おにゃのこが改造されるシーン素体9人目

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352ダイレン
その後、カプセルから出された由美は渚と共に眠ってる間に記憶を操作された。
目が覚めた時、由美は自分のやるべき事をしっかりと認識して友達のいる集会場へと向かった。
「よく来たわね……No.9゙ビートル゙、No10.゙リーヂ」
渚はカブトムシのような強靭な盾と鋭い角のような剣を携えていた。
対して由美は、ヘランと垂れた皮膚を持って吸血するための口をもつヒルのような怪人に変わっていた。
「さあ、ジュニアショッカーガールズ……まずは意中の男の子でも襲ってみなさい」
そう言われた少女たちはそれぞれ別れていった。由美も人間の姿に戻って、もっとも気になる男の子の下へと歩いていった。

ピンポーン

朝早いというのに誰か来たらしい。健一は玄関に行ってみる。母親と父親は揃って出張だし、自分しかいない。
開けてみると、そこには由美が立っていた。
「由美ちゃん……どうしたの?」
「相談が……あるの……」
二階の自分の部屋まで上がると、なぜか健一はベッドを整理し始めた。自分でも何をしてるんだろう、と思いつつ。
広がる仮面ライダーに関する都市伝説雑誌も片づけていく。
「ごめんね……。実は仮面ライダーに助けられた事があるんだ……。そして知り合いになったんだ……そういえば相談って……」
振り向いた瞬間、健一に由美は抱きついた。しかし、それは由美であって由美ではない。
リーチと変貌した由美は健一の首筋から血を吸っていく。チュウチュウという生々しい音がする。
「ゆ……由美ちゃ……やめ……」
「………美味しいよ。健一君の……血……」
力を失っていく健一。パタリと倒れた所にリーチの口から血が垂れていた。
「……任務…完了……」

おわり……
353ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/28(木) 23:45:12 ID:A9nMQY/F0
>>344-352
ダイレンさんお疲れ様でした。
少女改造もいいものですね。
楽しかったです。
354ダイレン:2008/02/29(金) 00:04:23 ID:/vw5+iItO
ども。後書き遅れました

微エロ程度に抑えようかと思いつつ、ややエロになってしまいました
ゲテモノ怪人ばかりなのは、薔薇=花を引き立たせるための久遠寺による仕様です
久遠寺はTHE FIRSTの女幹部が正体ですね。この後の展開は特に考えてないですが、助かってほしいものです
355名無しより愛をこめて:2008/02/29(金) 14:34:51 ID:XDAO1sZ00
>>326
D級女優乙w
356ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:51:06 ID:curTHbHV0
ダイレン様のSSのあとですが、新作SSを投下させていただきます。
仮面ライダー第12話「殺人ヤモゲラス」をベースにしたSSですので、
大本の話を把握しておられると理解しやすいかもしれません。
357ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:52:32 ID:curTHbHV0
「ヤモゲリア」

ウィーンという甲高い金属音が響き渡る。
オレンジ色の光が、ケージの中のウサギに浴びせられる。
オレンジの光を浴びたウサギは一瞬もがき苦しんだかと思うと、見る間に白骨化していった。

「は、博士、これは・・・」
眼を輝かせる白衣の助手に対し、ライトを操作していた若い科学者の表情はさえなかった。
「恐ろしいものを作り上げてしまった・・・」
うつむきつぶやく若い科学者。
名を白川保(しらかわ たもつ)といい、白川光学研究所の所長として人類に新たなるエネルギー光を生み出すための研究を続けてきたのだった。
「このエネルギー光を発表すれば、博士の名は世界中にとどろきますね」
白川の苦悩をよそに、発明による名声を夢見る助手の柴田(しばた)。
白川の名が上がれば、彼の名もまた上がることは間違いないのだ。
あちこちから引く手あまたになるに違いない。
「いや、この研究は発表しない」
その思いに冷水を浴びせかけるような白川の言葉に、柴田は唖然とする。
「なぜです? これほどの大発明を発表しないと言うんですか?」
「これはあまりにも危険な光、そう、デンジャーライトだ。これを発表すれば、悪用する者も出てくるに違いない」
白川の脳裏には、過去戦争を防ぐためという名目で行われた数々の発明の、その後にたどった運命が鮮やかに描き出される。
このエネルギー光をそのような手段に使わせてはならない。
白川はそう決意して、この研究を発表しないことにしたのだった。
358ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:53:20 ID:curTHbHV0
「ですが博士、心血を注がれた研究を葬り去ることなどできますか?」
柴田は巧みに若い科学者の心をくすぐる。
ここまで来て研究が未発表になどなられてはたまらない。
「確かに・・・科学者にとって発明はわが子と同じ。葬り去ることなど・・・」
テーブルに手を着いてうなだれる白川。
「では、研究の成果をすべてマイクロフィルムに収め、それを厳重に保管してはいかがでしょう」
「うむ・・・それがいいかもしれん。早速マイクロフィルムに収めてしまっておこう」
白川はすぐさま今までの資料を集めてマイクロフィルムに撮影する。
そしてそのフィルムをポケットに収めると、資料をすべて焼き捨ててしまった。
「博士、そのフィルムはどこに隠すのですか?」
「それは・・・君にも言わないでおこう。知らなければ、誰かに訊かれても言うことができないだろうからね」
「そ、そうですね」
白川の笑みを苦々しく感じる柴田だった。

コンコンとノックの音が響く。
「お兄様、お茶が入りましたわ。柴田さんも休憩なさってください」
ドアを開けて若い女性が入ってくる。
手にはティーカップとポットが載ったトレイを載せ、可愛らしい笑顔を振りまいていた。
「やあ、ありがとう真知子(まちこ)」
「これはありがとうございます、真知子さん」
白川も柴田も笑顔を見せ、白川の妹真知子の淹れてくれたお茶に手を伸ばす。
この白川光学研究所は自宅も隣接しているので、時折こうして真知子が差し入れを持ってくるのだった。
「お兄様、あんまり無理なさらないでくださいね。柴田さんもですよ」
「あははは、大丈夫だよ。そんなに無理はしていないから」
「ええ、真知子さんが心配するには及びませんよ」
白川も柴田もこういう時間が一番ホッとする。
「そうかしら。夕べも遅くまで研究に勤しんでいたんでしょ。ほんとに無理しないでね」
「わかったわかった。気をつけるよ」
妹の言葉に、あらためてデンジャーライトを悪用させてはならないと決意する白川だった。

                         ******
359ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:55:13 ID:curTHbHV0
「やれやれ、参ったぞ。これではデンジャーライトの発表ができないじゃないか。どうしたものかなぁ・・・」
車を運転し、家路を急ぐ柴田。
明日以降どうやって白川をなだめすかしてデンジャーライトの発表をさせるかを考えなくてはならないのだ。
とりあえず家でゆっくりと考えをまとめねばと思い、車を走らせていたのだった。
ふと気が付くと、車の前後左右に黒尽くめの男たちが乗ったバイクが走っている。
「な、何だ? こいつら」
柴田は男たちの異様ないでたちに不気味さを覚えたが、それよりも前後左右を挟まれてしまったために、車の運転がやりづらくて仕方が無い。
「おい、君たち、どけたまえ」
窓から顔を出して男たちに声をかける柴田。
だが、男たちは柴田の車を挟み込んで進路を妨害し、スピードを落とさせて路肩に止めさせる。
「ど、どういうつもりだ?」
柴田は怒りを感じて車から降りる。
一言言ってやらないと気がすまない。
「君たち、危ないじゃないか」
柴田がそう言うと、バイクの男たちは一斉にヘルメットを取る。
「あっ」
柴田が驚いたことに、男たちは体にぴったりした黒い全身タイツというべきものを身にまとい、顔には目の周りだけを覆うアイマスクをかけてベレー帽をかぶり、腰には大きなバックルの付いたベルトを嵌めた姿で統一されていたのだ。
「な、何だ君たちは?」
「イーッ! われわれはショッカーの戦闘員だ。白川博士の助手柴田だな? 一緒に来てもらおう」
男たちはそう言うと、柴田の顔に何か液体を吹きかけた。
「ああっ」
思わず顔を抑える柴田。
やがて急速に意識が遠くなり、柴田は地面に倒れこむ。
「よし、連れて行くぞ」
男たちはうなずきあうと、柴田を抱え上げてバイクの後ろに乗せ、いっせいにその場を走り去っていく。
あとには柴田の車だけが残された。
360ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:55:59 ID:curTHbHV0
「こ、ここはどこだ?」
気が付いた柴田は、円形のベッドのようなものに手足を固定され寝かされていた。
周囲には彼をさらってきたような黒い全身タイツにアイマスクとベレー帽の男たちや、白衣をまとって顔に奇妙なペイントを施した男たちなどが立っている。
そして彼らの背後の壁には巨大なワシが翼を広げたレリーフが飾られ、その腹のところにランプと思われるものが付いていた。
「お、お前たち、俺をどうするつもりだ?」
柴田が自分のおかれた状況に戸惑っていると、壁のレリーフの腹部のランプが赤く輝き、重厚な声が響いてきた。
『白川博士の助手柴田よ。お前をこれよりわがショッカーの戦闘員に改造する。白川博士のデンジャーライトを手に入れるため働くのだ』
「な、何だって? そんなことはやめろ!」
固定された手足を動かしてもがいてはみるものの、柴田は身動きが取れない。
『改造を始めろ』
「イーッ!」
黒尽くめの男たちと白衣の男たちがうなずき、柴田に体にメスを入れる。
わずか一時間ほどで柴田はショッカーの戦闘員へと生まれ変わっていった。

                      ******

日本エネルギー学会での講演を終え、研究所に向かって車を走らせる白川。
デンジャーライトのことは今回の学会では伏せられたが、いろいろな科学者たちとの交流でデンジャーライトを平和活用できそうなことがわかったため、その改良にこれから励むつもりだった。
残念なのは、あの助手の柴田が姿を消してしまったことで、産業スパイや企業やくざなどによる誘拐も懸念されたものの、今のところその様子は無かった。
「まったく・・・どこへ行ったものやら」
「えっ? 何か言いましたか、博士?」
ハンドルを握る新たに雇った助手が白川の独り言を聞きつける。
「いや、なんでもない。そうだ、あの洋菓子店に寄ってくれ。妹にお土産を買っていく」
「わかりました」
助手は車を洋菓子店に寄せ、白川は妹の喜ぶ顔を想像しながら洋菓子店に入っていく。
その様子をあとをつけていた男たちがじっと見ていることに、白川は気づかなかった。
361ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:56:46 ID:curTHbHV0
「え〜と・・・どれがいいかしら・・・」
洋菓子店のショーケースの中のさまざまなケーキに目移りする若い女性。
ジーンズを穿いた腰に手を当てて、どれにしようかと楽しみながら迷っている。
戻ったらスナックアミーゴのみんなとお茶にするのだ。
藤兵衛さんはケーキよりも羊羹やどら焼きのほうがよさそうだけど、猛さんはケーキのほうが喜ぶわよね。
セミロングの髪の毛がつややかな彼女こそ、ショッカーと戦う改造人間本郷猛の協力者となった緑川ルリ子であった。

「ありがとうございました」
ルリ子が注文しようと顔を上げたとき、あとから入ってきたはずの若い男性がケーキの入った箱を手にして店を出るところだった。
どうやらルリ子が迷っているうちにさっさと買い物を済ませたらしい。
いけないいけない、迷いすぎたかしら・・・
ルリ子が店員に注文を告げようとしたとき、表で声が響いた。

「何をする!」
ルリ子が驚いて外を見ると、店先に止めた車に乗り込もうとした先ほどの男性が、黒ずくめの男たちに襲われているのが目に入る。
「ショッカーの戦闘員!」
見間違えるはずの無いその奇妙ないでたち。
一人は黒に大幅な赤い部分の広がった全身タイツをまとっている。
いずれもがアイマスクをかけベレー帽をかぶり、腰にはショッカーのエンブレムの付いたベルトをしているのだ。
ルリ子は注文も忘れて店の外に飛び出していった。
362ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:57:31 ID:curTHbHV0
「白川博士。俺のことを覚えているか?」
黒地に赤が広がった全身タイツの男が白川に詰め寄っている。
すでに運転をしていた助手は眠らされてしまっていた。
車に乗り込もうとしたところを襲われた白川は、左右をショッカーの戦闘員に押さえつけられ、身動きが取れなくされていた。
「俺はあんたの助手だった柴田だ。もっとも、今の俺はショッカーの戦闘員だがな」
口元に笑みを浮かべ、白川を見下したような目がアイマスクから覗いていた。
「し、柴田、貴様」
「デンジャーライトのマイクロフィルムはどこにある」
「知らん! 知っていても言うはずがないだろう!」
首を振る白川。
その目にそっと近づく一人の女性の姿が映る。
女性は人差し指を口元に立てて、何も言うなと示していた。
「ならばお前の体に直接訊くことにしよう。連れて行け!」
「「イーッ」」
かつての柴田だった赤戦闘員のもと、黒戦闘員たちが白川の両腕をつかんで連れて行こうとする。

「えいっ!」
いきなりルリ子の右手のチョップが赤戦闘員の首筋に振り下ろされる。
「ガッ!」
常人の約2倍のパワーを誇る赤戦闘員といえども、奇襲を受けてはなすすべもない。
その場にくず折れる赤戦闘員に、白川を確保していた二人の戦闘員も驚きを隠せなかった。
「ショッカーめ、その人を放しなさい! やぁっ!」
一瞬の隙を見逃さず、ルリ子は戦闘員の片方にキックをお見舞いする。
「グハッ!」
腹を押さえてもんどりうつショッカーの戦闘員。
白川はこの機を逃さずにもう片方の手を振りほどく。
「あっ、待て!」
振りほどかれた手を伸ばして白川を捕まえようとする戦闘員だったが、すぐにルリ子がその脇からチョップを見舞う。
地面に倒れこんだ戦闘員をあとにして、白川は車で、ルリ子はバイクでどうにかその場を逃げ出したのだった。
363ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:58:17 ID:curTHbHV0
「いやぁ、助かりました。奴らは一体何者なんですか? もと助手の柴田もいたようだったが」
後を追ってくる者もないとみた白川とルリ子は、しばらく車とバイクを走らせた後でようやく落ち着いた。
「奴らはショッカーといって、世界征服をたくらむ悪の組織の連中なんです」
赤いヘルメットを脱いで髪をかきあげるルリ子。
赤いライダージャケットにジーンズ姿のルリ子はとても活動的で美しい。
「ショッカー? そんな連中が? 信じられん・・・」
「私は緑川ルリ子といいます。ショッカーと戦う者の一人ですわ」
唖然としている白川にルリ子は自己紹介する。
「緑川さん? 私は白川光学研究所の白川と申します。危ないところを助かりました」
ルリ子は差し出された右手を取りがっちりと握手する。
「白川さん、奴らがこのまま引き下がるとは思えませんわ。ご自宅までお送りします」
「それはありがたい。お願いします」
ルリ子は白川にうなずくと、彼の車の後を走り出した。

                        ******

『愚か者!』
ワシのレリーフから重々しい声が響き渡り、白川をさらってくるという任務に失敗した戦闘員たちが打ちひしがれている。
『誘拐に失敗したばかりか、緑川ルリ子に感づかれてしまったではないか。こうなれば本郷猛が乗り出してくるのは時間の問題』
うなだれる戦闘員たち。
処刑の二文字が彼らの脳裏に浮かぶ。
『お前たちでは本郷猛には歯が立たん。白川博士誘拐には改造人間を用意するのだ』
「改造人間をですか?」
『そうだ。白川が最も心を許す存在、白川の妹の真知子を改造して白川を誘拐させるのだ』
「ははっ!」
戦闘員たちは生きながらえたことに安堵し、次こそは失敗しないよう肝に銘じるのだった。

                        ******
364ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 20:59:49 ID:curTHbHV0
「緑川さん、兄がお世話になりました」
ルリ子に丁寧に頭を下げる真知子。
たった一人の兄を助けてくれた恩人なのだ。
いくら礼を言っても言い足りないぐらいだ。
「ルリ子で結構よ真知子さん。たまたま通りかかったのがよかったわ」
「真知子、お茶を淹れてくれないか? ルリ子さんも飲んでいってください。真知子のお茶はおいしいですよ」
「そうね、お茶を淹れますわ」
真知子がにこやかに微笑みながら台所に向かう。
「あ、お構いなく。それよりも白川さん、ここでの研究が何かショッカーに狙われているのではないですか?」
ルリ子が疑念に思ったことを訊いてみた。
ショッカーが彼を狙うにはやはり理由があるだろう。
その理由がわかれば、猛さんと一緒に彼を守るにしても都合がいいのではないだろうか?
だが、ルリ子がその質問を口にした途端に白川の機嫌が悪くなる。
「そんなものがあるわけはない。狙われる心当たりなど・・・まったくない」
「そうですか・・・」
ルリ子はちょっと引っかかるものを感じたが、それ以上追求することもできずに口をつぐんだ。
「お茶が入りましたわ」
結局真知子がお茶を持ってきたことで話題も変わり、ルリ子は真知子と楽しい時間を過ごしたのだった。
365ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:07:34 ID:curTHbHV0
その後、ルリ子は本郷猛と打ち合わせるために白川光学研究所をいったん離れ、白川自身は研究のために研究所のほうに助手とともに篭りきりになったため、真知子は一人で自宅のほうで過ごしていた。
そんな折、真知子のいる自宅のほうに電話が入る。
「もしもし、白川ですが」
真知子が何の疑いも無く出てみると、以前白川の助手をしていた柴田からだった。
『真知子さんですか? 柴田です。お久しぶりです』
「まあ、柴田さん? 突然いらっしゃらなくなったので兄も私も心配しておりましたわ。お待ちくださいませ、兄と代わります」
真知子が電話を切り替えようとしたが、柴田はあわててそれをさえぎった。
『いや、その必要はありません。私は白川博士に合わせる顔がない。ですが、白川博士の研究に必要なあるものを手に入れることに成功したんです』
「あるものを?」
『そうです。それを博士にお渡ししたいのですが、博士は私とは会いたくないでしょう。ですから、真知子さんが受け取ってくれれば助かります。お会いできませんか?』
真知子は一瞬考えたものの、柴田とは面識もあるし、しばらく姿を見せなかったことで兄には会いづらいのだろうと思い、彼女が出向くことで了承した。
真知子は電話を切ると、出かけてくる旨をメモに残し、身支度を整えると家を出た。

「柴田さん、どこですか?」
タクシーを拾って柴田の指定した場所にやってきた真知子だったが、そこは郊外のさびしい場所で、人っ子一人いなかった。
「柴田さん。どこにいるのですか?」
しばらく辺りをうかがってみたものの、柴田の姿はどこにもない。
あきらめて帰ろうかと思ったとき、真知子の前に三人の男たちが現れる。
「ひっ」
男たちは全身をぴったりした全身タイツに包み、アイマスクをかけベレー帽をかぶっている。
着ている全身タイツは一人が黒地に赤が広がっており、他の二人は全身真っ黒だった。
「あ、あなた方は?」
「白川真知子、おとなしくしろ!」
男たちは逃げ出そうとした真知子を両側から押さえつける。
「い、いやぁっ! 放してぇ!」
真知子は必死に逃れようともがいたが、男に薬品を染み込ませたハンカチを鼻にあてられて、意識が遠くなってしまった。

                       ******
366ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:08:28 ID:curTHbHV0
ひんやりとした円形の台。
真知子が気が付くと、彼女は両手両足を固定され、その上に寝かされていた。
周りには、奇妙な装置類とともに、奇妙なペイントを顔に施した白衣の一団が立っており、不気味な眼差しで彼女を見つめている。
驚いたことに彼女は裸にされ、白いシーツ一枚だけが彼女の体を覆っていた。
「こ、ここはどこなんですか? 私をどうするつもりなんですか?」
絶望感に打ちひしがれながらも、真知子は必死にここから逃れることを考える。
おそらく彼らはルリ子さんが言っていた悪の一団に違いない。
兄の研究を狙って自分を誘拐したのだと真知子は考えたのだった。

『白川真知子。おまえはこれよりわがショッカーの誇る科学陣により、改造手術を受けるのだ』
突然静かだった室内に赤いランプが輝き、重々しい声が響いてくる。
「改造手術?」
それが何を意味するものかは真知子にはわからなかったが、病気でもないのに手術をされるなど不気味この上ない。
『そうだ。お前は誘拐暗殺を主任務とするヤモリの改造人間ヤモゲリアとなるのだ』
「ヤモリ? あの壁に張り付いたりするやつ?」
『そうだ。隠密活動には最適なのだ』
真知子はぞっとした。
ヤモリなんて見るのも気色悪い。
それを一体どうしようというのか?
とにかく何とかして逃げ出したかった。
「いやぁっ! いやですっ! 改造人間なんていやぁっ!」
手足をばたつかせてもがく真知子。
だが、がっちりと固定された手足ははずすことができない。
『改造を始めるのだ』
重々しい声に白衣の男たちがうなずく。
「いやぁっ!」
真知子の叫びもむなしく、麻酔薬をかがされてしまった真知子の意識は闇に沈むのだった。
367ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:09:18 ID:curTHbHV0
白衣の男たちはすぐに真知子の改造に取り掛かる。
毒々しい色をしたヤモリを緑色をした液体に溶かし、そのエキスを真知子の体に注入する。
すでに予備注射によって遺伝子の変化を受け入れるようにされていた真知子の細胞は、新たなヤモリの遺伝子を取り込んでまったく違うヒトヤモリへと変貌していくのだ。
さらにその変化を促すためのさまざまな色のライトが浴びせられ、真知子の体を刺激する。
「うう・・・ううう・・・助けて・・・お兄様・・・」
麻酔で意識がないにもかかわらず、真知子は新たな生命体への変貌に苦しんでいた。
やがて真知子の体には劇的な変化が現れる。
赤茶けた毒々しい色の細かなうろこがびっしりと体の表面を覆い始め、滑らかだった白い肌が赤黒い不気味なざらざらした皮膚へと変化していく。
腹部にはヤモリの腹と同じような節が作られ、形よく膨らんだ両の胸も赤茶けたうろこに覆われていく。
両腕もうろこが徐々に広がっていき、指先にはどこでも這い回ることのできるような吸盤とも言える器官が形成される。
両足は指先が消え、かかとがハイヒールのように伸びてブーツを履いたような形に整えられ、やはり赤茶けたうろこが全体を覆いつくす。
ショッカーの驚くべき科学力は、真知子をヒトとヤモリの融合した改造人間へと変えてしまったのだ。
そして変化は真知子の頭部にも及び、美しい黒髪はすべて抜け落ち、ぎょろりとした爬虫類の縦型の瞳を持つ目が形作られる。
赤茶けたうろこが頭の先まで覆いつくし、額の部分には触角のような突起が現れる。
口元部分は以前のままのなまめかしい唇が覗くものの、真知子の頭はすっかりヤモリの頭部と化していた。

白衣の男たちはさらに真知子の体を改造する。
人間とヤモリの融合した肉体をさらに補助機械で強化するのだ。
心肺機能を高め、筋肉や骨を強化する。
ただの若い女だった真知子は、こうして人間の数十倍の能力を持つ改造人間と作りかえられた。
368ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:10:11 ID:curTHbHV0
「肉体改造終了。これより脳改造を行う」
白衣の男たちがうなずきあう。
ショッカーの邪悪な思考を植えつけ、首領の意のままに動く改造人間とするための脳改造。
洗脳とコントロールチップ埋め込みによって、改造人間はショッカーに忠実な戦士となってしまうのだ。
真知子にも頭部の一部が切り開かれ、コントロールチップが埋め込まれる。
そして電気的洗脳が施され、思考を変えられていく。
純朴で優しい女性だった真知子は、ショッカーのためならなんでもする邪悪で残虐な悪魔の女改造人間となってしまったのだった。

『さあ起き上がれ。お前は忠実なヤモゲリアとなったのだ』
レリーフの発する声に従い、ゆっくりと体を起こすヤモゲリア。
全体のフォルムはやわらかい女性のラインだが、赤茶けたうろこが全身を覆う体はまさにヤモリそのものだ。
「うふふふふ・・・私はショッカーの改造人間ヤモゲリア。白川博士を誘拐し、デンジャーライトの秘密を手に入れてまいります」
レリーフに一礼をするヤモゲリア。
すでに彼女にとっては白川保は兄ではなくターゲットに過ぎなかった。

                      ******
369ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:11:06 ID:curTHbHV0
「ルリちゃん、どうしたんだい? 難しそうな顔をして」
スナックアミーゴのマスター立花藤兵衛が、何事かを悩んでいるような表情を浮かべたルリ子に声をかける。
「そういえば本郷さんも難しそうな顔をして、コーヒーを飲んだらすぐに出て行ってしまいましたね」
バーテンの史郎も本郷とルリ子がいつもと違うことが気になったようだ。
「白川さんはきっとショッカーが欲しがるような発明をしたに違いないわ」
ルリ子はそう結論付ける。
白川自身は認めていないものの、おそらく間違いは無いだろう。
「ルリ子さん!」
そのとき険しい表情をした白川自身がアミーゴに現われる。
「真知子が・・・真知子がいなくなったんです」
「何ですって?」
ルリ子は驚いた。

ルリ子はすぐに白川とともに研究所に向かう。
話によれば白川が気が付いたときには真知子さんはいなくなってしまっていたらしい。
どこかへ出かけるにしても、すでに丸一日も経っている。
おそらくショッカーが人質とするためにさらったのだろう。
ルリ子はそう考えていた。
370ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:11:57 ID:curTHbHV0
「真知子は・・・真知子はもう殺されてしまったのでは?」
青ざめている白川にルリ子は首を振る。
「白川さん、ショッカーはおそらく真知子さんを人質にして、あなたの発明を奪うつもりではないでしょうか? 何を発明したのか教えてください」
「・・・・・・」
白川はしばしためらったものの、やがてデンジャーライトのことを話し始めた。
「そのようなものが?」
ルリ子は驚いた。
確かにそのような発明ならばショッカーが狙うのもうなずける。
であれば、やはり真知子さんは発明と引き換えの人質に違いない。
「白川さん。きっと猛さんもショッカーの動きを追っているはず。ここはショッカーの出方を待ちましょう」
「ルリ子さん・・・わかりました」
白川もただうなずくしかできなかった。
371ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:12:48 ID:curTHbHV0
「うふふふふ・・・」
突然笑い声が響く。
「だ、誰だ?」
驚いて周囲を見回す白川。
室内が急に暗くなり、まるで夜になってしまったかのようだ。
「な、何だ?」
「気をつけて、ショッカーだわ」
ルリ子は白川をかばうように前に立つ。
「うふふふふ・・・その通り。白川博士、お迎えに参りましたわ」
上?
ルリ子は声の出所が上と気が付き顔を上げる。
「ひっ」
ルリ子の目に天井を這い回る巨大なヤモリが映し出される。
それはしなやかな美しさを持っており、改造の素体が女性であることがわかる。
巨大ヤモリはすっと床に降り立つと、ルリ子たちの前に立ちはだかった。
「ショッカーの改造人間ね」
「うふふふふ・・・私はショッカーの改造人間ヤモゲリア。白川博士を渡してもらうわ」
ルリ子は驚いた。
この怪人の声が聞き覚えがある声だったのだ。
「ま、まさか・・・あなたは真知子さんでは?」
「うふふふふ・・・ええ、私は改造される前は白川真知子という名前の女だったわ。でも、今の私はヤモゲリア。真知子などという名前で呼ばないでほしいものね」
ヤモゲリアの口元に冷たい笑みが浮かぶ。
「な、何と言うことだ・・・真知子、本当に真知子なのか?」
「お黙り! 白川博士、デンジャーライトの秘密を教えてもらうわ。私と一緒に来るのよ」
ルリ子の背後にいる白川に向かって手を伸ばすヤモゲリア。
「ヤアッ!」
ルリ子はその腕をチョップで叩き落す。
悲しむべきことだが、もう彼女は優しい真知子さんではないのだ。
白川博士を渡すわけには行かない。
猛さんが来るまでは何としても・・・
ルリ子はキッとヤモゲリアをにらみつけた。
372ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:13:37 ID:curTHbHV0
「うふふふふ・・・さすがは緑川の娘。素体としても申し分ないわ」
「素体ですって?」
ルリ子が更なるパンチを繰り出そうとしたとき、ヤモゲリアの口から白い泡が吹きかけられる。
「ああっ」
ルリ子が身をかばおうとしたのもすでに遅く、ルリ子の体は白い泡に包まれてしまう。
泡はみるみるうちに固まって、ルリ子の体はまるで白い繭に包まれたような形になってしまった。
しまった・・・動けないわ・・・
泡に固められてしまったルリ子は唇を噛み締めるが、もはやどうしようもなかった。
「うふふふふ・・・そこでおとなしくしているのね。さあ、白川博士、お前もよ」
ヤモゲリアは再び口から泡を吹き、白川の体に吹きかけた。
「うわぁっ」
白川もすぐに白い泡に固められ、人間の形をした繭になる。
「これでいいわ。連れて行きなさい」
「「イーッ!」」
いつの間にか現れた戦闘員たちの手によって、二人の体を包んだ繭が運び出されていく。
猛さん・・・助けて・・・
ルリ子は本郷が助けに来てくれることを祈ったが、残念なことにその願いは叶わなかった。

                         ******

いつの間にか気を失っていたらしい。
ルリ子が気が付くと、そこは薄暗い室内だった。
しかも両手両足は固定され、裸にシーツ一枚をかけられた状態で寝かされている。
なんてこと・・・ここはおそらくショッカーのアジトだわ・・・何とかして逃げ出さなきゃ・・・
ルリ子は何とかして逃れようと手足を動かしてみるが、やはり固定された手足は簡単には外れない。
やがて、ルリ子がガチャガチャとやっていたことに気づいたのか、戦闘員を従えたヤモゲリアが現れた。
373ショッカー代理人 ◆cVfFrJRnOU :2008/02/29(金) 21:14:30 ID:curTHbHV0
「逃げようとしても無駄よ、緑川ルリ子。お前も間もなくわがショッカーの改造手術を受けることになるの。すでに予備注射がお前の体には打たれたわ」
「改造? 私もショッカーの改造人間にするつもりなのね? 白川さんはどうしたの?」
ルリ子は何とか脱出の機会をうかがうべく話を引き伸ばす。
かすかな望みだが、今頃は本郷猛が自分を探してくれているかもしれないのだ。
何とか時間を稼いでおきたかった。
「うふふふふ・・・あの男ならほら」
ヤモゲリアが一画を指差す。
ルリ子はその指差す方向に目をやり、そしてすぐに目をそらした。
そこには、いすに固定された白川が、頭蓋骨を切り開かれて脳がむき出しになっており、その脳にさまざまな電極やコードがつなげられている状態だったのだ。
あれでは生きているのかもしれないが、死んだも同然だろう。
「あの男の脳から直接データを引き出しているのよ。これでデンジャーライトの秘密はわがショッカーのもの」
「なんてことを・・・あなたのお兄さんじゃない」
「兄? あんな男が私の兄ですって? うふふふふ・・・私はショッカーの改造人間ヤモゲリアよ。下等な人間などを兄と呼べるはずが無いじゃない」
口元に手の甲を当てて笑うヤモゲリア。
もはや白川に対する肉親の愛情など感じられない。
「ああ・・・なんて恐ろしいの。ショッカーは悪魔だわ」
思わず目を伏せるルリ子。
あの優しそうな真知子がこんな怪人になってしまうなんて・・・