―――不幸にして幸運なる参加者達をここに記す。
【555】4/5
○乾巧/○草加雅人/●園田真理/○影山冴子/○北崎
【カブト】5/5
○天道総司/○加賀美新/○日下部ひより/○矢車想/○神代剣
【ブレイド】3/5
●剣崎一真/○橘朔也/○上条睦月/○キング/●伊坂
【龍騎】4/5
○城戸真司/○秋山蓮/○北岡秀一/○浅倉威/●佐野満
【アギト】5/5
○津上翔一/○氷川誠/○小沢澄子○/木野薫○/水のエル
【RX】5/5
○南光太郎/○霞のジョー/○シャドームーン/○グランザイラス/○ジャーク将軍
【響鬼】3/5
○日高仁志/●佐伯栄/●財津原蔵王丸/○安達明日夢/○天美あきら
【ZO&J】5/5
○麻生勝/○瀬川耕司/○望月博士/○ガライ/○ドラス
【ストロンガー】2/5
○城茂/●岬ユリ子/●立花藤兵衛/○ジェネラルシャドウ/●マシーン大元帥
【V3】4/5
○風見志郎/○結城丈二/●珠純子/○ドクトルG/○ヨロイ元帥
【ジョーカー】
○相川始/○リュウガ
残り―――42名
ルールは唯一にして絶対―――自分以外は全て敵である。皆殺しにしろ。
【能力の制限について】
超人的なプレイヤーは能力を制限される。 また、超技術の武器についても同様である。
※体術や技術、身体的な能力について:原作でどんなに強くても、現実のスペシャリストレベルまで能力を落とす。
※魔法や超能力等の超常的な能力と超技術の武器について:効果や破壊力を対個人兵器のレベルまで落とす。
不死身もしくはそれに類する能力について:不死身→致命傷を受けにくい、超回復→高い治癒能力
変身制限時間は10分。解除後2時間変身不可。(オルフェノク・上級アンデッドを含む)
トレーラー以外の乗り物は全て使用不可。一般の車などは可。
リモートによる復活は10分のみ。その後カードに戻る。
ディスクアニマルの活動範囲は半径100mまで。
契約モンスターの活動時間は1分。その後2時間は使用不可。
神崎の目的は優勝者の命を捧げての妹の復活(描写あると良いかも)
首輪により能力が制限(別記参照)されている。
変身アイテムの支給は本人以外不可。物理的に可能ならば、一般人が既存の変身アイテムを使うことは可能
(例/明日夢がカイザ等)
【首輪と禁止エリア】
参加者は全員、神崎によって首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、その参加者は死ぬ。
この首輪は参加者の生死を常に判断し、神崎に参加者の生死と現在位置のデータを送っている。
また、参加者には説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は全て筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。
・定期放送で指定した禁止エリア内に、参加者が入ったとき。(首輪が自動で爆発)
・首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
・一週間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
・参加者が、神崎に不利益な行動をとろうとしたとき(神崎本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)
【放送】
放送は6時間ごとに行われる。
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」 禁止エリアは一度の放送で3区画ずつ(2時間ごとに1区画ずつ)増えていく。
―――これは、物語を記す者の為のルールである。
・予約(仮)
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
期間:予約当日から1週間。予約期間後は、他の人が投下してもOKです。
途中報告:2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回、進行を報告してください。
予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
また、ひとりリレーを防ぐため、投下した書き手は投下終了から二十四時間一切予約禁止、
投下作品に出たキャラは更に百二十時間禁止
・トリップ
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。
・投下宣言
投稿段階で被るのを防ぐため、投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。
・キャラクターの参加時間軸
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。
・ステータス
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表すステータスを書いてください。
テンプレは↓
【キャラクター名】
【○○日目 現時刻】
【現在地】
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
複数可、書くときは優先順位の高い順に)
最後に、このスレについての基本的なルールを告げる。
第1条/キャラの死、扱いは皆平等
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない
第6条/他人の名を騙らない
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)
―――以上だ。さあ、語るべき言葉を持つ者は書き連ね、持たぬ者は読み進めるがいい。
―――それのみが、この冷酷な世界を動かす力なのだから。
投下します。
ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
突如、静寂を切り裂き、緊張感のない音が地を駆ける。
メモに書いてあった提示放送というやつか。ガライは瞬時に理解し、眼を閉じ、耳を澄ます。
死亡者、禁止エリア、優勝者の権利、放送された内容の全てを脳に刻み込む。やがて放送の全てが終わり、場に静寂が戻ると、ガライは眼を見開いた。
「ヨロイ元帥の名がない。壊れなかったということか」
ガライは開始早々、拳を交えた生き物を思い出す。この星でいう甲殻類のような姿に身を変える生き物を。そして、自分に手傷を負わせた生き物を。
「下等な生き物の分際で」
傷が疼く。常に静かな水面のようなガライの心に、僅かだが波紋が生じる。その波紋は怒り。
ガライは踵を返すと、来た道を戻っていった。
一方、件のヨロイ元帥はというと……
「ぐがー、ぐごー」
大いびきをかいて、寝ていた。
「ああっ、うるさい。なんなのこの男、痛そうな顔して苦しんでたと思ったらこれなんて」
「仕方ないでしょ、小沢さん。小沢さんがその……股間なんて蹴るから、また気絶しちゃって。やっと落ち着いたんですから、我慢しましょうよ」
数分までは痛みに顔を歪め、苦しんでいたヨロイ元帥だったが、痛みが治まると同時に今度は大いびきをかきはじめたのだった。
正直、真司もこの大音量は勘弁して欲しかったが、ひとつだけ利点があった。
「でも、もう6人も死んじゃったんですね」
「そうね……」
先程の放送を聞き、たった6時間で6人もの死者が出たショック。それが多少紛れることだった。
真司は歯痒かった。市街地に行くことは自殺行為という小沢の言いたいことはわかる。
だが、それでも、それでも誰かを救える可能性があるのなら行くべきではないだろうか。
「城戸くん、また市街地に行こうって考えてるでしょ。駄目よ、今はまだ戦力を集めるのが先決よ」
城戸の考えを見抜いたのか、小沢は叱責する。その言葉に城戸の心は大きく揺れた。
「でも、だからといって、このままじゃ犠牲者が増える一方じゃないですか!」
思わず感情的になり、大声を出してしまう。小沢の言っていることは理屈では正しい。正しいが、納得することができない。
「今のあなたが行ってもその犠牲者のひとりになるだけ。次の放送で自分の名前が流れることになるのよ!」
「………」
「………」
沈黙。お互いにお互いの言い分はわかる。だが、だからこそ自分の考えを譲ることはできない。
「………」
「………」
更に沈黙が続く。だが、沈黙を破るその声が状況を一転させた。
『みんなぁ! 殺し合いなんてもうやめてー!!』
「なんだこの声」
最初は放送かと思った。だが、その声が語る内容を聞く内にそれが異なるものだと気付く。
誰かが呼びかけてるんだ。戦いを止めようとする誰かが。
『私たちは力を合わせて、ここから脱出しなくちゃいけないんだよ!殺し合ったって帰れるわけが無いよ!
そして何も力が無くて脅えている人!私もそうだった!でも、危ないとき何度も助けてくれた救世主がいる!
私の夢を守ってくれた巧、ファイズがいる!私を助けてくれた麻生さん、仮面ライダーがいる!』
仮面ライダー
そうだ、俺は……
『仮面ライダーは……闇を切り裂いて、光をもたらす!こんな殺し合い、ぶっ壊してくれるから、脅えないで自分と戦って!』
俺は……
『私たちにあるのは闇だけじゃない! 希望だっていっぱいある!だから、強く!正しく生きて!諦めないで!みんなぁーーー!!』
誰かを守るために仮面ライダーになったんだ!
「小沢さん、やっぱり俺いきます」
「駄目よ、城戸くん。今行ったら……」
パン!
続いていた放送から、突然、女の子の声が途切れたかと思うと銃声のような音がする。
もはや一刻の猶予もない。
「すいません、小沢さん」
真司はそう言うと、女の子の声が聞こえる方向へと駆け出していった。
「待ちなさい!」
小沢の制止の声はもう届いていなかった。
あの子、馬鹿だわ。
たぶん、ここからではいくら急いでも間に合わない。それにあの声を聞いて、集まるのが善人ばかりとは限らないのだ。むしろ集まってくるのは殺人者の方が多い。
だけど……きっと……あの子の方が正しい。
こんな状況だというのに、自分の身の危険より、他人の身を心配する。そうそうできることではない。
「仕方ないわね」
小沢は荷物をまとめ始める。
「あの子のようなブレーキがない子には誰かが付いていないと」
真司を追おう。そして、彼と一緒に生き残る。
自分と真司が忘れていったふたつのディパックを携え、右腕にはマシンガンブレードを装着する。
それにしても真司のディパックは重い。一体何が入っているのか、小沢は中身を確認する。
「これは」
それは小沢には見覚えのあるものだった。これを利用すれば……
「ぐがー」
相変わらず続くヨロイ元帥の大いびきに小沢の思考が中断される。
「いつまで寝てるのよ」
「ぐげっ」
ヨロイ元帥の股間に、本日二度目となる蹴りが突き刺さった。
「おざ……わ、き、さま〜!」
「はいはい、いつまでも痛がってないで行くわよ。それぐらい根性でなんとかしなさい」
本当は放置しても良かったのだが、さすがにそれは目覚めが悪い。仕方なく連れていくことにする。
小沢とヨロイ元帥は連れ立って廃屋を出た。だが、それと同時に突如、紐のようなものが小沢の足元へと絡みついた。
「なっ」
凄まじい力でひっぱられ、小沢の身体が宙を舞う。そして、悲鳴を上げる間もなく、地面へと叩き付けられた。
「がっ!」
全身に広がる鈍い痛み。一体何がと小沢は痛みを堪え、顔を上げる。そこには白の体色をしたコブラの怪人が立っていた。
「ア、アンノウン?」
「ふん、違ったか」
コブラ怪人―ガライは小沢を一瞥すると、ヨロイ元帥へと視線を向ける。
「貴様は!」
「生きていたとは、この星の生き物にしては丈夫だな。だが、すぐに壊してやる。今度は粉々にしてな」
「ぬぅぅぅ」
ヨロイ元帥は焦っていた。ガライには一度負けている。復讐して、雪辱を遂げたいところではあるが、傷も回復しておらず、盾となる城戸も小沢も手元にはいない。
逃げるしかあるまい。だが、この状況で逃げられるか?
「壊れろ」
ガライは剣を構え、こちらへと向かってくる。
「ウーラー!」
気合一閃、赤い甲羅を持つザリガニの怪人へと姿を変え、その甲羅で剣を防ぐ。
「ヌッ」
そして、そのまま剣を弾くと振り向きざまに右手の鋏を振るった。
「ウーラー!」
だが、ガライはいつの間に装備したのか、左手に握った装甲声刃でその鋏を防ぐと、続けて、右手の剣でザリガーナの腹を切り裂く。
「ガァァ!」
やはり強い。近接戦闘では勝ち目はない。だが、遠距離戦ではあの三叉の爪が。ええい、已むを得ん。
ザリガーナはバックジャンプで間合いを取ると、背負っていた甲羅を外した。
「こうなったら奥の手だ。必殺、甲羅崩し!」
掛け声と共にザリガーナは外した甲羅を足で割ると、それをガライへと投げつける。ガライはその行動に戸惑いながらも剣でひとつひとつを弾いていく。
「はっはっはっ、どうだ!どうだ!」
一見、自棄になったようだが、ヨロイ元帥には考えがあった。痺れを切らし、ガライが三叉の爪を使った時を狙って、撤退する。
三叉の爪を使うには一時的な溜めがあった。恐らく連発はできない。三叉の爪さえ避ければ、逃げ切れる。
やがて甲羅が尽きる。ガライは両手に持った剣を投げ捨てると、右手の掌を掲げた。
さあ、来い!
ザシュ!
今まで何度も聞いた刃が肉に突き刺さる独特の音がする。いつ聞いても心地よい音だ。
だが、どこから聞こえてきたのだろうか?どこから??俺の身体から???
「あべべべっ!」
ザリガーナの左胸には刃が深々と突き刺さっていた。それはヨロイ元帥が不要のものと捨てたマシンガンブレードのブレード部だった。
「ふぇ、ふぇいんとぉだとぉ」
ガライは右手の掌をヨロイ元帥へと向けたと同時に、左手で回収したブレード部を投げたのだ。
ふたつの剣を投げ捨てたのもブラフ。ヨロイ元帥の考えを読み取ったわけではない。だが、ガライは本能的にその壊し方を取ったのだ。
「馬鹿な、俺が!俺が!」
既にザリガーナへの変身は解け、ヨロイ元帥の姿へと戻っていた。
ガライは再びふたつの剣を拾うと止めを刺すべく、ヨロイ元帥へと迫る。
「首領!しゅりょう!たすけてくでぇ!」
バラララッ!
剣を振り上げたガライに無数の銃弾が降り注いだ。
「……女か」
ガライが振り向くとそこにはガライとの距離を充分にとり、マシンガンブレードを構えた小沢がいた。
「やめなさい。例えそんな奴でも命乞いをしている奴を殺そうとするなんていい趣味とはいえないわ」
「ふん。ならばお前から壊すだけだ」
弾を次々と放つ小沢だったが、ガライは攻撃を読みきっており、まったく当たらない。一度、受けた武器だ。その能力はもう把握している。
ガライはじわじわと小沢との間合いを詰めていく。やがて、カチッ、カチッという音と共に弾が尽きた。
「くぅ、根性ないわね」
機械に根性もないと思うが、最後のあがきと言わんばかりにマシンガンブレードそのものを投げた。
避けるまでもないということか、ガライは正面からそれを受ける。だが、それは小沢の狙い通りの行動だった。
「吹っ飛びなさい」
小沢は力を振り絞り、思いっきりその場から飛んだ。
ドガン!
途端、爆音と共に炎が舞い上がる。舞い上がった炎は辺り一面を焼き払い、廃屋は瓦礫と化した。
「はぁ、はぁ、やったわ。やっぱり気合と根性よね」
真司の支給品は自分が開発したGX−05ケルベロス。一応当たりの部類に入る支給品だろうが、これを使ったときに受ける反動はとても普通の人間が耐えられるものではない。
だが、それが小沢の手に渡ったのは幸運だった。その構造を知り尽くした小沢には、本来の使い方は出来なくても、別の使い方はできる。
GX−05に内臓されているGXランチャー用の弾、GX弾。これに導火線となるものを付け、発火させることができれば、立派な爆弾となりうる。
小沢はマシンガンブレードの駆動部を利用し、発火させたのだった。
「本当は氷川くんのために残しておきたかったけど、まあ、しょうがないか。ヨロイ元帥は……」
小沢は辺りを見回すが、ヨロイ元帥の姿はない。一応、爆心地から離そうと、ガライをおびき寄せたが、それでも爆発の被害にはあってしまったのだろう。
「短い付き合いだったわね。もし生きてたら……」
いや、あの手の奴にろくな奴はいない。甲羅崩しという技もセンスが最悪だった。
「生きてても、もう会いたくないわね。さてと、城戸くんを追いますか!」
小沢は支給品を回収し、全身に痛みを感じながらも、気合と根性でそれをカバーし、歩み始めた。
「ぐっ」
小沢がそこを離れてしばらく経った頃、ガライは意識を取り戻す。ガライの身体は爆炎に焼かれ、爛れながらもその原型を留めていた。
なぜか人間の姿に戻っており、満足に動けないが、それでも致命傷にはなっていなかった。恐るべきはフォッグの生命力である。
「ふはっ、ふはっ、いい様だな」
その声にガライが顔を上げると、同じくボロボロになりながらもヨロイ元帥が立っていた。右手には先程ガライが突き刺したブレードが握られている。そして、その胸からは血がドクドクと流れ出ていた。
「よ、ヨロイ軍団の名はだだだ伊達ではないわ」
確かに爆発のダメージはヨロイ元帥にもあるもののガライほどではなく、胸の傷も致命傷にはなっていないようであった。しかし、その精神は……
壊れたか。やはりこの星の生き物は脆い。だが、俺もここで壊れる。
ヨロイ元帥は笑いながらゆっくりとブレードを振り上げる。
所詮、俺もこいつらと同じ、脆弱な生き物だったというわけか。ガライは自分の死を受け入れ、眼を閉じた。
違う。
心のどこかで声が聞こえる。
俺はこいつらとは違う。
心に大きなうねりを感じる。
俺はマザーの息子であり、すべての生き物の絶対的な支配者。
ガライの心に生まれようとしているもの。ガライの心に今までなかったもの。それは生き物ならば、本来必ずもっているもの。
他者を犠牲にしても、他者の心を貪っても、生きようとする心。純粋なる生存本能。
俺は壊れない!!!!!!!!!!!!!!
ガライは眼をかっと見開くと、左手でそれを受け止めた。
「ぬぅぅぅぅ、死ね死ね死ねぇぇぇ」
泡を吹き、血を噴き出させながらも右手に力を込めるヨロイ元帥。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
同じく、血を滲ませながら左手に力を込めるガライ。
互いが互いの生存を賭け、残り全ての力を刃へと注いだ。
ヨロイ元帥はガライを殺すことに集中し、ガライはヨロイ元帥を殺すことに集中した。
だからだろうか、ガライはその瞬間、ヨロイ元帥の頭が突然なくなったように見えた。
ズバッ
そんな音と共にヨロイ元帥の首は切断され、地面へと転がる。
「お、お、お、おれのくびぃとからだがぁ」
ガライは呆気にとられる。ヨロイ元帥の後ろにはいつの間にか大刀を持った金色の戦士が立っていた。
ヨロイ元帥の首を切断したその大刀の主は、転がったヨロイ元帥の首へと脚を掛ける。
「や、やめぇ」
「ふん」
命乞いの言葉を聞くまでもなく、足元にあったヨロイ元帥の頭は粉々に粉砕された。飛び散った血と脳はまるでトマトの果肉のように見えた。
頭という主を失い、ヨロイ元帥の身体もゆっくりと大地へと崩れ去る。
「ふふっ、手酷くやられたものだな」
「お前は何者だ」
ガライの問いに金色の戦士は厳かに答えた。
「余の名は……ジャーク」
ジャーク。一目で只者ではないとわかる。この地球上に存在する脆弱な生き物とはまるで違う。
ただ立っているだけで漂うその気品とオーラ。気圧されているのかこの俺が。
今までガライは恐怖など感じたことはなかった。だが、先程生まれた純粋な生存本能はそれと同時に自分の身を脅かす危険への恐怖も生んでいた。
「そちの名はなんという」
「ガライ」
言われるがままにガライは自分の名を名乗る。素直に名乗ったころが嬉しかったのか、ジャーク将軍はにやりと笑うと言葉を続けた。
「ふむ。ガライよ、余と組まぬか?」
その言葉にガライは疑問を抱く。一体なんのつもりだ。この儀式では生き残れるのはたったひとり。
自分以外は全て壊さなければいけないのがこの儀式の決まりごとのはず。今、自分は重症を負い、止めをさす絶好の好機のはず。
「何のつもりだ?」
当然、その疑問を口に出す。
「そちはこの殺し合いになんの意味があると思っておる。最初は余も自分こそが最強と信じ、この殺し合いに乗ろうとした。
しかし、ちょこざいなことにこの首輪は余の力を制限しておる。全力を出せる時間はわずか10分、しかも、その後2時間は本来の力が発揮できん。
確かにこれを利用すればどんな相手でも倒すことが可能だ。ひとりが戦って時間を消費させ、もうひとりが止めをさせばいいわけだからな。
だが、そのことは同時に神崎士郎が絶対的な強者を求めているわけではないことがわかる。
奴にとってはどういう方法で生き残ろうとも関係ない、ただ生き残ったという事実のみが大切なのだ」
生き残ったという事実を求めている。その推測は荒唐無稽のように思えた。だが、ガライには理解できた。
一見意味のないことでもそのもの事態に意味があるのではなく、その行為に意味があるもの。つまり……
「贄を選ぶための儀式というわけか」
「ふっ、その通りだ。この戦いで生き残るためにはあやつを倒すしかないというわけよ」
ガライは考える。ジャーク将軍の考えに証拠があるわけではないが、そんなもの神崎士郎に直接問いたださなければわかるはずもない。
重要なのは今、自分の命がジャーク将軍の判断に委ねられているということだ。本来ならば誇り高きフォッグの王子たる自分がどうな状況であろうとも話に乗ることなどない。
だが、生への執念がガライの考えを変える。なんとしてでも生き残る。
「いいだろう、ジャーク。お前と組もう」
「理解が早くて助かる」
そう言うと同時にジャーク将軍はジャークミドラーへの変身を解く。ジャークなりの信頼の証ということだろうか。
「それでこれからどうする」
「考えておる」
ジャーク将軍はディパックから地図を出すと地面へと広げる。
「余たちはあと2時間、戦うことができない。だが、丁度いいタイミングで囮が出来てくれた。
先程の女の断末魔、あれはこの戦いを止めようとする甘ちょろい考えの持ち主と相手を殺すことしか頭にない脳なし連中を呼び寄せる。
その二組が出会えばおのずと戦闘になり、何人かが死ぬ。死にたい奴らは放っておけばよい。
そこで余たちはそいつらとの遭遇を避けるため、Jエリアから回り、途中H10エリアでお宝とやらを回収した後、D10エリアへと向かう。
今はまだ戦う必要はない。そこで1日、時が過ぎるのを待つ」
あの放送はかなり北の方から聞こえた。確かに最南端を通っていけば、遭遇する確率は格段に低くなるだろう。
それに知恵が回り、この放送に乗らなかった参加者なら、交渉の余地も充分にある。
グランザイラスが市街地にいることを知り、なおかつ、乾、天道といった"仮面ライダー"と拳を交えたジャーク将軍が導き出した戦略であった。
そして、D10エリアに向かうと判断したわけ。それはジャーク将軍の支給品にあった。
ジャーク将軍の支給品は地図。だが、ただの地図ではない。その地図には各種のトラップの位置、発動時間、発動条件をはじめ、小屋や廃屋のなど地図に記載されていない家奥の位置。Gトレーラーなどランダムに放置されているものの位置が記載されていた。
Gトレーラーがどのようなものか知らんがわざわざ記載されているものだ、損なものではあるまい。それにある場所は洞窟、身を隠すにはもってこいだ。
「おっと、これを忘れてはいかんな」
ジャーク将軍は杖でヨロイ元帥から外れた首輪を取る。
「ふむ、丈夫に出来ておる。かなりの衝撃を与えても、無理やり外そうとしなければ爆発しないと見えるな。さて、行くとするか」
ジャーク将軍はガライを従え、歩きだす。クライシス帝国の最高司令官の名に相応しく悠々と。
だが、ジャーク将軍は知らない。首輪には盗聴機能があり、今の会話の全てが神崎に聞かれていることを。
首輪を解除する鍵を手に入れたとき、ジャーク将軍の命は終わる。
【ヨロイ元帥 死亡】
残り41人
【ガライ@仮面ライダーJ】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:海岸J-3】
[時間軸]:本編開始前
[状態]:大火傷。だが、歩くことは可能。
[装備]:剣、装甲声刃@響鬼
[道具]:ラウズカード(スペードのJとQ、ダイヤの3とQ、クラブの3と4)
[思考・状況]
1:どんな手を使っても生き残る。
2:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:海岸H-3】
[時間軸]:47,8話前後。優衣が消えたことは知っています。
[状態]:健康。真理の放送にかなり感傷的に。冷静な思考力を失っています。
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ひとりでも多くの人を助けるため、市街地に向かう。
2:戦いを絶対に止める。
3:蓮たちを探す。
【小沢澄子@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:海岸I-3】
[時間軸]:G3-X完成辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。相変わらず沈着冷静。
[装備]:精巧に出来たモデルガン。
[道具]:カイザポインター、GX−05ケルベロス(但し、GX弾は消費)
[思考・状況]
1:城戸を追い、もう一度、行動を共にする。
2:脱出の方法を考える、首輪の解析(道具と仕組みさえ分かれば分解出来ると考えています)
3:氷川誠、津上翔一と合流する。
【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:海岸J-3】
【時間軸】ジャークミドラに改造後
【状態】若干の負傷。
【装備】杖、変身後は大刀
【道具】不明(グランザイラスにもらったもの)。ネタばれ地図。
【思考・状況】
1:首輪の解析と勝ち残るための仲間探し。とりあえず無駄な戦いは避け、アイテム回収後、Gトレーラーへ。
2:神崎士郎を殺し、脱出する。
3:RXを殺す。
z
投下終了。
誤字、脱字、指摘事項があればお願いします。
色々な都合により、まとめサイトの更新は3月17日の夜に。。。
では、おやすみなさい。
投下&スレ立て乙。
そしてGJ!
ヨ、ヨロイ元帥ぃぃぃぃ!!
まあ、奴らしい死に方でした。奥の手も使うのに吹いた。
真司の暴走、小沢さんの追跡は二人に何をもたらすのか気になりました。ブラボー!
投下お疲れ様でした。そして超GJ!
味が有って面白い奴でしたね…ヨロイ元帥は。真司、小沢さんもこれからが気になる展開で素晴らしいです。
今後も期待!
私の方も書き上がったのですが、投下は明日にした方が良いかもしれませんね。
投下乙
まさか、このロワで「甲羅崩し」が見られるとはwww
ジャーク将軍の、名に恥じない悠然とした態度がいい感じです
逆に、超然としていたガライが徐々に生々しくなってきたのも面白いですね
GJ!
こちらにも報告。
避難所に投下終了致しました。
指摘等ありましたら宜しくお願いします。
相変わらずの駄文、失礼致しました。
GJ!
加賀美。。
ハイパーフォームになって、明日夢を守ったけど・・・。
ステータスの後に話を続けたのもよかったです。
ガタックゼクター・・・・・。
もう一度GJ!
二つとも熱い熱い熱すぎるゼッ!GJッ!
ただ、パーゼクを運ばせるのはちょっと……
どの道明日夢か剣が回収すると思いますし、丸一日もガタックゼクターが拘束されるのは……
……そしてケタック登場に期待。
剣→立ち去る。
明日夢→思考停止。
によって、ガタックゼクターはハイパーゼクターを運ぶ事に成功したという風に書きました。
問題がありそうとは思っていたので、修正もやむなしですが…。
そういやベルトは同じだからゼクターさえあれば天道でもガタックになれるんだな。
ゼクターは意志があるんだし、この燃える展開は通して欲しいとこだが…(どのみちカブトかガタックしかハイパーゼクター使えないし)
そんでガタックゼクターはそう簡単には資格者を選ばないだろうし。
とにかくGJですよ
個人的には、早々天道がハイパー化しても良いと思います。
数少ない対主催チームですし。
一〜数時間で到着、ぐらいに出来ないでしょうか?
このペースからすると、一日はおよそ百話以上にもなりますし……
……今思い出しましたが、仮面ライダー全般のジンクス、
『主人公側についた怪人は死ぬ』
|葬式会場| λ...ヨロイ元帥……
では大まかに、
「大分時間が掛かる」という事で。
程度はお任せします。
それと皆さん、感想有難うございました。
質問に答えて下さった方、復帰に当たって温かく迎えて下さった皆さん。本当に感謝しています。
内容が内容なので相当なバッシングを覚悟していましたが、案外と好評なようで安心しました。
ありがとうございます。
>内容が内容なので
主役死亡の事ならロワの華です。美しく散れれば尚良し。
>>30 好きなキャラが死んで暴れるような住人はロワスレにとって毒なんで気にしない。
>>29 |葬式会場| λ...λ...カ・ガーミンじゃないのが意外だが俺も行くぜ。今日は俺とお前でダブル葬式だ。ヨロイ元帥ぃぃ!
しかしぼっちゃまは剣崎といい、加賀美といい青ライダーキラーだなw
加賀美も死んじゃったのは残念だけど、燃える展開だったので良し!
早くぼっちゃまにはブレイドメンバーに会って欲しいな。
ところでそろそろ死者も増えてきたし、死者スレとか作ってみたらどうだろうか
◆E1yyNEjdEc氏スレ立て&投下GJ!!
ヨロイ元帥は最後までいいキャラしてました。
◆naAqV94LaU 投下GJ!!
加賀美と剣の戦いは最後まで熱く緊張感がありました。
南光太郎を予約します。
投下乙
すごいですね、このロワの作品は読むだけで目の前に映像が迫ってくるようなのばかり
俺に絵を描く能力があったらっ…!
あとマップ&進行表更新乙です
面白かったんだが、ただハイパーガタックの能力が全然わからなかったことだけが残念だ…
ハイパーカブトだってパーゼクなきゃハイパーキックしか技ないが、それでもせめて一回くらいは必殺技を使って欲しかったな…
私もそれだけが心残りでした。
ハイパーキックを使わせて更に熱い展開に持って行きたかったのですが、どうしても説得力が無くなってしまう。
ハイパーキックを食らって助かるサソードと、ライダースラッシュを食らって死ぬガタック。
これでは余りにも話が矛盾してしまいます。
本当は手加減してハイパーキックを放つ予定だったのですが、書いていて加賀美の死がどうにも嘘臭くなってしまいました…。
それに、加賀美は手加減出来るほど器用ではないなぁ…と。
というような経緯が有ってカットする方向になりました。
長文失礼。
>>39 マップ乙です。
小さいながらもパーゼクとGトレーラーがあるのが素敵。。。
矢車想、グランザイラスを予約します。
ふと思ったのだが、インペラーデッキって最初の場所に放置?
セリフすらなく逝ってしまったから、デッキぐらい活躍させてやれんものか
ファイズブラスターってまだ所在地不明?
昔の話題蒸し返すようですまないが、
・龍騎、ナイト以外のサバイブ
・ブレイド以外のキングフォーム、及びレンゲルのジャックフォーム
・カブト、ガタック以外のハイパー化及びHCU
コレは結局どうなったんだ?
・・・書いてる途中で村上社長もライオトルーパーでファイズブラスターを使ったって話を思い出したよ・・・。
フォームチェンジ系は反対だな。
まあ、正直ゾルダサバイブとか、ギャレンキングフォームとか見たいから絶対反対って訳じゃないんだが。
無し希望。
要所要所で荒れる素になるし、能力が書き手に依存される形になる。
明確な能力設定が無い以上、出さない方が無難でしょう。
他はまだしもギャレン、レンゲルKとサバイブはな……
トリ付けてしまった。
お気になさらず。
リュウガサバイブはいけそうな気はする…龍騎サバイブ黒くするだけだし。
まあただでさえ強いのにこれ以上は、とも思うけど。
まとめサイト更新しました。
>>44 私も気になってはいましたが、最初の場所というのが、このマップ内にあるのかどうなのか。。。
まとめ更新乙!
コメントが全員分そろって感無量。
インペラーのカードデッキの扱いか。
変身アイテムが増えるのは反対だから放置でいい。
ラストバトルで誰か拾ってオーディーンに挑む? 無謀な気がするがw
>>52 扉から出たらワープしたり、神崎が普通に存在してたりするから
マップ上の場所ではないと思う
出すとすればスマートレディあたりが
「これどうします〜?」とか言いながら見つけて
神崎が適当な場所に放置・精神的に不安定な奴に渡す、辺りだと思う
・・・・・・リュウガが海岸からドーム上の建物を歩いて見つけているんだけどな。
リュウガ→海岸のドームは確かにあったな。
けど、ドーム→リュウガは描写がないんで、最初の海岸と今の海岸は別世界ということでいいんでは?
くるしいな。難易度を上げるためハイパーゼクター以外に脱出手段は欲しくないだけどな。
>>45 その通り
まあ場所は書き手に任せればいいよ
海岸から歩いて辿り着くってことから、海岸かそれに隣接したエリアでまだ使われて無い所にあったことにすれば?
誰かの回想で、
あの忌々しいドームを遠目に睨み付ける。
ありったけの憎悪と殺意を込めて。
だが、それは数秒で終わった。
ドーム全体が微かに揺らめいたかと思うと、突如消え去ったのだ。
まるで、半球の全てが実体無き蜃気楼だったかのように。
とか。
フォームは有志が案出して投票で決めるのはどうだろ?
レンゲルJやらギャレンKやらは剣スレで散々妄想されてたし。
取り敢えずオリジナルライダーを出すか出さないかの投票で良いと思う。
ちなみに俺は反対 ノ
そんな誰かの妄想で作られたライダーを出すのは嫌だな。
絶対荒れる。
レンゲルやギャレン達含め、現フォームで戦い抜いたってのが一つの味だろ?
俺も反対 ノ
ギャレンやらレンゲルとかの強化はいらんが
バーニング&シャイニングアギト、龍騎サバイブ、ファイズアクセル&ブラスターフォーム
ブレイドJ&Kフォーム、装甲響鬼、ハイパーカブトとかの
存在してる強化フォームはしっかり出して欲しいな
当然反対 ノ
スペック差なんて(原作で)氷川さんが一度跳ね返しているんだ。
他のライダーも気合と根性で乗り越えろ。
一応、賛成。
自ずと評価は厳しくなるだろうが、とりあえず書いてみてそれからでも遅くないんではなかろうか。
あと強化フォームじゃなきゃ、素で勝ち目なさそうな相手を上げておくのがいいかも。
もしそいつらにノーマルフォームでそれなりの戦いをされてしまっては強化フォームのありがたみがなくなる。
賛成派。
普通に見たいし、土壇場のパワーアップって展開を見てみたい。
自分も賛成派。
絵に描くんならともかく文章だけだし、
それにぶっちゃけれは同人作品な訳だから、なんでもアリな方がおもしろいと思うよ。
風見志郎、北崎、浅倉威予約します。
支e…あれ?それって自己リr(ry
いや、歓迎なんですがね
申し訳ありません。
120時間たてばいいとルールにあったのですが、一言断りを入れるべきでした。
>>67 ありゃ、そうでしたか。
こちらこそ確認してないですいませんorz
残念ながら反対。
データ考察、スペック考察、整合性チェックに時間がかかりすぎる。
見たいけど、バトロワでやるべきではないと思う。
もし次回があれば、バトロワ用強化フォームのスペックを詰めて
やってみたいと思うが…
書き手の混乱を招くのでは?
作っても書き手が書けなきゃ意味無し
ROMよりも書き手の人々に決めてもらえば?
議論中、申し訳ありませんが、投下いたします。
「……う、あっ」
苦悶の声を上げ、矢車は眼を開ける。
どれぐらい眠っていたのだろうか、黒塗りだった空はいつの間にやら青く晴れ上がっていた。
「俺は一体……痛ぅ」
起き上がろうとした矢車の身体に激痛が走る。その激痛が矢車の意識を急激に覚醒させた。
そうだ、俺は仲間を募ろうとして、紫色の蛇のライダーに。
思い出すにつれて本能的に体が震えた。それは純粋な恐怖。
初めてワームと対峙した時にもここまでの恐怖はなかった。あれはまさに悪魔。
倒せるのか俺に、あいつらが?剣崎となのるワームと蛇の悪魔、ここにきて矢車の心は大きく揺れた。
だが、矢車は首を振り、自分に芽生えた恐怖を振り払う。
大丈夫だ。俺にはパーフェクトハーモニーがある。このザビーゼクターがある。この二つが合わされば例え相手が悪魔だろうとも恐れることはない。
そうだ冷静さを取り戻せ。
矢車は大きく空気を吸い、そして、吐く。空気を取り入れることにより、脳がようやく正常に回り始める。
「よし、まずは現状の確認だ」
まず矢車は自分の体の確認からはじめた。紫のライダーより受けた傷は決して浅くない。だが、幸いなことに打撲ばかり。
バランスのより食事のせいか骨も折れている気配はない。多少の障害はあるが大丈夫だ。戦える。
次は今の時間だ。矢車はディパックから時計を取り出す。だが、その時計が指し示す時間に愕然とする。
「8時03分……」
矢車はスマートレディの放送は愚か、真理の命を掛けた放送すら聞き逃していた。矢車は急ぎ、ディパックに入っていたメモを確認する。
この場合、死亡したのは誰かとか、誰がどのような状況に陥ったとかは関係ない。今、矢車にとってもっとも重要なのは。
「やはりだ。放送後、禁止エリアが設定されるとある」
思わず矢車はメモが書いた紙を握りつぶす。だが、矢車の動揺も当然といえよう。メモには禁止エリアに入ったら、即首輪が爆発するとあった。
エリアは全部で100。その中の3つが矢車にとっては一撃必殺の地雷と化す。
「はやく仲間を見つけなければ」
この際、天道でも誰でもいい。どこが禁止エリアなのか把握しない限り、いつ首輪が爆発するとも限らない。しかも、3つの内の1つは既に作動しているのだから。
矢車は市街地に向けて走り出した。
誰か、誰かいないのか?
矢車は仲間を探して、疾走する。だが、誰ひとりとして、存在を確認できない。
馬鹿な、誰も市街地を目指さなかったとでもいうのか。それとも禁止エリアになる時間が差し迫っている?
言い知れない不安と戦いながらも、2つのエリアを過ぎ、G5エリアに着いたとき、矢車は異変を感じた。
「なんだこれは」
恐らく多くの建物があったのであろうそこは全てが粉々に崩され、廃墟と化していた。
初めからこうだったのか?いや、違う。確認した地図ではここには町があったはず、誰かに壊されたのだ。
だとするとここにいるのはまずい。まだ、これをやった奴は近くにいるかも知れない。とてもこんな奴と交渉できるとは思えない。
だが、矢車の判断は遅かった。
「何!?」
突如、頭上に現れた大きな火の玉は矢車を目指して、一直線に落ちてくる。
「くっ、ザビーゼクター!」
『ブーーーーン』
羽音を響かせ、ザビーゼクターは火の玉よりも早く矢車の右手へと到達する。
「変身」
ザビーゼクターを左手のライダーブレスへと装着する。
『HENSHIN』
電子音と共に矢車の身体を蜂を模した鉄壁なる装甲が包んでいく。
集団を統一する頂に相応しき蜂のライダー、仮面ライダーザビー。
ザビーが変身を完了したとほぼ同時に火の玉がザビーの元へと辿り着く。
キャストオフしている時間はない。ザビーはマスクドフォームのまま、急ぎ両腕で防御を固めつつ、火の玉を避けようとする。
紙一重。直撃は避けられたものの火の玉はザビーの装甲を掠め、火花を散らす。
「くっ、なんて威力だ」
掠められた装甲は飴のように溶け、ぐにゃりと変質した。掠めただけでもこれならのだ。直撃を受ければ、マスクドフォームの装甲といえどひとたまりもあるまい。
避けた火の玉は空中で方向転換すると再度、ザビーへと向かう。
「だが、いくら威力のある大砲といえども当たらなければ意味がない」
ザビーゼクターの羽を上げる。その動きに反応し、マスクドフォームの装甲が機械音を上げ、開いていく。
「キャストオフ」
羽の中央に位置するリングに指を掛け、回転させる。回転したザビーゼクターは悪を貫く、針となり、同時にザビーの身体をより蜂に相応しい戦闘フォームへと変える。
『CASTOFF』
吹き飛ばされる装甲。『Change Wasp』の声が響くと共にザビーはマスクドフォームからの脱皮を終え、ライダーフォームへと姿を変えた。
向かってくる火の玉。だが、先程と違い、慌てる必要などない。ぎりぎりまでひきつける。命中まであと数cm。そこでザビーはベルトの脇を叩いた。
『CLOCKUP』
ザビーの周り、全ての時間が遅くなる。本来の加速より数段劣るが、それでも避けるには充分。ザビーはその場から瞬時に逃げ出した。
刹那、今までザビーがいたところに火の玉が落下する。
ズガーン!
盛大な音と共に火の玉が爆発した。もし命中していたら、ザビーとてひとたまりもない。命中していればだがな。
「しかし、一体誰が?」
ザビーは慎重に辺りを見回す。この火の玉を放った相手がいるはずだ。
だが、その声は思わぬ場所から発せられた。
「やっと見つけたぞ」
ザビーが振り向く。声が聞こえた場所は火の玉が落下した場所。
「ふふっ、市街地を襲えば、大勢の悲鳴が聞こえるかと思えば、猫の子一匹見当たらん。
正直、飽き飽きしてたところだが、ようやく少しは楽しめそうな奴に会えたな」
そこから現れたのは紫色の硬質的な体と爬虫類的な容貌をもつ怪物。なるほど火の玉自身が怪物だったというわけか。
「何者だ、貴様」
「我はクライシス皇帝の使者、RXを抹殺し、この世界の全てを破壊尽くすために仕わされし者。グランザイラス!
貴様、RXではないようだが、仮面ライダーという輩のひとりか?」
「仮面ライダー?」
なるほど、マスクドライダーシステムだから仮面ライダーか。怪物のわりにはネーミングセンスがある。
「そうだ、俺は仮面ライダーザビーだ」
「くくっ、肩慣らしには丁度いい。皇帝陛下の名の下にお前を処刑する」
言うが早いや、グランザイラスはザビーに突進していった。グランザイラスはザビーを倒そうと、右腕に内臓された電磁ハンマーを何度も打ち込む。
だが、ザビーはそれを的確に避けるとグランザイラスの身体に拳を打ち込んでいく。
当たればひとたまりもないだろうが、グランザイラスの攻撃は直線的、避けれない攻撃はひとつもない。
「おのれ」
「ふっ!」
振り下ろされた右腕を避け、それを軸にして、裏拳を打ち込む。しかし、その一撃もグランザイラスはよろめきさえしない。
「かゆいわ」
すかさずザビーは右手をザビーゼクターに添え、ライダースティングの準備をする。
タフな奴だ。だが、例えどんなにタフだろうとも、蜂の一突きには一溜まりもあるまい。
「最後にひとつだけ聞いておく。今回設定された禁止エリアはどこだ?」
「禁止エリア?先程女が何か言っていたやつか。そんなもの知らん。いちいち聞いていられるか」
「馬鹿が」
ザビーはザビーゼクターのスイッチを押した。
『RiderSting』
ザビーゼクターから発せられる声と共にライダーシステムが反応し、左手に全ての力が集まる。
「くらえ!」
大地を蹴り、グランザイラスに向かってザビーは飛んだ。そして、左手のザビーニードルを胸へと力の限り打ち込む。
ピシュゥゥン!
炸裂音が鳴り響いた。だが、グランザイラスは倒れない。
「なっ!?」
「これがお前の必殺技か?そんなもので俺を倒そうとは舐められたものだ」
グランザイラスは両腕でがっちりとザビーの左腕をホールドする。そして、持ち上げると地面に叩きつけた。
ガシン!
「ぐぁっ!」
ガシン!
「がっ!」
ガシン!
「ぎぐぁ!」
グランザイラスは何度も何度もザビーを地面へと叩きつける。最初は叩きつけられる音と共に苦悶の声を上げていたザビーも何度も叩きつけられていく内にやがて声を発しなくなる。
「止めだ」
グランザイラスはザビーを投げると、ザビーに向かって火炎弾を放った。
ザビーが地面に叩きつけられると同時に爆炎が巻き起こる。ザビーの体を炎が焼く。
「ラ、ライダースティングが効かないとは」
いくら避けられても決め手がなければ相手を倒すことはできない。つまりザビーでは奴に勝つことはできない。
どうする逃げるか?……いや、まだ方法はある。
変身することができる時間は10分程度。それなら、奴のように元から怪人の場合はどうなる。
そのままか?そんなはずはない。必ず奴らにも同様の制限時間を設けているはずだ。
そして、こいつは禁止エリアの重要性も考えない馬鹿だ、この制限に気づいているとは考えづらい。
ならば制限が掛かった瞬間を狙って、ライダースティングを打ち込めば、あいつは倒せるはずだ。
あの火の玉での攻撃から俺の変身までの間はわずか数秒。だが、クロックアップを使えば、その数秒を狙うのも不可能ではない。
これが俺のパーフェクトプラン。そうと決まれば。
ザビーは立ち上がり、再びファイティングポーズをとる。
「それでこそ殺し甲斐がある。ふん」
グランザイラスは再び右腕より火炎弾を発射する。ザビーはグランザイラスとの間合いを一定に保ったまま、それを次々と避けていく。
奴の火炎弾が止まる時がきっとくる。狙うのはその一瞬。
無数の火炎弾が放たれながらもザビーには当たることがない。
「またもチョコマカと」
グランザイラスに苛立ちが募る。だが、イライラが溜まるにつれ、逆にグランザイラスの頭は妙に冴えていった。
こいつの狙いは……
まだか。そろそろ10分経つぞ。
時計を見れるほど余裕があるわけではない。グランザイラスの眼には楽々避けているように見えるだろうが、これでも必死なのだ。
浅倉に受けた打撲によるダメージとグランザイラスから受けた火傷によるダメージ。クロックアップはその瞬間まで使うわけにはいかず、今、ザビーは気合で戦っていた。
まだか、まだか。
ザビーに焦りの色が滲みはじめる。
その時、火炎弾による攻撃が止んだ。見るとグランザイラスは、火炎弾が出なくなったころに驚き、動揺しているように見えた。
「今だ!」
『CLOCKUP』
自分以外の時の流れが変わる。グランザイラスの動きはゆっくりとなり、その驚愕の色がはっきりと確認できた。
「ライダースティング!」
『RiderSting』
「うぉぉぉぉぉっ!」
ザビーはグランザイラスに一直線に向かう。体に残っている全ての力を振り絞り、この一撃に込める。
「はぁぁっ!」
放たれた蜂の一撃はプラズマを絡ませ、グランザイラスの心臓へと……決まらなかった。
グランザイラスの左手は心臓を貫こうとするザビーの左手をしっかりと握っていた。
「なっ!?」
先程とまったく同じ言葉を吐く、ザビー。プランはパーフェクトだったはず。それなのに何故。
だが、次のグランザイラスの攻撃で、それが間違いだと気付く。
「くらえ」
グランザイラスの右腕から尽きたはずの火炎弾が零距離で放たれる。
「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!」
直撃。あまりの威力にザビーへの変身は解け、ザビーは矢車想の姿へと戻った。
「10分経っていなかったのか……」
矢車のプランは全てが狂っていた。
第1に、10分を正確に刻めなかったこと。普段は正確な体内時計も極度の疲労と焦りにより、気が急い、10分を短くカウントしていた。
第2に、グランザイラスの実力を正確に計れなかったこと。グランザイラスは制限には気づいていなかった。
だが、火炎弾の隙を狙っていることぐらいは察知していた。そのため、あえて隙を作ったのだ。あたかも火炎弾が放てなくなったかのように。
第3に、自分の能力への過信。制限が加わったクロックアップはグランザイラスに見切られないものでもなかった。真正面ならなおさらだ。
何より、集団戦闘でこそ能力を発揮する矢車がひとりで挑もうとしたこの戦いそのものが自殺行為。
ひとつひとつはわずかな狂い。だが、そのわずかな狂いがひとつの大きな狂いを生み出したのだ。
「ふむ、なんだこれは」
倒れ伏した矢車はグランザイラスの言葉に反応し、顔を上げてそれを見た。
「ザビーゼクター!」
グランザイラスの手にはしっかりとザビーゼクターが握られていた。変身解除の瞬間、放たれたザビーゼクターを捉えたらしい。
ブーンと羽音を響かせ、ザビーゼクターは必死にグランザイラスの手から脱出しようとするが、しっかりと握られており、動くことができない。
「それを……返せ」
息も切れ気味に、矢車はグランザイラスへザビーゼクターの返却を要求する。
その必死の要求にグランザイラスはにやりと笑った。
「どうやらこれはお前の大切なものらしいな。それならば……こうだ」
ピシッ!
ザビーゼクターにひびが入る。グランザイラスがそれを握りつぶそうと力を入れているのだと理解したとき、矢車の心は絶望に包まれた。
「やめろぉぉぉっ!」
だが、それを聞く、グランザイラスではない。よりいっそうの笑みを浮かべると更に力を込めた。
ブーンブーンブーーーー……バキンッ!
「ああっ」
ザビーゼクターは粉々に砕け散った……
「ふん。ほら返してやる」
ザビーゼクターの欠片を矢車に振り掛ける。矢車の体を伝って、ザビーゼクターの破片がひとつ、またひとつと地面へと滑り落ちていった。
「さて、お前も同じ目にあわせてやろう」
グランザイラスは矢車を無理やり起き上がらせると頭を叩きわろうと腕に力を込めた。
「うっ、どうしたことだ。腕に力が入らん」
「今頃、制限がきたのか」
矢車の言うとおり、グランザイラスの力は首輪による制限により、大幅に落ち込んでいた。
本来ならスイカを割るようにやすやすと頭を粉砕できるはずができない。
その事実はどうしようもなくグランザイラスをイラつかせる。
「ははっ、ははっ」
矢車が笑う。その態度にグランザイラスの苛立ちは頂点に達した。
「笑うな人間ごときが。ウォォォォォッ!」
雄叫びを上げ、電磁ハンマーで矢車の身体を思いっきり、幾度も打ち据える。そして、止めとばかりに電磁ハンマーの先端で矢車の身体を貫いた。
「思い知ったか」
グランザイラスの右腕には血が伝わり、ポタッ、ポタッと地面へと雫が垂れる。
グランザイラスは動きを止めゴミとなった矢車をポイと捨てると更なる殺戮のため、その場を後にした。
身体を貫かれ、捨てられた矢車はピクリとも動かず、声も満足に発することも出来なかったが、
(っ……はっ……ははっ)
なぜか自虐的な笑みだけは浮かべていた。
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G5エリア】
【時間軸:8話 ザビー資格者】
【状態:重症。全身打撲&火傷&刺傷】
【装備:ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)】
【道具:アドベントカード(サバイブ)】
【思考・状況】
1:???
※矢車はBOARDという名前に嫌疑(ワームの組織では?)
【グランザイラス@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G5エリア】
【時間軸:地球到着直後】
【状態:健康】
【装備:なし】
【道具:なし】
【思考・状況】
1.力が回復するまで休憩。その後、また破壊と殺戮を始める。
2.RXを殺す。
3.ジャーク将軍は後回しにする。
投下終了。
誤字、脱字、指摘事項があればお願いします。
矢車の思考・状況は次の書き手さんに任せようと思い、???で。
このままやさぐれるもよし、まだまだパーフェクトハーモニーを追い求めるもよし。
どっちでも転べるよう書いたつもりです。
投下乙
ザビーゼクター…。・゚・(ノД`)・゚・。
グランザイラスの暴れっぷりがいかにも「怪人!」って感じで似合っていました
ザビーゼクター…矢車さん…。
初の変身アイテム破壊がザビーになってしまいましたね。
死んでしまうと思ったので意外。手に汗握る展開でドキドキでした。GJ!
因みに原作に無いパワーアップは反対です。
誰かが考えたパワーアップを、自分が続けて書ける自信ありません。大分議論する必要もあり、相当荒れるでしょう。
かなり切実に止めて欲しいです…。
乙――!
グランザイラス、悪役してるなあ……
|葬式会場| λ...λ...ザビーゼクター……
ブレスが無事なのは伏線になるのかな?
>指摘事項
視点が混ざってる箇所があった。
自分も三人称一元視点とかそーゆーのはさっぱりなんだが、
>先程とまったく同じ言葉を吐く、ザビー。プランはパーフェクトだったはず。それなのに何故。
>直撃。あまりの威力にザビーへの変身は解け、ザビーは矢車想の姿へと戻った。
この二つはそれぞれ一人称視点と三人称視点だと思う。
ーーーじゃなくて―――の方が良いかと。
あとは、アルファベットが全角なのと、カタカナ擬音が少し気になった(後者は好みの問題だが)。
>フォームチェンジ
……自分も妄想で語ってたクチです。はい。
出したいのは山々なんだが……
じっくり議論すれば、まあ不可能では無いと思うが荒れる種なのは間違い無い。それで過疎ったら本末転倒。
だから総合的には反対かな。スレの流れが賛成で固まれば嬉々として案を出すが。
むしろ問題なのは、矢車が所持しているサバイブ。
あの二人以外のライダーが使った際にどうなるのか、全く描写されていない。
これは早急に修正するなり(今の内なら状態表書き換えで間に合うと思う)何なりしないと……
長文失礼しました。
そして城戸真司、矢車想予約で。
>>85 ちょ、また矢車かWWW
とりあえず皆ヤサ車が見たいのな
ブレスはザビーだけだからもう意味ないキガス。
てかこれでもうパーゼクのハイパーマキシマムタイフーン(だっけ?)は見れないんだな…
あれは全作品通しても最強クラスの威力があっただろうから残念だ
88 :
ひより:2007/03/19(月) 18:00:46 ID:ugCqZZyPO
大丈夫ボクがいる
もう変身アイテムは飽和しているが、カブティックゼクターがあればなんとか。
矢車ヘラクスとか、見てみたい俺がいる。
ザ、ザビーゼクターっぁぁぁぁぁ!!
密かに誰が弟になるか楽しみだったり。
|葬式会場| λλ..λ....水臭いぜ
ひよりはゼクターまで直せるかな?天道のときはベルトだったし。
ザビーゼクターが自分だけ逃げ出すのはどうだろうかw
そしてブレス破壊、結果的に変身不可と
能力制限もあるしなぁ。
ひより、ザビーゼクター修復
↓
奮起した矢車さん、善戦の後に散る
↓
天道、矢車さんの意志を継いでハイパータイフーン
なんて燃え展開も見てみたいけど。
ザビーゼクター破壊に本気で泣いた(ノД`)
このロワで一番……
|葬式会場| λ...λ...ザビーゼクター……
いっそのこと結城さんか小沢さんに修理してもらうとか。
橘さん? 彼はその横でなんか食っていますよw
>>94 「あれ、部品が足りn…」
( 0M0)「部品は俺が飲み込んだ」
しか浮かばないw
. -―- . やったッ!! さすが橘さん!
/ ヽ
// ', おれたちにできない悪食を
| { _____ | 平然とやってのけるッ!
(⌒ヽ7´ ``ヒニ¨ヽ
ヽ、..二二二二二二二. -r‐''′ そこにシビれる!
/´ 〉'">、、,,.ィ二¨' {. ヽ _ _ あこがれるゥ!
`r、| ゙._(9,)Y´_(9_l′ ) ( , -'′ `¨¨´ ̄`ヽ、
{(,| `'''7、,. 、 ⌒ |/ニY { \
ヾ| ^'^ ′-、 ,ノr')リ ,ゝ、ー`――-'- ∠,_ ノ
| 「匸匸匚| '"|ィ'( (,ノ,r'゙へ. ̄ ̄,二ニ、゙}了
, ヘー‐- 、 l | /^''⌒| | | ,ゝ )、,>(_9,`!i!}i!ィ_9,) |人
-‐ノ .ヘー‐-ィ ヽ !‐}__,..ノ || /-‐ヽ| -イ,__,.>‐ ハ }
''"//ヽー、 ノヽ∧ `ー一'´ / |′ 丿! , -===- 、 }くー- ..._
//^\ ヾ-、 :| ハ  ̄ / ノ |. { {ハ. V'二'二ソ ノ| | `ヽ
,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)ノ:l 'ーー<. / |. ヽヽヽ._ `二¨´ /ノ ノ
/ <^_,.イ `r‐'゙ :::ヽ \ `丶、 |、 \\'ー--‐''"//
\___,/| ! ::::::l、 \ \| \ \ヽ / ノ
投下します。
クライシス帝国の尖兵である神崎士郎により、別の時空の殺し合いの場に放り出された南光太郎。
南光太郎はクライシス帝国の野望を打ち砕く為、カラオケマイクを使い同士を募った。
だが神崎士郎の賛同者の急襲を受け、ビルの屋上から転落してしまった。
神崎士郎の仕掛けた殺し合いに巻き込まれた人達が、君の助けを待っている!
立ち上がれ、南光太郎!変身せよ、仮面ライダーBLACK RX!!
『希望と絶望の朝』
カシャ、カシャ、カシャ、カシャ
光太郎に迫る銀色の影。
「止めろ信彦!俺はお前とは戦いたくない!!」
悲痛に訴えるも銀色の影は構わず光太郎に詰め寄り、サタンサーベルを振り上げる。
「止めろ信彦……止めてくれ………はっ!!」
光太郎が目を覚ますと、そこはビルの近くにある植え込みの中だった。
「今のは夢か……そうか俺はビルから落とされて、気を失っていたんだ。
しかし今頃になって死んだ信彦の……シャドームーンの夢を見るなんて……」
ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
物思いに耽る間も無く、定時放送が天から仰ぐ。
「もう六人も死んだというのか!そしてそれだけクライシス帝国の企みに乗った人が居るという事だ……
くっ、こんな時に変身する事も出来ないなんて……」
光太郎はビルの屋上で襲われた際、何故か変身が出来なかった。
「もはや一刻の猶予も無い!もう一度このマイクを使って、仲間を集めなくては!」
自分の手にカラオケマイクの存在を確かめる。だがそのマイクは、声を向けても手で叩いても何の反応も示さない。
「馬鹿な?一体どうしたっていうんだ!?……さてはクライシス帝国の仕業か!
このマイクを使って仲間を集めるのをおもしろく思わない奴等が、俺が気を失っている隙にマイクを壊したのか!!
おのれクライシス帝国!姑息な真似を!!」
電源を入れっ放しにしていたせいで、電池の切れたカラオケマイクを握り締め光太郎は憤る。
「……仕方ない、こうなったら自分の足で仲間を捜しに行こう。
そういえば放送でH10エリアに何かあると言っていたな、そこに行ってみよう!」
市街地を歩いていた光太郎の前に、奇妙な機械を持った青いクワガタムシが飛び出した。
「なんだあれは!?」
光太郎はそのクワガタを捕まえ、挟み持っていた機械を無理矢理取り上げる。
「このクワガタもよく見れば機械じゃないか……うわっ!?」
突如クワガタが暴れだし、光太郎の手中から飛び出した。
そしてそのまま旋回して、光太郎目掛け突っ込んで来る。
上体を捻って回避しながら、走って逃げ出す。
「冗談じゃないぜ!なんだあのクワガタは!?」
後頭部を狙うクワガタを、頭を下げてかわす。
「なんて凶暴なクワガタなんだ!そうか、こいつはクライシス帝国の仕掛けた罠だな!
クワガタのふりをして油断を誘い、近付く人間達を襲う為の物か!クライシスの陰謀は俺が打ち砕いてやる!!」
クワガタの攻撃が上体を捻る、光太郎の服を切り裂く。
「くっ、駄目だ!……せめて………せめて変身さえ出来れば!!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ガタックゼクターは自身に課せられた使命、天道総司にハイパーゼクター渡す為市街地を飛んでいた。
だがそのハイパーゼクターは、突然現れた男に奪われてしまった。
ガタックゼクターはハイパーゼクターを取り戻すべく、男に戦いを挑む。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
光太郎はクワガタの攻撃をかわすのが、精一杯だった。
「このままではやられる!だが変身も出来ない今、反撃のしようも無い!」
クワガタに足をかられ、光太郎は倒される。
その光太郎の顔に民家の谷間から、太陽の光が差し込む。
「そうだ!俺は全ての命に光を降り注ぐ太陽の子!!こんな所で諦めちゃいけないんだ!!」
光太郎は再び立ち上がった。
「全ての命を守る太陽よ!クライシス帝国の野望から人々を守る為、俺にもう一度変身する力を与えてくれ!!!」
クワガタに向き、右手を天高く振り上げる。
「変身!」
そのまま右手を切り下ろし、両手を左右に払い左拳を握る。
光太郎の目の奥で火花が散る。それと共に腰にベルトが現れ、やがて全身が変態を遂げた。
黒いボディ、真っ赤な目、その者の名は、
「この世に光がある限り、俺は何度でも蘇る!!
俺は太陽の子!! 仮面ライダーBLACK RX!!!」
突っ込んで来るクワガタを、今度は余裕を持って回避する。
旋回してきたクワガタを掴もうと手を伸ばしたが、急加速したクワガタに掌を切り裂かれる。
「駄目だ!素手ではこいつに対処しきれない!」
再び旋回し、RXに迫るクワガタ。
その時、奇跡が起こった。
「リボルケイン!!」
ベルトから出現した光の剣を左手に持ち、それを横薙ぎに払う。
クワガタはその一撃を受け、彼方へ飛んでいった。
「危機一髪、まさに一打逆転サヨナラホームランって感じだな!」
変身状態のまま、RXは周囲への警戒を緩めない。
「どうやら、さっきのクワガタはもう襲っては来ないようだ……
倒したか、それとも単に諦めただけか……」
その内に変身が、勝手に解けた。
「これはどういう事だ?」
光太郎は考察する。
先刻屋上で変身出来ず、先程再び変身出来るようになった。
おそらく変身時間に制限がかけられ、一定時間経たないと再度変身と。
「RXへの変身に制限を掛けるとは、クライシス帝国め何処まで姑息な真似をするんだ!!
……奴等のやる事を一々気にするだけ無駄か。奴らは俺達の常識では計れないような馬鹿げた事をするからな」
気を取り直し、H10エリアに向け出発する。
クライシス帝国の尖兵は、新たな力リボルケインで退けた。
だがクライシス帝国との戦いは、始まったばかりだ!
戦え、南光太郎!変身せよ、仮面ライダーBLACK、RX!!
【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:市街地F-5】
【時間軸:第1話、RXへのパワーアップ直後】
【状態:健康】
【装備:リボルケイン】
【道具:カラオケマイク(電池切れ)、ハイパーゼクター】
【思考・状況】
1.H10エリアに行く。
2.対主催の仲間を捜す。
3.打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す 。
【備考】
黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
参加者名簿は未確認。
ガタックゼクターをクライシス帝国の罠だと勝手に確信しています。
投下終了しました。
ガタックゼクターの位置、状態については次の書き手さんに任せます。
投下乙。
ちょww光太郎www
加賀美に流した涙を返せw
こいつがシリアスになる日は来るんだろうか。
ザビーゼクターに続いてガタックゼクターも死ぬんじゃないかとハラハラしたw
リアルタイム投下遭遇は初。乙でした。
ガタックゼクターカワイソス…
対主催の仲間を探すうちに天道パーティと遭遇、に期待できそう
光太郎…ww
早めに光太郎が天道に接触したら結果オーライ
ミルクティー吹いたw
シリアス展開なガタックゼクターが酷い目に…。前途多難だ。
全てゴルゴムの仕業になる光太郎…ロワなのに笑えるって貴重な存在だw
面白かったです!GJ!!
あとアンケート。
みんなの好きな話はなに?
他にも「ライダーロワの中で」好きなキャラとか。
良かったら総合雑談所の方に答えてくれ。
せっかくだし雑談所を活性化させようかと思った訳。
わいわいじゃダメなん?
>>108 お願いします。
したらば俺も欲しいな。
キャラ追悼、死んだキャラでネタ、あと詳しいキャラ紹介なんかが欲しい。
脱字発見しました、すいません。
>おそらく変身時間に制限がかけられ、一定時間経たないと再度変身と。
を
>おそらく変身時間に制限がかけられ、一定時間経たないと再度変身出来ないと。
に差し替えてください。
その内これも必要になるかな?
【ガタックゼクター@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:不明】
【時間軸:ハイパーゼクター登場辺り】
【状態:不明】
【装備:無し】
【道具:無し】
【思考・状況】
ガタックゼクター独立…イイ(・∀・)!
あと道具のハイパーゼクターが抜けとるww
連レスすまん。
ガタックゼクターが死んだら本当に泣いてしまいそうだ…(´;ω;`)
>>109 いや、死者スレ欲しいなって思っただけ。
死者スレ=したらばってイメージがある。それだけ。
ライダー墓場みたいなのがあるとしたら、加賀美はモニターの前で
(゚Д゚;≡;゚д゚)こんな顔してそうだな
ガタックゼクター頑張れ超頑張れ。
つーか貴重な変身時間を勘違いで野良ゼクターに…光太郎www
>>102 GJ!投下乙です。RXの迷走っぷりが相変わらず面白いです。
あと、カッとなってやってしまった次回予告を全て反映していただいてありがとうございます。。。
まとめサイト更新しました。
前スレで議論されていましたが、以下の項目を提案することで決定したみたいなので記載いたします。
問題ないようでしたら、明日にでもアップしたいと思います。
・超電子ダイナモは内蔵でOK。扱いは書き手に任せる。
・既存のパワーアップ以外のパワーアップは無し
・直前まで使われていたアイテムで、他の奴が二時間以内に変身する事は可能。だが、これをやると変身アイテムが過重に耐えられなくなり爆発する。
二時間経てば問題なし。
・ライダー(制限時間切れ)→即座に怪人に変身、も可能。
まとめ更新乙!
自分はそのルール追加で大丈夫です。
まあ、議論に参加していた一人ですから当然ですが。
乙!
ところで……
V3の逆ダブルタイフーンの設定はどうなるんだろう
二時間か三時間か忘れたがしばらく変身不能になるけど
普通にしてても変身後二時間変身不可の現状、あまりデメリットにならんよーな
まあそれも次の話で死んだら終わりなんだがなー
逆ダブルタイフーンは3時間ですね。
その絡みで結局気付かぬまま進むのも面白いですが。
麻生勝、影山冴子、ドラス、日高仁志を予約します。
南光太郎の位置、F-5って、飛びすぎじゃないか?
変身アイテム爆破かぁ。
質問。
ユナイトベントは支給品扱い?
>>117 更新乙。
>既存のパワーアップ以外のパワーアップは無し
サバイブの処理は?
>直前まで使われていたアイテムで、他の奴が二時間以内に変身する事は可能。だが、これをやると変身アイテムが過重に耐えられなくなり爆発する。
これには反対。
ルールが複雑化するのは好ましくない(キャラに気付かせる方法が……)。
変身アイテム引継ぎは既存のルールで出来るんだし、これはデメリットの方が大きいと思う。
>>121 以前の議論でマップ一辺の広さは、2〜3km位とあったので
無理のある移動距離ではないと判断しました。
>>123 それも以前の議論で書き手さんに任せるという結論が出ていたと思います。
上城睦月、北岡秀一、木野薫、キング、橘朔也、津上翔一を予約します。
>>125 答えてくれてありがとうございます。
距離に関しては自分も無理ではないと思いますよ。
大パーティの話楽しみにしています。
>>124 サバイブは書き手がゾルダ、王蛇、リュウガが使わないように配慮した方がいいです。
既存のフォーム以外が問題なのは、「自分の考えていたフォームと違う!」と、荒れるだろうからとの事ですし。
パーティ内で変身アイテムが使いまわされるのが問題となり、変身アイテムに制限が加えた方がいいという流れになっています。
上記の問題がなければそのままでいいと思うんですが。
変身制限は、ツールごとにかけるんじゃなかったっけ?
俺は上記の案で問題無いと思うけど。
あと変身アイテムは引き継げるけど、その場で使い回せたらヤバくない?って話。
あれこれコロコロ変身出来ちゃったら意味ないし。その為の制限ってことじゃないの?
自分の意見を述べておきます。
・変身制限
自分は単純に、一度使用した変身(ツール、手段)は二時間使用不可、と解釈していました。
以前問題になったので、話にそれが絡まないようにしていたのですが……
新しい案が出た理由は、
・死んだ仲間の変身アイテムで志を受け継ぐって展開が出来る
これに尽きると思います。
なら、爆発させるのではなく過負荷で完全停止(例:携帯は画面さえ点かない。デッキはベルトが出ない)で二時間で回復、はどうでしょう?
ぱかぱか変身アイテムが減っていくのは望ましくないですし……
ルールの複雑化にも反対です。キャラがそれに気付くのに、最低一個はアイテムが犠牲になりますし。
それに、今でもこの展開は出来ないわけではありません。(例:リベンジの際の切り札)
・サバイブ
>>85です。
キャラ三人と会わないように配慮、は難しい……展開を縛ることになるので。
長文失礼しました。
・変身制限
爆破には抵抗があるんで、一度だけなら他の人が使った変身アイテムが二時間以内に使える
と言うのはなかなかいい案だと思う。
使いまわすというのが問題なわけだし。
・サバイブ
王蛇、リュウガ、ゾルダの三人が所持してもいいと思うけど、使うのは無しにしたい。
理由は
>>124。心理描写が問われるな……。
制限は首輪で一括と言うことになった。
首輪が変身アイテムにも制限を加えているとしたら、死んだ仲間の変身アイテムを使うってのは裏技的見たいのに分類されるのかな?
神崎なら知っててやりそうだけね。殺し合いを進めると言う意味で。
機能停止でも良いんじゃない?要は使い回せないようにすればいいんだし。
あとサバイブはやっぱり無しだろう。上手く展開していくしか無い。
浅倉はサバイブ所持してる矢車さんと接触したが、問題無く展開出来た。
まとめサイトの更新乙であります。
それでは現時点での書き手さんの進行状況はどうなんでしょうか?
爆発、機能停止双方に反対
ツールごとに制限でもアイテムを受け継ぐ展開は出来るし、ルールは単純な方が良い
・二段変身+二対一で負けない
・普通のライダー二人
この二つが互角っておかしくないか?
>>132 もうすぐ完了です。
今日か明日には、投下の予定です。
思ったより早く完成しました。
投下します。
今の変身システムってどんなんだっけ?
ACT:1 リュウガ
1回目の放送、死亡者は6名か。
その内、自分が手に掛けたのはたった1人、見逃した奴の数の方が多い。
後の死亡者5名は自分以外のジョーカーが殺したか、他にも戦いに乗った奴が存在するという証拠だ。
――あんまり甘いと、すぐ死ぬぞ。
自分自身に言い聞かせた方がいい台詞だな。
迷いを振り切るように全速力で斜面を駆ける。
小丘を下りきると、景色は一転した。
敷き詰められたアスファルト、並び立つ住宅や構築物、空が段々と白んで行き、街は輪郭を現す。
地図を取り出し位置を確認する。D-5エリア辺りか。
自分への焦燥に苛まれた夜が長かった所為なのか、雲ひとつ無い晴天へ上っていく太陽の光がやけに眩しく眼に突き刺さる。
その時だった。
――みんな!殺し合いなんてもうやめてー
数分ほど前、自分が下り降りて来た丘の上。黒髪を靡かせ少女が必死に訴えかけている。
何やってんだ……殺してくれって言ってんのか!
丘に向かって駆け出した瞬間、我に返る。
何をしているんだ?俺は。 助けに行こうとでもしてるのか?
迷いに拍車を掛けるように少女の声が耳を貫く。
「殺し合えって言われたからって、人を殺すなんておかしいよ!」
やめろ!デイパックから拳銃を取り出す。
その冷たい銃身、人を殺すだけの為に作られた存在。
俺と同じだ。これで女を殺せれば、もう迷うことなんかなくなる。
――仮面ライダーは、闇を切り裂き光をもたらす!
訴え続ける女に向かい引き金を引く、反動が一気に肩まで駆け上がる。
そうだ、それだけ、それだけでいい。
だが、意思とは裏腹に懸命な叫びは、心に突き刺さって……
――麻生さぁん!ごめんなさい!
声を掻き消す銃声。
撃たれた?!拳銃をバックに突っ込み、気が付けば丘へ向かって走り出していた。
拡声器から聞こえてくるのは戦闘の様子だけ、声は途絶えたまま。
「俺は闇を切り裂き光をもたらす、仮面ライダー! キック! ホッパァー!!」
一際大きく叫ばれた正義の声に、一瞬足が止まる。
行ってどうする? 殺そうとしてたんだ。
――敵討ちは……仮面ライダーの役目だ……
正面のショーウィンドウ、映る自分の姿。
俺はジョーカーだ……
鏡の中のライダーに2度と戻らない。存在するのは俺だ。
躊躇うことなく撃鉄に手を掛ける。
派手な音を立て、砕け散るガラス。硝煙の匂いが乱された気持ちを落ち着けてくれた。
冷静になれば、鼠の様に隠れ怯えている男を見つけ出すのは簡単だった。
博士の称号を持つ男は、饒舌な命乞いを始める。
「仮面ライダーを作り出しただと?」
確かに銃口を向けられ、白衣姿で怯えている様子はとてもライダーとは思えない。
「そうだ。拡声器から聞こえた声。麻生くんも私が、」
「操る側が、操られる側になったということか。」
博士の体を力任せに叩き付け、肩、右脚、左脚へ銃撃を撃ち込む。
「グッ、ウオォ。何をするのだ!」
こいつは、すぐには殺さない。
「この騒ぎに、すぐ誰か駆け付けて来るだろう。お前の味方の麻生君か、それとも殺人者か……
せいぜい不安と恐怖って奴を楽しむんだな。」
最も、失血死する方が早いかも知れないがな。
放り出され、散乱した博士の荷物に気付く。
支給品は、コンファインベントカード。
「これは貰っておく。」
そう言い捨て、市街地の中心部へ向かう。
二度と振り返ることはなかった。
ACT:2 霞のジョー
「うぅっ……」
起き上がった瞬間、眼にしたのは……
自分の手にしたベルト、血だまりに横たわる2人の男。
1人の男は見覚えがある。あいつに声を掛けられて……
!?思い出せない。一体何があったんだ?
まさか、俺が?全身に感じる痛み、それは確かに自分が参戦したことを物語っている。
――ヒュンッ
「!!!」
自分に向かい放たれる光の矢。
まずい!縺れる足を必死に動かし、人目に付かない路地へ逃げ込む。
でも、あの惨状を見れば俺が殺ったと思うだろう。
記憶を失っている自分は何をしていた?
考えれば考えるほど、混乱する。
――俺は霞のジョー! 死ぬも生きるも兄貴と一緒だ〜
兄貴と一緒に戦った時の、あれは本心なのか?
本当の俺は残酷な殺人者だったのか?
どっちが本当の俺なんだ!
自分探しの旅の結末がこんな事だなんて。
兄貴、俺はどうしたらいいんだ?兄貴……
涙が止まらない。
日の当たらない路地。行く当ても無く、ただ無我夢中に走り続けた。
ACT:2 霞のジョー
「うぅっ……」
起き上がった瞬間、眼にしたのは……
自分の手にしたベルト、血だまりに横たわる2人の男。
1人の男は見覚えがある。あいつに声を掛けられて……
!?思い出せない。一体何があったんだ?
まさか、俺が?全身に感じる痛み、それは確かに自分が参戦したことを物語っている。
――ヒュンッ
「!!!」
自分に向かい放たれる光の矢。
まずい!縺れる足を必死に動かし、人目に付かない路地へ逃げ込む。
でも、あの惨状を見れば俺が殺ったと思うだろう。
記憶を失っている自分は何をしていた?
考えれば考えるほど、混乱する。
――俺は霞のジョー! 死ぬも生きるも兄貴と一緒だ〜
兄貴と一緒に戦った時の、あれは本心なのか?
本当の俺は残酷な殺人者だったのか?
どっちが本当の俺なんだ!
自分探しの旅の結末がこんな事だなんて。
兄貴、俺はどうしたらいいんだ?兄貴……
涙が止まらない。
日の当たらない路地。行く当ても無く、ただ無我夢中に走り続けた。
ACT:2 霞のジョー
「うぅっ……」
起き上がった瞬間、眼にしたのは……
自分の手にしたベルト、血だまりに横たわる2人の男。
1人の男は見覚えがある。あいつに声を掛けられて……
!?思い出せない。一体何があったんだ?
まさか、俺が?全身に感じる痛み、それは確かに自分が参戦したことを物語っている。
――ヒュンッ
「!!!」
自分に向かい放たれる光の矢。
まずい!縺れる足を必死に動かし、人目に付かない路地へ逃げ込む。
でも、あの惨状を見れば俺が殺ったと思うだろう。
記憶を失っている自分は何をしていた?
考えれば考えるほど、混乱する。
――俺は霞のジョー! 死ぬも生きるも兄貴と一緒だ〜
兄貴と一緒に戦った時の、あれは本心なのか?
本当の俺は残酷な殺人者だったのか?
どっちが本当の俺なんだ!
自分探しの旅の結末がこんな事だなんて。
兄貴、俺はどうしたらいいんだ?兄貴……
涙が止まらない。
日の当たらない路地。行く当ても無く、ただ無我夢中に走り続けた。
連投すみません。
以後気をつけます。
続き投下します。
ACT:3 2人のライダー、2枚のジョーカー
――変身 A Change Mantis
剣崎が死んだ今、戦いをためらう必要など一つも無い。
路地へと逃げ去る男の姿。逃がさない!
次の矢を放った瞬間――
拡声器から叫ばれる願い。
殺さないで、人間なら当然の感情だ。
だが、剣崎と天音ちゃん、2人をこのままにして置く訳には行かない。
――瀬川さん……その名前に呼応する、微かな気配を察知した。
誰かが呼んでいる。
俺に助けを求めている。沈み掛けていた意識と、ほぼ感覚の無い身体を気力で叩き起こす。
かすむ眼に捕えた1人のライダー。
「その体で、行こうと言うのか?」
「俺は、仮面ライダーJ!どんな、傷を、負うとも……助けを求める声を、無視出来ない。君も、ライダーなら、そうだろう?」
「……」
「早く、行かなければ。グッ、グハァッ」
夥しい吐血。そして拡声器から聞こえた惨たらしい銃撃音。
気力と身体は、糸が切れた様に崩れ落ちた。
「少女よ、大地の精霊たちよ。すまない……」
視界が暗くなり、意識は混濁する。
「俺は、もう、だめなのか?」
頬を照らす暖かな朝日に、悔しさに満ち希望を失った心が少し救われた。
ただ……
「アスファルトは冷たすぎる。せめて土の上で……」
フッと、持ち上げられ軽くなる体。街路樹の傍ら、乾いた芝生の上まで。
「……」
無言のまま立ち去る後姿。
最後の力をふり絞る。
「待ってくれ。俺の、バックの中に、首輪探知器が入っている。 持って、行ってくれ……」
素顔も、名も知らぬライダー。
だが、彼に託そう。
――大地の感触が心地良い。風は優しく、太陽の暖かな光が体を包む。
あぁ、これで少し眠れる……
変身を解かず、走り続ける。
探知機の示す反応まで、あと2ブロック。
射程距離まではまだ遠いが、感傷に浸っている暇も無い。
市街地を全速力で駆け抜ける。
丘へ続く直道へ出た瞬間、眼に飛び込んだのは晴天を切り取ったような青いジャケット。
――変身
その声と共に、折り重なる虚像……青は漆黒へ変貌する。
人間、いやライダーにも2種類有るのだろう。
剣崎や瀬川、彼等は光を求め、日の当たる場所にいる。
そして、俺やこのライダーの様に殺戮さえも手段とする日陰に棲まう者。
光に憧れ、戦い、そしてすべてが終わった時、俺はそこへ行けるのだろうか?
たとえ、辿り着くことが出来ないとしても、俺は勝ち残らなければならない!
願いを込め放つカリスアロー。
――剣崎、天音ちゃん、もう少し待っていてくれ。
瀬川耕司 死亡 残り39人
【リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:市街地D-5エリア】
【時間軸: 劇場版登場時期。 龍騎との一騎打ちで敗れた後。】
【状態:肉体、精神的ダメージも回復しつつある】
【装備:ファイズショット@555 】
【道具:拳銃(元は明日夢の物)】
【思考・状況 】
1:もう一人の自分と融合し、最強のライダーになる。
2:眼前のライダーを殺す。
3:ジョーカーの役目を果たす
【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:市街地D-5】
【時間軸:本編後】
【状態:腹部切傷】
【装備:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)】
【道具:未確認】
【思考・状況】
1.ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
2.この戦いに勝ち残り、剣崎一真を蘇らせる。
【霞のジョー@仮面ライダーBLACKRX】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:移動中】
【時間軸:クライシス壊滅後。】
【状態:軽度のダメージ。】
【装備:サイ、スマートバックル(アクセレイガン付属】)
【道具:なし】
【思考・状況 】
1:混乱している。
2:精神支配は伊坂が死亡したため、解けた状態。
3:兄貴、どうすればいい?
【望月博士@仮面ライダーZO】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:市街地D-5】
【時間軸]:ドラス創造後。ドラスに恐怖する前。】
【状態:銃弾による重症】
【装備:毒薬】
【道具:コンファインベント⇒リュウガへ】
【思考・状況】
1:ドラスなら助けてくれるはず。
2:このまま死んでしまうのか?
以上です。
誤字脱字、矛盾点など指摘よろしくお願いします。
途中、連投してしまい申し訳ありませんでした。
乙&GJ!
リュウガの心理描写が面白かったです。さすが元が真司なだけあって揺れまくりです。
首輪探知機が始の手に渡ったのは面白い。
自分の進行状況は六割です。
早ければ金曜日、遅くても土曜日までには投下できそうです。
|葬式会場| λ...逝っちまったな。仮面ライダーJ……
GJ!
美しい死に様だ…。「コンクリートの上は冷たすぎる」…表現が素晴らしい。
そしてジョーカー同士の対決か。始は死亡フラグを跳ね返せるのか期待!
乙でした!
感想ありがとうございました。
真理の命懸けの放送あってこそのSSでした。
投下楽しみにしてます。
投下乙&GJ!
各々の心理描写の表現が素晴らしく、かつ大きく展開が動いて面白かったです。
進行状況は1割程です。
連投になってすいません。
誰の道具欄にも首輪探知機が無いのですが、始が持っているという事でいいんですか?
失礼しました。
記入漏れです。
相川始の道具に、首輪探知器を追加お願い致します。
何度もすみません。
リュウガの道具か、装備の方がいいのかな?コンファインベントも追加でお願いします。
◆4wyf44BgsEさん、投下乙です。
ACT式に分ける手法良かったです。
瀬川耕司が己が命よりも人を助けようと動いたのは仮面ライダーらしく熱かったです。
これでカリスがどうなるかどうもならないのか。
まとめサイト更新しました。
指摘事項も修正しております。
また、私の進行状況ですが、7割ぐらい。ちょっと設定の解釈に問題あるかもしれないので、2案書くつもりです。
たぶん投下は明日になるかと思います。
まとめサイト更新乙です。
修正ありがとうございました。
一気に書き上げてしまったので、勢いに乗って投下します。
「かかってこい! 悪党ども!」
赤い影が疾風を巻き起こし、黒と紫、二人の悪へと突進する。
「フフ……」
デルタが手をゆっくり叩きながら悠然と佇む。
「トォッ!」
拳を振り上げ、デルタに放つが防がれ、逆に殴りつけられる。
しかし、拳を冷静に見つめ、右腕を取り、背中に乗せながら投げ飛ばす。
腰をしたたかに打ちつけたデルタは、自身のダメージに構わず、即座に体勢を立て直し再びV3に殴りかかる。
一、二撃を捌くと、王蛇がベノザイバーにカードをセットする姿が目に入る。
――SWORD VENT――
大理石の壁から飛び出した、ガラガラヘビの尾を彷彿させる剣を手に、デルタを蹴りつける。
「こいつは俺の獲物だ。邪魔をするなっ!」
雄たけびがあげられ、力任せに剣が振り回される。洗練されたとはいえない剣術だが、強引にチャンスごと斬られる。
(焦るな。隙は必ずある)
強く耐え、ひたすら剣をかわす。振り下ろされた剣が壁に深く刺さり、攻めるチャンスが巡ってきたことを確信し、勢いよく踏み込み、腰に構えていた拳を腹に打ち込まんとする。
だが王蛇はあっさりと剣を手放し、身体を独楽のように回して蹴りを放つ。
V3の拳が王蛇の頬をを打ち抜くが、王蛇の蹴りはV3の脇腹に突き刺さっていた。
お互い間合いをあけ、地面を踏みしめる。
「ハアァァ、戦いはいい。ゾクゾクする!」
戦いに陶酔する笑い声が黒い壁を叩き、V3は赤い仮面の下で顔を歪ませた。
「何が可笑しい!?」
V3には王蛇が理解できなかった。この戦いのために拉致され、無理矢理殺し合わされ、いつ自分の命を失うか分からないのである。
V3とて正義に身を捧げたゆえ、死を恐れることはないが、目の前の男は戦って何かを得ようという気配がない。
ただ、戦いを……いや、殺し合いを楽しんでいるようにしか見えなかった。
「こういうもんなんだろ? 仮面ライダーってのは!」
叫び、剣を引き抜いていく姿を見て、V3は拳を震わせた。
――仮面ライダー、お願いだ。俺を……俺を改造人間にしてくれ!!
父と母、そして妹の復讐の為に改造人間の力を求めた。だがそれも僅かの間。
すぐに風見志郎は仮面ライダーとして正義の為に戦う決意をした。
技と、力を受け継いで。
それを、目の前の王蛇は怪人でしかないと笑った。
「お前だけは許さん!!」
怒りに燃える両瞳を向け、憤怒の叫びが木霊する
怪人でさえ圧倒する怒りを向けられながらも、王蛇は萎縮するどころか、ますます歓喜に満ちた声を上げる。
「いいぞ! もっと俺を楽しませろォォォ!!」
狂気と怒りが爆発し、お互いを砕こうと衝突する。その瞬間、白閃が走り、二人の身体が爆ぜた。
「ねえ、二人だけで遊んでないで、僕も仲間に入れてよ」
クルクルとデルタフォンを回し、V3との距離を詰める。
蹴りと拳を捌かれ、手刀で突き飛ばされる。
「遊びだと? 殺し合いが遊びだと、お前は言うのかっ!?」
V3が叫ぶが、デルタは理解が出来なかった。
「だってそういうルールでしょ? それに……」
呟き、力を誇示する為壁を殴る。
「僕は世界一強いんだ。今まで負けたことはないし、これかも負けない」
デルタに……北崎にとって、たった一つの真実を謳う。自分に勝てる奴などいない。
立ち向かうものは全て灰にしてきた。戦う力を持つものは自分の玩具。力の無いものも自分の玩具。
浅倉も目の前のV3も、ラッキークローバーもスマートブレインも、ゴムで飛ぶ飛行機の玩具と何も変わらない。
自分の快楽を満たす道具。
「だから簡単に壊れないでね。僕が楽しくないからさぁ」
闇を内包した笑い声を上げる。並ぶものを持たなかった龍は、虚無感を快楽で満たす事しか出来なくなっていた。
デルタの拳が無防備のV3に当たる。だが、V3は微動だにしない。
「どういうつもり?」
「貴様、自分が世界一強いと言ったな。訂正しろ! お前は世界一弱い!!」
その一言をきっかけに、V3は疾風から暴風へと変わった。拳の嵐をデルタの身体に叩き込み、ミドルキックで腹を蹴り飛ばし、ひび割れた壁に叩きつける。
壁が崩れ、デルタが瓦礫に埋もれたとき、再度王蛇が突進してくる。
「うおおおお!」
振り下ろされた剣を、紙一重で避ける。
「V3ッ! 電熱チョォップ!!」
熱を帯びた手刀が剣を砕き、空中へと王蛇を躍らせる。
「Fire」
――BUST MODE――
デルタの銃が火を吹き、V3の身を焼こうと放たれた。
「ダブルタイフーン!!」
ベルトの力が、特殊強化筋肉を一時的に硬化させ、銃撃を跳ね返し一気にデルタへと近寄る。
「ハァッ!」
苛立ちを混ぜたデルタの拳を捌いて肩に担ぎ上げる。
「V3!! ダブルアタック!! むぅん!!!」
空中に放り投げ、背中を蹴らんと跳躍する。
「今だ!! V3キィィィック!!!」
悪の背を蹴り踏み、デルタは隕石のように地面に叩きつけられた。
――FINAL VENT――
電子音に視線を向けると、大理石より現れたエイ型怪人に乗る王蛇が眼に入る。
エビルダイバーを乗り回し、旋回しながら速度を増していく。
負けじと地面を蹴り、空中で前方向に三回転をする。
「おおおおおおおおおお!!」
「V3回転フルキィィィック!! 」
両足を揃えた蹴りと、ハイドベノンが拮抗し、行き場のないエネルギーが二人を後方へと吹き飛ばす。
「チッ!」
再び王蛇がカードを取り出し、空中で装填する。
――FINAL VENT――
サイ型怪人が現れ、肩に王蛇を乗せる。
メタルゲラスは地上を疾走し、殺意を乗せてV3を貫こうとする。
V3は今度こそ王蛇を倒さんと、三度跳躍し、得意技を放つ。
「V3!! 反転キィィィック!!!」
一度目の蹴りが、王蛇のヘビープレッシャーの威力を殺し、背面ジャンプの勢いを生む。
反転し、悪を砕くと決意の蹴りを放つ。その決意は、銃弾によって阻まれた。
「ぐわぁっ!」
白い閃光がV3を貫き、地上へと引き摺り下ろす。デルタが銃を構えているのが眼に入る。
「フフ……形勢逆転」
ベルトの中央部からミッションメモリーを取り出し、デルタムーバーに装着する。
――READY――
「Check」
――EXCEED CHARGE――
白いエネルギーが右腕を伝わり、銃に溜まる。
「どけ! 俺が先に殺る!!」
――FINAL VENT――
蛇の相棒、ベノスネーカーが蠢きながら王蛇の背後に立つ。
「駄目だよ。独り占めなんてずるいじゃないか」
デルタの銃から白い光弾が発射され、V3の眼前で三角錐を展開させ身体を縫い付ける。
「知るかっ!」
王蛇は背面ジャンプをし、ベノスネーカーに近づき両脚に力を溜めている。
デルタは三角錐のエネルギーへ向かう為、天に昇っていた。
(くっ! このまま負けるわけにはいかない!)
震える腕を交差させ、敵の攻撃に備える。
「おおおおおおおおおおおお!」
「ハァッ!」
王蛇とデルタの掛け声が響く。
デルタが白いエネルギーに迫り、王蛇はベノスネーカーに弾き飛ばさせる。
白い三角錐にまとわれたデルタがドリルのようにV3を貫こうとし、王蛇の毒を纏った蹴りの連撃が装甲を削る。
ニトログリセリンが炸裂したような轟音が、黒い壁を揺るがした。
しかし、二人の蹴りはV3の身体を貫くことも、吹き飛ばすこともなかった。
直前で発動させた細胞強化装置が、V3に悪のダブルライダーキックに耐える力を与えたのだ。
「なかなかのダブルキックだ。だがな、その蹴りは日本じゃ二番目以下だ!!」
二人の脚を掴み、力の限り振り回す。
手を離すと、二人の身体は弾丸のように発射され、柱を音を立てて崩した。
「グフッ!」
V3は血を吐き、膝をつく。ダメージを抑えたとはいえ、二人の蹴りはV3の身体を蝕んでいた。
「ハハハハハハッ!」
瓦礫を払いのけ、デルタよりも早く立ち上がる。
王蛇、浅倉の心は歓喜に満ちていた。
北崎も手ごたえは充分にあったが、V3はその北崎と自分をもってしても一歩も譲らない。
V3の拳は自分のイライラを砕いた。そして自らの拳はV3をイライラごと吹き飛ばす。
自分の全身には傷が走っている。その痛みを喜びに変え、カードデッキから一枚のカードを取り出す。
「ねえ、何をするの?」
「うるさい。黙っていろ」
上半身を起こしたデルタにぞんざいに答え、ユナイトのカードをベノバイザーにセットする。
(さあ、お前はくたばるのか!? それとも北岡のように俺に歯向かうのか!?)
仮面の下には、狂笑が刻まれ、背筋に痺れるような電気を走らせた。
今の王蛇、浅倉は苛立ちを無くしていた。
――UNITEVENT――
王蛇の杖から電子音が発せられ、V3の背後に三匹の怪人が現れる。
サイとエイと蛇を模した三つの影は、一つに融合し、獣の皇帝を形作った。
その名を獣帝ジェノサイダー、破壊をもたらす存在である。
――FINAL VENT――
ジェノサイダーの腹にブラックホールが生み出され、V3を吸い寄せる。
(あれに吸い込まれたら終わりだ!)
直感が脚に力を入れさせ、踏ん張らせる。
王蛇が目の前に立ち、こちらに駆け寄ってくる。
「ハッハッハ!」
笑い声と共にきりもみキックが放たれた。V3には、その蹴りを避ける余裕を失っていた。
「ぐわぁぁぁぁっ!」
胸板に王蛇の蹴りが当てられ、V3をジェノサイダーの腹へと運び、姿を消させる。
「さすがに終わりか……」
「あーあ、今回は君の勝ちか」
満足そうに言葉を発する王蛇の後ろに立ち、残念そうな声が上がる。
その場には、悪が二人居るのみだった。
(ここは……怪人の体内か)
とっさにV3バリアーを発動させた為、押しつぶそうと迫る闇に対抗している。
だが、それも長くは持たない。
(このまま終わってしまうのか?)
ボロボロの身体を抱え、V3に似合わぬ考えがよぎる。
闇を見つめていると、先程の力なき少女の訴えを思い出した。
――仮面ライダーは……闇を切り裂いて、光をもたらす!
(そうだ。先輩や俺、茂やキックホッパーは常に悪と戦ってきたんだ。この程度の闇を切り裂けず、何が仮面ライダーだ!)
「ダブルタイフーン!!」
拳を固め、ベルトの中央の赤いランプを瞬かせた。レッドランプパワーにより、V3の力が二倍となる。
「V3! 脱出パァンチ!! 」
左右に二つの拳を放った。
獣の咆哮が響き、ジェノサイダーが暴れる。
「ああ……?」
その様子に眉を顰める。
「トゥォォォォッ!」
ジェノサイダーを二つに裂き、V3が姿を現せる。
そして王蛇の身体が色を失い、力が抜ける。
「何だ……これ?」
「V3!! きりもみキィィィック!!!」
戸惑う王蛇の腹を蹴り砕き、デルタと共に宙へ身を躍らさせる。
二人が壁に叩きつけられ、瓦礫が飛び散り、白煙がもうもうとたちこめた。
V3は再び膝をつき、大きく息を吐く。
(恐ろしい敵だった。ここまで追い詰められるとは……)
死闘と呼べる七分間を潜り抜けたV3を、盛大な疲労が襲った。
変身を解こうと準備するV3に、光弾が迫り火花を生んだ。
光弾が放たれた方向を見つめると、デルタの変身が解けた北崎が右腕をV3に向けていた。
「まだ終わっていないよ」
冷たい音が走り、北崎の顔に龍の影が走る。肉が這いずり回るような音と共に灰色の鱗が北崎を包んだ。
両腕に龍の頭を持つ、ドラゴンオルフェノクがV3に姿を顕在させた。
「フンッ! ハァッ!」
ドラゴンオルフェノクが掛け声と共に、圧倒的な力をV3に打ち込む。
V3はただ嵐に翻弄される小船のように、身を躍らされた。
「ねえ、僕は強いでしょう? 日本一どころか、世界一に……」
纏わり付くような口調でV3に言葉を暴力で強制する。
先程のことを根に持っていたらしい。
行動で答えるため、迫る右拳を掴む。
「トゥゥ! タァァァ!」
続けて拳のラッシュをドラゴンオルフェノクに放ち、顔を蹴り上げる。
「クッ……この!」
ストレートを身を屈んでかわし、脚を掴んで背中に乗せて投げる。
ドラゴンオルフェノクが立ち上がる前にボディーブローを当てた。
「V3!! パァァンチ!!!」
振り上げた拳がドラゴンオルフェノクを捉え、身体を砕き灰と化す。
舞い上がる灰の中から、外殻を脱ぎ捨て、身軽になったドラゴンオルフェノクが高速で背中を抉り抜いた。
「ガハッ!」
血を吐くV3に容赦なく傷を生み続けさせる。ついに力尽き、地面に伏せたところで再び魔人態へと姿を変える。
「そろそろ止めを刺してあげるよ」
悠然と近づくドラゴンオルフェノク。V3は身を起こそうと両腕に力を込めるが、上手くいかない。
「そしてみんな殺してあげる。そうすれば君も僕が一番だと認めるしかないでしょう?」
その一言が、V3の気力を刺激した。
(おやっさん、純子さん、放送の少女……他にも何人もの犠牲を出してしまった。これ以上犠牲者を出してたまるか!!)
「The……End……」
全てを砕かんと右腕が振りぬかれた。
V3は身体を跳ね上げ、自分の倒れていた場所を貫いた右腕を脇腹に抱え込む。
「捕まえた。これであの高速形態は意味を無くしたぞ!」
「ハハ……馬鹿だなぁ。今の君を殺すのに左腕だけで充分じゃないか」
刺すような激痛が身体に走った。二度目の激痛を生むべき左腕を見つめ、ベルトに力を込める。
(キックホッパー。少しお前に追いつくのが遅れる。だが待っていろ。こいつを倒し、必ず駆けつける!)
ゆっくりと、技の風車と、力の風車を回す。目的はただ一つ。
(お前が正義の為マシーン大元帥を倒したように、俺も目の前の悪を砕く!)
ベルトが輝きを増し、生命を吐き出さんと回転を加速させる。
(だからおやっさん、純子さん、放送の少女、俺に……正義を貫く力を貸してくれ!!)
「V3! エネルギー全開ッッ!! 逆ダブルタイフーン!!!」
風が吹き荒れ、壁と床を砕き、遺跡を揺るがす。
人一人のサイズが生むにしては大きすぎる、竜巻という自然現象を、機械と自然の使者が生み出し唸らせた。
「グ……アアアアアアッ!!」
竜巻の中から龍が左腕を突き出し、V3のベルトに直撃した。
「くっ!」
風の勢いを増し、右腕を捕まえながら龍を宙に翻弄させる。
だが、先程のベルトへのダメージが響き、キシキシと崩壊の音をたてる。
「いい加減に……して……もらえるかな? 君も……限界じゃ……ないか……」
ドラゴンオルフェノクの声が耳に入り、笑い飛ばす。
「舐めるんじゃない。仮面ライダーに……限界という言葉は存在しない!!」
さらに風車の回転を加速させる。竜巻の幅が一回り膨れ上がり、ベルトに火花が散る。
それでも、V3は加速をやめなかった。
「ただの……やせ我慢じゃないか……」
「違う! これは、俺の力と技と……」
思うのは、死んでいった人々。
立花のおやっさん、珠純子、放送の少女、彼ら彼女らはこの戦いで命を落としていった。
抱えている腕に力を込め、竜巻の勢いを増させ、さらに膨れ上がらせる。
「人々の願いの! タイフーンだぁぁ!!!」
ベルトより盛大な爆発を生みながら、竜巻は激しさを増していった。
天井が崩壊し、瓦礫を次々と生む。
ドラゴンオルフェノクは身体を削られていき、残るのは上半身と右腕のみとなった。
「そんな! 僕が……俺が……やられる……だと……!?」
無邪気な声が、低い悪の声へと変わっていき、風に巻き込まれ灰となり飛び散った。
抱えていたドラゴンオルフェノクの右腕をドサッと落とし、ベルトの爆発音と共に、V3は風見志郎へと姿を戻した。
「ハア、ハア、ハア、ハア……」
喘ぎ、地面に倒れ伏す。機械が剥き出しになったベルトを見つめ、憑き物が落ちたような笑顔を浮かべる。
(俺はもうV3に変身できない。結城と再会したとしても、改造手術が行えるような場所はないだろう)
だが不思議と悔いはなかった。もう巨悪二人の犠牲者が生まれることがないからだ。
(キックホッパーの元へ行かねば)
壁に手をつけ、身体を無理矢理立ち上がらせる。
昔、先輩である本郷と共に戦った滝和也の話を思い出した。
(例え変身できなくても、俺は戦う。俺がこの身体である限り!)
決意を新たに、ずるずると足を引きずり遺跡を歩く。
床には静かに青い炎に包まれる、ドラゴンオルフェノクの腕があった。
目指していた出口は逆ダブルタイフーンによって瓦礫に埋もれている。
D3エリアから樹海を目指そうと歩みを進める。
「おい」
聞こえてはいけないはずの声に振り返る。
浅倉がドラゴンオルフェノクの右腕を踏み砕き、風見を狂った笑みで迎えた。
「まだ終わってないぜぇ……」
腰には、北崎がつけていたベルトが巻かれていた。
デルタフォンを口元へ運ぶ。
「変身……」
――Standing by――
首輪のパルスが、デルタの使用者が浅倉でない為変身許可を与える。
準備のできたデルタフォンを、デルタムーバーへと接続させる。
ベルトより白いラインが走り、浅倉の身体を包む。
――Complete――
黒い強化スーツが浅倉を包み、龍から蛇へと中身を替えた悪魔のライダーが現れた。
「ハァァァッ……」
首を回し、風見が見据えられた。
蛇に狙いを定められた事を悟るも、負けじとデルタを睨み返す。
「いいぜぇ、その眼は。ゾクゾクする」
北崎がしたように、ミッションメモリーをデルタムーバーに装着させ、ポイントシリンダーが迫り出した。
――READY――
「チェック」
――EXCEED CHARGE――
ダルそうに下げた銃にエネルギーが走る。
ゆっくりと銃を向けられ、引き金に指がかかったのを確認する。
風見には、放たれた光弾を避ける力は残されていなかった。
白い三角錐が、生身の風見志郎を縫い付ける。
「ハッハッハッハッハ!」
狂気に満ちた笑い声を上げ、僅かに上下に開いた蹴りで三角錐のエネルギーを纏いながら、仮面ライダーを貫いた。
(お、俺は……茂……)
右手が虚しく空を掴み、風見志郎は仮面ライダーとしての生を終えた。
「ハァ〜、こいつはいい。イライラがすっかり消えた」
風見の死体を見下ろし、変身を解いた浅倉の顔には笑みが浮かんでいた。
オルフェノクの身体ではない浅倉がデルタになったゆえ、デモンズスレートという名の毒が回った。
しかし、浅倉は変わらない。人の闘争本能を刺激するだけの毒では、闘いに飢えている浅倉には影響を与えられるはずがなかった。
デルタの毒は、毒を内包する蛇に影響を与えれず、ただ巨大な力を提供するだけだった。
「ふん? こいつ、静かになりやがった」
手に持っているベルトが沈黙したのに気づく。
浅倉は知らないが、連続使用により過負荷がかかり二時間の間完全に沈黙したのだ。
神崎の、生への確率を減らす制限の一つだった。
「まあいい。どうせしばらくすればまた使える」
北崎との戦闘、続けてV3との死闘を通して浅倉はある程度時間が来れば再度変身できることに気づいた。
頭の回る浅倉は、戦いの余韻もあってかその場で休憩を取る事を決めた。
(キックホッパーを殺しに行って拡声器を奪うのも面白いな。北岡やあきらを呼びつければもっと面白くなる)
低く笑い、荷物へと向かう。風見志郎の荷物を手にしたとき、中身が零れ落ちた。
「ん?」
手に取ったそれは、デルタのベルトと似た構造をしていた。
四角に折り畳まれた物、その名をファイズブラスターと言った。
【北崎 死亡】
【風見志郎 死亡】
残り37人
【浅倉 威@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:遺跡D-3】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:左目負傷、全身に負傷、疲労極大。
イライラが晴れて気分爽快。
[装備]:デルタフォン、デルタドライバー。
[道具]:未確認(北崎のデイバック)。ファイズブラスター。
[思考・状況]
1:変身できる時間になったら、キックホッパーと戦うためC6の丘へ。
2:その後北岡、あきらを探して殺す。
[備考]:デルタドライバーは二時間の間完全に起動しません。
二時間経てば再使用できます。
*D2エリアの出入り口が逆ダブルタイフーンで崩れました。瓦礫をどかさないかぎり、C2へ移動できません。
投下終了。誤字矛盾があれば指摘お願いします。
また、今議論している変身ルールに抵触している為、こちらの方も意見をお願いします。
問題がある場合はもう一つのパターンに差し替えます。
いやぁ面白かった!幾度にも繰り返される熱い展開に、思わず拳に力が入ってしまいました!
そして初の二人同時退場…。
超GJ!!
|葬式会場| λ...北崎…風見…
賑わってきたし、そろそろ死者スレが本格的に欲しい。
変身については違和感無く読めたのでOKかと思います。
GJ!
昭和のライダーも熱い!
ただ、変身制限は……
どの道浅倉デルタは出せるし、再使用不可のルールに準じたものの方が良いと思う
>>170 GJ!
ちと気になったんだが、一応装備にブランクデッキがあるのでは?
たいして重要でもないけど
コンファインベントの設定決めておいたほうがいいと思う
入手したのがリュウガだから使い方はいいとしても
他作品のキャラに効果があるのかどうか
>>175 蹴り砕いたことになっています。
分かりにくくて申し訳ない。
後誤字発見。
> 首輪のパルスが、デルタの使用者が浅倉でない為変身許可を与える。
を
> 首輪のパルスが、デルタの前回使用者が浅倉でない為変身許可を与える。
別のパターンに変えたら意味ない修正ですが、一応。
いや〜、あのヤバい状態から風見がここまで善戦するとは思ってなかった!
熱い戦いをありがとう、GJ!
>>156 まとめ更新乙です。
ただ、時系列順エピソードの並びが「希望と絶望の朝」の後「FULL FORCE」になってるのが
個人的に気になってしまうのですが…
スペル間違えたァァ!
> ――BUST MODE――
を
> ――BURST MODE――
に差し替えてください。
GJ!
正直、ここまでイイ戦いをするとは思っていなかった。
|葬式会場| λ...λ...自分も葬式に向かおう……
あと、日本じゃ二番目以下噴いたww
>>179 気づいてくれてありがとうございます。
風見志郎を書くなら、一度使いたかったネタです。
あと変身制限はどうしましょうか?
問題なら差し替えますし、決着つけたい問題でもありますので。
変身制限改変には、自分は反対の意思を表明しますですよ?
・何とか制限に気付けた登場人物を混乱させたくない
・集団の戦闘力が倍増(一回なら使い回し可能なので)。単独(特にマーダー)の戦力が相対的に低下。
・アイテム継承イベントは今のルールでも出来る
この三つが理由です。
SS進行率はかなり贔屓目に見て二割ですね。真司の口調が書き辛い……
ところで矢車さんがザビーになった(というかゼクトに入った)理由って本編でありましたっけ?
あと、カブティックが島に存在する伏線を張っても良いでしょうか?
深夜なのでテンション高いですねすいません。
理由は多分明らかになってない。
最初からゼクトのエリートだった。
今の変身システムってどんなか詳しく教えて欲しい。
アイテム側に制限が掛かる
だから坊ちゃま他数人が多段変身出来て有利
今のところ、
決まったことが、
・制限は首輪で一括(変身制限、身体制限、etc)。
・変身時間はアイテムごとにということで設定。多段変身可能。多分首輪が変身アイテムごとに反応。
で、微妙なのが
・他人が使った変身アイテムを二時間以内に一度だけ使用可能。
正直坊ちゃまが多段変身しているの読んで、マーダーが変身アイテムを次々奪っていって敵を屠るって展開がありだなと思っている。
マーダーの弱体化が心配されているが、展開しだいでどうとでもなると思う。
改めてFULL FORCE読んだんだが、―がやたらと付いているので読みづらかった。
特に―…が引っ付いていると読みにくいのだが、これってどういう意図があるの?
別に…があるんだったら―はいらないと思うのだが、教えてエロい人
>>181 今まで変身してたツールを別の誰かが使うのはNGだろうって解釈でOK
・何とか制限に気付けた登場人物を混乱させたくない>
混乱するか?そういう制限なんだろうで終わりだと思うが。
つーか何の制限もなく使いまわしが出来るベルトって、デルタギアとスマートバックルしかないんだが。
・集団の戦闘力が倍増(一回なら使い回し可能なので)。単独(特にマーダー)の戦力が相対的に低下。
気づければな。それにそれができるチームの組み合わせって、どれくらいいるよ?
前にサバイブの話にもあったけど、それはしないように書き手の暗黙の了解にしとけばいいんじゃない。
実際、よっぽど上手くやらないと萎えるし。
あとコンファインベントは龍騎勢にしか効かないんでいいじゃないか
いわゆるタメってやつだろ。改めて読み直したが、他にも心理描写の部分にも「─…」が使われてるっぽい。
面白かったから全然気にならんかったがなぁ…。
俺は逆だった。
面白いのになんかテンポを阻害してるみたいで邪魔くさかった。
>>184 ・制限は首輪で一括(変身制限、身体制限、etc)。
前スレ見たんですが、軽く議論されてたものの未定だったかと。
別にした方が良い、という案も見られましたが。
>>185 >暗黙の了解
他の書き手の方々がそれで良いのなら自分は構いません。
>何の制限もなく使いまわしが出来るベルトって、デルタギアとスマートバックルしかない
カードデッキもですが……大して変わりませんね。
コンファインベントですが、効果対象は龍騎ライダー限定で良いと思います。
あと、カードは一回使ったら消える気が……
デッキに差し込んでおく(登録する)ような描写が必要かもしれません。
>>185 ―…はあの人独特の溜め、感情が良く出ていて良いんじゃないかと思う。
これに関しては、確か最初に書き手さんからコメントがあったと思うよ。
>>188 別の案(空間による制限)は自分が出しましたが、首輪の方が面倒がなくていいなと思い直しましたw
あと議論されていたとき首輪で一括がいいという意見が多数だったので、そっちで構わないのでは?
>コンファイン
各カードは、いくつかの例外を除いて一度の変身で一枚使うって感じだったはずです。
コンファインのカードを使っても、次に変身したときに使えるでいいと思いますよ。
まあ、ゾルダのカードを使った龍騎が、効果がゾルダのほうにいってずっこけるという場面もありましたがw
>カブティック
誰かに支給されているという感じでしたら問題ではないかと。
変身アイテムが出すぎという意見がありましたが、後一、二個くらいは許容できないでしょうか?
自分が書くときは、変身アイテムを支給しませんので。
>暗黙の了解
基本的に、劇中にでていない強化フォームは反対なので構いません。
個人的に◆iB2FV3/DGQ氏の進行状況が知りたいです。
単純に期限が近づいていますので、延長するのかどうか意思表示をお願いします。
それでは議論の結末しだいで改訂版を避難所に投下します。
>制限
とりあえず不明で、キャラが確定的な考察を行う度にそれが追加、が個人的には理想なんですが……
>暗黙の了解
いえ、新フォームじゃなくて
>>185で語られてる方の……
>カブティック
どこかにある、というだけの情報を。
てか、不明支給品は誰のがありましたっけ?
改訂版、投下お願いします。
巧組を予約してる人の期限が危うげ。
期限切れちゃったね。
巧、天道、あきら、草加はフリーになったって解釈でいいのかな?
それとも一日待つ?
あと変身関係は、使用例もあるしどっちにするか投票したい。
もし氏から連絡が無く、予約破棄扱いになるならば
草加、光太郎を予約させて下さい。
連絡が有るようならスルーで。
トリ忘れました。
別ロワのことはよくわからないんだが、首輪の解除方法って、どうやって決めてるんだ?
場所が異次元ということを考えると首輪が解除されてもカブトでもない限り、そう簡単に脱出できそうにないが。
>>192 睦月、北岡、おやっさん、北崎のもまだ不明支給品。
後八つ。そういえば、参加しているキング、伊坂、始が入るラウズカードは
未だ誰も持ってないよね?
>>200 普通にラヴザーに納められてると思ってた…
age
RXが戦闘中、悲しみや怒りの感情でロボやバイオに覚醒する展開ってあるの?
>>203 作者さん次第だが、別に問題ないって話だったぞ
そういえば、光太郎はRXになった直後なら、ジョーのことは知らないんだよね?
知らないだろ。
むしろ霞のジョーと互いに認識あるのが結城丈二のみ。
>>200 遅レスだがブレイドライダーがコモンブランク(だっけ?)を持っているでいいんじゃね。
>>197 こっちも亀だけどお願いします。
申し訳ありませんが、少し(一日二日か或いはもっと……)遅れるかもしれません。
大まかな流れは出来たのですが、真理の放送の時刻とか真司の口調、移動速度とかが……
ガンバレー
楽しみに待ってます!
神代剣、相川始、リュウガ、望月博士予約します。
お二方頑張って下さい!
…それと、私はどうしたら…
>>211 全裸でモニターの前に正座するといいお^^
>>206で自分がいったように光太郎と草加は◆naAqV94LaU氏が予約していると思っていました。
ぜひお願いします。
ついにぼっちゃまと始の遭遇クルー!
超wktk
まとめサイト更新しました。
また、規制がかかってましたので避難所に投下しました。
剣崎に続いて始まで坊ちゃまの
餌食なんてことにはならんよな?
坊ちゃまってだけで死亡フラグorz
E1yyNEjdEc氏、GJ!!
麻生とヒビキさん…安心して読めるメンバーだと思ったら…
真理の灰化は彼女もオルフェノクの因子を埋め込まれている以上
充分ありえると思う。
一度生き返りながらすぐに灰になって崩れるのは
オルフェノク化攻撃(なんだっけ?使途再生?)の不適合による現象と同じだから
そこに疑問を持つ人も出てくるような気もするので
死んだあと、そのまま遺体が灰化するだけの方がいいかも。
やっと見れたーー!!
◆E1yyNEjdEc氏、投下&まとめ更新乙。
冴子さんが何かしでかしてくれると期待していただけあって嬉しい展開だ!
真理が崩れるところなんてホラーのノリだ。好きだ!
>>217 このままでいいと思う。
ここに突っ込むのはファイズ見てない人くらいじゃないかな?
◆E1yyNEjdEc 投下乙でした。
冴子お姉ちゃんとドラス君コンビの今後が楽しみです!
そしてまとめサイト更新乙です。
コメント欄に末期の言葉も追加してあって、こちらも超GJ!
巧、あきら、天道、予約してもいいですか?
あったりまえじゃないか! ジョニー!!
楽しみにしているぜ!!
更新乙!
予約しても良いと思う。連絡無いし。
しかし末期の台詞、異常に格好良いのと異常に噛ませ臭いのの二通りがあるなあ……
では、改めて
乾 巧、天美あきら、天道総司、予約します。
まとめサイト更新。以前、記載されたキャラ紹介テンプレをアップしました。
今後も書く参考になればと思いますので、テンプレを記載する暇がありましたら、記載をお願いします。。。
>>217-218 ご意見ありがとうございました。
とりあえずそのままでいこうと思いますが、もし反論があればまた考慮したいと思います。
では、城茂、ジェネラルシャドウを予約いたします。
更新乙です!
そして投下も期待してます。
更新乙。
そしてライバル対決楽しみにしています。
むう、投下が無いとここまで過疎るか……
電撃の新刊が面白過ぎて筆が進まなかったのですが、ようやく山場に漕ぎ着けました。
遅くても後二日、速ければ今晩に投下出来るかと。
……それはそうと、『世にも奇妙な物語』見ながら書くとテンション上がるなあ。斜め上四五度方向に。
勢い余って真司君を*してしまいそうになる。
まいど『世にも奇妙な物語』を見ると佐野の最期を思い出すから困る。
朝八時の子供番組なのにw
過疎っているのはしょうがないな。
ルールも固まってきたし、爆弾になりそうなものはないし、良作は次々と投下されているし。
個人的には書き手の評価が聞きたい。
つーか、俺の評価w
遅くなりましたが経過報告します。
7割位まで書きました。明日の晩までには投下出来ると思います。
俺も正直忌憚無く評価されたい。ぼろくそに貶されても怒らないからw
場所によっては毒吐きがそういう役目も持ってるんだけどな。
重箱の隅を突くようなものもそれはそれで参考になる。
7ホメ3ケナシ位の割合が一番嬉しいなあ。
……批評スレが過疎ってるのが実に惜しい。
交流雑談所にて評価して貰いました。嬉しかったし参考にも。
>戦闘が淡白
自分のSSにおいて際立って駄目だったところが漸く明らかにw
本当に感謝してます。
良い機会だし、書き手の評価を住人の皆さんにして貰いたいですね。
燃料投下の意味も込めて、雑談所でどうでしょう?
すみません。
自分も評価して貰いたいです。
多分、ヘコむだろうけど……
でも、レベルアップしたいし。
私も! 望んでいるぞ!
評価をなぁぁぁぁぁ!!
でなきゃ批評スレ行かないわけで……もし暇でしたらお願いします。
俺も俺も
交流所での評価はすげえ嬉しかったんだが……こう、何かが足りない……!!
是非私も…w
ついででもいいんでお願いします。
僕も評価してもらいたいと思います。
以前の事も含め・・・改めて評価おねがいします。
おぉ!評価ありがとうございます!
凄くうれしいです。
実は自分の予約した中で、一番書きたかった話がGAMEだったんです。
これからは指摘点に気をつけて頑張ります!
またよろしくお願い致します!
あなたが神か……
その高貴な振る舞いにGJを送らせてもらおう!
評価マジ助かる。
やっぱヒビキさんに苦労したのがばれたか。
何度書いてもしっくりしないし、印象に残っているのはトドロキとの絡みだし……小説版は一巻しか出てないし……
まあいい。やったことはしょうがない。いずれカッコイイヒビキさんを書いてみせる!!
評価有難うございます。
ジャーク将軍・・・やはり散り際しか見てないのに書くのは無謀だったか(w
近くにいい悪役がいなかったもので・・・丁度つべでRXもあがってたし。
そういや、皆さん結構書いてるんですね。自分なんか未だ三つ・・・
GJ!
視点変更か……三人称さえ使えればっ……!
批評GJ!!
書き手の皆さんもがんばってくれ!!
自分、いつもテンプレキャラ紹介書いて投下してる者なんだが
書きにくいのではと言われてるヒビキと水のエル、作ったほうがいい?
平成は全部見てるし最近見直したばかりなのできちんと書けると思うが
昭和が記憶あやふやで自信ない…
お願いします!
一応弁解すると、砕ける剣の視点変更は、
・戦闘のスピード感とテンポ
・心理描写の密度
この二つを両立させる為の苦肉の策だったんだ……
あと、ラストシーンのミスリード狙い。こっちはもっと上手くやれた気もするけど。
>>244 むしろ躊躇わずじゃんじゃん書いてくれ。キャラ把握にとても役立つ。読んでて中々楽しいし。
……ロワ企画にとって、作品が占める割合ってのは精々六割だと思うんだ。
残りの四割以上は感想とか、読み専の人だからこそ出来る忌憚の無い評価とかから生まれる何かだと思う。
偉そうに語って何が言いたいのかと言うと、欲張りだけど感想もっと下さいお願いしますorz
感想はいい……
ゾクゾクする。
>>244、忌憚の無い評価……面白い。
バトロワスレってのはこう言うもんだろォ!@浅倉威
すみません。
今日はちょっと壊れてます。
流れをぶった切り、投下します。
壁に刺さった一振りの剣。カブトムシを模したパーフェクトゼクターと呼ばれるその剣は自分の前で対峙する二人の男を見ていた。
赤いプロテクターを身に纏い、自分と同じくカブトムシを模した電気の戦士、仮面ライダーストロンガー。
白いマントを羽織った、トランプを武器とする魔人、ジェネラルシャドウ。
お互いがお互いを宿敵とする二人は、決着をつけるべく、相手の隙を窺っていた。
「エレクトロファイヤー!」
先に動いたのはストロンガーだった。必殺の叫びと共に、常に電気を帯びたストロンガーの手が地面へと触れる。
それと同時に大量の電気が火花をまとい地面を走っていく。
「甘いわ」
(エレクトロファイヤーは地面に電気を走らせる技。それを知っていれば避けるのはたやすい)
ジェネラルシャドウは地面を蹴り、軽々と避けると、そのままシャドウ剣を構え、ストロンガーへと向かっていく。
だが、ストロンガーもそれを予期しており、左手でそれを払うとカウンター気味に拳を打ち込んだ。
「うぬっ」
ジェネラルシャドウの右胸へと命中する拳。ストロンガーは攻撃の手を緩めず2発目、3発目と立て続けに拳を繰り出していく。
(やるなストロンガー。だが……)
「はっ!」
ストロンガーの5発目の拳、それがジェネラルシャドウに命中する直前、ジェネラルシャドウの身体はトランプとなって霧散した。
すると、ストロンガーを囲むようにして、5枚の巨大なトランプが出現する。
「フフフフッ、どれが本物かな?」
それぞれのトランプの影にはひとりずつ、ジェネラルシャドウの姿があった。
(トランプとシャドウ分身の合わせ技。どのシャドウが本物か?この技を眼にした相手は混乱し、最後は自分の勘を頼りに攻撃するしかなくなる。
しかし、それが落とし穴。どれを攻撃しても結果は一緒、トランプから吹き出る炎に身を焼かれ、最後は爆発するトランプと共に吹き飛ぶしかないのだ!)
だが、そんなジェネラルシャドウの思惑を余所に、ストロンガーは至って冷静だった。
「シャドウ!同じ手は食わぬぞ。この中に本物はいない……トォ!」
トランプから炎が噴き出す直前、一度、その技を受けた経験があるストロンガーはジャンプし、トランプ包囲網の外へと飛び出す。
「次はこれだ。カブトキャッチャー!」
電気を利用して、相手の居場所を見つけ出す技、カブトキャッチャー。
ストロンガーが発した電気の波は隠れるジェネラルシャドウの場所を知らせる。
「そこだシャドウ、トォ!」
再びストロンガーは空中高く飛び上がる。そして、前方へ回転することにより、体内の電気エネルギーを全身に行き渡らせた。
限界まで高められた電気エネルギーに灼熱した身体は赤く輝く!
「くらえっ!ストロンガー電キッーーーク!」
虚をつかれたジェネラルシャドウにまともにストロンガーのキックが炸裂する。
「ウォォォォッ!」
あまりの威力にジェネラルシャドウの身体は地面を抉り、壁へと叩きつけられる
「ヌ……ヌゥ、やるなストロンガー」
(身体が震える。これがストロンガー電キックか)
蹴りこまれた瞬間に身体に流れこむ10万ワットにもなる電気エネルギーはジェネラルシャドウの身体にセットされた様々な機械を焼き、生身の部分を痺れさせる効果を与えていた。
(奇械人程度ではひとたまりもあるまい。さすがはストロンガーよ。だが、解せぬ。あの技は初めて使ったはずだ)
トランプとシャドウ分身の合わせ技。ジェネラルシャドウにとっては切り札のひとつ。
(にも関わらずストロンガーは『同じ手は食わぬ』と言った。一体どういうことだ)
自分の切り札があっさり破られたことにジェネラルシャドウは疑問を抱く。
「どうしたシャドウ、これで終わりか」
(今は考える時間ではないな)
悠然とこちらに迫るストロンガーに対して、再度構えをとるジェネラルシャドウ。
だが、考え事をしていたジェネラルシャドウからかなりのダメージを受けたと判断したのか、ストロンガーは構えを取りつつ言葉を紡ぐ。
「……シャドウ、もし、潔く負けを認め、今後悪事を働かないと誓うなら、命は助けよう」
「次はこれだ。カブトキャッチャー!」
電気を利用して、相手の居場所を見つけ出す技、カブトキャッチャー。
ストロンガーが発した電気の波は隠れるジェネラルシャドウの場所を知らせる。
「そこだシャドウ、トォ!」
再びストロンガーは空中高く飛び上がる。そして、前方へ回転することにより、体内の電気エネルギーを全身に行き渡らせた。
限界まで高められた電気エネルギーに灼熱した身体は赤く輝く!
「くらえっ!ストロンガー電キッーーーク!」
虚をつかれたジェネラルシャドウにまともにストロンガーのキックが炸裂する。
「ウォォォォッ!」
あまりの威力にジェネラルシャドウの身体は地面を抉り、壁へと叩きつけられる
「ヌ……ヌゥ、やるなストロンガー」
(身体が震える。これがストロンガー電キックか)
蹴りこまれた瞬間に身体に流れこむ10万ワットにもなる電気エネルギーはジェネラルシャドウの身体にセットされた様々な機械を焼き、生身の部分を痺れさせる効果を与えていた。
(奇械人程度ではひとたまりもあるまい。さすがはストロンガーよ。だが、解せぬ。あの技は初めて使ったはずだ)
トランプとシャドウ分身の合わせ技。ジェネラルシャドウにとっては切り札のひとつ。
(にも関わらずストロンガーは『同じ手は食わぬ』と言った。一体どういうことだ)
自分の切り札があっさり破られたことにジェネラルシャドウは疑問を抱く。
「どうしたシャドウ、これで終わりか」
(今は考える時間ではないな)
悠然とこちらに迫るストロンガーに対して、再度構えをとるジェネラルシャドウ。
だが、考え事をしていたジェネラルシャドウからかなりのダメージを受けたと判断したのか、ストロンガーは構えを取りつつ言葉を紡ぐ。
「……シャドウ、もし、潔く負けを認め、今後悪事を働かないと誓うなら、命は助けよう」
その言葉はストロンガーにとって、自分の名を思い出させてくれた宿敵へのせめてもの感謝の気持ちであった。それが……
「馬鹿な。貴様を殺すことが俺の生きがいだ。お前が死ぬか、俺が死ぬか、選択肢はふたつしかない!」
それが絶対に否定されるとわかっていても。
その時、遺跡が轟音と共に揺らぎはじめる。
その轟音は風の音、そして、聞こえてくる方角は自分が辿って来た道から。
ストロンガーの脳裏にひとつの答えが浮かぶ。
―――逆ダブルタイフーン
V3の最強の技にして、使えば3時間の変身不能という最大のリスクを背負う技。
その技が使用されている事実は即ち、V3の危機を告げていた。
「……一気に決着をつけるぞ、シャドウ!」
「来い、ストロンガー!」
「チャーージアップ!」
ストロンガーの声に呼応して、胸のSのマークが回転する。その回転が内臓された超電子ダイナモを発動させ、ストロンガーの身体に超電子の力を漲らせていく。
だが、ストロンガーの角が銀色に煌くことはなかった。
チャージアップストロンガーへその姿が変わろうとする直前、胸のSマークが今度は逆回転を始める。
すると身体に漲っていた超電子の力は瞬く間に消滅し、それどころか電気エネルギーまでもが失われていく。
「うぉぉぉぉぉっ!」
爆発。ストロンガーの身体から火花が飛び散り、粉塵を巻き上げる。
「ストロンガー!」
遺跡に響き渡るジェネラルシャドウの声。
しばらくして粉塵がおさまると、中心にいたのは、ストロンガーではなく、倒れ伏した城茂だった。
「ば、馬鹿な、チャージアップが出来ないとは……はっ」
茂の瞳に白いブーツが映る。見上げるとそこには宿敵の姿。
「首輪は超電子ダイナモにまで影響を与えたか。ふん、余計な真似を」
茂の首にシャドウ剣が突きつけられる。
ジェネラルシャドウの言葉で、茂は理解する。単に自分たちに言うことを聞かせるために付けられていたと思っていた首輪が自分たちの能力まで制限していたのだ。
だが、その事実に気づくのは遅すぎた。今、茂の命は眼の前の男の一撃で終わろうとしている。
(先輩、済まない。俺が未熟なばっかりに)
自分の行動を悔い、茂は死を覚悟する。
(これで終わりか。なんともあっ気ない幕切れだ)
ジェネラルシャドウは思案する。
(殺し合いに正々堂々という言葉はない。例え今回のように首輪という制限をかけられていたとしても、それに気付かなかった馬鹿が悪い)
このゲームが始まって八時間あまり、気付く時間は充分あった。それに気付かなかったのは怠惰という他ない。
(だが、なんだ。この虚しさは。普段の俺なら笑って止めを刺すはずだ。それが何故?)
「……どうした、止めをささないのか」
「っ!」
ジェネラルシャドウの蹴りが茂のあごを捉える。
(俺はこんな決着など望んでいない。俺が望むのは……)
「城茂。貴様の命、一旦は預けよう」
ジェネラルシャドウはシャドウ剣を鞘へと納め、踵を返す。
(この世に生を受けて、初めて出会った至高の強敵。全てを失った俺の生きがいとなる男。そんな男をこんな形で葬るのは俺の誇りが許さない)
「明日の午前9時。午前11時に禁止エリアになる場所で決着をつける。それまでに己の力をしかと確かめておけ」
ジェネラルシャドウはトランプを弄びながら、その場を去っていった。
「ちっ、いてぇなぁ。思いっきり、蹴りやがって」
そう言いながらも、茂に恨みの心はない。むしろその一撃が「喝」になり、茂に立ち上がる力を与えた。
茂はディパックを担ぎ、風見の元へと走る。
「情けねえぜ。今日はあいつに感謝することばっかりだ。だが、だからこそ……決着は俺の手でつける」
V3はもういない。城茂の行く先には今以上の絶望と悲しみが待っている。
だが、宿敵との邂逅は彼に揺るぎ無い信念を与えた。
彼は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー
【城茂@仮面ライダーストロンガー】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:遺跡E-3】
[時間軸]:デルザー軍団壊滅後
[状態]:胸の辺りに火傷。2時間変身不能。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:明日、ジェネラルシャドウと決着をつける。
2:風見と再会し、謝罪する。
3:仲間を探す(仮面ライダーキックホッパー優先)。
4:殺し合いを阻止し、主催者を倒す。
5:自分に掛けられた制限を理解する。
※首輪の制限により、24時間はチャージアップすると強制的に変身が解除されます。
※城茂の支給品、パーフェクトゼクターは遺跡E-3の壁に刺さっています。
制限により、パーフェクトゼクターは自分で動くことが出来ません。
パーフェクトゼクターはザビー、ドレイク、サソードが変身中には、各ゼクターを呼び出せません。
また、ゼクターの優先順位が変身アイテム>パーフェクトゼクターになっています。
【ジェネラルシャドウ@仮面ライダーストロンガー】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:遺跡F-3】
[時間軸]:37話前後
[状態]:多少の打撲。痺れ少々。2時間戦闘不能。
[装備]:シャドウ剣、トランプ内蔵ベルト
[道具]:ラウズカード(ハートの10、J、Q、K)
[思考・状況]
1:明日、ストロンガーと決着をつける。
2:ストロンガーの言葉(同じ手は食わない)に疑問。首輪の制限も含めて考えてみる。
3:スペードのA、クラブの8が暗示するものを探す。
4:ジョーカーを倒す。
5:他の参加者は手段を選ばず殺す。
投下終了。
誤字、脱字、指摘事項、感想があればお願いします。
>>244 指針があると思い出すのも楽なので是非お願いします。
昭和は……頑張ってみます。。。
>>246 書き手もまた読み手なり。。。
投下乙&GJ!
熱い戦いだ。ライバル対決は本当に燃える。
最初パフェゼク視点なのに吹いた。意外と存在感をアピールしているのね。
今後出番があるか分からないがw
時間軸の違いによる戦闘展開は唸った。その発想力に嫉妬。
面白い話をありがとう!
>>236 評価ありがとうございます。
ご指摘、参考になります。
ガライのキャラは確かに活かせてませんでした。
>>244 お願いします、水のエルは特にキャラ把握が難しくて……。
>>256 GJ!
二人のライバル同士という関係が活かされていて、面白かったです。
予約期間を超過してすいません。投下します。
「俺が朝ご飯を作ってきますから、皆で食べましょう」
そう津上が言い出したのは、俺達六人が上城君が眠る部屋に集まって
とりあえず全員が名前だけの自己紹介を終えた後、俺が情報交換を切り出そうと思った時だった。
てか、今がどういう状況か分かってんの?一応殺し合いの真っ最中よ。
「……先に情報交換を済ませた方が、良いんじゃない?」
「話ならご飯を食べながらの方が、はずむじゃないですか。
それに皆さん夜からずっと動き詰めで、お腹が減ってるでしょう?そんなんじゃ、いざという時動けませんよ」
いや、話がはずむ必要ってある訳?今の状況で情報より、空腹に気がいく人も居ないだろ。
「確かに、腹は減ってるな」
居たよ。この橘って奴も何考えてんだか。
「私は遠慮しておきます」
木野の方は、やんわりとだが断った。当然の判断だけど。
木野はさっきから俺達の誰かが動く度に、サングラスの奥から警戒の目を向けているのが分かる。
雰囲気から見ても一筋縄じゃいかない人物みたいだ。ま、俺も人の事は言えないか。
「あ、俺もここに来る前に朝食は済ませてきたんだよね。だから遠慮しておくよ」
俺も断りを入れる。本当はゲーム開始から何も食べてないけど、そこは角を立てない為の口実って事で。
「甘いですね〜、朝食は一日の活力の源ですから、ちゃんと取らないとその日一日まともに戦えませんよ」
甘いって何が?朝食に対する認識がって事?お宅の殺し合いに対する認識よりましなんじゃない?
「へぇ〜、じゃあ俺の分も頼むよ」
こいつアンデッドの癖に、大事な食料を消費する気?
「それじゃ早速作ってきますね」
仕方ない、津上には二人きりで聞きたい事があったし都合がいいかもしれないな。
「俺も手伝おう。えーと津上君って呼んでも良いかな?」
「はい、ありがとうございます」
「俺はこの山小屋の周りを、見張っておこう」
橘が見張りに名乗りを上げる。
「あ、俺も見張りするよ」
キングも見張りに名乗りを……ってどういうつもりよ?
まあ橘は上城君同様キングがアンデッドだと知ってる訳だし、流石に子供騙しの策略しか出来ないキングに騙される事も無いか。
木野も油断の無い人間だから、この場で変にキングに対する警戒を促してあいつの機嫌を損ねない方がいい。
あういう手合いは気分次第で、極端な行動に走りかねない。
「じゃあ橘さん達はご飯が出来るまで、山小屋の周りを見張ってて下さい。
出来たらご飯を食べながら、皆で情報交換と今後の方針について話し合いましょう」
それだけ言うと津上君は、食糧庫と台所のある方に向かったので俺も後を追った。
いつの間にかあいつが仕切る形になったのは予想外だったが、何故かあいつに悪印象は無かった。
この山小屋は本当に大きくて、小さい食糧庫や台所も含めて複数の部屋がある。
津上君はその食糧庫の中をあさっている。
「まさかここにある食料を使う気?」
「ええ、この山小屋にはたくさん食料が有りましたから」
「毒が入ってるかもしれないだろ」
「でもどこにも毒入りとは書いてないですし、神崎さんなら黙って毒を入れたりしないでしょ?」
「俺達より先に来ていた奴が、毒を盛っているかもしれないだろ」
「袋や瓶に入っている食料しか使わないし、大丈夫ですよ」
俺はそれ以上何も言わないことにした。どうせ俺が食べる訳じゃないし、津上君も満更考え無しという訳じゃ無さそうだ。
「それじゃ北岡さんはこれを、キッチンまで運んで下さい」
そう言って津上君は、野菜の入った袋を渡してきた。
確かに俺はライダーよ、でも俺力仕事には慣れてないんだよな。
結局、俺は荷物持ちをさせられた。手伝うって言ったのは失言だったかな、どうもこいつといると調子が狂う。
津上君は吾郎ちゃん顔負けの手際で、料理に専念している。
「手伝うって言っといて何も出来なくて悪いね。実は君と二人で話したくてね」
「大丈夫ですよ、僕は料理は慣れてますから。それで話って何ですか?」
「君は木野と知り合いなんだよね、なら君も木野と同様に変身出来るのかな?」
わざと言葉の中に仕込んだ針を見せる。出方によって相手の人なりや木野との関係が分かる。
「ええ、俺もアギトに変身出来るんですよ」
間髪入れず屈託の無い返事が返ってくる、やはり調子が狂う。
「へえ、どんなモンスターと契約したの?」
「契約?さあ……いつの間にか変身出来る様になったんですよ」
「木野って人も同じ感じなのかな?」
俺は津上君の腹を探る事を止め、情報収集に専心する事とした。
その後の津上君の説明で分かった事がある。
アギトという人類の言わば変異種が多数存在し、津上君や木野がそうである事。
またそれらを狙うアンノウンと呼ばれる、生命体が存在する事。
そしてこれではっきりした事もある。
それはこのゲームの参加者が、異なる複数の世界から集められたという事。
自他共に認めるスーパー弁護士である俺は、社会的に大きな事件や警察内部の情報にも詳しい。
そんな俺が自分の世界にあるアギトの存在や、アンノウンによる不可能犯罪を知らないでいる筈が無い。
上城君の説明と合わせて考えてみても、パラレルワールドの様に微妙な相違がある異世界から集められたとみて間違い無いだろう。
………ますますハードルが高くなった訳か。
どんな未知の敵が居るか分からない上、アンデッドになれたとしても元の世界に帰れないんじゃ仕方ない。
それに津上君の話の分には、木野はやはり油断のならない相手みたいだ。
味方に付けるにしても、少し腹を探った方がいい。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺はいつか見た闇の中に閉じ込められている。俺が闇の奥を覗くと、闇も俺に話し掛けてくる。
―――俺を受け入れろ。
嫌だ!
―――生き残りたいなら、俺の力が必要だ
俺はもう、お前には頼らない!
―――俺を拒絶すれば、お前は死ぬしかない。
黙れ!俺は……俺は二度とお前に取り込まれたりしない!
―――死にたくないだろう……ブレイドのように。
何だと!?どういう意味だ!?答えろ!剣崎さんがどうしたって言うんだ!!?
「!?……あれ………ここは?」
「気が付きましたか」
目を覚ますと、うつ伏せになってベットの上に居た。
「あなたは気絶したまま、私達が居たこの山小屋に連れて来られたんですよ。
私は医者でして、ずっとあなたの治療をしていたんです」
俺が状況が掴めなくて呆けている内に、隣に居た男が説明してくれた。
「治療といっても火傷に障らないよう、楽な姿勢で寝かせて消毒と他に外傷が無いか調べただけですが。
心配しないで下さい火傷の他には特に外傷は診られませんでしたし、火傷もいずれ治まるものです」
男は落ち着いた態度で怪我の具合を説明し、俺の不安は幾分和らいだ。
「……そうですか、ありがとうございます」
俺は礼を言ったきり男が居るのとは反対を向いて、ベットに潜り込む。
多少不安は和らいだと言っても、とても誰かと話がしたい気分じゃない。
殺し合いの最中に気絶していたという事は、もし隣に居た男がその気になっていたら……
改めて思い返したら、ぞっとする。
アンデッドとの戦いも命懸けだったけど、それとは異質な殺し合いの恐怖。
それに、夢の中に出てきた闇とその声……
俺は克服した筈だ。幼い日の闇も……そしてあいつも………
「……放送はもうされたんですか?」
「ええ、一度だけですが」
「誰が死んだか教えて貰えますか?」
闇の奥からの言葉を思い出し、問いかける。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
俺は山小屋の周囲を見回りながら、睦月の事を考える。
自分が睦月と会った最後の記憶は、あいつはカテゴリーAに乗っ取られていた。
カテゴリーキングである嶋さんを封印したが、その後姿を消した。
最初は頼りに出来ると考えたが今になって思い返せば、おそらく睦月はカテゴリーAに乗っ取られたままだろう。
だがその確証は無い、なんとか睦月の状態を確かめないと……
「……どう、異常無い?」
キングに声を掛けられ、思考を中断する。
「ああ………そう言えば君には睦月が世話になったな、礼を言うよ」
「睦月?……ああ、レンゲルの事ね。実はその睦月の事で相談があってさ」
キングは携帯の写真を、俺に見せる。
睦月の事をレンゲルと言い直したのが引っ掛かったが、写真を見たらそれどころでは無くなった。
「これは!?」
「……これ睦月が持ってた携帯なんだけどさ。この子に銃を向けてるライダーが、橘だって言うのは本当?」
明らかに年下の者に呼び捨てにされたのがさっきより引っ掛かったが、それより解決すべき問題が出来た。
「確かにこのライダーは俺だ。だがこれはこの少年が人を殺したからだ!」
「……ふ〜ん、でも睦月は橘が危険人物で、ゲームに乗ってるって言ってたけど……」
「睦月がそう言ったのか!?」
「でも橘は危険人物に見えないし、睦月も様子がおかしかったから、確認の為に聞いてみたんだけど……」
間違い無い!これで睦月がカテゴリーAに乗っ取られている事がはっきりした!
「……あっ、ちょ、ちょっと待ってよ!! 」
俺はキングの制止も聞かず、山小屋の中に戻っていった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
やっと引っ掛かる人間が出てきたよ。
でもギャレンとレンゲルを戦わせる為には、もう一押ししないとね。
ただレンゲルは俺の顔を知ってるんだよな、どうしょっかな……そうだなあのカーテンの端を切って
大きさはこれ位でいいか、これをバンダナの要領で頭に巻いて……っと。
ずっと付けてるつもりも無いし、窓ガラスに写して見たら印象も変わってるし、まあこんなもんで良いだろ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「嘘だ!!あの剣崎さんが……剣崎さんが死ぬ筈が無い!」
ベットの上で、立ち上がる。
「落ち着いて下さい。傷に障ります」
「剣崎さんが死ぬ筈が無いんだ!だって……だってあの人は!」
「………」
「俺や橘さんがどれ程惑っても、あの人だけは何時も目の前で苦しめられている人を助ける為に、
揺らぐ事無く戦い抜いてきたんだ!……それに………あの人はもう人間じゃ……」
「成る程、嘘や間違いの可能性も否定出来ませんね」
男の言葉に、俺の気勢は止まる。
「私はちゃんとあなたに死亡者を教えました。それは他の人に確認を取ってもらえば分かります。
しかし主催者が我々を操作する為虚偽の情報を流したり、参加者が自分が死んだと偽装した可能性も有ります。
いずれにしても……」
男は椅子に座り直す。
「ここであなたが騒いで、確認出来る事ですか?」
俺もベットに座り直す。
「……すいません……あなたにこんな事を言っても、仕方ないですよね……」
俺は我ながら不安げに、手元のレンゲルバックルを見つめる。
大丈夫だ、俺はあいつに打ち勝った。
確かに今はカテゴリーキングもクイーンも無い。
だが今はもう嶋さん達の力を借りる必要も無い、あいつはもう居ないのだから。
―――ではお前は誰の声を聞いているのだろうな?
己の内から、何時か聞いた闇の声がする。
―――お前はいずれ俺を受け入れる、生き残る為にな。
黙れ、黙れ、黙れ!!
「睦月から離れろ!!」
耳障りなドアを乱暴に開ける音をたてながら、部屋に入るや否や橘さんはそう言い放った。
「……橘さん?」
「睦月、お前を拘束する」
俺は思わず身構える。
「な、なんなんですか!?いきなり?」
「安心しろ、殺しはしない。だが今はお前を指導している暇は無い。だから拘束する」
「そんな事言われて、安心出来る訳無いじゃないですか!訳を言って下さい」
「お前と化かし合いをするつもりは無い。睦月……いや、カテゴリーA!」
カテゴリーA―――その名で呼ばれた時、己の内であいつが笑った気がした。
「橘さん、さっきから何を言ってるんですか!?俺はもうカテゴリーAじゃないと知ってるでしょう?」
不安を隠しきれない俺は、レンゲルバックルを握り締める。
「睦月、バックルを俺に渡せ」
「嫌です!」
「何故だ?」
「今の様子のおかしい橘さんには渡せませんよ!」
「それを渡さないのなら、お前は自分が睦月じゃなくカテゴリーAだと認めることになるぞ」
「だから違うって言ってるだろ!!さっきからなんなんだあんたは!」
俺は不安と恐怖で増幅された苛立ちを、そのまま橘さんにぶつける。
「やっぱり橘は普段と違ってるんだ」
いつの間にかドアの前に立っていた、バンダナを巻いた少年が話に入ってきた。そして俺に携帯を投げ渡す。
その画面に写っていたのは、ギャレンが子供に銃を向ける写真。
「そのライダーが、子供を殺す所の撮ったんだけどね」
「違う!俺は殺して等…」
「何が違うんだよ!今もレンゲル……睦月から武器を奪おうとしてただろ」
橘さんの声に被せる様に、少年が話を続ける。
「そのライダーは変身が解けた後、橘の姿に戻ったんだけどさ……」
「お前、一体何…」
「その橘の姿から化け物に変化していったんだよな」
橘さんの声を遮り、更に話を続ける。
「大方この橘も、そいつが化けた偽者って所だろ」
そうか、こいつは橘さんじゃ無かったのか。
そうだ、俺は間違っていない。間違っているのはこいつだ!
「お前はカテゴリーAと組んでいたんだな……」
偽者が訳の分からない事を少年に言っている。
何時までも橘さんの声で喋りやがって、黙らせてやる。
「変身」
『OpenUp』
アンデットとの融合によるライダーへの変身が、妙に心地好い。
「睦月、お前を救う為には戦うしか無いようだな……変身!」
『TurnUp』
光壁を通り抜け、偽者はギャレンに変身する。
「変身出来たか……」
偽者がまた橘さんの声で訳の分からない事を言って、俺を苛立たせる。
―――ギャレンを殺せ。
言われなくても、やってやるよ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
上城君が眠る部屋がどうも騒がしいと思って戻ってきたら、何よこれ?
二人のライダーが睨みあってる。
片方はレンゲルで、もう片方は確かギャレンか。
木野は状況が掴めないといった様子で二人から離れているし、これはキングの仕業と見て間違い無い。
その証拠に似合わないバンダナをしたキングが、俺にこんな事を耳打ちしてきた。
「余計な口出ししたら、殺すよ」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ライダーもそうでない者も、不死にあらざる者は皆
その部屋に入る限り異様な緊迫の中、膠着を余儀無くされた。
「出っ来ました!さあ皆さん、朝ご飯にしましょう!……どうしたんですか?」
否、一人だけ違っていた。
【上城睦月@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:本編後。
[状態]:背中に大火傷。精神不安定。
[装備]:レンゲルバックル、ディスカリバー@カブト、携帯電話
[道具]:不明。
[思考・状況]
1:橘への対処。
※睦月は橘を偽者だと思っています。
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:手負い。でも軽傷。
[装備]:不明。(袖口に隠し持てる)
[道具]:不明。
[思考・状況]
1:橘と上城君を何とかして止めよう。
2:ついでにキングにどう対処するか(こいつもう変身出来たっけ)
3:木野薫に警戒する。
4:……城戸たちとでも合流してみるか。リュウガについて何か分かるかもしれない。
5:橘を利用する。人数がある程度減るまでは優勝するかアンデッドになるかは保留。
【木野 薫@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:本編38話あたり
[状態]:肩、腕に加え、脇腹にサーベルの刺傷
[道具]:精密ドライバー、救急箱(元は岬ユリ子の道具)。
[思考・状況]
1:とりあえず状況を把握
2:自分の無力さを痛感している
3:力を得るために最強のライダーになる
※木野は時間軸のずれにより、津上のことを葦原の友人としか認識していません。
投下終了しました。
規制の為、状態表の続きは避難所に投下しました。
誤字、脱字、矛盾点等あればお願いします。
二人ともGJ!!
>宿敵
何でだろう。昭和見たこと無いのにジェネラルシャドウと茂の声が脳内再生された……
そういやスペードのAはともかく、クラブの8……ポイズン?ジョーカーを毒殺すると申したか。
そしてパーゼク放置……浅倉とかに拾われそうでやだなあ。生身でも鬼のように強い浅倉が目に浮かぶ。
>不死者の奏でる狂想曲
睦月黒化?やーな時間軸から来ちゃったなあ橘さん。
>「今の様子のおかしい橘さんには渡せませんよ!」
尤もな意見だ。だが睦月よ、橘さんの様子がおかしいのは今に始まったことじゃない。
投下乙
全員が自分なりにちゃんと合理的な行動をとっているのに、微妙にかみ合っていない様が
面白くもあり恐ろしくもあり…いい展開のしかたですね
橘さんもこうしてみると、別に頭が悪いわけでもなく、しかも正義感の強い人なのに…なんでこうなっちゃうんだろうなあw
お二人ともGJ!
◆E1yyNEjdEc
誇り高きジェネラルシャドウ格好良かったです!
◆ozOtJW9BFA
大人数にもかかわらずすっきりとまとめてあり、キャラ1人1人の個性が生きていて素晴らしい!
ついでに経過報告します。
進捗状況は7割程度です。
多分、金曜の夜に投下します。
投下乙。
俺はブレイドは見たことないが、橘さんの噂はよく目にする。だからこう言わせてもらうぜ。
さすがだぜ、橘さん!
俺達にはできない勘違いを平然とやってのけるッ!
そこに痺れr(ry
274 :
名無しより愛をこめて:2007/03/28(水) 15:16:00 ID:nDh6HLdAO
>>256 いつもまとめ更新乙!
それと何気に原作ライバル対決って初じゃないか?熱い!熱すぎるぜ…!
頼れる先輩の風見を失った茂の先行きが不安だったが、今回のSSで大丈夫かもしれんと思い直したよ。超GJ!
>>269 俺が巻いたキングのフラグが活かされて凄く嬉しい。このまま何も無く終わると思ったから…
うっかり橘さんと黒睦月の誕生でブレイド勢がカオスに。
剣崎→死亡
橘さん→うっかり八兵衛
睦月→黒
キング→不協和音
伊坂→空気
始→ジョーカー
原作のバトロワ宜しく、灯台組のような波乱が起きるかもしれんな…。何はともあれ超GJ!
>>269 投下乙&GJ!
橘さんはほんとにもう〜
でもそれでこそ俺たちの橘さんだ! 大パーティの崩壊はロワのお約束だから面白かった。
それでは投下行きます。
神代剣は、サングラスをかけた、男の死体を見下ろしていた。
彼はその男を知っていた。いや、知識として持っていた。
カテゴリーJ、上級アンデッドと呼ばれ、剣崎の先輩である橘を翻弄した強敵、伊坂ことピーコックアンデッドである。
何故不死である彼が人の姿のままでベルトのバックルを開き、倒れているかは知らない。
だがチャンスであると悟った彼は、コモンブランクをベルトに落とした。
カードが身体の上に落ち、光を放ちながら吸い込まれていく。
死体が消え、ダイヤのJが神代の手に収まる。
(これで目的の一つは果たした。禁止エリアになる前に去るとするか)
禁止エリアと呼ばれた場所に足を踏み入れた理由はただ一つ、残されたアイテムの回収である。
加賀美との戦闘を終え、時間の猶予があるうちに、禁止エリアの放置されたアイテムを回収しようと思ったのである。
頂点に立ち、全てを無かったことにする為。誰もが笑って暮らせる世界を創る為。
そのためなら手どころか心を汚すことさえ躊躇わなかった。親友を殺したように。
(俺はカ・ガーミンを殺している。後戻りは出来ん。……だからこそ、俺以外を幸せにする!)
決意を胸にその場を後にしようとしたとき、天よりそれは響いた。
『みんなぁ! 殺し合いなんてもうやめてー!!』
驚き、声が聞こえたほうを向く。
(放送? ……いや、拡声器か何かか?)
『殺し合えって言われたからって、人を殺すなんておかしいよ!』
少女の訴えが胸を突く。
(そうだ、おかしいな。だがな、ショ・ミーンの少女よ……)
『帰りたいから殺すの? 守りたい人がいるから殺すの? ただ殺したいから殺すの? 怖いから殺すの?』
(俺は償いの為に殺す道を選んだんだ。引き返す気はないんだ……)
『そして何も力が無くて脅えている人! 私もそうだった!』
その言葉に驚愕する。こんな目立つ前をすれば狙われるのは誰だって分かるはずだ。
なのに、放送の少女は何の力も持たないと言う。命を懸け、少女と同じ不安な人々を勇気付ける為に訴えを続けている。
『ファイズは、仮面ライダーは……闇を切り裂いて、光をもたらす!』
その高貴な行いに、彼は、神代剣は目眩を起こした。加賀美に負けないほどの高貴な振る舞いを、何の力を持たないショ・ミーンの少女が行っているのだ。
無関心を抱けるはずがなかった。しかし、神代の心地よい陶酔を無粋な銃弾が引き裂く。
一瞬の間をおき、少女の高貴な振る舞いが汚されたことに気づいた。
憤怒の表情が浮かび、怒りの歩みを丘へ向ける。高貴な振る舞いは、誰にも汚させてはならない。
どうせ数を減らさなければならないなら、少女を殺すような殺戮者を手にかけてもいいはずだ。
どんな道を歩もうと、神代剣の本質は仮面ライダーだった。
そんな彼の足を止めたのは、一筋の光だった。
『俺は闇を切り裂き光をもたらす、仮面ライダー! キック! ホッパァー!!』
その言葉に耳を疑うが、ザビーとなった矢車を見た事を思い出した。
声からして、別の誰かを資格者として認めたのだろう。
認めた相手が闇を切り裂くといっているのは意外だが、すぐに思い直す。
もとより資格条件なんて曖昧だ。ただゼクターが気に入るか否か。
ドレイクやサソードなど、ワームすらも主として選ぶ。それだけのことだ。
だからこそ、少女を守ろうとするものに力を与えたホッパーゼクターを称えてやりたかった。
踵を返し、市街地へと戻る。あの場に自分の出番がないのは充分分かった。
少女の高貴な振る舞いに応えるのは、親友の血で汚れた自分ではなく、闇を切り裂き、光をもたらす仮面ライダーであるべきだからだ。
(新しいキックホッパーよ。もし逢うことがあるのなら、決闘を挑もう。正々堂々と、一対一で!)
今は道は交わらないが、いずれ決着をつけるのは分かっている。
自分とキックホッパーの資格者では戦うしか道はない。
(ショ・ミーンの少女よ。君の高貴なる振る舞いは受け取った。俺が頂点に立ち、君が夢を追いかけられるような世界を創って見せる!
それまではキックホッパーの胸に抱かれていてくれ。俺は……)
地面を強く踏みしめ、前を向く。剣の柄を強く握り、地面を抉り火花を散らせる。
(神に代わって剣を振るう男、神代剣だ! 神に代わって、全てを救う!)
少女の放送を糧に、決意を強める。彼に迷いなど芽生えるはずがなかった。
――SWORD VENT――
ビルの窓より剣が回転し、龍を模した黒衣のライダーが掴む。
上段より振り下ろされる刃を、カリスは自分の刃で受け止めた。
甲高い金属が交わる音が静かな市街地に十数度響く。
カリスはこのままでは埒があかないと判断し、カードをラウズする時間を稼ぐ為、後方に飛び退きながらカリスアローの矢を放つ。
――GUARD VENT――
黒龍のライダー、リュウガは盾でカリスの攻撃を防ぎながら突進する。
距離が一、二メートルまで近づき、盾を投げつけてきた。
盾が視界を遮り、焦る。
盾が甲高い金属音を立て、吹き飛ばされながら胸に一文字の傷が刻まれ、緑の血が噴出す。
――STRIKE VENT――
続けて龍の頭を模した拳がカリスを吹き飛ばす。
そして、漆黒の龍がリュウガの後ろに舞いながら現れる。
充分距離があるはずなのに、まるでカリスを殴るように拳を突き出す動作を起こす。
動作の終わりと同時に、黒い炎がカリスに迫った。
――Tornado――
カードの絵柄が光となりカリスの身体に吸収される。カリスアローより風が巻き起こり、炎の軌道を僅かに逸らす。
地面に直撃して爆発が起こり、衝撃で壁に身体を叩きつけられる。
技を放とうと、カードを手に取ろうとするが、腕が振るえ地に膝をつく。
目の前には剣を構えこちらに近付く黒衣のライダーがいた。
ジョーカーに姿に変え、迎え撃とうとするが痛みに身体が反応しない。
(俺は終わるのか?)
まだ剣崎と天音ちゃんを救うことが出来ていない。終わるわけにはいかない。
なのに、身体は動かなかった。
(剣崎……)
「ウェェェェェイ!!」
聞こえるはずのない声に、天を仰ぐ。
「大丈夫か!? 始!!」
青い装甲、銀の角、赤の瞳、自分を守らんと剣を振るうその姿、それは彼の知る剣崎一真そのものだった。
「キサマ……」
リュウガが呟き、剣を払う。
しかしブレイドは受け止め、刃を滑らせ当て身をくらわせる。
バランスを崩したリュウガの腰にミドルキックをかまし、二枚のカードをブレイラウザーにラウズする。
――Slash・Thunder――
――Lightning Slash――
「ハァァァ……ウェェェ――――――ィッ!!」
雷を纏いし刃が、下段から上段にかけ、リュウガを払い身を躍らせる。
「ぐぅぅ……」
帯電し、動きが止まる。そのときを狙っていたようにカードをラウズする。
――Mach――
電子音が響き、ブレイドに抱えられる。
朦朧とする意識に、懐かしい感触に身を委ね、カリスから始へと姿を変え、意識を闇に落とした。
「逃がしたか」
淡々と呟くと、ガラスが砕け散るように黒龍の鎧が弾ける。
禁止エリアから逃れるように踵を返し、市街地を進もうとする。
「ま、待ってくれ……。私も連れて行ってくれ……」
自分に縋る望月の姿に軽蔑の視線を送る。
失血により視界がきかないのだろう。誰でもいいから助けて欲しいと無様な姿を晒しているのだ。
「今楽にしてやる」
拳銃、デザートイーグルを向け、引き金に指をかける。
静かな住宅街に雷鳴のような音が轟か――――なかった。
(何故だ! 何故撃てない!!)
フラッシュバックするのは銃を撃たれ無残な姿を晒していた女性の死体。その光景が、リュウガを躊躇わせていた。
舌打ちし、望月の腹を蹴る。蛙が踏み潰されたような声を上げるのを見下す。
「まあいい。あと一時間もすれば禁止エリアになる。それまで残りの短い生を噛み締めるんだな」
心とは裏腹に冷徹な声で吐き捨て、その場を後にする。
漆黒の龍が去った後には、死を待つのみの男が取り残されたのみだった。
(私は死にたくない!)
生への執着心を持って、片手で這いずり回る。地面を掴む指は爪が剥がれ血が滲む。
(ドラスに会えれば助けてもらえる。ドラスと合流さえすれば……)
地面を掴もうと腕を動かすと、固い感触に当たる。
ゴミ捨て場より、腕に当たった壊れたオルゴールの箱が落ち、静かな音を奏でる。
旋律が、望月博士の心を刺激した。
――宏、音楽を聴くと優しい気持ちになれる。
自分が、愛する息子に教えた言葉が浮かぶ。
箱と同じように旋律も壊れて、音が飛び飛びに演奏される様はまるで今の自分のようだ。
(私の望みはネオ生命体が進化の頂点に立つことだ。人間を抑え、決して間違わない完璧な生命体を作る。
……それだけを願って麻生君を無理矢理改造し、ドラスを作り、今は自分が救われることしか考えていない。宏、駄目な父親ですまない)
自嘲の笑みが顔を支配し、身体を仰向けにする。消耗した体力ではそれが精一杯だった。
(放送の少女など、私のような人間にも希望を与えようと命を懸けた。なのに私がしたことといえば命乞いだけだ……)
首輪から甲高い音が鳴り響き、テンポを速めていく。もう自分は終わりらしい。
そう悟ったとき、再び拡声器を通した声が聞こえた。
『……俺は自分の願いを叶えます! こんな戦いをぶっ壊して、みんなを必ず救い出します。
だから、真理ちゃんが言っていたように希望を捨てないでください! 勇気を持ってください! 正しく生きることを諦めないで下さい!』
麻生が正義を貫く宣言をしている。少し前の自分なら、彼の決意を馬鹿にし、ドラスを探す方に意識をやっただろう。
だが今は違う。音楽と昔の自分を取り戻した彼は、麻生の決意に満足気な微笑を浮かべた。
「麻生君、私が無理矢理与えてしまった力を正しい方向に使ってくれてありがとう。そして私はもうお終いみたいだ。
願わくば、この殺し合いを壊して宏の事を守ってくれ。私のことは恨んでくれて構わない」
音が一際甲高くなり、最期の時が迫る。万感の想いを込めるため、肺を空気で満たす。
「宏、愛している」
己の汚さも、悲しさも、優しさも含んだ笑顔を浮かべ、首を爆発に飛ばされる。
しかし、博士として生き、父親として最期を迎える男に、死の恐怖はなかった。
(今度はキックホッパー……麻生という奴が拡声器を使っているのか)
聞こえてくる放送にリュウガは眉を顰める。脚を丘に向け、麻生の元へ向かおうとする。
だが疑問が浮かび、足を止めた。
(行って、俺はどうしようというのだ?)
もちろん、殺し合いを加速させる為、丘に集まるお人好しを一網打尽にするべきだ。
(あそこに集まる連中を殺すのが正しいはず。なのに俺は……あの少女の願いを叶えたいと考えているのか!?)
ガラスに亀裂が入るように、リュウガの心に迷いが生まれる。
鏡を彷徨い続けたライダーは、苛立ちを壁にぶつけた。
(あそこは俺が行かなくても、多くの殺戮者が向かっているはずだ。なら俺は、あそこに向かう馬鹿を殺す!)
その中に城戸真司がいる事を考え、市街地を徘徊する。
もう一人の自分との融合が、今の自分の迷いを消すと信じて。
眠っている始の横顔を、剣崎に姿を変えた神代が見つめる。
先程、助けに入ってしまったのは自分でも予想外の行動だった。
キックホッパーが勝ったことに祝福し、街を歩いていると剣がぶつかる音が聞こえ、そこに足を運んだ。
見える姿は、黒龍の戦士と、剣崎の親友である始、カリスだった。
カリスが追い詰められ、死を運ばれんとしたとき、剣崎に姿を変え、助ける為に立ち向かった。
これは、剣崎の想いに突き動かされたのだ。
そして、神代は一つの結論を出した。
(始は俺が殺す。だが、その前に剣崎と話をさせよう)
身勝手なのは百も承知だ。それでも、一度だけは剣崎として始に相対し、二人の関係に決着をつけさせる。
静かに思考していると、先程のキックホッパーの訴えが聞こえてくる。
ショ・ミーンの少女の名が真理である事を知った。真理の話で出た麻生という青年が、キックホッパーの新しい主なのだろう。
麻生の決意が聞こえてくる。真理に応えようと決意を精一杯伝える麻生に、自分は反対の答えを返すしかないとはいえ、笑顔を浮かべる。
再び始に顔を向け、少し危険だが、死人と対面させる為、一時的に剣崎に身体を譲った。
高貴なる振る舞いとまでは言わなくても、せめて二人を話させたかったのだ。
始が起きるまで、それから一時間を要した。
――始、お前は人間の中で生きろ。
そういい残し、唯一無二の親友は消えた。
どれほど行方を捜したか分からない。再会をどれほど望んだか分からない。
その親友が姿を見せ、自分を救った。
――待ってくれ! 剣崎!!
暗闇より去っていく背中を掴む為、腕を伸ばす。
かけられていた毛布が跳ね除け、腕を掴んだ。
「どうしたんだ? 始」
昔と変わらず穏やかな笑顔を向けられた。
幻でないことにホッとするが、一つの疑問が脳裏をよぎった。
「剣崎、何故お前は放送で名前を呼ばれたんだ?」
「俺にも分からない。死に掛けたんだが、それを勘違いしたとは考えにくいし……もしかして俺たちを殺し合いさせるためか!?」
剣崎の推理に、それは無いと応える。剣崎に言わなかったが、始には心当たりがあった。
自分はジョーカーとして参加したが、南光太郎はしぶとく生き残っていたらしく、まだ一人も殺していない。
そんな自分に業を煮やし、偽の情報を流したのだろう。
(次は天音ちゃんが危ないかもしれない)
剣崎と殺しあうことは出来ない。適当に言って別れようと身を浮かせると、剣崎が話しかけてきた。
「始、これだけは言っておく。俺はもう二度とお前を封印しない。必ずな」
その剣崎の言葉に眼を見開く。剣崎は自分を救うためにアンデッドになり、封印しない道を選んだ。
二人の別離のきっかけ、それを何よりも剣崎が間違えるはずがない。
そして、始は放送の意味を悟った。
「変身!」
――Change――
ベルトのバックルにハートのAを通す。
驚きの表情をする剣崎……いや、驚く演技をしている剣崎の偽者に、刃を振るう。
「何をするんだ! 始!!」
「黙れ! その顔で……その声で喋るな!」
剣崎の仇を討たんと民家の壁を切り刻み、ドアを突き破って外に出る剣崎の偽者を追う。
参加者の中にティターンのような能力を持つものがいるのだろう。
(そいつが剣崎を……!!)
姿を現さんと嵐のように剣を振り回す。だが一向に剣崎の偽者は姿を変えない。
「うおおおおおおおおおおお!!」
悲痛な叫びを上げ、怒りの刃を振り下ろす。
剣崎の偽者を引き裂き、血を飛ばさんと迫らせた。
「何故避けない」
剣崎は頭に寸止めされていなければ切り裂いていた刃を、ただ微笑んで見つめていた。
「信じていたから。始なら、絶対止めてくれるって」
カリスが戸惑うのが見える。これが、他のワームであるのなら、結果は違ったであろう。
剣崎の意志は強いとはいえ、完全にワームを抑えるほどの力は持たない。剣崎の意思を抑え、生存本能を優先させるワームが大多数だ。
だが、神代は違う。彼は、始を信じ無防備になる剣崎の気持ちも、剣崎の仇をとらんと怒りに燃える始の気持ちも理解できた。
神代は、自分と姉の絆を、自分を育ててくれたじいやとの絆を、親友である加賀美との絆を、ライバルである天道との絆を知っていた。
神代剣は、絆を知る数少ないワームの一人だ。ゆえに、命すらも剣崎に委ねた。
「すまない。何に怒っているか分からないけど、これだけは言える。
俺は、始と二度と戦いたくない。始がこの殺し合いに乗ったのなら、きっと何かあると思う。
天音ちゃんに何かあったかもしれないし、アンデッドの宿命を終わらせたいと思っているかもしれない。
それなら俺の命を持っていってくれ。始なら、後悔しない」
そう言い、剣崎が佇むのが見え、確信が胸に宿る。
(こいつは……剣崎だ。間違えるはずがない。俺のために命を捨てていいと言って、行動に移す奴は剣崎以外の何者でもない!)
カリスの胸に、後悔が宿る。親友を、この手で殺そうとしたのだ。
(俺はお前に応えれない。ジョーカーである俺は……!!)
悲痛な想いがカリスを支配し、別れのカリスアローを剣崎の足元に放つ。
「変身しろ……剣崎!!」
「何でだ! 始ぇぇ!!」
「変身しろと言ったんだ!」
カリスアローが剣崎の頭上を通り、水槽タンクを貫く。
圧力により、水槽タンクの水が噴出し、二人に降り注ぐ。
剣崎が懐からダイヤのJを取り出した。
「伊坂は俺が封印した。残るアンデッドは君とキングだけだ。出来れば君とは戦いたくない!」
「戦うことでしか……俺とお前は語り合うことが出来ない!!」
お互い、何時か交わした言葉を告げ、迫る。悲痛の表情を浮かべ、剣崎がブレイドバックルを取り出した。
カテゴリーAを収め、腰をカード状の帯が一周する。剣崎が右腕を突き出す。
「変身!」
両手が入れ替わり、右手でバックルを回転させ、スペードの意匠を正面へ向ける。
――Turn Up――
青いゲートが現れ、自分に進むように潜ってくる仮面ライダーブレイドの剣を受け止めた。
「やめろ! 俺たちが戦うことなんてないんだ!!」
訴えを無視し、蹴りを腹にくらわせる。
続けて刃を煌めかせ、銀の装甲に切り傷を幾筋も走らせた。
「どうした! その程度か!! いくらお前が手加減しても、俺は! 容赦はしない!!」
身体を弾き飛ばし、拳の連打を接近して放つ。
「戦え! でなければ俺はここの人間を殺す! 仮面ライダーとして、人を救うんだろ! 止めて見せろ! 剣崎!!」
剣をなぎ払い、突き飛ばすが、ブレドは地面を踏みしめ、その場に留まる。
「何でこんな事をするんだ!?」
「お前には理解できない。だが、俺にはこれしかない!」
その言葉に立ち尽くす、ブレイドを悲しげな赤の瞳が見つめた。
「お前には理解できない。だが、俺にはこれしかない!」
かつて、神代が加賀美に言い放った言葉が、剣崎の耳を通して入る。
――違う! それは違うんだ!
悲しみに心を満たしている剣崎に、神代が万感を込めた思いを伝える。
――俺が罪を背負う。だからお前たちの高貴なる行いを汚してはいけないんだ!
――俺が言う資格が無いのは分かっている。だから剣崎、カ・ガーミンの言葉をお前が始に言ってやってくれ!
神代を通して加賀美の言葉が、剣崎の心を刺激した。
「馬鹿野郎!!」
ブレイドの拳がカリスの頬を打ち抜き、尻餅を付かせる。
「俺たちは親友だ! そんな悲しいことは言わないでくれ! 俺は……お前を救いたい!!」
加賀美の想いが、神代と剣崎の想いを一つにし、悲劇のジョーカーを立ち直らせんと言葉になる。
カリスは押し黙り、ゆっくりと立ち上がって、二枚のカードを取り出す。
「……剣崎。決着をつけよう」
「く……始……」
二人のカードが、ラウザーに読み込まれていく。
――Drill・Tornado――
――Kick・Thunder――
「「おおおおおおおおおおおおお!!」」
二人の雄たけびが重なり、顔を発光させる。
――Spinning Attack――
――Lightning Blast――
風を纏った回転キックと、雷を纏ったキックがぶつかる。
「剣崎ィィィィィィィィィ!!」
「始ェェェェェェェェェ!!」
風と雷の嵐が民家を、ビルを、ガラスを砕き、瓦礫を作り上げていく。
力の拮抗が爆発音を上げ、破壊を続けるもお互い譲らない。
だがそれは勝つ為でなく、お互いを思いやっての拮抗だった。
均衡が、行き場を失ったエネルギーの暴発で崩れる。
盛大な破壊のエネルギーが、お互いの姿を見失うほどの距離を開けさせた。
煙が晴れ、粉塵が舞い落ちきった後には、ただ廃墟が広がるだけだった。
(……無事のようだな)
カリスから始へと変わり、身体の痛みで意識を覚醒させる。
デイバックは近くに落ちており、あの爆発と共に吹き飛んだようだ。
中にある首輪探知機が動く事を確認し、震える脚を無理矢理立たせる。
(俺がすべきことは決まった)
静かな炎が、男の胸を包み込む。
続けて後戻りする気の無い歩みを進める。
(剣崎を優勝させる。そのために俺は……全て殺す!)
最早、親友は亡き者となっている事を知らず、悲しくて、皮肉な決意を固めてしまう。
自分が対面したのは死者と知らず、道化として殺し合いを求め歩いた。
しかし、道化の運命を歩ませたものは……
剣崎の意思がスゥッと消えていくのが分かる。
――しばらく身体を借りてすまなかった。
もともと、親友である始に逢ったことにより、剣崎の意識が一時的に強まったにすぎなかった。
始との邂逅が終わり、剣崎の魂は知識と力を残し、神代の身体より出て行った。
「何故なんだ?」
意識を取り戻した神代は呟く。
「何故自分の高貴なる振る舞いを汚そうとする!? 何故自分に自棄になっている!?
始は、剣崎と共に新しい世界で幸せに暮らすべきなんだ! 手を汚すのは俺だけでいいはずなんだ!! なのに何故……」
神代剣は知らない。今の始は、自分と似ている事を。
「相川始! お前を見つけ出す! そして、その手を汚す前に俺が殺す!! 俺が汚させはしない!! 待っていろ!!」
サソードヤイバーを杖代わりにして無理矢理身体を起こす。
結果的に道化の道を歩ませた貴族は、道化を笑わず、ただその心を救いうために殺すことを選んだ。
道化と貴族、二人は同じ道を行く。
振り返らぬ決意を乗せて。
【望月博士 死亡】
残り36人
【リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:劇場版登場時期。龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:健康。
[装備]:コンファインベント。
[道具]:ファイズショット。デザートイーグル(357マグナム)。
[思考・状況]
1:もう一人の自分と融合し、最強のライダーになる。
2:ジョーカーの役目を果たす。
【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地E-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:全身に負傷。腹部と胸部に切傷。中程度の疲労。二時間カリスに変身不能。
[装備]:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)。首輪探知機(レーダー)。
[道具]:未確認。
[思考・状況]
1:剣崎を優勝させる。
2:ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
【神代剣@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地E-4】
[時間軸]:スコルピオワームとして死んだ後。
[状態]:全身に負傷。中程度の疲労。始に憤り。二時間ブレイドに変身不能。
[装備]:サソードヤイバー。剣崎の装備一式。
[道具]:陰陽環(使い方は不明)。ラウズカードのスペード9&10。ダイヤのJ。
[思考・状況]
1:始と再会し、手を汚す前に自分の手で殺す。
2:この戦いに勝ち残り、ワームの存在を無かったことにすることで贖罪を行う。
3:さらに、自分以外が幸せになれる世界を創る。
[備考]神代は食パンを「パンに良く似た食べ物」だと思ってます。
※剣崎と神代剣両方の姿に切り替えることができます。
剣崎の記憶にある人物と遭遇しそうなら、剣崎の姿に切り替えるつもりです。
投下終了。誤字、矛盾があれば指摘お願いします。
デザートイーグルは別名ハンドキャノンと言われるほど強力な銃ですが、口径が小さいなら重量で反動が抑えられるので、明日夢にも撃てるだろうと判断しました。
リアルタイムに遭遇。超GJ!
加賀美の意志を汲み取って貰えて凄く嬉しい。キングといい、最近は嬉しいハプニングが多いな。
因みに一カ所、真似が前になってました。
望月博士の死に様も美しい…
|葬式会場| λ...博士…
剣崎登場と見せどころが沢山でお腹一杯だ。
>>292 指摘ありがとうございます。
> その言葉に驚愕する。こんな目立つ前をすれば狙われるのは誰だって分かるはずだ。
を
> その言葉に驚愕する。こんな目立つ真似をすれば狙われるのは誰だって分かるはずだ。
に差し替えてください。
自分で誤字発見orz
> 結果的に道化の道を歩ませた貴族は、道化を笑わず、ただその心を救いうために殺すことを選んだ。
を
> 結果的に道化の道を歩ませた貴族は、道化を笑わず、ただその心を救うために殺すことを選んだ。
に変えてください。
投下乙!
剣崎登場―――――!!
いやあ自分の蒔いたフラグが拾われるのは嬉しいなあ。
しかしデザートイーグル支給は死亡フラグだぞ。大丈夫なのかリュウガ。
あ、予約分はあと少しで書き上がる……筈。
推敲込みで何とか明日には……!!
だからもう少しだけ時間を……!!
投下乙。
色々言いたいことはあるが、一言。
リュウガって、もはやサラマンd(ry
いや、結果的に望月博士死んだけどね…
>>297 他に何を言いたかったんだw
今のリュウガを見ると…。
|葬式会場| λ...ザンキさん…
なんか、今のリュウガを作った張本人としては
嬉しいような胸が痛いような・・・複雑な心境です。
いずれ決着つけようかとは思いますけどね。
今のキャラの現在位置が知りたいですね。暇が出来たらお願いします。
現在位置は少し時間下さい。
来週中までには更新したいですが……
リュウガはサラマンダー脱出の機会が作れなかったですね。
未熟ですいません;
投下乙。
話は面白かった。
ただちょっと始に違和感あり。
そして、珍しく誤字が多い。
指摘のあった他にもブレイドがブレドになっている。
似たような言葉の繰り返しが多く、テンポが悪かった。
予約まではあと数日あったし、急いで投下することはなかったのでは?
お二人ともGJ!!
批評を貰って描写にさらに磨きがかかったように感じます。
あ、総合スレの方にとりあえず水のエルのテンプレ紹介投下しました。
DVD見ながら書いたんで間違ってはいないと思うが訂正追加あったらお願いします。
あ行のキャラから攻めていってるんで始、蓮、浅倉ももうすぐ投下出来ると思います
投下乙
俺も色々言いたいことがある。
だが、一つだけ言っておこうと思う。
戦闘の展開がまんまnaAqV94LaU氏のFULL FORCEと同じな気がするんだが…。
加賀美云々の描写があったからというのもあるが、会話から台詞から何まで加賀美対剣を思い出してしまった。
でも面白かったし、難癖つけて荒らしたいなんて気持ちは全く無いから誤解しないでくれ。
作品を読んでの純粋な感想です。
何は無くとも乙でした
>>303 鳥出ちゃってるぞー
まあ自分名義で指摘するのはアレだから名無しとして発言しようとするのは正しい。
あちゃ、IDついてた。
交流雑談所から飛んできたんだけど…私もなんとなくそう思えてしまったので。
でも前述の通り、特に気にしてないんでスルーしてくださいw
自演みたいになってしまってすみません。
因みに作品の完成度は7割ぐらいです。もう少し。
失礼、鳥でしたorz
重ね重ねすみません…
ホント、色々気にしないで下さいorz
すまん、Round・ZEROの話だが神代の所がよくわからなかった
神代が剣崎を演じてるのか剣崎が神代の体を一時乗っ取ったのか神代と剣崎が意識共有してるのかどういうことなのか誰か教えてくれ
>>307 >神代が剣崎を演じてる
神代はワーム擬態能力で、なりきっている。
と、思う。
自分は乗っ取りかなと思う。
その方が夢?がある気がする。
たくさんの批評ありがとうございます。言われないと気づかないもんが多すぎですorz
◆naAqV94LaU氏、FULL FOCEに似てしまったのはすいません。
もともと劇場版の冒頭、ジョーカーvsブレイドに神代を足した話にしたかったので、FULL FOCEと被ってしまうのは考慮しておくべきでした。
練りこみ不足の上盗作みたいになっちゃって申し訳ないorz
今回大人数を一気に書くのが苦手というのが前面に出てしまいました。
まだたいした人数じゃないのに……
本来の予約期限までには修正版を上げたいと思います。
では!
書き上がりました。遅れてすいません。
推敲して今日中に投下します。
かなりボーダーです。下手したらまた論争があああああああ……
……一部アッパー入ったテンション/妙なスイッチ入った状態で書いたから見直すのが怖い……
>>310 こちらこそ申し訳ありません。
盗作なんて不名誉なことは全くございませんよ!前述の通り、純粋に面白かったです。
もともと立ち位置が似ているキャラですしねw
これからも期待してますので、お互い頑張りましょう!
因みに私もあと一割ぐらいで書き上がります。
完成しましたので投下します。
「―…はぁ、はぁ…。」
息が切れる。疲弊しきった身体も悲鳴を挙げていた。
それでも胸に秘められた憎悪の炎は消えることは無い。
寧ろ時が経つにつれて、その炎の勢いは増していた。
―…参加者を全員皆殺しにして…真理を生き返らせる。
新たなる目標に向けて冷徹な戦士は、千切れそうな足を引き摺って歩く。
「仮面ライダーキックホッパー…貴様は俺の真理を守れなかった。」
近くに居ながら、真理を見殺しにしたのだ。
「クククッ…一番に貴様を殺してやる…!」
言うなれば礎。
真理を守れなかった罪、命を以って償わせる。
草加の表情が快楽に歪んだ。何故か笑みさえ浮かんでくる。
―…この島に居る参加者全員の命を足しても君の命には叶わない。
それは分かっている。
だが、安心してくれ。
今しばらくの辛抱だ。沢山の生贄を捧げ、必ず君を生き返らせて見せる。
「…君は俺が守る。」
―…仮面ライダーキックホッパーも、乾巧も必要無い。
闇を切り裂き、光をもたらすのは俺だッ!
そう呪詛のように呟きながら、草加は進んで行く。
やがて、眩しい朝焼けと共に市街地に辿り着いた。
沢山の建物が並んでいる。
いい加減、身体も限界だった。
今のままでは戦うことは出来ない。
邪悪な闘志に満ち溢れた草加自身にも、それは分かっている。
今戦っても、返り討ちに遭うのが関の山だろう。
ならば、今は身体を休めることだ。
万全とはいかなくても、傷の治療ぐらいはしたい。
「さて…。」
静観とした市街地を歩きながら辺りを見回す。
一般の家庭なら治療具ぐらい有る筈だ。
出来れば、今誰かに遭うのは避けたかった。
だが、もし不測の事態が起きて、誰かと出会うなら単純な馬鹿が良い。
簡単に騙され、自分を信じてくれるお人好しだ。
今までの経緯から言っても、草加は自分の立ち振る舞いには自信があった。
菊池啓太郎に取り入り、巧を悪人に仕立て挙げ、精神的に追い詰めたこともある。
誰かに襲われた…と言って相手を丸め込む事も出来るだろう。
そのまま利用するというのも上等手段だ。
一時的にでも利用できる道具は利用するべき。
「真理を助ける為には…俺一人では厳しい。」
爆発しそうな程の激しい怒りを抱えながらも、草加は冷静だった。
現在の状況を判断し、これからの事を淡々と画策する。
自分一人で勝ち抜く事は難しい事、協力者が必要な事。
既に理解していた。
使えそうな人物を集め、暫くは行動を共にする。
―…但し、あの秋山蓮のようなゴミは要らない。
オルフェノクを初めとする人外な連中にも用は無い。
全うな人間であり、自分を好いてくれる者。
そして、戦う力を持つ者。
全ては真理を蘇らせる為だけに切り捨てる駒だ。
恐ろしい程冷静に思考を巡らせながら、市街地を覚束ない足取りで進んでいった。
その後ろ姿には一部の迷いも無い。
++
ガタックゼクターとの激戦を終えた後、南光太郎もまた歩みを進めていた。
放送で促されていたエリア、H-7。
其処には良い物があると言っていた。
武器か、脱出をする為の鍵か。
それは現在では知る事は出来ないが、光太郎の胸には僅かな期待が燻っていた。
しかし。
「待てよ?…ゴルゴムが俺達に有利な物を配置するというのは…。」
到底有り得ない話である。
こう言って参加者達をかく乱する罠かもしれない。
そう、光太郎は思い立ったら一直線。
巡らされた考えは一つの結論に行き着く。
「おのれゴルゴム…!俺達を罠に嵌めるつもりだな!!」
静かな市街地に光太郎の声が響き渡った。
そして、気がついた。
こうしてはいられない。
誘いに乗った人々が今、苦しんでいるかもしれないのだ。
「急がなければ…!さっき襲い掛かってきたゴルゴムの刺客も居る。
また罪も無い人々が犠牲になってしまう!」
先刻入手した用途不明のアイテムをデイバッグに放り込み。
気合一発、両頬を叩く。
「よし!」
―…目的のエリアまで猛ダッシュだ!
しかし、
「みんなぁ! 殺し合いなんてもうやめてー!!」
その意志は少女の大きな声で止められることとなる。
規制にかかってしまったので避難所に投下します。
投下終了いたしました。
相変わらずの駄文、失礼致しました。
投下乙!&GJ!
こ う き た か !!
えらいもんを味方にしたもんだw 草加はw
二人のキャラが弾けすぎです。シリアスなのに笑ってしまうのは光太郎さんの人徳かw
面白かったです。
あと、ゴルゴムの仕業といっているのが気になりました。
前まではクライシスの仕業といっていたので。
まあ、何でもかんでもゴルゴムの所為にしているのは光太郎さんらしいんですがww
感想有難うございます!
大きな間違いを犯してしまった…。ゴルゴム→クライシス帝国でお願いしますorz
後で修正しておきます!
追記。
ここぞとばかりに吹聴する草加と、信じ込む光太郎をお楽しみ下さいw
GJ!
草加マジ外道ww
光太郎……そいつにだけは騙されちゃ駄目だ。
草加が言ってたのは、半分ぐらい本音かも知れんなあ。
推敲も終わったので投下します。
◆
赤い装甲と、格子状の仮面を纏ったライダーが、剣を一気に振り下ろした。
武器らしいものは何も持っていない、怒りを眼に湛えた男に向かって。
◆
些細な偶然から、戦士になってしまった男。
鍛錬と願望の果てに、戦士として在った男。
戦士としては歪んだ男。
戦士の仮面を喪った男。
出遭ってしまった二人の男。
出逢えなかった二人の戦士。
――――――その遭遇は、偶然か必然か?
――――――その対面は、不幸か幸運か?
――――――そしてその邂逅は、この世界に何を齎すのか?
◆
声の元に向けてひた走る。
連なる声は、どす黒い悲劇を繰り広げていた。
低い声が、
『仮面ライダーの知り合いめ、嬲り殺しにしてやる』
告げた。絶望が身を侵す。
……間に合わないのか、俺はっ!?
◆
道の真ん中に散らばっているそれを拾い集める。全身の傷が意識から消える程の動揺。
「ザビー……ゼクター……」
ライダーとしての自分と供に在った、唯一無二の相棒。
その外殻は無残にも砕け、内部も多くの箇所が歪み、捩れ、捻り潰されている。
完全に壊れたという訳ではなさそうだが、回路が幾つもの箇所で寸断されているのは間違いない。
それは、紛れも無い死だ。
機械に命が無くとも、あの確かな鼓動は消えた。
もう二度と、戻って来る事は無い。
「……ぁああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!」
蹲った。
瞼の裏を灼く熱と、脳髄を抉る冷たい激痛のギャップ。
それが双眸の奥を苛み、熱を眼の端から溢れ出させる。
――――――その時、声が聞こえた。
◆
「くそっ!!」
―――何で間に合わなかったんだ!俺はっ!
市街地に辿り着いた時、末期の声が聞こえた。
あの声が、何処までも重く背中に圧し掛かる。
―――仮面ライダーは……闇を切り裂いて、光をもたらす!
「俺は……人を守る為にライダーになったっていうのに……!!」
また、誰も守れない。
あの放送で死んだ六人も、
今、何処からか呼びかけて来た女の人も、
誰も、守れない。
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
自分の在り方は――――――そんなにも、弱いものだったのか。
◆
「はは…………」
自嘲の笑いが口から零れる。
自虐の笑みが口から漏れる。
あの少女の魂の叫び。
―――仮面ライダーは……闇を切り裂いて、光をもたらす!
「俺は、もう……仮面ライダーじゃないんだ……」
ザビーゼクターの残骸を握り締め、ビルの壁へと寄りかかる。
全身の疼痛と迫り来る闇に心を浸し、ゆっくりと眼を閉じた。
――――――望むのはただ、力だけ。
◆
そして――――――彼らは邂逅する。
歪んだ合わせ鏡のように、相似の疵を抱え込み。
華と砕けた鏡のように、互いの瑕を拡げ合う。
――――――二人は遂に、相見える事となる。
◆
市街地を当ても無く彷徨っていると、道の端で建物に寄り掛かるように倒れている男がいた。
胴には刺し傷。顔は青褪め、そして、
血を吐くかのような苦悶の表情で。
大切な誰かを喪ったかのような慙愧の表情で。
、、、、、、、、、、、、、、、、、
自分の在り方を否定されたかのような、漆黒の闇よりも暗く沈んだ表情で。
眼を、閉じている。
―――――――――何故か、鏡を視ているような気がした。
「……大丈夫ですか!?」
幻想を振り払い駆け寄る。七人もの人を救えなかった自分に出来るのは、これから一人でも多く救うことだけだ。
かなり大きな声で呼び掛けたのに、全く反応が無い。
……また救えないのか、俺はっ!
だが、傍に立った時、その男が眼を開いた。
……良かった、生きてる。
「あの、大丈夫です……か……?」
確かに、男の眼は開いていた。
、、、、、、、、、、、、 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
非人間的なまでに充血した、地獄の悪鬼そのものの両眼を見開いていた。
反射的に、飛び退く。
――――――これは、眼を合わせてはいけないモノだ。
浅倉とは違う。
東條とは違う。
須藤とは違う。
今までに出逢ったどんなライダーとも違う、真下へと沈み込む螺旋を象った精神性。
脳裏に恐怖を刻まれ、カードデッキを取り出した。
握り締めたカードデッキを男の瞳へと突き出し、龍騎へと変身する。
否、変身――――――しようとした。
「おい!何するんだよ!」
だが、それは阻まれる。
一挙動で飛び起きた男が、カードデッキを奪い取ったのだ。
◆
こいつの顔を見た瞬間、直感で解った。
俺と同じだ、と。
拠り所を喪った俺と同じだ、と。
自分を成り立たせる為の拠り所を喪った俺と同じだ、と。
何か黒いものを持ったその右手が突き出された。腰に現れるベルト。
――――――こいつは、力を持っている。
それが許せない。
俺は全てを喪ったというのに、こいつは力を持っている。
だが、まるで何もかもを手放してしまったかのように絶望している。
力を当然のものとして認識するその考えが、どうしようもなく腹立たしい。
四肢と胴体の筋肉を一度に動かし、壁に寄り掛かる姿勢から一気に飛び掛る。
素早く右手を伸ばし、黒い板状のそれを奪い取った。
「おい!何するんだよ!」
傷の痛みの所為か、血が足りない筈の頭は酷く冴えていた。
奴のベルトが消え去ったことをしっかりと認識し、それについて考察を巡らせることが出来るほどに。
掴んだそれを掲げる。腰に現れるベルト。
……思い通り。
どういった原理かは知らないが、ベルトの存在はこれに依存しているらしい。
そして、バックル部分は空白であり、片側だけが開いている。
恐らくは、これを入れる為の隙間。
装填した。
それが全身を覆う。ベースの赤と銀の装甲、その輝きによって強い印象を与える龍の鎧が。
「……は、はははははははははははははは!!」
力だ。
壁を軽く殴りつけると、それだけで無数の亀裂が走る。
その感触に酔いつつ左手の違和感に眼を向けると、龍の頭を象った手甲があった。
かしりとスライドし、板状の何かを差し込むスペースが現れる。
……何だ?
サイズは丁度、あの黒い板と同程度。
腰の正面に手を遣り、板を探った。
指先に感触の違いが引っ掛かる。
するりと抜け出たそのカードには、『SWORDVENT』の文字と、大陸風の曲刀が描かれていた。
……やはりな。
それを左手の機械へ置くと、しっかりと重なった。スライドを引き戻す。
『SWORDVENT』
電子音声、頭上から飛来する刃。
掴み取り、倒れ込んで喚いていた喧しい男に振り上げる。
そして――――――振り下ろした。
◆
龍騎に変身した男の、狂気と狂喜の高笑い。
「……は、はははははははははははははは!!」
拳を叩きつけ、壁に罅を入れている。
「くそ、何なんだよあんたはっ!」
叫ぶ。だが、全く反応が無い。
地面を転がり、何とか距離を取る。
その間にも声を挙げるが、聞いている様子が無い。
見れば、カードデッキからカードを取り出し、バイザーにベントインしていた。
「……何で知ってるんだよ!?」
自分が見よう見真似でやっていたのを思い出す。その時の再現のように、使ったカードまでもが同じ。
『SWORDVENT』
低い声。刃が大気を切り裂く音。
奴の右腕に、長大な刃が握られていた。
振り上げられる刃。仰向けに倒れている自分。
……ここで、終わるのか……!?
誰かを救う為にライダーになったのに、誰一人として救えずに。
そんなことを、認められる筈も無い。
叫んだ。
全力で、その意志を。
◆
赤い装甲と、格子状の仮面を纏ったライダーが、剣を一気に振り下ろした。
武器らしいものは何も持っていない、怒りを眼に湛えた男に向かって。
だが、刃を正面から見据える男は大きく息を吸い込み、叫んだ。
「あんたも……」
「あんたも、誰かを傷付ける為にライダーになったっていうのかよ……!?」
刃が、止まる。
からん、と乾いた音。
それを支える握力を喪ったライダーの手から、剣が滑り落ち、路面を叩く音が響いた。
◆
知らず、右手から刃が零れ落ちていた。
――――――あんたも、誰かを傷付ける為にライダーになったっていうのかよ……!?
俺は、一体、何をしようとしていた――――――!?
他人から力を奪い取り、
それを振るう感触に酔いしれ、
挙句の果てに、ライダーでもワームでもない者を殺そうとした。
それは、その行動は、不協和音そのものではないのか。
そもそも、俺は何の為にライダーになった?
いや、何の為にゼクトに入った?
ワームを倒す為―――違う。
リーダーになる為―――違う。
パーフェクトハーモニー―――違う。
それらは全て手段に過ぎない。
脳裏に去来するのは――――――
「――――――そうだ、俺は――――――」
ワームから救った少年の笑顔。
護り切った女性の感謝。
そして―――身を挺して庇った部下の安堵の声。
「――――――誰かを護るために、仮面ライダーになったんだ……!!」
◆
戦士の意志に呼応し、それが――――――鋼の甲虫が眼を醒ます。
だが、飛び立つことは無い。
今は、まだ。
◆
男の変身が解除される
現れた顔は、何処か穏やかな笑顔だった。
今見れば、両眼の充血は泣き腫らしたものだと分かる。
カードデッキを差し出され、戸惑いつつも受け取った。
「……ありがとう。君のお陰で、最も大切なものを取り戻せた」
「え、ちょ、あんた、あんたは一体なんなんだよ!!」
俺の言葉に対して、その男はにやりと笑い、言った。
何処か誇らしげに。
「――――――矢車」
それこそが、今の自分だというように。
「――――――仮面ライダーではなくなった男、矢車想だ」
何処か誇らしげに、言った。
面白かった!!けど一寸疑問。
出発したのって名簿順だよな?
光太郎は乾も草加も見てないんだっけ?
◆
朝焼けに包まれて、彼は走り出す。
往くべき道を。
その情熱のベクトルは、誰かの胸を貫くのか。
◆
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G5】
【時間軸:8話 ザビー資格者】
【状態:重症。全身打撲&火傷&刺傷(急所は避けていました。大出血もありません)】
【装備:ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)】
【道具:アドベントカード(サバイブ)】
【思考・状況】
1:もう二度と、こんな過ちは犯さない。
2:仲間を集めてパーフェクトハーモニーで脱出!
※矢車はBOARDという名前に嫌疑(ワームの組織では?)
※やさぐれ抜けた所為で、傷の痛みと出血で気絶する可能性があります。
※カブティックゼクターは、どのような形でかは分かりませんが島に存在します(不明支給品?)
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G5】
[時間軸]:47,8話前後。優衣が消えたことは知っています。
[状態]:健康。小沢さんは思考の彼方。
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:なし
[思考・状況]
1:何なんだこの人は!?
2:ひとりでも多くの人を助ける。
3:戦いを絶対に止める。
4:蓮たちを探す。
投下終了……
うん、まあ、その、7ホメ3ケナシ位の批評を下さい。
……一部の文章が自分が書いたとは思えない。何考えてたんだろ自分。
傍点ずれとるorz
修正が出来ればお願いします……
お二方GJ!
光太郎ヤバス!下手すると死亡フラグかも・・・。光太郎なら余裕で跳ね返しそうだけど。
矢車さんがヤサ車さんにならなくて意外だけど、この矢車さんもなかなか・・・。
>>334 今確認してきましたが、取りあえず開始時刻には変身したままでしたね。
自分の前の人の名を覚えているとすれば・・・?
340 :
名無しより愛をこめて:2007/03/29(木) 21:04:19 ID:SV46+itWO
GJ!
私もやさぐれ脱出フラグを狙ってました。悔しいけど…嬉しいw
矢車さんに色々フラグが立って今後の展開に期待です。
相変わらずお見事!乙!!
>>334 見知らぬ相手の顔と名前など、光太郎が一々覚えてる訳が無いと判断しました。
無論、嘘がバレたら草加に死亡フラグが立つ訳ですがw
>>340 納得。そういえばそうか、光太郎だもんなww
そういえば当初から変身していたんですね。
すると尚更、光太郎に余裕が無い訳でw
しかし光太郎だから、で納得してしまうとは素敵過ぎるww
GJ!
密かにパーフェクトハーモニーなキックホッパーを企んでいたりw
やさぐれ脱出のきっかけはよかったです。
それにしても真司はまた変身の機会を逃しちゃったなw
気になる点が一つ。前回、矢車が真理の放送を聞き逃したことになっていることです。
麻生さんの放送で代用は無理でしょうか?
>>334 だって光太郎さんだもんw
>>343 ぎゃああ何てミスを……
明日中には修正版出します……
……矢車さんが再覚醒→カブティック召喚する時には真司が死んでそうだなあ……
投下ぶった切ってゴメンなさい…
いや、光太郎はそういう人だろうからそれでもイイが
(それならそれで一言描写が欲しい所)
草加がそのことを考慮に入れずに嘘つくかなあと思ったのだ
皆が違和感ないならそれでいいけど
草加からすれば光太郎さんは変身してたからあの場にいない人物=偽名名乗ってばれない奴と判断したのでは?
今回の草加は真理が死んだ所為か、幾らか感情的になっているのが見えたんで違和感というほどは強くなかったかな。
えーと、カブティックゼクターってコーカサス?
なんかカブトから変身ツール出過ぎな気がするんだが。
これ以上意思のあるゼクター増やすのってどうかな…別に他作品の変身ツールだって使えるんだし。
あーでも、作品自体はGJです。矢車は強力なリーダーになれる器だな。
城戸もサバイブ化できそうだが、いち早くハイパー化して速攻で逝った加賀美って前例がいるから安心できないよw
まとめサイト更新しました。
ozOtJW9BFAさん>
人物それぞれの動きがどれもらしくて面白かったです。
特にギャレンとレンゲルを綺麗(?)に仲間割れをさせたのは敬服。
TJ9qoWuqvAさん>
どうなるんだろうと思った望月博士がかなり綺麗に死を迎えたのは意外でもあったり、良かったり。
伊坂も回収されて一安心。
個人的にはサラマンダーはカリスの方がらしいような。。。
naAqV94LaUさん>
一応、ゴルゴムはクライシスに修正しておきました。
今までコミカルな描写ばかりだった光太郎にも転機がきたなあという感じです。
最もドロドロな男との絡みがとても楽しみだったりします。
A.IptJ40P.さん>
矢車さんがどうしようもなく格好いいです。
城戸真司に苦しんだとのことでしたが、まったく違和感がありませんでした。
極端な話ですが、私は氏の作品で一番好きな作品だったりします。希望があって(お
ただひとつだけ。タイトルくださいorz
カブティックがあるならヘラクスが好み。
◆E1yyNEjdEc氏、超乙!
相変わらず仕事が早い…。まさに上の上、ですね。
修正もして頂いて大変助かりました。
氏には頭が上がりませんorz
しかし、そろそろMAPの更新も欲しいところですね…。
作品自体はGJなのだが、
サビーのライダーブレスって劇場版の三人のゼクターに流用できるの?
それとも公式では不明なのでバトロワでは流用可能にする、ということ?
E1yyNEjdEc氏更新乙です!!
更新されたばっかりの所にすみません
総合スレにキャラ紹介テンプレ、相川始、秋山蓮、浅倉威の3つ投下しました
追加訂正あったらヨロシク
光太郎……死亡フラグの率もあるが逆にロボやバイオへの変化もありえる
死亡フラグが立つ気がしねー
>>348 まとめ更新乙です!
何時もこまめな更新、助かります。
>>351 テンプレ作成乙です!
詳しい解説が付いていて参考になります。
城戸真司、草加雅人、南光太郎予約します。
>>351 管理人氏に続いて感謝。これから書くのに非常に参考になるうえ、キャラクター図鑑とも言える的確且つユーモラスな解説につい笑ってしまいますw
始関連アイテム
>タコヤキ
浅倉特徴
>トカゲでもドロでも食える
に吹いたw
修正版投下しました。
ライダーブレスの流用は、
>>350氏が言うように公式では不明なのでロワ仕様、ではどうでしょうか?
カブティックゼクターの色は不明で。登場する話を書く書き手の方に任せます。
……最悪黒カブトでも繋がるんだよなこれ。
>>348 更新乙!
……希望かあ。
城戸は丁寧さと馬鹿っぽさの割合に悩む……
>>351 ……浅倉でコメディ書きたくなったのは俺だけだろうか。乙!
>>352 死亡フラグ=強化フラグですしね。
>>353 期待……って城戸は矢車さん放置ですかそうですか。
>>353 直ぐにリレーして貰えるとは嬉しいですね。期待してます!
お人好し(バカ)に囲まれて草加…ヘタレフラグだったりしてw
>>353 流石にこの状況で真司が矢車無視は無理だろ
単純に書き忘れ?
>>352 普通騙される側に死亡フラグが立つはずなのに
光太郎の場合、むしろ騙した草加の側に死亡フラグが立ったとしか思えないのが恐ろしいw
久々に来たら何気に賑わってるな
お二方乙!
……あの荒れ方からよくここまで……
書き手の皆様乙です!
>>351 GJ!助かる上に楽しみが増えました。
管理人氏、まとめ更新更新乙です。
◆TJ9qoWuqvA 進行表更新乙でした。
では、投下します。
「ちょっと巧! 早く座ってよ。」
(んん……真理?)
「もう!せっかく美容師の資格取れたんだよ? あんた、お客さん第一号でしょ。 ほら!こっち早く。」
「あぁ。」
ハサミを片手に、俺を急かす。
「うるせーな。 本当に上手く切れんのかよ?」
「ちょっと、 話しかけないでくれる。 気が散るから。」
シャキッ シャキシャキ……
リズム良く、切り落とされて行く髪。 心地良さに重くなる瞼、少し目を閉じる。
シャキッ シャキシャキ……シャキッ シャキシャキ トン トトッ……
――オイ、 何か音おかしくねーか?
トントントントントントントントントントントントントントントントンッッ!
「お前!何やってっ……うゎっ!」
ガタタッッ ガタンッ!
「痛てっ!」
……ここは?
見慣れない模様の床。
打ち付けた腰を擦り、ハッと我に帰れば、キッチンから天道が睨み付けている。
「現状を忘れて、眠り惚けている奴の言葉とは思えんな?」
「別に!ちょっと、夢見てたんだよ。」
そうだ。 あの後、気絶してるあきらを海辺のこの別荘まで運んで……
疲れて、そのまま寝ちまったのか。
「大声を出すな。あきらが目を覚ます……」
「あぁ。」
伸び過ぎている髪をかき上げ、平静さを取り繕う。
まだ、何も終わっちゃいない。
「乾、出来たぞ。」
包丁の類は無かったらしく、天道の手には鋭く尖った石が握られている。
そして石で切ったとは思えないほど、綺麗に切り揃えられた葱。
さっきの変な音は、これか。
「こんな時に、のんびり飯かよ。」
言葉とは裏腹に、味噌汁の匂いが鼻腔をくすぐる……
改めて座り直し、プラスティックの容器に入れられた味噌汁を、ふぅふぅと冷ましながら一口。
「……うまい。」
少し悔しいが差し出されるまま、おにぎり、また味噌汁と貪りつく。
「当たり前だ。 誰が作ったと思っている?」
スカした奴だな。 だけど、やっぱ美味いわ。
「ひよりって奴、幸せ者だな。 こんな美味い味噌汁作れるお前と、一緒に居るなんて。」
「フッ、馬鹿を言うな。 ひよりの料理は、俺をも凌ぐ……」
お互いの口許から、つい零れる笑み。
「なら、そいつから真理に料理教えてやってくれよ。」
こんな状況じゃなきゃ、もっと良かったがな。
「……」
「なんだ? お前、聞いてんのかよ。」
やけに厳しい表情。 その視線の先……
束の間の安息を嘲笑うかの様に、リビングの鏡から浮き上がってくるスマートレディの虚像。
×××××× 死亡者6名。
残酷な現実だけを残し、平穏な朝はスマートレディと共に鏡の向こうへ消え去った。
――予想以上だな。
突き付けられた現状と、ひよりや加賀美が無事だったと言う安堵が複雑に入り交じる。
憤りを感情のまま自分に投げ付けて来る乾を、頭の隅に追いやり思考を整理する。
何かが、引っ掛かる。
放送の瞬間、 此方を向いていた乾が振り返った。 そして、
「乾……お前、今の女が何処に見えた?」
「あぁ!何処って鏡から突然、それが何なんだよ。」
俺には、窓ガラスから浮き上がって来た様に見えたが?
いや、確かに乾の視線は俺とは若干外れ、リビングの鏡を見ていた。
ホログラム?
首輪から投影され媒体を通して立体化しているのか……
それに加え、生態反応感知と能力制限の為の電子チップ、首を吹き飛ばす量の爆薬、
位置を把握するための発信機、あとは盗聴機あたりが組み込まれていても、おかしくは無い。
この小さな首輪にそれだけの機能が搭載されているとすれば、恐らく起爆と施錠の仕組み自体は、単純にせざるを得ないだろう。
爆破の条件は、3つ。
・無理に外した時
・禁止エリア
・神崎士郎によるリモート爆破
首輪の正面に組込まれプラスティックのプレートの部分。
恐らくここが投影、発信機、リモートによる爆破を司る通信部の本体。
ここを取り除けば、爆破条件の内二つはクリア出来る。
しかし、同時に情報も遮断される。
「どうした、天道? まさかお前の仲間が。
「いや…… だが、思っていたよりは酷い状況だ。」
まだ断定は出来ない。 乾に伝えても、事がややこしくなるだけだ。
「乾、 あきらを起こせ。 充分とは言えないが、休息は取れただろう。」
考えを気取られまいと、手早くキッチンを磨きあげる。
光沢を放つシンク、最後の水滴をふき取った。その時……
――その時、聞こえた少女の願いを、俺は生涯忘れはしない。
「この声!真理じゃねーか!」
表に飛出し姿を捜す。 途切れ途切れに聞こえて来る音声、距離はかなり遠い。
「お前の言っていた、園田真理か!?」
デイバックを手に天道が駆け寄る。
「そうだ。あのバカ!どこだ。 遠過ぎるぜ!」
――ウルフオルフェノクになって走れば、まだ! だが、天道…… 畜生、でも真理が!
ガガガガガガッ!
ためらう思いへ、制裁を与える銃撃音。
――真理!
もう、迷ってる暇は無い……
「天道…… 俺の、俺の本当の姿は……」
開放され身体を駆巡るオルフェノクの因子。
「ウォォァァアアァァ!」
――まだ、生きているかもしれない、 まだ救うことが出来るかも知れない。 一縷の希望を架け 変身する。
ウルフオルフェノク すべてを切り裂く鋼の爪、忌まわしき銀色の肉食獣。
突き放されて当然だ。 出来れば見せたくはなかった。
「……お前のベルトが入っている。 持って行け!」
困惑する俺に、天道はデイバックを差し出す。
「乾!何をグズグスしている? その姿なら、間に合うかも知れないのだろう。
園田真理を救う、それが本当のお前だ!!」
迷いは、その一言で張り倒された。
「天道……」
「あきらを頼むと言いたいのか。お前に言われなくとも、そのつもりだ。行け!」
――やっぱ、スカしたヤローだな! デイバックを咥え、走り出す。
「乾! かならず生きて帰ると約束しろ!二十四時間後!あの、一番高いビルの屋上で、あきらと待っている!いいな!」
あぁ。絶対に生きて帰ってやる!真理も一緒にな!
仮面ライダーは、ファイズは、闇を切り裂き光をもたらす!
その言葉を胸に、2人でかならず帰るつもりだった。
数分後、麻生の言葉を聞くまで。
――間に合わなかったか、乾。
園田真理の最後の願い、乾の思い、麻生と言うライダーの魂の叫び。あきらに知らせる現実。
今は自分の胸にしまい込み、後手にドアを閉める。
「天道さん、ここは? 」
窓から差し込む光に、眩しそうに目を細めながら、ソファからゆっくりと起き上がる。
「目が覚めたか。」
少し体力が回復したのだろう。顔色も良い。
「痛むところは無いか? さぁ、少しだけでも食べるといい。」
「ありがとうございます。……おいしい。」
まだ、ぼんやりとしながら朝食を口にするその姿はあどけない少女その物だ。
「あの、乾さんはどうしたんです? まさか!」
次第に青ざめていく表情。
「お前を襲って来た奴は乾と倒した。 心配することはない。」
「なら、何処に居るんですか。」
――辛い役目だが。一呼吸置き、あきらを見つめる。
「乾の事も含めて、お前に伝えなければならないことがある。」
一つ一つ言葉を選び、紡いで行かなければ。
「何か、遭ったんですね。」
昨日、あきらが話したディスクアニマル、そして音撃戦士、持っていた鬼笛。 ならば……
「これに見覚えはあるか?」
―――これは、変身鬼弦?そして音撃弦・閻魔! 確か、裁鬼さんの武器。
「ここに来る途中、見つけた。 その傍らに落ちて居たのがこれだ。 やはり、お前に縁のある物だったか。
日本古来の神聖なる戦士たちの操る武器……
恐らく墓石の代わりだったのだろうが、あきらの身を守る道具になればと、乾が持って来た物だ。」
「裁鬼さんが、鬼が倒されるなんて……」
放送、禁止エリア、園田真理と乾の思い、約束の場所、そして麻生たちの言葉、あきらに送られた言葉。
「明日夢、あきら、きっと助ける、待っていてくれ。そう言っていた。」
「その人は、きっと響鬼さんです。」
あきらの瞳から、堰を切ったように大粒の涙が溢れ出した。 かける言葉が見つからないのが歯痒い。
「大丈夫だ、乾の目指す先にその男もいる。
歩けるか? 少し遠いが、今は乾を放っては置けない。」
「はい。」
不意に、光を遮る影。
「危ない!」
ガツッ ガツッ ガッシャーン!
窓ガラスを叩き割り、飛来する物体。
「あきら、隠れていろ!」
変身すべく、伸ばした手を擦り抜けて行くカブトゼクター。 そして、戯れ会いながら飛交う、青き闘神の化身。
ガタックゼクター!?
突然、飛込んで来た青い甲虫。
形状は違うけれど、式神の役割を果たしているのだろう。
きっと、助けを求めに天道さんの元へ来たんだ。
立ち上がろうとして手を掛けたテーブルの上、指先に触れる裁鬼の遺品。
もし、ここが日常なら。
修行半の身、心身共に未熟な自分はきっと触れる事さえも躊躇う。
でも今は、そして、私に出来ることは……
――裁鬼さん。 戦うつもりはありません。 でも、生き残る為に…… 音撃弦 閻魔 お借りします。
「行って下さい、天道さん。」
「あきら?」
さっきまで泣いていた私にこんな事を言われたら、天道さんで無くても不思議に思う。
「ディスクアニマルとこの音撃弦があれば、明日まで逃げ延びる事ぐらいは出来るでしょう。
私、乾さんを探します。
そして、響鬼さんや麻生さん、皆で必ず約束の場所で待っています。
だから天道さん、行ってあげてください。」
真っ直ぐに自分を見つめる澄んだ瞳。
戦士を選んだ強き志、それ所以の物なのか。
すまない、あきら……お前の覚悟に、少し甘えるとしよう。 加賀美の為に……
「わかった。でも決して、無理はするな。」
「はい。」
ガタックゼクターの標す道は、苦しくも2人の行く先を分ける。
戦士となった少女を見送り、世話のかかる加賀美の無事を切実に祈り、走る。
胸に、敬愛する祖母の言葉を抱きながら。
――おばあちゃんが言っていた。
人は、糸と似ている……一糸は弱く儚い。
だが、それぞれの想いを紡いで行けば強き紐と成り、信頼を織込めば、解く事の出来ない堅い絆となる。とな……
神崎士郎、俺たちの織り成すお互いを想う絆、紡ぐ想いを、貴様に断ち切る事は出来ない!
【乾巧@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-7エリア】
【時間軸】中盤くらい
【状態】精神的に大ダメージ、 変身が解けるまで全速力で走ったため疲労している。
【装備】ファイズドライバー、ファイズフォン
【道具】ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰
【思考・状況】
1:真理が、死んだ?
2:麻生って奴を捜す。
【天道総司@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G-7エリア】
【時間軸】ハイパーゼクター入手後
【状態】若干疲労、
【装備】カブトゼクター&ベルト
【道具】食料など一式
【思考・状況】
1:ガタックゼクターを追う。
2:ひよりの救出。
3:24時間後、乾、あきらと合流する。
【天美あきら@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G-7エリア】
【時間軸】中盤くらい
【状態】体力、気力とも回復。
【装備】破れたインナー、鬼笛・ディスクアニマルアカネタカ&戦国時代のディスクアニマル、音撃弦・閻魔
【道具】変身鬼弦(裁鬼)
【思考・状況】
1:絶対に生き残る 。
2:皆を捜し出し、天道さんと合流する。
投下終了です。
誤字脱字、指摘、感想、よろしくお願いいたします。
GJ!
真理の死に駆ける巧、化け物の姿に動揺せず、天の道を行く天道、裁鬼さんの遺志をつぐ決意のあきら、
三者三様に見せ場があって面白かったです。
激戦区での三人の運命が楽しみです。
では霞のジョー、安達明日夢、水のエル、グランザイラス予約します。
GJ!
天道の巧とあきらへの思いやり、そしてそれに対する二人がとてもかっこよかったです。
さり気にあきら変身のフラグも・・・w
神代剣、リュウガ、氷川誠、日下部ひより、秋山蓮予約します。
後、剣とひよりって劇中で会ってましたっけ?
影山が坊ちゃまの誕生日の歌を歌うときに会ってます。
……それぐらいですね。
新作楽しみにしています。
>>376 神代剣登場初期、天道とのスポーツ対決で外野で加賀美と一緒に観戦してました。
>>374 GJ!三者各々の見せ場と首輪解除フラグが、きれいにまとまっていて面白かったです。
>>355>>357 確かに矢車は走り去ったと言っても重症でしたね。失礼しました。orz
>>353の予約に矢車想を追加して下さい。
>>376 ひより→俺様系二人目…ハァ…(ため息)
坊ちゃま→ひよりの料理の腕を見込んで自分の誕生祝いのテーブルを任せようとしていた
天道の妹だということは知らない
お互い相手の正体のことは知らない。
確かこんな感じだったはず
>>379 最後の三行は「矢車さん本格的に脱出派へ!」って比喩です……分かり辛くて申し訳ないorz
何か物足りんなあとAlve a lfe聞きながら考えてたら思いついたんです……実際には走ってません……
>>374 GJ!
巧はオルフェノクの姿で走って行くけど、結局間に合わないんだよなあ……
少しも慌てない天道に流石、と。
で、最後はやはり「おばあちゃんが言っていた」……
ただ、幾つか指摘が。
・二十四時間は少し長い。つーか凄く長い。このペースからすると大体百話分位になる。
・鏡に映るだけで、浮き上がりはしてない、筈。
4wyf44BgsE氏乙!!GJです!!
3人バラバラになっちゃって…ヤバイ兆し?
あきらの決意がけなげだなあ…
あと一つ突っ込みたい所が。
たっくんのフーフーが足りない気がする!!
ヤツは一般人が美味しいと思う温度の食べ物は食べられないww
>>383 天の道を往く男の事だ、すぐ飲める温度にしたんじゃまいかWWW
⊂⊃
⊂⊃
(〔o〕) \。/ /Hヽ 人
( 0H0) ( <::∨::)( 0M0) ( 0w0) ウェイ♪
( O┬O ( O┬O ( O┬O ( O┬O ウェイ♪
≡ ◎-ヽJ┴◎-ヽJ┴◎ヽJ┴◎-ヽJ┴◎ ______...,、___
⌒::;;⌒⌒⌒;;::⌒⌒.:: :⌒;;⌒::.;;.⌒⌒/ /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ /::. :; ;⌒⌒:.:⌒:;⌒;;⌒⌒⌒
::: ;;: :,;: ;;.. : :; ,::.; / /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ /.., ,; .: ,,。, ::;;,
::: :;.. .,;; ; : :::., / /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ /,,; ::: :; ;;:
GJ!!ウルフェノク見てもひかないとは…さすが天道…いいやつだな…
あ、キャラ紹介書いた者です。
実力派執筆陣の皆さんの力作に比べりゃGJでも何でもないんだが
ちょっとでもお役に立つのであれば幸いです。
今乾と小沢書いてます。(明日夢あきらヒビキはDVDも一度見てまとめて書く)
書くとき思い出すのに便利だからコイツの先に書いてよってのあったら
リクドゾー(あ、昭和はムリ。平成なら任せてくれい)
氷川と剣のキャラ紹介お願いします。
皆様感想ありがとうございました。
>>382 そうでした…
鏡から浮き上がって来たと思い込んでました。確認ミスです。
あとやはり24時間は長いですね。
修正後また投下することに致します。
>>383 ふぅふぅ少なかったですね。
でめ文章的に余り繰り返してしまうと、くどくなるので。
>>384さんのレスを取りあえずの解答とさせて下さい。
いい文章を思いついたら修正しておきます。
そういえば、剣崎憑依のぼっちゃまってなんか電王みたいだよねw
今更ながら修正GJ!と言いたい。
>>374 GJ!
首輪の秘密をやすやすと見破る天道の聡明さが際立つ話でした。
バラバラになった3人が無事に再度の邂逅を果たすのか、次の話が気になります。
まとめサイト更新、および修正箇所の修正をいたしました。
結城丈二、ドクトルG、シャドームーンを予約します。
>>390 まとめ更新乙。変身時間表が出来て、ますます描きやすくなりました。GJ!
後申し訳ありませんが、修正部分で抜けていた部分を避難所に投下しましたので、修正お願いします。
本当に申し訳ありませんorz
トリ忘れていました。
重ね重ね申し訳ありません。
一つ質問。
リュウガがエリアD6にいる時間って十一時なんですか?
禁止エリアから出た直後でも、始と剣の戦いを終えた後でもどっちでもいいように曖昧にしました。
後の書き手さんにお任せします。
まとめサイト更新乙です。
更新直後に、いつもながら大変申し訳ありませんが、避難所に修正版を投下しました。
修正したのは、
・「浮き上がる」の描写に関係のあるすべての文節
・約束の時間は指定せずに場所のみ
・猫舌描写の追加
以上です。
約束の場所(市街地の一番高いビルの屋上)については、次の書き手さんにお任せします。
どうぞよろしく。
管理人様。
あつかましくももう一点お願いがあります。
ガタックゼクター!?
の後に一行分だけ改行して頂いてもよろしいでしょうか?
まとめ更新乙です!!
>>387 氷川&神代、総合の方に投下しました。
追加訂正誤字脱字…ありましたらお願い致します。
キャラ紹介職人様、投下乙です。
良ければトリップつけてはどうでしょうか?もうこのスレには欠かせない存在ですし…
>>397 仕事が早い!超GJ!!
参考資料としてもそうですが、見てて凄く楽しいです。
真司と天道をお願いしても大丈夫でしょうか?
最近になってようやく
神代=食パン
巧=乾パン、カレー
あきら=米、味噌
とキャラによって支給食糧が違うの気付いたオレ乙WWW
>>397 キャラ紹介投下乙です。
本当に仕事が早くて、読んでても面白いです。
途中経過を報告します。約2割位出来ています。
筆は進むんです。南光太郎が勝手に動いてくれるから……。
ただ話を書き直す事が多いんです。南光太郎があらぬ方向に暴走するから……。
ガンガレ
そういや矢車のゲームについての考察フラグってどうなってる?
>だとすればこの殺し合いにも説明が付く。
>恐らくは、新兵器の実戦テスト。それも模擬戦ではない。
『砕ける剣』のこれ。
あと、読み専の人ってどれ位いる?
途中経過。
まだ二割程度しか出来てません。
後、下手するとちょっと話が長くなるかもしれません・・・。
>>397 キャラ説明をリクしたものです。
本当に有難うございました。使わせていただきます。
>>402 読み専ノシ
たまに感想投下させてもらってます
皆さんクオリティ高い…
407 :
名無しより愛をこめて:2007/04/03(火) 01:45:45 ID:3gvVi4cL0
読み専の人って結構いるんだな。
密かに励みになるわw
ノ
いつも楽しみにしてます!
>>402 自分も読み専ですノシ
書き手の皆さん、頑張って下さい!
キャラ紹介書きの者です。先に乾、小沢が出来たんで投下してきました。
そしてナマイキにもトリップつけてみました…
ノシ 俺も読み専といやあ読み専か?
書き手さん方いつも楽しみにしています!!
読み専、参上!
いや本当は何か書いたりしたいんだけどあまりにも遅筆だからできないだけで
>>413 橘さんと睦月のキャラ紹介もお願いします。
読み専です
このスレのSSはレベルが高い
面白いので定期的に閲覧しております
俺も\(^o^)/ 読み専
ちなみにこれが初ロワ
読み専ってこんなに多かったのか…。
初めての書き手参加っていうのもあって、全然自信が持てない。
もっと感想貰えたら嬉しいなぁ…って思います。
避難所に結城丈二の紹介を投下しました。
まとめサイトもちょこちょこ更新。
読み専多くてびっくり。増えるに従って喜びから重圧に変わるこの不思議。
そんな中ですが投下します。
――ピ〜ン♪ポ〜ン♪パ〜ン♪ポ〜ン♪
氷川くんたちがシャドームーンに連れ添ってこの場を離れてから数分後、1回目の放送を告げるチャイムが鳴り響く。
そこで語られた内容は俺を動揺させるのに充分な内容だった。
「ほぉ、立花藤兵衛、珠純子が死んだか。誰が殺したか知らんが結構なことだ」
ドクトルGの言葉に、俺は殴りかかりたい衝動に襲われる。だが、ここで感情を顕にするわけにはいかない。
「……そうだな」
できるだけ耽々と、感情が篭もらぬように言葉を紡ぐ。
「だが、ラーイダV3は生きている。あやつらが生きている内は安心はできんな。……うん?何をしておる」
「一応約束したからな。俺も西へ向かう。折角の駒が殺されては台無しだからな」
シャドームーンとの約束、氷川くんたちと共に行動してもらう代わりに俺も南を探す。
しかし、それは建前だ。やはり氷川くんたちをシャドームーンに任せておくのは不安が残る。
俺も合流して一緒に行動する。それが最善だ。
「なるほど。ならば俺も付き合おう」
「いや、動くのは俺ひとりで充分だ。ドクトルGは待っていてくれ」
ただ、そのためにはドクトルGとは別行動をとらなければならない。
俺はドクトルGの申し出を断ると、トランシーバーとディパックの中身一式を懐に入れ、準備を整える。
「いいだろう。しかし、残りのトランシーバーは置いて行け。連絡が取れないと困るからな」
ドクトルGの言い分は尤もだったが、俺は答えに窮した。
本心としてはこちらの会話内容を聞かれる心配があるトランシーバーを置いていきたくはない。
だが、置いていかないと言ってもドクトルGは納得しないだろう。長々と問答をしている暇もない。
「わかった。何かあったら必ず連絡を入れるようにする」
俺はそう答えるとその場を離れた。ドクトルGが俺に向ける不信の目に気づかぬまま。
「こちら風見、こちら風見。氷川くん、応答してくれ」
D10エリアを離れて2時間、ドクトルGから充分に距離をとったところで、風見の名を借り、トランシーバーへと呼びかける。
だが、返ってくるのはザーという無機質な音ばかり。
「くっ、一体どうしたんだ。氷川くん、応答してくれ」
俺は懸命に呼びかけるが結果は変わらない。
やはり俺の判断は間違いだったのか?
――カシャ、カシャ
俺の思考を遮り、聞き覚えのある金属音が俺の耳に届く。この音は……
音が響く方向へと俺は走る。そこには予想していた通り、銀色の男の姿があった。
「シャドームーン!」
―カシャ
俺の叫びに、彼は動きを止め、こちらへと首を向けた。彼の周りに氷川くんと日下部くんの姿はない。
「貴様、氷川くんたちをどうした!」
自然と語気が荒くなる。
「その声、風見志郎か。……ふっ、さあな。いつの間にかいなくなっていた。いずれにせよ俺にはどうでもいいことだ」
シャドームーンの言葉に、俺の心が怒りが満ちる。
「ヤァッ!」
俺は反射的にライダーマンに変身していた。そして、刃となった右腕を構え、シャドームーンへと突進する。
「ふっ、かかってくるか!」
俺の行動に虚をつかれた様子もなく、同じく右腕を構えるシャドームーン。
彼のエルボートリガーと俺のパワーアームがぶつかり合う。
刹那―――
――パキッ
無機質な音を立てて砕け散ったのは―――彼のエルボートリガーの方だった。
「何!?」
その有様にさすがのシャドームーンも動揺する。
すかさず俺はパワーアームを横薙ぎに払る。パワーアームはシャドームーンの硬質的な身体をかすめ、大きな火花を散らせる。
呻き声を上げ、よろめくシャドームーン。
「ドリルアーム!」
俺は止めとばかりに、右腕を強固な装甲も穿つ、長く尖ったドリルに変え、全身の力を込め、穿孔を放った。
それで勝負は決まった。
「うぐっ、がぁ、馬鹿な……」
派手な音を立てながらシャドームーンの装甲を砕き、腹に突き刺さるドリル。俺の腕にシャドームーンの身体から徐々に力が抜けていくのが伝わってくる。
これでドリルを回せば、さすがのシャドームーンも命はない。その確信が俺にはあった。
だが……
「………」
熱くなっていた俺の心が急激に冷めていく。
俺はシャドームーンの腹からドリルを抜くと崩れ落ちそうになるシャドームーンを支える。
彼の意識はもうない。
「すまない、シャドームーン」
シャドームーンに氷川くんたちを託したのも俺ならば、シャドームーンに行きたい場所に行けと言ったのも俺。
氷川くんたちが危険な目にあっているというのなら、その責任は全て俺にある。
俺の怒りは本来なら自分自身に向けるべきものだ。だが、俺は怒りに我を忘れ、シャドームーンを攻撃してしまった。彼に責任がないのにも関わらずだ。
例え敵とはいえ、俺の行動は誉められるものではなかった。
俺は自分の性格を悔いる。
大局を見ず、自分の信じるがままに行動し、結局、最後は周りに流されている。
ずっと同じ。
――仮面ライダー
例えV3からその名前を授かっても、俺自身は変わっていない。
『仮面ライダーは闇を切り裂いて、光をもたらす! こんな殺し合い、ぶっ壊してくれるから、脅えないで自分と戦って!』
先程聞いた少女の訴えが俺の心に再び響く。
俺は闇を切り裂き、光をもたらすことができるのだろうか?
「このままにしておくわけにはいかんな」
俺はライダーマンの姿のまま、シャドームーンを抱え上げる。
このまま放置していては、いつ誰に止めをさされるかわからない。
自分が瀕死の状態に追い込んでおいて勝手だとは思うが、今の俺にはとどめをさすことも放置することもできない。
「とりあえず南に向かうとするか」
シャドームーンは北に向かっていた。ならば、氷川くんたちは南にいる可能性が高い。
南へしばらく歩みを進めていると、突如ライダーマンへの変身が解ける。腕にずっしりとシャドームーンの重みが圧し掛かる。
やはりそうか。シャドームーンと実際に戦ったことはないが、南と対等に戦える相手がこうもあっさりやられるとは考えにくい。シャドームーンの戦う前のあの自信も実力に裏打ちされたものだろう。
ならば、能力になんらかの制限がかかっていると考えるのが自然だ。
変身、または全力が出せる時間は10分程度。一度変身すると数時間は能力に制限がかかるといったところだろう。
まったく、とんでもないことが出来るものだ。だが、逆に考えればチャンスともいえる。
ドクトルGやヨロイ元帥、悔しいがまともに戦っては俺が勝てる見込みはわずかしかない。
しかし、これを利用すれば、どんな強敵も倒すことが可能になる。
なるほど、ただ殺し合いをさせるだけなら、何の力もない女性や子供が混じっているのはおかしいと思っていたが。
そうすると主催者の目的はなんだ?こんなことをして何の意味がある?
……考えても仕方のないことか。俺がやるべきことは首輪の外し方を見つけ、皆と一緒に脱出すること。
そのためには、まず氷川くんたちとの合流だ。
俺はシャドームーンを抱えたまま、道を進んでいった。
「結城丈二め、一体何のつもりだ?」
木々の陰からドクトルGは結城の姿を捉える。
同じデストロンとはいえ、信用すればいつ寝首を掻かれるかわからない。幹部にまで上り詰めた者にとってそれは常識だった。
結城の言動を怪しんだドクトルGは結城が場を離れてから、すぐに後を追った。
ひとつひとつ結城の行動を確認する度にドクトルGの疑念は深まっていく。
なぜ駒ごときに必死になる?なぜシャドームーンにとどめをささない?
そして、ドクトルGが抱いた最大の疑念は自分にトランシーバーが繋がらないことを確認して、駒に呼びかけたこと。
ドクトルGは斧を磨ぐ。結城丈二の聡明さは惜しい。だが、自分を裏切るなら――
――生かしてはおかない
【結城丈二@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地D7エリア】
【時間軸:仮面ライダーBLACLRX終了後】
【状態:健康。2時間変身できません】
【装備:カセットアーム】
【道具:トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)、名簿を除くディパックの中身一式】
【思考・状況】
1:氷川くんたちを探し、合流する。
2:シャドームーンの扱いを思案中。
3:首輪を外すために必要な情報をもっている人物と首輪と同様のテクノロジーをもつ道具を探す。
4:同一時間軸から連れて来られたわけではないことを理解。ドクトルGを利用することを模索。
5:ヨロイ元帥を倒す。
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地D7エリア】
[時間軸]:RX27話以降
[状態]:気絶。右腕のエルボートリガー破損。腹にドリルによる刺し傷。後1時間30分程度戦闘できません。
[装備]:シャドーセイバー
[道具]:なし
[思考・状況]
1:気絶中
【ドクトルG@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:樹海C7エリア】
【時間軸:死亡後】
【状態:軽症】
【装備:斧、盾】
【道具:トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)】
【思考・状況】
1:結城丈二に不信感。裏切るような行動を取れば殺す。
2:デーストロンのため、絶対に勝ち抜く。
3:ヨロイ元帥を探す。
※ドクトルGは結城丈二に不信感は持っていますが、デストロンでないとは思っていません。
投下完了。
誤字、脱字、指摘事項、感想があればよろしくお願いします。
次いで質問。
構想が2つあるのですが、どちらにもそれぞれ問題が。。。
1つは神崎士郎を絡ませるのは有りでしょうか?
もう1つは以前投下された作品に登場した人物の、その作品以前の話を書くのは有りでしょうか?
当然、以前投下された作品での矛盾点は発生させませんが、キャラ状態表に変化はあります。
ご思案、よろしくお願いします。
GJ!
結城の葛藤が伝わって面白かったです。
直情型なのも彼らしくて素敵。シャドームーンは自身が裏目に出た感じでした。
ドクトルGの今後と、結城丈二の運命が気になる作品でした。
神崎士郎の絡ませ具合によると思います。
誰か参加者に偏らせるような関わらせ方だと問題だと思いますが、作品見ないとなんとも。
過去話もラノロワにも、ライダーロワの過去作にもありましたので、作品を見ないと判断がつきません。
避難所で試験投下してスレ住民に判断してもらうって言うのはどうでしょうか?
投下乙です!
そして更新、キャラ紹介GJ!
揺れる結城と鋭いドクトルGが面白かったです。
神崎と過去話については自分も
>>429さんと同じ意見です。
あと参考までに、神崎については、自分も2人のライダー2枚のジョーカーを書く時
神崎がジョーカーにコンタクトを取る事は有りですか?と質問した所、しない方が良いとの意見がありました。
趣旨が違っていたらごめんなさい。読み流して下さい。
すみません。
自己リレーになるんですが…
乾巧、天美あきら、影山冴子、ドラス、麻生勝、日高仁志で一本書きたいんです。
現在執筆中の書き手さんや
>>428さんも含めて他に書きたい方がいなければ予約させて下さい。
週末ぐらいにまたお伺いします。
>>430 自分の意見は
>>429ですが、ロワはなるべく主催者の干渉をなくしたいのが本音です。
ただ神崎のキャラを考えると……って言うところなので、方針を決めたいところではあります。
>>431 前の話との時間を調べたら120時間以上経っているのでいいと思いますよ。
書けるキャラに関してのルールは
>>4ですし。
まあ、自己リレーしまくりな自分がいうのもあれですが。
それでは、投下します。
後悔に襲われ続ける男が一人、名を霞のジョーという。
自らを襲う矢を掻い潜り、彼は無我夢中で走る。
(兄貴……どこにいるんだ! 俺は……俺は!!)
ジョーは混乱している。なぜなら、ここに来てしばらくの間、記憶がハッキリとしていなかったからだ。
だが彼は怪人のいいなりとなり、人を殺そうとしていた事を思い出してしまったのだ。
(兄貴、助けてくれ!!)
ジョーは罪悪感に押しつぶされそうになる。自分の尊敬する人、南光太郎に叱責してもらい、立ち直らせて欲しいと願う。
だが誰も彼に応えず、心を蝕んでいく。
迷える彼が光を掴んだのは、北より響く少女の願いがきっかけだった。
『みんなぁ! 殺し合いなんてもうやめてー!!』
ジョーは救いを求める足を止めた。
振り返れば、自分が逃げた方向から声が聞こえてきたのだ。
方法は分からないが、少女が殺し合いを止める為、必死の思いで訴えを続けているのを理解した。
『ファイズは、仮面ライダーは……闇を切り裂いて、光をもたらす!』
「兄貴以外の、V3達以外の仮面ライダーもここにいる。正義の為に戦っている!」
闘志が沸く。彼はもともと考えるのを得意としない。
ただその身を戦いに投じ、愛用のサイと共に人を守るだけだ。
(もう二度と怪人のいいなりなんかにはならない。俺は……兄貴達、仮面ライダーと共に戦う!)
ジョーは決意を固める。そんな彼を嘲笑うかのように、少女が無残にも散る様子が流れた。
(怪人が近くにいたのかよ!?)
少女の命をなんとも思っていない声がする。怒りを燃料に胸のエンジンに火を灯す。
「よーし! あそこまでひとっ走りだ!」
叫んで気合を入れる。彼は救いを求めるより、救う側に回るのだった。
「ハア、ハア、ハア、ハア」
殺し合いの跡が残る場所で、少年は硝煙の匂いと共に空気を吸い込む。
(加賀美さんが死んでしまった! 僕一人でこの殺し合いをどうやって勝ち抜けって言うんだ!!
大体僕を守るって言ったのに、こうも簡単に死んでしまうなんて!!)
明日夢は命の恩人に、理不尽な怒りを抱く。
殺し合いという闇に歪められ、下町で平和に暮らしていた素直な少年はもういない。
ここにいるのは、幼いだけの殺人者であった。
『みんなぁ! 殺し合いなんてもうやめてー!!』
北より聞こえる声に顔を上げる。
自分と同じくらいの歳であろう少女は、殺し合いをやめるように訴えているようだ。
(凄い人だ。自殺行為を平気でやるなんて)
明日夢は無謀な行為を行う人間に対し、呆れる。
『帰りたいから殺すの? 守りたい人がいるから殺すの? ただ殺したいから殺すの? 怖いから殺すの?』
(帰りたいから殺したに決まっているじゃないか! ヒビキさんに助けを求めて、裏切られた僕の気持ちを君が分かるのかよ!!
誰も頼りになんてならない。仮面ライダーなんて、何の役にも立ちもしない)
明日夢の悪意を肯定するように、銃弾が響く。
(ハハッ、ほら見ろ。言わんこっちゃない)
明日夢は暗い愉悦感を抱く。自分の行為を否定した者の末路に満足し、その場を後にした。
突然、明日夢は路地を駆けて来る足音が聞こえてきた。
(誰か来る! は、早く隠れなくちゃ!)
明日夢は余裕が無くなり、周囲に視線を彷徨わせた。
身を隠そうとして足がもつれる。
「うわっ!」
明日夢は殺し合いの場で大声を上げた事を後悔しながら、無様に倒れる。
訪問者は明日夢の様子に気づいたらしく、影が明日夢に覆いかぶさる。
「こ、殺さないでっ!」
明日夢は頭を抱え、命乞いをする。
少年は相手を確認することも、殺すことも考えていない。
彼はただ命が惜しかっただけだ。
霞のジョーは少女を助ける為、走り続けること数分、一人の少年と出会った。
(まだ子供じゃねえか……)
よっぽど酷い目に遭ったのだろうと、ジョーは脅える少年に同情する。
そんな少年に殺し合いを強制する神崎士郎に、ジョーは腹を立てた。
「殺すなんてしねえよ。それよりも怪我は大丈夫か?」
ジョーは手を差し出す。戸惑う少年に笑顔を浮かべる。
「俺は霞のジョー。よろしくな」
ジョーはおずおずと差し出された手を強く握り、明日夢を立ち上がらせる。
その時、少女の声が聞こえた方向から、再び拡声器を通した声が聞こえた。
『俺は闇を切り裂き光をもたらす、仮面ライダー! キック! ホッパァー!!』
戦士の宣言が、ジョーの耳と心を貫いた。
(悔しいけど、あそこは仮面ライダーキックホッパーに任せるしかないか。この子供を手当てしないとな)
「とりあえず手当てをしないとな。あそこにおあつらえ向きに薬局もあることだしよ」
自分の無力さを噛み締め、ジョーは明日夢を薬局に連れて行く。
その少年が殺し合いに乗っていることに、霞のジョーは気づけるはずが無かった。
(僕はついている)
明日夢は、加賀美新に代わる庇護者を手に入れ満足していた。
「ちっきしょぉ! この殺し合いに乗るなんて……自分の友達を殺すなんて何を考えてるんだ!!」
お互い自己紹介を終え、加賀美が自分を保護し、友人である神代剣に殺された事を、明日夢は伝えたのだ。
そのことに怒りを示すジョーを見て、明日夢はジョーが加賀美と同じくお人好しである事を確信した。
(これで加賀美さんと同じく鬼の力を持っていると良いんだけど……)
さすがにそれは高望みをしすぎるかと思い、明日夢は右腕に巻かれた包帯を擦る。
その瞳には、冷徹に生き残る算段をする冷たい輝きが宿っていた。
そんな時、天から三度戦いを止める訴えが響く。
明日夢はキックホッパーの訴えに闘志を燃やすジョーを見つめ、続けて行われた宣言に眼を見開く。
『明日夢! あきら! きっと助ける。だから待っていてくれ』
ヒビキが明日夢を勇気付ける為に声を張り上げていた。
明日夢の心が揺れる。
「よかったな、明日夢! お前の知り合いの居場所が分かったぜ!」
喜びながら背中を強く叩くジョーに、明日夢は笑みを浮かべ頷く。
明日夢はヒビキの必死の想いを聞きながらも、ジョーとは違って素直に喜べなかった。
(助けるから待っていてくれ……か。ヒビキさん、僕はあなたを待っていたんですよ。ずっと)
明日夢はジョーの視界から外れているのを確認し、顔を背ける。
純粋だった少年は、唇を真一文字引き締め、怒りに身体を震わせていた。
(ヒビキさんに憧れていました。そしていつかヒビキさんみたくなりたいって、思っていました)
本来なら、明日夢がいろいろな人と出会い、一年と半年を費やして得る結論を、本来の答えとは逆の意味で構築していった。
(でもこの殺し合いでそれじゃ駄目なんじゃないかって気づきました。
ヒビキさんに何でも頼って、ヒビキさんの真似をして……これじゃ生き残れないってヒビキさんが教えてくれたんです)
明日夢の経験と出会いの足りない想いは歪みを生み、少年を闇に踊らさせる。
(ヒビキさん、僕は鬼にはなりません。僕は人助けなんてしない。殺しぬいてでも生き残る!)
明日夢はヒビキが願った道と逆を進み、手を汚す。
ただ、自分が日常に帰る事を望んで。
麻生とヒビキの訴えから一時間経った。
ジョーは明日夢の怪我もそろそろ良いだろうと判断し、丘へ向かう事を提案しようとする。
だが、突如轟音が響き、建物が揺れる。
「な、なんだ!!」
彼が窓から外の様子を伺うと、風と雷の嵐が破壊を繰り返し、瓦礫を生むのが見えた。
彼は巨大な爆発が起きるのが見え、明日夢を抱え込む。
薬局のガラスが飛び散り、棚にある薬が落ちてくる。
彼は背中に痛みを感じながらも、数分そのままの姿勢でうずくまる。
(今明日夢を守れるのは俺しかいない。絶対に殺させはしねえ!)
彼はひたすら爆発が収まるのを亀のように耐えた。
「もう安全のようだな」
あれから幾らか時間が経ち、ジョーは周囲を確認して明日夢に声をかける。
薬局からひょっこりと顔を出す明日夢を、彼は先導した。
「あっちの方向に向かえば仮面ライダーと明日夢を助けるって言った奴……ヒビキだっけか?
とりあえず合流する為に行こう」
彼は向かうのに時間がかかってしまったことを悔やむが、明日夢を守るためには仕方ないと割り切る。
(こいつはなるべく使いたくないけど、いざという時は……)
彼はいい思い出の無いスマートバックルをデイバックから掴み、決意する。
彼の歩みは希望で満ちていた。
明日夢はジョーから丘へ向かうと聞いて、戸惑った。なぜなら、あの場所は殺戮者が集まる事を容易に想像出来たからだ。
だが、すぐに少年は思い直した。
(丘に向かえばヒビキさんに保護してもらえる。邪魔な奴はヒビキさんに始末させて、油断したところで殺す)
少年はそれが一番、優勝の近道であると確信し、ジョーに従う。
(僕はヒビキさんを許してあげます。その代わり……死んでください)
少年はデイバックのナイフを掴み、決意をする。
彼の歩みは殺意で満ちていた。
異なる想いを乗せる二人の歩みを、炎が遮った。
「明日夢!!」
ジョーは明日夢を抱えながら炎を避ける。
黒焦げになった道筋を辿ると、彼の知る敵がそこにいた。
「てめえ……グランザイラス!!」
「ほう、俺を知っているのか。たしか、RXの仲間、霞のジョーとかいったな」
彼はまるで初対面のような口ぶりに戸惑うも、怒りを口にする。
「お前はバイオライダーに倒されたはずだ! まさか蘇ったのか!?
だが、何度蘇ろうとも、兄貴や仮面ライダーがお前を倒す!!」
「バイオライダーに倒された? 何を馬鹿な事を。
俺は皇帝直属の最強怪人グランザイラス、バイオライダーなどに倒されたことなど無い!」
怪人は言い放ち、炎を噴出した。
怪人の炎がコンクリートや鉄筋を飴のように溶かしていく。
「明日夢! 逃げろ!!」
彼は業火を掻い潜り、サイを構える。
人殺しに利用されたスマートバックルを使う事を、彼はまだ決意できていない。
(せめて明日夢が逃げる時間を稼ぐ)
彼は少年が逃げていく気配を感じながら、震える足を叱咤し立ち上がる。
サイを構えなおした彼は、怪人を睨みつけた。
(あんな魔化魍に出会うなんて最悪だ!)
明日夢は魔化魍と対峙する霞のジョーを背に、廃墟を駆けていた。
少年の脳裏に浮かぶのは、敗北し物言わぬ死体となった加賀美だ。
(僕もあんなふうになるのか? そんなの嫌だ!!)
少年は叫びたい衝動に駆られ、グッと抑える。
(生き延びてやる。どんな手を使ってでも!)
だが、その決意を嘲笑うかのように、少年は固い感触に突き飛ばされる。
少年は尻餅をつき、視線を上げていくと、鯨を模した怪物がいた。
「うわっ!」
少年は悲鳴をあげ、助けを求めるが応える者はいない。
怪物が左手を対峙する二人に向けるのを、少年は見ていることしか出来なかった。
「うおおお!!」
ジョーは両手に持つサイをグランザイラスの身体に突き刺す。
しかし、サイは甲高い金属音を立て、弾かれてしまう。
「痒いわ!!」
怪人は叫び、鉤爪状の右腕を振るう。
重い衝撃が彼を貫き、壁へと叩きつけられる。
「ぐぅぅ……」
彼は痛みに呻いた。
怪人が炎を噴出す右手を向けるのを、彼は目撃する。
「終わりだ。霞のジョー」
怪人より炎が噴出し、彼を焼き尽くさんと襲った。
(兄貴、すまない)
結局、彼はスマートバックルを使えず、その人生を燃やされようとした。
だが炎は彼の目の前でピタリと止まり、怪人に襲い掛かる。
「な、なに。グワァァァァァ!!」
怪人が炎に身を焼かれ、転げまわる。
空より灰色の怪人が、青い光を纏って現れた。
「お、お前は……」
彼はその灰色の怪人に見覚えがあった。
――お前はアギトではない。だが人間でもない。
鯨の怪人はそう言い、男性を守っていた。
「お前はアギトではない。だが人間でもない」
そして鯨の怪人はあの時と、一言一句変わらない言葉をグランザイラスに向けた。
今度は自分を守る為にグランザイラスと斬り合う。
霞のジョーの側には、スマートバックルが冷たく輝いていた。
(なんだ! こいつは!!)
グランザイラスは戸惑っていた。
目の前のそれは、自分と同じ怪人にしか見えない。
それが人を守る為に戦っているのである。
「仮面ライダーにでもなったつもりか? 生意気な!!」
グランザイラスは気合をいれ、鯨の怪人、水のエルのバルディッシュを跳ね上げた。
「ムウン!」
しかし水のエルはバルディッシュの柄を、グランザイラスの咽に叩きつけた。
よろめきながら後退するグランザイラスに、水のエルは左手を向ける。
「か、身体が動かないだと!」
水のエルの念力がグランザイラスを拘束する。
「滅びよ!」
声と同時に空気が一瞬停滞する。
青い梵字が空に浮かび、グランザイラスを襲う。
爆発が巻き起こり、グランザイラスが瓦礫に埋もれた。
瓦礫の隙間から、踵を返し去ろうとする水のエルが視界に入る。
「舐めるなよ!!」
瓦礫を跳ね飛ばし、振り返ろうとする水のエルの背中を抉る。
「ぬぅ!」
怪我を深められ、呻きながら地に膝をつく水のエルをグランザイラスは蹴り上げる。
「よくもやってくれたな! その身体、切り刻んでやる!」
水のエルの身を、グランザイラスの右腕が削り取る。
複数の仮面ライダーを圧倒させた怪人同士の戦いは、炎の怪人が優位に立っていた。
「ジョーさん、今のうちに逃げましょう」
明日夢が腕を引き、ジョーに共に逃げるように言う。
しかし彼は動こうとしなかった。
スマートバックルを手に取る。
(俺はこんなものを支給されたばっかりに、怪人に利用された。
取り返しのつかないことになる前に、あの鯨の怪人と仮面ライダーに助けられた)
戦う意思が、彼の胸を焦がす。
彼はスマートバックルを腰に巻く。
「明日夢、離れていろ」
「まさか戦うつもりですか!?」
「ああ、あの鯨の怪人には借りがあるからな」
彼は左手にサイを構え、グランザイラスに駆ける。
右手をバックルに添える。
「うおおおおおおお!! 変身!!」
彼の尊敬する南光太郎、及び仮面ライダー達の使う魔法の言葉を叫ぶ。
勢いよくバックルを倒す。ベルトが光り、強化スーツを精製する。
ライオトルーパーに変身したジョーは、迷わずグランザイラスへと向かっていった。
「ぐぅぅ!」
水のエルはグランザイラスに壁に叩きつけられた。
「もう終わりだ!」
敵が言うが、水のエルはまだ終わる気は無かった。
(まだアギトを抹殺していない。主の命令を果たすまでは死ねない)
しかし、彼らに迫る影、ライオトルーパーを水のエルは見つけた。
(奴までいたか。人間だが、邪魔するなら……)
彼はバルディッシュを強く握る。
背中を怪我している上に二人がかりとはいえ、彼は使命を果たすことを諦める気は無かった。
「おおおお!」
しかし、水のエルの予想と違い、ライオトルーパーはグランザイラスに斬りかかっていた。
「キサマ、霞のジョーか!?」
振るわれるグランザイラスの右腕を、彼はサイで受け止める。
そのまま彼の右手に持つアクセレイガンで、グランザイラスの胸を斜めに切り裂いた。
「グハッ!」
後退するグランザイラスを尻目に、ライオトルーパーは水のエルの横に並び立つ。
「この前は襲って悪かった」
ライオトルーパーの謝罪が、水のエルに告げられる。
「邪魔をしなければ構わない」
水のエルの言葉に、ライオトルーパーは鼻の辺りを擦る。
「へっ。じゃあいくぜ! 覚悟しな!! グランザイラス!!」
ライオトルーパーは気合を入れ、身軽な動きでグランザイラスの周りを舞う。
その様子を水のエルは静かに見つめ、翻弄されるグランザイラスに近付き、バルディッシュを数度振るった。
「グワッ!」
よろめきながらも、グランザイラスは反撃しようと水のエルに右腕を振るう。
しかし、ライオトルーパーがアクセレイガンをガンモードにし、光弾を放った。
火花が散り、水のエルは動きが止まるグランザイラスにバルディッシュの刃を突く。
グランザイラスが身を転がしていく。
「キサマ等! 許さん!」
グランザイラスは火の玉になり、ライオトルーパーと水のエルを吹き飛ばす。
「がっ!」
グランザイラスはライオトルーパーの悲鳴に満足しながら、火の玉から怪人へと姿を戻す。
「地獄に送ってやろう」
グランザイラスはゆっくりと右手を二人へと向ける。
その様子を見ながら、ライオトルーパーが水のエルに顔を向けた。
「お前の念力、俺にかけてくれないか?」
「どういうつもりだ?」
水のエルの疑問に、ライオトルーパーは悔しそうに拳を握る。
「変身しても俺の力じゃグランザイラスに深手は負わせられない。だから俺にお前の力を貸してくれ!」
無茶な注文に、水のエルは呆れる。
「お前の身体が耐えれないかも知れんぞ?」
「構いやしない。俺は霞のジョー、命に代えてもやり遂げるべき使命があるんだ!」
使命という言葉が、水のエルの心を刺激する。
(使命……主は人を愛している。ゆえにアギトを抹殺するのが我が使命! だが人間であるこいつにも、使命があると言う。
それにこの男が、人間が死ぬのなら、主は悲しむだろうか?)
水のエルの葛藤に気づく様子も無く、ライオトルーパーが立ち上がる。
「だから頼んだぜ! うおおおおおおお!!」
ライオトルーパーがサイとアクセレイガンを構えて跳躍する。
「馬鹿が! 自棄になったか!!」
グランザイラスが、ライオトルーパーを焼き尽くそうと炎を噴出させた。
それを見ると、水のエルは自身に相応しくない、奇妙な熱い感覚に突き動かされる。
水のエルは焦りながら両手をライオトルーパーに向け、念力でライオトルーパーを加速させた。
ライオトルーパーは地面を蹴って、グランザイラスを貫く加速を得る感覚を感じていた。
(感謝するぜ!)
彼は炎に身を焼かれるのは覚悟している。彼はグランザイラスと刺し違える気でいた。
(名前は知らねえが……明日夢の事を頼んだ!)
鯨の怪人が人を守る為に動いているのを、彼はとっくに知っている。
だから、明日夢の事を心配せずグランザイラスに向かって行ったのだ。
しかし、予想と違って炎が彼を避けていった。
彼が後ろを見ると、炎の余波を身体に浴びながらも、両手を自分に向け続け、念力を送る鯨の怪人が見えた。
(ありがてえ!)
彼は一瞬で視線を前に戻し、グランザイラスを貫くことだけを考える。
驚愕の表情を浮かべるグランザイラスに、水のエルの力を乗せて衝突する。
「ぐぇぇぇっ!!」
サイとアクセレイガンがグランザイラスの胸を抉る。
(まだ足りねえ!)
アクセレイガンをガンモードへと変え、グランザイラスの体内で光弾を発射させる。
彼はダメージを受けながらも、爆発の反動で剣を抜いて地面を滑る。
グランザイラスは勢いよく吹き飛び、地面に倒れる。
「ぐぅぅぅ……」
ライオトルーパーはあれで倒せないことに気落ちする。
だがグランザイラスは、自身を炎に変え、その場を去る。
(この俺が……最強怪人のこの俺が霞のジョー如きに逃げねばならないだと! 憶えとけよ! 霞のジョー、鯨の怪人!)
その胸に復讐心を宿して、最強の怪人は逃げていった。
グランザイラスが去ったのを確認して、ライオトルーパーは変身を解除しながら膝をついた。
しかし、ジョーの顔には喜びが表れていた。
「いよっしゃー!! 勝ったぞ! あの、グランザイラスに!!」
叫んでいる彼に、明日夢が近寄る。
「やりましたね! ジョーさん!!」
「ああ、勝ったんだ。あの、仮面ライダーを追い詰めたグランザイラスに、俺達が!」
明日夢の肩を乱暴に叩きながら、彼は喜び続けた。
鯨の怪人を探す為、視線を彷徨わせると、立ち去ろうとする姿が眼に入った。
「待ってくれ! あんたは……え〜っと」
「水のエル、我が名だ。一つ聞いていいか?」
ジョーは真剣な表情を水のエルに向ける。
「お前はアギトではない。アギトになる人間でもない。だが、お前は戦い続けた。何故だ?」
「なんだ、そんなことか」
ジョーは笑顔を浮かべる。水のエルは、力を持たないはずの自分が戦いきったことが不思議らしい。
「簡単なことさ。ここで逃げ出しちゃ兄貴に申し訳がたたねえ!」
「それが、お前の使命とやらか?」
自分の使命という言葉に興味を持ったらしい。だから、彼は胸を張って水のエルに答える。
「違う。俺の……人間の使命は誰かを守ることだ。ただの人間だからこそ持てる、最高の使命だ」
言い切ると、水のエルが沈黙していた。
(人を守るのが使命か……)
なんとも単純で、難しい使命である。
だが目の前の男は、堂々と言ってのけた。
(主が人を愛し続けるのも、分かる気がする)
水のエルは自らに生まれた、奇妙な感覚の影響に気づかなかった。
「そうか」
水のエルは呟き、その場を去ろうとする。
「待ってくれ! 水のエル、俺に力を貸してくれ!」
ジョーが叫ぶが、水のエルは取り合うつもりは無い。
「お前に使命があるように、我にも使命がある。アギトを探し出すという使命がな」
水のエルはアギトを殺すとは、何故か言えなかった。
誰に何と思われようと、構わなかったはずなのに。
「水のエルがアギトって言うのを探しているなら手伝う。俺はどうなっても良いんだが、明日夢は違う!
こいつは何の力も無い。戦うことなんて無理な奴だ。俺だって強い力は無い。だから頼む!
明日夢を守る為に、俺に力を貸してくれ!!」
水のエルは土下座をするジョーを見つめ、黙考する。
(確かにこの殺し合いの場では二人が生き残ることは難しい。人が殺されるのは、主の望まぬこと)
刹那の間、水のエルは葛藤する。
だが決断は早く、その場を立ち去る。
明日夢とジョーが落ち込むのが見えた。
「どうした? 共に行くのではなかったのか?」
振り返り告げると、二人が喜び手を叩きあうのが見える。
水のエルはおそらく人間の喜びの表現方法なのだろうと思い、二人が追いつくのを待つ。
神の使いは、己自身が人間に興味を持ち始めていることに気づけなかった。
炎が市街に降り、人型の怪物の姿となる。
「くそっ! くそぉぉぉ!!」
グランザイラスは壁に苛立ちをぶつける様に叩きつける。
しかしコンクリートの壁は崩れず、虚しい音を響かせるだけだった。
「忌まわしい制限をしよって! 神崎士郎だけじゃない! 俺をコケにした奴は皆殺しだ!!」
グランザイラスは呪詛を呟き、暗い炎を燃え上がらせた。
「霞のジョー、まずはキサマだ! 力が戻り次第殺してやる!!」
彼は叫び、壁に身を預ける。だが彼は知らない。
今の彼は禁止エリアと背中合わせである事を。
僕、安達明日夢は下町の学校に通う高校生です。
極々普通の高校生だったけど、霞のジョーさんと出会って何かが変わってきました。
いえ、変われそうな機会が出来ました。
加賀美さんが死んで、炎を噴出す魔化魍に襲われたときは、どうなるんだろうと不安でしたが、ジョーさんが使うベルトを見て希望が沸きました。
なにせ合流した水のエルという魔化魍が言うには、ジョーさんは普通の人間だそうです。
それなら、僕が鬼の力を得ても不思議ではありません。
懐のナイフの感触を確かめ、ジョーさんの隙を伺います。
今は水のエルもいることだし、殺すことは出来ないでしょう。
ですが、必ず殺してベルトを奪います。
僕が、僕だけが日常に帰る為に。
【安達明日夢@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:番組前期終了辺り。
[状態]:腕に軽い擦り傷。
[装備]: デイパックニ人分。加賀美と影月。影月は支給品不明です。
[道具]:果物ナイフ数本。
[思考・状況]
1:ジョーのスマートバックルを奪う。
2:奪った後、出会う人間の隙を突いて殺す。
【霞のジョー@仮面ライダーBLACKRX】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:クライシス壊滅後。
[状態]:念力の反動で全身に打撲。負傷大。二時間変身不能。
[装備]:サイ、スマートバックル(アクセレイガン付属)
[道具]:なし
[思考・状況]
1:C6の丘に向かう。
2:仮面ライダーたちと合流し、水のエルが悪い怪人でない事を伝える。
3:兄貴と合流。
【水のエル@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:アギト43話、敗北後。
[状態]:背中に裂傷。加えて全身に中程度の負傷。二時間戦闘不能。
[装備]:怨念のバルディッシュ
[道具]:オルゴール付き懐中時計
[思考・状況]
1:アギトを抹殺する。
2:アギトを抹殺することができれば、誰が勝とうが、自分が死のうがどうでもいい。ただし、邪魔する奴は容赦しない。
3:主の為人間であるジョーと明日夢を守る。
[備考]:僅かですが、人間へ興味を持ち始めました。
【グランザイラス@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地D-4】
[時間軸]:地球到着直後
[状態]:負傷大。二時間戦闘不能。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:傷を癒す。
2:霞のジョー、及び水のエルに復讐。
3:RXを殺す。
4:ジャーク将軍は後回しにする。
投下終了。誤字、矛盾、指摘がありましたらお願いします。
あと敢えて他の作者さんの文面を使っている場面がありますが、不快に思ったらすいません。
GJ!
実力的に劣りながらもグランザイラスに勝利する霞のジョーが熱かったり、
炎vs水ともいえる戦闘が熱かったりで面白かったです。
水のエルを味方と認識しているジョーがアギト勢と出会った時にどうなるのかもちょっと気になったりしています。
>>430,
>>432 ご意見感謝です。
構想していた話は乾の前に神崎が現れてマーダ化フラグを立てるというベタなものでしたが、
予約宣言もありますし、なんか面子を見ているとそっちの方が面白そうなので質問を取り下げます。
でも、正直な話、神崎は書けたらいいなと思います。
後者の質問の方は時間を計算すると別の足止め方法を考えた方がよさそうなのでこちらも取り下げます。
ご迷惑おかけしました。
GJ!水のエルかっけえええ!
しかし『人間への興味』が死亡フラグにしか見えない……
指摘は、
グランザイラスが身を転がしていく。
グランザイラスは火の玉になり、ライオトルーパーと水のエルを吹き飛ばす。
グランザイラスはライオトルーパーの悲鳴に満足しながら、火の玉から怪人へと姿を戻す。
グランザイラスはゆっくりと右手を二人へと向ける。
この辺がしつこい気がする。同じ単語はなるべく複数回使わない方が良いと思う。
>>453 指摘感謝します。
人に主語が無いと言われたのがきっかけだったのですが、確かにテンポ悪いですね。
試行錯誤しておきます。
追記。
キャラ紹介の◆AppnCvvfGU氏、水のエルの紹介文がかなり役に立ちました。
改めてGJ&ありがとうと言わせてください。
意外と読み専が多くてちょっとびっくり。
もっと文章力を挙げて恥をかくのを少なくしたいです。
それではまた。
面白かった!!GJ!!
水のエルが相川始化か?
また意外なパーティが出来たもんだwwそして明日夢怖ええええ
ラストを「僕、安達明日夢は〜」で〆たのはウマイ!!と思った!!
感想…というか全体的に作品を読んで思ったことなんだけど
各キャラやライダーの外見に対する表現とか形容が少ない気がする。
皆さん敢えてそういう書き方をしてるのでしょうか?
見てない作品のキャラのルックスが分からないので想像し辛いシーンとかあるんだ。
パロである以上、読者は元の作品を知ってるの前提なんだろうけど
ライダーって映像作品だからキャラのビジュアル面はハッキリしてるので
キャラの視覚的表現を書くことに問題がないのなら
そこら辺もう少し書き込んで欲しいんですが…ダメ?
あとキャラ紹介職人氏、表現が的確&言葉が美しい!!
>>456 自分は全然OKです。
っていうか、二次創作というのに甘えていたことに気づきました。
次回から意識しておきます。
それ、簡単なようで無茶苦茶難しい。知らなくても具体的なものが動いてる映像が浮かぶレベルにはまずならない。
自分が知ってる何かの外見を可能な限り文章で書き上げて、寝てから見直すと分かる。絶対違うものが浮かぶから。
きっちり出来る人はプロの人でもそうそういないと思う。
レンゲル初登場とかは気合入れて書いたんだけどなー
1個だけ疑問。というか質問。
なぜにこのタイトル?
投下乙
今回の参加者の中で一番、何があろうと自らの行動指針を変えなさそうなのが水のエルの魅力だと思っていた
思っていたのに…この胸に溢れてくる熱い感情はなんなんだ…
GJ
一言、
>複数の仮面ライダーを圧倒させた怪人同士の戦いは
「圧倒させる」っていう表現はおかしくないか?
>>458の言うことにも一理ある。プロの作家でもキャラの容姿に関して
あまり描写しない人もいるしね。
ただ、例えばシャドームーンとかは皆共通して「シルバーのボディ」「緑の目」って
書いてるけどあのメカニカルな質感にはあまり触れてないし
ライダーマンって言われれば知ってる人はあの独特のマスクが思い浮かぶけど
知らない人はそこに一切触れられていないからまさかあんな姿とは思わないだろう。
同様にぷにの丸顔とか北岡の長身や蓮の真っ黒いシルエット、
北崎の失敗パーマとだらしない襟ぐり
たっくん橘さんの下がり気味の目尻、草加や光太郎の気合の入った眉毛etc…
そこらへんもうちょっと補足して描写してもいいと思うんだけどどうだろう。
>>459 元ネタを探していると、グランザイラスの単語に相応しいものがあったんでこのタイトルにしました。
話の内容に合っていないかな?とは思ったんですが、けっこう気に入ってこのままいきました。
多分自分がつけたタイトルでは一、二番目に好きです。
自分のタイトルは全て元ネタがあります。まんまなのも多いですが。
>>460 圧倒したですね。この場合。
指摘ありがとうございます。
> 複数の仮面ライダーを圧倒させた怪人同士の戦いは、炎の怪人が優位に立っていた。
を
> 複数の仮面ライダーを圧倒した怪人同士の戦いは、炎の怪人が優位に立っていた。
に差し替えてください。
投下します。
「そんな馬鹿な!?なんでここにシャドームーンの名前があるんだ!!?」
南光太郎はマンションの階段付近で、乾巧――を名乗る草加雅人――に名簿を見せて貰っていた。
「………あいつはゴルゴムと共に滅んだ筈だ……まさか、まだ死んでいなかったと言うのか!?」
「……誰か知り合いでも居たのかな?」
「ええ、貴方はシャドームーンを……銀色のボディに、エメラルドに輝く眼を持つ男を見ませんでしたか?」
「その人は危険な人物なのかな?」
「………ええ、俺の知っているシャドームーンなら、危険だと言わざるを得ないでしょう………それで見たんですか?」
(あいつは確か俺の姿を見ていなかったな、南光太郎の口振りや後ろの二人を助けようとしなかった事からも
ゲームに乗るかはともかく、他の参加者とは敵対する可能性が高い。今はあいつを泳がせておく方がいい)
「すまない、生憎そんな奴は見ていない……」
「そうですか………今、あっちの方で爆発が起こりませんでしたか?」
光太郎が指し示す方向では、建物が粉塵をあげながら倒壊していた。
「どうやらあそこで、戦闘が行われている様だな……」
「俺はあっちの様子を見てきます!乾さんはそこの部屋の中で待っていて下さい」
名簿を返しながら光太郎は、マンションの一室を指し示す。
「待て、俺も一緒に行こう」
「怪我の癒えていない、乾さんが来ては危険です!」
「負傷はしていても、戦う手段はある。それに危険を言うなら、ここに一人で居てもそう変わらない」
草加が同行を申し出たのは、計算に基いての事。
今から行けばゲームに乗っている者がまだ居たとしても、制限や戦闘によるダメージ、消耗によって戦えない可能性が高い。
ゲームに乗っていない者が居たら、そのまま仲間に引き込めばいい。
(いざという時は南光太郎を囮にして、逃げる事も出来るしな……)
「あそこに助けを求める人が居るかと思うと、俺ものんびり待っていられないからな」
冗談めかしてそう言った後、草加は真っ直ぐな表情で光太郎を見据えた。
「……分かりました。貴方がそこまで言うなら、共に行きましょう」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
(本当に何なんだよ、この人は?)
城戸真司は混乱していた。
真司にしてみれば突然自分のカードデッキを奪って変身し、あまつさえ自分を殺そうとした男が
またも突然にそのカードデッキを返し、礼を言ってきたのだから無理も無い。
しかもその男が自分に向かって、倒れてきたのだから真司の混乱は極みに達した。
「うわぁっ!!?」
咄嗟に抱き止めてみたら、男は気を失っている。
「ちょ!だ、大丈夫かよ!?いや、大丈夫じゃないのは見たら分かるんだけど」
真司は狼狽しながらも何とか男の息がある事を確認し、とりあえず近くの民家の中に運び込むことにした。
「お邪魔しまーす……って誰も居ないか、そりゃそうだよな……」
居間に布団を敷きそこに男を寝かせて、真司はようやく一段落付くことが出来た。
「でもこれから俺、どうすればいいんだよ……矢車さん放って置いて、他所に行く訳にもいかないし……
早く蓮達を捜しに行きたいけど、やっぱり矢車さんが目覚めるまでここに居ないといけないよな……」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
―――先程、みなさんに希望を訴えた真理ちゃんは命を落としました。
(おのれクライシス!真理さんの夢と命を無残にも引き裂くとは、この俺が許さん!!)
建物の倒壊があった場所に向かいながら、光太郎は再び怒りに打ち震える。
思いを言葉にしないだけ彼にしては自分を抑えているのだが、例によって真理殺害犯はクライシス帝国になっていた。
―――みんな、聞こえたか。麻生さんや真理ちゃんが言った通り、諦めるんじゃないぞ。
(ヒビキと仮面ライダーキックホッパーが合流したか……)
怒りに燃える光太郎とは対照的に、草加の心は冷めている。
真理の死によって草加の思考は、ゲームの参加者を如何に効率良く殺すかだけに切り替わっていた。
今更誰のどんな呼び掛けの言葉を聞こうと、心が乱される事は無い。
(あの二人を殺すのは、仲間に引き入れて利用しながら隙を窺ってからだな……)
「なんて事だ!町が廃墟になるまで破壊されている!!この惨状、クライシスの仕業か!!」
「……南君、これを見てくれ」
廃墟と化したG-5エリアの町並みを光太郎と散策していた草加は、被害を免れた民家まで続く血痕を見付ける。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
真司は自分達が隠れている民家の玄関前に、人の気配を感じ取った。
玄関に聞き耳を立て、外の様子を窺う。
―――この民家の中まで、血痕は続いているようだな。
―――俺が中の様子を見てきます!乾さんは外で待機してて下さい。
―――……分かった、だが無茶はしないでくれ。それと、もう少し声を落としてくれないかな。
(どうやら外の奴等は、二人で組んで動いているみたいだな。
お互いを気遣ってるし、悪い奴等じゃ無さそうだよな……よし!)
真司は意を決し、自ら玄関を開ける。
「あのー……」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
警戒も露に草加の楯になって構える光太郎を見て、真司は慌てて両手を伸ばし自分の目の前で振る。
「ちょちょちょっと待った!!俺は戦う気は無いですよ!」
「戦う気が無いと言うのは本当か!?」
「本当ですよ!信じて下さい!」
草加は真司の手に、カードデッキを見付ける。
(あれは秋山蓮の持っていた物と、色違いだが同じ形状だ)
「君は秋山蓮の知り合いかな?」
「あ、あんた蓮の事を知ってるんですか!?」
草加は賭けに勝った事を、内心でほくそ笑む。
(やはり秋山蓮と同じタイプのライダーか、こいつも交渉次第で駒に出来るな)
「この家の中まで続いている血痕は、誰のものかな?」
「これはさっき重症を負っていた人を見付けて、その人を家の中まで運んだ時のもの……だと思います」
「ならその人を見せて詳しい事情を説明してくれないかな?それと秋山蓮との関係も教えて欲しい。
もしそれで君を信用出来るとこちらが判断したら、秋山蓮について知ってる事を教えよう」
「事情を説明したらいいんですね。……あ、その重症を負っていた人はこっちです!」
(こんな不当な取引にあっさり応じるとは、どうやらこいつもかなりのお人好しみたいだな)
光太郎と草加は、真司に案内され矢車の居る部屋に向かった。
「そうですか……蓮は殺し合いに乗っていたんですか……」
「ああ、秋山蓮はさっき話した二人の仲間、警官の制服を着た男と緑色の怪物に変身する女と共に……珠純子さんを殺したんだ」
居間に集まった三人はお互い殺し合いに乗る気が無い事を確認し合うと、詳細な情報交換を済ませた。
最も草加には、虚偽や隠している情報も有ったが。
「……蓮が……人を殺していたなんて」
『一つでも命を奪ったら、お前はもう、後戻り出来なくなる!』
『……俺はそれを望んでる』
何時か交わした蓮との会話を思い出し、真司は呆然とする。
(……蓮……お前はもう、後戻り出来なくなったのかよ……)
「……そうだ、こんな事してる場合じゃない!乾さん、蓮達はF-7エリアに居たんですよね!?」
「俺があいつ等を最後に確認した時は三人とも重症を負っていたし、秋山蓮と女は気を失っていた。
あれからそれほど時間も経っていないし、F-7エリア付近に居ると見ていいだろうな」
「俺、今から蓮達の所へ行って来ます!」
「待て!行ってどうするつもりだ!?」
「決ってるじゃないですか、蓮を止めるんですよ!」
光太郎の静止も聞かず、真司は自分の荷物をまとめ出発しようとする。
それを見て草加は、真司に蓮と氷川やひよりを始末して貰う事を思い付く。
(その前に一応、引き止める振り位しておくか……)
「少し落ち着いてくれないかな。彼等は既に人を殺しているんだ、口で言って説得出来るとは思えないがな」
「だからって放っとく訳にはいかないでしょ!」
出発を急ごうとする真司の肩を、草加が掴んで止める。
「今の彼等を止めるつもりなら、殺す位の覚悟が要る。君にそれがあるのかな?」
「何で殺さなきゃいけないんだよ!?そんな事しなくてもちゃんと止めてやるよ!蓮も、この戦いも……ッ!!?」
真司は全てを言い終わる前に、草加に殴り飛ばされる。
「いって〜……何すんだよ!!お前……」
「この戦いを止めたいと思っているのは、お前だけじゃ無い!!!」
詰め寄る真司を、草加が一喝する。
「すまない……殴ったりして……だが歯がゆい気持ちなのは俺も同じだ。
俺は……守ると約束した純子さんを、奴等に殺されたんだからな」
草加は顔を伏せ、拳を震わせる。
「………乾さん」
「秋山蓮は残忍で、仲間の二人は狡猾だ。奴等は善人の振りをして俺達に近付き
隙を見て無抵抗な純子さんを殺し、俺も奴等の内二人に深手は負わせたものの、逃げるのがやっとだった……」
震える拳からは、血が滲んでいた。
「生半可な覚悟で奴等に向かっても、返り討ちに遭うか利用されるだけだ」
「……そうですね、乾さんの言う通り生半可な覚悟で行っても、どうしょうも無いかもしれない」
真司は静かな表情に、迷いの無い目で草加を見据える。
「でも、どうしても放って置く訳にはいかないんです。あいつの闘いの重さを受け止めるって約束したから……
殺す覚悟は出来なくても、命をかけてその約束を果たす覚悟はあります」
誠心な表情で真司を見返しながらも、草加は内心苛立つ。
(ゴミが!煮え切らない事を言いやがって……まあいい、何時までも引き止めて気が変わっても困る……)
「仕方ない、なら俺が君を奴等との戦闘があった場所まで案内しよう」
(俺も行ってあいつらとの戦闘中に、事故でも装って殺せばいい
この単純な城戸真司なら、どうとでも誤魔化せる)
「その方が奴等を見付け易いからな」
「乾さんは、まだ怪我が治ってないじゃないですか!」
「さっきも言っただろう、俺も君と同じ様に奴等を止めたいんだ。それに君一人を行かせたら、心配でしょうがないしな。
南君は悪いがここで、矢車想を見ていてくれないかな?」
「ええ。誰かが矢車さんに、付いていないといけませんから」
「すまない、君もシャドームーンを捜しに行きたいんだろうが……」
「仕方ないですよ、そっちは宛が無いですし」
「もしここを引き払わなければならなくなったら、ここからでも見えるあの一番高いビルの屋上で落ち合おう。
今日の18時の放送までに会えなかったら、俺達は死んだものとして行動してくれ。
それと矢車想には充分注意してくれ、カードデッキは返したとは言え城戸君を襲った事には変わりないからな」
「ええ、貴方達こそ気を付けて行って下さい」
草加は真司と肩を並べ、F-7エリアを目指す。
「しっかし驚いたな、神崎がクライシス帝国なんて連中と手を組んでたなんて!
幾ら優衣ちゃんの為だからって地球を侵略しようとしてる連中組んだり、
こんな殺し合いを仕組んだりしても優衣ちゃんは喜ばないっての!」
(こいつ南光太郎の話を信じてるのか?)
「ああ、俺も神崎を倒し、この島に居る人達を守りたい。……城戸君、力を貸してくれるかな?」
(まあ、それくらい単純な方が利用しやすいかもな)
「当たり前ですよ!いや〜、なんか久しぶり意見の合う人に会ったみたいですよ。ホント乾さんに会えて良かった〜」
(まずはこいつを確実に手懐けて……)
「……そうだな、俺も君に会えて良かったよ………」
(俺の言いなりになる駒に仕立てるとするか………)
草加は真司と、強く手を交わす。
内に秘めた、憎悪の闇を隠して。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G-5】
[時間軸]:47,8話前後。優衣が消えたことは知っています。
[状態]:健康。
[装備]:カードデッキ(龍騎)
[道具]:無し
[思考・状況]
1:乾さん……やっとまともな人に出会えた。
2:蓮達を捜し出して止める。
3:ひとりでも多くの人を助ける。
4:戦いを絶対に止める。
【備考】
※草加を巧、ファイズだと思い込んで全面的に信頼。
※神崎はクライシス帝国と手を組んでいると信じています。
【草加雅人@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G-5】
[時間軸]:ファイズ終盤
[状態]:全身に負傷。背中に切り傷。疲労。参加者全員への強い憎悪。
[装備]:カイザドライバー(カイザブレイガンのみ付属) 、ゼクトマイザー。
[道具]:ファイズアクセル、三人分のデイバック(佐伯、純子、草加)
ディスクアニマル(ルリオオカミ、リョクオオザル、キハダガニ、ニビイロヘビ)
マイザーボマー(ザビー、サソード、ガタック(小消費)、ホッパー)。
[思考・状況]
1:城戸真司と手を組み、利用し尽して殺す。
2:ゲームの参加者の皆殺し。
3:秋山蓮達を捜し出して殺す。
4:更に頼れる仲間を集める。
[備考]
※珠純子の死を秋山蓮か青いライダー(加賀美)に擦りつけようと考えています。
※自分のことを乾巧と偽っています。展開に応じて、臨機応変に対応。
※ゼクトマイザーは制限により弾数に限りがあります。
【南光太郎@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G-5】
【時間軸:第1話、RXへのパワーアップ直後】
【状態:健康。】
【装備:リボルケイン】
【道具:カラオケマイク(電池切れ)、ハイパーゼクター】
【思考・状況】
1:矢車想を見張る。
2:矢車想が気付き次第、事情を聞く。
3:シャドームーンを捜す。
4:打倒主催。その後、元の世界に戻ってクライシス帝国を倒す 。
【備考】
※黒幕はクライシス帝国、神崎はその手の者であると勝手に確信しています。
※ガタックゼクターをクライシス帝国の罠だと勝手に確信しています。
※草加を巧、ファイズだと思い込んで、全面的に信頼。
【矢車想@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地G-5】
【時間軸:8話 ザビー資格者】
【状態:重症。全身打撲&火傷&刺傷(急所は避けていました。大出血もありません)】
【装備:ライダーブレス(ザビーゼクター破壊)】
【道具:アドベントカード(サバイブ)】
【思考・状況】
1:気絶中
※矢車はBOARDという名前に嫌疑(ワームの組織では?)
※カブティックゼクターは、どのような形でかは分かりませんが島に存在します(不明支給品?)
投下終了しました。
指摘点やご意見があれば、よろしくお願いします。
◆ozOtJW9BFA氏、GJ!
光太郎さんと草加が別れることになったのは意外だけど、真司というカモを得た草加が生き生きしていてよかった。
それにしてもクライシスと神崎が手を組んだと信じるのはこいつくらいだw
草加の冷静な突っ込みも冴えている。やっぱボケにはツッコミがいないとね。
ちょwww城戸よwww
サバイブに最接近したのにスルーかよwww
城戸は小沢といたのに氷川のこと知らないんかな?
大変遅レスですが、◆E1yyNEjdEc さん予約キャラがかぶってしまってすみませんでした。
ご好意に甘えて執筆させてもらいます。以後気をつけます。
◆TJ9qoWuqvA さん
霞のジョーが立ち直ってくれてほっとしています。そして水のエルの
「どうした? 共に行くのではなかったのか?」 この台詞に痺れました。
◆ozOtJW9BFA さん
草加の悪人ぶりがいい!光太郎と矢車の今後も楽しみですね。
お二人ともGJ!
GJ!
城戸よ……草加に騙されるのはまあいいとして、光太郎を信じるのは……
矢車さんが起きたら草加の偽名にも一発で気付いてるのに……うわあ。
で、矢車さんのゲーム考察(大外れ)は間違った方向に修正されそうだなあ……光太郎の所為で。
もう一度GJ!
えー、現在執筆中ですが、思うように進んでおりません。
後一日か二日ほどで書きあがると思いますので・・・・・・期間を延ばさせていただけないでしょうか?
楽しみに待っています。
>>475 指摘されて読み返したら、サバイブをスルーしたのは確かに不自然でした。
遅くなりましたが、後で修正しておきます。
氷川については小沢に聞いていたとしても、蓮の事で動揺しているので気付かないと判断じまじた。
>>478 楽しみにして待っています、頑張って下さい。
>>480 進行表更新乙です。
自分の書いた最新話までおさえられていて、嬉しかったです。
>>482 今回の修正は他から要求を受けたものではなく、
>>475のレスを読んで
私自身が自分のSSに修正が必要と感じてのものです。
本来は投下前の推古の段階ですべきものであり
私の身勝手で無駄なレスをしたり、
>>481で紛らわしい書き込みをしてすいません。
避難所に修正版を投下したので、お手数ですが差し替えお願いします。
主な修正箇所は、真司が矢車の持っていたサバイブを手に入れたというものです。
修正を投下した後だが突っ込んでおく
サバイブには二種類ある
そして今回のバトロワのルールでは龍騎が使えるのは『烈火』のみ
どちらのサバイブか、そのへんははっきりさせておくべき
後の書き手に任せるのならその旨を書いておいた方がいい
>>484 度々失礼しました。
サバイブのカードの種類は後の書き手さんにお任せします。
でも設定では王蛇が騎士からサバイブ「疾風」を奪って王蛇サバイブになった…ってwikiにあったよ?
もちろん、あくまで設定に過ぎないんだが。
でもアギトやストロンガーなどの装着変身でないやつらは時間経過で変身制限が解けるんだから、
サバイブくらいは汎用にしてもいい気はする。
ファイズやカブトみたいに専用ツールがないと変身できないってのもいることだしな。
>でも設定では王蛇が騎士からサバイブ「疾風」を奪って王蛇サバイブになった…ってwikiにあったよ?
それはあくまでもHERO SAGAでの話だろ。あれは公式なのか?
そもそも『強化変身は実際に登場したもののみ』という話になったんじゃなかったのか
『疾風』と『烈火』が別物である以上汎用化するのは無理
>>486 王蛇は「疾風」でサバイブ化できるってだけで龍騎とはあんま関係ない気がするんだが
龍騎が別に「疾風」でもサバイブ化できるとしても「烈火」の時とは別物になりそうな気が
どっちにしろ映像化されてないんだしやめといたほうがいいと思う
無限のサバイブかもしれんぞ
うーん、汎用化は無理か。
でもちょっと気になったけど、種類は次の人にお任せってあるよな?
でも烈火と疾風はそれぞれデザインが違うし、城戸は単純そうだから蓮の使う疾風の見た目なんて覚えてないと思う。
それでもサバイブだとわかるってことは、烈火だったあるいは烈火と疾風二枚あった、てことじゃないか?
流れ豚切りスミマセン。キャラ紹介、城戸と天道を投下してきました。
遅くなって申し訳ない。訂正追加あったらヨロシク。
(天道…最終話前の瓦礫埋れ、ガタックに負けたことになるんかなあ…?)
次、リクの橘さんと睦月に取り掛かります。
結城丈二のキャラ紹介乙!!全作品にわたる彼を知らなかったので
大変興味深く拝読させていただきました!!
◆AppnCvvfGU氏、乙。
相変わらずキャラ紹介にセンスがあります。
かなり細かいところまで網羅していてまじで助かります。
天道の最終回前の戦闘は……一応負けですね。
トルーパーのちょっかいがなけりゃあ確実に負け認定なのですが。
橘さん&睦月楽しみにしています!
遅くなりましたが、まとめサイト更新いたしました。
◆ozOtJW9BFAさん
草加は南光太郎のデンジャラスさを本能的に嗅ぎ取ったんだなと思いました。
別の意味でジョーカーの存在である南光太郎が今度は矢車とどう絡むのか楽しみな展開です。
◆4wyf44BgsEさん
かぶったのはこちらなので、お気に為さらないでください。
どのような話になるのか今から楽しみにしています。
◆TJ9qoWuqvAさん
進行表更新乙です。
お互いSSの助けのために頑張りましょう。
◆AppnCvvfGUさん
お褒めに預かり光栄です。
拙い紹介ですが、これから昭和勢を順々に埋めていきたいと思います。
とりあえず確認が楽で済む、ZO&J勢。グランザイラス、ヨロイ元帥辺りを更新できたらと(実は昭和じゃありませんが)
よりによって見返していたのがXとアマゾンだったり。。。
では北岡秀一、上城睦月、橘朔也、津上翔一、木野薫、キングを予約します。
>>493 まとめ更新乙。
最新話楽しみにしています。デンジャラー。
キャラ紹介自分も埋めてみようかな?と昭和勢を考えています。
◆AppnCvvfGUさんのように上手く紹介できるかは分かりませんがw
それでは、南光太郎、矢車想、小沢澄子を予約します。
◆ooH1rChbakさーん
まーだーでーすーかー?
首を長くして待ってる読み手がここに一人。
皆様乙です。
経過報告します。
5割程度です。
冴子さんが怖いです。
>>495 現在誤字脱字を探し出し、修正してる最中です。
あと一時間ほど待っていてください。
今日中に投下ですと!
期待しています!!
期待
うおーい一時間経過〜
では、投下します。
思ったより長くなってしまいましたが・・・。
街のビルの間に、一人の男がいた。
足取りは、傍から見れば進んでいるように見え――また進むのを拒んでいるようにも見えた。
そして表情は、怒りとも悲しみともつかぬ、深い表情であった。
その男――リュウガは、内に深く、大きな感情を秘めていた。
ドンッ
後方で爆発音が聞こえ、その音と同時に足が止まる。
「あいつが死んだか・・・・・・」
脳裏に浮かぶのは先程の弱弱しい男の姿。
そして、撃てなかった自分への激しい憤り。
沈めていた筈の感情がまた湧き出す。
(これは殺しあいだ・・・なのに・・・何だこの感覚は!?)
先程の爆発で、リュウガの心には明らかに波が生まれていた。
ふと横を見れば、窓ガラスに自分の姿が映っている。
その姿は、酷く弱弱しく見えた。
「・・・・・・・ッ!!」
怒りに任せて窓ガラスを割る。
その音で、先程立てた決意を思い出す。
(そうだ・・・俺は誓った。俺は俺の前に立つ者を殺し、城戸真司を取り込む!)
リュウガは、無理やり自分に言い聞かせ、進もうとする。
キィィィィィン・・・キィィィィィン・・・
止まっていた足を動かすと、突如流れた耳鳴りが再び彼の足を止めた。
(・・・・・・・・・何だ?)
モンスターが現れた感覚に似ていたが、今の自分には関係ない。
足を進ませようとするが、その思いと裏腹に耳鳴りは一層強くなる。
(俺を呼んでいる・・・・・・面白い。)
この耳鳴りが自分を探していることに気付き、辺りを探す。
案の定、研究所らしき建物が建っており、簡単な手術位なら出来そうな位設備が整っていた。
そして――――音の主はそこにいた。
(・・・・・・・・・何だこれは?)
リュウガを引き付けていたのは、一本のベルトであった。
外観は黒色で、所々に金と赤の装飾が鏤められている。
中心部には、奇抜なデザインの携帯電話が収まっていた。
その名を――オーガドライバーと言う。
「何だ・・・こんな物か・・・!?」
持った瞬間に何かが流れ込む感覚。瞬間的に理解した。
これは人の使う物じゃない。
並みの者が使えば、忽ち命を落とすだろう。
流れてくる力に、リュウガは興味を持った。
この力を持つことが出来たら――――
この力を使いこなすことが出来たら――――
本当に出来るのか?
「・・・・・ッ!!」
一抹の不安が脳裏をよぎる。
もし使いこなせなかった時は――――。
いつの間にか、ベルトを持つ手が震えていた。
ベルトがとてつもなく重い。
どれだけ力を込めても、震えは止まらない。
(恐れているのか・・・・・・ふざけるな!!)
不安を振り払うように、自らの覚悟を籠めて叫ぶ。
「どんな力だろうが・・・俺は・・・俺は使いこなして見せる!」
叫んだ途端に、手の震えが止まり、ベルトが軽くなる感覚。
(・・・・・・俺を、認めたのか?)
心の中で問いかける。すると、ベルトからキィィィン、と先程の音が流れた――――気がした。
それを聞き、デイパックの中にしまいこむ。
リュウガは再び歩き出し、研究所を後にした。
――――その顔は、何処か満足気であった。
「ハァ・・・ハァ・・・」
とあるビルの陰、氷川と、意識を失ってるひよりと蓮の姿があった。
いまだ寝ている二人を見つめる。
そしてすぐ周りを見渡し、知り合いの木野を探す。
(早く手当てしないと、ひよりさんが・・・)
頭で思っても、何も出来ない自分が悔しい。
その時、一つの人影が目に入った。
★
龍はビルの陰から、一人の男をを見つめる。
「あの男は確か・・・・・・」
その顔を深く思い出す。
――――そうだ。あいつは昨日襲った相手だ。
(丁度いい・・・あいつなら気兼ねなく殺せる・・・)
デイパックを開き、拳銃へと手を伸ばす。
が、掴み掛けたところで手が止まる。
(またか・・・何故だ!何故銃を持てない!?)
また、先程のように戸惑いが生まれる。
(俺の前に立つものを殺す!そう決めたはずだ!なのに・・・何故だ!)
心ではわかっているのに、体が言うことを聞かない。
拳銃一つ持つことを体が拒む。
「・・・あの〜・・・」
向こうから声が聞こえる。
(まずい!気付かれた!)
即座に、リュウガは構えた。
「・・・・・・城戸さん・・・・・・ですよね?」
予想と違い、聞こえてきた声に敵意は感じられなかった。
「・・・・・・・・・・・・?」
リュウガは何もわからず、ただただ呆然としていた。
「いや〜、本当によかったです。城戸さんにあえて。」
とある民家の中で、氷川が安堵の表情を浮かべる。
(・・・あいつ、また何かやらかしたな・・・)
少しだけ、リュウガは真司を恨んだ。
が、そのことに気付かず、氷川はしゃべり続ける。
自分たちの出会った銀色のライダーの話。黄色いライダーの話。そして、其処で眠っている秋山蓮の話。
話を聞いているうちに、あることにリュウガは気づいた。
人を信用して疑わない目。
そしてみなを守ると言う決意が感じられた。
(こいつ・・・城戸真司に似ている。)
龍の心に、少しだけ笑みが生まれた。
「お前・・・誰だ?」
氷川の物でも、リュウガの物でもない声が聞こえる。
振り返ると、今まで寝ていたひよりの意識が戻っていた。
「ひよりさん!まだ寝てなければ駄目ですって!」
氷川が駆け寄り休息を進めるが、ひよりは、
「大丈夫だ・・・本当に・・・」
と何度も呟く。
ドサッ
話した途端に床に倒れこむひより。
「ちょっ・・・大丈夫ですか!?」
倒れた日和を布団に寝かす。
「本当に大丈夫だ・・・それに、お前だって・・・」
口では大丈夫だと言っているが、顔色はどんどん悪くなる。
布団に入っても尚、ひよりの口数は減らない。
「駄目です。幾ら大丈夫って言っても、あなたは僕なんかよりずっと重傷なんです。今はまだ安静にしててください。」
「大丈夫なのに・・・・・・・・・」
二人の会話は、まるで、駄々を捏ねる子供と、それをなだめる親のようだった。
「・・・スゥ・・・スゥ・・・」
ようやく、ひよりが寝息を立て始めた。
その脇で眠っている蓮に目を向ける。
自分が生きていた頃に、一度戦ったことのある相手。
「これでよしっと・・・少し外の空気でも吸いましょうか。」
言うが早いか、氷川はすでに外に出ている。
リュウガも、それを追いかけて外に出た。
・・・・・・二人の間に流れる沈黙。
「あ〜・・・氷川、誰かお前の知り合いは参加していないのか?」
耐え切れず、話題を振る。
デイパックから名簿を取り出す氷川。
「え〜っと・・・僕の知り合いはこの津上さんと、小沢さんと、木野さんですね。三人とも、とてもいい人なんですよ。」
氷川は三人の名前をさしながら言う。
その目には、信頼の色がみて取れた。
「城戸さんの知り合いは?」
質問され、名簿に目を通す。
本物の城戸真司や、其処で寝ている秋山蓮の名が目に入る。
「・・・・・・いや、いない。」
目線を伏せ、呟く。
どうしてだか、嘘をついた。
どうしてだか、本当のことを言えなかった。
頬を撫でる風。
静かに時が過ぎる。が、それも長く続かなかった。
「変身!」
―Hensin―
不意に聞こえる言葉。鳴り響く電子音声。
二人が振り向くと、そこにはオレンジ色のライダーが立っていた。
「・・・・・・ここは僕に任せて、あなたは二人を連れて逃げてください!」
氷川が一歩前に出て言う。が、リュウガの行動は既に決まっていた。
「・・・・・・退け・・・・・・」
短く呟き、氷川を押し退けて歩み出る。
目の前の相手に映した左腕。その腕の中にはカードデッキ。
「・・・・・・変身!」
浮き出たベルトにカードデッキを装填する。
同時に、リュウガの体を漆黒の鎧が包み込んだ。
その姿に、氷川とライダー――神代剣の二人が反応した。
「・・・!?・・・・・・お前、さっきの奴か。」
剣の反応を見て、リュウガも相手に気付く。
「・・・・・・さっきはよくも邪魔してくれたな・・・・。」
仮面の上からで表情はわからないが、その声は明らかに怒っていた。
「あっ・・・あぁああぁ・・・」
一方氷川は、リュウガの姿を見て、文字通り腰を抜かしていた。
昨夜、自分と少女を襲った相手。
その場は、ギター男の乱入で逃げることが出来た。
が、今その相手が目の前に立っていると言う事は、あのギター男はもう――――。
「・・・・・・・・・おい。そいつ等を連れて離れていろ。」
「・・・へっ?えと・・・あっ・・・いえ・・・駄目です!僕は警察官です!逃げるわけには行きませんっ!」
振り向かずにリュウガが呼びかけるも、氷川は力強く断る。
「邪魔だ。巻き添えを食らいたくなかったらさっさと離れていろ。」
口調を強めて呟く。しぶしぶ氷川は二人を連れて離れる。
ベルトから引き抜いたカードを装填する。
―SWORD VENT―
同時に電子音声が鳴り響き、何処からともなく落ちてくる剣。それが開戦の合図となった。
「・・・ハァァァァァッ!」
剣を構え、リュウガはサソード目掛け走り出す。
「・・・ウァァァァァッ!」
それに対し、サソードは剣を逆さまにしながら雄叫びを上げる。
ガキィィンッ!!
互いの剣が触れ合い、力をぶつけ合う音。
「・・・・・・これがお前の力か・・・やるな・・・ッ!」
リュウガが鍔迫り合いを続けながら話す。
先程とは姿形は違えど、受ける力は同じ――いや、それ以上であった。
「お前もやるじゃないか・・・だが!俺は負けないッ!!」
サソードの叫びと共に、背中から伸びたブラッドベセルがリュウガを捕らえる。
「・・・ッ!?」
ドラグセイバーで切り落とそうとするも、瞬く間に縛られ、その手から剣が零れ落ちた。
体を縛られ、空中へと持ち上げられる。
「・・・・・・・・・ウオオオオオッ!」
触手が動き、リュウガの体を近くのビルへとぶつける。
一つ、また一つと倒壊していくビル。
「・・・・・・・・・グァッ!ガァァッ!」
ぶつかる度に聞こえるリュウガの悲鳴。
苦痛に耐えながら、再びベルトからカードを引き抜き、バイザーへと装填する。
―ADVENT―
電子音声が流れ、漆黒の龍――ドラグブラッカーが現れた。
低い唸り声を上げ、巨大な尾でブラッドベセルを切断する。
「・・・・・・フン。」
ドラグブラッカーの背に乗り、サソードを見下ろすリュウガ。
「そんなものを隠していたか・・・・・・まだまだァ!キャストオフ!」
『Cast Off』
言葉と共にサソードニードルを倒すサソード。
―Change Scorpion―
装甲が弾け飛び、その下から現れる紫の蠍。
「・・・ッハァァァァ!!」
リュウガの雄叫びと共にドラグブラッカーが火の玉をサソード目掛け何発も発射する。
「ライダースラッシュ!」
―Rider Srash―
対するサソードもゼクターを操作し、剣先からいくつもの衝撃波を打ち出す。
何度も何度も火球と衝撃波が相殺する。が――――。
「・・・・・・何だ!?どうした!?」
リュウガが困惑の色を浮かべる。
ドラグブラッカーが突然苦しみだしたのだ。
――――――サソードは、この隙を逃さなかった。
「グァァァッ!!」
轟音と共にライダースラッシュが直撃し、未だ建っていたビルの上に振り落とされる。
苦しそうな呻き声を上げながら、空を飛び回るドラグブラッカー。
見れば、腹部の辺りに大きな刺し傷があった。
リュウガは、一瞬でその傷が何なのかがわかった。
昨夜の出来事が脳裏に浮かぶ。
「音撃斬・雷電斬震!」
叫びと共にドラグブラッカーにギターの刃を刺した男。
そのままギターを弾き始め、音が龍の体を貫く。
だが、男に大きな隙が生まれた。
(・・・フン・・・隙を突いて勝った相手に、隙を作られるとはな・・・)
今の自分の状況が、滑稽過ぎて笑みすら零れてきた。
避難所に投下乙。
オーガのベルトは人間には使えない……と思ってたらリュウガは人間じゃなかったな……
リュウガはジョーカーどころか脱出派に転がり込みそうな勢いだ……これはサラマンダーの予感……!
それはそうと龍帝格好良過ぎ。GJ!
と、指摘。
・・・じゃなくて……の方が良いと思う。
必殺技激突の余波で一エリア壊滅はやり過ぎじゃ……
規制にかかって残りは避難所へ投下してきました。
そして。
期限三日も過ぎてすみませんでしたorz
なんだか展開急すぎたかなぁ・・・。
リュウガをオーガにしようと考えたのは結構前からでした。
フラグ回収の意味も込めて、実践しました。
フラグと言えば、自分が立てたドレゼクも何とかしなくちゃ・・・。
>>511 ……ですね。了解しました。エリアについては余波+触手アタックで破壊しましたが、少し大げさすぎましたかね。
>>512 氷川は、どこでってわけじゃありませんけど、名前呼ばれたときに結構目立ったので……。
其処から解釈しました。描写不足でスミマセン。
追伸、呼ばれたときに目立ったのは城戸真司のほうです。重ね重ねスミマセン。
納得。確認不足ゴメンよ〜。
連投すいませんが、今回のオーガドライバーについて話し合いますか?
ロワ仕様でリュウガも変身できたって事ですかね?
投下乙。
…タイトルだけ見たとき、龍帝=龍騎+カイザ?
ちょ、城戸デッキを草加に奪われたのか!?とか思ったじゃねーかw
投下乙!
ザンキさんのネタがチラホラ出て来て嬉しかったwザンキさんもGJだ!息もつかせぬ熱い展開も非常に面白かったです。
ただ一つ、クロックアップしたサソードより早く起き上がって携帯打つリュウガに少し違和感。
制限受けてるとはいえ流石に無理なような…。
・オーガについて
個人的にはオルフェノクのような非人間のリュウガなら有りな気がする。
ただ今の迷いがあるリュウガをオーガドライバーが選ぶかは微妙なところだ。それは今後のリュウガ次第で何とかなるから大丈夫かと思うが。
兎にも角にもGJでした!
投下乙です。
驚きの展開と熱い戦いGJ!
オーガドライバーについては、自分も気になっていました。
実はちょっと狙っていたのですが、リュウガが持っていた方が面白そうですね。
投下乙
劇場版ライダーが劇場版ライダーになったW
やっと坊ちゃまとマトモに渡り合える勇者が!!面白かったです!!
水のエルといいリュウガといい、いい感じにステキなキャラになってきてて
いい意味で期待を裏切ってくれる展開だ。書き手さん方本当にGJ!!
そしてキャラ紹介職人諸氏もGJ!
知らないキャラでも人柄とか行動指針が目に浮かぶようだ。
読み専の俺も実に助かっている。ありがとう。
GJ。
ゆれるリュウガの心と、サソードとの戦い、面白かったです。
ただ気になる点が4点。
・指摘事項として上がっていましたが、氷川が城戸を知っている理由を文章内に記載して欲しい。
説明されればわかりますが、やはりそういったことは文章内で明示して欲しいです。
・姿が違う相手を「・・・!?・・・・・・お前、さっきの奴か。」という発言だけでわかるものかなと疑問に思いました。
あの時は剣崎に擬態もしてましたし、雰囲気も声も違うのでは?
・サソードが近場にいたにも関わらずワーム感知ネックレスになんの描写もなかった。
これは蛇足かも知れませんが、あると良かったかなと。
・オーガドライバーがまるで意思を持っているかのような描写だったこと。
ファイズ系のベルトはあくまで機械だと思っているんで、前半の呼ばれた気がしたのとか、凄まじい力を感じるのはまだしも、
操作方法がつけただけでわかるのにはかなりの違和感がありました。
便乗で俺もちと
>オーガはゆっくりと、ベルトから刀身のない剣を取り出す。
>―Ready―
ミッションメモリーをセットする描写を追加したほうがいいかと
知ってる人は脳内補完できるけど、知らない人は分からないし
>>523 >・オーガドライバーがまるで意思を持っているかのような描写だったこと。
これは俺も違和感覚えたが……555系は難しいよな
説明書同梱もどうかと思うし
『帝王のベルトだからだ!』……無理か
・・・を……に修正するのもお願いします。
オーガドライバーの意志はリュウガの妄想ってか直感だった、ではどうでしょうか?
連投すいません
操作方法は携帯の画面に映ってませんでしたっけ?
555初期の変身シーンではファイズフォンに映ってた覚えが。
俺もオーガドライバーが意思を持ってるかの様な描写はちょっと疑問。
ついでにオルフェノクではないリュウガに使えるのも疑問だけど、
そこはまあ首輪がいろいろ生成してくれてるんだと脳内補完してる。
操作方法が分かるのは、たっくんだってあっさり使いこなしてたし、
なんらかのインターフェースがあるんじゃなかろうか。526の言うような。
ファイズギアには入れるためのケースと説明書があったから、それを追加してもいいかもね。
持ち運びに便利だし、オーガストランザーとかも別途に入れることができる。
529 :
名無しより愛をこめて:2007/04/12(木) 18:34:46 ID:Fpsuys2zO
今の話題をぶった切ってしまい申し訳ないんだが、ザビーのブレスは左腕、カブティックのブレスは右腕だよなぁ。わざわざ付け替えるような出来事もそうそうないだろうし、ロワ仕様で両腕対応ですか?
今までのゼクター支給パターンを考えると、カブティック用ライダーブレスも支給されていると思う。
でなきゃ不自然では?
肩アーマーのことを考えると左腕にブレス装備はバランス悪いような
どうにかして右腕につけさせたほうが
地図見てて思ったんだが、海岸ってか最早砂丘なんじゃね?
岩場がある事にするか?
>>532 でもこれって携帯の専用コードだけなんだよね
ミッションメモリーをセット→Enterキーでチャージ
の流れはこの画面からは分からんし
そういや各書き手は書けるキャラの範囲どうなっているんだろうと気になった。
昭和を大体見直してドクトルG以外書ける様になったんだ。
ドクトルGは登場回から十話近く見てもキャラがつかめない。
平成も見直して新しい発見に喜んでいる。
まあ、暇つぶしのネタなんで俺のようにトリつけないでもぜんぜんOkです。
>>533 マップかいててどう思ったけど、海岸の話しがあったから砂丘でもいいやって感じでそのままにした。
岩とか話で出るなら、なるべく追加で描いてみるよう努力するよ。
フライパンって意外と難しい……
>>535 一応スマレ以外は全キャラ書けると思いますw
実際に書いてみないと、ちゃんとキャラが掴めているかは分かりませんが。
相川始、シャドームーン、天道総司、ドクトルG、結城丈二を予約します。
後質問したいのですが
ガタックゼクターはハイパーゼクターへ向かってると考えていいですか?
次の話を書く人、◆ozOtJW9BFAさん任せで良いんじゃないかな?
前の話で特に言及されてませんでしたし。
>>535 ×>マップかいててどう思ったけど、
○>マップ描いててそう思ったけど、
なにやってんだ。俺。
>>535 一応全キャラ書けると思います。一応、書く前か、後に視聴して、チェックしてますが。
ただ個人的に草加は書きにくいんで、避け気味。
ドクトルGは一言で言うなら気骨のある武人だと思ってます。
>>536 同じく、書き手の判断で宜しいかと思います。
あと、次回作楽しみです。やっとライダーマンが他の書き手さんの手にorz
では投下します。
「出っ来ました!さあ皆さん、朝ご飯にしましょう!……どうしたんですか?」
緊迫した空気の中、場にそぐわぬ明るい声が響く。声を出した当人である津上翔一は、今の状況をまったく把握できないでいた。
(ギャレンに変身した橘さん。それと対峙するギャレンに似た緑色のアギト。それを遠巻きに見る北岡さんに、木野さんに、バンダナをしてるけどたぶんキングさん。
ということは……緑色は上城さんかな。よかった気がついたんだ)
「上城さんですよね。よかった、気がついたんですね」
自分の思いをそのまま口に出し、津上はレンゲルへと近づく。
「っ!離れろ、津上!」
ギャレンはレンゲルと津上の間に入ると、レンゲルに蹴りを放ち、突き飛ばす。
「……やったな」
レンゲルはレンゲルラウザーを構えるとギャレン目掛けて、突進していった。
「離れていろ、津上」
津上にそう言い放つとギャレンもレンゲルに突進していく。
振り落とされる三つ葉の刃。それをギャレンラウザーで受け止めると、空いた左手で腹に拳を打ち込む。
「睦月、教えてやる。カテゴリーAに支配されたお前では俺には勝てない!」
「うるさいッッ!」
よろめきながらも、なお、ギャレンに立ち向かうレンゲルに、ギャレンは引き金を引いた。
無数の銃声を轟かせながら、銃弾がレンゲルに撃ち込まれていく。
「ぐっ、くっ、くそっ!」
溜まらずレンゲルは外へと飛び出す。だが、ギャレンはそれを追おうとせず、銃口を今度はキングへと向ける。
「ちぇっ、橘強いね。いや、レンゲルが弱いのかな?まあ、どっちでもいいけど」
「次はお前の番だ。お前もアンデッドなんだろ!」
「確かにそうだけど。やめようよ、僕は戦うつもりはないんだから」
「うるさい」
引き金を引くため、再度指先に力を込めようとする。だが、その腕を津上が止める。
「やめてください、橘さん。相手は子供じゃないですか」
「違う、こいつは……アンデッドだ」
橘は津上に説明してなかったことを悔やむ。その隙をキングは見逃さなかった。
キングは素早くディパックのひとつを掴むと窓から外へと出る。
「しまった。……津上、あいつは少年の姿をしているが、その正体はアンデッドと呼ばれる不死の生命体だ。
そいつらを封印するのが、俺の使命なんだ」
ギャレンが手短に説明すると、津上の手が緩む。ギャレンはその手を振り払うとキングを追い、窓から外へと出る。
――BLIZZARD――
だが、その瞬間、機械的な音声と共に吹雪がギャレンへと襲いかかった。
「何!?うわぁぁぁ…………っ」
正面からその攻撃を受けたギャレンの身体は凍っていき、徐々に声も失われていく。ギャレンラウザーからカードを抜くが間に合わない。
やがて、ギャレンの身体は全てが氷に覆われた。
「油断するからだ」
氷像となったギャレンを前に佇むレンゲル。
レンゲルは逃げたわけではなかった。アンデッドである橘をそのまま放っておくつもりはない。チャンスを窺い、潜んでいたのだ。
「さすがだね、レンゲル」
キングが木上から感想を述べる。既にバンダナの男がキングで、その正体がアンデッドであることを睦月は理解していた。
だが、それでもなお、睦月はキングの言っていることが嘘だとは考えなかった。
それは既に睦月の精神がスパイダーアンデッドに汚染されていることを示していた。
「ギャレンを倒したら次はお前の番だ」
ギャレンに止めをさすため、レンゲルはレンゲルラウザーを大きく振り上げ、力の限り振り下ろす。
――カキン!
だが、その刃は届かない。金属質な音が鳴る。刃がギャレンへと届くより先に、別の刃がレンゲルラウザーを阻んでいた。
炎のように真紅に煌いた太刀。それを持つ男の右腕と胸の装甲もその燃え盛る闘志を示すかのように、紅く輝いている。
頭部に大きく迫り出した金色の角を頂くその男の名は――仮面ライダーアギト・フレイムフォーム。
「橘さんに何をするんですか!」
「違う!そいつは橘さんなんかじゃない。邪魔をするなら、お前も殺す!」
力押しは不利と見るや否や、レンゲルラウザーを、腕を支点に回転させ、下段から切り上げる。
「しまった!?」
太刀――フレイムセイバーを跳ね上げられ、がら空きになるアギトの身体。そこにレンゲルは素早く突きを打ち込む。
だが、アギトも負けてはいなかった。紙一重でそれを避けると、そのままレンゲルラウザーを脇に抱え、レンゲルの動きを封じる。
「はっ」
間髪いれず打ち込まれる肘。続いて、アギトはレンゲルラウザーに沿うように間合いを詰め、フレイムセイバーの塚頭の部分でレンゲルの頭部を打ち据える。
「がっ!」
溜まらず呻き声を上げ、後退するレンゲル。しかし、怯んではいられない。
追撃を恐れ、痛みを堪えつつ、レンゲルは構えをとる。
しかし、アギトはギャレンの氷像に右手を添えたまま、こちらへ向かってはこなかった。
その態度がレンゲルを堪らなくイラつかせる。
「なめやがって!」
再度アギトに挑みかかるレンゲル。
「ふん!」
だが、レンゲルは突然の拳に、突き飛ばされることになる。
「木野さん」
拳を放ったのはアナザーアギトへと変身を遂げた木野だった。
敵を射抜く赤色の眼光。生物的なフォルムを残した緑色のボディ。羽根のように伸びた橙色のマフラー。
その全てが木野というアギトの風格を表していた。
「助けに来てくれたんですか?」
警戒を解き、アナザーアギトの元へと駆け寄るアギト。だが、そんなアギトに向けられたのは言葉ではなく、拳だった。
「ふん!!」
反射的に身を翻し、避けるアギト。
「な、なにをするんですか、木野さん」
「アギトは俺ひとりでいい。俺以外のアギトは全て邪魔だ!」
アギトの疑問の声に、アナザーアギトは冷徹に言い放つと、再度拳を振るった。
「ははっ、超サイコー」
キングは自分の引き起こした結果に満足していた。
なぜ木野が津上を襲っているのか、そんなことはどうでもいい。キングにとっては面白いことが全てだ。
自分が作った小さな疑念の種。睦月と橘という土壌に蒔いたふたつの種は芽を出し、花を咲かせ、津上と木野という土壌にも種を飛ばした。
津上と木野が変身できたことには驚いたが、それは自分にとって幸運だったと言わざるを得ない。
なぜならば、こんなに面白い光景を見ることが出来ているのだから。
「さ〜て、北岡はどうするのかな〜?」
ちょこざいにも自分の企みを看破した北岡にキングは興味をもっていた。
果たして北岡はこのゲームにどう挑むのか?それが楽しみでしょうがなかった。
「さあ、北岡、僕をもっと楽しませてくれよ」
「ちょっと、ちょっと、どうしたのよこれは?」
風雲急を告げる展開にさすがの北岡も動揺を隠せない。
(ひとまず状況を整理しよう。えーっと、まずキングがなんか小細工して、上城くんと橘が仲違いをした。
そこを津上くんが助けに入って、それを見た木野が津上くんを襲ってると……)
そこで北岡は津上から聞いた話を思い出す。木野は以前アギトになって間もない頃、破壊衝動を抑えきれず自分たちと敵対したことがあったということを。
(つまり、今の木野はまた破壊衝動に負けて他のアギトを眼の仇にしてるってわけか。で、どうするよ、俺?)
北岡は考える。上城も、橘も、津上も、木野も、助ける義理はない。そうなると、どう動くか決める要素は損得勘定、ただひとつ。
生き残るために仲間は欲しい。と、なると誰の味方をするのが、一番得か?
(上城くんは利用しやすそうだし、一応、俺を助けてくれた恩はある。だけど、明らかに橘を殺そうと立ち回っていた。今の様子はどうもおかしい。
橘も利用はしやすそうだが、なんというか得体の知れないところがある。信用するのは危険かも知れない。
津上くんはいい奴そうではあるんだが、どうも俺のペースに持っていくには骨が折れそうなタイプだ。
木野は……問題外だな。暴走する奴を手元に置くなんて、危険すぎる)
ふと、木の上で楽しげに状況を観察するキングと北岡の眼が合う。
すると、キングは挑発的ににやりと笑った。
その態度に北岡は自分のこれからの行動を確定させた。
(どうだ、見ろ、凄いだろうってところか。まっ、確かにこの状況のきっかけを作ったのは素直に評価しようか。
侮ってたよ、まさかこんなに爆弾揃いだとは思わなかった。いや、本当に凄い。これを収拾するのは不可能だろうね。
……俺以外だったらね)
北岡はカードデッキを窓にかざす。窓に映ったデッキは鏡の中にベルトを生成し、自分の腰へと自動的に装着させる。
「変身!」
左腕を構え、右腕を腰に、そして、デッキをベルトへと装填する。
それと同時に鏡から生まれるライダーの鏡像。それが北岡に合わさると鏡像が実像へと変化した。
緑色の身体に銀色の装甲を身に纏う屈強なる兵士――その名はゾルダ。
変身した北岡にキングは一瞬驚き、また笑みを浮かべる。
混迷を深めるライダー同士の戦いに、更にもうひとり加わる。それを考えると楽しみでしょうがない。そんな顔だ。
だが、キングの期待は裏切られることになる。
ゾルダはデッキから1枚のカードを取り出すと、マグナバイザーへと装填した。
――FAINAL VENT――
その声に従い、地面よりゾルダの契約モンスター、マグナギガが召喚される。
マグナギガの重みに小屋の床がギシギシと軋む。
「なんだありゃ?」
窓から除くマグナギガの姿にキングは驚く。同時にキングの本能が危険を告げ始めていた。
「ごちゃごちゃしたのは嫌いなんでね」
ゾルダはマグナギガの背中にマグナバイザーを差し込み、引き金を引いた。
マグナギガの胸が開き、両足の砲門が展開する。
「ちょっ、ちょっと待って」
キングが制止の声を上げるが、賽は投げられた。
轟音と共にマグナギガから放たれる無数の銃弾、砲弾、ミサイル、光線。それらは小屋の壁をぶち抜き、辺り一面に次々と炸裂していく。
倒れる木、立ち昇る炎と煙に響く炸裂音。時間にして数十秒の爆撃。だが、標的たちにはそれが何分にも、何十分にも感じられる。
「終わりだな」
やがて爆撃が終わり、立ち込めていた煙が晴れていく。ゾルダは当然全員が倒れ伏せているものだと思っていた。
だが、そこにはただひとり、立っているものがいた。
巨大な角を持つ金色のカブトムシ。キングの正体、コーカサスアンデッドだ。
「ちっ、やるねぇ」
ゾルダは素直に賞賛の声を送る。
コーカサスアンデッドは爆炎の只中にいながら、その身体に目立った外傷は見られなかった。
それもそのはず、ゾルダから攻撃を受けた瞬間、彼は盾を出現させ、自分に来る攻撃を全て防いでいた。
爆炎の余波を多少は受けたものの、彼の装甲には問題ではない。
「とんでもないことしてくれるね。こいつらは仲間じゃないのかい」
「キング、お前は根本的なところを誤解している。俺が舌先三寸を駆使するのはそっちの方が楽だからだよ。
仲間がいた方がなにかと便利だけど、仲間のために自分が犠牲になっちゃ本末転倒。必要以上に馴れ合うつもりはない」
「本当にとんでもないね。……でも、面白いよ」
コーカサスアンデッドは笑い、ゾルダはさてどうするかと思案を再開する。だが、思考を遮る絶叫を上げ、立ち上がる男がいた。
「北岡ぁぁぁ!」
その男とはレンゲルだ。レンゲルは攻撃の前から地面に伏せていたため、ダメージが浅かったようだ。
「お前、裏切ったな」
恐らく今の話も聞いていたのだろう。レンゲルはゾルダを睨みつける。だが、ゾルダはその恨みの視線をかわし、飄々と言い放った。
「裏切るつもりはなかったんだがな。恩もあるし。だけど、今のあんたは変だ。
慕っていると言っていた橘を殺そうとするし。もしかして、カテゴリーAに乗っ取られてるんじゃないのか?」
「うるさい!」
挑発的なその態度にレンゲルはますます激昂する。
「お前も、カテゴリーKも、俺がみんな倒してやる」
「やめろ、睦月」
レンゲルに掛けられる制止の声。レンゲルは声の主を探す。ゾルダとコーカサスアンデッドではない。津上と木野は気絶している。だとしたら、一体誰が?
しかし、レンゲルにはもうわかっていた。自分が最も慕う男の声を間違えるわけがない。
「……橘さん」
睦月の視線にはギャレンの姿があった。だが、おかしい。
ギャレンは氷に閉じ込められ、動くことはおろか、声など出せないはずだ。
「幻聴か?」
疑問を解消するため、レンゲルはギャレンへと近づく。
――ぴちゃ
数歩、歩みを進めたところでふと足元から音が聞こえる。反射的にレンゲルは視線を足元へと移す。
「これは……水?」
レンゲルの足元には水たまりができていた。まるで風呂桶をひっくり返したかのような多量の水による水たまり。
そして、その水たまりはじわじわとその範囲を広げようとしている。
「まさか!?」
眼を凝らし、改めてギャレンを確認する。ギャレンを固める氷の表面からは水が浮かび、徐々に溶けていっていた。
氷の中でギャレンがゆっくりとだが、動き始める。
「そんな、何故?」
それはアギトの力だった。アギトはレンゲルと戦うために数あるフォームの中からフレイムフォームを選んだのではない。
氷を溶かすため、ギャレンを助けるためにフレイムフォームを選んだのだ。
フレイムフォームの右腕が真紅に染まっているのは伊達ではない。
フレイムアームズと呼ばれる彼の腕は7000度の炎を生成し、バーニングナックルと呼ばれる彼の拳はその炎を自由自在に操る。
わずかな時間ではあったが、その熱はギャレンの命に炎を灯すには充分な時間だった。
ギャレンは左手に握ったカードをラウザーに近づける。
「させるか!」
慌てて駆け寄ろうとするレンゲル。だが、それより早く、カードの効果が発動した。
――FIRE――
「うぉぉぉっ!」
ギャレンラウザーによって真下に放たれた炎は、地面に当たり、火柱を巻き起こす。
たちまち火柱はギャレンを包み込むと、氷を一瞬にして溶かす。
「嘘だろ」
巻き起こった火柱に、いやギャレンに気圧され、レンゲルの動きは止まっていた。
当然だろう、自分の身体を自らの手で炎に包み込んだのだ。いくら氷を溶かすためとはいえ、ギャレンの身体はただでは済まない。
その証拠にギャレンの装甲は所々が黒く焼け焦げていた。
だが、ギャレンの言葉は力強いものだった。
「睦月、言ったはずだ。その弱い精神力がカテゴリーAに取り付かれる原因になるんだ。
アンデッドの言葉に惑わされ、本質を見通す力がない今のお前ではレンゲルに変身しても操られるだけだ。
カテゴリーAを抑えるためには本当に強くなるしかない」
「うるさい」
脳震盪でも起こしたのか、頭がぐらぐらする。だが、自分が今やらなければいけないことは覚えている。
脳内に響く声に従えばいい。
――タチバナヲコロセ
(そうだ、橘を殺す!)
――STAB――
カードによって強化された突きをギャレンの心臓目掛けて打ち込む。
だが、ギャレンは自ら体勢を崩すことによって、それを避けると、ギャレンラウザーにカードを読み込ませた。
――BULLET――
うつ伏せに倒れようとする体を、腰を捻ることで仰向けに変える。
ゆっくりと倒れていくなか、照準を定め、強化された弾丸を撃つ!撃つ!撃つ!
「っ、だぁっ!」
先程、身体に受けた銃弾とは比べ物にならない破壊力。レンゲルは戦意を喪失しかける。
だが、頭に響く声がそれを許さない。
――何をやっている!お前は最強のライダーだ!そんな奴に負けるんじゃない。
「わかっている!……わかっている」
「睦月、お前がカテゴリーAの声に、自分に打ち勝てない限り、俺には永遠に勝てない」
「うるさい、うるさい、うるさい」
――BITE―― ――DROP――
手持ちにある最後のカードをお互いにラウザーへと通す。
睨み合った二人は同時に空へと跳んだ。
「うわぁぁぁぁっ!!」
「睦月ぃぃぃぃぃぃ!!!」
レンゲルは両足をコブラの牙に見立て、ギャレンを噛み砕こうとする。
だが、ギャレンはレンゲルより高く、その頭上へと身体を跳躍させた。
狙いを一転に定めて、渾身の蹴りを放つ体制を固める。
「っ……!」
捻られた身体から生まれる回転力と上から下へと流れる重力、そして、ギャレン自身のキック力が加算されたつま先がレンゲルの脳天へと炸裂した。
そのあまりの威力に脳を揺らされ、意識を失ったレンゲルは地上へと落下していった。
(睦月……)
次いでギャレンも地面へと着地する。
倒れ、変身が解けた睦月を見下ろすギャレン。その姿に喜びの感情はない。
「貴様ァ!」
ふたりが戦うことになった全ての原因。コーカサスアンデッドにギャレンは銃口を向ける。
「残念」
放たれた銃弾を盾で防ぎ、一気にギャレンとの間合いを詰める。
そして、腕を振り上げると同時に剣を出現させ、ギャレンの身体を切り上げた。
「ぐわぁぁっ!」
ギャレンも限界だったのだろう。その一撃でギャレンの変身は解除され、橘の姿へと戻る。
「無理しない方がいいよ。いくら自分のカードだって言ったって、炎に耐えられるわけじゃないんだから」
コーカサスアンデッドは橘を一瞥すると、気絶している睦月を担ぎ上げた。
「北岡、ここで別れようか。北岡と一緒にいると楽しそうだけど、もっと楽しそうな奴らがいっぱいいそうだしね。
とりあえず、次はこいつで楽しむよ」
「ま、待て!」
「またね、北岡」
橘の制止の声も聞かず、そのままコーカサスアンデットは睦月を抱え、去っていった。
「くっ」
首を垂れ、自分の無力さを悔いる橘。その時、どこからか声が聞こえた。
その声は女性によるもので、戦いの無意味さと希望を持つことの大切さを訴えていた。
「どこに行くつもり?」
いつの間にか変身を解いた北岡が声を掛ける。
「この声の元に行く。きっとこの戦いの無意味さを感じた人たちが集まってくるはずだ」
「その身体じゃ無理だよ。それに……」
一発の銃声が声を遮る。
「それに、もう行っても無駄さ。世の中、あんたみたいな善人ばかりじゃない。むしろ悪人の方が多いんだ。
自分の位置を不用意に知らせるなんて、殺してくださいって、言ってるようなもんだ」
北岡は淡々とそう告げると、うなだれる橘に肩を貸し、立ち上がらせる。
聞こえてくるのは、自分の無力さを痛感させる音ばかり。
「まあっ、大丈夫さ。悪人の方が多いけど、それに対抗する馬鹿も大勢いるのが世の中だ」
続いて、聞こえてきたのは女性を助けに来た男の声。そして、男は変身し、キックホッパーと名乗る。
そのやり取りに橘の険しい顔はわずかに和らぎ、北岡はどこか自嘲じみた笑みを浮かべる。
「ほらね。今はゆっくり休むことだね。この声のおかげで血の気の多い奴らはみんなそっちに向かうだろうからさ」
(こいつは俺を励ましているのか?)
「お前は敵なのか?味方なのか?」
北岡の行動に、橘は疑問を投げかける。
「んっ?さっきの聞こえなかったのかい。俺は自分が一番かわいいのさ。俺自身が生き残るためにはなんでもやるよ。
とりあえず、今生き残るためには仲間を増やした方が得だろ?」
その答えに橘は半ば呆れながらも、今はその男の肩を借りなければならない自分に閉口するしかなかった。
口を閉じた橘を、納得したものと思った北岡は小屋へと運び、続いて、津上、木野の順に運ぶ。
ただし、木野はいつ暴れだすかわからないため、首にしていたブランド物のネクタイを紐代わりに、腕を柱に縛りつける。
一連の作業を追え、北岡は肩を叩き、首を回す。
「はぁ〜、疲れた。俺、肉体労働は向いてないんだよね」
早々にゾルダの変身を解いたことを少し後悔しつつ、手近な椅子に腰をかける。
(さてと、これからどうするかね。考えることは山ほどある。キングは楽しむことが目的っぽいから睦月を殺そうとはしないだろうけど、何かやらかすつもりだろうし。
橘を利用するのは少し難しくなった。木野は暴走するし、津上くんはよくわからないし。とりあえず、しばらくはここにいても大丈夫だろうけど)
これからのことを考えていた北岡の視界に、机の上に並べられた料理が入る。
幸いなことに壁は破れたものの、マグナギガに守られたおかげで調度品のほとんどは無事だった。
机に並べられた料理も問題はなさそうだ。
(そういえば、腹が減ったな)
朝食はいらないとは言ったものの、殺し合いの最中とはいえ、やはり減るものは減るものだ。
(上手そうだし、いただくか)
北岡は手近にあったシチューが盛られた皿を手に取り、スプーンを使い、口へと運んだ。
(……美味い)
わずかな時間で出来上がったことから考えて、恐らくレトルトだろう。
だが、なにか隠し味を加えたのか、そのシチューはとても美味かった。北岡の秘書、由良吾郎にもひけを取らない。
(いい腕してるじゃない。津上くん)
「俺も、喰ってもいいかな?」
「いいんじゃないか。人数分あるみたいだし」
そのまま、男ふたりでガツガツと食べ始める。
続く殺し合いの中で、わずかな幸福をふたりは得た。
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:手負い。でも軽傷。2時間変身不可。
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)、不明(袖口に隠し持てる)
[道具]:ディスカリバー@カブト、配給品一式×3(自分とキングと睦月のもの)
[思考・状況]
1:とりあえず一休み。2時間は動かない方がいいだろう。
2:橘と津上と木野をどう扱おうか?
3:……城戸たちとでも合流してみるか。リュウガについて何か分かるかもしれない。
4:人数がある程度減るまでは優勝するかアンデッドになるか、とりあえず脱出を目指すかは保留。
※エンドオブワールドによって、小屋の壁は破壊されています。外からも見えます。
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:Jフォーム登場辺り。
[状態]:多少の打撲と火傷。極度の疲労。ちょっと凹み気味。2時間変身不可。
[装備]:ギャレンバックル
[道具]:Gトレーラーの鍵(キングが持ち去った可能性があります)
[思考・状況]
1:今は休み、自分と津上の回復を待って、これからの行動を考える。北岡にどう対応しようか?
2:剣崎の思いを継ぎ、参加者を神崎やマーダーから守る。
3:神崎を倒す。
4:仲間を傷つける奴を許さない。
※橘は2時間の変身制限には気付かず、自分の融合係数が下がったためと思っています。
睦月がカテゴリーAに乗っ取られていると思っています。
【津上翔一@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:本編終盤。
[状態]:気絶中。多少の打撲。EOWによるダメージ。2時間変身不可。
[装備]:なし
[道具]:カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)、ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト (両方ともキングが持ち去った可能性があります)
[思考・状況]
1:気絶中。
2:木野さんがまた敵に?
3:元の世界へ帰る。
4:橘さんたちと頑張る。
5:氷川、小沢と合流する。
※首輪の能力制限により、一日目のみバーニング、及びシャイニングフォームへの変身は制限されています。
※ドレイクゼクターは島のどこか、もしくは支給品として誰かに配られているかもしれません。
【木野 薫@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海A6エリア】
[時間軸]:本編38話あたり
[状態]:気絶中。肩、腕に加え、脇腹にサーベルの刺傷。EOWによるダメージ。2時間変身不可。
[道具]:救急箱。精密ドライバー(キングが持ち去った可能性があります)
[思考・状況]
1:気絶中。手はネクタイで柱に縛り付けられています。
2:津上=アギト。アギトは俺ひとりでいい。
3:自分の無力さを痛感している
4:力を得るために最強のライダーになる
【キング@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海B7エリア】
[時間軸]:キングフォーム登場時ぐらい。
[状態]:健康。2時間変身不可。
[装備]:なし
[道具]:誰か(津上or木野or橘)のディパック
[思考・状況]
1:あ〜、面白かった。
2:今度はレンゲルを使って遊ぼう。
3:戦いに勝ち残る。まだまだ面白いものも見たい。
4:今は戦うつもりは無い。
5:北岡に興味。しばらくしたら、また会おう。
※キングは誰か(津上or木野or橘)のディパックを持ち去りました。誰のディパックだったかはお任せします。
【上城睦月@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:朝】
【現在地:樹海B7エリア】
[時間軸]:本編後。
[状態]:気絶中。背中に大火傷。頭部に打撲。その他、身体に軽傷多数。カテゴリーAに取り込まれかけています。
[装備]:レンゲルバックル、携帯電話
[道具]:なし
[思考・状況]
1:気絶中。カテゴリーAに精神汚染中。
2:北岡、津上、橘、木野全員に怒り。
※睦月は橘を偽者だと思っています。
※睦月は禁止エリアの情報を得ていません。
※睦月のディパックと支給品は小屋に置き去りにされています。
投下終了。
誤字、脱字、指摘事項、感想があればお願いします。
これからまとめサイトの更新に入ります。。。
GJ!
橘さんがかっこいいのが不思議w
北岡の悪人になりきれなさ、翔一君のナイスアシスト、木野さんのやっぱりな暴走、
キングの快楽主義、再び悪夢にとらわれる睦月、全てがキャラらしく動いて面白かったです。
真理の放送に対する北岡の反応が、ドライでいながら甘さも含んでめちゃくちゃよかった。
更新頑張ってください。
乙
結構酷い展開なのに橘さんの「食っていいかな?」でさっきまでの修羅場が嘘のようになごんだW
GJ!!「食ってもいいかな?」で吹いたWW
いやー面白かった!息もつかせぬ展開の連続と描写の濃いバトル。
見ていて違和感のあるキャラクターが一人も居なかった。
この話は間違いなく良作!
>爆弾揃い
キングワロタw
確かに危なすぎる連中ばっかりだなww
>食ってもいいかな?
やはりそうい(ry
ワロタのは北岡だったorz
GJ!
そして同意w
>「ごちゃごちゃしたのは嫌いなんでね」
それでエンドオブワールドぶちかますか普通!?
まあ、乱戦になったらぽんぽん撃ってたけどなw
睦月には、「北岡さん!本当に裏切ったんですか―――!?」と言って欲しかったww
投下します。今回は光太郎さん大人しめです。
婦警の制服で包んだ小柄な痩身を躍動させ、小沢は街を駆けていった。
肩に届く、後ろでひとまとめにした髪を汗を飛ばしながら揺らし、気の強そうな瞳の視線を周囲に張り巡らせる。
海岸で少女の声に応えるために別れてしまった、城戸真司を探すためだ。
彼女は息を弾ませ、瓦礫が散らばり、激戦の跡を残すコンクリートの道を蹴り続ける。
剥き出しになった鉄筋が飴のように融解しており、崩れた灰色の壁はまだ壊されたばかりである事を主張するように、細かい破片をパラパラと落とし続けていた。
道に落ちている瓦礫を飛び越え、彼女は崩れた壁から続く血痕を発見した。
(乾ききっていないということは、最近できたばかりのようね。城戸君自身の物というのは……可能性が低いわ。
城戸君を追いかけるのに少し時間を置いたけど、こんな状況を生み出せるような大きな戦いがあれば私も気づくはず。
ここで戦いがあって、怪我人を発見して手当てしようと運んだというところかしら。ヨロイ元帥のこともあるしね。
まったく、あの子はあれよ。ジャーナリストといっていたけど、祭りを取材に行って御輿を担ぐタイプ。
目の前のことしか見えないんだから……)
呆れ半分、好意半分でため息を吐く。血痕が民家まで続いている為、慎重に足を運ぶ。
あの民家に城戸がいると確定したわけではない。この破壊の後を生み出した殺人鬼が身を潜めている可能性もある。
彼女は窓の人影に警戒しながら、聞き耳を立てる。中からは二人の男の会話が聞こえてきた。
ベットに眠る男が一人。そばにはボロボロのグレイのスーツがかけられている。
綺麗に揃えられていただろう茶髪は崩れ、鍛え抜かれた上半身は包帯に身を包まれていた。
揃えられてはいるが、太い黒の眉毛が瞼とともに震え、徐々に瞳が開かれていく。
「痛っ」
矢車は激痛に呻いた。上半身を起こしていくと、自らの長身を包む、白いシーツが身体からずり落ちる。
「気づきましたか?」
そばにある木の椅子に腰をかけた、漆黒の髪と太い眉、意志の強そうな瞳を持つ、白いジャンパーとスラックスで鍛えた身体を包みんだ男が、自分に声をかけてきた。
矢車は木目調の壁紙が張られた周囲を見渡し、自分に仮面ライダーである事を思い出させてくれた、茶色の長髪を持った青年がいないことに気づいた。
「俺は南光太郎といいます。早速ですが、一つ聞かせてください。あなたはクライシスの思惑に乗って城戸君を襲ったのですか!?」
南光太郎という名前には聞き覚えがある。荷物を受け取った暗いホールで、赤い複眼を持つ、緑と黒の身体を持つ戦士……仮面ライダーがそう呼ばれていた。
その彼が変身を解いただろう姿の光太郎は、自分が怪我人であることも構わず、語気を強めながら両腕を掴み問いかけてきた。
矢車は痛みに顔を顰めるが、自業自得だと内心で呟く。
「俺に仮面ライダーである事を思い出させてくれた彼……城戸君は?」
彼は感謝の気持ちを表し、神崎につっかかっていた城戸の行方を尋ねようと光太郎に顔を向けると、驚愕の表情が眼に入った。
「あなたも……仮面ライダーなんですか?」
「『元』仮面ライダーザビーだ。クライシス皇帝の使者とかいっていた奴に負けて、変身能力を失ってしまったがな」
「クライシス!! やはりこの戦いはクライシスが裏で糸を引いていたのか!!」
怒りに震える光太郎が、自分から手を離し、確信の叫びを上げる。
自虐で心を満たしていた矢車は、眼前に拳を震わせる男に疑問を投げつける。
「クライシス、奴らはどういった存在なんだ?」
「奴らは、クライシス帝国は地球を支配しようと狙う連中です。神崎はおそらく、奴らと手を組んだのでしょう」
「そうか。だとしたら、あの怪物はこの殺し合いで試されている新兵器だということか……」
「新兵器?」
「俺はこの戦いが何らかの新兵器の実験だと睨んでいる。クライシス帝国が黒幕だというのなら、俺を襲ったグランザイラスという怪物の実戦テストかもしれない。
そんな奴と戦闘して、俺はザビーを失った……」
「矢車さん……」
自分が搾り出した悲痛の声に、同情しているらしい。
しかし、光太郎はすぐに表情を元に戻した。
「仮面ライダーともあろうあなたは、何故城戸君を襲ったのですか?」
「それは……」
矢車の後悔を含んだ返答は、ドアを蹴破る音に中断される。
光太郎とともに警戒の視線を玄関に向けると、ずかずかと遠慮なく家に踏み込む気の強そうな女性がいた。
矢車は荷物を受け取ったときに呼ばれた名前は小沢澄子だったなと、思い出す。
「あなたは……」
「城戸君を襲ったですって! あんた、どういうつもり!?」
声をかけようとする光太郎を無視し、小沢が食ってかかる。
矢車は眼を細め、自らの愚かさに後悔しながら心の内をさらけ出し始めた。
「グランザイラスに負けた俺は力を求めた。そして、力を持つ城戸君が妬ましかったんだ。
俺はザビーを失った。なのに、彼はまだ力を持っている。くだらないことだが、その時俺は本気で思ってしまったんだ。
南君、小沢さん、そんな俺を笑ってくれ」
「何で私の名前を知っているのか気になるけど、今は置いとくわ。続けなさい」
小沢はにこりともせず、警戒しながら先を進める。光太郎は矢車の心の吐露に、痛ましそうな表情を向けていた。
「俺は過ちを犯してしまった。だが、城戸君が俺に正しい道を示してくれた。
彼は聞いたんだ。俺も誰かを傷付ける為にライダーになったのかって。
それで思い出した。俺は誰かを守る為に、平和のハーモニーを奏でる為にライダーになったんだと!」
矢車は息を吐き出す。小沢の瞳には自分を試すような光に満ちていた。
だが今の矢車は光を恐れない。自分の光を示す為、小沢の瞳を見つめ返す。
「俺は二度と間違わない! たとえ変身できなくても、たとえ仮面ライダーでなくなったとしても、仲間を集めて脱出をする!!
それが、俺のパーフェクトハーモニーなんだ!!」
「素晴らしい!」
光太郎が小沢を跳ね除け、矢車の両手を強く握る。
その瞳に宿す、強い喜びに矢車は軽く引いてしまった。
「俺は、この戦いで素晴らしい仮面ライダーに三人も出会った! 闇を切り裂き、光をもたらす乾さん。
あなたを目覚めさせた城戸君。そして変身能力を失っても、みんなを救うことを諦めない矢車さん。
変身できないなんて関係ない。あなたは紛れもない仮面ライダーだ! ともにクライシス帝国の野望を打ち砕きましょう!!」
「ああ、俺なんかでよければ、いくらでも力を貸そう」
興奮する光太郎に、手を握り返して答える。
続けて、小沢の方に顔を向けると、彼女は腕を組み自分たち二人を笑顔で迎えていた。
「見た目と違っていい根性持っているじゃない。いいわ、城戸君を襲ったことはその根性に免じて許してあげる」
矢車は己に対する苦笑を混じった表情を返す。しかし、彼はまぶしい光のような小沢の笑顔に、顔を背ける気はなかった。
「さっきからあなたは何なんですか? いくらなんでも失礼すぎませんか?」
矢車の決意に共鳴していた光太郎が、小沢の態度を諌める。
彼の気持ちも分からないでもない。小沢の不躾な態度は、少し前の自分なら不協和音だと判断しただろう。
「良いんだ、南君。元はといえば、城戸君を襲った俺が悪いんだ」
だが今は違う。矢車は闇をかいま見て、自分が完璧でない事を知った。
ゆえに彼は、自戒の念もこめて小沢の言葉を甘んじてうけている。
「あら、私は城戸君と組んでいたのよ。彼の事を心配するのは当然でしょう?」
「だからといって、あなたには遠慮がなさすぎる。矢車さんに失礼じゃないか」
「俺は構わないさ。ところで、小沢さんはこの殺し合いの事をどう思っている? 俺たちは、神崎とクライシス帝国が手を組んでいると考えているんだが……」
正直、遠慮のなさは光太郎もいい勝負であるが、言葉にすると睨み合いが加速するだけだろうと矢車は思い、話題を変える。
もちろん、情報を得る為でもある。神崎がクライシスと組んでいるというのは、自分の考察と光太郎の情報を合わせてだした結論だが、まだ情報が足りない。
答えを確信に変え、脱出への糸口を探す必要がある。そのために、些細な情報でも聞き逃す気はなかった。
「……悪いとは思うけど、クライシス帝国については聞かさせてもらったわ。
神崎士郎とクライシス帝国が組んでいる可能性は低いと言わざるをえないわね」
「それはあなたがクライシス帝国を甘く見ているからだ!」
「南君、落ち着いてくれ。小沢さん、そう思う根拠は?」
憤る光太郎を宥め、矢車は顎に手を当てる小沢に尋ねる。見たところ彼女は聡明そうだ。
「私は城戸君から神崎の目的を聞いたわ。妹を復活させる為、こんな馬鹿げた殺し合いを始めたみたい。
そんな奴が、わざわざ地球を支配するという目的の連中と手を組むのかしら? 用が済めば自分たちもろとも殺されかねないのに?」
「随分と個人的な事情だな。他に城戸君から得た情報は?」
「神崎士郎は前に似たような戦いを開催しているわ。そのときは十三人で殺し合わせたみたいだけど。
カードデッキと呼ばれる変身アイテムを使って、鏡の向こうで戦って、最後の一人は願いを叶えるらしいわ。
どういった原理で殺し合いをすると願いが叶うのかは分からないらしいけど、城戸君を除く多くのライダーは願い事の為に殺しあった。
まとめると神崎士郎は、鏡を通して細工が出来て、殺し合いを過程におけば願い事を叶える力をもてて、カードデッキを作り上げて変身能力を持たせることが出来る。
私が持っている情報は以上よ」
「ありがとう。参考になる」
「神崎士郎……恐ろしい奴がクライシスと手を組んだものだ」
どういたしましてと言う小沢の情報を整理し、光太郎の呟きを聞きながら、矢車は考察する。
(神崎士郎は鏡を通して俺たちを監視している可能性を、小沢さんは言外に告げている。
つまり、現状で分かっている神崎の能力は、
一、鏡を通して人を見張れる。
二、殺し合いをさせることで願いを叶える力を持てる。
三、変身能力持たせられる。おそらくは神崎本人も変身できると仮定して問題ないだろう。
一に関して問題なのは、俺たちが何らかの脱出行為を働いて、それが現実になりそうになったときに首輪を爆破されるということだ。
だが地図を見る限り、鏡やそれに類するものが存在しにくい樹海もある。それに、見張るには人数が多すぎる。
他の監視方法もあると考えた方が自然だろう。盗聴機あたりか。首輪に関しての話題は筆談なりで秘密裏に動かないといけない。
小沢さんは気づいているかもしれないが、南君に話をするとややこしくなりそうだから、この話題は保留だな。
二に関しては、神崎は完璧で無いという証拠だ。能力は高いが、対処できない相手ではない
三は、脱出したとしても神崎との戦闘は避けられない。
なるべく多くの戦闘できる仲間を集めたい。だが、俺以外の変身できない人を見捨てる気はない。
そして俺たちの身に起きたことを考えると、一〜三以外にも能力を持っている可能性がある。
大人数がこの島に拉致されて殺し合いを強制されて、デイバックを受け取ったときは空間移動もした。これらは神崎の能力なのか?)
「クライシスめ。時空の彼方から俺たちを弄びやがって」
矢車の悩みを解決する一言は、光太郎の口から出てきた。
あまりにもタイミングの良い発言に驚きながらも、光太郎に問いかける。
「南君、クライシス帝国の連中は空間移動させることが出来るのか?」
「奴らはそれくらい簡単に出来ます。異次元である怪魔界から、地球を狙っている恐ろしい連中です。
俺も、地球から奴らの戦艦に転移させられたことがあります」
再び礼を言い、考察を進める。
(となると、やはりクライシスと神崎が手を結んでいる可能性は高い。
神崎は妹を生き返らせる為、クライシスは実験場としてつかう為、お互い利害が一致したというところか。
小沢さんは組んでいる可能性が低いといったが、神崎が自分たち兄妹以外はどうでもいいと考えている可能性はある。
城戸君を巻き込んだ殺し合いが上手くいかないから、クライシスと組んで大規模な殺し合いを計画したとしたら?
そのために管理する技術、場所を提供してもらったとしたら?)
矢車の疑問は膨れ上がり、答えを求める。だが全てを解決する情報はまだない。
答えが出そうで出ない、もどかしい思いを抱え懊悩する。
「私に対する質問は終わった? そろそろ城戸君の居場所を教えてくれない?」
小沢の言葉にハッとし、光太郎に顔を向ける。
「南君、俺も知りたい。城戸君は今どこにいるんだ?」
「城戸君は少女の放送で告げられた、仮面ライダーファイズ、乾さんと一緒にF7エリアに向かっています。
そこに知り合いがいたみたいです」
矢車は神崎に殴りかかった青年を思い浮かべ、危なっかしいコンビだなと感想を抱く。
小沢がデイバックを掴み、踵を返すのが見えた。
その様子を見て、光太郎が声をかける。
「小沢さん、どこに行くんですか?」
「F7エリアよ。さっき突っかかったことは謝るわ。どこかで出会いましょう」
「待ってください。危険すぎます!」
「大丈夫よ。気合と根性で生き延びて見せるから」
光太郎が呆れているのが見える。
矢車は彼女の言葉に笑顔を浮かべ、傷ついた身体を起こそうとする。
「矢車さん! あなたは重症なんだ! 無理をしないでくれ」
「そうよ、大人しく寝ていなさい」
珍しく、馬の合わない二人が同じ意見を言う。
この二人は似たもの同士だと感想を抱いた。
「そういうわけにはいかないさ。小沢さんが気合と根性で何とかするなら、元仮面ライダーの俺も踏ん張らないとな」
矢車は震える手で包帯が巻かれただけの身体に、スーツを引っ掛ける。
続けてデイバックを取ろうとするが、膝が折れ、取り落とす。デイバックの中からは壊れたザビーゼクターがこぼれ落ちた。
小沢がため息をつき、光太郎に視線を向ける。
「南君、彼をベットに戻してちょうだい」
「言われなくてもそのつもりです」
矢車は無理矢理戻そうとする光太郎に抵抗する。
自分が誓った、誰も見捨てないという信念を実行する為だ。
「小沢さんを置いてはいけない。外にはグランザイラスがいるかもしれないんだ。
俺たち仮面ライダーは人を見捨ててはいけない。違うか? 南君」
「その通りですけど……」
「まずは自分の身体を優先したほうがいいわ。そうでないと救えるものも救えないわよ」
矢車は小沢の言いたいことは理解している。だが、こんな危険地帯を一人で行かせるわけにはいかない。
言うことを聞こうとしない自分の様子に、小沢は呆れたようなため息を吐いた。
「分かったわ。あなたの体調が戻るまで、出発は保留するから、今は寝ていなさい」
「だけど小沢さんも南君もしなければならないことがあるんだろう? こんなところで足止めさせるわけには……」
「あなたの体調が優先よ」
「矢車さんの体調が優先です」
まったく同時に二人が言い、自分を咎めた視線で射る。
やはり二人は似たもの同士だと内心で笑い、限界が来て光太郎にもたれかかる。
そのまま意識を失い、静かな寝息を立てた。
すーすーと静かな寝息とともに、時計の秒針が刻まれる音が響き、静寂がその空間を支配した。
(本当、城戸君といい、南君といい、矢車さんといい、仮面ライダーってのはみんな純粋ね)
今まで自分がであった仮面ライダーの人なりを考える。光太郎は多少馬が合わないが、善人であることは理解していた。
彼ら全てが、彼女の知るもっとも純粋な人間、氷川誠に重なり微笑を生ませる。
先程の少女の訴えを思い出す。彼女が出会った仮面ライダーも、彼らのように純粋だったのだろう。
彼らに託し、希望を見出すのも分かる。だが、同時にその純粋さは弱点にもなる。
純粋さを逆手に取り、彼らをコントロールして殺し合いを加速させようよ考える、悪質な連中は必ずいる。
自分の役目は決まった。彼らを騙す連中を見分け、間違った方向へと進ませない。
そのために城戸との合流は遅れる。彼の無事を祈りつつ眠る矢車を静かに見つめる。
ふと、矢車のデイバックからこぼれ落ちた壊れた蜂型メカ、ザビーゼクターを手に取る。
その様子にクライシスめ、許さんと、矢車に気遣ってか小声で繰り返す光太郎は気づいていない。
ザビーゼクターを点検すると、僅かに駆動音が聞こえてきた。
(もしかして……まだ生きている?)
誰かに握りつぶされたらしく手形が残っている。外郭が剥がれ落ちていて、回路も寸断されている。
だから、聞こえた起動音は本当に微かで、すぐにザビーゼクターの核は沈黙していった。
それはまるで、小沢に自分がまだ戦えると示しているようだった。
(なかなか根性があるじゃない。いいわ、難しいけど、設備とパーツさえあればあなたを蘇らせることができる。
後は私に任せて、眠っていなさい)
ザビーゼクターを復活させることを誓い、自分のデイバックに収める。
(とりあえず設備らしき場所の探索ね。首輪を解除するときにも使えるはず。
まあ、なかったらそのときはそのときよ。後首輪の現物が欲しいわ。
ひとまず分解して、仕組みを調べないとね。そのときは鏡、もしくは反射する物体を排除して、盗聴機を警戒しないと。
……けど、鏡から監視できなくなって、盗聴機からの情報が遮断されたら不審に思って首輪を爆発させるか、何らかの手を打つはずだわ。
まったく、面倒なことをしてくれるわね。うまくやる以外方法がないじゃない)
難事に気が重くなるが、闘志は一向に衰えなかった。
神崎士郎を殴り、城戸を含めた仲間とともに焼肉を食べに向かう事を決めたのだ。
そして、アンノウンとの戦闘という修羅場を潜り抜けている彼女の決意が揺らぐはずもない。
(待っていなさい、神崎士郎。ただの人間が一番怖い事を、思い知らしてあげるわ)
彼女は小沢澄子。常に立ち向かい続け、アギトとG3、彼女の世界の仮面ライダーを助けた人間だった。
(ここはどこだ?)
矢車は、暗闇が支配する広大な空間に一人佇んでいた。
周囲に人影はいない。不思議に思い周りを見渡すと、一人の男が近付いてきた。
「誰だ!!」
姿を確認できるところまで男が近付き、矢車は驚愕する。
「いいよなー、お前は。仮面ライダーとして仲間ができて。どうせ、俺なんか……」
黒い、右袖のちぎられたボロボロのロングコートでたくましい肉体を包んだ男が、滑車のついたブーツで足音を立てながら現れた。
その顔は、矢車想と同じ顔だ。しかし、瞳には全てを嫉妬し、光を疎い世界を敵に回している闇が宿っている。
「何か用かな?」
「ふん、いずれお前もこうなる。俺たちみたいのが光を求めたって、しっぺ返しを食らうだけさ。
今までの出来事を考えろ。仲間を集めようとして、出会った最初の奴はワームだ。次は殺戮者。
そして、グランザイラスという化け物。今は仲間に恵まれたが、いずれ痛い目に遭う。
所詮お前は、地獄の住人となる以外に道はない」
彼の言葉に思い出すのは、城戸真司を襲った出来事。あの時自分は、力以外必要としなかった。
あのときの狂おしい渇望。対峙する自分はそのときの自分だと、理解した。
だから、眼を逸らさず気合を入れ、視線をぶつける。
たとえこの出来事が、夢の中だとしても、乗り越えなければならない。
「しっぺ返しか。構わないさ。たとえ何度も壁にぶつかろうとも、俺は……」
暗闇が静寂に包まれ、時が止まるような錯覚を生み出す。
聞こえるのは自分の呼吸音のみ。夢の中なのに不思議だと思いながら、腹に力をこめる。
「二度と仮面ライダーである事を捨てはしない。泥の中を這いずり待っても、光を手放さない。
俺が救う。シャドウの隊長じゃない。仮面ライダーだから、そう決めた」
GJ!
小沢さんすごいよ!矢車さんかっこいいよ!
ついでにザビゼク復活フラグ……設備ってどこだろう。
更にヤサ車さんまで……。
[全員の共通事項]に、
>小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。
を追加してください。
GJ!!前に出てた各キャラの容姿に言及してあって
いよいよ光景が目に浮かぶようだ。らしくていい
最後の矢さ車の描写、ブーツについてんのはNOT滑車!!正しくは「拍車」です。
くはっ! ずっと滑車だと思ってた。
>滑車のついたブーツで足音を立てながら現れた。
を、
>拍車のついたブーツで足音を立てながら現れた。
に差し替えてください。
相変わらず素晴らしい…。これから先に繋げる人はさぞ繋げやすいでしょうね。
幾重にも散りばめられたフラグ、三人の様子は目に浮かぶように描写されている。
恥ずかしながら惹き込まれて読んでしまってしました…。
惜しみないGJを!
超GJ!!
◆E1yyNEjdEc さん
北岡と橘さんがいい!翔一の料理の腕もGJ!まとめサイト更新いつもながらありがとうございます。
◆TJ9qoWuqvA さん
さすが小沢さん。そして矢車さん格好いい!
遅くなりましたが、麻生勝、天美あきら、乾巧、影山冴子、ドラス、日高仁志投下します。
樹海から吹き上げて来る風、キラキラと空高く舞い散って行く彼女の遺灰。
――真理ちゃん、もう天国に着いたかい?
かならず元の世界へ帰してあげるから……
このまま、後に訪れる殺人者達に踏み付けられ、絶望の染付いたこの地で、土に還すのは耐え難い。
遺灰を集め、食料の入っていた粗末なビニールに包む。
そんな弔いの仕方しか出来ない状況と、この戦いを仕組んだ神崎士郎を憎んだのは事実だ。
だが憎悪からは何も生まれない。
彼女が命懸けで望んだ願いと、夢を、俺たちで叶えなければならない。
それだけが、唯一残された光への道だから……
そして俺達は人目に付かない様、市街地へ続く道を避け、麓に見える白い建物を目指した。
「大丈夫だ。中には誰も居ない。医務室もある、取りあえず傷の手当てを。」
「麻生君、歩ける?」
足下がふらつく。支えられ長い廊下を歩く。
何かの研究施設?
案内された部屋は医務室と言うよりは、手術室に近い。
まだ真新しい器材、封の切られていない薬品類、他の部屋にも最新の設備が揃えてある。
方法さえ分かればここで首輪を解除できそうだ。でもなぜ戦いの場にこんな施設が?
いやなぜ神崎士郎はこの施設のある此所を戦いの場に選んだんだ?
首輪の解除がよほど困難なのか、それとも罠?
「大丈夫ですか?麻生さん。少し休んでいてください。俺はもう少し中を探ります。」
「響鬼さん、冴子さん有り難う。ウゥッ。」
ベットに横たわると、待っていたとばかりに体が痛みを訴えて来た。
冴子さんが手当てをしてくれているが、多分慣れていないのだろう。巻付ける包帯が少しキツい。
「少し力を抜いて。包帯も巻きにくいし、そんなに握り締めなくてもだれも取りはしないわ。それ預かるわ。」
堅く握締める手の中には、真理ちゃんの首輪。
好意はありがたいが……
「乾君か草加君に、渡そうと思っているんだ。真理ちゃんの為にも。」
「そうね。でも手当ての間だけ、ね?」
冴子さんは真理ちゃんの友人。彼女自身、辛い思いでいっぱいだろう。渡さなければ、彼女の気分を害する事になるか。
「そうですね。」
頷いて首輪を渡そうとした時、響鬼さんが部屋に戻って来た。
――邪魔が入ったわね。
惨殺された園田真理の首輪、乾君を手懐けるいい材料になると思ったんだけど。まぁ彼が生きていればの話だし。
ドラス君との関係にしたって、解除方法が分からなければ優位に立てない。
早く首輪を手に入れる必要がある、主導権を握るのはいつだって私。
「麻生さん、冴子さんこれ見てくれないか?」
空のデイバックが二つ。
「隣の部屋に在ったんですよ。誰か戻って来るかもしれないな。」
「でも、私達が此所に着くまでに1時間近く経っているわ。それにバックだけ置いて出て行ったままなら、
もう帰って来ないんじゃないかしら。放送で呼ばれた人達かもしれないわ。ねぇ麻生く……」
振り替えると麻生は微かな寝息を立てていた。
「激しい戦いの後だったから、仕方ないですよ。」
椅子に腰を下ろす響鬼から、大きく溜め息が零れた。
「しばらく寝かせておいた方が良さそうね。」
麻生に毛布をかけ、視線で響鬼を探る。床を見つめる眼差しは何か思い悩んでいる。
心配事は麻生君だけでは無い様ね。わざと隣に座り顔を覗き込む。
「バックの持主が気になる?」
「それもありますけど。」
「そう。ならさっき言っていた明日夢君とあきら君のこと?」
表情が曇り、更に大きく溜め息をつく。
「えぇ、まぁ。あきらは女の子なんですけどね。あの子達には戦う術がない。
それに、実は明日夢は今、誰かに囚われているらしいんです。」
「どういうこと?」
響鬼はここに辿着くまでの経緯を語り始めた。
「そこで草加と秋山、彼等と落ち合う約束をしていたんですよ。」
――草加雅人、カイザの装着者。
「響鬼君。助けに行った方がいいんじゃない?」
あなたが居なくなれば首輪を奪い易くなるわ。麻生君の体力が回復する前にドラス君に引き渡す事も出来るし。
話声に気がついたのだろう。麻生がゆっくりと体を起こす。
「響鬼さん、俺なら大丈夫です。早く明日夢君を。それに……草加君には謝らなければならない。」
「麻生さん。寝てなきゃだめですよ。」
草加君に謝りたいですって。手を組まれるよりは、先に始末した方が良さそうね。
「待って、私も行くわ。2人の方が早く見つかるかもしれない。」
隙を見て響鬼君を殺して首輪を奪えば良い。
「多分、その方が良い。俺はもう少し休めば体力も回復する。だが、それまでの間に誰か来たら…
冴子さんを守り切れるかどうか。」
響鬼の視線が壁の掛時計で止まる。時刻は10時を少し回った所だった。
「麻生さん。1時間だけ待っていて下さい。俺の支給品はバイクでした。1時間あればかなりの範囲を探せるはずです。
歩いて探すよりは冴子さんに危険を及ぼす事も無いだろうし。バイク、取って来ます。」
「頼みます。」
バックを手に慌しく出て行く背中を見送った。
「乾君達のことを教えてくれませんか?」
――オルフェノクでありながら人間を守ろうとする男のこと?なんて、あなたには言えないわね。
「真理ちゃんはなんて言っていたのかしら?」
そして、語られたのは、すべて過去にあった出来事。
まさか、記憶を失っているの?それなら、それで都合が良い。
「そう、真理ちゃんがそんなことを。」
わざと躊躇いがちに俯く、心に冷酷な微笑み隠しながら。
「驚かないで聞いてね。その狼のオルフェノクの正体は乾君よ。」
「そんな、まさか!」
ドラス君より先に、乾巧が園田真理の亡骸を探して此所に辿着くことが無いとは言い切れない。
「オルフェノクに覚醒する前の乾君はあなたが言っていた通りの人だった。
でも、今の彼は心までオルフェノクになったの。もう真理ちゃんの知っている、乾君では無くなってしまったの。」
バイクの音が近付く。
「戻って来たみたいね。行くわ。ごめんなさいね。でもあなたには知っておいて欲しかったの。」
驚愕する麻生を背にドアを閉めた。
私のシナリオは出来上がった。ドラス君、あとは好きにするといいわ……
丘の上からバイクを見下ろす一つの影
――早速、お兄ちゃんと二人になれる時間を作ってくれたんだね。
さすが冴子お姉ちゃんだ。きっと首輪の解除方法もすぐ見つけてくる。
首を吹き飛ばされて死んじゃったパパとは大違いだ。
お兄ちゃん、今、行くよ……
◇
――うそだろ?真理!その瞬間、ウルフオルフェノクから乾巧へ戻って行く。
獣の姿で駆けるスピードに耐え切れず、体は空を切りアスファルトを転がる、血痕と言う足跡を残して。
拡声器から聞こえた声は、たった少しだけ見えていた希望の光消し去り、暗く冷たいアスファルトの色へ心を塗り替えて行った。
麻生を探す、そう思う度。
真理ちゃんは命を落としました……
その言葉が呪文の様に立ち上がる気力を奪っては消え、覆い被さる絶望が思考を遮断する。
頬に伝わるアスファルトの温度が温もりを帯びるほどの時間、立ち上がることも、歩み出す事も出来ずにいた。
心の闇を切り裂いたのは窓ガラスから反射する太陽の光。
一軒のクリーニング店の窓から放たれた光に、吸い込まれるようにそのドアを開けた。
オイルクリーニングの匂い、畳まれた白いシャツ。
「たっくん!おかえり。」
笑顔で自分を迎える啓太郎と真理がそこにいる気がした。
――居るはず無い。
当たり前の毎日はもう戻って来ない。
洗立ての白いシャツを手に取り、丁寧にシワを伸して行く。白さが眩しい、真理の笑顔が重なる。
傷だらけになっちまったんだろ?そのままじゃ、嫌だよな。今、これ持って行ってやるよ。
◇
乾さん、何処ですか?さすがに息が上がる。
此所まで路地や目に付く所はすべて探して来た。やっぱり、真っ直ぐ追いかけた方が良かったかも。
ごく普通の街並み、立花に良く似た甘味処や、クリーニング店が建ち並ぶ。ただ、路上に転がるフライパンと血痕を除いては。
乾さんが巻き込まれていなければ良いけど……
もう、此所には居ないみたい、急がなきゃ。 呼吸を整え、走り出す。
大通りに差し掛かった時、近付いて来るバイクの排気音に気付く。
――響鬼さん!
「あれは?誰、女の子みたいね」
「えっ!?」
暫く走り、やっと目に捕らえることが出来た。通りの真ん中に飛び出し手を降ってきた姿、あきら!
「無事だったか、良かった。もう大丈夫だぞ。」
「響鬼さん、私の事なんかより……」
今まであった事を一息で話す。同乗している女の人には悪いが、のんびり紹介しあっている余裕は無かった。
――そう、乾君がこの近くにいるの。辺りに視線を走らせる。通りの向こう、此所から少し離れたクリーニング店の窓辺に佇む後姿。見つけたわ。
「私も、一緒に探すわ。」
「それはだめだ、危なすぎる。」
「来た道を戻るだけよ。行きましょう。」
後少しで禁止エリア、誘き出すには丁度良い。
「は、はい。待って下さい。」
響鬼さんならきっと扱える。天道から預かっていたディスクアニマルを手渡し、2人の特徴を話す。
「そうか、わかった。冴子さんを頼む。多分言い出したら聞かないタイプだな。一つ聞いていいか、閻魔を何であきらが?」
「すみません。私の身を守る為にと乾さんが……」
「おい、謝るなよ。まぁ、あれだ。裁鬼さんは、いつも皆のフォロー役だったからな。」
一瞬、とても悲しそうな目をしていた。すぐにそれを隠し、ポンッと私の肩を叩く。
「さてと、明日夢を探して俺もすぐに戻る。じゃあな。シュッ」
響鬼さんのいつものポーズ、少しだけ不安が和らいだ。後で冴子さんが、腕を組んで待っている。行こう……
◇
クリーニング店の中、アイロンのスイッチをOFFにする。
(やっぱ、草加の方が上手いな。)
アイロンを掛け終わったシャツをバックにしまう。
真理、遅くなって悪いな。
さっき聞こえたバイクの音、遠ざかっては行ったが……
表に誰も居ないのを確認し走り出した時。
――乾さん!乾さん……
あきらの声が自分を探していた。
◇
市街地の外れ、開発途中で時の止まった採掘場。堀尽くした跡、古い坑道や山積みの土砂が、錆びたフェンスで囲われている。
人目に付く市街地を避けて、迂回しているんじゃない?
とりあえずの自己紹介の後、冴子さんの言葉に従った。確かに、禁止エリアになってしまえば、もう此所は捜せない。
無造作に積まれた石山を歩く。焦りからか足を踏み外した。
「アッ!」
咄嗟に腕をつかまれ転がり落ちずに済む。
「有り難うございます。」
無表情で腕をつかんだままでいる。
「あなたが必要なのよ。乾君と私の為に……」
そう言うと、先へ進んで行く。乾さんと冴子さんの為?言っている意味が良く分からない。
「首輪を、手に入れなくちゃならないしね?」
首輪本体がなければ、解除方法を見つけるのは難しい。
だけど、手に入れるには、それには。頭を過る嫌な想像、冷たい微笑みと重なる。
「でも、どうやって?」
なんでだろう……次の言葉を聞きたくない。
「フフッ、簡単よ。乾君をおびき寄せた後、あなたの首を切り落とせばいいのよ。」
えっ!?
「フフッ、冗談よ。あきらちゃんかわいいのね。そんなこと出来る訳ないでしょう。フフッ。」
馬鹿にされてる?
こんな時に冗談ですか?頭に血が登る、でも冷静にならなきゃ。
閻魔にバックの肩紐を巻き付け、斜め掛けにしてみる。これなら落ちないし、両手も使える。
高い所から見てみよう。
「待って!あれバックよ!それに乾君の上着じゃない?」
「えっ、何処ですか?乾さんっ、乾さん!」
木枠で型られた炭鉱の跡、数十メートル続く縦穴と朽ち果てた階段。暗くてよく見えない……
「そこよ、わからない?」
すぐ耳元で囁かれた声にゾッとした。
メキメキメキメキメキメキッ
殻を破るような音。
――変だ。それに乾さん上着なんて着てなかっ……アアッッ。
綺麗にネイルが塗られていた華奢な指が、今は土蜘蛛の爪先の様に醜く銀色に変化し、凄まじい力で首を掴み持ち上げられる。
「来たわ、乾君。」
避難所に続きを投下しました。
遅くなって申し訳ありませんでした。
誤字脱字、矛盾などの指摘、またよろしくお願いします。
GJ!
冴子さん怖いなー。このゲームではかなり厄介かも。
ヒビキさんと麻生の二人は相変わらず熱い。
一人さびしくクリーニングをする巧に涙腺が……。
あと、変身解けたって事はあきらはだk(ry
ゴメンナサイジョウダンデスデキゴコロナンデスモウシマセン
◆TJ9qoWuqvA氏、GJ!
ゲームの謎に段々と近づいていきますね。
そして矢車さんはやさぐれ完全脱出……か?
>フォルテッシモ
むしろ嬉しい位で。
◆4wyf44BgsE氏、GJ!
冴子さんマジ外道
乾が第二の剣になるかと思ってヒヤヒヤした……
ただ、一点。
あきら変身はマズいんじゃなかろーか。上の方で議論されてた「原作に無いパワーアップ」なんじゃ……
あきらは原作でも変身してました。
ただ原作は鬼笛での変身なので、変身鬼弦から変更した方が無難なのかもしれません。
「原作で行われてない」事が問題なんじゃなくて、「設定、公式の映像資料が無い」事が問題なんじゃなかったっけ?
その意味じゃあきら変身体はSICしか無い訳で。
いえ、あきら変身体は「四十之巻 迫るオロチ」のラストと、「四十一之巻 目醒める師弟」冒頭で確認できます。
一瞬ですがw
間違い。
>>587 ×>原作にはない、あきらの「変身」も燃えました。
○>原作にはない、あきらの「変身」の掛け声も燃えました。
これじゃ原作にあきら変身体が登場してないみたいじゃないか。
◆A.IptJ40P. さん、この発言で勘違いしたならゴメンよorz
最後の「爆発音」ってなに?首輪が爆発したの?
感想、ご指摘ありがとうございます。
あきらの変身について
仮面ライダー響鬼の変身アイテムについて、自分は勘違いをしていたようです。
仮面ライダー響鬼の変身アイテム=他のライダーのベルトの様な物。
と思っていたので、裁鬼さんの変身鬼弦を使ったあきらの変身後は、裁鬼さんの姿をしている。
ただ、原作で鬼の名前は、まだついて無かったので名も無き鬼になるだろう。
この様に考えていました。
このSSを書く時に冴子と戦うのは、あきらか巧か迷っていたので、また後日、巧VS冴子Ver.を避難所に投下させて下さい。
あと爆発音については剣とリュウガが戦った際の物です。
時間と位置から聞こえているかと思って……分かりにくくてすみまんでした。
×>分かりにくくてすみまんでした。
○>分かりにくくてすみませんでした。
失礼しました。
>>595で自分で投下する。と言っておいてなんですが、
巧VS冴子Ver.今プロット見てたら、話の流れからラストまで変わってしまうんです……
かといって、あきらの変身なしで冴子と引き分けるのは無理がありますし、
出来れば、変身描写の部分を変更して(
>>592さんのおっしゃるように変身鬼弦を鬼笛に、
赤褐色の鬼の部分も変更)修正部分を投下致しますので、どうぞご検討よろしくお願いします。
爆発音の描写も分かり易いように、追加しておきます。
◆TJ9qoWuqvA 氏
避難所に誘導ありがとうございました。お礼が遅くなりました。
>>588 あと、変身解けたって事はあきらはだk(ry
ちょうど、巧がシャツを持ってて良かったなあ、という事で。
>>592 いえ、それは覚えているんですが(どう見ても威吹鬼のスーツの使い回し+【検閲削除】を巧妙に隠すカメラワークw)
どの道設定無いから半オリキャラですし……リレーした時に齟齬が出そうなんですよね。
後、変身させる度に服の替えが(ry
・何か理由を付けて、一度きりの変身という事に。
・見た目は威吹鬼と殆ど同じで、ロースペック威吹鬼or単に身体能力が上がるだけだと決めてしまう。
自分はどちらかが良いと思います。
……もしかして、流れ的に後者?
変身鬼弦の変更や、
>597
以降封印では、折角の『鬼』の設定が
制限を受け、響鬼が弱体化する事になるかもなので、
このままでで良いのでは無いでしょうか?
もうマトモに戦える響鬼ライダーも日高仁志だけなので、
ある程度の優遇措置は有ってしかるべきかと。
変身後→全裸設定に関しては各書き手の判断に任せる方向でどうでしょう。
(;´Д`)ハァハァしたいのも事実ですけどw
話のテンポがモタつくのは他の書き手の皆さんも嫌がるのでは無いかと思うのですが。
そこはぶっちゃけ改竄しても特に問題は無いんじゃないでしょうか?
読み專からのワガママな意見でした。
>597
変身鬼弦の変更や、以降封印では、折角の『鬼』の設定が
制限を受け、響鬼が弱体化する事になるかもなので、
このままでで良いのでは無いでしょうか?
もうマトモに戦える響鬼ライダーも日高仁志だけなので、
ある程度の優遇措置は有ってしかるべきかと。
変身後→全裸設定に関しては各書き手の判断に任せる方向でどうでしょう。
(;´Д`)ハァハァしたいのも事実ですけどw
話のテンポがモタつくのは他の書き手の皆さんも嫌がるのでは無いかと思うのですが。
そこはぶっちゃけ改竄しても特に問題は無いんじゃないでしょうか?
読み專からのワガママな意見でした。
貴重なログを消費してごめんね。
>>599 貴重なご意見ありがとうございます。
変身後の全裸に関しては自分は無しで良いかと思います。
全裸有りだと、倒されたザンキさんやサバキさん2人もちょっと可哀相ですし……
皆様へ
自己リレーの上、よく確認せずに投下してしまい反省しております。
修正やSSの破棄に関しては、スレの総意に従います。
>>600 いえいえ。
自己リレーは問題無い筈。一週間空いたら可ってルールで決まっているので。
自分も全裸は無しの方が良いと思います。
ただ、リレーし辛いので、
・何か理由を付けて、一度きりの変身という事に。
・見た目は威吹鬼と殆ど同じで、ロースペック威吹鬼or単に身体能力が上がるだけだと決めてしまう。
個人的にはどちらかにはっきりと決めて欲しいのですが……
GJ!
麻生、ヒビキ、乾、あきらと全員ろくな目にあってないのが素敵。
これからますますドロドロになりそうで楽しそうです。
変身>
ありで能力上昇が妥当かと。
一応、劇中でも変身してるわけですし。
単なる身体機能のアップだけだったら書き手もそう困らないでしょう。
全裸>
一応書き手任せにしておいては?
クリーニングしたシャツという伏線もあるわけですし。
なしだと首輪の制限ってところでしょうか。
あと、いくつか指摘を。
ドラスは望月博士が爆死したと言っていましたが、この時点ではまだ知らないはずでは?
戦国時代のディスクアニマルとバイクがヒビキの状態表にありませんでした。
また、戦国時代のディスクアニマルはその動物大の大きさになるはずでは?
あとひとつ。冴子にファイズショットの標準(たぶん照準の誤字だと)と書かれていますが、
ファイズショットは持っていませんし、フォンブラスターのことを言いたかったのでは?
よく読んだら赤褐色ってある。
個人的に、
TVに出た。→OK
TVに出てない。→NG
程度に考えています。
今回で言えば
裁鬼の見た目のあきら変身体→NG
原作の威吹鬼の見た目のあきら変身体→OK
と考えています。
なので
>>597は後者でいいのではと思っています。
音撃はできない方向が良いですね。
あきらの鬼笛は変身もできる優れものですので、笛で変身のほうがいいかと。
巧がシャツ持っているんで全裸でも構わないですね。
でも裁鬼さんと斬鬼さんの死体は全裸(ry
まあ、服ぐらいなら適当に街から物色できても良いんじゃないでしょうか。
すみません。ではご好意に甘えて
>>597の後者の案で修正します。
ご指摘の点も修正して後日投下させて下さい。
他にも指摘があればよろしくお願い致します。
ご意見、感想ありがとうごさいました。
今後は気をつけますのでよろしくお願いします。
あつかましくも、まだ書き手で参加したいんです。
進行表の更新乙です。そして、暖かいお言葉ありがとうごさいました。
服に関しては変身後の服の確保が難しいし
劇場版の『何故か服が大丈夫設定』でいいのでは
更新お疲れさまです。
そして間が悪くキャラ紹介橘さんと睦月を投下するオレ…
追加修正ありましたらお願い致します。
光太郎さんのキャラ紹介も乙です!!
歌唱力に吹いたww橘さんの辛味噌追加しとけばよかったと一寸後悔したww
投下乙&GJ!
橘さんの紹介に笑ったw うっかりで世界滅亡ってww
でも本当のことだからな〜。
キング、北岡秀一リクエストします。
>>608 リクエストに応えて頂きありがとうございます。
ちなみに睦月紹介で
>タランチュラAD
を
>タランチュラUD
に
>タイガーAD
を
>タイガーUD
に訂正お願いします。
ちょっと気になった事が
いくら神崎でも妹の為とはいえここまで大掛りな事をするのか?
ここまでするとなると優衣が拒めないものか確実に蘇生できる方法でもないと割りに合わん……
スマートレディーがいるのも気になる
昭和ライダーのごとく真の黒幕はバダン大総統とか
神崎ならするだろ。何よりも妹の命が大切な男だ。
妹の命の為なら誰かが死のうが手間が掛かろうが関係ない。
スマレ云々に関しては不鮮明で当然。まだ1日目だぞ。
ってか重箱の隅を突っつくとはこのことd(ry
何度やっても成功しない→ならば次は少々大掛かりにやってみるか
程度だと思うがなぁ。あの人の思考は
そもそも失敗したらお約束のタイムベントで巻き戻せばいいわけだし
……しかし、まだ一日目だったのかw
一日? まだ半日ですよw
ははは、リアル時間で二年半(だっけ?)で、投下された話が600話近いのに、ようやく一日が経過した所だってあるんだぜ?
>>611に便乗して重箱の隅つつき
OPで同じ部屋にドラスやグランザイラスみたいな醜悪な怪物がいるのに皆スルーなのは?
スルーしているキャラもいればしてない奴もいる。
ぶっちゃけそんな展開にしても面白くなさそうだからきったことがある。
あって面白いなら反応させるけど、なくても問題ないんだろ。
でもどいつもこいつも怪人やらオルフェノクやらに遭遇して怪物慣れしてる連中がほとんどだからな。
明日夢くらいか。壊れたの。
>615
ああ、100名近い参加者の6割が一日目で死亡したあのロワか。
言い方を変えると、600話を費やしてもまだ40人近く残ってるロワとも言うが。
そういや第二回放送も近そうだな。
描写が必要なキャラは
・ドラス&麻生(できればヒビキ&冴子)
・草加&真司
・ジャーク&ガライ
・浅倉
・茂
むう、結構いるな。もっといそうだし
>>609 労いのお言葉、ありがとうございます。
番組見たことない方にもできるだけ想像しやすいように書いていったらああなった…
橘さんファンの方ゴメンなさいorz
北岡、キング了解です。
>>610 おお!!基本的なポカを突っ込みありがとうございます。
以後気をつけます。申し訳ない。
管理人様、修正をお願い致します。
やってはいけない事
南「わかりました。首輪の外し方が」
小沢「本当!」
神崎「南光太郎……お前は知ってはならない事を知ってしまった」
南「神崎士郎!」
神崎「サラバだ」
首輪の爆破スイッチを押す
矢車「南ー!」
南「スパークリングカッター」
神崎「何!」
南「俺は怒りの王子!RX、バイオライダー」
神崎「何故お前が生きている!」
南「お前が首輪に仕掛けた爆弾を爆発させる瞬間、俺はバイオライダーとなり爆発から逃れたのだ」
ちょw
でもTV本編だとそう言う事やりそうだから困るwww
避難所に修正版投下しました。
誤字、状態表等の指摘された点と、変身ありだけど音撃無しに修正しました。
何時もすみませんが、管理人様修正よろしくお願い致します。
修正投下乙!!
矛盾点が解消されてよくなっていました。
あきら変身の描写が綺麗でよかったです。GJ!!
北岡秀一、浅倉威、津上翔一、木野薫、橘朔也
を、浅倉の部分で自己リレーになってしまいますが、予約して良いでしょうか?
もう一日ぐらい待って誰も予約しなければいいんじゃないか?
それでは改めて、
北岡秀一、浅倉威、津上翔一、木野薫、橘朔也
予約します。
それにしても予約ルールは
>>4だと思っていましたが、ルールの追加でもあったんですか?
マーダーランキングを見て思った。
12時間で16人死んでいる割には1人が突出して殺しているとか無いんだな。
と、言うかマーダー多すぎw 半分がゲームに乗っているってどうよw
マーダーが多いって事は、それだけ見せ場があっていいんじゃないか?
それにここのジョーカーは2人共にサラマンダ(ry
本家サラマンダーは今一皮むけようとしているぞ
なんとまあw
ところで読み手書き手みんなに確認したいけど、したらばいるかな?
>>630 したらばって死者スレの件?だったらほしい。
>>630 かなり欲しい。
死者スレとか毒吐きとか。
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/9061/ ライダーロワ用したらば掲示板です。
ツッコミありましたらお願いします。
地図更新とあわせてリアル事情で管理が遅れてしまうかもしれませんが、なるべく迅速な対応するよう心がけます。
キャラ紹介の方も使っていただけるとありがたいです。
迷惑でなければまとめのほうとリンクもお願いします。
それでは。
超GJ!
進行表も管理して頂いてるのに…感謝です。
欲を言えば「死者追悼スレ」と「死亡したキャラでネタスレ」が欲しいかな…と。
「死亡したキャラでネタスレ」は、「ライダー墓場」のつもりですw
いや、分かりにくくて申し訳ない。
「死者追悼スレ」と「雑談スレ」も立てておきます。
他に要望があればお願いします。
・・・・・・過疎ってるなぁ。週末だから仕方ないけどさ。
予約期間を超過して、すいません。
投下します。
(何時までもシャドームーンを抱えて、歩いていられない。ここらで休まないとな……)
結城丈二はビルが立ち並ぶ中にあるホテルのロビーに入り、ソファーにシャドームーンを寝かせた。
そして自分も隣に座り込み休憩がてら、先程聞いた麻生とヒビキの呼び掛けを思い起こす。
(あの二人か風見さんや城と合流できれば、わざわざドクトルGを利用する必要も無いんだが……)
「動くな」
丈二の首筋に、背後から鋭く尖った石が当てられた。
(こいつ何時の間に!?周囲への警戒は怠っていなかった筈だ!)
丈二は歴戦を誇る自分が、容易く背後を取られた事に驚く。
「答えろ、お前と隣で寝ている者の名前は?」
「俺は結城丈二、そいつはシャドームーンだ」
「お前の今の行動指針はなんだ?」
(下手な嘘は付かない方がいいな、もっとも氷川くん達の事を喋る訳にもいかないが……)
「首輪を外せる技術や能力を、持った者を捜している」
「何の為だ?」
「無論、この殺し合いを壊して全員が生き残る為だ」
「では外せる者を捜しても、居なかった場合はどうする?」
「……何?」
「質問をしていいのは俺だけだ」
聞き返そうとした丈二の首筋に、石の刃が強く押し当てられる。
「………そうだな、それならば自分で外す方法を考えるしかない」
「それが不可能だから、解除法を持つ者を捜してるんじゃないのか?」
「可能かどうかは問題じゃない。問題は自分の正義に背かないかだ」
背後の男から質問が返ってこないが、丈二は話を続ける。
「俺はかつて過ちを犯した、自分で考えず他の誰かを妄信し悪事に手を貸した。
今更何をしようと自分の罪が許されるとは思わない、だからこそ俺は二度と正義を裏切る訳にはいかない。
誰かが悪の犠牲になる事を、誰かがこれ以上この殺し合いの犠牲になるのを許す訳にはいかない」
「………脅す様な真似をして、悪かったな」
首筋から、石の感触が消える。
「お前が殺し合いに乗っていないのは、怪我をしているシャドームーンを抱えていた事から大体見当が付いていた。
だが念の為に質問させて貰った、気を悪くするな」
言葉とは裏腹に悪びれた様子も無く、背後から端正な顔立ちをした二十歳位の男が前に回り込んで来た。
「確かにお互いにとって、安全な接触方法だったかもな。君も殺し合いには乗っていないようだな、天道くん?」
「ほう……俺の事を憶えていたか。だが質問は愚かだな、俺の往く道は天の道だこんな殺し合いに乗る訳が無い。
それよりお前、尾行されているぞ」
「何!?」
「大声を出すな。そいつはこのホテルの向かいのビルの3階に居る、気付いていない振りをしろ」
天道はシャドームーンの怪我の様子を見ながら、丈二に注意を促す。
「……そいつは斧と盾を持った男じゃなかったか?」
「どうやらそいつを知っているみたいだな、詳しく事情を聞かせろ。このシャドームーンについてもな」
◇ ◆ ◇
7並べと呼ばれるトランプを使ったゲームでは、各々のカードは決まった位置にしか置く事が出来ない。
だがその中で唯一あらゆる位置に置く事が出来る、例外的なカード――ジョーカーが存在する。
そしてアンデッドにも同じ名を持ち、あらゆるアンデッドの姿に変身出来る例外的な存在がいる。
市街地を散策する相川始はベルトのバックルにハートの5を通すが、何の変化も起こらない。
(くっ……これも神崎士郎の仕業か!?)
本来ジョーカーである始は、ラウズカードを使えばそれに封印されたアンデッドに変身出来る。
だがこの戦いが始まって以来、始はハートのAと2以外のカードではアンデッドに変身出来ないでいた。
(人質を取ってまで殺し合いをさせておいて、能力の制限だと?)
ハートのAを通しても反応は無く、始の表情が獰猛に歪む。
(まだ時間を待たなければカリスにも変身変身出来ない以上、今敵に会えばジョーカーの力を使うしかない)
手に持つ首輪探知機に、3つ……否4つの反応がある。
(固まった3つに少し離れた1つか、離れた1つは罠くさいな。
………どいつから仕掛けても同じ事か、全員を殺す事には変わりないんだからな……)
人間相川始の姿が、黒い怪物に変貌を遂げる。
◇ ◆ ◇
「ではドクトルGとシャドームーンは敵という事だな」
「いや、シャドームーンはこちらからしかけなければ何もしてこないのだから、敵という訳では……」
「お前の仲間である南光太郎を狙い、氷川達を見殺しにした奴が敵ではなくて何だというんだ」
「……それは」
近くまで飛んできたガタックゼクターが、天道の肩をつつく。
「分かっている。そう急かすな」
「天道くん、それは?」
「気にするな、こいつは味方だ。悪いが俺はもう行かせてもらう」
「待ってくれ、俺も君に聞きたい事がある。君はカード型の何かを装填する箱型の機械に心当たりはないか」
「無いな。それがどうかしたのか?」
「それには科学者である、俺も知らない技術が使われていた。それを解析出来れば首輪を外す糸口になるかもしれない……」
「伏せろ!!」
天道が丈二をソファーに押し倒す。と同時に天道の頭上を緑に光る刃が通過し、ホテルの壁を破壊した。
「ヴァァァァァァッ!!」
先程の攻撃で破壊された玄関の自動ドアから、黒い全身に緑の顔を持つ怪物が飛び込んでくる。
「変身!」
ソファーから立ち上がった天道が、カブトゼクターをベルトに装着する。
『HENSHIN』
六面体の装甲が全身を覆い、カブト・マスクドフォームを形作った。
次の瞬間に懐に飛び込んできた怪物の緑の刃で、腹から切り上げられる。
「グッ!」
カブトが体勢を立て直す前に、怪物は緑の刃を胸に切り下ろす。
(速い!反撃をする間もない!)
そこから更にカブトの顔目掛け、振り上げる。
「キャストオフ!」
『Cast Off』
カブトの装甲が、怪物ごとはじけ飛ぶ。
『Change Beetle』
空中で一回転して、怪物が着地した。
「クロックアップ!」
『Clock Up』
カブトがその足を払い、怪物を倒す。
『One』
立ち上がろうとする怪物の、顔面を蹴る。
『Two』
大きく振り回そうとする腕を掻い潜って、怪物の腹を殴る。
『Three』
前にのめりこもうとする怪物の顎を、掌で跳ね上げる。
「ライダー、キック。」
『Rider Kick』
カブトの廻し蹴りが、怪物に打ち込まれた。
「グァッ!!」
カブトも同時に衝撃を受けて、壁まで吹き飛ばされる。
『Clock Over』
◇ ◆ ◇
ジョーカーはかろうじて残った、始の意識で思考する。
(やはりな、どれだけ加速しようと決めの一撃を放つ際は動きが止まる)
始は腹を押さえ、膝をついた。
(来ると分かっていても、ジョーカーの身体にこれだけのダメージを与えるはな
だが不意に壁まで殴り飛ばされたあいつも、相応のダメージを負っている筈だ)
壁に叩きつけられたカブトは、まだ立てないでいる。
始は身体を捻り、刃に力を溜める。
(これで、終わりだ!)
「マシンガンアーム!」
ダダダダッ!ダダダダッ!
玄関の外から、ライダーマンがマシンガンで始を銃撃した。
◇ ◆ ◇
(何とか変身が間に合ったか)
銃撃を受けながら、始は光の刃を飛ばしてくる。
横に飛んでそれをかわし、ホテルの向かいにあるビルに走り出す。
(まともに戦ったら、俺ではとてもあいつには敵わない。
だからといって天道くん放って逃げる訳にもいかない。ならば取るべき手段は一つだ)
ライダーマンがビルの中に駆け込んだ時には、始は既にホテルから飛び出していた。
3階まで階段を駆け上り下を見ると、2階の踊り場に始は居る。
目的の部屋の前で、ライダーマンの背中を光の刃が掠める。
部屋の中に飛び込み、立ちすくむ男に叫ぶ。
「助けてくれ、ドクトルG!」
◇ ◆ ◇
始が入った部屋には、自分を銃撃してきたライダーマンともう一人居た。
「結城丈二、貴様……」
もう一人の男が、ライダーマンを睨み付ける。
「ドクトルG、お前の力ならあいつを倒せる!」
ライダーマンは構わず、ドクトルGに話しかける。
(二人か、ならばより戦力の大きい方に仕掛けるまでだ)
「ヴァァァァァッ!!」
始はドクトルGに斬りかかるも、楯によって防がれた。
「仕方あるまい!」
楯の陰から白い液体が吹きで、カニレーザーが姿を表す。
「アーバラー」
カニレーザーは楯で始を押しのけ、レーザーで始の胴体を撃つ。
「グゥァァァァァッ!!」
(ダメージが大きすぎる、今の状態でこのカニレーザーの相手は出来ない)
始は残った力を振り絞り、窓から外へと飛び出した。
◇ ◆ ◇
ライダーマンが窓から外を見た時には、既に始の姿は見えなくなっていた。
(逃げたか……あれだけ負傷をしていたから、天道くんやシャドームーン所へは行かないと思うが………)
ライダーマンの首筋に、カニレーザーの斧が当てられる。
「結城丈二、どういうつもりだ?」
「どうも何も、仲間に助けを求めたのが問題なのか?」
「ふざけるな!!」
斧に力が入る。
「やはりお前は裏切っていたようだな」
「一体何の話だ!?とにかく落ち着いて俺の話を聞いてくれ」
「今更何を聞いた所で……」
斧を振りかぶる。
「お前が裏切った事実は変わらん」
「デストロンの幹部ドクトルGも、つまらない奴なんだな」
ドアの前に立っていた男が、話しかけてきた。
「お前は何者だ」
男は眉間の前で、天を指す。
「俺は天の道を往き総てを司る男、天道総司 」
「お前も一緒に、死にたいらしいな」
「俺達を殺して、お前一人で勝ち残るつもりか?いやその前に……」
天道はベルトを腰に巻き、カブトゼクターをかざす。
「俺と結城を、同時に相手にするつもりか?」
ライダーマンがマシンガンアームをドクトルGに向ける。
「お前等……」
「勘違いするな、俺は手を組もうと言ってるんだ」
「信用できると思うか?」
「お婆ちゃんが言っていた。毒のある食材でも食えるように料理出来てこそ、一流の料理人だとな。
どうせこの殺し合いの中で信用できる者など居はしない。ならばそれを前提に組むしかあるまい。
それともデストロンのドクトルGは、信頼の置けない者は使えない程度の器という事か?」
「ふっ、言いたい事はそれだけか?」
ドクトルGは斧を振り下ろし
「……!!?」
ライダーマンの頭上で止める。
「…………いいだろう、だが少しでも不審に思えば今度こそお前等を殺す」
◇ ◆ ◇
始は先程逃げ去ったビルから、隣にある立体駐車場の中に逃げ込んだ。
不意に人間の姿に戻ると同時に、その場に倒れ込む。
(……ぐっ、……ジョーカーの力を使っても、一人も殺せないとはな……)
起き上がり、探知機を見る。
(あいつらは追っては来ないか……ならばここは回復に務めるしかない)
始は奥歯を噛み締め、湧き上がる焦燥に耐える。
(今焦って動く訳にはいかない……俺はこんな所で簡単に死ぬ訳にはいかないんだ!)
道化は身を沈め、密かにその牙を癒し休めた。
◇ ◆ ◇
(やれやれ急ぎの用事があるのに、面倒な事になった)
天道が偶然通りすがった丈二に接触したのは、情報収集をする為だけであって
それが済めばすぐにでも、ガタックゼクターを追うつもりだった。
(だが結城は殺し合いからの脱出を目的とする科学者。脱出の為の貴重な、あるいは唯一無二の人材。見殺しにする訳にはいかない)
しかしガタックゼクターがここにあるという事は、加賀美の身に何かあったという事。そちらも放って置く訳にはいかない。
(どいつも世話が焼ける。まあいい、他の者ならともかく俺ならばこの状況からでも両方を助ける事は可能だ。何しろ俺は―――)
天道が微かに―――そして不敵に笑う。
(天の道を往き総てを司る男だからな)
【相川 始@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-6】
[時間軸]:本編後。
[状態]:全身に負傷。腹部と胸部に切傷。極度の疲労。
[装備]:ラウズカード(ハートのA、2、5、6)。
[道具]:未確認。首輪探知機(レーダー)。
[思考・状況]
1:剣崎を優勝させる。
2:ジェネラルシャドウを含め、このバトルファイトに参加している全員を殺す。
※相川始は制限に拠り、ハートのA、2以外のラウズカードでは変身出来ません。
【結城丈二@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-6】
【時間軸:仮面ライダーBLACLRX終了後】
【状態:健康。】
【装備:カセットアーム】
【道具:トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)、名簿を除くディパックの中身一式】
【思考・状況】
1:氷川くん達を捜し、合流する。
2:シャドームーンの扱いを思案中。
3:首輪を外すために必要な情報をもっている人物と首輪と同様のテクノロジーをもつ道具を探す。
4:同一時間軸から連れて来られたわけではないことを理解。ドクトルGを利用することを模索。
5:ヨロイ元帥を倒す。
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-6】
[時間軸]:RX27話以降
[状態]:気絶。右腕のエルボートリガー破損。腹にドリルによる刺し傷。
[装備]:シャドーセイバー
[道具]:なし
[思考・状況]
1:気絶中
【天道総司@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-6】
【時間軸】ハイパーゼクター入手後
【状態】中度の疲労、 全身に軽い打撲。
【装備】カブトゼクター&ベルト
【道具】食料など一式、
【思考・状況】
1:結城と共にドクトルGから逃げ出し、ガタックゼクターを追う。
2:ひよりの救出。
3:一刻も早く、乾、あきらと合流する。
【ドクトルG@仮面ライダーV3】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-6】
【時間軸:死亡後】
【状態:軽症】
【装備:斧、盾】
【道具:トランシーバー(現在地から3エリア分まで相互通信可能)】
【思考・状況】
1:結城丈二と天道総司に不信感。裏切るような行動を取れば殺す。
2:デーストロンのため、絶対に勝ち抜く。
3:ヨロイ元帥を探す。
※ドクトルGは結城丈二に不信感は持っていますが、デストロンでないとは思っていません。
投下終了しました。
誤字脱字、指摘点等があればよろしくお願いします。
乙
では突っ込み
・始がカニレーザーという名前?を知っているのかどうか
・マシンガンアームはTVでは使われていない筈。そのへんどうするのか
あとこれは前回の戦闘から気になってたんだが
・ライダーマンのカセットアームはTVではバイクで運搬してたような
どうやって付け替えたのか
乙!
流石に始は相手が悪かったなぁ。それぞれのキャラも立っていて、且つ疾走感溢れる熱い話でした。
ただ、内心で完全に担架を切ってしまった天道。加賀美が既に死んでいる以上、悲しいフラグが立ってしまったなぁ…
天道と結城の頭脳明晰チーム結成ですね。
ドクトルGがどう絡んで行くのか楽しみです。
スピード感のある戦闘描写と、焦燥を抑える始も面白かったです。
>今更何をしようと自分の罪が許されるとは思わない、だからこそ俺は二度と正義を裏切る訳にはいかない
誰かが悪の犠牲になる事を、誰かがこれ以上この殺し合いの犠牲になるのを許す訳にはいかない
この台詞いいなぁ。もう一度GJ!
>>651 ・始の独白にあるカニレーザーの部分はドクトルGの間違いです、すいません。
・マシンガンアームは、以前の話にも出ていましたし
公式設定にも存在するので、問題ないと判断しました。
・カセットアームは支給品ということで、持ち歩いている物と解釈しています。
あ〜確かに装備がカセットアームになってるのね
でもこれってかなり大きい鞄が必要だよな
現時点でもドリルとマシンガンだし
ロワのデイパックは四次元デイパックが基本でな……
原作でもバイクの無いところで使ったことなかったっけ?
重火器とか支給されてるロワはいっぱいある。
カセットアームなんかは全然セーフだろ
そこは今更突っ込まなくても……
だってカセットアームもそうですが、そもそもライダーマンはヘルメットが無いと変身出来ないはず。
ごめん。
>>659読んで無かった。自分もセーフでいいんじゃないかと言う意味です。
投下します。
木野薫は、自らに迫るミサイルと弾丸を見つめていた。
爆発に巻き込まれながら、アギトに変わった身でも危険だと本能が告げる。
木の葉のように身体を翻弄され、地に伏せる。
超人から元の人間へと、身体が変わり、意識が薄れていく。
その時、機械を通した女性の声が聞こえた。
戦いを止めることを訴え、希望を紡いでいる。
暗闇が、木野を覆う。薄れていく意識の中、吹雪が起こり、隣には眠る弟がいた。
最早木野には夢と現実の区別はついてはいない。
少女の言う闇を切り裂き、光をもたらすため弟を担ぎ、全ての人間を救うために動く。
(俺は救ってみせる。雅人を、助けを求める者を全て!! そのために……)
木野の決意が残酷な雪山で木霊する。その傍らには、絶対救えない弟が罪として存在していた。
壁が崩れた小屋に男が二人、皿を空にして椅子に座っていた。
一人は細い長身をグレイの高級スーツで上下に身を包んでいる。
胸には弁護士であることを示すバッチが輝き、首元はネクタイをなくしていた。
綺麗に左右に流された黒髪を揺らし、整えられた眉の下で、知的でありながら他者を値踏みするような瞳を対峙する男に向け、声をかける。
「さてと、これからどうする?」
声をかけられた、黒のジャケットを羽織った男は、黒い豊かな前髪の下の、垂れ下がった熱さと知性を秘めた瞳から視線を動かす。
彼の視線は、対峙する弁護士の男ではなく、健やかな寝息を立てる、白いジャンパーを羽織り、青いジーンズを穿いた男に向けられていた。
茶色に染めている長髪の下、笑顔を浮かべ楽しそうな寝言を呟いている。どうやら彼が趣味だと語っていた、家庭菜園についての夢であるようだ。
そして彼は視線を弁護士の男に向けなおす。
「津上が目覚めるのを待つしかないだろう。それより北岡、お前に聞きたいことがある」
「なによ。答えられる範囲なら、何でも答えるけど?」
(もっとも、知られて困ることには答えないけどね。たとえば、俺が不老不死を狙っているとか、俺の支給品とか)
北岡は心の中で舌を出し、飄々と答える。
他者が彼の内心を知ったのなら、食えない奴ともらしただろう。
それもそのはず。彼は黒を白に変える、弁護の達人、北岡秀一だからだ。
騙しあい、化かしあいは彼の得意分野である。
「お前は自分のためにしか動かないといったな。そのためなら何でもやると。
お前は、このゲームに乗っているのか?」
橘の直球な物言いに、北岡は呆れる。
ここで馬鹿正直に答える奴など、超がつくほど善人以外はありえない。
橘自身が、超がつくほどの善人なのだろう。睦月が騙されやすいと評したのが分かった。
(さて、どうしたものか)
彼自身、ゲームに乗っているか微妙である。
この殺し合いで、最後の一人にならずとも、自身の願いを叶える手段を知った。
その方法を試すために、橘か睦月は味方にしておきたい。
だが、アンデッドになったとしても、首輪を外さねば意味が無く、神崎がそれを許すとは思えなかった。
いつかは、アンデッドによる不死か、最後の一人としての願いで不死になるか決めなければならないだろう。
だが、今はその時ではない。となると、橘に対する答えは一つ。
「乗っちゃいないさ。言っただろ。俺は俺が一番大切だって。
それなら、こんな殺し合いで命を落とすような真似はゴメンだね。生き残る確率を増やすためにこうしてチームも組んでいる。
殺すつもりなら、あの時手加減なんてしない。仲間割れなんてまとめて殺すチャンスだからね。違うか?」
北岡が尋ねると、橘は顔を顰め、ああ、と返事をした。
おそらく仲間割れという醜態を引き起こしたことに自己嫌悪しているのだろう。
とりあえず、ごまかして答えを先送りしたことがばれないことに安堵する。もっとも、当然の結果だったが。
唸る橘に、分かりやすい奴だと笑う。
その時、う〜んという声が長髪の青年、津上翔一の方向から聞こえてきた。
「よく寝た〜。橘さん、北岡さん、おはようございます。ああっ!!」
挨拶を返そうとした二人がギョッとする。
津上は二人の空の皿を見つめ、笑顔を浮かべた。
「俺の作った朝ごはん、食べてくれたんですね。味の方はどうでしたか?」
北岡がなんだ、そんなことかと内心呟きながら答えようとしたとき、再び機械を通した声が聞こえてきた。
男の訴えが、機械を通して小屋に響く。
その訴えを静かに聞き終え、津上は顔を二人に向けた。
「命を落とした真理ちゃんって、どういうことですか?
俺が寝ている間に、何かあったんですか?」
津上の問いに、橘が伏せていた顔を上げ、静かに語りかけてきた。
「津上が寝ている間に、少女の訴えがあったんだ……」
橘の口から出るのは、真理という少女が戦いを止めようと訴えたこと。
そして、彼女が凶弾に倒れてしまったこと。
最後に、彼女を救うためキックホッパーである麻生が駆けつけ、無常にも間に合わなかったこと。
一つ一つの事実に、津上は身体を怒りと感動で震わせていた。
「麻生さんの下へ行きましょう! そして、一緒に闇を切り裂いて、光をもたらしてやりましょう!!」
「もちろんだ、津上。力を合わせて、この戦いを止めよう!!」
二人は少女の願いに呼応し、気力が湧き上がる。
その様子を冷ややかに見つめる北岡が、今に飛び出さんとする二人に声をかけた。
「やる気を出しているのは結構だけど、丘のほうへ向かうのは待ってもらえないか?」
「何を言っているんですか! 北岡さん!!
麻生さんは戦って、今負傷しているかもしれないんですよ。早く駆けつけて、守らないと!」
「津上の言う通りだ。それとも、あの場へ向かって不都合なことがあるのか?」
橘の射るような視線が、北岡を貫く。
まだ完璧に信用されてないことに、当然かと思い、自分の持つ重要な情報の一つを明かす事を決めた。
「都合が悪いのは、場所じゃなくて今の俺たちさ。首輪に制限がかかっているのは気づいているか?」
「なに? どういうことだ?」
「普段より威力が低くなったり、急に変身が解けたり、二時間くらい変身できなかったりしなかったか?」
その言葉で橘が思い出すように顔を伏せ、あの時かと呟くのが聞こえる。
おそらく、北岡が橘と最初に遭遇したときの出来事だろう。
「どういうことですか?」
「橘は心当たりがあるだろうが、首輪の制限の所為で俺たち十分間しか変身できないのよね。
そして変身した後は二時間再変身ができない。だから変身できる時間まで待って欲しいってことよ。
あそこには血の気の多い連中も来るだろうしね。麻生とかいう奴を守るためにも、変身できるようにしておく必要があるだろ?」
北岡の言葉に、まだ津上が反論しようと身を乗り出す。
変身できなくても、向かうべきだと言いたいのだろうと分かり、先手を打つ。
「心配しなくても、ヒビキって奴が麻生と合流している。
木野をこのままにしておくわけにはいかないし、とりあえず変身できる時間になるまで休憩ってことでどうかな?」
今度は異論は出なかった。
麻生が一人で無いという事実と、木野という存在が、北岡の望み通りに展開させたのだ。
多少のアクシデントはあったが、とりあえずは順調に事を運んでいた。
ギシギシと椅子の音を立て、目を瞑る。
(ま、ゲームに乗った奴が現れても、三人いれば大丈夫でしょう。
とりあえずは休憩するとしますか。途中アクシデントはあったけど、今のところは順調だね)
ゆえに、僅かな油断が北岡に生まれた。
ジャリ、ジャリ、と地面を踏みしめ、蛇は獣道を進む。
金に染めた髪の下の瞳は狂気の光を爛々と輝かせ、獲物を求めていた。
胸元を大きく開いた蛇柄のシャツを羽織った痩躯が揺れる。
腰には再起動をしたデルタドライバーを巻いていた。
森で潜んでいた蛇、浅倉が麻生の放送を聞いたのは、ベルトが再起動する三十分前だった。
浅倉は戦いの無情を訴える内容には興味は無い。キックホッパーである麻生が丘にいるという事実が欲しかった。
(今向かえば麻生って奴と戦える。いなかったとしても、近くにいるはずだ。ハッ、ゾクゾクする)
V3という奴から奪った支給品は意味が分からなかった。説明書を見ると、ファイズというベルトにしか対応してないようである。
V3の支給品は自分にとって外れだが、北崎の支給品には笑みがこぼれた。
この武器を北崎は使わなかった。己の肉体に自信があったのだろう。
だが自分には関係ない。拳だろうと銃弾だろうと剣だろうと、イライラさえなくなればそれでいい。
丘の頂を見つめる。
「あそこか、祭りの場所は?」
蛇は行く。己が狂気を歩みに乗せて。
麻生の訴えから一時間、北岡たちは丘の頂にたどり着いた。
一足遅かったらしく、麻生の姿はそこには無い。
「麻生さんたち、どこに行ったんでしょうね?」
木野を背負った津上が話しかけている。道中は木野を橘と交代で背負ってきたのだ。
暴走の危険があるため、小屋に置いていきたかったが、津上が強固に反対し、橘が同意した。
北岡はそこまで考え、思考を現在に戻す。
「血や破壊の跡が多いし、怪我が酷くて休憩しに丘を降りたんじゃないか?
ほら、目の前には丁度休める場所が豊富なところが多そうだし」
眼下に広がる街並みを、津上たちが見下ろす様子が見える。
麻生を探そうと、二人は提案するだろう。
殺戮者がここに来る可能性が高いため、北岡としてはその意見に反対する気は無い。
風が木の葉を揺らし、爽やかな音が耳に入る。
真っ青な空には、輝く太陽がもう真上に上がっていた。
焦げた折れた木たちを背に、三人は丘を降りる準備を始める。
その時、木の枝が折れる音が聞こえた。振り返ると、そこには最悪の蛇がいた。
「よう、北岡。会いたかったぜ〜」
浅倉が丘を進むと、声が聞こえてくる。
放送で聞いた声とは違うが、様子を伺うと何人かいるらしい。
それなら変身能力を持つ人間もいるだろうと考える。
そして、グレイのスーツの弁護士が、浅倉の視界に入った。
背筋は電流が走り、肌が粟立つ。笑みを浮かべ、一旦は止めていた歩みを再会する。
枝を踏み潰し、六の瞳が自分に向けられた。
北岡の顔が驚愕に歪む。その様子を滑稽に思う。
「よう、北岡。会いたかったぜ〜」
戦いの予感に、浅倉は心を躍らせ、デルタフォンを掴み口元に運ぶ。
「変身」
――Standing by――
デルタムーバーと接続させ、ベルトの中央が輝き、白く輝く蛇のごとく、ラインが浅倉の身体を走る。
白の閃光が浅倉を輝かせ、随所に三角の記号を埋め込んだ、黒の強化スーツが精製された。
――Complete――
デルタは首を回して、ゆっくりと北岡たちに近付いていく。
北崎の支給品、鬼を模した石を先端につけた金棒を肩に担ぐ。
――さあ、祭りの始まりだ。
(まずい奴と再会しちゃったよ……)
北岡は舌打ちをし、懐から割れたガラスの破片を取り出した。
自分が破壊した小屋の一部である。
(それにしても、浅倉の奴なんで王蛇じゃないんだ? あれは他の世界のライダーか?)
王蛇であるなら、ある程度対策は取れる。しかし、今の浅倉は見覚えのないライダーになっていた。
強敵が、見知らぬ強敵へと姿を変えたことに苛立ち、残り二人に変身を促す。
「橘、津上、変身するんだ。こいつはゲームに乗っている。迷うと死ぬよ」
北岡はガラスに緑のカードデッキを掲げ、銀のベルトを召還する。
「変身!!」
叫ぶと同時に、ベルトの空になっている中央へとカードデッキを収めた。
緑の砲兵が虚像を重ね、北岡に重なりゾルダとしての姿を現す。
「変身!!」
――Turn Up――
橘がバックルにカテゴリーAのカードをセットして回転させるのが見える。
ダイヤの意匠が施されたバックルより青いゲートが現れ、橘が潜ると赤いスーツを身に纏い、銀のアーマーを着けた仮面ライダーギャレンへと姿を変えた。
「変身!!」
木野を降ろした津上が、右手を前へ突き出し、腹へベルトを顕在させ、両腰のスイッチを押す。
閃光が津上を包んで、龍の顎を模した角を持つ、金と黒のアギトへと姿を変えた。
「俺、木野さんを安全な場所に運んできます」
「なるべく早くしてよ。こいつは三人でもキツイ相手なんだから」
「……その必要は無い」
三人のライダーたちが振り向くと、ネクタイの拘束から開放された木野が、黒衣で包まれた巌のような肉体を仁王立ちさせていた。
骨の太い四角い顔の眼差しは厳しく、変身した四人に向けられていた。
「変身!!」
低く、野太い声とともに木野が両腕を交差させ、ベルトを顕在させた。
緑の光が木野を包み、閃光が晴れた先には、くすんだ金の小さな角を持つ、バッタを模した仮面があった。
オレンジ色のマフラーが風でなびき、胸の中央の宝石は、太陽の光を浴びて輝いていた。
「あんた、どうやって拘束を解いたのよ」
ゾルダとなった北岡が驚きの声を上げている。
「お前に力仕事は向かない。その、病んだ身体ではな」
自分の言葉ゾルダが息を呑むのを分かった。
アナザーアギト、木野が目を覚ましたのは津上とほぼ同時期だ。
だが、機会をうかがい気絶したふりをしていた。
ネクタイの拘束を解く為ガラスの破片を取ろうとしたが、結び目が緩いのに気づいた。
小屋にいるときの様子と、道中嫌な咳をする北岡を見て、彼が病に侵されている身だと医者である木野は理解する。
今は元気な振る舞いをしているが、近い将来病は彼の命を奪うだろう。
「木野さん。あなたはまだアギトの力に呑まれているんですか?」
アギトが自分に問う。その答えは決まっている。
「アギトの力などに呑まれるほど俺は弱くない。
俺は少女の願いを叶える。闇を切り裂き、光をもたらすライダーとなる。それが、雅人のためでもある」
「木野さん……」
「ごちゃごちゃと煩いんだよ!!」
黒衣のライダーが迫り、四人はそれぞれの方向へ散った。金棒が振り下ろされた地面は轟音を上げ小規模のクレータを作る。
少量の砂塵が舞い上がり、アナザーアギトは雑草を踏みしめて立つ。
「木野さん、この場を切り抜けて、一緒に闇を切り裂きましょう!!」
アギトが言い、傍に立つ。そのアギトの腹に、アナザーアギトは鋼の拳を叩き込んだ。
アギトは空を舞い、地面へ二、三度叩きつけられた。内臓をやられたのだろう、血反吐を吐いている。
「木野!! お前、何をするんだ!!」
ギャレンという仮面ライダーが叫ぶ。顔を向け、緑の両眼を見つめた。
その行為に秘められたものは一つ。自分の宣言を、全ての仮面ライダーに告げるためだ。
「俺は闇を切り裂き、光をもたらす仮面ライダーとなる。そのために……」
心に浮かぶのは、弟の死。そして少女の願い。
――救えなかった。救わねばならなかった。
悔恨が心を蝕み、右腕が痛む。
自分は、この痛みを忘れるため、雅人に許しを求めるために戦い続けるのかもしれない。
だが、それでも構わない。
救い続けるために必要なのは一つ。
「そのために、全ての仮面ライダーを殺す。俺が、最強の仮面ライダーである事を証明するために!!」
最強の称号を得ること。
仮面ライダーを全て殺し、最強のライダーとなり、普通の人々を救えば……
(俺は、雅人に許してもらえるだろうか?)
疼く右手に問いかける。答えはどこにも返らなかった。
「木野ぉぉぉ!!」
ギャレンは叫びながら銃を撃つ。弾丸がアナザーアギトを襲うが、腕より生えているバイオクロウに叩き落された。
「フウン!」
敵が飛翔し、間合いを詰められ拳が放たれる。
ギャレンは左腕を挙げ、アナザーアギトの拳を受け止め、重い衝撃がギャレンを貫き、たたらを踏ませた。
よろめく身体に、敵の蹴りが脇腹に叩き込まれる。
「ぐわっ!」
ギャレンは地面を転がりっていく。立ち上がりながら、視線を周囲に向けると、ゾルダとデルタの姿は見えない。
結構な距離を離れたらしい。アナザーアギトはゆっくりと自分に歩み寄る。
「何故こんな事をする。津上はお前の事を信じていたんだぞ!」
「俺は力以外いらない。雅人を救える力以外は……」
「雅人……?」
乙!読ませていただきますた
GJ!
相変わらずクオリティタカス…!!
所々に死亡描写に近いものがあったのでハラハラした。木野さんも本格的にマーダー化かぁ…。
橘さんも単独行動で波乱起こりそうだし、これからが楽しみだ。
それとしたらば作成お疲れ様です。
活性化を目指すなら力になりますよー!
ネタ考えておきますw
GJ!
多人数が入り乱れていながら、緊迫感の途切れない戦いが面白かったです。
ところでバタル弾は弾丸だけの支給ですが、撃てる銃はロワ内にあるんですか?
それと一般人には効果があるんですか?
>>674 ネタをお待ちしておりますw
>>675 バタル弾の効果は、北岡の状態表に改造人間のみに有効と書いておきました。
変身さえすればマグナバイザーで撃ってもいいんじゃないかな?と、言うことで弾丸のみ支給という形にしました。
問題あるようなら、銃も一緒に支給という形で修正します。
忘れていましたが、◆ozOtJW9BFAさん、修正乙です。
個人的に台詞以外は違和感なかったので、いい感じになっていると思いました。
>>676 すいません、状態表を見落としていました。
マグナバイザーで撃っても、問題ないと思います。
GJ!
また、滅茶苦茶面白かったです。
北岡と橘さんが死にそうになりながらも切り抜けるところとか特に。
それぞれの行動指針がはっきりしてきたところも良かったですね。
あと、キングにGトレーラの鍵がいったのが個人的には気になるところ。
いくつか指摘事項。
バタル弾は汎用的な弾なので他の銃で使えるのもいいと思うのですが、
デリンジャー系の銃器と合わせて支給とかの方が以前の描写に違和感がなくていいと思います。
撃てる人物が限られているのもありですが。
あと、GA−04は誰でも使えるのでしょうか?
GX-05以外に暗証番号があるという設定がなかったので、誰でも使えるんじゃないかと。
生身では無理だとは思いますが。
バタル弾……銃と一緒に支給するかは最後まで悩んだんですが、銃ライダー限定当たり武器もいいかと思って銃弾のみ支給という形にしました。
前回の描写と矛盾するようであれば、修正します。
一応GM-01をアナザーアギトが使ったことはある
けどGA-04は腕に装着するタイプだから微妙かもしれん
生身では無理なのは同意
682 :
681:2007/04/22(日) 23:51:12 ID:/8nHu3VP0
この「微妙」は「参考になるかは」って意味です
遅ればせながら、まとめサイト更新。
修正点やしたらばのアドレス追加もいたしました。
あと指摘事項ですが、Gトレーラーの鍵がキングに渡ったのなら、橘さんのディパックは同じくキングに渡ったと思われます。
自己リレーになりますが、城茂とパーフェクトゼクターで予約します。
このロワだと加賀美やぼっちゃまはかなり強いが、天道はなんかそうでもないな。
戦ったやつが強敵ばっかってのもあるが、一人で敵を圧倒するあの面影がないっつーか
加賀美
・明日夢のナイフ援護無かったらカイザ&ナイトに殺されてた
坊ちゃま
・制限なけりゃ恐らく剣崎に殺されてた
・明日夢に攻撃しなけりゃHガタックに負けてた
・始がその気なら剣崎の姿で死んでた
・逃げ遅れてりゃ間違いなくオーガに殺されてた
むしろ天道が一番運がいい
ここで過疎防止に、書き手に聞いて見たい古今東西。
繋ぎやすい話。
繋ぎにくい話。
実際に繋いだ書き手じゃなくても、これは繋ぎやすそう、繋ぎにくそうとかあれば。
なんか書くときの参考になるかも知れないぜ?
誰も待ってなかったかもしれんがお待たせ!!
したらばの方にキャラ紹介北岡キング投下してきました。
ozOtJW9BFA氏、TJ9qoWuqvA氏超GJ!!
続きが気になってしょうがない展開だ!!
翔一君に見せ場が来るといいなあ…とちょっと思います
やべえ…原作見てないキャラばっかりだったのに
食い入るように読んでしまった…。
クオリティタカス!!
>>686 ・繋ぎやすい話。
キャラの目的が作中に語られていると、つなぎやすいですね。
行動で示してくれるなら、キャラ立てにもなっていて分かりやすいですし。
・繋ぎにくい話。
個人的に大人数が固まった話は苦手です。
人数を多く予約した場合は、引き離してパート別に分けたり、気絶させたりと小技を使って一度に各人数を減らしてから書いてますし。
あと頭のいい連中の思考も苦手です。ライダー・ロードは本当に苦労しました。
>>687 俺は待っていますよw
キングはいつか書いてみたいので、ありがたかったです。
今回も橘さんの項目にお世話になりました。
したらば使ってくれてありがとうございます。
◆E1yyNEjdEcさん、更新乙です。
リンクありがとうございます。
橘さんの状態表を、
配給品一式(睦月)
に修正してください。お手数かけます。
>>687 城戸は「北岡さん」って呼ぶこともあるぞ〜
「北岡」と「北岡さん」どっちが多かったかは忘れたけど
>>TJ9qoWuqvA氏
労いのお言葉&したらば立ち上げ、ありがとうございます。
力作で楽しませてもらってるのだから礼を言うのはこっちの方。
熱い作品を待ってる住人が俺のほかにもたくさんいる!!
どうぞがんばってください。微力ながらお手伝いしますので…
>>690 騙されてムカついてる直後or蓮との会話中に名前が出てくる時→北岡
普段→北岡さん
こんなカンジだよね?
ご指摘ありがとうございます。
>>TJ9qoWuqvA氏
今更ながら感謝。
次スレに備えてのテンプレ生成所も必要ではないかと。
遅い報告ですが、したらばにテンプレ作成スレをたてました。
意見をお願いします。
乙です。
そろそろ、第2回放送について話ませんか?もちろん現在予約している書き手さんも含めて。
それともまだ早い?
大歓迎です。
個人的には、次の放送でG3トレーラーの居場所をばらして欲しいです。
あと禁止エリアについても話し合いません?
ジャーク将軍、ガライを予約します。
放送でアギトやストロンガーの制限解除だっけ?
>>696 G3トレーラーを放送でばらすなら、その場所を5時からの禁止エリアに指定するのも面白いかもしれませんね。
>>697 まだ少し早いかと…
アギトのバーニング、シャイニングフォームが一日目のみ制限。
ストロンガーの方が24時間チャージアップしたら強制解除でしたよね。
ゼクターのことにも触れてほしい今日この頃。
ゼクターはライダーブレスと一緒に支給されているでよいのでは?
ザビー復活フラグもあるし。
つドレゼク
ドレゼク……展開しだいだな。
条件特に明かされてないから、誰が変身しても不思議ではないし。
ゼクターで条件はっきりしているのはカブトとガッタクくらいか。
カブトとガタックは同じベルトなんだよな。
つまり天道もガタックに変身できる?
こう、「力を借りるぞ…加賀美!」みたいなノリで。
面白展開だけどゼクターが選ばないと無理だろう・・>天道ガタック
>>703見て思った。
キャラが他作品のライダーになるとしたら、どんな組み合わせ考えた?
俺は氷川君がデルタになって、闘争本能に抗いながら「こんなのはG4といっしょだ!!」といって捨てる場面を考えてしまった。
初期の話だけど。
>>704 まあ資格のことは置いといて、互換性のあるベルトは天道のだけだろ?ってこと。
キックホッパーはたしかバックルだから無理だろ?
まさか加賀美の死体からひっぺがす訳にもいかんだろうし
>>705 俺は氷川君がドレイクになるのを想像した
さっきまで昼寝してた時に見た夢
加賀美といえば、彼の支給品の煙玉放置されてるな。
誰か煙玉回収して使ってくれればいいけどね。
加賀美のベルトを引っぺがすか……
よほどの外道がなんかに使えると思って回収か、すまないと思いつつ未知の機械に対して首輪解析のために回収か。
もしくは天道が形見としてもらってくとかかな。
相川 始、安達 明日夢、財津原 蔵王丸、ジャーク将軍。以上不明支給品。
煙幕球、フライパン、変身鬼弦・音錠 音撃弦・烈雷、カードデッキ(インペラー)、パーフェクトゼクター
5.56mm機関銃MINIMI(スコープ付)、毒薬
で、これが放置されたアイテム。これどう動かすか・・・・・・
パーゼクは茂といっしょに予約入ってなかた?
あ、そうだった。
ぎりぎり間に合いました。
投下します。
如何にして城茂はパーフェクトゼクターを扱うようになり、パーフェクトゼクターは城茂と行動を共にすることになったか
SIDE.S
俺はその人を前にして、絶望を味わっていた。
「風見さん……」
俺の嘆きが虚空に響く。風見さんは胸に大きな穴を開けて死んでいた。意志の強さをいつも感じさせていた鋭い瞳はもうなにも映していない。
身体中のいたるところに傷があり、特にベルトは機械がむき出しになり、原型をとどめてさえいない。
周りを見回すと、逆ダブルタイフーンの影響だろう壁の所々に大きなひびが入り、砕かれた多量の瓦礫はこの遺跡の出入り口を塞いでいる。
その状況の全てがここで行われた戦いの凄まじさを示していた。
「風見さん」
もう一度、その名を呼ぶと俺は膝を突き、涙を流しかけた。
だが、そのとき、風見さんの言葉が頭をよぎる。風見さんはユリ子が死んだとわかった時、こう言った。
勇敢な戦士なら、どこかで人を守って死んだのだろう。 それよりも、俺たちが許していけないのはおやっさんたちを殺した殺人鬼だ。
それは続いている戦いのなかでは、戦士の死を悲しんでいるひまなどないということ。悲しんでいる暇があるなら、その死に報いるために、進まなければいけないということ。
俺は決めたはずだ。多くの人々の希望になるために戦い続けると。
そのためにはここを脱出しなければ。俺は手袋を外し、コイルアームを剥き出しにする。
「変身」
両腕のコイルアームを接触させ、スパークさせる。だが、火花こそ散るものの、変身ベルトエレクトラーには何の反応もない。
「やはり駄目か」
ジェネラルシャドウからの忠告。この首輪は能力に制限を与えている。
変身が永久に出来ないとは考えにくいが、一定の期間は出来ないと思っていいだろう。ならば、変身できない間も戦うための力がいる。
「そのための支給品というわけか」
俺の脳裏に黄金の剣が浮かぶ。だが、それを使うには躊躇いがあった。しかし、その躊躇いは聞こえてきた訴えにかき消される。
仮面ライダーキックホッパー、麻生とそれを助けた男の訴え。
「迷っている暇はない」
俺は来た道を戻り、黄金の剣の元へ向かった。
黄金の剣は俺が去っていたときと変わらぬまま、壁に突き刺さっていた。
「ハァハァ」
呼吸が荒れる。首輪が与える制限は相当厳しいらしいな。変身してない状態だと人間より多少はマシ程度か。
「……力を貸してもらうぞ」
俺はそれを引き抜くと踵を返す。RUN&RUN。アメフト部に所属していた大学時代を思い出すぜ。
例え息が切れていようとも、考えるより先に目的に向かって走る。俺は走って走って、そして、走った。
再び、俺は風見さんの元へと辿り着く。
「風見さん」
俺は黄金の剣を構える。そして、瓦礫に向って、その剣を振るった。
「だぁぁぁっ!」
一振り、二振り、三振り、振るう度に瓦礫は粉塵へと姿を変えていく。凄まじい切れ味だ。
岩を斬っているというのにまるで豆腐でも切っているかのような錯覚を与えさせる。
だが、豆腐とはいえ、この量。全てを切り裂くのは相当厄介だ。だが、やるしかない。
すると、不思議なことが起きた。黄金の剣のグリップが突如、折れ曲がる。この形は……銃?
俺は黄金の銃を構えると、瓦礫へと照準を向ける。引き金を引こうとすると、今度は手元に付いている赤いボタンが震えた気がした。
これを押せということか?
俺は導かれるままに、その赤いボタンを押す。
――KABUTO POWER――
黄金の銃から音声が流れる。それと同時に銃にエネルギーがチャージされる感覚がする。
俺は引き金を引いた。銃口から赤き閃光が放たれる。放たれた閃光は瓦礫に命中し、一瞬の内にそれらを無に返した。
だが、その威力は俺にも影響を及ぼす。その閃光の余波は俺を吹き飛ばし、壁へと叩きつける。
ドゴンと鈍い音がなる。かなりの衝撃だ。一瞬、息が止まる。そして、酸素を取り戻すと今度はまた息が荒くなる。
「ハァハァ、凄い力だ」
だが、ようやくこれで移動することができる。俺は立ち上がると、風見さんの前に立った。
「風見さん、俺は……」
ここを去る前に、風見さんには自分の思いを伝えなければいけない。今、自分が持つ澱みのない思いを。
「俺は過ちを犯しました。願いが叶うという甘言に我を忘れ、宿敵に自分を取り戻させてもらったものの、結局、風見さんを犠牲にしてしまった。
正直、今でも、願いが叶うならと思うところはあります。ユリ子や風見さんを生き返らせたらと。しかし、それは逃げでしかない。
自分の大切な人が死んでしまったという現実から、守りきれなかったことの責任からの逃げでしかない。
俺は戦います。戦士として、仮面ライダーとして」
俺が全てを告げた時、風見さんの懐から何かがこぼれ落ちた。これは……
「……これはV3ホッパー。これを俺に持っていけと言ってるんですか」
風見さんがもつ唯一の装備、V3ホッパー。空に打ち上げることで敵を探査できる装置。
俺が同じように使うのは無理だろうが、なにかに使えるかもしれない。
「ありがとうございます、風見さん。V3ホッパー、使わせてもらいます」
風見さんはやはり最後の最後まで戦士だった。俺はそんな風見さんの姿に戦士としての決意を新たにすると、踵を返す。
「もういきます。キックホッパーや結城と合流して、この殺し合いを潰すために」
俺は遺跡の出入り口を通り、樹海へと飛び出した。
俺は戦う。ユリ子の願いを叶え、世の中を平和にするために。V3の思いを継ぎ、戦士として戦うために。
人々に希望を与える、正義の戦士、仮面ライダーストロンガーとして。
SIDE.P
――我が名はパーフェクトゼクター
我はひとり、佇み、観察する。
目の前にあるのは褐色の壁。所々にヒビが入り、悠久の時を経てきたかのように見える。
だが、時空を超えることが出来る我だからこそ、それがまやかしだとわかる。
我が眼に映る物質の全ては実在のものを完璧に複製した紛い物だ。
確かにそのものが今まで経てきた時間さえも再現している。だが、所詮は紛い物、何者かの力で実体化しているに過ぎない。
これを作った術者が消えれば、この世界は全て無になることだろう。
その危険性を理解しているのが、果たして何人いるのか。
それにしても、我が城茂という男の手で壁に突き立てられから、もう1時間は経つ。
いいかげんこの状況にも飽きてきた。この1時間、我は様々なことを思案した。
首輪を着けられた者どもと違い、我自身の能力はほとんど制限されていなかった。
この空間に立ち込めた特殊な瘴気の影響で移動こそままならなかったが、他の機能に支障はない。だが、我らが置かれている状況はあまり芳しくないものだった。
ここに集められたものは同じ時間軸から集ったものではなく、必ずしもお互いを知りえているわけではないということ。
ザビーに話しかけたとき、ザビーは我の存在を知らなかった。彼の主である矢車想もホッパーになる前の矢車想らしい。
ザビーにとっては幸運だろうが、多くのものにとって、それは争いを生む火種となりうる。
その証拠にサソードの主、神代剣はこの戦いを勝ち抜くために邁進しているという。ガタックの主であった加賀美新も彼の刃にかかったとのことだ。
当然、天道総司も彼と戦うことになるだろう。それまでに天道総司は我を手にすることができるのか。
それ以前に我は誰かの従となることができるのか。ここが禁止エリアとなる前に誰かと会いたいものだ。
それから更に1時間が経った。
カツカツとこちらへと迫る足音が聞こえる。
足音の力強さから屈強な男だとわかり、リズムからかなりの速さで走っているとわかる。
ようやく我が主の候補が来たらしい。
以前の我の主は天道総司であったが、何も我が主が彼奴である必要はない。我が認める完璧な魂の持ち主であれば誰でも構わない。
果たしてその男は我が期待に応えるべき人物か?
「ハァハァ」
息を吐き、我を見つめるその男の容姿を若干の期待をもって我は確認する。だが、瞬く間に我の期待は崩壊した。
その男は我が知っている人物であった。
私利私欲に自分を失いながらも、白装束の魔人に諭され、己の拳で戦うことを誓った男。
名は城茂。またの名は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー。
「……力を貸してもらうぞ」
城茂は一言を発し、我を引き抜くと、来た道を戻っていく。
一体どういうつもりなのだろうか。城茂は我を捨てたのではなかったのか。ジェネラルシャドウに諭され、拳と電気で戦うことを誓ったのではなかったのか。
我が思考している間も城茂は走った。何かに急き立てられるように必死に。しばらくして、目的地に辿り着いたのか、彼は足を止める。
そこには壁を背に、ひとりの男が座していた。体中を傷だらけにして。身体の中心に一際大きな穴を開けて。
ようやく我の記憶の引き出しからその男の名が取り出される。風見志郎。城茂が一緒に行動していた男だ。
わずかな間ではあったが、風見志郎が熱く正義に燃える男であったのは理解できていた。
そんな男が殺人者になりかけた城茂を追って来なかったのはおかしいと気にはなっていたが。
「風見さん」
……そうか、城茂の考えが理解できた。
あの時、立ち直ったものの、風見志郎の死という現実に、やはり怪人となることを決意したか。
「だぁぁぁっ!」
城茂は我を構えると瓦礫の山に向かっていく。一心不乱に振るわれる多数の斬撃。我の鋭き刃が瓦礫を少しずつ切り裂いていく。
いいだろう、城茂。正義だろうと、悪だろうと、己の道を迷わず歩めるのなら、我は力を貸そう。
城茂の斬撃の合間を見計らい、我は身体に力を込める。するとグリップ部分が折れ曲がり、我はガンモードへと姿を変えた。
突然の変異に城茂は驚愕の表情を浮かべる。だが、その形の意味を理解すると瓦礫に向かって構えた。
赤いボタンを押すよう促すために、わずかにそれを振るわせる。城茂はそのサインに気付き、我のボタンを押した。
その指示に従い、我に赤きカブトの力が宿る。
――KABUTO POWER――
城茂が引き金を引くと同時に我の銃口から赤き閃光が放たれる。そのあまりの衝撃に城茂は慣性の法則に従い、吹き飛ばされた。
壁にその身体を強く叩きつけられる。だが、その代償と引き換えに瓦礫は粉微塵に吹き飛ばされた。
「ハァハァ、凄い力だ」
そうであろう。全てのゼクターをジョイントしたマキシマムハイパーサイクロンにこそ劣るが、それでも十分な威力を持っている。
城茂は立ち上がると、息を切らせながらも風見志郎の元に向かう。
「風見さん、俺は……」
そして、風見志郎の前に立つとその思いを告げた。
「俺は過ちを犯しました。願いが叶うという甘言に我を忘れ、宿敵に自分を取り戻させてもらったものの、結局、風見さんを犠牲にしてしまった。
正直、今でも、願いが叶うならと思うところはあります。ユリ子や風見さんを生き返らせたらと。しかし、それは逃げでしかない。
自分の大切な人が死んでしまったという現実から、守りきれなかったことの責任からの逃げでしかない。
俺は戦います。戦士として、仮面ライダーとして」
我は自分の考えが間違っていたことに気付いた。城茂は怪人になることを決意したわけではなかった。
風見志郎の意志を継ぎ、己の正義を貫くことを改めて決意したのだ。
我を手にとったのはそのため。変身できなくとも、力が使えなくとも、戦うために。人々を守るために。
風見志郎の懐から何か筒のようなものがこぼれ落ちる。
「……これはV3ホッパー。これを俺に持っていけと言ってるんですか」
V3ホッパーと呼ばれた機械には我のように意志が宿っているように思えない。ただの偶然だろう。
だが、亡骸となったはずの風見志郎の身体に今、わずかに火が灯った気がしたのは気のせいなのだろうか。
「ありがとうございます、風見さん。V3ホッパー、使わせてもらいます」
城茂はV3ホッパーをディパックに入れると踵を返す。
「もういきます。キックホッパーや結城と合流して、この殺し合いを潰すために」
城茂は樹海へと飛び出す。我と共に。
我は城茂に力を貸そう。城茂が望む限り、正義の戦士であり続ける限り。
【城茂@仮面ライダーストロンガー】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:樹海C-2】
[時間軸]:デルザー軍団壊滅後
[状態]:胸の辺りに火傷。
[装備]:V3ホッパー、パーフェクトゼクター
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:仲間を探す(仮面ライダーキックホッパー優先)。
2:殺し合いを阻止し、主催者を倒す。
3:明日、ジェネラルシャドウと決着をつける。
4:自分に掛けられた制限を理解する。
※首輪の制限により、24時間はチャージアップすると強制的に変身が解除されます。
※制限により、パーフェクトゼクターは自分で動くことが出来ません。
パーフェクトゼクターはザビー、ドレイク、サソードが変身中には、各ゼクターを呼び出せません。
また、ゼクターの優先順位が変身アイテム>パーフェクトゼクターになっています。
投下終了。
誤字、脱字、指摘事項、感想があればお願いします。
今回やたら難産orz
起きててよかった。
GJ!
パフェゼク絶好調! こいつを語らせるアイディアは面白い。
えらそうな口調の似合う剣ですねw 本当にw
茂の手に渡って、今後のバトルに期待が持てます。
茂の心情もよかった。風見を喪った悲しみがとても伝わりました。
彼の仇を茂がとって欲しいと、素直に応援できる話でした。
もう一度GJ!!
投下GJ
剣のくせに偉そうなやつだなw
茂も完全に自分を取り戻したし今後のこのコンビにwktk
ただ、カブトパワーはどうだろ。あれは「仮面ライダーカブト」が押すことでパワー補充されるんじゃないのか?
たしかにストロンガーもカブトムシではあるが、それじゃちょっと…だし
えーと突っ込みすいません
慣性の法則じゃなくて、作用反作用の法則だと思うんですが…
>>
>>724 うろ覚えだがカブトパワーはパーフェクトゼクター自体の力だったと思う。
かなり遅い報告ですが、したらばにて書き手交流スレを立てました。
中盤になって伏線が増え、キャラも集中するようになってきたので、書き手同士で打ち合わせをしようという目的で立てました。
もう一つ、新人書き手募集の為でもあります。
いつか言われた、内輪に閉じているとの話を聞いて、苦肉の策としてこのスレを立てました。
詳しくは書き手交流スレの、テンプレ例にて。
なお、このスレは性質上、ネタバレの要素が強いですので、ご注意ください。
また、スレはsage進行でお願いします。
729 :
名無しより愛をこめて:2007/04/30(月) 21:12:20 ID:UzcTb7jw0
age
協力したいのは山々だけど、文章書けないんだよね。
昔から作文とか感想文が苦手で出さないでしらばっくれたこともあったし。
>>724 指摘事項ですが、自分も迷いましたが、
文献書誌を調べた限りは明確に記述しているものはありませんでしたので、
流れ上、使えるもんだと判断しました。
>>725 ご指摘ありがとうございます。うっかりしてました。
アップに伴い、修正いたしました。
また、カブトパワーのあとにハイパーキャノンの音声を入れるのを忘れていましたので、あわせて修正のうえ、アップしました。
そろそろ第二回放送だっけ
誰か2回目の放送書きたい方はいませんか〜
トリップをナズェワズレヅンディズ!!
楽しみに待っています!
やっとうちの番だ!!
コピーしたのがバレバレだ/(^o^)\
>現在「パロロワ企画ラジオツアー」というのをやっていまして、そこで来る5/3の21:00からここでラジオをさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?
5/3じゃなくって5/4です申し訳ない……
>>734 ドラス周りが片付くのなら、第二回放送が近いですね。
他に書く人がいない場合は、自分が引き受けます。
進行状況報告。ただいま五割。
短いんで期限前には何とかなりそうです。
問題はドラスの話が書けるひとがいるかどうかか…
投下します。
波打ち際を歩く、白と金の人影。
二人はひたすらに、歩いていた。
会話は無い。一人は必要としてないように見え、一人は話は終わったと言わんばかりに、悠然と歩いていた。
金の体躯を持つ男は、メタリックな輝きで日を反射し、黒のマントを右腕の杖とともに揺らしながら砂に足跡を刻んでいく。
潮の香りが鼻孔を刺激しながら、将軍と呼ばれた男は思考する。
ジャークの目的、脱出の為にだ。
この首輪を外すには、専門の知識を持つ者が必要である。
こんな殺し合いを主催するなら、普通はそんな知識を持つ人物を参加させないだろう。
だが、ジャークの知っている、首輪を外せるであろう知識を持つ人物が、名簿には記載されていた。
(ライダーマン、結城丈二。奴にこの首輪の現物を渡せば、余の首輪も造作なく外せるであろう。しかし、それは罠か?)
そう疑うのも当然である。先程思考したように、そういった技術を持つ者を混ぜているのは罠以外ありえない。
自分たちを生贄にして、何らかの事をたくらんでいるのは明白だ。だが、神崎士郎とやらの目的は不明である。
せめて、神崎士郎の目的が分かれば、首輪を解体できそうな技術者を混ぜた事を推理できるかもしれない。
そこで、ふと思う。
(神崎士郎……奴の名を呼んでいた奴がいたな。なら、このゲームに神崎士郎の知人がいる。
この首輪があること自体興味がないのか、それとも首輪がなくなるような事態に絶対対応ができるのか、確信する必要がある。
余が探すのは、確か……城戸真司といったな。あの時デイバックとともに消えた人間は。
その後だ。結城丈二に協力させねばならぬのは)
もっとも、仮面ライダーと組むなど論外だ。
ボスガンとガテゾーンを殺した南光太郎の仲間などと組むことなど、払い下げである。
洗脳か、人質か。どうにかして結城丈二を支配下に置くことができないか、ジャークは頭を捻る。
洗脳する為の道具が支給されているかもしれないが、残念ながら手元のアイテムはそういった類ではない。
(なら、人質しかあるまい。無力そうな人間を一人、見繕わなくてはな)
将軍と呼ばれた自分を、犬のように拘束する忌々しい首輪に視線を落とす。
南光太郎に対する憎悪を、神崎士郎に対しても抱く。
(待っておれ。今にその場へたどり着き、そっ首を叩き斬ってくれるわ!)
歩みが強くなり、小山を形成する砂丘を踏み砕く。
細かな砂塵が足の周りを少し舞い上がり、ジャーク将軍のブーツに積もる。
右、左と行程を繰り返し、前へと進む。
その胸に、怒りと矜持を乗せ、風を切って進み続ける。
ガライは、鼻を刺激する潮の香りを生まれて初めて意識した。
他にすることが無いということもあるが、彼に芽生え始めた感情が、退屈という感覚を与えていた。
だからといって何か行動を起こすわけではない。
足を機械的に動かし、脱出に向けて進むだけだ。
生き残ることが優先なら、ジャーク将軍とともに行くのが生き残る確率は高い。
決して、アギトやズーのように信頼できる相手ではないが、利害は一致している。
ジャーク将軍も同じ考えなのだろう。
そこまで考え、疑問を持つ。
(信頼……何だ? それは? 確かにアギトやズーが俺を裏切る可能性は低い。
だが、それはフォッグマザーのもと生まれたゆえの摂理。信頼など不確かな揺らぎなどとは、関係ない)
己の考えを恥じるかのように、砂を強く踏み砕く。
砂が靴にまで入り、じゃりじゃりした感覚が足に宿る。
構わず進むが、ふとかさかさと動くヤドカリが視界に入る。
蹴ると、数メートルを移動し殻に篭った。
その様子を不快に思い、踏み潰す。
抵抗も無く簡単につぶれる感覚を足の裏に感じ、右頬が吊りあがる。
胸に湧き上がるどす黒い感覚に、ヨロイ元帥が相手だったらもっとよかったとガライは思う。
(まあいい。虫けらはまだ多くいる。そいつらを壊す機会など、山ほどある。なら、俺は生き残り、フォッグ・マザーへの生贄を選定すればいい。
だが、神崎士郎。キサマはただでは壊さん。俺を贄に選んだ事を後悔しながら壊してやる!)
業火のように激しい怒りが彼の胸を一瞬支配する。
自らの感情の芽生えに気づかず、異星の白い王子は砂の小山を壊して進み続ける。
やがて二人は目的のH10エリアへとたどり着いた。
周りを警戒しながら進んだためか、予定より時間を食ってしまった。
最早太陽は真上に輝き、二回目の放送が近くなっている。
ジャークは男の死体を無視して、放置されたデイバックを確認する。
男の武器であろう、刃のついたギターはガライに渡す。
ガライの剣技はヨロイ元帥を相手に充分見せてもらっている。
ガライの持っていた剣と、支給された剣があれば充分といえるが、持てる武器は多いに越したことがないだろう。
やがて、デイバックの中より銀のブレスレットが出てくる。
説明書によると、コーカサスという強化服を纏う為の道具のようだ。
しかし、そのためには道具に選ばれる必要があるらしい。
試しにジャークとガライが着けてみるが、特に反応は無かった。
これから仲間に引き込めそうな奴に使える者がいれば戦力になるだろうと判断し、自分のデイバックへと収めた。
やがて、二回目の放送が始まる。
ジャークは知らない。
己が手にした変身道具は、脱出の鍵となるアイテムの一つである事を。
【ガライ@仮面ライダーJ】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:海岸H-10】
[時間軸]:本編開始前。
[状態]:火傷(中程度。再生中)
[装備]:剣。装甲声刃。音撃弦・烈雷。
[道具]:ラウズカード(スペードのJとQ、ダイヤの3とQ、クラブの3と4)
[思考・状況]
1:どんな手を使っても生き残る。
2:ジャーク将軍と協力して、首輪を解除する。
3:ついでに生贄を手に入れる。
4:神崎士郎は残酷に壊す。
【ジャーク将軍@仮面ライダーBLACK RX】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:海岸H-10】
[時間軸]:ジャークミドラに改造後。
[状態]:健康。
[装備]:杖、変身後は大刀。
[道具]:不明(グランザイラスにもらったもの。中身は確認済み)ネタばれ地図。首輪。ライダーブレス(コーカサス)
変身鬼弦・音錠。
[思考・状況]
1:首輪の解析と勝ち残るための仲間探し。とりあえず無駄な戦いは避け、Gトレーラーへ。
2:神崎士郎を殺し、脱出する。
3:RXを殺す。
4:城戸真司を探し、神崎の目的を探る。
5:ライダーマン、結城丈二を支配下に置く。手段は問わない。
投下終了。
変身アイテムは支給しないといったのですが、今回はフラグを消化しておこうと支給しました。
誤字や矛盾などの指摘をお願いします。
乙
でもなんでコーカサスのブレスが脱出の鍵なんだ?
HCUできるから?
おそらくすごい伏線が
>>747 そういう事だろうね
もう一つの脱出の鍵であるハイパーゼクターは奇しくも宿敵RXが持っていたw
>HCUできるから?
原作でコーカサスが時間巻き戻しHCU使っていませんが、同じくHガタックも使っていなかったのに脱出可能な存在として扱われていたので、HCU使いは時空を超えると考えました。
他にも、HCUに関してコーカサスがどこまで使いこなしているかは明確に表記されていないので、時空越えもできると判断しました。
>後悔しながら壊してやる
ちょっと文がおかしくないかな?
間違えたorz
指摘感謝。
>(まあいい。虫けらはまだ多くいる。そいつらを壊す機会など、山ほどある。なら、俺は生き残り、フォッグ・マザーへの生贄を選定すればいい。
>だが、神崎士郎。キサマはただでは壊さん。俺を贄に選んだ事を後悔しながら壊してやる!)
ではなく、
>(まあいい。虫けらはまだ多くいる。そいつらを壊す機会など、山ほどある。なら、俺は生き残り、フォッグ・マザーへの生贄を選定すればいい。
>だが、神崎士郎。キサマはただでは壊さん。俺を贄に選んだ事を後悔させながら壊してやる!)
です。何回も見直したのにorz
修正乙です。
いろいろと伏線があり先が楽しみになりました。
城戸もやっと活躍出来そうですね。
投下乙です。
投下乙。
ジャークとガライの心情と脱出フラグの構築、見事でした。
同時コーカサスゼクターの支給により、天道が死んでも脱出フラグがなくならなくなったのが(邪笑
ドラス、麻生勝を予約します。
ただ、できれば日高仁志、影山冴子も予約して、放送後の話にそのまま突入したいと思います。
分けることも可能ですが、一緒に書いた方が都合がいいので。
放送案へのレスはしたらばへ。
あと誤字。
>ボスガンとガテゾーンを殺した南光太郎の仲間などと組むことなど、払い下げである。
払い下げではなく、願い下げではないかと。
うわ〜。
願い下げに変えてくださいorz
あと返信のほうをしたらばでしました。
わりとマイナーなネタを使っているなーと自覚してます。はい。
>ボスガンとガテゾーンを殺した南光太郎の仲間などと組むことなど、払い下げである
ゲドリアン・・
ゲドリアンはクライス要塞内で自滅したから、光太郎には殺されてないよ
しまったラジオ忘れてたorz
俺も……
誰かどうだったか教えて。
>>764-765 ・まとめが見やすくなった。
・お勧めSSの紹介。
・生き残りの半分マーダー。これ、異常。
・脱出派には希望がある。主にジャーク(ry
・光太郎自重w
・草加自(ry
ラジオはこんな感じ
オススメSSってどんなんが挙がってたのん?
「FULL FORCE」
「反撃」
「弱さを彩る為の刃」
「夢の欠片」
「龍帝――起つ」
光太郎の話全般
かな? 挙がったのは
光太郎って一体www
そういやキャラ紹介リクエスト無かったよね?
明日夢、あきらお願いします。
神崎士郎予約します。スマートレディは出るか微妙。多分出てきません。
っと、書き忘れ。
>>771 嬉しいんですが、少し気恥ずかしい。
書いているときはタイトルの曲を聴いてました。海道最高。
すみません、初めてここを目にした者なんですが、初歩的な質問です。
クウガのキャラや、アギトの葦原がいないのはどういった理由なのでしょうか。
まだ全部に目を通してないのですが、率直に疑問に思ったので・・・。
>>774 単に今回の参加は見送ろうかって話になっただけのような。
大丈夫だ。まだ第二回の可能性がある。
葦原はともかくクウガ勢は怪人以外はすぐ死にそうって
言われてなかったっけww
五代も含めて性格のいい人間ばっかりだからなあ…
せめて神経断裂弾とかバグンダダとかクウガ関連の支給品が出る事を期待しようやW
葦原は投票で一票も入らなかったんだよなぁ…。
木野さんは人気なのに('A`)
>>774 既に答えられているが、ライダーロワは開始当初、IDが変わらないうちに作品投票を行って結果、クウガが落ちた。
そして、キャラ投票を行って、葦原さんは落ちた。
投票に参加していれば葦原さんとアマゾンに入れたのに(ノД`)
まあ、その辺は第二回ということで、完結目指して気合を入れてます。はい。
五代をアルティメット暴走で大虐殺繰り広げさせて、その後正気に戻らせ絶望のどん底に叩き落としたかったなw
つーか以前今は亡き特撮ロワでそんな構想考えてた
そういや最初の方は一週間死者が出なければ暴走アルティメットを島に放つ
って案があったな。なつかしい。
拝見しましたが、私は問題ないかと思います。
熱いバトルでしたし、各種伏線も無理なく消化し、かつ上手い具合に新たに張られていると思います。
また、リュウガは首輪を解除できない。そして、首輪を解除すると龍騎勢は変身制限がきつくなるのも凄く面白い素材かと。
自分は全面的に賛成します。
とりあえずGJ!
最初タイトルからイレギュラーの存在は蔓画版Blackの未来の光太郎とかかと思った
ジョジョを彷彿とさせる裏の掻き合いが大変面白かった。
そういや空条承太郎と天道ってどことなく似てるなぁ。
>>◆TJ9qoWuqvA 氏
今更ですが、コーカサスのライダーブレスは金色です。
ブレスに装着してるゼクターと勘違いしていたみたいでした。
ちなみに次スレは誰が立てるのでしょうか?
今日暇ができるようなら、挑戦してみようかと。
立てれなかったときは誰かお願い。
LoadAverage = 130.32 (50.00以上は人大杉)
一 体 何 が あ っ た
龍騎と騎士のサバイブ抜かれてるみたいだけど他に抜かれたカードは無いの?
後、響鬼って紅になれる?
>>793 サバイブ以外は抜かれてない。
響鬼は紅になっても問題はないと思う。
ただ、書き手しだいだと思うが、ある程度制限はされているんじゃないかな。
>>793 新しい書き手さんかな?
ライダーロワにようこそ!
ハイパーゼクターを使用できるのはカブト・ガタック・コーカサス。
でもコーカサスができるのはハイパークロックアップだけだよな?
ハイパーキャストオフできるのはカブタックだけだろ?
問題ないようなので本投下したいのですが、容量がやばいことに。
携帯でも立てようとしたのですが、両方ホスト規制orz
すいませんが誰かスレ立てお願いします。
マップ&進行表更新は第二回放送投下と同時更新します。
>>796 そうだと思います。
まあ、劇中でもハイパーキャストオフしていないコーカサスをハイパーフォームにする人はいないと思いますが。
>>799 乙&多謝!!
ありがとうございます!!
それでは、残り容量で本投下行きます。
長いので支援お願いします。
暗闇浮かぶ豪華なパイプオルガンの前に、茶色のコートを着た、黒い髪が眼元まで届く陰気な男がシューベルト作『魔王』を奏でていた。
ただ陰気な場所に、神崎は右手で馬の疾走を表現し、左手で忍び寄る魔王を不気味に演出していた。
音楽がいっそう激しさを増し、神崎は今回のライダーバトルに思いを馳せる。
彼は自分の妹である優衣を救うためにはこの方法以外なかった。多くの命より、強い生命を精製する。
そのために、最後は自分が勝者となった。幾つもの命を犠牲に、彼は優衣に命を与えようとした。
だが結果は同じ。優衣は、毎回新しい命を拒んだのだ。
もはや、ライダーバトルを幾千、幾万繰り返したか分からない。
悠久の時を経て、神崎は自分の知った平行世界の人間を連れ出す準備をする。
十二人で駄目なら、五十二人の命を精製し、優衣でも拒めないほど強烈な力で、無理矢理命を与える。
それしか手段は無いと、縋るような思いで神崎は新たな戦いを決意したのだ。
そのうち、渡り歩いた時空の中、今にも消えそうな空間を発見した。
彼が参加者として選んだ、太陽の子と名乗る男が滅ぼした世界の一部だと気がついた。
自分の力をもってしても、一週間と少しの世界。多少のアレンジを加え、この地を舞台とした。
逃げ場の無いこの空間。終わるには勝利しか与えない。
この空間には一つ問題があった。鏡の世界でしか生きれない自らの身だと、この時空に干渉できる時間がごく僅かだったことだ。
その影響はミラーモンスターにも現れている。
本来なら現実世界で十分近く存在できるはずのモンスターたちが、一分程度しか存在できない。
もっとも、自分がこの世界に降り立つことはできる。異世界の技術の結晶、首輪がその鍵だ。
この首輪はリュウガへとつけたところ、その存在を空間へと定着させた。
彼と同じ存在である自分なら、首輪さえつければあの舞台へと行けるだろう。
だがその瞬間、力が制限され、空間は崩壊する。
間抜けな話だ。どうしても、首輪は存在を異世界に定着させると同時に、力をある程度奪ってしまう。
この機能は二つで一つ。神崎の技術力をもってしても切り離すことはできなかった。
結局、自らが選んだ参加者なら戦いに干渉し、わざわざ促進させる必要はないと判断するしかなかった。
802 :
名無しより愛をこめて:2007/05/09(水) 20:39:00 ID:8K6LBS8V0
ライダーバトルと同じく最後の一人になることでしか希望を紡げぬ者。
闘争を追い求め続ける者。
復讐を胸に秘める者。
この場に大切な存在がいる者。
……そして、何の力も持たぬ者。
無力な彼らを参加させるのは僅かに躊躇があったが、他の参加者を戦いへと促せる生贄として放り込む。
いざという時のため、切り札を二枚仕込んだ。
着々と冷酷な殺し合いの準備を進める神崎の姿は、『魔王』そのものだった。
選定が終わり、彼は一つの世界へ降り立った。
隕石が落ち、荒廃した土地。しかし、時空に何らかの干渉があったのか、崩壊寸前だ。
神崎はこの空間から参加者を集めるのを諦め、殺し合いに使う道具を回収するのにとどめた。
右手にあるのは銀のライダーブレスとドレイクグリップ。いずれも強力な武器だ。
その土地を去り、近い時空にほぼ同じ人物がいる世界が存在するため、参加者はそこから集めることにした。
無力な少女を呼び寄せる。少女の無防備な姿に、妹の優衣を思い出すが、心を鬼にして連れ出す。
暗い空間に、時が止まった少女を支えて神崎が佇む。
その胸中に広がるのは、暗闇か、容赦なき煉獄の炎か。
彼女を横たえ、せめて僅かな間でも兄であろう男のそばに置こうと思った。
突如、空間に静かでいながら甲高い足音が響いた。
「お婆ちゃんが言っていた。不味い飯屋と悪の栄えたためしは無いとな」
現れたのは、端正な顔立ちと豊かで癖の強い黒髪を持つ、長身痩躯の男。
後ろで日下部ひよりの傍にいる、時を止められた男と同じ顔をしている。
参加者の一人で、今連れ去ったはずの天道総司であった。
もちろん、神崎は平行世界の彼であることは気づいた。
問題は、どうやってここまで来れたかである。
こちらの考えを察したのだろう。天道は口を開き始めた。
「ハイパーゼクターは時空を超える。時空を操れるのはお前だけでは無い」
「……なるほどな。あの世界が消えかけたのは、お前の仕業か」
「ああ。ちゃぶ台をひっくり返した罰だ。お前と同じ、時空を彷徨うだけ。
お婆ちゃんが食事時に粗相をしたときは罰が当たるといっていたが、その通りだ。だが、それも妹を守るためなら悪くは無い」
天を割り、カブトゼクターが天道の右手に錐揉みしながら収まる。
カブトゼクターの角を天に指し、掴んだ右手を左肩まで持ってくる。
「変身」
呟くと同時に、天道が腰に巻いた銀に輝くベルトへと、カブトゼクターをセットした。
――HENSIN――
戦いを告げる電子音のゴングが鳴り響く。
六角形の金属片が銀と赤の装甲を精製して、青の単眼を持つ屈強な戦士が顕在する。
「キャストオフ」
――Cast Off――
銀の装甲が飛び散り、神崎の傍をかなりの速度で通り過ぎる。
顎よりせり上がる角が単眼を複眼へと変えた。
――Change Beetle――
力強い双眸を向ける、紅のカブトムシを模した戦士が天へと手を掲げる。
しえん
その手には銀のカブトムシを模したゼクターがあった。
左腰へとセットし、前へ向けていた角を、ゼクターを回転させ天に向けさせる。
角を倒し、最強への呼び声を静かに告げた。
「ハイパーキャストオフ」
――Hyper Cast off――
紅の戦士に新たな装甲が精製される。
頭と胸に銀の装甲が生まれ、角がボリュームを増し、胸の銀の装甲にカブトムシの角を模したアーマーが作られた。
――Change Hyper Beetle――
神崎の目の前で、ゆっくりと天を指差す。
「かかってこい。俺が正義だ」
厳かに告げる戦士の威圧に、神崎は僅かに体が押された錯覚を起こした。
目の前の男は、只者ではない。神崎は対抗するため、金の男を呼び寄せた。
「出番だ」
神崎が呟くのが聞こえる。
カブトは、突如現れた金のライダーに僅かに驚く。
だが、時空を操るこの男のこと、無力だとは思っていない。
「私は十三人目の仮面ライダー、オーディン。いや、このたびは五十三人目の仮面ライダーだ。
修正が必要になったようだな」
「オーディン、戦いの神を名乗るのか。俺は天の道を行き、総てを司る男。
相手にとって不足は無い」
鳥を模した杖を左手に、腕を組む金のライダー。
その威圧感に真っ向から対抗する。
お互いの隙を探して場が凍りつく。
一瞬にも、数時間にも感じる時間が流れた。
「フンッ」
オーディンの掛け声とともに、金の羽が舞い散る。
姿が掻き消え、カブトは後ろに気配を感じ、振り向きざまに顔を庇うように右腕を上げる。
重い衝撃が右腕と身体を貫き、たたらを踏む。
「今のを防ぐか」
「当然だ。この程度、天の道を行く者には容易い」
強がるものの、カブトの右腕は衝撃で痺れていた。
数十トンの攻撃にも耐えれる装甲が歪んでいる。
これほど強烈な攻撃は、ハイパーフォームになる前にくらったコーカサスの攻撃以来だ。
再び、金の羽が舞い、オーディンが姿を消す。
死角より拳が迫り、カブトは辛うじて身を捻って急所を外すが、吹き飛ばされ、地面を転がった。
そのカブトに、オーディンが姿を現して踏み潰さんとする。
その足を掴んで、跳ね上がってオーディンに拳を叩き込もうとする。
だが、オーディンは金の羽を残して姿消し、カブトの背後に現れ、拳の甲を叩きつけた。
カブトは壁に叩きつけられ、足がふらつく。強敵を目の前に、静かに闘志を燃やしていった。
「どうした? 私に手も足も出ないようだが?」
「なに、どの程度か見極めていただけだ。今からお前に俺が攻撃をくらわせる。
キサマはなす術も無く地に伏せるだろう」
「ほざくな」
再度姿を消えそうとするオーディンを目の前に、カブトはハイパーゼクターのボタンを叩いた。
しえん
「ハイパークロックアップ」
――Hyper Clock Up――
腕と足と胸の装甲が開き、金の輝きが暗闇を照らす。
背中より開いた装甲から、タキオン粒子が羽をかたどるようにエネルギーを形成し、時の流れを凍りつかせる。
羽を精製する前で、時の流れを遅くされたオーディンに、カブトは渾身の拳を叩き込む。
遅々として進むオーディンへ、回し蹴りを側頭部に当て、逆回しに裏拳をかます。
右腕がオーディンに当たる感触を感じながら、左手でハイパーゼクターの角を倒しカブトゼクターのボタンを押す。
――Maximum Rider Power――
――One――
オーディンの金の胸部アーマーに拳の連撃を六度続け、装甲を歪ませた。
無防備の腹に、中段蹴りを当てる。
――Two――
顎にアッパーカット気味の拳を打ち上げ、身体を浮かしたオーディンに身体を独楽のように回して蹴り飛ばす。
壁へ敵がひびを作り、埋め込まれるのが見える。
――Three――
オーディンを掴んで宙へ放り投げる。
凍りつき、流れの遅い時は格好の標的を作り上げた。
「ハイパー……キック!」
カブトゼクターの角を反転させ、戻す。
タキオン粒子のエネルギーが稲妻を模して、カブトゼクターからカブトの角へと流れる。
――Rider Kick――
カブトは地を蹴って天へと身体を躍らせる。
タキオン粒子の羽が更に加速させ、己が身を矢と化し、オーディンの身体を貫かんと唸りを上げる。
足の裏にオーディンの胸部アーマーを砕く感触を感じた。
金の破片が宙にいくつも飛び散り、カブトが時を支配する時間の終わりを告げる電子音が告げられた。
――Hyper Clock Over――
同時に、稲妻が轟いたような轟音を上げ、オーディンが勢いよく吹き飛ぶ。
金の破片が地面に乾いた音を立てて落ち、敵は壁を崩して瓦礫に埋もれる。
破壊の音が響く中、カブトは神崎へと向き直る。
「オーディンは倒した。後はお前だけだ」
だが、神崎は表情を変えない。
むしろ、余裕な態度に見え、怪訝に思う。
――TIMEVENT――
電子音が響き、瓦礫が宙へ浮き、元の壁へと吸い込まれ、ひびを無くしていく。
己の行動も、カブトゼクターの電子音も、逆回しになっていく。
――Hyper Clock Over――
しえん
オーディンに当てていた蹴りが離れ、地面へと下り戻る。
――Rider Kick――
カブトゼクターの角が、稲妻を頭からベルトへと走らせながら、元の位置へと戻る。
――Three――
三個目のボタンから指が離れ、宙を舞うオーディンが壁に戻る。
――Two――
二個目のボタンから指が離れ、体が独楽のように逆回転する。
――One――
一個目のボタンから指が離れ、歪んでいたオーディンの装甲が、修復する。
――Maximum Rider Power――
倒れていたハイパーゼクターの角が戻り、回し蹴りが逆回転して、元の位置へと戻る。
――Hyper Clock Up――
最後に、ハイパーゼクターのボタンからカブトの手が離れた。
「ハイパークロッ……」
「ムンッ!」
オーディンが手をかざし、金の羽が襲い掛かって、火花を散らす。
「クッ!」
ハイパーゼクターを叩こうとして中断され、カブトは歯噛みする。
相手が、時間を巻き戻したのを悟ったのだ。
「お前……時間を巻き戻したな」
「これで理解しただろう。お前は私には勝てない」
「そいつはどうかな? 俺は天の道を行き、総てを司る男。時を司ることくらい、造作もない」
「ほざけ。『時空』を渡ることはできても、『時』を操ることはできまい」
オーディンがベルトのカードデッキから、カードを取り出すのが見える。
(おそらく、俺がハイパーフォームになる前まで時を戻すつもりなのだろう)
鳥を模した杖に、カードをセットして電子音を暗闇に響かせた。
――TIMEVENT――
再び、時が巻き戻り、カブトがハイパーゼクターをつける前まで戻ろうと……
「ハイパークロックアップ」
――Hyper Clock Up――
しなかった。
オーディンは目の前でカードを掲げている。
「キサマ! 何をした!!」
「お前が時を三秒戻した時点で、俺が時を戻しなおした。お前が、カードをセットする前にな。
ついでに、近寄らせてもらった」
カブトは拳を固め、腰を落とす。
最大限まで溜め、信念を弾丸に拳の嵐をオーディンに叩き込む。
再び無傷だった金の装甲が、破片を飛び散らせる。
ひびの入った胸部へ、蹴りを放ち吹き飛ばす。
柱を倒して、オーディンは地に伏せた。
「ヌゥ……」
「言ったはずだ。キサマはなす術も無く地に伏せるとな」
悠然と告げる。その姿は、第三者が見れば、まさに孤高を表現した気高き姿だっただろう。
天の道を行き、総てを司る男。彼はオーディンと神崎に、神のごとき己が姿を焼き付けた。
(こいつ……)
しえん
しえん
しえん
しえん
オーディンは、かつてない強敵に身体を震わせた。
もっとも、それは恐怖からではない。
修正を果たせない自分に憤っているのだ。
オーディンは神崎の木偶でしかないと、秋山蓮が言っていた。
しかし、オーディンはもはや神崎そのものである。
優衣を救うために存在し、優衣を救うため戦い、優衣を救うために時を操る。
神崎の理想と執念の詰まった存在。たった一人のための仮面ライダー。
ゆえに今は負けることは許されない。否、今は負ける事を許さない。
ここがいつもの場所なら、負けたところで新たな身体を得ればいいだけだ。
しかし、今は違う。さすがのオーディンも、敗れてすぐ復活することは不可能だ。
ここでの負けは、最愛の人を救うことができなくなってしまう。
(彼女を救うためなら、他に何もいらない。彼女を救うためなら、鬼にでも神にでもなる)
(そうだ、オーディン。俺たちは、優衣のために……)
黄金の仮面ライダーが立ち上がる。
最早、身体はひび割れた装甲に覆われ、杖を持つ手は震えていても、闘志に一片の曇りも無い。
鳥を模した黄金の仮面は、静かな炎を瞳に宿して、カブトを睨みつける。
「私は……私たちは、妹のための、妹のためだけの! ヒーローだ! 仮面ライダーだ!!
こんなところで……負けはせぬ!!」
オーディンと神崎は吠え、ベルトからカードを取り出し、バイザーに収める。
――SWORDVENT――
天より黄金の、二振りの剣が降り、オーディンは両手でそれぞれを掴む。
カブトに向かって構えるその様は鬼気迫っていた。
「ヌォ!!」
金の羽を残して、カブトの背後から上段に振りかぶり、降ろす。
だがその攻撃は、厚さ一メートルはある鉄の柱を切り裂いただけだった。
「お前の動きは見切っている」
紙一重でかわしたカブトが、オーディンの腹にカウンター気味に拳を叩き込む。
血を吐きながら、オーディンは自分が仮面の下で、ニヤリとした気がした。
錯覚である事を自覚しながら、カブトの腕を掴む。
「知っている。だから、この時を狙ったのだ」
「ッ……!」
右手の金の剣が、伝説のヒヒイロカネの装甲を紙のように切り裂く。
カブトの胸から、血が吹き上がり、オーディンの仮面を赤に染めた。
「クッ……」
敵の空いている左拳が、オーディンの頭に数トンの衝撃を与え、脳を激しく揺さぶった。
二度、三度同じ攻撃を繰り返される。
だが、その場を退くつもりなど、彼には無かった。
拳を顎に、頭にくらいながらも、オーディンは更に間合いを詰めた。
吐息がかかる距離まで近付き、アッパーをカブトの顎へと叩きつける。
敵の体が宙を舞い、鉄の天井を砕いてボトッと落ちる。
同時に、オーディンも膝をつく。さすがに、まともに拳をくらえばただでは済むはずが無かった。
執念だけで足腰に力を入れる。すでにカブトは立ち上がっていた。
「哀れな奴だ。お前の行動は、妹を悲しませるだけにすぎない」
「それでも、やらねばならない。例え悲しませても、救うにはその道しかない」
「それが哀れだというんだ。兄なら、男なら総てを救ってみせろ」
「キサマはどうなのだ? 妹は、私たちの手にある」
しえん
しえん
「フッ、愚問だな。俺は天の道を行き、総てを司る男。
妹だけでなく、人間からアメンボまで、そして世界を救う男だ!」
「そのボロボロの身体で、守るだと?」
カブトは無言で天に指を指した。その心の強さに、三枚のカードを引き抜くことで応える。
バイザーにカードをセットにするのと、ハイパーゼクターの角を倒す行動が、同時に行われた。
――Maximum Rider Power――
カシャッと音を立て、バイザーが閉じると、敵がボタンを三つ押す。
――One――
――Two――
――Three――
バイザーがカードを読み込み、電子音を発生させる。
カブトは、カブトゼクターの角を反転後元に戻した。
「ハイパーキック」
――FINALVENT――
――Rider Kick――
炎を纏った黄金の不死鳥が、オーディンの背後へ召還される。身体を浮かし、金の鳥と並ぶ。
カブトは、腰を落として溜めを作っている。
「うぉおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ぬぅぅぅぉぉおぉぉぉぉ!!」
男たちの雄叫びが重なる。
しえん
オーディンは金の光を、破壊をもたらすために放った。
光がダイナマイトの爆発にも耐える鉄の壁を砕きながら、カブトへと迫る。
カブトは、地を駆け、稲妻に似たエネルギーを纏った飛び蹴りを放つ。
金の光と、紅い閃光がぶつかり、お互いを破壊するため迫り続ける。
全力と全力のぶつかり合い。戦いの神の名を持つ男と、天の道を行く名を持つ男の戦いは、まさに互角だった。
その拮抗を破るために、オーディンの背後へ神崎が立った。
彼の手には、日下部ひよりが存在している。
「天道総司。キサマの妹の命が惜しければ、その蹴りを収めろ。
キサマが勝てば、妹は俺たちとともに吹き飛ぶ」
陳腐だが、効果的な手だ。
事実、カブトは動揺を……
「その程度、考えないわけが無いだろう」
していなかった。もっとも、それくらいでなくては参加者として選んだ甲斐も無い。
次に彼がするであろう行動は目星がついている。対策も、先程ヒントをもらった。
「ハイパークロックアップ!」
僅かに焦った声で時を操る言葉を告げ、ハイパーゼクターのボタンを叩く。
妹を人質にとったのは、無駄ではないらしい。オーディンたちはカブトに、少しだけ共感をする。
――Hyper Clock Up――
電子音が、銀色のゼクターから発せられた。
時が遡り、オーディンがカードを収める前に……
――TIMEVENT――
戻らなかった。再び、時は神崎が背後に立つところで止まる。
「なにっ!」
「三秒の時点で時を巻き戻しなおした。先程の借り、返す!」
――ADVENT――
オーディンの光の中から、金の不死鳥が現れ、カブトを弾き飛ばす。
無防備となったカブトへ、混沌の光が装甲を破壊し、右手を引きちぎっていく。
決着は、オーディンたちの勝利でついた。
(やられてしまったか。お婆ちゃんが、急いては事を仕損じると言っていたが、その通りだな)
失った右腕の切断面に、焼き鏝を当てられたような痛みが、じわじわと広がっていく。
変身の解けた身体には、無数の傷が走っている。
傷は熱を持ち、皮を剥がしているような痛みが続いている。
体温は失血により、どんどん低くなっている。
自分が助からないことを、天道は悟った。
視線を神崎とオーディンに向ける。
意外にも、神崎はひよりを優しく地面へ降ろしている。
それが済むと、二人は天道の前へ立った。
「終わりだ」
「言われなくても分かっている。だが、ただでは終わらん。ハイパーゼクター!!」
天道の呼び声に応え、ハイパーゼクターが時空の彼方へと消える。
その様子に、神崎は怪訝な表情を浮かべた。
「……何をした?」
「このホールから、あの舞台へとワープさせるのだろう? あの世界はお前のような存在を拒んでいるようだからな。
だから、ここからあの世界へとワープする瞬間、いずれかの参加者の荷物にハイパーゼクターが紛れ込むように指示した」
しえん
しえん
「キサマ!!」
「お前の失敗は、俺の侵入を許したことと、平行世界の俺を参加者に選んだことだ。
全ての参加者を選び終えたのだろう? どうやら、あの五十二人しか召還できなかったようだな。
時の止まった者を殺しては、キサマの目的、新たな命の精製は行えない。
同じ理由で一定のルール違反を行わなければ、首輪を爆破できない。違うか?」
神崎の歯軋りを、肯定と受け取る。
なにも、天道は神崎の行動を察知してすぐ動いたわけではない。
ある程度、様子を見て動いたのだ。いや、干渉できるタイミングが限られていたため、様子を見るしかできなかった。
その成果が現れたことに、満足する。続けて、ひよりに視線を向ける。
(ひより、すまない。俺は、お前を助けることができなかった。できれば、優しい人間に出会ってくれ。人に絶望しないでくれ。
俺でなくても、お前の傍にいてくれる者は確実にいる)
自愛に満ちた視線を終え、続けて戦友へと視線を移した。
(加賀美。お前は俺が認めた男だ。必ず、ひよりを助け、こいつらに一泡を吹かせてやれ。
それができたら、義弟と認めてやる)
試すような視線を移動し、平行世界の自分へと向ける。
(お前が、天の道を行き、総てを救え。俺が出来なかった事だ。頼む)
最後に、仮面ライダーたちに視線を向ける。
(俺に、力を貸してやってくれ。一人で挑んで、負けた男がここにいるからな。
挫けず、平行世界で俺に見せたように、各々の正義を貫いてくれ)
「遺言は終わったか?」
オーディンが剣を首筋に当てた。
苦しみを短くする結果にしかならないことといい、遺言を待っていることといい、妹に対する扱いといい、意外と人は悪くないのかもしれない。
そんな考えに、馬鹿らしくなり微笑んでしまう。
「なぜ微笑む?」
「お婆ちゃんが言っていた。散り際に微笑まぬものは、生まれ変われないとな」
言い終わると同時に、首が刎ねられ頭が天に舞う。しかし、天道の表情は微笑んでいた。
天の道を行く男は、最期まで天の道を行く。
己が道を信じているがゆえに。
回想が演奏と同時に終わり、ガタックゼクターがハイパーゼクターを運ぶ過去の映像が浮かぶ。
神崎は、イレギュラーである銀のゼクターを睨みつける。
ジョーカーたちに指示しに行こうかと思ったが、彼ら自身が役に立つか怪しくなってきた。
相川始はともかく、リュウガまで変化するとは、意外としか言いようがない。
これでは切り札を仕込んだ意味が無い。
だが、反対に殺し合いは順調だ。
たった半日で三分の一が脱落など、今までのライダーバトルではありえなかった。
この調子なら、自分が手を出す必要も無いだろうとも考えられた。
参加者たちの中には、首輪を解除しえる技術を持つものもいる。
当初は、首輪を解除したところで、時空の牢獄から逃れられないゆえ、そのまま参加させていた。
例え首輪の拘束から逃れたとしても、脱出できなければ殺しあう以外道は無いからだ。
研究所を消さなかったのも、そうした考えがあってのこと。
だが、荒廃した世界の天道総司の干渉で、それが致命的なミスになりつつある。
そこまで考え、まあ良いと呟く。
いざという時は、首輪をつけたオーディンを放ち、天道総司をしとめるまでだ。
手には第二回放送の原稿がある。
胸には妹を救うことしかなく、更なる殺し合いを願う。
スマートレディに原稿を渡すため、その場を去った。
実は、神崎士郎も知らないことがある。
彼が殺し合いを促進させるために支給したライダーブレスが、ハイパーゼクターを扱える事を。
それがどういった事態をもたらすのか、誰にも分からなかった。