まあ、マユを主人公にすると―― (パート1 710より)
1.子供だけど赤服。努力と才能と、周りのサポートで頑張る努力型の主人公という前作との差別化。
2.1.と付随して周りのキャラが主人公を面倒見ているので戦艦内の人間関係の描写が濃密になる。
3.種持ちとはいえ、決して天才ではないので時には失敗する。その挫折を乗り越えるクライシスと成長ドラマが主軸になる。
4.才能はあるとはいえ、子供。故に戦争というものを多角的に見えない。戦争の現実を直視することにより、視聴者にも問い掛けることができる。
5.戦争で家族を失った遺族側の視点で前作への問題提起。それにより改めて遺伝子操作やそれに伴う差別問題を浮き彫りにできる。
6.5.に並んで国家と国民の有り方、理想と現実。そして、享受できる平穏と犠牲となる存在、為政者の義務、前線で戦う兵士の悲哀などを生々しく描写できる。
7.死んだと思っていた兄との対面、思想の違いによる対立を生む戦争の悲劇。そして、マユという妹から一人の人間としての成長を描ける。
――こんな感じで激動の時代に巻き込まれた一人の人間とそれを取り巻く環境の変動を主軸にしたドラマが描けて面白いんだよね。
シンよりさらに人間的に未熟な分、周りの人間の意見を聞く――色々な視点・意見を知る――ことにより、
現実はそう単純なものではないってことが演出できるわけで。
/ // / / /| | ヘ \
/ // / / / | | | ハ 、.ヽ ヽ
i |/| | /|_,ム‐-!- .| | | | l. !
|. _', | /´V ___ V |\ | | | | |
| / 〉 !、. | r'ヌ:::::::}ヽヽ.!:::::\|`t-、 | | ト. |
| 〈. | ` トl {:::::::/ ::::::::::::::::_,..-、',. / ./ ./|/
| `‐|. |::::::::ー-'::::::::::::::::::::/::::::ケV / ./ .|/
| |. !::::::::::::::::::::::::::::::::{:::::/ ムィ /
|. | ! ',::::::::::::::::: .., ` ,〈. /ィ 黒みくるが
>>3ゲットよ!
/ | | ', ::::::: _ノヽ`ー. あのトンチキの世話、いつまでやってれば
. / .| | ヽ\: :::::.r ´ __ `__┐ l いいのかしら?
/ / ,r1 | ', ` 下、_ | ヽ ソ__ `ー
/ / / V | ', ヽ\`! l〈/ __` }
古泉>1樹 ホモは失せな(W
た>2川 流 いっぱしの文学者気取ってんじゃねえ(ドワラ
キ>4ン 私の胸元何ジロジロみてんだよ!!
>5ンピ研 オタク集団のクセして、調子こいてるからヤケドするんだよ(プゲラ
後藤邑子 キモオタなんか>6シケラぐらいにしか思ってないんだろ(ハライテー
>7が門有希 逝かれて校内で銃乱射でもしたら、面白いのに....................
>8ルヒ オマエに受けた屈辱、いつか倍返しにしてやる!!!
朝>9ら涼子 所詮バックアップはバックアップね!役立たず!!
い>10のいじ オタク好きのキモイ絵書いてんじゃねーよ!
>>11-1000はせいぜい家に引きこもって、アニメ絵でオナニーしてろ(ドワラ
新スレ乙!
…ってか人少なくなったなマジで
コミケ近いしなー・・・・・
これって兄がマユの代わりに死ぬっていうことじゃないの?
死んだって形になっていて、あとで敵側で出てくるのがよくあるパターン。 死んでるっぽいのもあったよ。
やべぇ
稀に見る良スレ発見
III作者様乙! 最近頻繁に投下くれるのが嬉しい。スレがすっかりさびれてる状況だからなおさら…
ついにはガーティーにまで乗り込んでしまったヴィアたん。これからどうなってくのかが非常に楽しみ。
そして、原作では出てこなかったトノムラとパルの登場にも驚いたw
男二人と少女一人でギュウギュウ詰めなバスターのコクピットを想像すると笑えるw
作中の表舞台と裏舞台を駆け抜ける彼女の旅に目が離せません! 続き楽しみにしています!
コミケ行くような人ばかりなのか?このスレは
舞踏の続きマダー?
もうすぐ連座U発売。
マユをインパや自由等に乗っける準備はOKか諸君?
>>12 同じこと考えてる奴発見www
もちろんシンはノワールに乗せる予定でもあるぜ
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編A」最終章 32
<時間をレクイエム一回目照射時まで時間を巻き戻しましょう>
〜レクイエムから光が立ち上ってゆく〜
イザーク「レクイエムに見とれてるなよ!敵を一歩も近づけさせるなっ!」
シホ「ディアッカさん!正面から突っ込んできますよ!」
ディアッカ「おおう!・・・左翼射撃用意!右翼!左翼に続けよ!」
〜後衛の射撃部隊に命令を出すディアッカ〜
イザーク「ふんっ!まっとうに命令することができるじゃないか!ディアッカー!」
〜上空で戦っているイザーク〜
ディアッカ「撃てぇーっ!」
〜突っ込んでくるオーブ&連合のMSたちに容赦なくビームが浴びせられる〜
ディアッカ「おらぁっー!!数だけ多くたってなー!」
〜突っ込んでいく黒っぽい三連星〜
ヒルダ「っちぃ!やるねぇ、あっちもさ!おらっ、ひるんでんじゃないよ!男だろ!?」
マーズ「たち止まってんじゃねよっ!そんなんじゃ敵の思うつぼだぜ!」
ヘルベルト「はっはっはー!ザクとは違うんだよ!グフともな!」
〜オーブと連合の兵士たちを叱咤しつつなおも突っ込む黒っぽい三連星〜
〜敵の勢いを不振に思うシホ〜
シホ「数で負けているとはいえ、あんなに撃ってもひるまないなんて・・・なんで?」
イザーク「ディアッカ!ど真ん中から3機突っ込んできてるぞ!」
ディアッカ「何!?・・・ありゃ・・・・・・ドムトルーパーだと!?」
イザーク「黒っぽい三連星・・・くっそ!突破させるんじゃないぞ!」
〜月面へ急降下するグフ〜
ディアッカ「ヒルダ姉貴にヘルベルトのあにさん、マーズ教官かよ!」
イザーク「左翼、右翼!適宣攻撃!バックアップしろ!」
シホ「あれは・・・私たちが止めないと」
〜突っ込んでくるドムを応戦する体制を整えるジュール隊〜
〜第一波が終わる黒っぽい三連星〜
ヒルダ「ふぅ・・・一層目は越えたかねぇ?」
マーズ「・・・・・・ますます混戦状態になっちまったか?」
ヘルベルト「おうおう、一気にいっちまおうぜ!あれの二発目を撃たせるわけにゃいかんぜ!」
ヒルダ「だね・・・。いくよ、マーズ、ヘルベルト!」
マーズ「!?・・・・・・っち、親玉がこっちに向かってるみたいだぜ!」
〜接近してくる機影を指し示すマーズ〜
〜黒っぽい三連星に迫りながら集うイザーク、ディアッカ、シホ〜
イザーク「・・・あの三人といえば?」
シホ「コンビネーションですね・・・」
ディアッカ「ジンだったけど、一回だけみたことあるぜ。ありゃ本当に三位一体ってやつを体現していたな」
イザーク「そういうことだ!三人をバラバラにさせるんだ!」
ディアッカ&シホ「了解!」
続
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編B」最終章 33
〜味方のバックアップを受け黒っぽい三連星に攻撃を仕掛けるイザークたち〜
イザーク「シホ、前衛を頼む!ディアッカはフォローしろ!」
シホ「了解!」
〜先陣を切るシホ〜
〜雑魚を蹴散らしつつイザークたちに詰め寄る黒っぽい三連星〜
ヒルダ「おとなしくは通してもらえないみたいだねぇ」
ヘルベルト「雑魚ばっかだからちょうどいいじゃねぇか!赤服の実力をちゃんとみせてもらおうぜ!」
マーズ「わからずやのボウズたちを懲らしめるのは・・・大人の仕事だからな。ヒルダ!」
ヒルダ「わーってるよ!・・・シホ・・・・・・恨みっこなしだからね!」
〜迫ってくるドムに対し応戦準備をする黒っぽい三連星〜
シホ「スクリーミングニンバス展開・・・・・・ヒルダ教官・・・・・・ラクス・クラインが何をしてくれたっていうんです!?」
〜切り込むシホのドム〜
ヒルダ「一人で突っ込んでくるたぁ、いい度胸だ!あんたいい兵士になったじゃないか!」
マーズ「ヒルダ!左だ!!」
〜シホに応戦しようとするヒルダに横から殴りつけてくるグフ〜
イザーク「てぇいやぁっー!!貴様たちのそのMSはザフトのものだ!返してもらおうかっ!」
ヒルダ「!?白いグフだと・・・っつ・・・ヘルベルト!」
ヘルベルト「あいよ!イザーク!お前の相手は俺がしてやるぜ!」
イザーク「っちぃ!こんのぉ・・・裏切りどもがっ!これだから先が見えてない馬鹿は嫌なんだよ!」
〜イザークのグフに襲い掛かるヘルベルトのドム〜
ヘルベルト「ヤキンを生き残ったのはお前らだけじゃないんだよ!落ちな!」
イザーク「当たるかっ!」
〜ドムの腕にスレイヤーウィップを絡ませるグフ〜
イザーク「捕らえた!ディアッカ!!」
〜動きが一瞬止まったヘルベルトのドムに狙いを定めるディアッカ〜
ディアッカ「はいはいっと・・・」
〜ヘルベルトのドムにビームが命中する〜
ヘルベルト「なにっ!?・・・っく・・・俺に当てるたぁ、いい度胸じゃねぇか!」
イザーク「成敗してくれよう!」
〜テンペストをヘルベルトのドムへ振り下ろすグフ〜
ヘルベルト「っちぃ、調子にのるなよ!ぼんぼん!」
イザーク「くそっ間合いが!?・・・ディアッカー!もっと上手く当てんか!」
ディアッカ「お、俺の所為かよ!?・・・・・・まったく・・・シホ!イザークのザポートに回る!そっちはOK!?」
シホ「こっちは大丈夫!・・・隊長のサポートへ回ってください!」
〜イザークのサポートのため接近するディアッカ、ヒルダとマーズのドムと対峙するシホのドム〜
ヒルダ「はっはっは・・・やるねぇ。さすが私たちが鍛えただけはあるじゃないか!」
マーズ「おいおい・・・そんなこといってる場合かよ」
〜シホに躊躇いなく迫るヒルダとマーズ〜
シホ「・・・・・・私は・・・鳳仙花・・・鳳仙花の種・・・種・・・種たねたねたね・・・」
〜ビームサーベルを最大出力にし迎え撃つシホ〜
シホ「私はあなたを・・・越える・・・・・・・<シュパーン>」
続
・・・・・・・・・・・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!
シホ種割れ?!
シホって種割りするキャラなの?
しないけど
オリジナル設定?
劇中ではしなかったってだけだろ
絶対にしないという設定があるわけじゃない
設定上は誰でも種割れできる、若い奴ほどしやすいらしい。
何か誤解を招きそうな説明だな
現行の長編シリーズどれくらいあるかきいてもいい?
現在活動が活発なのはI&I&Iや運命の舞踏、灼熱の咎あたりかな<長編シリーズ
短めのものならほのぼのに単発かな。
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編C」最終章 34
〜左右に別れシホに迫るヒルダとマーズ〜
ヒルダ「マーズ!手加減なんかすんじゃないよ!」
マーズ「あったりまえだ。あいつを過小評価するほど落ちぶれちゃいないさ!・・・ヒルダァー!後ろに回れ!」
ヒルダ「言われなくてもわかってんだよ!いくよっ」
マーズ「おしっ」
シホ「来る・・・・・・」
〜マーズは正面からシホに迫り、その間にシホの後ろへ回りこむヒルダ〜
ヒルダ「あんたにゃ1対2はまだ早い!」
〜マーズがシホをひきつけている間に後ろから切りつけるヒルダ〜
シホ「・・・っ・・・そんなコンビネーションが通じるとでも!?」
ヒルダ「なにっ!」
〜脚部左右のホバーを互い違いに噴射させ、その場で超信地旋回するシホのドム〜
マーズ「おわっと!あぶねぇなっ!」
ヒルダ「無茶な動きをしてくれる・・・なに!?」
〜超信地旋回で起こった土煙の中から光りの点がヒルダに襲い掛かる〜
シホ「これくらいで動きを止めるなんて・・・弱くなりましたね!」
ヒルダ「っく・・・小ざかしい真似をっ!」
〜ビームシールドを展開し、突きを振り払うヒルダ〜
マーズ「こっちが空いてるぜ!」
シホ「わかってる!・・・・・・」
〜スクリーミングニンバスを展開させマーズを牽制しその場を離脱するシホ〜
ヒルダ「逃げるのかい!!」
マーズ「!?まて、ヒルダ!」
〜離脱シホを追いかけバズーカを打ち込むヒルダ〜
シホ「予測済み!対消滅!」
〜ヒルダが放ったビームの弾丸に自分の同じバズーカの弾丸を当て消滅させるシホ〜
ヒルダ「っ対消滅させるたぁ上手くなったもんじゃないか!」
〜すかさずバルカンを打ち込むヒルダとマーズ〜
シホ「っとっと・・・そんなものがぁー!」
〜その頃のイザークとディアッカ〜
イザーク「今度は最新鋭のMSを3機を盗むとはいい度胸してるじゃないか!ラクス・クライン!」
〜ヘルベルトに切りかかるイザーク〜
ヘルベルト「ふん!パワー勝負する気かよ、イザーク!」
イザーク「っつぅ・・・この!・・・・・・オーブにMSを作ってもらえばいいだろうに!なぜまたザフトから盗む!?」
ディアッカ「おまたせ!イザーク、ちょっと離れてろ!」
〜ヘルベルトに向かいミサイルを撃ち込むディアッカ〜
イザーク「遅いぞ、ディアッカ!」
ディアッカ「遅かねぇって!ほらやっちまうんだろ?」
イザーク「わかってる!
ヘルベルト「くそ・・・ちょっと分が悪いか?」
〜ディアッカのミサイルを防ぎつつ後退するヘルベルト〜
イザーク「落ちろっー!」
〜再度ヘルベルトに切りかかるイザーク〜
続
>>13 PULSモードでマユルートがあることを信じている俺がいるw
>>25 一通りクリアするとマユを使えるとか聞いたが
またもや釣られたか
吊ってくる
ノシ
他のキャラとの好感度上げたらマユタソのケータイ画面がジャックされるので上げたくない…orz
マユ使えないの…?
じゃあ、ハイマニューバやゲイツRに乗ってキラのストフリと戦ったりシンのストライクと戦ったりする事は…
じゃあもうマユスレで連ザのマユスレVer作ろうぜ
といってもPP戦記から単発まで何人ものマユが登場するだけだがなw
セリフで暴言&放言が期待できそうな、ほのぼのマユw
……ハ、ハンバーグこわい……((((((;゚Д゚))))))ガクガクブルブル
今、人気投票やったら前回と大幅に結果変わるかな?
隻腕大人気は変わりそうにないけど、舞踏とか咎とかV入ってきそうだな
>>33 学園マユもつけるぜ!
後、最終ステージの敵は
ほのぼのマユ…ゲン×3、隻腕シン×3、舞踏キラ×3
それ以外…ほのぼのマユ×1
…ごめん
>>33 一日マユとおるすばんマユ・・・
隻腕シンとPPシンでもかてねーなwww
ほのぼのマユとゲン、シン、キラ×3が同等なのか?wwww
ほのぼのマユの凶悪さは異常!!
Wスレのマユは最強かつ最凶。
・ファントムペインの全員が結束して戦えば大丈夫だろうと思っていたら、リーダーのゲンが瞬殺された。
・デスティニー搭乗の隻腕シンが涙目になって降伏していた。
・脚元がぐにゃりとしたので見てみるとケイが転がってた。
・あっさり負けたマユ種ネオは、それでもなぜか喜んでいた。
・ゲンとケイのコンビで襲い掛かっても惨敗してた。
・なぜかマルキオ孤児院が襲撃され、マルキオも「子供たちも」全員降伏させられた。
・プラントが5日間で陥落した。
・ブルーコスモスの盟主が女の子に変わった。
・人気投票やったら隻腕マユが間違いなくトップと思ったら、勝ったのは(ry
・「戦いは2手3手先を読むものだ」といって出て行った赤い人は5分くらいでボコにされてすごすごと戻ってきた。
・「嫁補正じゃあるまいに、勝てないわけがない」と勇んで出て行ったアスランは毛を毟られた。
・被撃墜率は0、挑んだもののうち半数がノーダメでフィニッシュだった。
・暗黒女帝を襲名したようだ
何このカオス
ほのぼのマユとWスレマユだったらどっちが最凶だろうか
取り合えず原作最凶は変なところに出てあたふた戸惑ってる地中用グーンをためらいも無く攻撃した一般兵
むしろ地面からいきなり出てきた変な物体に冷静に対処できたことを褒めてやれよw
でも連ザってあんまりパイロット関係ないよね
PLUSモードはキラのAIが突出して強力
三機ぐらい相手にしても死なないw
てか、そろそろスレチと言っておきますよ
隻腕シンや舞踏キラは信頼度が低いと反逆しまくりそうだなwww
隻腕のシンが多用するのは普通のステキャン
マユが多用するのはフワステだな
連ザ2プラではデステニーが以外に使い易かった
マユを乗せたかった・・・
一般兵の名前をマユに変えているのは俺だけじゃないはず!
ageテシマエ!Щ<`Д´Щ>
52 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 21:57:30 ID:MwzjAnK3
過疎age保守
53 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/14(木) 22:25:21 ID:baq7GLqN
うちは父一人、娘一人の二人暮らしでした。
父は再婚もせずに私を育ててくれましたが、
やはり男性でしたし、相手が欲しかったようで、
中学二年の頃から、私が毎晩父の相手をしていました。
最初はよくわからなかったのですが、父が優しく
手ほどきをしてくれて、大好きな父が相手でしたから、
私も嬉しくて、素直な気持ちで毎晩相手をしていました。
父はとても上手で、いろんな角度から私を攻めて
きました。二人で時間を忘れて朝まで続けてしまったこともあります。
そんな父もすでに亡くなり、今では母親となった私は、
当時のことを思い出しながら、夫だけではなく
中学生になった息子も相手にしています。
夫と息子がしているのを見るのも好きです。
夫が一番弱いですね。息子はけっこう強いです。
ちなみに将棋の話です。
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編D」最終章 35
〜イザークのサーベルを受け流すヘルベルト〜
ヘルベルト「っとっと・・・ヒルダとマーズは?・・・・・・あらら・・・嬢ちゃんにおされてんのかよ!くそっ!」
イザーク「逃げる気かっ!!」
〜なおも切りかかるイザーク〜
ヘルベルト「ふん、仕切りなおしてやるっていってんだよ!」
〜月面を滑るように駆けてゆくドム〜
ディアッカ「はぁ〜・・・なんて足の速さだよ・・・・・・」
イザーク「馬鹿者!感心してどうする!足を止めろ!」
ディアッカ「オッケ、すぐ追いかける。先に行け!」
イザーク「誰に言っている!?フン!」
〜ヘルベルトを追いかけるイザーク〜
〜ヒルダとマーズを相手に奮迅するシホ〜
シホ「ったぁー!私があなたから頂いたもの・・・のしをつけてお返しいたします!」
ヒルダ「っち・・・そのさばき方、体の動かし方・・・あたしが教え込んだだけはあるじゃないか!」
〜鏡に映したようにおなじ動きをするヒルダとシホのドム〜
シホ「上段下段を振り分けて・・・突きを混ぜ込み・・・横一線・・・・・・」
ヒルダ「そうそう・・・調子よさそうじゃないの・・・・・・でも・・・戦いは創造のぶつかり合いだってことも教えたはずよ!!」
〜ヒルダのドムは一歩間合いをつめ、ラッシュを仕掛ける〜
ヒルダ「ほらほら!どこまで防ぐ?いつまで防げる?そんで・・・」
マーズ「相手が1機とは限らないってね!」
〜ヒルダのラッシュに紛れマーズもシホに向けビームサーベルを打ちつける〜
シホ「はっ!やっ!・・・・・・まだまだぁー!」
〜シホに迫ってくるヘルベルト、追いかけるイザークとディアッカ〜
ヘルベルト「そんでもって2機とも限らないんだよっ!でぃやぁー!」
イザーク「やらせるかぁっ!」
〜ヘルベルトのドムにむけスレイヤーウィップを伸ばすイザーク〜
ヘルベルト「届くかよっ!」
シホ「!?囲まれた?」
ヒルダ「ざ〜んね〜ん。狙いは・・・あんたじゃないんだよ!」
〜シホの間合いから離脱し、迫ってくるイザークに向け突撃するヒルダとマーズ〜
シホ「えっ!?」
ヒルダ「先の先・・・はじけるだけが戦いじゃないとも教えたはずだけどね!」
マーズ「ヘルベルトー!」
ヘルベルト「わーってる!いくぞヒルダ!」
〜一列に並びイザークに突っ込むドム3機〜
ヘルベルト「ジェット!」
マーズ「ストリーム!」
ヒルダ「アタッークッ!」
イザーク「なにっ!?」
シホ「隊長!」
〜イザークをかばおうと最大出力で追いかけるシホ〜
続
55 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/15(金) 09:35:28 ID:94YvMHd8
このスレはいつも見るだけなんど、どうやったらID隠せるんだ?
ずっと、それが気になってて。書き込もうと思ってもなかなか書き込めない。
とりあえずsageろ。
そしたら教えてやる。
58 :
55:2006/12/15(金) 19:14:32 ID:???
59 :
55:2006/12/15(金) 19:15:27 ID:???
初心者板でやれ
久しぶりに初心者というものを見せてもらったぜ
『・・・・・きもっ!!その人何なんですか?!』
アズラエルの非常にドン引きした声が何もない空間に響く。
「人外です。」
「オタクの恥です。」
「つうか氏ね。」
まだ怒っているのかミーア、アキラ、マユの三人は冷たく言い放つ。
「あ・・・ひどい!!俺がんばったのに!!」
ルナマリアがなみだ目でよよよよ・・と言う、男なのできしょい。
『なるほど・・、直接的な苦痛には強いようですね・・ならば・・・。』
そうアズラエルが勝手に結論づけて言うとどこからともなく甘い香りが漂ってくる。
「な・・なんかいかにも吸っちゃいけなさそうな雰囲気!!」
シンのセリフに同じように思ったメンバーはそれぞれ口と鼻を塞ぐ。
が、次の瞬間天井から思いっきり金ダライが落ちてきた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめん、ルナお姉ちゃん。」
マユは一人だけ無事だった。
彼女は背が低くいため、マユの代わりに近くに居たルナマリアにマユの分のタライもぶつかったのだ。
他の皆はちょうど離れていたのか全員ぽっくり逝っている。
しかし自分一人残ったところでどうすればいいか検討もつかない。
マユがうろたえていると、声が聞こえてきた。
『・・おや、残ってしまいましたか。まぁそれくらいが楽しいですね。』
アズラエルの声が響く。先ほどの情けないイメージと違って狂気を孕んだ声になっている。
するとガシャン、ガシャンと聞きなれた重苦しい金属音が聞こえてくる。
嫌な予感がしつつも、後ろをくるりと振り向くと、そこには三体のガンダムタイプのMSがいた。
ジャキッ・・・・と相手が武器を構える。
「大人気ない大人気ない大人気ないーーーーーーーーー!!」
次の瞬間マユは高速で走っていた。
夢の中のせいか現実ではありえない速度でマユは逃げる。
「勝てねぇぇぇ!!夢の中でもMS三体は生身じゃ無理!!
あ、でも今霊体なんだよね?!
ばんかいしろ私ぃぃぃぃ!!でてこいざんぱくとぉぉぉぉぉ!!」
だが出てくるのはいつものトンファーである。
「いや無理だろ!!これじゃ無理だろ!!私「ぶとうか」だから魔法覚えないし!!」
そうとうテンパッているマユ。
『君達、別に手加減せずにやっちゃっていいですよ。』
そうアズラエルが言うと緑色の巨大な砲を持った気体が構える。
「・・・・・うっそーん。」
マユは冷や汗を流す。
次の瞬間、目の前に巨大な光が迫った。
思わず身構えていたが衝撃はなかった、おそるおそる目の前を見てみる。
そこにいたのは鋼の巨人、腕からは光の盾、赤い翼からフレアを吐く、間違いく自分の愛機。
「ディステニー!!」
マユは思わず叫ぶ。
【遅くなりました!!申し訳ありませぬ、主殿!!】
そう言うとディスティニーはマユを自分のコクピットへと導く。
マユは身軽な動きでディステニーに乗り込んだ。
『おい!!おっさん!!聞いてねーぞ!ただMSで生身の人間追い詰めればいいんじゃねーのかよ!!』
『MSの相手なんてきいてないんですけどー?!』
『めんどーい・・・。』
MSのパイロットと思わしき声が聞こえる。
『う・・・何でですか!!しっかり封印したのに・・・・!!』
アズラエルが困惑した声をあげる。
すると、次の瞬間、高飛車な高笑いが響いた。
「ほーっほっほっほっほ!!この私を拘束しようだなんて一万年と二千年早いのよ!!」
MS、ドレッドノートの上に立ち高笑いする少女、フレイ・アルスターだ。
「マユ!あんたの仲間はそれぞれ自分のMSに保護されたから大丈夫よ!!思いっきり殺りなさい!!」
ビシッとポーズを決めるマユに命令するフレイ。
「え?!お姉さまは戦ってくれないんですか?!」
「あぁ、無理。だって抜け出すのとMS達元に戻すのに全力使ったから。」
マユの声に無理無理、とフレイは手を振りながら答える。
「大丈夫でしょ、あんたとそのMSとあのロボットがいれば。じゃあね。逃げるわよ!!プレア!」
そう言ってフレイを乗せたドレッドノートは去っていた。
ふとマユはいつもシンハロが収まっているスペースを見る。
すると淡いブルーの光の粒子が底に集まり、球の形を成して行く。
集まった光は四散し、そこには黒い体に赤い目のハロがいた。
「シンハロ!!」
『・・・・・アレ?オレナンデコンナ所イルノ?ツーカナシテ戦闘態勢デスカ?』
混乱したシンハロが言う。どうやら記憶もフレイは取り戻してくれたらしい。
「シンハロ!!とりあえず今はピンチだから説明は後!!行くよ!!」
『ア・・ワカッタ・・・!!』
困惑しるシンハロをとりあえず丸め込み、マユは目の前のMSに向かってディステニーを走らせた。
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編E」最終章 36
〜イザークを押しのけヒルダたちの前に飛び出すシホ〜
イザーク「!なっシホ!?」
ヒルダ「これで終わりだっ!」
〜体制を崩したままのシホのドムにヒルダらの攻撃が浴びせられる〜
〜「・・・・・・<シュパーン>」〜
音声ガイド「起動条件クリア・・・エモーショナルシステムを起動します」
〜機体が脈動を始める〜
マユ「たぁっー!!」
〜ヒルダのドムに真上から蹴りを入れるデスティニー〜
ヒルダ「がっ!?・・・な・・・!?」
マーズ「ヒルダァーっ!!」
〜ヒルダのドムを踏み台にヘルベルトに切りかかるデスティニー〜
ヒルダ「っ!私を踏み台にした!?」
マユ「この・・・泥棒どもがっ!!てぇりゃぁーっ!」
ヘルベルト「ひっ!?」
〜アロンダイトをヘルベルトのドムの胸に深く突き刺し、そのまま機体を切り裂くデスティニー〜
ヒルダ「ヘルベルトォー!こんの・・・マーズ!」
マーズ「わかってる!議長の腰ぎんちゃくどもがっ!!」
〜体制を立て直しデスティニーに襲い掛かるヒルダとマーズのドム〜
マユ「・・・・・・<キュピキュピーン>遅い!」
〜アロンダイトを投げ捨て、両肩のビームブーメランを手にもつデスティニー〜
シホ「これで終わりよ!」
ヒルダ「!?後ろ・・・・・・しまっ」
シホ「あぁぁああっああぁー!」
〜頭をはねられ、腰部から上半身、下半身で真っ二つにされるヒルダのドム〜
マーズ「ヒルダ!」
〜ヒルダのドムが頭をはねられるのをみて動きが止まるマーズ〜
マユ「あぁっ!」
マーズ「機体がついていかん!?」
〜両手のビームブーメランで何度も切られ、その場に崩れ落ちるマーズのドム〜
マユ「・・・シホ姉ちゃん大丈夫!?」
シホ「ええ・・・マユちゃん・・・・・・助かったわ・・・・・・」
〜あまりの一瞬の出来事に呆然とするイザークとディアッカ〜
イザーク「・・・・・・やったのか?」
ディアッカ「・・・・・・やったんだろ?」
〜イザークに駆け寄るシホ〜
シホ「隊長!大丈夫ですか?」
イザーク「・・・ああ・・・おかげでな・・・・・、あれは・・・マユか?」
シホ「ええ・・・・・・なんでこんなところにいるかはわかりませんが」
ディアッカ「!?おい!・・・レクイエムを見ろ!」
イザーク「!!・・・・・・くっ・・・落ちたのか?・・・・・・」
〜レクイエムの発射口からすさまじい炎が立ち上り、遅れて地響きがやってきた〜
マユ「レクイエムが・・・・・・」
続
ドム踏み台キタコレ!
黒っぽい三連星、ナイスな敵だったな
単発設定小話 「灰色の戦い 月面の華編F」最終章 37
〜崩壊するレクイエムを苦虫をかんだような顔で見つめるイザーク〜
イザーク「・・・まったく!他の部隊は何をやってるんだ!」
ディアッカ「ん〜・・・そんなには・・・減ってないけどなァ。てっことはだ・・・」
シホ「一点突破でレクイエム内に侵入されたんでしょうね」
ディアッカ「だよなぁ・・・どうする?」
イザーク「ここの状況は?」
〜コンソールモニターに次々と情報を映すイザーク〜
マユ「!メサイヤが現れてる・・・・・・」
シホ「いよいよ最終局面かしらね?」
ディアッカ「・・・イザーク。ここの防衛はもういいな。守るものがなくなっちまったし」
イザーク「一度船に戻るぞ・・・体制を立て直す」
シホ「はいっ。・・・・・・シホちゃんは?」
マユ「私は・・・・・・メサイヤへ直接向かいます。きっと・・・おにいちゃんもあそこに向かっているはずだから・・・」
シホ「マユちゃん・・・・・・」
ディアッカ「まぁいいんじゃない?マユにはマユのやりたいこと、やれることもあるだろう」
イザーク「・・・ああ。オーブと連合は俺たちで抑えておく。お前は・・・勝手にしろ。俺の部下じゃないしな・・・・・・」
シホ「隊長・・・・・・」
マユ「・・・じゃ・・・宜しくお願いします。ジュール隊の皆さん」
ディアッカ「ああ」
〜月面を蹴り上空へ昇るデスティニー〜
シホ「・・・いっちゃいましたね」
イザーク「ふん。お子様はわがままで困る。おら、ディアッカ、シホ!戻るぞ」
〜撤収命令を伝達し、次々に母船へ帰還するMS〜
シホ「・・・・・・ヒルダ教官・・・・・・これでお別れです」
〜月面に散らばった3機のドムに向かい敬礼するシホ〜
ヒルダ「うぅっ・・・・・・ぐ・・・・・・痛っ・・・マーズと、ヘルベルトは?」
〜破れた装甲の切れ目から外を見るヒルダ〜
マーズ「あいたたた・・・ったく、最近の若い奴は程度ってモンを・・・。おいヘルベルト!聞こえるか?」
ヘルベルト「聞こえてるよ!もう10cm左を切られてたら終わってたぜ・・・・・・」
マーズ「はっは!なかなか死ねねぇな、俺たちは!」
ヘルベルト「ヒルダは?」
マーズ「ああ、みてみろよ。コックピットをこじ開けてるぜ。やっぱメスゴリラは力がすげぇな!」
ヒルダ「聞こえてんだよ!あんたたちそこを動くんじゃないよっ!嬢ちゃんたちなんかにやられちまった罰をくれてやんよ!」
マーズ「ひぃい!」
ヘルベルト「あ〜あ・・・俺はいってないからな」
ヒルダ「ヘルベルト!あんたも同罪だってんだよ!」
ヘルベルト「マジっすか!?」
〜鬼の形相で月面を歩いてくるヒルダ〜
〜ステーションワンのデプリと一緒に浮遊しているコアスプレンダー〜
ルナマリア「うっうっ・・・・・・?月から火柱が昇っているの・・・ぐすっ・・・・・・そう・・・レクイエムも落ちたのかぁ」
〜ヘルメットをはずし涙を拭うルナマリア〜
ルナマリア「私・・・いかなきゃ。マユに・・・マユには私のような思いは・・・・・・させたくない」
〜コアスプレンダーのエンジンをかけるルナマリア〜
続
ルナ、がんがれ!超がんがれ!!
生きてたのか、黒っぽい三連星w
ドロンジョ様一行のような空気をかもしだしとる
「花よ散れぇ!!」
マユの言葉に反応したディステニーのシステムがパルマ・フィオキーナの機能を変える。
手のひらからドウプラニルと同じようなマシンガンタイプのビームが拡散され飛び出す。
だがそれはまるで傘を被ったようなMSに防がれる。
『ウォッ!!フォビドゥンカッ?!』
跳ね返ってきたビームをシールドで防ぐ。
「あーもー!!前の金ぴかMSみたいな奴?!私苦手なんだけど!!」
マユはそう言うと接近戦をしようとシールドをソード形態に変える。
一気に間合いを詰めようとすると突然目の前に黒い影が飛び出してくる。
そしてそれは形を変えるとビームサーベルでマユ達の攻撃を防いだ。
『レイダーダナ。』
「冷静にいうな!!」
そして二機が鍔迫り合いしていると、横からミサイルが飛んでくる。
『チッ!!カラミティダ!!』
「いやー!!流石のデスティニーでもガンダム三機はきついー!!誰か助けに来てー!!」
マユは叫びながらレイダーから距離をとる。
だがするとレイダーはマユの方へ向かってこずそのままカラミティに襲い掛かる。
『・・・・・サッキノミサイル、アイツニモ当タッテタノカ?』
そのまま戦闘に入る二機。
さらにカラミティが売ったビームがフォビドゥンに当たる。
そこから二機のケンカにさらに一機加わり三つ巴状態に。
飛んでいるレイダーをフォビドゥンが追いかけそれをカラミティが狙う。
カラミティに攻撃されているのに気づいたレイダーがそちらへ向かいフォビドゥンがそれを追いかける。
そんなことがえんえんとえんえんと続く。
『何やってんですか!!!早くやっつけないとウィーもPS3もナシですよ!!』
そうアズラエルが叫ぶと三機ははっとしたかのように動きを止めデスティニーに向き合う。
「なによ!!うちなんてPS3やウィーなんかよりすごいよ!!セガサター○とか○ガドライブとかあるんだから!!」
もちろんドリキャスも現役だ。
『マユ、アンマリ自慢ニナラナイ。PS3モウィーモ買ッテヤルカライジケルナ。』
シンハロが剥きになるマユに言う。
きっとこのあと彼はネットオークションで実際に億単位の値段で競り落とすという暴挙に出るだろう。
【主殿!!それより奴ら、先ほどの仲間割れでダメージを相当食らっているようです!!】
デスティニーの言葉にマユはにやりと笑う。
「よぉし・・・、夢の中だからアレ使うか・・・・。」
『アレ?』
【何ですか?それ。】
「イデオ・・・・・・・・・・・・。」
【『だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!早まるなぁぁぁぁぁ!!』】
単発設定小話 「灰色の戦い 西風の囁き編@」最終章 38
<最終章 31からの続き 〜レクイエム崩壊ちょっと前〜>
〜エターナルに迫るサラのミーティア〜
サラ「っくぅ・・・加速させる前に・・・」
〜全速でエターナルを追いかけるミーティア〜
ダコスタ「くそっ・・・まだ振り切れない」
バルトフェルド「さて、ダコスタ。ここで問題だ」
ダコスタ「なんです?こんな切迫したときに!?」
バルトフェルド「ドラグーン。元テストパイロット。初めての女性フェイス。あだ名はザフトの西風。思い当たる人物は?」
ダコスタ「・・・サラ先輩!?」
バルトフェルド「正解、とにかく逃げ切れ!」
ダコスタ「はいぃっ!!」
〜加速していくエターナル〜
〜追いかける黒いミーティア〜
サラ「さらに加速するか!?」
〜差を広げるエターナルとミーティア〜
ダコスタ「・・・逃げ切った!?」
バルトフェルド「厄介なのが厄介なものに乗ってるな・・・・・・キラ一人じゃ・・・」
ラクス「・・・・・・<ピロリロリーン>!ダコスタさん、レクイエムを映してください!」
ダコスタ「え!?・・・はいっ」
〜ブリッジのメインモニターに火柱が昇るレクイエムが映し出される〜
ダコスタ「・・・レクイエムが・・・隊長?」
バルトフェルド「ああ・・・第一の目的は達成できたな・・・ラクス」
ラクス「ええ・・・・・・しかし」
バルトフェルド「ああ、ダコスタ!サラは完全に振り切ったな?」
ダコスタ「はい。それらしい影は見当たりません」
バルトフェルド「よし、アークエンジェルと連絡を取れ!いよいよ本丸が姿を現すぞ」
ダコスタ「本丸?」
ラクス「ギルバート・デュランダル議長ですわ」
ダコスタ「ああ・・・なるほど」
バルトフェルド「少しでもキラの負担を軽くさせてやるんだ」
ダコスタ「了解!アークエンジェルと連絡をとり・・・・・・!!左舷、敵影!ミネルバです!」
バルトフェルド「何!?・・・逃げるすぎたのか?」
ダコスタ「回避行動に移ります!」
〜エターナル船内に警報が響く〜
〜ミネルバ〜
アビー「エターナル、回避行動に移っています」
タリア「・・・オーケー。アーサー、照準エターナル」
アーサー「タンホイザー照準、目標エターナル。・・・発射サインどうぞ」
タリア「・・・・・・混沌の基を・・・打ち落とせっ!!」
〜エターナルに向けタンホイザーを発射するミネルバ〜
続
「勝った・・・!!これでウィーもPS3もDSライトも全部私のものよ!!」
『マユ、別ニ争奪戦ッテワケジャナイカラ。』
【とにかく、どうやら皆無事に元に戻ったようですし、後は起きるばかりです。】
ほのぼのと会話する三人正しくは一人と二体。
向こうにはコクピット以外を無残に破壊された三機のMSの残骸が転がっている。
だが、異変は突然起こった。突然地面が揺れる。
「な・・・・・何?!地震?!」
『キミ達が暴れすぎたせいでこの空間が壊れ始めたんですよ!!もう僕は知りません!!
さよならですよ!!』
そう言うとぷつんっと音が途切れる。
『無責任ナオッサンダナ!!』
「とにかく、飛んで・・・・・っ!!」
マユが飛ぼうとするとひび割れた空間から闇があふれてくる。
それはデスティニーだけでなくそのコクピットにも侵入してきた。
そこで、マユの意識は途切れた。
「マユ・・・・寝坊・・・・・。」
ステラがマユを揺り起こす。
なかなか起きないのでさらに揺らす。
揺らしすぎてマユの頭が壁に当たった。
「ガッ!!・・・・・・っ!!」
声無き悲鳴をあげるマユにステラはおろおろする。
「・・・・・・今何時・・っ?!」
痛みに耐えながらマユはステラに聞く。
「しちじ・・・・ごじゅうはっぷん・・・・。」
「やばい!!シンハロ!!なんで起こして・・・・・。」
見るとまだシンハロが起動していない。
彼はきっちり六時には起動するようセットしてあるのだ。
「シンハロが壊れた!!アスランお兄ちゃんに見せなきゃ!!」
「大変・・うぇーーい!!」
二人は大慌てで部屋を出て行った。
「シンハロ、思い出した?はっきり。」
うん、大体ね。でもまだマユ達には言えないなぁ。
「普通ハどん引キスルナ。」
うるさい。
「じゃああの二人のことよろしくね。」
「頼むゾ。」
はいはい、じゃあ帰ろうかな・・・・・。
夢にさよなら、新しい過去にこんにちわ。
懐かしい人にさよなら、古い知り合いに会いに行こう。
これから世界は混迷に。歯車はどう回るのか。
途中で電波が切れたためこんな終わり方に・・・。
やっぱネタは一気に書き上げないとだめですね・・・。
これで番外編終了、いよいよそろそろ最終章。
ラクスたちはどう動くのか?マユはどうするのか?
そしてシンハロの秘密とは・・・!!
こんな感じに進めていくのでがんばって最後まで走ろうと思います。
せめて保守くらいしようよw
単発設定小話 「灰色の戦い 西風の囁き編A」最終章 39
〜エターナル〜
ダコスタ「攻撃、来ます!」
バルトフェルド「シールド最大出力、緊急回避行動!全員衝撃に備えろ!」
〜エターナルの船首をタンホイザーが掠めていく〜
ラクス「キャァッ!!状況は?」
ダコスタ「船体異常ありません!乗員もみんな無事です!」
バルトフェルド「ミネルバは!?」
ダコスタ「こちらのとの距離を詰めてきています。敵影はほかに見られません」
バルトフェルド「ミネルバだけか・・・。いや、やめておこう」
ラクス「・・・・・・アークエンジェルと1度合流しましょう。オーブ艦隊も連合艦隊もともにがんばっているようですし」
バルトフェルド「決まりだな。ダコスタ、もう一回逃げるぞ」
ダコスタ「了解!・・・逃げるのがだんだん得意になってきましたよ」
〜接近するミネルバを振り払うエターナル〜
〜ミネルバ〜
アーサー「・・・船首をかすめただけか」
アビー「エターナル逃走するようです」
タリア「・・・・・・追いかけないで・・・いいわ」
〜苦渋の顔をするタリア〜
アーサー「艦長?」
タリア「アビー、これとこれとこれを・・・メインモニターにだしてちょうだい」
アビー「はぁ・・・っ!これは・・・・・・」
〜目を見開くアビー、メインモニターの映像が切り替わる〜
タリア「・・・左はリアルタイムのデータよ」
アーサー「月面から・・・光の柱が立っている?・・・!まさか」
タリア「レクイエムが落ちたわ・・・まぁもともと敵の施設だからまぁいいでしょう。中央は先ほど流れてきた情報よ」
アビー「・・・なんでしょう?小惑星でしょうか?」
タリア「メサイア・・・今回の戦いの総司令部がある小惑星よ」
アーサー「・・・・・・こちらが劣勢だと?」
タリア「・・・まだそこまではわからないわね。そして・・・インパルスの信号消失」
アビー「!ルナマリアさんが!?・・・やられたんですか?」
タリア「まだ、なんともいえないけど・・・ミーティアをつけていたMSと一騎打ちをしていたそうよ」
アーサー「・・・・・・!アスランと!?」
タリア「おそらくね・・・・・・。さぁ現状を頭に叩き込んでおきなさい!ここから正念場よ!」
〜続〜
単発設定小話 「クリスマス特別編」
〜どこからともなく鈴の音が響く〜
(シャンシャンシャン、シャンシャンシャン)
マユ「ジングルベール ジングルベール 鈴が鳴る〜今日は楽しいクリスマス イェーイ!」
ミーア「イエッ〜イ!!・・・メリークリスマス!今日はみんなにプレゼントを配りにやってきたわよ〜」
マユ「ミーア姉ちゃん・・・頭のわっかはともかく・・・その羽・・・自前?」
ミーア「あったりまえじゃない!私は本物の天使になったんだからね!」
マユ「・・・なんか、あんまりなりたくないな〜」
〜ミニスカサンタルックに天使のわっかと羽をプラスしたミーアにちょっと引き気味のマユ〜
ミーア「さぁさぁ、そんなこと言ってないで配りにいくわよ!」
マユ「はぁーい・・・・・・」
〜ドアを蹴破るミーア〜
ミーア「メリークリスマース!プレゼント、あげちゃうぞ!!」
デュランダル「なっ・・・ミーア・キャンベル!?痛、痛っ・・・こら、やめなさい!」
〜議長にドラグーン端末を投げつけるミーア〜
ミーア「このっ!このっ!むっつりスケベ!こいつっ他人の人生をなんだと思ってるの!ええいっ!」
マユ「ちょ、ミーアねえちゃん!」
〜ミーアを必死でなだめるマユ〜
レイ「いい加減にしろ!決めたのはお前自身だろうが!」
ミーア「うるせっ!私よりコンプレックスの塊のくせに!あんたにはこれをあげるわ」
〜拡声器をレイに向けるミーア〜
ミーア「ただの拡声器じゃないわよ!えーい!」
レイ「ぐわっ!か、からだがしびれて・・・・・・」
マユ「・・・ミーア姉ちゃんそれって」
ミーア「拡声器と見せかけて、超小型のジェネシスよ!・・・・・・てへっ。じゃ、次行ってみよう!」
〜意気揚々と出て行くミーア〜
マユ「おいおい・・・」
〜再度ドアを蹴破るミーア〜
ミーア「ハッピークリスマス!とってもかわいいサンタからのプレゼントよ!」
ラクス「えっ!?あの・・・ミーア・・・さん?」
マユ「あーっと、ここは・・・エターナルのラクス・クラインの私室かしらね?」
〜ラクスにメンチをきりだすミーア〜
ミーア「おう、おうおうおう。われ、なんで裏にずっと隠れとったねん?なんや?彼氏とすけこましっとたんかい!」
ラクス「きゃっ!?ミーアさん!?これは・・・ドレッシングですか?」
〜七つの水鉄砲巧みに操るミーア〜
ミーア「フリーダムのフルバーストよ!ほらほらいい気味ねっ!」
マユ「レインボーってこと?」
ミーア「きゃーはっはっは!」
〜暴れるだけ暴れて部屋を飛び出るミーア、部屋に残るラクスとマユ〜
ラクス「・・・・・・はぁ・・・しみにならないうちにカーペットを掃除しちゃいましょうか。・・・手伝ってくださいますわよね?」
マユ「えっ!?・・・・えっと・・・・・・はぃ・・・(ミーア姉ちゃん〜・・・・・・)」
了 ・・・・・・なんだこれ。
エターナルにシールドなんかあったか?
連合側のドレイク級がリフレクターつけてる以外は知らないんだが
アカツキがシールドになってんじゃね?
ミーア輝いてるな…w
>拡声器と見せかけて、超小型のジェネシスよ!
ちょwww
体しびれるってレベルじゃねーぞ!!
まあ星間戦争SFじゃ戦艦にシールド無しなんて考えられないが(無いのもあるけどさ)
種では……天空のキラの回でビーム弾いてた奴か?
まあどちらにせよエターナルにシールドみたいなもんはないはず。
改造したのかもしれんけどさ…陽電子リフレクターでも取っ付けたのかな。
ho
87 :
通常の名無しさんの3倍:2006/12/28(木) 16:27:45 ID:APaT8Qp/
保守
年末でみんな忙しいのかしらん保守
単発設定小話 「灰色の戦い 西風の囁き編B」最終章 40
〜エターナルに逃げられたサラ〜
サラ「・・・・・・ちっ逃げられたか」
〜コンソールモニターにインフォメーションが流れ、月に目をむけるサラ〜
サラ「!レクイエム・・・落ちたか。・・・・・・メサイアも姿をだしたみたいね」
〜インフォメーションに目を落とすサラ〜
サラ「あら、ミネルバもこの区域にいるのね」
〜ミーティアをミネルバへ向けるサラ〜
〜ミネルバ〜
アビー「・・・艦長、デスティニーインパルスが接近してきます」
タリア「こんなところにいるとはねぇ・・・。通信できるかしら?」
アビー「はい・・・可能です」
タリア「OK。通信開いて」
〜通信をつなげるアビー〜
アビー「つながりました。どうぞ」
タリア「こちらミネルバ。こんなところで油でも売っていたのかしら?サラ・ビギンズ」
〜アーサーをちらりと睨むタリア〜
アーサー「ひっ・・・」
サラ「エターナルを追っていたら逃げられてしまいましてね・・・。そちらの状況は?」
タリア「大丈夫よ。・・・レクイエムも落ち、メサイアもでてきた。あなたはこれからどうするの?」
サラ「メサイアの防衛にはいります。敵もレクイエムを落として、新たな目標ができて喜んでいるでしょうから」
タリア「そう」
サラ「ミネルバには・・・アークエンジェルかエターナルを落としていただきたいのですけど」
タリア「・・・・・・どちらかを落とせば・・・敵の士気も落ちるってことかしら?」
サラ「レクイエムも落ちてこちらの士気も全体的に低下しているようですのでね」
タリア「・・・戦艦同士の戦いは派手だものね。・・・・・・いいでしょう。まかせてもらうわ」
サラ「ええ、是非お願いします。どちらかが沈められればオーブと連合には勝ったも同然」
タリア「・・・には?」
サラ「一番厄介なのは・・・おそらくオーブでも連合でもないでしょうね」
タリア「それ以外の敵?」
〜会話に割り込むアーサー〜
アーサー「・・・ボギーワン・・・・・・いや、ファントムペインか」
サラ「そう・・・この戦いの合図をしたのは紛れもなく灰色のアストレイ。ボギーワンもいままで撃沈された情報もない」
タリア「・・・どこかに隠れていると?」
サラ「隠れていますね。・・・そろそろ・・・姿を現すと思いますよ。・・・・・・では、ご武運を!」
〜ミネルバに向かい敬礼し、メサイアに向かうサラ〜
タリア「・・・アーサー・・・・・・ファントムペインという名称はまだレベルナインの機密情報よ。権限のないあなたがなぜ知っているのかしら?」
アーサー「え・・・いやぁ・・・なんでかなぁ・・・。前にサラがしゃべってたのを覚えてたんじゃないですかね〜?」
〜とぼけるアーサー〜
タリア「・・・・・・あなた・・・この戦いが終わったら覚えてらっしゃい。全部まるごとはいてもらいますからね!」
アーサー「は、はぁっいぃ!」
〜タリアの荒い語気に思わず敬礼するアーサー〜
〜口に微笑を浮かべるサラ〜
サラ「・・・ふふ・・・ダメよアーサー。聡い艦長に勘ぐられちゃうわ」
続 ・・・・・・今年はここまで。皆様よいお年を。
単発氏の完結は来年かな。
なんにせよ書き手さんも読み手さんも良いお年を。
あけましておめでとう
今年もスレが存続して書き手も読み手も楽しめますように
「……思ったよりも、破損していないな」
進入した廃棄コロニー――まだそこに空気があることを確認したハイネは、パイロットスーツのヘルメットを外した。
『前部以外はほとんど攻撃を受けていなかったからな』
ミリューチンから、カルマが答える。
『けど注意しろよ、ハイネ! 破棄されたとはいえ殲滅派のアジトだ、なにがあってもおかしくねえ』
「分かってるって。だから俺以外にはツーマンセル取らせてるだろーが」
答えつつ、銃を片手に扉を開ける。何もないもぬけの殻の部屋、壁に幾つか銃痕が残っている。
「エリア018、空室だ。捜査を続行する。カルマ、キースのほうはどうなってる?」
『ああ、ゲイツの回収大体は終わったぜ。あと、ジョーとグレシアが020から022に向かう廊下で
死体を発見。ジョーの見立てではまだ死後そう経ってないそうだ』
「分かった、アキラたちにもそのことを伝えておいてくれ。ついでに、気を抜くなともな」
指示を出し、肩まで伸びたオレンジの髪を乱暴に梳く。
ユニウスセブンを落とした者たちが潜んでいたと思われるコロニーはゲイツの砲撃で半壊したものの、
中央部と後部はそれなりに無事だ。これなら連中のことが分かる何かを見つけられるのではと思ったが、
コロニー内に戦闘痕があったとするとそう簡単にはいかないかもしれない。
まずないだろうとは思ってはいるが、この中で戦闘を起こしたやつらがまだいないとも限らない。
本来ならミリューシュンのクルーを総動員して捜査に当たりたいところだが、コロニー内に入れたのは
ハイネ隊のメンバーだけにとどめている。自分も含め問題の多い連中だが、能力に関しては信頼できる。
多少の敵なら独力で排除できるし、議長から捜査を頼まれたユニウス事件犯人の痕跡を見落とす可能性もない。
『なにがあってもおかしくない!?
じゃあもしかして、悪の組織に改造された蜘蛛と人との合体怪人とかひそんでるかも?』
『ちょっとアキラ! ザラ派は世界制服をたくらむ秘密結社じゃあないのよ』
無線の向こうで、グレシアがアキラに突っ込みを入れた。
『え、違うの?』
「常識だぞ。連中が目指しているのはあくまでナチュラルの排斥だ。
その後の自分たちについては、議会を壊そうとか革命を起こそうとか、
ましてや自分たちが支配しようなんてことはこれっぽっちも言っていない」
注意深くコロニー内を前進しながら、解説。こういう無駄口は本来なら任務遂行上の弊害でしかないのだが、
隊長であるハイネ自身が積極的に参加するので、放任状態になっている
(ジョーやゼロあたりは、時々注意することもあるが)。
『でもなんで、あいつらってそこまでしてナチュラルを無くそうと頑張るんだ?』
『そりゃーまあ……色々あるのよ、あの人たちにもきっと』
歯切れの悪い、今度の返答の主はグレシア。ジョーもまた、それに同意する態度を示す。
コロニーを落とすのはもちろんやりすぎだと思うが、それでも今回の犯人たちに抱く思いは複雑であるものが
コーディネーターには多い。それが、ザフトの中でもわけありのものが集まっているハイネ隊ともなれば
なおさらであった。
『色々あったって、殺していいことにはなんねーだろ』
『はっ! いーよな、お子様はそう単純で』
隊内で最年少のアキラの意見を、ミリューチンに残っていたカルマが鼻で笑う。実年齢はともかくとして、
容姿的には十代前半のカルマにそうして笑われると、何というか実にむかつく。いつも通りたちまち
言い争い始める二人をハイネがなんとか治めまとめて、静まったところでジョーが、なにやらしみじみと呟く。
『俺も連中のやってること、全くわからないってわけでもないんだよね。
俺だって一歩間違えてなかったら、アーモリーワン落としてやりたいとか思っていたかもしれないし』
『一歩間違えてなかったら? 一歩間違えてたらじゃなくて?』
『うん。ハイネ隊なんかに配属されたのは、俺の人生の中で確実にベスト10には入る間違いだもん』
『あ、じゃあ私はベスト3以内かしら?』
「お前らをうちの隊に入れたことが、俺の人生最大の間違いだよ!!」
溜息交じりのハイネの言葉に、無線からはメンバー全員の笑い声が返ってきた。
「まったく……エリア015、廊下に銃痕。特に扉の付近に多い」
雑談を収め、ハイネが銃を握りなおす。残っている戦闘痕の規模が、ここだけは明らかに異常。
それだけ扉の中にあるものが、重要物である可能性が高い。
「扉に鍵は……かかっていない。侵入を試みる」
蹴破るような勢いで、扉を開ける。銃と明かりを室内に向け、中を確認。ハイネの端正な顔立ちが、醜く歪む。
「通信室らしきもの発見。メインのコンピューターはほとんどが破損している」
『やっぱりね。それじゃあ、情報の引き出しは無理っぽい?』
「いや、そこまで徹底的に破壊されているわけじゃない。ゼロに頼めば、いくらかはログが読み取れるはずだ」
だが、と、同時に思う。破損したコンピューターを解析するには時間がかかるし、収められていた情報が
それで全て読み取れるようになるわけでもない。つまり長期的にはどうであれ、短期的な意味に限定すれば
これは現状に影響を与えることは不可能。デュランダル議長が自分達に求めた地球側を抑える決定的な切り札には、
ここのコンピューター群はなりえない。他に事態の進展が何もなければ、おそらく戦争は避けられない。
「後は……」
慎重にあたりを見回していたハイネの双眸が、その動きを不意に止めた。
目を留めたものに、駆け寄る。パイロットスーツのグローブを外し、素手で対象に触れる。
動いている、まだ息がある。
『どうした、ハイネ?』
「ジョー、すぐに来てくれ!」
応じたカルマにかまわず怒鳴る。
「エリア015、通信室らしき部屋にて生存者発見! ザフトの緑服を着用した女性、腹部右腕左足に被弾!
意識なし、呼吸は極めて浅い」
『分かった、すぐ行く! 弾は貫通してる?』
「右腕左足は貫通。腹部の弾は体内に留まっちまってる」
『OK。カルマ、ミリューチンの医療室に手術準備させて。麻酔薬の用意とメスの熱湯消毒、あと無菌室!』
『了解!』
ハイネ隊一多芸なジョーは、無免許ながら医療の心得も持っている。部屋に駆け込んで一瞥し、
ここでの処置は不可能と判断。それを受けハイネは彼女を抱え、至急艦へと運び込む。
ハイネの腕の中の女性は遺伝子調査の賜物であろう純白の髪を血で赤く染め、
それでもその胸はごく僅かながら確かに上下運動を継続させていた。
歌姫の付き人
第十話 開戦の狼煙は一つならずして
「ただ話がしたいだけさ。コロニーに行く前に言っておいただろ、仕事が終わったら話があるって」
ハイネたちのいる廃棄コロニーを潜伏航行で離脱したガーティー・ルー。
その艦内廊下で、スティングはネオに向け言った。
ネオのつけている仮面が動く。その下に隠された表情は、無論本人以外には読み取れない。
「話、か」
ネオが言う。
「聞く気がない、と言ったら?」
「そのときは、話す相手をジブリールに変えるだけだ。
ユニウスセブン破壊後のファントムペインの行動を洗いざらい報告する」
スティングが、顔に意識的な笑み浮かべる。
「知られたら、まずいんだろ」
ネオの返答は沈黙。そしてそれは実質上の肯定だった。
ユニウスセブン崩壊後の、ファントムペイン隊の行動――
撤退するテロリストを追跡し、根城であるコロニーを強襲。
そこから、テロリストグループの通信記録を一部奪取。
その一連の行動全てに関する報告を、ネオは意図的に怠っている。
いつの頃から抱き始めたのか分からない、しかし決して拭い去ることの出来ない軍への不信感が
彼にその行動を取らせた。
無論、判明すればただではすまない。命令違反、独断専行の咎による指揮官解任は確実、
下手をすれば反乱罪で死刑になることすらありえる。まずいどころの話ではなかった。
「どうして知っている?」
ジブリールに報告されるわけにはいかない、だが同時に自己の逸脱行動を、
なぜ強化人間が知っているのかも分からない。
「……それに、どこまで知っている?」
内心の動揺を悟られぬよう、ネオは慎重に問を発する。
「さあ」スティングはとぼける。「とりあえず、あんたが考えてるよりはたくさんのことを知ってると思うぜ」
自信に溢れたその顔を見て、ネオは張ったりと決め付けた。
今この場で、情報を出し渋る理由はない。なのに言わないのは、言えないから。実際にそれ以上を知らないから。
つまりこれはスティングの単独行動、少なくともブリッジに彼の協力者はいない。
かすかな安堵とつかみどころの無い違和感と共に、ネオは懐に手を伸ばす。
「あまり……舐めるなよ」
一段と落としたトーンの声と共に、そこから取り出した拳銃をスティングに向ける。
安全装置を解除、指はトリガーに。
「死人に口なし、か。だけど、撃てるのか?」
余裕を崩さないスティングの反応が、ネオに違和感を増大させた。
「撃てない理由が、俺にあるとでも?」狙いをずらずにネオは言う。
「言っとくが、お前ら生態CPUはまだまだ不完全な精密工業製品だ。
戦闘後の調整中に一体くらい廃棄処分になったとしても、ジブリールの旦那は何の不審も抱かない」
「そうだろうな。だけど、三体同時にならどうだ」
「なに?」
「古典的な手だけどな。あのコロニーで入手した情報を記録したメモリースティックは、
アウルとステラに一本ずつ預けてある。
二人には、俺に何かあったときにはそれをジブリールに送るように言ってある」
ネオが、顔を歪ませる。
「ここで俺を殺すことに意味はない……後の二人も殺す覚悟がない限り。
だけどあんたは、俺たち三人を同時に失うこともまた出来ない。
そんな失態を犯したなら、今度はあんたがジブリールに廃棄処分になっちまう」
――スティングは、間違えていた。
アウルとステラは、ネオにとっての脅威とはなりえなかった。
強化人間の記憶は、調整によって改ざんすることが出来るからだ。
スティングはそれを戦闘時にかかったストレスの自動削除と捉えていたが、
実際は具体的な記憶の選別消去など、かなり自由度の高い操作が可能だった。
ここでスティングを撃ち殺し、ジブリールには調整中の事故と報告する。
アウルとステラに関しては、その後の調整でスティングの記憶を消去する。
そうすれば当然、彼等がジブリールにデータを送ることはない。何の問題もなく、ネオは今の地位を維持できる。
だが何故か、ネオはそうする気になれなかった。
その理由を考えて、ネオは先ほどから抱いていた違和感の正体にようやく気付く。
それは目の前にいる男、スティングが、強化人間にある点にあった。
強化人間……ブルーコスモスの第8先端技術研究所が作製した、試作の実験体。
『薬物投与などにより一部身体機能をナチュラルでありながらコーディネーター以上に強化、
ただしその弊害も大きく、特に論理的な思考能力には欠ける』
スティング等三人を引き渡したロドニア支局の研究員は、ネオにそう説明した。
だがだとしたら、これはなんだ?
今俺の目の前にいる、俺を脅そし取引しようとしているこの男は一体なんだ?
強化人間の癖に狡猾で、生態CPUの癖に冷静で、
単なる戦争のための道具の癖に自分と対等の地位に就くことを欲している。
道具としてはきわめて危険だ、
だが同時に仲間となしえるならば、これほどに頼もしいだろう存在もまた他に無い。
そしてネオが成そうとしていることには、間違いなく多くの仲間が必要だった。
「分かった」
ネオは大きく慎重に二歩下がると、手にしていた拳銃をホルダーに収めた。
「で、なにが望みだ」
「俺たちにも、一枚噛ませろ」
「なに?」
「あんた、このままいつまでもジブリールの下で燻ってるつもりは無いんだろ。だから今回も独断で動いた。
けどそうやって好き勝手にやられるのは、こっちとしては気に入らねーんだ。だから……」
「だから噛ませろ――駒としてではなく対等の相手として扱え、か」
クッ、と、小さく笑みがこぼれた。着けていた仮面に感謝する。
もしそれが無かったなら、今の自分はスティングに、この楽しそうな表情を用意に読み取られてしまったはずだから。
「返答は?」
「……しょうがない」
わざと、しぶしぶといった様子で了承する。実際のところは願っても無い話だ。
「分かった、これからジブリールの命令から離れて行動するときには報告する。記憶消去も、最小限に抑える。
だがこっちは、どうしても必要だと俺が判断したときには消すぞ」
やはり緊張していたのだろう、スティングはほっとした様子で肩を下げる。
今まで気が付かなかったが、彼の顔には冷や汗らしきものも浮かんでいた。
「あ、大佐、こんなところにいましたか。先ほど大西洋連邦がプラントに対する声明を……」
廊下の置くから顔を出したリーが、二人のほうに駆け寄った。
大西洋連邦大統領ジョゼフ・コーポランドがプラントに対する声明を発表したのは、
ユニウスセブンが地球に落下してから三日後の10月8日のことだった。
その趣旨を要約すると、
・ユニウス落としたのはお前らの身内なんだから、被害の弁償はお前らがやれ。
・身内に対する捜査は甘くなるかも知らないから、ユニウス落下テログループの捜査は俺達にやらせろ。
の、二点になる。
これは一見、妥当なものに見えなくもない。
落下した破片で身の周りのものを失ったものの中には、甘すぎると主張するものすらいるだろう。
だがプラントの内情を知るものなら、この声明は簡単に受け入れられないことは容易に推測することが出来た。
まず後者、テログループの大西洋連邦(おそらくはそれを含めた地球各国による合同捜査本部)による捜査。
だがテログループは、MSを運用していたことから考えて、ザフトの関係者だ。
ザフトに
――他国に知られたくはない最新技術、軍事機密が空き缶や煙草の吸殻のように転がっているプラントの盾に
仮想敵国である各国の捜査の手を入れる……そんなことをあの国は果たして許すのだろうか?
また仮に許したとしても、前者をクリアするための条件はさらに厳しい。
何しろ大統領がプラントに要請した賠償金額は、約五兆八千億アースダラー。
二年前に戦争を終え、所によっては未だ復興作業を継続中の国家がポンと出せる金額ではとても無い。
もちろん大統領も、そんなことは百も承知のはず。
なのに出されたこの声明……大統領は、プラントとの戦争を望んでいるのか?
まさか、やはり、相反する二つの想いと共に、声明は多くのものに疑念を抱かせる。
それは、大西洋連邦州議会議員すら例外ではなかった。
「では大統領、あなたは本気でプラントがこの条件を承知すると?」
10月9日の大西洋連邦上議院議会、前日出された大統領声明の批准の是非を問うその会議は
野党共進党党首ナリード・タレスの詰問調の発言で始まった。
「ジョゼフ・コーポランド大統領」
「政治に絶対はありません。ですから必ず百パーセント了承されるとは思っておりません。
ですが私といたしましては、仮にプラントがユニウスセブン落下について誠意を持った対応をとる意思が
あるのならば、おそらくは承知してくれるであろうと期待しております」
「ナリード・タレス議員」
「残念ながら私はその言葉を信じることができない。いや、むしろ信じたくない
――連邦大統領たるあなたがそんな馬鹿けた考えを本気で信じているなどとは。
無論私とてこの件に関するプラントの誠意は信じたい。だが総額六兆アースにものぼる賠償金!!
こんなものは断じてナンセンスだ! 大統領、あの国の今年度の国家予算をご存知ですか?」
「コープランド大統領」
「おおよそ二兆アースダラーだったと記憶しております」
「タレス議員」
「その通り。正確には一兆八億アースですが、考え方はともかくとして記憶力に関しては大統領が一応は
正常を保っておりますことに私としては胸を撫で下ろしているしだいであります。
ちなみにこの一兆八千億、一兆四千億が税収、残りの四千億が戦争復興特別予算と称する国債その他の
借り入れだ。この数値からして大統領がプラントに要求した賠償金額がいかに膨大かが分かる。
国家予算の三年分、税収の四年分! そんな額を、要求したところで一体なんになるのですか」
「議長!」
「フェルト・マイーネ議員」
「タレス議員、ではあなたはあんなものを落とされたのにもかかわらず、
私たちは指をくわえて黙って事態を静観すべきだとおっしゃるのですか!?
ユニウスセブンの落下、それにより生じた被害者の数は数億、十数億に上るといいますのに!
プラントはそれに対し何の償いもしなくてよいと……」
「待ってください、マイーネ議員。私はプラントが被災者に何の償いもしなくてよいなどとは言っていない。
だが今問題なのは現実性だ。重要なのは実現できるどうかだ。我々も苦しい。が、プラントもまた苦しいのです」
「苦しい? それがなんだというのでしょうか!
彼等がユニウスセブンを地球に落とした、それにより多くの人々が苦しんでいる。
その事実は、プラントに住むコーディネーターが苦しかろうと苦しくなかろうと変わることなどありませんわ」
「議長」
「ロード・アルスター議員」
「マイーネ議員の賢明なご意見に、私も賛同させていただきます。
今重要なのはユニウス落下で傷ついた人々をどう救うかです。
プラントが苦しいか苦しくないか、彼等をどう扱うかは二次的な問題であると言っていい。
ですが同時に、タレス議員の言うとおり六兆もの賠償金要求は過大すぎるようにも思われます。
ここで無用にかの国を刺激しても、わが国が利することは何も無い。
どころか強硬すぎる要求はあの国との間に未だ存在する火の粉に乾燥しきった藁をさし出してやることにすら
なりかねない。
今再び先端を開くことになったとしたら、一番に被害を受けるのはユニウスで傷つけられた国民です」
「議長」
「コープランド大統領」
「貴重なご意見を、ありがとうございます。ですがさらにもう一つ、確認させていただきたい。
マイーネ議員、アルスター議員、もし仮にプラントに支払う能力があるとしたら、
今回の賠償金要求にも同意してもらえるのだろうか?」
「はい、それはもちろん」
「だから! 私が問題にしているのはプラントに払える能力がないということであって……」
「ありがとうございます。ところで皆さん、S資金という名をご存知でしょうか?」
感情的になりかけたナリード・タレスの発言を遮って、コープランドは言う。
その言葉に、何人かの顔色が僅かに変わった。
『S資金』――その三文字で院内の主導権を掌握したコープランドは、発言を続ける。
議員たちの注目の中彼が次に口にしたのは、二年前の戦争で活躍した二機のMSの名だった。
フリーダムとジャスティス、NJCを搭載したザフトの決戦機。
プラントの反逆者ラウ・ル・クルーゼの手で使用され、アラスカで、オーブで、ヤキン・ドゥーエで、
連合・プラント両軍に多大な損失を強要した機体(戦中ラクス・クラインがとった行動のうちプラントの法に
抵触するものは、カナーバ政権の情報操作により公的にはクルーゼとその一党が行ったことになっている)。
「だがプラントは、何故この機体を各一機しか製造しなかったのでしょうか」
唐突な問いかけ。何人かの議員が戸惑いつつも思いついた回答を口にする。
「一機ずつあれば足りるとでも考えていたんじゃないのかね」
「ありえません。あれは超高級機とはいえ我々のGATシリーズのような技術試験機とは違います。
ただ使うのではなく軍での『運用』を行うためには、一定の数が必要です」
「ただ単に量産体勢に持っていく時間が無かっただけではありませんこと?」
「タラヤ議員、フリーダムが初めて現れたのが五月始めのアラスカ戦、終戦は九月の終わりですよ。
一月にGATシリーズを奪われた我々は五月のパナマ戦には量産型のタガーシリーズを投入している。
MS技術の先進優位性を持つはずのコーディネーターが出来ないはずはありません」
「大統領、そうもったいぶらずに答えを教えては下さいませんか。
先ほどのS資金という言葉からではおそらくは軍事予算関連くらいしか想像がつかない」
「いや、失礼いたしました、アルスター議員。思わせぶりになってしまうのは私の昔からの悪い癖であります。
では結論から……と、言いましても先ほどのアルスター議員の発言は実は的を得ておりまして、
この二機種の核動力MSは製造ラインが整っており、いつでも生産を開始できる状況にありながら
予算がつかなかったためラインを動かせなかったのです」
「……よもや、信じられませんなあ。戦時下の国家でそのようなことが?」
「はい、正確には予算が付かなかったというより付いていた予算がすっぽり抜け落ちたというのが
正しい表現ですが。
ちなみに予算上のゴタゴタは先ほど挙げた二機種のMSだけのことではありません。
軍事面だけで見ても、クルーゼ派に強奪されたエターナル級戦艦の二番艦、三番艦が建造途中で作業中止、
ヤキンで投入された核動力MSプロヴィデンスも開発が遅延しています。そしてこれらの不手際は、
プラントから一人の人物が姿を消したのをさかいに発生している」
ここまで喋ってコープランドは、議院内をもう一度見渡す。
自分の話に純粋に驚いているのは議員内の三分の二ほど。
表立ってはいないもののやはりS資金の名を噂程度は聞いたことがあるのだろう、
アルスター議員を含め残り三分の一ほどはどこか予想が付いたような顔をしている。
自国議員の聡明さに安心し、コープランドは話をいよいよ佳境に進める。
「すなわち元プラント評議会議長シーゲル・クラインの政権からの離脱、およびクルーゼ派の手による謀殺をさかいに」
彼の言葉に起こったざわめきが、議院内を揺らす。それを打ち消すように、さらに続ける。
「シーゲル・クライン。
彼の名は評議会元議長という肩書きと共にプラント内の穏健派リーダーとしても知られていた。
そんな彼は、評議会議長だった時期から秘密裏に連合国内部と接触を取っていた。
我々大西洋連邦内部にも、彼の関係者と接触を持ち彼に協力していたものたちが存在していたことが
大統領府の調査で判明しております。
いえ、いまさらそのことの道義的是非を問うつもりはありません。ですが考えてもらいたいのです。
シーゲル・クラインはどのようにして彼等と接触することができたのか。
シーゲル・クラインはどうして彼等に融通を聞いてもらうことができたのか。
シーゲル・クラインは一体どうやって協力の見返りの金や利権を用意することができたのか。
無論、プラント正規の予算は使用できません。
プラント内部の敵対勢力に自派の行動を知られるわけにはいきませんので。
だから、彼は隠したのです、自派が自由に使える資金を。
MSの開発費や戦艦の建造費に上乗せする形で計上して、
あるいは採掘されたレアメタルの一部を議会に報告せず秘匿することで。
それがシーゲル資金、すなわちS資金――プラント内の対地球和平交渉用のための秘密予算。
彼の死をさかいに発生した恐慌ともいえるプラント内の予算関係の混乱は、
このS資金を管理するものがいなくなったために生じたものです」
「一つ、いいでしょうか、大統領」
「どうぞ、ニジュスター議員」
「管理するものがいなくなったと言ったが……それはS資金そのものがなくなったわけではないのですか」
「はい。戦後プラントで政権を握っているのはシーゲルの貢献者でありますから、
現在S資金は彼等の手に渡ったと見て間違いないでしょう。
ちなみに終戦当時派遣されたプラント調査団の調査では、終戦当時のS資金残額はC.E.72年の通貨価値で
おおよそ5兆アースダラーと推測されています。
さきほどマイーネ議員がおっしゃられたように今はプラントも苦しい。しかし同時に、やはり我々も苦しいのです。
だから、要求せざるを得ない……プラントにはそれに答えるだけの力が存在するのですから。
プラントがユニウスセブン落下について誠意を持った対応をとる意思があるのならば、
この要求を承知してくれるものと私は確信しております」
大西洋連邦の上議院議会は、毎回テレビカメラを通じて全国に配信されている。
この日自宅(といっても下手な国立公園よりも広い大豪邸だが)の書斎で所有会社の決算報告書に目を通していた
ロゴス現会長ブルーノ・アズラエルも、その放送に目を向けていた一人だった。
大統領が拍手を浴び、続けて声明批准の是非を問う投票が開始されたモニターから視線を移したアズラエルは、
腕を預けていた机に付随したボタンを操作する。
「お前の仕込みか? だがこのコープランドという男、なかなかの役者じゃな。さすがは、大統領といったところか」
『いえいえ、彼にもこれくらいはやってもらいませんと』
先日の会議で戦争計画主任に任命したロード・ジブリールの神妙な顔が、テレビ電話の画面内で答えた。
「じゃがあの要求声明は……妥当どころか、プラントにとっては心地よくすらあるじゃろうな、少なくとも表面上は。
話を聞いていなければ儂でさえ大統領の弱腰に抗議しかねんぞ」
『だからいいのですよ。
我々は決して追い詰めたわけではない、むしろ手を差し伸べた。
なのにコーディネーターはその手を振り払い愚かにも過ちを繰り返そうとする。
その姿勢を崩さぬ限り、民衆は我々に味方します』
画面の中のジブリールが、小さく笑う。
アズラエルと同じく老獪な目で。しかしアズラエルとは異なり子供のように純粋な目で。
その純粋さは、アズラエルがはるか昔に失ったものだ。
「それはそうだが……プラントは本当に手を振り払うのかね?
軍事産業への投資を始めておいてまかり間違って手を握られたりしたら笑い話にもならん。
まああのS資金とやらが手にはいるのなら足は出んが」
『ご心配なく。プラントはあの条件を飲みません、いえ、飲めません。
終戦直後ならともかく今のプラントにはS資金はありませんから』
「……確かなのか?」
『はい。細かいことは企業秘密でお教えすることはできませんが。
なに、大事なのは結果です。要はさっさと戦争にまで持ち込んでしまえばいいのですよ』
「信頼して、よいのだな?」
『お任せください。全てはロゴスの利益のため、です』
モニターの中でジブリールが頭を下げ、画面が暗転する。
アズラエルは小さく溜息をつくと、再び机へと向かう。コンピューターを操作して、幾つかの企業名をはじき出す。
「チッ、狸めが!」
企業名とその状況を確認したアズラエルの口から、小さな悪態が漏れた。
十数社に及ぶそれらの企業は、前大戦期トップがシーゲルからの融通を受けていたもの。
今日の大統領演説でその事実が明らかになれば、この企業株価は確実に下落する。
ユニウスを落とされた地球の民は、プラントと裏で手を組んだものを決して許すことはないからだ。
その隙を突いて株を安く買い占めればあるいはのっとりも可能かと思ったが、
名が挙がった企業のライバル会社を見れば既にジブリール財団が経営を牛耳っているものばかり。
これらの企業が世論に押されている間に、ジブリール財団は自社の市場シェアを伸ばすつもりだ。
もっともそれだけでは、ジブリールのロゴスに対する叛心の証拠には無論ならない。
いくら『ロゴスのため』と口にしたところで、自社への利益誘導は経営者として当然のことだ。
そもそも諸産業間の利益調整組織であるロゴス自身が、その行為を(極端にあからさまなものでない限り)
認めている。
だがアズラエルには、今回のジブリールの行動がこれだけで終わるとは思えなかった。
根拠は、無い。ただ、あの『目』が気に入らない。
何か突拍子も無い奇抜なことをたくらんで、自分たちを出し抜こうとしている
……あれは、そんなものが持つ目だ。
視線を再び決算書類に戻しながら、アズラエルはジブリールを要警戒人物リストの上位に位置づけることを決めた。
疑う理由としてはあまりにも弱い気もしたが、ためらいは無かった。
疑うだけなら、別に金はかからない。
それに彼は、そんな自分の直感を信じて現在の地位にまで登り詰めたのだから。
――電源を入れたままにされたテレビ画面の中で、大西洋連邦大統領の声明は上院議員の約80%の賛成を得て批准された。
――批准を受け、大統領が立ち上がり一礼。上院に拍手が沸き起こる。
テレビに映し出されたその光景を見ているものが、大西洋連邦から遠く離れた南国オーブにもまたいた。
「どうするんだ、ラクス」
「バルドフェルドさん!」
テレビに視線を釘付けにされていた女性――行方不明のはずのラクス・クラインは、
かけられた声に振り向いて言った。
「ああ、すまん。驚かせちまったか?」
「いえ、大丈夫です。少し考え事をしていたので……キラは?」
「ああ、浜辺でガキどもと遊んでいる……というより、ガキどもに遊ばれてんのかねえ、あれは。
ユニウスセブン落下の津波で住んでた家が流されてからまだ三日しかたってないのに、
子供ってのは強いものだな」
「ええ、本当に。私もここに来て初めて知りましたわ」
ラクスが微笑み、テレビを消す。途端に聞こえてくる波の音と子供の声。
バルドフェルドも、思わず笑みをこぼした。
孤児院は波で流されたもののシェルターのおかげで怪我をしたものはいない。
居住地も、カガリの心添えによりここ、島はずれの屋敷を借りることができた。
預け物の管理場所でもあるこの屋敷は、少々古いものの孤児院代わりとしては広さは十分だ。
地球の各地で大規模な被害が発生している現在、彼等の周りはまるで魔法でもかけられたかのように
ほとんど変わらない日常が存在し続けている。
だがバルドフェルドにはこの日常が永遠に続くものではないと分かっていたし、
続けるべきではないと理解もしていた。
「それで、どうするんだ?」
「今はまだ、決められません」
「そうか……」
ラクスの答えに、どこか無関心に応じる。自分がこんな態度を取るようになったのは、一体いつからだったろう。
『終戦』という解答で、『失った時』という本音を隠す。
「本当にいいんだな、それで」
「はい。最終的にどうするにしろ、今はまだ動くべきではありませんし」
最後通牒のつもりで言ったバルドフェルドの言葉に、ラクスははっきりと頷いた。
顔こそ少々青ざめていたものの、彼女の声には確かな力がある。
「大西洋連邦の真意は分かりませんが、あのコープランド大統領の言葉を聞く限りでは
すぐに強硬手段が取られる可能性はなさそうです。
プラントが連邦の要求に応じることができなくても、両者が平和を望むならきっと……
そうなってくれるなら、それが一番いいのです」
「そうかねえ」
「ええ、そうですわ。そうすれば私も、ここから離れなくて済みますし」
「そんなにいいものかい、ここの生活は?」
「はい、とっても」
笑みを浮かべて立ち上がったラクスは、バルコニーの外に出る。
下の海岸にいたキラが、子供たちが、彼女に気付いて声を上げる。
なるほど、確かに彼女の言葉に嘘は無いのだろう。
戦争中、エターナルにいた頃と比べると、立場や義務とは無縁の位置にある今の彼女は穏やかで幸せそうに見える。
だが…………
彼等に手を振るラクスを一瞥し、バルトフェルドは与えられていた自室に戻った。
「ま、どっちでもいいんだけどね、俺としちゃあ……」
ポットから冷めたコーヒーをカップに注ぐ。
大してうまくもなさそうにそれを啜る彼の背中を、砂漠を背景にした写真の中で笑顔の女性が見つめていた。
『それではあの過ちを再び繰り返すだけだ。結局あなた方は二年前となんら変わってはいない』
『変わればいいというものでは無かろう。少なくとも儂にはあんたらは変わりすぎに見える。
だいたい交渉ごとにおいて相手の要求を始めから飲む馬鹿がどこに……』
『だからといって要求全てを否定するのはナンセンスでしょう。せめて……』
『しかしそれでは…………』
画面の中では数名の評議会議員たちがしきりに論争を続けている。
大西洋連邦が発した声明に対するプラントとしての対応決定を目的に開かれた評議会は、
開始から既に三時間が経過、しかし議論は一向に着陸点を見出せない。
いくらコーディネーターとはいえ『身の無い議論を退屈せずに何時間も聞き続けられる遺伝子』なんてものは
持っていない。議会裏の控え室で他の評議員秘書とともに会議を見ていたサラ・アディエスは、
気付かれぬよう小さく溜息をついた。
全派連合――ユニウスセブン落下当時のプラント評議会の状態を、一言で表すとそうなる。
原因は、一党で議会を纏められる存在の不在だ。
前大戦期評議会を二分していたザラ派、クライン派はそれぞれが右派左派中道に分裂し、
トップに立とうしたものは他の派によってたかって潰される。
いまギルバート・デュランダルが議長の座についているのは、彼の政治基盤の大小よりも
『やや右寄りのクライン派』という誰もが納得しやすい政治的立ち位置にいた、という点が大きい
(もちろん、その立ち位置を選択していた、というのが彼の政才の確かさの証明ではあるのだが)。
重要議案の決定に必要となるのは、本会議での議論よりも事前の協議根回し
……旧世紀極東に存在した島国にも似たその体制は、調整力に優れる反面意思決定には時間を要する。
議会閉会後には、右系ザラ派から左系クライン派までを巻き込んだ裏工作が開始されるはずだ。
それに備えて異常ともいえる人脈の広さを誇るハイスクール時代の先輩タカノに通信端末で連絡を取り付けたサラは、
会議の内容は八割がた聞き流しつつ大西洋連邦から発せられた声明について考えた。
S資金のことは、サラも知っていた。
地球連合に対する賠償金支払いも考慮に入れて用意されたその金額は、確かに五兆アースダラーほどはあった。
だがプラントはそれを決して支払うことはできない。たとえ、支払う意思があっても。
なぜならS資金はその全額が、終戦時の混乱の中で姿を消していたのだから。
S資金の存在とその消失は、秘匿されてはいるもののプラント政界上層部では周知の事実だ。
資金消失についての責任問題も、シーゲル・クライン亡き後の穏健派最大の重鎮、カナーバの評議会議長辞任で
ザラ派と手打ちを済ませてある。
問題は、大西洋連邦大統領はそのことをどこまで知った上であの声明を出したかだ。
S資金の存在までしか知らないのだとするなら、望みはある。
資金の消失を知らせた上で再度交渉を行えば、賠償金額を現実的なラインまで引き下げることができるだろう
――その場合には、賠償金支払いをザラ派にいかに認めさせるかが問題になろう。
だが、資金消失まで知った上であの声明を出していたとしたら? その場合は声明は、宣戦布告のための伏線だ。
いくらこちらが資金が消えたと主張しても、大西洋連邦は信じない。プラントの誠意のなさを口実に、
戦争への道を切り開く腹だ。
だがそれが分かっても、どうしようもない。
今六兆アースもの金を払えば、経済崩壊によりプラントは戦わずして崩壊する。
やらなければいけないのは、左系クライン派を説き伏せた上でのザラ派と提携しての戦時体制の確立。
そして大統領の真意が分からない今やらなければならないのは……決まっている、両方だ。
今プラントに必要なのは、意思をすなわち議会決定となせる強固な政権の確立。
極度に偏った考えのものは除いた、クライン,ザラ両派からなるものが望ましい。
もっともそれができないから、こうして苦労しているわけだが……
『これ以上続けても意味が無い、今日は一端ここまでにしよう。
二日後改めて開催する。みな、それまでに意見を固めてきてくれ』
デュランダル議長の言葉により、議会はやや強引な形で閉会した。
「議長!」
会議室を後にするデュランダルに、サラは早足で追いつく。
「サラか。オサカベ研究所の分析結果は?」
「三十分前に届きましたが、思わしくありません。
現在の経済状況では四兆三千億アースダラー以上の賠償金支払いにはプラントは耐えられません。
特に五兆以上のシュミレーション結果では、三年以内に事実上旧理事国の支配下へと逆戻りします」
同様の結果は、オサカベ研以外でも得られる。
四兆以上の賠償金は、ザラ派はおろかクライン派とてほとんどが承知しない――それ以前に、国民が納得しない。
「そうか……他に、何か新しい情報は?」
「二点あります。
ハイネ隊がテロリストグループの根城となっていた廃棄コロニーを強襲、
重傷の捕虜一名と半壊した機材を確保しました。
詳しい報告は、一週間ほど後に補給のためこちらに戻って来たときに行うとの事です」
「ハイネ隊か……彼等にも苦労をかけるな。もう一つは?」
「オーブより私信が一通。ザラ元議長のご子息からで、内容は面会希望でした。
こちらの到着予定時刻は五日後です」
「アスラン君が上がってくるのか。オーブも今は大変だろうに……
そういえば、カーペンタリアの司令官への自重要請は既に出しておいてくれたね。
オーストラリアが騒いで大変だろうが、まさか今オーブと事を構えるわけには行かないからな」
「はい」
オーブとオーストラリアでは、全大戦終結後から国境線および海底資源採掘権をめぐり火種がくすぶっている。
ユニウス落下に伴うオーストラリアでの対オーブ感情悪化が原因で、オーブ・オーストリアの国境線沿いの
海域では両国およびザフトの艦隊が二日前からにらみ合っている。
「欧州、南米の主な基地司令にも、同様の要請を出しておきました」
「そうか、助かる」
火種を抱えるのは、カーペンタリアだけでなくその他の在地球ザフト軍基地でも似たようなものであった。
評議堂の外に待たせてあった車に、二人で乗り込む。走り出す車、行き先はミーアも利用しているホテル。
多くの部屋がある場所は、他派議員との密会などにも便利なのだ。
「ところでサラは、アスラン・ザラについてどう思う」
車のシートに背を預け、デュランダルがきく。
車は前部と後部が色付きガラス板で遮られており、彼等の話は運転手に聞かれる心配は無い。
「利用価値、ですか?」
「それに、具体的な利用法もだ」
試すような口ぶり……いや、実際に試されているのだ。
彼の中では答えは既に出されているのだろう。
遊んでいるのか何かの試験なのか、デュランダルはサラに対し時々このような問を発する。
「そうですね……」
与えられた情報を慎重に吟味して、導き出した答えをサラは口にした。
「軍人としての彼の力は魅力的です。ですがパトリック元議長のご子息であることを考えると、
今の段階での彼の軍への復帰は地球側に余計な疑いを抱かせる危険を伴います。
逆にもし開戦が確実視されるようになった場合――地球側の心証を度外視してよい状況なら
彼を復隊させることははザラ派、および左系クライン派双方への有効なカードとなりえます」
「そうだね。だが彼は前大戦時に自らの意思でザフトを抜けている。そんな彼をそのまま戻したのでは、
復帰先の部隊のものとの折り合いが悪くはならないかな?」
「あ! そうでした」
サラの解答は、あくまでも評議会運営のみに焦点を当てたものだ。
ザフトの視点、そこに所属する兵士の視点、物の見方の多様化を、デュランダルはサラに求める。
「ですが、ならば議長は……」
「一応考えてはいる案はある。だがその前に彼の意思も確認しなくてはならないからね。
やはり、もう一度直接会っておきたい。できたらハイネも一緒に……予定の設定を、頼めるかね」
「分かりました」
サラが頷き、手帳に書き込む。
アスランと会うことで生じる予定変更をおおよそ思い浮かべたところで、ホテルについて車が止まる。
「それじゃあ、いこうか。会議が長引いてミーアのことも大分待ちっぱなしにさせているからね」
「はい」
車のドアを開け、二人は正面玄関からホテルの中へと入っていった。
大西洋連邦大統領の声明発表後四日間……この期間、世界は奇妙な静寂状態にあった。
もちろん、動いていなかったわけではない。
地球に降下した第81独立機動群は強奪した機体データを兵器開発局に引き渡し、
第18,42,99の三個独立機動群が入れ替わるように宇宙に上がった。
大西洋連邦は同盟締結をいよいよ積極的に推し進め、地球連合の月基地では軍艦の入港がにわかに活発になった。
それに呼応してザフトでも予備役徴集が始まり、同時にプラントでは水面下で熾烈な政治交渉が行われている。
正式な会議も連日開かれていたが、こちらは未だ声明に対する正式解答は出せずにいた。
限界まで膨らました風船のように、張り詰めた世界。
その中で、場違いなようでいて重要度の高い一つの発表が、現地時間十月十二日正午オーブ行政府前で行われた。
国家元首カガリ・ユラ・アスハとセイラン家長子ユウナ・ロマ・セイランの婚約発表
――誰の寝耳にも水であったこの発表をオーブ国民は騒ぎたて、ゴシップ関係に対しては高い嗅覚を
自認していたオーブ各種週刊誌編集部では、このネタを嗅ぎ付けられなかったことをめぐり責任問題が
湧き上がる。だが政治の世界に携わるモノたちには、この発表はまた別の意味を持っていた。
すなわち軍部を中心としていた同盟派と行政府を中心としていた本国派、
オーブを分断していた二大勢力による共闘体制の成立である。
政治権力の集中により、磐石となったオーブ。領海権をめぐりこの国と争うオーストラリアはどう反応するのか。
そして二国に近い旧大洋州連合,赤道連合の構成諸国、さらにオーストラリアに基地を租借しているプラントは
果たしてどう動くのか……世界の目がオセアニア地域に集まるなか、
その中心ともいえるオーブ行政府の一室には、高笑いを挙げる一人の女性の姿があった。
「ハハハハハ、ざまーみろ!」
「……カガリ、どうでもいいけど椅子の上でガッツポーズしながら笑うのは止めようよ」
「ユウナ、男なら小さいことは気にするな」
いやでも、君は女だろという突っ込みは、どうやらこの国家元首には届かないらしい。
「それにお前も見ただろうが、婚約発表のときのオーブスポーツの芸能担当記者の表情!
あの野郎、私たちが会見してる間も狐につままれたような顔をしっぱなしだったぞ」
「彼に何か、恨みでもあるのかい?」
「ああ、オーブスポーツは私とアスランの関係に感づいていたらしくてな、
一年ほど前からカメラマンや記者の尾行に閉口していたんだ。
証拠を掴まれるともみ消しが大変だとかキサカたちがうるさくて
最近は外じゃ接吻の一つもできなかったんだが……お前との婚約話でうまくごまかせたし
こそこそかぎまわるいやな奴等の驚く顔も見れたしで、一石二鳥だ」
政治とは何の関係もない、見事なまでに個人的な意見だった。
「まあいいけど、その地は頼むから外では出さないでおいてくれよ」
「分かっている。生まれたときから五氏族やってるんだ、それぐらいの自覚はできるさ」
自身満々で言うカガリだが、聞いているユウナのほうとしてはいまいち信用できない。
とはいえさらに追求するのは恐い上に身体的な危険さえ伴うので、懸命を自負する彼は溜息を一つついて
話を変える。
「でもよかったのかい? 彼、プラントに行かせちゃって」
「ああ、アスランか。あいつもなんか迷っていたみたいだからな。
この国でじっとしているよりも色々と動き回っていたほうが気も晴れるし自分に対する答えも出しやすいだろう」
「答えを出させちゃっていいわけ? その中に君はいないかもしれないのに」
「私がいない?」
「ああ。君と別れ、プラントに戻ることも彼にとっては一つの解答ではあるんだろう。
なんたって彼のお父上は、プラント政界の頂点にまで登り詰めたことのある男だ」
「……そういえばそうだな」
「まさか、今までその可能性を考えたことがなかったとか?」
信じられないといった表情のユウナに、カガリは首を捻る。
「そういう可能性もあることは理解していたはずなんだが、そこまで深刻に考えることはなかった
……なんでだろうな」
「なんでだろうって……呆れたなあ。本当に君は相変わらずだ」
「悪かったなあ、相変わらず馬鹿で」
「考えなかったってことはつまり考える必要が無かった、それだけ彼を信用していたって事だろう。
うらやましいね、それだけ無条件に信じられる相手がいるっていうのは」
「お前には……いないのか?」
「さあね。
でもそれだけ彼のことを思ってるなら、もう少し彼に自分を魅力的に見せようという気にはならないのかい? 言葉遣いを女らしくするとか、立ち振る舞いをおしとやかにするとか、髪を伸ばすとか。
そうすれば君にももう少し国家元首としての威厳ってものが……」
「余計なお世話だ! それに始めの二つはともかく最後のはお前の趣味だろうが!」
「だーかーら、そういう言葉遣いが」
「うるさいなあ、もう。今は来週のお前との結婚式の打ち合わせをやってるんだろうだが!
準備期間短いんだし、さっさと決めていくぞ。
そうだ、催し物として新郎対新婦のMSによる模擬戦なんていうのはどうだ?
国家元首の結婚なら各国の注目が集まってるから、オーブの技術力の高さを外にアピールする
絶好の機会になるぞ」
「本気でMS戦したら、僕がカガリにかなうわけないだろ!!!」
悲鳴にも似た、しかしどこかピントの外れたユウナの悲鳴が部屋に響く。
響きが消えたか消えないかといったところで、唐突に開かれる戸。そこからキサカが顔を出す。
ユウナの声を聞きつけたのかと思ったが、血相を変えているところを見るとどうやら違うらしい。
「どうした、キサカ?」
「オ、オーストラリアとの領海沿いに展開していた第三艦隊が
……ザフト・オーストラリア混合艦隊との間で交戦状態にはいりました!」
キサカの言葉に、二人は目を見開いた。
その海は、明るかった。既に沈みかけた太陽とは異なる複数の光源が、凪いだ海面を照らしていた。光源の名は、
軍艦……正確には、その炎上している上部構造物。所属はオーブが三、オーストラリアとザフトが各一だった。
「司令、ご指示を!」
オーブ軍第三艦隊旗艦、重巡洋艦クマノの艦橋で、艦長のトダカは司令のミネオカに声を荒げた。
「このままではやられます。反撃か撤退、どちらを選択なされますか?」
「退くわけには、いかん」
「では……」
「しかし! カガリ様より交戦は控えろとの厳命を受けておる」
「そのときとは状況が違います! 第三艦隊は既に攻撃を受け、我々のほうにも既に反撃を行った艦がある。
今は既に交戦状態なのです。戦うか退くか、どちらも選ばずただやられるのはごめんです!」
ほとんど怒鳴るような口調でミネオカに言いながら、同時にトダカは彼に決断は難しいだろうとも考えていた。
同じ同盟派軍人ではあるものの、現場たたき上げのトダカとは違いミネオカは国防総省でのデスクワーク中心で
昇進してきた男だ。それなりに有能でアスハ家への忠誠も厚いが、突発事態に対する対応力は低い。
経歴に箔を付けるためについた第三艦隊司令という地位でこのような状況を迎えたのは、彼にとっても
オーブにとっても不幸といえた。
「右舷より雷跡三!」
「回避! 取り舵30度!」
「ミナツキ被弾! ヤヨイ、後部砲塔大破!」
「ハツユキ艦長より連絡、『反撃ヲ許可サレタシ』!」
さらに三隻のオーブ艦と一隻のザフト艦が被弾炎上した段階で、ミネオカはようやく決断する。
「反撃を……発砲を許可する! 目標、敵艦隊旗艦――」
「シドニーW(オーストラリア海軍所属、MS搭載型巡洋艦)よりミサイル四! 目標はわが艦!」
悲壮感にも満ちたミネオカの言葉をまず艦橋見張り員の叫び声が、ついで襲い掛かる爆発音と衝撃が遮る。
壁に叩きつけられ一瞬意識を失ったトダカ、彼が再び覚醒したときには艦橋は天井と床の三分の一を失い、
そこにいた命あるものの数も半分以下に減っていた。
壊滅? だが幸いにも、通信機材はまだ機能している。
指示を仰ごうと横を見たトダカは、胸に中将の階級をつけた肉塊を一つ見つける。
「指揮を引き継ぐ! MS発進、全艦に発砲許可を!」
「は、ですが……」
「ミネオカ司令はあれを『敵艦隊』と言われた。面舵60度、各艦に信号、『我ニ続ケ』!
艦隊の中央を突破し、オーブに帰還する。水中計測を密に、攻撃の八割は水中からの魚雷だ!」
「しかし……」
「くどいぞアマギ」
「いえ一佐、しかしその腕は……」
「ん? ああ。すまんが重傷者救助が終わり次第救助を頼む」
副長のアマギに指摘され、トダカは自分の左手首より下が失われていることに初めて気付いた。
トダカの行った敵中突破は、成功した。
この時点で三隻の駆逐艦を喪失していたオーブ艦隊は、さらに駆逐艦一とM1シュライク三機を失い
重巡,軽巡各一に重大な被害を受けたものの、『敵』混合艦隊の巡洋艦計四隻に中破以上の損害を加えた。
中でもオーストラリア海軍の大型軽巡洋艦アベレート(オーストラリアではオーブに比べ、
重巡と軽巡の区別が曖昧)は、曳航にこそ成功したものの廃艦処分にするしかないといった有様だった。
もっともこれは、純粋にトダカの指揮が優れていただけとは言い切れない(もちろん、彼の功績も大きいが)。
トダカが指揮権を委譲されるまでのオーブ艦同様、ザフト・オーストラリア混合艦隊の攻撃は個艦レベルに
終始し、組織立った反撃行動は最後まで見られなかったからだ。
トダカもその点は不審に思ったが、戦闘指揮終了後の彼は負傷者救助、損害確認、
さらには自身の左腕の手当などに忙殺され、それどころではなくなっていた。
無論彼は、夕闇で暗く染まった海面から頭部のみを露出してオーブへ帰還する艦隊を見つめている
MSの存在になど気付くはずがなかった。
のちに『第二次オーブ沖海戦』と呼ばれるようになる戦い、それを見つめていた数機の水陸両用MS、
アッシュが海域から離脱する。彼等はオーブ艦隊にもザフト・オーストラリア混合艦隊にも合流せずに、
指定ポイントに到達すると静止しアクティブソナーを放つ。一度、二度……三度目で返ってきた反応。
それに従って海中に潜行……ザフトの新鋭潜水艦として建造された艦が彼等を出迎える。
ザフトのフネとしてつくられたその艦の名はニーラコンゴ、だが今のそれは既にザフトのものではない。
「どうでしたか、首尾は?」
「成功だ!」
出迎えた艦長のザラス・グズリールに、アッシュから降り立ったヨップはやや興奮気味の口調で答えた。
「混合艦隊もオーブ艦隊も、アッシュからの攻撃を相手からのものと誤認した。
反撃で、互いに相当の被害が出ている」
「そうですか、ならば……」
「ああ、我らが目指す世界のため、再び改革の炎を燃え上がらせるためには十分な戦課だ!」
ヨップの背後では、先日廃棄コロニーでサトーと行動をともにしていたオルア、クラブリックの姿もある。
あの後地球に降りた彼等は、カーペンタリア基地に所属していたヨップの下に合流していた。
ザラ派の最右翼に位置する、過激派テロリスト――だが彼等は全てがサトーのようにザフトから抜けて
行動しているわけではない。ヨップのように、いまだザフトに所属しそこでそれなりの地位についているものも
多い。ザラスもオルア,クラブリックも彼が自分の権限で集めた部下だった。
ニーラコンゴを母艦としたヨップ隊は、カーペンタリア出港時はザフト・オーストラリア混合艦隊の一員だった。
だがヨップは潜水艦の持つ秘匿性を生かして途中から単独行動をとっていた。
ニーラコンゴから出撃したザフトの新鋭MSアッシュは、オーブ,オーストラリア,ザフトの区別をつけること
なく水上艦を攻撃、『敵による攻撃』を演出し、海戦を発生させたのだ。
「それで、この後はどうしますか」
「そうだな……ヨアヒムたちの成果も見てからではないと分からないが、
私としてはオーブを目指そうかと考えている」
「オーブというと……あのラクス・クラインを!」
「そうだ、カナーバもそうだがあの女も許せん。その愚かさを思い知らせ、その罪を身に焼き付けてやる!」
彼等にとってのラクス・クラインとは、コーディネーターを裏切ったシーゲル派の象徴。
その彼女へ人誅を下そうという、ヨップの言葉は、隊の士気をいやでも高める。
しかしヨップは一端彼等を静めると、一人ひとりの顔を見回しながら問う。
「だが、単艦でのオーブ進入は間違いなく大きな危険を伴う。目的を遂げられず沈められる可能性も高い。
しかもこれは、コーディネーターの未来には何のかかわりもないいわば私個人の趣味による私闘だ。
そこに疑問を感じるもの、迷いを抱くものがいたら迷わず言ってくれ。要望には、できる限り善処したい」
「それじゃあ、ヨップさん」
「クラブリックか、なんだ?」
アッシュから降り、パイロットスーツのヘルメットを外したクラブリックの手がするりと伸びた。
「ラクス・クラインの命を狙うことに依存はない、けど、その前に一つやっておきたいことがあるんです。
廃墟コロニーを襲いサトー隊長を殺した地球連合軍の部隊、彼等の正体を突き止めたい。
やつらは条約違反のミラージュコロイドを使っていました、つまりは我々と同じ条約外の異端の存在です。
近い将来必ずプラントの脅威となる。そのとき対抗できるのは、同じ異端である我々だ」
「そうか、彼等の存在があったか」
「何を馬鹿な、ナチュラルの部隊がプラントの脅威になど……」
「敵を必要以上に卑下するなと、いつも言っていたはずだぞ、オルア!」
「ザラス艦長――すいません」
オルアをしかりつけたザラスへの評価を口もとを醜く歪めた笑みで表したヨップは、少し考えた後意見を述べる。
「クラブリックの考えももっともだ、だがそちらに全力を尽くした場合、
正式開戦前のラクス・クライン襲撃は不可能になる。
開戦後、戦時下の強警備体制下ではオーブ本当沿岸部への秘匿上陸はかなわない、
一週間以内にはラクス襲撃を行いたい。
とはいえ襲撃後我らが生きていられる可能性は低い。よって私としては、ここで部隊分割を提案したい。
ニーラコンゴを一度カーペンタリア沖に接近させ、そこで分けた部隊は艦から離脱、
基地に戻って同士と合流しサトーを殺したものどもへの対策に当たる。
残りのものはそのままニーラコンゴでクライン嬢の待つオーブへ向う。それでどうだ?」
今度は異議を唱えるものはいない。ヨップは頷いて皆を解散させる。
「クラブリック……お前サトーさんをやった地球連合の部隊って、まさかアビーのあだ討ちのつもりか?」
「……それもある」
解散がてらそっと近づいてきいたオルアに、クラブリックは小さく頷いた。
双方に多くの犠牲を出した、オーブとザフト・オーストラリア混合軍の偶発戦闘
……しかしそれは、この日と翌日の十月十三日に発生した多くの事件の一つに過ぎなかった。
この三時間前には、南アメリカ合衆国との国境線に近い大西洋連邦の基地を『ザフトらしき何物か』が強襲、
大西洋連邦軍に百名を超える死傷者が発生した。
その五時間後、太平洋では救援物資を運んでいたプラント籍の船が魚雷を受けて沈没し、
隣を航行中だったユーラシア連邦軍の駆逐艦が海洋法違反の容疑でミクロネシア連邦(旧大洋州連合構成国)の
取調べを受けた(三日後、証拠不十分で釈放)。
さらに半日後、マハムール基地では、『ユーラシア連邦軍らしき何物か』による攻撃に対し
基地司令ヨアヒム・ルドルが地上戦艦で出撃。ユーラシアの二個MS小隊を包囲殲滅しユーラシアに
攻撃についての責任を追及したが、ユーラシア側は『部隊は通常の哨戒行動中だった』と主張、
逆にザフトに対し損害賠償を要求した。
これらの事件は停滞していたかに見えた世界情勢を一気に突き動かした。
これらの事件を通し、地球、プラントの双方は相手への信頼を低め警戒を高くした。特に『基地をザフトに攻撃された』大西洋連邦と、『基地攻撃の濡れ衣を着せられた』ユーラシア連邦がこの傾向が高かった。
二つの連邦では十四日から地球各地で反プラントのデモが頻発し、
大西洋連邦ではプラントに対し弱腰な政府打倒を叫び暴徒と化した一群が、連邦議会前で機動隊と衝突した。
十五日にはオーストラリアがオーブに対し賠償金、領海権の譲渡、軍備制限を盛り込んだ最後通牒を通達。
同日プラントは大西洋連邦大統領声明に対する初の正式解答として議長声明を発表
(内容は、ユニウスセブン落下阻止失敗への謝罪とともに賠償条件緩和を求めるもの)。
しかしそれに対し大西洋連邦、ユーラシア連邦の世論は『プラントに誠意なし』と反応、
これを受け十六日、大西洋連邦は声明からの条件変更なしでプラントに最後通牒を通達、
連邦の同盟呼びかけにこたえていた地球各国もそれに賛同した。
前の大戦終結から二年弱、世界は再び戦乱へと踏み出した。
プラントは大西洋連邦等の通牒を正式に拒否、二十四時間後に戦争状態に突入することが決定した。
オーストラリアは、プラントの出方を見極めてから行動しようという思惑からか
ウナト・エマ・セイランによる交渉期限延期工作を受け入れているが、
引き延ばされた交渉の果てにあるゴールが戦争であるというのはほとんどのものが理解している。
そんなどこもかしこも戦争ばかりの世界の片隅で、一人の少女が決心を固めた。
「で、何かしら、マユちゃん?」
オーブに停泊中のザフト軍宇宙戦艦ミネルバで、艦長室を訪れたマユ・アスカはタリア・グラディウスの顔を
まっすぐに見つめて言った。
「私を、ザフトに入れてください」
117 :
憑いてる人:2007/01/01(月) 03:13:45 ID:???
あけましておめでとう、新年早々説明台詞ばかりでマユの出番の少ないものを投下してすまない。
フリーダムが量産されなかった理由を勝手に考えていたら、プラモデルで全く違う理由が明らかにされてしまったようだ……
ところで前の大戦のラクスの罪をクルーゼに擦り付けたということは、オーブやヤキンでのフリーダムは『クルーゼ派が強奪したフリーダム』ということになってるんでいいんだよな?
(今回そのつもりで書いてしまったが)。
とりあえず今年も付き人はのんびり投下で、好き放題にやらせてもらうつもりだ。少しでも楽しんでもらえる人がいれば嬉しい。
と、いうことで、どうか今年もよろしく頼む。
あけおめGJ!
戦争に至るまでの政治が描かれているのいいです。
しかしプラントの国家予算の2.5倍のS資金とは…持ち出した第一候補はラクスか?
保守
PP戦記と隻腕とASTRAY‘M‘の続きが読みてぇーーーーーーーー!!!
お願いだから返事だけでもしてくれーーーーー!!!
こっそり同意させてもらう
というより続きを書くかどうか更新停滞中の作者様全員のメッセージが訊きたい
出来れば続きを書いてくれるのに越したことは無いが・・・
遅れましたが付き人様GJ&皆あけおめ!!
議会の描写がリアルで、何度もじっくり読み返しました。
情勢の説明文も分かりやすく、なおかつ箔が付いているというか…とにかく驚きました。
椅子の上でガッツポーズを取るカガリも、慌ててるユウナもいい感じでしたw
続き、楽しみにしています!!
俺は舞踏とPP戦記の続きが・・・
それはそうとGJ!!
>「本気でMS戦したら、僕がカガリにかなうわけないだろ!!!」
で吹いちゃったよw
ユウナにバロス。
>サラ・アディエス
>ハイスクール時代の先輩タカノ
>オサカベ研究所
どっかで聞いた名前だなw
カガリかぁいいよカガリ
短時間にいきなり感想がついたな
3日も経って
あれだ、お正月休み挟んでたからじゃね?
帰省先にネット環境がないってのも良くある話だし。
携帯からでも見れるけど、長編はじっくりモニターで読みたいところだ。
単発設定小話 「灰色の戦い 清浄なる世界編A」最終章 41
<レクイエム崩壊後、メサイア出現、デストロイがミーラジュコロイド解除>
〜メサイアへアウフプラール ドライツェーンの照準を合わせるデストロイ〜
スティング「シュナイドシュッツ、シュトゥルムファウスト起動。頼むぜアウル、ステラ・・・・・・」
〜引き金に指をかけるスティング〜
スティング「おらぁっー!」
〜メサイアに向けアウフプラール ドライツェーンを放つデストロイ〜
〜デストロイからの砲撃を確認するメサイア〜
ザフト兵A「出現したデストロイから熱反応。予測着弾点の出力を上げます」
デュランダル「そっちはまかせるよ。・・・さて、ネオジェネシスの調子はどうかね?」
ザフト兵B「最終調整、終了しました」
デュランダル「そうか・・・。じゃ、いこうか。目標!オーブ艦隊および連合艦隊、調子付かせる前に叩き潰すぞ」
ザフト兵B「照準、了解しました。ネオジェネシス、チャージ開始します」
デュランダル「照射線上のザフト艦隊へ退避通達。遅れるなよ」
〜口元に微笑を浮かべるデュランダル〜
〜ガーティ・ルー〜
リー「よし、ミラージュコロイド解除準備。解除後は一気にいくぞ。タイミングを誤るなよ」
兵士「了解」
リー「少尉の反応は?」
兵士「・・・アプレンティスの反応あります!こちらに向かっているようです」
リー「無事だったか・・・」
兵士「!?・・・急速に接近してくる機体があります!」
リー「どっちだ!?」
兵士「まだこちらには気づいていないようです。映像・・・でます」
〜ブリッジのメインモニターに黒い影が映る〜
リー「ザフトの・・・新型か?」
兵士「・・・MSに・・・なにかしらのユニットをつけているようです」
リー「・・・・・・厄介だな」
〜眉間にしわをよせるリー〜
〜メサイアの防衛に向かうサラ〜
サラ「デストロイとはね。あんな大きなものを隠してたとは・・・それにしても・・・・・・」
〜コンソールのセンサーに目をやるサラ〜
サラ「なんか・・・このあたりのノイズは変な乱れ方をしてるわね。このノイズ・・・・・・」
〜センサーを分析するサラ〜
サラ「!接近してくる機影・・・・・キラ・ヤマト?それとも・・・シン・アスカかしらね?」
続
期待!
新作書こうと設定組みなおしたりストーリー作ったりキャラ作ったり、あれこれ構想中
本当は短編とか中篇をサクっと投下したいんだけど。
短編ネタとか中篇ネタってあるかな?
>>133 問題ないと思う、最後まで続けてくれんならいいんじゃない?
このスレが盛り上るならそれに越したことはないし
過去にはそういう作品もあったし、十分いけると思うよ。
投稿を楽しみにしてる!!
単発設定小話 「灰色の戦い 清浄なる世界編B」最終章 42
〜シュトゥルムファウストに摑まり、デストロイと合流に向かうアプレンティス〜
シン「前方に・・・このまま突っ切る!」
〜前方の機影にビームを放ちつつすれ違うアプレンティス〜
シン「どけぇっー!」
〜ドラグーンのシールドを展開し、浴びせられるビームを防ぐ黒いミーティア〜
サラ「灰色のアストレイ!・・・もう!あせらなくても、どいてやるってのに!」
シン「なんだ、あの・・・MS?・・・・・・ザフトの新型か!?」
サラ「ふふ・・・・・・役者が揃ってきたわねぇ・・・・・・」
〜あっという間に追い抜いたアプレンティスを眺めるサラ〜
〜ガーティ・ルー〜
リー「・・・・・・少尉を確認できたな。まだまだいけそうだな」
兵士A「艦長・・・こちらの準備整いました」
リー「そうか・・・あとは・・・・・・タイミングだけだな」
兵士A「!・・・もう一機近づいてきています!」
リー「照会はっ!?」
〜照会より先にモニターに姿が映るMS〜
レイ「メサイアに戻る時間は・・・なんとかなるか。そちらの状況は?」
〜レジェンドに近づく黒いミーティア〜
サラ「さっき灰色のアストレイがメサイアの方へ向かっていったわよ。・・・レイはどうするの?私はこのまま前線にいるけど・・・」
レイ「一度メサイアへ戻ります。・・・マユもじきに来るでしょう。ルナマリアは?」
サラ「ジャスティスと相打ちしたってところまではつかんでいるけれど・・・生死は不明よ」
レイ「・・・了解。すぐに戦線に復帰します」
〜略式の敬礼をし、メサイアへ向かうレジェンド〜
サラ「さぁて・・・・・・敵さんも全戦力を投入してくるわよねぇ・・・・・・」
〜移動する黒いミーティア〜
〜メサイアへ攻撃を仕掛けたデストロイ〜
スティング「くそ!・・・やっぱりはじかれたか!」
〜顔をゆがめるスティングに通信が入る〜
シン「スティング!待たせたな!」
スティング「シン!・・・待たせすぎだぜ。大佐はどうなった!」
シン「ああ、きっちり片をつけてきたぜ。ネオ・ロアノークはもうこの世にはいない!」
スティング「・・・・・・了解だ。・・・・・・合流してもらったばかりで悪いけどなデストロイのサポートを頼むぜ」
シン「了解。シュトゥルムファウストを返すぜ!」
スティング「ああ。・・・そうだ、シン!こっちのシステムとそっちのシステムと連動はできるか?」
シン「ん?・・・・・・できんことはないと思うけど・・・!・・・そういうことか。ちょっとまってろ・・・」
〜システムのカスタマイズを始めるシン〜
シン「ここを・・・優先順位は・・・よし。スティング、これでデストロイとアプレンティスのドラグーンが連動するぜ」
スティング「よし・・・さぁ・・・敵さんが大勢お出ましだぜ」
〜メサイアから無数のMSが出撃している〜
シン「これで・・・これで俺たちは終わるんだな・・・・・・」
続
長い休みも終わり、久々に軍服に袖を通したマユ。
そしてもう一つの我が家とも言うべきミネルバに彼女はいた。
今年初の任務は正式な和平をするために「メサイア」という要塞に議長とミーアを送り届けるのだ。
だがその前に、問題が一つ。
「・・・・・・どうしようか。」
「どうするもなにもなんでミネルバに持ってきたんだ。マユ。」
レイとマユは格納庫に積み上げられたものをみてうろたえる。
「俺たちだけじゃ捌けないもんなぁ・・・。」
「多すぎってレベルじゃねーぞ。」
「・・・・うぇーい。」
スティング、アウル、だけでなくステラまで渋い声を上げる。
『だって議長が悪いんだ!!』
「いいや、シンハロが年上である私に譲らないのが悪い。」
大人なはずの二人組みは責任の擦り付け合いをしている。
「俺たちも貰ったけどまだあったのか?」
「地球に下りれば親戚の子が何人か・・・・・。」
「俺の知り合いの医者に子供いる人何人いたかなぁ・・?」
「・・・弟達に配ったら受け取るかな?」
ジョーが思わず口から煙草を落とし、アキラとカルマ、それにゼロが積み上げられた物体を見て呟く。
「何でこんなに○S3とW○iが積んであるのよーーー!!」
タリア艦長の叫び声が艦内に響き渡った。
事の発端はクリスマスのプレゼントだ。
マユ達はどこでも品切れ最新ゲーム機の数々を欲しいと言ってきたのだ。
議長がプレゼントするといい、同じようにシンハロも言ってきた。
そこで二人が争い、どっちがたくさん買い占めるかで競争、権力VS財力の汚い争い。
その結果、デュランダルさんのおうちにはテンバイヤーもびっくりのゲーム機の数々が積まれたのだ。
大体それぞれザクくらいの高さまで積み上げられてる、全国のゲーム機欲しがってるちびっ子と大きいお友達にあやまれ。
マユ達も捌く為がんばった。
まずいつものメンバーと忘年会、かくし芸大会を開催したら約半分が○ルヒネタだったのはいい思い出である。
そこでメンバーに配る。ついでにピザの配達のあんちゃんにも配る。
まぁそんな感じでなんとか半分は消費した。半分は。
「うちの子にも届いたけどそう言うことだったのね。」
タリア艦長が頭を抱える。
「もうクルーには全員送っちゃったんですけど・・・とりあえず家においといてもどうにもならないんで・・。」
マユがしどろもどろに言い訳する。
「だからってここに置いてどうするの!!!」
「だってどうしようもないんです!!」
「だってじゃありません!!」
「ほら!!敵だってこんなに大量の貴重なゲームのせた船落とせませんよ!!」
「落とします!!ほらそんなんだったら世界の恵まれない子供達に配りなさい!!」
「艦長!!恵まれない子供達はゲーム機もらっても困りますよ!!」
へりくつを言う子供とおかんのやりとりが繰り広げられる。
そして二人が争いをしている間にメンバーがそそくさと横一列に並ぶ。
いつの間にか着替えたのか全員晴れ着である。
そしてそしてその中央にいるハイネとアスランがマイクを取り出す。
「えー、遅くなりましたが新年明けましておめでとうございます。」
「昨年は大変お世話になりました。」
隣のシンハロも音声をマイクモードもして話す。
『今年もほのぼのマユデスを・・・・・。』
全員が一斉に礼をする。
「「「「「「「「よろしくおねがいしまーす!!」」」」」」」」
挨拶を終え全員ぞろぞろと退場していく。
「さー、新年の挨拶も終わったし、新年会やるべー。」
「カラオケ大会しない?」
「えー?こないだミーア思いっきり歌ったじゃん。あしたのーそらはぶるーうー♪って。」
「機種サイバーDA○だったよな。思いっきり映像出てて受けたよな。やっぱり脱いでたし。」
「カラオケ!!ステラもいきたい!!」
「あ!メイリンのストラップ!!カピバ○さん?!いいなー。」
「あ!!スティングが取ってくれたの!スティングすっごい上手でね・・。」
「よくステラにせがまれてな・・・。おかげですっかり上達しちまった。」
楽しげに会話して出て行く。
「解った?!早めにどうにかするのよ!!」
そう言って艦長は去って言った。
取り残されたのはマユ一人、うなだれて震えている。
しばらくして、突然叫びだす。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!皆みーんな嫌いだーー!!・・・・・・・・ぶっ殺す。」
本気でキレた目をしながら高速でマユは全員の元に駆けて行った。
ほのぼのマユタン今年もカワユスw!
当たり前だ俺の嫁だぞ!!!!!!!!!
保守
ほす
「ねぇねぇ、そういえば皆はどんな子がタイプなの?」
突然メイリンは言った。非常に女の子らしい話題である。
とりあえず一通りの準備をし、無事出航した休憩時間のことである。
「はいはーい!!私から言ってもいい?」
ミーアがそう言って手をあげる。
「お、ミーアか。」
「ミーア理想高そうだよなぁ。」
スティングとシンがそう言うとミーアは少し怒ったように言った。
「失礼よ!!私はねぇ・・・・・。とりあえず一回死んでからまた生き返って強敵を倒しててハン○ーの視覚を持ってって
天下一○闘会で優勝してなおかつ第八感まで目覚めて・・・・・・・・・・・。」
「たけーよ、十分高いよ。むしろ何よりも高いよ。こんなの異世界にでも探しに行かないといないよ。」
「とりあえず中学生とかの書いた下手なクロスオーバーSSにならいるんじゃないか?」
カルマとアキラが突っ込みを入れる。
「アスランはどうなんだ?巷で噂の主人公!!」
ハイネがそう話をふる。
「主人公・・・?何で?」
「んー、女の子にナチュラルにそれっぽく接しちゃったりモンのすごい鈍感なところとか?」
アスランの言葉にハイネがんーといった感じで答える。
ハイネの返答に納得はしていない様子だが、アスランは話しはじめた。
「タイプか・・・・・・。あんまり考えたことなかったなぁ・・・・。」
ルナマリアとミーアがメモを用意し始める。
考えること数十秒。
「ないな!!好きになったらその時だ!!!いまいち良くわからん!!」
きっぱりとアスランは言い放った。ミーアとルナマリアはメモを投げ捨てる。
「マユは?結構気になるな・・。」
ジョーがそう言うとマユは言った。
「とりあえず金は腐るほどシンハロが持ってるから、私より強い人。イケメンならなおよし。」
「お前主人公だったらもっと萌えのあるセリフを言えよ。お前は。」
マユにアウルが突っ込む。
「ジョーとかはどうなんだよ?結構経験ありそうだけど・・・・。」
アウルが紙パックの抹茶ミルクを飲みながら聞く。
「え・・・・・・・?!」
ギクリッと反応を返すジョー。
するとキースとカルマがにんまりと笑いあう。
「じつはですねぇ、旦那。ジョーくんは本気の恋となると経験がこれっぽちもないわけでして・・・。」
「ゆえにただいま絶賛不器用な・・・・・・・・・・・・・。」
「あーあーあーあーあーあーあー!!!!!」
二人のセリフを止めようとジョーは大声で叫んで割り込んでくる。
その後、数秒沈黙・・・・・・・そして爆発。
「マジでか!!おいグレイシア!!赤飯だ!!」
「えぇ!!!ケーキも焼こうかしら?」
「ふーん、ジョーってそう言うタイプだったのか。」
「以外とスティング冷静だな。でさ、相手って誰よ?」
「アウル落ち着け。いやぁ、純情かぁ・・・青春だなぁおい。」
「ネオ・・・おじさんっぽい・・・・。」
「戦場での恋!!よし!!ジョーお兄ちゃんに死亡フラグがたった!!これで次回はその分の票が私の方に・・・・・・。」
『マユ、そういうこと言うんじゃありません。」
「あわわわわわわ・・・・・・・。」
大騒ぎに大慌てするジョー。
すると、レイがポンッと肩をたたく。
「頑張れ!!」
まれに見る爽やかな笑顔でレイは言った。そしてそのままスタスタと去る。
巻き込まれるのはご免だ、と言わんばかりに。
「よし!じゃあちょっくらジョーの恋を応援するぞー!!」
「「「「「おーーー!!」」」」」
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!俺こんなポジションじゃないのにぃぃぃぃぃぃ!!」
ジョーの叫びがむなしく虚空に消えていった。
乙です!純情ジョー君w
相手、気になるな……
ジョー君、出撃前のセリフには気を付けるのじゃぞ(・∀・)
>「戦場での恋!!よし!!ジョーお兄ちゃんに死亡フラグがたった!!これで次回はその分の票が私の方に・・・・・・。」
マユww
せめてもうちょい票のあるキャラを狙えよw
必死すぎるぞwwww
つーか死んだキャラって票が伸びることあるよな…
マユ様迂闊で残念?www
マユ=ディアッカ
単発設定小話 「灰色の戦い 零れ落ちる運命編@」最終章 43
〜ネオジェネシスにエネルギーチャージ中のメサイア〜
ザフト兵A「ネオジェネシス、60%チャージ。目標補足・・・」
デュランダル「ニュートロンスタンピーダ、配置準備」
ザフト兵B「了解。ネオジェネシス周囲に配置準備。照射線確認・・・」
〜淡々とネオジェネシスの発射準備が進められるメサイア司令部〜
デュランダル「1機はデストロイに向けておけ。うっと惜しくなる前につぶしておきたい」
ザフト兵B「了解しました」
デュランダル「・・・ザフト艦隊、デスティニー、レジェンド、デスティニーインパルスは?」
ザフト兵B「・・・ザフト艦隊、ネオジェネシス照射線上より退避中。デスティニーはこちらに向かっているようです」
デュランダル「デスティニーインパルスとレジェンドは?」
ザフト兵B「デスティニーインパルスはメサイア付近で待機中。レジェンドは・・・・・・」
〜司令部のドアが開きレイが入ってくる〜
レイ「レイ・ザ・バレル、やってまいりました」
〜敬礼をするレイ。椅子から立ち上がり迎えるデュランダル〜
デュランダル「やあ、レイ。わざわざ来てもらって悪いね」
レイ「いえ。命とあらばどこへでも駆けつけます」
デュランダル「はは・・・そう言ってもらえるとありがたい」
〜レイの答えに満足気に頷くデュランダル〜
デュランダル「さて本題だがね、レイ」
レイ「はっ」
デュランダル「君にこのメサイアを守って欲しいんだ」
レイ「・・・?当然・・・そのつもりでここに来たのです」
デュランダル「そうだろうね。でもね、マユ・アスカやサラ・ビギンズでは私の望むことまではできないし気づけないと思うんだ」
レイ「・・・!・・・・・・了・・・解しました。しかし」
デュランダル「無論そんなことは、オーブや連合ましてやブルーコスモスの連中なんかにさせやしない」
〜レイの両肩に手を置き、じっと見つめるデュランダル〜
レイ「・・・ギル・・・・・・」
デュランダル「君にも・・・まだまだ未来を見せてあげたいからね。頼むよ・・・レイ」
レイ「・・・はい」
〜敬礼し退出するレイ〜
〜メサイアへ一直線に向かうマユ〜
マユ「・・・っと・・・このまままっすぐだとジェネシスの照射線上にはいっちゃうわね」
〜デスティニーを旋回させルート修正を行うマユ〜
マユ「あっと・・・エモーショナルシステム解除して・・・・・・!?急速接近してくるMS?」
〜左モニターに映る「点」が急速に拡大していく〜
マユ「このままじゃ・・・衝突する?ええいっ!」
〜逆噴射でかろうじて避けるデスティニー〜
マユ「・・・!?あのMS・・・・・・お兄ちゃん!」
〜灰色のアストレイを確認するマユ〜
マユ「よかった・・・無事だったのね。私、まだあきらめてないんだから・・・それまで死んじゃやだよ」
〜瞳に涙を浮かべるマユ〜
続
「ほうほう、あれが・・・・・・。」
アウルが壁の横からひょいっと顔を出す。
見ると向こうでアーサーになにやら報告をしている少女が見える。
「うわっ!真面目そう・・・・ジョーとの相性悪そうねぇ・・。」
ルナマリアがその下から顔をだす。
「で、ただいまの状況はどんな感じなんだ?」
アスランがアウルの上から顔を出す。
「ステラも見たい!!」
「押さないで。人数か多いから。」
乗り出すステラをゼロが抑える。
何せ全員で来ているのだ、こんだけの人数が乗り出したら怪我をする。
「あの子?本当に真面目そう・・・委員長タイプだな。」
シンがひょいっとアウルと入れ替わって顔を出す。
『で、首尾はどうなんだ?フラグは立てたのか。』
シンハロが聞いてみる。
「カルマ達の証言を元に図式化してみた。」
アキラがそう言って一枚のボードを出す。
ttp://members.ld.infoseek.co.jp/rurukubo/cgi-bin/img-box/img20070115194906.jpg 全員沈黙。
その後いっせいに。
「「「「「「「「「(´・ω・`)にょろーん」」」」」」」」」」
哀れみを含めた目でジョーを見つめる。
「なんだその目は!!やめろぉ!!そんな目で俺をみるなぁぁぁぁ!!」
ジョーの慟哭が宇宙に響いた。
「で、何が問題なわけよ。とりあえずお前某新宿の煎餅屋くらい美形って
設定なんだからそれで落とせよ。」
ハイネが聞いてみる。
するとジョーは言いづらそうに言った。
「ネオ、スティング、それにハイネ。
ちょっと並んで歩いてから区画を一周してもどってきてくれ。
メイリン、お前の携帯、ビデオ機能がついてる奴だったよな?
それでアビーの様子を取ってくれ。」
ジョーの指示に従いメイリンは携帯を取り出し、スティング達は雑談しながら歩いていく。
「おい、スティング。彼女がいるからって調子に乗ってんじゃねーぞ。」
「パン買って来い。」
「どんな因果関係で俺はパシられなきゃならないんだよ!!」
雑談・・・・と言うより漫才を繰り広げながら三人はアビーの横を通り過ぎる。
「よし、じゃあ次はアキラ、シン、シンハロ、お前らが言ってくれ。」
なんで俺達?と思いながら三人も雑談しながら歩き出す。
「シンー、こないだ貸した塵外どうだった?」
「あぁ!!あれめぐみちゃんやばくね?!すっげぇかわいい!!でもマッキーもいいな・・・。」
『最近は実の妹でも大丈夫になったからリメイクされないかなー?でも風歩は俺の嫁。』
何か聞いてるほうがいたたまれなくなってくる会話をしながら進む三人。
そして通り過ぎる。
そして六人が戻ってきて、映像を見比べる。
するとアビーの様子が明らかに違う。
「・・・・・・スティング達には反応ないけど・・・。」
「シン達には思いっきりチラ見してるな・・・・・。」
メイリンとアスランが見た通りの感想を漏らす。
「そう・・・これがあらわすのは一つ・・・!!」
そう言ってジョーはバッと手を前に出す。
「つまり!!彼女はアジア系の顔が好きなんだよ!!」
「「「「「「「な、なんだってー!!」」」」」」」」
ちょw絶対違うだろww
アビーはオタクキャラになったのか。
なにげに似ているちゅるやさん風四コマ…まず図じゃねぇし!
てかいいかげん自重してくれないとついていけないですよ?(´・ω・`)にょろーん
新宿の煎餅屋って・・・大番ty(ry
>>157 いや、それにはさらに有名な元ネタがあるからw
このスレに来るようになって、もう二年くらいになるのか…
言っちゃいけないんだろうけど、もうファントムペインや隻腕の続きは読めないのかな…
俺も今は惰性でここにいる感じ
俺はまだ希望を捨ててない。
きっとファントムペインさんも隻腕さんも復活してくれると信じてる。
舞踏マユとIIIヴィアタンまだ−?
ほのぼのさえあればいい
単発も付き人も好きだぜ
宇宙に浮かぶ孤独な墓標…動かしたのは、失われたもの達の記憶か。それとも、失ったもの達の涙か。
奪われたもの達の嘆きの声に、マユ・アスカは何を思うのか…
次回、機動戦士ガンダムSEED DESTINY 「癒えぬ傷痕」
このスレ自体が好きな俺
「何かどうもいまいち確証がないな、マユ。ちょっくらインタビューしてこい。」
ハイネがマユに指示する。
「・・・・何で私?」
「新聞係だって言っておけ。カルマでもいいが本物のお子様の方がいいからな。」
「えーなんで新聞係?ていうか学級新聞ってくそつまんないよね。」
お子様、と言うセリフにマユはぶつぶつ言いながらもメモ用紙とシャーペンを持ってアビーの元へ向かう。
シャーペンには盗聴器が仕掛けてありシンハロにスピーカーを繋げば皆にも聞こえるようになる。
「すみまーせん、ちょっといいですかー?」
「はい?」
突然話しかけられアビーは振り向いた。
「あなたは・・・・?」
「こんにちは!私、マユ・アスカ・デュランダルって言います。」
マユが明るい笑顔で答える。
「あぁ、議長の娘さん・・・・・デスティニーのパイロットの。」
アビーが納得したように答える。
「・・・・・あいつ、猫かぶりまくりだな。」
アウルが呟く。
「まぁ人間なんてそんなもんさ、少年。」
カルマが軽く答える。
「はい!!ギルパパがせっかくだからクルーの皆の事を知りたいって話していたので
今ちょっとしたアンケートししているんです。
あ、個人情報が流れるような者のではないので
差し支えなかったら答えてください。」
マユはそう言ってメモにアビーの名前を書く。アビーには解らないように日本語でだ。
「えーっと・・・ちょっと何ですけど・・今恋人とかいらっしゃいます?」
「いえ、今はいないのよ。こないだ付き合ってた彼氏にふられちゃって。」
「おぉぉ!!ジョー!!既にイベントは起きていたぞ!!うまくフラグを立てろ!!」
アキラが興奮した口調で言う。
「じゃあ好みのタイプの人って?」
「そうね・・、誠実で真面目な人がいいわ。ついでに玉の輿にのれたらなー、なんてね。」
「・・・・・ここらへんはちょっと・・・だね。」
メイリンが気まずそうに言う。
「そうよねー、不真面目だし、BLゲーとかエロゲにしか出てこないような副業やってるし。」
ルナマリアはまるっきり他人事と言う口調で答える。
「ねぇ、そういえばあなたのお兄さんかっこいいわよね?
アジア系の顔立ち、私好きなのよ。日本のジャニー○とかも好きでね・・・。」
「え?!お兄ちゃんがですか?!」
マユの兄は二人、実の兄で顔も似ているシン、義理の兄だが妙に性格が似ているレイ。
「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」」」」」」」」
全員がシンを睨みつける。
「お・・・・・俺は別に何もフラグ立ててない・・・・・ってステラー!!」
ナイフを持ってアビーに突撃しようとるステラをシンは必死に止める。
「どいてゲン!!そいつ殺せない!!」
「やめてステラ!!俺が一番愛してるのはステラだから!!」
「嘘!!マユのほうが好きなんでしょ!」
「違う!ほぼ同列一位なんだ!!」
「『ほぼ』って何ー!!ゲンのバカー!!」
急に痴話ゲンカが繰り広げ始める二人。
「でもお兄ちゃん連合に入っちゃったし・・・・彼女もちだし・・・。」
「あ、御免ね。あなたお兄さん二人いたわよね。
私が言っているのは長い髪の背が高い方のお兄さんなんだけど・・・・彼女とかいるのかな?」
頬を朱に染めながらアビーはマユに聞いた。
その時、間違いなく世界の時間は止まった。
「シンハロォォォォォォ!!」
血気迫った顔でジョーはチェーンソーを持ち、明確な殺意を持ってシンハロを攻撃する。
『うわぁぁぁぁぁぁ!!!俺知らない!!やめてぇぇぇぇ!!』
バーサク状態のジョーの攻撃を避けるシンハロ。微妙になみだ目だ。
「あぁ・・・・・・、あっちの『お兄ちゃん』ですかー・・・。」
マユの気まずそうな声がスピーカーから響く。
『あぁぁ!!でもメモリー検索したら前あの人重そうな機材持ってたから代わりに持ってあげてたぁぁぁ!!
あれが死亡フラグだったなんてぇぇぇ!』
チェーンソーの攻撃を避けながらシンハロが叫ぶ。
「アタックしてみようかなー?ねぇ、趣味とか解る?」
「そ・・・・そうですねー・・・、ゲームとか好きっすねー・・・・。」
マユは向こうの騒動に気づいたのか、冷や汗を流しながら答える。
『ごばぁっ!!』
チェーンソーの刃からは逃れたが頭にジョーのハイキックが当たりシンハロに隙が出来る。
「シィィィネェェェェェェ!!」
もうシンハロをスクラップにすることしか頭の中にないジョーはシンハロを袈裟切りにしようとする。
が、突然飛んできた鎖に両手を拘束されチェーンソーを落とす。それはシンハロの足元ぎりぎりに落ちる。
そしてそのまま咄嗟にスティング、キースが飛び掛り、アスランがチェーンソーの電源を切る。
「グレイシア!グッジョブ!!」
「真っ先にびびって逃げたハイネに言われてもうれしくないわよ!!」
ハイネが親指を立てるが、グレイシアに突っ込まれる。
「落ち着け!!相手がシンハロなだけ良いと思え!!無機物相手に向きになるな!!」
微妙にシンハロに対してひどいようなことをいいながらアスランはジョーを落ち着かせそうとする。
「アスランさーん!!こっち来てシンハロ診てください!!何かやばいです!!」
シンハロの元に駆け寄ったルナマリアが叫ぶ。
『アキラ・・・もうだめだ・・・、世界が・・森が虚ろになって行く・・・・・。』
「らめんとぉぉぉ!!??シンハロしっかりしろ!!カルボナーラ発売まであとちょっとだぞ!!」
精密機器の多い部分を絶妙にやられたらしくなんかシンハロは危ないことになっている。
アキラは分けのわからない励まし方をしながらシンハロの頬を叩いている。
「あ、すいません!!艦長からの呼び出しメールがきちゃいました!!
私行きますね!!ご協力ありがとうございました!!」
そう言ってマユは逃げた。
マユのメモに書かれた結論はこうだった。
『正直、人気投票の差から言って勝ち目があるようには思えない。』
マユはメモを思いっきり破いてゴミ箱に捨てた。
ジョーそのチェンソーどっから出したんだww
嫉妬するステラカワイス
「何やってんのよシンハロ!!罰として一週間萌えキャラっぽいセリフ以外禁止!!」
『お・・お許しくださいご主人様ぁっ!!』
あほなやり取りをするシンハロとマユ。
「おい、二人とも。そんなアホなことやってないで会議始めるぞ。」
「つーか、シンハロ。お前声をあえて変えるんじゃない。なんだそのメイド喫茶のメイドさんみたいな声。」
アスランとネオ、そして突っ込みは入れてはいないがハイネがホワイトボードの前に立っている。
ミーア曰く『マユデス三巨頭』である。
ここはミネルバの会議室。そこでは『ジョー君応援会議』が開かれていた。
「まず女性陣に聞いてみよう。ぶっちゃけシンハロとジョー、付き合うならどっち?」
ハイネが聞いてみる。
「「「「「「シンハロ。」」」」」」
即行で答えが返ってきた。
「おいっ!!どう言う意味だよそれ!!」
ジョーの言葉に冷静に女性陣は返す。
ルナマリア嬢は語る。
「だって私コーディだからどうせ子供決まった人とじゃないと作れないでしょ?
だからジョーと付き合おうがシンハロと付き合おうが子供がどうの、って言う問題は無視できるのよ。
養子を取るとしてもだったら子供の扱いがうまいシンハロの方が将来安心だし。
お金はあるし、外観も十分。性格だってまぁロリ好きって事を含めても十分でしょ?頭もいいしね。
あとアンドロイド萌え。
それに比べてジョー、あんたは幼稚園にさえ通っていない、学歴がザフトの軍学校だけ。
そりゃああんたの生い立ちでBLノベル書けっつたら十冊くらい出せそうな人生送ってるけどさあ、それがネック。
あんた常識意外と無いもの。カルマとキースがカバーしてるって感じよね。
外観も年を取れば無くなるし、副業のせいで殺されそうよね、私怨で。
まぁ、ぶっちゃけ私だったら恋愛はともかく結婚は考えないわ。」
メイリン嬢は語る。
「だってジョーと付き合ったらなんかこっちまで悪い影響受けそうで・・・・。」
ステラ嬢は語る。
「ジョーみたいなやつにだけはひっかかるんじゃないぞっ!ってネオ言ってた!!」
ミーア嬢は語る。
「ほら、ジョーってなんかあんまり・・・熱血分が足りないと言うか・・・・ね?」
グレ・・・・・・・・・・ごほっげほぐほぐはっ!!
「ちょっと!!なんで私で咳き込むのよ!!」
まぁそんなこんなで女子郡は冷静な判断で男の心はすっぱり切る。
「・・・・・・つまりシンハロがどうのこうの以前にジョーをどうにかしないといけないってことだね。」
カルマがものすごい真剣な顔で言う。
「まぁそうだろうな、見かけからして多分アウトだろうし。」
スティングが横目でジョーを見ながら言う。
するとハイネが叫んだ。
「よし、服とか小道具なら衣装とかアキラ達のコスプレでいくらでもある。ジョー!!イメチェンだ!!」
オールバックにした髪、銀縁の眼鏡、そしてスーツに白衣。
「おい、ルナマリア。コンセプトは?」
「白衣の時は鬼畜攻め、スーツだったら真面目な新入社員かしら。」
「誰がBL風キャラと作れと言ったぁぁぁぁ!!もっと真面目に改造しろ!!」
ルナマリアに容赦ないハイネの突っ込みが入った。
「でもとりあえず眼鏡は地味なデザインだったら真面目に見えるよねぇ。あ、煙草はだめ。」
キースがうんざりして煙草を吸おうとしたジョーから煙草を取り上げる。
「オールバックだとブリー○のヨン様隊長みたいな効果があるから降ろした方がいいよな。」
アウルがワシワシッとオールバックを崩す。
「あれだ、真面目そうな中の人を探せばいい。アスラン、お前の声をあいつに貸してやってくれ。」
「いや、無理だから。」
ハイネとアスランがズレた会話を繰り広げる。
「じゃあアキラ、この書類を持って言ってそのついでに聞き込みを。性格は変えていった方がいい。」
「あぁ、じゃあ『かわいい後輩』とかそんな感じのキャラでいいか?それならあんまり警戒しないと思うし。」
「そうだね、あえてカタコトで喋ればさらにいいかも知れない。」
アキラとゼロは二人でいかに情報を手に入れるか画策している。
「うぇーい・・・・舞え!!はくちょーよ!!」
「こいステラ!!真の舞とはどういうものか教えてやろう!!」
向こうで既に飽き始めたステラはミーアと『クールな師弟』ごっこをして遊び始めた。
そして、こちらではマユとシンハロが話し合いをしていた。
「とりあえずシンハロの信頼度を落とさないと!!」
『え、とりあえずいつもどおりエロゲの話とかしてればよくね?』
マユはシンハロの頬を叩く。
「馬鹿!!恋する乙女にそんなの通じるかぁ!!もっと徹底しろぉ!!徹底!!」
そう言うとマユはバッっととあるものを取り出す。
それは、ピンク色の胸元の大きく開いたデザインのメイド服だった。
みみみらくるみくるんるん。そんなフレーズがよぎるような服。
『・・・・・シンハロびーむ?』
そうやってブイを作った手を横に翳すシンハロ。その顔は呆然としている。
「これを着ればどんなにフラグが立ったキャラでもドン引き!!」
『待って待って!!いくらSSでも皆想像しちゃうから!!読者もドン引きだよ!!唯でさえ過疎ってるのに!
あ!グレイシア!!お前人の髪ツインテールにするなよ!!やめてやめて!!
信頼度落とすなら萌えTシャツ着ればいいじゃん!!なんでこれなんだよ!!
あ、ジョー!!何?その顔!!いやぁぁぁぁぁぁぁ!!誰か憎しみの連鎖を止めてぇぇぇ!!』
アーッ!!
シンハロ…強く生きろよ…。
とりあえずアスランの中の人のイメージは
「こんばんは、サンタクロースだよ(裏声)」で崩壊した
キグ○スダンスかよw
単発設定小話 「灰色の戦い 零れ落ちる運命編A」最終章 44
〜メサイア〜
ザフト兵A「ネオジェネシス、チャージ完了しました!」
デュランダル「よし」
〜椅子から立ち上がるデュランダル〜
デュランダル「ネオジェネシス、照射!」
ザフト兵A「ネオジェネシス照射開始」
〜兵士の操作とともにメサイア外郭に備え付けられているネオジェネシスの中央が発光する〜
〜ガーティ・ルー〜
リー「しかし・・・ザフトも芸がないな。前の戦いの使いまわしかね?」
ブルコス兵「・・・軌道を補正します。ネオジェネシスのノイズ影響下に入ります」
リー「ああ・・・・・・」
〜接近するアークエンジェルとエターナル〜
マリュー「そちらの様子は?」
バルトフェルド「ああ・・・・・・良くはないさ」
ムウ「あの坊主・・・やられてんだってな?」
バルトフェルド「・・・・・・キラに伝えたいんだがな。いかんせんノイズがひどくて届かんみたいだ」
ムウ「まぁ・・・そうだろな。そっちに行ってもいいか?あんたのMSを貸してほしいんだが・・・・・・」
バルトフェルド「ああ・・・わかった。準備させておくよ」
〜両ブリッジに同時に警報が響く〜
マリュー「報告!」
チャンドラ「ザフト要塞から異常な熱源反応!・・・こ、こいつは?」
マリュー「なにっ!?」
バルトフェルド「ダコスター!」
ダコスタ「・・・これは・・・・・・ジェネシスです!」
〜あわただしくなる船内〜
ラクス「バルトフェルド隊長!オーブ艦隊及び連合艦隊へ緊急通達!斜線上からどくように!」
バルトフェルド「ラクス!・・・ちっ・・・ダコスタ!」
ダコスタ「はい!いまやってます!
〜アークエンジェル〜
マリュー「もうっ!回避行動!」
ノイマン「りょうっ・・・かいっ!」
〜さらにあわただしくなる船内〜
〜ラクスの突然の行動に戸惑うバルトフェルド〜
バルトフェルド「・・・・・・ラクス?」
ラクス「さぁ、参りましょう。これで・・・これが最後になるように」
バルトフェルド「ラクス、何を考えている?」
ラクス「・・・今のことと・・・次のことを考えてました。今、この現状を終わらせるのは・・・私たちではないかもしれません」
バルトフェルド「?」
ラクス「世界を元にもどすのか・・・先へ進ませるのかは・・・・・・その方たちにお任せしようと思います」
続
単発設定小話 「灰色の戦い 零れ落ちる運命編B」最終章 45
〜メサイアからネオジェネシスが照射され、逃げ遅れたオーブ艦隊、連合艦隊が犠牲となってゆく〜
マユ「これが・・・・・・ジェネシスの光。・・・あんまり、好きじゃないな・・・」
〜コックピットの中でモニターいっぱいに映る光をみてつぶやくマユ〜
マユ「・・・さっ気合いを入れなおして・・・いくわよ、マユ!」
〜自分の頬を手のひらで叩くマユ〜
〜ガタガタのオーブ・連合艦隊〜
マリュー「状況はっ!?」
ミリアリア「大破10、13・・・増える一方です!」
チャンドラ「オーブも連合も・・・ありゃ?」
マリュー「何?」
チャンドラ「・・・向こうは見境ありませんね。味方の船も打ち落としているようです」
〜嫌悪の顔をし、独り言のように言葉を絞りだすマリュー〜
マリュー「・・・っく、誰のための誰の戦いなんだか」
〜エターナルから通信が入る〜
ミリアリア「エターナルからです」
マリュー「そっちの状況は?」
〜モニターにバルトフェルドの顔を映し出される〜
バルトフェルド「ああ、無事だ。それよりも、さっき渡しそびれたガイアを渡したい。外に放り出しておくから回収してくれ」
マリュー「了解しました。すぐに回収に向かわせるわ。・・・直接乗り込むのね?」
バルトフェルド「遠巻きにみていても仕方ないからな。ここはそっちに任せたい」
マリュー「・・・お気をつけて」
〜敬礼をするマリュー〜
バルトフェルド「そっちもな。じゃ、よろしく」
〜返礼するバルトフェルド〜
〜メサイアから出撃するレジェンド〜
レイ「第一弾・・・つづけてニュートロンスタンピーダか・・・くっく」
マユ「レイ!?状況を教えて!」
レイ「!・・・マユか?・・・遅いぞ」
マユ「・・・・・・敵は?」
レイ「待て、データを送る・・・・・・よし。今のところこのデストロイがわかりやすく出張ってる。すぐにオーブや連合の主力もくると思うがな」
マユ「あと、灰色のアストレイね」
レイ「・・・そうか・・・あそこから脱出したとは」
マユ「公私混同はしたくないけど・・・やっぱりいいや。なんでもない・・・」
レイ「それでいい。そんなことをしてみろ。俺はお前も倒さねばならん」
マユ「うん・・・そうだよね」
レイ「あと、サラのミーティアとインパルスもすぐ近くにいるはずだ。あまり勝手をさせるなよ?」
マユ「・・・・・・わかった」
〜メサイア司令部〜
デュランダル「続けていくぞ。目標確定!ニュートロンスタンピーダ、発射!」
ザフト兵A「ニュートロンスタンピーダ発射
〜ネオジェネシスの周囲に配備されていた10機のニュートロンスタンピーダが起動する〜
続
俺、最近思うんだ…マユってどんなキャラだったかなぁ〜って
基本は妹キャラ……だったハズ…多分
単発のマユってものっそい殺伐としてんよなあ……そこがちっと苦手。
アニメ本編だけで・・・キャラってつかめるか?
マユのキャラ付けは職人それぞれでいいと思うんだがな
どのスレでも基本はシンにベタベタだよな。あとは職人さんの想像任せ
まぁほのぼのマユとかは例外だがw
まあ年の離れた妹だし、シンの溺愛ぶりや過去回想を見るに仲の良い兄妹だっただろうってのは間違いなさそうだな
マユ「お兄ちゃんは夢が無いね!」
スマソ‥。
それをジョルノに言ったら確かに怒られただろうな、とか思ってしまった俺
その後、服を脱がされかけたシンハロは半ば強制的にリミッターを強制開放。
本来の力でグレイシアを吹き飛ばしマユを押しのけデスティニーに篭ってしまった。
「シ・・シンハロ!!出てきなさい!!皆心配してるぞ!!」
『もうおとななんてしんじない。みんなしんじゃえ。』
アスランの説得にこの一言。製造年齢と精神年齢が完璧に一致してしまった。
【・・・・・・・・・・な・・・何か・・あったのか?シンハロ殿?】
デスティニーがそーっと聞くがうずくまった彼に反応はみられない。
【おい、こんなシンハロを見たことあるか?】
【あっしらは生まれた頃からの付き合いですがね、こんな旦那は見たことありませんぜ・・・。】
レジェンドがブラス・・・疾風に聞くが彼もこんなシンハロは見たことがないらしい。
他のインパルス二人の反応も同じだった。
『兄さん、僕はどうすればいいの・・・・?兄さん・・・にいさぁぁぁぁーーーん!!』
【兄さんってだれだよ!!・・ってあぁ、例のあいつらか。】
急に叫んだシンハロに突っ込むMkU。
それにカオスが反応する。
【シンハロがはネットに流出したって奴か?
でもあれってシンハロは結局一つのサーバーにじっとしてちょくちょくデータを入手してたって・・・・?】
カオスの言葉にMkUがんーっと少し困った顔をする。
【いやさぁ、俺姉貴・・あ、ルージュね。そこからちょーっと事情聞いてんだよ。
姉貴がその時のシンハロを保護してたのと知り合いでさぁ・・・・。】
複雑な事情があるのかしどろもどろにMkUは言う。
【いまいちよく事情わからないんですけど・・・・・あ!もしかして解らないの僕だけですか?!
ごめんなさいごめんなさい!!馬鹿でごめんなさい!!だからお願い自爆だけはやめてぇぇぇぇ!!!】
【セ・・・・セイバー!!ガイアもよくわかんないからおちついて!!】
自傷暴走を始めるセイバーをガイアが止める。
するとその叫びに反応したシンハロがまたぶつぶつと言い出す。
『逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ・・・・・・・・・・。』
【や・・やばい!!このままだと奴は日本刀一本でコロニー落としに立ち向かうぞ!!】
【誰か・・・誰か来てーーー!!このままだと妾が危ないー!!】
格納庫の平和はまたしても彼らの主によって妨げられるのであった。
ほしゅ
あれ、アドレス変わった?鯖移転したのかね。
保守
ほす
このスレって主人公変えただけで内容は負債より酷いのが多い
良作は止まったままだし
どんなに酷くても負債より酷い作品はこの世にありませんが何か。
>>189みたいなのが存在する限り、負債の野望が潰える事はないのだ……
単発設定小話 「灰色の戦い 堕ちる天使編@」最終章 46
〜起動するニュートロンスタンピーダ〜
デュランダル「ニュートロンスタンピーダ照射!」
ザフト兵「ニュートロンスタンピーダ、放射開始します」
〜ネオジェネシスの照射線に沿って、ニュートロンスタンピーダからの光が伸びていく〜
〜アークエンジェル〜
チャンドラ「!なっ・・・2発目が、来ます!」
マリュー「なんですってぇ!?」
ノイマン「くっ・・・間に合ってくれよ!」
〜必死で舵を取るノイマン〜
〜ミネルバ〜
タリア「オーブおよび連合艦隊の位置は!?」
アーサー「捕捉、モニターに出します」
タリア「ニュートロンスタンピーダのノイズ範囲と消失時間も出してちょうだい」
アビー「了解」
〜キーボードを操作しメインモニターにグラフをだすアビー〜
タリア「・・・・・・ぎりぎりいけるわね」
アーサー「は?」
タリア「アーサー、進路修正。ノイズにまぎれて近づくわよ!」
アーサー「え?いや・・・ミネルバだけでですか!?」
タリア「バカおっしゃい!周辺の艦隊にも連絡しなさい!」
アーサー「は、はいぃっ!」
〜敬礼しあわてて通信を行うアーサー〜
アビー「艦長、それでも危険だと思いますが・・・」
タリア「一気に駆け抜けて、敵の背後に回るのよ」
アビー「背後・・・にですか?」
タリア「あの子たちだけ危険な目に合わせているわけにはいかないでしょう」
アビー「了解しました・・・・・・」
〜顔をふせるアビー、モニターを睨むタリア〜
〜アプレンティスとデストロイ〜
シン「2段階目まであるとはね。用意周到なことだ」
スティング「ふん。まったくコーディネイターって奴は臆病者のあつまりだぜ」
シン「・・・臆病者で悪かったな」
〜すねるシン〜
スティング「あ・・・いやお前は別だぜ、シン?」
シン「まぁそれよりもだ。やっぱり近づかないとダメージは与えられそうにないな」
スティング「・・・・・・仕方ないだろ?・・・そのためのお前じゃないのか」
シン「ん・・・まぁそうなんだけど・・・・・・。リーがくれたAI・・・は使えそうなのか?」
スティング「・・・なんともいえないな。アウルとステラをもとにしたっていてもな・・・」
シン「とりあえず、敵はザフトの連中だけだ。オーブも連合も、結局目的は俺たちとおなじだからな」
スティング「お前はお前の仕事をしてくれ。俺は俺の仕事をまっとうする」
シン「ああ・・・・・」
続
保守
…種死放送終了直後からロムって、初カキコが保守か………
保守に勝るレスはない
もうPP戦記を読めることはないのかなぁ…
アゲ
保守
h
ちょっとだけ休憩。
少しだけ羽休め。
束の間の一休み。
あの乾燥した風が、懐かしく感じる。
〜I and I and I〜 第二十三(二.五)話「砂漠を泳ぐクジラ」
「はあ〜ぁ……」
「どうした?溜息なんかついて」
アークエンジェル、ブリッジ。
黒海での戦闘の後、再び潜伏し、待機状態を保っている。
「ヴィアのことですよ〜!やっと合流できたと思ったら、宇宙でしょう!?」
長い間寝食を共にしてきただけに、ミリアリアがマユを想う気持ちは人一倍である。
それに加え、久々の再会が駄目になったとくれば、落ち込むのも無理はない。
「ディオキアじゃあ、ちょっとしか話せなかったし……」
また一つ、溜息が落ちる。
「しかも地球に戻ったって……でもヴィア達、行方不明だっていうじゃないですか」
「まぁトノムラとパルもいるし」
「いや、あいつら二人で大丈夫かよ」
ミリアリアとチャンドラの会話に、ノイマンが入ってくる。
懐かしい、久々の面子だと、ミリアリアは感じた。
ただ、その席にはもう座れない者も、中には存在する。
「懐かしいですね。こうやって話をするの」
「そうだなぁ。バジルール中尉がいない時なんかはよく雑談したもんだ」
「アルスター二等兵が差し入れ持ってきたりしてな」
「そうそう。大尉もよくあたし達につきあってくれたし……」
もういない者達に、思い馳せる。
昔話をするのにはまだ時期は早いだろうか。
ただ、あの頃が懐かしいと思う気持ちは、消えることはない。
「懐かしいといえば、四人でいろんなところを巡ったっけ」
ぽつりと、ミリアリアが呟いた。
自分にとっては、戦争の傷跡をカメラに収めるための取材の旅。
サイやトールにとっては、戦争の被害を受けた各地の支援活動の旅。
マユにとっては、記憶を取り戻すための旅だった。
メールを打ち終えて携帯電話をしまうと、マユは思い切り腕を伸ばした。
「ん〜……熱ぅい」
風になびいて、片腕の裾がゆらゆらと動いている。
「お前、腕ないのか?」
「え?」
振り返ると、マユと同年ぐらいの少年がそこにいた。
サイーブの息子であるヤルーだ。
「うん。前の戦争でなくしたの。家族と記憶と一緒に」
「記憶?」
「そう。ワタシには記憶がないの。思い出も何も、どこかに忘れてきちゃった」
寂しそうに言うマユに、ヤルーは黙り込む。
ヤルーはしばらくマユを見回して、そしてマユの腕を掴んだ。
「いいとこ、連れてってやる」
「へっ?」
マユの腕を掴んだまま、ヤルーは走り出した。
「父ちゃん!バイク借りるぜ〜!」
「ヤルー!あんまりお客さんを困らせんなよ!」
「わかってるー!」
サイーブの目の前を通り過ぎ、二人はあるバイクの前に止まった。
「これで口塞いで、ゴーグルしろ。髪が砂まみれになりたくなきゃなんか被れよ」
「え……あ、うん」
ヤルーから汚れたタオルとゴーグルを受け取って、訳もわからずマユは呟いた。
まるでゲリラのような扮装になるヤルーに、マユは思わず吹き出した。
「変なの」
「な、なんだよ!父ちゃん達はこんな格好してザフトと戦ってたんだぞ!」
「だって……知らないもん」
知らない。確かにその通りだ。
だが、マユはその全ての記憶を失っている。
ただそこに戦争があったと、間接的に知っているだけ。
だからヤルーがこんな格好をしているのも、おかしな変装ぐらいにしか思えなかった。
「とにかく早く用意しろよ!」
「はいはい」
タオルで口元を覆い、ゴーグルをかける。
そして、バイクのエンジンをかけて乗り込んだヤルーの後ろに座る。
どこに向かうのか、バイクはタッシルを飛び出した。
しばらくして、バイクはとある場所に到着する。
ゴーグルを外して、マユは目の前に広がるその光景に、思わず声を上げた。
「わぁ……大きいクレーター」
まるでオアシスが涸れ、そこに窪みができたかのように。
「ジャンク屋の船が降ってきたんだ。これはその時にできたやつ」
「宇宙から?宇宙から降ってきたの?」
「そう。ろくに大気圏突入機能も持ってなかったって話だ。
船も盾代わりにしてたコロニーの外壁も、もう回収されちまってるけど」
クレーターは緩やかで、仮に下に降りても自力で戻れるような傾斜になっている。
マユはバイクから降りると、ゆっくりクレーターを下り始めた。
「お、おい!」
「君、ヤルーくんだっけ?ワタシに思い出作りさせようとしてくれたんでしょ?」
「うっ……」
図星だったのか、顔を赤くするヤルー。
「だったらつきあったよ。下まで行ってみたいの」
マユはそう言うと、クレーターの坂を更に下っていく。
マユは楽しそうに、一歩一歩を踏み締めていた。
「下まで行ってどうするんだよ!?」
「何かある気がするの」
「何かって、なんだよ!」
「わかんなーい」
からかうように笑って、後ろを気にしつつも、マユは足を進めた。
何かある気がする。
そんな漠然とした、けれど心の中では確信している。
歩き続けた先。
そこには。
「何かの骨かな……」
「え?」
立ち止まったマユが、弱く言葉を発する。
マユの視線の先に、ヤルーも目を向ける。
砂の中から見える、微かな白い肌。
巨大な何か。恐らく骨なのだろうが、全貌はわからない。
「これってもしかしたらアレじゃないか?」
「アレ?」
「羽根クジラだよ!エヴィデンスゼロワン!」
「クジラ?」
もしそうだとしたら大発見だと、驚喜してヤルーは駆け出した。
マユもゆっくりとそれに近付き、静かに身を屈める。
そして、マユはその表面に手を触れた。
「!!」
突然、思考の中に何が溢れだした。
膨大な情報。それこそ宇宙が創造されたその時からの情報が。
生命。魂。宇宙。そこに存在するべきもの全ての真理。
マユの中に入り、次の瞬間には出ていく。
「おい!どうした!?おい!!」
「へっ……?」
「急にぼーっとして、どうしたんだよ」
「わからない。なんだろ、世界の全てを見た感じ」
「はぁ?」
自分でも意味不明なことを言っていると思った。
だが、口では言い表せない。
「危ない!!」
「えっ?」
突然、足下が揺れた。
ヤルーに手を引かれ、そこから退避する。
地震ではないようだった。
気付くと、地表に出ていた骨らしきそれが、砂に埋まっていた。
「なんだったんだろ。でも地球にいたんだ、羽根クジラ!
俺達って凄いの見付けたんじゃないか!?」
「でも……これは、内緒にしよう」
「な、なんでだよ!?」
「わからない。でも、これは人には大きすぎる」
「なんだよそれ!お前さっきからわからないって言ってばっかじゃん!」
「うん。でも、これは駄目なの。ヤルーくん、お願い」
マユは真剣な瞳をして、そう言った。
言い返そうとしたが、そんなマユを見ると、ヤルーは何も言えなかった。
短く唸って、諦めたのだろう、ヤルーは頷く。
そこには、本当にいたのだ。
しかし、今はもういない。
存在を示したかったのか。それともまた何か別の目的があったのか。
その面だけしか見ない者にとっては、それはただの化石。
だが、ただの化石がマユに見せたビジョンの、その意味とは。
アフリカの砂漠から、遠く離れたプラント。
首都アプリリウス。
「ギル」
「来たかね、レイ」
エヴィデンスゼロワン展示場。
現在は閉鎖されている。
「君も予定が詰まっているというのに。時間を割かせて悪かったね」
「いえ、アーモリーに向かうにはまだ日がありますから」
巨大なその化石を目の前に、二人は淡々と会話を続ける。
「ジョージ・グレンが見付け、これはここにやってきた。
全てはそこから始まったのかもしれないね」
デュランダルはエヴィデンスゼロワンの化石の表面をなぞっていく。
「ザラとクラインもここでこうやって話をしたらしい。
その後は、これを求めてやってきたナチュラルが、凶弾に倒れた。
これは災いを呼ぶのだろうか?それとも、皮肉な運命を、かな?」
「俺にはわかりません」
「だが見たのだろう?真理を」
デュランダルは言う。
「私が触っても何も見えはしない。
ただ、これが単なる歴史的発見だけではないということはわかる」
「ギル……」
デュランダルは、ゆっくりとレイを抱き締めた。
レイは一瞬、驚いて硬直するが、すぐにそれを受け入れる。
「私は運命を変えたい。だから、力を貸してくれるね?」
「はい。あなたが死ねと言うのなら、俺はいつだって死ねます」
「ありがとう、レイ。ラウの無念も、一緒に晴らそう」
「はい……!」
時は戻り、連合艦ボナパルト。
「みてくれは旧式だが、中身はヴェルデ並か」
トノムラ達から接収したバスターを見ながら、ネオが呟く。
鉄の床を叩く音が聞こえて、ネオがそちらを向く。
そこには、ステラがいた。
「来たか」
「なに?」
「見せたい物がある」
ステラを連れ、ネオは歩き始めた。
搭載機がひしめく。
長くかからずして始まるのだろう、戦闘が。
「君の新しい機体だよ」
立ち止まり、ネオが言った。
そこには、巨大なモビルスーツの、顔があった。
「ステラの、新しい?」
「ああ、ステラもこれでまた戦わないとな。でないと怖いものが来て、私達を殺す」
「殺す……ステラも?ネオも?」
「……うん」
短い沈黙の後、ネオが頷く。
「いや!そんなのは、死ぬのは、嫌ッ!」
「なら、やらないとな。ステラならできるだろ?」
「怖いもの……なくす。うん、ステラできる」
安堵して、ステラはネオに抱きついた。
そっとステラの頭に手を乗せて、軽く撫でてやる。
そして、口を開いた。
「……そうさ。今は連合として、ファントムペインとして、俺達のやるべきことをしないとな」
続
来月の22日で、一周年を迎えてしまう……
それまでには完結させないと
I×3氏、GJ乙です!
羽クジラですか。本編でもなかったことにされた設定が、今後にどうか関わるのか?
wktkしながら、次回を待ってます♪
III様乙です!!
羽クジラはいかにも美味しそうな素材なのに、本編ではけっこうスルーされてましたよね。
羽クジラと触れ合ったマユが見たもの、そしてそこから彼女が何を思ったのかが気になります。
GJでした!次も楽しみにしています!!
ステラ、海が好き。
ステラ、ネオが好き。
ステラ、シンが好き。
ステラ、みんなみんな大好き。
だから、守る。
〜I and I and I〜 第二十四話「リメンバー」
先程までネオとステラがいた場所には、スティングが立っている。
デストロイ。その巨大なモビルスーツを睨む。
「乗りたかったですか?その機体に……」
スティングが振り向くと、暗い顔をしたマユがそこにいた。
「お前か」
「スティングさん……」
「出ていけ」
「え?」
「ここからいなくなれって言ってんだよ!」
スティングは声を荒げる。
その言葉に、マユはビクッと、体を震わせた。
しかし、怯えたわけではない。怖かったわけではない。
彼が自分のことを忘れているのだということ。それが悲しかっただけ。
「ワタシはどこにも行きません」
「あぁ?」
「逃げたりなんかしない。ワタシは非力だけど、あなたを側にいたいから」
真っ直ぐな瞳が、スティングを見つめる。
「だが、俺は……てめぇを知らない。知らない奴を……守れねぇ」
困ったように、スティングは言った。
だがマユは微笑んで、首を振る。
「守ってくれなくていいんです。ワタシがあなたを守るから」
笑って、優しく包み込むように、言葉を紡いでいく。
「戦いなんか忘れてください。ワタシと一緒にいる間は、
戦わなくていい。戦い以外を生きる目的にしてください」
そしてぎゅっと、スティングを抱き締める。
死んでほしくはないから。
死んでいって者達と出会ってわかったことがある。
それは皆が、生きたいと思っていたということだ。
「だから死なないで。ワタシのところに戻ってきて」
記憶などなくていい。
これから思い出を作ればいい。
「いつか戦わなくても済む。その日まで」
スティングの制服に顔をうずめて、祈るように、マユは呟いた。
そして、とうとう戦闘が開始される。
「君にも出てもらうぞ」
スティングを見送りに来ていたマユに対し、ネオが言う。
「ワ、ワタシ、モビルスーツなんて操縦できません」
「何も戦えなんて言ってない。抑止力だよ、ミネルバと大天使の」
そう言うと、ネオは半ば強引にマユの腕を引っ張った。
「ミネルバとの戦闘中、君の声を聞いたことがある。
いたんだろ、あの戦艦に。それで心が重圧に耐えきれなくなった」
「あなたも……同じ?」
「種類は違う。俺に幽霊は見えない。ただ人より感覚が鋭く、同じ力を持つ者を感じられる。
特殊空間認識能力。ただの空間認識能力と混同されがちだがね。
霊感、テレパシー、未来視、あるいはまた別の超能力……ま、いわゆるオカルトさ」
そう皮肉を込めて。
ネオの口元は笑っていた。
マユは何も言い返さず、ネオに従う。
自分には戦争も、ましてや目の前で起ころうとしている戦闘も、止められない。
しかし、逃げるわけにはいかなかった。
この戦いでも、多くの命が失われることになるだろう。
だが、見なくてはならない。
マユはもう、死んだ者達の魂に押し潰されそうになるほど、弱くはない。
デストロイが進撃する。
その圧倒的な大火力は、街を一瞬にして焼き払っていった。
「酷い……」
皆殺しにも勝るその惨状に、マユはその言葉しか出なかった。
傍らではネオが、静かにウィンダムを操縦している。
離れた位置にいるウィンダムからでも、デストロイの虐殺を図るその巨体は見て窺えた。
と、その時、デストロイに向かう一条の熱源を、ウィンダムが感知する。
ビームはデストロイの展開したリフレクターによって軽く防がれる。
が、雲を切り、一機のモビルスーツが舞い降りた。
「フリーダム……あいつら」
「フリーダム?キラさん?」
デストロイとフリーダムの小競り合いが続く。
「ステラ!気をつけろ、そいつはフリーダムだ!」
「ネオ!……フリー……ダム……?なんだとしても、落とす!!」
敵意に満ち満ちているステラにとっては、そんなことどうでもよかった。
叫び散らし、ありったけのビームを放つ。
その姿は正に暴君。
「あんな病み上がりにだけやらせるかっての!」
スティングも負けじと、フリーダムに攻撃を仕掛ける。
「くっ!」
フリーダムはそれを避け、迎撃する。
マユにとっては、目を伏せたくなる光景だった。
自分の知る者達が、殺しあう。
止めたい。止めなければならない。だがきっと止められない。
そんな板挟みの状況。
アークエンジェルから、ストライクルージュとムラサメ三機が発進し、
そして別の方角からは、インパルスとミネルバが迫る。
「カガリさん。それにミネルバ、インパルス……シンさん達まで……」
「負けるなよ、嬢ちゃん。君は見届けるんだ、この戦いを」
ネオはそう言うと、フリーダムに向けてビームライフルを撃つ。
当てることなど考えてはいない。ただの威嚇だ。
「あの動き……」
キラが呟く。
「なんだってんだよ!この化け物は!」
到着したインパルスが、ビームライフルを撃った。
しかし、ビームは軽く弾かれ、
「くうううう……!うわあああああああ!!」
ステラがインパルスを睨み、叫んだ。
そして、お返しとばかりにビームとミサイルを撒き散らす。
インパルスには一発も命中せず、ただ焼かれるだけの街。
「どうしてこんなこと……なんでそんなに殺したいんだ!!」
「くうう、ううううぅ……!!」
互いに睨みあう二機。
ビームサーベルを抜いて、インパルスがデストロイに迫った。
「はあああああああ!!」
「くああああああ!!」
シンとステラは叫びあう。
デストロイの放つビームの雨を掻い潜り、インパルスはそのままデストロイを斬り裂いた。
「ステラッ!」
ネオが声を上げる。
コックピット付近を損傷し、一瞬何も見えなくなるステラ。
インパルスは再度、とどめを刺すために攻撃を仕掛ける。
ウィンダムはインパルスに向かった。
そして、
「やめろボウズ!あれに乗ってるのは、ステラだぞ!!」
思いもかけないその言葉に、シンは驚愕した。
シンは、恐る恐るデストロイを見る。
カメラをズームにして、ゆっくりとデストロイに近付く。
「いやぁ……いやあああああああ……」
そこには、ステラがいた。
「ネオぉ……」
もう戦闘する気力さえ残されていないのか、小さく声を上げるステラ。
その時、フリーダムのレールガンがデストロイに撃ち込まれた。
「いやあああ!!」
「ステラ!」
「ネオさん、あれに!フリーダムに連絡を!止めなくちゃ、やっぱりこんな戦い止めなくちゃ!!」
マユが叫ぶ。
「なっ……マユ!?」
未だウィンダムと通信が通じていたインパルスに、聞き馴染んだ声が舞い込んだ。
だがそんなはずはない。
マユはとうの昔に安全なところに避難したはずだ。
「嬢ちゃん……わかった」
ネオはフリーダムに通信を送る。
回線を開いていれば、聞こえるはずだ。
「キラさん、聞こえますか!?ヴィアです!お願いです、あれを撃たないで!」
「ヴィアちゃん……?なんでその機体に!」
「話は後だ!もうあれに乗ってるパイロットの戦意は喪失している!だから撃つな!」
ネオも加わる。
キラは、ネオの声に聞き覚えがあった。
よく知っている人物のような気がした。
「くそっ、駄目だ!」
一方、三機のムラサメの連携に翻弄され、何も出来ずにいるカオス。
「離脱する!ガーティ……うわぁ!!」
一瞬の隙を作ったカオスに、ことごとく攻撃を浴びせる三機のムラサメ。
木の葉のように、カオスが舞う。
最後の一撃が、カオスを襲う。
「!? スティングかっ!」
「えっ!スティングさん!?」
爆散するカオス。
「うそ……スティングさん!!スティングさん!!」
「…………待て。大丈夫だ、生きてる」
ネオは言う。
「もう頃合いか。嬢ちゃんは降りて、スティングを回収しろ」
そう言って、ネオはウィンダムを地上に降ろした。
コックピットを開き、マユだけを降ろす。
「スティングを頼む」
そう言い残して、ウィンダムは飛び立った。
「アークエンジェル、聞こえるか!こちらは連合軍所属ファントムペイン。
こちらで接収した機体とそのオマケ、そちらに返還する。……俺も一緒にな」
短文だけの通信を寄越して、簡単に終わらせる。
最後の一言は付け足さずに。
「リー、この騒ぎに乗じて捕虜と機体をアークエンジェルに引き渡せ!
ステラ!今迎えに行く!そこで待ってろ!何もするなよ!!」
ガーティー・ルーに命令を下した後、デストロイに通信を送る。
「ネオ……?ネオ!ネオぉぉぉ!」
ステラはただ泣き喚くだけ。
そんなステラの側で、損傷した部分がショートを起こして爆発した。
「ヒッ!」
驚き叫ぶ。
両腕で顔を覆うが既にステラの全身には、インパルスやフリーダムの攻撃を受けた時の破片が突き刺さっている。
「いやぁ……死ぬのはいやぁ……」
「……なない……テラは……きみは……」
「だれ……?」
雑音混じりに、スピーカーから響く声。
「君は死なない。俺が守るから!」
「……ン……シン!!」
思い出したかのように、ステラはその名を呼んだ。
だが、またコックピット付近がショートし、爆発が起こる。
「ステラ!大丈夫か!」
「へ、いき……シン、ステラに会いに来た?」
「うん!そうだよステラ!!」
シンは必死に呼びかける。
またステラが我を忘れないように。
これ以上、何も起こさせないために。
だが……
ショートした部分の側で、今度は先程より威力の強い爆発が起こる。
「ステラ!?」
「……だめ」
「え?」
「来ちゃ駄目……シン……」
小さく、ステラが言う。
デストロイが、ゆっくりと動き始めた。
「シン、ステラを守ってくれた。だから今度は、ステラがシンを守る」
デストロイの各部で小爆発が起こり始める。
「ステラ、泳げない。だけど、海、好き。
シン、助けてくれた。泳げないステラ、助けてくれた」
デストロイはゆっくりと街から離れていく。
誰も手出しをしない。
わかっているのだ。
「アウル、母さん、大切。ステラ、シン、ネオ、大切……!」
「ステラ!!」
「来るなああああ!!」
シンに向かって、ステラは叫んだ。
我を忘れて恐怖に叫んでいるわけではない。
近付けないために。巻き込ませないために。
「ありがとう…………大好き、シン」
デストロイは巨大な爆発に包まれて、街から離れた森で姿を消した。
その場には、爆発で散ったデストロイの残骸が残っているだけだった。
「ステラ……ステラ……」
シンは青褪めて、視点さえ定まらない。
「すまん、ステラ。ガーティー、スティングと嬢ちゃんは収容したな。撤退しろ!」
ガーティー・ルーにそう告げると、ネオはアークエンジェルに通信をした。
「貴艦に投降する。着艦させてくれ」
「そんなこと、できるはず……」
通信に応じたマリューは怪訝そうな顔でそう返す。
「これでも、か?」
そう言って、ネオは仮面をゆっくりと外した。
「シンはどうだ?」
「ハイネ……まだ部屋で塞ぎ込んでいるよ」
「クレタ戦で俺かお前がやられなかったら、
こんなことにはならなかったかもしれねぇな」
「え……?」
ミネルバ、休憩室。
混乱も収まり、ベルリンでは救援に来たザフトが死傷者の対処に当たっている。
ミネルバも、一時この場で待機することになった。
「あれに乗っていたのは、あのエクステンデットの少女だった。
彼女は自分の身を呈し、シンを守ろうと街から離れていった」
「あぁ……そうだな」
「俺達が、いやシンがもう少し出来た奴なら、彼女を救えたかもしれない」
静かにハイネは言う。
「俺達は間違っちまったんだ。彼女がここに運ばれて、上の言われるがままにしといて。
俺達がもう少しシンやあの少女に目を向けてさえいれば、あの少女を死なせることも、
そして、この街と人々、ありとあらゆるものを焼き払わなくても、済んだかもしれない」
後悔をしているような口調ではなかった。
この失敗を教訓に、次は間違えないといった感じではあった。
「くそっ!!」
アスランは壁を殴る。
あそこにはフリーダムやストライクルージュが、キラ達がいたのだ。
なのに自分は、ただそれを眺めているだけだった。
不甲斐ない自分に怒り、アスランはまた、壁を殴った。
続
GJ
自分の大好きな人を巻き込まないように一人で散ったステラが切ない…
ステラの死に様が良かった…そりゃ死んじゃって悲しいけどさ・゚(ノД`)゚・
でも、少しだけ救いがあったような気がした。 シンがこの後憎悪に駆られるようになるのかどうかが気になる。
そして、自分の出来る事に気付いたヴィアのこれからに期待。 GJ!!
これから話すこと、これは全て事実なんだ。
単なるフィクションと笑ってくれていい。
だが俺達は、そんなフィクションにまみれた世界で生きている。
必死でもがきながら、生きてるんだ。
〜I and I and I〜 第二十五話「デュランダル、その真意」
アークエンジェル、艦長室。
キラ、マリュー、カガリ。
そして対峙するネオ。
「あなたは、ムウなの?」
マリューは訊いた。
仮面を外した彼の顔は、誰が見間違うだろう、ムウ・ラ・フラガである。
しかし、ネオの口から出た言葉は違っていた。
「俺はムウ・ラ・フラガじゃあない。奴は死んだ、この艦を庇ってな」
「じゃあやっぱり、クローン?」
マリューに代わってキラが訊く。
「そうだ。だがこの時代のクローン技術で作られたんじゃない。
だからテロメアは短くない。ムウよりは少し若いがね」
「何を言っているんだお前!話をはぐらかすな!」
おかしなことを言うネオに、カガリが声を荒げる。
「じゃあ君達は知ってるか?コズミック・イラの前の歴史を」
「コズミック・イラの前の歴史……?西暦、ではないの?」
顔をしかめて、マリューが聞き返した。
「なら、コズミック・イラの前の西暦時代のこと、何か言えるか」
「馬鹿にしているのか!そんな子供でもわかること……わかること、あれ……」
カガリが首を傾げる。
キラとマリューも互いの顔を見合わせた。
「そう。そういう時代があったということしか、俺達は知らない。
その西暦という時代はいったいいつ始まり、どういった歴史を辿ってきた?
巧妙な情報操作さ。人はそんなことを気にしない。そう考えさせない遺伝子になっている」
「遺伝子……?」
「そう。俺達はいわば、巨大な実験室の中のモルモットということさ」
「話が大きすぎで見えないわ。もう少しわかりやすく、説明してもらえない?」
できる限り理解しようとしているが、やはりそれも無理らしい。
「ロアノークのはムウの母方の姓だ。ロアノーク家は代々、裏の顔があった。
過去の、闇に葬られた文明の歴史を語り継ぐ役目だ。
ロアノークの一族は、ある特殊な力を持っていた。いわゆる特殊な空間認識能力だな。
その力を使い、悠久の歴史を語り継いできた。
オーストラリアにコロニーが落ちて、クレーターができたこともある。
あるいは別の時代、大量のコロニーが地球に降り注いだこともある。
また別の時代では、全人類を抹殺して地球環境を改善させようとした奴もいる」
壮大な、壮大すぎる話だ。
ネオを言っていることを要約すれば、コズミック・イラより前の時代に、既に人類は宇宙に達していたことになる。
「歴史が終わりを告げれば、また新たな歴史のために、地球は長い年月をかけて元に戻される」
「何故、そんなことを……?」
「言ったろ?ここは巨大な実験室なんだ。人類がどんな歴史を辿るかの実験の、な」
「誰がそんなことを?」
「それはわからん。ロアノークが知っていることは、
様々な歴史がどういった道を辿ってきたかということと、
そのために世界は何度も再構築されている。それだけさ」
一旦、ロアノークは話を区切る。
どうやら、昔話そのものの講義は、終わりのようである。
「だが、ロアノーク以外にも、そのことを知る一族がいる。
ヴェステンフルスという一族だ。ヴェステンフルスはロアノークとは違い、
過去より未来が見える。ある一定の間隔の未来だが、正確な未来だ。
ヴェステンフルスは元来、自分達の力については隠している。だが、ある一人は違った。
ハイネ・ヴェステンフルス。灰色の猫、ザフトでも有数のエースパイロット。
所属はFAITH。ギルバート・デュランダル現議長の近くにいる人間だ」
「ギルバート・デュランダル……」
キラがその名を呟く。
ネオの話が、自分の中の疑問と一本に繋がった気がした。
「ハイネはデュランダルに、未来の一部を教えている。
そしてデュランダルは、運命を自分の望む方向に変えようとしている」
キラ達は、ネオの話に引き込まれていた。
「話は変わるが、これもまた大事な話だ。
ジョージ・グレン。ファーストコーディネイター。
彼が木星から持ち帰ったエヴィデンスゼロワン。
これにもまた、重大な秘密が隠されている。
木星探査に向かったジョージは、木星宙域で驚くべき発見をした。
自分が乗った木星探査船そっくりな、自分達の母船よりも巨大な宇宙船。
名はジュピトリス。ジョージ達はその宇宙船を探りに探った。
だが、何も残されていなかった。エヴィデンスゼロワンを除いては。
ジョージはエヴィデンスゼロワンに触れた。
そして、ある光景が自分の中を駆け巡った。
それは真理。一であり無限。地球で生きてきた者達全ての運命。
ジョージは驚いた。そして狂喜乱舞しそうになった。だが、すぐに恐怖した。
この存在が、この時代に生きる者達に混乱を巻き起こさないかと。
ジョージはエヴィデンスゼロワンを、ただの地球外生物の痕跡として持ち帰った。
仲間達にも全て、他言するなとそう言い聞かせて。
地球に戻ったジョージ達だったが、相継いで仲間達が死んでいった。
ジョージは確信した。何者かが証拠隠滅を図ろうとしているのだと。
ジョージはある仮説を完成させようとしているところだったのだ。
エヴィデンスゼロワンの中のあの光景にアクセスできる者が、望む未来を手にできるということを。
因果律、即ち運命を変える力を持っているということを。
ジョージはエヴィデンスゼロワンをある場所に運んだ。
コロニー・メンデル、全てが繋がる場所だ。
メンデルを隠れ蓑とし、自身の仮説もメンデル内のデータに紛れ込ませた。
それが、自分を殺そうする者達への些細な抵抗だった。そして、ジョージは殺された。
だが、自身を支持する者達にエヴィデンスゼロワンをプラントに移し、
自分の脳を保管するようにと託していた。
エヴィデンスゼロワンはプラントに渡り観光名所となって簡単には手出しできなくなり、
秘密の詰まったジョージの脳も、今はどこにあるかさえもわかってはいない」
ジョージ・グレン。
彼もまた、マユやのような経験をしていたのだ。
「デュランダルは、過去に勤めていたメンデルであるものを見付ける。
『デスティニー・アーカイブ。エヴィデンスゼロワンがもたらす運命を変える力』
デュランダルは興味を持った。自身もまた、遺伝子によって運命が決まる。
そんな論文を作ろうとしていたからだ。
それにはこう記されていた。『特殊な空間認識能力を持ち、そしてコーディネイターである者が、
エヴィデンスゼロワンにアクセスし、デスティニー・アーカイブを開くことができる。
デスティニー・アーカイブを開けば、あらゆる物事を瞬時に理解でき、そして運命を変えることさえできるだろう』
神話や伝承のような記述だっだが、デュランダルには思う者がいた。
レイ・ザ・バレル。ラウ・ル・クルーゼとは違い、コーディネイターの因子を持った存在。
クローン、いや人工的に作られた人間は、特殊空間認識能力を発現しやすい傾向にある。
デュランダルは、レイにデスティニー・アーカイブを開くように命じた。
しかし、エヴィデンスゼロワンにアクセスは出来たが、
デスティニー・アーカイブを開くまでにはいかなかった。
レイのクローンとしての体には、デスティニー・アーカイブを開くだけの力はなかったからだ。
デュランダルはデスティニー・アーカイブを開こうと、今も画策している」
ネオの話は終わる。
長い長い話だった。
「自分でも言ってておかしくなりそうだがね。だがこれは真実だ」
「僕は信じます。ムウさん、いえ、あなたの言葉なら」
キラは冷や汗をかいていた。
カガリは情報を整理しようと、必死になっている。
マリューはただ暗い面持ちで、ネオを見ているだけだった。
「ねぇ、あなたはどうするつもりなの?」
「当然、それを止めるさ。過去の歴史を知るロアノークだからってわけじゃない。
この体の元になってムウの、遺言のような気がするのさ。止めてくれって」
「そう……」
ネオの言葉一つ一つを心の中で繰り返して、マリューはゆっくりと席を立つ。
「私も、あなたを信じます。止めなくては。
例え誰かに作られた世界でも、私達には生きる権利がある。
そして、その権利は、誰かが自由にできるものではないわ。
ギルバート・デュランダルにもね」
マリューは強くそう言った。
「だが、こんな話、到底信じてもらえるものではないぞ」
カガリが口を挟む。
「あぁ。だから、これを知ってるのは、この艦の人間に留めてくれ。
下手に話が広がれば、それこそ世界中がパニックになって、戦争どころの騒ぎじゃなくなる」
「わかったわ。これから、それの説明のために皆を集めます」
マリューがそう言い終えたと同時、ブリッジが連絡が入る。
「艦長!モニターをつけてください!大変です!」
慌てた様子でチャンドラが言った。
マリューがモニターをつける。
「皆さん、私はプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルです。
我等プラントと地球の方々との戦争状態が解決しておらぬ中、
突然このようなメッセージをお送りすることをお許しください。
ですがお願いです。どうか聞いて頂きたいのです」
キラ達は息を飲む。
デュランダルが表立ち、何かをしようとしている。
遂に始まるのだろうか。運命の、世界の改変が。
「こうして未だ戦火の収まらぬわけ。
そもそも、またもこのような戦争状態に陥ってしまった本当のわけを。
各国の政策に基づく情報の有無により、
未だご存知ない方も多くいらっしゃるでしょう」
映像が変わる。
それは、ベルリンでの戦闘の映像だった。
「これは過日、ユーラシア中央から西側地域の都市へ向け、
連合の新型巨大兵器が侵攻したときの様子です。
この巨大破壊兵器は何の勧告もなしに突如攻撃を始め、
逃げる間もない住民ごと都市を焼き払い、尚も侵攻しました。
我々はすぐさまこれの阻止と防衛戦を行いましたが、
残念ながら多くの犠牲を出す結果となりました。
侵攻したのは地球軍、されたのは地球の都市です。何故こんなことになったのか。
連合側の目的はザフトの支配からの地域の解放ということですが、
これが解放なのでしょうか?
確かに我々の軍は連合のやり方に異を唱え、
その同盟国であるユーラシアからの分離、
独立を果たそうとする人々を人道的な立場からも支援してきました。
こんな得るもののない、ただ戦うばかりの日々に終わりを告げ、
自分たちの平和な暮らしを取り戻したいと。
戦場になど行かず、ただ愛する者達とありたいと。
そう願う人々を我々は支援しました」
被災し、負傷した者達が映る。
遺体を収容するザフト兵達が映る。
「なのに和平を望む我々の手をはねのけ、我々と手を取り合い、
憎しみで討ち合う世界よりも対話による平和への道を選ぼうとしたユーラシア西側の人々を
連合は裏切りとして有無を言わさず焼き払ったのです!」
ボロボロの少年が、母親を求めて泣き叫んでいる。
デストロイの横行を、涙ながらに女性が語っている。
負傷した男性が、連合のやり方を激しく非難している。
「何故ですか?何故こんなことをするのです!
平和など許さぬと!戦わねばならないと!何故言うのです!
何故我々は手を取り合ってはいけないのですか!?」
デュランダルと代わるように、今度はラクスであるミーアが現れた。
「この度の戦争は、確かにわたくし達コーディネイターの
一部の者達が起こした、大きな惨劇から始まりました。
それを止められかったこと、それによって生まれてしまった
数多の悲劇を、わたくし達も忘れはしません。
被災された方々の悲しみ、苦しみは今も尚、深く果てないことでしょう。
それもまた新たなる戦いへの引き金を引いてしまったのなら、
仕方のないことだったのかもしれません。
ですが!このままではいけません!
こんな討ち合うばかりの世界に、安らぎはないのです!
果てしなく続く憎しみの連鎖も苦しさも、
わたくし達はもう十分に知ったはずではありませんか?
どうか目を覆う涙を拭ったら前を見てください!
その悲しみを叫んだら今度は相手の言葉を聞いてください!
そうしてわたくし達は優しさと光の溢れる世界へ帰ろうではありませんか!
それがわたくし達全ての人の、真の願いでもあるはずです!」
ミーアの肩に手を置いて、共にカメラを見つめるデュランダル。
「なのにどうあってもそれを邪魔しようとする者がいるのです。
自分たちの利益のために戦えと!戦わない者は臆病だ、従わない者は裏切りだ!
そう叫んで常に我等に武器を持たせ敵を作り上げて、討てと指し示してきた者達。
平和な世界にだけはさせまいとする者達。
このユーラシア西側の惨劇も彼等の仕業であることは明らかです!
間違った危険な存在とコーディネイター忌み嫌うあのブルーコスモスも、
彼等の作り上げたものに過ぎないことを皆さんは御存じでしょうか?
その背後にいる彼等、そうして常に敵を作り上げ、
常に世界に戦争をもたらそうとする軍需産業複合体。
死の商人、ロゴス!彼等こそが平和を望む私達全ての、真の敵です!
私が心から願うのはもう二度と戦争など起きない平和な世界です。
よってそれを阻害せんとする者、世界の真の敵、
ロゴスこそを滅ぼさんと戦うことを私はここに宣言します!」
モニターは、ロゴスの幹部達を映し出していった。
それが敵なのだと、討つべき者なのだと、言わんばかりに。
ネオは恐れていたことが起き、恐怖を感じた。
「こればヤバイぞ。邪魔な者を全て排除して、奴は世界を手に収めようとしている。
それこそこれに留まらない、全部だ。デスティニー・アーカイブスを開いて、
望むもの全てを奴は手に入れるつもりだ」
だがネオには疑問があった。
そのデスティニー・アーカイブスを開ける者。
適合者が側にいないはずだ。
ハイネだろうか。だが、なら何故すぐに事を起こさなかったのだろう。
まだデスティニー・アーカイブスを開くつもりはないということか。
開くとしても、ハイネでもなく、レイでもない。なら、誰が?
ガーティー・ルーの医務室。
ベルリン戦で負傷し、ベッドで眠るスティングの傍らで、
少女はモニターに映るデュランダルを見ていた。
続
霊感少女の世界ウルルン滞在記がこんな展開を見せるとは、書いてる側も思いもしませんでした。
種の黒歴史参入については別に肯定派というわけではないのですが、
マユの力や伏線にしてきたものを考え、こうなってしまいました。
でも大風呂敷広げて、ぐだぐだにならないといいのですが……。
でも、完結作品に名を連ねたい。
がんがろう。
ジュピトリスって……まさか、アレですか?w
気になる展開にもうwktkが止まらないよGJ!
明確なプロットがあったわけじゃなかったのか?ちょっと気になった。
しかしまぁよくもこんな馬鹿でかい風呂敷を・・・このレベルは今まで見た種死SSの中でも最大級だ
どう纏めるか楽しみ。
確かに壮大なスケールになったなw
でもこれはこれで面白いからwktkして続きを待ってるよ
完結できるように頑張ってください
昔一度考えた妄想が他人の手によって形になるとはw
結末をどうもって行くかにwktk
プラントの誇る義勇軍集団、ザフトには階級が存在しない。あるのは『緑』、『赤』、『黒』、
『白』という個人の能力を表す服色だけだ。だがそれは、決して組織として集団戦を想定
していないというわけではない。それどころかこの軍隊はあえて階級を置かないことで他
のどの国よりも柔軟な部隊編成を可能としているのである。
ザフトにおける最小の戦闘単位は、『隊』である。トップに立つものの名称を冠されたこの
集団のもとで、ザフト構成員は平時から訓練、その他通常業務を行っている。構成員数は
十名から二百名、担当任務によって属するものの数が大きく異なるのも、ザフトの特徴だ。
(階級の存在する我が軍の場合、同じ少尉階級のものの中に分隊指揮官であるものから強
中隊規模を指揮下に置くものが存在するという状態は、特に平時では不公平感から来る士
気崩壊の危険が多すぎてとても実現できるものではない)
平時においては、『隊』以上の集団はザフトには存在しない。それ以上の戦闘単位は、戦時
にのみ必要に応じ必要な規模で用意される。この臨機応変な部隊編成を可能としているの
もまた、階級の不存在である。
『隊』の次に大きな規模は、『戦隊』。複数の隊で構成されるこれは、複数の兵科と兵站を
内に持つ、独力での作戦継続能力を持つ最小単位の部隊である(我が軍のこれに相当する
のが旅団、師団だが、それと比した場合ザフトの『戦隊』の規模が小さいのは、ナチュラ
ルとコーディネーターの能力差、人間一人がこなせる仕事量の大小によるものであろう)。
2〜5個『戦隊』(場合によってはそれ以上)をあわせて形成されるのが、次に大きな規模
である『大戦隊』。これは宇宙や海では一つの艦隊となる、戦略規模の部隊である。実際一
個大戦隊の動向が、一つの戦争の行く末に甚大な影響を与えることも多い。
この『戦隊』、『大戦隊』には、『隊』と同様指揮官名が冠せられる。この指揮官とは、通常
その部隊の中核となる『隊』の指揮官でもある。たとえば世界樹戦役で名をはせたラウ・
ル・クルーゼの場合、当時の彼は『クルーゼ大戦隊』の大戦隊長であると同時に大戦隊の
中核をになう『クルーゼ戦隊』の戦隊長であり、さらに戦隊の中核をになう『クルーゼ隊』
の隊長でもあったわけだ。
これに対し、複数の『大戦隊』からなる『方面軍』の場合は少々趣が異なる。この戦闘単
位のみが部隊名に個人の名ではなく場所の名を当てていることからも分かるように、これ
は固定の戦域を担当する部隊集団なのである。そのため指揮官も大戦隊指揮官は兼任せず、
独立した方面軍本隊を設置しそこから指揮を取る。この本隊は大戦隊や戦隊のそれとは異
なり、前線での戦闘はほとんど想定していない。
以上が、ザフト軍の編成である(特務隊などの特殊な例もあるが)。この編成は、始めにも
書いたとおり必要に応じて部隊や指揮官を自由に入れ替えることで非常に柔軟に運用され
る。それまで隊長でしかなかったものでも必要となれば大戦隊司令に任命するし、大戦隊
司令であったものでもすぐに隊長へと戻る。そのために、昇進や左遷といった面倒な手続
きは必要ない――何せ、階級自体が存在していないのであるから。(事実、世界樹戦役当時
大戦隊司令であったクルーゼは、戦功を上げたのにもかかわらずその後はただの隊長へと
戻っている――もちろん降格などではなく単なる人事手続きによって)。
最もこのザフトの制度は始めから完全に意図されたものだとは言い切れない。プラントの
歴史を見ても分かるとおり、このザフトもなし崩し的にできたという面もかなり大きい。
その全身である政治結社、黄色同盟からの政治的な圧力はいまだ強く、軍の人事に政治が
影響することもかなり多い。たとえば…………
243 :
憑いてる人:2007/02/10(土) 22:53:40 ID:???
いきなり妄想文書き込んですまない。ちょっと艦隊戦やりたくなったんで、ザフトの軍制について捏造してみた。
いや、滅茶苦茶だとは分かってるが『隊』って単位だけだとどうしてもまともな戦争は出来ないと思うんだ
(というか、俺の想像力では出来なかった)。
厨なオリ設定だと思って寛大に受け入れてもらえると助かる。
本編のほうはただいま分割作業中、もう少ししてから投下します。
『ただいま本船はL4宙域コロニー、〈ヒュールランド〉に入港いたしました。
航路上の安全確保困難につき、現在プラント方面の船は全便が運行中止となっております。
まことに申し訳ありませんが本船も〈ヒュールランド〉に停泊の後は予定を変更し、
地球方面への折り返し運転を行います。プラント方面へ向うお客様は〈ヒュールランド〉にて下船し、
運行再開をお待ちください。なお、料金の払い戻しは……』
コロニーに到着した船の中に、アナウンスが流れている。
『航路上の安全確保困難』とは、地球連合軍の軍事行動のことだろう。
祖国の無事を祈願しつつ、客席に腰掛けていたアスランは色つきのサングラスをそっと外した。
世界は、今再び加速的に動き出した。
大西洋連邦の最後通牒からすでに30時間が経過しているが、プラントは通牒受け入れを表明していない。
慣例により、六時間前からプラントと大西洋連邦等地球連合は戦争状態に突入している。
月のダイダロス基地からは連合の艦隊が出撃したとの情報もある。
カガリは、ユウナとともにオーストラリアとの問題について奔走していることだろう。
地球連合との緒戦でプラントが大敗でもしない限り、プラントを背後に持ったオーストラリアはオーブに宣戦を布告する。
再び戦争に巻き込まれる国を、彼女たちはうまく導いていかねばならない――再び国を焼かないために。
だがそれに比べ、自分はなんだ?
自分は何をやるべきなのか、何をやらねばならないのか……何ができるのか。
アスランにはそれが分からなかった。
それを見つけるため、初めから考え直すために、一度プラントに戻ることに決めた。
――パトリック・ザラの教えこそが唯一正しきもの。
落ちていくユニウスの中で聞いたテロリストたちの叫びは、父の息子であるという立場を彼に否応にも突きつけていた。
また、オーブの片隅でただ孤児院に篭っているだけの親友とかつての婚約者へも彼は強い反発を感じていた。
――分かった、行ってこい。オーブは任せろ。
彼の決心を間違いなく負担とするだろう恋人は、二つ返事で彼を送り出した。
そのことがアスランには嬉しく、そして少し羨ましかった。
戦争は、始まった。戦闘も、もう始まる。その中を民間機が運行する予定は限りなく低い。なら……
「デブリ屋、か」
危険をいとわず戦場を第二の故郷とする無国籍のごみ拾い人――彼等の船に便乗すべく、
ヒュールランドに降り立ったアスランは宙港の片隅にある薄寂れた建物に足を向けた。
歌姫の付き人
第十話 第二次ボアズ宙域攻防戦
「私を、ザフトに入れてください」
そう言ったマユのまっすぐな瞳に、タリアはほんの少しだけ目を見開いた。
「ザフトにって……えぇー!?」
「アーサー!」
後ろに控えていた副艦長を黙らせ、改めて前を向いてきく。
「マユさん、それはどういう意味かしら」
「私は、インパルスを動かせます。あの機体なら、この艦の戦力になるはずです」
「コンサート用の民間機が、戦場で通用すると思って?」
「インパルスはPS装甲を装備しています。
それにプラントでは軍用化計画が進められていて、私はそのテストパイロットに選ばれています」
「あなたが、テストパイロット……」
「嘘だと思うのなら、議長さんに確認してみてください」
マユは、目を逸らさない。タリアの右手が、コツコツと規則正しく机を叩く。アーサーの喉が、ゴクリとつばを飲み込んだ
「分かったわ、信じましょう」
「え! 艦長、しかし」
「アーサー、黙ってなさい」
副艦長を、再び黙らせる。不満を押し殺した彼の顔は容易に想像できたが無視する。
「でもマユさん、何故いま志願を? あなたはザフトに志願するという意味を本当に分かっているの?」
「分かっていないかもしれません、でも、分かろうとはしているつもりです」
「だったらどうして」
「なにも出来ないのは、もう嫌なんです。だからもし出来ることがあるのなら、私はそれをやりたい。駄目でしょうか」
「……志願者を退ける権限は、私にはないわ」
マユから机に目を逸らし、タリアは諦めたように言った。マユは顔をほころばし、しかしすぐに引き締める。
「ありがとうございます!」
「ただし! 能力の無いものをMSで出させるつもりも無いの。
二時間後、シュミレーションルームへ。そこで受けてもらうテストの結果次第で、あなたの志願を受けるかどうか判断します」
「はい!」
元気よく、マユが言う。タリアが頷いて促すと、彼女はもう一度頭を下げてから艦長室を後にする。
「艦長、私は反対です」
マユが退室したのを確認し、アーサーがタリアに言った。
「彼女に、MSでの戦闘など無茶です」
「あの機体は既に、三回戦場へ出て無事に帰還しているわ」
「偶然巻き込んでしまったのと巻き込まれると分かっておきながら送り出すのとでは、意味合いが全く違います。
それに彼女はまだ十三歳です。子供なんですよ」
事実である、が、甘い意見でもある。
その甘さは、タリアにとってこの上なく甘美な誘惑に思えた。
「ええ、確かに彼女は子供よ。でも今は、そんな余裕は無いわ。
先ほどカーペンタリアから通信が届いた。大西洋連邦の第五洋上艦隊が動いたそうよ」
意図的に問題をずらしたタリアは、机の機材を操作した。
机上に、オセアニア地域を模したホログラムが表示された。
第五洋上艦隊とは、ユニウス条約による停戦以降『地球圏の警察』を自任している大西洋連邦が、オセアニア地域に
展開している艦艇群の部隊名だ。四隻の正規空母を基幹兵力とし、多数の軽空母と護衛艦艇、および上陸作戦に使用できる
強襲揚陸艦と海兵隊勢力を備えている。ただし常に一つの艦隊として動いているわけではなく、
平時にはオセアニアの国々から租借した港に分散して停泊している。
ホログラムは、その分散していた艦艇群が歪な弧を描くように集結していることを示している。
弧の中心にあるのは、オーストラリア,ザフトカーペンタリア基地だ。
「大西洋連邦は短期決戦をお望みのようね。
宇宙でプラント本国を叩くと同時に、ザフト軍の対地球最大橋頭堡を落とすつもりだわ」
「カーペンタリアからの、本艦への行動指示は?」
「今のところ現状待機。私たちが期待されている役割は基地が包囲された後での敵後方の攪乱よ……危険な任務だわ」
「ならなおさら、マユ君はここで降ろすべきです。
今はまだプラントとオーブは交戦状態にはなっていない。戦争になっても非戦闘員なら保護してもらえる」
他の国ならばまだしも、ナチュラルとコーディネーターの融和を掲げるここオーブにおいては彼の意見は正しい。
「彼女はそれを望んでいないわ」
それが詭弁に過ぎないことは、誰よりもタリア自身が一番よく分かっていた。
「敵勢力圏下での単艦行動、戦力はいくら在っても足りない。使用できるMSの数が二と三とでは大きな差になる」
「それが、彼女を戦場へと送り出す理由ですか?」
「勘違いしないで、私ではなく彼女自身がそれを望んでいるの。
それに、私は艦長なの。彼女だけではなく艦にいる全員の生命と安全に責任を持っている」
「だからといって、その引き換えに一般人を犠牲に!?」
アーサーがタリアに詰め寄る。
「志願したなら、もうその時点でザフト軍人よ!」
タリアが、押し殺した声で言う。その声は、半分以上自分自身に向けられている。
「あなたは……」
「ええ、そうよ!!」
激昂しかけたアーサーを、タリアは右手を机に叩きつけることで黙らせる。
「自分でも思うわ、私は最低よ」
――どうか、あの子のことをよろしくお願いいたします
タリアの脳裏に、数日前この艦の艦橋で聞いたプラントの歌姫の声が甦った。
アルザッヘル、ダイタロス両月面基地から出撃した地球連合軍艦隊は、主力だけで大西洋二、ユーラシア,
東アジア各一の計四個艦隊に上った。さらに後ろには、ユーラシアとその他中小国軍の艦に守られた輸送船団が続く。
前大戦のエルビス作戦(C.E.71.9におこなわれた、プラント本国攻撃を最終目的においた作戦)
に優るとも劣らない規模の戦力である。
最も遅い輸送船の巡航速度に合わせた艦群は、長蛇を成してプラントを目指す。開戦二日目の十月十八日、
その列はかつてボアズが置かれていたL5宙域に差し掛かる。核で砕かれたボアズからなるデブリ群が見えてきた頃、
先頭を進む大西洋第一艦隊所属ドレイク級宇宙護衛艦ホロのレーダーに異常が発生した。
「レーダーに反応! 数一。大きさから見てMSです」
「ここに陣をはるか……まあ、そうだろうな」
「MS、反転! こちらを発見した模様です。NJ、展開いたしますか?」
「その前に各艦に敵機発見を通達! MS隊の発進も急がせろ!」
ホロ艦長、ロレンス中佐の命令によりMSが射出される、それを持って『第二次ボアズ宙域攻防戦』は開始された。
「ガラント隊の偵察型ジンより通信。『我敵艦隊ヲハッケ……』以降はNJによる妨害で読み取れませんでした」
「――よし。レーザー通信でアルムブレスト大戦隊に今の報告を通達しろ」
「は! ですが、攻撃命令は?」
「言われなくてもやつなら勝手にする」
デブリ群にまぎれているプラント本国方面軍総旗艦ゴンドワナの艦橋で、
司令官席に収まっていたルイーズ・ライトナーはそう言うと前歯を少し見せて笑った。
ザフト・プラント本国方面軍は、地球連合の行動に対し急遽編成された部隊である。
総兵力は、本国防衛部隊を中心とした約50個隊。
指揮官の名を冠せられたアルムブレスト,アジャカティ,ジャシュガンの三個大戦隊を中核としている。
総司令官は、国防委員長のルイーズ・ライトナー。
やや左寄りのクライン派という立場にしてはめずらしく、軍事にも造詣の深い人物であった。
ライトナーが防衛線として選択したのが、ここ、L5宙域。
月基地からプラントを目指す場合、まず避けては通れない場所である(航路を大きくずらすことで避けることも
できないではないが、艦隊規模、およびそれに付随する輸送船隻数から今回はその可能性も否定できる)。
浮かんでいる多くのデブリは、少数精鋭のザフト軍に優位に作用するため、迎撃作戦にはうってつけ。
ルイーズはアルムブレストとアジャカティの二個大戦隊をデブリ群内に、ジャシュガン大戦隊をデブリ群外に配置していた。
「直掩など要らんと言ってるだろうが!! 出せる機体は全て攻撃に回せ!」
ライトナーの予想通り、通達を受けたアルムブレストはすぐにMSアタックの敢行を決定した。
彼の指揮下にある二十にものぼるナスカ級から、次々と発進するMS。
その数、実に百以上。艦隊の防御をほぼ度外視した、全力出撃である。
「いいな貴様ら、遠慮はするなよ。相手はプラントに仇なす糞ナチュラルどもだ! 殺して殺して殺し尽くしてこい!」
アルムブレストが、大戦隊旗艦カリギュラの艦橋で威勢よく叫ぶ。
副官であるザフェルでさえ顔を歪めるほどの口汚さだが、彼はザラ派というわけではない。
そもそも彼は、政治的関心自体ほとんど持っていない。
ナチュラルを罵るのは、今彼等が敵だから。潰し壊し殺すことが、組織的に許可されている相手だから。
絶えることの無い敵意と憎悪を溢れさせ、常にそのぶつけ場所を探している。怯え竦み恐怖するものを見るのが、何よりも好き……
アルムブレストはそんな歪んだ人間性を持つ、軍人になるか犯罪者になるか以外では自分を社会に適合させ得ない類の男だった。
「ヴィッカーズ隊、チャクラム隊のゲイツR発艦完了!」
「マドセン隊のザク、ヴィザード装備全機完了!」
「ペシュカブズMS総隊長のジグー、出ます」
MSの発艦は順調に続く。攻撃部隊の指揮を取るのは、アルムブレストの右腕であるペシュカブズだ。
彼のジグーが発艦したのをきっかけに、艦隊の周りで周回運動を続けていた機体も一斉にバーナーを噴かす。
「MSを出し終わり次第、艦隊を動かすぞ!
帰還ポイントはβ、ただし帰ってくる資格があるのは戦果を上げたやつだけだ!
このアルムブレスト大戦隊に無様なものは必要ない!」
大戦隊司令アルムブレストたちに見送られ、編隊を組んだMS隊は宇宙の闇へと消えていく。
一小隊、三機ずつの光点が漆黒の画布に線を描き、やがて消える。
光点が完全に消え去るより前に、母艦であるナスカ級群もまたデブリ群の中を縫うようにして前進を開始した。
同時刻、地球連合艦隊は敵に発見されたことを受けて陣形を戦闘隊形に移行していた。
輸送船団は後方に下がり、戦闘艦艇が前に。特に戦艦主体の大西洋連邦第一艦隊とユーラシア連邦第二宇宙艦隊が突出し、
空母主体の大西洋連邦第三艦隊と東アジア連合外宙艦隊がそれに続く。空母は直掩のMSを吐き出して、
さらにカタパルトには攻撃部隊用の機体がいつでも射出できるよう備え付けられる。
陣形変更完了とほぼ同時に、偵察に出していたロングタガー隊から敵艦隊発見の報告が届いた。
「艦隊を発見したのはここか……」
「デブリ群に近いな、おとりかもしれん。うかつに近づくのは危険だ」
「数ならこちらのほうが上だ、多少の奇策など大軍の前では通じん!」
艦隊旗艦間での会議の結果、連合軍はユーラシア将官の積極攻勢案を採用、ただし大西洋連邦の慎重論にも考慮して、
ザフトに分があるMS戦ではなく艦隊戦に持ち込むために陣形を維持したまま艦隊全体を推し進める。
増速した主力隊に対し輸送船団と護衛隊は、反転して敵から距離をとる。
やがて見えてくるザフトの艦群。
数は5対1で連合側が圧倒、だが個艦で比較した場合での戦闘力はザフトが連合を大きく引き離しているし、
ザフトには伏兵の可能性が残されている。
「敵艦補足。艦種は改ローラシア級が中心です。本艦の最大射程まで、3、2、1、今!」
「最外周を警戒中の第109タガーL小隊、反応ロスト! 敵MS襲来、数は三十、四十、いえ、五十以上!」
「馬鹿な、多すぎるぞ!!」
同時にもたらされた情報に、ユーラシアの艦隊司令、サルベーン少将が思わず叫んだ。
前方に見える改ローラシア級は、火力と防御力を強化した高速戦艦だ。
その反面、艦載機数は半減しており、実際彼等が目にしているジャシュガン大戦隊全体でも
保有MS数は四十を大きく下回っている。
『落ち着け、サルベーン。別働隊がいただけだろう』
そう言って治めたのは大西洋第一艦隊司令のエディアルド中将。通信モニターからの声だ。
『驚くことではない――が、艦とMSを同時に相手取るのは面倒だな。MSのほうは任せる』
「任せるといったって、数が多すぎる!」
『タダでとは言わん、直掩と第三艦隊の機体を全て回させる。ただし東アジアは無理だ。
連中、独断で前のザフト艦隊に向けて攻撃隊を発艦させたとイレシオン(大西洋第三艦隊司令)から連絡があった』
「直掩と第三艦隊の機体だと、約八十か……それだけあれば何とかなる。
だがそれだと貴様の艦隊は自前の機体以外丸裸になるぞ」
『ユーラシアの田舎者は、余計な心配はしなくていい』
「はっ! これだから大西洋のならず者は!!」
通信を切ったサルベーンは艦隊を襲撃してきたMSのほうに向ける。
大西洋第一艦隊はザフト戦艦部隊(ジャシュガン大戦隊)のほうに向けて増速し、
さらにそれを東アジアのMS部隊が追い越した。
東アジア共和国が発進させたMSは、総勢四十八機。
機種は全てがタガーL、十六機がランチャー、残りがエールのストライカーパックを装備している。
二つの役割は、完全に分離されていた。
東アジアは、宇宙におけるMSを第二次大戦期の艦上軍用機同様にとらえていた。
すなわち、対艦と対MSの明確な役割分担である。
エール装備機が敵護衛MSを拘束し、その隙に突入したランチャー機が艦を沈める。
目新しいところはないが堅実で、ゆえに確実な方法。
二対一でエール装備機の割合が多いのは、戦訓からザフトのMS戦力を高く評価したためだ。
ドクトリン通り、大西洋第一艦隊を追い越したところでエール機の半分、十六機が加速を開始。
彼等の役割は航宙優勢の獲得、対する残りの十六機はランチャー機に寄り添うように近づき護衛。
何十回と訓練を繰り返し、身にしみこませた機動。だが、訓練と同じように進んだのはそこまでだった。
先行していたエール機が、ザフト艦隊の防宙圏ぎりぎりで上下左右に分かれる。
この時点での損害はゼロ、そもそもの相手とすべき敵機が発見できないためだ。
当然彼等に気付いているはずのザフト艦隊は、対MS陣形はとっているものの何故かMSを発進させない。
感じる違和感、熟練兵であるほどそれは大きい。が、いまさら退くことはできない。
ランチャー機はバーナーを吹かしつつ、防宙圏内へと突入する。
艦艇から、放たれる対MS射撃。
その序曲である主砲とミサイルを、避けるため機体を横滑り――させたランチャー機が、立て続けに二機爆発した。
「馬鹿な!」
エール機、制宙隊指揮官が挙げた驚愕の声。この距離での対MS射撃など、滅多に当たるものではないからだ。
事実、ランチャー機を墜としたのは、主砲でもミサイルでもない。
撃墜マークを稼いだのは、艦隊横のデブリ群に潜んでいたゲイツR。
あらかじめ展開されていた機体により、ザフトは完璧な十字砲火を作り出していた。
「糞が!」
「第一小隊、左から。第二小隊は右から回りこめ」
エール機がデブリ宙域に踊りこむ一方で、ランチャー機の判断は二つに分かれた。
残存十四機のうちの六機は突撃を継続し、残り八機はエール機による敵機拘束を待つべく一時艦隊防空圏内から退避する。
いかなる時代、どの国においても愚策として戒められている、力の分散、逐次投入であった。
東アジアのMS攻撃に対し、優位に防宙戦を進めるザフト・ジャシュガン大戦隊。
だが彼等との砲戦距離に、大西洋の第一艦隊がなだれ込もうとしていた。
一方アルムブレスト大戦隊が放ったMS隊は、未だ標的と定めたユーラシア連邦第二宇宙艦隊に取り付けずにいた。
第二宇宙艦隊司令サルベーンが、直掩に大西洋第三艦隊の機体を加えた八十機をベシュカブズの指揮する六十機に
真正面からぶつけたためだ。
最もこの結果は、数だけでなく錬度の差によるところが大きい。
連合パイロットは全員が艦隊勤務のベテランであるのに対し、ザフトのそれは本国防衛部隊を中心とした寄せ集めだ。
本来二対五でザフトに有利なキルレシオは、この時五対六にまで縮まっていた。
「ギギッ、ひるむな、行けッ!!」
ベシュカブズが部下を叱咤しつつ、自らもカスタムジグーの対艦刀をタガーLに突き立てる。
パイロットを失ったタガーは爆発せずにそのまま沈黙、コクピットに刺さった対艦刀を引き抜こうとしたジグーの腕は、
連合の新型が放ったビームライフルで破壊された。
「グギギッ、やッ、ヤバい」
慌てて重突撃機銃で弾幕を形成、機体の損傷を確認しつつ距離をとる。
対艦刀は、突き刺さったタガーもろとも漂流、だが小回りのきかないあんな武装では、
このウィンダムとかいう新型相手には使えない。対艦、対MS、どちらもそれなりにはこなせるが、
どちらかへの特化が出来ていないのがザフトMSの欠点だ。
『もらったッ!』
敵パイロットの声が、無線から入ってくる。
高加速で接近するウィンダム。
重く小回りの効かない重突撃銃は、ある程度まで近づかれると役に立たない。
「カカカ、甘い甘い!」
『貴様、味方を盾に!?』
ビームサーベルを振りかざすウィンダムに、重突撃機銃を放棄したべシュカブズはちょうど浮遊していたゲイツの残骸を投げ付ける。
状態から見てパイロットが生存しているとは思えなかったものの、敵はその感覚を理解できなかったようだ。
「三十六計逃げるにしかず、ギギッ!」
敵の僅かな戸惑いの間に、べシュカブズは戦域を離脱。どんなに楽しい戦闘も、生きていなくてはつまらない。
それに今回のような二重の意味でのおとりの任務で、命を賭けるなど馬鹿のすることだ。
「敵MS、十機撃墜。我が方の損害は十三……撃墜率は五対六から七で安定」
「MSによる防衛網を突破した機体は?」
「現在までで三、いずれも主力艦へ取り付かれる前に撃ち落しています。被害は、護衛艦一隻が小破のみ」
「よし。量子コンピューターによる情報統合、リンク状態を絶やすなよ」
「はッ!」
艦隊の状態を確認したサルベーンは、指揮官席に座りなおす。
防宙戦における八十機のMSの集中投入は一種の賭けだったが、かなりの成果を挙げている。
このまま行けば何とかなりそう……その一瞬の安心感を、通信員は霧散させる。
「方位1867、デブリ群の中から敵別働隊!」
「0345からも来ます、数はともに二十以上」
「なにー!!」
時間差をつけて送り込まれたザフトMS隊の戦場加入により、戦況は瞬く間に反転した。
艦隊正面におけるMS戦はいまだ継続しているが、
その意味合いは『連合がザフトMSの侵入を阻止』から『ザフトが連合MSを拘束』に変わっている。
二個小隊のウィンダムが新たなMS群に向うが、焼け石に水。
ベシュカブズの用意していた真の攻撃隊は、全機がザク。三機ずつの編隊を組んで、艦隊に向かう。
「阻止しろ、なんとしても阻止しろ!!」
「情報リンク絶やすなよ。敵機位置データ受信よし」
「おーい、全火器使用許可はまだかー?」
「この馬鹿船長、それじゃ無駄弾を出すだけだ!
少なくとも情報統合が出来ている間は、防宙ネットワークに基づく統制射撃をやるって言ってんだろうが!」
蜂の巣を叩いたようになる艦橋。だがそこは、二年前とは違う。
戦間期にユーラシアが構築した防宙ネットワークシステムなら、
MSに取り付かれる、イコール撃沈という今までの常識を覆すことが出来る。
「敵機データ入力、火器統制完了。システム、オールグリーン!」
「よし! 対MS射撃開始!!」
サルベーンの号令で、宇宙に無数の白い華が咲いた。
『防宙ネットワークシステム』
ユーラシアが作り出した、宇宙戦闘における艦隊単位での対MS火器統制システムである。
その役割はいたって単純、それぞれの艦載砲に、今自分が撃つべきMSがどれなのかを指示してやることだ。
単純なのは当たり前、実はこれ、実用化されたのは昔も昔、旧世紀。五年前までは、どんな最貧国の軍隊でも
当たり前のようにやっていたことである。だがその常識を覆したのが、プラントが開発したNJ。
これによる強力な通信妨害は同じ艦隊に所属する艦同士であっても情報の迅速なやり取りを不可能にし、
統制射撃の出来ない艦艇群(もはやそれは、艦隊とは呼べない代物だ)に対するMSの優位を確立させた。
だがMS戦におけるコーディネーターの優位は簡単には覆せない。そこでユーラシアが考えたのが戦艦の再戦力化、
そこから導き出した解答が、NJに妨害されない量子通信システムによる個艦間のデータリンクであった。
ネットワークシステムによる、統制射撃の効果は絶大なものであった。
艦隊防宙圏に入ってまもなく、二機のザクが爆散する。
特別な砲弾を使ったわけでも、砲門数を増やしたわけでもない。
ただ必要な場所に必要なものを投入可能にしただけで、艦艇群は再び艦隊としての機能を取り戻す。
また一機、ミサイルで脚部を奪われたザクウォーリヤーが、ネルソン級戦艦の高角砲で吹き飛ばされる。
しかしザフトもひるまない。
六十機の味方をおとりにして、自らは無傷で艦隊に取り付いたのだ。
大戦隊長アルムブレストの名に賭けても、ここで退くわけにはいかない。
ここで勝敗を分けたのは、ウィザードシステムの選択だった。
個人の権限が強いザフトでは、搭載ウィザードは各人の判断(つまりは好み)で決められる。
この時ザフト攻撃隊四十八機のうち、射程が長く、艦から距離を置いて攻撃できるガナー選択者は僅か十二。
しかもそのうちの二が、早々に撃墜されている。
火を噴いたオルトロスは、僅か十。内三は艦を掠めたものの、致命傷には及ばない。
逆に二機のガナーザクが、射撃体勢を取った隙に戦艦のビームに貫かれる。
残り八のガナー、八射線のオルトロス。内三発は外れたものの、二はそれぞれ護衛艦艇を貫き爆沈、
残りも大型戦艦の艦橋と主砲をそれぞれ破損させる。
そして最後の一発、ルベーンの乗る旗艦リスカナをかすめ、艦を僅かに傾けた射撃が戦況を再び変えた。
「艦姿勢制御に異常発生、情報リンク切断!」
いまだ不完全な量子通信システムは、実のところ戦闘に利用するにはあまりにも脆弱な存在でもあった。
旗艦の傾きが原因となり、艦隊全体のリンクが唐突に切断される。こうなると、戦闘中の再構築はもう不可能だ。
たちまち防御射撃の効率は低下して、勢いを取り戻したMS部隊が艦に取り付く。
射程の短いブレイズ、スラッシュも脅威となることで、拡大する艦隊の被害……最もこの時点で攻撃隊のザクの数は、
既に二十を割っていた。
「統制射撃取りやめ、全火器使用自由命令発令! 回避運動を許可する、各艦、死力を尽くして生き延びよ!」
「ゼカロ、アルゼウス被弾、カデーレ……爆沈です!」
「後方よりさらにMS――」
「――ここまでか?」
「違います! 新たなMSの機種はウィンダム、味方機です」
「馬鹿な、防宙圏内だぞ!!」
六十の敵機を振り切って艦隊まで戻ったウィンダムは、対MS射撃の飛び交う艦隊の懐に、ためらう素振りも見せず躍りかかる。
艦に取り付いていたブレイズザクファントムが慌てて反転、抜き放ったトマホークでウィンダムの左腕を切り払う。
そのまま組み合い動きを止めた両機を、戦艦から放たれたミサイルが撃ち砕いた。
「反転する?」
宇宙護衛艦ホロの艦橋で、ロレンスは訝しんだ。
ホロの所属する大西洋連邦第一艦隊の射程圏内に収められたザフト・ジャシュガン大戦隊艦隊が、
全艦一斉回頭を行ったためであった。
敵を目の前にしての艦隊機動には、高い錬度が必要とされる。それが一斉回頭ともなればなおさらだ。
その点ジャシュガン大戦隊の反転は見事なものだったが、敵に尻をむけるという行為は戦術的に見て愚策でしかなかった
(大抵の艦の場合、火力は前方に集中している)。
反転を終えたジャシュガン大戦隊艦隊は、一斉に加速する。
正直なところ、臆病風に吹かれて尻に帆をかけて逃げ出し始めたようにしか見えない。
だがそれにしては、進路が妙だ。
大西洋連邦第一艦隊は、当然のように加速して追撃する。
「そうか!」
眉間にしわを寄せていたロレンスが言う。
「副長、機関部に減速用意。手漉き総員を見張りに回せ。チキンゲームが始まるぞ」
彼の命令に副長は首を傾げたが、すぐに意味を理解し顔をこわばらせた。
ジャシュガン大戦隊の艦隊が向ったのはデブリ帯。追う大西洋第一艦隊も、隊形を維持したままそこに突入。
暗礁との衝突を避けるため、両艦隊の速度はガクンと低下した。
「ついてくるか、それでこそエディアルド!!」
大戦隊旗艦、シュミラの艦橋に仁王立ちで言うジャシュガン。
彼の両腕は白服の袖の下から、鍛え上げられた筋肉の存在を主張している。
頑強そうなのは、もちろん両腕のみに留まらない。足、腹、胸……全身を筋肉で包んだ彼の様相はまさしく王者。
敵艦隊が付いてくることを知った彼は、どこか嬉しそうに笑う。
「だがその軽率さは己と部下の死に繋がると知れィ!」
彼の命令で艦隊は増速、敵との距離が一時的に開くが相手も増速したことによりその差はすぐまた固定される。
百メートル級の暗礁がシュミラのすぐ脇を通過、もしぶつかれば戦艦といえどタダではすまない大きさだ。
ジャシュガンがさらに増速指示、敵もそれについてくる。
満足げに笑うジャシュガンの瞳には、己の死すら弄んでいるような光があった。
「上げ舵七度を三秒間維持。三秒後直ちに取り舵十度、機関2速に上げろ!」
「三、二、一、今!!」
デブリ帯突入から二十分後、ホロ艦橋ではロレンス艦長による緊張した操艦が続いていた。
「続いて面舵三十、機関三分の一」
「面舵三十、機関三分の一!」
「艦正面より中型デブリ! 相対速度、五十!」
「機関三速へ、三十秒後一速に落とすぞ!」
艦の左右を、デブリが抜ける。相対速度が高いため、一発でももらえば致命傷だ。
それでも、前方のザフト艦隊は僅かずつではあるが増速を続けている。
冷や汗をかきつつそれに続くロレンスだが、彼の艦はまだましなほうだった。
「前方三十、戦隊旗艦アレント。相対速度、二」
「!!……追い越す!」
デブリ回避のため大きく減速した味方の艦を、ホロが追い抜く。これで、三隻目だ。
その数は、もう増えようが無い。いつの間にかホロは、艦隊先頭についている。
改装を重ねたホロとその性能を熟知したロレンスのコンビは運動性能で大西洋連邦のほかの艦を頭一つ分上回っていたわけだが、
それを喜ぶ気にはなれない。
操艦技術の差の結果、艦隊は塵々。序列は無視され縦に長い列を形成している。
「!! 前方のザフト艦隊、さらに増速!」
「まだいけるのか! こちらも一分後、第三戦速に」
一歩も退かない、度胸試しともいえるような、デブリの海の中での艦隊同士の奔りあい。
だが当然といえば当然ながら、先に痺れを切らしたのは能力的に劣るナチュラルのほう。
「護衛艦リーベルトに、デブリ衝突!」
「後続艦に至急通達!!」
「駄目です! 減速したリーベルト、後続のレメリオ、ラペトアロンと衝突……三隻とも爆沈です」
あたかもケスラー・シンドロームのごとく、一回のデブリ衝突で三隻が失われる。
さらに爆発した艦の破片が後続艦の脅威となり、もう一隻が大破。
衝突の事実とあいまって、広がった動揺は慎重な操艦、更なる艦隊陣形の乱れとして現れる。
すでにホロと艦隊最後尾の間は、ホロとザフト艦隊の差以上に開いている。
「駄目だ、これじゃあ。艦隊旗艦マルカーノスUに意思具申、艦隊の再編成を……」
「ぬしよ、少々遅かったようじゃの」
脇から上がった飄々とした声に、ロレンスは今度こそ目を見張る。
縦に伸びた艦隊の、上下、左右、前後。全周を囲むデブリから、ガナーザクが姿を現す。
いや、ザクだけではない。ジン、ジグー、ゲイツ……どころかナスカ級や改ローレシア級の姿まで。
完全に、囲まれている。デブリ帯内で展開していたアジャカティ大戦隊の位置にまで、大西洋第一艦隊は誘導されていたのだ。
「急速回頭、あのナスカ級に艦首を向けろ!!」
悲鳴にも似たロレンスの声が、艦内に木霊した。
戦艦の主砲ビーム砲、計42門。ガナーザクのオルトロス16射。
その他副砲、ビームライフル、ミサイル多数。
アジャカティ大戦隊の考えられうる全ての火力が、大西洋第一艦隊に集中する。
その爆発は、デブリ帯外にいた第三艦隊からも確認できた。
「第五戦隊は前に出てください。空母は、至急後方に」
最も第三艦隊司令イレシオンには、その爆発を気にかけるなどという贅沢は許されなかった。
「空母群は東アジア艦隊と共同で、至急MS発進準備を」
爆発を無視し、部下に指示を下すイレシオン。
その原因は、今にも有効射程圏内に入ろうとしている約20隻の敵ナスカ級であった。
本来盾となるべきユーラシア艦隊は、今ここには存在しない。ザフトMS隊の攻撃を切り抜けた後、第一艦隊を追って
デブリ帯へ突入したためだ。イレシオンが使える兵力は、戦艦三に護衛艦八。艦隊の中核である空母を守るために、
技量では優れるはずのザフト軍に少数艦で立ち向かわねばならない。
「三十秒後にミサイルを発射、敵の陣形を崩します。
現在後方の空母ではMSの発射準備が進められています、彼等が来るまで持たせましょう」
にこりと微笑み、陣形を指示。艦と艦の幅を広く取らせ、近づいてくる敵の鼻先に最大射程で火力を叩きつける。
目的は、少しでも敵の足を遅らせること。打てる手の中では最善の手のはずだが、同時にそれは各個撃破されることを
半ば容認した策でもある。さらに最悪なのは、そうしたところで空母を守れる保障はどこにも無いということだ。
浴びせる砲火にかまわず進む敵艦隊に、イレシオンは掻いた右手の汗を兵に気取られないように拭った。
イレシオンの配下にある大西洋第三、および東アジア外宙艦隊に襲い掛かったのは、
MS発進直後から前進を続けていたアルムブレスト大戦隊だった。
「ハァハァハッハッ、捕らえた獲物を逃がすなよ! 艦隊分離、各自突撃ィー」
五、六隻ずつ、四つに分かれた艦隊がそれぞれ一本の線となって進む。
集中されていた敵の砲火が分散し、
「おおら、たちまち包囲殲滅ゥー!!」
振るわれる数の暴力。
先頭に立っていたネルソン級の宇宙戦艦が速度を落として戦隊から脱落し、次の艦は砲塔に被弾し誘爆。
隊列を組まず分散している敵艦は、アルブブレストたちにとってはいい的でしかない。
だが彼等の標的は、戦艦ではなくあくまで空母だ。
「ん――エド、ウンバ隊のみ反転、残り全艦は突撃続行!」
なおも立ちふさがろうとする彼等を反航でやり過ごしたアルムブレストは、残存艦の足止めのために十隻ほどを残して
自らはメインディッシュたる空母部隊に喰らい付く。
「カァ、ハッハッハハハハー、弱者を踏みにじり! 蹴散らし! 殺し尽くす!
それこそが、今この場こそが俺様の戦場よ!」
副砲で、護衛艦を牽制。その隙に、敵艦隊中央に突撃。主砲弾が、ミサイルが、敵の空母に吸い込まれる。
一拍の間をおいて上がる閃光、それが収まったときには敵空母は艦体を真ん中からきれいに折っていた。
割れ目から零れ落ちるMSは、まるでゴミのよう。再度起こる爆発を尻目に、ザフト軍は走り去る。
持ちうる火力全てを振るったアルムブレストの艦隊は、一航過すると再びデブリ帯へと戻った。
上げた戦果は、撃沈だけでも空母三を含む七隻。
遅ればせながら発艦した東アジアと大西洋のMSには、もはや反撃の気力はない。
艦隊を整えなおしつつ敵第二派に備えるので、彼等は精一杯だった。
デブリ帯内で起こった爆発、それが収まったときロレンスは一瞬だけまだ自分が生きているのかどうか疑った。
「被害……被害報告を」
「機関健在!」
「第二、第三砲塔異常なし!」
「リフレクター展開成功、本艦は航行戦闘いずれも以上ありません!」
護衛艦ホロの艦橋に、報告がなされる。
その内容は、敵ナスカ級の砲撃を正面から受け止めたこの艦がほとんど何の損害も受けていないことを意味していた。
「絶対の盾、か」
報告を受けたロレンスが呟く。
「こりゃあ、技術部の連中がごり押しで採用を進めるわけだ。第一砲塔を潰してまで取り付けたのは正解だったな」
彼の言葉には、安堵よりも呆れが多分に含まれていた。
どう考えても撃沈を避けられないはずだったホロを救ったのは、第四次改装時に艦首に据え付けられた新装備だった。
名は、陽電子リフレクター。これの据え付けスペース確保のため第一砲塔を取り外したことに文句をつけたロレンスに、
改装責任者であった技術士官はビーム攻撃を無効化できるというリフレクターの利点を力説した。
そのときは新装備ゆえの信頼性の低さから眉唾物と考えていたロレンスだが、こうなっては認識を改めざるを得ない。
リフレクター開発というハードの面での艦隊防御力強化を目指した大西洋連邦の方針は、
防宙ネットワークシステムというソフト面の対処を選択したユーラシアに決して劣っているわけではない
……最もそれは、いかなる場合においても有効であるという意味でもまたなかった。
艦隊の盾としての役割を期待され、陽電子リフレクターを装備していたのは大西洋第一艦隊のうちの200m以下級、
護衛艦クラスのみだった。運用方針としては、それは正しい。主力の戦艦は矛としての役割に専念し、
盾である護衛艦がその矛を取り囲んで守る。被害の最小化と戦果の最大化を狙った合理的な考えだ。
だがそれは、艦隊が陣形を組めていたときの話。デブリ帯を通るうちに乱れに乱れた隊列では、
考えていたような効果は望めない。所々ではリフレクターを展開した護衛艦が攻撃を防いではいたが、
その盾の庇護下に入れなかった戦艦群の被害は甚大。全体の二割に達する艦に致命的なダメージを受けた第一艦隊は、
指揮系統の混乱も手伝いもはや半身不随状態。
「戦隊旗艦は?」
「アレント、沈黙……艦橋をやられたようです。次席艦は沈みました」
「仕方ないな……指揮を受け継ごう。特砲艦を前に出してくれ、通信が繋がるものだけでいい」
溜息をついたロレンスの指示で、特砲艦――護衛艦クラスの艦体に主砲、ミサイル、機関砲その他一切の武装を取り外し、
前部固定のローエングリン砲を一門だけ装備した特殊艦艇――が三隻前方に展開。
「味方だけ混乱しているというのも不公平だ、敵も同じ状況に陥ってもらおうか」
三隻の特砲艦から、三方向に向けて陽電子砲が放たれた。
「あー、クソ! ここまで滅茶苦茶じゃ指揮の取りようが無い!」
「前方に閃光。これは……陽電子砲です!」
「なんだと!?」
艦橋員の報告に、大西洋第一艦隊の隊列を組みなおうとしていたサルベーン司令は声を裏返した。
同時に起こる、複数の爆発……その規模は、先ほどのアジャカティ大戦隊による攻撃に優るとも劣らない。
まあ、当たり前といえば当たり前だ。ここは障害物の多いデブリ帯、発射された陽電子砲弾は
転がっているデブリにぶつかって、対消滅爆発を連鎖的に起こす。
衝撃が艦を揺さぶり、レーダー画面は真っ白な状態で沈黙。
収まる様子を見せていなかった艦隊の動揺もさらに広がって、
撒き散らされたデブリにより大西洋、ザフトを問わず複数の船が損傷する。
いらだたしげに顔を抑えたサルベーンは、統制の取れた行動をきれいさっぱりあきらめた。
「陣形解除。全艦に命令、総員各個に突撃せよ!」
「は?」
「あの爆発下ならば敵も混乱しているはずだ、それが収まる前に乱戦に持ち込む!
さもなければ混乱の度合いの大きいこちらの負けだ!」
増速する、第一艦隊『だった』各艦。
モニターに光点として表示されているそれらがアジャカティ大戦隊と重なって、
C.E.史上まれに見る、艦艇による格闘戦が始まった。
ナスカ級の後ろを取ったドレイク級が、発砲。主砲副砲は愚か、機関砲までが艦橋に集中する。
たちまち火を噴くナスカ級、大きく左に舵を取ったそれは、大西洋のネルソン級に衝突。
絡み合う二隻を盾に改ローレシア級がドレイク級の砲火を防ぎ、おかえし反撃を受けて大破したドレイク級が
今度は別のナスカ級とぶつかって、艦首を折って持っていく。
前半分を失ったナスカ級は近くのネルソン級に乗り上げて、しかしそれでもまだ射撃を止めない。
通常のMS戦における射撃距離よりも近い距離で、繰り広げられる艦と艦の戦い。
装甲は意味を持たず、被弾が即撃沈を意味する。
カタパルトを使った場合敵か味方の艦にぶつかるので多くのMSが艦に搭載されたままだったということからも、
交戦距離の異常さが窺える。今また、改ローレシア級とドレイク級が反航で撃ち合い、一分も持たずに双方が爆沈した。
軍というより帆船時代の海賊にふさわしいような戦闘はなおも約三十分続き、
大西洋第一艦隊の半数とジャシュガン、アジャカティ両大戦隊の三割を宇宙の藻屑とした。
それをようやく終了させたのは、ユーラシア連邦第二宇宙艦隊とプラント方面軍本部隊の戦場到着、それに伴う混乱の収束。ザフトにしろ連合にしろ、一時戦火を抑えて戦力を再編しない限り、組織的な戦闘は不可能というところまで混乱は蔓延していた。
「さて、いい加減手品の種も出し尽くしたが……」
デブリ帯の中を進んできた総旗艦ゴンドワナの艦橋で、ザフト軍総司令ルイーズ・ライトナーは呟いた。
「戦力的にはまだあちら側が優勢か。相変わらず、連合の物量という奴は対したものだな」
MSアタックで先制し、分散した艦隊で戦場をかき回し、
アルムブレスト大戦隊による敵空母部隊への突撃やアジャカティ大戦隊による待ち伏せ攻撃も成功させた。
それでも依然、ザフトと連合の間には一対二以上の開きがある。混乱が収まり全ての艦隊が発見され、
正面から撃ち合うしかない現状では明らかに不利なのはザフトのほう。
が、それでもライトナーにあわてた様子は無い。
「押し切れるかとも思ったが、やはりあの護衛艦が装備していた光る盾のような物は厄介だな。
下手をすれば、また戦場の様相を変えるぞ」
「それに、アジャカティ大戦隊によるMSアタックの効果も思わしくありません。
前の戦争のときより、対MS射撃の精度が大幅に向上しているようです」
「まあ、細かい分析は後にして、それより今は……退いてくれるかな? 連合は」
疑問符こそつけているものの、彼の言葉は連合の撤退を確信している。
その根拠は、眼前の連合艦隊の遥か後方に存在した。
主力艦隊の動向を、閃光としてすら把握できない主戦場の遥か後方。
主力艦隊から分離された連合の輸送船団で、初めに異変に気付いたのはユーラシアの船長だった。
最も、彼は軍人ではない。今回の作戦のため徴用された、輸送船の長だ。
彼に眉をひそめさせたのは裏ルートで入手し自艦に設置した最新軍用レーダー(もちろん違法だが、生存生は高まるので
事実上黙認されている行為だ)、そこに映し出されていたデブリ群が僅かに動いた気がしたのだ。
レーダーから顔を上げた彼は、窓の外を見渡す。そこに浮かぶ、無数の輸送船。自分の船と同じく徴用され、
今回の作戦に駆り出された船たちだ。ザフト軍が発見されてからは主力艦隊と分離し、後方に下がっている。
どの船にも、艦隊全てをまかなうための燃料、食料、その他重要物資が満載されている。
他の船たちが何の反応も示していないことから、デブリが動いたのは自分の気のせいと勘違いした艦長は、
再びレーダーに目を戻し、愕然とする。表示画面には、何も――確かに存在しているはずのデブリでさえも――存在してはいなかった。
存在するものが、存在しないように見える……その原因は、唯一つしか考えられない。NJによるレーダー妨害。
今味方にNJを展開する理由は無いから、消去法的に判断してこれは敵の存在を意味している。
「おい! 敵がいるぞ、非常警報だ!」
通信員を怒鳴りつけ、敵の存在を艦隊と船内に通達させる。
それを受けたユーラシアの艦隊が、輸送船を取り囲むようにして展開する。
彼等の行動は正しかった、が、同時に無駄でもあった。
「MS隊発艦、および全艦砲撃用意」
ナスカ級巡洋艦ルソーの艦橋でそう命令を下したのは、イザーク・ジュールだった。
努めて冷静な言い方をしているが、顔には今にも舌なめずりを始めそうな表情が浮かんでいる。
優に二百隻はある、敵輸送船。それを護衛しているのは、既に第一線からは姿を消した二級戦力による艦隊。
ザフトに属するものなら――いや、どの国のであろうと軍人なら、切望してやまないシチュエーションだ。
「敵艦よりMS……いえ、MA発進。メビウスです、数は三十」
「ディアッカ、五分やる。追い払え」
『リョーカイ!』
『私も行きましょうか?』
「いや、シホはまて。今日の主役は貴様だからな」
『分かりました』
そう言ったハーネンフースの声は、硬い。
当たり前といえば当たり前、これだけの獲物を目の前にする機会など滅多にあるものではない。
エルスマン隊のオルトロスによる砲撃で、メビウスは三分の一を失いつつ反転。
同時に、ジュール戦隊の率いるナスカ級五隻が連合軍護衛艦に向けて砲撃を開始。
虐殺の序章が、始まった。
ユニウスセブン落下をめぐる攻防で、イザーク・ジュールは破砕任務を一応成功させると同時に旗艦ウォルテールを失った。
しかしザフトは、彼を賞しも罰しもしなかった……正確に言うなら、どちらをする余裕も無かった。
そんなことよりも、まず差し迫った地球連合の脅威に対処せねばならなかった。
とはいえ、この任務でジュール隊がこうむった被害は決して無視できる規模ではない。
連合との戦争の可能性が高いからこそ、戦力の補充は急務であった。
そこで予備役召集を始めとする雑務に追われる国防委員会は、イザークに新たに三隻のナスカ級を与え
部隊規模を『隊』から『戦隊』に格上げし――編成を、彼に丸投げした。
この行為は、編成という面倒な仕事を国防委員会が下に押し付けた、という単純なものではなく、
委員会による部隊編成責任の放棄という側面もあった。
委員会の名で編成した部隊よりも『イザーク・ジュール』個人により編成された部隊のほうが、
指揮官失脚による部隊解散時の委員会が負う責任は少ない。
逆に言えば、委員会は近い時期における更迭の可能性を考慮に入れながらイザークに戦隊長就任を命じたわけだ。
なんとも、階級の存在しないザフトならではの人事であった――なお、何故更迭を考慮に入れつつ何故彼を戦隊長に
任命したのかという点については、彼の母親、エザリア・ジュールが中心となっている中庸的ザラ派グループと
他派との政治的駆け引きの結果なのだが、話が複雑になりすぎるためこの点についてはここでは省略させてもらう。
ともかく、ナスカ級五隻、MS三十機を指揮下に置く戦隊長に任命されたイザークは、部隊のMSを三つに等分した。
ガナーザクによるエルスマン隊、ブレイズザクによるハーネンフース隊、多機種混合によるジュール戦隊本隊、
いずれもが十機ずつ。通常に比べ戦隊本隊に裂いている機体が大目なのは、ユニウスで艦を沈められた彼自身の反省と、
定数を埋め合わせるために無理やり確保したジンやジグーでは艦隊防衛以上の任務は困難だという戦術的判断によるものだ。
新編されたジュール戦隊は、訓練もままならずルイーズ・ライトナーのプラント方面軍に編入された。
それも、大戦隊指揮下ではなく本隊直属の独立部隊として。
そこで与えられた任務は、方面軍主力との戦闘により主な戦力を誘引され手薄になった輸送船団の殲滅。
作戦の要となる重要な任務をライトナーがイザークに任せたのには、間違いなく左系クライン派としての政治的思惑がある。
だが、編成したて――つまりは寄せ集めに過ぎない彼の部隊が複雑な行動をとることは不可能。
よって彼が選択した行動は、最も単純な戦法、艦MS一体となっての突撃であった。
ナスカ級の砲撃で、輸送船を守っていた護衛艦の陣形が乱れる。装備が劣悪なだけで無く、錬度も低いのだ。
もしこれが主力艦隊だったならば、艦隊の一部が分離して接近戦を試みていたかもしれないとイザークは考えた
(事実、大西洋第三艦隊司令イレシオンは、突撃してきたアルムブレスト艦隊に対し彼の想像と酷似した戦法を選択している)。
『ワルい、遅れた!』
「遅いぞディアッカ、二分のオーバーだ」
『その分は、ちゃんと挽回するぜ!』
メビウスを追い返したエルスマン隊のザクが、砲撃に加わる。
熾烈になる砲火に、捕らわれた連合護衛艦が砲塔を誘爆させて沈む。
さらに乱れた、陣形。それをイザークは見逃さなかった。
「シホ、いけるな!?」
『はい! 待ちくたびれましたよ!』
「そうか。ならばこれからはお前が主役だ。突撃命令、ポイント2418の敵を突破して輸送船団を食い破れ」
『突破した後の敵はどうしますか? 連中は羊を守る牧洋犬です。
獲物を仕留めようとしたところを後ろから飛び掛られると厄介です』
「馬鹿もの! 俺を誰だと思っている? 不抜けたイヌコロの始末は任せておけ、それに指示を出す羊飼いもだ。
お前には、存分に羊の肉の味を楽しませてやる!」
『分かりました。ハーネンフース隊、突撃します!』
微笑とともに、鳳仙花をつけたザクが飛び出す。さらに続く、九機のザク。
「全艦および全ガナー機、目標、ポイント2418の敵艦! 同時に面舵60、アップトリウム25!
最大戦速、ハーネンフース隊に続け!!」
イザークの命令で、砲火の向きが変わる。一番に陣の乱れていたそのポイントで、三隻の護衛艦が爆沈。
空いた穴に、先行していたハーネンフース隊が殺到する。
連合の護衛戦隊司令は、ここでようやく虎の子のタガーを先ほど撤退したメビウスとともに投入、
だが十機のザクは彼等を素通り、輸送船へと突き進む。
「馬鹿め、戦場で背中を見せるとは!」
タガー隊隊長が蔑みつつ、輸送船に向ったザクの背後ブースターに狙いを定める。
立て続けて起こる、爆発……一つはシホのザクに喰い破られた輸送船の、そしてもう一つは背中を打ち抜かれたタガーの。
「……そりゃ、お前だろ」
打ち抜いたのは、ディアッカのガナーザク。
他のガナーザクや戦隊本隊のジン、ジグー、さらにナスカ級のミサイル、機銃が、
ハーネンフース隊に気を取られた連合の機動兵器群に殺到する。
その衝撃は、四機のMSと十機のMA、および連合軍の組織的抵抗を行う意思を破壊する。
その間にも、ハーネンフースたち狼は二隻目の羊に喰らい付くために疾走。護衛船団は、完全に崩壊した。
崩壊した護衛船団、それに所属していた二百隻超の輸送船は、蜘蛛の子を散らしたかのように四方八方に散乱した
(この時点で、既にハーネンフース隊に四十隻以上が沈められていた)。
これにたいしジュール戦隊は、艦隊を五つに分けて輸送船を追撃した。
それは一箇所に固まっている船を沈めるより手間のかかる作業だったが、輸送船の発見は困難ではなかった。
ほとんどの輸送船が、主力艦隊への救援要請信号を撒き散らしながら逃走しているためであった。
半日後、イザークが追撃終了を宣言するまでに彼等が沈めた船の数は実に百七十三隻、これは船団全体の八割を超える。
船団の求めた救援は、ついに現れなかった。
当たり前であった。
大西洋第一艦隊は、二個大戦隊との戦闘でぼろぼろの状態であったし、
大西洋第三、東アジア外宙艦隊はアルムブレスト大戦隊のMS、艦隊による波状攻撃を受け混乱と疑心暗鬼状態に陥っていた。
唯一十分な戦力を残していたユーラシア第二艦隊にしても、デブリ帯に入り込んでいたために救援に駆けつけるのは不可能だった。
つまりザフト・プラント本国方面軍主力は敵主戦力の誘引、拘束という作戦目標を完璧に達成していた。
物資の八割以上を失った連合軍混合艦隊、その総司令を兼ねていたエディアルド中将は撤退を決断した。
常識的な判断であった。
残っている物資では、プラント攻撃どころか救援隊が派遣されなければ月基地帰還さえも怪しい。
主力部隊の戦闘艦艇の大半が沈まず残っていたことも、混合艦隊の台所事情を圧迫していた。
戦闘艦は、ただあるだけでは戦えない。燃料食料、衣料品に弾薬、その他多くの支えが在って初めて能力発揮が可能なのだ。
「……それに、与えられた任務の最低限の目的は達成した」
遠ざかるデブリ帯を眺めながら、エディアドルは忌々しそうに言った。
退却する艦隊を、ライトナーは追撃しなかった。
本国方面軍自体にはまだ戦える余力は残っていたが、退いていく連合軍には窮鼠などとはとてもいえないだけの戦力が残っていた。
それでも断固追撃すべしという意見は強かった(特にほとんど被害を受けなかったジュール戦隊は、
総旗艦ゴンドワナに対し『攻撃隊の発艦準備完了』と通信を送りつけた)が、ライトナーは方針を変えなかった。
左系クライン派にふさわしく、彼は避けられる戦いは避けるべきだという考えの男だった。
不平を漏らすものも多かったが、納得できないことは無かった。何よりも、勝利を収めたという事実が皆を寛大にしていた。
そう、勝利。この時点ではイザークもアルムブレストもライトナーもそれを信じていた。
アプリリウスの評議会で戦闘経過を聞いていたデュランダルを始めとした評議会議員たちですら、その例外ではなかった。
ゆえに、忘れていた。こちらと同じことを、敵もまたする可能性があるということに。
同時刻、プラントに僅かに残されていた本国防衛部隊の内の一隊が、通信を途絶させた。
GJ!
ただジグーじゃなくてシグーあるよ
268 :
憑いてる人:2007/02/11(日) 00:09:32 ID:???
以上です。
………………ごめんなさい!!!
艦隊戦やろうとしたら人が足りなくて、考えるのもめんどくさかったんで机の周りにあるものから名前とキャラクター勝手に持ってきました。
申しません…………多分。
原作における連合のプラント強襲、書いてたら長引いたので(長引かせたので)二回に分割。次の回も少し続きます。
連合が送り込んだ真の攻撃隊、彼等の前に立ちふさがるのはプラントへの帰国途中だったハイネ隊。
予備兵力皆無状態での戦闘はついにコロニー内にまでもつれ込み、そしてこの攻防の結果はプラントの国是にまで大きく影響を与える。
それに対して議長は……一方ロゴスの戦争計画主任ジブリールは……
次回、『始まりの終わり』 期待しないで待っててもらえると嬉しいです。
え、マユは? えぇーと、次々回くらいからまた活躍を……(いや、顔は出しますよ、多分今回程度、いや、その半分くらいなら……
上手いな〜マジGJ!
大規模な艦隊戦なんてあのアニメじゃ考えられないことだなw
しかし連合もザフトもいい感じに戦争してんなー。種死じゃないみたいだw
マユ達のこれからの出番に期待しつつ鋼鉄の咆哮やってくるノシ
永遠の常連 ほのぼの 単発
完結させた英雄 しのはら マユ種
懐古人達の神 PP戦記 隻腕
連載中のスレの砦 付き人 III
付き人キター
けど、携帯なんで火曜日に仕事場で一気に読ませていただこうかと…
ついでに舞踏も待ってる自分がおります
付き人GJ!! 濃密な戦闘描写に圧倒されながらじっくり読みました。
艦隊戦中心でこれほどの緊迫感が出せるとは思いませんでした……目から鱗な気分です。
登場人物たちもイキイキとしていて、重厚な内容の中でいいアクセントになってました!
続き楽しみにしてますよー!!
すまん。今日此処初めてこのスレにきたんだが
ファントムペイン戦記ってSSはもう未完で終わってる?
>>273 最終投下が去年の9月ということから察してくれ。
IIIみたいにブランク空けて復帰する人もいるけどね
そろそろあの時期がやってくる・・・うれしさ半分、そして恐怖がたくさん。
その名も・・・・・・バレンタインデー!!
「「「「「「ハイネ(アスラン)(ネオ)、二月十四日に休暇もらっていい?」」」」」」
そう下っ端ーズは言ってきた。
「・・・・・理由を言え理由を。」
アスランが静かに理由を問う。
「俺たち、暗黒○闘会にゲストとして出ることが決まったんでちょっと出てきます。」
「ちょうど五人でよかった。」
「ちょうどメンバー中二人は人間じゃないしね!!」
アキラ、ゼロ、キース、カルマ、ジョーが言った。
『俺たちは議長の胸に金の矢が刺さっちゃたんで男坂登ってきます。』
「急げ俺たち!!ギルが死ぬまであと120時間!!」
「マーマ・・・・・。」
「中の人だとメイリンが新しい女神でルナマリアが黒い少女なんだけどなぁ。」
「おれはマユとステラのピンチしか助けないからな!!」
シンハロ、レイ、アウル、スティング、シンが言う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
沈黙が広がる。
ガチャリ。
突然聞こえる金属音。
「「「お前ら、いっぺん死んでこい。」」」
三人がそれぞれ拳銃を構えた。
俺はまだ諦めてないけどな。PP戦記も隻腕も
で、舞踏まだー?
「なにも撃つことないじゃん!!」
「ピンチなのはマジだろ?!」
「去年のアレを忘れたのか?!」
口々に叫び始める少年達。
「だって死にたくないじゃん!!マユの奴自分の人気取りの為にきっと毒入れるぜ?!」
アウルがマジ泣きしそうな声で言う。
『俺・・・・その日はハロ形態でいるかなぁ・・・?』
「卑怯だぞシンハロ!!」
もう一つの自分の体を手に持ちながら呟くシンハロにレイは怒る。
「えーっと・・・、ソロモン王の悪魔で解毒・・いや、透明になる術を使えるのは・・・・
あった!バエルか・・・・。儀式用のミラーとブラッド・ストーンを用意すれば・・・・・。」
古びた本をめくりながら何やら怪しげな事を呟くアキラ。
「ミーアのバレンタイン!!酷かったでしょハイネ!!」
「あぁ・・・、スウィート・チョコラーテと言う叫び声と共にチョコレートが天井から
溶けたチョコレートが大量に降り注いだ時は若手お笑い芸人とチョコレートフォンデュの気持ちが解った。」
キースの訴えにハイネは忌まわしい記憶を思い出す。
「スティング、メイリンのチョコはいいのか?」
「確かに欲しい・・・だが、死んでメイリンを悲しませるよりは・・・・・。」
ネオの声にスティングは葛藤をしながら話す。
「というか、マユ達は女子同士で・・・・『友チョコ』だったか?それをするから・・・。」
「本当に常識しらないね・・、アスラン。普通女の子は別々に用意するんだよ。
たぶん手作りする方に時間かかるから友達同士は買うと思うよ。」
気楽なアスランの発言にカルマが青ざめた顔をした。
そして男子陣は話始める。いかにしてバレンタインデーを乗り切るか。
「どうする?」
「ハハ・キトク・スグカエレってメールが来たって事にするのは?」
「ハハどころか親がいない人が多いんだから謝りなさい、アキラ。」
「議長権限でバレンタインデー禁止にしてもらうのは?」
『議長が撲殺惨殺ボコボコデースな自体になるぞ。』
そうして話している内に結果は纏まった。
「我々マユデス男子陣は「第一次バレンタイン妨害作戦」を開始する!!」
「「「「「「「「ヤー!!」」」」」」」」」
声高らかに宣言するハイネに全員はドイツ語で何故か返事をするのだった。
やばい、よりによってほのぼのマユデス入れ忘れた。ほのぼのです。
そろそろ最終回に向かってシリアス入れるかと思ったら駄目でした、脳みそが
言うことを聞きません。
ちなみに節分ネタだと全員で恵方巻きを食べるマユデスメンバーズ。
でも宇宙だと方角ってどっちだという話題になり泥沼化。
その後の豆まきでは鬼の人が体が蜂の巣になるという恐怖。
とか言うのを考えましたがやめました・・・・。
付き人さんのハイネ隊がどれだけかっこよくなってるのかわくわくです。
でもこっちでは相変わらず馬鹿やらせますが。
投下終わったね…
ほのぼのさんすみません…まさかこんな過疎ってるのに被るとは…orz
単発設定小話 「灰色の戦い 堕ちる天使編A」最終章 47
〜ネオジェネシスの残光をかき消すように10本の新たな光が伸びる〜
デュランダル「・・・状況は?」
ザフト兵「オーブ艦隊、連合艦隊ともに沈黙していきます」
デュランダル「ふむ・・・よし、ネオジェネシス二射目準備」
ザフト兵「は、了解」
デュランダル「メサイア周辺のMS隊は?」
ザフト兵「いつでもいけます」
デュランダル「けっこう。メサイアにたかるハエを落とせ!」
〜椅子から立ち上がるデュランダル〜
〜おおわらわのアークエンジェル〜
マリュー「報告!」
ミリアリア「船体は無事です。船員の死亡ゼロ。重傷者はありません」
チャンドラ「前方に反応!・・・これは・・・ザフト艦隊です!!」
マリュー「なっ・・・」
〜絶句するマリュー〜
マリュー「なんでこんなに近づくまでわからなかったの!?」
チャンドラ「先ほどの光線のノイズにまぎれていたようです!」
マリュー「まったく・・・総員、戦闘配置!敵戦艦の識別は?」
チャンドラ「でました。・・・ミネルバ及びナスカ級です」
ミリアリア「ムウさんがガイアを回収しました!」
マリュー「そのまま戦闘準備にはいってもらって!ゴッドフリートいける!?」
チャンドラ「いけます!」
マリュー「あたらなくてもいいわ。ゴッドフリート照準!ってぇーっ!!」
〜近づいてくる目標の方向にむけゴッドフリートを放つアークエンジェル〜
〜ミネルバ〜
タリア「敵との接触まではっ!?」
アビー「接触まで3分。・・・!前方より熱源接近!」
タリア「回避!速度は落とさないで!一気に駆け抜けるわよ」
〜速度をゆるめず、最小限の回避行動でアークエンジェルのゴッドフリートを回避するミネルバ〜
〜月面から離れ、他の部隊と合流しているジュール隊〜
イザーク「よし!オーブ艦隊と連合艦隊がかなりばらばらになったな」
ディアッカ「そろそろ、いっとく?」
〜イザークをからかうように煽るディアッカ〜
シホ「・・・あら?・・・隊長!ザフト艦隊が近づいてきてます!」
イザーク「なんだと?・・・どこの部隊だ?」
シホ「照会してます。・・・でました、ミネルバです!」
続
灼熱の咎の続きが読みたいな、もちろん他の作品も。
作者の方々、復帰をお待ちしてます。
Injusticeの再開を未だに待ち続けてる俺
バクゥ好きなんで
バクゥ乗りのマユとかどうだろうとか思いつき
そこからブル潰しの一機がマユの機体とか飛躍し
(あの執拗な攻撃は幼いが故の必死さとか)
なんかまじめに書いてみようかなとか思ったが
直後にすげえ潰され方をしたのを思い出して全てが無に帰した
>>277 >>282 >>283 幾等過疎ってるからといって何の音沙汰も無いのは可笑しいだろ
もう続きは誰かが代わりに書いたもOKにして良いんじゃないか?
職人スレでも未完の作品について色々言われてるんだし
少なくとも続きを書く意志があるならメッセージを出して欲しい
俺たちは首を長くして待っている
二次創作を更に二次創作するわけか
一応Xスレでは3次小説まであるけどさぁ…
さすがに続きというのはちょっと…
「このSSのファンになりました。自分もこのSSのサイドストーリーを書いていいですか?」
と聞かれて作者がOKを出し、スレの空気を読んだ投下ができればやってもいいかもしれない
佐藤大輔読者の俺にすれば数年なんて待ったうちに入らないぜ
と言うことで俺は馬鹿の一つ覚えみたいにずっと待ってる
富樫の連載再開を待ってる俺も同じ気持ちだよ
秋山瑞人のE.G.コンバットFinalを待っ(ry
永野護のファイブス(ry
田中芳樹の創竜伝を待t(ry
いい加減スレ違い
スレ違いというより作者と読者の擦れ違いだな
保守
とにかく更新停滞中の職人様方はメッセージを下さい
お久しぶりです。
なんだか現世では大変なことになってるみたいじゃないですか。
いやはや、戦争もビジネス?良いことじゃないですか。
な〜んて、生きてた頃の僕なら言ってたかもしれません。
死んでわかったことが一つあります。
痛いんです、心が。
〜I and I and I〜 第二十六話「蒼き清浄なる世界の亡霊」
世界は、デュランダルを支持する声一色になっていた。
だが、これはデュランダルの独断で行われていることだった。
「なんででっか!?なんでこんな突然、クビにならなあきまへんのや!」
目の前の女性に対し、キングは怒声を上げた。
「残念ですけれど、あなたはプラン実行のメンバーに選ばれなかったのです。
情報漏洩を防ぐために抹殺されないだけ、ありがたく思って頂かないと」
「そんな……ミーアはんとは、養成所時代からの付き合いなんでっせ!?」
「もうミーアさんではありません。ラクス様、です」
ラクス。そう強調される。
キングは食い下がるように、女性を睨んだ。
「あれー?マネージャー、どうしたの?」
そんなところに、 ミーアがやってくる。
「ラクス様、お疲れ様でした〜。演説、とても心に響きましたわぁ」
「いえ、どうも。で、あなたは?」
「私はサラと申します。本日より、ラクス様のお世話をさせて頂くことになりました」
サラと名乗った女性は、ニコッと微笑む。
「じゃあ、マネージャーは?」
「あぁ……彼なら解雇です」
「えぇ〜!?」
「ラクス様、これは些細なことですわ。ラクス様は、ラクス様のやるべきことを」
サラはそう言うとミーアの手を取って、さっさと行ってしまった。
立ち去る間際、サラはキングに向け、嘲笑を見せる。
「解雇て……こんなん不当解雇やないか」
力が抜け、キングの膝はガクッと床に落ちた。
「あれはどういうことなの?議長はいったい何を……」
「私もこんな放送のことなど何も聞いていないわ」
目の前の通路を、評議会の制服を着た者達が足早に通り過ぎていった。
突然申し渡された不可解な解雇処分。
そして、評議会の役員達にも伝えられていなかった、議長の放送。
「なんなんや……議長は何を考えているんや……?」
見えざる思惑に、底知れぬ恐怖を感じる。
キングは、震えていた。
マユを乗せたガーティー・ルーは、ある場所へと到着する。
ヘブンズベース。
アイスランド島に位置する、地球連合軍の重要拠点の一つである。
「スティングさん……」
先のデュランダルの放送も気にかかる。
だが今は、スティングの方が心配だった。
「ラドルさんに言われた守るって意味、全然守れてない……」
下手をすれば、スティングは撃墜され死んでしまったかもしれない。
帰ってくる場所があるからと、戦いに行かせてしまった。
「守るということは、ただその者の安全を守るというわけではない。
安全を守り、そして守りたいその者に辛い思いをさせない。それが真に守ること」
安全も守れない。
そしてきっと、戦闘の度に、スティングは辛い思いをしている。
真に守ること。
それを見届け、マユ自身もできるようになってほしいと、ラドルは言った。
「ごめんね、アウル。こんなんじゃ笑えないよ。
ごめんなさい、トダカさん。まだ、何もできてません」
眠り続けるスティングを見ながら、マユは悲しく呟いた。
そんなところに、医務室のドアが開き、リーが入ってくる。
「少しいいかね」
「なんでしょう?」
「少し話したいことがあるのだが」
場所を変えたい。雰囲気からそれは察せられた。
マユは立ち上がる。
名残惜しそうにスティングを見ながら、医務室を後にした。
その直後、スティングが、瞼を開いた。
歩きながら、その会話は始まった。
「君がロアノーク大佐に言った言葉が、今でも頭の中を巡っている」
死んでいった者達も救えないで、どうやって世界を変えることができるのだ。
マユはあの時、そう叫んだ。
「だが大佐とて、好き好んでアウルやステラの命を散らせたわけではない。
彼等を死なせるのが戦場なら、生き延びさせる方法もまた、戦場にある」
「それは、わかってます……」
リーはゆっくりと、窓の外に目を向けた。
雪原と雲のかかった空が広がる、白に染まった世界。
「この地ヘブンズベース、前大戦でも取り立てて被害の少なかった地球連合の軍事拠点。
逃げ延びたロゴスのメンバーが集結する場所としては、打ってつけというわけだ」
軍需産業複合体。死の商人。
そして今は、繰り返される戦争に世界を陥れた元凶である。
「デュランダルがどういった目的でこんな行動を取ったかはわからない。
だが、これはチャンスでもある。我々の目的の」
「あなた達の目的……?」
「軍では生体CPUという、非人道的な扱いを受ける者達が戦場に駆り出されている。
彼等を解放するのが我々の目的だ。大佐は、力を貸してくれただけに過ぎん」
生体CPU。
肉体を強化され、戦うための兵器として存在する者達。
アウル、ステラ、スティング。
そして、アスランと共プラントに向かった際に、夢で出会った者達。
マユが振り返る。
そこには……
「あなた達は……」
驚いて、マユが小さく声を上げる。
「どうやら、私達の姿が見えるほど、理事の思いが強まったようだ」
指揮官らしき女性、ナタルは冷静に状況を分析して、そう告げる。
「君がおっさんに探そうなんていうからだよ」
「そうそう。助けるより、ほっとく方がマシってね」
「今のおっさん、かなりウザイ……」
生体CPUだった三人、クロト、オルガ、シャニ。
どうやら彼等は、もうすでに生きていた頃の苦しみから解き放たれたのだろう。
楽しそうに、マユの周りで騒いでいる。
ナタルはその保護者のようで、手を焼いてはいるようだったが、どこか楽しげに見えた。
ただしこのアズラエルという男だけは、他の者達とは違った。
「お父さんが、あの戦艦から出てきた……?」
窓の外の景色の中には、もう人の姿はない。
意を決し、マユは走り出した。
ガーティー・ルーを抜け出し、マユはヘブンズベースの内部を必死になって歩き回る。
幸いなことに、世界中の混乱のおかげで基地の人員が少ないのか、
あるいは混乱しているか、兵士の姿はほどんど見受けられない。
マユは探した。彼が「父さん」と呼んだその人物を。
そしてマユは導かれるように、ある部屋の前で立ち止まる。
ドアノブを握り、ゆっくりと開いていく。
「おや……随分可愛らしいお客さんだな」
老人、ブルーノ・アズラエルが言った。
警護する兵士達が銃を向ける。
「やめなさい。君達、少しの間下がっていてはくれまいか」
ブルーノの言葉に、兵士達は退室していく。
「迷い込んだわけではあるまい。迷い込むにしても、場所が場所だ。
ザフトのスパイかな。だとしたら小さなスパイさんだが」
「いえ、ガーティー・ルーで保護されています。
あの……息子さんが、話したいことがあるみたいで」
おかしなことを言っていると思われただろう。
しかし、これは事実なのだ。
隣には、目の前の老人に似た青年が、訴えるような眼差しをマユに向けている。
「それは面白い話だな。そこにいるかい?ムルタ」
ブルーノは否定するでもなく、そう言ってみせた。
「信じてくれるんですか?」
「信じるのも信じないのも、その話とやらを聞かないことにはね」
「そうですか……じゃあ」
マユはアズラエルを見る。
アズラエルは、口を開いた。
「僕は欲しかったのです。自分がコーディネイターより、優秀だったという事実を」
マユの口から、アズラエルの言葉が綴られる。
「彼等より強いという証が欲しかった」
ブルーノは、静かにマユの言葉を聞いていた。
そして、話を始める。
「ムルタ、お前や我々は、気の弱い自然的保守主義者なのだよ。
新しいもの、自分が知らないものに対して、恐れ、拒絶する。
それが、やがては我々の領域を侵すであろうコーディネイターなら尚更だ」
重い口調で、そう紡がれる。
「パレスチナ公会議の失敗により、コーディネイターはより明確な脅威になった。
S2型インフルエンザウィルスをばらまいたところで、それもただ
ナチュラルを大量死させ、コーディネイターへの憎悪を加速させるだけ。
戻るに戻れず、そしていつになっても私達が安息につくことはできない」
彼方より、ロゴスは暗躍していた。
それこそ戦争だけの裏側ではなく、ナチュラルの生活に密着するように。
「コーディネイターに対して戦争を起こし、
コーディネイターをナチュラルにとって永遠の敵にする。
それしか、我々が安心できる方法はなかったのだ。
だが、私達はそうして無駄に年を喰い、
ムルタ、お前やジブリールのような若い者に縋り、
そして無様に死んでいくしかない」
やはりアズラエルがいるとは思っていないのだろう。
ブルーノは、自責の念に囚われているようだった。
「許してもらえるものではないとわかっている。しかし、許してくれ。
それしか、それしかなかったのだ。ナチュラルに反コーディネイター感情を抱かせ、
コーディネイターをナチュラルより格下に仕立てる。それで我々の心は癒されたのだ」
誰に向けてでもなく、許しを乞う。
「我々老人達が消えれば、次第に世界は人種など些細な、柔和の方向に向かう。
心の弱い自己中心的な老人達が、同じナチュラルを殺し尽くした結果だ。
その老人達が作り上げたブルーコスモスも、近い未来には風化していることだろう」
そして、再びマユを見た。
「だからムルタ、死んで尚も苦しまないでくれ。
罪は生きた者で償う。お前が苦しむ必要などないのだ」
その言葉だけは、確かにアズラエルに向いている。
愛する子に向けての言葉に、アズラエルは安らかな笑顔を見せた。
つられて、マユも笑っていた。
「行きなさい。直にここも騒がしくなる。君のいるべき場所へ」
「あなたは……?」
「時の流れのままに。大罪人は裁かれるべきなのだろう。
わかっていた。コーディネイターが神の領域を侵す者なら、
私達は欲望そのままに生きる人の皮を被った悪魔だということを」
もう誰に対しても、恐怖や拒絶はない。
受け入れようと心に決めた。
それが、自分が望んだ安らぎなのだと、その時初めて気がつく。
マユは静かに部屋を出た。
周りにはもう、アズラエルや他の者達はいなかった。
探していた場所に辿り尽き、解放されたのか。
それはマユにはわからない。
わかることはただ一つ。
人は間違い、そしてやり直そうと、常にもがき続けているということ。
「突然のあのような放送、評議会各員の皆様に対しても大変申し訳なく思っています。
ですが、あれはザフトでもプラントでもコーディネイターでもなく、
私ギルバート・デュランダルとラクス・クライン個人の言葉と思いお聞き頂きたい。
そして今度は、プラント最後評議会議長ギルバート・デュランダルとして、
ロゴスの口車にほいほいと乗せられた地球軍並びに政府の関係者達を、
無用な災難の数々を被った地球の方達と共に討っていく所存であります」
突発的に行われた放送の説明のため、
デュランダルは評議会、国防委員会の重役達を召集した。
そして新たなる発表が行われる。
動揺が広がる会議室。
更にデュランダルは、あるものを用意していた。
サラや、金髪の女性士官などが、書類を各員に配っていく。
「火星のコロニー社会では予め適性を決められたコーディネイター達が、
存在しているということは、既に皆さんご存知のこととは思いますが、
私も予てよりそのような計画を人々のためになるようにと練ってきました。
そしてここに、デスティニー・プランの試験的な導入と実行を開始したいと思っています」
書類を見入る者。
既にデュランダルの傘下にあり、計画に賛同している者。
「ともあれ突然の人事異動となります故、それが不当だと、納得がいかないという方は、
気軽に申し出ていただいて結構です。この参加は強制ではなく、絶対でもありません」
デュランダルの周りを固める者達は、誇らしげに胸を張っている。
その者達を見る重役達に対し、正しいのだと主張するように。
さほど長くはかからず、重役達はこれを受諾するだろう。
全ての者が何の苦もなく、適材適所で働ける。
そして戦争も、それこそ些細な争いさえ起こらない。
そんな理想郷のような計画が実現できるとすれば、それを拒否する理由はないのだから。
デュランダル達がデスティニー・プランの説明をしている最中、
ミーアはある人物を探していた。
「あ!マネージャー、いたいたっ!」
喫煙所で寂しそうにうなだれている男。
「ミーアはん……いいんでっか?今は大事な会議中でっしゃっろ」
「いいのいいの。あたしにはどうせわかんない難しいことだし」
あっけらかんとしてミーアは言う。
「それより……」
ミーアは持っていたディスクをキングに差し出した。
「これ、マネージャーが持ってて」
「ミーアはん、もしかしてこれって……」
「今のあたしが持ってても意味ないから。だから……お願い」
ディスクをキングの手に中に託す。
「でも全てが終わったら、あたしがあたしを取り戻したら、必要なものだから」
耳元で囁いて、ミーアは行ってしまった。
ディスクを握り締め、キングは振り返る。
そこにはもう、ミーアの姿はなかった。
まるで、ミーアという人物そのものが、
そもそも存在などしてはいなかったかのように。
続
>>309 IIIさん乙です。
素直にたのしんでます。
新人スレから誘導されて来たんだが、投下しても良いか?
OK
遠い幼い日の思い出。
昔、私がまだあどけない少女だった頃、戦争が起きた。
TVは海の向こう、宇宙の彼方での戦争の被害を生々しく伝えていた。
人はこんなにも残酷になれるのか、と幼心に漠然とした恐怖を感じたが、兄が「守ってくれる」と言ってくれたので、脅える事は無かった。
ある日、TVが私の住んでいる街が戦場になるらしいと言う緊急放送を流した。
今考えると、それは余りにも遅く、腹立だしい事であるが、当時の私は学校が休みになる事を無邪気に喜んでいた。
簡単に手荷物をまとめ、大切な携帯電話を持ち、家族と避難を始めたが、時既に遅く、街は戦場に化していた。
遠くで聞こえる爆音、閃光。そして余波による衝撃。
走り、逃げる。幼い私はどうしても遅く、皆の足手まといになる。しかし、兄は私の事を気遣って、私の手を引いてくれた。
そして、ふとした弾みで私は携帯電話を崖したに落としてしまい、私は愚かにも立ち止まりむずがってしまった。
それを見かねた兄が携帯電話を取りに行ってくれた。
──そして、間近での閃光、爆音。私の運命を砕く一撃。
私は激しい衝撃で吹き飛ばされ、意識を手放してしまった。
気付いて空を見上げると、空は眼が痛くなる程青く、綺麗な色をしたロボットが鮮やかな軌跡を描いていた。
視線を下に移すと、真っ赤な業火が燃えたぎり、その中には無惨な姿になった父と母がいた。
嫌な音、嫌な臭い、嫌な風景。
でも何故か悲しく無かった。多分、運命と同じく心を砕かれてしまったからだろう。
私は逃げもせず、恐れもせず、悲しみもせずに、ただひたすらに青すぎる空を見上げていた。
──砕かれた運命の欠片を拾い集めることもせずに。
取り合えずここまで。
こんばんは。PP戦記を書いている者です。
随分と間が空きましたが30話目投下します。
316 :
1/18:2007/02/15(木) 23:57:44 ID:???
大西洋連邦ヴァージニア州ラングレー。
旧世紀来最も広範な情報網を有する諜報機関にして、最大のインテリジェンスコミュニティ。
それがこの地に、なお存在していた。
大西洋連邦中央情報局――
この施設のトップは表向きの長官とは別に……
数百年の長きに渡って世界の情報を牛耳る一族を頂点に活動していた。
その一族の長は女性。影の長官の名を、マティスといった。
「さて、どうしたものかしらね?」
デスクに向かいながら、彼女は呟く。
思案の内容は、先ほどロアノーク大佐から依頼された件。
すなわち、マユ・アスカの所在確認の方策についてである。
当初、マティスは直接プラントに探索者を送るつもりであった。
しかし、それには聊か時間が掛かる。大西洋連邦とプラントとは戦争状態なのだ。
手持ちの者をプラントに送り込むのも手間、さらに帰還させるのも手間……
情報は最新のものでなければ意味を為さない。そして、それは迅速に手に入れねばならない。
「目的は……確認が最優先だったわね」
マティスは依頼の主旨に立ち返る。
マユ・アスカがインパルスのパイロットであるか否か――その確認が最優先であった。
となれば、プラントに探索者を送ることに拘る理由はない。
直接、ミネルバに探りを入れれば良いのだ。
ふと、マティスは手元のモニターを使い、ユーラシア連邦の情報を検索する。
そして、今朝ほど届いた新聞記事に目を留め……妖艶な笑みを浮かべる。
「……地球なら潜入も容易。脱出も容易。戦乱の続く場所であれば、特に」
呟く彼女は、モニターに表示された記事のタイトルを指先で押す。
タイトルにはこうあった。”大量のコーディネーター難民、プラント政府に保護される”――と。
最後に彼女は手元の子機を用い、何者かに連絡を取る。
「スカウト0646を……そう、RGX-004と一緒に――ミネルバのいる、エジプト共和国へ」
317 :
2/18:2007/02/15(木) 23:58:54 ID:???
その頃、大西洋連邦の首都ワシントン、ホワイトハウスの大統領執務室では……
やがて世界の趨勢を大きく左右する会談が行なわれていた。
それは、一見すると奇妙な光景。
地球連合で最も威勢ある国の大統領が、秘書姿の女性を恭しく握っているのだから。
「よく来てくださいました、ラクス・クライン。この日が来ることを、ずっと待っておりました」
手を握られた相手の女性、ラクス・クラインは戸惑いながらも応じる。
彼の言を信じるなら、今日ここに連れて来られたのは目の前の男の希望によるもの、ということになる。
その男――ジョセフ・コープランドは、挨拶もそこそこに本題に入ろうとする。
「私が貴女をここにお呼びしたのは他でもありません。どうしてもお願いしたいことがあるのです」
「……頼みごとを? 私に」
意外そうにラクスは問い返す。
彼女はザフトに命を狙われた、プラント政府にとっての敵である。
三隻同盟の仲間も、キラの駆るフリーダムも、アークエンジェルも手元にない。
そんな女に、今更何の用があるというのか――
疑問を抱き、怪訝そうに相手の顔を見て問う。
「大統領、今の私はただの……囚われの身。何の力もございません」
「そんなことはありませんよ。
先の大戦を止めてくれたのは、貴女とそれに賛同する方々です。
地球連合内にも、少数ではありますが貴女方を肯定的に評価する者達もおります。
むろん、私もその中の一人ではありますが」
「そう……なのですか?」
「信じられませんか?
では、私がアークエンジェルのクルーを免責したことも、ご存じない?」
コープランドの言葉にラクスは二度驚いた。
連合内にはラクスたちを評価する者がいて、さらにコープランドは……
連合を追われたアークエンジェルのクルーを、法的に免責したというのだ。
怪訝そうなラクスの表情に、コープランドは同席したもう一人の男をキッと睨む。
ラクスとコープランドのやり取りを、頬杖をつきながら傍観している男――ロード・ジブリールを。
「ジブリール、君は何も御話していないのか?」
「今更アークエンジェルのクルーのことなど、どうでもよかろう」
「……少しは気を利かせてもらいたいものだな」
「彼女に媚を売りたいのなら、最初からそう言ってくれ。善処したのに」
「そういうことを言ってるんじゃない!」
赤面して否定する大統領。そしらぬ顔のジブリール。
困惑するラクスを余所に、会談は話題を外れ始めた。
318 :
3/18:2007/02/16(金) 00:00:09 ID:???
コープランドはラクスたちを肯定的に評価していた。戦争を止めたという意味において。
大西洋連邦は本土こそ被害を受けなかったものの、ニュートロン・ジャマーにより産業は壊滅。
キャンセラーが手に入った後、若干好転したものの、戦前とは程遠い経済状況にあった。
また、ラクスたちの決起は、パトリック・ザラのジェネシスによるワシントン狙撃を阻止してもいた。
ムルタ・アズラエルに引き摺られる形で戦局を泥沼化させた前政権――
それらに終止符を打ってくれたことに、コープランドは感謝していたのだ。
ラクスを粗末に扱うことはするなとジブリールに念押しもしていたらしい。
「……つまり、私は貴女に対して敵意を抱いてはいない。それだけは信じていただきたい」
ようやく話を本来の方向に戻す。
だが、それでもラクスにとっては不可解であった。今の己に利用価値があるとも思えない。
プラントの歌姫は、公式には行方不明――失踪状態にあるのだ。
彼女が大西洋連邦に属し何らかのアクションを起したとしても、連合にプラスになるとは思えなかった。
ラクスはその旨を訴え、答えを待つ。彼女の問いを受け、コープランドは少し間を置いてから応え始めた。
己の意図を、正確にラクスに伝えるべく。
「開戦は、私の本意ではありません。
先の大戦からまだ2年、この国は戦争など出来る状態ではない。
プラントとは武力ではなく、対話と折衝を重ねることで新たな友好関係を築きたかったくらいです」
コープランドは、就任に際し地球圏統一構想を掲げていた。
表向きは外交交渉によるプラント封じ込めを弄しているよう、振舞ってはいたが……
本心では、プラントと地球連合との関係改善を図ろうと思っていた。
その矢先、地球にユニウス・セブンが落ち――
世論は一気に開戦へ向けて動き出し、連合プラント間の戦いの火蓋は切って落された。
先の大戦で決着を付けられなかった軍も、それを強固に後押ししていた。
ブルーコスモスという思想集団の影もあったが。
「だが、悪戯に戦局を拡大し、先の大戦のように……
ナチュラルとコーディネーターが、互いを滅ぼしあおうとするような事態は、なんとしても避けねばならない」
戦争の早期終結を図ろうとするコープランドは、やがてラクス・クラインに関心を抱く。
319 :
4/18:2007/02/16(金) 00:01:02 ID:???
開戦当初、コープランドは戦争の早期終結を信じていた。
先の大戦の切欠となった血のバレンタインは、明らかに連合側に非があった。
それに比べ、今回の開戦の原因となったのはユニウス・セブン。
非はプラントにあり、地球のプラント関係国――中立であったオーブやスカンディナヴィアも連合についた。
孤立化を深めたプラントは次第に追い詰められ、連合の出した講和案に乗らざるを得なくなる……筈であった。
しかし、プラント政府の動きは迅速。あっという間にユーラシアに派兵。
瞬く間にジブラルタル基地を基点にヨーロッパ西側に根を下ろし、各国をユーラシア連邦から脱退させようと画策する。
非がある筈の者達が、我が物顔で戦局を優位に推し進める。
忸怩たる思いはあったが、ユーラシア連邦が崩壊しては元も子もない。連合の体制が揺らいでしまう。
負の側面を考えたコープランドは、遂に非公式ながら譲歩案を提示する。
「カガリ代表にも促され、先ごろ私は内々に講和の条件を緩和し、提示しました。
最高評議会の総退陣とザフト解体が最初の条件でしたが……
国防委員会の解体とザフトの地球軍基地の縮小程度に留め、デュランダルに提示したのです。ですが……」
返答はなし。黙殺という形で、プラント側は何の回答も為さなかった。
非公式の講和条件提示ではあったが、プラントが和平を望むのであれば当然内諾可能な条件の筈。
それでも何の返事も為されず、逆にデュランダルは地球に下りてきていた。ユーラシア連邦の切り崩しのために。
「先ごろ手に入った情報に寄れば、デュランダルはトルコに降りてきたのです。
戦地の視察が目的……とは思えません。時を同じくして、ユーラシア西側の政治家がトルコに集まっている。
下手をすれば、ユーラシア連邦は分裂してしまうことでしょう」
足元を見られたのかもしれない。何れにせよ、これで融和路線は一時凍結せざるを得ない。
少なくとも、ユーラシア連邦からザフト勢力を排除せねば、形勢は逆転してしまう。
やむを得ず、大西洋連邦からユーラシア連邦に大規模な増援軍の派遣を決定した。
とはいえ、講和の糸口はなお探らねばならない。
そこで白羽の矢があたったのが、ラクス・クラインである。
「ユーラシアからザフト勢力を撤退された暁には、現政権と再度の交渉の場を持ちたい。
そこで……是非とも、貴女にご登場願いたいのです」
和平の使者――それが、コープランドがラクスに望む役割であった。
320 :
5/18:2007/02/16(金) 00:01:59 ID:???
ラクス・クラインは現政権に暗殺されかけた。
それは、少なくともプラント国民は知らぬ筈。あるいは、政治家連中も一部しか知らないのかもしれない。
そうであれば、ラクスを連合が担ぎ出すことで、心理的プレッシャーをデュランダル政権に与えることは必定。
なにせ、未だプラントでは人気の高い”平和の歌姫”。
かつてプラントに敵対行動を取ったことも、多くの国民は和平を早めるための行動と受け取っている様子。
となれば、連合サイドにラクスが籍を置くことで、国民の知らぬ真実をちらつかせる事が出来る。
もっとも、プラント政府としては、連合が担ぎ出したラクスを偽者と断じ、糾弾することが予想される。
しかし、彼女が自らの言葉で語り出したとき、プラント国民は――
「おそらく、プラントの国民の中では……貴女が本物であると信じる者、信じない者に分かれるでしょう。
だが、これはプラントに混乱をもたらす。悪い意味での混乱ではありません。
少なくとも、現政権へのダメージは計り知れないでしょう。
要は、プラントの戦争継続の意思を断ち切ることが出来ればよいのです。その端緒となれば……」
コープランドの目論みは、言葉にすればこういうことである。
一見すると、平和への道筋が立つかと思われる手法。だが、ラクスにとっては……
プラント政府が姦計を持ちユーラシアを分断しようというのなら、連合はラクスを使いプラントを分断する。
コープランドの言葉は丁寧ではあるが、ラクスにプラントを売り渡せというようなもの。
聊か言葉に詰まりながら、ラクスはそれでも反論する。
「……私に、今度こそ売国奴になれと?」
「そんなことはありません! ただ、早期の和平のために……!」
「――結果的には、同じことでしょう」
「……! そ、それは……」
ラクスの身になれば、それは酷い仕打ちであろう。
祖国を分断するための人身御供になれと言うのと同じである。
それでも、コープランドは食い下がった。
「お気持ちは痛いほど分かります。ですが……こうする他ないのです。
戦争が早期に終結しなければ、いつまたブルーコスモスの強硬派連中が台頭してくるか……
核の使用も、私とジブリールで押さえていますが、それもいつまで持つことやら……」
説得のための説得――コープランドは連合の内情を打ち明ける。
ユニウスセブンの落下以来、日に日に高まるコーディネーター根絶論。
それは政治の世界にも波及していた。”核の使用”――それを望む声は後を絶たなかった。
321 :
6/18:2007/02/16(金) 00:02:49 ID:???
仮に、核を使いプラントを殲滅できたとしても、地球上に残ったコーディネーターたちの処遇が問題となる。
最大の問題は、カーペンタリア・ジブラルタルのザフト軍兵士達。
彼等は、間違いなく祖国の復讐を果たさんとするだろう。それこそ、地下に潜ってまで。
下手をすれば、彼等が地球の各都市に潜り、BC兵器を乱用することも想定されうる。
そうなれば、戦争ではない戦争が始まる。
常にナチュラルは、地下に潜ったコーディネーターのテロの脅威に四六時中怯えることになる。
「冗談では有りません! 一時の感情に任せて核を使い、そのような事態になれば……
収集がつかなくなることは必定。だからこそ、冷静な者達は、早期和平のため動いているのです」
コープランドら、和平推進派の願いはそれであった。
その中には、一応この場にいるもう一人の男――ロード・ジブリールも含まれていた。
彼を見ながら、大統領は語る。
「この男、ロゴスにしてブルーコスモスの盟主であるジブリールも、一応……
私たちと志を同じくする者ではあります。信じられないでしょうが……」
「あ? だれが和平を願っているだと?」
「お、おい! ここは……」
「コープランド、ふざけるのも大概にしてくれ。私がいつコーディネターと仲良くしたいと言った?」
「は、話が拗れるだろ! ここは……!」
連合内における最有力国の大統領を前にして、このふてぶてしさ。
話を合わせろと暗に願うコープランドの思いは無視され、ぶっきらぼうに返す盟主。
不審気にジブリールを見るラクス。その視線に気づいたのか、ようやく彼は釈明する。
「ちょうど良い機会だ。ラクス・クライン。私の立ち位置を明確にしておきましょう」
コーディネーターを嫌いながらも、コープランドと歩調を合わせる彼……その真意とは。
「コーディネーター……実に不快な連中だ。
生まれながらにして天才的なナチュラルと同等の力を得ている。
あまりに酷い。これでは、ナチュラルに生まれた者が可哀想だ。
……などと、馬鹿げたことを、私が言うと思いましたか?」
ニヤリと笑い、それが真意ではないことを告げる。そして、今度こそ”真意”を明かす。
「コーディネーターなんてものは、所詮自然妊娠も碌に出来ない”欠陥品”。
そんな連中は、放置しておけばいずれ死に絶える種。ゆえに、無理に殺すまでもない……ということですよ」
当のコーディネーターであるラクスを嘲るように、悪魔は語り出した。
322 :
6/18:2007/02/16(金) 00:04:39 ID:???
ちょうどその頃、クレタ基地に停泊するオーブ軍タケミカヅチの艦長室。
艦長のトダカ一佐と、名目上の艦隊司令ユウナ・ロマ・セイラン中将が何やら、話し込んでいる。
ユウナはトダカに問う。
「で、甲板の修理には、あとどれくらいかかるんだい?」
「MS同士の格闘戦を演じられたのです。最上部の甲板は凸凹であります」
「甲板は三層まであるだろう? 上は壊滅的として、下の二つは?」
「幸いにして下の二つは無事です。ムラサメ隊の発進には差し支えありません」
「……ま、数日では無理としても、出来る限りの修復はやらせてくれ」
「ハッ!」
2人が話しているのは、先日の戦闘で傷ついたタケミカヅチの甲板のこと。
気の毒なことに、この艦の最上部甲板は、ストライクMk-Uとインパルスの格闘戦の舞台となった。
奇跡的に人員の損失こそなかったものの、代わりに最上部甲板が犠牲となった。
大剣による切りあいにより激しく傷ついた甲板は、完全修復はできず。
すくなくとも、数日の補修でどうにかなるものではなかった。
ため息混じりにユウナは指示を出が……唐突に彼はトダカに問う。
「ところでトダカ、君に聞きたいことがあるんだけど。あの女の子のことだよ。ホラ、インパルスってMSの
ボクの記憶が確かなら、あの少女は君のことを知っていたようだけど……知り合い?」
「――!!」
あまりに突然に問われ、トダカは言葉を失う。
ユウナが問うたのは、インパルスのパイロット――マユについて。
彼女がタケミカヅチに降伏を迫ったとき、ユウナやトダカとの問答の最中、呟いたのだ。
「彼女は言ってたよね? 君の事を”トダカ一佐”って」
あの激戦の最中、ユウナは暫しの問答のすべてを記憶していた。
いずれ問おう、問わねばと思っていたことであったが、ここ数日司令官としての仕事に忙殺された。
艦の指揮はトダカに任せるとしても、クレタ基地の連合司令官らとの折衝は、ユウナの仕事。
彼は彼で、名目上の司令としての仕事があったのだ。
円滑に補給が為されるよう、挨拶に出向いたりもした。
また、国許への戦況報告などなど……ややこしい仕事にも悩まされ、結局今日まで問いただす機会を逸していた。
「別に咎めちゃいない。ただ……
知り合いなら、彼女が何者なのか教えてくれると嬉しいな♪」
茶目っ気を交えつつ、ユウナは笑顔でトダカに問うた。勿論、目は笑っていなかったが。
一方の相手であるトダカは、内心この日が来ることを覚悟していた。
ユウナは愚鈍な男ではない。政治家としての修行を積む、若輩者ではあったが。
戦後二年でオーブを復興させたセイランの血筋。普段は軽薄な態度で覆い隠してはいるが……
その視線は、決して愚者のそれでないことは、行動を共にして十二分に分かっていた。
言葉を選びながら、トダカは応える。
「彼女の名はマユ・アスカ。戦災孤児としてプラントに渡った、元オーブ出身の少女です」
この言葉を皮切りに、トダカはマユとのこれまでの経緯を克明に語った。
323 :
8/18:2007/02/16(金) 00:05:49 ID:???
トダカが総てを語り終えた後、ユウナはため息混じりに言った。
「戦災孤児……か。政治家の端くれとしては、責任を感じるよ。
家族を失い、コーディネーターの安住の地に行ったのも束の間……その才から、戦争の道具に利用されるとは……ね」
マユの立場を慮りながら、ユウナは嘆いた。
元をただせば、オーブが彼女の家族を守れなかったことが、この悲劇に繋がった。
かつての同胞に刃を向けた少女の心境は、察するに余りある。
「申し訳ないと思うよ。心底……」
トダカに言ったのではない。ここにはいない、少女に向けて言ったのだ。
ただ、彼の本分――オーブ軍司令官としての職責とは、また別の話。
同情する傍ら、思考はすでに”今後”どうするべきかに向かっていた。
「この件、申し訳ないけど連合には伏せさせてもらう。
なにせ……元オーブの人間が、ザフトのエースパイロット格だなんて知れたら、困るものね」
外交的な問題へと波及せぬよう、暗に緘口令を敷くよう指示する。
すなわち、トダカに対して”口外無用”を言明したのと同じ。
相手の意をさっしてか、トダカも無言で頷くだけであった。
と、突然、司令室の呼び出しブザーが鳴る。ブリッジからのコールが入ったのだ。
また、次の仕事が舞い込んだに違いない。やれやれと肩をすくめ、ユウナがコールを受ける。
「どうしたの? 何かあったのかい?」
『あ、ユウナ様!」
「アマギか。どしたの?』
通信を繋いできたのは艦橋のアマギ一尉。
艦長トダカが司令室に来ており、彼がブリッジで代役を務めていたのだ。
その彼から連絡があったということは、彼では処理しきれぬ問題が発生したということ。
『それが……たった今、来客がありまして』
「お客? 誰?」
『第81独立機動群のゲン・アクサニス中尉です』
「ヤマト三尉にでも会いに? なら、勝手に通して構わないよ」
『いえ、それが……』
アマギは心底言い辛そう。どうやら、ゲンはキラに会いに来たのではないらしい。ということは……
『ネオ・ロアノーク大佐の代理として、司令官のユウナ様にお会いしたいと……』
面会の相手は、なんとユウナ本人。ネオの代理ということで断るわけにも行かず……
数分後、ゲンは司令室に招かれることとなった。
324 :
9/18:2007/02/16(金) 00:06:39 ID:???
ゲンが赴いた理由は、先日の戦闘の一件。
タケミカヅチの上で戦闘を演じ、損害が生じたことに対する謝罪であった。
これは、公式にネオの代理としての謝罪であった。
如何に友軍とはいえ、艦の上でMS同士の格闘戦を演じた事で相応の被害も出た。
ネオの代理ではあるものの、張本人であるゲンは非礼を詫びた。
ユウナとしては、咎める気など毛頭なかった。
決闘を申し出たのはユウナ本人であるし、損害は致命的というほどでもない。
笑いながら、ユウナは謝罪を受け入れるだけであった。
そして、もう一つ。
キラを伴って赴いた先の酒場で、乱闘事件を引き起こしたことへの侘び。
どうやらこちらのほうが本題であるようだ。
侘びのしるしとして、ある贈り物をゲンは携えていた。
箱入りの贈答品――中身は、ディオキアで入手した品。
それを見たユウナは、鋭く反応した。
「これは……ご相伴に預かるしかないね。頂くよ」
ゲンが手渡したのは、ユーラシアの諜報員から貰ったキャビア。
セイランの良血であり、美食家でもあるユウナは、早速持ち込んだワインを取り出し……
時刻が夕刻であったこともあり、早めの夕食をとることにした。
もちろん、ゲンも一緒に。そして、当のキラも招いて。
こうして、ユウナ、トダカ、ゲン、キラの会食が始まった。
司令室から場所を移し、艦内にある将校用のクラブで、お食事会が始まった。
正直、ゲンは戸惑っていた。ネオの言いつけどおりにキャビアを、ユウナに渡したのは良い。
だが、まさかユウナと一緒に食事を取るとは思わなかった。
将校用の、少しだけ高級な食事がテーブルに並ぶ。
「さ、どうぞ。料理の大体半分くらいは、オーブの食材で作られてる」
料理を口に運ぶうち、妙な感覚がゲンを襲った。
怪訝な表情を見せるゲンを、ユウナが案じる。
「……」
「どうしたんだい? 中尉の口に合わなかったかな?」
「いえ、そんなことは!」
――過去に味わったことのあるような…懐かしい味。
それが料理を口に運んだゲンが抱いた想い。
自分の故郷は、ひょっとするとオーブではないか。その思いは、強まるばかりであった。
325 :
9/18:2007/02/16(金) 00:07:29 ID:???
やがて、ゲンが持ってきたキャビアを口に運ぶ段になり……
ふと、ユウナは話題を変える。
「このキャビア、何処で取れたもの?」
「確か、カスピ海産だったかと……」
「ふぅん」
最後の呟きは、退屈そうなそれではなく……ゲンの応えに、興味深そうに唸ったユウナ。
この時代、地球の環境の変化もあり、天然物のチョウザメは皆無であった。
もとより、旧世紀来の乱獲により数を減らしていたチョウザメである。
コズミック・イラの時代に至っては、環境の変化もありチョウザメの数はさらに減っていた。
では、どうやってキャビアが手に入るのか。
人工的に養殖した稚魚を各地に放すことにより、食用の一定数のみ確保することが可能となっていたのだ。
とはいえ、最高級品の部類に属することは間違いない。
そんな解説をしながら、ユウナはゲンとキラを見比べ、言った。
「チョウザメは絶滅危惧種だけど、不思議な話だね。
絶滅の危機に瀕した魚は、人工的に孵化させてまで、保護して増やそうとするのに……
ブルーコスモスの連中は、コーディネーターを根絶やしにしようとしてる。
一方では種を保存し、方や殲滅戦を唱える。人間って、おかしな生き物だね」
言いながら苦笑するユウナ。チョウザメの保護は地球連合各国の取り組みもあったのだ。
それと、コーディネーターへの対応とは、まさしく正反対。
皮肉交じりにそのことを指摘し、キラとゲンを再び見る。
ユウナは、ゲンをナチュラルと思い込んでいる。一方のキラはコーディネーター。
2人の対照的な”種”を意識し、二人の反応を窺っている。
とはいえ、キラはゲンが自分と同じコーディネーターであることを知っている。
そのため、彼は2人のコーディネーターに、問いかけをしているものと考えた。
おずおずとキラはユウナに問う。
「あの……今度の戦争で、連合は……コーディネーターを滅ぼすつもりでしょうか?」
「今のところ、そこまでは言ってない。けど、今後どうなるかは分からないね」
「……また、2年前のようになるかもしれない……と?」
「前の戦争のように激化すれば、そうなるかもしれない」
戦火の拡大を憂うキラ。
連合は現在のところ対プラントの姿勢は打ち出しているものの、対コーディネーター……とまでは言っていない。
それは、オーブのようなコーディネーターを一定数国民として有している国々への配慮であった。
とはいえ、先の大戦のように、最終的に種の根絶にまで発展し、核とジェネシスを持ち出した経緯もある。
将来的には、連合の姿勢も保証の限りではなかった。
326 :
11/18:2007/02/16(金) 00:08:35 ID:???
「でもね、そうなるともまた限らないわけで……」
独特の言い回しで、ユウナはキラを慰める。
ユウナはセイランの嫡子。自ずと最新の世界情勢を熟知している。
その知識の中から、楽観的な材料を集めて話し始める。
「今度の戦争の切欠になったユニウス・セブンの落下だって……
宇宙のコーディネーターがやったことで、地球のコーディネーターがやったことじゃない。
ナチュラルがいくらコーディネーターに劣るからって、ナチュラル全員の思考が短絡的な筈がないだろ?
極端な話、コーディネーター根絶論にまで発展しようとするのは、ブルーコスモスの連中くらいさ」
とはいえ、キラの隣に座っているのはゲン。
ユウナとトダカと向かい合う形で、キラとゲンが着席していたわけだが……
当のゲンは、そのブルーコスモス盟主の部下。
ロード・ジブリールが、どのように考えているかで連合の方針にも影響を及ぼす筈。
ユウナの楽観論が真実であるかは甚だ疑わしい……
そんな視線をキラはゲンを見やりながら、ユウナに向けた。
すると、ユウナはニヤリと笑う。
「大丈夫、今の盟主はそこまで極端なことはしないよ」
キラは、思考を読まれたことに瞠目する。
驚くキラを尻目に、ユウナはその根拠を解説し始めた。
「いいかい? 種を絶滅させるのは大変だ。魚ならいざしらず、相手は人間。
それも、普通のナチュラルをはるかに凌駕するコーディネーターだ。
本気でやろうと思ったら、とんでもない反撃を食う。ジェネシスを地球に向けられたときのように」
言いながらキャビアを頬張って、美味いと一言。そして、ユウナは話を元に戻す。
「つまりさ、リスクの話だよ。今のブルーコスモス盟主は金融界のトップ。
アズラエル財閥のような軍需産業でのし上がってきた一族とは違う。
ジブリールなら、より確実性のある方法を採るはずさ」
キラは問う。では、それはどんな方法かと。
ふむ、と唸ってから、ユウナは話し始める。これは仮定の話であると前置きした上で。
327 :
12/18:2007/02/16(金) 00:09:28 ID:???
「コーディネーターってのは、昔から社会問題ではあったさ。すごい力を持った、ごく一部の人間が存在するんだからね。
でも、それはプラントが出来る前は大した問題じゃなかった。マイノリティである彼らは、地球では極小勢力。
彼等コーディネーターは、その能力を地球のために使ってくれたから。害悪と呼べる存在ではなかったさ」
しかし、彼等がプラントを作り、国家として声高に独立を宣言しようとした頃から話は変わる。
「マイノリティがマジョリティを脅かす。事の根幹は、そこにある。
マイノリティであったコーディネーターが、国家として強大な力を身につけようとする。
だから、連合はそれを阻止したかった。先の戦争だって、結局のところそこに帰着するわけだし」
切欠は独立を疎んだブルーコスモス将校が、核を放ったこと。
だが、元をただせば、ユウナの言葉どおり、連合とプラントの確執は、コーディネーターが力を持つことを恐れたことに起因する。
では、マイノリティであるコーディネーターを、元通りの状態に戻すには……
「単純な話、プラントがコーディネーターの国でなくなればいいのさ」
「……そんなことが出来るのですか?」
「プラントの大多数を、ナチュラルが占めるようになれば、可能だろうさ」
ユウナの回答に、キラは閉口する。
それは、まったく現実味のない話であった。
プラントの大多数はコーディネーター。プラントにいるナチュラルといえば、第一世代の親たち。
あとは、ジャンク屋を始めとした宇宙の商売人や、貿易・外交関係で出入りする者がほとんど。
プラントでナチュラルが占める割合は、数パーセントしかいないのだ。
「そんな話……まるで現実感がありませんよ」
少し呆れた顔で、キラはユウナを責める。
確かに、ユウナの話は現実的ではなかった。しかし、ユウナは真顔で反論する。
「プラントの第二世代以降は、婚姻統制があり、自由に結婚できない――って、知ってるだろ?
もしも、これからも出生問題が解決できなければ、子孫を残すためにはナチュラルを受け入れざるを得ない。
ボクは理系じゃないから、あまり詳しくはないけど……
第二世代以降の出生率も、数字的には良くないらしい。となれば……」
プラント政府が、出生率低下による人口減に歯止めをかけるべく、ナチュラルを受け入れる素地はある。
プラントが国家の体を保ちながら、何らかの手段で大量のナチュラルを送り込み、コーディネーターの力を弱める。
それがユウナの提示したプランであった。
328 :
13/18:2007/02/16(金) 00:10:25 ID:???
「――つまり、コーディネーターを段階的に抹殺する、ナチュラルとの同化政策をプラントに実行してもらうのです」
ユウナの説明、それとほぼ同じことをジブリールは説いた。ただし、相違点はあった。
戦争終了後に連合との融和政策をプラントに採らせ、かつその中心にラクスを据えるというプラン。
戦争により疲弊した地球連合の経済状態は芳しくなかった。
大西洋連邦は、ロゴスの強力な経済基盤のお陰もあって、打撃は最小限に抑えられていたが……
ユーラシア連邦、東アジア共和国といった強国でさえ、戦争で崩壊した産業と失業者問題に喘いでいた。
赤道連合やアフリカなどは更に貧困の問題を抱え、連合としては経済復興の道筋すら立っていなかった。
そこで、コープランドとジブリールは考えた。
「新たな産業を模索しようとすれば、地球では最早限界があり、天然資源もいずれは底を突いてしまいます。
将来的な展望を考えれば、鉱物資源の豊富な宇宙にこそ、我々の未来がある。
そのために、プラントに多額の出資もしました。ロゴスだけでなく、国家の総力を挙げて」
コープランドが補足的に説明を加える。
そもそも、プラントとは、枯渇しつつある地球の資源の代替として、連合が宇宙の鉱物資源を求めた拠点であった。
それが独立を果たしてしまい、折角のプランも水泡に帰したわけだが……
ナチュラルの移民を再びプラントに送ることで、連合は元の計画への回帰を狙っていた。
雇用の促進と産業の新生を同時に成し遂げ、かつ停滞する経済の復興するための画策。
同時に、コーディネーターの力を弱め、ナチュラルと同化することも、狙いの一つではあったが。
「連合各国がナチュラルの人材を宇宙に上げ、プラントに移民として迎え入れられれば……
今日のようなナチュラルとコーディネーターとの争いも、幾分緩和されるでしょう。
プラントにとっても利点はあります。婚姻統制などしなくとも、子孫を作ることができるのですから」
コープランドは、あくまで融和の一環でもあると強調する。
もっとも、ジブリールにとっては……やはり、融和などではなかった。
「私は、これが最も合理的にコーディネーターを抹殺できるプランであると、確信しています」
「お、おい! 話をややこしくするな!!」
「……コープランド、生憎だが私はこのお嬢さんに媚を売る理由はないのだ。
なぜなら、彼女はこの提案を受け入れざるを得ないからだよ」
「な……に?」
確信に満ちたブルーコスモス盟主の口調に、コープランドは驚きながらラクスの表情を窺う。
”抹殺””抹殺”と言われて、気を悪くしていないか気をもんだ大統領であったが……
ラクスはしばらく瞑目したまま……静かに頷き、その条件を――
「……その提案、受け入れますわ。ただし、一つだけ、条件があります」
329 :
14/18:2007/02/16(金) 00:11:15 ID:???
数分後――
大統領執務室から、ラクスは先に帰され、あとにはジブリールとコープランドだけが残った。
まだ、信じ難いという風に、なんども首を捻りながら……大統領は呟いた。
「ああも従順に協力をとりつけられるとは思えなかったが……
まさか、お前……彼女に対して、洗脳などしてないだろうな?」
「洗脳した方がよかったか?」
「いいわけがないだろう!!」
「安心しろ、その必要はない。彼女自身、我々と考えを同じくしているのだから」
ジブリールは確信していた。自分達のプランに、ラクスが乗ってくることを。
だが、その理由を図りかね、コープランドは頭を抱える。
「教えてくれ、お前は……彼女の何を知っているんだ?」
「女心などは知らんが……彼女のことは大体調べ上げたよ。そして、一つの答えを得た」
「……それは?」
「ヒントをやろう。彼女には婚約者がいただろう。アスラン・ザラだ」
国防委員会委員長であったパトリック・ザラの実子、アスラン・ザラ。
最高評議会議長であったシーゲル・クラインの娘、ラクス・クラインの婚約者である。
「プラントの抱えている深刻な人口減少問題。
だが、実に不思議じゃないか? 偶然、国の軍事と政治の頂点を司る者同士の子が……
”全くの偶然に”だ、2人の間に”子供を作れる”という。
第二世代以降、限りなく低い自然妊娠の確率が”たまたま偶然に”2人にあったんだ」
アスランとラクスには、適性があった。2人が子供を作れるという適性が。
そして、それがプラント国民に与えた影響は、計り知れない。
「自然に子供が出来ず、人口問題で婚姻統制までする導入する政治体制。
それを促進させ、正当化させる、まるで”誰かが筋書きを作ったかのようなお話”じゃないか?
君も政治家なら、分かるだろう。これは”素晴らしいストーリー”だということが!」
政治の世界の中枢に居る者たちの子同士が、婚姻統制に従う。
その事実は、国民に婚姻統制を強いるという負の側面を、相当に軽減できたことだろう。
だが、それが……もしも、作られた物語だとしたら――
「ラクス・クラインは、出生前に何らかの処置を施された?
まさか……ザラの後継者と子供が作れるよう、コーディネートされたとでもいうのか?」
「それは、彼女が我々に協力すると明言した事実が、裏付けているだろう」
ニヤリと笑い、ジブリールは自説を結論付ける。
「あの娘は、キラ・ヤマトと出会うまでは……鳥かごの鳥だったのさ。
初めて、作られた己の生き方に抗って、自由――フリーダムという力を得るまで、な」
330 :
15/18:2007/02/16(金) 00:14:24 ID:???
一方、先に乗ってきた車に帰されたラクス――車中、リムジンの最後部席でジブリールを待つ彼女は、ただ瞑目していた。
彼女は、すでに、連合と手を組みプラントを売り渡したすという罪悪感に苛まれてはいなかった。
寧ろ、それとは全く逆の……連合と手を組んだメリットについて思考をめぐらせていた。
「ナチュラルとの同化……願ってもいない話ではあります。
けれど、抵抗する者達はいるでしょう。ザラ派をはじめとしたコーディネーター至上主義者。
彼らを説得するのは、並大抵のことではない……これは、大仕事になりますわ」
仮定の話ではあるが、戦争が終結しコープランドたちのプランが実行されることを、ラクスは内心喜んでいた。
先程提示したコープランドのプランは、父であるシーゲルが望んでいた融和政策に近いものであった。
しかし、当時のシーゲルは融和政策を考えながらも、肝心の実行力を持ち合わせていなかった。
コーディネーター至上主義に近い選民思想を抱き始めていた者達の存在があったからだ。
彼らは、決して自分達に劣る存在のナチュラルとの同化など認めようとはしないだろう。
だが、連合から移民を得るという形で、一定数のナチュラルの定住が実現すれば……
少なくとも、彼女が願ってやまなかったコーディネーターとナチュラルの融和の端緒となろう。
プラントは閉鎖社会である。なにせ、地続きとなっている土地がないのだ。あるのは宇宙空間とそこに瞬く星ばかり。
コロニーという、ナチュラルをよせつける要素がないプラントでは、外交上の融和しか実現しない。
真の融和があるとすれば、両者が同じ場所に生きる事にある――ラクスはそう考えていた。
地球でそれを体現しているのは、中立を宣言していたオーブくらいであろう。
真の融和のために、コーディネーターとナチュラルが同じ土地に生きねばならない。
同じ場所で生きるには、プラントのコーディネーターが宇宙を棄て地球に帰ることか……
あるいは、ナチュラルをプラントに迎え入れるほかない。
前者は、プラントが宇宙の鉱物資源の採掘拠点であることから、事実上不可能であろう。
となれば、彼女が理想が実現するのは、後者のプラン。しかし――
「そのためには、私は祖国を裏切り、連合の言い成りにならねばならない……なにより、今度の戦争での祖国の敗北が条件となってしう」
身を切るような想いに、再び苛まれる。祖国を害するようなことは、出来ればさけたかった。
また、祖国の者達が敗れ、多くの犠牲を出すことは、なんとしても避けたかった。
しかし、最も彼女を突き動かしたのは……プラントの歌姫としての彼女ではなく――女の感情であった。
「お父様……貴方のなさろうとしたこと、私が実現してみせます。たとえ売国奴と罵られようと。
ナチュラルとの融和、同化をお父様は考えていた。しかし、貴方はその一方で――」
ラクスの眉間に、普段には見られない皺が寄る。
その表情は次第に苦々しくなり、様々な感情が彼女の脳裏を過ぎる。苦悩、後悔、懺悔……そして、憎悪。
「――私とアスランの間に、子が出来るようコーディネートされた!
そして”歌が上手く謳えるよう”に! 平和の偶像だけを私に押し付けて!
女は子供を生むための道具ではありません!! ましてや――生き方を決められる道理も!!」
己の半生の独白――それはジブリールの語ったとおり、籠の鳥のそれ。
だが、彼女は自由を得た。一人の少年との出会いによって。
彼女は、こんどはその少年が自由を得られるよう、コープランドにある条件を提示した。
「キラ! 貴方は私に自由をくれた! もうすぐ……貴方も自由にしてさしあげますわ!!」
331 :
16/18:2007/02/16(金) 00:15:23 ID:???
コープランドと今後の打ち合わせをしたのち、ジブリールは送迎用のリムジンに戻った。
車のなかでは、ラクス・クラインが待っていた。そのラクスに、彼はファイルを手渡す。
黒いファイルには、相当量の書類が挟まれていたが……
「これが、貴女の出した条件に符合するものだ。ご確認を」
書類の最初の頁には、こうあった。”National Insane Secrets――Project Killer”と。
書類を数枚捲り、ラクスは軽く頷いてた。
「これで、総てですか?」
「コープランドは、この計画は総て廃棄されたと言っていました。
同時に貴女に”キラ”に関する権利の総てを委ねるともね。
すでに失効した計画、決して公表せず、私的に取扱うことが条件ですが……ご自由に」
「……分かりました」
2人を乗せたリムジンは、ゆっくりと走り出した。
しばらくして、ジブリールは徐に口を開く。
「これで、キラ・ヤマトは公的にも貴女の物になったということです。おめでとうございます――」
「――そのような物言い、不快ですわ」
「おっと、これは失礼」
失礼、と言いながら、笑みを浮かべる紳士。
が、ラクスはそれを咎めることもせず、ただ書類に目を通すばかり。
伊達めがねが邪魔だったのか、それすら取り外し、必死に書類を捲る。
書類の中身は数字の羅列や、図解だったり……一見して素人には分からぬもの。
ラクスはそれでも最後のページまで確認し、書類が真正のものであることを確認する。
彼女は漸く最後のページに辿り着く。しかし、それを見たとき、ラクスの眉間に皺が寄った。
書類の最後の頁には、こうあった。”National Insane Secrets――Project Sin”と。
「……計画は、まだ続いているのですか?」「総て廃棄されたと、申し上げましたが?」
「それは、嘘でしょう。キラだけでなく……大西洋連邦の計画が元となって作られた者――
最高のコーディネーター、それの後継となった者が、いるはずです」
「計画は廃棄されました。が、何者かによって受け継がれた様子です。
まだ調査中の案件ですが……そのうちの一人は私の手元に居ます。貴女もご存知の男だ」
一人だけ――ラクスには思い当たる人物が居た。
セカンドストライクのパイロットにして、ラクスの命を救った二人目の男――
「彼が……本当の”二人目”だったのですね……」
俯きながら、今度こそラクスは口をつぐんで、物言わぬ秘書の姿に戻った。
332 :
17/18:2007/02/16(金) 00:16:16 ID:???
翌日、エジプト共和国アレキサンドリア基地。
今はザフト軍基地となっている地。その基地のゲート脇に、大勢の人が詰め掛けていた。
一人の兵が、拡声器を使って叫ぶ。
「メディカルチェックは、5番ゲートで行ないます!
医療機関により書かれた出生証明書、及びコーディネーターであることを証明する書類!
これらを持参していれば、提出していただきたい!」
声を枯らし、兵士は叫ぶ。今日で何回、いや何十回叫んだだろうか。
日に日に増えるゲート前の人影。彼らは――いや、彼らもコーディネーターであった。
開戦後、ユーラシア連邦から流れてきた大量のコーディネーター。
彼らは、ユニウス・セブン落下後、身体生命に不安を感じ、安住の地を失った者達。
ザフト基地を経由し、プラントに住居を移したいと願う者達であった。
「ったく、戦争しにきたのに、これじゃあコンサートのアルバイトと同じだよ」
ゲート前で声を枯らしていた兵士は、小声で愚痴を言う。
いわば難民状態の地球在住のコーディネーターは、日に日に増え、軍の余計な仕事もまた増えた。
しかし、慢性的な人手不足のプラント、ザフトでは猫の手もかりたい状態。
使える人間の選抜にも、余念がなかった。
兵士はゲートの奥に入り、メディカルチェックを終えた者達のなかから……
ザフトで働きたいという者たちの、面接の仕事に取り掛かった。
少数でもナチュラルの数倍働けるのがコーディネーター。
兵士が面接する最初の一人は、いかにも人の良さそうな笑顔の青年であった。
「君、名前は?」
「イルド・イドと言います」
「……イルド君は工学博士、ドイツの航空宇宙関連企業の技術部に就職ね。
プラントには行かず、地球のザフト軍関連施設で働きたいということだが?」
「構いません。自分はコーディネーターで、今は居づらいですが……
ボクの故郷は地球です。地球で働きながら、平和が訪れるのを待ちたいんです」
出生証明書もあり、ザフトのメディカルチェックでもコーディネーターであることが保障されている青年。
また、技術力もあることは職歴のとおり。喉から手が出るほどの逸材であった。
「明日から、基地で働いてもらう。戦争のさなか危険だが、頑張ってくれ」
「……ありがとうございます!」
青年は満面の笑みを浮かべ、兵士に礼を言った。
333 :
18/18:2007/02/16(金) 00:17:17 ID:???
「コーディネーターってだけで、ある程度信用されちゃうんだから、楽なものさ」
アレキサンドリア基地に入り込んだ青年は、ニヤリと笑いながら呟く。
イルド・イドと名乗った青年――それは本当の名前ではない。
ラングレーから送り込まれた諜報員。真の名を、イルド・ジョラールと言った。
「さてと、あとはどうやってミネルバに近づくか……だね」
ザフトに技術者として雇われた身の青年は、用意された私室で今後のプランを練る。
ミネルバそのものは巨大であり、人目につく。基地を歩けば、あの艦を見つけることは造作もない。
ただ……
「どうやってターゲットと、接触するかが問題だ」
ミネルバに潜入し、パイロットが何者であるのか見極めねばならない。
マユ・アスカという少女であるかどうか。もしもその少女であると分かれば――
「ボクは誘拐犯になるわけだ。クククッ……! 面白いな!」
悪びれもせず、さも愉快そうに青年は笑う。
マティスからの指令は、パイロットがマユだった場合は誘拐。
スパイ行為に、彼はこの上ない昂ぶりを感じていた。それが彼の――イルドの性であった。
「ジェームス・ボンドみたいじゃないか!」
架空の先輩スパイに自分をなぞらえ、悦に入る。
最も、ボンドは常にラブロマンスを共にする女性が居たが、彼のターゲットは少女。
その点、明らかにボンドとは異なってはいたが、本人はただスパイである自分に酔っていた。
もっとも、人前でそのような素振りは微塵も見せない。
このように昂ぶるのは、一人で居るときだけ、である。
果たして、イルドと少女――マユ・アスカとの出会いは何をもたらすのか?
後書きのようなもの
10、11、12、1、2と……5ヶ月経ってましたね。いや、ホント急がしかったんデス。
最近になり少し時間が出来たので、またぼちぼち書こうかなと思ってます。
ブランクあったせいもあってか筆が激遅ですがorz
GJ!
職人スレに行ってみ?このスレの職人さんが嘆いてるぞ。投下はタイミングを見計らってな。
QJ!!待ってましたぁーーーー!!
新シャアがいつか消える日までだって待ち続けますよ。
タイミングが悪いと言うか…
みんな
>>313を忘れないでやってくれ
>>314 Gj!
ここで十分だと思うからガンガレ!
>>314 新人さんいらっしゃい! このスレにようこそ!
まだモノローグみたいだから先が読めないけど、丁寧な描写で読みやすいよー。
GJってすぐに書きたかったんだが、遅れてすまなかった。 続き期待してるぞ!
…そしてPP様、お帰りなさいませ! みんな首を長くして待ち侘びていましたよ!!
夜更けなために今は読めませんが、明日穴が開くぐらいじっくり読ませて頂きます。
>>313 ようこそ、いらっしゃいました、マユスレへ
マユを軸に様々な物語を展開できるのがこのスレッドの強みかなと思っています
今回はプロローグのようなので、今後マユが砕かれた運命にどのように立ち向かうのか読ませていただきます。
>>334 久しぶりでしたが、相変わらず面白かったです。GJ!
ジブとアズラエルの背景の違いによる考え方の違いや、アスランとラクスの対の遺伝子ネタとか、
あとイルド・ジョラール登場・・・じゃあMSはなど、色々と今後の展開を楽しみにしています。
新作もきたしPP戦記もきたし…あぁ…幸せだwww
お二人ともGJ!
よりいっそうwktkしながら待ってまつ
>>313 とりあえずGJ。個人的にも好みな始まりだ。
あと催促してるわけじゃないが欲を言うならもうちょい量が読みたかった。
次回、期待して待ってます。
>>334 GJなのは言うまでもないからちょっと目に付いた事をば。
タイムリーなことに読み返したばかりだし。
なんとなくだけど最近の数話分、事情通のジブが高らかに裏事情を説明する展開が多い気がする。
話の展開や、PPの設定上仕方ないかなとは思うけど若干飽き気味。
あと少しだけ違和感があったのが15/18のラクスのところ。
ラクスってああいう熱い台詞を独り言で吐くキャラだっけ、とか思った。
なんか、こう、ただ黙って静かに決意するようなほうがらしいと思うんだけど
俺のイメージがずれてんのかな・・・。
遅ればせながらI×3氏GJでした!
リーの決意、ブルーノの懺悔、そして議長の評議会掌握・・・
サラも早く登場してキングが可哀想に気がしましたがなんだかそれだけで終わらなそうで今後も楽しみです
それはそうとヴィアのオヤジ遭遇率は高いですねw
V氏に続いて新作!さらにPP戦記まで!
あまりの興奮でぶっ倒れそうになりました。
GJの連発ですよ!
>>342 俺としては独り言よりは心の声に留めるキャラだと思ったが
「普段穏やかな奴が稀に見せる激情」ってのは古典中の古典演出でもあるんで
判断が難しいなー、などと思ったり。
ここにきてまたPP戦記が読めるこの喜び!待ったかいがありました!
本編で語られなかったキラの出生についても色々語られそうですねー。
ラクスの真意ジブリの計画も語られ、さてここからそうは問屋が下ろさないのかどうなのか?
楽しみにしてまつ!
キララクアスカガは英仏海峡で撃墜され
海を漂流しながらレニングラードへ餓死することなく漂着するわけだな。
そしてスパイ容疑で懲罰大隊送りと
諸君 私はバレンタインデーが嫌いだ。
ーーーーーーーーーーーーとあるドイツ軍少佐の言葉より。
「お集まりご苦労諸君、ではお手元のしおりを開いてくれたまえ。」
ここは薄暗い会議室。そこには男子陣が一斉に集まっていた。
目の前のモニターにはアスランとシンハロが立っている。
「まず、ターゲットはこの三人だ。」
そう言うとモニターにマユとルナマリアとミーアが映し出される。シンハロが映したのだ。
「ステラ、メイリンについては今回はグレイシアと一緒に作ると言うことが判明したため
ターゲットから除外した。きっと安心だ・・・・・だが!!」
バンッとモニターを叩くアスラン。
「前回の経験から言ってさらにルナマリアとマユは毒物。
ミーアは多分武装錬チョコレートとか流星拳でチョコレートとかもう
チョコレートじゃないよそれ!!って突っ込みが入るモノを持ってくる。
まだ俺たちは死にたくない!!」
アスランが熱弁する。
「妨害を!!一心不乱の大妨害を!!いくぞ諸君!!」
「「「「「うぉぉぉぉーーーーーーーーーーー!!」」」」
叫ぶ野郎ども、無駄に上がる士気。演説だから+50だ。
こうして少年達の命を駆けた熱き戦いが始まるのであった。
作戦1:対ルナマリア妨害作戦
「きりーのおくふかくー♪うなりあげたーうえたーけもののようにー♪」
ノリノリでBLゲーソングを歌うルナマリア。
向かっているのはアキラの部屋だ。
「前回があんまり効果なかったから今回は媚薬でも入れようかしら・・・・。
あ!!でも私コーディだから既成事実作っても意味ないじゃない!!
ちっ・・・・、じゃあやっぱり悪魔召還・・・・・・・・・。」
ぶつぶついいながらルナマリアはアキラとゼロの部屋の扉の前まできた。
鍵は開いていたので勝手にボタンを押して扉を開ける。
「ゼロ〜、アキラいる?」
部屋の中にはゼロしかいなかった。
彼はダンボール(アキラの私物)によってしっかり区切られた境界線の左側にある自分のスペースで本を読んでいる。
「アキラならシンハロの部屋。」
文庫本を閉じてルナマリアの方を向いていった。
次の瞬間、ルナマリアのあほ毛がピンと立つ。
「なんで?「なんか二人だけでしたい事があるって言ってた。」
ゼロの言葉にルナマリアのあほ毛が反応した。
数秒の沈黙。きっと彼女の脳内ではすごいことに。
「ごめん!!邪魔したわね!!」
そう言ってルナマリアは高速で部屋を出ていった。
「・・・・・ユニーク。」
ゼロは嵐が去った後の部屋でぽつりと呟いた。
(・・・・・・・これは罠かもしれない。)
ルナマリアは漠然とそんなことを考えた。
(でも・・・だめっ!!体が・・・・。)
頭は思考しているが体は勝手に反応する。
(だめ・・・・・・っ!行きたくないのに・・・・・行っちゃう!!)
自分自身に嘘をつきながら進むルナマリア。
次の瞬間、突然天井から槍が落ちてきた。
「クリムゾォォォォォンッ!!??」
分けのわからない悲鳴をあげて避けるルナマリア。
間一髪のところで華麗に回避した。
「なるほど・・・、罠がはってあると言うことはそれだけ人には知られたくないってわけね!!」
テンションがあがるルナマリア、なんか少年漫画でよくあるパワーアップ状態だ。
「ほーっほっほっほっほ!!何としてもたどり着いて・・・・ぎゃばー!!」
こうして彼女は落とし穴に落ちた。でもきっと這い登ってくるだろう。奴はそういう女だ。
作戦2:対ミーア作戦。
「ねぇ、ミーア。」
カルマが漫画を読んでいるミーアの元へ歩いてくる。
「何?カルマ。」
答えるミーアにカルマはこう告げた。
「ミーアが好きな漫画のアニメのOPこないだ見たんだけどさ。
あの歌詞ってさ、どうして二つ○を付けたらちょっぴり大人になるの?」
「・・・・・・・・ごめん、修行してくる。霊力値上げなきゃ。」
作戦3:対マユ作戦。
「うげっ!!だめだ、サバイバルモードクリアできねぇ。隠しキャラでねーよ。スティング出来たか?」
「あー、俺も無理。愛用キャラがパワータイプだから向いてねぇんだよなぁ・・・。」
アウルとスティングがゲームをしている。
すると必死に勉強(薬学関係)をしていたマユがひょこひょこと近づいてくる。
「ふっふっふっふっふ・・、どきなさい雑魚。隠しキャラまでたかが20人。私なら楽勝よ!!」
自信満々に言うマユ。実はマユデスメンバーの中で彼女が一番格ゲーがつよいのだ。脳年齢は50歳だったが。
「じゃあ頼むわ。」
そう言ってアウルはマユにコントローラーを託す。
数分後。
「え?え?え?いやぁぁぁぁぁぁぁ!!なんで五人目で死ぬのぉぉぉ?!も・・・もう一回!!」
アウルはマユにあえて言わずに去ったのだ。
難易モードを最難にしていることを・・・・・。
こうして、彼らの作戦は成功した・・・・かに見えた。
クリムゾンって何の事やらと思ったら……手前にあった心の声のネタか!!ww
ほのぼのも二度目のバレンタインネタが来たかー
思えば長く連載してるんだなあ、スゲエ
ところで全くどうでもいい突っ込みだが、冒頭の歌詞って「森の奥深く〜」じゃなかったっけ?
マユ脳年齢50歳w身体は若いのにw
二つ○とかまた懐かしいネタを・・・
ゼロォォォォォォおまいは長門かァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッwww
マユの脳年齢高過ぎだろwwwww
俺の母親より上とかwwwwwwwwwwwww
ゼロの長門化に吹いたwww
単発設定小話 「灰色の戦い 堕ちる天使編B」最終章 48
〜ミネルバ〜
アーサー「前方敵影確認!」
タリア「背後にまわりこむわよ!」
〜オーブ艦隊の中心を突っ切り、艦隊の背後にでるミネルバ以下ザフト艦隊〜
タリア「180度旋回、タンホイザー起動!各艦、主砲準備!」
アビー「各艦に伝達・・・」
アーサー「各艦、準備よし!艦長!」
タリア「蹂躙しなさい!」
〜腕を強く横に振るタリア。その合図でオーブ、連合艦隊の背後から一斉に主砲を放つザフト艦隊〜
〜アークエンジェル〜
ミリアリア「砲撃来ます!」
マリュー「回避ぃーっ!」
ノイマン「やってますって!っつぁー!!」
〜豪快にアークエンジェルを回避させるノイマン〜
マリュー「迎撃準備!」
〜迎撃態勢に入るオーブ、連合艦隊〜
〜ガイアに乗り込んだムウ〜
ムウ「えぇえいっ!ノイズにまぎれて来るとはやってくれるじゃないか!」
〜ガイアを起動させるためせわしくスイッチ類を触るムウ〜
ムウ「よし!起動完了。アークエンジェル、聞こえるな!」
〜返答するマリュー〜
マリュー「聞こえてるわよ。ちゃんと受け取っているみたいね」
ムウ「ああ、そっちの状況は!」
マリュー「よくはないわね。でもやるしか・・・ない。一斉迎撃後に各艦MS部隊を投入します!」
ムウ「わかった。じゃ、健闘を祈る!」
〜通信を切るムウ〜
〜ジュール隊〜
シホ「これから艦隊戦ですかね?」
ディアッカ「俺たちの出番はその後だな。なぁ、イザーク?」
イザーク「ふふ・・・はっはっは。やはり守るだけではなぁ!やっとまともに戦えるじゃないか!」
〜一人で盛り上がるイザーク〜
ディアッカ「・・・・・・だめだこりゃ。よっぽど守備がやだったんだな」
シホ「ジェネシスとかで数が減ったとはいえ、数的不利の状況は変わらないんですけどね」
ディアッカ「んなこたぁあいつにとってはどうでもいいことさ」
〜あきれ気味に答えるディアッカ〜
シホ「ええ、まぁ・・・っと、隊長!オーブ、連合艦隊が迎撃を始めました!」
イザーク「よぉし、ご苦労シホ!各員聞いているな。艦隊戦がひと段落したら我々も戦闘を開始する!」
ディアッカ「合図は?」
イザーク「俺が指示する!オーブ、連合艦隊を挟み撃ちにするぞ!」
シホ&ディアッカ「了解!」
続
攻めが基本姿勢なイザークはいいw
投下しても良いかな?
撃つんだ相棒!
どんとこい!
赤く染まって行く空、黄昏る私。
空を眺めるのに飽きると、家族を焼く業火の熱が私をさいなんでいた。
何もする事も無く、出来ることもない。
私は家族に手を合わせ別離の言葉を送り自宅へと戻ることにした。
途中、助けを求める声が聞こえたが、私は耳を塞ぎ無視をした。目を閉じて何も見ないようにした。私は目の前の惨状に耐えることが出来なかったのだ。
時が過ぎた今でも、時として夢に見る。死体の山、赤い血の河、空を焦がす炎と太陽を覆う煙。忘れる事の出来ない悪夢だ。
家、正確に言えば家があった場所は瓦礫の山。戻る所も帰る所もなくなってしまったのだ。落胆と絶望か私を支配するが、私はただ立ち尽くすだけでいたくなかった。
私は瓦礫の山を掘り、大切な絆を見付ける事にした。
道具などなく、小さな手でゆっくりと掘った。爪は割れ、血が滲むのにかまわず、掘った。
そして、家族との絆である写真を見付けた。しわくちゃであり、所々破れていたが、私は満足だった。
泥だらけ、煤まみれのみすぼらしい私とは違い、写真の中の私は家族に囲まれはにかんでいた。失ってしまった大切なもの。
写真を見たとき、私は泣いた。二度と戻れない幸せな過去。家族を失った悲しみが酸の様に私を侵していった。
泣き疲れ、呆けた様に空を見上げ、私は座っていた。すると──
「君、行く当てはあるのかい?」
一人の男性が声を掛けてきた。私は黙ったまま首を左右に振った。行く当ては天国しかないのだから、無いのと同じだ。
男性は私の無言の返事に顔を綻ばせ、私に暖かい食事と寝床を与えてくれると言った。
男性の言葉は酷く胡散臭かったが、私は男性の言葉に頷いた。
砕かれた運命は転がり始めた。
男性が私を連れてきた所は、古ぼけた宿屋の様な建物だった。
宿屋と違う所は、男女の矯声が響き、安酒と煙草の臭いが充満している事。
なんのことはない。売春宿につれて来られただけの話だ。幼い少女の需要はいつの時代も何処の場所にでもあるという事だ。
男性は自分の事をオーナーと呼ぶよう私に言い、まずは雑用を覚えろと私に告げた。そして、早く客をとれる様になれと付け加えた。
私は戸惑い口を金魚の様にパクパクとしていると、下着姿の妖艶な女性達に取り囲まれた。彼女達は口々に、私に哀れみの言葉を掛けてくる。「可哀想に」と。
私は生きているだけで幸せだ。焼かれもせずに、生きているのが嬉しい。ただ、家族を失った事が悲しいと答えると、彼女達は私を抱き締めてくれた。
嘘偽りのない暖かさが私を包みこんだ。
砕かれた何かがジグソーハズルのピースのように一つはまった様な感覚。
私は微笑み、一人一人にキスをして暖かさのお返しをした。
砕かれた運命は綺麗に繕う事は出来ないが、ツギハギだらけになら繕う事は出来るのだ。
私は此処で一つ一つ繕っていこうと心に決めた。
たとえ身を切り売りする様な職業であっても心が暖かければ必ず救われる──。
私は今でもそう信じている。
──to be continued──
ちょっと毛色の違う珍妙なSSで申し訳ない。今暫くお付き合い頂けると有難い。
GJ!期待させていただきます。
でもこの環境だと原作キャラとは絡みそうに無いなぁ……それもまたよしか。
よもや黄色の1さ……フリーダムのパイロットはこんな店来れんだろうなぁ。
マユ主人公の種死本編というよりは、マユ主人公の種死サイドストーリーって感じかな?
あまりないタイプなのでめちゃめちゃ楽しみです。
一度砕かれた彼女が、どのような道を歩んで己を取り戻していくのか。期待してます!!
GJ!一瞬ヘイトかと思ったけど、違うみたい。こう言うのも良いかも知れないね
単発設定小話 「灰色の戦い ぶつかり合う翼編B」最終章 49
〜メサイア周囲にザフトのMS部隊が集結している〜
ザフト兵A「あんだけぶっぱなしたんだから、オーブも連合もなかなか近づけないだろうなァ」
ザフト兵B「そりゃそうだ。こんなんだったら前線を志望すりゃよかったな?」
ザフト兵C「おいおい、あんまふざけてっと怒られるぜ?はっはっは」
〜接触による直接回線で談笑するザフト兵たち〜
ザフト兵A「はははっと・・・熱源反応?」
ザフト兵B「なんて速さだよ!?おいっ迎撃態勢!」
ザフト兵C「このコードは・・・な、なんでこんなとこにいるんだよ!?」
〜急速に巨大な影がザクに近づいてくる〜
ザフト兵A「や、やられる・・・・・・」
〜巨大なビームソードに易々と切り裂かれるザク〜
ザフト兵B「くっそ!俺たちはデプリじゃねえぞ!・・・フリーダムっ!!」
キラ「またジェネシスなんてものを作るなんて・・・あの戦争から何も学んでいないんじゃないの!」
〜残り2体のザクもミーティアのビームソードで切り裂かれ起動不能にされた〜
キラ「この数なら!!」
〜オーブ、連合のMS部隊も序所にメサイアに集まってくる〜
〜メサイア司令部〜
ザフト兵「!メサイア付近でMS同士の戦闘確認。映像だします」
〜司令部のメインモニターに別ウインドウが映し出される〜
デュランダル「フリーダム!・・・キラ・ヤマトか・・・レジェンドとデスティニーは?」
ザフト兵「レジェンドはデストロイの方へ向かっています。フリーダムにはデスティニーが向かっています」
デュランダル「そうか。防衛ラインを崩さないように注意をしておけ」
ザフト兵「はっ!」
デュランダル「それから・・・ネオジェネシスの二射目の準備も忘れるなよ」
〜メサイア内部はどこもかしこもあわただしく動きだす〜
〜全速で移動するデスティニー〜
マユ「一機で乗り込んでくるなんて・・・もう・・・終わらせてよねっ!」
〜さらに加速していくデスティニーに近づく巨大な機体〜
マユ「接触回線?・・・サラさん?」
サラ「マユ、聞こえるわね?」
マユ「はい。フリーダムが・・・キラ・ヤマトがでてきたって・・・」
サラ「ええ。・・・向こうはミーティアを装備しているわよ?」
マユ「それがなんだっていうんです?・・・あんなの大きいだけじゃないですか」
サラ「それはまぁ、そうなんだけど。・・・私が正面からぶつかるから、デスティニーで横からお願いできるかしら?」
マユ「了解しました。・・・キラ・ヤマトは私が倒して問題ないですね?」
サラ「もちろんよ。むしろあなたが倒さないと意味がないでしょ?」
マユ「・・・ありがとうございます!わがままいってすいません」
サラ「・・・・・・先に行ってるわよ!」
マユ「はいっ!」
〜デスティニーを追い越すデスティニーインパルス&ミーティア〜
サラ「・・・私は・・・あなたのお兄さんを倒させてもらうんだけどね」
〜ポツリつぶやくサラ〜
続
GJ!読みやすくて良いですね。俺には出来ないです。俺ももっと精進しないと。
今から投下してもいいかな?
かもん。
つか、投下の時にいちいち許可取らなくてもいいんですよ?
自分の好きな時に投下すればいいかと。
悲しい人、せめて安らかに。
1週間程過ぎた時、店に場違いな身なりの良い男が現れた。
「この店にはコーディネーターはいるかい?」
お道化た仕草で店の中を見回しつつ、軽薄な雰囲気を振り撒く。しかし、瞳は暗く沈み笑ってはいない。
女性達の中にはコーディネーターはいるはずなのだが、誰一人名乗りあげる者はいない。
私はそんな彼女達を訝かしく思いつつ手を挙げた。
「マユはねぇ、コーディネーターなんだよ」
男は下卑た笑みを浮かべ、私の体を舐め回す様に見つめ、値踏みをした。
「幼女は趣味ではないんですけどねぇ……まあ、仕方ありませんね。君にしますよ?」
男は顎に手を寄せ、仄かに笑みを歪めつつ、私に近付いてきた。男の言葉は嘘だ。趣味でなければ私を選ぶはずはないのだ。
オーナーは溜め息を吐き、男に相場よりも遥かに高い値段を告げた。
男は財布を取り出し、財布ごとオーナーに投げ渡した。
「少し暴利じゃないですかね?おつりは後で貰いますよ。……部屋は?」
「二階の右の突き当たりだ。ごゆっくり」
オーナーはずっしりとした重さの財布に顔を綻ばせて答えた。
私は男の手を握り締め、手を引きながら部屋に案内した。
男の手は熱帯びていて、大きかった。
そして私の手は冷たく、小さく、僅かに震えていた。
漠然とした不安が私に影を落とすが、決して怖くは無かった。
彼の手が温かったから。
部屋に入ると私はぎこちない動きでベッドの上にチョコンと座った。
彼は上着を脱ぎネクタイを緩めて私の横に座り、私の名前を尋ねた。
「お嬢ちゃん、名前は?」
「マユ……アスカ」
「僕の事は知ってる?」
私は無言のまま首を横に振った。
──そこからの記憶は曖昧になっている。
覚えている事は痛みと彼の表情。笑っているような泣いているような、不思議な表情。 ぼやけた記憶が鮮明になった時、彼は私の膝に顔を埋めて泣いていた。
私が子供をあやすように彼の頭を優しく撫でると、彼は彼の話をしてくれた。
自分がブルーコスモスの盟主であるという事。
子供の頃にコーディネーターにいじめられた事。
コーディネーターが憎いのだけれど、本当はコーディネーターになりたかったという事。
私には何故か彼の悲しみが理解できた。多分、彼も運命を砕かれた一人なのだろう。
彼が引き起こした戦争で私は家族を失ったのだが、彼を恨む事はない。
悪いのは彼だけでなく、世の中が悪いのだと思ったから。
変わらない世界は人の運命を砕く。変われない世界は人の心を砕く。
永遠の様なまどろんだ時は過ぎ、時計は別れの時間を知らせる。
彼は、着替をすませ、私に軽くキスをしてくれた。
そして、彼が戦場に赴くことを私に告げ、手を差し伸ばして
「一緒に来てもらえたら嬉しいんだけど?」と私を誘った。
私が拒否をすると、彼は悲しそうな顔をしたが、
「マユが待ってるから、戦争が終わったら迎えに来てね」
と笑みを向けると、彼は顔を綻ばせた。
そして、私は彼を見送った。
暫くして、店の女性達がテレビをを見ていた。歓声を挙げ、戦争の終結を喜び、店は休みとなった。皆が楽しそうに酒盛をしている中、私は一人空を眺めていた。
夜空は暗く、星が瞬いている。
彼──ムルタ・アズラエルが死んで皆が喜んでいる。
私だけは、本心を見せてくれた彼の死を悲しみ涙を流そう。それが彼に対するせめてもの弔辞だ。
誰か一人くらい彼の死を悲しまないと、彼が可哀想過ぎる。
もしかしたら彼に惹かれていたのかも知れない。
少し砕かれた運命を繕えた様な気がした。
涙混じりで空を見上げると流れ星を見付けた。
でも、願い事は分からなかった。
──to be continued──
GJ!
いい雰囲気だ。
GJ!切ないね。
饒舌になりたくなる時と寡黙になりたくなる時があるが、
今は静かに彼の冥福を祈ろう。
「「「まてぇぇぇぇぇぇ!!」」」
それぞれの得物を持ったミーア、マユ、ルナマリアが廊下を走る。
もちろん、追いかけているのは男性陣である。
彼らの作戦は一見完璧だったのが穴があった。
作戦が第三者に漏れていたのだ。
「くそっ!!ギルの馬鹿野郎!!」
レイが悪態をつきながら逃げる。
情報をもらした議長は各語る。
『乙女の夢を壊すなぞ言語道断!!
アンタレスに代わっておしおきだ。
と、いうか。ぶっちゃけ私がチョコレート貰いたいだけなんだが。』
「死ねばいいと思うよ。」
シンが思わず呟く。
「それにしてもどうするよ?このままだと追いつかれるぜ?」
年のせいかネオは疲れてきたようだ。微妙に息が上がっている。
マユ達の速さも怒りのせいで通常の三倍だ。
「そうだなぁ・・・・、よし。ごめんな、おまえら。」
そう言うとハイネは鞭を取り出して後方にいたジョーに引っ掛けた。
「うぉっ!!」
「みぎゃっ!!」
「わっ!!」
「?!」
「っておいっ!!」
転んだジョーに後方に続いていたキース、カルマ、ゼロ、アキラのハイネ隊一同が転ぶ。
「まかせたぞー!!」
そう言ってハイネは去っていく。
「いいのか?」
心配はするが決して戻らないアスラン。
「いいんだって!!オリキャラは既存キャラの犠牲になるため存在してるんだよ。」
ハイネはそういいながら去っていった。
「くそっ!!後で覚えてろよ・・・・!!」
ジョーが憎憎しげに言う。
「どうしよう来ちゃうよ来ちゃうよ!!俺たちこ・・殺されちゃうよ!!」
カルマが大慌てすると、ゼロが言った。
「大丈夫・・、とりあえず、アレをやってミーアだけでも止める。」
「ま・・・まさか!!それをやったら俺たちは未来永劫、ごく一部の人間を敵に回すことになるぜ?!」
「そ・そうだよぉ!!真っ向勝負したほうが・・・・・!!」
アキラとキースが戸惑うが、既にミーア達は迫ってきている。
「やるしかない・・・・いくぞ・・・・せーのっ!!」
「「「「「ミーアの蟹座ーーーー!!!」」」」」」
そう五人で一斉に叫ぶ。
すると、ミーアの動きが止まった。
「な・・・・・っ!!!」
「ミーア?!」
「どうしたのミーアお姉ちゃん!」
ミーアの変化に戸惑った二人も思わず立ち止まる。
「あじゃぱーー!!」
「死仮面ーーーーー!!」
「るーくヴぁれんたいんー!!」
「巨蟹宮!!」
「キャンサー!!」
口々に叫び始める一行。
「うぅ・・・・。」
うずくまりながら耳を塞ぐミーア。正直言ってハイネ隊はただのいじめっ子だ。
だが、突然、ミーアが立ち上がった。
「言ったわね・・・・・言ったわねーーーー!!!」
怒りが倍増したのか怒髪天を突く状態である、なんか黄金のオーラも見える。
「マユ、ルナマリア、ミネルバ・エクスクラ・・・・じゃなくてあいつら殺すわよ!!!」
(・・・私獅子座なんだけどミーアには絶対言わないようにしよう。)
(誕生日の設定なくてよかった!!)
怒り狂うミーアに心の中で呟きつつも頷く二人。
「ゼ・・・ゼロの馬鹿!!武器もない状態でどうやって闘うんだよ!!」
ジョーがマジ泣きそうな顔で言う。
「アキラ、素手で戦える性格に。任せる。」
「それ、無理!!」
真顔で言うゼロに大変晴れやかな笑顔でアキラは答える。
「ねぇ・・・話し合おう・・・ね?俺牡牛座だから許してよ・・・!」
カルマが必死に説得しようとしたが無駄であった。
「「「シネェェェェェェェ!!」」」
「「「「「「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ハイネ隊を痛めつけて多少はすっきりしたが、まだ煮え切らない。
三人は休憩室でぶすっとしながらお茶をしていた。
『おーい、あいつらどうしたー?』
するとシンハロが気の抜けた声で入ってきた。
「しねば?」
「今の私の怒りは108まであるんだよ?」
「うっとおしい。あっち行け。」
三人とも機嫌が悪いです、といわんばかりの返事をする。
『うーん・・・・、じゃあはい。これだけ置いて行くよ。ハッピーバレンタイン、三人共。』
そう言うとシンハロはどこから出したのか巨大な薔薇の花束を三人に差し出した。
造花ではなくきちんとした生花のようで甘い芳香を放っている。
「え・・・・・?」
気の抜けた反応をするマユ。
「どういうこと?」
頭にはてなマークを浮かべるルナマリア。
(ごっこができる。ローズウィッ・・・いや、ここはロイヤルデモン・・・・・。)
非常に失礼な思考をするミーア。
『だってこのまんまじゃあんまりだろ?
皆は妨害で精一杯だったみたいでそこまで頭回らなかったみたいで。
人間のカバーをするのがメカの務め。だから俺一人で用意させていただきました。』
そう言って笑うシンハロ。
「・・・・・・・ばっかじゃない!!こんなので喜ぶと思ってるのっ?!」
「だっ・・・騙されないからねっ!!嬉しくなんかないんだからっ!!」
「ありがとうなんていわないわよっ!!このばかっ!!」
『ははははは、皆ツンデレだ。』
こうして、一人のロボットの手によってバレンタインデーは静かに終わったのであった。
ちょwwwウンメイノカケラでしみじみしてた所へマユデス直撃wwww俺の余韻返せwwww
>>372 GJ! 意外な人物の登場にビックリしたけど、オーブ占領直後は滞在してたかもしれないんだよなあ。
こういうキャラの絡め方もあるのかと感心した。
今回の話で、この作品におけるマユの独特な魅力が伝わってきた。
なんていうか、欠けた心を抱えながらも自分なりに立ち直ろうとしてる過程だからこそ、アズラエルをも受け入れる寛容さに違和感が無いというか…
上手く言い表せないけど、とにかく自然体な貴方のマユがとても好きだ。 これからも楽しみにしてます!
>>376 議長、そのチョコは茶色い化学兵器だと思うのだがそれでも欲しいのか!?
しっかし、ハイネ隊はやっぱり丈夫だなー。 よくもまあ分子レベルに還されなかったもんだ。
そして気配り上手なみんなのお兄ちゃん、シンハロにキュンキュンだぜっ!!
俺の言いたいことも
>>379と同じだバーローwwwww
でもGJ!
>>ウンメイノカケラ
はっきり言って泣けた。独特の切口で描く箱庭的な世界が凄く良い!短編で無くて長編で読みたい!
>>マユデス
ふいた。
箱庭の空、紙飛行機。
1年が過ぎ、やがて私は月日を指折り数えるのを止めた。
日々を生き、過去を顧みず未来に想いを馳る事を止めたから。
一日として同じ日は無く、流れていく今を大事に生きる事にしたのだ。
星は流れ、季節は巡り、人は移ろう。時代は変わるのか変わらないのか分からない。
私は閉鎖された世界の箱庭の住人。
世界は狭いが、不快ではない。それよりも外に広がる果てしない世界の方が怖い。
ある日、店は賑やかだった。偉い人の婚礼があるという事らしい。
オーナーは、開店を遅くして、夜遅くまで店を開くという事を告げて、店を出ていった。
残された私達は、TVで婚礼の中継を見る事にした。
ブラウン管の中の花嫁は、高価そうな衣装をまとい、とても綺麗に着飾られていた。
皆は
「いつかこんな服を着てみたい」
とか、
「早く良い人を見つけて幸せになりたい」
などと話していた。
まあ、羨ましいという事だ。私だって羨ましい。
しかし、彼女の暗く濁った瞳が棘の様に私の心に引っ掛かった。
何故、幸せな筈の花嫁があんな瞳をしているのだろうか。綺麗に着飾り、何が不満なのだろうか。
私は彼女の瞳を見つめた。だけど答えは帰ってこない。
憶測に過ぎないが、彼女も運命がが砕かれていたのかも知れない。後で知った話なのだが、彼女もまた先の戦争で親を失ったらしい。
あの花嫁の肩にオーブという国の未来がある。その重さは人の運命を砕き心を引き裂く事も容易だろう。
もしかしたら、不自由ない豊かさが彼女の心をさいなんだのかも知れない
彼女もまた、箱庭の住人なのだ。
私は中継の途中で席を離れ、自室に戻った。
部屋の中は綺麗に片付けてあるが、とても質素だ。
装飾品等は少なく、去年のアズラエルの命日に彼を偲んで買った悲しい音色のオルゴールと家族との絆の写真ががあるくらいなものだ。
それと、便箋。
手紙を書く為に用意したものだ。
毎日、起きた事を二通、亡き家族とアズラエルに書いている。
出すわけでもなく、出したとしても届く事のない手紙を書く事は非常に馬鹿馬鹿しい事ではあるのだが、繋がる事の出来る絆だと思うことが出来るのだ。
窓を開ければ、空はあの日の様に目に痛い程に青い。
私は悪戯心を起こし、紙飛行機を折った。兄に習った良く飛ぶ紙飛行機だ。一折り、一折り兄を偲びながら折る。
窓から外に向けて飛ばそうとすると、何かが綺麗な軌跡を真っ直ぐに描いて飛んでいるのが見えた。
それに負けないように、紙飛行機を飛ばすと、空高く、飛んでいった。
私の代わりに何処までも、高く高く宙を描くように飛んで行け。
太陽は眩しいが、次第に雲に覆われていく。だけと紙飛行機には光が差す。
今はあの花嫁は笑っているのだろうか。
──to be continued──
今回は不出来かも知れません。もっと精進しないと。
感想ありがとうございます。後2回ほどで完結です。それまで拙い駄文にお付き合い頂けると有難いです。
えーもうあと2回で終わっちゃうんかい
せっかく良作キターと思ってたのに
黄色の13編がはじま(ry
スレ違いかもしれませんが、PP戦記三十話ジブリールの「コーディネーターなんてものは、所詮自然妊娠も碌に出来ない”欠陥品”。
そんな連中は、放置しておけばいずれ死に絶える種。ゆえに、無理に殺すまでもない……ということですよ」
という台詞を読んで思いついたので、ここに書き込みます。
種死本編最大の謎「なぜラクスの議長就任で世界は平和になったのか」について。
子孫を残せないコーディネーターには未来が無いと言い切り、婚姻統制で指定されたアスランと別れ、
コーディネーターをコーディネーターとして存続させる意味もあったデスティニープラン(ちょっと脳内設定入ってます)
を代案も出さずにつぶしたラクスを議長にすえることは、「コーディネーターはこのまま自然消滅することにします」と
いうプラントの意思表明であり、ブルーコスモスはそれを受け入れた。それで、表向きのコーディVSナチュの対立は収まった。
ということなんじゃないだろうか。
ウンメイノカケラGJ!あの茶番をこう見せますか!
>>388 黄色の13ってなに?
>>384 不出来なんてとんでもない! 今回もGJでした!!
カガリの結婚式のシーンを、マユの視点から客観的に見るとこんな感じなんだなあと思った。
大抵、本人か彼女をよく知る人間からの視点で語られる事が多いし。無関係な人間から見ると、こう見える場合もあるんだなあ。
…って、後二回?! 残念です…(涙)
願わくば、ウンメイノカケラ終了後も新作か続編を書いていただきたいです…
>>390 こんな人が種世界の大人にいたら、ガキどもが少しは真面目になっただろうな、っていうような人物
調べてみたらウンメイノカケラって最初はエースコンバットスレに投下されたSSなんだな。
巡り巡ってこのスレに来たらしいけど、このSSを読めた事に感謝するよ。
つまり、GJ!
単発設定小話 「灰色の戦い ぶつかり合う翼編C」最終章 50
〜メサイアに近づこうとするフリーダム&ミーティア〜
キラ「・・・とにかく・・・二発目を撃たせるわけにはいかない。ジェネシスを破壊しないと!」
〜ジェネシスを目指し移動する不ルーダム&ミーティア〜
キラ「あそこ・・・・・・<ピキュピキューン>!後ろ!?」
〜背後から狙われたビームをかわすキラ〜
サラ「追いついたわよ、キラ・ヤマト!」
キラ「黒い・・・ミーティア!!」
サラ「さぁ・・・そんな重い鎧は捨てて、いい加減にあきらめなさい!あなた一人でメサイアが落ちるとでも思っているの!?」
キラ「あなたに小細工は通用しない・・・。なら、僕は正面きってあなたを退けさせてもらいます!」
〜互いにビームソードを展開するキラとサラ〜
〜加速を続けるデスティニー〜
マユ「・・・・・・見えた!あそこね」
〜二つの光りが交わっては離れているのを見つけたマユ〜
マユ「いくわよ!デスティニー!!」
〜アロンダイトを手に持ち、ビーム砲を展開させるマユ。コックピットには音声ガイドが響く〜
音声ガイド「エモーショナルシステム起動条件クリア確認。システムを再起動させますか?」
マユ「オーケーよ、ミーア姉ちゃん!」
音声ガイド「再起動許可を確認しました。エモーショナルシステムへようこそ!」
〜デスティニーの機体が脈動を始める〜
マユ「この感覚・・・・・・私の・・・・・・」
〜ビームソードをぶつけあうフリーダムとデスティニーインパルスのミーティア〜
サラ「三度目はないのよ、キラ・ヤマト!ハァッー!!」
キラ「っぐ・・・ジェネシスに近づかないと!邪魔を・・・しないでよね!」
〜鍔迫り合いするキラとサラ〜
サラ「・・・さすが・・・でもね。こちらにはまだ武器があるのよ!・・・エモーショナルシステムアドヴァンス起動」
〜デスティニーインパルスとミーティアの瞬発力が高まる〜
キラ「なっ何?相手のパワーが増した?」
サラ「かっは・・・はぁっ・・・これが、エモーショナルシステムですって?・・・身体が持っていかれそうね!」
〜パワーを持て余すサラ〜
キラ「パワーを増したけど・・・動きが大雑把になってきてる!そこっ!」
サラ「!?っち・・・それじゃ落ちないわよ!!」
〜ドラグーンを発動しビームシールドを形成させるサラ〜
キラ「はぁっー!!」
サラ「そんなものっ!」
〜キラのビームソードをはじき返し、再び切りかかるサラ〜
キラ「ここで時間をとられるわけにはいかないんですよ!・・・!?後ろ?」
〜背後に気配を感じるキラ〜
マユ「てぃやぁっー!!フリー・・・ダムゥ!!」
〜アロンダイトをつき伸ばしフリーダムに迫るデスティニー〜
マユ「キラァヤマトォォっ!!」
キラ「・・・僕は・・・君と戦いたくないってゆうのに!!」
続
単発設定小話 「灰色の戦い 清浄なる世界編C」最終章 51
〜デストロイに近づくレジェンド、他ザフト軍MS部隊〜
レイ「・・・ふん。そんな少ない戦力で何ができるというのか・・・・・・」
〜デストロイとアプレンティスを目視で確認するレイ〜
レイ「灰色の・・・アストレイ。・・・・・・まったく、出来損ないどもがよくもここまで生き残ってこれたものだな」
〜前進するデストロイ〜
スティング「とにかく前進しないとな!俺たちの目的は・・・あの要塞の中にいるんだからな」
シン「ん・・・スティング。敵さんが大勢来たぜ」
スティング「・・・そんなもの・・・蹴散らしてやるぜ」
〜ネフェルテム放射体制に移るデストロイ〜
スティング「一気にいかせてもらうぜ!あんたなよっ!シン!」
シン「っけ、何を言うかと思えば。こっちも勝手にやらせてもらうぜ!」
〜ドラグーンを起動させるシン〜
〜デストロイの変形に気がつくレイ〜
レイ「!っち。後続部隊、こちらレジェンドだ。デストロイの砲撃が来るぞ!」
〜後続の味方に注意を促すレイ。デストロイの砲撃範囲から退避するザフト軍〜
スティング「蒸発しちまえぇっー!!」
〜ネフェルテムのトリガーを引くスティング。20門の放射口が光り輝き、そして光が解き放たれる〜
スティング「はっー!!」
レイ「そんな大味なものにMSがあたるものかっ!」
スティング「・・・サポート頼むぜ。ステラ、アウル!」
〜シュトゥルムファウストが静かに動き出す〜
レイ「無駄なことだ・・・」
〜レジェンドのドラグーンを起動させるレイ〜
シン「レクイエムでの借りは返させてもらうぜ!」
〜レジェンドに正面から挑むアプレンティス〜
〜ガーティ・ルー〜
リー「始まったな・・・。ノイズの状況は?」
スタッフA「微速であれば・・・移動可能です」
リー「うむ。微速前進。メサイアへなるべく近づくんだ」
スタッフA「了解。微速前進」
〜ゆっくりとミラージュコロイドにつつまれたガーティ・ルーが動き出す〜
〜メサイア〜
デュランダル「・・・レジェンドもデスティニーも始めたようだな」
ザフト兵「ネオジェネシス、再起動準備・・・・・・」
デュランダル「キラ・ヤマト・・・・・・か。ラウ・・・敵討ちではないがね、君の死が無駄ではないことを証明してあげよう」
〜モニターを見つめるデュランダル〜
続
光と影の住人、交わらない平行線。
店が休みのある日、私は慰霊碑へと足を運んだ。
潮風が運ぶ磯の香りが鼻孔を心地好くくすぐって、気分がとても良い。
植えられた花は名前も知らないけれど、とても可愛らしく、清々しかった。
しかし、潮風のお陰ですぐに枯れてしまうのが運命。
花の命は短い。でも、だからこそ花は思うがままに咲き誇り、人の目を魅了する。
永遠に儚い花の運命は私と同じだ。
全ての戦争の犠牲になった人が安からに眠ることが出来るように、手を合わせ心から祈った。
帰り道、少し遠回りをして海辺を歩いていると。何処かで見たことがあるような人物と擦れ違った。
無言で会釈をすると、彼女も会釈を返してくれた。
男性と二人連れ、恋人同士なのだろうか。 幸せそうではあるのだが、何故か影を、違和感を感じる。
立ち止まり振り向いて二人を見ると、記憶のピースがカチリとはまった。
男性の方は知らないが、あの女性は確か──プラントの歌姫だ。
何故こんな所にという疑問よりも、男性を連れている事に私は興味を持った。
下世話な話だが、私は醜聞的な物を感じ、静かに気付かれぬように後を付けた。
二人は慰霊碑の前で誰かと話していた。
朱に染まった黄昏は人を容易くは識別させない。でも、私には誰なのか解った。
──あれは兄だ。誰かと握手をしている。 歌姫と話が出来る様な道を歩んだのだろうか。
心臓が不規則な鼓動を打ち始め、息苦しくなる。
嬉しいが、嬉しくはない。
兄が生きていた喜びは確かにある。
しかし、光の中で生きてきたであろう兄と、暗い影の中で箱庭の人形として生きていた私の違い。
大きな壁が立ち塞がっている。
私は感情を処理出来なくなり、走り去った。振り返る事をせず、声にならない叫びをあげて、ひたすら走った。
日暮れて道遠し。
次第に暗くなっていく黄昏が漠然とした不快感を伴い私を包み込んだ。
誰が彼とも分からなければ良かった。
砕かれた運命が私を掴んで離しはしない。
私は薄闇に包まれて箱庭に戻り、偽りという仮面を被って人形としての仕事をこなして一日を終えた。
部屋に戻っても明かりをつけずに、ベッドに寝転んだ。
頭に白い靄がかかったように、思考がぼんやりとしていた。
それを振り払うように頭を振り、昼間の出来事を、反芻するように思い出そうとした。
確かに兄はあそこにいた。車椅子だったような気もする。生きていたものの、何か障害を負ってしまったのだろうか。
傍らには女性もいた。彼女なのだろうか。兄は今、幸せなのだろうか。
そしてプラントの歌姫と話をしていた。そして連れの男性と握手をしていた。
兄は日に背を向ける事なく、立派な道を歩んでいるのだろうか。
もし、私の存在を知ったらどうするだろうか。
温かく迎えてくれるだろうか。それとも、日に背を向けている今の私をなじるだろうか。
──解らない。
全ては憶測の域。真実は全て闇の中だ。
黄昏の中、勇気を出していれば知ることが出来たのに、臆病な私は真実から眼をそらし逃げたのだ。
私は、今まで何をしていたのだろう。
運命の欠片を集めても、繕っても過去の傷を癒す事しか出来なかったのだ。
運命が砕かれたならば、新しい運命を作り出せば良かったのだ。
、時は流れ過ぎた。無邪気な子供には戻れない事に気付く。
冷めた振りをして、悟ったような振りをして歪な心を持ってしまったのだ。
そして、私は大声で泣いた。喉が枯れるまで、涙が枯れるまで。
涙を拭うと、逆さまに見える星空に流れ星が流れた。
前にもこんな事があったような、既視感。 今なら願い事が解る。
口に出して三度、呟いた。
──幸せだったあの頃に戻りたい。
──to be continued──
(´;ω;`)ブワッ
マユタン…(´;ω;`)ブワッ
。・゚・(ノД`)・゚・。
マユ……
次回で最後だっけ……マユが救われるといいな・゚(ノД`)゚・
404 :
舞踏の人:2007/02/25(日) 16:54:59 ID:???
お久しぶりの舞踏の人です。 やっと18話が完成しました。
今から投下していきます!
会議場の厚い扉が、重々しい音を立てて開かれる。
その合間から出てきた人々は全て、濃緑色の長衣か紫色の軍服のどちらかを纏っている。
おそらく、長い間に渡って室内に押し込められていたのだろう。 うんざりとした彼らの表情からは、疲労の色が窺える。
隣人と交わす言葉もほどほどに、広いエントランスを通り抜け、屋外へと出て行く人々。
波のように引いていったその後ろに続くようにゆっくりと、二人の人物が並んで歩き出てくる。
急くことなく、泰然と歩みを進める二つの人影。
濃緑色と紫色。 文官と武官。 そして、最高評議会議長と国防委員長。
対極に位置しながら、ほぼ等しい権限を有する二人の壮年の男は、ホールの壁際の一角に向かった。
彼らの眼前には、さながら巨大な壁画を思わすオブジェが広がっている。
ざらついた砂色の岩盤に染み込んだように同化している巨大な生物の遺骸――エヴィデンス01。
あらゆる分野の学問に多大な謎を投げかけ、多くの人間に宇宙への夢を抱かせた存在の前に、彼らは並び立った。
「――参ったものだな、パトリック。
彼らの頭には、我々が犯行を行ったという予想の他には、何も無いようだ」
「そういうのは予想とは言わん。断定と言うべきだ。
……随分と暢気ではないか、シーゲル。 ほんの数日前に、死にかけたばかりだというのに」
「そうだな、死なんかったからな。
だが、その僥倖も手放しでは喜べんほど、事態は悪化してしまったよ」
長衣を羽織る髭面の男は、渋い表情で嘆息を付き、頭を振る。
その隣に立つ、黒髪を後ろに撫で付けた紫服の男は羽クジラを見上げているものも、
表情は彼と同じようなもので、眉根に神経質そうな皺を深く刻みつけている。
「……ついに彼らは口実を得てしまった。 こちらに戦争を仕掛けるための、最高のカードをな」
「ハッ、あんなのは自作自演に決まっているだろう。 これが彼奴らの描いたシナリオだ。
でなければ、首脳陣を失い崩壊した『国連』の代替品を、こんなに早く用意出来るはずがない」
「まったくもってその通りだよ。 ……だが、そんな真実は何の用も成さない。
彼らにとっては今、この瞬間だけでも、戦争を始めるキッカケになりさえすればいいんだ。
勝利しさえすれば、後世の歴史学者たちがどれだけ喚こうとも、何も変わりはしないのだから」
金色の口髭の下で、力無くもごもごと動かされていた口は、やがて語り終えると固く結ばれる。
隣の男とは対照的に、穏やかな印象を与える面差しに深い愁いの色を浮かべながら。
「――ならば、我らも往くしかないだろう。 自治を守り抜くためにも、戦争を選ぶほか道は無い」
「いいや、それは早計だ。
道は他にもあるのだ……火蓋が切られる前に膝を折れば、争いは防げるだろう」
「本気で言ってるのか? 我々が苦心して築き上げてきたプラントの体制を捨てると?
ここに至るまでに舐めた数々の辛酸、尊き礎となった同胞たちの顔を忘れたわけではないだろうな」
「……忘れるはずないだろうが。 だが、それに縛られてばかりでは危険なのだよ。
一度得ることが出来た自由だ。 例え奪われてたとしても、再び取り戻すことだって不可能じゃない」
「大層楽観的な考えだな。 幼子の絵空事じゃああるまいし。
――よく考えてみろ。 彼奴らが再び手綱を握ったとして、それを以前通りに扱うと思っているのか?
ありえない。 我らのことをミュータントと蔑み、家畜のように搾取し続けるだろう……あの頃以上にな。
もう二度と、あの狡猾なナチュラル共に支配されてはならん。 血路の果てに手にした自由を手放すわけにはいかない」
腰の後ろで組んだ手に、青筋浮き上がるほどの力を篭めながら、軍服姿の男は語る。
けっして音量が大きいわけではないが、血を吐き出さんばかりの激情篭った低い声は、周囲の空気に重圧を与える。
しかし、その中でも長衣の男は表情を変えることなく、ただ無言で羽クジラを見上げ続けていた。
「なあ、パトリックよ。 何故お前はナチュラルに歩み寄り、共存していく道を考慮しないのだ。
コーディネーターもナチュラルも、起源は同じだ。 同じ人類ではないか」
「ありえんな。 彼奴らと我らはもはや異なる種族だ。
地球に縛られる旧人類に比べれば、それに頼らず宇宙で生きることに成功した我らの方が、遥かに格上なのだからな」
「優良種、だとでも言いたいのか? その考え方は傲慢だよ。
我々は遺伝子調整を行う生殖方法を選んだ集団というだけであって、優れた人種とは言い切れない」
「現在の遺伝子解析学ならば、受精卵の時点で全ての因子を解析し、どのような人間に成育するかが判る。
その上で我々は、遺伝子を操作して劣性因子の改善、能力の増強すら可能にしているのだぞ。
調整されずに産み落とされるばかりの者たちと比べて、優れた群体になるのは当然のことだろう」
「良い点ばかりを上げればな。 だが、我々にも抱えている問題があるじゃないか。
世代を重ねるごとに激減していく出生率……
こればかりは、どんなに調整を施してもほとんど成果が出ていないのが現状だ。 …無視することは出来んよ」
今度は、それまで熱弁を振るっていた軍服の男が、黙り込む番だった。
「私はな――思うんだよ。 このまま、地球と反目しあう関係であり続けてはいけない、とな。
我々とてナチュラルと同じ、地球から誕生した生物なのだからな。
いくら遺伝子を操作しようが、どれだけ遠くへ移住しようとも、それに変わりはない。
非現実的な考えかもしれんが……新しい命が誕生しなくなったのは、
我々が、母なる星から遠く離れ過ぎたせいではないだろうか、そう思うこともあるよ」
石の中に閉じ込められてレリーフと化している巨大な生物を見つめながら、静かな語調で髭面の男は言う。
何処か疲れたような、嘆息混じりの言葉を隣で聞いていた軍服の男は、言葉が途絶えてしばらくして、口を開いた。
「学者らしかぬ、感傷的で旧い考え方だな。
コーディネーターは地球無くして生きていけないほど、脆弱な種ではない。
我らが叡智をもってすれば、出生率の問題も必ずや解決出来る。
――我々は何処まででも行けるのだよ。 この、エヴィデンス01のようにな」
「それは可能かもしれない。 だが、出来るからといって、それが正解とは限らないな。
地球から飛び立ったのか、あるいは何処か遠くから来たのかは分からないが……
ただ独りで、この暗い宇宙空間を流離い続けたであろう彼の生涯は、果たして幸せだったのだろうか」
――かつて、最初のコーディネーターとされる偉人、ジョージ・グレンが木星圏で発見した、謎の生物の化石。
人類が初めて遭遇した、地球外生命体の存在の証拠であり、
宇宙に進出した人類に対して、宇宙における生命の営みが可能であるという、希望となった存在。
現在はプラントの中心地、アプリリウス市一区にあるこの議場に展示され、一般公開されていた。
人間と同レベルの知能を有しているとされている地球の海洋生物に酷似し、更に翼を背負う幻想的なその姿は、
プラント市民にとって、自分たちに秘められているであろう無限の可能性を信じるための、いわば象徴的存在だった。
羽クジラにそのような想いを託しているのは、その前に立っている二人も例外ではなく、
まだ青年だった頃から、羽クジラを仰ぎ見つつプラントとコーディネータの未来について語り合っていた。
――何度も、何度も。 時間を忘れるほど、長い議論を繰り返してきた。
時には相手の意見に納得したこともあった。 時には相手を説き伏せたこともあった。
しかし、ただ一つ。 一度たりとも相手の意見に同調することの無かった議題があった。
「もう分かりきってるだろう、シーゲル。 コーディネーターとナチュラルは、未来永劫相容れん宿命なのだ」
「決め付けてくれるな、パトリック。 人間はそこまで狭量ではない。他者を理解する心を有している生物だ」
己の信じる意見をきっぱりと言い放った二人。
ずっと昔から、一分たりとも相手に譲歩することなく、貫き続けてきた対極の思想。
真っ向からぶつかり合った言葉の余韻が消え失せ、辺りに再び静寂が満ち始めた頃、長衣の男はポツリと呟いた。
「市民は、一体どちらの意見を選ぶのだろうな」
「そればかりは、選択を迫る時にならねば分からん」
答えた軍服の男の声は、先ほどまでの熱弁とは打って変わって、枯れ果てたかのように冷え切っていた。
どちらが先に発したのか分からないタイミングで、深い溜息が重奏した後、
長衣の男は貌に疲労の皺を深く刻んだまま、天井を仰ぎながら言った。
「なあ、パットよ」
「なんだ、シグ」
「どちらか一方の意見が選ばれた時、もう一方はどうするのだろうな」
「…お前は折れることが出来るのか?」
「無理だな。 こう見えても往生際は悪い方でな」
「知っているさ。 …なら、結果は目に見えているだろう」
「多分、殺されても文句は言えんな」
「そうだ。お互いにな」
どちらも大した力を持ってなかった頃。 まだ、出会って間もない時に使っていた愛称を含めて、交わされた言葉。
そこで初めて、二人の男は互いに笑みを向け合ったのだった。
――それはC.E.70年 2月7日のこと。
プラントを震撼させた未曾有の事件、『血のバレンタイン』の一週間前の出来事であった。
プラント全体の首都機能が集約されたコロニー、アプリリウス1区。
内部にくまなく敷かれたハイウェイ。 その上を走るリムジンの車中に、アスランはいた。
オーブ大使館公用車の後部座席に一人座りながら、沈鬱な表情で俯き、堅く口を閉ざしている。
車に乗った瞬間から、いや、それよりも前から押し黙っている彼の頭の中にあるのは、世情に対する不安だった。
……カガリの配慮により特使に任命された彼は、オーブの外交姿勢を伝えるべくプラントを訪れたのだが、
面会する予定だったプラント評議会議長の執務が多忙なため、時間の確約すら取れない状況だった。
とりあえずはオーブ大使館に滞在し、先方からの連絡を待っていた彼だったが、その心境は穏やかではなかった。
彼には、特使としての役目以外に目的があった。 …むしろ、それを果たすために特使になったぐらいだ。
目的を果たすためには、一刻も早くデュランダル議長に会わなければならない。
そう願う彼にとって、大使館での無為な滞在時間は身を焦がすほどの苦痛だった。
やがて、待ち侘びていた面会許可の連絡が訪れたものも、共に伝えられた報が彼の新たな頭痛の種となる。
プラント本土に向けて、地球連合軍からの攻撃が開始された――大使館員から告げられた現状に、彼は愕然とした。
聞かされた情報はあくまで戦闘が開始されたという事実のみの、簡潔なもので。
どれほどの規模の軍勢が、何処まで侵攻してきたのか……
そも、戦闘の結果は如何なものだったのかという情報すら、まだ伝わってきていない。
彼の苦悩の表情は、一向に晴れる気配が無い。 戦闘の状況を窺い知ることの出来ない己の立場に、苦しんでいる。
早く議長と面会し、戦況を聞きたい。 そして、自分の願いを伝えたい。
衝動が胸中を始終掻き回す。 喉元まで込み上げてきそうな思いを押さえ込みながら、アスランは固く目を閉ざし続けていた。
「やあ、よく来てくれたアスラン君。
急にこちらの都合で呼び出してしまって、済まなかった」
「その節はお世話になりました、議長。
……いえ、こちらこそ御多忙な時に押しかけてしまって。 お疲れのところ、時間を割いて下さってありがとうございます」
議長の執務室に通されたアスランは、デスクから立ち上がって出迎えてきたデュランダルへ、深々と頭を下げる。
デュランダルは低姿勢を示す青年へと、人払いを済ませた旨を伝え、楽にするようにと勧める。
「ああ、そう言えば今日はオーブ特使、アレックス・ディノとして来ていたのだったな? 君は」
「はい。 …しかしそれも、この役目を最後に使わなくなるでしょう」
何処となく含みのある、わざとらしい訂正の言葉を真顔のまま受け止めながら、
アスランは小脇に携えていた書簡を、デュランダルへと差し出した。
それを受け取った男は、古風にも真紅の封蝋を施されている書簡を解き、その内容に無言で視線を走らせた。
「なるほど……オーブは戦を仕掛けられない限りは中立を貫く、というわけだな。 その方針、しかと了解した。
地球連合側に与さないのならば、我々とオーブの間に争う理由は皆無だ。
今まで通り、良好な関係を維持することが出来るだろう。 代表の御英断に感謝する」
――良好な関係? よく言えたもんだ。
口元を綻ばせながらの男の言葉に、アスランは内心毒づいていた。
彼は忘れたのだろうか、先日の会談内容を。
先の大戦時にプラントへ避難した、オーブの技術者を帰国させてほしいというカガリの願いに対して、
彼らは既にザフトの軍事機密に関わったため、帰すことは不可能だと主張したことを。
彼の言動の中に、何重ものオブラートに包んで仕込まれた黒い思念を感じ取りながらも、
アスランはなるたけ不快感を表に出さないように努め、笑みを作りながら儀礼的な挨拶を交わした。
「――議長。 ここからは個人としての質問なのですが……
地球連合軍との戦闘が現在、どんな状況なのかを教えて頂けないでしょうか? 可能な限りお願いします」
型通りの会話を終えた後、カガリからの書簡を懐に仕舞おうとしたデュランダルへと、声をかけるアスラン。
デュランダルは一瞬怪訝な表情を見せたものも、
相手が向けてくる真剣な眼差しを受けて、思案するように目を伏せ、ふむと声を漏らす。
「……では、簡潔に伝えようか。 地球軍は、プラント本土へ向けて核攻撃を行ってきた」
男が口にした『核』という単語に、アスランの顔が驚愕に引きつる。
その瞬間彼の脳裏に蘇ったのは、画面越しに見た宇宙の砂時計が崩壊する光景。
三年前に起きた『血のバレンタイン』事件の記憶を思い起こしながら、彼は苦々しく歯噛んだ。
「しかも、狙われたのはまたもやユニウス市だったのだよ。
食糧生産の要である彼の地を潰せば、プラントも容易く降伏すると思っての作戦だろうな」
「……今、議長が俺との会談の時間を裂いて下さっているという事は、それは実現しなかったということですよね」
「勿論だとも。 我々が開発した対核攻撃用兵器の活躍によって、無事未然に防ぐ事に成功した。
……しかしそれも、そう度々は使えない難儀な代物でな。
それを相手に知られてしまえば、先ほどの示威行為の意味を為さなくなるやもしれん」
そう説明する議長の表情は、核ミサイルをも無力化させる最新技術の結晶について語っている割には、暗いもので。
よほど使いどころに困る兵器なのだろうと、アスランは頭の片隅でそう推測していた。
議長の手がゆるりと持ち上げられ、デスクに備えられたコンソールの上で何度かタップを繰り返す。
少しの間を置いて、微かなモーター音を立てて天井から降りてきたモニター。
真っ暗だったその画面に、近辺宙域の簡略化された図が映し出された。
「現在、プラント本土付近まで攻め入ってきていた敵の軍勢は撤退を開始しているものも、
いまだ、それより遅れて転進した大西洋連邦軍の大艦隊がL−5と月の中間空域に存在している。
月を目指して進行しているようなのだが、何か事故でも起きているのか鈍足な動きでな。
しかし、万が一ということも考えて、現在も偵察を継続している状況だ」
男の口から発される説明と、それに合わせて動く敵戦力のシンボルマークに傾注するアスラン。
真剣な様子で画面に見入る彼の横顔を眺めていたデュランダルは、
切れ長の瞳を糸のように細めると、口の端に微かな笑みを刻みながら、目の前の青年へと声をかける。
「――しかし、私としては今の君にとって、この情報は不要なものではないのかと思うのだがね。
事態は一旦収束しつつあるわけだし、すぐにでもオーブへと帰国すれば、その身に危険が降りかかる事もあるまい?」
あからさまな皮肉を含んだ言葉を、あくまで柔和な語調で紡いだデュランダル。
その意図は、間違いなくこちらの意思を確かめるための挑発だろう。
彼の思惑をそう読み取ったアスランは、首をもたげかけた嫌悪の感情を押し殺し、彼の金の瞳を真っ直ぐ見据えた。
「いえ。 書簡を渡した時点で、俺に課せられた使命は終わりです。特使の地位からも解任されました。
亡命を受け入れて下さったアスハ代表より賜った、アレックス・ディノの名も返上致しました」
「ほう? それでは今の君は、アスラン・ザラという事で良いのかな?」
「はい。 もはや名を偽るような事はしません。
――先だって議長から頂きましたメールの件、お引き受けしたいと思います。
この俺を、祖国プラントの平和を守るための剣としてお使い下さい」
そう言って、深々と頭を垂れたアスランに対し、デュランダルは手を伸べながら、顔を上げるように促す。
「ヤキンドゥーエの英雄がザフトに復帰してくれるとは……これほど喜ばしい事は無い。
一両日中には入隊出来るように手配しよう。 どうか、その力でプラントと私たちを守り導いてくれ」
面を上げた青年の手を引き寄せるように掴むと、男は満面の笑みを見せながら固く握手を結んできた。
その、過剰に熱の入った喜びようにアスランは当惑の表情を浮かべていたが、
動揺を何とか取り繕い、真剣な面持ちに変えると分かりました、と深く頷きながら相手の手を握り返した。
当初の目的であったザフト復帰の確約は取れたものも、まだ確認するべき事は幾つもある。
まずは差し障りのない内容から問うべきかと考えたアスランは、デュランダルへと声をかける。
「……あの、議長。 プラント政府は、今後どのような外交政策を取る方針なんですか?」
「出来ることなら、対話で解決したかった所なのだがね。
しかし、核攻撃までされてしまっては、最早そんな悠長なことは言ってられないだろう」
デュランダルは僅かに俯き、白面に陰を落としながら語る。
そして、手元に置かれていたリモコンを手に取り、先ほど宙域図を映し出していたモニターの方へと向けた。
リモコンで操作されて切り替わった画面は、最初は国営放送のニュースを映し出し、続けざまに別のチャンネルへと変わる。
五回変えられた所でリモコン操作は止められ、画面はプラント民営放送のワイドショーで固定された。
ワイドショーの生中継で映し出されているのは、大勢の人間に埋め尽くされたメインストリートだった。
皆一様に穏やかとは言えない表情を見せながら、プラカードや横断幕を手にし、声を張り上げて何かを訴えている。
『プラントを守れ! ナチュラルに報復を!!』
『弱腰な外交では地球連合の良いようにされるばかりだ!!』
『再び核を撃たれる前に、野蛮人共を叩きのめせッ!!』
それは、プラント市民によるデモ行進の様子だった。
画面を見やりつつ嘆息を漏らしたデュランダルは、浮かない表情を見せながら話す。
「あれほどの攻撃を隠し通せるわけがない。 既に核攻撃の事実は世間に知れ渡り、あのような有様だ。
…プラント本土だけじゃない。 地上の拠点でも、既に雲行きが怪しくなっている。
カーペンタリアとジブラルタルへ向けて、連合軍の手が迫りつつある状況でね。
そのため、国防委員会から一刻も早く地球降下作戦の発動許可を、とせっつかれているのだよ」
「そうですか……」
「だが、私とてここで報復に応じてしまえば、世界は再び泥沼の戦争に突入する事ぐらい、理解している。
そうなれば、例え勝ったとしてもプラントは無事では済まないこともな……。
なんとしてでも、全面戦争という最悪な状況だけは避けたい所だ」
悪化している現状を見せつけられ、力無く項垂れるアスラン。
そんな青年へと、デュランダルもまた同じように沈痛な顔をしながら、そんな言葉をかけた。
重苦しい沈黙の空気の中、騒動の様子を映す画面をアスランは浮かない顔で眺めていたが、
不意に抗議デモの中継が途切れ、今までとは打って変わって牧歌的な草原が現われた画面に首を傾げる。
……そして、その風景の中に姿を現した人物を見て、驚きに目を見開いた。
『皆様、どうか落ち着いて下さい!』
よく響き渡る、そして高音の割に耳障りな印象を与えない柔らかな声。
それは決して大きな声ではなかったが、モニター越しにも周囲の空気を変えてしまうほどの力が篭っていた。
その声の主は、腰下まで伸ばされた鮮やかな桃色の髪を風になびかせながら、カメラの前に立つ少女。
アスランとさほど変わらない年頃に見える画面の中の娘は、真摯な面持ちでこちらを見つめている。
『――私は、ラクス・クラインです。
皆様、どうかお心を静めて、私の話を聞いて下さい』
藍の瞳に悲哀の色を湛え、まるでオペラ歌手のように両手を広げながら訴える彼女。
その姿を、アスランは呆然とした表情で眺めていた。
――信じられない。 彼女は、ラクス・クラインはオーブの病院で眠り続けているはずだ。
彼女の元へ見舞いに行ったのは、ほんの数日前の話だ。 あの長き昏睡状態が、急に回復するとは到底思えない。
…そもそも、例え彼女が回復したとしても、プラントに居ること自体が考え難いのだ。
『先日起きた、セレネ移民船団の痛ましい事故……
かの出来事から生まれた、プラントと地球との間の誤解、すれ違い…実に悲しく、そして厳しい現実です。
そして、昨日発された宣戦布告と、それに続く本土攻撃、
更にはまたも核を撃つような業深き所業を行った地球連合に対して、誰もが憤りを感じておられることでしょう』
画面の中で訴えかけを続ける彼女の姿は、どう見てもラクス当人にしか思えなくて、
双子の姉妹でも居るのだろうかと想像してしまったアスランは、不意に我に返ると苦笑いを浮かべた。
それが絶対にありえない事だというのは、自分がよく知っているのだ。
ラクスは父親の親友の一人娘であり、更にはかつて自分の婚約者だった娘なのだから。
最初に目の当たりにした瞬間こそ狼狽したアスランだったが、色々と考えていくにつれて冷静になってくる。
議長に問おうとしていた事柄のうち一つが、なんとも都合のいい事に自ら姿を現してくれたのだ。
それは、カガリがマユから聞き出した話題から生じた、ある疑惑についてだった。
――察するに、プラントはラクスを無理矢理にでも帰国させるか、あるいは替え玉を立てる準備をしているかもしれん。
出来る限りでいいから、調べてきてほしい。 まさかとは思うが……話が話だからな――
オーブを出立する前に、カガリが真剣な面持ちで話しかけてきた内容を思い起こしながら、
アスランは、彼女の読みが概ね当たっていた事に驚きを覚えていた。
彼が思考に耽っている間も、ラクスの形をした何者かは画面の外に居るであろう市民たちへの訴えかけを続けている。
『……私も皆様と同じ思いを抱いています。 彼らの蛮行に何故、と理不尽さを感じずにはいられません。
ですが、どうか今は、お心を静めて頂きたいのです。
ここで私たちが怒りに駆られて行動してしまっては、世界は再び泥沼の戦争へと向かうことになるでしょう。
今一度、冷静な目で世界を見渡し、かけがえのない平和について考えてほしい……これが私の願いです!』
彼女が訴えている内容は、現状に対して冷静であるようにという、市民の怒りをなだめる言葉。
そして、彼女が語るに一番相応しいであろう、切に平和を尊さを訴える美辞だった。
……恐らく、プラントの指導者たるデュランダル自身が訴えかけるよりも、よほど効果的な人物だろう。
そう思いながら傍らに座る男へと視線を向けると、彼は微苦笑を浮かべていた。
『現在、最高評議会では最悪の事態を避けるべく、今もなお懸命な努力を続けてらっしゃいます。
そして、地球の中にも、再び戦争を起こすまいと奔走している国家があります。
――ですから皆様、怒りに囚われず、お心をしっかり持って下さい。
皆様の代表、最高評議会とデュランダル議長を信じて、どうか今は耐え忍んで下さい』
「……笑ってくれて構わんよ」
真剣な表情で切に語る、画面内の少女から目を逸らしたデュランダルは、
溜息混じりの力無い語調でそう言いながら、アスランの方へと向き直った。
「婚約者の君なら察しが付いているだろうが、彼女は『代役』だ。
小賢しい手だとは分かっているのだが…恥ずかしいことに、私には彼女の力が必要なのだよ。
彼女の姿、声に歌……彼女という存在そのものに、多くの市民を惹きつけてやまないカリスマがある。
ラクス・クラインの力は、それほど強大なのさ。 私などよりも、遥かにね」
「彼女を……プロパガンダに利用するつもりなのですか?」
「こうでもしなければ、今の騒動を抑えることは出来ないだろうよ。
――見たまえ。 おそらく、既に効果は出ているはずだ」
自嘲めいたシニカルな笑みを口元に刻みながら、デュランダルはモニターのチャンネルを操作する。
モニターが映し出したのは、デモ行進が行われているメインストリート。 先ほど映したものと同じ地点からの映像だった。
そこに、今までの喧騒はない。
練り歩く人々の歩みも止められ、主張を書き殴ったプラカードもぶらんと逆さまに下げられている。
皆一様に一点を見つめていた。近くのビルディングの壁面に埋め込まれた、ラクスの姿を映し出す大型モニターの方へと。
憤怒や怯えに染まっていた人々の表情は、その色を潜めつつあった。 時折顔を見合わせ、何か言葉を交わしている。
この中継では、彼らが何を言っているのかまでは聞こえてこない。 だが、その表情を見ていればおおよその見当は付いた。
「……この通りだ。 私などが演説するよりも、よほど民衆の心に訴えかける事が出来るのは明白なんだよ。
プラントの平和のためには、どうしても彼女の存在が必要だったのだよ。
だから、協力を求めるべく『本物』のラクス・クラインの行方を捜していたのだが……一向に見つからなくてな。
止む終えず『代役』を用意することにしたわけだ。 愚かな行為だと理解した上でな」
画面に映る、すっかり鎮静化してしまったデモ隊と、彼らが見つめる街頭モニターに映る歌姫。
その様子を満足そうな笑みを湛えながら眺めるデュランダルを、アスランは観察の眼差しで見やる。
目の前の男は、言葉の上ではあくまでも低姿勢で、己の行為を愚策と称しているが、
画面の中の娘を見つめている彼の横顔からは、どこか自慢するような誇らしさが窺えた。
その表情に、アスランはデュランダルに対して、漠然とした猜疑の念を覚えたのだった。
その後、ザフト入隊手続きが完了するまで、用意したホテルに滞在するようにと告げられたアスランは、
デュランダルの執務室から退出した後、議場の廊下を歩いていた。
ふと、横にある窓へと視線を移せば、日が落ちて間もない頃の蒼い薄闇に、ガラスに映る己の顔が重なって見える。
どうやら、随分長々と話し込んでいたらしい。 時間の推移を知ったアスランは窓から目を逸らし、俯いた。
脳裏に過ぎるのは、先ほど感じた疑念。
『代役』のラクスを前にして、デュランダルが見せた不敵な微笑み。
それがどうしても、目の前にチラつくのだ。 彼が語った情報を、頭の中で整理しようとする度に。
……果たしてあの長い会話の中に、真実はどれほど存在していたのだろうか。
「油断は出来ない、か」
ぽつり、極小さな独言零し、彼は顔を上げる。
自分が再びプラントに戻ろうと決意した背景には、少なからず議長の言葉が関わっている。
更に、かつてのエースパイロットとはいえ、脱走兵が軍に復帰するなんて事は彼の口添えが無ければ実現しなかっただろう。
デュランダルは、母国を守りたいという自分の志を汲み、好意的に協力してくれている。
しかし、だからと言ってその行為に、何か別の思惑が混じっていないとは限らないのだ。
長い時間、差し向かいで言葉を交わした中で得たのは、そんな予感めいた疑念だった。
さて、これからどうするか。 アスランは今後の事について考え始める。
自分に残された自由な時間は、ザフト入隊手続きが終わるまで。 一両日中には済ませると、議長は言っていた。
その間に、出来るだけの事をしておかないといけない。
まずはカガリへ、ラクスの『代役』についての話を伝えなければならないだろう。
連絡方法は電子メールが妥当な所だろうが、
自分の経歴を考えれば、日常生活を監視される可能性は高く、そういったやり取りにも検閲が入るかもしれない。
――それを踏まえて、なるべく砕けた文面にするべきだろうか?
内容も、あくまでラクスがテレビに出演している所を見たという内容だけに留めた方がいいかもしれない。
既に真実に近い推論を出していたカガリなら、それの意味する所を読み取ってくれることだろう。
あれやこれやと考え込みながら、真剣な面持ちを見せていたアスラン。
人通りを避け、廊下の窓際に身を寄せながら、心此処に在らずといった様子で歩いていく。
……だから、一度目は気付かなかった。 遠くから聞こえる、己の名を呼ぶ声に。
二度目にようやく顔を上げ、声の発生源を探して左右を見渡したのだが、それらしき人影は視界に入らない。
気のせいだったか、と決め付けて再び思考に没頭し始めたところで、
今度ははっきりと後ろから聞こえてきた、アスランと呼ぶ若い女性の声。
誰だろうと思いながら、後ろを振り返った青年の視界に入ってきたのは、喜色満面な少女の笑顔。
そして、視界を埋め尽くさんばかりの勢いで迫ってきた、たわわに揺れる豊満な胸だった。
――周囲の視線が、非常に痛い。
アスランは、自分と隣にいる娘へと向けられる大勢からの目を感じながら、内心ウンザリしていた。
一方、その傍に寄り添う娘はと言えば、気が付いていないのか、はたまた周りなどお構いなしなのか、
彼の片腕にくっ付きながら、笑顔でしきりに話しかけてくる。
その、いかにも若い娘らしい活発で甲高い喋り声が、痛む頭にガンガンと響いて仕方ない。
先ほど彼女に出会い頭に抱き付かれ、押し倒された際に強打した後頭部を押さえながら、アスランはそう思った。
文字通り衝撃的なものだった、彼女との出会い。
床に倒れたアスランの上に乗ったまま、ラクス・クラインと瓜二つな少女は、自らの名をラクスと名乗ると、
耳元に顔を寄せ、彼にだけ聞こえるほどの小さな声で言い足した。 本当の名前はミーア・キャンベルと言うのだと。
どうやら周囲には隠しているらしい真実の名前をアスランへと伝えた後、
彼女、ミーアはアスランの傍にぴったりと引っ付きながら、一方的に話しかけてきた。
貴方に会いたかっただの、出たばかりの新譜は買ってくれたかだのと、矢継ぎ早に投げかけられてくる言葉の数々。
それだけ騒げば、周囲の視線が二人に注がれるのは当然だったであろう。
周囲から寄せられる視線は、その大半が見目麗しい歌姫に向けられる羨望の眼差しで、
それ以外のものは、歌姫の傍に付く主従のような青年に対する敵愾心だっただろう。
幸い、サングラスをかけていた事もあり、彼がアスラン・ザラだと気付く者は居なかったようだが、
これだけ悪目立ちしていては、いずれ誰かに感付かれる可能性がある。
……それも重要な問題ではあるのだが、何よりこの居辛い雰囲気の場から一刻も早く逃れたい。
そんな思惑から、アスランはどんどん歩調を速めていく。
「――ねえ、聞いてるのアスラン?」
「え? あ、あー……どうしたんだラクス?」
「もうっ、全然聞いてないのね!
これから行くディナー、どんな店が良いかなって話してたの!!」
上の空な状態だったアスランへと話しかけていたミーアは、彼が全然話を聞いていない事に気付くと、
すっかりおかんむりな様子で腰に手を当て、ぷっと頬を膨らませてた。
怒られた方はと言えば、いつの間にか決まっていたディナーの約束の存在に驚き、しきりに目を瞬かせていた。
それが、彼女の言葉にうん、とかああ、などと適当に相槌を打ち続けていた結果だという事に、全く気付かずに。
「特に好き嫌いはないから、何でも良いよ。 君のオススメの店とかがあれば、そこでいいんじゃないのかな」
「…なーんか張り合いが無いなあ」
とりあえず無難に受け答えようとそう告げたアスランに対して、ミーアはつまらなさそうに口を尖らせる。
ふわり、舞台衣装と長い桃色の髪をなびかせながら彼の前に回り込むと、その瞳を真っ直ぐ見返した。
「私ね、ずっと貴方に会いたかったの。 本当のラクス様がどんな方なのか、沢山話を聞かせてもらいたかったから。
もちろん、アスラン・ザラにも興味があるわ! だって、ラクス様の婚約者なんですもの!」
一応、彼女も周囲に人がいることに気を配っていたのだろう。
互いの鼻が付き合いそうなほど顔を近づけると、他の人間に聞こえないように小声で言った。
アスランはと言えば、しどろもどろな様子で目線を逸らし、困惑の呻き声を上げる。
ミーアは、というよりも世間一般には全く知られていない事実が一つある。
アスランとラクスの間に結ばれていた許婚関係は、二年も前に解消されているのだ。
彼の本心としてはその情報を訂正して、はしゃぐミーアを少しでも落ち着けたいところだったのだが、
今、そんな事を伝えでもしたら、それこそ彼女は驚いてオーバーに騒ぎ立てるかもしれない。
脳裏に過ぎった最悪の予想に眉根をしかめたアスランは、辟易したように一度溜息をつく。
「……分かった。 分かったから、とりあえずここを出よう。 質問ならあとでいくらでも聞くからさ」
「うん、約束よっ!」
弱ったアスランが苦し紛れに言った言葉に、ミーアはぱっと表情を明るくさせて大きく頷いた。
その、天真爛漫に表情をくるくると変える彼女を前に、アスランは驚きのあまり目を丸めていた。
まるで、長年一緒に居た恋人の、思いもよらぬ新しい一面でも見たかのような錯覚を覚えながら。
早く行きましょ、と言いながらこちらの手を引くミーアに連れられながら、エントランスロビーを横切っていく。
議場の中でもこの場所は一般に対して広く公開されていて、絵画やオブジェといった芸術作品も置かれている。
久しぶりに通る広いロビーに懐かしさを覚えながら、アスランは周囲を見渡していた。
――そういえば、まだ学校に通っていないくらい幼かった頃、たびたびここを訪れた記憶がある。
母と一緒に、父の仕事が済むのを待ちながら、頭上で羽根を広げている生物のオブジェに見入っていたものだ。
あのオブジェ――エヴィデンス01の化石は何処にあっただろうか?
かつて、不思議なまでに魅力的に感じていた思い出の姿を求めて、翠の瞳はくるくると動く。
ほどなくして、エントランスの真正面に掲げられた巨大な石版と、その中で泳ぐ羽クジラの姿を見つけたアスラン。
こみ上げてくる懐かしさに頬を緩めながら、思い出深いそれをじっくり見ようと近付いていく。
その途中で、彼はそこに一人の先客が居ることに気が付いた。
アスランは先客の顔を見て、思わずあっと声を上げる。 意外な場所で見つけた、見知りの姿に。
――それは、カガリからプラントに行く許可を貰った翌日。 アスランは軍港に停泊中のミネルバを訪れた際のこと。
艦内には踏み入らず、ただ用件だけを伝えてから港との間に掛けられたタラップの横で待つこと十数分。
やがて、一人の少女が艦内から出て来た。 昨日会った時とは違い、赤い軍服を纏った姿で。
「……プラントに戻るんですか?」
「ああ。 明日には出立できるよう、既に用意してもらってある」
「カガリさんのこと、置いて行っちゃうんですか?
……あ! えっと、お二人で居るところを見てると、すごく仲良さそうだったから、その」
アスランの話を聞き、不満そうに眉目をしかめて問い返したマユだったが、
相手の訝しむような表情を見ると、慌てて問いを投げた理由をしどろもどろになりながら付け足してきた。
彼がマユの元を訪れたのは、プラントに行く旨を告げるためだった。
レギオンを追って地球に降下した後、彼女と交わした会話が、少なからず彼の決断を後押ししてくれていた。
だから、彼女には伝えておきたいと思ったのだ。 自分が、プラントのために戦う道を選んだことを。
「例え好きあっていても、一緒に居続けることだけが、一番の幸せじゃあないってことだ」
「……分かんないです、そういうの」
自分から問いかけておきながら、少女は理解出来ないと口を尖らせ、会話を断ち切った。
不機嫌そうな顔で視線を逸らしているマユと、彼女を前に何も言い出せずに、困った顔で立ち尽くすアスラン。
訪れた無言の空気を、最初に破ったのはマユの声だった。
「アスランさん。 一つ、お願いがあるんですけど、いいですか?」
「ん、なんだ?」
「プラントに行ったら、会って欲しい人がいるんです。
向こうがアスランさんに、久しぶりに会いたいと言っているんで」
「人……?」
「はい。 私も、会って話した方が良いと思います、その人とは。
……もしアスランさんにまだ何か迷いがあるんだったら、相談に乗ってくれるはずです」
「一体、誰なんだ? 俺を知っている人間なのか?」
彼女が会うべきだと主張する人物が誰なのか、全く見当も付かずアスランは困惑顔で聞き返す。
いつの間にか、彼の顔を真っ直ぐな眼差しで見返してきていたマユは、真剣な面持ちでゆっくりと口を開いた。
「私の養子先の家主です。 向こうはあなたのことをよく知ってますし、あなたも絶対に知ってるはずです。
その人は――……」
「――カナーバ議長!」
アスランは目の前に佇むスーツ姿の女性を見つめながら、思わず彼女の名を口にした。
その呼び声に、青年の方へと振り向いた彼女は、豊かな質量のブロンド髪を揺らしながら口の端を釣り上げる。
「懐かしい呼び名だな。 が、今の私はただの一般市民に過ぎない。
……久しいな、アスラン・ザラ。 ユニウス条約締結の時以来かな」
人懐こい猫を髣髴とさせる笑みを浮かべ、スラックスに包まれた両脚をさばさばと動かしながら、歩み寄ってくる。
「セレネの事件での活躍ぶり、あの子たちから聞かせてもらったぞ。
流石はヤキンドゥーエの英雄だな。 二年のブランクを感じさせない、獅子奮迅の戦いぶりだったそうだな」
「カナーバさん……まさかあなたがマユの保護者だったとは…」
「意外か? まあ確かに、私が子持ちというのは少々イメージに合わんかもな」
フフ、と笑い声を漏らしながらカナーバは語る。 その口調には女性らしさは見当たらない。
しかし、男勝りと言うにはあまりに自然体な喋り方で、柔和な抑揚が尊大な印象を皆無にしている。
……いつか、カガリがもう少し落ち着いた人物になれば、こんな風に喋るようになるんだろうか。
そんな事を思いながら、アスランは目の前に立つ女性を眺めていた。
「用事が済んだ後に、セプテンベルの邸宅まで伺おうかと思っていたんですけど、こちらにいらしてましたか」
「仕事の都合でな。今はこっちに仮住まいを置いている。 すれ違いにならなくて良かった。
丁度いい、これから家に来ないか? マユから聞いているだろうが、久しぶりに君と話がしたい」
「ああ、ええっと、今はその――」
誘いの言葉を受け、アスランは困り果てて視線をふらつかせる。
正面に立つカナーバと、横に寄り添うミーアとの間で。
口篭る青年を首傾げながら見やっていたカナーバは、ああ、と得心いったように呟き、ミーアの方を向く。
「予定があったのか、ラクス嬢。
だが、まことにすまないが、今回ばかりは譲ってもらえないだろうか?
これから私の仕事もより多忙になりそうでな。 今日を逃せば、いつ会えるか分からないんだ」
「まあ、そういうことでしたら、カナーバ様のご予定を優先しなければなりませんわ。
――ではアスラン、お食事はまたの機会にいたしましょう?」
「……ああ、すまない」
「悪いな、久方ぶりの逢い引きだったろうに」
「いいえ、御気になさらないで下さいまし」
先ほどまで執拗にアスランを連れ出そうとしていたミーアだったが、思いのほかあっさりと引き下がった。
多分、内心はとても残念がっているのだろうが、慎ましやかに微笑みながら、自然体の姿勢を保ち続けている。
確かに、ラクスによく似た立ち振る舞いだ――アスランは改めてミーアの演技力に感心していた。
「……そろそろ、迎えの方が来てると思いますので、私はここで失礼させて頂きます。
ごきげんよう、カナーバ様。 御多忙とは思いますが、どうかお体には気をつけて下さいませ」
「お気遣いありがとう、ラクス嬢。
そちらももうすぐ忙しくなるらしいと聞いている。 復帰早々、無理はせぬようにな」
スカートの両裾を摘み上げての優雅なお辞儀を伴ったミーアの挨拶に、カナーバも微笑みながら礼を返した。
彼女らを交互に見ながら、そのやり取りを眺めていたアスランだったが、
行こうか、とカナーバからかけられた言葉に頷き、外へのゲートへと向かい始めた彼女の後を追う。
立ち去りかけたところで、ふと視線を感じてアスランは後ろへ振り向く。
そこには、じっと自分の方を見つめていたミーアが、笑顔を浮かべながら小さく手を振ってくる姿があった。
――ミーアとラクスはよく似ているが、やっぱり全くの別人だ。
目の前の彼女が見せた、ラクスとは似つかない活発な笑顔とらしくない仕草に、アスランは改めてそう思うのだった。
カナーバの話していた仮住まいの家とは、議場の近くに建てられている政治家向けの住宅のことだった。
敷地の入り口辺りに差しかかった頃、アスランはそれに気付き、前を歩く女性へと声をかける。
「先ほど、あなたは一般市民だと仰られてましたが……今、どのようなお仕事をされているので?」
「以前通りだ。 元の職場に帰って、外交官をしている。
戦中戦後でゴタゴタしていて、人材が不足していたらしくてな。 帰ってきてもらえないかと頼み込まれたんだ。
このご時勢、外交経験や人脈のある人間が一人でも多く必要になってくるのは当然だろう」
かつてプラント評議会の外交委員として働き、先のプラント評議会臨時議長を務めた女性は、笑いながらそう言う。
しかし、アスランはそんなカナーバを複雑な眼差しで見ていた。
ユニウス条約によって発生した軍縮問題などの責任を取るため、臨時議長の座を退かされた彼女が、
こうやってまた、評議会の都合によって元の部署に戻されたのだと思うと、随分勝手な話だと思えてくるのだ。
「大変ですね……」
「己にその才があり、それを為すことがプラント全体の為になるのならば、私は喜んで引き受けるよ。
市民としての義務でもあるし、乞われるほどの評価を頂いているのだから、むしろ誇りに思っている。
――君も、誰かに乞われて来たクチではないのか? 今更、ここを訪れるということは」
返答の後に問いの言葉を口にしながら、カナーバは身体ごとアスランの方へ向き直り、歩みを止める。
二歩遅れで足を止めたアスランは、ずいと間近に寄せられた双眸に見つめられ、一瞬息を飲んだ。
アスランは思った。 彼女は自分のことを品定めしている――
周囲に流されてここに居るのか、自らの意思でここを訪れたのかを聞くことで、信念を確かめようとしているのだと。
「……ずっと前から、考えていたことです。 プラントのために、何か出来ないのかってのは。
とはいえ、議長からの誘いが、動き出すキッカケになったのは事実ですけど……」
「ふうん。キッカケねえ」
とっさの問いかけに歯切れ悪い言葉を口にした青年を見て、カナーバは納得がいかない様子で眉をひそめる。
「まあ、この議題については、茶でも飲みながらゆっくり話そうか」
気を取り直すように言うと、彼女は視線で一軒の家を指し示した。
主人不在のはずの家の窓からは、暖かな灯りが零れている。
誰か家人か、使用人が居るんだろうか。 彼女の家を眺めながらアスランはそう考えていたが、
いつの間に歩き出していたのか、戸口に立ちながら自分の名を呼んでいる女性の声に気付き、足早にそちらへ向かった。
カナーバの家に入ると、すぐさま奥の方から足音が近づいてきて、一人の男が姿を見せた。
「お帰りなさいアイリーン。 大変な事になりましたね」
「ただいま。 色々しちめんどくさい事になってきたもんでな。
これからは出張する仕事も出てくるだろうな。 いやだいやだ」
家に入った途端、今までの張りのある声から一変して、嘆息混じりの間延びした声を発したカナーバ。
組んだ両腕を頭上へと持ち上げ、大きく伸びをする。
「先に始めといてくれ。 着替えてくる」
そう言い残すと、彼女はさっさと先を歩き、二階の方へと姿を消していった。
家に入るなり、突然置き去られてしまったアスランは、困惑したように目を瞬かせていたが、
「ようこそいらっしゃいました、ザラさん。
客間へとご案内いたします。お茶の準備が出来ておりますので」
出迎えに現われた男からかけられた声にはたと気を取り戻すと、先導する彼の後ろに続いて歩き出した。
通された客間のソファーに腰を下ろしたアスランは、一つ大きく息をつく。
底知れない相手と長時間話し込んだ上に、賑やかな少女と一緒にいたせいだろうか。 急に疲れが押し寄せてきた。
ソファーの背もたれに後頭部を乗せ、軽く瞑目しながら青年は思う。
よくもまあ、今日一日でこれだけ多くの出来事が続いたもんだと。
疲れた。横になりたい。 込み上げてきた欲求のままに、身体を横たえようと身じろいだ彼だったが、
テーブルに茶器を置く音を聞き、ここが招かれた家である事に気付き、慌てて姿勢を正した。
その時、茶の準備をしていた男が顔を上げ、アスランへと視線を合わせてきた。
凡庸な顔に穏やかな表情を湛えた彼は、にこりと微笑むと恭しく頭を垂れた。
「先日、貴方が子どもたちを助けて下さったと、アイリーンから伺いました。
……ザラさん、本当にありがとうございました。 心より感謝申し上げます」
「いや、俺は……当然の事をしたまでです。
だからどうか顔を上げて下さい。 ええっと……」
突然深々と頭を下げられ、困惑の表情を露わにしたアスランは、
なんとか顔を上げてもらおうと声をかけるが、その最中に言い詰まった。目の前の男をどう呼ぶべきだろうかと。
「ああ、これは失礼致しました。
私はカナーバ家の執事を務めさせて頂いております、エイジ・カザハラと申します。
貴方が助けて下さったマユ・アスカの、母方の叔父に当たる者です」
彼が続けようとした言葉の内容を察したのか、男は顔を上げると己の素性を語った。
その内容を耳にした時、アスランの中にあった疑問が一つ解けた。
全く接点が無さそうに思えたマユとカナーバが養子縁組の間柄にある理由は、恐らく彼が関係しているのだろう。
そうだったんですか、と言葉を返しながら胸中でそう考え、一人納得していた。
「――なに堅苦しい事を言っているんだ、エイジ。
執事じゃないだろう? 私たちは家族なんだからな」
不意に掛けられた新たな声に気が付けば、
薄手のニットとジーンズに着替えて戻ってきたカナーバが、二人の間に割り込むように顔を突き出していた。
彼女の言葉にエイジはすみません、と苦笑いを浮かべながら謝っていたが、
アスランだけはその言葉の意味を図りかねて、不思議そうな顔で首を傾げるばかりだった。
「あの、カナーバさん」
「うん? ああ、失礼。 君とは色々話す事があったな。
だが、まずは茶でも飲んで一息付こうじゃあないか」
気になった事を問おうとしたのだが、カナーバは別の内容と勘違いしたらしくそう告げると、
アスランの対面に置かれたソファーに深く腰を下ろし、早速ティーカップへと手を伸ばした。
早合点された青年は、困ったように目を白黒させて口を噤んでいたが、
自分の目的は彼女と話し合う事であって、プライベートを探る事ではないと気付き、それ以上聞かないでおこうと考えた。
そして、彼女に習って白磁のカップを手に取り、華やかに香り立つ紅茶を啜り飲んだ。
「――で。 プラントに戻ってきた君は、これから何を為そうとしているんだ?」
執事が注いだ二杯目の紅茶にミルクを足していた所で、カナーバの声が降りかかる。
それに顔を上げたアスランは、こちらを注視してくる相手の瞳を見返し、少しの間を置く。
「俺が、母国に対して唯一役に立てる事をします」
「それはもしかして、国のために戦場に立つということかな」
「はい。 俺にはそれぐらいしか能がありません。
デュランダル議長も俺の能力を買ってくれて、ザフトに復隊出来るように取り計らって下さいました」
「ふうん、あのヒトがね」
二、三言の問答の後、カナーバはソファーの肘置きに身を預けた姿勢のまま、呟く。
秀麗な貌の眉間に、怪訝の意を示す皺を刻む相手を見ながら、アスランは黙して続く言葉を待った。
「なあ、アスラン。 君は、己の価値をどのように認識しているのかな?」
何分経ったかははっきり分からないが、決して短くない沈黙の後、投げかけられた問いかけ。
それを受け止めたアスランは、持て余したように困惑の表情を浮かべた後、卓上の紅茶へと視線を落とした。
「……さっきも言いましたように、俺には戦士としての能力しかないです。
それ以外の何かを求めるのなら…そう、名声とか戦果とか、そういうものがあるかもしれません。
ザフトレッドであった事と、ヤキンドゥーエで生き残ったという事ぐらいでしょうか……」
「随分と謙虚だな」
顔を伏せたまま、自信なさげな語調で話すアスランを見て、くふふと密やかに笑い声を立てるカナーバ。
そんな事を言われても、と全面に書かれた困り顔をもたげる青年へと、あでやかな笑みを向ける。
「謙虚なのは善良な証拠だが、善良である事が必ずしも正しいとは言い切れんのだな。
――アスラン・ザラ。 君は己を、客観的に知らねばならない。でなければ、ただの操り人形にされてしまうよ」
最初に見た笑顔が懐こい猫のものなら、今目の前にあるのは獲物を睨む山猫の笑みだろうか。
凄味を含んだカナーバの表情も相まって、アスランは先ほどの発言に強い衝撃を受けていた。
彼女は言った。 自分に――操り人形にされるぞと。
胸に詰まった固い空気の塊を解きほぐそうと、ゆっくりと細く息を吐いてから、
アスランは笑っている女性へと、困惑半分悲痛半分の声色で問いかけた。
「……それは、どういうことですか」
「君を利用しようとしている人間はごまんと居る、ということさ。
…いいか? 君はザフトのエースパイロット、アスラン・ザラという以前に、
前プラント最高評議会議長、パトリック・ザラの息子という肩書きを持っているのだよ」
彼女の口にした名前に、アスランの肩がビクリと震える。
それは、自分の父親の名前。 意見の対立から仲違いした父親の名前。 この手で殺そうとした父親の――。
見る見るうちに蒼ざめていく彼の顔を見やるカナーバの眼光は、僅かに和らいだが、
ゆるりと一度頭を振ると、言葉を続ける。
「君の名には、我らが歌姫に等しい価値がある。…一つの派閥を動かしかねないほどのな。
もしも、君を手駒に出来たのなら、プラントの体制を変えることすら可能だろう。
連合、ザフト両軍を相手に立ち回り、それこそ奇跡としか言いようのない戦果を上げた君ならば、
プラントの守護神、ザフトの象徴として奉り立てられるだろうな……主戦主義者たちの手によってな」
「待ってくださいっ! 俺はただ、祖国を守りたくて!!」
「純粋に守りたいだけであって、他意はないと?
だが、利用しようと企む人間にとって、君の考えなんて知ったことではないのさ。
ただ、君が作り上げていくであろう輝かしい功績に、華美な宣伝文句を添えるだけ。
それで十分なのだよ。 プラント市民を、ナチュラル排斥という過激な思想に染めていくのにはな」
つらつらと、流れるように。 カナーバの唇から紡がれる冷淡な言葉は、重圧となって圧しかかってくる。
眩暈を覚えながら、アスランは悲嘆に顔を歪めた。 薄く開かれた口から零れる、か細い呻き声。
そんな青年の有様を、流し目で観察していた女性は、ふっと一つ溜息を漏らした。
両者ともに黙り込めば、今まで部屋の中を包んでいた和やかな空気も、すっかり凍り付いてしまう。
「――アイリーン。 もう止した方が良いと思いますよ。
そんな風に虐めるために、ザラさんをお招きしたわけではないんでしょう?」
冷え切った沈黙を破った声は、意外な人物から発された。
銀の丸盆を小脇に抱えたままカナーバの傍らに佇んでいた男は、そっと諭すように己の主人へとそう告げる。
その言葉を発した相手へと顔を向けたカナーバは、心外なと言わんばかりに口を尖らせた。
「なに、別に虐めてるわけじゃないぞ。
私はただ、教えてやってるだけだ。考えられる限りの可能性を伝えてだなぁ…」
「しかし、それでザラさんが必要以上にお迷いになるようになられたら、どうするんですか」
「……その程度の覚悟だった、って事だよ」
しかめっ面で言い捨てて、執事から視線を外した女性は、
ぽかんとした様子で二人を見つめるアスランへと、気を悪くしたのなら済まない、と謝りを入れた。
「何も知らずに、他人に良いように扱われるよりはいいと思ったんだ。 悪く思うな。
自覚していれば、避ける事も腹を括る事も出来るかも知れん。 だから、考えうる限りの危険性を伝えておきたかった」
口をへの字に曲げ、渋い表情で語る彼女の言葉を聞くにつれて、蒼白だったアスランの顔は徐々に血色を取り戻していく。
そして、必要以上に赤く染めた顔を伏せながら、彼は心中で己の態度を恥じた。
辛辣な言葉で攻め立ててきたカナーバが、まさか自分の事を心配してるとは知らず、
その態度を恨めしくさえ思ってしまった、己の浅慮さを反省していた。
「……申し訳ないです、カナーバさん。 改めて考えれば、貴方の言ったことはどれも有りえる事態だと思います。
すっかり失念していたようです……自分が、パトリック・ザラの息子であるということを。
――いや、もしかしたら俺は忘れようとしていたのかもしれません。 自分と、父親の罪を……」
込み上げてきた後悔の思いを勢いのまま綴りながら、俯く青年は膝の上に置いた拳を固く握り締める。
腹の底から搾り出したように掠れた彼の言葉に、紅茶を啜りながら耳を傾けていたカナーバは、
やがて、それが途切れたのを見計らって顔を上げると、ルージュ引かれた唇を釣り上げた。
「己の過ちを忘れようとするのは愚かな行為ではあるが、人間としては当然の心理現象だ。
罪の存在を常に意識し続けていれば、しまいには心が病んでしまうからな。
…だが、今の君にとってそれは、決して忘れてはいけない事だ。 罪云々ではなく、自分自身を守り抜くためにな。
誰かの手で良いように操られたくないのなら、自分の価値を正しく理解し、肝に銘じておくことだ」
今までとは打って変わって、穏やかな声色で語りかけながらカナーバは笑う。
その声に、冷たく凝り固まっていた周囲の空気がゆるゆると氷解していくのを感じながら、
アスランははあ、と溜息と相槌の入り混じったような吐息を付いた。
「ああ、最後にいくつか忠告しておこうか。
――デュランダル議長には、特に気を付けろ」
三杯目の紅茶を飲み干した後、ホテルへ帰る旨を告げて席を立ったアスランは、
玄関のドアノブに手を伸ばしたところで、見送りに来ていたカナーバから声をかけられ、驚きの表情で振り向いた。
「気を付けろ、とは?」
「彼の言葉を頭から信じるな、って事だ。 良き指導者だとは思うのだが……あれはなかなか、強かで狡猾な男だ。
君にザフト復帰を乞うてきたのも、単に戦力が欲しいからという理由だけでは無いだろう。
都合の良いお飾りにされるかもしれないからな。 ゆめゆめ油断しないようにな」
「…彼の強かさは、自分も感じていました。
あの人と話していると、時折底知れないモノが見えるような気がしていましたから……」
彼女の言葉に、アスランは昼間話し合った男の姿を思い起こしながら、相槌を打つ。
そして、改めてカナーバの顔を真っ直ぐ見つめると、深々と頭を下げた。
「カナーバさん、今日は本当にありがとうございました。
もしこの時、お会い出来ていなかったら、一体自分はどうなっていたか……」
「なあに。 私はただ、茶飲み話をしただけだよ。
しかし、その中で何か得る物が有ったというのなら、嬉しいがな」
「まだ不安はあります……しかし、貴方の言葉を忘れぬように、臨んでいきたいと思います。
そして、考え続けていきたいです。 プラントのために、何が自分に出来るのかを…」
「そうだな。 操り人形にされるほど価値があるということは、つまりそれだけ周囲に影響を与える事が可能ってわけだ。
アスラン・ザラの肩書きは、時に足枷になるだろうが、きっといつか、自分の理想を実現させるための力になるだろう」
「理想……」
カナーバの綴った言の葉の一つを呟きながら、アスランは僅かに表情を曇らせる。
その二文字は、彼の中にとっては生命を投げ打ってでも護りたい崇高な精神であり、
同時に、多くの人間を煽動し、戦場へと駆り立てた憎むべき思想でもあった。
そして彼は、カガリやラクス……憎悪の果てに死んでいった父パトリックや彼と対立したシーゲルといった、
世の指導者たちが掲げてきたその精神を、凡人の己には到底持ちえない代物だとも思っていた。
「…そんな大層なモノ、持ち合わせていませんよ。
自分は戦うことぐらいしか能が無いですし、胸を張って貫き通すほどの考えもありません。
生まれてこの方、しょっちゅう迷ってばかりなんですから。 ……二年前だって、そうでした」
ぼそぼそと頼りない声色で呟くアスランの表情は、自嘲の混じったぎこちない苦笑で。
そんな青年を横目で見やっていたカナーバは、しばしの沈黙の後、首を横に振りながらやれやれと零した。
「本当にどうしようもないぐらい、己を過小評価するのだなあ君は。
君を受け入れたアスハ代表も、さぞかしやきもきしていたことだろう。 苦労が窺い知れるな」
「カっ……あ、アスハ代表は関係ありませんよ!」
「いいや、そんなことはないね。
今の君を見れば、きっと嘆くことだろう。 …ああ、その前に思いっきりはたいてくるかな?」
驚いた様子で顔を上げ、狼狽からか羞恥からか頬を赤くさせながら大声を上げたアスランへ、
カナーバはぴしゃりと否定の言葉を叩きつけてから、からかうような口調でそう続ける。
…そして、強い意志を湛えた蒼い瞳を、真っ直ぐアスランへと向けながら、言った。
「いつまでも、自分は成長していないと決め付けてくれるなよ、アスラン。
君は今まで、多くの人々と出会い、別れ、その生き様を目に焼き付けてきただろう。
それら全てを噛み砕き、飲み干して、己の血肉に変えるように努力していけ。
――そして、そこから己の求める理想を導き出せ。 これは君に託された使命だ」
一句一句を搾り出すように、ゆっくりとした強い語調で綴られた言葉にアスランは絶句し、立ち尽くしていた。
彼女は言った。 自分の理想を見い出せと。それが使命であると。
突然告げられた内容にも困惑を覚えたが……それ以上に『託された』という一句が彼の頭を混乱させていた。
『託された』という事は、何者かがそれを自分に望んでいるという意味なのだろうが、
アスランにはそれが誰なのかも見当が付かなかったし、何故自分が望まれているのかも分からなかったのだ。
「あの、それは一体……」
「ここから先は自分の頭で考えろ。 むしろヒントを出し過ぎたぐらいなんだからな?」
「でも、もう少しだけお話を……」
「いいからとっとと帰りたまえ。 私も疲れたから休みたいのだよ。
それに、折角の夫婦水入らずの時間を邪魔されたくないのでね。 それじゃあな」
なおも食い下がろうとした所で後ろに押しやられ、玄関の外へと追いやられるアスラン。
バタン、と無常な音立てて閉ざされた扉の前で、所在なさげにぼんやりと立ち尽くしていた。
扉の向こうからは、もう人の気配を感じられない。 それを認識した青年は、ふっと疲労の吐息を付き、踵を返した。
……一方的に話を打ち切られてしまった。アスランは胸にやるせないものを抱えながら、ホテルを目指して歩いていく。
アイリーン・カナーバが伝えてくれた情報と忠告は、あまりに多く、そしてどれもが深く難解なものであった。
一時間にも満たない茶会の中で処理し切れなかったそれらと改めて向き合いながら、彼は夜道を歩いていく。
先ほどまで、カナーバ邸の心地良い暖気に包まれていた身体には、秋の夜気は随分と寒く感じられて。
ジャケットのポケットに両手を差し入れ、硝子板の向こうに在る宇宙を見上げながら、
冷たく澄んだ夜気のおかげか、少し冷めてきた頭で考えを巡らせる。
彼女との話の中で、確かに分かった事は――今までのような心構えでは駄目だということだった。
無闇に利用されないよう周囲に気を配ることもそうだが、それ以上に、自分だけの揺るぎない信念を持てと、彼女は言った。
だがしかし、自分にそれが本当に出来るのだろうか? アスランは深い苦悩の表情を刻み付けながら、思う。
……二十年にも満たない自分の人生。 改めて振り返ってみれば、お世辞にも褒められた内容ではなかった。
ことさら、成人してからは酷いもので。 常に己の行く道に迷い、躊躇い、方々からの声に心揺れ動かされる日々だった。
最初は、血のバレンタインで死んだ母親の仇討ちと、母国の平和を守るために、軍人になる事を志願したのだが……。
戦場での親友との出会い。双方の立場と考えの食い違いから起こった望まざる争い、そして殺し合い。
戦争を憎み、その只中であがくナチュラルの少女との出会い。
誰よりも世界の平和を望み続けていた自分の婚約者が示した、戦争を止めるために、世界に対して戦いを挑むという決意。
彼らと出会ったアスランは、いつしかその思想に感化され、自らの望みを託し、
ザフトを、プラントを、父親や戦友たちを裏切ってまで、彼らと行動を共にする道を選んだのだ。
そして、地球とプラント間での戦争が終結した後は、祖国プラントを出奔し、オーブへと亡命した。
――つまるところ、己は裏切りと逃げを繰り返している人間なのだと、彼は認識しているのだ。
他者の強い意志に惹かれ、それまで抱いていた信念を覆し、
自分の立場に危険が及べば逃げ出すという、到底筋が通っているとは言えない行動。 それが彼の歩んできた道だった。
果たして、そんな自分が確固とした理想を持つことが出来るのだろうか?
そもそもカナーバは、一体どの程度の『理想』を自分に求めてきているのだろうか? アスランは思い悩む。
ただ、己の心を確かに保つためだけのモノなのか、近しい仲間たちからの信頼を得るほどのモノなのか
……それとも、指導者としてプラント国民からの共感を集められるほどの立派な思想なのだろうか?
想像を巡らせていくにつれて、全周囲から圧しかかってくるプレッシャー。
足取りもいつしか、重くおぼつかないものへと変わっていく。
こんな調子じゃあ、今すぐに彼女の期待に応えることは難しそうだ。
足元へと視線を落とし、何度目かの深い溜息を付きながら青年はそう思った。
なにせ、これから数日後より、ゆっくり考える時間もないほど慌しくなるのは明白だったから。
ザフトへの再入隊が正式に決定されれば、恐らく訓練課程に入らねばならないだろう。
かつてのザフトレッドとはいえ、もう二年も前の話なのだ。
軍事技術の革新により、MSパイロットに求められる知識も大きく様変わりされていてもおかしくはない。
…現に、彼は先日新型機のザクを操縦した際、OS内に用途不明な数値や機能をいくつか見かけていたのだ。
これからの自分に漠然とした不安を覚えながら、アスランは再び顔を上げ、頭上に広がる星天を見つめる。
明日は墓参りに行ってこよう。 両親、そして戦友たちの墓前で、久しぶりに挨拶をしたい。
そして、そこで自分の過去と向き合い、じっくり考えていこう。 これからの事を。
迷える青年は明日為すべき事を確認すると、そこでようやっと微かな安堵の表情を浮かべる事が出来たのだった。
永らくお待たせしました。年末年始の仕事の忙しさとスランプに苦しみました舞踏の人です……(パタリ
今回はアスラン編とでも言いましょうか、マユちゃんの出番は一箇所限りでした。
次回もこれ続きそうなんで、ちゃんとマユちゃんが出てくるのはもちっと後になりそうです(汗
オーブに戻れば出番多いはずなんだけどなあ。 あまりブランクが空きそうでしたらまた何か閑話でも入れたいと思います。
さて、今回の話。 冒頭部分はストーリーと関係ないところで妄想した場面なのですが、折角なので入れてみました。
本編じゃあ羽クジラって影薄いですよね……色々弄ったり絡めたりする要素が盛り沢山だと思うのですが。
と、言うわけでちょっと羽クジラとパトリックとシーゲルな場面を書いてみようかと試みたら、思いのほか長くなりました(笑
二人の愛称も妄想です。 反目しあいながらも相手を大事な友だと思っている、みたいなのが伝わると嬉しいです。
議長とアスランの場面は大方本編通りで暗い内容だったので、みっぱいアタックで弾けさせておきました(ぉ
で、今回オリジナルの場面。 恐らく予想外と思われるカナーバさん登場です。
以前、マユたちが『アイリーンさん』と名前を出していた場面があったのですが、
その時点で気付かれなくて良かったあ、と内心ホッとしております(笑
カナーバさんの性格に関しては、本編に具体的な情報が存在していなかったので、これまた捏造です。
断片的な情報(男っぽい口調、シーゲルも呼び捨てで偉そう、声がカガリ、外交官)を錬成させたらこんなんになりました!
彼女とエイジのお話は流れの都合上省略しましたが、そのうち閑話か何かで書くかもしれません。
次回はもう少し早く書き上げたいと思います……。
GJ!
GJ!
とにかく今後のキャラの動きと成長っぷりが楽しみで仕方ない感じです。
久しぶりの舞踏乙!
いやー、面白かったです。アスランが化けそうな悪寒!?
GJ!!でした。
マユのミラコロは(PAM!
438 :
通常の名無しさんの3倍:2007/02/25(日) 21:02:05 ID:KWg1X1qH
ほす
ちょっとスランプ気味なんでネタ投下。替え歌です。例のあの歌にあわせて。
マユまゆステキ
歌:マユ・アスカ、ステラ・ルーシェ、メイリン・ホーク、ルナマリア・ホーク、ミーア・キャンベル
コメント:マユデス男子陣。
マユ:海賊みたいに宝の地図見つけたならば
皆で何処までも行こうか
(シンハロ:お供しますよ)(レイ:俺も付き合うのか・・・。)
ステラ:ドキドキしたいなお星様にお願いなの
叶えてくれるのは誰かな?
(ゲン:ステラのためならぁぁぁぁ!!)(ネオ:落ち着けよっ!!)
時間の果てまでうぇーい!!
ルナマリア:熱くて絶好調な想いは(キース:・・・何その変な顔。)
何もかもを卷き込んだ妄想で遊ぼう(男子陣:まきこむなぁぁぁぁ!!)
皆:ある人気投票
他のマユ以上の人気が
限りなく降りそそぐ 不可能じゃないわ(アウル:無理むり・・・・ぎゃー!!)
明日また会うとき 笑いながら脅迫
投票を集めよう
カンタンなんだよ こ.ん.な.の
追いかけるよ つかまえちゃうよ
小さな私が スキでしょう?(カルマ:胸も・・・・うわぁぁぁ!!)
ミーア:イロイロ予約が出来そうで出来ないマイス
それでもたくさんほしいの(アキラ:水晶先生何個買う気?!)(ゼロ:計算すると50個。)
メイリン:キラキラ流れて 遥かな宇宙に消えていく
流れ星が希望をくれると(スティング:俺より流れ星のほうが頼れるのかーーー?!)
時間に乗ろうようぇーい!!
皆:おませでクールな年頃だもん(ハイネ:脳年齢いくつだよお前ら。)
こんな夜は寂しいのなんてね 言わせて(男子陣:メイリン以外全員今のセリフ撤回しろ。)
手と手を合わせたら
向かう敵全滅よ
燃えあがる拳には 不可能がないの(ジョー:女子のキャラソンじゃねーだろこの歌詞。)
宇宙(そら)だけ見ていると 涙もかわいちゃう
「強くなりたい!!」
ココロから強く思うほど な・れ・る・よ
走り出すよ 後ろの人もおいでよ(アスラン:はいはい・・・・・。)
トキメキッ するでしょう?
うぇーい!!
ルナマリア:熱くて絶好調な想いは
何もかもを卷き込んだ妄想で・・・・・・いやほぉっっっっう!!
皆:ある人気投票
他のマユ以上の人気が
限りなく降りそそぐ 不可能じゃないわ
明日また会うとき 笑いながら脅迫
投票を集めよう
カンタンなんだよ こ.ん.な.の
追いかけるよ つかまえちゃうよ
小さな私が スキでしょう?
グレイシア「ごめんなさーい遅れ・・・え?!もう終わった!!何よそれ!!!
私も歌うんじゃ・・え?!女子にも男子にも入らないって?!
じゃあ何?!え?!ちょっと・・!!ねーーーーーー!!??」
舞踏の人GJ!
本編以上にアスランのこれからが気になる展開ですね。
楽しみにしてまつ
ほのぼのさん
>時間に乗ろうようぇーい!!
>いやほぉっっっっう!!
吹いたwwwwwww
一通の書簡。再会を信じて。
目覚めると空は青く透き通っていた。眼に染みるほどに青く、切ない色。
──いつか空になる青になりたい。
気持ちが溢れてくる。今日みたいな、あの日みたいな空になりたい。
前に足を踏み出せそうな気がするのだ。とどのつまり幸せは自分で掴むしかないのだ。
昨日までの私には慟哭で別れを告げ、今日からの私を笑顔で迎えようと思う。
部屋を出て足早に洗面所に向かう。鏡を見ると、涙の跡が酷い。頭がまだボンヤリとしている。
蛇口を捻ると冷たい水が勢い良く出てくる。両手ですくうと、水の針を刺す様な冷たさを感じる。
生きているといる実感が沸き上がる。昨日まで私を覆っていた澱を流し落とす様に、丁寧に丁寧に顔を洗う。
ぼんやりとしたもやもやが晴れ、意識が覚醒し始める。
ふと思った。──手紙を書こうと。
会って話をする程の勇気は無いけれど、手紙を書くことが出来ない程に臆病ではない。
自室に戻ってお気に入りの白い可愛い便箋と奮発して買ったブランド物の万年筆を取り出し、机でにらめっこをする。
書きたい事が沢山あって悩んでしまうが、伝えたい事を書こう。
窓から光が差し込み、便箋から反射した光が眩しい。心地好い風も吹き込んでくる。空は透き通るように青い。
『──拝啓 兄さんへ──』
一筆一筆、丁寧に心を書いて認めた純粋な私の感情。
差し出す相手のいる手紙を書くのは久しぶり──、いや、初めてかも知れない。
いつか再び出会える奇跡を信じて、筆を進める。
鳥の囁きが、人々の営みの喧騒が耳をくすぐる。
平和の足音が聞こえてくる様だ。
私の新たなる人生は始まったばかり。
さあ、始まりの一歩を踏み出そう。
──fin.──
ああ、どうなるのか気になる!
GJ!!!
マユに未来あれ。
あとがきのようなもの
これにてウンメイノカケラは終りです。
小さな箱庭みたいな世界を書いてみましたが、いかがだったでしょうか。
少しでも皆様の心に残って貰えると幸いです。
これ以上話を続けると蛇足になってしまうので続編は全く考えていません。
新作は色々と考えていますが、マユ主人公物となると相田裕作品(GUNSLINGER GIRL等)とのクロス物になってしまうので、このスレに投下は出来ないかもしれません。
投下場所に困ったらここに投下するかも知れませんが多目に見てやって下さい。
それでは、またいつか。
>>444 完結乙でした! 短いながらも色々考えさせられる、良い内容でした。
このスレでは今までクロス作品が投下されたことはないのですが、マユが主人公ならアリなんじゃないのかなと思います。
もしよかったら、新しい作品もここに投下してくれると嬉しいです!
乙でした!このスレは過疎気味なのでむしろ投下して欲しいです
某所では今現在荒れているので怒りと悲しみと憤りを禁じえません
そこでもめげずに頑張ってください
ファンの俺たちは応援してます
申し訳ないが三人目っていう職人を引き取ってもらえないか?
そも職人さんって引き取る引き取らないなんて出来るのか…? 犬猫じゃああるまいし。
もうずっとこのスレしか見てないから全然分からないけど、他所のSSスレは大変なんだな(´・ω・`)
ウンメイノカケラ完結乙です。小さな世界の物語がとても良かったです。
もの悲しさと暖かさが同居した良い作品だと思いました。
誰か、相田裕作品とやらについて教えてくれ。予習しておきたいんだ。
>>450 体に障害のある身寄りのない少女をサイボーグにした後薬で洗脳して人殺しをさせる話
クロスオーバーものは微妙じゃね?
ここはあくまで新シャアなわけだし、マユ主人公運命キャラメインがここの方針だろ?
いくら最近過疎だからって何でもかんでも許可しちまったら、もう主旨から外れた別スレになっちゃうような。
哀れイシュタムここも安住の地ではなかったかw
ウンメイノカケラも微妙にスレ違いだった件について。
マユ主人公だけど運命キャラメインじゃないんだよね。
新人スレから誘導されて投下してたのにGJも少なかったし、このスレって残酷だね。
イシュタム兄さんは返して貰います。三人目をプレゼントします。
>>454 GJが少ないんじゃなくて住人が少ないだけだ。
さて、真面目にどうしようか。クロス物を受け入れるか否か。俺はウンメイノカケラの雰囲気が好きだからそういう作品なら投下して欲しい。
>>454確かにGJすら無かった回も有ったね。リアルで見てたらGJつけたよ。
いまさらだが運命キャラがメインってのは必要ないんじゃねーか?
必要っつーか、マユに絡めるとしたら運命キャラしかいないのが普通だろ。
逆にムルタを絡めたウンメイノカケラの発想が凄かった訳で。
ウンメイノカケラは特にスレ違いとはおもわなんだが。
ごくごくまっとうなマユ主人公モノ短編だと思ってたが。
他の作品と趣が違ったけど、いいもんだったぞ
あれは本当はエス種であってマユの話ではないんだよなー。
>>457 しかし旧キャラと絡めすぎてもな・・・
それをいうならアストレイはどうなるんだろう?
さて、職人さんはどうするのかな。投下して欲しいが反対派がいるみたいだし。
>>462 そんなんどっちでもいいやん、マユが出ておもしろけりゃ。
あんま縛るとよくない。
ここのスレにオーブにいた頃のアスカ家を題材にしたSSを投下しても大丈夫ですか?
是非是非カモン!!
今すぐ投下ではなく、書いてみようと思ったりだけなんですけどね。
ただ改編する気は全く無いので、アスカ家以外の運命キャラは出て来ないのです。
そうするとテンプレにある条件を満たせません。
ウンメイノカケラ氏の様に追い出されてしまうかも知れないので投下場所を再検討します。
失礼しました。
職人さん追い出しから新規の職人さんがやりにくかったんだろうね。
新規の職人さんも増えて過疎化が止まると思ったのに……。
運命キャラがメインはテンプレから外したほうが良いんじゃない?
それを外すと、そもそものスレの主旨である
>このスレは、機動戦士ガンダムSEED DESTINYの主人公がシンではなく妹のマユだったらという
>二次創作SS小説そして妄想スレです。
というところからずれて来る危険性が大きいと思う。
投下ペースのダウンに間口を広げて新たな職人の登場を待ちたいってのは分かるけど、
投下が減るたびに済し崩し的な条件緩和を繰り返していくようでは、
そのうちマユが主人公の種死という大前提をも覆しかねないんじゃないかな。
ひとまず、もう1スレぐらいは辛抱してみても良いと思うよ。
>>473 問題が起きてからではダメだと言うのは解るが
下手に間口を狭めては過疎スレになるというのが解らんのか?
過疎スレは辛いぞ。雑談すら無くなり保守だけで維持されて
職人が寄り付かなくなり消えていったスレを見たこと無いのか?
そういうのは職人が多くて余裕のあるスレがやるもんだ。
そして、一番の結論はSSなんざ面白ければ良いんだよ。
此処のスレに限ってはマユが主人公でなら
内容が合わないなら読み飛ばしたり個人の選択で良い。それだけの話だろう。
475 :
465:2007/03/02(金) 21:18:45 ID:???
465です。
やはり此処で投下しようと思ったのですが、自分の書こうと思ったSSはクロスですし
自分はオーブ戦前の平穏な日常を描きたいと思っているので運命キャラはアスカ家しか出てこないのです。
そうするとテンプレの条件に合わないですし、
>>473で述べられている意見も最もだと思いますので
取りあえず1スレ分様子を見てみようかと思います。
スレ汚し失礼致しました。
もう良いよ。緩やかな過疎化による滅亡を待とう。
>>473 ずれて何の問題があるというのだ?
わけわからんよ。
まあほどほどにな
ROM専の自治厨が文句言いまくった結果、
職人がいなくなって潰れたSSスレを俺は数多く見てきたから
結局の所悪い奴は新人スレからウンメイノカケラを誘導した馬鹿だな。
マユ主人公物全てがこのスレにふさわしい物だとは限らないという事を理解できなかったんだからな。
こんなスレ滅んでしまえ。
まぁまぁ、喪前ら少しはマッタリしよう
ギスギスしてると来るネ申も来ないぜ
新規の職人さんが来れば良いな。まったり待とうよ。
来る神なんているのかな。ウンメイノカケラ氏は別スレに投下したみたいだし。
あの〜、すみません、
マユが主役だけどザフトにもオーブにもいない、ちょっと暗い感じになりそうなSSなら書こうかと思っていますが、
ここに投下してもよろしいでしょうか?
>>485 おkおk
どっちかに属してなきゃいけないなんてルールはない。
そういった作品も結構あるしね。
昔は傭兵なマユとかもいた気がする
>>486 では、お言葉に甘えて出だしの2レスぶんほど投下させていただきます。
ザーザーと耳元でざわついた音がまとわりついてそれ以外なんにも聞こえない…
雨の音?…
いや、違う、音ですらない音のようなもの…
白黒の世界…
灰色の霧が目の前にかかっている…
遠くの方でお兄ちゃんが膝をついて何かを叫んでいる…
私はここよ…
そう叫びたくても…
お兄ちゃんの方に手を伸ばしたくても、…
体は全然いうことをきいてくれない…
しだいに目の前の灰色が濃くなっていって、…
私を覆い尽くして、そしてなんにも見えなくなっていった…
ノイズの響く灰色の霧の向こうで誰かが私の名前を呼んでいる。
次第のその声が近づいてくる。
私の名前?
えっとなんだっけ?
「マユ」
何度も私の体を揺すぶりながらそう呼ぶ声がする。
気がつくとお姉ちゃんが心配そうに私のことをのぞき込んでいた。
「マユ、起きた?」
「うん…、お姉ちゃん、どうしたの?」
ゆっくりと体を起こす。
ここはガーティ・ルーの私とステラお姉ちゃんの部屋。
作戦前に仮眠したつもりがすっかり熟睡してしまったらしい。
よりによって”あのとき”の夢まで見て…。
「マユ、うなされてた。それに泣いてた」
「そうなんだ」
「悪い夢、みたの?」
「うん。」
昔の夢、といおうとしてやめた。
ステラお姉ちゃんは”施設”にいたより”昔のこと”は憶えていないから。
私もお姉ちゃんも”ここ”に来てから新しい人生が始まった、それでいいじゃない。
「大丈夫?」
とても心配そうな表情で私のことを見つめるお姉ちゃん。
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
今の精一杯の笑顔で答える私
「どういたしまして」
にっこりとほほえむお姉ちゃん。
あ、そういえば!
「そういえば、時間大丈夫?」
「うん、そろそろ時間。だから呼びに来た」
「じゃあ、いかなきゃね。」
「そうだね、マユ。今度もがんばろうね」
「うん、お姉ちゃんもね」
今回の任務はお姉ちゃんといっしょじゃない。
お姉ちゃん達は潜入して”目標”の奪取。
私は脱出のための支援。
ネオおじちゃん(人前では”隊長”といわないと怒られる)がいうには
『情報によると目標は3つ、体を使っての荒事ができるかどうかで決めた』って話だ。
そりゃあ私はMSに乗らなければお姉ちゃん達にもおじちゃんにも勝てない。
しょうがないのかな。
よし!
私はがんばって自分のやるべきことをやろう!
お姉ちゃん達が脱出しやすいようにしなくちゃ!
ぺしぺしと自分のほおをたたいて気合いを入れる
そしてそんな私の仕草にちょっと”?”な表情をしていたお姉ちゃんと手をつなぎ、私たちは部屋を後にした。
GJ!
このスレ最悪だな。投下しても誰もGJつけやしねえ。
>>488-490 マユがファントムペインですか。
面白そうですね。続きを期待して待っています。
>>489-490 GJです。マユらしさが出ていてこれからが楽しみです。
>>491 仕方ないよ。このスレは気に入らない職人を追い出そうとする住人が一杯いるから。後は職人が投下しても放置プレイとか好きな住人も多いんだよ。
怖いね、過疎スレって。
うん、そうだね。過疎スレは怖いね。ぼくたちも気をつけようよ。
どんなスレだっていつかは過疎るんだ
どうせ俺たちゃ口開けて餌を待つだけの身なんだから気長に行こうよ
名無しで自演なんて以ての外だぜ
>>474 継続の意思がある職人は過疎スレだろうと投下するだろうし、
そちらみたいに熱心な住人がいるんだから容易に過疎化はしない筈。
住人がちゃんと感想を書いていけば、職人のモチべも維持しやすいだろうしね。
SSは面白ければ良いっていうのは同意だし、個人の選択で読む読まないを決めれば良いというのもその通り。
けれどテンプレってものがあるんだから、もう少しそれは尊重しようよ。
学生さんはどうだか知らないけれど、社会人はこの時期すごく忙しいんだよ。
この時期に投下が少ないのは仕方の無いこととも言えるんだ。
だから、もう1スレぐらい様子を見てから改めてテンプレ改変を議論しても遅くは無いんじゃないかな。
>>478 だったらこのスレじゃなくても良いじゃんという話。
このスレならではの作品が読みたいから、みんなはここに来てるんじゃないの?
>>497 マユが出てりゃいいだろ、考え方が硬すぎる。
このスレで重要なのはマユが主人公という事だろ。
クロスは確かにスレ違いだが、マユが主役で種世界を舞台にしているなら問題あるまい。
運命キャラがメイン、っていうテンプレは旧キャラばっかりにならない様にするための戒めみたいなものじゃないのか?
>>490 新作GJ!!
ガーティーにいるマユのいきさつとかも気になるけど、珍しくお姉ちゃんの立場になっているステラの変化も気になるところだw
続き楽しみにしてるよー!!
>>490 GJ!マユはMSに乗らないってことは、戦艦のブリッジクルーなのかな?
続き待ってます。
>>491 仕事が忙しくてスレが見られず、投下されたSSにリアルタイムで感想が書けない
人もいる事をお忘れなく。投下して時間が経ったssにも感想書いても良いのだろうか・・・
基本はテンプレを尊重
グレーゾーンは心持大きめに
目くじら立てる前にスルーにチャレンジ
この辺をテンプレ最後に追加しとけば波風立たなくて済むんじゃねーの?
>>501 >仕事が忙しくてスレが見られず、投下されたSSにリアルタイムで感想が書けない
>人もいる事をお忘れなく。投下して時間が経ったssにも感想書いても良いのだろうか・・・
リアルタイムに書けなくて、そのまま感想書かないままになる事ってあるよね
時間が経ったあとでも感想を書くことはOKだと思うよ。職人さんもそれは歓迎すると思うし
ただ避難所の感想スレに書いてねと言われると思うけど
読んだ!
プロローグですね、先が楽しみです
単発設定小話 「灰色の戦い ぶつかり合う翼編D」最終章 52
〜デスティニーのアロンダイトをビームソードで払うフリーダム〜
マユ「っつ・・・このぉっ!あなたって人は!戦うのが嫌なのなら!・・・でてこなければよかったのに!」
キラ「ミーティアに追いすがるなんて!・・・僕を殺して気が済むのなら・・・それでもいいけど・・・・・・」
マユ「前の戦争でも英雄でも、この戦争では混乱を招いただけじゃないの!」
〜ミーティアに取り付きアロンダイトを振り回すデスティニー〜
キラ「僕を殺して君は全部すっきりできるの!・・・できるわけ・・・ないじゃないか。人間はそんなに強くはできていないんだ!」
マユ「パパとママと・・・わたしのお兄ちゃんを返してよっ!!・・・ったぁー!!」
キラ「!」
〜デスティニーのアロンダイトがミーティアの右ビームソードを切り落とす〜
サラ「よくやったわ、マユ!・・・一気にたたみかけるわよ!」
〜ドラグーンを全基フリーダムに向けるデスティニーインパルス〜
キラ「そんなもの・・・・・・<シュパーン>・・・・!!」
〜ミーティアと接続したままでフリーダムのドラグーンを展開させるキラ〜
キラ「・・・<ピロリロリーン>・・・あぁぁっー!」
サラ「いまさらっ!!」
〜キラが展開したドラグーンを追跡するサラのドラグーン〜
キラ「僕には・・・やらなきゃいけないことがまだあるんだよ!ええぇいっ!!そこ!」
〜デスティニーに2基のドラグーンを仕掛けるキラ〜
マユ「っぐ・・・このぉ!!そんなもの!」
〜ビームシールドで防ぐマユ〜
〜その頃のメサイア〜
ザフト兵「ネオジェネシス、チャージ75パーセント」
デュランダル「オーブおよび連合艦隊の様子は?」
ザフト兵「・・・わが艦隊と交戦中です。・・・!βエリア、敵艦隊に突破されました!」
デュランダル「向こうもなかなかがんばるね。・・・ニュートロンスタンピーダ5基をβエリアに照準。50パーセントでいい」
ザフト兵「了解。ニュートロンスタンピーダ5基をβエリアへ照準。チャージ開始」
デュランダル「部隊の編成を整えろ!次は突破させないようにな」
ザフト兵「ハッ!」
〜背筋を正すザフト兵たち〜
ザフト兵「ニュートロンスタンピーダ、チャージ50パーセント!」
デュランダル「βエリア、敵艦隊へ照射!弾き出せ!」
〜ネオジェネシスの周囲に配置されたニュートランスタンピーダ10基のうち5基が照射を開始する〜
〜βエリアを突破してきたオーブ艦隊〜
サイ「メサイアから熱源確認!」
キサカ「回避行動!合わせてダミー放出!」
トノムラ「ダミーバルーン放出。サイ!演算結果は!?」
サイ「照射予測点、でました!」
〜ブリッジのメインモニターが切り替わる〜
トノムラ「回避行動開始。各艦移動位置確定」
キサカ「ザフト艦隊は!」
サイ「残存部隊は追ってきません!」
〜ニュートロンスタンピーダの照射をなんとか回避するキサカたち〜
続
この調子だったらキラ倒せそうな気がしてきた。
それはそれで面白そうな展開だw
>>488-491 に投下させていただいた者です。
GJを頂き大変有難う御座いました。
ではまた、2スレほど投下させいただきます。
物語全体の名前は「幻視痛」とさせていただきます。
コロニー「アーモリーワン」からほど遠くない宙域の岩塊の影にガーティ・ルーは身を潜めていた。
その艦内はひっそりとしていたが全体にある種の緊張感が漂っていた。
また、ブリッジもその例外ではなかった。
そのピンと張り詰めた緊張感の中、ショートヘアに少しシャギーの入った黒髪が印象的な副官のマキ=アガタ少佐は
キャプテンシートの方に振り返り、イアン=リー艦長と並んで着席している上司、ネオ=ロアノーク隊長に話しかけた。
「しかし、よかったのですか?実戦経験の少ないマユ一人にあんな重要な任務を任せて?
やはり、トビー達ダーク・ダガー隊に任せた方が…」
「なーに、大丈夫だろう、そんなに心配しなさんなって。だいたい、この期に及んで何いってんの。
MSの操縦技術は4人の中でマユがダントツだし、始めるまで見つからなければほぼ成功、問題はないだろう」
飄々としたその口調と妙な仮面のせいでまったくネオの表情は伺えない。
そもそも実直そうな口調のマキ大尉もそのサングラスのおかげで表情は容易に伺えないが。
マキの2年前より少し長い前髪とサングラスはその傷跡を隠すためだが、ネオの妙な仮面は何を隠すためだろうか?
「使える者はあのような小さな子供でも、コーディネーターでも使え、ですか?」
「君もあのお偉いさん達とおんなじようなことをいうんだね〜。それにマユは”ソキウス”、だろ?」
「そういうことになっておりますが、しかし…」
「まあ、寄せ集めのガーティ・ルーにそんなのが一人や二人いても何の問題もないんじゃないの?」
連合の艦に、若いコーディネーターのMSパイロット。
かつてそんなシチュエーションがあったことを彼女は知っていた。
それが”この場”では話すことができない内容であることも彼女は知っていた。
「だいたいあなたは、あのときも…い、いや、とにかくこの隊には”そんなの”が多すぎです!」
ネオの隣には”その通り”、なのか”いい加減にしてくれないか”なのか眉をひそめ微妙な表情をするリー艦長。
それらに気がつかないかのようにネオはマユの弁護を続けた。
「マユが失敗しても目くらましや目標の回収の手伝いは俺が出て行ってもできるからさ。まあ、あの子にはいい経験さ」
「隊長はマユにいつも甘すぎます!」
マキのお小言はまだ終わっていないらしい。
マキはマユのことになると過剰に反応する。
マユはいつも『おばちゃんは、お小言が始まるととっても怖い』といっていたが。
「おお怖…、まあ、そろそろ始まるぜ、副長殿」
ネオはごまかすようにマキに正面のスクリーンを見るように促した。
「正面のスクリーンをそんなに凝視しなくても連絡が入るから大丈夫です!」
「はいはい」
ネオはそんなマキとのやりとりになぜか不思議な懐かしさを感じていた。
『さっきもマキ少佐は、”あのときも”なんていっていたがな。
たしか彼女とはこの隊で初めてあったはずで会ってから1年たっていないはずなんだよな〜。
またなんかやらかしたかな、俺』
しかし、それがどこから来るのか、また、そこにわずかばかり感じている喪失感の理由もわからなかった。
『作戦前だし、変な感傷は禁物だぜ、ネオ=ロアノーク大佐殿』
ネオはそう自分に言い聞かせると、まずはどうやってマキ少佐をごまかしてなだめるかを悩むことにした。
空、ウソみたい。
星空が見えないけど好きじゃない。
町、キレイ。
人がいっぱいいる。みんな何をしているのかな
ひさしぶりに広いところを歩いた。
ガラスの向こうにいっぱい楽しい物があった。
楽しい、楽しい。
ガラスの向こうにお姫様の私もいる。
今日の私は、お姫様。
楽しくなってダンスを踊る。
くるくる踊る、町も踊る。
くるくる踊る、空も踊る。
変な男の子にぶつかって踊りが止まる。
ちょっと失敗。
町の中にはいっぱい楽しいがある。
いっぱいみて、いっぱい覚えて、今度マユにいっぱい教えて上げよう。
夜、マユはときどき泣いている。
とても痛そうに泣いている。
悪い夢を見たって、つらい夢を見たって。
だからマユに教えて上げるんだ。
外にはこんなにいっぱい楽しい物があるって。
町をいっぱいみてどこかの道路にでたら、手配してあった車に出会った。
――識別コード、グリーン
コレに乗ったらもうお仕事の時間。
――モード移行準備
今回のターゲットのある場所へ向かう。
さあ、がんばろう!
GJ!楽しみです。
引きますな〜、続きが待ち遠しいですわ
GJです!
あっさりした文章の中にも、しっかり情報が詰まっていて面白いです。
続きが楽しみです!
514 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/07(水) 11:31:36 ID:Ow8hCbVl
すみません。
Gジェネ風のSSはありですか?
Gジェネ風とはどんなのですか?
きれいな三馬鹿が出てくるとか
Gジェネ風というからにはUCとか他のガンダム作品とのクロスってこと…?
519 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 09:13:41 ID:JLNWV2TR
いえ、戦闘システムとかMSの生産とかその辺だけです。
キャラと話はマユ主役で種死だけ。
520 :
通常の名無しさんの3倍:2007/03/08(木) 09:15:45 ID:JLNWV2TR
追加
ニコルが無印でアスラン見捨てて生き残ってるのですが・・・。
>>519 ・sageを覚える事
・あからさまな荒らしを見分けられるようになる事
・内容に自信がないなら初心者スレでちょっと鍛えてくる事
まだまだ容量ありますから、職人さん投下できますよ。
どうも
――目標の存在する格納庫へ侵入、成功、目標確認
お仕事がんばろう。
――ナイフによる近接戦闘及び、銃器による中距離戦闘準備、作戦開始
大丈夫。ステラできる。
――障害へ対応開始
「ハーーッ!」
――障害はすべて沈黙
『スティング!』
『よし、行くぞ!』
――迅速に目標へ搭乗
中身、わからない。でもわかる、操作方法が頭の中にある。不思議。
――戦闘モードを変更、MS操縦モードへ
頭の中にあるとおりだ。動かせるよ、ステラ。ネオの役に立てる。
――目標のシステムを起動、OSの起動を確認、操作方法確認、武装確認完了
『どうだ』
『OK、情報通り』
「いいよ」
――目標のパーソナルコード確認『ガイア』、今後、この機体を『ガイア』と呼称
「システム、戦闘ステータスで起動」
――パーソナルコード『スティング』の指示を把握、戦闘開始
『まず、ハンガーをつぶす。モビルスーツが出てくるぞ!』『ステラ、お前は左』
「わかった」
――対象を破壊、対象を破壊、対象を破壊、対象を破壊
――新規対象(緑色のMS)を発見、対応を開始
「こいつ!」
こいつ、倒さないと、ネオに怒られる。
勝たないとあそこにいられない。
ステラいないときっとマユが悲しむ。
――新規対象(赤いMS)が上空から接近。排除のため、対応を開始
また、増えた。でも、こいつも倒す。
――新規対象(赤いMS)の抵抗が強く、当該対象の排除困難
こいつ、強い、でも倒す。
そしてネオにほめてもらうんだ。
待っててね、マユ。
ストライク+I.W.S.P.のコックピット全体に響く私自身の呼吸の音。
同時に体全体を揺り動かし、両耳を思い切り叩くような鼓動の音。
ほんの数分かもしれない、数時間かもしれない、そんな感じの長い一瞬の重苦しい時間が私の周りを支配する。
アーモリーワン軍港発着口のすぐ側にあるデブリ群。
私とストライクはその中に隠れて”そのとき”をじっと待っていた。
お姉ちゃん達が目標の奪取に成功した場合は、ガーティ=ルーと目的物への追撃を妨げるために、
失敗した場合は、別動部隊としてコロニー全体の混乱を演出し、お姉ちゃん達の脱出を支援するために。
けど、あのお姉ちゃん達が失敗するわけないと思うけどね。
『ようするに我々に先行してコロニー周辺に接近して岩塊にでも隠れる。
時間がきたら軍港を使えないようにする。
そして出てきたMSの数を減らす。
あと、こちらから指示があったらその通りに動く。
こちらが脱出しろと指示があったらガーティ・ルーを探して脱出、帰投する。
たったのそれだけだ。
そんなの軽いもんだろ、模擬戦で負けなしのマユにはさ』
ってネオおじちゃんはいっていたけど。
マキおばちゃんは最後まで反対していた。
私には早すぎるとか、ダガー隊と交代させろとか、せめて護衛をつけろとか。
お姉ちゃん達にはそうでもないのに私のことになるといっつもガミガミいうんだよね。
せっかく特別におじちゃんのになるはずだったストライクを借りられたんだからがんばらなくちゃ。
おじちゃんはストライクをみて『俺、こいつは性に合わないよ、なんとなくだけどな』とかいってたけど。
ダガーでの模擬戦では最近はみんなに1回も負けなかった。
やるべきことは頭に入っている。
シミュレーションどおりやれば大丈夫だ。
私は絶対に大丈夫。
そんなことを頭の中で何度も繰り返し唱えていた。
──『空気』が変わった!──
何かがざわついている、けれど、急に周りの景色が爽快な感じに変わったような気分。
お姉ちゃん達が動き出した、そしてうまくいっている、そんな気がした。
作戦時刻に合わせたタイマーが光った、ちょうど作戦開始の時間だ!
私はストライクに持たせていたダガー用のバズーカを構え直す。
そして一直線にハッチから軍港に飛び込んで、動き出した手近な軍艦に照準を合わせた!
GJ!
IWSPストライクにバズーカ・・・続きが楽しみだよ
単発設定小話 「灰色の戦い ぶつかり合う翼編E」最終章 53
〜ミーティア本体でサラのインパルスとミーティアを牽制し、ドラグーンでマユのデスティニーを攻撃するキラ〜
キラ「っつあぁはぁー!」
マユ「こいつっ!?・・・なんて器用なの!ええぇぃっ、そこ!・・・っつ」
〜ドラグーンに阻まれフリーダムに近づけないデスティニー〜
キラ「まだ・・・まだなのか!・・・・・・」
〜ネオジェネシスの集光部に目をやるキラ〜
キラ「はぁはぁは・・・もう少し・・・」
〜メサイア司令部〜
ザフト兵「ネオジェネシス・・・チャージ完了します!」
〜手元のコンソールで確認するデュランダル〜
デュランダル「ふむ・・・照射準備!・・・目標、敵艦隊及び・・・地球!」
ザフト兵「・・・目標設定完了。ネオジェネシス照射準備・・・・・・」
〜空気が張り詰める司令部〜
ザフト兵「・・・・・・議長。・・・合図をどうぞ」
〜無言でうなずくデュランダル〜
デュランダル「・・・ネオジェネシス・・・・・・撃てぇぇっー!!」
〜メサイア全体に細かい振動が走る〜
〜2対1で戦い続けるキラ〜
キラ「・・・っく・・・・・・まだか!・・・・・・・!!来たっ!・・・・これで・・・・」
〜ネオジェネシスの中央部の光を確認し、ミーティアをひるがえすキラ〜
サラ「!?・・・いまさら逃げるき?・・・・・・」
〜フリーダムの向かう先に目を向けるサラ〜
サラ「・・・ジェネシス!・・・・・・まさか!?・・・・・・メサイアを一気に破壊するつもりなの!」
マユ「サラさん!」
サラ「わかってる!!えぇぇいっ!間に合いなさいよ!!」
〜キラを追いかけるサラ〜
キラ「はっはっ・・・これさえ破壊すれば・・・・・・戦争なんてもう終わるはずだぁー!!」
サラ「行かせるものか!」
〜フリーダムをドラグーンで後ろから狙い撃ちするサラ〜
キラ「・・・<ピロリロリーン後ろ?」
〜フリーダムのドラグーンが連携しビームバリアを形成する〜
サラ「バリアだとっ!?」
〜メサイア司令部〜
ザフト兵「!ネオジェネシスに近づくMSを確認!映像だします!」
〜中央のメインモニターに映し出されるフリーダム&ミーティア〜
デュランダル「なんだと!・・・えぇい、デスティニーは?インパルスは何をしている!」
ザフト兵「ネオジェネシス照射します!!」
〜ネオジェネシス中央部から光りが漏れ出している〜
キラ「あぁぁーっ!!落ちろっー!」
〜ミーティアから分離するフリーダム。そのままネオジェネシス中央へ突っ込むミーティア〜
続
>>526-527 乙、マキおばちゃんは心配性な人ですねw
一つだけ言わせてもらう
「おっさんじゃない!」
ふと思う。連合側で主役はれるMSがストライク以外にあるでしょうか?
ストライクIWSPから乗り換えるとしてもストライクノワールくらいしかないような気も。
ノワールってか、Eな。
レイダー正式仕様とかどうだろ
>>531 オーブと同盟結ぶんだから
事と次第によってはストライク系列のアカツキがある。
ユーラシアにはハイペリオンもあるな。
本編設定では、3号機までで開発計画が凍結されたことになってるみたいだが、その辺はSSなんだし改変で。
他にも、リジェネレイト、テスタメント、プロトセイバーとかの強奪機もある。
アストレイの方から引っ張ってくれば案外充実してる?
あるいは、アズラエルがフレイ経由でクルーゼから渡されたNJCのデータ。
本編の絵をみると、自由と正義の機体データも入ってたみたいだし、そこから作った連合製の自由・正義なんてのもアリかも。
ダークナイトストライク
HJに出てたノワールの元ネタっぽい奴なんてどう?
>>534 真ん中だけはまずいだろ、やっぱり
アストレイからって言ってもワンオフ機は時系列の問題があるぜ
>>536 あくまで二次創作なんだし、原作の時系列や設定に厳密に従う必要はないでしょ。
現に、このスレの過去作でテスタメントに乗ったマユもいたわけだし。
リジェネレイトは単体じゃ使えないから、ボディとなるMSが必要になるな
また、リジェネレイトは設計思想としてテスタメントとの合体も考慮されていたらしいが…
流石にリジェネレイトとテスタメントを一人のパイロットに与えるわけにもいかないか
>>537 アレの場合は時系列的な問題がなかっただけ
>538
合体させてメリットがあるかな?
>>531 スウェンたちの襲撃が成功したことにすればスタゲもあり。
連合側が追加装備したことにすれば
ボンバーマンよろしくなフラッシュマインもいけるぜ。
さらに尺の都合さえあれば
パイロットと絆を深めたAIが
ひとりでに機体を動かしてパイロットを庇うとか
そういう王道描写も出来るナイスな機体
>>540 マユの乗っていないスタゲがマユの命令無視してストフリ(キラ搭乗中)抱えて太陽に飛んでいく…
そんなシーンが浮かんでしまいました。
ちょっといいかも。
ていうか、スターゲイザー自体は目標でもなんでもなかったでしょ。
ファントムペインが必要としたのはAIユニット。
アレを複製してMSに搭載するつもりだったんだろ?
>>542 確かに学習型AIが目的だったんだけど
もともとは観測機なんだから
戦闘できる機体だなんて誰も思わないじゃん。
機体ごと奪われて「あれ?これ意外と使えるんじゃね?」 → 改造して運用
って流れもありだと思う。
ヴォワチュールリュミエール積んでるのなんて数機しかないんだぜ。
まあ職人さん次第だな、それは
545 :
531:2007/03/13(火) 20:35:21 ID:???
>>543 スターゲイザーを受理するマユ
「なんですか、これ、新しい機体?」
「AIユニット積んだMSだとさ、別部隊が強奪してきて、AIのコピーが終わった機体だそうだ。
もうこれ自体は用済みらしい…
今、マユの乗る機体がないっていったら送ってきたのさ。剛毅なもんだね〜」
「AIですか?もしかしてしゃべるとか?お歌とか歌える?ステラお姉ちゃんみたいな声で!」
「おいおい、MSじゃあないぞ、それ…」
ダークナイトストライクスアゲイン
単発設定小話 「灰色の戦い 堕ちる天使編C」最終章 54
〜アークエンジェル以下、オーブ艦隊、連合艦隊を挟み撃ちにするザフト軍〜
タリア「ってぇぇー!トリスタン、ナイトハルト起動。目標、敵艦隊!」
アーサー「目標設定完了!」
タリア「撃てぇっー!」
〜一帯の宇宙空間が光線の放つ光に包まれる〜
マリュー「もうっ!ローエングリン起動!続けてゴッドフリート、バリアント起動!攻撃パターンシグマ!」
チャンドラ「攻撃パターンシグマ設定しました!」
ミリアリア「敵艦隊より攻撃来ます!」
マリュー「回避ぃ!・・・敵艦隊の位置は特定できる!?」
ミリアリア「・・・射出地点を割り出しています!」
〜攻撃準備しつつ回避行動に移るアークエンジェルら〜
〜臨戦体制のザフトMS部隊〜
イザーク「よし!ディアッカ、シホ!行くぞっ!!」
ディアッカ「了解!」
シホ「了解しました!」
イザーク「俺に続けぇっー!!」
〜オーブ艦隊、連合艦隊に襲いかかるザフトMS部隊〜
〜ザフトMS部隊の行動に気づくムウ〜
ムウ「来なすったか・・・・・・敵MSを近づけさせるな!」
オーブ兵「了解!」
〜陣形を整えるオーブMS部隊〜
ムウ「・・・キラはメサイアを落としてくれるだろうがな・・・・・・くそっ!なんか嫌な感じがするぜ!」
オーブ兵「一佐!正面から来ます!」
ムウ「おう!スリーマンセルで当たるぞ!・・・全員生きて戻って来い!」
オーブ兵「はっ!」
〜三人一組でザフトのMS部隊に立ち向かうオーブ兵たち〜
〜前進するザフト艦隊〜
アビー「敵艦隊から砲撃来ます!」
タリア「トリスタン照準、てぇっー!」
〜砲撃を繰り返し前進するミネルバ〜
タリア「アーサー!敵艦隊の中からアークエンジェルは特定できて!?」
アーサー「まだ特定できません。各艦にも照会してもらっていますが・・・」
タリア「わかったわ。続けて頂戴。アビー、被害状況を収集して!」
アビー「混線状態ですのでレーザー通信を行います」
タリア「頼むわよ。・・・ここで全部出し切るわよ!後はないと思いなさい!」
〜前進し間を詰めるザフト艦隊〜
〜オーブMS部隊と戦闘に突入するザフトMS部隊〜
イザーク「ディアッカ!初発はお前にくれてやる!叩き落とせぇっー!」
ディアッカ「りょうっかい!行くぜ!」
〜オルトロスを放つディアッカ〜
続
GJ!
>>546 2003年9月号のHJに乗ってるぞ
完成したアリスみたいな、「いい女AI」だったら
マユのいいお母さんかお姉さんになってくれそうです
AI持ちで喋れたら…勇者ロボですな
MAに変形できたらなおの事
マユが乗るなら運命のおじさまにはならないと思う。
隻腕・・・俺はまだ待ってるぜ
私もだ
それよりほのぼのマダナノカ
そういやほのぼのにシンハロがいたが、
あれの出自って何だったっけ?
8みたく自我あるっぽいが、量子コンピュータだっけ?
AIではないっぽいが…
単発設定小話 「灰色の戦い 堕ちる天使編D」最終章 55
〜ザフト軍からの攻撃をかわし、戦闘に突入するオーブ軍〜
ムウ「ったく・・・てめえのとこの大将がどんだけ危険な思想の持ち主だってのを知ってんだろうね、あいつらは!」
オーブ兵A「一佐!左ですっ」
〜味方の声よりも一瞬早く動き、ビームをかわすガイア〜
ムウ「俺のことは気にしなくていい!目の前の敵に集中しろって!・・・<キュロリロリーン>散らばれっ!でかいのがくるぞ」
〜ムウの声で散らばりビームをかわすムラサメ〜
オーブ兵A「・・・っ・・・・・・すげ・・・よく気づくよな」
オーブ兵B「ああ・・・まるで来るのがわかってるみたいだぜ・・・・・・」
〜オルトロスを撃ちおわったディアッカ〜
ディアッカ「ん〜・・・あんまし効果なかったかな?・・・イザーク!もたもたしてんじゃねぇぞ」
イザーク「誰がもたもたしてるんだよ!お前こそ遅れてくるなよ!・・・・・・シホ、左にまわれ!」
シホ「了解!」
ディアッカ「はいはいっと・・・・・・あの赤いMSの動き・・・いや、まさかな」
〜イザークを追いかけるディアッカ〜
〜距離を詰めるオーブ、連合艦隊とザフト艦隊〜
マリュー「ゴッドフリート照準、てぇっー!」
チャンドラ「敵艦隊急速接近!このままじゃ接触します!」
マリュー「っちぃ・・・回頭用意!スレッジハマーを横っ腹に打ち込んでやりなさい!」
〜ザフト艦隊を接触ぎりぎりでかわすアークエンジェル〜
ミリアリア「スレッジハマーの着弾確認!」
マリュー「イーゲルシュタインで追い討ちして動きを止めさせるのよ!」
〜ミネルバ〜
アビー「・・・艦長!アークエンジェルの位置を捉えました!」
タリア「座標を送って頂戴。・・・アーサー!タンホイザー起動、道を作りなさい!」
アーサー「了解!タンホイザー起動、目標設定。間隔をあけてトリスタンも発射させます!」
〜手元のコンソールにすばやく入力するアーサー、アビー〜
タリア「できれば・・・挟み撃ちにしたいのだけれど・・・・・・。ジュール隊へ連絡できるかしら?」
アーサー「イザーク・ジュールですか?・・・・・・通信は・・・信号弾ならいけると思います」
タリア「じゃ、アーサーお願いね。さぁさぁ、いくわよ!」
ザフト兵「了解」
タリア「タンホイザー、撃てぇっー!」
アーサー「続けてトリスタン、発射します」
〜タンホイザーの光りがうっすらと残った状態でトリスタンも発射するミネルバ〜
タリア「全速前進!敵の頭を引っこ抜くわよ!」
〜戦闘に突入しているジュール隊〜
イザーク「はぁっ!もっと手ごたえのある奴はいないのかっ!?」
シホ「隊長!信号弾が」
イザーク「信号弾だと?・・・シホ、解析頼む!」
ディアッカ「イザーク!余所見してんなよ。正面、赤い奴が来てんぞ!」
〜イザークのグフに迫る、赤色のガイア〜
続
「ちょっこれーと♪ちょっこれーと♪ちょこれーとーは♪めっいっじっ♪」
「それ・・・・きちんとした所のホワイトチョコレート何だけどな・・・・・。」
ステラはシンから貰ったホワイトチョコレートの包みを受け取って大喜びで歌っている。
「あ・・、ありがとう。高そうだね・・・これ。」
メイリンがスティングから貰ったネックレスを見て喜ぶ、というより戸惑う。
「・・・・・?だってネオがホワイトデーは十倍で返すのが普通だって。」
「はぁ?!騙されてるよスティング!」
悪い大人に騙せれる青少年、メイリンはスティングには自分がいなきゃだめだと改めて思った。
そして・・・・、問題がまた一つ。
「あれ?シンハロその包みは?」
シンハロからもらったクッキーをぼりぼり食べながらマユは聞く。
一際大きくて立派な包みである。
『これ?アビーさんから結構立派なチョコレートケーキもらっちゃってさ・・・。そのお返し。』
その言葉に後ろでコーヒーを飲んでいたジョーがコーヒーを噴出した。
「・・・・おい、あの時お前が持ってきたあれって・・・・・。」
『ん?あぁ、あれ。俺食べれないから皆に分けて配ったんだ。どうせだからジョーにあげようと思って。』
微妙に空気のよめない子なシンハロ。
「俺なんかこんな小さい市販の義理チョコしか貰えなかったのに・・・・死ねばいいと思うよ。」
余裕綽々なシンハロに満面の笑みでアキラは言う。
「私なんてホワイトデーなんてあんたら以外にはアニメイトで頼んだブ○ーチの奴しかこなかったわ。」
ルナマリアがそう言ってミルクティーをすする。
「そんなことよりっ!!おいシンハロ!!これ以上アビーの信頼度あげるなっ!!」
バンッと立ち上がりそうシンハロに叫ぶジョー。
『・・・・?俺別にアレ以来特に何もしてないよ?』
そうシンハロが言うとハイネが呟いた。
「つまり何にもしなくてもそんだけシンハロに惚れこんでるんだな。」
次にネオ。
「あちゃー、そりゃだめだな。」
最後にアスラン。
「つまり、勝率はかなり低いのか?」
リーダー三人組の辛口コメントに大ダメージを受けるジョー。
キースがカウントを取り始め、カルマがタオルをなげる。
すると突然扉が開く。
「シンハロのAIは恋愛面での感性については疎いのでね。勘弁してくれないかい?」
「ギル!!」
議長がいくつかの包みを抱えて入ってきたのだ。
「ほら、皆にホワイトデーだ。」
そう言って死に掛けたにもかかわらず女性陣にお菓子を渡していくデュランダル。
「そしてマユとステラにはお小遣いだ。大事に使いなさい。」
「わーい!ギルパパわかってるぅ♪」
「うぇーい!ありがとー!ギルパパさん!」
お子様にはポチ袋を渡す。
マユとステラは保護者に給料を管理されていてお小遣い分しかもらえないのだ。
「それよりギル?仕事はいいのですか?」
「む、レイ。きちんと終わらせてから来たぞ。それと伝言をタリアに頼まれてね。」
鋭く質問するレイに議長は少し怒ったように答える。
「プラントの最高評議長をパシラせる艦長ってすごいっすね。」
「それは言わない約束だよ、アウルくん。」
はっはっはっはっは、と笑うデュランダル。
「まぁこれで和平交渉が終われば、世界は本当に平和になる、と言うわけだ。」
そう議長はぽつりと呟いた。
「時間だな…」
「はい」
アーモリーワンにはまだ、特に状況の変化は見て取れない。
しかし、所定の時間になったため、しかたなく”バスは発進する”ことにした。
「よーし、行こう、慎ましくな」
ネオの一言でブリッジにひっそりとした緊張感に動きが加わった。
前回の戦争でもザフトがヘイオポリスで試作MSガンダム3機を強奪という事件があった。
しかし、今回は連合がザフトのMSを強奪する。
そこに今回ネオ=ロアノーク大佐が介在するという業の深さを”マキ少佐”は感じていた。
『感傷的すぎる。弱くなったのかな、私は』
2年前の大戦で大けがを負ったためか、それともこの1年あまり、マユと過ごしていたからか。
「主砲照準左舷前方ナスカ級、発射と同時にミラージュコロイドを解除、機関最大!」
てきぱきと戦闘指揮をおこなうネオ。
こうしていれば有能な軍人なのだが…
「さ〜て、ようやくちょっとはおもしろくなるぞ〜、諸君」
『こんなところが彼らしいというべきか、軍人らしくないというべきか』マキには判断が付かなかった。
そしてゴットフリートの一発により、ガーティ・ルー主催による”おもしろい”騒ぎの幕が上がった。
ネオが作戦指揮をとり、艦長が戦闘指示を出す。
マキが状況分析。
そしてネオがそれを材料にして指揮を執り、艦長が戦闘指示を。
そうやってガーティ・ルーはザフト艦隊をじわじわと屠っていった。
当初ガーティ・ルーとそのダガー隊の奇襲により混乱して撃墜されていたアーモリーワンのザフト軍ではあったが、
近接宙域にいた宇宙艦が体制を立て直し始め、次第に数で劣る単騎のガーティ・ルーが押され気味になっていった。
不利になっていく戦況と腕時計を見比べて多少じれてきたネオはレーダー手の元に近寄り、”彼ら”からの信号の有無を確認した。
「彼らは?」
「まだです」
多少いらつきながら席に戻ったネオにだめ押しとばかり、艦長が話しかける。
「 失 敗 で す か ね 」
顔色?が曇るネオとマキ。
「港をつぶしたと言ってもあれは軍事工廠です。長引けばこっちが持ちませんよ」
ネオは分かり切っている道理をいわれて少し不機嫌そうだが強がるように答えた。
「わかってるよ〜。だが失敗するような連中なら俺だってこんな作戦最初っからやらせはせんしな」
艦長は生粋の連合軍軍人。
元々エクステンデッドもコーディネーターも好きではない。
いわばネオにとっては第2のお目付役としてここにいるようなものである。
ネオにガーティ・ルーを貸してやっている立場としては虎の子の試験艦ガーティ・ルーとかわいいダガー隊を消耗したくない。
そんな本音もなくはないのだろう。
「出て時間を稼ぐ。副長、後のことはよろしく頼むよ」
「隊長!」
出ていくネオの背中を見守るマキ。
お構いなしに事務的に格納庫へ指示を出す艦長。
「格納庫、エグザス出るぞ、出撃準備、よいか!」
ネオがブリッジを出て、ドアが閉まるのを確認するとマキの方へ振り向いた。
「……心配ですかな」
「それよりも隊長のやることは無茶苦茶です!」
「人手不足の折ですから仕方ありませんな。」
ダガーを消費するくらいなら自分もエグザスで出て働け、ということか。
マキと艦長、二人はてきぱきと状況分析と戦闘指示を出しながら合間にそんな会話を続けていった。
――そういう問題ですか?
――以前のあなたは噂ではもう少し冷徹であったときいておりましたが
――あくまで噂でしょう
――守るものができると弱くなるということですかな
――守るべきものがあるからこそ人は戦えるんです
――ま、そういうことにしておきますか…しかし結果を見せていただきたいものですな
――元々ファントムペインに求められているのは結果でしょう?
――それと、ご自身の役割とお立場をしっかりと考えることですな、マキ=アガタ少佐…
「わかって、いるつもりです」
「では、青き清浄なる世界のために…」
『だからこの人達は!』
怒りをおぼえつつも、今はここを切り抜けることに専念しようとマキは思い直した。
マユもステラ達もきっとちゃんと結果を出して戻ってくる。
そのためにも彼女らの帰るべき場所をここで守らなければいけないのだから。
――新規対象(赤いMS)との戦闘を継続
「ちーーーっ!」
マユを泣かせる奴、絶対倒す。
「このーーーッ!!」
「こいつ、何故落ちない」
『離脱するぞ!ステラ、そいつを振り切れるか?』
――パーソナルコード『スティング』より離脱命令
こいつ、沈めないと、ネオに怒られる。マユも悲しむ?
だめ、こいつ沈める
「すぐに沈める!」「この…、私は…、私は…」
『離脱だ、やめろ、ステラ』
「わたしが、こんなー!!」
『ステラ!』
『じ ゃ あ 、 お 前 は こ こ で 死 ね よ 』
――ブロックワード確認、戦闘モードを制限。半自閉モードへ移行
『アウル!』
『ネオには僕からいっといてやる、ここでさよならってね』
「死ぬ…、私、さよなら、いやーー!!」
――戦闘モードへの完全復帰拒否、自己防衛モード起動、自己保存優先の動作を行う
もう、やだ、ここから外に出る。早く、外へ出て、あそこへ帰る。
――母艦への帰投を最優先とする、急速離脱
「ウエーーーーーーーーー!!!」
死ぬのはいや、私はあそこへ帰る。
死ぬのはいや、ネオのところへ帰る。
死ぬのはいや、マユのところへ帰る。
――障害破壊を優先、隔壁の破壊を優先
「どいて!!」
死ぬのはいや、死ぬのはいや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやーーーーーーーー!!!!
――攻撃対象接近、接近、接近、接近
「やめてーー!!あっちいってーー!」
――離脱成功、母艦へ帰投
「死ねない…、私…、大丈夫…、大丈夫よね…、ステラ…」
まだ、マユとさよならしたくない。一緒にいたい、一緒にいたいよ……
『式典会場で火災が発生!』
『最新鋭の試作MS3機が強奪された!』
”来賓の入りも一段落したし、まあ、暇になるだろう”
などと思っていた宇宙港管理局次長のマイリーはお気楽な予想を覆され、錯綜して入る情報への対応に忙殺されていた。
そしてだめ押しの各艦への緊急出撃要請で上を下への大騒ぎ。
そんな中、軍港管理局に宇宙港ドックで停泊中の軍艦に次々と爆発が発生したという彼にとって”とどめ”ともいえる連絡が入った。
「今度は何だ!」
「どうやら爆発の原因は複数のモビルスーツによる奇襲のようです!」
「連合か!状況を確認しろ!」
「なにぶん、火災がひどく、状況の把握が難しく」
「ではせめてドックの外部からモビルスーツ隊を」
「了解しました。しかし、内部でMSによる襲撃があり、回せるMSが」
「付近でパトロールに出ているやつに急行させるよう要請しろ」
「確認して大至急派遣を要請します!」
建物の中がまたぐらりと揺れた。軍港の爆発のためか、それとも強奪されたMSの攻撃のためか。
「まったく、散々な式典だよ!」
動き出した艦艇に動きばなにバズーカを一発。
そしてマユはストライクに持たせていたバズーカの弾を全弾と背中の115mmレールガン何発かをそのドックに停泊していた艦艇にぶち込んだ後、
バズーカを捨て、爆発を繰り返すドックに背を向けて外へ。
すると出口間際で外からストライクへ向けてビームの束が飛んでくる。
「あんた達、仲間がいるかもしれない中へよく平気で撃てるわね!」
そのビームの乱射を苦もなくよけると瓦礫を盾にして身を隠した。
「5〜6、いや7〜8機ってところかな」
後ろは自分が破壊した艦船のために行き場はなし。そのうちその中から何か出てくるかも知れない。外からはザフトのMSの攻撃。
いわゆる”袋のネズミ”のはずのマユだがなぜか気持ちには余裕が感じられた。
「できるだけたくさんあいつら引きつけておいて、やっつければお姉ちゃん達が楽になるかな?」
「よし!」
『まずはここを突破して隠れてたデブリ帯まで行こう。そこでなるべく連中を引き付けよう』
「まずはこっから動かないと」
マユは操縦桿を握り直すとここを突破することに感覚を集中させた。
不用意に上から近づいてくるMSを2〜3機落とすと出入り口を包囲しているMS達は壁面伝いにじわじわと包囲網を縮める作戦に変更したらしい。
マユはまだ、相手が破壊されたコロニー壁面の陰から及び腰に撃ってきているのを確認するとライフルで牽制しながら、
物陰を利用してポジションを変えながら包囲網の状態を確認していく。
『たった1機のMSに何をおびえているのかな、ザフトの軍人さんは?』
背中の115mmレールガンを包囲の薄いあたりに連射!
そしてマユは一気に飛び出した!
「いっけーーっ!!」
ぉ、なんかいい仕事してる。
>>561〜565
GJ!
幼さ故に冷静に闘うマユって、某スレのジェノマユとは違った意味で、チト恐いな。
単発設定小話 「灰色の戦い 堕ちる天使編E」最終章 56
〜白いグフに迫る、赤いガイア〜
ムウ「ここから先に行かせるわけにはいかんのよ、下がっててもらおうか!」
イザーク「こいつは・・・あの時のガイアか!」
〜ビームサーベルとビームソードで打ち合うグフとガイア〜
ムウ「とっととと・・・やるねぇ。ザクとはやっぱり違うのかな!」
イザーク「このっ・・・動きが前と違うじゃないか!パイロットが変わったのか!?」
ムウ「ここらでお前だけがグフってこたぁ・・・お前が隊長だな!」
イザーク「くそっええい!誰がパイロットでもやることは一つだ!邪魔をするなっ」
〜激しく打ち合うムウとイザーク〜
シホ「ディアッカさん、隊長が!」
ディアッカ「っち。シホ!お前は先に行け、イザークを連れてくる!」
シホ「信号弾の解析結果を持っていってください!」
ディアッカ「了解。・・・まったく、自分が遅れてどうするんだよ!ほらよっと」
〜オルトロスを再度撃ち放つディアッカ〜
ムウ「<ピロリロリーン>右から!・・・っち」
イザーク「!?・・・ディアッカか!」
ディアッカ「イザーク!お前が遅れてちゃ意味ないだろ!」
イザーク「フン!それよりも信号弾の解析は!」
ディアッカ「ああ、ミネルバからだ。アークエンジェルを挟み撃ちにしたいってさ」
イザーク「ふむ・・・グラディス艦長はいち早く戦争を終わらせたいみたいだな!」
ディアッカ「まぁ・・・あんまし気は進まないけど・・・・・・」
〜聞こえないようにボソッとつぶやくディアッカ〜
ムウ「止まってちゃだめだろ?的になるだけだぜ!そりゃあっ!」
イザーク「こいつ・・・ディアッカ!あのガイアを黙らせて早く向かうぞ!サポートしろ!」
ディアッカ「了解」
ムウ「遅いんだよ!」
〜犬型に変形し、ビームブレイドを展開させるガイア〜
イザーク「犬ならおとなしくご主人様に従っていればいいんだよ!」
ムウ「ええっい!」
〜ビームソードを構えるグフ、ガイアに向けてビームを放つザク〜
ディアッカ「イザーク!」
イザーク「うりゃぁっ!」
ムウ「二人だからなんだっていうんだよ!」
〜ビームソードとビームブレイドが激しく打ち合わされる〜
ムウ「こいつっ!」
ディアッカ「もう一発!」
〜ガイアの背中にビームが着弾する〜
ムウ「っぐ・・・こいつら・・・・・・」
イザーク「いくぞ!ディアッカ。シホだけじゃもたんぞ!」
ディアッカ「・・・悪いな・・・おっさん」
〜ガイアの動きが一瞬と待ったすきに離れるグフとザク〜
〜アークエンジェル〜
ミリアリア「!・・・前方より敵艦。これは・・・・・ミネルバです!」
続
うぉぉ!?ほのぼのもついに話のラストに向かっているのか!?
議長のセリフが意味深だ!
と叫んで保守
保守
MSが並んでいない包囲の薄いところを見つけると背中の115mmレールガンを連写して牽制。
”包囲の穴”を広げてからマユは一気に飛び出した。
「いっけーーっ!!」
飛び出し際に左手に持ったコンバインシールドの30mm6銃身ガトリングと右手のビームライフルを周囲へランダムに連射!
コロニーの壁面沿いに後ろ向きでジグザグに逃げながらガトリング砲をランダムに放つ。
時々、モニターやレーダーで確認しながら背中ごしに進行方向周辺へビームライフルで適度に弾幕を貼る。
そしてコロニー壁面から一気に一直線で手近な岩塊の影にストライクは飛び込んだ。
「ちゃんとついて来てくれるかな?」
そう独り言を言いながらマユは今まで相手をしていた7機のMSがこちらについてくるかを確認した。
意図したとおり、すべてがこちらに向かってくるのがわかると満足して迅速に迎撃の体勢に入った。
「なんだよ、あれは?」
飛んできた砲弾にのけぞる。
次の瞬間に白いものが飛び出してくる。
ばらまかれるようにばらまかれたビーム砲と実弾の雨をよける。
いつの間にか飛び出した白いのは壁面をジグザグに遠くへ飛び去り、
そしてコロニー近くの岩塊の陰へ飛び込んでいった。
アーモリーワンのMS守備隊の面々はストライクの一瞬の脱出劇にあっけにとられていた。
軍港の大惨事に駆けつけて、不用意に中に入ろうとしたMSは正確な射撃で落とされた。
それでおっかなびっくり外から牽制していて、さあどうしようと思っていた彼らであった。
だが、たった今、目の前を駆け抜けて逃げていったMSは白いのがたったの1機、その後に何も出てくる気配がない。
白いMSが1機、飛び去ったのをみて包囲していたパイロットの誰かがそんな間の抜けた言葉をはいた。
それを聞いて今まで及び腰で攻撃していた連中は気を大きくした。
「相手は白いのがたった1機だったのか?」
「たしかあれ、前の大戦で連合が使ってたストライクじゃなかったか」
「なんだ、ナチュラルの旧式MSかよ」
「爆発に巻き込まれてアレしか残ってなかったんじゃないの?」
「俺たちが他の奴、全部落としたのかも知れないしよぉ」
「そっか〜?」
「ちょっと、ちょっと、もしかして俺のMSの腕、あんなのに吹き飛ばされたのかよ、頭くんな〜」
「ちゃんとよけろよ、おまえが下手くそなだけなんだよ」
「なに〜!?」!
「おいおい、まあ、それはともかく、ちょっくらアレ、仕留めに行きますか」
「ちゃっちゃとアレ片付けて新型機の強奪犯の方なんとかしないと」
「そうだよなあ」
しかし30分もせずに彼らは自分たちの甘さに後悔することになった。
マユは襲撃前に潜んでいたのとは別の岩塊を盾にして、また背にして敵MS達を迎え撃った。
追撃してきたゲイツやジンの腕を、武装を、モノアイを、つぶす。
的確に相手の戦闘力を奪い、そして行動不能に陥れていく。
それは別に”不殺”を意図しての行為ではなかった。
確実に落とせなければ、まず戦闘力を奪う。
攻撃してくる主体をとにかく減らす。
ある時は行動不能にしたMSを相手の射線軸上に入るようにポジションをとり、自分を守る。
またある時は味方を助けようとして動きを止めたMSを仕留める。
あくまで自分が有利なポジションを維持するために、相手を倒すのに有利なために。
それができなければちゃんと教科書通り相手の中心軸をねらって攻撃。
自分の邪魔になれば動けなくても迷わず破壊。
そうやってすでにマユのストライクは増援も含め10機以上のMSをつぶしていた。
『無力な人たちが暴力で不条理に命をむしり取られる恐怖なんて、あんた達にはわからないでしょ!!』
心でそう叫びながら頭の中はクリアで淡々と的確に仕事をこなしていく、表面上は冷静な別のマユがコックピットの中にいた。
「あんた達が他人に与えてきた恐怖、ほんの少しでも味わってみればいいよ」
バイザーの向こう側の表情は薄ら笑いさえ浮かべているのではないか……
そう思える彼女が確実に、そして機械的に、”敵”をしとめていった。
ガーティ・ルーにとって邪魔なMS達を適当に引きつけて有線ガンバレルとリニアガンでさっさと片づける。
それからネオはスティング達の撤退を手伝うべく彼らを捜すことにした。
アーモリーワンの壁面に張り付き、物陰に隠れ、周囲を伺うエグザス。
ネオはガーティ・ルーに収容されようとしているMS3機のはるか後方、彼らを追う2機のMSを見つけた。
うち1機がデータにない新型らしいことを確認するとネオは自分の情報不足を認めざるを得なかった。
「こりゃ、俺のミスかな」
三機のMSが無事にガーティ・ルーに収容されたことを確認し、当初の目的は達成した。
しかし、あわよくば追いかけてきた残りの新型のMSを捕獲したい。
そしてとにかくガーティ・ルーからMSを遠ざけるか。
ネオは考えてエグザスを物陰から発信させた。
”先行している新型MSをリニアガンで牽制、同時に後続のザクをガンバレルで撃墜”
そのつもりで仕掛けた攻撃はインパルスへの牽制は成功したがザクの方はガンバレルの動きを読まれ、よけられてしまう。
「ちっ!」
MSとの機動性の差を埋める4機のガンバレルの機動性と、リニアガン、そしてエグザスの速度。
そのおかげで二機のMSの分断はなんとか維持出来てはいる。
しかしインパルスの方は翻弄しているもののザクの方にはガンバレルの動きがことごとくよまれているように見える。
それで落とすどころか、逆に白いザクには反撃すらされて、ネオが押され気味の状況である。
「やれやれ、ちょっと、やっかいなことになりそうかな…」
『俺も焼きが回ったかな』
まだ精神的には余裕があるもののこのままでは”やっかいなこと”になるのは火を見るよりも明らか。
「はてさて、どうするネオ=ロアノーク大佐殿…」
そんな独り言を言う余裕はまだ残っているらしいネオであった。
GJです!
ザフトの連中は一部を除いて相手を軽んじるのなんとかならないですかねぇ
あと思ったんですけど投下のお知らせのとき、今まで書いた分のアンカーじゃなくて
タイトルの「幻視痛」だけの記載でも大丈夫だと思いますよ
GJ!
こんばんは。
作品名「幻視痛」を投下させていただいている者です。
>>575,576の皆様、ありがとうございます。
今回、取り急ぎ1レス分ほど投下させていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
ザフトのMSと戦闘を始めてからどれくらいたったんだろう…
肩で息をしている私の周りにはまともに動いているMSなんて私のストライク以外に見あたらなくなっていた。
気がつくと、あっちの方でまだ光が瞬いている。戦いの光?
そういえば、ガーティ・ルー大丈夫かな。
『何をしている!マユ、戻ってこい。スティング達はもう回収した。今から合流ポイントを指示する』
えっと、なんだっけ、あ、そうか…ガーティ・ルーからの通信だ。
帰還信号じゃなくて通信。大丈夫なのかな?
あれ、それにそういえばマキおばちゃんだ。なんでオペレータのウォンさんじゃないんだろう?
「あ、…はーい」
『任務中だ、返事は”了解”』声が怒ってるよ、やばいやばいよ。
「はい、了解でありま〜す」
『こら!』
「キャア!」あ、まずい
『とにかく一刻も早くそこから帰ってこい!大至急だ!!』
「りょーかーい〜」
周りにいる生きていそうな”MSの残骸”を5〜6機を手当たり次第、さっき潜んでいた岩塊の付近に適当に急いで放り込む。
1機だけ”残骸”をつかむとデブリからさっさと離れる。
また、コロニーの方からMSが何機か接近してくるのがみえたから急いでさっき岩塊に仕掛けた爆薬のスイッチをいれた。
動けないMSの間近で飛び散る破片。
今つかんでいる”残骸”の中からストライクの腕を通して振動で、何かいっているのが聞こえてるけど気にしない。
自業自得だよ、中の人。
接近してくるザフトの連中には、お仲間の悲鳴が通信機を通して聞こえたはずだ。
一瞬悲鳴が聞こえたような気がした。あそこの誰か、あわてて一般回線でも使ったのかな?それとも持っている残骸から?
適当なところで手元に残っていた”残骸”を追っ手の方へ投げつける。
高速で離脱。
連中のビームライフルの射程距離外かなってところまできて、さっきの”残骸”を115mmレールガンで狙撃。
”残骸”は助けようと近づいていたMSといっしょに爆発した。
じゃあね、バイバイ、ザフトの軍人さん達。
機会があったらまた遊んでね。
これで脱出成功、任務完了だよね。
さあ、これ以上おばちゃんに怒られないためにも、急いでガーティ・ルーへ帰らなきゃ。
お姉ちゃん達が待っている、あのガーティ・ルーへ。
ただ淡々と敵を処理していくマユを恐ろしいと感じました。
GJ!
通信のときの無邪気さと、冷酷な戦術とのギャップがいいですね。
ところで、今更かもしれませんが、タイトルは『幻視痛』ではなく『幻肢痛』では?
「ファントムペイン」からとったタイトルなら、こちらの字の方が適切かと。
誤字ではなく、あえて意図的にこの字を当ててるのであれば的外れな指摘かもしれませんが。
「幻視痛」を書いているものです。
>>579,580の皆様、感想ありがとうございます。
今のうちのマユは皆様の目にそのように映っていれば私としては”大満足”です。
580さん、ご指摘有難う御座います。
もう少し書いていれば”幻肢痛”という単語も出てくる予定なのですが、そこに至る前にやっぱりご指摘受けてしまいました。
題名に関しては、何となくファントムペインでネット上で検索していたところ…
ファントムペイン
↓
phantom limb pain
↓
幻肢痛
と、きましてそして「幻肢痛」でいろいろと検索したところ、「幻視痛」と言う単語が出てきました。
ちなみに、ここで書かせていただいている話には元々自分なりに”イメージボード”みたいなもの(文と落書きによるプロットとシーンの殴り書き)がありました。
それらの中のいくつかのイメージと「幻視痛」と言う単語が結構”ピンとくる”ものがありましたのでこれに決めました。
話の中で”由来”がわかるように書ければよいのですが。
皆様、今後ともよろしくお願い致します。
こんばんは。
作品名「幻視痛」を投下させていただいている者です。
今回、取り急ぎ分量をみながら2〜3レス分ほど投下させていただきたいと思います。
よろしくお願いします。
ガーティ・ルーを見つけて帰艦を急ぐマユ。
その行く手にエグザスと、それと戦闘する白っぽいMS2機を発見した。
「おじちゃんのエグザス?それと白いヘルメット頭がザクだっけ。
あれ?もう一つ、えっとデータにない。ザフトの新型?」
エグザスの有線ガンバレルと敵の攻撃をかいくぐり、3人の戦いに割って入った。
「ネオおじちゃん!大丈夫!?」
「おじちゃんじゃないっ!…ってマユか」
「うん!」
「ようし、マユが白いザクを抑えてくれ。その間におれが新型を捕獲する」
「わかった!」
しかし、何かを感じてエグザスへちょっかいを出し続ける白いザク。
位置的にストライクに接近していたインパルス。
自然と、ネオの指示とは逆の組み合わせになる。
「貴様も敵かー!」
シンはエグザスからの攻撃を逃れるために、新しい敵?ストライクへ接近戦を仕掛ける。
斬りかかってきたインパルスのサーベルを軽くサーベルで受け流しながら、イーゲルシュテルンで目くらましをして距離を取る。
「新型君、君の相手は私じゃないんだけどな…」
ストライクガンダムは高性能だったとはいえ、前大戦のMS、インパルスガンダムとは出力・速度ともに劣っているはず。
まさか、そのストライクに軽くいなされると思ってなかったシンは驚きを隠せなかった。
「なんでだよ!?」
ビームライフルを乱射しながら近づいて、シンはまたストライクに接近戦を挑む。
マユはほとんど盾を使うことなくインパルスのビーム乱射をさけつつ、しかたなく接近戦につきあう。
「MAで妙な武器使ったり、旧式機でインパルスと互角に戦ったり、あんたらいったいなんなんだよー!」
パワー勝負のつばぜり合いや押し合いにはつきあうことなく流し、スピードに対しては動きを最小限にすることで対応する。
マユは今回の戦闘でストライクなりに新型機に対応する方法を身につけつつあった。
「そのMS、君にはもったいないよ。もっとうまく使える人に乗ってもらった方がいいんじゃない?」
「このーー!!落ちろ、ストライク!」
ネオのガンバレルに反応してエグザスと互角に戦うレイ。
ネオは視界の片隅にインパルスをいれつつザクを相手にしていたが、釘付けにされている自分に少しじれていた。
しかし彼はマユがインパルスをあしらっているのをみているうちに考えを変えることにした。
「マユ、作戦変更だ、こっちの坊主がうるさくて、そっちの相手にまわれそうもない。その新型、できればマユの方で捕獲してくれないか」
「え〜?難しいよぉ」
「え〜?難しいよぉ」
「この期に及んで泣き言か。マユちゃんなら大丈夫だって」『いまさら泣き言なんてかわいいじゃないかぁ、マユちゃんも』
「だって撃墜しちゃいそうだよ」
「おいおい」『前言撤回だぁ、まったく、このお嬢ちゃんは…』
「でもがんばってみるよ。落としちゃったらごめんね」
「しょうがない、そのときは残骸でも持って帰るさ」
「おじちゃん、ありがと!」
「おじちゃんじゃない!!隊長だ!」
「は〜い…じゃあ、いっくよ〜、新型君!!」
ビームサーベルが届かないぎりぎりの距離を取る。
そして近接で105mm単装砲を撃つ。
「新しいフェイズシフト装甲がそんなてっ、がごあおgじゅrfがmfか」
シンは『そんな鉄砲玉で打ち抜けるわけないだろう』と続けたかったのだが、コックピットを揺るがす振動に思わず舌をかみかける。
そしてむち打ちになるがごとくからだが揺れた。
コンバインシールドの30mm6銃身ガトリング砲でのコックピット周辺の一点斉射。
「結構がんばるね、機械と中の人」
実体弾でも連続で当てればフェイズシフト装甲も貫通出来る。
しかしマユは最初から実体弾でこのMSのフェイズシフト装甲を破ろうなどとはまるっきり考えてもいなかった。
狙うは中の人間の脳を揺らすこと、そして操縦系の精密機器にダメージを与えること。
そのためのレールガンとガトリングによるコックピット付近の一点集中狙いだった。
シンは必死に離れてビームライフルをストライクに放つ。
マユはそれを軽くいなしてまた接近。そして微妙な距離からガトリング砲をコックピット付近へ一点斉射。
「こ、こ、こ、こ、この〜!」
シンは非常な不快感と揺れる視界、こみ上げる嘔吐感と戦いながら必死にその微妙な距離から逃れようとする。
「だめだめ、新型君♪」
マユはそれを許さず、離れればビームライフルで動きを止め、105mm単装砲。そして接近してガトリング砲の一点斉射。
それ以上近づいて斬り合いになってもそれには付き合わず受け流し、さっと距離をとりガトリング砲の一点斉射。
シンはまたそれを力任せにパワーとスピード、勝る基本性能で引きはがそうとする。
それをマユは老練なエースパイロットがごときテクニックで相手をいなしながら自分の距離に持ち込む。
「おいおい、たしか今日実戦デビューのルーキーちゃんだったよな、マユちゃんは」
ベテランの自分が一進一退の攻防を繰り広げている隣でルーキーが同じルーキーらしい相手とはいえ格上の新型機を手玉に取っている。
ネオは自分の戦況が芳しくなく嫌な汗を背中にかきながらマユの戦いぶりに舌を巻いていた。
しだいにインパルスの動きが緩慢になってくる。
パイロットが反応できなくなってきたのか、それとも操縦系に障害が発生したのかそれはわからないが。
「もうちょいかな?」
そろそろガトリング砲の残弾が気になってきているマユは動きの鈍くなったインパルスの仕上げにはいるかと思い始めていた。
そして、マユとシンのいたちごっこも終わりを告げるときが来る。
「え?」
「おいおい…」
ガーティ・ルーから撤退信号があがった。
「ちっ!マユ、帰るぞ。タイムアップだ」
ちょうどガンバレル1機を白ザクに落とされたネオは潮時を感じていた。
「え〜、もう少しで新型君、捕まえられたのに」
「おそらくガーティ・ルーも追撃されている。俺たち拾ってもらえなかったら元も子もないだろう」
「そりゃそうだけど〜」
むくれるマユ。
「つべこべ言わない、とっとと帰る。バスに乗り遅れるぞ」
「は〜い」
マユはインパルスに対して適当に弾幕を張り、さっとその場を後にした。
「じゃあね、新型君。また会えたらそのときはきっちりと落としてあげるよ」
自分の兄とは知らずに戦った相手にマユは無邪気に別れを告げた。
「くそ〜」
こみ上げてくる嘔吐感を振りきり、インパルスのエネルギーがレッドゾーンなのも無視して追撃をしようとするシン。
「シン、やめろ。撤退だ」
冷静にそのシンを押さえるレイ
「くっそ〜、なんなんだよ、あのストライク!今度あったら絶対に落としてやる!!」
やり場のない怒りを感じ、地団駄を踏んで悔しがるシン。
彼も今まで戦っていたストライクのパイロットがすでに死んだと思っていた妹だとは、当然気づくはずもなかった。
新型君を捕まえられなかったのは残念だけど、命令だから帰ることにした。
追っかけてくる敵艦と交戦中だったけど、とにかく駆け込んで回収してもらった。
ガーティ・ルーが揺れる中、私を守って一緒に闘ってくれたストライクにありがとうを言ってからコックピットを出る。
そろ〜っとみんなの間を抜けて、めざせデッキの通路まで。
『プロペラントタンク切り離したって?』
『それで?速度でも上げて振り切ったとか…それはないか』
『追っかけてるやつにぶつけたとさ』
『猫仮面隊長らしい作戦だぁねぇ』
『いえてる』
「こら!無断でダガーのバズーカ持ってっただろう!」
整備班長のおじさんにやっぱり見つかっちゃった。だからそろ〜と移動してたのにぃ。
「ごめんなさ〜い、だってダガーのバズーカ外したことなかったから」
ちょっとした”験担ぎ”ってやつだよ。
「早いとこ、新しい装備に慣れろや…おかえり、マユッペ」
「は〜い、ただいま!」
ペロリと舌を出し、おじさんに手を振って急いでこの場を離れる。
「こら〜、おめえらも無駄口たたいてないでちゃっちゃと手を動かせや!」
「「「「うぃっす!」」」」
もう班長に怒られちゃったから脱出計画は中止、ゆっくりと周りを見ながらハンガーの前を通り抜ける。
「ただいま。…この子達が今度のお姉ちゃん達の機体?」
みたことのないMS3機をみつけた私は近くで整備している人たちのそばによって話しかけてみる。
「あ、お帰り、マユ。うん、OSにはこいつの名前、『ガイア』って書いてあったぞ」
ディスプレイから顔を上げた整備の人はその子の名前を教えてくれた。
「ふ〜ん、きみ、名前はガイアっていうの」
「ああ、ステラの機体だ」
そういってその人はまた、ディスプレイに視線を戻してキーボードをたたき始めた。作業に戻っちゃったね。
「へえ、お姉ちゃんのか〜」
ガイアを見上げてみた。
まあ、前乗ってた黒い”グラサン”ダガーよりは数段かわいいかも。
でもやっぱりなんだかんだいってザフトはこんなもの作ってたんだ。
”ナチュラルとの平和的共存”、”ザフトは侵略を望まない”
この子らを作って穴掘りとか国際救助とかでもさせる気だったの、ザフトは?
うそばっかりじゃない。
なんだかおかしいよね。
「よろしくね、ガイア。これからもステラお姉ちゃんといっしょに戦ってね」
きみを作ったザフトを壊すためだけど。
以上です。
1レス追加して4レスいってみました。
新スレたてます。
シンはここから成長してマユと互角以上になれるのか、がザフトサイドの見所か
マユがここまでやれるってのは何か特別な理由があるのでしょうか?
ただ”マユのほうが強いから”だけでないと期待しますよん
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