フレイを生存、復活させる為のシナリオ2

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1通常の名無しさんの3倍
第2弾です
前スレ
フレイを復活させるためのシナリオ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1132065282/
ローカルルール
●どうしたらフレイが復活できるのか論議して
 シナリオを書いてみる
●801展開は避ける
●フレイを復活させるためのシナリオや小説を書いてみる、
 ヘタレ文章でも可、誰かが修正をしてあげるのも可能、
 修正文でも可能
●最初から生きている設定でSS投稿でも可能
●最初から種から作り直したSS投稿でも可能
●シリアス系、ギャグ系何でも可能
●最終回以降も生き残るようにする
●その他雑談
●どのようなシナリオの設定をするかも出来たら書いてください
●誹謗中傷は避ける
●下がりそうになったら誰でも良いから保守をする
●誰でも良いですから、まとめページで投稿小説をまとめてみる
●数年後にキラ達と再会させる様なシナリオ
●物語は数年後でも可、直後の話でも可
●フレイが主役、又は重要な脇役、普通の脇役の
 設定のどちらでも可能
●オリジナルキャラは可能
●オリジナルキャラ主役でも可能
●荒らしは通常の5倍スルー(ハート
2通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 07:23:04 ID:???
2
3通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 13:41:27 ID:???
3Get
4通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 14:43:53 ID:???
スレ立て乙
5通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 19:57:42 ID:???
とりあえず保守します
6通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 23:28:48 ID:???
>1
乙!!
即死保守
7通常の名無しさんの3倍:2006/04/12(水) 23:47:06 ID:???
イザフレお願いします!
8通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 08:25:15 ID:???
フレイの裏ビデオ下さい
9通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 17:56:44 ID:???
1、乙
10通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 21:04:11 ID:???
誰か、何か書き込めよ
11通常の名無しさんの3倍:2006/04/13(木) 21:15:05 ID:???
イタタタタタ…
12通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 00:05:56 ID:???
コズミック・イラ70...
「血のバレンタイン」の悲劇によって、
地球・プラント間の緊張は
一気に本格的武力衝突へと発展した。

誰もが疑わなかった、
数で勝る地球軍の勝利...

が、
当初の予測は大きく裏切られ、
戦局は疲弊したまま、
既に11ヶ月が過ぎようとしていた...
13通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 00:12:24 ID:???
そんな膠着した戦局の中、
L3にあった中立国オーブの
資源衛星ヘリオポリスが
ザフト軍の攻撃を承ける。

ザフト軍の狙いは、
地球連合軍が極秘に開発していた
5機のモビルスーツ...

戦火に包まれるヘリオポリスで
避難場所を探していた少年
キラ・ヤマトは、
偶然にもそのモビルスーツ
「ガンダム」を目撃する...
14通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 00:23:17 ID:???
キラ「こ、これって...」
マリュー「子ども?なんで!?
...来い!」
キラ「左ブロックのシェルターに行きます。お構いなく!」
マリュー「あそこはもうドアしかない!」
キラ「......」〈爆発音〉
キラ「うわっ!」
マリュー「こっちへ!」
アスラン「うわああああああっ!」
〈銃声〉
マリュー「あうっ!」
キラ「!!、.....!?
アスラン?」」
アスラン「...キラ!?」
《爆発音》
アスラン「クッ...」
15通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 00:33:55 ID:???
《起動音》
イザーク「ほう...凄いもんじゃないか
     どうだ?ディアッカ?」
ディアッカ「OK、動ける」
イザーク「ニコル?」
《タイピング音》
ニコル「待って下さい、もう少し」
ディアッカ「アスランとラスティは...
      遅いな」
イザーク「フン!ヤツなら、大丈夫さ
ともかくこの3機、先に持ち帰る!
クルーゼ隊長にお渡しするまで壊すなよ!」
《撤退》
―――
マリュー「シートの後ろに!この機体だけでも...
     私にだって動かすくらい!」
キラ(アスラン...
   いや、そんな、まさか...)
16通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 00:51:23 ID:???
ミゲル「アスラン!」
アスラン「ラスティは失敗だ!」
ミゲル「何っ!?」
アスラン「向こうの機体には、地球軍の指揮官が乗っている」
ミゲル「チッ!」
《銃声》
キラ「うわあっ!」
ミゲル「なら、あの機体は俺が捕獲する!」
《フェイズ・シフト展開》
ミゲル「何っ!?こいつ!どうなってる...
コイツの装甲は!?」
アスラン「そいつらは、フェイズシフトの装甲を持つんだ
展開されたら、ジンのサーベルなど通用しない」
ミゲル「お前は早く離脱しろ!
いつまでも、ウロウロすんな!」
アスラン(キラ...)
《イージス離脱》
ミゲル「フン!
いくら装甲が良かろうがそんな動きで!」
《ジン、ライフルで攻撃》
マリュー「あうっ!」
キラ「ああっ!」
ミゲル「生意気なんだよっ!
ナチュラルがモビルスーツなどっ!」
キラ「クッ!」
《ジンにタックル》
マリュー「...君!?」
キラ「ここには、まだ人が居るんです!
こんなものに乗ってるんだったら、
何とかして下さいよ!」
17通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 01:04:05 ID:???
《OSにアクセス》
マリュー「...君!?」
キラ「無茶苦茶だ!
こんなOSで
これだけの機体を動かそうなんて!」
マリュー「ま、まだ全て終わってないのよ!
仕方ないでしょう!」
キラ「どいて下さい!早く!」
マリュー「あ...」
《キーボードを操作する》
キラ「キャリブレーション取りつつ
ゼロ・モーメント・ポイントおよび
GPSを再設定...チッ!
なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結!
ニューラルリンケージ、ネットワーク再構築...
メタ運動野のパラメータ更新
フィードフォワード制御再起動
伝達関数!コリオリ偏差修正!
マリュー(この子...)
ミゲル「なんなんだアイツ!急に動きが...
キラ「武器...
あとは、アーマーシュナイダー?
これだけか!?
ミゲル「クソッ!チョロチョロと!」
キラ「こんなところで...やめろぉぉっ!」
18通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 01:20:58 ID:???
ザフト兵「ハイドロ応答なし?
多元駆動システム停止!?
ええい!」
《ジン爆散》
―――
キラ「コロニーの中に...戦艦?」
マリュー「アークエンジェル!?」

ナタル「ラミアス大尉!」
マリュー「バジルール少尉!?」
ナタル「ご無事でなによりでありました」
マリュー「あなたたちこそ、よくアークエンジェルを...」
キラ「......」
マードック「おいおいなんだってんだ?
子どもじゃねえか...」
ナタル「ラミアス大尉、これは...」
ムウ「へえ...こいつは驚いたな
地球軍第7軌道艦隊所属
ムウ・ラ・フラガ大尉だ。
よろしく!
乗艦許可をもらいたいんだがね
...この艦の責任者は?
ナタル「艦長以下、艦の主立った士官は
皆、戦死されました
よって今は、ラミアス大尉が
その任にあると思いますが...」
マリュー「え!?艦長が...
そんな...」
ムウ「やれやれ、なんてこった
ああ...ともかく許可をくれよ
ラミアス大尉」
マリュー「あ、はい、許可いたします」
ムウ「で、あれは...?」
マリュー「ごらんのとおり、民間人の少年です。
キラ・ヤマトといいます」
19通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 01:27:19 ID:???
マリュー「彼のおかげでジンを撃退し
あれだけは守ることができました」
ナタル「ジンを撃退した!?あの子どもが...」
ムウ「...そうか
......
キラ「な、なんですか?」
ムウ「キミ...
コーディネーターだろ?」
キラ「!?......
...はい。」
ナタル「!!!」
20通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 01:41:05 ID:???
戦闘に耐えきれなくなった
ヘリオポリスは脆くも崩壊し、
アークエンジェルはキラ・ヤマトとその友人達を乗せて
宇宙へと逃れた。
正規のクルーの戦死によって、
運航もままならないアークエンジェルであったが、
ザフト軍の追撃から逃れるために
マリュー・ラミアス艦長代理のもと、
友軍の軍事衛星アルテミスへと針路を取る。
―――
ムウ「キラ・ヤマト!」
キラ「はい!」
ムウ「マードック軍曹が怒ってるぞ
自分の機体ぐらい自分で整備しろと」
キラ「僕の機体って...」
ムウ「実際、アレには君しか乗れないんだから
しょうがないだろ?」
キラ「そりゃ
しょうがないと思って2度目も乗りましたよ!
でも、僕は軍人でもなんでもないんですから」
ムウ「いずれまた戦闘が始まった時
今度は乗らずに、そう言いながら死んでくか?
今、この艦を守れるのは
俺とお前だけなんだぜ」
キラ「でも...僕は」
ムウ「君はできるだけの力を持っているだろう?
なら、できる事をやれよ
そう時間はないぞ
悩んでる時間もな」
キラ「......
僕は...」
21通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 01:46:19 ID:???
一方、ガンダムを奪ったザフト軍も
引き続きアークエンジェル追撃のために動き出していた。
指揮官ラウ・ル・クルーゼは、
マリュー達の逃走経路を予測し、
艦隊による挾撃作戦を実行に移す。
そしてその艦隊には、
キラの幼年学校時代の親友
アスラン・ザラの姿があった...
22通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 06:14:26 ID:???
>>21
がんばれ
出来るだけ上げるように。
23通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 19:16:14 ID:???
脚本かよw
負債乙
24通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 20:46:38 ID:???
登場する(予定)オリジナルストライカーを紹介したいと思います。

リダンストライカー

57ミリ高エネルギービームライフル
420ミリ超高出力インパルス砲ディバス
EKOTU-9X  ガンバレルセカンド×2
対ビームコーティングシールド

カオスを基に開発した装備。宇宙での戦闘を意識して造られている数少ない空中で動ける装備だ。
ガンバレルセカンドは試作機なので、空間認識能力がなければ扱うことができないが重力下でも使用可能。。
普段ディバスはガンバレルに挟まれる形で背に付けてあるが、取り外し可能である。(Ζのメガランチャーみたいな)
リダンは「排除」の意。

ビーストストライカー

MR-J21X ビームクロー
MW-54E スワロー(ビームブーメラン)
対ビームコーティング小型シールド+パンツァーアイゼン

ガイアを基に開発した装備。接近戦や地上戦を考慮していて、余計な火器を装備していない。
右腕一帯にシュゲルトゲベールと同じ装甲を付け、ビームの刄を展開しクローとする。もちろんビームを切っても切れ味は健在である。
ビーストは「猛獣」の意


サイレントストライカー

OED-59 フォノンメーザー砲×3
580ミリ腕列位相ビーム砲 スキュラ
MMJ-OCT257 誘導魚雷
MLU-2 イカロス(対艦刀)

アビスを基に開発した装備。水中戦を考慮しているが、地上・宇宙においてもその性能は衰えない。
左腕にアビスに似たパーツを装備していて、重火器で敵を寄せ付けない。
サイレントは「静寂」の意
25通常の名無しさんの3倍:2006/04/14(金) 21:45:19 ID:???
フェニックス!!
26通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 21:02:13 ID:???
保守
27通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 21:05:40 ID:???
PHASE-02「覚醒の剣」

町は久々にお祭騒ぎだった。もちろん連合の基地を潰したわけじゃないので再び攻めてくるだろう。しかし、バルトフェルドの時と同じくストライクという守護神を得たのだ。
「やっぱり・・・あんた、アークエンジェルに乗っていたよな・・・」
「え?。たぶん・・・そうだったと思います。」
「たぶん?」
可笑しい。たった2年で、しかもあんな戦争を戦いぬいた記憶を忘れるはずがない。
「フレイは・・・彼女は記憶を失ってるんです。」
サイがサイーブにそう告げる。
「記憶を?」
「一度、死にかけて・・・」
サイーブは意外な真相に戸惑っていたようだったが、やがて口を開く。
「まあ、命があっただけいいさ。何より、俺達を助けてくれてありがとう。」
サイーブは深く礼をする。
「いえ、私も・・・何がなんだ・・・」
話してる途中だが、フレイは視線を他に向けた。その視線の先には先程ストライクの下にいた少女だった。
「サイーブさん、あの娘は?」
「ああ、最近この町に流れてきた子供だ・・・。中々いい娘で、他の子供達から慕われている。」
フレイは少女に駆け寄る。

少女の肌はまだ色白く、金髪で可愛らしい顔をしていた。
「君が私を読んだの?」
少女はコクンと頷く。
「なぜ、私を?。」
「・・・私があなたを感じたから・・・。あなたも私を感じたでしょう?」
確かにフレイは飛行機に乗ってるときに妙な気配を感じた。それが10歳ぐらいの少女とは思っていなかったが。
「私はフレイ。よかったらあなたの名前も聞かせて。」
「リナウ・・・。リナウ・レヴェリー・・・」
フレイはリナウに会ったのは初めてじゃないような気配を感じていた。

28通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 21:08:26 ID:???
フレイとサイはリナウの家に泊めてもらうことにした。
「今、ご飯作りますね。」
「リナウちゃん、大丈夫。私がやるわ」
フレイは腕まくりをして台所へ立つ。
「え・・・でも・・・」
「こんな事をわざわざ子供がする必要ないわ。味は大丈夫だから、座ってて。」

「どう・・・かな?」
フレイはリナウの表情を注意深くうかがってる。
「おいしい・・・」
「よかった。」
リナウの返答が良かったため、安堵の表情を浮かべる。

深夜。リナウは就寝しているがサイは中々寝れないところを起きだしたフレイに見られる。
「サイさん・・・少し寝ないと毒ですよ?」
「うん。俺ってやっぱり役立たずなのかな・・・」
「そんな事ありませんよ。」
「いや、君をストライクに乗らせたことやいろんな事が重なって・・・俺は・・・」
「て、敵襲〜!!」
フレイとサイは窓から外を見た。そこにはウインダムが5機確認された。
「フレイさん!!」
リナウが起き上がり、フレイに駆け寄る。
「フレイさん、また・・・」
「ええ、わかってるわ。リナウちゃんは早く逃げて。」
フレイはストライクの隠してある砂丘へいき、コクピットに入り込む。
「町に入るまでに食い止めないと・・・」
フレイは起動スイッチを押し、ストライクがトリコロールカラーに変わる。

「小隊長、ストライクセカンドを発見しました。」
「ダガーLとはいえ4機を相手に勝利したんだ。気を付けろ」
「ハッ!!」
ウインダムはストライクを囲むように展開する。
「この前より性能が良さそうな機体だわ・・・でも、やるしか・・・」
29通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 21:10:43 ID:???
ウインダム達はビームライフルを撃つ。ストライクはその機動性を活かして避ける。
「あまり使いたくないけど・・・」
ビームライフルを取り出し、ウインダムに向かって撃つ。
「乱暴な射撃だが、かえって危険か。」
ウインダム達はビームを避けながら、ビームを撃ち続ける。
「ダメ・・・避けきれないわ。」
バーニアの出力を上げ、飛び上がる。
「馬鹿め!!。空中で動けぬくせに飛び上がるとは!」
一機のウインダムがビームサーベルで切り掛かってくる。フレイはバーニアを弱め、機体を下にずらす。
「馬鹿な!」
フレイはトリガーを引き、ビームはウインダムのコクピットを貫く。
「一機やられた?。やはり只者じゃないぞ!!」
「やはり連携して追い込むんだ!!。なによりそろそろ来るはずだしな。」
ウインダム達はビームを撃たずにただ飛び回っているだけ。
「なぜ撃ってこないの?・・・」
フレイは理解できなかった。自分一人に相手は4機。
ピ、ピ、フワアァァン
「!?。これは・・・」
ストライクのVPS装甲が剥がれていく。無理もない。充電せず、ビームライフルを乱射したのだ。
「装甲が落ちた!!。今だ、掛かるぞ!!」
ジェットストライカーのミサイルをストライクに向けて撃つ。
「PS装甲がなきゃ、耐えられない・・・。なんとかしないと・・・」
砂丘のおかげでなんとかミサイルの爆風を避けるが、討たれるのは時間の問題だろう。
「こいつで終わりだーー!!」
隊長機がビームライフルを撃つ。

バジィィン
「何?・・・ダガーL?」
ストライクの前には先日倒したダガーLの中で最も損傷が少ない機体がいた。
「フレイ・・・大丈夫か?」
「サイさん?」
「いいかい?。ストライクを見つけた場所に専用ストライカーがある。それを装備するんだ!!」
「でも・・・サイさんが・・・」
「早く!!俺も長くは保たない!!」
フレイは言われた通りにサイが敵を引き付けてる間にストライクがあった場所へ向かう。

「どれがいいかしら?迷ってる場合ではないのに・・・」
ストライカーパックは3種類あるようだ。迷ってる時、一機のウインダムが迫ってくる。フレイはがむしゃらに黒い装備を手動で腕と肩に付ける。
「何!?。ストライカーパックを!?」
フレイが起動スイッチを押したら、ストライクの体の色が黄金に変わった。
「これは接近戦用のビーストストライカーね・・・」
ビームクローを展開し、バーニアを上げる。
30通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 21:12:23 ID:???
「近寄るな!!」
ウインダムはビームを撃つが当たってはない。ビーストストライクは紙一重で避けているのだ。
ビームクローを展開し、コクピットをえぐりとる。
「これで2機めね・・・早くサイさんを助けないと・・・。」

「もう保たない・・・」
サイのダガーにウインダムのビームライフルが向けられる。
「落ちろォーー!!」
ヒュヒュヒュヒュ・・・
ビームブーメランが飛んできてライフルを切り、さらに旋回しウインダムを切り裂く。
「何!?」
猛獣が大地を駆けるがごとく、ビーストストライクが迫ってくる。残った3機のウインダムはビームとミサイルを撃ちまくる。
ピキーン
「何?攻撃が・・・見える。」
死角となる場所を駈け、ジャンプしてビームクローで2機を斬る。
「ここまで強かったのか・・・基地に戻らねば・・・」
逃げようとする隊長機をパンツァーアイゼンで捕まえ地面に叩き落とす。
「うおわぁぁ!!只では死なん!!」
爆発間際にビームを放つ。油断仕切っていたフレイは避けられない。
「直撃コース?・・・いや・・・助けて・・・キラ・・・」
知りもしないはずの名前が出てくる。ストライクの前にサイのダガーが現われ、ビームを受ける。
「サイさん・・・。どうして?」
「君は・・・生きろ・・・。そしてキラに会っ・・・」
ダガーLが爆散する。
「いやああぁーー!!サイさん・・・」


予告
掴んだ勝利。しかし、支えてくれた者を失ったことはフレイに苦しみをもたらす。果たして犠牲の奥にあるのは平和と呼べるのだろうか?
PHASE-03 「駆け抜ける嵐」
己の志、貫け!!、ムラサメ
31通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 22:34:27 ID:???
GJ!
32通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 23:35:26 ID:???
《警戒音》『アラート』
ムウ「とにかく
艦と自分を守ることだけを考えるんだぞ。」
キラ「はい、大尉もお気をつけて」
ムウ「ムウ・ラ・フラガ出る!
戻ってくるまで沈むなよ!」」
マリュー「ストライク発進準備!」
ミリアリア「 キラ「キラ・ヤマトガンダム行きます!」
(アスラン、君もくるのか?
この艦を沈めに...)
―――
ザフト兵「熱源感知!敵戦艦と推測!」
アデス「モビルスーツ隊、発進させよ!」
《イージス、発進》
アスラン(キラ...
まさか...でもアイツなら)

イザーク「ウ゛サリウスからは
もうアスランが出ている遅れを取るなよ!」
ディアッカ「フン、あんなヤツに...」
イザーク「ディアッカとニコルは艦を!
俺はアスランとモビルスーツをやる!」
ニコル「分かりました。」
ディアッカ「ええっ!?」
イザーク「文句はなしだ、ディアッカ
でかい獲物だろ?」
《レーダーに反応》
チャンドラU世「後方より接近する熱源3
距離67...モビルスーツです!」
ナタル「対モビルスーツ戦闘用意!」
チャンドラU世「機種特定...
これは...Xナンバー、デュエル、バスター、ブリッツです!」
ナタル「何!?」
マリュー「奪ったGを全て投入してきたというの!?」
33通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 23:41:19 ID:???
>>32×>>33
間違えた、ごめんなさい。
《警戒音・アラート》
マリュー「アークエンジェルは、ヘリオポリスを攻撃した
ザフト艦隊との戦闘に入ります。
現在、本艦は前方をナスカ級、後方をローラシア級に挟まれた状態にあり
敵艦を振りきっての脱出は
いくらアークエンジェルが高速艦といえど不可能です。
戦闘中は、アークエンジェルの防衛が最優先事項ではありますが、
敵を後退させなければこの宙域からの脱出は困難です。
前方のナスカ級に攻撃を集中し突破口を開きます!
ムウ「俺が、前方のナスカ級に奇襲をかけて後退させる。
だから、お前はとにかく
艦と自分を守ることだけを考えるんだぞ。」
キラ「はい、大尉もお気をつけて」
ムウ「ムウ・ラ・フラガ出る!
戻ってくるまで沈むなよ!」
マリュー「ストライク発進準備!」
ミリアリア「ストライク発進位置へ
カタパルト接続、ストライカーパックはエールを装備します。
ハッチ開放、システムオールグリーン、
進路クリア、ストライク発進どうぞ!
キラ「キラ・ヤマトガンダム行きます!」
(アスラン、君もくるのか?
この艦を沈めに...)
―――
ザフト兵「熱源感知!敵戦艦と推測!」
アデス「モビルスーツ隊発進させよ!」
《イージス発進》
34通常の名無しさんの3倍:2006/04/15(土) 23:46:23 ID:???
アスラン(キラ...
まさか...でもアイツなら)

イザーク「ウ゛サリウスからは
もうアスランが出ている遅れを取るなよ!」
ディアッカ「フン、あんなヤツに...」
イザーク「ディアッカとニコルは艦を!
俺はアスランとモビルスーツをやる!」
ニコル「分かりました。」
ディアッカ「ええっ!?」
イザーク「文句はなしだ、ディアッカ
でかい獲物だろ?」
《レーダーに反応》
チャンドラU世「後方より接近する熱源3
距離67...モビルスーツです!」
ナタル「対モビルスーツ戦闘用意!」
チャンドラU世「機種特定...
これは...Xナンバー、デュエル、バスター、ブリッツです!」
ナタル「何!?」
マリュー「奪ったGを全て投入してきたというの!?」
35通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 00:27:26 ID:???
ロボット大戦の寺田にでも頼んだら
36通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 15:56:35 ID:???
だから、なんで脚本なんだよ。
投下するなら小説にしろや。
37通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 16:26:44 ID:???
>>36
市ね
38通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 18:06:40 ID:???
NTフレイ書いてる者です。オリジナルキャラ、リナウ・レヴェリーの詳細を・・・

リナウ・レヴェリー(10)
身長:137cm
体重:35kg
B48/W45/H40
(顔はプレアで髪はステラみたいな感じ)

フレイが来る少し前に町に来た流れ者。人懐っこく、明るく優しい性格のため他の子供達からしたわれている。
第六感=NT能力を使い、フレイをストライクセカンドまで導いた。体にはあざがあり、人には言えないような過去を持っている。

39通常の名無しさんの3倍:2006/04/16(日) 22:12:47 ID:???
最近活気づいてますね
職人のみなさんがんばってください
40通常の名無しさんの3倍:2006/04/17(月) 16:09:20 ID:???
>>38
に期待上げ
41通常の名無しさんの3倍:2006/04/18(火) 19:10:53 ID:???
いつも(まだ二回だけど)小説を見て頂いてありがとうございます。
SSばっかってのも何なので、噂の種スパイラルでフレイが復活してどう絡むか考えましょう。
42通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 20:48:37 ID:???
前スレの848ですが
設定的には
*フレイが巡航艦の艦長
*フレイはMAとMSに乗ることが出来る、
  空間認識能力がある
*オリキャラが主人公
など
43通常の名無しさんの3倍:2006/04/19(水) 20:52:17 ID:???
44通常の名無しさんの3倍:2006/04/20(木) 20:49:35 ID:???
保守
45通常の名無しさんの3倍:2006/04/21(金) 23:23:42 ID:???
保守
46通常の名無しさんの3倍:2006/04/22(土) 19:46:45 ID:???
保守
47通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 14:18:51 ID:???
PHASE-03 「駆け抜ける嵐」

フレイが戦ったお陰で町への侵入は防げた。しかし、フレイを守るためにサイが死んだ。
「・・・フレイさん、サイさんはあなたのせいで死んだわけではありませんし、無駄死にではありません・・・」
失意のフレイにリナウが語り掛ける。
「どんな形であれ、人が死ぬという事はよくないわ・・・」
2年、いや正確には4年は一緒にいたサイが死んだ事はフレイの心に大きな傷を付けた。

「フレイ・・・落ち込んでるのはわかるが、連合の基地を落とすに協力してもらえないか?」
サイーブがフレイに誘いをかける。
「・・・」
「まあ、これは俺達の戦いだしおまえさんが手を貸す義理はないかもしれない。だが、おまえがいなきゃ俺達が勝つ確立は正直ないと言える。」
サイーブは部屋を出ていく。

「・・・(サイさんは言ってた。最後にキラと会えと言っていたけど、誰なんだろう?。)」
気になるのは「キラ」という人だ。
「(サイさんと親しいという事は私とも関係があるのよね?。キラ・・・わからない・・・でも・・・)聴くと落ち着くのはなぜなの?」
サイーブの下へ行き戦うことを告げると、リダンストライカーを装備したストライクに乗る。
「私が戦えば、キラさんは私に会いにきてくれる気がする・・・」
起動スイッチを押すと、ストライクの色が藍色に変わる。
48通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 14:21:27 ID:???
フレイが来たことで人々の怒りが連合に対して徐々にむき出しになり「明けの砂漠」を再編成、ついに駐在する連合を殲滅する作戦に出た。
「ウォー!!。」
モビルスーツを持たないレジスタンスは本来苦戦を強いられるはずだった。
「こいつは・・・ウワァ!!」
フレイは初めてとは思えない空中戦を展開する。
「一つ・・・二つ・・・。」
ビームライフルでウインダムを次々と落としていく。
「これは何かしら?」
背中にあるインパルス砲、ディバスをウインダムに向けて撃つ。シールドを構えたが、敢えなく貫かれる。
「すごい威力だわ。気を付けないとサイーブさん達ごと吹き飛ばしちゃう・・・」
「もらったぁー!!」
背後にウインダムが来て、ビームサーベルで切り掛かられる。
「間に合わない・・・」

ピキーン

ガンバレル射出され、ウインダムの右腕を破壊する。
「ガンバレルが・・・作動した!?。」
改めてビームライフルでウインダムを撃つ。
「ガンバレルって扱いが難しそうね・・・」

「たかがモビルスーツ1機とレジスタンスのハエどもに手間取っておるか!!。」
連合の基地ではストライクセカンドの予想外の強さに戸惑っていた。
「ええーい!!」
「中佐、モビルアーマーをお使いになられてはいかがです?」
「しかし、同型機がオーブ沖で撃破されたと聴いているが・・・」
49通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 14:23:26 ID:???
「大丈夫です。2機ありますから。」
「よし、ザムザザーとゲルズゲーの使用を許可する。」

フレイは基地の外のウインダムを順調に倒していった。
「これで13機・・・。大分倒したと思うんだけど・・・」
肉眼で確認できるのは残り3機である。フレイは一安心する。
「さあ、仕上げをしないといけないわね。」
連合の基地にディバスを向けて引き金を引いた。

バシィィン

放たれたビームは赤色の光に弾かれた。
「あれは!??」

「調子に乗ってくれたようだな。だが、これで終わりだ!!」
ガムザートフをストライクに向けて撃つ。
「あれは受け切れない!!」
レバーを引き、右に避ける。
「甘い、甘いぜ!!」
ゲルズゲーは両腕のビームカービンを乱射する。
「くっ!!」
ビームライフルを放つが、陽電子リフレクターに弾かれてしまう。
「あっちにもバリアが!?どうすればいいの?」
もう一度ディバスを放つが、弾かれてしまう。
「無駄な足掻きを!!」
単装砲とガムザートフを一斉射撃するザムザザー。
「避けたら、サイーブさん達にあたる・・・」
シールドでビームの束を受けとめる。

ピピピ・・・

「うっ・・・うっ・・・」
機体の危機を知らせる警告音が鳴り響く。シールドが壊れたものの、なんとか攻撃をしのいだ。

ピキーン

「何?リナウちゃん・・・じゃない。この感じ・・・」
「機体が止まった?。今だ!!」
ザムザザーがヴァシリエブを展開し、ストライクを掴む。
「今だ、撃て!!」
ゲルズゲーがビームカービンを構える。そして、引き金を引くその時・・・

ビヒュウ

ビームがゲルズゲーの腕を撃ちぬいた。
「何だ!?」
50通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 14:24:54 ID:???
一機の航空機がビームを放ちながら飛んでくる。
「戦闘機か?」
しかし、それは変形しモビルスーツになった。
「あれはオーブ軍のムラサメ!?。援軍ではないのか?」

そのムラサメは色が青と白で塗られていた。そして、次々にウインダムのビームライフルとメインカメラを撃ちぬく。
「敵を殺さないつもりなの?、キラ!!。え・・・キラなの?」
「なぜ、僕の名前を!?。もしかして、僕を呼んだのはあなたですか?」
ムラサメはビームサーベルでストライクを掴んでいるクローを切り裂く。
「あなたが・・・キラ・ヤマト?。サイさんが言っていた・・・」
「サイが?。いや、何よりその声・・・」
似ている。そう、かつて愛し合った少女に。
「でも、話は後にしましょう。今はこいつらを!!」
「そうだね、フレイ。」
キラはつい口走った。フレイだと。そんな筈が無い、生きてるはずが・・・。だが、キラはそれを分かり切ったような口調で言った。
「君は、アークエンジェルへ行って換裝をして!!。」
キラはアークエンジェルに通信を入れる。
「マリューさん、今からレジスタンスの機体が補給に行きますが、エールに換裝させてあげてください。」
「わかったわ。」
フレイはアークエンジェルに辿り着く。
「ここ・・・私は、ここを知っている・・・。」
エネルギーを補給して、エールを付ける。
「準備できました。」
「ありがとうございます。」
「え!?。フレイ・・・」
「あなたも私を知っているのね。じゃあ、また後で・・・。フレイ・アルスター、ストライク、行きます!!」
51通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 14:27:33 ID:???
「キラさん!!」
フレイが戻ってきた時に、キラはゲルズゲーの腕と足を切り裂いていた。
「すごい・・・これがキラさんの力・・・。」
「さあ、君も早く!!」

フレイもビームサーベルを抜いてザムザザーに突っ込んでいく。
「調子に乗るなぁ!!」
単装砲とガムザートフを撃ちまくる。ビームサーベルを抜き、ザムザザーに切り掛かる。
「バカが!!陽電子リフレクターの前ではどんな攻撃も無力だ。」
しかし、フレイは居あい切りの様に素早くビームサーベルを突き刺す。
「あがぁっ・・・」
コクピットに突き刺さり、パイロットが蒸発する。
「レジスタンスのみなさん、モビルアーマーが落下します!!。避難してください。」
ザムザザーはやがて地面に落ちると爆発をした。

予告
その出会いは偶然か?必然か?。どちらにしても出会ってしまった2人。フレイが語る言葉にキラは・・・
PHASE-04  「創世の予兆」
希望と共に、翔べ!!アークエンジェル
52通常の名無しさんの3倍:2006/04/23(日) 20:49:35 ID:???
キラ専用ムラサメ

72式ビームライフル イカヅチ
70式ビームサーベル×2
66A式空対空ミサイル ハヤテ
72式高エネルギービーム砲
武装は通常のムラサメと変わらないが各パーツの性能が上がり、本体はPS装甲である。

今後の展開についてですが、オリジナルモビルスーツは登場させないほうがいいでしょうか?
53通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 00:26:00 ID:???
やめたほうがいいと思う。厨機体を使うのは嫌なんだろうけど、
我慢するべし。
54通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 05:50:15 ID:???
>>52ではないけど
>>53
どうして駄目なのか理由を教えてください。
55通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 13:06:26 ID:???
>>47-52 お疲れさま〜
毎回楽しんでおりますw
56通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 13:43:45 ID:???
オリジナルMSは>>24のみたいな厨MSを出さなければいいと思う。
後なるべく武装少なくしない?種のMS武装多いし
57通常の名無しさんの3倍:2006/04/24(月) 21:06:32 ID:???
>>53>>56ありがとうございます。

一応登場しない方向でいきますね。
そのほうがみなさんも脳内でアニメに変換できますよね(笑)

みなさんもお気付きかもしれませんが、旧GATシリーズは性能UPで登場しますが武装等に変更は無いので、そこは御了承ください。
58通常の名無しさんの3倍:2006/04/26(水) 07:54:27 ID:???
保守
59通常の名無しさんの3倍:2006/04/28(金) 08:42:33 ID:???
保守
6012話後半:2006/04/29(土) 14:59:50 ID:???
「あ・・・・」
 自機の右腕が落下していく。
 あっさりと。
 覚悟に覚悟を重ねた捨て身の攻撃でさえ、敵にさしたダメージを与えることもできず、
かわされてしまった。
 力が、違いすぎる。これが、才能の差。いや、差などという生易しいものではない。

 断絶。

 けして、たどり着けない領域にいる者達。
 勝てない。
 自然とそう思ってしまう。思わされてしまう。蛇に睨まれた蛙が縮こまるしかないように、
狼の牙を見て兎が硬直してしまうように。抵抗するだけ無駄だと本能が告げる。
 だから・・・

 ――だからどうした!?

 もう逃げたりしない。守ると決めた、誓った。
「あ、・・・あぁぁあああァァ!」
 誰かの獣のような雄たけびが聞こえた。
 誰の?
 自分の声だった。
 スラスター全開。スピードメーターの数値がいきなり跳ね上がる。
 敵機の光刃の光が目に痛い。
 
 ――もう逃げない

 右脚、右腕を失った機体は、まっすぐ飛ばずに、揺れ、回転してしまう。それでも
フレイは盾を翳し、遮二無二突進した。
 それが幸いした。
 いくら、シン・アスカといえど、至近距離から変則的な飛び方で突進してくる機体は、
捉えきれなかった。突き出されたビームサーベルは真紅のウィンダムのコクピットを外れ、
脇腹に浅い傷を作っただけ。
 真紅の機体は白い機体が激突。
 フレイとシンを鈍い轟音と、遠慮仮借ない衝撃が襲った。
61通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:03:48 ID:au/kxo90
「うわぁ!」
 体がシートから浮き上がるような衝撃とそれに続く大揺れに耐えながら、シンは
必死で機体を制御した。
 赤いランプがいくつも灯って、機体の異常を申告する。
 滅茶苦茶な奴だ。
 だが、自分の失策といえば失策。腕を切り飛ばした後、二の太刀をいれるべきだった。
なのに、危機を脱した瞬間、ふっと気が抜けてしまった。しかもさっきの攻防で、
力を振り絞ってしまったせいか、どっと疲れが押し寄せて来ている。
 はっきりいって、危険な状態と言えた。
 戦闘中は脳内物質が大量に分泌され、神経も高ぶり集中力も高まるので、
疲労の蓄積に気づかない。だが、突如限界が訪れ、堰が切れるかのように、
疲労が一気に押し寄せて来るのだ。

 ――貴様は間違いなく疲労している

 イザーク・ジュールの言葉が脳裏に浮かぶ。
「くっそぉ!」
 苛立ちの声と共に、浮かんだ考えを頭の外に追い出す。
 アイツが正しいなんて、認めるものか。
 バーニアを吹かして、機体を制御し立て直す。赤いウィンダムが、まっさかさまに
落ちていくのが見えた。
「逃がすか!」
 背後から警告音。
 慌てて振り返る。モニターに映ったのは、突っ込んでくる黒い獣。咄嗟にバーニアを吹かして
回避行動。敵が追尾。再度回避行動をとろうとして、シンは目を剥いた。
サブカメラの一つが、ウィンダムのバルカンと攻撃で破壊されていたのだ。
ガイアの背の左側の刃が見えない。
「ちくしょう!」
 毒づきながら、カンだけで回避運動を行う。だが、
 背部から衝撃。ガイアのビームブレイドに、インパルスの背部の翼の一翼を切り裂かれた。
 カっとシンの頭に血が上る。
「お前なんかにぃ!」
 インパルスを加速させ、ガイアに突っ込む。
 背部の羽が折れたことで起こる機体への影響を計算し。機体を精密に制御――

 ――できない

 意思と体が噛み合わない。その上、さっきの激突で、制御系にも駆動系にも異常が
生じている。インパルスが思い切り傾き、流れてしまう。
 ガイアの背部から放たれたビームのうち、一条がコクピットのスレスレを掠めた。
「くっ・・・」
 怒りが吹き飛び、頬に冷たいものが伝う。
 理性の部分は、艦に戻るべきだと告げていた。
 だが・・・
 歯を食いしばると、シンはビームライフルを放った。
 あんなタンカを切ってでてきたのに、そんな、みっともない真似ができるものか。
「まだやれる!」
 無理矢理自分に激を入れ、シンは黒い獣を睨みつけた。
62通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:08:22 ID:???
 片足ではやはり着地しきれなかった。機体が横倒しになる。衝撃で体が揺れる。
「うぅ!」
 わき腹に走った鋭い痛みに、フレイはこらえきれず小さく悲鳴を上げた。痛む箇所に目をやる。
案の定、出血を確認。さっきの自爆まがいの攻撃の時に、爆発で飛び散った、コンソールの
破片で出来た傷。
 けど・・・
 
 ――大したことない
 
 自然と心に湧きあがった考えに、フッと笑いがこみ上げた。これくらいの傷、慣れっこだ。
荒っぽいあいつらとの訓練では日常茶飯事。
 おかげで最近、入浴するたびに気分が暗くなってしまうけど。
「あいつらはホントに・・・。乙女の柔肌ってもの価値を・・・分かってないのよ!」
 悪態をつきつつ、機体を起こす。
 右脚、右腕を失い、絶え間ないダメージにもかかわらず、機体は応えてくれた。
 異常を示す色とりどりランプは、既にクリスマスツリーと化していたが、
それでも、動いてくれる。
「ごめん・・・。もうちょっと、付き合ってよ」
 その時、自機への励ましの言葉をさえぎるように、警告音が響いた。
 三機のシグーが降下しつつ、MMI-M7S 76mm重突撃機銃の砲口を向けてくるのが、
モニターに映る。咄嗟に盾を翳して、機体を守ろうとする。が、損傷につぐ損傷で左腕は、
ゆっくりとしか機動してくれない。
 焦る。だが、なんとか盾がコクピットを守った――
 刹那。
 雷鳴の如き音と共に、弾丸の雨が豪雨となって機体に降り注いだ。間断のない振動。
機体の周辺に、弾丸が次々と着弾し、土や草が抉れて舞い上る。
 このままではもたない。冷たい汗が流れる。
 だが、反撃しようにもームライフルもサーベルも盾のミサイルもない。
 
 このままでは・・・

<アルスター少尉!>
 通信。
 目を向けると、ルーカ大尉のウィンダムがシグーに向かっていくのが見えた。酷い有様だ。
右肩から先が、丸ごとなくなっていて、破壊された部分から配線がのぞき、青白い電光が光っている。
左腕には盾もなく、ビームサーベルのみ。
<無茶です! 大尉>
<俺が囮になってやる。何とか基地まで逃げ込め!>
<でも!>
<命令だ!! ・・・死ぬなよ、アルスター少尉>
 フレイにそれ以上の反論を許さず、弾幕をかいくぐりながら、大尉のウィンダムは単身、
三機のシグーに突進していった。
6313話:2006/04/29(土) 15:18:46 ID:???
「くっ・・・」
 またバランスを失って、真紅のウィンダムは顔面から地面に突っ込んだ。
やはり右腕、右脚を失っていることが、機体のバランスに致命的なダメージを
与えている。
 諦めずに左腕を使って身を起こそうとするが、損傷を受け続けた左腕の駆動系は、
最早限界らしく、異音の悲鳴は最早絶叫に変わっている。
 だが、諦めるわけにはいかない。諦めれば何もかも果たせないまま終わる。
 
 ――嫌

 それだけは絶対に嫌だ。みっともなくても、無様でも、無意味かもしれなくても・・・
潔く死んでなんかやらない。
 それに

 ――信じてる

 あいつらを。
 荒っぽくて、馬鹿で、騒々しくて、人に迷惑ばっかりかけて。
 けど、あいつらは来るって言った。そして、自分は約束したのだ。あいつらが来るまで、生きてるって。
 またも警告音。
 直上のディンをはったと睨みすえる。ディンの胸部から放たれたミサイルが白煙を上げて迫ってくる。
「だから・・・。私はっ!」
 左足で地面を蹴り、無理矢理スラスターを吹かす。ゴオン、ガアンという音と衝撃。
背骨が折れるかと思うような痛みが背後から襲い、わき腹から走った鋭い痛みが脳天を貫く。
 機体のきわどい所に、ミサイルが着弾し爆発。
「きゃあ!」
 機体が吹き飛び、地面に叩きつけられた。スティレットの収納アーマーが破壊され、
スティレットが飛び出し、転がる。
 容赦のないショックで内臓が口から飛び出しそうになり、パネルに頭が叩きつけられ、
意識がブラックアウトしそうになった。
 幸か不幸か、わき腹の痛みが意識をつなぎとめた。
「う・・・うぅ・・・」
 カメラがついにメインを残して全て破壊された。そのメインカメラも半分しか、映っていない。
 なんとか上体を持ち上げる。半分になったカメラに、ディンが映る。ゆっくりと降下して、着地。
64通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:21:04 ID:???
 真紅のウィンダムが、しりもちをついたまま後ずさり、ディンが間合いをつめる。
ディンの重突撃銃の砲身が、傾きかけた日を浴びて鈍く光った。
 だが、それだけだった。
 砲口を向けたまま、必死で後ずさるウィンダムを嘲笑うかのように間合いをつめるだけ。
 嬲っている?
 恐怖がまたフレイの心を食らい尽くし、絶望が全てを諦めさせようとする。
 だがフレイは、下腹に力をこめ、涙が滲んだ瞳で敵を睨んだ。

 ――負けない

「自分には、どうしようもない」そんな風に思うのはやめたのだ。諦めるものか。
 絶体絶命の危機に颯爽とヒーローがタイミング良く現れるなんてことは、ない。
そんなことは分かっている。
 けれど、あいつ等は「行く」といった。ならば来る。絶対に。
 一度目のピンチでは来なくても、二度目、三度目、四度目なら? あいつらが来るまで、
耐え切ってみせる。
 狂おしい目であたりを見回すフレイの目が、一点に吸い寄せられる。頭に閃くものがあった。
ひょっとしたら、上手くいくかもしれない。
 ならばやるだけ。まずは大きく深呼吸して。
 
 ――外部スピーカーON
65通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:24:18 ID:???
『待って! 撃たないで!・・・投降・・・しますから』
 聞こえてきた、怯えきった哀れっぽい声に、ザフトのパイロットは眉を上げた。
「あ? 女かよ」
『助けてください! 私、 死にたくない!』
 必死の懇願。だが、ザフトのパイロットは冷笑を浮かべると、
『駄目だ』
 外部スピーカーをONにし、冷たく突き放した。
「どうして!? 投降する者は撃たないのが・・・」
 敵の声に驚きと絶望が混じる。
 いい気味だ、劣等種め。
 嘲笑うように言ってやる。
『馬鹿が! ナチュラルの捕虜なんかいるかよ!!』
 こいつは、クルトを殺した。いい奴だったのに。
 コーディネーターを妬み、憎んで、迫害し続け、またも言いがかりをつけて、
プラントに攻撃をしかけてきたナチュラル。皆殺しにしちまえばいい、あんな奴等。
『嫌ぁ! 助けて! お願いです!』
 絶望に染まったカン高い声がカンに触る。何が『助けて』だ。何人も俺たちの仲間を殺したくせに。
今も、みっともなく必死に這いずって逃げようとしている。
 何と無様で醜い姿か。
『うるせえぞ、ナチュラル。・・・死ね』
 往生際の悪さに嫌悪感すら感じ、ザフトのパイロットは吐き捨てた。砲口を向ける。
 ただでは殺さない。まず残った手足を吹き飛ばして、じっくりと恐怖を味あわせてからだ。
 が、
『――死ぬのはアンタよ』
 敵の口調がガラリと口調が変わる。乗っている人間が入れ替わったのか、
と思えるほどの変わり様にザフトのパイロットは思わず硬直してしまう。
敵の左足が動き、地面に落ちていた、何か黒い塊を蹴り飛ばす。
 蹴り飛ばされた「それ」は、途中でスピードを上げて右肩にあたり・・・
 爆発。
 目の前のコンソールから飛び散った青い火花が、バイザーを焦がした
66通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:28:33 ID:???
 スティレットを蹴り上げると同時になんとか機体を半回転させ、左腕一本でスタンディングスタート
のような体勢を取る。断末魔の悲鳴じみた左腕の異音から耳をふさぎ、なだめすかす。
 後方で爆発音。
 当たった。少しでも大きな損傷を与えていることを祈る。
 急げ、一秒でも速く。
 左脚にパワーを集中して跳躍。スラスターに点火。スラスターが機体を持ち上げようと――
 警告音。
 回避行動の暇もなく背部に衝撃。吹き飛ばされ、そのまま二回転、三回転横転。
体が左右に叩きつけられ、唇が盛大に切れた。金臭い味が口の中いっぱいに広がる。
わき腹からの激痛だけで意識がどうにかなりそうだった。
『糞アマぁぁ!! 殺す、ぶっ殺してやるぞ!』
 敵パイロットの憎悪に満ちた声が響く。敵のディンの右肩が吹き飛び、火花が破壊した部分から、
飛び散っている。
 だが、こちらの機体の損傷と疲労は最早限界に達していた。機体の全身の力が急速に抜けていくのが、
数値でメーターでそして動きで分かってしまう。モニターもほとんどダウン。残ったメインモニターの画像も、
さっきからノイズが混じりっぱなしだ。散弾での攻撃だったおかげで、撃墜は免れた。
 でも、動けない。
 フレイが制御できる部分は、最早機体のどこにも残っていなかった。
 敵が散弾砲を捨て、落ちていた重突撃機銃を拾い上げ、構えた。
「死ねえ!」
 敵パイロット裏返った声が聞こえる。

 ――死ぬんだ、私

 そう思った瞬間、音が消え、世界がスローになった。
 これが人が死ぬ時に見るという・・・
 
 敵のトリガーにかかった、左  指   先    が     動      い
67通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:30:06 ID:???











       <           必   ・   殺    !  !        >










68通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:33:36 ID:???
 空から降ってきた鉄球が敵機に突き刺さり、敵の機体が嘘のように呆気なくひしゃげ、
爆発して木っ端微塵に吹き飛んだ。
 それはフレイが待ち望んでいたはずの光景。それ故に信じられず、フレイはしばし呆然と
してしまう。
 通信機から飛び込んできた声の主が誰か、まだ信じられない気がして・・・
 おそるおそる天を仰ぐ。
<到・着!>
 黒い翼。レイダーがそこにいた。
<頑張ったみたいじゃねえか、フレイ>
<・・・なんとか、間に合ったみたいだね>
 長大な二門の砲を担ぐカラミティ。「戟」―鎌は実用的でないと使うのはやめた―を持った、
フォビドゥンも降下してくる。
 そして、
<無事か? アルスター少尉>
 
 
  ――黒い『主天使』が大空に浮かんでいた。
69通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 15:36:16 ID:???
以上です。
70通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 17:08:35 ID:???
続きキ(・∀・)ター
71通常の名無しさんの3倍:2006/04/29(土) 18:44:04 ID:???
GJ!
72通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 06:16:33 ID:???
誰か、まとめサイトを作って欲しい。
73通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 06:37:23 ID:???
簡単じゃねぇか
ネオみたいにさ
次回の時に、鞭持ってお面かぶって出てくればいいんだよ
74通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 15:04:32 ID:lQyYwIXv
>>69
うわあぁぁぁぁあああぁぁあぁあ(ノA`)゜・。゜・・!!!!
ずっと・・ずっと待ってたんだぞぉぉ!!!
GJ!!
75通常の名無しさんの3倍:2006/04/30(日) 21:21:26 ID:???
>異常を示す色とりどりランプは、既にクリスマスツリーと化していたが

迫力ある戦闘シーンだけでなく、
こういう細部の描写も好きです。


「愛が足りない」とか言って、自分の考えを
押しつけようとする基地外がいるかもしれませんが、
そんなの相手にせずに、
職人さんの書きたいことを書きつづけてください。
76通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:02:29 ID:???
PHASE-04 「創世の予兆」

連合の基地は壊滅し、アークエンジェルは町の外へ着艇した。
「いや〜、またあんたらに助けてもらってしまったな。」
「いえ、2年前に助けていただいたのはこちらですし、そのご恩をお返ししたまでですわ。」
マリューとサイーブは再び会えたことを素直に喜んでいた。
「しかし、お前から救援信号を受けた時は正直驚いた。」
、カガリがアークエンジェルから降りてくる。
「カガリ、しばらく見なかったがでかくなったな。」
「2年も経ってるんだ、伸びて当たり前だ。・・・それより、ストライクのパイロットの事なんだが・・・」

キラはムラサメのコクピットから降りた後、ストライクに乗っていた少女に会おうとしていたが、なぜか少女はいなかった。
「あの感じ・・・」
キラは町を走り回る。紅い髪なんて早々いるわけではないが、ドタバタしてる中での捜索は難しい。
「すいません・・・紅い髪の女の子、見ませんでした?」
「ああ、あの娘ならあの家に入っていったよ。」
その人が指差した先はリナウの家だった。

「フレイさん、大丈夫でしたか?」
リナウは潤んだ瞳でフレイを見つめている。
「大丈夫、大丈夫よ。」
フレイは疲れた様子を見せ、椅子に座る。
「少し・・・寝るわね。」
77通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:03:24 ID:???
「こんにちは、誰かいませんか?」
キラは家の中に入り、人を呼ぶ。
「はい・・・」
リナウが出てくる。

フワアァァァ

「!!」
互いに何かを感じ取り、動きが止まる。
「・・・(この女の子・・・、一体・・・)」
「・・・(何?。この人・・・)何か御用ですか?。」
キラはリナウの言葉に気付き、自分の目的を話す。
「えと、紅い髪が特徴の女性を探してるんだけど・・・」
「フレイさんの事ですか?。」
キラはフレイの名前を聴くと目の色を変えた。
「ここにいるんだね!?。」
キラは家に入り込みフレイを探す。狭い家なので直ぐに見つける事が出来た。

「フレイ・・・」
もう会えないと思っていた。あの時に守れなかったから。でも、フレイは自分の前に姿を見せている。
「夢じゃ・・・ない。フレイ、フレイ・・・」
眠って椅子に座り、窓から光が差し込んでいて、まるで天使のように見える。
「フレイ・・・」
2年という月日が溜めた想いが一気に溢れだす。眠っているフレイを静かに抱き締めるキラ。
「あ・・・フレイ、僕は・・・」
時間が止まっているようだった。止まっていて欲しかった。そう、キラは願う。
「ん・・・!!。キャア!!」
目を覚ましたらいきなり人が目の前にいたため、驚いてキラを突き飛ばしてしまう。
78通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:04:15 ID:???
「痛た・・・」
キラは頭を打った。
「ご、ごめんなさい・・・。大丈夫ですか?」
キラに駆け寄り、顔を伺うフレイ。
「・・・やっぱり、フレイ・・・。」
キラはフレイを抱き締める。
「え・・・」
「会いたかった・・・。君は死んだとばかり・・・でも、もう離さない・・・」
それは離れ離れになっていた恋人へのメッセージ。しかし、記憶を失っているフレイにはさっぱりである。
「あの・・・あなた、誰ですか?」
キラは驚き、フレイの顔を見る。
「何を言ってるんだい?。キラだよ・・・キラ・ヤマト・・・」
「あの・・・憶えてないんです・・・。何も・・・」

フレイに事情を話されたキラは安心と驚愕が同時に訪れた。
「そんな・・・記憶を失って・・・サイが君を!?」「はい・・・でもサイさんも先日の戦闘で・・・」
「サイが・・・?」
トールに続いてサイが死んだ。キラは拳を握る。
「また、僕は友達を守れなかった・・・僕は・・・。」
「そんな!?キラさんのせいではありません。私の力不足のせいで・・・。それにサイさんが言ったんです。キラさんに会えって。」
「サイが・・・」
キラは涙を薄らと浮かべながらフレイを見つめている。フレイはずっと聴きたかった事を聴くことにした。
「教えてください。私はキラさんの何だったんですか?」
予想外の質問に戸惑うキラ。
79通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:05:42 ID:???
「そ・・・それは・・・」

「あんた!!コーディネーターだからって、本気で戦ってないんでしょう?」 「キラ、どう?似合う?」 「キラ、キラ〜」 「私の・・・本当の想いが・・・あなたを守るから・・・」


思い出されるフレイの言葉、行動、想い・・・。しばらくの沈黙が続く。
「・・・たんだ・・・」
口を開いたのはキラだった。
「君を・・・傷つけてしまったんだ。傷つけてばかり・・・僕は何もしてあげれなかった。そんな僕に優しく君は接してくれた。」
キラは重々しい感じで話す。
「キラさん・・・」
憶えてないはずなのに。忘れたはずなのに。なぜか罪悪感に似た・・・。いや、違う。昔抱いていた感情を思い出したのだ。
「君は昔もこうやって優しく抱いてくれたね。」
いつの間にかフレイの手はキラの背中へ廻っていた。
「キラさん、私・・・私・・・」
「ゆっくり思い出せばいい・・・。今はただ、君に会えた・・・それで僕は満足だ・・・」
高ぶる心臓の音。聞こえるのは互いの吐息だけ。キラの顔がフレイに近づいていく。

「フレイさん、どうしました?。」
リナウが入ってくる。驚いた二人は急いで手を離す。
「何かあったんですか?」
「ううん、何でもないのよ。」
「そうだよ・・・あは、あはははは・・・」
リナウはフレイが逆さまの本を読み、腕立てふせをしているキラを十分怪しく映った。
80通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:06:41 ID:???
フレイは荷物を纏めてアークエンジェルに積む。
「世話になったな。お前のお陰で町に笑顔が戻った。」
サイーブはフレイに向かい頭を下げる。
「いえ、こちらこそ良くしていただいてありがとうございました。」
「何かあったらまた連絡しろよな、サイーブ。」
カガリがフレイの荷物を積み終わったのを確認するとアークエンジェルから降りてきた。
「カガリ、お前も大変だろうが俺達は知っている。お前は立派な獅子だと。」
「ありがとう。」

「リナウちゃん、行っちゃうの?」
数人の子供がリナウを囲んでいる。
「うん、私はフレイさんと行かなきゃいけないの・・・みんな、元気でね。」
友達に別れを告げ、アークエンジェルに入り込む。

「前進離陸。アークエンジェル、発進。」
マリューの声とともに砂漠を飛び立つアークエンジェル。フレイとリナウはブリッジから町を見下ろしていた。


「バルドフェルド隊長。」
ラクスがブリッジに入ってきて、横に来る。
「何だ?」
「エターナルはこれから、プラントへ向かいたいと私は考えているのですが。」
「正気か!?。今、プラントへ行ったら殺されるぞ!!」
バルドフェルドは意外な言葉を聴き、慌てて説得する。
81通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 13:07:39 ID:???
「しかし、ただこのままいるだけでは犠牲は増えるばかりです。私はデュランダル議長との直接会談をしたいのです。」
「しかし・・・」
「議長もそれ程愚かな人ではありません。きっと話しを聴いてくれるはずです。」
バルドフェルドは渋々ラクスの言う通りにした。
やがてエターナルはプラントへ辿り着く。だが、バルドフェルドは気付いていなかった。ラクスの心にある静かな野望に。


予告
美しい海へ飛び立つ希望。しかし、様々な思惑が交差する戦場ではその力は新たな混乱しか呼ばないのか?。蒼き瞳が見据える先は・・・
PHASE-05「分かつ海」
数多の光で、敵を討て!!アビス!!
82通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 16:35:41 ID:???
>>76-81

キラとフレイの再会シーンの描写が良かったです。
それとラクスの野望ってのが、何かすげえ気になる・・・。
乙であります!
83通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 18:06:47 ID:???
>>82、ありがとうございます。

この話の時間軸ですが、アニメの22話辺りです。しかしダーダネルスでの戦闘は無く、ミリアリアも早くからCICになり、ラクスも早く宇宙に上がっています。

現段階のフレイの実力は、カガリよりやや下ですがNTレベルは1st中期アムロくらいだと思ってください。
84通常の名無しさんの3倍:2006/05/03(水) 22:55:42 ID:???
上げ
85通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:12:28 ID:???
<おい、生きてっか? フレイ。映像が来てねえぞ>
 オルガの声。
<ひょっとして、そういう機能とかもいかれちゃった?>
<・・・まあ無理もないけどね。ていうか、聞こえてる?>
 クロトとシャニの声も。
 ふいに視界が歪んだ。涙がボロボロと出てくる。
 何でこんなにあいつ等の声が暖かく聞こえるのか。たった数時間しか立っていないのに、
もう何日も会ってなかったかのように、懐かしく感じられる。
<もうっ・・・遅い・・・じゃない>
<おいおいおい、泣いてんのかぁ? お前>
<う、うるさいわね!>
<サブナック少尉、アルスター少尉。話は後だ>
 ナタルの怜悧な声。慌てて、フレイは涙をぬぐう。
<アルスター少尉。機体を捨てて、A−3ポイントへ向かえ。・・・できるか?>
 冷厳とした口調に隠されていたが、ナタルの声にはフレイを心配する気持ちが、
滲んでいた。フレイにはそれが分かった。
 脇腹が一瞬うずき、体のあちこちから鈍痛がおしよせる。痛みは興奮状態が終わった後、
徐々に来るというが、まさにその通りだ。
 だが、ぐっと奥歯を噛め、
<了解しました。艦長>
 しっかりとした声を作り、フレイは答えた。余計な手間をかけさせるわけには行かない。
<ま、後は俺たちにまかせな。大船に乗った気でいていいぜ、フレイ>
 どことなく、労うような声音でオルガが言う。
<へえ? ドロ舟じゃなくて?>
<・・・オルガならそんなもんだね>
<何だと、てめーら!!>
<ちょっと・・・アンタ達・・・>
 所かまわずいつも通りのやり取りを始める三人に、フレイは半笑いになる。
「・・・・ん?」
 カラミティの後ろに何かいる。フレイは目をこらす。
 敵のMS!
<オルガ!>
 フレイが叫ぶのと、カラミティが振り返りもせず、肩越しに337ミリプラズマサボットバズーカ砲を
撃ったのは、ほぼ同時だった。
 無造作だが、自然で流れるような動き。敵機が吹き飛ばされ、爆発。

 ――強い
 
8613話(後半):2006/05/04(木) 00:17:17 ID:LQPlR5Be
 実戦を経たフレイには、オルガの強さが今まで以上に良く分かった。
この三人が来たからには、もう何も心配いらない。安堵と高揚感が湧き上がってくる。
<流石じゃない!>
<あ? こんなことで一々褒めんなよ>
 弾んだ声で賞賛を送るフレイ。だが、オルガは鼻を鳴らして応じ、その反応に、
フレイは少し頬をふくらませた。
<何よ! 可愛くないわねえ。ちょっとは嬉しそうにしなさいよ。せっかく人が珍しく
褒めてあげたのに>
<あぁ? ったくてめーは・・・。おらおら、さっさと行けよ。ポイントへよ!>
<言われなくても行くわよ!>
<・・・あのさ>
<何? シャニ>
<・・・気をつけていきなよ>
 そのぶっきらぼうな口調に、フレイは小さく笑った。一番無口で無愛想だが、
シャニは、実は結構優しいのだ。
<ありがと。シャニ。優しいのね。誰かさんとは大違い>
<・・・別に、優しくなんか>
 照れてる照れてる。こんな時だというのに、フレイはついつい、顔が緩んでしまう。
 すかさずクロトが茶々を入れてきた。
<な〜に、赤くなってんだ、ぶわ〜か!>
<お前ぇ―――――――――っ!!>
<うるせーよ、お前ら!>
<いい加減にせんかぁ―――――――――――――――――――――っ!!!>
 炸裂する砲弾の轟音よりも大きいナタルの雷が、通信機をビリビリと震わせた。
<まだ戦闘中だぞ! 分かっているのか! 貴様等!!>
<す、すいません艦長>
<ったく、てめーらがゴチャゴチャうるせえからだぞ>
<はあ? 人のこと言えるのかよ、オルガ>
<・・・うざい>
<分かっているのかと聞いている!!!>
<<<<申しわけありません、サー!!!!>>>>
 四人の声が見事にハモった。
<お、おい。行くぞ、てめーら!>
 慌てたようにオルガが号令をかけ、レイダーとフォビドゥンが続く。
<あ、待って!>
<あん?>
<うん?>
<・・・何?>
<三人とも。気をつけて・・・>
 改まった口調で心を込め、一言一言、確かめるようにフレイは言った。
 勿論、三人がやられるなんて思わない。でも、言わずにはいられない。
戦場で絶対なんてことはありえない、それを知っているから。
<おう。んじゃ後でな、フレイ>
<了・解!>
<・・・行って来る>
87通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:18:57 ID:???
 三機とドミニオンが遠ざかっていく。ふっと、一息ついてフレイはコクピットを開いた。
 外に出るとふわっとした風がフレイを包む。息ぐるしいコクピットから開放され、
開放感がこみ上げてきた。ヘルメットのバイザーを上げ、大きく息を吸い込む。
 正直疲れていた。身体も、どこが痛いのか分からないほどそこかしこが痛い。
本当は一歩たりとも歩きたくはなかった。でも・・・。
 フレイは首を振った。
 
 ――まだ、終わっていない
 
 応急セットを引っ張り出し、脇腹の怪我を手当てする。我ながら慣れたものだ。
怪我をすることや、応急手当ばかり上手くなってる気がして、苦笑と同時にため息が出た。
「・・・っつ・・・痛いわね!」
 悪態をついて痛みを誤魔化す。一通り、手当てを終え、歩き出そうとして――
立ち止まり、フレイは、自分の機体を見上げた。
 失った右椀、右脚の切断面からは、無数のコード等の内部機構が無残に露出し、
残った胴体、頭部、左腕、左脚にも、いたるところに被弾の跡。箇所によっては、
オイルが血のよう漏れ出していた。この機体が動くことはもうない。
 だが、これほどの損傷を受けながらも、最後の最後まで動いてくれたおかげで、
自分はこうして生きていられる。
 オイルが手に滴るのもかまわず、そっと真紅の装甲に触れ、フレイは目を閉じた。
 優しい柔らかい声で囁く。
「ありがとう。ゆっくり・・・休んで」
 少しの間そうしていた後、きびすを返し、フレイは歩き出した。痛む脇腹を押さえながら、
ゆっくりと、だが一歩一歩確かな足取りで歩いていく。
 その姿に、二年前ベッドの中で震えていることしかできなかった少女の面影はない。
 そこにあるのは紛れもない、戦士の姿だった。
8814話:2006/05/04(木) 00:21:53 ID:???
<・・・何か、いっぱいいるね>
 迫り来るザフトのMSの大群を視界に捉え、シャニが少し呆れたような声音で、
感想を漏らした。その声音には、微塵の恐怖もない。
 例えるなら、少しちらかりすぎた部屋の掃除が多少面倒だ、という程度か。
<ちゃっちゃと片付けちゃおうぜ>
<いつかの赤いヤツと白いヤツみてえなのがいりゃいいけどな。雑魚ばっかてのは、
面白くねえ>
 残りの二人も同様であった。
 並の操縦兵なら、圧倒的な戦力差に自身の死を覚悟して望む場面である。
そんな状況に身をおきながら、この余裕。
 まさに大胆不敵。
 オルガは、左右の僚機を見回し、ふっと笑うと軽く首をまわし、 
「うおらぁぁぁぁ!!」
 吼えた。
 カラミティの125ミリ二連装高エネルギー長射程砲が火を噴き、直撃を受けたシグーが一機
消し飛ばされる。
 同時に、レイダーが飛行形態に変形して一気に超速で敵のMS群の中に飛び込み、
フォビドゥンが88mmレールガンを乱射しながら突進した。
 
 
 112ミリ二連装衝角砲のビームの連射で敵機を切り刻み、胸部580ミリ複列位相エネルギー砲
で吹き飛ばす。敵のビームが自機を掠め、敵の重突撃砲を防いだ盾から衝撃が走る。
「クックック・・・」
 オルガの喉から笑い声が漏れ始める。
 敵の攻撃を回避。索敵。攻撃。防御。絶え間なく判断が求められ、その一瞬一瞬の判断が、
生死を分ける。
 この緊張感。この肌がひりつく感じ。
 
 ――たまらねえ・・・

 敵を撃墜するたびに、敵の攻撃が自機を掠めるたびに血が猛り、高揚感が湧き上がる。
 そうだ。
 
 ――闘いこそが、俺の・・・ 

 337ミリプラズマサボットバズーカ砲を照準。発砲。
 盾を吹き飛ばされた敵がよろめく。すかさず125ミリ二連装高エネルギー長射程砲を発射。
二条のビームに貫かれ、かき消されるように敵が四散する。
 口からもれ出た笑いはいつしか、哄笑に変わっていた
「ハハハハハハハハハハハハハハ ア―ハハハッハハハッ!!! !」
 狂ったように笑いながら、オルガは破壊を撒き散らした。
89通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:23:29 ID:???
「撃・滅!」
 破砕級の一撃でディンがひしゃげ、爆砕する。
「滅・殺!」
 続いて放たれた口部100ミリエネルギー砲の一撃でシグーが吹き飛ぶ。
 警告音。
 ミサイルが、多数白煙を上げて迫ってくる。半回転、そのままほとんど垂直下降して正面から
飛んでくるミサイルをかわす。そのまま速度を上げて距離をとり、MS形態に変形。
弧を描いて戻ってきたミサイルに、2連装52mm超高初速防盾砲を発射。ミサイルが誘爆し、
連続した爆発と爆光が炸裂した。
「てめええええええええええ!!」
 MA形態を取りスラスター全開で上昇。目標は、ミサイルを撃ってきたディン。
 敵が左に機動しながら、重突撃砲を乱射しくる。ほとんど真横に急激なターン。
敵の斜線から逃れ、そのまま今度は一直線に敵に突撃。横運動から直線運動。線の目標が点に。
 反応できず敵のMSが棒立ちになる。
「抹・殺!」
 レイダーのクローがディンに突き刺さり、超至近距離で放たれた短射程プラズマ砲が
敵の装甲を貫通した。
 落下していくディンが爆発するよりも早く、レイダーは新たな敵を求め、
黒い疾風となって飛び去った。


「うらぁぁ!」
 シャニの気合と同時にフォビドゥンの戟が、バビを一刀両断。
 更に、フォビドゥンの胸部に電光が光る。咄嗟に、フォビドゥンの正面にいた
バビのパイロット達は、右又は左に回避行動を行う。
 次の瞬間、見事な弧を描いたビームに、右に避けてしまったバビが一機吹き飛んだ。
 ビーム兵器を避けるためには、常に動き回って敵の照準から逃れるしかない。
その際、一つの目安になるのは敵の銃口、砲口の位置である。だが、誘導プラズマ砲には
それが通用しない。
 恐怖に駆られたのか、バビのビームライフルからビームが放たれる。
「フンッ!」
 鼻で笑うと、一気にシャニはフォビドゥンを突っ込ませた。ビームを全て
ゲシュマイディッヒ・パンツァーシステムで弾き散らす。
「ええぇぇい!」
 戟の穂先がバビのコクピットを貫通。
「俺の獲物は・・・」
 戟を振るい、バビを投げ捨てる。シャニは獰猛な笑顔を浮かべながら、戦場を
見回した。
90通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:25:03 ID:???
「災厄」が死の光を放ち、
「禁忌」の刃が振り下ろされ、
「襲撃者」の爪が閃く。
 その度に一機、また一機とザフト軍のMSはなすすべもなく数を減らしていく。
 悪魔の名を持つ三人の狂戦士。
 三人は、その名さながらの死の化身となってザフト軍を蹂躙した。


 ● ○ ● ○


艦を着水させた後、ナタルは指示を飛ばす。
「MS航跡から敵母艦の予測位置を探れ」
「了解」
 カーペンタリアから直接来たという可能性がないこともないが、MSという兵器の
の運用上、母艦を伴っていると考えるのが妥当だろう。ナタルはそう判断していた。
(それにしても、流石だな)
 凄まじいとしか形容しがたい勢いであの三人は、敵のMSを蹴散らしている。
これで、大きくザフト側に傾いていた天秤も水平に近づくに違いない。
「敵母艦の位置割り出し、急げ!」
「了解!」「艦長!」
 索敵係が答えると同時に、オペレーターが声を上げた。
「どうした?」
「艦影捕捉! ライブラリ照合。これは・・・『ミネルバ』です」
91通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 00:35:07 ID:???
今日は以上です。

>>70-71,74,75
大分間隔があいてしまったにも関わらず、読んでくれて
ありがとうございます。ただ、もう間隔をあけない、とは情けない話ですが
言えません。スイマセン

では、次も速く投下できたらいいなあ・・・と思いつつ。

92通常の名無しさんの3倍:2006/05/04(木) 10:33:25 ID:???
新作二つもキテター(・∀・)ー
職人さん方 お疲れなのですよ〜
93通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 00:24:13 ID:???
C.E.はビームサーベルの切り払いが出来ないらしいですが、やりたいんですよね〜。(そっちの方が燃えるから)

ちなみに僕の小説内のキラはNTの力が強いんですよ。まあ、フレイやリナウには劣ってしまいますが。
94フレイ・アルスター ◆78bsG/3w76 :2006/05/05(金) 05:36:36 ID:???
今更生き返ってどうしろっていうわけ?
95通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 13:47:44 ID:???
>>93
やってもいいと思いますよ。本編でもOPで鍔迫り合いやてたし(運命VSストフリで)
96通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 16:39:21 ID:???
PHASE-05 「分かつ海」

砂漠を抜け、インド洋に出たアークエンジェル。それはまるで2年前のように。
「あ〜。潮風が気持ちいい・・・」
フレイは髪を纏め、デッキに出ていた。本当は海の中にいたほうが良いのだが、キラが無理言ってフレイの為に海上を進むことにしたのだった。
「私、海は初めてです。」
リナウは物珍しい眼で海を見る。
「2人に喜んでもらって良かった。」
キラがデッキへ出てくる。
「キラさん、見て!!イルカよ。」
アークエンジェルの周りをぐるぐる回っている。そんな子供みたいに無邪気なフレイを見てキラは胸が痛かった。
「・・・(今度、戦闘があったらフレイは出撃するだろう・・・。でも、もし・・・)」
思い出される2年前の光景。二度奇跡が起きる確立はないに等しいのだ。そんな心配をよそにフレイは満面の笑みを浮かべている。

そこへある少年が入ってきた。
「やあ・・・キラ。」
「カズィ・・・どうしたの?」
彼はアークエンジェルを降りた事を悔やんでいた。自分の弱さを克服したくて、CICとして戻ってきたのだ。
「フレイが戻ってきて良かったね。」
「うん・・・でも・・・僕の事はあんまり憶えてないし・・・」
「いや、昔のフレイよりいいんじゃない?。このまま記憶が戻らないほうがいいかもよ。」
カズィの言うことは一理あった。2年前を知ってる人ならばそう答えるだろう。
「でもね・・・フレイは本当は優しかったんだ。ただ、傷ついていたから・・・僕だって今のフレイは確かに好きだけど・・・」
キラはフレイを見ながら話す。
「あの時のフレイも含めて、フレイが好きなんだ。いつか、記憶が戻って心から・・・」
キラが話してる途中、カズィはずっと2人を見ていた。
「カズィ?」
「いや、フレイは可愛いけどリナウちゃんも可愛いよなって思ったんだ。」
97通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 16:42:05 ID:???
キラもリナウの顔を見てみる。確かに可愛らしい少女だ。
「キラさ〜ん!!」
リナウが気付き、手を振る。
「いいよな〜、キラはもてるから。」
「そんな事・・・」
「ラクスさんも含めて、3人の美少女に囲まれるなんて」
カズィは中へ入ってしまった。
「・・・」

「キラ・・・愛してわすわ・・・」
ラクスが迫ってくる。
「ラクス!!。ダメだよ・・・僕にはフレイが・・・」
「そう言わずに・・・さ、私と行きましょう。」
ラクスが左手を引っ張る。
「ダメ!!キラ・・・私と行こう!!」
フレイは右手を引っ張る。2人の胸の感触がキラの神経をくすぐる。
「あ・・・いや、2人共・・・」
「2人共ずるいです〜。私もキラさんがいい〜。」
リナウがキラの体に抱きつく。
「リナウちゃんまで・・・アアアァァァ!!」


「はぁはぁ・・・夢か・・・」
昼間のカズィの話が忘れられず、夢にまで影響してきた。
「しかし・・・あの感触は?。」
手元を見ると枕だった。少しキラはがっかりした。
「全く・・・こんな夢を見るなんて・・・」

翌日、フレイは眼の下に隈が出来てるのを見つけた。
「どうしたんですか?。」
「なんか眠れなくてね・・・いや、大丈夫。僕は君だけしか・・・」
そう言ってキラはトイレに入っていった。
「変なキラさん・・・」
98通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 16:43:16 ID:???
アークエンジェルはインド洋を抜けると、しばらく海中を進んでいった。そして、ここから運命の歯車が動き始める。

「近くに艦影なし。」
「本艦はここで停船します。みんなも休んでちょうだい。」
海中で動きを止めるアークエンジェル。しかし、キラとフレイは休む暇がなかった。リナウが急に頭痛を訴えたのだった。
「うう・・・」
「大丈夫?」
「聞こえる・・・」
大丈夫?、という質問に予想外の言葉が返ってきた2人。
「何が聞こえるんだい?」
「子供・・・の声・・・。早く、助けないと・・・」
「子供?そんな・・・」

ピキーン

2人にもそれは感じられた。キラはブリッジへ走った。
「あれ?キラ、どうしたの?」
「ミリアリア、近くに小さい熱源がない?」
「確かに、なにか反応が・・・」
「何?いったいどうしたの?」
マリューがキラの話を聴き、アークエンジェルを浮上させる。そこに男の子が浮いていた。

「ここは・・・?」
「アークエンジェルという船の中だよ。」
男の子は無事救助され、医務室で寝かされていた。
「君はどうしてあんな所に?」
キラの質問に対し、男の子は飛び起きた。
「そ、そうだ・・・。ねえ、みんなを助けて!!」

男の子はジミー・クリクと名乗った。彼の話に寄ると、エクステンデッド研究所の発見を恐れた連合軍がもう直研究所を潰すと言う。
「そんな、ひどい・・・」
「俺・・・その話を聴いて、恐くなって逃げたんだ。でも研究所のみんなはまだこの事知らないんだ。お願いだよ・・・助けて!!」
ジミーの話しを聴くと、アークエンジェルはロドニアへ向かった。
99通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 16:44:49 ID:???
「やれやれ、面倒な事になったなぁ〜。」
ネオは部屋で仮面を付けると、司令室へ行ってこうもらした。
「エクステンデッド達には知らせない方が・・・」
「ああ・・・。」
その話をステラがこっそり聴いていた。

「ねえ、アウル。」
「何だよ?」
「ロドニアのラボって何?」
ステラの口からそんな言葉が出てきたとは以外だった。
「俺等が前いたとこじゃん。どうしたんだよ?」
「何か排除するって・・・」
「排除・・・母さん・・・ヒッ!」
ブロックワードを感情のあまり口走ってしまった。
「あ、ああ〜!!母さーん!!。母さんを守らなきゃ!!」
ステラを突き飛ばし、アビスへ向かう。
「アウル・・・母さん、守る・・・」
ステラもガイアへ向かった。

「早く開けろー!!吹っ飛ばすぞー!!」
アウルの気迫に押され、兵はハッチを開けてしまう。
「母さん!!」
ステラも遅れて出撃した。
「何事だ!?。」
「ロアノーク大佐・・・アウル・ニーダとステラ・ルーシェが・・・」


「本国の命により、ロドニアにあるエクステンデッド研究所を調査します。先にアスランとハイネに出撃してもらいたいのだけど、いいわね?」
ミネルバにも研究所を調査するよう特命が来ていた。
「はい。」
「了解〜。」
2人は言われた通り、モビルスーツで出撃する。
「アスラン・ザラ、セイバー、発進する!!」
「ハイネ・ヴェステンフルス、グフ、行くぜ!!」
100通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 16:45:59 ID:???
「わああ〜!!」 「きゃあああ!!」
次々と捕まり、殺されていく子供達。
「まだあちらへいるぞ!!。探せ!!」
工作兵達は散々に探す。


「さあ、こっちから逃げれるわよ。みんな、しっかり!!」
金髪の女性が子供達を誘導する。しかし、工作兵は先回りしていた。
「これで・・・」
女性は子供達の前に回った。
「撃つのなら私から・・・」
やがて鳴り響く銃声。だが、倒れたのは工作兵だった。
「大丈夫か?」
フレイとカガリが銃を構えながら、走ってくる。
「こちらには敵はいません。早く!!」
子供達を小型艇に乗り込ませ、船はアークエンジェルへ向かう。
「まだ子供達が・・・」
「大丈夫、他の人が助けだしています。」
「違うの!!。隠れているように言った子供が3人・・・」
「名前は?」
「ジーン・ネイトちゃん、ソルト・ケルビ君・・・マユ・アスカちゃん。」
3人の名前を聴くと、フレイは研究所へ走っていった。


予告
張り詰める胸の鼓動。尋常でない怒りはどこから湧くのか?。剣と剣が交わるとき、その火花が焦がすものは・・・
PHASE-06  「天の鎖」
怒れる剣で、敵を切り裂け!!インパルス!!
101通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 21:42:07 ID:???
今回は前半がギャグ路線ですが、某ハーレム苺漫画とは違いますよ〜。

>>93、ありがとうございます。
ビームサーベルのぶつかり合いは「コロイド粒子が弾きあってる」と思ってください。
102通常の名無しさんの3倍:2006/05/05(金) 23:15:22 ID:???
↑訂正
×>93
>>95
103通常の名無しさんの3倍:2006/05/07(日) 19:15:01 ID:???
>>101 ペース早いですね〜
お疲れさまです!
104通常の名無しさんの3倍:2006/05/08(月) 21:04:52 ID:???
保守
105通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 06:50:18 ID:???
保守
106通常の名無しさんの3倍:2006/05/10(水) 18:38:44 ID:???
age
107通常の名無しさんの3倍:2006/05/12(金) 22:09:23 ID:???
保守
108通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:17:29 ID:tEEWlmYO
「くっそお!」
「・・・ったく、よりにもよってって感じだぜ!」
 イザークが端整な顔をゆがめて怒鳴り、ディアッカの声にも苛立ちが混じる。
「とにかく急ごう」
 イザーク、ディアッカ、アスランはミネルバの狭い廊下を走っていた。
 先の大戦で数多のザフト軍のMSを屠り、何隻もの艦を沈めたドミニオンと
三機のガンダム。奴等の強さは、戦った自分達が一番良く知っている。
 下手をすればこの闘いの形勢がひっくり返されてしまう可能性すらある。それほど、
ドミニオンとあの三機は強い。
「準備は!!」
 ハンガーに駆け込むと同時にイザークが怒鳴る。
「も、もうちょっと・・・です・・・」
 オレンジの前髪に白いメッシュという特徴的な髪の少年が、たじろいだ様子で
応えた。
「くっ・・・。急げよ!」
 怒鳴ったところで状況は変わらない。自制心を働かせ、イザークは声を抑えた。
元はといえば、状況を甘く見た自分達の失態だ。
 一歩下がってあたりを見回す。ディアッカとアスランはそれぞれ、自機の所に走り
整備員に指示を与えている。自分も続こうとして――
 イザークはインパルスの姿がないのに気づく。
「おい! インパルスはまだ戻っとらんのか!?」
「は、はい」
 今度は黒い肌の少年が答えた。
「何をやっとるんだ、アイツは!」
 ハンガーの通信機に駆け寄る。あれからずっと闘い続けているのなら、消耗は半端ではない。
その状態で、あの三機の内の一機に出会ったりしたら。

 ――命はないぞ

 帰投命令を具申しようと、ブリッジへのボタンを押そうとした時、艦内に警報が響き渡った。
10914話(後半):2006/05/13(土) 20:19:19 ID:???
 ミネルバ。
 その名前が告げられた時、おっ・・・という軽いどよめきが、ドミニオンのブリッジに起こった。
 ザフトが誇る最新鋭艦。たった一隻で地球軍の艦隊を撃破したミネルバの名は、
既に地球軍に轟いていた。
「騒ぐな」
 ナタルの凛とした静かな声が響く。気負いもせず、うろたえもせず、湖面の如き静けさをたたえた、
ナタルの玲瓏とした表情に、クルー達は落ち着きを取り戻す。
 それを待っていたかのように、ナタルの指示がブリッジにこだまし始めた。
「対艦、対モビルスーツ戦闘用意。面舵20。イーゲルシュテルン起動、バリアント照準敵戦艦、
ミサイル発射管、1番から6番コリントス装填――」
 淀みない綿密で微細な指示。しかし、クルー達は動じることなくナタルの指示を
実行していく。ナタルは心の中で改心の笑みを漏らした。
 この二年、僻地に追いやられても、クルー1人1人が腐らず訓練に励んできた成果だ。

 ――最新鋭艦だろうと恐るるに足らん

 ナタルはゆっくりと息を吐き出し、シートに座り直した。

 
 ● ○ ● ○


「トリスタン、イゾルデ起動。ランチャーワン、セブン、1番から5番、全門パルシファル装填」
 アーサーの口調にわずかに緊張の色を見て取って、タリアは軽く眉を潜めた。
だが、アーサーのの気持ちは分かる。
 地球軍にドミニオンあり。
 前大戦でザフト軍を震撼させたその力は、いかほどのものか? 果たして新米艦長の自分で、
大丈夫なのか? そんな弱気がつい込み上げる。
「艦長?」
 アーサーの問いかけでタリアは我に返った。艦長の自分が弱気になってどうする?
「タンホイザー起動!」
 自分を叱咤しつつ命令を下す。
「了解。タンホイザー照準、目標。地球軍AA級ドミニオン」
「タンホイザー発射と同時に機関最大。降下」
「ええ〜!?」
 アーサーが素っ頓狂な声を上げた。一瞬タリアは頭を抱えたくなる。
 この男は本当に・・・
「おそらく敵には盾があるわ。地球軍の虎の子の艦なら、当然対陽電子砲の装備を
搭載したあのMSが乗っていると考えるべきでしょう?」
「な、なるほど」
「勿論、無ければそれにこしたことはないけれど・・・」
 険しさが滲む声でそう言って、タリアはモニターに映るドミニオンの映像を見つめた。
110通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:21:08 ID:???

「敵艦、陽電子砲発射態勢確認。本艦に照準!」
 CIC担当官から声が飛んだ。ナタルは瞬時に考えを巡らせる。
(初手から、最大射程・最大火力で攻撃か。おそらく、こちらに盾があるか否か、
確かめる意図もあるだろう。狙いは悪くない。だが・・・。甘い)
「ローエングリン照準! 目標、上空敵戦艦! 充填可能な分でいい。
敵が撃つと同時に撃て。ゲルズゲーー発進! 」
「了解」
「進路クリアー。パワーコンジット分離確認。YMFG-X7Dゲルズゲー、発進よろし」
 カタパルトが開き、陽電子リフレクターを持つMSゲルズゲーがゆっくりとドミニオンの
前面に陣取る。その間もナタルの指示は続いていた。
「ローエングリン発射と同時にミサイル発射。1番から6番、コリントスの終端誘導、
自律制御パターンをはD。照準、レッド11、グリーン18」
「コリントス自律制御パターンセット、完了」
「タンホイザー起動。射線軸コントロール移行、完了いたしました」
「よし。火気官制、9番から12番のMK-99SLMM(自走機雷)用意。
グリーンアルファ17から42に座標セット。スイムアウト!」
「了解。MK-99SLMM、9番、10番、11番、12番、発射」
 何故そんな所に、機雷を配置するのですか? と疑問を唱えるものは誰もいない。
ナタル・バジルールが配置せよというなら、そこに敵はくるのだ。
 全ての準備が整った、まさにその時。
 ミネルバに、眩い爆光が生まれた。 
111通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:22:01 ID:???

「てぇ!」
 アーサーの号令とともに、極大の光線がドミニオンに向かって突き進んでいく。
 一瞬の後、 すさまじいばかりの爆発が起こり、白煙が濛々と舞い上がった。その中をミネルバが、
発射の衝撃から立ち直り、降下を始める。
 いきなり光の本流が、ミネルバが先ほどまであった場所を貫いた。
 ブリッジクルー全員が、肝を冷やす。ドミニオンはは健在。妙なMSが敵艦の前面に出た時点で、
予想はしていたが・・・。
 敵には盾がある。
 これからの苦戦を予想し、誰もが暗澹とした気分になる。だが、ミネルバの危機は、
まだ終わっていなかった。
「上空から、ミサイル接近! 多数!」
 こちらが下降すると呼んでいたのか? わざわざ上から降ってくるように撃つとは。
下に注意を引き付けておいて上。
 何と嫌な敵か。
「迎撃!」
 今の艦の姿勢では、回避行動は無理とみて、タリアの指示が飛ぶ。
 ミネルバのCIWSが火を噴き、迎撃ミサイルが発射される。だが、惜しみなく発射された
炎の矢が圧倒的な数でミネルバに降り注ぐ。一発がミネルバ対空砲火を掻い潜った。
「ミサイル、来ます!」
 振動がブリッジに伝わる。
「右舷デッキ、被弾!」
 メイリンの声が響く。黒煙を上げ、ミサイルの衝撃に押されるように更に艦首を下げ、
ミネルバは海へと落下していく。
「着水する! 総員衝撃に備えよ! 」
 その時、タリアのカンが告げた。何かが引っかかる。
 ミサイルの向き。
 何故上から来るように撃った? そう考えた瞬間、タリアの脳に電撃が走る。

 ――誘導されている!?

 背筋を冷たいものが走り、タリアは咄嗟に叫ぶ。
「マリク、着水と同時に離水用意。バート、ソナーに注意し」
 タリアが言い終わる前に着水の衝撃がミネルバを襲った。艦全体が大揺れに揺れる。
 その中、必死でソナーに目をやった索敵担当のバート・ハイムが、
「ソナーに突発音! 魚雷・・・いや、機雷!? 接触まで30びょ・・・20!」
 絶叫を上げた。
「離水! 」
 タリアが怒鳴る。マリクが必死にミネルバを持ち上げようとする。
 しかし、いくら前もって指示があったとはいえ、そこまで急激な離水などできるものではない。
それでもなんとか、艦の前部が水面から持ち上がった――
 その時。
 先ほどまでとは比べ物にならない轟音と衝撃がミネルバを襲った。
112通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:28:50 ID:???
「トリスタン。イゾルデ、照準。魚雷を回避と同時に発射。おそらく、敵も撃ってくるだろうけど。
チェン・・・できるわね?」
 難しい要求だろうと思いつつも指示を飛ばす。
「了解!」
 火気管制のチェンの頼もしい応答。その間も魚雷は迫る。魚雷の探信音が、
われ鐘のように鳴り響いて危機を知らせる。
 タリアの鼓動が高鳴り、口が渇く。横にいるアーサーが緊張を顔に張り付かせ、
唾を飲み込む。バートが、計器からコンマ一秒たりとも目を離すまいと、
血走った目を見開いている。
 
 ――まだ

 探信音が火災報知機並の音に高まり、音が鼓膜を打つたびに氷の槍が、
クルーの心滅多刺しにする。

 ――もう、少し

 嫌な汗が背中に流れる。メイリンの頬が緊張でこわばる。チェンが震える手で、
回避後を想定した計算を行い、ベルトをきつく締めなおしている。

 ――今!

「機関最大! デコイ射出!」
 スラスターが吼えた。
 爆発的な推進力で、一気にミネルバを前へと運ぶ。猛烈な加速にクルー全員が、
すさまじい勢いで、後ろに跳ね飛ばされる。
 更に、デコイと激突した魚雷が爆発し、衝撃波がミネルバを殴りつけた。
 艦が浮き上がり、アーサーが床に投げ出され、床を転がる。
「トリスタン、イゾルデ、てぇー!!」
 転がったままの位置で身を起こし、アーサーが叫んだ。

 ――やるじゃない

 タリアが笑みを口の端に浮かべた刹那。
 この日何度目かの猛烈な打撃がミネルバを打ち据えた。
113通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:30:40 ID:???

「やってくれたな」
 無表情を崩さぬまま、ナタルは敵への賞賛をわずかに滲ませて呟いた。
 魚雷を超高速で振り切る、ということ自体が本来ありえない。それをスラスターに
損傷を受けた状態でやってのけるとは。それも、こちらの火気管制が一瞬ロストするほどの猛速で。
 流石はザフトの最新鋭艦。
 ギリギリまで魚雷を引き付けた艦長の胆力。
 艦長の指示を実行した、そして急速回避しながらの照準を、やってのけたクルーの技量。流石に、
無理があったようで攻撃自体は雑であり、発射はこちらとほぼ同時になったとはいえ、瞠目に値する。
 艦もクルーもまったくもって侮りがたし。
 
 ――さて、どう出る?

 初手の機雷とミサイルで与えた損傷の分、総合的に見ればこちらがまだ、かなり有利だが・・・
 ナタルの視線の先で、その答えは出た。ミネルバは反転し遠ざかっていく。
「追いますか?」
「いや、その必要はない」
 クルーの問いかけに対して、ナタルは応えた。確かにミネルバを沈める絶好のチャンスではあるが、
自分達の目的はあの艦を沈めることではない。
 
 ――あくまでも、基地を守りきることだ

「カラミティ、レイダー、フォビドゥンを呼び戻せ。MS戦になるぞ」
「了解。通信つなぎます」
「敵母艦の位置割り出しを再開しろ。それと通信士」
「はい」
「ネオ・ロアノーク大佐とつないでくれ」


 ● ○ ● ○


「急速反転。離脱します」
 アーサーが何か問いたげに、タリアの方を見た。だが、タリアは黙って首を振る。
更に損傷を受けてしまったこの状況では、ドミニオンの相手は危険すぎる。引くも勇気だ。
「MSの発進、急いで!」
 連戦になるパイロット達には、辛いだろうが彼等に頑張ってもらうしかない。
(いつかこの借りは変えさせてもらうわよ・・・)
 タリアは、モニターに映るドミニオンを苛烈な眼差しで睨みつけた。
114108-113:2006/05/13(土) 20:34:30 ID:???
今日は以上です。
115通常の名無しさんの3倍:2006/05/13(土) 20:39:47 ID:???
>>114 お疲れぽ〜
戦闘描写が細かく描けてて裏山すぃ
116108-113:2006/05/13(土) 20:43:37 ID:???
やっちゃった・・・。

>>111>>112の間。

 ――やられた

 シートから振り落とされそうになりながら、タリアは唇を強く噛んだ。敵の策にまんまと
はまってしまった。
 にしても、あんな所に前もって自走機雷をしかけておくとは・・・
敵の艦長の深慮遠謀にタリアは戦慄する。
 その時、
「サブスラスター損傷。メインスラスターにも損傷あり。これによる推力への影響は――」
 落ち着いた声がブリッジに響いた。
 メイリン・ホーク。
 能力は高いが、活発な姉の背中に隠れているような所があり、引っ込み思案で、
精神的には少し幼い所があるかもしれない、と思っていたのだが。
 見れば、先程の衝撃による大揺れで頭部を強打したらしく額から出血している。にもかかわらず、
艦の危機に際して、類稀なるこの平常心。
 メイリンの声に我に返ったクルー達が次々と、報告と作業を開始する。
 だが、タリアには、メイリンの危急の中で光るメイリンの美点に目を細める暇も、
クルーの奮闘に労わりの言葉を発する暇もない。
「魚雷です! 方位、それぞれ1−3−4と1−5−9 着弾まで40秒!」
「艦長ぉ!」
 バートが怒鳴り、アーサーが悲鳴を上げる。

 ――なんてこと

 喉の奥で唸り声を漏らす。発射音を気取られないように、こちらが機雷と衝突した時に
起きた爆発音を隠れ蓑に発射したのだろう。ご丁寧に、可能限り接近して。
 綿密にして苛烈、そして執拗。
 普通ならチェック(王手)なのだろうが・・・

 ――ミネルバ。舐めてもらっては困るわね

 たとえ、サブとメインの一部が損傷していようが。
「合図と同時に、機関最大! デコイ射出」
 そう言い放つと、最大限の自制心を発揮し、タリアは悠然とシートに座リ直した。
117通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 13:31:31 ID:???
ナタリーもタリアもTUEEEEEEE!
118通常の名無しさんの3倍:2006/05/14(日) 22:13:47 ID:???
>>116
GJ! MS戦のみならず戦艦の対決も手に汗握りました。
どのキャラもかっこよくて目移りしちゃうぜ
119通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:20:42 ID:???
PHASE-06 「天の鎖」

「ジーンちゃん、ソルト君、マユちゃん。いたら返事して。」
フレイは残された子供達を助けるべく、研究所に入ったが中々見つからない。通路には何人もの子供や研究員が横たわっている。
「ひどい・・・。早く見つけてあげないと・・・」


アークエンジェルでは助けた子供達を収容していた。しかしボートの中にフレイがいなかったため、キラはカガリに聴いてみた。
「フレイが研究所の中へ!?」
「ああ、子供が残ってると聴いたらすぐ・・・」
いくらモビルスーツを操縦できても、ナチュラルの少女が白兵戦で生き残れる可能性は低い。
「カガリ、僕も研究所に行くよ!!」
そう言うとキラはボートに乗っていった。
「たく、フレイの事になると目の色変えるな〜。そこがキラのいいところなんだけど・・・」


「艦長!!」
「どうしたの?。ミリアリアさん。」
「熱源が接近中、モビルスーツと思われます。」


「もう、行ったかな?」
研究所の地下室にマユ達は隠れていた。そこはエクステンデッド用の薬が保管されてるため、匂いが凄まじい。
「マユ・・・俺、もう・・・」
「でも、今出てったら殺されちゃうよ。」
子供の精神力ではさすがに限界に達していた。
「マユちゃん・・・私も・・・」
マユ自身、いつ倒れてもおかしくない。仕方なく部屋を出ることにした。
「ふぅ〜、やっぱ外の空気は・・・」
ソルトの声が止まる。足音が近づいてきたのだ。
120通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:22:01 ID:???
子供達は震え上がっていた。あの足音が銃の音に変わった時は殺される時なのだ。
「ど、どうしよ・・・」
ジーンは身動きがとれずにいた。マユも足が竦んでいた。ソルトは棒を持ち、悪あがきをしようとしている。
そしてその影は子供達の前に現われた。
「やああぁぁーー!!」
ソルトは棒を振り回す。
「いや、何をするの?やめて!!」
ライトの光がフレイの顔を映した。
「わああ・・・綺麗な女の人・・・」
「あなた達はジーンちゃん、ソルト君、マユちゃんね?」
「は・・・はい。」
「助けにきたわ。さあ、こっちに。」
知らない人にはついていかない。当たり前の事をエクステンデッド研究所でも教えられているが、この際助かるのならなんだってよかった。
「さ、早く!!」

外に出るとキラがボートで待っていた。
「さあ、乗って。」
マユ達は船に乗るが、フレイはまた研究所へ向かっていった。
「フレイ、どこへ?」
「おばさんを見つけなきゃ・・・」


「くそ!!」
ストライクルージュがミサイルポッドをウインダムの集中砲火を受けていた。連合が研究所を完全に破壊するため、モビルスーツを向けてきたのだ。
「隊長、あれはオーブの姫のモビルスーツでは?」
「ああ・・・だが落としても上が辻褄を合わせてくれる。」
この兵士達は何も理解していなかった。国家元首を殺すことがどういうことなのかを。
「接近戦を仕掛けろ。」
計10機のウインダムが一斉にビームサーベルを抜く。
「ルージュでも出力なら負けてないはずだ。」
向かってくるウインダムのビームサーベルを受け流し、ビームで構成されている刄と刄が重なり合う。
「もらったあっ!!」
「甘い!!ストライクルージュがただの旧式モビルスーツでないとこを見せてやる!!」
2本目のビームサーベルも抜き、コクピットを串刺しにする。休む間もなく、爆煙を閃光が裂く。
「キラ、フレイ、早く来てくれ・・・」
121通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:23:22 ID:???
アスランとハイネの目と鼻の先に研究所は見えた。
「おい、なんかドンパチやってないか?」
拡大した画像にはウインダムともう一機、ストライクルージュが見えた。
「カガリなのか?。」
「アスラン、気持ちは分かるが・・・。でも、同盟国のはずのオーブの機体をなぜ攻撃してるんだ!?」
「わからん・・・だが、カガリは・・・アスハ代表は国を離れている身だ。説得しなければ・・・援護するぞ、ハイネ。」
遠距離からだがアムフォルタスを撃ち出すセイバー。ビームはウインダムのビームライフルを破壊した。
「何だ?。あんな遠距離から・・・」
しかし、セイバーとグフはもう目の前に来ていた。

ウインダムはミサイルポッドをセイバーらに向けて撃つ。
「こんなのが俺らに通じるとでも?」
ドラウプニルでミサイルを破壊していくハイネ。
「このグフはなザクとは違うんだよ、ザクとは!!」テンペストを取り出し、ウインダムに切り掛かっていく。

「何だ?。ザフトのモビルスーツのようだが・・・」
「カガリ!!」
ルージュのカメラを右に向けると、イージスやジャスティスに似たモビルスーツであるセイバーがいた。
「その声・・・アスラン・・・なのか?」
聞き覚えのある声の主は自分を愛し、また自分も愛している少年だった。
「ああ」
「馬鹿野郎!!今まで・・・心配してたんだぞ。やっと現われたと思ったら・・・」
アスランがザフトのモビルスーツに乗っている。それはザフトへ復帰した何よりの証だ。彼の腕の事だ。きっと最新鋭の機体なのだろう。カガリの頭には怒りよりも驚きの方が強かった。
122通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:24:41 ID:???
工作員が仕掛けたであろう爆弾が次々と爆発して研究所が崩れていく中、フレイは通路を走る。
「はあ、はあ、あの女の人は・・・」

その女性、名札の字が消えかかってはいるがニーダと言う字が確認できる。
「私も罪深い人間・・・。これは神様が与えた罰ね。」
一枚の写真を取り出す。
「アウル・・・あなたにもう一度会いたかった。」
火の手はすぐそこまで回ってきた。その紅漣の炎から紅いノーマルスーツを来た少女が出てきた。
「何をしてるんですか?早く私と・・・」
「私がもっと力があればもっと子供達を救えたの・・・。それに私にはこうなった責任がある。だから研究所と一緒に・・・」
フレイは無理矢理手を引っ張って走る。
「そんな事をして罪は許されるんですか?そんな事をして死んだ子供達は喜ぶんですか?」
「・・・」
出口まであと少し。
「今あなたがしなくちゃいけないのは、生きている子供達の為に生きることです。だから・・・死のうなんて思わないでください」

外に出るとキラのムラサメがウインダムと戦っていた。
「キラさんのムラサメ、カガリさんのルージュ、とあれは?」
知るはずがない。セイバーとグフはザフトのモビルスーツなのだから。
その時、海を閃光が切り裂いた。
「ウワアァァァ!!母さーん!!」

「あれはアビス!?」
アスランには見覚えがある。ハイネは噂で聴いたぐらいだが。
「噂の強奪された機体か・・・」

「母さん、母さん・・・母さーーん!!」
周りの者には妙な姿に見えるが、アウル自身は必死に辺りを見回す。
そして、フレイの横にいるその人を見つける。
「母さん・・・」
その声はその場にいる全員に聞こえた。
「アウル?。アウルなの?」
「そうだよ・・・母さん・・・」
アビスの手が迫ってきたのでフレイは何歩か後ろに下がる。
「アウル・・・生きてて・くれ・・・」
その言葉がいい終わる前にニーダさんの体は吹き飛んだ。フレイも飛ばされたが怪我は負わなかった。
「そん・・・な。さっき、話していたばかりなのに・・・」
フレイの怒りはビームを放ったであろうウインダムに向けられた。いや、フレイだけではない。
「全く、うるさい女だ。エクステンデッドには感情なんて必要ないのにな。」
アウルの中で何かが切れた。
123通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:27:02 ID:???
「ウワアァァァ!!。か・・・母さん・・・。」
アビスはカリドゥスと六連ビームをウインダムに向けて発射する。が、すでに無差別攻撃と化していた。
「味方も攻撃するとは・・・無茶苦茶だ。」
アビスを止めようとビームライフルを向ける。その時、警告音が鳴り響く。
「母さん、アウル、守る。」
「!?。ガイアだと!?」
変形したガイアがセイバーに飛び付く。
「お前・・・敵・・・。アウルの、ステラの敵!!」
セイバーを至近距離で蹴り飛ばし、ビーム二連砲を放つ。
「くそ!!」
避けきれない。エースパイロットであるアスランにはわかった。だが、ビームはムラサメのシールドが防いだ。
「!?」
「大丈夫ですか?」
「キラ・・・キラなのか!?」
親友の声が聞こえてくる。
「アスラン?君・・・ザフトに?」

「アスラン、敵と何を話してるんですか?」
その声を放ったのは援護に駆け付けたシンだった。
「オーブの機体なんて、俺が倒してやる!!」
ビームライフルを連射するインパルス。
「!?」
変形してビームを避ける。
「逃げるな!!」
ビームサーベルを抜き、ムラサメに切り掛かる。
「ストライクに似てる・・・」
ムラサメもビームサーベルを抜き、互いのビームサーベルが重なり火花を散らす。

フレイもアークエンジェルに戻り、ストライクに乗る。
「艦長、アークエンジェルが見つかるのも時間の問題です。出航してください。」
「そうね。フレイさんが出撃したら出るわ。」
「はい。フレイ・アルスター、ストライク、行きます!!」
サイレントストライカーの機能で装甲が淡い紫に変化した。
124通常の名無しさんの3倍:2006/05/15(月) 18:28:02 ID:???
「ふぅ、ここなら被害はこまい。」
さっきニーダを撃ったウインダムが自分だけ助かろうと研究所の先にきた。
「・・・行かせない」
ストライクが海から出てきた。
「ストライク!?」
ビームライフルを撃とうとしたが、先にスキュラとメーサー砲を浴び爆散するウインダム。
「・・・」


「どうすんだよ?ネオ。」
スティングがノーマルスーツを着ながら尋ねてくる。
「当然ステラとアウルは連れ戻す。」
「出来んのかよ?」
「大丈夫だ。俺も新しい機体に乗るからな。」
ネオの前には世界を「再生」させる力を持つモビルスーツが立っていた。


予告
見えない。見ることが出来ない。人は未来を知らない為、過ちを繰り返してしまうのか?。その刄が切り裂くのは遠い過去・・・

PHASE-07 「飛散する翼」
曲げぬ信念を、刄に変えろ!!リジェネレイト!!
125通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 00:17:51 ID:???
>>124
ほお・・・。こう来ましたか。
なんつか、斬新な展開に心躍るものがありますな。
GJ! です。
126通常の名無しさんの3倍:2006/05/16(火) 23:05:41 ID:Z8gNpCVp
焼肉フレイ

プゲラ
127通常の名無しさんの3倍:2006/05/17(水) 03:07:50 ID:???
アウルカワイソス
ともあれ>>124さんGJ
128通常の名無しさんの3倍:2006/05/19(金) 21:14:58 ID:???
保守
129通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:38:31 ID:???
PHASE-07 「飛散する翼」
ぶつかり合うビームサーベル。一方は憎しみの対象を斬る為に。一方は戦闘力だけを奪うために。ただ決定的な違いは・・・
「落ちろォッ!!」
「ウッ・・・」
ムラサメが弾き飛ばされる。ザフト最新鋭の機体にはどうしても量産型では出力差が生じる。
「オーブの機体なんて、俺が全部叩き落としてやる!!」
ビームライフルに持ちかえて、ムラサメを狙う。
「強い・・・機体性能もパイロットも。」
キラの技量がムラサメのスペックを凌駕しているために、ムラサメがキラの操作についていけないのも原因の一つだろうが、シンの力は予想より強かったのだ。
「今は勝てない・・・。きっとPS装甲があるだろうから・・・」
目くらましとして使おうとミサイルを撃つ。しかし、光弾がミサイルを破壊していく。
「シン、大丈夫か?」
「ありがとう、ハイネ。」
計算が狂った上に、性能が上の機体が2機。勝算はあまりない。
「今は、逃げるしか・・・」
変形してアークエンジェルの方向へ向かう。
「キラ、待て!!」
その前にセイバーが立ちふさがる。
「アスラン、どいてくれ」
「キラ、なぜ逃げる?議長に・・・ザフトに協力しろ。」
「君はデュランダル議長を何とも思わないのかい?」
「何を言っている?議長は正しいだろう!!」
ビームサーベルを抜いて、セイバーに切り掛かる。驚いたアスランはとっさにシールドで防御する。
「何をする!?。止めろ、キラ」
「どいて!!。今は君と話してる場合じゃない。」
「何をバカな事を。アークエンジェルもいるんだろ?ザフトに来い!!」
セイバーもビームサーベルを持ち、激しい空中戦が繰り広げられる。
130通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:39:36 ID:???
ストライクは海から出ると、背後からアビスに取りついた。
「何!?」
「止めなさい!!」
「お前も、お前も母さんをーー!!」
ストライクを振り払い、カリドゥスを放つアビス。フレイもとっさにサイレントストライカーの特徴であるスキュラを放つ。

ピキーン

フレイの中にアウルの過去が入ってくる。
「この子もエクステンデッドだったのね・・・。あの女の人をお母さんだと思って・・・」
いくらフレイでも全てを見通す事はできない。だが、アウルの想いは十分に理解できた。イカロスを抜き、アビスのビームランスとぶつかり合う。
「この〜!!」
一斉射撃を放とうとする。が、過剰な乱れ撃ちをしたせいでパワーは底をつき装甲も落ちた。
「そんな・・・」
殺される。アウルはそう思った。そうとしか思えなかった。そう教えられたから。
「はああぁッ!!」
イカロスはアビスの腕を断ち切り、メーサー砲は足を破壊した。
「うわああぁぁ!!」
アウルはその衝撃で気絶してしまった。

ミネルバはもう研究所のすぐ近くまで来ていた。
「艦長、あれはオーブ軍のムラサメでは?」
アーサーが当然じみた事を聴く。
「変ね。確かに・・・」
「艦長、6時の方向に巨大な熱源!!。戦艦級だと思われます。」
「6時?・・・真下!?」
その時、ミネルバの下にある海からアークエンジェルが姿を表す。
「あ、アークエンジェル!?」
その純白の装甲をした戦艦にその場にいる全員の視線が向けられる。
「あれは・・・?」
ザクには空中戦が出来ないため、パイロットルームでルナマリアとレイは待機していた。
131通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:40:51 ID:???
「何?あれ・・・」
ルナマリアはアークエンジェルの存在は名前でしか知らなかった。
「前大戦でラクス・クラインと共に連合、ザフト両軍を止めた艦だ。性能的にはこのミネルバに匹敵している。」
レイは冷静にルナマリアに話す。
「へぇ〜、あれが昔アスランが乗っていた船・・・」

「やはりアークエンジェルがいたか。」
アスランはセイバーをアークエンジェルに近付けさせた。
「ラミアス艦長、聞こえますか?」
「!!。アスラン君なの?」
「はい。単刀直入に言います。このままカーペンタリアに来て、ザフトに協力してください。」
アスランの言葉に騒然となる一同。確かにアスランの言うことには一理ある。マルキオ邸で襲われたというのを知らなければ。
「あなたの言うことはもっともだわ。でも、そうするわけにはいかないのよ。」
「なぜです?俺は・・・」
「ハアアァッ!!」
ステラのガイアがビーム砲を撃ちながら接近してくる。
「チッ!!」
変形して距離を離す。

「艦長、この機体の収容許可を。」
ストライクはアビスを背負っていた。
「わかったわ。」
アークエンジェルに入り、アビスを置くとエールに換裝して再出撃する。

ガイアがモビルアーマー形態で地面を駆け、セイバーに迫っていく。
「落ちなさいよォ!!」
アスランはすれ違いざまにビームサーベルでガイアの足を切り裂いた。
「何!?」
そこへインパルスのビームサーベルがビームブレイドを叩き折る。
「キャアアァ!!」
ステラもアウルのように気絶してしまう。
「ガイアは俺がミネルバに連れていく。シン、お前は?」
「俺は・・・」
その時、ミネルバから通信が入った。
「シン、ストライクを撃て!!」
声の主はレイだった。
「レイ・・・」
「ストライクだと!?」
セイバーのモニターにはかつてキラが乗っていたストライクの姿があった。
「まさか・・・あれはフラガ少佐が死んだときに・・・」
132通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:41:54 ID:???
「とにかく早く、早くしろ!!。」
いつになく必死のレイ。レイは感じ取ったのだった。フレイの中にあるものを。
「わかった・・・」
シンはインパルスをストライクに向かわせる。
「あれは・・・?」
互いにビームサーベルを抜いて斬りあう。インパルスのサーベルはまるで予測されてるように、紙一重のタイミングで避けられている。
「そんな・・・こいつ、強い・・・」
ついにストライクのビームサーベルがインパルスの腕を切り裂いた。
「!?」
「これで・・・」
「させるかぁ!!」
分離してチェストフライヤーをストライクに当てる。
「キャア!!」
勿論、VPS装甲には目眩まし程度だが次の合体までには十分な時間を稼げる。
「メイリン、フォースシルエットを!!」
ミネルバから射出され、コアスプレンダーと合体する。
「まだまだ敗けてないぞ!!」
「しつこいわね・・・もう止めて!!」


「ふふふ・・・さあ、落ちてもらおうか。」
突如、空を裂く赤い閃光がミネルバに近づく。
「艦長、高エネルギーが接近!!」
「回避、下げ舵30!!」
右舷スラスターをかすめたが、なんとか難を逃れた。
「いったい・・・何が・・・」
そのビームを撃ったと思われるモビルスーツがその姿を現わす。
「あれは!?」
「ライブラリー照合!!。あれはZGMF-X11 リジェネレイト・・・我が軍の機体です。」
「リジェネレイトと言えばフリーダムと同じく、Nジャマーキャンセラーが搭載されたモビルスーツよ・・・。2年前、行方不明になったと聞いてたけど・・・」
厄介すぎる。極秘機体だったため詳細は不明だが、今この空域ではおそらく最高の性能であるとタリアは思っていた。
133通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:43:03 ID:???
「ん・・・セイバーとガイア?。ステラ!!」
セイバーの腕にガイアがいる。それはステラが敗北した証。だが、機体が残っているためパイロットも無事の可能性もある。
「返してもらおうか・・・赤い騎士君!!」
セイバーに迫ってくるリジェネレイト。ガイアを背負って、両腕の塞がっているアスランには回避しようがない。
「くっ・・・」
スレイヤーウィップがその中間に入る。
「アスラン、とっととミネルバにそいつ入れてこい!!」
ハイネが叫ぶ。それを聴いたアスランはミネルバに急いだ。
「また新型か?だが・・・こちらも強い機体なんだよね〜。」
「見せてやるよ・・・ザクとは違う所を」
スレイヤーウィップをリジェネレイトに向ける。だが、両腕から直接出るビームサーベルに切られてしまう。
「何!?」
テンペストを抜くと、リジェネレイトに突っ込む。しかし、変形したリジェネレイトのスピードには追い付く事ができない。
「何なんだよ〜。」
そう吐いた時、警告音が鳴り響く。振り向くと、リジェネレイトがビームサーベルをコクピットに向けて迫ってきていた。
「あのスピードは避けれない・・・万事休すか・・・」
しかし、ハイネは助かった。キラのムラサメがビームライフルで牽制したからだ。
「あいつ・・・敵の俺をなぜ?」

「なぜ、オーブの機体がこちらを狙う?」
「この感じ・・・なんで・・・」
「!!。何だ?こいつは・・・」
その感覚は互いに懐かしい「何か」を感じ取ったようだった。と、同時に倒さなくてはいけない存在とも認識した。
「君は危険な存在だね。消えてもらいたいんだけど・・・」
ロングライフルでムラサメを狙う。
「う・・・あのパイロットのプレッシャー・・・でも、あれは・・・」
ビームライフルが壊され、ビームサーベルを2本取り出した。
134通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:44:13 ID:???
ピキーン

「キラさん!!」
フレイはキラのピンチを感じ取り、シンとの戦いを放棄して救援に向かう。
「何だ?逃げるな!!」
シンもフレイを追い掛ける。


「ウワァ!!」
機体性能差は明らかであった。ムラサメは左手、両足を切断され変形して逃げる事も叶わない。
「もし君がもっと上級の機体だったら危なかったかもしれないな・・・」
腕のビームサーベルを振り下ろす。ストライクは寸前の所をシールドで防いだ。
「これは・・・スト・・・ウッ!!」
物凄い重圧がネオを襲う。キラの重圧を凌ぐほどに。
「キラさんはやらせない!!」
ビームサーベルをリジェネレイトに向ける。
「!?」
とっさに足のビームサーベルを出し、ストライクの腕を切る。
「しまった・・・」
一旦、距離をおくネオ。
「はあはあ・・・」
そこへインパルスが迫ってくる。
「お前は・・・また新しい・・・」
しかし、シンは攻撃を仕掛ける前にリジェネレイトのビームサーベルの斬撃を全て受け戦闘不能に陥った。
「強い・・・」
シンは仕方なくミネルバに戻った。ネオは一安心するが、ストライクがシールドを前にしながら突っ込んでくる。
「!!。片腕のくせにしぶとい・・・」
変形してスキュラを放つ。ストライクのシールドは2年前より頑丈になってるがさすがに長時間は耐えきれない。シールドは破壊され、両腕をなくし丸裸同然。
「アーマーシュナイダーもこれじゃ使えない・・・」
変形したリジェネレイトはビームサーベルを一点に集約してストライクに向かってくる。
「いや・・・死にたくない・・・」
しかし、リジェネレイトは迫ってくる。突如、ストライクは跳ねとばされ、別の機体にビームサーベルが刺さる。
「キラ・・・さん?」
ムラサメは爆発した。
「キラさん・・・」
135通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 16:45:28 ID:???
ドクン・・・ドクン・・・

「もう・・・誰も死なせない・・・」

ドクン・・・ドクン・・・
「僕達・・・間違ったんだ・・・」  「ごめん・・・帰ってから・・・」

ドクン、ドクン、ドクン・・・

「フレーーイ!!ちくしょう・・・僕は・・・君に何も・・・」

「あああああアァァァァァ!!!!」

パアアァァン
その瞬間、フレイの眼は蒼色一色に変化した。まるで鬼のような、悪魔のような、かつてのキラのような強い怒りを感じながら。

予告
こだまする叫び。何かの目覚めと共に戦いは一時休息する。その中で、子供達を救うために走る少年と少女が出会った者は?
PHASE-08 「残酷な救済者」
黒き炎を纏い、悪を焦がせ!!ストライク!!
136通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 21:21:41 ID:???
>>135
え・・・。キラ死んだ? 相変わらず読めない展開だ・・・
GJ!
137通常の名無しさんの3倍:2006/05/21(日) 22:30:28 ID:???
あげ
138通常の名無しさんの3倍:2006/05/23(火) 03:38:55 ID:???
セーフティシャッターはどこ?
139通常の名無しさんの3倍:2006/05/24(水) 08:07:31 ID:???
保守
140通常の名無しさんの3倍:2006/05/25(木) 13:21:43 ID:???
つ【嫁補正】

コレ使えば誰でも生き返る
141通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 06:28:47 ID:???
保守
142通常の名無しさんの3倍:2006/05/26(金) 08:24:44 ID:???
つ【ドラゴンボール】


もしくは遊戯王ルールを適用する。

「『キラ』『ラクス』をいけにえに捧げ――『フレイ』を召喚するっ!!」
143通常の名無しさんの3倍:2006/05/27(土) 12:39:58 ID:???
テスト
144通常の名無しさんの3倍:2006/05/28(日) 22:30:12 ID:???
ほしゅ
145通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 01:24:42 ID:???
PHASE-08 「残酷な救済者」


落ちてゆくムラサメの欠片。その背後には搭乗者の怒りと憎しみを受けているストライクがあった。
「・・・キラさんを・・・返せぇーー!!」
既に両腕がない状態でリジェネレイトに突っ込んでいく。
「何だ・・・あんな状態なのになぜまだ抵抗する?」
ネオはロングライフルをストライクに向ける。
「ウワアァァァ!!」
「うっ・・・」
さっきよりも数段上のプレッシャーがネオを襲う。こいつはヤバいと、自分の感が告げている。
「早く撃たねば・・・」
だが、かつてない程の恐怖と焦りのせいか引き金を引けない。気が付いたら、ストライクは目の前にいた。
「許さない、許さない、許さない!!」
ブースターの全出力の勢いを乗せた蹴りによる振動はネオのいるリジェネレイトのコクピットにまで及んだ。
「ぐっ・・・」
「死ねーー!!」
アーマーシュナイダーを空に出し、蹴り飛ばす。
「馬鹿な・・・あんな方法が・・・だがPS装甲が・・・」

バチバチ・・・

「!?」
刺さった。実体剣は通さないはずなのに。
「まさか・・・」
アーマーシュナイダーとは別の物で斬られた跡がある。そこにアーマーシュナイダーは刺さったのだ。
「あの時・・・」
ムラサメを貫く瞬間、リジェネレイトにもビームサーベルが通っていた。
「なんて奴らなんだ・・・リジェネレイトも最終調整まで終わってはいないし・・・。スティング、撤退だ!!」
「アウルとステラはどうすんだよ?」
「後で連れ帰る・・・とにかく今は・・・」
何よりフレイから離れたかったネオは急いで逃げていった。
「待ちなさい!!」
その時、ストライクのPS装甲が落ちた。危ないのはフレイも一緒だった。
「キラさん・・・」
自分が無理をしなければ・・・。フレイはそう思えて仕方がなかった。

「フレーーイ!!キラは無事だ。」
声の主はカガリだった。
「やられる瞬間に、コクピットから出て海に落ちてたんだ・・・。」
146通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 01:25:47 ID:???
「良かった・・・」
そう言うとフレイは気を失った。ストライクはその機能を停止して、下に落ちていく。
「おい、フレイ!!」
ストライクルージュがストライクを掴みにいく。その後帰還したら、アークエンジェルはミネルバを後に去っていった。


「コーディネーターのくせに馴々しくしないで!!」

・・・あれ?誰・・・

「あんた!!自分もコーディネーターだからって、本気で戦ってないんでしょ!!」


・・・何?私が言ってるの?・・・誰に?


「・・・は戦って戦って死ぬの。じゃなきゃ許さない!!」

え?私は誰かに恨みでも?

「・・・ラ・・・て」

???

「キラは戦って戦って死ぬの。じゃなきゃ許さない!!」


「いやぁ!!」
目が覚めるとそこは医務室のようだった。
「やだ・・・気絶しちゃってたの?」
隣のベッドにはキラが寝ていた。気絶する直前にフレイはキラの無事を聞いていたが、改めて無事を知ってホッとした。
「でも、さっきの言葉・・・」
今の記憶にはない記憶。それは昔の自分が彼に対して思った事なのだろう。
「でも、愛してるはずなのに・・・」
それが今はわからない。でも、今はただキラが生きてるだけでうれしいのだ。
「う・・・。」
「キラさん・・・」
目を覚ましたキラは真っ先にフレイを見る。
「無事・・・だったんだ・・・良かった。」
「何言ってるの?キラさんの方が危なかったわよ?」
「・・・あははは・・・」
突然キラは笑いだした。
「え!?」
「ううん、そういうとこ変わってないなあ・・・って思ってさ。」
「???」
147通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 01:26:53 ID:???
「前の君は嫌な事があれば怒って、嬉しければ喜んでる子だったから。」
「それは当たり前なんじゃ・・・」
「そう。当たり前の感情を当たり前に表現できる人間的なところが、すごく羨ましい。」
「??。よく・・・わかりません。」
「えと・・・子供みたいにさ、ありのままの感情を伝えれる君が・・・僕は・・・」
フレイの顔は赤くなった。キラがその先に言おうとしてることがわかったからである。
「私・・・先生、呼んできます・・・」
そのまま医務室を出ていった。
「・・・痛・・・無理して、喋るんじゃなかった・・・」


「ほら、ステラ!!俺だ、シンだよ!?」
「いやああぁ!!」
ミネルバでは捕獲したガイアのパイロットがエクステンデッドで、暴れだすという事態に見回れていた。
「いや、あっち行って!!」
その少女はシンが街であったステラ・ルーシェだった。彼女は戦火が生んだ悲劇の少女で、そんな彼女にシンは共感を感じていた。
この後、エクステンデッドの生命を維持する方法がないミネルバに見切りをつけ、シンはステラを連合に返してしまうがそれは後程・・・


「う・・・あ・・・があっ・・・」
アークエンジェルの医務室。アウルは苦しんでいた。
「きっと連合の強化人間の専用の薬があるんだ・・・」
先生はキラ達にもわかりやすく説明をする。
「子供達の中にも嘔吐したり、高熱を発してる子供がいる。おそらくあの研究所の食事などにそのような薬が多少混ぜてあるのだろう・・・」
「そんな!!なんで・・・」
フレイにはそんな思考が理解できない。
「きっとより強く、より完璧にコーディネーターを超えるナチュラルを生み出したいからだ。」
「その為に、子供を犠牲に!?。間違ってるわ!!。そんなひどい事・・・」
フレイの言うことは最もである。
「だけど・・・それが連合の戦争のやり方なのよ。」
マリューが割り込んでくる。子供達を救う方法が色々話された。だが、根本的な解決には至らない。
148通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 01:29:37 ID:???
アークエンジェルのブリッジではミリアリアが暗号通信を受けていた。
「・・・これは?」

−天使達へ告ぐ。救世主は白き鬼神と赤い衣を纏った女神を、島で待っている−

これを受けたキラは発信者がアスランだと見抜き、島を特定してカガリと一緒に向かった。
「アスラン・・・」
島にはセイバーと共にアスランが立っていた。
「キラ・・・無事で何よりだ。」
「アスラン、お前・・・なんでザフトに・・・」
カガリは裏切られた気持ちでいっぱいだった。
「力が・・・欲しかった・・・。争いを止めれる程の・・・」
「だから・・・議長は君に"救世主"の名を授けたのかな?」
キラは悲しい顔を浮かべてアスランを見つめる。
「・・・。単刀直入に言おう。ザフトに来い」
「!!」
「議長はアークエンジェルの力が今大戦を止める鍵だと言っていた・・・。お前等は今のままじゃ戦場を混乱させるだけだ。もし断るならオーブへ戻れ!!」
「君はデュランダル議長の事をなんとも思わないのかい?」

遠くからルナマリアが聴いている。アスランが出撃するのをみて、独断で追ってきたのだった。
「何を話してるの?ラクス・クラインがどうとか・・・」
アンテナをもっと近付ける。
「・・・ガ・・・クス・・・偽者・・・」
「ラクス・クラインが偽者?」
そこまでで音声が途切れた。
「何?」
ヘッドホンが急に外れた。とったのはルナマリアと同じく、いや、さらに深い紅の髪を持つフレイだった。
「あなた、何を聴いているの?」
「か、返しなさい!!」
ルナマリアのコーディネーター特有の素早い動きがフレイを襲う。
「見える・・・」
しかし、フレイにはルナマリアの動きが読めた。ルナマリアの体術を避けて距離をとる。
「何?この女の子・・・」

「??。何だ?」
アスランが上を見るとルナマリアと紅い髪の少女がとっくみあってるのが見えた。
「ルナマリア?なぜこんな所に?」
急いで崖を登っていく。
「フレイ!?どうして・・・」
キラとカガリもアスランを追って崖を登る。
149通常の名無しさんの3倍:2006/05/29(月) 01:31:12 ID:???
フレイとルナマリアの仲裁に入るアスラン。
「止めろ!!ルナマリア。」
「アスラン・・・」
だがアスランの視線はフレイに向けられた。
「君は何者だ?。連合の者なのか?」
「いえ、私は・・・」
「アスラン、その子は違うんだ!!」
キラが全速力で駆け付けてくる。
「キラ・・・知ってるのか?」
「・・・その子はフレイ・アルスター。今のストライクのパイロットだ。」
まただ。アスランはそう思った。カガリやルナマリア、ステラを含め10代の少女がモビルスーツへ乗るという現在の状況が何より辛かった。
「じゃあ、アークエンジェルに!?」
「うん・・・」
フレイはその時しっかりとキラの腕を掴んでいた。

「とにかく!!研究所で収容した子供達を助けたいなら、ザフトにつくか、オーブへ戻るかのどちらかを選べ。いいな・・・」
アスランはセイバーに乗って去っていく。ルナマリアも小型ヘリでミネルバに帰っていく。
ろくに話ができなかったカガリは失意のままアークエンジェルへ戻っていった。

予告
太陽のように輝く小さな光を、少しずつ消されそうになっていく。真実か虚偽か、その男の腕は、神の腕とも呼べる速さ。キラは何を思い、フレイの迷いなき心は悪を撃っていく。
PHASE-09  「戦慄の医者」           新たな日を、突き進め!!ザク!!
150通常の名無しさんの3倍:2006/05/30(火) 06:39:29 ID:???
続きキター
キラが生きててよかったよかった。GJです
151通常の名無しさんの3倍:2006/06/01(木) 11:15:40 ID:???
保守
152通常の名無しさんの3倍:2006/06/02(金) 22:31:09 ID:???
保守です
153通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 00:47:31 ID:???
フレイに慰めてほしい…
154通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 08:02:55 ID:???
今日か明日辺りに書き込みできると思いますが、SSに対しての要望とかあったら言ってください。
155通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 08:14:48 ID:???
「痛いから止めてくれ」とか、そんな要望しかないな。
156通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 08:37:03 ID:???
キラフレはかかせないな、って思ってます
157通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 16:21:21 ID:???
荒しなしハケーソ
158通常の名無しさんの3倍:2006/06/03(土) 22:16:07 ID:???
SSにはないが

酢豚のパイナップルはやめてくれ
159通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 08:56:18 ID:???
PHASE-09 「戦慄の医師」

ミネルバに着艦した後、アスランはルナマリアに尋問を開始していた。
「休暇中とはいえ、どういうつもりだ?」
「・・・」
仲間とはいえ敵となりうるかもしれない親友との会話を盗聴されていたのに怒りを感じていた。
「答えろ!!ルナマリア。」
机を叩いて、大声をあげるアスラン。
「私は・・・アスランを知りたかったから。」
「??」
「ロドニアの戦いから元気がなくて、心配で・・・」
アスランは腕組みをして質問を続けた。
「ではなぜ盗聴していた?」
「心配だったんです・・・アスランが裏切っちゃうんじゃないかって・・・」
「!!」
ルナマリアの考えはおおよその人間が考える事だ。なぜなら、アスランは以前アークエンジェルにいたのだから。
「彼らは敵じゃない・・・それに俺は今の仲間を裏切れる程利口でもない。」
「・・・」
「いや、俺も注意が足りなかった。紛らわしい真似をしてすまなかった。」
2人は部屋から出てきた。
「今後はあまり妙な真似はよしてくれ。」
「うん・・・ごめんなさい・・・」
アスランは少し言いすぎた気がしたが、これも今後のためだと思った。そこへハイネが茶化してきた。
「おい、ルナマリアと何してたんだよ?」
「何を言ってるんだ・・・」
「羨ましいねぇ〜。ルナマリアは上級だぜ?しかもあの性格は意外に受けが上手いだろう・・・」
アスランは顔を赤くして、ハイネから無理矢理離れた。
「いい加減にしろ!!」
「悪かったよ・・・で、どうだった?」
全く懲りていなかった。
160通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 08:57:41 ID:???
−アークエンジェル内部−

「どうしてついてきたんだ?危ないじゃないか。」
フレイも事情を聴かれていた。
「2人が心配で・・・」
やはりフレイもルナマリアと同じく2人が心配だったのだ。
「でも盗聴されていたのに気付けたのはフレイがいたからだ。聴かれちゃいけない内容でもないけど・・・」
「そんな事より、アウル・ニーダの体調は日に日に悪くなってる。ちゃんとした治療機関でなければ・・・」
カガリもアウルの顔を見て、一つの決意をしていた。
「やはり・・・オーブに戻ろう。」
「・・・」
アウルや子供達を救うのにはやはり、医療技術が必要となってくる。
「カガリさん、オーブは連合による侵攻の際に強化人間と戦ったからある程度対策があったわね。」
マリューの言ってることは的を射ぬいていた。オーブが再び連合に攻められたとき、強化人間の救済も想定し独自の医療技術を確立させていた。
「だがオーブに着くまでに保つかが問題だ・・・。特にアウル・ニーダはエクステンデッドの用の薬で処置をしなくてはいけない。」医師の言葉はキラ達をどん底に叩き落とす。
「俺の腕では薬を調合して、こいつにやるほどの事ができない。」
「そんな・・・この子だって望んでこうなったわけじゃないのに・・・」
発達しすぎている空間認識能力は超能力の域を超え、アウルを過去見したフレイは余計に心配している。
「フレイ・・・」
161通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 08:58:38 ID:???
2人はアークエンジェルから降りて、優秀な医師を探すことにした。この際、薬剤師だろうがヤブ医者だろうがアウルと子供達が助かるならいいと、キラとフレイは思ったのだ。
「地元の人とかに名医の噂とか聞いてみよう。」
「そうね。」

2人は色んな場所で聞き込み、病院の散策をしたがいい医者は見つからなかった。
「見つかりませんね・・・キラさん。」
「顔に傷があるヤブ医者・教授になろうとする外科医・バチスタ手術を完璧にこなす医者・・・。こんな情報は役にたたないし・・・」
2人は町外れに向かってみた。すると、小さい診療所を見つける。
「なんか・・・あんな場所にいたりして・・・」
2人は診療所に入ろうとしたが、医師は外出中のようだった。
「どうしよう・・・折角辿り着いたのに・・・」
フレイは座り込んでしまった。

どれくらい時間が経ったか、医師と思われる人物が帰ってきた。
「おや?若い男女が診療所の前で座り込んでいるとは・・・妊娠でもしたのかい?」
「!!?」
キラだけは少しその医師の冗談を真に受けてしまっていた。
「フレイが・・・妊娠・・・」
「違います!!。あの・・・あなたはここのお医者さんですか?」
「いかにも、ここの医師だ・・・というより、私しかいない。」
「お名前は?」
「うむ。ミハイル・コーストだ。」
162通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 08:59:59 ID:???
2人は急いでアークエンジェルに連れていった。
「エクステンデッドとは・・・これは難題だな・・・」
「でも、さっきみたいに薬の調合を・・・」
実はフレイ達と接触した後、患者に薬を出すときに自らが調合していた。それを見て、2人はミハイルを選んだのだった。
「エクステンデッドは特殊な薬を用いてるため、合わない薬は体が拒絶してしまうんだ。」
「そんな・・・」
「だが私は今までにエクステンデッドを診た経験がないわけじゃない・・・。」

「え・・・」
おかしい。なぜ、一般人がエクステンデッドを診た事があるのか。
「私は元ザフトの軍医でね・・・そこで死体とはいえエクステンデッドを診てきた。」
ミハイルはアウルの体調を診て、オペが必要だと感じた。
「ふむう。内蔵系統を手術したいんだが、ここの医師と何人か助手についてくれないか?」
と言っても医療を齧った人間などそういない。
「私がやります・・・」
「フレイ!?」
自らフレイは挙手をした。キラも一応手術に立ち合うことにした。

手術室として、やはり医務室のベッドが扱われた。
「・・・」
「マリューさん、どうしました?」
「キラ君、あのミハイル・コーストという医者はザフトのエースパイロットで、"ドクター"と呼ばれるぐらいだったのよ。」
念のため、銃をチャンドラ達に持たせた。
「・・・そんな必要ありませんよ。」
「なぜ?キラ君、今言ったけど・・・」
「わかるんです。あの人は今は普通の医者だって・・・」
「なぜそんなに信じられるの?」
マリューの言うことはもっともだ。そしてスパイの可能性もあるのだから。
「マリューさんの言うとおり、昔は脅威になるべき存在だったのかもしれません。大切なのはアウル君を救いたいと言ってくれた"今"ですから。それに、フレイが信じたあの人を僕は信じたいんです。」
キラは医務室へ向かった。
「大切な"今"か・・・」
マリューはモニターに目を向かわせながら、ミハイルの腕に注目した。
163通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 09:00:55 ID:???
「では・・・オペを開始する。」
手術は17:47に開始された。
「電磁メスは左寄りに・・・キラ君、もう少し電圧を上げてくれないか?」
「はい・・・」
「胸部の血管が異常に逆立ってる。薬の副作用だろう・・・フレイ君、それを取ってくれ。」
フレイは言われた通り、注射を取った。
「どうするんですか?」
「直接注入する」
「!?」
その場の全員が驚愕する。複雑で微小な血管に注射を射つと言うことは理論上不可能である。
「あなたは患者を殺す気か?」
「外部からの薬は彼を苦しめるだけだ。ならば内部から拒絶反応を起し、反作用で克服させるのだ。」
「そんではなく・・・もしはずしたら・・・」
ミハイルは躊躇せずに血管に注射をした。
「オペはそんな事ばかりだ。医師が恐怖したら、患者はそこでオペが終了してしまう・・・。確立は少なくとも、決して0ではない。」
ミハイルは人形を操るような完璧とも言える手捌きで肉体を切り開き、他の臓器にも注射をした。
「救える方法があるならどんなに確立が少なくとも、その方法を患者のために使う。それが医師だ。」
閉じる間際だったが確かに見えた。血管の騒めきが治まっていた。
「19:02、オペ終了」

その後、休む事なく子供達の診察を行っていたミハイルが全ての治療を終えたのは深夜2時を過ぎていた。
164通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 09:02:15 ID:???
「オペは成功して、子供達も治ってきた・・・。オーブまでは大丈夫みたいだ。」
「よかった・・・」
キラとフレイは深夜というのにしばらく語り合っていた。
「それでマユちゃんとリナウちゃんが友達に・・・?・・・フレイ?」
フレイは疲れて寝てしまっていた。
「・・・この顔も変わらないな・・・」
抱き寄せてキラは深く濃いキスをする。
「ちゃんと・・・今度は護るから・・・」
キラはフレイを部屋に連れていくと、自分の部屋に戻っていった。


「ユウナ様、ザフトから通信が来ました。」
「うん?」
連合は状況が苦しくなってきた為に、オーブへ支援を要請し半ば強制的に軍を差し出させた。しかし、出航しようとしたらザフトからの通信が入った。
「ここで通信が入るということはオーブ海域のすぐ近くということか・・・」
「オーブの上層部に伝えろ・・・もし連合に軍を差し出させば、オーブ本土に攻撃を仕掛ける。」
「なんだって!!」

アークエンジェル、オーブ到着まであと−3日−

予告
正しき道。それは後にならなくてはわからない暗闇。信じた道が過ちと知った時、人は・・・
PHASE-10 「封じられし翼」
闇夜を抜けて、翔べ!!フリーダム!!
165通常の名無しさんの3倍:2006/06/04(日) 22:27:34 ID:???
上げ
166通常の名無しさんの3倍:2006/06/05(月) 05:30:05 ID:???
>>164 お疲れ様
今後アウルの行方に期待してまつ
167通常の名無しさんの3倍:2006/06/05(月) 11:16:46 ID:???
うへぁ…自己陶酔電波ゆんゆん…
168通常の名無しさんの3倍:2006/06/07(水) 08:02:14 ID:???
保守
169通常の名無しさんの3倍:2006/06/08(木) 00:25:37 ID:???
最近は「フレイ様への愛が足りない」とかほざく一人よがりの馬鹿がいないね。
いいことだよ。2度と見たくねえしな。
170通常の名無しさんの3倍:2006/06/09(金) 19:09:20 ID:5iDmrNhi
続きはまだか?
171通常の名無しさんの3倍:2006/06/10(土) 00:32:23 ID:???
ドイツ負けろ
172通常の名無しさんの3倍:2006/06/10(土) 20:08:22 ID:???
>>167
消えろ
173通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 06:55:04 ID:???
保守
174通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:39:43 ID:???
PHASE-10 「封じられし翼」

「ガガ・・・以上、我々はいつでもオノゴロ島を攻撃できる位置にいる・・・」
ユウナ達はタケミカヅチの中でこの通信を聞かされた。
「明らかにザフトが我らを出撃させまいとした通信ですね。」
内容は連合に加担した場合、オーブを攻撃するという文である。それはつまりザフトの脅しである。
「だがカーペンタリアの回答は、゙そのような命令は出していない゙だ。」
オーブは大西洋連邦との同盟を締結した後でもコーディネーターが無事に住めてるというところから、ザフト側から同盟破棄を促す誘いが何回もきている。
「トダカ一佐、どう思う?」
ユウナは鋭い視線でトダカを見つめる。
「・・・おそらく地球にいるザフトは関係ないかと思われます。」
「地球の?」
「ザフトの特殊部隊か暗躍部隊って事ですか?」
アマギが慌てて椅子を倒してしまう。ザフトは否定し続けるだろうし、やつらも回答してこない。仮にしてきても海賊を名乗りそうなものだ。
「今は出撃しないほうがいいだろうな・・・連合の申し出は断るとしよう。」

「なんだと!?ユウナ、軍を差し出さなければジブリールがなんというか!!」
「父さん、だからといって国を危険にさらすわけには・・・」
ユウナはウナトに援軍要請を断るように言ったが、予想どおりウナトの意思は変わっていなかった。
175通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:40:50 ID:???
「カガリがいない今、容易に軍を動かすわけにもいかないし・・・」
カガリは自分のせいでオーブを去った。いや、去らせたと言った方が正しいのだろう。ユウナはそれ以降、国の在り方について考えが変わってきた。
「代表は今はいないのだ。私達が国を動かして何が悪い?」
「国とは民の場所であって、僕らの物ではないんだよ」
ウナトは一瞬動揺したが、ザフトが消えて自分がジブリールと肩を並べる姿を思うと、ユウナの意見を聴く訳にはいかない。
「うるさい!!ユウナ、お前は黙って私の言うことを聞いてればいいんだ!!」
「そんな事ばかりだから、今のオーブは迷ってるんだ!!」
ユウナ派とウナト派に別れて、論議は続いた。そして、期限の3日を迎えても答えは出なかった。


「・・・時間だ。いいか?。あくまで我々はザフト軍ではなく、モルゲンレーテにあるといわれる兵器の奪取を目論む海賊だ。」
隊員達は無言で頷き、(機体色は全部茶色)ザク・バビ・アッシュに乗り込み、出撃する。
「ほお〜・・・オーブはそうきたか。」
領海寸前まで入ろうとした所、オーブ艦隊が待ち構えていた。
「やってくれるな!!」
グゥルに乗ったザクのオルトロスがイージス艦に直撃して沈んだ。
「なっ・・・よくもやったな・・・」
「ムラサメ、M1は単機に対しては複数で迎撃にあたれ!!」
トダカは前大戦の折に学んだ戦法で軍を展開する。
176通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:42:19 ID:???
「ウナト様、ユウナ様!!。領海内では出撃してきた敵軍に我が軍が迎撃に出ています。」
「なんだって!?」

そう、トダカ達将兵は戦う道を、守る道を選んだ。ユウナは以前のような坊っちゃんではなく、冷静に判断を下せるようにもなった。「何をしてるんだ?。トダカ一佐。」
軍司令部より通信が入った。
「無論、領海内に侵入せんとする敵を討ちに参ったのです。」
「!!」
トダカの声は堅く、ユウナに何かを訴えかけてるようだった。
「指揮はお前に任せる。健闘を祈る」
通信はそこで切れた。トダカは一瞬の瞑想をした後、全軍の攻撃命令を出す。


「フレイさん・・・あの・・・」
「どうしたの?リナウちゃん。」
頭痛が治り、いつもの元気を取り戻したリナウ。その横には研究所から助けだされたマユ・アスカの姿があった。
「オーブは中立で、マユちゃんは昔住んでたんだそうです。」
「へ〜、私も別荘があるらしいわ。」
「私は地球軍の侵攻の際に、死にかけて・・・ジューン・ヒューストンという人が見つけてくれたおかげで助かったんです。」
マユは薄れゆく意識の中で見た生きてる兄・シンの姿を憶えていた。帰ったら真っ先に会いたい人だ。
「会えるといいね。お兄ちゃんに。」
「はい♪。」

キラはブリッジでマリューと今後の話をしていた。
「ムラサメでは僕の反応速度に追い付きませんし、今後を考えてもやはりあれを使うしかありません・・・」
「そうね・・・」
あれは世界に仇なす機体だ。だが、強大になる力に対抗するにはさらなる強大な力が必要だ。
177通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:44:49 ID:???
「問題は鍵はラクスのハロの中にあるってことです。」
必要ないと思い、解放しなかった。それは今となって深刻な問題となった。
「キラがハッキングすればいいじゃないか。」
カズィが簡単にできる〜、と発言したが、そんな簡単ではないとキラは言った。

ピッピッ

「艦長!!オーブ領海沖で、オーブ軍が何物かと交戦してる模様です。」
ミリアリアが声を出したのを聞いて、フレイはストライクに乗り込んだ。
「キラさんは?」

「無茶よ!!スカイグラスパーでなんて・・・」
「でも、機体はあれしかありません。」
ムラサメは既になく、ストライクとルージュも専用パイロットがいる。
「例えストライクかルージュを借りても、僕の技量に機体がついていけないかもしれません。オノゴロへ行くだけですから。」
「・・・」

しばらくしてキラがドッグに降りてきた。
「キラさんはどうするんですか?」
「僕は剣を持ってくるよ・・・僕の剣を。」
「はあ・・・」
フレイには何のことだかよくわからない。だが、スカイグラスパーで戦闘しているあの空間を抜けるのは至難の業だ。
「止めても・・・行きますよね?」
「うん・・・」
キラはフレイの体を抱き締める。
「僕の力は君を守るために使いたい。君とみんなを、守るために・・・」
「キラさん・・・」
「死なないで・・・僕が帰るまでみんなを守っていてね。」

キラは初めて戦闘機を操縦する。
「モビルスーツとはやっぱ違うな・・・キラ・ヤマト、スカイグラスパー、行きます!!」
178通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:45:45 ID:???
「フレイ、ビーストストライカーでいいの?」
「最初は母艦を沈めたいから・・・ビームを切っても切れ味はいいと思うの。」
ビーストストライカーが背に付けられ、ランプが緑に変わる。
「フレイ・アルスター、ストライク、行きます!!」

「カガリ・ユラ・アスハ、ストライクルージュ、行くぞ!!」


「ハバキリ、被弾率が高く航行不能。いや・・・撃沈されました。」
飛行能力からいえば、ムラサメの方が勝る。だがグゥルに乗ったザクやバビはオーバースペックの改造をした機体は、特殊訓練を積んだコーディネーターのパイロットにより100%の性能を発揮している。
「くそ!!こいつら・・・」
「弱音を吐くな、ニシザワ!!」
ゴウがそう言ったら、眼前にはバビが現われ、胸元からアルドールを放つ。。
「や、やられる!?」
ゴウのムラサメはアルドールの熱により、少し溶けた感じだ。
「これは・・・」
クローのようなものでムラサメが掴まれ、アルドールを避けれた。ゴウの視線の先にはストライクがいた。
「ストライク?」

「あれは・・・何だ?」
「オーブ将兵達よ!!」
カガリはボリューム全快で放送する。
「私はカガリ・ユラ・アスハ!!。訳あって国を離れていた。本当にすまない・・・だが、このような不当な戦いを許してはならない!!全軍に命ずる、オノゴロ島及び本島に敵をいれるな!!私に力を貸してくれ!!」
179通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:47:42 ID:???
「カガリ様・・・」
「カガリ様だ!!」

「トダカ一佐、カガリ様が・・・」
「ああ」
トダカはアークエンジェルを見送った時を思い出した。きっど希望゙を乗せて帰ってきたに違いない。
「みな、カガリ様が帰られた!!。カガリ様の前での敗北は許されん!!。何としてもオーブへ入れるな!!」
パイロット達の歓声が一気に叫ぶのをカガリは耳にした。
「みんな・・・よし!!。全軍、奮起せよ!!」
徐々に押し始めるオーブ軍。その間にキラは空域を突っ切ろうとする。
「戦闘機?」
一機のバビが気付いて、その大火力を集中させて狙ってくる。
「くそ・・・ごめんね。」
回頭してビームを放つ。
「それが当たるとでも・・・」
当たった。ビームはフェイントであり、対艦ミサイルを放っていたのだ。
「ダメだ・・・やっぱりあれじゃないと・・・」
その時、ビームがスカイグラスパーの左エンジンを貫いた。
「うわ・・・」
右エンジンまで引火してそうで、墜ちるのも時間の問題だ。
「このまま行くしか・・・ウオォーー!!」
エンジンが完全に暴走している。スカイグラスパーはマルキオ邸を目前に海に落ちて爆散した。
「・・・ぷはぁ・・・危なかった。」
寸前で脱出し、急いで泳いでいく。カリダがいたが、会釈を軽くしてシェルターを潜り抜けて秘密ドッグまで辿り着いた。
「早く、解除しないと・・・」
180通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:50:43 ID:???
フレイは海に潜り、敵の母艦であろうボスゴロフ級に取りついた。
「墜ちな・・・さい!!」
ビームを切ってるとはいえ、ビーストストライカーのクローはその切れ味を持って簡単に甲板を貫く。
「うおわぁーー!!」
徐々に浸水してくる。
「え、援軍だ・・・援軍を呼べ・・・」
数十秒後、その艦は爆発した。その爆発に気付いたザク達は奇妙な動きを見せる。
「・・・リミッター解除。」
その後のザクやバビの動きは速くなり、ムラサメですらおいそれ追い付けない。
「急にはや・・・」
また一機撃墜された。

「そんな・・・」
フレイの目の前にはさらに2隻のボスゴロフ級があった。海から出てエールに換装する。
「え・・・?」
目立った外傷がないのはアークエンジェルとタケミカヅチぐらいで、他の艦は大分ダメージを負っていた。
「く・・・」
フレイもいつものように撃墜が叶わない。パイロットがコーディネーターだとやはり違うのだ。
「どうして・・・当たれぇーー!!」
グゥルの軌道を読んでビームライフルを放つ。
「ぐわ・・・」
足場を失い落ちていくザク。すかさずストライクのビームサーベルがコクピットを真っ二つにする。
「はあ・・・はあ・・・キヤッ!!」
突如ストライクに衝撃が広がる。
「一機墜としたからって、安心しないほうがいいぞ〜。」
バビのミサイルがストライクを狙う。フレイはすかさず避けるが、さらに5機のバビのアルドールが迫ってくる。
181通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:51:55 ID:???
それが正確な狙いと言ったら嘘になるかもしれない。だが、ストライクを掠める光の束に恐怖を覚えるフレイ。
「デタラメでパターンが読めない・・・」
リミッターが解除された機体は動きが制限されない為に安定性に欠ける。しかし、常に相手を読むフレイの戦い方の天敵である。
「なら未来を読むわ」
瞑想を始めるフレイ。今、フレイの脳内には空域全体のイメージが浮かんでいる。空気を、時間を、思考を読み取る。

・・・ピキーン

ビームライフルが3連発。ちょうど当たったのはアルドールの発射口だった。

「何!?」
「動きが読まれたような・・・ええーい!!ザク、バビ全機はあのストライクを狙え!!」
指示通り、赤い高出力ビームが空を裂き、ストライクに迫る。盾を弾かれ、ストライクも反動で飛ばされる。
「今だ・・・」
オルトロスの口がストライクを捉えた。
「ロックされた・・・?」
静かにその引き金を引き、一瞬のチャージが完了されたその瞬間、上空から一筋のビームがオルトロスを突き抜ける。
「何だ!?」
ビームを放ったそれは猛スピードで迫ってくる。
「は、速い・・・」
あっという間に頭部と腕を裂かれる。
「何だ・・・?」
蒼き翼を広げ、白い衣に包まれたそれは天使と見られても不思議ではない。翼からは放熱により生じた赤い粒子が放出されている。
「あ、あれは・・・まさか・・・フリーダム・・・フリーダムだーー!!」
ザフトパイロット達は騒然となる。あのヤキン・ドゥーエで伝説的な強さを誇ったフリーダムの名はザフトで知らない奴はいない。
182通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 20:53:05 ID:???
「怯むな・・・いかにあのフリーダムだとしても、我々が負けるはずが・・・」ザクやバビはフリーダムに攻撃を仕掛けるが、その機動力とキラの技術はミサイル一発も触れることすら許さない。

ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ

キラの視線にはフリーダムがロックしてくれたので、バラエーナとクスフィアスをその相手に撃つだけでいい。
「フリーダム・・・休ませてあげたかったけど・・・また僕に力を貸してくれ・・・」
トリガーが引かれた時、10機近くのモビルスーツがその戦闘力を奪っていく。

「これがキラさんの真の力なの?」
ムラサメの時ですら一線を超える強さだったが、フリーダムはその比ではない。キラの力を表現できる唯一の機体であることがフレイにはわかった。
「あの機体、何故か懐かしい・・・。昔になにかあったのかな・・・」

そう思ってる間にキラはザフトモビルスーツを蹴散らしていた。
「ばかな・・・これがフリーダムなのか?」
任務失敗とし、自爆の為にレバーを引くザフト兵達。
「!!」
ラクス襲撃の際にはムラサメでなんとか撃退した時もアッシュ隊は自爆していた。
「また・・・」
やるせない気持ちでその爆炎をキラは見つめていた。残ったアッシュはボスゴロフ級に戻り、領海内から出ていき消息不明となった。

予告
法。それは国を守るもの。名。それはその存在を示すもの。時代に示す答えを探すオーブに、カガリは国の在り方を説く。その言葉が導く未来の姿は。
PHASE-11 「始まりの行く末」
蠢く世界で、生き残れ、ルージュ!!
183通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 22:07:53 ID:???
遅くなりました・・・土曜日が登校日だったもので・・・

ラスボスに何をもってくるか考えていたら黒歴史モビルスーツが2機、頭に浮かんでしまいました・・・

黒歴史に含まれてる説ならC.E.って∀より後のストーリーらしいですが・・・
184通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 22:27:42 ID:dokGTZyO
GJ!
続きを期待する。
185通常の名無しさんの3倍:2006/06/12(月) 23:26:55 ID:JH3/tgl7
∀よりも前、だと思うな
∀がガンダムの最終地点みたいだし
あきまん漫画でもCEが過去の話ってストーリーだった
186通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 01:22:33 ID:???
>187
そうだったんですか?。まあ、あくまで妄想ですんで・・・個人的にはたぶんC.E.は別世界だと思ってます・・・
でもターンシリーズはどんな機体でも勝つのが難しいので、史実を曲げまくって黒歴史後にしたいという気持ちが湧いてきちゃいます・・・もちろんナノマシン抜きで。
187通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 07:28:14 ID:???
アンカーミスでした。
×>187
〇>185
188通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 14:02:02 ID:???
ターンタイプは次元が違うからなぁ

テレポートしたり
バラバラにされても機体を構成するナノマシンが一機でも残ってれば再生可能だったり
やれ過去のMSの全データが記録されてたり
やれカイラスギリーの攻撃を弾いたり
木製圏まで灰にできたり

小説の設定まで入れちゃうと意思を持ってたりしてイデオン状態だし
189通常の名無しさんの3倍:2006/06/13(火) 16:45:27 ID:???
>187
エヴィデンス01や黒歴史にSEEDで自分なりの答えを示したいという気持ちがありまして・・・

出すとするならSEEDでも通じるものにしたいと思います。
190通常の名無しさんの3倍:2006/06/14(水) 20:04:14 ID:???
保守
191通常の名無しさんの3倍:2006/06/14(水) 20:43:35 ID:zturoDjA
続きはまだか?
192通常の名無しさんの3倍:2006/06/15(木) 19:51:05 ID:???
おいおい来たばかりじゃねえかw
193通常の名無しさんの3倍:2006/06/16(金) 22:54:34 ID:???
気長に保守
194通常の名無しさんの3倍:2006/06/17(土) 17:50:40 ID:???
フレイたんマダー
195通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:41:04 ID:???
PHASE-11 「始まりの行く末」

オーブ本島やオノゴロ島への被害は皆無であり、アークエンジェルも満を時して入港することが出来た。
「私は今から首長会に参加しなければならない・・・艦長、クルーのみんなを休ませてやってくれ。子供達は本島の病院へ搬送するように手配してある。」
カガリは着いてすぐに飛び出していった。直に子供達を迎えにきて、ミハイルも臨時担当医としてついていった。

「キラさんは家へ戻るんですか?」
「うん、そうしようかな・・・そうだ!!。フレイも来ないかい?」
キラに別に何も考えていない。だが、フレイの頭脳には"親に紹介"→"公認"→・・・、という方程式が成り立っていた。
「は、早過ぎませんか?私たち、付き合ってもないし・・・」
その言葉はキラの心を粉々に砕いた。
「付き合ってもない・・・僕らは・・・」
放心状態に陥るキラ。フレイも悪気があったわけではないのだが、キラの心にはカガリの怒声に匹敵するほどの衝撃を与えていた。
「あの〜・・・キラさん?」
「ひどいよ・・・フレイ。僕達は・・・」
「だって・・・まだ好きだと一言も聞いてませんもん・・・」
ハッとした。そういえば言ったことなどない。2年前も(フレイは憶えてないが)砂漠からも言ったことがない。
「ごめん。ちゃんと・・・したほうが良いよね?」
「女の子ですから・・・欲しいんです。その言葉が・・・」
高まる心臓の鼓動。なぜかいつも通り相手の目を直視できない。
「フレイ・・・僕は・・・」
196通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:45:32 ID:???
「ウワアァ!!」

2人は驚いて振り返った。そこにはノイマンやチャンドラ、リナウやマユの姿があった。
「痛・・・だから押すなって言ったのに・・・」
「ひど〜い。マユ達にも見せてくれないくせに〜」
「子供が見るものじゃないんだ!!」

その時、全員の体をとてつもない殺気が襲う。
「見てたんですか?」
キラのその声はいつもの口調ではなく、確かに殺気を放っていた。
「いや、俺達は気にするな。早く続け・・・」
「られるかぁーー!!」
どこからか一瞬の内に卓袱台を持ってきて引っ繰り返す。
「わ、逃げろ!!」
覗いていたメンバーは瞬く間に逃げ去った。
「ふぅ〜・・・さ、続き続き♪」
「いえ・・・もういいです・・・。」
「なんで?」
「考えたんですが私は記憶を取り戻せてませんし・・・」
キラは少し悩んだが、フレイを自分の腕の中に入れる。
「キラさん・・・」
「僕は君が好きだ・・・」
「!?」
「昔も今も関係ない・・・僕は君が好きなんだ。」

2年という時は長かったわけではない。記憶を失ってから短いわけではない。待ったのも事実。しかし、今の2人の心は繋がった。
「キラさん・・・」
フレイの腕もいつの間にかキラの背に。

ガタガタ

「痛・・・」
ノイマン達は諦めずに見ていたようだった。
「何やってんですかーー!!」
197通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:49:02 ID:???
首長会の途中、カガリは幾度となく罵声を出していた。
「ですが、代表・・・」
「黙れ!!確かに私が国を抜け、不可抗力とはいえ責任から逃れようとしたのはすまないと思ってる。だが、その中で学んだことはたくさんある。」
カガリは席を立ち、窓から見える町を見つめる。
「大事なのは国という権威でも、オーブという国の確立ではないのだ。」
いつの間にか、ユウナや他の首長も立ち上がっていた。
「国・・・それは人がいて成り立つものだ。前大戦の折、我々は国を焼かれた。人々も離れていった。しかし、人々は戻ってきてくれた。我々を信じて、オーブという国を信じて。」
カガリはSEEDを静かに発動させ、瞳は朱色に変わっていた。
「私は・・・私達はそれに応えなくてはならない。理念を信じてくれてる人々に。だから、オーブは中立を保のだ。国の未来を決めるのは、他でもない人々なのだから・・・」
ユウナはカガリの前に立ち、そのまま土下座をした。
「な、ユウナ?」
「ごめん・・・。僕らはオーブ、オーブとばかりだった。人々の気持ちも考えずに・・・カガリの苦労も知っていたはずなのに・・・」
彼から落ちた涙は下の床のカーペットに染みたわけではない。カガリの心もしっかりと潤していた。
「ありがとう、ユウナ・・・」
カガリの瞳は元に戻っていた。
「連合から再三誘いがあったのにも関わらず、軍を動かさなかったその志をトダカ一佐から聞いた時は嬉しかった。」
198通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:50:09 ID:???
ユウナは余計に頭が上がらず、ただただ泣いていた。
「ほら、なくなよユウナ・・・男の涙はみっともないぞ!!」
「代表!!」
1人の首長がカガリに近づいてくる。
「お二人方のお心、しかと我らに届いた所存です。代表の志、ウズミ様の後光に寸分違いません。」
「いや・・・」
この日を父はなんと思われてるか。カガリは立派な獅子に育っていた。

「それで私には国の在り方・・・首長制に問題があるのではないかと思ってるんだ。」
「え!?」
「正確に言うと、代々アスハ家か五大種族の中から首長が選出されていたが、それでは国の根本的な部分を見据えられない・・・」
カガリは部下に書類を配らせた。首長達は自分の目を疑った。
「代表、これは・・・」
「ああ・・・これより首長は一般市民を含めた選挙で選んだらいいと思うんだ。」
カガリの目には熱い焔が宿っていた。

一方、アウルと子供達は本島の病院に搬送された。リナウも一応検査をしてみたのだが、ミハイルには引っ掛かる部分があった。
「リナウ・レヴェリーの血液・・・」
極秘に分けてもらった血液サンプルをあるデータと統合検証をしてみる事にした。
「あの顔立ち、どこかで・・・」
似ている。写真で見たことがあるくらいだが、ある男の面影に似ている。
「!!。・・・やはりな・・・」
それはかつて名を馳せた"エンデュミオンの鷹"ことムウ・ラ・フラガとの検証。結果は85%の一致。
「子供か・・・はたまたクローンか・・・」
ミハイルは一応アークエンジェルにデータを持ちかえることにした。
199通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:51:27 ID:???
キラとフレイはマルキオ邸に行く前に買い物をする事にした。
「前の私達はこうしたデートはしてなかったんですか?」
「戦争中だったしね・・・それでも僕らは一緒にいることが多かったな。」
フレイはやはり17歳の少女。色々な服を見ている。
「(はぁ〜、こんなフレイも可愛いなあ・・・)」
フレイはキラに選んだ服を試着して見せた。
「どうですか?」
まずはクリーム色のワンピース。
「いい・・・可愛いよ、フレイ・・・」
「これは買おっと・・・じゃあ・・・」
次の服はチャイナドレス。フレイの白い肌が赤色のチャイナドレスによく似合っている。
「よく似合っ・・・」
キラは目を疑った。隙間から紐パンが見える。
「(紐パン!?フレイはこんなのを履いていたのか?)」
「やっぱダメですか?」
「そんなことないよ!!うん、是非買うべきだ!!」
キラの必死の説得により買うことにした。ついついガッツポーズをとってしまう。そこへ一人の男の子が。
「痛い、痛いよ。あんちゃん・・・」
そう言うと男の子は母親と思われる人についていき、見えなくなった。

その後、マルキオ邸に到着したキラとフレイ。浜辺では子供達が遊んでいた。
「あ、キラだ!!」
「知らない女の人がいる・・・」
「きっと彼女だよ!!」
「え・・・キラの彼女ってラクスじゃ・・・」
200通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:53:53 ID:???
色んな意見が出るが、キラの紹介によりフレイは子供達に受け入れられた。

「こっちだよ。」
キラがドアを開けて入ろうとする。すると、どこからか鳴き声が聞こえてきた。フレイが空を見上げると、小鳥が太陽と重なって飛んでいた。

"トリィ!!"

「トリィ・・・元気だったのか・・・」
キラはオーブ出航の際にトリィを母に預けていた。久々にトリィを見ると、落ち着いてくる。
「トリィ・・・ていうんですね。」
腕を上げ、指を少し折りつつ掲げる。その指に留まり、トリィはその機械の肌をフレイの指にすりつける。
「なんか・・・前もこんなのやってた気がします・・・」


「母さん、ただいま。」
フリーダムの封印を解除するときに会ったが、あの時は会釈程度だったのでキラはきちんと挨拶をした。
「キラ・・・」
カリダもキラの手を握って再会を喜ぶ。
「父さんは?」
「まだ帰ってないわ。」
残業が多く、中々キラも会うことが困難である父。しかし、母に最初にフレイを知ってもらいたかった。
「母さん、紹介するね。この子はフレイ・アルスター。その・・・」
「フレイ・アルスター・・・さん?」
ヘリオポリスに住んでる頃、なんどか見かけた事がある。しかし、キラの話によれば既に死んでるはず・・・
「長くなるんだけど・・・いい?」
201通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:54:55 ID:???
「まあ、首長選挙の件はすぐに答えがでる必要はない。ゆっくり、ゆっくりといこう。」
カガリはマイペースを保っていた。そして、首長達もそれぞれの思考を練っていた。そんな時、一人の将兵が駆け込んできた。。
「大変です!!ギルバート・デュランダルが全世界に重大発表をすると・・・」
「何!?」

それはキラとフレイの目にも届いた。世界中の人間がテレビやラジオ、何らかの手段でその放送を聞いた。

「みなさんも知っての通り、我々プラントは地球軍の核攻撃に曝されて現在同軍と交戦中であります。」
デュランダルの話はまず現在の世界情勢から始まった。しだいに今後の世界についての話に移る。
「私共最高評議会も和平にと努力を積んできましたが、未だにその兆しは見えません。これは私の力不足であります。」
ギルバートは拳を握り、悔しがり・・・悔しがってるように見せた。
「ですので、私は現時点をもって最高評議会議長を退きたいと思う所存です。」

世界中の人間が驚愕した。そして、さらに・・・
「尚、最高評議会議長な後任として選出された方が見えています。」
その者は黒いドレスに身を包んでいた。
「!!」
「!!。まさか・・・」
202通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 00:55:50 ID:???
美しい顔立ちと長い髪は全てを魅了するに相応しく、指導者としてのオーラが発せられていた。

「馬鹿な・・・」
「キラさん・・・この人は?」
「この子は・・・」

「ただ今、デュランダル前議長よりご紹介いただいた、ラクス・クラインです。」
その女王たる風格は誰一人の例外をなしに人々を驚愕させた。ここから"運命"が大きく動きだす。

予告
仮影の平和。それはただの逃げでしかない。動乱する世界に少年達はその身を投じていく。
PHASE-12 「Believe」
信ずべき道を、突き進め、アークエンジェル!!
203通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 07:07:02 ID:???
やっべぇ〜 だんだんクオリティ高くなってる!
ともあれGJ!
204通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 09:52:10 ID:???
黒ラクスkoeeeeeeeeeee!!
205通常の名無しさんの3倍:2006/06/18(日) 18:18:05 ID:???
ラクスの黒ドレスは「選ばれた未来」の物です。

当初、オリMSは出さないつもりだったんですが今後の(構想段階ですけど)展開に必要なので出したいと思います。
なるべく説明も細かくしていきますので御了承ください。
206通常の名無しさんの3倍:2006/06/19(月) 09:38:45 ID:???
>>202
キラがお茶目で良いなあw
ラクスとデュランダルが共同してどんな行動を行うのか?
楽しみにさせてもらいます。 GJ!
207通常の名無しさんの3倍:2006/06/21(水) 01:33:41 ID:???
おいおいキラを取られた女帝がそう出たか…ありえるなw
神乙
208通常の名無しさんの3倍:2006/06/23(金) 00:24:07 ID:???
保守
209通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 15:56:32 ID:???
保守
210通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:21:45 ID:???
PHASE-12 「Believe」

全世界の人間の予想を裏切ったラクス・クラインのプラント最高評議会議長の就任。それは確実に歴史を動かす事に繋がった。
「私は今まで平和を願い、前大戦の折はプラントまで敵対しました。戦後はデュランダル前議長の下で尽力してきました。」

「あれはラクスの代わりの娘の筈だったのに・・・」オーブ出航の際に観たプラントのチャンネル。そこにはラクスに瓜二つの少女がラクスを演じてる姿があった。デュランダルはその少女をラクスの代わりとして利用していたのだ。
「でも、この人・・・ラクスさんは前はキラさん達といたんですよね?」
「うん・・・君が僕と再会する前に宇宙へ上がっていたんだけど・・・」
ラクスは平和への近道の為に宇宙へ行った。それはデュランダルの真意を探るため、来たるべく決戦の為のはずだった。
「なのに・・・でも、ラクスが議長になったなら平和に・・・」

「デュランダル前議長は私に託してくれました。プラントの、地球の、人類の未来を!!。地球軍とはこれからも和平を目指す方向であります。」
ここまでは今までのラクス通りだった。そう、ここまでは。
「ですがブルーコスモスが地球軍を牛耳ってる今、我らプラントとの和平への望みは薄いでしょう。」

「え・・・?」
おかしい。"以前"のラクスはそんな事を言わなかった。あくまで和平を優先と・・・
「私は戦うべき時には剣を手にできる人間を目指していています。後の世界での和平を目標とし、コーディネーターとナチュラルの真の平和を掴むために、ブルーコスモスを殲滅するために戦う事を誓います。」
211通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:24:57 ID:???
「何だと!?」
ミネルバでもこの緊急放送は流れていて、ブルーコスモス殲滅の為の戦いをするという言葉を聴き、アスランはつい立ち上がってしまった。
「何を考えているんだ?ラクスは・・・」
わからない。ラクスの考えが。あれだけ平和を叫んでいたラクスが。しかし・・・
「いや、ラクスがやることに間違いはない。確かにブルーコスモスは滅びなくてはならない。」
長きにわたり戦友として歩んできたアスランはすっかりプラント市民同様信じ込んでいる。

「ラクス・クラインが・・・?」
「議長ってのもピンとこないな。」
ヨウランとヴィーノは放送が終わった後も話題を続けていた。
「確かにさ、昔から平和を目指した運動をしていたし、不思議じゃないけど・・・」
「あのさ・・・」
ヨウラン達にシンが近づいてくる。
「俺、ラクス・クラインの事あんまわかんないんだけど・・・」
「そうだな・・・アカデミーの話くらいか・・・」
オーブからの移住者であるシンにとってのラクスは売れてるアイドルくらいとしか、写っていなかった。
「ラクス・クラインはほら・・・あれだよ。」
「はあ・・・ラクス・クラインは先々々代議長シーゲル・クラインの娘で、平和主義者なんだ。なおかつあの容姿と性格、そして歌が絶大な人気を得てる」
「へぇ〜。で、なんでまた議長に?」
「それはわからん。ま、前々から議長に付き添っていたし、来るべくして来た感じだけどな。」
212通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:26:01 ID:???
"プルルルル"

「はい・・・もしもし」
「キラ君?」
「マリューさん。やっぱりあの放送を?」
「ええ・・・。ラクスさんはなぜ、こんな事を?」
平和主義者であるラクスが議長になれば平和に一歩前進するだろう。しかし、何の連絡もよこさずにこんな大胆な事をするのは不自然である。
「はい・・・それで・・・僕とフレイもアークエンジェルに・・・。はい、では。」
電話を置いて、カリダの前に立つキラ。
「ごめん・・・。折角帰ってきたのに・・・」
ここで謝る。それは再びオーブを出航する可能性があるという事。
「気にしないで。また、帰ってきなさい。フレイさん、キラをよろしくね。」
「はい・・・」


「集まったか?」
カガリはアークエンジェルクルーに召集をかけ、今起きた出来事について演説をした。
「今、ラクス・・・いや、クライン議長の声明を聞いたと思う。私も突然の事で頭が混乱している。」
当然だ。2年前よりの友人が、あのような立場になって驚かない人間はいない。
「明日にもオーブは連合との条約破棄を表明するつもりだ。そこでアークエンジェルを当初オーブ軍に正式に編入させるつもりだったが、取り止めることにした。」
ザワザワとするクルー達。
「つまり、反乱艦アークエンジェルは再びオーブを脱走、以後行方不明・・・て事でしょ?」
キラは見通しがついてるかの如く、カガリの意図を言い当てる。
「ああ。みんなには連合・ザフト両面を監視してほしい。」
つまり、オーブの理念に表向きは反さぬようにスパイ活動じみた事をアークエンジェルにさせようとしていた。
「すまない。私とユウナの独断で・・・」
213通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:27:19 ID:???
「カガリ・・・」
「みんなにスパイを、テロリストを演じろと・・・言うべきではないんだが・・・」
涙を流しながら、頭を下げるカガリ。オーブに所属しないことは、両軍から狙われる可能性があるから。
「今の世界には必要なことだから仕方ないわ。」
連合とザフトがぶつかってる時に止められるのはオーブを背負わないテロリストとしてのアークエンジェルだけである。
「カガリさん。」
フレイはカガリの前に立ち、抱き寄せる。
「大丈夫・・・私達は帰ってくるから。」
「フレイ・・・」

出航は明日。キラはそれまでに確かめたいことがあった。
「ロドニアの戦闘の時のフレイ・・・。あの力は・・・」
フレイの異常なまでの強い空間認識能力と成長の早さ、そしてバーサーカーのような戦い方・・・
「マルキオ導師の言っていた"SEEDを持つ者"・・・フレイがそうだったとしたら・・・」
キラの車はマルキオ邸に着いた。どうやらカリダは買い物に行ってるらしい。
「導師・・・。」
「はい?」
マルキオはキラが来ることがわかっていたかのように椅子に座っていた。
「お聞きしたい事があるのですが・・・」
「どうぞ・・・」
キラはフレイの経緯を語る。マルキオの表情もどんどん固くなっていく。
「そうですか・・・」
「フレイもSEEDを?」
「SEEDは人類の中に芽生えた潜在能力であり、多くの人が持っています。ですが発現できるのは極少数なのです。」
昔言っていた。発芽できる者を"SEEDを持つ者"と言うと。
214通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:28:27 ID:???
「ですが、彼女はSEEDを発芽どころかSEEDを持たない人間です。」
「そんな!?では、どうしてあそこまで・・・」
「すみませんが、私にもわかりません。」
マルキオが言うにはフレイは普通の人間と言う事らしい。納得はできないものの、キラはマルキオ邸を後にした。
「・・・なぜあの紅い髪の少女が・・・」
ラクスやカガリと違い、SEED保有者特有のオーラをフレイには感じなかった。しかし、キラの主張はSEEDを持つ者のそれにかなり近い。
「まさか・・・"JOKER"だというのだろうか・・・」

病院に搬送された子供達の内、症状が重い子は入院したが、大多数は小学校や中学校への編入をする事となった。
「マユちゃんは五年生だけど、勉強は?」
いくらコーディネーターのマユでも2年習っていなければわかるはずもない。
「研究所でも多少はやっていたので・・・」
「ふ〜ん・・・」
フレイとマユはそんな他愛のない話をしながら、役所で兄であるシン・アスカの情報を得にきていた。
「申し訳ありませんが、その方はプラントへ渡ったようです。」
「そんな・・・」
折角来たが仕方がない。その肝心なシンは今やザフトのエースパイロットの一人とカガリからマユに語られるのは、数日経ってからである。
「残念だったね・・・」
「はい・・・」
フレイは取りあえず戻ることにした。ちなみに子供達はオーブ政府指定の保健所に住むことになっている。
215通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:30:36 ID:???
「カガリさんは、やっぱり行かないほうがいいわね」
「ああ・・・。すまない艦長。」
首長の選挙制を訴えたカガリとはいえ、現時点では国元を離れるわけにはいかない。
「ルージュはアークエンジェルに置いといてくれ。ミハイル辺りが乗るかもしれないしな。」
「ええ。」
"ドクター"の異名を持っていたミハイルの力はかなり頼もしい。しかしルージュは思いもがけない人物が乗ることになる。


アークエンジェル出発の日。港にはカリダやマユといった関係者が見送りに来ていた。
「母さん、また少し離れちゃうけど・・・」
「もう慣れっこよ。それより決めときなさいよ。」
「何を?」
「フレイさんとラクスさん、どちらを彼女にするかをよ。」
キラはズッコケて、あまりの勢いのせいか頭をぶつけてしまう。
「あら?。ギャグアニメじゃあるまいし、そんな事しなくても・・・」
「冗談はやめてよ・・・折角感動の出航シーンなのに・・・」
「母さんは本気よ。どちらをお嫁さんにするか考えておきなさい。」
キラはまさに、運命の分岐点の真っ只中にいた。手は震え、膝を抱えるキラに皆笑ってしまう。

「リナウちゃん、本当に来るの?」
「はい。コースト先生が来てって・・・」
ミハイルの申請で、マリューが許可したものの10歳の少女が戦場に行きたがるはずが無い。リナウの目的は別にあると、フレイは思った。

「注水始め!!」
アークエンジェルが周りに浸水していき、出発の時を迎える。
216通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:34:01 ID:???
「ラミネート装甲送電確認。入梠体ジェルインジェクター圧力正常。APUコンジェクト、分離を確認。」
カズィが艦の状態を正確に読み上げる。
「上圧面30、FCS及び全兵装バンクのレフゲーター、オンライン。」
ミリアリアが続いて読み上げる。
「前進微速。」
マリューがそう言うと、アークエンジェルが徐々に海を進んでいく。
「水路離脱後上昇角30!!」
海中を進む天使は時々魚を驚かせながら、光溢れる空へ飛び立とうとしている。
「各部チェツクを完了。全ステーション正常。」
「海面まで後20。現在、推力最大。」
チャンドラとノイマンがテンポよくマリューに、状況を伝える。
「離水、アークエンジェル、発進!!」
その巨体が海を裂き、水飛沫が天気雨を降らす。アークエンジェルは飛び立った。その旅の行く末に、平和を信じて・・・


「ククク・・・ファーハハハ!!。そうか・・・これは・・・ハハハ!!最高だ!!」
自分の部屋でジブリールが狂ったかのような笑いをする。
「オーブで、生きていたとはな・・・アハハハハ・・・」
オーブが同盟を破棄したことでも、ラクスがプラントの議長になった事で笑ってるわけない。
「最高のコーディネーター・・・キラ・ヒビキ。アハハハハ・・・」
ジブリールがブルーコスモスに入って間もない頃、自分が撃ち殺した女性が叫んでいた"キラ"という名前。
「コーディネーター殺しには、コーディネーターだな・・・アハハハハ!!」

予告
飛び立った希望。それは絶望への活路を走る事になる。早くも襲い掛かる連合に、怒りの剣が舞い降りる。
PHASE-13 「天空の鬼神」
眠れる力、解き放て、フリーダム!!
217通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 16:41:31 ID:???
リアルタイムでグッジョブ!
218通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 17:20:28 ID:PRqlIhaq
今回もGJ!
219通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 17:44:53 ID:???
早すぎるオーブからの出航により、アウルの出番はまだまだ先になりそうです。

補足ですが、ジブリールがキラを知っていたのは潜入していた連合兵が流したという事でお願いします。
220通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 20:56:58 ID:???
すごい…本編より面白い…!
221通常の名無しさんの3倍:2006/06/25(日) 23:24:15 ID:ocB0R8gx
続きがシリタイです!
ここのキラは普通の男の子な面もあってイイ。
222<14話後半(続き)>:2006/06/26(月) 10:14:08 ID:???
>>60-68 >>85-91 >>108-113 続き

「つながりました」
 通信士が声をあげ、同時にネオの顔が、ドミニオンのモニターに映る。
「どうした? 艦長さん」
「大佐。不仕付けなお願いではあるのは重々承知しておりますが・・・・。
アウル・ニーダ少尉の指揮権を一時的にお譲り願えませんでしょうか?」
「――理由は?」
「アビスのスペックを考えるなら、拠点防衛に使うより、敵母艦を叩かせる方が遥かに有益です。
もうじき、敵母艦の位置が割り出せます。どうか、承諾願えませんでしょか?」
 背中に嫌な汗が滲む。上官に対し、不仕付けな願いだとは承知している。
 しかし、状況を打開するには――
「なるほどねえ。いいよ、好きに使ってくれて」
 返って来たのはあまりにもあっさりとした承諾の言葉。拍子抜けしたような気分になりつつも、
ナタルはホッと胸を撫で下ろす。
「ありがとうございます」
 ナタルは、ほっとため息をついた。
「それにしてもマメだねえ。一々許可を取るなんてさ」
「はっ・・・」
 あまりにも、軍人らしからぬその物言い。ナタルの脳裏にまた、一人の男の面影が浮かんでくるが、
無理矢理打ち消す。
 今はこんなことを考えている時ではない。
「・・・とにかく、ご快諾、ありがとうございます」
「ん。そっちも頑張ってくれ」
 通信は切れた。
22315話(前半):2006/06/26(月) 10:17:08 ID:???
「・・・え?」
 ヴィーノは、今見ている光景が信じられずに声を上げた。大揺れが続き、最後の
大揺れの時、つんであった機材が自分の方に倒れて来た所までは覚えている。
「怪我はないか?」
妙に冷静な声で、イザーク・ジュールが尋ねてくる。慌ててコクコクと首を縦に振る。
イザークは、小さく安堵の吐息をもらした。
「そうか。ところで」
「は、はい?」
「そろそろ、そこから移動できんか? いつまでも支えているのは、流石に辛いのでな」
 大慌てで、ヴィーノが立ち上がると、イザークが身体を一揺すり。機材を振り落とす。
 轟音。
 かなりの重量であったことがその音で分かる。ヴィーノは恐る恐るイザークの様子を伺った。
しかしイザークは、その怜悧な容貌に、何の痛痒の色も浮かべていない。
「・・・準備はどうした?」
 ジロリと睨まれ、
「もうすぐです!」
 化け物? などと失礼なことを考えつつ、ヴィーノは作業に走ろうとして―
立ち止まる。
「あの!」
「何だ?」
「ありがとごうございました!!」
「・・・当然のことをしたまでだ。礼などいらん」
 深々と頭を下げたヴィーノに、相も変わらずの、無愛想きわまりない声が飛ぶ。
だが、その白い頬に刺すわずかな赤。それに気づいたヴィーノは、思わずその場に硬直し、
マジマジとイザークの顔を見た。
「さっさと行かんか!」
「は、はい!」
 ヴィーノの視線に気づいたイザークが怒鳴る。その頬の赤みは、更に面積をまし、頬全体に広がっていた。
慌てて走り出しながら、ヴィーノは口元に小さく笑みを浮かべた。
224通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:19:52 ID:???
 ほどなく準備が整い、イザークはコクピットに飛び込んだ。システムを立ち上げる途中、
鈍痛が肩と背中を走る。イザークは顔をしかめた。
 <大丈夫なのか? イザーク>
 アスランから通信。
<何がだ、アスラン>
<何がって・・・>
 モニターに視線を送ろうともせず、システムを立ち上げ続けるイザークに、アスランは
軽く眉を潜めた。
 あの重さの機材を背中と肩で受け止めて、何とも無い、などということが・・・。
<軍から遠ざかっていた貴様とは鍛え方が違う。問題ないわ!>
<お前ってホ〜ント、素直じゃないよな。アスラン、心配するだけ無駄無駄>
 ディアッカが呆れ半分、諦め半分、といった口調で割って入った。
<だが・・・>
<こいつだって、馬鹿じゃない。操縦に影響が出るなら無茶はしないさ。な? イザーク>
<フンッ! ・・・とっとと行くぞ!>
<Ok。じゃ、行きますか>
<――分かった。無理するなよ、イザーク>
 
 三人の顔が、揃って引き締められた。

<イザーク・ジュール、デュエル、 出るぞ!!>
<ディアッカ・エルスマン、バスター、発進する!>
<アスラン・ザラ、セイバー、出る!>
 
225通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:22:00 ID:???
「ん?」
 三機の中に見覚えのある二機を見出し、オルガは目を細めた。
「へっへっ・・・目移りしちまうぜ!」
 笑みを浮かべ、舌で唇を舐める。
「おらおらぁ!」
 カラミティの125ミリ二連装高エネルギー長射程砲から二条の光がほとばしる。
 が、三機はパッと散開してかわした。
 赤い機体が変形し天空へと舞い上がり、デュエルが下から弧を描く機動で突進してくる。
バスターが――
 砲口の向きを察知するや否や、カラミティが盾を翳す。
 コンマの差。
 バスターから放たれた光がカラミティの盾にぶち当たり、光の粒子が弾けた。
「やるじゃねえか!」
 あそこから、あのスピードで照準して射撃してくるとは。
 鳥肌が立ち、血が沸き立つ。オルガの顔に、喜悦と闘争心に満ちた獣の笑みが浮かんだ。
<やるねえ!!>
<・・・手応えありそうだね>
 クロトが嬌声を上げ、シャニが獰猛な笑みを浮かべる。
「そらぁぁあ!! 行くぞぉぉぉ!!!」
 クロトのレイダーが変形して天空の赤いMSに襲い掛かり、オルガの援護射撃を受けながら
シャニのフォビドゥンがデュエルに殺到した。
226通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:31:45 ID:???
<シンったらもう!>
 ルナマリアが心配の色を露にし、腹立たしげに吐き捨てた。
<まだ戦い続けていたとはな。無茶をするものだ>
 レイも顔をしかめた。デュートリオンシステムで一度補給を受けていたとしても
幾ら何でも限界のはずだ。
<本当よ! ったく・・・。ちょっと戦果を立てたからって調子に乗っちゃって!>
 ルナマリアの悪態に、レイは口の端にわずかに微笑を浮かべた。言葉だけなら
妬んでいるとも取れる言葉だが、口調がそれを全力で否定している。
 本人がそれを、自覚しているかどうか知らないが、ルナマリアほど、
シンを気にかけている人間はいるまい。
<シンのことはともかく、ルナマリア>
<何?>
<シグーは久々だろう? ザクとは違って、下からも撃たれるぞ。注意しろ>
 あえて釘を刺す。気が急いていると、不覚を取る可能性が高くなる。
 それに、アカデミーの訓練では散々乗ったとはいえ、飛行機体は最近、ご無沙汰のはずだ。
機体が変われば、多くのことが変わる。
<分かってるわよ。・・・大丈夫、ご心配なく!>
 心配性ね、とでも言いたげにルナマリアが笑う。
<ならいい>
 レイは視線を前に戻した。
 ルナマリアの乗ったシグーと、グゥルに乗ったレイのザクは一路、インパルスが
交戦しているとみられるポイントへと向かった。
227通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:34:50 ID:???
「ようやく終わったかよ!」
 悪態をついて、スティングはカオスに飛び乗った。補給もろくに受けず出て行ったという
ステラのガイアが気になって仕方がない。
<な〜に、考えてんだか? あの馬鹿は!>
 モニターにアウルの顔が映る。
<俺が知るか!>
 何はともあれ、早く行ってやらなければ・・・。
 妹分の安否に気をもみつつ、二人は手早くシステムを立ち上げた。
<スティング・オークレー、カオス、発進する!>
 カオスが飛び立つ。
 それにアビスが続こうとした時。
<ニーダ少尉!>
ドミニオンから通信が飛び込んだ
<何だよ!?>
 苛立ちの色を隠そうともせず、アウルは怒鳴る。
 それに対し、表情にさざ波一つ立てることなく、モニターの中の黒髪の女
――ナタルとかいった――が口を開く。

<貴様の指揮は一時的に私が取ることになった>
<はあ? ネオは?>
<ロアノーク大佐には許可を頂いている。貴様には、ザフトの母艦を叩いてもらう>
<――母艦を?>
<そうだ。貴様の働き如何によって、この戦の趨勢が変わる。いや、この戦の趨勢は
貴様が握っているといっても過言ではない>
 
 ――へえ・・・
 
 アウルの顔に笑みが浮かぶ。どうやら、かなり重要な役割らしい。
 面白そうだ。
 ステラは気になるが、そっちはスティングに任せておけば大丈夫だろう。
<分かったよ>
<結構。尉官として義務を果たせ>
<はいはい・・・。アウル・ニーダ、アビス、出るよ!>
 アビスは再び海へと消えた。
228通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:37:43 ID:???
「ここね・・・」
 痛む身体をなだめすかし、ようやくフレイは指定ポイントにたどり着いた。
しかし、そこには何もない。辺りを見回す。
 突如、風が吹いた。
 渦巻く突風が、フレイの髪を大きく波打たせる。フレイの目が、降下してくる巨大な真紅の機体に、
吸い寄せられた。

まず、目を引くのはその巨体。常のMSの一回り、いや二回り大きいか。
次に、その独特の形状。
両肩に長短一門ずつ計4門の砲。右腕のスピア。そして、左椀の小型ラウンドシールド。
鎧をまとったような二重装甲。
 本来なら、鈍重な印象を感じさせたことだろう。
 だが、ほとんどが三次曲面で構成された、流線型のボディと脚部。そして、横に大きく広がった、
肩の装と二枚の翼は、見る者に蝶をイメージさせ、美しい真紅の装甲色とあいまって、芸術性さえ、
感じさせる。
 鉄壁の防御と優美さ。相反するはずの二つが見事に融合した機体だった。
 見つめるフレイの眼前に巨人が着地。コクピットが開いた。
 パイロットがコクピットの縁に足をかける。ところがフレイを見て、何故かその足を止めた。
そのままヘルメット越しにフレイを凝視している様子が見て取れる。
 フレイの顔に苦笑が浮かんだ。
 確かに、自分のような全身で未熟を主張しているパイロットを見れば、驚くだろうとは思う。
 でも、
「あの! 驚くのはわかりますけど・・・。やることをまず、すませてしまいませんか?」
私、できる限りお手伝いします!」
 ノンビリしている暇はない。
 フレイの声にパイロット身体がピクリと動く。そして、ためらうような、信じられないと
いったような・・・。そんな風に頭を振った。
 更に数瞬の逡巡の後、パイロットは機体を降り、歩み寄ってきた。歩きながら、
ヘルメットに手をかけ、外す。
 フレイの目が、大きく見開かれた。
 驚愕と困惑。懐古と痛み。喜びと後悔。ありとあらゆる感情がごちゃ混ぜになって、
フレイの胸を埋め尽くした。
「・・・サイ」
 唇から漏れた声は震えていた。
 フレイは、自分が今どんな顔をしているのか、心から知りたいと思った。

 フレイとサイ。
 周囲を死と破壊が埋め尽くす修羅の庭での再会であった。
229通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:41:28 ID:???
<ディアッカぁ!>
 叫ぶと同時に、イザークはデュエルを全速で突進させた。
<OK! イザーク!>
 バスターが砲身を連結させ、加速された榴弾がォビドゥンに向かって高速で殺到。
対してフォビドゥンは両碗を素早く機動。両肩のシールドが壁となって榴弾の前に立ちふさがる。
壁の上で連続の小爆発。衝撃は殺しきれず、フォビドゥンがよろめく。
 その隙にデュエルはフォビドゥンに肉薄していた。
「ゼアァァ―――ッ!!」
 イザークの雄叫びともに、抜き放たれた対艦刀の刃が超高速で弧を描く。
ガギィィィ、という耳を劈く異音。対艦刀の刃がフォビドゥンの盾の表面を削り取る。
盾の表面から赤い火花が、血のように噴出した。
「イィィヤァァ―――ッ」
 続けて、スラスターを吹かし蹴撃。白い一本の矢となって、デュエルが迅った。
 轟音と衝撃。
 鉄の巨人同士の激突の衝撃が、大揺れとなってコクピットを揺さぶる。
 加速の乗った大重量の一撃に、フォビドゥンが弾け飛び、ついに決定的な隙をさらした。
 
 ――とどめ

 だが、最後の一撃を叩き込もうとした刹那、下方から浴びせられたビームの猛射に
イザークはやむなく身を翻えす。
 下方にカラミティ。
 左腕から雨の如きビームを放ち、続いて、両肩の二門砲が動きだす。
「チィ!」
 舌打ちと同時に、回避運動。左とみせかけて、大きく右に機動。
 急激な方向転換に胃がムカつく。
 が、
 
 ――読まれていた
 
 カラミティの両肩の砲口と目が合う。盾を翳す。
「何ィ!」
 盾を襲ったのは爆発の大揺れ。肩の照準は囮、本命は右椀のバズーカでの一撃。
暴れ馬のように暴れ狂う機体の手綱を必死に取リ直す。と、コクピットに警告音が響く。
 メインカメラーに突進してくるフォビドゥンが映った。
230<15話(後半)>:2006/06/26(月) 10:45:30 ID:???
「こいつ!」
 ディアッカは、デュエルに猛射を加えるカラミティに照準を合わせた。
 今度こそ・・・

 ――ぞくり

 背に氷塊が落ちた。
 激戦をくぐりぬけたパイロットの本能が叫んだ。咄嗟にメイン・サブカメラに目を走らせる。
フォビドゥンが胸部の向きは――
 バスターを全速機動。急
 機動に猛烈なGが襲い、吐き気が込み上げる。が、その吐き気は、背後の空間を貫いた、
光の弧を見て、急速に収束した。
「あぶねえなあ・・・」
 吐息とともに軽口を吐き出す。だが、その口調は自分でも嫌になるほど掠れていた。
 危うかった。
 先の大戦で、あの機体のビームの軌道を何度も目にしていなかったから、
かわせたかどうか――
「イザーク!」
 よろめく、デュエルが目に飛び込む。カラミティのパイロットが、バスターの
照準に気づかなかったはずはない。
 しかし、フォビドゥンがこちらに牽制をかけることを信じ、回避行動を取らなかったのだ。
 何たる信頼関係か!
 連携という言葉とは無縁だった、あの三機。しかし、二年の歳月は、彼等を、先の大戦の時よりも
更に恐ろしい敵に変えていたのだ。
 その事実にディアッカの胸に戦慄が走る。
「だからって、びびってられるかよ!!」
 気合の声を上げ、ディアッカはカラミティに挑みかかった。
231通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:51:03 ID:???
「お前ぇぇぇ!」
 目を血晴らしせ、絶叫を上げながらシャニは戟を思い切り叩き付けた。
 ごがっ。
 檄の柄がデュエルの盾に叩きつけられ、打撃音が響く。
「うらぁぁぁ!!」
 椀部のパワーを全開。駆動音が高鳴る。不自然な体勢では、支えきれず
今度はデュエルの方が吹き飛んだ。
「えぇぃ!」
 胸部の誘導プラズマ砲を照準。誘導方向を決定。演算・計測。発射。
 しかし、光がデュエルをなぎ払う前に、デュエルが回転。頭部を下に、
逆さまになった。
 驚愕で目を見開くシャニの目線の先、光の弧は、虚空を空しく薙ぎ払う。
 同時に、デュエルの肩のレール砲が動いた。
 翳した肩部のシールドに再び衝撃。レール砲の一撃でフォビドゥンが、わずかによろめいた隙
をついて、頭部を逆さにしたまま、デュエルが下方から高速で迫る
 かっ、と噛み締めたシャニの奥歯が音を立てた。
 フォビドゥンの檄が振り上げられ、疾風の刃がデュエルに向かって落ちる。次の瞬間、
凄まじい衝撃が機体の両腕を襲い、腕部の内部機構が悲鳴を上げた。
 対ビーム加工の施された刀と戟の、刃と刃の実体部分が激突。
 実体部分にも刃はある。
 しかし当たる角度が適切でなければ、断ち切ることはできはしない。ギチギチと刃が摺れる異音が轟き、
碗部が酷使に異音で抗議を発する。
 シャニの顔に凄絶な笑みが浮かんだ。
 右手を離すと同時に、機体を少し回転。敵機がわずかに前に泳ぐ。左手首を捻る。
戟の石突部分が弧を描いて敵の頭部に突進。敵が反応。盾で受け止められる。
 狙い通り。
「はぁぁ!」
 右手で再び戟の柄を握り、柄を高速で回転させながら石突を突き出す。猛烈な回転は敵の盾
を弾いて敵の頭部を掠め、装甲を抉った。
 昆術の、技纏絲勁、という技に酷似している。
 もっとも、シャニはそんなことを知らない。
「・・・お前、強いね。けどこの二年、遊んでたわけじゃないんだよ!」
 だが、その言葉が終わるか終わらないうちにデュエルは、再びスピードを上げて
フォビドゥンに斬りかかった。
 シャニが、獣の笑みを浮かべ、戟を振りかざして迎撃。

 刃の煌きが飛び交い、血の如き火花が空を染める。飽くなき主の闘争心を宿し、
二つの巨人は死と破壊の剣舞を舞った。
232通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:57:50 ID:???
「くっ・・」
 Gに耐えて急速降下しつつ、機体を操作。セイバーが変形。下方の敵めがけて、
腰の長大な二門の砲、M106プラズマ収束ビーム砲から、光の本流が炸裂。
 だが、レイダーが螺旋の動きで、ビームをかわしつつ急上昇。レイダーの爪が閃いた。
「ぐうっ!」
 機体の右肩に衝撃。
 致命傷は受けなかったが、浅くもない。歯軋りしつつ、MA形態に変形。
 しかし、黒い機体は疾い。
 セイバーが、M106プラズマ収束ビーム砲を発射。続いて、MA-7Bビーム砲を放つ
レイダーが高速で旋回。光条が貫いたのはレイダーの遥か後ろ。
 あのスピードであのブレイク角!
(今の俺では、ついていくだけで精一杯だ・・・)
 心の中で呻く。
 前大戦で、ミーティアの猛射をかわし、長大な刃を尽く摺りぬけたあの機体とパイロットの技術。
衰えるどころか磨きがかかってすらいる。対する自分は――
「ええい!」
 ともすれば込み上げる弱気を振り捨て、アスランはレイダーを追う。
 スピードがぐんぐん上がり、視界が狭まる。
 レイダーが右に旋回。今度は左。
 集中力の手綱を緩めればすぐに敵機の前に飛び出してしまう。照準して攻撃する余裕を
与えてもらえない。
 敵が上に跳ね上がり、視界から消える。バレルロール。螺旋の動きで、進行方向
を変えずに減速して敵を自分の前に押し出す技術。こちらは急制動で減速。
「ぐぅあ・・」
 Gが身体を付きぬける。内臓が口から飛び出しそうだ。
 警告音。

 ――敵機が真後ろにいる。

(馬鹿な!)
 驚愕がアスランの胸に満ちる。これ程の減速に耐えられる人間など、ザフトの中にも何人いるか?
弾丸が後ろから連続で放たれ、セイバーを掠め前方へとぬけた。
「ぐ・・う・・・」
 このままでは撃墜される。
 無理矢理機体を減速してMS形態を取り、盾を翳す。
 Gが再度襲い、胃と肺が同時に軋む。必死で奥歯を噛みしめ、敵機を見据・・・

 ――いない
 どこだ。敵は
 
 警告音とほとんど同時だった。
 背後から衝撃と轟音。セイバーが大揺れに揺れる。身体があちこちに叩きつけられる。
計器に赤いランプがいくつも灯って損傷を自己申告。
 敵機はこちらの動きを見切り、減速せずにセイバーの後ろに回りこんだのだ。
 敵機が変形。右腕から破砕球が放たれる。
 一直線にセイバーに迫る、禍々しい球体が、セイバーのメインカメラを埋め尽くした。
233通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 10:59:57 ID:???
 
 ――その時
 
 時が止まった。全てがスローになり、頭に灼熱が生まれる。

 ――この感覚は・・・。
 
 前大戦の最中、何度か訪れたあの感覚。

 ――狂戦士の猛攻が、眠っていた超戦士の血を呼び覚ます

「お・・・。うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 アスランの頭の中で灼熱が弾けた。
 口から漏れた声は、雄叫びに変わる。全身に力が漲り、視界が一気に広けていく。
頭の先から足の爪先まで、自分の身体の関節の駆動、筋肉のきしみをミリ単位で感じる。
 破砕球が迫る。のろい。
 身体の動きが意識についてこないのがもどかしい。
 急速機動。
 セイバーを後方回転。オーバーヘッドの要領で破砕球を蹴る。破砕球と接触した、
脚部から伝わる振動を感じ取る。繊細に。精密に。破砕球の力のベクトル変え、後ろへと流す。
 一回転したセイバーの頭部カメラに、再びレイダーが映った。
「お前を・・・。討つ!」
 低い声で宣告。
 スラスター全開。排気音が爆発的に高まる。
 燃え上がるように赤光を放ち、セイバーはその業火で黒い鳥を焼き尽くさんと、
光の軌跡を引いて、襲い掛かった。
234通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:05:24 ID:???
「何だよ、そりゃ!?」
 あまりの光景に、クロトは絶叫を上げた。
 何をどうやったら、あんな曲芸のような真似ができるというのか? だが、驚いている暇もない。
 赤い機体が身を翻すと、一気に突っ込んで来た。速い。
「必・殺!」
 レイダーの口部から光が迸る。赤い機体が左に起動して回避。右腕を引き戻し、
破砕球を呼びよせつつ左腕を前方に突き出す。照準。2連装52mm超高初速防盾砲が火を噴いた。
 しかし、赤い機体は飛燕の如き滑らかな動きで回避。
 速度を落とすことなく一気に肉薄して来た。
「なっ・・・。てめえ!!」
 油断。
 動きが先程までとまるで違う。焦燥が胸を焼く。
 放つ間もなく、握った状態で、クロトは破砕球を迫る赤い機体に叩きつけた。敵が盾を翳す。
 衝撃。
 軽い・・・。否、軽すぎる。
 カメラに映ったのは、吹き飛んだ敵機の盾。

 ――盾のみだった。
235通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:08:26 ID:???
 どこへ消えた?
 
 ――下

 敵の右手にビームサーベル。光の白刃が見る見るうちに大きさを増す。
「くぅあ!」
 レイダーの右脚が弧を描いた。その爪先には輝く刃。『カオス』の機構を解析して作られた
レイダーの新武装。不意打ちのはず。
 が、敵機は仰け反るようにして刃をかわした。しかし、流石に動きが乱れる。
その時、間をおかずして、赤い機体を数条の光が襲った。
 その隙に、MA形態に変形し、レイダーは風を撒いて天空に駆け上がる。だが、
安堵しつつもクロトの眉間には皺が寄っていた。
「どうにも・・・。接近戦じゃ分が悪いみたいだねえ」
 憎悪を込め肩越しに、赤い機体を見やる。
<苦戦してるじゃねえか! クロト>
 通信が飛び込む
<余計なことすんな! オルガ!>
<あ? 結構ヤバイように見えたぜ?
 嘲笑うようなかのような口調。けれど、その声には――隠されてはいたが確かに――
安堵するような響きがあった。
 それを感じ取り、クロトの胸にわずかな温もりが生まれる。
<けっ! ま、一応借りってことにしといてやるよ。外れた弾が偶々飛んできただけにしてもね>
 しかし、それを正直に表せるほど素直ではないのが、クロト・ブエルという男。
『アンタ達って、仲良くならないように仲良く協力しあってるみたいね』とはフレイの評だ。
<借りって思うなら、早く返しな! 増えちまうぜ?>
<利子つきとは、お優しいことで!>
<勘違いすんな。利子はゼロでも、元が増えるだろ? お前の腕じゃよ!>
 言うだけ言ってオルガは通信を切った。
 苦笑と微笑を同時に口元に浮かべた後、クロトは、再び迫ってくる赤い機体に射抜くような視線を送る。
 そして、もう一度笑みを浮かべた。悪鬼の笑みを。
「もう油断なんてしてやらないよ!」
 
 黒い疾風と赤い閃光が激突。
 黒鳥の爪が閃き、赤い巨人の刃が光の太刀筋を空に描いた。
236<16話(前半)>:2006/06/26(月) 11:13:29 ID:???

 ――最後に見たのはいつだったろう?
 
 目の前で胸に手を組み、下を向くフレイを見ながらサイ・アーガイルは思った。
時々遠くで鼓膜を震わせる爆発音も、何故か気にならない。
 最後に顔を見たのはアラスカ基地。自分だけ別の所に行くのは嫌だ、そう叫んで
泣いていた。すがる様な目で自分を見ていたフレイ。
 その時の自分はただ、見ていることしかできなかった。

 ――いや

 知ったことか。そうも思っていた。不安で泣き叫んでいたフレイを見て、自分は
暗い喜びを感じていなかったか?
 裏切ったフレイを許すことができなかった。
 自分が一体何をした!? 打ち消しても打ち消しても込み上げる疑問。フレイの理不尽な
行動に対する憎悪。
 そして・・・。
『やめてよね。本気でケンカしたら、サイが僕にかなう筈ないだろ!』
 この言葉を思い出す度に、敗北の屈辱と嫉妬で心が焼き切れそうだった。一時でも想った子が、
他の男――友達と思っていた――と共にいるのを見る苦痛。
 今ですら、かすかに苦い思いが込み上げる。

 ――それでも

 今なら分かる。
 あの時の自分では、フレイを受け止めることなどできなかった。負った傷の深さも、悲しみも、
怒りも。何一つ分かってやることができなかった。
 支えるどころか、寄り添うことすら自分にはできなかった。
 
 ――キラのこともそうだ
 
 キラの苦悩について、自分は何を知っていた? 考えた? 友達面をしていたくせに、
考えようともしなかった。自分の奥底にある、キラへの嫉妬と恐怖、差別する心と、
向き合うこともしなかった。
 上辺の付き合いに逃げていた。
 結局のところ、自分はいい友人、いい恋人を演じていて、それだけだった。
 普通ならそれで十分だったかもしれない。でも、あの時、あの場所ではそれでは足りなかった、
そういうことだと思う。
 そして一歩踏み込んでいくには、自分は臆病で余裕もなかった。
 ただ、自己弁護が許されるなら、それはキラもフレイも同じだったという事だ。
 自分達は、どうしようもなく子供で、未熟だった。愛を与えるより求め、支えるより
支えを欲していた。
 自分のことだけで精一杯だった。
 大きく息を吸って、吐く。すべてのわだかまりが、出て行くことを願って。
 細心の注意を払って、サイは言葉を紡ぐ。

「――元気、そうだな。フレイ」
237通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:18:39 ID:???
 『元気そうだな』
 2年ぶりに聞いた声は、あの頃と変わらず穏やかだった。フレイは思わず顔を上げた。
 涙にぬれたフレイの瞳にサイの柔らかな笑顔が写る。サイ・アーガイルは昔と同じように、
優しく微笑んでいた。
 二年の間、サイにあったら、あれも言おう、これも言おう、そう思っていた。けれど、
二年間積み重ねてきた言葉はアッサリと、どこかに消失してしまった。
 感情があふれ出て言葉にならない。涙だけがとめどなく溢れてくる。
 それでも。
 これだけは、絶対に――そう思い続けていた言葉をフレイは必死で口にする。
「・・・ごめんなさい、サイ・・・」
 言葉に出した瞬間、また涙があふれた。

 ――どうして

 どうしてあなたは、そんなに優しいの? どうしてそんな顔ができるの? 
 この二年、自分のしたことと向き合う日々だった。何かの拍子にふっと込み上げてくる
自己嫌悪の思い。
 いかに自分が身勝手でどうしようもなく醜くかったかを思い知らされる毎日。
 なのに、拒絶を恐れてもいた。
 許してもらえなかったら? 拒絶されたら? そう考えると怖かった。
 
 ――そんなことを考えてしまう自分が嫌だった
 
 自分は許してもらえなくて当然なのに。
 まだ、キラやサイに甘えている自分に気づく度に、更に自分が情けなくなった。
なのにサイは、また優しい笑顔で自分を気遣ってくれる。こんな自分を・・・。
「ごめんなさい・・・ごめ・・・なさ・・・」
 赤ん坊のように泣きじゃくりながら、フレイは言葉にならない言葉を繰り返した。
238通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:21:41 ID:???
 泣きじゃくるフレイを、サイは困ったような顔で見つめ、そっと抱き寄せ、優しく抱きしめた。
サイの胸の中でフレイは嗚咽をあげる。
「もう・・・いいんだ。分かった。分かったから――」
「でも・・・でも! 私・・・私は!」
 腕の中でフレイが何度も首をふった。そっと、身体を離し、サイはフレイの顔を正面から見つめた。
「・・・ずっと、辛かったんだな」
「そんなこと! サイの方が私なんかよりずっと!」
「だから・・・。もう、いいんだ。そうやって思ってくれたってだけで十分だって」
 たまらなくなって、フレイはサイの胸に飛び込んだ。感情が高ぶって暴れてどうしようもない。
「ありがとう・・・」
 嬉しい。
 こんなこと思ってはいけないのかもしれないけど・・・。でも嬉しかった。嬉しいと感じて
しまう自分が何か、申し訳なくて――
 その時、サイがフレイを強く掴むと、思い切り押し倒した。
「サっ・・・サイ!」
 思わず声を漏らすフレイを、かまわずサイは地面におしつける。フレイの鼓動が跳ね上がった。
 次の瞬間、フレイとサイの上を、巨大なシグーの影が通り過ぎていった。
「フレイ。・・・どうやら、ゆっくりと再会を噛み締めるってわけには、いかないみたいだ」
 サイが、顔を少しこわばらせてフレイを見、少し驚いた顔をした。ポケットを探って、
ハンカチを取り出す。
「顔・・・吹いた方がいい」
「・・・あ、ありがとう」
 多分、涙とドロですごいことになっているのだろう。フレイは慌てて顔をぬぐう。案の定、
ハンカチはかなり汚れてしまって・・・
 きまり悪そうにサイの方を見ると、サイが少し微笑し、釣られてフレイも始めて笑みをこぼす。
どちらからともなく、噴出す。もう止まらない。
 二人は声を立てて笑いあった。
 数瞬の後、サイが立ち上がりフレイに手を差し出す。一瞬ためらって・・・。フレイは
その手を握った。
 立ち上がりながら、フレイはぎゅっとサイの手を握り締める。サイが強く握り返した。
239通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:36:43 ID:???
「・・・俺の受けた命令は、この場所にいるフレイにこのMSを渡せ、だったんだけど・・・。
本当にフレイが乗るのか?」
 MSに向かって歩きながら、サイがフレイに訊ねた。
「ええ。――そんな顔しないでよ。やってみせるわ!」
 フレイは力強くハッキリと答えた。
 心が軽い。
 こんなにも、心が軽いのはいつ以来だろう?
 今から自分は、もう一度あれに乗って戦わなくてはならないというのに・・・。
 会えて良かった。ここに来れて良かった。心の底からフレイは思った。
(生きたい・・・)
 今は素直に、前よりもっともっと強くそう思える。
 サイともっと話がしたい。オルガ達とまた、馬鹿なことを言い合いたい。ナタルさんの顔が見たい。
ステラと――
 そう、ステラ。
 自分の攻撃が少しは役に立ったらしく、あの白い機体を相手に、有利に戦っていた。
けれど、あの後どう状況が変わったか分からない。
 早くいってあげないと――
 心が高揚している。
 今の自分になら何でもできる、そんな気がした。

 ○ ● ○ ●
 
 MSに向かって歩きながら、サイはチラリとフレイの横顔を盗み見た。
 本人は気づいていないだろうが、MSに近づくにつれ、フレイは、
さっきの、泣いていた少女とは別人になりつつあった。
 死線を越えたパイロット特有の「気」みたいなものが漂い始めている。
 甘い世間知らずなお嬢様の顔ではない、凛々しさを感じさせるその横顔。
(変わったな・・・フレイ)
 サイはしばし、フレイの過ごしてきた歳月に思いをめぐらせた。
240通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:39:08 ID:???
「――複座型!?」
 フレイは素っ頓狂な声を上げた。
 ゲルスゲーやザムザザー等、複数で制御するMAが試作機として生産され始めてはいるが、
MSではまだ、聞いたことがなかった。
「まあな。こう言っちゃなんだけど、この機体は出力と運動性能が桁外れでさ。しかも、
火気管制が複雑なIWSPまで搭載しちゃってるから・・・」
 フレイの顔が思い切りしかめられた。
 確かに、一人で行うとしたら自分の手にはあまりそうだ。
 IWSP。
 あれ程複雑な火気管制機構を、機体の制御と同時に操るのはのは、自分にはまだ無理だ。
「ええと・・・。じゃあ、サイが火気管制。機体の操縦は私がやるわ。それでいい?」
「頼む。俺の操縦だと、いくつ命があっても足りないだろうし」
「分かったわ」
 サイがシステムを立ち上げる。
「あのさ・・・」
「何?」
「さっきも言ったけど、この機体はパワーが半端じゃない。だから、リミッターがついてる。
俺はさっき、そのモードで操縦してきたんだ。けど、運搬用のために作られたものだから、
そのモードだと、運動性がウィンダムより大分落ちてしまう。それじゃまずいよな?」
「当たり前じゃない! 的になりに行くようなものよ」
「そう・・・だよな。ゴメン」
 サイの口調に、フレイの胸に一抹の不安が刺す。そんなフレイの心情とはお構い無しに
立ち上げは続くいた。
241通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 11:41:45 ID:???
 Generation
 Unsubdued
 Nuclear
 Drive
 Assault
 Module...

モニターに文字が踊った。サイが後ろの砲主席に座りなおす。
 爆音が轟いた。
 機体に命が宿り、スラスターが雄叫びを上げる。
「何よ、これ・・・」
 計器の数値とコクピットに伝わる振動、全てがウィンダムとはまったく違う。
 初めてウィンダムに乗った時、暴れ馬に乗ったような気持ちを味わった。
 だが、それとは桁が違う。
 この機体はまるで猛獣だ。鎖につながれた猛獣が暴れて鎖を噛み切ろうとしている、
そんな風に感じる。
 掌にじんわりと汗が滲む。不安を振り払おうと、
「――サイ、この機体、何て名前なの?」
 後ろを振り返ってサイに尋ねる。
「ストライク・スピア。ストライク・ルージュの後継機」
「ストライク・・・」
 フレイは呟いた。
 キラの乗っていた機体と同じ名前を持つ機体。それに自分が今、乗っている。
何だか不思議な気持ちがした。
 背後の翼が展開する。
「――サイ。行くわよ?」
「いつでも!」
「ストライク・スピア・・・行きます!!」
 スラスターが大きく叫んだ。ストライク・スピアの巨体がふわりと浮きあがる。
 
 
 そのまま前方に直進し、立ち木に激突して横倒しになった。
242222-241:2006/06/26(月) 11:42:38 ID:EYMawG3R
今日は以上です。
243通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 14:29:35 ID:???
激しくGJ!!!
244通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 19:52:13 ID:???
GJGJGJ!!!!!!
245通常の名無しさんの3倍:2006/06/26(月) 23:12:30 ID:???
サイフレになってしまうのか気が気でないが、とりあえずGJ
246通常の名無しさんの3倍:2006/06/28(水) 18:40:30 ID:M+yEtzWV
保守
247通常の名無しさんの3倍:2006/06/29(木) 03:02:54 ID:???
ここはIF系スレだと思うので、フレイが生存、復活することの
メリットを前スレから拾ってきたり、考えたりしてみた。
あんまりまとまってないですが・・・。


1.ナチュラルであるということ。
 本編ではあまり触れられなかった、ナチュラル側の視点が増える。
 それにより、強者の論理でない立場で(キラもシンも強者には違いないので)
 ナチュラルVSコーディーが描くことができる。
 
2.戦火に翻弄される一般人としても書けるし、コーディネーターとの才能の差を埋めようと
  苦悩する主人公としても書ける。

3.ナチュラルであるが故、主役を張るにしても脇役でいるにしても、
 パイロットになろうが、どこかで保護されていようが、ジャンク屋になっていようが、
 何をどうやったところで、本編ではあまりなかった「努力と根性」、「挫折と成長」
 「埋められない才能にどう対抗するか」いう要素が入ってきて、人間ドラマに深みがでる
 
4.本編では尻切れトンボになった、キラ、AA組との再会、和解を補完できる

5.キラに与える影響が、とにかく絶大なので、キラが本編のような行動をとらなくても
  説得力が出る。

6.フレイが生きているとなると、ドミニオンクルー達が丸ごと生きているという設定もありえるので
  その場合、ザフトのパイロット達、AA組も苦戦必死で余裕こけない。
  シンを主人公として書くとすると、強敵は多いほうが良い。また、シンとフレイは境遇が似ているので
  シンが自分を見つめなおすきっかけとして使えるかもしれない。
248通常の名無しさんの3倍:2006/06/29(木) 13:04:47 ID:???
>>247


俺は別スレから拾ってきた

フレイ=アルスターとは?

(*1)大西洋連邦事務次官:各省に一人ずついる官僚のトップが事務次官であり、そしてジョージは大西洋連邦の事務次官って事は・・・・・
実質の文官のトップじゃねぇかオイ!? フレイってホンマもんのお嬢様だったようで

(*2)ララァ・スン:当時はこのことから、フレイ=高度のNT論へと発展、某フレイ避難所のSSスレは大賑わいを見せた

2は、アニメ最後のララァ化の事から出てきた設定、というか妄想だな

ちなみに、事務次官は

各省におけるキャリア官僚のトップであり、官僚主導である日本の政治において実質的な最終決定権を有するとも言われる。
任期は慣例的に1年〜2年であり、重任は稀である。
官僚の出世レースのゴールであり、一般に同期入省又は後年入省の事務次官が誕生すると、同年次のキャリア組は一斉に退官する。

とのこと
更に大西洋連邦はアメリカが更に領土を拡大したような国で
世界の中心
で、そこの事務次官の娘で・・・・・・
アホかってくらいトップクラスなお嬢様だな
249通常の名無しさんの3倍:2006/06/30(金) 23:45:22 ID:???
ほっしゅ ほっしゅ
250通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:36:00 ID:???
PHASE-13 「天空の鬼神」

アークエンジェルは取り敢えずユーラシアの西側へ向かう事にした。少し前にミネルバが救い出した地域である。
「紛争は治まってきたが、連合がまた再び侵攻しているらしい」
食堂でノイマンがチャンドラやカズィと話している。
「あのミネルバが救ったんだよな・・・」
ロドニアでは艦同士の戦いこそなかったが、もし戦う事になればお互い被害は大きいだろう。
「でも、今度のディオキアではいたとしても攻撃されませんよね?」
デュランダルなら交渉、あるいは排除をしただろうがラクスが議長になった今、そんな心配は要らない。
「まあな。だが、ラクスはなぜ連絡してこない?」
最大の疑問である。宇宙に上がる時も、議長就任後も一通も連絡はない。
「忙しいんだよ。ラクスもさ。」
お気楽なチャンドラだが、自分の判断が正確であったか否かはもう少し経ってからわかる。

キラは納得がいかないため、パソコンで"SEED"に関する事を自分なりに調べていた。
「フレイのあの動き・・・」
思いもがけない戦法を瞬時に考えだし、実行したあの判断力は常人では不可能である。
「・・・ダメだ。どれも研究資料と定義ばかり・・・実例は載っていない。」
SEEDはキラでさえ理解できてはいない。ムシャクシャしたキラはトレーニングルームに行ってみた。
「フッ!!」
ベンチプレス65kgを持ち上げてみた。
「くっ・・・ふう・・・あ・・・」
7回、8回と回数が重ねられていく。
「強くならないと・・・」
フレイが帰ってきてから、キラは毎日体を鍛えている。護ると約束したフレイを護れるように、体力を気に掛けていた。
「ふぅ〜・・・もうカガリには勝てるだろ・・・」
251通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:39:30 ID:???
トレーニングルームから出て、フリーダムの調整に向かう。コクピットに入ろうとしたら、中にはフレイが入っていた。
「あれ?フレイ、なんでここに?」
「いえ・・・どうなってるのか知りたくて。やっぱりストライクとは違いますね〜。」
フレイは好奇心旺盛にコクピットを見ている。
「・・・動かしてみる?」
「え・・・?」


「すごい・・・機動力もエールやリダンなんかより・・・」
マリューに許可を貰い、OSをナチュラル用にしたためフレイは不自由なく機体を動かしていた。
「キラさんはいつもこんなの動かしてるんですね〜。すごいなぁ・・・」
「墜ちた時は大変だろうけど・・・」
キラも隣でフレイにアドバイスしながら、手つきを見ている。
「・・・(大きいなあ)」
違う。キラとて男だ。好きな女の子が近くにいて感情の揺さぶりがないはずがない。見ていたのは手ではなく、胸だった。
「・・・(昔から巨乳だったけど・・・)」
キラの鼻息は荒くなり、それはフレイにも聞こえるくらいにまでに達していた。
「キラさん?キャアア!!」
急に鯨が海から出現し、フリーダムの前に立ちふさがる。
「フレイ、右に!!右にーー!!」
「くっ・・・」
なんとか避けたが、キラは頭を打ってしまった。
「痛ッ!!」
「ごめんなさい・・・大丈夫ですか?」
「大丈・・・」

プニッ
252通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:39:36 ID:???
今から投票を行います。
賛成の方は賛成と反対の方は反対とレスしてください。
・投票期間は2006年7月1日0:00から2006年7月16日24:00までとします。
・投票の公正さを保つためメール欄は省略してIDを表示してください。
(1ID=1票とします。)

投票の過半数が得られた場合ローカルルールの変更を管理者に申請します。
投票しない場合は棄権したということとみなさせていただきますので投票忘れのないようご注意願います。

投票、問い合わせは以下のスレにお願いします。
【問い合わせ先】
自治っ子22 保守してください (リンク先は順次更新されますがご了承願います。)
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1151254359/

自治っ子代表 

ローカルルール案
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253通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:43:35 ID:???
「??。何だ、この柔らかい感触は・・・」
あまりに柔らかいので手を握り、また擦ってみたりもした。顔を上げると、フレイが顔を赤らめて下を向いていた。
「・・・はっ!!。これは・・・まさか・・・」
徐々に自分の手に視線を向けていく。キラの嫌な予感は的中していた。フレイの胸がキラの手の上に乗っていたのだ。
「!!!?。ごごご、ごめん!!」
急いで手を離すキラ。フレイも反射的に腕で胸を隠すような状態になる。
「やっぱ大きいんだね・・・」
終わった。何をいったい言っているんだ。もっと別に言う事があるだろう。
「いいですよ・・・」
「は?」
「キラさんなら、いくら触っても・・・」
大胆すぎるフレイの言葉にキラの理性は98%が吹き飛んだ。
「じゃあ・・・あと一回・・・一回・・・」

ピピピピピ・・・

「!!」
フリーダムのコクピット内で警告音が鳴り響く。前方を見ると連合と思われる艦隊が見える。
「地球軍の!?」
「それも空母が・・・1隻や2隻じゃない・・・少なくとも10隻はある・・・」
イージス艦も合わせれば25隻はある。しかも進む方向はアークエンジェルがいる方向である。
「まさか・・・」
キラとフレイはアイコンタクトをすると急いでアークエンジェルに戻った。

「そう・・・」
「たぶん、気付いてると思います。」
マリューと話しながら、キラはOSを自分用に戻す。
「でも、あちらが撃ってくるまではこちらから撃つような真似はしない方がいいでしょう。」
「そうね。」
回線を切り、艦内全体に放送する。
「総員第一戦闘配備!!」
254通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:45:49 ID:???
連合の艦隊の中にはネオとスティングの姿があった。
「スティング、行けるか?」
「ああ・・・アウルの仇だ!!」
スティングはロドニアから一度も"揺りかご"には入っていない。自らの意志で入るのを拒んでいた。
「よし、天使狩りだ!!」
艦隊はアークエンジェルの真上に差し掛かった。
「・・・魚雷を水中に!!」

「0時の方向から魚雷来ます!!」
「回避!!。上昇及び離水後、180度回頭!!」
雨のように魚雷が降り注ぐがアークエンジェルには一発も当たることなく離水に成功する。
「バリアント、コリントス、ってぇぇーー!!」
天使の矢のごとくイージス艦を貫いていく。連合はウインダムやザムザザーが大量に出動させた。そして、そこには新型のモビルスーツがあった。

パイロットルームではヤキン・ドゥーエ大戦も生き残った歴戦のパイロットのコバル・ドスタンがいた。
「中尉、モビルスーツ出撃準備が完了いたしました。」
「了解。」
いかにも親父くさい口調で出撃前だというのに酒を飲んでいる。
「ぷはぁ〜、さて行くかな。」
ドッグへ降りてくドスタン。
「やはり、足は付いていないのか?」
「はい。まあ、俺に言わせれば足なんか飾りです。偉い人にはそれがわからんのです。」
「そうか?。まあ、どうでもいいがよ」
コクピットに乗り込み、機体を機動させる。
「コバル・ドスタン、グラピッド出るぞ!!」
255通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:46:54 ID:???
連合艦隊より放たれた数多のミサイルがアークエンジェルに迫ってくる。
「迎撃しつつ回避!!」
「くっ!!」
イーゲルシュテルンがミサイルを爆破させていくが、全てを破壊できるわけではない。破壊を免れたミサイルはアークエンジェルに迫ってくる。
「迎撃急いで!!」
「間に合いません!!」
しかし直ぐにミサイルは全て破壊された。フリーダムの一斉射撃が一つ残らず叩き落としたのだ。
「右翼が薄いようです。そこを突破しましょう。」
「ええ。フレイさんも出撃できるかしら?」
フレイもストライクのコクピットで瞑想を行っていた。
「・・・行けます・・・。」
「フレイ?。大丈夫?」
元気がないようなのでミリアリアが問い掛けた。
「大丈夫・・・です。」
フレイにはさっきからどうも嫌な予感が頭を飛びかっている。
「何かしら・・・」
出撃したらきっと答えを知るだろう。でも知りたくない。知ってしまったら・・・
「ううん・・・考えるのはよそう。集中しないと・・・」

ストライクがカタパルトに接続される。
「APUオンライン。カタパルト接続。装備はIWSPを装備します。進路クリア。ストライク発進、どうぞ」
「フレイ・アルスター、ストライク、行きます!!」

「墜ちろ!!」
「!?」
ネオのリジェネレイトとコバルのグラピッドがキラに襲い掛かってくる。
「あのモビルスーツ、前の・・・」
ムラサメの時は大敗をきしたが、フリーダムならば負けない。そうキラは自信を持っている。
256通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:47:52 ID:???
GAT-04Y 「グラピッド」

M9409L ビームライフル
ES03 ビームサーベル
GAP111 単装砲
複列位相エネルギー砲 ガムザートフ×2
陽電子リフレクター発生シールド

ウインダムをフレームにザムザザーの技術を試験的に取り入れたモビルスーツ。
単装砲とガムザートフはバックユニットに装備されていて、破損しても換装が可能である。モビルスーツとされてはいるが、足は付いていない。
257通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:49:06 ID:???
「えいっ!!」
フリーダムがリジェネレイトに突っ込んでいく。
「な・・・いきなり?」
あの噂に聞くフリーダムがこんな単純な攻め手とは。
「少々がっかりだ。」
ビームサーベルを四本出し、フリーダムを斬り裂く・・・はずだった。
「何?」
いつの間にか両足が切られていた。ネオが視線を下に向けると、フリーダムはビームサーベルを抜いてはいなかった。
「そうか・・・翼に付いてるビーム砲で・・・」
突っ込んできたのもフェイントだったのだ。
「油断したよ〜。でもな、リジェネレイトはまだ終わらない・・・」
空母からカプセルが射出され、リジェネレイトのパーツが補充される。
「やはり強いな・・・"蒼翼の鬼神"。」

首を回し、狙いを絞る。
「フリーダム・・・やつは砲撃中心だ・・・ならば。」
グラピッドはガムザートフをフリーダムに向ける。
「墜ちろ・・・蚊トンボ!!」
高出力の証である赤い閃光が迫ってくる。ひらりと避け、フリーダムの構えを変える。
「スキュラ級の破壊力はありそうだ。早く決着をつけよう・・・」
グラピッドの頭部と四肢を狙い、フルバーストを放つ。
「やはりそう来たか・・・ハハハ!」
シールドをかざし、陽電子リフレクターを発生させてフリーダムの攻撃が弾かれてしまう。
「あれは砂漠で見たモビルアーマーのバリア機能?。」
フルバーストをも弾くリフレクターの防御力に驚くキラ。大火力をもって戦闘能力を奪うキラには苦手とする相手なのだ。
258通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:50:05 ID:???
「さあて・・・墜ちろ!!」
単装砲とガムザートフをフリーダムに向ける。
「ここだ!!」
砲撃を避けて、ビームライフルでバックユニットを撃ち抜く。
「なるほど、リフレクターが張られない瞬間を狙って・・・だが・・・」
ユニットを自切し、射出された同型ユニットを背につける。
「!?」
「ふふふ、残念だったな。」

「フリーダム・・・あれを捕獲しろ」
「・・・なぜ急に?」
アークエンジェルがオーブを出た頃、ジブリールはネオに特命を与えていた。
「フリーダムならばアズラエル氏が持ち帰ったデータで確認できましょう?」
「パイロットだよ・・・フリーダムを操るパイロットが欲しい。どんな犠牲を払っても構わん。」
ネオには捨て石のような兵士が生まれる戦い方には疑念を感じている。
「アークエンジェルは沈めて構わん。頼むぞネオ。」

ネオはミラージュコロイドを発動させ、機体を隠蔽されながらフリーダムに近づく。
「でえぇい!!」
フリーダムがビームサーベルでグラピッドに切り掛かるが、やはりリフレクターに弾かれてしまう。
「背後から・・・ダメだ。コクピットに当たる。」
とにかく殺さないようにしなくてはいけない。折角のチャンスを不意にしてしまう。
「ん?なんだ・・・うわっ!!」
感じた時には遅く、リジェネレイトのクローに捕まっていた。
「よ〜し・・・」
259通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:51:22 ID:???
ピキーン

「キラさん?」
キラのピンチを感じ取り、リジェネレイトに向かう。
「行かせんよ!!」
ザムザザーとウインダムの軍勢がストライクの前に立ちふさがる。
「邪魔よ!!」
対艦刀を抜いて、軍勢に突っ込んでいく。
「速い!!」
三種のストライカーの長所を持つIWSPのスピードはエールに匹敵している。対ビームコーティングされている対艦刀でビームを弾きながら、また敵を斬っていく。
「モビルアーマー・・・前は苦戦したけど・・・」
対艦刀で陽電子リフレクター発生装置を切り、レールガンと単装砲の零距離射撃を放つ。
「うわあぁーー!!」
ザムザザーは海に落ちると、その身が露と帰した。フレイはこの戦法で既にザムザザーを5機撃破している。
「キラさん!!」

ピキーン

「ぐっ!!またこのプレッシャーか・・・」
ネオはわかっていた。操縦技術では自分が勝るが、ストライクのパイロットは自分を超越する程の空間認識能力を持っていると。
「だが今は戦う必要はない・・・!!。」
フリーダムがバラエーナを撃とうとしているのが見える。ありえない。拘束してる状態で高出力ビームを撃ったら自分も・・・
「撃つつもりか?」
アームを解除し、モビルスーツ形態になる。バラエーナからビームが放たれた。
「本当に撃ったとは・・・」
「あなたは自分が巻き込まれないように放すと思いまして・・・」
「なるほど・・・」
互いのビームサーベルが重なり、海面に映る姿も忠実にフリーダムとリジェネレイトの戦いが描かれている。
260通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:52:23 ID:???
「おいおい、俺を無視すんなよ」
スティングがカオスをストライクに向かわせる。
「そ〜ら、見せてみろ力を!!」
カオスはカリドゥスを放つ。それをストライクが避けて、海面に当たって塩の粒が少しストライクに降り注ぐ。
「あなたと戦ってる場合じゃないの!!」
「女?」
ミサイルがポッドから放たれた。それをシールドのガトリングで撃ち落とす。
「あんだとぉぉ・・・」
抜刀してストライクに切り掛かる。対艦刀で迎え撃ちフレイ。剣の軌道を読み、カオスに数撃当てるも、VPS装甲に弾かれてしまう。
「ハーハッハ!!ストライクだか何だか知らねぇが・・・俺様が最強だ。」
ビームクローでシールドを掴み、零距離でカリドゥスを放って破壊する。
「シールドが?」
「女・・・俺様の攻撃で墜ちな・・・。」
再びビームクローを使って攻撃をするスティング。フレイは避けて、背後に廻って単装砲でバーニアとブーストを破壊した。
「馬鹿な!?」
もう一本の対艦刀も抜いて×字型に斬る。
「うわあぁーー!!」
VPS装甲のおかげで斬られなかったものの、海に叩き落とされてしまう。フレイはその後、対艦刀を以てして連合艦隊を切り裂いていく。
「ハアアァァ!!」
オーブ海域でシンが見せたもの以上に破壊神めた斬撃で。

「うわっ!!」
グラピッドのガムザートフとリジェネレイトのスキュラを連続で浴び、フリーダムのシールドは溶けかけていた。
「はあはあ・・・」
「フリーダムと言っても所詮はモビルスーツ。」
コバルはビームサーベルでフリーダムに切り掛かる。避けるものの、リジェネレイトが背後で待っていた。
261通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:53:28 ID:???
「くそっ!!」
機体性能と腕がさほど変わらないリジェネレイト、苦手とする陽電子リフレクターをもつグラピッドにキラといえど追い込まれていく。

"助けてあげようか?"
「黙れ!!」
"正直になりなよ。僕を目覚めさせなよ。"
「う、うるさい!!」
自分の心と戦うキラ。そう、キラは"あれ"を使いたくないのだ。

「沈め!!」
優勢に酔い、命令を忘れて直撃コースのビームを放つコバル。
「ぐっ!!」
その一撃でシールドは砕けてしまう。
「宇宙では強くても、地上ではこのグラピッドの方が・・・」
「キラさん!」
フレイのストライクがグラピッドに向かってくる。
「どきなさい!!」
対艦刀を振り下ろす。しかしグラピッドはリフレクターで防ぎ、単装砲を放つ。
「キャア!!」
対艦刀で弾いたが、その衝撃で吹き飛んでしまう。
「フレイ!!」

"いいの?フレイが死んじゃうよ"
「・・・」
キラの心がどんどん傾いていく。

「この出来損ないが!!」
ガムザートフをストライクに放つ。なんとか避けたが戦況は不利だ。
「キラさん・・・」

「フレイ!!」
パアアァァン
キラの瞳は紫色が強調された状態になる。しかし、2年前と確実に違った状態だった。
「フレイから離れろぉーー!!」
「何?」
今までと違い、フリーダムのビームサーベルは明らかにコクピットを狙っている。しかも先程よりキレが鋭い。
「何?」
間に合わなかった。リフレクターを張る前にビームサーベルがコクピットを貫いていた。
「グラピッドがあぁーー!!・・・」
グラピッドは海に落ちると爆散した。
262通常の名無しさんの3倍:2006/07/01(土) 12:57:21 ID:???
「キラさん?」
「ウウウ・・・うわあぁーー!!」
フルバーストを放ち、ウインダムや艦隊を沈めていく。おかしい。不殺のはずのキラが・・・
「キラさん!!もう・・・やめましょう・・・。」
無尽蔵のエネルギーはキラの力を引き出すのに最高の器であった。
「キラさん・・・私の言葉が・・・」
フリーダムに近づいて、フレイは対艦刀を抜く。
「私が・・・あなたを止めます。」
フレイも"何か"が目覚め、突っ込んでいく。そして互いの刄が重なった。


予告
天使の刄。人の剣。ぶつかり合うのは愛する故か?。これもまた運命というのなら、フレイは。
PHASE-14 「煌めきの真価」
宿命の出会い、受け入れろ、ザク!!
263通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 08:09:53 ID:???
遅くなりましたが、キラってカガリに腕相撲で負けてる(らしい)です。
この年ごろの男子なら体の強弱は気にするはずですし・・・

最後のフレイの"何か"ですが、無意識に発動してます。
264通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 20:20:25 ID:???
種死でフレイが生きてたら、キラもこの話みたいに感情豊かに生きれたろうに
>>263 ぐっじょぶ〜
265通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 22:44:57 ID:???
職人さんいつも乙です
266通常の名無しさんの3倍:2006/07/02(日) 23:22:23 ID:???
GJ!
続きはまだー?
267通常の名無しさんの3倍:2006/07/03(月) 11:55:49 ID:???
>>263
フレイのためなら頑張るキラ、萌えw
今回もGJ!
268通常の名無しさんの3倍:2006/07/04(火) 03:13:46 ID:???
前スレ
フレイを復活させるためのシナリオ
http://makimo.to/2ch/anime_shar/1132/1132065282.html
269通常の名無しさんの3倍:2006/07/04(火) 08:52:05 ID:???
痛いなぁ。このスレ
ある意味かわいそうに
270通常の名無しさんの3倍:2006/07/04(火) 12:14:40 ID:???
>>269 ツンデレage乙
271通常の名無しさんの3倍:2006/07/04(火) 17:17:49 ID:???

アニメ最萌トーナメント2006公式サイト
http://saimoe2006.hp.infoseek.co.jp/
アニメ最萌トーナメント2006投票コード発行所
http://banana236.maido3.com/~bs5114/a06/

投票リスト
http://saimoe2006.hp.infoseek.co.jp/1.txt
アニメ最萌トーナメント2006 投票スレRound1
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1151940302/


予選01組 7月5日(水)
投票時間は01:00:00〜23:00:59です。

<<フレイ・アルスター@機動戦士ガンダムSEED DESTINY>>
<<フォウ・ムラサメ@機動戦士Zガンダム A NEW TRANSLATION>>
272通常の名無しさんの3倍:2006/07/06(木) 14:07:11 ID:???
保守
273通常の名無しさんの3倍:2006/07/08(土) 09:25:16 ID:vXLg7wc/
保守
274通常の名無しさんの3倍:2006/07/10(月) 20:11:57 ID:???
保守
275通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 00:56:37 ID:???
PHASE-14 「煌めきの真価」

フリーダムの刄が海に触れ、水蒸気が巻き上がる。ストライクの砲撃が空を飛びかう。
「はああぁぁぁ!!」
「うおわああぁぁ!!」
SEEDの力を暴走させたキラは手当たり次第、しかも不殺すらも忘れた攻撃をしかけていた。しかし、フレイはキラを止めるためにあえて刄を向けた。
「らあっ!!」
フルバーストが海面に当たり、海水が壁のように立ちはだかる。
「これは・・・目眩まし!?」
急いでバーニアを最大出力にして離脱する。しかし、下を見てもフリーダムの姿はなかった。
「キラさんが・・・いない・・・どこ?」

ピキーン

「!?。上?」
上を見ると、フリーダムが2本のビームサーベルを構えて、ストライク目がけて向かってきていた。
「おおぉぉ!!」
「何の!!」
見事に対艦刀でフリーダムのビームサーベルを受け止め、レールガンをフリーダムに放つ。そのレールガンをフリーダムは上半身を後ろにする事で回避した。
「うううぅぅ・・・」
「はぁ、はぁ・・・」

「何してる?。早く離脱するぞ!!」
「しかし大佐、このままでは命令が・・・」
「君は死にたいのかい?。」
「いえ・・・」
ネオはフリーダムとストライクの、特にパイロット達の力が強大だと感じていた。腕だけではなく、2人の奥に潜むものが。
「しかし、フリーダムは凄いですねえ。さすがは"蒼翼の鬼神"の異名をもつだけはありますよ。」
「ああ。だが、もっと凄いのは・・・」

ビームサーベルと対艦刀。対ビームコーティングされているとはいえ、実体剣ではさすがに差が生じてくる。
276通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 00:57:42 ID:???
「なんて剣圧なの・・・」
細めの対艦刀とはいえ重量はビームサーベルとは比較にならなくて使いづらい。加えて、ラケルタ式のビームサーベルの出力は、対艦刀さえも少しずつ削っていく。
「キラさん・・・お願い。目を覚まして・・・」
「グゥゥ・・・オラアァァ!!」
フリーダムの刄が、ストライクに迫ってくる。フレイも精神を研ぎ澄まし、隙を索敵する。
「お願い!!」
フレイも対艦刀をフリーダムに向かう。

バキイィィン

ストライクの対艦刀は折れた。それはビームサーベルに切断され、ストライクごと斬られたわけではない。フリーダムのPS装甲に折られたのだ。
「ガハァ・・・はぁ、はぁ・・・フレイ・・・」
「キラさん?正気に戻ったのね。」
キラが状況を認識したとき、いい知れぬ絶望感がキラを襲った。
「あ・・・は・・・」
フリーダムのビームサーベルはストライクのコクピット寸前だった。
「僕は・・・君に・・・フレイに・・・」
暴走していたとはいえ、一歩違えば"護る"と決めたフレイを自らが殺す所だった。
「あ・・・僕は・・・」
腑甲斐ない自分を許せない。一番愛し、命を賭けても護るに足る存在のフレイに・・・
「なんて事を・・・」
「キラさん・・・」
277通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 00:58:53 ID:???
ディオキア沖海戦から3日経った。キラは今だに責任を感じて、自分の殻に閉じこもったままだった。
「・・・」

「グルワアァァ!!」

「はあ・・・あ・・・ごめん・・・」


「じゃあ、キラさんはまだ・・・」
「うん・・・。気にしないでとは言ったんだけど・・・」
リナウはモニターで戦いを見ていたが、凄まじさは十分に伝わってきた。キラが相手を殺そうとする"気"も感じた。
「もう一度、キラさんの部屋に行ってみるわ。」
フレイはキラの部屋に向かった。
「・・・私は・・・私は・・・」
キラと戦ってから、いや、フレイの中に眠る"何か"が目覚めて以来記憶が少しずつ戻ってきていた。

「キラ・・・あの・・・」 「ごめん・・・帰ってから・・・」

あの時、なぜ呼び止めたか。その理由もわずかながら思い出してきた。
「(あの時、キラさんに謝りたかったのね。でも、なんで謝りたかったんだっけ?)」
もしかしたら元のフレイ自身が封印したがってるのかもしれない。しかし、フレイにとって大事なのはキラを立ち直らす事なのだから。
「あの・・・キラさん、入りますよ?」
扉が開くと、中は暗くてキラは布団に座り込んでいた。
「フレイ・・・」
今に泣いてもおかしくない。記憶を失っていても、フレイの脳裏にもいくつか見覚えのあるキラの泣き顔が思い浮かぶ。
278通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 01:00:26 ID:???
「ごめん・・・僕には君を護るどころか、会う資格さえないのかな?」
昔は守れなかった。だから今度こそ護りたい。なのに、今の自分にはフレイを護れない。そう感じていた。
「あの・・・気にしなくていいですよ。ほら、実戦ぽいトレーニングとか・・・」
「フレイは・・・僕より強いし・・・」
何を言いだすかと思えば、キラは技量の話を切り出した。
「僕の意識が戻ったきっかけ・・・あれがビームサーベルだったら僕は死んでいた。」
確かに。キラが寸前でビームサーベルを止めたとはいえ、ストライクの対艦刀の方が早く当たったのだから。
「ううん・・・一度君に刄を向けてしまった・・・いっそあれで死んでいたら・・・」
すっかり満身創痍と言える状態だった。
「・・・ごめんなさい。」
「え?うわっ!!」
暗闇の中、キラの頬に痛みが生じる。薄らと見えるが、フレイの平手のようだった。
「いっそ殺してくれれば良かった?。ふざけないでくださいよ!!。キラさんがいなくなる事で、どれだけの人が悲しむと思ってるんですか!?」
「フレイ・・・」
「モビルスーツを撃墜する時に、思うんです。きっとこのパイロットも家族や友人がいて、死んだら悲しむ人がいっぱいいるんだって・・・」
フレイはまるで祈ってるような口調で、でも力強く話している。
「だからその人達の分も、生きなきゃいけないと思うんです。大事なのはそういう事なんじゃないでしょうか?」
「!?!!」
「だから、キラさんも生きてください。私もキラさんに生きていてほしいんです。」
279通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 01:01:24 ID:???
必要としてくれた。2年前にフレイは自分を。それは淡い恋心と強い力が全うした。
「ぐ・・・」
でも今はただ自分を、フレイ・アルスターという人間がキラ・ヤマトを欲してくれている。
「う・・・僕はもう・・・泣かないよ。」
そう言ってもキラは涙を流している。
「僕、強くなるよ。自分の中のSEEDに勝つよ。自分の為にも、君を護る為にも。」
フレイの腕は自然にキラの背中へ周り、ふっとキスをする。そして、甘い微睡みの中へ入っていった。


その頃、ミネルバはラクス・クライン議長の特命でブルーコスモスを中心とした大規模なテロ組織を鎮圧した所だった。
「グラディス艦長、ご苦労さまです。」
「いえ・・・。頑張ったのはパイロット達で、特にシン・アスカとアスラン・ザラはめざましい活躍でした。」
「さすがですわ。では補給はディオキアに戻って頂けますか?」
「カーペンタリアではないのですか?」
「カーペンタリアには多数のモビルスーツを配属しましたので、手が混んでおります。」
「命令とあらば・・・」
280通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 01:02:27 ID:???
アークエンジェルも水中に身を隠し、ディオキアの調査に下りだした。幸い先の戦闘での損傷箇所も見当たらないのでキラとフレイはリナウを連れて調査を兼ねた買い物に出かけた。
「うわ〜!!。海が綺麗ですね。外から見るのじゃ全然違う。」
やはりリナウは子供だ。はしゃいでいる姿が可愛らしい。

「これと、これと・・・」
珍しい品物があると、すぐ買いたくなってしまっている。
「子供って好奇心旺盛ですね。」
「財布の中が足りるか心配だ・・・」
当然、総てキラ持ちである。
「でも、僕らが結婚したらこんな風なのかな・・・」
「え!?」
顔がボッと赤くなるフレイ。昨夜の事も一緒に思い出すと、一行に血の気が減らない。
「やだ・・・キラさん。恥ずかしいじゃないですか。」
「いや、僕は本気だよ。フレイはきっといい奥さんになってくれるよ。」
すっかり2人とも方向性が違う妄想を繰り広げる。
「あの・・・どうしたんですか?」
リナウの言葉に気付いて、2人とも動揺を隠そうとするのだが、誤魔化しきれてはいない。

ピキーン

「!?」
3人とも"同じもの"を感じた。
「海岸の方向からですね・・・」
「行こう!!」
281通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 01:03:44 ID:???
3人が着くと、そこには1人の少女が独特の歌とワルツをしていた。
「どことなくフレイさんに似てますね・・・」
「え?」
「アウルさんにも似てますが、声とか中にある"もの"・・・」
フレイ自身もそう感じていた。言い方は変だが、まるでもう一人の自分みたいな・・・彼女の中に潜むものはそうなのかもしれない。
「キャア!!」
振り向くと、足を滑らせたのか、崖から落ちそうになっている。
「行こう!!」
急いでかけつけ、少女を引き上げる。
「大丈夫?」
「うん・・・ありがと。大丈夫、大丈夫。」
フレイは名前を聞かずにはいられなかった。
「君、名前は?」
「名前?ステラ、ステラ・ルーシェ・・・」


予告
蒼き翼。紅き剣。相反する二つの魂。それらが交差する時、少女の宿命は秘かに動く。
PHASE-15 「ロゴス」
強大な力で、敵を凪ぎ払え、インパルス!!
282通常の名無しさんの3倍:2006/07/12(水) 21:43:16 ID:???
GJ!
283通常の名無しさんの3倍:2006/07/13(木) 22:42:56 ID:???
今回も遅い投稿ですいません。
中盤辺りの事はまあ、流れ的にああなるかな・・・と思いまして。
284通常の名無しさんの3倍:2006/07/14(金) 00:46:45 ID:???
>>281
う〜む、お暑いこってww
今回もGJ!
285通常の名無しさんの3倍:2006/07/16(日) 03:07:27 ID:???
ほほほしゅ
286通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 05:49:56 ID:???
君達、
下がりすぎているから
落ちないように保守をしておくように

それと、誰か、まとめサイトをお願いしたのですが?
287通常の名無しさんの3倍:2006/07/18(火) 12:17:12 ID:J0CfQMfd
フレイが無事生存帰還できたらサイ君に返してあげてください
288通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:39:36 ID:???
PHASE-15 「ロゴス」


海に落ちそうになった少女をキラ達は助けた。しかし、その少女はガイアのパイロットのステラだった。キラ達はその真実をしらないでいた。
「僕はキラ・ヤマト。わかる?キラ・・・」
「キラ・・・」
ステラはキラに何かを感じた。懐かしいような・・・遠くて近い思い出の中の人物に似ていたから・・・
「キラ・・・前・・・ステラと会った?」
「え?ううん・・・初めてだよ。」
ステラはちょっと悲しそうな顔を浮かべる。フレイはそれに気付いてステラの手を握る。
「私はフレイ・アルスター。よろしくね、ステラちゃん。」
「フレイ・・・フレイの手・・・暖かい。」
まるで母親に縋るように、フレイの顔を手と擦り合わす。
「リナウ・レヴェリーです。」
「リナウ・・・小っちゃい・・・」
「え・・・」
自分より小さい少女を見たからか、ステラはリナウの頭を撫でる。
「あ・・・あの・・・」
リナウは照れてしまって、フレイの後ろに隠れる。
「あはは!!リナウ、こっちこっち。」
鼠を追い掛ける猫のように、リナウを追い掛け回す。
「あぁ〜ん、止めてくださいよ〜。」
「きゃは!!リナウ、いい子いい子・・・」
すっかり気に入った様子だったら。まるで鬼ごっこみたいに微笑ましい。
289通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:40:32 ID:???
「・・・」
ネオは迷っていた。

「度重なる失態・・・ネオ、わかるか?。我々はコーディネーターに敗けるわけにはいかないのだよ。」
ザフトも倒せない、キラ・ヤマトも捕まえられない。ジブリールは業を煮やしていた。
「そうは言われますが、ミネルバは強いんですよ。最近はアークエンジェルも参戦して我が軍は多大な打撃を受けまして。」

ドンッ!!

ジブリールは机を叩いた。イラツキが画面越しに伝わってくる。
「そんな事はわかっている!!こういう事態に対処するのが、貴様の仕事だろう!!」
「はぁ〜・・・」
「そろそろ、"あれ"が届くはずだ。"あれ"でザフトを焼き払え!!」

"あれ"は地球軍の・・・いや、現時点では最強の殺人兵器かもしれない。ステラはその適性検査で合格してしまった。故に乗せなければならない。

「ステラを・・・ステラを暖かい世界へ帰してくれ!!」
「約束・・・するよ」

出来ない約束をしてしまった。あの少年の真っ直ぐな眼を否定してしまった。ステラはいつ死んでもおかしくはない。
「ぐっ・・・」
ならば今だけでも。今だけでも、暖かい世界へ帰したい。そんな考えから、海が好きなステラをここへ連れてきた。
「ん?。なんだあのガキ共」
ネオがステラを迎えに行った時、ステラの周りには少年達(もちろんキラ達)がいたので何事かと思った。
290通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:41:50 ID:???
「あの〜、君達?」
保護者っぽさをかもちだして、キラ達に近づいていく。が、仮面をつけた顔は不気味であり、キラ達はギョッとした。
「か・・・仮面!?」
「家の娘に手を出したらあかんでぇ〜」
なぜか関西弁だが、キラはそれよりも仮面をつけた雰囲気がある男に似ているのを察知していた。
「・・・(似ている・・・ラウ・ル・クルーゼに・・・)」
フレイを2年の間失う原因になったクルーゼの存在。キラが初めて心から殺したいと願った存在・・・
「ネオ!!」
ステラはネオに歩み寄る。その瞬間、フレイとリナウにはネオから戦場で感じた気配が感じられた。
「この人は・・・」
リジェネレイトから発せられていた気配と同じ。確信した。この男は敵だと。
「・・・あ、お前らまさか・・・」

バシュ!!

フレイは持っていたペットボトルの水をネオにかける。
「うわっ!!」
「ネオ!!」
キラも遅れてネオの感覚を感じ、ステラの手を握って走りだす。
「キラ、ネオが・・・」
「あの人は・・・ダメだよ。君はあそこにいたらいけないんだ。」
4人は走っていく。この後の思いもがけない戦いを予想する事無く・・・

「シン、何してるんだ?」
「ん?。あ〜、ちょっとコアスプレンダーでひとっ飛びしようと思ってさ。艦長の許可もとったし・・・」
ヴィーノとの話を切り上げ、シンはコアスプレンダーで飛び立つ。
291通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:42:49 ID:???
「ここら辺で、ステラと会ったんだよな・・・」
戦火の被害者であった少女。戦争さえなければ、彼女が戦いに加わることはなかったのに。
「・・・ステラ・・・」
しかし、約束してくれた。あの仮面の男はステラを普通の女の子に戻すと。
「また・・・いつか・・・ん?あれは・・・ステラ?」
見間違いだろうか?。コアスプレンダーを降下させてみる。またステラと会える。そんな感情を胸にシンは画面を拡大させる。
「・・・!?。ステラ・・・ステラ!!」

「はぁ、はぁ・・・」
キラはステラの手を放さないように、ぎゅっと手を握る。
「車に乗り込めば・・・」

ヒューン・・・ドバアァァン!!

「うわっ!!」
「きゃあ!!」
キラ達の車が爆発炎上した。おそらく、ミサイルの類でやられたのだろう。
「そんな・・・」

ピキーン

「!!。上か!?」
上空から戦闘機がこちらへ向かってきている。
「ステラーー!!」
折角暖かい世界へ戻ったのに。あんなわけのわからない連中にステラを渡せなかった。家族や友人かも、という考えはこの時のシンには考えれなかった。
「うおおぉぉ!!。ステラを放すんだ!!」

コアスプレンダーが上空を過ぎると、風が巻き起こり、フレイ・リナウ・ステラ全員のスカートがめくられる。
「キャアア!!」
「うお!!」
こんな時にも、こんな時だからこそ男という生き物は、状況を楽しんでしまう。
「いかん。このままじゃ・・・」
キラは時計に内蔵された発信機のスイッチを押す。

ピピピ、ピピ
292通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:43:50 ID:???
「艦長、キラよりSOS信号です。」
「キラ君が・・・?。アークエンジェルを動かすわけにはいかないし・・・ミハイルさん、フリーダムをキラ君まで届けてくれるかしら?」
「ああ・・・。」
アークエンジェルに来てから初めての出撃。しかも前大戦の英雄・フリーダムを動かせるのだ。
「私の専用機ではないのがな・・・」
やはり"ドクター"時代と同じく、多少なりモビルスーツの事を考えていたようだ。
「ミハイル・コースト、フリーダム、出るぞ。」


コアスプレンダーはディオキアの空を自由がままに飛び回る。シンは威嚇にバルカンを放つ。弾丸はモビルスーツにはほぼ無力だが、人間にとってはビームと何ら変わらない。
「外されてる?でも、もし当たったら・・・」
キラもフレイもシンが当てる気がないのは感じ取れるが、連射されてる分恐怖を駆り立てられる。
「ステラ、待ってろ・・・」
シンは急降下していく。あと少しでステラと・・・その考えは甘かった。コクピット内の警告音が鳴り響く。
「あれは・・・」
青と白をベースの機体。2年前、オーブで家族を失ったときに上空を見たときだった。それは悪魔との対面に近かった。
「あいつ・・・あいつ・・・。ミネルバ、聞こえるか?フォースシルエットを!!」
「シン?。でも・・・」
「いいから早く!!。敵がいるんだ!!」

ミネルバは現在入港中であり、インパルスの為にシルエットを射出したら混乱を招いてしまう。
「本当に敵なの?」
タリアは当然の質問をする。もし誤認ならば大変な事になる。
293通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:44:48 ID:???
「間違いありませんよ。今、画像を送りますから。」
シンにとっての敵。それは自分に都合の悪い者。ただそれだけだった。
「・・・艦長、シンからの画像です。」
映し出された画像。それは"ヤキン・ドゥーエのフリーダム"の通り名を持つ英雄機フリーダム。敵か味方かはわからないのに、出撃させるわけには・・・
「シン、攻撃は仕掛けられたの?」
「え?」
仮に敵であったとしても、攻撃を加えられるまではそうはみなせない。タリアは先日平和になったこの町での戦闘は避けたかった。
「・・・はい。ビームライフルを撃ってきました。」
明らかにでっちあげではあるが、そう報告する以上しないわけにはいかない。
「許可するわ。でも相手は核エンジン機だから気をつけるのよ。」
もしフリーダムの撃墜を果たしたら、ディオキアの町は吹き飛んでしまうのだから。

「ミハイルさん。」
「やあ、キラ君。フリーダムっていうのはこんなに扱いにくい機体だったのかい?」
着陸して、コクピットを変わる。
「あれ?ミハイルさん?」
「私は歩いて帰る。そんなモビルスーツではオペができない。」
ミハイルはゆっくりとまさに総回診みたいに歩く。
「・・・さ、乗って。」
フリーダムの手にフレイとリナウが乗る。
「ステラちゃん」
フレイが手を差し伸べる。
294通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:45:51 ID:???
「・・・」
ステラもフレイの手をとろうと手を伸ばす。

バアァァン

フリーダムの装甲に何かが当たった。拳銃の弾である。
「ステラを返してもらおうか。我々地球軍、いや、ロゴスの方々の切り札なんでね。」
「ロゴスってのが何だかしらないけど、益々返すわけにはいきませんよ。」
キラも油断していた。ネオは一瞬にして発光弾を地面に放ち、ステラの下へ駆け寄って連れ出す。
「しまった・・・待て!!」
腕を伸ばすフリーダム。しかし、警告音がそれを阻んだ。
「!!。あれはインパルス!?」
インパルスはビームサーベルを手にフリーダムに向かってきている。
「でぇやあぁ!!」
「邪魔をしないでくれ!!」
ビームサーベル同士がぶつかり合う。核パワーを得ているラケルタビームサーベルと、出力を集中してあるヴァジュラビームサーベル。
「ぐ・・・この、フリーダム〜・・・」
旧式とはいえ、"確認されてる"機体では数少ない核エンジンモビルスーツのフリーダムの力は、インパルスのサーベルの力を飲み込んでいく。
「くぅ〜・・・」
接近戦では不利と見たのか、シンは距離を置いてビームライフルを撃つ。
「こんな場所でビームライフルを!?」
万が一フリーダムに当たれば、ここら一帯は灰塵に帰してしまう。
「冗談じゃない。」
シールドでビームを防ぎながら、インパルスへ向かっていく。
「来るな!!」
シンは尚もビームライフルを撃っている。フリーダムはやがて衝突して、海面にインパルスを叩きつける。
「うわぁーー!!」
295通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:47:10 ID:???
海から上がると、フリーダムはまるで天使のように凛と君臨していた。
「どうして・・・あんたは・・・俺の前に立っている!!」
2年前も今も、フリーダムは立ちはだかっている。シンにとっては超えるべき存在である。
「うおおぉぉ!!」
ビームサーベルを手に、インパルスは向かってくる。
「わからずやが!!」
フリーダムも迎える姿勢を崩さない。互いの刄は振られる。

バチン!!

「セイバー!?アスランか・・・」
「アスラン・・・」
2人の仲裁に入ったのはシンにとって憎んでしまう憧れのエース。キラにとっては親友にして戦友のアスランが2人の戦いを止めるべく出現した。
「2人共やめろ!!」
「なんで止めるんだよ!!」
「俺が止めなければシン!!、お前がやられていた。」
シンもその事実はわかる。確かに負けていただろう。
「でも・・・」
「FAITHとしての命令だ。ただちに戦闘を止めて帰還しろ。」
できれば切り刻んでやりたい。しかし、冷静に考えればわかる。ディオキアではやっとコーディネーターが受け入れれてきたのだから。
「・・・了解。」
インパルスはセイバーと共にミネルバへ帰還した。

「アスラン・・・」
無駄に斬らずにすんでよかった。気掛かりのはステラの事だが、今はもう仕方がない。

だが、思いもがけない形でステラとは再会する事になる。
296通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 14:48:30 ID:???
多数のテレビ画面にロゴスの幹部が映っている。ジブリールは開発された究極の対ザフト兵器のデータを送っていた。
「これは・・・」
「どうです?。戦艦をゆうに超える火力と防御力を誇っているでしょう?」
「本来より強すぎはしないか?。PS装甲の件は省いたはずだ。」
「出来損ないを量産するより、完成された一機の方が遥かに使えますよ。」
コストは大分かかったが、ジブリールはなんとしてもコーディネーター抹殺をしたかった。キラの事があるため、計画以上に早く済ましたかった。
「まあ、見ててくださいよ。デストロイの強さを・・・フハハハハ!!」


予告
憎悪。それは世界に、人に、自分に対して抱く感情。しかし恨むものがなければそうとは言わないのか?。地より破壊神が目覚めるとき、ラクスはある決断を下す。
PHASE-16 「壊れゆく秩序」
その力で、大地を焼き払え、デストロイ!!
297じんない かがみ:2006/07/19(水) 14:58:07 ID:GznyuBPu
おまえらモエ=とかいってるじてんでおわってる
298じんないかがみ:2006/07/19(水) 14:59:15 ID:GznyuBPu
じゃあしねば? じんない
299通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 19:09:40 ID:???
結局、キラってフレイのこと好きだったのか?
300通常の名無しさんの3倍:2006/07/19(水) 19:34:18 ID:???
フレイ=キラの学園生活時代の憧れのマドンナ。実際身近で生活して本性知ってからはどうだったんだろう?でもサイ君と付き合ってる時のフレイは可愛かった。
301通常の名無しさんの3倍:2006/07/20(木) 00:23:11 ID:???
>>296
速い更新乙!
シンがいい具合にイッちゃってるなあ。
ベルリン編、楽しみにしております
302通常の名無しさんの3倍:2006/07/20(木) 06:44:22 ID:???
サイは最後までフレイとはセックスできなかった
アークエンジェルではキラとフレイがセックスしてるのを盗み聞きしながら、一人マスかいて射精してた
303通常の名無しさんの3倍:2006/07/20(木) 21:04:27 ID:???
>>302そのサイ君もらい(^-^)/
304通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 07:02:45 ID:???
保守
305通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:05:34 ID:???
PHASE-16 「壊れゆく秩序」


アスランのおかげでなんとかインパルスを退けたが、仮面の男にステラを連れてかれてしまった。
「キラさん、ステラちゃんは大丈夫よ。殺されるような事はないと思う。」
「フレイ・・・それもあるんだけど、あの仮面の男・・・」
気になる感覚。キラは2年前より空間認識能力と敵を感じる能力が強くなった。より敵の戦い方を読めてもきた。
「あの感覚・・・」
かつて戦闘の先輩としていたムウ・ラ・フラガ。2年前にアークエンジェルを庇って死んだ・・・はずなのに。
「でもフレイだって生きていたから、あの人が生きてる可能性も・・・」
にしても、連合に属してるのはおかしい。キラはアウルのように記憶操作されている気がしていた。
「フレイ、マリューさんやノイマンさん達には仮面の人の事言わないでね。」
「・・・わかりました・・・」

「あの・・・ミハイル先生?」
リナウはミハイルに呼ばれ、医務室へ来ていた。
「君・・・両親はどうしてる?」
意外な質問にリナウは動揺を表す。
「死にました・・・前の戦争で・・・」
「そんなはずがないだろう?。本当は君に両親はいない・・・そうじゃないのか?」
リナウの肩や手が震えている。まるで殺人者に狙われてるように・・・
「君は・・・クローンなのか?」
オーブで研究したデータにはムウ・ラ・フラガとの血液適合率が85%だった。これは生物学ではほぼ見られない数値である。
「私は・・・」
声が出ない。恐怖が蔓延していた。
「大丈夫・・・話はしないさ。」
「・・・私は・・・"ティターン"なんです。」
306通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:06:42 ID:???
ドンッ!!

壁を叩く音が響く。
「なんで止めたんだよ!!アスラン!!」
シンは怒りのあまりに、アスランの襟を掴む。
「さっきも言ったが、あのままならお前がやられていた。」
「・・・!!」
反論はできない。事実。それがシンに覆いかぶさる。
「あいつは・・・父さんや母さん、マユを助けてくれなかった!!。あんな近くにいたのに・・・」
フリーダムは世界の英雄。しかし、シンの目には憎むべき悪魔としか映ってはいなかった。
「オーブはもう連合じゃないんだ・・・わかるだろ?。」
「あいつらは我が国とは関係がないって、アスハが言っていただろ!!」
「まあ、待てって・・・」
ハイネが割って入る。
「お互い犠牲者は出てないんだ・・・なら、いいじゃねぇか。」
シンは渋々納得をして、部屋に戻っていった。
「ありがとう、ハイネ。」
「いや・・・だがよ、あいつの事情も考えてやれよな?。きっとフリーダムを倒すことで、力がなかった自分を超えたかったんだよ。」
「ああ・・・」
アスランもハイネに説され、部屋に戻っていった。

「キラ・・・生きててよかった。」
ムラサメ無しで生き残れるか心配だったが、フリーダムがあれば心配はない。
「だが、問題はこれからだ・・・」
フリーダムは核エンジン機である。ユニウス条約により禁止されている機体。下手したらザフトと戦う羽目になる。
「ラクスなら・・・そんな事しないよな・・・」
307通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:07:52 ID:???
−プラント首都・アプリリウス

ラクスは議長室で業務をこなしていた。

コンコン

「はい」
「失礼いたします。」
「これは・・・前議長・・・」
訪れたのはギルバート・デュランダルであった。議長引退後は遺伝子工学の学者に戻っていた。
「"例のプラン"はどうなってますか?」
「あと少しです。議長も気長に待ってください。そういえば、あの人が来ましたよ」
「!!。わかりました。すぐに行きます。」
ラクスは港に急いだ。

「お久しぶりです。ラクス様。」
「本当に・・・お久しぶりですわね。アークエンジェル出航以来ですから。」
ラクスと話してる彼は、杖をつきながら運んできたものをラクスとギルバートに見せた。
「!!。これは・・・」
「モビルスーツですか?。」
「はい・・・。ブレイク・ザ・ワールドの影響で出現したんですよ。推定4万年前のモビルスーツなので修理しなければ使えませんが・・・」
ギルバートはそのモビルスーツ達を見て、ボソッと吐く。
「繰り返されるのか・・・歴史は。お前が言った通りだな・・・人は同じ過ちを繰り返す・・・」
意味深な言葉であるが、ギルバートは何くわぬ顔でモビルスーツを見つめる。
「使わせてもらいますわ・・・ありがとうございました、マルキオ様。」
「いえ・・・」
モビルスーツを届けたのは、マルキオだった。平和を望んだはずのラクスとマルキオはなぜモビルスーツを手にしたのだろうか?
「ラクス様とギルバート様にお話しなければいけない事があります。」
「??」
「ここでは何ですので・・・」
308通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:08:50 ID:???
地球軍の艦隊はある場所で戦闘をしていた。大型潜水艦"ナポレオン"の中にはステラとネオ、スティングの姿があった。
「どうだ?ステラ、いけそうかい?」
「ちょっと・・・恐い・・・」
コクピット内部でステラは震えていた。ネオはステラの手を握る。
「何が恐いんだ?」
「ステラ・・・ステラが恐い・・・」
「!?」
意外な答えが返ってきた。
「これをやったら・・・みんな死んじゃう・・・。死ぬのは・・・ダメ・・・」
「・・・違うぞステラ。ステラは守るんだ。」
「守・・・る?」
「俺やスティングを殺そうとする悪いやつをステラがなくしてしまうんだ。」
「ステラ・・・みんなを・・・守る・・・」

ネオはステラの恐怖を取り払うと、リジェネレイトへ向かう。
「・・・いいのかよ?。ステラ・・・」
スティングがすれ違うと立ち止まってネオに言った。
「・・・いいんだ。ステラが迷うと、デストロイの真価は発揮できない。なにせデストロイはモビルスーツ型ドラグーンなんだからな・・・」


外では戦闘が続いていた。
「なめるなよ!!こんな程度でカーペンタリアを潰せると思ったのが間違いだ!!」
ここは地上のザフト軍を支えるカーペンタリア基地。数も力も遠征してきた地球軍よりザフト軍が遥かに勝っている。
「しかし妙だな・・・地球軍はベルリンを攻めると聞いていたのに・・・」
「スピットブレイクを真似たんだろ?。こんな不意打ちじゃカーペンタリアは・・・」
その時、水中から砲門らしきものが姿を現わす。
「なんだ!?」
赤い閃光が地面を焼いていく。
309通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:09:58 ID:???
レセップス級の装甲を貫き、今の一撃で大部分が吹き飛んだ。
「何だ!?」
「でかい・・・何なんだ・・・」
立ち尽くす黒い機体。要塞のような巨大砲門を装備している。
「だがいい的だぜ。」
ガナーザク、バビ、アッシュ、ガズウート、バクゥ、ラゴウ、ディンなどほとんどのモビルスーツがデストロイに向けて攻撃をする。残った戦艦もデストロイを砲撃する。
「これだけ撃てば・・・」
爆煙が晴れると、陽電子リフレクターを展開したそこにはデストロイが余裕そうにたっていた。
「馬鹿な!!」
「あれがミネルバから報告があったバリアの防御力か・・・」
ドライツェーン(大型砲門)とネフェルティム(拡散ビーム)でザフト軍はほぼ壊滅した。
「すごい・・・すごいすごいすごいすごい・・・。ステラ・・・強い。でぇぇーい!!」
腕を飛ばし、バビやディンを倒していく。
「貰った!!」
一機のバビが砲撃を抜けて、背後に回ってアルドールを放つ。が、リフレクターに弾かれたわけでもないのに、効かなかった。
「馬鹿な・・・高出力ビーム砲だぞ?。」
そのバビも戦意を失い、ネフェルティムにより爆散した。
その後、カーペンタリアを徹底的に破壊をした。生存者の影も薄く、絶望的な情景は地獄と化していた。
「やっつけなきゃ・・・恐いものは・・・全部!!」
「おいおい・・・なんの冗談だ?。」
「まさかここまでとは・・・?」
味方であり筈のネオとスティング、他の連合兵もあまりの強さに恐怖を抱く。

「どうだネオ?圧倒的だったろ?デストロイは。」
戦闘後、ネオはジブリールから通信を受けていた。
「やりすぎではありませんか?。」
「ふふふ・・・私はロゴスだが、ブルーコスモスなのを忘れたか?」
310通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:11:32 ID:???
ネオは何も答えず、次に攻める場所を聴いた。
「・・・冗談ですよね?。」
「私は冗談が嫌いでね・・・。ネオ、大洋州連合首都を攻めるぞ。」
ジブリールは本当に自分しか考えていない。前線で戦う兵も、エクステンデットも彼にとっては使える駒か否かなのだ。
「まさかエクステンデットの心配をしてるのか?。確かに体の負担はある。優しいな・・・ネオ。エクステンデットなんぞいくらでも"ある"のにな。」
ネオは通信を切った後も、鬼になるよう自分に言い聞かせていた。


「・・・どのような手でカーペンタリアを滅ぼしたのか・・・」
生存者の報告によると機動兵器が存在したというのだが、ラクスには打つ手がなかった。
「議長、ここは和解策を・・・」
「相手は国家ではなく、テロリストなのですよ?。こうなったら地球軍自体を壊滅させる以外に方法はありませんね。」
「しかし、その機動兵器がいたとしたら?」
「ミネルバならば、討ってくれるでしょう。もしダメなら"シックスナイツ"の候補メンバーにあの機体を渡します。」
この日、議会でオペレーション"ラグナロク"が可決された。ラグナロクは、地球軍本部ヘブンズベースを一思いに攻略しようとする作戦である。

「私は次は大洋州連合が攻められると思われます。」
「援軍は出さないのですか?」
プライベートルームでは、ラクスとギルバートが極秘に会議をしていた。
「少し出しますが、多くは出さないほうが都合がいいのです。」
「恐い御方だ・・・」
ラクスのパソコンにはデストロイの詳細が記された画面が映っていた。
311通常の名無しさんの3倍:2006/07/22(土) 23:13:05 ID:???
三日後、本当に大洋州連合首都が壊滅させられた。プラントを支援していた数少ない国であったので、世界各国に衝撃を与えていた。
「・・・ユウナ、どう思う?」
「ザフトの大規模作戦でも解決できないと思うよ。キラ君とアークエンジェルを向かわせた方がいい。」
「ああ。きっとアークエンジェルももう動いてるだろう・・・」


「ひどいわ・・・。国の中心を壊滅させるなんて・・・」
フレイは怒りで満ち溢れていた。
「同感だ・・・僕もこんなのは許すわけにはいかない。フレイ、今までで一番ヤバそうだ。大丈夫?」
「折角、力があるのに見てるだけなのはつらい・・・。私も戦います。」
フレイがパイロットスーツに着替えていると、キラが部屋に入ってきた。
「キラさん!?」
「・・・」
キラはまだパイロットスーツを着てないフレイを抱き締める。
「!!?」
「ごめん・・・僕、臆病だから・・・。僕だって出る時、恐いから・・・」
フレイはキラの顔を押さえてキスをする。
「大丈夫ですよ。私の想いがあなたを守りますから・・・」
フレイは意識してないだろう。しかし、キラがフレイを護ると決めた言葉。何度勇気づけられたことか。
「ありがとう。」
濃いキスが続けられる。2人そのままでいた。短いが甘い、大切な時間・・・

C.E.74・7月21日、ラグナロク作戦が決行される事になる。そこには辛い戦いと悲しい別れが待っていた。

予告
神の雷。そう名付けられた戦いはまさに天からの裁きのように・・・。少年達の運命が重なるとき、世界は・・・
PHASE-17 「堕ちる星」
慟哭の闇を、切り裂け、フリーダム!!
312通常の名無しさんの3倍:2006/07/23(日) 07:13:29 ID:???
>>305-311 乙!!!!!1111
313通常の名無しさんの3倍:2006/07/23(日) 13:03:18 ID:???
>>311
流石にデストロイはやることが派手だなあ。
ラクスとデュランダルの動きも気になる・・・
GJ!!
314通常の名無しさんの3倍:2006/07/24(月) 21:28:08 ID:???
保守
315通常の名無しさんの3倍:2006/07/25(火) 01:02:43 ID:???
クルーゼの命令により、フレイの卵子・生体情報・記憶を保存してあった
フレイデーターを元にしてクローン体を製造し、
保存してあった記憶を電子化して脳に移植するという初の試みにより復活
キラと出会い恋をして、記憶を取り戻していくというストーリー
だが自分がフレイ本人ではなく、彼女のクローンに過ぎないことに苦しみ、
最後はキラを守って再び死ぬ
316通常の名無しさんの3倍:2006/07/26(水) 20:36:53 ID:???
保守
317通常の名無しさんの3倍:2006/07/27(木) 21:49:59 ID:???
保守
318通常の名無しさんの3倍:2006/07/28(金) 23:27:20 ID:SKSQE1UB

アニメ最萌トーナメント2006公式サイト
http://saimoe2006.hp.infoseek.co.jp/
アニメ最萌トーナメント2006投票コード発行所
http://banana236.maido3.com/~bs5114/a06/

投票リスト
http://saimoe2006.hp.infoseek.co.jp/2-4.txt
アニメ最萌トーナメント2006 投票スレRound65
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1154082050/


2次予選4組 7月29日(土)
投票時間は01:00:00〜23:00:59です。

<<フレイ・アルスター@機動戦士ガンダムSEED DESTINY>>
319通常の名無しさんの3倍:2006/07/29(土) 22:09:00 ID:???
保守
320通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 09:38:34 ID:???
保守
321通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:26:53 ID:???
PHASE-17 「堕ちる星」

恐らく永い歴史のページに刻まれるだろう。地球連合軍を一気に壊滅させ、ロゴスを滅ぼそうとラクスはオペレーション"ラグナロク"を決行する。
「しかし、そんな化け物を・・・倒せるんでしょうか?」
「わからないわ・・・。そんな事終わってみてからじゃないと・・・」
ミネルバも"ラグナロク"に参戦するために艦隊の中にいた。カーペンタリアを失ったザフトには地上の戦力への期待は少ない。
「地上はあくまで陽動。宇宙の戦力を降下作戦に導入して、敵基地を攻め落とす・・・。典型的な戦術だわ。」
タリアは前大戦から行われている方法では間違いなく対抗策を練られていると読んでいた。
「本当に・・・成功するのかしら・・・」


ヘブンズベースにはジブリールを含めたロゴスメンバーが既に集まっていた。と言うよりは、逃げ込んできたと言ったほうが正解かもしれない。
「ジブリール、本当に守り切れるんだろうな?」
「守る?。フハハハ・・・何を弱きになってるんです?。我々は攻めるんですよ・・・あんな小娘の指揮する軍隊など、恐れるに足りませんよ。」
完全にジブリールはラクスを嘗め切っていた。かといって何も用意していないわけではない。
「恐らく降下作戦でヘブンズベースを落とそうとするでしょうが・・・ハッ!!。甘い考えですな。」
ジブリールは勝利を確信して、ワイングラスを煽った。
322通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:29:19 ID:???
「旗艦はボスゴロフ級アイゼンハワーのリゼン隊長に任せてあります。」
ラクスは宇宙ステーションに来ていた。兵士達の士気は上がるばかりで冷めた兵士などいなかった。
「この作戦が、長かった戦争を終える鍵となる事を切に願っております。あなた方はその役割を背負い、またそれが未来へ繋がる事を忘れないでください。」
「ウオォォ!!。ザフトの為に!!ラクス様の為に!!」
ある意味崇拝に等しき空間で、たった2人浮いてる人間がいた。

演説終了後、ラクスは浮いてた兵士を部屋に呼んだ。
「どうしました?イザーク、ディアッカ。あの場で静かに構えていたのはあなた方2人だけでしたよ?」
「ラクス・・・」
「ラクス?」
「・・・クライン議長、これはどういう事なのでしょうか?。」
「はい?」
イザークもディアッカも前大戦から、ラクスの性分は充分に理解していた。
「いくらブルコスを許さないからといって・・・やり過ぎなんじゃないですか?」
皮肉めいた口調でディアッカは尋ねる。
「私が許せないのは"悪"そのものですよ。今の連合は間違いなく"悪"なのはお分りでしょう?」

結局ラクスに説され、渋々降下ポッドへ入る。
「なあ、イザーク・・・ラクスの奴変わったな」
「変わった?。いい方向にと、信じたいな・・・」
ザフト兵達は静かにその時を待つ。ザフトにある"正義"を疑う事無く・・・

「さあ、始めましょうよ・・・青き清浄なる世界のために・・・」
ジブリールは司令を送る。ヘブンズベースにあるモビルスーツは起動した。ランチャーウインダムやドッペルホルンダガーL、バスターダガーが一斉射撃を開始した。
「何の回答もなしに・・・回避!!」
ミネルバのような機動力をもったものなら回避できたのだろうが、地上にある殆どの艦は沈むか被弾した。
323通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:30:47 ID:???
「く・・・オペレーション"ラグナロク"を開始せよ!!」
ザフトもモビルスーツを出撃させる。その中でもミネルバのモビルスーツは目覚ましい活躍であった。

「ラグナロクは開始された。ポッドを降下させろ。」
イザーク達を入れたポッドが射出され、大気圏を越えてヘブンズベース上空に現われた。
「敵降下部隊を確認。」
「ニーベルングを起動させろ!!」
ニーベルングはジェネシスと同じ原理を用い、ビームをミラーで連続反射させて放つ空中掃討砲である。そして、その光は天空に撃たれる。
「見ててくださいよ、今から綺麗な花火が・・・」
ジブリールは降下部隊を壊滅させた後に正攻法で勝つつもりだった。
「降下ポッド先端に、超高エネルギー反応!!」
「何だと!?」
降下ポッドの先にはマルキオがラクスに極秘裏に提供したモビルスーツの技術を試験的に搭載させてあり、それは破滅の光をも無力と化し、虹色に輝いていた。
「敵部隊はニーベルングを突破し、着地しました。」
ポッドの形も今までと違い、着地してから別れた。
「ヒュー・・・グゥレイト!!。凄いねえ、あんなでかいビームを抜けてきたんだぜ?」
「あの掃討砲を突破し、こうして生きてるとはな・・・」
イザークはグフ、ディアッカはガナーザクファントムとグゥルに乗って連合のモビルスーツを倒していく。
「シホ、右翼を突破してミネルバと合流する。ついてこれるか?」
「はい、行けます。」
シホはスラッシュザクファントムを駆り、イザークについていく。
「あんたもグフかい?カラー付きだから隊長格かな?」
「ああ。お互い若いが隊長同士、がんばろう。」
イザークとハイネはプラントでお互いを意識しながら会うことはなかった。
「アスラン!!久しぶりだな!!」
「イザーク!?ラグナロクに参加していたのか・・・」
324通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:31:53 ID:qXwOdxYN
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325通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:31:55 ID:???
「ジブリール、あんなものは聞いてないぞ!?」
すっかり予定が狂って、ロゴスのメンバーは慌てめいてる。
「まあまあ、こちらが敗ける事はありませんよ・・・デストロイがあるのだからね・・・」

「・・・っでやああぁーー!!」
赤い閃光が海を裂く。ヘブンズベース後方からデストロイが現われ、ザフト軍は今の一撃でも戦力の五分の一が削られた。
「あれがデストロイ!?」
「どこの怪獣映画だ、こりゃ?」
ネフェルティムとミサイルで次々とモビルスーツを落としていく。
「あいつがカーペンタリアを壊滅できた理由がわかったぜ・・・」
「弱音をはくな、ディアッカ!!。ミネルバと共に奴を討つ!!」
デストロイを見て、ザフト兵は退くか殺されるかのどちらかだった。しかし、シンを始めとするミネルバのモビルスーツ部隊と常勝無敗のジュール隊は勇敢に立ち向かう。
「シホはインパルスと共に回り込め。赤いザクとディアッカは援護射撃を!!」
「了解!!」

「嬢ちゃん、よろしく。
「は、はい。よろしくお願いします!!」
「・・・君さ、アスランに恋してるだろ?」
「!!!?」
こんな状況下で聴かれる質問でないため、ルナマリアは焦ってしまう。
「俺は声の質を聴いたらわかっちゃうんだよね〜」
「そ、そうなんですか・・・」

「インパルスの・・・シン・アスカさん、こちらはジュール隊シホ・ハーネンフースです。共にデストロイに陽動をかけます。」
「了解」
背後から足に向けてビームライフルを撃つ。しかし、ビームは弾かれてしまう。
「!!ビームライフルが・・・」
シホのザクのビームバルカンも全く通用していない。
「ビームコーティングでもされてるの?」
326通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:33:50 ID:???
セイバーはアムフォルタスを正面から放つ。
「そんなものぉ!!」
リフレクターを展開して、防御をする。そこにイザークとハイネのグフがスレイヤーウィップをデストロイの胴体に当てる。だが、あまり効果は見られない。
「TPS装甲か?」
レイも隙をついてコクピットと思われる胴体にビームライフルを撃つが、無情にも弾かれてしまう。

「なら、足を止めるさ!!」
オルトロスがそれぞれ2方向から撃たれる。リフレクターの展開も間に合わないだろう。ビームは足に命中した・・・が、ビームライフルのように全く通用していない。
「馬鹿な・・・高出力ビームだぞ!!」

「ジェネシスと一緒だな・・・」
アスランはみんなに聞こえるように話す。
「どういう事だ?アスラン・・・」
「デストロイのエンジンはおそらくNJCを搭載してる核分裂枦エンジンかレーザー核融合枦エンジンのどちらかだ・・・」
「!?」
「強力なエネルギーにあの質量・・・普通のモビルスーツなら無理だが、容量があるデストロイならPS装甲でもビームを弾けるんだ・・・」
かつてジェネシスは陽電子砲をも弾いたのを憶えていたアスランは気付いてしまった真実に恐怖する。
「くそ・・・」
「だが、砕けないわけではないでしょう?」
シンはそんなアスランに喝を入れるために来た。
「そうだな・・・当て続ければ倒せるはずだ。」
モビルスーツである限りは撃墜は付いて回る。何としても倒さなくてはいけない。
「総攻撃!!」
327通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:34:54 ID:???
どれくらい時間が経っただろうか?。デストロイの周りにいるのはミネルバ所属のモビルスーツとジュール隊だけであった。
「反則だな・・・こりゃ・・・」
"ラグナロク"に参加したザフト軍モビルスーツはほぼ壊滅した。しかも、デストロイは陽電子リフレクターとビームをも弾く大容量TPS装甲で無傷に等しかった。
「アムフォルタスさえ当たれば・・・」
高出力ビームですら弾く装甲でも、持続して当てられる武装ならば貫けるとアスランは気付いたのだが上手くはいっていない。
「・・・あんた達は終わりよ!!死んじゃえぇーー!!!!」
ドライツェーンとネフェルティムの数多の閃光が飛びかう。その威力で周りの施設も破壊されていく。
「あいつ・・・敵味方の区別が・・・」
「ううぅ・・・」

「・・・」
ネオは黙り込んでいた。ステラの事が気掛かりでしょうがない。
「(デストロイは生体CPUの脳波と手動操作によるいわば、巨大なドラグーンシステム・・・。体への負担は相当かかる・・・)すまんな、坊主・・・」
インパルスの少年パイロットと交わした"約束"をいとも簡単に破ってしまった。
「俺は・・・勝つしかないんだ。ステラ、耐えてくれ・・・」
ネオはリジェネレイトの起動スイッチを入れる。ディオキアでステラをあの少年達に任せておけば・・・だが、もう遅い。
328通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:36:43 ID:???
「ふふふ・・・死になさい・・・」
既にブロックワードすら関与しない程にまで、精神を削られていた。
「マジ・・・やべぇよな、アスラン?」
「そうだな。ハイネ・・・こんなヤバい状況はヤキン以来だ・・・」
攻撃を避けてはいるが、気持ちの面で相当なプレッシャーを受けている。アスランやイザークですら戦意を削られている。
「今度こそ、絶対絶命か・・・」
勝機は薄い。有効な武装も無効に変えさせてしまうデストロイは余裕ぶっている。
「そろそろ終りね・・・。!!!!何だ?」
その時、雪雲を裂いて赤い閃光がデストロイへ向かってくる。陽電子リフレクターで防いだものの、衝撃が伝わってくる。
「あう!!何だ!?。」

それはまさに救世主のように現われた。
「フリーダム!?」
キラは急いで来たが、ヘブンズベース近海を見るとモビルスーツの残骸が多数浮いてることに気付く。
「・・・どうして・・・そんなに殺したがるんだよ!!」
まるでシンのような口調でデストロイを見つめる。
「何なんだ?」
気に入らない。ステラは本能でわかった。フリーダムを生かしていたらネオが死ぬと。
「お前はぁーー!!」

ステラが叫ぶんだ時、正面の方向から高出力ビームが飛んでくる。リフレクターで防いだステラは視線を変える。
「・・・あいつはぁ・・・」

「アークエンジェル!?。・・・ストライクだと?」
甲板でフレイはアグニを撃ちまくっている。正確なフレイの射撃はステラに少しずつプレッシャーを与えていく。
「何であっても・・・私はぁぁーー!!!!」
329通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:37:49 ID:???
「見ろ!!デストロイが・・・変形していく・・・」
「あ・・・モビルスーツだったのか・・・」
Gタイプの顔が確認されると、デストロイの巨体は島に着陸する。その重量のせいか、少し地面が浮き上がる。
「はは・・・もっとヤバくなってら・・・」
ディアッカは半ば諦めてるような口調である。
「しかし、フリーダムが来てくれましたよ!?」
シホはキラ(名前は伏せていたが)の事をイザークから聞いていたために味方である事はわかっていた。そして、2年前にキラと共に戦った者は信じていた。
「これで勝ったな・・・キラ、聞こえるか?キラ・ヤマト!!」
「!?。イザーク・・・久しぶり。」
「呑気に挨拶してる場合じゃないぞ。」
「とんでもないモビルスーツがあるものだね・・・。」
「俺達が援護する・・・デストロイを討てるか?」
「やってみせるさ・・・」
キラとイザークはそう言うと、それぞれのポジションへ行く。


「エールをお願いします。」
フレイもランチャーを外し、戦場へ赴こうとする。
「何かしら?。この緊張感・・・」
不思議な感覚を感じながら、フレイは発進した。

予告
飛びかう閃光。ほとばしる斬撃。幾多の生命が光を放ち、また消えていく。守りたい者と憎むべき者が重なり、無情にも刻は刻まれる・・・
PHASE-18 「精霊の昇天」
その未来を、光で照らせ、ガンダム!!
330通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 11:38:45 ID:???
GJ!乙です。
331通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 12:42:18 ID:???
ニュータイプ肯定SEEDなので、デストロイの設定が若干違っております。
このSSのドラグーンは、ファンネルと同じような動かしかたと思ってください。

332通常の名無しさんの3倍:2006/07/31(月) 14:44:33 ID:???
僕のSSのデストロイですが、TVより強力な仕様にしてあります。

・手動と脳波コントロールにより速やかに次の行動に移れる
・TVにはなかったTPS装甲の採用(大容量のため、ビームを弾ける)
・レーザー核融合枦エンジン(C.E.の戦艦と同じ)
・未登場ですが、モビルスーツ形態でのホバリング可能

GジェネC.E.を参考に作りました。
333じんないかがみ:2006/08/01(火) 13:20:10 ID:9wof6bUg
じゃあ君死んで
334通常の名無しさんの3倍:2006/08/01(火) 16:18:42 ID:???
続きが気になる
335通常の名無しさんの3倍:2006/08/01(火) 22:00:14 ID:???
愛知のキチガイ脳糞古川は神だと思っている。

半年ほど前の正月休みに両親と愛知のキチガイ脳糞古川の実家(もんじゃ焼き屋)に 食べに行った時の話。
両親と3人で鉄板を囲んで食事をしているといきなり脳糞古川が玄関から入ってきた。
もんじゃ焼き屋に似合わない勝負服ないでたちで。

脳糞古川が「私いつもの〜」と言って二階へ上がろうとすると、
店内にいた高校生集団が「脳糞古川さん!」「脳糞古川さんかわいいー!」などと騒ぎ出し、
脳糞古川が戻ってきてくれて即席サイン会になった。
店内に13、4人ほど居合わせた客全員に店内にあった色紙を使い サインをしてくれた。
高校生達が脳糞古川の母校愛知のキチガイ高校トラウマ部だとわかった脳糞古川は いい笑顔で会話を交わしていた。
そして脳糞古川は「またね〜」と二階に上がっていき、店内は静かになった。

私と両親は脳糞古川の気さくさとかわいさに興奮しつつ食事を終え、会計を済ませようとレジに向かうと、
店員さんが階段の上を指差しながら 「今日のお客さんの分は出してくれましたから。また来てくださいね」と。

あれには本当にびっくりした。

中学校の同窓会に行こうとしたら
「中学の時のクラスメートや先生に、愛知のキチガイ脳糞古川だなんて、わかったらどうする。
 みっともない。
 愛知のキチガイ脳糞古川の身で、同窓会なんかに行くな!」
と怒られた。

「同窓会くらい、いいだろう」と反論したら
「親の言うことが聞けないのか!」と玄関先から、家の中に
押し倒された。

脳糞古川だと、同窓会にも行けないのか?
336俺は:2006/08/01(火) 23:17:52 ID:???
キラ、ラスボス→アス、カガ、ラクスの誰かがキラを木端微塵にアボーン(続編を作ってほしくないから)
キラ→あの世(?)でフレイと再会というのを本気で望んでる
フレイがあの世(?)で独りなんてカワイソウ
.・゚(つД`)゚・.
337通常の名無しさんの3倍:2006/08/03(木) 07:05:00 ID:???
保守
338通常の名無しさんの3倍:2006/08/04(金) 07:52:18 ID:???
保守
339通常の名無しさんの3倍:2006/08/05(土) 22:57:46 ID:???
保守
340通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 10:12:03 ID:???
保守
341通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:24:38 ID:???
PHASE-18 「精霊の昇天」

その光景は聖書にある神と悪魔の最終決戦、アルマゲドンのような光景だった。ただ、人がなり代わってるだけである。
「ステラ、そいつはフリーダムだ!!。」
「ネオ!?」
「そいつが最も悪い奴だ!!」
「ステラや・・・ネオをいじめるの?」
「そうだ!!」
ステラの形相はまるでドラッグに溺れた人間のような顔をしていた。
「それじゃ・・・落ちろォ!!」
スーパースキュラが海を裂く。
「げ!?マジかよ・・・さっきよりヤバいな。」
「ディアッカ、キラを援護するぞ!!」

「・・・冗談じゃない・・・あんなでかいビームに当たったら一溜まりもない!!」
キラとてデストロイのようなモビルスーツを相手にするのは初めてで何をしたらいいかわからない。
「どうすれば・・・!!。インパルス!?」
フリーダムに向かってくるのはリジェネレイトでもデストロイでもなく、インパルスだった。
「でえぇぇ!!」
ビームライフルを当てるように撃ってくる。キラがシールドを構える前に、セイバーが割って入る。
「何をしている、シン。」
「そいつ・・・この前・・・」
過去の自分の憎しみの対象ではなく、力で及ばないのが悔しかった。キラが来てから、シンの目にはフリーダムしか映っていなかった。
「アスラン、どいて・・・インパルスのパイロット!!」
「!?。」
「フリーダムのパイロット、キラ・ヤマトだ。君が僕を倒したいのはわかる・・・だけど、今はデストロイが先決だ。」
「わかってる・・・だけど!!」
「デストロイを倒したら・・・戦ってあげるさ・・・。それまでは協力したい・・・」
342通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:25:49 ID:???
「・・・」
アスランにも言われた事がある。"軍人"てして生きるとはどういう事かを。
「わかった・・・だけどな、覚悟しろ!!キラ・ヤマト、お前は・・・この俺、シン・アスカがぶっ殺してやる!!」
「僕だってやられるつもりはない!!。」
アスランは少し驚いた。あれだけ戦いを嫌っていたキラが"戦う"と言うなんて。誰も知らなかった。この時点では、キラとシンの不幸な生い立ちと運命を。
「ふん、俺はあんたに手を貸すつもりはないからな。」
シンはそう言うとデストロイに向かっていった。
「すまんな、キラ・・・あいつは・・・」
「アスラン、話は後で。今はデストロイを・・・」
「ああ!!」
フリーダムとセイバーは二手に別れた。

「大きい・・・すごいわ・・・」
フレイのストライクも遅れながら到着した。
「いったい、どんなパイロットなんだろう?」
フリーダムを確認すると、隣接するように飛ぶ。
「キラさん、あれはモビルスーツですか?」
「うん、デストロイって言うらしい。フレイ、無茶しないでね・・・」
四方に広がった戦士達は、それぞれの役割に撤する。それは暗黙の確認で判断したが、全員が効率よく動く。
「うおおぉぉ!!」
「はああぁぁ!!」
フリーダム、インパルス、グフ(イザーク)が飛び出ていく。
「特攻・・・させない!!」
スーパースキュラと腕からのビームで凪ぎ払おうと前面に火力を集中して放つ。
343通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:26:46 ID:???
「ぐっ・・・」
海面に当たると、まるで雪のように塩が降り注ぐ。
「どんなトンデモ兵器だよ・・・」
「みんな、今だよ!!」

セイバー、ガナーザク(ルナ)、ザクファントム(ディアッカ)の砲撃がデストロイに迫る。
「何!?」
咄嗟に陽電子リフレクターを張ったので機体は無傷だが、シホとレイのザクとがさらに格闘を仕掛ける。
「そんなものぉ!!」
ブーストを全快にして飛び上がる。
「飛んだ!?」
不意に飛ばれ、驚いて止まってしまう。
「あんた達・・・ステラ、殺す・・・ネオ・・・いじめる・・・だめ!!」
デストロイの全武装による一斉射撃がキラ達を襲う。
「クソォ!!」
「グゥルじゃ、避けきれないわ!!」
容赦の微塵も感じられない。その衝撃は地下にいるロゴスのメンバーにも届いていた。
「きゃははは!!墜ちろ墜ちろーー!!」

シュン・・・

「!?」
そのビームの嵐を抜けて、ストライクとインパルスが向かってくる。
「こいつらぁっ!!」
フレイもシンも避けるのは困難で中々近付けない。
「くそ・・・」
「こんなに・・・でも・・・」
フレイはバーニアを全快にした。並はずれた空間認識能力と先読みの鋭さで、避けて近付いていく。
「よるなーー!!」
「やぁ!!」
ビームサーベルで切り付けるも陽電子リフレクターに防がれる。
「・・・キラさん、今です!!」

ピッピッピッピッピッ・・・

まるで虹のようなフリーダムのフルバーストがデストロイの背後に浴びせられる。
「きゃあああ!!」
344通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:31:25 ID:???
ドライツェーンが装備されてあるバックユニットにも損傷が見られる。
「よし・・・効いてる・・・」

「クッ・・・お前ぇぇ!!」
直ぐ様後ろへ振り向き、スーパースキュラを放つ。
「!?。こんなに速く・・・」
なんとか避けたが、デストロイの腕で払われてしまった。
「うわあぁぁ!!」
「終りね、白い奴ーー!!」
ツォーンをチャージする。その赤い閃光を撃たせまいと、ストライクとセイバーが向かう。
「止めて!!」
「クソォ・・・」
「邪魔をするな!!」
ツォーンはフリーダムではなく、2機へ向かって放たれた。
「く・・・」
イザークのグフとディアッカのザクが互いを引っ張り、2機への直撃を防ぐ。
「助かりました・・・」
「ん?お前・・・」
イザークは2年前にクルーゼが捕虜として連れてきた少女を思い出した。
「生きていたのか・・・」
「その話は、終わってからにしましょう。」
フレイはビームサーベルを構えると、デストロイへ向かう。
「やあっ!!」
「このぉ!!」
切り掛かる瞬間、デストロイの腕に捕まれてしまった。
「う・・・放して!!」

「!?フレイを放せーー!!」
キラはビームサーベルをデストロイの腕に振り下ろす。しかし、ビームの刄を持ってしても食い込むのがやっとと言ったところだった。
「なら・・・」
クスフィアスレールガンをデストロイのコクピット付近へ放つ。
「うわぁ!!・・・ヘルメット・・・割れてる?・・・血!?私、死ぬの・・・」
今の一撃で手から離れたが、よけいにステラの怒りと動揺を買ってしまった。
「デストロイが止まってる!?チャンスだ・・・」
ディアッカは空かさずオルトロスを構える。
「死ぬのはダメ・・・いや・・・恐いよぉ・・・恐い・・・あ、あ、アアアァァァーー!!」
345通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:32:35 ID:???
パアアァァン

その時ステラの中の何かが追い詰められた精神状態に呼応して、その芽を開かせた。
「ダアァァァ!!」
スーパースキュラのビームが空と海を裂く。その砲撃はヘブンズベースの施設も破壊していた。
「敵も味方も区別からついてないなんて・・・」
「ああいうのが一番ヤバいんだよなぁ。」
ディアッカはあえて距離を縮める。近くで撃ったほうが減衰率も低く、貫通できると思ったのだ。
「ディアッカ!?援護しないと・・・」
フリーダムをザクの前に持ってくる。
「ディアッカ、いくら君の腕でもグゥルじゃやられるぞ!!」
「だってよ、遠距離はあいつは有利だし・・・どうすんだよ!?」
「いや・・・それは・・・」
有効と思われる攻撃は2つ。一つは至近距離からの射撃、もう一つは直接コクピットを潰す事。
「パイロットを殺したくないのは分かるぜ?。だけど・・・あいつは太洋州連合を壊滅させたんだ、許しておけないだろ?」
ディアッカの言い分は充分に理が通っている。しかし、キラには非情には撤しきれなかった。
「僕は・・・」

その間にフレイはビームサーベルを二刀流の形で構え、デストロイへ切り込んでいく。
「装甲を通さないなら、コクピットに・・・」
346通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:34:04 ID:???
「!?。お前は嫌いだぁーー!!。あっち行けーー!!!!」

ピキーン

「!?。この感じ・・・」
ストライクの動きが止まってしまう。
「フレイ、ダメだ!!逃げろぉーー!!」
「え・・・」
既に遅かった。デストロイのツォーンがストライクに迫っていた。
「いや・・・死にたくない・・・死ねないよ!!」

パアアァァン

機体をやや上に向け、わざとツォーンにビームサーベルを当ててその衝撃に身を吹き飛ばさせて避けた。
「・・・うぅ・・・なんで、墜ちないの・・・」

「フレイ、大丈夫?」
「キラさん、デストロイのパイロット・・・」
「え!?」
フレイが話そうとすると、上空からスキュラと思われる赤い閃光が飛んでくる。
「危ない!!」
声を上げたのはキラだったが、シールドで防いだのはフレイだった。空間認識能力が並外れたフレイだからこそ出来る芸当である。
「フレイ、君・・・」
「キラさん、私はリジェネレイトと戦います。キラさんはデストロイに集中してください。」
「うん!!」
キラは戦いの度に腕を上げるフレイに不安を感じていた。もしかしたら、フレイは既に"守らなきゃいけない人"ではないのかもしれない。
「いや・・・今は目の前の戦いに集中するんだ」
フリーダムはバラエーナを放つ。デストロイは腕を飛ばして防ぎながら、腕によるビーム攻撃を行う。
「地上でドラグーンを使えるのは厄介だな・・・」
347通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:35:57 ID:???
思い切って特攻するのも手だが、危険な作戦である。
「・・・どうすれば・・・」

「君たちさえいなければ・・・」
四肢から繰り出される光の刄。リジェネレイトの四刀流は覚醒したフレイも受けきるのが難しい。
「ステラちゃんを・・・なんでまた、戦場に?・・・あなたなら、こんな戦いから救い出せたはずでしょう?」
「ジブリールが、そう命令したからだ・・・軍の命令には・・・」
足蹴りに斬撃を乗せてリジェネレイトはストライクの足を狙う。
「従わなければいけないんだ!!」
「く・・・」
右手のビームサーベルで受けとめ、左手のビームサーベルでリジェネレイトの左半身を斬る。
「なぜだ・・・なぜ、君達は今になって現れた?」
パーツを交換し、強襲形態へ変形する。
「もっと、早く来てくれていれば・・・」
もしかしたらステラは救われたかもしれない。あくまで"もしも"の話だが。
「だがもう遅い!!」

「ハッ!見つけたぜ、女・・・」
前回煮え湯を飲まされたスティングはフレイを執拗に恨んでいた。
「カオス!?しまった・・・」
スキュラとカリドゥスが左右から迫ってくる。
「く・・・」

ピキーン、"フレイさんはリジェネレイトの砲撃を"

「!?。」
フレイは言われた通りにスキュラを防いだ。カオスの攻撃はルージュが防いでいた。
「誰がルージュに?さっきの感じ・・・リナウちゃんなのね」
348通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:37:31 ID:???
IWSPを装備していたルージュは対艦刀を手にリジェネレイトに向かう。
「これは・・・いったい、どういうわけだ?」
「これ以上ステラさんを苦しめないでください!!」
繰り出されるスキュラを避け、レールガンを放つ。そして対艦刀を振り間合いを詰めてまたレールガンを撃つ。この攻撃は徐々にネオを追い詰めていく。

「まだ10歳の女の子なのに・・・」
戦術や気迫は自分やキラにも劣ってはいなかった。
「おい・・・何よそ見してんだよ!なめてんじゃねぇぞ、コラ!!」
ストライクにはカオスのビームクロウが迫っていた。しかし、2機の間にビームが飛んでくる。
「・・・ムラサメ?」
黒いムラサメがモビルアーマー形態で飛んできた。
「ふふふ・・・久しぶりのオペだ・・・。あの"蛙"を解剖するとしよう。」
「あんだと〜・・・」
「フレイ君はリジェネレイトとの戦いに集中したまえ!!」
「!!・・・はい。」

ネオは視線をデストロイに向ける。するとフリーダムとザフトのモビルスーツ達に押されているのが見えた。
「まずい・・・!!。そうか・・・」
ネオはインパルスを見つけて近づいていく。
「おい、坊主!!」
「!?。あんた、仮面の・・・」
「デストロイに乗ってるのは・・・ステラだぞ!!」
「!?!!?。今・・・何・・・て・・・」
「あれにはステラが乗ってるんだ!!」
349通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:39:16 ID:???
おかしい。あの時、ちゃんと"約束"したはず・・・。

「ウオォォ!!」
イザークのグフのテンペストがデストロイのコクピット付近を切り裂く。
「キャアァァ!!」
シンは恐る恐る画面を拡大する。
「・・・!!。ステ・・・ラ?」
あの"約束"は何だったのか?。しかし、不思議とネオを問い詰める気が起きなかった。早くステラを救いたい気の一心だった。

フレイはストライクをリジェネレイトの後ろに持ってきた。
「リナウちゃん!!」
「・・・はい!!」
ストライクは右斜め上から、ルージュは左斜め下から斬撃を浴びさせる。そして交互に繰り返す。
「ちぃ・・・パーツを・・・」
「もうさせないわ!!」
交換した瞬間に2本のビームサーベルを腕部の胴体に近い部分を縦に斬る。
「何?うわあぁぁーー!!」
隙を突かれて、落下していく。

「あ・・・ネオ・・・?死んじゃったの?。いや・・・いやだよ・・・死ぬのは・・・ダメーー!!」
全ての装備で無差別に近い攻撃を繰り返す。
「キャア・・・」
「ぐわっ・・・」
レイとルナマリアのザクがネフェルティムで損傷して帰投する。
「おいおい・・・」
相手が悪い。運も悪い。ディアッカは空中では自由に動けないのがよく身に染みた。
「ミリアリア・・・聞こえるか?」
「ディアッカ!?」
「俺の機体も損傷した・・・収容を頼む・・・」
「・・・許可します」
声はマリューだったが、会えるなら問題はない。
350通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:40:32 ID:???
「何だ・・・この感じ・・・」
フレイに遅れはしたものの、キラもデストロイのパイロットを感じ取った。
「あの女の子なのか・・・ステラなのか?」
ディオキアで会った少女。あの純粋な眼は信じているものを疑わないのだろう。
「でも・・・君がこのパイロットだったなんて・・・」
迷ってはいけない。
「僕は・・・」

シンは迷わなかった。
「俺は・・・ザフトだ。ステラを・・・連合は倒さなきゃいけないんだ・・・。」
ビームサーベルをしっかりと握るインパルス。

パアアァァン

SEEDが弾けて、シンはデストロイに突っ込む。
「でえぇぇい!!」
「!?」
デストロイに振り下ろされたビームサーベルをビームサーベルで受けた。そのまま鍔迫り合いは続いていく。
「あんた、キラ・ヤマト・・・」
「この子はエクステンデット・・・悲しい少女なんだ!!」
「あんただってさっき殺そうとしたろうが!!。俺だって・・・ステラを殺したくない!!」
「ステラを・・・知ってるのか?」
「ああ。だけど、俺はザフトで軍人だ・・・割り切れなきゃ世界は救えないんだよーー!!」
二刀流でフリーダムを攻めるインパルス。デストロイは隙を逃さなかった。
「そいつは消えろ!!」
スーパースキュラがチャージされている。
「!?このままでは・・・アークエンジェル、スペアのシールドを・・・」
射出されたシールドを右手に持ち、左手のシールドと合わせて完全防御体勢を取る。
351通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:42:44 ID:???
「沈めぇーー!!」
最大出力で放たれたスーパースキュラはフリーダムとインパルスへ向かっていく。

パアアァァン

「ウオォォ!!」
シールドの表面は削れていき、砕け散る音が聞こえてくる。
「あんた、俺を助けて・・・」
パシパシと蒸発していく。サッとシールドを放すと、インパルスの腕を掴んで上空へ逃げる。シールドは跡形もなく消滅していた。
「・・・キラ・ヤマト、なぜ俺を助けた?」
「君は僕と戦いたいんだろ?なら死ぬのは許さない・・・だろ?。」
本当は死なせたくない!!、と言いたいがバカにしたなどとうるさそうなので、表現をシン向けに変えたのだった。
「・・・」

「ステラちゃん、止めて!!」
フレイは必死に説得を迫る。しかし、ステラの耳には届いていなかった。
「どいつもこいつもーー!!!!」
再び乱射攻撃が始まった。しかし、SEED化したアスランがそれを掻い潜り、アムフォルタスを背後から浴びせる。
「あぅ!!」
バックユニットは完全に壊れ、デストロイの腕もイザークてハイネのコンビに破られた。
「後は・・・」
クスフィアスレールガンでスキュラの発射口を破壊した。
「あ・・・」
「これでデストロイは動けない・・・」
シンはそう気付くとデストロイに近づいていく。
「ステラ、俺だよ?シンだよ・・・」
「はぁ、はぁ・・・シン・・・?なの・・・?」
352通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:44:02 ID:???
「シン・・・ステラ、会いに来た?」
「そうだよ・・・ステラ・・・」
さっき言った事と真逆となっているが、一先ずホッとする。
「あ・・・シン・・・!!!?。く・・・あぅ・・・」
「!?ステラ、どうしたんだ?」
デストロイが呼び掛けてくる。"殺せ、殺せ、殺せ"。
ツォーンを空中に乱発して、雲を焼き切る。
「ステラ?。」

「ふふふ・・・デストロイには生体CPUが戦う意志を無くしても戦うようにプログラムを組みこんである・・・死ぬまでね。」
ジブリールは他のロゴスとともに潜水艇で脱出していた。
「まあ、他に道はある・・・デストロイを失いたくはなかったが・・・」
彼の持つディスクにはGAT-X444 "アース"のと記されていた。

「ステラちゃん、もう・・・止めるのよ!!」
フレイはデストロイの正面に出る。
「フレイ?」
「そうよ、さあ・・・」
デストロイの頭突きがストライクを地上に叩き落とした。
「フレーーイ!!。ステラ・・・君は・・・」
抑え切れない怒り。頭では分かっているが、納得は出来ない。フリーダムのビームサーベルが連結する。
「う・・・キラさん、ダメ・・・」
バーニアで制御を効かせたので、意識は失わなかったが体が動かない。

「ダメだ・・・僕には・・・ステラ、聞こえるかい?」
「キラ・・・?ダメ・・・ステラ、悪い子だから・・・」
「フレイに謝ろう?そしたら、許してくれるよ・・・みんなで海に行こう・・・」
やはりキラには出来なかった。ステラも笑顔を見せる。しかし、そこへシンが割り込んでくる。
353通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:45:08 ID:???
「くっそーー!!なんで、あんたの言う事はきくんだよ!?なんで・・・」
全ては奴が・・・2年前も含めてキラ・ヤマトが悪い。シンは悔しくてたまらなかった。
「く・・・」
連結したビームサーベルを回転させてインパルスの攻撃を捌き、連結を解いて左腕を切り落とす。
「!?まだ、もう一本あるんだよ!!」
振り下ろされたビームサーベルを左手のビームサーベルで受け、咄嗟にビームサーベルをインパルスに向けてしまう。
「!!!?。しまっ・・・」
キラにも止められなかった。どうしようもなかったはずだった。

ズバアッッ!!

「あ・・・ステラ?」
フリーダムのビームサーベルはデストロイの胸部に刺さっていた。
「ダメ・・・2人の喧嘩・・・ダメ・・・。」
「どうして・・・」
「ステラ、シンに"昨日"を貰ったから・・・キラに"明日"を貰ったから・・・だから"今"、出来たの・・・」
その言葉にはどれ程の想いが込められてるだろうか?どれ程の感謝を抱いてるのだろうか?
「フレイ・・・いじめてごめんなさい・・・。リナウ・・・一緒に遊びたかったよ・・・」
涙が止まらない。その場にいる全員はステラの死を予感していた。
「キラ・・・ステラ・・・助けた・ありがとう・・・。シン・・・好き・・・さようなら・・・」
光と共に轟音が鳴り響く。
「ステラーーーー!!!!う、う・・・ああぁ・・・ステ・・・ラ・・・」
また守れなかった。約束したはずなのに。

「ステラ・・・」
ネオはジブリールの乗る潜水艇で治療を受けていた。しかし痛みは悲しみのせいか、全く感じなかった。
「ウオォォーー!!」
拳を力強く机に叩きつける。
354通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:46:45 ID:???
パイロットはそれぞれの思いを胸に帰投していく。。ディアッカはイザークが迎えに来ると、ミリアリアと話を出来なかったためか渋々帰ったという。
「もう・・・2時か・・・」
フレイだけは寝ていなかった。悲しみのあまり、寝ることが出来なかったのだ。
「キラさんは・・・」
キラの部屋に行くと予想通りキラは布団の上で泣いていた。
「フレイ・・・僕は・・・ステラを、殺して・・・殺してしまった・・・」
「あなたのせいではないわ・・・キラさん・・・」
「やっと・・・あの子に"今"が戻ったのに・・・アアアア・・・」
キラの涙は枯れなかった。フレイの涙も止まらなかった。唯々、悲しみだけが深まっていった。


予告
守れなかった。守れたはずだった。力の無さと悲しみに嘆くシンにラクスは運命の剣を授ける。そしてその刄の切っ先は・・・
PHASE-19 「堕ちゆく希望」
新たな力で、飛翔せよ、デスティニー!!
355通常の名無しさんの3倍:2006/08/07(月) 14:55:22 ID:???
リアルタイムで乙です
356通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 07:40:13 ID:???
GJ
357通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 10:21:46 ID:???
シンが殺したようなものだな
どうしようもないクズだ
358通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 11:19:29 ID:rj0j7VYu
作者も厨房なら住人も厨房なスレwww
359名無し28号:2006/08/08(火) 11:23:00 ID:???
復活したら復活したでSEEDさらに糞アニメ化すると思うけどな、まぁ、
もうすでに糞アニメだし、復活させようぜ、実はステラのクローンが
いてそいつとシンがくっ付くってのはどうよ?
360通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 12:32:00 ID:RwZs2y60
フレイが復活してサイ君とくっついてくれるなら復活してほすい。
361名無し28号:2006/08/08(火) 12:35:55 ID:???
369>>
もちろんキラ死んでるよね?
362通常の名無しさんの3倍:2006/08/08(火) 13:01:34 ID:???
酷い釣りレス乙
363通常の名無しさんの3倍:2006/08/10(木) 07:21:37 ID:???
保守
364通常の名無しさんの3倍:2006/08/10(木) 18:25:19 ID:???
名艦長が・・・俺の・・・俺達の名艦長が・・・・嗚呼・・・・・・・・・ぁぁ・・・
365通常の名無しさんの3倍:2006/08/10(木) 19:36:18 ID:???
天下一武道会の司会誰がやんだ…orz
366通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 07:28:54 ID:???
保守
367通常の名無しさんの3倍:2006/08/12(土) 10:41:56 ID:???
>>365
Zの後半から、声優変わってるぞ
368通常の名無しさんの3倍:2006/08/13(日) 07:13:49 ID:???
保守
369通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:46:02 ID:???
PHASE-19 「堕ちゆく希望」

デストロイを撃破した後、疲弊したキラや艦を考慮してオーブへ迎う事にした。
「フレイ、お早よう。」
「お、お早ようございます。」
明るすぎる声。わざとしているのは見え見えだった。
「キラさん・・・無理しなくても・・・」
「・・・昨夜ね、ステラが夢に出たんだ。」
実はフレイもステラに出会ったのだった。そのステラは何かを伝えそうで悲痛を訴えているような顔だった。しかし、声は聞こえなかった。
「ステラは言ったんだ。"気にしないでいいよ"、って。」
「キラさん・・・」
抱きたかった。抱いてほしかった。でもそれは互いの為にならないことがわかっていた。
「だから、もう泣かないんですか?」
「ステラの分も、強く生きなきゃいけない。そして僕の命が殺してしまった分、人の命を助けたいんだ。それが今生きてる僕の出来る、ステラへの償いなんだ。」
キラはそう言うとドックへ向かった。その顔は悲しそうで、まるで死んだ魚の目に・・・記憶を失ってから初めて会ったときに酷似していた。
「そんな早く・・・立ち直れるはずないわよね・・・」
ステラの魂は何かを訴えたがっている。それはわかる。しかし、キラとフレイの感受性を以てしても全てを聴くことは出来なかった。
「ステラちゃん・・・あなたは何を伝えたかったの?」
370通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:46:59 ID:???
カーペンタリアが壊滅状態の為にジブラルタルで補給・整備を受けているミネルバ。そこには荷物を持って空港で待つハイネの姿が在った。
「世話になったな。」
「ハイネ、俺達こそ君には助けてもらった・・・君ならいい隊長になるさ」
ヘブンズベースでの戦いの後、ハイネにはネビュラ勲章と転属命令が来ていた。イザーク達は既に宇宙に戻っていた。
「じゃ、セイバーは貰ってくぜ。」
「ああ。」
握手をして、ハイネは修理の意味も込めてセイバーと共に本国へ戻っていった。アスランはハイネを見送ると、思わぬ人物と再会した。
「ラクス・・・?」
「お久しぶりですわ、アスラン。」
「なぜ、ここへ?」
「あなた方へ会いに来たのですよ。プラント最高評議会議長として・・・」

シンはステラの死から自分の力の無さを悔いていた。発狂したかのようにフリーダムとの戦闘シュミレーションを繰り返していた。
「ダメだ・・・どうあっても勝てない・・・。」
キラ・ヤマトと名乗ったフリーダムのパイロット。機体のスペックを凌駕する程に操る力は認めざるをえない。
「今まで141回やって1回も勝てないなんて・・・」
インパルスだから出来る自爆戦法を用いても、相討ちにすら持ち込めない。
「これじゃ・・・ステラの仇は・・・」
拳を握り締めて、机に叩きつける。

ピーピーピー

「シン、大変よ!!」
声の主はメイリンだった。
「何だよ・・・後にしてくれ・・・」
「それがね!!・・・ラクス・クライン議長が来てるの!!」
「何だって!?」
371通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:49:18 ID:???
「あの・・・サインお願いします。」
「はい・・・どうぞ」
ヴィーノはヤッホーイ、と叫んではしゃいでいた。ラクスはやはり議長というよりはアイドルの歌姫という印象が強いせいかミーハーなクルーが集まっていた。
「ここまでの人気か・・・」
アスランも2年間はオーブにいたため、すっかりラクスがアイドルだったという事を忘れていた。
「急に来られても、困りますよね〜。」
「ルナマリア・・・?」
ムスッとした口調なので、宥めるように話す。
「別に困らないよ。何かあるかな?」
「アスランって鈍いんですね!!。」
ルナマリアは頭にある包帯を解くと、自分の部屋に入ってしまった。
「何なんだ?」
ルナマリアと入れ違うようにシンとメイリンが入ってくる。それに気付いたラクスは立ち上がった。
「お待ちしてましたわ、シン・アスカ。」
「はぁ・・・」
初めて会った新議長。テレビで観るより美しく思えた。
「もう艦長には話を着けてあります。シンとアスランのお2人にはネビュラ勲章と剣をお渡しいたしたいと思います。」

そう言うと、空港から少し離れた格納庫に2人は連れてこられた。
「これが、あなた方の新しい剣です。」
照明ライトが点けられ、その剣が全貌を現わす。
「これは・・・」
「右にあるのはZGMF-X42S  デスティニーです。」
「デス・・・ティニー」
「インパルスの各シルエットの長所を集めたカスタムメイド機体です。」
372通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:50:18 ID:???
それはまるでフリーダムと対をなす悪魔の姿をしていた。
「これが・・・俺の、新しい・・・機体・・・」
「もう既にユニウス条約も形骸化し、ロゴスも表になった今、私は新たな力を欲しました。この2機には核エンジンが搭載されています。」
「!?。核エンジンだって!!」
アスランには信じられなかった。
「フリーダムとてNJCを積んでるでしょう?そうそう、アスランにはZGMF-X666S レジェンドに乗っていただきます。」
「レジェンド・・・」
「ドラグーンシステムの技術確信により、ある程度空間認識能力の普遍性をカバーできます。アスランなら、きっと使いこなせるはずです。」
その機体の姿はかつて世界を滅亡の危機に陥らせたラウ・ル・クルーゼの機体にそっくりであった。
「"運命"と"伝説"・・・お2人には相応しい機体だと思いますよ。」
"運命"に翻弄され、流れるようにいたシン。英雄が如し戦いをし、"伝説"を築いたアスラン。2人にはまるで最初から決まっていたかのような渡され方をしていた。
「早速、テストも兼ねて任務をあなた方に与えます。"・・・・・・"」
アスランはその任務の内容に驚いていたが、シンは笑みすら見せていた。
「ラク・・・ス、もう一度言ってくれ・・・」
「最初の任務はフリーダムの捕縛、あるいは撃墜です。アークエンジェルはどちらでも構いません。」
373通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:51:29 ID:???
嵐のような豪雨が続く中、アークエンジェルは構わず海上を進み続ける。食堂ではクルーが食事をしていた。
「すごい嵐ですね・・・キャッ!!」
雷が鳴ると、リナウは耳を手で覆うとしゃがみこんでしまった。
「モビルスーツには乗れるのに、雷は苦手なんだ・・・」
ミリアリアはまだ10歳の女の子というのを改めて認識し、頭を撫でる。
「だって・・・」
涙まで流しているリナウにカズィの何かに気がついた。
「・・・なあ、なんかリナウちゃんを視てると・・・」
「カズィ、君はロリコンだったのか!?」
キラはバッと立ち上がる。その声に反応して、ミリアリアやノイマンが冷たい視線を向けてくる。
「違う、違うんです。」
「その気がありそうとは、思ってたけど・・・本当にそうだったなんて・・・」
フレイの怒濤の一撃。キラもよろけて、一瞬顔が変わった。
「カズィ、今なら間に合う。友達として君を助けたい!!」
「だから、違うって・・・」
なんとか誤解を解いてその場を凌いだが、カズィはもう一度キラに話し掛ける。
「リナウちゃんってモビルスーツの操縦や空間認識能力にも長けてるし、普通のナチュラルとは思えないんだよ。」
それはキラも気になっていたところだ。しかしコーディネーターでもないようだが、ナチュラルとも思えない能力。
「まさか・・・ステラと同じ強化人間?。」
マユから聞いたようなエクステンデットに見られる不安定要素がない。

フレイが食器をかたそうとすると、不意に憶えがないシーンがフラッシュバックする。
374通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:52:28 ID:???
"大丈夫・・・私の想いが・・・あなたを守るから・・・"

ガシャン、と音がしたので視線がフレイに集中する。キラは直ぐに駆け寄る。
「大丈夫?フレイ・・・」
目を見開いて、キラの顔を見つめる。フレイの顔はまるで、叱られそうな子供のように恐怖を引きつった顔だった。
「顔色が悪いよ・・・熱でもあるのかな?」
「ひっ・・・」

"これ以上揺れたら・・・私・・・"

フレイは目を瞑って頭を抱え込む。
「は、いや・・・あ・・・う・・・」
「フレイ、どうしたの?。僕をしっかり見て!!」
「いやだよ・・・私を置いてかないで・・・いったら死んじゃうよ!!」
キラだけはフレイがどうなってるかが理解できた。記憶がフラッシュバックしているのだろう。その記憶は今のフレイを苦しめているのは、自分に非がある。
「部屋に戻ろう・・・ノイマンさん、手を貸してください。」
「ああ・・・」
肩を担いで部屋に戻って、フレイを横にする。ノイマンはすぐに出ていつたが、キラはフレイについていた。
「キラ・・・さん・・・そこにいますか?」
「うん、いるよ。」
「私・・・昔、キラさんと何があったんですか?。」「!!」
今更、と思ってしまう。このままではいけないのも、いつか話さなくてはいけないのもわかっていた。
「記憶が・・・戻りかけてるんだね?」
いつになく強い口調で、後悔を裏に秘めた目をしていた。
「僕は・・・」
375通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:53:29 ID:???
ピーピーピー

「艦長、戦艦と思われる熱源をキャッチしました。」
「数は?」
「1隻です。飛行速度から推測される戦艦は・・・ミネルバです。」
「!!」
なぜあの船がアークエンジェルを追ってきているのかマリューには即座に判断できなかった。なぜなら今命令をだしているのは、ラクスなのだから。
「一応、警戒しておくのにこした事はないわね。総員、第1戦闘配備!!」

各部屋に放送が行き渡り、キラも立ち上がって行こうとする。
「フレイは出撃しないほうがいい。今は休んでて・・・」
「待って・・・」
「大丈夫。また、帰ってから・・・」

"帰ってから・・・"

「!!」
我に帰った時にはキラは既に部屋を出ていっていた。
「ダメ・・・行っちゃダメなの・・・」
行ってはいけない。もう、キラには会えないようないやな予感がしていた。

タリアは念のために通告を入れる。
「アークエンジェル艦長、及びクルーに告ぎます。本艦は貴艦に所属するフリーダムを撃破するように命令を受けています。」
「!!」
「正規軍に属していない核エンジンを積んだモビルスーツを野放しにするわけにもいきません。よってフリーダムを引き渡してください。引き渡しが行われない場合、貴艦を撃沈してまで墜とすり」

「・・・確かに渡せば穏便にすむはずでしょうくど・・・」
376通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:54:54 ID:???
「あちらと同じ回線を・・・・・・こちらアークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスです。」
ミネルバのブリッジにはマリューの顔が映し出される。オーブで偽名を名乗っていたが、タリアとアーサーには一目で理解した。
「やはり・・・あなただったんですね。」
「グラディス艦長、あなたの気持ちは嬉しい限りです。しかし、本艦はフリーダムを失うわけにはいかないのです。」
「クライン議長がそう言ったのです。最後通告です、乗員の生命は保障いたしますから・・・」
死なせるには惜しい。アークエンジェルもフリーダムも再び混迷の世になった時に必要な人材ばかりなのだから。
「残念ですが、それは出来ません。私達には進まなくてはいけない道があるのです。」
アークエンジェル内でもラクスに対する不信感が漂う。ラクスが2年前にフリーダムを修理し、今は破壊を求めるなどおかし過ぎる。
「願わくば、脱出の許可にご配慮を。」
通信を切り、マリューは海面に入る準備をさせる。
「・・・攻撃開始!!。アーサー、対艦ミサイルと魚雷を発射!!」
「は、はい!!」
アークエンジェルに各ミサイルが近づいていく。
「魚雷も!?」
海面に着水できず、艦を浮かせるノイマン。
「迎撃!!。まずいわね、潜らしてもらえそうにないわ。こうなったら、あの船と戦闘よ。ただ、撃沈はしないで。」
降り注ぐミサイルの雨をフリーダムがフルバーストで撃ち落としていく。
「ミネルバがいるということは、アスランとシン君も・・・」
377通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 08:55:55 ID:???
機体チェックを入念にする2人。アスランにも迷いが生じていた。
「シン、フリーダムを捕獲するぞ。」
「捕獲?何寝言言ってるんですか?。あいつは絶対に俺が倒します!!」
「しかし、ザフトにとっても有益・・・」
「発進してください」
話してる途中で、邪魔が入ったためシンは構わず出撃態勢をとる。
「チッ、シンのやつ。俺がキラを止める・・・アスラン・ザラ、レジェンド、発進する!!」
今、まさに世界の歴史は変わろうとしていた。
「絶対に・・・フリーダム、キラ・ヤマトを・・・殺す・・・。」
運命の歯車は急速に回りはじめた。
「シン・アスカ、デスティニー、行きます!!」
絶望へ誘う赤き翼は今、解き放たれた。


予告
空を闇が覆い、海も黒く染まっている。飛びかう光の刄が闇に飲まれるとき、赤き翼が世界を食らう。
PHASE-20 「DEATH」
終わりなき闇を、突き進め、レジェンド!!
378通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 11:36:26 ID:???
乙です!
この先が読めねえ!
379通常の名無しさんの3倍:2006/08/14(月) 11:50:35 ID:???
シンが返り討ちになる展開を希望!
380通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 15:18:58 ID:???
>>377
今回もGJ!!

しかしまあカズイ・・・。信用ねえなw
381通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:32:54 ID:???
PHASE-20 「DEATH」

シンとアスランに渡された新たなる剣・デスティニーとレジェンドが、フリーダムに襲い掛かってきた。
「出てきたな、キラ・ヤマト。」
ビームライフルを撃つ。威嚇ではなく、殺すつもりで狙っている。
「正確な射撃、真っすぐな程の殺意・・・シン君だね?」
ビームライフルで反撃を開始するが、連射速度や弾速で負かされている。上空からはビームの束が降り注ぐ。
「あの機体・・・プロヴィデンスに似ている・・・」
自分だけでなく、世界が呪うべき存在の後継機と思われる機体。しかし、搭乗してる人間はおそらく自分の親友・アスランだろう。
「キラ・・・聞こえるか?」
ビームライフルをフリーダムの翼の横を狙うつもりで撃っている。狙い通り海に当たってるが、キラにはその思いは伝わらないのかビームライフルで牽制していく。
「アスラン、なぜこんな事を?」
「ラクスの命令だ・・・ザフトはアークエンジェルを不穏分子と判断した。」
話に理は通っている。オーブが責任を負わぬようにテロリストとして活動してきたアークエンジェルをザフトが討ちたいのはわかる。しかし、ラクスの意図が読み取れない。
「フリーダムは彼女が修理をしたがっていたのに・・・なぜ?。なぜ、"仲間"である僕達を攻撃するんだ?」
「キラ、投降しろ!!。プラントにつくんだ!!」
レジェンドはビームサーベルを抜いて、フリーダムに切り掛かる。ビームサーベルで防ぎ、鍔迫り合いを起すがフリーダムのビームサーベルが曲がっていく。
382通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:34:10 ID:???
「ビームサーベルの出力が・・・負けてる?」
その瞬間、アスランの機体が核動力である事に気づいた。
「いや・・・ただの核エンジンじゃない・・・NJCだけじゃない・・・」
出力で適わないのならスピードで・・・そう悟ったキラは一旦距離を置く。
「おい、俺を忘れるなよ!!。あんたは俺が殺すんだ・・・今、ここで!!」
シンは高出力ビーム砲をフリーダムに向ける。デスティニーの銃口に気づいて、バラエーナを放つ。ぶつかり合う赤い閃光。しかし、一方のビームはかき消された。
「バラエーナが・・・」
デスティニーの放ったビームがフリーダムに向かってくる。シールドで防いだが、その強さは受け切れずに吹き飛ばされてしまう。
「あのモビルスーツ・・・」
フルバーストをデスティニーに放つ。が、デスティニーの腕と盾からはデストロイのようなビームシールドを発生させた。
「ハハハハハ!!。このデスティニーにはな、実体シールドからと両腕、三つのビームシールドがあるんだよ!!」
バラエーナもクスフィアスレールガンも弾かれて、フリーダムの攻撃全てが効かないとわかった時、デスティニーのビームブーメランが迫っていた。
「え・・・何時の間に・・・」
シールドで弾いたが、レジェンドからのビームがフリーダムの足を擦った。
「・・・そんな・・・これは・・・」
デスティニーのビームライフルがフリーダムのビームライフルを貫く。
「キラ・ヤマト、あんたは自分とフリーダムが最強だと思っていただろう?」
シンの言うとおり、キラは慢心に近い感情があった。どんな相手でも倒せるという慢心が。
「議長から聞いたよ・・・」
383通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:35:25 ID:???
高出力ビーム砲を威嚇のつもりでフリーダムに放つ。焦るキラはシールドで防いでしまい、シールドが見事なまでに砕けた。
「あんたは最高のコーディネーターらしいな・・・。通りで強いわけだ・・・」
ビーム攻撃が止む。フリーダムはその間に射出されたスペアのシールドを受け取る。
「あんたがその"血"と"運命"に苦しむのはよ〜くわかった・・・だけどな、その慢心はあんたが否定したい最高のコーディネーターの力なんだぜ!!」
「!!!?」
「最高のコーディネーターだから最強・・・自分で否定しといて、一番その力を頼りにしてんのはあんた自身だろ?あんた矛盾してんだよ」
「シン、止めろ!!」
あまりに挑発的なシンにアスランは怒声を発した。
「構わないでしょ?今、殺すんだから・・・こいつが、ステラを殺したんだからよーー!!」
アロンダイドが抜かれ、デスティニーの翼が開かれる。
「光の・・・翼?」
赤い翼を開くと、デスティニーはフリーダムに接近していく。その姿はブレてるように見えた。
「く・・・」
バラエーナを放つ。そうすると、デスティニーを擦り抜けていく。
「そんな・・・」
確かに貫いたはずだった。しかし、尚接近してくる。
「なぜ・・・」
「おいおい・・・俺はここだぜ?」
デスティニーは後ろにいた。前にもデスティニーがいる。
「!?」
前のデスティニーはフリーダムの目の前までくると消滅した。
「目の前の現実を受け入れられないか?。言ってやるよ・・・あんたを俺は超えた!!」
384通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:36:32 ID:???
腕から光が発せられたので、キラは急いでシールドを構える。
「無駄なんだよ!!」
パルマフィオキーナの青い光が密着状態でシールドを砕いた。
「そんな・・・」
攻撃力・防御力・機動力の全てがフリーダムを超越している。キラは恐怖すら感じていた。
「あんたの力は人を殺すためにある・・・ここで死ぬべき人間なんだよ!!」
「僕は・・・人殺しじゃない!!」
「俺がこの手で殺してやる・・・そうすりゃ誰も殺さずに済むだろ!!」
左足を切り裂かれるフリーダム。キラは逃げるしかなかった。
「僕だって・・・苦しいんだよ・・・」
トールやサイ、ニコルやステラを思い出すキラ。
「殺したかったわけじゃ・・・死なせたかったわけじゃない・・・君に僕の気持ちが、わかってたまるかーー!!」

パアァァァン



「あなたの言うことが本当ならば、それは厄介ですね・・・」
「はい。フレイ・アルスターは世界で唯一の"JOKER"・・・"SEEDを持つ者"を超える人間など在ってはいけない・・・」
マルキオとギルバートは古の機体を前に意味深な会話をしている。
「デスティニーはこの機体の生きた"黒歴史"の申し子・・・きっとフリーダムを倒すはずだ・・・」
「パイロットも"最高のコーディネーター"に"最強のコーディネーター"をぶつけたのも正解でしたね、ギルバート」
「計画通りさ・・・全て・・・私の5万年という年月をかけた戦いは、私が終結させる!!私の勝利で・・・」
ギルバートの後方には"黒歴史"の申し子、デスティニーの兄弟機の5機が立ち並んでいた。
385通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:37:35 ID:???
「気になるのはキラ・ヤマトの成長速度です。フレイ・アルスターと再会してからは、フリーダムですら器にそぐわない力を持つようになった。」
「仮にキラ・ヤマトのSEEDの第1段階"種割"を超えて第2段階"開花"になってたとしても・・・」


ビームサーベルを左腕のパルマフィオキーナで弾く。
「!?」
「いつもそうやって・・・やれると思うなーー!!」

"システム作動、シン・アスカのSEEDファクターを感知、強制発芽を開始します"

"パアァァァン"
シンの中に赤い百合が映しだされた。


「デスティニーを含めた"シックスナイツ"の機体にはRelease-SEEDシステムがある。そう、敗けはしない。マルキオ、君との約束を果たす!!」


フレイはキラの危機を感知して、ストライクで発進した。アークエンジェルもミネルバからの攻撃にさらされていた。
「タンホイザー起動、照準・・・アークエンジェル!!」
「バリアント照準!!ってえぇぇ!!」
ミネルバの前面に当たり、海水がミネルバを覆う。
「これでは狙いが・・・」
タンホイザーの発射を阻止して、アークエンジェルは海へ潜った。
「キラ君達に離脱を・・・」
「キラ、フレイ、離脱よ!!キラ・・・」
ミリアリアの通信は2人の耳に届いていなかった。
386通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:40:04 ID:???
「キラ・・・俺は・・・!?。ストライクか?」
「どいて!!」
ビームサーベルを抜いてレジェンドに切り掛かる。しかし、あっさりと凪ぎ払われる。
「きゃっ・・・」
「君は離れろ!!」
ビームライフルを放つアスラン。もちろん威嚇のつもりだったが、嵐のせいか大きく弾道が反れてしまう。
「いや・・・」
「しまった・・・直撃コース・・・」
その時、ビームサーベルでフリーダムがビームを弾いた。
「キラさん・・・」
「大丈夫?」
「ええ・・・」
今度こそ、フレイを守れた。キラはホッとしてしまう。
「甘いんだよ!!」
デスティニーがアロンダイドをフリーダムに振り下ろす。
「ここからいなくなれぇぇーー!!」
アスランは咄嗟にレジェンドを海へ潜らせた。フリーダムはストライクを蹴飛ばし、海へ入れる。
「キラ・・・さん?」

その刄は英雄と呼ばれたフリーダムを斬り裂いた。デスティニーはそのまま海中に潜る。

「あれは?」
「強力な熱量・・・これは核爆発です!!」
「!?」
アークエンジェルクルーが愕然とした。キラが敗北するなんて・・・と。後方では白い光が海を焼いていた。

甦るキラの優しい笑顔。強い意志。それは白い光で消え去った。
「い、い・・・イヤアアァァァーー!!キラーー!!」
波が落ち着き、辺りにはフリーダムの残骸が。
「キラ、返事して・・・キラ・・・」
フレイは必死に探す。だが、フリーダムの残骸以外に見当たるものなどなかった。
387通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 17:40:58 ID:???
「ハハハハハ!!ざまあ見やがれ!!」
シンは完全に勝ち誇っていた。

「あんたがキラを・・・殺す!!」

パアァァァン

「いやああぁぁぁ!!」
ビームサーベルをデスティニーに振り下ろす。しかし、アロンダイドに右腕ごと弾かれてしまう。
「ウウウゥ・・・」
「フレイ、生きてるの?帰還して!!」
フレイは我慢をして、海中に飛び込み、ストライクをアークエンジェルまで持ってかせた。

「キラ・・・俺と来てくれれば・・・」
アスランは自分の腑甲斐なさにショックを感じたが、勝ち誇るシンとともにミネルバへ帰還した。


予告
自由は死んだ。愛情・友情・憎悪と共に。だが、フレイはキラの命の輝きがあると信じ続ける。と、同時にラクスの野望が少しずつ動き始める。
PHASE-21 「新たな扉」
その魂、燃えたぎれ、アブソリュート!!
388通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 18:52:12 ID:xLwl08Q1
46 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/08/04(金) 22:56:05 ID:5rAVhci6O
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
超 美 人で綺麗で可愛くてモ テ モ テの人気者の美 女 エ アリ スの超 可愛い顔と声と人気を僻んだ超ド ブ スでデ ブで気持ち悪くて嫌われ者の 不 細 エ ティ ファ デ ブ スのニッカーたんID変えまくって自作自演連投乙です^^
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓



47 :名前が無い@ただの名無しのようだ :2006/08/04(金) 23:00:13 ID:kr2/li8VO
エアゴキブリス公式イメージ↓

エアブス=下痢便ブーブ→太く短い足、悪臭を放つ髪、異常に萎んだ胸、ニキビだらけの顔。
老いた体に鞭を打ってパーティにつきまとうので常に腋臭と加齢臭がものすごく、
体に臭いが染み付いてしまっているため風呂に入っても臭いが取れない。
さらに汗の臭いやババァ臭に加えて生理臭や生ゴミに似た腐乱臭まで漂ってくるため、誰もエアぶスに近寄ろうとはいない。
生前から腐乱ババァと疎まれたエアぶスがいる部屋では常に冬でも窓全開・換気扇を回すのが鉄則である(換気のため)

278:2006/05/31(水) 22:34:47 ID:vR6dluLT [sage]
クラウド「何か臭くないか?鼻が曲がりそうだ。」
エア ド デ ブ ス「ブヒー、やっぱり皆は私が好きなんだブヒィ♪」
クラウド「・・・お前か、どうりで臭いわけだ。誰か豚駆除屋を呼んでくれ」
エア ド デ ブ ス「ブコッ、ほんとに豚は臭いブヒね!」
クラウド&皆「お前だよ!!死ね!!!!!!」
ド ブ ス デ ブ ス エ ア デ ブ ス 死亡


278:2006/05/31(水) 22:34:47 ID:vR6dluLT [sage]
クラウド「ブコブコいってる腐乱水死体の糞ババア ド デ ブ ス エ ア デ ブ スは死ねw死んだっけwww
糞豚エア デ ブ スの方が老けてるんだよ気付けよゴリラ!!老衰年上ババァ
あーあ、これだから脳の無い豚牛な不細工ゴキブリは困るんだよ・・

エア デ ブ ス 豚に本気になる訳ねーだろ自惚れるなゴリラww
俺が可愛くて気の利く若い美女ティファとラブラブだからって
僻んで逆恨みするんじゃねーよ醜い腐った豚ゴリラエア デ ブ スwwwwwwwww

さすがラブラブ美男美女主人公×ヒロイン公式カップル全般を妬む
不細工極まりないモテないババァエアゴキブリスは外見の醜さもさることながら
クラティに対する惨めな嫉妬心やさらにロクセリやティユウや人気カップルまで
醜く妬む中身の汚さでますます嫌われてる腐った白痴ババァだね
みんなに嫌われすぎで不細工を苦に死んだ時は爆笑した



このコピペを見た香具師は同じ文面を違うスレ7箇所に書き込む事
そうしないと寿命が10年減ります
389通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 21:04:20 ID:???
シールドからビーム出したり、鏡像のリアルさなどデスティニーの性能を大幅に上げてみました。

このSSのC.E.ですが、∀の時代(正暦)から5万年経った世界と考えてください。
黒歴史についてはまた後ほど・・・。
390通常の名無しさんの3倍:2006/08/15(火) 22:35:54 ID:???
投稿はやいっすね、乙です
なんかマンキオとギルって兄弟っぽいよね。色的に
391通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 01:31:29 ID:???
一応貼り
ttp://www.amiami.com/shop/?vgForm=ProductInfo&sku=HOB-FIG-4125B&template=review.html

てか、最近ここ来てないんだけど
このSSは面白いものなのか?
392通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 12:00:38 ID:???
>>387
GJ! シンつええな・・・。
オリジナル展開も悪くない。そのまま突っ走ってくれ
それにしても、台詞がかなりZだね。笑いそうに鳴ったよw

>>391
面白いかどうかは個人の好み。
393通常の名無しさんの3倍:2006/08/16(水) 19:44:53 ID:???
>>391
そのフレイエロいな
394通常の名無しさんの3倍:2006/08/18(金) 08:31:24 ID:???
保守
395通常の名無しさんの3倍:2006/08/18(金) 20:40:42 ID:???
てすてす
396通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:41:26 ID:???
PHASE-21 「新たな扉」


ミネルバに帰投したシンとアスランはクルー達に称賛されていた。シンに至っては胴上げすら行われている。ルナマリアがアスランに寄って、タオルを差し出す。
「お疲れさまで・・・アスラン?。どうしました?」
「いいんだよ、ルナマリア・・・」
親友が死んだんだ。"アスラン・ザラ"として嬉しいはずがない。半ばふらつきながら、アスランは部屋に戻った。
「キラ・・・すまない・・・」
涙を流しながら、アスランはベッドに拳を叩きつける。

ピピ

「あの、アスラン・・・いますよね?」
「ルナマリアか?悪いけど、一人にしてくれないか?」
こんな泣き顔は見せるわけにはいかない。しかしルナマリアは強引に入ってきた。
「フリーダムのパイロットは、ロドニアのラボの後に会った人ですよね?」
「ああ・・・」
「友達だったんですか?」
申し訳なさそうに聞いてるルナマリアが疎ましく思えた。
「ああ!!。あいつは親友だった・・・。それを殺すのを手伝っ・・・いや、自分で殺したんだよ!!」
怒声を発し、ルナマリアの腕を掴んでベッドに押し倒す。
「悪いか悲しんで!?・・・そうだよ、悪いさ!!。戦争なのに・・・こんな思ってな!!」
ハイネに割り切れと言われた事がある。しかし、そう簡単に出来るものではない。
「あぁ・・・く・・・」
気が付けばルナマリアの首を絞めていた。
397通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:42:36 ID:???
「あ・・・すまない」
バッと手を放し、アスランは頭を抱える。
「いえ、私が悪かったんです・・・」
立ち上がろうとすると、もう一度アスランはルナマリアを押し倒した。
「アス・・・ラン?」
多少恐がっている。しかし、アスランには逃げ場が彼女しかなかった。一瞬カガリの顔がよぎったが、アスランそれをかき消した。
「・・・ルナマリア・・・」


「アスランさん、艦長が呼んでますよ!!アスランさん!!」
メイリンがアスランの部屋の前でコールし続ける。応答がないので開けてみた。そうすると、アスランではなくルナマリアが出てきた。
「お姉ちゃん・・・どうしてアスランさんの部屋にいるの?」
「なんでもないわよ・・・フフ!!」
妙に嬉しそうな姉が怪しく思えた。と、アスランが暗闇から出てきた。
「ありがとうメイリン。では、艦長の所へ・・・」
「私も部屋の前まで・・・いいですか?」
腕を取ってルナマリアがベッタリくっつく。
「ああ・・・」
後悔はしていた。自分を慕ってくれる後輩に当たってしまったのだ。ルナマリアの気持ちにも薄々感づいてたのがそうさせたのだろう。

艦長室に行くと、シンとレイがタリアと話してるようだった。
「アスラン・・・」
シンは少し悲しそうな声をしていた。
「どうしたんだ?」
レイはいつもと、いや、さらに冷たく確かな事を口にした。
「シンと私が・・・プラント最高評議会議長親衛隊、"シックスナイツ"に選ばれたんです。」
398通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:45:19 ID:???
「シックスナイツ?そんな部隊は聞いたことがない・・・」
「ギルバート・デュランダル前議長が発案し、ラクス・クライン議長が設立した部隊だそうです。内容はよくわかりませんが、選ばれた事は光栄な事です。」
特務隊とは違うのか気になるところだが、シンはキラを倒したので納得はいく。しかし、レイまで選ばれるのは不思議だった。
「とにかく、ハイネもいなくなってこれからはアスランとルナマリアが中心になることになるわね。」
「補充パイロットなどは?」
「まだ、聞いてないわ・・・」

出発を急ぐらしく、ジブラルタルへ戻ったらシャトルが待っていた。機体ごと持ってくらしい。
「どうした?シン・・・」
出発の時間になっても、シンは暗いままだった。やはり愛着があるのだろう。アスランにとってはキラの仇でもあるが、期待の後輩でもあるのだ。最後くらいはきっちり送ってやりたい。
「ラクスはお前を認めた・・・フリーダムを倒した。それは2年前を乗り越えた事になるんじゃないのか?」
「!!?」
「がんばれよ、後輩・・・歩む場所は違うが願いは同じだ。」
「アスラン・・・握手してもらっていいですか?」
2人は握手をして、シンにも薄ら笑顔が戻った。
「やっと・・・アスランに認めてもらえた。」

そして宇宙へ戻っていった。アスランとシンの剣が違えるのを予感させる別れをして・・・
399通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:46:22 ID:???
アークエンジェルはキラとフリーダムを失い、傷つきながらもオーブに辿り着いた。
「いやよ!!キラを探すの!!放して、ミリアリア!!」
「ダメよ・・・フレイ!!」
「キラは2年前だって生きてたじゃない・・・今度だって・・・」
「フレイ・・・あなた、記憶が・・・」
フリーダムが撃墜された瞬間にフレイの奥底にあるものが溢れだし、その記憶を甦らせた。
「キラは・・・死んだんだよ・・・」
カズィがぼそっと吐いた。フレイはそれを聴くとカズィの軍服を掴んで、手でたたきだす。
「なんでよ・・・キラは・・・2年前だって・・・う、う・・・」
崩れ落ちて泣いてしまう。現実的に核爆発から助かる人間などいやしない。海に脱出して爆発を避けても、巻き起こる海流に流されるだろう。
「わかるらなかったろ?あの時も・・・」
フレイにはその卓越した空間認識能力と感受性でキラはおろか戦場の敵を感知出来る。しかしさっきはキラを感じれなかった。、
「=死なんだよ!!」
開き直ったカズィを許せず、フレイは平手を22発くらわした。
「キラ・・・」

「死んだ?キラが・・・嘘だろ?」
その話を聞いていたカガリは体が震えていた。
「フレイ、嘘なんだろ?なあ・・・」
「そうよ・・・」
フレイは立ち上がった。拳を握り締め、涙を拭いた。
「私達が信じないで、誰が信じるの?・・・キラを信じることで、キラが私達の所へ戻ってくる・・・そう信じてるから・・・」
記憶を失ったのも無駄ではなかった。その間に学んだ信じる事と戦う事・・・。それはキラやアスランが未だ見いだせない答えだったのだが、それに本人は気づいてなかった。
400通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:47:35 ID:???
フリーダム撃墜のニュースはザフト全体に衝撃を与えた。当然、宇宙にいるイザークとディアッカの耳にも入ってきた。
「キラが・・・フリーダムが墜とされたなんて・・・」
「何かの嘘だ!?。あいつは・・・あいつが死ぬはずなんて・・・」
信じられない。ヤキン・ドゥーエでは鬼神が如き力で戦場を駆け抜け、両軍を押さえたキラを倒すのは至難であるというのに。
「キラを殺ったって事は、俺達と同等かそれ以上の腕が・・・」
「くそ!!ラクスは何を考えている!?」

ピーピー

「隊長、至急ブリッジへお願いします。」
言われた通りにイザークとディアッカはブリッジにいった。
「どうした?」
「それが・・・クルアーン隊4隻が救難信号を発してるんです。」
「クルアーン・・・?。タキオン・クルアーンか?」
FAITHの中でも随一と言われている実力を持ち、人望も厚い人物と称される。
「しかし、なんでそんなすごい奴がピンチになってるんかな?」
「とにかく、救難信号を発してるなら行くしかない。」
ボルテールは発信源である降下軌道上へ向かって行った。しかし、着いたら見たところ1隻もない。
「どういう事だ?救難信号が消えている?。この辺のはずだが・・・ヘイズを出して探させろ!!」
ザクが1機発進し、浮遊する隕石の裏側を覗く。
「!?。た、隊長・・・」
通信が途絶え、光が見える。
「ヘイズ、ヘイズ!!・・・ダメか・・・。いったい何が?」
「隊長、ヘイズ機がシグナルロストした場所に艦影4!!。」
401通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:48:48 ID:???
「何だと!?」
艦の姿が確認されてきた。
「ナスカ級3、ミネルバ級1の4隻です。」
「ミネルバ級だって!?」
それはミネルバより更に黒く染まっていた。
「こちらはミネルバ級2番艦ヴィーナス。ボルテール、ロゴスと通じてるので始末せよとクライン議長より直々に連絡があった。」
「!?。ロゴスと?バカな・・・我々は・・・」
ヴィーナスとナスカ級からはザクやグフ、更には最新鋭のドムトルーパーの姿があった。
「く・・・ドムまで用意してるとは・・・」
「ヴィーナス、応答せよ!?」
「もう無駄だ・・・一つ分かったのは議長が俺達を殺そうとしてるってことだ・・・モビルスーツ全機発進!!。味方と思うなよ!!油断すれば死ぬぞ!!」

ユニウスセブン落下事件以降、常勝無敗を誇るジュール隊のメンバーは次々と倒していった。
「イザーク・ジュールを殺れば、名が上がる!!」
ドムが1機ビームシールドを張って、突撃してくる。スレイヤーウィップを振り回すが、ビームシールドに弾かれる。
「チッ!!」
「グフでドムに適うかよ!!」
ビームサーベルをテンペストで受けとめると、イザークはスレイヤーウィップをドムに巻き着け、背後に回ってドラウプニルを撃つ。
「グフなんかに・・・」
爆散するドムを裏目に、気になる事が一つあった。4隻もあるのに1隻も攻撃をしてこない。
「妙だな・・・なぜだ?」

「やるな・・・さすがと言ったとこか・・・。だけど、クライン議長の命令だから仕方がない。タキオン・クルアーン、アブソリュート、発進する!!」
ヴィーナスから戦闘機が3機出てくる。そしてまるでインパルスのように合体していく。
402通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:50:02 ID:???
ZGMF-X555S アブソリュート
全高:20.83m
重量:86.2t
機関部:ハイパーデュートリオンエンジン
VPS装甲搭載
Release-SEEDシステム
・デスティニーと共に"黒歴史"の機体の内蔵データで作られた機体。インパルスの後継機で、本機はドラグーンシステムによる合体機能を持つ。インパルスよりも遥かに強大な火力で、凡用機としては最高の性能を持つ。アブソリュートは"絶対"の意。

武装
MMJ-GAU33A28mmCIWS
・機関砲としては充分すぎる破壊力を有し、PS装甲を持たないモビルスーツなら動きを止める事が可能。
MB-M230 ギガントユーディキウムビームライフル
・プロヴィデンスの装備のユーディキウムビームライフルを改良した。大きさは変化させずに銃口を広げた事で破壊力を増した。
MJ-U01  ハイパーヴァジュラビームサーベル
・ヴァジュラビームサーベルの発展型で従来のビームサーベルを遥かに凌駕する大きさと出力を持つ。連結は出来ないが、掴の裏側からビーム砲を発射できる。
MXA253 ソリドゥス・フルゴールビームシールド
・両腕に装備されたビームシールド。VPS装甲とビームシールドで構成されている防御システム。
MCF-03 「ハンターミサイル」
・ミーティアに装備されている対艦ミサイルの改良型で、背中のバックユニットに装備されている。
QZA1陽電子砲 アスクレピオス
・頭部に装備されていて、モビルスーツ用に小型化された陽電子砲。しかし、決して戦艦装備のものに威力は劣っていない。
403通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:51:38 ID:???

         r"`⌒)ヽ
         (  人ノ') )
        .从┃゚ー゚ノ
     ../ ̄ ゝ⊃)) ̄∪  ̄\   キュッキュッ
        / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ.


         r"`⌒)ヽ
         (  人ノ') )
         从(*゚∀゚ノ <ウェーイ!
        | ̄∪ ̄ ̄∪ ̄|  トン
        |みなさんもご一緒に|
  .../ ̄|「ウェーイ!」    | ̄\
404通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:52:31 ID:???
タキオン・クルアーン
身長:178cm
体重:64kg
人種:第2世代コーディネーター(SEEDを持つ者)
パイロットスーツ:ミネルバ型・ブルー
髪:ブラウン
CV:森久保祥太郎


陽気な性格で、いつも周囲を楽しませるムードメーカー。その実力も高く短期間でFAITHになった。空間認識能力が高く、アブソリュートの合体機能をも操る。
幼い頃に両親に捨てられ、"サーカス"に育てられた恩から軍に入ったらしく、元来戦いが好きなわけではないらしい。しかしSEEDが弾けると2重人格が如く激しい攻撃を繰り出す。
405通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:53:53 ID:???
たまたま近くにいたジュール隊のザクをあっという間に切り裂いて、こちらに向かってくる。
「チッ・・・迎撃!!」
ビームライフルやオルトロスなどのビームが全て直撃コースでアブソリュートに向かっていく。
「はぁ〜・・・面倒なんだよね・・・。まあ、仕事だから。」
ビームシールドを展開して、ジュール隊に突っ込んでくる。
「あれは・・・デストロイの?」
「つまり俺達がデストロイと戦う前に製造したわけか・・・」
ラクスを更に疑うイザーク達をよそに他のジュール隊が全滅させられた。

「隊長、残っているのは私達だけです。」
シホは焦る気持ちを止めれずに、機体をブンブンと動かしてしまう。
「おちつけ、シホ。だが、まともにやったら勝ち目はない・・・どうすれば・・・」
「考えるなよ。俺には勝てない、ひれ伏すのも許さない・・・じゃあ、墜ちるしかない。」
「くそ!!」
オルトロスをアブソリュートに向けて撃つ。しかし、ビームシールドで弾かれる。
「悲しいけど、これ戦争なのよね〜」
ビームライフルを放つ。ザクのシールドでは直撃は防げても、その威力で飛ばされてしまう。
「うわっ!!」
「ディアッカ!!」
全ての攻撃が通用せず、逃げることも出来ない。
「だから死ぬしかないんだよ、それしか・・・」
援護射撃をボルテールがかけてくる。しかし、主砲すらビームシールドには通じない。
「こいつを試そうか・・・」
アブソリュートの頭部に光が収束されていく。それはまるで神からの裁きのように・・・
406通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:55:00 ID:???
「!?。ボルテール、逃げろ!!」
「逃がすことは明日を殺す・・・だから生きるためには容赦はしないんだよ」
光がその姿を現した。陽電子砲アスクレピオスはボルテールの隔壁を貫き、残骸すらも溶解していた。
「くそオォォ!!」
「イザーク、早まるな!!」
グフは特攻をかけた。部下をあれだけ死なせて、倒さないわけにはいかない。
「もったいないねぇ・・・」
ビームサーベルでテンペストが折られてしまう。
「!?。バカな・・・」
「さようなら・・・」
グフに近づいていく刄。回避など出来ない。イザークに恐怖は・・・あった。しかし抗う事も許されない。
「終わりか・・・」
「隊長!!」
シホのザクがグフを弾き、代わりにビームサーベルを受けてしまう。
「うべ・・・」
「シホ!!お前・・・」
「生き・・・て。私の・・・ために。イザーク隊長、好きで・・・」
そこでシホの体は蒸発し、機体も爆散した。
「女の子を殺しちゃったのか・・・残念だ。」
タキオンはしかし、イザーク達への殺意は変わらない。こうなれば、生き残る方法は一つ。
「イザーク、これを!!」
片腕のシールドを外し、グフに渡す。
「地球に降下するんだ!!」
「何だと!?」
「シホの為にも生きるんだよ!!。俺達は・・・」
407通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 08:56:03 ID:???
イザークとディアッカは地球へ向かう。しかし、アブソリュートもそれを追い掛ける。
「逃がすかよ・・・墜ちてもらう!!」
ミサイルを放ち、グフ達に迫っていく。それをシールドで防いでその衝撃を利用して後方に移動した。
「やるな・・・だが、グフとザクに突破できるかな?」
アブソリュートはヴィーナスに帰還した。

「落ちる場所は違うな。縁があったら・・・いや、絶対会おうぜ!!」
「ああ。ディアッカ、武運を祈る。」
2機は大気圏の壁を突き破り、降り立てるのか?。そこで彼らは何を視るのか?

「報告します。反乱したジュール隊を始末したようです。しかし、イザーク・ジュールとディアッカ・エルスマンは降下した模様です。」
「そうですか」
通信が途絶えた。ラクスは他の画面に目を通した。そこには"ロゴス支援組織ジャンク屋組合の殲滅"の計画などが多々見られた。
「こうやって、人が死ぬのは忍びないですわね・・・キラ。」
「く・・・ラクス・・・」
キラは生きていた。しかし、鎖で手と足を磔にされて身動きはとれない。
「全ては・・・宇宙の意志のまま・・・」


予告
地球に降る2つの流星。新たな出会い、力・・・それぞれが新たな戦いを見つけだす。希望を失ったオーブをカガリは再び照らせるのか?
PHASE-22 「貫く信念」
荒き刄を、奮え、ガイア!!
408通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 10:22:42 ID:???
嗚呼ここでもラクスが牙をむいてっ……!

あと、流石テレポート大脱出はヤマトの御家芸だな…!?
409通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 13:33:39 ID:???
>>408
キラ=キングアラジン=ヤマト
410通常の名無しさんの3倍:2006/08/19(土) 22:52:24 ID:???
次回はキラが生きていた理由などを・・・まあ、お家芸です。

アブソリュートは新訳Ζで黒歴史にされた作品の主役機に近い姿と武装になっております。シックスナイツのモビルスーツは黒歴史のモビルスーツとセカンドシリーズの技術を融合させた機体らです。
アスランの行動も許してあげてください。
411通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 02:46:50 ID:???
女帝こえええー
一つ歯車が狂うとこうなるのかw
412通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 11:51:02 ID:???
キラ洗脳フラグ?w
41316話(後半):2006/08/20(日) 22:28:00 ID:jLwpCldB
「やはり戦略ミスだったなあ・・・」
 ネオは呟いた。
 視線の先で、どこから放たれたとも判別しがたい1発のミサイルが兵舎を直撃。
一瞬送れて、爆光と爆音が轟き、激しい炎が上がった。
 もっとも、兵舎がなくなったからといって「今日の夜どこで眠ろうか?」などと、
誰も考えはしないだろう。
 今日の眠る場所を心配するより、冷めない眠りを強制されないかどうかを心配しなけ
ればならない状況なのだから。
 ネオ自身は大して恐怖を感じないが――自分が、消耗品だということはとうに自覚している――
他のナチュラルは当然の如く、心から生き延びたい思っているだろう。
 次の自分が今日のような間違いを犯して、ナチュラルの命を無駄にしないとよいのだが。
 
 ミネルバが現れた時点で素直に撤収を決断し、破壊すべきものをできるだけ破壊。人員は
すみやかに大型輸送機に乗せる。
 MS全機は、基地周辺と滑走路の防御に専念し、輸送機の離陸後はMSが輸送機を護衛して、
空路を開き、J・Pジョーンズに逃げ込む――
 これが最善の実行可能な策であったろう。
 しかし、ミネルバの演技にまともに引っかかった挙句に、戦力を過小評価して戦力の
逐次投入という愚作のおまけ付きで、撤収ではなく、迎撃しようと欲を出してしまった。
 基地に貼り付けておくべき最低限のMSしか残っていなくなった段階で、敵が民間人を救出。
 この段階でようやく、敵の攻撃が計画的なものだと気づいたが、時既に遅し。
 その後は容赦なく四方八方から攻撃され、援軍を加えても支えきれず、防御ラインをすり抜けた敵に
あっさりと滑走路を――つまり脱出手段を――破壊されてしまった。
 今、自分達には敵の撃退か降伏かの二つの選択肢しか残されていない。
 まあ、ミネルバと搭載されていたMSがどれも化け物じみた強さで、普通なら十分な
はずの数を揃えても撃破されてしまったとか、島の索敵設備がお粗末すぎて敵の戦力を把握
できなかった等、言い訳はあるが、ミスはミスである。

 ――降伏

 二文字が頭をチラつく。幸い「ドミニオン」は健在であり、ミネルバに手痛い
損傷を与えたそうである。カオス、ガイア、アビスをドミニオンに収容してもらい、
ドミニオンだけを逃がし、基地の人間には、悪いが降伏してもらう・・・。
 これは最後の手段ではあるが――

「おおっと!」
 MMI-M7S 76mm重突撃機銃の弾丸が、後方から炸裂。機体を右方に機動して回避。
振り向きざま、照準して発砲。
 と、みせかけてネオは撃たない。敵機が、一瞬遅れて回避運動。
 素早く照準しなおして発砲。シグーが落下。下方で爆炎が上がった。
414通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:39:35 ID:???
 ハンガー2(スティング、アウルが補給を受けていたハンガー)の方角は、
ステラの奮戦のおかげで、守備隊が組織的な抵抗を続けている。ステラがこれほど粘る
とは嬉しい誤算。流石に限界だろうが、スティングのカオスも加わったなら、もう少し
いけるだろう。
 単機で圧倒的な火力を持つドミニオンがいる方角も問題なし。
 ただ、一時、戦の天秤の向きをを変えかけた例の三機が、ミネルバの化け物三機に、
かかりっきりというのはマイナス要因だ。
「それ以外の方向からは、遠慮なく来るからなあ」
 ぼやきつつ、指示を飛ばし、牽制射撃を放つ。
(さて、アウルがどれだけやってくれるか・・・?)
 ネオは水色髪の少年の顔を思い浮かべた。
415通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:42:34 ID:???
● ○ ● ○

「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」
 荒い息遣いがどこか他人事のように耳朶を打つ。汗が滝のように流れ落ちるのが分かる
不快だったはずだが、今は不快かどうかも分からない。
 目が眩む。
 前方に、いきなり味方機が落下。地表に落ちて大爆発。翳した盾に飛んできた、残骸が
ぶち当たった。
 轟音を聞きすぎたせいで、耳がどうもよく聞こえない。
外に出て新鮮な空気を思い切り吸いたい。そんな欲求が打ち消しても打ち消しても
湧き上がる。
 宙では、スラスター音が轟き、影がせわしなく行きかう。こちらの飛行機体と敵の
ウィンダムが激しくやりあっていた。
 前方でガイアが、MMI-M7S 76mm重突撃機銃を構えて発砲。マズルフラッシュが目に痛い。
弾丸が地を抉り、トーチカの表面を削り取る。腹正しいことに、勝手にザフトの武器を使っている。
 というよりガイア自体、元はといえばザフトだというのに!
 トーチカから身を乗り出し、こちらもMMI-M7S 76mm重突撃機銃で応射。シンの側にいた
数機のアッシュが援護を受けて突撃。
 そのアッシュを、空と地表から弾丸とビームが熱烈に歓迎。一機が損傷。後退。
 苛立ちが募る。
 本来真っ先に突撃してビームライフルで敵MSを掃討するべき自分のインパルスが、
援護射撃に徹するのが精一杯とは・・・。あんなトーチカなど、無視して空から行けたら!
 しかし、現状は電力節約のためにビームライフルではなく、重突撃機銃を使っている
エネルギー欠乏状態
 もっとも、エネルギーがあっても自分の集中力と体力に関してはまるで自身がないが。
 警告音。
 敵を確かめる前に横転。膝をついて立ち上がり、重突撃砲で応射。薬莢が吐き出され
煙を上げて転がる。
 ウィンダムが旋回して回避。
「舐めるな!」
 インパルスが一気に跳躍。
 一気に高度が上がる、敵のCIWSが火を噴いた。猛烈なマズルフラッシュ。
 それは予測済み。
 盾で防ぐ。盾に多重衝撃。
 無視。
 逆手に重残刀を持ち替え、スラスターで加速。敵の弾丸が数発、VPS装甲の上で跳ねた。
 なおも突進。首あたりに突き立て、そのまま薙ぎ払う。
 敵の頭部が虚空に舞った。
416通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:44:37 ID:???
 バーニアをふかして着地。今の奴は味方が 止めを刺してくれるだろう。
(とにかく一機!)
 だが、前方で耳を劈く異音。ガイアが拾った重斬刀の刃を、アッシュの装甲の継ぎ目に
突き入れていた。刃が握りの部分まで埋まっている。
 アッシュが倒れると同時に、味方の射線がガイアに集中。ガイアがただ一度の跳躍行動で
トーチカの後ろに退避。嫌になるほどの跳躍力。
 このトーチカ群の先に、敵のハンガーがあるのは分かっているのだが、なかなか突破できない。
「しつこいんだよ! あんた達は!」
 この悪態を何度ついたことか。
 こちらが奇襲をかけたというのに、これほどの数の援軍が素早くやってくるだけのキャパ。
地球軍の恐ろしさは、やはり物量にあると思いしら――
 凄まじいスラスター音。
 明らかに、普通のMSの発するものではない。立ち上がりインパルスの頭部を音の
方向に向けた。
 カオス! 
 シンは、胸中でうめき声を上げた。自分の目元が引きつるのが分かる。

 ――やばい

 それでも、
<・・・俺が行く。援護してくれ!>
 シンは、通信機に向かって叫んだ。自分が行くしかない。
 立てかけてあったビームライフルを取り、機体本体と連結。
「こんなところでぇぇ!」
 シンの気合と共に、インパルスがカオスに向かって飛翔した。
417通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:46:40 ID:???

<ステラ!!>
 スティングは通信機に向かって怒鳴った。
<・・・スティ・・・グ・・・>
 激しい息遣いと共に、ステラの疲れ切った声が聴こえた。スティングはほおっと
息を吐いた。
 無事だ。

 ――良かった

<ったく・・・。無茶しやがって!>
 どうしても口調が荒くなる。
<ステ・・・ラ。守る・・・。守る・・・死なない>
 半分うわごとの様にステラが繰り返す
<――もういい。少し休んでろ。後は俺がやる>
<うん・・・>
 モニターの中でステラが表情をやわらげ、頷く。
<任せておきな!>
 力強く請合って、スティングは鋭い目を更に細め、白い機体を睨みつけた。
「てめえ・・・。随分とやってくれたようだな!」
 ディンとシグーが左右に展開し、白い機体を援護するように援護射撃。左に大きく
旋回して回避。白い機体が―
「・・・ん?」
 スティングは、眉間に皺を寄せた。白い機体の動きが鈍い。どうやら、ステラと戦って
かなり疲労しているようだ。
 それは非常に、
「結構なことだ!」
418通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:47:35 ID:???
 MA形態のカオスから、カリドゥス改複相ビーム砲が炸裂。光の本流が、インパルス
の盾にぶち当り、光の粒子が盾の上で跳ねる。
 一気に加速しつつ、Gに耐えて急速上昇。シグー、ディンが制動をかけて、射撃体勢を取った
重突撃砲がの砲口が上に向けられる。大量の弾丸が吐き出される。しかし、高速で飛行するカオスを
捉えられない。

 ――かかった

 三機全てを飛び越えた時点で、MS形態に変形。
 ファイヤーフライ誘導ミサイル発射。煙を吐きつつミサイルが白い機体に吸い込まれ
ていく。白い機体が、ミサイルを狙ってビームを発射。外れた。
 ミサイルが着弾。
 連続した爆発。あたり一面を煙が埋め尽くす。
 機動兵装ポッドを展開。
 スラスターとバーニア出力アップ。降下スピードを抑制しつつビームライフルを構える。
 煙を裂いて現れたディンに死角をついて機動兵装ポッドで一撃。コクピット付近に命中。
 ディンが落下。
 煙の揺れを見極め、不自然な動きをした場所に向かってライフルで間隔をずらして三連射。
 ビンゴ! 小爆発。
 煙の中からもビームが飛んできたが、外れた。
 小爆発が起きた当たりに、誘導ポッドとライフルで惜しみなくビームを叩き込む。
 本格的な爆発。
 黒煙が噴出。煙が更に密度を増した。白い機体かシグーのどちらかは分からないが
これで後は一機。
 カオスが着地。機動兵装ポッドが肩に収まる。一瞬遅れて盾を翳した姿勢でインパルスが着地。
 スティングは、皮肉混じりの笑みを浮かべた。
419通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:48:59 ID:???
「反撃もせずに亀状態とはな。今日は随分と消極的だな、お前!」
 いつもなら、真っ先に襲い掛かってきている、いや、ミサイルを掻い潜って突進して
きているだろうに。
 持ち味の疾風のようなスピードはなりを潜め、飛行中に機体がよれている。集中力が
落ちているのか機体に異常があるのか知らないが、コンディションが悪いのが丸分かりだ。
それに、さっきの攻防で分かったが、一発しか返してこないのはエネルギーが心許ない証拠。
「もらったぜ!!」
 スティングは、カオスを白い機体に向かって全速でダッシュさせた。
 


 カオスが高速で迫ってくる。
 シンは霞む目を見開き、ビームライフルを構えた。
『!』
 腕がブレ、照準がずれる。
(あの紅いヤツとガイアにやられてなきゃ、こんな・・・)
 咄嗟に横っ飛び。さらにもう一度跳躍運動。
 しかし、

 ――ぬっと、メインカメラにカオスの顔が映った

「がっ!」
 殴りつけるような衝撃。機体が思い切り吹き飛ぶ。
 片手、いや両手で前受身のようにして着地。すぐさま横転。
 猛烈な回転運動が襲う。回る視界の中、光が地面に突き刺さるのが見えた
 跳ね起きて、ビームサーベルを引き抜く。

 ――右肩の機動兵装ポッドが無い

 咄嗟に膝を曲げてしゃがむ。機動兵装ポッドから放たれた光が、頭上を掠めた。
 頭部カメラが急に陰る。
 光刃を消し、もう一度横転。度重なる回転運動にシンの三半規管が悲鳴を上げた。
 視界が揺れる。
 カオスが足にビームクローを展開して着地。大地が踏み割られ、土くれが舞い上がって
視界を閉ざす。
 心身の疲労が反応を鈍らせ、機体の蓄積した損傷がシンの意思を拒絶。
 インパルスがついに決定的な隙をさらした。
 
 ――カオスの砲口から放たれたビームが、インパルスの左肩部を打ち抜いた
420通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:50:22 ID:???
「うぁぁ!」
 計器が放電し、大揺れがコクピットを揺るがした。胸に近いところから、ごっそりと
盾を握ったまま左腕部分が落下。
 煙と火花を盛大に撒き散らしながら、インパルスは背後に倒れこんだ。
「がっ!」
 地面と機体の接触の衝撃が、背中から内臓まで衝撃が付きぬけ、後頭部に打撃。
一瞬気が遠くなった。視界が歪んでゴチャゴチャになる

 ――死ぬのか、俺・・・

 そう思った瞬間、恐怖が全身を貫いた。

 ――嫌だ
 まだ、俺は

「俺わぁ!」
 死に物狂いでレバーを引き足を動かす。だが、機体はゆっくりとした動作でしか答え
てくれない。
 駆動系に深刻なダメージ。制御不能の箇所が多数。

 ――どこか
 どこか動くところは

 前方で爆発音。
 シンはびくっと身体を震わせた。カオスがライフルで、背後から飛来したシグーを叩
き落としたのだ。カオスの頭部が改めてこちらを向く。
「くっ、来るな!」
 後ずさろうとするが、パニックに陥った頭では、機体のどの部分が動くかも分からない
 カオスが流れるような動きで砲口を向けて来た。
 シンの目は、その砲口の黒い穴に吸い込まれ――

<粘れ、シン!><シン!!>
 二つの鋭い声が耳を打った。
 頭に上った血が急速に引き、力がわずかに戻った
 
 ――右碗が、まだ動く

 腰部から対装甲ナイフを取り出し、カオスに向かって投擲。
 一刹那の差でカオスが発砲。
 射撃の瞬間ナイフが目に入ったか。わずかにコクピットからずれた射線は左腰部の装甲と
内部機構を貫通。
 左腰部から爆発。
「ぐああ!」
 目の前の計器が飛び散り、金属片が身体を掠め、数個が左腕や左脇に突き刺さった。
痛みが脳天に突き抜け、シンは思わず悲鳴を上げた。
421通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:52:16 ID:???
<シン!!>
 悲鳴のようなルナマリアの絶叫。
 シグーが烈風のようにカオスに突っ込み、重斬刀で切りかかる。
<よくも・・・。シンを!>
 怒りに震えるルナマリアの声。主の殺意を剣に込め、シグーが重斬刀をカオスに叩き
つけた。あまりの激しい一撃に、受け止めたカオスの盾が遠めでも分かるほど震えた。
 シグーが、さらに前蹴りを盾に叩きつけた。そのまま回転して、左拳で思い切り突き
込む。拳が盾をすり抜け、直撃。カオスが大きくよろめいた。
(ルナ・・・どうして、そんなに・・・)
<シン! 無事なら返事をしろ・・・>
 いつも鉄面皮のレイの語尾が、僅かに揺れている。
(レイまで・・・)
 メインカメラに、白いザクファントムが映る。ザクが発砲。
 一発、二発、三発、四発・・・
 その連射に怒気が混じっているように感じるのは気のせいなのだろうか?
 体勢の崩れたカオスに容赦の無くビームを浴びせ、追い立てる。カオスは回避運動
に専念し、連続して跳躍。距離を取った。
<・・・生きてる!>
 痛みに顔をしかめつつ、シンは必死で声を出した。声を出しただけで、傷口がずきんと
痛み、シンは荒い息をついた。
<ルナマリア!>
 レイが鋭い声を上げ、ザク・ファントムが何か放る。
<分かった! 任せて>
 レイのブレイズ・ザク・ファントムがカオスを追ってダッシュしていく。かわりに、
シグーが飛来。
<ごめん、ちょっと動かすわ>
<う・・・ぐ・・・>
 シグーは引きずるようにインパルスを移動。揺れがコクピットを襲い激痛にシンは
うめき声を上げた。
<ご、ごめん。大丈夫?>
<・・・なん・・・とか>
<もう! ザクならもっと楽に・・・>
 そのままルナマリアは一応は安全と判断される箇所まで引きずっていく。
 シンは、揺れのたびに襲う痛みに必死で歯を食いしばった
422通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:54:54 ID:???
<――今からそっち行くからコクピット開いて!>
<え?・・・お、おい>
 シンが答える前に通信が切れた。仕方なくシンはコクピットを開く。
 ルナマリアが走って来て、インパルスに飛びつき、機体を駆け上がってきた。インパルスが
寝た姿勢にあるとはいえ、こんなことはコーディネーターならでは、である。
「っとに・・・。馬鹿!」
 ルナマリアが怒鳴りながら、持ってきた救急セットを取り出し、手当てを開始する。
「ちょっ・・・。じ、自分でやるって」
 ヘルメット、パイロットスーツに続き、服まで脱がされそうになり、シンは痛みも
忘れ、慌てて声を上げた。
「ゴチャゴチャ言うんじゃないわよ!」
 一言でシンの抗議を圧殺し、ルナマリアは消毒液の小瓶を取り出す。
「良かった・・・。内臓や、大きな血管には刺さってないみたい・・・」
「ぐぁ!」
 金属片が引き抜かれ、シンは悲鳴を上げた
「我慢しなさい! 男でしょ!」
 ルナマリアの叱咤。シンは必死で歯を食いしばった。
「――染みるわよ?」
「・・ふっ・・っ・・・」
 男の意地で悲鳴を上げるのだけは何とかこらえたが、傷口を内部まで消毒され、シンは食いしばった歯
の間から苦痛の吐息をもらした。脂汗が額に滲む。全身の痛点が、傷の箇所に集中したように感じた。
 傷の洗浄をしつつ、ルナマリアは顔をしかめる。左腕の傷は結構深い。
「馬鹿よ! シンは。いっつも無茶ばっかりして!」
 怪我を気遣う気持ち、無茶をしたシンの行動に対する怒り、生きていたという安堵
それらが混ぜこぜになって湧き上がる。そのもやもやした気持ちを吐き出すように、
手当てを続けながら、ルナマリアは怒鳴った。
 感情が沸騰してどうにもならない。
「・・・ごめん」
 沈んだ声にルナマリアはハッとした。頭に上った熱が少し冷める。何をやっている?
目の前にいるのは怪我人だというのに。
「あっ・・。私も、ごめん。ちょっと興奮しちゃって」
 沈黙が満ちた。
「・・・結局、弱いまんまかよ・・・俺は・・・」
「・・・シン?」
 シンの独白の意味が理解できず、ルナマリアは手を止め、困惑の表情を浮かべた。
 だが、
「こんな風に、誰かに守られたり・・・迷惑かけたり・・・くそっ・・・」
 冷却しつつあったルナマリアの感情は、再び急速沸騰した。
423通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 22:57:43 ID:???
「ちょっと! 今何て・・・。何て言った!?」
「え?」
 今までに倍するような怒声を浴びせられ、シンの意識は内から外に引きずり出される。
シンの目の前にルナマリアの顔がある。その双眸には、噴出さんばかりの紅蓮の炎。
「ル・・・」
「あんた今、迷惑って言ったでしょ。それどういう意味よ!?」
「だ、だって・・・今、こうやって・・・」
「はあ!?」
 ルナマリアは一度、怒りを吐き出そうとするかのように言葉を切り、大きく息を吐いた。
しかしそれでもなお、声には抑え切れない怒気が満ちていた。
「――私達って、同じ部隊の仲間よね?」
「あ、ああ」
「仲間で、アカデミー以来の友達で・・・。戦友よね? ひょっとしてそう思ってるのって
私やレイだけ?」
「そ、そんなこと」
「だったら何よ、その迷惑ってのは!? 仲間だったら、互いにフォローし合うのが
当たり前でしょ!? それとも私達は、スーパーエースのシン・アスカ様にとって
いつも守ってあげないといけない、塔の上のお姫様なのでありましょうか!? 
――冗談じゃないわよ!!」
 あまりの迫力に気圧され、シンは黙り込んだ。
「――シンが、頑張ってるのは知ってるわ。アカデミーの頃からの付き合いなんだもの
強くなりたいって頑張るのは、いいことだと思うけど。どれだけ強くなっても、常に
自分の判断が正しくて、常に勝てるなんてこと、あるわけないでしょ!
ちょっとは私達にも頼ってよ。守り、守られて、それで当たり前なんだから・・・」
 そう一気に言うと、もう一度怒りを吐き出すように大きく息をつき、ルナマリアは
手当てを再開した。
424通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:00:34 ID:???

「あくまで応急手当だから、無茶しちゃだめよ?」
 手当てを終えたルナマリアは、手早く救急セットを箱に押し込むと、立ち上がった。

 ――何か言わないと

 そう思うのだが、朦朧とした頭ではどうにも言葉見つからない。
 その時。
 紅い巨大なMSが凄まじい勢いで通り過ぎていった。一瞬遅れて突風が吹いた。
木々がしなり、枯れ枝が機体に叩きつけられる。土煙が濛々と舞い上がり、視界が
閉ざされる。
「ほんとに・・・。次から次へと・・・」
 ルナマリアがウンザリしたように嘆息する。
 その声があまりにも近く、シンはハッとした。目の前にルナマリアの身体があった。
爆風から庇ってくれたのだ。
 目の前にある、スーツ越しでも分かる女性らしい艶かしい身体。シンは赤面して、
ついと視線をそらした。
 そんなシンの様子にルナマリアは気づいた様子もなく立ち上がり、インパルスから
一気に飛び降りた。
そのまま、ワイヤーも使わずにシグーのコクピットまで駆け上がっていく。
<コアスプレンダーは無事?>
<――ええと・・。ああ、飛べる>
 コクピットさえ、無事なら後は切り離してしまえばいい。さっきも、さっさとそうすれば
良かったのだ。
 それに気づいてシンは顔をしかめた。
<じゃあ、行くわね。一応、ビーム突撃銃はおいていくから。分かってると思うけど
迎撃するのは本当に最後の手段。行けると思ったらさっさとコアスプレンダーで帰投しな
さいよ?>
 くどくどと、母親のようなこの物言い。
 鬱陶しいと思うこともあったというのに、今日は何故か、悪くない気分だった。
<・・・分かった>
<よろしい!>
<ルナ!>
<何?>
<――気をつけろよ。カオスの奴もガイアの奴も、機体を使いこなし始めてる>
<了解いたしました!>
 冗談っぽく、しかし真剣なものが混じる口調でルナマリアが答えた。最後にふっと
軽い笑みを口元に上らせ、ルナマリアは通信を切った。
425通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:02:05 ID:???
 
 ルナマリアのシグーの後ろ姿を見送りながら、シンはさっきのルナマリアとの会話を
思い出す。

 ――ちょっとは私達にも頼ってよ

 そんなに自分は何もかも独りでやろうとしているように見えるのだろうか? と思う。
アカデミーでは、テストの時、たまにノートの貸し借りをしたことも・・・
 シンは首を振った。
 そんな軽い話ではない気がした。多分、もっと深い次元での話だ。
 深い息を吐き出す。
 
 自分は、他の奴等とは比べ物にならないくらい逆境から這い上がってきている。
 他の奴等は何の苦労も知らない、ぬるくて、何も分かってない奴等
 だから。

 ――独りでいい

 分かってくれないなら、それで。
 だから強くなる。
 独りで生きていけるように、あの時――
 泣いていた自分。無力だった自分、あんな自分は嫌だ。だから強くなった。

 ――そのはずだ

 だが、ルナマリアの言葉や庇ってくれた身体を思い出すと、ふわっと心が温かくなった。
柔らかくて暖かいものが胸を締め付けるこの感覚。
 とても懐かしい。
 あの時、とうになくしたはずの――
 出血と疲労で朦朧としがちな意識の中、シンはしばしその感覚に浸った。
426通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:03:25 ID:???
「ふっ!」
 鋭い息遣いと共に、レイのザクファトムが閃光弾を投擲。爆光が炸裂。同時に発煙弾
を投擲。
 光が収まると同時に突進してきた、二機のウィンダムのカメラが視界を煙が覆いつくす。
 レイは、ザク・ファントムを疾走させた。ビームが右方向から地面に突き刺さる。
 Gに耐えつつ急制動。今度は目の前を光条が貫いた。威力からしてカオスの機動兵装ポッド。
この視界でこれをやれるのは、あのカオスのパイロットだけだ。
 カオスの牽制の間にウィンダムが散開。
「・・・逃がさん!」
 まずはこいつらを落とす。速射で一発。命中。ツキはある。
 反転してもう一機――
「ちぃ!」
 舌打ちと同時に跳躍行動。
 煙を吹き飛ばし、光刃を振りかぶったカオスが姿が表した。



「くそっ!」
 ビームサーベルを振り下ろべき目標が跳躍したのを見て、スティングは毒づいた。
この視界でこちらの機動兵装ポッドのビームを尽くはずし、極め付けにこの動き。
「空間把握能力で互角だと!? この俺と」
 白いザクが空中で射撃姿勢。
 盾を翳す。盾ではなく、カオスの足元に、ビームが着弾。
「!?」
 疑問の答えは足元で起こった爆発が回答した。
「うおっ・・・」
 敵は跳躍の瞬間、炸裂弾を地面に落としておき、それを狙い撃ちしたのだ。空中で
反転しつつやってのけるとは、操作技能も射撃技術も超一流。
 前方で爆発音。
 ウィンダムが、胸から火花と煙を噴出しながら落下していく。
 ため息と苦い思いを噛み殺し、スティングはカオスをMA形態に変形させた。一気に
しとめようとせずに、気長にやっていくしかない。
 そう思ったとき、紅い影が自陣のトーチカに向かって突進してくのを頭部カメラが捕らえた。
42717話(前半):2006/08/20(日) 23:05:01 ID:???

「お願いだからいうこと聞いて!」
 レバーを引きしながらフレイは悲鳴を上げた。
「前!!」
 切迫した声。
 目の前にトーチカ群の黒い壁の一つが迫る。咄嗟にペダルを蹴り飛ばすように踏み
つける。急速減速。
 身体がシートベルトごと外に持っていかれそうになる。内臓と三半規管が悲鳴を上げた。
というよりさっきから上げっぱなしだ。
 壁の間際で右に旋回。きわどいところでトーチカへの激突を回避した。
 なんとか着地。
 ガガガっと、何かが摺れる音がしたのは気のせいだ。気のせいということにしておく。
それがいい。そうしよう。
 後ろのサイの顔が青ざめている。恐怖のせいだけではないだろう。
「サイ! 吐きたかったら、遠慮なく吐いちゃっていいのよ?」
 訓練では何度も吐いた。そして、三人の鬼教官どもはその程度で訓練を中断してくれ
るほど甘くはなかったのである。
 あの酸っぱい匂いと嫌な物体にまみれることに、今更怯むほどやわではない。
「・・・分かった」
 青白い顔でサイが頷いた。
<おい! そこの機体。――味方か? 味方なら・・・>
 通信。
 あたりを見回すと数機が砲口を向けてきていた。
<失礼しました! 自分は、地球軍第82独立機動軍所属、フレイ・アルスター少尉であります。
認識番号は>
 慌てて、オープン回線で味方に告げる。何せ戦闘中だ。通達が隅々まで行き届いていなくても
無理はない。
<・・・フレイ!>
 疲れきった、しかし、嬉し気な声が直通回線で飛び込んだ。
<ステラ! 良かった!>
 フレイの声は自然と弾んだ。
428通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:06:15 ID:???

 ――無事だった

 安堵の思いが心を満たす。
<ステラ・・・守った。守れば・・・死なない>
<ありがとう・・・。ステラ>
 あの白い機体をステラが抑えてくれなければ、自分はここにいない。そして、ステラは
ここで一人頑張っていたのだ。基地を友軍を、仲間を、フレイを守ろうとして。
 心が熱くなる。
<任せて、今度は私が――>
 あなたを守る、と続けようとした時、聞き覚えのある声が通信に割り込んできた。
<おい! あんた、確か・・・。アルスター少尉・・・だったな?>
<肯定よ。スティング・オークレー少尉>
<スティングでいい。あんた・・・>
<フレイよ>
<――フレイ。動きのいい白いのがいて、俺はそいつの相手をしなきゃならねえ。
で、もう一機動きのいいシグーがいる。そいつが来たら、頼めるか?>
 ザフト中には、圧倒的な動きをするパイロットが何人か混じっている。その強さは、
フレイも先程味わったばかりだ。
 彼等はその場の趨勢を一人でひっくり返す。恐怖が蘇り、一瞬身体が震えた。
 だが、
<分かったわ>
 誰かが抑えなくてはならない。
 使いこなせていないなどと言ってはいられない。ポテンシャルの高い機体を与えられた
のだから、その機体に見合った働きをして当然、ということだ。
<フレイ・・>
 心配そうにステラが言う。
<大丈夫よ。・・・言ったでしょ、私が・・・。あなたを守るわ>
 柔らかい声でささやくように、だがハッキリした声で告げるとフレイはストライクを
跳躍させた。
429通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:08:27 ID:???
 ストライクの両肩のレール砲が火を噴いた。
 
 ――見事に外れた

「ぐっ・・・」
 後ろの座席でサイが唸る声が聞こえるが仕方がない。こればっかりは、何百、何千時間
と訓練を積まなければどうにかなるものではない。
 そして、自分はこの機体を操るだけで精一杯・・・

 ――しまった

 四分の一回転するつもりが、バーニアの威力がありすぎて半回転。
「あっ!」
 サイの焦った声。
 再びレール砲が炸裂。今度は命中。大穴が開いた。
 
 ――トーチカの壁に

 味方機がいなかったのが救いだが・・・。
<馬鹿野郎! どこを撃っている!?>
<落ち着け、アルスター少尉!>
<味方を殺す気かボケ!!>
 無線機から、罵声と怒声が次々とコクピットに突き刺さり、サイとフレイは揃って冷や汗をかき
身を縮み困らせた。
<何やってんだ? 味方と敵のどっちを守ろうとしてるのか分からんことになってるぞお前>
 スティングが、白い機体――味方を散々屠ったあの機体だ――撃ち合いながら、律儀に
通信を送ってよこした。
 その声に失望の色が合ったのはフレイの気のせいだろうか? 
(口だけの奴って思われたかしらね・・・)
 フレイは苦笑を漏らす。
「ごめん・・・フレイ」
 サイがすまなそうに言うが、
「後の後悔より、前を見なきゃ! ほら、次よ次!」
 フレイは、さほど気にした様子も見せずに言った。こんなことで一々ヘコんでいて
やっていられるものか。
 自分は凡人。その上、卑怯で情けなくてみっともない人間。そのことは、この二年で
嫌というほど分かっている。
 それでもやりたいことがあるなら。
 どうしても貫きたいことがあるなら。
「できることを総動員して・・・。やるだけよ!!」
 一気にディンに向かって突っ込む。ディンがその羽を羽ばたかせ、右に回避行動。
そのディンを追おうとするが、どうしても機体に振りまわされてしまう。
 ディンの砲口がストライクを向いた。ラウンドシールドを翳すよりも早く、
敵のマズルフラッシュの光がフレイの網膜を焼いた。
430通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:09:20 ID:???
 凄まじい轟音。
 弾丸がストライクの装甲の上で跳ね、装甲の上で火花が踊った。
「!?」
 フレイは絶句した。
「流石『スピア』だ。これだけ弾丸を食らっても何ともない!」
 サイが歓声を上げた。
 驚愕であった。
 いくらVPS装甲といえどこれだけ弾丸を食らっても、何ともないとは。
対衝撃システム、VPSシステム。共に性能が量産期のそれとは桁違いだ。

 ――これなら!

 ディンに向かって突っ込む。ランスの刃に光が生まれる。容赦な弾丸が叩き付けられ、
轟音が強まる。今や雹が引っ切り無しに叩きつけられているようだ。
 かまわず、パワー全開。スラスターが爆裂したかのように叫んだ。
 瞬時の加速。すさまじいG。
「うっ!」「がっ!」
 サイとフレイのうめき声が漏れる。
 
 ――紅い弾丸が虚空を貫いた。
 
 前方から凄まじい衝撃。
 気がつくと、メインモニターにスピアに深々と串刺しにされたディンが大写しになっていた。
切っ先が装甲の反対側まで付きぬけて刃をのぞかせ光る刃をのぞかせている。ディンを
穂先にぶら下げ流石に大幅に減速しつつもなお、ストライクは空を駆ける。
 フレイは無言で、スピアを引き抜いた。
 青白い火花を風穴が開いた胴体から飛び散らせながらディンが落下。
 敵パイロットは即死だろう。
「右三時方向。シグー2! 」
 サイの警告。
 はっとして一気にストライクを直進させる。弾丸が後ろの空間を引き裂いた
「サイ!」
「これくらいはな」
 喜色を浮かべて振り向くフレイに、サイがどこか安堵したように答えた。レーダーで
周囲を俯瞰、視認によって眼前の敵の動きに対応。この二つを併用するのは非常に
難易度が高い。
 しかし、二人でやればどうか? サイはアークエンジェルでの経験で、前者のスキル
を持ち合わせていたのだ。
「この調子で行きましょう!」
「分かった」
 ストライクは、眼前の二機に突進した。
431通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:10:21 ID:???

「何という・・・」
 レイは、横目で天空の機体を睨みつけた。
「連合のMSは化け物か!」
 機体を扱いきれていないだけのようだが、結果的に、低速からの超加速による
攻撃は脅威だ。
静から急激に動に移行するあの攻撃に反応できるパイロットは少ないだろう。
 何よりもあの耐久性。ビーム兵器でなければ墜とせまい。
 だが、それを持っている自分はといえば・・・
「ぬ・・・」
 一発、二発。
 空に向かって、ビーム突撃銃を放つ。
 しかし、高速で飛行するMA形態のカオスを地上から仕留めるのは、さしものレイ
の空間把握能力
をもってしても、手に余った。
「ええい!」
 白いザクファントムが飛翔。
 カオスから放たれた、カリドゥス改複相ビーム砲が地を抉った。空中でスラスターを
ふかして、方向転換。Gが胃をしめつけ、レイの端整な顔が歪む。カオスのビームクロ
ウが機体のスレスレを掠めていった。
 着地。
 消極策をとられてはどうにもならない。カオスをひきつけておくだけで、善しとしなけれ
ばならないようだ。
 空を見上げたレイの視界の端を一機のシグーがよぎった。
 あれは――
<ルナマリア!>
<レイ。ごめん、遅れて。シンは大丈夫だから!>
<それは良かった。――あの紅いのには、気をつけろ。普通ではないぞ!>
<了解!>
 旧式のシグーで大丈夫か・・・。
 レイは焦燥はつのらせつつ、カオスの動きを追った。
432通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:11:20 ID:???
「なるほどね・・・」
 ルナマリアの端整な顔がしかめられた。最高速に達するスピードが異常に速い。
 まさに超加速。そして桁外れの耐久力。おまけに、飛行のコースも絶妙。こちらの射線、
挟撃、囲い込みを縫うように飛行している。低速度でも被弾がある程度が少ないのは
その賜物といっていい。
 紅いMSの頭部がルナマリアのシグーを見た。
 ルナマリアは、不敵な笑みでその視線を真っ向から受け止める。
「MSの性能の差が戦力の差でないことを、教えてやるわ!」
 確かにあのMSは速い。
 しかし。
「それなら、ビームライフルを避ける要領で十分よね?」
 しかも連射は効かない。
 基本に戻るだけだ。常に動き、フェイントを混ぜて的を絞らせないこと。
 紅いMSの姿が揺らめいた

 ――速い

 右肩部辺りから衝撃。勝手に機体が回転運動。
 揺れに耐えつつ、ルナマリアは、カメラをの向きを矢継ぎ早に切り替える。

 ――いた

 シグーのスラスターを全開で一気に間合いを詰めた。敵機がもたもたと動く。
 遅い。
「ええぃ!」
 ほとんどゼロ距離から重突撃銃で発砲。猛烈な炸裂音。紅い火花とマズルフラッシュの
閃光が炸裂し、メインモニターを光が埋め尽くす。
 しかし、紅い機体がゆっくりと動き右の腕をぶん回した。確かに桁外れの耐久力。だが、
接近戦はこちらの望むところ。
 スレスレで回避。照準。これだけ図体が大きければ撃てば当たる。発砲。
 再び火花が舞った。
433通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:13:43 ID:???

 コクピットを揺らす、振動に顔をしかめつつ、
「くっ・・・。この!」
 フレイは必死でバーニアの向きとパワーを調整し、シグーを捉えようとした。
しかし、この機体では精密機動など望むべくもない。
 後ろから、上から、左から、右から銃弾を浴び、轟音が絶え間なく全方位から押し寄せる。
 でも、

 ――怖くない。

「右肩部、左脇腹付近駆動系にレベルEの損傷。他に損傷はなし! 大丈夫。まだまだ行ける」
 
 ――後ろに頼れる人が、いるから

「了解!」
 言いつつ、ビームランスの穂先で突きかかる。敵機が余裕でかわして重斬刀の刺突。
重さと加速が十分乗った突撃を右腕の盾で何とか防御。右腕からすさまじい轟音と衝撃。

「でやあ!」
 駆動系が異音をで応える。が、フレイはストライク右腕を力任せに振り回した。
 姿勢からして敵に圧倒的に分がいいのは分かっているが、この機体のパワーならあるいは
と思ったのだ。

 ――敵機が吹き飛んだ。

「なっ・・・。何てパワーなの!」
 思わず叫ぶ。まさか吹き飛ばすほどとは。
 しかし、敵機がすぐさま体勢を立て直すと射撃姿勢。
「フレイ! ビームシールド展開するぞ!」
「ビームシールド!?」
 何それ? と思うまもなく、左腕のラウンドシールドから光がほとばしり、みるみる
うちに光壁を形成していく。
 敵機から発射された弾丸は、次々と光壁に当たって尽く消滅した。
「すごい・・・」
「フレイ!」
 サイの声にフレイは我に返った。驚いている場合ではない。
 今の姿勢は、機体は左腕を前に出しての半身・・・。
 フレイは一計を思いついた。
 光壁の向こうからでは穂先の位置が見えまい。
「サイ! 私の合図と同時にビームシールドを切って!」
「――分かった!」
「用意!」
 スラスターが吼えた。コンマ遅れてGが襲う。
「今!」
 叫ぶと同時に加速の衝撃に耐えるため、フレイは歯を食いしばった。
434通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:16:09 ID:???

「こいつ! このぉ!」
 弾丸が絶え間なく吐き出され、巨大な薬莢が吐き出され落下していく。だが、弾丸は
光の壁に吸い込まれるように消失していくだけ。
 冷や汗なのか脂汗なのか分からない汗が額を伝う。
 敵機の桁外れなパワーと未知の兵器に対する恐怖と困惑による動揺が、ルナマリアの
判断力を低下させた。
 突如、光の壁が消失。敵機が巨大化・・・

 ――したように見えた

 思い切り殴りつけられたような衝撃が襲い、機体は思い切り後方へと吹き飛ばされ、
体は思い切り前に引っ張られ、続いて後ろに叩きつけられた。
「かっ!!」
 おしつぶされたような声が漏れた。
 機体が凄まじい勢いで落下していく。警告音がやかましく鳴り響き、あちこちで損傷を
示すランプが点滅。
<ルナマリア!!>
 レイの絶叫。意識が半覚醒。地面が見えた。
「!!」
 スラスターを吹かす。
 
 ――止まらない。
 
 地面が大写しになった。
 次の瞬間、先程の何倍もの衝撃が機体を襲い、シグーは地面を削りながら転がり、
木々をなぎ倒して止まった。
 だが、その前にルナマリアの意識は闇に落ちていた。
435通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:18:08 ID:???

「っつ・・・」
「サイ、大丈夫?」
 あの瞬間、ストライクのスラスターが何故か、出力が部分的にアンバランスになり、
機体がよれたために、ショルダータックルのように敵機につっこんでしまったのだ。
 対ショック姿勢をとっていたことと、何より優秀な衝撃吸収システムのおかげで
この程度ですんだが――
 顔をしかめつつ、フレイは計器をチェックし・・・
「ちょっ? ええ? ど、どうして!?」
 フレイはこの機体に乗って以来何度めか分からない絶叫を上げた。
 バッテリーがごっそり『消失』とでも形容したくなるほど減っている。これでは、
一時的に出力が上がらない部分が出なくても仕方がない。
「・・・やっぱり、改良の余地大いにありだな。こんなに消費が多いんじゃ」
「ちょっと待ってよ! じゃあ、これってさっきのビームシールドのせいなの?」
「ああ。エネルギー消費量の問題がなかなか解決できなくて。やっぱり、Mプランで
もう一度仮説を構築しなおした方が――」
 なにやら自分の考えに没頭しだすサイ。
 フレイは大きく息を吸い込んだ
 
 ――欠陥品じゃないの!

 しかし、フレイが怒鳴る寸前、通信が飛び込んだ。
<オルガ?>
<おい! どけどけ、どきやがれフレイ!>
 あまりの言葉に、にフレイは少し鼻白む。何だというのだ、急に。
<はあ!? オルガ、あんた、何を>
 だが、モニターに映った光景にフレイは絶句した。
 カメラは、レイダー、カラミティ、フォビドゥン、そして前の大戦で散々AAを追い掛け回した
バスターとデュエル、そして見知らぬ赤い機体が凄まじい勢いで噛み合い、飛び離れながら
もつれるように押し寄せて来る光景を写していた――
43617話(後半):2006/08/20(日) 23:20:11 ID:???
 空でルナマリアのシグーが紅い機体に吹き飛ばされ落下していく。
<ルナ!>
 通信機に向かってシンは怒鳴った。

 ――返事がない

「くそぉ!」
 毒づいて、機体の損傷部をざっとチェック。酷いものだ。無傷な場所を探す方が難しい。

 ――だけど

 そこらじゅうから響く異音の合唱に耳をふさぎ、インパルスをゆっくりと進ませる。
這い進むことしかできない。
 それでもシンはインパルスを進ませる。

 ――嫌だ
 もう絶対に。

 誰かを失うのは。
<ルナ! 返事しろ! ルナ!>
 通信機に向かって叫びながら、シンはインパルスを這い進ませた。



<だあくそ! おい、フレイ! とにかくこの三機に手を出すんじゃねえぞ! 奴等の
射程に入るな! 近づくな!>
<避・難!>
<・・・フレイの敵う相手じゃないよ!>
 ほぼ数秒づつラグをおいて三人から通信。
 フレイはため息をついた。
 心配せずとも、あの三機が普通ではないのは一目瞭然。
 先程、死を覚悟して挑んだ白い機体よりも更に上ではないだろうか?
 援護はしたいが、どう考えても足手まといになってしまうのがオチ。熱烈なミンチ志願者
以外にあの三機に好き好んで、向かっていこうという人間などいないだろう。そして自分は、
どちらかというとハンバーグよりステーキが好きだ。
<分かってるわよ! ――みんな、頑張って!> 
 返事がない。余裕がないのだ。
 あいつらはそんな時にすら、自分を気遣ってくれたというのに! 自分の非力さに、
フレイはぐっと、拳を握り締めた。

 ――ちゃんと、この機体を使えてたら

「・・・フレイ」
 気遣うサイに、
「大丈夫。私達は、私達のできることをしましょう?」
 ハッキリした声で返事をし、フレイはモニターに目を走らせた。
「了解」
 真紅のストライクは、群がる敵MSの群れに向かって突っ込んだ。
437通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:21:56 ID:???
「何だありゃ? 地球軍の新型?」
 バスターの中で、ディアッカは横目で紅い巨体を見やった。
「って、ああくそ!」
 観察する暇もない。
 すんでのところで、125ミリ二連装高エネルギー長射程砲を回避。
 手数で圧される。
 搭乗者の技量は高い。何より視野の広さがズバぬけている。戦場を俯瞰する力が
恐ろしく高いのだ。
 素早く照準。連結させずに高エネルギーライフルで一撃。敵機が回避。
長射程で使える武器は限られている。その分援護を主目的とし、あくまでもあの機体とは
牽制のし合いにとどまっている。
 今の所はほぼ互角。

 ――いや、違う

 仲間への貢献度という点では、若干あちらに軍配が上がる。的確な援護射撃を幾度となく行い、
イザークとアスランを苦しめている。あの二人が、なかなか致命打を与えられないのは
そのせいもある。
「だらしないぜ、まったく!」
 その時、カメラの一つが気になるものを発見。カメラの望遠を拡大。

 ――インパルスの左腕部だった

<おい! インパルスはやられたのか!?>
 オープン回線で呼びかける。
<はい、カオスに。ですが、パイロットは健在です>
 簡潔な返答があった。この声は確か、レイ・ザ・バレル。
<そりゃ良かった。生きてさえいりゃ次がある!>
 バスターの対装甲散弾砲が炸裂。一機のウィンダムがまともに散弾を浴びて、煙を
吹きながら落下。
<エルスマン・・・>
<ファーストネームでどうぞ?>
<・・・ディアッカ。何とかカオスの頭を抑えられませんか?>
<そうしたいのは山々なんだけどなあ・・・>
 またまたカラミティの牽制射撃。今度はバズーカのオマケつきだ。こちらは、肩の
ミサイルで返礼。
 
 ――すべて、左腕のビームで刻み落とされた
438通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:23:56 ID:???
<情けないけど、こいつで手一杯ってわけ!>
 苛立ちと焦りを声に出さぬよう、つとめてディアッカはふざけた調子をつくった。焦りは
伝染する。戦場で集中を乱して良いことなど一つもない。
<そうですか>
 ディアッカは眉間にしわをよせた。レイの声にはわずかにではあったが、焦りの成分が
含まれているような気がしたのだ。
<――どうかしたか?>
<いえ・・・。仲間がやられて墜落しまして。シグーです。ポイントB−45付近が
その位置から見えないでしょうか? 機体の損傷具合を知りたいのですが>
<・・・ちょっと待てよ?>
 
 ――へえ

 何でもソツなくこなす鉄面皮な奴、という印象だったが。

 ――割と仲間思いの奴じゃん

 ディアッカの口元がほころんだ。
<レイ・・・。大丈夫、生きてるわよ>
 誰かが回線に割り込んできた。
<ルナマリア!>
<ちょっと気を失ってたけど・・・。まだ、飛べるわ>
<その声は・・・。ルナマリア・ホークか?>
<はい! ご心配かけました。エルスマン――>
<ディアッカでいいって。けどさ、良かった良かった。君みたいに可愛いくて優秀な子が
死ぬのはザフトにとってもプラントにとっても大きな損失だからなあ>
<ど、どうも・・・>
 デュエルが、バズーカ砲と複相ビーム砲に晒されているデュエルは、左右に機動して
回避。フォビドゥンが射撃の体勢を取った。
<でさあ、今度クルー同士の親睦を更に深めようってことで、ちょっとした飲み会、
企画してんだけど。君もどう?>
<・・・・はぁ?>
 ディアッカの手が忙しく動く。ライフルの砲身が連結され、光条がフォビドゥンに直進。
寸前で弧を描いて外れた。プラズマを曲げる動作を取りやめ、そのまま防御に切り替えたのだ。
 舌打ちを一つ。
<・・・メイリンちゃんは、参加するって言ってたぜ?>
<何ですって!? ちょっと、ディアッカ! メイリンに手を出したら許さないわよ!>
<え? メイリンちゃんだってもう大人だろお?>
<あんたみたいな軽薄男に引っかかったら泣くことになるのは見えてるでしょ!>
 デュエルが目標をカラミティに変えて殺到。フォビドゥンが後ろから猛速で追尾

 ――それはイザークのフェイント

 振り向きざま、デュエルが刃を振るった。飛燕の太刀筋が発生。しかし、フォビドゥンは
受け止めて見せた。実体部分と実体部分が激突。鍔迫り合いの火花が血の様に噴出した。
 カラミティとバスターが同時に機動。射線が確保できるポイントを探る。
439通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:25:04 ID:???
<俺ってそんな風に見える? 女の子には優しいって評判なんだけどなあ>
<『には』って・・・。ぜんっぜん信用できないわね!>
<・・・二人とも、戦闘中だ。ディアッカ、あなたの技量は認めますが、戦うか口説くか
説得するのか、どれかにした方が良いのではないですか? 故人の言葉にも二兎追う者は一兎も
得ずとある。あなたの場合、更にもう一羽多い>
 白いザクの肩部が開き、ミサイルが連続で発射された。火の矢が一気に天空へと駆け上がり
カオスに向かって殺到していく。
 連続した爆発。
<何言ってんだよ。全部同時に狙ってこそ男だろ?>
<ルナ!>
 しまらない会話に緊迫した声が割って入った。
<<シン!?>>
 レイとルナマリアの声が見事にハモる。
<無事か! ケガは?>
<ない・・・けど・・・。って、あんた今、どこにいるのよ?>
<え? ルナの近く、だけど>
<無茶だシン。早く、コアスプレンダーに変形してどこかの母艦に戻れ>
<そうよ!>
<だけど・・・>
<へえ〜。仲がいいのな、お前等。俺達の昔とはえらい違いだぜ>
 94mm高エネルギー収束火線ライフルを連結して一撃。カラミティが回避。
 そっちはオマケ。
 本命はこちら。
 連結を解除し、眼下に向かって対装甲散弾砲を放つ。
 2機のウィンダム、一機のダガーL全てに命中。一機がその場で爆発。一機が落下。
一機が武装を吹き飛ばされ遮蔽物の陰に逃げ込んでいく。
<え? いや・・・。そりゃ私、二人とは、アカデミーからの付き合いですけど・・・>
<確かに、客観的に見ても友人と呼べる関係なのは間違いないとは思いますが>
<からかわないで・・・いただけないでしょうか?>
 仲がいいとはっきり言われるとテレるものらしい。何やら良く分からない言い訳なのか
何なのか分からないことをしゃべり出す三人に、ディアッカは噴出しそうになる。
 何か言ってやろうとして・・・
 
 ――その表情がやにわに引き締められた。

<残念だが、おしゃべりはそこまでのようだぜ。レイ!>
 ディアッカの声がと硬質なものに変わった。
<――見えています>
 淡々とレイが応じた。
<ルナマリア! レイの援護にいけるか?>
<あっ・・・。行けます!>
<早く頼むぜ。俺が何とか援護してみる。っとに、連合は景気がおよろしいことで!>
<どうしたんだよ?>
 状況が分からないシンがいらだった声を上げる。
<なかなか手ごわ奴がいる。それだけだ。シン、お前は早くミネルバへ帰投しろ>
 シンが何か言おうとする前に、通信は切れた。
440通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:45:19 ID:???

「あいつを・・・落とせば!」
 フレイは、敵の集団の中に白い機体を見つけた。カオスと協力してあれを落とせれば
かなりこの場は楽になるはず。
「サイ! いくわよ」
「ビーム兵器でもそれなりに無茶が効くから、ある程度は、被弾しても大丈夫だ」
「何か・・・。サイが大丈夫って言ってもらえると本当に大丈夫って気がするわ・・・」
「え?」
「な、何でもない!」

 ――甘えちゃダメよ

 どうもさっきから自分はおかしい。
 どうにもこうにも、嬉しくてたまらない。そして・・・。
 頼りたくて仕方がない。
 優しく安心させてくれる言葉をかけてもらいたくて仕方がないのだ。
 誰かに支えてもらうのは気持ちが良い。
 甘えてしまいたくなる。それがどれほど気持ちがいいことか、自分は知っている。
 だけど。

 ――それはダメだ
 なぜならここは
 ――戦場
 二年前の自分ではいられない場所。いてはいけない場所だから

 フレイは一度頭を振り、大きさを増す白い機体に意識を向けた。
「サイ。牽制して! 当たらなくていい。レール砲、単装砲、同時に撃って!」
「分かった!」
「――用意!」

 撃て! と叫ぼうとした時、眩い光が目の前を掠めた。
「――バスター。7時の方向。悪い・・・。まさかあそこから」
 サイの声がわずかに震えている。
 どっと冷や汗が吹き出た。外れたとはいえ、あんな所から撃ってくるとは・・・。
今の一撃を受けていたら、流石にこの機体でも撃墜されていただろう。
 恐怖が身体を縛った。
441通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:46:18 ID:???
<フレイ!>
 オルガの声。
<わりぃ! やられてねえな!?>
 奥歯を噛んで、息を吐く。
 元気な声を作るのはかなりの努力を要した。
<あったり前でしょ? 私だってちょっとは強くなったんだから!>
<そうかよ! ンの野郎・・。絶対、墜としてやる!>
 オルガからの通信が切れ、フレイは、ほっと息をついた。どうやら、
余計なことを心配させずにすんだらしい。
「すごいな、フレイ・・・」
「な、何が?」
「こんな時でも誰かのことを考えられるって、すごいことだよ」
「べ、別にそんな・・・」
 フレイの顔が赤らんだ。
 やっぱり嬉しい・・・。どうしようもなく。
(って、ああもう!)
 こんなことを考えている場合ではないのだ。大きくかぶりをふり、
フレイは再び白い機体に意識を集中した。
「行くわよ!」
「いつでも!」
 ストライクは、白い機体に向かって突進した。
442通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:47:52 ID:jLwpCldB
「いくぞおらぁ!」
 オルガは顔を朱に染めて叫んだ。クロトとシャニは苦戦を強いられている。赤い機体も
デュエル――多少改良されているが――のパイロットは恐ろしいほどの手練れだ。
 だから敢えて、援護に重点を置いていたが・・・

 ――もう終わりだ

 オルガは一気にカラミティを疾駆させた。
「おらおらおら!」
 肩の肩の125ミリ二連装高エネルギー長射程砲を同時に発射。回避地点を予測して
一瞬差で胸の580ミリ複列位相エネルギー砲を発射。バスターが左右への回避運動で
猛火を回避。
「ちい!」
 分かっていたことだが、バスターに無理矢理フライトユニットをつけただけというこ
とではなさそうだ。
「やるじゃねえか! けどなあ!」
 右腕のプラズマザボット砲を照準。




「おいおい・・・。短気な奴は嫌われるぜ?」
 左腕の対装甲散弾砲を発砲。カラミティとバスターの中間で爆発。爆煙が濛々と
上がり大気が震えた。
 煙の流れを注意深く見極める。
 どこだ?
「!」
 煙の中からビームが連続で飛び出した。大雑把に検討だけつけて撃っているのだろうが。
「それも正解だよなあ」
 左に機動。しつつ手早く照準して散弾をばら撒く。撃って来た場所にいるほどトロい
敵じゃない。未来位置を予測。砲身と砲身を連結。

 ――こい!

 煙が風に吹き払われる。

 ――敵の二門の砲口と目が合った

 咄嗟に左に全速機動。敵が右に機動。同時に発射。
 光と光が交錯し空間を埋めた。
「何だって、こんなに手ごわいのがいるのかね!?」
 他のことに気を裂けば即座に墜とされる。
<アスラン!>
 ヤツならなんとかしてくれる・・・。ディアッカは通信機に向かって怒鳴った
443通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:49:04 ID:???
「あれは、・・・ストライク」

 近づくにつれ、アスランには紅い機体の正体が分かった。
 カガリの顔が頭を掠める。

 ――誰よりも平和を願っていたカガリが乗るはずだった機体
 それを。

「お前等が・・・。連合の奴等が使っていい機体じゃない!!」
 アスランはセイバーを変形させ、一気に急降下させた。下からの圧力で胃と肺がきしむ。
「おおぉぉ!!」
 MS形態に変形し、プラズマ収束ビーム砲を腰にマウント。眼下の紅い機体に照準。
 
 ――左側面モニターに高速の影

「ちぃ!」
 左腕で盾を翳す。黒鳥から放たれた業火がセイバーの盾に激突。素早く右腕のビームライフル
で照準。黒鳥が回避運動。
 下方に矢継ぎ早に発砲。紅い機体の周りに次々と着弾。紅い機体が回避運動を取った。
紅い機体の両肩のレール砲が動いた。

 ――遅い?

 訝りつつも右に機動。そして上、左。
 下から超高速の弾丸を避け、天から降ってきた落雷の如き破砕球を回避。
「パイロットはともかく、砲手は素人同然か」
 忙しく機体を操作しつつも、アスランはストライクの状態を看破した。あの機体の性能が
十二分に発揮されたなら恐るべきことだが、今の状態ならまだなんとかなる。
「問題は・・・こちらか」
 腰のプラズマ収束ビーム砲を腰にマウント。照準。発砲。日本の爆光が炸裂。視界が
光で一瞬白く染まる。ビームサーベルを抜き放つ。
 螺旋の動きでビームを掻い潜った黒鳥に光の刃を一閃。黒鳥が急旋回。光刃の間合いを
ギリギリを縫うように飛び去った。
「またか!」
 徹底してこちらの間合いに入ってこない。
 かといって、ビームライフルとプラズマ収束ビーム砲で仕留めるのは至難の技だ。奴は
ミーティアの猛射すら掻い潜る。そ
 して、MA形態での戦闘ではあちらに一日の長がある。

 ――力が足りないな、俺は

 それにしても、回避運動に徹底して専念しているとはいえあそこまで粘るとは。レイ・ザ・
バレル、彼もまた只者ではない。
 しかし、彼にも限界はある。ストライクとカオスに囲まれていつまで持つか・・・
苛立ちと焦燥を押さえつけつつ、アスランは牽制の一撃を今度はカオスに放った。
444通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:51:04 ID:???

「何やってんだよ!」
 レイのザク、ルナマリアのシグーが圧されている。
 紅い機体の性能が桁外れなのもあるが、ルナマリアのシグーの動きが明らかに鈍いのだ。
さっきの一撃の損傷が響いているのは間違いない。
 紅い機体をどうやら乗っているパイロットが持て余し気味なのと、アスラン・ザラの
援護射撃で何とか凌いでいるが――
「このままじゃ・・・」
 シンは右腕の損傷をざっとチェックした。

 ――射撃は可能

 慎重に。正確に。
 損傷によるブレを計算し、敵の動きを読む。
 シンの意思に従い、インパルスがゆっくりと腕を動かす。手には、ルナマリアからもらった
ビーム突撃銃。狙いは。

 ――紅い機体

 あの三機は動きが良すぎるし、カオスは飛行形態を解こうとしないから、命中させるのは
厳しい。そして、当てたとしても小さな損傷では意味がない。

 ――コクピットに直撃させて即死させる

 照準。
 限界まで集中力を高める。

 ――余計なものはすべて視界の外に流せ
 今はアレを落とすことだけを

 ――今

 思うと同時にシンの身体はトリガーを引いてた。
 光がまっすぐに突き進み・・・

 ――直撃した
445通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:52:00 ID:???

「シン!?」
 突如として、紅い機体に突き刺さった光。
 その射線を辿ると、そこにはやはりインパルスがいた。
(無茶をするんだから・・・)
 ルナマリアは苦笑を浮かべた。だが、流石シンだ。これで楽に・・・
 その時、
 
 ――紅い機体が動いた

「嘘!?」
 ビーム突撃銃の威力では、装甲を打ち抜くにはいたらなかったというのか!
紅い機体が身を翻し、一直線にボロボロのインパルスに向かって疾走を始めた。その動
作には明らかに怒りが感じられた。
 砂煙を巻き上げながら紅い颶風がインパルスに向かって疾る。
「ま、待て!!」
 必死に後ろから重突撃砲を放つが全く効かない。自分の機体では紅い機体に追いつけない。
 
 ――レイは
 カオスを振り切れない
 ――アスラン
 同じく、レイダーに抑えられている。
 ――ディアッカ!
 遠すぎる。
 
 紅い機体が一直線に突き進んでいく。インパルスが放ったビームが、紅い機体の作り
出した光壁に阻まれる。

 ――誰か
 誰か助けて。あいつを、シンを!

「シン―――――――ッ!!!」
 ルナマリアは絶叫を上げた。
446通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:55:28 ID:???
 「くそおぉ!」
 突撃銃のビームが光の壁に弾かれて四散する。コアスプレンダーに分離しようにも
この損傷具合では間に合わない。
 光の壁が突如縮んだ。変わってスピアの眩い穂先が出現。
 光が。
 光がモニターを、視界を、埋めつくしていく。

 ――死・・・・・・・・・・ぬ?

 突如、紅い機体が機体が向きを変える。その横から白い影が出現し、紅い機体と激突。
横からの衝撃に耐え切れず、紅い機体が横倒しになりすっ飛んでいく。
 白と青い機体――いや――デュエルも転倒。
 鉄の巨人が地面と接触し、その衝撃で大量の土砂と木々が大波となって、インパルスに
ふりかかり、モニターを埋めた。
 ややあって、
<生きているか? シン・アスカ!>
 張りのある、イザーク・ジュールの声が通信機から飛び込み、
<ジュ・・・ジュール隊長・・・?>
 シンは耳を疑った。どうしてイザーク・ジュールが自分を。
<貴様の根性は認めてやるが、もう戻れ。幾ら貴様でも限界だ>
 イザークの声にはどこか優しさがあった。
<お・・・俺>
 何か言わなくてはならない。そう思うのだが、言葉が見つからない。
 もどかしい。いくつもの感情が入り乱れて言葉にならない。
 コクピットの中でそんなシンの様子を画面で見ながら、イザークは口の端にわずかに
苦笑を浮かべた。感情表現の苦手さはどうやらアスラン以上らしい・・・。
<さっさと行け! どうにも奴は俺が紅い機お気に体を吹き飛ばしたのがお気にめさんらしい>
 光がまたデュエルの盾で弾けた。
 フォビドゥンが胸部のプラズマ砲を乱射している。明らかに怒り狂っているのが外から
見てとれた。連続で弧を描くビームを、デュエルが尽く盾で防ぐ。
「すげえ・・・」
 シンは思わず感嘆のため息をもらした
 怒りで相手が冷静さを欠いているとはいえ、予測の難しい軌道を見切って見せる所が
イザークのすさまじい技量を示している。
<何をボーっとしている! 早く行けと言っているだろうが!! ・・・心配するな。
今からとっととケリをつけてやる。貴様はミネルバで寝て待っていろ>
<りょ、了解しました!>
 慌てて機体を操作。コアスプレンダーが分離し舞い上がった。
<――あの!>
<何だ!>
<ありがとう・・・ございました>
 イザークはふっと笑った。
<別に礼などいらん。一人で何でもやることなど、できはせんのだからな。フォローし、
フォローされ、だ>
<――分かりました。お気をつけて。レイ、ルナ・・・みんなも!>
 
 コアスプレンダーは飛び去った。
447通常の名無しさんの3倍:2006/08/20(日) 23:57:45 ID:???

<いやあ〜。流石、我等の隊長殿! タメになるお言葉、感服いたしました>
 案の定飛び込んできたディアッカの声に、イザークは顔をしかめた。
<ディアッカ・・・。貴様、俺に含むところがあるんじゃなかろうな!?>
 デュエルのレール砲が火を噴いた。盾で受け止めたフォビドゥンがわずかによろめく。
<何で? 俺はただ俺達の勇敢で聡明な頼れる隊長殿を称えただけだぜ?>
 言い返そうとして、イザークは息を吐き出した。
 軽口を叩いている場合ではない。
<聞いていたのなら、話は早い。――カタをつけるぞ>
 デュエルがふわりと舞い上がった。画面の中でディアッカが難しい表情を浮かべる。
 伊達に長い付き合いではない。イザークの口調と内容で、ディアッカは全てを察した。
<お前がそう言うってことは・・・。今のでヤっちゃった?>
<察しがいいな。そういうことだ>
 ディアッカがため息を一つ。
<どれをやるつもりなの?>
<カラミティだ。懐に飛び込めれば必ず殺れる>
<で? 俺にフォビドゥンを相手しつつ、カラミティに隙も作れって?>
<出来ないとは言うまいな?>
 画面の中でディアッカが不敵に笑った。
<――ったく、うちの隊長殿は無茶をおっしゃる>
<誰にでも言うわけではないわ!>
<それって信用してるって意味ぃ?>
<どうだろうな!?>
 デュエルが舞い上がった。スラスターの排気音が轟く。
 フォビドゥンのプラズマ砲をかわし、一気に加速。一直線にカラミティに向かう
<行くぞ!! ディアッカぁぁ!!>
<OK! イザーク!!>

 デュエルとバスターのスラスター同時に咆哮を上げた。
 そして、一度並んで飛び立てば、二人は勝利を疑わなかった
44818話:2006/08/20(日) 23:59:40 ID:???

 ――っとに無茶なヤツ
 
 ディアッカはコクピットの中で笑う。
 出合った時からそうだった。直情径行型で、すぐキレる。子供みたいにアスランに
ライバル心をむき出しにする奴だった。
 けど、本当は何だかんだで仲間思いで、一本気で、・・・。
 今も、カラミティのビームの雨を盾で弾きかわしながら遮二無二突っ込んでいく。
失敗するかも何て考えてもいない。

 ――そういう奴だ
 だから

「答えてやらなきゃよ!」
 バスターの砲身を連結。全速でフォビドゥンに突っ込む。
 砲戦仕様のバスター。本来なら間合いを詰めるのは命取りになる。敵が幸いとばかりに
一気に間合いを詰めてきた。
 誘いとしても敢えて乗ってやるつもりなのだろう。敵には無敵の盾がある。
 敵の胸元が発光。

 ――好都合だぜ

 左に全速機動。そして上と見せかけて下に下降。猛烈なG、狭まる視界。
 光が頭上を薙ぎ払った。
 あるはずの物を探しディアッカは目を凝らす。

 ――あった

 インパルスの左腕と装着されたままの盾。

 ――上方のフォビドゥンに向かって砲身を一度向ける。
 フォビドゥンが両肩の盾で壁を形成。
 だが、ディアッカの狙いはフォビドゥンではない。砲身を下に再度向ける。
 かっとディアッカの両眼が見開かれた。
 極限まで集中。すべての音が消え、視界が極端に狭まる。
 素早く、冷静に、精密に計算。

「行けぇぇぇ!!」
 ディアッカの雄叫びとともに、連結した砲身から爆光が迸った。
449通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:04:48 ID:???

 カラミティが左腕から連続でビームを連射してくる。
 降り注ぐビームの雨をイザークは、回避しあるいは盾で防ぐ。
 やると言ったらやる。奴はそういう奴だ。
 イザークは、盾を放り捨て対艦刀を両手持ちで構えた。
「ケリをつけてやる!!」
 一気にスラスターを噴かす。デュエルが吼えた。一気に最高速まで達し、計器の針が
跳ね上がった。
 白い矢となってデュエルが駆ける。見る見るうちにカラミティが視界の中で巨大化し
ていく。敵が素早くバズーカを構えた。
 砲口と目が合う。奥歯を噛んで尚も突進。
(ヤツは・・・やる!!)
 その時、敵の下方から光が放たれ、

 ――敵の右腕が吹き飛んだ。

 ディアッカ! 
 何をどうやったのか知らないが、あり得ない角度での砲撃で、見事にカラミティの隙を
作った。奴はやった。なら後は、
「デェェェァァァ―――ッツ!!」
 俺!
 速度。デュエルの自重。両碗部碗部のパワー。全ての力がカラミティにむかって収束!
 
 ――ゴシャア!
 
 異様な音が轟いた。
 対艦刀の刃が、敵の盾に深々と食い込んでいる。
 それだけではない。
 敵の碗部の関節がありえない角度で折れ曲がり、関節部分から煙が上がっていた。
 あのタイミングで盾を上げた敵パイロットの技量は瞠目に値する。しかし、すべての
力を収束した超威力のデュエルの豪刃は、カラミティの関節の加重限界を超えた負荷を
叩き込んだのだ。
「ゼェェェヤァァァ――――ッ!!!」
 機体を操作。
 対艦刀を手放す。右手を腰。ビームサーベルの柄を握る。
 光刃が高速の太刀筋を発生――

 ――ずくん

 肩と背を凄まじい激痛が襲った。もとより痛みで操作を中断するようなオザークでは
ない。しかし、筋肉の損傷はそのダメージの分だけ、イザークの意思を伝えることを拒んだ。
 それでも、ビームサーベルの太刀筋が発生しようとした・・・ 
 その時。
 カラミティの胸部が光を放ち、轟音と今までにない衝撃がデュエルのコクピットを
揺るがした。
450通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:06:55 ID:???
<オルガ!!>
 モニターの画面の中で、カラミティが落下していく。光刃の一撃を受けて
 デュエルが落下していく。カラミティの業火を受けて。
 バスターの一撃。
 ビームシールドの反射を利用した、あり得ない角度からの攻撃。
まさに神技。
そしてデュエルのすべての力を収束した豪刃の一撃。
 あの連続攻撃を食らっては、いかにオルガといえど防ぎきれるはずもない。
 フレイはゴクリと唾を飲み下した。
「フレイ!」
 後ろからの鋭い声で、フレイは我に帰る。
 斬撃、胸部ビーム砲の一撃。どちらも不完全な状態での一撃であったがゆえに、
カラミティもデュエルも撃墜は免れていた。
 だが、双方共に甚大な損傷を受けたことは事実。
 この機を逃すかとばかりに、バスター、セイバー、ザク、シグーが機動。
 ワンテンポ遅れてレイダー、フォビドゥン、カオスがほぼ同時に機動。
「行かなきゃ!」
 ストライクが、ふわりと浮き上がり一気に加速。
(キツい・・・)
 何度やっても胃がムカつく。
「どれをやる?」
「シグーよ。悔しいけど、私の実力じゃあれの相手しか無理よ。――バスターと変形機
体の位置を最優先で索敵!」
「了解」
 更に加速。エンジン駆動音が高鳴る。
 スピアの穂先をシグーが左に回避。左から連続した轟音と衝撃。
 スピアが反転すると、シグーが後方に機動。その間も断続的に重突撃砲を撃ってくる。
完全に牽制であり、こちらを引き付けることだけが目的なのが分かる。
 だが、機体を制御できない今の自分ではそうと分かっていても何もできない。
 情けなさにフレイは唇を噛んだ。
451通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:10:22 ID:???
「まずいぞ! フレイ!」
 いきなりサイが焦った声が上げた。
 慌ててモニターに目をやる。画面の中には片腕を切り落とされたレイダーが映っていた。
「!!」
 カラミティとデュエルに真っ先に接近できたのは、高速飛行機体のレイダーと敵の
赤い機体。
 その際、カラミティをフォローしようとする意識が強かったのか、赤い機体に接近
しすぎてしまったのだ。
 続いて放たれた敵のビームライフルのビームがレイダーの右腰部をあたりを掠めた。
 氷塊がフレイの背を滑り落ちる。

 ――このままじゃ
 誰かが死ぬ
 ――嫌
 絶対に嫌だ。
 
「フレイ、落ち着いて」
 冷静なサイの口調がフレイの動揺を沈めた。
(落ち着いて・・・。冷静に、なるのよ)
 だが、どうしても口調が荒くなるのは我慢し切れなかった。
「でも、いったいどうしたらいいの! このままじゃ・・・ままじゃ」
 誰かを失うかもしれないという恐怖がフレイの胸を締め上げる。
「俺に考えがある」
「何? 何でもやるわ!」
「――『レイピア』を使おう」
45218話(後半):2006/08/21(月) 00:15:12 ID:???
「お前、お前、お前ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
 戟を握りながらシャニは怒声を上げた。
(こいつがオルガを・・・)
 眼前のバスターに向かって突進。バスターが砲の連結を解き、榴散弾砲をかまえた。
「えぇぇぇぇい!」
 気合とともに檄を投擲。同時に衝撃。
「ちぃ・・・」
 計器にチラリと目を走らせる。榴弾が数発、TP装甲の隙間にもぐりこんで損傷を
与えていた。

 ――だが

 バスターの左胸には深々と檄が突き刺さっていた。
 あのタイミング、体勢で射撃体勢を取ったのは大したものだが、接近戦用の武器の
投擲というセオリーにない、しかも損傷覚悟の同時攻撃の回避までは無理だった。
「消えな!!」
 フォビドゥンの肩のレール砲が火を噴いた。超高速の弾丸がバスターに連続して殺到。
バスターは回避運動に専念して回避しようとしたが、ついに一発が右脚の大腿部あたりに
直撃。衝撃でバスターが大きく揺れ、体勢が完全に崩れた。
「死にな!!」
 フォビドゥンの胸部に電撃が奔った。
 しかし、
<シャニぃぃ!!>
 通信機から響いたクロトの絶叫がシャニ鼓膜を打った。
 咄嗟にバンツァーシステムを展開させたのは、戦士のカン。
 真横からの大口径のビームがフォビドゥンの機体の直前でそれる。ビームの射線上
には片腕を切り落とされ、胴体を損傷したレイダー。そのレイダーを置き去りにし、
赤い機体が猛禽の如き勢いで接近してくる。
「ああん!?」
 肩のレール砲を放とうとした刹那、後ろから衝撃。
「ぐっ!」
 身体が前に持っていかれそうになる、シートベルトの留め金が軋んだ。
 バスターだ。
 あの損傷で、これ以上ないというタイミングでの絶妙極まる援護射撃とは・・・
 そして、赤い機体がフォビドゥンを両断せんとビームサーベルを唐竹割にふりおろし
てくる。
「うざい!!」
 肩を寄せ、壁を形成して敵の唐竹割を防御。
 赤い火花がモニターの中で連続して炸裂。シャニは顔をしかめた。
 と、赤い機体が猛烈な勢いで回転した。
453通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:16:25 ID:???
「えっ?」
 フォビドゥンの盾が下からの衝撃と共に跳ね上あがる。赤い機体が爪先に引っ掛け
るようにして跳ね上げたのだ!
 一回転した赤い機体の腰には大口径の・・・
 咄嗟に右に急速機動。
 一刹那の差で爆光が放たれ、フォビドゥンの右腰部の回避しきいれなかった部分を
吹き飛ばした。
 遅れて大揺れがコクピットを襲う。その大揺れに耐えつつ、機体を操作しながら
アスランは前進の汗が冷たくなっているのを感じた。少しでも遅れていたら、シャニの
身体は蒸発していた。
(・・・こいつと・・・接近戦は・・・)
 回避運動に専念し、少しでも距離を取ろうとするが、赤い機体は執拗に追いすがって
きて、振り切れない。この赤い機体の機動力は並ではなかった。
 その時、
<シャニ、私が牽制するから距離を取って!>
 凛とした声が、フォビドゥンのコクピットに響いた。
<フレイ!? ダメだって!! こいつは・・・>
 フレイにこいつの相手なんかできるわけがない。
<嫌よ! 私だって・・・。もう、パイロットなんだから!!>
 赤い機体が振り向きざまビームライフルでビームを放った。ビームが、フレイの機体
ストライクの光壁に弾かれる。
 数瞬の逡巡の後、シャニはスラスターの出力を上げ、赤い機体と距離を取っ
454通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:19:17 ID:???

<ルナマリア! 君はレイの援護に回れ!>
 指示を飛ばし、アスランは突っ込んでくるストライクに鋭い視線を向けた。
「甘い!」
 ストライクの砲撃を容易くかわし、アスランは一気にストライクに突っ込んでいく。
 突如ストライクが巨大化。
「っと!」
 右に大きく機動。
 ストライクがセイバーの横を高速ですりぬけていく。
 確かにすさまじい加速。カウンター気味に突っ込んでこられると、確かに厄介だ。
 
 ――だが

 脇をすり抜けたストライクが反転し、ビームランスを構える。
 警告音。
 セイバーが頭上に盾を翳す。上空から弧を描いたプラズマ砲がビームシールドに激突。
光の粒子が踊った。

 ――これは・・・
 来る!

 モニターのストライクの像がぶれた。
「っ!!」
 セイバーを左前方に急速機動。同時にアスランはセイバービーのムサーベルを抜き打ちで
薙ぎ払った。光槍と光刀が高速で交差。
 一瞬の間があって、ストライクの右腕が爆発。
「馬鹿の一つ覚えの突進が、何度も通用すると思うな!」
 フォビドゥンから放たれたレール砲を回避しながらアスランは吼えた。
 しかし、それでもストライクは左手で今度は腰のビームサーベルを引き抜いた。
「それでもやるか・・・。なら、これで終りだ!」
 タイミングは掴んだ。次は墜とせる。

 ――早く来い

 正直、ストライクよりもフォビドゥンの砲撃の方が厄介だ。ストライクさえ墜として
しまえばフォビドゥンに集中することができる。
(一芝居打ってみるか・・・)
 フォビドゥンのレール砲の一撃をわざと盾で防御。同時にバーニアを噴射。セイバーの
体勢が崩れる。
 ストライクの像が――
 
 ぶれた。
455通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:43:40 ID:???

 ――誘い?

 その考えが胸中に浮かんだ瞬間、フレイは行動を起こしていた。
(好都合よ!)
 左手に刃を抱えてストライクが高速で突撃をかける。
 セイバーが見る見るうちに迫る。
「今!」
 叫んでストライクの速度を急速減殺。
 馬鹿の一つの覚えのように突進したのはこのため。
「うっ!」「ぐぁ!」
 内臓が飛び出すかと思うような衝撃が身体を突き抜けた。
 画面の中では、セイバーが目測を誤ってビームサーベルを空振り、体勢を崩したまま
突っ込んでくる。望外の結果。
「フレイ!」
 サイがシステムを操作。ストライクの装甲をパージ。パージされた装甲が赤い機体の
視界を奪う、その一瞬が

 ――勝負

 一筋の紅い閃光となり、ストライクはセイバーに超超高速の刺突を放った。





「馬鹿な・・・」
 アスランは信じられないというように呻いた。
 ストライクレイピアに装甲をつけることで、その速さを押さえ込み、防御力を高めたのが『スピア』
しかし、まさか自分が、ほとんど反応できないなどということが・・・。
 だが、現実にストライクのビームサーベルは自機の胸部に深々と突き刺さっていた。
 火花が飛び散り、光刃から発生する熱で内部構造が悲鳴を上げ続け、加速度的にシステムの
損傷が増えていく。
「こんな・・・こんな所でやられるわけに行くか!!」
 感情も露にアスランは叫んだ
 
 ――まだ死ぬわけにはいかない!

 ストライクを突き放そうと碗部にパワーを集中。
 すると、呆気なくストライクが吹き飛んだ。ありえないほど呆気なく。
 搭乗者の意思をまるで感じさせずに。
456通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:51:03 ID:???
――まさか

「・・・意識を失っているのか?」
 ありえる話だった。
 あんな無茶苦茶な加速は、ナチュラルには不可能に近い。そのことも、レイピアを
『スピア』に変更した理由の一つだったと記憶している。
(今なら倒すのは容易いんだが・・・)
 舌打ちをしつつ、側面から放たれたフォビドゥンのレール砲を回避。
セイバー牽制しながら、フォビドゥンはストライクを追いかけて遠ざかっていく。
(あれとやるのは少し・・・キツイな)
 セイバーは右半身に深刻なダメージを負っている。
 さっきは牽制だったので、狙いが甘かったから助かったが、本気で狙われていたら
避けられたかどうか。
 その時、全機にむかってミネルバから通信が送られた。
《全MSパイロットに通達。アビスによってニーラコンゴ、セントヘレズが攻撃を受けて
いる。水中用MSはすぐに母艦に帰投し、アビスの迎撃にあたれ! 繰り返す――》
 
 ――しまった!!

 アスランは臍を噛んだ。母艦を叩かれるとは! 添付されたデーターを見て
アスランは息を呑んだ。既にキラウェア、ハレアカラ、エトナが撃沈されている。
<護衛のMSは何してんのよ!?>
 ルナマリアの苛立ちと焦りが入り混じった声が飛び込む
<いなかったということはありえないな。潜水母艦には必ず護衛のMSがつく、これは定石
以前の話だ>
 MSと潜水母艦では機動性で比べるのも馬鹿らしいほど差があり、しかもMSは一撃
で母艦を沈めることができる火力が与えられている。勝負になろうはずもないからだ。
<つーことは、アビスのスペックが十二分に発揮されちゃってるってことかよ!>
 流石のディアッカもその口調に混じる苦い思いを隠しきれず、吐き捨てた。
 アビス。
 ザフトの海の守護神たるように、という願いを込めてMSが、ザフトを脅かしている。
誰もがあまりの事態の皮肉さに、暗澹たる気持ちになった。
<で、俺たちはどうすんの? アスラン>

<――無論撤退だ!! イザーク・ジュールがフェイスの権限において命令する!
全軍撤退せよ!>
 思いがけない人間の声が通信機から響いた。
<イザーク! 大丈夫なのか?>
<・・・鍛え方が違うと言ったろうが! 急げ! 母艦を守ることが最優先だ!>
 即決果断。
 しかし、イザークの判断は正しい。バッテリーが切れればMSは鉄の棺桶同然だ。
(・・・つくづく、差をつけられたな)
<アスラン・ザラ。フェイスとしてこの決定支持する。全機、撤退せよ!>
457通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 00:55:25 ID:???
「終わっ・・・た?」
 血を口から滴らせながら、フレイは呟いた。
 ザフトのMSが次々と、島から遠ざかっていく。
 とてつもない超加速だった。
 意識が彼方へ飛びそうになり――というより一瞬飛んでしまい――たった一度の加速
で肺イカれた。息を吸い込むたびに激痛が走り、咳き込むたびに血が混じる。
「・・・サ・・イ・・・?」
 返事が無い。おそらく気絶しているのだ。
(早く、診てもらわないと・・・)
 そう思うのだが、頭がぼーっとしていて、どうにも思考がまとまらない。
<・・・おつかれ。やるじゃん、フレイ>
<ごめ・・・ん・・・シャ>
 ストライクは今、フォビドゥンに抱えられて飛んでいる。
<・・・無理してしゃべんなくていいよ>
<おい、無事か? フレイ>
<オル・・・ガ?>
<そりゃお前だろ、オルガ。酷くやられちゃったねえ>
<うっせーよ、クロト。てめーこそ、結構やられてるじゃねえか!>
<お前よりマシだろ!>
<・・・うざい。少し静かにしなよ>
<フレ〜イ!! 大丈夫?>
<とにかくお疲れと言っておくか。あんたが、口ばっかりじゃないってのは分かったぜ>
<――貴様等、安心するのは分かるがまだ作戦中だぞ。無駄口は慎め! アルスター少尉、
貴様の機体はドミニオンへ・・・>
 次々と飛び込んでくる仲間達の声。
 ほおっと息をつき、フレイは目を閉じた。
 疲れた。心身共に、消耗しきっている。
 あちこち痛い。呼吸するたびに痛みが胸にはしるから息が苦しい。
 だが、何故か・・・
 何故かとても心地よくて。
 仲間達の声が聞こえるたびに、とてもとても嬉しくて。

 ――やりとげた

 満足感がフレイの身体を満たしていく。
 まだまだ未熟なのは分かっているけど、今日、確かに自分は仲間と共に戦うことが
できた。
 やっと、やっと、自分は2年前の――
 軽い衝撃がストライクを揺るがした。ドミニオンに着艦したのだ。
(帰ってきた。帰って・・・これ・・・た)
 フレイの意識はゆっくりと闇に落ちていった。
458通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 01:04:56 ID:???
 
 赤い夕陽が海を、島を、赤く染め上げていた。
 
 地には鉄の巨人の残骸がいくつも転がっている。
 腕が、脚が、胸が、頭が、胴が
 焼かれ、引き裂かれ、潰され、切り裂かれ、砕かれて
 
 鉄の巨人に混じって小人の残骸も転がっている
 数時間前は生きていて、泣いたり笑ったりしていた存在が、
 今は鉄の巨人同様、残骸と化して転がっている
 焼かれ、引き裂かれ、潰され、切り裂かれ、砕かれて
 ただ転がっている。
 
 赤い夕陽が全てを赤く染め上げていた。

 赤く、赤く・・・
 どこまでも赤く。


 

 <第一部、完>
459通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 01:08:35 ID:reulSP3I
今日は以上です。
分量が多くなってしまって申し訳ありません・・・
460通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 03:27:24 ID:???
ビーストストライクとかサイレントストライクはやめろって
461機動戦士ガンダムSEED DESTINY IF:2006/08/21(月) 09:12:30 ID:???
PHASE-22 「貫く信念」


ジブラルタル基地にある議長室。更にその奥には、暗い空間があり1人の少年と少女がいた。
「どうし・・・」
「どうしてあなたは助かったのか・・・と言いたいんですね?」
磔にされて腕と足が動かない。ラクスの手がキラの頬を擦る。
「あなたは死にましたよ。いいえ、正確には死ぬはずでした。」
ラクスはワインを注ぐと、キラの口に入れる。
「ゴボッ!!・・・ゲホ・・・」
「あらあら?口には合いませんでしたか?私は好きなんですけど・・・」
確かにプラントでは15歳を過ぎれば(正確には13歳)成人とみなされ、飲酒・喫煙を許される。しかし、オーブにいた頃は酒など飲まなかったラクスが・・・
「あの時、シンのデスティニーにフリーダムは斬り裂かれました。あなたは寸前に脱出し、海流に飲まれながらも一命を取り留めました。」
「それで・・・なぜ僕がジブラルタルに?」
「わかってたからですよ・・・あなたがシンに敗けるのも、海流で流れ着く場所も・・・それで漂流のまま死ぬはずだったあなたを助けたのです。」
ワインを煽ると、もう一杯注いでキラの頭に垂らしていく。
「く・・・そんな事あるわけ・・・」
「信じられませんか?。では、なぜあなたは存命してるんですの?」
ラクスは最初に会った頃のような言い方で、でも強さを秘めた口調で話している。
「キラは・・・明日はどうなると思いますか?」
何を言っているのかわからない。明日とはいったい何なのか?
「明日、オーブは我がザフトの管轄になるでしょう。」
「何をする気なんだ!?答えるんだ、ラクス!!」
462通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:13:26 ID:???
パシィィン

平手がキラの頬を叩いた。
「口の聞き方に気をつけたほうがよろしくってよ。大事なあなたなんだもの・・・」
キスをキラにしようと顔を近付ける。しかし、キラは顔を横に向けて頬に当てさせた。
「つれないですわね・・・愛しあってる仲ではありませんか?」
「確かに僕は君を愛していた。2年間、支えてくれた君を・・・でも、僕には・・・」
フレイの顔がよぎる。ラクスの懸命な行動でもキラの心を完全に癒せなかったが、あの一瞬で全てが変わったのだから。
「・・・答えましょう。あなたが助かった理由を・・・」
話を切り替えたラクス。その瞳は涙があるようにも見えたが、キラはそんな事を気にする余裕はなかった。
「私は・・・未来が見えるのです・・・」
「未来を・・・そんな能力が?」
はい、そうですかと俄かには信じられない。
「ですからあなたがどこに流れ着くかも、オーブが明日屈伏するのも私の眼には映っています。」
信じるしかないだろう。それは自分が生きてる事で証明されていたのだから。
「私はこの能力に14歳で目覚めました。そして予知してきました、今まで起こったことを・・・」
「じゃあ、血のバレンタインも、アラスカも、ジェネシスも、ユニウスセブンも・・・全部知っていたのか!?」
少し戸惑った様子だったが、ラクスは決意を固めた目でキラに言い放つ。
「はい。全ては今日、そしてこれからのための計画の一部です。前大戦やブレイク・ザ・ワールドで疲弊した世界を統べるには都合が良かったので。」
463通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:14:42 ID:???
「ラクス!!君は・・・君って奴は・・・」
動かない手足を動かそうと、必死に藻掻く。しかしキラをもってしても解く事が叶わない。
「あれだけの犠牲を出して、あんなにまで命を賭けた戦いも全て!!・・・君の掌の上でしかなかったのか!?答えろ!!」
ラクスはもう一度ワインを注いで一気に煽った。そしてキラにキスをして口移しで飲ました。
「プッ・・・ゲホ、ゲホ・・・」
「初めてのキスですね・・・。そうです、全ては"デスティニープラン"と"ヒューマン・オブ・SEED・プラン"の為です。」
何の事を言っているのかさっぱりわからない。だが、思ってるよりヤバいのはわかってきた。
「明日、カガリさんと話したら彼女は私と共に歩もうとします。そして、あなたが私の剣になる姿も見えています。」
「ふざけるな!!誰が・・・君の手下に・・・くそ、放せ!!」
「ふふふ。全て神が定めし運命、宇宙の意志なのです。」
ラクスは高笑いをすると、部屋を出ていった。キラも鎖を外そうと暗中模索するも考えが及ばない。
「カガリ・・・運命に敗けちゃダメだ・・・。フレイ・・・僕は・・・」


翌日、ユニウス条約の撤廃が決した。ロゴスに破られて以来も、核を使わなかったプラントも(実際にはモビルスーツに搭載したりもしている)、ロゴスを壊滅させるために核製造を発表したのだ。
「バカな・・・ラクスが核製造を?」
「きっと最もらしい言葉で議会を抑えたんでしょうね。」
カガリとマリューはモルゲンレーテでその画面を観ていた。
「オーブも核を造るんですか・・・」
「・・・ああ。」
464通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:15:58 ID:???
目の前には紅い装甲をしたフリーダムが在った。
「フリーダムルージュ・・・スペア機として開発したこれを私が使うことになるなんてな。」
「まだ、使うと決まったわけじゃ・・・。」
カガリは残念そうに首を振る。
「今のラクスなら・・・オーブを攻めかねないだろ?。艦長、私だって信じたいだ・・・」
しかし、ラクスはキラを奪った。自分や世界から・・・希望となる存在を。
「カガリ!!カガリ!!!!」
ユウナが走りながらカガリの名を叫んでいる。
「ユウナ・・・」
「大変だ!!・・・ラクス・クラインから極秘通信が・・・」
「!?」


会議室に入ると、大画面にはラクスの顔が映し出されていた。
「お久しぶりですわ、カガリさん。いえ、アスハ代表・・・」
「ラクス・・・クライン議長・・・」
カガリはアークエンジェルクルーを呼び、テレビ画面越しの極秘会談を行うことになった。
「ヘブンズベースを攻略し、ロゴスを追い詰めました。あと少しで世界はようやく安定します。」
「ああ、だろうな。」
「単刀直入に申し上げます。カガリさんとオーブには、その担い手となってほしいのです。」
ガヤガヤとクルー達は惑わず、カガリと同様に落ち着いて聞いている。
「稀少な中立国、オーブ・・・私達とあなた方が世界を導けば、ナチュラルとコーディネーターの壁はなくなるでしょう。」
465通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:17:09 ID:???
「ラクス・・・それでは道化だよ。」
「はい?」
「オーブの仲立ちにより、ロゴスを失った連合とプラントを和睦させる。そして・・・新たな一つの国を創る、それがお前の目的だな!!」
2年前からの親友であるラクス。彼女が考えそうな事を逆説的に捉えたカガリは的を射ぬいた気分でいた。
「残念です、ちょっと惜しいですわね。」
「どちらにしろ同意しかねる。なぜ、キラを殺した!?」

画面をガラス越しに見守るキラ。本当にカガリが屈してしまうか心配だった。
「カガリ・・・」
ラクスはそんなキラとカガリを嘲笑うかのように、微笑して話す。
「やはりそれが来ましたか・・・。キラは強い。恐らく単純な操縦技術ではこの世界で最強でしょう。故に滅ぼさなければいけなかったのです。」
「!?」
「私とてキラを殺したくなかった・・・しかし私はプラント最高評議会議長。彼が暴走した場合、止めなければなりませんでした。」
「そんな事はない!!お前だって知ってるだろ!?あいつの優しさを!!。間違っても・・・」
ラクスはここぞというタイミングを計って会話を入れる。
「あなたも国のトップでしょう?。そういった私情で判断するのはいけない事ではありませんか?」
「ラクス・・・」
「"もし"・・・が起きてからでは遅いんです。ですから、指導者としてキラは倒さなくてはいけなかったんです。」
466通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:20:14 ID:???
何も言い返せなかった。私情で国を動かしたことは何度もあった。全て読まれていた。
「あんな事態を起こさぬように私達はそのしがらみを捨てて、真の意味での平和をしなくてはいけないんです。」
ラクスは涙を流している。当然、カガリの性格を読んでの行動である。もう少しで予知した通りになる。

「くそっ!!ラクス、止めろ!!」
キラは全力で外そうとするがそれほど甘い造りじゃない。


「憎しみを廃し、人類を正しき方向に・・・」
「ちょっと・・・何いい加減な事言ってんのよ!?」
誰もが、いや、ラクスが一番驚いた。予知した未来にこんな展開はなかったからである。
「あなた・・・は?」
「私はフレイ・アルスター。あなたの言っている事って、筋が通ってるけど自己満足よね。」
フレイ・・・ラクスは思い出した。アークエンジェルに救出され、地球軍にいる父を救おうと自分を人質にした少女だ。だが、キラから死んだと・・・
「自己満足とは?」
「あなたはキラを知らないって事!!」
「私が・・・彼を知らない?冗談を・・・」
「キラはね、強いけど泣き虫で、優しいけど打たれ弱くて・・・とにかく最高のコーディネーターとは思えないくらいダメな奴なのよ!!」
「!!!?」
「でもね・・・キラは自分の思いを仲間の思いに重ねる事が出来る人なの。自分の為には戦わないのに、人の為に戦える人なの・・・それを危ないとか、もし暴れたらとか・・・ふざけんじゃないわよ!!」
467通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:21:10 ID:???
「な・・・」
ラクスは椅子から立ち上がってしまう。フレイも画面に近づいていく。
「キラはね・・・絶対にそんな事しない。だってキラから教わったんだもの・・・人を信じることを。」
フレイの一言一言に重みが有って、カガリとクルー達は耳を必死に傾けていた。
「人を信じきれないで、キラや他の人を犠牲にしてまで創った世界なんて誰も欲しがらないわ。」
「フレイさん、それは理想論です。何かをするための多少の犠牲は必要なのです。キラ1人の生命で世界を救えるなら安くありませんか?」
「そうね。キラ1人で救える世界なんて安くて当然だわ!!。1000人救えても1人救えない世界なんて・・・」
ラクスも予定にないことで頭が混乱していた。
「キラは暴れたりしないわ。私がキラをそう思うから・・・きっとみんなも。そしてキラが暴れようと思わないなら・・・互いに信じあってればそんな事起きるわけないでしょ!?」
何も言い返せなかった。いくら嘘とはいえキラを信じないという内容を、返されてしまったのだから。
「それに例え、キラが暴走しても私達はそれを止められる。私達の暴走はキラから止めてくれる。だから、心配なんかないわ。」
計画が狂った。未来にはフレイ・アルスターの存在がなかったというのに・・・。その後、交渉は決裂した。


「フレイ・・・ありがとう。」
キラはホッとした。そこへラクスが来てキラを凝視した。
「あの娘ですね?」
「え?」
「あの娘に誑かされて!!」
468通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:22:10 ID:???
ラクスはキラの顔や腹を殴ったり蹴ったりした。
「なんで、あいつはいる!?え!!?。キラ、なんで!?」
「・・・僕が・・・」
痛がる顔を上げる。
「そこ・・・に、いてほしいと願ったから・・・」
純粋な愛ではなかった。初めは初恋であり、罪悪感という慰め、失った時にどれだけ愛していたかを知った。フレイを求めていた2年を経て、取り戻せた瞬間から守ると誓った。そこには愛が存在していた。
「愛してるのですか?彼女を・・・」
「そうさ。僕は・・・彼女を愛し・・・」
ラクスの蹴がキラの腹を抉るように入る。
「ぐわっ・・・がは・・・」
キラの髪を掴んで、溝を突いていく。キラの口からは血が出始めていた。
「まあ、明日にはそんなの忘れてますわ。あなたの記憶は・・・」
「そんなんで僕の気持ちが変わるとでも?」
「口答えすんじゃねぇよ!!」
部屋にあるガラス細工でキラの頭を叩く。砕け散るガラスには赤いものが染み付いている。
「アアァァァーー!!!!!!。うう・・・ぁは・・・」
「覚悟すんのね・・・」
ラクスは部屋を出ていった。

深夜、キラの血はなんとか止まっていた。殺すつもりかと思うほどの乱打だったと思う。
「フレイ・・・カガリ・・・みんな・・・」
明日には忘れてしまうのか?。恐怖が襲ってくる。
「いやだ・・・出せぇぇ!!く・・・こんなやつなんかに・・・」
469通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:24:00 ID:???
そこへ2人の男が部屋に入ってキラの鎖を外していく。
「大丈夫か?」
「ば、バルトフェルドさん・・・」
「逃げるぞ!!走れるか?」
「はい・・・なんとか」
部屋から抜け出し、格納庫をめざして走る。
「でも、なんで・・・」
「俺も捕まってたんだが、彼が助けてくれてな・・・。
バルトフェルドの横には金髪でオレンジカラーの軍服を着ている。
「あなたは?」
「おう、本当は久しぶりって事になるんだけどな。ミゲル・アイマンだ。よろしくな。」
驚いた。アスランの話では自分が殺したはずだったのに・・・
「あの後、奇跡的に助かってな。以来、傭兵として戦っていたんだ。」
その間、茂みに隠したモビルスーツに乗る。ミゲルはザクに、バルトフェルドとキラはガイアに乗った。
「このガイアはスカイユニットを装備している。ミゲルのザクはエリカが作ったマイティウィザードを装備してるから飛んで逃げれるぞ。変形してもスカイユニットが可変し・・・」
「早く逃げましょう!!」
「ん?ああ・・・」
2機はオーブに向けて飛び立っていった。

「これは・・・未来が・・・モビルスーツ、追撃させなさい!!」
ラクスは変わりゆく未来が恐ろしく感じた。
「フレイ・アルスター・・・何者なの?」


予告
恐怖。それは人を縛るもの。戦うたびに強さをえた戦士は一度の戦いで、意味がなくなっていた。奮起する果てにキラとフレイは・・・
PHASE-23 「天翔る希望」
心還る場所へ、翔べ、ストライク!!
470通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 09:28:20 ID:???
294:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! :2006/08/21(月) 07:12:00 ID:09sMLG+z [sage]
1、戦場でも空気読まずにミニスカ
2、口が悪くシンや他の仲間を見下しエリート狙いでアスランにばかり媚売ってた
3、それでもまだ強ければ許せたが戦場では全くの役たたず、そのくせ口は減らない
4、アスランにふられた途端妹の仇シンをフレイと同じく色香でたぶらかして誘惑、見事ゲット
5、それもフレイみたいに妹の復讐のためではなく
アスランに脈がなかったからただ単にスーパーエースのシンに取り入っただけ
しかも前述したようにシンは妹の仇、つまり豚の脳内ではエリートの男>妹
6、ジブリールのシャトルを取り逃がし結果プラント市民に多数の犠牲者が出た
7、しかもそのシンすら最終回で0083の紫豚並みの豹変ぶりを見せ付けて再びアスランに鞍替え
しかもやっぱり脈がなかったのかFPでは再びシンとよりを戻そうと擦り寄る

UCガンダムなら真っ先に粛正の対象になってるぞ、こんな糞売女

296:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー! :2006/08/21(月) 07:34:32 ID:09sMLG+z [sage]
624:通常の名無しさんの3倍 :2006/08/21(月) 06:44:06 ID:??? [sage]
レイ「…………スペシャルエディション3の中身が流れた時も、アスラン・ザラ&カガリ・ユラ・アスハやキラ・ヤマト&ラクス・クラインで歓声が上がったのとは対照的に、お前&ルナマリアでは歓声一つあがらなかったな」

625:通常の名無しさんの3倍 :2006/08/21(月) 07:20:09 ID:??? [age]
>>624


  ((_       
〃´   `ヽ  __)  なんでステラじゃなくてお前なんだよ!お前のせいで俺の株ガタ落ちだ死ね!
i .( (( ))ノr´  `ヽ
W ´∀`ノリ ノノ人,,)   
  ⊂彡☆))゚Д。ノリ:.,∴

      
,r"`⌒)ヽ  __) 豚のせいでシン嫌われた!ステラと一緒のままならシン人気者だったのに!うぇーい!
(  人ノ') )r´  `ヽ
从(゚∀゚ノ〈リ ノノ人,,)   
  ⊂彡☆))゚Д。ノリ:.,∴

見ろ、キャラホビでの豚の嫌われぶりを。一部のキモオタ以外の視聴者は>>294が共通認識だ
471通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 10:44:13 ID:???
なんか予想と違うがGJ!!
キラ対フレイをちょっと期待してたからなぁ・・・
472通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 11:41:24 ID:???
このスレ痛い
どこの中坊の集まりだよ
473通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 11:43:13 ID:???
両方GJ!
474通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 13:49:13 ID:???
>>472
糞豚嫁乙
死ね
475通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 15:01:15 ID:???
>>474
SS作者本人乙
476通常の名無しさんの3倍:2006/08/21(月) 21:40:15 ID:???
スッゲェェ!どっちも燃える展開!Gj
477通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 00:33:51 ID:???
ミゲル復活まで行くと…さすがに厨としか言えないな
478通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 00:52:39 ID:???
コンセプトは悪く無いと思うけど、いくらなんでも実は生きてたが多い
あとセリフがちょっと…
479通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 03:05:40 ID:8cAjzW90
覚悟すんのね
覚悟すんのね
覚悟すんのね
覚悟すんのね
覚悟すんのね
覚悟すんのね
480通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 03:07:28 ID:???
口答えすんじゃねぇよ!!

口答えすんじゃねぇよ!!

口答えすんじゃねぇよ!!

口答えすんじゃねぇよ!!

口答えすんじゃねぇよ!!
481通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 03:19:41 ID:???
ニュータイプ…orz
もっとマシな未来があっただろ、ラクス様w
482通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 03:54:17 ID:???
ここのラクス様だったら喜んでラクス厨になってたな
483通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 08:04:31 ID:???
MSVキャラ出過ぎると厨臭くなるな、カストレイしかり
484通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 08:59:46 ID:???
う〜ん、やっぱりミゲルは失敗だったんですかね?。ハイネと絡ませたかったので・・・。
アストレイやMSVのキャラを出してるのはこの物語の結末に"全ての答え"を出したいためです。"はねくじら"についても私感で纏めようと思っています。
485通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 15:10:32 ID:???
ミゲルはいいんじゃないか、うん
486通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 22:22:10 ID:???
でもシホが死んじゃったなorz
487通常の名無しさんの3倍:2006/08/22(火) 22:43:46 ID:???
職人さん達GJです!
488通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 00:10:05 ID:???
ていうかMS単機で大気圏突っ込んで
どう着陸すんだwww
海面に激突してアボーンだろwwww
489通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 05:44:18 ID:???
無印の時にデュエルとバスターで経験済み
490通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 07:44:40 ID:???
それでその無印とやらではどう着陸したのかね?
491通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 10:13:43 ID:???
教えてやってもいいが、それが物を尋ねる態度かね(笑)
492通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 15:36:59 ID:???
あるあ……ねーよwwww
493通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 17:06:56 ID:???
(笑)(笑)
494通常の名無しさんの3倍:2006/08/23(水) 18:03:52 ID:???
>>491>>493携帯厨乙
495通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 02:52:02 ID:???
ていうかバスターとデュエルって大気圏降下
なんかしたっけ??ストライク、インパルス&ザク、
レイダー制式、ストフリ&隠者以外見た記憶がないぞ。
496通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 02:57:32 ID:???
あとフリーダムか
497通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 03:29:26 ID:???
>>495
やってるよ。そのせいで、ディアッカとイザークは
バルトフェルドと一緒に砂漠でAAと戦う羽目になった。
498通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 05:00:30 ID:???
あぁ、そういえばキラ降下の時に一緒に落ちてたな…
どうやって着陸したんだ…核エンジン並の出力も
レイダーみたいな飛行能力もないのに…
そもそもバスター盾ないしな。
499機動戦士ガンダムSEED DESTINY IF:2006/08/24(木) 07:04:58 ID:???
PHASE-23 「天翔る希望」

キラがバルトフェルドとミゲルに救出され、ジブラルタルを脱出した。同時刻、宇宙ではジャンク屋組合本部がシックスナイツの機体"ウィズダム"によって壊滅させられてしまっていた。
「ロウ・・・もう・・・。」
リ・ホームは既に墜ちる寸前であった。
「今度は本当にお陀仏か・・・」
その攻撃はまさに刹那の瞬間、ウィズダムのビームサーベルがレッドフレームを貫いた。
「なんで・・・だよ・・・。」
ロウは死んだ。リ・ホームクルーはジョージを除いて脱出をしていたが、ロウを失って気力はないに等しかった。
「あれが黒歴史の遺産だというのなら・・・」
ウィズダムのビームライフルが連結され、リ・ホームのブリッジを撃ち抜く。
「浅はかなり、人の歴史・・・」
それはジョージ・グレンとあうアダム。始まりをもたらした男の最後の言葉だった。


「ガイ、逃げろ!!もう勝てない!!」
イライジャのザクは半壊状態だったが、あまり深手ではなかった。対してブルーフレーム2ndはデスティニーの力に圧倒されて、破壊される寸前だった。
「オーブの機体は・・・全て破壊する!!」
「貴様は生かしていてはいけない奴だな・・・だが、俺は死ぬわけには・・・」
ガイは恐怖を感じた。まるで鏡に映った悪魔が何人も襲ってきたようだったからだ。
「く・・・」
デスティニーのパルマヒィオキーナが、青い機体を貫いた。
「貴様は・・・俺の・・・」
最強と呼ばれたガイ・ムラクモもSEEDの力には及ばず宇宙に散った。
「ガイィィィ!!。俺は・・・生きるぞ・・・」
500通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 07:06:01 ID:???
グフ部隊の追撃を受けるガイアとザク。性能的にはほぼ互角で、ジブラルタル基地の近くなので援軍も考えられる。
「ぶっ殺したほうが早いんちゃいます?」
「まあね・・・だが、新型とか来たらやばいべ?」
なぜか方言で喋る2人。キラはタオルで血を拭き取ると、妙な気配を感じた。
「これは・・・アスラン!?」
前方にレジェンド、インパルス、そしてミネルバが。
「万事休すって奴か?」

「止まれ、投降すれば命は・・・」
「出世したな、アスラン。」
ハイネ?。いや、違うだろう。だが聞いたことがある声だ。
「新型なんてもったいねぇだろ?」
「ミゲル?お前、死んだはずじゃ・・・」
「主役の俺が死ぬはずないだろ!!」
ザクの左手にあるガトリングナパームを目暗ましに使う。
「ち・・・この程度・・・?ガイアが・・・」
いない。いや、背を向けていた。シールドを構えている。
「危なかったな、アスラン。」
「バルトフェルド隊長?なぜ・・・」
「見せたくなかったんだ、仲間に攻撃される瞬間を・・・」
「??。!!、これは・・・」
暗闇の中ザクやグフ、ゲイツと思われるモノアイの光が港から近づいてくる。
「アスラン、あれ・・・」
ルナマリアも混乱している。なにせその数は100はある。

「どういう・・・」
「ミネルバ、聞こえるか?」
バルトフェルドがタリアに通信を入れる。
「あなたが砂漠の虎ね?これはあなたの仕業かしら?」
「正直に言う。ミネルバは既にザフトでは用済みだ!!」
アスランとルナマリア、ミネルバクルーは驚愕する。今まで命令通り遂行してきたというのに・・・
501通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 07:07:32 ID:???
「バカな・・・バルトフェルド隊長、何を?」
そうであるならレジェンドを自分に渡すはずなどない。だってラクスがそんな事を・・・
「目を覚ませ、アスラン!!」
「キラ?生きていてくれたのか・・・」
自分が殺したようなものだったが、生きていて嬉しいという気持ちがあふれ出そうだった。
「レジェンドはデスティニーなどの機体を強くするサンプルでしかないんだ!!」
「!!?」
そう言えば、なぜ最新鋭の機体に乗ってるはずの自分が呼ばれない?
「しかし、ラクスが・・・」
「バカヤロー!!気づけよ、君達は捨て駒にされたんだよ!!」
その声はミネルバにも届き、タリアは決断を迫られた。
「艦長・・・どどどど、どうすれば・・・」
「・・・私は先任FAITHであるアスランに判断を任したいと思うわ。」
タリアはアスランに全てを賭けた。ルナマリアもアスランを見つめている。
「アスラン、早くしないと!!」
「・・・デュランダル前議長は・・・俺に己の信念に忠誠を尽くせと言った。」
レジェンドはビームライフルを構える。
「ミネルバ、彼らを収容しましょう。そして、オーブへ!!」

「ええ。」
タリアの考えと一致し、オーブへ向かうことへ。しかし、先行してきたグフ35機が襲ってくる。
「ち・・・俺の機体はエンジンの調子が・・・あとは頼む。」
ミゲルはミネルバに入っていった。
502通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 07:08:36 ID:???
「よし、ルナマリアとは右翼を。追撃してくる敵を撃破してくれ。」
「了解!!」
レジェンドはその性能を遺憾なく発揮し、順調に敵を撃破していく。
「この裏切り者が!!」
スレイヤーウィップがレジェンドの腕を捕まえる。VPS装甲で千切れたりはしないが、取りつかれたら厄介だ。
「ん!!」
引っ張りだし、そこを変形したガイアがビームブレイドで斬り裂いた。

「やああぁっ!!」
ビームライフルを味方に撃つのに迷いがあるのか、インパルスのビームが当たらない。
「きゃ・・・」
三位一体の攻撃に惑うルナマリア。テンペストがインパルスを捉えた。
「貰った!!」
そこへガイアが白刃取りで受けとめ、その隙にビームサーベルでグフをインパルスが斬った。
「ありがとうございます。」
「気にするな。さあ、ミネルバに戻るぞ!!」
こうしてミネルバはなんとかその機動性を生かしてジブラルタルを脱出した。


「すいません、脱走者及びロゴスと繋がってるミネルバの撃墜が叶いませんでした。」
「いいえ、ありがとうございます。」
通信が切れた瞬間、ラクスは机にある書類をぶちまけて、キラを捕まえていた鎖を振り回した。
「あの女、あの女!!」
赤い髪の少女。全て狂った。自分の計画が・・・やはり半年前にした"未来読み"ではこの程度が限界だったようだ。キラの鎖に付着してる血を舐めて、至福を感じた。
「ふふふ・・・これは計画を変更しなくちゃね・・・アハハハハハ!!」
503通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 07:09:46 ID:???
オーブに一機のモビルスーツが墜落してきた。それは宇宙からだった。
「パイロットは無事か?」
声を上げたのはイケヤだった。ババとともにコクピットを開いた。
「??。キラ様?」
髪は黒く長かったが、顔はキラと瓜二つだった。
「とにかく、カガリ様に報告を・・・」


「キラ?」
まさにその顔はキラそのもの。しかしフレイはその少年の顔を見ると、逆に怒りそうだった。
「キラじゃないわ・・・そっくりだけど・・・」
しかし、とりあえずその少年を治療室へ運んだ。


「ここは・・・」
「ここはオーブよ。」
少年が起きた時の顔は、本当にキラにそっくりだった。フレイも内心を隠し切れずに顔に出してしまう。
「あの、名前は?」
「カナードだ。カナード・パルス・・・」
その後、カナードから話を色々聞いた。傭兵であった事、母艦が墜とされた事、最高のコーディネーターの失敗作である事・・・。
「んで、キラは死んだのか?」
「え・・・キラは生きてるわ。私はそう信じてる・・・」
「・・・そうか。」
フレイはコップに水を入れてカナードに手渡す。
「あなたがキラに会ったら、力を貸してあげて・・・」
かつてはキラを恨み、殺そうとしていたがプレアがその念を払ってくれた。そしてこの少女の言葉が自分を押してくれた。
「お前・・・名前は?」
「フレイ・・・フレイ・アルスターよ。」
「俺が・・・あいつのために何か出来るといえば確かにこれくらいだからな。」
504通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 07:11:05 ID:???
「核エンジンか・・・」
カガリはカナードが乗っていたモビルスーツ、"ドレッドノート"の視察をしていた。
「しかし、ドレッドノート自体は使い物になりません。核エンジンは移植が可能ですが・・・」
「・・・この件は検討しておく・・・」
カガリとユウナはドックを出ていった。
「どうする?」
「ドレッドノートの事はカナードに聞くしかないさ。」
「カガリ様!!」
ゴウが走ってくる。
「キサカ一佐が戻られました!!。今、モルゲンレーテに・・・それと・・・」

カガリはミリアリアと共にモルゲンレーテを訪れた。
「よ、ミリアリア・・・カガリ・・・」
そこには捕虜となっていた頃と同じく、包帯を頭に巻いたディアッカがいた。
「あんた・・・どうして?」
「地球にダイブしたんだ・・・ブッ!!」
ミリアリアはディアッカの頬を思いっきり叩いた。
「こんななるなんて・・・心配させないでよ・・・バカァ・・・」
膝を折ってディアッカに泣き付いた。涙を流しながらディアッカに縋っている。
「悪りぃ・・・」
頭を撫でながら、ディアッカは優しい目で泣きじゃくるミリアリアの顔を見ていた。


ピキーン

「この感じ・・・」
医務室を飛び出して、モルゲンレーテへ向かってストライクに乗る。
「フレイ嬢ちゃん、どうすんだい?」
「マードックさん、すみませんがストライク出しますね?」
エールを装備してストライクはオーブ領海線へ向かった。
505通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 07:12:09 ID:???
「トダカ一佐、ストライクが・・・」
「行かせろ!!」
タケミカヅチで警備に出ようとしていたが、トダカはフレイに何かを感じて任せることにした。

ストライクは領海の外へ出ると、向かってくる戦艦に通信を入れた。
「ミネルバ、停船せよ。」
タリアは言われた通り、ミネルバを停めた。
「アスハ代表は入国を許可されています。」
勿論嘘だがカガリなら本当に許してくれるだろうメイリンはホッとして肩の力を抜く。
「貴艦に、キラ・ヤマトは乗っていますか?」
「ええ。今、呼ぶわ・・・」
コールして呼び出された時にキラはアスランに肩を担がれて歩いてきた。
「フレイ・・・」
「キラ・・・」
「あれ?あんまり驚いてないの?」
むしろ笑っている。ここは涙々の感動の再会だったはずなのに・・・
「だって、キラが生きてると信じてたから・・・驚く必要なんてないでしょ?」
こうしてミネルバは入国した。かつてのアークエンジェルのように・・・


予告
震える刄。それには斬る力も感じられないほどに鈍かった。天使は再び後光を手にすることが出来るか?
PHASE-24 「鬼神の迷い・迫る混沌」
新たな刄を、手に入れろ、ルージュ!!
506通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 10:37:59 ID:???
>>505
乙!

まあ何だ、色々言われて言い返したいこともあるだろうが
頑張ってくれ。このスレがここまで存続したのはあんたの力が
大きいわけだし。
507通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 13:28:46 ID:jSe+FsU1
本編のいらないキャラ無駄に生き残らせて
外伝の主要キャラ殺して何がしてーんだこいつwww
要はアンチアストレイ厨ですか?
508通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 15:17:44 ID:???
全てはフレイ様の為ですから。カストレイ連中などどうでもいいのです。
ここはそういうスレでしょうが。
509通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 15:45:12 ID:???
こうなったら・・・俺が書くか!
510通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 17:25:06 ID:???
と言うわけで書こうと思うんだけどさ
アムロを登場させちゃって良いかな?
某サイトでそれっぽいのとか見かけて
こう・・・そういうのをやってみたいって思ったんだけど

そしてSSなんて初めて書く初心者だ
色々勉強しながら書くけど
511通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 17:41:24 ID:???
>>510
職人はいつだって大歓迎だ。
書いて投下すれば評価が出る、それだけのことだ。
512通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 20:06:08 ID:???
まああれだ。作品の展開が気に入らないなら素直によそのスレ行ったほうがいいぞ
新シャアはここ以外にもネタスレなんて腐るほどあるんだし
513通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 23:16:01 ID:???
面白そうと思って読んでみたら・・・なあんだ、本編ではラクスのものだった世界のご寵愛をフレイに注ぎたかっただけか。
結局負債とやってることは変わらないな。
あーあ、読んだ時間損した。
514通常の名無しさんの3倍:2006/08/24(木) 23:30:36 ID:???
>510
アムロ登場ならそれ用のスレがあるよ。
そっちで発表した方がいいと思う。
515通常の名無しさんの3倍:2006/08/26(土) 07:35:22 ID:???
俺はこっちでもいいと思うんだけどね〜
フレイメインだったら、ここで書いた方がいいと思うんですよ
516通常の名無しさんの3倍:2006/08/26(土) 20:19:20 ID:???
クジラとか出すならここじゃなくてもいいと思うが…
外道死んだのは正直嬉しい、良くやってくれた
517通常の名無しさんの3倍:2006/08/26(土) 22:01:56 ID:???
ヘイトSS書きたいだけなら>516みたいな奴も連れて余所でやってほしい。
518通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:19:10 ID:???
PHASE-24 「鬼神の迷い・迫る混沌」


ミネルバはアカツキ島に着いた。タリアは再びマリューとの対面を果たす。
「お久しぶりですわ、グラディス艦長。」
「・・・つい最近戦ったばかりで・・・」
「昔はみんな殺しあってたんですけどね・・・敵・味方に別れて。でも、あの子達は教えてくれました。」
マリューはキラに抱きつくフレイ達を見ていた。
「分かりあえるんだって・・・。よく言うでしょ?昨日の敵は今日の友だって・・・」
「そうですね。よろしくお願いします、ラミアス艦長。」
握手を交わし、カガリとの会談のためにドックを出ていく。

「キラ・・・無事でよかった。」
「うん。え?・・・キラ・・・?」
今まで"さん"付けで呼んでいたはずだが・・・
「まさか・・・フレイ、記憶が戻ったの?」
頷くと、フレイの笑顔が狂気の顔に変化する。
「私が記憶を失ってる時に、"胸"掴んだよね、キラ。」
あれはディオキアに向かう途中に・・・。ミゲルはヤバい気配を察知して、その場を去った。
「おとなしい性格だったのよね〜、記憶ない時。そんな私を好き勝手にいじったわけね?」
どうやら記憶は統合されてるらしく、キラが暴走した時に慰めた後"やった事"も憶えていた。
「落ち着いて、あれは不可抗力さ・・・、あ、うわあぁぁぁ・・・」
ちょいとアッパーをキラの顎にぶちこんだフレイ。赤い液体と共に空を舞う。
「キラ・・・お前って可哀相だな・・・」
アスランには言われたくない。だが、その言葉を聴きながらキラの意識が沈んでいった。
519通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:20:23 ID:???
ジブラルタル基地ではミネルバ脱走が騒がれていたが、ラクスが説した事で混乱は防いだ。
「・・・」

"父、ウズミ・ナラ・アスハの目指した理念と思いは私が命を賭ける価値があります。"
"死ねぇ、キラ・ヤマト!!"

ラクスは瞑想を解き、グラスに注いであるテキーラを飲み干す。
「ダメだわ・・・フレイを感じれない。やはり"JOKER"を宿す事はある。」
ラクスが立ち上がろうとすると、部下から通信が入った。
「ラクス様、ジャンク屋組合本部とサーペントテイルを落とすのに成功したようです。」
「そうですか・・・ご苦労さまです、とお伝えください。」
ラクスはキラの血が付着している鎖の断片を舐めながら、オーブについて考えていた。
「やはり、獰猛な獅子は檻に入れるか殺すかのどちらかしかないようですね。」
小さなハエを見つけるとラクスは自分の前に来るのを待つ。ハエが目の前に来るとナイフを突き立て、グシャグシャに切り刻んで潰す。
「早くカガリさんもこんな風にしたいなぁ・・・」
常人から見ればもはや精神異常者に見える行動。しかし、それは確かにラクスの理性で行われていた。
「アスラン・・・」
隠し扉から拷問部屋に入り、ハンマーと釘をアスランの写真に打ち付ける。
「厄介な事にさせてくれますね・・・裏切り者のミネルバを庇う英雄として死なせてあげたかったのにぃ〜!!」
それから30分近くは部屋に籠もり、写真がズタズタになるまで続けていた。
520通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:21:22 ID:???
キラはカナードの部屋に入った。一度すれ違った事もあるが、キラにはそんな記憶はない。
「あの・・・初めまして・・・キラ・ヤマトです。」
「カナード・パルスだ。」
会話が続かない。正直その空間はいやになっているだろう。だが、その沈黙も破られる。
「兄さんは、スーパーコーディネーターをどう思ってるんですか?」
「あ?」
「自分の生まれについて・・・とか・・・」
自分は成功作で兄は失敗作。そこに違いはあれど、最高のコーディネーターに変わりはない。
「初めは恨んでいたさ・・・親の顔も知らず、愛にも恵まれず、拷問だらけの日々だった。お前を超える事ばかり思っていた。」
責任はある。兄に殺されても仕方がない。
「だが、俺の親友が教えてくれた。生まれる場所は選べないが、どう生きるかは自分次第だとな。だから俺はスーパーコーディネーターとして生まれた事を恨んではいない。」
「どう生きるかは・・・自分次第・・・」
「だから俺はお前に力を貸す・・・。兄としてな・・・」
「兄さん、ありがとうございます。」
カナードは少し苛立ちを感じたのか、窓に顔を向けた。
「その・・・兄さんとか敬語とかやめてくれるか?なんか・・・嫌なんだ・・・」
少し戸惑ったが、キラは静かに言葉をかける。
「カナード、ありがとう」
キラとカナードは顔を合わせ、微笑むようにすると互いに大声で笑いだした。それを聴いたカガリは部屋に入って兄と弟を殴り飛ばした。
521通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:23:05 ID:???
ルナマリアとメイリンはフレイと共に天使湯に入っていた。ルナマリアは温泉が初めてらしく、えらくはしゃいでいた。
「いいなぁ、艦の中にこんなお風呂があって・・・ミネルバにもあったらなあ・・・」
「造ってもらったら?」
「ダメなんですよ・・・ほら、グラディス艦長って固くて・・・」
2人の話を聴きながら、メイリンは自分とフレイの胸を比べる。
「お、大きい・・・」
「どうしたの?メイリンちゃん。」
「あ、いえ・・・フレイさんの胸って大きいですよね・・・」
マリューと肩を並べる程の巨乳を誇っているだろう。ルナマリアもそれを聴くと、見入ってしまう。
「どうしたら、そんなに大きくなれるんですか?」
「ん?えっと〜・・・牛乳飲めば・・・」


その頃、男湯ではディアッカが本能による耳でそれを聴いていた。
「なるほど、牛乳を飲むと乳がでかくなるね・・・。」
ミリアリアとフレイを比べると、やはり差が見られる。
「・・・なあ、アスラン・・・どう思うよ?」
「何がだ?」
「やっぱり女の子は乳でかいほうがいいよな〜・・・ルナマリアだっけか?あの娘のポテンシャルもバッチシだ。ツバつけといてよかったな。」
アスラン自身、ルナマリアとカガリ(+メイリン)に挟まれた生活は辛いものがある。
「俺って勝ち気な娘に惹かれるのかな?」
「お前がヘタレだからな・・・」
ムッときて、素早く風呂から出ると食堂でコーヒー牛乳を飲んだ。
522通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:24:03 ID:???
「はあぁぁぁーー!!」
ストライクの模擬ビームサーベルがM1アストレイを弾く。
「ま、参りました・・・」
フレイはオーブに来てから、自分と兵の特訓のために模擬戦を行っている。そして、今だに勝てる者はいなかった。
「さすがね。」
エリカは戦闘データのディスクを"あるモビルスーツ"へ移植するようにと作業員に渡す。
「いえ・・・私よりキラの方が強いですよ。」
「恋人を立てるなんて、あなたもマブイわね」
死語を使って冷やかすエリカ。そこへキラが現われる。
「へぇ〜、模擬戦やってるんだ・・・」
「あ、キラ君。お願いがあるの・・・」
「エリカさん・・・いいですよ。」
「フレイさんと闘ってほしいの・・・」
2人は驚いた。それはオーブ最強パイロットを決めるのにも等しい。
「キラ君はルージュに乗って。2人のために必要な事なの。」


2人は互いに機体に乗って模擬サーベルを構える。
「行くよ!!」
「いつでもいいわ・・・」
ぶつかり合う模擬サーベル・・・いや、ルージュの持つ模擬サーベルが弾かれた。
「え?」
「・・・」
キラ自身何故こんな事が起きたかわからない。
「もう一回、やろうよ。」
「うん・・・」
気を取り直してもう一度定位置に着く。
「はあぁぁぁーー!!」
「うおぉぉぉーー!!」

バシイイィィィン

やはりストライクだけがサーベルを持っている。
523通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:25:10 ID:???
機体性能ではセカンドタイプのストライクが勝るが、腕はキラが勝っている。しかし、キラが暴走した時はフリーダムを止めたのはフレイだった。若干それを思い出したのか、キラの手は強張っていた。
「キラ、本当にどうしたの?具合でも悪いの?」
「そんな事は・・・」

ミハイルとバルトフェルドを呼んで、キラを診てもらった。
「医学的には問題はない。恐らくは、精神的なものだ。」
「精神的?」
「キラは俺がいない間にデスティニーというモビルスーツに敗けたんだろう?。そのせいなんじゃないのか?」
まともな敗北がないキラ。アスランでさえ自爆戦法を使わなければ勝てなかった程だ。
「確かに・・・そうかもしれません。僕は慢っていたと思います。」
意外な事に自分を過信していた事を話してきた。
「デスティニーのパイロットにも言われました。フリーダムとスーパーコーディネーターの力があればなんでもできると思っていると・・・」
「そうじゃない」
「!?」
「それもあるが、キラ君は別の事を悩んでいる。」
ミハイルはそう口にした。
「キラ君は不殺の戦いをしている。どんな相手にもだ。」
シンと戦った時もSEEDを解放するまでは殺さない気でいた。
「それこそがキラ君の最大の敗因なんだ。」
524通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:26:54 ID:???
「そんな!?」
「君は頭がいいから戦うときも頭で戦っている。しかし、君自身はどうなんだい?」
ミハイルの台詞はキラの心に突き刺さった。こうもキラの内を見透かされていた。バルトフェルドもそれを感じていた。
「君がフレイ君がピンチになった時、暴走した時があるよね?あれは君自身が望んだことだ。」
「違い・・・ます。」
「奴はフレイを殺そうとした・・・だから、殺す。そんな感情が表に出たのだろう。」
バルトフェルドは的を射た発言をする。
「時々思うんだ。お前が敵を殺さないのは命を獲る事ではなく、殺した時の罪から逃れたいからなんじゃないのか、てな・・・」
どうやら図星らしく、キラの顔には冷や汗が見られた。殺したくないのは皆一緒だ。しかし、形は一定ではない。
「幸いキラは腕があるから可能だったが、自分と同格の相手は殺してきたろ?」
デストロイもステラを知らなければ殺しにかかったであろう。デスティニー戦もキラは後半殺そうとしていた。
「お前には闘争心がある・・・それを認めないとこれからの戦いは死にに行くようなものだ。」
何も言葉が出ない。何も言い返せない。キラは事実を言われてどう返したらいいかわからなかった。
「・・・キラ。」
「?」
「ルージュに乗って、領海線まで来て・・・」
そう言うとフレイはストライクに乗って、モルゲンレーテへ向かった。
525通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:27:58 ID:???
言われた通りにエール装備のルージュに乗って領海線まできた。オーブの領海線は海底にあり、モビルスーツでも感知できるものだ。
「フレイ、何を?」
「あなたともう一度闘うわ。但し、今度は本気でね。」
「!?」
ビームライフルをルージュに向けて放つ。シールドで防ぎ、ストライクから距離を置く。
「どういうつもりだ!?フレイ、止めてよ!!」
「私、自分より弱い男って嫌なのよ!!」
ビームサーベルを抜刀し、ルージュに切り掛かる。ビームサーベルで受けとめ、そのまま空中戦を繰り広げる。
「落ち着いて、どうしたっていうんだ!?」
アーマーシュナイダーをルージュに向けて投げつける。シールドで弾いたが、背後に回られていてビームサーベルがルージュの足を擦る。
「本気で・・・」
「墜ちたくなかったら、本気でやりなさいよ!!」
キラもムッときて、ビームサーベルを構える。再び鍔迫り合いからの受けは斬り込みを続ける。
「さっきのアーマーシュナイダーを避けてからのフェイント、いつものキラなら反応できたよね・・・」
「うん・・・」
動きを止めないまま、空中で光の刄は交差する。
「キラは・・・強いよ?。だから臆病なのよ・・・。」
「え?」
「キラ、モビルスーツに乗るときにどう思って出撃する?」
「当然、人を殺さないように・・・」
526通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:29:14 ID:???
フレイは予想通りだったので、少しがっかりした。
「キラには覚悟が足らないのよ・・・」
「え?覚悟が?」
「殺すのはよくないわ・・・出来ることなら戦い自体避けたい。でも戦いになったら、誰かを殺す覚悟を持たなくちゃいけないのよ・・・」
それは知っている。しかし、キラの理性がそれを妨げている。
「ステラちゃんが死んだ時、思いっきり泣いたよね?。あれで良いのよ!!」
「何を言いたいんだ!?答えてよ、フレイ!!」
「覚悟が必要なの。奪った生命を背負う覚悟が・・・私達には必要なの!!」
「生命を・・・背負う覚悟・・・」
「一番大切なのは殺した相手の生命を自分が抱えて生きてく事よ。それは罪じゃなくて、人としての心そのものじゃないかしら?」

"生きて・・・ステラの分・・・生きて・・・"

夢に出てきたステラの言った言葉。今なら聞こえた。聴くことができた。
「フレイ!!」
ストライクのビームサーベルを振り払い、通信を最大音量にする。
「僕はこれからも人を殺したくないし、そうするつもりだ。でも・・・君のおかげで覚悟ができた。中途半端と言われたっていい・・・生命を背負い、君とみんなを護る事を!!」
コクピットを開けて、キラはストライクの中のフレイ誘う。フレイもコクピットから出て、互いの顔を見つめる。
「君に誓います!!」
フレイはとびっきりの笑顔で、愛する人への言葉を送る。
「よくできました!!」
527通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 12:30:18 ID:???
モルゲンレーテに戻ったキラはエリカに開発を頼んでおいたモビルスーツの変更を促した。
「え?レジェンドのエンジンと同じ核エンジンを!?」
「はい。僕が設計した新フリーダムの火力を支えるのは計算上、従来のでは出来ませんでしたし・・・」
実はオーブを出る前にフリーダムの損失を恐れ、カガリにも極秘でフリーダムのリファイン機体の開発を頼んでいたのだが、どんな演算でも設定された火力の半分以下だった。
「そうすれば、新ジャスティスと新バスターのエンジンの出力不足も解決できます。従来の核エンジンを改良するのにはあまり時間はかかりませんよね?」
「バスターにはディアッカ君が乗るとして、ジャスティスには誰が?」
「俺が乗る!!」
そこへカナードが現われる。組み立てられていくジャスティスを見つめながら、点滴の針を抜いた。
「ジャスティスにはドレッドノートのエンジンを改良して乗せてくれないか?。頼む!!」
キラとカナードはエリカを凝視する。その熱意に負け、すぐに作業にかかる。キラとカナードは腕を交差させて、戦い合うことを約束した。


予告
進化していく翼。はばたく日は近い。また、イザークと少女の銃口が重なる。果たして、その先に待つものは?
PHASE-25 「吠える闘神」
新たな信念、貫け、デュエル!!
528通常の名無しさんの3倍:2006/08/27(日) 21:09:16 ID:???
アグレッサー役のフレイたんも良いなw
529通常の名無しさんの3倍:2006/08/28(月) 10:35:46 ID:???
遅れながらですいませんが、次回でイザークと出会う少女はオリジナルキャラです。時間軸上、キサカがディアッカを連れてくる前の話となります。

劇中でも書いたのですが、マユは11歳と言うことでお願いします(2年前は9歳になります)。また、リュウタもマユと同い年でお願いします。
530通常の名無しさんの3倍:2006/08/28(月) 14:34:16 ID:???
またオリキャラか。自慰乙。いい加減自サイトでやれ。
531通常の名無しさんの3倍:2006/08/28(月) 17:45:21 ID:???
>>530 おいお前!>>1読め!俺も今 初めて見たけどな!あっまさかアレか!?アンチってやつか!?釣りってやつか!?ちっくしょうめコンニャロウ!おとといきやがれ、こんにゃろう!
532通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 03:14:05 ID:???
SS何て書いたこと無いんだが…
最終話でキラがフレイを救う話を妄想してる

出来たら投下していいか?
533通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 05:34:09 ID:D1K4AYQO
前半だけ投下してみる…

キラフレSS
(アニメseed最終話フレイの死直前より)

「力だけが僕の全てじゃない!」
青い翼のMSに乗った少年が叫ぶ。 ZAFTの軍事要塞ヤキンドゥーエ宙域。青い翼のMS<フリーダム>のパイロット キラ=ヤマトは、世界の破滅を望む男、ラウ=ル=クルーゼが駆るMS<プロビデンス>と最後の決戦を迎えていた。

「はっ…誰が分かる?」
キラの叫びを鼻で笑い飛ばすラウ=ル=クルーゼ。プロビデンスが放つ小型突撃ビーム砲<ドラグーン>からの大量のビームの雨を、巨大な兵装ユニット<ミーティア>を装着したフリーダムは避けきれず、徐々に圧されていく…。
「何が分かる!?分からぬさ…誰にも!」
戦いでも、言葉でも追い詰められていくキラ。必死に反撃を試みるが、巨大なミーティアからの砲撃ではプロビデンスに当てる事は出来ない…。
その瞬間キラの目に一隻の脱出艇が映った…。
「…フレイ…?」
そして彼の…最高のコーディネーター、キラ=ヤマトの視力はその窓に映った最愛の少女<フレイ=アルスター>を捕らえた。
(今度こそ…助けなくちゃ…)
一瞬戦闘を忘れ、ミーティアを破棄し脱出艇に無防備に近付くフリーダム。

……深い理由など、何も有りはしないのだろう…。だが、プロビデンスのビームライフルは無慈悲にも、脱出艇に向けられていた。
「くっそぉ!」
機体を加速させるフリーダム。それとほぼ同時に発射されるプロビデンスのビームライフル。
キラの脳裏に、以前救えなかった少女とシャトルが蘇る。だが今度こそは…


間に合った…脱出艇を狙った自分のビームライフルはフリーダムのシールドにより、脱出艇に届く前に霧散していた。
「フレイ」
「…キラ?」
最愛の少女を守りきった少年は、声に出して少女を呼んだ。少女も自分達を救った青い翼のMSに傷つけた少年を感じた。

だが…悪夢は繰り返される…。その瞬間を待っていた様に、脱出艇の真上に設置されたドラグーンからビームが放たれた

534通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 06:01:37 ID:D1K4AYQO
「ちくしょぉぉぉぉっ!」
キラが叫ぶ。キラの中に水面で種が弾けるイメージが浮かぶ。そして、キラは闇雲にフリーダムを脱出艇に体当たりさせた。
爆発がフリーダムの背で起きる。

ドラグーンからのビームがフリーダムの背部の羽にある収束プラズマビーム砲の片方に直撃した事により爆発が起こったのだろう。……そうキラは傷を負いながらも愛する少女を守りきったのだ。

ラウ=ル=クルーゼは自分の目を疑った、茫然自失になり止まってしまった。有り得ない…しかし、これが最高のコーディネーターである証なのだろうか?

次にクルーゼが我に帰ったのは、脱出艇を背中に庇ったフリーダムがビームライフルでドラグーンを撃ち落とした時だった。

「うおぉぉぉぉっ!!」
フリーダムが全門一斉射撃<ハイマットフルバースト>を敢行する。普段は相手を殺さぬように手足を狙うキラだが、怒りでそんな事は考に無く、全てのビームが正確にプロビデンスのコクピットに向かう。

「くっ…」
不意のフリーダムの凄まじい攻撃にドラグーンを展開する暇も無く、一方的に防戦に回らされ、距離を取るプロビデンス。
「…これ以上フリーダムに関わるのは得策とは言えんな…」
ラウにはジェネシスを発射させるという目的がある。ミーティアを失い、ジェネシス砲撃力を失ったフリーダムと戦うよりも、エターナルやクサナギ等の戦艦を沈める方が良策である。
と判断したクルーゼはフリーダムの射撃を交い潜りながら撤退していった。

「はぁ…はぁ……はぁ」
クルーゼを何とか追い払ったキラは脱出艇を見る。どうやら体当たりで動力がいかれたのか、動けないようだった。
535通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 06:02:44 ID:D1K4AYQO
取りあえず此処までです…続きは出来次第投下します
536通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 06:04:00 ID:???
リアルキタ―――(゚∀゚)―――!!!
早起きしてみるもんだな
537通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 06:47:57 ID:???
DG細胞を使えば
538機動戦士ガンダムSEED DESTINY IF:2006/08/30(水) 12:38:19 ID:???
PHASE-25 「吠える闘神」

オーブ本島にあるの小学校。そこにはロドニアの研究所から助けだした子供達も治療を終えて通っている。当然、マユもそこに通っていた。
「じゃあね、また明日♪」
人懐っこく、明るい性格のマユはナチュラルとコーディネーター関係なしに友達を多くもっていた。今はオーブ指定の施設に入ってはいるが、いつかシンが迎えにきてくれる事を信じてお金を貯めている。
「マユちゃ〜ん!!」
「??。リュウタ君・・・どうしたの?」
エリカの息子であるリュウタが鞄を背負ったまま走ってくる。
「一緒に・・・帰らない?」
顔を赤らめながら言葉を吐く。リュウタはおどけた様子だったが、マユは冷静でいた。
「でもリュウタ君の家って施設と反対側だよね・・・」
「お母さん・・・今日、遅いからさ・・・。何でも新型機を造ってるらしいよ!!」
勿論エリカから聞いた話ではなく、リュウタが勝手にパソコンを見たのだ。
「僕も早く大人になって、モビルスーツに乗りたいなぁ。」
「でも危ないよ。キラさんだって何度も死にかけてるし・・・」
2年前に一時期クサナギにいたリュウタもキラには会っている。実はキラこそがリュウタの目標であり、夢でもあった。
「キラさんって格好いいよね〜。あと、赤い髪の・・・」
「フレイさん?」
そんな他愛もない会話を続けながら、2人は歩いていった。
539通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:40:47 ID:???
新型機の開発には問題があった。新型フリーダムのVPS装甲の電圧バランスが悪かったのだ。
「パーツを一から作り直していたら、相当な時間がかかるわ。」
「エンジンを包む装甲は以前より強度がなくてはダメなんです。どうにか・・・」
新ジャスティス、新バスターのは完成が近いのだが、新フリーダムだけ各間接と核エンジンを覆う装甲の電圧調整が合っていないのだ。このままでは予想される決戦に間に合わない。
「エリカさん、何とか・・・」
「あの・・・」
その声はフレイのものだった。
「何?」
「私のストライクをバラしてフリーダムの部品に使ってください。」
「ちょ・・・フレイ・・・」
意外な言葉に戸惑うキラ。対してエリカは冷静にディスクを一枚取り出す。
「フレイちゃんの言う通り、ストライクの装甲を使えばバランスがとれる計算だわ。」
「でも、そうしたら・・・君の機体が・・・」
今のフレイに戦わないように説しても無駄なのはわかっている。ならば自分の力を合わせるつもりだった。
「大丈夫よ。フレイちゃんの機体は用意してあるの・・・。」
「え!?」
「その機体は開発完了寸前よ。」
しかし、力強いのは確かだ。2人は急いで自分のやる作業を行う。
「そういえば・・・えと・・・ディアッカの相棒の銀髪の人誰だっけ?」
「ああ、イザークね。イザーク・ジュール。腕は僕やアスランと同じくらいさ。ディアッカとは別地点に落ちたらしいけど、きっと彼も無事で・・・」
540通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:41:48 ID:???
時は一週間前に逆昇る・・・。ディアッカのザクのシールドの片割れを使い、イザークはグフで大気圏に突入していた。
「ク・・・地上までもたんな・・・」
落下場所の特定は不可だった。機体もただ重力に引かれるだけで、出来ることはない。
「とにかく、機体を上に向けなければ・・・」
何とか生きてるバーニアを使い、機体を反転させる。
「巧く行けよ・・・」
激突する瞬間と同時に爆音が鳴り響く。グフの残骸は森林に覆いかぶさっていた。
「何とか・・・寸前に脱出できたか・・・」
地面に激突する前に飛び降りて事無きを得たが、爆発の衝撃が体を確実に痛めていた。
「クソ・・・こん・・・な・・・」
イザークの意識はそこで途切れた。

「ん?」
気がつくとそこは誰かの部屋らしかった。一般的な部屋ではなく、薬品の匂いが匂ってくる。医務室のような場所だ。
「どう?気がついた?」
女の子が入ってきた。白衣を纏ってはいるが、まだ17、18というくらいの年齢に見えた。
「お前が・・・助けてくれたのか?」
「初対面の女の子に対して"お前"はないんじゃない?」
少し小馬鹿にされてる気もするが、助けてくれたのはこの娘らしいし追求するのはやめた。
「ここは・・・」
「ここは連合のパナマ基地よ。」
「何・・・だと?」
JOSH-A、ヘブンズベースを失った連合にとっては地上で最大規模を誇るであろう場所だ。不運にも敵の真っ只中にいるようだった。
「まあ、安心しなって。あんたを連れてきたのは私の独断だし、他の人に知られてもないよ。」
「軍医なのか?」
「そう見えない?まあ、来たばっかだけどね。私はパイジ・リバヒーム(CV:雪野五月)って言うんだ。あんたも教えてよ。」
「イザーク、イザーク・ジュールだ。」
541通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:42:57 ID:???
パイジの話だとイザークは普段使われない昔の医務室に寝かせてるらしかった。食事はパイジが持ってきていた。
「イザーク、あんたは白のパイロットスーツだったから隊長だったんだろ?」
「ああ」
「やっぱ強かったの?」
「ああ」
素っ気ない返事をすると、傷口に平手をくらわせられた。
「痛!!お前・・・」
「私は命の恩人なのよ!!もっと感謝しなさい!!」
イザークにはなぜ怒っているかわからなかった。
「なあ、なんで助けたんだ?俺は敵のはずだろ?」
「私はね、医者なの。患者がいれば、そこが私の仕事場だからよ。」
風が窓から入り、パイジの長い黒髪がなびく。イザークはそれを少しだけだが胸を痛ませた。

3日後元々大した事がなかったので傷は治っていた。脱走するチャンスだろう。時間は明け方だし、パイジはまだこないだろう。
「早く行かなければ・・・」
「待って!!」
ドアを開けて入ってきたのはパイジだった。手には連合の軍服を持っていた。
「これ・・・」
「・・・すまん、ありがとう。」
服を着るとイザークは窓に足をかける。
「やっぱり行くなよ・・・馬鹿イザーク・・・」
背中に寄り掛かって、手で服を掴む。顔を赤くして、必死でイザークを止めようとしている。その思いはイザークにも伝わっているのだろう。しかめっ面のまま振り向く。
「軍服を持ってきてくれたのはお前だろ、パイジ。なら止めるなよ・・・」
「ごめんね・・・」
手を放すと、ザフト流の敬礼をして窓から飛び降りた。
542通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:43:58 ID:???
イザークは連合兵になりすまし、ドックまで辿り着いた。
「こいつでいい!!」
ウインダムに乗ると、OSを素早く調節する。気づかれたようなので、ビームライフルを撃って撃墜してしまう。
「ヤバい・・・くそ、こうなったらこいつでパナマを潰すしかない!!」
空中に飛び上がると、ビームライフルとジェットストライカーのミサイルポッドを下にばらまく。ドックを幾つか破壊したが、ザムザザーが現われた。
「モビルアーマーだと!?」
グフの武装ならなんとなったがウインダムでは適わないと判り、咄嗟に乗り捨てた。空中から成すがままに落ちるイザーク。
「・・・ぅええーい!!」
信じられないことに下の木の枝に掴まった。そのまま降りて別のドックに急いだ。
「ん?あれは・・・」
ドック内には1機だけ異色のモビルスーツがあった。その姿はかつての愛機、デュエルに似ていた。
「デュエルか?。また力を貸してもらうぞ・・・」
コクピットに乗り込み、急いでOS調整を始める。
「パワーフロー正常、全兵装バンクオールグリーン・・・システムを戦闘ステータスで起動。??・・・新型の核エンジンだと?」
再び強大な力を作られていた。しかし、この際助かるのは事実であり連合に感謝せざるをえない。
「なる程・・・ジハードデュエル、行くぞォ!!」
金と白と青とで装飾された装甲とフェイズシフトによって本体の群青色とよく合っていた。その機体を空に出ていく。
543通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:45:36 ID:???
GAT-X156A ジハードデュエル
全高:18.62m
重量:59.83t(アサルトパラディン装着時:96.72t)機関部:デュートリオン核エンジン(NJC)
VPS装甲
・地球連合軍がアーモリーワンから奪取した3機を元に開発した機体。デュエル以下の軽量化に成功し、より接近戦向けの機体となっている。皮肉にも動力はザフトと同じ構造である。
ジハードとは"聖戦"の意で、ジハードデュエルは"信念に従う闘志"という意味である。

武装
69ミリ対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン
・無尽蔵のエネルギーによるVPS装甲を持つ本機にはあまり必要がないが、威嚇程度には使える。
M68N365 ビームライフル
・形はデュエルの物に近く、より攻撃力が上昇している。グレネードランチャーも継承されていて、破壊力も増している。
MJ2587  ビームサーベル
・両肩に装備されている。出力の強化により、切れ味が上昇している。
ML3-69 リフレクトシールド
・陽電子リフレクターを発生させるシールド。実体のシールドにもアンチビームコーティングされていて、破格の防御力を誇る。
(アサルトパラディン装着時)
アサルトパラディン
・アサルトシュラウドを強化した鋼の鎧。PS装甲と一部にアンチビームコーティングをしてあるため、従来の機体より遥かに防御力が高い。見た目より軽く、ブルデュエルの教訓を活かしてパージも可能となっている。
130ミリ高エネルギーキャノン ヴィシュヌ
・レールガンだったシヴァからビーム兵器に変更された。カラミテイのスキュラ以上の射程と破壊力である。
200ミリ6連装 ミサイルポッド
・アサルトシュラウドの時に比べ、ホーミング機能が上昇している。
544通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:46:38 ID:???
「あれは新型機?取り押さえろ!!」
数機のウインダムが向かってくる。ヴィシュヌを放つと一斉に貫いていく。
「予想以上の火力だな・・・」
群がってくる敵を次々と倒していく。ザムザザーがクローを展開しながら上空から迫ってくる。
「機体が違うんだ!!なめるなぁ!!」
リフレクターを展開してザムザザーのリフレクターを突き破り、シールドで発生装置を砕いた。
「こんな方法が・・・」
「てええぇぇぇい!!」
ビームサーベルに串刺しにされ、パイロットは蒸発した。そのまま落下してドック一気に滅せられた。早朝であるため油断していた連合は大打撃を受けた。
「こいつだけでパナマを潰せるかもしれんな・・・」
しかし、もはや自分はザフトではないと思い離れている病棟に向かった。

パイジの目にははっきりと映り、彼女自身もイザークだとわかった。
「イザーク、無事だったんだ・・・良かった!!」
コクピットを開けてイザークは顔を見せる。
「パイジ、ありがとな・・・この恩はいつか・・・」
「イザーク!!」
話してる途中で途切れてしまう。何か顔を赤らめながらイザークを見つめる。
「私も連れてって・・・イザークと一緒に・・・」
戸惑ったが、デュエルの手を差し出す。パイジが乗ったのを確認するとゆっくり持ってくる。ゆっくりとゆっくりと・・・

バアァァン!!

銃声が鳴り響く。デュエルの腕にはパイジが横たわり、血を吹き出していた。
545通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:47:44 ID:???
「パイジ!!」
病棟の横にある給水塔の上には連合兵士が数人いた。
「やはりあいつが裏切り者だったか・・・はやくジハードデュエルのパイロットを!!」
コクピットの周りに銃弾が飛んでくる。イザークはヴィシュヌを給水塔に向けて放った。
「ウワアアァァァ・・・」
断末魔の叫びはそこで途絶えた。
「パイジ、しっかりしろ!!おい・・・」
デュエルをパナマ基地から離れた民間の病院に連れていった。手術は難航したが、無事に終えた。
「しばらく入院して安静にしてれば、大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
主治医は部屋を出ていった。パイジはまだ眠っていて、イザークはしばらくその寝顔を見ると部屋を出ようとした。
「イザー・・・ク?そこ・・・いるの?」
振り向くとパイジは震える手をイザークに向ける。そう、旅立つものを止めるかのように。
「パイジ、俺は行かなければならないんだ。戦友のために・・・」
そう言うとイザークはパイジにお守りを渡す。
「こいつを持ってろ・・・世話になったな・・・」
パイジは半ば納得してないようだったが、親指を立ててイザークの耳元に、
「グッド・・・ラック・・・」
と言った。イザークは病室を出て、ジハードデュエルに乗り込む。
「俺は帰ってくる・・・パイジ、それまで待ってろ・・・」
イザークはそう自分に言い聞かせると機体を飛ばす。しかし、目的地はオーブではなかった。
「俺は抵抗がつづく紛争地域を片付けてから向かうとするか・・・」
行く道は違うが、交わる道だ。きっとまた・・・
546通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 12:48:45 ID:???
時と場所は戻って、オーブ・・・。カガリがかつて考えていた首長選挙制をしようとしていた矢先、メディアを使って世界中に呼び掛ける者がいた。
「私はプラント最高評議会議長、ラクス・クラインです。本日は皆様に人類の存亡に関しての発表・声明をしたいと思います。」

「ついに始まったか・・・絶望へのロードが・・・参っちゃうね〜」
ミゲルは半分冗談混じりにアスランに話し掛ける。
「ああ・・・しかし、まだロゴスを完全に廃さない状態で・・・」
マリューとバルトフェルドはアークエンジェル内で放送を見ていた。
「・・・マリュー・・・」
「ええ・・・聞き届けましょう。ラクスさんの答えを・・・」

「キラ、ラクスさんの演説が始まったわよ。」
フレイと共にキラは画面を見ていた。ラクスは語っていた。戦争について、ロゴスについて・・・
「ラクス・・・君は・・・」

「・・・よって、私はもはや人類を存続させるために"デスティニープラン"を発動することを宣言いたします!!」
表向きラクスは英雄的な扱いだ。プランの内容は明らかにされていないが、民衆はすっかりラクスコールだった。そのデスティニープランの裏側には、未だ真実が隠れているのを知らずに・・・


予告
泣き叫ぶ心。その涙は人を誘い、さらに大河となる。時代に従う6つの刄は結集されていく。
PHASE-26 「歌姫の六聖騎士」
見えざる宿命、操れ、イービル!!
547通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 13:51:11 ID:???
なぜかゼノギアスがフラッシュバックした今日この頃
乙っす
548通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 17:13:31 ID:D1K4AYQO
>>534の続きです


キラは通信回線を開き脱出艇に呼びかける。
「こちらアークエンジェルのキラ=ヤマト。これより貴方達をアークエンジェルに保護します。何分戦闘中ですので、安全とは言い切れませんが、ご容赦願います。」
「こちらドミニオン脱出艇…助かった感謝する…君は命のお…」
「キラっ!」
キラと脱出艇のパイロットの通信に必死な様な焦った様な少女の声が割り込んだ。
「私…私っ貴方に…!」
「大丈夫だよ…フレイ…アークエンジェルに戻るから少し待ってて」
そう言うと通信を切ってしまった。フレイは、やはりキラは自分の事を怒っているのだと早合点したのだが…違う。キラはこれ以上フレイと話して居られなかったのだ。
嬉しかった。

フレイを救えた事が。

愛する少女と再び言葉を交わせた事が。

そう…これ以上フレイと話していたら、泣き叫んでフレイの名を呼ぶ事しか出来なくなりそうだった。キラは瞳を熱い雫でいっぱいにしながら機体を進ませた。
フリーダムも先程の戦闘で片翼を失い不安定な状態だが、何とか脱出艇を押しながらアークエンジェルへ向かう。比較的アークエンジェルが近くに居た事と、ドミニオン撃沈によりこの辺りの戦闘が終息していたのが幸いし、無防備な状態を狙われずに済んだ。

「フリーダム帰還してきます。被弾が有り、ドミニオンの脱出艇も収容して欲しいとの事です。」

アークエンジェルのブリッジにミリアリアの声が響く。

(まったく…ナタルじゃないけど、拾い物が好きな子ね…しかも、さっき私達を沈めようとした艦のクルーじゃない…そのせいで…彼は…)

「…長…艦長!」

「あっ…分かったわ。念の為ドミニオンのクルー達は武器を持っていないかチェックさせて…」
我に帰ったアークエンジェルの艦長マリュー=ラミアスは指示を出した後、深く息を吐いた。

そうだ…彼の死を悼むのは戦いが終わってからでいい…今は彼が少年に言った通り出来る事をしよう…。
「本艦はこれよりクサナギ、エターナルの援護に向かいます。後少しよ、みんな頑張りましょう!」ブリッジに勇ましい声が響く。


549通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 17:19:48 ID:D1K4AYQO
「坊主…大丈夫か?」

フリーダムのコクピットに駆け寄り話しかけたのは、格納庫を取り仕切るマードックだった。

「何とか大丈夫です…それよりマードックさん…直りそうですか?」
「この程度ならパーツを取り替えりゃすぐだ。それより坊主行ってやんな」
「でも…すぐにでも出撃しないと…」

「坊主以外に誰が嬢ちゃんを安心させてやれるんだよ?良いから行ってきな!」
「……っ…はい」
応えた瞬間フリーダムのコクピットから出たキラは駆けだしていた…。

「まったく…すぐにでも抱き締めたい癖に無理しやがって…」
格納庫に優しい笑いが聞こえた。



次回フレイとキラの再開です…でもこれの後フレイが生きて居る以外はアニメと同じ展開にするつもりです…なのでキラとフレイの再開で終了するかも知れません


550通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 19:54:56 ID:???
なんだこのクソ妄想スレ・・・
フレイ厨はみんな基地外だな!キモ!!!
551通常の名無しさんの3倍:2006/08/30(水) 20:20:16 ID:???
本当にオマエは定期的に夏冬にスレに湧きますね
552通常の名無しさんの3倍:2006/08/31(木) 04:22:54 ID:???
オリジナルキャラを登場させると
話が面白くなるね。
553通常の名無しさんの3倍:2006/08/31(木) 20:39:53 ID:???
素晴らしくカプ厨腐女子臭い話だな。
フレイ厨の未練がましい怨念が形になった訳だ。
554通常の名無しさんの3倍:2006/09/01(金) 01:18:08 ID:DB4PaHuh
>>552
面白くなくなるの間違いだろ
555通常の名無しさんの3倍:2006/09/01(金) 21:45:02 ID:???
文句付けられるのが嫌ならさあ、次スレのテンプレにはこう追加しておいたらいいと思うよ。

・このスレはフレイが絶対です。
彼女の為なら他のキャラはゴミ以下の扱いです。それが不満なら読まないで下さい。

フレイも好きだが、歪められたり死なされたりしたキャラも好きって人間も、
こうすりゃ最初っから締め出せるだろ。
556通常の名無しさんの3倍:2006/09/02(土) 00:56:49 ID:???
そんなに煽るなよんw
557通常の名無しさんの3倍:2006/09/02(土) 07:56:45 ID:???
まあ、キモい妄想と腹立ててる香具師らモチツケ。
ここはお前らが怒ってる通り、キモい妄想恨み節をつらつら書き綴るスレだ。
ここの奴らが幾ら必死で絶望的に下手なSSへ縋り付いたって、ご本尊はもう死んでる訳だ。
負け犬の遠吠えだと思って、生暖かくオチ・・・見守ってやれ。
558通常の名無しさんの3倍:2006/09/04(月) 11:10:49 ID:???
保守
559通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 06:54:31 ID:???
PHASE-26 「歌姫の六聖騎士」


ついに宣言された"デスティニープラン"。その後の人や世界の運命を左右する計画というらしかった。
「人類はその知恵を使って科学を発展させ、ここまで進化してきました。でも、悲しいことに兵器も進化しました。より強く、より人を殺す兵器が!!」
その演説には人の本質が性悪説というのを前提にしているような内容だったが、言っている事は筋が通っている。
「大洋州連合がたった1機のモビルスーツに壊滅させられました。罪が無い一般市民が、子供達が・・・虫けらの様に殺されたのです。」
デストロイが市街地を吹き飛ばすシーンが流れる。しかし、ヘブンズベース戦の映像ではインパルスがビームサーベルでデストロイを貫いていた。涙を流しながら、悲しみに暮れながら話を続ける。
「そんな事態を引き起こしたのは連合ではなく、ブルーコスモスの母体であるロゴスです。しかし、ロゴスもまた人の醜い負の部分である怒りや憎しみから来ているのです。」
全世界の人々は驚愕する。人の革新の肯定と否定を同時にし、ナチュラル・コーディネーター問わずに引きつけられるカリスマ性を持ったラクスの術中に人類は填まっていた。
「ロゴスはまだ完全には滅んではいません。故に私は"デスティニープラン"を推奨致したいのです。人は自身と役目、行く末を知る事できっと戦争が無い世界を築けると信じています。」

ラクスの瞳の違いに気づいたのはキラとフレイだけだった。その瞳はSEEDを発動させていて、そこから発せられるオーラに引き込まれそうになる。
「ラクスの真意はわからないけどSEEDを使ってまでするんだ、よほど彼女の目的に重要なんだ。」
560通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 06:55:40 ID:???
「デスティニープランは、皆さんのDNA・・・つまり遺伝子を解析し、その人に合った職種や役目を課せ、全うしていただくシステムです。」
ラクスの声と共に説明のための画像が現われる。
「本人に合った仕事ならば失敗も少なくなり効率がよく、失業率も減るでしょう。皆様にそれぞれの役割があるために、余計な事をしなければ争いごとなど起こりません。」
確かに役目だけをすれば戦争が起こることはないだろう。"それだけ"しかしないのだから。しかし、ラクスなら正しい方向へ導いてくれると民衆はすっかり信じ込んでしまっている。
「私達は神に知性を与えられ、進化を許され、地球の第一人者となりました。私達は戦争を繰り返すことで、その素晴らしい生命と英知を犠牲にしているのです。」
地球とプラントに響くラクスの言葉と話術は、既に神の如し。"メシア"と崇める人さえいる。
「くどいようですが、本来戦わなくても良かった筈の存在である私達が真の平和を勝ち取る方法、それは私達自身が本当の自分を知る事です。どうか皆さん、デスティニープランの支援をお願いいたします。」

ラクスが頭を下げると、人々の歓声が到る所で聞こえる。およそ人がいる場所では声を出さない者などいない程に。
561通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 06:56:38 ID:???
オーブ内でも一般市民はもとり、兵の中でも同調してしまう声が上がっている。カガリでも純粋に指導者として引かれる部分がラクスにはある。
「カガリ・・・戸惑っちゃいけないだろ?」
ユウナが声をかける。カガリもハッと気づいて、目の前のパソコンを見る。そこにはデスティニープランの採択の是非を問うための画像があった。
「どうやら、地球にある国全てに送信されてるようだ。」
「・・・」


キラとフレイを含め、オーブ軍人はアークエンジェルがあるドックへ集められていた。
「これから、カガリ様がデスティニープランの採択についての表明をする。」
トダカはその厳しい声を響かせる。
「カガリ様がどんな答えを出しても、ついていく意志があるなら残れ。そのような信念なくば去れ。」
しかし、誰一人動こうとはしない。思いは違えどカガリの答えを聞くまで動かないようにしようとする者もいた。


カガリは会見するために壇上へ上がる。この時、拒否の表明をしていた国はスカンジナビア王国と東アジア共和国にある日本だけであった。
「・・・先程のクライン議長の言葉は、今の私達には神の恵みに等しい程に強くて、新しくて大きい試みだと思います。」
前大戦で尊敬していた父であるウズミ、友であるアフメドやアサギ達を失い、一人で戦っている気でいた。
「お恥ずかしいですが私はまだ未熟で、自身のオーブという国さえ完全に把握してるわけではありません。」
国と理念を守り通そうという父の思いを否定された事がある。その少年には強い憎悪を背負わせてしまったという罪悪感は消えないだろう。
「ですが・・・だからこそ、私は"今"のオーブを愛し、守りたいと思っています。」
562通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 06:58:57 ID:???
会見を行うカガリにメディアは釘づけになっていた。
「デスティニープランは確かに大変素晴らしい計画だと思います。決まっていれば戦いは起きないでしょう。しかし、人の心までは決めてはいけないのではないでしょうか?」
迷い続け、答えを出した途端にまた迷い、ようやく探しだした答え。それはカガリの手を握ってくれた仲間がいたから見つけられたのだ。
「生き方を選べず、死さえ決まっているのなら私達人間は本当に生きているとは言えないでしょう。戦争を無くすためとはいえ、人の未来まで消す事はあってはなりません!!」

もう、カガリは一人じゃない。ユウナは投票された結果を見てつくづく器の差を感じさせられたのだった。

「私達は大きな過ちを犯しました。決して消えることのない罪を負っているのかもしれません。ですが、私達の心はそれを変える事が出来ます。」

各候補の数字はなかった。カガリの支持率は100%で、プラン掲示前だったとはいえ国民全員がカガリに全てを託したのだった。

「戦争を起こすのが私達なら、止められる筈です。私達の心はその先の未来を見るためにあるのだから!!」
迷わないとは言えない。だが、答えは探すことができるのだ。
「・・・よって、オーブ連合首長国はデスティニープランの導入を拒否を表明させていただきます。人類の未来は運命などではなく、心で決めれるのですから・・・」
心のままに、素直に、カガリ・ユラ・アスハとして・・・
563通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 07:00:42 ID:???
「我々は忘れてはいけません。世界のために人がいるのではなく、人のために世界があるのだから。」

オーブの将兵達は一言も洩らさず聴いている。アマギは涙すら流している。
「過ちは私達自らが、治していけると信じております。それが人が望む、理想の世界と・・・」
静寂が流れる。静かに時の針を刻んでいるのにも関わらず、その瞬間は。

・・・パチパチパチ・・・

一つの拍手は波のように大きくなり、また一人と次々と大きくなっていく。
「あ・・・」
質問攻めになると思っていたが、拍手ばかりでカガリは少し驚く。

放送を聞いていたオーブ国民だけでなく、他国でもカガリコールが起こり始める。

「どう言うことでしょうか?」
マルキオはテレビから流れる音を聴きながら、ナイトの駒を進める。
「彼女もまたSEEDの内の1人さ。出来ないことではないだろう。」
「しかし、彼女のSEED因子は現在見つかってる保有者達の中で最弱だった筈では?」
ギルバートは少し考えた後にルークでナイトを取る。
「やはりフレイ・アルスターなのだよ・・・"JOKER"はSEEDを護ることも、SEEDを滅す事も出来る諸刃の剣だ。カガリ・ユラ・アスハのSEED因子が強くなっている。」
人を惹き、自らと共に進化へと導く存在、SEED。彼らの道はラクスと交わる筈だった。しかし、そんな未来は訪れずに違えるばかりである。
「ラクス様は全てを司る神に選ばれし統治者・・・汚らわしき"血"の持ち主さえいなければ・・・」
564通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 07:01:44 ID:???
「遥か古の昔、外宇宙に旅立った人類の遺した孤児"JOKER"とは恐ろしいな。エヴィデンス01が運びし、脅威の存在・・・」
「ギルバート、隠さないでいいですよ?恐らくフレイ・アルスターは"あの人"の魂を継いでるのでしょう?」
遥か昔に、今よりもずっと遠い昔にいた"あの人"。忘れる事のない、忌まわしき記憶。
「しかし、清算したいものだな。綺麗な汚点である、あの時を・・・」
いつの間にかチェスは進んでいて、マルキオのキングは獲られていた。

時を同じくして、アカツキ島の地下ドックでは演説を聴きおわった後に戦うか否かの是非を問う。
「カガリ様の演説を聴き、私はあの方のために殉ずる覚悟をさらに強めた。ただ、無理を言うつもりはない。残りたい者のみ・・・」
「トダカ一佐。」
アマギはトダカの前に立つ。その目にはまだ涙が残っていた。
「我々もあなたと同じ思いです。この命と体をカガリ様に預ける所存です。」
トダカはアマギの肩を叩くと、解散してそれぞれの仕事を戻る。マリューも一枚の紙を広げる。
「我々も正式なオーブ軍人となりました。ただし、私達は今まで通りでいいのです。カガリさんの信念と我々の信念を守ることを第一にしたいと思います。」

部屋に戻った後、キラはカナードとアスラン、ディアッカと共に新型機を前にある事を話し合っていた。
「こいつらの名前どうする?」
「フフ・・・俺はもう考えてあるぜ。」
「あ?嘘こくでねぇよ」
「いや、本当なんだ!!」
キラはそんな3人を余所にフリーダムを見ていた。
「新しいフリーダム・・・力を貸してね。」
565通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 07:02:47 ID:???
「フフフフ・・・所詮は小娘の世迷いごとに付き合う国などごく一部ですわ・・・」
事実、カガリの演説をして多少なり拒否を表明してからも続々とデスティニープランを肯定していた。ラクスは議長室の椅子に腰掛けたまま部屋に入ってきた6人に話をする。
「つまり自己満足のオナ・・・」
タキオンは頭を叩かれ、その場へ倒れてしまう。
「何すんだよ!?」
「議長の目の前なんだぞ、控えろ!!」
「・・・はいはい。」
ラクスは全員にグラスを配り、直々にワインを注ぐ。
「"シックスナイツ"の皆さん、宇宙より追いで頂きありがとうございます。全員が顔を確認するのは初めてでしょうが、皆同じFAITHですから・・・」
共通する翼を模したFAITHのマーク。
「SEEDを持ち、"神の子"のあなた達には倒すべきものを粛正して頂きます。タキオン・クルアーン、ケビン・コーラン。」
2名が一歩ラクスに近づく。
「ハイド・ミスラ、リュ・セト・ヘケド、レイ・ザ・バレル・・・シン・アスカ!!」
全員の眼差しは戦いへ向けて・・・
「聖なる私達に、神が微笑む事を!!」
ワインをシックスナイツのメンバー全員が一気に煽り、ラクスはシンを見つめてひっそり笑った。

予告
出した答え。やはり繰り返すのか、業火はすぐ迫っている。そして暗雲を切り裂き、現われる者は・・・
PHASE-27 「行き着く場所」
憤怒を払い、敵を切り裂け、ジャスティス!!
566通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 07:06:14 ID:???
ハイド・ミスラ
身長:169cm
体重:58kg
人種:第1世代コーディネーター(SEEDを持つ者)
パイロットスーツ:ミネルバ型・灰色
髪:エメラルドグリーン
年齢:23歳
CV:福山潤

物静かであり、常に冷静を保っている。レイピアを腰に下げており、腕もプラント随一である。
ユニウスセブン落下後のプラント防衛戦で活躍し、FAITHとなる。ユニティガンダムのパイロット。


リュ・セト・ヘケド
身長:186cm
体重:82kg
人種:第2世代コーディネーター(SEEDを持つ者)
パイロットスーツ:ミネルバ型
・朱色
髪:ラベンダー
年齢:21歳
CV:岸尾大輔


K-1から軍に入った。腕は確かなのだが、乱暴な性格である。しかし誰とでも打ち解けれる。
ヤキン・ドゥーエ戦で活躍し、FAITHとなった。クリエイトガンダムのパイロット。
567通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 07:19:30 ID:???
ラクス死ね!お前なんか悪人にしてやる!
フレイたまの側には美形の原作キャラを侍らせるの♪

まで読んだ。
568通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 11:30:14 ID:???
>>566
乙!

そろそろ次スレの時期なんで、テンプレ案を。

前スレ
フレイを生存、復活させる為のシナリオ2
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/shar/1144787452/l50
前々スレ
フレイを復活させるためのシナリオ
http://makimo.to/2ch/anime_shar/1132/1132065282.html

ローカルルール
●どうしたらフレイが復活できるのか論議して シナリオ、またはSSを書いてみる。
 その際、どのようなシナリオの設定をするかも出来たら書いてください。
●ヘタレ文章でも可、誰かが修正をしてあげるのも可能、 修正文でも可能
●SSは、種の最終回以降、生きている設定でも可
●SSは、どの時点から開始しても可。(ex.種からの作り直し、種死の終了数年後、何でも可)
●SSは、シリアス系、ギャグ系、何でも可。ただし、801展開だけは不可。
●フレイが主役、又は重要な脇役、普通の脇役の 設定のどちらでも可
●オリジナルキャラの登場は可。オリキャラを主役にしても可(
●その他雑談。ただし、職人、住人への誹謗中傷は避ける。
●下がりそうになったら誰でも良いから保守をする
●誰でも良いですから、まとめページで投稿小説をまとめてみる
●荒らしは通常の5倍スルー
569通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 11:37:12 ID:???
1.フレイ=アルスターとは?
大西洋連邦事務次官、ジョージ・アルスターの一人娘。

*1)大西洋連邦事務次官:各省に一人ずついる官僚のトップが事務次官あり、
大西洋連邦はアメリカが更に領土を拡大したような国で世界の中心。
つまり、ジョージ・アルスターは世界の文官のトップ。

2.フレイを生存、復活させることのメリット。

1.ナチュラルであるということ。
 本編ではあまり触れられなかった、ナチュラル側の視点が増える。
 それにより、強者の論理でない立場で(キラもシンも強者には違いない)
 ナチュラルVSコーディーが描くことができる。
 
2.戦火に翻弄される一般人としても書けるし、コーディネーターとの才能の差を埋めようと
  苦悩する主人公としても書ける。

3.ナチュラルであるが故、主役を張るにしても脇役でいるにしても、
 パイロットになろうが、どこかで保護されていようが、ジャンク屋になっていようが、
 何をどうやったところで、本編ではあまりなかった「努力と根性」、「挫折と成長」
 「埋められない才能にどう対抗するか」いう要素が入ってきて、人間ドラマに深みがでる
 
4.本編では尻切れトンボになった、キラ、ヘリオポリス組との再会、和解を補完できる

5.キラに与える影響が、とにかく絶大なので、キラが本編のような行動をとらなくても
  説得力が出る。

6.フレイが生きているとなると、ドミニオンクルー達が丸ごと生きているという設定もありえるので
  その場合、ザフトのパイロット達、AA組も苦戦必死で余裕こけない。
  シンを主人公として書くとすると、強敵は多いほうが良い。また、シンとフレイは境遇が似ているので
  シンが自分を見つめなおすきっかけとして使えるかもしれない。
570通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 11:49:14 ID:???
>>569は、今のスレの>>247-248をまとめてみました。
それと、スレタイの提案ですが、if系スレだし
「フレイが生存、復活したら」でどうでしょう? 分かりやすいと思うんですが。
571通常の名無しさんの3倍:2006/09/05(火) 15:38:00 ID:???
「他キャラファン」「立入禁止」とか「妄想全開」「触ると危険」も前後につけとけw
572fuseanasn:2006/09/05(火) 17:28:28 ID:KicFq27q
age
573通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 01:39:15 ID:???
ひさびさに来たら凄いことになってるな。
神はがんがってくれ。
574通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 01:54:55 ID:TABvkW0n
CVまで妄想しはじめたか
575通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 02:25:04 ID:???
次スレ

はえ〜な
576通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 06:42:40 ID:???
このどことなくドラゴンボールチックな展開がすきだ
がんがってください
577通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 07:01:18 ID:???
作者乙
578通常の名無しさんの3倍:2006/09/06(水) 07:12:25 ID:???
何この気持ち悪いスレ。
他キャラ厨が叩き合いしてるのをいい事に、無印時代からのお得意の妄想かよ。

きんも〜っ☆
579通常の名無しさんの3倍:2006/09/08(金) 01:08:17 ID:???
ガンオタなんて皆キモい生き物なんだよ!俺たちフレイ厨に限ったことじゃないざんしょ
580通常の名無しさんの3倍:2006/09/08(金) 14:08:33 ID:B9fV8Tov
と言うか、ここにいる連中はフレイ厨なのでそのことで罵っても痛くも痒くもないんだが。
581通常の名無しさんの3倍:2006/09/08(金) 14:38:38 ID:???
そりゃそーでしょ。
もう死んでる人間を必死に主役マンセーしてる負け組だもの。
ただその為に他キャラを歪めたり死なせたり、負債同様の事をするからキモがられるんでしょ?
だから悪いこと言わないから、テンプレに付け足しといたら?
582通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 00:41:14 ID:???
<第二部 プロローグ>
 
 ザフト軍と地球連合が、カーペンタリア基地の目と鼻の小島において衝突し、
その戦いで「ストライク」が使用された――
 この知らせは、ラクス・クラインが二年の歳月を用いて作り上げた情報網、
「ターミナル」を通じ、北の海のはるか底に身を潜めるアークエンジェルに、
数日をおかずしてもたらされた。

「――その戦いで『ストライク』が使用されたというのは間違いないのか?」
 カガリの問いに、
「おそらく。間違いないかと」
 マーチン・ダコスタが、いつも同様、実直な態度で答えた。
「とりあえず今回は、MSの提供ですんだみたいだが・・・」
 アンドリュー・バルトフェルトが難しい顔をして独白し、
「オーブ軍がザフトとの戦いに駆り出されるのも時間の問題ね」
 マリュー・ラミアスがため息をついた。
 カガリは唇を噛んだ。オーブ軍が連合軍に加わってザフトを攻撃した時、オーブ
の理念は失われる。父が命を賭して守ろうとしたものが失われてしまう。
「どうしたら・・・。どうしたらいいんだ・・・」
 カガリは苦渋に満ちた声を絞り出した。
 その時、
「カガリさんはどうなさりたいのですか?」
 よく通る声がアークエンジェルのブリッジに響いた。
「そんなこと・・・。そんなこと、決まっているじゃないか!」
 カガリは声を荒げた。
「決まっているのですか?」
「当たり前だ! だけど・・・」
 カガリの声は次第に弱まっていく。
 そのために自分はどうしたらいいのか、それが分からない。
 カガリは下を向き、拳を握り締めた。
「やりたいことが決まっていらっしゃるのなら、何故迷っていらっしゃるのですか?
「何故って・・・」
 当惑の表情を浮かべるカガリに、ラクスは美しい笑みを浮かべた。
「まず決める。そしてやり通す。何も出来ないと思って、何もしなかったら、
もっと何もできない。そうではありませんか?」
 言葉に詰まるカガリの肩に手が置かれた。
583通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 00:43:37 ID:???
「キラ・・・」
 キラは小さく笑うと口を開いた。
「僕達はカガリの味方だよ。カガリは、カガリの思うとおりに、進んでくれればいい」
「キラ!」
 カガリの問いかけるような視線に、キラは微笑んで答えた。
「できるか分からないけど、できるだけやってみる。僕は、カガリの悲しんでる
顔なんてみたくないから」
「私も!」
 アサギ・コードウェルが一歩前に出た。
「及ばずながら、お力添えさせていただきます!」
「私も!」
「私もです! カガリ様!
 ジュリ・ウーニェン、マユラ・ラバッツがアサギに続く。
「お前達・・・」
 カガリは胸が熱くなるのを感じた。
 
 ――私は、一人じゃない

 カガリは顔を上げ、ブリッジにいる面々の顔を一つ一つ見回した。カガリの視線に、
ある者は大きく頷き、ある者は肩をすくめ、ある者は笑みを浮かべて答えた。

 ――自分と共に歩もうとしてくれる仲間達がいる。
 
 カガリはチラリと指輪に目をやった。
 
 ――きっとあいつも・・・
 プラントで頑張っているはず

 カガリは大きく息を吸い込んだ。
「――ついてきて、くれるか?」
 その場にいた全員が大きく頷いた。
「よし! 始めるぞ!!」
「「「「了解!」」」」
 賛同の声がブリッジにこだました。

 あわただしくそれぞれが持ち場に散っていく中、ラクスは一人自室へ戻り
扉に鍵をかけた。
 そして慣れた手でキーを叩き、コードを打ち込んでいく。
 ほどなく画面に一人の男の映像が映り、ラクスはその男に向かって微笑みを
浮かべた。
「お久しぶりですわ、アズラエル理事。お変わりないようで何よりです」

 
 いくつもの運命の車輪が今、大きく動き出そうとしていた。
584第二部 1話:2006/09/09(土) 00:46:40 ID:???
「・・・うん?」
 隣で身づくろいをする気配を感じ、シンは目を覚ました。
「すまない、起こしてしまったようだな。お前はまだ寝ているといい」
 半覚醒の頭にレイの言葉が浸透していく。
「・・・いや、待ってくれ! 俺も! ・・っつ・・・いってぇ」
 ベッドから身を起こすと同時に激痛が走り、シンは顔をしかめた。
「無理はしないほうがいい。いくらコーディネーターでも、昨日の今日で怪我が
治るということはない」
 だが、
「いや・・・行く。俺が無茶したせいで、整備のやつら苦労してるだろうし」
 シンは顔をしかめつつも身支度を始め、それを見て、レイは口の端に小さな
微笑を浮かべた。

 *           *
 
 格納庫に向かう途中、
「おはよ、シン! レイ!」
 後ろから飛んだ快活な声に、二人は振り向いた。
「おはよ。って・・・いいのかよ? ルナ。昨日は精密検査受けてたんだろ?」
「ああ、あれね・・・」
 ルナマリアは苦笑を浮かべた。
「ただの打ち身よ。でも、吹っ飛ばされた時に頭打って気絶したって言ったら、
ちゃんと診てもらわなきゃダメだって、メイリンに無理矢理医務室へ連れてかれて・・・」
「いや、頭部へのダメージは後になって後遺症が出てくることもある。精密検査を
受けたのは懸命だ」
「はいはい。分かりましたですよ。お父さん!」
 思わず噴出しそうになり、シンは慌てて口を抑えた。
(けど、確かにレイってオヤジっぽいとこあるよな)
「父か・・・。良く分からないが、そうなのか?」
 真顔で聞き返すレイに、
「そうよ!」」
 笑いながらルナマリアは答えた。
 その時、
「――違う! そこはそうではない!」
 格納庫の方角から聞こえてきた大声に三人は顔を見合わた。
585通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 00:48:41 ID:???
 
 ――まさか

 しかし、格納庫にたどり着いてみると、やはりそこにはイザーク・ジュールが
いて、なにやら指示を飛ばしている。アスラン・ザラ、ディアッカ・エルスマンの
姿も見える
「どうしたんだ? 別に休んでいてもいいんだぞ。君達は」
 3人に気づいたアスランがやってきて、労わるように言った。
「自分は問題ありません。遅れて申し訳ありません」
「すいません 遅れまして」
「・・・すいませんでした」
 上司よりも遅れて到着しては部下失格だ。しかしまさか、あの怪我でイザーク
までがこんなに早く仕事にもどっているとは思わなかった。三人は、そろって
バツが悪そうに目を伏せた。
 三人の反応にアスランは困ったように眉を寄せた。
「別に謝る必要はないんだ。体調を整えるのも・・・」
 その時、イザークが歩み寄って来て
「その通りだ。体調を整えるのがパイロットの仕事だろう。戻って今日一日は
休め! これは命令だ!」
 言葉を引き取った。
 すると、シンが直立不動のまま、口を開いた。
「いえ、自分は大丈夫であります。まだ、コアスプレンダーの損傷部位の申告も
行っておりません。それに、パイロットとおっしゃるなら隊長もそうでらっしゃるの
ではないでしょうか?」
「俺は指揮官でもある。それにこの程度の怪我など怪我ではない!」
「隊長の怪我が怪我でないとおっしゃるなら、俺の怪我こそ、まったく怪我の内には
入りません」
 イザークの視線とシンの視線が衝突した。
「・・・それほどまでに言うなら、コキ使ってやる。覚悟はできているんだろうな!?」
「勿論です!」
「よし、ついて来い!」
「はい!」
 そのままシンとイザークはハンガーの奥へと歩いていく。
「お、おい・・・イザーク・・・」
 慌てたアスランが二人を制止しようとした時、声が飛んだ。
586通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 00:50:48 ID:???
「すいません、できればシンの好きにさせていただけませんか?」
 アスランが振り返ると、そこにはルナマリアの顔があった。
「ジュール隊長と一緒にいるのは、シンにとってプラスになるて思うんです。
お願いします」
「・・・どうしてそう思うんだ?」
 アスランの問いに、ルナマリアは真剣な表情で言葉を続けた。
「私、シンってああいうグイグイ引っ張ってってくれる先輩と、相性がいいんじゃな
いかって思ってたんです。でも、シンってツンケンしてるじゃないですか?
なのに能力は高いから、大抵の人は押さえつけようとするか、離れていくか、どっち
かで・・・。誰もシンに色々教えてくれる人がいなかったんです。だから・・・」
「――君は、彼とは長いのか?」
「ええ。アカデミーの頃からずっと。レイともですけど」
 ルナマリアはチラリとレイの方へ視線を送った。レイもレイで、さっさと整備員
の所へいってしまい、何やら話し込んでいる。
「それでは! 私も損傷部位の申告がまだですので!」
「あ、ああ」
 自分の機体の方へ歩き去るルナマリアを見送りながら、アスランは頭をかいた。
(何というか・・・)
「面白い奴らだよな〜」
 いつの間にか近くに来ていたディアッカが可笑しそうに笑った。
「同感だ。3人とも個性的だな」
「けど、いいチームになりそうじゃん? あいつら」
「ああ。3人とも、現時点のスキルも潜在的な力も高い。特にシンとレイは飛びぬ
けたものをもっている。それに・・・」
「それに?」
「――昔の俺たちと違ってチームワークも良さそうだ」
 お互いに張り合って衝突していたころを思い出し、ディアッカとアスランは
顔を見あわせると、苦笑を浮かべた。
「ま、先輩チームとしては、後輩には負けてらんない、ってことじゃない?」
「まったくだ。老け込むには速すぎる。俺たちも、まだまだ、これからだ」
「じゃ、まずはお仕事といきますか?」
「そうしよう」
 ディアッカとアスランは、それぞれの仕事へと戻っていった。
587通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 00:53:10 ID:???
「今、何と? 我々は、強制連行された民間人の家族の嘆願を受けたからこそ、
危険をおかして作戦を実行したのですよ?」
 突然カーペンタリア基地司令に呼び出され、司令室でタリアに告げられたのは
驚くべき内容だった。信じられぬという思いを露にし、タリア・グラディスは目の前
の基地司令を凝視した。
 タリアの剣幕に、司令は大きくため息をつき、落ち着くようにと促しつつ、
言葉を続けた。
「君の気持ちは分かるが、事実だ。赤道連合が、我々が『拉致』した民間人の即時解放を
求めてきている。・・・この要請は正式なものだ」
 タリアは歯噛みした。
 おそらく連合が赤道連合に圧力をかけたのだろう。赤道連合とて、決して快く
受け入れたのではあるまい。
 だが、これが現実だ。力を持たぬ国は、大国の無法に立ち向かうこともできない。
自国民の尊厳が踏みにじられてもどうすることもできない。
「しかし、こうも見事に逆利用されるとはな・・・」
 苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら、司令がリモコンを操作する。
すると、部屋のモニターにニュース映像が映し出された。
 画面の中では、まず、ザフト軍のMSが生身の兵士を殺傷するシーンが映し
出され、その後、驚くべきことに「拉致」された住民の家族が涙ながらに、
住民の「開放」を望むシーンが映り、最後は、大西洋連邦代表・コープランドが
ザフトの民間人を巻き込む行為を強く非難するという内容の演説の模様が映し出
された。
 タリアは眉間の皺が更に濃くなった。
 ザフトは慈善団体ではない。民間人の救出は、連合の無道さとザフトの正しさ
を喧伝するための格好の材料となるであろう、という冷徹な判断に基づくものでも
あった。
 だが、これではザフト方が悪役だ。戦闘ではほぼ勝ちを収めたが、残念ながら
情報戦では先手をとられてしまった。
 仮にザフトがデッチ上げだと発表しても、これでは誰も信じるまい。
 それでも。
「――では、収容した民間人の返還の準備をすすめさせます」
 苦い思いを噛み殺し、タリアは淡々と述べた。
 過ぎたことを悔やんでもいてもどうにもならない。戦いはまだ始まったばかりだ。
「ああ。――くれぐれも丁重に頼むぞ。敵にこれ以上の宣伝材料をくれてやるのは
避けねばならん」
「了解いたしました」
 それにしても、戦闘においても、情報戦においても、地球軍の何と手ごわいことか・・・
 今後の戦いの厳しさを想像し、暗澹たる気持ちになりながら、タリアは司令室を
後にしたのだった。
588通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 00:54:59 ID:???
今日は以上です。
589通常の名無しさんの3倍:2006/09/09(土) 17:22:57 ID:???
お疲れ様です!ラクスと理事のコンビにオラ なんだかスッゲェわくわくしてきたぞ!
590通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:39:09 ID:???
PHASE-27 「行き着く場所」

誰かが言っていたらしい。
"広がるは容易く、消すは難しい、それが戦火である"
アスランはそれを思い出しながら、テレビを見ていた。アスランだけではない。世界中の誰しもがテレビを見ていた。
「予想してなかったわけじゃない・・・だが、こんな早くなるとは・・・」

ラクスの発表したデスティニープラン。それに反発し、軍事力が高いオーブを"ロゴス支援国"とみなしたようだった。
「オーブは今大戦の前までは盟友として、アスハ代表は親友として歩み寄っていました。ナチュラルとコーディネーターが共に暮らせる国であり、私もオーブを愛していたのに・・・。」胸に手を当て、まるで懺悔してるようだ。心を痛めてる・・・とでも思わせたいのだろう。
「ですが、友とはいえ世界が私の肩にはかかっています。彼女はロゴスだったのです。その証拠に・・・」
画面にはウナトとジブリールが映っていた。空港と思われる場所で、車に乗り込んでいる。
「!!?」

カガリとユウナは議会室でそれを見ていた。ユウナが一番驚いてるようだったが、ある程度予測していたため素早く対応に出れた。
「ウナトとジブリールを探せ!!。・・・ああ、カグヤは警備を強化しろ。私?私はこれから会見を開くんだよ!!」
カッとなり部下に怒鳴りつけてしまう。落胆していたユウナも立ち上がってカガリに随行した。
「無理しなくていいぞ。お前は頑張ってくれてるんだから・・・」
「ありがとう。だけど、僕は首長代理だしね。それに・・・父さんは僕が止めなきゃ・・・」
591通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:40:24 ID:???
「キラ!!」
ディアッカがモルゲンレーテ(アカツキ島の秘密ドック)を駆け回る。キラは新型フリーダムの開発を進めていた。実はストライクを分解し、再構成したので唯一完成していないのである。
「ディアッカ、ニュースの事でしょ?」
「ああ!!。アスランはミネルバにいる・・・とりあえず行ってみようぜ!!」
「うん。エリカさん、後をお願いします。」


「フレイ、カナード。」
「!!。キラ・・・」
「カガリがロゴスのメンバーって事になってるのは知ってるだろうが、ジブリールがオーブにいるらしい。」
思い出すのは2年前のオーブ解放戦。キラとアスランが和解した代償に、カガリはウズミを失ったのだった。二度と繰り返してはいけない悲劇の内の一つである。
「・・・とにかく、カガリの会見を聴きましょう・・・」
「俺達はただ、カガリを信じるしかないんだからな。」
フレイの言葉をかき消すアスランの言葉。自分が愛したカガリへの気持ちの整理もついてはいないし、ルナマリアとも・・・。
「アスラン・・・」
手を握るルナマリア。アスランの気持ちを察してか、手に触れる程度である。
「・・・心配するな。今は・・・」


「先程のクライン議長の言葉は強ち嘘ではないこともあります。しかし、私はロゴスではありませんし、ロード・ジブリールも総力をあげて捜索しています。ですから・・・」

ジジッ・・・バァァァ・・・ジジッ・・・

ノイズと砂嵐が起こる。どうした事か。
592通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:41:19 ID:???
「フフフ・・・全世界の皆様、お聞きになっていますか?」
その声と顔はジブリールのものだった。
「アスハ代表の援助もあり、巧く逃げ出す事ができます。待っていてくださいよ?コーディネーター共はいずれ・・・」
そこで映像は元に戻った。さらにはラクスの演説も入る。
「お聞きになりましたか?あれがオーブの実態なのです。こんな事もあろうかと、ザフトと協力していただく連合の両軍がオーブに向かっています。もはや、オーブに任せてはおけません。ジブリールを捕らえ、オーブを討たせていただきます。」
軍が向かっている。その言葉はカガリの胸に突き刺さった。会見を中断し、避難勧告を発令する。
「皆様、もう知ってると思いますが、連合・プラント両軍が向かってきています。またもや国を焼く事態・・・残念に思います。」
ウズミが貫いた理念を守りたかった。だが・・・それに付け込まれてしまった。
「私は・・・ロゴスではありません。ジブリールも、逃がしてなどいません。ですが、それよりも皆様の避難が先決・・・。そこで、全国民の皆様に避難をしていただきます。」
驚かない者はいない。前大戦でもオノゴロ島だけで済んだ戦場。なぜまた、こんな事態にするのか?
「オノゴロで家族を失った少年がいました。その子は・・・コーディネーターで、プラントに向かいました。しかし、負った傷は深くてオーブを今だに憎んでおります。」
593通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:42:17 ID:???
シンを襲った悲劇。いや、シンの他にも家族を失った人はいるはずだ。
「もう、そんな事態を引き起こすわけには・・・まいりません。国はまた建て直せます。皆様にはスカンジナビア王国に脱出していただきたい。生命が最も大切だから・・・」
カガリに
「私の未熟故に引き起こしてしまった事態ですが、私達は皆様が帰ってくる場所を守りたいと思います。オーブの理念を信じてくれた皆様に応えるためにも・・・」
民衆からは拍手が挙がる。カガリは立派な獅子になっていた。カガリ・ユラ・アスハとしての、雄々しい獅子に。

避難船は急いで用意された。全国民が脱出など不可能と思われたが、やるしかなかった。旧式の艦も使い、何とか脱出させられそうだ。
「ふ〜・・・なんとか・・・」
「だが、ジブリールさえ見つかれば・・・」
「それは無いよ。」
キラはカガリとユウナの前に立つ。
「あのジブリールは替え玉だ。ラクスが用意した・・・」
「なぜ!?」
「ジブリールの放送の後、すぐにラクスの話が始まったでしょ?。普通あんなタイミングで行えるはずがないからね。」
ユウナはさらにキョトンとしていた。だが、気になることも一つ。
「じゃあ、父さんがジブリールといるのって・・・」
「きっとそれは嘘じゃない。本当にジブリールはオーブに来ている。たとえ見つけて捕らえても、ラクスは退かないよ。」
「戦いは避けれないのか・・・」
594通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:43:31 ID:???
「ウナト・エマ、どういう事だ?」
「私にもわかりません。ただ、これはラクス・クラインが・・・」
「えぇ〜い!!デュランダルより厄介ではないか!!」
オノゴロ島にある民間のシェルターに入っているジブリールは、何とか脱出できないか迷っていた。外にはオーブ軍と避難している民間人が多数いる。
「・・・危険だが戦闘が始まってから脱出したほうが良さそうだ。」


カガリは全国民に避難勧告を出した。それはロドニアからの子供達も例外なく脱出した。
「マユちゃん、行ったらどうするの?」
「ん〜・・・友達の家に止めてもらうかもしれないし、専用の施設かも・・・」
子供達は船に向かう。マユもその中にいたが、立ち止まり反対に走っていく。
「マユちゃん?どこ行くの?」
「大丈夫、先に行って!!」
足が向かう先はリュウタの家。何かを予感していた。リュウタの生命が危ういわけではない。ただ、何かの予感が。
「リュウタ君!!」
「あれ?マユちゃん・・・」
「良かった・・・」
リュウタに抱きつくマユ。突然で、頭が真っ白になっていく。
「え?あの・・・マユちゃん?」
淡い恋心のせいで、妙にドキドキしてしまう。
「リュウタ君のお父さんとお母さんは?」
「えと・・・2人共モルゲンレーテに・・・」
マユはそれを聴くとリュウタの手を掴んで走った。
「あれ?避難船はあっち・・・」
「違うの!!なんか・・・オーブを出たくないの!!」
訳はわからないが、好きなマユのために人肌脱ごうと自転車に乗せる。
「飛ばすよ?」
「うん。」
少年は一歩、大人に近づいたようだ。
595通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:46:00 ID:???
病院でも患者の搬送に手間取っていた。
「この人は心臓・・・」 「脈・・・」 「骨折してるんだぞ!!」
様々な声が飛びかう。その中にはアウルの姿があった。ほぼ全快に近く、健康体そのものだ。
「全く・・・ダリィな・・・。」
「アウル君・・・」
アウルの隣には入院中に仲良くなった少女(CV:松岡由貴)がいた。
「お前、あっちに避難したらどうすんの?」
「・・・死ぬかも・・・」
「!?」
彼女の小児性ガンであり、手術も明日の予定だったが避難があるので延期されるだろう。
「もっと・・・時間を大切に使いたかったなぁ・・・大好きなドーナツたくさん食べたり、友達と遊んだり、アウル君と・・・」
そんな少女にアウルはデコピンをする。
「痛!!」
「・・・お前は死なないって・・・」
「え!?」
「死んでほしくない・・・俺の帰ってくる場所、残しといてほしいんだ。」
少女はその言葉の本当の意味には気づかなかったが、静かに頷いた。
「治るよ、絶対・・・じゃあな・・・」
アウルは走っていく。自分がやれる事が見つかったのだから・・・。守りたい人ができたんだから・・・

「お〜い!!」
「あれ?君は・・・アウル・ニーダ君?」
目の前で死んだニーダさんが鮮明な程に蘇ってくる。
「俺も・・・戦う」
「え?」
「アビスあんだろ?操縦できるんだぜ?」
596通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:47:09 ID:???
アウルがアークエンジェルに編入された。ステラが死んだ事を聴かされたが、涙は浮かべてはいなかった。
「病み上がりだけど、大丈夫?」
「まあ"リハビリ"は必要だけどさ・・・」
ステラの顔を思い浮べながら、自分の機体を見る。
「どんなに苦しくても、俺が助けれる人のために力を使いたいんだ。」
「アウル・・・ああ、戦おう。」
キラとアウルは腕を組んだ。きっとお互いにステラのためにする事が見えてきたのだろう。

リュウタとマユはモルゲンレーテに辿り着き、エリカと面会していた。
「リュウタ・・・あんた、隣のおばさんと一緒に・・・」
「ごめんなさい。でもねお母さん、マユちゃんが行きたくないって・・・」
「はい。私、どうしてもオーブに残ったほうがいい気がするんです。何故かわからないんですけど・・・ここにいたいんです!!」
エリカは散々迷ったが、2人の気迫に押されて了承してしまった。マユはリナウを見つけて駆け寄る。
「リ〜ナウちゃん♪」
「マユちゃん!?久しぶり〜。」
話が弾んで、リュウタはすっかり栢の外である。
「あれ?君、誰?」
「えと・・・僕は・・・」
「私の"友達"のリュウタ・シモンズ君。ほら、エリカさんがお母さんで・・・」
「よろしくね、リュウタ君♪」
「う、うん。よろしく・・・」
ちょっと近寄りがたい雰囲気だったけど、意外に明るい子のようだ。それにしても、当たり前だが友達発言されたリュウタは少しショックだった。
597通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:48:19 ID:???
全国民が脱出を完了した。スカンジナビア王国と赤道連合は受け入れ態勢をとってくれている。後は戦いが避けれるのを祈るばかり・・・
「全将兵達よ、恐らく戦いは避けられない。民間人はいないから、思いっきり戦うんだ。」
否。戦う。避けられないのではなく、ラクスは何かしら理由を付けて戦いを仕掛けると踏んだからだ。
「そして、お願いがある。この戦闘、守るだけではダメだ。勝ってほしい。だが、生命は大切にしてくれ!!」
将兵達の士気は大いに上がっていく。そして、連合・プラント両軍が見えてきた。

「ラミアス艦長。」
「!?。バルトフェルド隊長・・・」
「君にとっては2度目かい?」
「ええ・・・」
あの時はムウと恋仲になった。そんな事を思い出していた。しかし、そのムウはもういない。
「俺じゃ・・・君を守れないかもしれないな・・・」
「え!?」
ミハイルはマリューに会いにいこうとすると、その話を聴いてしまう。
「俺は片腕だし、フラガのように積極的でもない。何より君も嫌だろ?」
「そんな事ないわ。あなたは強いわ。」
「昔は砂漠の虎って恐れられたんだけどなぁ〜」
「あなたならできるわよ・・・」
そんな2人の会話を聴いてると、少しだけ胸が痛む。
「フ・・・」
マリューの顔を少し見ると、医務室ふ戻っていった。

「リナウちゃん、モビルスーツで出撃するの?」
「うん。」
「何で、操縦できるの?」
「・・・私、私は・・・うーん、ナチュラルとコーディネーター、両方だから・・・」
暗そうに話すリナウ。全て話したら友達ではいられないかもしれない。それが恐い。
「すっげぇーー!!いいなぁ、いいなぁ!!操縦できるなんて!!」
598通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:49:22 ID:???
「え?恐くないの?」
「何が?」
「私、モビルスーツを操縦できるんだよ?普通じゃないんだよ?」
「だってさ、格好良いじゃん。小さき勇者って感じでさ。」
「!?」
リュウタもマユも変わることのない笑顔をしてくれている。守りたい。兄のように・・・


「カガリ・・・」
アスランは無理を言って2人にさせてもらった。
「あまり時間がなくて、ちゃんと話せなかったからな・・・俺は・・・」
「わかってる。好きなんだろ?ルナマリアの事・・・彼女だってお前が好きさ・・・」
「いや・・・そうなんだが・・・カガリ・・・」
業を煮やしたカガリの拳が飛んでくる。その場へ倒れこみ、カガリを凝視する。
「わかんないか!?振ったんだよ、お前の事!!幸せものだぞ?オーブ代表主張に振られたなんて・・・」
「カガリ・・・」
「この指輪・・・返すよ。お前は今の幸せを守るんだ。」
薬指から外して手渡す。アスランはカガリの背中に手を掛けようとしたが、思い止まる。
「俺達は"仲間"に戻るんだな・・・」
「ああ、そうだ。さっさとミネルバに戻れよ。」
反対に歩いていく2人。しかし、互いに涙を流している。その絆の深さを訴える程の大粒の涙を・・・

「あのさ・・・ミリアリア・・・」
「何よ?」
「ちょっと・・・キスしてくんねぇ?」
「は!?」
ブラウン仕様のパイロットスーツに身を包んだディアッカが、手を合わせて願い出る。
「あんたねぇ・・・まだ、ダメ・・・」
「そっか・・・」
ヘルメットを被ろうとした。その時、ふと頬に感触が残る。
「まだ、唇は早いわ・・・」
「・・・サンキュな。」
599通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:50:51 ID:???
「本艦はオーブ軍を支援する。」
タリアは未だザフトの軍服を纏いながら、信じるもののために戦おうとしている。
「私達は既に裏切り者扱いよ。遠慮はするな!!」
だからといって、そんな割り切れるものでもないのだが・・・。
「ミネルバ発進!!」

「フリーダムはまだなんですか?」
「まだ最終調整が、終わらないの。あと20分は必要だわ。」
キラはM1に乗り込み、出撃態勢をとる。
「10分でお願いします!!」

外ではもう戦闘が始まっていた。ミネルバはタケミカヅチとともにオノゴロ島南部、アークエンジェルは北部で戦っていた。そして、アークエンジェルから出撃しようとしている2機のモビルスーツがあった。
「気をつけてね・・・」
「ああ。ディアッカ・エルスマン、スレイトゥンバスター、発進する!!」
かつてのバスターとジャスティスを合わせたような勇士を垣間見る姿である。
「続いて、ジャスティス発進どうぞ!!」
「カナード・パルス、インフィニットジャスティス、出すぞ!!」
2機はそれぞれの戦いの地へ向かっていく。

「さすがはカガリさん。ですが・・・」
現われるのはミネルバ級2番艦ヴィーナスと3番艦ヴァルキューレ。ヴァルキューレにはラクスも乗っていた。
「シックスナイツの出撃を!!」
六機のGの目が光る。その姿は悪魔に等しいような・・・そんな・・・。
600通常の名無しさんの3倍:2006/09/10(日) 09:52:48 ID:???
フレイもストライクがないため地下ドックに残っていたいたが、ムラサメで出撃しようとしているとカガリに呼び止められる。
「フレイ、来てくれないか?お前に渡したいものがある・・・」
「え?」
そこは地下ドックの秘密シャッターがある場所。カガリはそこにパスワード、"ハウメアの護り"と入れて扉を開ける。
「これは・・・」
そこには黄金のモビルスーツがあった。
「ORB-01 アカツキ。お父様が遺してくれた、護りの剣だ。」
「え?それだったら、カガリが使ったほうが・・・」
「お前に使ってほしいんだ。私より、きっと上手く使えるよ。私もフリーダムルージュで出る。」
カガリはそのまま走っていってしまった。


「ヤタノカガミ・・・ビーム反射装甲?。ハイパージェネレーターはイオン精製により、核動力に匹敵する出力を!?」
どれも魅力的な武装ばかりである。
「だけど、これは護りの剣・・・私は守るわ・・・キラと、このオーブを!!」
「フレイ・アルスター、アカツキ、行きます!!」
太陽の光に照らされ、大鷲のように翔んでいくアカツキ。その先の運命に立ち向かうために・・・


予告
交差する運命。日輪の輝きは全ての光を打ち消す。しかし、邪光が迫り、暗雲が漂う。戦火の最中、兄妹の悲しき再会が・・・
PHASE-28 「憎悪の矛先」
黒き影を、照らせ、アカツキ!!
601通常の名無しさんの3倍
二人ともGJ!!