「バーニィは、バーニィは・・・」
唐突にクリスに問いただされたアルは、視線を泳がせながらその答えを導き出すことに躊躇した。
が、直後に
「バーニィ、そう、バーニィはサイド1のフランチェスカってコロニーから新しい仕事があるって話があって、突然出て行ったんだ」
「え?バーニィがサイド1に?」
クリスは素直にアルの話を受け止めた。
「そうなんだ。バーニィも大変そうね」
「そうだよ、バーニィまでも突然行っちゃうから・・・ぐすん」
目に涙を溜めながら、アルは口ごもりかけた。
「アル、男の子でしょ。寂しくたって我慢しなきゃ」
クリスがアルの小さな体をギュッと抱きしめた。
「クリス・・・」
アルが目を上げて、クリスを見つめた。
ただ微笑むだけのクリス。
そして、何を思ったのか、アルは静かに目を閉じた・・・。
その仕草に何かを感じたのか、クリスはアルの目線まで屈んだ。
そして、ほんのり薄紅色に染まった柔らかな唇をアルの幼い唇にそっと重ねた。
それは、アルにとって初めての、大人のキス。
最初はどぎまきしたアルであったが、ついその身体をクリスによせ、届くか届かないかの両腕をクリスの肩へと回した。
一瞬という永遠の中で二人が共有する、初めての刻。
そして、そっと、薄紅色の唇が幼い少年の唇から離れた。
「クリス・・・クリス」
「いいのよ、何も言わなくても」
初めての経験にドキドキだったアルをクリスは諭すように宥めた。
「バーニィに会いに来たの。」
「・・・え?」 アルの顔が一瞬にして青くなった。
そう、クリスは知らない。バーニィがもうこの世にいないことを。
「バ、バーニィに何か用があるの?」
アルは恐る恐る尋ねた、そして最悪のケースを覚悟した。
「う、う〜ん、用ってワケじゃないんだけど、ええと、その・・・。」
(・・・そうね、今ここで適当なこと言ってもそのうち耳に入っちゃうんだし、
言ってもいいか。でも「好きになっちゃった。」って直球でいくのも・・・)
「あっそういえば、バーニィって恋人はいるのかしら?」
クリスなりの変化球であった。
「恋人・・・?あっあぁ、いないんじゃないかな。」
(いないはずだ、ビデオでも何も言ってなかった。恋人がいるなら、「大人に
なったらこのビデオを届けてくれ。」の一言くらいあってもいいはずだ。)
アルは懸命に頭の中で答えを弾き出した。
「本当?良かったぁ〜、そればっかり気になってたのよ。」
クリスは安堵のため息をついた。
「で、でも、どうしてそんなこと訊くの・・・?」
最悪のケース。それがもう目前まで迫っていた。
「え?・・・そうね、正直に言うわ。」
「私ね、バーニィのことが好きなの。優しいあの人のことが好きなの・・・
バットで殴った時も笑って許してくれた・・・あなたを肩車して走っていく
姿も素敵だった・・・地球に下りてからあの人が頭から離れないの・・・」
クリスはアルの目線まで体を下げて言った。その目はわずかに潤んでいた。
「悲劇」
そんな言葉がアルの頭をかすめた。
突然のクリスの告白。アルは今、放心状態に陥っていた。
「ぁる・・・ァル・・・ねえ、アルッたら!」
クリスに肩を揺さぶられ、ようやく我に帰ることができた。
しかし、正常な思考を持つことなど出来るはずもない。
(クリスが・・・バーニィを・・・?そんな・・・そんな・・・どうして・・)
「ちょっとアル、顔が真っ青よ?・・・具合でも悪いの?」
クリスはアルの額に手を当て、熱を測った。
「・・・熱は無さそうね。・・・ねぇ、バーニィは今どうしてるの?」
さすがにクリスも不審に思ったようである。
(マズイ!!クリスが不審がってる・・・でもどうする?・・・そうだ!
この際バーニィは他のコロニー行ったって事にすれば・・・いや、だめだ、
地球からコロニーに上がってきたくらいだ、きっと追いかける。
じゃあどうすれば・・・本当の事を言うか・・・?)
クリスの一言でアルに思考が蘇った。
「バ、バーニィはね、今は仕事に行ってるんだ。帰りは夜になると思うな。」
本当の事など言えるはずがなかった。
時間の延長、今のアルにはそれしか選択できなかった。
「あっそういえば機械関係の仕事をやってるのよね、会社はどこ?」
とりあえず、その場を収めることは出来たが、直後に第二の試練がアルを襲う。
「か、会社・・・?そ、そんな事、訊いてどうするの・・・?」
「決まってるでしょ?今から会いに行くのよ。」
アルにとっては一番恐れていた答えだった。何とかして考えを変えなければ。
「そ、それはマズイよ、クリス。」
「あら、どうして?」
クリスが不思議そうな顔をして言った。
「お、男ばっかの職場だし、確か社長さんが大の女嫌いなんだよ。だから、
クリスが会社に行ったらバーニィ怒られちゃって困ると思うなぁ・・・」
我ながら無茶苦茶な理由である。が、今はこのくらいしか思いつかなかった。
「そ、それに家でパーティでもやって驚かせたほうがバーニィも喜ぶと思う
けどなぁ。料理は母さんに作ってもらって・・・。」
後先の事はどうでもよかった。今はクリスを留まらせる事が最優先事項なのだ。
「へ〜それもいいかもね!私そういうの大好きよ!」
なんとかこの場は切り抜ける事ができたようだ。アルは心底ホッとした。
「・・・あれ?でもバーニィの事は、おばさん知らないんじゃなかった?
確か母親が違うのよね?バーニィとアルは。知ってるの?バーニィの事。」
ウソがウソを呼んだ。クリスにはバーニィとアルの関係を異母兄弟という事に
してあったのだ。当然、親はバーニィの事など知らない。
「う、うん・・・クリスが地球に下りた後に皆で話あったんだ・・・その時に
バーニィを母さんに紹介したんだ。始めは母さんも驚いてたけど、今はもう
仲も良いんだよ・・・。」
もう何が何だか解らない、アルの頭は完全に混乱していた。
「へ〜そんな事があったの?確かにおばさん優しい人だもんね。でも嬉しいな、
普通だったら怒っちゃう事も、おばさんは許せる人なのね。バーニィも喜んで
たでしょう?」
クリスはまるで自分の事のように喜んでいた。
「うん・・・そうだね・・・。」
アルは「真実」を話す事を覚悟していた。
クリスと母が会ったらすべては壊れてしまうだろうから。
「じゃぁ、そろそろアルの家に入りましょ。パーティの準備しなくっちゃ。」
「うん・・・今開けるよ。」
「ガチャ・・・」
アルは静かにドアを開けた。
「ガチャ・・・」
アルは静かにドアを開けた。
「・・・・・・。」
いつもなら元気よく「ただいまぁ。」の一言をかかさないが、今日は違った。
もうダメだという事もよくわかっている。
しかし、あえて破滅の道を急ぐような選択は本能が拒否した。
「こんにちわー!おばさーん!。」
そんなアルのささやかな抵抗はクリスの声によって引き裂かれた。
(あぁあ・・・もう・・ダメだ・・・。)
アルは無意識に目をつぶる。できれば、この場から逃げ出したかった。
「・・・・。」
返事が無い。クリスの声は間違いなく家中に響き渡ったはずである。
「あら?・・・おばさん、留守かしら?。」
クリスは体を傾けて奥を覗きながら言った。
「ダダダダ!!」
アルは物凄い勢いでリビングに向かった。
クリスはビックリしてその場でキョトンとしている。
「ど、どうしたの?、アル。」
リビングには誰もいない。アルは真っ先にテーブルを見た。
何故なら母が外出する時はいつもテーブルに手紙を残しておくからだ。
「母さんは今日、中学の同窓会で遅くなります。オヤツと夕食は冷蔵庫に
入ってます。帰りはたぶん10時頃になると思います。
いい子に留守番しててね。 母さんより。」
奇跡が起きた。
いつもなら十中八九家にいる時間である、が、今日に限っていなかったのだ!
これを奇跡と言わず何を奇跡と言うのか?
そのくらい、アルは舞い上がっていた。神に感謝していた。
(やっっっっったーーーーーー!!。神様ありがとう!!)
結局、時間稼ぎにしかなっていないが、建て直しの時間ができたという意味は
大きかった。そして、この奇跡を最大限生かす選択をアルは迫られていた。
「ねぇ、おばさん留守なの?」
いつのまにか、クリスがアルの後ろにいた。
一瞬、アルはドキッとしたが、平静を装って返事をした。
「う、うん!・・・なんか同窓会で遅くなるって。」
「同窓会?、残念ね、おばさんに会いたかったのにな。」
クリスは少しションボリとした表情を見せた。
「ま、いないならしょうがないわね。アル、材料買いに行きましょ。」
アルは直感的に「マズイ!」と感じた。それは阻止しなければならない。
「い、いや、買い物には僕一人で行くよ。」
今は、少しでも一人になって考える時間が必要だった。
「えぇ?、何言ってるのよ、私も一緒に行くわ。」
「だって、ほら・・・そう!ついでにバーニィに今日家に来るように言わなきゃ
ならないし、ほら社長さん女嫌いって言ったでしょ?それにクリスだって地球
から上がってきたばっかりで疲れてるんじゃない?」
アルの頭は冴え渡っていた。もともと、こういう事は得意である。
「え?う〜ん、そんなに疲れては無いけど、バーニィの事がね・・・
やっぱり、急に会って驚かせたいし・・・そうね、お願いしようかしら。」
クリスは納得したようである。
「必要なものは紙に書いてくれればいいから。」
とりあえず今は一人になる事が先決である。そう思ってクリスを急がせた。
「そうね・・・生クリームに・・・玉ねぎ・・・ひき肉・・・」
クリスは冷蔵庫を見ながら必要なものをすべて紙に書いた。
「じゃぁ、お願いね。」
「うん、クリスはテレビでも見て待っててよ。」
アルは急いで玄関まで走っていった。
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい。」
勢いよくドアを開け、外に飛び出していった。
「ようし・・・とりあえず必要なものを買って、それから考えよう・・・。」
自転車でスーパーマーケットまで走りながら、アルは四苦八苦していた。
「・・・う〜ん、テレビもおもしろいのやってないなぁ・・・。」
チャンネルをパチパチ変えながらぼやいた。
「アルが帰ってくるまで一時間くらいか・・・ヒマね。・・・そうだ!」
なにか思いついたようである。
「アルの部屋に入っちゃおうっと、何かおもしろいモノがありそうだわ。」
クリスの悪い癖が出てしまったようである。
「黙ってればバレないわよね・・・」
そう思い、二階に上がってドアを開けた。
「へぇ〜これがアルの部屋かぁ〜結構綺麗にしてるじゃない。」
部屋を見渡しながらクリスは言った。
「あっ私の部屋が見える!・・・あっでも今は別の人の部屋か・・・。」
クリスの家は現在、売却して他人の物になっていているのだ。
「少し寂しいな・・・そういえばアルがここからビデオを撮ってたっけ。
懐かしいな・・・あっこれがそのビデオね・・・。」
机の上においてあったビデオを手にとりながら言った。
「あら?ディスクが入ったままだわ。・・・もしかして私も写ってるかも。」
そう思ってビデオからディスクを出した。
「0079 12・24 バーニィ」
「なにかしら・・・?クリスマスイブとバーニィ?」
クリスは再生ボタンを押した。
こっちの方が先に立ってるじゃん。
クリスノクリトリス(´Д`;)ハァハァ
50 :
通常の名無しさんの3倍:02/10/28 15:29 ID:3WsG1/hC
これも向こうも似たようなもんだろ?
続きが楽しみ(´Д`;)ハァハァ
スレが重複してるみたいですが、
書くの止めないでね。
続きが楽しみ 2
どうも、機動戦士ガンダム0080〜ポケットの中の真実〜の作者です。
新しい小説は向こうの、クリス姉さんに萌える人パート2に書きます。
僕の小説を読んでくださる人は向こうをチェックしてください。
クリスチーナ・マッケンジイぃ?
ジャクリーヌ=シモンさまの魅力に宇宙世紀100世紀分負けとるわッ!!!
水谷豊の最初の嫁さんはミッキー・マッケンジイ
56 :
通常の名無しさんの3倍:02/10/28 22:07 ID:2etdcZMi
古いな>55よ
思わず吹き出したぞ。
ぼくの先生わ〜ヒーバー!って奴ですね。
松件自慰
本スレage
林原なんだよね・・・
クリスティーナ=マッケンジィ ではないんですか?
林原ではありません
林原様です
林原だけはガンダムに関わって欲しくなかった・・
ここはクリトリスチーナさんのスレです
クリスチーナはスレ違いです・・
●林原を「ふぐみ」と呼んでも差別にはならない。
ど、どうする?このスレ…
>>59 「本スレ」って、類似スレがあるのか?(藁
68 :
通常の名無しさんの3倍:02/10/29 04:05 ID:M4DZ/sS+
君が決めるんだ。
クリトリスチイサイナ・マッケンジーかとオモタ。
>>54 「ジャクリーヌ=シモンさま」ってだれよ?
クリスティーナ=マッケンジーより魅力的なのか?
クリトリスチーネ剛田
クリスとバーニーは実戦(通常の作戦)に出て役に立つのだろうか?
こっちが本スレです
クリトリスチーナ・マツケンサンバ
>>74 そう言う事書くなら名前を大地真央にするとかコナカにするとか気を利かせろ!
76 :
通常の名無しさんの3倍:02/10/30 06:11 ID:cvQa9mWv
リンジー・マッケンジー 超巨乳
第6話
「ふう〜とえあえず必要なものは買ったかな・・・。」
クリスに頼まれたものを買い終えたアルは、自転車に乗り込んだ。
「さて・・・公園にでも行って考えるか・・・。」
考え事はもちろんクリスの事である。
アルは公園に向かって自転車を走らせた。
「キィ!」
自転車のブレーキ音が公園に鳴り響いた。
「よし・・・ここで、これからの事を考えよう・・・。」
そう言ってベンチに腰掛けた。
(考える前に、これまでの事を整理してみよう・・・。
クリスはバーニィに会うために、地球からわざわざサイド6まで来たんだ。
クリスの気持ちは、きっと本当なんだろうな・・・。
でも、もうバーニィはいないんだ。いったい、どうしたらいいんだろう。
「別のコロニーに行った」っていうのは、もうムリだし・・・それに、
クリスならホントに追いかけかねないからなぁ・・・。
・・・ん?そういえば一週間くらいで地球に帰るって言ってたな、よし!
それなら、一週間バーニィは仕事の出張に行ったって事にすれば・・・!)
「いける!」
アルは確信していた。クリスがバーニィに会えない理由として最適な選択
だと判断したのである。
「後は親の問題だな・・・。」
確かに、いくらアルが策を練ろうとも親とクリスが会ってしまったら、
すべては水泡に帰してしまう。
「クリスと親を会わせない為には、早く地球に帰ってもらうしかないな。」
(う〜ん、クリスがすぐに地球に帰らなきゃならない理由かぁ・・・。
バーニィに会えないからって、さっさと帰るワケないしなぁ。
・・・そうだ・・・おじさんが危篤ってことにすれば・・・クリスなら
飛んで地球に帰るだろうな。コスモメールの偽物を作って家のポストに
入れておけば、それっぽく見えそうだぞ・・・肝心の偽メールは、確か
テルコットの兄ちゃんが郵便局に勤めているから、なんとかなりそうだし、
あの兄ちゃんイタズラ好きだから付き合ってくれそうだ。)
「よぅし、この作戦でいこう。」
アルは郵便局に向かった。
「ウィィン」
郵便局の自動ドアを開け、アルはテルコットの兄の前にたった。
「テルコットの兄ちゃん!ちょっと頼みがあるんだけど・・・。」
アルはテルコットの兄の顔色を覗きながら言った。
「ん?おお、アルじゃないか。どうしたんだ?」
「ここじゃ、ちょっとアレだからさ。外で話したいんだけど。」
あたりを見渡しながら、小声でアルは喋る。
「外で?まぁ別にいいけどよ・・・」
そう言って二人は外に歩いていった。
「で?なんだよ、頼みって。」
「実はね、コスモメールの偽物を作って欲しいんだ。」
アルはさっぱりした感じで頼んだ。
「コスモメール?そりゃいいけどよ、なんに使うんだ?」
「イ・タ・ズ・ラに、決まってんじゃん。」
得意満面の笑みである。
「イタズラかぁ・・・よし!作ってやろう。俺に感謝しろよ。」
「うん!さすが、テルコットの兄者。話がわかるなぁ。」
アルはできるだけ、テルコットの兄を乗せようと必死だった。
「地球経由でいいんだな?・・・ようし、完璧だ。絶対にばれないぜ。」
「さっすがぁ!ありがとう!ホント最高だよ。」
気を変えられたら困るので、できるかぎり持ち上げておく。
「おう。今度、話聞かせろよな。」
「わかってるって。じゃーね。」
アルは文を書くため、郵便局の脇にあるワープロに偽メールを入れた。
「父さんが危篤です。すぐに帰ってきて。 母より。」
「こんな感じかな?あんまり長く書くとボロがでそうだし・・・。」
実際、偽メールとしては充分すぎるほどの出来だった。
いくらクリスが軍人だといってもこのメールを見破る事は出来ないだろう。
「よし・・・作戦は完璧だ・・・家に帰るか。」
自信に満ち溢れた表情のアルが、自転車をこぎ始めた。
ふと、自転車をこぎながらアルは思った。
(僕のやっている事は本当に正しいのかな?・・・クリスにとっては、
本当のことを言ったほうが、いいんじゃないかな?
今回はゴマかす事が出来ても、クリスはまたサイド6に来るかもしれない。
いない人をいつまでも思い続ける。それは悲しい事だな・・・・)
自己嫌悪に陥ってしまった。
これから一生クリスを騙す事になるのだから、無理もなかった。
「それでもいいさ。真実を言うよりは、ずっといいはずだよ。」
アルは自分に言い聞かせて、自転車のペダルを力いっぱい踏んだ。
人を思いやるウソならついてもいい、と勇気をだして家路を走った。
家では、クリスが床にビデオを落とした瞬間であった。
職人さんご苦労様です!
35 :般若の面 :02/10/30 14:58 ID:???
age
(´Д`;)ハァハァ
せつないのう。職人さんがんがれ。
85 :
夜:02/10/31 03:18 ID:???
0080のビデオが一巻500円で売っていたが買いかな?
全部で3,000円、一応スカパーで録画したのはあるんだけど
とうとうバーニの正体を知ってしまったクリスタソ。悲しいねぇ