>>608 お疲れ様でした。
今まで見られなかった絵が見られるようになったことがとても嬉しいです。
どのMSも素晴らしいですね。
まとめ見たけど、元ネタここですってリンクなり注釈入れたほうがよくないか?
ここから見に行った奴ならともかく、いきなり見た奴は?となる気が。
あ、言い忘れてたけど乙
端から見たらただのオリガンサイトだって思うだけじゃね?
まとめ、とりあえず外伝追加してみました
>>614 うは全然考えてなかった!
とりあえずここ貼っとけばいいんでしょうか?
618 :
閃戦鏤刻:2007/08/07(火) 06:25:47 ID:???
「バルネアW」周空、成層の高み―――。
敵群を貫いた「ディバイン」の砲光は鏡搭の先端部に届く前にあえなく散じる。
噴き上がる大量高密の霊波流に聖質は全て分散し昇華されてしまった。
「っ、やっぱ直に叩かなけりゃ駄目か…」
湧出する霊流に巻き上げられた黒霧が白機の進路を覆う。
『そうそう近づけるかよ!』
魔機の暗幕から突出する「バシリスク」。
左方から視えずの攻壁が白機を圧する。
「GM隊は下がってろ、あれに近づけきゃ問答無用で落とされる…っぐ!?」
どこからともなくうねりしなった蛇鞭に腕をとられた「ディバイン」。
「ちょっと!いった自分がやられてりゃ世話ないっしょ」
剪断する「ホーリー」のビット。
「わりぃディミっ」
「あれは私の相手だからねっ…」
収束版付近、水晶の鍵盤を滑るように跳ね撃つ飛羽と蛇手。
『今度こそ逃がさないわ…』
「――前とは違うっていってるでしょ。ビットが揃ってる限り、勝ち目はないよっ」
上方から回り込むインコムを打ち落とすビット。
遠隔操作である従霊兵装の決め手となるのは速度でも精度でもなく構想力。
空間を創出る想像力とそれを具現化する経験。
配置の巧妙。時即の絶妙。選形の精妙。
先読み。三手に分かたれた蛇手に張りつく羽翅。
囮。「ホーリー」を襲ったインコムは二基のビットに横合いから払われる。
挟撃。小刻みな軌道を一転、直線的な動きで一気に飛突するビット全基。
畳み掛ける束射に「ステンノー」はたまらず距離を離し、
「こんなもん…縄かなんかああ!」
「ホーリー」の弦糸が残ったインコム最後の一本を鮮やかに切り刻む。
『いうだけの事はあるわね…けれど、何度やられてもインコムは…』
『範囲に入ってくるなチルっ、巻き込むだろうが!』
『!?』
ビットの猛攻に気をとられていた彼女は僚機の位置を誤っていた。
いや、錯覚させられたというべきか。
接近しすぎ、互いに動きを止めた邪竜機の繰り手達は気づく。
魔機の先陣もまたいつの間にかビットの砲撃によって誘導されている事に。
「ドンピシャだディミ、よく揃えたっ…!」
そして一箇所に集められたその空域は「ディバイン」の間合い。
――「ホーリー」が繰るのはビットだけではない。敵の動き、戦場そのもの。
撃ち出される数百閃がインコムと魔機群ごと一斉に焼き払う。
619 :
閃戦鏤刻:2007/08/07(火) 06:27:11 ID:???
…だが。
砲撃と同時に「ディバイン」を見舞う衝撃。
「!ヒーリィ!」
「ディバイン」を見やるディミ。
邪機「モノケロス」の背から反り返った鎌刃が「ディバイン」の装甲表面を僅かに削りとる。
すんでの所で逃れた「ディバイン」は大鎚で強引に振り払う。
「狙ってやがったな…!」
『…これを凌ぐとはな』
「仲間を囮にしやがって…いちいち嫌らしい野郎だ」
『褒め言葉と受けとっておこう』
「モノケロス」と「ディバイン」、両機の戦闘に加わろうとした「ホーリー」は再び蘇ったインコムに阻まれた。
爆煙から浮き上がる「ステンノー」。
『少し見縊っていたかしら、ね。ならこういうのは、どう?』
触手が僚機である筈のザクを貫く。
「何を…」
変態を遂げるザクの機体は邪竜に似た姿に。膨張した単眼は蛇鞭のそれと同じもの。
「ステンのー」の本性――おぞましき屍機使い。
インコムを通して「ステンノー」と繋がれた分身機影。
「速さまで…同じ!?」
ビットを「ステンノー」本体と性能は同じ。
触手に操られる傀儡機群。インコム・グール。
十二の蛇行機動が「ホーリー」を強襲する。
後退したGM隊は既に勢いを取り戻した魔機の第二波に構える。
邪機と聖霊機とのぶつかり合いは徐々に戦線全体に波及しつつあった。
爪先が弾く火榴の界域を長槍で押し開き驀進する「セイクリッド」。
煌く疾風に立ち塞がったザクの群れはしかし触れる事さえかなわぬまま次々と爆光に消え散じていく。
「邪魔だっ!」
戦闘の最中、ダネルは「インフェルノ」の異常を看破していた。
「セイクリッド」の連撃を苦もなくあしらう魔獣の動きは依然として脅威的なものではあるが、前回に比べれば明らかに劣化している。
(…!…そういうことか…)
彼の目に留まるのは魔獣の黒甲に刻まれた細い断線。
――浮界で受けた傷は未だ癒えていないのだ。
肉深くに入り込んだ異物の影響を排除できずに、「インフェルノ」はその暴性を確実に弱めている。
「なら、つけ入る隙はあるっ…」
『―――舐めるなよ。この程度の手傷…!』
魔獣がばら撒くのは一帯をさざめく空裂の透刃。
掻い潜る間隙は一切無し。
が、「セイクリッド」は止まらない――。
白帯の一条が切り裂く斬海に架ける橋を渡る蒼機。
――奏翼瞬かす「ヘブンス」の庇護を信じ。
三重に連ねた槍射に合わせて魔獣の翼は赤い火熱を乱れ飛ばす。
衰えているとはいえ「インフェルノ」の機動力は「セイクリッド」を凌駕している。
長槍の懐に入られた「セイクリッド」は爪撃を交わしつつ、すれ違いざま背部帯刀砲門が光翼となって魔獣を薙ぐ。
更に距離を詰めようとする「セイクリッド」。しかし、主を庇うべく敵機の渦が取り巻く。
数を頼みに八方を埋める敵影。
「煩さいっ!」
槍の一突きで二機を串刺し、機体をぶら下げたまま射撃。旋回する砲光が魔機を滅する。
「まだです!ダネルっ」
尽きせぬ魔群は「セイクリッド」だけでなく間近に控える「ヘブンス」にまで押し寄せた。
「くっそ…!」
長距離振動光射槍「ランス」・重装架霊子展開盾「シールド」。
どちらも強力な武装ではあるが「セイクリッド」本来の持ち味である運動性を削がれるのは痛手だ。
次の瞬間、ダネルは背後から支援砲火が黒嶺を蹴散らす様を捉える。
『こちらでも露払い位はやってみせる』
『いいから、雑魚には構いなさんな!』
機動の不足を埋めるのはGM隊の支援。
「皆、悪いっ」
弧線が二つ、垂直に閃く緋の閃と水平に煌く蒼の閃との衝突。
小尾に絡めとられたランスをへし折られながらも、魔獣の視界を塞ぐ大盾を残して飛ぶ「セイクリッド」。
抜きすさる二本の大剣が打ち下ろし、斬り上げ、交差する魔獣の両爪と目も眩む戟閃を散らす。
「そうまでして憎むかよっ…「D」!」
『それが俺が今ある意味だからな…お前になら分かるだろうよ…「EDEN」の剣っ―――』
―――死が撥ね死が爆ぜ死が奔る大地。荒涼の堆土を塵と散る鉄片と砲火の怒号が瞬き続ける。
「鏡」の砲搭最低部。敵影が一段と濃い地上面は最も凄惨を極める戦場となっていた。
艦砲の火が前面に押し寄せた魔機を浚う。
『左舷、ぼやっとすんな!とりつかれるぞ!』
艦体に迫る敵機。
魔機の塊、捩れた柱が幾条。弧を描き侵攻を圧縮された虹の束でもって堰き止めるGM隊。
戦艦三隻による同時砲撃は凄まじいの一言に尽きるが敵勢は更にそれを上回る。
火力の優位で局所では圧倒しえても、面で迫る圧倒的な物量の前には遠く及ばずにじりじりと敗色を濃くしている。
『数に差がありすぎるじゃないか…』
『畜生っ、まあだ増えてやがる!どうなってんだ!』
バルネア中心近郊部は溶鉱満ちる火窯と化していた。
解けた建造群の成れの果てから泡立ち生える鉄の芽が魔機を次々に産み落としている。
『――どうやら、鏡搭を生産プラントに流用しているらしい』
『じゃあ、幾ら倒しても無駄って事か!?』
『その分、「鏡」の発動時間が遅れるんだ、無駄ではないさ』
『馬鹿いえ、その前にこっちがやられちまう!』
波打つ壁を前にして、雲波の一条から降る魔機は数知れず。
「コマンド」の律句が指から伸びた銀の一糸一糸を伝って時差なく僚機の状態を整える。
伝身を受けた共導砲台。
割れた十字砲身が矩形の光盾へと変型する。
攻防一体兵器である「メガ・ハルモニカ」を駆使して怒涛の攻撃を凌ぐ「クゥエル」小隊。
『っぐ!』
僅かに気を緩ませたその瞬間、土を割って荒地に突き立つ無数の剣山。
ズゴッグの鉤爪が一機のGMの脚部を貫き足を止められた機体は見る間に無数の機腕に引き摺られ埋もれていく。
『オエン!』
機躯の手に足に突き立てられる戦斧の束。
ザクは生贄を求めGMの腹装に指をこじ入れる。
みしみしと剥がれていく鉄膚の音を聞きながら、操者は最期の望みを同胞に叫ぶ。
『早くっ…やってくれ……頼むっ!』
埋もれゆく僚機ごと。
『くっそおおおおお!!!』
共振砲光が敵団を灼き払った。
アレオパギダ艦内。
凄絶極まるこの状況下にあってケイルブは平静を保っていた。
「「バートルビ」が突出しすぎている。回せる隊はないか」
何十と届く声を処理する通信手が苛立たしげに報告する。
「どこも一杯一杯ですよ、下手に動かせば総崩れってことにもなりかねません」
「状況は、どうなっている」
「全体での損耗率は二割、いや、三割を超えました…」
「考えていたより、大分早い…」
戦況は予想以上の劣勢。
今のままでは戦力差に押しきられる。
そう。今のままでは。
黒く粘る濃霧の中、戦局を窺う邪悪な影。
―――ダレト。
ふと、彼は何事かを察知し別方を一瞥する。
「…相も変わらず小賢しい…。まあいい、貴様にはどうする事も出来まい…」
廃都を舞う囀りの輪に再び耳を傾ける男。
「愚かな兄よ、ようくみていろ。私がこの手に「神」を収める瞬間を―――!」
仮面の男は血末に向かって直走る赤昏き戦場で人知れず
滅亡を囃す狂想のタクトをひたすらうち振るう。
今回繋ぎだもんで見所ナッシング
次からびっくりするほど超展開入ります
追記
ケンプファー、かけねええええええええええ!なんかもう難しすぎ…
おお、朝早くに起きた甲斐があった。
まとめサイトは、ここは2ちゃんねるシャア板の機動創聖記ガンダムDのまとめサイトです。
みたい文とここへのリンク貼ればいいと思う。
というかこれ、他のとこに誤爆したよorz
連ジ、エウティタ、連ザに並んでEDEN&ADAM VS. 反聖府勢力(語呂悪)を発売してほしい
コストが異常に高いインフェルノw
劇中版だとろくに武装がないリヴェレーションw
626 :
通常の名無しさんの3倍:2007/08/08(水) 23:50:55 ID:aMuQvApJ
やたらエフェクトの派手なゲームになりそう
だからガンダムのスペースコロニーには、地球最後の日という物語設定が絶対有るべきだと思うのです。
誰も子供を作らなくなったら、本当に世界は平和になりそうですね。
誤爆カコワルイ
>>625 CSのアニヒレイション・フィアは隙大き杉で封印安定とかな
まとめにケンプファー追加しました
やはり似ねえw邪気臭も薄いし微妙ですまんです
ケンプファーキターーーーーーーーーーー
闘士っぽいぜw
何気にトップの下にここへのリンクも追加させてるのな。
ケンプファーver.JackyGunをMGケンプファーを元に作るさらなる神は…無理か。
過疎保守
作戦開始より溯る事数時間前―――戦艦「アレオパギダ」艦内。
別室に集めた三十余名の隊員達に対し、ヒーリィは徐に話を切り出した。
「部隊のMS乗りの中でも一番腕が立つのが諸兄等だ」
いつもの軽口を挟まずただ淡々と任務だけを告げるヒーリィ。
主長を除いてその場で最も位階の高いツェト・ボイエン律士が口を開く。
「出来る奴がやる、当然の事でしょう。任務、確かに受け賜りました」
「此処まで来たからには誰だって同じ気持ちの筈です」
「そういって貰えると、助かる」
少年はそれ以上は口にせず、ただその眼差しだけが物語っていた。
―――「すまない」と。
通廊には床を叩く靴音の列だけが響く。
「やっと運が向いてきたと思ったんだがな…」
垂れ込める沈黙を破って、そうぼやくナンバ・ケフはこの中で最も年嵩ではあるが「EDEN」外様の隊員だった。
元々「ADAM」所属であったが、その腕を買われて「EDEN」へと栄転を果たした矢先であり、
今回の「インフェルノ」討伐が初仕事ということになる。
「ま、失敗すりゃ一切合財おしまいなんですから、自分で賽をふれるだけましだって思いましょうよ」
「そういうこった。それに万が一ってこともあらあな。
これまでだって奇蹟然とした場面には何度も出くわした訳だし、今回だって案外上手くいくかもしれん」
ナンバの明るい調子は所詮気休めにしろ、幾分場の雰囲気を和ませるに足りた。
「へストゥスは、子供が生まれるんだったな」
ボイエンの問いにまだ顔立ちに幼さを残す青年は軽く頷く。
「生まれてくる場所くらいは守ってやれなきゃ、どうにも格好がつかないでしょう」
下を向くボイエンの口元が僅かに緩む。
「そうだな…」
現在。鏡塔中層部地点―――作戦開始から六時間経過。
激しく剣戟を舞い散らす「セイクリッド」へGMを駆るボイエンが促す。
『時間だ、いってくれ』
「ヘブンス」の牽制に合わせて後退する蒼機。
『!逃げるというのか!?』
「先に「鏡」を破壊させて貰う!貴様をやるのはその後だっ「D」!」
魔獣の追撃を払い除け、機を翻す少年は自分に言い聞かせる。浮界の二の轍を踏んではならない。
機体同士のすれ違い様、言葉を交わすダネルとルエビ。
「待ってろよ、直ぐに戻る…!」
「はい。待っています――」
光翼を全開し一気に場を離脱するGの後ろを守るように魔獣と対峙するGM隊。
―――鏡の破壊までのほんの一時、「インフェルノ」をこの場に留めおく。それが彼らに課せられた使命だった。
『この手勢、戦力で……こいつら正気か?』
「D」の困惑は本来ならば正当なものといえたろう。
「ヘブンス」の守護つきとはいえ、聖霊機すら凌駕する「インフェルノ」とGMではまさしく絶望的な格差があるのだ。
湿った木屑で果たしてどれだけ火嵐の勢いを押しとどめられるものか。
――魔獣の放つ濃密な瘴気が機体を燻すのを感じながら砲撃を続けるGMの搭乗者達。
しかし、どれだけ無謀な試みであってもやらねばならない。
「一秒でも長く持ちこたえてやるとも…」
戦いの趨勢を分かつ数分間を稼ぎ出す為、戦士達は決死の戦闘を挑む。
同刻。搭頂周空域。
『ほらほら、押されているよ…!』
完璧な連携で暴威を振るう邪竜擬態機十二体を「ホーリー」は紙一重で捌く。
吐きかける毒液に腕ごと銃砲を溶かされるGM機。怯んだ機を頭ごと噛み砕く歯牙。
邪竜機に等しい性能を発揮するインコム・グールは戦局を傾けるに足る脅威であり、
部隊は魔機の猛攻にアドエス級艦「ハピツェンツ」付近まで防戦を余儀なくされていた。
多勢に無勢、守勢に回った時点で突破は不可能となったとみていい。
―――しかし、作戦全体からみてこの場は捨石。
弾幕の間隙を縫って「ディバイン」の躯を引き裂いた邪竜の主は手応えのなさに戸惑う。
次いで、粒状の光霧となって掻き消える白機の断片。
「分身ならこっちだって作れるんだから。ていっても、実体なんてない子供騙しだけどね…」
ビットの作り出した「ディバイン」の蜃気楼。
何時の間に摩り替わったのか、「ディバイン」は周遊するビットが映じた幻影であった。
子供騙しとディミはいったが、霊質反応すらトレスする錯像生成は人後に及ばぬ「ホーリー」ならではの絶技といえよう。
まして敵味方入り乱れる混戦であれば見抜くのは至難の業。
『なら…奴は何処だっ!?』
動揺をみせた「バシリスク」は直後、弾霰に包まれた。GM隊の斉射と艦砲が邪竜を見舞う。
『無駄な事を!』
『どうだかな、理由は分からんが貴様は攻撃している間は動きが鈍るっ』
果たしてその通り、邪竜の動きは静止したままだった。防壁無視の必殺兵装とて充当な距離をとれば抗いようもある。
「っち、小賢しい虫ケラがっ…」
狂ったように猛突するグラブロ十数機を、切り分ける「ハピツェンツ」の直線砲火。
突撃艦であるアドエス級は、前面への攻撃力だけならタルシス級艦にも劣りはしない。
戦線を下げたのは戦艦間際まで敵を引き付けその足を止める為の策。
『やってくれたものね…この私を謀るなんてっ!』
艦体側面より忍び来るインコム・グールを射す飛羽の連舞。
作戦通りであればこれから数分内に大局は決する筈。
「…それまでは、いかせないったら!」
砲搭に沿って一気に急降下をかける光速。
「ディバイン」の疾速を追迫するMSは邪竜が一機、「モノケロス」。
「まぁた、お前か!」
「貴様等のやり口などお見通しだという事だ」
邪竜に捕まった「ディバイン」に上昇する機影の波が迫り寄る。
「ヒーリィ!」
鎖された進路を双刀の一旋が分け拓いた。
疾駆する蒼翼。颯然と現れる「セイクリッド」の姿。
迎撃へと反転する「ディバイン」によって、「モノケロス」は挟み撃ちの形になった。
――下方からからは「ディバイン」、上手からは「セイクリッド」、邪機に逃れる隙は残されていない。
「おっし、ダネルっ決めるぞ!」
「おぉっ!」
ダネルとヒーリィ、いささかの乱れもない一心同戟。
交差する鎚剣の鼬風は邪竜が苦し紛れに吐き出す鉄鋲を掻い潜り斬線の斜十字を空に奔らせる。
「…っ!」
成す術なく光芒に没する邪竜。
妨害を切り伏せた二機のGは目的地点へと急ぎ馳せる。
鏡搭中層。
「セイクリッド」不在の今、魔獣の虐火は一方的な蹂躙を続けていた。
「―――身の程も弁えない奴等が……俺の前に立つなっ!」
轟火に沈むGMがまた一体。
『これで弱っているというのは、冗談としか!』
三十機のGMはほんの数瞬で見る間に数を減らし、既に十機を切っていた。
一直に、まったく回避動作をとらない「インフェルノ」。
避ける必要を感じないのであろう、実際に対魔獣用に配備された特殊抗霊子弾も
体躯に触れる前に装表から常に放散される瘴機の熱圧に摩滅してしまうのだ。
かといって接近し過ぎれば。
魔獣の背後から羽交い絞めにかかるヘストゥス機。
「離すものかよ…!」
魔獣は動じる風でもなく熱線を閃かせる。
ただの一瞬。一瞬で火箸に当てられた氷のように溶け落つヘストゥス機。
『ヘストゥス…馬鹿野郎がっ…!』
追い撃つナンバのGM執念の一撃が魔獣に肉薄する。
―――ヘストゥス機の残滓、こびりつく灰鉄の粘鎖が魔獣の動きをほんの僅か鈍らせている。
「インフェルノ」の頬を焦がす轟爆。代償は長爪による機体の両断。
『果たしたぞっ…!!』
焔鳴に霞むナンバ機は寸前に装弾全てを面前に撒き散らしていた。
鋼弾は炸爆を放って魔獣の纏った炎巻を消し飛ばす。
続く迫撃はボイエンのGM。
残存部隊の支援砲火を背にして、赤熱に染まる機体にも構わず彼は至近から砲撃を射かける。
『「ダルコン」も…エシャロも、トリンスも、こんな風に焼いたかあぁっ!!』
絶叫するボイエン。
大都市帯区「ベト・ダルコン」。魔獣が滅ぼした九つのユニットの一つ。
彼の故郷。彼の家族が待つ場所―――否、待っていた筈の場所。
黒甲の瑕疵、一条の亀裂に捻り込む射鋼。
二度、三度、四度、砲身が腕が融けおちて尚寄る辺を失くした男の叫びは止まず。
遂に、怒頂に達した魔獣は数条もの黒閃を雄叫び敵であるGMはおろか魔群をも灰燼へと還す。
狂墳を吐き散らした機体に生じた僅かな動作の空白。
それは、「ヘブンス」の聖律障帯が魔獣を拘束するには十分な間隙だった。
「どうか識って下さい…貴方がそうであるように、誰もがかけがえない想いを抱いて生きるものだという事を……!」
『分かっているさ、そんな事は……だからこそ、許せないんだろうが!』
聖女の哀哭も少年の頑なには届かない。
『唄うな「ヘブンス」…!その囀りは…俺の頭を灼くんだよっ!!!』
聖縛を力任せに引き千切らんとやにわに震える紅い広翼。
魔性と聖性の拮抗は引き合う両者の機躯を封じる。
このままもう少しだけ押さえ込めれば…
「――――惜しかったね。あと一歩だったのに」
「ヘブンス」を背後から襲う激しい衝撃。
制動を失う機体と共にルエビの意識は闇の底へと落下してゆく。
耳に遠く、ざらついた笑いを聞きながら。
支援
「ディバイン」、「セイクリッド」が至った先はバルネア地上部、鏡搭の根元。
こちらの意図に勘付いた敵集団はバルネア表層に向け恐ろしい速度で集勢しつつあったが、
「―――射ちまくれ!」
「分かってるってさっ」
時既に遅し。
G級でも屈指の突破力を誇る「セイクリッド」と「ディバイン」。
両機の一気呵成に乱れ撃つ閃光が霧裂く断爆を起す。
束の間焼尽する魔群の壁霞。
立て続く数珠光が拓いた空白が戦艦「アレオパギダ」の最終到達地点までの進路を確保する。
ケイルブの号に合わせて浮上する艦船。
「有効範囲内に入る…用意はいいな…!」
「いつでもいけますっ」
「ブレヴェイルの鏡」に準ずる、禁忌の兵装ならばこちらもまた、備えているのだ。
「全艦、ハイロゥ展開!」
黒霧を押し開く三重なす大天使輪。
行く手にはGすら突破は難しいであろう魔群が湧出する巣窟。
そして、その先に聳える霊柱の底に辛うじて覗く小丘―――鏡搭を浮かせる支持機坑の輪郭。
「射出、用意―――」
文様彫度を施された真鍮の筒がアレオパギダの両舷から顔を出す。
劣勢に投じる必勝の一擲。
「――――射てっ!」
「禁弾」射出。
聖霊機すら及ばぬ破極の殲滅兵器は直撃すれば障害となる霊流ごと鏡塔の支持機構を根こそぎ奪い去る違いない。
漆黒の領野へ吸い込まれてゆく弾頭が六つ…。
―――その刹那。
ケイルブの声が戦慄に上擦る。
「――――何故「インフェルノ」が此処にいるっ…!?」
凍りつく時。
眼前にに立ちはだかる漆黒は、時と場を捻じ曲げる虚孔から這い出ずる魔獣の姿。
漆黒の躯は弾頭全てをその身で受け―――。
起爆する弾頭。
――聖霊子の崩壊場から得られる甚大な純エネルギーのとめどもない奔騰は。
拡がりかけた鎖なる爆発が漆黒に呑まれていく。
――「インフェルノ」の相転移機関にとって格好の食餌。
魔獣は禁弾のエネルギーを余す所なく喰らい尽す。
膨れ上がる瘴気は伝う空気を焔と変え更なる狂化を遂げていく機躯。
突き上げた牙。逆巻く焔の鬣。
めくれあがる装甲の襞からは烈しい尖角が伸び、異形の姿を更に奇怪に禍々しく変貌させていた。
「何と…いう…」
ケイルブは目の前の光景に言葉もない。
彼の前に張り巡らされた計告器の象報図盤はそのどれもが異常な指数を示していた。
「霊質量、なおも増大中…」
茫然自失の態で解析結果を順次読み上げる通信手。
「「インフェルノ」一機の帯びる霊質は恐らく「ブレヴェイル」本体の最大出力に匹敵するものと思われます…」
忌まわしさと憤りに駆られてモノクルを床へと叩きつけるケイルブ。
「私は…奴らの手助けをしてしまったのか…!」
―――絶えざる劫火。現前せる深遠の主。
これこそ地獄を冠するG。これこそが「インフェルノ」の真性。
漏れ出る咆哮が天と地を衝き、業火とたなびく大翼が跳ねた。
魔獣にしてみれば単なる跳躍でしかない。
「がっ…!!!」
「なん・だっ…!?」
だがそれだけで、爆発的な衝圧が生む重い灼熱はそれぞれ接近する「セイクリッド」、「ディバイン」を弾き飛ばす威力となる。
「―――頑張りすぎだな「EDEN」諸君。おかげで幾分手間が省けたよ…」
薙刀に吊るしたみるも無残なGMの骸を虚宙に放り捨てたMS「ゲルググ」。
天頂部に降り立った真黒き悪夢の姿を端倪し、ダレトは鋭い哄笑を放った。
せりあがる背面より露出した「インフェルノ」の魂核炉心。
「ブレヴェイルの鏡」の砲門とえる螺旋盤は融かされ紅翼と同化していき。
宇宙に生え広がる根がざわめき、魂核と囲むように円筒を作る。
ダレトの言葉通り。魔獣そのものが砲門と化した今、最早ブレヴェイル鏡砲の起動を待つまでもない。
昏く輝く魂核の球が下天に狙いを定め膨らむ、その時。
唯だ一機、突忽として射線上に向かい合うMSがあった。
時季を逸した花弁の如く、しとどに舞い散る大翼の羽根。
裂かれた衣を纏った乙女機躯はさながら磔刑にかかる殉難者を思わせる。
―――――聖女機「ヘブンス」。
コックピット内。痛めつけられ朦朧とした意識の中。
「―――あなたにそれを、させる訳にはいきません…」
血の入り混じる吐息に喘ぎながら目の前に在る狂獣へきっと視線を定める少女。
―――消え去れ消え去れ消え去れ消え去れ―――。
乙女の姿は憎悪に焼かれ濁り果てた少年の目には映る筈もない。
それでも。
聖者の使命。
被造物の役割。
そして、彼女自身の祈りを賭して―――。
衝撃から立ち直り態勢を戻した「セイクリッド」。
「―――ルエビっ……駄目だ…!」
「ヘブンス」が何をしようとしているのか察したダネル掠れた嗚咽を漏らす。
数瞬の後。
緋ずむ咆煌が星天を消した。
―――反転した世界には奈落の坩堝が天空に広がる。
鉄躯を劈く爆震が大地を礫き裂き。
厖大極まる霊質に圧され、敵味方の別なく軍勢は悉くが高空から撥ね落とされ。
万象を無に還らせる滅火はしかし、未だ地に注がれはしない。
一斉に可視化する詠律の氾流は「ヘブンス」の奏唄輝光。
句は律を生成み、律は韻を躍り、清唄を祝ぎあげ―――。
赤く哭く空にかかる白き雲耀の輪濤。
「ヘブンス」は十二の大翼に姿態を埋め世界を灼く焔を其の身をもって受けとめる。
容赦なく降り注ぐ荒れ狂う殲光に表装を剥ぎ取られていく機体。
先端から融解していく銀羽。眩い業熱は白肌をじりじりと焦がし。
極限にまで引き絞られた奏唄は悲鳴にも等しい。
溶けつつあるのはその命。灼かれつつあるのはその魂。
ルエビ・アンフィルエンナ―――守るものは獄火の狂憤を鎮める為、己が全てを散らしながら最後の調べを紡いでいく…。
…遅れた上に色々酷くてすまんす
はっきりいって構成しくったわこりゃ
あ、そうそう
>>552->554の作者様、まだ途中の様ですが
まとめに載せてしまって良いですかね?連絡待ってますー
GJ!
ルエビ・・・
hosyu
聖唄の虹彩と灼熱の轟紅が入り混じる空を「セイクリッド」は飛疾する。
「―――くそっ、ルエビィっっ!!」
爆発的な霊圧が生む気流に逆らって搭頂目指しひたすらに上昇する蒼機を遮った触手の輪欄。
『今度は此方がいう番ね。ここから先には行かせないわ』
女の声。
幾つもの水晶板に映じた「ステンノー」とその分身たる従僕の狂影。
「どけよっ!」
縦横を囲むインコム・グールが放射する毒霧を素早く剣迅で巻き上げる「セイクリッド」。
『ここで眺めてなさい、「ヘブンス」が飴みたいに溶けていくのをさ…』
「!お前えっ!!」
挑発に容易く乗るダネル。
焦りが生む死角より迫る屍機影。
蜘蛛の巣を描く触手の網に突進する「セイクリッド」は腕を掴まれ、絡めとられた大盾が空に落下していく。
『怖い怖い…』
いきつく間もなく背を胸を、両腕、両足を咬む鋼刃。
群がる擬態竜機に取りつかれ蒼機の姿が完全に埋もれる。
舌打つダネル。
どれ程数がいようが分身はあくまで分身、本体は唯だ一体―――。
グールを一機両断し戒めを機動の瞬発で押し破ったダネルは、
勢いを保ったまま機体を「ステンノー」本体の胸元に撥ね上げた。
構える暇も与えず「セイクリッド」の双刀が邪機を袈裟懸けに薙ぐ。
「これで…」
『流石、聖霊機ね…少うし、油断したみたい…』
女の声。
少年の総身に怖気がはしる。
一体のインコム・グール苦しげに唸り、変貌しつつあった。
みしみしと生え広がる骨皮、突き出る顎牙…。
『見ての通り。この子達がいる限り、落せやしないわ「ステンノー」はね…』
そこに在るのは既に分身ではなく、紛れもない「ステンノー」本体の姿だった―――。
ダレトは天上に舞う白翼を、絶えざる魔性の赤嵐に今にも消え入りそうな幻煌を哀れむように見詰めていた。
「かくも希望にしがみつく姿は美しくはあるが……なにしろこちらも後がないのでね、駄目押しといかせてもらうよ」
男は伸ばした手を静かに中空へかざす。
すると、既に用を失した鏡搭に滾る霊質が逆流を始めた。
と同時に、地表に紫玉の煌きが線形を描き、結び合った公線は「バルネアW」を丸ごと押し包む方陣を浮かび上らせる。
方陣の妖輝に呼応するかのように脈打つ建築群は、形を変え魔機の鉄身を分解し吸収し肥大化し…
…波紋とともに堆く隆起する鉛の泡となって地表を覆い尽くす。
一つ二つ三つ四つ…。
円陣より次々に顕現する通常MSの十数倍はあろうかという機躯。
煙る魔気に揺らいだ陽炎を踏んで、立ち現れる忌むべき鉄の輪郭。
うっすらと滴を滲ませた体表は鈍た鉛碧に照り映える。
最早バルネアに都市の面影は微塵も残っていない。代わりに大地を充たすのは巨鯨にも似た異容の影群。
召喚されし機獣―――巨魔「ビグザム」。
観測数が極めて少なく本来であれば一体に対してMS一個師団をもってあたるべき
神世に於いても最大級といえる魔災。
―――――その数、実に二十を超える。
忽然と現れた巨獣の群れは腹中より突き出た嘴で上空を捉える。
花弁のように開く嘴に怪光が綻び出でて―――。
「――――その位置は…まずいっ!」
ヒーリィの短い叫びも虚しく。
あまりに凄まじく、あまりに呆気ない崩壊の寸劇。
突然の襲来に不意を衝かれた低空一体の聖軍を地から放出される熱流が覆う。
凄まじい凶光にくずおれる無数の機影と二隻の戦艦。
『「バートルビ」中破…!「エリフェレト」は……沈黙しました…』
項垂れる通信手の報告を黙して聞く参謀。
この時、独立して先行した「アレオパギダ」だけが間一髪被弾を免れたのは皮肉というほかない。
―――「ビグザム」の破格に過ぎる攻撃は瞬く間にタルシス級艦を含む地上部隊の半数を壊滅に陥れた。
そして、一度の蹂躙に飽き足らず犇き合う山脈は獲物を残らず屠り去る為、その巨体を宙に舞わせた「ビグザム」の群れ。
終告の地に更なる絶望が浮上を開始した。
戦艦「アレオパギダ」甲板に飛来した「ホーリー」は同じく艦上に立つ「ディバイン」に向かい合う。
「こっちはもう、滅茶苦茶だよっ」
最も天頂に近かった「ハピツェンツァ」隊は留まる事を知らない魔機の猛攻を凌いでいたが、
その上追い撃ちとばかりに魔獣が放った霊瘴の煽りをまともに受けては抗し様はずもなく
結果ここまで位置を下げざるを得なかったのだ。
―――天の「インフェルノ」と邪竜の軍勢。地上からは「ビグザム」複数機。
上下からの挟撃に合う形で総崩れとなった「EDEN」陣営は図らずも戦力を一箇所に集結させつつある。
戦局は一変し、傾いだ天秤は今や釣り合いようもない。
こうも手詰まりの状況下ではディミの取り乱しようも無理からぬ事ではあった。
「どうするの!? このままじゃ部隊も、早くいかなきゃルエビだって…」
『少し冷静になれ』
「だって!」
『「アレオパギダ」が先行かける。援護たのむわ」
「……!」
「―――無事なのかっ「アレオパギダ」は!」
『こちらはなんとか、「バートルビ」は継戦不能と判断しました。負傷者・非戦闘員を収容後この場を離脱させるつもりです』
全隊の状況を確認したヒーリィは不意に空を見上げ険しく顔を曇らせる。
「見えてるか?あの様子じゃ、「ヘブンス」はいくらももたない…!」
大体において、現時点まで世界を焼き尽くすほどの膨大な魔気の照射を「ヘブンス」が防ぎ得ていること自体
奇蹟といっていい所業なのだ。
世界の滅びを蓄えた果実はいつ弾けてもおかしくはない。
一分先か五分先か、それとも今この瞬間か…。
『いずれ、この場で時間切れを待つ訳にはいかぬでしょう。……主長、本艦はこれより残存部隊とともに搭頂へ向かいます』
切り札は失われ、離脱する機体を除いて50を割る手勢はそのどれもが消耗した有様。
「……そうか、アドエス級を援護に回す。……健闘を祈る」
「主長も、ご無事で」
退くも惨、進むも惨。であるならば、身命賭した最後の一矢にかけるよりなし。
―――もとより覚悟の上で臨んだ戦であった筈…。
少年は話を戻した。
『―――そういう訳でさ、そっちはお前に任せた。俺は殿につく』
眼下には迫るビグザムの機影。
『あんなもんにケツを突かれちゃ一溜まりもないからな』
「まさか、あんた一人やるつもり?」
『ああ、使える戦力は全部「アレオパギダ」につける。というか他は足手まといだし』
「…私も、」
ディミの言を遮るヒーリィ。
『ダネルが例によって突っ走ってるんでな。フォロー頼めるのはお前しかいないんだ。
それに「あれ」の正体が予想通りならそれこそ「ホーリー」が適役だろ』
口を噤んだ少女にヒーリィはいつものように笑ってみせる。
「「ディバイン」を、いいや、ヒーリィ・イルを信じないのか?」
「…信じない」
『ありゃ』
ごく小さな声で。
「――けど、いいわ。許可してあげる。……に免じてさ、」
『ああ?すまん、最後聞きとれなかった』
「なんでもないよっ、いっといで!」
飛び退る「ディバイン」。回線を閉じた少年は一人呟く。
「―――やっと、格好いいとこみせてやれそうだな…!」
戦艦「アレオパギダ」。
全乗員に避難を呼びかけるケイルブ。
「これより「アレオパギダ」は最後の攻勢を試みる。乗員は速やかに退避、「バートルビ」に移動せよ!」
ポティ補佐官。
「君には後始末を任せる。早く行け」
「……しかし」
「ここにはもう君の仕事は無い」
強張った面持ちで頭を下げて駆け出したポティを尻目に、ケイルブは他の面子にも脱出を促す。
「お前たちも急げ。時間がない」
だが、艘舵手以下は席を立つ様子がなかった。
「参謀一人じゃ真っ直ぐ飛ばすのだって難しい」
「これでも神の徒を名乗る者です、はじめから腹くらいは括ってます」
ケイルブの平生と同じ感情を示さぬ両眼は居並ぶ面子をひとしきり見渡す。
「……私と一緒では天には昇れんぞ?」
「なに、あれを片付けたとなれば、どんな悪業も精算できましょうよ」
「それに」
そういって艘舵手は鼻を掻き、轟きを増す偽りの暁天をみやる。
「嬢ちゃんを見殺しにするのはあまりに酷というもんでしょ?」
暫し目を瞑ったケイルブは咽をくと鳴らし、やがて低く通る声で言い放つ。
「―――では、往こうか。我等が女神を救い出し、見事神命を全うする為に……!」
鏡搭低層部。
GM隊が「ビグザム」に打ち込む弾砲の雨は厚い装甲に阻まれ無為に終わるよりない。
疲弊を重ね先刻の打撃を辛うじて逃れるのに余力を使い果たした機体が殆どなのだ。
絞りかす同然の振動砲撃では真世界最大最悪の巨獣に到底通用する筈が無かった。
だが逃げ場など何処にも無いのだ。なんとしても此処で食い止めなければ。
『――離れていろっ!』
必死の牽制を続けるGM隊に回線が入る。
上空より燦然と翔ける眩揮の白金機影。
四肢に巻き付いた複数の管は背にぶら下げた剥き出しの発振機に直結し、
重厚でありながら流麗極まるフォルムにある種異様な迫力を加えている。
「ここはもういいっ!―――後は、「ディバイン」がやるっ!」
神聖の猛りを内包した鋼鉄が輝翼を羽ばたかせる。
唸りをあげる追加発振機は唯でさえ強大な機体出力を底上げし装甲より漏れ出る聖霊質を周囲に飛沫かせ。
執行の鉄槌「ディバイン」は降下の勢いをかって地表埋め尽くす巨獣の列に金色の神罰を振り下ろす―――。
変な区切り方になってすんません。ホントこの章は苦戦するなー…
毎度保守・支援レス傷み入ります
盛り上がってまいりました
ビグザムキタコレ
ほゅしゅ
あーすんません週末までにはと思ってたんですが投下遅れそうです…
というか次スレどうしましょうかね
今488KBか。
投下前にここで報告して立ててもらう(もしくは自分で)
で、投下は新しい方に、でいいんじゃね? 新スレの保守にもなるし。
了解しました
では、出来たら報告しますー
ゲルググktkr
保守
お待たせして申し訳ありませんでした
とりあえず次回分できましたんでどなたか新スレお願いできませんでしょーか
出来ましたらまとめの方のアドレス入れて頂けると有難いです
>>660様、スレ立て有難う御座いました。早速投下させて頂きました
どうでもいい事ですがこの機会に少し余談などを…
このスレ内でちらほら聞かれた皆様の今後の展開予想とかですが
ものすっっっっっっげえ的中率!w
中には掠ってるどころかそのものずばりなものがあったりしてまあ笑えること笑えることw
ま、そこらへんの展開まで辿り着けるどうかも怪しいもんだから別にいんですけどね
という訳で一向に話が進んでませんが、どうか次スレのほうでもゆるーく見守ってやって下さい
MS「セイクリッド」
全高(頭頂高):19m(16m)
本体重量:10t
タイプ:格闘戦型・先陣突破型
カラー:白地に蒼紋の縁取り(Gには各々呪的耐性を有する文様が刻まれている)
固定武装:
大剣「過たぬ正義の右太刀/尽きぬ勇壮の左太刀<セイクリッド・ブレイド>」
背部大型振動砲「闇掃う疾光の波濤<セイクリッド・シューター>」・二門
頭部小光径砲「光撒く礫<フォース・バルカン>」・二門
追加武装:
長距離発振兵器「万理に届く無響の槍<セイクリッドランス>」
・高い運動性と格闘能力により局所線において無類の強さを誇るが、
オプション兵装である<ランス>を装備する事で長距離戦・大規模戦闘にも対応出来る。
本機体の武装は操り手の意志によるある程度の威力調整が可能なため汎用性は見た目より高い。
特筆すべきは装甲のエネルギー吸収・拡散機能による強靭なダメージ耐性であるが、
その分搭乗者にかかる負担は大きい。
部隊の先陣にたって突破口を切り開く勇猛さが要求される機体だが、
現搭乗者のダネル・アラクシェはいささか度が過ぎているらしい。
訓練時から機体を酷使し、それに合わせて機体の耐久性を挙げると
更に限界を超えた制動で応える、この繰り返しで最後には整備師も匙を投げたという話だ。
徒な暴走を防ぐよう上手く手綱をとる必要がありそうだ。