逆行のシャア

その晩、ロランはなかなか寝付けなかった。
月の民と地球の民が、初めて歩み寄ろうとした席として、
歴史的なものとなる筈だった舞踏会はしかし、最悪の結果に終わった。
「ローラ・ローラ…か。」
自嘲するように呟く。
コルセットをはめ、化粧までして、あまつさえ女王の親衛隊長とダンスまで踊った。
自分の女装は、グエンやキエルらにしてみれば、地球人、しかも女性にもMSを操ることが出来る…という
月側へのアピールのためだったのだろう。

しかし、自分としては、既にお互いかなりのしこりができた月と地球双方の関係を解きほぐすためにも、
柔らかなイメージの女性、ローラとして現われた方が良いのでは…との考えもあって
この、少々突飛なアイデアも受け入れたのだ。
しかし、こんな結果になるとは…。
まるで道化だ。
そんな考えが頭の中で渦を巻く。
ロランは寝台の上で、闇の中の天井を見つめながら長い時間無力感を噛み締めていた。

「…？」
ふと不思議に思う。暗いので分かり難いが、視界が揺らめいている…しかしすぐに、自分の眼の中に涙が溜まっているせいだと気付いた。
「駄目だな…僕は。」
明日からもまたホワイトドールの機械人形の操縦者として働かなければならないだろう。
泣いていても仕様がない。眠らなくては…ロランはそう決心し、涙を追い出すように瞼をぎゅっと閉じた。


突然。世界が90度回転した。


「う、うわっ！」
完全に力を抜いていた体が、突然直立させられたような感覚。ロランは尻餅をついていた。

「ロラン！大丈夫か？ったく、月の六倍の重力、忘れて歩きだしたんだろ？」
眩しい。目を開けていられない。深夜の筈なのに、この明るさはなんなんだ。
その上この肌に感じられる暖かさは…日光？
誰か、複数の人間が近寄って来る気配がした。
「もう！せっかくお別れの雰囲気出してたのに…。」
苦笑混じりの、少女の声が聞こえて来る。
この声は…。ロランは、記憶の中から該当者を引っ張り出し、無意識にその名前を舌に乗せていた。

「フラン…なの？」
「…なーに？転んだとき土でも目に入ったの？…って言うかここには私たち三人しか居ないじゃない。」
それに答えて、こちらをからかうような声が聞こえる。そして、先程も聞こえた少年の声が続いた。
「まったく…しょうがないヤツだな。」
「キース…」
「ほら、いつまでへたってるんだ？立てよ。」
そう言って手を貸してくれる、さっきまでは確実に居なかったと断言できる友人の姿が
ロランの徐々に慣れてきた目に映った。
その手に掴まり、辺りを見回してみる…。

緑色の草が、褐色の土の上に広がる、なだらかな斜面。
当たり前だが、明らかに寝室ではない。見覚えのある風景だった。
「ローラーン！ぼうっとしてないで！そんなことじゃあ帰還が始まるまでの二年間、ちゃんと地球人として暮らせないわよ！」
親友の少女の声を聞きながら、ロランは混乱していた。
（？二年間？帰還はもい始まって…。）

「ま。ナノマシンが調整してくれたとはいえ、降りてすぐに地球人にはなれないさ。
必要な筋肉や肺活量だって違うわけだしな。
特にロランは候補生仲間の女の子達の中でも特に細っこい方だったから…。」
「あーら。それは私に対する皮肉かしら？」キースが軽口を言い、それにフランが噛み付く。かつて聞き慣れた筈の会話…。
しかし、ロランは何処かに違和感を感じた。「降りてすぐ」という所が一つ、しかしもう一つ、どこか…。
「ふーんだ。どうせ私は、ロランみたいに女らしくないわよ。」
「そういう意味じゃないって。」

もう一つの違和感の元を捕まえた。
恐る恐る。自分の体を見てみる。シャツ越しにも、胸が妙に膨らんでいるのがはっきりとわかる。
触ってみる。むにむに。柔らかい感触が伝わる。ある。
（ソシエお嬢様より大きいな…。こんな事言ったらひっぱたかれるだろうな…。）
無意識に現実逃避しようとしているのか、脳は変な感想を出力している。ロランはちょっと笑いたくなった。
手が下半身へと下がってゆく。
触ってみる。すかすか。空虚な感触が伝わる。っていうか触れていない。ない。


ロランはちょっと泣きたくなった。

グエンは喜ぶだろーか。それともホモだからガッカリ？

私はバイなのだよ。

test

他のスレで同じ事やってる奴が居た。
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/shar/1034438041/448-449

>>123
どーでもいいがなんで逆行のロランじゃなくて「妖精さん」なんだ（w

ロランは男でも女でもない、中性的な美を備えた、正に妖精とでも言うべき存在だから…ではないかな？

ロランに萌えるのって…いいの？マズいの？

月の妖精・フェアリーローラたんを知らない？
･･････これが若狭か。

若狭といえば原発、
いざとなれば私は核の使用の辞さない。

フェアリーロラン…佳い響きだ。

>>139
正確には
「若狭といえば敦賀、敦賀といえば原発よ、いざとなれば
わたしは核の使用も辞さない」
ですことよ

…なんでこんなマイナーネタに反応する;y=ｰ( ﾟдﾟ)･∵.　ﾀｰﾝ

>>129
オレがキールだったら、ロラン（女）が隣に居たら落ち着かないな〜。ぞくぞくしちゃうわねっ（小説版カイ風）。

オレは男でもロランならおちつかんが。キースえらいね。

キースとか鉱山で働いてた仲間はドキドキですよ。そりゃドキドキさ。

上半身裸で鉱山で働くロラソ。
仕事が終わり皆と一緒に水浴びするロラソ。
…確かに落ちつかん…ヤヴァイよ漏れ。