もし種・種死キャラが舞-乙HiME世界にやって来たら

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1通常の名無しさんの3倍
シンがオトメになって、アリカ達と共闘したり
ナツキとシズル(もしくはマイマイ)が種世界に飛ばされ、
キラ達を成敗するか、ザフトかラクシズに共闘したりと
何でもありです。

とりあえず、こんなスレ建てて「堪忍なぁ〜」
2通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 12:18:56 ID:8OGmPy7p
バリアント撃てーーーーーーーーーーーーー
3通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 12:27:23 ID:???
デュラン、撃てーーーーーーーーー
4通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 13:05:05 ID:???
>>1
>シンがオトメになって
いや、そこは普通にマユが舞乙世界に飛ばされてオトメになる方がw
5通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 13:27:16 ID:???
エアル全土を統治しようとするエアル通商連合
それに反対するヴィント率いる条約機構
混乱に乗じて科学技術強奪を狙うシュヴァルツ過激派ザフト

エアル連合にいる兄、シン・アスカと敵対することになる
ガルデローベ、コーラルオトメ。マユ・アスカ。

迫りくる開戦の前にマユは・・・みたいな
6通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 13:28:38 ID:???
ガルシアやモラシムやサトーさんなどの素敵なおっさん達がマテリアライズするんですねw
7通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 13:33:05 ID:???
8通常の名無しさんの3倍:2007/02/16(金) 14:21:09 ID:???
正直、>>7の続きが気になる
9通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 15:19:28 ID:???
>>1
何言ってんだ、だからシンがするのはコンセプションだろ
あの一般的規準で見ると、どう見ても異形で悪役チックなデザインが、逆にシンらしくてカッコイイ
10通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 20:23:11 ID:???
ラクスとトモエが共闘するんですよね!
11通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 20:28:44 ID:???
マユ、シホ、ナタル、ホーク姉妹辺りがオトメになっていそうだな。
12通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 20:41:13 ID:???
>>10
最凶のコンビだな
13通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 21:52:10 ID:???
オーブのオトメ 紫水晶の手によって去勢されたキラ
14通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 22:11:34 ID:???
スレイブ相手に種MSはどこまでやれるか
15通常の名無しさんの3倍:2007/02/17(土) 22:27:30 ID:???
連ザで言うところのコスト590及び560クラスの機体だったら、雑魚スレイブには十分勝てそうだが
16通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 02:24:39 ID:???
アニメ見る限りだと、オトメってマイスターは確かに強いが、パール以下は雑魚にしか見えないな
6話のナオチャンは格好良かったけど、所詮相手はゼリーアンギルだし
17ヤザン・ゲーブル:2007/02/18(日) 08:06:49 ID:???
気に入らないんだよ! 消えな!
18通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 08:27:32 ID:???
>>16
ローブの性能の違いじゃない?
少なくともトップクラスのナオやアカネやまきまきはいきなりマイスターローブ使いこなしてる
(まきまきは極めて特殊だけどw)
19通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 09:25:00 ID:???
>>11
マユ:コーラル生
メイリン:パール生
シホとルナ:新米マイスター
ナタル:五柱クラス

ってとこか。
20通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 09:33:57 ID:???
キラ:平和主義の国家元首
ラクス:キラのマイスターオトメ
アスラン:キラの親友
カガリ:アスランのマイスターオトメ
シン:マユの兄。戦火に巻き込まれ死亡
21通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 10:46:34 ID:???
ロレッタがご真祖様か?

なんとなく貴石は
ラクス:ピンク色ってことで紅水晶
カガリ:暁関連があるので蒼天の青玉
ルナマリア:名前から月長石
シホ:適当なのがなかったので電気石
ナタル:漆黒の金剛石
22通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 13:27:09 ID:???
ナタルは4話あたりで、はいてない人になりそうだ
23通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 14:49:39 ID:???
>>21 電気石っても
アクロアイト(無色)
ルべライト(赤色、ピンク)
シべライト(赤紫色)
インディコライト(青色)
ドラバイト(褐色または黄色)
ショール(黒色)
パライバ(ネオンブルー、ネオングリーン)
まで結構あるぞ。シホのイメージだとルベライトかパライバか。

ミリィが清恋の孔雀石、フレイは髪の色からして奈緒の破絃の尖晶石。
24通常の名無しさんの3倍:2007/02/18(日) 14:52:27 ID:???
ご真祖様(かつてオトメであり、子供を産んで母となった女性)候補は

ロレッタ
タリア
キラカガの実母

か。
25通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 14:29:16 ID:???
シンは漫画版の愕天神みたいに、スレイブ化したデスティニーを全身に纏えばいいんじゃないか
26通常の名無しさんの3倍:2007/02/20(火) 17:08:22 ID:???
>>25
どうせならラドみたいなフルボーグ化がいい。
当然、デスティニー姿のw
27通常の名無しさんの3倍:2007/02/23(金) 09:23:37 ID:???
MSに興味津々なイリーナ
28通常の名無しさんの3倍:2007/02/24(土) 15:13:27 ID:???
サラがミラコロ使いだったとはな
29通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 17:29:38 ID:???
>>25-26
シンはアスワド側なのか?
カグツチフリーダムに故郷を焼き払われたところを、頭領に助けられたとかで
30通常の名無しさんの3倍:2007/02/27(火) 23:37:02 ID:???
「ブースト限界まで○○秒」みたいに戦闘時間にタイムリミットがあるのは主人公向きで燃えるな
31通常の名無しさんの3倍:2007/02/28(水) 08:43:07 ID:???
>>29
25はどうだかわからんが、俺のイメージは、

アズワドが半壊したデスティニーの機体発見
 ↓
コクピットを開けたら瀕死のシンが
 ↓
頭領の気まぐれで助けられる

とまあ、こんな感じ。
ちなみにマユは数年前にアリカのばっちゃに拾われてて、アリカと一緒にウィントへw
32通常の名無しさんの3倍:2007/02/28(水) 10:33:30 ID:???
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
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オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラ
33通常の名無しさんの3倍:2007/03/02(金) 21:12:06 ID:???
エルスのスレイブを達磨にするキラ
34通常の名無しさんの3倍:2007/03/02(金) 23:57:52 ID:???
キレたアリカとニナに串刺しにされるキラ
35通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 00:09:18 ID:???
そのドサクサに紛れてエルスにラッキースケベするシン
36通常の名無しさんの3倍:2007/03/03(土) 09:18:51 ID:???
スレイブが達磨にされたらスレイブロードはかなり悲惨な事になってるような・・・
37通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 05:38:21 ID:???
君には警備員をやってもらおう

お前!お前は! わからない、けどお前を見てると酷くムカツク!!

僕は……

共同戦線といきませんか?

後は宜しく、兄さん。 愛しい妹の頼みとあらば!まかせとけいつきちゃん! なつきだ!!
38通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 07:12:28 ID:???
>>36
マユの千切れた腕がフラッシュバックして、キラにブチ切れるシンを想像した
実際、シンから見ればアリカ達コーラルって妹ぐらいの感覚だろうな
39通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 08:55:10 ID:???
そいやマユって歳いくつだったけか?
10〜11ぐらい?
40通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 13:31:44 ID:d+T5XGa0
8歳
4145  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/04(日) 14:49:50 ID:???
 ニナ、ナツキ、ナオ辺りが種世界に居るクロス物も此処に投下して良いのですか?
 今のところはしりの部分しか書いていない、短編ものですけれど。
42通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 15:38:06 ID:???
いつでも来い!
43通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 17:40:58 ID:???
>>40
んじゃ、舞乙本編より6年前に拾われればアリカの妹ポジでもおkか。
ありw
4445  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/04(日) 18:20:45 ID:???

「大丈夫、ニナちゃん?」
 寮の一室でうなされていた私は、親友の呼ぶ声に助けられて目を覚ました。
未だ日も昇っていないような時間だ。彼女の持つ明かりが、互いの顔を照らしている。
「何でもないわ……気にしないで」
 嫌な夢を見ていたような気がする。背中は汗でじっとりと濡れているのに、
手足は芯まで冷え切っていた。

 頬に彼女の指先が触れる。
「……泣いてたの?」
「分からない……私は泣くことなんて、無い」
 夢の名残をたどるように、涙の跡をなぞる。

 親友は、ポットから注いだお茶を手渡してくれた。喉を潤すものが甘露のように感じられて、
ああ、自分は乾ききっていたのだと気付く。
 俯いている自分の目を、彼女は上目遣いに覗き込んできた。蒼天を思わせる深く澄んだ
まなざしに見つめられて感じる後ろめたさは、夢に彼女が出てこなかったからだろうか。
 机の上に置かれた時計を見る。あの人からプレゼントされた置時計だ。
「もう一眠りする時間があるわね……」
 毎日の勉強はとても苛酷だ、特に一位の成績をキープしようとするならば。寝不足で
授業に臨むことは出来ない。
 二、三言葉を交わし、ベッドに横たわると、彼女がシーツの中に潜り込んできた。
「――ちょっと……!」
 ベッドもシーツも、幅は一人分だ。窮屈にならないように気遣ったのか、彼女は
ぴたりと密着してくる。息遣いが聞こえるほどに顔を寄せて、彼女は「たまには良いでしょ」と笑った。
授業で習う作法に真っ向から反して、健康的な歯並びが見える。

 もう一人のルームメイトを起こさないように、小声で話した。
「ねえ、どんな夢を見ていたの?」
「アンタには関係ないわ、早く寝なさい」
「えー……気になるよ」
「覚えてないのよ、それに、きっと楽しい夢じゃないわ。……アンタが居なかった事だけは覚えてる」
「ふうん、それは寂しいよね。次はちゃんとニナちゃんの夢に呼んでね」
 例え夢の中でも、彼女が居たらそれだけで騒がしくて、けれども楽しくて、きっと眠りながら
涙を流したりしては居なかっただろう。
 曖昧な返事をして、それきり目を瞑った。彼女も何も言わず、直に規則正しい寝息が聞こえてくる。
 まぶたの裏の暗闇の中で、指先に彼女の髪を感じた。自分とは違って柔らかくて、夢うつつに弄くる。
 すぐ近くに感じられる彼女の気配が、体温がとても優しくて暖かくて、覚えてはいないけれど
まるでお母さんのように思えた。

 意識が、深いところに落ちてゆく。けれど、さっきの夢の続きは見ないで済むような気がした。


 そして――
「起きろニナ、仕事の時間だ」
 エレカの助手席で揺られてそんな幸せな夢を見ていた私は、上司の男に小突かれて起こされる。
仕事だ、今はCEの73年――今年の冬も、寒い。
4545  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/04(日) 18:23:35 ID:???
 路地裏で停車し、降りた。待っていた男たちが無言で乗り込み、すぐに走り去ってゆく。
 私と上司は親子連れを装い、表通りにでた。大都会であっても一歩裏通りに入れば浮浪者の
たまり場となっている。半分は、何かを与えられるのを待っているような、半死人の目だ。
もう半分は、誰かから何かを奪う、その隙をうかがっている。
 私はどっちだったろうか。

「どうしたニナ、あそこに帰りたくなったのか?」
「……いえ。そうではありません」
 あの冬には帰りたく無かった。動かなくなった友達から服を剥ぎ取るような冬には。
「ふん、まあどの道お前には引き返す術など用意されて居ない。このまま俺と最後まで行くか、
何処かで人生を降りるか、さ。それとも俺が買い取ってやろうか、お前を?」
 人間も"商品"になる、それは私にも分かっていた。ラボに送られ、設計どおりの性能を
得られなかった素体のなかには、そうやって売買された者も居たはずだ。
 そのままか、ばらばらになってかは知ったことではない。

 現場に向かいながら、上司の顔を見上げた。
「何故、同じブルーコスモスのメンバーを狙わねばならないのですか? 
私たちはコーディネイターを殺すために居ると思っていたのですが……」
「……質問をするな、疑問に思うな。お前にそんな権利は与えられていない。
もう一度ラボで調整を受けたいのか?」
「……! すいません、忘れてください」
 視線で射抜かれる。言葉で縛られる。ラボに帰ること、調整を受けること、それは私にとって、
地獄に落ちることと同義だ。
「……これは独り言だ――」
 上司は目を逸らして、"独り言"をはじめた。
「はい」
「敵と戦おうと思ったら、先ずは自分の中の弱気の虫を殺さなければいけないだろう。
だから、過激派から穏健派に鞍替えしようとしているような爺さんは、ちょいと邪魔だ」
「…………」
「でだ、組織の中で粛正してしまうと、結束が壊れて困る。じゃあどうするか、此処は一つ、
コーディネイターに殺されて貰おう。欲張りの爺さんは、鞍替えの前にでかい取り引きを一つ、
済ませてしまおうとしてるから、その情報をプラント側に洩らしてみようか。
そうすると爺さんはプラント、特に『ターミナル』という連中に狙われることになる」
 私はなんとなく、自分の不安定な立ち位置を確認した。詰まり、コーディネイターの振りをして
ブルーコスモスの変節漢を殺せということで、ファントムペインに"出荷"のされていない私が
顔の売れていない分適任だったということだ。
 決して能力が認められた訳ではない――人殺しとして完成することは、忌まわしいことのはずなのに、
上司が私を有能だと認めてくれては居ない事に腹が立った。
4645  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/04(日) 18:27:16 ID:???
「さて、現場到着。手筈は分かっているな。それじゃあ行って来い」
 買い物に行って来い、と同じ気安さで、上司は私を送り出した。私は仕事道具の入った鞄を抱えて
ホテルのロビーに入る。きらびやかなシャンデリアはしかし、今は照明を落されている。
エイプリルフールクライシスの影響は今尚世界に深い影を落していて、ブレイクザワールドが
それに追い討ちをかけていた。

 上司から分かれて、私は心の内で数を数え始める。フロントで偽名を名乗り、預かり物を受け取った。
封筒に入れられたそれは、一枚のカードキーだ。二百を数え終える。
 自然と、しかし素早く、私はホテルマンたちの視線を潜り抜けて従業員専用のエレベーター入り口に
立った。受け取ったカードキーを端末に滑らせ、筐体に乗り込む。
 天井のカメラが停止しているのを確認し、私は身に纏っていたコートを脱ぎ捨てる。体にぴったりと
密着した金属質の衣が露になった。二百四十を越えたあたりで、私は目を閉じる。仕事道具は
衣のアタッチメントに取り付けた。
 エレベーターの上昇するささやかな震動を感じながら、私は数字を数える。三百……五分。
エレベーターが停止したのを感じて目を開ける。其処にもまた暗闇が広がっていた。
一つのフロアが丸ごと電気を切られ、照明を落されていた。まぶた裏の暗黒に慣れた私の目には、
突如として生まれた暗闇にざわめく男たちの姿が見えた。それぞれが武器を持っている。

 仕事だ、私は意識のすべてを刻み込まれた条件付けにゆだねる。状況開始。
私/ニナ/ロゴスの機械は、その体は、武器たる銃とナイフを手にし、突撃してゆく。











 別スレでやっているSSの番外編でプロットを立てたら、種キャラが一人しか出てこなかったので此処に投下。
 とりあえずこんなのですみません。今日は此処まで。ナツキとナオの出番は次です。
47通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 18:46:32 ID:???
GJ!
こっちは出荷されなかった素体の話ですか。
セルゲイがニナを助けなきゃこうなってたんだろうなと思った。

さて、俺もなんか書いてみよかなw
48通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 19:26:34 ID:???
キラとアリカの苦労知らずコンビが共闘するわけですね。

花が枯れてもまた植えればいい
エルスちゃんが死んでもやり直せばいい
49通常の名無しさんの3倍:2007/03/04(日) 20:57:58 ID:???
>>48
エルスの死にアリカに何か責任あるか?
50通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 00:03:42 ID:???
>>49
シンの家族の死にキラ個人はなんら責任はない罠。
オーブ政府等には責任はあるかもしれないが。
51通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 06:45:41 ID:???
>>50
質問に答えてないぞ
誰もキラの事なんて言っとらん
第一、キラのアスカ家殺しは「無かった事」にされただろ
52通常の名無しさんの3倍:2007/03/05(月) 07:31:35 ID:???
そもキララクの主張って「平和よりも自由」「その為の戦いなら許される」だから、オトメ制度に真っ向から反対する思想
ナギかオーギュストあたりに、いいように手駒として扱われそうだ
5345  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/05(月) 17:22:03 ID:???
 突如戦場と化したホテルの隣、背の高い建物の屋上で、停電したフロアの様子を
伺っている人影があった。
「――はあ? 一体誰がどんぱち始めてんのよ?」
 盗聴器の端末を耳に当てていた女は、聞こえてきた銃撃戦の音に顔をしかめた。
『ナオ、突入のタイミングが早い、何をやっているんだ!』
 通信機から聞こえる声は、ナオの鼓膜を破かんばかりの班長の怒声だった。
「あたしじゃないわよ班長。どっか別の班とブッキングしたって訳じゃ……無いわよね。
よっピー、そこら辺どうなってるのよ?」
『え! あ……はい、今の所我々"処理班"以外に動いているチームはありませんですはい!
ジュリエットさ――』
「あたしをその名で呼ぶんじゃないわよ。班長の手料理喰わすわよ」
 "処理班"の下っ端は、あわてて口をつぐんだ。
「……だってよ班長。どっか心当たりが無いわけ、相手はブルコスとロゴスの幹部でしょ?」
『いや、分かった。我々よりも早くブルーコスモスの動きを知る者、それはブルーコスモスに
他ならない。ナオ、直に突入しろ、我々の目的はあくまで奴の確保だ。殺させるな』
「はいはい、了解」

 ナオは盗聴器の端末を踏み潰し、丈の長いジャケットを脱ぎ捨てる。蠱惑的なボディラインが
メタリックな衣装に包まれていた。首もとのスイッチを入れると表面の装甲が位相を変化させ、
色合いがパールホワイトからエメラルドグリーンへと変わる。全身から微かにモーターの
動作する音が聞こえた。

 "ファクトリー"特製の装甲強化服を纏ったナオは、三歩の助走でトップスピードに達すると
屋上の柵を蹴り、隣のホテルへと向かって跳躍した。その動きにためらいは無い。
自由落下――重力から開放されたのを感じつつ右手を振るう。夜闇に微かな輝きが走り、
ナオの体は軌道を変える。ホテルの外壁が迫る、狙いは僅か四十センチ角の、明り取りの窓。
ガラスにボディースーツを纏った女郎蜘蛛が映る、自分の鏡像を蹴破り内部へ侵入する。

 散乱したガラスの上を一回転する。派手な音を立てて砕けたガラスと違い着地は猫の如く無音。
グローブが甲高いモーター音上げてを高振動ワイヤーを巻き取り、ホテルの外で二本のワイヤーに
絡みつかれた看板が三枚に下ろされて地に墜ちる。
5445  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/05(月) 17:29:47 ID:???
 まるで始めから部屋の中に居たかのように、ナオはさも当然と言う足取りでドアに向かう。
鋭敏な聴覚が複数の銃声を聞き取っているが、それが徐々に減りつつあるのを確認した。
 目が暗闇に慣れるまでの六十秒で間取りを確認、ターゲットの部屋はこのフロアから直通
エレベーターを使わねばならないイートルーム、エレベーターはフロアの中央。現在位置は
フロアの端っこだ。
 そっとドアを開けて廊下に出る。銃声の響く細長いエリアに、ショットガンを構えた
男が立っていた。扉を開けたナオの、目と鼻の先だった。

「何だ手前は――!」
「あら――おじゃましますぅ!」不味いわね、と思いながらも声をかけてみた。散弾銃に見える物は、
ひょっとしたら巨大なライターかもしれない……話せばタバコに火をつけてくれるかも。
 淡い期待は男の目を見て打ち砕かれた。恐怖に引きつり血走った目は、街中で声をかけられても
通報するであろう程気色が悪い。正常な判断が出来ない男が取った行動は、一応妥当なものであった。
ショットガンのスライドを往復させて初弾を装填、引き金を絞る。
「危ないじゃない、こんなの振り回して女が感じるとでも思ってるの?」
 そして銃声、ナオは優しく手を添えていた。左手は散弾銃の銃身を逸らし、右手は
男の下腹部に当てられている。スイッチ。全身に強力な電パルス電流が流され、男は糸の切れた
操り人形の如く床に倒れ込む。

 気絶した男を踏みつけて廊下を進み、角を曲がると――其処は戦場だった。女の子の形をした
暴風が一時も止まる事無く撃を掻い潜り、一人一人、銃弾と刃とで懇切丁寧に地獄へ送っている。
 どう見ても人間の動きではない。一つ一つの動作は訓練によってトレースすることが十分に可能
だろうが、全体として考えると人間業ではないのだ。
 掴み、捻り、折り、躱し、捌き、往なし、跳び、防ぎ、迫り、切り、回り、構え、撃ち、離れる。
 一個の動きが終わってから次の動作まで、筋の決まった舞踏の如く絶え間なく淀み無い。
判断する為に動きを一度停止させる、と言う瞬間が存在しないために、一動作ごとに一拍ずつ
早くなってゆき、迎撃側を混乱させている。

 その動き、というよりは動きの中に通じる戦闘の考え方、根本のようなものに、ナオは
見覚えがあった。確かめなければならないと判断する。どうせエレベーターは中央で、
其処に至るまでは女の子と戦わなくてはならない。

「はあーーい、元気に殺ってるう?」
 仔猫を相手にする時と同じ気分で、ナオは優しく声をかけた。全身からは筋力を補佐する
装甲強化服のモーター音が、小さく響いている。
 最後の一人の喉笛をナイフで切り裂いた少女が、ナオの方に向いた。感情を全く排した
漆黒の瞳がナオの体を捉える。


 


 続きはまた今度
55通常の名無しさんの3倍:2007/03/06(火) 02:03:08 ID:???
舞-乙HiME VS SEED DESTIBY


「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!!」

瓦礫の山、一人の少女が焼け野原の中泣き叫ぶ。

「どうして・・どうしてこんなことになっちゃったの!?私達なにかいけないことをしたの!?どうして!!どうしてよ!!!」


 東方諸国のひとつ、オーブ首長国連邦。
豊富な資源と貿易の中継地点という有益な場所で財をなしてきたこの国が今、業火で焼かれている。
二つの巨大な大国による戦争が原因である。
オーブの財力と力を欲した東方諸国の大国、ザフト連合と通商連合のひとつブルーコスモスである。
戦争はオーブを中心に行われ、オーブ首長国連邦は自衛軍を持ちながらも戦争拡大を避けるために市民撤退を行う。
だが戦闘の予想以上の早さに市民は巻き込まれこまれる形になってしまった。


この戦争はガルデローベ5柱によるエアリーズ、ヴィントブルーム、ジパングによる治安維持部隊の介入により休戦協定が結ばれることになった。
オーブは目覚しい復興を遂げることになるのだが、それはいち早く避難を指示したオーブ首長国連邦政府の聡明な判断によるもの・・・新聞はそう伝えていた。

「・・・・」

その新聞を握り締める一人の女子。あの戦争『ヤキンドゥーエ戦争』から5年の歳月が過ぎ、立派なマイスターオトメとなったマユ・アスカがいた。トリアスを努め、その強さはミス・マリアが驚くほど、だがその激しすぎる舞闘に不安を感じるものも少なくはなかった。
彼女の名前はマユ・アスカ・・・運命の黝簾石を持つマイスターオトメ。彼女の目的はただひとつ、自分の兄、家族を死においやったものたちへの復讐。

彼女がザフト連合についたときからすべての歯車が狂いだす。

再び聞こえだす戦争への足音。マユのたった一人の復讐劇が始まる
56通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 18:41:14 ID:???
保守っとね。

>>55マユの【運命の黝廉石】の英語名は【FatefulDestiny Tanzanite】と提案する。
57通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:23:45 ID:???
ザフト軍
デュランダル議長→マイスターオトメ、タリア
レイ・ザ・バレル部隊のオトメ
マユ・アスカ(サラ・ギャラガーのお部屋係)
ルナマリア・ホーク
メイリン・ホーク

通商連合ブルーコスモス=協力=オーブ=協力=アスワド
ジブリール代表
ネオ・ロアノーク大佐のオトメ
ステラ・ルーシュ(ガルデローベ時代、マユと同室)

平和解放機構(アークエンジェル)=協力=ジパング
キラ・ヤマト→ラクス・クライン
アスラン・ザラ→カガリ・ユラ・アスハ
ムウ・ラ・フラガ→マリュー・ラミアス

治安維持部隊
サラ・ギャラガー
マーヤ・ブライス
他エアリーズ、アンナン、フロリンス条約機構軍

オーブ首長国連邦=協定=アルタイ
ユウナ代表
58通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:38:24 ID:???
シン・アスカ⇒テロリストorレジスタンス
とか思ったのは俺だけでいい・・・
59通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:43:00 ID:???
ブルコスが組むのはシュバルツじゃないか?
シンはアスワドっぽい感じ
60通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:47:38 ID:???
表面的にはアスワドと組んでいるが
ジブリール自身は裏でスミスとつながっている
61通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:51:07 ID:???
アスワドはまつろわぬ民。
以前はシュヴァルツと組んでいたがレナの遺体をシュヴァルツが悪用したことで
勇敢に戦って死んだものは敵味方問わずに弔うアスワドはシュヴァルツと決裂した。

レナ死亡はヴィア死亡に置き換えればいいんじゃない?
62通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 20:57:47 ID:???
63通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 21:11:39 ID:???
>>57タリアは子供がいるから現在は秘書的役割で、後にデュランダルのために真祖になる…とか。

ルナマリア
【白翼の月長石:WhiteWing Moonstone】
メイリン
【日輪の日長石:SolarRing Sunstone】
64通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 23:48:29 ID:???
舞-乙HiME VS SEED DESTINY

ベルリン開戦


通商連合ブルーコスモス軍は対ザフト軍に攻勢をかけ、雪の降るベルリン市街にオトメであるステラを向わせた。ステラは通商連合ブルーコスモス代表ジブリールが造り上げた戦闘強化薬を多量摂取し暴走しかけていた。

東方諸国にはそもそもオトメの数が圧倒的に少ない。ベルリンを防衛するザフト軍はなすすべなく撃破されていく。閃光と爆音があたりを包み込む。

「ステラ・・・」
 ガルデローベ時代同室であり、当時復讐しか考えていなかった自分に無垢な笑顔で話しかけてくれたステラを思い浮かべるマユ・アスカ。
(怖い顔よくない。笑顔が一番)
(放っておいて。私にはそんなのいらない)
(ステラ怒ってるの?)
(なんであんたを怒らなきゃならないのよ?)
(よかった。私ステラ。お前は?)
(私はマユ、マユ・アスカ)
 始めてあったときからどこか変わった奴で、でもその心は純粋そのものだった
(あなたはホント変わってるよね?)
(ステラかわってる?)
(そう、あなたのような優しい子はオトメに向いてないよ)
(ステラ、戦いたくない。みんな守りたい。だからオトメになる)
 あの子は・・・そう、戦っちゃいけない子なんだ。無垢で優しい心を持つあの子が、どうして戦わなきゃいけない。道具として・・こんなことは間違っているんだ!
「あの黒きオトメを全力でとめろ!手段は各自に任せる!」
私とルナマリア・ホーク、そしてメイリン・ホークの三人の上官であるレイ・ザ・バレルもこのときはどこか強い口調で命令を告げる。

出撃するマユ、ルナマリア、メイリンの三人。
空を飛び、黒き暴走するステラを視認する。
65通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 23:51:23 ID:???
「うおおおおお!!!!」
ステラの攻撃が容赦なく一般人も軍人も巻き込んで攻撃を行っている。
「やめて!ステラ!!」
「マユ!あいつは敵よ!」
ステラに向おうとする私をルナマリアが止める。
「あの子は、戦う子じゃないの!話せばきっとわかってくれるから!だから・・お願い。もう私の前で人が死ぬのはイヤなの・・・」
「・・お姉ちゃん」
メイリンがルナマリアを見つめる。
「・・・わかったわ。やるだけやってみなさい。足止めはやるから」
「ありがと・・」

黒きオトメ・・ステラにへと向うマユ

「あなたを止めないとたくさんの人が・・・。やむをえません」
それはピンクのローブを見に包んだオトメ。そう・・何度も現れては私達・・いや私の邪魔をしてきた憎きオトメ。それがまた私の前に現れる。
「お前!悪い奴!!」
「やめて!ステラ!!戦っちゃだめぇ!!!」


 悲劇はなおも繰り返すのか・・・。ザフト、通商連合、平和解放軍、そして5柱たちを代表とする条約機構軍が舞台をより惨劇にへと導いていく。
66通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 17:34:40 ID:???
>>59
ビームサーベルみたいな武器を使ってそうだなwwwww
67通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 17:43:06 ID:???
↑は>>58だった
スマソ
6845  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/08(木) 19:40:13 ID:???
「はあーーい、元気に殺ってるう?」
 音声認識、対象を目視。判断項目の不足により自動戦闘解除。
 私は目を覚ました。周囲には鮮血の海が広がっている。疲れは泥の中にいるように動きを重くしている。
 誰がこんな事をしたのか――決まっている、私だ。
 私と似たような金属質の衣装を纏うその女性は、軽々しい気配を漂わせながらゆっくりと近づいてくる。
その足取りに停滞はない。きっと見につけている物も、私のそれと似た機能を持つのだろう。
 撃って来るのか? 私は軽く重心を落とし身構える。女性の着ているものも、きっとPSによる
防弾防刃機構を備えている。
「よっくもまあ、これだけ殺して見せたもんよねえ」
 狙うならば――露出した頭部。しかし動きが早ければ躱される可能性も在る。条件付けによる
自動的な戦闘状態から脱した私の判断は、機械に求められる即断即決からは遠い。
「お姉さん、アンタにちょっとだけ話を聞かせて欲しいからさあ――」
 一歩、また一歩。決して速くはない動き、しかし私が背を向けたなら即座に全力疾走に移る事の出来る
無駄の全く無い動きで、女性は近づいてくる。圧力が増した。
「ちょっと、大人しくしてね――」
「……――!」
 女性が発する気配が臨界を越え、右手を振り上げてくる――拳銃? 考える間も無く本能的に跳躍、
射線を回避した私を、細い輝きが追ってきて――
「――何!?」
「捕まえちゃった――♪」
 私は右腕に抵抗を感じて停止する。刹那の間だけ女性と引っ張り合う格好になった。
「あんまり動かない方が良いわよお……左利きじゃなかったら、少し不便になるわ」
 婉曲表現で「抵抗したら腕を落す」といって来る。
 敵と認識――へ向かって跳躍。一気に間合いを詰めることで、右腕に巻きついたもの、極細のワイヤー
が巻き取られるよりも早くナイフの届く位置に潜り込む。
 斬撃、衝撃。
 私のナイフが彼女の首筋をえぐるその直前に、強烈な回し蹴りがカウンター気味に私の胴体を襲った。
身に纏うPS装甲といえど衝撃を吸収してはくれない。私の体躯は軽やかに弾き飛ばされて――それは
蹴撃を察知した私が跳び下がったからだというのもあるが――間合いを離される。
 彼女はワイヤーを巻き取ろうとして、気付く。
「――え!?」
「ワイヤーを離せ……胴体だけで生きていけないのならば、少し不便になりますよ」
 私は会心の表情を浮かべてそう言ってのけた。私の右腕を縛る輝きは、彼女の首を一周して
右腕のモーターデバイスに吸い込まれている。巻き取れば首が落ちるやり方だ。
「はあん……なかなかやるじゃない……燃えて来たわよ!」
 彼女は右腕のワイヤーを基部からパージした。五指それぞれのモーターデバイスに取り付けられた
ワイヤーは残り四本。
 十人以上の武装した人間を排除した疲労が全身にわだかまっている。短期でしとめねば、
私に勝ち目は無い。
 頭の片隅に置かれたスイッチを入れるイメージ、状況再開――戦闘続行!
6945  ◆WZm3jzCkZQ :2007/03/08(木) 19:43:54 ID:???
 ホテルの屋上で待機していたヨップ=フォン=アラファスは、予想通り階下の惨劇から逃れてきた
ブルーコスモスの男を捕らえていた。僅かに残った護衛は拳銃弾を頭に受けて、入り口近くに倒れている。
「手下その一より班長へ。目標、確保しました」
 なおも抵抗を諦めていない初老の男を抑えつつ、班長へと通信を送った。コールサインは手下その一。
『ご苦労だった。直に帰還しろ。ナオ、そちらはどうなっている』
『――戦闘中! 通信で邪魔するんじゃないわよ班長! よっピー掩護に来なさい』
 ヨップの耳にも、下の階からの銃声や打撃音が聞こえてくる。硝煙の香りが、上空の風に散らされた。
「班長――?」
『行くな、手下その一。お前は目標を運ぶことだけを考えれば良い。ナオ、お前が苦戦する相手か?』
『いや、早さも力も大した事はないんだけど――! 動きが前の班長に似てるのよ!』
「ミスター・アッシュに?」ヨップの驚愕は、班長も共有していた。
『――不味い。下がれ、ナオもヨップもだ。其処は既に――』
 班長の警告に重なるように――

「此処は既に猟犬の巣だ。無能を上司に持つと苦労する」 

 ――背後から、震えるほどに冷たい零下の声。ヨップは慌てて振り返るが誰も居ない、ただ、
ライオンのいる檻に放り込まれたような、深々と響く殺気だけが全身の肌を舐めている。
 拳銃を構えて軽快しているところに――声。再び背後から。
「だが、その苦労も今日までだ。良かったな――」
 振り返る。空から月明かり、地上からネオンサインに照らされている男が拳銃を構えていて――
「……お前は――!」
 ヨップの叫びは一発の銃声に遮られる。胸を、熱い塊が走り抜け、背中から飛び出して行った。
 否、一発と聞こえたのは余りにも早く拳銃から連射された弾丸四発の咆哮だ。二発ずつがヨップと、
折角確保した標的の男、その胸の中心に吸い込まれる。
「ノー、ス……ハウン……ド」
 脳から血流が退く音を聞きながら、ヨップの意識は途切れた。









 とりあえず今回は此処まで。
70通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 20:37:26 ID:???
無印HiME×種・種死はスレ違い?
71通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 20:51:34 ID:???
一向に構わんッッ!!
72通常の名無しさんの3倍:2007/03/10(土) 22:19:25 ID:tSke/+Ls
ヨッピーが死んだ
73通常の名無しさんの3倍:2007/03/11(日) 09:30:01 ID:???
保守
74名無し:2007/03/12(月) 20:27:47 ID:???
保守
75通常の名無しさんの3倍:2007/03/12(月) 20:34:35 ID:???
長文やAAが何故か書き込めないので保守
76通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 21:08:43 ID:???
妄想書いた

『パイロットはMSに搭乗。 マイスター・アリカは出撃準備お願いします』
 ミネルバ艦内に響き渡るメイリンの声を、シンとアリカはMSデッキの傍らで聞いた。
「じゃ、お願いします」
 アリカがニッコリと笑う。
「あ、ああ」
 シンは緊張した面持ちでアリカに向き合った。 これまでに何度か行った「儀式」だが、
どうにも慣れることが出来ない。
 アリカの方も同様らしく、二人は微かに頬を赤くしながら互いの顔を近付けた。
 シンが約束の言葉を唱える。
「アリカ・ユメミヤ、蒼天の青玉を持つオトメよ。 マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム
より委ねられし我が権限において、汝の力を解放する」
 アリカの左耳に付いたピアス、そこにある青い宝石にそっと口付けをする。 小さなJEMに
認証確認を示す文字が表示された。
「よ、よし行くぞ!」
「はい!」
 シンは気恥ずかしさですぐに顔を逸らすと、そのまま愛機の方へ向かう。 対してアリカの
応答は元気そのものである。
「マテリアライズ!」
 シンは背中でその声を聞いた。
 凛とした叫びにJEMが応え、アリカの全身が光に包まれる。 マイスターオトメの制服は何処
かに消え、青と白で彩られたローブが体を覆った。 おさげ髪が解けて豊かに広がり、羽の様
な緑のマントが翻る。
 その姿をチラリと横目に、シンはコアスプレンダーのコクピットに飛び込んだ。
77通常の名無しさんの3倍:2007/03/13(火) 21:09:49 ID:???
 ミネルバの中央カタパルトが展開し、コアスプレンダーが発進体勢に入る。
 シンは前方をじっと見詰め、メイリンの声を待った。
『進路クリア。 コアスプレンダー発進、どうぞ!』
「シン・アスカ、コアスプレンダー! 行きます!」
 カタパルトにより機体が強制加速され、シンの体に強烈なGがかかる。
 コアスプレンダーがデッキから飛翔すると同時に、左舷カタパルトには一人の少女が現れた。
それはMSや戦闘機と比べ余りに小さな人間の姿だが、異世界から迷い込んできた彼女達はローブ
の加護により、MS以上の戦闘力を発揮することが出来る。
 アリカもシンと同じように、キッと前方を見据えた。
『進路クリア。 マイスター・アリカ発進、どうぞ!』 
「アリカ・ユメミヤ、蒼天の青玉! 行きます!」
 マイスターローブが浮力を発し、アリカの体がふわりと浮き上がる。 そして一瞬の後には
デッキに沿って飛行、大空に飛び出した。
 アリカは猛烈なスピードで飛び、先行していたコアスプレンダーの隣に並んだ。 キャノピー
越しにシンの顔を見、互いに頷き合う。
 後方からはチェストフライヤーとレッグフライヤーが追って来ている。 合体の邪魔にならぬ為、
アリカはひとまず距離を置いた。
78通常の名無しさんの3倍:2007/03/15(木) 17:03:04 ID:???
ラクスとトモエが融合
79名無し:2007/03/16(金) 18:59:28 ID:???
ラクスがマシロとアリカを洗脳して、ヴィント乗っ取り
80通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 13:23:33 ID:???
>>79
やめてくれww
81通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 13:25:18 ID:???
ラクス教vsガルデローベ5柱
82通常の名無しさんの3倍:2007/03/17(土) 20:24:46 ID:???
両軍で真っ先に落ちるのはアスランとナツキ
83名無し:2007/03/19(月) 09:10:52 ID:???
ちなみに舞乙は漫画版もあり?
84通常の名無しさんの3倍:2007/03/19(月) 22:27:07 ID:???
何故か女装してマユにならないといけないシン
85通常の名無しさんの3倍:2007/03/20(火) 08:48:32 ID:???
そういえばグラヴィオンでも鈴村キャラは女装してましたね
そしてそれが作中のどの女性キャラよりも萌えるとか言われてたw
86通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 12:59:55 ID:???
いや、最萌はもう一人の方だったかと。
鈴村のキャラのは第一話の初登場時の女装に始まり、
ことある事に女装しまくったというインパクトのが凄かった・・・・
87通常の名無しさんの3倍:2007/03/22(木) 13:10:00 ID:???
エイジの事か───っ!
88通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 17:13:08 ID:???
シンと舞衣が世界を入れ替わったら、どうなるかな?
89通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 17:58:05 ID:???
>>88シンは黒曜の君に。舞衣はインパルスのパイロットに。
90通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 18:08:27 ID:???
>>88
無印のだと鬼面で敵を殲滅するザフトのエースに、
乙のだと荒くれ男どもを率いる傭兵部隊の女隊長になってそうだw
>舞衣
91通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 18:13:03 ID:???
>>89
黒曜はレイかクルーゼだろ
まあ、ぶっちゃけ奴は小物すぎてクルーゼや議長の方がまだ大物に見える
92通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 18:35:57 ID:???
>>90
実力で荒くれどもを従わせ
たまに手料理をご馳走してさらに心服させるわけだなw
93通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 19:04:19 ID:???
奮闘空しく敵弾に倒れ
「もう一度、隊長のラーメンが食いたかったぜ…」と息絶える荒くれ傭兵
94通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 21:12:28 ID:???
サーペントテールもびっくりですな
95通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 21:25:50 ID:???
>>88
シンと楯がカグツチの剣を握ってケーキ入刀やります
96通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 22:42:14 ID:???
>>92
で、うっかり隊長にモーションかけると全員にボコられる得点つきw

97通常の名無しさんの3倍:2007/03/24(土) 22:47:35 ID:???
ツヴァイでシュバルツのみなさんがすっかり舞衣の手下になってたが
アレって一国の姫としてのオーラというより、餌付けだろうなやっぱw
98通常の名無しさんの3倍:2007/03/25(日) 05:20:27 ID:???
同じ一国の姫なのに、出番が全然無いアイン・ルー
99通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 23:16:09 ID:???
>>88
種世界へ飛ばされた舞衣はインパルスのパイロットに成り
様々な戦いを経てザフトのエースになるが、
弟の巧海に似ている少年をキラに殺され、鬼面でキラを…フリーダムを撃沈する
その事が原因でアスランと対立を起こす(後にアスランはザフトを脱走)
100通常の名無しさんの3倍:2007/03/27(火) 23:18:18 ID:???
100ゲーッ
101通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 00:05:46 ID:???
とりあえず巧海はムラサメのパイロットに。
102通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 00:33:17 ID:???
シンはTSしてオトメになればいいよ
103通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 13:46:05 ID:E05YCpCC
どこの世界でも凸は蝙蝠野郎になりそうだ
104通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 13:55:19 ID:???
ナギにいいように騙されそう
声つながりで
105通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 15:10:37 ID:???
アスランはナツキと同じ臭いがする
シンはニナ臭がする
106通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 15:51:10 ID:???
>>105
ナツキに失礼すぎる
アイツはヘタレだが、裏切りだけは絶対にしなかったぞ
ニナは……一緒にするのはむしろシンに失礼だ
何せゲイ欲しさゆえの欲望と嫉妬ゆえに狂気に走ったからな
流されてた感が否めないとはいえ、戦争の無い世界を作るために戦ってたシンと比べちゃいかん
107通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 16:19:10 ID:???
  ,. -―-、, -z:ァ―rー―- 、
. /::) (:)///  イ (7 (」 lヽ
 ト― <_/:::∠__ |ヽ、____,ィ
 ヘ  l::○::::::::::::::::l      |
.  }=八_,.. ̄ ̄ ̄ゝ      /
  `7\ / ̄ ̄|/l`ー--‐イ
     ̄lT ―-..__∧ \___/
.     ||‐‐ -|   `ーイ
     |l-0 .-|  _ /
     /\ ―|/    〉
    `} ̄ヽ 7ー--''">ー/r―、
     |  ̄|  |―、/  〈 |__/|
      ',  ',_/ヽ  \ /   /
     |几几l /| ―'" 丶 /
     └――'′ ヽ几几__/
様子を見に来たよー
108通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 20:37:05 ID:???
そうか!

なつき=シン
ニナ=アスラン なのか!

確かに、アスランはキラ欲しさで裏切ったもんな!
シンは・・・ヘタレなのか微妙だけど
109通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 20:52:32 ID:???
アニメのニナは種キャラもびっくりのDQN
漫画のニナは可愛いが、漫画舞HIMEのなつき程には活躍できなかったな
110通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 22:11:59 ID:???
アニメなつきが大好きな香具師らには大不評だったと聞いたんだが>漫画舞HIMEのなつきの活躍
111通常の名無しさんの3倍:2007/03/28(水) 22:56:21 ID:???
アニメファンと漫画ファンは不倶戴天の敵同士だからな
お互い、何が気に入らないのかさっぱり理解できんが
112通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 17:17:00 ID:???
アニメの方は一応主人公は舞衣でも群像劇っぽかったのに
漫画の方はなつき一人を、しかも他のHiMEを踏み台にするような最悪の形で目立たせた
から
無印漫画脚本のキムラは後にシリーズ構成手がけたソルティレイでも、主人公とヒロイン
の物語としてはストーリーを上手くまとめたが、ここでもサブヒロイン達の「いらない娘」ぶり
が指摘されてた
キャラが大勢出てそれぞれファンを引きつけようというタイプの作品に向いてないんだろう
ましてやそれに特化してる舞シリーズには不向きの人材だった
113通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 18:13:37 ID:???
まあ、なつき以外にも漫画版の方が輝いているキャラもいるけどね
でぼちん・雪之・碧ちゃん辺りは、アニメ以上に大活躍してて気分壮快だった
唯一不満があるとすれば、只のビッチにされてしまった奈緒ぐらいだろうか
静留や命が空気なのは、正直どうでもよかった
114通常の名無しさんの3倍:2007/03/29(木) 22:07:19 ID:???
アニメ乙に愕天ダイオーが出るというウソバレを信じていた俺ガイル
115通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 06:45:53 ID:???
漫画版で言えば…

舞衣:カガリ
なつき:ルナかメイリン
楯:アスラン
巧海:キラか。
116通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 17:10:26 ID:???
しかしついに「嵐」が始まったのう、漫画版は・・・。
マシロ君の活躍(旧作の前半のごとき)に期待じゃ
117通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 21:45:27 ID:???
嵐のあまりのブッ飛びぶりに、漫画とアニメどっちがいいとか、どうでもよくなってきた
118通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 22:10:43 ID:???
漫画のなにが不満かってヒロインのはずの男が出張るからだろ
119通常の名無しさんの3倍:2007/03/30(金) 23:15:23 ID:???
原理主義は良くないな
120通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 01:37:43 ID:???
ってことは、シンが主人公なSSとか投下しちゃ不味いのかここは
121通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 06:37:37 ID:???
もう少しです。もう少し……。
122通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 08:58:34 ID:???
>>115

舞衣:カガリ
楯:シン
なつき:ルナマリア
巧海:キラ
詩帆:マユ
アリッサ:ステラ
紗江子:マリュー
深優:シホ

でもいいんじゃね?
123通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 10:54:52 ID:???
>>120
何でもいいから落としてくれ
124通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 15:37:06 ID:???
>>120
どんとこい複数契約

俺も漫画版舞乙とのクロス考えたりするけど致命的なまでの国語力の無さに('A`)
125通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 21:07:53 ID:???
つーか舞乙漫画は元々無印と違ってアニメのファンにも好評だからな
特にマシロとニナは漫画版のほうががいいとアニメスレですら言われてたW
126通常の名無しさんの3倍:2007/03/31(土) 23:51:14 ID:???
>>120
是非投下してくれ
127通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 02:50:59 ID:???
>>120
やってみたまえ

私はまだ設定を煮詰めている最中なので投下できん
128通常の名無しさんの3倍:2007/04/01(日) 02:54:52 ID:???
まあ、とりあえず俺は来週辺りに見切り発車します。一応。
129通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 04:13:14 ID:???
今日中に投下できるか・・・
130通常の名無しさんの3倍:2007/04/06(金) 09:32:25 ID:???
待ってるぜ
131通常の名無しさんの3倍:2007/04/07(土) 08:19:40 ID:???
保ーーーーーー守!!
132F:2007/04/08(日) 08:11:52 ID:???
CE:73年12月31日 月面上

「この馬鹿野朗!!」

パルマフォキオナ(手の槍)をかわされ
足サーベルを叩き込まれたデスティニーは月面に叩きつけられた
部品を撒き散らしながら月面を跳ね、そのまま地面を抉りながら滑走し、やがて…停止した
その残骸になったデスティニーを一瞥したジャスティスはそのまま何処かへと飛び去っていってしまった

その一部始終を見ていたルナマリアは思考を凍らせていた
戦いはあっという間に均衡を崩し勝敗を決めた、自分がシンに殺されそうになったという事よりもシンが負けたという事に驚く
正義が去った戦場に静寂が支配する、勝者は奪い敗者は無惨な体を横たえる
はっと思考が再開したルナマリアは満身創痍のインパルスに鞭打って駆けつけようとする
シンが心配だ、幸いにもコクピットを擁する胴体部分は形を保ったまま残っている
怪我はしているだろうが生きているはずだろう、もしくは死んでいるか
後者を考えから振り払いスラスターを噴かして横たわるデスティニーの近くに下りていく

だがしかし―――残念ながら戦場と言うものは何が起こるかわからない
何者かが放った敵意ある弾丸が飛び交う様は戦場では当たり前で、誰も気が付かないような不幸な流れ弾も多々ある
時にそれは何ヶ月もかけて火星に到達したり、デブリに当たったりと。

その戦場の不幸な流れ弾の一つが吸い込まれるようにシンのデスティニーの胸に着弾し、爆発した

如何に受けた衝撃を向こう側へ消し去り無効化するVPS装甲と言えど
エネルギーを通さなければチタン複合装甲材にも劣るそれはバズーカの弾一撃で跡形も無く吹き飛んでしまった
そう、――――粉々に 粉々に  コナゴナに  こなごなに?

「・……えっ!?」

ルナマリアは一瞬何が起こったのかわからなかった
だが目の前に映るのは四散した灰色の装甲と目の前に漂う血の涙を流したデスティニーの頭部
モクモクと上がる煙に散る火花、推進剤に引火して燃え盛る炎
そして跡形も残らない胸部と穿たれたクレーターを見てルナマリア・ホークは絶望してしまう

「い……や………」

急ぎインパルスをデスティニーの落ちたところに着陸させ
コクピットハッチを開きシートを蹴って残骸になったデスティニーに向かった
死ぬ筈が無い、死んで良いわけが無い、シンが死ぬ筈なんて無いと願う
だがそこは多数の破片が漂い爆発点からはブスブスと煙を上げている
133F:2007/04/08(日) 08:13:18 ID:???
ふと胸に向かって何かの破片がとんと当たった。月の引力に惹かれて落ちるそれを拾い上げる
それは煤で汚れた傷だらけのピンク色の携帯電話、シン・アスカがいかなる時でも手放さなかった携帯電話
跡形も残らない胸部を見てルナマリア・ホークは完全に確信してしまう

シン・アスカは死んだのだ。

彼の大事に持っていた携帯電話は遺品となりルナの手の中にあり、そしてその持ち主のシン・アスカは死んで、この世から消え去ったのだと

「――シ、ン? シン!? い、イヤ……嫌ぁ………いやあああああああ!!!?」

突きつけられた現実に戸惑う彼女はやがてそれを本当の物と認識し、ルナはそれきり助けが来るまでずっとそこに腰を落として泣き続けた
――戦場とはすべてに平等だ、運があれば生き残り無ければ死ぬ。技術経験性能と言うファクター
そして圧倒的な力を持ってしても死ぬ時は死ぬのだ。それがたとえ唐突的な物であっても。

「―――ばかぁ、絶対、守ってくれるって…絶対守るって……約束したじゃない、言ったじゃないのよおぉぉぉぉぉぉっ!!!」

人は生きて死ぬ。世界のどこかで人が生まれて死んでも、それでも時は廻るのだ。それはとても残酷で儚く、美しい―――

そして、時はCE74年を刻む
疲弊した連合軍、プラント自警軍「ZAFT」はオーブに調停され、此処に終戦と成った
たった二ヶ月、されど二ヶ月。この戦争は多数の悲劇を生み出した。

――――戦後、歌姫はプラントに入り、騎士達は歌姫を守る剣として在り、獅子は地球を率い―――その平和は長く続いたと言われる

勝利者無き大戦の戦死者が記載されたデータにはまぎれも無く「シン・アスカ」の字が載っていた







この物語はそんな戦争の世界とはまったく違う所で始まる
134F:2007/04/08(日) 08:14:51 ID:???
―――ここは二つの月と紅い月の衛星が照らす星、惑星エアル
遠い昔に地球から旅立った人類がテラフォーミングを成功させ、初めて入植が実現できた星だ
といってもそれはもう本当に遠い昔。

星は水に覆われ、大地は緑と砂漠が広がっていた

その夜の帳、砂嵐に包まれた広大に広がる砂漠をひたすら前に進む人影があった
二つの月夜に照らされるその人物は頭から被った砂避けマントに身を包み、未だ見えぬ街を目指して只管に歩き続けてた
とある夢を叶える為に、自らの親に出逢う為に真っ直ぐに砂漠を歩き続けていた

夢は絶対に叶うと信じて

いつしか砂嵐は去り空を見上げると満天の星空が広がっていた
黒い布に真珠の粉を惜しげなくぶちまけたような夜空とても綺麗で星星は美しく瞬いている
彼は砂の付いたゴーグルとマスクを取り、マントを脱いだ

意思の篭った爛爛と輝く蒼い目と細く結った二つの長い三つ編みの女の子
胸元にはばっちゃから託された首飾り「蒼天の青玉」が光り輝いている

少女の名はアリカ・ユメミヤ、彼女は生まれてすぐに生き別れた母親を探す為に、"かつて母が乙HiMEであった”と言う情報のみを頼りに
この蒼天の青玉と共にエアルで唯一のオトメ養成専門学校「ガルデローペ学園」を目指してヴィントブルーム王国へ向かっていたのだった。
そう、ヴィントに行けば未だ見ぬ母の手がかりがつかめるかもしれないと。
けど――それとは別に彼女にはガルデローペに行って叶えようとする夢があった
それはオトメになるという事。小さな頃から聞かされていたオトメ、 情報で知るオトメ、そして一度だけ見たオトメ
その姿に憧れ、彼女は夢を叶える為にこれから学園の門を叩きに行くのだ


ふと、二つの月を横切るように紅い流れ星が空を横切って向かっている場所に進んで行くのを見つけた

「赤いお星さまがぱぁって瞬いて・・…大きいや――彗星かな? 流れ星かな?」

それは長い尾を引き、甲高い音を響かせながら空を飛んでいた
砂漠を渡る三つ編みの女の子が赤い彗星を見て

――パンッパン
「オトメになれますようにオトメになれますようにオトメになれますようにっっ!!」
目をつぶって拍手を二回鳴らし流れ星に祈った
曰く、"流れ星を見たら消えるまでに三回願い事を言うと叶うってばっちゃが言ってた”からだ
135F:2007/04/08(日) 08:19:17 ID:???
願いを込めた後、降ろした荷物を装着し直してまた彼女は一路ガルデローペに向かって歩き始めた
けど……甲高い音がどんどん大きくなっていく。
月の光で輝く砂漠の砂が紅く光っている事に気が付いたアリカは再度空を見上げる
そこにはさっきまでゆっくりと赤く光り、尾を引いていたそれが
赤い光りとは別に紅く、眩しく輝く光の翼を羽ばたかせて飛んでいるのだ、それも今、自分の頭上で

信じていれば夢は叶うと信じた少女はその光景に心奪われていた

「赤い羽根? うっわぁ〜〜〜〜綺麗〜〜〜〜〜!!凄い凄いすっごぉいっっ!!」

その紅い流れ星がゆっくりと紅い羽を羽ばたかせて飛んでいた――が
その星は蒼い光を発した後、光り輝いたままだんだんと大きく、ゴゴゴゴと甲高い音を立てて――

「――ってあれ?」

こっちに向かって落ちて来てた

「こっちに来――うひゃぁーーーーーー!!!!!!?」

身を伏せた後、頭上を紅い星が轟音を立て、空気を震わせながら通過し
 ド ン ッ という音の後、 ゴ ン ッ と言う音の後に物凄い振動と衝撃波がアリカを襲った
振動で体は浮き、衝撃波で飛ばされそうになり彼女は必死に荷物を離さない様に抱きしめて耐える
何度も転がり何度も跳ね飛ばされ、やがてそれは収まる
落着した紅い星は部品を撒き散らしながら砂面を跳ね、そのまま地面を抉りながら滑走し、小高い岩にぶつかり、砂塵を巻き上げ…停止した

砂に埋もれた体を起こし、砂を払いのける
「………けふっけふ! なんなのよー……さっきの星が落ちてきたんだよね――ってあれ?…あれなんだろ」

砂を払い、荷物を回収したアリカは落ちてきたものを確かめるように首を伸ばした
真っ直ぐに伸びる軌跡と銀色のクレーターが出来ていた。
間近に落ちてきた紅い星の軌跡は熱で溶けた砂が硝子化し銀色に輝きている
アリカは体に付いた砂をある程度掃うと、落ちてきたものが何なのか確かめるべく走り出した
願いを込めた流れ星が落ちてきたのだ、それに人生で一度見れるか見れないかの流れ星の落着をこの目で見たのだ
一体どんな星が落ちてきたのか知りたいと言う好奇心が早く見たい、早く走れと急かした

クレーターの淵にたどり着いた
辺りは砂と煙が巻き上げられて

「熱っ」

クレーターの中は溶けた砂で銀色に輝き、ところどころ煙が立ち込めているその様を眺める事が出来た
そのクレーターの中央に何かがあったように見えるが煙が立ち込めていてよく見えない
136F:2007/04/08(日) 08:23:40 ID:???
――「    」


何かに呼ばれた気がした

「え!? 誰!? 誰かいるの!?」

その時には体が動いていた
銀色のクレーターの斜面を駆け下りて煙立ち込める中央まで走ってたどり着く
そこには灰色の巨大な何か、大きなものが煙を立てながらそこにあった
――風が吹き、煙が晴れるとその大きな物の全容が見えた
初めに目に見えたのは巨大な腕だった、それに気が付いて驚いた後おそるおそる見上げていく
それは右手と右足を無くし、千切れた一対の羽を持つ巨大な人が力なくクレーターの中央に鎮座していた


「………大きい、大きい人? 巨人、なのかな・・・?」

大きい人、巨人は岩山を背凭れに力なく蹲っている
その巨人の顔を覗き込むと綺麗な翡翠色の目をしていた
紅い涙を流している事に引っかかった、なんでそんなに悲しい顔で泣いているんだろうって
恐る恐る近づいてその巨人の肌に触れるととても冷たくひんやりとしていた。 とても冷たかった。

すると不意に巨人が光り始めた
淡く光る巨人は燐光を伴って輝く

「え?巨人が―――!?」

光り輝く巨人は崩れだしていた
さらさらと緑色の光の粒が巨人の体から流れ出し
巨大な砂山が風に吹き飛ばされて形を保てなくなるかのように崩れていく
途端、緑の光がより一層に輝きだし目を瞑っても眩しいくらいの閃光を発した

目を覆う手を取り、恐る恐る目を開け辺りを見回せば、そこには巨人は居なくなっていた
周りは巨大なクレーターと溶けた砂の銀色の地面以外の何もなく
さっきまでそこに鎮座していた巨人は跡形もなく居なくなっていた

「消え――ちゃった……?あれ?」

その巨人が消えた場所に人が倒れていた
紅い服を着た人が
137F:2007/04/08(日) 08:28:46 ID:???

自分が何時から眠っていたのか
何時から横たわっていたのかわからない
ただ脳は休息を止め覚醒へと向かっていく
海の底から海面へと引き上げられていくような感覚と共に少年は目覚めた

「あ、起きた」

気が付けば仮説テントの寝袋の上に寝かされていた
それから先の事は覚えていない……体を起こそうとして

「駄目だよ!まだ寝てなきゃ」

少女に制されて、体を再び寝かせる
隣で座っている三つ編みの女の子が頭に載せる手ぬぐいを水に浸して絞っていた

「…………ここは?」
「ねえ大丈夫?」
「う、うわぁ!びっくりした!!」

目を開ければ女の子が上から顔を覗き込むようにこちらを見ていた
綺麗な蒼い目と茶色の三つ編みが印象的な女の子だった
寝ぼけていた頭が一気に醒めた・・・と、額に手を添えられる。

「んー熱はないっと、こっちはとっても驚いたんだよ!? なんてったって星が落ちてきて巨人さんが座っててぱぁって光ったと思ったら君が倒れていたんだ
 ああほら、喉渇いてるでしょ? ほらお水。もう残り少ないけど全部飲んで。とと…ほら手ぬぐい頭に乗せてと」
「きょ、巨人?・・・・???」

なんとも支離滅裂でアバウトな説明を受けてますます訳がわからなくなってくる
そんな事よりもここは何処なんだ?俺には知りたい事があるはずだ。何かとても大事な事を。

「そう!でっかい巨人で綺麗な目をした巨人なんだけどなんだかとっても悲しそうで
  ああ水飲まないと熱中症になっちゃうよ?ここ砂漠だし。ちょっと待ってて、オアシスの近くだから水を汲んでくるね」
「砂漠……?」

彼女は立ち上がり、バケツを持って外に出た
その彼女を目で追って体を起こし、外を見渡せば砂、砂、砂、あたり一面砂景色
うねる砂丘と湧き上がる陽炎のさらに向こうには地平線
上を見ればテント代わりのマント、それをずらして見上げれば蒼い空に白い雲、そして照りつける太陽と尋常じゃない暑さが身に染みた

何か忘れている気がする
何か大事な事を……なんだっけ?
138F:2007/04/08(日) 08:32:43 ID:???
「ここは一体何処なんだろう? 俺は何で砂漠なんかに、……あれ? ちょっと待って、何で俺は」

こんな所に居るんだろう?
そもそも何故砂漠に居る?どうして?どうやって?
思い出そうとしても記憶が何か靄がかかったかのように思い出せない
そんな事を考えていると向こうの方からバケツ一杯に水を組んで運ぶ彼女がこっちに向かってくるのが見えた

「よっこいしょっと、ふう……ハイお水」

頭の上に濡れた手ぬぐいを乗せながら彼女から差し出された水を受け取った

「あの、助けていただいてありがとう御座います。あの、ここ…何処なんですか?」
「へ? ああゴメン、えーっとそう丁度ドーバー砂海のここいらへんかな?」
「どーばーさかい?」

いや地図広げられて指を指されても困るんですけど…「こんな世界地図だったか?」…あれ?
見た事も無い地図を見る
奥底の方でも見た事が無いと認識が見えた気がした
じゃあここは一体何処なんだ? いやどうして――

「この辺りだと思うんだけどぶっちゃけ私もよくわかんない」
「それじゃあ地図を見る意味が無いじゃないんですか? その前に……えーっと君は?」
「私? 私アリカ! ユメミヤ・アリカ。クレーターに倒れてた貴方は?」
「ユメミヤ……アリカ……えーっと俺の名前? 俺は――――――え?……あれ?」

そこでようやく気が付く―――思い……出せない?
ここが何処という事の前に、自分の名が何で何者なのか

俺は誰だ?名前は?俺の名前は?
思い出せない、俺が何をしていて何故こんな所にいてそもそも自分が一体どういう人間ででどういう生き方をしてきたのかもわからない
思い出そうとしても記憶は真っ黒で塗りつぶされていて、思い出そうにも思い出せず、思い出そうにも何も覚えていない
当たり前だ、思い出すと言う行為は頭の中にある記憶を引き出すと言う事
引き出そうとする記憶が無いのなら思い出せるわけが無い。
名前と自分がどういう生き方をしてきたのかと言う所がすっぱりと切り捨てられている
自分と言う個はあるのに自分を形成する記憶は起きた時から始まった物のみでその前の記憶が

「―――わからない?」
「え?」
「わからないんだ……」
139F:2007/04/08(日) 08:38:47 ID:???
目を瞑って名前以外のものも思い出そうとした
懸命に懸命に思い出そうとした、きっとあれだ覚えていたけどパッと忘れてしまって
丁度魚の小骨が引っかかったような感じ、ポロッとふとした拍子で記憶が広がるように思い出せるはずだと
第一記憶がなければ言葉を喋れる筈が無い、そんな都合のいい記憶喪失なんてあるわけが無い。
しかしどうだ、なんとか思い出そうとしても自分の事やこれまで経験した事の全てが思い出す事が出来ない

「俺が誰なのか……思い出せない」

俺が誰なのか
何故こんな所にいるのか
まったく訳がわからない
恐らく家族が居た筈だ、多分親友が居た筈だ、もしかしたら恋人がいたかもしれない
かもしれない、かもしれない、かもしれない、ほんとうに? 

そんな絆が、思い出があったのかもわからない。

「俺は……俺は一体誰なんだ?―――わからない?」

その前に、思い出そうとしていたのは名前だ
多分名前さえ思い出してしまえば後は望んでも無いのに記憶が戻る筈だと思って必死に自分の名前を思い出そうとしたけど
やっぱり幾ら思い出そうとしてもカケラさえ記憶が思い出せなかった

ようやく自分の記憶が無いと自覚した時、何かがガラガラと崩れ去っていくような気がした
丁度足元の地面が、背景が、空気が、そして自分さえもコナゴナに。

「ワカラナイ君……じゃなくて、え?自分の名前わからないの?」
「………俺がなんて名前で、どんな経験をしてきたかとか、全然思い出せないんだ。何でここに居るのかってことも」
「記憶が無いの?」

他人に言われて何も無いという不安がさらに広がっていく
記憶と言う空虚を満たそうとしても無いという事実がさらに不安を加速させていく
だがそんな彼に彼女はとんでもない事を言った

「良かった、記憶が無いだけで本当に良かった」
「良かった……? 俺がどんな名前でどんな人間なのかもわからないのに!?」

あまりの事に勢いよく体を起こして怒る、だが彼女はそんな事の斜め上の事を言った

「え?だって名前とか記憶が無いだけで死んだ訳じゃないんでしょ?今こうやって喋ってるもん
 私バカだから難しいことよくわかんないけど生きてるならそれで良いと思う。
 生きていればきっと君の記憶も取り戻せるかもしれないでしょ? それに君、今生きてるんだもん。きっとなんとかなるよ!」
140F:2007/04/08(日) 08:43:11 ID:???
唖然、なんと言うか凄いと言うか
馬鹿と言うか、ポジティブと言うのか、なんだか悩んでいるのが馬鹿らしくなってきた
けど、やっぱり記憶が無いって言うのはとても不安だけど・・・
再び体を寝かせて、さっき飛んだ手ぬぐいを頭の上に乗せなおされた

「―――お前って変な奴だな」
「うわぁ、酷いこと言うなぁもう!」

彼女はぶーっと頬を膨らませてそっぽを向いた
その様がなんだか可笑しく見えて少し笑ってしまった

「ああもう笑うなぁ! 心配してるのにぃ」

……なんだか悩んでいるのがバカらしくなってきた
そうだな、記憶が無いってだけじゃないか、記憶がなくても今生きてるんだからなんとかなるさ
多分ふとしたことで思い出せるかもしれない、無いものにウジウジ悩んだって仕方が無い。これからだ。でも――

「やっぱり名前が無いってのは辛いか、な…」

改めてそう思う
記憶は兎も角俺がなんて名前で何て呼ばれてたかって言うのはとても重要なファクターだと思う
名前と言う人を指す呼称を得て人は初めて個足り得るのか。
周りと区別される事で己を証明する証しとなり得るのか。

――ああ、そういえば……改めて自分の服装を見直す
紅いを基調とした服に白いブーツ……もしかしたらポッケには自分を証明する物が…、何も入っていない
あんまり期待してなかったけど。 大きく肩をすくめてため息をついたときに首元にチャリと音がした

「なんだコレ?」

赤服のファスナーをあけて首元からその音の正体を引き出す

「銀色の板?」

首飾りを持ち上げてみると銀色の板に黒い淵ゴムが付いた認識票
ドックタグと言う物が付いていた――記憶は無いのにコレがなんであるかという事がわかる矛盾を無視して名前を探す

―――あった  
『SIN』 と書いてある
恐らくローマ字でシンと呼ぶんだろう
ローマ字?また何で言語がわかるかって変な矛盾だがあえて其処は考えない事にする
こうやって言葉を喋れる言語の記憶があって何故自分を形成す記憶が無いのかって考えるのはさっきの焼き直しだ、そういう事は後においておこう
141F:2007/04/08(日) 08:50:43 ID:???
「シン……」
名前が体に染み込んでくる感じがする、聞きなれたような、慣れ親しんだような、そんな気がした

「?」
「シン、たぶん俺の名前がそうらしい、書いてある」
「シン……。いい名前だね!うん。じゃあ改めて自己紹介! 私アリカ! 宜しくね、シン!」

彼女、アリカが俺の右手を取り強引に握手をした
ブンブンと振られる腕が少々痛い気もしたが今はそれが心地良い

「――あり? でも名前だけで苗字は書いてないの?それって」

そう、名前だけしか書いていないこのドックタグ
俺が身に付けていたものとはいえ…まだ俺もこのドックタグに付いている名前に少し懐疑的だ
何故ならば、苗字の部分、血液型、生年月日その他俺を俺と証明する物が綺麗に消されて、いや――痕跡すらないのだ
そう、ただ名前だけしか書いていないドックタグ<自己証明書>……でもそんな事を考えてても始まらない

「うん、どうやら名前だけしか書いてないみたいだ」
「うーん……それじゃあシンはただのシンからユメミヤ・シンだね!」
「は、はぁ!?」
「あれ?やっぱりダメ?」

またまた、アリカは突拍子なことを言うなぁ…

「だって名前だけじゃあ不便でしょ?だったら苗字もつけなきゃいけないと思う
 思い出した時にまた変えれば良いと思うから別に付けても大丈夫でしょう? だから私の苗字、貴方にあげる」
「苗字って、いいのか?俺にそんな大事な物をくれて」

「ああでも他にも色々考えてみたんだ、フーミン デルタ グラム カザマ ビジェイとかラクバとか、げろしゃ――」

「いやいやいやいやユメミヤでいいようんユメミヤ・シン。気に入ったようん、今日から俺はユメミヤ・シンだ」

でも、ユメミヤ・シン、悪くないと思う…。
俺の記憶とか生い立ちとか、よくわかんないままだけど
多分きっと何とかなる、ああ、そうだよな? 

「ほら、この先生きてたらきっと何とかなる!だから元気出していこう!」
「ああ、きっとなんとかなる」

第一話 ユメノ☆シン  前半
142通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 09:17:42 ID:???
リアルタイムで見た
F氏乙!

まだ一話だけだからなんとも言えんが、
エアルに来たのはシンだけかな?
143F:2007/04/08(日) 09:23:37 ID:???
アリカがシンを見つけ、クレーターから助け出してから数時間後

クレーター上空に静止する一つの影
両手両足が回転するかのように煌く光を伴った服『ローブ』
それは乙HiME(オトメ)が舞闘(戦闘)を行う際に着用する高次物質化武装。
いわゆる戦闘服または防護強化服であり。攻撃、防御等身体能力の強化、さらには飛行や特殊な技の発動等様々な特性を持つ
この世界における最高の権力の象徴とも言うべき「力」である。

「堕ちてきたものの規模は10メートル以上、そして隕石と言う都合上その落着速度はおおよそMa20(24500km)
 それでたったこれだけのクレーター? 衝突する前に制動でもかけたのかしら?――それに、肝心の落ちてきた物そのものが無い…」

普通、これほどの規模のものが落ちてきた場合の惨状は半端な物ではない
10メートルクラスのものとはいえその破壊力は原爆の数発分に相当するエネルギーを持っている
それが落着したクレーターがたったの直系30メートル位しかないのだ

そして、今現在何処の国もこの隕石が突入、落着したことを 観 測 していないのだ
たまたま近くに居り、駆けつけた伶踊の蛍石、マーヤ・ブライスは何か悪い予感を感じずにはいられなかった

「良くない事が起きなければいいんだけど」

カンで言った彼女の言葉、それは楽観的に放たれた言葉だが、後に全世界を巻き込む大変な事が起こる。
そんな事は誰一人として予想しえなかった事。
                                                   続く

















「じゃ! シンは弟で私はお姉ちゃんだね!だから私のことは お 姉 ち ゃ ん って呼ぶように!」
「――――――へ!?」
144142:2007/04/08(日) 09:57:44 ID:???
割り込んでるじゃん…
すいません
145通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 14:13:40 ID:???
定時age
146通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 15:11:52 ID:???
おー、分割前のスレでさわりだけ書いてた人か、乙
記憶を失ったシン、高次物質化?した運命、など興味をそそられる導入だわ
このユメミヤ姉弟wがこれからどういう行動を巻き起こすか見物
続きを期待しとります

あと一つだけツッコミ
シンの綴りは「Shinn」
147通常の名無しさんの3倍:2007/04/08(日) 20:59:13 ID:???
新作乙!
運命は分解されてシンに宿ったのか?
勢いで義姉弟の契りを結んでしまってるシンとアリンコワロスw
次回はニナ・ゲイ親子との出会いを経て、スレイブとの戦闘までいくかな
GJです
148通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 08:53:58 ID:???
つーかシン、アリカがガルデ入っちゃった後はどうやって生活するんだろう
ヴィント軍にでも入るか、それとも川縁でホームレスやるか
149通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 12:42:35 ID:???
>>148
セルゲイにスカウトされて手駒にされるとかw
150通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 14:35:22 ID:???
そのポジションだと遠足にも同行できるな
ナギに会ったら「良く分からないが、何か信用の置けない声だな…」とか思いそうだが
151通常の名無しさんの3倍:2007/04/09(月) 20:29:45 ID:???
あるいはシンがエアリーズ軍に入隊する話とか面白い気がする
152通常の名無しさんの3倍:2007/04/13(金) 20:44:20 ID:H2j+73nb
ほす
153通常の名無しさんの3倍:2007/04/14(土) 08:12:05 ID:???
保守
154通常の名無しさんの3倍:2007/04/15(日) 23:36:53 ID:???
続きマダー?
155通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 00:32:22 ID:???
保守
156通常の名無しさんの3倍:2007/04/17(火) 16:11:57 ID:???
シン「マシロきゅん じゃまいか!」
157通常の名無しさんの3倍:2007/04/19(木) 10:00:18 ID:???
気長に待とう、これからシンどうなるか気になるし
158通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 04:46:12 ID:???
舞ったりと保守
159通常の名無しさんの3倍:2007/04/20(金) 07:25:56 ID:???
漫画版でシンがマシロきゅんと友達になって、最後まで一緒に戦ったと仮定した場合、嵐では何してるんだろ
普通にオトメの花道で黒服やって一緒にタイーホか?
160通常の名無しさんの3倍:2007/04/21(土) 06:36:03 ID:???
寧ろ頭領と共に現れたりとかじゃね?
そういや漫画の17歳は何処行った
161通常の名無しさんの3倍:2007/04/21(土) 20:08:19 ID:???
追われる身になったから、次回あたりで出てくるんじゃないか
ガルデ抑えられてる現状だと、他に頼れる所無いし
162通常の名無しさんの3倍:2007/04/25(水) 03:04:06 ID:???
しかし嵐、あそこであの二人出てくるとは思わなかったわ
163通常の名無しさんの3倍:2007/04/26(木) 15:01:09 ID:???
それにしてもこの学園長、シンがその存在を知ったら凸並に馬鹿にされそう
164F:2007/04/26(木) 16:17:31 ID:???
もうすぐ、と言っても週末までには書きあがりますので暫しお待ちを。
165通常の名無しさんの3倍:2007/04/26(木) 21:30:33 ID:???
>>163
馬鹿にはされそうだけど、凸やカガリに対してのような悪意は籠らないと思うけどなあ
どっちかというとアーサー的扱い?

>>164
期待してるっぜ!
166通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 11:07:14 ID:???
念のために、スレをageます
167通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 12:36:43 ID:???
元々シンは能力ないからと言って見下すような性格してないからな
凸やゴリは無能なくせに偉そうだから噛みつかれたわけで
(皮肉にも敵に回った凸は能力的にだけは尊敬に値する力量に戻ったw)
あとがくえんちょも視聴者視点じゃ色々と問題あるけど、作中人物視点じゃそれほど
ボロは出してないはず
168通常の名無しさんの3倍:2007/04/27(金) 12:45:34 ID:???
凸の場合は
ユニウス破砕時       「スゲー、これがヤキン…」 尊敬度Up
ミネルバ民族解放道中   反発もしたが的確なアドバイスに信頼度もUp 
AA出現、凸ヘタレる    「昔は強かったってやつ」 幻滅して尊敬度底辺
169F:2007/04/30(月) 00:31:13 ID:???
……すみません、もう少し伸びる事になってしまいました
重ねて謝罪を申し上げます
170通常の名無しさんの3倍:2007/04/30(月) 23:13:47 ID:???
……待ってる、から。
171通常の名無しさんの3倍:2007/05/03(木) 08:32:10 ID:???
ほっしゅ
つーか舞乙ってなんじゃい
172通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 02:09:37 ID:BaKl4ET4
保守age
173通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 07:49:44 ID:KySWtjF/
ラウとレイはサイボーグ化した黎人を羨ましがるかなw
まあミドリとヨウコの二人をキープしてるから、黎人の方が良いかww
174通常の名無しさんの3倍:2007/05/05(土) 07:56:23 ID:???
種シリーズと被ってるのは
カガリ=シズル
凸=ナギ
ラクス、ミーア=トモエ
ラウ、レイ=ラド(レイト)
イザークは舞‐乙には出てない
175通常の名無しさんの3倍:2007/05/06(日) 18:08:26 ID:???
>>159
シンが漫画版のがくえんちょの側近だったら

・国際裁判に訴えるべきではとがくえんちょに進言するも、無視される
・違法経営のクラブについて捕まりますよと突っ込み入れるも、無視される
(シズルに「気にせんとアンタも愉しみなさい♪」と言われ頭抱えながら働く)
・捕まった後、だから俺はこうなるって言っただろというも
「何故先に言ってくれないんだー」とがくえんちょ天然ギレ…
「アンタって人はーー!!」
・がくえんちょを娑婆に出すべく保釈金を稼ぐシン、でもサエコママンが先に
 保釈金払って外に出てるがくえんちょを見てげんなりするシン。
 しかも最初から金、ママンに借りれば良かった事を知り
「あぁんッッたぁぁって人はぁぁぁぁあああーーーー!!」
176F:2007/05/07(月) 08:29:00 ID:???
投下参ります

・奴が来ました
・遅筆で御免
・ちょっと吊ってくる
・まだ5分、本だと10pくらい orz
177F:2007/05/07(月) 08:37:37 ID:???

昔話をしよう

二つの月が輝く夜、………ヴィントブルーム王国と言う世界で最も地球時代の技術の残っている世界の学問の中心地
世界で最も栄えている国である事件が起こった。
ある夜、ヴィントブルーム王宮『風華宮』に賊が侵入。国王と王妃が殺害され、国王に仕えていた元乙HiMEも行方不明となる事件が起きた。
城は煙と炎と阿鼻叫喚に塗れ、多数の死傷者を出し、また幾人かの行方不明者を出した。

襲ってきた族は通称『シュバルツ』
失われた科学の力を使い、『古の機械技術等のテクノロジーの再興』を掲げ、各国で科学技術の略奪を行っている武装集団
いわゆる『テロリスト』だ。

だがただの武装集団が国の王を狙って無事で済む筈が無い
国の力とは一個人や一組織がどうこうして歯向かえるような物ではない
ジム・トレーナーがサイコガンダムに戦いを挑むような物だ
だがそのパワーバランスを覆してしまう恐ろし古の技術。禁科学の象徴。忌み子。

名は『スレイブ』
シュヴァルツが操る巨大怪獣型の遠隔操作兵器だ。
不完全なテクノロジーで作り出したスレイブGEMによって術者の命を拠り代として生成される高次物質化兵器である

『スレイブ』の力は圧倒的で、一番小さい物でも歩兵の火器では一切傷がつけることが出来ず
逆に『スレイブ』から吐き出される光弾や火炎はあっという間に人を消し炭に変えてしまう圧倒的な力を持ったモノ
それに対抗するには重火器を持って集中砲火を浴びせるか、戦車を持ってこなければならない程
それでも対処できない大型の物は『オトメ』で無ければ殲滅できないモノなのだ
これが何十匹と王国に押し寄せてきたのだ

高い技術を誇る王国軍とは言えその要たるオトメは居ない
この圧倒的な力とオトメの不在と言う隙を突かれ、王と王妃は暗殺された。 だが――

「姫がおらぬぞ!探せ!探せェ!」

国には5歳になる王女が居た
そして彼等の目的の王宮の地下に安置されたとある鍵を外すには代々伝えられてきた宝、『真白なる秘宝』
それを継承し持っているのは王女に他ならない

「なんとしてでも探し出せ!アレがなければ城を襲った意味がなくなるわ! 探せ!探し出せ!」
178F:2007/05/07(月) 08:44:04 ID:???
森の中を駆け抜ける一人の女性
彼女は背中に一人の女の子を背負い只管走っている
何度も追っ手を確認しながらジグザグに駆け、岩を蹴り、枝を蹴って逃げを打つ
後ろからやってくるスレイブから女の子を守るために。

小川に付いた所で敵のスレイブをやり過ごした
恐らく彼等の目的はこの女の子、そして……私、レナ・セイヤーズの命
撒いたのを確認した彼女は受けた傷の痛みを耐えながら跳躍した
脇腹に受けた傷は深く、着地の衝撃で顔がしかむ。
それでも今より早く、今より遠く遠くに逃げて生き延びねばならないと、力を込めて跳躍する。――だが

『……名高き蒼天の青玉のオトメも力を失えばこの程度か』
「っ……!?」

虚空から飛来するナイフを抜刀した二本の剣で弾く
空中で姿勢を建て直し、橋の上に何とか着地すると同時に森の中から出てきた漆黒の弾丸。
手にする剣を交差させて構え、迎え撃つ。

激しい剣戟を繰り返し、黒いサイボーグの放つ激しい一撃一撃を二本の短刀でいなしていく。
だが彼女はもう既にオトメではない。 普通の女性と違う所は培った技術と訓練が残した技量のみ
例えナノマシンとGEMが無くとも元々の身体能力的に人の一人や二人無力化することは彼女にとってはとても簡単な物だったが
圧倒的な力と技を持つサイボーグ相手にはまったくと言って歯が立たない。

五合も打ち合った頃には腕が痺れて危うく剣を取り落としそうになった。
彼女は己の愚かさを呪った、つい昔のオトメ時代の感覚で何とかしようとしてしまった
加えて女の子を背負って戦いを望んだ己の浅はかさも、それがレナの落ち度。

短刀がサイボーグの振るう棍の一撃で腕ごと大きく打ち上げられ、大きく開いた腹部に蹴りが叩き込まれた
吹き飛ぶレナ、それでも背負った彼女に怪我をさせぬように何とか体勢を建て直し後ろに滑りながらも着地し、痺れた両手の剣を震えながら構える

周りは既に囲まれていた。
後ろの藪から二体のサイボーグが現れて私を包囲し、目の前にもサイボーグが二体。万事休すか。
彼女は背負った女の子を降ろして、彼女を守るように剣を構えた

『フン、流石は蒼天の青玉と言うべきか。オトメの力を失ってもその魂は不滅のようだ』

ギリと、奥歯が砕けそうな程に憤りを噛締めてレナは眼前の敵を睨んだ

『手を貸そうかしらん?』
『いや、手出しは無用だ。彼女は武人、武人なら相応しく一対一で決着を付けよう』
『オゥケィ、ワン・オン・ワンデュエルNE』
179F:2007/05/07(月) 08:53:23 ID:???
黒い男は手に持った根を二つに別けた。
いや、それは元々根ではなく鞘に収められた槍だったのだ。
鞘から引き抜かれ、二振りのとなった槍を回転させて柄頭同士をくっつけ、両刃槍とする

「アンビデクストラス・ハルバート……貴方は・・・!」

『マイスターレナ・セイヤーズ、その命……貰い受ける!』

轟速を持って突き出される槍撃――この戦い、彼女は生き延びる事は出来ないだろう
だが王女だけは命を賭けて守りきってみせると心に誓い、単身敵に突撃して行った

最後に、彼女は故郷に置いてきた娘が健やかに育つ事を祈った。
それだけが……それだけが彼女の心残りだった。


その数時間後、ガルデローペからオトメ達が駆けつけた頃には全てが終わっていた。
行方不明になっていた王女は無事見つかった
大臣が匿っていて難を逃れたというらしい

だが、その後近隣を念入りに走査しても彼女、レナ・セイヤーズは見つからなかった
大きく形を変えた橋と血痕と一本の短刀を残して。
彼女は死んで国を守った英雄となった




それから14年後のお話
見渡す限りの大砂海を渡る二つの人影が、     倒れてた

一人は少女、一人は少年。
この燦々と太陽の照りつける砂漠で倒れるという事は自殺行為にも等しい事だがそれでも少年少女は倒れてた
少女はユメミヤ・アリカ、少年はユメミヤ・シンと言う

彼らのひも付きバックの中身は居住装備以外既に空っぽだ、逆さに振っても誇り一つとして出やしない
持っていた食料も既に底をついている、故郷からヴィントまではと十分に買った干し肉も、シンと別けて食べたのであっという間になくなってしまった
元々一人旅だった分、一人分しか持っていなかった為に起きた事

その事にシンは少し罪悪感を感じた。
しかし……コレで本当に船が止まって俺たちを助けてくれるのかどうか、彼女の考えた策はどうにも失敗しそう
多分このまま通り過ぎるんだろうなーっと思った
180F:2007/05/07(月) 08:59:27 ID:???
その横を航砂海船が通り過ぎようとする

航砂海船は七割が水で覆われ、残りの三割の大地の内約三分の一が砂漠で覆われた星ならではの乗り物だ
他の大陸へはこの砂漠を渡る必要があるために作られた砂の海を行く船――。
このエアルの重要な交易手段の一つだ

気温は土地によって様々で一年の殆どが雨の国や厚い雪に覆われた国など多種多様な広がりを見せる
人々は僅かな大地の上で生活し、そこで子を産み育てやがては死んでいく営みを続けて数百年
その砂に囲まれた厳しい自然を生き抜くために砂を渡って新たな大地を見つけたり、交易してお金を稼いだり、遺跡を発掘したりなど
様々な人の思惑を巡らせこの砂漠に挑んで、砂漠は静かにその人の思いを吸収していく
今では土地はあらかた発見し尽くされ、交易路が作られ、遺跡は国家の財産として管理運営されている

――その甲板で本を読む少年が居た
銀色に染まった髪と、左肩にキラリと銀のグリフォンの刺繍のはいった黒いマントで身を包んだ少年
彼は厚手の紅い厚手の難しそうな本を読んでいた。 歴史書である

無数に羅列される活字を食い入るように、話を心で理解しながら字を追って歴史と言う「物語」を読む
目で字を追って行けば脳裏に浮かぶのは別の世界
其処には現実とは違った世界で様々な人たちが暮らしている
巨大な人形に乗り、光を撃ち合い、剣を合わせる架空の世界
人の生き死にが描かれた本の世界を彼はずっと読み続けている
その物語も終盤に差し掛かり、次回の章のはじめまで読み終わった後本にしおりを挟み本を閉じた

心に浮かんだ情景がゆっくりと消えていく感覚を寂しく思いながら目蓋を摘まんだ
何時間本を読んでいたのか、目を開け空を見上げれば突きぬける様な蒼で彩られた大空と燦然と輝く太陽
陽光はとても眩しく、目蓋を思いっきり細めないとすぐに焼きついてしまいそう

「もうすぐ、ヴィントか」

遠くに見える港を見つめた。
目的地、ヴィンドブルーム・・・。
そこで私は新しく外交官としての生活を始める事になった
国から与えられた任務の為、御家を再興の為、そして昔交わした約束を守るため。これはその為の第一歩だ。
誓いを胸に彼は遥か遠くに見える城を見つめた。

そういえば……彼女は元気にやっているのだろうか
何年も昔に別れた女の子を思い出し、別れ際に貰った首飾りを胸元から出し陽光に当てた
首飾りは何の装飾品も無い不透明で歪な水晶だ。水晶の中を通った陽光が七色に色を変えて彼の顔を写す

「クーラックだ!クーラックの群れが飛んでいるよ!」
子供たちが走っていく
「クーラック? そういえばこの辺りはその軌跡の近くだったかな」
181F:2007/05/07(月) 09:03:15 ID:???
水晶を胸元に直し、立ち上がって子供たちが行く方向に歩いていく
そこには空一杯に渡りをするクーラックの群れが広がっていた

初めて見る光景に彼は心奪われた
白いほわほわの体毛に包まれたクーラックは季節になると一斉に風に身を任せて別の大陸に住処を求めて旅をする
その様はとても美しく、ヴィントの風物詩としてよく知られている。
それを見て私は自分の夢を、胸に秘めた思いをクーラックに祈った


御家の再興が叶いますように。



通り過ぎていく船の横で二人の人影がよろよろと立ち上がった
一人は少女、一人は少年
ユメミヤ・アリカとユメミヤ・シンだ

「あー……、助けてもらおうと思ったのに…」

空になった水筒をからから揺らして彼女は残念がった

「…だから、俺は無理だって言ったんだよ。素直に船に助けてくださいって行けばよかったのに」
そりゃあ行き倒れを装ってれば助けてもらえるかも?とは思ったけれども
やっぱそんなにうまくいくわけ無いか、と。
世の中そんなに甘くないなって思った……あれ? 何でこういう変な事は思い出せるのに肝心な事は――

「うまくいくと思ったのに…………ってあーーー!!!!」
「うわびっくりした!!どうし―――」
「ちょっと待って本当に助けてー!!」

アリカは荷物をおっぽり出してみるみる小さくなっていく航砂海船を走って追いかけていった
それはもう一目散と言うか疲労が蓄積して負ぶって行かなければもう歩けないかもというくらいに疲れ切っていたのに

「え? あ? え!? ちょ、ちょっと荷物荷物!!」
「待ってぇ〜〜!!」

呼び戻そうと声を荒げるシン。しかしもうアリカの姿は豆粒な位に小さく写り、砂塵を巻き上げながら船を追いかけている
恐らくもう声は届かないだろう。シンは「はぁ」とため息を付いて置いてかれた荷物を背負ってアリカを追いかけていった

無論歩いて
182F:2007/05/07(月) 09:06:37 ID:???
ヴィント港

様々な交易船や客船が出入りし、私は様々な人が行き交う港でキャスター付きのキャリートランクを引き
人込みを縫うようにアルタイ出立前に指定された場所へと向かっていた

その場所には私の迎えの人物が待っていると聞いた
しかし一介の外交官と言う立場の私に迎えの人物が居るというのは随分な話だ
ともかく早く待ち合わせの場所に急がないと。
指定された時間に遅れてしまうのは良くない。

港経路図片手に指定された場所がどこか確めながら歩く
その場を見つけ、向かった先はテラスのような所だった

「ここが、待ち合わせ場所か」
「いらっしゃいませ、お一人様でしょうか?」
どうやらここはお店の敷地のようだ、制服に身を包んだウェイターがにこやかな笑みを見せて問いかけてきた

「え? あ、ああ」
「お一人様ですね、それではあちらの中央のお席の方に」
「あ、あの私は――」
「お客様一名様入りまーす!」

ここで人を待たしているのですが――と言う前に席を決められて案内されていった
一言いえばウェイターもその理由を図ってどこかで待たせてくれるだろうと思ったのだが時既に遅し
今更言うのもなんだかなぁと思い案内された中央の席に座るのだった

そう言えば、迎えに来る人物とは一体どんな人だろう
様々な人物を夢想してみる。
うん、女の人だったらいいかもしれない、と思いながら紅い本からしおりを抜いて続きを読み始める
その章の話は人形が戦い戦争が終わって二年後のお話
章で主役のような人間が表舞台から姿を消し、主役に家族を殺された少年が主役のお話だ
新しい展開を夢想しつつ活字の世界に埋没していく

空に浮かぶ砂時計の話を見終わり
姫と王が会う場面に差し掛かったところで声をかけられた

「アルタイの外交官の方ですか?」

本から目を離し、大使館からの迎えの人が来たんだろうと思って振り向いた
それ人は自分の想像から離れた人物だった。寧ろ予想外だと言っていい
其処には女性が一人。いや、ただ女性だと言う事は別に驚く事でもない事なのだが…。
183F:2007/05/07(月) 09:12:03 ID:???
「君は……オトメ!?」

彼女はスカートの裾をつまみ、軽やかにお辞儀した
ガルデローベ学園制服で身を包み黒い髪を左右で結ったツインテールとおさげが目立つ女の子
左耳の珊瑚色のピアスがきらりと光るとても綺麗な女の子だった。そしてその名前を聞いてさらに私は驚いた

「はい、私はコーラル乙HiME・No1 ニナ・ウォンと申します。大使館からの命を受けお出迎えに上がりました、アレックス・アルレリクス様」
「ニナ、ウォン…ニナ・ウォン―――もしかして…君はニーナか!?」

幼い頃に一緒に遊び何年も昔に別れた女の子、別れ際に貰った首飾りが私の胸元できらりと光る
別れた後何度か彼女の行く末を調べてみてもまったくわからなかったがまさかガルデローべでオトメ候補をやっていたなんて

「はい、・・…お久しぶりです! アスラン」


と、丁度その頃

「あうぅ〜、水ぅ〜」
船を追いかけて目的の港にやっとこさ辿り着いたのはいいが、ふらふらとした足取りで港を歩く女の子
顔には隈が浮かび、疲労困憊といった様子で幽鬼の様にふら付きなにやら辺りを見回しながら歩いていた
そりゃそうだ、砂漠の熱い中全力疾走するなんて自殺行為に他ならない
結局船着場前でぶっ倒れていたのをシンがおぶって運んだのだ

「もう少しで着く距離だったんだから別に走らなくても良かったのに……まったく」

世話を焼かせる人だとシンは思った
初めて出合った時からちょっと予想外の行動を取る彼女に呆れていたが
それがどうにも放っておけなくって・…。
でも見ず知らずの俺を助けてくれた命の恩人だ
それに5日と言う旅の間彼女に触れてわかった事もある
彼女は確かに、酷い言葉でいえばバカなんだろうけど、所謂良いバカなんだろう
おせっかい焼きで向こう見ずで天真爛漫、明るさがにじみ出てくるような女の子…。
さらに猪突猛進な所もあるからストップをかける人がいなければ何処までも突っ走ってしまう、つまり暴走。 

だから誰かが止めなきゃ
それで誰が止める? 今は俺しかいない、俺が彼女のストッパーになってあげないと、そう思った。
とりあえず肩を貸して彼女の負担を減らしてやろう、お手洗いがあれば其処に水道はあるだろうからそこに連れて行けばなんとかなるだろう

場所わかんないけど
アリカの手を取り、肩を貸す
返事が無い、最早屍の様相に近いが、ぼそりと「ありがとうシン」と言う言葉を聞いて安心した
なんとかお手洗いらしき標識にまで彼女を担いで歩き壁に貼ってある建物案内まで辿り着く
184F:2007/05/07(月) 09:19:31 ID:???
地図を見てお手洗いがどこにあるか調べてみた、のだが

「字が、読めん……」

言葉は通じるし幾つか文字は分かるけど知ってる字となんか違うぞ?
何とか地図標識でお手洗いらしき物を探そうとを見て調べていると

「あれ? くんくん……くんくんくん……水のにおいがする……こっちだ!」

突如としてアリカが起き上がって鼻をヒクヒクさせた後、思いっきり走り出した。全速力で。
さっきまで壁にもたれかけててもう歩く余力も無かった彼女が、急に。
 
「ん? あ、あれぇ!? ちょっ、また何処へ!?」

さっきまで死にそうな顔して動く屍のように歩いていたあの姿は何処へ!?
と思いつつ彼女の後を走って追った、速い! 本当に早い! 一体何処にそんな余力を残してたんだ!?

「お水〜〜〜!!!」




「まさか、君がオトメをやっていたなんて。それにコーラルナンバー1。すごいじゃないかニーナ」
「アスランこそ外交官をやっていらしただなんて。送られた書類を見たとき、とても驚きました」
「驚いたのは私の方さ、ニーナは元気そうだね……」

久しぶりの会話に花を咲かせる
何しろ別れてから5年、話すことはたくさんある
そうやって様々な事を話しているとウェイターがメロンソーダー・バニラアイスフロート付きをテーブルの上に置いた

「コーラルNo1.のニナ・ウォン様ですね?」
「あの?これは……」
「あちらのお客様からです」

ウェイターが示した方には別のテーブルのお客

「未来のオトメに!」

各テーブルからも未来のオトメの卵、ニナを称えて次々と賞賛の声を上げていった
ニナは恥ずかしそうに立ち上がり、人々に謝辞を陳べて丁寧にお辞儀を返していく
その様子を持て彼女は変わったな、って思った
昔は何時も私の後ろをおっかなびっくり着いてきていた彼女はこんなにも明るく振舞っている
185F:2007/05/07(月) 09:23:48 ID:???
私は御家の事、そして御家再興の為に勉強して外交官にまでなった
だがそれで過去の忌まわしい出来事を覆す事は出来ない
一族が犯した失態のせいで御家取り潰しとなり家名は底辺にまで落ち込み
母も父も死んだ、そして父の死ぬまで続いた御家再興の呪いの言葉の鎖は私の心を雁字搦めにして離さない
過去に囚われた私にとってニナの姿は眩しく見えた

「―――こっちの方からお水のニオイ……」

……ん?

茶色いフードで身を包んだ女性が視界に移った
その女性はこっちのテーブルを凝視している
一体何の様だ? そう言えばこの近隣では最近黒い影が多く出現し、王都に被害を与えていると聞く

―――まさか!?

やっとこさ追いついた・・・。
肩で息をしてながらも呼吸を整える

アリカは一箇所でジーッと突っ立っていた
っておいおい、ここはオープンカフェとか言う所じゃないのか?金無いぞ?
とりあえずアリカの手を引いてここから離れようとした、が
アリカの視線が一つのテーブルの上を凝視している
其処にはシュワシュワと泡を立てるキンキンに冷えたおいしそうなジュースが――――――待て
それはヤバイそれは人様のジュースだって!! げ! 狙い定めるジュースがターゲット既にもうスタート0.0001秒前!?

―――走り出したアリカを止める為に俺も走る!!


褒め称えてくれる彼らに礼を丁寧に返していく
いつもならこう言う事は極々当たり前の事なのだが
今回は彼のいる前での事だ。ホンのちょっぴり恥ずかしい……
アスランの目に私は一体どういう風に映っているのだろうか
私はどういう風に見えるのだろうか
そんな事を想像しながら礼を返していく。

―――すると後ろの方から声が聞こえる、振り向くと

目の前には水
今体が心が本能が心底求める人体構成役70%の物質
もう完全に目の前にある水にロックオンされている
体の力を振り絞り〜いざ求めた水へと吶喊〜〜!!
186F:2007/05/07(月) 09:30:43 ID:???
「え?」

「ちぃ!」

「待っ!?」

「あああああああああ〜!?」

ど ん が ら が っ し ゃ ん !!!!

「痛ッつつつつつ・・・・」

背中と頭に走る痛みを堪えて顔を上げると
右手の方向のテーブルはひっくり返ってて
それと共に跳ね飛んだジュースをキャッチしぐいっと飲んでぷはーっと幸福の笑みを浮かべるアリカがいて
左手の方向にはジュースと一緒に飛んだアイスが顔にべしょり叩きつけられてひっくりかえった銀髪の男がいて
んで俺の胸の上に乗ってるこれは一体なんなんだ?
……白い三角バミューダトライアングル?

「「―――あ」」

丁度俺の上に乗っている人と眼が合った
黒い髪を左右で結ったツインテールと二本のおさげの女の子
顔を見れば何が起こったかわからない様子でこっちと男とアリカの方を見比べている

「クマさん……?」
「……え?……あ……」

彼女と眼が合った。 あ、ヤバイ。激しく地雷、死の悪寒
でも目に大きく映ったデカイ印象はそれしかない、と言うかなんで口に出す俺

「お、落ち着け。これは事故だ、事故なんだ」

「あ・・・あああああああ」

「おっけー落ち着いて話し合おうぢゃないか深呼吸深呼吸ってもうダイナマイト導火線爆破0コンマ1秒前ですか!?」

「き、きゃあああああああああああああああああああ!!!」

「アマリリスッ!!!!」
ボゲシッッと言う小気味のいい音の後急に視界が真っ黒に反転した
                                                       続く
187通常の名無しさんの3倍:2007/05/07(月) 15:49:52 ID:???
乙age
セルゲイの代わりにアスラン出てきたがこの後どうなるのか気になる
シンはラッキースケベ発動で死亡か……世界が変わっても記憶が無くっても属性は相変わらずか
188通常の名無しさんの3倍:2007/05/07(月) 15:57:04 ID:???
>>176
>投下参ります
>
>・奴が来ました
>・遅筆で御免
>・ちょっと吊ってくる
>・まだ5分、本だと10pくらい orz

乙です
シンのラッキースケベ属性は世界が変わっても変わらずか
うっかりシズルさんに対して発動させようものなら即チョッキンだが
189通常の名無しさんの3倍:2007/05/07(月) 15:57:08 ID:???
つーかなんで凸いんのw?
平行世界的別人か?
しかし凸がゲイ役って、原作の500倍はウザそうな悪寒
190通常の名無しさんの3倍:2007/05/07(月) 20:50:53 ID:???
久行宏和つながりで電童のスバルを思い出した。
そう・・シンと同じ声なんだよな
191通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 02:50:43 ID:???
>>189
まあいくらなんでも、凸女難×蟻ニナゲイ三角関係なんて、
双方の原作でそれぞれ1,2を争うブーイングイベントをミックスするような狂気のネタをやるわけないだろう、常識的に考えて・・・
そんなんやったら嫁を遥かに超える逸材だぜ
192通常の名無しさんの3倍:2007/05/10(木) 13:53:51 ID:???
ラッキースケベな出会い>幼い時からの付き合い
与えたインパクトはシンのが遙かにデカそうだ、流れから見ても
193通常の名無しさんの3倍:2007/05/11(金) 01:53:43 ID:???
つか本編まんまだと、ニナゲイの設定が濃くなりすぎるから凸に変えて結びつきを弱くしたんだと思った
この配役だとむしろ、後半になってニナが自分よりアリカやシンを選んだとか言って火病る凸が見れそう
設定的に漫画のワルゲイの要素も含んでそうだし
194通常の名無しさんの3倍:2007/05/11(金) 08:41:39 ID:???
いあ、普通にセルゲイはいるだろw
ニナがウォン姓名乗ってるしw
195通常の名無しさんの3倍:2007/05/12(土) 00:36:35 ID:???
いや、漫画だとゲイが完全に別人だけど、ニナのフルネームは一緒だからそれはあまり根拠にならない
まあ現時点だと情報が少なすぎてなんとも言えないな
作者も言ってるけど、まだ1話の5分ぐらいしか話進んでないわけだし
196通常の名無しさんの3倍:2007/05/15(火) 04:37:57 ID:???
保守
197通常の名無しさんの3倍:2007/05/15(火) 19:40:25 ID:mehMm254
もし舞-乙HiMEキャラがCEにやって来たら?
198通常の名無しさんの3倍:2007/05/15(火) 21:03:29 ID:???
単純な戦闘力なら無敵だろうが、封じる手だてならいくらでもあるからな
199通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 02:53:41 ID:???
VT信管砲弾とかで一撃で落ちそうだしな
200通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 10:45:05 ID:???
キラ「君が避けたら後ろの町は粉々だよ!」
201通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 14:42:15 ID:???
>>197
マイスター乙女レベルならMSなんざ楽に破壊出来るから
初めから勝負になりません

しかも多くの乙女は基本的に百合だから
Y染色体を体内に注入する事は非常に困難
キラなんざに惚れる乙女は居ませんからw

そしてコーディのキラはストライクのコックピット内でも
大気圏投入時の超高熱で脱水症状を起こして寝込んだのに
同じ状況下でもアリカやニナはローブが壊れて裸体状態でも
余裕で大気圏突入時の超高温状態に耐えられる凄まじい
身体機能を持っている

ラクシズなんてマイスター乙女や五柱と戦ったら速攻でボコられた終了

まあラクスなんかに支配されるよりは、マシロ女王やナツキ学園長に
CE世界を仕切って貰った方が、CE世界の住民にとっては幸せだろう

それとアンチラクスにとっては、トモエ(田中)の無様さに乾杯だったな
トモエは最低の糞女だったし、シズル(進藤)に利用されてた挙句
捨てられるは、アリカにも簡単に負けるわで最高だったw

吉野が負債に面当てした内容だったぜ!あの田中と石田の無様さはww
逆に種シリーズじゃ負け組みだった関俊は、ミドリ(田村)とヨウコ(木村)の
両方に想われて完全に勝ち組みだったわなwww
202通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 20:50:41 ID:???
うわ…
203通常の名無しさんの3倍:2007/05/16(水) 21:24:32 ID:???
それともう一つ
舞‐乙HiMEでは前作品の主人公の舞衣が
アリカから主人公の座を奪うなんて馬鹿な事は
しなかった

種死では臆面も無くキラがシンから主人公の座を
奪って、☆の名前が一番最初にクレジットされる
ようになった(鈴村が哀れ杉)


これも吉野の負債への面当てだろう
舞衣のポジはΖのアムロポジで
種死のキラポジとは無縁で主人公を
手助けする役割を担ってたし、アリカと
ニナのラストバトルにも関与しなかった

それが当たり前なのに、それが出来ない負債は
映像作家として失格者
当然吉野は失格者である負債じゃなくて禿を手本にした

言ってしまえば舞‐乙HiMEは種死のダメなところを
浮き彫りにして、正当な続編の作り方を受け手側に示した作品
204通常の名無しさんの3倍:2007/05/17(木) 21:37:14 ID:???
釣られ(ry
205通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 03:33:35 ID:McZs7Nho
ラクス「調子ぶっこいてんじゃないわよ!」
アリカ「ごめんね、ラクスちゃん」
ラクス瞬殺でラクシズ崩壊
CE世界はラクス真理教の支配から解放されたw
206通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 03:54:53 ID:McZs7Nho
まあ田中に関しては、ラクスよりトモエの方が声優としての
演技力が感じられた

演じる方から見れば、ラクスよりトモエ役の方が面白いだろう

一見優等生に見えて、実は腹黒で欲しいモノは必ず手にしなければ
満足できない性格の持ち主。そして絶叫連発で主人公とのバトルでは
負けても死なずに済むしぶとさ

ローブが破壊されて、あの高度から地上に落下したのに殆ど無傷なんだから
ナノマシンが体内に注入された乙女の肉体の頑強さはスゲーの一語
207通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 04:04:53 ID:McZs7Nho
まあトモエならラクスを殺して自分がラクシズを乗っ取るかっもなw
声はラクスと同じだから、キラ、遺作辺りは簡単に洗脳出来るだろう

それとカガリはシズルに補佐されれば、オーブの代表首長を立派にこなせるだろう
嬌嫣の紫水晶が腹心に居れば心強い

序にシズルに百合の世界に導いてもらえば、凸なんざ簡単に忘れられる
208通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 16:41:38 ID:???
無理にバカを補佐するよりオーブ乗っ取った方が早いよw
209通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 17:03:40 ID:???
同じ声だからだませるよ
210通常の名無しさんの3倍:2007/05/18(金) 18:26:26 ID:???
カガリとシズルは声がかなり違う上に京都弁
京都弁を話さないシズルじゃツマランw
それとシズルなら、カガリとナツキの両方を
可愛がれるだろう
二人ともヘタレだし、そのヘタレを補佐してこそのシズルw
211通常の名無しさんの3倍:2007/05/19(土) 00:08:04 ID:???
Zwei最終巻に「旧時代の惑星殲滅用兵器」とやらが登場するらしいが…
212通常の名無しさんの3倍:2007/05/19(土) 08:06:49 ID:???
>>210
シズルが好きなのは「かわええおなごはん」だぞ
213F:2007/05/19(土) 11:08:45 ID:???
己の遅筆に切腹

日曜日辺りに投下予定
214通常の名無しさんの3倍:2007/05/19(土) 11:59:40 ID:???
>>212
カガリじゃダメかw
215通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 01:10:01 ID:???
>>213
待っとります!
216通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 03:49:13 ID:???
>>214
 いや、カガリは原石なんだよ。本編でユウナが言っていた様に、磨けば光る珠だったんだよ。
……実際は磨かれるどころか、無茶苦茶なカッティングをされて無残な屑石になったけどな。

 てゆうか、ウズミも、カガリをまともに教育したり躾けたりするきなかったんじゃないか?あの甘やかしぶりは。
217通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 12:29:00 ID:???
>>216
ゴリ厨必死すぎ
218通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 15:37:01 ID:???
>>217
煽るほどでもないだろw
相手すんなw
219通常の名無しさんの3倍:2007/05/20(日) 22:59:15 ID:???
カガリもナツキみたいに髪を伸ばせ
そうすればシズルに可愛がってもらえるかもw
220通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 08:44:25 ID:???
保守するぜ!
221通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 20:22:19 ID:???
カガリはツラが男臭過ぎるから駄目
これなら、女顔のシンが選ばれる可能性の方がまだ高いぐらいだ
222通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 20:47:00 ID:???
種シリーズにはヨウコ・ヘレネみたいなキャラが居なかった
ヨウコが居ればテロメアの短さも医療用ナノマシンで治療出来たかも
ラウに比べればヨウコが居たレイト(ラド)は幸せモノだわ
223通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 21:00:01 ID:???
種シリーズには基本的に「かわええ、おなごはん」が存在しない

224通常の名無しさんの3倍:2007/05/22(火) 23:49:10 ID:???
てめえ〜、オーブ三人娘が可愛くないだと!?
225F:2007/05/23(水) 08:41:18 ID:???
・誤字多いかも
・頭悪いかも
・次回こそシン活躍?

・予想GYIな人ktkr
226F 1−3話:2007/05/23(水) 08:46:46 ID:???
腕を組んだ彼女が呟いた

「胸騒ぎがする」

ここはヴィントブルーム王国の街の中央近くの小高い山にあり、街全体を見下ろせる場所
ビューネ自治区に存在する乙HiME(オトメ)を養成する事が出来る世界でただ一つの専門学校。
人々はガルデローベ学園と呼んだ

広大な土地を持ち、普通の人間では立ち寄る事の出来ない地区
一国家であろうとも干渉する事を許されない不可侵の国である、それは何故か
ガルデローベは世界で唯一オトメを育成する事が出来るオトメの学園があるのだ
そう、このガルデローベでしかオトメは作り出すことは出来ない

オトメはたった一人で一国軍隊に匹敵するほどの力を持つ
その力を求め、世界各国がこぞってガルデローベにオトメ候補を送り込み
自国の防衛や様々な役職に付かせようとしている。それほどまでにオトメの力は強大で魅力的なのだ
凄まじい力を持ち、尚且つ礼節をわきまえ、そしてとても可憐で美しいオトメ達
自国防衛的にも、プロパガンダ的にも、政治的にも持つものと持たざる物を明確に別ける力
この力に魅力を感じない者はいないだろう

しかしオトメになれるのはホンの一握り。それ故に男女に夢と憧れを、国には力と権利を与える
ここはその圧倒的な力を、オトメと言う力を輩出する国なのだ

様々な思いが複雑に絡み合うこの土地で
ヴィントが見渡せるこのガルデローベ学園の執務室でナツキ・クールガー学園長は眼下に広がる景色を見ていた
腰まで伸びた漆黒の長髪と切れ長の目尻、黒と青で別けられたローブを羽織る彼女、聡明かつ厳格で統率者の風格を漂わせる麗人である
振り向いた彼女の耳にある氷雪の銀水晶が長い髪の間からきらりと光る
真祖に仕える五柱に一人、その後中を束ねるリーダーである。

「当たってるかもしれまへんなぁ」

柔和な笑みで微笑む赤眼のオトメ
紫色の服を着た薄茶色のウェーブのかかったセミロングを靡かせる麗人
シズル・ヴィオーラは紅茶を嗜みながら見解を述べた

「来週には即位式がありますやろ? 既に何人か、ヴィント市に潜りこんどるようですわ」
「ふん。 シュヴァルツめ……、我々の眼と鼻の先にいてもヴィントとの条約で手が出せない事をわかっているんだ
 今年は色々と仕掛けてくるだろう。何しろあの事件から既に15年。だが、我々はまだ彼女を見つけだせていない……」

自嘲気味に呟いたナツキはシズルから紅茶を受け取る
「遅かれ早かれ何かが起こる事だろう、何かが。だからシズルにも戻ってきてもらった」
「学園の為に力を尽くすんもウチら五柱の務めやし、ガルデローベも常に微妙な立場どすからなぁ」
227F 1−3話:2007/05/23(水) 08:48:27 ID:???
ガルデローベには強大な力がある。だが滑稽な話だ、オトメになると言う事は人並みの自由を失うに等しい
世界の国がその強大な力を制御する為にガルデローベや乙女達には幾つもの法が施行されている。
それは彼女らを雁字搦めに束縛する法律の鎖だ、強すぎる力を持つが故に自由には動けないのだ。
彼女等オトメが動くと言う事は災難が警察や軍が止められないところまできている時のみ

「どの道我々は後手後手に動く事になるだろう。――その時当てにしているぞ、シズル」
「ふふ、学園長の愚痴を聞くんもウチの役目やさかいにね」



「わぁ〜〜〜! お城だ!! ねぇ見て見てニーナちゃん! でっかいお城だよ!!」
「だからニナよ! 私のことをニーナと呼んでいいのはアスランだけなのに…はぁ」

モノレールの車窓から見える巨大なお城、風華宮というお城を見てはしゃぐアリカにニナがつっつけどんに返事を返した
ああ、でもこっちは微妙な空気でアリカみたいにはしゃげるような心情ではないのだ
なんていうか空気が悪い

「本当にすんません、あんな事になってしまって……」
「ああ、気にしなくていいよ。君も彼女もあの時ちゃんと謝ってくれたんだろう? だから何も問題無いさ」

服も汚れなかったしね、彼は自分の上着をピッピッて引っ張って見せた
先ほどアリカが彼らに突撃し、その結果四人で折り重なると言う事故が起き
謝罪と共に一応の解決を見た筈、それはもう地面に額をこすり付けるくらいに謝った、俺が

「でも……」
「でも? なんだ?」
「あの子まだ怒ってるみたいで」

彼は苦笑いしながら銀髪をかき上げ額をかく
するとツインテールの彼女に見えないようにちょいちょいと俺に手招きをして耳を貸すようにとのジェスチャーをした
誘われるまま耳を近づけた
「そりゃあ、君……見ちゃったんだろう? ぱんつ」
「――っ!!!」

あれは不可抗力だアリカを止めようとして捕まえようとしたらどんがらがっしゃんとなし崩し的に倒れ
気が付いたら眼前には白い三角&くまさん。略してクマぱん。弁明も言い訳も何も出来ないままに全力で叩かれ、左頬には紅い紅葉が今でもくっきりと残っている

「あれは誰でも怒ると思うよ? 事故とはいえ後には引くさ。運が悪かったとはいえね」
「そりゃ……そうですよね」
「そりゃあそうさ。ふーん、それにしても君のその服。君は軍人さんか何かなのかい?」
彼が指を射す、その指先には俺の制服が指し示されている
その軍人と言う言葉に頭の奥がピリと、何か感じた気がした
228F 1−3話:2007/05/23(水) 08:50:09 ID:???
「へ? あ、いやまあなんていうかこれは気が付いたら着てたんですよ。何か、おかしいですか?」
「気が付いたら? おかしな事を言うね君は」
「なんてーか、実は……」

俺は彼に今までの経緯を伝えた
砂漠に倒れていた事、自分の記憶の無いこと、とりあえずここガルデローベに来れば何かわかるかもしれない事
その話の中で彼はしきりに頷いたり相槌を打っていた
最後の空から落ちてきたらしいという事について片繭を閉じて「ふぅん」と相槌を打った

「空からって言うのはあれだけど砂漠で倒れてたってねぇ……へぇ、じゃあほんとに君は記憶喪失なのかい?」
「はい。ここにくれば何かわかるかな、と」
成る程と彼はしきりに頷いた

「なんだか大変だなぁ。えーっと君、そう言えば自己紹介がまだだったね。俺はアレックス。アレックス・アルレリクスだ。外交官をやっている。宜しくな」
「シンです、シン・ユメミヤです」
差し出された右手を掴んで握手する

「って・・・アレックス? アスランと呼ばれているのを聞いたんですけど、それに外交官って偉い人じゃ?」
「あー、あれは幼名さ。だから本名はアレックスなのさ。だからアレックスって呼んでもらいたい。
 それに外交官って一口に言っても私は外交官補佐官さ、前の人の変わりにやってきたってだけの。そんなに偉いもんじゃないよ」

ああ成る程と相槌を打った

「そう言えば君たちは確かガルデローベに向かうって言ってたけど――」
「アスラン、何を話しておられるのですか?」
「――っと。いや別になんでもないさ」

声を聴いた瞬間アレックスと言う人はババッと俺の隣から一瞬にして彼女の隣に移動した
その様子を見て彼女ははぁとため息を付いたあと彼女が彼に何かを追求するかのように彼と話しだした

ニナ・ウォン。端整な顔立ちとくいっとつりあがったつり目、ツインテールと結い上げた細いおさげ
服は何かの制服のようで、赤い服に白いエプロンのような前掛けをつけていて
すらりと伸びる足に白いニーソックスが印象的な服だ。俺はそれを見て綺麗な人だと思った。

唐突に――「何か御用ですか?」
キッっと、彼女は不機嫌そうな感じで上目遣いに此方を凝視された
「いや、なんでも」
咄嗟に目を逸らす、目には殺気が篭ってた。前言撤回、彼女は怒らせると怖い人だ

(でもそんなに怒るほどの物か?)

よく考えるとちょっと理不尽だと思った
229F 1−3話:2007/05/23(水) 08:52:30 ID:???
ここは王宮、ヴィンドブルーム王家の居城。「風華宮」
そこではちょっとした、いや王家の存亡に関わる―――
いややっぱりちょっとした一大捜索作戦が行われていた
使用人や役人たちが城のあらゆる場所を姫の名を呼びながら捜索している

「はぁ、書置きまでしてまたいなくなっちゃって……何処に行っちゃったんでしょうかマシロ王女さまは…」
「ああアオイさん、街の方にも捜索隊を出しましたが…」
「此方の方では、何時もすみません……サコミズ衛兵長。 マシロさまってばこんな書置きまで残して…」

『ちょっと街の方に遊びに行ってくる
                         マシロ ps 心配は無用じゃ』

その姫のあまりのワガママさに二人は声をそろえて

「「はぁ……」」

ため息を付いた





駅を出れば其処はとても大きなビルが立ち並ぶ街だった
始めて見る様々な物に感動のため息を付いた
見るも一面砂景色だった風景と今の風景を見比べてその屹立するビル群に圧倒されている
何から何までが違う景色、大自然の猛威を振るう砂の大地と人の技術が詰ったビルの立ち並び舗装された道のある街
人の技術って凄いと思う

「うおぉぉぉぉ!」
アリカはそんな光景に驚きつつ聳え立つビルを見上げている
ボーっと二人して見上げて何分くらい経っただろうか

「……ねえシン、街についてから何か記憶…思い出せた?」
ポツリと小さくアリカはシンに話しかける
そんなシンはと言うとこの光景を見ても凄い街と言う思いだけしか浮かばず
懐かしいとか知っている光景だと言うきっかけのような物は掴めなかった

「ダメだ、全然わかんない。多分俺、この街の事とかは何も知らないと思う……」

頭の方の奥のノイズのような物、思い出せるというきっかけのようなものはまったく感じない
ただ――ヴィンド、オトメ、ガルデローベと言う言葉に関してひりつくようなノイズが奔る
シンの様子を見たアリカは残念そうに「そっか」と呟いた
230F 1−3話:2007/05/23(水) 08:54:48 ID:???
そんなアリカの横をニナはアレックスの手を引き通り過ぎていこうとした
「あ、ねぇねぇ待ってよニナちゃん!」
それに気が付いたアリカが二人を呼び止めた

「付いてこないで、私達急ぐから」
「別にそんなに急がなくてもいいよぉ? ニーナ、もっとゆっくりでも…正式な着任は明日なんだしさ」
ぼそぼそと呟くアレックス、そんな彼にに対してニナが説教を始めた

「アスランはご自分の立場をご存知ですか? 補佐官とはいえ外交官なのですよ? もっと自分の役職に緊張感と誇りを――」

彼、アレックスの言葉がカンに触ったのか唐突に道端での彼女の説教が始まる
大声ではないが、静かにゆっくり一つ一つ真綿に水を少しずつしみこませるような感じの、そんな説教
ああ、これは邪魔できないなとシンは思った
するとアリカはその二人に割り込むように入り、ニナに声をかけた
「あの! ニナちゃんってガルデローベって学校の場所、わかる?」
「大体アスランは―――はい?」

彼女は怪訝そうな顔をした後何故か身の回り、着ている服を見回した後
「学園に何のよう?」
怪訝そうにアリカを見る
「私、お母さんを探しているの。でも、昔オトメをやってた事しかわからなくって…ガルデローベってオトメの学校なんでしょ? だから私もオトメになれば――」
「無理ね」
アリカの語るオトメになるという夢を彼女は一蹴した

「へ…? なんで?」
「貴方達何も知らないのね、何処から来たの?」
「ガレリア……」
「……何処の僻地か知らないけど、貴方オトメの事をまるでわかっていない。大使館に行きましょうアスラン」
そう言ってニナはアレックスの手を引いて行こうとした
するとシンがカチンときたのか、物言いが気に食わなかったのか
グワッと身を乗り出してニナに食って掛かった

「待ってくれよ、場所くらい教えてくれたっていいじゃないか!」
「行っても無駄だと思うけど。貴方達本当にわかって無いの?」
「だからわからないから聞いているんじゃないか! それに! 最初から失敗してるように決め付けるなよ!」

彼女は不機嫌そうにため息を吐いた後
「最初から失敗も何も、今年のガルデローベの入学試験はもう終わっているのよ? 行っても意味が無いわ」
「終わって……?」
「そうよ。入学試験は三月、そして今はもう四月よ。 募集はもう締め切っているわ」

「「ええーー!!!?」」
231F 1−3話:2007/05/23(水) 08:57:03 ID:???
それを聞いたアリカが驚きの声を上げた、勿論シンも。

一ヶ月も前のことだなんて、アリカは打ちのめされたような雰囲気だ
オトメの事をよく知らない俺でもそれは致命的だと感じた
どんなにオトメになりたいという夢があってもその試験に遅れてしまえばそれでもう全てが終わってしまう
夢の登竜門の門戸を叩きに来てみればもう既に募集は終わっているという絶望的な状況
シンはアリカの夢が始まる前から終わっていたと言う事を残念に思ってしまった

「――でも」

だが、アリカの目の光は爛爛と光り輝いたままだった

「最初から諦めちゃ、どんな時も諦めたらダメだって。諦めずに行けば夢は叶うってばっちゃがいってた!」

アリカは諦めない
夢は叶うと信じた彼女は諦めない

「だからきっと何とかなる!」

夢は諦めなければ必ず叶う
諦めてしまった時点で終わりなのだ。
感心した、諦めないって思えるアリカにシンは感銘を覚える
だが、そのアリカの様子を見てニナは嘆息する

「それでも無理な物は無理よ、例え学園長でも――」
「はいはいまったまった、ニーナだって場所くらい教えてあげてもいいじゃないか」
流石にこの状況を見かねてか、アレックスが割って入った

「ですが・・・!」
「ニーナ、大使館は後からでも行けるよ。私も一度ガルデローベには行ってみたかったからからね
                  それに、彼女がもしも入学できるというのだとしたらそれはとてもステキな事じゃないか?」
「――――――物凄く納得しかねる理由ですが、わかりました・・・・・・アスランがそう言うのでしたら」

残念そうにニナは目線を下げる
まるではしゃいでいる子犬がやんちゃをして怒られたような
そんな哀愁の雰囲気がニナの背中の後ろに漂って見える、気がした
多分、彼女。ニナはアレックスと二人きりでいたかったんじゃないのかと

「ほら、そんな風に落ち込んじゃうと可愛い顔が台無しだよ?」
「や、止めてくださいアスラン。誤魔化さないで下さい」
ニナの頭にアレックスはポンと手を置いてくしゃりと撫で
それをニナは恥ずかしそうに手を払いのけた
232F 1−3話:2007/05/23(水) 09:01:16 ID:???
「確か、正門前までは大丈夫なんだろう?」
「―――はい……正面までなら」
とても不機嫌そうな表情でニナが答える

「よし、それじゃあ行き先を大使館からガルデローベ正門前に、それまでの道中街案内にもなるしね? 君たちも来るだろう?」
「道案内ですか……腑に落ちませんがアスランが言うのならば。まあ……いいでしょう」
「教えてくれてありがとう! ニナちゃん!アスランさんって良い人だね!」
「っ!だからアスランと呼んで良いのは私だけよ!」
「あ、ゴメンニナちゃん・…アレックスさんありがとっ!」
「お礼を言われるほどの物じゃないと思うんだけど、それだったらニナに言ったらどうだい?」

アレックスから振られたガルデローベの場所、其処まで行くと聞いてアリカはとても喜んでいる
だが対するアレックスはふと、何かを思い出したのかううん何やら思案している
取りあえず、御礼を言わないと…
「あの、何から何までありがとう御座います」

赤の他人だと言うのにここまで気を回してくれる
多分この人はお人好しなのかもしれない。
「ああ、別に気にしなくてもいいよ。 私も着任までの一日間どこかで時間を潰そうと思っていた事だしね、丁度良い暇つぶしにはなるさ」

暇つぶしか、……兎に角案内してくれるんだ。そのガルデローベに行ってみよう
もしかしたら何か記憶に何か、大事な物があるかもしれない

―――そう、だいじなものがね―――

見るからに不機嫌そうなニナが軽く息を吐くいた

「いい?アスランが行きたいと言うから案内するのです。ふぅ……では、こちらです」

前を先導するニナについていく形でヴィントの都を歩き出した
数十歩歩を進めた時に誰か一人いないことに気が付いた。あれ? そういえばアレックスさんは?
怪訝に思ったシンは振り返って見た。アレックスは手を組み何か考え事をしているように見えた
その様子を見たアリカが呼びかける

「アレックスさーん!行きますよー!」

「(……ガレリア? 確かあそこは3年前に焦土に……) ん? ああ、今行くよ!」
233F 1−3話:2007/05/23(水) 09:03:46 ID:???
街中は様々なものに満ち溢れていた
道は人で溢れかえり、車道には様々な車が走っていた
車道の真ん中は線路になっており、その線路を二両編成の電車が小さな車体を震わせながら走っていた
目を引いたものの中でも一番目立つ物は街のあちらこちらにある三次元立体投影装置(立体ホログラフ)だ
興味津々なアリカは気になる物を見つけると、あれはこれは?とニナに尋ねる。 ニナもニナでいちいち聞かれる数々のアリカの疑問に簡潔に答えていっている
別に其処まで答えなくってもいいんじゃないか?とは思ったが、アリカは楽しそうだし、俺から見えてニナもまんざらでもない?様子に見えた、と思う、多分。

「しかし、アリカちゃんって不思議な子だねぇ」
「はい? 不思議?」
「ああ、人見知りをするニナにあんなにまで接してね? 昔のニナからは想像できないくらいに初対面の子とよく喋っていると思う」

「(あれもホログラフなの?)」
「(そうよ)」
「(じゃああれもホログラフ?)」
「(そうよ)」
「(へぇ〜!みんな魔法みたい!)」

アレックスは感慨深そうに語る
……あれがか? 人見知りはわかるけど俺からニナさんの様子を見る限りつっつけどんにしても中々離れてくれないから
渋々答えているって感じに見えるんだが、気のせいなのだろうか
アリカの性格からして喋るまで喋り続けるといった感じだし

「でもあれってただ単に根負けしたからじゃないんですか?」
「いーや、私の経験からしてもアレは喋っているほうだと思う」
「そうは見えないんですけどそんなもんですかね」
「そんなものさ、いやはや変わってないなぁニナは」

俺にとってアリカの事はあまりよく知らない
ただとても明るくて奔放でお節介なお姉さん、まだ俺はこのお姉さんと言う部分にちょっと疑問を感じているが
それだけしか知らない、彼女の過去とかを知っている訳ではないしどんな過去を経験してきたかと言うのもわからない

俺の知らないと言うそれを知ってみたいという欲が生まれる
けど、別にいいじゃないか? 俺も過去の事がすっぱり抜け落ちてるけど
それで生きている事に必要ってことかといわれるとそういうものじゃないと思うしな
と、考え事をしてよそ見して歩いていると電柱に激突した

「おいおい、よそ見していると危ないぞ?」
「ず、ずびばぜん」

差し伸べられてたてを取り立ち上がる
顔を思いっきり打ったらしく、顔面全体がヒリヒリしている
234F 1−3話:2007/05/23(水) 09:10:50 ID:???
差し伸べられてたてを取り立ち上がる
顔を思いっきり打ったらしく、顔面全体がヒリヒリしている

「まったく、君を見ているとどうも君が他人のようには見えないよ。どうしてかな? ほっとけないって言うかなんて言うか」
「はひ? ほれってほういう?  ん……あれは、人?」

手を借りて立ち上がった時に丁度ビルとビルの隙間の所に人が見えた気がした
初めて見るホログラフ映像と思ったが、どうも様子が違う


指差して見ていくホログラフやテレビと言う物はどれもこれも今まで見てきたものの中でとても新鮮に見えた
様々な形に姿を変えていく看板やか様々な映像を映す箱に見えるニュースの光景は見ていて飽きない物だ
そのニュースの中でとても綺麗な人が映っていた
紫色の服を着た薄茶色のウェーブのかかったセミロングの人
その一挙一動に感嘆のため息を漏らす

「ねえねえニナちゃん! あの人がお姫さま?」
「違うわ、あの方はオトメよ。マイスターのシズル様」
「キレーな人だねー、まい、おいすたー?」
「それは牡蠣よ」

初めて聞く単語に少し噛み気味になる
ニナはそんなアリカを置いて、すたすたとガルデローベへの道を行く
そんなニナにアリカは思った事を感じた物を聞き、それをニナが簡潔に答えると言う繰り返し

「あれもホログラフなの?」  看板のホログラフがくるりくるりと形を変える
「そうよ」
「じゃああれもホログラフ?」 人を模したオブジェがユニコーンへと姿を変える
「そうよ」
「凄いな〜!みんな魔法みたい!」

始めてみる物に感嘆を漏らす、もっと他に何か無いかと周りを見回す。するとふと見えたビルとビルの隙間の所に人が見えた気がした

「じゃあ〜、アレもホログラフ?」
「はいはいホログラフホログラ……え?」 

初めて見るホログラフ映像と思ったが、どうも様子が違う
何か黒い服の男たちに柵越しに囲まれ、それから逃げようとする―――

「「「「人が!!」」」」

追われた人が飛ぶ、だが飛距離が足らず、ビルの淵を踏み外す光景を見る前に4人は走り出していた                         続く
235F:2007/05/23(水) 09:34:34 ID:???








走り出す四人、それを街の最も高いビルの上で双眼鏡を覗いて彼ら四人の動向を監視するものが居た
いや訂正しよう、ビルからビルへ飛び移ろうとして落ちたもう一人も加えて5人だ
双眼鏡を降ろし、彼らが消えた路地を見下ろすこの人物
すらりと伸びた足。青地のシャツに黒いジャケットを羽織り、ベレー帽と長く伸びた金色の長髪が特徴的な女性だった
その中でも威容を放つのは顔を大きく覆う黒いマスク、このマスクが表情を判らなくしてしまっている
ある種神秘的な感じを漂わせるが、マスクから覗く蒼色の双眸に篭った意思の光が見え隠れしている
それは光が示すのは知性なのか母性なのかはたまた戸惑いと嫉妬が宿っているものなのか
ただ何かしらの情が宿っていると言う事だけ明記しておこう

「アレがユメミヤ・アリカ……アリカ、私の――」

何かを確めるように呟いた彼女は踵を返し、停めてある黒いバイクに跨った
そのバイクはタイヤに電磁モーターと小型ガスタービンジェットエンジンを搭載した2WDバイクで
前と後ろに長く伸びたスイングアームは搭乗者の重心位置を極力低くする為に伸ばされている
カキッとキーを捻る、モーターが低い唸り声を上げながら放電し始め、ガスタービンがキッキッキッキと音を上げたあとに強烈な吸気音を掻き鳴らす
2〜3回アクセルを煽れば放電光が輝きを増し、唸り声は叫び声へと変わった

「…シュバルツも動き始めたか。 狙いはアリカ? それともテロかしら? それとも……私もグズグズしていられないようね」

凄まじいスキール音、コンクリートの地面に短いタイヤ痕を残して
黒いバイク、『ブラック・ワルキューレ』はビルの上から大空へと跳躍した

「待っていて、今行くから――――守ってみせる、それが私の誓い」

そのまま『ブラック・ワルキューレ』は甲高い鋼鉄の咆哮をあげながらビルの森の中に飛び込んで行った
余談ではあるがこの日、ビルの壁を走るバイクを見たという目撃情報が多数寄せられる事となる。
236通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 12:12:58 ID:???
投下乙です

アスランが完全にゲイのポジションなんだな
展開も舞乙と違ってくるのかな
237通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 18:08:47 ID:???
最後に母が来た!?
と言うか容姿がサラと被らないか?
238通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 18:15:55 ID:???
なんか最後に母でてきたが、遠くから様子見てミユさんがハァハァしてそうだなw
239通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 19:53:21 ID:???
ガレリアが3年前に焦土ってアニメだったっけ?もううろ覚えだ
240通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 22:45:36 ID:???
>>237
というか、元ネタの人だろ、描写やバイクの名前からすると
241通常の名無しさんの3倍:2007/05/23(水) 23:14:42 ID:???
嫉妬全開のニナワロス
そして最後にベガさん!?
242通常の名無しさんの3倍:2007/05/24(木) 00:55:53 ID:???
ぶっちゃけシンが一番萌えるんですけど
243通常の名無しさんの3倍:2007/05/24(木) 10:47:22 ID:???
>>224
アサギ、ジュリ、マユラのうち、シズルが好みそうなのは
眼鏡を外したジュリかなw
244通常の名無しさんの3倍:2007/05/26(土) 14:40:21 ID:V8q/DTri
こんなスレがあったとは
かなり改変されているようだけどアニメ漫画混合設定かな?
次回楽しみにして待つ
245通常の名無しさんの3倍:2007/05/26(土) 14:43:13 ID:???
しまったsage忘れた・・・・・・
246通常の名無しさんの3倍:2007/05/27(日) 17:26:29 ID:???
hosyu
247通常の名無しさんの3倍:2007/05/29(火) 09:24:06 ID:???
落ちてくるってことは

マシロ君や
真黒様

そして当然真白様やフミさんでもなく
マシロちゃん陛下か・・・・。

残念。
248通常の名無しさんの3倍:2007/05/31(木) 05:09:56 ID:???
まだ希望を捨てるな
249通常の名無しさんの3倍:2007/05/31(木) 22:29:16 ID:???
乙HiMEじゃなくてHiMEネタだけど、中の人繋がりで
パトリックが、失敗したZAFTの指揮官相手にグーリア神父なお説教とかしている光景が一瞬浮かんだ。・・・

クルーゼ 「私はエターナルなど盗んでいない!!」
パトリック 「ええわかっています。」
クルーゼ 「では・・・」
パトリック 「それは人の心の中に巣くう悪魔の仕業なのです。さあ、祈りなさい・・・」
クルーゼ 「(誰か・・・タスケテ)」
250通常の名無しさんの3倍:2007/06/01(金) 01:57:54 ID:???
グリーア神父って小物に描かれてたが、深優を創った時点で人類最高峰の天才だよな
251通常の名無しさんの3倍:2007/06/01(金) 23:22:56 ID:???
ゲーム版になるとマッドな親バカ属性がくわわってさらにGOOD
まあ、アニメ版だって、
アリッサの限界を弁えて敵との連戦を避けるのを重要視してたと考えれば
単に慎重なだけだし、アリッサ達を切り捨てたのも
忠誠の対象がアリッサなんてのはミユだけなんだから極当たり前か。
252通常の名無しさんの3倍:2007/06/02(土) 20:13:15 ID:???
そういやアカツキって乙HiME 種死 電童に共通して存在するのな。

電童   >対 敵ラスボス用の武器
種死   >厨設定な最強なハズのMS
乙HiME >アリカのエレメント
253通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 01:09:59 ID:???
まあ種死の方は単に名前だけだが、電童と乙はモロに同じだからなw
久行の遊びだよ完全に
254通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 06:08:34 ID:???
今、電童の最終話見てたら、モブの中に

サラ(子供)
ヨウコ
アオイ

の3名を発見
255通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 06:17:18 ID:???
サラは最初辺りにも居るぞ?
256通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 08:28:46 ID:???
サラは学校で北斗の後ろの席か何処かにいつも座ってて、モブの癖に当時密かな人気キャラだった
種でいうとシホみたいなもん
257通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 09:32:51 ID:???
まあ無印舞に居た時クラスにいたニナと同じような感じ
258通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 15:02:05 ID:???
え、サラ出てんの?借りてくるかな
つかなつきも出てるよね、三つ編みだかのモブで
259通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 18:38:49 ID:???
>>258
一応言っておくが、あくまでモブだぞ
授業風景の時にちょこちょこって出てくる感じ
まあ、電童は福田の最後の良作だから、普通に見ても損は無いと思うが
260通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 19:59:31 ID:???
あと誰か知ってたら教えて欲しいのだが、

フィア・グロス&ロザリーって初出は舞乙とクイーンブレイドのどっちなん?
ふとクイーンブレイドのページ見てたら二人が居てびっくりしたもんで
261通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 20:12:45 ID:???
乙だろ
262通常の名無しさんの3倍:2007/06/03(日) 21:10:13 ID:???
>>253

久行というより、セルゲイ吉野の遊びかぁ。
セルゲイは3つとも脚本やってるからな。
263通常の名無しさんの3倍:2007/06/04(月) 15:49:18 ID:???
しかしトモエはいい味出してるよな。
なんでもトモエって
HiMEのナオが「シズルと巡り会えなかったナツキ」
なように
乙のトモエは「ナツキやハルカと巡り会えなかったシズル」
として設定されているらしいけど・・・

でもなんかそれだけでスマナイトコが良いなぁ……。
264通常の名無しさんの3倍:2007/06/04(月) 20:18:46 ID:???
>>263
ナツキやハルカチャと会えなかったシズルがあんなギャグキャラになってたらと思うと……


すいません、想像するだけで笑いが止まりません
265通常の名無しさんの3倍:2007/06/05(火) 08:21:28 ID:???
いやいやオトメグラフ裏表紙のコーラル時代のシズルや、
CDドラマエピローグのシズルはかなりギャグっぽいケド・・・・・・
266F  舞乙SEED:2007/06/05(火) 08:49:09 ID:???
遅々として進まない話に切腹
SLBとザンバーと暴走EXAMと疾風三連撃喰らってきます

近日中に1−4を
267通常の名無しさんの3倍:2007/06/05(火) 09:54:07 ID:???
>>266
かまへんかまへん。どうぞF  舞乙SEEDさんの納得のいく物をおかきください。

>>258
あれ?なつきってC-ドライブじゃないの?
てっきりそうかと。
268通常の名無しさんの3倍:2007/06/05(火) 14:29:08 ID:???
>>260
似てるだけだ
269通常の名無しさんの3倍:2007/06/06(水) 15:15:32 ID:???
ちと聞きたいのだけど
お部屋係の系譜って

アイン>シズル(&ハルカ)>マイ(&ナツキ)>サラ

で良かったっけ?

いや、ヲトメグラフ読んでいてかえって判らなくなってしまって。
(特にサラ。 一体どこでハルカと知り合ったのやら。
やっぱ五柱に任官後にエアリーズに赴任してか?)
270通常の名無しさんの3倍:2007/06/06(水) 18:03:39 ID:???
学年はそれであってる
お部屋係が確定してるのは(ほぼ確定含む)

アイン─シズル─ナツキ─エルス似の娘
   \
     ハルカ─ラウラ─ロザリー  
         \
           カーラ 

   (姉不明)─舞衣─サラ

>一体どこでハルカと知り合ったのやら
サラとハルカは出身国同じ(エアリーズ共和国)
271通常の名無しさんの3倍:2007/06/08(金) 10:55:21 ID:???
多分各国にガルデ予備校みたいのあるんだよ制度的に
272通常の名無しさんの3倍:2007/06/09(土) 01:46:12 ID:???
age
273通常の名無しさんの3倍:2007/06/10(日) 23:00:33 ID:???
保守
274F 1−4話:2007/06/12(火) 06:38:34 ID:???
「もう追っ手も撒いたわ、これで大丈夫みたいね」
「「そうか? へっきし!!」」
「あ、ハモった」

アリカ、ニナ、アレックスとずぶ濡れになった俺と女の子の5人は追っ手を撒く為に森の中を移動していた

何故そんな事になったのかと言うと
ビルから落ちる寸前に間に合った俺たちはアリカのマントをクッション代わりにして何とか助け出す事に成功
だが女の子を助けた後妙な男たちが現れて「彼女を引き渡せ」と向かってきた
どうして彼女が追われているのかはわからないが、引き渡せといってきている奴等はどう見ても怪しい。まるで悪の手下1、2、3。
そんな彼らを見て一目散手を引いて逃げるアリカと女の子、追う○ョッカーの戦闘員、襲い来る魔の手、アレックスを庇うために放たれたニナ崩拳の一撃で崩れ去る手下A
そんなこんなでのドタバタ逃走劇はまるで香港映画のよう、と続きまして気が付けば俺と女の子がアリカによって川に叩き込まれてた

なんでさ?

「っと、ここは……」
「うわぁ〜〜、何ここ〜?」
「ここは空港の跡地よ」

始めて見る光景に驚きの声上げるアリカに不機嫌そうにニナが答えた
森を抜けた俺たちの眼前に広がるものは様々な形の人工物が並べられた土地だった
白く長い胴体を横たえた物など様々な色、形をしたものたち
それが何故か、役割を終えて静かに眠る者たちの場所。墓場を連想するのは俺だけなんだろうか。

「空港? 空港ってなんなの?」
「何も知らんのじゃな? かつて空を飛ぶ機械たちが羽根を休めた場所じゃ」

頭の中でちりちりと「ロケット」や「宇宙船」と言う単語が響いてきた、それがあの人工物の名前だと言う事を理解する
しかし、何で俺はそんな事を知っているんだろうか?
目の前に映るそれは記憶に無い初めて見るものばかり。
頭の中を数々の疑問が浮かんでは消えていくが、答えの出ないものばかりなので響いてくる言葉を無視することにした

「うそ!? こんなのが? 鳥みたいに? 不っ思議〜!」

「私も文献で読んだだけだけど。だがオトメが空を飛べるようにこの飛行機械に乗って空を飛んでいたなんてことは不思議ではなかった事さ
 でも過去の様々な戦争や事件で飛ばす技術は失われ、飛べなくなった鋼鉄の鳥たちはずっとここで眠りに付くんだ、いつか空に舞い戻る夢を見てね」
275F 1−4話:2007/06/12(火) 06:39:51 ID:???
アレックスが感慨深そうに語った
そう考えてみるとこの人工物、飛行機械たちに何かもの悲しい物を感じた
その飛行機械の一つに近寄ってまじまじと見つめる
白い外装は風雨に曝されてところどころ錆び、水に溶けて流れ出した後が幾重にも折り重なって見える
一体、ここで眠ってから何十年何百年もずっとここにいたのだろうか
手を触れてみるとぱらぱらと砂のように錆カスが崩れ落ちる
ずっとここにあると言う事はもう必要とされなくなったのか、飛ばす事が出来なくなったのか、飛ばす技術を失ってしまったのか
ざらりとした冷たい肌触りが何か感慨深い物を訴えかけてくるように感じる まだ飛べる、まだ飛べる・・・・と

「ひっきし……ああそれにしてももうびしょ濡れで気持ち悪い!」

助けた謎の女の子、といっても名前を知らないだけの女の子が汚水に汚れた服を見回しながら愚痴を吐いた
白い服は黒く変色し、所々水が滴っている。どうみてもずぶ濡れで遅かれ早かれ体調を崩すのは目に見えてる
と言っても俺の紅い服も水浸しでところどころ黒く変色している
正直寒い、服の幾つかは脱いで絞ったが寒い物は矢張り寒い

「誰か! 誰か着替えを持て!!」
「あ、じゃあこれ!!」
と言ってアリカが差し出したのは彼女の身を纏っていたマントだ
女の子はそれを払いのけた

「嫌じゃ! そんな汚い!」
「あっ!」
払いのけられたマントはひらひらと地面に落ちる
アリカは女の子をムッと睨み

「なんなのよ! 折角助けてあげたのに! 恩知らずは一番罰当たりだってばっちゃが言ってたよ!」
「なんじゃと無礼者! だいたい高貴な妾がこのようなぼろきれを纏えるか!大体妾は助けてくれなどとは言った覚えは無い!」
「あー!ボロって言ったー! 謝れ! マントに謝れー! それに助けてって落ちそうなときに言ってたよ!」
「言ってない!」
「言ってた!」
「言ってない!
「言ってた!」

「二人ともストップ、アリカちゃんも君も喧嘩はよしなよ」
276F 1−4話:2007/06/12(火) 06:41:12 ID:???
終わりそうに無い売り言葉に買い言葉の口喧嘩が続きそうな所をアレックスが仲裁に入った
はたから見てても掴みかかりそうな女の子をニナが止め、シンがアリカを手で制す
二人のそんな姿を見たアレックスはため息を付く
「兎も角、そのまま居ると君は風邪を引いてしまう。君が何処の誰だかはわからないけど服の水が絞れないんだから彼女の行為は受け取るべきだよ」
「ふん、そんな事知ったものか! 妾が身に纏う物は1級の高級品のみじゃ!」
「私は君の事を案じて言ってるんだ、押し付けがましいとは思うがまず服の水分を取っておかないと体が冷えてしまう」
「要らんと言うておろうに、妾はこのままでも十分じゃ。こんな物すぐに乾く」

これで終わるものかと安堵していたシンだが爆発した火薬はすぐには消し止められないように
二人の終わらない舌戦の応酬が続く、アレックスが薦め、女の子が拒絶する。はぁと、ため息を付きたくなるようの事だが
シンの心で何か自分の考えとは別の何かがふつふつと煮えたぎってそれが器からこぼれだしそうになって、ついには――それが吹き上がった

「ああもういい加減にしろよ!!」
「「――っ!?」」

突然の大声に驚く皆を他所に
シンは落ちているアリカのマントを拾う

「な、…なんじゃ」
「着ろよ」

ただ濡れたまんまでいる女の子をそのままにしているのは悪い気がする
だからシンは純粋な心配心で彼女にと拾ったマントを女の子に押し付けた
女の子はシンの顔とマントを交互に見比べて

「嫌じゃ」
「いいから着ろよ、風邪引くぞ」
「――嫌な物は嫌じゃ、それよりもお主の方が妾よりもずぶ濡れではないか?、お主が着れば良かろう」

寧ろマントをシンの胸に押し付けた
意地でも着たくないのかと考えてしまう
どうしたものか…………その時、背筋が凍った
脳髄へのちくりとした痛みという警告を喰らった、何か命の危機に関わるとんでもない出来事が起こると
振り向けば、そこにはさっきまで居た森とそして山。何も無いじゃないかと思ったが、警告の痛みはさらに増す
とある祝詞が聞こえる。この感じ、危険だ! 

『黒き誓いに従い、我盟約を果たさん 古の光、知識と知恵の神よ、我に忠実な僕を与えたまえ!』

「危ない!伏せろ!!」
277F 1−4話:2007/06/12(火) 06:42:17 ID:???
ドォォォオオオン!!!!

突如として山が爆発した、砂煙が沸き立つそこから破砕音と金属の擦れる音を撒き散らしながら巨大な黒い巨人がゆっくりと体を起こした
その巨人はゆっくりとこっちを振り向き、六つ目を開いて此方を凝視する

「な、なにあれ!?」
「スレイヴ!? こんな所に!?」

現れた巨人に驚くアリカとニナ、巨人は金色の眼を此方に向け明確な敵意を放ってきた
巨人の股間に当たる部分が展開して砲口のような物を露出させ
砲口にエネルギーが収束していくのが光と共に見えた

「此方を見ておるぞ!?」
「やばい!逃げるぞ!」
「アスラン!貴方も!」

シンがアリカと女の子の手を取り走り出す。そして直後、衝撃
凄まじい音を立てて光弾が船に着弾し、爆発の衝撃波はシン達5人の体を軽々と吹き飛ばした

「ぐぁぁぁぁああああ!!」

視界が乱れて平衡感覚が狂う、シンは空中に投げ出された後、ドスンと地面の上を転がった
咄嗟に腕の中に引き込んだアリカと彼女が苦しそうに呻く

(背中が、痛ぇ……)

彼女たちに怪我は無いようだが体が軋む、シンの眼に先ほどの破壊の惨状が飛び込んでくる
煙が立ちこめ、炎と船の残骸が先ほどの爆発の様相を物語っていた。
その煙の奥に揺らめく漆黒の巨人がゆっくりとこちらに向かって歩いてくる
ズシリズシリとゆっくりと、鈍重で、明確な殺意を持ってこちらに向かって歩いてくる
どうする、あいつをどうする? と

「汝、いい加減に放さんか!」
「がはぁ!?」
「し、シン!?」
むほうびな腹に一撃を喰らわされた
油断と言うわけではないけど緊張してない腹筋への本気の一撃は女性の力であっても痛いものは痛い

「まったく妾の柔肌に許可無く触りおって! 傷が付いたらどうしてくれるのじゃ!」
「……ってぇ、そんな事言っている場合じゃないだろ!」
「助けてくれたってのに殴る事ないでしょ!?」
「そんな事を言っている場合じゃない!くるぞ!」
278F 1−4話:2007/06/12(火) 06:44:33 ID:???
アレックスが懐の拳銃を抜き放ち、巨人に撃つ
しかし護身用拳銃殻放たれた弾丸は装甲に弾かれて傷一つつけることが出来なかった

(何て硬さだ! 拳銃じゃ無理か!?)

今の状況では駄目だとアレックスは思った、一人二人ならまだしもこっちは人が多すぎる
ここで一つの提案が浮かぶ、――他の選択肢は浮かんでこない、今の状況ではそれしかない

「シン君、君たちは4人を連れて早く逃げるんだ!」
「なっ!アスラン何を!」
「俺が囮になる! お前たちはその隙に逃げるんだ」

------------------------------------------------------------------------------------------------

ガルデローペ研究施設
ここはオトメの力に関わるナノマシンを研究する場であり、ナノマシン制御を監視する場でもある
その応用で開発された高次物質化反応を捉えるレーダーが警告音を放った

「スレイヴ? 間違いないのか?」
『ええ、数は一。空港跡地で暴れているわ』
「…わかった、引き続き監視を頼む」

通話を切る
遂にナツキの懸念している潜伏しているシュバルツどもが活動を開始した
「……はぁ」

なつきはため息を付いて受話器を戻した

「来たんやねぇシュバルツ」
「ヴィント市だ、だが我々にはまだ手が出せん。正式に要請が来ないことにはな」
「世知辛いなぁ、何分オトメはいろんな条約で縛られているさかい、打って出て終わらせれば仕舞いっちゅう訳やあらへんからなぁ」

ヴィントとガルデローベは同じ国なれど様々な条約がありオトメ一人戦うのに山のような書類にサインをし、議会を通し、承認を得なければならない
ナツキの心の中は複雑である。もし今すぐに打って出てスレイヴを殲滅できればこれから予想される街の被害を最小限にまで抑えられるであろうと
しかし様々の工程を踏まえなければオトメが戦いに参加する事は出来ない
もしその工程を踏まずに出た場合様々な問題が降りかかり、このガルデローベの地を不確かな物にしてしまい
最悪ここの技術が全て公開されル用ナ出来事が起こり、世界はまた十二王戦争時代へと逆戻りしてしまうかもしれない
それだけはなんとしてでも避けなければならない。
誰もを救えるかもしれない力を持って居るにも関わらず、それを救う事が出来ない現実に下唇を噛んだ
279F 1−4話:2007/06/12(火) 06:52:34 ID:???

「ナツキ、あまり思いつめたらいけまへんえ。ウチらはそう言うもんやさかい」
「わかっている、兎に角シズルは出る準備だけしておいてくれ。王女も行方不明だし、もしもと言う事があるかもしれないからな」
「ウチらが出るかもしれへんと?」
「可能性が無いとは言えないだろう?」

トゥルルルルルル、電話が鳴る
学園長専用机に備え付けられた電話を取る

「私だ。ヨウコ主任、何か動きがあったのか?」
『大変です学園長!ヴィント市のあちらこちらからスレイヴの反応が!!「待て主任、ホットラインが入った。少し待て」は、はい!』

一度主任からの通話を切り、ナツキ振り向きシズルを見た
シズルは静かに首を縦に振る
私達の出番かもと言う、ある一方では期待と、ある一方で悲しみを感じながら受話器のスイッチを押す

『私はヴィントブルーム王国宰相、ガルシアだ。ガルデローベへ緊急の要請を行いたい』
「学園長のナツキ・クールガーだ、既に此方でも観測している。条約に従い何時でも出れるが」
『話が早いな、現在ヴィント市のあちこちからシュバルツどもがスレイヴを出して破壊活動を行っている。我がヴィントブルーム王国は』
「『条約第三章14条の第三項に従い救援を行う』で、間違いないか?」
『第四項もだな、話が早い子は好きだよ?では頼むよ?』

相手が切ったのを確認した後受話器を叩きつけるように切る
内心渦巻く黒い感情をどうにか押さえつけようとしている

「何が話の早い子は好きだ! 気持ち悪い……自分の顔を鏡で見たことがあるのかあの宰相は!!」

ヒキガエルが轢かれて物質転換したような狸顔の宰相の下種な顔が眼に浮かんで激昂し、思わず地団太を踏んだ

「ナツキ、文句を言うのは自由やけどヨウコはんから電話、きとんのとちゃいます?」
「っ……そうだった、シズル。後の準備は任せた。先に行っておいてくれ」
「一人お借りできます?」
「任せる」
280F 1−4話:2007/06/12(火) 06:56:17 ID:???
静々と退室していくシズルを見送った後、再び受話器を手に取りラボとの回線を繋いだ
同時に響く音声、珍しくヨウコ主任は取り乱している様子

『学園長、ヴィントのあちらこちらからスレイヴが次々と実体化を――!』
「大丈夫だ、もう出撃許可はとってある。後は此方で何とかする」
『いえ学園長、それとは別に信じられない事、――半世紀ぶりの事なのですが……」
「半世紀ぶり? …どう言う事だ」

その言葉にナツキは訝しんだ
スレイヴの事で伝えられた情報とは別にまた何か厄介な物でも出るのかと考えた
そしてそれは現実になった

『スレイヴの反応とは別に、街の各地で『オーファン』の実体化反応が次々と確認されているんです!数8!9・10!まだ増えています!』
「―――な、なんだと!?」





漆黒の巨人にアレックスは発砲を繰り返した
まず顔に向かって一撃、此方の方に気を逸らさせるつもりで撃った弾丸は矢張り弾かれる
これでこっちを標的にして追ってくる筈と思った
だがスレイブは此方を邪魔臭そうにちらりと目線を向けるだけで逃げる四人を追っていく

(こっちは眼中に無いって言うのか!?)

囮にもなっていない自分に苛立ち、何とかスレイブの気を引こうと発砲を繰り返した

【ッ…!!!】

スレイヴが仰け反った、狙って撃った一発が眼に当たったらしい。スレイヴは一瞬跳ね上がり顔を手で覆った、
手で眼を覆うその覆った手の隙間から黄色い硝子体がどろりと流れ出ていくのが見える

(よし、これでこっちに向かってくる筈―――っ)

スレイヴがぎろりとこっちを見、目が合った。
こちらに向けられる視線は明らかに殺意、眼の奥で憎悪の炎が黒々と燃え上がるのが見えた気がした

【■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■―――!!!!!!!】

これはちょっとやりすぎたか? とアレックスは自嘲すると同時に横に全力を込めて跳躍した
その数瞬後、彼の居た場所は振り下ろされた巨大な腕が叩きつけられ、腕がのけられた後の地面には巨大なクレーターが出来ていた
281F 1−4話:2007/06/12(火) 06:59:43 ID:???
咄嗟に体勢を立て直し、走りながら護身用拳銃を撃つ
すると怒り狂ったスレイヴが此方の思惑通りに向かってきた
船を盾にしながらジグザグに移動しながら囮を努める

適当に逃げた後に行方をくらまそうとも考えたが早々上手くは行きそうに無いらしい
だが私外交補佐官である前にシュバリエ(騎士)だ、騎士とは弱きを助け、強きを挫き、民の平和の為に戦う事が誉れ
命を賭けて民を守るのがシュバリエの勤め、その勤めを果たす時が今なのだと思った
自分で決めた生き方だ。他人に否定されてもこればっかりは譲れない!
ただ少し、幼馴染の泣き顔が頭によぎるが、彼女が生きているならそれでいい
追いかけてくるスレイヴに振り向いて撃つ
「さあさあオニさん此方だ、銃の鳴る方へってな!」




「放して! 放してください!! アスランが! アスランがぁっ!!」
「っく!! そんな事、言ったってェ!!」

シンはアレックスの元に向かおうとするニナを必死に掴んで止めていた
彼女の力はとても強いが一人くらいなら何とかなった、だがアリカもアレックスを助けに向かおうとしているのだ
それを片手づつ引っ張って止めようとしているがじりじりと引っ張られている

「今ここで逃げなきゃあの人がわざわざ囮をやってる意味が無いだろうが! アレを止められる手段も無いって言うのに!何の為にアレックスさんが単身行ったと思っているんだよ!?」
「駄目だよ!!助けなきゃ!!  もう誰も目の前で死ぬ事なんて二度と見たくない! だから行って連れ戻して逃げよう!」
「だがどうやって!? あの怪物を止めたり倒したりする力なんて無い!」
「――一つだけっ!一つだけあります!」
ニナが引っ張る手を振り払い、こちらを振り向いた。瞳は冷静さを取り戻し、先ほどのようにわれを失った姿が嘘のように見えた
「このGEMの力を使えば、オトメの力を使えばあのスレイヴを一時的にでも足止めすることが出来る筈です」
「オトメ!?ニナちゃんってオトメだったの!?」
「ですが―――、マスターとなる人物がいません。仮契約を行うにしてもこのパールGEMの認証暗号を解く資格を持った人がいないのです」

沈痛な面持ちでニナは項垂れる
たとえ強力な力を持ってしてもその力を使う事が出来なければオトメとて常人より体が上部で強い人間でしかない
ローブを着用する事によって初めてオトメはその力を発揮できるのだ

282F 1−4話:2007/06/12(火) 07:13:30 ID:???
「だったら! 俺がアンタのマスターとやらになってやる!」
「馬鹿言わないで下さい!話を聞いていたんですか!? 第一必要な資格も無いし――」
「知るかよ!資格が無くちゃ出来ない!? そんな事で諦めてたまるものなのかよ!?」
「わかったような事を!」
「わからないからっづぅーー!!!?」

途端、シンの頭痛がより一層酷くなった。
あまりの痛みに頭を抱えて蹲った、まるで数百ボルトある電流を一気に流し込まれたみたいなそれは真の意識を刈り取ろうした

【出せ! 出せ!】
誰かが頭の中で叫んでいる、鉄の檻をガンガン叩いて必死にそこから出ようともがいている
誰かが叩くたびに頭にガンガンと痛みが響く。
蹲るシンをアリカが声をかける。いきなり蹲るシンにニナは呆然としてしまう
そこに女の子が割り込むように

「ふむ。ニナ・ウォンとやら、認証が出来る視覚のある人間がいればあ奴を助け出せると言うのじゃろう?」
女の子が左手を掲げて見せた
「―――それは!」
「細かい事はどうでも良い、それより急がねばあやつが死ぬぞ。ああ、これでお主とあやつの借りは返したと言う事にしておくぞ?」


「まだ逃げないのかニーナ達はぁ!?」

走りながら彼女たちを見やり、思わず愚痴がこぼれ出た
スレイヴは完全に此方を眼の仇にしており、囮作戦は成功といっても過言ではない、だが肝心の逃がす人たちが逃げずにいるというのはどう言う事だ
スレイヴの放った火弾がアレックスの近くに着弾して地面を爆発させる、その衝撃波にたまらずアレックスは転倒してしまった
頭を振って見上げればスレイヴが巨大な手を叩きつけようと右手を振り上げる
「ここまでか!?」
『いいえ!まだよ!』

次の瞬間5〜6発のミサイルがスレイヴの顔に着弾し仰け反らせ
轟音震わすジェット排気音を響かせ、紅いバイクがスレイヴに体当たりを食らわせた
一体何が!?空から舞い降りた紅い影は音も無くアレックスの隣に着地した

「あ、貴方は!?」
「来るわよ、貴方は早く逃げなさい!」

続く
283F:2007/06/12(火) 07:15:45 ID:???
長くなりすぎ
技量不足
もっと省略できる筈
次こそはシンが(ry
284通常の名無しさんの3倍:2007/06/12(火) 18:01:31 ID:???
いや、十分十分 GJ!ですぞ。
しかし、ヴィントの宰相ガルシアかよ。
ここのマシロちゃんは部下運が無いというか・・・。

とりあえず、いきなりスレイブ大量発生。
原作どおりとは行かない様子。
はたしてシンに活躍の場はあるのか?

次回に期待です。
285通常の名無しさんの3倍:2007/06/12(火) 20:52:42 ID:???
投下乙!

舞乙本編とはかなり状況が違ってるな。
種の要素はどう絡んでくるのかな
286通常の名無しさんの3倍:2007/06/12(火) 22:17:39 ID:pys4O/9V
ひたすらGj!!
次回なんかシンが「倒すけど、いいよね?答えは聞かないけど!」
て言いそうな感じだ。
287通常の名無しさんの3倍:2007/06/13(水) 00:44:44 ID:???
シンの内部で暴れているのは、失った記憶に伴う本来の人格なのか、それともシンに宿った運命か
288通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 21:14:28 ID:???
それにしてもオーファンってのが気になるんだがオリジナル設定か?
289通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 21:28:23 ID:???
>>288
釣りなのか
前作からの継続組しか残っていないと言われる乙ファンにも新規組がいるのか
290通常の名無しさんの3倍:2007/06/14(木) 22:07:55 ID:???
ガルシアってアルテミスの?
291通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 12:20:55 ID:???
>>290
Yes
アストレイだと、その後も度々出てきては色んな奴に吹き飛ばされるが、
次の時にはピンピンして出てくる、通称「不死身のガルシア」
アストレイ読者にとってはアイドルのような存在です
292通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 13:06:07 ID:???
アルテミスで死んだと思ってたよ。
293通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 21:54:48 ID:???
アルテミスときてガルシアより先にアリッサが浮かんだ俺ガイル
294通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 23:14:04 ID:???
うむ。このスレならそれが正常な反応だとも。

もはや俺なんど「アルテミスの傘」と聞いても、
ミユさんがアルテミスソードを傘状に展開しているとしか思えん。
295通常の名無しさんの3倍:2007/06/16(土) 23:37:00 ID:???
そういえばミユも石化してたけど今どうなってるんだろう?
シズルと近い場所に転がってただろうから学園に回収されたんだろうか?
296通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 09:18:40 ID:???
あの石化ってよくわからんが、デビルガンダムに取り込まれたときのレインみたいな状態なのか?
297通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 11:48:23 ID:???
それじゃ、愛の告白をしないと解けないのかw
シズルとハルカはともかく、ミス・マリアやミユやナオに告白するのは誰だろうww
298通常の名無しさんの3倍:2007/06/17(日) 12:26:26 ID:???
>>295
3巻で、学園に回収された石像をイリーナやガル様が分析してるシーンがあったじゃないか
299通常の名無しさんの3倍:2007/06/18(月) 09:06:15 ID:???
>>297

シャルル陛下
300通常の名無しさんの3倍:2007/06/20(水) 22:35:37 ID:???
301通常の名無しさんの3倍:2007/06/22(金) 04:03:49 ID:???
ほっしゅ あとFさん向こうよかこっちを書いてくださいwwwww
302通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 08:57:56 ID:3FZ9U4AW
>>301!?
どいう意味だ!!!!
なんか凄く気になる!!
303通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 14:00:09 ID:???
ふと思ったけど、この場合やはりオーファンは間違いだよなぁ
304通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 16:33:16 ID:???
>>303
敵が少ないので出したんだろうけど余計なものだからなぁ。北斗のモヒカン程度の扱いだろうけど
クロスと独自設定でただでさえややこしいのに必然的にHime能力やチャイルドまでだすとなると
カオスになり杉。
305通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 17:20:52 ID:???
いやこの場合は「スレイブ」が正しかろうって事。
オーファンだと、基本的にチャイルドと変わらないわけで、
後半大暴れしたオリジナルスレイブの「レギオン」より強力ですから。
306通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 21:32:03 ID:???
え、オーファンってそんな設定だったの?
凪がHiME達の実戦練習の為に放った只の雑魚妖怪か何かだと思ってたよ
307通常の名無しさんの3倍:2007/06/23(土) 22:17:27 ID:???
無印DVD Vol6の映像特典「オーファンのひみつ」に出てくるよ

HiMEと契約しているのがチャイルド
それ以外がオーファン
だそうな。
基本的に両者は同じモノで故にデュランもなつきの下着を小屋に隠すかも・・・
なんてイメージ画像があったような

発生パターンとしては、
自然に出来たの 凪&真白が召還したの アリッサ達シアーズが召還したの
の3種

だそうな
308通常の名無しさんの3倍:2007/06/26(火) 05:35:54 ID:???
保守
309通常の名無しさんの3倍:2007/07/02(月) 12:32:11 ID:l0lTbhX2
保守age
310通常の名無しさんの3倍:2007/07/07(土) 00:54:49 ID:???
hosyu
311通常の名無しさんの3倍:2007/07/12(木) 20:28:14 ID:???
保守
312通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 00:58:23 ID:???
最近、SSが投稿されなくて寂しいのです。
313通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 00:59:43 ID:???
この人大杉はいつまで続くのだろうか?
314通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 01:03:46 ID:???
この人多杉はいつまで続くのだろうか?
315通常の名無しさんの3倍:2007/07/14(土) 01:25:29 ID:???
いいところで止まってるからなあ。
それでも読む側はひたすら待つしかない。
316通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 10:43:30 ID:2J9Hgq/9
保守age
317通常の名無しさんの3倍:2007/07/18(水) 12:52:18 ID:???
8月がzweiの第四巻か。どんな終わり方をするのやら。
318通常の名無しさんの3倍:2007/07/31(火) 11:33:39 ID:???
またニナは空気キャラか
319通常の名無しさんの3倍:2007/08/09(木) 21:39:29 ID:???
保守
320通常の名無しさんの3倍:2007/08/16(木) 04:44:26 ID:???
ヨウランと買物をしていたら巨乳女子高生とぶつかり、股間を触られるシン

「お前今、股間触られたな。このラッキースケベ♪」


「は、はぃ〜さ、触っちゃった…手に変な感触が…」
321通常の名無しさんの3倍:2007/08/16(木) 12:00:15 ID:???
そんな「ケツがつっちゃう」まいまいはイヤだw
322通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 03:09:45 ID:???
月杜町で舞衣と再会してしまうシン

「あぁ!あんた以前俺の股間触った変態女!」
「は、はぃ〜!?あ、あたし知らない、何も知りない!手に残る感触なんて知らない!」
「…舞衣、お前そんな趣味が…」
「ん!舞衣は色々と上手いんだ。ラーメンとかラーメンとか」
「へ〜鴇羽、あんた痴女だったんだ」
「ち、違うの!きっとこれはあたしを陥れようとする福田の罠よ!」


(シン、命と奈緒を見て)
「…兄にベッタリな妹とツンデレ妹キャラ、王道なチョイスだ。まさにデスティニー!」
323通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 08:28:25 ID:???
>>320>>322
中の人ネタか、詳しくは知らないけど触られたのは事故らしいが。
324通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 10:13:22 ID:???
触られたどころか思いっきり拳がメリこんだ
鈴村は悶絶したらしい
325通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 10:45:42 ID:???
>>324
詳しく教えてくれ
聞いた話じゃ何かの収録中だか合間だからしいけど
326通常の名無しさんの3倍:2007/08/17(金) 17:05:04 ID:???
>>325
グラヴィオン二期の収録中だな
演技の際に思わず拳を振り上げたら、見事にヒットしてしまったらしい
327通常の名無しさんの3倍:2007/08/24(金) 14:07:48 ID:???
OVA最終巻発売age
328通常の名無しさんの3倍:2007/08/30(木) 20:35:47 ID:???
デストロイに何故かステラでは無く、朔夜が乗っていてシスコン属性が発動したシンが助けようとする
329通常の名無しさんの3倍:2007/08/30(木) 21:34:33 ID:???

     (( 
 (( 〃´   `ヽ      
( ̄ i .( (( ))ノ ̄)  )) 
 \ W `Д´) /         <曲芸キモウトはイラネ
 (( \     <              
    ヽ   / ̄\/⌒\  ))   
_| ̄ ̄ \ /  ヽ \  \     
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \__)\_) )) 
 ||\_えーす専用____\ 
330通常の名無しさんの3倍:2007/08/30(木) 21:47:58 ID:???
>>328
せめて詩帆にしようよ
どっちも嫌だけど
331通常の名無しさんの3倍:2007/08/30(木) 23:08:11 ID:???
舞HiMEシリーズにはキモウトしかいないのか
332通常の名無しさんの3倍:2007/08/31(金) 12:25:29 ID:???
ぬこともややキモウト属性もちだな
333通常の名無しさんの3倍:2007/08/31(金) 23:18:24 ID:???
一番ビッチなのは曲芸の方のピンクだけどな
334通常の名無しさんの3倍:2007/09/01(土) 00:41:11 ID:???
>>333
ビッチではないだろ
一応「お兄ちゃん」(キモッw)一筋だから
単なる基地外だw
335通常の名無しさんの3倍:2007/09/01(土) 01:37:49 ID:???
漫画だとアリッサも妹キャラだが、あれは別にキモウトじゃない…よな?
336通常の名無しさんの3倍:2007/09/01(土) 11:58:32 ID:???
舞乙のアサリならな
お姉ちゃん大好きっ子だけどミユも大事にしてるし
337通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 00:49:53 ID:???
ちょっと書いてみた

舞乙HiME+SEED DESTINY
第一話『時をかけるものたち』


「あんたが!!俺たちを裏切るから!!」
「やめろ!シン!お前は利用されているんだ!議長たちに」
「うるさぁぁぁい!!」

漆黒の宇宙を激突しあう二つのMS
彼らの後ろにもいくつもの巨大な人型機動兵器が争い、そして閃光として姿を消していく。そしてそのさらに後ろにあるが巨大な岩…ただの岩ではない。
それは戦争というものをなくすために作り上げられた反射衛星砲レクイエム。

時代はCE(コズミック・イラ)地球連合軍とザフト軍による大戦は、第二次ヤキン・ドゥーエ宙域戦、ユニウス条約の締結を経て、一応の停止を見た。しかし、争いの火種は消えることはなかった。
それから2年後、C.E.73年10月2日。プラント最高評議会議長 ギルバート・デュランダルとの非公式会談の為、新造艦 ミネルバの進水式の準備が進むL4 アーモリーワンを訪れたカガリ・ユラ・アスハとアスラン・ザラ。
だがその最中、ザフト軍が開発した新型MS(モビルスーツ) カオス、ガイア、アビスが何者かに強奪され、周囲は混乱に陥る。
これを阻止すべく、ミネルバからも新型機インパルスが出撃。そのパイロットは、プラントに渡りザフト軍に入隊したシン・アスカであった。
新型機を強奪した謎の部隊を追い、カガリとアスランを伴ったままミネルバは出撃する。だがそんな中、安定軌道にあったはずのユニウスセブンが地球に落下し始めたという報せが入る。
それは、ナチュラルへの憎しみを募らせ続けるザフト軍脱走兵達の仕組んだものだった。しかし、この事件を利用しようと暗躍する者達も動き始め、世界は再び混乱と戦火に包まれるのだった。
戦火は広がり見せ続ける。

 デュランダル議長はこの戦争の真の敵を超巨大軍需産業ロゴスと決めつけ、これを連合、ザフトとともに協力し殲滅することを宣言する。
その後ロゴスは圧倒的世論の味方をつけたデュランダル議長率いるザフロ軍とそれに同調する連合軍によって壊滅させられることになる。
そして彼はディスティニープランを実行に移す。遺伝子情報の統制による世界の管理された平和。
彼の野望を食い止めるべく、第二次ヤキンドゥーエ戦を勝ち残ったアークエンジェルは旧クライアン派、そしてオーブ連合軍とともに宇宙要塞メサイアにへと向かったのだ。

「やめて!シン!!アスランも!」

 MSインパルに搭乗するルナマリアは二人の戦いをとめるべくインパルスを走らせる。
 アスランもシンも両方自分にとっては大事な人であることにかわりは無い。たとえそれが所属する軍が違っていても。
338通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 00:51:15 ID:???
アークエンジェル艦内
「インフィニットジャスティス、ストライクフリーダム、ともにディスティニー、レジェンドと交戦中!」
「艦長!射線上、ミネルバです!!」
 アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスは艦内から見える、そのもはや見慣れてしまった戦艦をにらむ。一度は撃破されかけた。だ今度は…。
「ローエングリーン!!スタンバイ!!」
 混沌とした戦い、それはどちらが勝ってもおかしくは無い。戦争というものは互いの譲れない意思をかけて行うもの。
 戦争など本来なら誰も望まない。だが人の争いは必ず起こるもの。人との争いはやがて集団となり、国としての争いになる。
 人間は動物、争いは起こって仕方が無いものなのだ。
 さらにいえば人間は動物とは違い知能が発達している。それが戦争を残虐なものにへと進化させているのだ。

 本来の歴史であるなら、ここからミネルバはアークエンジェルの反撃を受け戦闘不能に陥り、
 そしてシンはアスランに破れ、レクイエムは大破。
 メサイアはデュランダル、そしてレイ・ザ・バレル、ミネルバ艦長であるタリア・グラディスとともに爆発するはずである。


 だが…こことはまったく違う別の世界での出来事が幾つもあるこの世界の一つの歴史を狂わせることになる。

「レクイエム付近で高エネルギー反応を確認!!」
「なんですって!もう発射されるの?」
 マリュー・ラミアスは目前に迫るミネルバの後ろに見えるレクイエムを見た。
 それはミネルバ側からも確認されていた。
「艦長!!レクエイムを中心にエネルギー反応!増大していきます!」
「なにがおこっているっていうの?メサイアに確認急いで」
 艦長であるタリアもまた目前にいるアークエンジェルを射程に収めながらもその異常事態を確認することのほうが急務である。
「さらに増大!!」

「これは一体…」
 ストライクフリーダムに搭乗するキラ・ヤマトはレクイエムを中心に光がすべてを包んでいくその光景を見つめていた。
 だがそんな彼にせまるもう一人の男にその光は見えてはいないようであった。
「キラ・ヤマト!!」
「くぅ!レジェンド、まだくるのか?」
 かつて倒したはずの亡霊に取り付かれたそのMSはストライクフルーダムを圧倒する。
 だが彼らもまばゆいその光に飲み込まれていく。
339通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 00:53:56 ID:???
『アスラン君?聞こえる?』
 シンの操るディスティニーの巨大なサーベルをインフィニットジャスティスはビームサーベル二つを用いてなんとか抑えているところだ。
 だがそうしている間にも巨大な光が次々と敵味方かまわず飲み込んでいく。
「どうなっている艦長!」
『わからないわ!でもすぐに…を…き…』
「艦長!?」
 アークエンジェルからの通信が途絶される。撃墜?いや光に飲み込まれたか。
「シン!状況がわからない。ここは一旦」
 アスランは直接回線からシンに通信をかける。
「そうやってまたお前は逃げる気か!メイリンをそそのかしてまたお前はぁ!」
「くそぉ!!シン!!」
 インフィニットジャスティスはディスティニーの胴体に蹴りをいれる。
 大きくバランスを崩すディスティニー。
「二人ともやめて!!」
 ようやく二人にたどり着くルナマリア。
 だがシンにはそのことさえもうわからなくなっていた。
 すべての憎悪…今ここで吐き出す。妹を失い、メイリンを失い、自分を否定したすべてのものに対する憎悪。
「うぉぉぉぉ!!!!」
 ディスティニーはバランスを崩した状態からすぐに立ち直り、巨刀を用いまっすぐそれをアスランに向け突撃してくる。
「シン!」
 ルナマリアはシンをとめるべくインパルスを向ける。
 二人を戦わしてはいけない。そんなことをすればまた自分のかけがえの無い人を失う。もうそんなことは絶対にさせない。
「下がれ!ルナマリア!!」
 アスランはルナマリアが自分の機体を楯にしようとするそれを察知する。目前に迫るシン。
 あの勢いでは彼はルナマリアの機体もまとめて自分を狙ってくるだろう。アスランは苦渋の決断をするしかなかった。
「くそぉぉぉ!!!」
 アスランのビームサーベルはルナマリアのインパルスの右肩部分を貫き、そのままシンのディスティニーの頭部と胴体部分の狭間にビームサーベルを貫いた。
「うわぁああ!!!」
 シンのディスティニーから爆発が起こる。
「シン!!」
 ルナマリアの機体も右肩を失い、そのバランスは保てない。
 彼女の目前でディスティニーは光の中、爆発とともに消えていく。


「いやぁあああ!!!シン!!!!」


 そういう彼女もまたその光の中にへと飲み込まれていく。
340通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 00:57:55 ID:???
それは限りなく遠い世界…。
 惑星エアル…そこは科学を封じ、オトメというものが存在する場所。
 ここでもついこの間まで戦争状態であった。北方の軍事大国アルタイと黒科学を崇拝する武教集団シュヴァルツが手を組みヴィントを制圧し、
 強力な力を持ったオトメ同士による代理戦争システムを崩壊しようとした、ヴィント事変から二ヶ月が経過し戦後処理もようやく軌道に乗り始めていた。
 アルタイでは平和維持軍による間接統治が行われている。


 三台の車がそこには走っていた。
 前後にあるのは軍用車であり、中央にある護送車をけいごしているようだ。護送車にいるものは足かせをつけられ、
 身動きが取れないようになっている。
 だが特に暴れる様子もなく、彼の手には本だけが握られている。
「なんだ!?あれは!?」
 突然叫ぶ運転手の声、急な車の停車にその囚人はおもいっきりずっこけることになる。


「…全員無事?」
 タリアはぼーっとする頭を振って大声を出す、その声で目を開ける艦内オペレーターたち。
 タリアが前方を見るとそこは先ほどまでの深遠の宇宙ではなく、大地…地球のようだ。視界に広がる限り青空と緑の大地しかないようだ。
 艦は地上に落着しているようだ。損傷の激しかったミネルバの修理のためにも今はこの状態のほうがいいだろう。
 それにしてもここはいったい…。
「なぜ…」
 タリアは思わず声が漏れる。
「艦長!前方、インパルス、ルナマリア機、レジェンド、レイ・ザ・バレル機を確認しました」
「ディスティニー、シン・アスカ機は?」
「反応ありません」
「…現在地を確認、メサイアとの通信を。索敵、敵MSを確認急げ」
 先ほどの戦闘とはうってかわってそこはまるで夢の世界のように、落ち着いている場所であった。
 周りには何も見えない。
 爆発するMSも襲って来るものも。
 目の前にあったあのアークエンジェルも。
 すべてが消えてしまっていた。出来の悪い漫画の世界のようだ。
「敵MS、メサイアともに反応ありません」
「…第二次戦闘配備のまま、インパルスおよびレジェンドを回収」
「艦長…」
 その声はいつものオペレーターの声とは違っていた。
 タリアは視線をそのオペレーターに向ける。
「…ここは地球ではありません」
「どういうこと?」
「現在地は地球上では大西洋のはずですが、ここは地上です。さらに地形がかわっています」
「もう一度確認して。計器の故障かもしれないわ」
「はい…」
 まさか…そんなことがあるはずがない。しかしタリアはその空から見た光景を見てそれも間違っていないのではないかと思ってしまっていた。
「艦長!!艦の外に車らしきものがとまっています」
「車?」
 カメラを拡大するとそこには三台の車が止まっている。
 一台は急ブレーキのため車が横転している。
341通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 00:59:16 ID:???
艦内に戻ってくるレジェンドとインパルス。両機ともかなり損傷している。
インパルスに限っては右部分の腕を失っており、コクピットこそ無事なものももう少しずれていたら危なかっただろう。
「…一体なにがあった?」
 レジェンドから降り立ったレイは周りにいる作業員に聞く。だが誰もが首を傾げるばかりだ。
レイは滑走路から外の様子を見る。
先ほどとは違ったあまりにも別世界の光景。
だがレイにはあまり関係ないことだ。
もう少しであのキラ・ヤマトが倒せたというのに。
レイは拳をにぎりそのまま奥にへと歩いていく。
「インパルスはどうなっている?」
 作業員はレジェンドより損傷の激しいインパルスに集まっていた。
「コクピット応答ありません」
「外側からあけるぞ!」
 作業員の言葉の中、ルナマリアはコクピットで呆然とした表情で座っていた。目の前でシンの乗ったディスティニーの姿が消えていのを目撃した。私はまた大切な人を失ってしまった。愛する妹に続いてまた…。

「…シン」

 薄暗いそのコクピットの中、嗚咽が漏れた。

342通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 01:00:34 ID:???
えーっとまずは以前書かれていた人とは違います
誤字脱字は許してください。
以上
343通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 01:04:02 ID:???
age
344通常の名無しさんの3倍:2007/09/04(火) 05:22:38 ID:???
おお!!GJ!!

ミネルバ組が最初に飛ぶという展開は他のクロス物でもあんまりないから
新鮮な展開だな
これからの展開にwktkしてまってる
345舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:13:43 ID:???
第二話 天使光臨〜争いへの足音〜


 航海日誌…某月某日

 レイクイエム付近での大規模戦闘の最中、巨大な光に巻き込まれ我が艦ミネルバはインパルス、レジェンドとともに少数の人員をのせたまま地球にへとたどり着く。
 艦の損傷はあるものも自立飛行に関して問題は無い。
 インパルス、レジェンドに関しても現在修理を急がしている。
 今のところ敵艦、敵MSとともに反応は無く、またメサイアからの通信も途絶、その他地上にある友軍からの通信も途絶している。
 しかしここにきて我々は地上とは別の場所に転移した可能性を踏まえている。まず地形が地球のものとは違うこと。
 また天体に関しても大きく異なっていることが上げられる。
 今回のことか踏まえた上で、現地人の話とあわせて慎重に今後の対策を練らなくてはいけないであろう。
 
 ミネルバ艦長タリア・グラディス
346舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:15:24 ID:???
「ねぇーねぇー、この飲み物のお代わりある?」
 甲高い声でお茶のお代わりを求める声。
 もうこれで何度目であろうか?
 乗務員が半ばいやそうな顔でおかわりをもってくる。
 先ほど助けられてから食事をとり、その後からずっとこの有様だ。
 助ける必要があったのかわからない。
 この男はミネルバ付近にとまっていた三台の車のうちの中央にあった護送車にいたものである。
 他の者たちは既に逃げてしまっていて唯一の残ったのが彼だけということになる。
 現在の状況を知るには誰であれ現地人からの情報がほしい。

「…待たせてしまったわね」
 タリアが業務を終え、その部屋にはいったことで乗務員はほっと胸を撫で下ろす。
「かまわないよ。ここまでいい対応をしてくれるんだからね」
 その小柄で白髪の男…縞々のおかしな服を着ているだけであとは自分たちとかわりはない。
 宇宙人というわけではなさそうだ。
 白髪の男は薄気味悪い笑みを浮かべタリアを見る。
「君たち、エアルの住人ではなさそうだね?」
「エアル?」
 聞いたことの無いその単語にタリアはもう一度聞き返す。
「…ここはエアル。移民星でね…仮初の平和によって作り上げられた星だよ」
「私達はここの歴史に介入するつもりはないわ。一刻も早くもとの自分たちの世界に帰りたいだけ」
 白髪の男の言葉にタリアは興味ないという意思をこめ言葉を続ける。
「あーそう。それは残念。君たちのこの強力な科学力をつかえば、エアルを手にすることだって簡単なんだろうけど」
 白髪の男は自分の考えを隠す様子も無く淡々と答える。
「この世界が不安定だということまではわかったわ」
「…もとの世界に帰りたいんでしょ?」
 言葉を遮りゆっくりと視線をタリアにむける男。
 男の視線はタリアの動きを封じる。
 見た目は子供のようだが、大人以上のキレた目をしている。
「方法を知っているの?」
 タリアは動揺を抑えながら冷静に聞く。
「知らないわけじゃない。ただ今ここでというのは無理だね。君たちにも協力してもらう必要があるんだけど?」
「我々はなんとしてでも元の世界に帰る必要があるわ。そのための協力なら惜しまない」
「…オッケー。なら交渉成立だね。僕を裏切らなければ君たちを無事、元の世界に返してあげるよ」
 その白髪の男は立ち上がるとタリアに手を差し伸べる。
 タリアも立ち上がりその男と握手をする。

「私はザフト軍所属ミネルバ艦長タリア・グラディスです」

「…僕はアルタイ大公、ナギ・ダイ・アルタイ。これからよろしくね?艦長さん」

347舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:18:17 ID:???
医務室
ベットの上には点滴を受けているルナマリアの姿があった。
つかれきった表情で死んでいるのかも生きているのかもわからない顔で。

「うわぁああ!!!」
「シン!シン!!!」

 爆発炎上するディスティニー。
 自分はそれをただ呆然と見ていることしか出来なかった。

 どうして、どうしてあんなことになってしまったの。

 私が何も出来なかったから?私に力が無かったから?

「入るぞ?」

 その声のほうを振り向く力は今は無い。
 だがレイの声を聞いて少しだけ安心感が沸いたのは間違いではないはずだ。

「…現在の状況を説明する。我々ミネルバは現在地球上に似た惑星に転移した可能性がある。
 我々の当分の行動は元の世界への帰還にあたる。敵艦敵MSは現在のところは確認されていない。
 しばらくの間は戦闘は無いだろうが異世界ということもある。 何かあった場合には備えておけ」

 レイから聞こえてくる言葉はまるでなにかの冗談としか思えないような言葉ばかりであった。

 異世界?転移?いったい何の話をしているのだろう?これは夢?

「…話は以上だ。また何かあったら連絡する」
「…レイ?」
 ルナマリアは振り向かず、消え入りそうな声で問いかける。
「シンは?」
 その問いにレイは少しだけ間を空け
「…ミネルバには戻っていない」
 それだけいて彼は医務室を出て行った。

シン…やっぱり、あなたは…。

私…これからどうすればいいの?

もう、なんにもなくなっちゃったよ…。

メイリン…。

シン…。

 ルナマリアはふたたび目を閉じる。
 なにかもを忘れて、何も見たくなくて。
348舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:21:48 ID:???
エアローズ共和国
 ヴィント事変での戦勝国としてガルデローベ奪還作戦ではその中心となった国であり、エアルでは珍しい共和制の国である。
 オトメの保有数もエアルでは1、2を争う国でもあり今度のオトメ削減交渉でも大きな争点となることは間違いは無い。

 そんな大国にも事件が今まさに起きているところであった。

エアリーズ共和国府ヘキサゴン

「…状況は」
 エアリーズ共和国大統領であるユキノ・クリサントは軍隊の将軍たちを前に席に着く。

「イエス、マム。本日未明1時23分に巨大な戦艦を我が軍のレーダーが補足。
 第一次警戒態勢を発令。デルタオトメ隊を召集、監視体制あたらせました」
 立ち上がり報告するのはデルタオトメ隊指揮官ボーマン中将。

「現在はエアリーズ国境のリキシドール山脈にそのまま止まっています。スレイブの部隊とすると艦での攻撃は初めてとなります。
 搭載されている数も未知数かと思われます」
「…陸軍オトメ部隊は既にいつでも出撃可能です。大統領ご命令をお願いします」

 将軍たちがユキノ大統領にサインを求める。
 さきのヴィント事変ではマイスターオトメによる戦闘のみ行われた。 これはガルデローベによる印象操作の成果である。
 戦争ではなくあくまでマイスター同士の舞闘により勝敗を決する。
 オトメの集団での戦争はかつての竜王戦争という深い過去での事件以降、極力避けられてきていたものであるからだ。
 だが…ヴィント事変により、その印象操作にほころびが生まれてきている。
 戦争が目の前で起こり、いつまた起こってもおかしくは無いという事実をつきつけられ、戦力増強という世論も決して少なくは無い。

「…相手を刺激し無差別に攻撃することは許しません」

「大統領!?ですが彼らの戦艦の攻撃性は未知数、市街地に侵入されればそれこそヴィント事変でのヴィントと同じ状況に陥ります」
「そのためのデルタオトメです。ボーマン中将。彼らのとのコンタクトは?」
「もう少しです」

 ボーマン中将率いるデルタオトメ隊は巨大な戦艦が横たわるその岩山のあたりを完全に取り囲んでいた。
 隊長であるチエ・ハラードは今まで見たことのないタイプの戦艦にただただ驚きとそしてどこかしら恐怖を感じている。

「…緊張して冷静な判断を失ってはいけないわよ?チエ・ハラード」
「サラお姉さま…」

 その声に振り返ったチエの前にいたのは5柱のサラ・ギャラガー。
 彼女のオトメのローブとしての特殊能力は姿を隠すこと。 これにより相手に悟られずに接近することが出来るのだ。
「相手の動きは?」
「いえ、ただ乗務員はいるみたいですね」
 チエから渡された双眼鏡で艦首を見るサラ。判別は難しいが動いている影はわかる。
「交渉できる相手かしら」
「さぁ。やってみなきゃわからないでしょうね」
 そんな二人に大きな影が現れる。
 チエとサラはその影の登場に表情をこわばらし顔を見合わせそっと後ろを振り返る。
349舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:25:43 ID:???
アークエンジェル

 マリュー・ラミアス艦長率いる乗組員は状況の整理に追われていた。
 地形が違うということ、そして今、現在何者かに監視されているということである。
 うまく姿を隠しているようだが外部カメラでその様子はしっかりととられている。

「…相手はすべて女性です。おかしな格好をしているみたいですけど…」
 カメラを見ながら半ば困り果てた顔をしているミリアリア。

「フフ。なんだかかわいらしい格好じゃありませんか?」
 おかしそうに微笑むラクス。

「あんな格好してアスランやキラに見せるぐらいなら私は死ぬ」
 誰も着ろとはいっていないのに混乱しているカガリ。

 そんな状況とは打って変わって艦内ではなごやかな雰囲気が漂っている。

「みんな!まだ作戦行動中ですよ?」
「俺としてもあのコスチュームはありだったりするかな?」
「少佐!」
 ムウが艦長席の隣から顔を出して笑みを浮かべ話しかける。マリューは頬を赤くして大声で怒鳴る。
 その様子を見てさらに笑うクルーたち。

「とりあえず、どうするんだい?艦長さん?お嬢さんたちを撃てとはいわないだろうね?」
 アンドリュー・バルドフェルドが紅茶を飲みながら外部カメラを操作し、アップにしている。
 昔のテレビの戦隊物の服のようにしか見えない。
 もっている銃のようなものもおもちゃみたいだ。

「余計な刺激を与えて話をややこしくする必要はないでしょう。オープン回線を開いて。キラ君とアスラン君には引き続き第二次戦闘は位置のまま待機」
「了解」
 マリューはモニターをみながらマイクをとりだし、周りに聞こえるようにして現在の状態を説明しようとした。だが…。

『あー!!あー!聞こえる?
 私はエアリーズ、ハルカ・アーミテージ准将よ!!
 勝手に人の領地に土足で入り込んで何様のつもり!言い訳があるならとっとと武装解除して戦艦から降りていらっしゃい!!
 早く降りてこなきゃ、私がただじゃおかなきゃぁあ!』

 ハルカの額にハンマーを落とすサラ。
 大きくため息をつくチエ。
350舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:28:27 ID:???
「今のは一体…」

 マリューもまたその光景を呆然とした表情で見ている。
「まぁなんとも仲のよろしい光景で」
「どこをどう見たらそう思うんだ?」
 ラクスのよくわからない解釈にカガリがぼやく。
「とにかく、私達はあまりよく思われてはいないようだね。あと、ここは僕らがいた世界ではないということかな」
 バルドフェルドは大きく息をつき冷静に判断をしている。

『あー、あー、聞こえますか?私はエアリーズ軍デルタオトメ隊のチエ・ハラード大尉です。
 我々はあなた方とのトラブルは望んでいません。代表者にでてきていただき詳細の説明を求めます。
 この要件が飲まれない場合、我々はあなた方を敵対対象とみなさなければならない』

『…そちらの意思はお受け取りしました。今すぐに代表者でそちらにへと向かいます』

 マリューはマイクでそう答えると艦長席を立つ。
「今から代表者で向こうの方と話をしてくるわ。護衛にはムウ、あとはキラ君でいくわ。私がいない間、指揮はお願いしますね?バルドフェルドさん」
「あんまり待たせすぎないようにお願いするよ」
 バルドフェルドは残りの紅茶を喉にとおして笑顔で告げる。


アークエンジェル付近

「…私はアークエンジェル艦長マリュー・ラミアスです。チエ・ハラード大尉はいらっしゃいますか?」

 マリューは岩肌の中、転びそうになりながらなんとかムウとキラとともにたどり着く。
 彼女の前にいたのはやはり変なコスチュームを身にまとう2人の女子。
「私です。簡易的なイスですか、おかけください」
 マリューたちは促されそのまま席に着く。
「まずは説明願いますか?」
「はい…」

 マリューは事の発端等を嘘偽り無く話す。
 無論、こんなSFの話自体、自分たちさえ信じられないのだ。
 きちんと理解できてもらえるかかなり不安はあったものも、説明せよといわれたのだからここはするしかない。
 自分たちの時代で戦争があり、そして宇宙での戦闘のさなか、光に巻き込まれこの時代に飛んできたということ。

「…なるほど。大筋、理解は出来ました。それであなた方の望むことは?」
「我々はこの異世界での無用な接触は避けるべきだと考えています。我々のような異質のものが好奇にさらされるのは眼に見えていますから」
「…ですね。元の世界の帰る方法は?」
「それが、まだ…」
 しばらくの沈黙。
「…我々に少し時間をいただけますか?」
 チエとサラはそういってそこから席を立つ。
351舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:30:21 ID:???
 
 残された三人。

「わかってもらえたでしょうか」
 マリューがぼやく。
「なんともねー、世界観も違うみたいだし考え方も違うかもしれない」
「でも、こうして話が出来るんだ。きっとわかってもらえますよ!」
 それぞれ意見を述べるムウとキラ。どちらも正論だろう。
 ここまできて戦闘に巻き込まれるのはごめんだ。ここずっと戦闘続きだったのだ。自分たちは人間だ。
 戦闘ばかりでは気が滅入るのも仕方が無いし、疲労だって当然溜まる。


「…どう考えますか?ボーマン中将」
『今、現在会議で議論中だ。しばらく待て』
「了解です」

 予想通り、会議では大きく二つに分かれてもめている真っ最中であろう。時間がかかるの無理は無い。
 大統領がまとめている様子が目に浮かぶ。

「サラお姉さまはどうお考えになりますか?」
「…次元の乱れがこんな形で出てくるとは正直以外でしたわね」
 次元の乱れ…今回の事件の元凶は間違いなくヴィント事変によって使われた究極兵器ハルモニウム。
 時と次元を超越する兵器の使用がこんな形で世界をつなげてしまうとは。
「私はガルデローベに戻って今後の対策を練ります。うまくいけば学園で解決方法が見つかるかもしれません」
「はい。この状況…もしかしたらさらに悪化するかもしれませんね」

『聞こえるか?サラ!』

 GEM通信…相手はガルデローベ学園長であり5柱の一人ナツキ・クルーガである。
「はい、聞こえます。どうしました?学園長?」
『大変なことが起きた。アルタイが…』
「アルタイ?」
 その緊迫した事態にようやっと目を覚ますハルカ。


アルタイ

 炎上する街、逃げ惑う人々。その上を通る巨大な戦艦。
 街に降り立つ巨大な人型兵器。
 そのMSが握るビームライフルから放たれる光は街を吹き飛ばす。
 艦内からそれを眺めるナギ。

「ただいま。僕の国…アルタイ」
352舞乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/06(木) 18:31:31 ID:???
妄想小説第二段です
読みやすくしようとしているんだがどうにも・・・orz
ではまた
353通常の名無しさんの3倍:2007/09/06(木) 19:37:27 ID:???
GJ!
しかしタリア艦長、いくら情報が無いからってどうみても護送中の囚人にしか見えない男の
言うことをきくのはどうかと思うよ。

いや、訳わからん状況に焦ってしまったからだと思いますけどね。
354通常の名無しさんの3倍:2007/09/08(土) 08:27:10 ID:???
職人さんGJ!!
アークエンジェル組はマジでこんなほんわか空気になるんだろうなw
ほのぼのしていていいねえ
逆にミネルバ組(てか正規軍だし仕方が無いが)は生真面目な人が多いから
ああゆう空気になりそうw
お互いのキャラの世界観も違和感なくすごく読みやすい作品ですね
これからも期待しております。

それにしても早くも俺のサラに出番が(*´Д`)ハァハァ
本編の出番の少なさもあって、こうゆう所では活躍して欲しいね
355舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:11:20 ID:???
第三話 復讐の咆哮(前編)〜オトメVSガンダム〜


航海日誌…某月某日

 レクイエムでの戦闘からの転移から随分と時間が経過した気がする。
救助した男は自分を国王といっており、その信憑性は定かではないが、支援物資等を出すことを提言している。
無論、この世界ではすべてを疑って挑むことにしているが、今の状態では彼の言うことを聞かなくてはいけないというものもまた事実である。
今現在もメサイア、およびザフト友軍からの通信は途絶中。
またルナマリア・ホークの容態に関しては健康上の問題ではなく精神的原因があげられている。

ミネルバ艦長タリア・グラディス
356舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:14:16 ID:???

「…寒くなってきたわね」

 タリアは艦長室でパソコンから目を離しつぶやく。
艦内には冷暖房が完備されており、その気温に関しては直接影響があるとはおもえないが…気持ちの問題であろうか。
タリアはパソコン画面を切り替え艦の外の映像を呼び出す。
 そこは真っ白い雪の映像…吹雪の世界。
それはアークエンジェル追撃線のときを思い出す。
あのとき確実に落としていれば、現在のような状況も無かっただろう。
あの艦は今どこでなにをしているのだろう。
私たちと同じく転移されたか、今もあの場で戦っているのか。

「…艦長、失礼します」

「どうぞ?」
 考えを中断し、室内に入ってくるレイ・ザ・バレルを見るタリア。

「直接話したいことがあるっていっていたわね?」
「…はい。今後のことなんですが、我々が救出したあの人物…ナギといいましたか」

 やはり考えていることは皆、同じか…。
タリアはナギを全面的に信用していないとはいえ、艦の進路はナギの言うとおりに動かしている。

「信用がならないのはわかっているわ。
でも、現地人であり、国王といっている彼は救出したか暁には支援物資をだすといっているわ」
「…艦長がそう判断されるなら自分は何も言いませんが」
「レイ、皆が不安になっていることは十分承知しているつもりよ。
でもここで動揺してもはじまらないわ。私たちが出来ることをやっていきましょ?」
 
タリアはそういってレイに微笑みかける。
レイは冷静なその表情を変えずにただ頷く。
357舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:19:47 ID:???
医務室
 そこにはいまだ、眠っているルナマリアがいた。
いやなことをすべて忘れようとしている彼女だが、夢の中に出てくるのはメイリンとシンのことばかり、みんな自分の目の前でアスランに切り裂かれるものばかり。
運命は自分を裏切る。
自分をすべて…。
シーツを握り締める。
彼女の悲しみはやがてすべてを憎しみにへと変えていく。
黒く染まるその憎悪…。
何もかもを破壊してしまいたい衝動。

「…あの子はなんなの?」

 ナギは医務室の前のガラスからルナマリアを見つめる。
「レイと同じMSパイロットですが、負傷して」
 副長であるアーサー・トラインが真面目に説明している。
「…にしてはさ?怪我してるとこは見えないよ?」
「それはですね…戦争の長期化にともなう精神的なものであって…」
 さすがに彼女の前で友人が撃墜されたという言葉はつかいたくないアーサー。
ナギはへーと頷きながら、医務室の中にへと入っていく。
「あ、ちょっと!?」

 アーサーは慌てて彼を追いかける。
なぜ自分がナギの護衛もとい監視なのか…アーサーはほとほと自分が運の無い男なんだなとかんじる。
ナギはこの艦に乗ってからというもの、艦を見て回りたいといったり、乗務員を把握したいといって動きまくりである。
現地人にとって珍しいものもわかるが。
 ナギはルナマリアの診断書を取り出し、それをジロジロと見ながら、ルナマリアを見る。
そこでナギは彼女の血液の検査結果を見て目がとまる。

「…ねぇ?君たちってさ。みんなこの血液なの?」
「え…はい。我々はコーディネイターというものであって、普通の人間とは違います。いろいろと改良を加えた、新しい人類なんです」
 アーサーはこのとき、ナギがなにを考えているのかさっぱりわからないでいた。
ナギは眠っているルナマリアを見る。

「おーい。えーっと…ルナマリアちゃんだっけ?起きてる?」

「ちょっと!やめましょうよ!ナギ大公。こんなところ艦長に見つかったら僕まで怒られちゃうんですから!」
 寝ている病人を無理に起こそうとしているナギをとめようとするアーサー。
ナギの声に悪夢から目を覚ますルナマリア。
358舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:22:26 ID:???

「うわぁあ!!」

 ルナマリアは飛び起きると、目の前にいたナギを床に押し倒し、首を絞めようとしている。
さすがに慌てたアーサーが必死になってルナマリアをナギから離す。
「お、落ち着いてルナマリア!ここは誰も君の敵はいないよ。君の敵は…」
「…私の敵…」
 ルナマリアはふたたび、力を失った状態でその場に倒れる。
 大きく咳き込むナギ。
だがその表情は苦痛には満ちていない。
むしろ楽しみが増えた…。
いやこれから楽しめるという、その楽しさに満ちた表情。

「…ピースは揃いつつあるね」

『ナギ大公、アーサー副長、目的地にそろそろ到着します。すぐに艦首までお越しください』


アルタイ

 北方の軍事大国であるこの国は貧しい中、ナギ・ダイ・アルタイの富国強兵政策の中貧しいながらもその領地を拡大し続けてきた国。
だが先のヴィント事変により敗北したこの国はオトメ要請学校でありオトメの力を司るガルデローベから派遣された5柱の一人破弦の尖晶石であるジュリエット・ナオ・チャン
そして彼女が率いるシマシマ団により間接的に政治が行われてきていた。
軍隊の一部解体などの措置がとられた。
ナギの近衛隊や陸軍の一部は地下にもぐりナギ・ダイ・アルタイ奪還を求めテロ活動にへとはいっていた。

シマシマ亭(平和維持軍本部)

「はぁー…なにこれ?全部見なきゃいけないわけ?」
 バーのような薄明かりのその場所には部相応な白い分厚い紙の資料が置かれている。
「みたいですね…」
 ピンクとシロのシマシマの服を着た屈強な男たちがナオの前でその分厚い資料をまとめながら答える。
イスの上ではそんなことを知ってかしらずかネコのミコトが気持ちよさそうに眠っている。
ナオは大きくため息をつきながらその資料を見る。
・アルタイ陸軍近衛師団隊編成表
・アルタイ今年度予算
 またなんとも頭がいたくなりそうなものだ。
こんなものまでチェックしなきゃいけないのだろうか。
ナオはここに来る前のときの学園長ことナツキ・クルーガーを思い出す。

「あの地はお前の生まれ故郷だ。部外者である我々では抵抗もあるかもしれない。無用なトラブルはなるべく避けなくてはいけないからな。
基本、仕事さえ行ってくれれば行動は自由だ。好きにするといい」

359舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:24:39 ID:???
これではその自由行動もいつの日になることやら…。
ナオは大きくため息をつく。

「へ〜さっそく、げんなりしちゃってるわけ?」
「げっ!?あんたは…マーヤ・ブライス!?」

 それは頭に白いターバンを巻きそして褐色と金髪が特徴の5柱、怜踊の蛍石である。
もっといえばナオのひとつ上のパールお姉さまであった人である。

「手伝いにきたよ。新人のあんた一人じゃ大変でしょうしねー。それにこれ学園長からの直々の命令って奴だからそこんとこよろしく」

 マーヤはそういいながらシマシマ団の一人に飲み物を勝手に注文している。
ナオはさらに機嫌の悪そうな顔になりながら頬づえをつく。

「オトメ取締りのあんたがきたってことは私の監視ってとこ?信用ないねー」
「そんなんじゃないって。本来ならアカネとカズ君陛下のとこについてなきゃまずいんだけどさー。
新人にはきついお仕事でしょ?今はかわりにシズルがいってくれてるわよ。シズルは女相手なら誰でも食べちゃうだろうからあの二人も苦労しているんじゃない?」

 そういうマーヤはすごく楽しそうに話をしている。
ナオは5柱が学園長以外、みんなSの軍団であるということを確信した。
しかも自分はその一人に見張られている立場になるということだ。
トモエ・マルグリットあたりなら言いくるめられるが、さすがにこの人では…。

「…5柱がこうして二人そろっているとなんだか壮観だな?」

 眼鏡をかけ、薄いひげを生やした細長の顔の男。
ヴィント事変では裏でさまざまな情報を仕入れ、手引きをした男。
名前はヤマダということ以外は正確な情報はない。
彼もまたその豊富な情報能力を見込まれてシマシマ団とともにアルタイにへと渡ってきた。
「ちっとも嬉しくないわよ。ヤマダッチ」
「もっと歓迎しなさいよーナオ?久しぶりの感動の再会ってとこでしょ?」
 ヤマダはいつも場を仕切っているナオが慌てているその図を面白くみながら二人の後ろのソファーに座る。
「…アルタイ公家は基本、歓迎ムードにあるといったところだな。ナギ大公によって謀殺されたと思われる兄弟たちの家族が今後の政治運営について多少もめているようだが」


 突如大きく揺れる建物…。
「なに?地震?」
 マーヤがナオを見る。ナオは首を横に振り
「ここには断層って言うのは遠いって無いんだよ」
「…人為的なものってわけね」
 二人は建物の外に飛び出す。
白く振り続ける雪の中、あたりを見回す。
だが視界の中にはなにもはいってこない。
見慣れた町だけ。だがその彼女たちの目的物はすぐに見つかることになる。
360舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:29:43 ID:???
『あーあ、聞こえるかな、アルタイのみなさん?』

 その声は忘れもしない。ナギの声…。

そしてその声のするほうを見てナオとマーヤは驚きを隠し切れなった。
今まで見たこともない巨大な戦艦がそこには浮かんでいた。

『驚いてくれているかな。僕がいない間お留守番ご苦労様〜』
 戦艦はそのまま黒曜宮、彼の城にへと向かう。

「のこのこと帰ってきて…このままあいつの好き勝手にさせるわけには行かないんだよ!」
「ナオ?ちょっと!」
 マーヤの制止を振り切りナオは前に出る。

「5柱のW、破弦の尖晶石、ジュリエット・ナオ・チャン…真祖様の名の下に」

「マテリアライズ!」

 ナオの身体が赤く輝くと、そのローブが彼女にへと降り注ぐ。
緑の色をベースとした蜘蛛のマーク。巨大なクローを装備したオトメのローブだ。
「…ヤマダッチ、もしものときの備えてあんたはあの子たちを!」
「わかった。無茶はするなよ」
 ヤマダッチはそういって雪の中、どこかにいってしまう。
マーヤは勝手気ままに動く人物たちに大きく吐息をつきながら、飛び立っていくナオをおいかける。
361舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:31:24 ID:???
ミネルバ艦内
「艦長、撃ってきます!!」
 平和維持軍の部隊がその巨大な戦艦に対して攻撃を仕掛けている。それもそのはずだ。
なぜならあの艦には戦争犯罪人のナギがいるのだから。
しかし、空を飛んでいるものにたいしての地上からの砲撃ではミネルバにたいしてダメージらしいダメージを与えることは出来ない。
「対空防御。これはどういうことですか?ナギ大公!?」
 タリアは視線を隣にいるナギにうつす。
「おかしいな。…僕が留守の間に革命でもおきてしまったのかもしれないね」
 タリアはその言葉を信用できない。わざととしか思えないからだ。
「僕の国だって一枚岩じゃないのさ。とりあえず城につけてよ?そうすれば話はすぐに済むんだからね?」
「我々はあなたの軍隊ではないのよ?」
「わかっているさ。でもこのままだと、この艦が落ちちゃうかもしれないじゃない?」
 時既に遅し…このまま城に艦をつけるとすれば、地上にいる部隊からの猛攻を受けるのは必死。
 物資もつきかけているこの状況では引くに引けない。
 このナギという男のいいように我々は動かされたというのか?
「…レジェンドの発進準備を」
「了解。レイ・ザ・バレル機、レジェンド発進準備」
「…じゃ、僕は先に城にいってくるよ。すぐに戦闘は終わらせるからさ。あー、あと一人借りていくね?」
 そのままナギはその場から出て行く。
 ナギの言葉の意味など考えている時間は無い。今はなんとしてでもこの状況を打破しなければ。すでに艦は地表すれすれのところまで降下している。
「総員、第一種戦闘配置、迎撃する。タンホイザー準備!」
「艦長、あれを撃てば…」
 アーサーがすぐに反応する。あんなものを撃てばここらへん一体は壊滅する。一般市民も巻き添えだ。
「あくまで威嚇用に使う。あれを撃てば向こうの抵抗も収まるでしょう」
「…了解」

 一方、上空で出撃したレジェンドは砲撃する敵艦にビームライフルを発射、敵の戦闘力を削いでいく。
「…撃墜するなという命令も難しいが…だがMSがいないならばどうにかなるか」
だがそんなレジェンドに迫る一つの閃光。

「!?」

 レジェンドはその攻撃を避ける。
 前にいる一人の人間!?
 さすがのレイも宙を浮く人間に驚きを隠しきれない。
 モニターを最大望遠にしてその姿を把握する。
 そこにいるのは一人の女子。
 おかしな格好をしている…シンあたりが見れば呆然として操縦桿から手を離してしまうかもしれないだろう。
362舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:34:19 ID:???
「新しいスレイブかなんか知らないけど、これ以上はやらせないよ!」
 ナオはクローから赤い蜘蛛の糸のようなワイヤーを放出し、目の前の人型機動兵器に攻撃を仕掛ける。

「こんなもの!」
 ビームサーベルでそれを切り裂こうとしたレイだが、ビームサーベルはそのワイヤーに巻きつかれ、まったく動けない。
 切り払うことさえ出来ない状態だ。

「なに!?あの…武装はMSを凌駕するというのか?」
 レイは空いている腕を使いビームライフルを放つが、大きさの違い、ナオは易々とそれを避ける。
「子供の遊びじゃないんだよ!!…そこのでかいの!!」
 ナオはクローで接近し、レジェンドを切り裂く。満足な防御も出来ずそのまま雪山に突っ込むレイ。
「落着します!!」
 ミネルバがゆっくりとその雪の地表に降り立つ。これで勝負はわからない。
 敵艦の武器はだいたいレジェンドが無効化させたものも。そのレジェンドは今まさに…。

「レジェンド押されています!」
 オペレーターの声が聞こえる。
 タリアは目の前で行われている戦闘に目を疑うしかない。人間がMSと戦闘し、しかもMSを圧倒しているのだ。
「インパルスは?」
「ダメです。ルナマリア・ホークの現在の状態では」
「くぅ…」
 ナオはレジェンドを一蹴するとこちらにへと向かってくる。
 機銃で応戦し接近こそ許さないものも。それこそ時間の問題だ。

 レイは雪山に埋もれたレジェンド内で不甲斐ない自分にイラついていた。
 こんなところでしかもあんなふざけた人間に遅れてなどいられない!
「こんなところで負けられるか!」
 倒れていた雪山から飛び出し、艦の周りを飛びまわるナオに体当たりを食らわすレジェンド。
 ナオはそのまま地面に叩きつけられる。
 代わりのビームサーベルを取り出し、臨戦態勢をとるレジェンド。
「さすがに…これで」
 だがレジェンドの予想は覆ることになる。
「…少しはやるじゃない?」
 ふたたび宙に飛ぶナオ。ほとんど無傷だ。
「化け物め」
 レイは画面を見ながらぼやいた。

「これで…とどめだよ!」
 ナオの耳のGEMが輝く。だが瞬時、ナオの後ろから強烈な一撃が加えられ、そのままナオはふたたび雪山に突っ込む。
 雪山にはクレーターのようなあとがのこる。
「あれは!?」
 戦闘の様子を伺っていた5柱のマーヤはその現れたものを見て驚愕する。
 マーヤだけではない、それはミネルバクルーにとってみても驚きであった。

 赤黒く輝く鎧のようなそのローブ、そして握られている巨刀。乱れる赤い髪…。
「運命の黝廉石…ルナマリア・ホーク、いきます!!」
 ルナマリアの巨刀が地面に倒れているナオに向けられる
363舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/08(土) 17:35:44 ID:???
以上です。

長いのと読みにくいのはなんとかしようとおもっているのですが
そうするとさらに幅を取ってしまうわけで
すみません
364通常の名無しさんの3倍:2007/09/08(土) 23:30:21 ID:???
>>363
GJです。
ルナマリアって処女だったの?
ナノマシンはどうしたの?とか乙HiMEとしての訓練無しでいきなり実践はどうなの?とか
いろいろ疑問は湧きますが、ルナがカコイイから許す
運命の…よりは衝撃の…の方が良いかなと思ったけど、衝撃と来るとアルベルトが出てきてしまう
365通常の名無しさんの3倍:2007/09/09(日) 09:31:09 ID:???
まあシンと既にヤッてるというのは原作からだとあり得なさそうだし、一応軍人として格闘術の心得ぐらいはあるだろう
それにアリカなんて飛行訓練すらやってないのに、いきなり蒼天のマイスターローブをある程度使いこなしてたし
366通常の名無しさんの3倍:2007/09/09(日) 09:42:15 ID:???
アヤネ編を読むとどれだけアリカが化け物かわかるなw
367舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:12:31 ID:???

第四話 復讐の咆哮(後編)〜ふたりのオトメ〜

 そこは寒い場所であった。
 その寒さに目を開ける…。
死んでいるのか生きているのかもわからない。
そこには一人の男子がいた。彼は私に話しかける。

「君が失ったものはきっとかけがえのないものなんだろうね。でもここで寝て忘れようとしてもそれは無理さ、現実は変えられない。
だけど未来なら君には変える力が残っている。僕が君に力をあたえるよ。これを耳につけて…」

 彼の話し方は、何かひきこまれるものがあった。何日も現実から目をそらしてきた私にきちんと話しかけてくれた最初の人。
「…未来を変える力…私に…」
 私に力は無い。
 ずっとそう思っていた。
 レイは天才だし、シンのライバルでありたかった私もいつしかその差はかけ離れたものになっていて。
 私に力が無いからシンやメイリンを失った。
 それが原因。私にはMS乗りとしても才能が無い。
 でも、これに乗らないとみんなを守れない!守りたい…これ以上、もう何も奪われたくない。

「…ルナマリア・ホーク、汝の力を解放する。さぁ唱えるんだ。運命を変える力を解き放て…」

「…マテリアライズ」

 光につつまれルナマリアはその場から飛び立つ。

赤黒く輝く水晶のように透き通った鎧。
それによって胸元が見えそうになっている。
握られるのは長くその大きさはルナマリアと同じぐらいだ。

 ナギはその様子を眺めながら座りこむ。
「…血液検査を見たときは驚いたね。彼女に流れている血がオトメに必要なナノマシンがあったということ。
 さすがは普通の人間ではない、新人類と名乗るだけはあるね」
 赤黒いオーラに身を包んだルナマリアはさしずめ悪魔のようなものに見えるだろう。
368舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:14:01 ID:???
「あ、みんなありがとね?」
 そこにはルナマリアを連れ出すことに協力したヨウランたちが疲れて倒れている。

 力がみなぎる。
 私の怒りや憎悪がそのままこの身体をとおしてエネルギーになっていく気がした。
 いつの間にか握られていたその巨大な剣は今の私の気持ちにぴったりだ。
 レイがやられている。
 相手はあいつ…。
 あいつも私の前から人を消そうとしているの?ならばあいつは敵…。私の敵なんだ!!
 吹き飛ばす…白い雪の下、無様な姿で倒れている。
 容赦はしない…止めを刺してやる。
 もう動けないようにして…。

「させないよ!!」

 後ろからの強烈な衝撃に、ルナマリアはバランスを崩し、宙を回転する。
 まだ戦闘に慣れていないルナマリアにとってみてバランスを維持するのも容易なことではない。
 後ろからのルナマリアに一撃をくらわせたのは5柱マーヤ・ブライスである。
 マイスターローブを着たマーヤは地面で倒れて気を失っているナオのもとに駆けつけ、かつぎあげる。

「逃がすかぁ!!」

 ルナマリアは巨刀を向ける。
 それと同時にGEMが輝き、その剣先から巨大な光の弾が放たれる。
 それはマーヤのいる場所にへとまっすぐにへと飛んでいき、巨大な閃光となってあたりを包み込む。
 爆音と光が周りを照らした。
369舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:15:56 ID:???
アルタイ公国…黒曜宮

「僕がいない間、勤めご苦労だったね」

 ナギ・ダイ・アルタイは以前着ていた大公の服にへと着替え、慣れ親しんだ大きなイスに腰掛ける。
 その彼の前にいるのはナギ親派の軍隊である。
 そして彼の指輪にあるのは黒く染まったGEM。
「…それで確か補給物資、世界への帰還の件だったね」
 ナギの前にたち帽子をとるタリア・グラティスとレイ・ザ・バレルに話しかけるナギ。
「その前に、聴きたいことがあります」
 タリアの表情はあきらかに怒りに満ちたものであった。
 それもそうだろう。
 ミネルバクルーを拳銃で恫喝し無理矢理、ルナマリアを医務室内から運び出した挙句、ルナマリアを現地の技術で武装させ戦闘させたのだ。
「そう怒らないでよ。あーしなかったらやられていたのは君たちのほうだったのかもしれないんだしさ?」
「そういう風に仕向けたのはあなたでは?」
 戦闘を煽ったのはナギであろう。
 そうでなければこうして戦闘に発展する必要は無かった。
 こうなってしまっては既に遅いのだろうが。
「なら、どうする?僕らの支援なしにこのまま帰ってみる?」
 ナギはバカにしたような笑みを浮かべたままタリアを見下す。
「貴様!」
 レイは銃をナギに向ける。周りにいた兵士も一斉にレイに向けて銃を向ける。一触即発の状況だ。
「やめなよ?僕を撃てば、彼女も死ぬことになる」
「デタラメを!」
「…このGEMっていうのはオトメとマスターを結ぶ、いわば契約みたいなものでさ。これがある限りオトメとマスターは一心同体。
 彼女が傷つけば僕も傷つく。僕が傷つけば彼女も傷つく。意味わかるかな?だから僕が死ねば、彼女も、当然死ぬ」
 レイの元にゆっくりと近寄るナギ。
「…これ以上、仲間を失いたくは無いだろう?君たちも…」
 レイの銃を握る力が弱まる。
「ルナマリア・ホークは私たちザフト軍の一員です」
「…わかっているさ?でも僕のオトメでもある…わすれないでよね」
 タリアとレイは何も言い返せないまま、その場所を去る。ナギは笑みを浮かべたままイスに戻り腰掛ける。
「…陛下。今後は?」
「そうだね。とりあえず当分は様子見かな。あの設計図を例の連中にも見せてあげないといけないし、
 僕がいない間に好き勝手やってた奴にお灸もすえないといけないしね」
「あの戦艦は?」
「補給はきちんとしてあげてね。彼らにはまだまだ役に立ってもらわないといけないんだから」

 ナギの野望など知る由もなく、ベットの上で眠るルナマリア。
 自分が空を飛び、剣を握ってMSでは絶対に出せないようなそんな破壊力を持つ力を発揮したなどということは今の彼女にとって見れば夢のような出来事だった。

370舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:18:29 ID:???
ミネルバ艦内
 重く静まり返った艦内では約束どおり、アルタイ軍からの補給物資が行われていた。
 指示は副長であるアーサーが行っている。
 皆、業務は行っているものも、その表情は暗く、やりきれないものがあった。これから自分たちはどうなってしまうのか、そんな漠然とした不安があった。
 ルナマリアはまだ黒曜宮から戻っては来ない。いや戻ってくるのかどうかも定かではない。
 レイはコクピットにのって点検を行っている。
 一見、彼はなにもかわっていないように見えるが、だがやはり動揺をしているのだろうか、どこかいつもよりかはイラついている感じがする。
 
タリアは艦長室にはいったきりだ。

「…私は、部下を守れないのね…彼女になにもしてあげられなかった」

 かすれた声で暗い部屋に声が漏れた。

 弱音を吐くつもりなど無い。

 だけど…今回ばかりは。
 まったくわからない場所に来て、そして利用された挙句、仲間を人質同然として捕らえられるなんて。
 危険性は重々承知していたのに。なのに…。


 ガルデローベ、地下研究室
 オトメ同士の戦闘が行われたということで学園長でもあり5柱でもあるナツキ・クルーガは情報を集めることに全力を挙げていた。
 またナオとマーヤの応答がなくなったことからガルデローベは防衛体制に移行。
 残っているサラ・ギャラガー、シズル・ヴィオーラをガルデローベに召集させるよう指示する。
「…ナオとマーヤからの連絡は?」
「まだ、ありません」
 イリーナはGEM通信で呼びかけ続ける。
 通信が途絶してもう二日になる。
 各国の状況はまだ混乱しており、情報も錯綜している。
 アルタイでは既に防衛体制にはいっており、むやみに近づけない状況だ。
 ナツキは5柱二人を任せて、この状況に陥るとは想像もしていなかっただけに、それだけこのGEM反応に出ているロストGEMの所有者が誰なのか気になる。
 ロストGEM…かつて行われた竜王戦争や、それ以前の戦争で消失したGEM。
 それぞれ希少価値は高く、しかもその力はどれも強力なものだ。
 だが取り扱いは勿論、オトメとしての要素であるナノマシンを体内に持ち、そして純潔であるもののみがそれを使用することが出来るのだ。
 しかもオトメであったものはすべて、登録されているのだから、使用者がいればそれが誰なのかすぐにデータとして割り出すことが出来る。
 だが、今回はそれがない。こんなこと今まで無かった。一般人が使用したなんていうことはありえないのだから。
「しかも、まさかあのGEMだというのか…」
 ナツキはアルタイの国に映し出されているそのGEMを見つめる。

運命の黝廉石…漆黒の金剛石と並んで忌まわしき記憶を持つ石

 その昔、竜王戦争以前に行われたハルモニウムをめぐっての各地の戦争。
 そのときにオトメが使用したGEMのひとつ。
 ハルモニウムがオトメの心とともに絶望と憎悪によって黒く変えてしまったGEMである。
371舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:20:32 ID:???
「…それにしてもサラのいっていた異邦人の戦艦というのも気になるな」
 エアリーズに突如、現われた巨大戦艦。その戦力は未知数であるということ。
 話し合いを行ってはいるようだが…エアリーズだけで収められる話ではないのかもしれない。
 これもハルモニウムのせいだというのか。
 究極兵器ハルモニウムの残り火がまだこうして残っているとは…。

「学園長!!」

 それは研究主任のヨウコ・ヘレネだ。ナツキは考えを中断させヨウコのほうに視線をやる。ヨウコの隣にいる人物にナツキは一瞬、言葉を失う。

「ニナ、ニナ・ウォン…」

「お久しぶりです。学園長」

 ニナ・ウォン…かつて漆黒の金剛石を用い、アルタイのナギ大公に利用されハルモニウムを使用し世界を壊滅寸前までおいやってしまったオトメ。
 今は彼女の義父であるセルゲイ・ウォンとともに各地を転々としていたはず。

「…アルタイにいました。あの地は私たちにとってやはり最初の場所でしたから。でも…」
「いったいアルタイでなにがあったんだ?」
「空を飛ぶ船、それと大きな人型の機械人形によるアルタイ攻撃、ナオお姉さまたちはそれらと戦ったとのことです」
 空を飛ぶ船、巨大な人型機械人形?新しいシュヴァルツのスレイブロードか?
 ナツキはさまざまな場合を把握しながら話を聞く。
「私はただ逃げることしかできませんでした。ナオお姉さまはもしもの場合と私たちをアルタイ国外まで脱出させてくれる手はずまでしてくださったのに…」
 ニナの話を聞く限り、ナオの意外な優しさが垣間見える。いや、元々はそういうところがあるんだろう。ナオも…。だからこそ、今通信が無いというのが心配だ。

「私に、もう一度オトメとして戦わしてください!」

 ニナはナツキに訴える。
「私は、恐れていました。オトメを…。そして自分が起こしてしまったことを。
 だけど…いえ、だからこそ。オトメとして、やれるべきことをしたい。大切な人を守りたい…私にその力が残っているなら…」
 
ニナは知らず知らずのうちに握り締めていた。
昔コーラル時代のとき三人でとったあの写真のはいった時計を…。

 自分が愛する人のために、してしまったこと…。
 大切な友人をこの手にかけてしまったこと…。
 エルス…。
372舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:25:00 ID:???
ニナの訴えかける、その表情は以前とは違っていた。
いろいろなことを経験し考え、悩んだ、そして自分の中で答えをだした。
今のニナには迷いは無かった。
「…だが、私がお前に渡せるGEMは…。それにニナ、お前まだ処…」
「…」
 ジーっとにらみつけるニナ。
「コホン…。だが我々がお前に渡せるGEMは」
 ニナは荷物からあるものを取り出す。
「これは!」

彼女のあけた箱…それは緑色に輝くGEM

「…海神の翠玉、ナオお姉さまがもしものときと私に託していたものです」
「ナオのやつ…勝手なことを!」
 今まで褒めていた自分がバカらしくなり怒りに満ちた目で肩を震わすナツキ。
「学園長!お願いします!」
 ニナは頭をさげ、ナツキに頼み込む。
「だが、マスターがいないことには…」

「話はすべて聞かせてもらったぞ〜!!」

 その声に振り返るナツキ、ニナ。
 扉をバーンとあけたそこにいたのはヴィント女王マシロ・ブラン・ド・ヴィントブルーム、そしてそのマイスターオトメのアリカ・ユメミヤ。
「ニナちゃん…ニナちゃーん!!」
 アリカは潤んだ目でニナの元に駆け寄る。
「…アリカ」
 ニナもまたその懐かしい友人の姿にどこか安堵した表情を浮かべる。
「どういうことですか?マシロ女王」
 ナツキは突然現われたマシロを見る。マシロはニナのほうを見て
「ニナ、わらわと契約しろ!」
「え?」
 ニナは驚いた表情でマシロを見る。
 マシロはそんな驚いた顔をしているニナを見たまま
「マスターがほしいのじゃろ?わらわがなってやる!それでいいじゃろ?学園長」
「そんな!いきなり…」
 ナツキが何か言おうとするが、

「…ありがとうございます!マシロ様!」
「うむ。アリカばかりではちと不安での。そなたがいてくれるといろいろ助かる」
「ひっどーいマシロちゃん…」

 久しぶりの三人のそのごちゃごちゃと騒がしい三人の声がそこには響き渡る。
 ナツキはそんな三人を見て、何もいえなくなってしまっていた。ヴィント事変以来、決して見ることのなかった三人の再会。
 よく見るとアリカとニナに関しては涙を頬からつたわらせながら笑い合っている。
 そんな光景をみれば…誰だって三人には話しかけられない。
 ガル教授の隣でイリーナも眼鏡をとって涙をふいているのが見えた
373舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:28:07 ID:???

「ようし!決まったのなら話ははやいぞ!学園長、各国の代表をあつめてすぐに対策会議じゃ!
 このまま、また世界を戦争に巻き込むわけにはいかないのじゃからな。行くぞ!!アリカ、ニナ!」
「はい!」
「うん!」


 勇気が願い〜かなえるのよ

 DO YOU MY BEST

 負けないように進みましょう〜♪
374舞-乙HiME×SEED DESTINY:2007/09/10(月) 16:30:23 ID:???
第四話終了、舞乙のノリが少なかったから・・・。
ということで以上です。
あと多少見やすくなったと思う。
375通常の名無しさんの3倍:2007/09/12(水) 07:03:35 ID:???
gj〜
376通常の名無しさんの3倍:2007/09/13(木) 10:53:46 ID:???
この話、どういう結末になるんだろう
即席マイスターのルナだけじゃ圧倒的にミネルバ側戦力的に不利だし、さらにAA側もガルデ側っぽいし
シンも生死不明だから、まあ単純にミネルバ倒してナギ再逮捕して終わりではないと思うんだが
377舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:00:47 ID:???
第五話 黒きオトメ覚醒〜エアリーズ海戦〜


「…」
 目を閉じ、そのお墓の前に立つニナ。
 その場所はガルデローベ敷地内にあり、よくみんなで昼食を食べた場所…。
 一年もたっていないのに、もう数年前のようにかんじてしまう。
 お墓を前にしてニナは中腰になって、お墓と対面する。
 後ろにいるアリカとマシロは黙ってその様子を見つめる。

 誓い

 二度とあなたのような人を生み出さない。

 私達の戦いを決して無断にしてはいけないから

 だからエルス…。


 ヴィントブルーム
 ガルデローベ…議事堂
 今回の一連の騒動で、各国の大臣たちやその代理たちが一応に集まっていた。
 アルタイの奪還、そしてエアリーズに現われた謎の戦艦。ハルモニウムの残り火における協議が今まさに始まろうとしていた。
 議事堂の議長席には、学園長ナツキ・クルーガ、補佐にはシズル・ヴィオーラ、サラ・ギャラガー。
 エアリーズからはユキノ・クリサント大統領そして准将ハルカ・アーミテージ
 カルデアからはカズヤ・クラウゼフ皇帝とアカネ・ソワール。
 アンナンからはグエン王とアイン・ルー。
 フロリンスからはフロリンス王とロザリー・クローデル。
 ルーテシア・レムスからはレムス王とラウラ・ビアンキ。
 ルーテシア・ロムルスからもロムス王とカーラ・ベリーニ。
 ヴィントブルームからはマシロ女王とアリカ・ユメミヤ。

「では、これからオトメ条約機構特例C項に基づき臨時の緊急会議を行います」

378舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:02:19 ID:???
エアリーズ国境付近

 アークエンジェル周辺はいまだに監視体制に置かれている。
 エアリーズデルタオトメ隊が待機し、その後方には万が一の事態に備えエアリーズ共和国陸軍が待機している。
 その状況をただ眺めているだけのアークエンジェル艦内。

「…あれからもう5日が立つわね」
 マリューはかわらない風景を眺めながらつぶやく。交渉中の一本の電話で、交渉は中断、それ以後向こうからの接触は無い。
 なにかあったと考えるべきだろう。
 だが、この五日間向こうからの攻撃等は無い。一体どうなっているのだろうか検討もつかない。

「それでも、いい休暇になっているのは事実だろうね」
 コーヒーをマリューに渡すバルドフェルドの服装は私服である。相変わらずいいセンスとは言いがたい趣味の服ではあるが。
「…みんなの適応力には驚かされます」
「そうはいっても僕らは結局、閉じ込められたままだからね。あんまり変わらないんじゃないかな?」
 マリューはいつにもまして静かなこの様子を見ておもわず、いつもの騒がしさが聞こえないことが寂しいなと思ってしまった自分に笑ってしまう。

アークエンジェル内

「これで終わりだよ」
 トランプを落として何も無くなるキラ・ヤマト。
「こういうときにだけ無駄に強いなお前は」
 こういう遊びのとき限って負けず嫌いを発揮するキラを見て、アスランは言う。
「勝たないと面白くないじゃない?」
「だからといって、負けたものには罰ゲームっていうのが…」
 アスランは前を見る。
 そこには先ほどから惨敗して罰ゲーム争いをして受けているカガリとメイリン、ミリアリアの姿があった。
 三人ともいわゆるコスプレという格好をさせられている。
 メイド服に運動服のブルマ姿、そしてここの世界で調達したオトメというもののコスプレだ。
「なんで私がこんな目にあわないといけない!!」
「いやー!!また負けた!」
「あ、アスラン!見ちゃダメです!」
 三人は顔を真っ赤にしたり、逆切れしたり、顔を隠したりして必死になっている。
 アスランはいまのところまだ運でなんとかなっているが、これ以上やれ自分自身も何をされるかわからない。
「みなさんかわいらしくて素敵ですわ。お持ち帰りしたいくらいです」
 ラクスは圧倒的な強さで勝ち残っている。
 なにかしているんじゃないかと思ってしまうわけだが…。
379舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:04:07 ID:???
「…それにしても、俺たちはこんなところで、こんなことをしていて平気なのか?」
 アスランはふと自分が、今の状況を忘れかけてしまっていることをふと思う。

「そうはいっても、今私たちがやれることは少ないし、下手に動けば無用な混乱が生まれる。そんなことは誰も望まないだろう」
 カガリはメイド服姿で真剣な表情で喋っている。なんという違和感…。

「…私たちがいない間も、レクイエム付近では戦闘が続いているのかしら」
 水着のミリアリアの言葉にメイリンの視線が落ちる。

 彼女の姉はザフト軍として戦っている。
 少なくとも、あの光に飲まれるまでは。

「…大丈夫だ、メイリン。ルナマリアは強い。運もある。だから大丈夫だ」
「アスラン…」
 メイリンはアスランを見つめ、身体を寄せようとするがカガリににらみつけられアスランが拒む。
「それに、休めるときに休んでおかないとあとで大変じゃない」
「…そうだな。たまには休暇も必要か」
「じゃあ!部活の続きをしようぜ!」
「キラ…お前キャラが違うぞ」


ヴィントブルーム議事堂

「賛成票4、反対票3票…賛成多数でこの議案は可決されました」

 その言葉にユキノ大統領の表情は曇る。やはり賛成多数はとれなかった。裏工作をする時間が無かったとはいえ、これでは無用な戦闘が起こるというもの。
「…我々、フロリンスはすぐにでもオトメ騎士部隊をエアリーズ海に送り、異邦人をまとめて確保する準備がある。相手に時間をあたえては、またその科学力を手に入れようとする国が現われるかもしれませんしな」
「…第二、第三のアルタイのようなことは誰も望んではいない。アルタイに対するけん制もかねて、早期に実施することが懸命ですな」
 フロリンス等のいうことももっともな意見だがその狙いはエアリーズの異邦人の科学技術独占を防ぐ必要があるのだ。

「…待ってください。彼らを刺激をする必要があるのでしょうか。ヴィント事変以後、オトメ削減という中、拡大しつつあるこの状況下で、再び争いなどを起こせば、それこそアルタイの思う壺。
 私たちはもうあのような戦争を起こすわけには行かないのです」
「そうやって彼らを抱きこむつもりですかな」
「異邦人の科学技術がほしいだけではないのか?」

 疑心暗鬼…
 ナツキはその言い争いをただ黙って聴いていることしか出来ない。だが、今の状況下でこのようなことをいっているようではそれこそ、本当にナギの思う壺だ。
 ナギに時間を与えれば、それこそヴィント事変以上の混乱が起きてしまうのだ。
 事実、ナギにはそれを行えるだけの力を手にしているのだから。

 各国の代表の言葉をユキノの隣で聞いていたハルカが何かいいたげな表情でイライラしている。
380舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:06:28 ID:???
「…わかりました。これは決定事項です。
 明朝、我々エアリーズにいる異邦人艦をオトメ条約機構軍に委任し、それ以後の行動に関しては各国にお任せします」

 こうして休憩が挟まれた。
 フロリンスやルーテシア・ロムルスでは国王が既にオトメ部隊の派遣を国内に通達している。それを見つめるユキノもまた携帯電話に手を伸ばす。
「ユキノ、あんたまさか本当に、あいつらを見捨てるの?」
 そんなユキノの隣で声をだすハルカ。

「…状況判断から見て、彼らがアルタイの異邦人と同系列の艦ということからアルタイと通じている可能性は否定できないし。
 それに…あの科学技術が他国に利用されれば、それは竜王戦争以上、十二王戦争時代に戻ってしまう。それだけはさけないと」
「…ユキノがそういうなら私は何も言わないな。でもあの乗組員たち、嫌いじゃなかったけどね」
 ハルカはそういってそれ以上、今回のことについて意見はしなかった。ハルカは実際乗務員たちと会話をしている。
 その彼女がそういうのだからきっと悪い人たちではないのだろう。
 もし彼らがスパイではなく味方になってくれるならば、それはアルタイの異邦人の艦を倒せる鍵になるかもしれない。
「…エアリーズ、ユキノ・クリサントです。ボーマン中将をお願いします。はい、デルタオトメ部隊に…」


 翌日

 その日、エアリーズ国境海岸付近にはオトメ条約機構軍に加盟するオトメ部隊が配備されていた。
 万が一の抵抗に備えたための部隊とはいえ、かなりの数である。
 主な部隊はフロリンス、先頭にいるのはロザリー・クローデル、その後ろにはシホ・ユイットもいる。

「…シホさん、わたくしの邪魔だけはしないでくださいよね?」
「勿論ですわ。ロザリーお姉さまも年なんですからあんまり無茶はしてくださらなくて結構ですからね〜」
 目が笑っていない二人のやり取り。後方には今回の作戦の5柱としての補佐、サラ・ギャラガーが待機している。

「…あんなのでミッションリーダーが務まるのかしら」
 同期であり、よく知っているサラにとってみてロザリーがリーダーというのはいささか不安を感じるものである。
 アインお姉さまたちもいるし。どうにかなればいいのだが。
 彼女たちの部隊の一部が異邦人艦に接触、その艦をそのまま確保することに今回の作戦はあたる。
「…作戦開始時間ですわね。第一先発隊は、ターゲットに接触しますわよ」
 フロリンスのロザリーの号令の元、部隊が動き出す。

 その状況は、各国のカメラによって生中継されている。
381舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:09:09 ID:???
ヴィントブルーム城
「…うまくいけばよいが」
 マシロ女王はヴィントブルームでその光景をただ見ていることしか出来なかった。
 反対票を投じた彼女の考えも無理な摂取では争いが起こると考えたからである。
 最後まで抵抗をしようと試みた彼女も、ヴィント事変で各国に助けられたということもあり強く言うことができないというのが、正直なところ。
「なんでマシロちゃんは何も言わなかったの?」
 そういうアリカにマシロは説明するのが大変であった。
 だがニナの口添えもあって今はおとなしくしている。
 ニナはやはり公の場でその姿を出すわけには行かない。
 ヴィント事変での件もあるが、それ以前にニナが本当に必要なときは、今ではない。

アルタイ…黒曜宮
「…やっぱりもう一隻、他の艦もこっちの世界に紛れ込んできてたみたいだね」

 テレビを見つめるナギ。
 ある程度は予想をつけていた。一隻だけではないはずだと。それが他の諸外国と接触するであろうということも。
 だが、結局彼らはこういった方法でしか手にすることが出来ない。それもナギにはある程度予想がついていた。

「あんなことをして、いろいろと抵抗されたらどうするつもりなんだろうね?もう少し頭を使おうよ」
「…殿下、彼女が目覚めたようですが」
「あっそ。じゃあ僕のところに通して?」
「はっ!」

 そういう兵士の後ろから姿をみせるルナマリア、表情はすこし疲れているようだったが、特に問題はなさそうだ。
 服装はザフトの軍服ではなく、アルタイのオトメの服。
「へぇ〜似合うじゃん」
「…どういうことですか!私はザフト軍です。あの制服を返してください」
「あ〜あれ?今はそれで我慢してよ。そっちのほうが似合ってるし」
 ナギは笑いながらルナマリアを見ている。ルナマリアはその人を小ばかにしたようなナギに一発ぶん殴ってやろうかとおもって拳を握って近づく
「お、落ち着いてルナマリアちゃん!」
 ナギはその怒った顔のルナマリアに殺気をかんじてあわてふためく。
 だが次にルナマリアはそこでナギが見ていたテレビを見つめる。

 そこに映っていたのはアークエンジェル。
382舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:13:05 ID:???
ドクン…ルナマリアの中で何かが鼓動する。

「あー、あれかい?君の知っている艦になるのかな?あれもこっちの世界に転移してきたみたいなんだよ。
 なんなら君から彼らにコンタクトしてみるといい。仲間になるなら、僕としてはとても嬉しくてね…」
 ナギは話をそらそうと必死になって話しをふる。 ルナマリアはうつむいたまま何かをつぶやいている。
 ナギはルナマリアが何をいっているか聞き取ろうと耳を近づける。

「…るさない。許さない。許さない、許さない、許さない、許さな…」

 ルナマリアはテレビにうつる、その白い戦艦を見つめたまま唱え続ける。

 あたしの何もかもを奪った戦艦。
 あたしの何もかもを奪ったやつがのっている。
 許さない…絶対に。

 絶対に許さないぃ!!!

 ルナマリアのGEMが赤く輝く。
 その瞬間、ルナマリアの身体から赤黒く濁ったものがルナマリアの中から出て行くのをナギは見ていた。
 それはまるで幽体離脱のようなもの。
「お、おーい。ルナマリアちゃん?」
 目に光が無いルナマリアの視界の前で手を振るナギ。だが反応が無い。
 ナギは彼女が見ていたテレビのほうを見る。

エアリーズ海岸

「?」
 サラは突如としてあたりが暗い雲に覆われていくのを見つめる。
 それは他のオトメ部隊も同じだ。
 ここまで急激に天候が変化するなんてことはいままで…。
「なにかしら?」
 ロザリーもアークエンジェル付近に舞い降りながら空を見上げる。

 雷鳴がとどろく中、一人のオトメの影がその黒き雲の中、姿を現す。
383舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:14:09 ID:???

『…許さない。絶対に…』

 それはルナマリアの姿…。ローブを身に纏いその手には巨大な剣を持つ。目に光は無い。
「なんなんですの?あれは?」
 シホがまったく見たことのないオトメの姿に呆然とする中、その黒きオトメ、ルナマリアが巨大な剣をアークエンジェルのほうに向ける。
 剣の先が銃口にへと変化し、GEMが赤く輝きカウントを始めだす。
「まさか!あそこから!?ロザリー、すぐにそこから離れてください」
 サラはアークエンジェル付近にいるロザリーに向けてGEM通信を送る。
 そんなサラの前では、ルナマリアに攻撃を仕掛けるラウラとカーラ。
「たかがオトメ一人に対して!!」
「はぁー!!」
 ラウラとカーラがルナマリアに対してエレメントである攻撃を仕掛ける。
 だが二人の攻撃はそのオトメの身体をすり抜ける。
「なに!?」
「こんな!」
 しかしGEMのカウントはとまらない。

V…U…T…

 巨大な光とともにその剣から放たれた光がアークエンジェルを貫いた。
384舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/13(木) 18:17:37 ID:???
感想いつもありがとうございます。
あんまり長続きするとだれてしまうんですけど
いろいろ書いていると長くなってしまう
結末はある程度考えているけど。おおまかに二通りあるがどっちにするかはわからない。
385通常の名無しさんの3倍:2007/09/14(金) 21:37:23 ID:???
GJです
386通常の名無しさんの3倍:2007/09/16(日) 22:48:07 ID:???
まとめWIKIに登録してきたサ
387舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:01:01 ID:???
第六話 二つの世界を統べるもの


「お姉ちゃん!私も今日からザフト軍の一員だよ?」
「そんなはしゃがないの。だいたいあんたはオペレーターでしょ?常に冷静に報告してなきゃダメじゃない」
「はいはーい。もう!少しは喜んでよ〜?」
「あんたが戦場に出てこられたら心配でしょうがないよ、私は」
「もー、私よりお姉ちゃんのほうがMSパイロットなんだから危ないんだからね」
「なーにいってんのよ。私は赤服なんだから!」

「…無理はしないでね」
「あんたもね」

 私は戦った。だって私の艦にはメイリンがいるから…。あの子を守らなきゃいけない。そのために私は強くなりたかった。いつも冷静だったけど…本当は、すごく怖くて。あなたを失うのが怖くてしょうがなかった。

『アスラン・ザラ、メイリン・ホークが基地を脱走。これをシン・アスカ、レイ・ザ・バレルが追跡、撃破しました』

「うそ…メイリンが、アスランと一緒に…嘘、うそぉぉ!!!」

『まさか裏切るとは…。ルナマリア・ホーク、反逆者メイリン・ホークのことに関して何か知っていることがあれば話してもらおう』

「反逆者!?違います!!メイリンはそんなことできる子じゃ…」

『どうだか…姉妹だからこそかばうのはわかるが…』
『ならアスランに拉致されたか』
『いや、それこそ恋仲であった可能性も考えられますな』

「やめて…やめてぇ!!」

 耳をふさいでも聞こえてきた。私の妹を反逆者扱いし、私に妹のことを話させようとしている。
 妹は反逆者でありアスランと通じている。そういわせようとしていた。そんなこと絶対にない。私は言い切る。
 そういうと私まで敵と内通しているのではないか?そうまで言われた。
 私はもう何も信じられないでいた。敵も味方も…誰も。
「ルナ!ルナ!!しっかりしろ!」
「…シン?」
「俺が…お前を守るから。もう誰も、傷つけさせはしないから」
「シン…私…」
388舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:02:38 ID:???
シンは優しかった。
私の妹を撃ったのは彼…でも憎むべき相手は彼じゃない。
それに誰かを憎んだとしてもメイリンは…もう帰っては来ない。
シンは私を支えてくれた。
精神が壊れかけた私を支え、いつもどおりの私を艦のみんなの前ではいさせてくれた。

『お前じゃ…ルナマリアを守ることなんか出来ない!』
「あ、アスラン!?」
『死ねぇ!!!』
「うわぁあああ!!」

 どうして?どうして私の前から大切な人が消えていくの?
 私が何かをしたから?
 私が弱いから?弱いからみんなを失ってしまうの?
 私ばかり…どうして!!

 こんな世界っ!!全部…なくして!!

『お姉ちゃん!!』

「?」

 目を開けるルナマリア。
 そこは先ほどのアルタイの城内…。
 ぼやけた視線が定まるとナギ大公がテレビを見ている後姿があった。
「私…」
「…おっと!意識が戻ったみたいだね?」
 ナギはテレビから視線を外してルナマリアのほうを見る。
 ルナマリアは頭を抑えて、意識を失っている間のことを思い出そうとしたが、思い出せない。
「君の知っている艦、沈んじゃったみたいだよ」
「え?」
 ルナマリアはテレビを見る。
 そこには巨大なクレーターと、数隻の各国の条約機構軍の艦が撃沈している姿が見えた。
 まるで戦闘でもあったかのような光景。
「…なにがあったの?」
「覚えてないのかい?」
「え?」
「…いや、なんでもないさ。なんでもね」
 ナギは笑みを浮かべたままテレビを消す。

389舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:04:30 ID:???
エアリーズ沖

「負傷者の搬送を急がせてください!被害の確認を…。残った艦で戦闘隊形に移行。部隊を整えてください」
 サラがあたりに指示を出しながら、状況を確認する。
 異邦人の艦があった場所はあとかたもなく吹き飛ばされ、もはや形も残っていない。
「…学園長、敵のGEMの反応は?」
 GEM通信…ガルデローベの地下研究所にいるナツキに連絡する。
『サラか?一体なにがあった?』
「たぶんとおもわれますが、ナオとマーヤ・ブライスと戦闘したと思われるオトメが現われ、異邦人艦を撃破しました。こちら側の負傷者も多数です」
『…敵のGEMはこちらでも確認しているが…アルタイから動いていない』
「そんなバカな!?ならあれはなんだったんです?」
『詳しいことはこちらでも確認してみないとわからない』
「…わかりました。こちらは事態の沈静化をはかり次第、随時撤収させます」
『すまない』

 ガルデローベ

「…さっきの戦闘でのデータはどうなっている?」
 ナツキはモニター画面、先ほどの戦闘の映像を見る。
 その黒きオーラを身に纏ったオトメの強烈な一撃が戦艦を一撃の下で消し去る。
「今解析中よ…少し時間がかかるわ」
 ヨウコ・ヘレネ技術長がコンピューターに手をかけながら告げる。
「にしても変どすな。ラウラはんとカーラはんの攻撃、ぜんぜんきいてませんなぁ。というよりも…これは」
 シズルが画面を見つめながらつぶやく。
「…フォログラフね」
 ガル教授の言葉に振り返るナツキ。
「実体ではないというのか?…これがあのローブの能力」
「…以前のヴィント事変でのニナさんが起こしたハルモニウムの竜巻。あれも巨大なニナさんの幻影を用いた攻撃によるものだった。
 もしあのGEMにハルモニウムの影響がでているのならば、説明がつくわ」

 ヴィント事変で、ニナ・ウォンはその強大な漆黒の金剛石とハルモニウムの力を用いて各国を進撃、大損害を与えた。
 それは巨大な自分の分身と竜巻による攻撃。その前に各国の防衛軍はなすすべなく大敗した。
 それが…再び今回起きたということになるのか。
 あのGEMにもそれほどの力が…。

「学園長!エアリーズから連絡です」
「まわしてくれ」
 ナツキは受話器を受け取り、画面にうつるユキノ・クリサントを見る。今回の事件での大きな被害をこうむったのは紛れも無い彼女であることは確かだ。
「学園長、再び緊急の会議を開くことをお願いしたいのですが」
「わかっております。ユキノ大統領。ですが今すぐにとなると、各国の被害がはっきりされていませんし。敵の戦力図も定かではありません」
「そのことに関しては問題は解決しています」
「?」
 ユキノの言葉にナツキはよくわからないでいた。
390舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:08:00 ID:???
「学園長!!」

 それはニナ・ウォンだ。

「では会議のほうについては後ほど連絡します」
『わかりました』
 ユキノとの通信をきり、ニナのほうを見るナツキ。
「あの攻撃方法…もしかして以前の私のような」
 全世界に発進されていたあの映像、既にヴィントでもかなりの噂になっているようだ。

「…おそらくは。あのオトメが使っているGEMはハルモニウムと一度接触しているものです。
 元は白翼の月長石といわれたGEMでした。戦争によって絶望と憎悪に満ちたのでしょう」
 ナツキは忌々しげに告げる。戦争はもう起こしてはいけない…そうおもっていたというのに。
 人がこうして争うことはとめられないものなのだろうか。
「…彼女を説得する方法はありませんか?」
「可能性が無いわけではないが、あのオトメはガルデローベに登録されていない。だから彼女がどこの何者なのか、なぜ彼女がオトメなのかわからないんだ」
「異邦人…」
「なんだと?異邦人がオトメになったというのか?」
「ですが、エアルの人間でそれは不可能だったはずです。ならば、ここ数日で世界を激変させている存在、異邦人こそがその技術をもっているとしか」
 ニナの言葉に考えるナツキ。確かに可能性としてみればそれしかない。だがもしそういうことになれば、異邦人の技術は想像以上ということになる。

「やっぱりアルタイの状況、つかまないとあきませんな」

「シズル…」
 シズルは笑顔で微笑みナツキを見つめ
「サラはんと一緒に行かせてもらいます」
 ナツキはしばらく考えていたが、どうしてもそうするしか方法が無いということに拳を強く握り締め、己の不甲斐なさをかんじる。
「ナツキ…えぇんよ。うちはナツキのためやったらなんでもしますさかい」
 シズルはナツキを見つめたまま優しく微笑んでいる。いつも学生に見せる笑顔とは違い笑顔。きっと学園長にしか見せないんだろうな。ニナはそうおもった。
「…すまない。シズル。だが、相手はナオとマーヤを打ち破った奴らだ。戦闘は極力控え、情報だけを集めてきて欲しい」
「わかりました。せやったら早速準備せなあきませんな。ニナさん。あんたを連れてきた人、コンタクトとれます?」
「は、はい…ヴィントに今はいると思いますけど」
「なら案内頼めます?」
 ニナは頷く。
「…学園長、頭領カラ連絡ツイタネ!」
 次はなんだといわんばかりにナツキはガル教授の声のほうを見る。
 アスワド頭領…黒い谷、アスワドの実質的指導者の役割を果たしている人物。
 現在はヴィントブルームとは同盟関係にあたる。
「ミドリからか!」
「至急、ミセタイ物ガアルラシイネ!」
「…わかった。そっちに関しては教授、頼めるか?」
「OK!」
 事態を把握しつつ、だんだん自分たちがやるべきことを確認していくナツキ。
 ただイタヅラに時間をすごしてはいけない。
 自分たちのやれることをやらなくてはいけないのだ。
391舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:09:24 ID:???
ヴィントブルーム城(通称ひまわり城)

「それでなんでアリカが必要なんじゃ!!」
 怒鳴るマシロにガル教授はクールにいや顔が無い以上、どういった感じで言っているのかは想像でお任せするしかないのだが。
「ヴィントブルームトノ同盟関係ノタメニ、頭領ト会ウナラ、ソッチノ代表者ト一緒ジャナキャ意味ガナイイッテルネ」
「もうよい!アリカ、いって話を聞いて参れ!」
「いいの?もしマシロちゃんになにかあったら」
「ニナもおるし、お前も久しぶりに頭領には会いたいじゃろ?」
「うん!わかった!じゃマイスターアリカ!いってきます!」


アルタイ…黒曜宮

 ナギは玉座につき、肩肘をついて報告を聞いている。
「…それで彼らからの答えは?」
「解析は完了し、現在製造に着手したとのことです」
「間に合えばいいんだけどね、あーあと彼女たちのほうはどうだい?」
「はい、そのことに関しては…」
 その報告の最中、タリア・グラティスがはいってくる。
「貴様!勝手に!」
 兵士がタリアを取り囲む。
「…かまわないよ」
 ナギは兵士たちをどかし、タリアを見る。
「どうしたんだい?艦長さん。補給は終了したみたいだし…時期がくれば君たちを元の世界に返すことも出来るんだから」
「…アークエンジェル、あれを破壊した理由を教えてもらいましょう」
「あー、あの異邦人艦のこと?それは僕の知ったことじゃないよ。この世界も一枚岩じゃないからね。彼らは他の国にとって見れば邪魔者だったのかもしれないね。科学技術の開放には消極的だった見たいだし」
 まるで人事のように話すナギ。
「…私たちはこれ以上、あなたたちに利用されるのはごめんです。一刻も早く帰還させていただくか、それが出来なければ我々はこれ以後単独行動をとらせてもらいます」
 タリアが出した答え…。目の前で自分たちの知っている人間が無残にも殺害されるのはたとえ敵であってもやはり辛いものだ。
 この世界では少なくとも同じ同胞であり、仲間である。タリアはそう考えていたからである。
「それは心外だね。僕らだけが利用してるって…」
「…」
「…うまくいけば君たちの世界も丸くおさめてあげようというのに」
 ナギはタリアを見つめ、言葉を続ける。
392舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:11:47 ID:???
「君たちも見ただろう?あのオトメの力。戦艦を一撃で沈めてしまうあの力。彼女は特別だよ。君たちの世界がいかに科学が発達しているかは知らないけど、
 僕の見る限りオトメには勝てない。あのオトメの力を使えば君たちの世界も平和になると思うんだけどね」

 確かにオトメの力は強大だ。あのアークエンジェル、戦闘態勢にはいっていなかったとはいえ、一撃で葬ってしまう。
 MSでは考えられない力だ。
 だが過ぎた力はやがて世界のバランスを崩す。
 戦争は力によって解決されるべきものではない。それでは地球連合軍と変わらない。そしてデュランダルも望みはしないだろう。

「…結構です、私たちの世界は私たちで守ります」
「立派な艦長さんだね。でも困るんだよな〜今、君たちに抜けられちゃうと」
「私たちはあなた方の戦争に加担させられる義務はありません!」
 タリアは銃を取り出すとそれをナギに向ける。
「そんなことをして、僕になにかあったらってわかってやってるのかな?」
「撃ちたくはない。だが…これ以上、私たちのクルーを危険に晒すようなら私は!」
「貴様ぁ!」
 ナギの護衛の一人が銃を抜き、タリアを狙うが、タリアの銃が先に護衛を撃つ。グラリと身体をよろめき倒れる護衛。タリアはナギに銃口を向けたまま
「一緒にきていただきます」
「…しょうがないな。僕の負けだよ。艦長さん…」
 ナギは両手を挙げて玉座から立ち上がる。だがその瞬間、後ろから強烈な一撃がタリアを襲った。意識を失いそのまま前のめりに倒れるタリア。
「おっそいなー。危ういところだったじゃない」
 ナギは倒れたタリアを見下ろしながらやってきたその人物を見る。
「まぁいいや。君たちにはこの後、大いに役立ってもらうからよろしく頼むよ」
 コクリと頷くその影…。巨大なクローが光に反射して、まぶしく輝く。

「…艦長さん、僕は君たちの世界の技術にとても興味を持ってさ。双方の世界の解放のために協力してよ」

 ナギは薄ら笑いを浮かべながらそのまま玉座を後にする。
 そして玉座から出て黒曜宮の外を見るとそこには巨大なMSが数機配備され、アルタイの艦隊が動き出している。
 その大きさはミネルバに匹敵する。そしてミネルバには既にアルタイの大きな旗が吹雪の中、大きくなびいている。


アスワド…黒い谷

「…もう少しで私の知り合いが来る。彼女たちならお前のことたくせるだろう」
 アスワドの頭領、ミドリは部屋の中、ベットに座る一人の黒髪の男を見る。
「…」
 疲れきった表情の男は何も口にはしない。
 ミドリはそのまま部屋を出て、自分たちの住処である洞窟の外に砂まみれのまま、放置されている巨大な人型人形を見る。
 それはかつて『運命』と名づけられたMSであることを彼女は知らない。

393舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/17(月) 14:13:38 ID:???
第6話です。
そろそろ本格的な戦闘にむかうところ。
いろいろキャラをだしたいけどだしきれない・・・。
394通常の名無しさんの3倍:2007/09/17(月) 16:23:41 ID:???
やはり生きていたか我等が主人公よ
次回復活編っぽいが、砂まみれの運命ちゃんと動くかな
それとも未知の力でパワーアップとか
395舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:33:29 ID:???
第七話 終焉への始まり

 ヴィントブルーム、ひまわり城

「…世界各国は浮き足立ってしまっているみたいじゃな」
「ガルデローベでも正確な情報収集のためにアルタイに5柱が派遣されたみたいです。それ以外の国でもアルタイに宣戦布告し、軍を進めている国もあるようです」
 マシロは城の窓から地平線に落ちかける夕日を見つめる。
 綺麗なだけに今のこの状況が逆に信じられない。まるですべてが夢のよう…。
「アリカは大丈夫でしょうか?」
「アスワドまでそこまではかからないじゃろう。それよりもナギが軍隊を持ち、このまま黙っているとはおもえん。狙うのならば…やはり」
「…」
 ヴィント事変の際に狙われた場所…ガルデローベ、真祖のある場所。オトメシステムの中枢の占領があんな簡単に行われるとは思わなかった。
 勿論、それにはハルモニウムというものもあるのだろうが。
「ナギの狙いはオトメシズテムの崩壊、ならば狙うはここしかないじゃろ」
 ナツキはその後の対策として、いくつか講じている様だが…。異邦人の持つ超科学に対抗できるかは定かではない。
誰もが笑顔になれる国…それがいつになるのか、だが信じねばならない。
 アリカのように夢を諦めず進んでいくオトメがいる限り、その主である自分も諦めてはいけないのだから。
「陛下!フロリンス国王が艦隊の国境の入国許可を」
「なんじゃと!!?」

アルタイ
 既にかなりの艦隊が動き出していた、ミネルバは先頭、既に後続の部隊を置き去り、かなりのスピードをだしながら目的地にへと向かう。
「…いい席だね」
 艦長席に座るナギはその席から見る光景をまじまじと観察していた。
 隣にいるのは副長のアーサーである。彼らはなんの抵抗も出来ず彼の指揮下に入らざるをえなかった。
 タリア艦長は背中に重症を負い、今は艦内のベットで眠っている。
 険しい表情で前を見つめるルナマリア。彼女の服は黒いアルタイ国旗の入ったもの。それを周りのスタッフは呆然と眺めている。
 ルナマリアはアルタイに下った、誰もがそう思うだろう。
 事実、冷静であるレイもそうかんじてしまっていた。
『君が言うことを聞かないと、元の世界には帰れない…わかってるよね』
 ナギの言葉にルナマリアは逆らえなかった。元の世界に帰らないといけない
 かえって私は…仇を撃たないといけないんだから。
 私には出来る…このローブの力があれば。
「目的地まであと30分ほどです」
「久しぶりだね…ヴィントブルーム、そしてガルデローベ」
396舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:35:39 ID:???
アスワド

「ツイタネ。アリカ」
 ガル教授のスレイブに乗せてもらい降り立つアリカ。久しぶりのその地はアリカにとっては懐かし場所。
 少しの間とはいえ、ここにはすごくお世話になった場所なのだから。
 ガル教授はアリカを置いていくとすぐに仕事のためにガルデローベにへと戻る。
 そしてアリカはアスワドの洞窟内にへと向かう。
「あ、アリンコだ!」
「アリンコ〜」
「アリンコいうな〜!!」
 彼女が来ると皆が集まってくる。
 彼女の笑顔はこの場所に元気を与える。
 それはアリカにとってもアスワドにとってもそうだった。
「…かわらないな。お前は」
「頭領!」
 アリカの前に歩み寄るその赤みのかかった女性…ミドリは砂誇りから身を覆うように黒いマントを身につけていた。
 呪われた地と称され忌み嫌われてきた彼女たち。だがそれも過去のものになっていくのかもしれない。マシロ女王とアリカがいてくれれば。
「…お前に見せたい奴がいる」
「はい?」
 ミドリはアリカをつれて洞窟内の一室に連れて行く。そこにいたのは黒髪の一人の男子。身体を起こし、どこか遠くを見ている。
 それはかつてニナ・ウォンと戦い、親友であるエルス・ティンホーを失ったときの自分の姿。
「…彼は?」
「一週間前ほどに巨大な機械人形と一緒にここにおちてきた。本来ならこの地に近づくものは皆、殺すところだがあの機械人形には我ら先祖の技術がある。
 解析や事情を聞くために生かしておくことにした。だが、ずっとこの調子でな。
 それに最近は異邦人といわれているこいつの仲間とおもうが、そいつらのせいで世界が動いている。何か役に立てばいいと思ったんだが」
「私に?」
「お前なら出来るだろう。かつて同じ思いをしたお前になら…。この男にお前のような前向きさがあればの話だが。できるか?」
「やってみます!」
「頼んだ。代わりといってはあれだがヴィントにはラドを送る。好きに使ってくれ」
「いいんですか?」
「我らヴィントとの手を結びし者、義には義をもって返すのが我らアスワドのおきてだ」
 ミドリはそういうとアリカを置いていってしまう。アリカはおそるおそる部屋の中にへと入っていく。
 男子と二人っきりなんていうのはアリカにとっては未知の領域だ。だがここで緊張などしている時間は無い。
「…あ、私はアリカ・ユメミヤ。えーっとヴィントブルームのマシロちゃんの、じゃなかったマシロ女王のオトメをしてるの。あ、オトメってわからないかな・・えーっとオトメっていうのは・・・」
 こうしてアリカの長い自己紹介がはじまることになる。

397舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:37:08 ID:???
ガルデローベ
 フロリンス率いる艦隊がアルタイの艦隊が向かう先であろうヴィントブルームに侵入するという状況になり、マシロ女王が説得をしているという情報がはいってきていた。
 フロリンス王は激怒しており、ヴィント事変以上、竜王戦争を起こしかねない状況である。
「サラとシズルは?」
 ナツキはモニター画面を見ながらヨウコに聞く。
「アルタイにはいったみたい」
「…無理はさせるな。ナオやマーヤたちの二の舞には…」
「ひっどーい。まるで私たちは死人みたいじゃない?」
 その声に振り返るナツキたち。そこに立つのは赤髪、そして露出の高いマイスター服であるジュリエット・ナオ・チャン。
 アルタイにての防衛任務中に謎のオトメとの戦闘、そして行方不明となっていた彼女が今ここに。
「ナオ!お前無事だったのか!?」
 ナツキは思わず大声を上げる。
「あったりまえでしょ?そんな簡単にくたばるかっつーの」
「連絡もなしにお前は、私がどれだけ心配したことか」
 ナツキは怒りながらもどこか安堵した表情でナオを出迎える。
 イリーナは画面を見ながらなぜ、GEMに反応が無かったのか不思議に感じていた。

アルタイ
 5柱のローブを身に纏うシズルとサラはとおり行くアルタイの艦隊を目にしていた。その数はヴィント事変の非ではない。空を飛ぶ戦艦…あれがきっとナギのいるであろう艦であろう。
「…どうしますか?シズルお姉さま」
「本当なら奇襲でもかけたいとこなんどすけど、相手のオトメがなんなのかわからん以上、勝手な行動はできへんからね」
 シズルとサラは岩山から見つめるアルタイ艦隊を見つめる。車列の向こうからは巨大な機械人形までもが見当たられる。なかなかの戦力。だがナギが正攻法でくるとはおもえない。
 正攻法でいけばヴィントブルームや条約機構軍からの総攻撃による反撃にあいいくらこの戦力といえど敗北は必至。ならば再びあの呪われたオトメを使うか。
 いや例え使ったとしても…ある程度、原理の予想はつく。
 それともまだあのオトメの力には奥の手が。
「…深読みのしすぎではありません?」
「かもしれませんけど。それだけ用心でも損はないどす」
 振りかえるシズル。サラはシズルが振り返った先を見る。そこにはマーヤ・ブライスの姿が。
「ようやく見つけた。…えらい目にあったよ」
 マーヤは大きく息をつきながらマイスター服の姿でサラとシズルのほうにへと近づく。
「マーヤ!」
 サラはマーヤにへと近づこうとするが、そのサラの前に手を出すシズル。
「ホンマ久しぶりどすな。まるで何事もなかったよう」
「…やっぱりあんたには通用しないかシズル?」
 マーヤはマイスター服を脱ぎ、既にその下に着ていたローブで攻撃を仕掛ける。
「マーヤ!?」
 サラの驚きが一瞬、回避を遅らせた。サラは岩肌に激突してしまう。それを狙うマーヤ。しかしそのマーヤも彼女の前を通り抜けたシズルのエレメントの前に後ろに下がる・
「危ない危ない…」
 マーヤはクスクスと笑いながらエレメントであるマラカスを出す。
「マーヤ!これは一体…しっかりなさい!」
「…なにかやられはったみたいやね」
「私はただの足止め。今頃ガルデローベは煙を出していることだろうね」
 マーヤの瞳の色が赤く輝く。シズルはGEM通信をつかい連絡をとる。
「学園長?聞こえます?」
『…』
「ナツキ、返事をし!」
398舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:39:10 ID:???
ガルデローベ研究所は炎に包まれていた。
 無残にも倒れているヨウコ、そしてイリーナ。ナツキもまた炎の中、頭から血を流しその場に倒れている。
 扉を開けてその場から出て行くローブを纏うナオの姿。
「ミッション1クリア…次の作戦に移る」
 ナオはクローを天井にかかげ吹き飛ばす。
 崩落する研究室。
 ナオはヴィント城に向かう。


 ミネルバ艦内
 ナギは作戦が無事に進んでいることを確認すると隣にいるルナマリアを見つめる。
「…じゃ、次はじめようか?ルナマリアちゃん」
「…」
 ルナマリアは何か言いたげな表情でナギを見る。ナギはそのことを察するように
「君たちを快く思わない連中がいるということはここにいる誰もが知っていることでしょ?元の世界に帰りたいならば、障害は取り除かないと…帰りたいんでしょ?」
「…認証、してください」
「運命の黝廉石ルナマリア・ホーク、我が名において汝の力を解放する…」
 ナギはルナマリアの耳にあるGEM
「マテリアライズ…」
 赤黒く輝くルナマリアの姿は黒きオーラに包まれるようにしてその姿を変える。露出の高い騎士といった感じだ。
 その様子を艦内のクルーは呆然と見ている。こんなすぐ傍で見るのははじめてだ
「…」
 ルナマリアから湧き上がる赤黒きオーラ…その凄まじい力こそがこのローブの力。
 漆黒の金剛石には劣るものも、普通のオトメでは歯が立たないであろう。
「複数の艦艇を確認、メインモニターに出します」
 そこに映し出された映像はフロリンスの艦隊である。どうやらヴィントに向かうであろうアルタイ軍の先回りとして向かってきていたのだろう。
 混乱する各国状況の中、感情だけに支配されたおろかな国。
 ナギは目を閉じ、膝を組む。
「主砲発射」
「…」
 アーサーがナギのほうを見る。タンホイザーのことであろう。あの威力がわからないわけではないはず。
 それを初めて指揮する人間が躊躇も迷いも無く言えるものか。
「聞こえなかったのかい?」
「…タンホイザー発射準備」
「僕の力が健在であることをすべての国々に教えてあげないと…少しは考え方もかわるかもしれないしね」
 ミネルバ先端にあるハッチが開かれその巨大な主砲が現われる。陽電子砲タンホイザー、ミネルバにおける全攻撃武器の中で最大の破壊力を誇る。
「エネルギー充填完了」
「…発射」
 ナギの一声とともにその閃光が前方のフロリンス艦隊にへと突き刺さる。
 巨大な光がうまれすべてを飲み込んだ。
399舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:40:32 ID:???
「な、なんじゃあれは…」
 マシロ女王はその昼間に輝く巨大な輝きに驚きを隠しきれない。
 遠い砂漠の向こうからはっきりとわかるその巨大な光からもその一撃がいかに恐ろしい破壊力を持っているかは言わずもがなである。
「マシロ様、ここは危険です。どこか安全なところに」
「ナギの奴め」
 苦々しくいうマシロ。ニナはマシロとともにその部屋をでようとする。
 だが一つの殺気にニナはマシロを抱きかかえその扉から離れた。
 打ち破られる扉。そこにたつのは5柱、ジュリエット・ナオ・チャン。
 目の光は無くマイスターローブの姿でそこに立っている。
「ナオ…お姉さま」
「マシロ女王を渡してもらうよ」
「…そんな」
「邪魔立てするなら、遠慮はしない」
 ナオはクローから赤いワイヤーのようなものを打ち出す。ニナはマシロを抱きかかえたまま窓から飛び降りる。
「あ、あれは確か…」
 マシロはニナに問いかける。ニナはナオの変わり果てた姿に悔しさが沸く。自分を守ってくれた彼女と戦えるのか…私に出来るのか。
 ニナはそのままマシロを抱えたまま、城内の庭をかける。
「ニナ!認証じゃ」
 マシロは抱きかかえられたままニナに告げる。
「…」
「どうした!ニナ!お前は決めたのじゃろう!自分のなすべきことをなすと!」
「私は…」
「答えよ、我がオトメ!ニナ・ウォン」
 ニナの足が止まる。そして肩膝をつきマシロの前に座る。
「…申し訳ありません。マシロ様…私に認証を」
「それがそなたの意思か?」
「はい、命令でもなにもない。私の意志です」
 マシロは笑顔で頷く。
「海神の水玉を持つ我がオトメ…ニナ・ウォンよ。我が名において汝の力を解放する」
 GEMに口づけするマシロ。
 巨大な煙とともにナオのクローから再び赤いワイヤーが飛んでくる。
「マテリアライズ!!」
 水面に映し出されたオトメたる自分とかさなり、姿を変えるニナ。
 白と青、そして緑の色が特徴的な露出の高いローブ、ニナは向かってくるそのワイヤーをエレメントである大太刀で弾き飛ばす。
「…へぇ、やるじゃない。でも私と戦って勝てるとでも思ってるの?」
 ナオはニナを見つめながら余裕に満ちた笑みをこぼす。
「私は自分の意思で…ナオお姉さま、あなたをとめて見せます!」
400舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:41:59 ID:???
ヴィント周辺に現われる赤黒きオーラ、それこそルナマリア・ホーク、その人であるルナマリアはエレメントである銃剣をヴィントの市内にあり、高い丘の上にあるガルデローベ、真祖の元にその矛先を向けた。
矛先からはエネルギーが収束されていく。
「…これもすべて私たちの世界にへと帰るために」
「はぁー!!」
 今まさに発射するという瞬間、下から蹴り飛ばされたルナマリアは発射の角度がぶれる。
 ルナマリアはその自分を襲ったものを見る。
 それは伝説の悲劇のオトメもとい、猫神ラーメン屋の店主、鴇羽舞衣。
「ナツキったら自分にもしものときは頼むだなんて…簡単にいってくれるわよ」
「…オトメ」
 ルナマリアはオトメ同士の戦いは始めてである。しかも相手はかなり手馴れている感じ。舞衣はそのオーラに身を包むオトメを見る。
「見ない顔ね。あなたは誰?」
「私は…もとの世界にかえるの!!邪魔をしないで!!」
 ルナマリアはそういうと巨大なその銃剣をふりまわし舞衣を近づけないようにする。舞衣はその巨大な銃剣を前に間合いにはいれない。
「あなた、まさか別の世界からやってきた人!?」
「私はこの力ですべてをやり直す。あの世界で失ったものを取り戻すの!!その邪魔は誰にもさせない」
 赤黒きオーラがたちこめる。舞衣は間合いをとりはなれる。ルナマリアは銃剣を握り、舞衣に狙いを定める。
「私の邪魔は誰にもさせない…」
「あなたが元の世界に帰るのなら協力するわ!だからこんなことやめて!」
「信じられるものか!!」

 アスワド
「…えーっとだから、オトメっていうのはすごい力を持っていて…」
「うるさい」
「え?」
 ようやっと言葉に答えた男子はそういってアリカを見る。
「もう俺のことなんかほうっておいてくれ。俺は…なんにもできないんだ。誰にも勝てない。誰も守れない。誰も救えない…」
 シンはうつむきつぶやく。
「そんなことないよ!!あなたにはあなたの出来ることがあるんでしょ!お願い!みんなが困ってるの。協力して!」
 アリカはシンに抱きつかんばかりの勢いで近づく。
 シンにはそれがかつて彼が失った妹、マユの姿と重なる。
「マユ?」
「???」
 その言葉にアリカはなにをいっているのかわからない。
 シンはまるで妹に励まされているような気がした。それがたとえ違う人間だとしても、シンにとってそれは何よりも大きい励ましだ。
「…協力したくても俺のMS、砂に埋まっちゃってるし」
「そんなの!みんなでなんとかするもん!」
「お、おい…」
 そういうとアリカは部屋から出て行く。
 シンは彼女のそのせいいっぱいの前向きさがとてもまぶしく見えた。
 もうどうでもよくなっていたはずなのに、なぜだろう。
 俺にはまだやらなくてはいけないことがあるみたいだ。こうなればヤケだ。
 俺を必要としてくれる奴がいるならば、俺は…。

401舞-乙HiME × SEED DESTINY:2007/09/19(水) 13:43:45 ID:???
第七話終了
本格的なバトル展開に突入!!

402通常の名無しさんの3倍:2007/09/19(水) 13:45:13 ID:???
age
403通常の名無しさんの3倍:2007/09/20(木) 08:48:39 ID:???
GJ〜
404通常の名無しさんの3倍:2007/09/20(木) 18:56:07 ID:???
GJ!シンが何気に出てきましたが、MS大破してるんじゃ。
405通常の名無しさんの3倍:2007/09/20(木) 20:55:10 ID:???
スレイブ化して乙HiME能力に対抗できるようになると予想
406舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:09:05 ID:???
第8話 黒い波動〜戦士再び〜

 陽はもう既に落ちているというのに、ヴィント周辺では赤い炎の光が満ちている。
フロリンス艦隊の炎、ガルデローベの地下研究所での火災そして黒い谷周辺で行われているマイスター舞衣、そしてルナマリア・ホークの戦いの影響である。
 その様子を傍観するように戦艦ミネルバはヴィントブルームに少しずつ進んでいく。
それは勿論、先ほどフロリンス艦隊を壊滅させたタンホイザーという名の破壊兵器をガルデローベの射程にあわせるため。

「…あなたは人間の心理を無視しオトメシステムなどという無茶苦茶なシステムを作り上げた罪人だ。
だからここで永遠の眠りについてもらおうか。そして僕この世界に真の科学力をもたらすのさ」

 ナギは艦長席にふんぞり返りながらつぶやく。タンホイザーの標準が向けられていく。
「エネルギー充填開始」
「前方、巨大なエネルギー反応確認、小型ですが…」
 ナギはメインモニターにまわされるその姿を見て目を細める。かつて自分の作戦をすべて無駄にしたその一番の原因。
「…アリカがいない以上、今は私が全力であなた方を止めて見せます。すべてのハルモニウムの兵器は消滅させなければならないのです」
 そういうと青い帽子とマントを脱ぎ捨てた水色の髪と冷めた瞳で頭上にあるその巨大な戦艦を見つめるミユ。
「…一番から三番までの拘束式を解除。ミスリルドレス、モード…スカーレッド」
 ミユはそのまま戦艦に向かって脚部からのミサイル、そして手をガトリングにへと変えて攻撃を仕掛ける。
「機銃で応戦、しょうがない…機械人形には機械人形だ」
 格納庫のMS、レジェンドで既にコクピットに乗り込んでいたレイ・ザ・バレルはそのGOサインを聞き、操縦桿を握る。
 このような異世界で自分は何をしているのか、そんなことはもはやどうでもいい。
だがアークエンジェルが目の前で葬られたことはあの映像を見る限りは事実。それがルナマリアであったとしてもこれでラウ・ル・クルーゼの仇は討てた。
自分で討ちたかったところだが。しかし…目的は達した今度は元の世界に帰り、議長とともに真の世界を見ること。
そのためなら異世界の住人の命令であろうと聞いてみせる。
「レイ・ザ・バレルだ。レジェンド…出る!」
 飛び出していくレジェンドは上空からミユに向けてバルカンを照射する。ミユはそれを走りながらなんなく回避する。
だが対空攻撃が少ないミユにはこうして数少ないガトリングなどを撃つほか術がない。
407舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:11:04 ID:???
「大公。増援部隊到着しました」
 ミネルバの後方から現われるその艦隊。そして巨大な影。
「まさか…あれは!?」
 アーサーがその影を見て驚く。それはアーサーだけではないほかのクルーもその姿に驚き震える。
 巨大なMA、円盤のようなものが頭部につきそしてその円盤状のものから主砲を思われる二個の砲門がついている。
 そう、それはかつて地球連合が戦略レベルの兵器として実践に投入した『デストロイガンダム』
「君たちの設計図からつくっちゃった。まぁ作り方はジュヴァルツから聞いてよ」
 ナギはその黒い巨大なMSを見ながらミネルバの前方に進み、二個の砲門から光の閃光が飛び出すのを見つめる。
 光の閃光はヴィントブルームの町並みスレスレをかすめ、後方に再び巨大な光の玉をつくりあげる。それは夜明けのようだ。

「すごいじゃん。アハハハ…オトメなんかなくったってこれさえあれば誰でもオトメ以上の力を出すことが出来る。狂った世界とはこれでお別れだよ」
 舞衣とルナマリアもその状況を見ていた。
 ルナマリアの銃剣をはじき、向きを変えてなんとか攻撃をしのぐ舞衣。
「あなたにはわからないの!あんなことをしている人の仲間にいて、何も感じないの!?」
「私にはもう何も無い!!あなたになんかにわからない!!」
 ルナマリアは舞衣をローブの紐で吹き飛ばす。舞衣はそのまま黒い谷に叩きつけられる。
ルナマリアは追撃するために黒い谷に急降下していく。
「はぁー!!」
 そのルナマリアの横から錫杖のようなものでルナマリアの身体は宙にうく。
「大丈夫か、舞衣」
 それは黒く二つ分けられた髪が特徴的な猫神様ことミコト。
「ミコト!」
「…あいつの力は危険なものだ。次元と時間を越えるもの」
「私の邪魔をするな!!」
 ルナマリアの体から湧き上がる巨大なオーラ。
 舞衣とミコトはその姿からルナマリアの光を失った瞳から涙が流れるを見た。

「黒い谷で大規模爆発…」
 ナギは報告を聞きながら寝そべっている。
「戦艦をヴィント城に向け」
 そのとき銃声が艦内を響き渡る。
 そこにいるのはふらつきながらも銃を握り締めているタリア・グラティスの姿、制服をなんとか着た格好で壁にもたれながら銃を艦長席に座っているナギにへと向ける。
「艦長の席を返してもらいます」
「艦長さん、元気そうで何よりだね」
 タリアに向けて銃を向けるアルタイの近衛兵。
 だがそれも後ろからアーサー率いるメンバーによって抑えられてしまう。そのまま倒される近衛兵
408舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:13:06 ID:???
「動くな!ナギ・ダイ・アルタイ!!」
 タリアは銃を抜こうといたナギに一喝する。
 驚いて言葉を失うナギ。
「お前の行ったこと断じて許さない」
「そうかい?もう少しで君たちを元の世界に帰そうというのに」
「…世界に帰すといいながら、私たちの世界までもを狙おうとするつもりであったことわかっている!」
 その言葉にクルーの誰もが視線をナギに向ける。ナギは大きく息をついて
「なるべくならあなたは手にかけたくなかったんだけどね」
 艦首のガラスが吹き飛ぶ。タリアはそのガラスのほうを見る。そこにはもうルナマリアの姿をしただけの『黒いもの』がそこにいた。
「ルナマリア…」
 つぶやくタリア。そのタリアの体が大きくゆれ床に倒れる。ナギは艦長席から立ち上がり銃を握っている。
 そしてその銃はアーサーや他のクルーにも放たれた。
 ルナマリアの登場でそっちに皆が視線を移してしまったため、誰も反撃が出来なかったのだ。
「さ、戦艦をヴィントにへと向けようか…待っていてね、マシロちゃん」

ガルデローベではナオとニナが死闘を繰り広げていた。
城内でナオのクローをかわしながら防戦一方のニナ。
「なんだい?私を助けるんじゃなかったのかい?」
「くぅ!」
 ナオのクローを避けることで精一杯のニナだが、飛び出す赤いワイヤーがニナの肩を貫く。
「あぁ!!」
 ニナはその場でうずくまる。
「もう終わり?もっとたのしませてよね」
「いえ…まだです。まだ私は…」
 ニナは身体を震わせながら立ち上がる。
 顔を上げ目の前にいるナオを見る。
「私はエルスやアリカたちに誓いました。もう二度と誰も悲しませない。誰も…失うわないと。だからナオ先輩を救うまで私は絶対に諦めない!」
「バカだね、ホント。そんな意地張らずにやればいいじゃない?」
「え?」
 ナオは苦痛の表情を浮かべながらニナに言う。
「ニナ…私に後輩を殺させる真似なんか…させないでよね」
「ナオ先輩!!」
「…ニナ。ほんとあんた変わったね…昔じゃ躊躇や迷いはなかったはずなのに」
 ナオはクローを壁に突き刺し自ら動きを封じる。
「…やりな」
 ナオは小さな声で告げる。
「ダメです!!ナオ先輩!!諦めるなんて…」
 ニナは顔を横に振る。
 ナオ先輩はなんだかんだで私のことを一番気にかけてくれていたことを知っていた。
 それが最初はイヤだったけど、でも今は…それがありがたく受け取れる。
 この心境の変化もアリカのおかげなのかもしれない。
 ナオ先輩は私にとって大切な先輩なのだ。
 それを手にかけることなどできない。
409舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:16:01 ID:???
「勝手に勘違いすんな!誰が殺せなんていったのよ?気を失わせるだけでいいから…はやく…」
 ナオは顔をあげてニナを見る。汗をかいたその表情からナオの限界がうかがい知れる。
「は、はい」
 ニナは海神のエレメントをナオに向ける。
「いきます!!」
 海神のローブが輝き、ナオを吹き飛ばす。
 城内の一部が爆風とともに吹き飛ぶ。
「ニナ!」
 ニナのダメージを受け、肩を抑えながらやってくるマシロ。
「マシロ様。申し訳ありません」
「よい。ナオは?」
 ニナは壁に倒れ気を失っているナオを見る。
「大丈夫です。それよりもはやく各国に救援の通達を…」
「もうしてまいったわ!」
「では…」
「ナギめ、ここからが反撃開始じゃ!!」

 城内の爆発はナギの戦艦にも見えた。
持っているラジコンのコントローラーのようなものの反応が消える。
「…ナオちゃんもよくまぁ…この分だとマーヤちゃんのほうも長くはもたないかもしれないね。怒ったシズルさんを相手にはしたくないな」
 ナギの乗るミネルバがヴィント上空を飛んでいく。その先頭には既に自我をなくしてしまっているルナマリアの姿。
「大公、条約機構軍がこちらに向かってきます」
「そのMSを使って長距離から攻撃。さすがのオトメもここまでの長射程を持っているのはナツキちゃんぐらいだろうからね」
 ヴィントの街を楯にしミネルバはそのままヴィント城の前で止まる。
「さてと…じゃ、扉をあけようか?」
「…」
 ルナマリアにそう話、近衛兵に後を任せナギは艦首から出て行く。

 黒い谷のクレーターに倒れている舞衣はなんとか身体を起こす。
「ミコト!ミコトしっかりして」
「う、う…」
 ミコトは頭を上げる。
「まずいぞ舞衣。あいつがあのオトメを奪おうとしている。また前みたいになってしまうぞ!」
「こんなときに限って他のみんなはなにしてるのよ!!」
 舞衣はミコトを背中に乗せ、ミネルバを追う。
410舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:17:43 ID:???
ミユをおいかけるレイ・ザ・バレル。
「よく持つ。だが!!」
 レイはビームサーベルを取り出し、ミユめがけ振り下ろす。
 ミユはそこで飛びレジェンドの機体にとりつくと、そのままコクピットの胸部ハッチまで目にもとまらぬ速さで走り、
 コクピットハッチに手をかけると体が軋む音をだしながら、それをはがしとる。コクピットにいたレイがはがされた瞬間に銃を握り撃つが、その銃弾もミユの前にはパチンコ玉のように片手でとられてしまう。
「くぅ…」
「…そのような巨大な機械では私を倒すことは出来ません」
「俺を殺すか?」
「あなたに聞きたい事があります」
 ミユはコクピットで既に戦意喪失のレイに聞く。
「あなた方はどうやってここに送られてきたのですか?」
「…光だ。光が俺たちを飲み込んでいった。それ以外はわからない」
「光。そのときの映像はありますか?」
「不鮮明のでいいのならあるぞ」
 レイの呼び出した映像をミユは食い入るように見る。
「…わかりました。あなたにもう用はありません」
 そういい残すとレイの機体から飛び去るミユ。
 自分の命を奪うかと思っていたのになにもせず立ち去るミユを不思議に思うレイ。だがもう彼には戦意はなかった。
 レジェンドはそのまま地上に落着してしまう。
「…俺は…」

 デストロイガンダムはレーダーに映る敵艦隊に対して主砲を発射させようとしていた。
「主砲発射用意!!」
「了解、アウフプラール、ドライツェーン!!主砲用意!!」
「敵対象目標!条約機構軍、エアリーズ旗艦『キクカワ』発射!!」
 巨大な赤い光が放たれる。
 その巨大なエネルギーは触れたものすべてを蒸発させる。
 それはたとえオトメであろうが例外ではないだろう。
「着弾確認!」
「爆発しないぞ!?」
「どういうことだ!」
 光の先、旗艦『キクカワ』にめがけ放たれている光はその前にいるMSによって封じられている。
「こちらアカツキ、敵の攻撃は防いだ!ユキノ大統領…指示を」
 それは金色に輝くMS。すべてのビーム攻撃を無効化できる力を持つ最新鋭MSである。
「了解。各国にも通達。これよりミッション、サイレント・シーを開始します。可及的速やかに敵を殲滅。ナギ・ダイ・アルタイを拘束してください」
 ユキノは夜という闇の中、ヴィントから見える巨大な戦艦を眺めていた。彼らが来たことでこの戦争は始まった。
 なぜ人と人の出会いは戦争になってしまうのか。それが人間の性なのか。
 ユキノはふと考える。
 だが彼女は同時に始めてであったある少女から力をもらったことを覚えている。
 人間の出会いは戦争を起こすものではない。
 だったら、この戦いも…とめることができるはず。
411舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:18:51 ID:???
砂漠の中から高速で浮上してくる戦艦…潜砂空母『スズシロ』
「准将。射出します」
「了解。マリュー艦長。あとはしっかりと頼むわよ」
 マリューはどこかかわっているその艦長席に座り、目の前の戦闘を眺める。
 その先にあるのはミネルバ…。
 この世界に来てもなお戦争を繰り返すというのか?
 それとも…タリア・グラティスは…もう。
「各部ハッチ展開」
「「展開します!」」
ミリアリアとラクスがどうやく慣れてきたそのコンピューターを手にし、調整する。
 そこから飛び出してくるハルカ・アーミテージ准将、そしてデルタオトメ隊。
 彼女たちとともに後方からはMSが展開している。それはストライク・フリーダム、インフィニットジャスティス、アカツキ、ガイアがそれぞれ出撃している。
「キラ君、バルドフェルド機は前方、デストロイの撃破、ムウはそのまま待機、アスラン君はそのままミネルバ攻撃にあたって」
「「了解」」
 インフィニットジャスティスに乗っているのはアスランだけではなかった。そこにいたのはメイリン・ホーク。ルナマリアの妹だ。
「いいんだな?」
「…お姉ちゃんをとめないと!」
 アスランはモニターにうつる。既にルナマリアの面影を失ったそのドス黒いものを見る。説得できるかどうか…だが、賭けてみるしかない。
 インフィニットジャスティスはミネルバにへと向かって突き進む。

「…ストライクフリーダムだと?」
 通信ではいってきたものを傍受し、先ほどまで戦意を失っていたレジェンドが動き出す。レイのコクピットには注射器が転がっていた。
「亡霊がまだ俺の前に姿を現すか!!」
 レジェンドが再び立ち上がり、コクピットをそのまま露出しまま上空にへと飛び上がる。
「フハハハ…この前の戦いの決着、つけさせてもらうぞ!!」
 レジェンドの出現はデストロイと交戦していたストライクフリーダムにもすぐわかった。
「バカな!ここでレジェンド!?」
「死ね!ストライク!!」
 ビームサーベルでその狂気に満ちたレジェンドのビームサーベルを受け止めるストライクフリーダム。
 腰部についたレールガンを撃ち相手を突き放そうとするが、レジェンドはストライクフリーダムから瞬時にはなれかわす。
 キラには見えていたそのコクピットにいるものの姿が…。
412舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:20:07 ID:???
「…さてと、城内はだいぶ落ち着いたかな」
 ミネルバから降り立つ前にミネルバからヴィント城にめがけての機銃掃射。これにより反抗精力を一掃したのだ。誰の良心もとがめない。
 スイッチひとつでの簡単な行動。
「この世界なんかより彼らの世界のほうがよっぽどまとも。そこにいくのは僕とマシロちゃんだけで十分さ」
『大公!接近するMSとオトメです!指示を願います!指示を!』
 鳴り響く音をナギは踏み潰す。
「うるさいな。そんなことは言われなくてもわかっているさ。ルナマリアちゃん」
 飛び上がるルナマリア。
 ミネルバと戦闘をしているのは舞衣とミコトである。機銃照射により接近できないのでてこずっているようだ。
 そしてMSはインフィニットジャスティス
「ルナマリアか!」
「お姉ちゃん!!」
 ハッチをあけてルナマリアを見て叫ぶメイリン。
 変わり果ててしまった自分の姉を見てメイリンは言葉を失ってしまう。黒いオーラは一瞬、霞みルナマリアの姿が見える。
 血の涙のようなものが頬を流れ、無表情。
「…お姉ちゃん、お姉ちゃん!!」
 何度も叫ぶメイリン。自分のことを何度も勇気付け励ましてくれたルナマリア。自分の自慢の姉だった女子では珍しいパイロットでしかもエリートの赤服。
 クールで男勝りで、そんな姉が大好きだった。自分もいつか姉のようになりたいって…ずっとそう思っていて。
 でも私はそんなお姉ちゃんを裏切ってしまった。初めてお姉ちゃんと違うことをした。それが怖かった。
 それがどんな結果になるかなんて私にはわからなかった。
「…」
 ルナマリアの首が動き、メイリンを見つめる。
「…メイリン?」
 ポツリとつぶやくルナマリア。
「お姉ちゃん…帰ろう?みんなで…ね?」
「みんな…」
 蘇る記憶。自分がなにをしたのか、関係の無い人間を巻き添えにして何をしたのか、目の前でタリア艦長が撃たれてしまっこと…。
「私…」
 メイリンから離れていくルナマリア。頭を抱え声を出すことなく嗚咽を漏らす。
 もうメイリンの手は握れない。
 私の手は汚れてしまっている。血だらけ…。私はメイリンの元にはいけない。

絶望…憎悪…。

 ルナマリアを覆う真っ黒いもの。身が包まれる。
 もう何も見たくない…そんなルナマリアの心のように。
「…」
 エレメントである銃剣を握り、それをインフィニットジャスティスのコクピットにへと向ける。
「メイリン!戻れ!」
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
 大声で何度も叫ぶメイリン、そのメイリンをめがけエレメントが輝く。

「?」
 次に目を開けたとき、メイリンはそこに大きな影があるのを見た。それはどこかなつかしいもの。
「…ディスティニー」
 アスランはその機影を見てつぶやく。ディスティニーが頭上からルナマリアの攻撃をとめるために間に入ったのだ。
413舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/21(金) 22:22:49 ID:???
第8話終了
後二話ぐらいで終了予定
もうしばらくお付き合いください
414通常の名無しさんの3倍:2007/09/22(土) 10:47:30 ID:???
gj
415通常の名無しさんの3倍:2007/09/22(土) 11:36:24 ID:???

色々なSSを見てきたが、ルナがここまで強いのは初めて見たw
416舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:39:34 ID:???
第九話 開かれたゲート〜運命の黝廉石〜


 ルナマリアとインフィニットジャスティスの間に入るそのMSはどこかで見たことのあるもの。
 そしてそれは懐かしくもあり、ずっと捜し求めていたもの。

「こちらシン・アスカ。みんな戦闘をやめろ!」

「シン!?本当にシンなのか!?」
 アスランは画面に向かって言う。
「…アスラン。えぇ…なんとか無事にね」
「シン!お姉ちゃんが!!お姉ちゃんが!!」
 メイリンがアスランの前にでるようにして叫ぶ
「メイリン!?生きていたのか!そうか…よかった」
 シンは安堵した表情で息をつき、もう片方にいるルナマリアのほうを見る。
 黒く染まるルナマリアにシンは語りかける。
「ルナなんだろ!?おい!シンだ!シン・アスカだ!!」
「…」
 ルナマリアはエレメントを振り下ろし、ディスティニーとインフィニットジャスティスを吹き飛ばす。
 二機はそのまま市街地に叩きつけられる。

「シン!!」
 駆けつけるミドリのスレイブ、愕天王とともにやってくるアリカ。
「私はラドを探す。お前はマシロ女王のところにいけ」
「はい!ありがとうございます頭領」
 アリカはそのままシンのMSのほうを一度見つめてからそのまま城内にへと入っていく。
417舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:41:29 ID:???
ヴィントブルーム城内…玉座

 それは一度戴冠式で利用した場所。
 マシロ女王とニナはそこに隠れていた。
 いたるところに兵士の遺体がある。先ほどの戦艦からの機銃照射によるものだろう。
 サコミズ、アオイは無事であろうか…。我が民は無事であろうか。
 マシロは目を閉じ唱え続ける。
「…マシロちゃん。いるんでしょ?」
 その声…ナギ・ダイ・アルタイ。
 すべての元凶…わらわが対峙しなければならない相手
「わらわはここじゃ」
「マシロ様!?」
 立ち上がるマシロとそれを護衛するニナ。
「久しぶりだね?こうして君と出会えるのは…ヴィント事変以来かな?」
「…何をたくらんでおるか知らんが、お前の思い通りにはならんぞ!」
「どうかな?」
 ナギは窓から入る月光に照らされそのどこか白く鋭い目をマシロに向ける。
「殿下…もうこれ以上はおやめに」
「ニナちゃん。君がまさかマシロちゃんのオトメになっているとはね。驚いたよ。セルゲイのことですっかりオトメには関心をなくしたものだとばかり思っていたんだけどね」
「…私に力があり、それが贖罪としてできるのであるならば…」
 ニナはナギを見つめつぶやく。ナギの野望に加担した自分の罪滅ぼし。
「そういう世界もあれば、ニナちゃんがオトメにならなかった世界もある」
「?」
「なにをいっておる!」
 ニナとマシロは不思議そうな表情でナギを見る。

「…世界は様々な側面を持っている。たとえばヴィント事変で僕が勝った世界もあれば、ヴィント事変さえ起きなかった世界。
 もっと以前、十二王戦争ですべての戦争を終結させた真祖フミさえいない世界」

「そんな世界などありえん!」
「ありえない?なら彼女たちはなんなのかな?君たちがそう呼ぶ異邦人たち」
 ナギはマシロを見つめる。
 ナギの言っている意味がなんとなくだが理解でき始めていた。
 世界は様々な可能性を持っている。
 本来交わることの無かった世界がハルモニウムというものによってそのバランスが崩れたのだ。
418舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:43:10 ID:???
「僕はこれを偶然とは思わない。いや、これは定められた運命なのさ。交じり合った世界はいずれ崩壊する。それを止めるには片方の世界を消し去ればいい」
「ナギ、そなたは一体…」
「絶望、復讐と憎悪、あまりにも強大な負の感情を持つ主を迎えたあの輝石はやがて暴走する。そのとき、ゲートが開くのさ。次元をつなぐ橋…」
「次元を繋ぐ橋…」
「世界の崩壊を救うにはそれしかないんだよ」
「なぜじゃ…なぜそなたはいつもいつもそうやって己の力一つで、こんなことをする!」
 マシロは首を大きく振ってそして怒鳴りつける。
 いくら成長したとはいえそういうところは相変わらずか…。ナギはおもう。
「お前が一言でも皆と相談してくれれば!わらわたちだってバカではない!協力する。こんな争いではない!きちんと話し合って…」
 マシロが一方的に批判するのではなく自分のことを考えて言う事ははじめて。
「…フフ、惚れ直しちゃうねマシロちゃん」
「はぐらかすな!!今からでも間に合う!皆で協力すればなんだって解決できるんじゃ!」
「…それは夢だよマシロちゃん。現実はそんな生易しいものじゃない」
「かまわん!それでも誰かを傷つけなければいけないことよりずっと、ずっといい」
「世界の崩壊が起こる前までに話し合いがつけられると思うかい?オトメ拡散防止条約が停滞し、逆に軍拡の動きまである。
 ルーテシアでは国境紛争の再燃が危惧され、エアリーズは国際社会を台頭し、やがて世界を治めようとするだろう。
 それでもマシロちゃんは夢を持ち続けるのかな?」
「…わらわは、みんなが笑顔になれる国を作る。そのために…できることをする。わらわは、そのために今からやっていくのじゃ!それがアリカやニナ、みんなとの約束なんじゃ!!」
 ニナはマシロのその力いっぱいの言葉を聴き、やっぱりこれがアリカのマスターなんだと思った。マシロ様のいっていることは確かに夢であってそれを現実にするのは難しい。
 だけど誰もがマシロ様と同じ夢、願いを持つことが出来るならば…。
 時間がかかったとしても。きっと叶う。
 アリカやマシロ様は無理であろうとしたことを実際かなえたのだから。
「…私はマシロ様を信じます。ナギ大公。抵抗をやめおとなしくしてください」
 ニナはエレメントを握り締め、ナギにむける。
 瞬間、窓のガラスが一斉に割れる。
 それは巨大な風…。
 ニナはマシロをガラスからかばう。
 その間にナギはその場から逃げていく。
「しまった」
「かまわん。それよりも…」
 外ではルナマリアの黒き分身たちが他のオトメとの戦闘を始めていた。
「マシロちゃん!!ニナちゃん!!」
「アリカ!?」「アリカ!」
 だいぶ汚れたマイスター服のアリカは疲れた表情で二人の下に駆け寄る。
「認証して!」
「…よし。蒼天の青玉を持つ我がオトメよ。そなたの力を解放する。蒼天の力もセットじゃ」
 認証を受け、アリカは視線を黒く染まる強大なオトメにへと向けた。

「マテリアライズ!!」
419舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:45:55 ID:???
マシロの前に立つその二人のオトメは敵陣の中にへと向かっていく。マシロはそこで見守る。
世界の存亡をかけ…ユメノツヅキのために。

「くそ!これじゃルナマリアにちかづくことさえできない!」
 インフィニットジャスティスとディスティニーは背中合わせで迫りくる攻撃を防いでいた。
 ルナマリアの体から湧き上がったその分身たちはアークエンジェルを撃破したものに間違いは無い。
 だがそれが複数現われたと言うなら話は変わってくる。
「シン、機体は大丈夫なのか?」
 アスランは攻撃を防ぎながら問いかける。謝るつもりは無い。
 だけど心配だったことにはかわりはないから。
「アリカっていう子と他の人たちに直してもらいましたよ。うまく機動部分だけだったんで。修理は意外と簡単でした」
「…そうか」
「今のルナは前の俺と同じです」
 シンは画面をアップにしてヴィント城の頭上に位置するルナマリアを見る。
 彼女は力無くその場に浮いている。
 目は開かれているが光は無い。
「…俺は妹を失ってそれを誰かのせいにしたくてしょうがなかった。無力だった自分への怒り、そして何もしなかったオーブ政府、そして俺を裏切ったあなたへの恨み、憎しみ。今のルナはそれと同じなんだ」
「シン…」
「もう、戦争はイヤだ。俺は見たんです。戦争によって傷ついた人たちの姿を」
 それはシンが見たアスワドの人たちのこと。黒い谷といわれ避けられた彼らはみんな身体のどこかを失っていたり、機能不全だったりしていた。それの原因がシンにはわかった。
『放射能』
 シンはそこでいつ自分が死ぬかもわからないのに笑顔で笑っている子供たちを見て、シンは彼らの笑顔に今までの自分を打ち倒された。
 誰を憎むことも無く笑顔でせいいっぱいいきている子供たちに
 彼らは砂の中からディスティニーをだしてくれることを手伝い、そしてアリカやミドリ頭領によってこの機体は生まれ変わった。
 今までの俺の憎悪やそれらすべてを洗い流して…。
「…わかった。メイリン、シンとともにいけ」
「え?」
「…お前たち二人がルナマリアを説得しなければ意味が無い」
420舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:47:23 ID:???
 一方、ミネルバの武装をすべて沈黙させた舞衣たちにかわりマリューたち率いる条約機構軍がヴィントにはいってきていた。
 オトメ部隊は残党を処理しつつ、マリューやミリアリア、ラクスたちはミネルバにへと突入していく。
 近衛兵の銃による攻撃もデルタオトメ隊により無力化されていく。
「…艦首に突入します」
 チエ・ハラードが最初に室内の扉を開け、そこを他の隊員が銃撃し、近衛隊を打ち倒す。
 室内は荒らされていた。そしてそこで目に入るもの。
「タリア…グラティス」
 そこに横たわるもの。
 タリア・グラティスは銃弾を受け、倒れていた。血が壁を染め流れている。
 かすんだ視界の中に入るどこかで見た顔にタリアはよく目を凝らす。
「マリュー・ラミアス…。こんなところであたなにあうなんて…つくづくね」
「待っていて。今、治療を」
 そういうマリューの手を握るタリア。
「…」
「…元の世界に帰ったら議長に伝えて、私たちは間違っていたと」
 振り返るマリュー。タリアは小さく息をしながら告げる。
「クルーを全員、死なせてしまって…私だけ生き残ることなんかできないのよ」
「…私たちの艦もたくさん死んだわ。仕方が無いことなの。戦争だから」
「…そうね。私ったら…なにをいってるのだろう。お願い…レイとルナマリアを…」
 タリアは壁にもたれたままマリューにそう告げてゆっくりと目を閉じる。

「…もし、生まれ変わることが出来るのなら…そのときは…デュランダル、私…」

 タリアの言葉がとまる。
 マリューは立ち上がり、彼女に向け敬礼をする。
 それは異世界にわたり、元の世界にかえろうとしながらも、世界の流れに巻き込まれ、それでもなお抵抗しようとした彼女たちの勇気に対して…。

「もうやめるんだ!!異世界にきてもこんなことを続ける気か!」
 ストライクフリーダムは撃ちだされるビームの閃光をかわしていく。それを執拗に追うレジェンド。
「お前さえ、お前さえいなければ!!議長の新世界が実現できる。それが僕とラウの求める世界なんだ!!」
「君は君だ!君は議長に利用されているだけなんだ!」
「うるさい!!お前なんかになにがわかる!!なにが!!」
 レジェンドのビームの乱射に対して、キラも反撃に出る。振り返りざまに撃ちだすビームライフル。そしてその勢いのまま、ビームサーベルでレジェンドに向かう。
 交錯する二機。
 キラのストライクフリーダムの右腕が切られる。ちぎれた右腕はそのまま落ちていく。
 反対にレジェンドはメインモニターの頭部を切られ、そのままバランスを崩し、落ちていく。
「くそぉ!!くそおお!!覚えておけ!!ストライクフリーダム!!」
 恨みに満ちた声を吐きながらそのままレジェンドは地上に激突する。
「…すまない。でも僕はいかなくちゃいけない。二つの世界を救うために」
421舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:48:24 ID:???
条約機構軍本隊
「クリサント大統領。敵防衛部隊を撃破。異邦人の旗艦も奪取したとのことです」
「…わかりました。やはり彼女たちに協力してもらって助かりました」
「はい、条約機構軍の異邦人戦艦奪取間際に搭乗員と機械人形の移動。こんな形で役立つとは」
 ボーマン中将は前もってデルタオトメ隊とともに戦艦の乗員移動を命令されそれを実行していた。
 最初は異論もあったのだが、最終的には命令に従った。
「あとはナギ大公を拘束すれば問題は解決します」
「大統領!?ヴィントブルーム城の真上で異常な高次物質化反応。数値が異常です」
 ユキノはヴィントの方角を見る。それはヴィント事変で見たような黒いもの。

「はぁー!!」
 舞衣の格闘戦も幻影に近いそのルナマリアの分身にはダメージを与えることが出来ない。舞衣は相手の攻撃を避けながら、体力がじょじょに減ってきていることを感じてきていた。
「舞衣さーん!」
アリカとニナが駆けつけ、黒いそのオトメに攻撃するが身体がすけ、あたらない。
「な、なんなんですか!?」
「どうやら普通の格闘戦じゃ無理みたいね」
「本体に攻撃しなければ意味は無いわ」
 他のオトメ部隊もエレメントの攻撃を受け付けないその分身に苦戦を強いられている。その間にも中央ではルナマリアを中心に黒い光が広がり始めていた。
「舞衣!あいつ、橋を作る気だ!」
「橋?」
「二つの世界を繋げる橋だ!」
 夜の闇を貫く一閃の閃光。
 それは時空を繋げる橋。
 光がまばゆく輝く。
「な、なんじゃ!?あの穴に吸い込まれておるのか!?」
 風が巻き起こり、その穴に吸い込まれていく。まるで掃除機…。
 大きな音が鳴り響く中、様々なものを吸い込んでいく。
 マシロは建物の奥に隠れるが、手が離れ宙に浮く。
「うわぁ!!」
 そのマシロの手をつかむもの。それはレジェンドを倒したミユである。
「…はじまってしまいましたか」
 ミユは次々とものを吸い込んでいくその黒い穴を見る。
「一つの世界に二つの世界は同時に成り立ちません。このままではやがて」
「まさか!ナギのいうことがはじまってしまったのか!」
 マシロは頭上を見上げる。黒く染まった異邦人のオトメ…。
 心を閉ざし、憎悪に駆られてしまったものを。
422舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:51:49 ID:???

戻りたい。

メイリンやシン、みんながいる世界に。

私が私でいられたときに。

「ルナ!!聞こえるだろ?目を覚ましてくれ!」
「お姉ちゃん!!」
 ルナマリアの傍に接近したディスティニーからメイリンとシンは声をかける。
 だがその声も巨大な暴風の前にかき消される。
 シンはディスティニーのハッチを開ける。
「お姉ちゃん…こんな風になって…私のこと怒ってるだろうね。勝手にでていって、勝手にいなくなって…お姉ちゃんにどれだけ心配かけたか」
『…』
「…お姉ちゃんは私やみんなのために一人でがんばってくれてた。知らなかったわけじゃないんだよ?
 でも私、どうしていいのかわからなくて…でも今ならわかる」
 メイリンは宙に浮き、黒きオーラを身にまとうルナマリアに抱きつく。
「メイリン!!」
 その行動に危機を感じたキラのストライクフリーダムがとめようとするが、ディスティニーがとめる。
「…邪魔はさせない」
 シンはモニターにうつるストライクフリーダムをにらむ。

 ルナマリアの巨大なエレメントを握った手が動き、しがみついているメイリンに向けられる。
 近づいたオトメたちやMSたち誰もが彼女たちを見守る。

「ごめんなさい…お姉ちゃん」

 メイリンは一言告げる。今までの人生の中で自分を支えてくれた姉に対して…。
 そしてシンはルナマリアに手を差し伸べる。

「…帰ろう。ルナ…みんなのところに」

 シンの差し伸べられた手を握るルナマリア。シンとメイリンはルナマリアを見つめる。
 黒きオーラがルナマリアから消えていく。
 ルナマリアのオトメのローブにひびが入り崩れ始める。
 それはかつてニナ・ウォンが体験したハルモニウムからの浄化である。黒く輝いていたGEMも本来の色、輝くオレンジ色の元の色にへと姿を変える。
423舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:54:58 ID:???
「きゃ!!」
 メイリンの叫び声とともに二人はディスティニーの手のひらに落ちる。駆け寄るシン。
「ルナ、ルナ…目をあけろ。ルナ…」
「うぅ…シン?メイリン?」
 ルナマリアはゆっくりと目をあけて二人を見る。死んだと思っていた二人。でも夢の中で二人は私に呼びかけてくれていた。ずっと…。
「これは、夢?」
「夢じゃないよお姉ちゃん!」
「そうだ、夢じゃない」
 シンはそういうとルナマリアに顔を近づけそっと唇を重ねる。
 そこでルナマリアの緊張の糸が切れた。今まで一人でがんばってきた、寂しかった、怖かった、それらの感情が一気にあふれ出す。
「あぁぁぁ…」
 声を出して涙を流すルナマリアを支え、ともに涙を流すメイリン。そして笑顔で二人を見つめるシン。

「…これで無事解決じゃな」
 マシロは天を見上げつぶやく。
 だが、その風の勢いは収まるどころかさらに勢いを増し始めている。
「ど、どういうことじゃ!!とまらぬではないか!?」
「…」
 ミユは赤く輝く空を眺める。
 
ヴィントブルーム城を中心に今二つの世界の崩壊が始まろうとしていた。
424舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/24(月) 19:56:12 ID:???
ということで次回が最終回ということで
今回の話がだいぶまとめっぽいんですがね
次回予告というか今度は種メンバーで蝕の祭りでもやりたいなー
425通常の名無しさんの3倍:2007/09/25(火) 07:12:55 ID:???
乙乙
426舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:43:35 ID:???
この世界にはいくつもの可能性を持った世界が存在する。
それは人の思いによってあまたなる可能性の世界にへと広がっていく。
だが二つの世界は同時に存在できない。
この繋がれた橋をふさがなければ…すべては無に帰すだろう。

最終話 ユメノツヅキヘ

 巨大な竜巻が何本をでき、ヴィントの街を襲う。
倒れていたナオの身体が浮きあがりその頭上にへと飛ばされそうになる。その腕をつかむ手。
「間に合いましたね」
 サラ・ギャラガーは風から身をかばうようにして頭上の巨大な雲の中心、すべてを吸い込む穴を見つめる。
「うちらの出番はまだ残ってるようどす」
 シズルの腕の中にはナツキとマーヤがいる。ガルデローベの研究所のほうではミドリとラドが救出に向かっている。
 世界各国のオトメが集う中、その巨大な穴は更なる広がりを見せている。
「どうして!?お姉ちゃんのローブはとまったのに」
 メイリンは頭上を見上げて叫ぶ。
 ミユとマシロが皆のもとにやってくる。
「…既にあなたの手からあの橋は離れています。もう一方の世界の橋を繋ごうとしているものの手によって今まさに開かれてしまっているのです」
「もう一方?あっちに穴を開けようとしている奴がいるのか?」
 シンはミユを見て聞く
「はい。おそらくですが…彼女たちがここに来てしまったのもこれが原因」
 ということは向こうの世界に行き、その相手を倒さなければこの穴は完全に開ききってしまう。
 そうなれば…。
427舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:45:09 ID:???
「どうすればいいのじゃ!!」
「マシロちゃん!私いくよ!」
 アリカがマシロの前に降り立ち言う。
「じゃが…」
 あの巨大な空間に入り、無事に戻ってこれるのか?
 出来なければ…。
 だがアリカの瞳には迷いは無かった。
 ならば、マスターである私も信じなければ、彼女のことを…。
「ニナちゃん。留守番は任せたよ」
「…えぇ、いってらっしゃいアリカ」
 ニナもアリカを信じている。
 自分を救ってくれた彼女のことをニナは心のそこから信じていた。そして必ず世界が救われるということも。
「俺たちも一緒にいきます」
 降り立つMS。ディスティニーである。妹の上着を着せられたルナマリアと妹のメイリンもともにマシロ女王を見る。
「僕たちも…」
 ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスが上空から答える。
「…わかった。アリカ、そしてそなた達に任せる」
 マシロはアリカを見る。アリカは小さく頷くと上空に飛び上がる
「作戦概要は、アリカさん、キラ君、シン君、アスラン君の三人による穴に突入。その後ミネルバは穴のギリギリで制止させ、穴の吸い込みを押さえます」
 マリューはタリアが座っていた艦長席に座り、ミリアリアたちを率いて上空にへと浮上を開始する。
 MS部隊が穴にめがけ突入し、そこをミネルバでふさいだ。
「…アリカ」
 マシロはGEMを見つめる。
 
我がオトメに…今こそ力を

「なんで私たちはいっちゃいけないのよ!」
 後ろでは怒鳴っているハルカ、そしてをそれをなだめるユキノ。
 穴に突入した彼女たちを眺めるシズルはハルカの隣で囁く。
「最速を誇る蒼天の青玉やったら、もしものときこっちに戻ってこれるはずどす」
「だからって!あの子一人で」
「ひとりやありません」

 異次元の穴の中、アリカとディスティニー、そしてストライクフリーダム、インフィニットジャスティスが超えていく。
 赤黒く雷鳴がとどろく中…、光が前を照らす。
428舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:46:32 ID:???
「…ここは」
 そこは宇宙…目の前には巨大な岩があり、そこには口をあけた巨大な発射口がある。
 周りを見渡せばシンが乗っていたような機械人形が戦っている。
「戻ってこれたのか?」
 シンは現在位置を確認する。ルナマリアとメイリンがその狭いコクピットの中、前を見つめている。現在地はザフト軍の本陣、レクイエムである。
「な、なんだお前たちは?」
 防衛にあたっていたザフト軍MSであるゲイツが突如現われたそのMSたちを見て驚いている。そして小さいものに画面をアップさせる。
 そこにいるのは変な格好をした女子。
 しかも宇宙の中、宇宙服も着ずに動いている。
「わぁあああ!ば、バケモノだ!」
「ひっどーい!私はアリカだもん」
 アリカはむっとした表情でゲイツに言う。
「メーデー、メーデー、敵の奇襲部隊です、至急、増援を!」
 そういうゲイツの頭を切り裂くストライクフリーダム。
「この感じだと、あの光の前か…」
 アスランは現在位置とそしてMSの配列を見てそう告げる。
「っていうことはここには俺たちもいるってことか」
 シンは自分たちがあの戦いのときにいた場所のほうを調べる。
 すると今まさにミネルバとアークエンジェルが戦闘をしているところだ。
「なんだか不思議な感覚だね…私たちここにいるのに」
 メイリンが画面を見ながらつぶやく。
「もし、向こうの私たちを説得したら戦争はやめられるのかもしれない」
 ルナマリアはポツリとつぶやく。
「気持ちはわかるけど、今は…」
 キラの声に、シンは頷き、レクイエムの頭上を見上げる。
 そこになにかがいた。

『…』

 白髪でギョロっと見開かれた赤い片方だけの目。
 身体の半分が黒、そしてもう半分が白というその人間でもなくMSでもないものがその画面には確かに映し出されていた。
429舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:47:45 ID:???
「あれが…」
 アリカのほうを見たそのものは瞳からビームを発射する。
「危ない!!」
 アスランがアリカの前に出てそれを受ける。
 するとアスランのインフィニットジャスティスは見る見る石となっていく。
「アスラン!!」
 ルナマリアが叫ぶ。だがアスランからの返事はない。石化してしまったジャスティスが宙に浮いている。
 その白髪のものはアリカたちがきた穴から差し伸べられる光をさらに大きくしていく。
「こいつが…」
 シンはその得体の知れないものの前に恐怖を感じていた。

「穴がさらに巨大化!」
 ミネルバではミリアリアが画面を見ながら報告を続けていく。
 このままではヴィント全体を飲み込んでしまう。
「一体どうなっているのじゃ!!」
「…惑星破壊兵器ユナ」
「なに!?」
 マシロがミユの言葉に反応する。
「かつてこの惑星の住人が作り上げた最終破壊兵器。あまりの強大な力のために宇宙の放棄されたと聞いたのですが、どうやらあちらの世界にいたようです」
「それがこっちに戻ってくるというのか!?」
「はい」
 まさか…そんな恐ろしいものがこの世界のあるとは、なぜ自分の惑星までもを破壊するようなものを人はつくる?
 そこまでして人間は破壊や殺戮をやめられないのか。
 ちがう!そんなことやめなくてはいけない。わらわたちの手で。
 そのようなもの…我々には必要ない!!

「なんとしてでもとめてみせる!」
 キラはストライクフリーダムをつかいビームライルで攻撃をかける。だがそれもユナのビームの前には石化されてしまう。
「そんな!ビームまでも!!」
「はぁー!!」
 アリカがその中、エレメントを握り、ユナに立ち向かう。ユナはアリカの攻撃をかわして穴のほうにへと向かう。
 目的地は…あの向こう、惑星エアル。
「逃がすか!!」
 ディスティニーが巨大なビームサーベルをむけ、ユナの身体を貫く。
「いまだ!!アリカ!!」
「はぁー!!!」
 アリカのエレメントが輝き、ユナの身体に閃光が命中する。
 蒼天の霹靂…ユナの身体はそのまま時空の中にへと消えていく。
「これで…」
 シンは大きく息をつき、周りを見渡す。
 穴が光の粒子となって消えていく。それは戦場にいるすべて者に戦いを忘れさせた。
 光の粒子はレクエイムを包み込むように、高らかに天にへと飛ばされていく。宇宙でこんな幻想的な光景が見れるとは思わなかった。
 アリカ、シンやルナマリアたちはその光を眺めながら意識を失った。
430舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:49:03 ID:???


 大きなドアを開ける音と、足音をたててマシロが眠っている寝癖のついたマイスターを見る。
 その表情はかなり怒っているようだ。
「こらー!!アリカ!いつまで寝ておるんじゃ!」
「ま、マシロちゃん?あれ、私…ニナちゃんやみんなと」
「何を寝ぼけておる!今日は民に対しての演説なんじゃ!さっさと支度をせんかー!!」
「わぁあ!!」
 アリカは慌てて起き上がり、そのままベットから落ちる。
 先ほどの夢のことはこの忙しい日々にはあまり心にはとまらなかったが、それでもニナに会えた事はなんとなくだが嬉しかった。


「うぅ…」
 ゆっくりと顔をあげるシン・アスカ。
「シン!大丈夫か?」
 それはレイの声。シンは周りを見渡す。
 そこはディスティニーのコクピットの中。
 シンはディスティニーから外の様子を見る。そこはミネルバの艦内である。
 さっきのは…夢?だがすごくリアルな夢であった。
 手に実感が残っている。
「どうした?シン?」
「あ、あぁ…すまない。少し考え事をしていて」
 シンは隣のレジェンドにいるレイの問いかけに答える。
「この戦いですべてに蹴りがつく。議長の理想の社会を作り上げるために」
「…あぁ」
 シンはそのレイの言葉になんだかうまくいえないが、賛同できなかった。
 それはあの夢の体験からか。
「シン。よろしく頼むわね!」
 もう片方の隣からインパルス…ルナマリア・ホークの声が聞こえた。
 なぜだろう。さっきまで一緒にいたのに、不思議な感覚だ。
「ルナ…。メイリンはたぶん生きている」
「え?」
「わかるんだ。メイリンは生きている」
 ルナの声が聞こえなくなる。少しの間があって
「…どうしちゃったのさ。急にへんなこと言わないでよ」
 そのルナの声は涙声だった。嬉しかったのだろう。
 たとえそれが嘘であっても…いやルナもあの夢を見ていたのかもしれない。だったら信じてくれるはずさ。
「お前とメイリンをあわせるまで俺は死ねないから」
「…シンも…死なないでね」
 死なないさ。だって…俺は!

『カタパルトオープン。ディスティニー発進!!』
431舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:51:16 ID:???
世界はいくつも存在します。
それは人の想いひとつですべてが変化します。今回の世界が夢として認識させられていたとしても、彼らには何らかの変化を起こしているのです。
人の夢はすべてを変えることが出来る。運命さえ覆すことが出来ます。
それはなにもアリカやシン・アスカが特別だったわけではありません。それは誰にでも持っているもの。
あなた方とて例外ではありません。
あなた方の思い一つで世界は無限に広がります。
幾つもの世界があなたの前には広がっているのです。

 これは私がこの数百年間の間にだした結論のひとつです。
今おもえばかつての祭りというものが私にすべてを教えてくれたことだったのかもしれません。


 ですが、忘れてはいけません。
 想いを持つものがすべてがよい心を持つものではないということを。


惑星エアル…エアリーズ展望台
 機動が開始され一週間が過ぎ、お祭りムードがさったその場所に音が鳴り響く。眼鏡をかけた事務員たちが画面を見つめる。
「これは大変だ…」
 そこに示されるのは巨大な隕石がエアルに衝突コースで向かっているということ。
 事務員は慌ててエアリーズ中央政府にへと連絡する。
 彼が画面から目を離した一瞬、その隕石に高次物質化反応が示されたことを、そのとき誰も発見できなかったことが今回の事件の引金となるのである。

目的地である場所を目指し…隕石は静かに進んでいく。


そして物語は…ユメノツヅキヘ

432舞-乙HiME× SEED DESTINY:2007/09/26(水) 19:53:11 ID:???
終了!
いろいろとご指摘してくださった方や読んでいただいた方ありがとうございました。
ではまたどこかで!
433通常の名無しさんの3倍:2007/09/27(木) 08:18:09 ID:???
GJGJ
434通常の名無しさんの3倍
浮上開始