シンは仮面ライダーになるべきだ 4回目

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1通常の名無しさんの3倍
様々な組織と戦う、孤高のヒーロー、シン・アスカ!
頑張れ、僕らの仮面ライダー!

※慢性的に過疎スレなので短編、長編、絵師問わず職人さんジャンジャン募集中

前スレ:シンは仮面ライダーになるべきだ 3回目
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1154148879/l50

まとめサイト:31氏
http://www15.atwiki.jp/sinatmaskedrider/



2通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 22:33:32 ID:???
>>1
乙!
職人さんか?
容量気づかなくて申し訳ない
3仮面ライダーD+の作者です。:2007/02/19(月) 22:33:56 ID:???
すみません。容量にぜんぜん気が回っておらず書き込めなくなっていました。
その上勝手に次スレを立てて誘導もできずに申し訳ありません。
途中まで書き込んだ第三話はどうすればいいんでしょうか…最初から
書くかそのまま続けるか…。本当にごめんなさい皆さん
4通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 22:37:40 ID:???
>>3
職人スレたてしてもらってすまんな・・・
第3話は俺は読んだから別にいいけど
他の奴らも前スレから読むんじゃないかな
5仮面ライダーD+:2007/02/19(月) 22:40:41 ID:???
>>4
了解しました。ということで続きいきます!

シンは今までにない程集中していた。命を掛けて戦っている最中で元々持っていた集中する能力が更に高くなったのである。
今の彼に【MSを倒す、その手段】以外何も考えていない。己の脳と肉体をフルに活用して突破口を見出そうとしている。
攻撃をかわし、逃げているシンはジェットコースターの発車場まで来ていた。当然皆避難して誰もいない。
そこに来てシンは閃いた。漫画であったら豆電球の一つや二つは頭の上に召喚されているところだろう。怒涛の連続攻撃をかわし
シンはジェットコースターの線路を駆け上った。その高さ約30メートル、ビルの6〜7階の高さに相当する。
MSもシンの後を追い駆け上がる。幅が狭く一体ずつしか登ることができなかった。全速力で駆け上がりシンは線路が一番高くなっている所に
辿り着いた。後ろには一列に並んで五体のMSがこちらに向かっている。
「よし…!」
そう呟きシンは今来た道をダッシュで引き返した。先頭のMSとの距離がグングン縮んでいく。シンは走った勢いを拳にに乗せMSの頭部に左拳を打ち下ろし気味に力任せに叩きつけた。
かなりの手ごたえがあった。MSはそのまま後ろに向かって倒れていく。後ろの四体を巻き添えにして、将棋倒しに30メートル下の地面へと落下していった。
五体が綺麗に折り重なって横になっている。そこに飛び込む六番目の青い影。
シンは自由落下に身を任せ五体のMS達に向かい急降下する。膝から着地、その鋭い膝による一撃はMSを易々と貫いていく。すぐさまバックジャンプでMSから離れる。
ーダンダンダダダンッー
連続花火のように爆発音が五回、無人の遊園地に響いた。
シンはその爆炎をじっと見つめていた。するとなにやら人影のようなものが炎の中から現れてきた。
しとめそこなったのか、最初はそう思っていたが徐々にシルエットが明らかになるにつれてそれが間違いということがわかる。
鋭い牙、長い両手に鋭い爪。黒い甲羅のような肌、左上半身に大きく縦に走った傷がある。シンが最初に戦い倒したはずの黒いMSだった。
「そんな…どうして…確かにあの時倒したはずじゃ…」
予想だにしないキャストの登場にシンは動揺を隠し切れなかった。
黒いMSは以前とは幾分形が変わっていた。全体的にボリュームが大きくなった印象でボディビルダーのような体系をしていた。
そして一番の変化は一番の特徴であった両手の爪。小さいナイフの大きさだったものが今では脇差のような長さに伸びている。
6仮面ライダー:2007/02/19(月) 22:41:38 ID:???
爪というより、もはや剣である。黒いMSはその両手の剣を引きずってこちらへゆっくりと近づいてきている。
堅いコンクリートを豆腐のように引き裂く剣。ただ引きずっているだけだが、その鋭さは以前より格段に上がっている事が目に見えてわかる。
黒いMSは急に立ち止まり両手を胸の前で交差させた。それぞれの鋭い剣がぶつかり甲高い音が鳴る。
「ぶるるるぉぉぉおぉぉぉぉぉおぉぉおお!!!!!!!!」
突然の咆哮。辺りの木々が突風にあおられたようにざわめき出す。体につけられた怒りの叫びか、それともシンとの再会に喜んでいるのだろうか。
その瞬間、怪物がシンの視界から消えた。次に現れた時は自分の真横にいた。怪物の一撃、シンはそれを辛うじてかわす。
「こいつ…昨日より迅くなってる!!?」
前回戦った時はスピードで圧倒していた。しかし今いる黒いMSは明らかにスピードが上がっていた。
両手をバンザイの状態にしてから両手を交差する形で襲い掛かる。シンは後ろに飛び退きかわすが爪の長さが以前よりも長くなっていたせいで
かわしきれない。胸の装甲板の一部を抉り取られてしまった。いくらライダーの装甲とはいえあの爪を食らってしまえばひとたまりもない。
MSはすかさずシンを追いかけ追い討ちの突きを三連続で放つ。シンは全てかわし、三回目の突きを引く手と同じスピードでMSの懐に飛び込んだ。
MSが動き出す瞬間、シンは足のスタンスを十分に広げボディブローを高速回転で叩き込んだ。
やはり相手は成長している。スピードも防御も、シンは以前よりも拳からの手ごたえを感じなかった。それでもシンはお構いなしに殴り続けた。
MSも黙ってやられはしない。攻撃の手が緩んだのを見計らいシンの頭目掛けて鋭い牙をもっての噛み付きに出た。
気配を察知したシンは頭を円を描くようにしてその顎をかわしバックステップをする。そこで浮いた顎を目掛けて体のばねを十分に使ったアッパーを叩き込む。
MSの体が浮くほどの凄まじい威力、MSの脚が地面から離れた瞬間をシンは見逃さなかった。そのまま密着するほど足を踏み込み
全体重を乗せ体をぶつける。八極拳の鉄山靠という技によく似ていた。MSは渾身の攻撃をもろに喰らい吹き飛びコンクリートの壁に叩きつけられた。
成長したMSをも圧倒するシン。それはなぜか?それは実に簡単な事でシンも同じように成長していたからである。成長したというのは身体的なものや技術的なものではない。
精神的に成長したのだ。以前戦った時は流動的に、仕方なくという意味合いが強かった。しかし今回は違う。自分の意思で変身し戦っている。
このスーツは装着者の精神を読み取り物理的な力に変える。そういった特殊な機能を持っていた。その意志が強ければ強いほど、シンは強くなるのである。
そんな成長したシンの攻撃に耐え、MSは立ち上がってくる。だがダメージは残っているのだろう。動きがさっきまでとは違う。全体的に遅くなっている。
7仮面ライダーD+:2007/02/19(月) 22:42:42 ID:???
このままじゃキリがない、次で決めてやる。」
シンは変身に使った携帯を腰から引き抜いた。変身時と同様携帯をベルトにかざすとベルトから機械的な音声が流れる。
ーデュートリオンチャージー
ベルトから右足に掛けてエネルギーが流れるのをハッキリと感じる。そのエネルギーが大きすぎて溢れているのだろうか
脚から断続的に放電現象がおきている。
黒いMSは腰低くし全身のばねを使いシンに向かって突っ込んだ。どうやら最後の賭けに出たらしい。
「いくぞ化け物…こいつでクライマックスだっ!!!!」
叫びながらMSと同時にシンもMSに向かって走り出す。
黒い影と青い影が一気に近づいていく、先に仕掛けたのは黒い方だった。弓から放たれた矢のように飛んだMSはその勢いのままに
シンに向かって両手を合わせた一刀両断の唐竹割りを繰り出した。その時シンの感覚が一瞬を永遠に引き伸ばした。MSの攻撃と同時にシンは大地を蹴った。
シンは空高く飛んだ。その動作はMSの渾身の一撃を紙一重でかわす。とてつもない破壊エネルギーを持ったMSの攻撃はコンクリートを文字通り粉々に砕いた。
砕けたコンクリートが埃となり辺りに舞い上がる。その中に飛び込んでくる青い弾丸。シンは空中で体をしならせている。
「くらえ、ライダーキック」
シンは思わずそう口にしていた。ありったけの力を込めて右足をMSの頭部に叩きつける。インパルスの右足からMSにデュートリオンパワーが流れる。
MSの体ではそのエネルギーを受けきることはできず、キックの衝撃で地面に倒れた後爆発していった。
シンはその爆発が収まるまで見届けた。残骸すら残っておらず二度とこのMSが現れない事を確認してからようやく変身を解いた。
辺りに静寂が訪れた。すでに日は落ちていて辺りはすっかり暗くなっていた。他の人に見られる前にシンはその場から立ち去った。
その後バイクに乗りながら考えていた。今日あった出来事は忘れてはいけない、これから自分が成すべき事を確認して、改めて決意を固めた。
そして帰宅する前にシンはある場所へと向かった。
ポイントX−103、デュランダルの自宅だ。
夜になるとデュランダル邸は昼よりも異質な雰囲気を放っていた。窓から明かりが漏れていなければ幽霊屋敷にしか見えない。
シンは門の前にバイクを停め呼び鈴を鳴らした。
8仮面ライダーD+:2007/02/19(月) 22:45:15 ID:???
しばらくするとインターフォンをとる音が鳴り、威厳ある声が聞こえた。デュランダルだ。
「はい、どなた様ですか。」
「あの…俺です。シン=アスカです。」
「やぁシン君。よく来てくれたね、一体どうしたのかな?」
デュランダルは皮肉でもなんでもなく歓迎するように言った。あんな風に出てってので多少気まずいものはあったのだが
デュランダルの対応にシンは少しほっとした。
「…さっきはスイマセン。勝手に飛び出したりしちゃって…」
「ははは!いや、いいんだよ。誰だってそうするだろうし私だってそうするからね。気にする事はないよ。」
「ありがとう…ございます…」
シンは本日二度目、デュランダルに意を決して自分の気持ちを打ち明けた。
「あの俺!まだよくわかんないんですけど、戦ってみようと思うんです、MSってやつと。人類全部を守るとかよくわかんないし
そんな事俺なんかにできる訳ないですけど…自分のやらなきゃいけない事っていうのが、少しだけわかったような気がして…
守りたいんです。俺の周りの大事な人達を。そのためにこの力を使いたいんです。」
一気に言った。しばらくの沈黙が流れる。デュランダルが口を開くまで数秒の時間だったがシンにとっては何時間にも感じられた。
「本当かいシン君?いや、理由は聞くまい。君がその気になってくれるとなると、私はとても嬉しいよ。」
インターフォン越しの声だったがデュランダルの声は本当に嬉しそうに聞こえた。
「ありがとうございます。それじゃ、これで失礼します。」
「そうか。ところで夕飯はまだかね?よかったごちそうさせてくれないかな?」
ありがたい話だったが今日は色々ありすぎて疲れていた。食欲もなくシンは誘いをできるだけ丁重に断った。それでもデュランダルはかなり渋っていたが。
そのまま帰宅し、シンはそこで明日数学の小テストがあることに気づいた。しかしあれだけの事があって体は限界だ。明日朝早く起きて勉強しなきゃ
と考えながらシンは眠りについた。こうしてシンの激動の二日間は幕を閉じたのであった。
9仮面ライダーD+:2007/02/19(月) 22:46:38 ID:???
シンが自宅で眠りについた頃、遠く離れた場所で。街の煌びやかなネオンの明かりが眩しい。真っ暗な部屋に人口の星々がが差し込んでいる。
その部屋に一人の若い男が立派な椅子に腰を掛けており、その膝元には高級そうな猫がごろごろと居座っている。
静かな部屋にノック音が響き渡り椅子に座った男が入室を促す。
「失礼します。」
入ってきたのは軍服のような服をきっちりと着こなした背の高い男だった。顔の上半分が隠れる鉄のマスクをつけている。
「昨日一昨日とプラント本国に成体MS一体、幼体MS六体を送り込み破壊工作作戦を実行しましたが、外的要因で全体破壊され回収不能になりました。」
マスクの男の報告を受け、膝の上の猫をなでる手を止めた。
「外的要因…?具体的には何なんだ。」
「不明であります。」
マスクの男は悪びれもなく言った。それに気分を害する様子もなく椅子の男は淡々とマスクの男に命じた。
「では調査を開始しろ。どんな手を使ってもいい、わかり次第私に報告しろ。ネオ=ロアノーク大佐。」
「了解しました、ジブリール会長。」
やや大げさな敬礼と共に返事をしネオと呼ばれた男は部屋を出て行った。
椅子に座った男、ジブリールは誰もいない部屋で語りかけるように言った。
「そうか…とうとう動き出したか。デュランダル…それに、アスカか…?ふふふ…フハハハハッ!!」
いきなりの高笑いに驚いたのか、膝の上にいた猫は膝から飛び退き近くのソファに身を沈めて丸くなった。
10仮面ライダーD+:2007/02/19(月) 22:49:48 ID:???
以上で第三話終了です。今回短いですがまぁ戦闘描写を重視したのでこんなものかなと。
電王にカブト、それに昭和の様々なライダーの要素をパクリまくってこの作品は
できています。よかったら元ネタ探しもやってみてください。それではまた。
11通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 22:54:44 ID:???
たまに知ってる台詞とか場面がでてくるのでニヤニヤしながら
楽しんでますw
GJ!!悪役の登場といい王道さ逆に新鮮
続きをマターリ待ってます!お疲れ様でした
12通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 22:56:50 ID:???
乙。

どうでもいい上に先週だが。

/    ゙y´ :{  ヽ    /ヽ   ...}イ |:::::λ:l::::::j
. 〈       {l N-‐''゙   〈  〉    ヽl::::/リノ::: (
  ヽ!:     リ、|  ,.-‐-、. `Y:| ィ'" ̄ヽリノ /:::::::: i
   |l:    / ヽ_イ......._ノ   |:l ヾー┬''゙  /:::::::::: | 俺のかっこいい変身、
   |l   ∧  ``T´     |!   _,」   〈:::::::::::: ', 見せてやるから良く見とけ!
.   }!.   { l',     ゙r──‐┬'"´ レ''"`7!::::: :: ヽ
  ノ::.  l ドf ̄`ヽl ,_,. ===-、,   。 ,'::|!::    \
 (:.:::::}    ト-゙、    {l::r'"`:i:'"`lリ  ゚ ノ::::'、:      ',  変身!!
.  ヽ::l:    !:::::::ヽ    ヾ、__,〃   ,イ:::::::::\   ト、i
 /:::|:: | l:::::::r=辷_、  `二二´  /_」`!::::::::〈`   | リ
13通常の名無しさんの3倍:2007/02/19(月) 23:20:10 ID:???
変態仮面乙
14通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 01:16:01 ID:???
今変態仮面出すんだったらやっぱ

 /    ゙y´ :{  ヽ    /ヽ   ...}イ |:::::λ:l::::::j 
. 〈       {l N-‐''゙   〈  〉    ヽl::::/リノ::: ( 
  ヽ!:     リ、|  ,.-‐-、. `Y:| ィ'" ̄ヽリノ /:::::::: i 
   |l:    / ヽ_イ......._ノ   |:l ヾー┬''゙  /:::::::::: |  
   |l   ∧  ``T´     |!   _,」   〈:::::::::::: ',   ごめんなさぁぁぁぁい!! 
.   }!.   { l',     ゙r──‐┬'"´ レ''"`7!::::: :: ヽ 
  ノ::.  l ドf ̄`ヽl ,_,. ===-、,   。 ,'::|!::    \ 
 (:.:::::}    ト-゙、    {l::r'"`:i:'"`lリ  ゚ ノ::::'、:      ',  
.  ヽ::l:    !:::::::ヽ    ヾ、__,〃   ,イ:::::::::\   ト、i 
 /:::|:: | l:::::::r=辷_、  `二二´  /_」`!::::::::〈`   | リ 

だろw
15通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 09:24:25 ID:???
このスレでレイが変身したらと想像すると、既にあのポーズしか思い浮かばないから困るw

そして職人さんGJ!
これぞ、まさしく王道、シンには熱血がよく似合う
それにしても改めて思うが、シルエットシステムだのデュートリオンだの、
種ってどう考えてもガンダムじゃなくて、特撮の方がネタ的に向いている気がするな
16通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 11:50:19 ID:???
前スレ545
一応ハイパーガタックが存在するが

本編での出番は皆無だし、外見上の変化も顔と胸だけだが
17通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 12:06:58 ID:???
よつべで楽しく555を見ているうちに新スレが・・・

GJっす!!
シンの戦い方はがむしゃら系ですよね
18通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 13:06:01 ID:???
GJ!
そして新スレ記念投下
↓仮面ライダーインパルスソードフォーム
http://q.pic.to/cabmy

携帯からなんで見辛くてスマソ
19通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 17:48:21 ID:???
>>18
GJ!色付きも見てみたい
どんどん職人さんが増えるといいな
20通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 21:20:37 ID:???
>>18
バランスよくかけていてすごいなぁ
シンプルな感じが好きだ
21通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 22:16:26 ID:???
\\\
\〃⌒`⌒ヽ
 i ((`')从ノ
  i,,ゝ ´Д`)    ))
   G   と)  ´   `ヽ
    ヽ⌒)、 \人 (( ))ノ
      ̄ (_) >))Д`):.,∴
         ∨つ   /

ジャスティスキックー!!!
22通常の名無しさんの3倍:2007/02/22(木) 02:32:56 ID:???
>>19-20
ありがとうございます。
シンプルなのを目指していたので、そう言ってもらえると
うれしいです。
あと、イラスト第3弾
↓仮面ライダーインパルスブラストフォーム
http://j.pic.to/cdbs5

お粗末ながら、これでインパルスは3形態制覇です。
職人さんを待ちつつ、次は何描こう?
23通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 01:50:45 ID:???
GJ!
次は敵MSでも…って描きにくいかw
24通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 08:31:17 ID:???
ウラタロス声だれだ?
25通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 08:32:57 ID:???
>>24
遊佐浩二
26通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 10:59:31 ID:???
ガタックゼクターの声と同じ
27通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 02:38:28 ID:???
保守
28通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 08:08:26 ID:???
>>26
ゼクターの声もやってたのか。知らなかった。
29通常の名無しさんの3倍:2007/03/01(木) 08:56:25 ID:???
ハイパーバトルDVDでね
30通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 08:34:07 ID:???
>>29
なるほど、d
たまにはageてみる
31通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 22:40:58 ID:???
敵MSといえるかどうか微妙な上、まだ出てきてない作品が多いので
自分の妄想だけでできております

↓仮面ライダーフリーダム
http://g.pic.to/6y9b9

何度も書き直したせいかいつも以上に汚いな…
32通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 09:39:46 ID:???
羽のあるライダースゴスw
33通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 14:08:28 ID:???
最初から羽生えてるんじゃなくて、展開すると一気に出てくる方がいいんじゃないかな
ハイパーカブトのアレみたいに
34通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 14:49:58 ID:???
ライダーじゃないが、OVA版のダグオンみたく
マフラーが羽の意匠になってるとか

普段はマフラーっぽい感じだが、飛ぶ時だけ羽みたくなるな感じで
35通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 11:21:01 ID:???
描き直してみました。
ハイパーカブトのあれはどちらかというとデスティニーっぽいので
こっちはマフラーやマントをイメージしました。

↓仮面ライダーフリーダムver2
http://t.pic.to/7mqmi

展開状態の方もいずれ…
36通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 03:00:18 ID:???
この絵に白黒青の色をつけて想像してみたら結構かっこいいかも
37通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 16:59:41 ID:???
保守
38通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 15:04:06 ID:???
上げ
39通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 21:07:20 ID:???
保守

最近投稿少ないね。もうすぐKIRAの4話出来そうだけど、投稿いいっすか?
40通常の名無しさんの3倍:2007/03/16(金) 22:47:47 ID:???
来いっ!新作ゼクター!!
41仮面ライダーKIRA:2007/03/16(金) 23:44:16 ID:???
PHASE-04 闘士と銃士


ライダーになってから既に三週間が経過していた。普段は学生を、ZAFTが出現したらライダーという生活をなんとかこなしているキラ。
だが、キラよりも前にライダーとなった人物は今だに不明のままだった。
「う〜ん……誰なんだろう?」
ZAFTの存在が学校でも゙異形の怪物゙として知られるようになったが、ライダーの事をもらすわけにはいかない。
誰かに聞くわけにも行かず、アスランは教えちゃくれていない。
「キラ、今日は転校生がくるらしいぜ」
「転校生……」
ZAFTだったとはいえ、本当にサイは死んでいる。サイは急な転校という理由で通ってはいる。
が、事情を知っているキラを含めたアークエンジェルに属する人間はあまり触れてはいない。
だが、これで少しは気分が明るく……


「Ha〜い。俺、ディアッカ・エルスマンっていうだ、よろしく」
「……」
いくらなんでもめちゃくちゃなキャラをしている。どうやら帰国子女らしいのだが、どうもエセ外国人にしかみえない。
マリューもやや引き気味でいて、声の調子がおかしい。
「えぇ〜と、ディアッカ君の席は……」
「Oh〜!!先生、あなたはとてもお美しい……あなたの膝を俺の席にしてください……」
さすがアメリカ帰り……とてつもないナンパ野郎ではないか。教師に手を出すのはさすがにやばいだろうに、彼は止まらない。
42仮面ライダーKIRA:2007/03/16(金) 23:45:45 ID:???
「はいはい、早く席について……」
ZAFTとの戦いで疲れてるだろうに、教職ともなればなおだ。しかも、こんなハチャラケた奴とは……。
「美しきレディ達、俺からのささやかなプレゼンツを受け取ってくれ」
制服の中から小さい瓶を取出し、配っていく。どうやら香水らしい。悔しいが本当にいい匂いで、女子達も魅入ってるようだった。
「いや、あの量は制服のどこに?」


休み時間、ディアッカの周りは数人女子がいるだけだった。思ったより集まらなかったせいか、本人は些かがっかりしているようだった。
「女好きなんだな……あいつ……」
そういうお前もな、とトールを軽視しながらミリアリアはディアッカの机の前に立った。
「あの……」
「ウォ〜、君のような可愛いガールに見初められるなんて……俺の運はグレイトだぜ」
予想以上のキザさに呆れつつも香水をポケットから出して机の上に置いた。
「嬉しいんだけど、初めて会った人にこんなのを貰うわけにはいかないよ」
「……確かに俺はガールが好きだけど、本当にこれは下心なしのプレゼントだ。素直に受け取ってほしい」
マジでどこまでも女好きなようで、
「君の香りはこの香水より甘い……俺はもっと君に美しくなってほしいんだ」
うざったい台詞が出ている。ミリアリアもさすがに呆れた様子でいた。
「そうだ、学校終わったらデーツしようじゃないか?」
「え……お断わりしておくわ……」
それから、ディアッカは暫らく落ち込んでいたという。
43仮面ライダーKIRA:2007/03/16(金) 23:47:58 ID:???
アスランの教室はキラの教室に比べるとかなり静かであった。むしろあんなうるさいクラスはないだろう。
(退屈だ……)
ベランダに出て空を眺めながらボーッとしていた。ふと下を見ると、銀髪の少年が校庭のゴミを拾っていた。
「イザーク、何をしてるんだ?」
「わからんか?ゴミを拾ってるんだ。これも生徒会の役目だ」
彼はイザーク・ジュール。キラやアスランの友人であり、生徒会役員でもある。真面目で熱すぎるためか、与えられた仕事をどこまでも追っている。
「手伝おうか?」
「いらん!!それより……」


゙ピーピーピーピー゙

「!?」
キラは腕時計が鳴ったため、トールやミリアリアと共に急いで教室を出た。
腕時計にはアークエンジェルから知らせがくる。つまり、腕時計が鳴る時はZAFTが出現するときである。
「トール達はマリュー先生達と一緒にアークエンジェルへ。僕はこのまま行くよ」
「わかった!」
普通バイクに擬態させてあるライドグラスパーにまたがり、急いでZAFTの出現場所へむかった。


場所は造鉄所。既に数人の作業員は息絶え、その肉を喰らわれていた。ZAFTは4体。ジンが2体、シグーが1体、もう1体は……
キラが初めに着いたようで、作業員の屍と転がる肉片を見て憎悪と少しの吐き気に襲われた。
「う……なんでこんな事を……」
喰った人間に擬態したジンはそう問い掛けるキラに言葉を返した。
「生きるためだ。お前ら人間が他の動物を食うように、俺達も人間を喰うんだ。どこがおかしい。」
歯ぎしりをしながらバックルを取り出して、腰にはめる。そして右腕を斜めにした。
「変身!!」

゙CHANGE STRIKE゙

バックルが叩かれた事で開き、キラの姿はストライクへと変化した。
44仮面ライダーKIRA:2007/03/16(金) 23:51:26 ID:???
フォームをエールに変換しジンを払いながら、今までとはまた違った大型の敵に斬り掛かった。
しかし、そのZAFTにサーベルは届かなかった。なぜだ?、と思って見てみると奴全体に光の壁に覆われていた。
「このアルテミスの゙アルミューレ・リュミエール゙を破るのは何人たりとも叶わん!!」
岩石のような皮膚だが、確かにモノアイがあってZAFTなのはわかるのだが、こんな能力があるのは聞いていない。
とにかく、あのバリアを破らなければ勝ち目はない。と、なれば欲しいのは機動力より火力だ。

゙CHANGE LUNCHERSTRIKE゙

先日ジンハイマニューバを倒したアグニの火力ならば……ストライクは引き金を引いた。赤色の閃光が相反する緑のバリアと衝突した。
爆煙が舞い上がる中、黄色の光筋がストライクに当たる。電撃を浴びたように衝撃が走った。
煙が晴れると、そこには依然としてアルミューレ・リュミエールに包まれているアルテミスがいた。
アグニを持ってしても破れないとは誤算だった。ライダーキャノンを撃っても破れるとは限らないし、隙だらけになってしまう。
「どうする……っ!」
直進せずに弾丸がストライクを横切った。方向はジンの方だ。マシンガンでは到底起きようのない爆音と爆発。
意外なほどに呆気ない理由であった。ジンはそれぞれバズーカ、巨大なライフル、ミサイルをもっていた。
45仮面ライダーKIRA:2007/03/16(金) 23:57:42 ID:???
「装備が変わっている……?」
バルトフェルドが言っていたような気がする。ZAFTは人を捕食する目的は生存のため以外にもあると。
「己の進化のため……か」
喰ったものを肉とし、力とし、知とする。それは人間や他の生物も同じ事。それだけに厄介である。
巨大なライフルをもったジンは照準をストライクに向ける。銃口が光った瞬間にさっと横に避けるが、ストライクのいた場所は風穴が開いていた。
「ビームか!?。該当データは……特火粒子砲」
頭脳に直接伝わってきているストライクに入力されているメモリーの中にはそうあった。
ライダーの装甲として使われている゙フェイズシフト(PS)装甲゙でも数発くらい続ければ破損するらしい。
「実弾だったら……うわっ!」
記憶されてるデータにはD装備とある。火力はマシンガンのジンに比べると遥かに強力であり、装甲にもダメージが及んでいた。
「くそ……」
ランチャーを使おうにも砲撃が激しく、取り回せない。アルテミスからも先程の電撃が放たれ、少しずつダメージが蓄積されていった。

ブウゥゥゥン……


工場の壁を突き破り、2台のバイクが入ってきた。そのままジンを跳ねとばし、ストライクの前に止まった。
「アスラン……と、イザーク?」
「そうか…キラがストライクだったのか……」
悪戯心で互いの正体を教えないアスランにやや苛立ちながらも、状況的にふざけあってる場合ではない。
2人はバックルを取り出し、腰に巻き付けた。アスランは胸の前で右手を曲げて、イザークは右手を相手に開いて向けた。
「変身!!」 「変身!!」
46仮面ライダーKIRA:2007/03/16(金) 23:59:16 ID:???
゙CHANGE AEGIS゙
゙CHANGE DUEL゙

声が重なり合って、2人は相対する赤と青のライダーに装甲を纏った。デュエルと音声があったライダーは青色の眼をしていて、全体的にも青が目立つ装甲だった。
「イザークがデュエルだったなんて……。あの敵はバリアを破らないと勝てない……」
「恐らくバリアを張る何かがあるはずだ。それを叩ければ……」

〜〜〜〜♪

誰かが口笛を吹いている。聞き覚えのある感じの西部劇風である。
「多勢に無勢はよくNeえよな……」
そこにはあのナンパ野郎、ディアッカがいた。そして手には茶色いバックルが握られていた。
「ディアッカ?」
「俺もあの後ボイン先生についてってよ。渡されちゃったのよね〜」
本当は自分が勝手でたんだが。見よう見真似で腰にバックルを巻いて、開いたベルトからのフィールドに包まれて茶色い装甲を纏った。
黄色い眼をしていて、重戦車のような風格である。

゙CHANGE BUSTER゙

ストライクが起き上がり、四人が並んでZAFTと対峙している。そして、一人一人が目の前の敵に立ち向かっていった。

イージスはバズーカを持っているジンに向かっていった。ビームライフルでバズーカを撃ち落とし、両腕のサーベルでジンの爛れたような皮膚を斬っていく。
「シー、シー!!」
「はぁ!」
ジンも腰にある剣を抜こうとしたが、足からもサーベルを出して回し蹴りのように振ってジンの腕を切り落とした。
その苦痛で絶叫して錯乱したジンは既に戦闘能力は無かった。

゙X-303 ライダースラッシュ゙

「でぇい、うらぁ!!」
ジンの体に深い切り傷が彫り込まれ、緑色の血液を吹き出した。
47仮面ライダーKIPA:2007/03/17(土) 00:19:09 ID:???
D装備のジンはバスターへ向けてミサイルを全て撃った。放物線を描きながら接近していく。
しかし、バスターに同じる様子はなく、冷静に状況判断を下した。一歩下がり、右腰にあるガンランチャーを撃った。
拡散砲弾が触れると爆発が起き、バスターにその火の粉がかかることはなかった。
「甘い甘い。俺を落とせるのは可愛い女の子のみってもんだ」
ジンは装備を外し、剣を振りかざしてバスターへ向かってきた。バスターの装備は二種の砲であるため、接近戦ならば勝てると踏んだのだ。あながち間違ってはいない。
だが剣を払い、バスターはジンを肉弾戦でも圧倒していた。ガンランチャーをバットのように振り回してジンを自分から離すとベルトの番号を押した。

゙X-103 ライダーシューティング゙

左腰の狙撃ライフルを前に、右腰のガンランチャーを後ろに連結させて、自身の身長を上回る長距離狙撃砲をジンに向けた。
「行くぜ、グゥレイト!!」
ベルトから長距離狙撃砲へとエナジーが伝わり、銃口から光の帯が放たれた。逃げようとしたジンも避けれずにそのビームで押されていった。


特火粒子砲をデュエルに向けて放つも当たる様子はなかった。素早い動きで接近され、サーベルでジンは斬られていく。
「でゃ!でぇい!!」
剣を抜くことが出来ずに斬撃を浴びていく。デュエルは片手で番号を押していった。

゙X-102 ライダーキッグ

サーベルを振るうのは止め、飛び上がって空中での回し蹴りをジンにぶつけた。火花を散らせながらふらふらとジンはどんどん後退していく。
48仮面ライダーKIRA:2007/03/17(土) 00:21:08 ID:???
゙CHANGE SWORDSTRIKE゙

エール、ランチャーと2つに並ぶ3つめのフォームであるソードフォームに変化した。左肩には取ってのあるパーツが、右背部には巨大な刀が装備されていた。
手に持つと見た目どおり鈍重であった。しかし、ストライクは初めてにも関わらずその刀・シュゲルトゲベールを構えて走っていった。
「ふん、どんな攻撃だろうとアルミューレ・リュミエールは……」
シュゲルトゲベールを突き出してアルテミス本体から出てる部分へ突き出した。刄はそれに突き刺さり、光の壁は消え去った。
「馬鹿な……なぜわかっ…」
即座にシュゲルトゲベールの刀身を右斜めに切り上げる。岩盤のような堅い皮膚が裂かれ、血と火花が散布される。
一撃の威力が大きいのか、扱いにくいのか、ストライクは突き上げるように相手を突き飛ばした。アルテミスはふらふらと震える。

゙X-105 ライダースラッシュ゙

「ライダースラッシュ!!」
右肩に乗せるように持っているシュゲルトゲベールを左腰に振り下ろし、刀身に込められたプラズマ粒子がアルテミスの内部へと入り込んだ。
イージス、デュエル、バスターの必殺技を受けたジン達もアルテミスの方向へと辿り着いて共に大きな爆発を起こして消滅した。


四人はアークエンジェルに戻り、報告書を書いていた。
「でさ、レディ達。俺の愛情teaを飲んでくれ」
通信機の前に並ぶアサギ達でアメリカから持ってきたらしい紅茶を手に口説いていた。
「なんだ?あの不埒なやつは…」
イザークはシャーペンを握り潰しそうにするほどイライラしていた。また喧嘩が絶えなそうだ。マリューは先が思いやられる気分で報告書を受け取った。


〜to be continued〜
49通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 00:39:50 ID:???
投下乙

何だこのキモすぎる痔悪化はw
50通常の名無しさんの3倍:2007/03/18(日) 18:56:35 ID:???
乙andGJ!
痔がメリケン帰りというより、イタリア帰りっぽいと思った件についてww
51KIRA書き:2007/03/18(日) 22:46:14 ID:???
ディアッカのキャラは風間+北岡みたいな感じにしようとしたら、こんなキャラに……

前回が接写不足だったので少しずつフォームチェンジも改良してみた。
原作を基に剣やカブト要素を中心にしてくつもりです。長い目で見て……
52通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 06:58:33 ID:???
保守
53通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 21:52:46 ID:???
保守
54通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 12:07:38 ID:???
久々に投下乙。短くまとまってるな。
55通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 12:13:46 ID:U3WTcVg3
仮面ライダーシンって本物いなかったっけ?
56通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 12:44:41 ID:???
「真・仮面ライダー」ってのがあったよ
主人公が風祭真だっけかな
57通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 13:07:25 ID:???
確かセックルシーンがあって子供ができたんじゃなかったか?
58通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 15:00:45 ID:???
そういや、ブラック以降のライダーで真だけ見てないな。
なんかグロくて見る気が起きない。
59通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 15:28:39 ID:???
真は昔、ビデオ借りて見た事がある。
セックスシーンや結構グロいシーンが出てきて、ビックリした事がある。

ま、Vシネだしな。
60通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 12:11:20 ID:???
浮上
61通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 20:45:45 ID:???
シンは仮面ライダーになるべきだ、というか本当になっちゃうっぽいですよ。
ttp://ca3.blog76.fc2.com/blog-entry-56.html#more
62通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 23:13:23 ID:???
・・・そういや中の人特撮好きだったな・・・
63通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 00:36:19 ID:oRzukx2f
>>61
鈴村オメ
64通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 02:10:13 ID:???
まじでw
65通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 08:01:31 ID:mF8WzCAN
銃使いライダーならヘタレ化確定だなwww
66通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 08:37:09 ID:???
「倒すけどいいよね!?答えは聞いてない!!」

糞ワロタw
台詞だけ見るとむしろキラっぽい
67通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 10:31:19 ID:???
ダンスするらしいぜ
キモダンスをお願いする
68通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 13:15:49 ID:???
銃使い=ヘタレの法則、打ち破れシン!
69通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 16:41:25 ID:???
>>65
だが4人の中で最強って書いてあるんだぜ
フリーダムみたいなビーム体から出したり、ダンスつかって格闘したりw
70通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 17:06:37 ID:???
鈴村には悪いが他三人の声優からは見劣りするな、演技力

しかしリュウタロスは三人とは全く方向が違うし
変態っぽいから一人浮くのもキャラにあってるのかもしれん
金令木寸ガンバレ
71通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 18:10:05 ID:???
橘さんという前例があるからな・・・。>銃使いライダー
72通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 18:55:01 ID:???
橘さんナツカシスww
73通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 20:00:40 ID:???
でも電王は小林脚本だ
同じ銃使いライダーでもゾルダはヘタレなかったろ?
74通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 21:18:34 ID:???
何か知らんけどゾルダをヘタレ扱いする奴多いんだよな
中盤での真司達と過度に馴れ合いすぎたギャグ展開や、タイガにボコボコにされた印象が強いんだろうか
75通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 21:26:22 ID:qGDE/xw4
76通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 21:33:40 ID:???
>>70
演技力っていうか声の若さでうきそうではあるな
だが確かにリュウタロスの設定見る限り、他のイマジンからういてるから
逆に先輩たちを食う演技をするつもりでやってもらいたい
77通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 21:51:00 ID:???
この少しネタが入った悪役臭さは・・・
78通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 21:51:57 ID:???
無邪気で残酷でしょ





……鈴村、ガンバ!
79通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 22:03:27 ID:???
2ちゃんによくネタででてくるキラに似ているよな
なんか面白そうw
80通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 22:15:02 ID:???
14話 踊るリュウタロス(仮)(4/29)

リュウタロスダンサーズを引き連れ踊る。
相手の言葉を無視した危うげな行動は、
あのモモタロスですらひいてしまうほど。
憑依の方法も普通ではない上、その目的は
「良太郎を殺すこと」だというが・・・。

「倒すけどいいよね!?答えは聞いてない!!」
と相手の返事を聞かずに銃撃を繰り出すなど、危険さも満載。

wwwww
81通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 22:55:03 ID:???
ちょwwみたくねーwwwww
82通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 22:56:34 ID:???
>>75
フリーダムwwwwwww
83通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 22:59:33 ID:???
福田は最初はキラの声優を鈴村にするつもりだったらしいが、もし実現してたら今のキラの数倍ムカつくキャラになってたろうな
84通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:01:02 ID:???
確かにw鈴村の声はムカつく声だw
リュウタロスにあってるかもww
しかしかなり楽しみ
85通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:02:58 ID:???
このニュースに飛んできた
リュウタロスネタで遊んでしまったがここってSSスレ!?
職人さんも頑張ってね
86通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:13:06 ID:???
『・・・ダイナミックチョップ。後で言うんだ。』
『じゃあ、僕怒るよ、いい?』
『倒すけどいいよね!?答えは聞いてない!!』
87通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:21:52 ID:???
一番上は別の奴の台詞じゃないか?
88通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:33:21 ID:???
キンタロス「ダイナミックチョップ!!!!」

ここのSSでリュウタロスネタいれてもらえたら嬉しいかも
職人騒いでスレ汚しすまん!!
89おおおおお:2007/03/31(土) 02:50:12 ID:n/lBUvie
仮面ライダーキラVS仮面ライダーカブト・キラあなたが天道そうだ俺俄天道だ
90通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 21:54:43 ID:???
>>88
実際に出てこないと難しいんじゃね?
91通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 20:33:47 ID:???
ここでシンタロス
92通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 06:16:54 ID:???
>シンタロス
或いは、シンにイマジンが取り付く展開デスカ。
93通常の名無しさんの3倍:2007/04/02(月) 10:02:39 ID:???
シンが単体でガンフォームになるとか
94嘘予告1/5:2007/04/02(月) 22:39:27 ID:???


おれのめのまえには
ちぎれたてあしとねじれたくびとうつろなめ
――そして、あおいはねをもった、しろい



ルナマリア・ホークは頬を緩めて道端にしゃがみこんだ。足元にまとわりついて鳴く子猫
を撫でようと手を伸ばす。
彼女の手は空を撫でた。子猫は彼女の手からするりと逃げ出して離れ、しかし彼女を待つ
ようにすこし間を空けた位置で立ち止まる。
ひとつ瞬きをしてから、ルナマリアは子猫を追った。この買い物は急ぎの仕事ではない。店
を出る時に告げられた言葉を脳内で繰り返し、子猫を追って裏路地に入り込み――

「……シン?!」


気を失った彼女を抱きとめ、シン・アスカは暗い双眸で現れたそれを睨み据えた。
相手は三体。何れも身にまとうのは身体を包むボディスーツと甲殻類のような装甲。細か
な装飾や色彩の違う三体のデザインに共通しているコンセプトは、相対する存在を傷つける
兵器というスタンス。
抱えたルナマリアを地に下ろし、シンは片手を空にかざした。腰に巻かれた玩具のようなベ
ルトが唸りを上げる。唸るベルトは光を生んで彼の身体を包みこみ、

「俺から、また奪うのか――!」

吠える。吠える吼える哮える。
シン・アスカは獣ン・アスカは獣のように吠え猛る――!


「変・身――!」




Masked Riders/SEED-Destiny
〜story of "impulse"〜



95嘘予告 間違えたorz:2007/04/02(月) 22:41:23 ID:???



「……此処は」
「お早うシン・アスカ君。ここは茶房『赤福』の従業員控室。
私が店長のギルバート・デュランダルだ」
「助けてくれたことには礼を言う、だが」
「そう焦るな。私にはもうひとつの肩書きがあってね。
――対オーブ組織『Z.A.F.T』にようこそ」


「シン、背、伸びたんだ。ちいさい頃はあたしの方が大きかったのにな。
……小さい方がかわいかったよね?」
「かわいいとか言うなって。というか俺に同意を求めるなよ」
「あ、ちょっと機嫌悪くなった……マユちゃんは?元気してる?」
「……ルナ、マユは」
懐の携帯電話を握りしめる。
応える者はもういない。


平和もつかの間、
『赤い彗星』に現れる襲撃者。


「オーブに帰ってもらうよ、『インパルス』」
「……アンタか『フリーダム』ッ!」

96嘘予告:2007/04/02(月) 22:42:24 ID:???

絶望が身を満たす。改造された拳も強化された脚も、目の前の『フリーダム』には通用
しなかった。スーパーコーディネーター。最高のスペックに改造された究極の一。究極
に至らぬこの身では、歯向かうことさえ許されないのか。
閉じた視界に映る光景。自分を見つめる硝子玉の目が三対。床に散らばる千切れた手足
と芋虫のように転がる両親、蹴られてごろりと横を向く妹の頭部、その頭部を足の下に
置く『フリーダム』。
あの惨状を起こした者に歯向かうことは許されないのか。否。答えは否、否だ。頭を垂
れて恭順を示すのならばむしろ死ねシン・アスカ。胸の内で黒い感情が沸き上がり渦巻
き荒れ狂う。絶望などというぬるいきもちはすてろ棄てろ今すぐに捨てろ、この身はた
だ復讐のためだけに在る――!
目を開ける。『フリーダム』を睨みつける。指一本動かすことさえ出来なかったが、視
線にはあらん限りの憎悪を乗せた。
口を開く。
「アンタが、マユを――!」
何故か。
その言葉で『フリーダム』の歩みがほんの一瞬止まった。
されど一瞬。
『フリーダム』は大きく飛び退き身構える。今まで彼が立っていた場所を薙ぎはらう
のは光の刃。身構えて顔を上げ、『フリーダム』は乾いた声をこぼした。

「久しぶりだね――『ジャスティス』」
「久しぶりだな――キラ」

視界に映る真紅のライダーは、シンを守るように歩み出て。

97嘘予告:2007/04/02(月) 22:45:36 ID:???

高い音。張られた頬を押さえ、シンは呆然と彼――アスランを見上げる。
真紅の装甲を纏っていた青年は、まなじりを上げて口を開いた。
「お前もライダーなら、もう少し戦い方を考えろ!
怪我人が出なかったのは幸いだが、周囲を破壊するような戦い方は二度とするな!」


アスラン・ザラは痛ましいものを見るような目でシンを射抜いた。刹那のことである。次
の刹那には視線から色を抜いていた。低い声で唸る。
「その力を、どうして守るために使わないんだ。
ライダーなら、その力は復讐のためのものじゃないことを」
「うるさい!俺はライダーなんかじゃない!」



「俺は……ライダーになんか、なりたくなかったんだ」



「帰ってきたらどうだい。
――オーブに帰れば、もう悩むことはない」

再び姿を見せる襲撃者。


98嘘予告:2007/04/02(月) 22:46:40 ID:???

「糞……、」
変身を行う時間さえ与えられなかった。身体のあちこちは痛むものの、骨まで損傷する
ような怪我がないのはひとえに『フリーダム』の手加減によるものだろう。いっそ殺せ
と言葉を出しかけたが、結局シンが吐いたものは胃液だった。薄れる意識のなかで毒づ
く。糞、このままオーブに連行されて洗脳を受けることになるのか――

「シン!」

心臓が明確な鼓動を刻んだ。赤い髪の幼なじみが彼の名前を呼んで駆け寄ってくる。そ
の華奢な体が一瞬びくりと震えたのが分かった。無理もない。あくまで『普通』の人間
が、『改造人間』を見慣れるわけもない。
「ルナ、逃げろ……っ」
かすれた声を絞り出す。小声だったが、決して聞こえないものではなかった。なかった
筈だが、ルナマリアは逃げなかった。奇妙に歪んだ視界へ映る赤毛の彼女は、真正面か
ら『フリーダム』を見据えている。
馬鹿。思考は虚しく二酸化炭素に変質した。言葉に変わらぬただの吐息を無視するよう
に背筋を伸ばし、ルナマリア・ホークは震える言葉を響かせる。
「し、シンに何してんのッ!
大声出すわよ、人呼ぶわよ!」
『フリーダム』は沈黙を守った。そのかわりに一歩を踏み出す。
その爪先が向く方向は、ルナマリア。
気付いた瞬間、思考が沸騰した。

「ルナマリアに――
ルナに手を出すなああぁぁッ!」



「なあ、アスラン」
「……何だ」
「アンタが言ってたこと、少しだけ分かった気がする」
「……そうか」
「す、少しだからな!アンタの言うことを完全に認めたワケじゃないんだからな!」

99嘘予告:2007/04/02(月) 22:48:57 ID:???


――畜生。
砂に足を取られ、シン・アスカは崩れるように倒れた。夜の砂浜は砂粒の間に冷ややかな気配を孕んでいる。穏やかな波音を鼓膜で受け止め、シンは倒れたままで奥歯を噛み締めた。
アスラン・ザラとの特訓で、自分は確かに強くなった。最初は歯が立たなかった『フリーダム』を相手取り、今回はとりもあえず相手を地に伏せさせたのだ。勝ち誇って良い筈だった。とどめを刺す絶好の機会だった。
――けれど。


『やめて、もうやめて下さい!
キラはわたくしたちを人質に取られ、無理矢理戦わされていたのです!』
『キラを殺すとおっしゃるのなら、かわりにわたくしを殺していただけませんか。
キラの犯した罪は――キラを止めることができなかった、わたくしの罪ですわ』


倒れた『フリーダム』――いや、キラ・ヤマトを庇う桃色の髪の少女が脳裏を巡る。ラク
スと呼ばれていたか。桃色と赤色、長髪と短髪。似ているとは決して言えない少女に、何
故だか自分は赤毛の幼なじみを重ねてしまった。
重ねたら、殺せなかった。
それに気付いた途端、折れた。復讐の誓いも強さへの欲望もすべて消え、残ったものは空
っぽの器だけ。人間として生きるにはあまりに強く、復讐者として生きるにはあまりに脆
い器だった。


「……アスラン、さん」
「今は、一人にしておいた方がいいだろう。
自分の渇望していたことが、不可能なことだと理解してしまったのだから」
「でも、シンは、これから」
「問題はない、ルナマリア」
アスラン・ザラは遠くを見据えた。星よりなお遠い過去を省みる双眸だった。




「人間としても復讐者としても生きられないなら――
アイツはこれから、仮面ライダーとして生きればいい」



100嘘予告:2007/04/02(月) 22:52:42 ID:???

「シン!危ないッ!」
「え、アスラ――」

シンを狙った敵の攻撃を受け、爆発するアスランのベルト。
その爆発に巻き込まれ――


「……なんて顔をしているんだ、シン」
「アンタは馬鹿だアスラン、なんだって俺なんか庇って――!」
「泣くな!
その顔は何だ、その目は何だ、その涙は何だ!
お前の涙で敵は倒せない、人を守ることなんてできやしないんだぞ!」
「……ッ!
アンタは、卑怯だ……ッ!」
「そうか、そうだな。卑怯ついでに願いごとだ。
世界を頼むぞ、『仮面ライダー』」


笑みを浮かべて動かなくなった青年――アスラン・ザラ、いや『仮面ライダージャスティ
ス』に背を向けて、シンは静かに立ち上がった。
自分を取り囲む怪人たちの群れを視認して、ゆっくりと息を吸う。
アスラン・ザラが短い生涯のなかで貫いたポーズを、シン・アスカは知らぬ間に受
け継いでいた。
左の手は、拳を作って腰に添え。
まっすぐ伸ばした右手の指先が、虚空に光の弧を描き――

「ライダー」

ライダーと呼ばれることを嫌った少年は、
はじめて自分をライダーと名乗る。


「変身!」


101嘘予告 さいご:2007/04/02(月) 22:54:44 ID:???







「敵は多いね シン…
いや…大したことはないか…」
「そうだな、キラ
…今夜はアンタと俺で」






「"ダブルライダー"だからな――!」








Masked Rider/SEED-destiny
102ごめんね嘘予告ごめんね:2007/04/02(月) 22:57:26 ID:???

ごめんね嘘予告でごめんね
お目汚しでごめんね
携帯からの改行、変だったらごめんね
キャラがあんまり出てなくてごめんね
スピリッツ好きでごめんね
でもこのスレが大好きなんだ…書きたくなっちゃったんだ



くろまくはオーブていうかセイランの坊っちゃん
シンの家族を殺したのもセイランの坊っちゃん
カガリを人質に取ってるのもセイランの坊っちゃん
103通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 02:11:55 ID:???
ごめんワロタww
ふつうに面白いから謝るなw
104通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 08:17:53 ID:???
いや、面白かったよ。小説にしてほしいくらいだ。
105通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 12:17:43 ID:???
GJ!
この調子で是非本編を!!
106通常の名無しさんの3倍:2007/04/03(火) 23:28:03 ID:???
GJ

シンが仮面ライダーってのはいいんだけど
スペック最強+銃使いと不安にならざるを得ないポジションだ…
107仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:33:18 ID:???
本当に遅くなって申し訳ありません。短いですがよろしければどうぞ。

第四話  苦い敗北

ここ数日、気持ちのいい晴れ間が続いていた。夏に向けて太陽が準備運動を始めたような暑さであったが、
ひんやりと肌に心地よい風が吹いてとても過ごし易い気候となっていた。
そんな穏やかなお昼時、ミネルバ学園、二年の教室の窓際で四人の生徒が机を囲んで昼食をとっていた。
「はぁ…」
抜けるような青さの空とは対照的に褐色の肌の少年、ヨウランがエッグサンドを食べながら深いため息をついた。
「どしたのヨウラン?」
焼きそばパンを齧りながら黒髪に赤い瞳のシンが脳天気に尋ねた。言葉とは裏腹にあまり関心がないようだ。
「どうしたも何もよ〜…何でこうも女っ気が無いんだよ俺らは。悲しくなんないか?こんな男四人も揃ってよぉ…」
「気にするな、俺は気にしていない。」
ヨウランの駄々に丁寧にも返答したのは金髪の少年、いや、容姿だけ見れば美しい女性に見えるであろう人物。レイ・ザ・バレルだ。
「レイ、そこは何かちょっとおかしくないか?」
そんな彼に突っ込みを入れたのはヴィーノ。赤いメッシュがトレードマークの小動物を思わせるような小柄な少年だ。
「そうか。」
特別気を悪くしたわけでなくレイはそう言って弁当に意識を向けた。
「まぁレイは美形だし黙ってても女が寄って来るからいいけどさ。はぁ、どっかに可愛い女の子でも落ちてないかなぁ〜」
そんなヨウランのボヤキに反応する訳でもなくシンとヴィーノはもくもくと各々の昼食を掻き込んでいる。
ヨウランが嫌いだとか仲が悪いとかではない、こういった類のボヤキはもう日常の事であり彼らにとっては
ありふれた出来事なのである。言ってみれば寝る前の歯磨きのようなもので誰もそれに関して不思議に思わない。
そんな感じである。
「あ、ヴィーノ。何かメイリンが携帯の調子悪いって言ったぜ、直してあげろよ。株が上がるぜぇ〜?」
ヨウランは思い出したようにヴィーノに話の矛先を向けた。その顔には意地の悪い笑みが浮かんでいる。
「な!なななな、なななんで俺が。別に俺じゃなくたって店に持っていけば…でも金かかるからまぁおおお、俺が直しても…」


108仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:34:04 ID:???
「動揺しすぎだよ、少年♪」
サドっ気全開のヨウラン。不幸にもヴィーノは格好の暇つぶし相手となってしまったようだ。ヴィーノは顔を真っ赤にして
悔しそうにしていたが何も言い返せないのか下を向いてしまった。
「何赤くなってんのヴィーノ?熱でもあるの?」
不思議そうに赤くなったヴィーノの顔を見ながらシンは何の裏も無く尋ねた。
「は…?シン、お前まさか気づいてないのか?」
ヨウランが鳩が豆鉄砲を食らったような顔でシンを見つめている。当のヴィーノもひどく驚いているようだ。
「え?なにが?」
彼は真剣にわかっていないようだ。相当の鈍さである、健康な17歳にしては重症といえるレベルであった。
「つまりシン、ヴィーノはメイリンのことが気になっている、つまり恋愛対象として強く意識しているという事だ。」
レイがわかりやすくシンに解説する。ようやく納得言ったシンは感心したように頷く。
「なるほどそうだったのか!それなら早く言ってくれればいいのに…」
「いやいやいや!お前らなんか変だぞ、シンも早く気づけよ!そしてレイもいちいち解説しなくていいから!」
思わずヨウランが二人に突っ込む。そしてヴィーノは極限まで汗をかいている。それもそのはず当の想い人メイリンが同じ教室内にいるからだ。
ヴィーノが慎重にメイリンがいるほうに目をやる。どうやら会話は聞かれてはいなかったようでヴィーノは胸をなでおろした。
「気にするな、俺は気にしていない。」
「いや気にしろよ!!」
ヨウランとヴィーノの突込みが同時に教室に響き渡る。その声で今度こそメイリンは彼ら四人が騒いでいることに気づいた。
そんなこんなで昼休み終了のチャイムが鳴り、午後の授業が始まった。
五限の授業は浅黒い肌で短髪の金髪の若い男性教諭、通称グレイト先生の現代社会であった。
シンは授業もそこそこに物思いに耽っていた。
109仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:34:56 ID:???
あの遊園地のMSとの戦闘から一週間、何の音沙汰も無い。それ以前と変わらない、平和な日常が再開していた。
当然ライダーに変身する機会も無かった。彼が突如手にした異形の力、MRシステム。MSに対抗するための唯一の手段。
あれからデュランダルとは会う機会は無かったが一度電話で話をした。ぼんやりとそのときのデュランダルの言葉を思い返す。
「シン、君がライダーであることは誰にも知られてはいけない。何故ならもしそれがばれてしまえばファントムペインは君を直接狙いにくるだろう。
変身していない君はただの高校生だ。なす術も無くやられてしまうだろう。それだけではない、その刃は君だけではなく君の周りの親しい人間にも
向けられるだろう。私としても対策は取っているが完璧とは言えない。だからくれぐれも周りに悟られないようにしてくれ。」
確かにデュランダルの言う通りだ。正体は隠すに越したことは無い、だが、デュランダル自身も言ったように彼も一介の高校生だ。
こんな強大な力を手に入れ、自分の考えが及ばないような恐ろしい事態に巻き込まれてはいずれ彼自身が潰れてしまう。一人で背負い込むには
あまりに重過ぎる現実であった。かといって誰彼にでも言える話ではない。言えばその人物もこの苦しみに巻き込むことになる。
(もしかしたら…この学園にいられなくなるのかもしれない…)
漠然とそんなことを考えるようになっていた。家族を亡くした彼にとって優しくしてくれる仲間、平和で楽しいひと時を失うのはやはり耐え難いことであった。
そこが今、彼の唯一の居場所だから。そんなこんなであっという間に下校時刻となる。
(まずい、また板書書いてない。今度まとめて誰かに写させて貰わないと本格的にまずいぞ)
二つの危機感を抱えながら、シンは級友と別れバイクを走らせ学校から去っていった。
そのまま真っ直ぐ帰宅するのも気が引けたのでシンは近所を適当に流していた。MSに襲われるまでは毎日のようにバイクであたりを流していたのだが
最近はあれだけ色々な出来事が起きたのでそんな余裕も無かったのだが。
昼間あれだけ青く澄んでいた空もすっかり夕暮れにうって変わり夕日が万物を茜色に染め上げていた。
「よし、腹も減ったしそろそろ帰るか。」
シンがバイクをUターンさせた瞬間、ベルトをつけたシンの腹部に奇妙な感覚が走った。腹痛ではない、何かざわつく様な感覚である。
「なんだ…?」
そして携帯が高らかに鳴り響きメールの受信を告げた。そこには差出人無しでこう書かれていた。
ーーエリアT−205付近でMSの波動を検知ーー
「MSがっ!?ベルトが教えてるのか…?」
夕日で赤く染まったベルトを見下ろすシン。しかしベルトは何も応えない。
シンはバイクを走らせた。自宅のアパートではなくメールに書いてあったエリアT−205へ。恐ろしき怪物と戦うために。
110仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:37:30 ID:???
指定されたエリアはもう使われていない工場だった。辺りに人気は無く、ましてやMSの姿も確認できなかった。
しかしシンはここにMSがくることを確信していた。腹部の奇妙な感覚はここに近づくにつれて強くなっていったからだ。
(生きた怪物レーダーだな、これじゃ)
その直後、シンの前方の空間が歪み始めた。静かな水面に石を投げ込み広がる波紋のように、目の前の空間が歪に変化する。
歪みから怪物が姿を現す。灰色のMS、デュランダルが言うには【ジン】という識別名称らしい。
以前六体のジンと戦ったことはあるが今回のジンは少し変わっている。小型の手斧を持っていたのだが目の前のジンにはそれがない。
というより右手がおよそ30pの黒い筒に代わっていた。他に変化は見当たらず、どうやら敵の数も一体だけのようだ。
「いくぞ化け物、変身っ!!」
携帯をベルトにかざし、青いボタンを押す。シンは光に包まれ一瞬にして彼のもうひとつの姿、インパルスへとその姿を変える。
インパルスは舗装されてない地面の土を蹴立てて、一気に跳躍しジンにめがけて飛び掛る。空中で体を捻って後ろ回し蹴りを繰り出す。
完全に意表をつきインパルスのキックはジンの胸部にぶち当たり20mほど吹っ飛んだ。その勢いでブロック塀に突っ込みジンはそのまま地面に崩れ落ちた。
しかしジンは立ち上がった。だが、確実にダメージは残っている、動きがどことなく鈍い。止めを刺すべく一直線にジンに向かっていった。
その刹那、ジンは黒い右腕をインパルスに向けて突き出した。次の瞬間筒の先端から赤い火花とともに弾丸が彼めがけて飛んできた。
とっさに片手でガードするが衝撃が吸収できず、前進が止まってしまった。
ジンはその隙を見逃さず続いて連射、体勢を崩したところに一つ二つと攻撃を受け、ついには後退させられてしまった。
「ぐっ…あれはグレネード弾か…?」
突然の反撃に戸惑いが隠せないシン。着弾の衝撃の影響か視界が赤くチカチカしている。敵がうまく確認できない。
しかしそのチャンスにジンはそれ以上インパルスに撃ってこなかった。
「何でだ…?情けを掛けるなんて事はあるはずがない…なぜ撃ってこなかった…?」
ようやく視界が晴れてきた。再び灰色の魔物に飛び掛る。すかさずジンも発砲する。
完全にかわし切れないものの巧くガードして直撃だけは避けていた。しかしこれでは相手に近づけない。
111仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:38:35 ID:???
近づこうとして距離をとられて、その繰り返しだった。このままではジリ貧である。しかし彼は決して焦ってはいなかった。
「よし、これなら…次で決める…!」
再度特攻を仕掛けるインパルス。何度も繰り返されたように砲撃を放つMS。これも迎撃され距離を離されてしまう。
「今だ!!!」
その直後体勢を立て直さずに再び突っ込んでいく。ジンの容赦の無い砲撃は…ない。この銃、一定時間おかないと弾倉が回復しない、インパルスはその隙を狙った。
ぐんぐんと距離を縮めてジンの眼前まで迫る。闇雲にジンが右腕の銃身を振り回すがインパルスは難なくこれをかわした。
かわすだけではない。それと同時にジンの右手に鋭い手刀をお見舞いする。ブシュッ!と有機的な音と共に黒き銃身がジンと切り離される。
一瞬ジンがひるんだ隙を見逃さなかった。十分に体重の乗った右フックをジンのこめかみ辺りに叩き込む。
何かが砕けるような音がしてジンは横薙ぎに吹き飛び、数秒後に爆散した。
敵は倒した。気配は感じなかったが彼は変身を解かなかった。まだ腹部の奇妙な感覚がおさまらなかったからだ。
(…まだ…くる…!)
シンの背後で二回目の空間の歪みが発生した。中から出てきたのは緑色のMS。今までに見た事の無いタイプだった。
以前戦った黒いMSやジンよりも痩せ細った印象がある。まるで植物のようである。
緑のMSはジンの残した残骸、黒い銃の落ちていた辺りから出てきた。MSは銃を一瞥し背中から触手様な器官を出した。その瞬間触手がシンめがけて
襲い掛かる。間一髪後ろに飛びずさってかわすがそれでも触手は攻撃の手を緩めない。断続的に全方位からシンに攻撃を仕掛ける。
多次元の攻撃にシンは防戦一方。反撃を考える余裕すら与えてもらえなかった。攻撃がおさまってもシンはうかつに近寄ろうとはしなかった。
(あれをかわしながら近づくのは不可能だ、だったらどうする?)
触手の破壊力は決して低くなかった。スピードもそこそこあり、何しろ連続攻撃が可能である。隙がまるで見当たらなかった。
今のところの判明してるのは触手のおおよその射程距離か、約10mといったところでそれ以上は伸びてこないのだろう。
それがわかったところでシンにとって状況が不利なことに変わりは無かった。こちらには遠距離からの攻撃手段が無い。つまりこの戦いに勝ち目が無かった。
一定の距離での睨み合いが続いたころ先に動いたのはMSの方だった。
112仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:39:19 ID:???
Sは背中の触手で足元の銃を拾い上げた。そして銃を背中から体に取り込み右腕をジンと同じように漆黒の銃身に姿を変えた。
「なっ!!」
思わず声を上げていた。MSにこんな能力があったとは聞いていない、恐らくデュランダルも知らないことなのだろう。
MSがシンに銃口を向けるのとシンが横っ跳びになるのはほぼ同時の出来事であった。右手から放たれる死の弾丸が容赦なくシンに飛んでいく。
連射が止み先ほどと同じ戦法で間合いを詰める。シンは渾身の力を両の脚に込めて大地を蹴った。
それと同時に触手がシンの体に襲い掛かる。
「っ!くそっ!!」
触手はシンの体に巻きついて四肢の自由を奪った。何本もの触手によって空中に大の字に貼り付けられる。
そこに右腕の銃がシンに狙いをつけていた。MSはシンの体めがけて、弾倉が空になるまで弾丸を撃ち込んだ。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
触手の力も緩みシンはそのまま工場の壁に向かって吹き飛んだ。窓ガラスを突き破りガラスの破片がシャワーのように地面に降り注ぐ。
ようやくとまったもののあまりのダメージに立ち上がる事さえ困難な状況であった。体中が焼けるように熱い。脚が他人のもののようで力がまるで入らない。
そうしているうちにMSが目前まで迫っていた。もう戦う力は残っていない。MSはゆっくりとシンに銃口を向けた。
その瞬間シンは死を覚悟した。不思議と心は穏やかであった。だが、弾丸は一向に発射されない。不思議なことにMSは銃を降ろして
振り返り工場から去っていった。再び歪みの中に消えて。
「何で止めをささなかったんだ…?」
いくら考えても理由は思いつかなかった。
(今は何とか生き延びた事実だけで充分か、とにかくこの場を離れないと騒ぎに誰か駆けつけてくる前に…)
何とか体を起こして起き上がろうとした矢先、誰かが工場の入り口に立っていた。
「まさか…なんで…」
シンは言葉を失っていた。正体がばれた、よりにもよって親しい知人に。その事実にシンはただその場から動くことができなかった。
シンの目の前にいた人物、それは彼のクラスメイト、レイ・ザ・バレルであった。


113仮面ライダーD+:2007/04/04(水) 00:44:10 ID:???
以上です。いやぁ遅くなってすみません。課題に追われていましてなかなか書けずじまいでした…
物語の方はまだ導入部ですが長期的なプランもあります。自分の思い通りに書けるといいのですが。
はやくもヨウランが勝手に動いてる感じです。ときメモの早乙女がモチーフなんですが
皆さん気づきました?
114通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 07:12:18 ID:???
GJ!!
ヨウランとヴィーノがちゃんとじゃべっているのが凄くうれしかったり
本編アレだから
早乙女に言われてみたら似てる
いつもシンは戦闘ピンチなんでハラハラっすよ…w
115通常の名無しさんの3倍:2007/04/04(水) 15:57:20 ID:???
・・・・・・・触手・・・いやん
116通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 23:23:27 ID:???
遅くなったがGJ!やっぱり燃える。
衝撃氏やデスティニー氏最近こないね。マターリ待ってます。
117通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 07:59:17 ID:???
ガノタ仮面さんも現れない。待っておるよー
118通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 23:28:33 ID:???
上げます
119仮面ライダー・デスティニー 第4話:2007/04/10(火) 21:25:04 ID:FzPwUDTo
かなり久しぶりですが、第4話です。
もともと遅筆なうえに、忙しかったりスランプだったりして2ヶ月以上たってしまいました。
未熟なため、これまで毎回文体が変わったりしてますが、今後はこんな感じで。
長いですが、よければ読んでください。
120真実の価値:2007/04/10(火) 21:26:38 ID:???
青空は透けるほどによく晴れ、雲はゆっくりと流れている。初夏のある日、アーモリーワンの病院の自動ドアを一組の男女が並んで出てきた。
シン・アスカとルナマリア・ホークである。
一月前、この街を訪れたシンはルナマリアと奇妙な形で出会い、謎のライダーに襲われていた彼女を助ける。
シンは辛うじて撃退したものの、その際に二人は傷を負った。
どちらも致命的な程ではなかったものの、先に襲われていたルナマリアはもちろん、シンも戦闘でかなりダメージを受けた。
ビーム・ソードで刺された肩の傷の他にも、肋骨も数本折れていたのだ。
回復には時間がかかるだろう、そうシンは考えていた。しかし、診断結果は意外にも、一ヶ月もあれば退院できるという。
シンは医師の見立てを疑問に思ったのだが――シンとルナマリアの身体は診断の通りに順調に回復していった。全身に感じる痛みは数日で和らぎ、傷は塞がっていく。
これまでに大きな怪我も病気もしたことがなかったシンには、それが異常であることに気づかなかった。

シンにはもうひとつ気になることがあった。ルナマリアのことだ。何故彼女は銃を持って奴らと戦っていたのか?そもそもライダーとは何なのか?
多くの疑問が頭をよぎる。あの時は考えている余裕などなかったが、幸い、入院中に時間だけはたっぷりあった。
そのことをルナマリアに聞いたのだが――
「ごめん、シン。今の私には答えられない。退院したらその時に必ず話すから。だから、それまで待って……」
彼女の目は真剣だった。ただ真っ直ぐに見つめる瞳にシンはそれ以上は聞く気になれかった。
彼女についてもわからないことはある。だが、世話になったルナマリアに対して強く問い詰めることもできない。言えないと言うのなら、今は考えても仕方のないことなのかもしれない。そう考えることにしてシンは身体の治療に専念しようと決めた。
しかし、自分を巻き込む様々な謎に対して行動できないもどかしさに焦りは募る一方だった。
121真実の価値:2007/04/10(火) 21:27:36 ID:???
そしてようやく退院の日――わずか一ヶ月の間に身体はすっかり回復し、リハビリまで済んでいる。シンは軽く身体を伸ばし、ルナマリアと待ち合わせたロビーに向かった。
手続きを済ませ、ちょうど二人が玄関を出たところで柱の影から隠れていた誰かが跳び出してきた。
「お姉ちゃん、シン!退院おめでとう!」
それはルナマリアの妹、メイリン・ホークだった。
「ありがとう、メイリン。」
シンは少し面食らったが、微笑んで答える。たったこの程度のやりとりなのになんだか懐かしくなった。
「メイリンってば大げさなのよ。わざわざ迎えに来なくていいのに。」
「だってお姉ちゃんもシンも、私が目を離したら危なっかしいもん。それとも……シンと二人で帰りたかった?」
メイリンはにやにやしながら上目遣いでルナマリアを見た。
まあ、彼女の言うこともあながち間違いではないかもしれない。
彼女にしてみれば、朝起きると一夜の居候が置手紙を残して出て行き、何故か姉もそれを探しに出ていた。夜になって揃って入院したとの報告を受けたのだから「何が何だかわからない」と思ったことだろう。
だが、ルナマリアの方はからかわれて少しむっとしている。
「あのねえ……」
ルナマリアが何か言おうとしたのをシンがさえぎる。喧嘩になりそうだったからだ。
「ははっ、まあまあ。 メイリンも心配なんだよ。だってルナが病院で眠ってる間、朝まで傍で泣いてたくらい――」
そこまで言ってシンは慌てて口を押さえる。「しまった」とでも言いたそうな顔だ。ルナマリアもメイリンも、一様にシンに驚きの表情を向けている。違うのは――メイリンは耳まで真っ赤にしていることだ。
「ちょっ、ちょっとシン!!そのことは内緒って言ったじゃない!!」
「ご、ごめん、メイリン!つい」
慌てて詰めよるメイリンの勢いにシンはたじたじになる。ルナマリアはそんな二人をしばらくぽかーんとして見ていた。
しばらくしてルナマリアは、ふっと息をつく。
「ほらほら。シンは謝ってるんだからメイリンもそんなに怒らないの。」
微笑みながらメイリンの膨らんだ頬をつついた。
「お姉ちゃん……」
険しかったメイリンの表情も徐々に和らぎ、照れ笑いを浮かべた。

122真実の価値:2007/04/10(火) 21:28:39 ID:???
あの日――病院までは自力で歩いた二人だったが、痛みと疲労でルナマリアはすぐに意識を失った。
「眠っているだけだ。」
シンや看護婦も言ったのだが、連絡を受けて駆けつけたメイリンは首を振ってずっとベッドの傍に座っていた。
入院中に聞いた話だが、姉妹も両親を三年前の、この国と大西洋連邦との戦争で亡くしているらしい。
姉妹も自分と同じように親戚がいなかった。それ以来、支えあってなんとかやってこれたのだ。
入院中にルナマリアが言っていたのをシンは思い出した。
シンは姉妹に感じていた暖かいものの正体に気付いた。シンはこの二人に自分が失った家族を見ている。
姉妹と一晩暮らしている時――話している時は失ったものが埋まったような気がしたのもそのせいだ。

そして、シンが姉妹に似たものを感じているように、姉妹もシンに感じるものがあったのかもしれない。
あの地下道での戦いの後から、シンはこの街に留まりたいと思い始めていた。
だが黙って出てきた上に、決して生活に余裕があるわけでもない姉妹に相談はできない。そう悩んでいたシンの病室に姉妹が訪れた。
「シンはこれからどうするの?」
メイリンはシンに尋ねるが、シンは答えられなかった。
「君たちの家に置いてくれ」などと言える訳がない。
その言葉を聞いてルナマリアはいたずらっぽく笑い、シンに言った。
「シン。あなた……ここの入院費はどうするの?」
シンは「あっ」と声を上げた。すっかり失念していたが、シンには現在ほとんど持ち合わせがない。訳を話しても怪しげな旅人だと色々と面倒だろう。しかも、肩の傷については手術まで受けている。
「その様子じゃやっぱりお金が無いのね?そこで提案なんだけど、入院費は私たちが立て替えてあげる。シンは家に居候して、働いて返してもらえばいいわ。もう弟って言ってあるしね。どう?」
「お姉ちゃん、それナイスアイディア!」
メイリンは手を叩いて喜んでいる。シンも少し考えたが、断る理由はない。
「わかった。改めてよろしく。ルナマリア、メイリン。」
彼女たちは自分がここにいるための言い訳を作ってくれているのだろう。
「OK。食費や家賃もしっかり払ってもらわなきゃ。」
「利子も付けなきゃね。」
おそらくは、だが――。
123真実の価値:2007/04/10(火) 21:29:39 ID:???
夜になり、料理はできたものから湯気を立てて運ばれる。食欲をそそる香りがホーク家のダイニングいっぱいに広がる。
ついでに料理もテーブルいっぱいに広げられていく。六人ほどはかけられるテーブルに、三人分にしては多い量だ。
「へえ、旨そうだ。」
料理を並べる手伝いをしているシンの言葉にメイリンはキッチンから振り向いて答える。
「今日はお姉ちゃんとシンの退院祝いということで、私が腕によりをかけて作りました!」
メイリンはにっこりと笑った。
今日のメイリンは妙にテンションが高い。姉の退院がそれだけ嬉しいのだろう。
当の姉といえばテーブルで本を読んでいる。
最後の料理がテーブルに並ぶ。メイリンもエプロンを取り、着席した。シンの隣にメイリン、その向かいにルナマリアが座っている。
「いただきます」
三人が同時に食事の挨拶をする。並んでいる料理はエビフライ、ポテトサラダ、サーモンのムニエル、白菜のスープ、etcといったところか。
どれも美味しそうだ。
とりあえずシンはエビフライから手を付けた。口に入れて噛む――サクッとした衣の小気味良さと、プリプリしたエビの食感に驚く。油の温度から揚げる時間まで完璧でなければこうはいかないだろう。
「美味しい……!」
シンの口から自然にその言葉が漏れる。
「これは旨いよ、メイリン!!」
メイリンは得意気に満面の笑顔を浮かべている。
「そうでしょ。エビは今日取りたてのものだし、パン粉も美味しいパン屋さんで買ったの。それに卵は――」
メイリンは一気に語りだす。シンは知らず知らずに彼女の何かに火を点けてしまったのかもしれない。
「油だって色々試して――」
メイリンは身体ごとシンに向き直り、シンも仕方なくそれに倣った。
どうやらしばらく止まりそうにない。メイリンは目を輝かせて料理に対する情熱を、とうとうとシンに語ってくれる。
ルナマリアに助けを求めようとチラリと彼女に目を向けるが、彼女は気の毒そうに苦笑いをして手を振るだけだった。
124真実の価値:2007/04/10(火) 21:30:42 ID:???
そして十数分ほどたっただろうか。まだメイリンの話は続いている。
「――つまり、簡単な料理でもいい素材を探す努力、調理法の工夫でもっと美味しくなると思うの。わかった?」
「ああ…わかったよ……。」
ようやく解放されたシンはテーブルに向き直り、がっくりと突っ伏した。
シンはまだエビフライにしか手を付けていない。ようやく食べられると思い、顔を上げると――そこには少々信じられない光景が広がっていた。
「ええええええ!!」
シンは大声を張上げた。
それもそのはず、メイリン先生の講義を聴かされていたのは十分少々のはずなのに、六人はゆうにかけられるテーブルにいっぱいの料理がほとんど残っていない。約3分の2は平らげられている。
誰が?いつの間に? シンは混乱する頭を働かせる。もちろん考えられる原因は一つしかないのだが。
シンが原因であろう彼女に目をやると、彼女は既に食後の紅茶を楽しんでいた。
「もう、またお姉ちゃんは自分だけ先に食べちゃってる。ほら、シンもビックリしてるじゃない。」
メイリンはそう言いながら、慣れた様子で空いた食器を片付けている。もしかして、これがいつも通りなのだろうか?
「あははは。ごめんね、シン。」
ルナマリアは罰が悪そうに苦笑した。
なるほど。これで退院祝いとはいえ多すぎる料理に納得がいった。残った3分の1でも二人分には十分だ。
シンは頭が痛くなってきた――テーブルを見回すと胸焼けもしてきた。
「まったく。お姉ちゃんはそのスリムな身体のどこにこんなにたくさんの料理が入るのかしら。いくら食べても太らないし。」
「あ、ひどいわね。私は身体を動かす仕事なのよ。だからたくさん食べなくちゃいけないの。」
姉妹はそんなシンをそっちのけで談笑している。
「あれ?シン、食べないの?」
姉妹の言葉にシンは苦笑いで返すしかなかった。
125真実の価値:2007/04/10(火) 21:31:46 ID:???
翌日、ルナマリアに街でも一際大きいビルに案内された。
『PLANT』。それがこの会社の名前だ。巨大コングロマリットとして世界中に広く支社があるらしく、シンでも知っているほどの有名企業。
受付の女性に、ルナマリアが何か伝えるのをシンは少し離れて見ていた。二、三言のやり取りの後、受付横のエレベーターのドアが静かに開いた。
二人が乗ったエレーベーターはどんどん上昇し、20階に達したところで停止する。開いたドアの先で最初に見たものは、長く続く廊下とその先にある扉だった。扉以外にはなにも無く、左右の壁には鏡が張られている。
「ついてきて。」
ルナマリアはそれだけ言って先へと進んでいく。
彼女は真剣な顔つきで、なんだか別人のように思えてくる。
そう長くはない廊下のはずなのに、淡い照明に照らされながら鏡に映る自分の姿を見ていると妙な気分になってくる。まるでこの廊下がずっと、永遠に続いているような錯覚に陥る。
「ルナマリア・ホークです。シン・アスカを連れてまいりました。」
重そうな扉をノックし、ルナマリアが言う。
「入りたまえ。」
と返事が返ってきた。低音で静かな、それでいて優しげな響きの声だ。
「失礼致します。」
ルナマリアが扉を開く。
そこは執務室のようだった。豪奢ではないが、落ち着いた高級感を感じさせる調度品が置かれ、中央には大きなデスクがある。その後ろの大きなガラス窓からは下の街が見え、並ぶ高さのビルはない。
そしてそのデスクから立ち上がった人物が二人を迎えた。背後には太陽を背負っており、逆光で少し顔が見づらい。
「やあ、ご苦労だったね。ルナマリア。そして、シン・アスカ君。はじめまして。私はこのPLANTの社長を務めている、ギルバート・デュランダルだ。」
歳は三十代前半といったところか。声と同じで落ち着いた雰囲気を持っている。

「は、はじめまして……。」
シンは戸惑いながらも、差し出された手を握った。
「さて、まずは掛けてくれたまえ。」
デュランダルは二人をソファへ促す。すぐに女性がお茶を運んできた。
「シン・アスカ君。君に幾つか聞きたいことがあるのだが……その前に君の話を聞こう。君も、色々と聞きたいことがあるのではないかね?」
その顔は全てを見抜いているように見えた。しばらく間を置いて話そうとするが、言葉が出てこない。
126真実の価値:2007/04/10(火) 21:33:44 ID:???
「聞きたいことが多すぎて何から話せばいいかわからない、といったところか。では私から話そう。おそらく、君が知りたいであろうことをね。」
デュランダルは静かに話しだした。

そこで彼からもたらされた情報は驚くべきものだった。
「君とルナマリアの怪我――あれは普通の人間なら一月程度で全快するような怪我ではない。君たちは遺伝子を操作された状態で産まれた、コーディネーターと呼ばれる存在だ。そして私もね。
コーディネーターは通常の人間よりも高い身体能力を持ち、抵抗力も強い。君にも心当たりがあるだろう?」

その存在こそ明かされていないものの、かなりの数のコーディネーターが連邦国を除いて世界中にいるということだ。中でもこの街はコーディネーターが集まってできたもので
市民のほとんどがコーディネーターらしい――あの医師の反応にも頷けた。
ここまでは驚いたが、あまり実感は湧かなかった。身体が丈夫なことも、シンにとっては普通なことで、何も変化はないからだ。
シン自身の運命を大きく左右することになるのは次のデュランダルの話だった。

「君が変身したインパルス、そして二度戦った者たち。それらはライダースーツ(RS)と呼ばれる機装兵器だ。これはもとは我々プラントがコーディネーター用に開発したものであり、本来は兵器ではなかったのだがね。
前社長の意向によりそうなってしまった。以前の連邦との戦争でも密かに投入されている。」
デュランダルの話によれば、インパルスは三年前にある技術者が持ち逃げしたものらしい。発見されそうになったために友人に託した――それがマユの携帯だったということだ。


「私は君にインパルスの返還を求めはしない。代わりに、というわけではないが、我々と共に戦ってはくれないか?」
突然のことにシンは最初何を言っているのかわからなかった。
「我が社には『ZAFT』という顔がある。表向きは警備会社となっているが、その実はあるテロ組織からの都市の防衛を目的としている。」
「テロ組織!?」
シンの驚きをデュランダルは予想していたように、あくまで涼しい表情を崩さない。
「わかっているのは彼らが自らを『ファントム・ペイン』と名乗っていることだけだ。世界中の各都市で彼らのテロ行為が確認されている。
しかもそのほとんどがプラントの支社や関連施設を目的としたもの。これを見過ごせなかった我々はザフトを創設した。」

127真実の価値:2007/04/10(火) 21:34:40 ID:???
「ザフト……。」
シンはその単語に聞き覚えがあった。
一年前のあの日、携帯に届いた謎のメッセージ――コアスプレンダーの発進コード、そして変身。ZAFTからのメールがなければシンは今ここにいなかっただろう。
「我々はあの日、君の行動を監視していた。だが、勝手ながら君を助けるわけにはいかなかったのだ。そのことは今ここで謝りたい。……すまなかった。」
デュランダルは深く頭を下げた。
監視されていたことには腹がたったものの、こう謝られてしまっては怒るに怒れない。天然にしろ、計算にしろたいしたものだ。
「わかりました。でもどうして僕を監視してたんですか?僕がインパルスを持っていることを知ってたんですか?」
「君がインパルスを持っていることは、君の御両親が亡くなってすぐに調べがついた。だが、インパルスは誰もが扱えるわけではない。君はその適正がある可能性が高かった。だから君の戦いを見せてもらったのだよ。」
「可能性って……。変身できなかったらどうする気だったんですか?」
「もちろん、狙撃手が近くに待機していた。君が変身できなければ助けるつもりだったよ。」
嘘をついているようには見えない。
彼は信用できる人間かもしれないと思う。しかし、なにか納得できないのも事実だった。
「君を襲ったものも、おそらくはファントム・ペインだろう。彼らもまた、君のインパルスを狙ってきている。君が襲われて数週間は我々が彼らをけん制していたのだが――君が行方をくらませて以後、彼らも我々も君を追うことができなかった。」
デュランダルはシンの眼を見据えている。口は微笑んでいても、その眼は笑っていなかった。


「どうかね?もう一度君に聞きたい。我々と共に戦ってはくれないだろうか。」
何度かの質疑応答の後、再びデュランダルに問われた。
シンは隣のルナマリアを見る。
彼女は先ほどから一度も喋っていない。彼女はシンの視線を受け止め――シンの迷いを察したのか口を開いた。
「シン、もし私たちのことを気にしてるなら必要ないわよ。社長はたぶんシンの覚悟を聞きたいの。これまでの戦いの中で、旅をしてきて、真実を聞いてシンが感じたことがあるはず。」
そして彼女は目をわずかに細めて笑った。
「大丈夫よ、心配しなくても。どんな答えでも追い出したりしないから。」
シンもルナマリアに微笑み返し、力強く頷く。
128真実の価値:2007/04/10(火) 21:35:57 ID:???
「ありがとう、ルナ。」
その瞳から迷いは消えていないが、少なくとも不安は消えていた。
「やります。僕も一緒に戦わせてください。」
デュランダルはそっと右手を差し出し、シンも力強く握り返した。
「では、詳しいことはルナマリアに聞いてくれたまえ。ザフトの隊長も地下にいるはずだ。彼に指示を仰げばいい。」
デュランダルはそうシンに伝え、入り口から見て左の扉に入っていった。私室だろうか。
シンは彼の姿を目で追いながら、緊張して汗ばんだ右手をきつく握り締めた。


「それじゃあシン。私は入院中の仕事の処理とかしなくちゃいけないから、先に地下に行ってて欲しいんだけど。」
「ああ、わかったよ。」
「ザフトの訓練場はここの地下にあるの。このカードキーがあれば入れるわ。」
ルナマリアからカードキーを受け取ったシンは3Fでルナマリアと別れ、そのまま地下まで降っていく。
B1Fの駐車場、B2Fの倉庫を通過したB3F。エレベーターを降りて最初に目に入ったのは、大きなゲートだった。薄暗い照明も相まってどこか圧迫感を感じさせる。
ゲート右側にカードを通すのであろうスロットがある。認識させると、ランプが点き、ゲートが音も無く開いた。
「うわぁ……」
シンは驚きの声を漏らした。
ゲートの向こうはこちらとは違い、地下街かと思うほど広々として明るかった。
どうやらここはロビーの役目をしているようだ。ここを中心に通路がいくつも分かれており、枝分かれした道の先には休憩所や、娯楽室も見られた。
だがどういうわけか、誰もいない。オフィスらしき部屋もあったが、仕事の跡が残っているだけで、やはり人の姿は無かった。
「誰かに聞こうにもこれじゃ……」
シンはそう一人呟く。
仕方なしに一番大きな通路を進んでいると、しばらくして左側の壁がガラスに変わった。そこからは下の部屋がよく見える。スペースの広さと、床にマットが敷いてあることからおそらくは訓練場だろう。
下には十数人程度がトレーニングウェアを着て、それぞれ自由にトレーニングをしていた。ザフトの隊員達だろうか。
「へえ、こんなところに訓練場があるのか。」
シンはゆっくりと室内を見渡す途中で大きく目を見開いた。
129通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 21:58:15 ID:???
GJ!
130真実の価値:2007/04/10(火) 22:00:20 ID:???
灰色の装甲、角張った人外の手足、兜の中で赤く光るモノアイ。
それはシンにとって忘れることなどできない最悪の存在だった。
――銃声と悲鳴、そして爆発。血の臭いが立ち込める会場――
その中を命からがら脱出した記憶がフラッシュバックする。全身から汗が出るのを感じ、手は小刻みに震えていた。
しばらくして、ようやく息を整えたシンは下の訓練場へと走り出した。


訓練場に飛び込んだシンは件の怪人を探して訓練場を見回した。入り口は一つしかないようだが、怪人の姿はどこにも見当たらない。
「おい、お前!誰だ?ここにどうやって入った!?」
突然の侵入者に隊員たちは面食らっていたようだが、すぐにシンのもとに駆け寄ってきた。
シンに声をかけてきた青年は、茶髪に額あたりの毛だけが赤いという奇抜な髪型だ。歳もシンに近い。
「さっきここにいた怪人はどこにいったんだ!?」
シンは青年の質問を無視して逆に食ってかかる。
掴み合いに発展しそうになったところで、背後から声が響いた。
「何をやっている!」
シンが振り向いた先に立っていたのは、黒のジャケットに緑のシャツ、それにサングラスを掛けた若い男だった。男は藍色の髪を中心で分けている。
「隊長!」
青年が助けを求めるように男を呼んだ。
「ヴィーノ。何の騒ぎだ?」
外見は優男に見えるが、その雰囲気には鋭いものを感じさせる。
「君は何者だ?ここにいるからには部外者ではなさそうだが…?」
「俺は社長から誘われてザフトに入隊することになったシン・アスカです!それより、あんたが隊長さんなら教えて欲しい。
さっき上から灰色の装甲を付けた怪人が見えた。あいつは一体何者なんだ!?」
男は焦るシンに対して少しも動揺を見せない。
「君がそうか……。話は社長から聞いているが、残念だが隊員の決定権は俺にもある。これは社長の推薦でも同じだ。君をすぐに隊員にすることはできない。
正式に入隊テストを受けてもらおう。君の探していたものについても、今すぐ君に教えるわけにはいかない、ということだ。」
131真実の価値:2007/04/10(火) 22:02:10 ID:???
「身体能力テストから始まり、学力テスト、危機的状況での対処能力、など二日かけて行い、そのうえでここのザフトの社長と相談して決める。決定するのは4日後だな。」
シンは男を強く睨みつけた。男のしれっとした態度がシンを苛立たせる。
「4日も待てない!俺は今すぐに知りたいんだ!俺はこれまで2回RSで戦って勝ってきた。それで十分だろ!」
「確かに不完全なRSで生き残ったことは評価しよう。しかし、それとこれとは別だ。」
普段のシンならば、ここまで聞き分けのない言動はとらないだろう。シン自身も感じていたが――それでも止められなかった。


「今すぐに!ここでテストしてくれ!どんなテストでもいい!」
しつこく食い下がるシンに男は深くため息をついた。
「いいだろう。望み通りここでテストしてやる。変身しろ。戦闘不能になるか、負けを認めれば終わりだ。君は……そうだな。俺からダウンを奪えれば合格だ。」

二人は互いに訓練場の中心で向かい合う。シンは男を睨み続けているが、男はサングラスを外すこともせず、どこ吹く風と口許をわずかに緩ませている。
シンはゆっくりと携帯にコードを入力していく。

――ZGMF-X56S――

数秒後、通気孔の金網を突き破り、十数のパーツが連なって飛び込んできた。パーツはその場で自動的に組みあがり、支援戦闘機にしてインパルスの装甲となるコアスプレンダーの形を成す。
その光景に周りの隊員も、シン自身も驚きを隠せなかった。
シンはすぐさま気を取り直しコアスプレンダーの機体背部。『ZAFT』のロゴが入ったそこに携帯をセットし、叫んだ。

「変身!!」

光が消えた時、そこに立っていたのは、青の装甲を身につけた白の戦士だった。大きな碧の瞳が光り、頭部の4本のアンテナは照明の光を受けて輝いている。
シンが変身しても、目の前の男は何の反応も見せなかった。ただ変わらずに超然としている。
「なんで、変身しない……!」
シンは精一杯、声を落ち着かせて言った。
――確かに変身する前からこの男は気に入らなかった。だが、変身した途端に怒りが膨れ上がってくる。この怒りを叩き付けたい衝動が抑えられない。
「必要ない……。テスト開始だ。かかってこい。」
132真実の価値:2007/04/10(火) 22:03:57 ID:???
男の言葉に隊員たちがどよめく。常人の数倍のパワーを持ち、数倍のスピードで動くRSに対して、生身で立ち向かうことがいかに無茶なことかはシンにもわかることだ。
「ふざけるな!早く変身しろ!!」
シンの怒声が場内に響いた。
「必要ない、と言ったはずだ。二回戦っただけで天狗になる素人には特に、な。」
シンの腕は小刻みに震える。理性を総動員して必死に衝動を抑えていた。
「君のインパルスは父親から託されたものらしいな。まったく……貴重なGUNDAMを我が子可愛さに私物化するとは。親が親なら、子も子、ということか。」
「――!!」
「来ないならテストは中止だ。早く帰れ。」
その言葉が引き金となり、瞬間――シンの怒りが理性を上回った。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

猛スピードでシンは男へと突進し、拳を突き出した。周囲がざわめき、悲鳴も上げる者もいる。
しかし男は常人には捉えられるはずのない拳を掴んだ。
シンの視界が一回転し、衝撃の後、目の前に照明の光が降り注ぐ。勢いを利用され、投げられたのだと気付くまでに、数秒の時間がかかった。
シンは跳び起き、再び突撃する。
今度こそ狙いは確かだった。だが、男は流麗な動きで半身を逸らし、足を掛けられたシンは頭から床に転がる。
それからも男はシンの拳をさばき、かわし、投げた。痛みは感じないが、その度にシンは怒り、攻撃は単調になっていく。
そして胸の中で燃えているどす黒い炎はシンの理性を少しづつだが燃やしていく。
男はRSに生身での攻撃は通用しないことを熟知しているようだった。特に装甲部分は殴れば拳が砕けてしまう。それ故に投げるという手段を取っているのだろう。
だが、それに気付かないシンは攻撃を続ける。その光景は子供が大人にじゃれついているようにも見えた。
最初は不安げに見ていた隊員たちの間からも失笑が漏れるようになってきた。それはシンを更に苛立たせる。
戦闘開始から約10分が経過した頃、シンの戦い方が変わった。攻撃は変わらず単調なのだが、踏み込みの浅い攻撃を多く繰り出すようになってきた。
投げられたり、さばかれたりすることが減った分、少しづつ男は後ずさるようになっている。
彼の無意識の戦闘センスによるものか、またはわずかな理性が勝利のために働いているのか――それはシン自身にも曖昧だった。
133真実の価値:2007/04/10(火) 22:06:00 ID:???
「参ったなぁ。すっかり遅くなっちゃった。」
ルナマリア・ホークはエレベーターを降り、訓練場への道を急ぐ。
入院中の仕事の状況や手続きだけのつもりだったが、新任の隊長が入院している間に赴任してきたらしいのだ。それについても少々話を聞いていたら、思ったよりも時間を食ってしまった。
「流石にもうシンは来てるわよね。」
彼女は、訓練場が見える廊下を駆け抜けつつ、訓練場に目をやる。
「――っ!」
ルナマリアは息を飲んだ。訓練場で見慣れない男(おそらくは新隊長だろう)と、シン・アスカのインパルスが戦っている。実際に姿を見たのは二度目だが、確かにインパルスだ。
ルナマリアは急いで訓練場に飛び込み、手近にいたヴィーノを問い詰めた。
「ちょっとヴィーノ!あれはどういうこと!?」
「あ、ルナ。あいつが急に来てさ。灰色の怪人がどうしたとかって……。」
その言葉にルナマリアはおおよその事情を悟った。
「それにしたって、なんで誰も止めようとしないのよ!」
「無理言うなよ!あれを止めに入ったら死にかねないぜ!?それに、あの隊長自身が『手出し無用』なんて言ってるんだよ!」
わかっていたことだ。あのシンは完全に暴走している。あれを止めるためにはこちらも変身しなくてはならない。だが、社内での変身は原則として禁止されている。
それもあって皆、二の足を踏んでいるのだろう。
「戦いだして何分になるの!?」
ヴィーノは時計を見る。
「だいたい30分!」
「まずいわ!」
ルナマリアはヴィーノから離れ、戦う二人のもとに向かおうとするが――彼女の手を強く引き止める者がいた。
後ろを振り向くと、見慣れた美しい金髪の青年が立っていた。
「レイ……!」
レイは無言で二人を指差す。


シンの動きは先ほどよりも激しく、しかし、もはや完全に戦いではなく『目標に向けて腕を振り回す』だけになっていた。
言葉を発することも無くなり、空しく雄たけびを上げるだけだ。
「そろそろか……。」
そこで戦闘が始まって初めて男が喋った。
大振りのシンの腕を掴み、素早く背負うと同時に足を高々と跳ね上げ――叩きつける。その投げはこれまでより激しく高い。
男は倒れたシンの喉許にとどめとばかりに――踵を振り下ろした。
134真実の価値:2007/04/10(火) 22:09:10 ID:???
そのままシンの動きは止まり、数秒後に変身が解除された。シンが意識を失ったのだ。
「担架を頼む!すぐに医務室に運んでやれ!」
男は隊員たちに手早く指示を出す。
そして、ルナマリアがシンに駆け寄るのを尻目に、訓練場を立ち去った。

ロッカールームへ歩く間も視線はつい下へと向かってしまう。陰鬱な気分を振り払おうと拳を壁に叩きつける。だが、気持ちは一向に晴れない。
「あなたらしくない言動でしたね。アスラン・ザラ。」
自分の名を呼ぶ声に顔を上げると、そこには長い金髪の男――レイ・ザ・バレルが廊下の壁にもたれかかっていた。
「好きでやったわけじゃないさ……。」
アスランは顔を上げようともしない。
「ギル……いや、社長の指示ですか?」
「彼をできるだけ屈辱的な方法で、絶対的な力の差を見せて倒してくれ、だそうだ……。」
「では、あなたは彼をどうするつもりですか?」
「その後のことまで指示されていない。それに、俺も帰ってきたからにはザフトを強くすることを考えなければならないからな。彼が課題をクリアするまではザフトとして認めるつもりはない。」
アスランはやや早口でまくしたてた。
「彼がこのまま挑んでこなければ?」
「来るさ……。」
社長からの命令というだけではなく、アスラン自身もシンには感じるものがあった。まったくの素人が二度も生き残れたのは、RSの力だけではありない。
だからこそ、ザフトとして戦うならば、ここで慢心を断っておく必要があった。
「平均的に見て、RSで全力の戦闘は30分が体力的に限界だ。訓練次第で伸びるとはいえ、そうそう超えられる壁ではない。」
アスランの言葉をレイが継いだ。
「だが、彼は超えた。」
「そうだ。俺は15分も暴れれば倒れるだろうと踏んでいたが、彼は30分超えても動き続けた。」
「だからあなたがとどめを入れたんですか。」
「肉体の限界を超えて、精神力で動き続けていては命に関わる。ましてやそれがGUNDAMでは……。」
最後の言葉は呟くような――自分に言い聞かせるような声だった。
「GUNDAM?あなたはさっきもそんなことを言ってましたね。GUNDAMとはなんのことですか?」
アスランは黙ってレイの横を通り過ぎた――語ることは無い、とその背中が示している。
レイもそれを察したのか追おうとはしなかった。
135仮面ライダー・デスティニー 第4話:2007/04/10(火) 22:11:01 ID:???
調子に乗ってたら一度書きすぎで規制されたみたいです。なんというマヌケorz

かなり久しぶりですが、第4話です。もともと遅筆なうえに、忙しかったりスランプだったりして2ヶ月以上たってしまいました。
未熟なため、一話ごとに文体が変わったりしてますw
長いですが、よければ読んでください。

最初にageてしまってすいません。
自分でもあまりライダーらしくない話だと思いますがどうなんでしょうか。
カブトを真似て料理ネタを入れてみましたが、小説だと難しいですね。あまりしっくりこない。
第5話は内容も決まってるので、もう少し早くできると思います。
136通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 22:13:47 ID:???
いやいやGJ!
少し変わっていて好きだな
アスランかっけぇって最後にしみじみと…
137通常の名無しさんの3倍:2007/04/10(火) 22:14:11 ID:???
訂正 
↑の二段目  最初に書いた文を一緒にコピペしてしまいましたorz
本当にスレ汚しすいません
138通常の名無しさんの3倍:2007/04/11(水) 19:08:44 ID:???
GJ!ルナが大食いキャラか。
俺だけかもしれんがルナマリアはいまいち個性に乏しかったというか
目立たなかったから、まあありかな。
139通常の名無しさんの3倍:2007/04/12(木) 20:57:49 ID:???
>>135 新作乙
しかし過疎ってるな
再来週あたりリュウタロスが出たら少しは…
140MRS‐D:2007/04/14(土) 21:14:52 ID:???
スレ見てたら触発されたので、
おどおどしながらSSを投下してみます。

PHASE-01 −奪われた瞳‐
 戦いはその時点で勝敗を決していた。
 赤い甲殻類のような鎧―――この場合はパワードスーツか―――に覆われたヒトガタが喋る。
「キラ、お前の負けだ。」
 赤いヒトガタの全身には何本もの刃。近づく全てを切り刻む強固な刃金。
 キラと呼ばれた、赤いヒトガタとは対照的に青と白で配色されたヒトガタが地面に這いつくばっている。
 背面からは青い羽金。そこから淡く微かな光が漏れ出ている。
「それでも、僕はっ!」
 青いヒトガタの羽金が輝く。胸の中心で一際輝く青い閃光。
 羽金が羽ばたき上空に飛び立つ。そして、具現化される幾つものガラス細工のような砲門。
 砲門が輝き閃光が放たれた。瞬間、数十もの光の帯が赤いヒトガタに向かって伸びた。
 爆音。
 光が届いた先は大地を抉りクレーター型に穴を開ける。
 その表面はガラスのように光沢を放つ。凄まじい高温で融解した証拠である。
 だが、赤いヒトガタの姿はそこには無かった。青いヒトガタは咄嗟にその姿を探す。今放った一撃が自分の全て。それが避けられるはずが無い。そうだ、そんなこと在る訳が無い。そんなこと在る訳が―――
「終わりなんだよ、キラ」
 声は青いヒトガタよりも更に上空から。
 赤いヒトガタが上空から疾駆する。全身に取り付けられた刃が赤い光を発して剣となる。無限の剣が蠢く。そして紡がれるは無限の剣閃。
 交錯は一瞬。
 赤いヒトガタが着地し、青いヒトガタが地面に激突した。
「う、うう・・・・」
 うめき声を上げる青いヒトガタから光が放たれた。光は青いヒトガタの羽金を全て粒子にし、消えていき、そこから細身の優しげな目つきの少年が現れた。
「・・・・・」
 赤いヒトガタも同じく光にその刃金を全て粒子にされる。中から現れたのは同じく少年だった。髪は長く、先程の少年よりも目つきが鋭い。
 倒れこんだ細身の―――キラと呼ばれた少年に桃色の髪の少女が駆け寄る。少女は神妙な面持ちで鋭い目つきの少年に話しかける。
「・・・・わたくし達を殺さないのですか。」
「・・・・殺さない。君達は望んで戦った訳じゃなかったはずだ・・・・それにキラはカガリの弟だ。これ以上カガリを悲しませたくはない。
141MRS‐D:2007/04/14(土) 21:16:36 ID:???
少年が踵を返す。
「アスラン、一つだけ教えてください。」
 アスランと呼ばれた――先程の鋭い目つきの――少年が振り返る。
「何だ、ラクス」
「これは終わりなのですか、それとも始まりなのですか。」
 そう呟いたラクスと呼んだ少女にアスランは振り返ることなく、呟く。
「始まりだ。」
 アスランはそう告げると懐から指輪を取り出し、左手の薬指にはめ込んだ。
 その動作は厳かで、戦場の空気にはそぐわない・・・・そう、婚姻の儀のような。
「カガリはもう笑わないんだ。」
 空が赤い。
 物語はこれより5年後に始まる。

 西暦2050年。
 画期的なあるシステムが開発される。
 ライダーシステム。一種のパワードスーツである力は瞬く間に世界を席巻していった。
 元々は戦闘用に作られた訳ではない。本来の目的は「人間の機能の延長」だった。
 だが、人が愚かなのか、それとも生み出された技術が悪いのか。
 程なくそれは戦争に利用されることになる。
 絶大な効果を以ってライダーシステムは改良に改良を重ね、一つの結末を迎える。

 第3次世界大戦である。
 その影で暗躍していたもの。
 秘密結社ブルーコスモス。軍産複合体が戦争を裏から操作する。
そんな冷戦時に囁かれたような御伽噺を現実にし、世界を征服しようとした者達。
 彼らは各国政府の中枢に入り込み、戦わせ、そしてその中で独自のパワードスーツを作り上げて言った。
 デバイスであるライダーシステム。それに適応できるように調整された遺伝子。
 当初の目的から離れたライダーシステムを駆り戦争する人外の存在。
 いつしか人は改造人間のことをこう呼ぶようになった。
 『コーディネイター(調整者)』
 だが、その戦争にも終わりが来る。
 最強のライダーと謳われるフリーダム、ジャスティスの尽力により秘密結社ブルーコスモスは壊滅した。
だがジャスティスはその中で死に、彼らの仲間でもあり、
オーブ首長国連合代表カガリ・ユラ・アスハも命を落とす。
 これを見て、カガリ・ユラ・アスハの婚約者でもあったユウナ・ロマ・セイランはユウナ・ロマ・アスハとして代表に就任。
 世界はオーブ主導の元、少しずつ少しずつ癒されていった。
 そして5年後のオーブ。
 物語は始まる
142MRS‐D:2007/04/14(土) 21:19:56 ID:???
「はあ、どうしよう、シン。俺また赤点なんだけど」
 年の頃は恐らく16歳前後の少年が隣を歩く少年に向かって情けなくため息を吐く。
その手には大きく赤文字で「追試!」と書かれた紙――恐らくテストの答案――がある。
 隣を歩くシンと呼ばれた少年はため息を吐きながら、呟く。
「あのな、ヨウラン。勉強してないお前が悪い。」
「そうだよ、ヨウランが悪い!」
 その後ろから赤毛の少女――年齢は彼らと同じくらいだろう―――が走ってくる。
「メイリン?」
 ヨウランが走ってきた少女に向かって声を掛ける。
「メイリンはどうだった?」
 シンがメイリンと呼ばれた少女に向かって尋ねる。
そう言うと少女はすぐさま鞄に手を伸ばす。よほど自信があったのか、その仕草には悪戯するような感じがした。
「ヨウランと一緒にしないでよ、私は、ほらっ」
 少女が鞄から出した答案を見て、ヨウランは陰鬱な表情を更に陰鬱にし、シンは感嘆の声を漏らす。
「二人とも頭良くて良いよなあ・・・・どうせ俺なんて」
「あのなあ、俺もメイリンもちゃんと勉強してる訳であって―――そう言えばどうしてメイリンがこっちの道に?帰り道、違うだろ?」
 メイリンはその言葉を聞いて、頬を膨らませながら呟いた。
「だって、今日でしょ?お墓参りの日って。」
「あ」
「あ」
 その返答を聞いてメイリンは頭を抑えながらため息を吐く。
「・・・・忘れてると思ってた。」
「ご、ごめん。」
「俺も、ごめん。」
「だから、呼びに来たのよ。一緒にお墓参りに行こうって!」
 シン、ヨウランの二人もそれに頷く。
 3月9日。それは3人にとって忘れられない日。彼ら3人が全てを失った日だ。
 5年前、戦争があった。戦火はここオーブをも巻き込み、その年の3月9日、シンは家族を、メイリンは姉を、ヨウランは父をそれぞれに亡くしている。
 彼ら3人は小さい頃からの幼馴染で昔から家族ぐるみの付き合いをしていた。
それは今でも変わらない。墓参りは毎年の恒例でこの日に行くことになっている。誰が言いだした訳でもない。
命日だからなのかは分からない。ただ、気が付けばこの日になっていた。
 ヨウランとシンは毎年それを忘れており、メイリンがそれを気付かせて一緒に行く。
言って見れば今のやり取りは毎年の光景であり、恐らく彼らにとっては来年も、再来年も、その次の年も、永遠に続いていくものなのだ。
 そこに一人の少年が通りかかる。 金髪碧眼。ウェーブがかった髪は美しい女性の如く。レイ・ザ・バレル。シン達のクラスメートである。
「レイ」
 メイリンが彼に気付き声を掛ける。
「メイリン、ヨウラン、・・・それにシンか。」
 レイも彼女に気付き、そちらに眼を向け・・・そして顔を強張らせる。
「・・・なんだよ、レイ」
 シンも同じくレイと瞳を合わせた瞬間、表情が強張った。二人の間で視線が交錯する。
 ヨウランとメイリンはその後ろで呆れたように嘆息する。
143MRS‐D:2007/04/14(土) 21:30:21 ID:???
 シン・アスカ。ヨウラン・ケント。メイリン・ホーク。レイ・ザ・バレル。
 4人とも同じ高校の同じクラスである。学年は2年。
 同じクラスであるので4人ともそれなりに話す間柄ではある。
 シン、ヨウラン、メイリンは幼馴染だし、レイは机の位置が3人と近かったので話す機会は必然的に多かった。
 だが、シンとレイ、この二人の相性は最悪である。ヨウランとメイリンと言う緩衝材があるからこそ上手く行っている訳であり、基本的には嫌い合っていると言っても良い。
 お互いの性格の不一致。理由があるならばそれだろう。
 だから、いつもこんな感じでいがみ合う。
 道をどけと言えばそちらがどけ。
 飯を食い出せばどちらが早く食い終わるか。
 テストの点数を見れば勝負する。
 端から見ている分には多分に面白い組み合わせなのだが本人達は大真面目で張り合いを止めない。
「二人とも、よく飽きないよね」
 メイリンの呟き。横で頷くヨウラン。だが、しかしシンとレイはいがみ合いまるで聞こえていない。
「レイ・・・お前テスト何点だったんだ。」 
 シンが呟く。レイはそれを聞いて無言で鞄から答案を取り出す。
「98点。シン、お前は何点なんだ?」
「98・・・・? な、78だよ。」
 78点。その点数を聞いて、レイは唇を吊り上げて皮肉げに微笑む。
「な、何だ文句あるのか!?」
「気にするな。俺は気にしない。」
「レイ・・・・!」
 今にも掴みかからんばかりに不穏な空気を出し始めたシン。
 それをやんわりと後ろから羽交い絞めにして、まあまあと止めるヨウランとメイリン。
 二人とも慣れたもので、手馴れた印象がある―――実際いつものことではあるのだが。
「じゃあな、ヨウラン、メイリン。・・・そして、シン」
 そう言ってレイはその場を去って行った。
 その後姿を見届けると、シンはレイに笑われた原因の答案をクシャクシャにまるめて、自分の鞄の中に叩きこみ、歩いていく。
 後ろでメイリンがため息を吐き、ヨウランが苦笑しながら付いて行く。
「何だよ、あいつは!少しテストで勝ったくらいで!」
 勝負を吹っかけたのはお前だろうと二人とも思うが、何も言わない。この状態のシンに何を言っても無駄なのが分かっているからだ。
 そこで曲がり角から人影が現れた。シンはいきり立ったまま後ろ向きで二人についていく。つまり後ろが見えていない。
「あ、シン」
 ヨウランの呟き。だが、遅い。
「ん?」
 ドン、とシンに金髪の少女がぶつかり、足を絡ませ、転びそうになる。
「危ない!」
 シンは咄嗟に転びそうな少女の身体を掴んで、抱きかかえるようにして両手で支えた。思い切り、力強く。両手に何故か柔らかい感触。この感触。男には決して存在し得ないこの感触。
(柔らかい・・・え、ちょ、)
 それは胸である。つまるところおっぱい。
 シンの両手は少女の胸をしっかりと鷲掴みにしていた。
144MRS‐D:2007/04/14(土) 21:32:31 ID:???
「ステラ!何やってるんだ!」
「あ、うん!」
 ステラ、と呼ばれた少女は自分を抱きとめていたシンに目もくれず走り去っていく。
 呆然とその後姿を見つめるシン。両手を広げる。今しがた少女の身体を掴んだ―――胸を掴んだ両手をまじまじと見つめる。
(や、柔らかかった。)
「この、ラッキースケベ!!」
「うわー」
 二人の視線が冷たい。
 ヨウランの視線は純粋に羨望から。メイリンの視線は純粋な呆れから。
「ちょ、何だよ、ラッキースケベって!?い、今のは偶然で」
「シン、手をそんな風に何度も動かしながらだと全然信じられないよ?」
 メイリンの言う通り、何度も何度も握り締めたどうさを繰り返して弁解しても言い訳になっていない。むしろ単なる変態である。
「あーお前って奴はどうして、そう美味しいの!?」
 シンの言い訳を聞きながら、ヨウランが羨ましそうに叫ぶ。ヨウランだって年頃の男の子。転びかけた胸を握り締めるなどと言う状況に遭遇する目前の親友は本当に羨ましすぎる。
「いや、別に俺は、」
 弁解しようとするシン。だが、そこで音が鳴り響く。
「・・・・なんだ、この音」
 低く、陰鬱な、どこまでも続く音。サイレンが鳴り響く。それは戦時中を思い起こさせる音。
 ―――敵襲の音。
「これって・・・」
 瞬間、爆音が世界を貫いた。
 白い閃光。上がる白煙。弾け飛んだ礫が身体にぶつかる。白煙があたりに立ち込める。
 シンは爆音と爆風で地面に這い蹲るようにして吹き飛ばされる。
「な」
 風が吹いた。風が白煙を吹き飛ばし、再び世界がその姿を現す。
 シンは見た。そこには、人型の、やけに機械的なフォルムの人型。
 流線型のフォルム。どことなく航空機を連想させるフォルムでありながら、人型であるそれは恐れを呼ぶ風体をしている。
 その数は10人ほど。銃を持つ者もいれば、剣を持つ者もいる。
盾を持つ者もいる。
 シンの口内が乾く。冷や汗が流れ出す。
145MRS‐D:2007/04/14(土) 21:33:52 ID:???
 子供であろうと誰もが知っている、知らない者などいない悪魔の機構。
 前大戦の原因にして、前大戦を終結させた原因。
シンも間近で見たことがあるから知っている。
 コーディネイター。調整者が、“そのシステム”と一身となった際に生まれた悪魔の奇跡。
「ライダー・・・・・ライダー、システム」
 その中の一人。一際大きな銃から煙が昇っている。恐らく、あれが今の爆発の原因なのだろう。 
 その視線は自分達ではなく、その先の―――自分達の学校に向かって伸びている。
 逃げろ。
 シン・アスカは咄嗟にそう思い、隣のヨウランに声をかけた。
 だが、返事は返ってこない。自分とは違い、別の場所に吹き飛ばされたのか、それとも―――
 嫌な想像を振り払い、手近に見えたメイリンを抱き起こす。
「メイリン、逃げるぞ。」
「え、シン?」
「いいから、早く!」
 訳も分からぬまま、メイリンはシンに連れられて逃げ出す。
「シン、どういう」
「ライダーだよ・・・!」
「え?」
「ライダーがいたんだ!!」
 5年前、彼らに悪夢を強いた者達。戦争の発生と終結の原因。
 ライダーシステム。
 ユニウス条約によって禁じられたはずの悪魔が再び出現した。
146仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:02:37 ID:???
>>140
新作乙です!続きもぜひ!

というわけで続きます、第五話です。

第五話   新しい仲間、新しい敵

シンを完膚なきまでにねじ伏せた緑色のMSが空間の歪みに消えるとともにインパルスの変身も解除された。まるでベルト自身に意思があるかのようなタイミングであった。
シンは仰向けに寝転んで天井を眺めていた。剥き出しのパイプが触手の様にのように規則正しく天井に張り巡らされている。シンは漠然と先程の戦いを思い起こしていた。
訳がわからなかった。文字通り手も足も出なかった。悔しいとか情けないという感情ではなく、ただ自分の中で負けたという事実だけが彼の心を占拠していた。
しかし現実味が沸かなかった。何をどうしてやられたのか、自分が飛んだと思ったら次の瞬間地面に這いつくばっていた。頭の中がまとまらない。要するに混乱していた。
ようやく落ち着いて身体を起こす。辺りはすっかり日が沈みかけ背景を赤から黒へと様相を変えていた。シンが帰ろうと出口に向かうとすぐそこに一人の人影が壁に寄りかかってこちらを見ている。
その人物を見てシンは呼吸をすることを忘れてしまう程であった、まるでぐっと心臓をわす掴みにされたかのように。
謎の男はシンに向かってゆっくりと近づいてくる。暗がりの中でもわかる黄金に輝く長髪、見るものを全て引き込んでしまいそうな程の青く澄んだ瞳。一見は美しい女性のようであるが
その身にまとった学生服で辛うじて男だと判別がつくくらいだ。その男はシンのクラスメイト、レイ・ザ・バレルであった。
レイは床に散らばった無数のガラスの破片の上をまる流水のような動きで歩き近づいてくる。気づくとシンの目の前に立っていた。
「怪我は大丈夫か?」
いつもどおりの調子でレイはシンに尋ねた。逆にシンは面を食らった。この状況、自分がライダーである事は確実にばれている。それなのに何故この男は冷静でいられるのだろうか。
普段の学校生活でもレイ・ザ・バレルは他の生徒とは明らかに違っていた。成績優秀、スポーツ万能の超がつくほどの優等生であるが、それと同じくらい物静かである。(まったく喋らない訳じゃない)
そして何事にも動じず常に冷静沈着。シンはレイと出会って仲良くするようになってから一度も慌てたり焦ったりする様子を見た事がなかった。その連続記録は現在も更新中のようだ。
シンはレイの問いかけに答える事ができなかった。まさかこんな誰も使わないような工場でクラスメイトに会うなんて考えても見なかった。その上正体がばれるなんて。
シンが突然のハプニングに動揺していると遠くからパトカーの音が聞こえてきた。どうやら先程の戦闘の音を聞きつけて近隣の誰かが通報したようだ。
「警察か…シン動けるな?ひとまずここから逃げるぞ。」
「あ、あぁ。」
返事をするだけで精一杯だった。レイは表に停めてあったシンのバイクまで走った。シンもその後に続いたが先の戦闘のダメージがあるらしく身体中が悲鳴を上げている。
あちこちからの痛みを堪えてシンもバイクまで走った。
「シン、俺が運転する。ここら辺の地理なら俺のほうが詳しいだろう。お前は後ろに乗れ。」
「レイ、お前なんでこんなところに…」
「その話は後だ。とにかくここから脱出する事が先決、警察に捕まると厄介な事になるぞ。」
そういうとレイはシンからキーを奪うようにしてバイクに差込みエンジンをかけた。
「シン!行くぞ!」
シンは言われるがまま愛車の後ろに乗り込む。直後にバイクは急発進し、シンは後ろに置いて行かれそうになる体を何とか踏ん張って持ちこたえた。
夜空にはすっかり月が浮かんでいた。夜空とぽっかりと穴が空いたような月を目指すようにシンを乗せたバイクは夜道を駆け抜けた。

147仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:03:24 ID:???
先程まで聞こえていたパトカーのサイレンももう聞こえなくなっていた。聞こえるのは自らのバイクが発するエンジン音のみ。警察は完璧に振り切ったようだ。
それからしばらくバイクを走らせ、レイはバイクを停めた。巨大な庭に壁一面に鬱蒼と生茂ったツタ。暗闇に浮かび上がる異様な館はデュランダル邸であった。
呆然と館を見ているシンにレイが声をかけた。
「シン、ここだ。ついて来てくれ。」
レイは鉄の格子でできた重い門を開け、シンを邸内へと招き入れる。その姿はまるで由緒正しい貴族の息子が学友を招き入れている姿にも見える。
言われるがまま再び邸内へと進み、玄関に通されると威厳たっぷり黒髪のギルバート・デュランダルの姿があった。その足元には巨大な犬、ララァも行儀よくお座りしている。
「おかえり、レイ。ご苦労だったね。それによくきてくれたね、シン。調子はどうかな?」
「ただいま戻りました、ギル。シンも、例のものも無事です。」
そういってレイはポケットからディスクを取り出してデュランダルへと差し出す。レイに向かって軽く頷きながらデュランダルはディスクを受け取り懐へとしまった。
「あの…これは一体何なんですか?」
ようやく落ち着いてきたのかシンが口を開く。そして不審な目つきでデュランダルとレイを交互に見やった。
「おや、レイ。シン君にはまだ説明していなかったのかな?」
「ええ、時期が早すぎると思ったのですが…どうやら裏目に出たようです。」
「そうだったのか…。まぁ仕方ない、ちょうどいい機会だ。私が説明してしまおう。」
デュランダルはシンに目をやり一息ついてから口を開いた。
「シン君。紹介が遅れてすまなかったね。こちらはレイ・ザ・バレル、ミネルバ学園に通っている。」
「そんな事くらいずっと前から知っていますよ。俺が聞きたいのはそんなんじゃない、二人は一体どういう関係なんですか?」
シンの口調が思わずきつくなる。デュランダルは苦笑交じりに話を続けた。
「はっはっはっすまないね。冗談が過ぎたようだ。ここからは真面目にいこう。彼はこの家に私と暮らしている、遠い親戚なのだよ。」
「親戚…レイとデュランダルさんが?」
「ああ。そして俺はお前がMRである事、そのベルトの秘密も知っている。」
「そしてレイは、私とともに君サポートする役割がある。つまりレイは君の味方だよ。」
デュランダルのその言葉を聞いてシンはレイに目を向けた。レイもこちらに目を向けて軽く微笑んだ。
「立ち話もなんだ。疲れているだろう、二人とも中に入ってくれ。」
そうしてシン達は居間へと場所を変えた。シンが居間の大きな来客用ソファに座るまで大型な犬ララァはずっとシンの足に擦り寄っていた。

148仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:04:22 ID:???
ンは前回と同じ部屋に通された。高級でさりげなく上品な家具がそろっている部屋だ。デュランダルとレイは心を残しどこかへ行ってしまったのでこの部屋にはシンしかいない。
腰を落ち着けられたので少し冷静になったのか、今までの状況を確認していた。
(レイはデュランダルさんの仲間…か。あのMSの事もどうすれば…)
様々な事が思い浮かんではまた新たな疑問にかき消されていく。次第に気持ちが焦れて落ち着かなくなってきた。ジッとしていられずに二人の様子が気になって椅子から立ち上がろうとした矢先
静かな部屋に木の扉を叩く乾いた音が飛び込んだ。数拍間をおいて紅茶を持ったレイとデュランダルが部屋へと入ってきた。
「遅くなってすまないね。」
そういってデュランダルはシンの対面のソファに腰掛けた。レイは二人の前にこれまた高級そうなカップを置き、それとセットであろうポッドで丁寧に紅茶を注いだ。
湯気とともに安らかな花の香りが部屋一面に広がった。コンビニで売ってる安物の紅茶しか飲んだことのないシンにとって紅茶がこんな香り立つ飲み物とは知らなかったのでカルチャーショックだったようだ。
「…うむ。やはりアールグレイに限るな。いつものように最高の紅茶だよ、レイ。」
「ありがとうございます。」
二人ともかなり整った顔立ちでありそんな会話をしていると貴族の主人が趣味で淹れた息子の紅茶を褒めている、そんな情景がシンの頭に浮かんだ。
「さて、シン。待たせてしまったね。では本題に入ろうか。レイはなぜあの工場にいたのか説明しよう。彼にはある作業をしてもらっていたのだよ、それはMRに関することだ。」
シンはちらりとレイを見やる。レイは腕を組み壁に背を預け目を閉じている。どうやらデュランダルにすべて説明を任せるようだ。
「あそこは表向きは廃工場だがね、内部にはスーパーコンピューターが存在しているのだよ。数年前からそこであるプロジェクトが極秘に進められていた。それは言うまでもなくMR計画だ。」
「ちょっと待ってください!そんな近所でこのベルトは作られたって言うんですか?!」
「いや、開発というよりはチェックや記録がメインな役割でね。そのベルトが作成されたのはもっと別の場所だよ。」
「つまりレイは…」
「そのデータを収集していたんだ、シン。」
シンの言葉をレイが続けた。レイはいつの間にかデュランダルの背後に立っていた。
「ここ最近はずっとあの工場に篭りっ放しだった。時には学校を休んでな。」
シンが黒いMSに襲われた日、初めてライダーに変身した次の日確かにレイは学校に来ていなかった。
「だから最近放課後はすぐに帰っていたのか。」
「そういう事だ。データを見るだけならそこまで時間はかからないんだがな…複製して外部に持ち出すとなると話は変わってくる。」
そういってレイはデュランダルに目をやる。後ろにいてレイの細かい仕草が見えるわけもないのだがわかっていたようにデュランダルは先程玄関先でレイから預かったディスクを取り出し机の上に置いた。
「これがその複製された全データだ。この小さなディスクの中に私も知らないMR計画の情報が詰まっている。」
シンは机の上に置かれたディスクに視線を落とした。このディスクに秘密が隠されているのは間違いない。
(これを見れば…何で俺がライダーになれるのかがわかるかもしれない…)



149仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:05:37 ID:???
そんな心の内を読まれたのかデュランダルが釘を刺すように付け足した。
「だがしかしその内部データ自体にもプロテクトがかかっていてね、全部が読める訳ではないのだよ。」
デュランダルは残念そうに首を振った。
「これからも解析を続けていかなければならない。しかし恥ずかしながら私には手におえなくてね…。そこでレイにお願いしているという訳だ。」
「そういう事だ。そのデータはかなり扱いが困難だ。迂闊にさわるとウイルスが出てデータが消されるシステムが組んである。」
レイのその一言でディスクを手にとろうとしたシンの手が思わず引っ込む。
「ははは、そういう事ではないよ。安心したまえシン。これでレイがいた説明がついたかな?」
デュランダルはディスクをひょいと取り上げしばらく手の中でもてあそんでからレイに手渡した。
「それはわかりました。でも、何でわざわざそれを複製する必要があったんですか?」
シンはさらに湧き出てきた疑問を聞いた。デュランダルは少し考える素振りを見せ、口を開いた。
「つまりは、あそこはもうあちら側、つまりファントムペインにばれてしまった可能性があったからだよ。我々より先にあちらがMRの情報を確保し、破棄してしまったら
こちらとしては手立てが失われてしまうのだよ。状況は思った以上にこちらに不利でね。何にせよ敵方の大将がどこにいるかもわからない。」
「そこでMRが動き出した翌日から複製に取り掛かったんだ。思ったよりファントムペインも動くのがはやかった。あと少しこちらが遅かったら取り返しのつかない事になっていただろう。
それもシン、お前が今日怪物を食い止めてくれたおかげだ。ありがとう。」
レイがシンに謝辞を述べた。だがシンは素直に喜べず、むしろあそこで敗北を喫した事実をようやく捉え始め苦い気持ちがこみ上げてきた。その様子に気づいてデュランダルが声をかける。
「シン、さっきレイから話を聞いたよ。確かにMSに歯が立たなかったかもしれない、だが今我々は糸口であるこのディスクがある。君は知らずともこのディスクと、私の家族を守ってくれた。
そして君も生きている、それがどんな過程であれ結果生きていれば次がある。君は強い戦士だ、誰にも真似できない力を持っている、だから君は戦っているのだろう。だが戦士である前に
君は一人の人間だ。誰かを守りたいと気持ちも大切だが、君自身、君が守らねばならないうちの一人なのだよ。」
デュランダルは諭すように、それでいて真剣にシンに語りかけた。レイもデュランダルと同じ気持ちのようで頷いて話を聞いている。
「それでも…次に負けてしまったら…今度こそ…」
そうつぶやいたシンの脳裏に二年前の家族の姿がちらつく。夢で何度も見た家族の最後の瞬間、足元に転がる家族の亡骸。突然それがクラスの級友に変わる。変わり果てた友の姿。
その中にはレイもいる。次に負けたら…
「大丈夫だ。そのために私達がいるんだ、三人で戦うんだ、次こそ勝てる。」
デュランダルの力強い言葉にシンは現実に引き戻された。背中一面にびっしり汗をかいていてシャツがべとついている。
「三人で…何で…そこまでしてくれるんです…?」
「さっきも言っただろう、俺たちはお前の仲間だ。」
そう言ってレイは先程と同じように微笑んだ。それはシンにとってとても頼もしい微笑であった。
150仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:06:28 ID:???
シン達が工場を跡にした頃に話は遡る。近隣住民の通報を受けて工場に駆けつけた警官隊が目にしたものはところどころ大きくえぐれた地面。そして工場の中には割れた窓ガラスの破片。
とにかく異様な光景ではあったが取り立てて不信な人物等は見当たらなかった。腑に落ちないながらも警官隊はその場を跡にした。
その数分後、工場地帯内にMS発生源特有の空間の歪み。ファントムペインでは【ゲート】と呼ばれているものが三つ発生した。
ゲートから出てきたのは三体のMSの姿であった。いずれもシルエットが異なっており、今までに発見された種とも大きく様子が変わっていた。
それぞれ、猛禽類、さしずめ鷹を思わせるような容貌のMS、表面が硬いうろこのような装甲、手には巨大な槍を手にしている。鋭いフォルムで鮫を感じさせるMS、そして漆黒で女性的なシルエットのMSであった。
「…よし、指定された空間に着いたみたいだな。」
「なぁんだ、つまんない任務だよな〜。データの採取だなんて。破壊工作とか虐殺命令とかワクワクするもん出してくんないのかねぇ。」
「無駄口を叩くな、つまらないならさっさと終わらせて基地に戻るぞ。」
「へいへい。」
「…悪い敵、いない。」
三体のMSは目的の場所へと慎重に足を進めていく。周囲を警戒しながら、慣れた様子でフォーメーションを組んでいる。
「この部屋だ。」
「鍵は…っと、探すのめんどいしこのままやっちゃうよぉ!!」
そう言って鮫のようなMSが槍を巧みに使い扉をバラバラに切り裂いた。
「おい!気をつけろ、誰かに気づかれるかもしれないだろ。」
鮫のMSに鷹に似たMSが注意をしたが鮫はまるで聞いていない。二匹の間を黒いMSが何事もないように歩いていく。
扉の向こうには部屋一面コンピューターが占拠していた。五m四方の壁一面覆い尽くすようなモニター、その横には自動販売ほどの大きさのサーバーが窮屈そうに並べられている。
ただしかし、モニターやサーバー、天井に張り巡らされたケーブル類は無残にも破壊尽くされている。まるでバーサーカーが暴れ狂ったかのような惨状であった。
「ちっ…やっぱり遅かったか。」
鷹のMSが苦々しく独りごちた。他の二人は興味なさそうに部屋のあちこちを眺めている。
「撤収だ。帰ってネオに報告だ。行くぞ、アウル、ステラ。」
「それを待ってました♪さっさと帰っちゃおうぜ〜。」
「ステラ、ネオのとこ、帰る。」
次の瞬間、三匹のMSの前に再びゲートが発動した。三つの影は空間の歪みに入り込みやがてその歪みとともに完全にその部屋から姿を消した。
そこには再び静寂が訪れた。
151仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:07:28 ID:???
「もう帰るのか?」
デュランダル邸の前でレイがシンに尋ねる。レイの横にはデュランダルもいる。
「あぁ、美味しいご飯もご馳走になったし本当にありがとうな。」
シンはヘルメットをかぶりながら二人に礼を言った。その日出されたシチューは本当に美味しかった。
「遊びに来てくれたらいつでもご馳走しよう。たくさん食べてくれてこちらとしてもとても嬉しいよ。」
デュランダルが微笑む。どうやら自身が作ったシチューを何倍もおかわりしてもらったのが本当に嬉しいようだ。
「そうだ、いつでも来てくれ。それじゃあ、また学校で。」
「ああ、…今日は、本当にありがとうな。それじゃ。」
そう言ってシンはアクセルをゆっくりと回しデュランダル邸から走り去った。レイとデュランダルはシンの姿が見えなくなるまで見送っていた。
「行ったようだね。素直でとてもいい子じゃないか。」
「ええ、だからこそ…彼が戦わなくてはならないのが…せめて俺が、『アイツ』がいなかったら…!!」
次第にレイの口調が熱を帯びてくる。端正な口元も歪んでいる。そしてその怒りは自分に対する憤りにも見える。
「レイ、その事は考えてはいけない。君は君なりのやり方で戦っている。そしてそれはシン君助けることに繋がる。だからそんな風に
責めるな。君は悪くない。本当に悪いのは…私のように未来ある若者に頼ることしかできないダメな大人なんだよ…。」
デュランダルは自嘲気味に言って、夜空を見上げた。雲間がかかって星を見ることはできないが月の周りだけはぽっかりと穴が開いていて薄い光を放っている。
「ギル…。」
心配そうにデュランダルを見つめる。その視線に気づいたのかデュランダルはレイの不安の払うような笑顔を見せた。
「はっはっはっ、大丈夫だよ。さて、冷えるといけない、中に入ろう。」
デュランダルは中に入ることを促し、レイを先に歩かせ、自身も後についていく。玄関に入る前、デュランダルはもう一度月を見上げる。
「不吉な色だ…」
鮮やかに赤く染まった月。まるで生き血を浴びたかのような色である。月はただ静かに真っ黒な夜空に不気味に浮かんでいた。
別の場所で同じ月を見ている者がいた。うっとりするようにその人物は赤い月に見とれている。
「ネオ。今夜の月は綺麗だな…どんなに上等なワインでもあんな美しい色はお目にかかれない。」
その人物、ジブリールは高層ビルの窓から月を見ていた。その後ろには仮面の男、ネオ・ロアノークが直立していた。

152仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:09:57 ID:???
ネオが口を開いた。
「報告します。エクステンデッド達の調査によりデータがあると思われる工場地には既に何者かがデータを持ち込み、破壊した跡がありました。」
男の報告を聞いてジブリールはネオに身体を向きなおし尋ねた。
「つまりデータは採取できなかった、と。」
「はい、先行していたMSは無事に収容しました。」
「…ふん、まぁいい。データがどんなものであろうと当の本人は死んでいる。誰にでも扱えるようなものでもないだろう、ほうっておけ。」
「了解しました。それとアーモリーワンプロジェクトの件についてですが…作戦実行はエクステンデッドの三名に任せます。」
ネオの報告を聞いて、ジブリールの眉がわずかに動いた。
「新型か…使い物になるのか?」
「テストでは十分な数値を出しています。後は実戦に出してみるだけです。」
ジブリールはしばらく考えるような素振りを見せ、口を開いた。
「いいだろう。お前の好きなようにやってみろ、壊れてもまた作る、それだけだ。」
「了解しました。ではこれにて失礼します。」
ネオは背筋を伸ばして敬礼してその場を跡にしようとした。その背中に声が投げかけられる。
「ネオ、遊ぶのはいいがあまりおもちゃに感情もつんじゃないぞ。」
「もちろんです。ジブリール会長。」
振り向きもせず答えてネオは静かに部屋から出て行った。
部屋出るとネオは立ち止まり、ジブリールの台詞を思い返して自分でも聞き取れないくらいの大きさで呟いた。
「おもちゃ…か。」

翌朝、いつも通りミネルバ学園では授業が始まっていた。八時半に始業の鐘が鳴りクラス毎の朝のホームルーム。そして一限の授業が始まる。
授業中、シンはレイの方に目を向ける。レイは前の座席であるためここからでは顔は見えない。その姿はいつも通りの普段のレイの姿だ。
だが、昨日からはともに戦う仲間なのである。シンにとってこれほど頼もしい事はなかった。
153仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:11:22 ID:???
仲間がいるというのはシンにとって何よりも心の助けとなった。それまで独りで溜め込んでいた不安や恐怖も共有できると思うと断然楽になり
心についていた重しがすっと外れていくような感覚であった。そんな事を考えながら授業は進んでいく。やがて昼休みになり、生徒や職員は
教室や職員室、学食や屋上などの思い思いの場所で友達や恋人と昼食を取り始める。
それとほぼ同時刻、校門から少し入ったところにある用務員室は窓から校門が覗ける。不審な人物が入ってきてもまず用務員の目に入ることになる。
つまりはその位置的なこともあって警備員もかねての仕事でもあった。
その部屋の前に部屋の主である人柄がよく教員からも生徒からも人気があった初老の用務員がうつ伏せに倒れていた。
その背中は破裂した果物のザクロの様であり、赤い花を咲かせた様でもあった。その周りにはおびただしいほどの血が、ペンキをぶちまけたかのように
コンクリートを赤く染めていた。
その近くには右手に黒い鉄の塊がついている緑色の怪物が立っていた。足元の人間は意も解さぬようでまるで興味を示していなかった。
右手の鉄の塊の先端からは白い煙が立ち昇っている。
緑色の脅威はゆっくりとミネルバ学園の校舎に向かって歩き出した。じわりじわりと追い詰めるように、一歩一歩を確かめるようなスピードであった。
校舎の中は昼時で騒がしく賑やかであり、まだ誰も自分達に忍び寄る恐怖の存在には気づいていなかった。
154仮面ライダーD+:2007/04/14(土) 22:13:59 ID:???
以上です。次回は以前よりやりたかった学校混乱ものです。
小学生の頃から授業中に「今テロリストが来たらどうやっつけよう…」とかすごい勢いで妄想していました。
次回はその頃の妄想エピソードをかなり取り入れて作成しようと目論んでいます。
155通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 00:06:00 ID:???
携帯から読むと読みやすいことに気がついた…

新作来ててかなり嬉しいw
なんか今までにないストーリー続き待ってます

仮面ライダーD+氏GJ!
中間管理職ネオガンガレ
次回楽しみにしてます
156通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 05:02:22 ID:???
>>140
衝撃的な始まり、設定ですね
シンとレイの関係も面白い
アスランとラクスはどうしているのか気になるな
どう展開していくのか楽しみです
>>154
レイの言葉が気になるな…
何はともあれレイという頼もしい仲間ができてよかったなシン
相変わらず本編と同じでシンは何にもまだわかってなさげなんで
レイがいないと駄目だなぁっとw
次回は自分も好きな展開なんでwktkしながら待ってます
157通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 08:36:42 ID:???
ついにTVに登場したか。
158通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 10:03:06 ID:???
来週楽しみだな
159通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 12:46:17 ID:???
職人GJ!
しかしここは過疎だな…見ている人が極端に少ないのだろうか?
160通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 12:56:45 ID:???
板自体も過疎だし…
SSは質高いんで読めたらそれでいいかなーなんて思ってたり
これだから駄目なんだなw
161通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 14:03:55 ID:???
種映画が何か進展あればいいんだろうが。今どんだけの作品が進行してるんだろう
162通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 14:48:45 ID:???
このスレ的には電王ネタのほうがスレが進んだりして
163通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 15:07:21 ID:???
164通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 15:19:03 ID:???
>>161
種関係って劇場版以外にも何かあるの?
165通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 17:08:11 ID:???
SSもいい具合に揃ってきたね、職人さん気長に待ってますよ。
166通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 21:00:56 ID:rJjrKsB5
待ってるだけではなんなので、好きな作品とか良かった所を挙げるとかどうだろ。
批評・批判にならない程度に。
167通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 21:06:14 ID:???
>>164
スタゲかな。
あと、噂レベルでパチスロが出るとか出ないとか。
168通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 21:11:38 ID:???
種のパチスロw
169通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 21:13:42 ID:???
パちんこ、パチスロは、中身であって見かけじゃヒットしないから。
当たりやすく、連チャンするじゃしないかだけ。
170通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 21:34:02 ID:???
エヴァばっか最近使ってる俺参上
171通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 21:46:00 ID:???
おれの友人はエヴァの演出や確率変動にはまってしまって、
すっかりパチスロにはまってしまった。
172164:2007/04/15(日) 22:12:15 ID:???
>>167
ありがとう。スターゲイザーってOVAで終わりじゃなかったのか。
173通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 22:17:40 ID:???
だといいのだがね。実際どうだか。
174MRS‐D:2007/04/17(火) 22:24:38 ID:???
 こっそりと投下第二段
 
 PHASE02『無音の鼓動』
警報が鳴り響く。レイ・ザ・バレルはその音に振り向いた。
 その音が示す意味を彼は知っているからだ。
誰よりも―――少なくとも学び舎で共に過ごす生徒達よりもはるかに。
「・・・・・まさか」
呟き、レイ・ザ・バレルは走り出す。
 今しがた通ってきた道を逆に―――煙の上がる学校の方へと。
 走る姿はいつも以上に寡黙。だが、彼を良く知る者であれば気付くだろう。
 その顔に焦りの色が滲んでいるのを。
 彼の懐のPDA――携帯端末。現代で言う携帯電話である――から着信音が鳴り出す。
 取り出したそこにはアルファベットでこう書かれていた。
『ZAFT』
 レイはその電話を繋げる。勿論足は一瞬も止めずにだ。
「もしもし。」
「タリアよ。警報は聞いたわね?」
「はい。」
「襲撃地点は貴方のいるところから・・・そうね、
 500mくらいの場所よ。直ぐに現場に向かってちょうだい。
 貴方の方への転送も既に許可されているわ。」
「・・・・了解しました。」
 PDAを懐に仕舞い、走るのを止め立ち止まる。
 脳裏に反芻する通話内容。
「変身」「転送」
 その言葉は何よりも切迫した、既に抜き差しなら無い状況に刺しかかっているを意味する。
 逡巡は死を呼び込む。
「―――いくぞ。」
 吐き出した言葉と共に覚悟を決める。唾を飲み込む。冷や汗が流れる。
 心臓の動悸が高鳴る。普段は服に隠れた腕時計を表に出し、鞄を道路に置く。
 左手の時計を右手で操作する。時刻のデジタル表記が消え、浮かび上がる『ZAKU』と言うアルファベット。
 それを見てレイは一瞬瞳を閉じ、
「変身」
 呟いた。
175MRS‐D:2007/04/17(火) 22:26:52 ID:???
 呟きと同時に彼の周囲の空間が歪む。
 僅かな光を起こし、まず仮面が出現する。
 頭部を覆う角が突き出た灰色の仮面が。そして灰色の装甲が出現。
 彼の身体を全身甲冑の如く覆っていき、瞬く間にそれは彼の体を覆い尽くす。
 その瞬間、装甲と共に出現した背部に背負った大型化されたバックパックより響き唸るモーターの駆動音。
 駆動音は初期こそうるさかったが、それは徐々に収まっていき、安定したのか音は静まり、低く小さく鳴り続ける。
 同時に頭部を覆った仮面を中心に全身の装甲に色が宿り、
 頭部のカメラに火が灯り、赤い一つ目を形成する。
 白を基調としたカラーリングで彩られたそれは現代に現れた鎧武者。
 肩からは自身を覆うほどの巨大な盾。
 十秒も掛かってはいないその時間で彼はその鎧武者に変化した。
 次瞬、再び彼の目前の空間が揺らぎ、再び新たな物質が出現する。
 それは銃だった。その中でも突撃銃と言う部類に位置するものだろう。
 長距離の狙撃ではなく近距離の制圧に効果を発揮する武装。
 それを両の手で携え、腰を少し落とし、僅かに姿勢が前傾する。
 背部の機械が再び大きく鳴り出し始める。
 その音は車や電車とは違う類―――どちらかと言うと航空機に近いそれはブレイズウィザードと呼ばれる高機動・強襲用に作られたバックパックシステム。
 爆発音。否、爆発したかのような爆音。
 そして、彼は跳躍した。その距離およそ数十m。
 背部に背負ったバックパックが、吸入した空気を圧縮し、後方に打ち出したのだ。
 そして着地。
 逆噴射による減速と全身の装甲内に埋められた人口筋肉がその衝撃を全て吸収する、そして反動を再び動力とし―――跳躍。
 瞬く間に彼の姿は見えなくなる。
 鎧の中でレイは思う。間に合え、と。
 焦燥が彼の心を縛り付け、彼はその心のまま最大戦速で送信されてきたデータに示された場所へと向かう。
 それが決して、間に合わないことだと知りつつも。
176MRS‐D:2007/04/17(火) 22:30:05 ID:???
白い異形。
 どこか工作物めいたその姿。
 化け物と言うよりもむしろロボットと言った方が正しいだろう。
 全体的に角ばったデザイン。黒を基調に赤が僅かに入り混じったカラーリング。
 彼の知る“ライダー”とはまるで違う姿・・・だが、それは紛れも無くライダーシステムだ。
 シンはそう疑わない。何故ならこの世界にはライダーシステム以外に存在しないからだ。
 人型で、大型の機械よりも巨大な力を持ち、車よりも早く動く。
 そんな夢物語のような代物はライダーシステム以外に存在しない。
『ライダー』
 それは第3次世界大戦の発端となった技術であり、終わらせたシステムでもある。
 基本的な構造は人間の強化外骨格―――上半身を分厚い装甲で、
 それを支える下半身と腕部に強固な人口筋肉を配置し、
 その他様々なシステムを動かす為のバッテリーとシステムそのものをも収納した背中に取り付けられたバックパックと呼ばれる大型の機械。
 このバックパックによってライダーは人間サイズの人型でありながら、人を大きく超えた能力を持つ。
 空気を圧縮し後方より放出、足の裏に設置されたローラーの駆動により人ではありえない機動力を与える。
 砲身が加熱し、人が持てる温度、持てる重量ではない武装を自由に扱う膂力を与える。
 始まりの意味はどうあれ、科学によって作られ調整された超人。
 それがライダーである。
 そしてそれが彼らに『調整者(コーディネイター)』と言う蔑称を与えることになる。
 人を超えた力を機械と科学の力で与える。そこまではいい。
 そこまでは。
 だが、それほどの力を人が制御出来るのか?そういった議論は黎明期から繰り返されてきた。
 爆発的な速度と力。これらを両立する為にはどうしても、操作する側の性能が不足する。
 インターフェースはあまりにも難解になり、一部の人間にしか乗りこなせないと言う状況を生み出した。
 その一部の人間にしてみても、それほどの難解な操作を推してまで使用しようは思わなかったと言う。
177MRS‐D:2007/04/17(火) 22:32:04 ID:???
 計画は頓挫する。
 だが、そこで一つの案が生まれた。
 問題はインターフェースのみ。つまりインターフェースの問題さえクリアすればライダーシステムは完成する。
『人間が機器を操作して操作する』
 そう、考えるから問題なのだ。
『人間が操作する』
 それができれば話は早い、と。
 それは、いわば悪魔の囁きだったのかもしれない。
 何にしても科学者達はそこである結論に達した。人間を改造してしまえと。
 それが調整者、コーディネイターの発祥である。
 彼らは後天的に―――もしくは先天的に―――遺伝子の操作を受け、ナノマシンサイズでの有機物と無機物の融合を行い、ライダーシステムに特化した、文字通り調整された者となる。
 こうしてライダーの基本構造が出来上がる。
 人間をフレーム、身体を覆う外骨格を装甲とし、頭部を覆う『仮面』により全身の動きをナノマシンが『仮面』に送信、そして『仮面』は隣接する装甲に送り込み、その動きを完全に追跡する。
 全身のナノマシンを統制する為に胸にSEEDと呼ばれる種子上のエネルギーユニットを埋め込む。
 彼らの前に現れた白い異形もそういった類の者だった――その内実はライダーシステムとは大きく違うものではあったが、
 これはシン達の知るところではなかった。
 どちらにしろ、シン達、この世界の人間にとってライダーとは、畏怖と憎悪の対象でしかなかった。
「なんで、いきなり・・・!」
 傍らのメイリンの手を取って走りながら、シンはライダー達を注視する。
 彼らは既にこちらに気付いている。
 白煙は既に天に舞い上がり、その間に走ることで稼げた距離は僅かに数十m。
 ライダーの一人の視線がこちらに向いた。
「はあっ、はあっ、はあっ」
 メイリンの息は既に上がっている。
 元々体力には自信がある自分と違って、普段から鍛えていない彼女にとってはこの距離の全力疾走は苦しいものに違いない。
 このペースであれば、いずれ確実に殺される・・・その確信がある。
 二手に別れる道。T字路に刺しかかる。シンは、覚悟を決める。
「メイリン、ここで二手に別れよう。」
 足を止め、 メイリンの手を握っていた手を離す。
「シン!?何言ってるの!?」
「多分、あいつらからは逃げ切れない・・・このままだと二人とも殺される。」
「二人とも・・・」
 その言葉にメイリンは顔を青白くする。シンは続ける。
「だから、せめて一人でも生き残れるようにここで二手に別れるんだ・・・・メイリン、出来るか?」
178MRS‐D:2007/04/17(火) 22:34:02 ID:???
「・・・・・う、うん」
 僅かな逡巡はあったものの、頷き、直ぐにシンとは別の方向に走り出す。
 途中何度もこちらを見返しながら走るも、その姿は直ぐに見えなくなる。
 シンは覚悟を決めて振り返る。赤い瞳を敵に、ライダーに向ける。
 ゆっくりとこちらに歩いてくるライダー。
 手に持つは剣と盾。内心でほっとする。
 これが銃だったら既に終わっているところだ。どうやら、運はまだ途切れていないらしい。
「・・・・・ヨウラン、ごめんな。」
 一緒に逃げてこなかった友の名前を呟く。
 その言葉は推測でしかないものの・・・おおよそ当たっていることは間違いない。
 ライダー。
 災厄を与える悪魔ども。
 そんな化け物に狙われて生き残るなんて言うのは二人揃って生き残るなど不可能だ。
 だから、こうした。メイリンを先に行かせ、自分が足止めをする。
 どれだけ保つかなど分からない。
 一分か、十分か、それとも数秒か。だが、少なくとも時間は稼げる。
 一人でわき道を走り続ければきっと逃げ切れる。
 この周辺は戦災復興の際に増築を重ねたせいで裏道に入ると迷路のように入り組んでいるからだ。
 先程、メイリンと走りながらシンはずっとこうするつもりだった。
 せめて、彼女だけでも助かるように・・・メイリンが逃げ切れるようにここで時間を稼ぐ。
 武器は無い。知恵も無い。罠も無い。何一つ準備は出来ない。出来ることは一つ。
 相対した上で、逃げる。
 一分でも一秒でも構わない。生き残る。逃げ延びる。
 自分が生き残れば生き残った分だけメイリンが助かる可能性は高くなる。
 目前に近づいてきたライダーを眼にしてシンはただそれだけを頭に叩き込む。
 つまりは鬼ごっこ。命を賭けた馬鹿げた嫌がらせ。だが、前を向いたシンの耳に風を切る音が届く。
「え、あ・・・?」
 何故か自分の体に剣が突き刺さっている。胸を貫くそれはあのライダーの手に持っていた剣。
 それがどうして、ここに。
 そしてそう思考した瞬間、眼前にライダーが。
179MRS‐D:2007/04/17(火) 22:35:44 ID:???
「う、そだろ。」
 シン・アスカは胸に刺さった剣ごと、ライダーの蹴りによって吹き飛ばされた。
 その距離およそ十数m。大型車両との激突にも匹敵する衝撃。
 目論見であった数秒も数分も無理だった。
 一瞬で、シン・アスカは殺された。完膚なきまでに。無慈悲に。

 シン・アスカの肉体は既に破壊され、死の寸前―――かろうじて生きていると言う状態にされた。
 ライダーの圧倒的な力、それが放った蹴りの前に人間の肉体は風化した泥のように脆く、無力だ。
 ライダーがシンの胸に突き刺さった剣を取りに彼に近づく。
 既に死んでいると思っていい。かろうじて息はあるが・・・止めをくれてやる義理は彼らには無かった。
 ぶちゅ、ぐちゅ。抜き去った瞬間に血が吹き出る。ライダーの純白の鎧に緋が走る。
「・・・・・ぁ」
 声が漏れる。
「・・・ぉ」
 呟きはか細く、聞き取るには小さすぎる。
 ライダーはそれを見ても、何の感慨も浮かばないのか声一つ発しない。
 空ろな意識。死の間際、シン・アスカの胸に去来する思いは恐怖や悲しみではなかった。
 ただただ怒りのみ。死に瀕すれば瀕するほどにシンの心は灼熱の怒りで埋められていく。
 けれどシン・アスカはここで死ぬ。それは違えようの無い事実。
 その事実を本人も認めている。認めて・・・・その上でその現実に怒り狂う。
「ぉ・・・ぁ」
 ―――自分はこんなところで死ぬのか。誰も守れず。誰の盾にもなれず。
 何の役に立つことも無く自分は此処で死んでしまう。
 何も出来ない。ただそれだけが何よりも悔しい。妹、父さん、母さん。守りたかった皆。守れなかった皆。
 自分は無力だ。ヨウランはきっと死んだ。メイリンもきっと死ぬ。いけ好かない奴だけどきっとレイも殺される。
 学校の皆も、楽しく生きてきた五年間全てが奪われる。壊される。何もかもぶち壊される。
「ち・・・く、しょ、お」
 全身全霊を使って呪詛を呟く。だが、呪詛は届くこと無く
180MRS-D:2007/04/17(火) 22:37:47 ID:???
「・・・・・・」
 瞳が閉じる。
 意識が途絶える。死人には用は無いとばかりにライダーが踵を返す。
 ―――だが、シンの脳裏で無音の鼓動が響いた。
 音は無い。無いのにそれが鼓動だと理解できる。
 何もかもを破壊し、何もかもを侵し尽くす獣の咆哮。
 悪魔がその瞳を開ける。赤い瞳、漆黒の身体、そして血涙を流す悪魔が。

 唸る駆動音。足元に据えつけられたローラーを駆動し、レイがその場所から300mほど離れた場所に到着する。
 その姿は戦闘をしてきたのか、土埃で汚れ、装甲にはそこかしこに傷がついている。
「あれは・・・・」
 カメラアイが動き、人影を捉える。すぐさまその人影を拡大し、確認する。
 そこに、倒れ、血まみれのシン・アスカが立っていた。身体中が血まみれ。
 身体中に傷を負っていることは明白。レイは直ぐにそこに駆け寄ろうとし、
 ローラーを起動しようとする、が直ぐにその動きは止まる。
 シンの身体が突然小刻みに震えだし、明らかに様子がおかしいことに気がついたからだ。
「あ・・・・あ、あ」
 微細な震え。そしてそれに伴い彼の身体から赤い噴水のように夥しい量の血液が噴出し、
 見る間にそれが凝固し、身体中を覆っていく。
 あくまで機械であるライダーシステムとは対照的な、有機的なライン。
 身体中を覆う赤色が、漆黒の甲殻に変わっていく。昆虫のように丸みを帯びたスタイル。
 黒色の甲殻とその節々に張り巡らされた赤いライン。肩、肘、膝は角のように大きく張り出している。
「あ、あ、ああアアアアア」
 シン・アスカの意識は既に混濁し無きに等しかった。彼が彼ではなくなっていく。
 胡乱な意識。そしてその中で燃える灼熱の怒り。
 黒い光が顔面を覆う。『仮面』が形成される。朱い涙を流す獣の『仮面』が。
181MRS‐D:2007/04/17(火) 22:38:58 ID:???
 それは、正に化け物。
 それはまさに悪魔の似姿。それは、何かが、何もかもが違いすぎるけれども・・・彼の知るソレと同じモノ。
 鎧とソレを制御する仮面。それはまさしく、
「・・・ライダー・・・・システム、なのか。」
『ハッ・・ハッ・・・ハッ・・・ハッ』
 身体を前に倒し、獲物に飛び掛る獣のような体勢。
 シン・アスカ――もはやその面影などどこにもないが――の脳裏に浮かぶ思考は一つだけだった。
 殺す。眼に映る人ではない化け物全てを。自分から何もかも奪っていく全てを。
 奪われるのなら―――奪えないように殺してしまえ、と。
『オオオオオアアアアアッッッ!!!』
 シンが吼える。猛り狂う。ドンと地面が震える音。シンの足が地面を駆け抜ける音だ。
 化け物が振り返る。鈍器で地面を叩いたような音がした。
 シンが右手を突き出し、化け物の顔を掴む――掴んだ瞬間には化け物の顔が潰れた。
 握り潰す。リンゴが破裂するように、頭蓋が破裂した。
『ハアッハアッ』
 銃声。そして、彼の身体に響く衝撃。
 シンが銃声のした方向に振り向く。
 異常に気付いたのか残りのライダーが続々とそこに集結する。現れたライダー、その数5つ。
 ライダー達は銃を構え、シンに向かって構える。
 それを見てシンの紅眼が一際輝く。シンが跳躍した。上、では無く前へ。
『ハァ・・・ガアアアア!!!』
 接近するシンを見て何人かのライダーが銃を捨て剣を構える。
 刀身が白熱し、高温を纏う。襲い掛かるシンに向かってライダーが切りかかった。
 だが、シンの動きは人を超えたライダーですら及びもつかない化け物じみた動作だった。
『オオオオ!!』
 地面すれすれ。走ると言うよりも泳ぐようなカタチで地面をシンが疾駆し、放たれた銃弾を回避。
 間髪いれずに叩き付けられたゴムボールのような勢いで壁に向かって跳躍。壁を足場に再び跳躍。
 それを繰り返し、雷の如き軌道と雷鳴の如き速度で、
 シン・アスカが切りかかろうとしたライダーに襲い掛かった。
182MRS‐D:2007/04/17(火) 22:40:15 ID:???
 一人目は切りつけようとした剣ごと、叩きつけられたシンの拳に吹き飛ばされる。
 吹き飛ばされたライダーの顔面は捻じ曲がり、もはやその用を為さない。
 その後ろから切りつけようとした二人目は更に無残だった。シンは腕を振るう。
 無造作に、邪魔な何かを払うように。
 びちゃ。飛び掛ったライダーの顔が吹き飛んだ。脳漿が飛び散る。脳みそが飛び散る。
 首無しのライダーは捌かれた蛇のようにビクビクと身体を痙攣させる。
 瞬時に破壊された味方のライダーを見て、残ったライダーが銃撃による攻撃を始める。
 銃撃は絶え間なく、シンに向かって連携して攻撃を続ける。
 ライダーの銃撃は何度も何度もシンの甲殻に当たるモノの身体を揺らす程度の衝撃と掠り傷を与える程度。
 逆にシンの一撃は化け物の装甲を貫き、確実に命を奪う。
 攻撃力と防御力。その双方において差がありすぎる。戦車に竹槍で挑むようなものだ。
 それは戦闘ですらない。殺戮だ。
『ハッ、ハッ、ハッ・・・・!!』
 気が付けば、瞬く間に殺戮は終わった。
 ライダーはそのどれもが無残な死体と成り果て、地面に横たわり、夥しい血で地面を汚す。
 だが・・・蹂躙は終わらない。シン・アスカの変貌したシンは、
 殺したはずの化け物を踏み潰し、磨り潰し、微塵になるまで殺し尽くす。
 レイ・ザ・バレルは呆けたようにその様を見続けた。
 ライダーシステム。自分の知るソレとはまるで違うこの力。
 変身の過程が違う。姿が違う。何よりも力が違いすぎる。化け物を殺す為に作られた戦士。
 それが自分の信じたライダーシステムだったはず。
 ならば、目前のこれは何だ。これではまるで悪魔ではないか。
 シンの咆哮が響く。そして、それに呼応するように彼の身体を赤い炎が包み込む。
 炎は甲殻を粒子に変換し、彼の胸の内に吸い込まれるように消えていった。
 死んだように眠りこけるシン・アスカ。目前で繰り広げられた惨状。
 レイ・ザ・バレルは鎧武者の中に設置された無線機を操作し通信、彼の上司に連絡する。
 戦闘が終結したことを。

 これが始まり。世界を賭けた大戦争の始まりだった。
183通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 23:17:08 ID:???
GJ!!
シン(真)ライダー恐ぇぇ
184通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 23:35:21 ID:???
今までのSSがどっちかというと平成のメカっぽいライダーが多かっただけに、昭和風の生物的なライダーは新鮮
しかも最初にメカっぽい存在としてライダーを出しておいて、シンは違うというのが意表をつかれた
185通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 23:40:58 ID:???
平成ライダーだと生物っぽいのはギルスくらいだからなー
186通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 23:42:52 ID:???
どんだけイイ奴なんだこのシンって思いきや、
そのシンは死んで悪魔SINが目覚めてしまったのね
シンの立ち位置がわからんくなってきた、人類の敵なのか
187通常の名無しさんの3倍:2007/04/18(水) 15:29:25 ID:???
ひさびさにインパクトが…。
いや、シンだけにインパルスというべきか。

衝撃を受けました。こういうのはマジで初か?
188通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 00:40:10 ID:???
新作GJ!戦闘描写が秀逸だった。迫力がある。

スレを読んでてなんとなく各作品の放送時間を妄想してしまった。

『仮面ライダー衝撃』 毎週日曜 朝8時から放送中 
『仮面ライダーD+』 毎週土曜 夜6時から放送中
『仮面ライダーKIRA』毎週月曜 夜7時から放送中
『仮面ライダー・デスティニー』毎週水曜深夜1時25分から放送中
『MRS-D』 毎週木曜深夜1時28分から放送中

上ふたつは王道的かな、と。KIRAは見やすい時間帯で。
下ふたつは内容が戦争になりそうなので深夜かな、と。
職人さん気分悪くしたらごめんなさい。
189通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 02:44:31 ID:???
放送時間ワロタw
戦闘描写になると音楽が脳内でかかりだす
190衝撃1/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:07:27 ID:???
デュランダルに促されるままに連れてこられた場所。そこは病院だった。それも、アプリリウスではなくユニウスの大学病院。
「何でこんなところに?」
アレックスの疑問に答えぬまま、デュランダルは曖昧な笑みを浮かべてハイヤーを降りた。
カガリの付き添いで何度か乗ったことはあるが、彼の所作はカガリとは比べるまでもないほど落ち着いたものだった。
慣れているのだろう。それに比べて、国家元首のほうは……。
意味がないことは分かっているがつい比較してしまい、アレックスは深くため息をついた。

何度も訪れているのか、デュランダルの姿を見てすぐに受付の女性は面会カードを差し出した。
彼は手馴れた様子でサインし、ボールペンをアレックスに手渡す。
アレックスも面会カードを受け取り、名前を書きかけるが途中で手が止まる。しばし考え込んでいたが、やがてその面会カードを握りつぶした。
彼は新しい面会カードをもらい、あらためて自分の名前を記入した。

エレベーターに乗り込んだデュランダルは最上階のボタンを押した。設備がいいのか振動が少なく、乗り心地もいい。
音もなく上昇した箱はすぐに彼らを目的の階、最上階まで連れて行く。
扉が開く。デュランダルはついて来るよう視線で促し、廊下の奥のほうへと歩みだした。それとは対照的に、戸惑いながらもデュランダルの後に付き従う。

少し歩いた。大学病院なだけに、なかなか広い。
廊下の一番奥、一人の警官が部屋の外で見張りをしているのが見えた。デュランダルはそこを目指しているのか、他には目もくれずにまっすぐ歩いていく。
あくびを噛み締めていた見張り役の警官は、デュランダルの姿を認めて慌てていたたずまいを直した。彼は軽く手を上げて挨拶し、部屋の前で立ち止まる。やはり、ここが目的地だった。
こっそりとネームプレートの方へ目を向ける。
白紙だった。見張り役を立てておいて、名前が白紙だと言うのは変な話だ。それとも、そこまでして隠さなければならないほどの人物なのだろうか。
警官はデュランダルには頭を下げたが、こちらには疑わしげな視線を向けた。
「すみません。……あの男は?」
「ああ、彼は私の客人だよ。通しても構わないかな」
「……ええ。もちろんです」
デュランダルの説明で一応、納得はしたようだが信用はされていないようだ。警官の目つきは相変わらずだ。
まあ、いくら説明されたところでどこの馬の骨とも知れない輩を信用する気にはなれないだろう。理解は出来るが、やはり面白くはない。
こちらは完全に無視して、警官は懐からカードキイを取り出し、部屋前に設置されたリーダーに通した。

1912/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:09:42 ID:???
電子音と共に、ドアが開く。
白いベッドの上で、一人の少女が半身を起こしていた。
美しいピンク色の長い髪をたなびかせ、ヘッドホンから流れる音楽にあわせているのだろうか、ハミングしながらリズミカルに手を躍らせている。
デュランダルはためらいなく部屋に足を踏み入れ、軽く手を上げて挨拶した。
「やあ、元気だったかね」
それで初めてこちらの存在に気付いたらしい。彼女はデュランダルの姿を認めると慌ててヘッドホンを外し、繊細な白い顔に困ったような笑顔を浮かべた。
「あ、先生! 遅かったですね。待ってたんですよぉ」
「そうかな? ひょっとして、邪魔だったのではないかね?」
「そ、それは先生が遅かったから。つまらなくて……つい」
「すまないね。これでも急いできたんだが。それより……」
デュランダルはベッドの上に放り出されたヘッドホンを見つめ、呆れたような顔をした。
「見つかったら没収されるのでは?」
「あ、あの内緒にしててください! お願いします!」
すると、少女はすぐさま両手を合わせ、拝むように懇願する。
「分かっているよ。それにしても、よくも飽きないものだね」
苦笑しながら言うデュランダルに、少女は口を尖らせた。少し舌足らずな喋り方だが、よく通るきれいな声だ。
「だってぇ、ずっと検査ばかりで……退屈だったんですよぉ」
「それは分かっているつもりだがね」
親しげに会話している二人を、正確には少女の方を凝視し続けた。
見たことのない、だが確かに見覚えのある少女の顔。そこから目を離すことが出来なかったのだ。

「あれ?」
視線を感じたのか、少女がやっとこちらに気づいた。彼の顔をまじまじと見つめている。
なぜか驚いたようだが、すぐにぱっと明るい笑顔を見せる。
そのまま少女はベッドを飛び出し、あっけにとられるようなスピードで飛びついてきた。

この少女は誰だ? いや、見覚えはある。以前ユニウスセブンで見た少女だ。EVIDENCE01のもとで見たときはただの幻かと思っていたが、そういうわけでもないのか? 
一体何者なんだ? 俺のことを知っているのか?
突然のことに混乱し、何がなんだか分からなくなる。思考もとりとめがない。
「来て……くれたのね!」
こちらの困惑にもかまわず、少女は嬉しそうに笑って抱きしめてくる。
「……おやおや」
その様子を見ていたデュランダルは苦笑するように呟いた。

1923/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:11:08 ID:???

「マユちゃん、マユちゃん!」
引き絞るような絶叫の末に、マユは意識を失った。途端にぐったりとしてしまい、支えを失ったように崩れ落ちてしまう。
ルナマリアは少女の名を呼びつつ、慌てて小さな身体を抱きとめる。
少女の重みが、一気に両腕にのしかかった。

マユの異変と拒絶に呆然と立ちすくんでいたシンは背後から強烈な衝撃を受けた。
前方に吹き飛ばされるものの何とか踏みとどまり、のろのろと後ろを向く。
緑の巨体が爪を鳴らしながら、ゆっくりと歩み寄ってきていた。どうやら先ほどの衝撃は体当たりだったようだ。だが、その姿を見てもシンは何の動きもみせなかった。
動きたくなかった。だが、そんなシンにお構いなくアッシュは爪を振り下ろす。鋭い切っ先が、胸部に傷跡をつくった。
衝撃に後ろに下がってしまう。倒れる間もないまま、次の攻撃が襲い掛かった。

次々と攻撃を受けても、シンはなすがままの状態だった。爪が振るわれるたび、インパルスは左右に弄ばれ、次々と傷跡が刻まれていく。
最後にアッシュは勢いよく腕を振り上げ、下から胴体へと叩きつけた。空中に舞い上がったシンの身体は、背中から地面に激突した。
「ぐっ!」
息が詰まる。先ほどからのダメージが、痛みが身体の自由を奪う。
それでも、よろよろと立ち上がってしまう。そこへ、右の爪を構えたアッシュが突撃してきた。
それを見たシンの身体は、意識しないままに動いていた。ベルトの力が右腕に流し込まれ、拳を握り締めさせる。
鋭い爪が、インパルスの肩に振り下ろされる。と同時に、インパルスの拳も緑色の装甲に突き刺さり、アッシュの巨体を吹き飛ばした。
だが、そこまでだった。ほとんど反射と本能で反撃したものの、シンの体力はもはや限界で、片膝を着いてしまう。
アッシュは鈍重な動きで立ち上がる。だが、もはや戦意は残っていないようだった。
インパルスから視線をそらさぬまま、二歩三歩と遠ざかっていき、一気に海をめがけて走り出す。
1934/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:12:40 ID:???

気を失ったマユと恐怖に目を硬く閉じながらも懸命に、腕の中の少女を強く抱きしめるルナマリアに緑色の巨体が迫り来る。
不幸にも、アッシュの進行方向に二人がいたのだ。
邪魔だといわんばかりに、野太い腕を振りかぶる。

それに気づいたシンは残る力を振り絞り、駆け出す。
「やめろぉぉぉっ!!」
絶叫し、右手を精一杯に伸ばす。
誰も守れなかった。脳裏にかつての悪夢がよみがえる。
――今度こそ、今度こそっ!

だが、距離はあまりに遠かった。伸ばした手は届かない。
豪腕が横に薙ぎ払われた。二人の少女が一緒に、ゴム鞠のように宙を舞った。
そのまま二人は地面に落下し、バウンドするように地面を転がる。

ルナマリアはマユを抱きかかえたまま、赤い尾を引いて横たわっている。
「……あ、ああ……」
守れなかった……。
手を伸ばしたままシンは硬直し、茫然自失となった。
また、大切な人を……。目の前で。
何も……、できなかった。何も……。
変身が解ける。身体中から力が抜けてしまい、地面に両膝を着く。
遠くから大きな水音が聞こえたが、今のシンには何の意味も持たなかった。

「……うぅ……」
少女の小さなうめき声。
シンはその声にはっとし、首を動かした。赤い髪がかすかに動き、血塗れの少女が顔を覗かせる。
立ち上がり、二人のもとに駆け寄ろうとするがすぐに足が止まる。
自分の姿、それが引き起こした悲劇を思い起こし、何もできなくなった。

佇立したままのシンは、自分の手をまじまじと見つめた。
力強い、誰かを守るためのものだと思っていたこの拳。今までは頼もしくみえたそれが、今はひどく禍々しく、恐ろしいものに感じられる。
結局、同じだったのだ。自分も、怪物も。
マユを、ルナマリアを傷つけただけ。怪物、MSと何も変わらない。
そんな自分が、二人を助けるだなんてことできるわけがない。

シンは力ない足取りで、よたよたとその場を立ち去っていく。
今は、ただそれだけしかできなかった。
逃げるように人目につかなそうな路地裏の壁に倒れ込む。
もはや、精神的にも肉体的にも限界だった。
意識が遠のく。
誰かが呼んだのだろう。けたたましくサイレンが流れるが、シンの耳には届かなかった。

1945/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:14:08 ID:???

「あたし、ミーアよ。ミーア・キャンベル。えと……」
少女、ミーアは弾むような声で言う。困惑していたせいで、それが彼女の名前だということがなかなか分からなかった。
そして期待に満ちた目で見つめられた彼は、自分の名を問われていることにようやく気づく。
「ああ、俺は……」

いったん言葉を切る。
そうだ。もう、覚悟は決めた。俺は戦う。これはそのためのけじめ、みたいなものだ。
だから、今の俺は……。
「俺は、アスラン・ザラだ」
アレックス――アスランの言葉を聞いたミーアは嬉しそうに手を合わせ、デュランダルは少し驚いたような表情を見せたが、すぐに満足げに頷いた。

「ね、アスランってどこから来たんですかぁ」
「オーブなんですか。海がきれいなんですよね? あたしも一度でいいから行ってみたいなぁ」
「どんなお仕事してるんですかぁ」

少し舌足らずな口調で、ミーアは休むことなくアスランに話しかけ続けた。
先ほどからずっとこの調子だ。楽しそうに質問攻めにするが、アスランはさすがに辟易していた。
いつの間にかデュランダルは姿を消しており、彼一人で相手をすることになってしまったせいだ。だが、邪険にすることも出来ない。
彼女が何者なのか、まったく分からないのだ。ミーア・キャンベルという名前以外、何一つ知らない。
何度も彼女に質問しようとしたのだが、そのたびにミーアの勢いに押されて聞きそびれてしまったのだ。
タイミングをはずし続けた結果、聞きたいことなど何一つ聞けないまま既に二時間もの時が経過していた。

「やあ、楽しそうにしているところすまないが、何か飲み物をもらえるかな?」
突如として、ややからかうような調子の声が投げかけられる。いつの間に入ってきたのやら、扉のすぐ前に穏やかな笑みをたたえたデュランダルがたたずんでいた。
「あ、すみません。お茶でも淹れますから、少し待っててくださいね」
ミーアははっと気づいたように口を押さえてベッドを降りる。いそいそとお茶っ葉を取り出し始めた彼女を見て、アスランは慌てて押しとどめようとする。
「ちょ……、そんなことは俺がやるから!」
何しろ、とてもそうは見えないが彼女は入院患者だ。病名は知らないが、病人にそんな事をさせるわけにはいかない。
だが、そんな彼の気遣いもどこ吹く風。ミーアは口を尖らせる。
「アスランまであたしを病人扱いしてぇ。あたし、全然元気なんですよぉ」
「だが……」
「だからぁ、アスランはおとなしく座っててください」
アスランを強引に座らせ、戸棚からポットとカップを取り出す。確かにミーアは元気そのもので、病気には見えない。
もちろん、見た目病気に見えない病気などいくらでもあるが……。

1956/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:23:11 ID:???
アスランは疑問に思い、ミーアに聞こえないように声を潜めてデュランダルに耳打ちした。
「あの、彼女はなぜここに?」
「ああ、まだ言ってなかったね。彼女はユニウス沖で倒れていたのを発見されたんだ」
「ユニウス沖? まさか!?」
つい声を荒げてしまう。ミーアが何事かとこちらの方を振り向いた。
「どうかしたんですかぁ?」
「いや、なんでもないよ。気にしないでくれたまえ」
「そうですか? あ、今紅茶切らしちゃってるみたいで……コーヒーでいいですか?」
デュランダルの表情が一変する。彼自身それに気づいているのか、ミーアの方へ顔を向けずに手だけを振って応える。
納得してくれたのか、もともと深く考える方ではないのか、彼女は鼻歌まじりでポットにコーヒーの粉をばさばさと放り込んでいく。
この部屋中に、カフェインの香りが充満する。

彼女の淹れ方に戦慄しつつも、アスランはほっと息をついた。彼女に聞かれていい話ではなさそうだ。
「すみませんでした。しかし……」
ユニウス沖。いわずと知れたユニウスセブンのあったところだ。そこで発見された、ということは……。
デュランダルの次の言葉を待つ。程なくして発せられた言葉は、アスランの予想通りのものだった。
「うむ。彼女はユニウスセブンの生き残りらしいのだよ」
「え!?」
予想通りとはいえ、やはり驚きを隠しきれない。信じられない、というよりありえない。
血のバレンタインが起こったのは五年前。
それ以来ずっと、ユニウスセブンはMSに占領されていたはずだ。現に、アスランたちが突入したときも多数のMSが出迎えた。
そんな中でこんな女の子が生きていけたなど、到底ありうることではない。
「彼女は……、本当に人間なのですか?」
アスランは言いづらそうに、だが率直に口にした。むしろMSか何かの方がまだ納得がいく。
だが、デュランダルは静かに首を横に振る。
「うむ。レントゲン他、さまざまな検査を行ったがその結果は白だ。まだ検査が残っているため完全とはいえないが、まず間違いない。それに、身分証も発見された」
「身分証?」
「オリジナルの方は警察で保管されているが……これだよ」
懐から何かを取り出す。大きく引き伸ばされた一枚の写真だ。
そこにはクリアーファイルに守られ、学生証と銘打たれた小さな紙片が写し出されている。
確かにそれには『ミーア・キャンベル』とかかれている。しかし、肝心の顔写真の部分は故意か偶然か削り取られており、確認することは出来なかった。

1967/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 03:25:54 ID:???
「しかし、これでは……」
証明にならないのではないか。そう言いかけるが、デュランダルの言葉に遮られた。
「君の言いたいことは分かる。しかし、証明する方法がないのだ。何しろ彼女の家族は皆ユニウスセブンにいたお陰で、今は天涯孤独。
その上、過去の記憶を失っているらしいのでね」
「え……!?」
アスランは振り向き、彼女の方へと顔を向けた。ミーアは鼻歌を歌いながら、カップに紅茶を注いでいた。そんな悲惨な様子は微塵も感じられない。
彼女の様子を横目に見ながら、デュランダルはアスランに小声で言った。
「出来れば君も、これらのことには触れないでほしい。彼女にあまり刺激は与えられないからね」
「それはかまいませんが……」
「私はこれから別の用事があって、出て行かなければならない。もし良かったら、少し彼女の話し相手をしててくれないかな」
「私が、ですか?」
「うむ。彼女は発見されてからずっとふさぎ込んでいてね。あんなに楽しそうなあの子を見るのは初めてだよ」

「アスラ〜ン」
コーヒーカップを載せたお盆を持ったミーアが、はしゃぐように言う。やっと完成したようだ。部屋中にいささか強すぎる感のあるカフェインの香りが充満する。
「では、頼んだよ」
「あの、……ちょっと!?」
アスランの反論も聞かず、デュランダルは扉に手をかけた。
「あれ、先生。もう行っちゃうんですか?」
「すまないね、これから別の用事があるんだ。アスランは残ってくれるから、それは彼に振舞ってくれたまえ」
お盆の上のコーヒーカップ――以前ユウナが見せびらかしたものほどではなさそうだが、それでもなかなか高級そうな代物だ――を指して言う。
ミーアは喜んで返事をするが、デュランダルの額には脂汗が光っていた。よく見ると安堵の表情さえ浮かべている。
教授、……まさか?
「はい! 分かりました」
「ちょっと! 教授!?」
「それでは、失礼させてもらうよ」
アスランを無視したまま話が終わる。デュランダルはそう言い残して優雅な所作で、しかしそそくさといった様子で部屋を出て行った。
逃げられた……?
部屋にはアスランが取り残される。妙にはしゃいでいるミーアの持っている物が、やけに恐ろしく見えた。

「さあ、どうぞ」
目の前に置かれた『それ』は、もはやコーヒーという飲み物ではなかった。
まるで溶岩のようにどろどろとしたペースト状で、ときたま気泡が浮かび上がってくる。
部屋中に、むせ返りそうなほどのカフェインの香りが充満する。
どうやればこんな危険な代物が出来るのか。アスランの背中に冷たいものが走った。
恐る恐るミーアの方に顔を向ける。
期待に満ちた眼差し。
アスランは嘆息し、コーヒーカップに口をつけた。
1978/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:19:08 ID:???
「どう、アスラン?」
悪魔のように黒く、地獄のように熱く、絶望のように深い。
ほんの一口、口に含んだだけにもかかわらず、口中にたとえようもない苦味が広がる。
これだけの中に、まず安眠できない量ののカフェインが含まれているに違いない。
渋い顔を何とかごまかしつつ、苦味にも耐え、アスランは虚偽の感想を言葉に出した。
「いや……、なかなか美味いよ」
必死に苦笑いを浮かべる。
幸か不幸か、ミーアはアスランの無理に気がついていない。満面の笑みをアスランに向ける。
「よかった〜。まだあるから、どんどん飲んでください」
ポットは推定1L。いっぱいにコーヒーが入っている。
夢なら、覚めてくれ。
アスランは祈るように天を仰いだ。


♪〜〜 ♪〜〜 ♪〜〜
軽快な音楽が鳴り響く。
シンはそれで目を覚まし、驚いた。すぐ目の前に見慣れない汚い壁が広がっていたからだ。
細い路地で壁に寄りかかりながら、気を失っていた。まるで、野良犬か何かのように。
実際、今のシンの格好もひどいものだった。こんなところで寝ていたせいで服が汚れている。
これは……そうだ! マユは!?
今の状況を理解する間もなく、シンの脳裏に浮かんできたのは妹の安否についてだった。
あの時、シンはマユを助けるどころか駆け寄ることも出来なかった。

携帯電話はいまだ鳴り続けている。もたつきながらも懐に手を入れて取り出す。
電話をかけてきたのは、ルナマリアだった。
逡巡しながらもシンは通話ボタンを押し、耳に当てた。
「……もしもし」
力なく呼びかける。受話器の向こうからは、安心したような響きを帯びた少女の声が飛び出した。
「もしもし、シン!? よかった、やっと通じた!」
この様子からすると、何度もかけてきたのかもしれない。用件については想像はつくものの、シンは彼女に問いかけた。その方が、彼女としても話しやすいかもしれない。
「何?」
「シン、あの……」
そのとたん、彼女は口を濁した。いつもずけずけとものを言い、何かとお姉さんぶったりしているルナマリアにしては珍しいことだ。それほど、大変なことになっているということが分かる。
こんなこと、催促するみたいで嫌だけど……。
だが、そうしなければいつまで経ってもはじまらない。シンは罪悪感を感じつつも、後押しするように言葉を投げかける。
「どうかしたの?」
それでもルナマリアは口を開かない。
実際には十秒ほどだろうが、シンの感覚としては永遠にも等しい時間が流れる。やっと覚悟ができたらしく、ルナマリアはゆっくりと言葉を紡いでいった。。
「あのね、マユちゃんが……マユちゃんが!」

1989/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:23:42 ID:???

「まさか……こんな……」
白いベッドを前にして、シンは深くうなだれた。
そこには、一人の愛らしい少女が横たわっている。
つややかな長い髪。まだまだ幼く、あどけない顔立ち。シンのたった一人の妹、マユだ。
医者の話によれば、マユはただ眠っているだけだそうだ。現に顔色は健康そのもので、今にも起き上がって、いつものように元気に笑いかけてくれるような錯覚を覚えた。
だが、目覚めないことはシンにはよく分かっていた。
まるで……同じだ。
そう、あの時とまったく変わらなかった。四年前、両親が死んで――いや、殺されて自身も重傷を負ったあの時と。
あの時マユは、たいした怪我もしてないはずなのに目覚めなかった。大怪我をしたとは思っていたが、まさかこんなことになっているとは思わなかった。
涙目のルナマリアがベッドにすがりつくようにして何度も呼びかけている。その姿にかつての自分の姿が重なり、胸が痛んだ。
本当に、まったく同じだ。今回もマユの怪我は、擦り傷や打撲程度でたいしたことはない。
MSに殴り飛ばされたにもかかわらず、だ。

シンは視線を落として、ルナマリアを見つめた。包帯だらけの彼女は床に両膝を着けて必死でマユを揺さぶり、呼びかけていたのだが、それがふと止まった。
長く、重い沈黙がこの小さな部屋を支配する。
「……シン、ごめんね」
嗚咽混じりの、蚊の鳴くような小さな声。顔をうつむけたままで発せられたその言葉は、何よりも悲痛な叫びとなってシンの心に響いた。
「ルナの……せいじゃないよ」
「でも、私がマユちゃんをあんなところに連れて行かなきゃ……こんなことには」
「そんなこと……ないよ。マユのこと守ってくれて、感謝してる」
シンは目をそらし、絞り出すような声でかろうじて返答する。今のシンにはこの程度のことしかできなかった。
だが、これは慰めるためのものではない。紛れもなく真実だ。
ルナマリアがずっとマユを抱きしめ、守ってくれていたおかげでマユにたいした怪我はなかった。
彼女は最後までマユを守りきってくれたのだ。
たとえこのような結果になっても、それは変わらない。

それに比べて……。シンは思う。
結局、誰一人守れなかった。マユも、ルナマリアも。
二人とも死なずにすんだのは、ただ運がよかっただけ。
シンのしたことといったら、ただ彼女たちを傷つけたことだけだ。
19910/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:27:58 ID:???

「入るぞ」
ノックとともに、レイが姿を現す。ルナマリアが連絡したのだろう。荷物が入っているのか、大きなボストンバッグを提げている。
シンとルナマリアは同時に、のろのろと振り向いた。
「大丈夫か、二人とも」
二人の表情を見たレイが、いつもどおりの口調ながらも気遣わしげに声をかけてくる。
「……うん」
ルナマリアはわずかに首を傾けながら言うが、いつもの快活さは、完全になりを潜めていた。
顔色も蒼ざめており、彼女を知る者からすればもはや別人にしか見えない。
そのまま病室に入ってきたレイはルナマリアの肩に手を置いた。
「ここは俺が変わろう。ルナマリアは少し外の空気を吸ってきたほうがいい」
やはり口調はいつものままだったが、込められた優しさが確かに伝わってくる。ルナマリアもそれは感じていたが、力ないままに首を横に振った。
「うん、ありがとう。でも、いいよ」
「ダメだ」
いつになく強い調子、肩に置かれた手からも強い力が伝わってくる。
驚いたルナマリアは顔を上げ、レイと目を合わせる。それに合わせるようにレイはしっかりと彼女の目を見据え、続けた。
「今は休むんだ。いいな?」
「う、うん」
決して怒鳴りつけたわけではなく、語気を荒げてもいない。しかし、気迫に押されたような形でルナマリアは首を縦に振ってしまった。
それを確認したレイは彼女の方から手を離し、シンの方へと顔を向ける。
「お前も少し休め。顔色が悪いぞ」
「そんなこと、できるわけないだろ」
レイから視線をそらすように、顔をうつむける。しかし、レイは構わずに続けた。
「お前には、やるべきことがあるだろう? ここで倒れるわけにはいかないはずだ」
ぐっと言葉に詰まる。レイは、暗にMSのことを言っているのだ。
だが、だからといってこのまま部屋を出て行くことはできなかった。そんな心情を察してか、レイはルナマリアのほうを一瞥して言う。
「なら、ルナマリアに付き添ってやれ。一人にさせておくには不安だ」
「……分かったよ」
シンは渋々といった感じで後ろを向いた。入り口の辺りで二人の様子を伺っていたルナマリアを伴い、病室を出て行く。
それを見届けたレイは病室に備え付けの粗末なパイプ椅子に腰掛け、持参してきた本を開いた。
最後、シンはもう一度振り返る。
「レイ、ありがとう」
「気にするな。俺は気にしない」
本から目を離さぬまま、レイはいつもの口調で答えた。
20011/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:33:23 ID:???

ルナマリアとともにシンは、病院の中庭を歩いていた。
入院患者のことを考えているのか、緑がセンスよく配置され、見る人の心を和ませるのに一役買っている。
だが、そんな景色も今のシンたちには何の意味も持たなかった。
二人ともずっと顔をうつむけたままで、ただ歩いているだけといった様子だ。散歩はおろか、気晴らしにもなっていない。
ずっと、こんな調子だった。
お互い、相手のことを気遣う余裕もまったくない。声をかけるようなこともしない。

シンは近くにあったベンチに座った。ルナマリアもそれに続く。
腰を下ろしたルナマリアはほっと息をついた。怪我をしたにもかかわらず、ずっとシンのペースにあわせて歩いていたので、多少の疲れが出てきたのだ。
「何か……飲む?」
その様子を見たシンは、ボソッと声をかけた。ルナマリアは少し逡巡しながらも、ゆっくりと首を縦に振る。
シンは急いで立ち上がり、自動販売機を探しにいった。

自動販売機がなかなか見つからなかったので、シンはわざわざ病院の中に戻った。病院内には確実にあるはずだ。
果たして、すぐに見つけられた。ちょうど薬局のすぐ近くだ。
ジュースを二本買ったシンはルナマリアのもとに戻ろうとして、ふと立ち止まる。

俺なんかが、みんなの近くにいていいのかな。
誰も守れない、大切な人たちを傷つけることしかできない俺なんかが。
今回だって、マユを守ってくれたのはルナだった。俺が傷つけたマユを、ルナが。
でも、俺はルナを守ることもできなかった。
これだって、ルナのためにやったことじゃないし……。

手元のジュースを見つめる。これも、ただあの空気に自分が耐え切れなかったから。
ルナマリアのことを心配してのものではない。だから、戻ることを躊躇している。
誰かを守るどころか、結局、自分のことしか考えていない。
何も、できない。そんな自分が許せない。
「くそっ!」
ジュースを持ったまま、拳を柱に叩きつける。だが、そんなことで感情が収まるはずもない。
行き場のない怒りが、シンを支配する。
俺に……できることなんて……。
紅い瞳に、微かな暗い輝きが宿った。


「お大事に」
「ありがとうございます」
アスランは薬袋を手に、頭を下げた。
ミーアのコーヒーで腹痛を起こしてしまったのだ。
あれ以上は命にかかわる。気を失う寸前で何とか部屋を出て、すぐさま薬局で胃薬を買って服用した。
おかげで今は安定している。さすがに病院内の薬局の薬だ。よく効く。
それにしても、デュランダルはどこに逃げ……行ったのだろう。
病院内では携帯電話を使うわけにもいかず、連絡がつかない。
とりあえず、受付にでも聞いてみるかな。
踵を返したアスランは、意外な人物を見かけて足を止めた。
20112/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:44:45 ID:???
「あいつ……?」
人違いかとも思ったが、別に時間に追われているわけでもない。
少し様子を見ていくくらいはいいだろう。


「これでいい?」
「……ありがと」
シンの差し出した缶ジュースを、気のない様子で受け取る。
開けもしないまま、ルナマリアは缶を両手で持っている。心ここにあらず、といった様子だったが、それはシンも同様だった。
彼も隣に腰掛け、缶も開けずに握り締めている。
またも、長い沈黙。
シンの知る限り、ルナマリアの深刻で陰鬱な表情も、こうも長く口を閉ざしたままというのも初めてだ。
それが、彼女の受けた傷の深さを何よりも雄弁に語っていた。

「ルナ、少しいい?」
「……何?」
ゆっくりとこちらを向く。まるで呆けたかのような彼女の表情に、胸が痛む。
もしかしたら、すごく残酷なことを頼むのかもしれない。
そう思いながらも、口をつむぐ。
「あのさ……」

ガサッ――。
物音に驚き、振り向く。シンは、そこにいたアスランと目を合わせた。
「何を……してるんですか?」
非難めいた視線を向けながら、シンが問う。アスランはばつの悪そうな顔で、言い訳がましく応えた。
「いや、覗き見するつもりはなかったんだ。君を見つけて、それで気になって……」
「そうですか! 何でこんな所にいるのか知らないけど、随分といいご身分ですね!」
立ち上がりながら、行き場のない苛立ちと憤りの混じったような感情をぶつける。
ほとんどただの八つ当たりだ。勢いのまま、立ち去っていく。
返す言葉もないままアスランは呆気にとられ、声をかけるタイミングを失ってしまう。

「あいつ、どうしたんだ?」
今までも付き合いやすい相手とはいえなかったが、ここまで極端ではなかった。
それがどうも気になったアスランは、以前会ったときとはまるで別人のようなルナマリアに問いかけた。
「ええと……ルナマリア?」
以前に聞いた名をかろうじて思い出し、アスランはもう一度聞く。
彼女はなかなか口を開かなかったが、やがて、ポツリポツリと重い口を開き始めた。

20213/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:47:56 ID:???

感情のままに飛び出したシンは、またも後悔する。しかし、今更戻ることなどできるはずもない。
意識しないまま、自然と足はマユの眠る病室へと向かっていた。
ドアを開くと、読書をしているレイの姿が飛び込んだ。
「どうしたんだ?」
顔を上げずに、レイが問う。
「ごめん。二人にさせてくれないか?」
レイは本を閉じ、無言のまま病室を出て行く。
こういうときに何も訊いてこないのはありがたい。レイの後姿を見ながら、漠然とそう思った。
背後から、ドアの閉じる音がする。

パイプ椅子をマユの頭の方に持って行き、あらためてシンはそこに座った。
「マユ、ごめんな。また、怖い思いさせちゃって」
当然ながら返事は返ってこない。ほとんど、ただの独白だ。
「俺、これでも頑張ったんだ。お前たちを、みんなを守りたいと思ってた」
この気持ちがあったからこそ、今まで戦ってきた。
「けど、ダメだった。一番お前を苦しめていたのは、結局俺だった」
以前もそうだった。再会したときに、それを嫌というほど思い知らされたはずなのに。
「ずっと、守っていたかった。でも、俺はもう、みんなの側にはいられない」
俺が側にいたら、結局マユに怖い思いをさせてしまう。
「マユはまた、寂しがるかもしれないけど……」
マユの頭の上の方、白いキャビネットに目を向ける。その一番上、台の部分にはマユの、いや、二人のの宝物、ピンク色の携帯電話が一つだけ置かれていた。
他には何もない。まるで今の自分の心境そのもの、孤独を表しているようだ。
シンは懐から、ワインレッドの携帯電話を取り出す。マユに選んでもらった、もう一つの兄妹の絆の証。
それを、ピンク色の携帯電話と並べるように置く。
「これでもう、寂しくないだろ?」
誰に言っているのか。二つ仲良く並んだ携帯電話は、これからの自分たちを皮肉っているようにさえ見える。
何しろ、シンはここで決定的な言葉を吐くのだから。
「さよなら、マユ」
自分自身驚くほど、自然な笑顔を見せることができた。

病室を出たシンは、レイに向き合った。
「行くのか?」
彼はいつものように、まるで全て分かっているかのごとく声をかけてくる。
「うん。マユのことだけど……」
「ああ、分かっている。お前は何も心配することはない」
「あと、ルナには……」
「上手く言っておく」
レイがこう言うのなら、まず大丈夫だ。もう、何も心配する必要はない。
安心したシンに、レイは最後、付け加えるように言った。
「お前の部屋は空けておくぞ」
いつでも帰って来い。そう言ってくれているようで、シンは心が熱くなったように感じた。

20314/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 06:51:12 ID:???

「おや、どうしたのかな?」
ルナマリアの話を聞いたアスランは、その足でデュランダルの元に向かった。受付に強引に聞きだした彼の居場所へと。
「先生、折り入って話があります」
あんな話を聞いて、黙って何もしないでいられるはずがない。
今の自分にできること。その力を得るために、アスランはデュランダルに頼み込んだ。


太陽の沈みかけた、黄昏時。
ユニウスではあるが、立ち入り禁止区域とは遠く離れた小さな海岸で、人もほとんどいない。
静かな海に、突如として異変が起こる。
赤く輝く海面に、小さな波紋が生まれる。徐々に大きくなり、水の壁がそそり立つ。
重力に屈した水の衣が剥がれ落ちる。緑色の巨体がその異様を現した。
アッシュはゆっくりとした動きで上陸し、そのまま歩みを進めていく。

突如、青い閃光が緑の塊を跳ね飛ばす。
すぐさま立ち上がったアッシュに、マシンスプレンダーに乗ったインパルスが何度も攻撃を加える。
それは今までにないほどに苛烈で、容赦ないものだった。
前輪を叩きつけ、後輪で跳ね飛ばし、真正面からの体当たりで巨体が吹き飛ぶ。

シンはバイクを降り、ゆっくりと歩み寄る。
そうだ。俺はもうみんなの側にはいられない。なら、せめてみんなのために俺ができることはたった一つ。
お前たち全て、俺が薙ぎ払ってやる!
跳躍したシンは、背中から倒されたアッシュへ追い討ちをかける。
起き上がりかけた巨体に飛び掛り、そのまま地面を二転、三転する。
そんな無理な体勢のまま、強烈な前蹴り。
威力にアッシュはアスファルトを撒き散らしながら地面に陥没、逆に反動でシンは跳躍し、空中で体勢を整え、着地する。
そのままシンは地面に手をつき、一瞬のためをつくって突撃する。

右拳から飛び込んでいき、続けて膝蹴りを加える。
立ち直る隙など一切与えず、シンは怒涛のように激しい攻撃を加えていく。
しかし、アッシュの体表の強度は並のMSとは比べ物にならない。
これだけの攻撃にさいなまれながらも、アッシュはまだ反撃する力を残していた。

連撃の合間。更に突進を仕掛けるためにシンが後方へ下がった一瞬、アッシュは足の爪を展開し、地面に突き立てるように前へ蹴り飛ばした。
前方へ突撃したシンに、真正面から無数の石つぶてが襲い来る。
思わずシンは両腕で顔面を覆ってしまい、突進力が鈍る。
その隙を逃さずアッシュは野太い腕を振り下ろし、鋭利な爪でインパルスの身体を引き裂く。

胸部に深い爪あとが刻まれるが、シンは構わずに突進する。
拳が、蹴りが緑色の体表に食い込む。
だが、インパルスの身体はアッシュの攻撃を受け、それ以上に傷ついていた。
肩が、胸が、腕が切り裂かれ、インパルスの青い身体を赤い血が染めていく。
それでも一切構わずに、防御無しの鬼神のような戦いぶりを見せるインパルスの気迫に押され、わずかに下がる。
それを機に、更にインパルスは深く踏み込んでいく。
20415/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 07:01:39 ID:???

アッシュは不意に前方、インパルスに向けて突進を仕掛ける。あまりに近づきすぎたせいで、避けることはおろか防ぐこともかなわない。
巨体そのものを武器にしたような攻撃をまともに受けたシンは、全身がばらばらになるような衝撃を感じつつ、地面に叩きつけられる。
倒れたインパルスに近づいたアッシュは、誇示するように右腕を振り上げた。

突然アッシュの右腕で爆発が起こり、爪が吹き飛ぶ。
アッシュ、そしてシンが砲撃の来た方向へと顔を向けた。
灰色のバイク、ライドセイバーにまたがったアスランが硝煙の立ち上る大砲を構えていた。
シウスに外付けされたグレネードランチャー。
段数は一発。射程は短く、反動も大きいが、非常に強力。並のMSならば一撃で倒すことすらできる。
ライドセイバーとともに、デュランダルに頼み込んで借りたものだ。
今回は着弾箇所のせいもあり、倒すことはできなかったが、かなりのダメージは与えた。
何より、時間が稼げた。
威嚇するように銃を構えたまま、アスランはシンが起き上がるのを横目に見る。
そして、アッシュを睨みつけた。立ち上がったインパルスも一瞬アスランの姿を見、アッシュと対峙する。

アッシュはピンク色の一つ目を動かし、インパルスとアスランを交互に見る。
グレネードランチャーを排除したアスランは再度シウスを構え、先ほどの反省からかインパルスは一定の距離をとる。
一歩、二歩とあとずさる。緑色の巨体は一気に身を翻し、そのまま後方の海面へと飛び込んだ。
さすがに勝てない、と踏んだのだろう。インパルスだけならまだしも、今度はアスランまでもいる。
次なる攻撃を警戒していた二人はわずかに反応が遅れてしまう。
気づいたときには、アッシュはすでに海の中だ。

「くそっ、逃がすか!」
海沿いに駆け寄ったシンは、その身体を緑色に変化させる。
腰の前に左手をかざす。
一撃必殺の力、ケルベロスをその手に握ったインパルスは片膝を着いて照準を付ける。
「……くっ、狙いが!」
海面を進むアッシュの上げた水しぶきが本体の姿をぼかし、狙いをあいまいなものとする。
それでもシンは強引に照準を合わせ、引き金を引く。
解き放たれたエネルギーの波動はまっすぐに突き進み、アッシュに突き刺さる。が……
「……外れた!?」
ケルベロスはアッシュの右腕の肉をこそぎ取るだけにとどまった。
速度こそ格段に落ちたものの、この程度ではたいしたダメージにもならない。
このまま逃がせば、すぐに回復して、人を襲うだろう。
そんなことになれば、またマユやルナのような目に遭う人が出てしまう。
「それだけは、絶対にさせない!」
ここからでは致命傷にならない。水しぶきは照準を遮るばかりでなく、エネルギーを乱反射させ、ケルベロスの威力をわずかながらそいでいるのだ。
それは分かっているが、今の彼にはこれしかできない。
あいつを倒すまで、何度でも撃ってやる!
「待て!」
もう一度照準をつけたシンへ向けて、アスランの声が投げかけられた。
一瞬、インパルスの動きが止まる。
「シン、これを使え!」
20516/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 07:06:22 ID:???
バイク備え付けのコンソールで何やら操作をしていたアスランはバイクを降り、それを指して言った。
「は? 何言ってるんですか!?」
灰色のバイクは確かに、見るからに普通のバイクとは違っていたが、所詮はバイクだ。海に逃げたMSをどうにかできるとは思えない。
「いいから、乗れ!」
あまりに強い調子に押され、シンは渋々バイクにまたがる。すると、灰色の車体が鮮やかな赤色に変化した。
これこそがライドセイバーに秘められた機能の一つだ。しかし、今のシンにとってそんなものは何の意味も持たない。
こんなことをしている間に、あいつは逃げていくのに!
はやる気持ちを抑えつつも、アクセルを解放。一気に加速させる。
するとハンドルが突然固定された。動かない。このままでは、海にまっすぐに突っ込んでいってしまう。
「な!?」
なんなんだよ、これ! 欠陥機じゃないか!
シンは悪態をつきながら、青へと変化してバイクの上から跳躍する。

すると、眼下のライドセイバーに異変が起こった。
走行しながら、車体が前後に引き伸ばされるように変形したのだ。
一瞬のうちに変形は完了。変形したライドセイバー、スライダーモードはシンの着地点に位置を合わせる。
シンの着地とともにライドセイバーはわずかに沈むが、すぐに立ち直る。
そしてシンを載せたまま、ライドセイバーは水上を滑走。アッシュを追跡した。

水中を泳ぐアッシュと、水上を滑るように滑空するライドセイバー。速度の差は比べるべくもない。一気に追いつく。
アッシュはあわてて水中に潜ろうとするが、もはや手遅れだ。
ライドセイバーの機首をわずかに下げ、アッシュのボディに引っ掛ける。そのまま一気に後方へと重心を移動、アッシュもろとも機首を跳ね上げる。
結果、緑の巨体が宙に舞った。その下を、シンを載せたライドセイバーが超高速で滑走する。
アッシュの真下を通過したシンは、身体を沈み込ませるようにしてライドセイバーをターンさせる。
海面と接触しそうなほどの急激な、180度ターン。波紋の軌跡を残し、ライドセイバーはまっすぐにアッシュへと突っ込んでいく。
車上のシンは、いつものように右足にベルトの力を流し込んだ。強烈なエネルギーが、右足に集中する。
空中で身体の自由が利かないアッシュに、みるみるうちに迫っていく。

「うおおおおぉぉぉぉっ!!」
シンは強くライドセイバーを蹴り、跳躍する。
ライドセイバー・スライダーモードの勢いをも借りたフォースキックは、今までとは桁違いの速度、威力でアッシュに迫り、貫いた。
再びライドセイバーに搭乗したシンの背後で、アッシュが海面に落下する。と同時に、巨大な水柱が立ち上がった。


「あれ、シンは?」
病室に戻ったルナマリアは、パイプ椅子に座って読書をしているレイに尋ねた。
「シンは、もういない」
「え? 何言ってるのよ?」
そこで彼女は、キャビネットの上にある物を見つけてしまう。
二つ並んだ、ワインレッドとピンクの携帯電話。
決定的な、別れの証だった。
「シ……ン……?」
ルナマリアはそれが信じられず、おずおずと手を触れ、持ち上げる。
その二つの携帯電話は、紛れもなく本物。まるでシンの決意を表すような、ずっしりとした重みが感じられた。
206衝撃/16 ◆orYN7qK/0E :2007/04/22(日) 07:13:58 ID:???
タイトル、付け忘れてました。
「仮面ライダー衝撃 第十四話」です。
まさかこんなミスをするとはorz
207通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 08:34:37 ID:???
猫たちを脅かしたの、お前?
208通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 08:36:37 ID:???
あ、そっか
209通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 10:49:13 ID:???
グッジョブです!!
自分を痛めつけながら戦うシン
多分、いろんな事感づいているレイはライダーの事ルナに言わないよな〜
それが話にどう影響するか楽しみに待ってます
210通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 11:15:02 ID:???
キター!、GJ!相変わらず面白い!、激しく先が気になる
211通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 12:35:42 ID:???
GJGJ!
追い込まれてきてるシンが痛々しい
212通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 13:39:00 ID:???
シンタロスの話題が出てないな。
213通常の名無しさんの3倍:2007/04/22(日) 16:47:18 ID:???
>>212
専用スレできたみたいだからそっちで基本はしようぜ
214MRS‐D:2007/04/24(火) 21:20:27 ID:???
ドキドキしながら第三弾投下します。

5年前のことだ。
 5年前といえば第3次世界大戦の真っ最中。
 人の命が羽のように軽く、路傍の石のように簡単に弾け飛んでいった時代。
 オーブは最後の最後まで戦争には参加しようとしなかった。
 だが、その結果としてユーラシア連合に攻撃され、オーブは戦火に見舞われた。
 幸いにも俺のいた地域はそれほど酷い戦災には巻き込まれず
(それでも生活の制限等は行われ、毎日空襲に怯えていたのだが)、
 戦争は終結。
 ユーラシア連合はオーブ軍の二枚刃である、
 フリーダムとジャスティスを初めとするライダー部隊の力で撤退した。
 そうして世界が平和に向こうとした矢先、
 突如俺たちが住んでいた地域を奴らが襲撃した。戦争が終わった時分のことだ。
 皆、緊張感が抜け安堵していたからかもしれない。
 何にしても俺たちはその正体不明のライダー達に襲撃された。
 何人も死んだ。俺の家族も、メイリンの家族も、ヨウランの家族も。
 そしてもう一人の幼馴染ヴィーノの家族も。
 俺たちは皆、家族が盾になってくれて逃げ延びた。
 けれど無傷という訳にはいかず、皆、怪我をしていた。特に俺の怪我は酷かった。
 火傷と全身の打撲。意識があったのが奇跡なくらいだった。
 きっと助からない。自分達はそう思った。助かることは無い。
 ここで死ぬ。それが現実だった。
 そこに赤いライダーが現れた。
 新たな敵の出現に俺たちは絶望に打ちひしがれ、この世界の不条理を憎んだ。
 何故ならそのライダーはそれまでのライダーよりもはるかに恐ろしい外見をしていたからだ。
215MRS‐D:2007/04/24(火) 21:23:53 ID:???
 赤い艶めいた甲殻。
 全身から生えた何十という刃。
 地獄の赤鬼。
 そんなフレーズが浮かぶ姿。
 だが、赤鬼は怯える俺達に眼もくれず、こちらを狙うライダー達との間で立ち止まった。
 沈黙が辺りを支配する。赤鬼とライダー達の間に空気が凍るような緊張が走り抜ける。
 赤鬼が身体に生えた刃を引き抜き、
 それは程なくして赤い棒のような―――太鼓を叩く撥のような姿に変化する。
 鬼の身体が赤く発光する。全身を覆う刃が輝き、鬼の身体から抜き放たれ空中に浮遊する。
 それは鬼の身体の至る所で起こり、数瞬で周囲を覆う刃の数は数十を超え、その数は数百、数千へと。
 だが、鬼の身体の刃の数が減ることは無い、
 何故なら引き抜かれては生え、引き抜かれては生え、
 果てなど無い無限の刃の如く、鬼の身体から発生する刃は途切れない。
 そして鬼が撥を振り抜いた。刃が、輝く。
 無数の、空気を切り裂き疾空する刃。
 無限の刃は数十のライダーに降り注ぎ、一瞬で屠り尽くした。
 残された青いライダーの刃金が輝き、後方に生み出される夥しい数のガラス細工のような剣。
 だが、それは剣ではない。刃の頂点に四角い穴が開いた剣など存在しない。
 穴とは出入りを行う為に作られるモノであり、つまりはそれは砲身。剣のような形状の砲身だ。
 砲身が輝いた。閃光。爆発。自分達は何が起こったのかも把握出来なかった。
 怯えて何も出来なかった。
 けれど閃光は赤い鬼だけではなく、自分達までもを巻き込んで殺そうとしたに違いない。 
 白い光。あの前で自分達は一瞬で死ぬ。耐えることなど出来るはずが無い。
 そう思った。
 だが、爆発もそれによって発生した飛礫も、爆風でさえ、自分達には届かなかった。
 無限の刃が陣を組んで盾となり自分達を守っていた。
216MRS‐D:2007/04/24(火) 21:26:06 ID:???
「キラ・・・・お前は・・・!!」
「アァァァスラァン!!!」
 激突する赤と青。無限の砲撃と無限の剣。戦いは苛烈を極めた。
 だが、最後に立っていたのは赤い鬼。
 赤鬼はその姿を人に変え
 ―――そこで赤鬼もライダーなのだと知った―――
 どこかに連絡するとその場を直ぐに去っていった。
 俺たちはその後軍に保護され、適切な処置を受け、傷を癒した。
 俺は唯一の重傷者だったので一人だけ退院が長引いた。
 その間に皆、一人また一人と引き取られていった。
 その後、俺は軍に入りあの青いライダーへの復讐を誓っていた
 ・・・のだが俺の保護者であるトダカと言う人がそれを絶対に許してくれず、
 俺は学校に入学することになる。
 ヨウランやメイリンとは学校で再会した。
 二人とも新しい家族とは上手くやっていけてると言っていた。
 その後復讐のチャンスは訪れなかったけれど、楽しい学校生活を送ることが出来た。
 そして、今に至る。
 復讐なんてくだらないことだ、と。思い続けて、もう五年。
 けれど胸に残るしこりはいつまでも消えない。
 自分は本当にこれでいいのだろうか。 
 もっと自分には出来ることがあるんじゃないだろうか。 
 そう、ずっと思い続けていた。あの日の赤鬼の背中。
 今もそれが眼に焼きついて離れない――――
217MRS‐D:2007/04/24(火) 21:28:02 ID:???
 PHASE03『ZAFT』 SIDE-A-

 気が付けば、そこはどこかの部屋だった。
「ここ、は・・?」
 シン・アスカの横たわっていた場所。
 保健室のような―――暫しの黙考、そこが医務室だと理解する。
 自分がどうしてこんなところにいるのか怪訝に思いつつも、
 シンは立ち上がろうとベッドの布団をどかす。
 自分では着た記憶は無い―――つまりは誰かに着せられた服だろうか。
 それはどこか病人が着るような服をイメージさせる。
 とりあえず、ここにいても仕方が無い
 ―――そう思って立ち上がった瞬間、胸に激痛が走った。
「・・・・な・・・!?」
 痛みは直ぐに―――僅かに一瞬ほどで治まった。
 だが、胸の辺りに生まれた疼きが生まれた。熱い、そして違和感。
 シンは上着を脱ぎ、部屋の中に据えつけられていた洗面台の鏡の前に立つ。
「何だよ、これ・・・?」
 シャツの中、自分の胸の中心に生まれた赤い痣を見つける。
 その痣をなぞる・・・まるで何かの傷痕のような
 ――その姿はどこか植物の種子を連想させる痣。
「・・・・・そうだ、俺は」
 記憶を呼び起こす。自分はここに来る前、何をしていたのだろうか。
 自分は―――沸き起こるフラッシュバック。
 胸に突き刺さる剣。燃え盛る灼熱の怒り。
 霞がかった、どこか自分のものではないような記憶。夢のような感覚。
 自分は殺された。ライダーに殺された。そして、自分は、
「なんで俺は生きてるんだ・・・?」
 そこから先の記憶が無い。
 何も思い出せない。ぷっつりとその部分だけを切り取られたように記憶が無い。
 コンコンとドアを叩く音。
218MRS‐D:2007/04/24(火) 21:29:59 ID:???
「・・・・はい?」
 がちゃりとドアが開く。
「こんにちは、よく眠れた?」
 入ってきたのは赤毛の少女。
 赤い制服。肩に「ZAFT」と書かれた腕章が付いている。
 髪が肩に届かない程度に短く切り揃えたショートカット。
 それは、あの日、死んだはずのメイリンの姉。ルナマリア・ホーク。
「ルナ、姉・・・・?」
 そっくりと言うレベルではなかった。
 少なくともシンの記憶に残る彼女と瓜二つ。
 その瞳も、その髪も、その声も。何もかもが。
「あ、私のこと知ってるんだ?誰か、ここに来てったの?」
 要領を得ない問答。
 シンはさっき起きたばかりで誰かに会うなどあるはずがない。
 シンはそこで思い返す。
 自分がルナマリアと最後に出会ったのはもう5年も前の話。
 もし、彼女が生きているとしてもその頃と同じ姿のはずが無い。
 それに―――自分は見たはずだ。
 彼女の、ルナ姉の死ぬ姿を。死骸を前にメイリン、ヨウランと共に涙を流した。
 あの涙は、今でも記憶に残っている。
 焼きついている。
 だから、違う。目の前のこの女性は自分の知るルナマリア・ホークとは違う、
 ただ似ているだけの人に過ぎない。
(―--ヨウラン、メイリン・・・・?)
 自身が心中で呟いた言葉で気付く。
 自分が失念していたことを。慌てて、少女の肩を掴み、問いかける。
「ほ、他の奴らはどうなったんですか!?メイリンは!ヨウランは!!皆生きてるんですか!?」
 その問いに少女は沈痛な面持ちで返す。
「・・・ごめんなさい。まだ何も分かってないの。」
「そ・・・そう、ですか。」
 その言葉に落胆し、シンはうな垂れベッドに腰掛ける。
 メイリンとヨウランはどうなったのか。無事だったのか、
 それとも・・・シンはその考えを振り払いつつも、不安で胸が押しつぶされそうだった。
 沈黙が場に立ち込める、およそ3分ほど。
 うな垂れるシンに赤毛の少女が言葉を掛ける
 ―――沈黙に耐えられなかったのだろう。
「私のことルナ姉って言ってたけど・・・・あれって何のこと?」
 シンは顔を上げて少女に呟く。
「あ、いえ、昔の知り合いとそっくりだったから。だから、その人が生きてたのかと思って、驚いて。」
「生きてた?」
「ええ、もう・・・・あの戦争で死んでしまったから。」
219MRS‐D:2007/04/24(火) 21:31:46 ID:???
 シンはそう言って、起き上がろうとする。
 兎にも角にもこのままでは何にもならない。
 そう、思い、身体に力を込め立ち上がる。
「・・・く、」
 頬を歪め、シンの動きが止まる。
 再び胸に激痛。思わず呼吸すら忘れるほど。けれどその痛みを堪える。
 きっと直ぐに終わる。さっきと同じく直ぐに終わると。
 だが
「だ、大丈夫?」
 収まらない痛み。脂汗すら流し、顔を硬くするシンに少女は声をかける。
 少しずつ少しずつ痛みの波は小さくなっていく。
「だ、大丈夫です。大丈夫・・・・」
 そう呟いて立ち上がろうとした瞬間、再び激痛。
 シンの身体から力が抜け、彼の前に立つ少女に向かって倒れこむ。
 倒れこむシンを慌てて少女は抱きかかえるようして支える
 ―――だが少女の腕力ではシンを支えることなど出来ず、二人して倒れこんでしまう。
「あ・・・いって」
「いたた、ほら言ったじゃない、大丈夫かって・・・・・って」
「す、すいません・・・・あれ?」
 彼が顔を上げるとそこには、青と白のストライプが。
「ちょ、どこに顔突っ込んでるのよ!!」
 シンは倒れこんだ勢いそのままに少女を押し倒し、
 あまつさえ少女のスカートの中に顔をうずめてしまっていた。
「え、あ、え?」
 状況が分からず―――と言うよりも慌てふためいて、
 シンは顔を上げようとする―――がスカートが邪魔して顔が上がらない。
 一度顔を下げれば良いと言うのに、慌てふためいたシンはそのまま無理矢理に顔を上げようとする。
「顔をグリグリ、動かすなあ!!」
 スカートを押さえつけ、シンの動きを止めようとする赤毛の少女。
 気付いていないが確実にそちらの方がスカートの中はのぞかれ放題である。
 シンの心は目前にある初めて見た生のパンツと女性のスカートの中と言う神秘の密閉空間での息苦しさから、
 思春期にありがちな思考―――俗に言うピンク妄想すら通り越し、混沌の極みに達していた。
「す、すいません!俺は、別に・・・・うお!!」
「どこに向かって謝ってるのよぉ!」
パンツに向かって謝っているようなシンに向かって少女は泣きそうな声を上げる。
 彼女にしてみれば殆ど痴漢だ。
220MRS‐D:2007/04/24(火) 21:33:58 ID:???
 いや、痴漢より性質が悪い・・・・そう少女が思った瞬間、がちゃりとドアを開ける音。
「ルナ、奴は起き・・・・」
 そこに入ってきたのは少年だった。
 流れる長く美しい金髪。
 眉目秀麗とはこのことか、と思いたくなるほどの美少年。
 美少年は目前で繰り広げられる競演に眼を向ける・・・・・そして凍結。
 彼の瞳は海よりも深く、そう何かを悟ったような輝きを発して、
 回れ右をして踵を返す。
 何故か靴のカカトの部分が回れ右をする際にカツン!と音を立てて、
 やけに格好良い。
 ルナと呼ばれた少女は呆けたようにソレを見つめ、
 シンはシンでようやくスカートの中から顔を出し、顔を真っ赤にして呼吸を行う。
 押さえつけられていた為かやけに苦しそうだった。
 振り返りもせずに美少年が呟く。
「気にするな。俺は気にしない。」
 それはシンにとって聞き慣れた声。
 シンが顔を上げる。そこには、
「恋愛は自由だ。いつ、どこで睦み合おうとも俺は気にしない。」
 レイ・ザ・バレル。
 彼がそこにいた。
「ちょっと、何勘違いしてるのよ、レイ!!」
「何でお前がここにいるんだよ、レイ!!」
 二人同時に叫ぶ。
 それほど広くも無い部屋で二人揃って大声を上げれば、
 普通は耳でも塞ぎたくなるものだが、レイはそんなことを意にも介さず、
 また振り返りもせず呟く。
 そう言ってレイはドアを開けようと手を掛けたところで立ち止まる。
「・・・避妊はしておけよ。」
 呟き、ドアを開けてレイは部屋から出て行く。
「だから話を聞けよ!」
「だから、誤解だって言ったでしょ!?どうして私がこんな子供相手に・・・・」
 同時に叫び、そして同時に顔を互いに向けいがみ合うシンとルナ。
 シンは既に痛みが無いのか、先程のようなそぶりはまるで見られない。
「誰が子供だ!」
「あんたがいきなり人のスカートに頭突っ込むのが悪いんでしょ!?」
「子供なのはそっちだろう!?あんな青と白の縞パン履いてる奴が言うな!」
「し、縞・・・・く、熊さんパンツでもないのになんてこと言ってんのよ!もう、最悪よ、この痴漢魔!!」
「ち、痴漢魔?」
「大体いつまで私の上にのしかかってるつもりなのよ、早くどきなさいよ!」
221MRS‐D:2007/04/24(火) 21:35:17 ID:???
 そう言ってルナがミノムシのように身体を動かし、シンから逃れようとする。
 その動きでシンの身体のバランスが崩れる。
「ちょ、そんな動かすなと!?」
 むにゅ、という擬音を立てて、
 シンの右手が誘い込まれるようにルナのパンツの触れる
 ―――正にそこは秘密の花園。
 自身の右手をその場からすぐさま引き抜く。
 何か、何か危うい。
 何が、どう危ういのかは分からないが確実に危険だ。
 シンの心が、身体が、理性が、本能が、警鐘を鳴らす。
 逃げろと。
「ち、違う!誤解だ!!俺は別にアンタにそんなことをしようなんて、これっぽっちも・・・・」
 愚かにもシンはそこで弁解を始める。大振りなジェスチャーを交えて、自分は違う。誤解だと。だが、
「・・・・・こ、」
 ルナにそんなことは関係ない。
 乙女の純情は苛烈なのだ。
 その苛烈さの前では弁明などまるで無意味。
 無言でルナの右足が跳ね上がる。それは絞られた弦の如く、
 限界まで張り詰め放たれた矢の如き蹴り。
 それは、シンの顔面に正確に迫り―――
「この痴漢魔が――――!!!」
 顎を貫いた。
「ごべらっ!?」
 顎を中心に脳を局所的に揺らされ、シンの意識は断絶する。
 意識を途絶する瞬間シンの視界に映ったもの。それは青と白のストライプ。

 やはり縞パンだった。
222通常の名無しさんの3倍:2007/04/25(水) 00:44:55 ID:???
ラッキースケベすぎるでしょ!!
過去が気になるね・・・
ルナはなんで生きてるの(´・ω・`)うーん
223通常の名無しさんの3倍:2007/04/25(水) 10:01:26 ID:???
前半のシリアスさと後半のギャップが・・・
堪らなくイイ!!
224通常の名無しさんの3倍:2007/04/25(水) 16:39:13 ID:???
>>衝撃氏
シンがどんどん可哀想なことに……(ノд`)
でも、こういう孤独感があるほうほうがライダーっぽいかなーと。

変身できないアスランはどうするか……、ネオが使ってた強化スーツみたいなのを着るのかな?

>>MRS氏?
ラッキースケベと聞いて一話から読み直したww
アスランの立ち位置が今までに無い感じっぽくて期待してる。
戦闘と日常パートのテンポが良くて読みやすいよ。
225通常の名無しさんの3倍:2007/04/25(水) 21:54:54 ID:???
>>224
ライスピにおける滝ポジションになるんじゃないか?
個人的には下手に変身するより、そっちの方が好みだ
まあ展開次第では、がんがんじいになる恐れもあるがw
226通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 15:04:21 ID:???
ライダー上げ!
227通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 21:58:48 ID:???
>>衝撃氏
さすが、というか。待った甲斐がありました。
>>MRS氏
描写がカッコイイです。最後の方も笑ったww

最近過疎気味だし、常時ageでもいいかも。
228通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 22:21:58 ID:???
せめて3〜4に1ageにしない?
229MRS‐D:2007/04/27(金) 22:26:10 ID:???
 ウキウキしながら 3話SIDE-B投下します。
 
 PHASE03『ZAFT』SIDE-B
 
 数時間後、シンはどこかの喫茶店のような場所に通された。
 あの後、シンはルナと呼ばれていた少女に顎を蹴り抜かれ、シンは意識を途絶。
 慌てたルナが助けを求め、シンは諸々の検査や処置を受け、それが終わったのは約3時間後。
 その後、シンはルナにこの場所に案内された。
 あたりを見渡せば幾つかのテーブルと壁で仕切られた奥には台所。 
 奥には座布団が敷かれた座敷。
 全体的な内装が全て日本風―――極東にあった小国家だ―――で統一されている。
 どことなく、というよりも、何と言うかこれは俗にいう甘味処では無いのだろうか、とシンは思っていた。
 正直な話、招かれた部屋が意外すぎる場所だったことにシンは驚きを隠せなかった。
 そしてそれは目の前に現れた男が更に予想外の格好をしていたことにも起因する。
「はじめまして、シン・アスカ君。よく眠れたかね?」
 柔和な微笑みとウェーブがかった長い黒髪。手拭いで髪を纏め、作務衣を着こなすその姿は正にどこぞの職人そのもの。手元には茶碗と湯のみを乗せたお盆を持っている。
「・・・・」
 本当はルナの一撃に対する恨み言の一つでも言ってやろうかとも思っていたが、眼前の作務衣姿の男を見て、そんな気は無くなった。
 意味が分からない。何故、作務衣なのか。何故甘味処なのか。
 そして―――それがどうしても先程までいた施設と結びつかない。
 困惑するシンを余所に男は柔和な笑いを浮かべながら口を開く。
「ははっ、元気そうで何よりだ。」
 男は手に持っていたお盆から茶碗と湯のみをシンの前に差し出し、自身もその前に座りこみ、頭部にかけたままの手拭いを取り去り、長い黒髪が露になる。
「私の名はギルバート・デュランダル。この店の店長であり・・・それ以外のことはおいおい話そう。甘いものは大丈夫かな?」
「・・・・・」
 座敷の座布団の上で差し出されたお汁粉とお茶を見つめるシンにデュランダルは微笑しながら話しかける。
「ああ、毒など入っていないから安心したまえ。それにお汁粉は私の自信作でね。これは中々のものだと思っている。ご婦人方の反応も良く、この店の看板メニューになりつつある。よければ食べてくれたまえ。」
「・・・・はあ。」
 実際シンも空腹なことは確かだった。何しろ、起きてから何も口にしていない。
 手を合わせ「いただきます」と呟き、お汁粉に口を付ける―――汁を飲み・・・そしてシンは絶句する。
 旨いのだ。思いのほか、ではない。圧倒的に。
 重厚な甘味。
 それでいて爽やかな後口。
 中に入っているのは餅ではなく・・・・プチプチとした不思議な感触。
 それが刺激となり全体の味を引き締める効果になっている。
「美味い・・・これ、何が入ってるんですか?」
「そう言ってくれるとこちらとしても嬉しい。中に入っているのはタピオカだ。中々良い食感だろう?さあ、熱い内に召し上がってくれたまえ。」
「そ、そうですね。」
 答え、シンは目前の汁粉に熱中する。
 汁を啜る。
 透明な球状の物体を口に含む。
 プチプチとした食感が舌の上で踊り、餡の甘さを引き締め、絶妙のハーモニーを醸し出す。
 一心不乱に食すシン。物の数分で彼は平らげる。
230MRS‐D:2007/04/27(金) 22:27:48 ID:???
「・・・ふう」
 空腹が多少なりとも満たされたからか、先程までの苛々はもう消えていた。
 お茶を冷ましながら飲み、シンは覚悟を決めたように、デュランダルに顔を向ける。
「・・・・一つ、教えてもらえますか。」
「何かね?」
「俺と同じ学校、同じクラスのメイリン・ホークとヨウラン・ケント。この二人の無事は確認されたんですか?」
 先程ルナと言う少女に聞いたことと同じ質問。
 あの時はまだ分からないと言われた。
 だが、あれから既にかなりの時間が経過している。
 恐らく、結果はどうあれ既に判明しているはずだ。
「メイリン・ホークについては確認されている。彼女はこちらで保護し、既に親元に帰している。だが・・・・ヨウランと言う少年については確認されていない。恐らくは・・・・」
「・・・・そうですか。」
 半ば分かっていたことだっただけに、シンにも覚悟は出来ていた。
 出来ていたが、それでもそうやって聞いて、シンは実感する。
 ヨウランは死んだのだと言うことを。
 うな垂れるシン。
 毀れそうになる涙を歯を食いしばって堪えている。
 デュランダルは何も言わず、俯いたシンを見つめ続ける。
 暫しの沈黙。
 シンが口を開いた。
 瞳は涙で滲むも、毀れてはいない。
「・・・・もう一つ。あなた達は何者なんですか。」
 そんなシンにデュランダルは声を掛ける。
 あくまでも柔和な口調を崩すことは無い。
「・・・・君はブルーコスモスと言うのを聞いた事はあるかね?」
「・・・前の戦争を裏から糸引いてたって噂は聞いたことあります・・・それが何か?」
 けれどそれは噂だ。
 この時代、そんな世迷言を誰が信じるだろうか?階段と同じ類の妄想に過ぎない。
231MRS‐D:2007/04/27(金) 22:29:54 ID:???
 シンも、そして彼の周りの誰もがそう思っている。
 だが、デュランダルは真剣な眼差しでシンに呟いた。
「もし、それが真実だとしたら?」
「え?」
「もし、この世界が少数の人間の上で踊らされている盤上に過ぎないとしたら?軍産複合体が世界を裏から牛耳り、戦争を起こし、私服を肥やす。そうだな。眉唾物だ。今時三流小説でもそんなことは書かない・・・・だが、それがもし真実だとしたら――――君はどうする?」
「・・・・ば、馬鹿じゃないんですか!?そんなことある訳無いでしょう!?」
「・・・・・これを見たまえ。」
 備え付けられた液晶型テレビのスイッチを入れる。
 和風で古めかしい店内の中でそのテレビだけが異彩を放っている。
 映し出された映像は・・・・自分達を襲ったあのライダー達だった。
「こいつら、あの時の。」
「君を襲ったあのライダー・・・あれはファントムペインと呼ばれるブルーコスモスの遺産を継ぎし者であり、ライダーは『ウィンダム』と呼ばれるタイプだ。そしてこれが」
 端末を操作し、画面が変わる。
 そこには別のライダーが映っている。
 シン、そしてこの世界にとって忘れることの出来ないその姿。
 世界を蹂躙した機械仕掛けの悪魔。
 全身に張り詰められた白い装甲。
 頭部は味も素っ気も無いバイザーのような仮面。
「ダガー・・・・」
「そう、ブルーコスモスが主力とし、世界中を荒らしまわったライダー・・・・君も良く知る『ダガー』だ。」
 その二つは確かによく似ていた。
 全身のフォルムは基本的に同じ。
 ダガーを細く、鋭角的なデザインにリファインしたもの―――それがウィンダム。
 確かにそう言われれば納得してしまいそうなほど両者のデザインは似通っている。
「だ、だけどそれだけでそんなこと・・・」
「そうだ。これだけで決定付けるようなら、稀代の妄想家だ。しかし、だ。」
 デュランダルはそこで一息置き、続ける。
232MRS‐D:2007/04/27(金) 22:31:31 ID:???
「ライダーシステムとは基本的にもう存在しないものだ。ユニウス条約によってね。」
 ユニウス条約―――第3次世界大戦後に作られた条約。
 細かい条文は多くあるが基本的には以下のことを述べている。
 ライダーシステム、そしてエネルギーユニットであるSEEDの作成の禁止である。
 つまり現行の世界にて新たなライダーは存在するはずがないのだ。
 もし、ライダーが存在しているならばそれは各国政府の糾弾の対象となる。
 現在世界で許されているライダーはユニウス条約が締結される前に生まれたライダー、つまり前大戦を生き残ったライダーのみ。
 けれどその殆どが戦争によって大破、もしくは二度と変身できなくなっている。
「だが、このライダーは明らかに大戦後に作られたものだ。エネルギーユニットであるSEEDの作成は禁止されており、その大半は大戦で破壊されている。なら、どうして彼らはそこにいるのか。」
 それはつまり、もう一度作り出したということ。
 5年という歳月を懸けて。
 ブルーコスモスはもう一度世界を燃やす為に禁忌を破って現れたのだ、とデュランダルはシンに向かってそう言っている。
「・・・・・・」
 押し黙るシン。
 困惑しているのだろう・・・・自身の想像の範疇を超えた会話なのだから。
 だが、デュランダルはそんなシンには眼もくれずに話を続ける。
「さっきの質問に答えよう。ああ、タリア、すまない。」
 タリアと呼ばれた金髪の女性がデュランダルの前に湯飲みと急須を置いていき、再び厨房に帰っていく。
 デュランダルは目の前の湯飲みに急須からお茶を注ぎ、再び話し出す。
「我々はZAFTと言う組織に属している。ブルーコスモス、または人類に敵対する組織から人類を守るために作られた対抗組織・・・・組織というよりもむしろレジスタンスの意味合いが強いがね。」
 そう言って彼は自分の前のお茶に口を付ける。湯飲みを机に置くと再び話し始める。
「私の肩書きはZAFTオーブ方面支部長であり、ここはそのオーブ方面支部の本部でもある。」
「・・・・でも、ここってどう見てもただの喫茶店じゃないですか。」
 訝しげに辺りを見回し、指摘をするシン。
 デュランダルは軽く笑いながら再びお茶に口を付ける。
233MRS‐D:2007/04/27(金) 22:33:07 ID:???
「なにぶん、予算の都合でね。趣味と実益を兼ねて、こういう形にしたに過ぎない。それに、いざと言う時こういう場所の方が良い事もある。」
「いざと言うとき?」
「そんなあからさまな秘密組織など見つけてくれと言っているようなものだろう?」
「そ、そりゃ、そうですけど」
 口ごもるシン。理屈の上では確かにデュランダルの言うとおりだろう。
 そんな秘密組織は秘密ではない――――だが、だからと言って喫茶店である必要もあるのだろうか。
(いや、それは無いだろ。)
 どうにも納得できなさそうな―――むしろ納得できる方がおかしいが―――シンを尻目にデュランダルは真剣な眼差しを向け、再び口を開く。
「では、本題だ。シン・アスカ君。単刀直入に言おう。その力を貸してくれないか?」
「・・・力?」
「そうだ。先程言ったファントムペインと戦うには戦力は幾らでも欲しい。そこで君の力を貸してもらえないか。」
「俺の、力?」
 シンは何を言っているのかと言いたげな視線でデュランダルを見つめる。
 それも当然だ。この男は自分にファントムペイン―――あのライダーと戦えと言っているのだ。
「何を言ってるんですか?」
「なるほど・・・・どうやら気付いていないのだね、君は。」
「だから、何のことなんですか。」
「これを見れば分かる。」
 デュランダルが端末を操作し液晶テレビの画面が変わる。
 画質が悪い。
 かなり遠方から録画しているのだろうか。
「これは・・・・」
 そこにはシンがいた。
 立ち尽くし、そして震えと共に変貌して行く。
 身体を覆う甲殻が赤から黒へ変化。そして顔面を覆う黒い血涙を流す仮面。
 ・・・・それはシンがあの“悪魔”のようなライダーへと変貌し、周辺全てを蹂躙した姿を映した映像だった。
234MRS‐D:2007/04/27(金) 22:35:04 ID:???
「俺・・・・?」
 呆然と画面の中で繰り広げられる殺戮を見つめるシン。
 あり得ない光景。
 理解できない。
 自分の記憶の空白の中で、こんなことが起きているなどと誰が思うだろうか。
「キミは何の補助もなく、変身したのだよ。ライダーへと。」
「な----!?」
「君は気付いていないようだが、君は紛れもなくライダーだ。
 それもこの世界のどれとも違う特殊な。
 そして、恐らく―――勿論これも予想でしかないのだが―――君のシステムは未だ不安定なのだろう。いつ、暴走するか分からない・・・例えて言うなら不発弾のようなものだろうな。今回はライダーを殺すだけだっただが、次も同じで済むとは限らない。
 次は、身近な誰かを殺すかもしれないな。」
「そんな、馬鹿なこと・・・・・・」
「無い、と君は言えるのかな?」
 デュランダルに視線で射抜かれ、シンは言葉が詰まる。
 眼を逸らす――――液晶に眼が移る。そこには今も蹂躙を続ける黒い悪魔の姿があった。
 ごくりと唾を飲み込む。
 これが――――自分だと言うのか。
『ハッハッハッ』
 発情期の獣のような荒い息。
 どこか昆虫のような鎧―――むしろ甲殻と言った方がしっくり来る。
 赤い瞳。
 血涙を流しているような瞳。
 手は手甲のような鎧に覆われ、指先は細く先細り、まさに獣の爪。
 爆ぜる頭部。
 吹き飛ぶ首。
 引き千切られる体躯。
 あまりにも現実離れした光景。
 それが自分だと言われても現実感などまるで存在しない。
 存在しないはずなのに――――手を開き、自身の掌に眼を向ける。
 あの化け物を握り潰した手・・・映像でしか見てはいないのだけどそこに確かな実感があった。
 記憶にまるで残っていない。
 だけど、どこか感覚だけが残っている。
235MRS‐D:2007/04/27(金) 22:36:30 ID:???
 パズルのピースがはまるように、それを素直に、どこかで納得している自分がいる。
 あれは俺なのだ、と。
 もし、あの時メイリンやヨウランがいたなら、自分は殺していたのだと。
 身体が震える。
 そんないつ暴れるか分からない化け物が自分の中に眠っている。
(俺が・・・メイリンたちを、殺す・・・?)
 あり得ない話だと思った。
 あり得ない話だ。
 自分にとって彼らは何よりも大事な友達。
 親友と言っても良い。
 それを殺すのなどあり得ない。
 けれど、それは本当なのか?あれを起こしたのは自分では無い何かだ。
 そこに自分の意思は欠片も関係していない。
 幾ら自分が殺さないと息巻いたところで無いとは言えない。
 ・・・むしろ在り得る可能性の方が高い。
 怖い。
 怖気を振るうほどに怖い。
 シンは映像を凝視する。
 自分では無いと言う証拠を探すように必死にその映像を見つめ続ける。
 だが、証拠など見つかるはずが無い。
 変身とその解除。
 その瞬間に写る人間の顔は何度見てもシン自身でしかない。
 落胆と焦燥がシンの顔に浮かぶ。
 そこにデュランダルが呟いた。
「だが・・・・・・君が戦ってくれると言うなら、君の内に眠るライダーシステムを安定させる方法を用意しよう。二度とあんな暴走は起こさないと確約する。どうだね?」
「・・・・・・出来るんですか、そんなこと。」
 力無くシンは呟く。
「可能だ。シン・アスカ君。私はね、ヒーローが欲しいのだよ。」
「ヒーロー・・・・?」
236MRS‐D:2007/04/27(金) 22:37:48 ID:???
 デュランダルは、シンの湯飲みにお茶を注ぎ、続ける。
「人類の為に戦うライダー。悪を挫き正義を行うヒーロー。混迷するこの世界における英雄・・・・君にはその力がある。ヒーローとなる力が。」
「・・・・アンタは一体俺に何をさせたいんですか?」
「ヒーローだよ。君は私の元でその力を振るう場と安心を得る。私は君の力を借りて、ファントムペインを駆逐する。どうだね?良い交換条件だとは思わないかね?」
「・・・・・・」
 押し黙るシン。
 素直にデュランダルの言葉を信じることが出来ない。
 けれど、選択肢が無いのも事実だ。
 そして、それ以上に心の中で思うことがあった。
 シン・アスカには望みがある。
 全てが奪われたあの日から燻り続ける一つの想い―――自分はこのままでいいのか、と。
 殺されたのだ。
 家族を。
 友を。
 大切な人々を。
 その復讐をしなければいけないなどと誰も言っていない。
 だが、だからと言って納得など出来ない。
 突然、現れた『ダガー』達。蹂躙された町。殺された皆。
 それを許すことなど出来ない。出来る訳がない。
 死んだ者は復讐など望まない。
 そう言う人もいる。
 だが、死んだ者は喋らない。
 そんなものは生者が死者の言葉をでっち上げたに過ぎない。
 シン・アスカには望みがある。
 奪われたから奪い返す、ではない。
 奪われたのなら、二度と奪えないように殺してしまえ。
 シン自身気付くことはないが、それはあの化け物を縛り付けた思考と同じモノだった。
 顔を上げる。
 シンとデュランダルの視線がぶつかる。
「もう一つだけ教えてください。」
 シンが呟く。
「なんだね?」
「そのファントムペインというのは人類の敵で、ブルーコスモスの持っていた技術を全部持っていて、・・・ブルーコスモスのメンバーも中にはいるってことですか。」
「確証は無いが、恐らくそうだろう。」
 逡巡など、無い。自分はその目的の為に生きてきた。
「・・・・やります。戦わせてください。」
「死ぬかもしれないが、それでも構わないのかね?」
「構いません。」
 この時、少年は選んだ。
 限られた選択肢の中から、復讐者と言う道を。
237通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 22:53:47 ID:???
GJ!!
ヨウランは死んだのか…
どう展開していくのか読めない
アスランはシンと同じで特殊なのかな?
ライダーバトルが楽しみw
238通常の名無しさんの3倍:2007/04/28(土) 00:15:32 ID:???
GJっす!
作務衣のギル…
239通常の名無しさんの3倍:2007/04/29(日) 01:50:05 ID:JheC6duB
シン・アスカって名前だからウルトラマンダイナにでもなれよ
240通常の名無しさんの3倍:2007/04/29(日) 05:18:46 ID:???
仮面ライダー電王のリュウタロスってシンだよな
241通常の名無しさんの3倍:2007/04/29(日) 05:21:42 ID:???
このスレ全部よんでみて
242通常の名無しさんの3倍:2007/04/29(日) 11:58:33 ID:???
            ,.-‐''´::.::.::.::.::.::.::.: ̄ ヾ、li!
           ,.-'´::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ヾ、
         〃::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::::.:::.::.::.::.::.::.::.::.\
        //::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::::.:::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::ヽ
          〃::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.ハ::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:l     
       /イ::.::.::.::.::.::l::.::.::l::.::/ |::.:::l::.::.::.::.::.::.::.::.::.::l      
.       /::/::.::.::l::.:ハ::.:,イ::./   l::.:l!i::.::.::.::.::.::.::.::.:lト、 憧れのライダーになることが出来ました。みなさんのおかげです。
.       /::/::l::.::.l::.:代:六::.l   l::仆l::./::.::.::.::.::.::.:lヾ、
      /イ::.::l::.::.ヾ、'Tラドl::l  /:/イ!:勹l::.::.::.::.::.:l  一言、ガンフォームはカッコいいです!
       '´ ヽ::ハ:::、::ヽヾ−'l::l  /ノ-ヾ‐' ク::.::.::.::./l!
         ゙! ヽ:ハ:ト`   ` l:::'´    /::.::.::.::ィ/   リュウタロスはキャラクター的に難しかったですが、今後いろいろ
           ` l:!ヽ、  __' ___   -'イ:::ィl/ i
            ヾ ヾト、 ー   _,-'=li´ i    展開できそうなキャラなので期待して下さい。
               !゙ヽ、__ ,.-‐'‐''"´li
               l トl | l f    l      見た目、それとギャップのある動きと喋りがどうなっているか
.     __,.----‐‐‐'´ ̄ヾ、l.l | l レ _,.-'´`ー--.._
.  r‐‐''´:::::::::::::::::::::_:::::::::::::::`L|_l_,‐'´::::::::::::::::::::::::``ー--.._ が楽しみだなー
  l!::::::::::::::,.、-‐‐''´  |:::::::::,.-'´ ヽ、:::::::::::::::::/ー、_::::::::::::::::::`ー--..__
  l゙、:::::::/      l:::/     \::::::::::/   `ー、:::::::::::::::::::;‐'l  ttp://www.toei.co.jp/tv/den-o/index.asp?action=entry&num=64
  ヾ:l:::/     _,.-''´l/        \::/       `ヽ:::::::/::::l
  l::l/ l l   |::::::::::|           ,.-`----,      l:::〃:::::::|

243通常の名無しさんの3倍:2007/05/02(水) 09:41:10 ID:???
保守
244通常の名無しさんの3倍:2007/05/04(金) 03:56:02 ID:???
上げるけどいいよね、答えは聞かないけど!
245MRS‐D:2007/05/05(土) 13:03:32 ID:???
 バックンバックンしながら投下します。

 PHASE03『ZAFT』SIDE-C

 先程のデュランダルとの会話から数分後、シンはデュランダルに言われ、
そのままそこで待っていた。
 数分後、現れたのは三人。
 先程の赤毛の少女―――ルナと呼ばれていた―――とタ
リアと呼ばれていた金髪の妙齢の女性。
 そしてシンも良く知る同じクラスのレイ・ザ・バレルが現れた。
「では、紹介しよう。ザフトオーブ方面支部通称「ミネルバ」のメンバー
達だ。」
 デュランダルの言葉に続き、金髪の女性がシンの前まで歩いてくると右
手を差し出し自己紹介を始める。
「タリア・グラディスよ。貴方たちへの通信と指示は私が出します。あとこ
の喫茶店のコックも私がやってるわ。」
「よ、よろしくお願いします。」
 差し出された右手を握り握手するシン。
「タリアには厨房を任せている。この喫茶店の料理は全て彼女が切り盛っ
ている。」
「そ、そうですか。」
「では次は・・・ルナ。」
 デュランダルが呼ぶと赤毛の少女が「はい!」と元気よく返事するとシ
ンの前まで歩き手を差し伸べる。
「さ、さっきはごめんね?あ、私のことはルナでいいから!」
 元気そうな少女の声。
 シンは先程と同じように差し出された右手を掴み握手する。
 そして、手を話すと無意識に顎をさする。
 微かな痛み。
 あの一撃は容易に忘れられそうにない。
 続いて、その後ろの金髪の少年――――レイ・ザ・バレルが。
「レイ・ザ・バレルだ。」
 レイもルナやタリアと同じくシンの前まで来て右手を差し出す。
「・・・・・」
246MRS‐D:2007/05/05(土) 13:04:21 ID:???
 シンはその手を握り、無言で握る。
「シンはレイと同じ戦闘班所属となる。」
 デュランダルが話し始める。
 レイの右手から手を離し、話に耳を傾ける。
「これからのことについてはレイとルナの話を聞いてくれたま・・・・・」
 言葉を切るように鳴り響く警報。
「来たか。」
 デュランダルの視線が一際鋭くなる。
 液晶に写る画面が変化する。
 そこには特徴的な前髪をした女性が写っていた。
『支部長、コンディションレッド発令です。場所はA-04地区。ファント
ムペインの襲撃だと先程と通信が入りました。』
 シンの顔が強張る。
 A-04地区。
 そこはシンにとって、そしてこの付近の住民にとって最も大事な場所。
 集団墓地。
 あの戦争で亡くなった皆を埋葬した・・・・自分とメイリンとヨウランが
墓参りに行こうと思っていた場所。
 直ぐに立ち上がり、シンは喫茶赤福の入り口のドアに手を掛け、飛び
出した。
 その後ろ姿を見てルナは唖然としながら呟いた。
「支部長・・・・行っちゃいましたよ。」
「・・・・・まだ、説明の途中なんだがね。まあ、良い。ルナ、練習無しで不
安ではあるが、出来るかね?」
「はい!」
 ルナは威勢よく返事をし、店の奥に向かって駆け出していく。
「では、自分も行きます。」
「ああ、頼んだよ、レイ。」
 敬礼を一つ。レイはそのまま喫茶店を出て、表に止めていたバイクに飛
び乗る。キーを差込み、エンジンを掛け、走り出す。
247MRS‐D:2007/05/05(土) 13:05:24 ID:???
「はあっ、はあっ、はあっ、くそっ!!」
 道行く人が振り返る。
 中には知った顔もある。
 だが、シンにそれを見る余裕はなかった。
 A-04地区。
 戦時中になくなった人々を埋葬した簡易墓地であり、シンの家族、メイ
リンの家族、ヨウランの家族、
 そしてあの時戦争で巻き込まれた全ての人々が眠る場所。
 そこにライダーが現れた、とデュランダルは言った。
 シンにとってそれは決して看過出来ることではなかった。
 いや、家族を失くした者にとってそれは誰でも同じなのだろう。
 そこに爆音が響く。何事か振り向いたシンの耳に女性の声が届く。
「シン・アスカ、乗りなさい!」
 振り向くシンの眼に入ったもの、それは大型の白色に青いラインの入っ
たバイク
 ――両脇に取り付いた突起のせいか、むしろバイクと言うよりもどこか
飛行機めいた姿に見える―――に乗るルナの姿だった。
「ル、ルナ、さん?」
 息を切らしながら呟くシン。
 何も考えずに全力疾走したせいか気が付けば息は上がり、身体中に汗を
かいていた。
 だがそんなシンを意にも介さずルナは話し始める。
「いい?貴方は私とペアで戦ってもらうから。だから、こういう時はこれ
から絶対に私と一緒にいなさい!いいわね!?」
「そ、そうな・・・・」
「いいわね!?それと私のことはルナって呼びなさい!分かった、シン!?」
「あ、ああ、分かったよ、ルナ。」
 シンの返事を聞くと即座にエンジンを始動。
 重く大きい音が鳴り響く。
 シンは思わずその音の大きさに顔を歪める。
248MRS‐D:2007/05/05(土) 13:06:29 ID:???
 ルナは後部座席にセットされていたヘルメットをシンに投げ渡す。
「乗りなさい!」
「いや、俺、バイクなんて乗ったことな・・・・」
「適当に後ろに座って、しっかり捕まってなさい!早く!」
 恐る恐ると言った感じでシンはヘルメットを身につけ、その後ろに乗り込
む。
 スロットルを二度三度回し、エンジンを吹かす。
 シンからは見えないヘルメットの中、そこでルナはその音に舌なめずりす
るように、
 唇を釣りあがらせ、さも楽しそうに微笑みを漏らし、
「・・・・・行くわよ。」
 呟き、思いっきりスロットルを回す。続いて襲い掛かる暴力的と言っても
いいほどの爆発的な加速。
「・・・・・・おおおお!!!?」
 思いもよらないほどの加速を受け、シンは慌ててルナの身体にしがみつく。
 加速は止まない。どんどん、どんどん、と。
 その速度はシンがこれまで乗ったどんな乗り物よりも速かった。
 何しろそこは街中なのだ。未だ人もいれば、車もいる。
 なのに、ルナの操るそのバイクはまるで気にすることなくスイスイと泳ぐ
魚のように間隙を縫うようにして追い抜いていく。
 その後ろに座るシンにしてみればジェットコースターをはるかに凌ぐ、暴
走特急―――この場合は暴走二輪か―――になっている。
「・・・・・」
 言葉一つ出す余裕もなく、殆ど生存本能のみでルナの身体にしっかりとし
がみ付く。
 脳には何度も警告が鳴り響き、バイク一台が通れる程度の隙間を縫うよう
にして追い抜く度に鳥肌が起こる。
 だが、それも限界に辿り着く。
 幾らか進んで、前方に渋滞が起こっている。
 パトカーが何台か出張っている状況から交通事故でも起こっているのだろ
う。
249MRS‐D:2007/05/05(土) 13:07:16 ID:???
 助かった―――とシンは思い、ほっと息を吐こうとした瞬間、何を思った
のか、バイクは転進し、いきなり脇道に入っていく。
「ど、どこ行くんだ!?」
「こういう時はね、この道で行くのが一番早いの。」
 そう言ってスロットルを回し、アクセルを全開にするルナ。
「-----!」
 いきなりの加速にシンは何か言おうとした口を閉じて、しがみ付く腕に力
を込める。
 そして突然ヘルメットから声が聞こえる―――それはルナの声。
 恐らくヘルメットには通信機でも仕込まれているのだろう。
『このバイクね、シルエットフライヤーって言う私専用のバイクなの。』
 バイクの速度は衰えない。
 いや、むしろどんどんと加速している。
 シンの脳裏に怖気が走る。
 元々この地域に住んでいるシンには大通りに出たことで大まかな今の居場
所が理解出来ていた。
 それもこれも全て土地勘の為せる技だ―――そのシンの土地勘が言ってい
るのだ。
 この先はヤバイと。
 ここには運河・・・と言うほどでもないがそれなりに大きな川が流れている。
 どこにでもある川だ。
 国際河川と言うほどのものでもない。
 だが、そこに脇目も振らずに一心不乱に真っ直ぐ突き進んでいるのはどう
いうことなのか。
 シンの心から嫌な予感が消えない。
『シルエットフライヤーのフライヤーってね、飛ぶ物とかって言う意味なの
。分かる?つまりね・・・・』
 ルナの右手が動き、スロットルを回す。
 最大速度。
250MRS‐D:2007/05/05(土) 13:07:54 ID:???
 前輪が跳ね上がる。
 そして、跳躍―-シルエットフライヤーが空を舞った。
「うわあああああああああ!!!!」
 シンの予想通り、そこは川だった。
 あろうことかルナは堤防に向かって真っ直ぐ突き進み、加速によってウィ
リー、そして川に向かって飛び込んだのだ。
『飛べるってことなのよ!!』
 叫び、ルナの左手が動き、ボタン操作。
 シルエットフライヤーの両脇の突起が、グライダーのような翼に変形する。
 そして自動で翼の角度が調整され、翼が風を掴む。墜落と言う速度から、
滑空と言う速度へ変化。
十数秒間の滑空。そして、着地。速度を殺すために、そこでターン。道路に
黒いタイヤの跡。
「し、死ぬかと思った・・・・・」
 疲れきったシンの声。
 いきなりの光景の変化・・・・と言うよりも純粋に死の危険を感じたせいだろ
う。心臓の鼓動がとんでもないことになっている。
『じゃあ、行くわよ。』
 だが、ルナはそんなシンの状況に気付いているのか、気付いていないのか、
 それともあまり何も考えていないのか、スロットルを回しアクセル全開。
 目的地に向かってシルエットフライヤーは加速する。
 シンは無言でルナの身体に回した手に力を込める。気分は殆どまな板の上
の鯉だった。
251MRS‐D:2007/05/05(土) 13:08:31 ID:???
 数分後、A-04地区が見えてきた。
 予想通りにそこではあのライダー達
 ――――ウィンダムとデュランダルが言っていた―――が暴れている。
 墓地に一体何があるのか。
 それは分からない。
 煙が上がる。爆発が起きる。
 逃げ惑う人々がそこにいる。
「・・・・っ!!」
 身体中に力が篭る。
 奥歯をきつく噛み締める。
 疲れや、不安は瞬間シンの脳裏から吹き飛び、怒りが燃え上がる。
 シルエットフライヤーの加速が緩み、敵まで凡そ50mと言うところで
停止する。奇しくもそこは墓地の入り口。
『シン、行くわよ。』
『ああ!!』
ルナがバイクを止め、降りる。シンもそれに倣い降りる。
 目前には敵。知らされた敵。ファントムペインという化け物の組織。
 そいつらを倒して行けばいつかあの青い羽金のライダーに出会える。
 そう、信じて。
 一歩、前に踏み出す。後ろからルナの声が届き、振り返る。
「シン!」
 ルナからベルトと、そしてPDAのような端末を投げ渡される。
「言った通りよ!分かってるわね!?」
 頷く。自分がこれからどうすればいいのか。
 ここに来るまでの間に既にルナに教えられている。
 投げられたベルトを腰に巻きつけるようにすると、ベルトは殆ど自動的
に腰に巻きつき、装着された。
 ザフトの技術力の賜物である。
「す、凄いな、これ。」
「無駄口は良いから早く!!」
 ルナに促され、シンは渡された端末を右手で握り締める。
252MRS‐D:2007/05/05(土) 13:09:42 ID:???
 ――――ようやく、ようやく、この時が来た。
 知らず、唇が釣り上がる。喜ぶべきことではない。
 けれど、5年間望んで望んで望み続けた復讐の衝動。
 胸の高鳴りに任せ、その『言葉』を叫んだ。
「変・・・・・身!」
 ベルトに向かって渡された折り畳み型の端末をセットする。
 そしてベルトの左部分の赤いキーを左手で押し込む。
 液晶に浮かび上がる「INPULSE」の文字。
 瞬間、ベルトから赤い放電が始まり、直ぐ近くのルナが瞳を閉じる。
 同時にルナは腕時計の横の小さなボタンを押し込む。
 彼女の身体が同じく赤い稲妻を放って輝き出す。
「シルエット展開」
 ルナの呟き。
 瞬間彼女の身体がそれまでにないほど大きく光り輝き――――掻き消え
る。
 残されたのは赤い光の渦。
 刹那、赤い光はシンの周囲に殺到し、全身を覆い尽くし、そしてレイの
モノとは違う形の装甲へと変化する。
 赤い光が頭部を覆い、仮面へと変化。
 続いてそれに連なるように全身を装甲を覆っていく。
 そして風船が膨らむような音がその内より響き、筋肉が膨張し、装甲が
それを拘束する。
 赤い装甲と背中に背負った二本の大剣。
 赤と白のコントラストが織り成すフォルム。
 腕、肩、腰は明らかに通常よりも太く、逞しくなっている。
 ソードインパルスと呼ばれるその姿。
 背負った大剣を手に取り、構える。目前に現れた新たなライダーを見て、
敵が――――ファントムペインがシン達に眼を向ける。
 シンは叫んだ。思いの丈を振り絞り、心から。
『まだ、殺したりないのか!!アンタ達は!!』
 刀身が白熱し、赤い線を描き出す。
 シン・アスカは目前の敵に向かって駆け抜けた。

             
253通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 14:26:03 ID:???
シンかっけー!!GJ!
254通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 20:01:15 ID:???
カッコイイなぁ!GJ
255通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 21:47:27 ID:???
変身システム、これまでになく複雑っぽいな
このベルトは、シン自身の変身を制御するシステムなのか?
ルナがモモタロス状態になっていたりと、まさしくザフト脅威のメカニズムだ
256通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 22:36:01 ID:???
G・Jッ!!
これはすばらしいライダーだ!

しかし、はやくもルナに尻を引かれてるシンにワロタww
257通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 16:35:36 ID:???
電王と言うよりはむしろ

つ【超機動員ヴァンダー】
258通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 18:14:17 ID:???
あ〜ちょっと読んだことあるけど女の子がサポートなんだよな。
259通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 22:04:16 ID:???
>>257
あえて言わなかったことを…w
でも、あれだとヘルメット横の画面に全裸で出てくるんだよね。
バストアップか顔のアップなんで、ぎりぎりオパーイは見えないけど。
260通常の名無しさんの3倍:2007/05/09(水) 21:06:35 ID:???
保守
261仮面ライダーKIRA:2007/05/10(木) 20:11:43 ID:???
PHASE-05 歌姫と漆黒のピアノ


深夜のアークエンジェル内部。マリューとナタルは答案の丸付けと報告書の整理を行っていた。
最近はZAFTの出現も多く、すっかりノイローゼ気味になってはいたが、キラ達の姿を見て奮起をしているところだ。
「あ〜〜、目が痛いわ…」
「ラミアス先生はお帰りになってください。あとは私がやっておきますよ?」
「いいえ、やっていくわ」
キーボードを打っていく。何枚もの紙に記されたデータを打ち込んで、ようやく終わった時は深夜1時を回っていた。
「終わりましたね……」
「ええ」
2人は宿直メンバーに挨拶をすると地上に上がって帰路に着いた。
「あの子達……」
「え?」
「ううん……キラ君達はまだ高校生なのに、人類や地球とか規模が大きいもののために戦わされてるのよね……」
やりたい事もたくさんあるはずなのに。確かに変身できるのは彼らだけだ。だが、彼らは巻き込まれた。
ZAFTという敵の脅威に、大人達の都合に、自分達の使命と思わされている。
「彼らは自分でライダーである事を選んだのです。それに人類を守るのは人である以上義務ではないですか」
「……そう思いたいわ……」
262通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:13:27 ID:???
日曜であるというのにライダーには休みがなかった。ストライクとデュエルが路上に現われたジン6体と交戦をしている。
脚で強引にジンを払いながら、2人ともベルトにある番号を押していく。

゙X-105……゙

゙X-102……゙


゙ライダーキッグ

背中のエールストライカーによる推進力で空に上がり、ストライクの体と伸ばした脚が斜めに落下しながらジンを直撃した。
同じくして跳ね、空において回し蹴りでジンを蹴り飛ばして集まっている場所へとよろめいていく。
地に伏していたジン達が起き上がった時には既に時遅く、爆炎を上げながらその肉が焼かれた。
「ふぅ……」
バックルがベルトと2割され、キラとイザークから鋼の装甲が外されていく。2人は最近のZAFTの出現数の影響から疲労が溜まっていた。
が、自分達以外に世界が救えるわけでもないし人を守れるわけじゃない。ならば弱音を吐くわけにはいかない……
「なんか肩凝る感じ…」
「帰ってから゙もみもみ大天使゙に座ればいいだろうが!」
まあ、高校生だ。弱音は仕方ない。2人は報告書を書くためにも、アークエンジェルへと向かっていく。


「あら?お帰りなさい」
オーブの制服を纏う少女。青い制服とは対になる赤い髪がよくマッチしている。
「フレイ……ご苦労…様……」
「キラもイザークもスポーツドリンクでいいわね」
雑務をしている最中だろうが、気遣いをしてくれている。2人は缶を受け取ると、そのまま地下3階に降りていく。
ちなみにオーブの中でもアークエンジェルは最新式で、キラ達の通う高校の地下にある。地下6階層の作りになっていて、普段は3階までしか使わない。
263通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:14:36 ID:???
ZAFTの存在やライダーの正体を知り、見て見ぬ振りをするわけにもいかないとフレイはオーブに入った。
と、言ってもまだ雑務と簡単なオペレーターを任されるくらいだが。
(制服似合ってたな……しかも最近はキラって呼び捨てか…)
顔がにやついてしまうくらいに表現できないような妄想が膨らむ。疲れを感じさせないような笑顔にすでに魅了されていたのだった(妄想内の話だが)。
(ああ〜……なんか、サポートしてくれるっていわゆる内助の功ってやつかな?)
「……ラ……キラ……おい」
にやつきすぎてイザークからはただの異常者にしか見えず、ヒミツの花園へ突入したキラの脳内はすでに常人の思考を超越していた。
そのまま司令室へと足を運ぶと、案の定トール達もキラのありえない程の気持ち悪い笑みに目を向けてしまう。
「お〜い……キラ」
「ふふふ……ハァ…ハァ…ふふふ…え!?何?」
「何やってんだよ、今日は大事な客が来るんだからそんな怪しい笑顔やめろ」
そんな事は聞いた覚えはない。急な事なんだろうか?、と首を傾げてる間に扉が開いた。
振り向くと、そこには自分と年が変わらなそうな少女が立っていた。少女は桃色の髪をしていて、水色の瞳をしている。
それでいて何か他の者とは違った、神々しいとさえ思えるオーラのようなものをキラは感じとった。
「お待ちしていました」
マリューが言葉を発すると、イザークが少女の持っていた鞄を持った。それほどまでの重要人物とはとても思えない。が、神々しさを考えると少なくとも一般人とは違う。
「ありがとう…ご苦労さまです」
思いの外、声は落ち着いていたように思える。少女はキラを見ると、表情を和らげて歩み寄ってきた。
「初めてお見えになるお顔ですわね。私はラクス・クラインといいます」
「あ……僕はキラ・ヤマトです」
264通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:15:49 ID:???
にこっとすると、ラクスと名乗った少女はマリュー達と共に別の部屋へと移った。
「な、凄い客だろ?可愛すぎだろ?」
「え?……ああ、うん」
トールや皆の言動や反応から何度も来ている事はわかる。自分達が行けない場所でもマリュー達が同伴で行けるほどである。
「彼女はいったいどんな……」
「クラインコーポレーションを知ってるな?」
クラインコーポレーション。食品や雑貨だけでなく、IT開発も含めて世界最上級企業である。しかも、政界や軍隊にも影響力を持っている。
「社長は親だが彼女自身もかなりのやり手でな。オーブにも支援金を出し、マスクドライダーシステム開発にも尽力してくれていた」
どうやら飛び級で大学に入学してるらしく、頭脳明晰で容姿端麗という女性としての理想的姿である。
イザークの話によると平和を願い、障害者や恵まれない国や子供達にポケットマネーから支援金を出しているという心優しい少女でもあるらしい。
「そんな女の子がいるなんて……世の中広いなぁ」
「いや…世の中広しと言えど、そんな娘いないとかのほうが正しい」
もはや゙理想゙というよりば夢゙とも言えそうな気さえしてしまう。
扉が開くと、ラクスももう一度この階に降りにきていた。イザークが荷物を渡すとお礼を述べた。
そしてもう一度キラの前へと歩んできた。すると手を握り、頑張れとの一言を発して部屋を出ていった。
265通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:17:04 ID:???
「やったじゃないか。気に入られたみたいだな〜」
ムウがからかうような口調で言う。その感じはイザークに不快感を与えたのか、バルトフェルドのいれたコーヒーを砂糖一杯にして飲んだ。
「あれ?イザーク、どうしたの?」
「ああ、あいつはラクスにホの字なわけだよ(多分)。だから悔しいんだよ。おまえが手を握られた事がさ」
トールの軽率な言動は悪夢を呼んだ。彼自身はイザークによる超高速での卍固めをくらわされていた。
誰かから話されたのか、キラにはフレイからの無視されるという始末となった。

対してアスランとディアッカは街中で巡回していた。ZAFTは人間に化けられるため、いつ・誰が襲われるのかは検討がつかない。
常に注意しながらでなければ犠牲者は増えるばかりとなってしまう。
「だからってこんなBoyと日曜歩くのは嫌気がさすってもんだぜ。女性ライダーはいないのか?」
「残念だが、現時点では男しかいない。文句言ってないで周りに注意しろ」
美少女だらけ(?)なオーブの女性の全員に声をかけたディアッカにとって、外でのナンパは必死だった。
フレイを口説いた時はキラに殺されかけ、カガリを口説いたら本人に消されかけた。
日本の少女は大事にされていて強気だという文化に惚れ(勘違い)、すっかり大和撫子を探すのが趣味となっていた。
266通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:18:23 ID:???
「どこかにsweetなgirlいなのかよ?。どうなんだアスラン……ん?何だこの音は?」
どこからか流れてくる波長の揃ったメロディ。ただ揃ってるだけではない。聴いたら誰もが弾き手を探してしまうほどである。
「ピアノだな。これはいわゆる中世の人物が作り出した曲だが、ここまで見事に弾けるものなのか」
あらゆる点で芸の知識を持つアスランだが、ピアノをここまで素晴らしいのは聴いたことがなかった。
隣にいたディアッカが弾き手を探しに行ってしまっているのに気づかない程に感心していた。


(これだけ上手いんだ……きっとbeautifulなgirlに違いないぜ!)
彼の全神経が導きだした先、そこは小さな喫茶店のような店があった。どうやらそこから聞こえるようで、ワクワクしながら足を踏み入れた。
チリンチリンという客足を知らせる音が響くと、綺麗なおばさんがいらっしゃい、と声をかけた。
この店の店員だろう。奥ではその夫と思われる人物がコーヒー豆を引いたり紅茶の葉をブレンドしている。
どうやら家族経営しているようだ。そこそこ客は入ってるようだ。
「お一人様ですか?」
「Yes」
都合がいい程にピアノが近い席へと誘導された。アップルシナモンティーとブルーベリータルトを頼むと、おばさんがいなくなった隙を狙ってピアノを弾いてる人物の顔を覗いた。
すると、綺麗な顔立ちをしている人物がいた。まだ幼さを残していて自分達より年下かもしれなかった。
267通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:19:47 ID:???
丁度弾きおわったようで、ピアノから離れると速攻でその子へと近寄った。
「Ha〜い。中々上手いじゃないか。マジでcrybabyしちまいそうだったぜ」
「そうですか?ありがとうございます」

………??

女性的な声ではある。だが、どこか違和感を感じる。これは何だろう?。そう思考してるとアスランが入ってきた。
「探したぞディアッカ。さっさと行くぞ」
すると、その子は何かを思い出したように眼を見開いた。
「アスラン?アスランですか?」
「ん?……ニコルか?ニコル・アマルフィ……久しぶりだな」
「what?2人は知り合いなわけか?」
どうやら2人はピアノの大会で一緒になった事があるらしい。そう、男子部門で。
「Noooooooooooーーーーーー!!」
男に感じた女性感。ディアッカはそのナンパ精神が失意のままにどん底へと堕ちていくのを見事にひれ伏す事で体現した。


゙ピーピー゙

「ヘリオポリス・オノゴロ区でZAFT反応!。ライブラリー照合、ジン7体とメネラオスです!」
「メネラオスですって?……巨大なZAFTはオーブでは初めてね」
通常のZAFTは進化する事が出来るが、大型で進化しないタイプもある。逆に元の戦闘力はかなり高い。
キラ達は急いで現場へと向かった。ムウもまた、破損していた強化スーヅメビウスゼロ゙を着用した。
そして、カガリも対ZAFT武器と第5のライダーシステム、ブリッツバックルを手に向かった。
268通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:21:00 ID:???
「……すまんな、ニコル。また今度。ほら、立てディアッカ」
傷心した彼の心は癒されきれてはいなかった。が、容赦なくアスランは彼を引っ張って現場に足を運んだ。

メネラオスは常に低空浮遊状態であり、両腕は大型の砲門であった。それから放たれた光はビルに風穴を空け、ジンは人々に襲い掛かりその肉を喰らっていった。
オーブ兵は対ZAFT機関銃゙イーゲルシュテルン゙で攻撃していく。ジンならば数十発で倒せるが、メネラオスとなると壁が厚くて致命的ダメージを与えられてはいなかった。
「ジュウゥ……」
腕から閃光はが発されると、そこにいたはずのオーブ兵は一人残らず蒸発していた。ビルに風穴を空ける程なので無理はないが。
先回りして最初に辿り着いたのはカガリだった。電動リニアカノン゙バリアンドの照準をメネラオスへと向ける。
少しずつ、少しずつ近づいてくるメネラオス。物陰にいるカガリには未だ気づいていない。
(いくらメネラオスでもバリアントなら倒せるまでいかなくてもダメージは大きく与えられるはず……)
充分に引き付け、引き付け、銃口にも電撃がほとばしりる。完全にカガリを感知してないようだ。
あと少し、あと少し……

「ひぃっ!!あ……あ……」
「!?」
幼い悲鳴。振り向くと小さい女の子がジンを前に尻餅を着いている。あれでは確実に喰われる。
バリアントはもう発射できる。メネラオスでも大きいダメージは与えられる。しかし……
「私は……くそっ!!」
その威力に見合った衝撃。放たれた砲弾はジンに命中して肉片を散らばらせた。少女はまだ震える足で立ち上がり、カガリのほうを向いた。
「早く逃げろォー!!」
それは既に後ろにはメネラオスがいたからだ。カガリはイーゲルシュテルンで牽制するが、全く気にせずに砲門をカガリと少女に向けた。
「くっ……」
269通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:22:02 ID:???
カガリは少女を抱き抱えると目を閉じた。このまま死ぬ。そう、思ってしまった。

゙CHANGE SOWRDSTRIKE゙

光線は左右に分かれ、瓦礫を破壊したに終わった。カガリ達の前にはソードフォームのストライクが立っていた。
「カガリ、怪我は?」
「いや、大丈夫だ。だがこの子が……」
恐怖で怯え、顔も上げられていない状態だった。ストライクは活路を開くために単身メネラオスに切り掛かった。
その間に2人はなんとか危機を脱した。遅れてイザークとアスラン、ディアッカが合流した。

゙CHANGE AEGIS゙
゙CHANGE DUEL゙
゙CHANGE BUSTER゙

「全く、腹が立ってるときに……ちゃっちゃと終わらせますか」
男を女と思っていた事がよほどショックだったせいか、バスターになるとガンランチャーと高出力ライフルを乱射した。
かといって当てずっぽうではない。正確にジンに撃っていく。イージスとデュエルがサーベルで蹴散らす。
ジンは連突きのように縦に剣をイージスに突き付けていく。が、刄は刄で裁かれて届いてはいない。
「どうした?この程度か?」
足にあるサーベルを引き出し、ジンの手を切り落とす。右腕のサーベルで本体も斬った。が、皮膚だけだった。
中から飛び立つジンとは違うもの。それは羽を生やし、空に飛んでいる。
「ディン?成長したのか」
その場にいるジンは全てディンになり、空へとその姿を移した。両手に持つ機銃と散弾銃で下にいるライダー達を狙う。
「ち!ビームライフルで対抗するんだ!」
威力こそは高くないが、空中からの攻撃には反撃と回避がしにくい。
270通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 20:23:15 ID:???
イージス達は物陰に隠れながら撃つが、中々当たる様子はない。
「く……は!!」
ミサイルが真上から振ってきた。もはや爆撃と言えるディンの技。ライドグラスパーの先端ににあるスキュラを取り出し、ミサイルごとディンを狙った。
その通りに打ち消され、ディンは羽をもがれて落下していく。
「ん?いや……」
さっきのスキュラは当たっていなかった。掠めただけだ。しかし、なぜかディンは落ちた。
「……斬り傷?」
イージスが近づくとディンは爆発四散した。そして浮かび上がっていく漆黒の物体。
「……ブリッツ?」
黒い装甲と紫の眼。5番目のライダー、ブリッツ。カガリが適合者だとは予想外だったが、何とか窮地を脱した。
「カガリ、お陰で……」
「その声はアスランですね?ニコルですよ、僕は」
「え?」
「何故かわからないけど、導かれたっていうんですかね?話は後にしましょう」
言うとおり、再びディンに刄を向ける。そしてもう一度ブリッツは消えた。これこそブリッツの特性、゙ミラージュコロイド゙である。

゙X-303 ライダーキャノン゙
バットのように振り回し、ディンを撃ち墜としていく。ブリッツは特性を活かし、空へと姿が消えている。
左腕のグレイプニールを壁に打ち込むと振り子のように勢いをつけてディンの背へと跳んだ。
羽をむしり、サーベルで首を切り落とす。再び姿を暗まし、三本槍゙ランサーダードを撃ち出し急所を貫く。
磁力によって再び右腕に戻り、ベルトの番号を押す。
゙X-207 ライダーホールド゙
271通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 21:05:06 ID:???
GJ!!
272通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 21:06:15 ID:???
グレイプニールの爪を開き、プラズマ粒子を収縮させる。さらに飛ばして相手を掴み、引き寄せて斬る。。
ディンに埋め込まれたプラズマ粒子は二度目の斬撃で連鎖反応を起こして内部と外部の両面から爆散させた。

「He!……数だけは多いぜ」

゙X-103 ライダーシューティング゙

ガンランチャーを前方に、高出力ライフルを後方に連結させる。引き金を引くと雨よりも細かい隙間のビームがディンらを撃ち抜く。
「グゥレイト!!」


壁を蹴ってディンに飛び移る。サーベルを構え、そのまま番号を押す。

゙X-102 ライダースラッシュ゙

プラズマ粒子に包まれたサーベルはディンの体を貫き、別のディンにぶち当たって爆発した。
さらにライダーキックを落ちてきたディンにも与える。そしてデュエルの装甲は静かに灰色へと変化した。
「!?。フェイズシフトダウン?。ちっ……技を使いすぎたか。メネラオスと戦ってるキラは……」


体を飛ばされるストライク。既に砲撃をくらった数は憶えてはいない。それよりも、今の一撃で装甲は灰色へと変化してしまっていた。
(何なんだ?なぜ?)
ライダーシステムから頭に伝わる原因。核と同じような原理で陽子と電子の力でフェイズシフト装甲を保つライダー。
攻撃をくらい続けたり、必殺技を使いすぎればそれは消耗されて消え失せる。キラには初めての出来事だった。
「……どうすりゃいいんだよ?」
まだ止まない砲撃。ただ避けるしかできていない。しかし、だからこそ思いついた。
ビームが飛んでくる。避ける事は、避けるつもりはなかった。キラは確信していた。
273規制くらってました。:2007/05/10(木) 21:08:01 ID:???
「やっぱり……思った通りだ」
赤い閃光が別の閃光を弾き飛ばした。そう、アグニである。ストライクにのみ許されたフォームチェンジによる電力の回復。
「時間がない……片付けさせてもらう」
飛び上がり、アグニでメネラオスの両手を狙撃する。悲鳴をあげながら浮遊出来なくなり、腹にストライクはアグニを突き付けた。

゙X-105 ライダーキャノン゙

大きな光と爆煙は辺りの視界を曇らせ、やがて晴れた。改めてフェイズシフトダウンをし、変身を解いた。
カガリを起こすと、怯える少女の頭を撫でた。
「もう大丈夫だよ」
すると少女の顔は明るさを取り戻した。アスラン達もそれを見て思う。
自分達はこの笑顔を守るために戦ってるんだと。


「どうだ?彼らは?」
仮面を付けた男はバーボンを口にする。一口だけだ。なにせそのバーボンは他が゙吸っだ赤いバーボンだからだ。
「きっと彼にも会えるわ……」
すると隣の女は立ち去る。何匹もの゙犬゙を連れて……

―予告―
「ぐ!!」
バルトフェルドは左眼を押さえた。痛みが伝わってくる。
外には雨が降っていた。゙あの時゙と同じ、それは少年達にも言えた。

「キラ……ごめんなさい」
フレイはただ謝る。そして雨がストライクを強くたたいていた。

to be continued……
274KIRA書き:2007/05/11(金) 14:55:06 ID:???
連投しすぎただけみたいです。ちょっと慌てて

ムウの活躍が描けてないのは尺の都合なので、裏ではちゃんと戦ってます。
対ZAFT武器も大天使の武装からとってるので、形もほぼ準拠っす
275MRS‐D:2007/05/12(土) 10:36:58 ID:???
 五月晴れの下で第四弾投下します。

 PHASE04『ファントムペイン』

『まだ、殺し足りないのか、アンタ達は!』
白熱し、刃を赤く染める高熱。
 目前のライダーがシンに眼を向ける。
 突如として現れた新たな、自分たちとは違う姿のライダー。
 銃を向ける。あの時と同じ。
 違うのはその手に持つ得物が以前よりも明らかに大仰になっている。
 向けられたグレネードランチャー、ミサイルランチャー。
 それらが咆哮し、一斉に火を吹いた。
 火線は全てシンに向けられた。シンは咄嗟のことで反応出来ない。
 素人、訓練されていない人間ならば当然の反応。だがその反応は死を呼び込む死神の魔笛。
 咄嗟に両の手を交差させ防御する。けれど遅すぎる。
 シン・アスカは自分の迂闊に愕然とし、ルナはその迂闊に笑みを浮かべた。
 爆発音と爆風と衝撃。
 ところどころにクレーター状に陥没した穴。爆発の跡だ。
 一人のウィンダムがそれで終わりだと、標的をそこから外した。
 それに倣い次々と照準を外し出すウィンダム。
 だが、
《そんなもので傷つけられると思ってるの?》
 軽やかなルナの声が響いた。
 ウィンダムが煙に向かった振り向いた。そして、爆発音と同時に煙が吹き飛ぶ。
『うおおおおお!!』
 シンの叫び。跳躍し、二本の大剣を振りかぶり、並ぶ二体のウィンダムに向かって叩き付ける。
 技術など関係ない力任せの一撃。
 鉄球を叩きつけたような音と共にウィンダムが真っ二つになり、瞬間、爆発。
 それを見て間合いの外のウィンダムが銃―――大型の重機関銃のような形のレーザーライフルを構え

る。
《危険よ、回避して!》
 叫ぶルナ。
 シンはその叫びに応じて、横に転がるようにして跳躍。
 空気を焼き一筋の光がそこに飛来し、着弾、爆発。
《あれだけは当たらないようにして。幾らなんでも防ぎきれない。》
 意識に直接語りかけてくるようなルナの声にシンは「ああ」と声を返し頷く。
 シルエットシステム。前大戦で作られたライダーシステムの強化外骨格。
 走行中にルナから教えられたことはそのことについてだった。
276MRS‐D:2007/05/12(土) 10:37:50 ID:???
 ルナもシンと同じく改造人間であり、通常のライダーを強化・支援に特化した補助兵装なのだと。
 先程のベルトとPDAによって対象を特定し、用途に応じてその姿を変形させる状況対応に特化した

ライダー。
 前大戦の遺産である。
 握り締めた二本の大剣を構える。
 身体中に漲る力。
 走るどころか翔ぶことすら出来るのではないかと誤解しそうなほどに身体中に力が漲る。
 残存するウィンダムの数、5体。シンは足を動かし、走り出す。
 シルエットシステムが拘束強化した肉体が爆発的な加速を生み出す。
 レーザーライフルを持ったウィンダムが構える。その数3。一斉射。光刃が煌く。
《シン!!》
 ルナの声。シンの脳裏に『情報』が流れ込む。
 これも運転中に教えてもらったこと―――ルナの能力の一つである知識の共有である。
 ルナの知る知識を任意に選択し、ルナが強化保護するライダーに譲渡する。
 ライダーはそれによって自身の知らない知識を自身のモノであるかの如く使用出来る。
 説明や経験を必要としない習熟。それはシルエットシステムの核とも言える技術。
『分かった!!』
 受け取った情報をシンは即座に理解し、使用する。
 先程と同じように横に跳躍、右手に持った大剣を左側に回し、叫ぶ。
『フラッシュエッジ!』
 瞬間、大剣の刃が中ほどで折れ、変形。
 そのまま引き抜くようにして、ウィンダムに向かって投擲する。
 大剣はブーメランのような形になり、回転し、ウィンダムに向かって飛んで行く。
 最も前衛にいたウィンダムにブーメランが激突。
 銃を巻き込み、ウィンダムは真っ二つになり吹き飛び、爆発。煙が上がる。
 煙が辺りを覆い隠し、一瞬、シンの姿がウィンダムから見えなくなる。
 その隙を突いてシンが突撃する。
 残った一本の大剣を振りかぶり、後衛のウィンダム二人の内、一人に叩きつけた。
 爆発音と共にウィンダムは照準を合わせる間もなく、両断される。
 残りは一体。
 シンは振り向き、そちらに顔を向ける――――だがもう一方のウィンダムは眼前で味方が倒されたこ
となど意に介さず、一歩引き冷静に照準を合わせ、シンに向けていた。
 引き金が引かれる。
《避けて!!》
 ルナの叫び。だが、間に合う訳もなく、瞬間光が煌いた。
277MRS‐D:2007/05/12(土) 10:39:01 ID:???
 肩、太股、右腹部に着弾。弾ける痛みにシンが呻きと共に顔を歪め、膝を落とし・・・・・・無理矢理、握
り締めた大剣に力を込める。倒れこむようにして、足を踏み出し、大剣を振り上げた。
『うおおおおおおおおお!!!』
 痛みを叫びで覆い隠し、シンはそのまま力任せに降り抜く。
 その一撃は第2射を許すことなく、ウィンダムに大剣が叩き付けられた。
 断ち切るのではなく、ただただ力任せに叩き付けるソレは剣というよりも鈍器―――ハンマーと言う
べき使い方だ。
『はあっ、はあっ、はあっ!!!』
 レーザーが当たった場所が痛い。ズキリと腹部が痛む。
《肋骨くらいは、いってるかも。大丈夫、シン?》
『く・・・・くそっ』
 地面に跪くシン。
 シンが纏う装甲―――VPS装甲と呼ばれるその装甲は堅牢な装甲である。
 現行の技術では傷をつけることも難しいほどに。
 ライダーシステム。
 とりわけオリジナルと呼ばれるライダーに装備された装甲はそれまでの技術とは一線を画していた。
PS装甲。
 電力を流すことで相転移を行い、それによって装甲の強度を大幅に増加すると言う特殊な装甲である
。ヒヒイロカネと言う金属と鉄との合金である。ヒヒイロカネという金属については未だ未知の部分も
多い。ブルーコスモスが作り出したとも囁かれているが、正確なところはわからない。
 とにかくこの装甲に弱点というほどの弱点は無い―――強いて言うなら極端な熱量の増加に弱いと言
うことくらいだ。
 VPS装甲とはその亜種であり、電力の供給量を抑えつつも、部分部分の強度を上げることで全体と
しての強度低下を抑えた装甲である。
 故に先程のミサイルやグレネードに対しては圧倒的な防御力を誇る。
 ミサイルやグレネードのような面の衝撃ならば完全に防御し、損傷などしない―――だがレーザー等
の収束された衝撃、そして熱量に対しては無力ではないにしろ、無敵ではない。
 事実、レーザーが当たった箇所からは煙があがり、傍目にも損傷しているのが分かる。
 前述した弱点である極端な熱量の増加。
 それに当てはまる武装―――つまりレーザーライフルによる攻撃だからだろう。
 息が荒い。
 ルナの見立てでは肋骨にヒビくらいは入っている。
 だが、それでも初陣でこれだけのウィンダムをものともせずに倒した。
 それは驚嘆に値する事実だ。そう、能力だけでいえばあの『フリーダム』や『ジャスティス』にも匹
敵するかも知れない――――ルナがそう思い、労いの言葉をかけようとした、その時、声が響いた。よ
く通る声。
278MRS‐D:2007/05/12(土) 10:39:36 ID:???
『流石に驚いた。まさか一人にここまでやられるとは』
 シンと同じように拡声器越しのような声。
《誰!?》
『誰とは酷いな。今、君が壊した奴らの仲間だよ。』
 レーザーライフルを持ったウィンダムがそこにいた。
 それまでのウィンダムと違い、紫を基調としたカラーリング。
 その後方に控えるのは3体のウィンダム。
 それぞれが手に持つ武器は肩に取り付けたミサイルランチャー、グレネードランチャー。
 不味い。咄嗟にルナはそう思った。
 通常なら紫のウィンダムが持つレーザーライフルだけを注意していれば良い。
 他の装備など物の数ではないことは先程の一戦で証明済みだ。
 ・・・だが、それでも今は不味い。
 装甲が損傷している。現状、もう一発でも同じ箇所に喰らえば致命傷を負いかねない。
 ただでさえ、シンは現在負傷している。下手を打てば死ぬことになりかねない。
 緊張が空間を包み込む。シンは大剣の柄を握り締め、力を込める。奥歯を噛み締め、敵を注視する。
『行け。』
 紫のウィンダムの言葉が沈黙を破る。それを合図にミサイルが放たれた。続いてグレネード。爆発が

起き、煙が舞い上がる。
『うわおおおおお!!!』
 先手必勝。シンは紫のウィンダムに向かって、駆け抜ける。
《馬鹿、そんな不用意に突っ込んだら・・・・!!》
 ルナの叱責などもはや耳に入っていない。
 残された大剣を振りかぶり、シンが紫のウィンダムに迫る―――だが、それを嘲笑うようにウィンダ

ムが後方に跳躍。
 跳躍しながらレーザーライフルの照準を合わせ、発射。
 身体を捻り、紙一重でそれを避けるシン。
 もう一度、近づこうと体勢を整え―――そこを襲う衝撃。
 そちらを振り向けば、無視したミサイルランチャーを装備したウィンダムが構えているのが見える。
『くそっ!!ちょこまか・・・・』
《シン、前!!》
 その隙を逃さず、紫のウィンダムがレーザーライフルを放つ。
 咄嗟に尻餅をつくようにして倒れ込むようにしてそれを避ける。
 そこを今度はグレネードが襲う。
『か、はっ!?』
 吹き飛ばされるシン。
279MRS‐D:2007/05/12(土) 10:40:31 ID:???
 腹部を庇うようにして、痛みを堪え立ち上がる。
 幾ら装甲に対して問題ないと言っても衝撃はある。
 それも先程までならば防げていたが、負傷しているシンには堪え難い痛みをなって襲い来る。
 近づかず、近づけさせず、一定の距離を保ちながら攻撃を加え続ける。
 嬲り殺しと言ってもいい戦法。だが、多対一では最も効果的な戦法でもある。
『確かに装甲は硬いし、一撃の威力も強い。けど近づかなけりゃ関係ないだろう?』
 軽い口調で紫のウィンダムはレーザーライフルを発射し続ける。
 その合間を縫うように降り注ぐグレネードとミサイルの雨。
 ジリ貧の展開。致命的な一撃は未だ喰らってはいない。
 けれど・・・それもいつまで保つか。紫のウィンダムに近寄ろうとすればグレネードとミサイルが降り
注ぎ、逆にその他のウィンダムに狙いを付ければ、レーザーライフルが襲いかかる。
 手元にある大剣は一本のみ。ブーメランとして使ってしまえば丸腰になってしまう。
 それ以前に当たるかどうかは定かではない。
『くそ!!何だってんだよ!!』
 焦燥に駆られたシンの声。ルナは思考する。どうすれば良いか。
 手はあるのだ。
 シンには言っていないがもう一つだけ晒していない一手はある。
 だが、それはエネルギーの消費が大きい大技。
 当たれば形勢の逆転も可能だ―――だが、裏を返せば、外したら絶体絶命に陥ると言うことを意味す
る。
 どちらにせよ、今のままではいつか死ぬ。つまりは切っ掛けが必要だった。この均衡を破る切っ掛け
が。
『だったら!』
 シンが覚悟を決めて、敵に突っ込もうとする。
《だから、不用意に突っ込むのは・・・》
『援護する。』
 聞き慣れた声が脳裏に響く。
 同時にウィンダムの一体が爆発四散する。
 上空からミサイルの雨が降り注ぐ。
 同時にけたたましい破裂音。何事かとそちらを向くシン。
 そこには白い装甲に赤い一つ眼が特徴的なライダーが巨大な銃を持ち、構えていた。
 銃と肩に取り付けられた小型のミサイルランチャーからは白煙が上り、今の攻撃の主がそのライダーだとシンに理解させる。
《レイ!》
『レイ!?』
『ちっ、新手か?』
 一体破壊されたことで包囲が一瞬途切れる。均衡が崩れた。
《シン、今よ!》
 再びルナからシンへと『情報』が流れ込み、展開する。
280MRS‐D:2007/05/12(土) 10:45:04 ID:???
 シンの右手の大剣が赤く輝く。大剣を両の手で持ち、シンは『情報』で理解した通りに叫ぶ。
『エクスカリバー!!』
 叫びと共に走る赤い稲妻。稲妻は投擲したもう一方の大剣からも発生。
 二筋の赤雷が結びつき、二本の大剣を結び付けた。
 投擲した大剣の柄と握り締めた大剣の刃が赤い稲妻によって結びつき、正に一本の巨大な剣のような
姿を形成。シンはそれを両の手で握り締め、振り被り、
『・・・・行けえええ!!』
 叫びと共に剣を降り抜く。
 一閃。
 軌跡が赤い円を描く。
 紫のウィンダムを除いた二体が赤い軌跡に断ち切られ爆発した。紫のウィンダムだけはシンの一撃よ
りも一瞬早く飛び退き、回避していた。
『くそっ、全滅かよっ!?』
 毒づき、後方に跳躍。
『仕方ない、撤退する!』
 そう、言って紫のウィンダムの腰からミサイルが発射される。
 まるで狙いをつけないただ撤退する為だけの射撃。
 シンは大剣を盾にして防御。レイも同じく盾を前面にかざして爆風と破片から身を守る。
 ・・・・気がつけば、そこには既に誰もいない。
『逃げられた・・・?』
 呟き、膝を付くシン。
 初めての実戦。初めての戦い。何もかもが初めて尽くしの中、シンの体力は既に底をついている。
『そのようだな。』
 レイが装着したライダーシステム―――ザクファントムの内部のレーダーには何の反応も無い。
 逃げられたのは間違いないだろう。
《被害は無し。死人もいない。・・・・正直捕まえられなかったのは少し痛いけど、上々の成果よ、シン。

『そ、そっか。よかった・・・誰も、死な、なく、て』
 呟き、限界を迎えたのか、前のめりに倒れこむシン。
 大剣とシンの身体が光に包まれる。
 光はシンの直ぐ傍に集まり、回転しながら人型を形成し・・・・一際強く輝き、そこにルナが現れた。
「ホント、初めてなのに良く頑張ったわよ。」
 労うようにシンの頭を撫でるルナ。けれどその呟きはシンには届かず―――シンの瞳は既に閉じ、眠
りに落ちている。
 レイも変身を解き、PDAを取り出し、本部に連絡する。
「レイ・ザ・バレルです。戦闘の終了を確認しました。」
「分かったわ。後の始末はこちらに任せて、貴方達は帰還してちょうだい。」
「了解しました。」
 通信を切る。
 レイはルナに通信の内容を伝え、気絶したシンを無理矢理ルナのバイクに乗せ、自身もそこを後にす
る。
 空はいつの間にか赤みがかっていた。
281MRS‐D:2007/05/12(土) 10:49:52 ID:???
 結局敵の狙いは判明しなかった。
 何がしたかったのか。何を求めてそこに来たのか。
 ウィンダムと呼ばれたライダー達。
 そして指揮官であろう紫のウィンダム。
 ただの破壊にしては部隊の規模が大きく、目的があるとするなら見えてこない。
 何故わざわざ墓地を選んだのか?
「本当に何でなんだろうね。」
 そう言ってルナはパスタにフォークを絡ませ口に運ぶ。
 ここは喫茶赤福。
 あの後三人は帰還し、幾つかのチェックを受け、夕飯をここで食べていた。
 ちなみにメニューはルナが特盛ミートソーススパゲッティ二人前、シンがチャーシューメン、レイが
掛け蕎麦である。
 何故ルナが一人で二人分食べているのかは謎だが、ルナ曰く「育ち盛り」だかららしい。
 もはや育ち盛りというレベルをはるかに超えているような気がするのはシンだけではないだろう・・・・
一瞬だけだったが運ばれてきた特盛スパゲッティ二人前を見てレイも顔をしかめていたのだから。
 というか親の仇のようにかける粉チーズを見て、流石にシンも気分が悪くなり、胸やけにしそうなる

「・・・・・・」
 そちらから顔を外し、シンはなるべくルナの方を見ないようにしながら―――というよりもチャーシ
ューメンに意識を集中しながらルナに話しかける。
「・・・・・・け、けど、この店って変わってるよな。どうしてこんなにメニューがあるんだ?」
 それは先程からのシンが抱いた素直な思いである。
 あの後目が覚めてここに連れて来られて、夕飯をご馳走しようと言われた。
 一人暮らしをするシンにとってそれを断る理由は無い。むしろ嬉しいくらいの申し出だった。
 そして三人でカウンターに―――ルナを挟んでレイとシンは対面するように―――座り、目の前のメ
ニューに手をかけ、そして―――メニューを見た瞬間、シンは驚いた。
 まず目に付いたのはサンドイッチ、クラブハウスサンド、スパゲッティ、ドリア、ピラフ、紅茶、コ
ーヒー・・・・それは良い。そこまでは良い。
 だがそれに続くメニューがおかしいのだ。
 まずは中華。
 ラーメン、チャーシューメン、タンメン、味噌ラーメン、塩ラーメン、エビチリ、餃子、炒飯、シュ
ウマイ。
 続いて和食。
 親子丼、カツ丼、掛け蕎麦、天ぷら蕎麦、山菜蕎麦、果ては炊き込みご飯、焼き魚定食、煮魚定食、
刺身定食まで完備してある。
282MRS‐D:2007/05/12(土) 10:51:01 ID:???
 更にはチキンのオレンジソース、蕎麦粉のクレープなどどう考えても喫茶店においてあるような料理
ではないものが多数。
 更には甘味に進み、お汁粉、パフェ、ティラミス、羊羹、ザッハトルデ、アップルパイなどなど。
 飲み物に至っては、オレンジジュース、アップルジュース、メロンソーダなどの定番から、烏龍茶、アイ
スティー、ロシアンティーなどなど。そして最後はココナッツミルクに終わると言う品揃えである。節
操が無いにも程がある。
「別にいいじゃない。美味しいんだから。」
「そ、そういうもんか?」
「そうよ。」
 言ってルナは再びスパゲッティに口を付け出した。
 気がつけばいつの間にか半分は一皿空になっている。
 悪い夢でも見てるのかもしれない。シンはそう思い、ラーメンを啜った。
「・・・・・」
 確かに美味い。
 下手なラーメン屋よりも美味いラーメンを出す喫茶店。
 かと言って値段が高い訳でもなくむしろ安い―――案外とこれは穴場なのかもしれない。
 隣を見れば、レイが蕎麦を啜っている・・・いや、既に食い終わりそうになっている。
「・・・・くっ!」
 シンは急いでラーメンに箸をつける。
 ――――負けるか。
 子供じみた、いつものやり取りが始まった。
 ルナは横でそんな二人を見つめていた。
 男の子って馬鹿だなあと思いつつ、ほほえましい顔でスパゲッティをもしゃもしゃと貪りながら。
結局、既に食べ終わりそうになっていたレイに、シンが追いつくはずもなく、シンは口内を火傷だらけ
にして惨敗。
 人知れず始まった二人の勝負は人知れずレイの勝利で幕を閉じる。
 閑話休題。夕食を食い終わり、席を立とうとするシンにデュランダルが声をかける。
「明日からは放課後は必ずここに集合しなさい。いいかね?」
「あ、はい。分かりました。」
 デュランダルの言葉に頷くシン。
 シン自身は部活動をやっている訳でもない上に一人暮らし―――自身の保護者であるトダカさんはい
つも出張でいない―――ので構わないのだが・・・・問題はメイリン―――いつも一緒に帰っている幼馴染
にどう説明するのか。
 考えると少しだけ憂鬱になる。それにヨウランのこともある。
 明日、学校での雰囲気を考えると陰鬱になる―――それはシンも例外ではなく。
「・・・じゃ、俺帰ります。お疲れ様でした。」
 頭を下げて一礼。ドアに手を掛け、出ようとするシン。
 そこにルナが何かを思い出したように呟いた。
283MRS‐D:2007/05/12(土) 10:53:18 ID:???
「あ、ちょっと!」
「・・・・・何だよ、ルナ。」
「何かあったら直ぐに連絡入れること。それで・・・・これが私の連絡先。」
 手近にあったメモ用紙にすらすらと番号を記入し、シンに渡す。
「どこに行く時もさっき渡したPDA持って行きなさいよ?」
「分かった。」
「あと一人じゃ絶対戦わないこと。分かってると思うけど。」
「・・・・分かってる。」
 頷くシン。
 今日の戦い。
 あれは殆どルナと・・・そしてシンにしてみれば不本意だがレイ、この二人のおかげで勝利できたよう
なものだと、シン自身、身に染みている。
 ルナがいなければ戦うことすら出来なかった。レイがいなければ恐らく死んでいた。
 それが分からないほどに増長出来るほどシン・アスカは傲慢ではなかった。
 神妙な面持ちのシン。ルナは気にせずに続ける。
「あと私も明日から学校に行くからよろしく。」
「は!?いや・・・・何ソレ聞いてないんだけど。」
「何よ、文句あるの?学校で襲われても、シン一人じゃどうしようもないでしょ?」
 確かにそうだ、とシンは思った。
 以前も学校の帰り道で襲撃だったのだ。学校に襲撃してこないとは限らない。
「い、いきなりだな。」
「仕方ないじゃない。あなたが私のパートナーになるってことも急遽決まったんだからさ。学校でもよ
ろしくね?」
 そう言って、ルナが手を差し出してくる。
「・・・・・ああ、よろしくな。」
 その手を握り締めて、シンは自分が踏み込んだことを実感した。
 いきなりの学校への転入など一介の一般人がおいそれと出来る訳が無い。
 こんな喫茶店が本部というあたり胡散臭さを感じていたが―――こうやって事実を見せられることで
実感がそれを埋めていく。
 自分は戦いの渦中に飛び込んだのだと。
284MRS‐D:2007/05/12(土) 11:01:53 ID:???
 二人の話し合いの後ろ、デュランダルが神妙な顔をして液晶を見つめている。
「墓地・・・か。一体、彼らは何をする為に現れたんだろうね。」
 現れたウィンダム。
 その目的。
 墓地に一体何があったのか。記録ではあの周辺に価値のあるようなモノは何も無い。
 つまり無作為な破壊工作ということになる。
 ・・・・・だが、それにしてはあまりに意味が無い場所である。
「・・・・・・破壊以外の目的があると言うことか。だが、それは何だ?」
 紫色のウィンダムの映像を見ながら、デュランダルは呟いた。
 そこにピピピと味も素っ気も無い着信音が響く。
 それはデュランダルの胸の内から響いている。
 懐から携帯を取り出す。
 液晶に映った名前を見て、デュランダルは思わず微笑みながら通話ボタンを押した。
「もしもし。久しぶりだな、ハイネ。その後首尾はどうかな?」
「予定していたモノは全て滞りなく。支部長こそ相変わらずお元気そうで何よりです」
 聞こえてくる声。もう、随分と任務に出ている部下の声だ。
「はは、ありがとうハイネ。では、もう直ぐ戻ってくるのかね?」
「ええ、近々」
「そうか。では楽しみにしているよ。その後、音楽の方はどうだね?」
 電話の相手はその言葉を聴いて、嬉しいのか、いきなり声が大きくなった。
「そう、それなんですがね、支部長!実はこの間俺の歌をCDで出したいって言う人が現れて、自費出
版の音楽版とかなんとかで、もう既に契約も交わしちゃって!いやーもしかしたら俺もとうとうトップ
ミュージシャンの道に進むことになりそうな気がしてですね!実はもう一万枚くらい既に作ったんです
よ、印税ってやっぱり凄いんですかね!?・・・・・あれ、支部長?支部長ーーー?」
 電話を切る。
 デュランダルは頭の手拭いを外しため息一つ、呟いた。
「・・・・それ騙されてるぞ、ハイネ。」
 詐欺とは怖いものだ。デュランダルはそう思いお茶をすする。
 月がやけに綺麗に輝いていた。
285通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 20:22:54 ID:???
キター!ファントムペインも謎だらけだな、シリアスなのに赤福のメニューにバロス
286通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 22:46:38 ID:???
GJです!
ルナも通学開始とのことですが、メイリンとのエンカウントがどうなるかちょっと気になります
287通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 22:57:55 ID:J0F/cQui
KIRAさんもMRSさんもGJです!
両方とも話が動いてていい感じ。
288通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 00:05:24 ID:???
GJ
289通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 10:00:14 ID:???
                |:.:.:|
  ヽ、        /|iヽ |:.:.:|        /ヽ、
   \ヽ   ト、  /  ||  |:.:.::ト、     r'´{  |
    \ヽ、ヽヽ,イ  ||__/:.:.:.|/._ヽ、   /∨∠})|
      \:.ヽゝヽ_, -',/:.:.:.:.:.:|/  i  ∧   } /
      /,ヽ::`‐ヾ oi|{:.:.:.:.:.:.:| i| |  /`−イ´/
     (> \:::::ヾ_i|:.:.:.:.:∠~/ヽ |_/    ∠_  この小説に僕の出番・・・ある?
      ヽ、__ノ`‐、::ヽ、:::/| i〃 ,ィ===イ-――'
       ヽ ヾ、 \::::::::{_〃r'´(´ )i i ijヽ ̄ヽ、
        }i   ヾ==ゝ='-'´ ⌒ ̄{`-'‐'‐' iヽ、 ヽ
        }_ / //7/ ̄ヽ / ヽ、__ /  ト、 i}
      < ̄/ /∠/   /i   i     | | /
       ヽ イミ|ニレ'|  /  {  |i ヾ、   ///
        } ト|三レ'| /   /ヽ|i i  \ イ
        iヾト|ニレ'⌒`ヽ/ /  `‐-―`‐|
       /ヽ{/|ニ|{ i   i} /        i
       / ヾi_|ニ|ヾニ‐'∠____    /
      /   \|ニ|_/        `ヽ、/
      ,'   rミ└‐┘          /

290通常の名無しさんの3倍:2007/05/13(日) 23:23:04 ID:???
最近投下が多くて嬉しいな。
このスレはもっと評価されていいと思うのは俺だけ?
291KIRA書き:2007/05/13(日) 23:36:57 ID:???
>>290
特撮を見てるのは決して少なくはないんだけどね。種キャラのイメージを良く持たない人もいますし

KIRAの話数が構成予定では50話いかなそう。少ないなりに種編は一直線、種デス編はややプチ話いれてきたいです。
292通常の名無しさんの3倍:2007/05/14(月) 07:37:14 ID:???
話数はあまり気にしなくても構わないと思いますよ
無理に50話前後にして話がだらだらしたり、詰め込みすぎになるほうが辛いと思いますよ
293通常の名無しさんの3倍:2007/05/15(火) 20:24:45 ID:???
デスティニーを書いてる者ですが、当然とはいえ
全話の構成を考えているのは凄いなぁと思いますね。
自分は大まかな設定とストーリー、終わり方しか決めてないです。
一話の構成は20分少々のイメージで、一回は必ず戦闘を入れる位でしょうか。
294通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 00:44:19 ID:???
>>293
そんな事ないっすよ。自分も種→種デスに移るための部分の構成や生存者も思考してるとこですし
原作の流れと平成ライダーの流れをMIXした展開を考えてはいるんですけど……中々……
295通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 23:15:14 ID:???
職人さんも大変だな。がんばれ。
しかし、各々いろんなライダー像があるもんだな。響鬼や電王でも
色々言われてたけど、ライダーに決まった形なんて必要ないのかも。
296通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 11:00:19 ID:???
              ,  ,.-;=‐
             {(_r'∠;ニニニ;;、
            /::::::::::::::::::::. :::ヾヽ
              /:: .: . :: :::::;::::::: . :::::'、ヽ
.           イ:::::..::.:. :::::ハ:'; . :::::::::ヾ
           };;:::::lハ/ll.:l  l:ト;:::;::::::::i;!
           /{j:::::Kヒソl:l  i:i=リl: .:;i:l゙
           从:..:ト   '! ; ! /;:r' リ    『Double-Action Gun form』!
             _lヽヽ てフ ,ィ´ヘl` ー- 、
          ,.-''´ ',トlト、ークハ ノヘ.   }!
          ,.-'´    トl、_ニ /T く ゙ヽ { '、ttp://www.toei.co.jp/tv/den-o/index.asp?action=entry&num=78
       r;'_    l''´{ヽ{   y' lヽ、| //ゞ、_ニ;、
       ヽ `ヽ  rヘ ヽ l  /   | , l,ヘ   `て
        `r ヽ ! ヽ ヽノ    |/|  丶´   丶、 _
         ゙r‐17 \ !  l「 ̄ ̄「/ !    ヽ    `l ヽ
         ',//   ゙!  {{     ,ノ      丶   |  ヽ
          lハ    '、 ヽ   , イ         \|   ヽ
           'ヘ   ヽ {{,.ィ"T~ヽ __   __,,..-―'''ヾ    ヽ
            l    Y  ≠/  ノ  ̄      rハ    丶
           < ̄`ー-、ヽ  __,,.. -‐    /    .ll ヽ      〉
            ハ    ~ヽ      j /――- 、__lト、 ヽ_/ヽ
           ゝ へ     ヽー_= / ,.....,_     | j / '、 r jノ
           ',   \     `ヽ \`ヽ= /` ー-、i/==-、},j′
              /_,.-‐''"~` 、     ヽ   ヾ    /   rニ_,)
           lイ       ト、  /~ヽ、   ',  /-ー―‐''"´
           `l      ,ヘ `弋   ヽl==|/
           ヽ     ∠‐_‐ ヘ 、 , l! l /
             ` −- ‐'r'´  ´} ', ハ llノ '
                  ',',__ r' l ~ ~/
                    └1l|   /┘
                   jll  /
                   {{{  /
                   '、'、 l|
                    ヽ'」
297通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 13:00:26 ID:???
あのラップは聴いてて難しそうだと思ったらやっぱり。
全部一緒のアルバムに収録されるといいな。
298通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 13:18:01 ID:???
ダブアクは8月にロッド、アックス、ガンの3タイプ+セリフ入り3タイプが入ったヤツが販売予定だよ
299通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 14:59:01 ID:???
そうなのか。ありがと。
300通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 19:44:13 ID:???
モモ=シンタロス
ウラ=ズラタロス
キン=種世界に存在しない
リュウ=キラタロス
301仮面ライダーKIRA:2007/05/22(火) 19:35:55 ID:???
PHASE-06 惨劇の覚醒


その日はよく晴れた日だった。春という季節を良く現している。桜が散り始めて、花見シーズンは過ぎてしまったがひらひらと舞い散る花は美しいものだ。
ブリッツの資格者となったニコルを加え、オーブの戦力は格段に上がった。ZAFTによる被害と撃破数も見違えるほどに変化していた。
「ヘリオポリス周辺の被害は大分減少しています。ライダー達の活躍が大きいようです」
秘書の言葉を聴き、ウズミはそうか、と頷いた。窓から見ていると平和そのものなのだ。
そう、この国のトップは結局窓から見ている景色しかしらないのだ。民間人・ブルーコスモス・オーブに関わらず数字でしか人間を見ていない。
市長室からも公園が見下ろせる。子供達の笑い、それを見てる親も微笑む。こんな日常は何よりも大切なのだ。
「……子供達に役目を任せ、何も出来ないとは……」
「そんな……市長はオーブの発足と平和維持に貢献してらっしゃるではないですか」
「……ありがとう」
カガリの写真を見つめながら思う。どうかこの仮染めの平和が少しでも、少しでも長く続くように、と。


毎日勉学と戦闘に追われる生活にもすっかり慣れ、授業でも寝なくなった少年達。
とはいえ、疲れが溜まっているので互いに肩や足をもみ合ってほぐしている。
「痛、いてて、い、いてて!!」
血が淀んでいる。アスランは大きな声を上げてその痛みを昇華していた。
「だらしないな〜。そんなんじゃやってけないじゃん」
「やめ……本当に痛……ぎゃあああぁぁ!!」
302上げますけどいいよね?:2007/05/22(火) 19:37:27 ID:???
女子陣もCICやらなんやらで大分お疲れになっている。カガリはありったけの甘いものを購買で購入し、みんなに配っていた。
「みんな、すまないな。これでも食べてくれ」
「いいんですか?カガリ様」
真っ先にマユラはプリンに手を出して食べだした。答えは聴かずに。
「その゙様゙はやめてくれ……」
「いいじゃないですか。市長の娘だし」
アサギもジュリも次々と頬張っていく。男子陣はそれを見てよだれが垂れるが、レディファーストを信念とするディアッカに阻止される。
だが、同時にディアッカは狙っていた。マユラが口つけた牛乳。そのストロー。彼は既にただの変態だったのだ。
(HuHuHu……マユラのmilkを飲めば、日本の大和撫子が大好きな間接kisを出来るじゃないか)
また勘違いをしている。異様な空気の中、フレイが教室へ入ってきた。
「カガリ、教科書ありがとう……」
さっきの時間、数学の教科書を借りにきていたフレイはそれを返しにきたのだった。
ついでにカガリは練乳クリームのパンを渡し、フレイもまたそれをちぎらずに頬張る。
「!!。Oh〜〜……。何という……」
「君が考えてるような意図はないと思うが……ディアッカ、潰すよ?」
人気メーカーHINAMIZAWAのバットを手に目を光らせるキラ。フレイに対してのエロすら許さない彼の精神はアスランによってL5認定されている。
303答えは聞いてません:2007/05/22(火) 19:40:08 ID:???
放課後、アークエンジェルへ向かう途中に前からまだ新しいランドセルを背負った少女が一人走ってきた。
「お兄ちゃん、この間はありがとう……」
「えっと……あ!」
カガリが身を挺して守りぬいた少女。確か名前はエルだった。彼女はランドセルから花の形に折った折り紙を出してキラに渡した。
「この前は、助けてくれてありがとう」
「……!!」
初めてだった。こう感謝されたのは。ライダーになって、苦しい思いをしていた。
しかし、ちゃんと人を助ける事が出来てたんだ。そう思うと疲れは自然に消えていった。
「ありがとう……」
受け取るとその折り紙は物凄く重いようだった。そんなはずないのに。キラは泣きそうな自分に制止をかけ、エルを見る。
「わざわざ、ありがとう」
「ううん。友達から教わってたから時間がかかっちゃったの。遅れてごめんなさい」
これを渡すために覚えたなんて……。ますますキラは感極まってしまった。
「じゃあね、強いお兄ちゃん」
ペコリと頭を下げるエル。そのまま走っていってしまった。キラはそのまま走っていく少女に目を向けていた。
「え?フラグ立った?。キラ君はロ〜リ〜コ〜ン」
後ろにいるトールからの一言。するとキラはどこからバットを持ち出して襲い掛かったのだった。
「いや、悪かったって!俺を許して……」
「く……やあぁぁぁ!!」
「のわあぁぁ!!」
当然悲惨な結果に終わったのは言うまでもない。
304通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:41:14 ID:???
アークエンジェルへ着くと、いつも通り報告書を書かされる。アスランやイザークは慣れたものだが、キラやディアッカは今だに苦痛と感じていた。
「まったくめんどいんだよねぇ〜。いちいち書くのは……」
「しょうがないじゃないですか。僕らはライダーですから」
嫌な表情せずにペンを走らせるニコル。不満ながらも2人も結局書き続ける。

ピー、ピー

しかしそのペンは一気に止まる。警告音と共に5人は即座にミリアリアの言葉に耳を傾ける。
「カグヤ区にZAFT出現!ライブラリー照合、ザウート12、バクゥ9!!」
「結構な数だな……しかもバクゥとは厄介だ……」
アスランがそう発した。最もライダー歴が長いアスランだから言える事だった。だが、誰もがそれを気にせずにアークエンジェルを出た。

現場ではメビウスゼロを着たムウが既に戦っていた。両腕と背中のガトリングを飛ばし、射程空間内のザウートの背後を狙い撃つ。
関節を撃たれて神経を断たれたザウートは既に戦闘力は無いに等しかった。動きが遅く、融通が効かない胴体はかっこうの的である。
しかし、倒せたのは1体だけだ。強化スーツであるメビウスゼロの戦闘力はライダーには及ばず、決定打も少ない。
「改めて見ると……えらい数だな〜、こりゃ」
飛んでくる砲弾。ガトリングを腕に戻すと直接腕から発射する。中々砲撃の雨は止まず、ビルの破片に隠れるばかりである。
「ち……キラ達は…まだか?」

ピキーン

「!??」
咄嗟に左に身を投げる。さっきまでいた場所には斬った跡が残っていた。
「ほう?私がお前を感じるように、お前も私を感じるのか……不幸な宿縁だな」
「貴様は……ラウ・ル・クルーゼ……」
シグーの状態から金髪の男へと変化した。それはキラが初めて変身した時に退けた相手。
メビウスゼロはガトリングを即座に向ける。が、撃たれる前にクルーゼは剣を出してメビウスゼロの腕のガトリングを斬り付けた。
305通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:42:15 ID:???
背中にあるガトリングを飛ばすが、シグーになられるとその軌道が読まれてあっさり破壊されてしまった。銃口がポトリと落ちる。
「なんてこったい……」
打つ手なし。ライダーシステムではないので勝ち目も見当たらない。本気で年貢の納めどきだと思える。
しかし、剣をしまいクルーゼは姿を人間体にする。仮面を付けてるため目は見えないが、そこには恐怖があるように思えた。
「ムウ、今日はここまでだ。また…会おう」
クルーゼはそのまま去っていった。ムウは何の事だか理由は理解は出来なかったが助かったのは間違いない。すると、エンジン音が鳴り響いてきた。
「フラガ先生、大丈夫ですか?変な気配がしたので、来たんですが……」
トリコロールカラーのライドグラスパー。それはキラのである。
(まさか……)
昔から゙奴゙は自分と戦うたびに……互いに気配を感じていた。そして、近くにいると互いに探しあう。
自分達だけだと思っていた。しかし、キラはこう気になって見にきた。それはキラがクルーゼを、クルーゼがキラを感じた事になる。
「先生、そんなことより早く逃げた方がいいですよ?ガンバレルがやられてるじゃないですか!」
「バーロー!こちとらメビウスゼロが無くてもいいように訓練してるんだよ!」
破損している強化スーツを腕時計型収容カプセルに戻し、対ZAFTの武器の中でも威力が高い2連ビーム砲゙ゴッドフリードを手にもつ。
「援護くらいは出来る。お前は気にせず戦え」
「は、はい!!」
306通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:43:14 ID:???
バックルを腰に付け、ベルトと化すと右手を上げる。振り下ろすとバックルの中心からPS(フェイズシフト)フィールドがキラを通過する。

゙CHANGE STRIKE゙

早速、ザウートが砲撃を行ってくる。ストライクはザウートとの戦闘経験こそないが、火力の強さとのろまだと言う事は直感で察知出来た。
砲弾を避けながら接近し、拳で顔を殴る。崩れた所を左の膝蹴りで体を浮かせ、右の回し蹴りで蹴り飛ばす。
「ギィ…ギィ…」
重い体を上げようとしてる所にランチャーフォームへと変化したストライクのアグニが命中する。
一撃ではトドメにはならなかったが、二撃めでザウートは爆散した。
「このくらいなら……うわっ!」
背後にくる痛み。後ろに敵はいない。それはわかる。もう移動されてるからだ。
進化の過程で分かれたであろうバクゥ。二連のレールガンとミサイルポッド。
「今度は速そうなZAFTだ……だけど、敗けるもんか」
アグニを構えようとした。その時にはバクゥは二匹とも、口から横に開かれてる牙が装甲にダメージを与えていた。
威力は決して高くない。ただ、同じ場所を連撃されて痛みは蓄積されていた。
「……アスランはこの事を言ってたのか……」


「オラァ!」
バスターの攻撃が当たらない。バクゥはその速度と瓦礫等の物陰を利用して弾を防いでいる。
ガンランチャーは拡散はするが射程が短く、大口径ライフルは精密さに欠ける。そして重装備こその重さ。
307通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:44:44 ID:???
相性が悪かった。いや、バスターだけではない。ライダー、もとい二足である人間が狼の速度を捉えるのは並大抵では出来ない。

最も経験のあるイージスと俊敏さを持つデュエルでも中々捉えられない。ブリッツの特異性も高速戦闘にはむいてはいない。
「He、足だけは速いぜ」
「僕達はビームライフルくらいしか当たるものは……」
あの速度ではビームライフルも当たらない。だが当てられるものはそれしかない。彼らはただ待つしかないのである。


民間人の避難は思ったよりスムーズだった。バクゥもザウートもライダー達が食い止めていたからだ。
フレイは誘導する係として街にいた。武器は拳銃とイーゲルシュテルンくらい。
バクゥにはこれくらいのほうが有効の場合がある。だが、フレイは戦闘訓練は受けてはいないため扱いきれる確立は低い。
ただ祈るしかない。ZAFTが来ない事を。
「はぁ…はぁ…」
まだ幼い声。確か聞き覚えがある。フレイはその声のする方向に向かった。
すると、エルが一人で走っていた。急いでフレイは追い掛けていく。
「エルちゃん、待って!」
「あ、さっきのお兄ちゃんのお友達」
恐怖ととれる顔も笑顔に変わる。互いに近寄り、無事を確認した。
「一人なの?」
「お母さんとはぐれちゃったの……」
とにかくこんな子供を一人にしておくわけにはいかない。フレイは避難してる人達と合流させようとエルの手を引く。
「ねえ、お姉ちゃん…あの怪物、またいなくなる?」
「……うん。強いお兄ちゃん達がきっと悪い怪物をやっつけてくれるわ」
308通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:45:55 ID:???
そう言った瞬間、ゾクッとした気配を感じた。フレイはエルを後ろに隠して振り返った。
すると、青い髪の女性が立っていた。フレイの感覚はその女性が人間ではない事を見抜けていた。
なぜならバクゥを従えているからだ。そんな人間がいるはずがない。
フレイは拳銃を女性に向ける。
「近づかないで!撃つわよ!」
「ふふ、震えてるわよ?お嬢さん」


避難を誘導する者の中にバルトフェルドはいた。一応戦闘には来たが、ライダー達の様子では近づく余地がなかったのである。
「!?。ぐ……」
突如、左眼に痛みが走る。ないはずの左眼。彼ばある時゙左眼を失っているのだ。
「アイシャ……近くにいるのか」
イーゲルシュテルンを持つと痛みという感覚を頼りに探しに行く。
この傷はきっかけであった。バルトフェルドに残ってしまった傷。消したくても、消えない嫌なものだ。
「出てこいよ、アイシャ。今度こそ殺してやるからよ……」


ガチガチと震える指。撃つ。それだけは頭で考えている。だが指が、体が、恐怖がそれを拒む。
女性は一歩一歩近づいてくる。フレイは引き金を引けないまま、平手を受けて倒れてしまった。
「エルちゃん……逃げ、逃げて!!」
人間離れした平手の威力。擬態は間違いない。自分が適う相手ではないであろう。
言われた通りエルは走った。しかし、前方と女性にまとわりついていたバクゥに囲まれて身動きが取れなくなっていた。
「あ……た、た……」
309通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:47:03 ID:???
「やめさせて!あなたなら出来るでしょ!?」
フレイは必死に女性の足を掴んでバクゥの制止を呼び掛ける。だが、それは最悪の形で裏切られた。
女性が指をパチンと鳴らすと、一斉にエルに飛び掛かった。フレイの顔に血の気が無くなる。
「きゃあーー!ぐ……げぇ……ヒッ、ヒッ……」
まだ若すぎる鮮血がピチャピチャと水溜まりのように地に広がる。小さい四肢や内蔵は獰猛な牙に裂かれ、口に消えていく。
フレイは目を閉じれなかった。信じれなかった。いや、信じたくはなかったのだ。あんな小さい子供が目の前で喰われる光景が。


「どこ行った?」
戦闘中に攻撃が止んだと思えば、バクゥはいつのまにか消えていた。
暗中模索してると、女性にフレイが踏み付けられてるのを見て急いで駆け寄った。
「フレイに何をした!?」
ストライクの拳をわざと受けて後ろに下がった。吹き飛ぶように瓦礫に混ざり姿を消した。途端にポツリと、一粒の雨が落ち、一瞬で本降りになった。
「フレイ、大丈夫?」
「……キラ……」
涙を流し続けるフレイ。恐怖で泣いてるかと思ったが、異様な空気に気づくのに時間はかからなかった。
「何があったの!……フレイ?」
指を指す。ただそれだけしか出来なかった。恐る恐る視線を向ける。
どんよりとした黒い雲から雷鳴の響き。さらに強くなる雨。転がる肉と束ねてあったはずの髪。さらに赤く染まったランドセルにかかる骨の破片。
310通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 19:48:53 ID:???
「…エル……ちゃん?は……嘘だ……こんなの……」
さっきの女性がバクゥの親玉だとしたら……。自分と戦ってたのが召集でもかけられて引いたのだとしたら……。
「グルゥ……」
七体のバクゥがストライクとフレイを取り囲む。一匹がストライクに飛び掛かった。が、バクゥの体は中に浮いたままになり爆散した。
「……さない…許さねぇぞ!!ぶっ殺してやる!!」
アグニを撃ちまくるストライク。エネルギー残量を気にせず怒りのままにバクゥを目がけて撃つ。
ミサイルが飛んでくればアグニで払い、接近してくればバルカンで制止させてアグニでトドメをさす。
既に錯乱状態に近かったストライクは容赦が無かった。しかし、その代償は高くPS装甲が剥がれていく。
(足りない……やつらは絶対に許さない!奴らを殺せる力……奴らを殺せる力を!!)


雨のお陰で動きを遅くしたバクゥ達はライダー達が捉えられるスピードに充分なっていた。

゙X-303 ライダースラッシュ゙

腕の刄を振り下ろすも避けられる。しかし、左足の隠しサーベルにもプラズマ粒子を集約させてバクゥの首を刎ねる。

゙ARMOR ON ASALT SHOROUD゙
ライドグラスパーからデュエル専用の強化アーマーが届いて装着する。バクゥの刄が擦るが、装着したアサルトシュラウドは通せなかった。
「肉も切らさず、骨を断つ!!」
右肩のシヴァと左肩のミサイルがバクゥに当たる。怯んだところへライダースラッシュをたたき込まれ、真っ二つに胴を分かたれて炎を上げた。
311通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 20:02:36 ID:???
゙X-103 ライダーシューティング゙

ガンランチャーを前方に拡散砲弾を放つ。さすがのバクゥも避け切れず、被弾してしばらく歩いた後に爆発した。


゙X-207 ライダーホールド゙

姿を消していくブリッツ。見失わないためにバクゥ達は飛び掛かる。
「やっと引っ掛かりましたね」
磁力によって引かれたランサーダートが地面から出てきてバクゥの頭部に刺さる。これを見越してブリッツは罠を張っていたのだった。
グレイプニールで掴んで引き寄せ、右手の刄で切り裂いた。
それぞれの相手を倒し終え、変身を解いた四人。疲弊仕切った表情は一目瞭然だった。
「だいぶ疲れてるみたいだな」
「sit!うるせえぞ、おっさん」
声をかけたムウに当たってしまうディアッカ。それだけ疲れていた。雨も気にせず、四人は座り込んでしまった。
「やまなそうだな……」
アスランがそう吐いた。意味はなかったが、何かしらを暗示させるような口調で。

PS装甲が切れてもまだストライクは戦っていた。フォームも変えることを忘れ、バルカンとミサイルで戦っていた。
が、それも弾が切れてしまった。バクゥの刄は装甲にかなりダメージを残している。
「…はぁ、はぁ……まだなんだ……」
飛び掛かるバクゥ達。
「まだ……倒れるわけにいかないんだよ!!」
ストライクは避けられなかった。いや……避ける必要が無かった。

゙パアアァァン゙

突如ストライクの色はグレーからトリコロールへと変わった。PS装甲が復活したのだ。
フォームは変えていないのになぜか。理由はわからないが、変わったのは確かだった。
アグニを棒を振り回すように発射しながら横へ移動させる。
バクゥ三匹はそのまま爆散していった。一匹は飛び掛かってきたが、アーマーシュナイダーで目を刺され絶叫してる最中、零距離でアグニを討たれた。
312通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 20:06:40 ID:???
残る一匹はストライクを背に走り去った。勝ち目がないとわかったのだった。
市街地を抜けようとしたのに気づいたストライクは飛び上がり、アグニを走るバクゥへ向けた。

゙X-105 ライダーキャノン゙
放たれた赤い閃光。だが、前回よりも巨大でスパークすら発生していた。バクゥはそれを避けようとするが、アグニ本体を移動させるストライクの攻撃の前に恢塵と帰した。

変身を解いたキラはエルのランドセルからはみ出ている折り紙を拾った。
それは自分にくれたのより形が崩れていた。友達に教わった最初の頃のだろう。
「……ごめん……守って……上げれなくて……」
雨で破けた折り紙を掴んだままキラは動かなかった。そして涙は雨と共に地へと吸われる。
「キラ、ごめんなさい……ごめんなさい……」
ただ謝る事しか出来なかった。キラにも、エルにも……。少年達は自分の非力さと失った者を味わった事のない気持ちで思っていた。
雨は降り続ける。過去に向き合おうとする戦う意志に
雨は降り続ける。戦いを終えた者への賛美として
雨は降り続ける。悲しみに暮れた心のように、悲しみを洗い流すまで


to be continued……
313通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 21:43:02 ID:???
GJ!前半はディアッカの変態ぶりが印象的。
幼女が食い殺されるなんていきなりシリアスだな。
314KIRA書き:2007/05/22(火) 21:49:18 ID:???
自分のキャラ壊してリュウタロス気取ってすいませんでした……

変身ポーズですが
キラ→龍騎
アスラン→ギャレン
イザーク→ナイト
ディアッカ→ゾルダ
ニコル→ライア

です。
315通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 02:21:39 ID:???
……ダティ…
コレクッテモイイカナ
316通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 21:03:39 ID:???
アスランはギャレンなのかw
317通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 21:44:06 ID:KR7w10cH
シンは井上が書いたらよかったのに・・・
318通常の名無しさんの3倍:2007/05/24(木) 16:31:21 ID:???
本家ゾルダが仲間になりたそうに此方を見ている!
,.-ーーー、 
"((`"^) 
i(ニ7゚Д゚)7 <オラーイレロー
319KIRA書き:2007/05/25(金) 21:57:12 ID:???
職人のみなさんに聞きたいんだけど、アストレイキャラ入れます?
僕は入れる気満々なんですけど
320通常の名無しさんの3倍:2007/05/27(日) 10:45:19 ID:???
今週の敵イマジンの声が盟主王
321通常の名無しさんの3倍:2007/05/27(日) 11:28:25 ID:???
まさにアズラエルめ……案外と腑甲斐ない……(巨大化もしてないし)
322MRS‐D:2007/05/28(月) 21:41:35 ID:???
 梅雨の時期に入って来ました。
 そんな訳で、第五弾投下します。

「痛...」
 痛みと共に目を覚ます。痛みは全身から。それは考えるまでもなく昨日の戦闘の結果だ。
 起き上がり、胸に手をやる。触れると、湿った布の感触。包帯だ。
 寝汗で塗れたのか全体が湿っている。
 思い出すのは昨日の戦闘。
 人々を襲うウィンダム。変身。ソードシルエット。そして初めての戦い。
「.....本当に戦ったんだな。」
 自分は昨日ライダーに変身し、あのウィンダムと戦った。
 無傷でとはいかなかったが、被害者は出る事無く誰もが無事なまま終えることが出来た。
 布団をどかし、ベッドから降りる。窓を開け、空を見る。天気は快晴だった。
 失ったものは多く、護りきれたものはそれほど多くない。
 力を得たことで舞い上がれなどしない。ヨウランは死んだ。そして多くの人々が死んだ。
 悔しさが募る。自分がもっと上手くやれば誰も死ななかった。自分がもっと強ければ全て守れていた。
 望みは際限なく膨れ上がる―――けれど、シンはその考えを一旦頭の片隅に置いた。考えても仕方の無いことだから。そう、断じて。
 窓の外。晴れ渡る空。
「.....みんな、落ち込んでるだろうな。」
 晴れ渡る空とは対照的にシンの表情は優れない。見上げた空は青く、どんな悩みでも吸い込んでいきそうなほどに澄み渡っていた。

323通常の名無しさんの3倍:2007/05/28(月) 21:42:37 ID:NL+Vj447
 PHASE05「オレンジ」

「....おはよう。」
 呟きと共に暗い表情で教室に入る。
 見れば、まだ半数程度しか登校していない―――時間は既に始業5分前だというのにだ。
 普通、この時間なら殆ど机は埋まっているはずだと言うのに半数しか埋まっていない。それが意味するところ。それを考えればシンの表情が優れるはずもない。
「よう、シン!お前無事だったのか!?」
クラスメイトの一人が駆け寄ってくる。それに追随するようにクラス中の人間がシンの元に寄ってくる。
「皆は、大丈夫だったのか?」
「ああ、俺たちはな。お前も、あのテロに巻き込まれて、入院したって聞いたけどどうなんだ?」
「ああ、俺は大丈夫だった。ケガは軽かったし、直ぐに退院できたんだ。」
 嘘だ。入院などしていない。それどころか“戦っていた”のだから。
 シンが入院して居たと言う情報自体ザフトが捏造したことなのだろう。
「...メイリンは?」
「ああ、メイリンは入院してる。なんか、傷自体は軽かったらしいけど、大事を取ってってことらしい。」
「そっか....良かった。」
 ほっと胸を撫で下ろすシン。ルナ達から予めメイリンが無事なことは聞いていたが....ようやくそれに実感が伴う。
「けどな、シン.....」
 言いにくそうに口を開くクラスメイト―――シンはその先に続く言葉が何か大体わかっている。
「...ヨウランは、まだ見つかってないんだ。」
「そう、か....ヨウランはまだ」
 表情に暗い翳りを落とすシン。これもまた知っていることだった―――けれど、認識に伴う実感はシンの胸を軋ませる。
 ぐっと拳を握り締める。奥歯をきつく噛み締める。
 沈痛な表情のシンに引き込まれるように一同が沈黙する。
「おい、いつまでそこに突っ立っているつもりだ?」
「先生?」
 気が付けば、既に始業の時間になっていたらしい。担任の先生が教室の入り口に立っている。
「アスカ、お前大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。」
324MRS‐D:2007/05/28(月) 21:43:34 ID:???
 そうか、とだけ頷き教師は、何も言うこと無く教壇の前まで歩いていく。
 それに伴い、生徒も机に着席し出す。シンも同じく自分の席に着席した。
 教師がクラスメイトたちに向き言葉を掛ける。
「そうか....ほら、みんな座れ、授業始めるぞ―――と言いたいところだが、みんなに知らせがある。」
 ちらほらと席についていたクラスメイト達の視線が教壇の上に立つ教師に集中する。
「この時期には珍しいが....なんと転校生だ!」
一瞬の沈黙―――そして、大きなどよめき。一番前の席に座ったクラスメイト―――ゴトウが声高らかに、教師に向かって叫んだ。
「先生、それマジっすか!?」
「マジだ!」
「うおおおおおお!!!!」
 教室中から歓声が起きる。男子は女子かどうかで盛り上がり、女子は逆に男子かどうかで盛り上がる。
 かっこいいのか、可愛いのか、性格は。
 テンションが一気にヒートアップし、火がついたように盛り上がった。
 先程の沈んだ空気とはまるで違う。
 けれどそれは陰鬱な空気から自ら脱却しようとしているような部分が感じられるものの―――何はともあれ、教室の様子は一変した。
「.....ふう」
 ため息。いつの間にか登校していたレイのものだ。
 シンは急激な展開にまるで追いつけず唇を吊り上げ苦笑いをしている。
 二人は盛り上がる空気に取り残されたようにその場に佇んでいる。
 彼らは他のクラスメイトに比べれば非常に冷静だった。それはそうだろう。クラスが盛り上がっている話題である「転校生」。それが誰かを知っている上に、知らぬ間柄でもないからだ。レイに至ってはそれなりに長い年月の友人でもある。そんな二人が盛り上がれる訳も無い。
「お前ら少しは静かにしろ!!」
教師が手を叩き、生徒を黙らせる。
 皆、分かっているのか、それで教室は水を打ったように静けさを取り戻す―――と言っても嵐の前の静けさかもしれないが。
「じゃ、グラディスさん、入ってきなさい」
「....はい。」
 しんと教室が静まり返る。そしてその中を歩き入ってくる少女。
325MRS‐D:2007/05/28(月) 21:44:38 ID:???
 赤毛と整った顔立ち。ほっそりとそれでいて出るところは出て、締まるべきところは締まったスタイル。
クラス中の人間が息を吸い込むのが聞こえる。
 緊張しているのか、頬が少しだけ赤面し―――それが可憐さを添える。そして彼女は顔を上げる。
 そこには先程の緊張を感じさせない、空に向かって伸びる向日葵のような笑顔があった。
「ルナ.グラディスです。皆さん、これからよろしくお願いします!」
 そう言って元気よく一礼するルナ。
 瞬間、
「うおおおおおおお!!!!!」
 クラス中から湧き上がる大歓声と怒号。そのままシュプレヒコールまで上がりそうな勢いである。
「....さっきまでの落ち込みようはどこ行ったんだよ。」
 シンの呟きは誰にも届かない。もっともシン自身クラスの雰囲気が明るくなったことで少しだけ安心してはいた。最もそれはヨウランの死を忘れるという嫌な話でもあるのだが。
 複雑な心情を胸にシンは転校生――ルナに視線を移す。
「じゃ、グラディスさんの机は―――そうだな、そこのシン.アスカの横の席で。」
「あ、はい」
 教師が指差した方向。シンの横の机にルナが歩いていき、座る。
 僅かに緊張。それは初対面の相手に対してと言うよりも
「それじゃ、シンこれからよろしくね。」
 ぼそっと呟くルナ。
 あまり周りには知られたくないのだろう。実際、この場では初対面であるのだから。
 それはシンも同じだった。いきなりの転校生と仲が良いと思われれば周囲の人間に疑われるのは間違いない。
 デュランダルにはライダーであることを秘密にしろとは言われてはいない。
 だが、それを黙っていると言うことはある意味暗黙の了解でもある。
 ライダーとは、その存在それだけで前大戦を想起させる代物。確実に周囲に恐れを与える禁忌の兵器。
 レイがライダーであることを隠していたように、自分がライダーであると周囲に言い出すような度胸をシンは持ち合わせてはいなかった。
「あ、よろしく、お願いします。」
 ぎこちない挨拶。くすりと笑うルナ。少し緊張し過ぎていたのだろうか。
 周りから聞こえる声は全てシンに対するやっかみと僻み。
「さ、それじゃ授業を始めるぞ。あ、ちなみにグラディスさんは教科書を以って無いのでアスカ、お前ちゃんと見せてやれよ?」
 そう言って教師が黒板に板書し始める。
326MRS‐D:2007/05/28(月) 21:46:43 ID:???
「.....マジかよ。」
 呟きと共にシンは机を動かし、ルナの机にくっつけた。周囲の視線がより一層きつくなる。
 シンは教科書を机と机の間に置きながら、苦笑いをし続けた。
 休み時間は酷いだろうなあ。自分に突き刺さる視線から分かる通り、級友はそういった部分に非常に厳しい。
 ため息一つ。気を取り直してシンはノートを取り出した。

 その後、ルナは予想通りにクラス中の人間から一斉放火の如く質問攻めにあっていた。
 普通はそうなった場合女子からのやっかみを受けることもあるのだがそう言うことも無く
 ―――むしろルナの方から女子の方に話かけていたというのもあるが―――放課後になる頃にはクラスに溶け込んでいた。
 掃除を終え、部活動は休止と言うことで皆我先にと帰っていく。
 当然、その中にはルナを街に連れて行こうとする輩もいたのだが、その全てをルナは用事があるからと断っていた。無論、放課後はシンを連れて赤福に行かなければならないからだ。
「シン、行くわよ。」
 鞄を持ち、ルナが呟く。周囲にはもう誰もいない。
「え?あ、俺は、病院に寄ってから行く。ルナは...レイと一緒に先に行ってくれ」
 その言葉に肩を竦めるルナ。
「何言ってるのよ。レイ、もう行っちゃてるわよ?」
そう言われて辺りを見回す。どこを見渡しても確かにレイはいない。
「あいつ....早すぎだろ。」
 そう言って憮然とした表情を浮かべるシン。
 けれど、それも直ぐに消え机にかけてあった鞄を手に取り、立ち上がった。
「じゃあ、ルナ一人で先に行っててくれ。俺は後から―――」
「あのね、私は貴方のパートナーだって言ったの忘れたの?貴方が行くなら私もそこに行くわよ。」
 その言葉に顔色を変え、きょろきょろとあたりを見回すシン―――何とも情けないその様を見て彼女は盛大にため息を吐いた。
「あのね...大丈夫よ、周りには誰もいないから。」
 確かに彼らの周りには誰もいない。ほっと息を吐くシン。ため息を吐きながらルナが続ける。
「...ところで、病院に何しに行く訳?」
「ん....ああ、友達が入院してるらしいんだ。それでそのお見舞いにと思って。」
 そう言って、ヨウランの机に眼を向ける。
 もう、ヨウランはいない。
327MRS‐D:2007/05/28(月) 21:48:18 ID:???
 だからあの机も程なく撤去されるだろう―――けれど、それを今、メイリンに言うつもりは無かった。
 入院し、心身ともに弱っているところに追い討ちをかけることもない。
 そう思ったからだ。
 神妙な面持ちのシンを横目にルナは少し考え込み―――シンに呟いた。
「.....それって女の子?」
「ああ、幼馴染なんだ。俺、ルナと最初会った時に他の人と見間違えたろ?その人の妹。」
「ふうん....まあ、いいわ。じゃ、行くわよ。」
 そう言ってルナが教室の出口に向かって歩き出した
「行くわよって、お前も来るつもりか!?」
「パートナーって言ったでしょ?大丈夫、別に邪魔する気は無いから安心しなさい。」
「そういう問題じゃ」
「駄目なの?」
 ギロリと彼女が視線をシンに向ける。その視線を受け止め、少し後ずさりするシン。
「....いや、あのな」
 数秒の沈黙。向けられたルナの視線を睨み返すも、直ぐに視線を逸らしため息を吐き、シンは力無く呟いた。
「ああ、もう、分かったよ!」
 頭を掻き毟り苦虫を潰したような顔をするシン。ルナはその返事を聞いて直ぐの教室の出口に向かって駆け出した。
「じゃ、早く行くわよ!」
「...ああ、ちょっと待てよ!」
 鞄を手に取るとシンは追いかけた。



「ルナって記憶ないって言ってたけどさ」
「うん?」
 見舞いの土産――オレンジその他果物である――を買いに立ち寄った売店。
 ルナはそこで売っていたたこ焼きを美味しそうに頬張っている。
 ちなみにこれで3箱目だ。一体、その細い身体のどこにそれだけの食べ物を保管するスペースがあるのかとシンは思った。
328MRS‐D:2007/05/28(月) 21:49:31 ID:???
「いつくらいからの記憶が無いんだ?」
「あ、あっははは、そのことなんだけどさ、実は記憶無いって言うのは嘘なんだ。」
 舌を出して、少しだけ後ろめたそうにルナはそう言った。
「嘘!?」
「いや、あの時は...ほら、あんなことがあったじゃない?だから、その、ちょっと言い辛くて...」
 ルナのその呟き。あれ―――その言葉に思い当たると言えばそれは一つだけだ。
 スカートの中に頭を突っ込み、あまつさえ手を突っ込み、見事なルナの蹴りで意識を喪失させられたあの事件。
 思わず、ルナの足が当たった顎をさする。シンもその言葉を聞いて後ろめたそうに苦笑いを浮かべる。
 流石にそれを持ち出されれば一方的に彼女を責めることなど出来そうにも無い。
「あ、あれか。じゃ、じゃあ、本当はどうなんだ?記憶とかあるのか?」
「あ、実はね、私って人間じゃないのよ。」
 軽く、まるで今日の夕飯の献立を言うようにルナはそれを口にした。
「に、人間じゃない?」
「どっちかって言うと....人造人間とか?ほら、ライダーって『人間が改造された』ってことじゃない?私は「0から作られた」から。」
「は?」
「ただ、人工知能を持った人形なの。だから、そういう人間ベースのライダーとも少し違ってて....記憶喪失なんじゃなくて、記憶が初めから無いの。」
「.....そ、そうか。」
「あ、でも気にしなくていいよ?支部長もタリアさんもレイも...誰も気にして無いし。」
 沈黙。押し黙るシン。
 人間であるならば誰であっても自身の人生を語る際には口が重くなる。その内容にもよるが、そうそうおいそれと気軽に口を開くようなことはまずあり得ない。
 だが、ルナは違う。自分は人間ではない。それは何よりも重いはずだ。人間社会に混じり、人間を守る為に戦う。
 命を懸けて。
 話の内容と口調に重大すぎるほどの齟齬が生じている。少なくとも軽快な口調で言うことではない。
「シン、どうしたの?」
「え?」
 突然沈黙したシンを不審に思ったのか、ルナがこちらを睨んでいた。
「あ、いや、ごめん。」
「もう、別にそんなこと気にしなくて良いわよ。」
329MRS‐D:2007/05/28(月) 21:50:28 ID:???
 ルナはそう言ってたこ焼きに視線を戻した。どうやら3箱目のたこ焼きは完食し、4箱目に突入したようだ。
 シンはそれを見つめ、思う。これも人間じゃないからこその食欲なのだろうか――――と、考えた瞬間、その考えを掻き消した。
 自分の考えのあまりの卑しさに思い至ったからだ。聞かなければ良かった、とシンは後悔した。
 聞かなければ少なくともこんなことを気にすることも無かったと言うのに。
「.....あ」
「うん?どうしたの?」
 眼を前に向ける。気がつけば病院がそこにあった。
 真っ白な外観に、リ・ホーム記念病院と銘打たれた看板が上がっているそこが目的の場所。メイリンの入院している病院だった。



 受付で病室の番号を聞き、病室に向かって歩き出す。ルナは既にたこ焼きを食べ終えている。流石に院内では止めろとシンが言ったからだ。ルナは渋々しながらも素直に従った。
 そうして数分。病室は既に目の前だった。コンコンとノックする。
「はい?」
 聞こえてくる聞き慣れた声―――メイリンの声だ。シンはドアノブを回し、扉を開ける。
「おじゃまします、と。」
 扉を開けるとそこにはメイリンが、パジャマ姿でベッドに横たわっていた。
「シン?」
「思ったよりも元気そうだな。」
「...シンもね。」
 メイリンは力なく笑いかける。手に巻かれた包帯、顔に張られた湿布が痛々しい。
 シンは極力顔色を変えないように苦心しつつ、口を開く。
「おじさんたちは?」
「仕事。昨日のテロのせいで忙しいみたい。けど、夜にはまた来るって。本当、過保護なんだから。」
 苦笑いしながら彼女は肩を竦める。シンも釣られるようにして笑い、それもやがて納まり―――場に沈黙が漂う。
 シンが口を開いた。
「これ、土産。」
 手に持っていた果物をベッドの横の棚に乗せて、手近な椅子を引き寄せ、腰を下ろし、扉の外に向かって声をかける。
330MRS‐D:2007/05/28(月) 21:51:42 ID:???
「何やってるんだ?早く入って来いよ。」
「誰?私の知ってる人?」
「ああ...いや、知らない人だな。多分。」
「ふーん」
「....お、お邪魔します。」
 少しだけ緊張した面持ちで、ルナが病室に入ってくる。
 誰が入ってくるのだろうと瞳を扉に向けていたメイリンとルナの視線が絡む。
 見る間にメイリンの表情が驚きに変わった。
「ル、ルナ.グラディスです。よろしく、お、お願いします。」
 ガチガチに緊張し、自己紹介をするルナ。その姿を見て、メイリンは記憶にある姉との差異に気付く。
髪型が違う。ルナの髪型の特徴―――それはとりも直さず前髪の一部分がピンと天に向かって立つ癖毛にある。 それは、彼女の姉であるルナマリア.ホークにはなかったモノ。
「お姉ちゃんじゃ...無い?」
 メイリンは未だ納得できそうにない。信じられないのも無理はないとシンは思った。
 事実、シンとて本気でルナマリアが生きていたのだと勘違いしたのだ。
幾ら一緒に暮らしていた姉妹であるメイリンであろうとも間違えてもおかしくはない。それほどに似通っているのだから。
「俺も、最初ルナ姉だと思ったんだけど...単なるそっくりさんらしい。」
 信じられない―――そんな言葉を顔に貼り付けたような表情でメイリンはルナを見つめている。
「えーと、こういう時どうすればいいのか分からないんだけど....」
 そう言って右手をメイリンに向かって差し出すルナ。困惑した表情で差し出された右手を見つめるメイリン。ルナが何をしたいのかが良く分からないのだ。
 ルナがその右手で、メイリンの右手を掴み、握る。
 それは万国共通の友好の証。握手だ。
「ル、ルナでいいわ。正直、学校には今日来たばかりだから慣れてなくてね。」
 だからシンに付いて来ちゃった。そうルナは呟いた。
「シンとは...どういう?」
「ああ、シンとは席が隣で仲良くなったの。」
「へえ....?」
 その言葉を聞き、メイリンが目じりを吊り上げ、薄く笑った。
「い、いや、誤解するなよ、メイリン!?」
「誤解?別にシンが誰と仲よくなろうと私には関係ないから別にいいんだけど。」
「あ、いや、そうなんだけど」
331MRS‐D:2007/05/28(月) 21:53:56 ID:???
 しどろもどろになり、話すことも覚束なくなるシン。ルナはそんな二人を交互に見つめる。シンはそんなルナの視線を怪訝に思い、口を開いた。
「な、何だよ?」
「いや、仲が良いなって思って。」
「何!?」
「ちょ、え、ええ!?」
 ルナの言葉に必要以上に驚く二人。
「わ、わた、私は別にシンのことなんて何とも...」
 尻すぼみに声が小さくなるメイリン。心なしか頬が赤面すらしている。
 シンの方は支離滅裂と言うより、どもりにどもり何を言っているかすら分からない。
 端から見ればそれは幼馴染のカップルだ。
 だが、ルナは「ふーん」と言うだけでそれ以上は何も言わず、メイリンの方に近づき、その手を掴む。
「な、何ですか」
 姉に似ているとは言え、見ず知らずの人間にいきなり手を掴まれて警戒の色を強めるメイリン。
 けれどルナはメイリンのそんな反応を気にすることもなく、笑顔で続ける。
「ねえ、メイリンって呼んでいい?私、友達になって欲しいなって思ったんだけど」
「え?」
「駄目かな?」
 ルナの瞳に気圧されてメイリンは少し後ずさる。いきなりの展開に頭が追いついていないのか―――けれど、2,3度シンとルナの間で視線を交錯させて、メイリンは呟いた。
「いいですよ、ルナ...さん」
「ルナ!敬語は無しにしようよ?私たち同い年なんだしさ?」
「うん...そうだね、じゃあ、これからよろしく、ルナ。」
 今度はメイリンの方から差し出される右手。ルナはそれに手を伸ばし、
「よろしくね、メイリン。」
 頬を綻ばせながら、握り締めた。



 初対面とは言え、知り合いに顔が似ていると言うのが功を奏したのか、女三人集まれば、かしましい....訳でも無いだろうがその後のメイリンとルナの会話は至極順調でシンが入る隙間が無かったほどだった。
「じゃ、そろそろ行くよ、俺たち。」
 既に日は落ちている。面会時間もじきに終わる。シンはそう言って立ち上がった。
332通常の名無しさんの3倍:2007/05/28(月) 22:05:03 ID:NL+Vj447
「あ、うん。」
 どこか寂しそうなメイリン。だが、それも一瞬。直ぐに表情には笑顔が戻る。
 無理をしているのだろう。それも当然だ。
 彼女はいきなりあの襲撃に巻き込まれ、気がつけばここにいたのだ。その心労が如何ほどのものか、それが分からないほどシンは馬鹿ではなかった。
「シン、今日はありがとう...ルナもありがとう。」
 そう言って、ばいばいと手を振るメイリン。同じく手を振って帰ろうとするルナ。シンも同じく椅子から離れる―――瞬間、その手を掴まれた。
 シンがメイリンに眼を向ける。メイリンは常からは程遠い強い力でシンの手首を握り締めている。
「メ、メイリン?どうしたんだ?」
 驚き、声を掛けるシン。けれどメイリンにはその声が届いていないのか、決死さすら滲ませた真剣な瞳でシンを見つめる。
「メイリン?」
「シンは、...どこにも行かないよね?」
 か細い呟き。けれど込められた気持ちは強く、シンの心を軋ませる。
「な、何だよ、突然?」
「ヨウラン、死んだんだよ、ね?」
「知ってた、のか。」
「行方不明者のところに名前があったから....。シンは...シンは死んだりしないよね?」
 沈黙。本当ならば即答しなければいけないはずだ。決して、自分は死ぬ為に戦いに赴いた訳ではないのだから。それに戦っていることを言う気もないのだから。
 だが、死なないと約束出来るのか?
 シンは自問する。
 昨日の戦いで自分が戦い、そして勝利を収められたのはあくまでルナと、そして認めたくないがレイの援護があったからこそだ。
 それは勝負の天秤がこちらに傾いた結果に過ぎない。その天秤があちらに傾けば....死ぬとは限らないかもしれないが大怪我は免れなかったに違いない。命を懸けている以上、死ぬことも許容範囲だ。自分はそれすら勘定に入れて戦いに赴いた。
 そして、もう一つ。
 5年前――――あの日の赤鬼の背中を見てから燻り続けている一つの思い。
 命を賭してでも戦うと、復讐すると決めた。例え、その過程において死んだとしても。そう、決めたのだから。

333MRS‐D:2007/05/28(月) 22:13:46 ID:???
復讐を始めずに人生を謳歌してはならないのだと。
 それを違えることなど出来るはずがないのだ。
 そんな自分が死なないと言う約束をしてもいいのか。
 瞑目の後にシンはメイリンに向かって顔を向けた。
「メイリン、俺は...」
 沈痛な面持ちでシンが口を開く―――瞬間、それを遮るようにルナがメイリンの手を握っていた。
 そして優しく呟く。
「大丈夫。」
「ルナ...?」
 いきなりのルナの行動に驚くシン。ルナはそんなシンの様子は目には言っていないのか、気にすること無く続ける。
「シンは絶対に死なない。死なせたりしない.....私が、絶対に守ってみせるから、だから安心して?」
「.....うん。」
 年上の姉が、幼い妹をあやすようにルナの声は優しく、強く、メイリンの心に染み入っていった。
 どこか、不思議な光景だとシンは思った。
 ルナはルナマリアの――メイリンの姉に似ているだけのアンドロイドで、人間ですらない。
 けれど、その二人の姿はあまりにも姉妹だった。年の差の離れた姉が妹をあやすソレと驚くほどに一致し―――シンはその光景に既視感すら感じ取ってしまっていた。昔、まだオーブが平和な時分によく見かけた光景と似ていたから。
 シンがぼうっとそれを見つめていると、メイリンは、少し頬を朱くしながら、シンの手から自分の手を離した。
「.....うん、シン、変なこと言ってゴメンね。」
「あ、いや、別にいいよ。なあ、ルナ?」
「うん。別に誰も気にしないわよ?」
 メイリンはその言葉に頷きながら、傍らのベッドに座り込む。
「じゃ...俺たち行くよ。」
「うん、ばいばい。」
「ああ。じゃあな。」
「ばいばーい。」
 そう、お互いに手を振り合って、病室を出ていった。
334MRS‐D:2007/05/28(月) 22:16:10 ID:???
 病室を出て、数分。
 ルナは赤福からの着信があったらしく、電話が可能な場所へと走って行った。手持ち無沙汰なシン。
 別段、やることもない。と言うよりも病院でやることがある人間など病人と医者だけだ。
 元より見舞いに来ただけのシンが暇を潰せることなどあるはずが無い。
 手持ち無沙汰に出入り口付近の売店でジュースを買い、出入り口を出て、病院の外でルナを待つシン。
 その時、突然やかましい声が響いた。
「堅いこと言うなよ、イザーク。俺は未来のスターだぞ?」
「ふざけるな、ハイネ!未来のスターだろうと何だろうと病院では静かにするのがマナーだろうが!!それが何 だ、貴様は!?おかしな格好でギターをベベンベベンだと!?ふざけるな!」
「イザーク、お前が一番うるさい。それにベベンベベンはギターじゃなくて三味線だ。」
「そうだぞ、イザーク?」
 シンが眼を向ける。そこには...何と言うかおかしな連中がいた。
 一人は白髪で長髪にスーツと言う姿の男。
 もう一人は金髪で肌が黒い見るからに健康的な男。
 そして最後に、ギターを首からぶらさげた金髪碧眼で、見るからに毒々しげなオレンジのスーツを着こなす男。
 何とも見るからに怪しげな集団である。その集団が病院の玄関口で騒いでいるのだ。人目を引かない訳が無い。
 元来、病院内で騒ぐことは厳禁である。だが、病院から一歩出たら騒いでいいという訳でもあるまい。
 その証拠に―――と言うよりも当たり前のことだが周りの人間の視線は相当に冷たい。
「お前が言うな、お前が!!....失敬。」
 その視線に気付いたのか、冷たい視線を向け、病院に入っていく人々に一礼する白髪。
 どうやらそれなりに礼儀はあるようだ。
 そこに、そそっと黒髪の女性が声を掛けた。
「主任、もうここには用が無い訳なんですし、とりあえず署の方に戻りませんか?」
 白髪はその言葉に頷く。署という単語。警察だろうか。シンはジュースを飲みながらそちらに向けた視線を外すことなく何の気なしに眼を向け続ける。
「...そうだな、行くぞ、ディアッカ、シホ!」
 主任と呼ばれた、男が踵を返し、颯爽と駐車場に向かって歩いていく。それに続く、金髪の地黒と、黒髪の女。
335MRS‐D:2007/05/28(月) 22:19:59 ID:???
「....何だ、あれ。」
 その時、シンと残された金髪のオレンジ姿の男と視線がぶつかった。
「......」
 思わず眼を逸らすシン。
 オレンジ色のスーツ。その時点でおかしい。おかしすぎる。それに輪を掛けるそのギター。
 どこからどう見ても変人である。シンは反射的に眼を逸らし、オレンジの男はニヤリと笑い、歩き出し、ギターに手を掛けた。
「少年、どうした、元気が無いぜ!?」
 言葉と共にシンの直ぐ傍で鳴り出す音。
「......ッ!?」
 驚き、その場から飛び退くシン。
「ちょ、な、何なんですか、一体!?」
「ふふん、元気がなさそうな少年に少しだけ元気を分けてやろうかと思ってね。」
 言葉尻に合わせるようにギターを引く。
「悩みがあるなら聞くぜ、少年?」
「煩いですよ!」
 ギターをかき鳴らし、今にも踊り出しそうなオレンジの男。如何にもな変人である。
 ちなみにシンには変人その物に対しての偏見は無い。他人に迷惑をかけない限りは変人だろうと狂人だろうと問題は無い。そう考えている。だが、自分がその矢面に立った場合は別だが。
「いいか、少年。人生は悩んで悩んで悩み続けてこそだ。悩みを途中でやめてもいいことは無いんだぜ、オウイエス!!!!」
「いや、聞いてないです...ってうるさいですよ!!」
 話ながらギターを鳴らし、凄い勢いでシャウトする。
 言っていることはまともだが、シャウトはいらない。だが、目前の人間はお構いなしなのか、「イエイ!!」とか「アーーーオ!!」とか色々言いながら人生を語っている。
「さあ、ここで少年に一曲捧げよう!!曲名はイグナ○テッド!!ヒアウィゴウ!!!」
「だから、うるさいって!!」
 とんでもないのに捕まったとシンは思った。見た目だけではなく中身までしっかりと変人である。
「壊れるから、動けない〜〜」
 ノリノリである。しかも目線は常にこちらを捉えている。ポージングを取りながら、こちらを見据えている。
―――警察呼ぶか?
 シンが半ば本気で警察にでも連絡しようかと悩み出した時、ルナの声が聞こえた。咄嗟にそちらを振り向く。
「シン、何してるのよ。」
「ルナ?ちょっと、この人どうにかするの手伝って...」
「誰もいないわよ?」
「へ?」
 後ろを振り向く。誰もいない。あのギターも。あのオレンジ色のスーツも。あの金髪も。
 その何もかもが無い。
「.....き、消えた?」
「ちょっと大丈夫、シン?」
 ルナが心配そうに覗き込む。
「.....だ、大丈夫だ。」
 最近、色々なことが起こりすぎて、白昼夢でも見たのだろうか。
 ....むしろ白昼夢で在って欲しい。シンはそう思い、ルナを伴って赤福へと歩き出した。
336通常の名無しさんの3倍:2007/05/28(月) 23:25:52 ID:???
キター!、ルナが人間じゃないとは・・・そして謎のハイネ・・・激しく続きが気になる、GJ!
337通常の名無しさんの3倍:2007/05/29(火) 00:19:19 ID:???
GJ!アイデアが奇抜でいいです。
338通常の名無しさんの3倍:2007/05/29(火) 04:04:08 ID:???
GJ!ハイネは一体何者…
死人もこれからでてくることあるのかなぁヨウランとか
この奇想天外な世界ならあり得そう
339通常の名無しさんの3倍:2007/05/29(火) 10:37:02 ID:???
>変人その物に対しての偏見は無い。他人に迷惑をかけない限りは変人だろうと狂人だろうと問題は無い。そう考えている。だが、自分がその矢面に立った場合は別だが。
禿しく同意できる文章が・・・

ハイネ、キャラ濃いな〜
GJ!!っす
340通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 22:09:18 ID:???
仮面ライダー保守王
341通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 23:53:38 ID:???
遅くなったけど、GJ!ついでにage
342通常の名無しさんの3倍:2007/06/04(月) 23:04:01 ID:???
続々と電王に登場するSEED驚異の声優陣
343MRS-D:2007/06/05(火) 22:52:31 ID:???
 何か今までの書き出し面倒になってきたのでこれからシンプルに投稿してきます。

 暗闇の中。からからと、音が鳴る。
 音は机に据え付けられた古びた機械―――俗に映写機と呼ばれるものから
だった。
 この時代でそれを使う者などもはや消えて久しい機械。けれどそれゆえに
秘匿性は高いとも言える。誰も使う者がいないと言うことはそれを使おうと
言う概念が既に人々の中から消え去って久しいと言うことである。
 人の心理として秘匿性の高いモノほど高性能なモノ―――つまりは最新鋭
の記憶媒体に保存していると考えがちであり、盲点といえば盲点である。
 最も、それを行う手間隙を考えれば半分以上は趣味の領域に入っていると
言ってもいいのだが。
 映写機の後ろで操作するのは仮面で顔を隠した金髪の男。
 映し出された映像の前に座る3人の人間。
 一人は緑の髪を刈り上げた短髪の少年。
 一人は青いウェーブがかった髪をした少年。
 一人は金髪の少女。
 4人は映像を食い入るように見つめている。映し出されている映像。
 それは墓地で行われた戦闘である。
 シン・アスカの変身したライダーがウィンダムを大剣にて屠っている。
 シンが大剣を振るう。飛ぶ。跳ねる。そして、大剣と大剣を赤い稲妻が
結び、一振りの巨大な大剣を形成し・・・・一閃。
 そこまで取り終えて映像は途切れた。
「以上だ。なにか質問は?」
「ステラが引き付けて、俺とアウルでつるべ打ち。それで終わりだ。」
 短髪の少年が口を開いた。
「それで充分じゃないの?こいつ、接近戦以外はからっきしっぽいしさ。」
 青い髪の少年がそれに続ける。
「ステラは?」
 仮面の男が胡乱な瞳で戦闘を見つめる金髪の少女に問いかける。
「・・・・ステラもみんなとおなじ。」
「なら決まりだな。」
344MRS-D:2007/06/05(火) 22:55:10 ID:???
 仮面の男が立ち上がる。
「ウィンダムの数はまだ充分じゃない。今回、お前たちに付けられるウィン
ダムは5体だ。それでも、出来るか?」
 問題ないと頷く3人。それを見て、仮面の男は薄く笑う―――と言っても
顔の半分以上が仮面で覆われているので唇からでしか判別は出来ないが。
「じゃあ、問題ないな。今回の任務に標的はいない。奴が出てくるまで好き
勝手に暴れると良い。」
 映像が消える。
 3人が立ち上がり、部屋から出た。
 仮面の男は無言で彼らを見つめる。その瞳に映るのは悲哀か怒りか愉悦か。
 暗闇の中ではそれを判別することは出来なかった。

PHASE06『セカンドステージ』

 喫茶店赤福。そこはザフトオーブ支部であり、外から見ただけでは分からな
いが、その設備の殆ど全ては地下に設けられている。
 訓練場。整備場。管制室。医務室。その他最新鋭の機材が揃えられたそこは
正に秘密基地の名称に相応しいものである。
 目前で運動着―――ザフトからの支給品である―――を着て対峙するシンとルナ。
 今、シンとルナがいるのはその訓練場だ。
 シンとルナはシミュレーターの中に乗り込み、何度も戦いを繰り返している。
設定された敵は全開のウィンダムだ。ただしその数は前回の5倍以上。
 始めてから数時間が経過しているが未だに一度もクリアはしていない。
 あの日、メイリンとの出会いからルナはシンに訓練を行うようになっていた。
 元々、戦闘訓練を行う予定はあった。シンの場合はいきなり実戦を経験して
しまったが、本来戦闘要員は訓練所でしっかりと基礎訓練を行い、それなりの実力を
持ったと評価された上で、ザクなどの簡易ライダーシステムへの搭乗資格を与えられる。
 とは言っても予定されていたソレは基礎訓練である。
345MRS-D:2007/06/05(火) 22:58:16 ID:???
 つまり運動能力の底上げを重点的に行うと言うものである。
 だがルナは当初の予定を大幅に変更し、いきなりの実戦訓練を行うことにする。
 勿論、デュランダルやタリアは反対した。確かにシンの運動能力、反射速度等の
基本的な能力はそれほど悪くは無い。一般市民と比べれば高いと言ってもいい。
 その上ライダーとしての能力は発展途上にあるにも関わらずかなり高い。
潜在的なモノも含めれば最終的にはあの“フリーダム”や“ジャスティス”にすら匹敵しかねない。
 だが、如何にライダーとしての彼が強力だとしても、現状のシンはその力に
振り回されている。どんなに優れた力を手に入れてもそれを制御し、活かす能
力を持っていなければまるで意味が無い。
 ましてやシンはこれまでそういった戦闘訓練など受けたことの無い完全な素人である。
 覚えるべきことなど考えるまでもなく非常に多い―――のだが、ルナからの
情報の共有によってそういった問題は殆ど解決できる。
 様々な情報を、脳に疑似体験させ、さも自分が培ったかのように出来る技術。
 それが情報の共有である。
 戦闘技術―――特に身体の動かし方や構えと言った基本動作はそれで補える
と言ってもいい。
 けれど、絶対的に足りないモノもある。実戦経験である。
 これだけは情報の共有では補足出来ない。
 ただし、ただ実戦を経験すれば良いという訳ではない。つまりルナが相手に
なって戦ってもあまり意味はない。情報の共有を行いながら戦うのがシン・アスカ
とルナの―――ライダーインパルスの戦闘だ。
 二人が別々になって戦っても意味はまるでない。そんなもの練習にすらならない。
 だから、ルナがシンに施すのはこう言ったシミュレーターによる訓練のみとなる。
仮想現実空間での戦闘。一見するとそれは楽に思えるが、衝撃や振動を限りなく
現実に近づけている為に当然体力を消耗し、緊張感も与えられる。
346MRS-D:2007/06/05(火) 23:00:20 ID:???
 勿論、死なないと言う前提で行っているので実際の戦闘と比べるようなも
のではないが。
 何十回目かのシミュレーションを終えて、シンとルナがシミュレーターから
降りてくる。シンは既に汗だくになり、疲労困憊といった感じである。逆に
 ルナの方は汗こそかいているものの涼しげなもので疲労といったものはまるで
感じさせない。
(何でこんなに差があるんだ?)
 シンが不思議そうに彼女を見つめる。
 その時、レイが逆側のシミュレーターから出てきた。
「・・・・何だ、お前たちか。」
 レイもルナと同じく汗こそかいているもののシンのように疲労困憊という
訳ではないらしい。
「レイも訓練?」
「ああ。一日のノルマは最低限クリアしておかないと鈍るからな。」
「まあ、確かにね。」
 そしてちらっとシンの方向に目を向けるルナ。
「ソレに比べて、こっちは・・」
「ぜんっぜん、楽勝だけどな。」
 ぷるぷると震える身体を無理矢理、奮い立たせシンはタオルで汗を拭い、
筋力トレーニングを始める。
「ちょっと、シン!?」
「ふん・・・・じゃあな、ルナ・・・シン」
「じゃあな、レイ!!」
 レイはそのまま去っていく。
 シンのその態度にルナは苦笑いを浮かべる。
「あんた達本当に仲悪いのねー」
 シンはその言葉に答えない。完全に無視を決め込んで腹筋を繰り返す。
「はあ・・・・ていうかどうしてそんなに張り合ってるわけ?」
「・・・・・・」
347MRS-D:2007/06/05(火) 23:02:07 ID:???
 シンは喋らない。黙々と腹筋を続ける。完全無視のその様子にルナは少しだけ
唇を引き攣らせ、ぼそっと呟いた。
「言わないなら痴漢したことメイリンにバラすわよ。」
「冤罪だ。」
 シンはぼそりと呟きながら腹筋を繰り返す。
「ふーん。そういうこと言っていいの?」
 そうしてルナが近くに置いてあった自分のバッグから一台のPDAを取り出す。
 そしてそれを操作し、シンに液晶部分を見せ付ける。
「ちょ、お前!?」
「あ、メイリン?ちょっと話があるんだけど。」
 瞬間、シンは腹筋の態勢から瞬時にルナの前に正座し、土下座へ移行。
「すいません言いますごめんなさい。」
「ごめん、メイリン、キャッチ入ったみたくて、うん。また明日ね。ばいばーい。」
 そういって通話を切り、ルナはそう言ってバックの中にPDAを仕舞いこみ、
ニヤリと笑って呟いた。
「よろしい。」
「・・・・・」
 どうして俺がこんな目に。シンの心はやるせない思いで一杯だった。

 大したことじゃないけど、と前置きしシンは話し始めた。
「あれは中学2年の時かな。」
 シンは話しながら過去に思いを馳せる。
348MRS-D:2007/06/05(火) 23:04:42 ID:???
 シンが通った中学には給食というものが無かった。代わりに食堂が存在し、
 そこで生徒は食券を買い、もしくは菓子パンを買い昼飯とする。
 だが皆、思春期の学生である。人生で最も空腹を実感する時期とも言えよう。
 食っても食っても食い足りない若者にとって昼飯時とは正に地獄に垂らされた
蜘蛛の糸に等しい。
 食券は基本的に上級生が買い占めている。下級生が買えるのは殆どパンと言っていい。
 その中で誰もが熾烈な争いを繰り広げる。敗者は味の無いコッペパン。勝者は
カロリー豊富なカレーパンや焼きそばパンである。実に、実にこの差は大きい。
 故にそこでは毎日のように菓子パンの争奪戦が繰り広げられていた。
 亡者の如く、おしくら饅頭でもするかのように密着し、押し合い、もみくちゃに
なる男子。そこに投げ込まれる菓子パン。我先にと手を伸ばし、その菓子パン
を争奪するのである。
 カレーパン、クリームパン、アンパン、焼きソバパン。
 誰もが我も我もと手を伸ばし、求め合う。その中に若きシン・アスカがいた。
 シンは同年代に比べ、それなりに卓越した運動能力を持っていた。少なくと
も投げられたパンを空中で口でくわえる程度には。
 シンの必殺空中食いは学生にとって恐怖の的であった。何しろ、最短距離
なのだ。普通ならばキャッチ→咥える→んまあーい!というプロセスを辿ると言
うのにシンは直接んまあーい!である。
 そうしてシンは食堂で「空中食いのシン」という異名を取ることになる。
 シンはそうして長く王座に君臨していた―――そう、レイ・ザ・バレルが現れるまでは。
 転校生として現れた彼も食堂組であった。
 当然ながらそこはシンが牛耳る決戦場。
 転校生の入る幕など無い―――はずだった。
349MRS-D:2007/06/05(火) 23:06:28 ID:???
「ラストのカレーパン!!」
「ふんっ」
 レイは飛び上がるシンの前に背中から覆いかぶさるようにして飛び上がり―――
シンの跳躍の力も合わせ、それまで誰もが到達したことの無い到達点でパンを咥えた。
「な―――!!?」
 驚愕のシン。彼のジャンプは完璧だった。跳躍力、位置取り。その全てにおいて
完璧だったのだ。
 だが、レイはその完璧を逆に利用し、更なる高みに到達したのだ。
 敗北である。うな垂れたシンはその日、普段なら確実に勝つはずのヨウラン
にさえ同様のあまり敗北し、コッペパンを喰らう羽目になっていた。
「俺が、コッペパンだと・・・・!?」
 屈辱―--空中食いのシンの完敗である。
「お前、何者だ!?」
「レイ・ザ・バレル」
 もしゃもしゃとカレーパンを食いながらレイは呟いた。
「明日こそは、明日はきっと勝つ!!」
 そう意気込みシンは翌日を待った。
「本日ラストの焼きソバパン!」
 負けた。
「本日ラストのクリームパン!!」
 負けた。
「本日ラストのカツサンド!!」
 負けた。
「本日ラストのアンパン!!」
 負けた。
 連日シンは敗北し続けた。
350MRS-D:2007/06/05(火) 23:08:43 ID:???
 それからシンのコッペパン生活が始まった。レイを避けてヨウランから奪えば
良い―――そんな気持ちは幾度と無く生まれた。だが、生来の負けず嫌いが災いし、
シンはレイとの直接対決以外ではパンを口にしなくなっていった。
 そして中学時代シンとレイの食堂における戦績はシンの30勝431敗という
悲惨な結果で幕を閉じた。
 シンはそれ以来、レイをライバル視し、こと在る事にレイと勝負を繰り返すようになる。
 初めこそ一方的にシンがライバル視していたのだが、シンが勝負に勝った場合
――勿論一夫的に仕掛けてきてである―――の喜びようが酷くレイの勘に触り、
以来レイの方もシンに負けることを嫌うようになる。
 そうして数年。今に至る―――

「てなことがあったんだ。」
「・・・・・・・・ホント、しょーもないことね。」
 苦笑いは引き攣り、生暖かい視線でシンを睨むルナ。
「お前、コッペパンだけってホントに辛いんだぞ?水無しだと確実に喉に詰ま
ると言うあのぱさぱさ感と言い、味の無さと言い、あれは本当に悪夢なんだぞ?」
「・・・・・続きやるわよ。シミュレーターに入りなさい。」
 必死にコッペパンについて語ろうとするシンの叫びを黙殺し、ルナはシミュレーターの
中に入っていく。
「ちょ、ちょっとは聞けよ!」
 シンもそれにならってシミュレーターへ。
 ルナはシミュレーションの数値を先程と同じに設定しようとシミュレーター内の
キーを打ち込んでいく。
「・・・・・・」
 ルナはシミュレーターの中で数値を設定しながら、思った。
 思ったよりも自分の相棒は馬鹿だったんだなと少しだけ後悔しながら。
351通常の名無しさんの3倍:2007/06/06(水) 02:45:23 ID:???
GJ!今回はギャグ回か!、そして遂にファントムペイン始動!?
352通常の名無しさんの3倍:2007/06/06(水) 19:52:18 ID:???
レイが意外と食い意地がはっているというように見えたオレ、参上!
GJ!
353通常の名無しさんの3倍:2007/06/07(木) 02:07:12 ID:???
俺、参上はやめれw
電王を見れん俺が、劇場版のCMでその名セリフを聞いて吹いちまったよww
最初からクライマックスだぜ!も聞いて、目立つところだったw

やっぱり、平成版ライダーは気になるのが多い…。
ブラック、RX世代の俺がレンタル屋に参上してくるかな…。
354通常の名無しさんの3倍:2007/06/07(木) 03:30:12 ID:???
こういう話もいい!
355通常の名無しさんの3倍:2007/06/10(日) 19:48:23 ID:???
                       r'´r''"´, -、-z‐;;- 、
                     _,.ゝ;;ゝ''´ィノ/,/ニ、`z,`'''−‐一
                     ,-''´,フ'´  , -_゙"-ニ;;‐''"ー‐;;--‐
                _,,.. -‐''"´ ‐--‐'´ ,.-‐'''"゙::::::::::::. :::`;ニ=‐
          _,,.. -‐ ''"´      ,.-‐''''"¨~:::: :::: ::::::: . :::::......::`ー‐‐;;ッ‐
        ,.- '´         ,.-;ニ7´:::: : ::ハ:..:::ト、:..::、::i:、::. :::::::::::::::::::‐ニ_
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    ヽ、      ヽ、       7ィ::ヾ;、:ヽ 、_.._, リ  ノィ:::/':::::::トヾ ̄『Double-Action』でリュウタロスダンス!!`  
        丶、      \ー- 、   {ハ::`ミ`` `ニ ´  /::::::::::;:i、:! ` 
        \      `}   ヽ、   ヽ:ト、iヽ、  ,. '7::::::::/∨' `  ttp://www.toei.co.jp/tv/den-o/index.asp?action=entry&num=93    
             \     / 丶 └ 、ヽ、 ``_,j `¨´  /:;ィ:ル'
            ヽ、  /  ヽ   \ヾヘヽ 、  , ト', ´
             i 丶/   ヽ    ヽト, ヽ',  {  `-ァ、_
             丶 j     ', i   {   \_ `_ニニ"´  `7‐、
              `ヽ、    ',  /     、ヽ、__     `ヽ \
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                  ',ヽ ヽソ         i丶      } l||
                   ヽ.', ヘ        l       l/. j|
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356通常の名無しさんの3倍:2007/06/11(月) 14:34:52 ID:???
電波を受信したので、投下してみる。
357356:2007/06/11(月) 14:44:51 ID:???
いかん、失敗。ごめん、後ほど。

なにやってんだ、オレ orz
358仮面ライダー 真・運命1/10:2007/06/11(月) 15:52:38 ID:???
少女が疾る。どことも判らぬ廃墟の闇の中を。
整った顔立ちで、前髪の一房がピンと天に跳ねた赤い髪が特徴的な少女だ。だが今、その唇は真一文字に結ばれている。まるで、何かに追われるように……。
いや、実際に彼女は追われていた。

「くっ!?」
前方に人影を見つけ、少女は急制動を架ける。その額には僅かに汗が滲んでいた。
人影はゆっくりと少女に向かって歩いてくる。
それを見据え、呼吸を整えながら、少女は状況を確認する。
――囲まれた!? 後ろに3、右と左に2つづつ。
視界には前方の人影しか映らない。しかしそれ以外の者たちがいることを少女は視覚以外のなにかで見抜く。
そして、覚悟を決めた。戦う覚悟を。

20m程の距離で人影は足を止め、少女に声をかける。
「ZGMF-1000 ザク・ウォーリア、ここまでだ」
厳めしい顔つきの中年の男だった。
「……サトー教官……」
少女か呟く。男が告げた、暗号めいた名称は、どうやら彼女のことらしい。
「諦めて、ZAFTに帰れ。今なら罪には問われん」
静かに男は告げる。
「……そして、洗脳されて、全てを忘れろっての!?」
僅かに焦りを滲ませながら少女は唇を歪ませる。
「――そんなの! まっぴらごめんよ!!」
「ほう、ではどうする?」
少女の叫びに、男―サトーは唇の両端を吊り上げる。
「気付いていると思うが、私を含め八体のMSがこの場を取り囲んでいる。それを突破できる、とでもいうのか?ZGMF-1000」
「――あたしを、あたしをそんな番号で呼ぶな!!あたしの名はルナマリア! ルナマリア・ホークだ!!」
少女――ルナマリアの叩きつけるような叫びにサトーは更に唇の端を吊り上げる。
「ルナマリア? ふ、そんな人間の名前など、おまえには意味はない。なぜなら――」
サッと、サトーの右手が挙がる。と、同時に左右から黒い疾風が、ルナマリアに
襲いかかる。
「はぁっ!!」
ある程度予想していたルナマリアはバック転でこれを避け、瞬時に襲撃者を確認する。
359仮面ライダー 真・運命 2/10:2007/06/11(月) 15:54:25 ID:???
それらは全身をヌメリをおびた黒い皮膚とも鎧とも言いがたいなにかに覆われた異形の怪物だった。鶏冠の付いた兜状の頭、その奥から朱い一つ目が不気味に光る。

MS―Monster Soldier―C.E.60年代後半から突如現れた異形の者たちをいつの頃からか、人々はそう呼んだ。
いくつかの種類があり、中には空を飛ぶもの、水の中を泳ぐものもいる。
総じて、動きは獣のごとく俊敏で、その身は銃弾を弾き、その腕は鉄をも引き裂く。正に怪物。

ルナマリアは眼前のMSが、ジンと呼ばれる種類であることを知っていた。しかただのジンではなく、ジンを更に強化した改良タイプであることも。
更に彼女はサトーがなにを言わんとしたかにも気付いていた。
――所詮、貴様も『同類』なのだ。
それでも、諦めるわけにはいかなかった。
自分たちを騙した組織は許せない。それに、ここで諦めたら自分を逃がしてくれ
た人々、何より、あの二人に合わせる顔がない。
覚悟は決まっている。後は行動するのみ。
ルナマリアの腰に奇妙な形のベルトが浮き上がる。
滞空したまま、少女は三度目の叫びを挙げる。それは、決意の叫び。
「変身っ!!」
刹那、淡い光が少女を覆う。
――光より出でしは、赤き獣。
ジンよりも重厚な装甲と、元々の少女のラインを残す体型、それが色と相まって
、見る者にアンバランスな印象を与える、赤き異形。
着地と同時に、腰を落として構える仕草は、まるで猫科の獣を思わせる。
ジンと同じ、単眼が妖しく光を放つ。

「――ハッハッハ、そうだ、ZGMF-1000!それが今の貴様の本性だ! その姿のどこに人間の名が必要ある!?」
ついに哄笑をあげる、サトー。
「……黙りなさい」
だが、赤き異形と成り果てた少女は静かに、それを遮る。
「たとえ、この身が醜き獣に変わろうと、あたしの心が有る限り、あたしは人間
、ルナマリア・ホークよ!」
決然と言い放つ。
一瞬、言葉を失うサトー。だがすぐ嘲笑う。
360仮面ライダー 真・運命 3/10:2007/06/11(月) 15:56:14 ID:???
「それが誰に分かる? 分からぬさ、誰にも! 愚かな民衆共にとっては貴様もMSの一体にしか過ぎん!!」
言葉と共に、サトーの体が黒い何かに覆われる。
「――それでも、それでも私は、人間として生き、闘う!」
ルナマリアの決意は揺るがない。
「ならば、愚民共に石を以て逐われる前に、我らが貴様を葬ってくれる!」
その身を、黒いジン――ジンHMU(ハイマニューバ2型)に姿を変え、サトーが宣言する。

状況は圧倒的にルナマリアに不利だった。
確かにザク・ウォーリアは最新型のMSで改良強化型とはいえ、最初期のMSであるジンなど本来相手にならない。
だが、まず数が違う。眼前の3体、そして未だに姿を見せぬ5体の計8体を相手にしなければならない。
更には、ルナマリアにとってこれは初の実戦であり、対するサトーはZAFTの教官であり、実戦経験も豊富、しかも訓練時にルナマリアがサトーに勝てたことは一度もない。勝てる要素はほとんどない。しかし……。

――勝つ必要なんかないんだ。今は逃げるだけ。
ルナマリアは正面を見据える。狙うは正面突破。
一見、手薄な左右のどちらかに逃げた方が良いように見える。しかし、相手は経験豊富なサトーだ。わざと手薄にして、罠を仕掛けている可能性が高い。
ならば、敵の意表をつく。
それすらも、読まれているかも知れない。
――それなら、その読み超える勢いで、突破してやる!
作戦を決め、全身の力を撓めた時、ルナマリアの耳がなにかを捉えた。

それは遥か前方から、最初は微かに、次第にハッキリて聞こえてきた。
――この音、バイク? ……!?、まさか、ブルースプレンダー!?
「「「……!?」」」
サトーたちも不審気に背後を見やる。
今が好機だ。サトーたちが後方に気を取られている今なら、突破も容易い。
だが、ルナマリアは動けなかった。
――アイツが来る! アイツが生きてた!!
それは歓喜、その心の叫びに一瞬、ルナマリアは動くことを忘れた。

361仮面ライダー 真・運命 4/10:2007/06/11(月) 15:58:08 ID:???
目映い光を放ちながら、それは爆音を上げ接近してくる。
「よけろっ!!」
慌てて、左右に分かれたサトーたちをすり抜け、それはサトーとルナマリアのほ
ぼ中間で2つのタイヤをドリフトさせながら、急停止した。
「――シンっ!!」

青い大型のバイクから、ゆっくりと白い人影が降りる。
ジンともザクとも違う、そのシルエットはルナマリアの記憶の中にあるものと確
かに一致した。だが……。
「……シン?」
ルナマリアの声には不審気な響きが混じる。
ジンやザクよりもスラリとした印象を与える装甲を身に纏い、頭部に二本のブレ
ードアンテナ、その下には人のようなツインアイを備えている。
――なんで、色がないの?
彼女の記憶に拠ればそれは通常、鮮やかなトリコロールカラーの筈。
しかし、目の前のそれの色は灰褐色だった。

新たな異形はルナマリアのに相対する。
「……なるほど」
異形に対し構えていたサトーが声を上げる。
「どうやら、上手くいったようだな」
――まさか!?
最悪の想像がルナマリアを捉える。
「ZGMF-X56S インパルス、やつを倒せ!」
サトーの号令の下、灰褐色の影が疾風に変わる。
――は、迅い!?
眼前に迫る影に慌てて、防御をしようとするルナマリア。
が、間に合わない。
ガンッ!!
強烈な衝撃が鳩尾に突き刺さる。
息つく暇もなく、無数の拳打が無防備な体に打ち込まれる。
ルナマリアはその嵐のような攻撃になすすべもなく翻弄されるしかなかった。
それでも、なんとか意識だけは繋ぎ止める。
一瞬、攻撃が止まる。
――まずい!!
殆ど本能的にルナマリアは大地を蹴る。
362仮面ライダー 真・運命 5/10:2007/06/11(月) 15:59:21 ID:???
次の瞬間、灰褐色の槍が、再び鳩尾に突き刺さる。
「ガハッ!!」
苦鳴を残し、弾き跳ばされる。

灰褐色の蹴りに、吹き飛ばされた、赤き異形は大地を二転三転して倒れ伏した。
「……ふん、自ら跳ぶことで、多少はダメージを逃したか。流石は『赤』だな」
サトーが多少感心にしたように呟く。
「だが、終わりだ」
見れば、赤い輝きとともに、異形は少女へと姿を変えていく。
「あっけないものだな。……行け、ZGMF-X56S!」

体中に痛みが走る。額にはなにかドロリとしたものが付いている。
「……血?」
それでも、なんとか上半身を持ち上げる。
霞む視界には、ゆっくりと近付いてくる灰褐色の影。
「……シン。本当に、洗脳され、ちゃったの?」
呟く自身の声も遠く聴こえる。
――勝てるわけがない、あたしが、アイツに。
先ほどまでの闘志は霧散していた。
「……ごめん、メイリン、お姉ちゃん、もう、ダメみたい。でも、シンが、相手なら、仕方ない、よね?」
脳裏に浮かぶ、少女は悲しげな表情を浮かべている。
だが、それすらも、もうどうでもよくなって、ルナマリアは瞼を閉じ、大地に横たわる。
「――?」
違和感を感じた。
上着の胸ポケット、なにか堅いものがある。
震える手で取り出す。このままじゃ寝心地が悪い、そう思った。
出てきたのは、ピンク色の四角い物体。
――絶対に、返せよ!

――いやよ、あたしも残る!
――だめだ、ここは俺とシンで食い止める。ルナマリアは先にいけ!
――い・や・よ。
――ルナマリア!
――……ルナっ!
――っ!? こ、これ、シンの……。
363仮面ライダー 真・運命 6/10:2007/06/11(月) 16:01:06 ID:???
――……預けるだけだからな! 汚すな! 落とすな! 傷つけるな!
――……シン……。
――……絶対に、返せよ!
――……あんたこそ、絶対に取りに来なさいよ!
――ルナマリア、行け。
――……二人とも、死んじゃダメだからねっ!

――そう、まだっ!
「あたしは死ねない! グァッ!?」
突然、強烈な力で腕が引っ張られ、宙に釣り上げられる。
目の前には、無気質な光を湛える、ツインアイ。
「――シン!!」
「無駄だ、ZAFTの洗脳は完璧だ」
サトーの声は無視。
幸い、掴まれた手は反対。
「お願い! シン、元に戻って!!」
開いたピンク色の物体をツインアイの真ん前に突きつけ、ボタンを押す。
『ハ〜イ、マユで〜す、せっかくお電話貰ったけど、マユは今電話にでれませ〜ん』
場違いな、余りにも場違いな明るい声が、流れる。

「な、なんだ?」
思わず、サトーは間抜けな声を上げる。
ルナマリアの最後の抵抗。
それはピンク色の物体――携帯電話から流れる、明るい少女の声。
訳が分からないまま、サトーは声を荒げる。
「ええい、ZGMF-X56S、止めを刺せ!」
だが、灰褐色の異形は動かない。
代わりに低い音が流れ出す。

唐突に腕を掴む力が弱まる。
「キャアッ!」
当然、掴まれていたルナマリアは落下し、形の良いお尻を強打する。
だが、そんなことには構っていられない。
「――シン!?」
目の前の異形を見上げる。
音が聴こえる。それは最初は微かに、次第に大きくなる。
364仮面ライダー 真・運命 7/10:2007/06/11(月) 16:03:04 ID:???
それは、異形から発せられる声、絶叫。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

『ハ〜イ、マユで〜す』
――山道を全力で駆ける、4人の親子。
『ハ〜イ、マユで〜す』
――転がり落ちる携帯電話、取りに行く少年。
『ハ〜イ、マユで〜す』
――携帯を拾い、家族を見やる少年、唐突に突き刺さる光、そして爆風。
『ハ〜イ、マユで〜す』
――なんとか体を起こし当たりを見回す少年、遠くに見える二つの朱い『もの』。
『ハ〜イ、マユで〜す』
――近くに白い腕、妹の腕、助け起こそうとする少年。
『ハ〜イ、マユで〜す』
――白い腕、妹の、白い白い、肩から先だけの。
『ハ〜イ、マユで〜す』
――少年は……。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

頭を抱え膝を尽きながら、絶叫する異形。
「シン! キャッ!」
唐突な光が少女の目を眩ませる。
光が晴れた時、黒髪の少年が目を閉じ、そこにいた。いつの間にか、絶叫は止んでいる。
「……シン」
少女の呼びかけに少年の目が開かれる。彼女のよく知る宝石のような紅い瞳。
「……ごめん、ルナ、遅くなった」
「……バカ、遅すぎよ……」
優しげな色を浮かべるその紅い瞳に、少女は涙を浮かべながら応える。
「……馬鹿な、洗脳が解けた、だと……」
背後からの茫然とした声に少年は立ち上がる。
「ルナ、もう少しだけ待っててくれ」
背後に向き直る少年の瞳に少女に見せた優しさはない。その瞳は総てを焼き尽くす地獄の業火のように燃えていた。

365仮面ライダー 真・運命 8/10:2007/06/11(月) 16:05:04 ID:???
「ええい、何故だ! 何故わからぬ!?」
相対した少年に対し、サトーは狂ったように叫ぶ。
「前首領パトリック・ザラの取った道こそ、我ら、人類に取って唯一絶対の正義であると!!」
狂気のようなサトーの叫び。
だが、少年――シンはたじろがない。
「……ふん、あんたらが正義?」
口元には僅かな嘲笑、しかし瞳は燃え盛る業火。
「そうだ、我らこそが――」
「――黙れっ!!」
再び叫ぼうとする声を、シンの鋭い声が遮る。
「――なんの力もない人々を殺すのが、人を勝手に化け物に変えるのが、そして
あんたらに従わない俺たちを殺すことが――」
少年の声に憎悪が籠もる。
「――それをあんたらが正義と言うなら、俺は、俺は悪で構わない!!」

「ZGMF-X56S、貴様ぁ……」
歯ぎしりをしながらサトーが声を上げる。
「俺をその名で呼ぶな!」
「……ふん、貴様もか? 貴様も人間であることにこだわるか?」
――こいつもまた、怪物である己を否定しようとしている。
幾分余裕を取り戻し、サトーが嘲笑の声を上げる。
だが、シンの声は冷たい。
「人間? そんなものはとっくに捨てたさ。ただ、あんたの好きなように呼ばれるのが胸糞悪いだけだ!」
少年の心にドス黒いモノが満ちる。

「人間? そんなものはとっくに捨てたさ」
少女の途切れかけていた意識が少年の声に因って覚醒する
見上げる少年の背中が異様遠く感じられる。
――……シン……。
呟きは心の中に留める。
以前は知らなかった。だが今は知っている。少年が力を求めた訳。
彼だけが、最初からZAFTの正体を知っていた。
MSに対抗できるのは、MSだけ。
だから、彼は……。
366仮面ライダー 真・運命 9/10:2007/06/11(月) 16:07:14 ID:???
――人間を捨てた。
自分にはどうすることも出来ない。
少年の背中がどんどん遠くなる。
少女は自分の無力を噛み締め――。
「あれ?」
違和感を感じた。
自分はこんな、無力な悲劇のヒロインのようなキャラだっけ?
違う。
わたしはルナマリア・ホーク。お節介で、負けず嫌いで、諦めの悪い女の子。
体に力を込める。いける、まだやれる。
そう、まだやらなきゃいけない。

「違うよ、シン」
背後からの声にシンは振り向きもせず、声を返そうとした。
「ルナ、そこで休んで――」
「い・や・よ」
「……おい」
呆れたような声を無視して、ルナマリアはシンと肩を並べる。
「……たとえ、あいつらが正義を名乗ったって、あたしたちは悪じゃない」
「…………」
「正義と対するのは悪だけじやない。正義だって正義と対する時もあるわ。だいたい、こいつらが正義のわけないじゃない!」
「……ふん、では貴様等は正義の味方というわけか?」
嘲りを含んだサトーの声。
「そうよ、あたしたちは正義の味方よ!」
真っ向から、胸を張り応える。

「そうでしょ、シン」
微笑みを浮かべる少女。
血を流し、泥に汚れたその笑みを、少年はとてもきれいだと感じた。
「……正義の味方も悪くないか……」
いつの間にか、口元に笑みが浮かんでいる。
先ほどまで心の中にあったドス黒いモノも消えていた。

「ええい、茶番はこれまでだ!二人揃って仲良く死ねぇ!!」
苛立った、サトーの声と共に背後から、なにかが打ち込まれる。
367仮面ライダー 真・運命 10/10:2007/06/11(月) 16:10:04 ID:???
とっさに、左右に別れ跳ぶ、2人。
爆音と共に元いた大地が抉られる。
「やれるな!? ルナ!!」
「ったりまえよ!!」
爆風をモノともせずに叫ぶ。
「いくぞ!」
2人の腰にそれぞれデザインの違うベルトが浮き上がる。
声が重なる。
「「変身っ!!」」
光と共に、ルナマリアは再び赤き異形に、シンは先ほどと姿形はそのままに、鮮やかな青を主体としたトリコロールカラーの異形へと変化する。

「それが、真のZGMF-X56Sの姿というわけかぁっ!!」
爆煙をかき分け、サトーの黒き異形が拳を青き異形に繰り出す。
「うおぉぉっ!!」
だが、青き異形はその拳に拳を叩き突ける。
「ぐあっ!」
吹き飛んだのは黒き異形。
「言ったはずだ! 俺をその名で呼ぶな!!」
青き異形が吼える。
「俺は――」

――変身て、なんだかヒーローみたいよね?
――……ザクがか?
――うるさい! そこ、黙る。
――…………。
――シンのはさぁ、なんか専用のビークルが付くんでしょ?
――んっ? ああ、なんかバイクがあるらしいけど。
――ベルトとバイク、じゃあ、シンは――――。

「――俺は、仮面ライダー! 仮面ライダーインパルスだ!!」

今新たなる、仮面ライダーの戦いが始まる。

368仮面ライダー 真・運命 :2007/06/11(月) 16:14:14 ID:???
以上、電波でした。

369通常の名無しさんの3倍:2007/06/12(火) 02:25:45 ID:???
うわぁ、なんて続きが気になるものを書くんだ。GJ!
って、もしかしてコレだけ?続きなし?
嘘だと言ってよ!
370通常の名無しさんの3倍:2007/06/12(火) 12:12:21 ID:???
GJ!
そして、俺はいつまでも続きをwktkしながら待っているぞ!
371通常の名無しさんの3倍:2007/06/12(火) 13:40:08 ID:???
GJ!
続かない?でもこういう終わり方がまたいいのかも
すっげー気になるww
372仮面ライダー 真・運命:2007/06/12(火) 20:07:46 ID:???
GJくれた方、ありがとうございます m(_ _)m
なんとか、続き書いてみやす。

ただ、電波を受けてから、この程度のもの書くのに三週間くらいかかったので、続きは気長にお待ち下さい。

では
373仮面ライダー・デスティニー 第5話A:2007/06/14(木) 00:37:51 ID:???
>>MRS−D氏
GJ!早く、しかも高クオリティな作品は見習いたいです。
>>仮面ライダー真・運命氏
GJ!こういうテンポのいい文章は見やすくてしかもカッコイイなぁ。続きがあるなら待ってます。

すっかりご無沙汰で忘れ去られてるかもしれませんが、第5話を。

374仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:38:59 ID:???
第5話 『銀と金』

――『PLANT』アーモリー・ワン社 最上階、ギルバート・デュランダルの私室――

廊下にコツコツと靴の音を響かせながら、社長室に近づく女性がいた。
タリア・グラディス――彼女は、『ZAFT』アーモリー・ワン支社の社長である。

彼女が何度かドアをノックすると、中から穏やかな低音が返る。
「入りたまえ」
ドアを開けるとそこにはプラント社長、ギルバート・デュランダルが立っていた。
「失礼致します。社長、少々お時間頂けますでしょうか?」
「やあ、タリア。急に電話をもらったので驚いたよ」
「申し訳ありません。お伺いしたいことがありまして」
「いや、構わない。こっちで話を聞こうか」
ギルバート・デュランダルは、タリアを隣の私室に促す。
「失礼します」
彼の私室はベッドとソファ、私物であろう本棚、後は冷蔵庫などしかなかった。
私室だからだろうか。随分と簡素な部屋である。
デュランダルが本社以外で執務室や私室を持っているのは、このアーモリー・ワン支社のみ。
この都市は経済においても、政治においても重要な意味を持っているからだろう。
促され、ソファに座るとデュランダルも向かいに腰掛けた。
「さて、それでは用件を聞こうか」
デュランダルは私室に人を招くことはまずない。
だが――どうやら彼にとって自分は特例らしい。もちろん、自分の表情から今日は『そういった』意味でないことはすぐにわかったようだ。
「はい。二日前に入隊試験を受けたシン・アスカが意識を取り戻したそうです」
「そうか……二日間も眠っていたとは。彼にはゆっくり休むように伝えてくれ」
心配するような口ぶりだが、口許にはいつもの笑みを浮かべている。
彼はいつもそうだ。穏やかな笑みを浮かべながらも、その裏で何を考えているのか。
タリアにもその真意を測ることはできない。だが、不思議といつもその選択に間違いはなかった。
それがタリア・グラディスのギルバート・デュランダルの印象だった。
「用件はそれだけかね?」
「いえ。私が聞きたかったのは……彼がどこまで知っているのか、ということです」
デュランダルは僅かに眉をひそめた。
「ファントム・ペインはただのテロリストではない可能性があります。
知っての通り、プラント支社の爆破未遂や、先の新型RSの強奪事件からも明らかにプラントを標的にしています」
375仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:40:14 ID:???
デュランダルは適当に相槌を打つ。
「彼らの活動と思しきものは、ほぼ世界中で確認されています。しかし、大西洋連邦では、目立った被害は出ていません。」
「君は連邦が彼らを支援、もしくは彼ら自体が連邦の暗部なのではないか――そう、疑っているのだね?」
「これは少し調べれば不自然さが見えてきます。そう考えれば説明がつくこともあります」
デュランダルは黙って頷いた。
「このことは社長もご存知ではないですか?」
「既にそれを疑っている国もあるようだ。だが――」
デュランダルは口許に笑みを浮かべたままだ。いやらしさを感じさせるものではないが、タリアはその笑みが気にかかって仕方なかった。
「それは確実な情報ではない。で、ある以上彼に教えるのは彼を不必要に惑わすことになる――そう私は判断した」
「では、プラントに関してはどうお話になったのですか?ザフトはファントム・ペインに関して警察権を持ち、銃やRSの使用も認められています。
また、3年前の周辺諸国と連邦との戦争で少数ながら投入されたRS装着者の多くは、現在ザフトに在籍している」
デュランダルがどんな手を使ったかは不明だが、軍にRSの秘密を渡さないためなのだろうことは予測できた。
 タリアはデュランダルについても調べている。確かなことではないが、どうやら彼はこの国の政治に深く入り込んでいるようだ。
「もう一つ聞きたいことがあります。詳細な技術に関しては隠しているようですが、RSは作業用としてこの国に販売されています。あなたはRSが戦争に利用されるのを嫌っているのではなかったのですか?」
デュランダルは僅かな沈黙を置いて答えた。
「RSを分析するには専門の技術者が必要だ。軍事用に量産することは難しいだろう。
ザフトの独立は守られており、我々は何一つ負い目も弱みもない。そこまで私を調べたなら君もそれは知っているだろう?」
その返答は、これ以上話すことはない、ということだろう。
タリアとしてはこれで彼から何か聞き出せると思っていた。少なくとも、彼の真意が垣間見えるのではないか、と。
だが、彼は全く動じていない。口許には張りついたように笑みが浮かんでいる。
「君が今言ったことはどれも確実と言えるものではない――だが、私がそれを彼に伝えなかったのはそれだけではないよ。
君は我々とファントム・ペインが双方の国家の傀儡である可能性を危惧しているようだが、それでも我々の仕事は変わらないはず。そう、市民を守ることだ」
376仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:41:21 ID:???
そしてデュランダルの顔からはじめて笑みが消えた。彼はまっすぐにタリアを見る。
「私は彼に事実のみを伝えたつもりだ。私は彼に自ら真実を見つけてもらいたい――たとえそれが後々、私に対しての疑惑の種になろうとも」
「真実と事実……ですか?」
「真実とはなにか……人によって様々な解釈があるだろうが、私はこう考える――真実とは、客観的事実を認識する過程で主観が混ざった不純物だと」
「不純物……」
「不純物といえば聞こえが悪いだろうか。だが、人は事実だけを信じるものにはできない。誰しも己のエゴを羅針盤としているのだよ。彼が迷いながらも得た真実ならそれは合金のように強靭なものともなり得る」
タリアは彼がシン・アスカを偶然を演出してアーモリー・ワンに導いたように、自分も含めて全てが彼の掌で踊らされているような気がした。
そんなタリアの動揺を見抜いたのか。デュランダルはタリアに新たな質問を投げかけた。
「タリア。シンは私を信頼していると思うかね?君の考えを聞かせて欲しい」
いきなりの唐突な質問だ。
タリアは慎重に言葉を選ぶ。彼の言葉の意味を探ろうと。
「どうでしょうか……あなたの言葉を疑ってはいないようですが、完全に信用した訳ではないかと思われます」
「それでいい。言葉にした時点で主観が混じることは避けられない。相手が意図した通りに受け取ってくれないこともある」
デュランダルは少々不安げな感情を瞳に浮かべた――ような気がする。タリアの勘違いかもしれないが。
「そして、それが自分にとって重要な人物であればあるほど、重要な事柄であればあるほど――その差は大きい。私の個人的な考えだがね」
彼のその言葉は自問自答しているようでもあり、意味が今一つ掴めない。
というか煙に巻かれているような気さえする。
「知った事実を無条件に真実に変わってしまうこともあるということだよ。それほどまでに大事な人物、事柄が偽りだと知ったとしたら――それがほんの一部だとしても――その全てが偽りだ。それが真実となってしまうこともある。そういうことだ」
「はぁ……」
タリアは怪訝な顔をしながらも、デュランダルの言葉に頷く。
空はタリアの心中を写したようにもやもやと雨雲が集まりだしていた。
377仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:42:29 ID:???
――プラント地下、ザフト医務室――

「お兄ちゃん……」
それはもう随分長く聞いていない声――否、もう二度と聞くことのできない声。
しかし忘れることなどできない声だった。
――マユ
声に出してその名を呼ぶ。
光の中で楽しそうに笑い、走り回っている。
いつだったか、森で日が暮れるまで遊んだ。その時の光景だろうか。
走り、飛び跳ねる度に茶色の髪が揺れた。
だが、やがて日が落ち、辺りは闇に包まれる。楽しかった時間は終わりを告げる。
彼女は切なげな顔を見せ、徐々に自分から遠ざかっていく。
――待ってくれ、マユ!
繋ぎとめようと掴んだ彼女の腕は、耳障りな音を立てて肩から千切れてしまった。切れた部分は闇に染まり、腕も闇に溶けてしまった。
彼女は痛がりもせず、どんどん遠くに消えていき、やがて見えなくなった。
じきに自分も黒く覆われ、感覚が失われていく。
それでも彼女の名を呼び続けた。
そのうち自分の声さえも遠くなり、視界がおぼろげながら開けてくる――。

「シン。目が覚めた?」
優しげな声、そして光に煌いて見える紅い髪。
目覚めたシン・アスカを迎えたのはルナマリア・ホークだった。何故、自分はルナマリアの声をマユの声と間違えたのだろう。
「ルナ……?」
シンは彼女の名を呼ぶが、上手く声が出せず、その声は掠れてしまう。声を出すこと自体が久しぶりだった。
首をゆっくりと左右に振ると、白い壁。無機質な空気と薬品の匂い。
どうやら自分はベッドに寝ている。腕には点滴の針が刺さっていた。
「シンはあれから3日も眠ってたのよ。覚えてない?」
シンはゆっくりと記憶を遡っていく。

最初は静かに――燃えること、殺すことを躊躇っているような小さな炎。
変身する自分――身体が造り変えられる感覚と共に、爆発した業火に焼き尽くされる理性。
最後の記憶は男の挑発に乗り、殴りかかった辺りで途切れていた。
「そう……まあ今は身体を休めることを考えて。メイリンも私も、ほんと心配してたんだから」
378仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:43:40 ID:???
シンは腕を突いて身体を起こそうとするが、手に力を入れた瞬間、凄まじい痛みが全身を駆け抜ける。
「無理しないの!RSを限界以上に動かしたから、身体がついていかないのよ」
ルナマリアに支えられてシンは再びベッドに横たわる。自分の身体なのに思うように動かないのがもどかしかった。
だが、痛みで意識は多少覚醒した。
「ルナは……俺についててくれたのか?」
「心配ないって言われてもやっぱり心配だしね。仕事のない時間はだいたい」
そう言ってルナマリアは笑った。
「メイが倒れてた私に付き添ってた気持ちが少し解る気がする。どんなに大丈夫だって励まされても我慢できない――いてもたってもいられない。
その人が笑ってくれるまで安心できない。そんな感じかも」
彼女は目に掛かったシンの前髪を優しく、くしゃりと掻きあげた。
彼女をマユに錯覚したのは声だけじゃなく、笑った顔がどこか似ていたからかもしれない。
「それじゃあ先生に伝えてくるわ。いい?無理に動こうとしないのよ?」
「あ、ルナ」
立ち上がり部屋を立ち去ろうとするルナマリアをシンは呼び止めた。
「どうしたの?」
思わず呼び止めたものの、何を言いたいのかわからない。しかたなく――
「ありがとう」
とだけ伝えた。
ルナマリアは何も言わずに笑い、軽く手を振って出て行った。
彼女の後姿を見送りながら、シンは安らかな眠りに落ちていく。
今度は夢を見ることは無かった。

翌日、シンはベッドから起き上がり、軽いストレッチで身体をほぐす。ルナマリアは仕事なのか、そこにはシンと医者しか居ない。
シンはこの3日間、極度の疲労から眠り続けていた。診断によると身体に異常はなく、全身の筋肉痛も2,3日すれば治まる。
恰幅のいい白髪混じりの医師はそう答えた。豪快な性格らしく、意識が戻ったならさっさと出て行けと言われ、叩き出されてしまった。
シンの表情は浮かない。行動のひとつひとつにキレがないのは痛みだけのせいではない。
意識が戻ってから色々と考えた。
ふらふらと医務室を出たシンは出口を探して、ザフトの地下を歩き出す。そして彼の心も今は行き場を無くして彷徨っていた――。
379仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:44:42 ID:???
今でははっきりと思い出せる。戦いを挑み、つまらない挑発に乗せられ、RSも装着していない男にKOされたという事実――。
いまさら合わせる顔がなかった。推薦してくれたデュランダルにも、ルナマリアにも――。
そしてシンは恐れてもいる。また暴走してしまうかもしれない自分と、そしてザフトの隊長というあの男。
再び戦ったとしても、勝てるとは思えない。少なくとも今の自分では。
そしてもうひとつ――。
考えているうちに、シンはいつのまにかゲートまで来ていた。
エレベーターに乗り、1Fで降りる。
窓の外はどんよりと曇り、ここからでも雨の音が聞こえてくる。ロビーにはスーツ姿の男女がまばらに歩いているだけだ。 
外は案の定、土砂降りの大雨。少し先の景色も見えない。
傘は持っていなかったので、少し考えたが結局雨の中を歩き出した。雨に打たれれば、少しは気分も晴れるだろうか――。

――市内バス『PLANT』停留所――

空港から約一時間――バスに揺られ、ようやく目的地に到着した。
窓際の席には美しい銀髪の男が座っていた。一見女性と間違えられそうな髪と顔立ち。
だが、その眼は鋭く窓の外を流れる景色を睨んでいた。
外はもう三日も降り続く雨。雨に濡れる街も車の中から眺めるにはいいが、実際歩くにはやはり面倒だ。
「やっと着いたな。イザーク」
後ろの席から呼ぶ声にイザーク・ジュールは振り向いた。振り向くと銀髪がさらりと揺れる。
後ろの席から覗き込んでいる金髪・色黒の男がウインクして片手を振った。
「ディアッカ。降りる準備はできてるのか?」
返事の代わりにディアッカ・エルスマンは立ち上がり、荷物を軽く掲げて見せた。
二人はバスを降り、目の前にそびえるプラントのビルへと歩き出す。
「変わってないよなぁ。ここも」
久々の休暇で数年ぶりに戻ったプラントを、ディアッカは短髪を掻き上げながら見上げている。
彼につられてイザークも見上げると、通行人と肩がぶつかった。
相手が落としたと思われるカードが地面に落ちている。
380仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:45:43 ID:???
イザークはそのカードを拾い上げ、気付かずに歩き去ろうとする相手―――傘も差さずに歩いている少年だ。
「おい。落としたぞ」
振り向いた目はどこか虚ろな、心ここにあらず、といった感じだった。
「おい、イザーク。そのカード……」
ディアッカの言葉に目を落とすと、それは見慣れたザフトのカードキーだった――。

とりあえず、イザークとディアッカはその少年を近くの喫茶店に引っ張りこむ。
ザフトの隊員としては少々若いものの、それ以上に何故、傘も差さずにふらふらしていたのか。
少年は驚いているようで少し抵抗したが、イザークが一発睨みつけてやると、しぶしぶ不満げに従った。
「俺はイザーク・ジュール。こっちはディアッカ・エルスマンだ。プラント・ザフト本社のあるアプリリウスでザフトの隊長をしている」
「俺はヒラだけどな」
イザークの自己紹介にディアッカが付け加える。
ザフトの隊長――その言葉に少年は反応を示し、わずかに警戒を解く。
「それで、貴様は?ザフトの隊員か?」
先程よりかはしっかりした様子で、少年は自己紹介を始めた。

少年の名前はシン・アスカ。
デュランダル社長の推薦は受けたものの、すぐに試験を受けたいと隊長に食いついたらしい。そして試験代わりにと隊長と戦って完全に伸されてしまった、とのことだ。
社長の推薦というのは珍しいが、特に驚きはしなかった。自身の力量を過信することも、現実を突きつけられることもザフトではそう珍しくはない。
だが、その続きを聞いて二人ともが目を見開いた。
「変身せずに変身した貴様を倒しただと……?」
イザークの言葉にシンは無言で頷く。
「歳は貴様より少し上、藍色の髪――」
「イザーク……そりゃあ……」
ディアッカがイザークの表情を窺う。
そんな芸当が可能なのは自分が知る限りでは幾人も――いや、一人しかいない。
イザークは歯をきつく噛み締めていた。
「奴だろうな……!」
イザークの頭に男の顔が浮かぶ。
381仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 00:46:47 ID:???
アスラン・ザラ―――かつては戦友として共に戦った男。だが、信念の違いから彼はザフトを離れた。一時は怒りも感じたものの、今ではその行動も理解している。
戦友と共に捨てたはずの場所に、いまさら帰ってきたというのか―――。
イザークはいてもたってもいられなくなり、店を飛び出そうとする。
だが、腕を掴まれ仰け反った。ディアッカだ。
「なんだ、ディアッカ!」
「待てよ、イザーク!こいつはどうするんだ?」
ディアッカはシンを指差した。彼はイザークとは対照的に落ち着き払っている。
イザークは音を立てて再び席に着いた。
確かにここまで聞いて放り出すのも勝手な話だ。もともとは説教でもしてやろうと思い引っ張り込んだのだから。
イザークは腕を組んで考え込む。
アスランはどんな理由にせよ問い詰めなければならない。だが――。
眼を閉じて数分が流れる。
イザークはシンを睨みつけた。それは、ほんの気まぐれか。それとも彼に何か感じるものがあったのか。はたまた、奴を驚かせることができるからか――それはわからない。
「貴様はまだ奴に勝ちたいと思うか?」
シンはイザークの言葉に戸惑っているようだったが、やがて短く、だが力強く――。
「はい!」
答えた。腑抜けた表情はいつの間にか引き締まっている。
イザークは自分でも珍しいと思うほどニヤリと笑った。きっと他人が見たなら悪い顔だと言うだろう。
貴重な休暇を費やす価値があるかもしれない――。
「ディアッカ、奴への土産が決まった。付き合うか?」

――アーモリー・ワン中央公園――

翌朝、シン・アスカは彼らとの待ち合わせ場所である中央公園へと向かった。幸い天気は快晴。
都会の中心にありながら、かなりの面積のある運動公園は、昨日までの長雨で水溜りがあちこちに見られる。だが、ようやくの上天気に公園には多くの人が集まっていた。
約束の場所には、既にイザークとディアッカが待っていた。
「遅い!」
イザークはシンが来るなり怒鳴りつけた。ディアッカは横で苦笑している。
「す、すいません!」
シンは慌てて謝ってしまった。約束より十分は早く着いたはずなのだが。
「あの、訓練をしてくれるっていうのは……ここでですか?マラソンとか?」
382通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 00:47:54 ID:???
周りを見渡すと、小さな子供がはしゃぎ回っている。ジョギングをしている老人もいた。
「はぁ……」
イザークはシンに対してため息を吐き、シンを睨みつける。
「いまさら身体を鍛えたところで、意味があるわけもない。だが、技術の方ならこの二日間ひたすら鍛えれば最低限闘えるようにもなる」
シンは神妙な表情で相槌を打つ。
「はい」
「だが、それでも奴を戦闘不能にするのは難しいだろう。ならば、奴からダウンを奪う方法を考えろ。隙を見逃すな、無ければ作れ」
あの時、あの隊長が出した条件は――戦闘不能にすること。もしくはダウンをさせることだった。
確かにあの男は強い――自分よりも遥かに。戦闘不能にすることよりも、条件の甘いダウンを選ぶのは当然だろう。
だが、それで勝ったと言えるのか?
シンにはどうにも腑に落ちなかった。
「馬鹿者!転ばせることもできなければ勝利もなにもあったものではない!つべこべ言わずさっさと準備しろ!!」
「痛っ!」
イザークはシンの顔面にグローブを投げつけた。
シンはしぶしぶ顔をさすりつつ頷く。
「わかりました。でも……なんで二日間なんですか?」
「俺とイザークの休暇があと3日なんでな。」
ディアッカが横から口を挟んだ。彼は既に準備できている。
「はぁ……。」
「はぁ……て何だよ。4ヶ月休み無しでようやく取れた休暇だぜ?無駄にならないようにしてくれよ。」
イザークも白のスーツの上着を脱ぐ。ディアッカに比べると、かなり小奇麗な格好だ。あまり汚れてもいい服装には見えない。
「あの……その格好でいいんですか?」
「そういうことは俺を転ばせることができてから言うんだな」
凄い自信だ。だが、ザフトの隊長ならば、あながち自信過剰ではないのかもしれない。
「無駄口はここまでにして……」
イザークとディアッカはシンを挟んでゆっくりと移動し――
「いくぞ!!」
掛け声と同時に前後からシンに踊りかかった。
383仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 01:01:18 ID:???
二時間後、芝生の上に転がっているのはシンだった。荒い息を吐いて大の字に横たわっている。
特訓中、シンの攻撃はほとんど当たらなかった。いや、そもそも攻撃に転じること自体ができなかったのだ。
イザークとディアッカは息の合ったコンビネーションで攻める。堅実なイザークと、ディアッカのトリッキーな動きに翻弄され、シンはほとんど一方的にやられるばかりだった。
シンはあの日の隊長の動きをイメージして戦った――彼は攻撃を徹底的に捌いていた。流れるように、円を描くように。その場からほとんど動くことなく。
あの流麗な動きを真似ることができれば勝てる――。
そんな甘いものではなかった。
シンが一人を相手にする間にもう一人は後ろに回り込む。それに対応していると前の相手にやられてしまう。とても全てに対応することなどできるはずもなかった――
「どうした!こんなものか、ヒヨッコ!」
「俺たち二人の攻撃も、アイツなら捌くかもな。俺たちをかわせないようじゃあアイツには勝てないぜ?新入り」
イザークとディアッカがシンを見下ろしている。二人とも汗ひとつかいていない。
「俺はっ……シン・アスカですっ……!」
シンは息を吐き出しながら答えた。二人はシンを名前で呼ぼうとはしない。
「貴様が一人前になれば呼んでやる」
だそうだ。
「やるなら早く起きろ!でなければいつまでも寝ているがいい!」
その言葉がシンに火をつけた。未だ迷いは晴れていない――何故立ち上がるのか自分でもわからない。
シンはよろよろになりながらも立ち上がる。その眼は未だぎらつきを失ってはいない。
「まだまだぁ!!」
拳を構え、足を強く踏み込み、悲鳴を上げる身体を支えた――

更に二時間程が経過。時計の針はとっくに14時を回っている。
「ここらで休憩でもするか。そろそろ腹が減ってきたぜ」
最初に言い出したのはディアッカで、イザークもそれに無言で頷く。
「はい……」
シンはさっきよりも顔を腫らして、同じように芝生にダウンしたまま答えた。
既にそんな時間になっていたことに言われるまで気付かなかったが、腹時計はわかっていたようでシンにその存在を主張した。
「それじゃあ行くか。この近くにいい店があるんだ」
ディアッカに連れられていった店は公園から程近い通りにある喫茶店だった。
384仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 01:02:38 ID:???
屋根には『FREEDEN』と小さな看板が掛けられている。
店内は、日光を多く取り込む造りが店を明るく感じさせる。白を基調にした落ち着いた雰囲気の店だ。昼食時を過ぎているせいか、他の客は一人しかいなかった。
「それじゃ、座っててくれ」
イザークとシンは窓に面したテーブル席に通され、ディアッカは奥から出てきたマスターらしき人――口髭を整え、バンダナをしている上品そうな男性――と話し出した。
内容までは聞き取れないが、何やら頼み込むディアッカに首を振っている。だが、しつこく頼むディアッカに彼はとうとう困ったように頷き、一緒に奥に入っていった。
「あれ、何しにいったんですか?」
シンは奥を指差してイザークに尋ねる。
「すぐにわかる。黙って待っていろ」
としか答えてくれない。それきり会話は途切れてしまった。
気まずい沈黙。こういった時は何を話せばいいのだろう。
店員もマスターの他には一人しかいないのか、コーヒーを運んできたらすぐに奥に引っ込んでしまった。
「さっきの戦い方はなんだ?」
「え?」
突然イザークが口を開いた。
「貴様はあの男の戦い方を真似ようとしていたな。無駄だ。やめておけ。貴様には向かん」
イザークはシンが訓練中、あの隊長がやったように、攻撃を捌こうとしていたのを見抜いていた。
だが、何故そんなことを言うのか。それはわからない。
「俺は……あの時、俺が怒りに任せて暴走したから負けたんです……。俺が冷静でさえいれば……」
シンはあの時を思い出して歯を食いしばった。
「貴様は奴の挑発に怒り、暴走したことを恥じている。だが、家族や仲間、自らの誇りを傷つけられて怒らない者などいない。少なくとも俺は認めない。」
「でも、俺の中の怒りを無くさないと――俺はまた暴走してしまうかもしれない!」
「怒ればいい。それが貴様の力となる。貴様が暴走したのは、怒りのせいだけだと思っているのか?」
「……どういうことですか?」
「思い上がるな。貴様がどれだけ冷静であろうと、奴に勝てるはずがない」
「なっ……!」
思わず顔が熱くなる。握る拳に力が入った。
「まぁ聞け。奴の戦い方は貴様には合わんというだけだ。訓練と経験を重ね、己を支える信念があれば、怒りをコントロールし、それを爆発させる戦い方もできる。」
385仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 01:03:40 ID:???
イザークは言いながら、当然とでも言うようにコーヒーを啜った。それは彼にとって当然のことなのだろう。
「結局はスタイルの問題だ。どちらにせよ、何度も訓練を重ねなければものにはならん。それに奴とて全ての感情を押し殺して戦っているわけではない。奴にも迷わない理由――少なくとも冷静に徹することのできるものがあるんだろう」
そう言ってイザークがどこか遠い眼をするのにも、シンは気がつかなかった。
シンが悩んでいるのは、暴走、そして歴然とした力の差。
だが、それだけではない。
信念――その言葉がシンの中でぐるぐると回っていた。それは状況に流されてきた自分には無いものだ。
あの時デュランダルは、シンに『市民を守るために戦ってほしい』と言い、シンはそれに応えた。
だが、実際はあの灰色の怪物を見た瞬間に、そんなことは頭から消えていた。彼を支配していたのは怒りと恐怖が入り混じった感情。そして、父を愚弄したあの隊長にはただただ怒りのみをぶつけていた。
デュランダルへの誓いなど砂上の楼閣のように容易く流されていた。
自分は名も顔も知らない誰かのために戦うことなどできないのか?そんな自分がザフトに入ってどうしようというのか。
そんな思いが、シンの中で渦巻いていた。
「ならば何故、貴様は俺に応えた?」
イザークはシンに問う。
「わかりません……。あの時はただ勝ちたいと思ったんです。それに……たとえ身勝手な復讐だとしても、俺は真実を知りたい」
「ならば今はそれでいい。真実も信念も勝手な思い込みだ。そんなものを振りかざして他人を傷つけるなど傲慢でしかないが、それを自覚しているならそれでいい」
「でも……」
――グゥレイト!!
それでも納得できないシンを遮って厨房からディアッカの声が響いた。何かと思っていると、しばらくしてディアッカが大皿を持って現れた。
「お待ちどうっ!昼飯できたぜ」
大皿一杯に盛られた飯は狐色に炒められ、なんとも香ばしい香りを漂わせる。
飯の隙間からは、大きめにザク切りにされた赤い物体が覗いている。
シンは熱々の湯気を立てるそれを口に入れる――醤油の焦げた香り、胡椒他のスパイスの香り、そして特有のキムチの香りが混然と鼻腔をくすぐる。具は豚肉、卵、ネギ、白菜のキムチといったところか。
386仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 01:04:41 ID:???
一口食べればどんどん次が欲しくなる。口の中で跳ねる米粒の熱さとキムチの辛さに気付けば汗が噴き出ていた。
それでも手は止まってくれず、あっという間に平らげてしまった。食べた後も身体の中でまだ燃えているような辛さが心地よく、満腹感を味あわせてくれる。
「どうやら味は聞かないでもよさそうだな」
シンを見て、ディアッカは嬉しそうに歯を見せて笑った。
「ここのマスターがいいキムチを持ってるんだよ。それをちょっと頂いたんだ」
口ぶりから察するにこのキムチチャーハンも彼が作ったらしい。
シンよりも早くキムチチャーハンを平らげていたイザークが口を開いた。
「悪くない。だが――らしくないな」
顔は得意げな表情のディアッカに向いている。視線はやはり鋭い。
「塩と胡椒が少々きつい。分量を間違えたか?」
ディアッカはにやりと笑った。
「わかってねえなぁ、イザーク。こいつは新入りに合わせて作ってあるんだ。汗をたっぷり掻いて疲れた身体にゃ多少塩を濃くしたほうが美味いんだよ」
「しかし、卵には火を通しすぎだ。米粒に十分絡んでいないし、辛さを和らげる役目を十分に果たしていない」
「……お前相手だと気が抜けねえよ」
そう言ってディアッカは軽く肩を竦めた。

「ふーっ、もう食べられない」
シンは満足そうに腹部をさすった。デザートとして出た杏仁豆腐は、熱くなった身体と口の中を適度に冷やしてくれ、胃袋を落ち着かせてくれた。
「こんなに綺麗に食ってもらえりゃあ作り甲斐があるぜ」
ディアッカは空になった容器を片付けていく。
そして誰よりも早くデザートを平らげ、今はコーヒーを啜っているイザークもカップを置き、シンの眼を見据えた。
「どうだ。満足したか?」
「はい、もう大満足です。コーヒーも美味いし、店の雰囲気もいい感じですね」
シンは何気なく外の道路を向き、差し込む日光に目を細めた。
こんなに落ち着いた時間を過ごしたのは久し振りな気もした。暖かさは眠気を誘い、こんな時でなければ昼寝をしたいくらいだ。
イザークもシンの視線を追い、通りに目をやる。少し眩しそうに目を細め、そして再びシンに目線を戻した。
「そうか。この店も俺の戦う理由の一つだ。そしてお前の探している答えの一つかもしれん」
「この店が……?」
387仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 01:05:48 ID:???
シンは店をぐるりと見渡す。何度みても何の変哲もない喫茶店だ。
「ここだけじゃない。街の南にある洋食屋もそうだ。そこは常連になると鯖の味噌煮を食わせてくれる」
今度は洋食屋ときた。シンはどんどん訳がわからなくなってくる。
「あそこはウェイトレスの娘が可愛いぜ。ちょっとばかし無愛想だけどな」
「貴様はそれであの妙な常連の男に睨まれていただろうが」
そのうちディアッカも混じりだして、ますます置いていかれてしまう。二人とも傍から見れば、思い出話に華を咲かせているようにしか見えない。
「東地区にある甘味処は団子が格別だ。それもみたらし団子だな」
「ああ。あそこも看板娘の二人が可愛くてな――」
「ちょっ……ちょっと待ってください!」
そこでようやくシンは止めに入った。このままいつまでも話されていたのではたまらない。
「なんでそれが戦う理由なんですか?食べ物屋ってだけなんですか?」
二人は会話を止めシンに向き直った。
「貴様の言うとおり、ここはただのカフェでしかない。」
「俺らは昔、三年程この街にいたことがあってな。この街のことなら美味い飯屋から、成功率の高いナンパスポットまで網羅してるんだぜ?」
「それは貴様だけだろうが!」
この人たちはどうやら放っておくとこうなるようだ。
シンのジト目に二人はようやく気付くと、罰が悪そうにゴホンと咳払いをした。
「つまりだ、ヒヨッコ。貴様はまだこの街に来て一月程度しか経っていない。しかも一月と3日は病院と医務室で寝ていた。貴様はこの街をどれだけ知っている?」
「ショッピングモールに映画館。プール、遊園地。図書館、博物館。この街にもいろいろあるぜ?」
「それは……」
シンは何も知らなかった。今までは考えたことも無かった。
三年前、家族を失ってからシンの生活は淡白そのものになった。
買い物は最低限、ましてや遊ぶことなど全く無く、人間関係も希薄になった。以前は当たり前だったそれは、いつから無縁のものとなっていたのだろう。
「知らない街、知らない他人の為に命懸けで戦うことなどそうはできん。貴様はもっとこの街を知るべきだ」
「知ったからこそ、好きになれる。守りたい気持ちも湧いてくるってもんだろ?」
「そう……かもしれませんね」
考えてみれば当然のことだ。しかし今までただ無為に生き、真実を知ることしか頭になかったシンには衝撃だった。
388仮面ライダー・デスティニー 第5話:2007/06/14(木) 01:06:54 ID:???
同時に、デュランダルに軽々と誓った自分を恥じた。たかが二度、戦いに勝ったというだけで、できると考えていた。
命懸けで誰かのために戦うことは、甘いものではない。一月前の戦いでその身に刻んだはずなのに――。
「それでも、何も知らなくても……あの日、社長に誓った時の思いは嘘じゃなかったと思います。それに――たかが一月でも、守りたい人が俺にもいる。」
もっと彼女らを知りたいと思う。そしてそれは守りたいと思う気持ちへ繋がるはず。
今度こそ前を、上を向いて戦えそうな気がした。
「それでいいんじゃないか?多分、街の景色も少しは違って見えると思うぜ」
「長く休憩し過ぎたか。そろそろだな」
イザークが立ち上がると、続いてディアッカ、シンも席を立つ。不思議と身体が軽い。
「今日は奢りだ。但し、今度はまともな戦いをさせてくれるんだろうな?」
その眼は厳しいままだったが、口許は心なしか綻んでいる――ような気がする。
「はい!」

「ただいま〜……」
生気の抜けた声でシンは玄関のドアを開いた。リビングではメイリンがソファに足を乗せて寛いでいる。
「おかえり〜……ってシン!?どうしたの!?」
顔を腫らしてボロボロになったシンを見て驚いている。
当然だろう。あれから夜になるまでひたすら殴られ続けたのだから。
だが、自分の中で確かなものは感じていた。昼までとは確実に違う何かを。
「大したことないよ。それよりルナは?」
「お姉ちゃんならまだ帰ってないよ。あ、ご飯食べる?」
「食べる!」
疲れ果てていても食欲は存分にあるのは健康な証拠だ、と実感する。
「はいはい。でもその前にちょっとは手当てしなきゃね」
救急箱を持ってくるメイリン。
「痛いって!もう少し優しく……」
「もうっ!贅沢言わない!あ〜あ……凄い傷だね」
結局その日は、夕飯をルナマリアの分(一般成人男性の約3人分の食事量)まで食べてしまった。
すぐさまベッドに倒れ込み、泥のように眠るシン。
彼にはルナマリアの帰りが誰も起きていない深夜になったこと、メイリンの連絡にも答えなかったことなど気づくはずもなかった――。
389仮面ライダー・デスティニー:2007/06/14(木) 01:08:17 ID:???
以上です。これでも長いですね。……今後もっと分割します。
本当はアスランとの戦いまで書くつもりでしたが、やたら長くなったので途中で区切りました。
そのせいか会話メインになってしまいましたが。
390通常の名無しさんの3倍:2007/06/15(金) 20:13:10 ID:???
GJ!シンカコイイヨ!ルナはなにしてるんだ?
391通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 22:42:30 ID:BIJ9a+XD
あげ
392通常の名無しさんの3倍:2007/06/19(火) 18:27:06 ID:???
保守
393通常の名無しさんの3倍:2007/06/21(木) 01:06:18 ID:t/Nehn+L
保守age
394通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 08:36:47 ID:???
まとめサイトの更新が止まってるな・・・
>>394
呼ばれて出てきました。更新してなくてスイマセン。
実は3スレ目途中で見れてないうちにdat落ちしたので3スレ目持ってないのですよ……。
今週末時間が多少あるので持ってる分(3スレ最初のほうと4スレ現在)はやってみます。

3スレ目持ってる方がいたらどこかにアップしていただくか、Wikiの編集をトップページも
オープンにしたので編集に協力していただけると幸いです。
396通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 20:05:27 ID:???
>>395
html形式ですが、どうぞ
ttp://www.uploda.org/uporg868372.zip.html
39731@wiki”管理”人 ◆MRSinWBV9. :2007/06/23(土) 01:45:35 ID:???
>>396
ありがとうございます

wiki更新してみたので抜けがあればフォローお願いします。
398通常の名無しさんの3倍:2007/06/25(月) 08:56:14 ID:???
保守
399通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 00:14:13 ID:???
上げ保守
400通常の名無しさんの3倍:2007/06/27(水) 23:59:13 ID:???
もっと職人さん来てほしいね。どれもクオリティは高いから賑わってほしい。
401通常の名無しさんの3倍:2007/06/28(木) 00:34:46 ID:???
もうちょっとでKIRA書けそうです。間が広がってすいません。
最終回までの構想と展開考えるだけで毎日がすぎるなんて……。多分種デス編合わせて全部で25〜30話になると思います。
402通常の名無しさんの3倍:2007/07/01(日) 05:33:30 ID:???
保守
403通常の名無しさんの3倍:2007/07/04(水) 19:26:16 ID:???
例の小説版ライダー、石ノ森先生が残した奴を書き起こした奴だったが…。
仮のタイトルが『仮面ライダーガイア』だったので、思わず吹いた。

以後、仮面ライダーEVE版ガイアをモチーフとかありそうだな。
ただ、設定通り昭和ライダーをそろえるか、
種、種死版ライダーでそろえるかでかなりかわりそうだが。
404通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 18:02:39 ID:???
保守上げ
405通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 18:35:54 ID:???
昭和ライダーの活躍見たいなw
風見に超スパルタ特訓受けるシンとか
406平成風ですが、仮面ライダーKIRA:2007/07/09(月) 20:50:00 ID:???
PHASE-07 燃えゆく牙


時報が鳴り響く。フレイは急いで別の教室へ向かった。扉を開けたが教室にはキラの姿はなく、トール達も沈んでいた。
「ミリアリア……キラは?」
「……帰ったわ」
恐らく、まだあの場所゙に行ってるのだろう。直ぐに校門まで走って向かう。
昇降口まで来ると、外は雨が降っていた。あの時から雨が続いている。もう一週間もだ。
季節はまだ梅雨前だというのに。ある意味、キラの心を現してるのかもしれないという考えがフレイの頭をよぎった。


機械のように足の幅を変える事無く歩いていく。傘はさしてはいるが、キラの表情はずぶ濡れしたような顔になっていた。
未だに片付けきれていない瓦礫。その中にある電柱の周りには花が菓子が添えられてあった。
その中で最も眼を引かれたのは折り紙だった。エルが自分にくれた形と同じ……それが幾つもあった。
雨に濡れて破けかけている。キラは一枚持ち上げる。そして、持ってきた花を彼は置いてその場を離れた。
ふと振り向くと、エルと同じくらいの少女が数人、花と折り紙を置きにきていた。今度は濡れないよう、ビニールに包んで。
少女達は泣いていた。それを見た瞬間、キラは跪いてしまった。

――守れなかった。守れたかもしれないのに


「く……う……」
傘はもう持てなかった。代わりに泥を掴んで、己の非力さに怒りを感じていた。
407通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 20:51:35 ID:???
あれから戦いにはキラは参加していなかった。いや、正確には参加してはいたが戦闘行為はしていなかった。
出来なかった……のが近いかもしれない。失意そのものが彼にのしかかっているのだ。

家に帰ってもまともに食事はとれていない。心配した母のカリダの言葉にもうん、とくらいしか答えてはいなかった。
部屋に入り、一人になると尚更思い出してしまう。散らばる肉片と広がる血を。


゙ブブブ、ブブブ゙

携帯が鳴る。キラは一応出ることにした。とはいえ、上手く喋る自信はないのだが。
「もしもし……」
自分でもわかる。暗い声だ。誰と話すときもこうだったと思うと情けない。
「元気ないな」
「……アスラン?」
それは隣の家に゙住んでいだアスランからだった。彼から呼び出されたキラは意の向かないまま、近所の公園に向かった。


雨が止まない。そんな中、アスランは公園内のドームの中にいた。ここなら雨をしのげる事を知っていたからだ。
「入れよ」
「うん……」
小さいドーム。本来ならば幼年の子供向きだが、2人ならば高校生でも入れる大きさである。
「懐かしいよな……昔は俺達、ここでかくれんぼしてたよな?」
幼い頃の記憶を絞りだし、会話を試みる。しかし、全てキラにはうっとおしいとしか感じれなかった。
「……何を言いたいのさ?」
「……俺の親父とお袋もZAFTに殺されたんだ」
「!!?」
唐突な話だったが急に引っ越した理由、それを全て今の一言で理解できた。
「俺はそれでライダーになったんだ……悔しくてな。親父達を救えなかった昔の俺は今の俺に言うんだ……゙もし、あの時力があったら゙、てな」
最初にストライクになった時、カガリを頑なに守ろうとした理由。それは失う者の大きさを知ってるからだろう。
408通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 20:56:14 ID:???
自分だけじゃない。その人が関わった全ての人が悲しむ。だからアスランは戦う、そう理解できた。
「アスランは強いな……僕には出来ないよ」
「…俺がお前にこの話をしたのは自慢するためじゃない……。悔しいだろ?だったら、その怒りを敵にぶつければいいだろ!」
ついつい立ち上がってしまう。純粋にライダーとしてではなく、親友としてキラを奮起させたかった。
胸ぐらを掴む手を払ったキラはドームから出ようとした。アスランは待てと言わんばかりに肩を掴む。
「やめてよね……みんながみんな、君みたいにできるわけじゃないんだよ……。僕のことはほっといてくれ……」
「っ……キラ…」
そう言われてアスランは力を抜いてしまった。自分の目的のために親友を利用したいわけではないからこそ、余計に言葉がのしかかって来る。

傘をさした。雨はますます強くなっている。だが、慌てもせずにキラはただ歩きだす。
「……キラ…待て!!」
振り向いた瞬間、アスランの拳がキラの顔を突いた。傘も放し、体が泥の中へと落ちていった。
「お前が戦わなくても、ZAFTは倒せる!。だけどな、俺達はお前が守りたい人達を守れないんだよ!!」
「……」
「お前が守りたい人達は……お前しか守れないんだよ!!。わかったか、馬鹿野郎!」
もう一撃拳でキラの顔が歪む。さすがのキラも怒らないはずはなかった。
「わかってるんだよ……僕にだって…それくらい!」
キラもアスランを殴り返した。初めてかもしれなかった。喧嘩が嫌いだったキラは人を殴った記憶がない。
409通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 20:58:30 ID:???
「なら、どうして戦わない!?。その気があるなら……」
砂場で取っ組み合い、もはや喧嘩というより子供の泥遊びみたいだった。
親友通しだからできる、男だけが出来る拳の喧嘩と会話。
「でも、怖いんだ!。また……守れないんじゃないかって……自分がそうなるのが、とても怖いんだよ!!」
「だったら、覚悟を決めろ!。もう誰も死なせず、守りぬくと!。誓え、キラ!!」
2人の拳は互いにカウンターの形で決まりあった。双方とも地面に伏し、疲れの顔を見せる。
「はぁ……はぁ……うん…アスラン、ありがとう…、はぁ、はぁ……」
「はは……痛いな…」


翌日、フレイはバイク置場にて待っていた。自分の責任をキラに押しつけてしまっている。なんとかして負担を軽くしてあげなければ。
(でも考えが浮かばない……こうなったら…)
頭によぎるだけで顔を赤らめてしまう。傷心の彼を癒す方法はあまりにも簡単であり、しかし踏み切れないものであった。
(いえ…彼氏でもないのに……でも……)
フレイの中で大きくなっていくキラの存在。それは出会った時よりも確実に。
(……)
「フレイ?」
「え?」
ハッとすると目の前にはキラがいた。2人共、ついつい驚いた表情をしてしまう。
「お、おはよう……」
「おはよう。どうしたの?バイク置場にいるなんて」
410通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:01:13 ID:???
いきなり核を突かれて慌ててしまう。なんとかして気を落ち着かせようとして話を本題に移した。
「キラが最近落ち込んでたから、気分転換に映画でも一緒に……なんて考えたんだけど…」
わかってる。こんな事でキラの気持ちは晴れない。それに、原因は自分にあるのに図々しい。
゙力゙を持たないフレイは逃げ道がある。しかじ力゙を持ち、助けられなかったキラは性格上フレイの責任の分も背負ってしまっている。
「……ありがとう。でも僕はもう、大丈夫だから」
昨日アスランに励まされ、なんとか気を取り戻した。もちろん、完全とは言えない。しかし、ずっと逃げ続けるわけにもいかないのだ。
「だから……?。フレイ?」
彼女は震えていた。それはキラにも十分理解できていた。悔しいのは、悲しいのは自分だけではないのだから。
゙力゙を持っていないのは、゙力゙を持ちながら救えなかったのとはまた違う悲しさが存在する。
「あの時、銃弾一発でどうにもならなかったことくらいわかる……でも引き金を引けないで、ただ見殺しにするしか出来なくて……私、私……」
「フレイ……」
そう、恐らくキラ以上に痛感している。キラ自身そう感じていた。
少しの間の後、啜り泣くフレイの顔を自分の胸に当てる。
「僕がフレイの想いの分も戦うよ……。僕に与えられだ力゙を僕はみんなを守るために使うから……」
411通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:03:13 ID:???
力強い。それはただ肌に感じる力だけではない。伝わってくる彼の鼓動がそれを物語っている。
信じれる。自分が思ってるより、キラは全然強かったと知った。


昼休み、キラはバルトフェルドに呼び出されていた。趣味でいれたコーヒーがテーブルに置いてあった。
「……バルトフェルド先生、これを飲めって事ですか?」
「ああ、くつろいでくれ」
セキュリティがあるとはいえ、今だに宿直室が残るこの高校。そんな狭いものでもないが、生徒の身としては落ち着かないものだ。
「先生、僕にようがあるですけど……」
「……お前がこの間の戦いで会ったという女を俺は知ってる」
「!?」
思わず立ち上がってしまう。ポタポタというコーヒーの垂れている音。バルトフェルドも自分のコーヒーを注いで口を付ける。
「実は俺は――」

複雑な心境になる。奴はエルを殺させた張本人。それは間違いない。そうでありながら、この話を聴いて戸惑わないわけがなかった。
聴きおわった所で出動要請が入った。キラは何も深くは聴けないままライドグラスパーで現場へと向かっていた。


既にそこではイージス達が戦っていた。バクゥ相手だが、やはり2回目だけあって慣れたもの。
各々がバクゥの速度に対応した戦闘をしている。すれ違いざまに四肢にある剣で斬るイージス、粉骨砕身の勢いで攻めるデュエル。
障害物を利用したヒット&アウェイをするブリッツに、経験を活かして軌道を読んだ射撃をするバスター。
そして言葉をかけるよりも早くキラは彼らが開けてくれた道を突っ走った。変身という掛け声と電子音が鳴り、奥にいる目標へ向かっていた。
412通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:05:02 ID:???
ライダー達の予想以上の成長速度に舌を捲くはめになった女は護衛のバクゥを全て戦闘へ向かわせた。
苛立つ彼女の本能が感じたのか、左へと足を踏み出す。直後に彼女のいた場所には爆音と同時に穴が開いた。
「アンディ……」
「その名前で俺を呼ぶんじゃない」
バリアントを放り投げても、かなりの重装備で固めたバルトフェルドがそこには立っていた。
「やはりアイシャの姿を……」
アイシャ、それはバルトフェルドが守れず、オーブに入ったきっかけを作った人である。
同時に彼女はキラが現時点で最も憎んでる人物であるのは間違いなかった。そして、再び雨が降り始める―――。


―「あの女がZAFTなのは明白だ……擬態するために喰らった人物は俺が愛した人なんだ」―

キラの脳裏にバルトフェルドの話が甦ってくる。

―「彼女とは、アイシャとは大学時代からの付き合いだった。互いに愛し合い、結婚も考えた時も少なくない。だが、1年前に俺達はZAFTに襲われたんだ」―

雨雲がかなり黒く、余計に悲しさが増してしょうがない。

―「あの日も雨が降っててな……一匹だよ。たった一匹のバクゥにアイシャは喰われた。俺も左眼を失った……目蓋から血と雨が混じった味は忘れない」―
413通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:06:14 ID:???
バルトフェルドはイーゲルシュテルンをアイシャに向ける。しかし、反応は明らかにアイシャのが早かった。
「また傷を付ける?」
「それはごめんだな」
フィルムケース程の小さい筒をばらまく。爆煙が広がり、辺りは白い煙に包まれる。
「煙幕?」
「スモークディスチャージャーってのだ。便利だろ」
熱センサーによる位置特定をし、イーゲルシュテルンを撃ちこむ。ただただ撃つだけだった。
引き金を押し続け、バルトフェルドは止まらなかった。当たっていないからだ。撃つよりも速く、飛ばされるより早く痛みを感じた。
「ぐわっ!!」
目の前にはバクゥとは違う、オレンジ色をした狼のZAFTが瓦礫の上に君していた。
イーゲルシュテルンは細切れになっている。本気であるなら既に殺られていただろう。
「私はお前を喰わないよ。若い女の肉しか興味がないんでね……そのお陰で美しく進化できているつもりだ」
「ふ……俺は死んだ方がマシだとかそんなタチじゃないんでな。殺されるつもりもないぜ」
彼の予感は当たった。水が裂ける音と同時にビームライフルが瓦礫を崩した。

゙CHANGE AILE STRIKE゙

瞬時のフォームチェンジ。サーベルと両端に伸びる牙が交差する。
414通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:07:42 ID:???
「先生、大丈夫ですか?」
「なんとか……ちぃと痛いけどな」
バルトフェルドから離すためにストライクは斬り掛かりながら間を広げていく。
「バクゥとは違うのか?」
「私は……ラゴゥという名前さ。何故かわからないが、君を……」

何故かわからない。しかし、どうしてかクルーゼに言われた事を思い出した。喰ってみたい。このストライクに変身してる坊やを。
「お前のせいで、あんな小さい女の子が……」
あったはずの未来を恐怖の中で断たれた。それを許せない。キラはサーベルを握る力を強めた。
「許さない……お前は!!」
力強く振ったサーベルは単調で、簡単に避けられた。そればかりか回り込まれて顔に遠心力を利用した蹴りをくらう。
「うわ!くそ……」
軽い脳震盪を起こしたのか視力が一時的に低下している。その間にも速力で勝るラゴゥはストライクの装甲を削っていく。
「が…く……このぉッ!」
宙返りをしながら振り下ろされるサーベルを避け、背中の砲台からビームを撃つラゴゥ。
頑丈なPS装甲が焼けていく。視力が戻らないキラには恐怖だった。
「早くその装甲をさいで喰いたいわ」
男の奴をなぜか?。ラゴゥはそんな事は考えられなかった。ただ目の前の獲物を喰いたいだけだった。
「どうしてZAFTは人間を喰らうんだ!?」
「人間も動物の肉を喰うだろ?同じでしょ?。強いものが弱いものを食らって残る!!」
415通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:10:12 ID:???
「先生、大丈夫ですか?」
「なんとか……ちぃと痛いけどな」
バルトフェルドから離すためにストライクは斬り掛かりながら間を広げていく。
「バクゥとは違うのか?」
「私は……ラゴゥという名前さ。何故かわからないが、君を……」

何故かわからない。しかし、どうしてかクルーゼに言われた事を思い出した。喰ってみたい。このストライクに変身してる坊やを。
「お前のせいで、あんな小さい女の子が……」
あったはずの未来を恐怖の中で断たれた。それを許せない。キラはサーベルを握る力を強めた。
「許さない……お前は!!」
力強く振ったサーベルは単調で、簡単に避けられた。そればかりか回り込まれて顔に遠心力を利用した蹴りをくらう。
「うわ!くそ……」
軽い脳震盪を起こしたのか視力が一時的に低下している。その間にも速力で勝るラゴゥはストライクの装甲を削っていく。
「が…く……このぉッ!」
宙返りをしながら振り下ろされるサーベルを避け、背中の砲台からビームを撃つラゴゥ。
頑丈なPS装甲が焼けていく。視力が戻らないキラには恐怖だった。
「早くその装甲をさいで喰いたいわ」
男の奴をなぜか?。ラゴゥはそんな事は考えられなかった。ただ目の前の獲物を喰いたいだけだった。
「どうしてZAFTは人間を喰らうんだ!?」
「人間も動物の肉を喰うだろ?同じでしょ?。強いものが弱いものを食らって残る!!」
416通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:11:30 ID:???
(だめだ……)
エールストライカーの一部が欠けてきた。PS装甲も切れるのも時間の問題である。
(エルちゃん……僕は、君を……)
助けられなかった。散乱する肉片と血を思い出す。憎い。殺意があふれ出てくる。
(殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す………)

――殺してやる!!

――パアアァァン――

咄嗟に判断できた。サーベルで牙を止めた。ラゴゥは急いで距離を置く。
「まぐれで……」
飛び掛かる牙もビームもサーベルで弾いていく。ラゴゥは驚いて動きを止めた。
「馬鹿な……」
「う……ウワアァァ!!」
エールの爆発的速力を最大にしてサーベルをラゴゥに当てる。そして瞬時にビームライフルを右前足と左後ろ足に撃つ。
「があっ……」
ラゴゥは恐怖を感じていた。反応できないはずの攻撃に反応し、こうも簡単に流れを変えてしまった奴に。
「……僕は何を?。視力が戻ってる……」
キラはたったあれだけをしただけで正気に戻った。ラゴゥはその隙を逃さなかった。
「何かわからないけど、もらったーー!」
「!?」
牙が襲いかかる。だが、届かなかった。一発の銃弾がラゴゥの顔に当たって軌道が変わった。
「今だ、キラ……殺れーー!!」
バルトフェルドの怒声。キラは急いで番号を押す。

゙X-105 ライダーキッグ

跳ねとぶラゴゥにストライクの蹴りが当たる。火花を散らしながら、血を流しながら地面に伏すラゴゥ。
しかし、なお立ち上がった。
417通常の名無しさんの3倍:2007/07/09(月) 21:13:13 ID:???
「があぁ……よくも…死ねぇぇ!」
口を開き、装甲があるのに喰らいつこうとする。ストライクはアーマーシュナイダーを取り出し、頭部に刺した。
それは雨が止んだのと同時に指した日の光による一瞬の幻影かもしれない。
ただ、バルトフェルドにはアイシャが微笑んだ気がしていた。
ラゴゥの爆炎はストライクを包んだが、キラは無事だった。彼は晴れた空をただ眺めていた。
エルが生き返ったわけではない。助けられたわけでもない。だが、何か達成感を感じていた。
「バルトフェルド先生……僕は、戦います」
「そうか……」

キラはその後あの場所にいった。相変わらずエルの友達が折り紙を置いているようだった。
だが、今度は破れない。太陽が優しく、包んでいる。キラはそこに自分が折った花を置いた。エルがくれた花と同じ花を
彼の雲はやっと晴れた。彼は生きる。それは生きるものの努めだから

to be continued……
418通常の名無しさんの3倍:2007/07/10(火) 16:28:48 ID:???
GJ!
男同士の拳の語り合いは、ぜひやってほしかった要素なので、
今回も楽しめました。
419通常の名無しさんの3倍:2007/07/11(水) 16:14:37 ID:???
人いないっすね。もっと盛り上げましょう。他の職人さんは忙しいのかな?

なんとか7話書けて良かったっす。ちとバルトフェルドとアイシャの描写が下手ですいません
420通常の名無しさんの3倍:2007/07/16(月) 19:09:16 ID:???
上げ保守
421MRS-D:2007/07/16(月) 23:52:30 ID:???
お久しぶりです。随分と間を開けてしまいました。
それでは梅雨空の元投下します。
PHASE06『セカンドステージ』 SIDE-B

「つ、疲れた・・・・」
 アレからもルナとシミュレーションを繰り返し、時刻は既に夜。周辺は既に暗
 闇に包まれている。
 とぼとぼと歩くシン。夕飯は赤福にて既に食べてきている。
 あとは帰宅してシャワーを浴びて寝るだけだ。
 というよりもそれ以外出来そうになかった。
 早く家に帰りたい。シンの脳裏にあるのはそれだけだった。
「るんるんるん〜♪」
「ん?」
 陽気な歌声。
 歩きながら、横を見る。公園の中でやけにひらひらした服を着ながら少女が
踊っていた。
 くるくると身体を回転させるようにステップを踏みながら踊っている――それも、
ジャングルジムの上で。
 足取りは軽やか。ステップは正確。けれど、見るからに危険なその光景。
 足を踏み外せば、そしてもし地面に落ちてしまえばそのまま死に至りかねない。
 人体と言うものは思いのほか脆弱なのだ。簡単な衝撃でも当たり所が悪ければ
死に至る。後頭部を打つだけでなく、衝撃の伝わり方によっては後頭部以外であ
っても死に至る。
 至らないまでも後の人生に影響を与えるような重大な後遺症を残しかねない。
 シンは一種、その少女に注意しようかと思い―――止めた。
 自分の危険に気付かずに行動するのは子供くらいのものだ。
 だから、シンはその光景に注意を払わなかった。
 見れば少女の年齢はシンと同じくらいである。
 幾らなんでも―――そう思い、シンはそちらを見ていた視線を前へと向けた。
 だが、
「きゃあ!?」
 悲鳴に思わず振り向いたシン。
 少女はステップした足を滑らせ、転がるように、後頭部から地面に向かって、
落ちていく。
422MRS-D:2007/07/16(月) 23:53:49 ID:???
 その一瞬は致命的な一瞬だった。
「ば―――」
 距離にして数m。
 シン・アスカは持っていた鞄を放り捨て、走り出した。
「あ、だ」
 世界がスローになっていく錯覚。
 少女の落ちる姿が見えた。
 少女が死ぬ。
「駄目だ・・・・!」
 胸の奥、体の何処かで、何かが弾けた―――ような気がした。
 気が付けばシンは、少女の落ちてくる場所。
 そこにスライディングするようにして滑り込んでいた。
 腕の中にある暖かい重み。
「・・・・・うぇい?」
 腕の中には少女がいた。少女は何が起こったのか理解出来ていないのか、
突然現れた見た事もない男―――シンのことだ―――を見つめている。
 その顔を見て、シンは思わず少女の肩を掴み、叱責する。
「何やってんだ、アンタは!!もう少しで死ぬところだったんだぞ!?」
「え?」
「だから!もう少しで死ぬところだったんだぞ!・・・・っておい、どうしたんだ?」
 少女の表情が突然切り替わる。無邪気な子供のような表情から、狂った鬼のような表情へ。
「死ぬ・・・・死ぬ・・・・死ぬのは嫌・・・・」
 身体をガタガタと震わせ、少女はぶつぶつと呟く。
 シンはそのあまりの変わりようを見て、少女に声をかけようとして、右手を前に出した。
 少女はそれを見て、眼を剥いて、少女が叫んだ。
「嫌、死にたくない!ステラ、死にたくない!!スティング!!アウル!!ネオ!!助けて!!助けて!!どこ!?みんな、どこ!?」
 差し出されたシンの手を殴るようにして払いのけ、後ずさり、ジャングルジ
ムに寄り掛かるようにしてうずくまる。
「お、おい、大丈夫か!?」
 蹲った少女に駆け寄るシン。
 だが、少女はそんなシンなど眼に入らないのか叫び続ける。
423MRS-D:2007/07/16(月) 23:56:18 ID:???
「助けて!!助けて!!」
 泣き叫ぶ少女。
 シンはそれを見て、その症状を看破する。それは数年前まではどこででも良
くある光景だったからだ。

 ―――戦後、誰もが心に傷を負っていた。
 戦争において幾度も空爆を受け、住む家を失くし、愛する家族を亡くした人
々はそれこそ数え切れないほどに存在していた。
 彼らに与えられるストレス。それは凄まじいものだった。普段は表面には現
れないそのストレスは時折何かをきっかけとしてこうやって現れる。
 フラッシュバック。
 瞬間的に脳に刻み込まれた記憶が現実を押し流し、戦時中に時間を巻き戻し
、彼、もしくは彼女を恐怖の中に突き落とす。
 ここ数年はそういった症状を訴える人はいなくなっていた。町中でも見なく
なった。
 だが、それでも完全に癒えているはずがないのだ。
 破壊されたインフラは整えられ、知覚できる範囲で戦争の爪痕は消失していく。
 けれど心に残された傷痕は癒えることなく、人々を蝕んでいる―――否、蝕み続ける。
 この少女も恐らくはそれだ。・・・・戦争の被害者なのだ。
(・・・・・くそっ)
 気が付かなかった自分に対して毒づくシン。だが、それに気が付くことなど不可能だ。
 知人であるならばまだしも全く知らない他人をそこまで洞察するなど不可能なのだから。
 けれど、さして年の変わらない少女、その心根は傷つき・・・だからこそこんな
見た目にそぐわない幼い雰囲気を醸し出しているのだろう。
 そして、それが余計にシンに無力感を感じさせる。
 思い返すのは5年前。吹き飛ばされる父と母。自分を守って死んでいった妹。
亡くしてしまった大切な家族。守らなければいけなかったのに守れなかった家族。
 彼の心にある怒り。その根源にはソレがある。無力感が。
 シン・アスカは無力感を消し去る為に怒り続けるのだ。
 目前のような光景を消し去る為に。
「・・・・・・・」
 地面に向けていた視線を上げる。拳を握り締め、少女を見つめる。
 逡巡は無い。自分は知っているから。こんな時どうしたらいいか知っているから。
「大丈夫。」
 彼女を抱きしめた。強く、暴れることなど出来ないように強く。
 抱擁ではなく拘束のように。
424MRS-D:2007/07/16(月) 23:57:47 ID:???
「大丈夫だから。」
 こういった状態になった場合、抑えるには力による制御しかない。
 そして語りかけ続けるしかないのだ。君は死なない。君を殺す者なんていない。君は、
「・・・・・俺が守るから。」
「まも、る・・・?」
 守ると言う言葉。それに反応したのか少女はそれから徐々に力を抜き、落ち
着いていった。
 シンもその腕から力を抜き、それでも少女が完全に落ち着くまで優しく抱き
しめ続けていた。街灯が照らす公園で、睦み合う恋人のように。


 それからしばらくして自分が見も知らぬ少女を抱きしめると言う割と大それ
たことをやっていたことに気付き、シンは慌てて少女から身体を離した。
「?」
 少女はどうして突然離れたのか分からないと言った表情でシンを見つめる。
 シンは苦笑いをしながら、少女の手を取り、近くに設置されているベンチに
向かって歩き出す。
「と、とりあえず座ろうか?」
「うぇい!!」
 少女は元気よく返事をするとシンと繋いでいた手を離し、ベンチに向かって
走り出す。シンはその様子を見つめながら自分もベンチに向かって歩いていく。
「キミ、名前は?」
「ステラ・ルーシェ!」
 元気よく彼女―――ステラは返事をする。
「そっか。俺はシン・アスカ。よろしく、ステラ。」
「うん!よろしく、シン!」
 曇り一つない眼でシンを見つめるステラ。
「ステラは、どこから来たの?」
「えーと、ね。ステラはね、えーと・・・・」
 俯き考え込むステラ。しかし、その表情は直ぐに曇る。
 頭に指を当て、これまでの道筋を考えるようにする。
「えーとね」
425MRS-D:2007/07/16(月) 23:59:28 ID:???
「うん?」
 それでもステラから言葉は出てこない。シンはまさかなと思いつつ、口を開いた。
「・・・・もしかして、忘れた?」
「ああ、うん、それ!」
「・・・・・・・・・そ、そう。」
 脱力するシン。それはそうだろう。これでこの子がどこの子かなどが全て分
からなくなったからだ。
「じゃ、じゃあ、ステラはどうして此処に来たの?買い物とか?」
 シンはとりあえず話を続けた。何か会話から糸口の一つでも見つけない限り
、彼女の帰る場所は分からないからだ。
 だが返って来た返答は「遊びに来た。」、「パーティーなの」、とまるで要
領を得ないコトばかりだった。十分間ほどそんな問答を続け、シンはステラには笑いかけながらも―――無論その笑いは苦笑いだったが―――途方に暮れていた。
 そこに鳴り響く車のクラクション。
「ステラー!!何してんだ、行くぞ――!!」
 音の後、後ろから声がかかる。声の聞こえるほうを見れば、そこには車に乗
った男二人組みがいる。
「あ、スティングとアウルだ!」
 元気よくそちらに走り去るステラ。
「お前、何してんだよ!ちゃんとここで待ってろって言っただろ!?」
「・・・・・う、うん。ごめん、スティング。」
「まあまあ、いいじゃんスティング。別に迷子になった訳じゃないんだしさ。」
 その場をとりなす青い髪の少年。スティングと呼ばれた緑の髪の少年はその
言葉を聞いて少しだけ息を吐き、呟いた。
「ああ、分かったよ、アウル。・・・・ステラ、もう時間がないんだ。行くぞ。」
 そう言って後部座席を指差す緑の髪の少年。ステラはそれを見て勢い良く乗
り込み―――そこで後ろからこちらを見つめるシンに向かって、手を振った。
「シ――――ン!!!また、遊ぼうね―――!!!」
「・・・・は、はは。」
 ステラの、子供特有の変わり身の早さに少しだけ驚きながらも同じく手を振
り返すシン。
426MRS-D:2007/07/17(火) 00:04:12 ID:???
 車が走り出す。走り出す瞬間、スティングとアウルと呼ばれた少年はシンに向
かって会釈する。
 シンもそれに倣い少しだけ頭を下げた。
「・・・・・家族、か。」
 呟くシン。
 今の二人の少年は家族なのだろう。実の兄弟なのかどうかは分からない。
 けれど彼女にとって何よりも大事な家族なのだろう。
 考えてみれば当然の話しだ。
 ステラ・ルーシェと名乗ったあの少女は日常生活―――それも一般人の中に
混じって生活するという意味合いで―――が難しいことは想像に難くない。
 中学生の中に幼稚園児が混じって生活するようなモノだ。そして、なまじ肉
体が成長している分だけそのズレは大きく感じ取られる。
 家族がいるから彼女はこういった場所で生活出来るのだ。
 彼女を支え、彼女と共に生きてくれる家族が。
 シンは彼女達が走り去っていった方向をしばし見つめ続ける。
 寂しそうに、どこか懐かしそうに。


 ビルの上。ネオンの煌きが空を染め、星空すら綺麗に見ることは出来ない。
 三つの人影。恐らく未だ十代半ばの少年少女だろう。彼らはビルの屋上に座
りながらひっそりと町並みを見つめている。
「・・・・・そろそろ、時間だな。」
 一人が口を開き、立ち上がる。その言葉に反応して残る二人も立ち上がる。
「・・・・・早くしようよ。」
 少女が待ちきれなさそうに呟く。
「慌てるな、ステラ。」
 緑の髪の少年が呟き―――時計を見た。
「行くぞ。」
 残る二人はその言葉に答えるように頷く―――そして、三人は同時に呟いた。
「変身」、と。
 言葉と共に三人の肉体が光り輝く。そしてその中で三人の姿は変化する。
 ぎちぎち、と肉が捩れ、骨が組み変わる音。
 光の輝きは数瞬。そしてその数瞬で三人の姿は、それまでとはまるで違う姿
に変化していた。
 一人は鋭角的な翼―――それは鳥と言うよりも航空機に近い―――を持った
緑の異形へと。
427MRS-D:2007/07/17(火) 00:08:00 ID:???
 一人は甲羅のような丸みを帯びた全身と長さおよそ2mほどの槍を持った青の
異形へと。
 一人は背中にたてがみのような金色の髪をたなびかせた黒い異形へと。
 彼らの頭部は一様に仮面で覆われている―――それは、ライダーシステムの
証。
 彼らの眼下に立ち並ぶ繁華街。
 それを見て緑の異形が呟いた。
「・・・・・さあ、パーティーの始まりだ。」


「ルナ、もっとスピード出ないのか!?こんなんじゃ間に合わない!!」
「少しは黙ってなさい、シン!!舌噛むわよ!!」
 言葉と同時にアクセルを開き、一気に全開にするルナ。速度が上がる。瞬間
、身体を後方に持って行かれそうになるシン。
「うおおおおおお!!!!」
 それに抗うようにしてシンは叫びと共に全力でルナの身体を掴み、身を寄せる。

 シンはステラと別れ家に戻った後、ルナから連絡を受けていた。街が、襲撃
を受けている、と。
 そして、そのまま現場に向かい、途中でルナに拾われ現状に至る。
 敵の数は3。これまでと比べれば格段にその数は少ない。だが、その被害状
況はこれまでで一番酷かった。
 何しろ夜の繁華街での襲撃である。そこにいた人々の数はこれまでの比では
ない。被害状況は現時点で既に数十名単位の死傷者。時間が経てば経つほどに
その被害は加速度的に増加していくだろう。
 バイクから振り落とされないようにシンは黙り、ルナの身体をしっかりと掴
んでいる―――けれど前を見つめる瞳には怯えや恐れはない。
 ただ、焦りが浮かんでいる。
 早く。もっと早く、と。歯噛みするシン。
 そこにルナからの通信が入る。
『・・・・・逸り過ぎよ、シン。落ち着きなさい。』
『分かってる・・・俺は落ち着いてる・・・!』
428MRS-D:2007/07/17(火) 00:12:13 ID:???
 その返答を聞いて、ルナはシンには聞こえないようにそっとため息を吐いた。
 彼は、シン・アスカは分かっていない。例え分かっているとしても恐らく現
場に行けばそんな思いは全て吹き飛ぶだろう。
 ある意味仕方ないのかも知れない―――ルナはそう思った。
 シン・アスカの根源にあるのは怒りだ。怒りなくしてシン・アスカは前回のよ
うに戦えなかった。
 初の戦闘で恐怖に惑わされることなく戦う。本来、それはあり得ない。
命の奪い合いと言う戦場で臆することなく戦うと言うストレスは半端なモノで
はない。才能云々ではなく心が拒否するからだ。訓練とはそのストレスに心を
慣らす為に行われる。故に戦闘の訓練と言うのは何度も何度も反復する。“その
時”に怯えて動けなくならないように。
 ―――だが、彼はその恐怖を、ストレスを、数年間抑圧され続けた怒りによ
って無理矢理抑え込み戦った。
 怒りで。無力感を味わいたくないと言う欲求によって。
 それは場合によっては前回のように功を奏することもあるだろうが―――毎
回そう言うわけにはいかない。焦りや怒りが招くモノは死以外にあり得ないからだ。
 ―――だが、それを今ここで話しても意味は無い。
 それは彼が自分自身で気付かなくてはならないものだから。
 ルナがそんな風に考えを巡らせている時、遠くに赤い街が見えてくる。
「う・・・・わ」
 呆けたように口を開くシン。その瞳に映るのは篝火の如く燃え上がる炎。ネ
オンの輝きなどでは決してあり得ない光景。
 燃え上がる街。繁華街が燃えている。ビルが倒壊し、人々が逃げ惑っている。
 ルナはバイクを止め、座席の下からベルトをシンに手渡す。
「シン、行くわよ。」
 それを掴み、腰に回すようにして装着するシン。懐より取り出したPDAを
ベルトに向かってセット。
 そして左手でベルトの左側の赤いスイッチを押し込む。
「―――変身!」
 叫びと共にルナの身体が赤い粒子に変化し、シンの身体を取り囲む。
 現れたのは、二本の大剣を背負う姿―――ソードインパルス。前回と同じ姿だ。
《行くわよ、シン!!》
429MRS-D:2007/07/17(火) 00:15:13 ID:???
『ああ!!』
 脳裏に響くルナの声に従い、シンはシルエットフライヤーに飛び乗る。シン
の脳内に流れ込む、「シルエットフライヤーの操縦」についての情報。ルナの
持つ情報が流れ込みシンは今、この瞬間ルナと同レベルの運転技術を手に入れる。
『うおおおお!!』
 アクセルを全開に開き、前輪が跳ね上がりウィリー状態となるもそのまま勢
いを殺すことなく、シルエットフライヤーは街中に突入する。
 夜空を照らす炎の赤。シンは運転しながらもそれを見つめ続け―――知らず
知らず唇は釣り上がっていた。
 そう、奪われるのなら、奪えないように殺してしまえ、と。
 心中で誰かが笑っていた。


 黒い異形―――どこか狼男を連想させる―――瓦礫の中で蹲っていた人間の
頭をその足で踏み潰す。ぶしゅっとリンゴが破裂したような音。流れ出る赤い
脳漿。足の裏でそれを磨り潰す。
「・・・・・・」
 無言で異形は次の標的を探す。
 ソレは正直、この惨劇に飽きてきていた。現れる目標―――勿論目に付いた
モノ全てだが―――は歯向かうこともせずに逃げるだけ。それでは張り合いが
無い。狩りとは歯向かう者を苦しめて殺すからこそ面白いと言うのにこれでは
まるで張り合いが無い。
 ソレはだからこそ待っていた。自身の行動を阻害する何かを。自分を阻む何
かを。いずれ来るであろう「標的」が、強く、そして簡単には死なないことを。
「早く、来ないかな。」
 漏れる声は外見とは打って変わった幼ささえ感じる少女の声。けれど声に篭
る思いは決して少女のソレではなく。
 見上げる空。思い浮かぶは標的の姿。標的―――そう、あのライダーを。映
像で見ただけ。けれど、その姿はソレの胸に刻み込まれている。
 二本の大剣を背負う赤い異形。強さとしなやかさを兼ね備えた体躯。アレを
引き裂き、噛み千切り、八つ裂きにし―――貪る。
 背筋を走る歓喜。鳥肌さえ立たせるその感覚。
 早く、早く。
 ただそれだけを遠足を待ち望んで寝られない子供のようにソレは待ち続ける。破壊と殺戮を繰り返しながら。
 その時、音がした。遠くからこちらに向かうバイクの音。
 バイクはソレの十数mほど手前で止まる。唸る駆動音。二本の大剣を背負っ
た赤い異形が、バイクに乗っている。
 ソレは、頭部に付けた仮面の裏でゴクリと唾を飲み込み、唇を吊り上げた。
―――――来た、と。
430通常の名無しさんの3倍:2007/07/17(火) 01:41:29 ID:???
>>417虎さんかっこいいわw
>>429
相変わらずうまいっすねぇ
431通常の名無しさんの3倍:2007/07/19(木) 16:13:12 ID:???
むかしさ仮面ライダー龍機って最終回前に死んだ主人公ライダーが居たよな
432通常の名無しさんの3倍:2007/07/21(土) 18:50:44 ID:???
>>429
GJ!
シリアスだなぁ
433仮面ライダーKIRA:2007/07/28(土) 00:41:36 ID:???
PHASE-8 母の気持ち


梅雨の時期に珍しい晴れ間。ようやく気持ちも落ち着き、戦う意志と共にキラは守りぬく意志を固めた。
「……もう誰も死なせたくない……」
シャワーを浴びながら吐く。それはそうと、なぜ彼がシャワーを浴びているのだろうか?
「キラ、なんで朝シャン?」
カリダが気に掛けるのも無理はない。通常は浴びないし、ましてや日曜だというのに。
汗がベタつく暑さだったわけでもない。とりあえずタオルを置く。
「これから……フフ……友達と出かけるんだよ」
「……?友達って……」
カリダのなかに浮かぶ゙彼女゙の一言。風呂からあがると、天使の羽をイメージした柄の白いシャツとジーンズを着用する。
そして、キラは香水を手にする。カリダはそれを見て震え上がった。
「やめなさい、キラ!。高校生がそんな事してはいけないわ!」
カリダはキラの腕を掴む。香水が床を転がっていく。それを不思議にキラは思った。
「母さん、何をするんだよ!?」
「あなたが誰と付き合っても構いはしないわ。だけど、さすがにそれは……」
「誤解だよ!」


ようやく解放されたキラは家を出て待ち合わせ場所に向かう。そう、このヘリオポリスの西部であるカグヤ区の映画館の前でフレイと待ち合わせているのだ。
立ち直ったものの、2人で映画には行くことになった。何より、キラはチャンスと感じていた。なにせ映画を観て結ばれるカップルは全体の32%、進展は64%(ディアッカ談)らしいからだ。
「ふふふ……貰った!」
そして、映画館の前に辿り着く。フレイは先にきていたようで、手を振ってくる。
「にゃあ〜……」
434通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:47:19 ID:???
かなり馬鹿丸出し。天然すぎる。そうとしか思えないのだ。
「待った?」
会話もベタだが、やってみたかった「待った?」の台詞。
「遅いわよ!もう5分も過ぎてるじゃない!」
「へ?」
「映画始まっちゃうわよ?」
そんな現実は甘くなかった。それを差し引いてもフレイの鮮やかな緑系統のワンピースは似合っていて、キラは顔がにやける。
「ごめん……気合いをいれてて……」
「何によ?ただ映画を見るだけじゃない」
ごもっともだ。そして、2人は映画館の中へ入った。

「おいおい、前回までの欝キラはどこいったんだよ?」
「ふ……青春Boyなんてそんなものさ」
トールとディアッカのそんな会話を余所にミリアリアは写真を撮り続ける。
「盗撮はやめろ!不埒な会話もだ」
「そういうイザークはなんだよ。ぷぷ……今時尾行時にグラサンなんて……」
「本当だよな、マジmisstakeって感じ☆」
そして2人はこの後、イザークの拳法でボコられる事になる。


休日にも関わらず、ニコルは母親に付き添って病院に来ていた。
「……体調は安定してますし、それほど良好とは言えないですね」
医師の診断は母親に向けてである。病院を出ても、ニコルは肩を放さなかった。
家に入るとニコルは貰ってきた薬を母に飲ませる。
「ありがとう。ニコル、アスラン君と用事あるんでしょ?行ってもいいのよ」
「う、うん」
喫茶店も臨時休業しているし、問題はない。家を出てニコルはアークエンジェルへ向かった。
435通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:50:01 ID:???
「どうだ?おばさんの具合……」
「安定はしてるけど、あんまり良好ではないみたいです……あの゙ユニウスセブン゙の爪痕はかなり深いみたいです」
17年前、ニコルの母親ば血のバレンタイン゙の影響で体が極端に弱りってい。それがわかったのはさらに2年後。
そう、ニコルを生んだ際である。それを負い目に感じ、ニコルはずっと母親の心配をしていて病院に行く時は付き添っている。
「これはユニウスセブンの影響です。間接的にZAFTが関係しているんですよね」
これがライダーシステムを許容した理由。元来、戦いを嫌う性格である彼がこの決断をしたのは大きな事である。
「良くなると……いいな」
「はい……」
2人は昼食も兼ねて巡回をすることにした。せっかくなのでハンバーグの評判がいい店に向かう。


映画館から出るとキラはフレイと内容について語っていた。その姿はまさに彼氏・彼女である事情。
「おのれ……キラめ……」
「この俺より先にgirlfruend作るなんて……」
イザークは全く持ってこいつらに彼女が出来ないか理由がわかったような気がしていた。


転じて、2人は昼食の相談に入る。
「ねえねえ、このお店はハンバーグの評判が凄くいいのよ」
「……でも高そうな……」
正直、ライダーの仕事のおかげで財布の中身に自信がないわけではない(時給8000円)。しかしながら、庶民感覚としては高そうである。
436通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 00:53:06 ID:???
「大丈夫よ。さ、入ろ」
腕を組むようにキラと店に入る。キラは顔が歪むくらいな笑顔になる。
肉汁が口に溢れ、溶け合うような肉とネギの味。そして目の前には好きでたまらない女の子が。
「フレイ、今日はありがとう」
「ううん。私こそ突き合ってもらってありがとう………でも、元気になって良かった」
(言える…最高のタイミングじゃないか)
「わの!!」
(え?わ……?)
「ボボボーボ、ぼ、ぼ、ぼ、僕は……」
ドキドキが止まらない。キラの自我は崩壊寸前であった。フレイもまた、心臓が高鳴る。
「フレイ、君、君ぎゃ……君が……」
そして、゙好ぎ。その一言が中々言えない。そして、さらに……
「お、キラとフレイじゃないか。どうしたんだ?」
空気を読めない一言。アスランである。ニコルは後ろであ〜、という顔をしている。


「Oh〜♪。アスランとニコルが来たようだぜ?」
「ふひひ……ざまあみやがれ。キラ、お前だけに彼女を作らせてたまるかよ」
さらに追加としてキラ達が食す1300円するハンバーグと、130円のハンバーガーという差があるのだが
「お前らは成就させたいのかよくわからんな……」


その後、盛り上がったもののキラは2人を恨んだ。あと少しだったというのに。
(落ち着け……COOLだ。COOLになるんだ……まだチャンスはある)
「さあ、出ようか」
437通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 03:45:36 ID:LyKcLIV7
その後、キラとフレイは再び歩きだしたもののぎこちない会話になってしまった。
妙に意識してしまっているせいだろう。さらに街道には多くのカップルが歩いている。それがキラに焦りを感じさせる。
「ねえ……」
「はひ!!」
急に呼び止められてキラは驚く。フレイが指を指しその方向に目を向ける。すると、子供が万引きする寸前の瞬間であった。
「あ、君!」
「……!!ご、ごめんなさい!!」
走り去っていく少年。キラとフレイは追い掛ける。高校生の走力は簡単に少年を捕らえた。
「ダメじゃないか!あんな事したら!」
「ごめんなさい!!でも、僕……」
「いくら理由があっても盗んじゃダメよ。あれくらいのゲームならお母さんに買ってもらえばいいじゃない」
゙お母さん゙という単語に反応したのか、急におとなしくなってしまった。
「どうして一人で?友達とかは……?」
「………みんな、出かけてるんだ。お父さんやお母さんと遊園地とか……でも、僕は……」
なるほど。それで万引きをしようと。少年は話を続ける。
「お母さんは前から研究ばっかで………お父さんが事故になった時も遅れて来て……」
「……君、名前は?」
「リュウタ・シモンズ……」
2人は何かひっかかった。シモンズ?はて、どこかで聴いたような……。
「リュウタ……?」
そこにはライダーシステム開発の一任者であるエリカ・シモンズが立っていた。そこでキラとフレイは引っ掛かりの理由がわかった。
438通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 07:23:22 ID:???
「どうして、キラ君達と?」
「えと……リュウタ君は……」
万引きしようとした経緯と出会った理由を説明した。すると、エリカはリュウタの頬を平手で叩く。
「お母さんが悪いのは謝るわ。でもね……」
「お母さんは……僕より研究のが大事なくせに!!」
そう叫ぶと走っていってしまう。キラとフレイはエリカをちらっと見た後に追い掛けた。


その間、アスランとニコルは丁度流れてきたピアノの音に聞き入っていた。
「綺麗な音色ですね」
「ああ。どんな人が弾いてるんだろうな」
誰かはわからない。でも澄んだとてもいい心地がする。
「ピアノの演奏コンテストあるんですが、アスランは出ないんですか?」
「俺は出る気はないよ。俺の分も頑張れ。おばさんのためにもな」
巨大な爆発音がした。間違いなくZAFTであろう。2人は急いで現場へ向かった。
着いてみると被害はあまり出てないようだった。ならばなおさら早く倒さなくてはいけない。
「変身!」 「変身!」

゙CHANGE AEGIS゙
゙CHANGE BLITZ゙

得意の戦況となるよう、ジンとディンを分散するよえ2人は別れた。
地上のジンに対してはイージスがサーベルで斬っていき、ミラージュコロイドでブリッツは背後を狙っていく。
「貰いました!」
グレイプニールで背後を掴み、羽を切り取る。だが、意外な事が起こった。そのディンに対して他のZAFTは攻撃を仕掛けた。
439通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 07:25:28 ID:???
「ニコルッ!」
ディアクティブモードのまま露出を許すブリッツ。瞬時にPS化したが、肉体へのダメージは相当高い。
「くっ……僕に構わず、アスランはZAFTを……」
「そんなわけに行くか!」
サーベルで銃弾を弾き、ニコルを庇いながら後に退いていく。
「まずいな……意外とこいつらに手こずるなんて……」
「僕が手負いを負ってしまったせいで……」
「いや、お前のせいじゃ……ん?」
炎が上がっている。前にはストライクに似た強化スーツ……いや、ライダーシステムを着た者が3人戦っていた。
赤い装甲をしてるライダーは日本刀を、青い装甲をするライダーは巨大な剣を、金色のライダーはバズーカを使っている。
「さっきのが正式なライダーか?」
「だろうな。にしては聴いてたのより弱いが……」
「そんな事よりもこのダンスはつまらない。早く終わりを告げるタクトを振らせていただきたい」
3人はベルトの番号を押し、赤いライダーは右手、青いライダーは大剣に、金色のライダーはバズーカへとプラズマ粒子を集約させる。

゙ライダーインパクド
゙ライダースラッシュ゙
゙ライダーフェアウェル゙

「……あれは……ライダーシステムを量産化するための試作段階として作られた……゙アストレイ゙」

右手からの衝撃、斬撃、拡散砲弾は次々とZAFTを破壊していく。

「アスラン、アストレイとは何なんですか?僕らの他にもライダーが?」
「ああ。GATシリーズと平行して作られたものだ。GATシリーズは強力なパワーな分、変身をしたり力を引き出すのに融合数値が必要なんだ。」
440通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 07:29:42 ID:???
「そう、それに対しアストレイシリーズは力では劣るが融合数値関係なく変身が出来るんだ」
3人は変身を解いて2人に近づいてくる。アスランとニコルも変身を解き、改めて会合を果たす。
「まずは助けていただいた事にお礼を言いたい。ありがとうございました」
「いいっていいって。同じくライダーなんだしよ。俺はロウ・ギュールってんだ。よろしくな」
陽気な性格なのか、すぐに親密性を計りにくる。
「こんな奴らがライダーシステムの適合者とはな……」
「正直がっかりだ。美しくない」
残る2人はサングラスをかけた無表情の男と、髪が長く貴族のような……それはオーブの五大元帥が一人のロンド・サハクだった。


フレイは湖のある方向へ走っていく。そして、ベンチに座りこむリュウタを見つける。
「リュウタ君!」
「……!」
リュウタはフレイに気づくと立ち上がってもう一度走りだす。すると、湖から緑色の手が出てきてリュウタを引きずり込んだ。
「うわわあああ!」
「リュウタ君……リュウタ君!」

「ぶばば……(苦しい……)」
息苦しい。水中でも活動可能であるゾノとグーン。獲物が少ない中での、柔らかい肉の子供はごちそうである。
口を開いて、リュウタに牙を向ける。
「ふ、……ぶぐぐ……」
助けてほしい。だけど、この状況は……そして、リュウタの意識は遠退いていった。
441通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 07:37:32 ID:???
「待て!!」
ランチャーストライクに変身したキラはアグニで威嚇射撃する。
リュウタを放し、ゾノ達は散開する。陸上に上がり、リュウタをフレイに任せた。
「来い、もう誰も死なせるもんか……」
微量とはいえバーニアが作動してるので動けはするが、水中だと当たりにくい
当たってもグーンですら倒せない。
(そうか……水中だと放電して威力が半減以下に……)
それに気づき、キラはフォームを変化させる。

゙CHANGE SWORD STRIKE゙

浮力があるためやや不利だが、ランチャーよりはソードのがマシである。
グーンに近づいてシュゲルトゲベールを振り下ろす。しかし、鈍い刀は簡単に避けられて微弱ながら相手の攻撃を許してしまう。
「ぐぶっ…」
グーンらは頭突きをしては逃げるの繰り返しで、ストライクは翻弄している。
離れてる間は目から超音波メスを発射してくる。PS装甲のおかげで切り裂かれはしないが、水中という場所でくらい続ければいずれEN切れをしてしまう。
「調子に乗るなー!!」
バクゥの時にデュエルがしていたように、相手が頭突きをしてくる際にすれ違い様にシュゲルトゲベールでたたっ斬る。
皮膚が弱いのか一撃で斬り裂けた。残りは警戒して超音波メスのみでする中、ただ一体のZAFTがストライクへ接近してくる。
「貴様は俺が粉々にしてやる!このゾノがな!」
「進化体か?」
図体が大きい分、水中で力が加わるとその威力は倍になる。
体当たりをされると体勢が崩されて腹を掴まれる。そのまま水底に押し込み、超音波メスを両腕から連続で放つ。
442通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 07:39:59 ID:???
ただキラは受けるだけでなくシュゲルトゲベールを盾として扱っていたが、隙間を抜けられて倒される寸前である。
(このままじゃ……)
意識せずにビームブーメランを手に取り、ゾノへ投げ付ける。
ひらりとかわされるが、弧を描いて戻りゾノの首を斬り落とした。
その隙を逃さずキラはシュゲルトゲベールをゾノの体へと突き立て、貫いた。

゙X-105 ライダースラッシュ゙

突き刺した状態で必殺技を発動をした。振り払うと同時に爆風を利用してライダースラッシュをグーン達に当てていく。


海から上がったキラは疲れてはいたが、リュウタをアークエンジェルへ連れていった。
フレイもその意図はわからないままながら、一緒に動向する。
「リュウタ君、見てごらん」
視線の先、それはエリカがライダーシステムのデータを整理し、次の戦いへ向けてのデータの引継ぎや処理をする場面だった。
「エリカさんは毎日、こうやって仕事をしてるんだ。それはみんなを、君を守るためにやってる事なんだよ?」
「……お母さん」
震えていた腕もおとなしくなり、リュウタは研究室へ入っていった。
「リュウタ……」
「お母さん、あの……あの……ごめんなさい。僕、もうわがまま言わないから……お仕事がんば……」
言い終わる前にエリカはリュウタを抱き寄せた。
「応えてあげられないかもしれない……でも、わがまま言っていいのよ。あなたは私のたった一人の子供なんだから」
それは少年にとって初めて感動という感情で泣いた瞬間だった。キラもまた、フレイと一緒にそれを見ていて、微笑ましく思えた。


to be continued……
443通常の名無しさんの3倍:2007/07/28(土) 14:36:37 ID:???
保守してくれてるみなさんいつもどうもです

現時点のストーリー構成で種シリーズ以外からのモチーフが必要なんですが大丈夫でしょうか?(最終局面で)
444通常の名無しさんの3倍:2007/07/31(火) 11:42:46 ID:???
クライマックスに手が足りないってことですか?
445通常の名無しさんの3倍:2007/07/31(火) 13:06:09 ID:???
ちょwww。まあ、そういうことです。別時空からのが必要なんだ(゚∀゚)/=3
446通常の名無しさんの3倍:2007/08/01(水) 00:26:14 ID:???
それがなんなのか気になるから、やってよし。
基本、仮面ライダーの番組内で出てきた助っ人でよろしく。

それ以外の他作品と混ぜるとカオスになるから、
技量がよほど高いと自他共に認めるほどでないと、
途中で挫折するので、ご注意を。
ま、ライダーシリーズならば大丈夫でしょう。
447通常の名無しさんの3倍:2007/08/01(水) 10:28:56 ID:???
あ、俺は他ガンダムシリーズのMSを引っ張ってくるのかと思ってた・・・
448通常の名無しさんの3倍:2007/08/01(水) 19:33:19 ID:???
えと…他ガンダムシリーズです

キラをパワーアップさせるのに必要っす
4491/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:32:37 ID:???
月が暗雲に覆われた暗黒の夜。さざ波の音だけが静かに聞こえてくる。
ユニウスセブンが海の底に沈んでから、約二十日。規制が解かれた直後は空前絶後の大事件として取り上げられ、野次馬も多数訪れていた。
だが、タレントの離婚騒ぎや政治家の汚職などの膨大な情報の波に押し流され、忘れ去られてしまった。
そのため、ユニウスセブン沖に人はほとんどおらず、漆黒の海に起こった異変に気付いた者は、誰一人としていなかった。

今は何もない海。二十日ほど前はユニウスセブンと本土を繋いでいた連絡道路のあった所だ。
小さな気泡が浮かび上がってくる。それは本土の方に近づきながら徐々に数を増し、時折大きな気泡までも混ざってくる。
陸地から2、3メートルほどの距離まで来たとき、勢いは急激に激しさを増した。
さらに近づいたところで、水面が爆発。瞬間、水の柱が海面にそそり立つ。
収まりかけたとき、水の壁を破って手が伸びる。
テカテカした金属質の、黒い手だ。
やがてそれは水の上に上半身を現した。
ピンク色に輝く一つ目、複雑な直線と曲面により構成されたそのシルエットは、紛れもなくMS、それも未確認のものだ。
MSは地面に足をかけ、海から上がり全身をあらわす。

雲が動き、わずかに月が姿を覗かせた。白い光が大地を照らし、海を、水を滴らせているMSを妖しく輝かせる。
月明かりに照らされ、ようやく全体像がはっきりした。
闇と同化するかのような、黒いボディ。背中に巨大な荷物のようなものを背負い、スパイクのついたシールドが両肩にあることを除ば、
その形はザクフォーリアと酷似している。しかし、このMSを何より特徴付けているのは全身から発せられる憎悪だった。一つ目の下、
鼻先に刻まれた古傷がそれをさらに増幅させている。
この、有り余る憎悪が向けられる対象は……
「イン……パルス!」
怨嗟の声を上げたMSは、ゆっくりと夜闇の中に消えていった。
4502/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:34:21 ID:???

「おはよう、レイ」
「おはよう」
食卓には牛乳とシリアルコーンが置いてある。あとは器が二つおいてあるだけであり、とても食事と呼べるようなものではない。
広い食卓には、空席が三つもある。マユは入院で、ルナマリアは付きっ切りでの看護。そしてシンは、行方不明。
以前のような騒々しい、それでいて不思議と居心地の良かった食卓は、もうなかった。
それでも一応、二人は席に着き、朝食を摂る。だが、会話は全くない。
レイはもともと無口な方で、自分から口を開くということはほとんどない。
それにメイリンも彼とは同年代であるにもかかわらず、二人きりで会話したことはあまりない。
しかも、こんな状況で下手にしゃべったところで気まずさを助長してしまうことは目に見えている。
そのため、お通夜のような沈んだ雰囲気の中、二人は黙々とシリアルを半ば事務的に咀嚼していった。

味気ない形だけの朝食も終わり、レイは新聞を開いた。メイリンは声をかけるタイミングを失い、また重苦しく気まずい雰囲気となる。
こんな空気は、メイリンが最も苦手とするところであった。だが、こんなときにレイと二人でいたら当然のことであり、もちろん
メイリンもこうなることは予想していた。
それでもここへきたのは、レイにどうしても聞きたいことがあったからだ。しかし、このままではいつまで経っても聞けそうにない。
メイリンは意を決し、思い切って口を開いた。

「ねえ、レイ。少しいい?」
紙面に向けていた目を、わずかにこちらの方に向ける。一応話だけは聞く、ということだろうか。メイリンはそう解釈し、続ける。
「いいかげん、何があったか教えてよ」
レイは目線を紙面に戻した。答えるつもりはない、というのはもはや明白だ。以前と同じような反応だった。
それでも、食い下がる。今度こそ、何が何でも教えてもらうつもりだ。
「お姉ちゃん、いきなりマユちゃんが入院したって言って家を出てっちゃって……、シンもどっかいなくなっちゃうし。ホント、
どうしたのよ?」
「何故俺に聞く? ルナマリアに聞けばいいだろう」
「……何も教えてくれないんだもん。ケータイも通じないし、たまに戻ってきてもすぐ出て行っちゃうし」
「なら、俺も何も言うことはない」
「そんな! お姉ちゃんもレイもどうして何も教えてくれないの!?」
「ルナマリアが黙っていることを、俺が教えるわけにはいかない」
「私、マユちゃんのお見舞いにもいけないんだよ? 私だって心配してるのに」
「知らない方が、いいこともある」
「……もう、いい! レイにはもう頼まない!」
埒の明かない問答に、ついに限界が来た。メイリンは目に涙を溜めながら叫び、部屋を飛び出していく。程なくして、玄関の方から
バタンと激しい音がした。

独り部屋に取り残されたレイは、黙々と食器を片付けた。
ああも感情的になったメイリンを見るのは初めてのことだった。一人だけ除け者にされているように感じたのだろう。
だが、たとえ恨まれようとも本当のことを話すわけにはいかない。
シンとルナマリアはマユのことを自分のせいだと感じ、ひどく苦しんでいる。そんな所にメイリンが行けば、二人はさらに傷つくだろうし
メイリンだって苦しむかもしれない。
今は、一人にしておくべきなのだ。たとえ、恨まれようとも。
4513/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:36:54 ID:???
ミーアはいつものように上半身を起き上がらせ、ヘッドホンから流れる音楽に合わせてリズムを取る。これは本来禁止行為であり、
見つかったら叱られた上、ソフトも没収されてしまう。現に一度取り上げられてしまったこともある。
しかし、音楽のない生活など考えられない。そのためミーアはいつも隠れて音楽を聴いていた。
CDなどの音楽ソフトはデュランダルがやはりこっそりくれたものだ。だが、それにも限りがある。同じものを何度聞いたかも分からないが、
それでも入院中で唯一の楽しみだ。
検診や看護士の見まわり時間も把握している。何しろ死活問題だ。
ドアが動いたのを見たミーアは驚き、慌ててヘッドホンを外すが間に合わなかった。好きな曲で熱中しすぎたせいで反応が遅れたのだ。
だが、ドアの向こうから現れた顔を見たミーアはほっと胸を撫で下ろした。
「あ、アスラン!」
ヘッドホンをベッドの上に放り出し、歓喜の声を上げる。アスランはやや照れくさそうに、お見舞い用の花を持った左手を持ち上げた。

アスランが訪れるのは実に久しぶりだった。ミーアははしゃぎ、この間デュランダルに提案されたことも話す。
「あたし、もうすぐ退院できるんですよぉ。そしたらぁ、先生が助手として雇ってくれるって」
それは純粋な善意ではないだろう。しかし、ミーアにとってはいいことだ。
何しろ、今の彼女にとって信頼できる者はほとんどいない。デュランダルのもとにいるのが最良であるはずだ。
「そうか。良かったな」
「ねえねえ、アスランも、先生のところで働いてるんでしょ?」
「ああ。一応はな」
アスランはデュランダルの助手という名目で、アカデミーに籍を置いている。そうすると、ミーアと立場はずいぶん違うが、
同僚ということになるのだろうか。
「じゃあ、いつでも会えるんですね。そうだ、先生ってどんな研究してるんですかぁ?」
以前訪れたときと同じように、質問攻めが始まった。アスランは少しうっとうしく感じながらも、一つ一つの質問に丁寧に答えていった。

4524/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:38:49 ID:???
「そうだ! のど、渇いてません!?」
しばらくしてから、ミーアが嬉しそうに手を叩く。対照的に、アスランの顔が蒼ざめた。
「いや、大丈夫だ! 病人は静かにしていないと!」
「大丈夫ですよ〜、そんなに心配してくれなくても大丈夫ですからぁ」
アスランは必死に否定し、ベッドから降りようとする彼女を懸命に止める。
「さっきから質問してばっかだし、あたしも少しはお返ししないと」
お返しにならない。むしろ仕返しだ。自分の生命がかかっていることもあり、文字通り命がけで制止するがミーア排外と頑固で止まらない。
そこで、病室の扉が開いた。
「ミーア・キャンベルさん、検診の時間ですよ」
それはアスランにとって神の声にも等しかった。
定期検診の時間となり、運良く病室を追い出されたアスランは自動販売機で缶コーヒーを買い、待合用の長いすに座って一息ついていた。
検診にそんなに長い時間はかからない。束の間の休息といったところか。正直、アスランはかなりの疲労を感じていた。
慕われるのは悪い気はしないが、あのように接しられた経験がなく、どちらかというと不器用なタイプの彼にとって、ミーアとの会話は
かなり気疲れするもの。
実際、デュランダルのように余裕をもって対応できているとは到底思えない。それでなんであんなに自分のことを気にかけてくるのか。
4534/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:40:22 ID:???
疑問に思いつつ、やや冷めてしまったコーヒーを口に含む。飲めないことはないが、美味くもない。
そのおり、見知った顔を見つけたアスランは思わず立ち上がった。
「ルナマリア?」
赤毛の少女の方も気付いたようで、こちらに振り向き、声をかけてくる。
「あ、ええと……アスランさんでしたっけ?」
「久しぶりだな」
「はい。今日はお見舞いですか?」
「ああ。知人が入院していて、それで。君の方は……シンの妹さんか?」
ルナマリアが提げていた、大きな紙袋を見てアスランが聞く。その中身は使用済みのタオルやパジャマなどで、ちょうどクリーニングに
出す途中だった。
「はい。シン……、まだ帰ってこなくて」
「帰って来ない? どういうことだ?」
シンとは、緑色のMSを倒したときに共闘して以来、会っていない。したがってアスランは、彼らの近況など知る由もなかった。
「……それが」

「そうか。そんなことが……」
一通り彼女の話を聞いたアスランの言葉に、ルナマリアはこくりとうなずく。そこに、以前の快活さは微塵も感じられない。

「大変、だったんだな」
こんな月並みな言葉しか思いつかない、自分の語彙の少なさに苛立ちを覚える。しかし彼女は、
「私は、いいんです。それより、マユちゃんがかわいそうで……」
そう言って、まるで遠くを見るような目つきになる。
「マユちゃん……ときどきシンのことを呼ぶんです。お兄ちゃんって……。そんなときに限ってひどく汗をかいたりして、辛そうで。
こんなときにあいつ、どこに……。あ、もうこんな時間なんですね。すみません、忙しいのにお引止めしちゃって」
時計を見たルナマリアが頭を下げる。
「いや……、そんなことは」
「聞いてくれてありがとうございました。それでは、失礼します」
お辞儀をして、ルナマリアは早足で去っていく。以前よりも小さく感じる後姿を見送りながら、アスランはシンのことを考えていた。
かつての自分と同じ力を持ち、同じように苦しんでいる人間のことを。
彼の気持ちは、おぼろげながら理解できる。アスランとて、変身したことで人に恐怖を与えてしまった経験がある。
シンの場合はそれが最愛の妹だったのだ。彼の妹に対する思いは、とても強いものだった。その相手を自分が怯えさせ、あまつさえそれが
きっかけとなって心を閉ざしてしまったのだ。
それで自己嫌悪に陥ったシンは、自分がいないほうが妹のためになると感じて姿を消してしまったのだろう。
今のままでは、大変なことになるかもしれない。手遅れになる前に、何とかしなければ。
4546/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:45:38 ID:???
インパルスは三体のMSと対峙していた。ジンが二体に、シグーが一体。
そのうちのそのうちの一体、ジンに狙いを定め、突進する。
重い刃が左肩に打ち下ろされるが、シンは怯むことなく右の拳を突き出した。
「ハアァッ!!」
この拳はカウンターとなった。外殻を打ち抜き、骨格を破壊、ジンを内部から粉砕する。
一瞬、動きが止まる。その隙に別の個体によって、背中から重斬刀を叩きつけられる。
重斬刀は、名前に刀と付いてはいるが、西洋の両刃剣に似た形状をしている。堅牢ではあるが、インパルスの外殻を切り裂くほどの切れ味
はなかった。
「ツぅっ!」
ダメージを受けながらもシンは拳を引き抜く。外殻や骨格を飛び散らせながら、勢いのままに身体ごと腕を後ろへ振る。
インパルスの肘が頭部へと直撃、頭蓋を破壊されたジンはそのまま後方へ倒れこみ、二、三度痙攣し、動かなくなった。
瞬く間に二体のMSを葬ったシンは、残された最後のMS、シグーへと目を向ける。
シグーは後ずさっていて、インパルスから距離をとっていた。さらに遠くへ逃げようとしているのか、こちらに背を向けている。
「逃がすかァッ!」
強く地面を蹴ったシンは跳躍、空中でベルトの力を込めたフォースキックをシグーの背中に直撃させ、前のめりに地面に叩きつけた。
勢い余ったシンの右足は、アスファルトを撒き散らし、道路にめり込んだ。エネルギーの余波による白煙を立ち上らせながら、
シンは右足を持ち上げ、後ろへ振り向く。
シグー、そして二体のジンは完全に行動を停止している。そして、彼の目の前で相次いで爆散した。

変身を解いたシンは、バイクにまたがろうとするが、一瞬、目の前がふらつく。
そのままもたれかかるが、バランスを崩してしまい、もろともに倒れこむ。
「くっ、くそぉ……!」
バイクを起こそうとするものの、身体に力が入らない。立ち上がることもままならず、倒れたまま悔しげに呻いた。

明らかに、限界が来ていた。
何しろマユに別れを告げて以降、まともな休息を取っていない。ろくに眠ることすらできずにいたのだ。そして、ひたすらに戦いを求めた。
シンはバイクのボディに手をかけ、無理やり自分の身体を起き上がらせる。だが、身体中が悲鳴を上げる。蓄積した疲労とダメージが
立つことさえも拒絶し、片膝を着かせてしまう。
それでもわずかに顔を上げ、目をぎらぎらときらめかせる。
「まだだ。……戦え!」
これはここにいないMSに向けたものか、自分自身への言葉か。
しかし、今の自分にできることはそれだけだ。戦って、戦って、戦い続けてMSを滅ぼす。
皆のもとにいられなくなった自分が、皆のために唯一できることだ。
4557/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:47:06 ID:???

「こんな所にいたのか。探したぞ」
バイクを背にして形だけでも休んでいたシンは、突然かけられたその声にいぶかしみつつも顔を上げた。
「ああ、あなたですか」
別段驚いた風もなく答える。その声に、感情の色は見られない。
「ルナマリアが心配している。早く戻るんだ」
「俺はもう戻りません。戻れや、しませんよ」
「……君が戻らないからといって、妹さんが目覚めるわけじゃないんだぞ?」
「そんなこと、関係ありませんよ!」
「それとも、顔を合わせるのが会うのが怖いのか?」
その瞬間、顔つきが豹変する。図星だったのだ。シンは立ち上がってアスランの胸倉を掴み、声を荒げる。
「――ッ! あんたには関係ないでしょう! とっとと帰ってくださいよ!」
「そういうわけには……」

――ッ!
突如、二人は同時に硬直した。MSの気配だ。
「どいてください!」
シンは静止するアスランを振り払い、バイクのもとへ走る。それを止めようと追いかけるアスランだったが、
「待てっ、シ――!?」
突然、腹部に電流が走る。続いて、全身の細胞がざわめくような不思議な感覚。身体中が熱くなり、総毛立つ。
「う、うわあああぁぁぁっっ!」
さらに、激しい頭痛が襲い来る。アスランは頭を抱え、その場で絶叫した。
4568/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:48:58 ID:???
ユニウス警察署の、駐車場。そこで惨劇が展開されていた。
顔に傷のある黒いMSが、倒されたまま起き上がることのできない警官を踏みつけにする。手足をジタバタさせてもがくが、
強固な外殻に覆われた野太い足は、びくともしない。
「所詮、ナチュラルなどこんなものか」
呟き、さらに踏みつけた方の足に力を込める。
「ギィヤャアアァァァァッッ!!」
断末魔の悲鳴を上げた彼は、救いを求めるかのように伸ばした手をわずかに動かすものの、それで力尽きてしまう。
黒いMS、ザクファントムはもはや動かなくなった警官には何の関心も示さずに足を上げ、一つ目を巡らし、別の警官のもとへと固定される。
睨みつけられ、身じろぎすらできず、目を離せなくなる。彼の視界に、つい先ほどまで共に仕事をしていた同僚の姿が映りこむ。
表情は苦悶に醜く歪んでしまっている。踏みつけにされた背中は大きく陥没しており、MSのかけた力の程をありありと語っていた。
変わり果ててしまった同僚、そして、自分の避け得ぬ未来の姿を目の当たりにした彼は、せめてもの抵抗として震える手で拳銃を構える。
しかし、ザクファントムはそんなものは全く目に入らない様子でゆっくりと歩み寄る。もはや手が届きそうな距離にまできたところで、
彼の精神は限界に達した。
「く、来るな……うわああぁぁ!!」
目を閉じ、絶叫しながら引き金を何度も引く。ごく近距離で何発か直撃するもの、それらは全て強固な外殻に阻まれ、弾き飛ばされてしまう。
銃弾をまったく意に介せず、進んでくる。彼は更に恐慌し、引き金を引くが弾丸は出てこない。
「た、弾が……!」
彼の前に立つMSは腕を伸ばし、首を掴むやいなや自らの目線の上に持ち上げる。もがく間もなく、黒い腕に力が込められる。
嫌な音と共に彼の意識は永遠に失われた。
ただの肉塊と化した警官を、まるでごみのように投げ捨てる。
ありえない角度に曲がった彼らの身体を踏みつけ、先へ進む。その姿は、まさに地獄の悪鬼そのものだった。
4578/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:50:08 ID:???

「ああ! ……そんな!?」
やっと気配のもとに辿りついたシンは、眼前に広がる光景に愕然とした。ありえない方向に身体を捻じ曲げられた警官たち。そして、
彼らをモノのように踏みつけ、平然としている黒いMS。
脳裏にかつての惨劇が甦る。
バイクにまたがったまま、右腕を前に掲げる。腰にベルトが現れ、裂帛の気合を込めて叫んだ。
「変身!」
シンの身体が戦うための姿、インパルスへと変貌する。さらに、灰色から青へと変化させる。シンは共に変化したバイク、
マシンスプレンダーを駆り、ザクファントムへと突進した。

完全に背を向けていたにもかかわらず、黒いMSは直前で向きを変え、回し蹴りを放った。
「なっ!?」
完全に虚を突かれた。回し蹴りは完全に直撃、シンはバイクごと蹴り飛ばされ、自動車に叩きつけられてしまう。
かろうじてシンは自動車の破片を押しのけて立ち上がるが、かなりのダメージを受けていた。
しとめ切れなかったにもかかわらず、ゆっくりとした所作で脚を下ろしたザクファントムは全く残念そうな様子を見せない。
それどころか、歓喜しているようにさえ思える
「来たか……インパルス!」
「お前は……まさか!?」
このMSは今までに戦ったことのないはずの相手だ。しかし、この気配は以前感じたことがある。それに、あの声も。
そして、シンは思い出す。顔に傷のあるMSを。
「思い出したか。あのときの借り、返させてもらう!」
間違いない。姿こそ違うものの、ユニウスセブンで最後に戦った黒いジンHM2――サトーだ。
姿が変わった理由は分からないが、敵は倒さなければならない。それも、以前戦ったときよりも強くなっているようだ。
油断のできるような、相手じゃない。
構えを取ったシンはサトーから一定の距離を保ちつつ、足を運んでいく。
そして、跳躍。
白い影が、黒い影に躍りかかった。
45810/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 09:53:34 ID:???
戦いの舞台は、駐車場から奥の方の空き地に移された。
これから開発される予定でもあるのだろう。丸太や鉄筋などの建設資材が置かれ、これから取り壊される予定であろうブロック塀や、
物置に使われていたのか、小さな小屋がある。
そこでシンは怒涛のような連続攻撃を繰り出す。
拳、突き、蹴り。青い装甲に包まれた鋭い一撃が、次々と襲い掛かる。
すさまじい攻撃の嵐に反撃すらできない、ように思われた。
これだけ攻撃しても、目立ったダメージを与えられない。全ての攻撃は巧みな体裁きと鉄壁の防御に阻まれ、ボディには一発も
届いていない。
むしろ、消耗しているのはシンのほうだった。疲れが出てきて、攻撃の切れがわずかに鈍る。
その隙を逃さず、ザクファントムは一気に動き出した。
右の拳をかわし、肩口から体当たりを仕掛ける。インパルスがわずかに後ろに下がった瞬間、その腹部に拳をたたきこんだ。

「うわあっ!」
腹部に強烈なアッパーを受けたシンは宙を舞い、地面に転がる。
地面に手をつき、何とか起き上がろうとするが、相手はそれを許さない。右肩のシールド、そしてスパイクをぶつける強烈なタックルが
立ち上がりかけたインパルスを再び吹き飛ばす。
仰向けに倒されたまま首だけを起こし、ザクファントムの様子を伺う。
こちらがひどくダメージを受け、呼吸も激しくなっているのとは対照的に、向こうは息一つ乱していない。
さらに、もう一度タックルを仕掛けようというのか、右肩のスパイクをこちらに向けている。立ち上がりかけた瞬間は非常に無防備だ。
ダメージを受けた身で、同じ攻撃を受けたらひとたまりもない。

シンは倒れたまま、地面を転がる。その勢いで起き上がろうというのだ。
もちろん、サトーがその隙を見逃すはずはない。再度、タックルを仕掛けてくる。
止めようのない、すさまじい突進。

だが、いきなり体勢が崩れる。何かに脚をとられたかのように前のめりに倒れかけるが、胸部で爆発。反動でわずかにのけぞる。
ケルベロスによる銃撃だった。
ベルトの力を込めなくとも、光弾を撃つことはできる。充填に多少時間がかかるために連射はできず、とどめを刺すほどの威力もないが。
緑に変わっていたインパルスは、サトーが怯んだ隙に後方に回転。銃撃でけん制しながら立ち上がった。
そのままケルベロスを横に構え、さらに引き金を引く。
45911/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:01:15 ID:???
光弾は次々にザクファントムのボディに吸い込まれていく。しかし――
「効かない!?」
胸部に何発も直撃しているはずだが、よろめきもしない。ダメージすら与えられていない。
驚きに、一瞬動きが止まってしまう。
そこを狙ってザクファントムが突進してくる。とっさにかわすが、避け切れずにダメージを受け、吹き飛ばされてしまう。

地面を転がりながらも、ケルベロスを離さない。
空いた右腕で自らの身体を支え、片膝を立てるようにして起き上がる。
強い。けど、これなら!
しゃがみこんだまま、左腕にベルトの力を集中させる。莫大なエネルギーが左腕を通して、ケルベロスに流れ込む。
それを見たサトーは、右肩の盾をインパルスに向けた。
シンは構わずに、引き金を絞る。
あんな盾で、受けきれるものかっ!
「これなら、どうだぁ!」
エネルギーの奔流が、サトーめがけてまっすぐに突き進む。
だが、その前に盾が立ちふさがる。ケルベロスと相対するように構えられた盾が、エネルギーの奔流を受け止める。
ザクの盾は、ザムザザーのリフレクターのようにエネルギーをはねかえすことはできない。それでも意識を集中させることで、かなりの防御力を持たせることは可能だ。

エネルギーの勢いで、サトーの身体は後方へと押し流されてしまった。ザクファントムの足元、土の上に残る、押し出された跡が勢いのすさまじさを物語っている。
シールドもかなりのダメージを受けていた。スパイクはもげ、奔流を受け止めた中心部は大きくへこみ、形状も変化してしまっている。
しかし、肝心のサトーはほぼ無傷だった。もはや用を為さなくなった盾を排除し、投げ捨てる。
「ふん、面白いマネをする。……だが!」
地面に転がる盾の惨状を見たサトーは憎々しげに呟いた。
胸を突き出すような仕草をし、気合を入れる。
すると、ザクファントムの背中が変化した。巨大な長方形の箱を二つ横につなげたような形状から、右側に細長い筒を下げた、
左右非対称の形状となる。
46012/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:03:55 ID:???
「変わった!?」
シンは驚愕しつつも、ケルベロスを向ける。
今度こそ、倒してやる!
しかし、その前にザクファントムの長大な狙撃砲、オルトロスから放たれたエネルギーの光条がインパルスに襲い掛かった。
引き金を引くよりも早く、光条が左肩をかすめる。直撃こそしていないものの、激しい熱が肩を焼く。左腕の感覚が麻痺したシンは、
ケルベロスを取り落としてしまう。
残された右腕を伸ばしてケルベロスを掴もうとするものの、再び光条が放たれ、ケルベロスを弾き飛ばす。
丸腰となったインパルスを、オルトロスがその名のとおり、猟犬のごとく襲い掛かる。

何とか光条をかわしていたシンだったが、背中が何かに当たる。ブロック塀だ。
「くっ!」
追い込まれてしまった。横に飛ぶこともできるであろうが、このような荒れた地形ではいつまでも避けきれるものでもない。
ザクファントムの構えるオルトロスの銃口に、光が集まっていく。
それを見て、シンは意を決した。
銃口を向けられているにも構わず、仁王立ちとなる。
眩い閃光が辺りを照らし、光条が放たれる。
インパルスの胸部に、オルトロスのエネルギーが直撃する。
だが、シンは姿勢を崩さぬままにそれを耐え切る。衝撃に半歩後ずさるが、強度の高い、赤い外殻は多少焦げついただけで
ダメージは見られない。
直撃の寸前で赤へと変わり、凌いだのだ。
オルトロスに耐え抜いた赤いインパルスは右腕を腰の前に掲げる。彼の手の中に両刃の剣、エクスカリバーがもたらされる
それをすぐさま分離させた。すでに左腕の感覚も戻っている。二本の剣を両手に握り、ザクファントムのもとに突進する。

オルトロスは長砲身ゆえに取り回しが悪く、連射もきかない。チャージの途中で間合いを詰め、エクスカリバーをなぎ払い、振り下ろす。
サトーはさすがの反応で刃をかわすが、オルトロスが弾き飛ばされる。
シンはそこでエクスカリバーを連結させ、ベルトの力を流し込む。相手が武器を失った隙に、とどめを刺そうというのだ。
右腕を通して、刃にベルトのエネルギーが伝わる。
「うおおぉぉっ!」
両刃の剣の重い一撃が、ザクファントムを切り裂かんと大上段に振り下ろされる。
46113/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:06:16 ID:???
それでも、倒すことはできなかった。
避けることがかなわぬと悟ったサトーはそこで左の肩口からインパルスに体当たりを仕掛けてきた。
思いもかけないとっさの、最適な反撃。
結局、インパルスの斬撃は不発に終わる。左の盾、下部を切り裂いただけだ。

「ふん。こうでなくては面白くない」
うそぶいたサトーは再度、胸を張るようにして気合を込める。
すると、さらなる変化が起こる。オルトロスを下げた左右非対称の背中が、肩口に二本の筒がついたような小さなものとなり、右腕には巨大な戦斧、ファルクスが握られる。
「な……また!?」
これで計三形態。インパルスの戦う姿と同じだけ変化したことになる。
基本形態、砲戦形態、白兵戦形態。それらは全て、インパルスの戦闘形態、青、緑、赤に対応したものだった。

サトーはゆっくりと歩み寄りながら、戦斧を両腕で回転させ、振り回す。ゆっくりと二、三回転してスピードに乗ったファルクスは土煙を舞い上げ、更なる加速をしていく。
そして間合いに入ったところで、一気に解放させた。
対してシンも、両刃の剣を振り下ろす。
金属を金属がぶつかる、甲高い音が鳴り響き、二つの武器が交差する。
重量に回転の勢いを上乗せされた横薙ぎの攻撃は、振り下ろされたエクスカリバーをいとも簡単に弾き飛ばし、インパルスの体表を切り裂く。
インパルスの胸部上方が真一文字に切り裂かれる。シンは激痛に襲われるが、エクスカリバーが勢いを削いでいなければ、これで終わっていたかもしれない。それほどの攻撃だった。

命は助かったものの、これでインパルスはまたも武器を失ってしまった。エクスカリバーを取りに行く余裕などない。
それでも戦意を失うことなく、シンは果敢にザクファントムに殴りかかる。
しかし、サトーはファルクスを振り回し、シンを徐々に追い詰めていく。

左のパンチは容易く止められ、逆に戦斧の柄で腹部を突かれる。
つんのめり、無防備にさらけ出された背中に戦斧の刃が襲い掛かる。
激痛に身を反らす。そこへ追い討ち。重い斬撃が袈裟切りに振り下ろされる。
とっさにかわすが、右肩の装甲が完全に切り飛ばされる。
いまだかつてない激痛が襲う。あまりの痛みにシンは右肩を抑え、叫びを上げた。
そしてサトーは、とどめとばかりにファルクスを振り上げる。
46214/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:08:36 ID:???
シンは痛みに耐えつつも、青へと変化する。
向こうが俺と同じように変わるんなら、弱点だって同じはずだ!
その考えに全てをかけての変化だった。経験上、赤は力はあっても動きが鈍かった。ならば、それと対応するような形態の
今のザクファントムも同様のはずだ。
果たして、その考えは正しかった。
脳天に振り下ろされるはずだった重い一撃を、ギリギリでかわすことに成功したのだ。
サトーはさらにファルクスを振り回すが、青へと変化したインパルスはそれを見切り、避けることができた。
ファルクスは重量級の武器であるがゆえ、振り回すと大きな隙が生じる。俊敏さに優れた青のインパルスなら、
そこにつけこむことができるのだ。
振り下ろされた一撃を後方にステップしてかわし、跳躍して頭部にとび蹴りを喰らわせる。
その衝撃でサトーはファルクスから手を離した。

シンは二歩、三歩と後ずさりし、右足に力を溜める。
先ほどからベルトの力を連続で流し込んでいるせいか、集束が悪い。それでも、全力を右足に込める。
そして、相手の様子を伺う。
サトーはやはり自らの身体を変化させていた。長方形の箱を二つつなげたような、最初の形態。これが、青のインパルスに対応した
形態なのだろう。
そして、残されたスパイクとシールドをこちらに向けてくる。向こうは向こうで、必殺のショルダータックルを
真っ向から仕掛けてくるつもりのようだ。
このまま飛び込めば、先ほどまでのようにやられてしまうかもしれない。
しかし、別の方策を練ることもできない。
シンの体力はもはや限界だった。この激闘だけでなく、今までに蓄積した疲労とダメージが彼の体力を徹底的に奪っていた。
もはや、全てをぶつける以外に手はなかった。
右足にエネルギーが溜まる。
シンは顔を上げ、強く地面を蹴って駆け出す。助走をつけて、一気に跳躍。
「うおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」
すさまじいエネルギーを迸らせ、右足から飛び込んでいく。

インパルスが跳躍したのを見たサトーは、背中に意識を集中させた。
背負った二つの箱のようなもの、その一部が展開し、蜂のようなものが飛び出す。
ファイアビー。この形態のザクが持つ、一種の生体ミサイルだ。
それらは全て、インパルスの右足めがけて突っ込んでいく。

エネルギーとミサイルのぶつかりあい。すさまじい閃光と爆風が辺りを包み込む。これで、完全に威力が相殺された。
インパルスはバランスを崩し、墜落する。
その瞬間に、サトーは強く地面を蹴って駆け出した。スパイクつきの盾を掲げ、全身のエネルギーを込めた必殺のショルダータックル。
それは見事、インパルスに炸裂した。
墜落途中では、防御することすらできない。何メートルも宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられる。
46315/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:10:49 ID:???
地面に投げ出されたインパルスは灰色に変わり、ピクリとも動かない。
「ふん、この程度か」
馬鹿にするように、冷たく言い放つ。
そうは言っても、これだけダメージを与えた上、ショルダータックルも完璧に決まったのだ。立ち上がれるなどとは、到底思っていない。

しかし、インパルスの右手がかすかに動いた。
それはもがくように砂を掴み、自らの方に引き寄せる。そして、地面に手をつく。
「まさか……」
サトーの目の前で、ひどく緩慢な動きで、よろめきながらもインパルスは再び立ち上がった。
自らの、二本の足で。
右腕は垂れ下がり、折れているのか左腕は動かない。足はとうに限界を超しているのだろう。震えが止まらず、おぼつかない。
そして頭もうなだれており、もはや敵も見えていない。
それでも、確かに立ち上がったのだ。

「しぶとい奴だ。今度こそ、甦らないようにしてやろう」
呆れた口調で言いつつも、サトーは内心舌を巻いてしていた。
こんな状態になりながらも、戦いを捨ててはいない。これは戦士、いや、戦鬼か。
だが、いいかげんこちらも限界がちかい。そして、手加減をするのも戦士として最大の侮辱だ。
だから、最大の技で葬る。
左肩にエネルギーを集める。右足を引き、力を込める。
インパルスは避けようともしない。いや、できないのだ。すでに、立っているだけで限界なのだろう。
エネルギーが集束し、強く地面を蹴る。

その瞬間、右手を握り締めたシンは残された全てのエネルギーの集中させ、拳を振り上げる。
「うおおぉぉぉっ」
捨て身の、カウンター。
これが今のシンが取れる、最後の攻撃だった。
それが、ショルダータックルと衝突する。

インパルスは吹き飛ばされ、今度はブロック塀を突き破り、小さなコンクリート製の小屋をも破壊した。
灰燼が収まったとき、そこにあるのは瓦礫の山だけだった。
その隙間からわずかに、土気色の手が覗いている。
今度こそ、立ち上がることはないようだ。
「終わったか」
サトーは呟き、瓦礫の山に背を向けた。

46416/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:15:52 ID:???
ルナマリアはいつものように、マユの病室にいた。
立ち上がり、そっと髪をなでる。
たとえ目が覚めなくても、髪は女の命だ。手入れを欠かさず、艶やかな美しい髪を保っている。
やわらかい感触を感じながらも、この少女はずっと目覚めることがない。
ふと、ため息が漏れてしまう。

すると、ベッドに横たわる少女の口から、苦しげな声が漏れた。
「う……ぅん」
見ると、目に涙も溢れさせている。
いつものことだった。この少女は、一日に何回もこうしてうなされる。
彼女はベッドの脇の丸イスに座り、少女の手を握る。
こうすると、少女は少しは安心するのか、穏やかな表情になる。
しかし、このときはいつもと少し様子が違った。
手がかすかに握り返される。これは今までになかった反応だ。
「マユちゃん!?」
驚きに目を見開くルナマリアの目の前で、少女は静かに、目を覚ました。
かすかに開いたまぶたの奥、きれいなすみれ色の瞳が、ルナマリアを見つめ返す。

起きた、起きてくれた!
泣き笑いの表情となっているルナマリアに、マユは小さな声で訊いた。
「お兄……ちゃん、は?」
二週間ぶりに見る少女の瞳は、不安に揺れていた。
465衝撃/16 ◆orYN7qK/0E :2007/08/02(木) 10:26:17 ID:???
就活オワタ)━(゚∀゚)━━━!!
これで次はもっと早くに投下できます。
466通常の名無しさんの3倍:2007/08/02(木) 16:29:15 ID:???
就活乙!自分も無事終えましたよ
続き待ってます
467通常の名無しさんの3倍:2007/08/02(木) 23:21:03 ID:???
GJ!
ぼろぼろにされたシンはどうなる!?
続きwktk
468通常の名無しさんの3倍:2007/08/03(金) 12:23:10 ID:???
GJ! & 就活乙!

サトーさん強いな。
だが、この壁を乗り越えればきっとシンは強くなる!
続きwktk
469通常の名無しさんの3倍:2007/08/03(金) 20:42:11 ID:???
まとめ更新マダー?
470MRS-D:2007/08/12(日) 11:06:50 ID:???
背面のバックパックから圧縮された空気が噴出す。跳躍。ビルの屋上から飛び上がり、上空を
疾駆する緑の異形に対して大型のライフルの狙いを定める。
引き金を引く。爆音。ライフルから薬莢が飛び出す。空気を引き裂き、緑色の光が空間を疾走する。
光は狙い違わず緑の異形の背面に命中。だが緑の異形は僅かに体勢を崩すだけに留まる。
「浅いか。」
静かな呟き。ZAFT製簡易型ライダーシステム―――通称ザクに乗り込んだレイ・ザ・バレルだ。
手に持つ大型のライフル―――全長は少なくとも1.5mを下らないだろうそれは対ライダー用
に製造された特殊なレーザーライフルである。
呟きながらも、レイは体勢を操作し、ビルの屋上―――先ほどとは違うビルだ―――に着地す
るとすぐさま足裏のローラーを起動し、速度を付ける。そして跳躍。今度は前方へ。
レイがそのビルを離れた瞬間、それまでいた場所が爆発する。上空からの緑の異形による射撃
だ。光が尾を引き着弾していた。つまりレーザーライフルによる攻撃。一撃でも喰らえば致命的な
ダメージとなり得る。
レイが一つの場所に留まらないのはその理由による。防御は全て回避か、もしくは外すことに
専心。攻撃は中、遠距離からの射撃に徹する。
対ライダー用の基本戦術である。
跳躍と疾走を繰り返し、相手に決して的を絞らせない。動きは一瞬足りとも止まることなく動いて
動いて動き続ける。
そしてその間も敵から眼を外すことなく―――簡易型ライダーシステムは基本的に背部にもカメ
ラアイを搭載している―――動きを見続ける。
『・・・・・』
咆哮し、戦うシンとは対照的にレイ・ザ・バレルは喋らない。一対一であれば言葉を口にするな
ど具の骨頂。そんな暇があるのならば思考に費やす。
敵の攻撃動作を盗み、行動パターンを模索し、自身の回避と攻撃の精度を上げることに専心す
る。覆すことの出来ない性能差を経験と技術で埋めるのだ。
『やるな、お前。だが―――』
空中の敵から声が掛かる。だが、レイは止まることなく動き続け、撃ち続ける。
喋りながらも敵は集中を切らしていないのか、その射撃を避ける。そして、レーザーライフルが
放たれる。
471MRS-D:2007/08/12(日) 11:08:53 ID:???
難なくそれを避けるレイ。だが、その攻撃のせいでレイは攻撃を放つタイミングを一瞬遅らせる
ことになる―――そしてそれが敵の狙い。それは間を取る、それだけの為の攻撃。
「・・・・・これは」
緑の異形の背中の羽が蠢き、舞い始める。まるでそれの一つ一つが意思を持つかのように。羽
は寄り集まり、大きな塊となっていく。寄り集まった羽は、凡そ数十cmほどの巨大な羽を形作る。
その数は目算で約20ほど。
仮面の下のレイの顔が青ざめる。羽が集まったソレが何なのか気付いたのだ。
『このライダーカオスのドラグーンを同じように避け続けられるか?』
緑の異形―――ライダーカオスと名乗ったライダーの寄り集まった羽が動いた。
「・・・・くっ!」
レイは直ぐにローラーダッシュとジャンプを繰り返し、その場から離脱する。

ドラグーン。それは前大戦で作り出されたライダー専用の特殊武装の一つである。「思念誘導に
よる長距離射程からの遊撃」と言う馬鹿げた設計思想に基づいて作られた、ライダーと言う超人
以外では決して操作出来ない―――と言うよりも常人ではその際に発生する膨大な情報量の処
理に耐え切れない―――武装である。
使用者を選ぶドラグーンはその敷居の高さにも関わらず、比類なき戦火を上げた。それもたっ
た一人のライダーによって。

カオスの放つ20基のドラグーンがレイに迫る。動きながら的を絞らせないレイ。そして目標を上
空のカオスからドラグーンへと変更し、ライフルを構える。
「落ちろ・・・!」
静かに、けれど強く叫びレイはレーザーライフルの引き金を引く。狙い違わずその一撃はドラグ
ーンを撃ち貫く―――瞬間、別方向から放たれた光がその光を弾いた。
「ちっ」
レイの放ったレーザーが別のドラグーンが放ったレーザーによって弾かれたのだ。
そして、その一瞬の隙を逃すことなく殺到するドラグーン。レーザーが放たれる。
瞬間、背部バーニアの出力を全開し、引き出せる最高速度でその場を離れるレイ。
爆発。ビルが崩れる。
別のビルの屋上に何とか着地する。
472MRS-D:2007/08/12(日) 11:10:14 ID:???
『やるじゃないか・・・・・だが、もう終わりだ。』
カオスが呟く。その背後で煌くドラグーンは正に羽の如く軽やかに彼に付き従う。
「・・・・・・」
答えるようにザク内部で黙々と、だが素早く各種設定に勤しみながらレイは淡々と呟いた。
「煩い男だ。」
それはまるで他人事のように。


『くそっ!!』
吹き飛ばされるソードインパルス。シンは両の手に持った大剣を握り締めながら毒づく。
眼前には黒い異形がこちらを見下ろしている。
『なんだ、お前もガイアより弱いんだ。』
声に滲むのは落胆。
ガイア―――恐らくは目前のライダーの名前だろう。今、彼の目の前で人の頭をゴミのように踏
み潰した異形が落胆している。
『ふざけるなっ!!』
言葉と共に立ち上がる。脳裏には先ほどの人を殺す光景。怒りがシンの意識を焼き尽くしていく。
身体を支配する激情のまま右手に持った大剣を振りかぶる。
握り締めた大剣に込める意思は必殺。眼前のガイアを切り裂き、貫く、明確な殺意。
『フラッシュエッジィィ!!!』
叫びと共に殺意を込め、右手の大剣が真ん中で折れたブーメランのような形に変形する。
『当たれえ!!』
下からすくい上げるようにして目前のライダー、ガイアに向かって投擲する。
だが、ガイアは当たる瞬間にフラッシュエッジの軌道から身を動かし、ソレを難なく避ける。
《シン、少しは落ち着きなさい!》
シンを諌めるルナの声。だが、シンには届かない。見せ付けられた惨殺がシンから正常な判断
能力を奪っている。
『うおおおお!!!』
残ったもう一本の大剣を両手で握り締め、そのまま突進。対するガイアは、腰を低く―――それ
473MRS-D:2007/08/12(日) 11:12:03 ID:???
はレスリングのタックルに近い―――構え、シンに向かって突進。
両手両足の先の爪が鋭く長く尖り伸びていく。
加速。加速。更に加速。伸ばした爪で大地を掴み、駆け抜ける。
突風すら従えるような勢いでガイアが突進する。
『はあっ!!』
裂帛の気合と共にガイアの右腕の爪が振りかぶられ、シンに迫る。声を出す間もなくシンはそ
の一撃にかろうじて反応し、大剣の腹で防御。だが、衝撃を逃がすことも出来ず、既に倒れ崩落し
ているビルの瓦礫の中に吹き飛ばされる。
《何回同じコトやるつもりなのよ!?いい加減少しは落ち着きなさいよ、シン!!》
『うるさい、黙れ!!こいつは殺したんだぞ、人を!人間を!!落ち着ける訳があるか!!』
瓦礫の中から立ち上がり、シンは叫ぶ。
――――先ほどからずっとこのやり取りは続いている。
目前で行われた無残な殺し。シンはそれを目撃した瞬間からずっと激昂し続け、猪突猛進を繰
り返している。
恐れていたコトが現実になった。タイミングの良さは最高だ。これまでで一番の強敵との戦いで
この状況に陥る。それは考えうる最悪のパターンだろう。これでは勝てるモノも勝てない。まして相
手は冷静に戦って勝てるかどうか分からないほどの強者。こんな状況で勝てると思う方がどうかし
ている。
ルナは冷静に、「敵」を見定める。
ライダーガイア。
武装は両手両足の爪と仮面の口のような部分から生えている牙。その武装からして恐らくは近
接戦に特化したライダー。
『うおおおお!!!』
咆哮と共にシンは再び突進する。
『遅いよっ!!!』
ガイアの言葉と共に右手から生えた爪が巨大化する。鉤爪のようだった爪が、剣と言っても差し
支えないほどに巨大化し、小刻みに震え出す。同時にキィィンと蜂の羽音のような音を鳴らし出す。
高速振動による衝撃の増加。それはPS装甲、そしてその亜種でもあるVPS装甲。その弱点は
以前語ったように強力な点の衝撃である。高速振動による攻撃もその一種である。一点への衝撃
474MRS-D:2007/08/12(日) 11:13:22 ID:???
を振動によって何百回何千回と行い続ける。
小さな窪みは振動によって少しずつその大きさと深さを広げ、穴となり、装甲を突き破る。問題
点はそれに必要なエネルギー量とその衝撃を制御する筋肉量であり、事実上ライダー専用の装
備でもある。
ライダーシステムへの適応手術が全面禁止された現在では使用する者などいない筈の技術で
ある。――――だが、それが今ここに現出する。ライダー専用の対ライダー用装備として。
『死ねええええ!!!!』
咆哮はガイアから。速度はそのままにシンに向かって爪を突き出す。対するシンは大剣を大きく
振りかぶり、ガイアに向かって振り下ろす。
鳴り響き、耳を貫く甲高い金属音。白熱したソードインパルスの刀身と高速で振動する爪による
鍔迫り合いである。
『うおおおおおおお!!!!』
『はああああ!!!』
お互いの全霊の力で以っての鬩ぎ合い。一瞬の膠着。ガイアが下から天に向かい爪先で顎を
狙うように右足を槍のように突き上げた。だが一瞬早くシンはそれに反応し、咄嗟にその場を離れ
―――瞬間、ガイアの身体が腰を軸に回転し、左足をシンの腹部に向かって回し込み、降りぬく。
『があっっ!!?』
再び吹き飛ばされるシン。そこに爪を振りかぶり襲い掛かるガイア。
『うおおおお!!』
シンは直ぐに立ち上がると剣を大きく振りかぶり勢い良く振り抜―――こうとして違和感に気付
く。身体の動きが鈍い―――否、これは鈍いのではない。意図せぬ方向に動いている。前へ、前
へと突き進もうとする動きではなく、後ずさり、後方に撤退しようとする動きへ。
《シン、引くわよ!》
『ルナ?』
何のことか分からずにいるシン。だが、ルナは構うことなくシンの「肉体の操作権」に干渉を始める。
《逃げるって言ったのよ!!》
『!?』
シンの意思に反して、身体が動く。ぎこちない動きながらも全身の筋肉を連動させ、後方に大きく跳躍。
475MRS-D:2007/08/12(日) 11:14:42 ID:???
シンの身体が、その場を離れる。その距離、凡そ数十m。そして着地と同時に再び跳躍。途中、
幾つかのビルに衝突。だが、そんなことお構いなしに後方に、後方へとひたすら逃げ続ける。
『くそっ、動かないっ!?ルナ、お前何してるんだ!!』
《逃げるのよっ!》
『ふざけるな!!倒すんだ!あいつを、倒すんだよっ!』
大剣が自身を追いかける一人の異形に向けられる。
両手から伸びた爪が剣のように重ね合わせられ、それを振りかぶりこちらを追いかけてくる。そ
れを見てシンは再びガイアに向かって突き進もうとし―――身体は逆に後方に下がっていく。
《逃げられない・・・・?》
『だから、戦って、倒すん』
《そうして・・・・メイリンを泣かせるつもり!?》
『な・・・に・・・・?』
 《私は、このままなら確実に死ぬって言ってるのよ!!》
息を呑むシン。少し押し黙る。迫るガイアから逃げる為にルナは無理矢理シンの足を動かし、跳躍――ひたすらに退がり続ける。
そして、話を続ける。
《ただ目前の敵に自分の憎しみをぶち当てればそれで充分。憎しみをぶちまける場所を求めてい
るだけなのよ、あなたは。だから、こうやって自殺志願みたいな戦いを繰り返す――――そんな泥
まみれの戦いの方が憎しみをばら撒くには一番都合が良いから!!》
『ち、違う。俺は』
その言葉を遮ってルナがシンの脳裏で呟く。
《それでも、私は死なせない―――約束したんだから。》
約束―――それはメイリンと。
《あなたを死なせないって約束した。だから、私はそれを守ってみせる。》
そう呟くとルナはシンの肉体の操作に没頭し始める。
生き残る為に。彼を守る為に。彼を死なせない為に。
眼では見えない意識の奥の彼女の顔。そこに映るのはその一念だけ。
眼で見ずとも分かるその雰囲気。
シンには何も言えなかった。ルナの声。それはどこまでも正しく、彼の本音だったから。
爆発音。瓦礫が舞い散り、視界を覆い隠す。そこから跳躍し、相手の死角を突くようにして逃れ、
476MRS-D:2007/08/12(日) 11:16:11 ID:???
移動を繰り返す。
泥まみれ、埃まみれの逃避行。勝手に動く自分の身体を見つめながらも、彼は呆然と思考を巡らせた。
(・・・・・俺は)
爆音。そして衝撃。
身体を襲う衝撃でシンは我に返る。回避が間に合わずに吹き飛ばされたのだ。ルナが操る自分が。
《―――くそっ!》
口汚く罵るルナ。
見えないが瞳からは未だ力強さは消えていないだろう。そんなもの見るまでもなく分かる。
彼方からこちらを見下ろす黒い影―――ライダーガイア。
ドクン、と胸が鳴った。怒りと憎しみが燃え上がる。
―――消えはしない。消せはしない。
ソレはシン・アスカの本質に根ざす欲望。復讐を遂げたいと言う切なる願い。
―――奪われるのなら、二度と奪えないように殺してしまえ。
ソレは既にシンを彩る一部と成り果てている。シンは悟る。自分自身を。自分でも気付いていな
かったソレを。
自分の本質は、あの時、デュランダルの手を握り締めたあの瞬間から復讐者に摩り替わっていることを。
『ルナ。』
《何!?》
『俺は逃げない。絶対に。』
『シン、あなたね・・・っ!?』
凝りもせず同じことを呟くシンにルナは激昂し・・・その声に滲む虚ろに圧倒される。
『俺には・・・・そういう戦い方しか出来ない。』
空虚な声。悲しさすら感じさせる虚ろな声。
《―――シン、あなた》
『けど、誰かを泣かせるのも嫌だ。だから、』
言葉を切る。心中に渦巻くのは整理され、自覚した己の心。
何もかもかなぐり捨ててしまえ。復讐者に誇りなど無い。泥水を啜り、卑怯者と罵倒され、外道
邪道を歩み続ける。
それこそが復讐者にとっての正道。シンにとってそれだけが進むべき道。
『力を貸してくれ、ルナ。俺は・・・・死ぬ訳にはいかない。』
凡そ真っ当とは到底言えない気持ちで、その言葉を紡いだ。
少年は復讐者としての道を選び、それを自身の運命として自覚した。
自覚は決意を促し、様々なものを削り取る。
復讐を遂げる為にはなんであろうと利用しねじ伏せる、その決意を。

477MRS-D:2007/08/12(日) 11:18:08 ID:???
すいません、タイトル書き忘れてました。
PHASE06『セカンドステージ』 SIDE-B
です。
もう少し更新速度上げれるようにしてみますのでよろしくお願いします。
478通常の名無しさんの3倍:2007/08/13(月) 15:11:50 ID:???
GJっす!
ルナがいいっすね〜
ただ、ちょっと文章の途中でレスが変わるのがちょっと読みづらかったです
できれば、文章の区切りで次レスに移っていただけるとありがたいっす
479通常の名無しさんの3倍:2007/08/16(木) 16:13:26 ID:???
GJだす!
カッコイイなぁ今までにないハードな感じ
480通常の名無しさんの3倍:2007/08/19(日) 20:33:53 ID:???
>>477
なんというダークヒーロー…こういうシンを待っていた!
481通常の名無しさんの3倍:2007/08/20(月) 12:34:23 ID:???
>>477
GJ!
なんというか、黒い。でもカッコいい!!
続きをwktk
48231 ◆MRSinWBV9. :2007/08/21(火) 16:42:21 ID:???
遅い夏休みが取れたのでwiki更新しました。

>>469
に書き込まれるくらい長期間更新できなかったりするので
久々に@wiki使うとメニューに見たことがない機能ばかりが追加されて驚きましたよ……。
483MRS-D:2007/08/21(火) 17:32:41 ID:???
すいません、まとめサイトみて気付いたんですが、
よく見たら今回のタイトル、PHASE06『セカンドステージ』 SIDE-Cでした。
申し訳ないです。

レスありがとうございます。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。
484通常の名無しさんの3倍:2007/08/23(木) 17:52:42 ID:???
乙です。そして保守

KIRA執筆中ですが、試行錯誤しまくって書いてます。急ぎで運命編に向かわしたいのですが………
485通常の名無しさんの3倍:2007/08/25(土) 01:39:43 ID:???
保守がてらに投下
早く出てこないかな

↓仮面ライダーデスティニー(デスティニーフォーム?)
http://q.pic.to/gp32a
486通常の名無しさんの3倍:2007/08/31(金) 12:07:50 ID:???
上げ保守
487通常の名無しさんの3倍:2007/09/02(日) 11:05:31 ID:???
リュウタロス、ボコられた
488通常の名無しさんの3倍:2007/09/07(金) 23:06:13 ID:???
保守
489Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:10:00 ID:???
少し短編書いてみました。一部かなりキャラが変えられているのもあるので注意してください!
途中ですが保守代りに。まぁ予告編だと思ってくださいね。拙文ですがどうぞ。

第一話「運命が変わる日」

少年が今までの人生で少しずつ積み上げてきた常識という名の積み木はたった数日間でバラバラに崩れていった。
子供の頃によく観ていたTVのヒーローは大人になるにつれてそれが幻想であると知り、悪の組織も存在しない事を知った。
(少なくとも彼が幼少時に調べた電話帳には悪の組織の名は載っていなかった。)
そんな一般人なら誰でも持っているような認識を、今の彼はそれを捨てざるをえなくなっていた。その認識が目の前の現実と大きく矛盾していたからだ。
おとぎ話に出てくるサイクロプスのような一つ目の人間が確かに彼の眼前に存在している。全身が鎧のような筋肉でその上全身は緑である。
それは間違いなく怪物と認識しても差し支えないだろう、どんなに地球温暖化が進行しても人間こうはならない。怪物はしきりに暴れ回っていた。
その様子は小さなハリケーンの如し、パワーは凶悪で周りの物や人を見境無しに破壊していた。
少年は子供の頃好きだったヒーローの姿を思い浮かべる。彼のヒーローはこんな時にはカッコ良く怪物をやっつけるのだ。
だが周りを見渡してもヒーローの姿はない。当然それは偶像であり実在するはずがない。だが怪物はバッチリ存在している。
「世の中理不尽過ぎないか…?怪物がいるなら正義の味方くらい用意しとけよ」
誰に言わずとも彼の心情がそのまま口に出ていた。
「君がなればいいだろう、君ならいいヒーローになれる。私が確信を持って保証しよう!」
「お断りだよ!あんたみたいな怪しさ全開の変態仮面の言う事なんか誰が聞くか。」
「ハッハッハ!ディ・モールト!実にいい!この絶望的な状況でその負けん気、それでこそ我が友だ!」
「何勝手に友達にしてんだよ?!」
「しかし友よ、この状況、決して生易しいものではない…」
「無視かよ。」
「この状況を打破するとなると、やはりこのままでは無理だ。」
「…わかってる…いきなりマジになるな。」
「君にもわかるはずだ、君が今、何をすべきなのかを。」
少年、シン・アスカは決断を迫られていた。
490Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:16:04 ID:???
話は前日へと遡る。シン・アスカは教室の窓際の席で退屈な授業が早く終わらないかとぼんやりと空を眺めていた。外からは暖かい春の日差しが降り注いでいる。
教壇の上ではもうすぐ定年間近の、髪の毛の色がほとんど真っ白な老年の教師が古典の解説をしているところだった。
シンにとっては意味がわからない謎の呪文にしか聞こえない。おかしなのにおかしくないってどういう事だよ?というのが成績が悪いことに対する言い訳であった。
空を眺めるのにも飽きて教室に目を向ける。昼休み前の四時間目の授業、さらにあまり生徒に怒らない教師の授業という事もあり
熱心に解説を聞いている生徒は少数であった。それ以外の生徒は机の上に突っ伏しえ寝ていたり、隠れて漫画を回し読みしたり、弁当を食べていたりした。
シンは不意に一人の女生徒の方へ目をやった。彼女は視線を教師に向け、時々下を向いてノートをとっている。かなり真面目に授業を受けている。
(真面目に頑張って…あいつらしいな)
そんな姿を見てシンは溜め息をついた。同時に劣等感も感じていた。視線の先の女生徒、名はルナマリア・ホーク。
彼と彼女は家が隣同士の幼馴染だ。当然小中高同じ学校である。小学生の頃は毎日一緒に学校に行ったりしていたのだが中学に入ってからはそんな事も少なくなった。
と言うのは中学に入り周りの男子が騒ぎ始めたのだ。整った顔立ち、モデルのようなスタイル、成績優秀で同姓からの人気も高い。まさに完璧であった。
それまでルナと呼んでいたのだが段々話しかけづらくなり以前のように一緒に登校したり話したりすることが少なくなっていった。
高校に入る頃には彼女をホークを呼んでいた。ようするにシンにとってはルナが自分の手の届かない遠くの世界に行ってしまったように感じた。
もう彼女は自分の知っているルナじゃなくなったのだ。そんなことを思う度にシンは暗い気持ちになる。
シンは特別秀でたところもない、どこにでもいる高校生であった。成績は中の中、運動能力は上の下、ルックスは…年齢より子供っぽい。
こんな平凡な自分ではルナと仲良くなる資格もないんじゃないか、と考えるようになってから気軽に話しかけられなくなってしまった。
授業終了の鐘が鳴る。それと同時に教室の中が騒がしくなる。それぞれ自由に仲の良い者達と昼食をとり始める。
「シン、飯食おうぜ。」
クラスメートであり、よく一緒に行動するヴィーノとヨウランがシンの机に近付いてきた。いつも彼らはここに集まる。
「いやぁ〜しかし今日は暖かいな。朝なんか猫が盛ってうるさい事うるさい事」
浅黒い肌が特徴のヨウランが気の抜けた調子で口を開く。
「春か…俺にも春来ないかな…。いい加減愛の手料理っていうのを食べてみたいよ。」
小柄で茶髪、前髪が赤いメッシュのヴィーノが悲しげに焼きそばパンを頬張りながら答える。
「俺らって…女っ気ないな。」
「言うなよ。」
2人の虚しい会話もシンは聞き流していた毎度の事だからだ。春夏秋冬、何につけてもこういった会話しかしてないのだ。
「神様は不公平だよな、みんなモテルやつに集中しやがる。そう言えばルナマリア、また告られたらしいぜ。」
ヴィーノの一言にシンの心拍数が一気にレッドゾーンまで高まる。
「またかよ!この前サッカー部のエースに告られたばっかじゃんか。くそっ!俺もあんだけもててみたいぜ!」
「やめようぜ、悲しくなるから。…ん?シンどうした?飯…食わないの?」
その一言にはっとするシン。
「あ、ああ!食べる食べる!それにしてもすごいな、ホークは。」
動揺を悟られまいと必死に平静を装って弁当を口にかきこむ。
「そう言えばお前あいつと幼馴染なんだろ?なぁ、頼むよ、今度女友達紹介してって言っといてくれよ!な?」
「情けないなヨウラン…でもシン。俺も頼むよ。」
「あ…ああ。まぁ、あんま期待はするなよ。」
シンは曖昧に濁してその場を切り抜けた。
491Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:17:21 ID:???
その日、シンは下校中ぼんやりとヴィーノの言葉を思い出していた。またルナマリアが告白された事だ。
ルナマリアのそういった話はもはや特別珍しくもなかった、しょっちゅうそういった話を聞くしシンが知らない話ももっとあるだろう。
だがその事を考えるだけでシンは鉛を目一杯詰められたように頭と胸が重くなる。この重しにいつまでたっても馴れる事はなかった。
考えないように考えないように、そう考えれば考える程、頭からその考えが離れなかった。接着剤でとめたかのように頭にこびりついている。完璧な恋煩いだった。
彼は自分の気持ちに気付いてはいるがそれを認めようとしない。それを端へと追いやろうとする。学校の人気者が特別優れた訳じゃない、唯一の接点が幼なじみだけの自分に振り向く…
まるで想像がつかなかった。幼なじみと付き合うなどハッキリ言って漫画だけの出来事であり、加えてシンは某有名ゲームから幼なじみを落とすのは難しいと学習している。
今じゃ普通に喋れもしないのだ、ましてや付き合うなどとそこら辺を歩いていたらたまたま宇宙人と会って一緒にお茶するくらいの確率だ、そんな事を考えていた。
気付くと考え事に没頭しすぎてまったく知らない裏道を進んでいた。こりゃいかん、と道を引き返そうと振り向いた矢先シンの視界に奇妙な物体が立っていた。
全身が緑系であり鎧のような筋肉が盛り上がっているような姿であった。二の腕の太さはシンの太ももぐらいはあるだろう。だが最も特徴的なのは目にあたる部分だ。
黒いバイザーの中心に淡く発光した赤い真円が不気味に浮かんでいる。何故こんなものが特別変わったところもないこの街にいるのだろうか?
そうだ、これは素人ドッキリなのか。シンはすぐに結論を下した。穏やかな住宅街に現れる怪物、逃げ惑う人々!なるほどね、安い話だ。カメラはどこにあるんだ。シンは隠して
ありそうな場所をキョロキョロと探し始める。緑色の着ぐるみがシンの目の前まで近付いてきた。春で暖かいとは言えこれだけの着ぐるみはとても暑そうだった。
「いや〜大変ですね。これいつ放送で」
喋りきる前に急にシンの視界が真っ暗になった。次に気付いた時は視界は青一色であった。仰向けになって倒れていた。彼は訳がわからなかった。
混乱しつつも体を起こす、同時に頭に激痛が走る。
「がっ…!」
一瞬で髪の毛を全部抜かれたかと思い手をやるが黒髪はしっかりと生えている。クラクラするが意識はハッキリしている。
ぼやけた視界の中でまたも緑がこちらへ来るのがわかる。
「いきなり何すんだよ!いくら撮影だからって危ないだろっ!!」
シンの怒りへの返事はミドルキックであった。動きを何とか察知して皮一枚で蹴りをかわす。脚はシンの真横のコンクリート製の壁にぶち当たる。
壁は衝撃が波で伝わる事を教えるよう放射状にひび割れた。
間近で見たシンは流石に撮影ではない事に気付いた、同時に緑のモノが少なくとも人間でない事、そして友達にはなれそうにないなと思った。
あの赤い単眼に睨まれたら誰でもそう思うだろう。たとえ慣れてもお断りだった。
緑は脚が壁に刺さったままで身動きがとれなくなっていた、シンはこの隙を見逃さず一目散にに逃げる。
「警察っ!警察!!誰か警察をっ!!」
頭で考えていたつもりだったが声に出して叫んでいた。体を限界まで動かす。頭が痛いのも忘れて走った。捕まったら死ぬ、そう、命をかけたおにごっこだった。
走りながら後ろを振り向く。だが【奴】はいなかった。奴は前にいた。目の前の光景が信じられなかった。シャツの裏の汗が一気に冷たくなる。
あれだけ先にスタートしておきながら一気に追い越されてしまった。
シンは決して足が遅い訳ではない、いや、そういう次元の話ではないのだ。イキモノとしての能力が段違いだった。
それは兎と亀の競争のようなもの、だが現実は亀が勝つ事ができない。
瞬間、シンは今来た道を引き返す。だが緑の兎が亀を狩る方が速かった。鋭く荒々しい爪がシンの胸から腹部にかけて袈裟に切り裂く。
肉と骨ごと削られた。削られた肉片はビチャリと音をたて地面へと飛び散った。
シンは膝から崩れ落ちそのまま俯せに倒れた。これだけの痛手を負いながら、‘不幸にも’シンの意識はまだ保たれていた。
(熱い…なんだこれ…真っ赤だ…血?スゲー…トマトジュースみたいだ…いてぇ…俺…死………)
湧き水のようにシンの血液が地面を覆っていく。肌が白くなっていき、体温が奪われていく…。緑の怪物はもういなかった。

492Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:19:33 ID:???
小さい頃の夢を見た。まだ恋とか愛とかわからない、いや、今でもわかんないよな。とにかく昔の夢、妹のマユと、メイリン、そしてその姉のルナマリアと遊んでる夢だ。
おままごとをしてた。俺がお父さんでルナがお母さん。マユとメイリンはどっちがお姉さんになるかもめてる、結局順番でやってたな、確か。
ルナが泥でできたピザを出してきた。この泥ピザを一回だけ本当に食べたんだよな、ルナが真似じゃダメだって言うから。我ながら無茶だよな。
当然次の日具合を悪くした。ルナは布団で苦しむ俺に泣きながら謝ってたっけ。その時の事はすごく印象に残ってる。
「ごめんね、ごめんねシンちゃん」
そうだ、昔はシンちゃんって言われてたんだよな。…今は?…わからない、そもそも話さなくなったから。何でだろう?
背中に冷たく堅い感覚がある。目を開くと眩しい光が飛び込んでくる、シンは思わず目を細め顔を背ける。しばらくして当たりを見渡した。
病院の手術室みたいなと部屋だった。高価そうな機械、点滴が部屋の至る所に置いてあった。そして自分は上半身裸で手術台に横たわっていた。意識が定まらない、自分はどうして…
「もうお目覚めかな?」
背中の感覚に似た声が部屋中に響く、だがその声には優雅な、どこか気品に満ち溢れた声だった。首を回して声の主を探す。
「後ろだよ。」
笑いを含んだ調子で響く。シンは体を起こし後ろを向く。壁際に独りの青年が寄りかかっていた。
「やぁ、調子はどうかね?シン・アスカ君。」
男は貴族のような雰囲気を纏っていた。ただし口から下だけ。顔の上半分に鉄製のマスクを被っている。シンの疑惑の視線に気付いたのか男は軽やかに挨拶をした。
「私はラウ・ル・クルーゼ。決して怪しい者ではないよ。」
手術室に自分を運び込んだ仮面の男、十ニ分に怪しい。疑惑の視線は更に強くなる。それを無視するようにラウは続ける。
「心配は無用だ、あの怪物はここにはこない。」
ラウの言葉にシンの記憶が沸々と蘇ってくる。下校途中に怪物に襲われた記憶が。
「そうだ!俺怪物にやられて…血が出て…アレ?俺死んだんじゃ…?」
シンは自分の体を見回す。脚はしっかりと存在していた。どうやら幽霊にはなっていない。他の部分も何も異常らしい異常はない。
「安心してくれ。ここは天国でも地獄でもないさ。」
ラウが芝居がかった口調で言った。確かにどっちにもこんな怪しさ全開の変態仮面男はいないな、シンは口には出さなかったがそう思った。
「じゃああれは一体…夢?」
最後につけられた胸の傷が綺麗さっぱり消えていた。
「いや、あれは紛れもない現実だよ。そして君は一度死んだ。」
ラウは平坦な口調で発せられたためわかりづらかったが確かに死んだと言った。
「死んだ?」
493Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:21:25 ID:???

「だが君は生き返った。いや違うな…生まれ変わったというのが正しい。君はそのベルトの力で新しい命を手に入れたのだよ!」
ラウは最後の1行に力を込め吠えた。シンの腹部を指差したポーズでパントマイムをするように固まっている。ラウはしばらく動かずにいた。シンも呆れて動けなかった。
「ククク…ハァーハッハッハ!!」
突然ラウが気でも触れたように笑い始めた。突然の変化に驚きシンは手術台から転げ落ちた。シンが立ち上がっても仮面の男は満足そうに頷いていた。
「これだ…この感覚!私は確実に夢へと近付いている!」
興奮しながらブツブツと呟いている。そんなラウを尻目にシンは独り愚痴をこぼす。
「んな事言われても信じられるかよ。てかこいつ何者だよ…」
ラウという男、見かけだけでなく中身も怪しすぎる。新興宗教の勧誘かとも思った。ラウはシンの独り言を聞いていたようだ。
「ふむ…では一つずつ説明していこうか。」
ラウは顎に手を添えてゆっくりと話を始める。
「まず、あの怪物の正体だ。あれは人間じゃない、だが動物が突然変異で出るものでもない。」
「じゃぁ、遺伝子組み換えとかなの?」
「半分正解だ。確かにあれは遺伝子組み換え生物だ、だがそんな技術はここには存在しない。」
「じゃああれは何なんだよ。未来や異次元からでも来たのか?」
「ほぅ…君は勘がいい!そう、奴らは未来ではないどこか…限りなく近く、そして遠い世界からきたんだ」
シンはこいつは何かドラッグでもきめてるのではないかと心配になった。さっきの怪物は夢なんだと、だが夢にしては血と共に力が抜けていく感覚はリアルすぎた。
ラウの言葉を笑って聞き流す事ができない。
「信じられないのも無理はない、奴らはこの世界には今まで存在しないものなのだからね。」
「ちょっと待て!近いだか遠いだかわかんないって!この世界ってなんだよ!」
ラウはまたしばらく考える素振りをみせ、口を開いた。
「パラレル・ワールド、と言えばわかりやすいかな?つまり怪物は他の世界から君達の世界へと来たのだよ。」
「パラレル・ワールド…?何でまた…」
「その説明はまた後だ。長くなるからね。今はあの怪物は君達の脅威になる…それだけを認識してくれればいい。」
「まとめると、技術の高い世界で生まれた怪物が、この世界に来た…って事でいいのか?」
ラウは嬉しそうに頷いている。どうやらこれが正解らしい。その上ラウが嘘を言ってるようには感じられなかった。どうやら本当にややこしい事になっているようだ。
「まぁ…よくわかんないけどな。とりあえず助けてくれたみたいでありがと。じゃあ俺帰るよ。」
そう言ってシンは近くにあった自分の制服に袖を通す。出口に向かうシンをラウが引き止め悲しそうに叫んだ。
「待ちたまえ!君はまだ僕が何者か聞いてないじゃないかっ!」
494Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:23:00 ID:???
いや、やっぱあんま興味ないからいいよ。」
さらりとかわすシン。ラウは諦めない。
「ずるいぞっ!もう君は僕と離れられないぞ!まだ説明は終わってない!」
ラウは扉を背にしてシンを部屋から出られないようにしてから、落ち着きを取り戻し話し始める。
「オホン…おめでとう。君は新しい力を手にしたのだ。その力で、あの怪物も簡単に倒せるぞ。」
「俺は別に何も変わってないよ。」
そう言いながらシンはさっきまでとの変化した部分に気付いた。制服の革のベルトが銀製のものに代わっていた。バックルが特徴的である。
「そう、そのベルトの力を使うんだ。腕時計でもよかったのだがね、やはりベルトが昔からの良い伝統なんだよ。さぁ!ヒーローになり、共に悪を討ち滅ぼそうではないかっ!」
「断る。」
「何故だ!ヒーローになれるのだぞ?変身できるのだぞ?魅力的じゃないかね?カッコイイヨ?」
まさか断られるとは思っていなかったラウは動揺を隠せない。自身が考えつくヒーローの利点をあれこれと挙げていく。
「うるさいな、悪いけど、俺はそんな事に興味ないんだ。それにやりたいならあんたがやればいいだろ。」
「フッ…やれるものなら…とっくにやっているさ…」
悲しげに呟く。その姿を見てシンはなんとなく気まずい気持ちになる。
「頼む、シン君。やって欲しい、級友の頼みだと思って…」
あんたなんかと級友になった覚えはない、と言おうとしたがその言葉は驚きで喉に引っかかりでてこなかった。ラウが仮面を外した、その顔に見覚えがあったからだ。
整った目鼻立ち、艶やかに煌めく金髪、何より特徴的なのはその瞳だ。吸い込まれそうな程澄んだマリンブルーで目を合わせたら息をするのを忘れてしまう程美しかった。
シンのクラスメイトの、レイ・ザ・バレルだった。
「いきなりすまなかったな、シン。」
仮面を外したラウは先程とはまったく印象が違っていた。喋り方はもちろん、彼をとりまく空気までも変わってしまったようだ。
演技とかそういった次元ではない。人が変わったようだ。
「レイがラウでラウがレイ…?」
シンとレイは特別仲がいいという訳でもなかった。ただ、会ったら一言二言話す程度、シンはレイの事を勉強もできてスポーツもこなせる、知的で冷静な奴くらいに思っていた。
先程のラウとは正反対の認識である。
「ああ、俺の身体には二つの人格が宿っている。そう思ってくれ。」
このたった数時間でシンにいくつもの「非常識」が降り注いだ。怪物、生き返った自分、二重人格なクラスメイト、もう認識能力は限界に来ていた。
それを察知したのかレイが穏やかに言葉を紡ぐ。
「シン、ラウはああ言っているが、無理はするな。今日は疲れただろう、帰って休むんだ。」
レイがシンの肩に手を置いた直後シンの視界がグニャリと溶けて歪み、意識が薄れていった。
495Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:25:50 ID:???
シンが次に目を醒ますと自宅の前に立っていた。辺りを見回すが慣れ親しんだ光景が見えるだけで何も変わった事はない。
そのままぼーっとしていると背中にドスンと重いものがぶつかる感覚に襲われる。
「ただいまお兄ちゃん、家の前でぼけっとして何してるの?変質者みたいだよ?」
一つ年下の妹、マユだった。ぶつかってきたのは妹の通学鞄であった。またおかしな事が、と必要以上に身構えたがマユと知って一気に緊張が解けた。
「マユか、よかった…。」
「何が?お兄ちゃんどうしちゃったの…?」
「何でもない、行くぞ。」
二人で家に入る。普段は何とも感じないのだがこの日ばかりは違う、シンは今日を経て自分の家がどんなに安心をもたらすかを初めて知った。
「ただいまお母さ〜ん、マユお腹減った〜」
「おかえり。まったく帰ってくるなりはしたないわね…ちゃんと手を洗うのよ。ほら、お兄ちゃんもぼーっとして何してるの。」
いつもはうるさく聞こえる母の小言もとても暖かく感じた。言われるがまま手を洗い着替えもしないまま食卓についた。既に夕食の準備は済んでいるようだ、メニューはハンバーグだった。
「二人ともおかえり、じゃあご飯にしようか。」「父さん、早かったね。仕事もう終わり?」
「ああ、思ったより早く片付いてね。こうして家族でご飯を食べたいと思った訳だ。シン、久しぶりに一緒にビールでも飲まないか?」
父は既に少し顔が赤くなっている。普段は仕事が忙しくあまり家にいない、稀に早く帰ってくる時はこうしてシンを御相伴に誘う。
「マユも飲んでみた〜い!」
「こら!高校生にはまだ早いわよ、お父さんも勧めないの!」
母の一喝で一家の大黒柱は体をちぢこめた。久し振りでもこれである、主導権がどちらにあるかは明白だ。
それからシンはゆっくりと落ち着いた時間に身を委ねた。先程の出来事が嘘のように感じられる。いや、むしろあれは夢なのだ、疲れていたのだと思えてくる。
いつも通りの自分になっていた。すっかり気をよくしたシンは自分の部屋に戻り漫画でも読もうとした。机に見慣れない本が置いてある。
両親はめったな事がないと部屋には入らない、という事はマユの仕業だな。と考えながら本をパラパラとめくる。
中には〜ヒーローとは〜と意味不明の文字が、更に下にはびっしりと条文が羅列してある。一番下にはby心の友ラウと書き添えられていた。
ポケットに入れっぱなしだった携帯が鳴り響く。知らない番号からかかってきている。嫌な予感がするが電話をとる。
「やぁ、シン。具合はいかがかね?」
「…お前は…」
「何、嘘をついても私には全てわかる。心配かけまいという心遣いだけで十分!」
ラウの声だった。日常が一気に崩れ落ちた気がした。シンはげんなりとしている。それでも何とか声を絞り出すが明らかに疲れている。今疲れさせられた。
「お前何で俺の番号を…」
「レイのクラス名簿を見れば簡単な事さ、友よ。」
「切るぞ。」
「待ってくれたまえ、マニュアルは読んでくれたかね?」
「マニュアル?」
「君の机の上に置いておいた。よく読んで欲しい、わからない事があったら何で…」
シンは途中で電話を切りマニュアルをゴミ箱へ叩き込み、気を紛らわせようと風呂場へ向かった。
風呂からあがってもマニュアルはゴミ箱に入ったままだった。シンはベッドに飛び込んでそのまま布団をかぶった。
496Masked Rider Blood:2007/09/08(土) 03:27:31 ID:???
翌朝、シンは完璧寝坊した。昨日の夜はなかなか寝付けなかった。
急いで教室へ駆け込むが教室はもぬけの空だ。今日は月に一度の定例全校集会だ。彼はその事をすっかり忘れていた。
シンの学校の校庭は校舎に面していない。体育館の向こう側にできている。つまり校舎から校庭に向かうには体育館を横切らなければならない。
体育館で集会をやればいいのに、外で行うのは今時珍しい。
集会はどんなに雨が降っていようと必ず屋外で行われる古き習わしがあったのである。今日は太陽が異様に自己主張している。4月後半だが半袖でもいいくらいの気候だ。
「シン、少しいいか?」早足で校庭に向かっていると、体育館の影からレイが現れた。シンは反射的に身構えてしまう。
「何をしてるんだ?早く行こう。集会はとっくに始まっている。」
「あ、ああ。」
普段のレイだった。もしかしたら昨日の出来事は質の悪い白昼夢だったんだな。そんな事を考えていた。
どこか拍子抜けしたが慌ててレイの後を追い掛けるシン。自分が遅刻していた事を忘れていた。校長のダラダラとつまらない話をBGMに二人は身をかがめてコソコソと列の後ろに並ぶ。
「そういえばシン、何故遅刻したんだ?」
「あ…まぁ、ただの寝坊だな。」
「フッ…お前らしいな。」
「うるさいな、レイこそ遅刻してるじゃないか。」
「俺は遅刻じゃない。先生に頼まれて保健室の先生を呼びに行ったところだ。今日は日差しが強いからな、念のため、だろう。」
「ふぅ〜ん…」
確かに暑い。シンはふと太陽を見上げる。体育館の屋根に人影が見えた。その人物は全身が緑の服を着ていた。そして三階程の高さの屋根からその人影が飛び降りた。
ちらほらと謎の人物の存在に気付くものも現れた。謎の人物はゆっくりと生徒達に向かって歩き始める。生徒達はざわついたままだ。
横からエンジ色のジャージの中年体育教室が謎の人物に近付き、首根っこを押さえようとする。
シンの中で昨日の出来事がフラッシュ・バックする。あれは夢なんかじゃ…なかったんだ…。
「貴様何者だっ!うちの生徒だったらただじゃおかんぞ!」
「…に、逃げろぉぉーっ!!!」
シンが叫んだと同時に体育教室の首が宙を舞った。切り口からは盛大に血が噴き出している。まるでトマトジュースの噴水のようだ。
司令塔を無くした肉体はやがて、ゆっくりとドサリと音をたてて地面に突っ伏した。
生徒達はその光景を音一つたてずに見つめていた。校庭は水を打ったように静まり返り、まるで時が止まっているようだった。
「キャァァァァァァァァア!!!」
先頭の女子生徒の劈くような悲鳴を合図に校庭は混乱の坩堝に陥った。

中途半端に終わります。続きは今から急いで書きます。
497通常の名無しさんの3倍:2007/09/10(月) 18:27:31 ID:???
GJ!
そしてなんという鬼引きw

ぶっ飛んだラウにかなり笑わせて貰いましたw

後、シンよ、某有名ゲームなら2もやっとけw
難易度の低い赤毛ショート幼なじみが(ry

とにかく、続きをwktkしながらお待ちしております
498通常の名無しさんの3倍:2007/09/10(月) 22:20:42 ID:???
煌めく朝日 夜更けのラジオ
499通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 21:51:26 ID:???
保守
500通常の名無しさんの3倍:2007/09/16(日) 17:27:21 ID:???
容量的にそろそろ次スレの季節かな?
501通常の名無しさんの3倍:2007/09/16(日) 18:39:34 ID:???
うむ
502通常の名無しさんの3倍:2007/09/17(月) 18:26:27 ID:???
何だかんだで4スレ目も完走したのか
なかなか地味に続いているなこのスレも
503通常の名無しさんの3倍:2007/09/20(木) 21:36:16 ID:JFhwlxBV
保守
504仮面ライダーKIRA:2007/09/24(月) 21:32:05 ID:???
PHASE-09 悲しすぎる贈り物


危ないところを助けられたアスランとニコルはは、カグヤ区にあるサハク家へ招かれていた。
広い屋敷で、2人は肩が狭いような気がしてならなかった。間違いなく誰かに見られている、そう確信していたからである。
長い廊下を歩いた先の部屋に入ると、1人の人物が座っていた。
「あれは……ムルタ・アズラエル?」
アークエンジェルを始めとするヘリオポリス限定で活躍するオーブと違い、国が設立したブルーコスモス。
その盟主であり、国家機関としても運用をしている人物であり、この国の裏の総理と言える。
「待ってましたよ。アスラン・ザラ君、ニコル・アマルフィ君」
自分達の事を可能な限り調べ尽くしてるだろう。狙いはある程度予想がつく。
「最初に言っておきますが俺達はブルーコスモスの傘下になるつもりはありません」
「おやおや……随分と感がいいんですね。ですが、本当にそれで人類が救えると思いますか?」
アズラエルは紅茶を置いて窓から見える景色を眺める。
「現在、ZAFTの活動範囲はユニウスセブン落下地点の半径30qです。そして次第に範囲は広がっているのをご存知ですか?」
「!?」
「私達も努力はしていますが、被害は確実に広がっています。もはやこれは人類存続か否かの瀬戸際なのです」
505通常の名無しさんの3倍:2007/09/24(月) 21:34:17 ID:???
部屋のカーテンが閉まり、大きめなスクリーンが出された。そして、そこにはダガーヘッドそっくりなものが出された。
しかもそれは明らかにベルトがあり、ライダーシステムと酷似していた。
「これは……」
「私達の組織で開発しているライダーシステムの量産型ですよ。融合計数に関係なく変身出来ます」
アズラエルの言葉でハッとある点に気づいたアスランはロンドを見た。
開発段階だったアストレイシリーズの早すぎる完成、ブルーコスモスでのライダー開発。それは双方の協力無しには有り得ない。
「ロンド・ギナ・サハク、あなたはまさか……ライダーシステムの情報をブルーコスモスに?」
「だったら……何だと言うんだ?。所詮ヘリオポリスとてこの国の一部だ、協力するのは当然だ」
数人の男がアスランとニコルを囲む。ロンドが合図をすると、男達はベルトを巻いて画像にあったライダーに変身した。
その姿は明らかにストライクに近かった。
「どうします?我々に従い、ブルーコスモスに入る道しか……」
完全に上機嫌のアズラエルとロンド。僅かな隙を見逃さず、2人は窓を割って飛び降りた。

゙CHANGE AEGIS゙

゙CHANGE BLITZ゙

着地した2人に下で待ちかまえていたストライクダガー達と、サハク邸の庭で戦う羽目になった。
「どうしましょうか?相手はZAFTじゃなくて人間ですよ?」
「殺さない程度に戦うしかないだろ……」
506通常の名無しさんの3倍:2007/09/24(月) 22:01:25 ID:???
一斉に向けられた銃口。飛び上がると同時にビームライフルを下にいるダガー達に向ける。
ビームが空へと昇っていく。逃げ場はない。グレイプニールを壁に打ち込んで、イージスごと屋上へ移動する。
「実戦は僕達ほどではないでしょうが、経験していると思われます」
「ああ。ブルーコスモスはそれに加えてまだ何かあるはずだ。規模はオーブの比ではないからな」
「……アスラン、僕があいつらを引きつけます。その間にアークエンジェルのみんなに伝えてください」
そう言うとブリッツは姿を消した。下ではダガー達が見えない所からのビームに慌てているのが伺えた。
助けに入るか迷う。しかし、ここは妨害電波が発せられてるとライダーシステムが看破しているために通信は不可能とわかる。
伝えるにはニコルの言うとおり直接行くしかないのだ。イージスはぐっとこらえて裏側に止めてあるライドグラスパーへ急いだ。
が、既に読まれているのはわかっている。アスランの予想通り、通路には色違いのダガーが待ち構えていた。
「ターゲット………確認……排除を開始する」
そう言うとビームライフルを地面に撃った。砂埃が巻き起こるが、イージスの足は止まらない。
「こんな事で俺を止めれると思ったか!」
前方にビームライフルを撃つ。しかし、命中した音は聞こえない。
「排除……」
咄嗟の反応だった。頭に向けて突き出してきたサーベルを屈んで避ける。
丁度晴れた辺りで2人の距離は縮まっていた。合間を取らないまま、イージスは足のサーベルでの相手の銅を斬った。
507通常の名無しさんの3倍:2007/09/24(月) 22:03:58 ID:???
よろけるが、体制を立て直すとベルトにあるボタンを押す。
「……ターゲットの攻撃手段増加……ロングダガー……フォルテストラを装備……」
空間転送により、装甲がロングダガーの体に装着される。驚いたのはアスランだった。
その装甲はデュエルのアサルトシュラウドと全く同じ形状をしていたからである。
これでオーブが開発したライダーのデータ全てがリークされてると見て間違いはないだろう。
「だが……負けるわけにはいかない!」
ロングダガーは突きを主体として刃を向けてくる。さらに一定のリズムでレールガンを撃ってくる。
それを弾きながら後ろへ下がっていくイージス。
一向にパターンを変えずに行動を行っているロングダガーには、無機質さを感じさせられるくらいである。
「まるで機械のよう…… 」

――――!!

そうに違いなかった。人間ではない。少なくとも、゙普通の゙人間にこんな真似は出来ない。
間違いない。ニコルの戦ってる相手とは異質な存在……
「作られた……人間なのか?だがやられるわけにはいかないんだ!」

゙X-303 ライダースラッシュ゙

両手足のサーベルが発光し、 プラズマ粒子が溜まっていく。
まずは腕の動きを止め、左足でロングダガーのベルトを切り裂く。
強制的にライダーシステムが解かれ、変身していた人物が露わになった。見た目は自分とはあまり変わらない年に見えている。
「やはり……」
アスランが読んでいた通りだった。こいつの目は死んでいる。まるで、意志を持つ人形。それとしか思えなかった。
「変身機能解除……想定外……」
508通常の名無しさんの3倍:2007/09/24(月) 22:06:09 ID:???
すると彼はポケットからある物を取り出し、イージスに抱きついた。
「??……しまっ……!」
「想定外……自爆コード作動……」



爆発音はブリッツのいる場所まで響いていた。しかし、それが何が原因で誰がその被害を受けてるのかはわからなかった。
トリケロスからランダーサートが放たれ、ストライクダガーを倒していく。
殺さない程度に手加減をしてるせいか、エネルギーを余計に使ってしまっていた。
ニコル自身さっきの戦闘のダメージがまだ残っているせいか、思うように体は動いていないのである。
「はぁ……はぁ……どうにか…全員……」
変身解除に追い込むというのは相手を殺すことより難しかった。
急いでイージスを追いかけようと足を踏み出す。すると、男が1人跳び蹴りをしてきた。
「な、あなたは何者何ですか?」
男は長髪だった。瞳は紫で、細い割に筋肉で固まっている肉体。
何より、その顔はニコルのよく知る人物に似ていた。
「キ……ラ?」
ピクッと反応を示す男。彼はブリッツをさらに睨みつけるように顔を向ける。
「貴様……キラ・ヤマトを知っているのか?」
「え?」
男はバックルを取り出して、ベルトとして腰に巻き付ける。鋭い眼光はキラのとは正反対である。
「あいつの仲間か……案内してもらうぞ……キラの場所へ」
左手を胸の前に置き、変身の掛け声と同時に突き出してバックルを開く。
ダガーとは違い、GATシリーズ同様ライダーの姿であった。どちらかといえばストライクに近いかもしれない、

゙CHANGE HIPELION゙
509通常の名無しさんの3倍:2007/09/24(月) 22:48:40 ID:???
緑色の眼をしたライダーは変身音から判断すると、゙ハイペリオン゙というらしい。
どうやら友好的対話解決は行えそうにはない。ブリッツは既にサーベルを抜刀していた。
「さあ、連れてけ!!」
細かい弾丸を撃ちつける。連射に特化しているビームサブマシンガンがブリッツの装甲を剥がすように放たれる。
応戦しながらも、ダガー達とは比べものにはならない強さに苦戦を強いられてしまう。
「あなた、キラの何なんですか!?」
「やはりな……ぬくぬくと育ったあいつは自分がどういった存在か知らないでいやがる……教えてやるよ」


その頃、緊急調査のために残りのライダーは封鎖されている島へ向かった。
その島はユニウスシティ同様、ユニウスセブンの破片の一つが落下した場所であり、遺伝子研究所があった場所である゙メンデル゙である。
「……それで、なんで俺達がこんな事しなきゃなんないわけ?」
「一応既に汚染被害はないから生身でも調査は可能らしい。だが、ここで調査団体が行方不明になってるからだろうな」
ユニウスセブンの一部。つまりはZAFTの運び屋であった可能性があるのだ。
「what?ユニウスセブンもそうだけどよ、だったらなんで最近になって出現したんだ?」
「それがわからんから調査するんだ」
510通常の名無しさんの3倍:2007/09/24(月) 22:51:20 ID:???
研究所の扉を開けて入ると、中は隕石の影響で崩壊したものが散乱していた。
研究者達の白骨死体は触れると砕けるくらいに灰化が進んでいて、残っているのはほとんどない。
「何もないよね……イザーク、ディアッカ、地下室があるようだからそこに行ってみよう」
「え?地下室……」
良く探索をしたわけでもないが、なぜかキラにはわかった。
伏してはあるようだが、視力を絞り込めば見える扉である。
(なぜだ……僕はどうして…ここを……)

階段を降りると、そこには実験用と思われる液体に浸かっているZAFTと思われるもの達の変わり果てた姿だった。
3人は驚きはしたが、それ以上にこの施設が今だに駆動してるのを不思議に思う。
「ここのが生きてるってことは、誰かが研究を続けてるって事だよな?」
「ああ……しかし、何だ?この……ZAFTの死骸の山は……」
デュエルとバスターはすっかり驚いて見入っているが、ストライクはその場にあるパソコンを調べていた。
そこには人間の遺伝子だけでなく、ZAFTの遺伝子の詳細にも触れられている。
「この塩基……遺伝子配列……嘘だ……」
「どうした?」
2人も駆け寄ってパソコンのデータを見る。そして同様に驚いてしまう。
「どういうことだ?……人間と、ZAFTの遺伝子の相互性が99%一致している……」
人間とハツカネズミは同じ哺乳類であるため、遺伝子配列もほぼ同じである。
しかし、全く別の星から来たZAFTとは進化方法も根本的に違うために重なるなどありえないはずなのである。
511通常の名無しさんの3倍
「ZAFTってのは何者なんだ?……それと……ここに保管されてるのは本当にZAFTなのか?」
よく見ると同じ緑色だが、ジンよりも明るくて肩は突き出ている。
少なくとも今まで戦ってきたZAFTとは全く別であると言えるだろう。


―――――知ってしまったようだね

「!?」
陣形を固めてあらゆる方向への攻撃にも対処できるようにする。
すると、物影からは幾度か襲ってきたサングラスをしたZAFTの人間体の姿だった。
「お前は……」
「私はラウ・ル・クルーゼ。ああ……これは私が擬態してる人間の名前ではなく、私個人の名前なんだ」
ガシャンと、壁を打ち破って十数体のZAFTが入ってきた。それは今までとは違って、ビームライフルを所持している新種と確認できる。
「初めて見るタイプだな」
「ZAFTなら倒すまでだ!」
それぞれ、2人は敵を撃破するために散っていき、ストライクとクルーゼのみがその場に残った。
「あれはゲイツという進化体だよ……我々もまだ決戦゙に向けて進化している……いや、しなければならない」
「決戦?」
クルーゼは擬態を解いてシグーに代わってゲイツの姿に変わった。
互いにビームを撃ち交わす。研究器具やカプセルが割れていく中、それを利用してストライクはゲイツの背後に回った。
エネルギー消費が続くがサーベルにプラズマ粒子を流し込んでエールストライクのまま、゙ライダースラッシュ゙を当てようと考える。
聞いてはいけない、聞きたくない事実をクルーゼは知っている。そんな気がしてならなかった。