烈空戦騎ガイレイジャーいろいろ

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496ガイレイジャープロジェクト:2006/09/02(土) 17:16:32 ID:WotDsvq60
 「あの時はお父さんに女の子として育てられたからなんです」
 有紀はゆかりに自分が女性として育てられた事を話した。
 「僕は甲野家の末っ子として生まれました。その時の僕は男性か女性か分からない状態だったと聞いた覚えがあります。そのため僕は女の子として育てられる事になりました。でもある資料を見て分かってしまったんです。
僕が特別な人間だという事が…。そのときから僕はお父さんを恨みました。
 ある日そのことをお父さんに言ったら、カンカンに怒って僕を山寺へ送り出してしまったんです。行き場を無くした僕はお寺での生活を余儀なくされました。それから数週間たったある日のこと、兄弟子の疾風さんに出会ったんです」
 「でもどうして後から来たのに疾風さんが兄弟子なの?」
 「戦士としては彼のほうが先輩だからです。僕はお寺に来てから修行を始めましたから…。そのこともあって僕と兄弟子は仲がよくなりました。修行の時も、お食事のときも一緒でした」
 「そうなの、事情はよく分かった。有紀ちゃんも結構苦労してたんだね。女装が嫌いなのも分かる気がするよ」
 ゆかりはベンチから立ち上がって有紀の手を引いてあげた。
 「さっ、みんなのところへ行こう。みんなにそのことを話して分かってもらおうよ」
 「その心配はしなくていいぜ」
 有紀たちの前にいつの間にか遼たちが集っていた。
 「み、皆さん…。どうしてここに…」
 「お前の事は疾風から聞いたよ。俺達は仲間だろ。そんな事気にするなよ」
 「そうだ、たとえお前が誰であろうと私達の仲間なのに代わりはないんだからな」
 「そうそう、おいら達は仲間だもんね」
 仲間達が有紀に対して励ましてくれている。みんな有紀のことを心配しているのだ。
 「ありがとう…、みんな…。これで僕、決心が付きました」
 「有紀、やってくれるな。この作戦は君がいなくてはだめなんだ」
 ミツキは有紀の頭を撫でながら言い聞かせた。
 「…分かりました、それでは皆さん、がんばりましょう!」
 「よっしゃー!!」
 みんなは手を合わせて明日の作戦の成功を誓った。
 『まあ有紀が元気になったのはよかった。けど本当に言ってよかったのかな…』
 少しはなれたところでみんなを見ていた疾風は、少しはずかしそうにうつむいた
497ガイレイジャープロジェクト:2006/09/02(土) 17:18:23 ID:WotDsvq60
 そして次の日、遼たちは紳士ドクロイドを捕まえるために作戦を実行した。まず女子生徒の格好をした有紀が人気のない通りを歩いてドクロイドをおびき寄せる。ドクロイドが現れて有紀を襲おうとしたときに遼たちがドクロイドを囲み、
カードで脱出通路を封じ込めて逃げられなくする。そしてドクロイドを倒すという計画である。
 「じゃあ、頼んだぞ、有紀」
 「分かりました、みんな頼みますよ」
 有紀は制服姿で通路を歩き始めた。歩いている後ろに突然影が膨らみ始め、ドクロイドが出現した。
 「だ〜るまさ〜んがこ〜ろんだ!」
 姿を現したドクロイドは有紀を振り向かせるためにだるまさんがころんだを仕掛けてきた。
 「だめだ有紀、振り向くな!」
 振り向いてしまった有紀はドクロイドの影につかまってしまい、影に引きずりこまれる形になってしまった。
 「くそっ、有紀を放しやがれ!」
 いち早く飛び出した疾風は、有紀の手を捕まえて引きずられないように引っ張った。
 「あ、兄弟子…」
 「お前は誰にも渡しはしねえ!俺が惚れた最高の弟分だからな!」
 疾風はグッと手を引っ張るが、自分も影の中に引き寄せられてしまう形になってしまった。
 「このままじゃ二人とも捕まっちまうぜ!」
 「今ミツキさんが結界をはっている最中だ、信じて待つんだ!」
 二人が引きずられそうになったそのとき、突然結界が張り巡らされ、紳士ドクロイドの術を封じ込めた。
 「何とか間に合ったな。これで奴は影を使う術は使用できないはずだ」
 ミツキが物陰から姿を現した。
 「な、何?私の術が破られただと?」
 「どうやら後がなくなったようだな、紳士さんよ!」
 「自己紹介が遅れましたね、私の名前はジェントルマジシャン。以後お見知りおきを」
 「この人、なかなか礼儀正しいですね」
 「お前、感心してる場合かよ?とにかく奴を倒すぞ?」
 二人は変神してフォーメーションを取った。それを見たジェントルマジシャンは驚いていた。
 「なに?お前達はガイレイジャーだというのか?」
 「俺達はシャドウセイバーズだ、いい加減覚えろよ!」
 「まあそんなにこだわらなくても良いですけどね…」
 「さっさとやるぞ!?」
 シャドウの二人はジェントルマジシャンに立ち向っていった。
498ガイレイジャープロジェクト:2006/09/02(土) 17:18:55 ID:WotDsvq60
「何てことだ、女子高生がガイレイジャーだとは…!」
 混乱するマジシャン。それを見たフォルスは指を刺しながら笑っていた。
 「見ろよ、あいつお前が変神した姿見て混乱してるぜ」
 「兄弟子、そんな事で笑わないでくださいよ」
 アダンテは照れながらフォルスを肘でつついた。
 「え〜い、どいつもこいつも馬鹿にしおってからに…!食らえ、影縛り!」
 マジシャンは自分の影から出たひも状の物で、二人に襲い掛かった。
 「シャドウって名乗ってる俺たちが、こんな影で倒されるとでも思ってるのか?」
 二人はそれぞれの武器を召喚し、マジシャンに立ち向った。遅い来る影を、二人は次々と切り落としていった。
 「ば、ばかな?私の攻撃が通じないなんて…」
 「俺たち二人の前には、どんな敵でも断ち切れない絆があるのさ!そうだろ、有紀」
 フォルス=疾風はアダンテ=有紀を見た。有紀はそれに答えるように頷いた。
 「はい、僕たちの絆は永遠です!」
 マジシャンの上へと飛び上がる二人。そしてフォルスが前に、アダンテが後ろに並んだ。
 「ニードルマシンガン!」
 フォルスがマシンガンを連射して相手を油断させた後に、アダンテがコンバットダガーで切り裂く体制に入った。
 「ライトニングスラッシュ!!」
 十文字に切り裂かれたマジシャンは、影の中に溶け込むように消えていった。それと同時に捕らわれていた女子高生がその場に現れた。
 「どうやら奴が倒れると捕らわれた人たちは解放されるみたいだ」
 「これで彼女たちも安心して帰れますね」
 女子高生達はシャドウの二人のお礼を言って帰っていった。遅れてきた遼たちは、二人を祝福した。
 「よくやったな、あんなに息のあった攻撃は最高だったぜ」
 「ほんと、おいら達には真似できないよね」
 変神を解いた二人は、遼たちに感謝した。
 「皆さんのおかげです。こんな僕でも出来ましたから…」
 照れる有紀に、疾風がこんな事を言い出した。
 「それにしても有紀、お前の制服姿、けっこう似合ってるぜ…」
 それを聞いた有紀は、顔が真っ赤になってしゃがみこんでしまった。
 「そ、そんな…。茶化さないでくださいよ…」
 照れる有紀を見て、みんなの笑いがこだました。
499ガイレイジャープロジェクト:2006/09/02(土) 17:19:35 ID:WotDsvq60
「何てことなの、マジシャンが敗れるなんて…」
 司令室で一部始終を見ていたミスティは、悔しがっていた。
 「あのドクロイドは偵察用だ、奴に倒せるとは最初から思っておらんわ」
 隣で見ていたエディスがミスティを見てつぶやいた。
 「それにお前は奴らを軽く見ている。その調子では邪神王さまの復活など夢のまた夢だ…」
 「そんな事言わないほうがいいんじゃないか?」
 司令室に入ってきたヴェルデルが、エディスの言い分に異を唱えた。
 「まだ時間はある、そんなに焦らなくてもいいんじゃないか?この時点で目標の半分は達成されたんだからな」
 「とはいっても、これ以上やつらの好きにさせると、とんでもない事になるかも知れんのだ。早急に手を打たんと…」
 焦るエディス。しかし何者かが影でそれを見ていたのには、誰も知らなかったのだ…。

第20章終わり

【次回予告】
 シュペルターが何者かの手によって脱走した。脱走したシュペルターは復讐をするため、配下のドクロイドを集めて反逆を企てようとする。
果たしてその計画とは…?
烈空戦騎ガイレイジャー第21章!「反逆のシュペルター!謎の邪弾計画」
 復讐の牙が襲い掛かる。
500ガイレイジャープロジェクト:2006/09/02(土) 17:38:46 ID:WotDsvq60
ガイレイジャー第20章をお送りしました。
今回は有紀の過去のお話です。有紀のトラウマのなぞや、どうやって疾風と有紀が
出会ったのかを書いてみました。少しライトな感じで書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。
次回は本来の流れに戻ってシリアスな展開になりますので、期待してください。
>>486 サポーターさん
今回は女装云々よりも、有紀の過去を重点に書いてみました。女装はおまけみたいな物です。
次回は今回とは違った雰囲気になりますのでご期待ください。
>>487盛り上げる会さん
前回の車椅子の子は、疾風との信頼と友情を書いた作品でした。今回は有紀についてのお話です。
女装という題材を使いましたが、それは有紀のトラウマを書きたかった口実に過ぎませんでした。
何はともあれ、何とかいい方向へ引っ張れたので、自分としては半分は満足しています。
最後に、設定集です。今回は先延ばしになってしまっていた、騎覇王凱零刃の設定です。
どうぞご覧ください。
501ガイレイジャープロジェクト:2006/09/02(土) 17:39:53 ID:WotDsvq60
メカニック紹介 (騎覇王凱零刃編)

全高57,2m、重量2300t
 騎覇王凱零刃は、凱零刃とダルクリアンが合神して誕生する「超烈空戦騎」である。
計5機のアトマイクスジェネレーター(正確には中型のジェネレーター3機と小型のジェネレータ4基)をフル稼働させることが出来るため、驚異的なパワーを引き出す事が可能となっている。
また合神前の武装もほとんど使用できるため、あらゆる状況に対応する事が出来るフレキシビリティも併せ持っている。
 武装は合神前の武器と、新たに使用することが出来るようになった両肩の「騎覇重力砲」、胸の獅子の口から発射される「ハウリングブラスト」、ダルクリアンの武器を組み合わせた「アックスランス」、
烈空剣とシールドが合体した「騎覇王剣」などがある。必殺技は騎覇王剣に自然エネルギーを集めて切り裂き、浄化させる「天王乱舞」など。
502名無しより愛をこめて:2006/09/02(土) 20:56:35 ID:f0y88Hvi0
サポーターです。
20章見ました。
女装を嫌がる有紀の暗い過去、疾風と出会ってシャドウセイバーズになった
経緯けっこういいですね。
503ガイレイジャーを盛り上げる会:2006/09/05(火) 17:26:10 ID:7pi6lwis0
第20章拝見しました。
助走ネタと思いきや、有紀の過去の話なのでびっくりしました。
最後の敵側の動きが少し気になりますが、それは次回以降大きな動きになるみたい
なので、楽しみです。
504ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:48:18 ID:DtEW+yPD0
第21章反逆のシュペルター!謎の邪弾計画


 ここは研究室の倉庫。そこにシュペルターが封じ込められている箱がおいてあった。その倉庫に一人のドクロイドが入ってきた。
 「シュペルター様、脱出の準備が完了しました」
 そのドクロイドは身体が大きく、まるでゴリラみたいな体つきだった。
 「おお来たか、クエイカーコング。ここから出してくれるのを長い間待っていたぞ」
 「それではさっそくそこから出す準備をしましょう。私たちの研究班が箱の封印を解く装置を開発しましたので、すぐにここから出して差し上げます」
 クエイカーコングは封印の箱を懐にしまい込み、倉庫から出て行った。
 それから数十分後…。
 「大変ですヴェルデル様、ドクロイドが数名、魔界戦車を乗っ取って脱走しました!」
 報告係のドクロ兵が司令室に入ってきた。それを聞いたヴェルデルは、青ざめた顔になった。
 「もしや…、奴ら裏切ったのか?」
 「もう一つ残念なニュースがあります。研究室の倉庫からシュペルター様の入っている封印の箱がなくなっていました。おそらくドクロイド達はそれを持って逃げたと思われます」
 しかしヴェルデルは少し笑みを浮かべていた。
 「ばかな、あんなものを持っていったとしても何の役に立たないというのに…。あの箱には封印の呪文がかけられているのだぞ」
 「しかしシュペルター様の研究所跡には封印を解いた痕跡がありました。おそらくドクロイド達は封印を説く方法を解読したのかもしれません」
 ヴェルデルはそれを聞いたとたん、立ち上がって怒りをあらわにした。
 「ま、まさか奴らが封印を解くまでの知能を持っていたとは…。今からでも遅くはない、奴らを追うんだ!」
 「は、はい!」
 さっそく魔界要塞から戦闘用ジェットが数機、シュペルターたちの乗る魔界戦車を追いかけていった。
 「シュペルターめ、油断もすきもない奴よ!何をたくらんでいるかは知らないが、ただでは済むと思うなよ!!」
 ヴェルデルは愛剣を引き抜き、力任せに近くの像を一刀両断した。
505ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:48:51 ID:DtEW+yPD0
「あ〜、今日はよく晴れたなあ」
 土曜日の休日、智世は晴れ渡った青空の下、背伸びをしていた。
 「よく言うぜ、俺達は今日も仕事だというのによ」
 智世の姿を見て文句を言う遼。しかし手伝いに来た大樹がなだめた。
 「まあいいじゃないか、今日は午前中で終わりにしていいって宗一郎さんが言ってたんだから」
 「でもよ、近くであんなことやられてたら無性にいらだつんだよな」
 遼はぶつぶつ言いながらワゴンに荷物を運んでいった。
 「まったく、お前には呆れるよ。ミツキさんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいよ」
 「なるほど、爪の垢にそんな効果があるのか」
 近くで荷物の点検をしていたミツキが大樹のそばにやってきた。
 「だったらすぐにでも爪の垢入りのお茶を飲ませてあげようか?」
 「物のたとえですよ、ミツキさん」
 「そ、そうか…。ところで前に聞いた烈空の金貨のことだが、その内の一つに心当たりがあるんだが…」
 ミツキの言葉に、大樹は仕事の手を止めた。
 「ほ、本当ですか?それでどこにあるんですか?」
 「まあまあ、そのことは仕事が終わってから話そう。今は仕事の方が大切だろ?」
 「は、はい…」
 ミツキは仕事があるため、元の場所に戻っていった。
 残る金貨はあと三つ…。早く見つけないと再び邪神が復活してしまうときに太刀打ちできなくなる…。大樹はそのことで仕事に身に入らずにいた。
 「おい、そっちじゃないぞ。この荷物はあっちの倉庫だろ」
 宗一郎に注意されて、大樹は我に返った。
 「す、すいません。すぐに運びなおします」
 「どうしたんだ、いつものお前らしくないぞ。何か悩み事でもあったか?」
 宗一郎が心配そうに大樹の顔を覗き込んでいた。
 「いえ、何でもありません。たいした事じゃありません」
 「そうか、それならいいんだが」
 宗一郎は待機の肩を叩いて事務所に戻っていった。
 「…私としたことが、悩んでしまうなんて…」
 大樹は荷物を運びながらつぶやいた。
506ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:50:07 ID:DtEW+yPD0
 仕事が終わり、他の仲間とともに皆川教授の研究室に集ったミツキたちは、まだ発見されていない残りの烈空の金貨について話し合うことにした。
 「今わたし達が所有している金貨は五つ、残りの金貨の在りかを探すためにこれからどうするかをみんなで話し合おうと思う」
 ミツキが言った五つという言葉に、遼は疑問を持っていた。
 「ミツキさん、俺たちの持ってる金貨って、四つじゃなかった?」
 「実は一つは私が持っているのだ。ガリバーベース内に隠していたのをすっかり忘れていたのでね…。言うのを遅れてしまってすまない」
 「しっかりしてくださいよ、ミツキさん」
 「それでは気を取り直して、残りの金貨についてだが、この地球上には存在しないのだ」
 驚く一同。それもその筈、地球上のどこにもないということを知ってしまったからだ…。 
 「みんな、話は最後まで聞いてほしい。地球上にないということだが、別の天体には存在しないとは言ってないのだ。第六の金貨は…、月にあるのだ」
 再び驚く一同。
507ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:51:16 ID:DtEW+yPD0
「月って…、地球の周りを回ってるあの月?」
 「そうだ、昔善神ヴィーダが烈空の金貨で邪神王を封印したという話は聞いたことがあるな。その封印後、ヴィーダは金貨を悪用されないようにそれぞれ別々の場所に隠したんだ。
見つかりにくいところにね」
 「だから私たちが見つけたところは人気がない場所だったわけですね」
 「にしてもいきなり月かよ。一気にスケールが大きくなっちまったな」
 「まあ今更って感じもするがな」
 みんなが意見を言い合っている間を縫って、これからどうするのかを説明した。
 「これから説明をするので聞いてほしい。まず月にある金貨の事だが、私と疾風、それと有紀で取りに行こうと思う」
 それを聞いて遼はミツキに質問をしてみた。
 「残った俺達はどうするんだよ」
 「残りのメンバーは地球の守りについてもらう。つまり留守番というわけだ」
 「ええ〜、おいら達留守番なの…」
 「仕方ないだろう、私たちまで月に行ってしまうと地球の守りが薄くなってしまうからな」
 「その通りだ」
 大樹の答えに、ミツキは同意した。
 「もしも金貨を取りにいった隙を邪神軍側に突かれたら大変な事になってしまうからね、遼たちには残ってもらうんだ」
 「だから俺達は留守番しないといけねえのか…。だったらしょうがねえよな」
508ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:51:49 ID:DtEW+yPD0
 そんなわけでミツキと疾風と有紀は月にある烈空の金貨を取りに、遼と大樹と海は地球に残る事になった。
 「あ〜あ、いっちまった…」
 「まだ駄々をこねてるのか、お前らしくもない」
 「おいらだって月に行きたかったよ。でも留守のときに邪神軍に攻められたらだめだもんね」
 二人の言い分を聞いているうちに、遼はすっかり諦めていた。
 「仕方ねえな、あいつ等の分までこの星を護ろうぜ」
 遼が決意を固めたそのとき、突然何者かが三人の前に現れた。
 「見つけたぞ、ガイレイジャー」
 「お、お前は…シュペルター!?」
 遼たちは彼の姿を見て驚いていた。シュペルターはもはや、前に見た姿ではなくなっていた…。
 「その姿、もしかして…!」
 「そうだ、私は半ドクロイド化してよみがえったのだ…。お前達に復讐するためにな…!」
 シュペルターが合図を出すと、影から精鋭隊のドクロ兵達が三人を取り囲んだ。
 「このままでは危険だ、早く変神しないと…!」 
 「よし、烈空変神!!」
 三人はガイレイジャーに変神し、ドクロ兵達に立ち向った。
509ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:53:10 ID:DtEW+yPD0
 一方烈空の金貨を探しにいったミツキたちは、月のクレーターに到着していた。
 「月ったってどこを探せばいいんだよ?まさかしらみつぶしに、ってわけじゃねえよな…」
 「安心しろ、凱閃煌のレーダーで金貨がある場所は把握している。そこをたどっていけば金貨のあるところへいくことが出来るはずだ」
 一行は金貨の反応がある場所へと移動を開始した。
 「…何もない場所ですね…。何か出そうな感じがしますね」
 「おいおい、脅かすなよ。こんな所にいるのは邪神軍くらいだろ」
 金貨の場所へと近づいていくと、クレーターの中心に何かの装置があるのを発見した。
 「あれは…!」
 「おそらくこの場所がそうみたいだ。みんな、気をつけて降りるんだぞ」
 クレーターの近くに降り立った一行は、装置の近くまで徒歩で行くことにした。
 「どうして戦騎で取りにいかないんだ?」
 「戦騎でいこうとすればトラップにかかってしまう確率が高い。だが徒歩なら入り込みやすいし、あの装置を壊さずにすむだろうからな」
 「なるほどね、じゃあ、早く済ませましょう。有紀、留守番たのんだぜ」
 「気を付けてくださいね、何が起きるか分かりませんから」
 二人は有紀を残して装置があるクレーターの中心まで近づくことにした。
 「重力が少ないと歩きにくいな」
 「ガマンしろ。もう少しで中心部だ」
 二人が装置のすぐ近くまで近づいたそのとき…!突然巨大な四本足のマシンが地底から現れた。
 「な、何なんだあれは?」
 「古代の防衛システムだろう。あいつを倒さない限り金貨は手に入れることは出来ないらしい」
 「勘弁してくれよ〜、楽に手に入れることができると思ったのに…」
 仕方がないので、二人はマシンに立ち向っていった。
510ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:53:57 ID:DtEW+yPD0
 「くっ、これじゃきりがねえぜ」
 親衛隊ドクロ兵達を相手に、ブラスたちは苦戦を強いられていた。
 「こんなに数が多いんじゃ俺たちの方がまいっちまうよ」
 「何とかしてシュペルターの側までいければいいんだが…」
 しかしこれだけの数のドクロ兵である、そう簡単には突破する事は難しいだろう。
 「おいらが突破口を作る。その隙に二人はシュペルターの所へ!」
 「でも大丈夫なのかよ?お前だけじゃこんな大勢のドクロ兵相手に出来ないだろ?」
 「…おいらを信じて。必ず生きて帰ってくるから」
 ブラスとマックスはカインの言う事を聞くことにした。
 「わかった、お前の事を信じよう。ここは頼んだぞ」
 「…無事でいろよ、お前も俺たちの仲間だからな」
 それを聞いて安心したカインは、シューターをモードチェンジさせてシュペルターがいるところ目がけて発射した。
 「今のうちに、早く!」
 その隙に二人はシュペルターのいるところ目がけて走っていった。
 シュペルターのすぐ近くまで来た時、ドクロイドが二人の前に立ちふさがった。
 「ここから先へは行かせんぞ!」
 「おお、来たかバインドコンドル」
 バインドコンドルは羽を飛ばしてブラスとマックスを攻撃した。その隙にシュペルターは逃げていった。
 「くっ、ここまで来て」
 「ブラス、ここは私が相手をする。お前はシュペルターを追うんだ」
 「お前までいなくなったら、俺は…」
 「弱音を吐くな、お前らしくない。大丈夫だ、すぐに倒して後から追いつくから」
 ブラスはマックスにこの場を任して、シュペルターを追っていった。
 『みんな…、無事でいるんだぞ』
511ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:56:19 ID:DtEW+yPD0
 ブラスはシュペルターの後を追うが、廃工場の近くで見失ってしまった。
 「どこだ、シュペルター!隠れてないで出て来いよー!!」
 そのとき、地鳴りが起きて廃工場から魔界戦車が出現した。
 「お前の相手はこの魔界戦車だ。どこからでもかかってくるんだな!」
 「またあの魔界戦車か。こうなったら戦騎を呼んで戦うしかない!」
 ブラスは自分の戦騎を呼び出して戦いに挑んだ。しかし凱鳳凰だけでは魔界戦車には歯が立たなかった。
 「だ、だめか…。合神しないと奴には勝てねえ。おい、マックス、カイン、戦騎を呼び出してくれ」
しかし誰一人として答えるものはいなかった。
 「だめか…。このままじゃ手も足も出ねえ。どうすれば…」
 ブラスはあることを思い出した。それは少し前、ミツキから渡されたカードのことだった。
 『もしものときがあったらこのカードを使ってくれ。これはエクストラカードといって、もしもピンチになってしまったときに一回だけ使えるカードだ。ただし普通は使えない能力を使うわけだから使用回数は一回とさせてもらうよ。
何回も使ったらそれだけの負担がかかるからね』
 「…そうだ、このカードを使えば他の戦騎を呼び出して合神することができるはずだ。よし、一か八かやってみるか」
 ブラスはエクストラカードをスラッシュした。
 〈使用する機能を言ってください〉
 「凱零刃に合神したい」
 〈了解しました。それでは凱獅子王と凱龍王を召喚します〉
 チェンジャーは召喚モードになり、他の二騎を召喚した。
512ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 17:59:13 ID:DtEW+yPD0
 「よし、いくぜ!烈空合神!!」
 三騎は合神形態にはいり、凱零刃になった。それを見たシュペルターは慌てふためいていた。
 「ど、どういうことだ、こんな状態で合体できるのか?」
 凱零刃は魔界戦車に立ち向っていき、烈空剣で攻撃した。
 「ふん、この魔界戦車には、まだ奥の手があるのだ。変形せよ、魔界巨人ガードランダー!!」
 シュペルターの号令で魔界戦車は変形し、巨大なロボットになった。
 「こんなのありかよ!?だがお前らの好きにはさせるわけにはいかねえんだよ!」
 凱零刃はガードランダーに攻撃を続けた。しかしガードランダーはびくともしなかった。
 「お前もこれで終わりのようだな。ついでだから私の計画を冥土の土産に聞かせてやろう。私の作戦、それは地上を消滅させる『邪弾計画』を実行させる事だ!!」
 「そ、そんな事、俺たちがさせねえよ!」
 「そんな状態で私の計画をとめることは出来んよ。このまま地上が滅ぶのを見ながら死ね!」
 ガードランダーは凱零刃を投げ飛ばし、ミサイルで攻撃した。
 「このまま倒れるわけにはいかねえんだよ…」
 ブラス=遼の声がこだました…。

第21章終わり

【次回予告】
 ついに明かされたシュペルターの邪弾計画!遼たちはそれを止めようとするが、魔界巨人に行く手を阻まれてしまい苦戦を強いられてしまう。
 一方ミツキたちは金貨を取りに行くために結界の中へ進入する。そしてそこでミツキたちは謎の紋章を発見する…!
 烈空戦騎ガイレイジャー第22章!「発動・紋章の力」
 天の光は奇跡を生むのか?
513ガイレイジャープロジェクト:2006/09/09(土) 18:17:51 ID:DtEW+yPD0
ガイレイジャー第21章をお送りしました。
今回からはハード路線が続きます。シュペルターの復活と反逆、残りの金貨の行方、
そしてばらばらになったガイレイジャーたち・・・。この展開は次回も続きます。
次回はシュペルターの邪弾計画と天空人が残したあるアイテムが明かされることになります。
どうぞお楽しみに。
さて、ここのスレもいよいよ容量がいっぱいになってきました。このスレで書けるのも次回が
最後になると思います。その次の回からは新たなスレになると思いますのでご了承ください。
そのため今回と次回は設定集をお休みしようと思います。その分新たなスレで設定を載せようと思います
野で、楽しみに待っていてください。
>>502サポーターさん
有紀の意外な過去は、考えるのに苦労しました。女装というギャグチックな展開から始まったのはいいのですが、
どういう風に展開させていこうか悩みました。そこで有紀の過去話が出てきたわけです。つまり女装嫌い=有紀の過去
という風につなげてみようか、という話からこのような展開になったわけです。
今回はまた本来の路線に戻りましたが、またこのようなギャグ系のお話を書いてみたいですね。
>>503盛り上げる会さん
前回のラストは今回の話に直結しています。また、シュペルター配下のドクロイドの設定の一部は前に
書いていただいた設定を元にしています。やっぱり直属のドクロイドは必要ですからね。
次回は驚く展開が用意されていますので、楽しみに待っていてくださいね。
514ガイレイジャーを盛り上げる会:2006/09/11(月) 14:37:47 ID:qS2j/29M0
第21章を見ました。
今回から急展開ですか。どんな風になるのか楽しみです。
もうそろそろ飛竜の出番もあるかな?期待しています。
515名無しより愛をこめて:2006/09/13(水) 13:50:35 ID:0hi2JNYG0
ウンコを作る時に発生する大量のメタンガスも有効活用出来ないだろうか?
今の所、電車で隣にうざい奴が座って来た時に催涙ガス代わりに放出する
位しか使い道が無い。
しかも、ケツを浮かす方向をミスると自滅する危険も伴う諸刃の剣。
516名無しより愛をこめて:2006/09/13(水) 17:46:29 ID:PvbzzNWo0
ごめん、スレ違いだった。
517名無しより愛をこめて:2006/09/16(土) 23:03:20 ID:oJau3qez0
サポーターです。
忙しくて今日21章見ました。
ギャグ編の2回も終わって本格的に邪神軍が動き始めましたね。
518ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:30:30 ID:wwFM8bnQ0
第22章 発動、紋章の力

 月にある烈空の金貨を取りにいくために、ミツキたちは金貨を護るマシンと遭遇した。このマシンは金貨の防衛のために作られたいわゆる守護神的存在だ。
ミツキと疾風はそのマシンと戦う破目になってしまったのだ。
 「なあ、あんたの命令であのマシンをとめることは出来ないのか?あれはあくまで天空人が作ったものなんだろ?」
 疾風=フォルスの質問にミツキ=ジェネシスは残念そうに答えた。
 「だめなんだ、さっきも試したんだがまったく応答がない。もしかしたら誰かに操られているか、プログラムが狂ってしまったかどちらかだと思う」
 「そうか、つまりこの怪物を壊さない限り先には進めないというわけだな」
 「それしかないだろう。私達は早い内に金貨を取りに行かなければならないからな」
 しかし防衛マシンの攻撃は次第に増すばかりだ。何とかしてここを突破しなければいけない。覚悟を決めたフォルスとジェネシスは必殺技で突破口を開く事を決意した。
 「私の合図で一斉に必殺技を相手にぶつける。もしタイミングが合わなかったりはずしたりしたら後はないと思え。いいな」
 「あいよ、要するに二人の必殺技をあわせて急所にぶつければいいんだな」
 「そうだ、相手を十分にひきつけてから打つぞ」
 防衛マシンの気をひきつけるために移動する二人。そして行き止まりまで来たそのとき、ジェネシスが説明をした。
 「額の制御パネルを狙うんだ、チャンスは一回だけ、撃てといったら一斉に放つぞ」
 「OK,たった一度の賭け、喜んで乗ってやるぜ」
 次第に迫ってくる防衛マシン。100mを切った時、ジェネシスが発射の合図をした。
 「いくぞ、シャイニングアロー!!」
 「バーストスティンガー!!」
 二人の必殺技が弧を描いて発射された。
519ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:33:07 ID:wwFM8bnQ0
 一方地球では、凱零刃が巨大兵器『ガードランダー』の攻撃に苦戦していた。
 「何だこいつ、パワーが桁違いに強すぎる!」
 ガードランダーの攻撃を受け、凱零刃は防御に集中しなければならなかった。それだけ強いのだろう。
 「せめて騎覇王に合神できれば…」
 「ほほほ、この魔界巨人はかつて邪神王さまの一部が合体した『魔王戦車』を基にして作られた最強の巨人、凱零刃ごときにやられるやわなものではないわ!」
 ガードランダーの攻撃を受け続けた凱零刃は、ついに倒れてしまった。
 「お前さえ倒せば私の計画を妨害するものはいなくなるはずだ。さあ、さっさと破れるがいい!!」
 胸からミサイルを発射しようとするガードランダー。しかし発射しようとした瞬間、何者かによって攻撃されてしまい、発射するタイミングを逃してしまった。
 「何者だ!?」
 そこには見慣れないマシンが一機、ガードランダー目がけて飛来していた。
 「…あれは…教授が前に言ってた飛竜か?」
 マシンはガードランダーを攻撃し、凱零刃から退かせた。そして両肩のキャノンでミサイル発射口を狙って発射した。
 「いかん…!ひとまず引くんだ!」
 ガードランダーは狙われる前に変形してこの場から去っていった。
520ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:34:03 ID:wwFM8bnQ0
 凱零刃から降りたブラスは飛竜が降り立った場所へ駆けていった。
 「大丈夫か?ガイレイジャー」
 飛竜のコックピットからパイロットが出てきた。
 「ああ、それより仲間が苦戦してるんだ、助けに行ってくれないか」
 「それなら心配ない、特殊部隊が彼らを助けにいったところだ」
 それからすぐにマックスたちが特殊部隊とともにこちらへやってきた。どうやらたいした怪我はないようだ。
 「みんな、無事だったか」
 「どうやらあいつ等は私達をおびき寄せるために暴れていたみたいだ。特殊部隊が来たとたん撤退していったからな」
 「だがこれからどうするんだ?ミツキさんらが帰ってくる前に攻められたら大変な事になるぞ」
 「心配ない」
 特殊部隊の隊長らしき人物と隊員数名が三人の前にやってきた。
 「これからは私たちもガイレイジャーとともに戦う。そのための飛竜部隊だからな」
 「これは心強いな」
 「しかし完成した飛竜はこの一機だけです。これだけの戦力でどこまで立ち向えるか…」
 心配する隊員をよそに、隊長が話し始めた。
 「この飛竜はいわばプロトタイプだ。量産型の飛竜はまだ完成していない。上層部は出撃を反対したが、
私が無理を言って許可を出したんだ」
 「そういうことだったのか。とにかくこれで何とかミツキさんたちが帰ってくるまでの時間稼ぎをしないとな」
 「とにかく国防庁で対策を練ろう。皆川教授もこちらに来ている」
 遼たちは特殊部隊が乗ったジープで国防庁へ向かうことになった。
521ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:34:54 ID:wwFM8bnQ0
 そのころ防衛マシンに苦戦していたミツキと疾風は、なんとか防衛マシンを倒す事に成功していた。
 「よし、これで金貨を取りにいけるな」
 「だが油断するな、まだ罠があるかもしれない。気をつけていくんだぞ」
 二人はゆっくりと中央へ歩いていった。そしてついに中心にある岩に到着したのだ。
 「この中に金貨があるのか…」
 「この岩は天界人が封印したものだろう。そうなるとこれはただではあけられないということになる」
 「もしも邪神軍が発見しても開けられなくちゃ意味ないもんな。…でもどうやって開けるんだ?」
 コンコンと岩を叩くフォルス。
 「まあ見ていろ、これは天界人しか開けられないようになっているはずだからな」
 ジェネシスはフォルスを後ろに退避させると、自分は両手を岩に乗せて気を入れ始めた。すると岩は真っ二つに割れ、
中から烈空の金貨が出現した。
 「これで任務完了というわけだな」
 「いや、そうはいかないらしい。岩の下にあるものを発見した。見てみろ」
 二人が覗き込むと、割れた岩の下から紋章らしきレリーフが出現した。
 「これって一体…」
 「もしかしたらこれは…」
 そのとき、地響きが鳴り、周りがゆれ始めた。
 「一体どうなってるんだ?」
 「アダンテ、状況はどうだ?」
 「近くに施設らしきものが突然出現したんです。すぐに戻ってください」
 二人は各戦騎のもとへ戻ることにした。
 「でもあのレリーフ、一体何なんだ?俺たちに関係があるのか?」
 「今はそれどころじゃない、あれを止めるのが先だ」
 何とか戻ってきた二人は、戦騎で近くまで近づく事にした。
 「…これは…!」
 基地を見たその時、ジェネシスは驚きを隠すことができなかった。
522ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:35:40 ID:wwFM8bnQ0
 「どうしたんだ?」
 「どうやら私達はとんでもないモノを発見してしまったようだ。これは邪弾システムという、いわゆる最終兵器だ!」
 「邪弾…システム?何だそれ?」
 「邪弾システム…、それはかつて邪神軍が開発していた兵器だ。しかしそれは相手だけではなく自軍すらも滅ぼしてしまう悪魔の兵器なんだ。自滅を恐れた邪神軍はこの兵器をあるところへ封印したと言われていたが…、
まさかこんな所に封印していたとは…!」
 「それが起動したという事は…!」
 「ああ、ここに邪神軍が来て封印を解いたのだろう」
 ジェネシスから真実を聞かされたフォルスとアダンテは愕然とした。
 「…どうすればいいんだ、俺達は…」
 「今のうちに破壊するのが一番いい方法だが…、この戦力では難しいかも知れんな」
 「でもやってみなくちゃ分からねえだろ?もしかしたら破壊できるかも知れねえし」
 「僕からもお願いします、このままじゃ地球は破壊されてしまいます」
 ジェネシスはしばらく考えてから結論を出した。
 「よし、出来るだけ基地にダメージを与えるようにしよう。ただし、ムチャだけはするな、いいな」
 二騎の戦騎は邪弾基地を攻撃する事にした。
523ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:37:17 ID:wwFM8bnQ0
 国防庁の会議室に呼ばれた遼たちは、瀧口長官の説明を聞く事になった。
 「今回の作戦はきわめて困難な作戦だ。シュペルターという邪神軍の幹部が自ら攻めてくるのだから、それだけの覚悟を決めなければいけない。それに万が一の事もある。作戦に参加したくないものは早いうちに手を上げてほしい」
 しかし手を上げる人は誰一人としていなかった。
 「そうか、それでは再度説明をしておこう。魔界戦車を止めるのには凱零刃と飛竜の連携が必要だ。今完成している飛竜はプロトタイプを含めて三機しかない。それだけの戦力でどうやって魔界戦車の足を止めるか…。それにはまず三機の飛竜で魔界戦車を引き寄せ、
その隙に凱零刃が戦車を止める戦法をとることにする」
 「もしそれが成功しなかった場合は…」
 「その時はあの方法を使うしかない」
 村田はデータの入ったディスクを入れ、モニターに映し出した。
 「これはドラゴンブレイザーという飛竜の切り札だ。これで魔界戦車の装甲を打ちぬくことが出来る。ただし発射できるのは1回のみ。なぜなら凱零刃のアトマイクスジェネレーターと飛竜のジェネレーターを直結しないと撃てならないからだ。
それにその衝撃に飛竜が耐えられるかどうかまだテストをしていない。しかしそれをする時間がないのも事実だ」
 それを聞いた遼は村田に質問をした。
 「作戦が成功すればそれを使わなくても良いんだろ?もし失敗しても俺たちが何とかすればいいことだろ?」
 「魔界戦車の攻撃力では凱零刃を持ってしても太刀打ちできなかったのは君がよく知っているはず。だからドラゴンブレイザーの力が必要なのだ」
 「でもそれで飛竜が壊れたりでもしたら…」
 「その覚悟はある。たとえ飛竜が破壊されても作戦が成功すれば本望だろう。安心しろ、飛竜はそんなにやわな作りじゃない」
 村田は自分の席に戻っていった。
 「それでは1時間後、作戦を実行する。それまで準備をしておくように」
 隊員達は解散し、遼たちも会議室から出て行った。
524ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:39:01 ID:wwFM8bnQ0
 「なあ、この作戦、成功すると思うか?何か嫌な感じがするんだ」
 「お前らしくないな。でもこの作戦は成功させなければならないんだ。そのためにもわたし達ががんばらなければならないんだ」
 「おいら達ががんばれば何とかなるよ」
 「そ、そうか?だったら大丈夫だな」
 遼は無理して笑った。しかし遼の心には不安がぬぐいきれなかった。
 それから1時間後、ついに作戦が開始された。再び出現した魔界戦車をおびき寄せて例のフォーメーションで戦車を倒すのだ。
 「来たぞ、魔界戦車だ。飛竜部隊は直ちに発進し、目標を迎撃しろ」
 村田製作所のガレージで組み立てを終えた量産型飛竜が次々と発進していく。そしてそれを見送る飛竜の製作スタッフたち。
 「がんばれよー」
 「俺たちの翼で勝利をつかめ!」
 三機の飛竜は目的地に向かって飛んでいく。その後に凱零刃も続いた。
 「いた、結構早い出陣になったな」
 飛竜弐号機を操縦するエリックが参号機の本多に言った。
 「まだろくなテストもしてないんだってな、こいつは」
 本多が冗談交じりで返した。
 「まあ、この機体はお前さんが一番知ってるしな。よろしく頼むぜ、先輩」
 「お前達、おしゃべりがよすぎるぞ、そんな事言ってたらガイレイジャーに笑われるぞ」
 二人の話を聞いていた本郷隊長が檄を飛ばした。
 「は、はい、すいません」
 「よし、それでは作戦を実行する。皆、用意はいいか?」
 「いつでもどうぞ」
 「やっと本番だ」
 「いくぞ、オペレーションドラグーン、GO!」
 三機の飛竜は三方向に分かれて攻撃を開始した。地上に降りた凱零刃は、迎撃準備にはいった。
525ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:40:03 ID:wwFM8bnQ0
 「始まったか」
 「私たちも迎撃に入るぞ。準備はいいか」
 「OKだよ」
 しかしその直後、凱零刃は何者かに吹き飛ばされた。
 「一体なんだ?!」
 「まさか別働隊がいるなんて…」
 なんとジャンクロボが出現し、凱零刃に立ちはだかったのだ。
 「敵も頭が切れるみたいだな」
 「どうするんだよ、こんなの相手にして」
 「どうもこうもねえだろ、一緒に叩き潰してやる!」
 凱零刃とジャンクは組み手にはいった。

 「どうだ、これで何とか破壊しただろ」
 月で破壊兵器『邪弾システム』に出会わせたジェネシスたちは、必死になって基地を破壊していった。
 「それにしては様子がおかしいと思わないか?いくら防御システムがあるとしても手薄な気がしてならないんだ」
 「そういえばそうですね。ドクロイドの一人もいないなんて」
 アダンテがそう言ったそのとき、突然大きな地響きがして基地が崩壊し、奥から発射台らしきものが出現した。
 「あのやろ、もったいぶりやがって」
 しかもその周りにはさっき倒した防衛マシンと同型のマシンがグルリと囲んでいるではないか。
 「これでからくりが解けた。あいつら自分たちが開けられないから私たちを利用してわざと金貨を取りに来させたんだ。
あの防衛マシンが狂っていたのも奴らが仕掛けた罠だったんだ」
 防衛マシンに囲まれて、次第に行き場を失ってしまうダルクリアンと凱閃煌。
 「このままだとやられるぞ!」
 そのときだった。後ろのクレーターから光が放たれ、その光は基地の周りを包みこんだかと思うと、たちまち防衛マシンを活動停止させていった。
 「どうしたんだ、マシンが動かなくなったぞ」
 謎の光はすべての防衛マシンを停止させた後、静かにその光を弱めていき、そして消えていった。
526ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:40:46 ID:wwFM8bnQ0
「…消えた…何なんだ、あの光は」
 「あの紋章のレリーフだ。あれのせいでマシンの機能を停止させたんだ」
 ジェネシスが叫んだ。
 「もっと早く気付けばよかった。あの紋章は天空人のシンボル、『太陽の紋章』だったんだ!!」
 だがそのとき、邪弾ミサイルの発射台が爆発し、周りの基地ごと消滅させてしまった。間一髪逃げ延びたジェネシスたちは、さっきのクレーターに降り立った。
 「一体どういうことだ?あの紋章って一体何の力があるんだ?」
 戦騎から降りて紋章を拾ったフォルスは、紋章をマジマジと見つめた。
 「これは選ばれた勇者が持っている、いわば『結束の証』。おそらく私の仲間がその紋章を持っていたのだろう。
そして死んだ後も私達を護ってくれたのだ…」
 ジェネシスは自分の持っている紋章のレリーフが施してあるメダルをフォルスたちに見せた。
 「本当だ、この紋章に似ているな…」
 「おそらく持ち主の意思がまだこの紋章に残ってたんでしょう…」
 フォルスは紋章をもう一度見つめた。そのとき、突然熱くなり、彼の手から紋章が離れていった。
 「い、一体どうなってるんだ?!」
 「どうやら君はこの紋章に選ばれなかったらしい。この紋章を持つ資格があるのはここには居ない。おそらく…!」
 ジェネシスは地球を指差した。新たな紋章の持ち主は地球にいるのだ。
 「邪弾システムの事も気になる。早く地球に帰ろう」
 「ちょっと待てよ、システムは破壊したんだろ。どうして急ぐ必要があるんだよ?」
 ジェネシスはフォルスをキッと見つめた。
 「あれは私たちをおびき寄せるダミーだ。邪弾は地球にある。奴が作動させたら大変な事になるぞ。早く行かないと!」
 ジェネシスたちは急いで月を離れ、地球を目指した。
527ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:41:45 ID:wwFM8bnQ0
 そのころ魔界戦車とジャンクロボに苦戦しているブラスたちは、何とかして逆転のチャンスを見つけようとしていた。
 「このままやれてたまるか!」
 凱零刃はジャンクを投げ飛ばし、烈空剣で串刺しにした。
 「さっきのお返しだ!」
 凱零刃は剣を回転させてジャンクをばらばらにした。
 「よーし、次は魔界戦車だな」
 飛竜を助けるために魔界戦車に向かう凱零刃。しかしそこへシュペルターが現れ、凱零刃の前に立ちはだかった。
 「そうはさせん、私の邪魔をする奴は誰であろうと許しはしない!!」
 杖から電撃を放ち、凱零刃を足止めした。
 「もうそろそろいいだろう、ガードランダーに変形して邪弾ミサイルの準備をするのだ!!」
 魔界戦車は変形してガードランダーになり、胸から大型のミサイルを出してきた。
 「あれは…、ミサイルなのか?!」
 「ただのミサイルではないぞ、これは地上を消滅させるほどの威力を持つ『邪弾ミサイル』だ!お前達もこれで消えてしまうのだ!」
 これを聞いたブラスたちは驚愕した。このミサイル一発ですべてが消滅してしまうの事実を知ってしまったからだ。
 「そしてお前達は私の手によって倒される運命なのだ!」
 シュペルターは自らの身体を巨大化して凱零刃に襲い掛かった。
 「そんなのありかよ!」
 「なんとしてもあのミサイルを止めないと、大変どころに話じゃなくなるぞ!」
 「でもその前にこいつを何とかしないと」
 シュペルターに追い詰められる凱零刃。果たして邪弾ミサイルをとめることが出来るのか?

第22章終わり

【次回予告】
 ついに邪弾発射のカウントダウンが始まってしまった。必死でそれを止めようとする凱零刃と飛竜。しかしシュペルターの前に苦戦を強いられてしまう。邪弾を止める術はあるのか?
そしてミツキたちは間に合う事が出来るのか?
 烈空戦騎ガイレイジャー第23章!「熱く、燃えろ」
 「みんなの命、俺にくれ!!」
528ガイレイジャープロジェクト:2006/09/17(日) 16:53:59 ID:wwFM8bnQ0
 第22章をお送りしました。
 今回は前回の続きです。そして次回もこの続きになります。
前回で反逆したシュペルターは、恐ろしい手段に出ました。それは過去に封印された
悪魔の兵器、邪弾ミサイルを使って地上を滅ぼす事でした。ヴェルデルはそれを
恐れているためにシュペルターの後を追わせたのです。ヴェルデル自身は地上を
無傷で手に入れたいですからね。そのミサイルは月にあるといわれていましたが、
それはダミーで、本体はすでにシュペルターに奪われた後でした。
 次回はそのミサイルを使って世界を滅ぼそうとするシュペルターのたくらみを阻止する
ためにガイレイジャーたちが止める話になります。この話は24章まで続くことになります。
 さてその次回ですが、何とか1話くらいは出来そうなので、次回もここで載せようと思います。
このスレ最後のガイレイジャーストーリーをどうぞご期待ください。
529名無しより愛をこめて:2006/09/19(火) 19:29:48 ID:18k7FNZf0
盛り上げる会のものです。
第22章をみました。前回、今回と展開が続き、そして次回へ続く流れがすばらしいです。
飛竜の発進シーンも結構よかったと思います。
次回は邪弾がついに発射されるかどうかの瀬戸際の展開ですね。期待して待っています。
530名無しより愛をこめて:2006/09/19(火) 21:31:22 ID:yWU+34GyO
531名無しより愛をこめて:2006/09/22(金) 18:44:07 ID:2w8iN7Xw0
けっこういい展開になったな。
532ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:09:41 ID:AJlWHd5P0
第23章熱く燃えろ!

 魔界巨人と戦っている遼たちは驚いていた。なんと巨人の体内に邪弾を隠し持っていたのだ。凱零刃はやむなく後退を余儀なくされてしまった。
 「まさか…あの中に邪弾がはいっているのか?!」
 指令トレーラーの中で指揮をとっている指令は驚いていた。無理もない、邪弾ミサイルは別の場所にあると思っていたからだ。
 「作戦変更だ、魔界巨人を出来るだけ街から引き離すようにおびき寄せるんだ」
 街から引き離すために後退しながら攻撃をする飛竜部隊。凱零刃も後退しながらガードランダーを引き寄せるのだった。
 「何とか海の方へ引き寄せて被害を最小限に食い止めるんだ」
 じりじりと後退する凱零刃達。海岸の近くまで来て何とかガードランダーを海の上までおびき寄せる事に成功した。
 「ここの住民は避難させた。あとは何とかして体内にある邪弾を取り出してくれ」
 長官の命令で飛竜三機はフォーメーションを組んでガードランダーに攻撃をした。
 「今のうちに邪弾を引き抜いてくれ」
 本郷隊長の命令で、凱零刃は邪弾摘出を開始した。しかしどうやって取り外せばいいのか検討も付かなかった。
 「まずいな、しっかり固定されてるぜ…」
 「これじゃ取り外す隙がない」
 そう言っているうちに、ガードランダーが両腕で凱零刃に攻撃を始めた。
 「これじゃあ邪弾を取り外すどころじゃねえぜ」
 「敵の攻撃をどうにかすれば…」
 一進一退の凱零刃は最大のピンチを迎えていた。
533ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:11:09 ID:AJlWHd5P0
 「結局シュペルターを追った迎撃隊は全滅したと?」
 邪神城に命からがら戻ってきた偵察兵がヴェルデルに報告をした。
 「申し訳ありません。すぐに新たな迎撃部隊を地上に送ります」
 「いや待て、今度は俺が行く」
 ヴェルデルは椅子から立ち上がり、格納庫へと続く通路に向かった。
 「しかし、相手は忌まわしき兵器、邪弾を持っているのですよ」
 「やはりそうか、あいつめ、あんなものを隠し持っていたとはな。迎撃部隊はパワードロイドに乗って俺について来い。今度こそあいつを捕まえてやる…!」
 ヴェルデル率いる迎撃部隊はデモンキャリー数機でシュペルター討伐へ出陣した。
 
 一方邪弾摘出に全力を注ぐガイレイジャーたちは、ガードランダーの攻撃を受けて手も足も出せない状態になっていた。
 「どうしたらこいつを止める事が出来るんだ?」
 「このままだとこちらがやられてしまうぞ」
 そのとき、司令室から連絡がはいってきた。
 「外から出来ないのなら中から邪弾を取りはずす事は出来ないだろうか?巨人の中に入り、内部から邪弾を取り外せば爆発を防ぐ事が出来るかもしれない」
 「でもどうやって中に入るんですか?このままだと中に入る前に倒されるのは目に見えています」
534ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:11:39 ID:AJlWHd5P0
長官はしばらく考えてから遼たちに話した。
 「少し危険な賭けになるかも知れないが、巨人のミサイル発射口から中にはいることが出来るかもしれない。ただし中に入れるかどうかはやってみないと分からん。それでもやってみるか?」
 「分かりました、私が巨人の中に入って邪弾を取り外してきます」
 マックスが外へ出ようとしたとき、ブラスがそれを止めた。
 「その役、俺が引き受けたぜ」
 「だめだ、お前は凱零刃の中で待機しているんだ」
 「もうこれ以上やられるのを見ていられないんだ。頼む、皆の命、俺に預けてくれないか?」
 マックス=大樹は少し考えると、ブラス=遼に頼む事にした。
 「分かった、その任務お前に頼む事にしよう。ただしこれだけは約束してほしい。邪弾を止める事が出来ても出来なくても必ずここに帰ってくること、それを守ってくれ」
 「大丈夫さ、俺はそんなんでやられるほどドジじゃねえよ。それじゃ、行って来るから発射口に近づいてくれ」
 凱零刃はブラスを手に乗せて、ガードランダーの発射口に近づいた。しかしランダーが暴れるため、なかなか近づく事が出来なかった。
 「わたし達が巨人の目をひきつけますから、その隙に潜入してください」
 二号機のエリックから伝言が入ってきた。
 「頼みます」
 三機の飛竜はヒューマノイド形態に変形して、ランダーをひきつけるためにレールガンを発射した。攻撃を受けたランダーは飛竜の方を向いて反撃した。
 「よし、背中のハッチから進入するんだ」
 凱零刃の手からランダーのハッチ付近に飛び乗ったブラスは、手探りで出入り口の探して進入した。
 「頼んだぞ、邪弾を止めるのはお前しかいないからな」
 凱零刃は静かに巨人の側から離れていった。
535ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:12:25 ID:AJlWHd5P0
一方、邪弾を止めるために日本へ急ぐミツキたちの前に、ヴェルデル率いる迎撃部隊が立ちはだかっていた。
 「そこをどいてくれないか」
 しかしヴェルデルは首を立てに振ろうとはしなかった。
 「どかないといったらどうする?力ずくでも通るつもりか?」
 「君達がそのつもりならそうさせてもらってもいいが」
 余裕を見せるミツキ。だがそれを見たヴェルデルは、気に入らなかったらしく不愉快になった。
 「気にいらねえな、貴様と話していると、どうも虫唾が走る」
 「戦う気がなければそこをどいてくれないか。私たちも急がなければならないのでね」
 ミツキたちは迎撃部隊の横を通り過ぎようとした。しかしヴェルデルはミツキたちを止めた。
 「貴様達の目的は邪弾を止める事だろ?もしそうならここは一つ手を組まないか?」
 「一体何のつもりだ?あれはお前達が仕掛けたのではないのか?」
 ミツキの言葉にヴェルデルは笑みを浮かべた。
 「そうか、貴様はあれを俺たちが仕掛けたと思っているのか。冗談じゃない、あれを仕掛ける奴は身の程知らずな奴だけだ」
 「それではあの邪弾はお前がしたことではないというのか?」
 「当たり前だ、あんな忌まわしき兵器など誰が使うか」
 「そうか、今の私たちの敵はお前達ではなく、他にいるというわけだな」
 ミツキは凱閃煌の方向を別の方へ向けると、迎撃部隊を無視して走り去ろうとした。
 「待て、俺たちと戦うんじゃなかったのか?」
 「お前達と関係ないなら無駄な戦いをするわけにはいかない。悪いけど現場へ向かわせてもらうよ」
 そしてそのままこの場を後にして走り去っていった。
 「あのやろう、いい気になりやがって」
 凱閃煌が走り去る後姿を見て、ヴェルデルは無性に悔しくなった。
 「どうしますかヴェルデル様、私たちも後を追いますか?」
 「当たり前だ、どうやらあいつの考えと俺の考えは一緒みたいだからな」
 迎撃部隊も凱閃煌の後を追っていった。
536ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:13:17 ID:AJlWHd5P0
「なんだこりゃ」
 巨人の中に潜入した遼は、変神を解いて中の様子を調べていた。
 「中にはドクロ兵らしき影がほとんどないぞ。一体どうなってるんだ?」
 遼は通路を道なりに進んでいくと、広い空間に出た。
 「何だ?こいつの中に工場があるのか」
 どうやらその場所は兵器工場らしい。遼は見つからないように静かに下に降りていった。
 「ここにもひと気がないみたいだな。何考えてるんだろう」
 邪弾を搭載しているというのにあまりにもひと気がなさすぎる。そう思った遼は一気に邪弾がある所まで移動しようと考えた。
 「もしかしたら邪弾があるところに集中して警備してるのかも知れないな」
 邪弾があるところはちょうど巨人の腹部にあるため、必ず下へ行く階段かエレベーターを使用しないとたどり着く事は出来ない。遼は下に降りるためにエレベーターを探した。
 「あったあった、これなら一気に邪弾のあるところまで行けるぞ」
 遼はエレベーターの下スイッチを押した。しかしエレベーターがこの階に来る気配はなかった。
 「あのやろう、壊しやがったな」
 しょうがないので遼は近くの階段を使って下に降りることにした。階段は下が見えないくらいに長い階段になっていた。
 「こんな所を降りないといけないのかよ。しょうがない、変神して一気に降りることにするか」
 遼は変神して階段を下っていった。
 「これじゃいくらなんでも疲れるぜ。よし、これならどうだ!」
 ブラスは階段の隙間を使ってそのまま降りることにした。しかし隙間はやっと人が通れるくらいしかない。ブラスは飛び降りると階段のバーに当たらないように身体を伸ばして降りることにした。
 「…でもどうやって着地しよう…」
 そう思っているうちに、最下層ちかくまで降りてきてしまった。仕方ないので手すりにつかまって減速をし、何とか着地をした。
 「あぶねえ、もう少しで地面に激突するところだった」
 鋼鉄のドアを静かに開けると、そこには警備ドクロ兵がうようよと監視をしていた。
537ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:14:33 ID:AJlWHd5P0
 「やっぱりね、ここに集中してると思ったよ。それにしても何でこんなに人がいないんだ?」
 ブラスはそのことを考えてみた。もしかしたらこれは…!
 「なるほどね、シュペルターの野郎の考える事だ。自分だけ安全なところにいて、部下に汚い仕事をさせるなんて何て奴だ」
 周りを見回しながら、ブラスはそろっと邪弾格納庫へと移動を開始した。だが警備はとても厳重で、入り込むのに困難な様子だった。
 「しかたねえな、力ずくでも中へはいるしかねえか」
 ブラスは格納庫を警備していたドクロ兵を殴り倒し、中へ入った。そこには巨大な邪弾装置が鎮座していた。
 「こいつを停止させれば爆発しないはずだが…」
 『よくここまで来たな』
 どこからか誰かの声が聞こえてきた。ブラスは周りを見回したが、姿は見えなかった。
538ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:17:26 ID:AJlWHd5P0
 「シュペルターか。隠れてないで出て来い!」
 『まあ、そう怒ることはないじゃないか。せっかくの機会だから、こうやって君と話してると言うのに』
 「お前、いい加減にしろよな。こんな事をしていいと思ってるのかよ」
 シュペルターはフッと笑い、淡々と話した。
 『ガイレイジャーブラス、これは私にとって計画の手始めに過ぎないのだよ。邪魔をするなら邪弾が爆発する前に君を倒してもいいんだよ』
 「ふざけんな!そうなる前にお前を倒してやるよ」
 『姿が見えない私をか?どこまでも浅はかな人だな、君は」
 ブラスは手を握りしめながら怒るのをガマンした。
 「…一つだけ聞いていいか?どうしてお前はあんな物騒なものを使ってすべてを滅ぼそうとするんだ?あんなもの使わなくてもいいんじゃないか?」
 『君の最後の願いだ、答えてあげよう。これは復讐のために私が発掘した最終兵器だ。こいつを使うことでヴェルデル達に一泡拭かせてやるのがこの計画なのだ。私はお前達のせいですべてを失った。
だから私はお前達人間を地上ごと抹殺し、邪神軍の頂点に立つことにしたのだ』
 「そんなのお前の勝手だろ。自分だけいいと思ってるのは仲間にだって迷惑をかける行為だぜ」
 『フッ、勝手か…。勝手で結構だよ、ここで倒される君にとってはね!』
 シュペルターが号令を出すとドクロ兵の軍団が現れ、ブラスを取り囲んだ。
 「まいったね、こんな所で戦闘になるなんてな」
 『君はそこで地上が熱く燃えあがる所を見届けるがいい。さらばだ』
 シュペルターの声がプッツリ切れたと同時に、ドクロ兵の軍隊が一斉に攻撃を仕掛けてきた。
 「こんな所で攻撃かよ、まったく、向こう見ずな奴らだよ」
 ブラスは邪弾に当たらないように別の方向へと逃げていった。
539ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:18:06 ID:AJlWHd5P0
そのころガードランダーの外では、飛竜部隊と凱零刃が足止めをするためにピンポイント攻撃をしていた。
 「あいつおそいな、なにをしているんだ?」
 「邪弾探しに苦戦してるんだよ、きっと」
 「それならいいのだがな…」
 そのとき、ランダーが急に向きを変えて海上に出て行ってしまった。
 「どうしたんだ?」
 「いきなり沖に出るとは…。何をたくらんでいるんだ!?」
 沖に向かって突き進んでいくランダー。一体どうするつもりなのか。そして地球の未来はどうなるのか!?

第23章終わり

 【次回予告】
 邪弾を爆発させるために沖へと出てしまうガードランダー。それを必死で食い止めようとする遼たち。
爆発までのタイムリミットが迫る中、ヴェルデルはある行動を取る!
 烈空戦騎ガイレイジャー第24章!「戦士の誇り」
 「俺は俺の考え方でやるだけだ!」
540ガイレイジャープロジェクト:2006/09/23(土) 17:25:11 ID:AJlWHd5P0
第23章をお送りいたしました。
今回も前回と同じく邪弾を阻止すための戦いになりました。
途中、ミツキとヴェルデルの会話がありましたが、これは次回の複線になります。
それと同時にヴェルデルのみに何かが起こることになりますが・・・。
次回も邪弾編の続きになります。果たして遼たちは邪弾爆発を阻止できるでしょうか。
そして今回の話で容量がいっぱいになってしまいました。次スレは第24章ができ次第
立てようと思います。それまではこのスレを利用して感想などを書き込んでください。
それではまた次のスレでお会いしましょう。
541名無しより愛をこめて:2006/09/25(月) 17:27:11 ID:f1wpHuIi0
烈空戦騎!それは伝説の武装神!!
ガイレイジャー!それは熱き魂をもつ勇者たち!!
542ガイレイジャーを盛り上げる会:2006/09/27(水) 14:04:39 ID:gS0I/ylo0
第23章を見ました。
今回もすべてがクライマックスのような展開で、すごかったと思います。
次回は次のスレですか、期待して待っています。
543名無しより愛をこめて:2006/09/30(土) 17:56:51 ID:aGGkSBpT0
烈空戦騎ガイレイジャーの放送時間が変わるぞ!
次回から「毎週火曜日午後5時30分」からの放送になるんだ!まちがえるなよ。
これからもますます盛り上がるガイレイジャーを応援してくれ!
544名無しより愛をこめて:2006/10/03(火) 23:27:43 ID:cp8lvLgh0
再生アーマーライノスまだかなぁ、とか今更なことを言ってみる。

飛竜も村田製作所から発進したしクエイカーコングも出てきたから、忘れてる訳じゃないだろうけど。
545ガイレイジャーを盛り上げる会
新スレの誘導先です。

烈空戦騎ガイレイジャー2【集結・7人の勇者たち】
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1159860818/l100

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