン・ザラ!?」
話しながら、あたしたちは休憩室に向かった。
「でもぉ、ほんとに名前まで変えなきゃなんないもんなのぉ? だってあの人前は……」
「何言ってのよあんたは。いくら昔……」
「ぁ!ぅぅ……」
休憩室には、噂のアスラン・ザラがいた。
「へぇー、ちょうど貴方の話をしていたところでした、アスラン・ザラ。まさかと言うかやっぱりと言うか、伝
説のエースにこんなところでお会いできるなんて光栄です」
「……俺はそんなものじゃない。俺はアレックスだよ」
「だからもうモビルスーツにも乗らない?」
「……」
「よせよルナ。オーブなんかに居るヤツに…何も解ってないんだから」
「んぁ?」
「では、失礼します」
「あ、レイちょっと。でも、艦の危機を救って下さったそうで。ありがとうございました」
「いや、まぁ、うん」
あたしは、敬礼すると休憩室を出た。なんだか彼、一人になりたそうな雰囲気だったから。
ユニウスセブンが動いている、と言う情報が入ったのは、ミネルバの修理も、もうすぐ終わるかと言う時だった。
8 :
赤き月の鷹:2007/03/31(土) 22:02:33 ID:???
投下終了ー
新スレ立て乙です!
GJ
グフはルナに似合っているな
赤き月さんGJ!!
今さっき地震あったからビックリしたよ
11 :
赤き月の鷹:2007/04/01(日) 14:11:50 ID:???
「ふーん。けど何であれが?」
「隕石でも当たったか、何かの影響で軌道がずれたか」
「地球への衝突コースだって本当なのか?」
「うん、シン。バートさんがそうだって」
「はぁ〜、アーモリーでは強奪騒ぎだし、それもまだ片づいてないのに今度はこれ?どうなっちゃってんの?」
「で? 今度はそのユニウス7をどうすればいいの?」
「ええ?」
「えっ?ああ……何できるんだろ」
「砕くしかない」
レイが、決然とした声で言った
「砕くって?」
「あれを?」
「軌道の変更など不可能だ。衝突を回避したいのなら、砕くしかない」
「でもデカいぜあれ?ほぼ半分くらいに割れてるって言っても最長部は8キロは……」
「そんなもんどうやって砕くの?」
「それにあそこにはまだ死んだ人達の遺体もたくさん……」
「でもメイリン、そうね、砕くしかないかもしれない。衝突すれば地球は壊滅するわ。そうなれば何も残らない
わよ。そこに生きるものも」
「「……」」
「地球、滅亡……」
「だな。」
「そんな……」
「はぁー、でもま、それもしょうがないっちゃあしょうがないかぁ? 不可抗力だろう。けど変なゴタゴタも綺
麗に無くなって、案外楽かも。俺達プラントには……」
「よくそんなことが言えるな! お前達は!」
オーブのお姫様が飛び込んできた。
「しょうがないだと!? 案外楽だと!? これがどんな事態か、地球がどうなるか、どれだけの人間が死ぬこ
とになるか、ほんとに解って言ってるのかッ!? お前達はッ!」
「すいません」
「くッ…やはりそういう考えなのか、お前達ザフトは! あれだけの戦争をして、あれだけの想いをして、やっ
とデュランダル議長の施政の下で変わったんじゃなかったのかッ!!」
「よせよカガリ」
カチンと来た。なんなの?このお姫様は。モビルスーツデッキのことと言い!
12 :
赤き月の鷹:2007/04/01(日) 14:12:22 ID:???
「失礼ながら、よろしいでしょうか?」
「なんだ!?」
「ヨウランの発言が不適切であったことは謝罪いたします。しかし彼も場を和ませようとしてのことです。地球
無しにプラントが成り立たない事など、皆わかってます。それを考慮せず、いきなり仲間内の会話にしゃしゃり
出て頭ごなしに怒鳴りつける、しかも他国の人間がされるのはどうかと思います」
「な!?だけど私は!!」
「それから、『やはりそういう考えなのか、お前達ザフトは!』と言われましたね。『やっと変わったんじゃな
かったのか』とも! お言葉ですが、宣戦布告されたのも、プラントに核を撃たれて民間人を虐殺されたのもプ
ラントが先ですが! NJCの技術が漏洩してから、すぐさま、また核攻撃されましたが! あたしたちこそ聞
きたい!『地球に住む人々は変わったのか?』と! ザフトが地球などどうでもよかったのなら、前大戦時に、
部下の反乱にも合わずにザラ議長は地球を滅ぼしていたでしょう! ともかくあなたがザフトに対しどう言う考
えを持っているかはよく分かりました。このことは是非議長にもお伝えしたく思います」
「お前ぇッ……」
「いい加減にしろ!カガリ!」
「くッ……」
「御自分の発言には責任を持ってください。それでは、失礼します」
「あ、待ってよ、お姉ちゃん」
後ろでは、まだシンがオーブのお姫様に何か言ってて、レイがたしなめてるようだった。
「でも、あれで代表だなんて、笑っちゃうわね」
「お姉ちゃん……」
「あれじゃただの……メイリンに当たってもしょうがないか。ちょっとね、期待してたのよ。前大戦の英雄って
言うから。ああ、この人は英雄だって、思わせてくれるならよかった。ずるがしこい狐みたいな食えない人でも
よかった。でもあれじゃ、ただの、馬鹿じゃない」
お父さん……あなたを殺したキラ・ヤマトがどうか只者ではありませんように。ただの馬鹿者なら、あたしは殺
意を止められないかもしれない。
13 :
赤き月の鷹:2007/04/01(日) 14:13:12 ID:???
あとでアスランにエレベーターの前で出会った。
「あら、大丈夫ですか、お姫様は」
声に険が混じってしまうのを自覚する。
「ルナマリアか。すまない。先ほどの彼女の発言は失言だった」
「いえ。あなたに謝られても仕方ありません。むしろ、彼女のそばにいるあなたに対しても非常に失礼な言葉で
しょう? アスランさん。まさか『そういう考え』を持っていた訳じゃないんでしょう? 前大戦時」
「アスランでいいよ。どうかな。母がユニウスセブンで亡くなった時は、とても悲しかった。ナチュラルすべて
を敵だと思っていたよ。コペルニクスでのオーブ国民のコーディネイターの昔なじみがプラントに付かなかった
時、ひどい裏切りだと感じた。さすがに地球を滅ぼしたいとまでは思わなかったがね」
「でも、アスランは防いでくれたじゃないですか。地球が滅びるのを。自分の機体を自爆させる危険冒してま
で」
「うん、まぁ。ルナマリアは……地球は好きかい?」
「好きですよ。プラントが地球無しにやっていけないのとは関係なく。人類の発祥の地じゃないですか。地球の
大自然ってやつにも憧れるし。あたし、シーゲル・クラインが唱えた『コーディネイターはナチュラルの中に帰
っていくべきだ』って意見に賛成なんですよね。いつか地球に住んでみたい」
「そうか、その時はぜひオーブへ来るといい。ナチュラルとコーディネイターが共存してるし、海もきれいない
い国だ」
「あは、その時は案内お願いしますね」
「ああ。きっと。そうだ、俺はこれからモビルスーツに乗って破砕作業の手伝いをすることにした! よろしく
頼む!」
「アスランが? それは心強いです! じゃあ、あとで!」
あたしはアスランと別れてモビルスーツデッキへ向かった。
14 :
赤き月の鷹:2007/04/01(日) 14:13:21 ID:???
『モビルスーツ発進3分前。各パイロットは搭乗機にて待機せよ。繰り返す、発進3分前。各パイロットは搭乗
機にて待機せよ』
「でも、粉砕作業の支援ていったって何すればいいのよ」
「それは……」
「ん? アスランさんだ」
「ガイアで出るんだってさ。作業支援なら一機でも多い方がいいって」
「さっき聞いたわ。なにはともあれ、数が多いのは心強いよね。ミネルバ、定数パイロット積んでないんだし」
『発進停止。状況変化。ユニウスセブンにてジュール隊がアンノウンと交戦中』
「え!?」
『各機、対モビルスーツ戦闘用に装備を変更して下さい』
あたしはアスランに呼びかけた。
「状況が変わりましたね。戦闘をして大丈夫なんですか?」
「非常時だろう。議長権限の特例って事で許可もらうさ」
「じゃあ、援護よろしくお願いします。この機体、接近戦用なんで」
「わかった!」
「ルナマリア・ホーク、グフ、出るわよ!」
15 :
赤き月の鷹:2007/04/01(日) 14:13:44 ID:???
投下終了ー
投下乙ー
ことごとくシンの出番がw
投下乙です
いいぞ、ルナ! バカガリをもっとへこませてやれ!w
アスランがガイアですか〜
黒いカラーリングのガイアは、アスランンに似合ってるような似合ってないような・・・
あ、そういえばガイアに乗ってたステラってどうなったんでしたっけ?
投下乙。でも個人的には、ここでカガリの出番を多くする必要はなかったと思う。
アニメ版の主人公であるシンはアスハを恨んでいたから、カガリはそれに向き合う立場だった。結果として向き合えなかったのは、嫁脚本の責任だ。
だけどこっちの主人公であるルナが恨んでいるのはキラで、特に三隻同盟全体を恨んでいる訳ではないと思った。だからカガリと絡む必然性は薄いはず。
むしろ直接対決はシンに任せて、そのフォローに徹した方が良かったのかもしれない。
・・・それとも、これが今後の伏線になるのかな?
>>18 カガリと向き合いながら、その実
カガリの後ろにいるキラと向き合ってる
って構図に見える、一応。
だからありじゃね?
つーか、この形だとシンがカガリに突っかかる必然性がない気が…
投下乙
ルナマリア主人公だと爽やかでいいですね。
ガイアは電圧変化で赤くなるんじゃないかな、
そうなるとミネルバ隊自体がが「赤い彗星」と呼ばれそう。
>>17 ガイアはVPSだから出力調整次第で赤くなるんじゃね?
23 :
18:2007/04/02(月) 21:38:04 ID:???
>19
なるほど・・・そういう解釈もあるか。
そうすると、ルナはシンみたいに父親を殺されたこと自体を恨んでいるというよりも、聖剣伝説みたいなうそ臭くて身勝手な理想を嫌悪しているのかな?
「赤き月の鷹」、第05話までウィキに登録しました。
これの各話タイトルって、どこかにあるの? ウィキ編集者が勝手に付けていいの?
「いいかみんなよぉく聞けえーーーっ!オレの家族はなあーーーーーっ!!」
「大変だあーー!異世界から別シリーズのメインキャラが転移してきたぞーー!!」
「…当分…オレの因縁話聞いてもらえそうにないな……orz」
わざわざ家族の死因を声高に叫ぶ方がどうかしてるだろw
シンがクロマティ高校の北斗の子分みたいだw
真面目な話「赤髪のディアナ」のラクスのように途中退場もしくは存在感無しになりそうな予感がする。
まあこの話の主役はルナなんだから、そういう展開もありなんだろうけど。
しかしホントにオーブでコーディとナチュラルが共存できてるか怪しいモンだ。
出来てるなら何でコーディは決まってモルゲンレーテで兵器開発に従事してるんだ?
その辺の闇に気付いてカガリどころかオーブをも嫌悪するルナマリアもいいかも試練。
29 :
赤き月の鷹:2007/04/03(火) 16:41:36 ID:???
あたしたちがユニウスセブンに付くと、工作隊は何者かの攻撃を受けていた!
「なんだ?カオス、アビス?」
「アーモリーワンで強奪された機体か!?」
「そうです! アスラン!」
「チィ!あいつら!」
「あの二機、今日こそ!」
「ルナマリア、目的は戦闘じゃないぞ!」
「解ってます。けど撃ってくるんだもの。あれをやらなきゃ作業もできないでしょ?」
「くッ……」
「じゃあ、シン、レイ! カオスとアビスは頼んだわよ!」
「ルナマリア、君は?」
「あたしたちは工作隊を攻撃しているジンを叩きます!ショーン、ゲイル、両脇お願い!」
「「了解!」」
「あなたたち! 無益なことはやめなさい!」
一応言ってみたけど聞く相手ではなかった。
問答無用で撃ってくる!
是非もなしか! ショーンとゲイルの援護の下ドラウプニルを連射して突っ込む!
近距離からの連射に耐え切れずまず一機撃破!
スレイヤーウィップを叩きつける! 相手は真っ二つに裂ける! 二機目撃破!
「くっ、ルナ! こいつらそっちに行こうとしてるみたいだ!気をつけろ!」
「わかったわ! シン!」
それなら! こちらの利点は――相手の性能を知っていること!
カオスは機動兵装ポッドで撹乱してくる!
でも、それじゃあ本体の機動力落ちるわよね!
機動兵装ポッドの相手はアスランとショーン、ゲイルに任せ、あたしは一気に本体へ突っ込む!
カオスはMA形態になりカリドゥス改複相ビーム砲を放ってくる!
そんな大技! 避けてみせる!
ドラウプニル4連装ビームガンを撃ちながらあたしはカオスに接近する!
――! カオスはMS形態に戻ると蹴りを放ってくる! あぶないあぶない、そう言えばビームクロウなんて武器
もあったわね!あたしはテンペストを抜くとつま先を切り飛ばす!
もらった!スレイヤーウィップを両腕から放つ!
だが、敵は一瞬早く機動兵装ポッドを戻し、一基をスレイヤーウィップの犠牲にして本体を救った!
機動兵装ポッドに詰まれたミサイルが爆散する隙を突いて、カオスは撤退して行った。
30 :
赤き月の鷹:2007/04/03(火) 16:42:30 ID:???
後は、アビス!
「みんな、散開して離れて!一対一にさせて!」
ひたすら本体を追えばいいアビスの方がカオスより!
「この泥棒がーーー!」
いくら多数のビーム砲を装備していようと所詮一点からの攻撃なのよ!
相手があたし一機だけで残念ね! 無駄! 無駄! 無駄!
あたしのドラウプニル4連装ビームガンも宇宙で射程が延びる!ばら撒いて隙を作ると一気にアビス本体へ突
進!
アビスは思わず両肩のシールドで防ぐ!
そんな事してると攻撃できないでしょう? それが攻防一体の盾のあんたの弱点よ!
テンペスト! 確実に仕留めた!
と思ったら、アビスは絶妙に身をかわし、片方のシールドを切り飛ばされただけで撤退して行った。
「すごい……これがわざわざ異例にグフを与えられたパイロットの力かよ……」
「シン!何をしている!作業はまだ終わってないんだぞ!」
「わかってる!」
31 :
赤き月の鷹:2007/04/03(火) 16:43:26 ID:???
あたしたちが戦っている間に、メテオブレイカーは一基、また一基と爆破作業に成功して行った。
「だがまだまだだ! もっと細かく砕かないと!」
「アスラン!?」
「貴様ぁ!こんなところで何をやっている!」
「そんなことはどうでもいい!今は作業を急ぐんだ!」
「あ、ああ!」
「解っている!」
「相変わらずだなイザーク」
「貴様もだ!」
「……やれやれ」
一気に明るくなる雰囲気。でも、まだ残ったジンが攻撃を仕掛けてくる!
射撃をかいくぐり、近距離からビームガンを叩き込む!
相手のビームをテンペストで弾き、そのまま相手を一閃する!
これで終わりかしら?
……? 帰艦命令? そうか、高度か!
「ん? あ、アスラン!」
「え?」
「く……」
「何をやってるんです! 帰還命令が出たでしょう。通信も入ったはずだ!」
「ああ、解ってる。君たちは早く戻れ」
「アスラン、一緒に吹っ飛ばされますよ? いいんですか?」
「ミネルバの艦主砲と言っても外からの攻撃では確実とは言えない。これだけでも……」
「……貴方みたいな人がなんでオーブになんか……」
「――ん?」
「うおぉぉ!」
「これ以上はやらせん!」
「こいつらまだ!」
「ぇぇぃ! ああ!メテオブレーカーが!」
「我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!」
「娘…?」
「なにを! そんな事で変わるならば苦労はしないわよ!」
32 :
赤き月の鷹:2007/04/03(火) 16:43:37 ID:???
あたしは前から来るジンの重斬刀をかわしテンペストで真っ二つにすると、上部を後ろから来るジンハイマニュ
ーバ2型に投げつける!
「ぐぁ…! 此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか! 貴様等は! 軟弱な
クラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった! 何故気付かぬかッ! 我等コーディネーター
にとってパトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!」
「死んだ人は泣かないわ、苦しまない、怒りもしない。そして笑わない喜びもしない! 私の父がそうであるよ
うに、幾ら望もうが願おうが、二度と笑顔を向けてはくれないのよ! それを報復の大義などに使うな!」
「確かに核で家族を奪われた人間が地球の人間を許せないのは分かる! 俺も母親を奪われたときは辛かった。
父、パトリック・ザラはそのことで変わってしまった……でも、個人の憎しみで平和を拒否してこんなもの落と
して泣く人間を増やすのは間違ってる!」
「そうだとて、赦せるものか!!ナチュラルどもを!」
「赦せなくてもいい、さっさと降伏しなさい、それがプラントを守る事に繋がる!」
「妻も娘も逝き!友は貴様らが撃った!もはや私に守るものなどないわ!」
「ならば……死ね!」
アスランがMA形態になってビームを撃ちながら駆ける!
あたしはその上空をテンペストを構えて突撃する!
「ぬおおおおお!」
ジンはビームカービンを撃ち尽くすとシールドも捨てて斬機刀を構える。
そんなもの!
あたしのテンペストが斬機刀を切り飛ばし、ガイアのビームブレイドは見事にジンハイマニューバ2型を切り裂
いた。
「大丈夫ですか?アスラン」
「ああ……すまない、ルナマリア。破砕作業に戻るぞ」
メテオブレイカーは無事に地中に突入して行った。
「さあ、戻るわよ!」
――!
「お前だけはーーー!」
まだジンがいたの!?
「アスラン!」
ガイアは隙を付かれて、ジンに足を掴まれて地球に落下して行く!
33 :
赤き月の鷹:2007/04/03(火) 16:46:38 ID:???
投下終了ー
wiki登録乙です。題名はまだ考えていないので当面そのままでいいです。後でつけます。
ステラはとっととフェブラリウス市に送られました。ミネルバにいるより生き残れる可能性は高いでしょう。
投下乙ー
>「ならば……死ね!」
ルナ怖ええw
俺はアスランのセリフで脳内再生されたが、感じからするとシンか?
口調がシンっぽくない気がする
シンだったら「じゃあ・・・死ねよ」になる気が・・・
なんか話の流れや口調だとルナかなって思う
そもそもミネルバ隊に「死ね」が合わないんだよな。
ここは遠くに居た「レイ」の無線と言うことで。
レイなら似合うと思う
39 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:07:27 ID:???
「くっ」
あたしも急降下してテンペストでジンを切り飛ばす!
「突入角度調整。排熱システムオールグリーン。自動姿勢制御システムオン。ECSニュートラルへ。
……アスラン大丈夫かな? 大丈夫よね?なんたってセカンドシリーズだもの」
あたしは無事に大気圏突入に成功した。あの人は、アスランは!?
――! いた!
「アスラン! 聞こえて!? 無事ですか!? ガイアはスラスターの能力が足りないわ! 一緒に!」
「莫迦! 君だけでも戻れ! グフのスラスターでも二機分の落下エネルギーは…!うッ!」
「どうして貴方は、いつもそんなことばかり言うんですか!」
「じゃあ何を言えばいいんだ」
「俺を助けろこの野郎!とか……」
「ふ。その方がいいのか?」
「ふふ。いえ、ただの例えです」
「じゃあ……助けてくれ、ルナマリア」
「……はい!」
ミネルバはどこ?
あ、発光信号! 1時の方向!
あたしたちは、なんとか帰艦した。
「……MSで大気圏に突入するなんて……全く、無茶な奴だな君は」
「アスランに言われたくないですよ」
「はは、全くだ。助かったよ。ありがとう」
「……別に、無我夢中だっただけですよ」
「それでもいいさ。君は俺の命の恩人だ。この恩はきっと返すよ」
「……変な人ですね。ヤキンの英雄ってもっと別な人を想像してた」
「よく言われるよ」
40 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:08:32 ID:???
あたしたちがMSから降りると、あのお姫様がやってきた。
「アスラーン!」
――! 艦が揺れた! 何!?
「なに?まだ何か!?」
「地球を一周してきた最初の落下の衝撃波だ。おそらくな」
「そう……地球、あまりひどい事になってなけりゃいいけど」
……
あたしたちが収容されてからしばらくして、ミネルバは初めてその身を地球の海に浮かべる。
『警報。総員着水の衝撃に備えよ』
休憩室の椅子に座り、片手を椅子の背にまわして固定する。
まるで舗装されていない地面を走ったように艦がバウンドし、しばらく経つと、止んだ。
『着水完了。警報を解除。現在全区画浸水は認められないが今後も警戒を要する。ダメージコントロール要員は
下部区画へ』
ふう。一安心ね。
41 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:09:35 ID:???
みんな、手隙の者は上甲板に出ている。やっぱり地球の海が見てみたかった。
うーん、なんか臭い。
「けど地球か」
「太平洋って海に降りたんだろ?俺達。うっはは、でけー」
「ヴィーノ! そんな呑気なこと言ってられる場合かよ。どうしてそうなんだ、お前は」
「人のこと言えるのかよ、ヨウラン」
「大丈夫か?アスラン」
「ああ、大丈夫だ」
向こうでお姫様とアスランが話してる。
「けどほんと驚いた。心配したぞ。モビルスーツで出るなんて聞いてなかったから」
「すまなかった、勝手に」
「いや、そんなことはいいんだ。お前の腕は知ってるし。私はむしろ、お前が出てくれて良かったと思ってる」
「?」
「ほんとにとんでもないことになったが、ミネルバやイザーク達のおかげで被害の規模は格段に小さくなった。
そのことは地球の人達も……」
「やめろよこの馬鹿!」
「シン!」
「えぇまたぁ?」
「またって事は、シンも結構言っちゃった訳?あのお姫様に」
「ああ、ヨウランの時、ルナが出てった後にね。やっと言えるぞって勢いで」
42 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:09:59 ID:???
「あんただってブリッジに居たんだ!ならこれがどういうことだったか解ってるはずだろ!?」
「ぇぇ……」
「シン」
「ユニウスセブンの落下は自然現象じゃなかった。犯人が居るんだ!落としたのはコーディネーターさ!」
「ぁぁ……」
「あそこで家族を殺されてそのことをまだ恨んでる連中が、ナチュラルなんか滅びろって落としたんだぞ!?」
「ぁぁ……わ、解ってるそれは…でも!」
「でもなんだよ!」
「お前達はそれを必死に止めようとしてくれたじゃないか!」
「当たり前だ!」
「ええ?」
「だが……それでも破片は落ちた。俺達は……止めきれなかった」
「アスラン……」
「一部の者達のやったことだと言っても、俺達、コーディネーターのしたことに変わりない。許してくれるのか
な……それでも……」
アスランは、甲板から中へ入って行ってしまった。
「奴等のリーダーが言ったんだ」
「え?」
「俺達コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しいものだってさ!」
「ぁ!……アスラン……」
「あんたってほんと、何も解ってないよな。あの人が可哀相だよ」
アスラン……吹っ切れてはいたようだけど。あんな事言われたんじゃ辛いよね……
43 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:10:34 ID:???
しばらくたって、外で射撃の訓練をやることにした。どうせなら外の方が気持ちいいものね。
……弾倉をひとつ撃ち終わる。集弾率低いなぁ。やっぱあたし射撃へただわ。はぅ。
「ん? あら! アスラン!」
「訓練規定か」
「ええ、どうせなら外の方が気持ちいいって。でも調子悪いわ」
「ん……」
「あ、一緒にやります?」
アスランに、ちょうどいい気分転換になるかもしれない。あたしは、アスランにいつまでも沈んだ雰囲気でいて
欲しくなかった。
「え……いやぁ俺は……」
「ふ…ほんとは私達みんな、貴方のことよく知ってるわ」
「え?」
「元ザフトレッド、クルーゼ隊。戦争中盤では最強と言われたストライクを討ち、その後、国防委員会直属特務
隊フェイス所属。ZGMF-X09A、ジャスティスのパイロットの、アスラン・ザラでしょ?」
「……」
「お父さんのことは知りませんけど、その人は私達の間じゃ英雄だわ。ヤキン・ドゥーエ戦でのことも含めて
ね?」
「ああ……あれいやぁ……」
「射撃の腕もかなりものと聞いてますけど?」
「お手本。見せてくださいよ。実は私あんまり上手くないんです」
「ふふ。じゃあ」
44 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:10:43 ID:???
うわー! アスラン! あたしと違って動く的を撃ってるのに! みんなど真ん中!
「あぁ……すごい」
「うわー、同じ銃撃ってるのになんで!?」
「銃のせいじゃない。君はトリガーを引く瞬間に手首を捻る癖がある。だから着弾が散ってしまうんだ」
「こんなことばかり得意でもどうしようもないけどな」
「そんなことありませんよ。敵から自分や仲間を守るためには必要です」
「敵って……誰だよ」
やばい! なにか彼の傷に触るような事言った!? 彼はあたしをにらむと艦内へ入ろうとした。
「ミネルバはオーブに向かうそうですね。貴方もまた戻るんですか?オーブへ」
「ああ、シン」
「なんでです?」
「……」
「そこで何をしてるんです?貴方は。貴方の居場所はザフトじゃないんですか?」
アスランはしばらく立ち止まって、そして中へ入って行った。
あたしは考えてみた。なぜアスランがあんな反応を示したのか。あたしにとって敵と言えば、セカンドシリーズ
を強奪したような奴ら。あたしとあたしの仲間を攻撃してくる物だけど、アスランの考えはきっともっと深い。
きっとお父さんを信じて戦っていたけど、お父さんはいつの間にかナチュラル滅亡なんて事企ててて。上から言
われるままに戦う事に疑問を持ったんだろう。上から敵と言われる者を敵とする事に。だからかつての敵アーク
エンジェルとも共闘した。そんな彼にとって、あたしの答えは単純で幼稚に見えたんだろうなぁ……
45 :
赤き月の鷹:2007/04/04(水) 19:11:47 ID:???
投下終了ー
>「ならば……死ね!」
アスランのセリフでした。wikiではもうちょっとわかりやすく直します
46 :
赤き月の鷹:2007/04/06(金) 21:08:08 ID:???
1日後、あたしたちはオーブに着いた。軍事島だと言うオノゴロ島へ案内された。
オーブは幸いユニウスセブンの被害は少なかったそうだ。
修理には数日はかかるらしい。進水式もまだだと言うのに、まるで歴戦の艦みたいになって複雑な気分だ。
「え本当?」
「いやぁまだ分からないけどさ、修理で数日って事になるんなら案外出るんじゃないかって。上陸許可」
「うわぁ」
「ちょっとここまできつかったからなぁ実際。なんか夢中で来ちゃったけどむっちゃくちゃだったもんな、ほん
と」
「もしかしたら出るかもしれないな、上陸許可。でも、あまり浮かれすぎない方がいいぞ。お前ら」
「そうよ?オーブも少ないとは言えユニウスセブンの被害受けたらしいし」
「そうそう。ザフトの者だって、知られない方がいいかも知れないわ」
「手厳しいな、ショーンもゲイルもルナも」
みんなが浮かれるのを、パイロット連中が引き締める形になってしまった。でも、あたしたちパイロットは、何
か戦場が近いような、妙な雰囲気を感じていたのだ。
でも実際上陸許可が出ると嬉しい物で。なんとなく後ろめたさを感じてしまう。
「シン?居ないの?シン。もぉ……」
「いないの?シン」
「呼んでも全然返事がないのよ、ゲイル」
「いないものはしょうがない、俺たちだけで行こう。ルナ、ゲイル。レイも誘ったんだが来ないってさ。ガイア
の扱いに習熟したいらしい」
「あちゃー。あたしもせっかくザクファントム任されたのに、気が咎めるじゃない」
「まあ、一日リフレッシュして頑張ればいいさ」
47 :
赤き月の鷹:2007/04/06(金) 21:08:53 ID:???
「でも、せっかくシンにオーブ案内してもらおうと思ったのにな」
「……ああ! そうか」
「なによ、ショーン」
「ここは、シンの故郷と言っても、ご家族を亡くされた場所でもあるだろう。そのままオーブにいても良かった
ものを、わざわざプラントに移住して来たんだ。辛かったろうな」
「そっか。上陸だって、浮かれる気分にはならないよねぇ」
「まぁ、墓参りにでも行くかも知れんが、なおさら俺たちとじゃ行く気はしないだろ」
「そうねぇ」
「じゃあ、シンには悪いけどあたしたちは楽しみましょうよ。せっかく出てきたんですから」
オーブは、前大戦時結構な被害を蒙ったと聞いていたけど、復興振りはすごかった。
「すいぶん、早いのね、復興するの」
「前大戦時は、最後は一応連合側だったし、現在宰相を務めているウナト・エマ・セイランは大西洋連邦寄りの
政治家だって話よ。結構大西洋連邦の復興資金が流れ込んだらしいわ」
「詳しいのね、ゲイル」
「まぁ、大西洋連邦と言う大国のコネと金の力で復興を成し遂げたって訳よ。オーブは一旦ぼろぼろにされたん
ですもん、自力だったらまだマスドライバーを再建するのがせいぜいかも」
「その代わり、国の結構な部分が大西洋連邦のひも付きになっちまったって訳だ。表向きは、あのお姫様自身は
父譲りの中立でも、国全体として見るならもうこの国は中立じゃない」
「……やっぱり、気を抜かない方がよさそうね」
それでも、やっぱり広い所に出て街をぶらぶらするとリフレッシュできた♪
そんな気分を一編させるようなことが3日後起きた。
『コンディションイエロー発令、コンディションイエロー発令。艦内警備ステータスB1。以後部外者の乗艦を全
面的に禁止します。全保安要員は直ちに配置について下さい』
連合がプラントに宣戦を布告したのだった……
48 :
赤き月の鷹:2007/04/06(金) 21:10:12 ID:???
「で、状況はどうなのよ、ルナ。人の行き来は禁止になっても情報はまだ大丈夫でしょう?」
「うん、ゲイル。メイリンから聞いた話じゃ、開戦劈頭プラントに核攻撃が行われたって」
「……ルナが落ち着いてるって事は、無事撃退したんだな?」
「うん、なんか、ザフトの新兵器が使われたみたいで核攻撃艦隊は全滅したらしいわ」
「ふぅ。よかった。ここに篭ってる間にプラントが滅びたんじゃ帰るところが無くなっちまう」
その後数日、あたしたちは乏しい情報に一喜一憂した。
それも、もう終わり。オーブが連合と同盟を結ぶと言うのだ。
ミネルバは明朝出航する。
『発進は定刻通り。各艦員は最終チェックを急いで下さい。砲術B班は第三兵装バンクへ。コンディションイエ
ロー発令。パイロットはブリーフィングルームへ集合して下さい』
「……けど、ザフトの降下作戦ていつ?」
「知らないわよ私も。しっかしこれでオーブも敵側とはね。けっこう好きだったのになこの国。……あごめん。
シンには辛いね」
「別に」
あ、オーブのお姫様!?
「ぁ……!」
「ぁ……何しに来た」
「ぅ……」
「あの時オーブを攻めた地球軍と今度は同盟か!」
「ぅ……」
「何処までいい加減で身勝手なんだ!あんた達は!」
「いやこれは…!」
「敵に回るって言うんなら今度は俺が滅ぼしてやる!こんな国!」
「うッ…シン!」
後でメイリンに聞いた。
彼女はわざわざ連合とオーブが同盟を結ぶ事を伝えに来たのだった。オーブがその気ならミネルバを手土産にす
る事もできたかもしれないのに。彼女も苦労してるんだな……
49 :
赤き月の鷹:2007/04/06(金) 21:11:28 ID:???
……
それはミネルバがオーブ領海を出てすぐだった。
『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ』
「レッドって何で!」
「知らないわよ! 何であたしに聞くの?」
『タリア・グラディスよりミネルバ全クルーへ』
『現在本艦の前面には空母4隻を含む地球軍艦隊が、そして後方には自国の領海警護と思われるオーブ軍艦隊が
展開中である』
「空母4隻!?」
「後ろにオーブが!?」
『地球軍は本艦の出港を知り、網を張っていたと思われ。またオーブは後方のドアを閉めている。我々には前方
の地球軍艦隊突破の他に活路はない。これより開始される戦闘はかつてないほどに厳しいものになると思われる
が、本艦はなんとしてもこれを突破しなければならない。このミネルバクルーとしての誇りを持ち、最後まで諦
めない各員の奮闘を期待する』
「くっそー!」
「手厳しいわね」
あのお姫様も立派な狸だったって事か。あたしの中の彼女の評価を改めた。
あたしとシンには艦からあまり離れるなと言われた。レイ、ショーン、ゲイルは甲板上から敵MSを狙撃だ。
『カタパルト推力正常。針路クリアー。グフイグナイテッド発進どうぞ!』
「ルナマリア・ホーク、グフ、出るわよ!」
「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
あたしたちは空中に飛び立った!
50 :
赤き月の鷹:2007/04/06(金) 21:11:48 ID:???
投下終了ー
投下乙ですー
カガリとルナの関係が微妙でいいなー。
>「あちゃー。あたしもせっかくザクファントム任されたのに、気が咎めるじゃない」
これって誰の台詞でしょう?
ゲイルじゃね?
オカマ言葉で話してるっぽい
本当に女なのかもしれんが
53 :
赤き月の鷹:2007/04/07(土) 07:16:31 ID:???
ミネルバは左を突破するらしい。
「シン! 左側に敵を追い込んで!」
「了解!」
あたしたちが突っ込むと敵MSは鳥が逃げるように散開する!
一機、二機! シンが射撃で落とす!
「逝けーーー!」
左に回りこみドラウプニル4連装ビームガンを両手から連射する!
シンに追われて逃げた敵に面白いように当たる! 撃たれて動きが鈍った敵をスレイヤーウィップで止めを刺し
ていく!
ミネルバに被弾!?
「く、こんなことで……やられてたまるもんですかーッ!」
敵の密集した所へ所へと突っ込み、後ろを見せる敵をスレイヤーウィップでなぎ倒す!
確かに半端じゃない数だけど! それだけ逃げる場所がないって事よ!
敵に密着すれば、他の敵はあたしを撃てない! そう割り切って突っ込み、ドラウプニルを叩き込む!
左前方から何かが発進し、近づいてくる! あれは!大型のMA! あんなのがミネルバに取り付いたら終わり
だ!
迎撃に向かおうとすると通信が入った。
『タンホイザーで敵大型MAと共に左前方の艦隊を薙ぎ払います! 気をつけて!』
あわてて射線から離れる!
敵大型MAは、前傾姿勢を取ると何か力場を発生した!?
タンホイザーの光が射線上の物体を包んで行く!
閃光が晴れた時――
「あぁ……! タンホイザーを、そんな……跳ね返した?」
若干沈んだ艦はあったものの、敵大型MAから後ろの艦隊はまったく無傷だった。
54 :
赤き月の鷹:2007/04/07(土) 07:16:55 ID:???
「シン! あいつをやらないと!」
「わかってる!」
「一部分でいい! 敵MAの対空防御に穴を開けて!そこから突っ込む!」
「了解!」
シンが突っ込む!敵MAの主砲らしきものと赤熱したクローがシンの方を向き、前傾して力場を張りながら攻撃す
る!
チャーンス! シールドを構え、テンペストを抜きながら上空から高速で降下し、敵MAの懐に入る!
テンペストは敵MAの分厚い装甲を容易く切り裂いていく!
――敵大型MAは落ちて行き海上で爆散した!
「シン! 次は艦隊をやるわ! 援護して!」
「了解!」
敵の艦に次々に取り付くと、あたしはブリッジを、砲塔を潰して行く!
「空母が沈めば!」
あたしは空母に取り付いた!ブリッジを切り裂くと、甲板にテンペストを突き刺し、切り裂く!
もう一隻! 次の空母に取り付き、切り裂く! 空母はグズグズと沈んで行く!
……そして、気がつくと敵全軍は撤退して行った!
55 :
赤き月の鷹:2007/04/07(土) 07:17:09 ID:???
……もう、これ以上の追撃はないかな?
あたしたちは帰艦した。
「ルナー!」
コクピットで休んでいると、ヴィーノが声をかけて来た。降りよっか。
「ん? あらら」
床に降りると私はへたりこんでしまった。
「あはは、よくやったな、ルナ!」
「お疲れさん」
「すげーな、おい」
「聞いたぜーこのー。すっげー活躍だったんだって?」
「いやーほんとよくやってくれたー」
「へへ、ありがと」
「さあ! ほらもうお前ら! いい加減仕事に戻れ。カーペンタリアまではまだあるんだぞ。パイロットも休ま
せてやらなきゃ」
エイブズさんが言うと、メカニックの人たちは散って行った。
「ほんと、今日はよくやったよ。スーパーエース級じゃないか」
「ありがと、ショーン。自分でも、ここまでやれるとは思わなかったわ。まぁシンが援護してくれてたから落ち
着いて攻撃もできたし」
「なんにせよお前が艦を守った。生きているということはそれだけで価値がある。明日があるということだから
だ」
「……ん。ふふ」
「さあ、休憩しようぜ。じゃないといざって時動けないからな!」
56 :
赤き月の鷹:2007/04/07(土) 07:20:27 ID:???
投下終了ー
>「あちゃー。あたしもせっかくザクファントム任されたのに、気が咎めるじゃない」
ゲイルのセリフです。
ショーンが男、ゲイルが女です。
ショーンはアイルランド風「ジョン」で女の名前にはつかわなそうなので、女の名前としても使う
ゲイルに女性になってもらいました。
GJ!
俺が無知なだけなのかも知れないけれど、作者さんは性別別の名前まで考えて創作するもんなんだぁ
本当、頭が下がります
過疎気味だけれど、最後までいっちゃって下さい。応援します!
投下乙ですー。
連携で勝負してますねー。
シン、見事に「有能な脇役」が板についてますw
>>56 回答ありがとうございます。
59 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 07:19:29 ID:???
カーペンタリア、入港!
みんなわくわくしてる
「オーブもよかったけどさ、やっぱり違うよな、ルナ」
「そうよね。味方に囲まれてるっていいなぁ!」
「海の色も、オーブに負けないくらいきれいよね」
上陸が許された。なにしようかな。
「ルナー、買い物行かない?」
「行く行く! メイリン、行くでしょ?」
「うん! 色々補充したい物があるし」
「メイリン、そんなに買うの?」
「だってさあ、ミネルバの修理ってもうじき終わるんでしょ?」
「ああ、まあね」
「じゃあ、いつ出航命令出るか分かんないじゃない。やっぱ今のうちに買っときゃなきゃ」
「はぁ……あっそ。何が何でそんなにいるんだか知らないけど」
「ぅ…悪かったわね」
「メイリン、忠告よ」
「な、なんですか、ゲイルさん?」
「ダイエットサプリメントなんかより、規則正しい運動よ! なにしろメイリンは座ってるのが仕事なんだから
運動不足になりやすいのよ」
「ぅぅ……」
60 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 07:20:00 ID:???
……
ミネルバに帰ると、ザクウォーリアが搬入されていた。もう旧式化してきたゲイツRが降ろされる。ザクウォー
リアにはショーンさんが乗ることになる。
「やっぱりいいなぁ。新型は。正直、ゲイツじゃきつく感じてたんだ」
「激戦続きだったですからね」
「ウィザードシステムもあたしのザクファントムと共有できるし、運用もしやすくなるそうよ」
その時、一機の赤いMSが、ミネルバのカタパルトに降りてきた。
「何なのこの新型。一体誰? エイブスさん聞いてる?」
「いや」
パイロットが降りてきて、ヘルメットを脱ぐ。
「あぁ! アスラン!」
「認識番号285002、特務隊フェイス所属アスラン・ザラ。乗艦許可を」
「ねえさっきの……あんた! なんだよこれは? 一体どういう事だ!」
「もう! シン、口の利き方に気を付けなさい!彼はフェイスよ」
「えぇ? 何であんたが……」
「シン!」
「あ……」
シンは荷物を置くとあわてて敬礼した。
アスランも、皆に答礼する。
「ふ。艦長は艦橋ですか?」
「ああ、はい。だと思います」
「確認して御案内します」
「ありがとう。ルナマリア」
私達が歩き出すと、シンがアスランに話しかけた。
「ザフトに戻ったんですか?」
「そういうことに、なるね、シン」
「何でです?」
「…ふ…」
アスランはシンに微笑むと再び歩き出した。
61 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 07:20:24 ID:???
艦長は艦長室にいると言う事だった。
「でも、なんで急に復隊されたんですか?」
「え?」
「な〜んて、とっても聞いてみたいんですけど、いいですか?」
「……復隊したというか、まあうん、ちょっとプラントに行って議長にお会いして……」
「え?」
「それより、ミネルバはいつオーブを出たんだ?俺、何も知らなくて」
「オーブへ行かれたんですか!?」
「ああ」
「大丈夫でした!? あの国、今はもう……」
「スクランブルかけられたよ」
「なんだかシンが怒るのもちょっと解る気がします。滅茶苦茶ですよあの国。オーブ出る時、私達がどんな目に
遭ったと思います?」
「ん?」
「カーペンタリアを包囲していたはずの地球軍の艦隊に待ち伏せされて、ほんと死ぬとこだったわ。もうちょっ
とで沈んでました、ミネルバ」
「けどカガリがそんな……」
「でも私、失礼だけど馬鹿姫様だと思ってたんですけどね。見直しましたよ。なかなかの狸じゃないですか。出
航前にミネルバに来て大西洋連邦と同盟組むこと知らせて謝って油断させたり。そういえば、ミネルバが出航し
た後結婚したらしいですよ」
「結婚!?」
「ええ…ちょっと前に…そうニュースで……」
「ぁ……」
あ、アスラン、固まっちゃった。
62 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 07:20:53 ID:???
「あのぉ……」
「ぇ?ぁ……」
「あの! でも、式の時だか後だかに攫われちゃって、今は行方不明……」
「ええ!?」
「とかって話も聞きました。良く解らないんですけど。済みません」
「ぁ……」
もっと話したかったけど、残念ながら艦長室に着いてしまった。
でもいいや。これから話す機会はいくらでもあるだろうから!
あたしはモビルスーツデッキに戻ると、セイバーと言うMSを見上げていた。外見は、インパルスやガイアと似て
いる。
あ、アスラン!
……なんか心ここにあらずと言う感じで歩いて来てセイバーのコクピットに上がろうとした。
「ちょっと、無視しないで下さいよぉ」
「え? ああ、いやそんなつもりはなかったけど……なんかいろいろあったんでちょっとボーっとしてただけ
だ」
「そんなにショックだったんですか? アスハ代表の結婚」
「ぅ!いや、まぁ、あれは……」
でも思いっきり政略結婚ですもんねえ。しょうがないと言うか。あたしだったらそんなの絶対嫌だけど」
「で、ルナマリア、何? 何か用?」
やっぱり相当ショックだったらしい。あまり触れられたくない話題みたいだ。話題を変えよう。
「この機体は? 最新鋭ですよねえ? 変形機構を持ってるって聞きましたけどぉ」
「ああ……」
「うわぁ!やっぱりグフとは全然違う!インパルス、って言うかカオスとかと同じ?」
「座ってみたいか?」
「いいんですか!?」
「ああ、どうぞ。でも動かすなよ」
「解ってますよ。ああ、モードセレクタのパネルが違うんだぁ。あ! 新しいプラグインですね?」
「ああ、うん」
その時、艦内放送で、明朝の出航が告げられ、あたしもグフの調整に戻った。
アスランとは楽しく会話できた、かな?でも、やっぱりアスランはなんかいまいち心あらずと言う感じだった。
早く立ち直って欲しいと思う。明日からまた実戦の日々なのだから。
63 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 07:21:05 ID:???
◇◇◇
翌朝、あたしたちは出航した。ボズゴロフ級潜水母艦のニーラゴンゴも一緒だ。
「なに窓にへばりついて見てんだ?」
「シンこそ、なにこんな時に雑誌なんか見てるのよ」
「いいだろ別に」
「しっかり見ておきたいのよ。ここは、また来たい場所の一つになったから。それに、ニーラゴンゴの姿も。僚
艦がいるっていいわね」
ジブラルタルへ向かえ。現在スエズ攻略を行っている駐留軍を支援せよ。と言うのがミネルバに与えられた指令
だ。連合に組した赤道連合は、俗に言うブレイク・ザ・ワールドで大きな被害を受けたと言う。他人の不幸を喜
ぶようだけど、たぶんこちらに手を出す余裕がないだろう事はありがたい。
その期待は裏切られた。網を張られていたのだろう。インド洋に入った時だった。
『コンディションレッド発令。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機せよ』
『インパルス、セイバー、グフ発進願います。ザクは別命あるまで待機。』
『インパルス、フォースシルエット装着。発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッ
ターを閉鎖します。カタパルトスタンバイ確認』
『X23Sセイバー、アスラン機、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖
します。カタパルトスタンバイ確認』
『グフイグナイテッド、発進スタンバイ。全システムオンラインを確認しました。気密シャッターを閉鎖します。
カタパルトスタンバイ確認』
発進シークエンスが次々に進んで行く。あたしは気が楽だった。なんと言ってもアスラン、セイバーの存在が心
強い。
「ルナマリア、シン」
「はい」
「ん?はい」
「発進後の戦闘指揮は俺が執ることになった」
「了解しました!」
「え?」
「シン、いいな?」
「……はい」
「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」
「アスラン・ザラ、セイバー発進する!」
「ルナマリア・ホーク、グフイグナイテッド、出るわよ!」
あたしたちは次々に大空へ飛び立った!
64 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 07:21:21 ID:???
投下終了ー
投下乙ですー
…また凄い時間に投下されましたなw
この編のストーリーは原作準拠ですね。
特にイジる必要もないですか、やっぱ。
GJです。しかし…
今回のルナはシンと同じく…否、流れ弾どころかダルマ責めで冤罪や逆恨みの余地なく
キラ公に父親殺されてんですよね。今凸と良好な会話をしてればしてるほど、
自由がしゃしゃり出てきた時、またその後の凸の庇いだてや煮え切らない態度への
ブチ切れ方が思いやられてガクプルなんですが……
凸を後ろから撃ったりしてなw
後ろから撃っても当てられないルナ
このスレのルナなら正確にコックピットに当てれそうだw
勿論、スレイヤーウィップでだけどなw
作者氏GJ!
待った待った、そもそも「フリーダムに遊び半分に父親殺された」ここのルナが
その相棒だったアスランに何らわだかまりなく肯定的に接してる事自体
どうなのかという気もすんですけんど。
キラ個人の事やアスランのベッタリぶりまでは知らずとも、「前大戦の英雄」という
肩書きが通ってる以上自由とつるんでの行動が知られているはずでは。
それとも、曲がりなりにも大戦終わらせたのは事実だし、と割り切ってるのかな?
72 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 19:03:58 ID:???
敵機は約三十機!
「ええい!数ばかりゴチャゴチャと!」
「オーブ沖を思えばたいしたことはないわ! 飲まれずに行くわよ!」
「ルナマリアの言う通りだ! 言う必要はないと思うが飲まれるな!」
敵機の中にカオスが混じっていた。奴はセイバーを相手と決めたようだった。他には……
「色が違う赤紫のウィンダムが一機! 指揮官機と思われる! 注意!」
「わかった!」
「シン! オーブ沖のように!」
「よし! 左側に追い込む!」
シンの射撃で敵機は次々と数を減らして行く!
あたしもシンに追い込まれる敵機をドラウプニルとスレイヤーウィップで仕留めて行く!
カオスやアビスと戦ってきたあたしには、敵機のビームライフルの取り回しがもたついて見えるくらいだ。
インパルスが目をつけられた!? インパルスが赤紫のウィンダムに翻弄され、他のウィンダムのいきなり統制
の取れた射撃に襲われている!
「させるもんですか! あたしを忘れないでよね! 横合いから思い切り! 殴りつける!」
密集してインパルスに射撃を集中している敵機に飛び込むとドラウプニルを連射しながらスレイヤーウィップを
叩きつける!
密集なんかする方が悪いのよ! 一撃で数機が落ちる! 二撃でまた数機!
「助かる! ルナ!」
「お互い様!」
73 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 19:04:28 ID:???
――! 海中から爆発が!
「ミネルバ!今のは!?」
「アビスです。ニーラゴンゴのグーンと交戦中」
「え!」
「でも一機よ。レイ、ショーンとゲイルで対応します。それより敵の拠点は?そちらで何か見える?」
「いえ、こちらでも何も。しかし……」
「シン、後はカオスと指揮官機よ! カオスはアスランが抑えてる!指揮官機をなんとかこっちに追い込めな
い? 加速性能じゃ負けてるの!」
「やってみるけど、こいつ、早い!」
戦闘に参加できないことが口惜しい。ふと下を見ると、あれは――基地!? 画面を拡大する。
「こんなところに……建設中? あ! 逃げようとしてる人が撃たれてる!まさかここの民間人を……」
許せない! あたしは基地に降下して行った!
対空砲が撃ってくるけどシールドで十分!まっすぐ降りてドラウプニルで対空陣地を叩き潰す!
――! 通信の会話が入ってきた! ニーラゴンゴが沈んだ!? せっかくできた僚艦を!
あたしは無言で基地内をドラウプニルとスレイヤーウィップで壊しまくった。
「ルナマリア!何をやってるんだ!やめろ!もう彼等に戦闘力はない!」
民間人が、柵で隔てられてる。一緒になりたいのね? 柵を壊して隙間を作ると、民間人は歓声を上げて抱き合
った。よかった。
あたしは暖かい気持ちでミネルバへ帰艦した。
74 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 19:04:52 ID:???
パシィン!
あたしは、MSから降りるなりアスランから頬をぶたれた!
「殴りたいのなら別に構いやしませんけどね! けど! 私は間違ったことはしてませんよ! 降伏しない限り、
降伏の意思表示ができなくなる状況にならない限り敵は敵です!」
パシィン!
また、頬をぶたれた!
「その事じゃない! 一人で戦争をしている気になるな! 自分だけで勝手な判断をするな!」
そう言うとアスランはモビルスーツデッキから出て行った。
……
その夜。あたしは甲板に出て星空を眺めていた。
「ここにいたのか、ルナマリア」
「あ、アスラン!?」
「いや、きちんと話しとかなきゃと思ってな」
「……」
「敵への攻撃については、君の言う通りかもしれない。しかし、君を殴った訳は違うんだ」
「……」
「言ったろう、自分だけで勝手な判断をするなと。あの時は、基地の場所の報告だけをして、戦闘を続けるべき
だった。もしかしたら君のところにカオスか指揮官機を追い込められていたかもしれないんだから。君はカオス
を撃破した経験がある。そうなったら、また撃破できた可能性は高い。自分の力を自覚しろ。君は勝手に抜けら
れていい存在じゃない」
「……はい」
「それに、勝手に基地を攻撃した。基地の防備が薄かったからよかったものの、もし、厚かったらどうするんだ。
きちんと偵察して、それから攻撃するべきだ。つまらないことで仲間を失いたくない。わかるな?」
「……はい……ごめん、なさい……」
「な、泣くな。……困ったな」
ふわりとあたしの体がアスランの腕に包まれた。
「もう、泣くな。怒ってやしないから」
アスランの手が優しく頭をなでる。
「……はい、ありがとう。アスラン……」
75 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 19:05:02 ID:???
◇◇◇
「その、大丈夫かよ、ルナ」
「なにがー?」
「ほら、昨日ザラ隊長にぶたれたろ。ほんとひどいよな。いきなり出戻ってきてフェイスだ上官だって……」
「私は気にしてないわ。叩かれた理由が納得できたから」
「そ、そうか?」
「シンこそ、前は、ザラ隊長に、貴方がいる場所はザフトだって言ってたじゃない」
「あ、あの時は……」
「結構影響されたのかもよ? シンの言葉に!」
「そ、そうかなぁ」
「ザラ隊長、いい上官だと思うわ。あんたも素直になりなさいよ。憧れのアスランがザフトに復隊してくれて嬉
しいんでしょう?」
「そりゃ、嬉しくないことも無いさ」
「なら、いいじゃない」
「ま、ルナがいいならいいんだ。俺は別に」
「あ、噂をしてたら! ザラ隊長! おはようございます!」
「やあ、おはよう。ルナ、シン。いい天気になりそうだな。……朝飯はまだか? よかったら一緒に食べるか
い?」
「いいですよ」
「喜んで!」
76 :
赤き月の鷹:2007/04/08(日) 19:05:30 ID:???
投下終了ー
おお、ちゃんと説諭や指導として成立してますなGJ。
…いや、フリーダム乱入後の落差を強調するための意地悪な前フリなのかも、
と思ってしまうのが杞憂ならいいんですが。
>>77 というか、この凸はそもそもキラキラ病じゃない可能性があるよ。
赤髪のディアナでも、最後まで父のため戦いぬいた勇士だったし。
>76
GJです!
この作品のルナはザフト軍人としての意識が強そうですね
いや、復讐心をザフト軍人としての心構えで押さえ込んでるだけかな?
いざキラが出てきた時にシンみたいに復讐心が出ちゃうか、軍人としての
使命を全うしようとするか見ものですね
ルナ&シンの復讐コンビvsキラ、それはそれで見てみたい気もしますがw
80 :
赤き月の鷹:2007/04/09(月) 18:37:01 ID:???
◇◇◇
僚艦のニーラゴンゴを失ったミネルバは、速度を上げ数日後にはペルシャ湾の奥、バスラ近郊のマハムール基地
に到着した。
外に出るのも暑いしあたしたちはモビルスーツデッキで地上戦用の調整をしていた。
「あ、ザラ隊長!」
あたしは悩んでいるところをアスランにアドバイスしてもらった。
ヨウランとヴィーノが何か話してる。
「それに今度、衣装もな〜んかバリバリ?」
「そうそう!そしたらさぁ胸、けっこうあんのなあ。今度のあの衣装のポスター、俺絶対欲しい!」
「「ああッ! アスランさん!」」
「セイバーの整備ログは?」
「……ああっとこれです!」
「ありがとう」
「あっはは……」
「「はぁ……」」
「婚約者だもんなぁ。いいよなぁ」
「ちぇ。ケーブルの2,3本も引っこ抜いといてやろうか?セイバー」
「聞こえてるぞ二人とも」
「「あッ!!」」
「さっきのも全部」
「「あぁすいません!」」
まったく何やってるんだか! ……でも、そうだ。アスラン、ラクス・クラインの婚約者なんだよねぇ。
ふぅ。
81 :
赤き月の鷹:2007/04/09(月) 18:37:39 ID:???
夕方、あたしたちはようやく涼しくなって来た外の空気に触れに甲板に出ていた。
「んー、ようやく涼しくなったわね」
「ええ、夕焼けが鮮やかー!」
「なんかすごい大きく見えるな」
「この地域から文明が興ったのよね。観光で来て見たいわ」
「ここにいたのかシン」
「なんか用ですか? ザラ隊長」
シンは、まだちょっとつっかっかるような口調だ。癖って抜けないもんねぇ。
「……ふ。次の作戦は知ってるな?」
「はい。ガルナハンを落とすんでしょう?」
「落とすと言うか開放すると言うか、ま、そんな所だ。ガルナハンを開放すれば、スエズは孤立するし、ユーラ
シア西側の反乱勢力も息を吹き返す」
「それで?」
「次の作戦、お前が鍵だ」
「え?」
「頼りにしてるぞ」
そう言うと、ぽん、とシンの肩を叩いてアスランは艦内に入って行った。
「やったじゃん! シン」
「期待されてるんだ。頑張れよ」
「へへ」
シンもまんざらじゃなさそうに、にやけた。
82 :
赤き月の鷹:2007/04/09(月) 18:38:13 ID:???
◇◇◇
『パイロットはブリーフィングルームへ集合してください』
「これから、現地の協力員が来るんだって」
「けど、現地協力員て、つまりレジスタンス?」
「まあそういうことじゃない?連合に締め付けられて、だいぶ酷い状況らしいからね、ガルナハンの街は」
あたしたちは籍に着いた。
現地の協力員は、あたしたちより幼い少女だった。
「子供じゃん」
「シン!」
「着席。さあいよいよだぞ。ではこれよりラドル隊と合同で行う、ガルナハン・ローエングリンゲート突破作戦
の詳細を説明する。だが知っての通り、この目標は難敵である。以前にもラドル隊が突破を試みたが…ぁぁ…結
果は失敗に終わっている。そこで今回は、アスラン」
「え?」
「代わろう。どうぞ。あとは君から」
「ぁぁ…はい。ガルナハン・ローエングリンゲートと呼ばれる渓谷の状況だ。この断崖の向こうに街があり、そ
の更に奥に火力プラントがある。こちら側からこの街にアプローチ可能なラインは、ここのみ。が、敵の陽電子
砲台はこの高台に設置されており、渓谷全体をカバーしていて何処へ行こうが敵射程内に入り隠れられる場所は
ない。超長距離射撃で敵の砲台、もしくはその下の壁面を狙おうとしても、ここにはモビルスーツの他にも陽電
子リフレクターを装備したモビルアーマーが配備されており、有効打撃は望めない。君達はオーブ沖で同様の装
備のモビルアーマーと遭遇したということだが?」
「あ、はい!」
「そこで今回の作戦だが……」
「そのモビルアーマーをぶっ飛ばして、砲台をぶっ壊し、ガルナハンに入ればいいんでしょ?」
「それはそうだが、俺達は今どうしたらそうできるかを話してるんだぞ。シン」
「俺たちがモビルアーマーをやっつけた時の手は使えないんですか?」
「うん、そのモビルアーマーの護衛にも、多数のモビルスーツが確認されている。やれるかもしれないが、難し
いだろう。今回は危ない橋は渡れない」
「そうか……」
「そこでだ、現地の協力員が、地元の人もあまり知らない坑道を教えてくれる。それは陽電子砲のすぐそばに通
じている。出口はふさがっているが、ちょっと爆破すれば抜けられる。そこから奇襲をかける」
83 :
赤き月の鷹:2007/04/09(月) 18:38:21 ID:???
「全員で行くんですか?」
「いや、残念ながらその空洞は、モビルスーツが入れるほど大きくないんだ」
「じゃあ、どうやって……」
「シン、君のインパルスは航空機に分離できる。それならぎりぎり通過できる。俺達が正面で敵砲台を引き付け、
モビルアーマーを引き離すから、お前はこの坑道を抜けてきて直接砲台を攻撃するんだ。」
「なるほど、それで俺が鍵か。やらせてもらいますよ」
「ああ。ただし、空洞内は真っ暗で視界が利かない。データが頼りだ。ミス・コニール」
「あ!はい」
「彼がそのパイロットだ。データを渡してやってくれ」
「……」
彼女は、シンの顔をじっと見つめた。
「子供って言ったな。でも、こんな子供でもなきゃ監視が厳しくて街を抜け出せないんだ。前にザフトが砲台を
攻めた後、街は大変だったんだ。それと同時に街でも抵抗運動が起きたから。
「ぁ……」
「地球軍に逆らった人達は滅茶苦茶酷い目に遭わされた。殺された人だって沢山いる。今度だって失敗すればど
んなことになるか判らない。だから、絶対やっつけて欲しいんだ!あの砲台、今度こそ! 失敗したら街のみん
なだって今度こそマジ終わりなんだ! だから、頼むぞ!」
「……わかった。任せろ!」
84 :
赤き月の鷹:2007/04/09(月) 18:39:50 ID:???
投下終了ー
出したいMSの能力が気に入らない場合、別のMSを出すか、それとも改造するか?どっちがいいでしょう?
投下乙ですー
>「そこで今回の作戦だが……」
>「そのモビルアーマーをぶっ飛ばして、砲台をぶっ壊し、ガルナハンに入ればいいんでしょ?」
>「それはそうだが、俺達は今どうしたらそうできるかを話してるんだぞ。シン」
>「俺たちがモビルアーマーをやっつけた時の手は使えないんですか?」
>「うん、そのモビルアーマーの護衛にも、多数のモビルスーツが確認されている。やれるかもしれないが、難し
>いだろう。今回は危ない橋は渡れない」
この辺のやり取りが本編よりいい感じですね。
シンもちゃんと策を考えてたし。
シンもルナも凸もみんなマトモだなあw
…そのせいか、途中まで「常識人」だったレイの影が薄い薄いw
>>84 とりあえず別のMSを出すに一票
非正規の改造は機体に悪影響を出す恐れが有るから
メーカーやザフトの技術開発部門が許可した、或いは施した改造ならこちらに一票
改造後の性能や安全性が保証されてるから
>>84 改造の次第にもよる、と思う。
見た目は変わらないけどスペックが違うとか
他機体の武装を装備するとか
それくらいならOKじゃないかな。
例を挙げるならブレイズウィザードに飛行能力がつく程度なら俺的にはあり
88 :
赤き月の鷹:2007/04/10(火) 11:05:13 ID:???
デスティニーで悩んでるんですよー。議長がくれるので。
遠距離砲なんてルナには縁がなさそうだし。まぁ本編見直してると
雑魚は結構砲撃で倒してるんですけどね。ルナ。
そのまんまでもいいんじゃない?
カラーリングだけトリコロールじゃなくて、赤を基調にしたものに変更したら?
PS装甲は赤の方が硬くて白兵戦向けって事だし。
それに高エネルギー砲付けとかないと、両手剣のアロンダイト2本装備なんてマヌケな事になるし。
二刀流やりたかったら、ブーメランをサーベルモードで使わせりゃいいだけだし。
ルナの戦闘スタイルに合わせて改造された
としておけば問題ないのでは?
デスティニー自体がデッドウェポンだらけでバランス悪かったから、あの装備のデスティニーを無理に出す必然はないと思う。
92 :
赤き月の鷹:2007/04/10(火) 19:25:50 ID:???
『インパルス発進スタンバイ。パイロットはコアスプレンダーへ。中央カタパルトオンライン。気密シャッター
を閉鎖します。中央カタパルト、発進位置にリフトアップします。コアスプレンダー全システムオンライン』
『発進シークエンスを開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路
クリアー。コアスプレンダー発進、どうぞ』
「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」
『カタパルトエンゲージ。チェストフライヤー射出、どうぞ。レッグフライヤー射出、どうぞ』
思えば、これが初めてのコアスプレンダーでの発進かもしれない。シン、頑張って!
あたしたちも発進する!
「ルナマリア・ホーク、グフ、出るわよ!」
格闘とスピードに特化したディスティニー、でどうでしょう?
パルマもなしにして、アロンダイトとビームライフルだけ、で。
それともパルマの部分は隠し武器的に使うか。
94 :
赤き月の鷹:2007/04/10(火) 19:26:54 ID:???
ミネルバがタンホイザーを撃とうとする。敵の大型モビルアーマーが前面に出てくる!
陽電子リフレクターに陽電子ビームが弾き飛ばされる! 巻き上がる土煙
「行くぞ!敵モビルスーツ隊も出来るだけ引き離すんだ!」
「「了解!」」
今度はローエングリンゲートからの砲撃! 再び巻き上がる土煙!
敵MS隊が上空からあたしたちを攻撃する!
「くッ!」
「あいつが下がる!ルナマリア!ぅ…」
敵大型MAが下がろうとしていた。
「させるもんですか! 援護お願い!」
ショーンとゲイルの援護の下、あたしとアスランはミサイルをかわしながら空に飛び立つ!
レイのガイアもMA形態になって駆ける!
あたしは両腕を前に出してドラウプニルを連射してミサイルを迎撃! 上空の敵MSの群れに飛び込むとスレイヤ
ーウィップで薙ぎ払う!
ローエングリン砲台付近に爆発! コアスプレンダーだ!
敵に動揺が走る!
「シン! 来たのね! モビルアーマーは私達に任せて砲台を!」
「了解!」
アスランがその機動で敵MSを散らしてくれる。道は開いた! 下がらせないわよ! モビルアーマー!
それは、オーブ沖で見たMAと違って、上部に通常のMSの上半身が付いていた。両腕にビームライフルを持って撃
ってくる!
でも……こいつ、オーブ沖のMAより弱い? そうか! 地上に這ってなんかいるから!
あたしはシールドでビームを防ぎながら突撃! スレイヤーウィップでMS型の上半身を切り飛ばした!
さぁ、もう終わりよ! コクピットに両腕のドラウプニルをぶち込むと敵MAの動きは止まった!
ローエングリン砲台は!?
「シン! MSや通常の砲台なんか後回しでいい! 陽電子砲を破壊しろ!」
「わかってますよ!」
あたしも陽電子砲台に向かう! 陽電子砲は下に収納されていく所だった! 更にまだ陽電子砲の前に敵MSがい
る! 間に合うか!?
95 :
赤き月の鷹:2007/04/10(火) 19:27:04 ID:???
「うああああーーー!」
シンが敵MSを閉まっていく穴の中へ突き落とす! まだまだ! あたしはテンペストでシャッターを切り開くと
ドラウプニルをぶち込んだ! 爆発が始まる!
「ミッション成功! 退くわよ、シン!」
「ああ、やったな!」
……
あたしとアスランとシンは、ガルナハンの街に降り立った。
コニールがお父さんらしき人に担ぎ上げられてる。シンはMSを降りて行った。下でもみくちゃにされてる。
『ご苦労だったわね、アスラン、ルナマリア。あとはラドル隊に任せていいわ。帰投してちょうだい』
「了解!」
街のあちこちで、地球軍の軍旗が焼かれたりしている。
……嫌な物を見てしまった。
「アスラン、あれ、地球軍の人たちが、殺されてる……いいんですか? ガルナハンの人たちにひどい事してた
って言っても。裁判も無しに、こんなリンチ」
「……今は、しかたないだろう」
アスランは苦い声で言った。
「ここの人たちにとっては、ザフトも連合もよそ者でしかない。なにかあれば彼らは敵に回る。……だが、この
事は、ラドル隊に話をしておく。地元の人と繋がりを保っていたラドル隊から言ってもらう方が良いだろう」
そう言うと、アスランはMSを降りた。あたしも続く。
「ぁ……ザラ隊長、どうしたんですか? 作戦成功でしたね」
「……ああ。しかし、ぎりぎりだったそうじゃないか。お前、他の事に気を取られ過ぎだぞ。奇襲した意味がな
くなるだろう」
「そうよ。雑魚は私達に任せてくれればよかったのに」
「あ……すみません」
「だが、大成功だな。よくやった。シン、君の力だ」
「いえ、そんな。あ! でもあれひどいですよ! もうマジ死ぬかと思いました!」
「んー? なんの事かな?」
「あんなに何も見えないなんて言ってなかったじゃないですか」
「そうか?ちゃんと言ったぞ、データだけが頼りだって」
「いやぁ、それはそうですけどね……」
「でもお前はやりきったろ?出来たじゃないか」
「それはそうですけど……」
「さあ、戻るぞ。俺達の任務は終わりだ。帰ったら祝杯でも挙げよう。おごってやるぞ」
「はい!」
96 :
赤き月の鷹:2007/04/10(火) 19:29:10 ID:???
投下終了ー
アドバイス色々ありがとうございます。グフとデスティニーの写真見ながら無理ない改造しようと
考えてます。こういう事考えるのも面白いですね。
>>96 投下乙ですー
ミッションをきっちりこなしていくのがいいですねー
まさかシャイニングフィンガーの代わりにヒートロッドが……
ていうか運命に乗せる予定だったんだ。
「赤」「月」だからてっきりアカツキだと思ってたわw
おおおキッチリ隊長してるじゃないか、これなら自由とAAがTVと同じように
出て来ても毅然とした対応してくれそうだ?立場が激変したバージョンはともかく
「フェイスでミネルバMS隊長」のままで筋の通ったキャラであり続けるアスラン
というSSはむしろ珍しいので出来る事ならこのままで……
101 :
赤き月の鷹:2007/04/11(水) 17:35:26 ID:???
ガルナハンを攻略したミネルバは、ジブラルタルより進軍したザフト軍によって解放された黒海沿岸都市の一つ、
ディオキアに寄港した。
「今まで海だの基地だの山の中だのばかりだったから、こう言うきれいな街いいですね、ザラ隊長」
「ああ、そうだな」
「あ? この曲って?」
「ああ、お前ら! ラクス様がコンサートやってんぞ!」
ショーンやヴィーノ達が駆けて行く。
「ご存知なかったんですか?御出になること」
「あぁ……ああまぁいゃ……」
「ま、ちゃんと連絡取り合っていられる状況じゃなかったですもんね。きっとお二人とも」
「ぁぁいゃ、まぁうん……」
「ああ!」
ひっどーい! 人にぶつかってあやまりもせず行っちゃうなんて! これだから男は!
「す、すみません。誰かにぶつかられて……」
「ま、確かにここは危ないな。向こうへ行こう」
「はい」
そのままアスランはあたしの腰に手を回して歩いていこうとした。
「いいんですか?見なくて」
「え? シンか。ああ、まぁうん」
まぁ、婚約者なら別にコンサート見なくても普段のファンに見せない普通の姿って奴を見てるだろうしね。
あたしたちは舞台の正面から、それほど人のいない横手に移動した。
「やっぱりなんか……変わられましたよねラクスさん」
メイリンが言う。
「いや! …ぁ…それはまあ、ちょっと……」
ラクス・クラインか……こうして見ているとただのアイドルと言う感じがする。曲がりなりにも一軍を率いた将
には見えない。彼女は御輿だっただけなのか?
「なーに、お姉ちゃん、まるで睨む様に見ちゃって?」
「え? ああ、確かに感じ変わったわね。でも、今のご時勢じゃこういう元気の出る感じの方がいいかもね」
恨む価値も、ないか……。
◇◇◇
102 :
赤き月の鷹:2007/04/11(水) 17:36:12 ID:???
その日の午後、あたしたちミネルバのパイロットはディオキアの街を見下ろすホテルに呼ばれた。なんとデュラ
ンダル議長が来ているというのだ! タリア艦長とレイは先に行っているらしい。
ハイネ・ヴェステンフルス――有名なフェイスのパイロットが案内してくれた。
「失礼します。お呼びになったミネルバのパイロット達です」
「やぁ!久しぶりだね、アスラン」
「はい、議長」
「あぁそれから……」
「ルナマリア・ホークであります」
「シ、シン・アスカです!」
「ゲイル・リバースです」
「ショーン・コネリーです」
「君のことはよく覚えているよ」
ええ!? あたし!? そう言えば、オーブのカガリ代表に文句つけた時、議長もいたっけ。やばっ!
「このところは大活躍だそうじゃないか」
「えぇ?」
「叙勲の申請もきていたね。結果は早晩手元に届くだろう」
「ぁぁ…ありがとうございます!」
「それから君も。例のローエングリンゲートで素晴らしい活躍だったそうだね、シン君」
「いえ、そんな」
「アーモリーワンでの発進が初陣だったというのに、みんな大したものだ」
「あれはザラ隊長の作戦が凄かったんです。俺、いえ自分はただそれに従っただけで」
「この街が解放されたのも、君達があそこを落としてくれたおかげだ。いやぁ、本当によくやってくれた」
「ありがとうございます!」
103 :
赤き月の鷹:2007/04/11(水) 17:37:19 ID:???
あたしたちは席に着き、お茶をご馳走になった。
「兎も角今は、世界中が実に複雑な状態でね」
「宇宙(そら)の方は今どうなってますの?月の地球軍などは」
「相変わらずだよ。時折小規模な戦闘はあるが、まあそれだけだ。そして地上は地上で何がどうなっているのか
さっぱり判らん。この辺りの都市のように連合に抵抗し我々に助けを求めてくる地域もあるし。一体何をやって
いるのかね、我々は」
「停戦、終戦に向けての動きはありませんの?」
「残念ながらね。連合側は何一つ譲歩しようとしない。戦争などしていたくはないが、それではこちらとしても
どうにもできんさ。いや、軍人の君達にする話ではないかもしれんがね。戦いを終わらせる、戦わない道を選ぶ
ということは、戦うと決めるより遙かに難しいものさ、やはり」
「でも……」
「ん?」
シンが会話に口を出した
。
「あ……すみません」
「いや構わんよ。思うことがあったのなら遠慮なく言ってくれたまえ。実際、前線で戦う君達の意見は貴重だ。
私もそれを聞きたくて君達に来てもらったようなものだし。さあ」
「……確かに戦わないようにすることは大切だと思います。でも敵の脅威がある時は仕方ありません。戦うべき
時には戦わないと。何一つ自分たちすら守れません。普通に、平和に暮らしている人達は守られるべきです!」
「ルナマリア君はどうかね?」
「私もそう思います。かかる火の粉は掃わなきゃいけません。自衛のための戦いも否定するのなら、それは、自
殺です。」
「……しかしそうやって、殺されたから殺して、殺したから殺されて、それでほんとに最後は平和になるのかと、
以前言われたことがあります。私はその時答えることができませんでした。そして今もまだその答えを見つけら
れないまま、また戦場にいます」
アスランも話に加わる。
「そう、問題はそこだ。何故我々はこうまで戦い続けるのか。何故戦争はこうまでなくならないのか。戦争は嫌
だといつの時代も人は叫び続けているのにね。君は何故だと思う?シン」
「ぇ!それはやっぱり、いつの時代も身勝手で馬鹿な連中がいて、ブルーコスモスや大西洋連邦みたいに…違い
ますか?」
「いや、まあそうだね。それもある。誰かの持ち物が欲しい。自分たちと違う。憎い。怖い。間違っている。そ
んな理由で戦い続けているのも確かだ、人は。だが、もっとどうしようもない、救いようのない一面もあるのだ
よ、戦争には」
「ぇ?」
「たとえばあの機体、ZGMF-2000グフイグナイテッド。ルナ君の愛機でもあるが、つい先頃、量産体制に入った
ばかりだ。今は戦争中だからね。こうして新しい機体が次々と作られる。戦場ではミサイルが撃たれ、モビルス
ーツが撃たれる。様々なものが破壊されていく」
「……」
「故に工場では次々と新しい機体を作りミサイルを作り戦場へ送る。両軍ともね。生産ラインは要求に負われ追
いつかないほどだ。その一機、一体の価格を考えてみてくれたまえ。これをただ産業としてとらえるのなら、こ
れほど回転がよく、また利益の上がるものは他にないだろう」
「ぇ!」
「議長そんなお話……」
「……でもそれは……」
104 :
赤き月の鷹:2007/04/11(水) 17:37:28 ID:???
「そう、ルナマリア君、戦争である以上それは当たり前。仕方のないことだ。しかし人というものは、それで儲
かると解ると逆も考えるものさ。これも仕方のないことでね」
「いえ、私の言いたかった事はそうではなくて……」
「ふむ、何かね?」
「聞いたことがあります。昨今の巨大資本にとって全世界を巻き込んだ大戦争などと言う物は、悪夢だと。なぜ
なら現代の戦争は彼らの資産を徹底的に破壊し、良質な労働者と言う資源を戦争に取られてしまうのですから。
資本主義の発達した現代、最も大きな消費は民需です。これを減退させる戦争は企業にとって悪夢に他なりませ
ん。そうなれば経済は後退するでしょう。現にそうなっています」
「ちょっとルナマリア君、来てくれたまえ!」
「え、は、はい」
議長はベランダの隅へ歩いていく。あたしもあわてて追いかける。
「ふふふ、ルナマリア君は賢いな」
「そう言う言い方、嫌いです。大人っぽくて」
「そうだな。気をつけよう」
議長は苦笑した。
「いいかね、政治家は、清濁併せ呑まねばいけない。これから私が話すのは、ある意味汚い話だ。秘密にしてく
れたまえよ?」
「は、はい!」
「人と人とが協力できる状態とはなんだと思うね?」
「お互いに協力すれば得になる事を持つ事ですか?」
「そうだ。その簡単な方法が、共通の敵を持つ事だ。これから皆の前で話す事は、私がやろうとする事は、倫理
的には間違いかも知れないが、プラントを地球の仲間だと思ってもらうためには、プラントのためには必要な事
だと私は信じる。どうか話を合わせてくれ給え」
「はい、いいですよ。でも、私に論破されるようじゃだめですよ」
「はっきり言う。気に入らんな」
「どうも。気休めかもしれませんが、議長ならうまくやれますよ!」
「ありがとう。信じよう」
あたし達はみんなの所へ戻った。
「さて、さっきの続きだが、戦争が終われば兵器は要らない。それでは儲からない。だが戦争になれば自分たち
は儲かるのだ。ならば戦争はそんな彼等にとっては是非ともやって欲しいこととなるのではないのかね?」
「そんな!」
「あれは敵だ、危険だ、戦おう、撃たれた、許せない、戦おう。人類の歴史にはずっとそう人々に叫び、常に産
業として戦争を考え作ってきた者達がいるのだよ。自分たちに利益のためにね。今度のこの戦争の裏にも間違い
なく彼等ロゴスがいるだろう」
「ロゴスと言うんですか? そんな物があったなんて!」
「彼等こそがあのブルーコスモスの母体でもあるのだからね」
「なんて事! ロゴス……許せませんね!」
「だから難しいのはそこなのだ。彼等に踊らされている限り、プラントと地球はこれからも戦い続けていくだろ
う。できることならそれを何とかしたいのだがね。私も。だがそれこそ、何より本当に難しいのだよ……」
105 :
赤き月の鷹:2007/04/11(水) 17:37:42 ID:???
投下終了ー
投下乙ですー
>「ショーン・コネリーです」
リアルに烏龍茶吹いたw
…つか、
「ふふふ、ルナマリア君は賢いな」
「そう言う言い方、嫌いです。大人っぽくて」
「そうだな。気をつけよう」
「はっきり言う。気に入らんな」
「どうも。気休めかもしれませんが、議長ならうまくやれますよ!」
「ありがとう。信じよう」
福田両澤の脚本より、よっぽとシャアしてるぜw
GJ!
ここのルナはきっと「あほ毛」は無いんだろうなwww
アホ毛がルナマリアの本体って話だぞ?
これを切ると身体の方は腐り落ちてしまうんだ。
で、アホ毛から身体が生えてくるんだ。
議長がそう言っていたんだから間違いない(゚д゚)
その話の真偽を確認する方法はただ一つ。
スプリングマンを連れてきて一度デビルトムボーイをば喰らわしてだな
だったらスプリングマンを連れてくるしかないじゃないか!( ´∀`)
やめて。ルナバラバラになっちゃうからやめて
気にするな……すぐ生えてくる。
キラが最期の最期に罪滅ぼしで放出した三百万パワーの一つがちぎれた
アホ毛の上に落ちてゴワゴワ…ゴワゴワと…
同じく携帯の上に落ちてシンがゴワゴワと…
そして、レイの上にも落ちるのだが…
ルナ・シン「何故レイは復活しない!」
レイ「俺はナチュラルだから…」
誰がキラ倒したんだよ
凸?
同人アニメ版を見てても思ったけど、
政治のトップが兵士に政治論を語るなんて北朝鮮でも考えられないとおもう。
プラントの底が浅いのか、議長の権威が低いのか、多分両方だろうな。
>>117 結構有ると思うよ
ブッシュがイラク行ったときに兵士集めて語ってたし
まあ、士気を維持する為のパフォーマンスだわな
119 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:05:43 ID:???
お茶会が終わり、あたしたちはこのホテルに泊まっていくよう勧められた。
「ほんとに、よろしいんですか?」
「ええ、休暇なんだし。議長のせっかくの御厚意ですもの。お言葉に甘えて今日はこちらでゆっくりさせていた
だきなさい。確かにそれくらいの働きはしてるわよ、あなた方は」
「そうさせていただけ。シンもルナマリアも。艦には俺が……」
「艦には私が戻ります。隊長もどうぞこちらで」
「いやそれは……」
「いや、艦には俺が残ろう、レイ。いやなに、こんな高級なホテルなんざ、何か起きそうで却って眠れん」
「でも、ショーン……」
「これでも俺は皆より少しだが年上だ。年上の言うことは聞くもんだ。お前らにはこんな所に泊まるのもいい思
い出になるかもしれん。気が咎めると言うなら、今度隊長に一杯おごってもらうさ。な、隊長」
「アスラン!」
「ん?」
あ、廊下の向こうから走ってくるのはラクス・クライン?
「あはは」
「ミーぁ……」
「これはラクス・クライン。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「ぁッ!」
ラクスはアスランに抱きついた! いくら婚約者だからってこんな人前で!!
「ホテルに御出と聞いて急いで戻って参りましたのよ」
「な…ミー…ァはぁ…」
この女! 人にぶつかっておいて!
「今日のステージは?見てくださいました?」
「え?あぁまぁ……」
「本当に!?どうでしたでしょうか?」
「ぁ…ああええ…ま……」
「ふん」
「彼等にも今日はここに泊まってゆっくりするよう言ったところです」
「ぇ?ぁ!」
ラクス・クラインも泊まるんだ。そりゃそうか、ここ、街で一番いいホテルだもんね。
「どうぞ久しぶりに二人で食事でもなさってください」
「ま〜!ほんとですの!それは嬉しいですわ!アスラン、では早速席を」
「ああ、その前にちょっといいかな?アスラン」
「ん?」
議長とアスラン、ラクス・クラインは別の所へ行ってしまった。
120 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:06:45 ID:???
あたしたちは部屋に案内された。
ビジネスホテルなんかとまったく違う部屋。広い!ベッドも広い。二人は寝れそうな広さ。
広いだけじゃなくて年月を重ねた物だけが持つ空気。
もったいない、メイリンと一緒に泊まれたらよかったな……
なんて思ってしまう
「ルナー」
あ、ゲイルが呼びに来た。
「みんなで夕食に行きましょ」
「いいわね! こんなホテルの食事なんて楽しみ!」
ホテルのレストランではジビエ料理をお勧めされた。
プラントに住んでるあたし達にとって、まるで縁のなかった料理。
それが食べられる! あたし達は迷うことなくジビエのコース料理を選んだ。
前菜は生ハム&旬のフルーツだ。
「ねぇ、なんで生ハムとメロンって一緒に食べるの?」
「それはね、ルナ。生ハムとメロンを一緒に食べると、メロンの青臭さが気にならず、甘味も増し、生ハムの塩
味も和らぐからよ。栄養学的に見ても、この食べ合わせは理に適っていると言うわ」
「ゲイルって物知りねー」
「不思議な食べ合わせは、他にも、イチジクとサラミとか、洋ナシとゴルゴンゾーラチーズ、ペコリーノチーズ
の蜂蜜がけなんてのもあるらしいわ。ま、あたしもほとんど耳学問だけどね」
と言ってゲイルはウインクして舌を出した。
その後も、ブリュターニュ産ウズラのフリット バルサミコソース サラダ添え、トンブ産うさぎのラグーのフ
ェットチーネ、ダマ鹿のロースト 黒胡椒風味、と、次々運ばれてくる料理を満喫した。
お腹一杯になったあたしは幸せな気持ちで眠りに付いた。
121 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:07:48 ID:???
◇◇◇
「おはようございます、アスラン! お目覚めですか?よろしければダイニングにご一緒にと思いまして」
翌朝、あたしはアスランを起こしに行った。昨夜は一緒に食べられなかったから、今朝は一緒に食事したいな。
「ぁぁあーあー、ぇっと…えぇ?ぁ…」
「アスラン?」
「あ、ああ!」
「ぁ…」
え、ラクス・クライン!? それにこの格好!
「ありがとう。でもどうぞお先にいらしてくださいな。アスランは後からわたくしと参りますわ」
アスランはラクス・クラインの後ろで
「ぁぁ…」
とか呻いてる。情けない!
「え…あぁの…ぇ…ぁはい…………」
あたしもよくわからない返事をしてしまった。目の前で無常にも扉が閉まる。はぅ。
結局、ゲイルと食事をした。何を食べたかは、覚えてない……
122 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:08:52 ID:???
ラウンジに降りていったらシンに会った。
「え?議長もう発たれたの?」
「ええ。お忙しい方だもの。昨日ああしてお話しできたのが不思議なくらいでしょ、ほんと」
「あ、まあ……」
「はぁ……」
「……ルナ、どうしたの?」
「別に」
「お前達、昨日のミネルバのひよっ子だろ?もう一人のフェイスの奴はどうした?」
あ、昨日案内してもらったフェイスの……
「失礼いたしました、おはようございます」
「あッ…え…」
「ふふ」
「ザラ隊長でしたら、まだお部屋だと……あ……」
噂をすれば……アスランはラクス・クラインといちゃつきながら降りてきた。
「なるほどね。分かった分かった、サンキュウ。おはようございます、ラクス様」
「あーら、おはようございます」
「昨日はお疲れ様でした。基地の兵士達もたいそう喜んでおりましたね。これでまた士気も上がることでしょ
う」
「ハイネさんも楽しんでいただけましたか?」
「はい、それはもう。昨日はゴタゴタしててまともに挨拶も出来なかったな」
「あ……」
「特務隊、ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしくな、アスラン」
「こちらこそ。アスラン・ザラです」
「知ってるよ、有名人」
「ん?」
「復隊したって聞いたのは最近だけどな。前はクルーゼ隊にいたんだろ?」
「ぁはい」
「俺は大戦の時はホーキンス隊でね。ヤキン・ドゥーエでは擦れ違ったかな?」
「ラクス様。ラクス様には今日の打ち合わせが御座いますので申し訳ありませんがあちらで」
「ええ〜!」
「お願いします」
「は〜い、仕方ありませんわね。ではアスラン、また後ほど」
「ああ、はい……」
ラクス・クラインは去って行った。
123 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:10:41 ID:???
「仲いいんだな、けっこう」
「え?ぁぁいやぁそんなことは……」
「いいじゃないの、仲いいってことはいいことよ?うん」
「はいまぁ……」
「で、この5人と昨日の右頬に傷のあるやつの全部で6人か、ミネルバのパイロットは」
「ぇ?はい」
「インパルス、ガイア、グフ、ザクファントム、セイバー、そしてあいつがザクウォーリアかぁ」
「ん?」
「はい」
「で、お前フェイスだろ?艦長も」
「はぁ……」
「戦力としては十分だよなぁ。なのに何で俺にそんな艦に行けと言うかね、議長は」
「え!?」
「ミネルバに乗られるんですか!?」
「ま、そういうことだ。休暇明けから配属さ。艦の方には後で着任の挨拶に行くが、なんか面倒くさそうだよな、
フェイスが三人っては」
「いえあの……」
「ま、いいさ。現場はとにかく走るだけだ。立場の違う人間には見えてるものも違うってね。とにかくよろしく
な。議長期待のミネルバだ。なんとか応えてみせようぜ」
「はい、よろしくお願いします」
「「よろしくお願いします!」」
124 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:11:25 ID:???
その後しばらくして、アスランと一緒にラクス・クラインがヘリコプターで去るのを見送った。
「さ、どうしよっかなぁ今日はこれから」
「ん?どうって?」
「街に出たい気もするけどショーンにも悪いから艦に戻ろっかなー」
「せっかくの休暇だ。のんびりしてくればいい。艦には俺が戻るから気にしなくていいぞ」
「そっか!隊長はもういいですもんねー。ラクス様と十分!ゆっくりされて!」
「ぇ!」
「そうですよ、どうせならラクス様の護衛に就いて差し上げれば良かったのに」
「ルナマリア!」
「隊長はフェイスですもん。そうされたって問題はないでしょ?」
「ちょっと待て!ルナマリア!」
「ふー」
「みんな、先に行ってくれ」
「あ、はい」
「叩きます?」
「はぁ…今朝のことは、俺にも落ち度があることだから言い訳はしたくないが。君は誤解しているし、それによ
ってそういう態度を取られるのは困る」
「誤解……」
「……」
「誤解も何もないと思いますけど。分かりました。以後気をつけます。ラクス様がいらしている時は!」
「いやだから……」
「大丈夫です。お二人のことは私だってちゃんと理解してるつもりですから」
「だから! 目が覚めて気がついたらいたんだってば!」
「はい。そう言う関係ですものね。婚約者」
「もう……はぁ……」
125 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:11:57 ID:???
結局アスランは艦に帰っていった。
あたしも艦に帰ってショーンやゲイルとこの街をぶらついた。
メイリンはヴィーノやヨウランと出かけるらしい。姉離れって事かな。少し寂しい気もする。
「こうして普通の格好をして街の人の会話を聞いてみろ。おもしろいぞ」
あたしたちは昼間からやっていたレストラン『AVANTI』のウェイテイングバーに入った。
「マスター! ヴェスパーを頼む。ご婦人にはダイキリを」
ショーンが頼んでくれたカクテルを飲みながら聞き耳を立てる。
「いやーしかし驚いたよ。プラントの議長が来てくれるとはよ」
「ああ、なんか同じようにこの辺の街、少し回っていくんだって。ラクス・クラインも」
「前の戦争ん時は敵だ敵だって戦ってさ、それが今じゃこうだもんな。ほんと分からねえもんさ」
「コーディネイターなんてやっぱりちょっとおっかない気もするけどさあ、あの乱暴者の連合軍に比べたら全然
マシだよ。ちゃーんと紳士じゃないか」
「プラント、評判いい見たいね」
「ああ、きちんと行儀よくしてるみたいだな。それに比べて連合軍はかなり行動が乱暴だったらしいな。統制が
取れていないのかも知れん。それから、ラクス・クラインの名をこんな所の人も知っているって事もわかる」
カクテルを飲み終えると、あたしたちはバーを後にした。
「ごちそうさま、マスター」
「いってらっしゃいませ!」
なかなかいい雰囲気だった。面白い話も聞けたし。また、来て見たいな。ここに。
126 :
赤き月の鷹:2007/04/13(金) 20:12:55 ID:???
投下終了ー
投下乙ですー
この辺の流れは原作重視ですね。
…ここでもミーアはくるのねw
>コーディネイターなんてやっぱりちょっとおっかない気もするけどさあ、あの乱暴者の連合軍に比べたら全然
マシだよ。ちゃーんと紳士じゃないか
現地住人にしてみれば支配者の首がすげ代わるだけなんだろうな。
少し冷静になって考えれば連合とプラントの両方にもてあそばれているだけだとわかりそうなものだが。
明けの砂漠みたくレジスタンスやるんだろうな。
あああアヴァンティー!wwwwwwwwwwwwwww
ジェイクがいるのか?スタンがいるのか><取手がいるのかwミスターわぁ?!
と、まぁ解かる人は少ないだろうがGJ!作者氏は俺と同年代なんだろうなぁ
ちゃんとした軍組織であるはずの連合軍が民兵組織のザフトにモラルの面で劣る、というのは実際問題異常なことのはずなのですが、それが罷り通るのが種っていう世界観なんですよね。
戦争時ならなおさら民間に「連合の方がマシだ」と思わせないといけないはずなのに。
131 :
赤き月の鷹:2007/04/14(土) 17:30:09 ID:???
次の日、言葉通り、ハイネさんはミネルバにやってきた。
「ショーン・コネリーです」
「ああ、ザクウォーリアね。ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしく。しっかしさすがに最新鋭だなぁミネルバ
は。な?ナスカ級とは大違いだぜ」
「ええ、まあそうですね」
「ヴェステンフルス隊長は今まではナスカ級に?」
「ハイネでいいよ。そんな堅っ苦しい。ザフトのパイロットはそれが基本だろ?君はルナマリアだったね?」
「あぁはい」
ハイネさんってやっぱり気さくな人だ。よかった!
「俺は今まで軍本部だよ。この間の開戦時の防衛戦にも出たぜ?」
「隊長……あの俺達は……」
「ヴェステンフルス隊長の方が先任だ、シン」
「ハイネ」
「ぁ……」
「あ、でも何?お前隊長って呼ばれてんの?」
「ぁぁいえまぁ…はい」
「戦闘指揮を執られますので我々がそう」
「えー。んー、いやでもさぁ、そうやって壁作って仲間はずれにすんのはあんま良くないんじゃないの?」
「「ぁ……」」
「俺達ザフトのモビルスーツパイロットは戦場へ出ればみんな同じだろ?フェイスだろうが赤服だろうが緑だろ
うが、命令通りにワーワー群れなきゃ戦えない地球軍のアホ共とは違うだろ?」
「はい」
「だからみんな同じでいいんだよ。あ、それとも何?出戻りだからっていじめてんのか!?」
「え?」
「あ、いやぁ……」
「いえ、そんなことは……」
「なら、隊長なんて呼ぶなよ?お前もお前だなアスラン。何で名前で呼べって言わないの」
「すいません」
ちょっと残念な気もする。実は意識してアスランと二人だけの時は「アスラン」って呼んでたんだけど。みんな
が「アスラン」って呼んじゃうとなー。
「ま、今日からこのメンバーが仲間ってことだ。息合わせてばっちり行こうぜ!」
「「はい!」」
132 :
赤き月の鷹:2007/04/14(土) 17:30:56 ID:???
悪い知らせが入った。スエズに連合軍の増援、そしてそれは黒海に来るらしい。
そして……
「ええ!?オーブ!?」
「そ、援軍、オーブだって」
「そんな……なんであの国が……」
「もう信じらんないわよねーほんと、こんなとこまで。でも、今は地球軍だもんね、そゆこともあるか」
「……」
「しかたなかろうな。一度連合に付くと決めたからには。でないと、オーブが攻められる。実体験もあるしな」
「シン、割り切れ。でないとお前が死ぬぞ」
「レイ……」
「……シン、もしオーブ軍が来たら、ミネルバを守ることに専念していいわよ。ハイネさんも来たんだし、私達
で、オーブ軍は攻撃するから」
「……いや、俺がやるよ。オーブ軍なんか全部、俺が沈めてやる!」
そう言うと、シンはお盆を持って去って行った。
「どうしてシンが、あえて自分の手でオーブ軍を沈めると言った意味がわかるか」
二人きりになった時、ふいにレイが聞いてきた。
「さあ? 前の時はオーブの理念とやらで家族を殺され、今度はその理念を破る、その身勝手さに怒ったんじゃ
ないの?」
「もし理念を守ればまた国を焼くかも知れないと、シンもわかっているんだ。もし誰かの手でオーブ軍が滅ぼさ
れれば、シンはどうしてもその者に対する恨みを禁じえないかもしれない。だが、自分が積極的に動いてオーブ
軍を滅ぼせば、祖国の敵は自分自身、誰も恨む筋はない。そう考えたのだ。彼はそういう男だ」
「そう考えるのには、なにか根拠があるの?」
「俺の勝手な解釈だ。真実かどうかは知らん。……それにしても」
レイは苦笑したように見えた。
「それにしても、俺も口数が多くなった物だ」
あたしは決めた。シンだけに、辛い思いはさせない。
133 :
赤き月の鷹:2007/04/14(土) 17:31:39 ID:???
ダーダネルス海峡まであと少しの位置でコンディションレッド発令がされた。
「シンとハイネ、俺とルナはとりあえず交代で敵MSの迎撃。レイ、ショーン、ゲイルは飛べない以上対空砲火に
専念してくれ、とにかくミネルバに敵を近づけないよう頑張ろう」
「「はい! アスラン」」
「そうそう! いい感じになってきたじゃないの」
「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ、行くぜ!」
「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
ハイネさんはテンペストを抜くと、そのリーチを生かして敵を切り裂いていく。
ああ言う戦い方もあるんだ……
シンもいつも通り、ビームライフルで敵の数を減らしていく。
『タンホイザー起動。照準、敵護衛艦群。プライマリ兵装バンクコンタクト。出力定格。セーフティ解除』
オーブ軍には空母もいる。それごと掃射する手だ。うまくいってほしい。空母を叩けたら、楽になる。
――その時、上空からタンホイザーが撃たれ、爆発した――
「あれはアークエンジェルにフリーダム!? キラか! なんで!」
「ブリッジ! 被害は!?」
『乗員5名死亡! 更に負傷者あり!』
「ううぅぅぅーーー!」
134 :
赤き月の鷹:2007/04/14(土) 17:31:47 ID:???
言葉もないあたしたちが見ている前で、アークエンジェルから一機のMSが発進した。
「私は、オーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ!」
「「え!?」」
「カガリ!?」
「オーブ軍、直ちに戦闘を停止せよ! 軍を退け! 現在、訳あって国もとを離れてはいるが、このウズミ・ナ
ラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハが、オーブ連合首長国の代表首長であることに変わりない! カガリ
その名において命ずる! オーブ軍はその理念にそぐわぬこの戦闘を直ちに停止し、軍を退け!」
「まったく……何がどうなってるんだか。まさか、このままオーブが退くなんてことは……」
「艦長。動きがあったら俺とルナも出ますよ? いいですね?」
「ええ、お願い」
静まった戦場に凛とした声が響く。
『オーブ全軍に告ぐ、アレが本物であろうとなかろうと我らには関係ない! 祖国の為を思うならば、今は理念
を放棄する屈辱を受けてでも戦わねばならない! これはオーブ生き残りをかけた戦いだ! 諸君らの健闘を期
待する!』
『聞いてのとおりだ。全軍、攻撃開始!』
重々しい声と共に、アークエンジェル、フリーダム、そしてカガリ・ユラ・アスハと名乗ったMSに攻撃が開始さ
れる!
「オーブ軍!何をする!私は……」
それと同時に横合いから地球軍がミネルバを狙いにやってくる!
『モビルスーツ隊、全機発進せよ!』
「ルナマリア・ホーク、グフ、出るわよ!」
135 :
赤き月の鷹:2007/04/14(土) 17:32:05 ID:???
投下終了ー
あっ……レイはレイでも故・塩沢氏に……
投下乙。
でも出撃時はインパじゃなくてコアスプレンダーだよね。
あとやっぱりショーン吹いたwww
>>130 ユーラシアの中心はどこかってのが関係あると思いますね。
>『オーブ全軍に告ぐ、アレが本物であろうとなかろうと我らには関係ない!
祖国の為を思うならば、今は理念を放棄する屈辱を受けてでも戦わねばならない!
これはオーブ生き残りをかけた戦いだ! 諸君らの健闘を期待する!』
>『聞いてのとおりだ。全軍、攻撃開始!』
これはそれぞれ上がユウナ、下がトダカあたりの台詞って事で、つまりは
少なくともTV以上に軍民の人心を掌握しているという解釈でいいんでしょうかね。
まあ常識的に考えれば本来当然の対応なんでしょうが…
140 :
赤き月の鷹:2007/04/15(日) 19:43:58 ID:???
「カオスがいるのか。カオスは俺が抑える! ハイネ、シン、ルナ! 十分に連携して戦え! オーブ軍は攻め
られない限りまだこちらから手を出すな! 最後に各員、アークエンジェルとフリーダムがオーブ代表を拉致
して逃走したことは知っているな? もしあの勢力の人員が前大戦以来変わっていないなら奴らは、こちらを
殺そうとはしない、無視してかまわん! ただし、武装を破壊されること及びミネルバの武装付近にいる人員
達は二次災害に十分注意してくれ。以上だ!」
「「了解!」」
『オーブ軍、モビルスーツ各隊は地球軍と共にミネルバへの攻撃を再開せよ! もう敵に陽電子砲はない!』
オーブ軍もか!
「オーブ軍は俺が引き受ける!」
「シン!」
「……わかったわ。だけど、あたしも混ぜてもらうわよ」
「ルナ……」
「仲間でしょ?」
「わかった!」
「ミネルバ及び各員! アビス確認! 下からの攻撃に気をつけろ!」
「了解!」
「ハイネ! 連携してまずカオスをやろう!」
「OK! アスラン!」
「ルナ! ミネルバに4機向かった! そっちに追い込む!」
「了解!」
「ちょこまかと!」
敵はMA形態、MS形態と頻繁に変形する!
ドラウプニル! ばら撒く! 一機被弾!
一機ずつ確実に行くしかないか! スレイヤーウィップを胴体に叩きつける!
シンも一機落とした。後一機!
「うわぁーー! なんだこいつ!」
「何?」
シンのインパルスが! 上空から舞い降りてきたフリーダムに右腕を切り落とされた!
「よくも……フリーダム! 父さんと――ミネルバの乗組員の仇!」
「え? 仇……?」
突然棒立ちになったフリーダム。だけど容赦はしない! 両腕からのスレイヤーウィップ!
141 :
赤き月の鷹:2007/04/15(日) 19:44:13 ID:???
とっさにフリーダムは動き、ビーム砲を破壊しただけで終わった。
――くそう! フリーダムは退いていった。
「何なのよ! あんた達はーーーー!!!」
……結局。海峡の防衛には成功した物の、尊い犠牲が出た。そのすべてはフリーダムにタンホイザーを撃た
れて生じた物だった。タンホイザーの発射寸前だった事が、艦首部の被害を大きくしたのだ。
最終的に死者10名、更に重傷者3名。彼らは後送された。
「あいつらのせいだ……」
「ん!」
「あいつらが変な乱入して来なきゃ……大体何だよあいつら!戦闘をやめろとか。あれがほんとにアークエン
ジェルとフリーダム!? ほんとに何やってんだよオーブは! 馬鹿なんじゃないの?」
「私の父さんもフリーダムに殺されたわ。宇宙を何時間も漂って、酸欠だった。でも、クライン派は、フリーダム
は人の命を奪わないとか宣伝していたわ。所詮綺麗事言ってるだけなのよ! あいつらは!」
「くッ!」
アスランにあたるのは筋違いだと分かってる。アスランも苦しいと思う。知り合いがこんな事をしでかして。
廊下でアスランが壁を殴りつけてるのを見てしまった。
「くそう! 戦争はヒーローごっこじゃないんだぞ! キラ!」
アスランは泣いていた。あたしはそっとそこを離れた。
142 :
赤き月の鷹:2007/04/15(日) 19:50:03 ID:???
翌朝、セイバーが離艦していった。その前に、あたしは艦長に呼ばれていた。
そこであたしはアスランがアークエンジェルと接触するために離艦する事を知らされた。
そして、その様子を探る事も命じられたのだった……
アスランが泊まるホテルの部屋を監視できるホテルの部屋を取る。こんなことしてるとまるでスパイみたいだ。
ザフトに連絡すると、盗聴の手はずを整えてくれた。
ずっと見張っているのも疲れる物だ……
翌朝、動きがあった! あたしも後を追いかける! 小型ヘリコプターで待ち合わせの場所から離れた場所に
降り、歩いて近くまで行って、集音機の準備をする。
「キラ。カガリ」
「アスラン……」
「どういうことだ!アスラン!お前……」
「……」
「ずっと、ずっと心配していたんだぞ!あんなことになっちゃって連絡も取れなかったけど。でも…なんで!
なんでまたザフトに戻ったりなんかしたんだ!」
「その方がいいと思ったからだ。あの時は。自分の為にも、オーブの為にも」
「そんな…何がオーブの!」
「カガリ!」
「ぁぅ…キラ……ぁ……」
「あれは君の機体?」
「ああ」
「じゃあこの間の戦闘……」
「ああ、俺もいた。今ミネルバに乗ってるからな」
あれが、キラ・ヤマト。父さんの仇!
「ぁ……」
「お前を見て話そうとした。でも通じなくて……。だが何故あんなことをした!あんな馬鹿なことを!」
「ぁ……」
「おかげで戦場は混乱し、お前のせいでミネルバにも要らぬ犠牲も出た」
「馬鹿なこと…?あれは、あの時ザフトが戦おうとしていたのはオーブ軍だったんだぞ! 私達はそれを…!」
「ミネルバの乗組員を殺すのはかまわないのか? 陽電子砲を破壊されてどれだけの乗組員が死んだと思っ
ている! それにあそこで君が出て素直にオーブが撤退するとでも思ったか! オーブの主力がここにいる
なら、連合を裏切れば簡単にオーブはまた焼かれるだろうに、オーブが連合を裏切れるはずがないだろう!」
「ぅぅ……」
「君がしなけりゃいけなかったのはそんなことじゃないだろ!戦場に出てあんなことを言う前に、オーブを同盟
になんか参加させるべきじゃなかったんだ! …まさか、出兵の強要を想像もしなかった訳でもないだろう?
2年前、オーブのマスドライバーの使用を強引に求めたのも、地球連合だ。……オーブを焼かないために、
他国を攻める選択をしたのだろう、一度」
「それは……」
あたしの中のカガリ株が急降下した。やっぱり馬鹿姫だったか。
143 :
赤き月の鷹:2007/04/15(日) 19:50:43 ID:???
「カガリは、間違ってしまったことを分かってる! あの時は確かに間違った、でもアークエンジェルに来て分
かってくれたんだ。他の国を撃つ事はやはりいけないって事、それを何とかしたいと思ったからカガリは……」
「何とかしたいと思って、何をしたんだ?」
「――!」
「まさか、間違いを分かるのにこんなに時間がかかった訳でもないだろう。それから、何をしていた。無為に時
を過ごしていただけか。オーブ軍がミネルバを攻撃するまで。オーブが連合に出兵を強制されても、オーブ軍
が出撃しても、オーブ軍が連合軍と合流しても、何もせず」
「もう、やめてくれ。カガリも混乱してる」
「まあ。いまさら言っても仕方がないか。でも、よく考えてくれよ、カガリ」
「でもそれで、君が今はまたザフト軍だっていうなら、これからどうするの? 僕達を探していたのはなぜ?」
「探していたのはもうあんなことはやめさせたいと思ったからだよ。俺がザフト軍兵士としての義務を果たす羽
目になる前にああいう行動は止めてもらいたいんだ。ユニウス・セブンのことが問題なのはわかってるけどね、
その後の混乱は、どう見たって連合が悪いよ。抑えようとすれば抑えられた民間の暴動を煽って、開戦に持
ち込んだんだから。……まぁそんなことは今言っても仕方がない。とにかく今重要なのはこの戦争を早期に
終わらせることだと俺は思ってる。早く終わらせるために俺の出来る事をやろうとも。でも君達の行動は、ただ
状況を混乱させているだけだ。まるで戦争を長引かせたいかのようにね」
「本当にそう?」
「……?」
「プラントは本当にそう思っているの? あのデュランダル議長って人は、戦争を早く終わらせて、平和な世界
にしたいって」
「俺はそう信じるよ」
「じゃあ、あのラクス・クラインは?」
「……ああ、彼女か」
「あのプラントにいるラクスはなんなの? そして、何で本物の彼女はコーディネイターに殺されそうになるの?」
「あのラクスの替え玉は混乱を抑えるための一手段だと思うが。なにしろ議長以上の影響力を持ちながらも終
戦の立役者本人はオーブに引っ込んでしまったからな。まぁ俺も人の事は言えんが。その是非はともかく民
衆の混乱の収束には一定の成果は上げているようだな。」
ああ! 驚くべき内容だけど、なんかすんなり納得できた。ラクス・クラインが何か変わったと思ったのも道理
だ。あの議長ならやりそうな事だ。
144 :
赤き月の鷹:2007/04/15(日) 19:50:52 ID:???
「……で、殺されそうになったというのは?」
「オーブで僕らは、コーディネーターの特殊部隊とモビルスーツに襲撃された。狙いはラクスだった。だからボ
クはまたフリーダムに乗ったんだ」
「……何でフリーダムを保管してたんだ? ユニウス条約違反の?」
「彼女もみんなも、もうだれも死なせたくなかったから。彼女は誰に、なんで狙われなきゃならないんだ? そ
れがはっきりするまでは、僕はプラントを信じられない」
「キラ、俺たちの手は血で汚れてるんだ。俺たちを恨んでる人間なんてそこらじゅうに居るんだよ。宇宙にも、
地球にも、モビルスーツを持ち出してまで恨みを晴らそうという人間はね。まぁ、君たちが信じたくないのならプ
ラントを無理に信じなくてもいいけど、もう戦場には出てこないでほしい。今の俺はザフト軍兵士だ。国と仲間
の安全の為には義務を果たさなきゃいけないから」
「じゃあ、お前は戻らないのか?アークエンジェルにも、オーブにも!」
「オーブが、今まで通りの国であってくれさえすれば、行く道は同じはずだ。だから条約を早く何とかしてオー
ブを下がらせろ」
「アスラン!」
「俺は復隊したんだ!今更戻れない」
「でもそれじゃあ、君はこれからもザフトで、またずっと連合と戦っていくっていうの?」
「仲間を守るために。昔、お前が俺に言った言葉だな」
「じゃあこの間みたいにオーブとも?」
「攻撃されるなら、しかたないじゃないか。これも、昔お前に言われた言葉だな」
「……」
「ほんとに嫌なんだ、こんなことは。俺もオーブと戦いたくない。戦わせないでくれ。お願いだから」
「……でも、どうやれば……」
「カガリ、オーブにいて俺が感じた事だが、前大戦の後でもアスハ家を慕う物は民衆の中に大勢いる。逆クー
デターでもなんでもして、力ずくでも実権をアスハ家に取り戻せ! お前が覚悟を決めれば、知恵を貸し、協
力してくれる者はアークエンジェルにもオーブにもいるはずだ。お前がオーブの実権を取り戻せば、俺もコネ
を総動員してザフトを動かして連合からの圧力を跳ね返す事もできる!」
「……あたしに、できるだろうか?」
「できる! 世界中の誰が否定しようと俺が肯定してやる! お前はオーブの獅子の子だろう!」
「……キラ、力を貸してくれるか?」
「……カガリがそう決めたなら」
「ありがとう、ありがとう……」
「じゃあ、俺は行くよ。派遣されているオーブの艦隊の事は……すまない。攻撃されれば反撃せざるを得ない」
「……くっ……キラ、私たちも急いで帰るぞ! マリュー艦長やバルトフェルドさんに相談しなきゃ!」
「カガリ!」
「なんだ、アスラン」
「頑張れ!」
あ……アスランはセイバーに乗って去り、オーブの代表も去って行った。
何? アスランてラクス・クラインと婚約者じゃなかったの? 今の様子じゃオーブの代表と恋仲って感じ……
あたしは混乱した。
145 :
赤き月の鷹:2007/04/15(日) 19:51:08 ID:???
投下終了ー
GJ!毅然と一線を引いたアスランがイイ!
カガリも精一杯の努力をするものと思いたいが…あとはこのSSにおける
本物ラクスがどういうタイプか、それ一つに懸かってくる訳だな。
wktkと同時にガクプルだ…
ちなみにキラが殺したザフトの将兵の遺族年金と壊したMSの賠償金は全部オーブ行きね
投下乙ですー
本編でなかった「成長」を感じますねえ、凸も、カガリも。
で、キラも。
149 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:53:11 ID:???
あたしがミネルバに帰ろうとすると、なぜか出航したと言う。このヘリじゃ追えないし、休暇中と言う事になっ
てる任務がばれる。あたしはおとなしくミネルバの帰りを待つ事にした。
ミネルバが帰港してから、あたしはいかにもヘリでの飛行を楽しんできたかのように、ミネルバへ帰った。
「ショーン、なんなの? 何があったの? この暗い雰囲気」
「ああ、ルナか。見なくてよかったよ。ロドニアに連合が使ってたらしいラボがあったんだ。連合のエクステ
ンデット、ルナも聞いているだろう。遺伝子操作を忌み嫌う連合、ブルーコスモスが薬やその他の様々な
手段を使って作り上げている生きた兵器。戦うためだけの人間……そのラボはその実験、製造施設だっ
たんだ。内乱があったらしくてな。子供の死体がごろごろしてた。レイも体調崩しちまったぐらいだ。ああ、
今は復調したみたいだが」
「レイが!? でも、コーディネイターは自然に逆らった間違った存在とか言っておきながら、そう言うのは
いいって言うの? 連合は? おかしくない?」
「確かにな。まさに人権蹂躙も極まれりだ。負けられないな。そんな相手には」
「ええ!」
「エクステンデットの実物も一人、保護されてる」
「え? ほんと?」
「ああ、今医務室で寝ているよ。アビスのパイロットだ。アビスも取り戻した」
「ロドニアのラボにいた訳?」
「いや、なんだか知らんがたった一機で来たんだ。施設を破壊する特殊な装備を持っていたかもしれなか
ったからな、シンとアスランでなんとか爆散させずに取り押さえた」
「よくできたわね。危なくないの?」
「それがなー。やっぱり記憶とか精神とかいじられてるぽいな。意識を取り戻したら『母さんを守るんだ』と
か言って暴れたが、艦長を見ると、『母さん!』とか言って抱きついてな。艦長があやしたら、おとなしくなっ
てな」
「そうなんだ……艦長は今はどこに?」
「艦長室で休んでいるよ」
「ありがと」
150 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:53:55 ID:???
……
「指示されたものです。ご報告が遅れて申し訳ありませんでした」
「いいのよ。騒ぎばかりあって、私もとてもそんな状況じゃなかったもの。悪かったわね、スパイみたいな
真似をさせて」
「いえ、艦長もフェイスというお立場ですので。その辺りのことは理解しているつもりです」
「ふふ」
「でもあの……」
「え?」
「できましたら少し質問をお許しいただけますでしょうか?」
「当然の思いよね。いいわよ、答えられるものには答えましょう」
「ありがとうございます。アスラン・ザラが先の戦争終盤ではザフトを脱走し、やはり地球軍を脱走したアー
クエンジェルと共に両軍と戦ったというのは既に知られている話しです」
「ええそうね。本人もそのことを隠そうとはしないわ」
「しかし、そのことも承知の上でデュランダル議長自らが復隊を認め、フェイスとされたということも聞いて
います」
「ええ」
「ですが、今回のことは…あの、そんな彼に未だ何かの嫌疑がある、ということなのでしょうか? 私達は
フェイスであること、また議長にも特に信任されている方ということでその指示にも従っています。ですが
それがもし……」
「そういうことではないわ、ルナマリア」
「ぇ……」
「貴女がそう思ってしまうのも無理はないけど、今回に関しては目的はおそらくアークエンジェルのことだ
けよ」
「ぁ……」
「彼が実に真面目で正義感溢れる良い人間だということは私も疑ってないわ。スパイであるとか裏切ると
かそういうことはないでしょう。そんなふうには誰も思ってないでしょうし」
「はい! 会話を聞いた限りでは、そんな様子は一向に見られませんでした!」
「でも今のあの、アークエンジェルの方はどうかしらね」
「ぁ……」
「確かに前の大戦の時にはラクス・クラインと共に暴走する両軍と戦って戦争を止めた艦だけど。でも今
は?オーブが連合の陣営に入ろうとしたら突然現れて国家元首を攫い、そして先日のあれでしょ?」
「はい」
「何を考えて何をしようとしているのか全く解らない。どうしたって今知りたいのはそれでしょう」
「はい」
「アスランもそう言って艦を離れたのだけれど。でも彼はまだあの艦のクルーのことを信じているわ。オー
ブのことも。ほんとは戦いたくはないんでしょう」
「ぁぁ……」
「だからそういうことだと思っておいてもらいたいんだけど。いい?」
「ぁはい。でしたら私もあの……」
「とにかくご苦労様。この件はこれで終了よ。いいわね?」
「はい」
「モニターしていた内容もこの部屋を出たら忘れてしまってちょうだい」
「了解しました。では、失礼します」
よかった。もしそう思われていても、盗聴した会話を聞けば、きっとわかってくれるはず!
アークエンジェルか……カガリさんの幸運を祈ろう。
151 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:54:44 ID:???
◇◇◇
ミネルバはディオキアを出航、ボスポラス海峡を抜けマルマラ海を南下、ダーダネルス海峡を抜けエーゲ
海に出、ジブラルタルに向かう。
食堂を見ると、アスランとシンが深刻な顔をしていた。
やっぱりオーブ軍とは戦いたくない物ね。
『コンディションレッド発令!コンディションレッド発令!パイロットは搭乗機にて待機せよ。繰り替えす、
パイロットは搭乗機にて待機せよ』
あ、振り向いたアスランと目が合っちゃった。見つめてたのばれちゃった? ちょっと恥ずかしい!
「聞いてくれ! まだ確認されていないが地球軍の空母がいるはずだ! そいつを潰せばオーブ軍は退く
かも知れない! カオスかウィンダムが出てきたら、可能なら手負いにして後を付けるんだ!」
「「了解」」
さすがアスラン! 策を考えていたのね!
『ハイネ機、ルナマリア機、インパルス、セイバー、発進願います』
さあ、行くわよ!
気負いこんだところにメイリンが言ってきた。
『モビルスーツ、発進停止してください!』
あらら、なに? ――! 衝撃が走る! 被弾した!?
『2時方向上空にオーブ軍ムラサメ9! ハイネ機、ルナマリア機、インパルス、セイバー、改めて発進願
います!』
今度こそ! あたしたちは大空に飛び立った!
2時方向のムラサメ9機をあっという間に駆逐する!
『右舷後方、上空よりムラサメ12!』
ミネルバも危ない! さっさと連合軍空母を見つけないと――!
「アスラン! カオスをこちらに追い込んでください!」
「わかった!」
152 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:55:19 ID:???
あたしはカオスの死角へ死角へと移動する!
アスラン、それにシンも加わりカオスがこちらにやってくる!
今だ! 急上昇してカオスに正対! スレイヤーウィップを機動兵装ポッドに叩き込む! 爆発!
強力な推進力を失ったカオスは下に落ちて行く。
「シン! カオスの後をつけて! 連合軍の空母を叩くのは任せるわ!」
「……サンキュー!」
「さあ、俺たちはひたすら防衛すっぞ!」
すでに右舷からのムラサメ数機を落としたハイネさんが言う。
「了解!」
「行くぞ! 今度こそ! はあぁぁぁッ!!」
あぶない! 一機のムラサメに突破される! ミネルバのブリッジに向かってる!
「させるかーーー!」
盾を構えて上空から突っ込む! ムラサメは盾のスパイクに貫かれ爆散する!
ふぅ、危なかった!
さあ、次!
その時、ミネルバに向かうオーブのMS隊が頭上からの光に貫かれた。
『オーブ軍!ただちに戦闘を停止して軍を退け! オーブはこんな戦いをしてはいけない! これでは何
も守れはしない!地球軍の言いなりになるな! オーブの理念を思い出せ!それなくして何のための軍
か!』
153 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:56:17 ID:???
またあのお姫様か! アスランに説得されたんじゃなかったの!?
オーブ軍からも通信が流れる。
『お前たちの戦う意味を思い出せ! 理念か! ならどうして理念を守る! 愛するもののためじゃないの
か! 僕はオーブが、あの国が、あの家族の暮らす国が好きだから此処にいる! 理念はそれを守るた
めの物だ! 国が守れないなら肥溜めに捨ててしまえ!」
『こちらに敵対する確たる意志はなくとも本艦は前回あの艦の介入によって甚大なる被害を被った。敵艦
と認識して対応!』
「ちょっと待ってください! 艦長! 手を出されない限りこの状況で敵を増やす事もない!」
アスランが叫ぶとフリーダムに向かっていく!
「キラ! なんでまた来た! 来るなと言ったろう!」
「でもカガリは、今泣いているんだ!」
「え!?」
「こんなことになるのが嫌で、今泣いているんだぞ!何故君はそれが分からない!なのにこの戦闘もこの
犠牲も仕方がないことだって、全てオーブとカガリのせいだって、そう言って君は討つのか!今カガリが守
ろうとしているものを!」
「討つって何をだ! 勝手に俺が言った言葉を変えるんじゃない! 攻撃されてるのを守ってるだけだと言
っているだろうが! よし、そうまで言うなら、ミネルバはここを突破したいだけだ! これから防御のみに
徹する! お前らがオーブ軍を止めて見せろ!」
――! インパルスが帰投してきた!
「シン! 地球軍空母は!」
「やりました! 沈めましたよ、アスラン!」
「ミネルバ! シンが地球軍空母を沈めた!」
『よくやったわ! シン!』
『オーブ軍に告ぐ! 地球軍空母は沈めた。軍を退かれたし!』
あたしたちの誰もがオーブ軍が退く事を期待した。
だけど返って来たのは――
『オーブ全軍はミネルバとアークエンジェルを攻撃せよ。繰り返す、オーブ全軍はミネルバとアークエンジ
ェルを攻撃せよ!』
非情な言葉だった。
154 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:56:25 ID:???
『やめろ!あの艦を討つ理由がオーブのどこにある! 討ってはならない! 自身の敵ではないものを!
オーブは討ってはならない!!』
『理由はある! 連合の敵はオーブの敵だ! なら、あの艦はオーブの敵だ! たとえかつてオーブを蹂
躙したとてオーブを復興させたのは連合だ! だったらその借りは此処で返さなきゃならない! ミネルバ
を撃沈しなければ、連合は到底納得しない! コーディネイターを受け入れようとする勢力に対して牙を
剥きその武力は内側――オーブに向かって暴走するだろう。我が国でその恐ろしさを最も知る人間は――
この僕だ! だから今はミネルバを討て! オーブの明日の為に!』
「ちくしょー! ここまでやってもだめなのかよ! ミネルバ! フォースシルエットを!」
『了解しました。フォースシルエット、射出! デュートリオンビーム、照射!』
「シン、露払いするわ! オーブ軍空母に降伏を勧告して!」
「わかってる!」
すでにオーブ軍のモビルスーツはミネルバ上空から駆逐されていた。それでもオーブ軍は戦い続けてい
た。
あたしたちはオーブ空母を守っているモビルスーツを叩き落した!
シンが空母に降り、ブリッジに対艦刀を突きつける!
「降伏しろ! でなければ退け!」
『私はオーブ代表代行、ユウナ・ロマ・セイランだ。申し出に感謝する。だが! 我々はオーブ軍人だ。我々
は諦めない。友軍を見捨てない。国民は我々を信じている。ならばその信頼に応えなければならない。そ
う誓ったのだ! ここでおめおめ言いなりになってオーブ国民の、そして諸国からの信頼を失うわけには
行かない! 殺りたければ殺りたまえ! 君は君の義務を果たせ!』
凛とした声が告げる。同時に空母が増速して未だミサイルを放ちながらミネルバを目指す!
「シン、もう十分だ。俺が沈める!」
「いや、アスラン、俺が! うあぁぁぁぁーーー!」
シンが泣きながら甲板に対艦刀を突き刺して切り裂く!
オーブ空母は、ようやく動きを止めた。甲板から爆発と炎と煙を上げながら、沈んで行く。
――ミネルバは突破に成功した。オーブ軍を引き離してゆく。それを見た残りのオーブ軍は、軍をまとめて
救助作業に移った。アークエンジェルもいつの間にか消えていた。
帰艦したあたしたちは、まだ煙が立ち上る、オーブ軍の空母が沈んだ方角へ向かって敬礼をした。
あたしの頬に、皆の頬に、涙が流れていた。
155 :
赤き月の鷹:2007/04/18(水) 17:57:06 ID:???
投下終了ー。
GJ!ユウナがいい男だぜ・・・
艦橋でなく甲板を切り刻んで撃沈か…ユウナやトダカは脱出できたと思いたいが。
しかしせっかく説得できたと思ったのにまたこんな形で涌いてきたという事は、
やはり本作のラクスが洗脳悪役タイプで丸め込まれたという事なのかな?
そういや第一話のラッキースケベはここではアウル×ルナだったんだよな…
とはいえシン×ステの溺れかけのような接点もないわけでまんまトレースとは
されないんでしょうが…だんだんオリジナル要素に移行ですかね?
投下乙です。
熱い!
熱いよ!
ユウナは漢だ!
ぐっじょ。
ユウナ逃げずに台詞一つで漢見せたなー。
涙を飲んで逃げてもカッコつくところなんだけどルナ視点だし仕方ないか
ユウナが死んだのかどうかイマイチ判然としないが、いずれにせよこれは
まぎれもなく英雄としての行動だ。生き残ったオーブ将兵が今回の戦いの
顛末を語り伝えたら、もうカガリが悔い改めて前回のアスランの勧めどおりの
政権奪還を目指そうとしても軍も国民ももはや聞く耳持たんのじゃないか…
>>158 むしろアウルの処遇は艦長がらみの話になるんじゃね。
ユウナ…敬礼!!
164 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:24:57 ID:???
クレタ海での激戦から逃れる事に成功したミネルバは、ラコニア湾に身を潜め、修理を行い補給を待って
いた。
モビルスーツも、ザクウォーリアが大破、ファントムが中破の損害を出した。
「ショーン、ゲイル、お見舞いに来たわよ!」
「ルナ、やあ、面目ない。しばらくモビルスーツには乗れん。と言っても乗るモビルスーツがぶっ壊れちまっ
たけどな」
「ルナー! もう痛くて散々よ」
「でも、元気そうでよかった。大破って聞いた時は心臓止まるかと思った」
「アスランとシンはどうしてる?」
「どうして?」
「いや、あいつらだけ見舞いに来ないから、気になってな」
優しいなぁ。ショーンって。自分が怪我してるのに人の事まで気遣って。
「あー。オーブ軍と激戦繰り広げたからね。オーブに縁あるでしょう、二人とも。ちょっと欝に入ったみたい
で部屋に閉じこもってる」
「そうか。ま、無理もないかな」
「そうね。シンが空母を沈めた時の話は聞いてるわ。辛いわよね」
「うん……」
隣では艦長がエクステンデットの様子を見に来ていた。エクステンデットの名前は、アウル・ニーダと言う
そうだ。今は眠っているが、最初の頃より消耗してる感じがする。
「そう……。なんとかなるのね?」
「ええ。本国から、アーモリーワンで捕まったエクステンデットの治療研究の資料が届きましたので」
「だいぶ消耗しているようだけど?」
「さすがに艦内ですから、フェブラリウス市と同じレベルの治療は施せません。が、これなら本国まで十分
持つ物と思われます」
「そう」
「後、艦長の存在がありがたいですな。エクステンデットは投薬より精神操作等を中心として強化された者
らしいので。このようにちょくちょく顔を出していただけると、精神的、容体的にかなりの落ち着きを見せます」
「はぁ……じゃ、措置は今まで通り続けてちょうだい」
「分かりました」
そっか、エクステンデットの少年、助かるんだ。ザフトの人を何人も殺した相手なのに、素直によかったと
思える。だって、ロドニアのラボの話、そして今のこの精神操作された証のような状態の少年を見ると、そ
う思ってしまう。この少年だって被害者だ。
艦長が立ち去り際、つぶやくのが聞こえた。
「情が移っちゃったかな。はぁ……まだ若いつもりだったのになぁ。あんな大きな子供なんている年じゃな
いわよ」
165 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:25:40 ID:???
◇◇◇
修理も終わり、ミネルバもジブラルタルへ出航しようとしていたある日、とんでもない知らせが入った。
ユーラシアへの反乱が頻発していたユーラシアに、ユーラシア中央より地球軍が侵攻。既に3都市が壊
滅したと言う――
ミネルバは艦隊司令部の命を受け、次の攻撃目標と目されるベルリンに向かった
急ぎティレニア海を抜けリヨン湾から上陸、北東に進路を取る。
「あーあ、ジブラルタルまであと少しなのに、反対方向に行かなきゃならないとは、付いてないねぇ」
「そうですね、ハイネさん」
「だが、誰かが止めねば奴等はますます頭に乗って都市を焼き続けるだろう! そんなことは決して許さ
れることではない!」
「そりゃそうだ。しかし、今からしゃかりきになってもしょうがないじゃないか。力を抜けよ、アスラン」
「……そうですね、すみません」
「謝る事はないさ。でもよかったよ。君とシン、一時は引きこもりになるんじゃないかと心配したからねぇ」
「引きこもり、ですか」
「はは、冗談さ。きっとすぐに立ち直るだろうと信じていたよ。シンは?」
「シンなら、都市を壊滅させたのが巨大なモビルアーマーらしいと言うので、入ってきた情報と今までに出
遭った敵モビルアーマーから作り上げた仮想のモビルアーマー相手にシミュレーションやってます。朝か
ら晩まで。体壊さないか心配なぐらい」
「そう言う立ち直りの方法もあるさ。じゃあ、俺も付き合ってくるか。連携が重用だったようだからな。敵モビ
ルアーマーを倒すのに。だろ?」
「ええ、そうでした。私も行きます!」
「俺も行きます」
ベルリンまでの間、あたしたちはこうして対敵巨大モビルアーマー対策に明け暮れた。
『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください』
いよいよ、ベルリンが目視できる地点にまで来たのだ。ベルリンはすでに攻撃を受けているらしい。
『みんな!』
「何でしょうか? 艦長」
『情勢は思ったより混乱してるわ。既に前線の友軍とは連絡が取れなくなっています』
「「ええ?」」
『戦力が苦しいのは承知しているけど、本艦は何としてもあれを止めなければなりません。司令部は貴方
達に期待しているわ。お願いね』
「……」
「さぁ、訓練の成果を見せてやろうぜ! パーッと行って、さっさと倒そうぜ」
「「はい!」」
「ルナマリア・ホーク、グフ、出るわよ!」
166 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:26:28 ID:???
……
「何なんだよこの化け物は!」
「いったい何門のビーム砲積んでんのよ!」
敵巨大モビルアーマーの円盤ユニットの外周から無数のビームが放たれ街を破壊していく!
インパルスとセイバーがビームライフルを撃つ!
――あれは! やはり持っていたか! 陽電子リフレクター! でもこんなにいくつも広い範囲で!
「死角は下よ!」
「やらせるかー!」
「何?」
今まで巻き添えに会うのを避けていたらしい敵の護衛らしきモビルスーツ隊がこちらに向かってくる!
「アスラン、シン。相手頼む! 俺とルナマリアでモビルアーマーは潰す!」
「「了解!」」
「はあぁぁぁッ!!」
あたしは一気にモビルアーマーの円盤の下に潜り込み、コクピット付近にドラウプニルを叩き込む!
効かない? まさか、ラミネート装甲? なら!スレイヤーウィップ! 高周波パルスでコクピットの装甲が
裂ける!
「危ない! ルナマリア!」
何? とっさに避ける!
何あれ! こいつモビルスーツでもあるの? 巨大な手が飛んでビームを放ってくる!
ハイネさんがその巨大な手にドラウプニルを叩き込む!
「まじかよ!」
その巨大な手は、陽電子リフレクターを張った! こんな物まで!
「ルナマリア! こいつらは俺が引き受ける! 早く本体を潰せ!」
「はい!」
あたしはテンペストを抜く!
「うあぁぁぁーーー!」
167 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:27:17 ID:???
降下しながら巨大な脚を切り裂く! 支持部を失ったモビルアーマーは重い響きを立てて倒れる!
「これでとどめよ!」
一気に装甲の裂け目からコクピットを串刺しにする!
――敵巨大モビルアーマーは、ようやく動きを止めた……
◇◇◇
敵を倒しただけで事が終わるわけではなかった。
あたしたちが敵を倒してから、再建されたザフトの現地司令部。それは今被害の救助にてんてこ舞いだ。
彼らにちょっと悪いと思いながら、あたしは戦の疲れを癒していた。
『議長からの緊急メッセージです。各員可能な限り聞くように』
いきなり艦内放送が流れ、デュランダル議長の声が流れ始める。
何だろう?
休憩室の大型スクリーンの前に走る! そこにはどんどん人が集まってきた。
『……こうして未だ戦火の収まらぬわけ。そもそも、またもこのような戦争状態に陥ってしまった本当のわ
けを。各国の政策に基づく情報の有無により、未だご存知ない方も多くいらっしゃるでしょう。
これは過日、ユーラシア中央から西側地域の都市へ向け、連合の新型巨大兵器が侵攻したときの様子
です』
画面に、あの巨大モビルアーマーの姿が映し出される。
『この巨大破壊兵器は何の勧告もなしに突如攻撃を始め、逃げる間もない住民ごと3都市を焼き払い尚
も侵攻しました。我々はすぐさまこれの阻止と防衛戦を行いましたが、残念ながら多くの犠牲を出す結果
となりました。侵攻したのは地球軍、されたのは地球の都市です。何故こんなことになったのか。連合側
の目的はザフトの支配からの地域の解放ということですが、これが解放なのでしょうか? こうして住民を
都市ごと焼き払うことが! 確かに我々の軍は連合のやり方に異を唱え、その同盟国であるユーラシア
からの分離、独立を果たそうとする人々を人道的な立場からも支援してきました。こんな得るもののない
ただ戦うばかりの日々に終わりを告げ自分たちの平和な暮らしを取り戻したいと。戦場になど行かず、た
だ愛する者達とありたいと。そう願う人々を我々は支援しました』
『あの連合の化け物が何もかも焼き払っていったのよ!』
『敵は連合だ!ザフトは助けてくれた!嘘だと思うなら見に来てくれ!』
被災者の方々が声を上げている。
そうだ。あのモビルアーマーのやった事はひどすぎる! 改めて怒りがこみ上げる。
168 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:27:56 ID:???
『なのに和平を望む我々の手をはねのけ、我々と手を取り合い、憎しみで討ち合う世界よりも対話による
平和への道を選ぼうとしたユーラシア西側の人々を連合は裏切りとして有無を言わさず焼き払ったので
す! 子供まで! 何故ですか? 何故こんなことをするのです! 平和など許さぬと! 戦わねばなら
ないと! 誰が! 何故言うのです! 何故我々は手を取り合ってはいけないのですか!?』
あ、ラクス・クラインの替え玉が現れ、議長を静めるように議長の肩に手を置く。
アスラン……複雑そうな顔をしてる。
『このたびの戦争は確かにわたくしどもコーディネイターの一部の者達が起こした、大きな惨劇から始ま
りました。それを止め得なかったこと、それによって生まれてしまった数多の悲劇を、わたくしどもも忘れ
はしません。被災された方々の悲しみ、苦しみは今も尚、深く果てないことでしょう。それもまた新たなる
戦いへの引き金を引いてしまったのも、仕方のないことだったのかもしれません。ですが! このままで
はいけません! こんな討ち合うばかりの世界に、安らぎはないのです! 果てしなく続く憎しみの連鎖
も苦しさを、わたくし達はもう十分に知ったはずではありませんか? どうか目を覆う涙を拭ったら前を見
てください!その悲しみを叫んだら今度は相手の言葉を聞いてください!そうしてわたく達は優しさと光の
溢れる世界へ帰ろうではありませんか! それがわたくし達全ての人の、真の願いでもあるはずです!』
再び議長が立ち上がり話し始める。
『なのにどうあってもそれを邪魔しようとする者がいるのです。
自分たちの利益のために戦えと、戦えと! 戦わない者は臆病だ、従わない者は裏切りだ、そう叫んで常
に我等に武器を持たせ敵を創り上げて、討てと指し示してきた者達。平和な世界にだけはさせまいとする
者達。このユーラシア西側の惨劇も彼等の仕業であることは明らかです! 間違った危険な存在とコー
ディネイター忌み嫌うあのブルーコスモスも、彼等の創り上げたものに過ぎないことを皆さんは御存じでし
ょうか? その背後にいる彼等、そうして常に敵を創り上げ、常に世界に戦争をもたらそうとする軍需産業
複合体、死の商人、ロゴス! 彼等こそが平和を望む私達全ての、真の敵です!
そうか! ディオキアでの議長の話を思い出す。
そうか……プラントを地球の一員だと認めてもらう、プラントのためになる事、とうとう始めたんだ!
まさか敵モビルアーマーまで議長の仕業なんて……はは、それはありえないか。
169 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:28:08 ID:???
『私が心から願うのはもう二度と戦争など起きない平和な世界です。よってそれを阻害せんとする者、世
界の真の敵、ロゴスこそを滅ぼさんと戦うことを私はここに宣言します! 私だって名を挙げた方々に軍
を送るような馬鹿な真似をするつもりはありません。ロゴスを討つというのはそういうことではない。ただ、
彼等の創るこの歪んだ戦争のシステムは、今度こそもう本当に終わりにしたい。 コーディネイターは間違
った危険な存在と、解り合えぬ化け物と、何故あなた方は思うのです? そもそもいつ? 誰がそう言い出
したのです? 私から見ればこんなことを平然と出来るロゴスの方がよほど化け物だ。それもこれもただ
我々と戦い続けるためだけにやっている』
画面には、ロドニアのラボで得られたらしい資料が流れている。
『己の身に危険が迫れば人は皆戦います。それは本能です。だから彼等は討つ。そして討ち返させる。
私達の歴史はそんな悲しい繰り返しだ。戦争が終われば兵器は要らない。今あるものを壊さなければ新
しいビルは造れない。畑を吹き飛ばさなければ飢えて苦しむ人々に食料を買わせることが出来ない。平和
な世界では儲からないから、牛耳れないからと、彼等は常に我々を戦わせようとするのです。こんなこと
は本当にもう終わりにしましょう。我々は殺し合いたいわけではない! こんな大量の兵器など持たずと
も人は生きていけます。戦い続けなくとも生きていけるはずです!歩み寄り話し合い、今度こそ彼等の創
った戦う世界から共に抜け出そうではありませんか!』
議長の演説は終わった。
シンは明るい顔でレイと話してる。みんなも。
うまくやったじゃない! 議長! みんなの意気が上がってる! あたしも会話の輪に加わった。
二日後、オーブに政変があり、久々にアークエンジェルとともに姿を現したカガリ・ユラ・アスハの手によっ
て、ウナト・エマ・セイランが宰相の座から追放され、連合との条約の破棄を宣言した事がニュースに流れ
た。
170 :
赤き月の鷹:2007/04/21(土) 07:28:21 ID:???
投下終了ー
171 :
通常の名無しさんの3倍:2007/04/21(土) 15:32:21 ID:BLoX3+qy
乙
おや…AAに関してはベルリン介入もAD作戦もアスメイ脱走もバイパスして
一気にオーブ乗っ取り(あえて言っちゃる)に走りましたか。
しかし前回の戦いを経てなおすんなりラクカガを迎え入れるようじゃいささか
民度が問われるような気が…
乙ですー。
メインキャラじゃないデストロイはやっぱ弱いねえw
すんなり受け入れてるかはわからんぜよ
ピンク教信者が武力制圧したかもしんないし、ユウナたち遠征部隊の事を
ピンクが自分たちに都合のいいように改ざんして伝えてるかもしれないし
このユウナを見てなお軍人のサボタージュは変わらなかったのか
>>176 待て待て、それじゃ
>――ミネルバは突破に成功した。オーブ軍を引き離してゆく。
>それを見た残りのオーブ軍は、軍をまとめて救助作業に移った。
↑ ↑
この辺の人達はどうなる?政変のドサクサで粛清か?
いまだラクスの肉声が聞こえてこないのがひたすら不気味だ…
>>175-177 「ウナトが失脚した」という内容はあるが、「ユウナが失脚した」とはどこにもない。
つまり、ユウナもカガリに付いた、という可能性はどうだろうか?
このカガリなら、ユウナが味方についたとしても、ありえない話じゃないし。
ユウナは空母と運命を共にしました。
やっぱ死んでるかな?
あのセリフを言ったユウナが、キララクに踊らされてるカガリに付くのはないと思う
シンが涙を流す理由が無い
しかしウナト氏が『追放』されなきゃならない罪状って一体何だ?
連合と同盟したことか?しかし代表不在の国をまとめて、かつまた焼かないよう
仕方なく理念を捨てて結んだのがそんなに悪いかね。しかも、TVの時もそうだが
その代表が誘拐犯とつるんで戦場に乱入したり力づくで政権取り返したりってな
つくづくどういったものか…やはりカガリは
理念>>>>>>>>>>(ルナチタニウム)>>>>>>>>>>>現実の国民の安全
なのか、あるいはそのようにキラクスに説き伏せられたのかなあ。
そこはそれ人心掌握と洗脳には長けていますから
あのカガリがキラクスを説き伏せられる訳ないし乗せられたんだろうな。
これをきっかけに凸がAAに完全に見切りをつけるフラグが立てばいいが。
そしてシンルナでカガリをリンチとくれば愉快痛快。
186 :
赤き月の鷹:2007/04/22(日) 15:00:53 ID:???
ベルリンでの支援に一区切り付いたところで、ミネルバは再び来た道を戻り、リヨン湾から地中海へ出てジブラ
ルタルへ向かった。
『これより本艦はジブラルタルへの入港シークエンスを開始します。各艦員は所定の部署に就いてください。
繰り返します……』
「ジブラルタル入って次はどうすんのかな?俺達」
「さあな。だが先日の議長の言葉に沿った形での作戦が展開されることは確かだ」
「んー」
「ロゴスを討つなんて。議長御自身だって難しいって仰ってたのにね。とうとうやるのね!」
「ああ、どうしてもやらねばと思われたのだろう。あの悲惨な状況を見られて」
「うん」
「シンは気が乗らないの? 対ロゴスは」
「いや、そんなこと……議長の言葉聞いて俺凄く感動したよ。難しいって言ってたのに、議長やるんだ。諦めな
いんだって。それが本当に戦争を終わらせる唯一の方法だから」
「そう、よかった!」
「だったら俺だってどんな敵とでも戦ってやるさ!」
「その意気よ!」
「でも、少し力を抜いた方がいいぞ」
あたしとレイはシンの肩をぽんと叩いた。
「あ、ほら、エスコート艦よ! ジブラルタルにこんなに戦力が集まってる。頼もしいね」
「ああ、そうだな」
『入港完了。保安要員及び整備班、船務A班は直ちに所定の作業を開始せよ』
入港してすぐに、ミネルバからアスランとあたしに基地指令から出頭命令が出た。
なんだろう?
」
187 :
赤き月の鷹:2007/04/22(日) 15:01:48 ID:???
……
「失礼します! ルナマリア・ホーク、アスラン・ザラを連れて参りました」
「うん」
「お久しぶりです議長」
「先日のメッセージ、感動しました! ディオキアを思い出しました」
「いやありがとう。私も君達の活躍を聞いているよ。いろいろあったが、よく頑張ってくれた」
「ありがとうございます」
「アスラーン!」
「ぁ…」
あ、ラクス・クラインの替え玉がアスランに抱きつく! こんな時にまで! 空気読め!
「お元気でした?」
「ぁぁ…」
「会いたかったですわ」
「ぅぅ…お久しぶりですラクス」
「さて、もう知っていることと思うが、事態を見かねて遂に私はとんでもないことを始めてしまってね」
「いえ!とんでもないなんてそんな……」
「また話したいこともいろいろあるが、まずは見てくれたまえ。もう先ほどから目もそちらにばかり行ってしまって
いるだろう?」
「あ!」
格納庫に光が灯される! これは、モビルスーツ!
「ぁぁ……」
「ZGMF-X42S、デスティニー。ZGMF-X666S、レジェンド。どちらも従来のものを遙かに上回る性能を持った最
新鋭の機体だ。詳細は後ほど見てもらうが、おそらくはこれがこれからの戦いの主役になるだろう」
「ああ……」
「君達の新しい機体だよ」
「ええ!? 私達の新しい!?」
「うん」
「ぁぁ……」
188 :
赤き月の鷹:2007/04/22(日) 15:02:35 ID:???
「デスティニーは火力、防御力、機動力、信頼性、その全ての点においてグフを凌ぐ最強の接近戦用のモビル
スーツだ」
「ぁぁ……」
「レジェンドは量子インターフェイスの改良により、誰でも操作出来るようになった新世代のドラグーンシステム
を搭載する実に野心的な機体でね。どちらも工廠が不休で作り上げた自信作だよ。どうかな?気に入ったか
ね?」
「はい!凄いです!」
「早く詳細が知りたいものですね」
「デスティニーには特にルナマリア君を想定した調整を加えてある」
「え?私をですか?」
「最新のグフの戦闘データを参考にしてね」
「はぁ」
「君の操作の癖、特にスピードはどうやら通常を遙かに越えて来始めているようだね」
「えぇ……」
「いや凄いものだな君の力は。このところますます」
「いえ、そんな」
「グフでは機体の限界にイラつくことも多かったと思うが、これならそんなことはない。私が保証するよ」
「はい!ありがとうございます!」
「君の機体はこのレジェンドということになるが、どうかなアスラン。ドラグーンシステムは」
「え……」
「私は君なら十分に使いこなせると思うな」
「ジャスティスのファトゥムのような物でしょうか。面白そうですね」
あたしたちは新しい機体を与えられて勇躍した。早く試してみたい!
189 :
赤き月の鷹:2007/04/22(日) 15:02:53 ID:???
デスティニーの武装は
両腕にスレイヤーウィップ
掌にパルマフィオキーナ掌部ビーム砲
肩部にビームサーベルを兼ねたフラッシュエッジ2ビームブーメラン
側頭部に近接戦闘用の機関砲
威力と速射性を高めた高エネルギービームライフル
背中の右ウェポンラックにレアメタルを使って作られた、ビームコーティングされ巨大な実体刀剣を兼ねたビー
ムソード「アロンダイト」
左のウィポンラックには高エネルギービーム速射砲
と言った所だ。
防御の方も
両手の甲にソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置――ベルリンで遭遇した巨大モビルアーマーのビ
ーム砲も防ぐらしい!
左腕に対ビームシールド
全身がVPS装甲で、あたしのカラーに赤く発色!
そして背部の翼型スラスターユニットはなんと惑星間推進システムであるヴォワチュール・リュミエールの近縁
種であり、在来機を遥かに凌駕する大推力を効率的にもたらすと言う! 空中戦でカオスの加速についていけ
なかったあたしにとってはなによりありがたい!
190 :
赤き月の鷹:2007/04/22(日) 15:03:05 ID:???
慣熟訓練は良好だった。この天使から後押しされてるような加速性能! これなら、カオスにもセイバーにもイ
ンパルスにも負けない!
他にもミネルバにはガイア、アビスが降ろされてカオスが搬入された。こちらはレイにとのご指名だ。
モビルスーツをやりくりして、搭乗割りはとりあえず次のようになった。
デスティニー ルナマリア
レジェンド アスラン
インパルス シン
セイバー ハイネ
カオス レイ
グフ ゲイル
グフ ショーン
ジブラルタルには、なんと議長の宣言に賛同した東アジア共和国など、連合からの軍も集結してきた。
今までだったら信じられない光景!
そしてミネルバが出航の時が来た。目指すはブルーコスモス盟主ロード・ジブリール以下ロゴスの幹部と地球
連合軍のロゴス派の部隊が集結し篭城している、アイスランド島にある地球連合軍の最高司令部――ヘブン
ズベース!
ヘブンスベースには以下のような通告がなされた。
『我等ザフト及び地球連合軍はヘブンズベースに対し以下を要求する。一、先に公表したロゴス構成メンバー
の即時引き渡し。二、全軍の武装解除、基地施設の放棄』
これをどうか飲んでほしい。 話し合えれば、それに越したことはないのだから。
――! 敵基地からミサイルが! 射撃が開始された。そしてあれは!
ベルリンに出現した巨大モビルアーマー――デストロイが5機も!
巨大モビルアーマーのビーム砲でこちらの艦艇が次々にやれられていく!
『コンディションレッド発令! 総対戦用意!』
あたしたちはモビルスーツに乗り込む!
「いよいよね」
「ああ、終わらせよう、ここで!
191 :
赤き月の鷹:2007/04/22(日) 15:04:12 ID:???
投下終了ー
デスティニー、色々考えてこうなりました♪
装備オミットされるかと思ったら、スレイヤーウィップ追加で強化されとるやん♪
ガイアとアビスはラクシズに強奪されるのかね?
アウルの身柄についても…まだ言及されてないよな?
これで…ヘブンズベースが陥ちた後のぬこたん、もといジブ介を、
議長怪し憎しのあまりにラクシズがまた匿う訳か?
まあTVでのレクイエム六棟大虐殺に際して眉一つ動かさなかった事から考えれば
充分有り得る話だが。
それよりも、HB戦にノリノリAA&ホントは嫌がっているオーブ軍引き連れて乗り込んで来そうな気がする
197 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:30:14 ID:???
ザフト軍の降下ポッドが展開する。あたしたちの出番はまだかな。
――! ヘブンズベースに火柱が立った!
「くっ!」
「なんなの!? あの火柱!?」
「味方が……やられてる……みんな……」
「何なんだよ! これは!」
入ってきた情報は……降下部隊消滅――
「艦長! 行きます! 早く発進を! こんなこともう許しておけません!」
「でもルナマリア……」
「頼む」
議長の声だ!
「はい!」
「……モビルスーツ隊全機発進!」
198 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:30:38 ID:???
『ルナマリア・ホーク、デスティニー発進スタンバイ。全システムの起動を確認しました。発進シークエンスを
開始します。ハッチ開放。射出システムのエンゲージを確認しました。カタパルトオンライン。射出推力正常。
針路クリアー。デスティニー、発進どうぞ』
「ルナマリア・ホーク、デスティニー、行くわよ!」
『レジェンド、発進どうぞ』
「アスラン・ザラ、レジェンド、出る!」
『インパルス、発進どうぞ』
「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
『セイバー、発進どうぞ』
「ハイネ・ヴェステンフルス、セイバー、行くぜ!」
『カオス、発進どうぞ』
レイ・ザ・バレル、カオス、発進する!」
『ゲイル機、発進どうぞ』
「ゲイル・リバース、グフ、行くわよ!」
『ショーン機、発進どうぞ』
「ショーン・コネリー、グフ、出る!」
あたしたちは次々に飛び立った!
199 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:31:05 ID:???
「行くわよ!」
「ああ! まずデストロイを潰すぞ! シン、レイ、ゲイル付いて来い! 残りはハイネに従え!」
「OK!じゃ、ルナ、ショーン、端から潰していくぞ!」
「「はい!」」
「ビームシールドありますから! 私が先陣切ります!」
「わかった、まわりの雑魚はまかしときな!」
そう言うとハイネさんとショーンはウィンダムを駆逐していく!
あたしも!
「はあぁぁぁぁーーー!」
ビームシールドを構えて突っ込む! あは、ほんとにデストロイのビーム砲に耐えてる!
――? なんだか知らないけど、デストロイ、MS形態になった!
ビーム避けやすくしてくれてありがとう!
胸から撃たれるビームを避けながら、コクピットにスレイヤーウィップを放ち、開いた穴からビーム速射砲を叩
き込む! まず一機!
「モビルスーツ隊! 開いた穴から突っ込め! ルナはデストロイを倒せ!」
「はい!」
上空から次のデストロイを探す! いた!
こいつもMS形態に? 威嚇してるつもり?
一気に急降下して頭からアロンダイトでぶった切る! これで2機!
200 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:31:25 ID:???
遠くに見えるのは……シン! ちょっと苦戦してる!
「シン! ソードに換装するのよ!」
「わ、わかった!」
「エクスカリバーをアスランにも!」
「了解!」
デストロイが手を飛ばしてきた!
「ルナ、手にかまうな! 俺達が相手する!」
「了解!」
あたしは地上低く駆ける!
敵大型モビルアーマー――ユークリッドと言うらしい――が往く手阻み陽電子リフレクターを張る! 無駄よ!
スレイヤーウィップで発生装置を叩き切る! 二撃目でコクピットを破壊する!
さぁ、着いたわよ!
フラッシュエッジ2ビームブーメランをデストロイの脚に放つ! 脚部を失い倒れたところをコクピットを切り払う!
3機目!
……残りの2機は、シンとアスランが倒していた。
程なくして、敵本部に白旗が揚がった……
201 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:31:46 ID:???
これで終わりだと思ったのだけど……
「ええっ!?ジブリールがいない!?」
「いないって…そんな!」
「基地が降伏する前に一人だけこっそりと逃げたらしい」
「ぇぇ?」
「他のロゴスのメンバーは全て見捨てて」
「やっかいな事になったわね」
「やはりそう簡単には終わらないな」
「そんなことないさ!今度見つけたら絶対俺が踏み潰してやる!」
「ああ、それにしてもどこに逃げ込んだんだか」
「どっちにしても、最終的には月、かな」
「月、か……」
202 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:31:54 ID:???
ヘブンズベースの処理が落ち着いた頃、あたしたちに勲章の授与式があった。
シンやレイ達が叙勲され、最後はあたし。
「ヘブンズベース戦での功績を称え、ルナマリア・ホークにネビュラ勲章を授与するものとする。おめでとう。二
つめだな。いや全く素晴らしい」
「ありがとうございます!」
「それからこれを、ルナマリア・ホークに」
「議長……」
それは、フェイスの証だった。
「不服かね?」
「いえそんな!そんなことはありません!けれど、本当にもらってしまっていいものかと……」
「これは我々が君の力を頼みとしている、ということの証だ。どうかそれを誇りとし、今この瞬間を裏切ることな
く今後もその力を尽くして欲しいと思ってね」
「光栄です。ベストを尽くします!」
あたしはフェイスになった。
「では」
「お先に失礼します」
「ええ、ご苦労様。おめでとうルナマリア」
「ありがとうございます!」
「ほんとすごいやルナ、二つめなんて」
「えへへ」
議長達も部屋から出てきた。そこに、ザフトの兵士がやってきた。
「議長」
「何だ?」
「ロード・ジブリールの所在が分かりました」
「え?」
あたしたちは聞き耳を立てた。
「カーペンタリア情報部からの報告です」
「カーペンタリアから?で、彼はどこに?」
「パナマから、月に上がりました。ダイダロス基地です」
やっぱり月!
203 :
赤き月の鷹:2007/04/24(火) 18:32:07 ID:???
投下終了ー
投下乙ですー
やはりオーブ行きではなかったですね。
…このままオーブストーリーはフェードアウトかな?
いやいやいや、エンジェルダウンが無かった分まだ一度も落とし前をつけてない
キラとの対決は外せないでしょ。
あと作者さんにGJ!と質問を…
デスティニーは説明済み、インパルスは多分そのまま?として、他のミネルバMS隊の
カラーはどんなご想定でしょう。TVに準じてるのかあるいは例えば赤紫のレジェンド、
オレンジのセイバー、白基調のカオス、新規パーソナルカラー×2のグフとかだったり
するわけでしょうか。
シン主役なんだからミネルバ配備のMSは全機、三色の大勝利!カラーに決まっているだろw
>>206 スレ違いだろw
PS系装甲機体は色変えるのは電力量一つだから無問題かな?
グフは量産機カラーで良い気がする。グフは青が似合う(今も昔も、ね)気がする
208 :
赤き月の鷹:2007/04/25(水) 17:48:24 ID:???
オーブのカガリ代表の声明が出されると言う。のんびりしていたあたしたちは自然に休憩室の大画面テレビの前
に集まった。
『オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハです。今日私は全世界のメディアを通じ、プラント最高評議
会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います』
「あ! オーブの馬鹿姫!」
『過日、様々な情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議長のメッセージは確かに衝撃的なもの
でした。ロゴスを討つ。そして戦争のない世界にというの議長の言葉は、今のこの混迷の世界で政治に携わる者
としても、また生きる一個人としても確かに魅力を感じざるを得ません。ですが、議長は、ロゴスが意図的に『世
界』とやらを操作し、戦争を起こしてきたという。これはつまり、ロゴスという、民間の一組織が、世界各国の世論
を誘導し国家間紛争を誘導してきたという意味であると解釈している。個人的にはこれだけで既に大いに疑問が
あるが、仮にそうだとして、これを裏付ける証拠はどこにあるのか? 議長はまず、これを立証するべき……』
まともな事言うようになったじゃん。でも、それはプラント、議長にとっては突っ込まれたくない事なのよね。せっか
くロゴスを共通の敵にして、まとまって、勝ち組になって……
「ん?」
画面が乱れ、ラクス・クラインの替え玉が現れる。
『わたくしはラクス・クラインです。過日行われたヘブンズベースでの戦闘はもう皆さんも御存じのことでしょう。プ
ラントとも親しい関係にあったオーブが、何故ジブリール氏を庇うような発言をするのか理解することは出来ませ
ん。ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも巨大破壊兵器で街を焼くことも、子供達をただ戦いの道具
とするこもと厭わぬ人間を、何故オーブはそうまでして庇うのでしょうか。わたくし達の世界に、誘惑は数多くあり
ます。より良きもの、多くのものをと。望むことは無論悪いことではありません。ですがロゴスは別です。あれは
あってはならないもの。この人の世に不要で邪悪なものです。わたくし達はそれを……』
『その方の姿に惑わされないでください』
「あ!」
また画面が乱れ、再びオーブのカガリ・ユラ・アスハが映る。そしてその横には……
『わたくしはラクス・クラインです』
まさか、今度は本物のラクス・クライン!?
209 :
赤き月の鷹:2007/04/25(水) 17:49:02 ID:???
『わたくしと同じ顔、同じ声、同じなの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。ですが、わ
たくし、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではアークエンジェルと共に戦いましたわたくしは、今もあの時
と同じ彼の艦とオーブのアスハ代表の下におります。彼女とわたくしは違うものであり、その想いも違うということ
をまずは申し上げたいと思います。わたくしはデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません』
これは……一体どうなるんだろう!? 皆息を呑んでいる。画面はテレビ局のものが気を利かしたのだろう。左右
に分割され、ラクス・クラインと、その替え玉が同時に映っている。
『戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃ
るそれは本当でしょうか? それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネイターでもない、悪いの
は彼等、世界、貴方ではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください。無論わたくしはジブリール氏
を庇う者ではありません。ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりま
せん。デュランダル議長の真の目的を』
……その時、一人の夫人が現れると、ラクス・クラインの替え玉の横に立ち、彼女を安心させるように、にこりと
微笑んだ。
『ラクスさん、とりあえずラクスさんと呼ばせていただきます。わたしはロミナ・アマルフィと申します。前大戦時、
あなたと共に戦ったというキラ・ヤマトに殺されたニコル・アマルフィの母です。いいえ、母でした』
『それは……それはお気の毒でした、おばさま、しかし……』
『いたわっていただく必要はありません。ラクスさん、わたしの息子はザフトの信頼を守って、戦友をかばうため
に崇高な戦死を遂げたのですから』
『そうですか、いえ、おばさまはまさにザフト軍人の母の鑑ともいうべき人です。おばさまの賞賛すべき精神は必
ず厚く報われるでしょう』
『ありがとうございます。わたしはただ、ラクスさんにひとつ質問を聞いていただきたくて参ったのです』
『それはどんな質問でしょう、私が答えられるような質問だといいのですが……』
『あなたは今まで、どこにいました?』
『は、なんですって?』
『わたしの夫は息子を失った悲しみに耐え、プラントのために働きました。今も働いています。ラクスさん、あなた
はどこにいました?夫が戦争の早期終結の祈りを託したフリーダムを強奪してまで、ご自分の理想を実現しよう
となさったあなたはどこにいました?』
『おばさま……』
『あなたはどこにいました? プラント市民の多くは肉親、知り合いを失くしながらもプラント再建のために働いて
きました。今、デュランダル議長の言葉に疑問を投げかけるあなたはどこにいました? あなたは、もしかしたら
本当にラクス・クラインなのかもしれません。ですがご自分が犯罪を犯してまでなそうとした事の責任はどうなさ
ったの? 人がしている事を横から批判するのはたやすい事です。あなたは、ご自分が主張したことの実現の
ために、戦後、何か実行なさったの?』
たぶん本物のラクス・クラインは絶句している。
――唐突に、オーブ行政府からの放送は中断された。
210 :
赤き月の鷹:2007/04/25(水) 17:49:46 ID:???
『……あ、あたしは、ラクス・クラインじゃあ、ありません!』
え?いきなりラクス・クラインの替え玉が正体ばらしちゃった? どうすんの? どうすんのよ!
『あたしは、プラントが混乱していた時に、プラントの混乱を静めるためだと言われ、ラクス・クラインの振りをしま
した。それからも、ラクス・クラインの振りをしてきました。プラントのために! ラクスさんは、「その方の姿に惑
わされないでください」と言いました。じゃあ、あたしも言います。みなさん! 姿や名前ではなく、実際にしてきた
行動で判断してください! あたしは知っています。先の大戦から、議長がどれだけ平和のために苦労してきた
のか、プラントのために苦労しているのか! みなさんも知っているはずです! 今一度お願いします。あたしが
言えた義理じゃないですが、姿や名前に惑わされず、行動で判断してください。今まで騙しててごめんなさい。あ
りがとうございました』
彼女は深々と頭を下げると、画面から去ってゆき……放送は終わった。
「レイ!ルナ待てよ!」
「なんだ?」
「え…あいや…あの、あのオーブのラクス・クラインのこと、レイとルナはどう思う?」
「どう?とは?」
「いやだから……どっちが本物って話」
「なんだ。馬鹿馬鹿しい」
「ぇ……」
「まあ、本人が、ラクス・クラインじゃないって言ってんだから、こちらのラクス・クラインは本人じゃなかったって事
でしょう?」
「ぁ……」
「だが何故かな。何故人はそれを気にする。本物なら全て正しくて、偽者は悪だと思うからか」
「?」
「俺はそれはどうでもいい」
「レイ……」
「議長は正しい。俺はそれでいい」
「シン」
「ん? なに? ルナ?」
「大事なのはどちらが本物のラクスか、じゃ無くてどちらが私たちのためになる人物か、でしょ? 今のところオー
ブのラクスは私たちプラントにとって害でしかないわ。せっかく議長がプラントのためにって動いてるのにそれに
水を差すようなことして……綺麗事だけじゃ物事は動かないっての! 自分達の都合の悪い所は綺麗事で糊塗
するくせにね!」
「う、うん」
「そんなことより俺達には考えておかねばならないことが他にあるだろう」
「え?」
「フリーダムよ」
「ああ」
211 :
赤き月の鷹:2007/04/25(水) 17:50:24 ID:???
「シン、いいか?」
「ん?」
「何をやってるんだ? 3人そろって」
「シン、アスランだ」
「え?ああ……」
「シン! アスランだってば! いったん止めなさい、それ」
「ん?フリーダム!」
「カメラが向いてからの反応が恐ろしく早いな。スラスターの操作も見事だ。思い通りに機体を振り回している」
「フリーダムのパワーはインパルスより上なんだ。それをここまで操るなんて……」
「シン! レイも何をやってるんだ?」
「シン、いいかげんにしなさい!」
ぽか!
「何をって、ご覧の通りフリーダムとの戦闘シミュレーションですよ。一体なんです?」
「何故そんなことをしているんだ?」
「強いからです」
「ふむ?」
「俺の知る限り、デスティニーとレジェンドを除けば、今モビルスーツで一番強いのはこいつです。なら、それを相
手に訓練するのはいいことだと思いますが」
「ふんふん、それで?」
「何かあった時、あれを討てる奴がザフトにいなきゃ困るでしょ?まるっきりわけの分かんない奴なんだから」
「アスラン、シンの言っていることは間違っていないと思います」
「まぁね」
「フリーダムは強い。そしてどんな思惑があるかは知りませんが、我が軍ではないのです。シンの言うような事は
想定されます」
「だろうな」
「いくら貴方がかつて共に戦った者だとしても……」
「いや、俺も混ぜろ」
「ええ!?」
212 :
赤き月の鷹:2007/04/25(水) 17:51:43 ID:???
「いいんですか!? アスラン」
「いいさ、確かにシンの言う通りだろう、ルナ。俺もいい加減あいつらに話しても話が通じないのに疲れた……
シン、何をいつまでも鳩が豆鉄砲食らったような顔している?ふ……」
「では、よろしければアスランにもそのご経験からアドバイスをいただければと思いますが」
「ああ、前にも言ったが、フリーダムはとりあえず最初はコクピットを狙ってこない。追い込まれれば知らんがな。
それから基本的にフリーダムは遠中距離砲戦用の機体だ。接近戦用の武装は連結する事もできる二本のビー
ムサーベルだけだ。その意味ではデスティニーかインパルスが相手をし、他は牽制その他で援護するのがいい
だろう」
「なるほど。参考になります」
「ただ……前大戦時は俺の近接戦闘重視のジャスティスと組んでたが……ユニウスセブン条約違反の機体を隠
し持っていた奴等だ。新しい機体を開発しててもおかしくない。ジャスティスとのシミュレーションもやっておいたほ
うがいいだろうな」
「えぇ!?」
「そんなに驚く事でもないだろう、シン。いつの間にか大破してたフリーダムを修理してたんだ。ありえない話じゃ
ない」
「そうだな、シン。アスランの言う通りだ」
「じゃあ、強化した機体を想定してシミュレーションした方がいいでしょうか?」
「そうだな、ルナ。よし、俺から戦闘シミュレーターの担当者に言ってとりあえず仮想のデータを追加させておこう」
「ありがとうございます!」
こうしてあたしたちは、力強い助けを得て対フリーダムのシミュレーションに専念することになったのだ。
213 :
赤き月の鷹:2007/04/25(水) 17:55:10 ID:???
投下終了ー!
機体の色、やっぱりパーソナルカラーにこだわるほうが「らしい」ですね♪
wiki第19話に
「色はレジェンドは赤紫、セイバーはオレンジに調整され、カオスは白基調に塗られている。グフは一般的な青
に塗りなおされた。」
と言う文を追加しました♪
おぉ!?ヘタレじゃない凸・・・いや、アスランがいる!?パワーバランスなんか蹴っ飛ばしてしまえーw
青グフ案採用ありがとうです^^すっごく嬉しい&楽しみだ
わははははアスランがふっきれて後顧の憂いが断たれたGJ!
ロミナママンについても本来TVで(この会見の場とは限らずとも)
キッチリラクス側に言ってのけてしかるべきだっただけに溜飲下がりました。
しかし議長やミーアも含めて憂国騎士団なクライン派にテロられないかが心配ですな。
またレジェンド・セイバー・カオスの色に関しても採用いただき恐縮です。
>「いや、俺も混ぜろ」
>「ええ!?」
…笑いが止まらんw
やはりこの凸はキラキラ病に罹ってなかったか。
もはやアスランがアスランでは無くなっている
>>217 やっと、やっと呪縛から解き放たれて立派な軍人になったんだよ。
これなら本当の英雄になれそうだな
これなんてジェシカとトリューニヒト?
中村主水「よろず請負処の助け人が、裏へ回っちゃヤミの殺し請負、
それも煙管でブッスリなんてなぁウケるぜぇ…(ニヤニヤ)」
清兵衛「どうなさる…おつもりで?(殺気)」
中村主水「(ズイッと近付き耳元で)俺も一口乗せろ」
清兵衛「………は!?」
中村主水「町方が助け人やっちゃいけねえなんてご定法はねえからなぁ(ニヤソ)」
…死ぬほど古いが、「助け人走る」のwktk溢れるこのシーンを思い出したのは
俺だけじゃないと思いたい…
一見オーブを掌握してるように見えるが、今回のアマルフィ未亡人の糾弾と、
ここでやるかわからないけどレクイエムの虐殺が起きたらいくらなんでも
住民の間でラクスと傀儡のカガリへの疑問が芽生えたりしないのかな。
この件でオーブ国民が集団ボイコットなんかしたらカガリは取り巻き以外誰も居ない国の代表だな、傑作だ。
疑問が芽生えた国民はオーブ軍が鎮圧だろ。
そうなったら彼らを救うという名目でいつでもオーブを攻められるな。
既にMSの原因不明の墜落事故が多発してるだろ…
ダーダネルスやエーゲ海でAAを攻撃した軍人達の住居に集中して
ラクスはこのまま悪役化するな。
カガリは…今までの描写からいくと、オーブをラクスに乗っ取られてミネルバに保護されるとか…w
オーブに文官は居ないのか
>>221 ラクスがレクイエムによる被害をスルーするのは確実。
そして月面でショッピング。
単に対自由正義用に留まらず、その強化型つまりストフリとインジャスの出現も
視野に入れたシミュレーションの必要性を説くアスラン冷静で有能だ。
しかし…ストフリはキラとして、インジャスとたぶん出てくるだろうアカツキは
誰が乗るんだ?本文には全く出てこないけど恐らくAAにいるだろう虎とか、
これまたインド洋以来ベルリンにも見当たらなかった?ムネオがまたいつの間にか
合流しててのこのこ出てくるのか…?
クローンアスランじゃねえの?
戦線離脱しなきゃカガリが乗る線もあるよな。
あのバカ姉弟がしつこくアスランを引き寄せようとしたらハッキリ断りそうで安心だ。
ここでは無印自由が撃墜されてないので、乗り換えがあれば更に余る事になる。
一応バランスを考慮して、ストフリ製造のついでに無印もう二体追加してドム組に賜る
というのはありかな?
もっともフルバーストとJSAって禿しく矛盾する気もするが。
>>230 ラクス本人が乗るって訳にはいかないか?
本編でも一応、操縦してAAに着艦してるし。
和田と隠者の本来のコンセプトである、自由と正義の量産型がワラワラと出てきたりしてな……!
>>235 ラクスは座ってただけ。
戦闘スキルはなさそうだ……本編なら。
本性を現すかもね!
>>237 逆シャアのクェス(αジール)みたく、ドラグーンを自在に操ったりしてな。
Gガンのダークネスの娘だからそっち方面のラバースーツ
>>234 ハイマットで空を翔るフリードムの出番というわけだな
>>238 既に操っているだろ……
キラと信者をw
243 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:27:16 ID:???
「ふー、疲れた! でもいい汗かいたわ」
「ルナ、この数日ですごい上達じゃないか! もう完璧にフリーダムに勝てるな!」
「ふふん、くっつく事が出来れば、ジ・エンドよ。シンもすごいじゃない。最初からコクピットを狙う設定のフ
リーダムに、ほとんど勝てて」
「なんか、妙に頭が冷静になってクリアーになる時があるんだよな。"ゾーンに入る"って言うのかな、相
手の動きが読めるんだ。でも、まだまだ自分の力を100%出した気がしない! 俺はまだまだ強くなれ
る!」
「私も負けないわよ! アスランに強化ジャスティスで相手してもらったけど、まだまだだなぁ。アスラン
って、駆け引きの引き出しが多いって言うの? ためになったわ」
「大変だ!」
「え? 何?」
ショーンが血相を変えて駆けて来た。
「どうしたって言うんだ?」
「プラントが、プラントが攻撃された!」
「な、なんだってー!?」
あたし達は食堂のテレビの前に急いだ!
ヤヌアリウスが……そしてディセンベルが、被害を受けた状況が映っていた。
「何で……何でこんな……」
「ジブリールだな」
レイが情報端末で調べながら言う。
「月の裏側、ダイダロス基地から撃たれた。こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に。
ダイダロスにこんなものがあったとは……」
「何で!裏側からってそんなの無理じゃない!どうやって?」
「奴等は廃棄コロニーに超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載してビームを数回に屈曲させたん
だ」
「そんな……」
「このシステムならどこに砲があろうと屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙える。悪魔の技だな」
「くっ!そんな、そんなことを……」
244 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:27:55 ID:???
……
『みんな連戦で疲れてると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね』
ミネルバはカーペンタリアから月艦隊と合流すべく発進した。
司令部との連絡がついたあたしたちを待っていたのはとんでもない命令だった。
「砲の本体を私達だけでですか?」
「だけかどうかは分からないけど。ともかくそれが本艦への命令よ」
「確かに、ここからではダイダロス基地の方が近い。そういう判断でしょう」
「ええ。あれのパワーチャージサイクルが分からない以上、問題は時間ということになるわ。駆け付けた
ところで間に合わなければ何の意味もないものね」
「敵が月艦隊に意識を向けているのならうまくいけば陽動と奇襲になるということですね」
「そういうことよ」
「奇襲……」
「厳しい作戦になることは確かよ。でもやらなければならないわ。いい?」
「はい。分かりました」
「了解しました! またあれを撃たれるなどもう絶対あってはならないことですから」
「頼むわね」
「「は!」」
……
「ブリーフィングを始める。第二射までに月艦隊が第一中継点を落とせれば辛うじてプラントは撃たれな
い。だが奴等のチャージの方が早ければ艦隊諸共薙ぎ払われるぞ。トリガーを握っているのがそういう
奴だということは知っているだろう」
「はい、アスラン」
「そこで直接砲を狙う! もちろん相手の防御も厚いだろう。今までに出てきた陽電子リフレクターを備え
たモビルアーマー、巨大モビルアーマーと言った物が出てくる事も考えられる。では作戦を話そう……」
それは、レジェンド、カオス、グフ、そしてミネルバのタンホイザーまで囮に使った陽動に、更に時間差を
つけてインパルス、セイバーが攻撃に加わり、あたしがその混乱した隙に砲のコントロールルームを落
とすという物だった。
245 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:28:35 ID:???
『ブリッジ遮蔽。コンディションレッド発令。パイロットは搭乗機にて待機してください』
「ではいいなルナ。タイミングを誤るなよ」
「ええ」
「俺達も可能な限り援護をする。だが基本的にはあてにするな。すれば余計な隙が出来る」
「分かってるわ。ご心配なく」
「では行こう!」
「「はい」」
「ルナ」
「急げよ」
「気を付けて、ルナ」
「シンこそ」
「でもやっぱり駄目だよ」
「ルナが一人で砲のコントロールを落とすなんて!危険すぎる!」
「シン……」
「やっぱりそれはアスランや俺かレイが……」
「シン! 同じ事よ! 陽動で基地を討つのだって同じくらい危険だわ! みんな一緒よ! 大丈夫よ私
は。近接戦闘に優れたデスティニーが今回の任務には向いてるの。信じなさいよ。私はフェイスよ?」
「ルナ……」
「シン達こそ、気をつけて」
「大丈夫だ」
「え?」
「ルナも艦もプラントもみんな俺が守る!」
「ぁ…」
「絶対に!」
「うふ」
「じゃあ、お先に! ルナマリア・ホーク、デスティニー、行くわよ!」
あたしは発進すると、クレーターの影に隠れるように大回りしていく。
レジェンド、カオス、グフも発進したようだ。
注意深く様子を見守る。
やはり、敵はあのデストロイを始めとするモビルアーマー群を出してきた! タンホイザーが跳ね返され
てる!
――インパルスとセイバーが戦闘に入った! 敵は混乱する!
さあ、いくわよ!
246 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:28:57 ID:???
あたしは一気に、しかし慎重に進んでいく。
しかしまだ射出口のそばにモビルスーツが。 ――! 敵モビルスーツがやられた! これは! レジェ
ンドのドラグーン!
「行け! ルナ! 射出口はもうすぐそこだ! 背後は任せろ!」
「ありがとう!」
「あれね!」
モビルスーツの射出口を見つけた! そこから中にもぐっていく!
センサーを目いっぱい働かせながら進む……ここか! 壁をぶち破る! 当たり! 広い空間に出た!
下の方には砲が! すでにエネルギーのチャージによる発光が始まっている。急がなきゃ
コントロールルーム……あそこか! スレイヤーウィップをぶち当てる!
「ええい!」
開いた穴にビーム速射砲をぶち込む!
爆発が起こる。やった!
――あたしは月面に帰還する。
「やったわ! アスラン!」
「よくやった! こちらもロード・ジブリールを今度こそ仕留めたぞ!」
「これで終わるのね!」
「ああ、これでやっと……」
その夜はみんなで祝杯を揚げた!
247 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:29:24 ID:???
翌日、議長がまた演説をすると言う。
なにを話すんだろう?
『……今私の中にも皆さんと同様の悲しみ、そして怒りが渦巻いています。何故こんなことになってしま
ったのか。考えても既に意味のないことと知りながら私の心もまた、それを探して彷徨います。私達は
つい先年にも大きな戦争を経験しました。そしてその時にも誓ったはずでした。こんなことはもう二度と
繰り返さないと。にも関わらずユニウスセブンは落ち、努力も虚しくまたも戦端が開かれ、戦火は否応
なく拡大して私達はまたも同じ悲しみ、苦しみを得ることとなってしまいました。本当にこれはどういうこ
となのでしょうか。愚かとも言えるこの悲劇の繰り返しは。一つには先にも申し上げたとおり、間違いなく
ロゴスの存在所以です。敵を創り上げ、恐怖を煽り戦わせてそれを食い物としてきた者達。長い歴史の
裏側に蔓延る彼等、死の商人達です。だが我々はようやくそれを滅ぼすことが出来ました。だからこそ
今敢えて私は申し上げたい。我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと』
「ぁ?」
なんなの? ロゴス倒したばっかりなのに…… あの議長の事だからプラントの損になるような事だけ
はしないと思うけど。
『そして我々はそれにも打ち勝ち、解放されなければならないのです。皆さんにも既にお解りのことでし
ょう。有史以来、人類の歴史から戦いのなくならぬわけ。常に存在する最大の敵、それはいつになって
も克服できない我等自身の無知と欲望だということを』
「え?」
『地を離れて宇宙を駈け、その肉体の能力、様々な秘密までをも手に入れた今でも人は未だに人を解
らず、自分を知らず、明日が見えないその不安。同等に、いやより多くより豊にと飽くなき欲望に限りな
く伸ばされる手。それが今の私達です。争いの種、問題は全てそこにある! だがそれももう終わりに
する時が来ました。終わりに出来る時が。我々は最早その全てを克服する方法を得たのです。全ての
答えは皆が自信の中に既に持っている! それによって人を知り、自分を知り、明日を知る。これこそ
が繰り返される悲劇を止める唯一の方法です。私は人類存亡を賭けた最後の防衛策としてデスティニー
プランの導入実行を、今ここに宣言いたします!』
……デスティニープランて、何?
248 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:29:32 ID:???
「……で、なんでみんな揃って私の所に来るのかしら?」
「えーとぉ、それは、議長と昔なじみだそうですし、何か聞いてないかと」
「レイと話してても『議長を信じろ』だけで話にならないし」
「そう言う訳です。何か情報、お持ちじゃないですか?」
「私も詳しい事は知らないわよ。実は昨日早速連絡取ったんだけどね。大掛かりな遺伝子的『自分探し』
システムにハローワークを組み合わせたものらしいわ。コーディネイターとナチュラルの確執を取り除く
物、とも言っていたわ」
「取り除く? どうやって?」
「遺伝子ってね、結局能力値を決めるのにダイスを振るようなものだと思うのよ。能力値に付きダイスを
二つ振れるとしたら、あたしたちコーディネイターは謂わば合計7以上になるまで振り直しをしてるような
物ね。でも、ナチュラルにもコーディネイターに匹敵する能力を見せる者がいるのもまた事実よ。それは
、まさに遺伝子のダイスが6ゾロを振ったようなね。そこまではいかなくても、優れた能力が人それぞれ
何かどうかあるのよ。デスティニープランは、それを見つけてあげる事。自分の一番得意な分野で勝負
すれば、ナチュラルだってコーディネイターに匹敵するわ。いい事? ファーストコーディネイターのジョ
ージ・グレンでさえオリンピックで金メダルは取れなかったのよ」
「遺伝子の結果で仕事を強制される、とかは無いんですか?」
「無いらしいわよ。あくまで自分の意思でやりたい者はやればいい、と言っていたわ。上から強制するの
ではなくて、人々が自主的に賛同する形で実施するそうよ。遺伝子的にどうこう言われたって好きなも
のは好きだし、嫌いな物は嫌いだものね。だいたい……遺伝子であれこれ強制されるの、あの人嫌い
だし。ふぅ……」
そう言えば、聞いたことがある。議長と艦長は昔付き合っていたけど、子供が出来る確率が低く、子供を
欲しがった艦長が議長を振ったのだと……
「そうですよね。やってる事が楽しいからいいんだって人、いっぱいいますし、好きだから、素質はある
けどいい加減にやってる人より上達もする事だってあるだろうし、ハローワークにない新しい仕事考え
つく人もいるだろうし」
「それに、プラントの婚姻統制だって強制ではないでしょ? 理屈じゃないのよ、理屈じゃね……」
艦長は、憂いを帯びた女の顔になる。子供を生む確率優先で結婚して、後悔したのだろうか? 艦長
の結婚生活は長い物ではなかったとあたしは聞いていた。
「遺伝子でなんかわからない素質だってありますよね」
「そうね。芸術家とかね。それから例えば大切な仕事だけど、リーダー。これは、遺伝子でいじれるとし
たらせいぜい外面や声とかになるのかしらね。むしろ経験とか育ってきた人格が占める部分が大きい
わね。もし自分は遺伝子調整によって生まれながらにリーダーとしての資質が与えられている、なんて
言う人がいたら木で鼻をくくっってやるわ」
「そうですよね!」
「……ごめんなさい、ちょっとお手洗いに行ってくるわね」
どうしたんだろう。なんか吐いているようだ。激戦続いて疲れているのかな? 心配だ。
249 :
赤き月の鷹:2007/04/28(土) 17:30:38 ID:???
投下終了ー
投下乙ですー。
…そうか、作者さん、TRPG者だったのかw
しかもSW経験あるでしょ。
>6ゾロ
鉄塊娘(修正前)の事かー!
ちょ、艦長つわり???
議長と心中フラグが消えた?
むしろ議長が改心するかも試練。
そこに横あいからラクシズが乱入で。
>>251 魔法狩人「俺の嫁に手をだすな」
相手は・・・・・・・・・・アーサー!?
いや、アスランの行動からして実はアスランの子とかw
思えばラクスは何のためにカガリを利用してわざわざあんなどうでもいい内容の演説したんだ?
電波を常に撒かなきゃ気がすまないのでしょう
後は自分の影響力を得るためか…
ラクスではなくミーア自身が予想以上の人気を持ち始めたのかもしれないですし
スーツCDだと結構ミーアに怒ってたようだしね
冷静に考えるとラクスは私が本物だ!という内容しか主張してない。
>>255 TVでも初期にいわゆる「ご休憩」の後らしきシーンがあったし、それは多分
ここでも本文外で同じく起きた事だろうから議長のと考えるのが妥当かなと。
それとも大穴として、「情が移っちゃったかな…」の台詞から、アウルを
なだめ落ち着かせてる間になんとなしに出来心で…とか?
(身柄確保からどのくらい時間が経過したかにもよるだろうけど)
コーディネーターってさ、いつ遺伝子いじるんだ?
普通受精卵とか、その前の精子や卵子の段階でだろ?
試験管ベビーそのものなら不妊症対策そのものなんだが。
まさかコーディ間の自然出産率が下がって危機感を感じているとか、そんなマヌケな設定じゃないよな?
負債にはそこまでの知識も考えもないさ
ちょwww小説版レイズナーかよ>アウル説
それにしてもラクカガオーブ、ジブ公を間接的にかばうような演説を始めたものの
ロミナママンに痛いとこ突かれて途中で投げ出し、その後結局レクイエムの虐殺が起き、
これまたやはりコメントも行動も示さなかったという事は…
身柄を巡るオーブの戦闘がなかったとは言え、本編と同じくらい胡散臭さを
見せてしまった事になるのでは。
ついでに言えばあの場で、キラにストフリを心外な形で乗り回されたのを苦に
ユーリパパンが自殺した事まで語られてたらとどめになってたかな…
別に現時点ザフトはオーブを攻めてないんだし、ラクスがあの放送をする意味は
自己主張以外にないよな。
>>254議長が改心って
なんで改心する必要が有るの?
ただのハローワークなのに
ここの議長のDプランに対して評価し判断を下すのは各国の一般市民であるべきで、
どこぞのマフィアの親玉やスパコディ様ではない。
>>265 説明はああだったけど実際にはTVと同じ、なんだかよくわからないけど
強制的な代物だった…が、諦めていた子供が授かったと知って考えを改める、
しかしそこへ隕石自由が空気読まずSATSUGAーIにやってくる…
という事じゃない?
>>267 そんな感じかねえ、やっぱ。
ある種の強制力が無いなら、あんな大々的にテレビでアピールもしないだろうしなw
>>268 なんでもないことを大々的にアピールして凄いことのように印象付けるのは一つの宣伝手法。
そういえば、このストーリーでの議長は
理想もへったくれもない実利主義者だな
ま、あれこれ俺らが横合いから言う類の議題じゃないけどな。
作者さんがどうするつもりかまだわからんし。
まあ、やります!と言うだけならただだし。
273 :
通常の名無しさんの3倍:2007/04/29(日) 15:28:45 ID:KTEOsliZ
274 :
赤き月の鷹:2007/05/02(水) 18:11:26 ID:???
そのままお茶なんか出してもらっちゃって、みんなで議長の演説とかデスティニープランについて話していたら、
ヴィーノが駆け込んできた!
「ハァハァ……アルザッヘルが撃たれた!」
「え?」
「連合のあのレクイエムで!」
「ええ!」
「何で!? 誰が!?」
「基地に反攻の動きがあったんだ。それをローラン隊が討ったということだ」
「レイ!」
レイも部屋に入ってきた。
「反攻?」
「軍はあれを直したの?」
「言った通りだろ? シン。例え良いことでもスムーズにはいかない」
オーブ宇宙軍がデスティニープランの強制への反対と大規模破壊兵器の排除を宣言して、レクイエムのステー
ション1目指して進軍を開始したと報告があったのはそれからしばらくしてだった。
275 :
赤き月の鷹:2007/05/02(水) 18:12:13 ID:???
「まったく何を考えているのかしらね! オーブは! 連合との同盟を破棄したと思ったらこれだ。デスティニープ
ランは結果を強制する物でもないでしょう?」
「そう言うな。奴等も怖いのさ」
「怖い?」
「そうさ。こちらはレクイエムを握っている。強制されると考えても不思議じゃない。俺たちだって艦長から話を聞い
てるだけで議長の真意なんざわからんさ」
「そうしたって、奴等だって不法に戦略級モビルスーツのフリーダムとかエターナルとか隠しておいて、いまさらと
いう感じよねー」
「そうよね、ゲイル。ユニウス条約の明白な違反よ。これほどの宇宙戦力保持しておきながら、強すぎる力は争い
を呼ぶ? 笑っちゃうわね。に、してももどかしいわね。議長も、もっとうまくやれなかったのかな。反ロゴスで世界
を纏めた手腕は見事だったけど」
「言うな。いまさら言っても後知恵になるだけだ。議長が可哀想だろ」
「そうだね。……アスランとシン、またオーブ軍と戦わせちゃうな……」
「……覚悟はある! 俺は戦う!」
「……アスラン!」
振り向くと、アスランがいた。
「心配するな。いまさらだぞ」
「だよな。さすがアスランだ。見込まれて再びフェイスになっただけある」
「ちゃかすなよ、ショーン。シンには、フリーダムの相手をしてもらうつもりだ」
「そっか。オーブ兵の家族の恨みはあたし達が引き受ければいいものね。シン、勝てるかな?」
「勝てる! そのために猛特訓してきたんだ」
「もし、相手がコクピットを狙ってきたらどうすんの?」
「その想定でのシミュレーションもみっちりしてるよ、ゲイル。大丈夫だ! あいつなら」
ミネルバは、ステーション1の防衛を命じられた。
やってくるオーブ軍の中には、あのエターナルも確認されたと言う。フリーダムはきっと現れる……
「でも、オーブ全軍はダイダロス基地に向かっちゃって、ステーション1に来るのはアークエンジェルとエターナル
だけぇ!?」
「オーブ本土じゃ反政府デモや、軍のサボタージュもあると聞く。オーブも苦しい所だろう」
「みんな、2艦だけだと侮るな! エターナルにはミーティアと言う戦艦並みの武装もある。自分で言うのもなんだ
が、前大戦時、俺とキラ・ヤマトで、プラントに飛来する無数の核ミサイルをすべて迎撃したり、押し寄せるモビル
スーツをばったばったと戦闘不能にしたり、まぁ強力な武装だ」
「そうだな、気を引き締めよう。……まだミネルバがステーション1に着くにはしばらくある。しっかり休んでしっかり
働こうぜ」
276 :
赤き月の鷹:2007/05/02(水) 18:12:47 ID:???
……
「ルナ、ちょっといいか?」
「なぁに、レイ。ひょっとして、愛の告白!?」
「莫迦。真面目な話だ。聞いてくれ」
「……いいわよ」
「ふ。俺にはもうあまり未来がない。実は、俺はクローンなんだ……生まれながらにしてテロメアが短い」
「……」
「おそらく俺は、議長が作る新しい世界を見届ける事は出来ないだろう」
「……」
「議長はお前を信頼している。だからルナ、お前が守るんだ。議長と、その新しい世界を…って、聞いているのか?」
「ええ」
「だったら黙ってないで少しは反応しろ」
「そうね……じゃあ一つ聞くけど」
「ああ」
「レイ、あなた、何時死ぬの」
「な、何?!」
「寿命が短いんでしょう。何時死ぬのかと聞いてるの」
「………」
「明日か、明後日か。はっきりさせて貰えると助かるんだけど……分からないの?」
「当たり前だ!」
「意外と不便ね。それに、寿命が短いなんて言っている割には、しぶといわ」
「そんなに簡単に死んで堪るか!!」
「……そう。じゃあ、あなたの頼みも却下ね」
「何だと?」
「あなたのオリジナルが何歳の時のクローンか知らないけど、人類の理論上の最大寿命は120歳よ。もっと延びる
かも? それだけ元気なら、まだまだ長生き出来るわよ。せいぜい長生きして議長の為に励みなさいよ」
「……ルナ、お前」
「さぁ、そろそろ出撃の準備よ。奴らは、簡単な相手じゃないわ。入念に行きましょう」
「ああ、そうだな……ルナ」
「何?」
「勝つぞ。俺たちは死ぬ訳にはいかないからな」
「いつもの事よ。レイ、気負わないでね。冷静にね。くれぐれも」
「……それは余計なお世話だ」
277 :
赤き月の鷹:2007/05/02(水) 18:13:28 ID:???
……
「少しは休めたか?ルナ。そろそろ俺たちも出撃だぞ」
「ええ」
「ミネルバにはフェイスが4人もいるんだ。ステーション1、守って見せなきゃな。……ルナ、議長についてどう思う
?」
「……アスラン? 何を突然……」
「君から見た意見を聞きたいだけさ。あぁ、今更ラクス達が正しいとか言うつもりはないから安心してくれよ」
「……そうですね。正直な所、全面的には賛同できないというのが私の意見です」
「ふむ」
「デスティニープランはナチュラルとコーディネイターの確執を取り除くためならば、そう悪いものでは無いと思い
ます。ナチュラルとコーディネイターが争わないのならそれにこした事はない。けれど……」
「けれど?」
「やり方が少々強引すぎるように見えます。現にデスティニープランは議長の"提案"ではなく一方的な"導入"宣
言により始まりました。対話も議論も何も無い」
「……」
「デスティニープランは、評議会で議論したものでもなく議長一人が考え上げて宣言しました。本来なら、評議会
でどうやって実施するか、実施にあたっての問題点などを議論するはずです。しかし、それすらもなされていない
。問題はそこです」
「そこ?」
「まるで議長個人の考えあげたプランが正しいかのようにされている。絶対的に正しい人間などいないのに、民衆
は自分達で考えるのをやめて、偉い人間の言いなりです。まるで人形ですね」
「ふむふむ」
「デスティニープランを全面的に否定はしませんが、よくもわかっていないプランを両手を上げて賛同するつもり
もないですよ」
「……そこまで考えていても、君は議長の言うとおりに働くのか?」
「今は戦争中ですから。自国の政策云々以前に倒さなければならない敵がいる……議長に文句を言うのはその
後ですね。政治家でもない、ただの軍人の私が問題点を指摘しても取り合ってもらえないでしょうが」
「ヘタをすれば反逆者として捕まるかもねしれんぞ」
「その時はその時です。なんなら全世界にTV中継されてる時にでもやってみますか。派手なほど大衆へのイン
パクトは大きいですし、『お前らも少しは自分で考えろ』ってね」
「君らしくなく過激だなぁ」
「今まで散々"軍の命令だから"と多くの命を奪ってきたんです。一度くらい馬鹿げた事をやってみても悪くないか
と」
「どうして俺にそこまで話してくれたんだい?議長に君の事を報告するかもしれないよ?」
「私にもよくわかりません。ただ、アスランになら話してもいいかと思いました」
「信頼されてるってことかな?」
「ふふ。さぁ、どうでしょうね」
278 :
赤き月の鷹:2007/05/02(水) 18:13:36 ID:???
『コンディションレッド発令、コンディションレッド発令。パイロットは速やかにモビルスーツに搭乗してください』
「出撃みたいだ、行こうか。……なあ、ルナ」
「はい?」
「もし君が今言った事を実行するなら、俺も手伝っていいかな?」
「ふふ、お好きにどうぞ」
「あぁ、好きにするよ」
『デスティニー、レジェンド、発進してください』
いよいよだ!
「アスラン・ザラ、レジェンド、発進する!」
「ルナマリア・ホーク、デスティニー、行くわよ!」
279 :
赤き月の鷹:2007/05/02(水) 18:15:30 ID:???
投下終了ー
するどい!TRPGほとんどSWしかやったことありません。最近はめっきりご無沙汰。
またやりたいものです。
投下乙ですー
>「……覚悟はある! 俺は戦う!」
リアルに烏龍茶吹いたわけだがw
しかし、ルナかっけー。
対レイといい、対凸といい
生きた人間って気がするねえ、うん。
GJ! ところで今回のミソは
>「オーブ本土じゃ反政府デモや、軍のサボタージュもあると聞く。オーブも苦しい所だろう」
これかな?ユウナの檄が通じてたまっとうな軍民もちゃんといたという事だ。
議長の強制度や変貌ぶりがどの程度であるかにもよるけど、終戦処理の鍵となるかな…?
乙!
なのですが・・・
>>277のアスランとルナのDPについての会話が以前
シンが冷静だったらのスレその2にあったアスランとシンの会話
そのままで語尾や一人称が少し変わっただけのように思えるのですが・・・
あれは赤き月さんのネタだったんですか?
ということは戦中にオーブに政権交代でも起こってくれればいいが
ルナカッケw
285 :
赤き月の鷹:2007/05/03(木) 13:25:50 ID:???
ステーション1にはアークエンジェルとエターナルの2艦しか来なかった。だけど、アスランの言ったとおり、
エターナルから発進したミーティアにより防衛隊は多大な被害を蒙っていた。
発進したそこでは、すでにフリーダムとインパルスが戦っていた。
「アスラン! こいつ、キラ・ヤマトじゃない! 戦い方がまるで違う! 強い!」
「落ち着けシン! そうだとしても、俺たちがやって来た特訓は無駄じゃないだろう!」
「フリーダム! 覚悟!」
あたしは左腕のビームシールドを構えて突っ込む!
――! 衝撃が走る! フリーダムは左腕のビームシールド発生装置にアーマーシュナイダーを突き立て
ていた。どうやって? そうか! アロンダイトの様に対ビームコーティングされてるんだ!
とっさにこんな事するなんて!
「くっ!」
右腕のスレイヤーウィップを振るう! あっさりフリーダムにかわされる。強い! 確かにキラ・ヤマトとは違
う!
「「ルナ!」」
レジェンドとカオスがフリーダムにオールレンジ攻撃を仕掛ける!
あたしはアロンダイトを構えると急加速で突進! フリーダムのビームサーベルと切り結ぶ!
インパルスもエクスカリバーを構え突っ込んでくる! その隙に!
「狙いはこっちよ!」
アロンダイトから左手を離し、左腕のスレイヤーウィップを振るいフリーダムの右手に巻き付かせる! 再び
アロンダイトを手にして加速! こちらの機体を押し付けながらスレイヤーウィップでフリーダムの右手を引
き付け! 右腕を切り飛ばす!
「シン! レイ! フリーダムは任せていいか! こっちはミーティアを叩く!」
「了解。任せろ、もう慣れてきた」
冷静な声でシンは言う。任せていいかな。
あたしとアスランはミーティアへ向かう!
286 :
赤き月の鷹:2007/05/03(木) 13:26:15 ID:???
『こちらはエターナル。ラクス・クラインです。中継ステーションを護衛するザフト軍兵士に通告いたします。
わたくし達はこれより、その無用な大量破壊兵器の排除を開始します。それは人が守らねばならないもの
でも、戦うのために必要なものでもありません。平和のためにとその軍服を纏った誇りがまだその身にある
のなら、道を空けなさい!』
「何を! そっちこそ良くぞ今まで、平和を誓ったはずのユニウス条約破りの大量破壊兵器を隠し持ってい
たものね!」
『それは、このような事態に備えるためです。想いだけでも、力だけでもだめなのです。アスラン、ルナマリ
アさん、あなた方もフェイスならご自分の胸で考えてください。今のデュランダル議長の方針が正しいのか
を』
「つまり、他人の武器は汚い武器、ご自分の大量破壊兵器はきれいな破壊兵器って訳ね。毎度毎度ご自
分だけきれいに糊塗して。反吐が出るわ!」
あたしたちの前に見知らぬ黒い重厚なモズルスーツが三機、道を塞ぐ。
あたしはビーム速射砲で、アスランは突撃ビーム機動砲で攻撃する!
――あれは!
「アスラン! あれはビームシールドです!」
「ああ、あれは確かMSコンペティションでザクに負けた機体だ! 改造を加えたのか?」
相手は一列になってあたしに向かってくる!
相手のバズーカの弾がシールドで弾ける!
「――邪魔を、するなー!」
両腕を振る! スレイヤーウィップ!
右手のはビームシールドで防がれたけど、左手のスレイヤーウィップは見事に、先頭の相手のビームサー
ベルをぶち切る!
アスランはオールレンジ攻撃でビームシールドの無い後ろ側から一機撃破していた。
「ハイネ! 後任せていいか?」
「OK! 任せなさいって! ゲイル、ショーン、散開して行くぞ!」
「あいよ!」
「おう!」
287 :
赤き月の鷹:2007/05/03(木) 13:26:54 ID:???
とうとうアスランとあたしだけになったけど、負けられない!
相手はミーティアを切り離す!
……あれは……フリーダム?のような? 何か違う? ――! この攻撃!
「気をつけろ! ルナ! おそらくフリーダムの新型だ! レジェンドと同じドラグーン攻撃だ!」
「はい!」
「ドラグーンはレジェンドのドラグーンで抑える。行け!」
「はい!」
あたしはビームシールドを構えて突っ込む! 新フリーダムもビームシールドを構える!
「く、アスラン! 君だろう! なぜこんな事を!」
「――やはりキラか! 俺の声は届かなかったようだな。もうお前は、敵でしかない! 投降しろキラ!」
速射砲のビームとフリーダムのビームシールドがぶつかり合う!
「やめろ! アスラン! 俺たちはお前のために、この機体を用意してまで待っていたんだぞ!」
「――バルトフェルドさん……! なぜ止めなかったんです! キラを! ラクスを! こんな事を!」
あれは……ジャスティス?に似た機体――新型?
その後から! カオスにインパルス!
「シン! レイ!」
「ルナ! ジャスティスは任せろ! アスランとルナはフリーダムの新型を!」
「フリーダムは殺ったの?」
「ああ、シンががばっちりとな。 見違えるような動きだった」
「了解!」
アスランが新フリーダムのドラグーンを止めているうちに!
――! 新フリーダムの胸部が光る! とっさにビームシールドを広げると光の奔流がデスティニーを包み
込む!
あたしも左肩のビーム速射砲を放つ! フラッシュエッジ2ビームブーメランを投げつける! 新フリーダム
は左腕のビームシールドを張る。
「――それを狙っていたのよ!」
あたしはアロンダイトを抜き放つ! ビームコーティングされたアロンダイトはビームシールドを貫き! ビー
ムシールド越しに新フリーダムの左腕を切り飛ばす!
「――だけど! ここで僕たちが負けたら、世界は!」
「良くなる! より良き世界にしてみせる!」
「さよならだ……キラ!」
「ぐぅぅぅ!」
288 :
赤き月の鷹:2007/05/03(木) 13:27:15 ID:???
アスランは着実に新フリーダムのドラグーンを一基ずつ仕留め、とうとうレジェンドのドラグーンが新フリーダ
ムへの攻撃に参加してきた!
「止まった! 今だルナ!」
「貰った!」
新フリーダムは右腕のビームシールドを張る。それじゃあ、さっきの繰り返しよ!
あたしがアロンダイトで切り裂こうとすると、とっさに新フリーダムはビームサーベルで受け止めた!
相手の勢いそのまま新フリーダムの胴体を引き付け! 左掌をコクピットに押し付けパルマフィオキーナを
放った――!
後は――エターナル!
「やめろ! エターナルはザフトの艦だ!」
いきなりドラウプニルを撃って割って入ったグフがいた! 誰!?
あたしはそのグフに向き直る。
「その声はイザークか!? 血迷ったか!?」
ええ!? あの名高いエースのイザーク・ジュール!?
「ルナ! かまうな! エターナルに行け!」
「了解!」
「アスラン、貴様ぁわかっているのか! エターナルにはラクス・クラインが乗っているんだぞ!」
「わかっているさ! 彼女がもう戻れないところに行ってしまった事も!」
次の瞬間、アスランのオールレンジ攻撃でイザーク・ジュールのグフは四肢をもがれた。
あたしはそれを後ろ目にエターナルの艦橋のラクス・クラインに相対する。
「エターナル! これが最後よ! 降伏しなさい!」
「……キラ、キラが……ルナマリアさん、まだわからないのですか!? デュランダル議長に従う事は、こ
のままでは世界は終わりです!」
「……さよなら」
あたしはアロンダイトを艦橋に突き刺した。
「仇は取ったわ、父さん……」
289 :
赤き月の鷹:2007/05/03(木) 13:28:45 ID:???
次にアークエンジェルに向かおうとした時、全周波数で通信が入った。
『こちらはプラントのデュランダル評議会議長だ。オーブ宇宙軍、そしてザフト全軍にに告ぐ。オーブ本国
よりオーブ首長国連合代表代行のユウナ・ロマ・セイランより和平の申し出があった。戦うのをやめよ。和
平こそが私の意志である』
その声が一分遅れていたとすれば、アスランの知人はさらに多数、この世から姿を消していただろう。ダイ
ダロス基地を攻めたオーブ宇宙軍等は、エターナル、アークエンジェルの助勢はとうとう来ず、戦力差の
まま、壊滅への道を辿っていたのだから。アークエンジェルの艦橋にはショーンとゲイルが、テンペストを
突きつけていたのだから。そしてアンドリュー・バルトフェルドは、コクピットで、動くこともできずに、血の臭
気に包まれながら、スピーカーから流れ出る声を聴いたのだと言う。
『……戦うのをやめよ! 和平こそが私の意志である』
290 :
赤き月の鷹:2007/05/03(木) 13:29:03 ID:???
投下終了ー
………ユウナ生きてたーーー!?
ニコルママも少しは浮かばれたに違いない。
撃墜GJGJGJ! しかし梅荒らしが心配だ……
ところで、ストフリ=キラ、インジャス=虎、ドムトル=ヒルダ他
という事は、シンに落とされた無印フリーは誰が乗ってたんでしょ?
やはりいつの間にかムネオが?一人称物語の難しいとこですなあ。
これで残された懸案は…アウルやカガリの処遇に、議長がこの上いきなり
発狂しやせんか、あとタリア艦長の健康診断くらいですかね?
ちょ、どうみてもブリュンヒルドに突入したユリアン状態じゃまいかw
まあこれはこれで燃える展開なので問題ないけどw
しかしまー、ホント自分の正しさを疑わない連中は厄介ね。
無能な働き者は銃殺にせよとは良く言ったものだ…。
……後世の歴史家が俗に言う“議長病”である
…なんでもない、ただのでんぱのようだ
投下乙です。
ラクスの電波が全く通用してないのがいいなーw
個人的にはアロンダイトではなく、パルマあたりで艦橋を破壊して欲しかったがw
GJGJGJGJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1
なんだ、この爽快感
ハイネ「イザーク、俺はお前さんを高く買ってたつもりだ。お前の才覚なら
いずれふさわしい地位も名誉も向こうからやってきただろうに。
惜しむらくは一時の狂信に溺れて 晩 節 を 汚 し た な … !」
いつのまにかユウナが和平交渉の申し出を行政府からしてたとは・・・・・オーブでカガリ更迭でもおきたかな?
寧ろ、最後の一文がカガリの声明でトラがびっくりしてるとか…あるかな、ないかな
>>299 いや「アスハ派駆除」のほうがいいなw
または「病巣摘出」とか。
皆さんはどう思う?
アスランもかっけぇなぁ。
お気に入りのキャラを格好良く、強く見せるために
敵対する者を徹底的に醜く、無様に描写する。
人、それを『最低SS』と言う!
しかし前作のアスランやらはカッコよかったよな。ラスボスだったし
>>304-305 >>301のことじゃね?
このSSでのカガリは「病巣」とか「駆除」とか扱いするほどのキャラじゃねーし。
ラクスは論外だがw
309 :
301:2007/05/04(金) 03:50:46 ID:???
>>308 貴様あのアニメを見ていてよくもそんなことがいえるな
>>309 ああ、君が噂の埋め荒らしか。
このSS読んでないのバレバレだよw
アニメの出来に激怒したり紛糾したりは分かるが
たかがキャラクターにそこまで感情移入できるかね・・
ある意味関心するよ。そういう人がいるからグッズとか売れるんだから
いないと困る存在だろうけど
話の流れ叩き斬るけど、ほんとにカガリは更迭されたのかな?
ユウナの肩書きが「代表代行」になってるのが気になる・・・
カガリは傀儡の代表、実権は代行のユウナなのかね?
政治的に引き摺り下ろしたんじゃなくて、クーデターか暗殺で排除したんじゃないの?
アスランには既に見限られてるし、キラクスさえ不在なら
無血クーデターで取り押さえられたんじゃないかね。
腐ってもゴリラでも一応妙齢の女性、MS戦ならともかく生身の状態で
流血を伴って排除したんじゃいくら道義的な筋が通ってようとユウナ派は
ヒール扱いを免れず得策とは言えないからね。
じゃカガリは戦後裁判に掛けられるのか
ああ、自分の未熟さを理解して全ての公職から退いて、
戸籍も名前も一切変えてどっか知らない土地の市井で無名の一市民として、
あるいは剃髪して厳格な尼寺に出家して俗世間との関わり絶って仏門に帰依し、
いずれも無論戦後アルカイダ化が確実なクライン派残党の擁立の誘いも
蹴って絶縁してひっそり暮らしてくれる、とかならまだ手も打てるというものなんだが。
317 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:00:40 ID:???
「気をしっかり! バルトフェルドさん!」
アスランが、ミネルバに収容されたジャスティスからバルトフェルドさんを担ぎ出している。
これが名高いアンドリュー・バルトフェルドか。
あたしも手を貸す。
「う……」
「痛いですか? すみません。ストレッチャー早く!」
「……それよりも、教えてくれ。エターナルはどうなった? アークエンジェルは……」
「アークエンジェルは無事です。エターナルは……艦橋以外は無事です」
「……そうか……ラクス!」
彼は気を失ったようだった。そのままストレッチャーに運ばれていった。
……
「それにしても、ユウナ・ロマ・セイランが生きていたとはねぇ。あたし驚いちゃった」
「ああ、なんでも、黒海遠征で率いていた部隊を中核にして国防本部を制圧、カガリ・ユラ・アスハ代表首長を
捕縛したと言う話だ。スカンジナビア王国でも共和派のフォン・マンネルヘイム元帥がクーデターを起こして、
話し合いを求めてきたらしい」
「私、嬉しいな。彼が生きててくれて」
「俺もだ」
「いい男っぽかったものねぇ。凛としててさ」
「アスラン……またあの時みたいに閉じこもっちゃった」
「昔仲間だった人を、亡くしたんだものね」
「心配するなよ、ルナ。アスランはまたあの時のように立ち直るさ」
「そう、そうよね!」
戦いは終わった。
その後、プラントのデュランダル議長、オーブ宰相のウナト・エマ・セイラン、スカンジナビア共和国のフォン・マ
ンネルヘイム大統領、そして大西洋連邦のジョゼフ・コープランド大統領を中心として世界各国の首脳と会談が
持たれ、しばらく後に新国際連合の発足が宣言される事となる。
エターナル乗員の生き残り、そしてラクス・クラインに同調していた傭兵やジャンク屋ギルド員はプラントによっ
て裁かれる事を免れた。
宰相に返り咲いたウナト・エマ・セイランがしたたかな交渉力で彼らをオーブ国民、軍人であったととして認めさ
せたのだ。
しかし、その代わり、ジャンク屋ギルドは解体、彼らの黒幕と目されたマルキオ導師は終生軟禁状態に置かれ
る事となった。
318 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:01:17 ID:???
「そう言えば、フリーダムに乗っていたのは、世界的にも有名なサーペントテイルって傭兵部隊のエースだった
んだって」
「なんだよ、いきなり」
「ふふ。シンもよくやったって事よ。おめでとう!」
「あ、ありがとう!」
シンとレイ、そしてアスランとハイネは、ネビュラ勲章を受章したのだ。
あたしも三個目を受賞した。そしてそのついでと言う訳でもないだろうけど、再編されるミネルバのモビルスーツ
隊の隊長になる。
ミネルバがその傷を癒し、月軌道に配置されると言う時、タリア艦長がいきなり艦を降りる事が知らされた。
「なんでですか? いきなり。私、艦長の下でモビルスーツ隊の隊長やるの楽しみにしてたのに」
「しょうがないでしょ。できちゃったんだから」
「できちゃったって? えー? 赤ちゃん!?」
「ルナマリア、声が大きい」
「あ、すみません」
「それにしても、不思議なものねぇ。ふふ。あ、結婚式には呼ぶから出て頂戴」
「え、誰、そう言えば誰とのお子さんなんですか?」
「……ギルバート・デュランダル」
「えー!? 議長!? あー、やっぱり」
「やっぱり? ばれてたのね。やっぱり艦内じゃまずかったかしらね」
「え!? 艦内でって……」
「あら、やぶ蛇だったかしら。でも計算するとちょうどその頃なのよね」
「あは。とにかく、おめでとうございます!」
「ありがとう。あなたの恋もうまくいくといいわね」
しばらく経って、プラントでアスランにあった時、議長とタリアさんの結婚式の話題になり、ふと彼はつぶやいた。
「そういえばさ、マリューさん――アークエンジェルの元艦長と、バルトフェルドさんが結婚したって知らせてきた
よ」
「そう、バルトフェルドさんが……」
アスランは涙ぐんでいた。
「嬉しいよな。昔の仲間が生きててくれて、幸せになってくれて……」
319 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:02:00 ID:???
デスティニープランは、結局あたしが心配するまでも無く、評議会、および各国で慎重に協議された上で、導入
された。
とりあえず雇用の保障による治安の改善、そしてブレイク・ザ・ワールドからの効率的な復興には役立っている
ようだ。プラントにもハーフコーディネイターやナチュラルの大規模な移民が募られ、プラント=コーディネイター
と言う図式は崩れ始めている。コーディネイターはナチュラルに還るのだ。
口の悪い人は、議長がタリア艦長との間に子供がすんなり授かった事で、遺伝子学者として評価を落としたか
らデスティニープランで強く出れなくなったのだと言う。それでもいい。議長とタリアさんは、レイ、それに回復し
たエクステンデットの少年少女も引き取り、にぎやかで十分幸せそうだ。
「シンは? シンは来ないの?」
あたしが議長の――そしてレイの家に行った時、金髪の女の子――ステラがいきなり玄関に走ってきた。
回復したエクステンデットの少女だ。今はこの家の養子となって、学校に行っている。踊りが好きな子だ。
「シンは任務中だ。来月は来るさ」
「なぁんだ」
「レイ! 元気そうね」
「ああ、おかげさまでな」
戦争終結から一年後、今、シンはミネルバ級二番艦「ウラニア」のモビルスーツ隊隊長に任命され、今はミネル
バと入れ違いに月軌道艦隊で任務に付いている。
レイは本国防衛艦隊でやっぱりモビルスーツ隊をひとつ任されている。
「ステラは相変わらずシン、シンね。シン、よく来るの?」
「ああ、ルナマリア以上には来てるな」
「ふふ、ステラが目当てかな?」
「そうかもな。最近じゃ二人で出かけたりもしてるみたいだぞ」
「ふふ、そっかー」
「そっちはどうだ? アスランとは」
320 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:02:38 ID:???
アスランはアスラン隊隊長になり、あたしがいるミネルバも含めて艦隊を率い、シン達の艦隊と交代で月軌道
防衛の任に付いている。当然、旗艦のミネルバに座乗している。
「もちろん順調よ」
「そうか。よかったな」
「ありがと。レイは浮いた話とかないのー?」
「こいつ、ミーア・キャンベルって言うシンガーソングライターと付き合ってるぜ」
「あ、アウル! お久しぶり! 今の本当? ミーア・キャンベルって、大手のミュージックレインボーってレーベ
ルがプッシュしてる歌手よね?」
「ああ。こいつがミーア・キャンベルと街歩いてるところ、見ちまった」
「……まぁ、そんなところだ。偶然意気投合してな」
「やるじゃない! レイ!」
アウル――回復したもう一人のエクステンデット、彼もやはりこの家の養子になっている。彼にははっきりした
夢がある。今まで殺す事ばかり教えられてきたからこれからは生かす事――医者になりたい、と言っている。
「ぁー」
とことこと、幼い女の子が歩いてくる。
「きゃー! ダイアナちゃん! 歩けるようになったのね!」
「ああ、最近かな? 言葉はまだしゃべらないが。子供はいいな。未来の塊だ」
「可愛い盛りでしょう」
「ああ、妹と言うものは可愛いものだ。さあ、入り口で話していてもしょうがない。上がってくれ」
「そうね。おじゃましまーす」
321 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:03:00 ID:???
◇◇◇
オーブでは、一旦は代表首長に就任したユウナ・ロマ・セイランだが、奇怪な事に戦争から一年ほど経った頃、
国民の統一の象徴として、カガリ・ユラ・アスハを代表首長に返り咲かせた。さらに一年後、二人は結婚した。
あたしがその時結婚式に参列する議長の護衛としてオーブを訪れた時には、とても仲睦まじそうな二人に見
えた。
結婚式の前日、泊まっている部屋をノックされた。
「どうぞ」
アスランが鍵を開ける。
「え!? カ、カガリ!?」
え? そこには、シャツにズボンといった目立たない服装で、カガリ・ユラ・アスハが立っていた。
「早く中に入れてくれ! 見つかる!」
「あ、ああ」
アスランは手早く彼女を中に入れると鍵をかけた
「……一度、直接会って、話したかった」
「私、席外そうか」
「いや、ルナマリア・ホークと言うそうだな。あなたもいてくれ」
「……はい」
322 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:03:09 ID:???
「アスラン。約束を破ってすまない」
彼女は深く頭を下げて、封筒を差し出した。
「だから、これを返さなくちゃと思って」
「これは、オーブの、あの時の?」
「そうだ」
「……カガリ、ひとつ聞いておきたい」
「なんだ」
「本当に、ユウナ・ロマ・セイランが好きで結婚するのか?」
「……ああ。あいつは、国外追放されても足りないくらいの私を見捨てずにいてくれた。そして教えてくれた。
上に立つものの責任、義務。私はディオキアでお前に言われて、わかったつもりで全然わかってなかった。
今は、ユウナと二人で、これからのオーブを作って行きたい」
「そうか。彼とは戦ってしまったが、案外いい奴みたいだったと感じたよ。それに、父親に似てしたたかになっ
て来ている。うちの議長も苦労している。オーブは安心だろう」
「そうか」
「おめでとう。カガリ。心から祝福するよ」
「……ありがとう。じゃあ、マーナが心配するから帰るな」
「ああ」
「ルナマリアさん」
「あ、はい」
「こいつを頼むな。こいつは時々優柔不断で情けなくて、でも、とってもいい奴なんだ」
「……はい!」
あれから一年後――
アスランはと言えば、今、あたしの左手に指輪を着けている。照れくさそうにする彼の瞳。あたしたちは皆の祝
福の中、誓いのキスをした――
323 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 12:07:42 ID:???
最終話投下終了ー
前回より最終話は書き込みましたが全体では前作とどっこいどっこいの容量……
まだまだ書き急いでるなーと自分でも思います。
100話とか書いてる人を尊敬します。
今回も皆さんの暖かい声援のおかげで完結できました。
お付き合い頂きありがとうございましたm(__)m
とりあえず完結乙。
そこしか褒められる所のないSSでした。
涙目豚嫁御愁傷様
326 :
通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 15:34:31 ID:Xzs+dLju
まんぺろちんしゃぶ
327 :
紅薔薇茂:2007/05/05(土) 15:52:10 ID:???
完結お疲れ様でした。
しかし…敵味方それぞれ新生活や幸せが描かれる中、TVと同じ賭けに出て
正反対の結果に終わり、後日談もハブられたイザークテラアワレス
>>323 乙でしたー。
不幸になる人が少なくて良かったです。
信じてて良かったよー。
「人の意志」「人の可能性」ってのを大事にしてますね。
だから、読んでて全く不快にならなかったです。
(あ、ラクスの電波は不快だったけど、あれはそういう目的の文章だしねw)
ゆっくり休んでくださいー。
完結乙でした
ところでシンとステラが仲良くなっているようだけど、この話でのふたりに接点ないよね
まあ、レイとミーアもないけど
個人的にショーンやゲイルの話も見たかったな
すまん。こんなこと書いてるが実は結構感動した。
>>330 多分、平和になった後に出会ったんだろうね、シンとステラ、レイとミーアは。
332 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 18:59:38 ID:???
ちょっと改訂しときました。にやっとしてください(^-^)
議長がDプランさえ発表しなければラクスもおとなしくしていたのに。
完結おめでとうございます
この板の銀英スレに出たネタがちょくちょく(前作込みで)
ありましたが赤き月さんは銀英伝が好きなのでしょうか?
335 :
赤き月の鷹:2007/05/05(土) 22:18:10 ID:???
ありがとうございます。
銀英伝は好きですよー♪アルスラーンもまぁまぁ好きです。
>>赤き月の鷹氏
GJ&乙であります。
アスルナだったのが意外だった。
てっきりシンルナ・アスミアで来ると思ってた。
(ステラ出てこなかったから)
でもステラ健在だったのでGJです。
ミーアは顔とかどうしたのかな。
>>333 日記を根拠にテロ起こす人間だぞ
デステニプランを発表しなくてもいずれテロってるだろ
乙!
イザークテラカワイソス
キラ「疑惑率100%!あなたは悪党だっ!ぬんっ!(フルバースト)」
議長「ぐおっ!?な、何をするのかね君は!?私が何をしたというのだ!」
キラ「ふんっ何もしてませんよ。だがっ!放っておけばあなたは必ず運命計画をやる!
この日記でそれが判明したのだ!そうなる前に僕は悪の芽を摘むっ!
おああああ正義のミーティアーーーーーっ!!!」
議長「ぎゃーーーっ助けておがーちゃーーん!!」
歌姫「お許しなさい、これも人間の業というものですわ(南無っ)」
341 :
紅薔薇茂:2007/05/06(日) 12:50:27 ID:???
GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ガッツリ読ませてもらったw
おれも、アスルナは意外だったかな?
チラ裏
GW利用して、種デス観返してるんだけど……ちょっとつらいw
>319
>口の悪い人は〜
爽やかにワロスwww
>>340 ちょwwwwまっする日本wwwwwww
うーん、赤き月の鷹が完結したからスレが寂しいね
そろそろルナパルスの作者さん戻ってきて欲しい
赤き月の鷹の別バージョンENDと、ちょっとした外伝(ルナが主人公じゃなくなるけど)が
頭にあるんだが、書いてもいいものやら。
別にここは一人の職人だけがいればいいなんて風潮はないから
別にいいんじゃないか?
348 :
赤き月の鷹:2007/05/10(木) 10:06:06 ID:???
別バージョンも外伝もどうぞ書いてください(^-^)
Wktkwktk
wktk
「なんと濃い霧なのだろう。……嫌な感じがする」
黄金の鎧を着るまだ少年は、落ち着かない白馬を宥めながら、アトロパテネの野に立ち込める霧に不安感を、隠せなかった。
「やれやれ、アルスラーン殿下は御心配性のようですな。パルス騎兵8万5千万全の態勢で、配置に着いております。負ける要素はありません」
パルス軍を統轄する大将軍たる、ヴァフリーズに言われてもアルスラーンは不安感を消えなかった。
「ルナマリア、君はどう思う」
アルスラーンは、隣に赤い鎧を身に纏い白馬に乗ったルナマリア・ホークに、問い質した。
「……個人的意見ですが、宜しいですか?」
「うん。構わない」
「では、霧が晴れるまで戦端は開かずに、霧が切れる所まで一旦全軍を後退させるのが、宜しいかと存じますアルスラーン殿下」
「理由は?」
「この霧では、ルシタニア軍の陣形や作戦が読み取れないからです。下手に、戦端を開けばルシタニア軍の罠に、嵌まる可能性があります」
「うん。他には」
ルナマリアはやや戸惑いを禁じ得ないでいた。何故なら、彼女は正式なパルス軍人ではない。ミスラ神殿から派遣されたアルスラーン専属の女騎士であった。
それ故に、自分の意見が通るとは思えず、周囲も良い顔をしないである事は、目に見えていた。ついでに、彼女はパルス人でもなかった。
「はい、続けます。この霧では、パルス騎兵の特徴である速さが生かせず、最悪の場合、同士討ちの危険すらあります」
アルスラーンは、我が意を得たりと笑顔になりヴァフリーズに向き直った。
「ヴァフリーズ、やはりここは一旦後退して霧が晴れるのを、待つべきだと父上に進言しよう」
ヴァフリーズは、赤い髪赤い鎧を身に纏った17歳の女騎士の言葉が、正論であるために思案顔をした。
またヴァフリーズは、ルナマリアのアルスラーン専属の、女騎士としての試験も兼ねて剣を交えて認めていただけに、ルナマリアの意見を無視できずにいた。
そこへ、パルスが誇る12名の万騎長の一人、歴戦の勇将たるカーランが馬を走らせて来た。
「おお、大将軍ヴァフリーズ殿。ここにおられましたか、捜しましたぞ」
「サーム卿か、どうかしましたかな?」
「どうしたもこうしたも、大将軍の甥であるダリューン卿が、国王陛下と揉め事を起こしましてな。大至急収めて欲しいのですよ」
ヴァフリーズは苦笑を隠せなかった。
「わかったサーム卿、直ぐに本陣に行く」
「済まない、私は、部隊に戻らなくてはならないので、何とか収めていただきたい」
ルナマリアは、アルスラーンと一緒に話しを聞きながら、パルス王国の王都エクタバーナで出会った、一万の騎兵を指揮する最年少の万騎長ダリューンを、頭の中で思い出していた。
全身が黒一色の騎士『マルダンフ・マルダーン(戦士の中の戦士』と呼ばれる男を。ルナマリアは一目見ただけで、自分はこの男には絶対に勝てないと悟った。
「アルスラーン殿下、一旦本陣に戻る事にしましょう」
「わかったヴァフリーズ。ルナマリアも」
「はい」
?よく解からない・・・
誤爆?でもルナ出てくる…
何これ?
田中芳樹の『アルスラーン戦記』だな。
誤爆?
「ふぅ……」
オーブ。彼の地は常に暑い。諸島国家だけあって湿度もあり、極端とまではいかないものの、
慣れない者にとっては厳しい暑さだろう。
特に、季節と言う概念のないコロニー、プラントで育った人間にとっては信じられないものだ。
今、舗装された道を行く彼もまたそうだった。
「暑い……なんだってこう暑いんだっ!」
実は、自分から散歩に出ようと思って出てきたのだが、あまりの暑さに理不尽さを感じ、路
上で癇癪を起こす。
しかし、すぐに冷静に戻ると、あたりの人の目を気にしてキョロキョロと見回した。
「ふぅ……」
ため息をつき、“散歩”を再開する。
デスティニー・プラン施行後、エネルギー不足の地球からプラントへの移民が多数ある中、
彼はプラントからオーブへと移住した例外だった。
戻らないつもりで移住したものの、まだ定職に就いておらず、プラント時代の貯金を取り崩し
て生活している有様である。
彼のキャリアは、強いて言うなら軍人である。
先には例外と書いたが、戦争の終結によりザフトの軍事機能が過剰となり、結果ザフトから
離れる結果になったものも多い。逆移住してきた元プラント人は、その多くが元・ザフト軍人だ
った。
────まさかオーブ軍に、入れてくれと言うわけにもいかないからな。
デスティニー・プランに応募すれば、たちまち職は見つかるのだろうが、どうもそう言う気にも
ならないでいる。
共に移住してきた2人の彼の元・同僚のうち、1人はデスティニー・プランに応じて、オーブの
有力企業の工場で働いている。
────金を使い果たす前に、仕事を見つけないとならんが……
現状それほど切羽詰っているわけでもなかったが、かと言ってそのままで良いわけもない。
あたりを見回すと、いたるところにビルの工事現場がある。
今、オーブは戦時中の被害に対する整理が一段落して、建設ラッシュの真っ最中だった。
工事現場のフェンスには、『作業員募集中 連絡はXXX-XXX-XXXX』と書かれた張り紙がさ
れている。
────こういう仕事は、日雇いか、給料はいくら出してくれるのだろうか?
こういうのも良いかもしれないな、と思った。今の自分には、似合っているかもしれない。
一見華奢に見える彼だが、軍に服していたぐらいだから、体力には自身があった。
そんなことを考えながら、道を歩く。
1軒の喫茶店が目に止まった。
ふと思い出す。彼と共に移住してきたもう1人は、デスティニー・プランには応じず、定食屋を
開いて、そこそこ繁盛させていた。しかも、別れたの恋人とよりを戻して、同棲していた。余談
だが、その彼はコーディネィターで、恋人はナチュラルだった。
「それにしても喉が渇いたな、寄っていくか」
彼は、吸い込まれるようにしてその喫茶店に入った。
店内は流石に、冷房が強烈なまでに効いており、汗ばんだ衣服では一瞬凍えそうなほどだ
った。
テーブルに着くと、すぐにウェイトレスが自分のところにやってきた。自分と同年代……いや、
もっと幼い少女だ。オーブではこんな子供が労働に就けるのか、と思ったが、よく考えてみた
ら、この国の国家元首は年端も行かない少女だった。
「メニューをどうぞ」
「ああ」
彼は勧められるままに、メニューを開いた。
喫茶店らしく、さまざまな種類のコーヒーが並んでいた……
…………
……コーヒーの品種名を見ているだけで、なんだかイヤ〜な気分がもたげてきた。
「それじゃあ、アイスココアひとつ」
「かしこまりました、アイスココアワンで〜す!!」
若すぎるウェイトレスは、メニューを畳むと、そう言いながらカウンターのほうへ歩いていっ
た。
ウィークディの日中ということもあってか、店内に人はまばらだった。
────あんな娘でも働いてるんだよな。
改めて思う。思いながら、お絞りで手を拭いていた。
「お待たせしました」
程なくして、エプロン姿の少女が、トレイにグラスを載せて運んでくる。
そして、テーブルに載せたその手は、ひじにまで届く白い手袋をしていた。
ふとそのことに気付いた彼は、反対側の手を見る。そちらには手袋をしていない。
「ところでお客さん」
「なっ、なんだ?」
観察しているのを咎められたかと思い、一瞬、ビクッ、とする。その後で、自分が情けなく感
じた。
「ザフトの軍人さんですよね?」
「なんで、そんなことが判るんだ?」
彼が聞き返すと、少女はクスクスっと笑った。
「お客さん、コーディネィターでしょう? 今、オーブに来ているコーディネィターの人は、ほとん
どが元ザフトさんですから」
「そうかもしれないな……」
「だいいち、顔に傷のあるコーディネィターが、それ以外のはずないじゃありませんか」
確かにそうかも知れない。だが、言われっぱなしでは癪に障る。
「そう言う自分だって、コーディネィターだろう?」
茶色がかった黒髪に、僅かに紫がかった瞳。間違いなく彼女もコーディネィターのはずだ。
「ええ、ですが、私は元々オーブ生まれです」
「そうなのか」
彼は納得したように言ってから、少し疲れたような態度で、椅子に身を投げ出す。
「それで、オレが元ザフトだったら、どうだって言うんだ?」
「ええ、ひょっとしたら、うん、ひょっとしたらなんですけど」
少女の妙な態度に、彼は再び身を起こす。
「シン・アスカって人、ご存知ありませんか?」
「…………プラントの英雄の1人だな。それ以前から知ってはいた。もっとも顔を合わせた事
はほとんどなかったけどな」
彼は出てきた名前に、妙に可笑しくなって、苦笑しながら答える。
「あいつも結構、ポッと出のパイロットだったよな。オレなんか白服着るのに結構努力したんだ
がなぁ〜」
「えっ? お客さん、ザフト・ホワイト?」
少女は驚いたように、聞き返してくる。
「なんで? 流石に白服さんが、除隊されることなんかなかったでしょう!?」
「最後の最後で選択を誤った」
苦虫を潰すように、言う。
「月での決戦で、エターナルについちまった」
「エターナル……ああ、あの強奪された」
彼は頷く。
「それで、クビになっちゃったんですか?」
「いや、自分から出てきたんだ。いづらかったからな」
「なるほど〜」
こくこくと頷く少女。わかっているのかいないのか。
「親が用意してくれたエリートコースも完全におじゃんさ。なにやってんのかな、我ながら……」
ふと、年端もいかない少女になにを話しているんだと気付くが、顔には出さない。
「ところで、シン・アスカとどういう関係なんだ?」
「妹なんです」
「何っ!?」
椅子を蹴飛ばして立ち上がりそうになった。
「なんでプラントの英雄の妹が、オーブで喫茶店のウェイトレスなんだ?」
思わず指差してしまいながら、問いただす。
「兄は私の事、死んだと思ってるんです。多分」
そう言って彼女は話す。両親を失い、兄と離れ離れになったあの日の事を。
「しかし、それならプラントに来れば良いだろう、拒みはしないはずだ」
「そうしたいんですけど、事情がありまして」
そう言って、彼女はカウンターの方を見る。
そこには、この喫茶店の店主である、ナチュラルの老夫婦が、立っていた。
「まだ2年足らずですけど……いえ、それどころか、助からないと言われた私の為に、治療費
まで出してくれた養父母ですから……」
「なるほどな……」
言って、彼は椅子に腰掛け……グラスを手に取り、差されていたストローを吸った。
「ところで、お客さん」
「ん?」
「よろしければ、お名前、聞かせていただけませんか?」
「ああ」
訊ねられて、彼は少し決まりが悪そうに、その名を答える。
「イザーク・ジュールだ。君は?」
「マユ。マユ・アスカです」
にこにこと笑顔で答えると、彼女はエプロンの下の服の中、ポケットから何かを取り出した。
ずいぶん古い型の──もっとも、このカテゴリでは半年たてば旧形なのだが──携帯電話
を取り出した。
「アドレス交換していただけませんか? よろしければ、ですけど」
会計を済ませて、喫茶店を出る。
「やれやれ、こんなこと、オレの性分じゃないんだがなぁ〜」
肩をほぐしながら、アパートメントへの道を歩く。
「最初の仕事は、メッセンジャーかよ」
もっとも、無報酬だけどな、と呟きながら、足取り軽く、イザークは道を歩いていった。
乙〜。
しかし初対面の相手にメアドなんか教えちゃいけないな。
世間が如何に恐ろしいか、おじさんが教えてあげるからあっちの物陰に(ry
乙!
いやいや、なかなか面白い外伝ですね。
工場に勤めた友人はアスランで
ナチュラルの恋人とより戻した友人はディアッカかな?
無職のイザーク頑張れ…。
軍人以外の君は想像できないが…orz
>>362 あぶないっ!
今すぐそいつから離れてこちらに来るんだ!!
どこに危険人物がいるか判らないからね。
安全な場所に、そう僕の部屋に急いで非難するんだ!
ハァハァ
乙です!
イザークの後日談ですか。最終話で書かれていない分自由に書けますね。
先が楽しみです。
>>363 待て待て、wikiに加筆されてる部分でアスランはプラントでルナマリアと結婚してるw
もともと技術者ってことだしシホあたりじゃないか?
……赤き月の鷹氏のSS本編にはいたっけか、シホ・ハーネンフース。
そもそもイザークの描写がほとんどないから
いてもおかしくはない。
かなり年下の女の子にも高圧的な口調で話すのがいかにもイザークっぽいw
・・・食堂の目玉はやはり炒飯か?
ミネルバのルナマリアさん
>>369 事あるごとに「アスランさ〜ん」って突撃かますのかw
て、ことはレイは脳みそ筋肉で
筋トレしすぎて脱水症状起こすのか?
372 :
保守:2007/05/19(土) 03:24:38 ID:???
HOS
BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL B
ABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BA
BEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BAB
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L BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL BABEL
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保守しておく
ルナパルスさん、まだ〜?
あ、まとめのルナパルス更新されてる
乙です〜
今日明日辺り投下来ないかな〜
かれこれ投下程音沙汰無いし(プ
あぁ・・・駄洒落かw
あまりの寒さに職人さんも凍死したようだ。
俺が全力でこのスレをhosyouする
保障?
人がいないので話題提供をば
数ある種のifやクロスオーバーの中で
一番「かっこよくなってるキラ」がいるのはどれかな?
何故このスレでそれを……?
面白いSSスレで聞いたほうがいいんじゃね?
386 :
383:2007/06/07(木) 00:49:58 ID:???
保守
波範♪
波範♪
波範範♪
波羽は範♪
羽は半々♪
ルナパルスさん、まだー?
ネタはあるのに文章力が嫁以下だから何も書けん…
そのネタを投下するんだ、延々保守が続くよりはるかにマシだ。
ルナがセイバーに乗ってそこそこ活躍する話を考えてるんだけど
ダブルオーが始まるまでには投下したい。
>392
久しぶりに新作が!?
期待しております!
じゃあ俺も書いてみようかな
とりあえずルナが主人公であればいいんだよな?
>395
お願いします!
ガンダムSEEDDESTINY後日談、主人公はルナマリア
他のガンダムシリーズとのクロスオーバーだが、主人公はルナマリア
この題名で、新作を考案中
主人公:ルナマリア・ホーク19歳、所属:ザフト軍赤服、搭乗機:インパルス→デスティニー
サブ主人公:シン・アスカ19歳、所属:オーブ軍、階級三尉、搭乗機:ムラサメカスタム→?
重要人物:キラ・ヤマト、所属:オーブ軍、階級:一等一尉、搭乗機:通常型ムラサメ→?
ヒロイン:サラ・アズラエル22歳、所属:ブルーコスモス軍、搭乗機:デストロイマークU→?
一等一尉ってのは一等一等陸尉ですか。
AAだとしたら一等一等宙尉じゃね?
ムラサメなら一等一等空尉か一等一等海尉かもしれん
とりあえず陸尉ではないとおも
ネタにマジレスry
402 :
395:2007/07/03(火) 22:30:34 ID:???
じゃあ俺は一応原作の流れに沿って書いてみる
処女作品だけど頑張るよ
多少のオリジナルキャラとかMSとかはおkなのかな?
「ぼくのかんがえた最強キャラ・MS」でなければ。
404 :
395:2007/07/04(水) 16:05:09 ID:???
>>403 ねーよwwwww
ホーク母とかベテランのMSパイロットとかそんな程度だ
MSにしてもルナマリアがディスティニーってのは似合わない気がしたから
セイバーの後継機っぽいのを考えてる
期待
正座で期待待機
直接の後継ではないにせよイージス(連合):盾→セイバー(プラント):剣と乗り継がれてきた赤い可変機。
次は…… アーマー(オーブ製w)だ!
セイバーは救世主とか守護者のSaviourだから剣は関係ないという罠。
どっちかというと言葉的に守りのイメージだな。
ウジウジしてる時は守りの可変機
開き直った時は近接戦闘特化の攻めの機体って
ある意味で完全に使い分けてるのが凸
あ、そうなんだ。
てっきりサーベルのほうかと思ってたw
ムラサメが赤くて、可変機で、刀の名前なんだが
アレは全体が赤じゃないしなぁ。
ついでに神の盾のイージスに比べると出典が地味じゃね?
知名度的にはムラマサの方が高い希ガス
里見八犬伝とかオーブはどんだけジャパニーズなんだよ
413 :
395:2007/07/06(金) 01:59:58 ID:???
明日というか金曜から週末ずっと遠出するから
とりあえずプロローグだけ投下しとく
あんまプロットとかも出来てないし、文章も変だと思うけど大目に見てくれよ
タイトルは仮だけど
【ネメシスの笑顔】
としておく
414 :
395:2007/07/06(金) 02:03:58 ID:???
/プロローグ
「――ルナ」
と、母さんと話していた父さんが、弱々しい声であたしを呼んだ。
あたしは、涙をこらえきれずにくしゃくしゃになった顔を隠す余裕もなく、父さんのベッドに寄った。
弱ってるのは自分なのに、蒼白い顔に柔和な表情を浮かべて、
「ルナは、いつからそんなに弱くなったんだい?」
父さんは言った。
「あたしはっ、弱くなんか・・・ッ!」
「なら、笑って父さんって呼んでくれよ」
「ぇ・・・」
「ほら、いつも通りに笑ってみせて」
あの時のあたしは、きっと父さんの望んだような、いつものあたしの笑顔にはなれなかったと思う。
「ぅ、あ、はは・・・父さん、あたし・・・笑えてる、かな?」
「うん。それでこそ僕達のルナだ」
それでも満足げに言う父さんのせいで、あたしはその無理やりな笑いすら保てなくて、父さんに背を向けた。
母さんがあたしを抱き締めてくれる。
「――メイリン」
「ひ、ぐす・・・っ」
メイリンは、父さんの呼びかけに応じることもできず、椅子に座ったまま泣き顔を上げた。
「メイリン。泣かないで、なんて言わないけれど」
「ひぐっ・・・お父、さぁん・・・」
「けどね、流した涙の分だけ、大きくならなきゃ駄目だ。周りに甘えることなく、いつか自分で泣き止んだ時、お前は大きくなるんだ」
「うぅ・・・ぁ、うぁああああん――!」
ガタン、と椅子が倒れ、メイリンは父さんベッドにすがりつき、慟哭した。
母さんの腕を抜け、あたしはメイリンの顔を抱く。
泣き声がくぐもってもなお、メイリンの心の底から溢れる悲しみはせき止らなかった。それどころか、次第にあたしもメイリンにすがるような形で嗚咽を漏らし始めていた。
母さんは、
「――シャルロット」
父さんに呼ばれて、再びベッドのそばに寄った。
「こんな身体だったこと、謝らないよ」
「当然よ、あなた」
「けれど、お礼は言わせて貰うよ」
「えぇ・・・、あなた・・・」
「ありがとう、シャルロット」
「こちら、こそっ・・・――」
後にも先にも、あたしが母さんの泣き崩れる姿を見たのはその時だけだった。
415 :
395:2007/07/06(金) 02:06:51 ID:???
あたし達の父さんは、重い病気にかかっていた。
第一世代コーディネイターとて、万能ではない。遺伝子操作の過程の何らかの要素や、成長の過程のそれで、例外などいくらでも産まれ得るのだ。父さんは、その例外だったのだろう。
先天的にあらゆる病気の因子を取り除いたはずなのに起こった発病。大金をつぎ込んだのにと両親にも疎まれ、周囲からも忌避された。
手を差し伸べたのが黄道同盟の末端メンバーだったあたし達の母さんであり、二人の間に生まれたのがあたしとメイリンだ。
父さんの病気は、本来プラントが持つ医療技術なら、まず間違いなく治るはずだったそうだ。――理事会の搾取政策さえなければ。
コーディネイターの国ゆえに、医薬品も医療器具も、その材料となるものすら輸入されることはめったになく、数少ない医薬品はS2型インフルエンザのワクチン開発の為になくなったらしい。
治らない病気によって、出来損ないのコーディネイターと蔑まれることもやはりあった。
それでも多くの人は父さんに同情した。父さんも、ただそれに甘えることはせず、母さんに協力して黄道同盟の早くからのメンバーとして独立に尽力した。
大戦が始まる頃には、父さんは既に病状の進行によって同盟の活動から身を退き、養生していた。
しかし病弱な身体で無理をしすぎたせいか、マンデルブロー号事件の前後から整い始めた公衆衛生の体制も、父さんの病気を治すことはできなかった。
71年9月。かつての朋輩同士の抗争を止めることも、連合の攻撃からプラントを護る手伝いも出来ずに、父さんは自分の無力を嘆いていた。
そして、そのまま終戦条約の締結を見ないまま、息を引き取った。
それから少しして、あたしはザフト入隊を決めた。
メイリンも、自分の意思で同じ道を選んだ。
あたし達の両親は、プラントを愛していた。そして、プラントに住む人々を愛していた。
あたしも、自分が生まれたプラントを、愛おしく思っていた。
母さんはあたし達姉妹の入隊を止めなかった。
メイリン。メイリンはあたしの可愛い妹。――ちなみにあたしは可愛くない。
彼女は早産だった。だからか、あたしと生年月日が一年も離れていない割には見た目も中身も子供っぽい。
あたしはメイリンが大好きだ。本当はこの愛すべき妹を軍人になんてさせたくなかった。
けれど、あたし達のような若いコーディネイターが国と同胞を愛するゆえにとるのは、大半がザフトへの入隊という道だった。
そして――。
一期に十名が上限であるザフト・レッド。あたし腕は今、トップエリートの証であるその赤い軍服の袖を通っている。
あたしは笑っている。よどみのない笑顔で、プラントを護る一員として胸を張っている。
プロローグ/
416 :
395:2007/07/06(金) 02:12:41 ID:???
続きは週明けにでも
ホーク母は結構登場する予定
ルナを主人公にするだけじゃなくて、本編であまり語られてないプラント本国の情勢とか書きたいところ
なんだかいい感じだ、GJ!
>365氏
乙です!
久々に投下された新作、期待してますよ
419 :
通常の名無しさんの3倍:2007/07/06(金) 12:33:21 ID:JMR9ymaq
キテタ━━(゚∀゚)━━!!!!
これからがたのしみですな
・・・・・っ!!!???
(正座してた所為で脚が痺れたっ!)
ぐ、GJ!!
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!!!!
GJGJGJGJGJGJ!!!!
ヘブシッ!えーいちくしょー。全裸で待ってたら風邪ひいちまったぜ。こんなに暑いのによ
>>413 超GJ!いいなぁ。笑顔か。そうか、笑顔か・・・。ルナマリア笑うとかわいいもんなぁ・・・
423 :
395:2007/07/09(月) 00:24:44 ID:???
中々好評なのは光栄だが
処女作の癖に計画性なく書いてるからどこでつまづくかわからんので
色々アドバイスとかあったら頼むんだぜ
次回投下は火曜くらいが目標
>>422 俺も遠出先でエアコンのせいで腹壊したぜ。お大事にな
>>423 ヘッ、職人さんの作品とルナマリアのためならレクイエムだって受け止めて見せるぜ!
ともあれお腹お大事に。
425 :
395:2007/07/11(水) 01:32:02 ID:???
後でああしようこうしようと考えながら書いている内に気づいたらシンルナになっていた
ま、いっか
それにしても一人称って中々難しいな。三人称がいと使いにくし
とりあえず水曜日になってしまっていてスマソ
時間かかった割にアニメ第一話の半分ちょいくらいしか・・・
426 :
395:2007/07/11(水) 01:36:12 ID:???
[発端の章]
時にC.E.(統一暦)73年。
プラント最高評議会とプラント理事会との軋轢を一因に持つ大戦は、ナチュラル同士の紛争にさえ火をつけて全地球圏規模の戦争と化し、二年間続いた。
大戦の主軸となった、実質的なプラント軍ザフトと、地球連合軍との戦いは、第二ヤキン・ドゥーエ会戦における両軍間の停戦を以ってひとまずの集結を見ることとなり、やがてかつての悲劇の地、ユニウス・セブンの残骸宙域において講和となった。
講和条約の後の外交によってL4の一角を領有するようになったプラントは、そこに工業プラント群アーモリー市を設置。その第一区の大半をザフトの軍事基地とし、新世代MSの開発と、新型戦闘艦の建造を実行した。
10月2日。新造艦ミネルバの進宙式をメインイベントに据えた、戦後最大の軍事式典を翌日に控えた日。招かれざる客が騒音を発する。
/ 1. 休暇の午後に
その日は午後から非番だったので、昼食時間が半分を過ぎる頃までシミュレーター訓練を行ってから食堂に顔を出した。
明日の準備だろう。いつも集まっている同期生の顔ぶれも、ぽつぽつと抜けていた。特にこの艦は式典の主役であるだけに、することは尽きない。そんな中、あたしは優雅に半日の休暇というわけだ。
上がってから外で食べてもよかったが、早急にお腹を満たしたい欲求が質を求めることに勝った。
昼食を載せたトレーを持って席に着くと、片手を上げたショーンが、
「ルナマリアはこれで上がりなのかい?」
訊いてきた。
「まぁね。ショーンは?」
「お陰様で1345時から貴賓席設営作業だよ」
「残念だわ。一緒に買物にでも行きたかったんだけど」
何故かショーンが嬉しさと口惜しさが入り混じったような顔をする。けれども、あたしが、
「デイルも?」
とデイルに同様に訊ねると、心なしかショーンが落胆したようだった。
「んにゃ、俺は掲揚搭の方だ」
「そっか。じゃあ、レイは?」
とあたしがテーブルの端で黙々とお茶を飲んでいたレイに訊くと、
「議長の護衛だ」
一言そう答えて、またお茶を飲み始めた。
「暇な奴いないの?メイリン、あんたは?」
「お姉ちゃん、進宙式前日にあほなこと言わないでよぉ。ブリッジクルーはもう残業確定なんだから・・・」
「訊いてみただけよ。けどあんた、それでよくのんびり昼食べてられるわね」
「今はアビーと交替でやってるからね」
「ふーん?あーあ、折角の半ドンなのに、暇持て余して半日過ごすのかぁ」
あたしが嘆いてコップの水を一気に飲み干すと、ヨウランが拗ねたように口を開いた。
「おいおい、俺には訊いてくれないのかよ、ルナマリア?」
「整備班が忙しいことくらいあたしも知ってるわよ」
あたしが答えると、ヨウランとメイリンが顔を見合わせて肩をすくめる。一体なんだというのか。あたしは少し首をかしげるが、特に気にはせずに、
「あ、そうだ。インパルスとかのリハーサルって夕方よね?」
訊ねた。
「7時半からだよ、お姉ちゃん」
「さすがオペレーターね。ありがと、メイリン」
「でも、もうさっきお昼ごはん済ませてさっさとどっか行っちゃったよ?」
メイリンはそう言ったが、あたしにはあいつの行き先に見当がついていたので、
「大丈夫、大丈夫」
トレーに残っていたサラミをペロリと飲み込んで、そさくさと席を立ち上がった。
427 :
395:2007/07/11(水) 01:39:00 ID:???
案の定、あいつは手すりに腕を乗せて、物憂げに黄昏れていた。そんな暗い雰囲気を気にもせずに、あたしは隣に並んで、笑いかけながら、
「甲板なんかで何やってんのよ?」
そいつ、シンに尋ねた。
「・・・別に」
「ふうん。じゃあ暇なんだ?」
「うん、まぁ・・・夕方まで非番ってことになってるし」
「よろしい、ならば着替えだ」
うなずきながら言うあたしに、シンは、
「は?」
と首をかしげた。
「ばかね、買物に付き合えって言ってんの」
「他当たりなよ。ルナになら誰でもついてくだろ」
「暇な奴がいないから言ってんでしょうが」
「・・・あのな、俺も夕方から――」
「ふーん、嫌なんだ?せっかく主役さんの緊張ほぐしてやろうと思ったのに」
「そういう訳じゃないけど・・・」
「ならよし、行くわよ!」
言って、あたしは抱きつくようにしてシンを手すりから引き剥がし、
「ちょ・・・ま、ルナ・・・っ、待てって――」
「もはや問答無用なりっ!」
その腕を引っ張りながら、巨艦の甲板を後にした。
428 :
395:2007/07/11(水) 01:44:28 ID:???
遠くに、巨艦が見えた。
新造艦であるミネルバ級機動強襲揚陸艦の一番艦にしてネームシップであるその艦は、曲線的なボディと艦内に埋もれる形の艦橋こそ従来のザフト戦闘艦に通じているが、その色や武装はむしろ、地球連合軍のアークエンジェル級に通ずるところがあった。
所属はザフト汎月方面艦隊麾下のグラディス隊。有事に際してその機動力と戦力を以って、あらゆる現場への急行及び展開を望まれる精鋭艦である。
その現場の想定は月軌道に始まり、月を囲む4つのラグランジュ宙域、そして、地球連合宇宙軍司令部の置かれるアルザッヘル・クレーター基地までもがその範囲に入っている。
搭載機にしても、セカンドステージと呼称される新型MS5機のうち、テストパイロット未定の1機を含む3機をはじめ、戦後の主力MSザクを10機前後という、単艦部隊としては相当高い装備を誇っている。
パイロットにしてもセカンドステージ2機、ザク1機の正規パイロットをザフト・レッドが占め、加えてテストパイロット候補3名もまたザフト・レッドである。
そんな艦の進宙式を翌日に控えたプラントを会見の場にと返答され訪れたオーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハその人は、不機嫌であった。
オーブとてコペルニクス自治政府との密約でイズモ級3隻を含む第二宇宙艦隊を月面に進駐させたり、新造の大型空母を海軍に配備させたりと、戦後も軍備の拡張を行っている。
しかしそれは自国の防衛の範疇であり、戦端が開かれた時のことを想定しているミネルバとは訳が違う――そういう考え故だろう。だから、
「やぁ、これは殿下。遠路はるばるお越しいただき申し訳ない」
彼女の案件を知りながらも、悠々と構えて迎えたそのギルバート・デュランダル議長の態度も癪に障る。それどころか、
「この情勢下、貴女が秘密裏に、かつ急を要するご用件とは如何様なものでしょうか?」
親しげに柔和な微笑を浮かべながら、平気で訊ねてくる。
この日彼女がアーモリー・ワンを訪れた――プラント最高評議会議長に会談を申し入れた理由は、
「我が国は再三再四、かのオーブ戦の折に流出した我が国の技術と人的資源の、貴国における軍事利用を即座に止めていただきたいと申し入れている。――なのに何故、未だ何らかのご回答さえ頂けない?」
というものであり、明日披露される新造艦にしても新型機にしても、その元オーブ国民と技術が使われていることはまず間違いなことであった。
事実、ザフトは戦後の技術向上に際して、オーブに関わらず、そうした各国の難民を積極的に受け入れ、あらゆる活動の場を与えた。
軍事や軍需産業に関わっているというのは、ほんの一面なのである。デュランダルは、当たり前のことを曲解したその糾弾を、
「大西洋連邦の圧力でしょう?」
と断じた。
「オーブ軍なりモルゲンレーテ社なりがザフトに対して条約に反する軍事供給をしている、と」
「ぅ・・・確かに、連邦からの圧力もあるが・・・けれど、貴国は事実――」
「――だが、無論そんな事実はありません。先程代表が仰ったように、今現在、かつてはオーブ国民だった者達が、ザフト軍の技術発展に影響していない訳ではない。ですが・・・」
彼ら難民は、自らにあった適切な職を探し、学術、医術、芸術など、その持てる能力を活かして、新たな土地で自分の役割を見つけようとしているのである。
しかし、たとえ一部であっても、自国の技術力を自負するカガリは、それによる他国の武力の増長を容認できない。
「だが、強すぎる力は、また争いを生む!」
「いいえ、代表首長殿下。――争いがなくならぬから力が必要なのです」
若干18歳のカガリの経験は、デュランダルの言葉を理解するには少なすぎた。彼女はただ、睨みつけることでしか答えられなかった。
429 :
395:2007/07/11(水) 01:48:12 ID:???
突然サイドカーが大きく傾いた途端、あたしは宙へ飛び出しそうになった。
直前までサイドカーが走っていたところを、式典用装備のジンが三機、大きな足音を立てて歩いていく。
シンが運転するサイドカーは、あたしを側車に乗せて基地の敷地を駆け抜けていた。
「前方不注意!それでもパイロット!?」
「悪いのは建物に沿って歩いてたジンだろ・・・。それにちゃんと避けただろ?」
「同乗者に気を遣えっていてんのよ!」
痛烈な批難にシンはむすっとなるが、あたしは更に追い討ちをかけた。
「まったく。あんた、そんなんで明日失敗しないでよね。ミネルバの恥になるわ!」
「大丈夫だよ!大体、ルナは俺の緊張をほぐす為に誘ったんじゃなかったのかよ?」
「うるさいわね。ほら、運転は前を見て!」
不承不承といった感でシンは顔を前に戻す。やがて演習場脇の視界の開けた道路に出て、ほっと胸をなでおろした。
「けどま、シンの運転がどうであれ、なぁんか――」
そう言って、あたしは顔を四方へめぐらせた。先ほどから耳に色々なアナウンスの音声や怒号が入ってきているのだ。
『軍楽隊のリハーサルは1400時より第三へリポートにて行う。その後1730時より開会セレモニーのゲネラルプローベを――・・・』
『貴賓席の設置はどうした!?ヴァルファウが占拠してますぅ!?とっとと――・・・』
『マッケラー隊のガズウートは早急に移動しろ!ミズノ隊とロンド隊を優先的に――・・・』
「ほんとにもう、ごっちゃごちゃねぇー」
あたしが肩をすくめてみせると、シンが正面を向いたままで、
「仕方ないよ。前日なんだし」
当然のことを答えた。
「久しぶりってか、これだけの規模は初めてかもよねぇ」
「そうなの?」
「そうなの、ってあんたねぇ」
変に意地っ張りなくせに、色々と無頓着なシンに呆れてしまう。
「戦前は情勢がそれどころじゃなかったじゃない」
「・・・そうなんだ」
「ま、お姉さんと違ってその頃はほんの子供だったもんねぇ」
「あのなぁ――、いや、いいや」
何か言いかけて、シンは口を噤んだ。
「何よ?」
「いいって、別に」
「・・・もう」
アカデミー入学当初に比べればだいぶマシになったとはいえ、まだシンは仲間に心を開いてない部分が多分にある。一番面倒を見ているあたしにすら、だ。
けれど折角の休暇。今気にしても詮無きことで、今後少しずつ打ち解けていってくれればいい。あたしは気分を一転させるつもりで、あたしらしい笑顔を浮かべる。
「けど、ようやくミネルバも就役ねぇ」
「配備は予定通り月艦隊なのかな」
「それが今のところ一番ミネルバの任地に適してるもの。あたし達みたいな経験ないメンツの慣熟も兼ねるだろうから、当分プラントには戻れそうにないわねぇ」
「そうじゃなきゃ意味がないだろ?」
「ま、ね。だから今の内に休暇は楽しまないと」
いつの間にやら基地の出口まで来ていた。
衛兵のチェックを受けると、あたし達を乗せたサイドカーはアーモリー・ワンの市街へ向けて道を下っていった。
430 :
395:2007/07/11(水) 01:51:29 ID:???
「――なぁ、ルナ」
「ん?何?お金なら貸さないわよ?」
「そうじゃなくて。なんで俺がこんなに持たなきゃならないんだよ」
目ぼしいものを見つけて買っては持たせるあたしに、シンは不平をぶつけてきた。
確かにあたしが持つ量はシンに比べて圧倒的に少ないし、比較的軽いものばかりだが、
「いい?シンは男の子、あたし女の子」
なのだ。
「俺やショーンとかは男の子。メイリンとかアビーは女の子。ルナはルナマリア。違うの?」
「ふーん?」
シンのささやかな反撃に、あたしは、
「落としたら向こう一週間飲み物おごり」
と言って、シンの顔のすぐ横の宙を蹴る。
「うわぁッ!?」
「もたもたしてると先行っちゃうわよぉ?」
「無茶言うなって・・・!」
あたしはシンに向かって笑い飛ばし、小走りで先行した。
「ルナ・・・さっきの蹴りで、見えたよ!スカートで止めろよな」
「え――なッ」
一瞬何のことだかわからなかった。が、気づいた途端――そして路地を大通りに出た瞬間――、あたしは怒りで足を止めて振り向き、クルクルとステップを踏みながら進んでいた金髪の女の子と、
「――っ!?」
「きゃあ!?」
派手に衝突してしまった。
金髪の子があたしに被さるよう転倒する。顔と顔がキスでもするみたいにくっついた。
茫としたレッドルビーの瞳に吸い込まれそうになりながらも、その子の身体を支える。と、何の言葉も発しないまま、女の子は飛び上がって走り去ってしまった。
「・・・何やってんの、ルナ?」
呆れながらも荷物を置き差し伸べてくる手を、
「ふん。どーせあたしも前方不注意よ」
あたしは憮然としながら掴んだ。
今日は厄日か。今週の獅子座は運勢最高だったんじゃないのか、メイリンめ。
「でもあのタイミングであんなこというシンも――・・・って、あ!あんた、人の、見て――」
「もたもたしてると先行っちゃうぞ、ルナ?」
「あ、ちょっと、待ちなさいよ・・・このラッキースケベ!」
あたしを立たせるとさっさと歩き出したシンの背中を睨みつけて、それを追う。彼のズボンのポケットからはいつも通りピンク色の携帯電話が顔を覗かせていた。
431 :
395:2007/07/11(水) 01:58:00 ID:???
十階建てビルほどの大きさはあるであろう、その倉庫のゲートには、大きく6という数字が書かれていた。
その倉庫は関係者以外立ち入り禁止となっており、カードキーとパスコードと眼球照合という厳重なロックがなされていた。
といっても、倉庫の中身である新型MSは既に公表されており、露見ではなく強奪を懸念しての措置だった。
大戦中、ザフトがオーブのコロニーで製作されていた地球連合軍の試作型MSを奪取する作戦を決行しており、それが成功している以上、逆のパターンを考えて必要な警戒であった。
その倉庫の人間用出入り口に、二人のザフト兵と二人の少年、それから一人の金髪の少女が現れた。
一人のザフト兵がカードキーをスロットに通しパスコードを打ち込むと、もう一人が保存された眼球を慎重に取り出し、それを照合にかける。
斯くして第一のゲートは開かれた。更に新型MSまで辿り着くまでの幾つかのゲートを開くと、二人のザフト兵は三人に武器を手渡し、倉庫から退出する。
残された三人は、新型MSの格納庫に走り込むや否や、思い思いの武器で整備兵や警備兵、パイロット達を殺しまわる。いかに奇襲とはいえ、コーディネイターのザフト兵にしては呆気なく殺されていった。
中でも少女の働きは格別で、踊るようにナイフと銃を扱った。
三人は、三機の新型にそれぞれ走り、その胸部のコックピットへ身を滑らせる。
まだ息のあった一人の兵士が、自力で計器の傍まで這って行き、仰向けに転がって背中を計器にもたれる。
肺を撃たれたらしく、呼吸をする為にヒュー、ヒューと風のような音がしていた。ふと視線を下げると、軍服の胸のあたりに小さな穴が開き、そこから染み出るように血痕が広がっている。
まるで羊皮紙を火であぶったみたいだ、と他人事のように彼は思った。
彼は最期の力を振り絞って計器の縁に左手をかけて、震える左腕で体を支えながら計器に向き直る。そして、右手で拳を作ると警報機のスイッチを叩き押した。
間を空けずにあちこちからけたたましく鳴り響いてくる警報の騒音が、とても遠くに感じられる。
次の瞬間、彼の体は計器の上にどさりと倒れこみ、ずるりと血の線をひきながら床へ滑り落ちる。やがてぴくりとも動かなくなった。
432 :
395:2007/07/11(水) 02:03:15 ID:???
あたしの拳の痕を頬につけたシンが、
「ところでさ、ルナ」
あたしの購入物の入った袋を軽く持ち上げながら話を振ってきた。
「ん?何よ?」
「こんなのをこんなにどうすんだよ?」
「無駄な雑貨がどんなに心を安らげてくれるかわかってないのね、シンは」
「わかるわけないだろ」
シンが理解できないと言ったあたしの買物は、アンティークっぽいものやら手作り雑貨やらという、コーディネイターの産品としては中々異質なものばかりだった。
化粧品だとかの類は皆無と言ってもいい。
「・・・女の子を自称するならもっと色々とあると思うんだけどな」
「へぇ、シンとは思えない言葉ね」
そうからかうと、シンはふっと微笑んで、
「昔はよく付き合わされてたからな」
懐しげに言った。
「恋人いたんだ?」
「違うって」
「ふーん?」
からかいに乗ってこないシンは、確かに懐かしげだったが、どこか淋しげで、それ以上の追求はしないことにした。
「よし、じゃあ次は大通りに行くわよ」
「・・・まだ買うのか?」
「本屋とかも見ときたいかなぁ、って」
「俺、この後明日のリハーサルあるんだけど」
大いに呆れた顔で文句を垂れるシンに、
「7時半でしょ?5時までに戻れば充分――」
言いながら大通りに出た瞬間、遠くで爆音がした。
思わずシンの方を向くと、目を見開いて基地の方角の空を指差している。反射的に、あたしはその指差す方へ視線を向けた。
1 /
433 :
395:2007/07/11(水) 02:10:11 ID:???
こう書こうとなんとなく思っててもその通りに書けないもんだな
文章の難しさを痛感しつつ1話目を投下完了
おお、GJです!シンのラッキースケベ一発目はこうなったか。
確かにミニスカートでハイキックは見えちゃうよなぁ。ルナマリアのハイキックとシンの「眼福」みたいな
表情が容易に想像できるのはどういうわけだろう・・・
GJ!
この話の流れからすると
シンは周囲に自分がオーブ出身て事を
言ってないようですね。
GJです!
>「よろしい、ならば着替えだ」
ルナ、ドイツ出身かw
【ザフト・カーペンタリア基地】
「今度の作戦は、オーブ軍との合同作戦なのですか?、ジュール司令官」
ルナマリアの質問に、イザークは明確に答える。
「そうだ」
戦艦ミネルバのブリーヒィングルームに、集まったジュール隊の面々は首を傾げた。
「でもオーブが何故?」
基本的にオーブ連合首長国と、彼等が所属する国家プラントとは、平和友好条約を結んでいる友好国ではあるのだが、中立が国策であるオーブ連合首長国とは、形式的な軍事交流をしてはいても、本格的な軍事協力体制は取っ手はいない。
「オーブ政府の政治的思惑は不透明だが、次第に活発化しつつあるブルーコスモスに対する、牽制が目的であるのが狙いにあるようだ」
ジュール隊の副司令官で、黒服に昇格したばかりのディアッカの補則説明に、皆は何と無く理解した表情をする。
「で、オーブ軍との合流はいつ頃になるのですか、ジュール隊長」
「明後日だそうだ、ルナマリア・ホーク」
「はや!?」
ルナマリアの驚きに、イザークも苦笑する。
「ともかくだ、オーブ軍にみっともない姿は見せるなよ。いいな」
《ハイ》
【オーブ軍艦隊】
その頃、ザフト・カーペンタリア基地に向けて20隻程の、オーブ軍機動艦隊が艦列を連ねて、航海の途上にあった。
「ザフト・カーペンタリア基地には、予定通りに着きそうですね。ヤマト隊長」
オーブ軍の新型空母『阿修羅王』の飛行甲板で、心地よい潮風にあたっていたキラ・ヤマトに、今年の春に配属された新人パイロット、シン・アスカが直属の上司であるキラに声をかける。
「そうだなシン・アスカ一尉」
「いよいよ、ブルーコスモスとの戦いに、我がオーブも参戦ですね」
キラ・ヤマトの横に、並び立ったシン・アスカは興奮覚めやらぬ、表情で敬愛する上官の顔を見つめる。だが、キラの返事は、シンの予想に反するものであった。
「私は反対だシン」
「え!?」
「今度の対ブルーコスモス戦争に、オーブが本格的に参戦するのは、反対なんだよシン」
憂いたキラ・ヤマトの表情を見て、シン・アスカは戸惑った。
「でも、これは、正義の戦いで、他国を侵略しないオーブの国是にも、反しません」
シン・アスカが言いたい事は、キラ・ヤマトにもわかってはいた。
今や世界中で、反ブルーコスモス勢力と親ブルーコスモスとの、戦いは激化の一途を辿りつつあった。むろん、オーブ連合首長国は、反ブルーコスモス勢力よりの政治姿勢は取っていた。
「そうだな、オーブ政府は、ブルーコスモスの力を見くびり過ぎているような気がする」
「見くびっている?ですか……」
「ブルーコスモスの政治的立場は、今や絶望的なまでに悪い」
「はい」
「にも関わらず、地球圏全域での組織的抵抗は、一向に衰えを見せないでいる」
地球圏の全ての国が、反ブルーコスモスの立場を鮮明にしているにも関わらず、ブルーコスモスは地球圏全域での組織的抵抗を、粘り強く展開を続けていた。
そのため豪を煮やした各国政府は、オーブ連合首長国に本格的参戦を要請していた。
オーブ政府部内でも、これを利用してオーブの発言力強化のために、本格的参戦を望む声が日増しに強まった。
「だからこそ、オーブが本格的参戦に踏み切る事で、ブルーコスモスの組織的抵抗を、弱めるきっかけになるのでは?」
シン・アスカがキラ・ヤマトに言いたい事は、キラ・ヤマトにもわかってはいたのだが、ブルーコスモスが持つ底力が不気味に見えていた。
「……そうだな、そうなればいいなシン」
「そうなりますよヤマト隊長」
ミネルバの格納庫では、次の作戦に備えて各MSの調整と整備が、急ピッチで進んでいた。
ジュール隊の部隊編制はミネルバ級戦艦3隻からなっていた。艦名はミネルバ、アテナ、アンドロメダの三隻で、保有MSは30機からなる部隊であった。
「やっぱり、ブルーコスモスは、新型MAをルソン島の秘密基地で、開発していたんだ」
ルナマリアは、自分の愛機であるインパルスのコクピットで、専属の整備兵であるヴィーノと話しをしていた。
「見たいね。それが何なのかは、未だにわからない見たいだけど」
ルナマリアは、コクピットのOSの調整をしながら、ヴィーノの質問に答える。
「何もわからないのは不安じゃない」
「そりゃあ不安だけど、かと言って放置も出来ないでしょう」
「まあね」
「まだ、完成していないから、そう難しく考えなくても大丈夫よ」
「だね」
そう、いつも通りにやれば大丈夫。何故なら、自分達は、世界最強の部隊ジュール隊なのだから。
だが、この思い込みに等しい考えが、甘かった事を二人は心底に思い知らされる事になる。高い代償と共に……。
設定が突拍子もない、キラの言葉使いがおっさんぽい、色々気になるがしばらく続けてね
種死から6年たってるし、表面的には大人になったってことでないの>キラの言葉使い
……さすがに阿修羅王とかアテナ、アンドロメダはどうよ、と思うがw
聖闘士聖矢?
気にするな
俺は気にしないように努力する方向に持っていこうと思っている。
まぁ種世界ならいいんでないの?>阿修羅王、アンドロメダ、アテネ
…三隻だったら
ミネルバ・ミシェイル・マリアってのはどうだろうと考えてしまった俺は
多分エムブレマー
ミネルバ・ゲルドルバ・ホネルバ
447 :
通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 11:14:21 ID:/L7Z+BRi
448 :
通常の名無しさんの3倍:2007/07/20(金) 10:27:42 ID:h+3llSs3
ルナマリage
ミネルバ・ビーナス・ジュノーだっけローマ神話の女神って
ウェヌス、ユノーの方がそれっぽいな
ちょっと種死のあらすじ思い出してたんだけど
ぶっちゃけ名前ある指揮官クラスの軍人て
連合、ザフト共に皆無じゃね?
>>451 詳しい設定などを掘り出さなくとも
種死ではイザークもムネオも指揮官ですが
あと認めたくないがミネルバ時代の凸も
凸は指揮官っちゃあ指揮官だが規模的に小隊長クラス
遺作は戦隊長クラス
ただしその間にあまり差がないのがザフトの編制のry
454 :
451:2007/07/20(金) 23:00:32 ID:???
ごめん
指揮官クラス→司令官クラス
いないよな?
確かに名前ある奴はいないよな
虎は司令官クラスかもしれない。バナディーヤが共同体の首都っていう説もあるから
旗艦の規模から考えればウィラードさんあたりも司令官になりえるだろうが、単艦じゃあな
虎も本来だったら司令官ポジなのに
下手に巨星を意識しちゃったから部隊長規模にしか見えないんだよなぁ・・・
2分の人も名前があってもいいのに名無しだし、
オーブ攻めたときの司令ってタリアじゃないよね?
あの人も名無しか?
虎は視野が狭い。
ヨップの襲撃を議長の仕業と決め付けたからな。
実際は誤りで、ここから物語が狂ってしまった。
あら?あれって結局誰の陰謀だったんだっけ?
記憶が飛んでる・・・
ラクスの陰謀って見るのが一番自然なんだよな、歴史的に考えて
>>459 製作スタッフいわく、「議長ではない」
結局謎のまま
まあ、「一族」なんじゃねーの?
462 :
395:2007/07/22(日) 01:39:43 ID:???
色々気に食わなくて書き直しているうちに結構間が空いてしまった
破綻なく物語作ったり文章書ける人ってほんとに尊敬するな
463 :
395:2007/07/22(日) 01:41:51 ID:???
「何事か!?」
MSハンガーが立ち並ぶ一角に爆発を認めると、タリア・グラディス隊長はオペレーターに報告を求めた。
座席についていたアビー・ウィンザーが、
「第6ハンガー炎上!詳細不明!」
即座に対応する。一瞬の思案の後、タリアはブリッジクルーへ、
「バート!至急情報を集めて頂戴!」
「はっ!」
「アビーは引き続き事態を観測!」
「はい!」
指示を飛ばした。
タリアの傍らに立つミネルバ艦長のアーサー・トラインが不安一杯に口を開く。
「第6って、隊長・・・」
「えぇ、そうよ。新型の――事故か、あるいは・・・」
「あるいは、って・・・えぇ!?まさかっ!?」
「馬鹿者!貴方が取り乱してどうするの、アーサー・トライン!」
「は、はいぃ!申し訳ありません、隊長っ!」
叱咤されて縮こまるアーサーをよそに、タリアはアビーとは別のオペレーター――メイリンに、
「メイリン!MSパイロットに各々の格納庫への呼集を!」
命令を下す。
「は、はい!」
というメイリンの返事に、アビーの報告が、
「第6ハンガーの炎上はビーム兵器によるものと断定!」
重なった。すかさずタリアが問い返す。
「内からか、外からか?」
「不明!バートさんの情報に頼るしかありません」
「司令部が混乱しており、情報が錯綜しています!」
二人の報告に、タリアは舌打ちする。
「暴発――」
「で済んでくれるといいのだけれど・・・」
タリアの表情が一層険しくなったところへ、アビーとメイリンが、
「第6ハンガー跡に熱源3!MSと判明!・・・MS、発砲!」
「機種を特定!カオス、ガイア、アビスです!」
追い討ちをかた。
464 :
395:2007/07/22(日) 01:45:51 ID:???
うは、タイトル抜けちまったorz
>/ 2. 爆発
>
>「何事か!?」
で脳内補正頼む
アーサーが慌てふためきながらも、
「こ、コンディション・レッドを発令!」
上ずった声を無理矢理に張り上げて指示を出した。
「全艦にコンディション・レッド発令!繰り返す、コンディション・レッド発令――・・・」
「全パイロットに拿捕を命じて頂戴!」
命じて、タリアは続ける。
「ルナマリアとシンにも急ぎ帰還するように言って頂戴!――インパルスの出撃もあり得る!」
「えぇ!?インパルスを、ですか!?」
「相手は新型3機よ!パイロットが不明である以上、最悪の事態を考慮に入れるべきでしょう!」
「ま、まさか、正規パイロットが――」
「不明よ!それ以上にタチの悪いことがあるとは思えないけれど、現に味方がやられているわ!」
言われて、アーサーは気づいた。事件に即応した味方のMSが、次々と撃破されている。
「――宇宙港!敵の母艦は!?」
通信で問い質す若い新鋭艦の女性指揮官へ返されたのは、
『今探している!いらん口出しをするな!』
という罵声であった。タリアは歯軋りし、現場に目をやる。
予期せぬ事態とはいえ、ハンガー群の友軍の対応はあまりにも芳しくなかった。
メイリンが声を上げる。
「艦長!レイ機より入電!」
「今度は何事!?」
「それが・・・デュランダル最高議長閣下がこちらに向かわれたそうです!」
一瞬呆気にとられた後、タリアは心底嫌そうな顔をした。
465 :
395:2007/07/22(日) 01:49:23 ID:???
正直、シンがあたしの買った物を一つも落とさずにサイドカーまで走ったのは賞賛に値することだ。
あたしは荷物を抱きかかえながら、
「第3ハンガーを!――ああん?あたしはレッドよ!さっさとしなさい!」
通信機の向こう側のオペレーターに怒鳴っていた。しばらくして、やっと、
「第3ハンガー!聞こえる!?」
『ルナマリア?』
第3ハンガーの機体を担当しているヴィーノが通信に出た。
「ヴィーノ!今からそっちに行くから、あたしのザクを――」
ヴィーノはあたしの要求を遮るように、
『あ、その・・・、なんて言ったらいいか、ええと、ルナマリア』
歯切れの悪い態度で言いよどんだ。
「何よ?さっさと言いなさい!緊急事態なのよ!?」
『ハンガーの天井が落ちて・・・その、ルナマリアの機体が下敷きになって、メインカメラとメインスラスターが使えなくなっちゃって・・・』
「はぁ?すぐ直してよ!」
『無理だよ、ハンガーが潰れちゃってるんだから!とにかく、掘り起こしてミネルバに運び込まないと・・・』
ヴィーノの釈明に苛立ち、
「あぁ、もう、さっさとして頂戴!」
あたしは乱暴に通信を切った。
「シン!やっぱミネルバに直行!」
シンはあたしの言葉にこくんと頷くと、速度を出したまま方向を変える。急激な方向転換に吹き飛ばされそうになるが、先ほどのように文句は言わない。
やがて車両出入口の床をタイヤで騒音を立てて擦りながら、サイドカーはミネルバに入った。
466 :
395:2007/07/22(日) 01:52:41 ID:???
中央デッキから特異な形をした航空機群が飛び出していく。――シンのインパルスだ。
メインゲートの開かれた左舷デッキからそれを認めて、あたしは歯軋りしつつ、
「どうしてザクの予備機が出せないんですか!」
エイブス整備班長に喰いかかった。
「配備されたばかりの新品がすぐに動くなんて勘違いするなよ、ホーク。整備班は元々人手がないのに、セカンドステージの方にも人数を割いてたんだ。予備機の調整なんて手が回らんよ」
「そんな!この状況をただ見ていろって言うんですか!?」
「能力があろうとやる気があろうと、すべきことを全うしえないこともある。例え本分でなくても、やれることを探すんだな!」
言い放つと、整備班長は踵を返して不時着機のメンテナンスベッドへの固定作業に戻った。
無償に腹が立ち、
「あぁ、もう!」
叫んでみたものの、MSの操縦以外に、あたしが何の役に立つというのだろうか。自機であればOSの調整などで整備班の手伝いも出来るが、生憎と愛機は第3ハンガーの瓦礫の下らしい。
ブリッジクルーなどの手伝いにしても、出来そうなことが見つからない。もどかしさで身を掻き毟りそうになった時、デッキに右肩を失ったザク・ウォーリアが進入してきた。
そのザクは片腕を失っての飛行だった割には、見事な着地で着艦する。
片腕破損を想定したプログラムもあるとはいえ、大部分をパイロットに頼るものであり、レッドとしての操縦技能は自負しているあたしでも、あそこまで綺麗な着艦が出来る自信はない。
ところが、そんなあたしの感動に水を指すように、ラダーでコックピットから降りてきたのは、軍服を着用していない一組の男女。
こんな時だというのに、なんて厄介な。
「保安兵!」
呼びながら拳銃を抜くと、あたしは苛立ちを隠そうともせずにその男女に近づき、
「動くな!」
銃口を向けた。事態に気づいた保安兵達がマシンピストルを構えて二人を取り囲む。
「着艦のアナウンスがなかったが、許可は出ているのか?官姓名を名乗れといいたいけれど・・・」
問い質すあたしの声に、二人に緊張が走ったのがわかる。
「お前達、軍の者ではないな?何者か?何故その機体に乗っている!?」
「・・・・・・」
数秒の沈黙の後、静かに、しかし威圧的に男が口を開いた。
「銃を下ろせ。こちらはオーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ首長だ」
「な・・・」
それがあまりにも突飛なことだったので、あたしは一瞬、言葉を失ってしまう。
467 :
395:2007/07/22(日) 01:58:16 ID:???
「――そんなことを軍があっさりと信用すると思うのか?」
鼻で笑ってやりたい気分だった。この状況下で、軍を舐めているのだろうか。
しかし、
「身分証ならある。・・・代表」
「あ、あぁ。これだ」
「俺は護衛のアレックス・ディノ。代表はデュランダル議長との会談中に騒動に巻き込まれ、避難もままならず機体を借りることになった」
保安兵の分隊長がそれを照会すると、
「間違いありません、ルナマリア・ホーク。身分証は本物です」
少なくとも身分証は、オーブのアスハ代表首長とその随員の物であった。
カガリ・ユラ・アスハは第二次ヤキン・ドゥーエ会戦に際して、手勢とともに旧クライン派武装集団に助勢、自らMSに乗って戦ったという。
それが本当ならば、未踏の地において、シェルターを探すよりもMSに乗った方が安全と考えたのだと納得はできる。
「・・・銃を下ろして。警戒は解くな」
警備兵達に言って、あたしは拳銃をしまった。
「それで、代表首長閣下。どのような理由で本艦へ着艦されたのでありますか?」
「理由は二つある。一つは議長がこちらへ入られるのを機内から確認した為。もう一つは現状で一番安全かつ確実に治療が受けられると場所と判断した為だ」
またしても、答えたのはアレックスとかいう男の方だった。
「議長が?分隊長?」
「我々には知らされていませんが」
「・・・議長の件は後ほどお伝え致します。それまで医務室で――」
その時だった。アビーのアナウンスと、それに続いてグラディス隊長の言葉が、
『全艦、出港準備。全艦、出港準備。本時刻を以って本艦は戦闘艦としての行動を開始します。各員は所定の行動をとって下さい。繰り返します――・・・』
『強奪部隊がプラント外へ脱出した。また、母艦と思しき所属不明艦を認めている。本艦はこれの拿捕の為、強奪部隊との交戦に入る。各員、気を引き締めよ。これは演習ではない』
スピーカーから流れ出した。
「何だって?」
真っ先にアレックス氏が、やや狼狽えたように声を上げた。
「戦闘に出るのか、この艦は!?」
「・・・聞いての通り、演習ではないそうです」
あたしが返答すると、ようやくアスハ代表が声を上げた。そのアレックス氏に向けた、
「アスラン・・・っ」
という言葉に、あたしは耳を疑った。いや、聞いていた皆がそうだろう。――アスラン、だって?
「ぁ・・・」
言ってから、アスハ代表は後悔したようだった。アスランと呼ばれたアレックス氏も、苦い――肯定するような――表情でやや俯いた。
アスラン――アスラン・ザラ。二代前の最高評議会議長兼国防委員長、パトリック・ザラの一人息子にして、
あたしは努めて平静を装い、
「とにかく、お二人は医務室でお待ち下さい。分隊長、お連れして」
「はっ」
分隊長に指示した。
468 :
395:2007/07/22(日) 02:04:35 ID:???
保安兵達が二人を護送していくのを見送ると、あたしは艦内電話に取り付く。グラディス隊長の姿がすぐにモニターに現れた。
「隊長、出港中に申し訳ありません。至急報告致したいことがあります」
『どうしたの、ルナマリア?』
「先ほど着艦したザクに民間人2名が搭乗――」
『え!?』
あのグラディス隊長と雖も、その報告には驚きを隠せない様子だった。その隙に呼吸を整えて、あたしは続ける。
「これを詰問したところ、オーブ連合首長国のカガリ・ユラ・アスハ代表首長とその護衛であると判明しました」
『・・・それで?』
「代表は軽傷を負われており、僭越ながら小官の判断で医務室へお送り致しました」
『わかったわ。ありがとう、ルナマリア。後はこちらで対処します』
厄介事が増えたと呟き、溜息を吐いて隊長が通話を切ろうとするのを、
「それからもう一つ!」
慌てて遮った。
『何かしら?』
「セイバーの使用許可を頂きたく!」
セイバー――ZGMF-23S。セカンドステージの内、未だ公開されていない機密扱いの新型機で、そのテストパイロットすらまだ確定していない可変高機動型MS。――あたしはそのテストパイロット候補生だ。
『え?――駄目よ。知っての通り、あれは他の4機と違って未公開のものだわ。ザクの整備を待って・・・』
『待ちたまえ、グラディス隊長』
予想通り要請を棄却する隊長の言葉を遮るように、一人の男性がモニターに割り込んできた。
それがギルバート・デュランダル最高評議会議長だと気づき、
「でゅ、デュランダル議長閣下!」
あたしは慌てて腰を折って最敬礼をする。
『ルナマリア君、といったね。ルナマリア・ホーク・・・セカンドステージのテスト候補生に残っていたことは覚えているよ』
「恐縮であります!」
議長がセカンドステージ開発やミネルバ建造を後押ししていたことは知っていたが、まさかテストパイロットの候補生の一人でしかないあたしの事を覚えているなどとは、夢にも思っていなかった。
『この事態だ。行けるかね、ルナマリア?』
「はっ!セイバーのテストパイロット候補として、既に62時間のシミュレーター訓練を行っています!」
『よし、頼むよ』
「はい!」
大きく返事をして、あたしはセイバーが格納された仕切られた一角へ向かった。
不謹慎ながら、他の候補達を差し置いてセイバーの実機を動かすことに一抹の嬉しさを感じた。
「ヨウラン!セイバーの出撃にどれくらいかかる?」
休憩していたらしいヨウランに声をかけると、
「セイバー?・・・機体の整備は万全だから、梱包さえ解けばすぐにでも出られるが・・・」
ヨウランはそう答えた。うん、と頷いて、あたしは、
「よぉし、今すぐ解いて!出港後、セイバーで出るわよ!」
単刀直入に告げた。
「なになにぃ!?あれは他とは違って機密扱いでだな、お前の独断で出せるような・・・」
「それくらい知ってるわよ!議長の許可が下りたの!ほら、さっさとする!」
あたしがそこまで馬鹿ではないことくらいヨウランもわかっているはずで、議長の許可と告げた途端、すぐに同僚達を動員してセイバーの開封にかかった。
469 :
395:2007/07/22(日) 02:09:32 ID:???
程なく作業は終わり、あたしはその巨大な戦闘機のなりをした機体に乗り込んだ。
訓練でもう慣れたチェックを、出来るだけ手早く済ましていく。
ザクのようにあたし用に調整されている訳ではないが、標準調整の機体を操れずして新型機のテストパイロットが務まるだろうか。――否。
「システム、オールグリーン!」
ヨウランの言うとおり、整備は万全だ。後はパイロットさえ上手く動けば問題は皆無。
両手で頬を挟むように叩いて気合を入れた所に、通信ウィンドウの不安げなメイリンの顔が映った。
『お姉ちゃん、大丈夫・・・?』
「心配性なんだから。あたしは大丈夫よ、メイリン」
右手でサムアップ・サインを作り、メイリンに笑いかけてカタパルトへ向かう。久しぶりの無重力での機体移動を難なくこなしつつ、
「戦況は?」
状況を尋ねた。
『現在、シン、レイ、ショーン各機が敵の回収部隊と思しきMS及びMAと交戦中。他の友軍機の行動は不明ですが、恐らく撃墜されたものと思われます』
「デイル達は?」
『確認できません!』
メイリンの顔も声も、不安で一杯一杯になっているのがわかる。努めて明るく、
「きっと無事よ」
そう言うと、あたしはメイリンに射出を促した。
『・・・ルナマリア機、カタパルト・オンライン!カウントダウン後、射出します!』
「了解。ルナマリア・ホーク、セイバー、出るわよ!」
宇宙空間において、リニア・カタパルトを接続したままスラスターを吹かせるのは、素人か、もしくはGが急激にかかるのを怖がる臆病者のすることだ。
そのどちらでもないというくらいの自信は、初陣のあたしにだってある。心を落ち着かせて、メイリンのカウントダウンを待った。
『――3・・・2・・・1・・・今!』
きついGが身体にかかるのを感じながら、あたしは戦闘宙域を目指した。詳しい状況は見えないが、あたしの到着で好転することはまず間違いない。何せレッドの乗る、しかもセカンドステージ機なのだから。
ヒーローもといヒロインは遅れて登場するのが常って奴なのだ。
2 /
470 :
395:2007/07/22(日) 02:16:45 ID:???
投下乙&GJ!
余談だがどこかのスレで「ルナマリア」というイタリア人の留学生がいたと誰かが言ってたYO
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!!!!
また凄い時間にきたなw
473 :
395:2007/07/22(日) 03:14:13 ID:???
>>467で一部消えてたぜorz
>パトリック・ザラの一人息子にして、アカデミー史上最高の優等生。
>その能力は実績にもしっかりと反映され、地球軍の試作型MSストライクを撃破したことで勲二等ネビュラ勲章を授与されたエースでもある。
また脳内修正頼む
夜中に書き終わっても、やはりそのまま投下するのは考え物か
かつて種死放映前にルナマリアの乗機がセイバーなんじゃないかって予想をしていた俺には嬉しい展開だ!
GJ!
職人さまGJデス!
アビー配属、いいと思います。
それからタリアが艦長ではなくアーサーが艦長なのは、
つまりグラディス隊はミネルバだけじゃなく
複数艦によって編成される伏線ですか?
うはっ超俺好み!
GJ!
グラディス隊のMSって
インパ(シン、赤服)
カオス(レイ?、赤服)
セイバー(未定だった)
パイロット候補(赤服)
レイ?、ルナマリア、?
ザクのパイロット
レイ?赤服
ショーン、デイル、他七名前後?(予備機とかならもっと少ないかな?)
って感じですかね?
ちなみにセカンドステージの三機のうち
未判明の一機をカオスにした理由は
グラディス隊がザフト汎月面艦隊キ下だからです。
…あってます?
デスティニーアストレイではシンとマーレだけしか分からないからな、正式パイロット
478 :
395:2007/07/22(日) 23:16:06 ID:???
個人的にアストレイは黒歴史にしてしまいたいw
俺のは少なくともアストレイほどぶっ飛んでいない・・・と思いたいが、どうなるやら
>>476 常識的に考えてアビスとガイアがミネルバ配備はないよな
明察の通り未判明の一機はカオス。パイロットは特に決めてない
レイはザク隊のリーダー格。ザクは今のところ厳密な数を決めるつもりはないかな
テスパイ候補は次話で触れると思うけどルナマリア以外は他隊から出向
俺は本編を黒歴史にするか両方とも再構成して欲しい
アストレイをぼろぼろにした千葉も負債も竹Pはいまだに許せないからな
アストレイはぶっ飛び設定入れすぎなんだよ。
まーしゃんとかまーしゃんとかまーしゃんとか
ジャンク屋、野次馬までは本編保管して、
世界に厚みを付けるためにって感じなのに
火星タコ野郎から完全に風呂敷広げるほうに走ったもんな…
本編が駄作なら外伝も駄作になるのはむしろ当然
結局は負債が悪いでFAだろ
このスレはルナマリア・ホークがコズミック・イラ世界の主人公だったらどうなるかを語り合うスレです
現在、SS連載中+職人随時募集中
関連サイト等は
>>2以降
荒れ防止のため「sage」進行推奨
SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー
エロ、グロ、やおいはNG
本編および外伝の叩きは厳禁
スレ違いの話はほどほどに
本編と外伝両方のファンが楽しめるスレ作りに取り組みましょう
次スレのテンプレにこれを入れてくれないか?
アストレイ好きの人間も一応いるんだって思って欲しいし
>>482氏よ・・・
貴兄の気持ちはわからんでもない。
わからんでもないが、敢えて苦言を呈しておこう。
アストレイは駄目だ。
駄目駄目だっ!!
何故ならば
「 ル ナ マ リ ア 分 が 足 り な い 」
>>482-483の言い分だとスターゲイザーやMSVもダメなんだろうな
俺は外伝大好きだけど
ルナが主人公ならなんでもいいよ
職人の裁量に任せようぜ
>>485 その通りだ。
だからルナマリア分が足りない
ド○えもんサ○エさん、笑って○○とも!、世界名○劇場
すべて駄目駄目なのさ!
外伝キャラとルナが絡むSSがあれば問題ないのか、一応…
え、ならお前が書け?
…仕事忙しくなければなあ…
今日が終わってしまう前に
お誕生日おめでとう!
はぴばルナ
ほす
文中に顔文字使うのはやはり避けたほうがよい?
>>492 当然だ、としか言いようがないが、ルナがメイリンに携帯でメール送るとかならありかも。
NJの影響とかは知らね、マユだって携帯持ってたし。
同工異曲な作品になりそうだけどよい?
いちいち聞くな。
SSはGJ
突っ込むとルナマリアにそんな高度な操縦はできないww
射撃下手だしなんであれで赤wwザふと人材タリねw
小学校から性教育したほうがいいよw
子供作りなさいw
ルナマリアを軍人からただの肉便器に格下げですw
マジレスすると最近のSSでルナマリアは操縦していないのだが如何に
さっさと消え失せてアニメ本編の感想は然るべきところでどうぞ
SSはGJ
突っ込むとルナマリアにそんな高度な操縦はできないww
射撃下手だしなんであれで赤wwザふと人材タリねw
小学校から性教育したほうがいいよw
子供作りなさいw
ルナマリアを軍人からただの肉便器に格下げですw
マジレスすると最近のSSでルナマリアは操縦していないのだが如何に
さっさと消え失せてアニメ本編の感想は然るべきところでどうぞ
SSはGJ
突っ込むとルナマリアにそんな高度な操縦はできないww
射撃下手だしなんであれで赤wwザふと人材タリねw
小学校から性教育したほうがいいよw
子供作りなさいw
ルナマリアを軍人からただの肉便器に格下げですw
マジレスすると最近のSSでルナマリアは操縦していないのだが如何に
さっさと消え失せてアニメ本編の感想は然るべきところでどうぞ
ループ怖ェ〜〜
ID秘匿ゆえにネタでやってるようにしか見えんwwww
506 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/11(土) 17:33:28 ID:151TQjST
投下、終わり?
507 :
395:2007/08/11(土) 22:08:02 ID:???
>>506 すまん、この時期はどうにも忙しくて見直しがまだ出来てないんだ
>507
楽しみにしております!
急がずご自分のペースでお書きになってください
509 :
395:2007/08/14(火) 16:31:07 ID:???
/ 3. 追う者、逃げる者
かつて資源衛星ノヴァ――東亜名は新星――を巡り、ザフトと東アジア共和国軍を主力とする地球連合の両軍が、L4全域を巻き込んで戦闘を繰り広げた。
ノヴァ攻防戦ともL4戦役とも呼ばれるこの戦いに際して、ザフト第一陣の司令部は、無策にも大量の小型Nジャマー――ニュートロンジャマーを広域撒布している。
その効力は絶大で、核分裂反応の抑止は勿論、その影響度の高さによって、あらゆる電波機器を使用不能にするほどだった。
Nジャマーの影響度によっては、電波を強めることによって電波機器の使用は多少なりとも可能であったが、L4ではいまや精々1km離れたところと無線通信を行うのがやっとであり、現にアーモリー・ワンには至る所に携帯無線機用の電波中継器が敷設されている。
この度の過ぎたNジャマー撒布は、ザフトのモットーたる電撃戦を一気に停滞させ、作戦に従軍したある将校をして「レーダーの反応は死の宣告」とまで言わしめた。
それは地球軍にしても同じ事で、幾度もの戦闘の末、結局ノヴァはザフトの手に落ち、L4は一度、世界から見捨てられた。
時間は少しばかりミネルバの出航から遡る。
その男からしてみれば、L4の現状は好都合だった。何故なら、不可視の母艦どころか、これだけプラントに接近している自らのMA、エグザスも敵に感知されていなからだ。
「――これは・・・」
男、ネオ・ロアノークは仮面をしていた。その仮面の目にあたる部分は、モニターに映し出されたトリコロール・カラーのMSを見据えている。
「確かに俺のミスか、な!」
独り言ちて、彼はキーボードでレーザー電文を打ち込み、母艦経由で送信する。相手は宇宙港を潰しに向かった隠密部隊だ。
レーザーが母艦に届いたことを確認すると、一度スラスターを噴かせ、今しがたアーモリー・ワンを脱出した3機のザフト機を追う。
エールストライカーのような装備をした“4機目”はさすがに早く、脱出した3機に追いつこうとしている。後続の2機はザクと呼ばれるザフトの主力量産機だった。
「まずは――」
呟いて、ネオはガンバレルを起動する。狙いは2機のザク。並のパイロットが相手なら、まず外すことはない。そんな自信がネオにはあったが――、白いザクは余裕を持って避ける。通常カラーのザクもまた、間一髪のところで回避した。
「ふう、ん・・・」
更にガンバレルを機動させ、違う方角から攻撃を――かけようとして、その1基が白いザクのビーム突撃銃で撃ち抜かれる。
ネオは口を開けて驚嘆し、
「中々、勘のいいパイロットのようだな・・・白い坊主くん」
言って、ガンバレルを巻き上げた。これでは仕留めるには遠すぎる。
その内に、先行していた“4機目”がネオの攻撃を知ってかザクのところまで引き返してきた。
相当の腕を持つ白いザクと、ぎりぎりとはいえネオのガンバレルを避けて見せた通常ザク。それに新型が加わっては、流石に数が足りない――と考えた矢先、プラントの方から宙間用迷彩の機体が接近してくる。
「スローター?シーザーか?」
ネオの配下にある105スローター・ダガーは、隠密部隊を率いるシーザーの乗る1機のみだった。
ダガーは制動をかけると、左腕を伸ばしてその掌をエグザスの装甲に触れさせる。接触通信。一番単純かつ確実なコンタクトの方法だ。
『ロアノーク大佐!ハラダ、イザワのダークダガーは帰投させました』
「シーザー、お前はどうした?」
『大佐が出られていると知り、状況把握と掩護に参りました』
大佐――そう、ネオは地球連合軍の将校であった。公的な肩書きは大西洋連邦海兵隊大佐である。
シーザー・クレイヴンもまた、地球連合軍の大尉だった。ともに、エースパイロットと言って過言ではない腕前の、しかしその名は表舞台に轟かない異形の職業軍人。決して消えない、力という幻肢痛。人は彼らを、ファントム・ペインと呼ぶ。
「3人がてこずった。新型は3機じゃないようだ」
そのネオの言葉に、“3人”の力をよく知るシーザーは、
『なんですと?』
露骨に不信感を露にし、問い返した。
「見ろ。4機目だ」
『ほう、まるでストライクだ』
「――あれも頂く。やるぞ」
『はっ』
ネオの短い命令に答えると、シーザーは一度だけスラスターを大きく吹かせ、手足の慣性ででたらめな進み方をダガーにさせながら周囲を警戒する3機のザフト機へ迫った。
またしても白いザクが最初に、暗闇に紛れたシーザー機の攻撃に反応する。残る2機が白いザクに倣うのを見計らって、ネオは一気にエグザスを前進させた。
510 :
395:2007/08/14(火) 16:34:51 ID:???
セイバーの重力加速度は巡航時でも3G。ましてや今は、戦闘速度で急行中だ。ザクのそれとは訳が違う。それでも、衝撃対応型のシミュレーターで慣れているはずだった。
けれど――シミュレーターとは違う。
一分に満たない飛行で、あたしはそれを実感した。それが無重力の為なのか緊張の為なのかはわからなかったが、違うと認識した途端に、手が震えそうになる。
「あたし、怖がって・・・?――まさか!」
そんな自分をなんとか笑い飛ばして、あたしはシン達の方を目指す。
レーダーは利かない。カメラが捉えた映像から、分析システムと自分の目で判断するしかないのだ。IFFすら、この宙域ではその意味を持たない。
やがてモニターに機動兵器と判別された機影がズームされる。それを見て、
「MAとMSが1機ずつ・・・?」
あたしは眉を顰めた。
「随分と舐めてくれてっ!」
FCSで機体背面――この形体では上面にあたる部分のアムフォルタス、フォルティスの両ビーム砲の射撃体勢をセットする。
敵機は宙間用迷彩の105ダガーと、見慣れない紫色のMA。MAは支援機だろうと判断し、レティクルをダガーにセットするようにFCSに指示した。
最初にすれ違うまでに仕留めよう。相手は105とはいえダガー。奇襲効果も期待できるし、可能だと確信していた。あるいは、過信していた。
敵を狙うことだけ考えて、仲間の掩護や連係を考えもしなかった。当然、仲間の状況も。
突然、あたしの接近に気づいたレイが、ノイズ交じりに警告を送ってくる。
『セ・・・バーだと?ルナ・・・リア・・・・・・迂闊・・・ぞ!』
「えっ?わ――」
レイの通信に続くけたたましい警告音と同時に、明後日の方向からビームが降り注ぐ。あたしは咄嗟にMS形体へとセイバーを変形させた。
予測針路を狙った攻撃はこれで回避できるが、プログラミングされた制動と姿勢制御の為のバーニアの自動噴射により、
「くう――ぅ・・・」
全身が締め付けられ、思いっきりシェイクされる。
どんなに訓練されたコーディネイターだって、瞬間的に最大耐えられる重力加速度は12Gが限界なのだ。戦闘中の突発的なGの加増に慣れてないあたしは、一瞬眩暈と吐き気を感じる。
「お・・・ぅうぇっ」
バイザーを開き、吐き気に逆らわずに胃の中の物を嘔吐し、吸引のスイッチを押すと同時に、再び発せられた警告音に反応し、
「この――ッ」
AMBACとスラスターを併用してビームをかわし、ビームの飛んできた方向へビームライフルを撃ち込む。当たらない。
ダストシュートに吸い込まれていく吐瀉物を一瞥して、舌打ちする。あたしは所詮、お情けでテスト候補生の残った新米――特務隊から出向してきた他の2人の顔を浮かべてしまう。
「あたしだって・・・っ」
小さく叫んで、ガンバレルの本体を背負っているであろうダガーを探す。――いない。
「消えた?」
『気を・・・けて、ルナマリ・・・・・・遠く・・・ら狙わ・・・てるかも』
やや呼吸を乱したショーンが注意してくる。けれど、レイがそれを否定した。
『ち・・・う。逃げた・・・だ』
「え?」
『奴らの目的・・・足止めか、インパ・・・スの奪取だろう。・・・が、セイバーが・・・てきて状況・・・変わった』
そのレイの言葉には、レイの意図はともかく、あたしが巧く立ち回れば逃がさずにすんだ可能性が仄めかされている。
「このままみすみす!」
『逃が・・・てた・・・るか!』
あたしとシンが追おうとするところへ、レーザー通信での帰投命令が届く。
「え――そんな!」
『なんで!?』
『艦を追・・・なら艦だ。戻・・・ぞ』
言うなり、レイはスラスターを噴射してミネルバを目指した。ショーンがそれに従う。
あたしはというと、肩透かしを食らった気分で、少し呆然としていた。やや間を置いて、シンのインパルスも機首を翻す。はっとして、あたしもそれに続いた。
511 :
395:2007/08/14(火) 16:38:25 ID:???
『大佐、あ・・・はどうい・・・ことで・・・うか?』
「あぁ、まさか更にもう1機、新型がいたとはな。諜報部の怠慢にも程があるぜ」
“5機目”である可変機の飛んできた方向から、母艦と思しき見慣れぬ宇宙艦も現れた。あれが恐らく新造艦だろう。
ネオは舌打ちする。これ以上とどまることが危険なのは明白だった。
「欲張りすぎは元も子もなくす・・・」
のである。任務は新型機3機の奪取だったのだから、それを無事に運び終えるのがまずは第一だ。幸い、ガンバレルを恐れてか敵は追ってこない。
ネオとシーザーの機は、アーモリー・ワンに程近い宙域のスチールブルーの巨艦に接近する。ガーティ・ルー。ネオ達の母艦だ。
ネオは着艦するなり、
「撤退するぞ、リー!」
通信ウィンドウを開いて艦長のイアン・リー中佐に向けてそう告げた。
『はっ――お早いお帰りですな、隊長』
「皮肉は止せよ、リー。想定外ってのは、本当によくあるもんだ」
『諜報部に、しっかり確認すべきでしたかな』
「わかってるよ。そのことも、俺が指揮官には向いてないこともな」
自分の厄介な生い立ちさえなければ、今頃自分は精々大尉か少佐ってあたりで宇宙軍のエースとして名を馳せているはずなのに――とネオは肩をすくめた。その素振りに、リーの言葉で気を悪くした風はない。
「敵艦は足自慢って話だ。追いつかれかねん」
『両舷のタンクを分離し、これを爆破して足止めします』
「ああ、それで結構だ。アームごとで構わん。派手にやってやれ」
ウィンドウ内のリーが頷くと、ネオはコックピットハッチを開いてデッキに飛び出した。
キャットウォークに2人の少年と1人の少女の姿を認めると、機体を蹴って彼らのところを目指す。
「お疲れ様、ステラ」
「ネオっ!」
金髪のステラ・ルーシェに声をかけると、満面の笑みを浮かべて彼女はネオに飛びついた。その小さな身体を受け止め、頭を撫でながら、
「アウル、スティングもな」
二人の少年を労うことも忘れない。
「へへっ!こんなのちょろいって」
「てこずったじゃねぇか。遅くなって悪かったな、ネオ」
「構わん、構わん。お前達は本当によくやった」
ネオの労いが思いの外優しい音色だったからだろうか。皮肉屋なアウル・ニーダも、ぶっきらぼうなスティング・オークレーも、その顔に素直に喜色を浮かべた。
顔の大部分を隠したネオは、口元に穏やかな笑みを浮かべて、
「三人とも、ちょっと疲れたろう?ゆっくり休んで、また頼むな」
そう言った。
爛々と目を輝かせて、或いは珍しく照れながら、また或いはしっかりと、3人は頷いて“寝室”へと向かう。
明るく談笑する彼らの後姿を見つめるネオの出で立ちは、どこか憂いを湛えていた。
512 :
395:2007/08/14(火) 16:40:53 ID:???
CICのモニターの一つが、左舷カタパルトデッキに降り立つセイバーを映し出す。大きな破損は見当たらない。インパルスも損傷は軽微であり、アーサーやタリアはそれを見て胸を撫で下ろした。
「セイバー、収容しました。ハッチ閉じます」
「敵の母艦らしき艦影確認。ブリッジに方角転送!解像します!」
索敵要員のバルトロ・バルトリが言って、モニターに青みがかった箱のような不鮮明なシルエットが映し出される。
更に別のモニターに、3機のザクがスラスターを噴射して向かってくる様子が映された。
「ザク――カール機、パーシヴァル機、ミネジ機が後方より接近。着艦許可を求めています」
「よし、後方甲板から降ろしてくれ」
「アビー、他のザクは?」
「いまだ不明です!」
急の出港だった為、物資の積み込みは未了のままであった。
それを考えれば、MS隊の半数が無事だと確認できただけでも幸いと言わざるを得ないだろう――と苛立ちを抑えるようにタリアは己に説いた。
そこへ、通信要員のハリ・ベロフが、
「浮きドックを出たモホロビチッチよりレーザー通信での報告です!」
よく通る声で告げる。
「内容は?」
「敵の母艦の攻撃によりフーリエが轟沈、ハーシェルが大破!」
「ナスカが――、2隻も?」
「敵艦はミラージュコロイドを装備しているとのこと!」
なるほどそれで、とタリアは納得がいった。ユニウス条約に背いてまでの行動だけに、不測といっていい事態であはある。
Nジャマーの影響が強すぎるL4宙域では、電波に頼らざるを得ないミラージュコロイド・ディテクターなど用を成さないのだ。
しかしながら、そうであっても警備の不手際であることに変わりはない。情報が飛びにくい場所は、即ち情報を得にくい場所であるのだから、適応した体制というものがあっただろうに――。
そこまで考えて、止めにした。今考えても仕方の無いことだ、と頭を切り替え、タリアは口を開く。
「バルトロ、敵艦の位置は?」
「インディゴ53、マーク22ブラボーです!解像終わります!これは・・・該当データのないアンノウン!」
「敵艦をデータベースに登録!以降、これをボギー・ワンと呼称する!」
命じてから、タリアはよくその艦を見てみる。――誰がどう見たって地球連合軍艦艇じゃない、と心中で毒づいた。
アーサーが操舵を掌るブリッジに、
「航法!追いつけるよな?」
『高速艦のようではありますが、可能です、トライン艦長』
「ようし、目を離すなよぉ」
確認をとると、タリアの方へ向き直る。
「隊長、どうします?」
タリアの脳裏に、医務室でカガリと会っているであろうデュランダルの姿が浮かぶが、
「――追跡して頂戴。幸い、こちらにはセカンドステージ2機もあるわ。生き残っている友軍艦にも傘下に入るよう命じて」
すぐにアーサーへ答えた。
乗り込めなかった乗員を回収する時間も、デュランダルやカガリを降ろす時間もないのだ。デュランダルならば特に異は唱えまい、とタリアは確信していたし、カガリにしてもデュランダルが説得できるだろうと思っていた。
「はっ!ブリッジ、ボギー・ワンを追尾し給え!加速20%!行動可能な友軍艦は?」
「ミーゼス、モホロビチッチ、アグリコラ、グローティウスの4隻の損害は軽微もしくは皆無です!」
「す、すまないが、副長、艦種を頼む」
アーサーの問いかけに、副艦長のミサエ・アシナがPDAに目を落とした。
「はい!アグリコラはナスカ級、他3隻はローラシア級です。しかしローラシアでは本艦への追従は不可能であると――」
「あ、それはわかってる。隊長・・・」
「えぇ。ハリ、アグリコラに本艦の麾下に入るように言って」
「了解!」
513 :
395:2007/08/14(火) 16:46:08 ID:???
「――ザク各機、収容しました!後部ハッチ閉じます!」
砲撃戦で決着はつくまい、と判断し、メイリンの報告にタリアはMS部隊の再出撃の準備を命じることで応じた。
「メイリン、MSパイロットは搭乗機にて待機!先に戻ったレイ達の機の整備、急がせて頂戴」
「はい!」
また、アーサーは、情報要員のバート・ハイムへ敵艦の武装を訊ねる。
「ボギー・ワンの兵装は?」
「ゴットフリート型の2連装ビーム砲塔6基を確認!その他の主力兵装は分析中です!」
「ろっ・・・」
バートの返事に、アーサーはややたじろいだ。しかし、近くのモニターに表示された分析画面を見て、ややほっとする。
当然だが、6基ものゴットフリートを一斉に同じ目標に向けて撃てるような配置はまず有り得ない。それでも、
「ボギー・ワン、射程圏内まで20秒!」
「アンチビーム爆雷を発射用意して!ゴットフリートは恐いよ!」
口径225cmという桁外れな砲口を二門持つゴットフリートは、たとえ一基でも脅威であることに変わりは無い。大戦時はもっぱら後方勤務で実戦経験をほとんど持たないアーサーだが、そのことはシミュレーションで実感している。
ややあって砲術要員のチェン・ジェン・イーが、
「艦長、ボギー・ワンが射程圏内に入りました」
少し上ずった声で告げた。
「ようし、トリスタン1番2番、イゾルデ起動――」
「え?艦長、トリスタンは・・・」
アンチビーム爆雷の用意を命じておきながらの命令にミサエが困ったような顔で言い、タリアが溜息を吐く。
「おぉっとぉ!トリスタン起動は撤回!ランチャー6から10、各1番から4番、ナイトハルト装填!エンジンを狙えよぉ!」
命令し直したアーサーは、装填完了の復命を受けると、
「ランチャー6発射の5秒後にランチャー7発射!――ランチャー5、発射!」
その発射を下命した。更に第一射が敵艦のイーゲルシュテルンに迎撃される頃合を見計らって、
「イゾルデ、撃てぇ!」
副砲発射を命じた。少しの間を空けて、砲術班員達が攻撃結果を報告する。
「ナイトハルト、成果軽微!」
「イゾルデ命中!・・・ゴットフリート1基を破壊!」
「くそう!」
アーサーの抜け加減は、その命中を喜ぶほどではない。むしろ彼は悔しがった。
この状況でビーム砲塔を潰したところで大した意味はない。それどころか、中途半端な命中は敵艦の揺れを招き、イゾルデの照準を定める妨げとなるのだ。
514 :
395:2007/08/14(火) 16:50:02 ID:???
揺れている当事者である敵艦はそれ以上にこちら照準が不安定なはずだが、それでも彼らはすぐに反撃を試みてきた。
「敵艦側舷に砲塔出現!形状からバリアント型と断定!」
「敵の射線の変動を警戒!ランチャー8、発射!あっちは揺れてる!運が悪けりゃバリアントが直撃するぞぉ!」
「我らに天の加護を!――敵艦発砲・・・外れます!」
高速で打ち出された砲弾が直撃コースを大きく逸れて飛んでいく。ほっとアーサーが一息ついたところで、チェンが声を張り上げた。
「照準定まりました!イゾルデ、撃てます!」
「ようし――」
「ボギー・ワン、艦体の一部を分離!」
「えッ?一部って何!?」
アーサーが尋ねるが、その答えが返るよりも早くタリアが、
「撃ち方待て!操舵、面舵10!機関最大!」
咄嗟にそう命じた。
「隊長、あれは何ですか!?」
「恐らく推進剤の予備タンクね――まさか、爆破を・・・ッ」
それが正しければ、回避したところでもう間に合わない。慌ててアーサーが叫んだ。
「えぇっ!?そ、総員、衝撃に備えよ!外部カメラにフィルターを!」
次の瞬間、タンクが一気に膨れ上がり、フィルターの間に合わなかったカメラが一瞬にしてホワイトアウトする。
同時に大きな衝撃が艦全体を揺さぶり、対ショックが間に合わず天井か壁に叩きつけられたクルーのうめき声が起きる。
「ひ、被害状況の確認を急ぐんだ!」
「各員ただちにシステムチェックをして下さい!」
「議長方の安全確認を!」
揺れが収まらないうちにアーサー、ミサエ、タリアがそれぞれ通信機やクルーに怒鳴る。更にタリアは索敵班に向け、
「ボギー・ワンの位置は!?」
問うた。今反撃に出られたら厄介だ。アグリコラとて、どこまでフォローできることか。しかしバルトロの返答は、
「待ってください――見つけました!レッド88、マーク6チャーリー!距離開きつつあります!」
敵艦の逃走を意味するものだった。タリアは、
「やってくれるわ・・・!」
苦々しく呻いて、ぐっと制帽を引き下げた。
515 :
395:2007/08/14(火) 16:53:17 ID:???
迂闊にもあたしはその時、シートベルトを外していたのだ。もしコックピットハッチを開いていなかったら、メインモニターに身体を打ちつけていたことだろう。
「被弾したぁ!?」
デッキの中を飛ばされながら、あたしは悲鳴を上げる。
「ばかッ!ルナマリア!メットくらい・・・!」
ショーンのものと思しき怒鳴り声を聞いて、慌ててあたしはヘルメットを着用する。
声のした方に目を向けると、常装のショーンとレイがパイロットピットに飛び込んでいた。追いかけて不注意を謝ろうと思った途端に、キャットウォークの手すりで背中を打つ。――格好悪いったらない。
衝撃に顔をしかめ姿勢を正せずにいると、
『大丈夫か、ルナ?』
慣性で天井へ向かっていくあたしをシンが受け止めた。真空状態ではないから、ヘルメット内臓のマイクとスピーカーで充分声は通じている。
「お蔭様で。感謝しとくわ、シン」
『どう致しまして。――ルナ、状況はわかるか?』
「・・・さっぱり」
『俺も――』
シンの言葉を遮るように、アビーの艦内放送が、
『全艦に通達。損傷は軽微です。閉鎖した艦首の一部区画を除き、空気漏れは確認できず。本艦は強奪犯追撃を続行します。コンディションをイエローに移行。艦体整備要員は別命あるまで――・・・』
状況を教えてくれた。あたしはヘルメットのバイザーを開きながら、同じくバイザーを開いたシンに、
「ところでシン」
話しかけた。シンの表情は、やや安堵の色が見られる。
「何、ルナ?」
「さっき受け止めてくれた時、変なところ触ってないわよね?」
「え?」
一変。シンの表情に動揺が浮かぶ。あたしはそんなシンをからかってみた。
「さ、触ってないよ」
「ふうん?怪しいわねぇ」
「触ってないってば!」
パイロットピットに向かいながら、あたしはノリノリで、シンはやや焦りながらその問答を続けた。
やや緊張感が薄かったのかもしれない。それは、情報を整理して対処すれば、奪われた3機の奪回も、犯行グループの捕縛も簡単なことだという自信、そして過信からくるリラックスだった。
尤も、この時のあたしには、その根拠を自覚するだけの経験すらなかった。
3 /
516 :
395:2007/08/14(火) 17:05:36 ID:???
書いてる内にブリッジとCICが頭の中でごっちゃになっちまった
とりあえず整理しとくと、2話でブリッジって書いてあったのはCIC
議長がレッド発令下のCICに入れたのはタリアら責任者がCICに集まってたから
ブリッジは操舵室扱いで、操舵士や航法士が常駐
本筋に影響はないけど一応
やっぱ色々と整理してから書くべきだよなorz
>>395氏乙
そうか、言われてみればそうだw→CIC&ブリッジ
アーサーの変わらないアーサーっぷりに感動。
それとザクヲ、かこいいよザクヲハアハア
519 :
395:2007/08/15(水) 15:32:00 ID:???
>>517 キャラクターって文章に書くとどんどん別人になってくから困るんだよなあ
アーサーみたいなキャラならまだなんとか原型保てるけど
>>518 トンクス!
かなりわかりやすくて参考になった。次から気をつけてみるよ
ルナマリアって拳銃の使い方はアスランに直されてたけど、モビルスーツの射撃の腕は平均よりあるよね?
シャトルは撃ち落せないけどな。
ザフトの平均がたかが知れてるから
平均よりはあるんじゃね?
投下します。
524 :
523:2007/08/18(土) 18:13:54 ID:???
「ジャスティス! アスラン!?」
「インパルス! ルナマリアか!?」
私は一瞬の内に走馬灯のように思い出していた。アスランとの思い出を。
だが! 今は敵だ! 脱走して、望んで敵になったのだ。よりにもよって愛する妹、メイリンまで巻き込んで!
気を引き締めろ!
「アスラン……でも、何で貴方がメイリンを……よくもメイリンを!」
「チィ! やめろルナマリア! お前も!」
「逃げるな!」
「えぇぃ、くっそー!」
「ぁ!」
とっさに胸部のCIWSで弾幕を張り牽制する。
……一瞬の内に片腕をやられた。やっぱり腕の差かしらね。アスラン、やっぱりあなたは……英雄――
折れそうになった心にアスランの言葉が響く。
「邪魔をするな! 君を討ちたくなどない!」
手を、抜かれていた。その事をあらためて自覚した時、折れそうになっていた心が激高する!
「何をっ!」
「時間を掛けたくないんだ!」
「ああぁぁ!」
ジャスティスが、ビームブーメランを放った。それに反応する間も無く。そして、衝撃が来た。
私の意識は深海へと沈んでいった。
525 :
523:2007/08/18(土) 18:16:27 ID:???
・
・
・
「……ぃ」
……なにか、声が聞こえる。
「おーい、ルナ!」
「ルナ、起きなさーい!」
ぼんやりした闇の向こうの遠くから聞こえる声に反応する間も無く。そして、衝撃が来た。
「いったーい、なによ、ミリィ。人がせっかく……」
あれ? どうしたんだろう? 私は今までアスランと戦って……
え? どうして私とアスランが戦わなきゃいけないの? アスランはコペルニクスの幼年学校で仲が良かった友達だ。連絡がなくなってしまったのはいつからだろう。私はそれを少しさびしく思った。
――違う!
頭に声が響く。誰の声? 自分の声だ。
アスランはヤキンの英雄で、憧れの人で、でも妹を連れて私を裏切った――
口惜しさが胸中に満ちる。
なんで? なんで?
「……私に妹なんていないじゃない。なんなのよ、もう……」
「……あれ!? ルナ? おかしいな、そんなに強く叩いた訳じゃないのに」
見上げると、見知らぬ少女があたふたしていた。
――え? 見知らぬもなにも? 私の親友のミリィじゃない。
そしてその隣には、ミリィのボーイフレンドのトールが心配そうにこちらを見ている。
「ごめーん。なんか調子悪いみたい」
「カトー教授が悪いんだよ。いくらルナがプログラムが得意だからって、なんでもかんでも押し付けて」
「そうよ。今日もね、ルナ見かけたらすぐつれて来てくれって」
「えー、昨日渡された分もまだ終わってないのに」
「俺達も手伝うからさ」
「ありがと、トール。じゃ、行こうか。え?」
スタンバイ状態にしようとしたパソコンから、緊迫したアナウンサーの声が聞こえる。
「カオシュンか。先週でこれじゃそろそろ墜ちそうかな。連合は何やってんだ」
「オーブ本土は大丈夫よね。中立だもん」
――オーブは焼かれたわ。私達も攻めたじゃない。オーブを。オペレーション・フューリーを忘れたの?
まただ。胸の奥底から声が聞こえる。
医務室へ行って、薬でももらおう。そう決めると、私は手早く荷物をまとめ、ミリィの後に続いた。
526 :
523:2007/08/18(土) 18:17:44 ID:???
・
・
・
「あ、ルナマリア。やっと来たか」
しばらくしてカトーゼミに着くと、ひょいとゼミの仲間のサイが顔を出した。
「うん。カトー教授は? また私を呼んでるって聞いたけど」
「ああ、ルナマリアに宿題残して出て行っちゃったよ。忙しい人だね。あの人も」
「うへー。あ、そうだ。デパス持ってない?」
「レキソタンなら。調子、悪いのか」
サイは私の左手を心配そうに見やる。
「ラッキー。医務室に行く手間が省けたわ。うん、ちょっとね」
サイからレキソタンの5ミリ錠をもらって、ゆっくり口中で溶かす。
目覚めてから胸の中でざわざわしていた物が静まり、不安が消えてゆく。
「ふう、楽になったわ。ありがとね。あれ?」
心が落ち着いて私が部屋を見渡すと、部屋の壁にうつかって、帽子をかぶった見知らぬ少年がいた。
「誰? あの子?」
「さぁ? 教授のお客さんだって」
カズィが答える。帽子を被った少年が、少し顔を上げる。
――せっかく静まった心がざわめき始める。
「……アスハ代表……」
……忘れる物か、あの顔。
え? 私の知らない私が勝手に声を出す。
見知らぬ少年は、びっくりした顔をすると、向かって来た!
「ちょっとお前!」
「え、ちょっと、なんなのよ、もう!」
強引に、部屋の外に連れ出されてしまった。
「はぁ。どうして知ってるんだ? いや、確かに私はアスハ家のカガリ・ユラ・アスハだが。いや。ともかく、秘密にしてもらえないか。お忍びなんだ。あーあ。もっとしっかり変装しとけばよかったかな」
「え!? 代表首長のアスハ家のお嬢様の!?」
「? ……おい、お前、名前はなんと言う? さっきアスハとか言ったじゃないか。あれは何だったんだ」
「ルナマリア・ホークです。ああ、そう言えば、言いましたね。自分でも、なんでか、ふと口に出ちゃったんです」
「潜在意識にでも残ってたのかな。私もまったく露出が無いわけじゃないからな。ともかく秘密に頼むぞ」
「はい。カガリ様」
私は素直に答えた。再びざわめきだした、心に何か引っかかる物を感じながら。
「カガリ様はやめてくれ〜。カガリでいいよ。カガリで。その方が気楽だ」
「ええ、じゃ、カガリ」
「うん、いいな。こっちもルナマリアって呼ぶから」
527 :
523:2007/08/18(土) 18:18:55 ID:???
私達は部屋へ戻った。
さーて、宿題をやっつけますか!
キーボードを可能な限りの速さで叩き出す。まったく。落ち着いて昼寝も出来やしない。カトー教授ったら!
カガリ様は、カズィがロボットを操縦し始めると、面白そうに話しかけてる。
ふふ。あんなとこは、普通の女の子と同じよねぇ。
――突然、衝撃が来た。
「キャー!」
「何? 隕石でもぶつかった?」
「まさか! 衝突しそうな隕石やらデブリやらは、とうの昔にわかっているはずだ!」
部屋の明かりが消え、そして非常灯に切り替わった。
「とにかく、避難しよう」
「ええ!」
部屋を出ると、職員の人たちもぞくぞくと階段を上がって避難していた
「いったい、どうしたんです!?」
「知らんよ」
「ザフトに攻撃されてるんだ! コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!」
「「「「え!?」」」
「君達も早く!」
……なんで?
ザフトは味方。ミカタ。私はザフト。ワタシハザフトノレッドデス……
胸の奥がざわめき出す。脳裏に写る光景。私の知らない私が、ザフトの軍服を着て戦っている。
「なんなのよぅ、もう、いやぁ」
「しっかりするんだ! ルナ!」
サイが私の頬を軽く叩く。
「……ぁ……」
「しっかりしなきゃな。最上級生だろ、俺ら」
「……うん」
「あ、君!」
え? 顔を上げるとカガリ様が、みんなとは逆方向へ走っていく!
まさかほっておけるはずも無い。
「私が追うわ! みんな先に行ってて!」
「気をつけろよ」
「わかってる! みんなも!」
528 :
523:2007/08/18(土) 18:20:08 ID:???
「何してるんです、カガリ様! そっち行ったって……」
「何で付いてくる? そっちこそ早く逃げろ!」
――! 近くで爆発が起こり、カガリ様の帽子が吹き飛ばされる!
「ほら! カガリ様、あぶないですって!」
「いいから行け! 私には確かめねばならぬことがある!」
「……もう、遅いですよ」
私は後ろを振り向き指し示す。カガリ様も振り向く。
走ってきた通路は、瓦礫で塞がれていた。
「……だから言ったんだ、付いてくるなと……」
「大丈夫ですよ、カガリ様! 工場区に行けばまだ避難シェルターがあるはずです!」
カガリ様の手を握って走り出す。カガリ様は抵抗しなかった。
大きな空間に出た時、下に大きなロボットが横たわっていた。
え!? あれってまさかインパルス!?
……インパルスって何よ。私は知らない!
なんであれがモビルスーツだってわかっちゃうのよ!?
「はぁ…やっぱり…地球軍の新型機動兵器……うっ……お父様の裏切り者ー!」
カガリ様の叫び声に気づいて、下からオレンジ色の服を着た女性が撃ってきた!
運よく外れて、ラッタルが甲高い金属音を立てた。
その女性が、ちっと舌打ちする様子まで見て取れた。
「カガリ様、ここも危険です! 早く逃げましょう!」
「ぅっ……うっ…」
カガリ様は泣いている。先に泣いた方が勝ちよね。私も何がなんだかわからなくて泣きたいのに!
「でも、オーブが地球連合と組んでたとしても、しようがないかもしれませんよ。独立を守るには」
「……ぅぅ……え?」
「旧世紀のスイスなんか、もっと悪どかったらしいですから。ナチスドイツに協力したり、戦後なんの関係も無い日本から賠償金取り立てたり。まぁ、もう独立は破れてユーラシア連合になっちゃいましたけどね」
「……私が、子供なのかな……」
ふぅ、なんとか避難シェルターに着いた。
「ほら、ここに避難してる人が居る」
『まだ誰か居るのか?』
「はい。私と友達もお願いします。開けて下さい」
『二人!?』
「はい!」
『もうここはいっぱいなんだ! 左ブロックに37シェルターがあるからそこまでは行けんか?』
「なら一人だけでもなんとかお願いできませんか!?」
『一人か……分かった。一人だけ入ってくれ。すまん』
「カガリ様だけでも、入って!」
「え? なにを!? 私は!」
「いいから早く! 私は左ブロックのシェルターに行ってみますから!」
「待て! お前!」
カガリ様を強引に押し込むと、エレベーターは下がって行った。
私は左ブロック目指して走り出す。
529 :
523:2007/08/18(土) 18:21:28 ID:???
「あ!? 危ない後ろ!」
オレンジの服の女性が撃たれそうになってのでつい声を上げてしまった。その女性は振り向くとすかさず銃を放った。
……え、撃たれた人は、あれは? ザフトレッド? 味方の邪魔をしちゃった?
いえ、ザフトなんて知らない! 知り合いなんかいないし味方じゃない! だって中立のヘリオポリス攻められてるじゃない!
オレンジ服の女性が混乱している私に声をかけてきた。
「こっちへ来い!」
「……左ブロックのシェルターに行きます!お構いなく!」
「あそこはもうドアしかない!」
「え!? きゃー!」
また爆発が起こった!
「早くこっちへ!」
しかたないな。
爆発をやりすごして、モビルスーツ目指してラッタルから飛び降りた!
あ、あの人が撃たれた!
あわてて駆け寄ると、ザフトレッドがナイフを持ってこっちに来るのが見えた。
――! あれは……あれは――
「アス、ラン!?」
「っ!? ルナマリア!?」
「……アスラン……よくもメイリンを! この裏切り者!」
――! 私は、心の奥から突き動かされる感情のままアスランを殴打してしまった!
メイリンって誰よ? 裏切り者って!? 私の心と身体はどうなっちゃってるの!?
「あ、アスラン、だいじょう…きゃ」
アスランに声を掛けようとしたら、オレンジ服の女性に後ろから引っ張られてモビルスーツの中へ墜とされた!
「シートの後ろに! この機体だけでも! 私にだって動かすくらい!」
「……ガン、ダム?」
表示される画面に表示される文字が縦読みでそう見えた。インパルスと同じだ。
……だからインパルスってなによー!?
混乱している私をよそに、スクリーンにパッと周囲の光景が映し出され、このモビルスーツは立ち上がった!
「……ちょっと。ただ歩いてるだけじゃないの。大丈夫なの?」
「私は戦艦の副長よ! パイロットじゃないの! だから言ったじゃない、動かすぐらいならできるって! 無理に走って一般人巻き込むよりいいでしょう!?」
「あ、ちょっと! ふら付いた! 足元に人がいたわよ!」
「ちょっと、黙って!」
私をコクピットに押し込んだ女性は、コクピットのあちこちをいじっている。
――! あるスクリーンが拡大される!
「サイ! トール! カズイ! まだ避難し終わってなかったんだ!」
ガーン! 大きな音と共に突然モビルスーツがふら付き、コクピットを衝撃が襲う!
「きゃー!」
「下がってなさい!死にたいの!?」
正面のスクリーンには重突撃銃を構えたジンが映っていた。
このままじゃ! くやしい!あんな古臭い機体に! インパルス、いえ、ザクがあればあんな……
ううん、操縦するのが私なら……
(忘れてた? 私も赤なのよ?)
530 :
523:2007/08/18(土) 18:22:35 ID:???
遠い記憶がうっすら蘇る。誇らしげに、私は誰に向かって言っていたんだろう?
私の回想をよそに、ジンは重斬刀を抜くと切りつけてくる!
「まだ終わらないわ!」
副長と名乗った女性は、ひとつのボタンを押し込んだ。
――ガシーン!
衝撃はあったけど、このモビルスーツはやられていなかった!
「PS装甲――フェイズシフト装甲よ。実体兵器ならほぼ完全に無力化できるわ!」
副長と名乗った女性――ああ、めんどくさい。副長は振り返り、誇らしげに、そして安心させるように微笑んだ。
……なら!
「余裕、出来ましたよね? ちょっといじらせてください!」
「な、なにを!?」
返事を聞く間も無く、私はキーボードを取り出し、OSの確認を始めた。
「……なんなの? このOS? こんなので動かそうなんて!」
「仕方ないでしょ、まだ未完成なんだから! あ!」
ジンは懲りずに重斬刀で切りつけて来た! このモビルスーツはふら付きながらなんとか受け止める。
ガシーン! 何度目か、とうとうこのモビルスーツは尻餅をついてしまった!
いくら装甲が硬いとはいえ、こうも何度も叩かれるとコクピットの中にいる私達が持たない!
あ。あれは、ミリィ! こんなところに、まだ!
「ちょっと、どいてください!」
操縦席の副長を無理やりどかす。
「あなた、何を! 何者?」
すばやく操縦席に滑り込むと、スラスターを吹かしてカウンター気味にジンを殴りつける!
ジンは大きな響きを立てて倒れこんだ!
私は振り向いて言った。
「私はルナマリア・ホーク。オーブのコーディネイターです!」
531 :
523:2007/08/18(土) 18:23:50 ID:???
「……そう。オーブのコーディネイター。わかったわ。任せる」
「いいんですか? キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定……」
私は再びキーボードを手にしてOSをいじりだす。
「コーディネイターにはコーディネイターと思っただけよ。私じゃ、もう限界だったし、あなたに賭けてみたくなったの」
「OS終わり! 武器は? 何かないの? ビームサーベルとか」
「――! ……今は、ないわ。頭部の対空自動バルカン砲塔システム、イーゲルシュテルンと……」
副長の手が後ろから伸びあるスイッチを押すと、このモビルスーツの頭部から、起き上がったジン目掛けて弾丸が飛んで行く!
「左右の腰にコンバットナイフのアーマーシュナイダーが格納されているだけよ。それでなんとかして頂戴」
「しょうがないわね!」
ジンと最後に戦ったのはいつだったろう。ふと思い浮かんできた考え。普通ならまた混乱しただろうそれを、今の私は自然に受け入れていた。
「ユニウスセブンの時か……」
「なんですって?」
「なんでもない! 落とさせやしないわ、空を!」
私には、頭部CIWSの弾幕を抜けてくるジンが、あの時のテロリストとだぶって見えた。
ジンは再び重突撃銃を手にすると放ってくる! 着弾!
「ええい、いつまでも思い通りになんかさせるもんですか!」
両腕にアーマーシュナイダーを装備し、スラスターを吹かしジンに向かって行く! このスピードならそうそう当たるもんですか!
重突撃銃の銃撃を切り抜け、私は一気にジンの右腕付け根にアーマーシュナイダーを突き刺した!
そして! 右腕のアーマーシュナイダーをジンのコクピットに突き入れた。
あの、黒いのなんだろう。油かな。はは。は……私は意識を失う事を自分に許した。
要支援?
533 :
523:2007/08/18(土) 18:27:36 ID:???
終りです。
ちょっとメンヘルなルナですがだんだん明るくなっていくはず……
シンキラならぬルナキラ(言いにくいw)か。
なんか毛色が違って面白そう。
535 :
523:2007/08/18(土) 19:01:03 ID:???
あ、そうそう。キラとメイリンは出てこない予定です。
536 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/18(土) 19:37:07 ID:OTXMPih6
>>534 前にも無印の主人公をルナにしたのならあったんだぜ?
何はともあれ
>>523氏GJ。異世界?の記憶とどう向き合ってくのか楽しみです
>>395氏も今後の戦闘シーンが面白そうな初戦闘でした
両氏に期待age
GJ!
何故か種死の記憶を持っているルナマリア、面白そうですね。
このルナマリアがMSを操縦できるのはコーディでなおかつ赤服の記憶を持っているからでしょうか。
メンデルやヒビキ夫妻の設定がどうなっているのか、このルナは種持ちなのか等、イロイロな点に早くも期待してしまう一作でしたね。
少し苦言を呈すれば、ほとんどが一人称視点での文とはいえ感嘆符が多いので文全体のインパクトが損なわれているような気がします。
場面に応じて三人称視点を混ぜて書く、あるいはもう少し描写そのものを増やすだけでもメリハリがつくと自分は思いますが、どうでしょうか?
それと語尾が単調になっている個所(〜た)があって少し読みにくいので、そこは気を付けるべきかと。
とはいえ話の面白さは十分にあると思うので、次回の投下までwktkして待っています。
最後にもう一度、GJ!
538 :
523:2007/08/24(金) 21:07:56 ID:???
「あ、ルナ、気がついたの?」
「あ、ミリィ。私……?」
「あのモビルスーツからこの女の人担いで出てきたら、いきなり倒れるんだもん、心配しちゃった。水飲む?」
私の隣には、副長が寝かされていた。ふと、左手首を見てしまった。切り刻まれた痕。
……見なかった方が良かったな。私も古傷がうずく。
「ありがと、ミリィ」
ミリィからコップを受け取り。水を飲む。おいしい。
「う、うーん」
「あ、こちらも。気が付きました? お水飲みます?」
副長さんが気がついた。腕を押さえながら身体を起す。
「……あ。ありがとう。あなたたちは?」
「私の工業カレッジのゼミの仲間です。副長さん」
「ルナマリアさん、だったわね。戦いはどうなったの?」
「ザフトのモビルスーツなら、ほら!」
ミリィが指し示した先には、片膝を突いて動かないジンがいた。コクピット付近のの黒い色は…考えないようにしよう。
「よくやってくれたわ! よくストライクを守ってくれたわ! ルナマリアさん!」
ストライクって言うんだ。このモビルスーツ。
「無我夢中だっただけですよ」
「それでもよ。この一機があれば……あなたたち! 何してるの!?」
――不意に副長さんが形相を変えて拳銃を放つ!
「そこから離れなさい!」
見ると、カズイたちが私が操縦していたモビルスーツ――ストライクに登ってコクピットを見ていた。
「止めてください! あなたを運んでくれたの、みんななんですよ!?」
ミリィが慌てて止める。
「それでもです! その機体から離れなさい! 助けてもらったことは感謝します。でもあれは軍の重要機密よ。民間人が
無闇に触れていいものではないわ」
「なんだよ。さっき操縦してたのはルナじゃんか」
トールが不服そうに言う。副長さんは、鬼の形相になってトールに銃を向ける。
「わかった、わかりましたよ。降りりゃいいんでしょう、降りりゃあ」
トール達は慌てて降りてくる。
539 :
523:2007/08/24(金) 21:09:20 ID:???
「みんなこっちへ。一人ずつ名前を」
マリューは命令する。
「サイ・アーガイル」
「カズイ・バスカーク」
「トール・ケーニヒ」
「ミリアリア・ハウ」
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけにはいかなくなり
ました」
「「えー!?」」
子供達は当然騒ぐが、マリューは後を続けた。自分が開発して来たモビルスーツが4機もザフトの手に渡ってしまった事
が、彼女の心の余裕を無くしていた。
どうしても残った一機の機密は守らねば……
マリューは続ける。
「事情はどうあれ軍の重要機密を見てしまったあなた方は、然るべき所と連絡が取れ処置が決定するまで私と行動を共
にしていただかざるを得ません」
「そんな!」
「冗談じゃねぇよ!なんだよそりゃ!」
「従ってもらいます!」
「僕たちはヘリオポリスの民間人ですよ? 中立です! 軍とかなんとかそんなの、なんの関係もないんです!」
「そうだよ! 大体なんて地球軍がヘリオポリスに居る訳さ! そっからしておかしいじゃねぇかよ!」
「そうだよ! だからこんなことになったんだろ!?」
ガーン! マリューさんが威嚇射撃をし、銃声が木霊する。
「黙りなさい!何も知らない子供が! 中立だと関係ないと言ってさえいれば、今でもまだ無関係でいられる。まさか本当
にそう思っている訳じゃないでしょう? ここに地球軍の重要機密があり、あなた達はそれを見た。
それが今のあなた達の現実です」
「…そんな乱暴な」
「乱暴でもなんでも、戦争をしているんです! プラントと地球、コーディネイターとナチュラル、あなた方の外の世界はね」
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!
「……何よ。コーディネイター、コーディネイターって! ここはオーブよ! コーディネイターとナチュラルうまくやってる
のよ! 外の価値観を持ち込まないでよ!」
「ルナマリアさん、黙りなさ……」
「やめろ、ルナ!」
「……え?」
サイが止める間もなく、私はカッターで自分の左腕を切り裂いた!
540 :
523:2007/08/24(金) 21:10:58 ID:???
「な、なにを……ルナマリアさん……」
あー、すかっとした! 腕から流れる血の暖かさに、安心を感じた。
「あんた。地球軍の士官だか知らないけどさぁ、ルナの前でよくもコーディネイターを敵視した発言が出来たな!」
「そうだよ。コーディネイターってばれてからルナがどれだけ嫌がらせ受けたか知ってるのかよ」
「リストカットもようやく収まってきてたのに」
「そうよ。最近、やっと七分袖が着れるって喜んでたのに!」
「――ごめんなさい!」
「…え」
マリューさんがいきなり土下座した。
「迂闊な発言してごめんなさい。……辛かったわよね。いくらオーブと言っても。プラントの奴らがニュートロンジャマーな
んて落としたから尚更よね」
マリューさんの顔は、泣き笑いだ。
「私の彼もね、メビウス乗りでね。プラントの奴らに殺られたのよ。ほら、私も」
マリューさんは、左腕を私達に見せた。醜い。でも見慣れている傷跡だった。マリューさんは泣いていた。
「でも! だから! プラントの奴らに一矢報いたいのよ! お願い、今は力を貸して頂戴!」
「……いいよ」
「ルナ?」
なんでだろう。ふと、口をついて出た台詞。それは、マリューさんの涙に本物を感じたからだろう。あるいは、リストカッター
同士の共感、かな。
「手伝ってもいいよ。どうせ、どこのシェルターに行けばいいかも、無事かもわかんないし。この人、戦艦の副長なんだっ
て。なんとかしてくれるんじゃない?」
「まぁ、ルナがそう言うなら、な」
「しょうがねーな」
「ありがとう、あなた達!」
マリューさんの顔は涙と鼻水と、土でぐちゃぐちゃだった。でも、私はそれを綺麗だと感じたのだ。
「ほら、大事にしなきゃ。女の子だもんね」
「ミリィ……」
ミリィがリスカした所を止血して手当てしてくれてる。リスカした時の不健康な温かさよりも、伝わってくる確かな暖かさ。
「ごめん。もう、しない」
私は、ミリィの肩で泣いた。
541 :
523:2007/08/24(金) 21:12:01 ID:???
ルナマリアが自らの左腕を切り裂いた時、マリューは時間が止まったように感じた。
少し前の自分がフラッシュバックする。同じように左腕に切りつけて泣き叫んでいる女性が見える……あれは自分だ。
「あんた。地球軍の士官だか知らないけどさぁ、ルナの前でよくもコーディネイターを敵視した発言が出来たな!」
「そうだよ。コーディネイターってばれてからルナがどれだけ嫌がらせ受けたか知ってるのかよ」
「リストカットもようやく収まってきてたのに」
「そうよ。最近、やっと七分袖が着れるって喜んでたのに!」
彼女の友人達の言葉が耳に入ってくる。
思わずマリューは土下座する。それしか謝罪の方法が思いつかなかった。
でも……同時に感じていた。
そうよ。恨みは消せない。そう。コーディネイター全体が悪い訳じゃない。悪いのはザフト。
お願い! 力を貸して! マリューは懇願した。心の底から。
「……いいよ」
最初に口を開いたのは、当のルナマリアだった。
え? いいの? それより。この子は、なんてまっすぐにこちらを見つめてくるのだろう。
綺麗な子だ。それを傷つけてしまった。
罪悪感が疼く。マリューは誓う。もう二度と彼女を傷つけまいと。
542 :
523:2007/08/24(金) 21:14:08 ID:???
「こちらX-105ストライク。地球軍、応答願います。地球軍、応答願います!」
「ナンバー5のトレーラー……あれでいいんですよね?」
「ええそう。ありがとう」
「それで? この後はどうすればいいんです? 」
「ストライカーパックを装備して。そしたら、ルナマリアさんもう一回通信をやってみて!」
「はい」
私はストライカーパックと言う言葉に聞き覚えがあった気がした。
ウィザードシステム。そんな言葉も浮かんできた。まただ。何だろう。一体。
「マリューさん、ストライカーパックってどんな物ですか?」
「ストライカーパックシステムは、戦況に応じて近・中・遠距離用等複数のバックパック、及びその他装備を換装する事に
よって、1機で各々の専用機と同等かそれ以上の性能を付加する事を目的としているのよ。また、ストライカーは各々の
パックが独立したバッテリーユニットを持ち、同時に装着機の補助電源の役割も兼ねているわ。そう言えば……」
マリューさんの目が少しきつくなった。
「ビームサーベルが無いか、とか言ってたわね。なぜ、地球軍の最新の装備を知っているの?」
「え? あ、ふと、口に出ちゃったんですよね」
本当になんでだろう。あの顔をしたモビルスーツ――ストライクには、ビームサーベルが似合う気がしたのだ。
「不思議ですね。そんなに、ロボット物のアニメとか見ていなかったのに」
「……そう。確かにストライカーパックの中には、エールストライカーと言ってビームサーベルが装備されている物もある
わ。でも、いきなり素人のあなたに切り合いをしてもらうつもりはないわ。今装備するのはランチャーパックって言ってね、
320mm超高インパルス砲『アグニ』に、右肩に120mm対艦バルカン砲と2連装のミサイルランチャーが付いているわ。もし
ザフトのMSが出てきたらうまく使って敵を近づけないようにして頂戴。『アグニ』は威力が強力な分、バッテリーの消費も
激しいから使いどころに気をつけてね」
「はい、わかりました。あ!」
「どうしたの!? ルナマリアさん」
『…ちら…ク……ジェル……ちらアークエンジェル!』
微かだけど、途切れ途切れだけど、呼びかけて来る艦名は確かにマリューさんの言っていた物だ!
「繋がりましたよ! こちらX-105ストライク。アークエンジェル、応答願います!」
――! 爆発音がした!
「あ! 気をつけて! ルナマリアさん、敵機よ! 早く装備をつけて」
慌てて空を見やると、シャフトからメビウスとジンが……違う、ジンじゃない、シグーだ。戦って、いえ、メビウスがシグーに
追われている!
次の瞬間、コロニー内に爆音が響き、大地が割れ、爆炎の中から一隻の戦艦が現れた。
543 :
523:2007/08/24(金) 21:16:10 ID:???
――! シグーに目を付けられた!
慌ててハッチを閉める。
重突撃銃の弾が当たる感触。
私は右肩のコンボウェポンポッド――120mm対艦バルカン砲と350mmガンランチャーから弾を吐き出す!
……だめだ。うまく避けられてしまう。シグーは重突撃銃を撃つのを止めると、シールドからバルカン砲を撃ち出す!
うん、相手の武器もストライクには効いていない! 落ち着け、私!
「よーし、狙いはばっちりよ!」
『アグニ』を構え、バルカン砲で牽制しながらシグーを狙う!
「待って! その方向では!」
「え?」
急にかけられた声に狙いが逸れた。辛うじてシグーの片足を奪ったものの、ヘリオポリスの外壁に穴を開けてしまう。
でも、こんな物、コロニー内でどっちの方向に向かって撃てばいいって言うのよ!
……フォースシルエットなら……まただ。また見知らぬ単語が頭に浮かんで来る。私はもうそれに慣れていた。
544 :
523:2007/08/24(金) 21:17:13 ID:???
「ラミアス大尉!」
「バジルール少尉!」
「御無事で何よりでありました!」
「あなた達こそ、よくアークエンジェルを…おかげで助かったわ」
コロニー内に姿を現した艦――アークエンジェルから降りてきた人達は、どうやら、マリューさんの知り人みたいだ。
私もストライクから降りると、みんなぎょっとした顔になった。
どうしたんだろう? リスカしちゃった傷は包帯で隠れてるはず?
「おいおい何だってんだ? 子供じゃないか!あの嬢ちゃんがあれに乗ってたってのか」
ああ、そう言う事か。
「ラミアス大尉、これは?」
「ああ……」
「へー、こいつは驚いたな」
奥から、さっきのメビウスのパイロットだろう青年がやって来た。
シグーと戦って助かったのだ。きっと腕が良いのだろう。
「地球軍、第7機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉、よろしく」
「第2宙域、第5特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」
「同じく、ナタル・バジルール少尉であります」
「乗艦許可を貰いたいんだがねぇ。この艦の責任者は?」
「……艦長以下、艦の主立った士官は皆、戦死されました。よって今は、ラミアス大尉がその任にあると思いますが」
「ええ……」
「無事だったのは艦にいた下士官と、十数名のみです。私はシャフトの中で運良く難を」
「艦長が……そんな……」
「やれやれ、なんてこった。あーともかく許可をくれよ、ラミアス大尉。俺の乗ってきた船も落とされちまってねー」
「あ、はい、許可致します」
「で、あれは?」
話が私の事になった。でもあれ扱いはないでしょう。私はちょっとむっとした。
「御覧の通り、民間人の少女です。襲撃を受けた時、何故か工場区に居て……私がGに乗せました。ルナマリア・ホークと
言います」
「ふーん」
「……う、彼女のおかげで、先にもジン1機を撃退し、あれだけは守ることができました」
「ジンを撃退した!?」
「「え!」」
「あの子供が!?」
「俺は、あれのパイロットになるヒヨっこ達の護衛で来たんだがねぇ、連中は……」
「ちょうど指令ブースで艦長へ着任の挨拶をしている時に爆破されましたので……共に……」
「……そうか」
つかつかと、フラガ大尉と名乗った青年がこちらにやって来た。
「な、なんですか?」
「君、コーディネイターだろ」
545 :
523:2007/08/24(金) 21:18:18 ID:???
「気持ち悪い……」
「なんだって?」
「コーディネイターだったら、なんだってのよ」
周囲の兵が、銃を構える。ミリィが悲鳴を上げる。
なによなによなによなによ! コーディネイターがそんなに敵だって言うなら血を流してあげるわよ! 自分で!
「止めて、ルナマリアさん!」
「え?」
カッターを出そうとしたら、マリューさんに、いきなり抱きしめられた。
「自分を、もっと大事にして。ね?」
「マリューさん……ぅ……ぅぁああ……!」
私は、マリューさんから伝わってくる暖かさに、マリューさんの胸に顔を埋めて号泣していた。
「マリュー大尉、これは一体……」
「……皆銃を下ろしなさい。そう驚くこともないでしょう? ヘリオポリスは中立国のコロニーですもの。戦渦に巻き込まれる
のが嫌で、ここに移ったコーディネイターが居たとしても不思議じゃないわ。この子はオーブのコーディネイターなのよ。
コーディネイターってばれて、かなり嫌な目にも遭ってきたのよ」
「……いや、悪かったなぁ。とんだ騒ぎにしちまって。俺はただ聞きたかっただけなんだよね」
「フラガ大尉、地球軍の士官なら、これからはもっと言葉に気をつけてください」
「だから、悪かったって。でもここに来るまでの道中、これのパイロットになるはずだった連中の、シミュレーションを結構
見てきたが、奴等、ノロくさ動かすにも四苦八苦してたぜ。やれやれだな」
「フラガ大尉! どちらへ?」
「どちらって、俺は被弾して降りたんだし、外に居るのはクルーゼ隊だぜ?」
「ええ……」
「あいつはしつこいぞ〜。こんなところでのんびりしている暇は、ないと思うがね」
546 :
523:2007/08/24(金) 21:19:32 ID:???
私は、マリューさんと一緒に医務室に来ていた。
「デンギル先生、お世話になります」
「ああ、大変だったな。どれ。銃創は貫通しとるからそれほど心配はいらんな。こっちのお嬢ちゃんは……」
医務室で私の傷を見た医師は、マリューさんを見た。マリューさんは、こくんと頷いた。
「あんたはもう、大丈夫なんじゃな?」
「はい、先生」
「それで、今度はこのお嬢ちゃんか。よくこんな事をやっておるのかい?」
「いえ、最近は全然」
「すみません、私がプレッシャーを与えてしまって」
「そうかそうか。とりあえず止血はしとくが、鉄錠剤出すから飲んでおきなさい」
「やだ、あれまずいのに」
「こんな事をするからだ! 罰だと思って飲んでおきなさい」
「はーい」
『ラミアス大尉! ラミアス大尉! 至急ブリッジへ!』
いきなり、艦内通話機が鳴った。
「どうしたの?」
『モビルスーツが来るぞ! 早く上がって指揮を執れ! 君が艦長だ!』
「私が?」
『先任大尉は俺だが、この艦の事は分からん』
「……分かりました。では、アークエンジェル発進準備、総員戦闘第一戦闘配備。大尉のモビルアーマーは?」
『駄目だ!出られん!』
マリューさんは、こちらに振り向くと言った。
「ルナマリアさん。本当に申し訳ないけど、でも、どうしようもないの。またストライクに乗ってもらえないかしら? このまま
じゃ確実にこの艦も破壊されるわ」
マリューさんは頭を下げた。
……どうしよう。コロニーの警報レベルは9に上がったと言うことだった。もうシェルターには入れない。
宇宙の真空に晒され、凍りついた死の世界が脳裏に浮かぶ。一度も行った事が無いけど、ユニウス7だ、と心の奥が告
げている。
ここがあんな風になっていいの? いい訳ない!
「いいですよ」
「本当!? 助かるわ! ありがとう!」
「でも、次はエールストライカーでお願いします」
「本当にエールストライカーでいいのね? 切り合いになるわよ?」
「相手の武器は効かないんですから、大丈夫です。コロニー壊すわけにはいかないですから。ランチャーストライカーだ
と、アグニ撃てないとそれほど牽制も出来なかったし」
「ルナマリアさん一人に任せるわけじゃないのよ? 心の余裕を持って、艦砲とも連携して。……ちゃんと帰って来て。そ
れしか言えないけど」
「はい!」
私は格納庫に走った。後ろから、マリューさんもブリッジに走り出す音が聞こえる。
このままコロニーをザフトの奴らに好きに壊させる訳には行かない!
コクピットに入って、状況を把握する。
アークエンジェルからミサイルが放たれ始めたようだ。敵のモビルスーツはそれを躱し……ミサイルは皮肉にもコロニー
のシャフトに当たっている! このままじゃコロニーが!
『ストライク! 敵のジンは拠点攻撃用の、重爆撃装備だ。コロニーに遠慮する気は無いらしい。頼むぞ!』
「はい!」
『タンネンバウム地区から更に別部隊侵入! 一機はX-303、イージスだ。ストライクと同じくPS装甲でビームライフルに
ビームサーベルも持っている! 気をつけろ!』
547 :
523:2007/08/24(金) 21:20:34 ID:???
「じゃ、ルナマリア・ホーク、ストライク、出るわよ!」
動きが鈍い、大型ミサイルを持った重爆撃装備のジンは、どうやらアークエンジェルを狙っているようだった。
「させるもんですか!」
エールストライカーのスラスターを使い、一気にジンの上方に出る。ジンが発射している大型ミサイルをビームライフルで
射撃!
やった! あの時は失敗したけど今度は!
ふと、昔こんな切迫した状況でビームライフルを撃っていた事がある気がした。
あの時の挫折感が癒されたと思った。
ミサイルを迎撃した後は上空から加速をつけて下方の死角へ回り込む。ビームライフルからビームサーベルに切り替え、
ジンの胴を一薙ぎ! ジンは爆散した。
『いいぞ! ルナちゃん! その調子だ!』
「はい!」
もう一機のジンは!? いた!
『こいつ…すば…い! …ラン! アスラン! ど…にいる!』
アスラン!?
私が残るジンに向かおうとした時、赤いモビルスーツ――イージスが立ちふさがった。
『ルナ! ルナマリア・ホーク!』
え!? イージスから呼びかけて来た! この声は、記憶より少し大人びていて、でも……
「アスラン!? アスラン・ザラなの!?」
何故。記憶より大人びているような、いえ、記憶よりまだ幼いような懐かしいこの声。でも、心のどこかで、お前を裏切った
裏切り者を早く倒せと囁きだす。
「何故……何故アスランが!?」
『お前こそ……どうしてそんなものに乗っている!?』
「……あなたこそ、なんでこのコロニーを壊そうとするのよー!」
あ。身体が勝手に操縦桿を動かす。止まらない!
「アスラン、逃げてー!」
『え?』
潜在意識が勝手に放った斬撃はイージスの右腕を切り飛ばした。
次の瞬間、背後から大きな衝撃が来た――!
振り向くと、コロニーのシャフトが、完全に崩れて……
『あー! うわぁぁぁぁ!!』
イージスは宇宙に吸い出されて行った。
「アスラーン!」
……もう、返事が返って来る事は無かった。
548 :
523:2007/08/24(金) 21:33:03 ID:???
終りです。
>>537さん指摘ありがとうございます。自分では改善してみたつもりですがいかがでしょうか?
リストカット、やっちゃいました。でも、そのうち明るくなります。なるんだってば。
GJ……?
ちょっとっつか、もろメンヘル……
いや、まぁ面白いんだけどね。
ちょっとやりすぎではないか
まぁそのほかの流れは面白いが
パニクって発狂状態になるとか・・・のほうがソフトなのでは
話し全体は面白いけど耐性が無いからリスカはコワイヨー
心臓がどきどきしたわ
さすが523! 俺たちには想像もつかないリスカルナを書いてのける!
そこに痺れるッ! 憧れるゥ!
・・・たしかにインパクトありすぎだけど、記憶が混濁するくらいだからメンヘル路線もありかな?
こえええええええええええ!
なんつーか、「ヒスる女は最強にして最凶」という感じだな…
でも面白いからおkw
ショックから自我を保つためになんらかの自傷行為に走るのは稀にある話。
自分は毎日顔出してくれた友人のおかげか切らないで済んだが、
当時は発狂できたらどれだけ楽だったか。
これはGJするしかない(w
554 :
537:2007/08/25(土) 12:58:55 ID:???
リストカットはよい意味でこちらの予想の斜め上を行く展開でしたね。
ただ後半の展開によってはルナの精神がズタズタになりそうな気も……
しかしオーブ内でのコーディの迫害というアイディアには唸らされました。
考えてみればナチュラルとコーディにはいろいろな面で分厚い壁があるので、多数派のナチュラルにじわじわと苛められた結果、ここでのルナのようにリスカとかに走る人間がいたりしても当然ですね。
あとこれは文を書くときの技法になりますが、所々で短い文の中に多くの情報を詰め込もうとする癖があるように自分は感じましたね。
文全体からすればほんの数えるほどの点ですが。話の流れから一見外れるようなすこし無駄に見えるような描写を適度に盛り込むのも案外面白かったりします。
そしてなによりそれとなく文全体を水増しできます(笑)。
指摘すべき点はその程度で文法的にも荒さはありませんし、ストーリー上の着眼点も秀逸なので次回以降も勝手に期待させて頂きます。
では最後に一言。継続は力なり、これからも頑張って投下を続けてください!
なんで上から目線で批評続けてんの?
辛口評論家。けして悪いことではないと思う
SSをみてこういう風にしたらいかがでしょうかと述べられている
523さんGJ
コレ辛口じゃなくて単に見下してるだけだろ。
558 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/28(火) 07:13:12 ID:KyQwk6Ep
これで辛口?
はいはい新学期始まるぜ
宿題やったか?
いや、まだだ。
出来れば手伝って欲しいのだが。
561 :
556:2007/08/28(火) 19:56:01 ID:???
辛口ではなく甘口にして下さい
557はアホ
おいおい、自分の間違い棚に上げていきなり他人をアホ呼ばわりかw
こんなトコで馬鹿さらしてる暇があったら宿題やれよwww
今度はこのスレが爆撃を受けるじゃないかな
ちょと戦術を考えたほうがいいじゃないかな
ひたすらIDを出し続ける
08スレでは絶大な効果があった
IDを出すのを最後まで渋っている奴が自作自演を繰り返していた
正直荒らされるほど人がいない。
568 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/30(木) 22:24:09 ID:N6OzZvXu
ハルバートン派の将官部下の名前をどうつけたらいいか迷ってます。
何かいい案ありますか?
ハル繋がりでローエングラム候の部下名にすると一挙に解決するけどイメージもあるから書きにくい。
副官だのなんだので名無しで通すとか。
大した役割のないヤツならいちいち名前いらないでしょ。
よっぽど後まで生きるなら名有りがいいかもしれんけど
一話分なら名無しでよかろ。
そういえばディアナの人はシャムス使ったりしてたな。
574 :
523:2007/09/03(月) 22:19:08 ID:???
・
・
・
『X-105ストライク! X-105ストライク! ルナマリア! 聞こえていたら……無事なら応答しろ!』
あ。気がつくと、私はコロニーの残骸の中を漂っていた。
「……こちらX-105ストライク、……ルナマリアです」
『はぁ……無事か?』
ナタルさんの安心したような溜息と共にこちらを気遣う言葉が返ってきた。
「はい」
『こちらの位置は分かるか?』
「……はい」
『ならば帰投しろ。……戻れるな?』
また、ちょっと気遣わしげなナタルさんの言葉。
なんか、不謹慎だけど嬉しい。
「……はい」
返事をして、アークエンジェルへ向かう。
……父さん、母さん、無事だよね?……家にあった物、みんなどうなっちゃうんだろう。戦争によって放棄された物は確かジャンク屋組合の物になるんだよね。私の大切にしていた物も、もしかしたら勝手に持ってかれちゃうのかな。なんか、ジャンク屋組合って許せない。
あ! ……あれ、ヘリオポリスの救命ポッド! どうしたんだろう? 漂ってる? 助けなきゃ!
575 :
523:2007/09/03(月) 22:20:10 ID:???
私が持ち帰った救命艇は、ちょっとした騒ぎを引き起こした。
ナタルさんが収容に反対したのだ。
「……認められない!?認められないってどういうことですか!? 推進部が壊れて漂流してたんですよ? それをまた、このまま放り出せとでも言うんですか!? 避難した人達が乗ってるんですよ!?」
「すぐに救援艦が来る!アークエンジェルは今戦闘中だぞ! 避難民の受け入れなど出来る訳が……え? あ、はぁ。ではそのように。ルナマリア、許可が出たぞ。収容急げ!」
「ほんとですか!? ありがとうございます!」
私は早速救命艇を艦内に収容し、ハッチを開けた。
「あら?」
見覚えのある顔が出てきた。
「あ、あー、貴方! サイの友達の!」
「あなたは……確かフレイ・アルスター?」
「ねえ、どうしたのヘリオポリス! どうしちゃったの? 一体何があったの?」
フレイは、心配で混乱した様子だった。冷や汗だかでほつれた髪が首筋に張り付いている。
「ヘリオポリスは、ヘリオポリスはね……」
私は言葉に詰まってしまった。悔しくて涙が出てくる。
「あたし、あたし……フローレンスのお店でジェシカとミーシャにはぐれて、一人でシェルターに逃げて、そしたら……」
「……」
「これザフトの船なんでしょ? あたし達どうなるの? なんであなたこんなところに居るの?」
そうか、それでそんなに心配して……
「安心して。これは地球連合の艦よ」
「うそっ!? だってモビルスーツが!」
「地球軍の試作品よ。この艦にはサイも、ミリアリアもいるのよ。心配しないで? ね?」
フレイはこくんと頷いた。
皆は休憩室にいるとの事だった。一緒にフレイを連れて行く。
サイの顔を見たらフレイは飛び付いて行った。
よっぽど不安だったんだろうなぁ。救命艇、助けてよかった。
ぼりっ。私はデンギル先生からもらったデパスを噛み砕き、その甘さを楽しんだ。
576 :
523:2007/09/03(月) 22:23:04 ID:???
「どこに行くのかな、この船」
「一度、進路変えたよね。まだザフト、居るのかな?」
「この艦と、あのモビルスーツ追ってんだろ? じゃあ、まだ追われてんのかも」
「えー! じゃあなに? これに乗ってる方が危ないってことじゃないの! やだーちょっと!」
え。そうなのかな。私、余計な事しちゃった?
自然と頭が俯く。
ぼりっ。デパス、もう一錠追加。
「ルナ」
「え?」
サイが声をかけて来た。
「その辺で止めとけ。飲みすぎるな」
「ありがとう」
うん、あまり薬に頼りすぎるのも良くないし。もう止めておこう。幸い、ざわめき出した漠然とした不安感は収まった。
ミリィがフレイに言う。
「壊れた救命ポッドの方がマシだった?」
「そ、そうじゃないけど……」
「親父達も無事だよな?」
「避難命令、全土に出てたし、大丈夫だよ」
あ、フラガ大尉だ。
「ルナマリア・ホーク!」
「は、はい」
「マードック軍曹が、怒ってるぞー。人手が足りないんだ。自分の機体ぐらい自分で整備しろと」
「私の機体……? え、ちょっと私の機体って……」
「今はそういうことになってるってことだよ。実際、あれにはお嬢ちゃんしか乗れないんだから、しょうがないだろ」
「それは……しょうがないと思って2度目も乗りましたよ。でも、私は軍人……」
――!
私はザフト。私はザフト。ワタシハザフトノアカフク。
まただ。また声がする。
「いずれまた戦闘が始まった時、今度は乗らずに、自分は軍人じゃないって言いながら死んでくか?」
「……うぅ……」
「今、この艦を守れるのは、俺とお前だけなんだぜ? 君は、出来るだけの力を持っているだろ? なら、出来ることをやれよ。そう時間はないぞ。悩んでる時間もな。……おい、どうした? 大丈夫か?」
私は頭に響く声を抑えようと頭を抱えていた。
「……大丈夫……。降伏、する訳にはいかないんですか?」
そうよ! 向こうには、アスランがいる! アスランならきっといいようにしてくれるはず……
「エイプリル・フール・クライシスの被害を見ろよ。プラントの奴らは何かあるとすぐ血のバレンタインとか言うけどな、
被害はエイプリル・フール・クライシスの方が数もパーセントも段違いだぜ。それに、いきなり中立国もなんもお構いなしに
地球全土にニュートロンジャマーをぶち込むなんざ、所詮プラントの奴らは、空の高みから、ナチュラル如きと
俺達を見下してやがるとしか思えんよ。そんな奴らに自分の身を進んで預けようとは思わないね」
「そう、ですか」
「お前さんが複雑なのもわかる。しかし、ザフトの連中は容赦しちゃくれんぞ」
「……」
「あの! この船はどこに向かってんですか?」
「ユーラシアの軍事要塞だ。ま、すんなり入れればいいがな。ってとこさ」
「じゃ、私行くから」
「おい! ルナ!」
「何? サイ?」
「整備に行く前に、もう一度医務室に行っとけよ!」
「うん、ありがとう」
577 :
523:2007/09/03(月) 22:24:19 ID:???
「え!? なに? 今のどういうこと? あのルナマリアって人、あの……」
どう言えばいいのかな。サイは迷った。
……この場で隠してもすぐばれる。なら正直に言った方がいいか。
「君の乗った救命ポッド、モビルスーツに運ばれてきたって言ってたろ。あれを操縦してたの、ルナなんだ」
「えー! あの人……?」
「ああ」
「でもあの……あの人……なんでモビルスーツなんて……」
「ルナはコーディネイターだからねー」
「え!!」
「カズイ!」
カズイは余計な事を言う……もっと言い様もあるだろうに。サイは腹立たしかった。
「……うん……ルナはコーディネイターだ。でもザフトじゃない」
「……」
「……うん、あたし達の仲間。大事な友達よ」
ミリアリアもそう言ってくれる。だがフレイは
「……そう……」
としか言わなかった。
サイはフレイのコーディネイター嫌いを知っていた。納得してくれたのか、少し不安を感じた。
「……と言う訳で、声が聞こえるんですよ。お前はザフトだ、ザフトの赤服だとか。私、統合失調症でしょうか?」
「うーむ」
避難民の中に医者がいたらしい。その人もやって来た。
やだな。避難民を不安にさせちゃう。
「お前さん、ザフトがよっぽど怖かったんじゃないのかな?」
「はい、それは、怖かったです」
「よほど怖い眼に遭うと、人はその対象に自己を同一化して恐怖を無くそうとする。それかも知れんの。ほれ、ゾンビに追われる位ならゾンビになった方がまし、と言う奴じゃ」
「どうすれば、いいんでしょうか?」
「ザフトの事が怖くなくなればいいんじゃが……自分を磨いて強くなる、自信を持つ、と言うのもひとつの方法じゃな」
「強い薬は、あまり使いたくないですね。デンギル先生?」
「そうじゃの。マイナートランルナイザーで様子を見よう。どうしても生活に不便が生じたら言ってくるんじゃぞ。何かあったら、いつでも来なさい。カウンセリングでもしてあげるからの」
「あ、はい。やっぱり、強いストレスかかるとなるみたいで」
「じゃ、頓服にレキソタン出しておくけど、常用するんじゃないぞ」
「はい」
私は医務室を後にした。やっぱり、ストレスかかってるよね。ここ一日でこんなに環境が急変したんだ。無理も無いと思う。
「自分を磨いて強くなれ、かぁ。モビルスーツが動かせても、戦争が出来る訳じゃないのにね」
でも……そう。でも。あっという間に、こんな生活になじんでる。ううん、昔からしてたような気になるのはなんでだろう。
578 :
523:2007/09/03(月) 22:26:06 ID:???
「遅いぞ! お嬢ちゃん!」
「あ、マードックさん。すみません、医務室に寄ってたもので」
「む、そうか。大事にしてくれよ。まぁ外側の整備はやっといたが、内部の整備はなぁ。やっぱりお嬢ちゃん自身で動かしやすいようにしておいてもらわんと」
「そうですね。今やります」
私はコクピットに上がってキーボードを取り出した。
「ほんとによくこんなOSで実戦に出た物よね。ここで小手先だけでいじってスパゲッティになるより、基礎は一から組んだ方が早いかもね」
私には、なぜか、モビルスーツの基礎OSの完成図が判る気がしたのだ。ナチュラル用のOSまで、そう、まるで何度も授業で叩き込まれたかのように……
『敵影補足、敵影補足、第一戦闘配備、軍籍にあるものは、直ちに全員持ち場に就け! 軍籍にあるものは直ちに……』
アラート音が鳴ったのは、一時間も過ぎた頃だろうか?
「やばっ じゃあここまでとりあえず保存して、組み込みっと」
『ルナマリア・ホークはブリッジへ。ルナマリア・ホークはブリッジへ』
「もういますっての」
「おーい嬢ちゃん!」
「あ、マードックさん」
「根つめるタイプなんだな、嬢ちゃん。パイロットスーツに着替えておいたほうがいいぞ。なんたって、今度は外は真空だ」
「はーい」
『敵影補足、敵影補足、第一戦闘配備、軍籍にあるものは、直ちに全員持ち場に就け! 軍籍にあるものは直ちに……』
『ルナマリア・ホークはブリッジへ。ルナマリア・ホークはブリッジへ』
戦闘……その事が頭に浮かんだ時、ミリアリアが感じたのは恐怖だった。そして、ルナマリアの事が頭に浮かんだ。モビルスーツに乗って、私達を守ってくれた親友。
「……ルナ……どうするのかな」
「あいつが戦ってくれないと、かなり困ったことになるんだろうなぁ」
ミリアリアは罪悪感を覚えた。きっとルナマリアは戦うだろう。自分達を守るために。そんな子だ。
ミリアリアは決意した。
「ねぇトール……私達だけこんなところで、いつもルナに頼って守ってもらって……」
「出来るだけの力を持っているなら、出来ることをやれ……かぁ……」
ミリアリアが見回すと、みんな頷いてくれた。
「行きましょう、私達も!」
579 :
523:2007/09/03(月) 22:26:46 ID:???
「ルナー」
「あ! トール、みんな」
パイロットスーツに着替えに行く途中、みんなに逢った。どうしたの? 地球軍の制服なんて着ちゃって?
「……何? どうしたの?その格好?」
「僕達も艦の仕事を手伝おうかと思って。人手不足なんだろ?」
「ブリッジに入るなら軍服着ろってさ」
「軍服はザフトの方が格好いいよなぁ。階級章もねぇからなんか間抜け」
「生意気言うな!」
「お前にばっか戦わせて、守ってもらってばっかじゃな」
「こういう状況なんだもの、私たちだって、出来ることをして……」
「おーら行け!ひよっこども!」
「じゃあな、ルナ」
「後でね」
そう言ってみんなは向こうへ行ってしまった。
「あー、お前もまた出撃するんなら、今度はパイロットスーツを着ろよ!」
「あ、はい、今着替えに行く所です。みんなに頑張れって伝えてください。チャンドラさん」
「ああ! しっかり伝えるよ! お前さんも頑張れ!」
「はい!」
みんなの気持ちが、嬉しかった。あたしは更衣室に向かってダッシュした!
「ほぉー」
「ぁぁっ」
着替えた所に、フラガさんに出くわした。
「やっとやる気になったってことか。その格好は」
「フラガさんが言ったんでしょ? 今この船を守れるのは、私とあなただけだって。戦いたい訳じゃないけど、私はこの艦は守りたい。みんなが乗っているんだから」
「俺達だってそうさ。意味もなく戦いたがる奴なんざ、そうは居ない。戦わなきゃ、守れねぇから、戦うんだ」
「ええ」
「よし! じゃあ、作戦を説明するぞー」
フラガさんが説明した作戦とは、私が艦を守って時間稼ぎしている内にフラガさんがこっそり敵の艦に近づき、一撃を加えると言う物だった。
「とにかく、艦と自分を守ることだけを、考えるんだぞ」
「は、はい! フラガさんもお気を付けて」
――あ、やだ!
ふと、先の戦いの事を思い出してしまった。
……アスラン…またあなたも来るの?……この艦を沈めに……
もしアスランが来たら、私はどうすればいいんだろう?
580 :
523:2007/09/03(月) 22:28:09 ID:???
「ストライク、発進位置へ! カタパルト接続。システム、オールグリーン!」
フラガさんが隠密先行して、前の敵を討つ。その間私は、後方の敵から艦を守る。うまくいくのかな……
「ルナ!」
「――! ミリィ!」
「以後、私がモビルスーツ及びモビルアーマーの戦闘管制となります。よろしくね!」
「よろしくお願いします、だよ」
「ふふ」
「装備はエールストライカーを。アークエンジェルが吹かしたら、あっという間に敵が来るぞ! いいな!」
「……はい!」
待つ時間は短いようで長く、長いようで短い。私の心臓はどきどきしている。
「前方、ナスカ級よりモビルスーツ発進。機影1です!」
「艦長!」
「お願い!」
「ルナマリア! ストライク発進だ!」
「ルナ!」
「……了解! はぁはぁはぁ……ルナマリア・ホーク、ストライク! 行きます!」
宇宙へ出て、敵のモビルスーツを視認する。
「あのモビルスーツは……アスラン?」
先の戦いと同じ、赤いモビルスーツがそこにいた。
やだっ。アスランとは戦いたくない!
「ルナ! 出撃してきたモビルスーツは奪われたGと判明! PS装甲にビーム兵器付きよ! 気をつけて!」
「了解!」
「ルナ!」
イージスから通信が入る。
「アスラン!」
「やめろ! 剣を引け! ルナ! 僕達は敵じゃない、そうだろ? 何故僕達が戦わなくちゃならない!」
「……アスラン!」
「同じコーディネイターのお前が、何故僕達と戦わなくちゃならないんだ!?」
「あ、アークエンジェルが!」
新たに後ろから接近して来たモビルスーツに攻撃されている!
「止めろ! ルナ!」
「アスラン!」
「お前が何故地球軍に居る? 何故ナチュラルの味方をするんだ!?」
「私は地球軍じゃない!」
「……!?」
「……けどあの船には仲間が、友達が乗ってるのよ! アスランこそ! なんでザフトになんか!? なんで戦争したりするのよ!?」
「……!」
「戦争なんか嫌だって、あなただって言ってたじゃない! そのあなたがどうしてヘリオポリスを壊したりしたのよ!」
「状況も分からぬナチュラル共が……こんなものを造るから……」
「勝手な言い分を! 身を守る武器を持って何が悪いのよ? 忘れてた? 私の親はナチュラルよ! そんな見下した言い方…… あっ!」
……甘い言葉を吐いておきながら……
急に口惜しさが込み上げて来る!
やだ!? また!?
581 :
523:2007/09/03(月) 22:28:23 ID:???
「アスラン! 逃げて!」
「え?」
身体が勝手に放った斬撃は、今度はとっさに後ろにスラスターを吹かせたイージスの右脚を切り飛ばした。
「やだ! もうアスランと戦いたくない!」
「なにをもたもたやっている! アスラン!」
デュエル? ビームライフルを撃ちながらこちらへ向かって来る!
……邪魔よ……
頭の中の声は冷静に囁く。
私はとっさにスラスターを吹かし、デュエルに急突進した。
「にゃにおう!」
ビームサーベルは見事にデュエルのビームライフルを右手ごと切り落とした。
「もう、いやー!」
イージスへの攻撃を再開しようとする身体を押さえつけ、私はアスランから離れようとアークエンジェルを攻撃しているモビルスーツの方へとスラスターを吹かせた。
……攻撃力の割りに動きが鈍いのは、あれ……
私の叫びにお構いなく、頭の中の声は冷静に囁き続ける。
もう、私は心の奥底の声に任せた。
バスター……私に気づくと、右手にリニアレールガン、左手に大型ビームライフルと高出力の砲を撃ってくる!
でも、そんなの今は当たる気がしない!
大型ビームライフルを躱しながら私はビームサーベルで、上からバスターに切り付けた! 盾を持たないバスターはそれを防げず、ビームサーベルはバスターの右腕を切り落とした!
……? 撤退? していく?
あ、アークエンジェルから。特装砲ローエングリンの警告。フラガさんが成功ったの?
私はアークエンジェルに着艦した。
「おーい! こら嬢ちゃん!」
「あ?どうした?」
「いや〜、なかなか嬢ちゃんが出てこねぇえんで……」
「おやおや。おーい、何やってんだ!こら!ルナマリア!……!」
「ハァハァハァ……あっ」
「もう終わったんだ。ほら、もう、とっとと出てこいよ。お前も俺も死ななかった、船も無事だ。上出来だったぜ」
……あっ……
アスラン……もう、だめなのかな。私、あんな事を言うあなたは好きになれない。何時の間にか、こんなに互いの心が違ってしまった。
「……ぅうあああぁ……!」
私は、フラガさんにしがみつくと、泣いてしまった。
「あー、こりゃどうしたもんかね?」
「緊張の糸が切れたんでしょう。すごい活躍でしたから。慰めておやんなせぇ。役得役得」
「役得ってね……ほら、もう大丈夫だから」
私は……どうすればいいんだろう。
582 :
523:2007/09/03(月) 22:29:37 ID:???
もうルナはリスカはしないのでご安心をw
だんだーん治っていきます。
乙!
ルナ種割れしてるのか、って強さだな。
……それはそれとして、なんか薬とかカウンセリングとか妙に具体的だw
内なる声に悩むルナマリアに漏れがアドバイスをしよう
「汝の為したいように為すが良い。つーか凸とこの先出会うであろうピンクぬっ殺せ」
>>584 暗黒神自重w
ってかオマイのやりたいことだろwww
586 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 22:28:22 ID:0TZYwS8t
GJ
しかし、ルナ強ぇえなw
汝、アホゲを捨てて武器をとれ!!
なんでファラリス信者がいるんだこのスレwwwww
「汝の為したいように為すが良い」
声が聞こえる。なんとなく、敵のパイロットを傷つけられるような気がしてきた。
――! 敵のモビルスーツの動きがいきなり鈍った!
そこを見逃すルナマリアではなかった。
ビームサーベルが相手を切り裂く。
『声』の導くまま、ルナマリアはビームサーベルを振るった。
なにしろ敵のパイロットを傷つけたい、と思うと面白いように敵の動きが止まるのだ。
気がついた時、イージスも切り裂いていた。
「あ、アスラン? アスラン? アスラーン!」
声は、返って来なかった。
こんな感じですか?わかりません><
ちょっと質問です。地球軍のMSのパイロットってみんな士官って思っていいですか? オーブもそうですか?
宇宙艦であるアークエンジェルはグングニールに耐えられそうでしょうか?
590 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/06(木) 19:16:40 ID:fUhhlViD
連合、オーブがMSを戦闘機と捉えるなら士官だろうな
ただ初期のアストレイは陸軍と考えればそうとも限らないかもしれない
連合も大西洋だけがそうなのかもしれんし、そこは書き手の裁量に一任じゃないだろうか
AAは部署によって耐えられない部分が出るかもしれんし、あるいは動けなくなるかもしれん
その辺の専門的なことは艦船スレか設定スレあたりを参考にした方がいいとおも
ありがとうございます^^
592 :
523:2007/09/06(木) 19:46:31 ID:???
「カガリ様! ご無事でなによりです!」
「ああ、心配をかけた」
カガリを乗せた救命ポッドは無事に収容されていた。
「クサナギか……」
「は、何か?」
「いや、頼もしいなと思ってね」
カガリはヘリオポリスで会った少女の事を考えた。
ルナマリア・ホークとか言ったな……無事だろうか?
あんな別れ方をしたせいだろうか、不思議と気に掛かる。
「……隊が未帰還……」
なぜ? その報告にカガリは耳をそばだてた。モビルアーマー隊の一隊が未帰還らしい。
オーブは戦争をしている訳でもないのに、なぜ!?
お父様は中立宣言していたのに……ザフトは遠慮しなかったらしいな。
力がなければ、中立宣言など一顧だにされない。それがカガリには骨身に染みてわかった。
力が、欲しい。国を守るだけの力が。
国へ帰ったら、広い世界を見てみよう。視野を広げなければ。
カガリの小さな決意だった。
593 :
523:2007/09/06(木) 19:47:55 ID:???
「はい。また声が聞こえました。でも、私を助けてくれた、導いてくれた気もします」
「ふーむ。潜在意識が、顕在化したものかも知れんの。まぁ悪い事は無かったと言うことじゃな」
「でも、私の意志とは勝手に攻撃したり……」
「それも、自己保存の本能が働いた物かも知れんよ。また、なにかあったら来なさい」
「はい」
デンギル先生に言わなかった事もある。夢の事だ。ヘリオポリスが崩壊する前、居眠りで見てた夢……私とアスランがモビルスーツで戦っていた夢。現実になっちゃった……予知夢って奴かな。
でも、やっと、味方の基地に着くんだよね。
医務室を出て、ほっと一安心してたところにフラガさんが現れた。
「ちょっと言い忘れてた」
「はい?」
「ストライクの起動プログラムをロックしておくんだ。お嬢ちゃん以外、誰も動かすことの出来ないようにな」
「……え?」
なんで? でも、やっておこう。フラガさんが言う事だ。何かあるのかもしれない。
「いいですけど……ちょっと聞いてもらえますか。変な話だけど」
「いいぜ、お嬢ちゃん」
夢の話をフラガさんに聞いてもらおう、と思った。誰かに話さなきゃ、我慢できそうになかった。
594 :
523:2007/09/06(木) 19:48:59 ID:???
休憩室で、みんなと休んでいると。
なに? 突然銃を持った兵士が……
「よーし! そのままだ!」
「あぁ!」
「動くなっ」
なんなのよ? なんなのよ、これ!?
「ユーラシアって味方のはずでしょ? 大西洋連邦とは、仲悪いんですか?」
「そういう問題じゃねぇよ」
「ハァ、識別コードがないのが悪い」
「それって、そんなに問題なんですか?」
「どうやらねぇ……」
「本当の問題は、別のところにありそうだがな」
「……ですね」
はぁ……当分、おとなしくしているしかなさそうだった。
せっかくの食事も、銃を持った兵に監視されながらじゃ、おいしくなーい。
「この艦に積んであるモビルスーツのパイロットと技術者は、どこだね?」
「……あぁ……」
突然、えらそーなおっさんが入って来た。
「パイロットと技術者だ! この中に居るだろ!」
……! 私が立ち上がろうとすると、マードックさんが私の肩を押さえた?
「何故我々に聞くんです?」
「なにぃ?」
「艦長達が言わなかったからですか?それとも聞けなかったからですか?」
……あ! フラガさんが、ストライクの起動プログラムをロックしておくようにと言った訳がわかった気がした!
「なるほど。そうか!君達は大西洋連邦でも、極秘の軍事計画に選ばれた、優秀な兵士諸君だったな」
「……ストライクをどうしようってんです?」
「別にどうもしやしないさ。ただ、せっかく公式発表より先に見せていただける機会に恵まれたんでね。パイロットは?]
「フラガ大尉ですよ。お聞きになりたいことがあるなら、大尉にどうぞ」
「先ほどの戦闘はこちらでもモニターしていた。ガンバレル付きのゼロ式を扱えるのは、あの男だけだということぐらい、私でも知っているよ」
何? こいつ、いきなりミリィの腕をつまみあげた!
「……うあぁーいっ……」
「ミリアリア!」
「……くっ!」
「……うっ……」
「女性がパイロットということもないと思うが……この艦は艦長も女性ということだしな」
「いったーい!」
「止めて下さい! 卑怯な!」
もう、我慢できなかった。
595 :
523:2007/09/06(木) 19:50:11 ID:???
「お嬢ちゃん……!」
「あれに乗っているのは私です!」
「お嬢ちゃん、友人をかばおうという心意気は買うがね……あれは貴様の様なひよっこが扱えるようなもんじゃないだろ? ふざけたことをするな!」
――! なに、こいつ。いきなり殴ろうとしてきて!
私はえらそーなおっさんを投げ飛ばした。
「……うわっ、うおぉ、うほぁ!」
「私はあなたに殴られる筋合いはないです!」
「司令!」
「なんなんですかっ! あなた達はっ!」
「ルナ! 止めろ!抵抗するな……」
「貴様ぁ!」
「止めて下さい! うっ!」
「うわぁぁ! ……サイ! ……ちょっと止めてよ! その人が言ってることは本当よ! その人がパイロットよ!」
「貴様ら! いい加減にしないか!」
「嘘じゃないわよ! だってその人、コーディネイターだもの!」
「……ええ!……」
「あちゃー……」
「……コーディネイター……なんだそうかぁ、そうだったのか! ははは!」
私は、ストライクの前まで連れて来られた。でも、しょうがないよね。ミリィをあのままにしておけなかったし。
「OSのロックを外せばいいんですか?」
「まずはな。だが君にはもっといろいろなことができるのだろ?」
「何がです?」
「例えば……こいつの構造を解析し、同じものを造るとか、逆にこういったモビルスーツに対して有効な兵器を造るとかね」
「コーディネーターを何だと思ってるんですか! 魔法使いじゃありませんよ!? それに私はただの民間人で学生です! 軍人でもなければ、軍属でもない! そんなことをしなければならない理由はありません!」
「だが君は、裏切り者のコーディネイターだ」
「……あぁ? 裏切り者……?」
「どんな理由でかは知らないが、どうせ同胞を裏切ったんだろ? ならば色々と……」
「違うわよ!……プラントなんて同胞じゃない! 私はオーブの……」
私はザフト。ザフトの赤服。
まただ。頭が……痛い。
「地球軍側に付くコーディネイターというのは貴重だよ。なに、心配することはない。君は優遇されるさ。ユーラシアでもな」
――!
「……あっ?」
格納庫が、揺れた。
あ、また!
「管制室!この振動はなんだ!?」
「不明です! 周辺に機影なし!」
「……だがこれは、爆発だぞ!」
「爆発ですって!?」
「ああ、安心しな、お嬢さん。傘さえ展開すれば……」
「ぼ、防御エリア内に、モビルスーツ! リフレクターが落とされていきます!」
「なんだとっ!! 傘が破られた!?そんなバカなっ!?」
「司令ー……」
アルテミスの傘が破られた。とにかくモビルスーツが基地を攻撃しているのは間違いない!
596 :
523:2007/09/06(木) 19:51:22 ID:???
「……でいっ!」
「うわぁー!」
私は足でガルシア指令達をコクピットから押し出し、ハッチを閉めた。
「だーっ! 貴様!」
「攻撃されてるんでしょ? こんなことしてる場合ですか!? 出ます!」
「……くっそーっ!」
……こんな所じゃランチャーもエールも向かない。ソードストライカーが装着されると、私は歩いて出撃した。
――まただ。私の知らない戦いの場面が脳裏に浮かぶ。誰かが、ストライクのようなモビルスーツで、対艦刀で艦を次から次へと叩き切っている。私はその人と仲が良かった気がする。誰だろう……?
――! ブリッツだ! あいつら、しつこい!
私は頭を一振りすると気を引き締めた。
ブリッツがロケットアンカーを射出して来た! 私は対艦刀でそれを受け止め、絡ませレーザー部でコードを焼き切る!
「……もう私達を放っておいてよー!」
そのままスラスターを吹かしてダッシュ、対艦刀を振り下ろすも、動きのすばやいブリッツはそれを躱す。
「ルナ! ルナ、戻って! アークエンジェル発進します!」
ミリィだ! よかった! アークエンジェル、私達の手に戻ったんだ!
そうならもう、すばやいブリッツを無理に追う事も無い!
ブリッツは右手からレーザーと金属製の針を飛ばして来る……?
レーザーをロケットアンカーの基部で受ける。金属製の針……なんで無意味な物を……と思った瞬間、それが爆発した!
衝撃。その隙にブリッツが、ビームサーベルを展開して向かって来る!
「鬱陶しいのよ!」
対艦刀を振りかぶり、振り下ろす! ブリッツは慌ててスラスターで逆進をかける。
「……えぇぃ!」
私は対艦刀でそこら中を切りつける! 壊れてしまえ! こんな基地!
建材と煙が空間を漂い、ブリッツとの間を塞いでいく。
『……くっ! 逃げるのかぁ!!』
ブリッツのパイロットが喚いている。
「追って来たければ来なさいよ。出来ればね!」
私がアークエンジェルに着艦したと同時に、艦は最大加速でアルテミスを脱出した!
597 :
523:2007/09/06(木) 19:54:15 ID:???
前世の記憶をルナは予知夢だと処理しようとします。
これが吉と出るか凶と出るか……
>>596 投下乙です
>力がなければ、中立宣言など一顧だにされない。
それ以前の問題のような気がしないでもない…
あとデンギル先生のカウンセリング次第で話の流れが決まりそうだ
デンギル先生「そうその声はキミの潜在意識が顕在化したものであり、警告でもある
恐れることは無い、その声のままに、
汝 の 為 し た い よ う に 為 す が 良 い … 」
ルナがキラの立ち位置にきて
レイとの確執やシンとの因縁を知ったりしたら
マジで発狂するんじゃないかと正直冷や冷やしている
>>598-599 暗黒神の神官に唆されつつも、名もなき狂気の神の教えに目覚めるわけですね!
>>599 シンとの因縁は、オーブ戦の前に思い出せば逆に運命を変えられるかもしれない。
602 :
523:2007/09/10(月) 19:24:56 ID:???
……結局、アルテミスに寄った事は全て無駄だった。いえ、滞在して、戦闘して、物資を消耗しただけ、損をしたような物だ。
弾薬は戦闘にならなければ消費しなくて済む。食糧もまだ余裕はある。足りないのは水だった。
水は飲むだけじゃない。身体を洗ったり、洗濯をしたり、トイレも……衛生を保つのに大量の水を使う。機械の整備もそうだ。水が使えないと、メンテナンスにひどく手間取る。
なんとか整備が終わって食堂に歩いていくと、みんなの声が聞こえてきた。
「うっ……うっ……水を! もっと水をー!」
この声はトールだ。それをうんざりしたようにミリィが突っ込む。
「止めなよ、状況に合ってないギャグ」
「ギャグじゃねぇよ! ったく〜」
「……?なに?どうしたの?」
「……だって、水の使用制限だって、昨日シャワー浴びれなかったんだも〜ん」
「「……」」
「……はぁ……」
「みんなー」
「お! ルナ。ストライクの整備、完了か?」
「うん。でも、パーツ洗浄機もあまり使えないから、まいっちゃう。手間ばっかりかかって」
「……ほらフレイ!」
「……あ、あの…ルナマリアさん……」
「え?」
「この間はごめんなさい! ……私、考え無しにあんなこと言っちゃって……」
「……あんなこと?」
「……アルテミスで、ルナマリアさんがコーディネイターだって……」
「……! ……あぁ、まぁしょうがなかったわ。ミリィをあのままにしておけなかったし……」
「……ありがとう……」
本当に、この子は考え無しに言っちゃったんだろうな。気にしてない訳じゃないけど。しょうがないか。私の方が年上だし、大人にならなきゃ……
603 :
523:2007/09/10(月) 19:25:39 ID:???
この水不足、どうするんだろうと思っていたら、マリューさんからみんなに呼び出しが掛かった。
「補給を?」
「受けられるんですか? どこで!」
「受けられると言うか、まぁ……勝手に補給すると言うか……」
「私達は今、デブリベルトに向かっています」
「……デブリベルト? って……」
「ちょっと待って下さいよ! まさか……」
なんの事やらわからないと言ったようなトールとは対照的にサイが気色ばむ。
「君は勘がいいねぇ〜」
フラガさんがサイを誉める。って事は? デブリベルトには、様々な残骸が集まっている。そこから?
「デブリベルトには、宇宙空間を漂う様々な物が集まっています。そこには無論、戦闘で破壊された戦艦等もある訳で……」
「まさか……そっから補給しようって……」
「仕方ないだろ? そうでもしなきゃ、こっちが保たないんだから……」
「あなた達にはその際、船外作業艇での船外活動を手伝ってもらいたいの」
「「ぇぇー……」」
「あまり嬉しくないのは同じだ。だが他に方法は無いのだ。我々が生き延びる為にはな……」
「喪われたもの達をあさり回ろうと言うんじゃないわ。ただ……ほんの少し、今私達に必要な物を分けてもらおうというだけ。生きる為に」
ヘリオポリス……今頃無神経なジャンク屋に漁られている事だろう。それに比べれば……
「……そうよね。ジャンク屋組合なんて物まであるんだもん。この世界。それに比べりゃ可愛いもんじゃない。ね?」
「そっか。そうだな。ルナの言う通りだな」
「……ヘリオポリスも、あさられたのかな」
ミリィがぽつりとつぶやいた。私も、思っていた事だった。
「「……」」
「いっぱい、無くした物あるよね」
「……うん」
「でも、生きてるからいいじゃない。頑張ろうよ、生きるために!」
「ルナに言われちゃあなぁ」
「頑張るしかないか」
「やぁねぇ、私は元々前向きよ?」
「そうだったな。ははは」
「ふふふ」
そう言えば、ここしばらく抗不安剤を飲んでいなかった事に気がついた。
なくても過ごせちゃうんだ……って言うか、コーディネイターってばれて一部の人からひどいイジメに遭うまでは、普通に過ごしてたし。
やっぱあいつらいないと不安が軽くなるのかな。ここじゃ付き合うのは皆見知った人ばかりだし。
こんな、命の危機、なんて状況に続けざまに遭遇すると、あいつらの事なんか、くだらない、小さな事に思える。
あいつらのせいで、辛い目に遭わせちゃったね。ごめんね?
私は自分の左腕をそっと撫ぜた。
604 :
523:2007/09/10(月) 19:26:16 ID:???
デブリ帯に着くと、私達はポッドでの船外活動を始めた。
時々出会う死体に驚いたりしながら、順調に物資を集めていった。
でも、どうしても水が足りない。
「あそこの水を!?」
「ユニウス7には、一億トン近い水が凍り付いているんだ。」
「ユニウス7って、なぁ……」
「あの血のバレンタインの、でしょ?」
「大勢、死んでるんだよね? そのまんまでさ」
みんながざわつき出す。
「そう、ユニウス7を……」
私の最近の夢に時々現れる、凍りついた巨大なデブリ。あそこで私はいつも誰かと一緒に戦っていた。それはとても大切な仲間で……アスランもいたような気がする。
「気が進まないかも知れないけど、水は、あれしか見つかっていないの」
「誰も、大喜びしてる訳じゃない。水が見つかった! ってよ……」
私が俯いているので心配してくれたんだろう、マリューさんとフラガさんが声をかけてくれる。
「……いえ、いいんです。毒を食らわば皿までも。ですよ」
「そうか。ならいいんだ」
「……でも……」
「なんだい?」
「笑わないで下さいね? 最近、夢を見るんです。今まで見た事も無かったはずのユニウス7の夢を……そこで、凍った大地の上で、私は戦っているんです。ザフトのジンってモビルスーツと」
「……気をつけろって事か」
「……はい……」
「わかったわ。ユニウス7からの水の補給の時には、ルナマリアさんとフラガ大尉で交代で護衛に当たる事にしましょう。いいわね? 二人とも」
「はい!」
「了解しました!」
605 :
523:2007/09/10(月) 19:26:27 ID:???
水の補給は順調に進んだ。プラントの砂時計型のコロニーは、かなりの面積が水面だ。その凍った海? 湖? から適当な大きさにした氷塊を、船外作業艇で次々に運び込んで行く。
私の心配は、余計な心配だったかな?
私とフラガさんは既に2交代している。水の補給も後4時間程で終わるみたいだから、後一交代ずつ……
「あ……」
大きなデブリの向こうを白い綺麗な船が通り過ぎて行く。民間船? まるで、まだ生きてるみたいだ。撃沈されたばかりって感じ。
――!
デブリの向こうに強行偵察型――複座のジン! なんでこんなところに…… アークエンジェルが見つかって、応援を呼ばれたらアウトだわ……
私は、デブリの影からその複座のジンに狙いを付ける。
「……行っちゃえ……行ってよ……そのまま……あ!」
ジンが船外作業艇に気づき、銃口を向ける!
「馬鹿! なんで気づくのよ!」
私が放ったビームライフルの光は過たずジンの胴体に吸い込まれて行き……小さな爆発が起こった。
「……馬鹿……」
「ありがとう、ルナ!」
「マ、マジ死ぬかと思ったぜ」
「お嬢ちゃん! どうした!」
「……殺したくなんて、なかったのに……あ!」
救命ビーコンの音! 救命ポッド!?
「つくづく君は、落とし物を拾うのが好きなようだな」
「すみません。でも、私が拾わなきゃ誰も来なかったかも知れないから、しょうがないですよね?」
「……まぁ、今度はな」
ナタルさんがため息をつく。
「開けますぜ?」
マードックさんが用心深くハッチを開ける。
「ハロ ハロ、ハロー、ハロ、ラクス、ハロ」
出て来たのは、けたたましく奇声を上げるピンクのボールだった。
「「はぁ??」」
「ありがとう。御苦労様です」
「「はぁ??」」
続いて、こんな宇宙にふさわしくない、ふわふわに広がるスカートを膨らませて、飛び出てきた女の子一人。
……プラントの反逆者! ラクス・クライン!……
心がざわめく。
「……ラクス・クライン!」
「え?」
マリューさんやナタルさんがこちらを振り向く。
私は、ただ目の前の少女から目が離せずに睨み付けていた。
606 :
523:2007/09/10(月) 19:27:56 ID:???
時が止まったようなその時間は、その少女の言葉で破られた。
「あらあら?まぁ!これはザフトの船ではありませんのね!?」
「「……はぁ……」」
「ポットを拾っていただいて、ありがとうございました。私はラクス・クラインですわ」
「ハロ ハロ! ラクス、ハロー」
「これは友達のハロです」
「ハロハロ。オモエモナー。ハロハロ?」
「……はぁ……」
「……やれやれ……」
如何にもほんわかした感じの少女だ。でも、私は力強い言葉で戦いの場に立つ彼女を知っているような気がした。
知りたかった。私の心を妙にざわめかせるこの少女の事を。
「なんて言ってる?」
「聞こえない。黙ってよトール」
「お前ら、静かにしろって」
いきなり扉が開く!
「「うおぉぉ……」」
「お前達にはまだ、積み込み作業が残っているだろう!」
ナタルさんの一喝!
「「うわぁぁ……」」
「さっさと仕事に戻れ! ほら、ルナマリアも」
「はーい」
しょうがない私も引き上げだ。
あ。扉からちらっと見えた時、ラクス・クラインと名乗った少女がにこりと微笑んだ。
私は見とれてしまい、またナタルさんにどやされてしまった……
607 :
523:2007/09/10(月) 19:28:39 ID:???
……! あのジン、もしかして!
作業が終わって、食堂に行く時に、ふと私が狙撃したジンの事を思い出した。
あれは、もしかしてあの子の事を探しに来ていたの? そんな! でも、そんな事わかる訳ないじゃない! わかったって……どうしようもなかったのよ。あの時は、あれしか……
「嫌よ!」
……? 食堂から、フレイの鋭い叫び声が聞こえた。
「フレイー!」
「嫌ったら嫌!」
「なんでよ〜」
「どうしたの? カズイ」
「……ん。あの女の子の食事だよ。ミリィがフレイに持ってって、って言ったら、フレイが嫌だって。それで揉めてるだけさ」
「私はやーよ!コーディネイターの子の所に行くなんて。怖くって……」
「……」
「フレイ!」
「……あ! ……も、もちろん、ルナマリアさんは別よ? それは分かってるわ。でもあの子はザフトの子でしょ? コーディネイターって、頭いいだけじゃなくて、運動神経とかも凄くいいのよ? 何かあったらどうするのよ! …ねぇ?」
……本当に考え無しね。この子。人の気持ちを考えないの?
「フレイ!」
「でも、あの子はいきなり君に飛びかかったりはしないと思うけど……」
「……そんなの分からないじゃない! コーディネイターの能力なんて、見かけじゃ全然分からないんだもの。凄く強かったらどうするの? ねぇ?」
「……はぁ……じゃ、いいわよ。私が持っていくから」
私は答えた。正直、あの子の事が知りたかった。しゃべってみたかったのだ。
「まぁ!誰が凄く強いんですの?」
え?
「ハロ ハーロー。ゲンキ! オマエモナ!」
「「あっ!」」
あの子――ラクス・クラインが、そこにいた。
「わぁー……驚かせてしまったのならすみません。私、喉が渇いて……それに笑わないで下さいね、大分お腹も空いてしまいましたの。こちらは食堂ですか? なにか頂けると嬉しいのですけど……」
私は、また、この子に見とれてしまった。
「鍵とかってしてないわけ…?」
「やだ! なんでザフトの子が勝手に歩き回ってんの?」
「あら? 勝手にではありませんわ。私、ちゃんとお部屋で聞きましたのよ。出かけても良いですかー? って。それも3度も」
「「……」」
「それに、私はザフトではありません。ザフトは軍の名称で、正式にはゾディアック アライアンス オブ フリーダム……」
「な、なんだって一緒よ! コーディネイターなんだから」
「同じではありませんわ。確かに私はコーディネイターですが、軍の人間ではありませんもの」
「「……」」
「貴方も軍の方ではないのでしょう? でしたら、私と貴方は同じですわね。御挨拶が遅れました。私は……」
「……ちょっとやだ! 止めてよ!」
フレイのあまりにもの嫌がりぶりに、ラクスさんはきょとん、と首を傾げた。
「冗談じゃないわ、なんで私があんたなんかと握手しなきゃなんないのよ! コーディネイターのくせに! 馴れ馴れしくしないで!」
――!
「フレイ!」
バシン!
ミリィが、フレイの頬を叩いた。フレイはびっくりした顔で固まっている。
「ごめん。ルナ。この子にはよく叱って置くから。その子を部屋に戻して、食事運んでいって」
「……わかったわ。じゃあ、ラクスさん、行きましょう」
私がトレイを左手に乗せて右手を差し出すと、ラクスさんは嬉しそうに手を握ってきた。
608 :
523:2007/09/10(月) 19:29:52 ID:???
「何よ! ミリィ! なんであたしが叩かれなきゃいけないのよ!」
「まだ、わからないの?」
お嬢様にしては、いい子なんだけどね。ミリアリアはサイを見た。
サイは頷くとフレイに言った。
「フレイ、自分がコーディネイターだったらって考えた事があるか?」
「ないわよ! そんなの! 気持ち悪い事言わないで!」
「親は子供をコーディネイトするかしないか選べるけどな、子供は選べない。フレイ、実はお前はコーディネイターだよって言われたら、どうする?」
「そんなの、私の親は絶対子供をコーディネイトなんかしないもん!」
「たとえ話もわからないの?」
ミリアリアはつい口を出してしまった。
「ルナの、左腕見た?」
「え? 確か包帯が巻かれてたけど、それがどうかしたの?」
「ヘリオポリスが崩壊した日、地球軍の士官からコーディネイターは敵だと言われてね、ルナが自分で切ったのよ」
「……!」
フレイは驚愕した。信じられなかった。自分で自分の身を傷つけるなんて!
「それだけじゃない。ルナがコーディネイターだとわかったら、地球軍の奴らルナに銃を向けやがった。ルナは、また切ろうとした。
……今までもな、ルナがコーディネイターだって知った奴から、ひどい嫌がらせを受け続けて、ルナのリストカットが始まったんだ。今も医者に通ってる」
「フレイが、コーディネイトを嫌うのはわかるわ。でも、コーディネイター自身は、コーディネイターだと言うだけで、嫌わないで欲しいの」
「……わかってるわよ。ルナマリアさんは特別って。でも、よく知りもしないのにコーディネイターとなんか仲良く出来ないわよ! 特にあの子、
ザフトのお偉いさんの娘でしょう!? 仲良くなんてできないわよ!」
「おい、フレイ!」
居た堪れなくなって、フレイは部屋を飛び出した。
「……そうよ、ルナマリアさんはサイもミリィも仲間だって言うから信じられるけど、他のコーディネイターなんてすぐに信じられるわけ無いじゃない……」
609 :
523:2007/09/10(月) 19:30:20 ID:???
「またここに居なくてはいけませんの?」
部屋に入ると、ラクスさんはつまらなそうに言った
「ええ、そうですよ」
「つまりませんわー……ずーっと一人で。私も向こうで皆さんとお話しながら頂きたいのに……」
「これは地球軍の艦ですから。コーディネイターのこと、その……さっきのようにあまり好きじゃないって人も居るし……殊に、今は敵同士ですから……」
「残念ですわねぇ」
「……ええ」
つまらなそうにしているこの子も、魅力的な顔だ、と思った。
「でも! あなたは優しいんですのね! ありがとう」
「……!」
「ふふ」
「……私も、コーディネイターですから……」
「そうですか。でもあなたが優しいのは、あなただからでしょう?」
「……え?」
「お名前を教えていただけます?」
「ルナマリア・ホークです」
「そう。ありがとう。ルナマリア様」
「様は止めてください、ラクスさん。仲のいい友達はルナって呼びます」
「まぁ。じゃあ、私達、お友達になって頂けますの!?」
「は、はい。ラクスさんがよろしければ」
「『さん』はいりません。ラクス、でよろしいですわ」
「じゃあ、ラクス。友達の握手をしましょう」
「はい、ルナ。ふふふ」
「ふふふ」
花が咲いたように笑うラクスは、眩しかった。友達と言ってくれた事が嬉しかった。
「あら?」
「え?」
「その包帯……もしかしてザフトの方との戦闘で怪我でもされたのでしょうか?」
いきなり憂いを秘めた顔になるラクス。私はあわてて説明する。
「え、いえ、これは……そのー。さっきのラクスみたいに、コーディネイターを敵視する人に遭った時に、衝動的にやっちゃったんです。自分で。自傷行為ってやつですね。あはは」
「まぁ……」
「ごめんね、ラクス」
「なんで、私に謝るのですの?」
「だって、ラクスが悲しそうな顔しているから」
「辛い……思いをされて来たのですね。でも、謝るならどうかご自分の身体に謝ってください」
「うん、もうしないって、謝ったよ。この前」
「よかった! ……その方とは、どうなさったのですか?」
「仲良くなった人もいるし……実は、それこの艦のマリュー艦長なんだけどね。まぁ、絶対遭いたくないままの人もいるし。色々です」
「でも、一人だけでも分かり合えたのは、素晴らしい事ですわ」
「そうですね。あ、しゃべってばっかり! さあ、食事も冷めないうちに食べてください」
「ええ!」
私は、ううん、私達は、幸せだった。
610 :
523:2007/09/10(月) 19:31:07 ID:???
名残惜しく部屋を出ると、サイが近づいてきた。
「ルナ! ミリィから聞いた」
「……? ああ」
「あんまり、気にすんな。フレイには後で言っとく」
「うん……フレイってさ、ブルーコスモス?」
「まさか!」
「そう。よかった……」
「……でも、そう思われても仕方ないよな」
「……まぁ私もね? 思わないでもないんだな。病気でもないのに遺伝子弄るのおかしいって。イジメに遭ってた時は特にね。コーディネイターなのに変かな?
両親を恨んだりもしたわ。両親が私をコーディネイトなんかしたから苛められるんだ――って。私の両親は何を思って私をコーディネイトしたんだろう……」
「ルナ……」
部屋の中から、歌声が流れてきた。ラクスが歌っているのだろう。
「あの子が歌ってるのか?綺麗な声だなー」
「ええ」
「でもやっぱ、それも遺伝子弄って、そうなったもんなのかな?」
「ラクスは、自分自身はコーディネイトは受けてないって言ってたよ」
「そうなのか!? 弄ってなくてピンクの髪か!? やっぱ一旦コーディネイトしちゃうと後が怖いなぁ。……あ、悪い、ルナ!」
「だーめ。罰。デコピン!」
「いったー! じゃ、俺達も食事に行こうぜ!」
「ええ!」
611 :
523:2007/09/10(月) 19:31:58 ID:???
終わりです。ルナとラクスはほんわかムードになりました。
乙。
このままでは女の武器を使って懐柔出来ないぞ
危うしフレイ!
……てな次回予告が浮かんだ。
一つ難を言うとルナとラクスの会話シーンが気になった。
台詞の遣り取りがほとんどなせいか平坦に思えるって言うんかな。
そんな印象。
今更だが
人前でのリストカットはかなり不自然だよ。
普通は一人になった時にやるもんだし
普通のリスカと違って、精神が未発達で癇癪を起こすたびに自傷行為をしてるように見えるね。
614 :
523:2007/09/12(水) 21:51:27 ID:???
翌日、嬉しい事があった。
なんと昨日、第8艦隊先遣隊と連絡が取れたというのだ!
給水制限が取れた事もあって、昼の食事は宴会騒ぎだった。
気になっていたフレイも、おずおずとだけど私に何回も話し掛けてきた。ミリィとサイに、色々言われたのかも知れない。
でも、こうやって話し掛けて来てくれれば、その内コーディネイターだって普通の人間と変わらないってわかってくれるかも知れない。
私も、笑顔でフレイに何回も話し掛けた。
うん。カレッジのあいつらは、イジメのネタにするんならなんでも良かったんだろう。性格が悪いんだ。今の私にはそれがわかる。
でもフレイにあるのは、コーディネイターへの嫌悪感だけなんだ。それさえ消えてくれれば……
……ふと、ラクスの事が頭に浮かんだ。私達は浮かれているけど、あの子にとっては浮かれる事じゃないよね。
あの子はこれからどうなるんだろう? きっと月の本部にでも連れて行かれて、政治的に利用されるんだろう。なんたってプラント評議会議長の娘だ。
「そんな目に遭わせたくないな……」
「どうしたんですか? ルナマリアさん」
「ん? なんでもないのよ、フレイ」
私はにっこりとフレイに微笑んだ。
「おーい! お前達、いつまで騒いでるんだ! そろそろ勤務の時間だぞ」
「あ、やべぇ」
私達はガタガタと食器を片付けだす。
「じゃ、また後でね、フレイ」
「あ、はい」
格納庫に着くと、マードックさんが待っていた。
「すみません、遅れました」
「あー、規律ジオメトリーのオフセット値変えといたから、ちょっと見といてくれ」
「はーい!」」
「ま、もう用はねぇかもしんねぇけどな。こいつも」
そう言えば、私が組み込んだモビルスーツの基礎OS、消去しといた方がいいのかな?
ううん、まだ、何があるかわからない。保存だけはしておこう。私だけがアクセス出来るようにして……
せっかく何日もかけて完成させたんだしね。持ち出し、出来ないかなぁ?
615 :
523:2007/09/12(水) 21:52:29 ID:???
「ルナマリアさん、良かったら使いませんか?」
「へ? 何? それ?」
フレイが自慢そうな顔で話し掛けてきたのは翌日だった。
「顔のパック剤ですよー。あ、全部は使わないで下さいよ?」
「よくそんな物持ってたわねー」
「いざって時のために持ち歩いてたんです。パパも先遣隊と一緒に来るっていうんだもの。ちゃんとしとかなきゃ。大西洋連邦事務次官の娘が、
あんまりボロボロじゃぁ、パパに悪いでしょ? 久しぶりに会うんだし、せめてこのくらいはねっ」
「いざって言う時って……じゃあ、ありがたく使わせてもらうわ。ありがとね」
「ふーん。本当につるつるになるんだ」
感心しながら、私はストライクから私が組み込んだモビルスーツの基礎OSの吸い出し作業をやっていた。
「…よっ……んっ…ほぉー……」
うわっ! マードックさんが上がってきた!
「な、なんですか?」
「いや、どうかなぁって思って」
「オフセット値に合わせて、他もちょっと調整してるだけですよ。念のために」
「はっはっはっは。お嬢ちゃんは感心だなぁ。やっとけやっとけ。無事合流するまでは、お前さんの仕事だよ。何ならその後の志願して、残ったっていいんだぜ?」
「えー。ははは……」
『総員、第一戦闘配備!繰り返す!総員、第一戦闘配備!』
もうすぐ先遣隊と合流と言う事で休憩室で休んでいた私の耳に、ここしばらくの浮ついた気分を吹き飛ばす艦内放送が流れてきた!
私は格納庫に走った! 目の前にラクスが!?
「何ですの? 急に賑やかに……」
「戦闘配備なんです! さぁ中に入って!」
「戦闘配備って……まぁ、戦いになるんですの?」
「そうですよっていうか、もう……とっくにそうです」
「ルナも戦われるんですか?」
ラクスが悲しそうな顔をする。
「守らなきゃいけないから。この艦のみんなを。さ、中に入って!」
そうだ。私が艦を守らなきゃ、ラクスも死ぬ!
私はラクスを部屋に入れると、再び走る。
あっ、フレイが飛びつくようにして話し掛けてきた!
「ルナマリアさん! 戦闘配備ってどういうこと? 先遣隊は?」
「分からないわ。私にはまだ何も……」
「大丈夫だよね!?」
「!?」
「パパの船、やられたりしないわよね? ね!?」
――! この時、全てをうまく納める方法が頭に浮かんだ!
「聞いて、フレイ!」
「何ですか!?」
「こっちのモビルスーツは私一人だし、正直厳しいの。勝てるかわからない」
「そ、そんな!」
「だからねフレイ。あなたにやって欲しい事があるの」
「え? あたしに? どんな事ですか!?」
「それはね……」
616 :
523:2007/09/12(水) 21:53:16 ID:???
「遅いぞ! お嬢ちゃん!」
「すみません!」
急いでコクピットに飛び乗る。
『敵は、ナスカ級に、ジン3機。それとイージスが居るわ。気を付けてね』
『ルナ、先遣隊にはフレイのお父さんが居るんだ。頼む!』
「わかったわ!」
『カタパルト、接続! エールストライカー、スタンバイ! システム、オールグリーン! 進路クリア! ストライク、どうぞ!』
「ルナマリア・ホーク、ストライク、行きます!」
相手はジン3機とイージス。
アスラン……あなたの事好きになれなくなったけどやっぱり戦いたくない……!
バーナードは撃沈寸前。イージスは……ローに向かっている。
……あの二艦はもうだめ。頭の冷静な部分が囁く。
モントゴメリ……主砲塔が被弾してる。機関部にも!
まずはモントゴメリに取り付いているジン一機を排除しないと!
相手のジンはこちらに気づくと、バズーカを撃ってくる。
当たらない! そんな物!
シールドを構えて突貫する! ジンは慌てて避けようとするけど。
遅い! ストライクのビームサーベルはジンの胴体を薙いだ。
『助かったよ! ストライク!』
モントゴメリから通信が入る。
「気をつけて! まだ敵は3機も残っているわ!」
『ああ! 君も気をつけて!』
あっ! ローが……とうとう、イージスに撃沈された。
MA形態になって素早い速度でイージスがすっ飛んで来る!
……直ってる!? この間切った腕も、脚も。ザフト脅威の科学力ね!
とっさに私は横に避ける。
「アスラン! 私はあなたと戦いたくないのよ!」
『俺だって! お前がそうナチュラル共の味方ばかりするから!』
「そうやって人を見下して! 昔のあなたはそんなんじゃなかった!」
『俺の母にはお前も会った事があるだろう! 母は、血のバレンタインで地球軍に殺された!』
「それがどうしてナチュラル全てを見下す事になるのよ!? おば様はそんな人じゃなかった! 地球に無差別にニュートロンジャマー散布したり、ザフトはやってる事がめちゃくちゃよ!」
これでいい……アスランは私一人で牽制できる。でも。
ああ! とうとう残りのジンが来てしまう! フレイは何をやってるの!?
『ザフト軍に告ぐ! こちらは地球連合軍所属艦、アークエンジェル!』
その時、ナタルさんの声が戦場に響いた。
『当艦は現在、プラント最高評議会議長、シーゲル・クラインの令嬢、ラクス・クラインを保護している!』
『何っ!?』
アスランが驚いた声を出す。
私はほっと溜息を漏らす。
間に合ったのね、フレイ……
617 :
523:2007/09/12(水) 21:53:56 ID:???
『偶発的に救命ポッドを発見し、人道的立場から保護したものであるが、以降、当艦へ攻撃が加えられた場合、
それは貴官のラクス・クライン嬢に対する責任放棄と判断し、当方は自由意志でこの件を処理するつもりであることを、お伝えする!』
『卑怯なっ!』
ザフト艦から撤退信号が上がる。
『救助した民間人を人質に取る……そんな卑怯者と共に戦うのが! お前の正義かっ!? ルナ!』
「……アスラン。じゃあ、何も言われないまま、ラクスごとアークエンジェルを沈めた方が良かった?」
『それは……!』
「……ラクスは私が返すわ。必ずね」
『信じられるか!』
「……おば様が血のバレンタインで殺されたからナチュラルを許さないって言ったわね。もし、ヘリオポリスで私の両親が死んでいたら、私はザフトを許さない」
『……! ルナ!』
「お姉様!」
「へ?」
フレイ!?
「あたし、うまくやれたかな? やれたよね?」
ストライクから降りた私に、必死な顔でフレイが聞いて来る。
「ええ! あなたはよくやったわ!」
「よかった! お姉様も無事で!」
「ちょっと待て!」
あ、ナタルさん。
「フレイがブリッジにラクス嬢を連れてきたのは、ルナマリア、お前の差し金だったのか?」
「ええ」
それが何か? と言うように私はナタルさんを見つめ返す。
「艦が沈んでしまっては、元も子もありません。ラクスだって、ザフトに何も知られないまま死ぬよりはよかったと思います」
「……そうだな。その通りだ」
ふ……とナタルさんが微笑む。
「臨機応変の判断、非常によろしい! ルナマリア、お前軍人に向いているかも知れんぞ」
618 :
523:2007/09/12(水) 21:54:30 ID:???
撃沈されなかったものの、モントゴメリはそれなりの被害を受けていた。
アルスター事務次官は、アークエンジェルへの補充の人員と共にアークエンジェルへ移ってきた。
「やあ! 君がルナマリア君か!」
「あ、はい」
「いやぁ。君の活躍はモントゴメリのブリッジから見させてもらったよ。頼もしいねぇ。我が軍にもこんなパイロットがいるとは」
「あ、いえ。私はヘリオポリスの学生で……それに、コーディネイターですし」
「ああ、フレイから聞いたよ。大変だったようだな。よく、アークエンジェルを、娘を守ってくれた。ありがとう」
フレイのお父さんはぺこりと頭を下げる。
「いいえ、こっちも自分の身を守るのに必死でしたから」
「それにしても。すごい。本格的に、軍に志願しないかね? 私のコネで、相当優遇はしてやれると思うよ」
「……さっきも言いましたけど。私、コーディネイターですよ?」
「地球を愛する心があれば、そんな物は関係ないさ!」
ははは、とアルスターさんは笑った。
「ブルーコスモスは、それほど懐の狭い団体じゃないよ」
「え? ブルーコスモス!?」
「まぁ過激派も居ってブルーコスモスの評判を下げておるがね。本来はただ、これ以上子供をコーディネイトする事を規制して、
数を増やさずコーディネイターも自然にナチュラルの中へ還して行きたいと考える者の団体だ。構成員にはコーディネイターも居るのだよ」
「そう、なんですか……」
「娘から聞いたよ。ヘリオポリスのカレッジではひどいイジメに遭っていたそうだな。品性下劣な奴らだ! 我々の憎むべきはコーディネイトであってコーディネイターではないと言うのに!」
アルスターさんから、聞いた話は、私の今までのブルーコスモスのイメージを崩す物だった。
もっと落ち着いて考えたい。でも、私にはやらなければならない事があった。
619 :
523:2007/09/12(水) 21:55:15 ID:???
「ラクス、いる?」
夜半、みんなが寝静まった頃、私はラクスの部屋をノックした。
「はい。開いておりますわ」
私はラクスの部屋へ滑り込んだ。
「ありがとう」
私はラクスに頭を下げた。
「え?」
「あなたのおかげで、戦闘は収まったわ」
「まぁ。ルナも無事に帰ってきましたし。私がルナの役に立てて嬉しいですわ」
「うん、恩に着るわ。さあ、これに着替えて」
「これは、地球軍の制服ですわね? なぜこれに?」
「今度は私が、あなたを逃がしてあげる。このまま地球軍の本部にでも行ったら、ラクスがどんな目に遭うかわからないから」
「いいのですか?」
「いいのよ。友達が嫌な目に遭うと思うと、私、嫌なの」
「ありがとう! ルナ!」
花が咲いたように笑うと、ラクスは着替え始めた。
「そっと、ね」
「はい。ふふ」
「あぁ!」
「えぇ? サイ、まだ寝てなかったの!?」
「ルナこそ、何やってんだ? あ、お前の後ろ!」
「あらら。見つかっちゃいましたわね」
「……」
「彼女を、どうするつもり? ……まさか!」
「……黙って行かせて。サイ達を巻き込みたくない。……私は嫌なの! こんなの!」
「……まぁ……女の子を人質に取るなんて、本来、悪役のやるこったしな」
「……!」
「……手伝うよ」
「私も手伝うわ」
「ミリィ……サイ……ありがとう」
620 :
523:2007/09/12(水) 21:55:42 ID:???
「ふー。無事に格納庫に着いたな」
「ありがとう」
「……いえ」
「またお会いしましょうね」
「……それはどうかな? ルナ、お前は帰って来るよな?」
「……ええ!」
ストライクにラクスを連れて上がる。
あ、マードックさん!
「おい! 何している!?」
「見逃してください!」
「おい! ちょっと待て!」
「お前はちゃんと帰ってくるよな!? 俺達んところに!」
サイがストライクから離れながら叫ぶ。
「……必ずね。……約束する!」
「なんだ!?」
「軍曹!」
「きっとだぞ! 約束だぞ!」
「ハッチ開放します。退避して下さい!」
「きっとだぞ! ルナ! 俺はお前を信じてる!」
621 :
523:2007/09/12(水) 21:55:54 ID:???
「こちら地球連合軍、アークエンジェル所属のモビルスーツ、ストライク! ラクス・クラインを同行、引き渡す!」
宇宙に出て、両軍の中間位まで来ると、私はザフト艦に呼びかける。
「ただし! ナスカ級は艦を停止! イージスのパイロットが、単独で来ることが条件よ。この条件が破られた場合、彼女の命は……保証しない……」
しばらくじりじりした気持ちで待っていると、ザフト艦は停止し、イージスが単機、接近して来た。
「アスラン…ザラ?」
『……そうだ』
「コックピットを開け! ラクス、話して」
「え?」
「顔が見えないでしょ? ほんとにあなただって事、分からせないと」
「あ〜。そういうことですの。こんにちは、アスラン。お久しぶりですわ」
『……確認した』
「なら、ラクスを連れて行って! さぁ、ラクス……」
「……あっ!」
私の手から離れたラクスは、無事、アスランの手に収まった。
「色々とありがとう。ルナ。……アスラン、貴方も」
アスランはラクスに頷くとこちらを向いて叫んだ。
『……ルナ! お前も一緒に来い!』
「……!!」
『お前が地球軍に居る理由がどこにある!?』
「私だって、あなたとなんて戦いたくない……でも、あの船には守りたい人達が……友達が居るのよ!」
『……くっ』
「まぁ、二人はお知り会いでしたの?」
『ええ、まぁ。……ならば仕方ない……次に戦う時は……俺がお前を討つ!』
「……それでも、私はあなたと戦いたくないわ……」
『……!』
二つのモビルスーツが離れる。
!? ザフト艦に動きが!
モビルスーツが、二機?
アークエンジェルからもメビウスゼロが!
「……フラガさん!」
「お嬢ちゃん、相手が何もして来ないと思ったか!」
「……うぅ……」
私、ラクスのために皆の安全を犠牲にしてしまった……月本部へ行っても殺される訳じゃないのに……
こうなったら! ザフトのモビルスーツ二機位! 私が!
私が後悔の念に包まれていると、ラクスの声が響いた!
『ラウ・ル・クウーゼ隊長! 止めて下さい。追悼慰霊団代表の私の居る場所を、戦場にするおつもりですか? そんなことは許しません! すぐに戦闘行動を中止して下さい!』
ラクス……
両軍共に動きが止まる。
『聞こえませんか?』
あ、ザフトのモビルスーツが撤退してゆく……
「なんだか知らんが、こっちも戻るぞ! 追撃して、藪蛇は詰まらん」
「……はい」
「とんでもねぇお姫様だったなぁ……あ? ……どうした?」
「……いえ……なんでもありません……」
ラクス……もう二度と会えなくても、私達、友達だよね。
そっと頬を涙が伝った。
622 :
523:2007/09/12(水) 21:58:38 ID:???
今更ですが確かに人前でのリストカットは不自然かも知れないですね。
自分も人前じゃやりませんし(;^_^A
ルナがヒステリックな状況になっていたということでどうでしょう?
GJ!
てか、サラっと怖い事言うなよ・・・
GJ!
あー、ひょっとして某スレの突然死の副作用ある薬飲んでたっつー職人さんだったりする?
GJ!
リストカッターは自己性愛の強い変態さんなのですヨキモいですねぇ
> サイが止める間もなく、私はカッターで自分の左腕を切り裂いた!
>あー、すかっとした! 腕から流れる血の暖かさに、安心を感じた。
リストカッターは斯様に人前できって見せることで愉悦に浸る変態なのです。
もしくは死ぬ死ぬ詐欺、実際に自殺を図るなら人前ではしませんし、そもそも人前で遣ったら死ねませんしねぇ。
写真集「リストカット―誰か気づいてくれたら…」
こんなものまで発売してます。ここまで行くと変態のきわみ。特殊な人たちですなぁ。
参考>
ttp://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1004177.html キモすぎる。
リストカット叩きたいだけなら余所でやれよ。
まあ本編の主人公もたいがい変人だったから
今更変人だからどうこういう気はないなあ
>>628 こんな奇異なのここだけだからじゃね
523=リストカッターだったら正直引くわ
SS内でリストカットした時点で引いたから、今更作者がそういう人でも別に何とも……
リスカしようが何しようが面白ければいいよ。
面白くなければ読まないだけだし。
リストカットよりもネックカットのほうが萌えるぜ
SMてそういうもんだろ
>>626=627=630=633か。
もうちょっと工夫しろよ、分かり易すぎるぞ。
リスカするぐらいなら魔乳銃の射線に飛び込んでみよ!といってみる。
魔乳の射乳を受けてみろ、とな?
ふと気づいたが
>小手先だけでいじってスパゲッティになるより
この表記を見るに、作者そっち関係か?
638 :
523:2007/09/19(水) 18:07:41 ID:???
「ルナマリアさん、今回の行動について何か言う事はある?」
「ルナマリア、そもそもラクス嬢を人質にすると言う考えはお前が発案だろう。それがなぜ?」
「まぁまぁ、二人とも。二人掛りでわーわーやられちゃお嬢ちゃんもしゃべれん」
「……フレイに頼む時、決めていたんです。一回戦闘を止めてもらったら、私がラクスをザフトに返してあげようって」
「だが、その勝手な行動が、艦の安全をどれほど脅かしたか、理解しているのか?」
「……反省してます。別に月本部に連れて行かれても、殺される訳じゃないのに……私……ラクスが止めてくれなかったらと思うと……」
「……そう。わかっているのね。今度は、もうあんな勝手な事しちゃだめよ? 私だって、ラクスさんにとってよい方向になるように色々考えてたんだから」
「……はい」
「じゃ、これで解散! お嬢ちゃんも、いつまでも辛気臭い顔しないで! もうすぐ第8艦隊と合流なんだからさ!」
「はい。失礼します」
部屋から出ると、サイとミリィが心配そうな顔で待っていた。
「ルナ! 大丈夫か?」
「何て言われたの?」
「お前も、トイレ掃除一週間とか?」
「おーそれいいねー。やってもらおうかなぁ」
あ、フラガさん。続いてナタルさん、マリューさんも部屋から出て行った。
「大丈夫よ。勝手な事はするなって、叱られちゃった」
「そっか。ってことは……俺達だけか」
「ん」
「え?」
「私達、マードック軍曹に凄く怒られたの。お前達は危険て言葉すら知っちゃいねぇのかぁ! って」
「あぅ……ごめん。手伝うよ」
「いいよ。もうすぐ第8艦隊と合流だし、大したことない」
「……ありがとう」
「……正直言うと、少し心配だったんだ」
「……サイ……」
「でもよかった。お前、ちゃんと帰ってきたもんな!」
「……ぁ……
「じゃ、俺、交代だから」
「私も。じゃ、また後でね」
「うん。頑張って」
(きっとだぞ! ルナ! 俺はお前を信じてる!)
私は、ラクスを返す時のサイの言葉を思い出していた。
裏切らなくて、良かった。サイも、ミリィも自分に取っては家族と同じ位大切な存在だ。
……アスランは何度も誘ってくれたけど、コーディネイターだと言うだけで、プラントに行く気は起こらなかった。
ナチュラルに、いい人悪い人がいるように、コーディネイターにだっていい人悪い人がいるだろう。それはどこの社会に行っても同じで……今の私の居場所はここなんだ。
アスラン……あなたが変わっちゃった訳……多分、わかった。おば様が血のバレンタインでお亡くなりになったからね。
でも、本当のあなたは優しいままだって信じる。ラクスからアークエンジェルにいるヘリオポリスの避難民の事を聞けば、きっと何かはしてくれるはず……期待はし過ぎないけど。
639 :
523:2007/09/19(水) 18:08:29 ID:???
「…ん?」
アスランはピンクの物体が廊下を飛んで来るのを認めた。
「ハロ、ハロ、アスラーン」
「……おっ……ハァ……ラクス……」
ピンクの物体は、自分が作ったハロだった。本当にラクスはハロがお気に入りなんだな、とアスランは思う。次のまとまった休暇が取れれば、また一体作ろうか?
「ハロがはしゃいでいますわ。久しぶりに貴方に会えて嬉しいみたい」
「ハロには、そんな感情のようなものはありませんよ」
でも、このような物にも感情を見出すのが女性と言う物なのだろうか?
「貴方は客人ですが、ヴェサリウスは戦艦です。あまり、部屋の外をウロウロなさらないで下さい」
「あぁ……」
ラクスは退屈だった。アークエンジェルでは、ルナマリアと言う友人も出来たと言うのに。それ以下だ。
ルナ……彼女を思い出すと心が温かくなる。ルナ……あれでよかったのですわね?
ラクスの言葉で戦闘を止めた時を思い出す。
だって、私達、友達ですもの。
「どこに行ってもそう言われるので、詰まりませんの」
「仕方ありません。そういう立場なんですから」
「……っー………何か?アスラン?」
「あっ、いえぇ……あ、ご気分はいかがかと思いまして……その、人質にされたりと、いろいろありましたから……」
やっぱり、女性と話すのは苦手だ。とアスランは思った。いや。ラクスが苦手なのだ。あまりにも御伽噺に出てくるお姫様みたいで。どうしたらいいかわからなくなる。
「えっへ。私は元気ですわ。あちらの船でも、貴方のお友達が良くしてくださいましたし」
「……そうですか……」
ルナマリア。幼年学校の親友。あいつとなら、気軽に話せたんだがな。
アスランは苦い思いで思い返す。
「ルナはとても優しい方ですのね。そして、とても強い方」
「……あいつはバカです! 軍人じゃないって言ってたくせに……まだあんなものに……あいつは利用されてるだけなんだ!
友達とかなんとか……あいつの両親は、ナチュラルだから……だから……」
「ぁぁ……貴方と戦いたくないと、おしゃっていましたね」
「僕だってそうです! 誰があいつと……」
「……」
「失礼しました。では私はこれで」
「待ってくださいな。アークエンジェルに居られるヘリオポリスの避難民の事はどうなりましたの? ルナも、ルナのお友達も避難民ですのよ。子供もいるとか」
「……アークエンジェルが本当に避難民の事を思うなら、素直に投降すればいい、と言う事です」
「それは、クルーゼ隊長の判断ですの? 貴方はどう思いますの?」
ラクスが問い掛けると、アスランの顔が苦しそうに歪む。
「……」
「辛そうなお顔ばかりですのね。この頃の貴方は……」
「ニコニコ笑って戦争は出来ませんよ」
アスランは出て行った。
ラクスは祈った。
「祈りましょうね、ハロ。どの人の魂も、安らぐことの出来るようにと」
640 :
523:2007/09/19(水) 18:09:17 ID:???
「いろいろあったけど、あと少しだね」
「あー」
「僕達も降ろしてもらえるんだよね、地球に」
「え?」
「だって、ほら……あの時、ラミアス大尉が……」
(事情はどうあれ、軍の重要機密を見てしまったあなた方は、然るべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで、私と行動を共にしていただかざるを得ません)
「あー。だから艦隊が、その然るべき所、とかじゃないの?」
「だよね。でも……」
「……でも?」
「ルナはどうなるんだろう? 降りられんのかな? あれだけいろんなことやっちゃってさ」
「……私。私……残ろうかなって思ってるの」
「なんだって!?」
「なんで!?」
『総員、第一戦闘配備! 繰り返す! 総員、第一戦闘配備!』
「……あぁ!」
「こんな合流間際に! じゃあ、行って来る!」
ラクスからヘリオポリスの避難民の事は伝わっているはずだけど、無駄だったみたいね。
私は戦争と言う物の厳しさを感じた。
「気をつけろよ! ルナ! 今死んだら馬鹿らしいぞ!」
うん、ここまで来て、やられるわけには行かない!
「戦争よぉ! また戦争よぉ! あぁぁ!」
「きゃー!」
あ、お姉様が女の子とぶつかった! フレイは慌てて駆け寄る。
「……うぅぅ……」
「……あぁ……大丈夫? さぁ……」
「ごめんね、お姉様急いでたから……
「……う……うん……」
「うふ……また戦争だけど、大丈夫。お姉様が戦って、守ってくれるからね」
「ほんと?」
「うん。悪い奴はみ〜んなやっつけてくれるから」
フレイは、確信していた。また、お姉様に任せておけば大丈夫と。
「さあ、お姉様は行って!」
「ん。じゃっ」
……どうかお姉様が無事でありますように。フレイは祈った。
641 :
523:2007/09/19(水) 18:09:54 ID:???
「ルナ、ザフトは、ローラシア級1、デュエル、バスター、ブリッツ!」
私がコクピットに入るとミリィが情報を伝えて来る。
「あの3機!」
「APU起動。ストライカーパックは、エールを装備します。カタパルト、接続。ストライク、スタンバイ。システム、オールグリーン。進路クリアー。ストライク、発進です」
「ルナマリア・ホーク、行きます!」
ディアッカとイザークは逸っていた。なにしろ、アークエンジェルのモビルスーツにはザフトレッドの自分達が片腕を切られると言う屈辱を味合わされていたのだ。
今度こそは。デュエルとバスターは、外見が変わっていた。切り落とされた右腕はジンの物に変わり、両機とも右肩にレールガンとミサイルポッドが追加装着されていた。装甲とスラスターも追加されていた。
今度こそは。二人は誓う。アサルトシュラウドが貴様に屈辱を晴らす!
「モビルスーツを引き離す! ニコル! 足付きは任せたぞ!」
「了解!」
ははは、奴らは見事に策に嵌まりやがった! こっちに喰らいついてくるぞ!
ディアッカは哄笑する。
「ストライクって言ったっけな。所詮地球軍の奴らなんて……」
……と、哄笑が止まる。
なんで。最初からわき目もふらずにビームライフルも撃たずに俺に突っ込んでくる!? 怖くねえのか!?
その速度は予想よりも若干速く、まずはビームライフルの撃ち合いをする気でいたディアッカの気持ちの余裕を失わせる。この間右腕を切られた時の恐怖が蘇る。
ディアッカは右手に持った重突撃銃を放つ。ミサイルポッドを開放する!
まだまだ足りない、あいつを止めるには! リニアガンも、大型ビームライフルもだ!
ディアッカは左腰に構えたビームライフルも放つ。だが、まずは回避に徹しているらしき相手には当たらない。
……やはり、ディアッカは余裕を失っていたのだろう。スラスターも強化されたバスターで回避すればよかったのだ。だが、恐怖を感じたディアッカの心は、攻撃する事でそれを払拭しようとしたのだ。
「うわあぁ!」
重突撃銃とリニアガンの弾丸も、ミサイルも、ビームも乗り越えて、『それ』はバスターの正面にいた。
「化け物め!」
捨て台詞のように叫ぶディアッカを無視するように『それ』はビームサーベルを振りかぶり、バスターの左腕を切り落とした。
――! やばい! このままじゃあ!
ディアッカの脳がめぐるましく回転する。
反射的に一つのボタンを押す。追加装甲が弾け飛ぶ! 一瞬、敵機が怯む。その隙に、バスターは逃げ出す事になんとか成功した。
642 :
523:2007/09/19(水) 18:10:20 ID:???
イザークは焦っていた。たかがモビルアーマー如きに、拘束されているのだ。
このままでは足付きが第8艦隊と合流するまでの10分などあっという間に過ぎてしまう!
「手こずらせる! モビルアーマー如きが! 邪魔なんだよ! 落ちろ!」
彼は見た。バスターがあっという間にストライクに敗れるのを。
ストライクはすぐさま足付きに取り付いているブリッツへ向かった!
「ニコル! 気をつけろ! ストライクがそちらに……」
「うわああぁぁぁ!!!」
「ニコルー!!」
イザークはストライクに蹴飛ばされたブリッツが姿を消したのを確認した。
ミラージュコロイドで隠れたか……
ここでイザークは苦渋の決断をする。
「ディアッカ! ニコル! 引き上げだ! ガモフに帰還する!」
ようやくメビウスゼロのガンバレルを一撃して振り切ると、ストライクが迫っていた!
「くそう! 次こそは覚えてろ!」
デュエルはビームソードを抜き放つ。
――! イザークは背中に衝撃を覚えた! 一旦は振り切ったメビウスゼロが、攻撃してきたのだ!
「ひっ……」
動きの止まったデュエルの右腕が右肩に取り付けたリニアガンごと断ち切られる!
イザークは死を覚悟し、次の斬撃を待った。
「イザークーーー!」
「ニコルか……!」
突然姿を現したブリッツのレーザーライフルの連射により、メビウスゼロとストライクはデュエルから身を離した!
「今のうちに早く」
「わかっている!」
彼らは悄然としてガモフに帰還したのだった。
643 :
523:2007/09/19(水) 18:12:01 ID:???
とうとうアークエンジェルは第8艦隊に合流した!
みんな、数多くの艦艇が織り成す威容に溜息をついている。
「そう言えばさ。ルナが残るってどう言う訳だよ?」
サイが聞いてきた。
「うん……あのね、もうすぐ、第8艦隊と合流かって、やっと地球に降りられるのかって思った時、何かとてもおかしい気がしたのよ」
「おかしい?」
「うん。これで、もう本当に安心なのかなって。オーブにいて、中立の国だって安心していたけど、本当は連合と組んでて、
そのせいでヘリオポリスは崩壊した。もう、否応無く、戦争に巻き込まれているのよ。オーブも」
「そうだな。それで?」
「その後、やっぱりザフトに襲撃されたし、本当に安心なんて戦争が続いているうちは無理だってわかったのよ。
……私ね、本当の平和が……本当の安心が……戦うことによってしか守れないのなら。私は戦う。私の力なんか、戦争全体から見ればほんの小さな力だろうけど」
「ルナ……」
「お前さん、残るそうじゃな」
「デンギル先生……これからもお世話になります」
「本当にいいのかね? 言うまでも無いが、危険じゃぞ? 戦争なんぞ大人に任せておけばいいと思うにのう」
「ほんと言うとね、怖いんです。ただの守られるだけの人になってしまう事が。不思議だけど、戦っている時は怖いけど、なんか安心できるんです」
「声はどうじゃね? まだ聞こえるかね?」
「普段は聞こえなくなりました。でも戦闘が激しくなると、まるでどうすればいいか導くように、ついさっきの戦闘の時も聞こえました」
「ふーむ。わしが心配しとるのは、お前さんが戦闘に依存しやしないか、と言う事じゃ」
「戦闘に、依存?」
「お前さんは強い。確かにな。勝てば、味方に賞賛もされる。じゃが、いつか戦争は終わってしまう」
「わかってます! そんな事! 私は戦争を終わらすためにも……」
自分でも、声が小さくなっていくのがわかった。
「私は……」
私は、心の中で戦争が終わってしまう事を怖れていやしないだろうか? いつの間にか、ストライク無しの自分など考えられなくなっていた。
「いつか戦争は終わる」
デンギル先生が繰り返した。
「その時にどうするか、よく考えておく事じゃて」
「はい……」
644 :
523:2007/09/19(水) 18:13:57 ID:???
ルナはお姉様に昇格ですw
最後のカウンセリングは、エヴァのアスカの様になりそうな所を先生が釘を刺した、と言う感じでしょうか。
GJ!
まさかバスターまでアサルトシュラウド装備形態になるとは思ってもいなかった。
なんか後のヴェルデバスターもどきみたいなバスターですね。
一つ突っ込むとすれば、ジンのマシンガンの正式名称は重突撃銃ではなく突撃機銃だったかと。
646 :
通常の名無しさんの3倍:2007/09/21(金) 23:05:12 ID:1HA1SDZr
…過疎ってるな。
あえてアゲてみる。
647 :
523:2007/09/22(土) 12:27:22 ID:???
「艦隊と合流したってのに、なんでこんな急がなきゃならないんですか?」
格納庫に顔を出すと、フラガさんは妙に焦って作業をしていた。
「不安なんだよ! 壊れたままだと……」
「第8艦隊っつったって、パイロットはひよっこ揃いさ! なんかあった時には、やっぱ大尉が出れねぇとな」
マードックさんがひょっこり顔を出す。
「お嬢ちゃん、残るんだってな。心強いや」
「そう言えば、お嬢ちゃん。夢! 夢は、見ないのか? 最近、その予知夢って奴」
「夢……ですか?」
「ああ、今までも、結構当たってたじゃないか」
「……地中海のような所で戦ってる夢でしょうか? 最近は。陸上戦もあり、海上戦もありです」
私が、ザフトレッドの制服を着て戦っているとは、言えない。
「だー! 降下に失敗するってのか!? それともアラスカから……まさかな」
「夢ですよ、夢」
「とにかく、用心して悪い事はないやね。お嬢ちゃんも……お、艦長!」
あ、マリューさんが、格納庫へ上がってきた。
「あらら、こんなところへ」
「ごめんなさいね。ちょっと、ルナマリアさんと話したくて……」
私達は、格納庫の床へ降りた。
「私自身、余裕が無くて、あなたとゆっくり話す機会を作れなかったから。……その……一度、ちゃんとお礼を言いたかったの」
「え?」
「あなたには本当に大変な思いをさせて、ほんと、ここまでありがとう」
「……自分の身を守るためでもあったし……」
「色々無理言って、頑張ってもらって……感謝してるわ」
「そんな……マリューさん」
「口には出さないかもしれないけど、みんなあなたには感謝してるのよ?」
「ぁぁ……」
「これからもよろしくね?」
そう言うと、マリューさんは手を差し出してきた。
「あ、はい」
「うふ」
握手をすると、マリューさんは、また後で、と言って去って行った。
648 :
523:2007/09/22(土) 12:28:08 ID:???
アークエンジェルは、第8艦隊旗艦メネラオスの隣に位置した。
ハルバートン提督は、モビルスーツとこの艦の開発の一番の推進者だったそうだ。きっと、近くで見たいのだろう。
程なくして、ハルバートン提督がランチでアークエンジェルへとやってきた。私達ヘリオポリス組も整列して出迎えた。
「ん? おぉーー! いやぁ、ヘリオポリス崩壊の知らせを受けた時は、もう駄目かと思ったぞ。それがここで、君達と会えるとは……」
「ありがとうございます! お久しぶりです、閣下!」
「先も戦闘中との報告を受けて、気を揉んだ。大丈夫か!?」
「ナタル・バジルールであります!」
「第7機動艦隊、ムウ・ラ・フラガであります」
「おおー、君が居てくれて幸いだったぁ」
「いえ、さして役にも立ちませんで……」
「ああー、そして彼らが……」
「はい、艦を手伝ってくれました、ヘリオポリスの学生達です」
マリューさんがそう言うと、ハルバートン提督は私達の前に立った。
「君達の御家族の消息も確認してきたぞ。皆さん、御無事だ!」
「あーよかったぁ」
みんな、安心のため息を漏らす。よかった……父さんも母さんも無事だった……
「とんでもない状況の中、よく頑張ってくれたなぁ。私からも礼を言う」
「閣下、お時間があまり……」
副官の人が提督を促す。
「うむ。後でまた君達ともゆっくりと話がしたいものだなぁ」
そう言ってハルバートン提督は去って行った。
格納庫には、戦闘機――スカイグラスパーが二機、積み込まれていた。
そうか。ここからアラスカに降下するんだ。
私は黙々とキーボードを走らせる。私のプログラムは基礎OSから外部プログラムへと進めていた。もっと滑らかに、もっと早く、ストライクが動くように……
「精が出るな」
「あ!? ハルバートン提督?」
「ルナマリア・ホーク君だな? 報告書で見ているんでね」
「……はい……」
「しかし、改めて驚かされるよ。君達コーディネイターの力というものには」
「……」
「ザフトのモビルスーツに、せめて対抗せんと造ったものだというのに、君達が扱うと、とんでもないスーパーウェポンになってしまうようだ」
「そんなことは……この子には何度も助けられました。この子じゃなかったら、ここまで来れなかったかもしれません」
本音だった。このストライクじゃなければ……ザフトのモビルスーツだったら……きっと、私は死んでいた。
「ありがとう」
ふふ。『この子』か。女性にかかってはこのような物まで『この子』になってしまうのだなぁ。ハルバートンは妙な所で感心した。
「君の御両親は、ナチュラルだそうだが?」
「え! ……あ、はい」
「どんな夢を託して、君をコーディネイターとしたのか……」
「……恨んだ事も、あります。なんでコーディネイターにしたんだろうって」
「そうか。済まない事を聞いた。何にせよ、早く終わらせたいものだな、こんな戦争は!」
「閣下! メネラオスから、至急お戻りいただきたいと」
「やれやれ……君達とゆっくり話す間もないわ! ここまで、アークエンジェルとストライクを守ってもらって感謝している。
そして志願してくれた事にもな。良い時代が来るまで、死ぬなよ!」
649 :
523:2007/09/22(土) 12:29:02 ID:???
――ざわわ。心がざわつく。何? 何なの? 久しぶりに、普通の時に声が聞こえる。
……低軌道会戦――地球に降下しようとするアークエンジェルを援護する地球連合軍第8艦隊と、ザフト軍クルーゼ隊が交戦した戦い。
コズミック・イラ71年2月13日、アークエンジェルを追撃していたクルーゼ隊はアークエンジェルが地球に降下する前に撃破すべく戦闘を仕掛け、
アークエンジェルを援護する第8艦隊と交戦状態となる。艦船総数など、物量ではザフト側の戦艦3隻に対して圧倒的に第8艦隊が上回っていたが、
ザフト軍モビルスーツの前になす術も無く壊滅、第8艦隊司令官のデュエイン・ハルバートン提督も戦死する――
まるで教科書の文章のような、感情の篭らない声が淡々と文章を紡いでゆく。
「……うぅ……」
「ルナマリア君! どうかしたのかね?」
声が成人男性の物に変わる。自慢気に話している。脳裏に浮かぶのは、これは教室?
(地球軍のモビルアーマーは160機弱。対して、ザフト側のモビルスーツはわずか14機。これで地球軍を打ち破ったんだ)
(もし、教官がハルバートン提督だったらどうされますか)
ああ、質問しているのは私だ……
(いい質問だ。私ならまず戦艦の数の優位を生かして砲撃戦を仕掛けるな。それで大体終わりだ。
後は、モビルアーマーを一撃離脱に徹底させる事かな? 帰る所が無くなれば、如何にモビルスーツがモビルアーマーに
優越しているとて早晩バッテリー切れで終わりだ……なぜそうしなかったのかは未だに謎だよ)
「大丈夫かね! 大丈夫かね! ルナマリア君!」
「……ああ、提督……来ます。ザフトが。数は戦艦が3隻、モビルスーツが十数機……」
「何だと!?」
「わかるんです、私。時々妙に感が鋭くなる事があって! 信じてください!」
「……歴戦の君の言う事だ。信じよう。すぐにメネラオスに戻る!」
「あと! 最初からモビルアーマーを出さないでください! まずは徹底的に戦艦同士で砲撃戦をしてください!
モビルアーマーには一撃離脱を徹底させて! 多分、それで、勝てます!」
650 :
523:2007/09/22(土) 12:29:43 ID:???
「お姉様!」
フレイが格納庫に飛び込んで来たのは、その時だった。
「なんで? お姉様が残るの!? 他のみんなも残るって!」
「え、みんなも? なんで?」
話し始めた二人の女性の声を聴きながら、不思議な事もある物だな、とハルバートンは思った。
ルナマリア君が言った事は普通の人が聞いた所で信じまい。だが、私はそれを本気にしている……
「ご苦労様です、ハルバートン准将」
「これは! アルスター事務次官殿。事務次官殿もご苦労な事でしたなぁ」
「いやはや、命を失うかと覚悟しましたよ。ルナマリア君のお蔭もあって助かりましたが」
「事務次官殿。アラスカへ着いたらどうか、モビルスーツの開発にご助力頂きたく」
ハルバートンは頭を下げた。アルスター事務次官はブルーコスモスとは言っても穏健派だ。
手も握れるかもしれない。頭を下げる事にさほど抵抗感はなかった。
「わかっているさ。我が軍のモビルアーマーが手も無くザフトのモビルスーツにやられて行く光景を見ていたのだよ? 私は。
G計画、推進しようじゃないか!」
「ありがたくあります」
「その代わりと言ってはなんだが……」
ジョージ・アルスターは切り出した。
ルナマリア君の残留を聞いて自分も志願するとまで言った娘との約束、そしてルナマリア君との約束、果たさねばなるまい。
「アークエンジェルは、先遣隊から人員補給を受けただけ、でしたかな」
「大気圏内用戦闘機を2機、それとストライク兼用の予備部品も補給してあります。無論、弾薬も」
「しかし、乗る人がいない」
「確かに。しかし今の我々にはもう、アークエンジェルに割ける人員はないのです。それにアラスカへ降りるのです。そう心配した事は……」
「だが、一機はフラガ大尉が乗るとして、もう一人ぐらい、なんとかなるでしょう。万が一と言う事もある……
アークエンジェルには出来るだけの事をしてやりたいのですよ」
「……わかりました。一人、なんとか致しましょう」
「助かる! これで娘に怒られずに済むと言う物です。……フレイ、別れの挨拶は済んだか?」
「……ええ。お姉様、ご無事で」
「フレイも元気でね? また状況が落ち着いたら、会いましょう」
「では、事務次官殿、我々はすぐに、避難民より一足早くメネラオスへ向かいます。よろしければご一緒にどうぞ」
「ああ、よろしく頼むよ。さ、フレイ」
フレイは、格納庫を出るまで、ルナマリア君に手を振っていた。まったく、コーディネイターを毛嫌いしていたと言うのに、変わる物だ。
ナチュラルとコーディネイターの融和は、案外早いかもしれない。
「早く、平和な世の中にしたい物ですな? 子供らが安心して会えるような?」
「同感です。事務次官殿」
二人の男は、それぞれに決意を新たにした。
651 :
523:2007/09/22(土) 12:31:06 ID:???
「ナスカ級1、ローラシア級2、グリーン18、距離500。会敵予測、15分後です」
「こちらへ向かってきているのか?」
「3隻か……当たったな」
「何ですか? 閣下?」
「いや。なんでもない」
ルナマリアの言が当たった事に、改めてハルバートンは驚きを感じた。
「全艦、密集陣形にて、迎撃体勢! アークエンジェルは動くな! そのまま本艦に付け!」
「Nジャマー、展開! アンチビーム爆雷、用意!……モビルアーマー隊は出さなくてよろしいので?」
「その必要は無い。今出しても、主砲射撃の邪魔になろうよ」
ハルバートンは思う。ルナマリア君の言った事は考えてみれば道理だ。
こちらの勝機は、艦艇とモビルアーマーの数を生かす事にしかない。
……モビルスーツの威力に怯えて、考えが後ろ向きになっていたかもしれんな。
最初から勝てぬとなどと考えていれば負けるのが当たり前だ!
「補給艦、離脱!」
「ランチ収容、ハッチ閉鎖!」
「うむ。砲撃戦用意!」
後に低軌道会戦と呼ばれる事になる戦いが始まった。
ネルソン級、アガメムノン級合せて10隻を超える地球軍の戦艦からビームが、ミサイルが放たれる。
アンチビーム爆雷などでその威力は削がれるため沈められる艦はなかったが、尚もかなりの密度で砲撃を浴びせ続ける。
ザフト艦も負けじと砲撃を開始する。モビルスーツの発艦も確認された。
「撃て! 撃て! 撃ちまくれ!」
ホフマンが全艦隊に向かって吼える。
「ジン2機、いや、3機撃破を確認!」
オペレーターが伝えて来る。
艦橋は歓喜の声に包まれる。
だが、すぐにオペレータの声がそれに水を差す。
「敵モビルスーツ、イエローゾーン突破しました!」
「む。モビルアーマー隊、発進!」
「ワルキューレワン、ワルキューレツー、発進!」
ハルバートンの指示でホフマンが命令を下す。
652 :
523:2007/09/22(土) 12:31:49 ID:???
「セレウコス、被弾、戦闘不能!」
「カサンドロス、沈黙!」
「アンティゴノス、プトレマイオス、撃沈!」
「ぬうぅ……」
モビルスーツに内懐に入り込まれたとたん、これだ。やはり、奴らは侮るべきではないのだ。
「モビルアーマー隊に伝えろ! 一撃離脱に徹しろと! 奴らの攻撃のじゃまをするだけでいい!」
「敵ナスカ級、及びローラシア級接近!」
「セレウコス、カサンドロスに直撃照準!」
「なに!?」
「接近してくるか! ようし、全艦、前方に突出しているローラシア級に攻撃を集中しろ!」
第8艦隊のビームとミサイルが放たれる。ただ一艦、ガモフを目掛けて!
ナスカ級より小柄な船体は、すでに被弾していた。急に密度を増したビームが、ミサイルが、その破孔を穿った。
ガモフは、内側からの圧力に耐え切れず爆散した。
だが、歓喜の声が上がる前にオペレーターが告げる。
「モビルアーマー隊、損耗率20%!」
「早いな……」
戦いの行方は、誰にもわからない……
「クセルクセス、パリス、前へ出ます!」
「Xナンバー、接近!」
「ビームを使うんだ! 落とせ!」
「アークエンジェルより、リアルタイム回線」
「……なんだ?」
『本艦は、艦隊を離脱し、直ちに、降下シークエンスに入りたいと思います。許可を!』
「なんだと!?」
「自分達だけ逃げ出そうという気か!」
『敵の狙いは本艦です! 本艦が離れなければ、本艦が離れない限り、敵は諦めません!』
「うっ……」
『アラスカは無理ですが、この位置なら、地球軍制空権内へ降りられます! 突入限界点まで持ち堪えれば、
ジンとザフト艦は振り切れます。閣下!』
「ぬぅ……。マリュー・ラミアス。ふん! 相変わらず無茶な奴だな」
『……部下は、上官に習うものですから……』
「いいだろう。アークエンジェルは直ちに降下準備に入れ。限界点まではきっちり送ってやる。送り狼は、1機も通さんぞ!」
『はい!』
アークエンジェルとの通信が切れる。ハルバートンはホフマンに命ずる。
「シャトルも脱出させておけ。同じくアラスカには着けないだろうが、これ以上戦闘に巻き込まれるよりよいだろう」
「はっ」
653 :
523:2007/09/22(土) 12:32:37 ID:???
私はストライクのコクピットに座って戦況を聞いて一喜一憂していた。
怖い……何も出来ないのが怖い。
『総員、大気圏突入準備作業を開始せよ』
とうとう降りるのね。うまくいくといいけど。
『イージス、ブリッツ、先陣隊列を突破! メネラオスが応戦中!』
「艦長! ギリギリまで俺達を出せ! 何分ある?」
フラガさんが要請する!
「このままじゃぁ、メネラオスも危ないですよ! 艦長! カタログスペックでは、ストライクは、単体でも降下可能です!」
「ええ、でもやった人はいないのよ? ……わかったわ。許可します」
「ただし、フェイズスリーまでに戻れ! 高度とタイムは常に注意しろ!」
「はい!」
「こんな状況で出るなんて、俺だって初めてだぜ……!」
「ルナマリア・ホーク、行きます!」
「……動きが鈍い! 重力に引かれてるの!?」
でも! 頑張らなきゃ!
幸いジンでここまで降りてくる命知らずはいない。
見つけた! イージス!
イージスは私を認めると、こちらにやってきた!
「ルナ! ルナマリア・ホーク」
「アスラン! あなた馬鹿よ! このまま大気圏突入するつもり!?」
「目的も果たせずして、今更戻れるか!」
「しつこいんだよ! お前らぁ!」
フラガさんもうまくブリッツを牽制している。
「アークエンジェルに着艦しなさい! 投降して! そうすれば無事に地球に降りられるわ!」
「うるさい!」
私の忠告はアスランを怒らせてしまったようだった。
本気で攻撃して来る! 私は回避に専念する。
ああ! アークエンジェルと離れてしまう!
――! 上から衝撃が来た。
何? あ、残ったローラシア級が、爆発している! やった。
でも、今の衝撃で決定的にアークエンジェルと離れてしまった。……もう、この高度ではストライクでは戻れない。
!? アークエンジェルが、寄せて来てくれてる!? これなら、なんとか……
654 :
523:2007/09/22(土) 12:32:51 ID:???
「もはやこれまでか!」
ラウ・ル・クルーゼは唇を噛んだ。
自らもシグーに乗り込みモビルアーマーを落としまくったものの、地球軍は未だに18隻を数え、モビルアーマーも50機はいるだろう。
アークエンジェルまで辿り着いたのはイージスとブリッツのみ。その2機も、重力でこれ以上の攻撃は無理そうだ。
それに対してこちらはガモフをやられ、デュエル、バスターを除けばジンも残りは6機。その半数は被弾、バッテリー充電のために戦線を離脱している。
――! 閃光が走った。ツィーグラーがやられた光だった。
「潮時か……! アデス、撤収するぞ! モビルスーツ隊に撤退命令を出せ!」
ヴェサリウスから、撤退信号が放たれる。
「ハルバートンめ! 能力を侮っていたか……! 次は見ていろ!」
モビルスーツを収容すると、ヴェサリウスは最大戦速で撤退していった。
メネラオス艦橋では、ナスカ級が撤退するのを確認しても、誰もが無言だった。引き続く被害報告に、感覚が磨耗していたのだった。だが、
「どうやら勝ったな」
彼らの司令官がぼそりとつぶやくと、艦橋のあちこちから、勝った……勝った……と言う声が聞こえ始め、それは歓喜の声に変わった。
「「ばんざーい! ばんざーい!」」
「アークエンジェルはどうか?」
「は。どうやらアフリカに降下したようです」
「そうか……無事にアラスカまで辿り着ければよいのだが……」
勝ったとは言え艦艇の約半数、モビルアーマーの2/3を撃破されると言う大損害を受けている。
これでアークエンジェルがアラスカに辿り着けなければその犠牲が無駄となる。
「だが……これ以上ここにいても出来る事はなさそうだな。各艦、モビルアーマーの収容及び生存者の救助を行え! 帰還する!」
655 :
523:2007/09/22(土) 12:37:54 ID:???
バスターのアサルトシュラウド……手っ取り早く修理するとしたらと考えるとああなりました。
次に現れる時は、時期によりますが本来の姿に戻ってるかもです。
故障度により地上降下するのがイージスとブリッツになりました。
でも物語にはほとんど影響しませんw
アルスター事務次官とハルバートンが生き残りました。
これにより史実よりモビルスーツの開発が促進されるかなー。
656 :
523:2007/09/22(土) 12:44:33 ID:???
それから突撃機銃のご指摘ありがとうございます。
wiki修正しておきました。
おお、早くも最新話が投下されましたか。
最近過疎気味なのでまた勢いが戻るといいですね。
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