1 :
機龍 :
04/12/25 13:13:54 ID:aK6afDhO
主な登場怪獣 ゴジラ一族:鎌倉郊外の豪邸に居を構える、怪獣界きっての名門中の名門 ・初代ゴジラ =機龍 一族のグランドファーザー。ゴジラ宗家。一代で『怪獣王』の地位を不動のものとした英傑。 かつては最強にして最恐の暴君として恐れられていた。 とある事件をきっかけに身体のほとんどを機械化している。 今では老衰で隠居中だが、未だにその眼光の威力と発言力は絶大。獣姦愛好者で陰謀が大好き。 ・昭和ゴジラ=ジラース 二代目。元ヒッピー世代で大学では言語学を専攻、友人幅は広い。 基本的にファンキーな人だが、長男・次男について悔いることが多い。 マスクマンとしても活躍。親父に頭が上がらない。 ・ミニラ 昭和ゴジラの長男。甘やかされて育った事が災いしてか、特技も定職も無い厄介者だったが、 第1回大会『名前に濁点の無い怪獣GP』で優勝し、一躍時の人となる。 しかし、それゆえに 宗家との間に確執を生む事に・・・・・・・ 最近、映画のエキストラに出ることに。一族とあまり似ない容姿が第一の悩み。 ・平成ゴジラ 昭和ゴジラの次男。ミニラの反省から英才教育を施され、誰もが仰ぎ見る偉丈夫に育つ。 しかし95年、心臓に疾患が見つかり、仕事中に過労で発作を起こす。 それでも最期の職務を遂げ、殉職。多くの怪獣が涙した。
・ゴジラジュニア=ミレニアムゴジラ 平成ゴジラの忘れ形見。95年暴漢に襲われ重傷を負うが、奇跡的に一命は取り留めた。 現在は一族の筆頭として元気に活躍中。しかし周囲の強すぎる期待に葛藤することもあり… ・GMKゴジラ(平成ゴジラの二重人格) ミレゴジの鬱積した不満が残酷無比な第二の己を生み出してしまった。 凄まじい霊媒体質であり、しかも物理攻撃が無効。 精密長射程の火炎、敵の光線を吸収・反射と恐るべき力を振るう白眼の悪鬼。 ・USAゴジラ=ジラ 女性。アメリカ出身でダイエットが趣味。火は吐けないが陸上スポーツの天才。 ミレゴジの姉代わりだが、異文化のギャップにはまだ慣れていない。 最近宗家の養子になり日本に帰化した。スシ・サシミに舌鼓を打つ。 ・ビオランテ&スペースゴジラ 平成ゴジラの妾腹の子。 ・暴君怪獣アンギラス ゴジラ家の忠臣で執事頭。何かと陰謀の絶えない御家を陰で支える苦労人。 ・モンスターX 通称"もんたX"。両肩の"もんたY&もんたZ"ともんた&ブラザーズとして活躍するお調子者。 ガメラ一族:ゴジラ家と並び証される名門。のはずだがどうも不遇。 ・昭和ガメラ 昭和ゴジラ、初代ウルトラマンとは怪獣黄金時代を支えた仲間としてライバルとして、熱い友情で結ばれている。 昭和ゴジラ現役復帰に触発されて出場するものの、パチもん相手に良いとこなしに連敗中。 ・冷凍怪獣バルゴン ワニゴンと対戦。なんとか勝ったものの危うく殺されかけた。 ・大悪獣ギロン どっかの荒野の酒場でマカロニウェスタンに没頭中。 ・邪神イリス ヤメタランスと対戦。手玉に取られて完敗。
怪獣たち
・宇宙竜"京子"ナース
幼き日より父からレスリングテクニックを叩き込まれた格闘エリート。
『名前に濁点の無い怪獣GP』準優勝。優勝との説もあり。
・ワイルド"ザ・浜口"星人
愛娘をこよなく愛する熱血オヤジ。
合言葉は「気合だぁーー!!!」
・凶暴怪獣アーストロン
豪腕を頼りに地味な戦いを続けるウルトラの番人。その戦いは放送されたためしがない。バカ1号
・爆弾怪獣ゴーストロン
兄のセコンド&マネージャーを勤める。不遇な兄を支え続けるけなげな弟。バカ2号。
・地底怪獣ガマロン
第2回大会『パチもん怪獣GP』にガメラパチとしてエントリー。しかし本家を食ってしまった。
どうやら怪獣忍軍の棟梁として何かを企んでいる模様。
・海底怪獣ワニゴン
ガマロン配下のバルゴンパチ。
ガマロン&ワニゴン
ttp://www.tky.3web.ne.jp/~anzo/pulamo/waniga.html ・金属人間メタリノーム
東映系怪獣の筆頭として人望が厚いジェントルマン。怪獣界の知識の宝庫。
・月光怪獣エレキング
月に縁の怪獣がたむろする"月島の蕎麦屋"の顔役。粋でいなせな江戸ッ子。ご隠居。
・月面怪獣ムーンサンダー。
"月島の蕎麦屋"の常連。面倒見の良い常識人。熊さん。
超獣ルナチクス
"月島の蕎麦屋"の常連。元はアイオタで南夕子の追っかけだった。現役かも。八っつぁん。
その他怪獣ではないけれど・・・・・
・南夕子
怪獣たちのマドンナ。
・658
『怪獣GP』専属の格闘アナウンサー。喋りが下手で知識も薄い。
・661
怪獣オタを代表して解説者の大役を勤める。でも所詮はオタ。メタリノームに弟子入り中。
・解決透明ウルトラエース
むちゃくちゃ濃いキャラ。『怪獣GP』の陰で、ガマロンとのコンビで何事かを企む。
ウルトラマンAのパチかとおもたらさにあらず。なんとこっちの方が先だよ!
ウルトラエースさま雄姿
ttp://www3.big.or.jp/~yamadax/jumbo/5en/ua.html
こいつらもよかったら使ってー。 原子怪獣ゴーゴン 核実験の影響で誕生したゴーゴン島の出身。見た目は恐竜ディメトロドンにそっくり だが体は突然変異による生体金属でできており、原子炉を内蔵した一種のロボット怪獣 である。口から核エネルギーを吐き、マッハ2で飛行するらしい。 ミニミニ怪獣ガバゴン ガバドンではない。早い話がペギラのパチモン。 怪獣レーサーナゴン 下半身が3輪式のレーシングカーになった怪獣で、頭部は鰐に少し似て短い一本角を持つ。 早い話が恐竜戦車もどき。 ロボットコング 昭和メカゴジラのパチモンで、頭頂部の角の形などがちょっと違うほか黒目がある。怪獣 VOWにて紹介されていた。 あと平成ガメラやギドラ一族(頭領はモンスターXことカイザーギドラ?)や他のマイナー 番組の怪獣たちも見たいなあ。機龍と新旧メカゴジラの絡みも(笑)。それと、怪獣バトロワ ネタなんてどーだろ?(笑)
とりあえずギドラ一族。 ・初代ギドラ…一族のグランドファーザー。「宇宙の破壊神」の異名を取り、最強にして 最恐の暴君として恐れられていた初代ゴジラと並び称される存在。 ・昭和後期ギドラ…初代ギドラの長男。しかしさんざん宇宙人たちのパシリとしてこき 使われたあげくゴジラ一族に連戦連敗。今ではその事がトラウマと なり、酒に溺れるなど廃人同然になってしまった。 ・VSギドラ…初代ギドラの次男。一族最大の巨体と西洋ドラゴン風の顔が特徴。職務中 重傷を負い、サイボーグ化されて一命を取り留めた。 ・モスラ3ギドラ(グランギドラ)…昭和後期ギドラの息子で小柄ながら負けん気が強い。 父を見てきたからか初代に憧れている。 ・GMKギドラ…一族のはみ出し者。どういうわけか正義感が強く「千年竜王」の称号を 持つ。しかし通常兵器でダメージを受けるなどかなりのヘタレ。 他にはヤマタノオロチやデスギドラ、ドラットといった連中がいる。
平成ガメラ…ガメラファミリーの最終兵器。 昭和ガメラの後をうけてデビューするや、レギオン、ギャオスの大軍団を単独で服属させ、ファミリーの尖兵として再編成した。 基本的には誠実な性格で、血のつながりのない昭和ガメラをオヤジと慕う好青年だが、 自分の攻撃による巻き添えは一切気にしない。そのあおりで邪神を敵に回したがこれも降伏せしめた。 レギオンが技名を聞いただけで泡を吹いて倒れるマナ光線ウルティメイトプラズマ、イリスが「いまだに夢に見る…」と恐怖する爆熱gもといバニシング・フィストの二大必殺技を持つ。 現在は歴戦の傷を癒すためにどこかの海底で眠りについているが、さて… うわあ少しばかり考えてみようと思ったのに書いてるうちにこんなことに
9 :
いのちゃん :04/12/26 08:03:48 ID:8LBjXJ8z
>>1 乙。んで次はゴメスvsアーストロンか・・・・
10 :
前スレ477 :04/12/26 13:55:49 ID:qS8y2Cmv
自分のせいでスレの流れがコロッと変ったのを ここでお詫びしておきまする。 個人的には面白いから別にいいや。なんておmうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
11 :
月亭雷蔵 :04/12/26 19:07:38 ID:QgNUztAj
>>10 いや、謝らんでもよかとですよ。今の方が面白いんだし。
そんなこというなら、悪乗りして大喜びでマッチメイクしちゃったおいらなんぞうわなんだやめくぁwせdrftgyふじこl
モスラ一族。私的にはモスラは女性のイメージがあるので全員女性にしましたが。 相関関連とか補足ヨロシコ。なおモスラ一族の居はインファント島にあります。 初代モスラ 一族のグランドマザーで身体も一番大きい。セコンドには小美人(コスモス)が漏れなく ついてくる果報者。ただし放し飼い状態なのですぐ暴走する。セコンドを襲うともっと暴走する。 昭和モスラ(親) 初代モスラの娘。台風で流された卵を探しにはるばる日本へ出向き、やっと探し出したものの その直後に寿命で逝去。合掌…。 昭和モスラ(子)→平成モスラ 昭和モスラ(親)の忘れ形見で、双子で生まれた。姉は宿敵バトラと和解を果たしゴジラと対戦、 妹は我が子と共にデスギドラに挑むも殉職。合掌…。 平成新モスラ 平成モスラの娘で緑色の羽が特徴。のちに虹色の羽を持つレインボーモスラに進化し、トビウオ のような形の水中モードや全身を装甲で覆った鎧モスラにも変身できる。親たちに比べ遙かに 豊富な技を持つ、小柄ながらピリリと辛いヤツ。 GMKモスラ GMKバラゴンやGMKギドラと並び護国三聖獣の一つに数えられる。実際この二頭とよく連んで おり、GMKゴジラの暴走を抑えるのに一役買った事も。 バトラの位置づけはどーしようかな?ところで、ミニラ→メガロゴジってネタはありかしら。 大会優勝後に成長したとかで。
「新スレ立てお疲れさまザーマス。」 パソコンの前に座っているのは例の「おフランスから来た男」である。 「なんと!?新スレが立ったのですな。」 パソコンのディスプレイを覗き込んでウルトラエースが言った。 「そうザマス。ミーのほうの作戦も順調に進んでるザーマスよ。 あなたとガマロンがゴジラ一族とガメラファミリーを片付けたら、ミーが特オタ含む人間を一気に取り纏めニュースターとしてあなたとガマロンをドーーンと売り出す作戦。 この2chでの書き込みも含め準備はちゃくちゃく進んでるザマス。」 「この新スレ立ち上げも…。」 そう言いながらウルトラエースは手にしたワイングラスでディスプレイを軽く叩いた。 グラスからこぼれたワインのしずくが一筋、赤く赤く画面に流れていく。 「……その一環というわけですな。」 「そうとも知らず特オタどもはご苦労なことザーマスよ。」 笑いあう2人の前で、スレは赤ワインの色、血の色へと染まっていったのだった……。
…っというワケで、ワイルド星人に「気合だーっ!」と叫ばせて以来、スレを変な方に暴走させているA級戦犯でござる。
改めてまじめに「
>>1 お疲れさまでした。」と書き込ませていただくでござるよ。
新スレ乙です。 >>前スレ477 氏 貴方のお陰で、面白い方向に変わった事を結構感謝していたりしています。 >>職人様 これからも楽しみにさせていただきます。 ファイト!
とりあえず前スレ埋めようよ このまんまじゃ重複みたいなもんだし
>>16 それもそうでんな。
ゴメス対アーストロン、とりあえず向こうに乗っけときまひょ。
ここもとりあえず50超えないと
つうわけで連投
おりゃ、行っとき!!
21 :
シーゴラス :04/12/29 22:40:54 ID:VhkmHSCF
いや〜、働いたよ
ところで、平成ゴジの頃コミックボンボンだかにゴジラの漫画が連載されてたの知ってます? 地球征服を企む科学者の送り出す怪獣たちにゴジラが挑む、というオリジナルストーリーの 漫画。アレに出てきた「キングゴジラ」ってのが凄くて、G細胞から作られたゴジラの クローンに両腕としてキングギドラの首、バトラの翼、胸にビオランテの頭を移植したって なヤツなんだけど。タイラントやジャンボキングみたいな「合体怪獣」って、個人的に好き だなあ。 あとカニックスについてだけど、アレは老人の怨みの念を利用して、ゴアが幼虫から育てた 「蟹座の精」なんだそうな。で、カニックスを殺す事は老人の死にもつながるのでマグマ大使 も苦戦を強いられたんだそうで。最後はその老人にエネルギーの電磁波を吸い取られ、 弱った所を倒されてました。
>>22 デラックスボンボンあたりにそんなんあった気がするなぁ。
1週間で50スレ行かないと落ちるんだったっけ?
と言うわけで保守
今のこの板は15もレスがついていれば即死はしない。 あとは3日に1回でもレスがついてれば保守には充分
えみポン(ギガノイド「巨人」)は?
28 :
nanasi :05/01/01 20:25:52 ID:GycbhLiR
age
モンスターXがゴジラ宗家に仕えているのはギドラ一族乗っ取りの為 デスギドラの息子である正体を隠している。 正体のカイザーギドラは傍系の出でありながらVSギドラを上回る巨体と スペースゴジラに師事する事によって習得した強力な半重力光線を有する。
>7 ちなみに昭和ギドラは初代に比べ頭が大きく馬面で、胴体と首が細くかなーりカッコ悪い 体型(^ ^;)。特に「怪獣総進撃」でのリンチとゾーンとかいう宇宙人に負けた事が相当 応えたようで、今は毎日飲んだくれて家でゴロゴロしては延々グチ垂れるなど息子 (グランギドラ)も相当手を焼いてるようです。また、「最近、映画のエキストラに出た」 ミニラは初代ミニラ→メガロゴジの子供、とかだったりして(笑)。
31 :
いのちゃん :05/01/04 22:02:19 ID:XzngDd2p
次が進みませんな・・・・進行係さん頼みますぜ
「兄さん、オレたちがごそごそやってるうちにこの大会とうとう年越しちゃったよ。」 「まったくだな、年越しそば喰い損ねちまったぜ。おい弟よ、これから例の月島の蕎麦屋まで行かねえか?」 「うん」とゴーストロンが答えようとした瞬間、暗い廊下の奥から猛烈な怒号と雄叫びが轟き渡ってきた! 「な、なんだろ兄さん!?」 「突いて来いっ!」 アーストロンとゴーストロンは暗い廊下をひた走りに走った! 叫び声と激しい立ち回りの気配は数秒で止み、次いで何物かが走り去る気配がした後は、すっかり静まりかえっていた。 「おっと!?」 先を走っていたアーストロンが何かに足を滑らした! 「兄さん大丈夫?」 「……イテテ…とりあえず大丈夫だ。それよりなんだ?床になにかヌルヌルするもんがこぼれてやがる。」 アーストロンは手で床を触り、目の前にかざしてみた。 「この金くさい臭いは……血だ!ここは一面血の海だぞ!!」 「あ、あ、あ、あ、あそこ…あそこに、兄さん!!」 動揺し激しくドモリながらゴーストロンが指し示す方にはなにか大きな「物体」が放置されている…。 滑ってぶつけた腰の痛みも忘れアーストロンは「物体」に駆け寄った。 「あ、あんたは!?しっかり!しっかりしろよ!!」 …血の海の中、物言わず倒れていたのはゴメスだった。
>>22 そういうヤツでしたか…カニックスのヤツは。
最後に見たのはもう何年前(というより何十年前)か。
ワタシの記憶は「禁断の惑星」のイドの怪物と相当混ざってたんですな。
マグマ大使は是非もう一度見てみたいんですが、レンタルビデオでも全く見かけないしDVDショップにも売ってない…。
ウルトラマンと全く同時期の巨大ヒーローなんで、忘れられてしまっているのは残念しごくです。
34 :
ゴメス暗殺! :05/01/05 13:02:04 ID:r2JIgB4O
(しまった、ゴジラ以外の怪獣まで狙ってくるとは…!) ウルトラマンは自分の読みの甘さを激しく責めていた。 (ゴメスが殺られた!) 控室にやって来たウルトラマンAからそう耳打ちされたとき、ウルトラマンが最初に思ったのは、(ゴジラ(=ジラース)には、このことは知らせちゃいけない)ということだった。 幸いそのときジラースは眠っていたし、ウルトラマンAはウルトラマンを廊下に呼び出してから話したのでジラースの耳に入ったはずはない。 ウルトラマンAにジラースの警護を代わってもらい、ウルトラマンはゴメスが運びこまれた控室へと急いでいるところだった。
控室にはゴメスにアーストロンとゴーストロンの兄弟が付き添っていた。 彼ら兄弟が第一発見者だったのである。 他にも、ペギラとドドラ(妖星ゴラスに出てきたマグマの息子、つまりゴメスの種違いの弟)やケムール人らも急を聞いて駆けつけていた。 「あ!ウルトラマンさん!」 入ってきたウルトラマンを見るなり、弟ゴーストロンが口を開いた。 「しょ、勝負が終わって帰ろうとしてたら、廊下の置くで吠え声がして…、慌てて駆けつけたらゴメスさんが、ゴメスさんが…(涙)。」 「Aから聞いたよ。キミたちが見つけてくれたんだってね(涙)。」 「ゴメスさんがゴメスさんが血の海に(号泣)」 ウルトラマンも両拳を握り締めた…。 (ワタシの…、ワタシの目と鼻の先でこんなことが……。) 宇宙人であるウルトラマンは地球の生物のようには泣けないが、心ではゴーストロンと同じに泣いていた。 (こんな悲しい知らせをどうしてゴジラに知らせられようか!?) 「落ち着け!弟よ!!」 そのとき動揺してしゃくりあげるゴーストロンの肩に手を置くと、兄アーストロンは弟をたしなめる口調で言った。 「その言い方だとゴメスさんがまるで死んだように聞こえるぞ。」 「え゛っ!?」
36 :
誤報 :05/01/05 13:19:50 ID:r2JIgB4O
「…………………え゛っ?死んで………ないの??」 いちもは冷静沈着なウルトラマンだが、このときばかりは目が点になった。 「ああ、死んでない。ワシゃあ…まだ生きとるよ。」 倒れているゴメスの口から搾り出すように声が漏れ出した。 「ゴ、ゴメス!生きてるのか!」 「そうさ、古い仲間のおかげでな。」 そう言いながらゴメスは目線をケムール人の方に飛ばした。 ケムール人の世界では医学が驚異的に進歩し、寿命による純然たる老衰以外の死は駆逐されてしまっている。 その超医学がゴメスの命を死の世界から奪い返したのだ。 喋るのも苦しそうなゴメスに代わりペギラがウルトラマンに説明した。 「この2人が駆けつけるのが早かったんで、刺客はし損じたのさ。それにゴメスの控室にはたまたまオレがいた。だから出血部分を凍り漬けにしてすぐにケムールを呼びにやらせたってわけだよ。」 「ふぉっふぉっふぉっ(笑)。アーストロン君が知らせに来た方は『ゴメスさんが危ない』じゃったが、ゴーストロン君が知らせに走った先では『ゴメスさん死んじゃった』になってたようじゃのう。おおかたウルトラマン君の耳に入ったのもそっちの情報じゃったんじゃろ。」 ウルトラマンの口から空気が漏れるように「…やれやれ。」と言葉が漏れ出た。 そして……。 その場に居合わせた怪獣たちは、世にも珍しいもの、その後も二度とは目にしなかったものを見た。 光の巨人が安堵のあまりに腰からヘナヘナと座り込んだのだ。
37 :
誤植… :05/01/05 14:14:15 ID:r2JIgB4O
相変わらず誤植・校正ミスがすごぉーーーーく多いな。
38 :
下手人は…… :05/01/05 14:42:12 ID:r2JIgB4O
「まあ、ゴメスの命が無事でなによりだったよ。」 ウルトラマンはゴーストロンに見送られジラース控室へと戻るところである。 「すんません。すんません。オレがそそっかしいばっかしに。」 そればっかり言ってゴーストロンは謝り続けている。 ゴーストロンがウルトラマンAに知らせに行ったとき「ゴメスさんが死んじゃった」と言ったのだ。 それでウルトラマンにもゴメス死亡として伝わってしまったのである。 「……いいんだ気にすることはないさ。それよりキミたちがちらっと見たという下手人の件だが…。」 「ガメラが犯人だなんて言わないッスよ。」 ウルトラマンは急に立ち止まるとゴーストロンを真正面から見据え言った。 「ガメラではない。土鍋のようなシルエットの怪獣というだけだ。」 「でも…。」 「いいかいゴーストロン君。キミたちの不用意な一言が怪獣世界に大乱を招きかねないんだ。」 「……わかったッス。ガメラが犯人だなんてもう言わないッス。」 ゴーストロンもウルトラマンを真っ直ぐ見返して答えた。 「犯人は『ガメラにそっくりな怪獣』ッスね。」 ウルトラマンはアタマが痛くなってきた。 「あのなぁ…。」 そのとき目と鼻の先まで来ていたジラース控室から怪獣の絶叫が噴出した!
39 :
疑惑の発言 :05/01/05 15:11:26 ID:r2JIgB4O
「下手人」の描写が「ガメラ」から離れないゴーストロン相手にウルトラマンが困リ果てたとき…。 ジラースの控室から絶叫が噴出した。 「ま、まさか!?また暗殺者が!」 控室扉にとびついた瞬間、ウルトラマンは室内から出てきた何者かと鉢合わせしそうになってしまった。 「ああ、すみません。」 「いえ、こちらこそ。」 控室から出てきたのはウルトラエースだった。 「ゴジラさんの容態を診ようと伺ったのですが、ついゴメスさんが襲われたというウワサを口にしてしまいました……。それで……。」 (そうか、さっきの絶叫は弟が殺されたと聞かされたゴメスの叫びだったのか…) 控室の中からはゴジラの叫びが相変わらず聞こえてくる。 立ち去るウルトラエースへの挨拶もそこそこに、ウルトラマンは控室と入っていった。 中では、狂ったように吠え狂うゴジラをウルトラマンAがなんとか押さえようと必死になっていた。 「に、兄さん!」 「話は聞いた。昭和安心しろ!ゴメスは死んじゃあいない。 ちゃんと生きてるぞ!」 「そんなことはウルトラエースも言った!でも、なんでアイツの命が狙われなきゃあならんのだ! オレの身代わりにか!?オレの代わりにゴメスが!弟が死ななきゃならんというのか!?」 半狂乱になった昭和は、抗核バクテリアに侵されているとは信じられぬほどの暴れっぷりだったが、ウルトラマンとウルトラマンAの二人掛かりでなんとか取り押さえることに成功した。 「ゴメス…ゴメス……おお…。」 涙を流しながら昭和は呟きつづけ、やがて悲しい眠りへと落ちていった。 「やっと静まってくれましたね。兄さん。……兄さん、どうかしたんですか?」 涙が光る顔のまま眠る昭和ゴジラをウルトラマンは静かに見下ろしながら、ウルトラマンは静かに呟いた。 「ワタシを含めウワサの根っ子はゴーストロンだった。だからキミも含め、皆『ゴメスは死んだ』と思っていた。 アーストロンから正確な情報を聞いた者はペギラとケムール人だけだ。」 「兄さん…それ…が何か?」 ウルトラマンの顔がゆっくりウルトラマンAの方に向いた。 「……なぜ、ウルトラエースは『ゴメスは死んでいない』と知っていたんだ?」
…さて困ったべ。 過去ログが倉庫にへえっちまったせいで、次の対決がなんだったかさっぱり判んねえようになっちまったべさ。 とりあえず当り障りの無さそうなこと書いといて、よぉぉぉっく思い出してみっぺ。 「…そうか…そんなことがあったのか…。Aよ、なぜもっと早く話してくれなかった?」 「ウルトラエースの件はボクと2人の問題だと思っていたんです。それに標的はガメラでしかも命に関わるような仕掛けをする気配はありませんでしたから…。」 ウルトラマンAはそれまで自分の胸に秘めていたウルトラエースに関わるさまざまな疑惑をついにウルトラマンに明かしたのである。 ジラース控室前の通路を何度も何度もせかせか往復するウルトラマンにAは続けた。 「兄さん!『ガメラ包囲網』と『ジラース暗殺計画』。二つの背後にいるのはウルトラエースとガマロンです。そしてその狙いは…。」 「判りきっている!ガメラファミリーとゴジラ一族の正面対決を引き起こすことだ。だとしたら……。」 ウルトラマンの足が止まった。 「まずいぞ!事態は確実にマズイ方向に進んでいる! 最近地球を離れていたスペースゴジラとビオランテだが、実は密かに帰星しているらしいのだ。 それから大気中に拡散している熱エネルギーから判断して、どうやらメカゴジラ初号機とスーパーメカゴジラが高いレベルの稼動状態に移行したらしい。」 「それはホントですか!」 ウルトラマンは静かに頷いた。 「本当だ。それにゴジラ宗家の手足であるアンギラスも鎌倉の屋敷から姿を消している。」 「そうか、きっと何か宗家からの密名を帯びて潜伏しているんですね。」 「この戦争!なんとしても防がねばならん!A!ワタシに力を貸してくれ!」 ウルトラマンはAに右手を差し出した。 「もちろんです!兄さん!!」 差し出された手を力一杯握り返すウルトラマンA。 光の巨人2人はいまの平和を守ることを堅く誓い合ったのだった。
「ゴジラ宗家よりの密名を受け鎌倉から姿を消した」アンギラスはまだ新宿でヤキトリを売っていた。 もちろん宗家の密名でヤキトリ屋をやっている…なんてことは全然ない。 自分が壊した鎌倉のお屋敷の正門と裏門の修繕費を稼ぐためなのだが…。 (……じぇんじぇん売れましぇん……(涙)) ヤキトリ買ってくれたのはガバラだけだった。 だいたい普通の人間に巨大なアンギラスのとこに行って「ヤキトリください」なんて言う度胸はない。 仮にその度胸があったにしても、手渡されるヤキトリが3メートルほどもある串にニワトリがブスブス刺さっただけのシロモノでは…。 正門と裏門の再建は前途遼遠と言わねばなるまい。 (ちくしょう…、なんでこのオレが年越しでヤキトリ売らなきゃなんねえんだよ。それもこれもバラゴンの野郎が……。) 愚痴っても仕方ない…。 それは承知している。 でも…。 (ちくしょうバラゴンのヤツ…) やめられない、止まらない。 そのとき、アンギラスの露店の前方500メートルほどのところを一人の女の子が通りかかった。 (あれ?あの女の子、どっかで見覚えがあるぞ……。だれだっけ……???) 答えはすぐに閃いた。 (ああそうだ、たしかGMKに出てたスーツアクトレスの女の子だ。) 突然、女の子の前の震動とともに地面がモリモリ盛り上がった。 しかし、女の子は怖がる様子も見せない。 それどころが、ニコニコ微笑み大きく手を振ると……地下から現れた怪獣に向かって駆け寄ったではないか!? 瞬間的にアンギラスはブチ切れた。 「やいバラゴン!女連れたぁいいご身分だな!」 「げっ!?アンギラス!なんでこんなところに!?」 「うるへい!ここで会ったが百年め!ぶっ叩いて噛みついて蹴飛ばして、奥歯ガタガタいわせたるぞ!」 慌てて逃げ出すバラゴンに、逃がすものかとアンギラス。 命懸けの追いかけっこが今始まった!
42 :
試合結果 :05/01/06 14:45:33 ID:mWI7NeaF
『名前に濁点の無い怪獣GP』 リザーブマッチ ○アーストロンvsクレッセント● KO(年功序列) 1回戦第1試合 ●イリスvsヤメタランス○ 判定2−0 (イリスがヤメタランス化) 1回戦第2試合 ○ナースvsカマキラス● テクニカルフォール(ワイルド浜口場外乱闘) 1回戦第3試合 ○モスラvsモチロン● タップアウト(ルナ乱入) 1回戦第4試合 ○ミニラvsモットクレロン● KO (放射火炎) エキシビジョンマッチ ○アーストロンvsアイアン● KO(ぶちかまし) 準決勝第1試合 ●モスラvsナース○ KO(コブラツイスト) 準決勝第2試合 ○ミニラvsヤメタランス● (放射火炎) エキシビジョンマッチ ○タイラントvsカニックス○ KO(過労死) 決勝戦 その1●ミニラvsナース○ ギブアップ(スリーパーホールド) その2○ミニラvsナース● KO(放射能リング)
43 :
試合結果 :05/01/06 14:48:11 ID:mWI7NeaF
『パチもん怪獣GP』 ゴジリーグ1回戦第1試合 ○ゴジラvsアーストロン● KO(放射能火炎) ゴジリーグ1回戦第2試合 ●ゴメスvsジラース○ ギブアップ(放射能火炎) カメリーグ1回戦第1試合 ○キングトータスvsカメーバ● TKO(カメーバ亀のまま) エキシビジョンマッチ ○バルゴンvsワニゴン● KO(冷凍液) カメリーグ1回戦第2試合 ●ガメラvsガマロン○ KO(ガマの油&変り身の術) ゴジリーグ2回戦第1試合 ○アーストロンvsジラース● ドクターストップ(襟巻きずれた) カメリーグ2回戦第1試合 ○ガマロンvsカメーバ● フォール(試合後カメーバ暴走) カメリーグ2回戦第2試合 ●ガメラvsキングトータス○ TKO(ガメラ、アクシデントで負傷) エキシビジョンマッチ ○メカゴジラvsドラゴンシーザー● KO(知名度) ゴジリーグ2回戦第2試合 ●ゴジラvsゴメス○ KO(ゴジラ、抗核バクテリアに倒れる) ゴジリーグ3回戦第1試合 ○ゴメスvsアーストロン● KO(豪腕パンチ)
44 :
残り試合 :05/01/06 15:00:04 ID:mWI7NeaF
カメリーグ3回戦第1試合 ガマロンvsキングトータス 全勝同士の対戦。ガマロンの動向が全てのカギを握る! カメリーグ3回戦第1試合 ガメラvsカメーバ 本物とは最弱パチなのか?そして操られたカメーバの運命は? ゴジリーグ3回戦第2試合 ゴジラvsジラース 果たして試合続行なるか?そして誰と誰が戦うのか?! 「パチもん怪獣GP」もいよいよ佳境。 ガマロンは、ウルトラエースは、機龍は何を企むのか? そして昭和の運命や如何に!? ここまで来るとおいらにゃちょっと手が出せませんです。 A級戦犯氏(あえてこう呼ばせてもらいます)、よろしくたのんます。 蕎麦屋のモニタで応援してます。 by月亭雷蔵
45 :
お礼状 :05/01/06 15:35:40 ID:9ig3JHnR
雷蔵師匠 感謝でござる。 師匠の御厚情に報いるためにも、またここまで変な風に暴走させてしまった責任をとるためにも、今回は逃げずにサイドストーリーをまっとうさせる所存にござりまする。 by A級戦犯(別名「誤字脱字の多いヤツ」)
46 :
ラジコン作戦 :05/01/06 17:04:46 ID:9ig3JHnR
「予定通り、昭和ゴジラの正気は吹っ飛ぶ寸前だよ。」 ワイングラスを手にウルトラエースは声を出さずに笑った。 「大怪獣といえども所詮は生き物、怒りもすれば泣きもしよう。 その怒りや悲しみが彼奴から『正義の味方』としての偽善者ヅラを剥ぎ取るのだ。 そして理性を無くしたケダモノとして…。」 ウルトラエースの目が怪しく光り、同時に手にしたグラスがコナゴナに砕け散った。 「ガメラとゴジラは殺しあうのだよ!!」 「だがしかし…」 闇の中からガマロンが現れた。 「どうやらウルトラマンとウルトラマンAに感づかれたようだ。」 「ワタシの失言のせいだろう。あそこは『ゴメスが殺されたそうだ』と言うべきだった。 しかし、計画の大勢には影響しない。 ウルトラマンはジラースの傍から離れられないし、ウルトラマンAは解説席に釘付けだ。 他のウルトラ兄弟は今地球にいない。 なぁに、いざというときは『シュレジンガーの箱』に閉じ込めてやるさ。」 「こちらも太秦から援軍を呼んでおいた。 ヤツならウルトラマンとも闘えるだろう。 それにジャコーの『黄泉の法』もある。」 「いずれにしてもラジコン作戦さえ成功すれば、ウルトラ兄弟が束になって来ても怖くなどないさ。」
同じころ…ここは鎌倉の邸宅…。 「では行け!それぞれの戦場へと!」 吠えるような声の後ふすまが開いて宗家の部屋からミレゴジ以下ゴジラ一族が退出していった。 その光景はまさに「王の行進」と形容するに相応しい威容であった。 …怪獣王たちの行進が立ち去り屋敷に再び静寂が戻って来たが、宗家に部屋を立つ気配は無い。 暗い部屋の中、宗家の真紅の瞳だけが燃えるように光を放っている。 「…来たか。」 宗家が不意に言葉を発するのと同時に、隣室に灯明が灯り境の障子に二体の影を映し出した。 一方は直線基調のシャープな影、もう一方は曲線基調のマッシブなシルエット。 だが、基本ラインが全く異なるにも関わらず、全体のフォルムはどちらも驚くほど宗家に似通っていた。
>>48 「ウミボウズ→カニックス」的連続ものはマグマ大使の特徴でしたね。
よく「マグマ大使の特徴は「一匹の怪獣が何話にも連続して登場すること」と書かれてますが、本当の特徴はそれが二重のいれこ構造になっている点だと思います。
音波怪獣フレニックスでニンゲンモドキ作戦が始まり、ガレオン、ドロックス、サソギラス、グラニアで終わる。
それぞれの怪獣が複数話を結び、それを更にニンゲンモドキ(元ネタはたぶん古典SFの「盗まれた町」)が繋いでいる。
テラバーデン、ピドラ、ダコーダ、バルザスでは「大きな括り」が無くなって、それが復活するのが「ウミボウズ、カニックス」(元ネタはやっぱり古典SFの「禁断の惑星」)。
子供のころはまだるっこしくて嫌だったんですが(苦笑)、今思い出すと単発読みきりスタイルよりもダイナミックだったような気がして…。
マグマ大使の凝ったシナリオ構造も、ウルトラマンの最終回みたいに「初めてだったからできたムチャ」ものなのかもしれません(笑)。
「鎌倉に一族のものが集められたそうだ(これはホント)。」 「家老格のアンギラスが走り回ってるんだって(こっちはデマ)。」 「地球にスペゴジが帰ってくるらしい(これはホント)。」 「スペゴジだけじゃないぞ!イヨマンテも帰ってくるんだってよ(………ビオランテだろ)。」 今日の試合は「ガマロン対キングトータス」。 しかし、パチモンGP会場は試合とは無関係のさまざまな情報やウソ、流言飛語や誹謗中傷が飛びかっていた。 「メタさん。やっぱり戦争なんでしょうか?」 「いえ661さん。内戦だけはなんとしても避けねばなりません。」 特オタ661と金属人間メタリノームは正月休みもそこそこに(つまりちょっとは休んだ)、ゴジラ一族とガメラファミリーの戦争を回避すべく努力を重ねていた。 しかし、そんな2人の思いなどお構いなしに状況は悪化の一途を辿っていた。 「でもメタさん、さいわいなことに今日の試合はガメラもゴジラも絡まないから特に波乱は無いですよね。」 「……油断はできませんよ661さん。昨日のゴメス襲撃だって予想外でしたから。」 「そ、そうでしょうか!?」 661はにわかに心配顔になった。 「残り試合は今日のも入れて三試合。もう何が起こっても不思議はありません。」
51 :
依頼人に… :05/01/07 08:53:48 ID:B7RLUxQl
「661さ〜ん!メタリノームさ〜ん!」 観客席出入り口から元気な声が聞こえてきた。 「おお、来ましたねジッポーくん!」 「メタリノームさん!661さん!本年もよろしくおねがいします!!」 律儀に型どおりの挨拶をすますと、ジッポーの顔は営業スマイル的ニコニコ顔から661同様の心配顔へとたちまち変化した。 「……その顔は……ジッポーくん、なにかありましたね?」 「…さすがメタさん、なんでもお見通しですね。実は……太秦の撮影所からジジゴラが消えたらしいんです。」 661が「ジジゴラ」の名を聞いて飛び上がった。 「ジジゴラっていうと、確か魔風忍獣の頭領でしたよね!?そいつもこっちに!?」 「他に行くトコもないと思うんだよね。アイツまで来たらボクたちだけじゃどうしようもないよ……。」 アタマを抱えるばかりの661とジッポーだが、メタリノームはさすがに冷静だった。 「ガマロンやジャコーと同格の忍獣がもう一匹ですね…。戦争の準備とちゃくちゃくというところですか。 ……こうなったら非常事態です。職業倫理に犯するとは思いますが…ジッポーくん!」 メタリノームは一呼吸奥と改めてジッポーに向き直り言った。 「キミとガマスに調査を依頼した依頼人に会わせてもらえませんか?」
52 :
依頼人の正体 :05/01/07 16:57:28 ID:B7RLUxQl
(ああ…誤字が減らない無くならない。情けなや。) 「あ……あの……。」 ジッポーの紹介で「依頼人」に会ったとたん、661は言葉が見つからなくなってしまった。 (えーっと…「始めまして」ってのも変だよな…テレビでしょっちゅう見てたんだし…。 でも向こうはオレとは初対面か……。ああ、でも綺麗だな…、ずーっと見てると目が潰れちゃうかも…月の人って年取らないのかな?あれ?オレなに考えてんだろ??) 年を取らない?いや、やはり変わってはいた。 かつてはあった少年のような部分や気負いが消え、優雅さや気品へと席を譲っているのだ。 「はじめまして。私がジッポーくんとガマスくんに今回の調査を依頼しました。南夕子と申します。」 夕子の「小春日和のお日様のような微笑」はあたりが暖かくなったような錯角すら覚えさせる。 いや、暖かくなったのはあたりだけではない。 「……め、女神さまだぁ〜……。」 661のアタマの中まですっかり暖かくなってしまったのだ。
「め、女神さまだぁ〜……。」 のうみそがすっかり暖かい春になってしまった661の目の前で夕子はまずメタリノームと握手すると、なんと!661にも微笑を絶やさぬままに右手を差し出してきたではないか!? (おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!いいんですか?いいんですか?オレなんかが、オレなんかが、ただの特オタのオレなんかが触っても、手を触れても、手握ってもぉ!?) 661の脳内温度は一気に沸点まで上昇した。 金縛りにあったように661が硬直していると、夕子は小首をかしげてから更に手を伸ばすと661の手を自分から握った!? (おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?!?) すでに沸点まで上昇していた661のノウミソはその瞬間跡形も無く蒸発してしまい……、そのまま失神してぶっ倒れてしまったのであった。
54 :
夕子の話 :05/01/07 17:26:53 ID:B7RLUxQl
「パチモンとホンモノの対決という今大会のコンセプトに危険なものを感じていたのです。」 南夕子は憂わしげな表情で話し始めた。 「パチモンはホンモノに複雑な感情を抱いています。それが何か悪いものをもたらすのではないかと心配になったのです。」 「なるほど。そしてその心配に輪をかけたのが解説者のウルトラエースだったのですね。」 夕子はメタリノームの言葉に静かに頷いてみせた。 「ウルトラエースを見たのはこの大会がはじめてでした。一目見て、彼が星児さん……ウルトラマンAに対して悪意をもっているのを感じとれたのです。」 そのときのことを思い出したのか、細い肩を震わせた。 「安心してください。」と夕子の震える肩に手を置いたのは661……ではなくメタリノームだ。 ちなみに、661は幸せそうな顔をしたまま まだ失神している。 「ありがとうございます。それで悪いことを未然に防げないかと思ってガマスくんとジッポーくんにお願いしたんです。 でも……。」 夕子の顔がかつてのTAC隊員だったときのものに一瞬戻った。 「……ウルトラエースの邪悪さは、そんなものでは防げなかったのです。」
ところで、「ファイナル」のゴジラはミレゴジとはまた別物って事でいいのかな?サイズ からして違うし、背ビレもトゲトゲしいミレゴジのからノーマルな形に戻ってるし。 ここでの設定ならミレゴジの双子の弟(でも父と同じくらいの長身)て感じかな?
南極でずっと寝てた人だから必ずしもミレゴジより年下とは限らないのでは?
57 :
nanasi :05/01/07 22:42:32 ID:4UVRUNEf
age
まさか機龍のおとーさま
時代設定が近未来というわけで 必ずしも同じ時間軸とは限らないと思うけど。
ムーン「ちわ〜。女将さん、いつものやつね。あれ、ご隠居も来てらしたんですか。 開けましておめでとう御座います。今年もよろしくご贔屓にお願いします。 いや、この後お宅に伺おうと思ってたんですがね、なんか調子狂っちゃったなぁ。」 エレキ「おう、開けましておめでとう。こっこそよろしくたのむ。俺とおめえさんの仲だ、そう気ぃ使う事なんてねえよ。 どの道ここでちょくちょく顔を合わすんだ。どうでぇ、お前ぇさんも一杯やるかい?」 返事を待たずに、エレキングはお銚子を追加した。ムーンサンダーはエレキングの横の席に着こうとして、椅子の下に転がっていた物に躓いた。 ムーン「うぉおっと、って、なんだよこれ。 へ? ルナ公。何そんなとこで寝っ転がってやがんだよ。」 ルナ「むにゃむにゃ・・・・・ゆうほひゃぁん・・・あ〜んして・・・・ぶひゅぅ・・・・月がひれぃらねぇ・・・・・ おうい、モヒロン、お団子追加らぁ〜・・・・・・・もっとうまいもろもってほぉい・・・・・・・・」 ムーン「うわぁ〜。なんでぇ畜生。だらしないッたらありゃしねぇ。おいこらルナ!風邪ひくぞ。」 エレキ「まあ、正月からそうピリピリしなさんなって。いい夢見てるみてぇだし、そっとしといてやんな。」 ムーン「へぇ、まぁ、ご隠居がそうおっしゃるんなら。しかし一体どんだけ呑んだんです?」 エレキ「ん?裏にキープしといたタンカーを一隻、あらかた開けちまったからねぇ。ま、半分はこいつが飲んだかな。」 ムーン「へー、そんなに。ってぇ、ご隠居は平気なんですか?」 エレキ「あたぼぉよ!こちとら江戸っ子だぜ、鍛え方がちがう。酒は飲んでも呑まれるな。
エレキ「あたぼぉよ!こちとら江戸っ子だぜ、鍛え方がちがう。酒は飲んでも呑まれるな。
っつってな。たしなむ程度でやめとくのが粋ってぇもんだぜ。」
ムーン「たしなむ程度がタンカー半分ですかい。それよりご隠居、こないだのGPの特集号、でましたよ。」
エレキ「ん〜、どれどれ、
>>42 か。おお、ミニラ様もナース嬢ちゃんもいい顔で映ってんねぇ。
ありゃ?なんでぇ、このエキシビジョンマッチのところミスプリじゃねぇのか。」
ムーン「ありゃ本当だ、 『○タイラントvsカニックス○ KO(過労死)』なんて書いてある。
あの時は俺達も出張ったから良く覚えてますけどね、『○タイラントvsカニックス●』が正解ですよね
エレキ「まあ正月だ、大方661も忘年会だか新年会で飲んだくれてたんだろうよ。
お、来た来た。っさ、お前ぇさんもやんねぇ。女将、俺にも月見だ。勘定は全部俺に回してくんねぇ。」
ムーン「いつもいつもすいませんね。ま、今日の所は遠慮なく頂きます。 〜ん、堪りませんねぇ。」
エレキ「おうよ、酒は百薬の長ってな、楽しく飲んでりゃそれでいいんだ。」
ムーン「ごもっとも。けちけちするなんて怪獣のやるこっちゃないですとね。
それはそうと、ご隠居は聞かれました?シーゴラスの旦那がインド洋でやらかしたんだそうですが。」
エレキ「おお、聞いた聞いた。年末のあれだろ。かみさんが身重だって言ってたから心配はしてたんだがねぇ。
ゴジラ様も最後だそうだし、ガメラ様も表立った活動は無いし、スペースビーストだったけか?
俺の後輩も今ひとつシャキッとした奴が出てこねぇし、怪獣界には辛い年になりそうだな。」
ムーン「何をおっしゃいます。酒は楽しく飲むって、たった今ご隠居がおっしゃったばかりじゃないですか。
明るい未来を信じて、おいら達で盛り上げていこういじゃないですか。」
エレキ「おう、そうだったな。そいじゃあ、怪獣の栄えある未来に、乾杯!」
ムーン「乾杯!」
ルナ「・・・・・・・・・・・・・・・ゆうほひゃん・・・・・・・・あん、いや、だめぇ、そんなとこ・・・・・・・」
62 :
いのちゃん :05/01/09 17:20:11 ID:ho8wRnVy
>>12 今気づいたのだが昭和モスラ(子)=平成モスラというのは違うぞ
なぜなら昭和モスラは一匹死んでいるので二匹いるのはおかしい。多分残った一匹は
南海の時のやつと思われ
>>62 ま、あくまで「このスレでの設定」ですから。だから実際の映画作品の設定とちょっと変えた
部分があります。あと設定について、引き続き補足とかヨロシコ。
さてと……。 実はこのあと「キングトータス対ガマロン」の試合にルナチクス乱入を考えてたんだべが…。 「平和が壊れると夕子ちゃんが悲しむから」という動機で、同じ地脈エネルギー使いのガマロンと闘い、ルナが自分の命と引き換えにガマロンの術の弱点を……って展開。 で、キングトータスが棚ボタで勝利。 でもルナ公は蕎麦屋で熟睡寝ちまっててるべ…。 方針転換すべさ。
「ウワサに聞くヒーローのダークサイドに掴まったんですね。ウルトラエースは。」 「私もそう思います。」 「あのさ、あのさ。ヒーローのダークサイドってなに?」 メタリノームと南夕子の会話に忍者怪獣ジッポーが口を挟んだ。 「……ジッポー君は聞いたことありませんか? ヒーローの道を歩む者だけを捕らえる暗黒の落とし穴を…。」 南夕子がメタリノームに続いた。 「ヒーローといえども完全無欠ではありません。 ウルトラマンさんだって竜が森で交通事故を起こしましたし、ウルトラマンタロウだってテンペラー星人の時は慢心しました。 でもファンの人たちはヒーローが完璧であることを求めます。私も一時は苦しみました…。 ヒーローとしての虚像が一人歩きして、やがては虚像が実像を飲込んでしまう。 まるでウルトラQの「悪魔っ子」みたいなものです。 そしてもしその苦しみに負けてしまうと、そこがヒーローはダークサイドに落ちていってしまうのです。」 「おまけに……。」 話手がふたたびメタリノームに戻った。 「……ウルトラエースはウルトラシリーズのパチモンヒーローでした。 出自の歪みがヒーローとしてのウルトラエースのキャラ全体に及んでしまっているようにも思います。」 「なんとなく判ったよ。ようはスターウォーズの暗黒卿みたいなもんなんだね。」 一応納得できたようにジッポーは言った。 「ウルトラエースはダースベイダーみたいなもんなんだ…。 ………あれ?待てよ??ウルトラエースがダースベイダーなら……。」 「どうかしたのかしら?ジッポーちゃん??」 問い掛け南夕子の顔を見つめ返しながらジッポーは答えた。 「エースがダースベイダーなら、帝国皇帝はダレなのさ?」
ムーン「お、起きたか、ルナ。 ルナ「・・・・・・・・・・・あ゙だま゙い゙だい゙・・・・ぎも゙ぢわ゙る゙い゙゙・・・・・・・・」 エレキ「どうもまだ正体が定まんねぇようだな。どうだ、酔い覚ましに蕎麦でも食うか?」 ルナ「゙ぼじぐな゙い゙・゙・゙・゙・゙・゙・゙お゙え゙ぇ゙っ゙・゙・゙・゙・゙・゙ゔっ゙」゙ ムーン「おいこら、ガマンだガマン。こんな所で吐くんじゃねえ。表行けよ。」 エレキ「ついでに風にあたって来るといいや。一人で歩けるか?」 ルナ「らいりょうむ。もう、かでる。」 エレキ「おう、気ぃつけてな。転んで川落ちるんじゃねぇぞ。」 ムーン「大丈夫かよ。送ってこうか?」 ルナ「あいがろ。でもいい。一人でかえでる。」 ルナチクスはおぼつかない足取りで暖簾をくぐって帰路についた。 案の定、途中で吐こうとして川に顔を出したら落っこちてしまった。 これ幸いに吐くだけ吐いてたら多少は楽になった。 寒風が身に堪える。おかげで意識はしゃんとした。 ルナ「・・・・熱いマグマでも飲みにイコ・・・・」 おかに上がったルナチクスは、その場から地中に潜っていった。
67 :
vsxoe :05/01/11 17:04:03 ID:c76TSUq3
方針転換が急すぎて、文章がついていってないべさ…。 それに最近長文化も進んでるし…、「短くコンパクトに」を心掛けんとダメだべ。 これまでバラバラに動いていた「メタリノームと特オタ661、忍者怪獣ジッポー」と「ウルトラマン・ウルトラマンA」が南夕子を仲立ちにして結びつきつつあったころ…。 「ガマロンのカードは今日のキングトータス戦で最後だ。言わんでも分っていると思うが…。」 「判っている。今日の試合で勝ったほうがカメリーグ優勝だ。」 薄暗い控室にいるのはウルトラエースと………??不思議なことにウルトラエースだけである。 「大会優勝者と準優勝者ではハクが違うからな。後々のことを考えるとここはやはり優勝しておくほうがいいだろうよ。 ま、大丈夫とは思うが年のためにガキトータス(正式名称「ミニトータス」)を……。」 そこまでエースが話したところで、音も無く白煙がわきあがったかと思うとその中から黒地に白のジグザグ模様が走る怪獣=忍者怪獣ドロゴンが現れた。 「最後まで言わんでもいいぞ。あのガキを捕まえりゃいいのだろう?」 「……バカに乗り気だな?」 「ちょっと因縁があるんでな。」 ドロゴンはノコギリのように並んだ白い歯をペロリとひと舐めすると、再び煙とともに姿
な、なんと!コピー失敗だべ!?おまけにvsxoeってなんのこっちゃ? っというわけでもういっぺん(堪忍してたもれ)。 これまでバラバラに動いていた「メタリノームと特オタ661、忍者怪獣ジッポー」と「ウルトラマン・ウルトラマンA」が南夕子を仲立ちにして結びつきつつあったころ…。 「ガマロンのカードは今日のキングトータス戦で最後だ。言わんでも分っていると思うが…。」 「判っている。今日の試合で勝ったほうがカメリーグ優勝だ。」 薄暗い控室にいるのはウルトラエースと………??不思議なことにウルトラエースだけである。 「大会優勝者と準優勝者ではハクが違うからな。後々のことを考えるとここはやはり優勝しておくほうがいいだろうよ。 ま、大丈夫とは思うが年のためにガキトータス(正式名称「ミニトータス」)を……。」 そこまでエースが話したところで、音も無く白煙がわきあがったかと思うとその中から黒地に白のジグザグ模様が走る怪獣=忍者怪獣ドロゴンが現れた。 「最後まで言わんでもいいぞ。あのガキを捕まえりゃいいのだろう?」 「……バカに乗り気だな?」 「ちょっと因縁があるんでな。」 ドロゴンはノコギリのように並んだ白い歯をペロリとひと舐めすると、再び煙とともに姿を消してしまった。
69 :
母親同伴…。 :05/01/11 17:11:29 ID:c76TSUq3
「こんどは迷うんじゃないぞ!」 父キングトータスに念を押され控室を出たミニトータスだがやっぱり迷ってしまっていた。 しかもこんどは一人ではない。 「…ねえ、やっぱりさっきの角で曲がるんじゃなかったかしら?」 母親同伴なのだ。 「…やっぱり心配ですわアナタ。ワタシが付き添っていきますわ。」 「おお、それなら安心だ。頼んだよ。おまえ…。」 それがいっしょに迷ってどうすんだよ(笑)。 「ど田舎」どころか「どどどどど田舎」から出てきた母子なので仕方がないか。 「…だ〜か〜ら〜、あの角のところからーさっき出て来たんじゃん!」 「あら?そうだったかしら?」 心細げに手を繋ぐ母と子とにとって、大会会場の地下通路はロールプレイングゲームに出てくる巨大な迷宮と化してしまっていた。 そして…、この迷宮にはちゃんと「魔物」までも潜んでいたのであった。
ありゃりゃ?気がついたらルナが目を覚まして蕎麦屋を出てるぞ? でも、まぁいいか。路線変更は初めてじゃなし。 いままでの最大の路線変更「ガマロンの正体=ガマ親分(おはよう!こどもショウ)」にくらべりゃあなんてことないし。 ちなみにガマロン=ガマ親分の場合、いっしょに行動するのは…。 「ロバくん(愛川きんやが人間体)」「ミドリおねえさん(鏡よ鏡よ鏡さん…で相手の行動を探る!)」の夫婦。 それに「赤鬼ボンボちゃん」「カーたん」(以上「ママと遊ぼうピンポンパン」)「ケロヨン」「ギロバチ」(以上「木馬座の劇」)といった面々でした(ちっとも「特撮」じゃねえよ!)。 ウケ狙いならこっちの方が面白かったかも?
「兄さん!ファイトっ!」 「おうさ!」 暗い通路で掛け声を掛け合っているのはアーストロンとゴーストロンの熱血あほ兄弟だ。 優勝決定戦進出の権利が事実上かかっていたゴメスとの試合に敗れたアーストロンだったが、大会委員会から「優勝決定戦出場」が非公式ながら打診されたのである。 ゴメス負傷による繰り上げだったので当初はあまり気乗りしないアーストロンだった。 しかし、ゴメスを見舞ったついでにその話をしたところが「ワシの代わりに是非出場してくれ」とハッパをかけられてしまった。 「励ます」つもりが「励まされ」アーストロンは俄然やる気になり、重石代わりの弟をグイグイ引張ってトレーニングを再開したのだった。 「うぉおおおおおっ!………はぁはぁはぁ……。」 「兄さん大丈夫?今日はこのへんに……。」 「いいやっ!ダメだ!相手はなんていっても怪獣王だからな!もうあと100往復いくぞ!」 そのとき、ゴーストロンが急に背中を振り返った。 「おい弟よ?どうかしたのか?」 通路奥の闇をじっと見つめたままゴーストロンが言った。 「……いま向こうの通路を誰か通らなかった?」 「…ん?オレはずっとそっちの方見てたけど、そんなヤツ通らなかったぞ??」 「通らなかったの?…でも、たしかに通ったんだよ。」 そして、ゴーストロンはごくりとツバを飲込んでから言い足した。 「たしかに通ったんだよ。なんだか嫌な感じのするヤツが。」
「どぼじで(どうして)…どぼじで…おごじで(起して)ぐでなかったんでずがぁ(号泣)!??」 「だからそんなに泣かないでください。」 「そうだよ。…涙だけじゃなく鼻水まで垂らしてさ。」 661が失神から回復したとき…、嗚呼なんということだろうか?南夕子はすでに帰ってしまった後だったのである。 これを悲劇といわずしてなんであろうか? しかし泣きの涙の661を前にメタリノームとジッポーはすっかり呆れ顔である。 「…メタさん。このさい661さんのことは放っといてキングトータスさんのとこに行かない?また悪いヤツに狙われるかもしれないし…。」 泣き崩れる661を扱いかねてジッポーが提案した。 「それなら心配ありませんよ。ミニトータスくんにはワタシの手下であるゴースラとキュドラを護衛につけてありますから……。」 そのとき!?怪獣にしか理解できない言葉で館内に放送が流れた。 …ポンポンポンポ〜ン♪ 「まぼろし怪獣ゴースラと幽霊怪獣キュドラさま。差し入れのお弁当が届いております。事務室カウンターまでおこしください。」 ポンポンポンポ〜ン…♪♪ メタリノームの顔色が青くなった(ような気がした?)。 「………しまったワナだ!キュドラもゴースラもバカだから絶対持ち場離れてお弁当受取に行っちまいますよ!」
「どっち行けばいいのかしら?…」 「……ボク、いまやっとわかったよ。」 「あら(喜)!帰り道がわかったの!?」 「ちがうよ。かあちゃんが方向音痴だってことがわかっただけ…。」 「イジワルなこと言うねえ この子は。」 ミニトータスにとってトウキョウで道に迷うのは二度目である。 でも今回は前回感じたような「どうしようもない不安感」は感じていない。 理由は簡単。 となりの「かあちゃん」だ。 かあちゃんがいるだけで安心できる。 例えどんなに方向音痴であっても、どんなに世間知らずであっても、それが「かあちゃん」だから安心できる。そういうものなのだ。 もっともミニトータス自身はそのことを自覚するに到っていない。 それを自覚するにはミニトータスはまだまだ子供だった。 しかし、そんなキングトータス家の家庭の事情などおかまいなく、「わざわい」は口笛を吹きながらやって来た。 「あれ?かあちゃん聞こえる?」 「…聞こえるわ。なにかしらね…。」 ミニトータスはじっと耳を立たせた。 「この曲は……『もしもしカメよ』だ。」
もしもしカメよ♪カメさんよ〜♪♪ 陽気なはずのメロディが暗い廊下をか細く掠れるように流れくる。 やがて、闇の彼方から短めのマントを羽織ったようなシルエットが忽然と姿を現した。 「忍者怪獣ドロゴン!?やばい!かあちゃん走るんだ!」 大会会場の通路は二足歩行の怪獣でも楽々歩ける高さがあるがクイーントータスやミニトータスが飛ぶには低い。 だから走って逃げるしかないのだ。 だがしか〜し、 「ちょ、ちょっと待ってよ。走れって言ったって、あたしたちカメなのよ!」 クイーントータスが悲痛に叫ぶ。 もしもしカメよ〜♪カメさんよ〜♪♪ 不吉なメロディが迫ってきた。
「オマエたち!そこで反省してなさいっ!(怒)」 メタリノームに激しく叱責され、ゴースラとキュドラがすっかりしょぼくれていた。 メタリノームとジッポー、それに特オタ661はまずキングトータスの控室に向かったが、そこで知ったのはトータス母子が連れ立って外に出たということだった。 そこで2人は大会事務室のカウンターにまわり、任務も忘れてお弁当をパクついているコースラとキュドラを捕まえたところであった。 「ほんっとにあのアホウどもは!!」 メタさんの怒りはまだ治まっていない。 「メタさんそんなことより、二匹はどこでトータス母子と別れたと言ってるんですか?」 「すみません661さん。つい怒りに我を忘れてしまいました。…母子とは西Eブロックで別れたそうです。もう15分以上前のことだそうです。」
76 :
袋のネズミ :05/01/12 17:12:03 ID:nWrHzUl8
も〜しも〜しカ〜メよ〜♪カ〜メさんよ〜♪ 嘲るような口笛はあるときは後ろから、そしてあるときは前から流れてトータス親子をある一定の区画へと巧みに追い込んでいた。 「あっ!」 クイーントータスが小さな悲鳴をあげた。 「行き止まりよ。戻りましょう。」 「ダメだよ かあちゃん。アイツ最初っからここに追い込むつもりだったんだよ。だってほら…口笛が……。」 ……聞こえてこない。もう口笛など吹く必要が無いからだ。 「ボウズ。よくわかったなぁ。」 ノコギリのような白い歯を舐めながら、ドロゴンは姿を現した。
「いましたか?」 「ダメです。」 「こっちもいないよぉー。」 メタリノームとジッポー、それに661は西Eブロックをくまなく探して回ったが、トータス母子の姿は見当らない。 いくらカメといっても追い立てられればそれなりに速度は上がる。 ドロゴンから逃れようとするトータス母子の移動速度は661たちの想像したよりずっと速かったのだ。 「ミニトータスくーーーーん!」 661の力いっぱいの叫びが、空しく通路にこだますばかりであった。
本大会が危険な展開を見せていたころ…。 ここ荒川ばたではアンギラスが見失ったバラゴンの姿を血相変えて探し回っていた。 「あのウソつきバラゴンめ!どこ行きゃあがった!……おや?あんなところに怪獣が……。」 見るとアンギラスに背中を向けて川べりに腰掛け優雅に釣りを楽しんでいる怪獣がいるではないか。 「もしもし?ちょっとお尋ねしたきことがあるのですが…。」 「はぁ?」 釣りをしていた怪獣が振り返った。…ネロンガだ。 「実はウソつき怪獣を追っかけてここまでやつてきたのですが、見失ってしまいまして…。 何か見かけられませんでしたでしょうか?」 「さて……『バラゴン』なんて見かけてませんね。」 「そうですか、ありがとございました。」 礼を言って帰りかかったアンギラスであったが……どうもなにか引っかかる。 「(なんか変だな?)あの…ネロンガどの。」 「なんですか?」 「本っ当に何も見かけていませんか?」 「ええ、『バラゴン』なんて見ていませんよ。」 ……いい加減気がつけよ、アンギラス……。 まだまだ追いかけっこは終わりそうにない……。
ネロンガといえばエレドータスとかいう電気亀もいたっけな〜
「よおボウズ、ちょっと来な。」 ドロゴンの手がミニタスに伸びた。 「うちの子に触らないで!」 その手を払いのけようとしたクイーントータスだったが、ドロゴンは相手が女子供であろうとも手加減するようなヤツではなかった。 「うっせえメスガメ!」 ばしっ! ドロゴンの手がクイーントータスのよこっつらにとんだ! 裏返しにひっくり返るクイーントータス。 口の横からは血が!? 「かあちゃんに手を出すな!」 ドロゴンが重ねて暴行を加えようとクイーントータスに向き直ったとたん、こんどはスキをついてミニトータスが襲いかかった。
ドロゴンのスキを突いて、ミニトータスは相手の手首に噛み付いた。 「痛てて!このガキ何しやがる!?」 絶対に放すものかと噛み付く顎に渾身の力を込めるミニトータス! しかし、必死の反撃もそこまでだった。 ドロゴンはミニトータス自身の腹側の甲羅のヘリにミニトータスの首をぐいぐい押し付けた。 テコの原理も働いてミニトータスの首が絞まる! 「…… く、くぁっ!」 苦しくなって思わず顎が緩んだ瞬間、ドロゴンは手首を引き抜くと返す刀でミニトータスを力いっぱい張り飛ばし、更にアタマを踏みつけた。 「身柄を押さえろって言われたんだから殺しちゃマズイだろうが……。半殺しくらいならかまわないよな……。」 怒りに血走った目でミニトータスを見下ろしながらドロゴンはミニトータスのアタマを踏みつける足に力を込めた。 そのとき…。 ドロゴンの背後から怒気を含んだ声が飛んだ! 「おいクズ野郎!女子供イビリったぁ、いい趣味してんな。」
82 :
兄の背中 :05/01/13 17:16:32 ID:pK0DtnuO
「女子供イビリったあ、いい趣味してんな(怒)」 鬼神の怒りを全身に漲らせ羅漢像のように突っ立っているのはアーストロンだ! アーストロンの後ろからゴーストロンも顔を出して叫んだ。 「兄さん!こいつだよ!さっき通った嫌な感じのヤツは!」 「ああ…確かに嫌な感じの野郎だ!児童虐待のくそ野郎だもんな。」 「なんだと!」 ドロゴンの体の白いジグザク模様が怒りのせいかピンクに紅潮した。 「こっちだってテメエらウルトラ怪獣のことが嫌でしょうがなかったぜ! 自分たちだけで怪獣界を背負って立ってるような偉そうな顔しやがって!」 険悪な表情でドロゴンが言い返したが、アーストロンは動じない。 それどころか胸を反らすと蔑みの表情で言い返した。 「それと児童虐待と婦女暴行にどんな関係があるんだ?……このくそ野郎。」 カミソリのようなツメの植わったドロゴンの指がワナワナ痙攣しはじめた…。 「……請負ってない仕事だが……かまわねえや。」 …指の痙攣が止まった。 「まずテメエら兄弟から血祭りにあげてやる。」 同時に白煙が巻き起こり、ドロゴンの姿が消えた。
「兄さん!消えちゃったよ!?」 ドロゴンの姿が消えると弟ゴーストロンは慌てて叫んだが、アーストロンは兄だけあってずっと肝が据わっていた。 「弟よ!オレと背中合わせになれ!そうすりゃ真後ろからの不意打ちだけは避けられる!」 ゴーストロンは驚いた。 「(すげえよ!兄さんびびってないじゃん!)…わかったよ!」 兄の落ち着きの前に、ゴーストロンの動揺は朝日が当たった霜柱のように解け去ってしまった。 すぐにゴーストロンは言われたように兄と背中合わせになった。 ちょうどウルトラマンレオの第一話と第二話に出て来たレッドギラスとブラックギラスのギラススピンと表裏逆のかまえである。 (兄さんとなら、帰ってきたウルトラマンにだって勝てるかも!?) 自分の背中に感じる兄の背中を、いつにも増して「頼もしい」と感じた弟ゴーストロンだった。
「ほんっっっっっとに何も見かけてません?」 「ですから、ほんっっっっっっっとにバラゴンさんなんか見かけてませんっ!」 アンギラスとネロンガ…というよりネロンガに変装したバラゴンはまだ荒川の河川敷で 30分近くも押し問答を続けていた。 実はバラゴンの隠し芸は「変装」だった。自分でも「結構うまい」と思っている。 ネロンガへの変装もそのレパートリーのひとつなのだ。 新宿で待ち合わせていたスーツアクトレスの女の子に見せようと持参した「変装セット」が思わぬ形で役に立った。 バラゴンも最初はそう思っていた。ところが…。 (アンギラスのヤツ、実はとっくにオレの正体に気がついててワザとやってるんじゃ? たしかコイツ脳細胞がアタマだけじゃなく何箇所かに分散してあるんだよな。だったらとどれかの脳みそでとっくに気がついてるんじゃ…。)
アンギラスの脳細胞が全身何箇所にも分散配置されているのは事実である。 が、だからといって別段アタマがいいわけではない。 むしろDVDとBVDの違いに気づかないくらいだから、とっちかといえばパァの部類だろう。 しかし、いったんバラゴンの心に生じた「疑いの心」はもはや消すことは不可能だった。 抑えようのない激情の一瞬、ついにバラゴンは発作的に変装をむしりとるとアンギラスの足元に叩きつけた。 「うっせえバカヤロ!オレさまがバラゴンでいっ!」 「………あああああああああっ(驚愕)!すっげえビックリ!すっげえ上手!おまえこれで喰ってけるぞ!」 「…………気がついてなかったのね。………じゃ、さいなら〜。」 バラゴンは一目散に逃げ出した。 「………?なんで逃げるワケ??」 バラゴンの変装の巧みさに感心して、すっかりそれまでの話を忘れていたアンギラスだった。 ちなみに、バラゴンがなんで逃げていったのか…アンギラスが思い出したのはその数分後のことである。
「バラゴンの野郎!どこ逃げやがった!!」 再びぶちキレモードに突入したアンギラスが語気も荒くとある神社にさしかかると……。 一匹の怪獣がこちらに背中を向けて、お供えダンゴを盜食いしているのに出くわした。 「もしもし?すみませんが、ここにウソつきバラゴンが通りかかりませんでしたでしょうか?」 「はあ?」 振り返った怪獣は……ガボラだった。 (以下同文)
脳がカラダに分散してる… ひょっとして、脳ミソ一つ分がカラダにバラバラにあるだけで、だから結果的にアタマわりいんじゃねーんかアンギラスw ワラタ!
いままでドロゴンのことを「黒地に白の…」と書いてきたけんども……。 ひょっとしたら違うかも!? なぜって、本放送のときも再放送のときも、うちには「白黒テレビ」しかなかったんじゃ! …というわけで気をとりなおして。 アンギラスとバラゴンがコント紛いの追跡劇を繰り広げていたころ。 本大会場の地下通路ではアーストロン、ゴーストロン兄弟とドロゴンの対決が山場を迎えようとしていた。 「弟よ!ヤツの居場所はまだわからないか?!」 「……ダメだよ兄さん。足音もなにも聞こえないよ。」 (ダメか…弟の聴力でヤツの居場所がわからないかと思ったが…。こりゃヤバイかもしれねえ。) 目に見えないなら耳で。 それがアーストロンの考えだったが…。 アーストロンの考えを見透かしたように虚空から声だけが聞こえてきた。 「残念でした。オレは忍者怪獣。姿は消すときゃモチロン足音だって消すのさ。」 アーストロン、ゴーストロン兄弟に勝ち目はないのか!?
89 :
切裂き魔 :05/01/14 08:35:58 ID:KtXhZGSS
(狙いはアーストロン!こいつを先に潰せば、弟はどうとでも料理できる。) ドロゴンは心の中で冷たく笑った。 この忍者怪獣、ジャイアントロボとの対決でもミサイル発射やメガトンパンチといったロボの攻撃を凌いでみせた実績がある。 つまり、じつのところかなりの実力者なのだ。 その上に卑怯なほど慎重ときている。 音も無く近寄ってはカミソリのようなツメでアーストロンの体表の比較的防御が弱い部分を狙い澄まして切裂く。 その連続でアーストロンは既に「赤い怪獣」と化していた。 (…さてと、お楽しみはこのへんにして、そろそろ止めといこうかい?)
90 :
音 :05/01/14 08:39:03 ID:KtXhZGSS
ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ!……… ゴーストロンの後ろから、兄アーストロンの側から聞こえている音だ。 兄は何も言わない。痛みを堪える声すら立てない。 でもわかっている。 (…兄さんすごく出血してる。) ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ! ぽたっ! (早く!早くアイツの居場所をみつけなくちゃ兄さんが!) ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ!… ぽたっ! アーストロンの命が体から流れ出す音が聞こえる。 それがゴーストロンをせきたてる。 兄の信頼に応え、ドロゴンの足音を聞き取ろうと必死に努力するが、耳に入るのは「ぽたっ!」という血のしたたる音ばかり…。 (兄さんっ!) ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ!… ぽたっ! そのとき!ゴーストロンは不意にあることに気がついた! (そうか!わかったぞ!)
91 :
d@)4:@ :05/01/14 12:31:32 ID:KtXhZGSS
ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ! ……………………………………………………………………………ぽたっ 「(チャンスだ!ヤツとは距離が空いてる!)兄さん。ヤツに聞かれるとマズイ。返事はいいから黙って聞いて。」 ゴーストロンが背中の兄に囁いた。 「オイラが1.2.3って合図するから、そしたら真後ろに振り返って水平に熱線放射して!」 もちろんアーストロンからの返事はない。 しかし、自分の言葉が兄に伝わったことを、ゴーストロンは微塵も疑わなかった。 ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ! ……………………………………………………ぽたっ! (近寄ってきた!オイラの左斜め後ろだ!) ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ! …………………………ぽたっ! (大きく回りこんでるな!よしこっちも!) ゴーストロンも兄と背中合わせのままドロゴンを必死に探すフリをしながらあちこちに向きを変えてみせた。 ぽたっ!ぽたっ!ぽたっ! …………ぽたっ! (……疑って無いな!よしっ) ゴーストロンはできるだけ小さな声で言った。 「いち!」 ぽたっ!ぽたっ! …ぽたっ! 「に!」 ぽたっ! 「さんっ!」 最後のカウントと同時にゴーストロンはすとんと尻餅をつき、アーストロンが振り返る!。 そして!上下に並んだ二つの口から迸ったフルパワーの熱線が闇を真っ二つに切裂いた!
GP会場の暗い地下通路に爆発音が轟いた! 「メタさん!いまの音は!?」 「661さん、行ってみましょう!場所はわかりますか?ジッポーくん?」 「まかせて!こっちだよ!」 ジッポーは少しも迷わずにメタリノームと特オタ661を先導していった。さすが忍者怪獣である。 区間の隅にあるスロープを使って2ブロック降り、さらに奥へ奥へと進んだところが現場だった。 なにかが激しく燃え上がり、少しはなれたところでクイーントータスとミニトータスの母子、そしてアーストロンとゴーストロンの兄弟が立っていた。 「これは?なんと忍者怪獣ドロゴンが倒されている!」 駆け寄ったメタリノームに気づいたミニトータスがアーストロンとゴーストロンを指さして言った。 「あのおじちゃんたちがやっつけてくれたんだよ。」 クイーントータスも息子に続いて言った。 「ワタシたちを助けてくださったんです。さもなければワタシたち母子は…。」 「いやあ……おどろきました。しかし、アーストロンくん!姿を消せるドロゴンをよく倒せましたね。」 「その話なら弟に尋ねてやってくんな。」 アーストロンは自分の後ろにいた弟ゴーストロンを自分の前に押し出した。 「さあ、オレにも、メタさんたちにも判るように話してくれ。」 「…わかったよ兄さん。実はね、決め手は『音』だったんだ。」
「音が決め手??…しかし、ドロゴンは姿を消すときは足音も忍ばせるはずですが……。」 「足音じゃないよ、メタリノームさん。足音なら全然聞こえなかった。」 「それじゃいったい何の音を?」 ゴーストロンはニコニコ笑いながら答えた。 「血の滴る音だよ。兄さんのキズから血の滴る音に混じって、違う場所からも血の滴る音が聞こえてたんだ。」 アーストロンは得心がいったというように叫んだ。 「……そうか、ミニトータスぼうやが噛み付いたキズから滴った血か!」 「どういうことですか?」 アーストロンはメタリノームたちに自分たちがここに来たとき、ミニトータスがドロゴンの手首に噛み付いていたことを説明した。 「足音は消してても、ときどき滴る血の音はそのままだったんだよ。ときどきだけど…『ぽたっ!』ってハッキリね。それでヤツのい場所がわかったんだ。」 「おじちゃんすっげえ!」 歓声を上げミニトータスはゴーストロンを見上げた。 その瞳は…「ボクのヒーロー」を見つめるものだった。
それまでの怪獣たちの会話をメタリノームとジッポーに通訳された特オタ661は思わず言った。 「母と子の絆がドロゴンの術に小さな穴を開けた……。そして兄と弟の絆が悪を滅ぼしたってワケですね。…やっぱり人も怪獣も『絆』は大事なんだな。」 「……いいこと言うね。661さん。さっきまで『夕子さま夕子さま』って言ってた人とは思えないや。」 ジッポーが冷やかし、661がアタマを掻く…。 絵に描いたようなグッドエンディングだ。 しかし、メタリノームだけはうかない顔をしている。 661は不審に感じてメタリノームに尋ねた。 「どうかしたんですか?なにか気になる点でも?」 「…ええ、661さん。実は一つあるんですよ…。引っ掛かることが…。」 「それは……?」 「敵は館内放送を使って護衛のゴースラとキュドラをトータス母子から引き離しました。それはそれで成功しているんですが……館内放送ではワタシたちの耳にも届いてしまいますよね?」 はっとしたように661は言った。 「………それじゃあメタさん。あの放送はボクたちにも聞かせるためだと?」 メタリノームの表情が厳しくなった。 「ワタシたちはまんまと敵のオトリ作戦に引っ掛かったのかもしれません。」
「…あのパゴスどの。本っ当にウソつきバラゴンを見かけませんでしたか?」 「だから見てないって言ってるでしょ!あんたもしつこい怪獣ですね!」 「いや、申し訳ござらん。」 アンギラスはペコリとアタマをさげた。 「…しかし念のためもう一度だけお尋ねしますが…。」 「もう一度もう一度って、何回おんなじこと尋いてんだよ!?……ええいっ!こん畜生!オレが……。」 くじけるなバラゴン! 変装のレパートリーにはまだ「マグラ」が残っている!
唸りを上げ飛んで来た大火球が見えないグローブに捕球されたように空中で止まった! 池に小石を投げ入れたとき水面に走る波紋のようなものが、空中に停止した火球の周りに一瞬生じる。 661が思わず叫び、メタリノームが答えた。 「あれはっ!?」 「…おそらく地脈エネルギーの盾です。」 トータス母子を伴って闘場へと戻った661たちの眼前に展開していたのは、ガマロンの圧倒的なほどの「強さ」だった。 キングトータスの吐き出した火球も、ガマロンに触れることすら許されない。 驚く661たちの目の前で、ガマロン正面に空中捕獲された大火球は微かな音とともに燃え尽きてしまった。 おそらくそれまでもキングトータスの攻めをガマロンが完封する形で戦いが進行していたのだろう。 愕然としていたキングトータスだったが、火球が消滅すると同時にガックリ首をおとした。 …勝敗は、もはや誰の目にも明らかだった。
みんな!キングトータスのために祈りをささげよう!
98 :
nanasi :05/01/16 21:45:09 ID:73tWQCl6
age
99 :
作戦開始前夜 :05/01/17 08:07:55 ID:l3fZn3u1
「おおガマロンか。カメリーグ全勝優勝おめでとう。」 ウルトラエースがワイングラスをちょっと掲げガマロンに敬意を表した。 「こんなもの嬉しくも無いわ。それより首尾は?」 「それなら心配ない。」 ガマロンに答えたのはウルトラエースではなく、控室の死角にいた怪物だった。 「……太秦から到着していたか。」 「今朝方早くにな。メタリノームどもがドロゴン相手にバタバタしているうちに、とっとと片付けたわ。 この会場のカメラスタッフはすべてワシの手の者にすり代わり、ラジコンどのもその中に紛れ込んでおる。」 「大魔王どのは…。」 ウルトラエースが後をつづけた。 「…れっきとした日本人としての人間形態があるからな。こういう作戦はお手の物だよ。 メタリノームどもはオトリの館内放送に振り回され、どうでもいいミニトータス母子のところでタコ踊りさ。 まあ、ドロゴンがやられたのだけは誤算だったがな……。」 ガマロンの目が細くなった。 「……ホントに誤算だったのか?」 「そういうことにしておくよ。ま、彼は粗暴過ぎるから、我々の拓く新しい秩序にとって邪魔だったのは確かだけどね。」 ウルトラエースはどこまでも上機嫌だ。 すでに自分たちの勝利を確信しているからだろう。 一方ガマロンは、それ以上ドロゴンの件を追求することはしなかった。 ただ糸のように細くなった目の中で、何かを考えているだけだった。
100 :
狂神 :05/01/17 08:41:06 ID:l3fZn3u1
「ゴメス。体を労わって静かに休め。」 「…そりゃこっちのセリフだよ。昭和兄さん。」 弟のゴメスと別れるときはにこやかだったが、病室を一歩出たとたん昭和の表情は一変した。 「ゴメスを襲ったのも『土鍋みたいな影のヤツ』だそうだ。アーストロンとゴーストロンも…。」 口の前に人差し指を立ててウルトラマンが言った。 「しいっ!それは言わない約束じゃなかったのかい?」 昭和の顔には恐怖が深く刻み込まれていた。 「恐怖」?それはゴジラには最も相応しくない感情だろう。 しかし昭和はまぎれもなく恐怖を感じていたのだ。 「…オレの息子が撮影終了と同時に死んだとき…。」 「……『ゴジラ対デストロイア』のことだね。あれは悲しい出来事だった。」 「オレは胸が張り裂けるかと思った、このまま狂ってしまうのではと思った。 …あれほど身近の者の死が堪えるものとは思わなかった…。 キングギドラの引力光線を百発喰らうほうがまだましだよ…アレよりは…。」 ゴジラは放心したような目線を宙に彷徨わせた。 「昭和…。」 ウルトラマンは(何かいわなけりゃ)と思ったが、モノに憑かれたような表情の昭和を前にして言葉が見つからない。 「こんどは弟の、ゴメスの命が狙われた…。このままだとオレは…恐怖のあまり宗家すら超える破壊の狂神になっちまうかもしれない…。」 昭和はシッポを引き摺り、自分の控室へと帰っていった。 その背中は丸く、首はうな垂れ、まるで老人のように見える。 長身のウルトラマンに手を引かれ、昭和はトボトボと歩き去っていった。
「宗家、ジラ様から贈り物が届きました。」 「ジラから?(…いったいなにごとじゃ?)よし、ここに持てい。」 鎌倉の豪邸、ゴジラ宗家の元にアメリカ生まれの嫁ジラから、なんの理由もなく贈り物がとどいたという。 出奔中のアンギラスに代わってバランが運んできた「贈り物」とは大変奇妙なものであった。 「…なんじゃこれは?」 「はい、臭いからして中身は甘納豆かと…。」 平伏しつつ答えたバランだったが、たちまち宗家に怒鳴り飛ばされてしまった。 「そんなことはワシにもわかる!問題はこの包装じゃ!」 肝心の甘納豆は円筒状の布袋に収められ、その両端が紐でしっかり縛ってあるのである。 「甘納豆だから、納豆みたいに包んだのではないかな〜って…??」 「とっとと退がれっ!」 宗家に怒鳴られたのをこれ幸いと、バランは速やかに退き下がっていった。 (これはいかなる意味か?) 宗家は内蔵されたコンピュータでさまざまなキーワードで検索を実行していった。 何回検索しただろうか? ついに宗家は完全に納得がいく回答を見出した。 「そうか!ジラは早く日本に馴染もうと日本史の勉強をしておった!間違いない! これは『お市のかた』の故事じゃ!」
…ゴジラとウルトラマン、ガマロンとウルトラエース、そしてウルトラマンA、メタリノーム……。 さまざまな思いをこめて夜が明ける…。 GP会場はのっけから異様な雰囲気に包まれていた。 白銀の機械神=宗家を含む三体のメカゴジラ、そしてモゲラ(平成)とスペースゴジラが飛来したのである。 一方、血縁のはずのミレゴジとGMKゴジラ、FWゴジラら一族はビオランテとともに東京湾の周辺に配置されていた。 なぜ、戦場となるであろうGP会場に配置されているのが外様ばかりなのか? 血縁の一族はなぜ大会場から離して配置されているのか? さまざまな憶測が乱れ飛んだが、宗家は黙して語ろうとしない。 ただ、金属人間メタリノームだけは、ある一点に気づいていた。 「わかりますか?661さん。この布陣の意味が?」 「布陣の意味?『昭和』が絡んでるんで内紛を恐れた宗家が、一族を遠ざけたんじゃないんですか?」 「ちがいますね、661さん。」 「……メタさん。じらさないで教えて下さいよ!」 哀願する661にメタリノームは悪戯っぽく目をクリクリさせ答えた。 「今はまだ言えません。ただヒントはあげますよ。」 思わせぶりにメタリノームは一拍空けてから続けた。 「GP会場に現れた連中は皆ある能力に優れているんです。」
「ラジコン殿。準備の方は大丈夫か?」 浅黒い肌に黒いヒゲと黒い頭巾の男が調整室で作業中の人物に声をかけた。 ところが、振り返ったその顔は!? 大きなギョロ目にタコのように突き出た口、その先端にはヒゲというか触手のようなものが生えている!電波宇宙人とも呼ばれる宇宙の怪人ラジコン星人だ! 「ひひひ(笑)。大魔王殿か、準備ならとっくのとうにOkじゃ。何時でも、究極の視聴者参加番組を撮ってお見せしよう。ひっひっひ。それよりカメり仕込みの方はだいじょぶかの?」 「そちらのほうはウルトラエース殿が腕によりを掛けられたとのこと。ご心配めさるな。」
104 :
ガメラ出陣 :05/01/17 17:10:10 ID:l3fZn3u1
控室から闘場へ…。 通路をノッシノッシと歩いてくるのは昭和ガメラだった。 目下カメリーグで連敗街道まっしぐらだが、そんなこと全然気にしていない。 彼にとって「地球の平和」だとか「人間の子供」だとかの守るべきものの無い戦いなどどうでもいいからだ。 それに彼はとっくに家督を譲って隠居の身でもある。 平成もしっかり育ってくれたし、もう思い残すことはない。 だからこんどの大会だって出場する気は全く無かった。 ……あの昭和ゴジラさえ出てこなければ。 言葉を交わすどころか顔を合わせたことすら一度も無い。 若いころは互いにライバル視しあっていたから、顔を合わす、言葉を交わすなどとんでもないことだとも思っていた。 もし顔を合わせていたら、激突必至であったろうとも思う。 しかし、時を経たいま、同じ怪獣ブームを支えと伴に走ったランナーとして妙に懐かしい。 昭和ガメラにとっての昭和ゴジラとはそんな怪獣だったのである。 しかし、すっかりご隠居モードだったガメラの前に、のっそりと一匹の怪獣が現れた。
105 :
顧客満足度 :05/01/17 17:11:52 ID:l3fZn3u1
「……なんだギロンじゃないか。何しに来たんだ?」 昭和の野武士、大悪獣ギロンがやっと横浜から辿り付いたのだ。 包丁アタマを動かすと、刀身が僅かな照明を反射してギラリと光る。 「バルゴンから聞いたぞ。この大会ヤバイらしいな。」 「なんだそんなことか。それよりお客さん入ってるか?」 (このアホウ!!)ギロンは思った。 このガメラという怪獣、現役時代も鉄棒で大車輪決めたり(「ガメラ対ギロン」)、相手の背中を木琴みたいに叩いたり(「ガメラ対ジグラ」)としばしばウケ狙いに走る気があった。 それが「ゴジラにくらべて子供騙し」という批判の元でもある。 (全然治ってないじゃねえか…)そう思ってげんなりしながらもギロンは答えた。 「……客なら入ってるぜ。」 「そうかそうか…。」 しかし、客入りがいいと聞いただけではガメラは満足しない。 「…じゃあ、お客さんのウケはどうだ?」 「(なに気にしてんだよこの非常時に…)ああウケてる、ウケてる。でもオマエが勝てばもっとウケるぞ!」 「そうか…やっぱり勝ったほうがいいか……。」 自分がらみで戦争まで起きそうなのに、「顧客満足度命!」のガメラであった。
「南夕子どのとお見受けいたす。」 「は!?」 名を呼ばれ、驚き振り返った夕子の前に立っていたのは、とんでもないご面相の人物だった。黒髪ぼうぼうと頭の両脇に逆立ち、しかし肝心の額から頭頂部にかけてはツルツルに禿げ、顎からは乱杭歯がキバのようにとびだしている。しかも顔色はベタベタの白塗り! 怪人というよりも妖怪に近い面相に一瞬気圧された南夕子だったが、そこは元ウルトラマンAである。 気丈に立ち直ると相手の問いに答えかけた。 「はい。ワタシは南夕子です。失礼ですが、どちらさまでしょうか?」 怪人物は夕子に向かって深々と頭をさげ名乗った。 「拙者、魔風雷丸と申しまする。」
「みなさんこんにちは!パチモン怪獣GPも、もはや残すところ僅か二試合となりました。 本日のカードは、ガメラ対カメーバ。実況はわたし、658でお送りいたします。」 カラ元気を出し658アナが声を張り上げるが、会場のムードはイマイチだった。 ムリもない。カメリーグの主役と目されていたガメラがなんと堂々の全敗なのである。 しかも対戦相手がやはり全敗中のカメーバときては、これで盛り上がったらウソだろう。 「…解説はいつものお二方……。」 「ウルトラマンエー……。」 「ドイツの科学は世界いちぃぃぃぃぃっ!わたしが透明怪傑ウルトラエースですっ!」 定番の「いやがらせ」でウルトラエースがウルトラマンAの自己紹介に自分の声を被せていった。 しかしそんなことを気にするAではない。 彼が気にかけていることはただ一つだけ。 (最後のガメラ戦。しかも相手は自分の手駒のカメーバだ。どう出る?ウルトラエース!) そんなウルトラマンAなどお構いなしに、658アナは更に声を張り上げた。 「では、ガメラ選手の入場です!」
108 :
ガメラ出撃 :05/01/19 08:36:45 ID:1zQgjS8C
ガッメラ〜♪ガッメラ〜♪強いぞガッメラ♪強いぞガッメラ♪強いぞガッメッラ〜♪♪ 「おっオレの出囃子だ。」 いつものテーマソングが流れると、顧客満足度命のガメラにスイッチが入った。 暢気なカメさんから大怪獣ガメラにシフトチェンジする瞬間である。 「(出囃子って、テメエは噺家かよ…)じゃあ行って来い。それからくれぐれも用心しろよ。」 「ああ判った判った。精々気をつけるよ。じゃあなギロン。試合終わったら控室にでも顔出してくれ。」 古いライバルのギロンを残し、ガメラは死のワナの待つ闘場へと足を踏出していった。
「………試合、始まるのか?」 (…はっ!眠っていたのか。)ウルトラマンはゴジラの声で目を覚ました。 ここはジラース控室、ジラース(昭和ゴジラ)の看病をしたまま、ウルトラマンはつい眠ってしまっていたようだ。 「…気がついたのかい?昭和。そう、試合開始はもうまもなくさ。」 疲れた顔でゴジラは上体を起こすと何かに耳を傾けた。 「…ガメラマーチが聞こえる。……スマンがウルトラマン。オレを闘場まで連れて行ってくれ。」 「……闘場に行ってどうしようというんだ?」 「オレにもわからん…。ただ、このオレ自身の肉眼でガメラという怪獣を見極めておきたいんだ。」
110 :
昭和の一声 :05/01/19 08:44:26 ID:1zQgjS8C
ウルトラマンに手を引かれ昭和が怪獣用観客席に向かっていると、なにやら騒がしい一団に出くわした。 ペギラ、パゴス(バラゴンの変装ではない!)、ガラモン、ゴルゴス、リトラ、トドラたちで、みな白地に「天誅!」とマジックで書いたハチマキを締めている。 不穏な雰囲気を察しウルトラマンが尋ねた。 「キミたち、こんなところで何をしてるんだ?」 「知れたことよ!」 ペギラが答えた。 「ゴメスのヤツに手を出したガメラを試合に乱入して打っ潰してやるのさ!」 眠たげな目線とうらはらの物騒な発言だ。 パゴスも後足で立ち上がり、興奮気味の早口でまくしたてる。 「あのカメ野郎!このままにしちゃあおけねえ。オレの放射能光線はアイツにゃ効かねえが、ペギラの冷凍光線ならヤツにも通用する!凍らせといてガツンだぜ!」 「待つんだキミたち!」 危険を感じたウルトラマンがなんとか思いとどまらせようとしたが、興奮したウルトラQ怪獣たちはまるで聞く耳をもたない! 「……テメエら、待て!」 そのとき、騒然とする怪獣たちのなかに昭和の声が低く響いた。 「テメエらが手出す前に、このオレにガメラの値踏みさせろ。それまでは何があっても騒ぎぃ起こすんじゃねえぞ。…わかったな?」 病み衰えてはいても、昭和ゴジラの言葉には一同に有無を言わせぬ絶対の迫力があった。 平伏させたウルトラQ怪獣たちの一団を後ろにひかえさせ、昭和は闘場の様子を一望できる怪獣用観客席最上段にどっかと座り込んだ。
111 :
関が原? :05/01/19 08:46:49 ID:1zQgjS8C
すでに闘場にガメラが登場していたので、観客席にゴジラが登場しても気がつく者は誰もいなかった。 人間の観客はガメラ登場でワイワイ無責任に盛り上がっているが、怪獣たちは危険な静けさに支配されていた。みなジラース、ゴメス襲撃事件の容疑者として「土鍋のような怪獣」の話を耳にしているからである。 (こいつか?こいつなのか?)(こいつが犯人?) 誰も口に出しはしないが、みなそういう顔をしていた。 そして、戦争がはじまったらどっちにつくべきか、みな考えていたのである。
「…ではつづきまして……、カメーバ選手の入場です!」 華々しくコールがなされた。 ところが……登場テーマが流れてこない。 「どうしたんだ?」というざわめきの中、不意にカメーバが現れた。 アタマを床に擦るほど低く下げ、前足後足を左右に大きく踏ん張りながら、ノッシノッシと花道をやって来た。 661は、双眼鏡でカメーバ入場の様子を観察していた。 「……特に異常はありませんね。いままでどおりのカメーバです。」 「いや、必ずなにかあるはずです。これが最後のガメラの試合なんですから。必ず何か仕掛けてくるはずです。」 メタリノームが答えた。 「…脳波コントロールマシンの類が埋め込まれてる形跡もないよ。会場内にもコントロール電波は流れてないし。」 メタリノームが持ち込んだ探知機を睨みながらジッポーも言う。 「それでも必ず何かあるはずなんです。必ず、何かが…。」 メタリノームは鋭い視線をカメーバから片時も離そうとしなかった。
(おかしい…。ガマロン戦では間違いなくウルトラエースがカメーバを操っていたはずだ。それなのに今回、ウルトラエースは解説者席に座っている。今回はウルトラエース以外の別人がカメーバを操るのだろうか?) ウルトラマンAも解説など上の空で必至に考えを巡らせていた。 なにか仕掛けてくるとしたら、もうほとんど時間はないはずだ。 しかし、肝心の仕掛けの中身が見えてこない。 そうしているまにもカメーバは花道を歩き終え、闘場へと足を踏みこんでいった。
114 :
信じます :05/01/19 08:52:39 ID:1zQgjS8C
「……拙者の話を信じてくださるのか?」 「信じます。私にはわかります。アナタの目はウソを言っている者の目ではありません。」 海千山千の忍者である雷丸(いかづちまる)を前に南夕子は言い切ったのだ。 「ガメラが危ない!メタリノームさんたちに知らせなくては…。」 夕子は人間用観客席へと走り出した。
115 :
激突! :05/01/19 08:54:05 ID:1zQgjS8C
ガメラの甲羅は水や空気の抵抗の少ない平板で、まるで航空母艦のようだ。 これに対しカメーバのベースになったマタマタは川に住み海亀ほど遊泳生活に適応していないので甲羅は隆起しゴツゴツしている。 だから歩く姿はまるで岩山が動いているようだ。 「空母」と「岩山」は闘場中央でガッキと激突した! 正面からの激突であれば、二匹のカメの首が交差する形になるのは当然のことだろう。 見た目には下顎から飛び出したガメラのキバのほうが目立つに違いない。 一方のカメーバにはワニガメやカミツキガメのような硬い危険なクチバシが無いので脅威は感じられないだろう。 しかし実際のところ、その口の中にはウルトラエースの手になる死のワナが仕込まれていたのである。
「もともとマタマタは小魚を水ごと口に吸い込んで捕食します。ですからカメーバの噛み付く力もたいしたことはないでしょう。一方のガメラはというと……。」 ウルトラエースはいつものように饒舌だ。 なにか小細工している気配は微塵もない。 (私の思い過ごしだろうか?) ウルトラマンAの心をそんな思いがかすめていく。 (結局ウルトラエースは悪人なんかじゃなかったのかも……。) そう思ったときだった。 白い衣装をたなびかせ、南夕子が放送席正面の人間用観客席に駆け込んで来たのである。
117 :
「信号」 :05/01/19 08:56:36 ID:1zQgjS8C
「外部からのコントロールじゃないっていうんですか夕子さん!」 661が目を丸くして叫んだ。 「ええ、おそらくある種の信号を受けると予め設定された反応をするようになっているんだそうです。」 「しまった!ウルトラエースが相手だと思ってたから忘れてたよ。後催眠ならボクたち忍者の十八番じゃん!」そう言ってジッポーも絶句する! 「夕子さん、その『信号』がなにか判りますか!?」 「いえ661さん、残念ですがそこまでは…。」 「なんでもいいからともかく試合を中止させましょう!」 慌てるみんなを取り纏めるようにメタリノームが叫んだ。 …が、そんなことをしている時間的余裕はもうなかったのだ。 「信号」が発動されたのである。
118 :
発動指令 :05/01/19 08:58:10 ID:1zQgjS8C
(あれはっ!) 南夕子が観客席の661とメタリノームのところに走っていき、なにか言っているのはウルトラエースにも見えていた。 (さては感づいたな!…予定よりすこし早いが…) エースは会場スタッフに紛れ込んでいる手下に秘密のサインを送った。
(ん?いまウルトラエースの口元が歪まなかったか?) 夕子の様子を目にしたウルトラマンAは直感的に放送席反対側のウルトラエースを見た。 そのときエースの口元は確かに苛立たしげに歪んでいたのだ。 (なにかやるっ!) Aの全身に緊張が走る。 そしてその直後! 会場の全ての照明が一斉に消えた。
GP会場の全照明が一斉に消えた。 そして次の瞬間!?悲痛な悲鳴が真っ暗闇の会場内に轟きわたった! 「ぎゃおおおおおっ(暗いよ!狭いよ!怖いよぉぉぉぉぉっ!)」 照明が落ちたのは一瞬だけですぐに回復した。 しかし、その暗闇の一瞬がカメーバに与えた影響は壮絶なものだった。 目が白目をむき、口の端からは白い泡が噴出し、首を激しく上下左右小刻みに振っている。「しまった遅かった!」 ジッポーが661のとなりで叫んだ。 「暗闇になるのが後催眠の『信号』だったんですね!メタさん。」 「…それだけじゃないようですよ。661さん。見なさいあれを!」 なんと、カメーバの手足の筋肉が激しく波打ちながら、ムクムク肥大化し始めたのだ。 「…後催眠だけじゃありませんよ。バイオフィードバックで肉体改造が発動するようにもなってるみたいです。」 身悶えしながらカメーバの体がどんどんマッチョになっていく! 体温も急上昇しているらしく、甲羅の隙間から白い水蒸気がモクモク上がりはじめた。 やがてカメーバは力尽きたようにガックリ崩れ落ちた。 白い蒸気をもうもうと立ち上らせたままピクリとも動かない…。 カメーバどうしたの?もしかして死んじゃった? 人間の観客たちがそう思い始めたころ…。
121 :
一瞬で… :05/01/20 08:41:30 ID:M8mqYH+u
(一瞬で決めよ!カメーバ!ガメラに飛ばれたらオマエには追いすがる術(すべ)が無い!一瞬で決めるのだ!) (……わ… かっ…… た) アタマの中に強制的に刷り込まれた指令に従い、カメーバはドーピングされた筋肉に全エネルギーを込めた。 そして…。 「ぎえええええっ(死ねガメラ!)」 カメーバは絶叫とともに跳ね起き猛然とガメラに襲いかかった。
122 :
黒いキバ :05/01/20 08:44:02 ID:M8mqYH+u
(おい!しゃんとしろカメーバ!お客さんが見てるぞ!) 顧客満足度命のガメラはカメーバがうずくまったまま動かなくなってしまったので、少しばかり焦っていた。 力道山の試合でも一本目で相手が失神して、二本目もそのまんまだったのがあるが、あのときの力道山と同じだ(知らねえよそんな試合!)。 (なんでもいいからさっさと動け。そしたらオレの方でなんとかしてやる。動かなきゃどうしょうもないだろ!?) ……カメーバの頭がかすかに動いた。 (やれやれ助かった…。) ガメラはこのときまでは、まだこれが普通の試合だと思っていた。 カメーバの体から水蒸気があがっても(…たしかビッグバンなんとかっていうプロレスラーがこんなのやってたよな)と思っていた。 そう……カメーバの目が開くまでは。 カメーバの瞼が開き、燐光のような光を放つ目がのぞいた。 (!なにっ!!あの目はっ!?) ガメラがそう思ったのと、絶叫を上げロケット弾のようにカメーバが飛び掛ってくるのとが殆ど同時だった。 180度近くまで開いたカメーバの顎が迫ってくる! その時ガメラは見た。 自然な白いキバだけでなく黒い特殊鋼製の鋭利なキバが嵌め込まれているのを! 紫の鮮血が飛び散った!
123 :
鉄砲玉 :05/01/20 08:46:27 ID:M8mqYH+u
「…さすがだな鈍カメ。直感的に避けきれないと判断し、次善の策として自分の腕に噛みつかせやがった。」 観客席の昭和ゴジラが思わず言った。 ガメラはカメーバのキバを避けようともせず、それどころか自分の右腕をカメーバのキバの中に叩き込んだのだ。 「…避けられる距離でもスピードでもなかった。避けようとすれば体勢を悪くしただけで結局は噛みつかれただろう。やはりくぐった修羅場の数は伊達じゃないか。」 「そんなことより昭和!あのカメーバの様子は変だ!」 ウルトラマンも異変に気づき少し慌てている。 一方、ゴジラの背後に控えたウルトラQ怪獣たちはというと、カメーバに対する声援一辺倒になっている。 カメーバの戦いをゴジラとゴメスの敵討ちと思っているからだ。 同時に怪獣用観客席からは「ゴジラの鉄砲玉だっ!」という声や「ゴジラがガメラ潰しに出たぞ!」という野次が幾つも発せられた。
124 :
戦争へ :05/01/20 08:48:40 ID:M8mqYH+u
「的を外したか…。」 「しかし計画そのものには影響ない。すでにジャコーが動いている。」 …太秦から来た「大魔王」とガマロンだ。 「流言飛語を用い世論を動かす…。時代は動き出した。もう誰にも止められん。」 笑うガマロンと「大魔王」。 これまでの661やメタリノームたちの悪戦苦闘にも関わらず、事態は明らかに戦争に向け動き出してしまっていた。 戦争回避はもはや不可能なのだろうか。
125 :
ギロン登場 :05/01/20 08:50:15 ID:M8mqYH+u
ガメラはカメーバのキバが抜けないように食い込んだ右腕の筋肉に力を込め、さらに残った左腕でカメーバの首を抱えこんでいた。 普通なら噛み付いた相手を振りほどこうとするだろうが、そうすればカメーバに今度こそ 首を獲られるだろう。 甲羅を前後に貫通されるようなとんでもない経験の豊富なガメラであってこその判断だ。 だが、ガメラとカメーバの血まみれの鍔迫り合いは怪獣たちを激しく興奮させ、謎の野次がそれを更に煽り立てる。 怪獣用観客席の二三箇所では早くも二派に分かれた小競り合いも始まっていた。 そのときゴジラの後ろにいたモングラーが不意に大声をあげた。 「見ろ!ギロンが闘場に上がって来やがったぞ!」
血まみれの修羅場に、大悪獣ギロンは這い上がってきた。 「ギロン!おまえ何しに来た!とっとと出てけ!!」 吹き出た血しぶきに顔を紫に染めたままガメラが睨みつける。 観客席のブーイングをジロリと睨み返してからギロンは答えた。 「見たぞ。そいつ変なもん口に仕込んでるだろ。それにどう考えても様子が変だ。バルゴンが言ってたみたいにオマエを暗殺するつもりだったぞ!」 「だったら悪いが暗殺失敗だ。オレはこのとおりピンピン……。」 そこまで言ったところで、ガメラの顔が苦痛に歪んだ。 「…あんまりピンピンでもねえみたいだな、カメ公。」 「うるさい。こっちは忙しいんだ。さっさと出てけよ。」 「悪いがそういうわけにもいかん。」 しかし、ギロンは出て行くどころか更にガメラに迫った。 「このままだとゴジラ一族との戦争は避けられん。そのときオレらの大将になるキサマに死んでられちゃあこっちが困るんだ。判ったか?判ったら、そいつの首をオレにぶった切らせろ!」
巨大な白刃を振りかざしギロンが迫った。 「そこを退け!」 しかしガメラの行動はギロンにも昭和ゴジラにも、そしてウルトラエースやガマロンにさえ予想外のものだった。 自分の大きな甲羅でカメーバの首を覆い隠したのだ。 「断るっ!」 「なんだと!?」 「こいつの目ぇ見ろ!こりゃ誰かに操られてる目だ!バイラスに操られたことあるオレが言ってんだからまちげぇねえ!犠牲者なんだよ、カメーバは!その犠牲者の首ちょん切っちまってどうすんだよ!」 「目を覚ませカメ公!そんな人情論に流されてどうする!?そんなことだと怪獣大戦という大嵐に巻き込まれ消し飛ばされるのがオチだぞ!」 「うるせえ!オレは『ドジでノロマなカメ』だから戦争だなんだって難しい話は全然わかんねえや!オレのアタマはどうやってカメーバ助けてオレも助かるかってことで容量いっぱいなんでえっ!」 なんと、ガメラのノウミソはメモリー不足だったのだ(笑)。
128 :
昭和立つ! :05/01/20 17:16:10 ID:M8mqYH+u
ガメラが叫んだそのとき、観客席の最上段でガタンと大きな音ともに何者かが席から立ち上がった。 「昭和だ!」「ゴジラが来てるぞ!」「戦争しに来たのか!?」 昭和はどう動くのか?ゴジラは何か号令を発するのではないか? 期待と不安で怪獣たちが一斉に沈黙した。
三味線を弾き三つの口でてんで勝手に歌いながらモンターXが舞台のそでに引っ込んだ。 「…かしまし娘のパクリですね。」 「いくらパチモンGPだからって、芸人までパクリじゃなくてもいいと思うんだがな。」 ムーンサンダーとエレキングのご隠居は渋い顔である。 GPのテレビ中継は試終了時間の予測がつかないので深夜放送でもない限りは録画だ。 そして試合の合間にはスタジオで芸人さんが出てくる。 モンターXもそういう出演だったのだが、はっきり言ってムチャクチャしょっぱかった。 「次はもう少しまともなのが出てくるんだろうな。」 …反対側のそでから、着流しを着てバイオリンを構えたバイオリン超獣ギーゴンが現れた。 嫌な予感が走る。 「…これって絶対アレですよね。」 「…だろうな。」 ギーゴンはバイオリンを構えてわめきはじめた。 『ゴッジラ!ゴッジラ!…………最終作って………ゆうじゃなぁ〜い?』 「やっぱりこれか…。」 「そろそろ時期ハズレなんじゃねえのかい?」 『でも、四・五年したら、復活ですから〜っ!』 …それは歓迎できるな。 芸そのものはしょっぱいけど…。
130 :
バカだ… :05/01/20 17:22:58 ID:M8mqYH+u
ゴジラにつく怪獣も、ゴジラと敵対する怪獣も、突然の昭和のアクションに静まりかえった。 戦争か?戦争だよな。宗家の手下だって外に来てるしな。 みなが昭和の発言に注目した。 昭和はゆっくりと会場全体を見渡した。 そして…………。 そのままクルリと後ろを向くと何も言わずに返り始めたではないか!? ペギラが思わず言った。 「しょ、昭和さん。ガメラのやつの値踏みは……?」 「ん?」 昭和がギロリと振り返った。 その眼光に思わず後ずさるウルトラQ怪獣たち。 「…値踏みは済んだ。」 そして両足を踏ん張り胸いっぱいに空気を吸い込むと、とても病気とは思えない大声を会場いっぱいに轟かせた。 「あの鈍亀は、テメエの命の危ないときにカメーバの心配してるような救いようのない大バカやろうだ!呆れかえって観戦する気も失せたからオレは帰る!だがな……。」 そしてゴジラはそれまで以上の大声で叫んだ。 「あのバカ亀がオレやゴメスの暗殺を企んだと思ってるようなヤツは…、ガメラ以上の大バカもんだ!以上っ!!」 そしてそれ以上は一言も言わず、ゴジラは暗い通路の置くへと引き上げてしまった。
(くそっ!なんということだ。怪獣どもの殺気が消えていくではないか!ゴジラめぇ!ガメラめぇぇっ!) ウルトラエースは解説者席で歯噛みしていた。 しかし、ガメラの行動とゴジラの発言で大勢はいまや不戦の方向へと大きく流れを変えていた。 もはやウルトラエースにもどうすることもできなかった。 (こうなったらせめてガメラだけでも片付けてやる。) ウルトラエースはエースマントの下に手を差し込んだ。 そこには、カメーバの甲羅にしかけた太陽子爆弾の起爆スイッチが隠されていたのだ。
この怪獣GPが終わったら、今度はギドラ一族編ですかね !? カイザーギドラの
野望(
>>29 参照)に、ギドラ一族はどう立ち向かうのか、そしてその時ゴジラ
一族は、モスラ一族は !? なんつって。
133 :
月亭雷蔵 :05/01/21 01:03:27 ID:ylt8TqCv
んじゃあ、「名前にキングが入ってる怪獣GP」でもやるか。 あるいは、いっその事「最強怪獣GP」とか。 などと勝手な事ほざいてますが、 誤字脱字の多い奴氏の御武運を祈っております。 素直におもろいでっせ。
>「名前に『キング』が入ってる怪獣GP」 お、いいねえそれ!かなりの参戦が見込めそうだし。私はぜひジャンボキングが見たい! 第一回のタイラントの戦いぶりに対抗心燃やして出場、とかね。同じ合体怪獣である タイラントと違ってベースになった超獣がマイナーどころばっかりだから、タイラントに コンプレックス持ってるとか。
東宝映画 ギングギドラ、キングコング、キングシーサー ウルトラ レッドキング(マン)、 エレキング、キングジョー(セブン) キングザウルスV世、ブラックキング、キングストロン、キングマイマイ、キングボックル(新マン) カメレキング、キングクラブ、キングカッパー、ジャンボキング(A) キングトータス、ガラキング(タロウ) キングオブモンス(ダイナ) ウルトラ以外の円谷 ルバンガーキング、デスコングキング、キングラットゴン、グラスキング、キングジンジャー、 フライトキング、ドクロスキング、テロキング、ストーンキング、ガメレオンキング(ジャンボーグA) キングワンダー、ペアモンスキング、デッドキング(ミラーマン) まさかジャンボーグAが最大勢力とは思わんなんだ
タロウにライブキング追加 多分、ぐぐれば他にもいくらでもあると思う
おお!デストロキングも追加して……って、拙者の暴走のせいで次期GPが始められまへん。 早めに切り上げんと……。 「ひとのことをバカだバカだと言いたい放題言いやがって。あのトカゲ野郎。」 口ではそう言いながらも、実のところガメラも嫌な気はしていない。 「カメーバをまずなんとかしたら、あのトカゲ野郎……。」 …ガメラの後足が引っ込み青白いジェットが噴き出し始める! 「………泣かしてやるからなっ!」 その言葉と同時にガメラはカメーバを捕まえたまま闘場の天井もぶち抜き、そのまま空へと舞い上がった。 ガラガラと天井から崩れ落ちてくるガレキにもひるまず、放送席の658アナが絶叫する。 「ガメラ、どんどん加速しながら、矢のように、弾丸のように、上昇していきます! 早い!早い!早い!……ああ、もう見えなくなってしまいました……。」 (ははは、これは好都合な!よしっ!ガメラよ!大空に華と散れいっ!) ウルトラエースは起爆スイッチに指をかけた。 しかしそのとき、エースの手首が万力のような手の平に捕らえられ、有無を言うまもなく起爆装置を奪い去らてしまったのだ。 「う、ウルトラマンA!?キサマ何をする!?」 Aはエースの抗議など相手にせず、目から光線を放つと一瞬で起爆装置を無効化してしまった。 「…さあ、お返ししますよ。」 歯噛みするエースに、Aはガラクタと化した起爆装置を差し出した。
空を引き裂きカメーバもろともぐんぐん上昇していくガメラ。 大気との摩擦でいっとき上昇した温度も、いまでは逆に低下していっている。 気温とはつまり大気の温度である。 だから、高空に上れば空気が希薄になるため温度も下がる。 周囲の温度はあっというまに氷点下を下回った。 (急上昇そのものか高空での氷漬けでカメーバを引き離す!) それがガメラの考えだった。 しかし、カメーバは急上昇にも耐え、半分凍りつきながらも顎を開かない! 深手を負ったうえの急上昇でガメラのパワーも限界に近付いていた。 もし力尽けば、ガメラはカメーバもろとも流れ星となって落ちていくだろう。 ダメなのか?ガメラ! しかし、ガメラの狙いはもう一つあったのだ。
ガメラが目指すのは、通常の航空機では飛行不可能の超高高度だった。 そここそが、加速時のGに耐えられても、急激な温度低下に耐えられても、カメーバには絶対に耐えられない領域だからだ。 カメーバの顎の力が急速に弱っていく!? (……効いてきたな。) 普通の生物が生きていくには酸素が不可欠である酸素が、超高高度では希薄なのだ。 ガメラは真空の宇宙空間でも極めて長時間活動できる。 しかしカメーバにそんな能力はない。 体内への酸素供給、特に脳への酸素供給が不足すれば普通の生物なら……。 がくんっ! 軽い衝撃とともに顎が開きカメーバが離れた! 「『落ちた』な!」 柔道やプロレスにある頚動脈を決める「裸締め」と同じだ。 脳への酸素供給が不足したためカメーバの意識が「落ちた」のである。 ガメラとは別個の物体となったカメーバは重力加速しながらどんどん地球へと落下していく。 もうガメラからは「小さな点」にしか見えない。 「いま助けるぞ!」 ガメラは急速反転、毎秒9.8メートルづつ加速していくカメーバをフル加速して追いかけついにカメーバの甲羅を捕まえた! 「止まれるかっ!?」 ガメラの眼前に東京の町並みがぐんぐん大きくなっていた。
140 :
全敗確定 :05/01/21 08:47:02 ID:S26dZOwY
相変わらず校正ミスが……(涙)。 「ええっと……今連絡が入りました。」 ここはGP会場。 658アナがマイクに向かうと観客は人間も怪獣も静まりかえった。 「……『次期GPの開催に邪魔なら、この話止めまっせ?』……あ、このメモ間違いだ…。」 658はポケットから別のメモを取り出した。 「……海上保安庁および航空自衛隊の発表によりますと、この東京に向け落下しつつあったガメラとカメーバですが、途中軌道が大きく逸れ太平洋へと落下しました。 そして現在、カメーバを甲羅に乗せガメラがこちらに向かい泳いでいるということです。」 会場がどっと沸いた。 人も怪獣も。一般人も特オタも。 みんな一つになり手を取り合い、肩を叩き合って喜んだのだった。 なお肝心の試合結果であるが…。 ギロン登場がガメラへの加勢とみなされてカメーバの反則勝ちとされた。 ここにカメリーグでのガメラ全敗が確定したのだった。
>>135 ジャンボーグAなら、オネストキング・キングビートル・バタフライキングもあるよん。
祝!ガメラ全敗!
>>141 ジャンボーグAって「キング」ばっかやな
「計画は失敗です。戦争は……おこりません。」 ウルトラエースは闇の奥に向かい一礼し報告した。 闇の奥で巨大な影が身じろぎする。 「………それはよい。こうなったらラジコン作戦のみ単独で発動させよ。ジャコーとガマロンを無限増殖させればゴジラ一族もガメラファミリーも力押しで攻めきれる。」 「しかし、日本の全怪獣を相手にしての長期戦は……。」 「その心配はない。すでに我が軍は向こうを出発した。その上陸時まで東京を制圧してくれれば、後は我が郡で引き受ける。」 「………。」 「心配は理解できる。しかし、日本の怪獣世界を寡占支配するゴジラとガメラを殲滅せねば、この国の特撮世界に民主化の夜明けは訪れぬのだ。」 「…全世界にあまねく民主主義を押し広げる。宣誓式でのお言葉ですな……。判りました。 ラジコン作戦を強行いたします。」 影が吠えた。 「いそげ、エースよ。カメーバが生きている以上、全てが露見するのは時間の問題だ。」
同じころ、カメーバが運び込まれた医務室にウルトラマンAとケムール人、そしてメタリノームたちの姿があった。 「……ゴメスの治療が終わったと思ったらアーストロンにカメーバじゃと?このおじいちゃんをどれだけこき使えば気がすむんじゃ?」 ぶつくさ言いながらも治療技術そのものは素晴らしいレベルで、あっというまに甲羅に仕掛けられた爆弾を発見・摘出してしまった。 「んじゃ、おじいちゃんこれで帰るから…。」 そう言って診療カバンを片付けていたケムール人だったが、ふと手を止め、思い出したように言い足した。 「そういえばAどん。このカメ、治療中うわ言つぶやいとったぞ。」 「うわ言ですか?……いったいなんと?」 「たしかぁ……リモコン……いや違うな、ロ…リコンだったかな?」 「……なんでカメーバがロリコンだのリモコンだの言わなきゃならないんですか?」 「う〜ん……マザコンだったかな?」 おじいちゃんはちょっとボケはじめていた。
「……ロリコン、マザコン、ファザコン、キヤコン……」 「でもメタさん、よかったですね。ガメラもカメーバも無事で……。あ、ガメラは無事でもないか。」 「……オリコン、シネコン、たんすにコン…。」 「最後のヤツは『たんすにゴン』!」 「……ノーコン、生コン、合コン、事実婚…」 さっきからこの調子だ。メタリノームは何が気になるのかコン、コンばかり言っている。 「………てくまくまやこん、てくまくロボコン、リモコン、ラジコン、大村こん!」 そのとき、それまで661の言葉など上の空だったメタリノームが急に661に向き直った。 「いまなんて言いました!?」 「え…………??」 「だからいまなんて言ったんです!?」 「ええっと……てくまくまやこん?」 「もっと後です!」 「じゃ大村こん?」 「そのまえ!」 「…………ラジコン?」 「それだっ!」 メタリノームの動きが金縛りにあったように止まった。 「ラジコン星人!あいつがココに来てるんです!」
146 :
作戦発動! :05/01/24 08:50:04 ID:zdz4tSSw
「メタさん!メタさん!ラジコン星人ってたしか……。」 急ぐメタリノームに特オタ661は追いすがりながら尋ねた。 「そうです。ワタシと同じキャプテンウルトラに出演した宇宙人です。 アイツの能力はテレビカメラに写した対象をテレビ画面の数だけ増殖させること! ガマロンが各家庭にあるテレビの数だけ増殖したら、ゴジラ一族だろうとウルトラ兄弟だろうと勝てるわけありません!」 ちょうどそのころ……。 ウルトラエース側の動きも慌しさを増していた。 「……撮影スタッフの警護は大魔王殿配下のドクロ忍者に任せ、ジャコーはカメラ前に移動してくれたまえ。」 ついにウルトラエースが「ラジコン作戦」発動のサインを出したのだ。
147 :
あそこだ! :05/01/24 08:52:08 ID:zdz4tSSw
「661さん。この大会は何処にカメラが配置されてるんですか?」 「えぇっと…たしか…東西南北に一台ずつ、それから天井にも一台あったけどガメラがカメーバ戦で壊したから……。後は……あっ!そうか!きっとあそこだ!」 「思い当たったんですね?661さん!」 「ええ。絶対あそこです。調整室横のインタビュールームのカメラ!」
148 :
潜入!? :05/01/24 08:53:46 ID:zdz4tSSw
「メタリノームさん。661さんはウルトラマンAに連絡してくれたかな?」 「大丈夫ですよジッポー。661さんは普通の人じゃなく特オタですから。」 …わけのわかんない理屈だ。 661にウルトラマンAたちへの連絡を頼み、メタリノームとジッポーは2人だけでインタビュールームに接近していた。 内部のスタッフは見たところ別段異常は無さそうだ。 じりじりインタビュールームに接近する二人(二匹?)。 「気づかれてませんかね?」 「大丈夫みたい。」 出し抜けに2人の背後で声がした! 「……………いいや、気がついてるよ。」
149 :
人質 :05/01/24 15:12:21 ID:zdz4tSSw
メタリノームたちが振り返ると、いかつい顔に黒い口ひげの男が立っていた。 ジッポーが叫んだ。 「あっ!おまえは大魔王ゴースン(「快傑ライオン丸」のラスボス。巨大化する。)!」 「いかにも…。」 太秦からやって来た大魔王=ゴースンが薄ら笑いを浮かべ手下に合図すると、どこからともなくドクロ面に黒装束の忍者=ドクロ忍者の一団が現れ、ロープでがんじがらめに縛られた物体を放り出した。 「…はなせぇぇっ…」 「あっ!661さん!」 「め、メタさぁん、すみませ〜ん。つかまっちゃいました。」 「ふん、オレが放送スタッフに化けて近寄ったらイチコロさ。」 ゴースンは縛られて動けない661のアタマに足をかけた。 「ちくしょうっ…。」 死ぬほど悔しいが、手も足も出ない。 「さて…」ゴースンは優越的な笑みを浮かべ言った。 「こちらには人質がある。おとなしく降伏してもらおうか。」
150 :
複製開始! :05/01/24 15:16:30 ID:zdz4tSSw
「やあ、ようこそ御三方。」 661、メタリノーム、ジッポーが連衡された調整室には、ウルトラエースが待っていた。 「我々の記念すべき勝利の瞬間にようこそ。」 調整室から見える怪獣用インタビュールームにすでにジャコーがスタンバイしており、ギョロ目のラジコン星人が調整作業に当たっていた。 「もうとっくにお気づきとは思うが…、日本全国のお茶の間にジャコーとガマロンを複製増殖させようというわけさ。」 「…そしてここは、その特別観覧席というわけですか。」 「さすがはメタリノームくん。察しが早い。」 エースはおどけたように笑って見せたが、メタリノームがノーリアクションだったのですぐに笑いを引っ込めた。 「仲間にならないか誘おうと思ったが……、その様子だとダメだね。よし、ラジコン殿! 作戦を開始願いたい!」 ラジコン星人は無言で頷くと、目の前に並んだスイッチを次々オンにしていった! 「インタビュールーム・カメラ…OK!」 カメラは画面いっぱいに忍獣ジャコーを映し出す! 「複製プロセス…………開始っ!」
「複製プロセス…………開始っ!」 たちまちインタビュールームからジャコーの姿が消えた!? 「もうダメだぁ!」 「ボクが掴まったせいで!(泣)」 ジッポーが叫び661が泣くが、もはやどうすることもできない。 ジャコーが無限増殖し、既に日本特撮界はウルトラエースの制圧下に入ってしまった。 そう…だれもがそう思ったが…。 ラジコン星人がにわかに騒ぎだした。 「……そんなバカな!」 「どうしたラジコン殿?」 「電波が、電波が外に発信されておらんのじゃ!?ジャコーの映像はこの会場内のモニターにしか送信されておらん!」 ラジコン星人が叫ぶと同時に、661たちの背後に何者かが降り立つと、周囲のドクロ忍者もろとも縛り上げた鎖を一撃で斬り飛ばした! 「外部への送信ケーブルなら、ワシが叩っ斬ってやったぞ!」 「きっさま魔風雷丸(まふう・いかづちまる)!ガマロンの誘いを断ったばかりか敵対するとはどういうつもりだ!」 振り返った大魔王ゴースンが叫んだ。 雷丸も臆することなく吠えた返す。 「進んで乱を呼び、血の流がるを望むは忍者の本道に非ず!大魔王ゴースンよ!魔風十三忍が棟梁・魔風雷丸にして、魔風6忍獣の頭領ジジゴラの力、見せてやるわいな。」
ゴースンの裂帛の気合と雷丸のケダモノの如き咆哮が激突する側で、もう一つの戦いも始まっていた。 「ラジコン星人!ワタシはアナタと同じキャプテンウルトラ怪獣としてケジメをつけなければなりません。」 「見下げ果てたわメタリノーム!れっきとしたウルトラシリーズでありながらワシらの番組はウルトラ兄弟の手で歴史の中に葬り去られておるのじゃ。そのウルトラ兄弟にシッポを振るというのか!」 「ウルトラ兄弟などのためではない!我々の活躍を楽しみにしてくれたかつての子供たちのため、平和を乱すことは許しません!」 メタリノームの目から物質を金属に置換する怪光線が放たれた!
153 :
増殖… :05/01/24 17:06:45 ID:zdz4tSSw
「ジャコーを、ジャコーを呼び戻せ!」 乱戦の中ウルトラエースが叫ぶ。 「まずいよ661さん!会場内のモニターの台数ぶんだけはジャコーが増殖してるハズだよ。」 「アイツが送信先からこのインタビュールームに戻ってきたらアウトか!」 「ボクが通路で時間稼ぎするっ!」 飛び出したジッポーの背中を見ながら、661は自分の無力に歯軋りしていた。 (ちくしょうっ!せっかく無限増殖だけは防いだっていうのに…) そのとき、661の特オタ魂が何かに気づいたのだ! (無限増殖?……増殖?って言えば………。) そして661のアタマの中にイナヅマのようにウルトラマンAのとあるシナリオのタイトルが閃いた! (そうだ!まだ終わってなんかいないんだ!)
154 :
nanasi :05/01/24 21:26:46 ID:7E2cEuos
良スレage
「ぎゃああっ!」 暫し光線の撃ち合いのすえ、メタリノームの怪光線がついにラジコン星人をとらえた。 火花を散らし倒れるラジコン! 「おのれメタリノームめ!」 乱戦のなか、ラジコン星人が倒さるのを見たウルトラエースは、右拳を固め頭上高くさしあげた。 「ロンギヌス!」 たちまち拳にエネルギーが集まる!標的はメタリノームだ! しかしっ…! 「やらせないよっ!」 光槍がウルトラエースの手を離れる寸前、ジッポーの手裏剣がエースの手首に命中! 偶然にもそこは少し前、ウルトラマンAに痛められた個所だった。 「つう(痛)っ!」 手元が狂ったロンギヌスの光槍は、僅かにメタリノームの体を逸れ壁に大穴を穿つ! 「覚えておれっ!」 ウルトラエースはマントを翻すと一瞬で姿を消した。 「逃げるな!エース!」 「ジッポーくん!追うヒマはありませんよ!見なさい!」 メタリノームがジッポーを止めた。 インタビュールームに通じる長く暗い通路の奥に、黄色く輝く瞳がいくつも現れたのだ!
「コピー機は……!?」 怪人・怪獣が飛びかう乱戦のなか、特オタ661は床を這いまわりながら必死でコピー機を捜していた。 (あのシナリオはコピー機じゃなかったけど、理屈じゃいけるはず。) 幸い661はただの特オタに過ぎないので「完全無欠のザコ」扱いされ、だれも襲ってこない。 だが肝心のコピー機が見当らない。記者室ならあるはずだが、そこはいまの661にとっては月や火星と同じ遠い世界だ。 (ダメか……) 諦めかかった661だったが、調整室のかたすみに設置されたとある機械に気がついた。 「ファクシミリだ!」 駆け寄る661。 「やった!コピー機能がある!」 しかもそれは写真と同等の複写能力をテレビで宣伝している最新機種だったのだ! 661はガマスの形見のブロマイドを取り出し、ファクシミリにセットしてコピーボタンを押した! 「いくぞ!特オタ忍法、超獣10万匹!」
157 :
やった! :05/01/25 16:51:28 ID:Nn5wvWTm
「特オタ忍法!超獣10万匹!」 じぃぃぃぃぃぃぃっ……ガマスのブロマイドが読み込まれ……、カラーコピーが次々吐き出される! 「そうかキサマ!ガマスを増殖させる気だな!」 「うわっ!大魔王来たぁ!?」 でかい声でこれからやること宣伝したんだから敵にバレるのはあたりまえだ(笑)。 慌てて661が身をかわすと、ゴースンの振り下ろした剣がファクシミリを真っ二つに叩き斬り、コピー済みの用紙は機械部品とともに床に飛び散った! 「あわわ!ファクシミリがぁ!」 半泣きになった661の背後にゴースンは二の太刀を振り上げたが、その横合いから雷丸が斬りかかった。 「おぬしの相手はワシであろうがぁ!」 「ええい!どこまでも邪魔するか!」 661はすぐ背中のところで繰り広げられる剣戟なとそっちのけに、舞い散ったコピーを次々拾い集めた。しかし、コピーはコピーのままだ……。動きはしない。 「ガマス!ガマス!…やっぱりこのやり方じゃダメなのか?」 661は最後の一枚を拾い上げた。 (あ、あれっ?) 最後の一枚は背景だけだ。ガマスが…いない。 (やった!) 先に拾ったコピーからも次々ガマスが消え、入れ代わるように661の顔に歓喜の笑みが広がっていった。
ちゅどぉぉぉぉん! ビリビリビリッ! ジッポーが爆裂弾を投げ、メタリノームが飼い光線を放つ! しかし、守るに有利なはずの狭い通路にもかかわらず、ジャコーの軍団を止めることはできない! 「メタリノームさん!もうダメだぁっ!」 「弱音吐いちゃいけません!」 「でも!」 その瞬間、巨大な影がメタリノームとジッポーを飛び越え、先頭のジャコーに襲いかかった! 「忍者超獣ガマス復活!ゆくぞジャコー!」
159 :
群舞 :05/01/25 16:59:20 ID:Nn5wvWTm
インタビュールーム前の通路で忍獣ジャコーの集団と超獣ガマスの軍団が衝突した。 ジャコーの毒を仕込んだツメと怪獣離れした体術に、ガマスは剣や吹き針など様々な暗器(=暗殺用の仕込み武器)で応戦!白刃が閃き、ツメが唸る! 瞬く間にジャコーとガマスそれぞれ一匹づつが倒されたが、それまでの忍獣同様炎に包まれ焼失していった。 暗い廊下、薄暗い照明、閃く白刃とツメ、そして炎。 (これは「戦い」じゃない。これは……「群舞」だ。) 「ジャコー対ガマス」の華麗な群舞は、特オタ661を魅了して止まなかった。
160 :
来ぬ理由… :05/01/25 17:06:59 ID:Nn5wvWTm
一方、大物忍者どうしの激突はどちらも巨大化・怪物化しないまま、ひたすらに体術戦となっていた。 当たるを幸いにザコのドクロ忍者を薙ぎ払い、獣のように雷丸は荒れ狂う! その土砂降りのような斬撃を大魔王ゴースンは一歩も退くことなく受け止める! そして合間に含み針や変わり身、蹴撃の嵐! しかし、全体としては雷丸が優勢だ。 防戦のさなか、不意にゴースンが叫んだ。 「なぜだ?なぜガマロンは来ない!」 攻め手を全く緩めぬまま、雷丸が応えた。 「…変だとおもったが、そんなことを気にしていたのか。それはな、来たくとも、来られぬからよ!」 「なんだと?!」 「ここに来る前、怪獣王のところに立ち寄ってきたのよ。事情を明かしてガマロンを通せんぼしてくれと頼むためにな!」 ガマロンは来ない。それはゴースンにとって悪い知らせにほかならないはずだ。 しかし、その言葉を聞いた途端、ゴースンの顔は俄かに温和になった。 「……オレもつくづく愚者よ…。ガマロンのやつが昔の修行仲間を見捨てたか、と疑っていたとは……。来られぬならば致し方なし。わが力にて道を切り開くべし!」 攻守が一転! 鬼神の勢いでゴースンが攻め返してきた!
「通せ!…と、言っても通さんだろうな。」 ガマロンが無表情で言った。 「…判りがいいね。オレと違ってアタマいいみたいだな。」 インタビュールームからも程遠からぬエリアで、ガマロンと「もう一匹の怪獣王」ガメラが静かに対峙していた。 「判りがいいついでに…、このまま帰ってくんない?」 「……オマエはバカか?」 「……バカじゃねえ!ちょっと単純なだけだ。」 噛み合っているんだか、噛み合ってないんだか微妙なやりとりは、ガマロンの側から一方的に打ち止めとされた。 「時間が無い……。押し通るっ!」 ガマロンの呼吸が、深く、太いものに変化する…。 そのとたん、ガマロンの体がカエルっぽいラインからマッチョなラインにムクムク変化し始めた。 ガメラの瞳に火が灯った。 「……やるのか。しょうがねえな……。悪いヤツには負けられねえ!」
ガーメラー ガーメラー 強いぞガメラッ!つ〜よいっぞガ〜メ〜ラ〜ッ!
163 :
巨體術 :05/01/26 08:18:32 ID:d0VyRafx
ガマロンの呼吸が腹の底から太く長く練りだされると、その体がムクムクと変化し始めた! …変化はわずか数秒で終了した。 そこに立つのはもはやガマには見えない、土鍋のようなシルエットのパワフルな怪獣だった。 「……ジラースとゴメスを闇討ちしたのはやっぱりキサマだったか。」 「チベット密教武術が極奥義『巨體術』(映画「片腕ドラゴン」)」。もはやオレに一切の打撃ワザは通じん。」 ガマロンが重心を低く落とした!同時にガメラの側に向けた掌から陽炎が立ち昇る! (手に闘気を集めたな!) ガマロンの攻撃を察知し、ガメラも軽い前傾姿勢に構えた。 「受けてみよ!密教武術奥義………大印手法!」 ガマロンの掌打がうなりを上げた!
164 :
大印手法 :05/01/26 08:20:19 ID:d0VyRafx
(?なんだ?こんな距離で打ってくるのか?) ガメラの判断では、もう三歩は近寄らないとガマロンの打撃は自分に届かないはずだった。 しかし! (…まさか!?届くのかっ?!) ガマロンの腕がまるでゴムのようにズームしたのだ! 陽炎を放ち唸りを上げる「大印手法」がガメラの眼前に迫った。 (くっ!) ヒット寸前それを払いのけるガメラ。 ガマロンの掌はガメラの頭をかすめて甲羅に炸裂した。 刹那、不気味な衝撃が甲羅の中を突き抜けた。 「がはぁっ!」 激しく吐血するガメラ! 「な、なんだこの攻撃は!?」 「……大印手法は外部破壊のワザに非ず。腹への一撃で背骨を砕く…、表を打って裏を裂く。それが大印手法。キサマの甲羅などなんの意味も持たぬ。」 そして…こんどはガマロンの両掌に陽炎が立った。
両手で刀を振るい勇戦するガマス1匹にジャコー2匹が追いすがった! ジャコーは二匹で連携し上下に左右に攻撃を散らしながらガマスのスキを窺い、 ガマスは右に左に位置を変えながら二刀を操りジャコーを斬り捨てんとする。 二匹のジャコーが左右から交錯した瞬間、二匹の背後から三匹目のジャコーが飛び出した。 (しまった!) どうっ! 血しぶきが吹き上がる! しかし、倒れたのは三匹目のジャコーだ。 二刀流ガマスの翼の下から手槍が飛び出し、三匹目のジャコーを捕らえたのだ。 たちまち炎に包まれる三匹目のジャコー。 手槍を携えたガマスが二刀流ガマスの足元から転げだすと、ジャコーの一匹に突きかかった。 一本の手槍が何本にも見える!槍の穂先がショットガンのようにジャコーの胸に降り注いだ。 (仕留めたっ!) しかし!ジャコーは槍に逆らわず、それどころか槍に寄り添うようにガマスの手元に滑り込んで来たのだ! ばしゅっ! ツメが一閃!手槍のガマスが血と炎を等しく吹き上げながら崩れ落ちた。 「……どうやらオマエがオリジナル・ジャコーらしいな。」 ジャコーが振り返ると先ほどの二刀流ガマスが一匹、鮮血に濡れ、炎に照らされ立っていた。 もう生き残りはガマス、ジャコー双方とも一匹だけだ。 例によってジャコーは無言のままだったが、全身から滲み出る威圧感はガマスの考えが当たっていることを物語っていた。 「……結局のところ、最後はオリジナル同士の一騎打ちか…。」 ガマスは二刀を構えなおした。
166 :
ガメラ突撃 :05/01/26 17:00:42 ID:d0VyRafx
右掌が来る! (こいつはかわす!) 次に左! (こっちはさばく!……) ガメラは片腕で払いのける! カメーバ戦での大怪我がそのままなので、いまガメラに使える腕は一本しかない。 つまり腕一本で腕二本に対抗しなければならないのだ。 (……さばいたら突っ込む!) ガメラはキバを突き立てんとガマロンに突っ込もうとしたが、そのとき何かがムチのようにしなりガメラを襲った! (舌かっ!) ガメラの足が止まると、長い舌はスルスルとガマロンの口に吸い込まれていった。 「…密着して噛み付こうとでも思ったのだろうが、そうはさせん。」 「(ならば!)…これでも喰らえっ!」 ガメラはノーモーションで口から火球を吐き出した! リーグ戦のときと同じに、すかさず自らも火球を吐くガマロン! 二つの火球はやはり衝突・爆発した! 「ムダな……。」 いや!ムダではない!爆炎を突き抜けガメラが足のジェット噴射で突撃して来た!
167 :
汗 :05/01/26 17:09:00 ID:d0VyRafx
ガメラはガマロンを捕らえたまま通路の壁まで一気に押し込んだ。 「ぐうああ!」 飛びついたガメラを振りほどこうと、ガマロンは上から掌でガメラを殴りつけた。 ガマロンに組み付いたままガメラが言った! 「…思ったとおり、この位置では『大印手法』とやらは発動できないようだな!」 「大印手法」は恐るべき破壊力を秘めたワザだが、拳の軌跡に多彩さが無いのである! ガメラはガマロンのワザの弱点を見破っていたのだ! しゅっ!風斬り音とともにムチのような舌がガマロンの口を出入りするが、ガメラの位置がかなり低いので威力のある攻撃ができない! ごおおおおおおっ! ガメラの足のジェットが唸ると、ガマロンの体がコンクリートの壁にめり込んでいく! 「くそう!」 悔しそうに呻とガマロンはダラダラ冷や汗を流し始め、あっというまにガマロンの体は汗みずくになってしまった。 (効いてるな!よしっ、このままどこまでも押し込んでいってやるぜ!) ガメラは足のジェットを全開にした! そのとき!?ガマロンはニヤリと笑った。
ガマはガマでも し・ろ・くの〜ガ〜マ〜 一枚が二枚 二枚が四枚 四枚が八枚 八枚が十と六枚
…おのが姿の醜さに、たら〜り たらりとあぶら汗。 というワケでお察しのとおり「ガマの油売りの口上」がモトネタでこざる。 最近どうも「モトネタ」が古くてオマケにマイナーなものに走りがちだと気がつきまして…。 ウルトラエースがカメーバの甲羅に仕掛けた「太陽子爆弾」は手塚治虫の「ワンダースリー」がモトネタでござる。 主人公の三人が地球を破壊するかめ持ち込んだが、結局宇宙に「ゴミみたいに捨てた」のをウルトラエースが拾ってきた(笑)。 最近「懐かし特撮」に引っ込もうかと検討中なもんで、あんまり懐古趣味に走らんよう気をつけんと(反省)。
170 :
一進一退! :05/01/27 12:30:51 ID:p/ujq/O/
ぬるっ! ガマロンは、自分を鉄のハサミのように捕らえていたガメラのツメから魔法のように脱け出した。 「くそっ!油で滑った!」 「ははは、見たか『忍法がまの油』!」 ガマロンは体を横滑りさせ距離を作りながら、すかさず掌打を打ち込んできた。 これをガメラは足のジェットを吹かして回避する。 「この油で、もう捕まえることもできまい?」 「なら!これはどうだ!」 ガメラは瞬時に手足首を引っ込め、ジェット噴射で高速回転しながらガマロンに体当りしていった。 必殺の「大印手法」が甲羅を打つが角度が浅く効果が無い。 (やっぱりそうか!) 衝撃が内部に浸透する「大印手法」は、命中角度が浅いと破壊力が甲羅の表面部分をすり抜けるのだ! ガメラは回転軸の傾きを変えながら、二度三度と体当りを敢行する! だがガマロンは長い舌で回転するガメラを強引に絡め取り通路の壁へと叩きつけたが、その反動でガマロン自身も反対側の壁に叩きつけられてしまった。
ガレキを払いのけガマロンが立ち上がった。 「ぬう!キサマ、リーグ戦での負けっぷりは芝居だったか!」 ガメラもガレキを撥ね退け叫んだ。 「うるせえ!こちとら芝居なんかできるアタマ持ってねえや!」 しばし睨みあう両雄……。やがて…。 「……この段階で使いたくはなかったが、止むを得んか!?」 それだけ言うと、ガマロンは両前足で次々に印を結びながら野太い大声で叫んでいった。 「臨! 兵! 闘! 者! 皆! 陣! 列! 在! 前!」 大地が微かに鳴動をはじめる……。 地脈エネルギーが動員されはじめたのだ! …大地の鳴動は地の底深く、富士火山脈の中にまで伝わっていた。 一匹の怪物が静かに目を開く…。 「はじまったみたいだな……。」 怪物は静かに立ち上がった。 「……夕子ちゃんのために、がんばるよ。オレ…。」
ルナチクスー ルナチクスー 強いぞル〜ナ つ〜よいっぞル〜ナチックッス〜
173 :
邪魔もの :05/01/27 15:18:10 ID:p/ujq/O/
「マナエネルギー!?ウルティメットプラズマか!」 身構えるガメラの前で、ガマロンが地脈エネルギーを集め始めた。 次第に激しさを増す大地の鳴動! ところがそれまで一本調子に上昇していた鳴動が、突如不安定になり上下しはじめた。 (……これは?エネルギーの制御が乱れている!?) ガマロンも激しい憤りを露わに叫んだ。 「だ、だれだ!オレの術を邪魔しているのは!?」
「ぐわぁぁぁぁぁああっ!」 地底深く、富士火山脈の内部で、長い耳を振り乱し跳ね狂う怪物がいた。 月島の蕎麦屋から理由をつけて姿を消した超獣ルナチクスである。 (ガマロンの地脈エネルギー支配をなんとかしなきゃ。ヤツにできてオレにできないハズなんかない!) 歌舞伎の「獅子の舞い」のように、中国の京劇のように、ルナチクスは踊り狂い跳ね狂った。 ……ルナチクスが跳ね狂うのには理由があった。 古代世界では、「神」や「精霊」と呼ばれる「生物を超えた超自然のパワー」を動員する方法が二つあった。 一つは座禅などにより「神」を降ろすやり方。 そしてもう一つが踊りや音曲により「神」を降ろすやり方だ。 ガマロンやガメラの地脈エネルギー動員は前者なのに対し、ルナチクスは後者のやり方でガマロンに対抗しようとしているのである! 「この地脈エネルギー、オマエの好きにはさせないぞ!」 それはなんと、距離にして数十キロ以上を隔てた戦いだったのである。
(理由はわからんが、ガマロンめ!マナ・エネルギーの制御がうまくいっていないな!それなら!) ……目には目を!! ガメラは腰を落とし両足を踏ん張って心を空にした。 地球を包み込む大きなマナの流れに向かって心を開け放つ! ウルティメット・プラズマだ! ウルティメット・プラズマでウルティメット・プラズマを押しつぶす! GP会場上空に光の波が集まり、それが鉄もコンクリートも貫いてガメラに降り注ぐ! ガメラの甲羅の胸の部分が星状に開いた! ガマロンが怒りにキバを剥き出した。 (ガメラめ!ヤツもウルティメット・プラズマを!)
地脈エネルギーの支配を賭けたガマロンとルナチクスの戦いは、人の目には写らない。 しかしそれは、地上でのガメラ対ガマロンの戦いに劣らぬ激しい戦いだった。 (あそーれ、ピョン!ピョン!ピョンピョンピョンっと!) …あんまり激しい戦いには見えないが……、ルナチクスは一心不乱に跳ね狂い踊り狂った。 (また来たっ!) 邪魔されたガマロンの怒気が地脈を伝わって来る! ズンッ! モスラ対モチロンで乱入したときのキズもまだ癒えていないルナチクスの全身を、鈍い衝撃が通り抜けた。 (苦っ!……アバラ骨、いっちゃったな…。でも、負けないぞ!それ、ぴょん!) 飛び跳ねた衝撃でルナチクスの口の端から小さな血の泡が吹き出た。
ガメラは腰を落とし両足を踏ん張って心を空にした。 (ぐぅぅぅっ!邪魔するなぁっ!) 地脈を通しガマロンの怒気が走る。地脈内に居座り邪魔している「何者か」にも確実にダメージは与えているハズだが、「何者か」は地脈の支配を明渡さない! 目の前ではガメラがウルティメット・プラズマの発動準備をいままさに終えようとしている。 (オレが、このオレが敗れるのか!) 絶体絶命の瞬間!しかし、ガマロンの脳裏に浮かんだのは「死の恐怖」ではなかった。 アゴン、ガンダ、バビラン、ドグマ、ガガラ、ガッポ、ザバミ。 不平一つ言わず捨石となった仲間たちの顔。 そしてあの日のジャコーの言葉(前スレ885)……。 「我ら忍者は生き残った最後の一人が目的を達成すればソレが全員の勝利。頭領であるガマロンさまが日の当る世界に出られれば、それは我ら全員の勝利なのです。」 両目をかっと見開き、ガマロンは叫んだ! 「オレは負けんぞぉ!」
またもや派手な校正ミスを(涙々)。 177は冒頭一行が余計でござる。正しくは…。 (ぐぅぅぅっ!邪魔するなぁっ!) 地脈を通しガマロンの怒気が走る。地脈内に居座り邪魔している「何者か」にも確実にダメージは与えているハズだが、「何者か」は地脈の支配を明渡さない! 目の前ではガメラがウルティメット・プラズマの発動準備をいままさに終えようとしている。 (オレが、このオレが敗れるのか!) 絶体絶命の瞬間!しかし、ガマロンの脳裏に浮かんだのは「死の恐怖」ではなかった。 アゴン、ガンダ、バビラン、ドグマ、ガガラ、ガッポ、ザバミ。不平一つ言わず捨石となった仲間たちの顔。そしてあの日のジャコーの言葉(前スレ885)……。 「我ら忍者は生き残った最後の一人が目的を達成すればソレが全員の勝利。頭領であるガマロンさまが日の当る世界に出られれば、それは我ら全員の勝利なのです。」 両目をかっと見開き、ガマロンは叫んだ! 「オレは負けん!」
それまでの「怒気」とは違う津波のような大きな力がルナチクスめがけ地脈を走った。 「この力はっ!?夕子ちゃん!!!」
180 :
決着!? :05/01/28 08:50:21 ID:dDghUC6M
ガメラの甲羅の中央から、閃光が迸る! だが、そのとき! 「(邪魔が消えたっ!)ゆくぞガメラ!ウルティメット・プラズマっ!」 大砲の砲口のように構えたガマロンの両手のあいだからも、閃光が迸った。
狭い通路内で究極奥義が衝突したにも関わらず、建物全体はおろか通路の壁すら崩れ落ちなかったのは、ガメラ、ガマロン双方のマナ・エネルギー制御が完璧だったという証明になるだろう。 エネルギーが「標的」以外には全く拡散しなかったので周囲はほぼ無傷だったのだ。 …「標的」そのものを除いては。 水蒸気の煙の中に、ガメラがよろめきながら立ち上がった。 既に傷めた片腕には肩口から手の甲にかけ大きな傷口が走り、夥しい血液が流れ出している。自慢の甲羅は表面が真っ黒焦げで、一部のヘリは炭化してしまっていた。 「やれたのか?ガマロンを?」 ズシン……ズシン……。 煙を掻き分けるようにガマロンが現れた。体中のいたるところからブスブス煙が上がり、血が流れている。しかし、ダメージは明らかにガメラよりも軽かった。 ウルティメット・プラズマ同士の衝突は、相殺ではなくガマロンの方が僅かに押し勝ったのだ! 「オレは………オレは負けん! オレが負ければ、仲間の死はすべてムダになる。かつてともに闘った仲間のためにも、今ともに闘っている仲間のためにも、オレは負けてはならんのだ!」 (……仲間のため?!) 「……ガメラよ、怪獣王の称号がダテでないことよくわかった。そのオマエに敬意を表し…。オレの最大最高のワザで止めを刺してやる。」 ガマロンは両前足で印を結んだ…。 (もう一発ウルティメット・プラズマをやる余力があるのか!) 再び大地の鳴動が始まった!
ガメラとガマロンの対決が最終段階を迎えつつあったころ。 インタビュールームでの決戦も最終段階をむかえようとしていた。 雷丸と大魔王ゴースンの気力は互いに衰える気配を全く感じさせなかったが、2人の振るう剣は既に限界を超えていたのだ。 どちらの剣もノコギリのように刃毀れしていたが、雷丸の剣には刃毀れたけでなく、幼子の頬の毛ほどの細いヒビが走っていた…。 「うぉぉぉぉっ!」 「とぅあっ!」 雷丸はゴースンめがけ、渾身の力で剣を振り下ろす! それをゴースンが下からの斬切上げで迎え打った! ビキーーーーーーン! 澄んだ金属音とともに雷丸の剣が折れ、真上へと跳ね上がった! (ぬっ!) 「もらったぁ!」 返す刀でゴースンが雷丸を袈裟懸けに斬りおろした!
ゴースンが雷丸を袈裟懸けに斬りおろした! 「悪いな、オレの勝ちだ。」 「………そうでもないぞ。」 ぼんやり上を見上げ雷丸が答えた。 (なに?) その視線を追うゴースン。 そこにあるのは……、落ちてくる折れた剣の切っ先! 「しまった!」 ゴースンが身を退くより早く、雷丸は落ちてきた切っ先を素手で掴むとゴースンの左胸に力一杯突き立てた! 「相討ちであろう(笑)。」 「…………許せガマロン…先に逝く。」 2人の忍者は折り重なって倒れ、一つの炎となって消え去ってしまった。
一方、パワーで勝るガマスも、壁と言わず天井と言わず自由に駆け巡るジャコー(オリジナル)相手に苦戦を強いられていた。 左剣でガマスはジャコーの足元を切り払った。 ジャコーはこれを避けて飛び上がる! (引っ掛かったな!) 飛行能力が無い以上、空中では上から下に落ちるしかない! ジャコーの落下軌道を読み、ガマスは右剣を袈裟懸けに斬り上げた! 「……なんと!」 ガマスの右剣の先端に、ジャコーは静かに降り立ったのだ! (こやつ!バケモノか?!) ジャコーのツメが一閃する! ガマスが上体を引きながら咄嗟に左剣を振ると、ジャコーは身軽に後転して飛び退がった! 「逃がさぬ!」 追いすがるガマス。 …っと、ジャコーはガマスめがけ突如風のように飛び込んできた。 スピードではガマスはジャコーに追いつけない! 至近距離はジャコーの必殺の間合いだ! ガマスの喉モトめがけジャコーのツメが閃く!
ガマスの喉モトめがけジャコーのツメが閃いた! これをガマスは右剣で受け止めた! ただ、受けとめたのは「剣の刃」でではなく、剣の柄尻の部分だ! しかも、剣は掌全体ではなく、親指と人差し指だけで掴んでいる! 柄尻にかかった力により、掴んだ指を中心にしてガマスの右剣が回転!同時にガマスは渾身の速さで剣を振るった! ばしゅっ! ………ぽたっ。 「……そうか。ヌシの速さではオレを捉えられぬと侮ったは不覚……。」 ……ぽたっ 「……おのれの速さばかりでなく、オレの速さまでも利用して速さを増すとは……。」 「ジャコーよ。オマエがオレの剣の上に立ったとき知ったのだ。オマエの軽さを。体重の軽い相手でなければ、こんな受けは有り得なかった。」 ぽたぽたぽたぽた!ぽた!ぽたっ!!あたりに血のにおいが満ちた。 「ガマロン……すまぬ。」 ガマスの起死回生の斬撃を浴びたジャコーは後ろにゆっくり倒れながら炎を発した。 そして、大地に体が触れることもなく、そのまま空中で燃え尽きてしまった。
186 :
いのちゃん :05/01/29 14:00:07 ID:t9Rnm6Xz
このスレ休日は休みだから待つしかないのか・・・
次の「名前にキングが入っている怪獣GP]」打ち合わせでもすんべ
188 :
いのちゃん :05/01/30 23:02:19 ID:FB7jZZa2
次のGPで私の想像力を発揮・・・・といいたいところだがジャンボーグA?知ら ない・・・・12歳で特撮初心者だから知るわけも無いのだがはてさてどうなることやら・・・
189 :
nanasi :05/01/30 23:07:02 ID:kkr2GLfj
age
190 :
諦めない心 :05/01/31 08:00:53 ID:gDtETULN
「……ガメラよ、オレの最大最高のワザで止めを刺してやる。」 ガマロンは両前足で印を結んだ…。 (もう一発ウルティメット・プラズマをやる余力があるのか!) 再び大地の鳴動が始まる! ガマロンは胸の前で印を結んでいた前足を、ゆっくり前に突き出した。 大砲の筒先のように構えた掌にマナ・エネルギーが集まってゆく…! (さてどうする?どうするよガメラ?) 絶体絶命の瞬間だった。しかし、ガメラは諦めてなどいない! その諦めない心が、最後の瞬間に奇跡を生むことになる…。
ガマロンは静かにガメラの「死刑」を宣告した。 「ガメラよ…キサマは光、オレは影であった。いまこのときキサマを消してオレが光となる! ………さらばだ!ガメラ!!」 ウルティメット・プラズマが放たれる! しかし、その必殺技発射の零コンマ何秒かの瞬間に、「ある感覚」がガマロンの心を駆け抜けたのだ! (こ、この感覚は!?ゴースン!ジャコー! 死んだのか?オマエたちまで!?) そう、このときこそ大魔王ゴースンと忍獣ジャコーが相次いで討たれた瞬間だったのだ。 (死んだのか?!オマエたちまでがっ!?) 愕然とするガマロン。 いったんは発射されたウルティメット・プラズマもガマロンの制御が外れ、ガメラへの指向性を失った! これを見逃すガメラではない! (なんだかわかんねえが、チャンスだ!) ごおおおおおおおおおおっ! 脚のジェットをMAXに吹かしガマロンに突っ込みながら、ガメラはカメーバ戦で大ダメージを受けた片腕をガマロンの構えた両掌のあいだにブチ込んだ! そこにはガマロンの制御を外れたマナ・エネルギーの塊が! 「このチカラ借りるぞっ!」 「(はっ!)し、しまった!?」 ガメラはガマロンのウルティメット・プラズマを引っ掴むとそのままガマロンの胸板に叩きつけた!
192 :
生きる義務 :05/01/31 08:24:58 ID:gDtETULN
「ぐ…ぐぐうぅぅむ……。」 激しく沸き立つ水蒸気の中、ガマロンは後ろの壁にもたれるように倒れていた。 胸に大きなダメージを受け、ところどころの傷口からはドクドク途切れることなく血液が流れ出ている。 ガマロンは大儀そうに天井の照明を見上げた。 「……光は……とうとうオレのものにならなかったか……。」 そして視線を落としガメラに言った。 「仲間は皆……死んだ。この世ではできなかったが、せめてあの世でヤツラに詫びねばならん。 オレを殺せ……。」 しかし、ガメラはガマロンに背を向けた。 「断る。」 「なんだと……。」 「オレはケンカは嫌いじゃないが、殺しはハッキリ嫌いなんだ。それに……。」 ガメラは振り返った。 「テメエ言っただろ。テメエが死んだらナカマも無駄死にだってよ。 それってことは、テメエが生きてるうちは、死んだ仲間もムダ死にじゃないってことだろ?ちがうか?」 「……………。」 言葉を失ったガマロンに、ガメラは続けた。 「それって…、オマエはナカマのためにも生きてなきゃいけねえってことじゃないのか?」 それだけ言うと、ガメラはダメージの大きい体を引き摺るように、自分の控室へと引き上げていってしまった。
自宅にパソコンが無いヘタレなれば、会社のデスクのでやってるもんで必然的に休日は……(謝)。 一応今週で終わる「予定」。 それから……サタンキング(スペクトルマン)も…って、よく考えてみたら名前に「キング」がつくヤツらってのは、わりにマジメな怪獣ばかりなのでは? あまりシャレのきかない顔ぶれのような気が…。
194 :
{ :05/01/31 12:39:35 ID:gDtETULN
ガメラとガマロンの戦いに決着がついたころ、インタビュールームでの乱戦の方も同じく決着をみていた。 ジャコーとゴースンが倒されてしまえば、生き残りのドクロ忍者でガマスとメタリノーム、ジッポーに対抗できるわけもない。 ガマスがテレビカメラを踏み潰し戦闘は終了した。 「やれやれ、なんとかなったね。メタリノームさん。」 「でも、魔風雷丸殿が亡くなられました。残念なことです。………あれ?661さんはどこにいますか?」 「あれ?……もしかして、やられちゃったとか!?」 「ジッーくん!止めてください!縁起でもない……。661さぁーーーーん!」 「661――――っ!どこいんのー?」 「ボクならここですよー!」 調整室から返事がして、661が何かを引き摺りながら姿を現した。 「661さん、なにを引き摺ってるんですか?」 「調整室に隠れてたのを見つけたんです。ほら、例の『ザーマス言葉で喋るヤツ』ですよ。」 661は頭巾をかぶった人物を床に転がした。 「……コイツも忍者かと思ってたけど、えいっ!って殴ったらノビちゃって……。」 「ねえ、661さん、メタリノームさん、頭巾剥がしてコイツの正体見てやろうよ。」 「そうですね。…じゃ、いきますよ!」 661は『ザーマス言葉で喋るヤツ』の顔を覆った紫の頭巾に手をかけると一気に引き剥がした! 「こ、こいつは!」 メタリノームは絶句し、ジッポーはというと驚きの言葉すら発することができない。 特徴的な三枚の超出っ歯、そしておフランス帰りを誇示する「ザーマス言葉」…。 頭巾の下の正体、「ザーマス言葉で喋るヤツ」とは…………イヤミ(おそ松くん)であった。
「それじゃあメタさん、人間の大会運営委員に事件の顛末を報告してきます。」 「661さん、よろしくお願いします。」 特オタ661とジッポーはイヤミをつれて大会事務室に出かけていくと、インタビュールームに一人残ったメタリノームは倒れているラジコン星人のもとに駆け寄った。 「………おおラジコン星人!燃え上がらないからひょっとしたらと思いましたが、まだ生きてますね。」 「……メ…タ…リ…ノームか……。」 息も絶え絶えだったが、ラジコン星は弱々しく目を開いた。 「教えてくれ……メタリ…ノーム。オマエは…かつての子供たちのため…平和を守ると言った。でも、かつての子供たちは…みな…、大人になって我々のことを忘れてしまった。それでも……、オマエは…彼らのために戦うのか?」 …メタリノームは目でニッコリ微笑み答えた。 「そうですね。たしかにみんな大人になりました。でも忘れてはいません。すくなくとも661さんは覚えていてくれましたよ。ワタシのことも、アナタのことも。」 ラジコン星人の眼に涙が光った。 「……最後にいいことを聞かせてもらった…。」 そして……静かに炎を上げると、メタリノームの目の前でラジコン星人は燃え尽きてしまった。 (ラジコン星人よ……。) メタリノームは心の中でラジコン星人に誓った。 (ワタシたちのことを覚えていてくれる「かつての子供」が一人でもいるなら、ワタシはこの平和を守りますよ。) そのとき!ひきつった声で館内放送が鳴り響いた。 「ウルトラマンAさま。ウルトラマンAさま。ウルトラエースさまがお待ちです。至急、闘場までおこしください。」
はあっ…、はあっ…はあっ… 661は息せき切って人間用観客席に駆け上がった。 「ああ、来ましたね。661さん。」 「メタさん、さっきの放送聞いてすっ飛んで来ましたよ。」 観客席には一足先にメタリノームが着いていた。 今日の試合はガメラ対カメーバだけで一般の観客はとっくに帰った後なので、人間の観客はメタリノームと661だけだ。 照明も闘場を照らすものだけ生きていて、その中に2人の巨人が立っている。 銀と赤の巨人と、ピンクに黒マントの巨人……ウルトラマンAとウルトラエースだった。 エースの口から妖気すら漂わせる言葉が漏れた。 「……待っていたぞ、ウルトラマンA。」
197 :
両雄接触 :05/01/31 16:59:37 ID:gDtETULN
殺気を漂わせるウルトラエースに対し、ウルトラマンAはあくまで冷静だった。 「…ついさっき医務室でカメーバが息を吹き返して話してくれました。今回の一連の事件で、背後にいたのはアナタだそうですね。」 「そのとおり…。だがもうそれはどうでもいいこと。すべての計画は灰燼に帰した。 ……しかしね、全てが終わってみて初めて気づいたことがあるのだよ。」 「……それは…?」 「ワタシが本当に望んでいたのは、キミと雌雄を決することだったってことさ。」 それだけ言うとウルトラエースはまるでアマレスのように腰を低く落とし低く構えた。 「わかりました。お受けしましょう。」 Aはテレビでおなじみの構えをとる。 しばしの探りあいのあと、Aとエースの両手がガッチリ組み合った。
198 :
月亭雷蔵 :05/02/01 01:27:34 ID:PmnSvs4G
仕事に差し支えない程度にガンガってくださいね>誤字脱字の多い奴氏 さて、そろそろデータ求めてぐぐろうか・・・・・・・・・・・・・・ しかし、キングギドラにレッドキングにキングジョーにブラックキングにジャンボキングか 説明不要な面子が目白押しで、マイナーグループにはつらい事になりそうな悪寒 あとはゼットンやバードンあたりが混じれば最強怪獣決定戦の趣すらあるし
…キングジョンブルとキングデビラーってのもいた(スーパーロボット・レッドバロン)。 それからアイアンキングとウルトラマンキングは出場資格あり?
両手を組みあい手四つの体勢になった次の瞬間、エースは素早くAの腋の下に首を潜らすと、ぐーんと反り上がりながら後方にAを投げ落とした。 さらにエースは、立ち上がろうとしたAに一発二発とエルボースマッシュを叩き込み、そして上から素早く腕をAの首に回すと、またもや後ろに倒れこむように放り投げた! 「メタさん!あれはレスリングですよ!ウルトラエースはドイツ人なんできっとグレコローマン・レスリングの心得があるんです!」 「でも661さん、あんなものでやられるウルトラマンAではないですよ。」 倒れたウルトラマンAを踏みつけようとウルトラエースが駆け寄ったところを、Aは体を反転させて相手の軸足を刈りとった! どうっ!と倒れるウルトラエース。 さらにウルトラマンAはエースが立ち上がったところを逆水平で一撃! しかし、わろめくエースに放った二撃目は空をきった。 バックステップしながらウルトラエースが消えたのだ。
「ウルトラエースの姿が消えましたよ!メタさん!ウルトラエースも忍者なんですか?」 例によって慌てる661だが、メタリノームはいつもどおり冷静だ。 「いえ、ウルトラエースが消えるのは彼のマントの力です。おそらくキングアラジン(怪奇大作戦)が持っていたマントの改良型でしょう。」 ……キングアラジン?こいつにも出場資格が?……いや、よく考えたらキングアラジンはただの人間だ。キングギドラと闘わせたって……。 などと考えていたら、なにも無い空間からAめがけいきなり光線が放たれた。 しかしAはこれを間一髪かわすと、光線が放たれた空間に目からサーチライトのような光線を投げ返した! それを浴びると、たちまち姿を現すウルトラエース! 「どうです661さん?ウルトラ兄弟のお家芸ですよ。あの目からの光線は。」 ウルトラマンAは姿を現し慌てるウルトラエースを捕まえると、目よりも高くさし上げグルグル回してから放り投げた。 ずーーーーーーーん! 「……勝負あったみたいですね。ウルトラエースはもうフラフラですよ。」 「いえ、油断は禁物です。なんといってもヤツは…。」 だが、メタリノームの話を遮って661は興奮した叫び声をあげた。 「あ!メタリウム光線だ!これで決りです!」 Aの前腕から七色の光線が放たれた! しかしこの展開は、ウルトラエースの読みどおりだったのだ。
>>199 ウルトラマンやそれに準ずるヒーローは脇役であって、出場資格は無いんじゃじゃないかな?
一応はスレタイが「怪獣仮想対決」なんだから、一般的に「怪獣」と認識される連中が主役でしょう。
今の流れになる前も宇宙人・異次元人なんかは上がってたけどヒーローは出なかったし。
同様の理由で等身大の宇宙人や怪人もNGだったはず。
で、ウルトラマンキングは、なんと言うか、退役ヒーローないしヒーローの大将だから対象外じゃないかな。
それに機龍爺さんの向こうを張って陰謀を企む方が似合ってると思うし。
アイアンキングはというと・・・・・・あいつはヒーローじゃない(笑)からなあ。
立ち位置はカプセル怪獣やゾーンでのゴジラみたいなもんだし。しかも劇中では全敗。
面白そうだから入れようか。目指せ初勝利!
しかしグレコローマンとはまた渋い
スマソ エキシビジョンマッチなら誰が出たってかまわないかな。 >いや、よく考えたらキングアラジンはただの人間だ。キングギドラと闘わせたって……。 これ読んだら、人類最強の静玄太郎にも出て欲しくなったもんでw つうか、いずれ宇宙人トーナメントでもやって、その時に地球人代表で出場して欲しい。 ダン隊長の特訓なんて平気でこなすだろうし、ツルク星人やケットル星人なら楽勝だろう。
204 :
gl2q@ :05/02/01 15:10:27 ID:j7n+lh0s
メタリエム光線は、ウルトラエースがかざしたマントに命中した。 「やった!」思わず歓声をあげる661! ところが、マントの表が銀色に光ったかと思うとメタリウム光線は放ったウルトラマンAに向け跳ね返されたのだ! 「うわあっ!」 「かかったなウルトラマンA(笑)。…ロンギヌス!」 エースの光線ワザをなんとか側転でかわしAはパンチレーザーを発射したが、これもあっさり跳ね返されてしまった。 「メタさん!これはどういうことですか!?」 「ウルトラエースがウルトラマンAの光線ワザを完璧に研究してきているということです。おそらくマントに光線を跳ね返す特殊なコーティングがされているんでしょう。」 「そ、それじゃあ、他の光線ワザは!?」 「ウルトラギロチンや、単独では撃てないスペースQまでもおそらく跳ね返されるでしょうね。」 「それじゃメタさん!」 661は息を呑んだ。 「ウルトラマンAは切り札なしってことじゃないですか!」
ウルトラエースのオフィシヤル設定は「ドイツ人」と「マントで透明になる」だけらしいんで、後は「ドイツ」を素にネタを掻き集めまして……。 グレコローマンレスリングもその一つでやんす。 最初は「カール・ゴッチのジャーマンスープレックス」や「ホースト・ホフマンのサイドスープレックス」「ローランド・ボックのダブルアームスープレックス」とか「オットー・ワンツのスチームローラー」も使うつもりだったでやんすが、「悪ノリが過ぎる」のでボツに…。 でもブロンズ・クローは残したかったでやんす(笑)。 キラー・カール・クラップとウルトラエース、イメージダブリません?
(なんてヤツだ!ワタシのワザを研究し尽くしているとは !) ウルトラマンAは少なからず焦っていた。 ウルトラマンやウルトラマンタロウほどの体格にも恵まれず、それどころか幼いころは病弱だった(*リアルタイムでの小学館の雑誌記事)エースにとって、多彩な光線ワザは自身のよりどころだった。 それが、粉微塵に打ち砕かれてしまったのでは当然である。 「どうしたウルトラマンA?攻めあぐねているなら…、こっちからいくぞ!シュネルフォイヤー!」 ウルトラエースの両手の指先から小さな光弾がマシンガンのように発射された! 前面にバリアーを張りこれをブロックするウルトラマンA。 光弾は土砂降りの雨のようにAの張った光の壁に撃ちつけている。 (今は一応エースの光弾を防げてはいるが、破られるのも時間の問題だ。 どうすればヤツのマントを破れる?どうすれば?……) ウルトラマンAは絶体絶命の状況下で必死に考えた。 考えて、考えて……ついに、心の一番底にしまってあった、ある「教え」へと辿りついたのである…。
『わあ!ウルトラマンさんだ!』 あの日のことは決して忘れない。 AがまだAでなかったころ、あの「ウルトラマンさん」がウルトラの父と母に会いにやって来た日のことを。 背が高く手足はスラリと長く、そして特に猛練習しているようにも見えないのに、練習好きの熱血漢だった後の「ウルトラセブン」と試合しても負けない。いや、それどころか優勢に試合を進めてしまう…。体の弱い自分とは正反対の存在…。 そのウルトラマンがやって来たのだ。 『おじさんはないだろ(笑)?』 それがウルトラマンがAにかけてくれた第一声だった。『こんにちは、おじさん』と挨拶したAへの返事だ。 『ボクとキミは同じ人をウルトラの父・母と呼んでいる。なら、ボクたちは兄弟じゃないか。これからはボクのことは兄さんと呼んでくれよ。』 そして……ウルトラマンはAの練習にその日一日付き合ってくれたのだ。 あの日教わった、ウルトラマンの言葉が蘇える。 (そうだ、帰るんだ。すべての基本に!)
仕事大丈夫ですか?
>>208 一応だいじょぶ(笑)。
昼休みや、二三分ポカッと開いた時間にパパッと打つ…。
で、終業後などにまとめて書き込む。
考えてみると酷いやっつけ仕事だ…。
…と、いうわけで次期GP開催の邪魔にならんようサッサといくべ。 バリバリバリバリ! ついにウルトラマンAのバリアーが撃ち破られた! しかし、破られたバリアーの背後にウルトラマンAはいない。 バリアーが破壊される寸前に飛び出したのだ。 「…臆病者め。やっとバリアーの後ろから出て来る気になれたか?」 嘲笑うウルトラエース。 しかし、ウルトラマンAはそんなことには動じない。 自然体の姿勢から静かに両腕を上げ空手のような構えをとった。 「勝負だ。ウルトラエース。」 ウルトラエースも、ウルトラマンAの顔に決意の色を見てとった。 「望むところだ。」 ウルトラエースも両腕を上げ、こちらは拳銃を撃つような構えをとる。 「……メタさん、この展開は?」 「ガンファイト。西部劇みたいな戦いです。一瞬で決りますよ。」
211 :
そして決着 :05/02/01 17:08:50 ID:j7n+lh0s
静かに向き合うウルトラマンAとウルトラエース。 先手必勝?それとも後の先?……一瞬の駆け引き………。緊張が走っる…。 ……… …… … 「ミョールニル!」 エースが先手をとった!発砲の衝撃で両腕が跳ね上がる! Aの上体が僅かに沈み、その肩口をかすめエースの放った衝撃波が通り抜けた! そして、次の瞬間Aの両腕が胸の前でクロスされた! (スペシュウム光線!!) 古典的とも言える白い光線がエース・マントに吸い込まれ……。 閃光、そして爆発! 火花をあげながら大きくよろけると、ウルトラエースはガックリ片膝をついた。
「ス……スペシュウム光線だと…?キサマにもスペシュウムが使えたのか…。」 「ある人に教えてもらったんです。ワイドショットなど様々な光線のレパートリーがあるが、基本はスペシュウム光線だと。光線ワザはスペシュウムから始まり、最後はスペシュウムに終わるのだと…、そう教えてもらったんです。」 自分の勝利に終わってもウルトラマンAは全く勝ち誇ろうとしなかった。 そして、その態度はウルトラエースを激しく苛立たせた。 「……きさま、勝ったのなら誇れ…。勝利の雄叫びを…あげよ!敗者への哀れみなど無用だ!」 しかし、ウルトラマンAはいっそう悲しそうな顔で首を横にふった。 「いいえ、アナタを哀れんでなどいません。ワタシが今考えているのは、子供たちのことです。」
213 :
神聖な関係 :05/02/01 17:14:15 ID:j7n+lh0s
「…子供…たちだと?」 「はい、かつてアナタのソフビ人形で遊んだ子供たちのことです。彼らにとってアナタは輝くスターだったはず。そのアナタの今の姿を見たら、彼らはどれほど傷つくでしょうか。」 「ふん、バカを言え。オレのソフビ人形など、ウルトラマンAのパチモンの汚名を着せられ、みんなドブにでも捨てられたわ!」 「そんなことはない!」 ウルトラマンAが珍しく声を荒げた。…その声は…深い哀しみに満ちている。 Aはエースの前に膝を屈するとエースの両肩を激しく揺さぶりながら叫んだ! 「アナタのソフビで遊んだ子供たちは、アナタの名誉がパチモンとして傷つけられたとき、ともに傷ついたんです。アナタといっしょに傷ついたんですよ。アナタといっしょに!そんな神聖な関係、ほかにありますか!?」 「オレといっしょにキズついた………。」 エースの目がカッと見開かれた。 「そんなかつての子供たちが、今のアナタを見たらどう思いますか!?」 …… がしっ! ……ウルトラエースが、残った片膝も屈した。 「………オレの……オレの完敗だ。」
214 :
エレキング :05/02/02 01:19:14 ID:LgINA2q/
な・・・・・泣ける話じゃねぇかぁ〜〜〜〜〜! で、ゴジラ対ジラースはどう落とし前つけるんでぇ? さて、トレーニングでも始めるか ルナ公、スパーに付き合え ムーンの字、相手のデータまとめとけ
215 :
光の国へ… :05/02/02 07:59:55 ID:vljK9l7x
メタリノームにウルトラマンAとウルトラエースのやりとりを通訳してもらい、特オタ661は涙が止まらなかった。 「メタさん、おれ…ウルトラマンAもういっぺん最初から見直しますぅ。ちゃんと正座して全部見ますぅ(涙)。」 「なにもそこまでしなくても(笑)…。おや、ウルトラエースの様子が変ですよ?」 闘場ではウルトラエースがにわかに苦しみ出すと、胸を押さえて倒れてしまったのである! 「どうしたんですか?ウルトラエース!ウルトラエース!」 …ウルトラエースは何か言いたげなようすではあったが、結局何ひとつ口に出せぬまま意識を失ってしまった。 「これはいったい……」 「…おそらく未知の病原菌だ。」 かがみこんだAの肩越しに聞き慣れた声がした。 「ウルトラマン兄さん!来ていたんですか!?」 「キミを呼び出す館内放送が耳に入ったからね。立派な戦いだったぞ。」 「兄さんのおかげで勝てました。ありがとうございます。」 ウルトラマンに礼を述べながら、ウルトラマンAは意識を失っているウルトラエースを抱え上げた。 ウルトラマンは驚いて尋ねた。 「?Aよ、彼をいったいどうしようっていうんだ?」 「光の国に運んでみます。もう99.99%死んでしまっていますが、光の国ならなんとかできるかもしれません。」 「……忘れたのか?彼はキミの敵たったんだよ?」 「それは少し前までの話です。最後には、エースはワタシや兄さんと同じヒーローの世界に戻ってきてくれました。今はもう立派なヒーローの一員です。」 弟Aの答えに、兄ウルトラマンのさっきの驚きは、別の、もっと心地よい感情へと変わっていった。 「………いつのまにかワタシよりもスケールの大きい戦士になっていたようだね。 わかったAよ、それならワタシもいっしょに行こう。」 今度はウルトラマンAが驚く番だった。 「兄さんもですか?!ジラースさんのボディガートはいいんですか?」 「もう陰謀劇は終わったよ。それに1人より2人で運んだ方が速く光の国に着くだろ?」 こうして2人の「光の巨人」は光の国へと飛び去っていったのだった。
216 :
反省会 :05/02/02 08:22:53 ID:vljK9l7x
「661さん……。イヤミ(おそ松くん)は、自分が忘れかけてるのは映画でゴジラに『シェー』を盗用されたからだと思ってるんです。 それでゴジラ一族とガメラファミリーの戦争後ガマロンとウルトラエースが漁夫の利を得たところで、人間のスターであるイヤミが特オタを含む人間の世論を『ニュースター・ウルトラエースとガマロン』に誘導する…。そういう計画だったのだと…。」 …ウルトラマンとウルトラマンAが光の国に飛び去った後、特オタ661とメタリノームは近くの居酒屋で「反省会」を開いていた。 「…またも『忘れられたスター』ですか…。でもメタさん、それって言いがかりですよね。だって、モノマネされたことで息を吹き返す過去のスターだっているんですから。」 目の前のヤキトリを突きながら661は答えた。 「そのとおりです。でも、そういう前向きな感情は『息を吹き返した』からできるのであって、忘れられたままの者には無理な考えなのかもしれませんよ。」 「そうでしょうか……。」 661とメタリノームは、心の中に去来するさまざまな思いに知らず知らず口を閉ざし勝ちになっていた。 ヤキトリの串とビール瓶が並ぶテーブルを沈黙が支配した……。 そのとき、忍者怪獣ジッポーが血相変え居酒屋に駆けて込んで来た。 「661さん!メタさん!大変だ!大変だ!ゴジラ対ジラースが、大変なんだよ!!」
217 :
カード変更 :05/02/02 08:47:14 ID:vljK9l7x
「なんだと!?ゴジラ対ジラースは実現不可能だと!??」 661とメタリノームの反省会の少し前、GP運営事務局で大きな騒ぎが持ち上がっていた。 名目上に過ぎなかったはずの運営委員長である政治家が大会運営に口を突っ込んできたのだ。 「ジラースはゴジラの一人二役だと?!そんなエラリー・クイーンみたいなことを怪獣がやっとるのか!」 平事務員は、どなりまくる委員長をなんとかなだめようと必死になっていた。 「……ですから、観客もみんなそのことは知っているので別段騒ぎには……。」 「キミは『みんな知ってる』と言ったが、ワシは現に知らなかったぞ!」 「は、はぁ…。」 平事務員の失言で、委員長の怒りは更にボルテイジを上げた。 「肝心の最終戦が試合不成立では話にならん!…ジラースはそのままでいいとして、他のゴジラは調達できんのか!?」 「それが……他のゴジラ一族はみな東京湾岸に張り付いてまして…。」 「それでは……リーグ戦に出場している他の怪獣で間にあわせるか…。スケジュールの空いてる怪獣はいないか!?」 「ゴメスとアーストロン、キングトータス…それからカメーバは負傷で闘えません。ガマロンは行方知れずで……空き怪獣は一匹もおりません。」 このとき平事務員は、ワザと「ある怪獣」の名前をすっ飛ばしていた。 彼は特オタの端くれだったので、その名前の意味をよく知っていたからだ。 しかし、海千山千の政治家である委員長は、そんなことでは、…ごまかされなかったのである。 「キミぃ!なに寝言を言ってるんだ!一匹余ってるのがいるじゃないか!」 「あ、でもその怪獣は!」 「もういい!キミの意見などもう聞かぬ!GP最終戦でのカードはエキジビションマッチに変更だ!」 そして…、平事務員の止める間もなく、委員長は外の報道陣に最終戦の変更を発表してしまったのである。 「明日のGP最終戦を変更します。最終戦は……「ガメラ対ジラース」!
日本特撮界を震度100!クラスの激震が襲った! ジラースはひっくりかえり、ガメラは「オレにもコスプレさせろ!」とゴネた。 東京湾周囲に展開していたゴジラたちは宗家からの禁足令でその場を動けず、歯軋りして悔しがっていた。 そして、特オタたちはというと……。 (よいしょ……よいしょ……よいしょ……) 661はGP会場近くの公園を匍匐全身していた。 昨夜は家に帰っていない。理由は夜襲を避けるためだ。 それから携帯の電源も落としてある。電源が入っているとGPS機能で居場所を特定される可能性があるからだ。 ポケットにゴールデン・ダイアモンド・プレミアム・スペシャル・ウルトラ・スーパーチケットが入っている以上油断などできるワケない…。 昭和ゴジラとジラースが闘うことなど実現不可能なことは、特オタなら誰でも知っている。 だから、みんな最終戦のチケットなど買っていないし、大会運営委員もそれは予想のうちだから、ほとんどチケットを売り出さなかった。 661が勝っているのも単に全試合観戦の一環というだけ…。 ところが、そのチケットが「化けた」のである。
GP会場の正面でいったん停止すると、661は背嚢から双眼鏡を取り出した。 (やはり……ここにもいる) 会場前にはサラリーマンや学生、フリーター?などが忙しなく行き交っている。 が、しかし、別段怪しい人物は見当らない。 (1人…2人…3人………………全部で20人以上いる! みんな他人のチケット狙いの特オタだ! あの柱の影にいるヤツは……やたら若いから、たぶん「いのちゃん」だ。 それでこっちの扇子をパチパチやってるヤツは「雷蔵師匠」だろう。 みんなオレのチケットを狙っているんだ!) 661は激しく被害妄想に陥っていた(笑)。
結局、強行突破は危険だと判断した661は、自分も「チケットを持ってない特オタ」のフリをしつつ、こっそり会場に接近することにした。 「ぶつぶつ……、ぶつぶつ………。」 変装用の「牛乳壜の底みたいなメガネ」をかけると、661は独り言を洩らし周囲をキョロキョロ見回しながら歩きだした……。服装はというと、風呂にも入らず野宿したので、はっきり言ってかなり汚い。 近くを歩いていたOLが「なにか汚いもの」を見るような顔をして走り去った。 しかし、そんなこといちいち気にする661ではない! あたりにいた特オタたちも一瞬こっちを向いたが、すぐに顔を背けてしまった。 (やったぜ!みんなオレのアカデミー賞級の演技力にすっかり騙されてるぜ! このまま入場ゲートから5メートルまで接近したら、あとはダッシュだ!) 30メートル地点到達!(落ち着いて!)……25メートル地点到達!(焦るな!焦るな!)……20メートル地点到達!(あと少し!)……15メートル!……10メートルっ! そのとき、厳戒態勢の入場ゲートが開いてメタリノームが顔を出した。 「661さん、そんなところで何やってるんですか?早くいらっしゃい。」 (しまった!) 特オタたちのあいだに殺気が走る! [こいつ!チケット持ってるぞ!] 661は走った!命懸けで走った! 後ろからドドドッという足音が迫る!だれかの指が背中にかかった! 「はぅっ(もうダメだぁ)」 …びりびりびりっ!そのとき上着が破れた! 661の肺から最後の酸素が吐き出された瞬間、背後で入場ゲートが音を立てて閉まった。 なんとか661は、入場に成功したのだった。
221 :
月亭雷蔵 :05/02/03 01:17:43 ID:/3YMOepJ
・・・・・・・・・・ ちっ
ずしん!……ずしん!………ずしん! …地響きをたて大怪獣が闊歩する! 「ジラース対ガメラ」の報を耳にして、太平洋の底から平成ガメラかやって来た。 「マイケルの控室は……どこだ?どこだ?」 「マイケル」というのは平成ガメラが初代ガメラに勝手につけたアダ名である。 理由は……初代ガメラが心を通わせた相手が「小学生の男の子」ばかりだからだ。 ちなみに平成ガメラは、女子高生あたりから20代前半ぐらいまでの女の子がお好みで、そういう子たちと共演している。 「ガメラ様……ガメラ様と……おっ!?ここだここだ!」 平成ガメラは「ガメラ様」と書かれたドアを押し開けた。 控室にはギロンが来ていた。 「おお!三代目!このバカなんとかしてくれ!もうオレの手にゃあ負えん!」 ギロンは匙を投げたという感じた。 初代の怪しげな後ろ姿を見ただけで、平成ガメラは不吉な予感にとらわれた。 「………なんだマイケル!?そのかっこうは?」
223 :
朝顔… :05/02/03 08:10:40 ID:K2UD/P/Q
「おう、平成か!よく来たな。」 振り返った初代ガメラは、なんと紫色のシャンプーハットみたいなものを首に着けていた。 「トカゲ野郎(=ゴジラ)に対抗してこっちもコスプレしてみたんだ。どうだ?似合うか??」 「オレもエリマキつけましたって……全然似あってねえよ!第一それじゃ首が引っ込まねえだろ!」 「ふははは!心配ご無用!」 シャンプーハットのエリマキには予め折グセがつけてあるらしく、初代ガメラは前足で器用にエリマキをすぼませながら、無事に首を引っ込めてみせた。 甲羅の中から声がする…。 「どうでえ?」 「すぼまったエリマキの先っちょが、甲羅からはみ出てるぞ。」 「へへへ、くちゅくちゅっと紫色にすぼまってるのが、朝顔のつぼみみたいで綺麗だと思わねえか?」 「…せいぜいお天道様の光浴びて、しなびた朝顔ってとこだな。」 「………やっぱムラサキは止したほうがいいな。……ミズイロのほうがいいかな?」 「おい!頼むからマジメに試合してくれ!」 ガメラ陣営には暗雲が垂れ込めていた。
対戦相手のガメラがコスプレの企画に夢中になっていたころ…。 昭和ゴジラは全く次元が異なる事項にアタマを悩ませていた。 「おい、ぼんやりしてないで早く試合の組み立てを考えろよ。」とゴロザウルスが言った。 ウルトラマンが光の国に帰ったので、ゴジラと同じ恐竜タイプの彼が最終戦のセコンドに付くことになっていた。 「まだ宗家からもらったモノのこと考えてるのか?」 「………うむ…。」 それだけ返事すると、昭和は再び考え込んでしまった。
ガメラ対カメーバ戦で途中退席した昭和は、控室には帰らなかった。 その脚で、GP会場怪獣用ゲートに向かったのである。 (オヤジ(=宗家)は真犯人が誰であろうと関係なく、ガメラファミリー相手に戦争仕掛けるつもりだ。それを防げるのはこのオレだけ…。なんとしても戦争は起こさせない!) ……その一念で、昭和は病身をおして宗家の前に立ちはだかったのだ。 ちなみにウルトラエース一派の騒動は、昭和と宗家が会場正面で顔をあわせているあいだの出来事だった。 つまり、会場内で激しい戦いが巻き起こっていたころ、実は会場外も一触即発の状態だったのである。
ひとたび怒れば、我が子といえども容赦しない! …そんな禍神のような存在が宗家だ! 宗家は昭和に言った。 「……戦争だと?いかにもワシは戦争の準備をしておる。 オマエの思いがどうであろうと、この戦争、避けて通るわけにはいくまい。」 「しかし、父上!」 ここで宗家は片手を上げ、昭和の言葉を制止した。 「…そんなことより、嫁のジラからプレゼントが来ておるぞ。ほら、これだ!」 そう言って宗家は、「両端を紐で堅く結わえた豆かなにか?」を昭和に投げてよこしたのだ。 「ジラは日本の生活に溶け込もうと、実によく勉強しておる! オマエも少しは見習うがいい!」 ……… 昭和は、目前に控えたガメラとの試合すら忘れ、ひたすら考え込んでいた。 「……この故事なら幸いオレも知っている。 夫の浅井長政が、兄である織田信長との戦の準備をしていることを知ったお市の方が、兄信長に送ったものだ。 その意味は……『実家と嫁ぎ先との板ばさみで動きが取れない』……。 だが、それをジラに当て嵌めると………。まさか………そんなバカな!?」
テレビ放送こそ独占放送権をもった局だけだったが、活字メディアは思想誌からエロ雑誌までがカメラの砲列をひいていた。 記者たちの中には明らかに管理職と見える人間もかなり混じっている。 おそらく「かつての特オタ」がジラースとガメラが戦うと聞いて「一日限りの現場復帰」を果たしたのであろう。 デジカメを手に立ったり座ったり、落ち着かないことおびただしい。 もっとも、落ち着かないのは661も同じだった。 やがて……照明が暗くなった。 次いで、会場内に設置された巨大スクリーンに映像が映し出される。 対バルゴン、対ギャオス、対ギロン、バイラスそしてジャイガー、ジグラ……。 観客はこれから何がおこるのか、早くも察知した。 「では……」 658アナの声が珍しく上ずっていない。 「これより…………、怪獣王!ガメラ選手の、入場です!!」
228 :
男なら… :05/02/03 12:46:25 ID:K2UD/P/Q
ガッメラ〜♪…ガッメラ〜♪… つっよいっぞガッメラ♪…つっよいっぞガッメラ♪…つっよいっぞガッメッラ〜♪♪ 入場ゲートの奥から怒号が轟き渡って来た! 「すごい迫力の演出だな」誰かが呟く。 …実はこの怒号、演出ではない。 入場前の一瞬のスキをついて、平成ガメラとギロンが初代ガメラに襲いかかってコスプレを剥ぎ取ったのだ。 「男なら裸で勝負してこいっ!」 平成に蹴っ飛ばされ、初代ガメラが花道に飛び出した。
(ジラがお市の方だとすれば……、嫁ぎ先である浅井家は、わがゴジラ一族だ。では、実家の織田家は………。まさか……そんなことが……。) 観客席のどよめきを遠くに聞きながら、昭和はまだ考え込んでいた。 いや、本当はもう、答えは出ている。 ただ、その答えが自分でも信じられないだけだ…。 むっね〜えに♪つけ〜てる♪まーあくは流星♪ ……そのとき会場内に流れた「ウルトラマンのオープニングテーマ」が、昭和を思考の迷路から現実に引き戻した! 658アナが叫ぶ。 「つづきまして……、ジラース選手の入場です!」
230 :
d@ul :05/02/03 15:05:06 ID:K2UD/P/Q
ジラースが闘場に立つと同時に、館内の照明が再び灯った。 闘場のちょうど反対側に、ガメラとジラースが陣取っている。 観客席は水を打ったように静まり返った。 (この二匹が同じ土俵に立つなんて…)だれもが、その思いにとらわれていた。 ガメラが、ジラースが、一歩二歩と前進する。 ずしーん!……ずしーん! 二匹の一歩一歩がたてる地響きが、まるでドラムロールのように特オタたちを煽り立てた。 あと二三歩で、ガメラとジラースが接触する! ………そのとき、二匹のたてる足音にかぶさるように、低い不気味な地鳴りが伝わってきた。 第三の地鳴りはみるみるうちに大きくなり、ついにはガメラとジラースの足音さえ打ち消してしまった。 「………ついに出てくるか!?」 ジラースの眼光が鋭くなった。
ジラースが闘場に立つと同時に、館内の照明が再び灯った。 闘場のちょうど反対側に、ガメラとジラースが陣取っている。 観客席は水を打ったように静まり返った。 (この二匹が同じ土俵に立つなんて…)だれもが、その思いにとらわれていた。 ガメラが、ジラースが、一歩二歩と前進する。 ずしーん!……ずしーん! 二匹の一歩一歩がたてる地響きが、まるでドラムロールのように特オタたちを煽り立てた。 あと二三歩で、ガメラとジラースが接触する! ………そのとき、二匹のたてる足音にかぶさるように、低い不気味な地鳴りが伝わってきた。 第三の地鳴りはみるみるうちに大きくなり、ついにはガメラとジラースの足音さえ打ち消してしまった。 「………ついに出てくるか!?」 ジラースの眼光が鋭くなった。
232 :
最初のもの :05/02/03 15:12:02 ID:K2UD/P/Q
第三の地鳴りは急激に激しさを増し、やがてピタリと止まった。 ジラースもガメラも動かない。 人間の観客たちは互いに顔を見合わせた。 いったいなにが起ろうとしているんだ?誰の顔にもそう書いてある。 ……………。 びきっ! 突如、闘場の床に亀裂が走り、そこから白い煙がもくもく湧き出した。 そして……。 ぎえええええええっ! 鋭い叫び声とともに、亀裂の中から巨大な黒い影が飛び出した! 白い煙と黒い土ボコリの中に、巨大な四足の影が浮かびあがる。 「……………われはリドザウルス。氷と炎のあいだに生まれし、最初のものなり。」 「やはり、きさまだったのか!」ジラースが叫んだ!
233 :
いのちゃん :05/02/03 16:41:21 ID:b7A6tLr7
>>214 ご隠居。ルナ公はいまませんぜ。どっかでのびてるんじゃ・・・?
>>219 名前入れてくれてどうもです。でも子ども一人でそんなとこにいるって・・・
・・・・・ちっ
234 :
nanasi :05/02/03 21:53:51 ID:PK+nVG6Z
age
「やはりキサマだったのか!」 ジラースが叫ぶと、ムカシトカゲを馬鹿でかくしたような四足歩行型怪獣=リドザウルスは前足を一歩ジラース、いや、ゴジラに向け踏出した。 「ひかえよ、ゴジラ。わが映画のモロパクリの分際で『キサマ』呼ばわりは不敬であろう!」 一瞬二匹の怪獣の視線が火花を散らした。 「……パクリでないというなら、その合理的根拠を示すがよい!」 何か言おうと口を開きかけたゴジラだったが、言葉が見つからない…。 「うるせい!怪獣同士の決闘に『合理的根拠』なんて関係あるかっ!」 ……ガメラならそう言って襲いかかってしまったろう…。 アイツはちょっとパアっぽいので難しいことは考えないからだ。 しかし、ゴジラは違う。 父「宗家」にも逆らえない賢く誠実な気質が、昭和ゴジラの脚を引張った。 ずしんっ! …ついにゴジラは一歩後退してしまった。 「…わかったようだな。それでよい。」 リドザウルスは満足げに微笑んだ。
アメリカ生まれでディベートが得意なリドにとって、昭和を言葉で丸めこむのは造作もない。しかし、パァに言葉は通じない。 (ガメラは相手とせず、もっぱら昭和ゴジラのみを相手とする) それがリドザウルスの作戦だった。 状況は側線どおり。ゴジラは悔しそうに後退したし、ガメラはそれをポカンと見ているだけだ。 だが、昭和ゴジラは退きながらも必死に何とか言い返そうとした。 「くそう、リドザウルスめ!この国を自分の自由にするつもりか!だが、そうはさせんぞ!日本にはゴジラ宗家がいる!この会場の外には宗家と宗家率いるスペースゴジラと2体のメカゴジラが待機しているんだ!」 「おまえたちは宗家、宗家と奉っているが、所詮はパクリの宗家であろう?」 「……オレの父を愚弄するのか。」 怒りのキバを剥き出す昭和ゴジラ! そのとき、会場の外で猛烈なジェット噴射音が炸裂した。
GP会場の外で猛烈なジェット噴射音が炸裂した。 (おおメカゴジラが、ゴジラ宗家が動き出した!) ゴジラの顔が「それみたことか!」と輝いた。 ところが、1000の雷が一斉に轟いたようなその音は、鋭さを下かと思うと、どんどん小さく遠ざかって行ってしまった。 「…思うに……」 「おかしくてたまらん」というように口を歪ませリドザウルスは言った。 「………この音から察するに……、頼みのゴジラ宗家は、我がリドザウルスの聖名を耳にして逃亡あそばされたようだな。」 ゴジラの顎が力無く開いた…。 「そんなバカな……宗家が…、オヤジが闘わずして敵に後ろを見せるなんて……。」 そしてゴジラは……。 …そしてゴジラはガックリ膝と両手を大地についた…。 それはまるで、ゴジラがリドザウルスの前に土下座をしているように見える…。 その姿は日本特撮界の敗北を象徴していた。 このまま、日本特撮界はリドザウルスに制圧されてしまうのか? リドザウルスは傲慢そうに辺りを見渡した。 「……これから新しい世が始まる。アメリカ主導による、真の民主主義建設が………。」 コンっ! そのとき、何かがリドザウルスの顔にぶつけられた!
リドザウルスのファースト&ミドルネームはジョージ・ウォーカーで決まりだな ジョージ・W・リドザウルス
なにかがリドザウルスの顔にぶつかった! 前足のそばにコロコロ缶ビールが転がっていく…。 「どこの怪獣だ!いまコレを投げたのは!」 リドザウルスが怒気荒く吠えた! 怪獣が缶ビールを投げるワケがない。 しかし、リドザウルスには想像もできなかったのだ。 一介の「特オタ」が、大怪獣である自分に缶ビールをぶつけるなどとは……。 ひゅんっ!…………こんっ! また缶ビールがとんできて、今度は命中こそしなかったが、リドザウルスのすぐ前に抗議声明のように転がった。 「ぎぇえええええええええっ(だれだ!出て来い!)」 尋常ではない怒りを漲らせ、リドザウルスが吠えた。 静まり返る館内……。 たん!たん!たん!たん!たん!…。 軽い足音とともに、1人の特オタが缶ビールを手に闘場へと駆け上がった! あとから金属人間メタリノームが慌ててついて来る。 ………特オタ=661はリドザウルスの目と鼻の先に立ちはだかった!
「661さん、何か言いたいことがあるんならコレどうぞ。」 658アナが駆け寄ると661とメタリノームにマイクを手渡し、大慌てで放送席へと逃げていった。 「メタさん、オレの言うこと、リドザウルスに通訳お願いできますか?」 「いいですよ。任せてください。」 661はメタリノームにむかって(ありがとう)の思いを込めて頷くと、改めてマイクを握りなおし、深呼吸した……。 「おい!」 それは、いきなり始まった。 「よく聞け!このトカゲ野郎!」
「よく聞け!このトカゲ野郎!」 メタリノームが素早く翻訳すると、リドザウルスの目が点になった。 「最初、最初って、それだけでデカイ顔すんじゃねえっ! 誰だって、誰かしらの後ろを走ってる!オマエだって前にキングコングがいたじゃないか!」 「キングコングだと!」リドザウルスがまたも激昂した! 「あんな機関銃で撃たれたくらいで死ぬような猿といっしょにするな!」 「それを言うなら、おまえだってアイソトープ弾一発でやられたトカゲじゃないか!ゴジラなんか戦車砲が当たったって平気なんだぞ!」 「ぐっ…」リドザウルスがつまった。 「大事なのは、どんだけ強いかなんてことじゃない!先を行ったヤツを超えて、どれだけ夢の世界を広げていけるかだろっ!ちがうかっ!?」 リドザウルスは怒りに顔を真赤にしたまま言い返すことができない。 「ゴジラはオレたちを連れて行ってくれたんだ!地平の向こう、ずっとずっと先まで!」 「……きさま!このパチモン(=ゴジラ)が、オレ様を超えたとでも言うのか!」 リドザウルスが怒りの形相物凄く迫ったが、661は怯まなかった! 「オマエのことなんかどうでもいい!オレの言いたいことは……。」 661はここでいっそう声を張り上げた。 「…オレたちはゴジラが大スキだってことだ!」 メタリノームの通約を聞いた昭和ゴジラの目が、カッと見開かれた。
「オレも好きだぞ!」 そのとき、観客席で誰かが立ち上がった。 「オレもオレも!」 「がんばれゴジラ!」「死ぬまでつきあうぞ!」「ファイナルなんて言うな!」 「ゴジラ!ゴジラ!ゴジラ!ゴジラ!」 人間用観客席から特オタが、思いのたけを叫びなから次々立ち上がりだした。 …観客席はあっというまに総立ちになってしまった! 「ゴジラ!」「ゴジラ!」「ゴジラ!」「ゴジラ!」…。 「ぎぇえええっ!(お、おのれ、おのれ、おのれぇっ!)」 「ゴジラ支持を叫ぶ声」が津波となってリドザウルスを包囲していく…。 「見ろ!これがオレたちのホントの心だ!リドザウルス!テキサスに帰れ!」 661がそう迫った瞬間、それまでサーベルを並べたようなキバを剥き出し周囲を威嚇していたリドザウルスがついにキレた! 「ギ……ギェェエエエエエエエエッ(人間め!ふざけおって!)」 太く頑丈な前足が振り上げられ、661めがけ叩きつけられた! 「うわあああああっ!」
「と、止まった!?」 巨大なリドザウルスの前足が、661の頭上2メートルほどのところにブルブル震えながら止まっていた。 「キサマ!?パチモンの分際で、オリジナルであるこのオレに刃向かうのか!?」 ゴジラの手が、振り下ろされかかったリドザウルスの前足を捕まえているのだ! 661のアタマの上で、大怪獣の力比べが始まった。リドの前足も、ゴジラの手もブルブル激しく震えている! 「……パチモンだなんだってのは、もうどうでもいい!オレにとって一番大事なのは……。」 ……ゴジラの腕に力コブが盛り上がった。 「…オマエのこの手を振り下ろさせちまったら………!」 ゴジラがリドザウルスの前足をジリジリ押し上げる! 「バカな?!抗核バクテリアに侵されていて、なぜこんな力が出せる!?」 リドザウルスの表情に驚愕の色が走った。 「……この手を振り下ろさせたら、オレは……もう男じゃねえってことだ!」 ゴジラの背びれが光を放ち、リドザウルスを腕力だけで体ごと吹っ飛ばした!
「661さん!ここではゴジラが闘う邪魔になります。逃げましょう!」 メタリノームは661の手を掴むと、放送席へとショートジャンプ(短距離の瞬間移動)をきめた。 闘場ではリドザウルスとゴジラの決闘が始まっていた。エリマキは中途半端に千切れてぶら下がり、ゴジラでもジラースでもなくなっている。 「いまのゴジラを象徴するような姿だと思いませんか?661さん。」 「…メタさん、それはどういう意味ですか?」 「ゴジラはいまゴジラであることも、怪獣王であることも捨て、一匹の怪獣として『最初のもの』リドザウルスと闘っているんです。何のためでもない、ただ自分を支持してくれる日本の特オタのために…。」 「でもメタさん。ゴジラは抗核バクテリアに……。」 「661さん、ゴジラの背ビレを御覧なさい。」
「ゴジラの背ビレを御覧なさい。」 メタリノームにそう言われ661が目を凝らしてみると、ゴジラの背ビレに白く光る何かのエネルギーが絶え間なく流れ込んでいるのが判った! 「……あれは…どこかで見たような……そうか!あれは!」 「そうです、661さん。あれはマナエネルギーです。でも地球を循環するマナではありません。」 「…それじゃあいったい?」 「……マナはあなたたち人間の中にも僅かにですがあるんです。あれは、あなたたち特オタの『ゴジラへの思い』が生体マナエネルギーとなってゴジラに流れ込んでいるんです。」 「そうか!つまりマナ・エネルギーというより、オタ・エネルギーというワケなんですね!」 「そうです。」 そしてメタリノームは断言した。 「ゴジラはもう絶対に負けません。」
247 :
無限の力 :05/02/04 15:31:10 ID:NZJzDtXT
GP会場内は「ゴジラ!」の叫びで一杯になった。 闘場サイドではゴロザウルスとガメラが応援団長よろしく手を振って煽り立てる! しかも、特オタたちの叫びはGP会場内に留まらなかった。 会場を外から取り巻く、入場できなかった特オタたち、「いのちゃん」「雷蔵師匠」たちもも次々と叫びの輪に参加した。 叫びの輪はとんどん直径を増し、無限とも思えるエネルギーがゴジラへと流れ込んでいった………。
248 :
…そして… :05/02/04 16:28:36 ID:NZJzDtXT
……そして、 ゴジラ対リドザウルスの決着はゴジラの圧勝に終わった。 特オタたちから無限のエネルギーを供給されるゴジラが負けるはずもない。 また、ゴジラ宗家は逃げたわけではなかった。 じつはリドザウルスの出現そのものがオトリ作戦だったのだ。 メインはアメリカとイギリスの特撮界連合軍による東京上陸作戦だ。 この連合軍をゴジラ一族が水際迎撃した戦いこそ、後の世に言う「湾岸戦争」である。 ジラからのプレゼントでゴジラ宗家は連合軍の侵略意図を見破っていた。 そこで宗家は、ウルトラエースたちの陰謀に引っ掛かったと見せかけ、実は移動能力の低い血族のゴジラを湾岸に、高い飛行能力をもつメカゴジラとスペースゴジラをGP会場周辺に配置したのである。 リドザウルスとも当初は宗家自ら闘うつもりだったのだが、その考えを変えさせたのが、ほかならぬ昭和の行動であった。 ガメラ対カメーバ戦のあと、平和を守るため自分の前に立ち塞がろうとした「昭和」の決意を見て、宗家はリドザウルスとの戦いを嫡子「昭和」に任せるつもりになったのである。 アメリカ・イギリス連合軍の切り札は「人喰いアメーバ(マックイーンの絶対の危機/人喰いアメーバの恐怖)」だった。 熱と電気は全く受け付けないが実は冷気に弱いこの怪物に、宗家のアブソリュートゼロが炸裂。 連合軍は会場から逃亡してきたリドザウルスを収用し太平洋の彼方へと逃げていったのだった…。
249 :
エピローグ :05/02/04 16:34:25 ID:NZJzDtXT
「メタさん…、終わりましたね。」 「ええ、おわりました……。」 661は脱力したように言った。 2人は夕日がまぶしい代々木公園のベンチに並んで座り、ボンヤリ景色を眺めていた。 「陰謀に彩られたパチモンGP。ゴジラ・リーグ優勝は、リドザウルスに勝ったジラース……って、リドに勝ったのまでカウントされてるんですね?」 「でも661さん。あれは一応勝ってますから。もっと変ちくりんなのがカメ・リーグ優勝者…。」 「……キングトータスなんですよね。なんで全勝のガマロンじゃないんですか?」 「コスモリキッドから申立てがあったそうなんです。『ガマロンはあまりに強すぎる。薬物使用の疑いがあるから尿検査しろ』って……。」 「……で、ガマロンが尿検査受けに来るワケもないから、キングトータスが繰り上げ優勝と……。どっかで聞いたような話だなぁ。」 「キングトータスは最近怪獣仲間から『ムロブシ』って呼ばれてますよ。」 661は腹を抱えて笑った。 「でも……」 メタリノームは静かにベンチから立ち上がると、夕日に向かい歩いていった。 「……でも本当の優勝者は……別にいる。そう思いませんか?661さん?」 怪訝な顔で661は聞き返した。 「?本当の優勝者?だれですか?それは?」 夕日を背にメタリノームが661の方にクルリと振り返った…。 「今大会での本当の優勝者…。それはアナタたち…、日本の特オタです。」
250 :
A級戦犯 :05/02/04 16:42:00 ID:NZJzDtXT
これにて…、暴走しまくったパチモンGPのサプストーリーはお終いでござる。 気安く書き込み難い流れを作ってしまい、スレ住人の方には多大なご迷惑をおかけいたした。 申し訳ござらぬ…。 平に、平にご容赦を……。
251 :
いのちゃん :05/02/04 19:38:18 ID:0efZ2TTB
>>250 別にいいよ。面白かったし。んで次のGPの打ち合わせを・・・・・
面白かったです。 それにしても、前スレ661さん大活躍!
GJでした、そういやアンギラスとバラゴンの追い駆けっこはどうなったんだろ? 次回大会は『名前にキング(以下略』ですよね?レッドキングのセコンドにはゴモラが就いてほしいなと
多々良島(だったっけ?)のみんなや、ドラコとギガスまでも、観客席で熱い声援を送ってるんだろうな〜。
キングギドラは何代目がいいんだろうか…
「名前にキングが入っている怪獣GP」エントリー怪獣です。☆はおいらの推薦で15体。 数が多いので全16体でトーナメントとエキシビジョンマッチ、 ないしは全32体のトーナメントがいいと思います。 ウルトラ ☆レッドキング(マン):小細工知らずの本格派剛腕怪獣。バルタンに次ぐ登場回数を誇るウルトラ怪獣筆頭。 ☆エレキング(セブン):口から光弾、尻尾の電撃、角(入れ歯に最適)からは妨害電波。ミスターセブン怪獣。いよっ、ご隠居! ☆キングジョー(セブン):セブンに圧勝したウルトラ最強怪獣の一画。マウントポジションからのパウンドが得意。 ☆キングザウルスV世(新マン):あらゆる攻撃を跳ね返すバリアーで新マンを一蹴。ウランが好物で放射能を吐く(こいつもか) ☆ブラックキング(新マン):新マンを倒した強豪。間違いなくゼットンUより強い。努力の人だが応用はダメ。レッドキングの兄? ・キングストロン(新マン):クプクプの破片がマンションと合体。尻尾から熱光線。背中の角を後ろ向きにすると動けなくなる ・キングマイマイ(新マン):幼虫は屁、成虫は糸が武器。必殺技は死んだフリ。 ・キングボックル(新マン) :地底人。超音波なんかを使うんだけどいまいちキャラがつかめない。 ・カメレキング(A):アトランティスを滅ぼした超獣。ってことはルナ公みたいなもんか。超獣って今ひとつ没個性だな。 ☆キングクラブ(A):カブトガニの怨念が実体化した超獣。火を吐く。天然記念物はちゃんと保護しようね。(ハンザギランてのもいたな) ・キングカッパー(A):子供のおへそを奪う。水流を吐き、ミサイルも打つ。お皿が乾くと弱い。 ☆ジャンボキング(A):超獣の王。ベース超獣がマイナーなのでタイラントにコンプレックスを持っている ・キングトータス(タロウ):第二回大会「パチもん怪獣GP」カメリーグ部門を制したつわもの。ムロブシ。 ☆ライブキング(タロウ):鼻から何でも飲み込み、心臓が無事な限り何度でも再生可能。とにかくよく笑う。 ☆ガラキング(タロウ):火を吐く。ジェットの音が嫌い。ボールが友達。サインはV。兎にも角にもタロウテイスト全開。 ・キングオブモンス(ダイナ):分身も出来る最強怪獣。のはずだがどうもつかみ所が無い。ムービースター。
ジャンボーグA ・キングジャイグラス:とかげが怪獣化した。水中での戦いが得意。一度食いついたら絶対に離れない。 ・ルバンガーキング:壊れた怪獣の人形が怪獣化。顔のヒレで光線をはね返し、ジャンボーグA(立花ナオキ)を失明させた。 ・デスコングキング:パンダのぬいぐるみが怪獣化。デスコングボールの威力は48階建てのビルも粉々にする。 ・キングテットゴン:人間の死体から誕生した怪獣。身体の一部は切られても再生する。両手のムチから3万ボルトの電流を流す。 ・グラスキング:鳥。悪夢に現われ死への恐怖をあおる。電気をエネルギーとする。風速70mの強風を起こす。 ・キングジンジャー:口から吐く毒ガスは四方の生物を殺せる。フライトキングと同士討ちになって倒れる。なんとなくツインテール。 ・フライトキング:見た目は魚だが空を飛び地に潜る。後に強化され回転のこぎりが取り付けられた。グビラパチもん臭が漂う。 ・ドクロスキング:子犬が怪獣化。もとの子犬の姿には戻れない。 ・テロキング:グロース星人3体が合体。破壊活動の専門家。体全体が武器になっていて機関銃は、1日中撃ちつづけられる。 ・ストーンキング:怪獣みこしとグロース星人3体が合体。ミサイルを受け付けない強固な皮膚を持っている。 ・ガメレオンキング:海上、海中問わず戦える。舌は100mも伸び、全身から出る毒液は3秒で魚を腐らせる。熱海在住。 ・バタフライキング:グロース星人に対抗する細菌兵器の秘密を持つ赤ん坊を狙う。普段は死神と名乗る、白装束の女の姿をしている。 ・オネストキング:ジャンボーグA&9の秘密を探るべく、"オネスト"という子犬に化けて和也に近づく。 ・キングビートル:砂丘にあるサタンゴーネの秘密基地より、出現。砂を陥没させて人間や車を砂地獄に落とす。
東宝
☆ギングギドラ:いわずと知れたゴジラ最大のライバル。お前だけには絶対負けない。
>>7 参照
☆キングコング:元祖ムービースター怪獣。今回は東宝枠でのエントリーなので電撃が使える。ひょっとして元巨大ヒーロー?
・キングシーサー:うちなんちゅ。光線を目で受けて逆の目から打ち返す。ぶっちゃけサンドバッグだったが相手が相手だしなぁ。
・キングゴジラ:コミックのみの展開なので出場資格なし
・デストロキング(流星人間ゾーン):マイナーすぎて情報が集まりません(´・ω・`)
・ドラゴンキング(流星人間ゾーン):マイナーすぎて情報が集まりません(´・ω・`)Vol.2
ミラーマン
☆キングザイガー:ミラーマン抹殺が使命で強い。頭と首にムチのようなトゲを持ち、これを自在に操り、敵を絞め殺す。頭も良く、ずるがしこい。
鳥島に出現し、アホウドリを敵に回した。天然記念物は大切に。インベーダー怪獣最強かな?
・キングワンダー:尻にある赤い角で敵を挟み込み、電流を流す。月面怪獣。ってことはムーンの字とは同郷?
・スネークキング:体中からヘビが生えており1つ1つが独自の意志を持って敵に襲いかかる。(ゴーゴンやザッハークが元ネタかな)
・ペアモンスキング:2つの首から火炎を、首の間から電撃を放つ。巨大な体で体当たりを行う。体中から紫色の毒液を出し海を汚染する。
・モグラキング:モグラではなく昆虫の怪獣 (地底に潜る点がモグラか?)。口から3万度の熱線を吐いて街を焼き払う。
・デッドキング インベーダー5人が合体した最後の怪獣。頭の角で敵のエネルギーを奪って、逆に光線を放つ。
宇宙猿人ゴリ ☆サタンキング:隕石に化けて来襲した時に、マグラーの子供を孵化前に殺し、ぶち切れたマママグラーにどつきかれた。 一応は最強怪獣のふれこみだが、母の愛は「悪魔の王」より強かった。 スーパーロボット・レッドバロン ・キングジョンブル:英国海軍の警備ロボット。武装はロケット弾と怪力。弱点である光電管は玩具「ロボター」に隠している。 ☆キングデビラー:鉄面党デビラー最後の侵略ロボット。武器はヘッドギロチン、バッドフェザー、ハンマーパンチ等。 デビラー総統が自ら遠隔操作し、レッドバロンを攻略すべく高い能力を有する。 アイアンキング ☆アイアンキング:怪獣ではないがヒーローでもないので特別推薦。本放送での勝率0割を誇る連敗記録保持者。目指せ初勝利!! しかしあの661は既においらじゃないな。 おとーさんはお前を応援しているぞぉーっ!
>>255 初代は神化してるからだめ。2代目は飲んだくれてぶっつぶれてるからだめ。
千年竜王は覚醒するまで使えないから、VSかグランドギドラだな。
それと、職人さん(あえてこう呼ばせてもらいます)まだストーリー考えてませんよね
私も手伝いましょうか?
261 :
月亭雷蔵 :05/02/05 21:25:10 ID:IN/4FFIR
是非!! でもブラックキングはおいらに頂戴
小ネタですけど、レッドキングの控え室は多々良島組+ツイフォン組+ゴモラ達が和気靄々として賑やかそう、でそこに昭か…ジラースが差し入れとか持ってきそう
ブラックキングとナックル星人は矢吹ジョーと丹下団平みたいな感じ?w
264 :
月亭雷蔵 :05/02/05 22:05:10 ID:IN/4FFIR
>263 いや、もっとハードな関係にするつもり 3・2・1 ナックル!ナックル! ・・・・・・・・・もちろんこれでもない
一徹さん、一徹さんですか?
266 :
月亭雷蔵 :05/02/05 22:41:58 ID:IN/4FFIR
でもないです ダイリーグボール養成ギブスとか明日のためにその1とか そんな生ぬるい事をやらせるつもりはありません ちょっとあおりすぎだね
うぅ、引き出しの少ない自分にはこれ以上ネタが思いつかないっす、申し訳ありませんm(_ _)m
キングダークやキングショッカー(ショッカー大首領)は出場権ありますか?
256> グランドキング(映画タロウ)のエントリー追加は可能ですか?
アメリカ絶対主義者リドザウルスの侵略でこじれてしまった日米特撮界の関係…。 その修復のため、穏健派のキングコング来日…? 「ワシが出よう。宗家や昭和とも直接会って話をしたい。」とかね。
トーナメント1回戦 @レッドキング(マン)vsサタンキング(ゴリ) ガキ大将対いじめっ子。そこにあるのはマグラーつながり。ただそれだけ。 Aエレキング(セブン) vsキングコング(ゴジラ) お前ぇさんも電気を使うって?粋ってもんを教えてやるぜ、このアメ公 Bキングジョー(セブン)vsキングデビラー(レッドバロン) 宇宙最強の侵略兵器を専守防衛の決戦兵器はどう迎え撃つのか?! CキングザウルスV世(新マン)vsモグラキング(ミラーマン) マイナーの意地!3万度の熱線で鉄壁の防御に挑む Dブラックキング(新マン)vsフライトキング(ジャンボーグA) ドリルと回転ノコ、好きなほうで刻んでやるぜ! Eキングクラブ(A)vsキングザイガー(ミラーマン) 天然記念物としてお前だけは許さない。アホウドリの敵は俺が取る! Fジャンボキング(A)vsグランドキング(タロウ) 禁断の同門対決。スーパーヘヴィ級の激突の行方は? Gギングギドラ(ゴジラ)vsスネークキング(ミラーマン) 伝説の怪獣ここに降臨!顔の数なら負けへんでぇ!! リザーブマッチ @ガラキング(タロウ)vsデスコングキング(ジャンボーグA) 受けてみよ!ビルをも砕くデスコングボール! Aアイアンキングvsキングショッカー(仮面ライダー) 巨悪に挑む最弱ヒーロー。地球の未来はお前に任せ・・・ていいのか? Bペアモンスキング(ミラーマン)vsキングシーサー(ゴジラ) 沖縄の守護神、海洋汚染に立ち向かう! リザーブマッチは面白そうなが対戦あったらドンドン追加して下さい。なるべくマイナー連中に光を当てたいしね。 いいキャラが出来たら本戦に進出もあり。 それと、今までで一番豪華な面子なんだからキングギドラは初代でいこうよ。
Aエレキング(セブン) vsキングコング(ゴジラ) これはもらった!!てかこれ以外かけない気がする・・・・・
スペクトルマン最強怪獣!サタンキングさま戦績 1勝3敗(爆笑)。どこが最強怪獣なんだかな…。 1勝は地底怪獣マグラーとの再戦、一方3敗のうちわけはマグラーとの初戦、スペクトルマン戦、バロンザウルス戦。 マグラーとの初戦での敗因は、子供の死で母親マグラーがキレてしまっていたから。 このときマグラーは神がかり的強さを発揮する! スペクトルマンとの敗戦は、まあ順当というもの。 困ったのはバロンザウルス相手の敗戦。 新怪獣X(別名シルバーロボ)のテスト用に再生怪獣として登場。 しかしXが出て来る前にバロンとの同士討ちが始まってしまう。 手数の多さで圧倒していたサタンキングだったが、バロンザウルスの反撃の角でグサリとやられてハイお終い…。 つまり、肝心のXとは闘わずじまいなのだ(苦笑)。 どうもサタンキングってのは、「苛めっ子なんだが、苛められっ子がキレるとあっけなく崩れるタイプ」らしい…。 ちょっと情けないぞ。
276 :
助走 :05/02/10 12:37:32 ID:sjtH4c4D
助走をつける意味で初っ端の試合前の部分をちょこっとだけ書いてみっぺ。 「ええっと……こちらはレッドキング選手控室です。申し遅れましたが、わたくしレッドキング側中継担当の大魔王ベムキング(サンダーマスクのラスボス)です。」 大魔王ベムキング!?。 かつて流星鉄仮面と魔王デカンダを従え、日本に次々と魔獣を送り込んだ恐怖の侵略者だ! 「……ベムキングさん。」 「…はいはい。なんでしょうか?前スレ658アナさん。」 やけに腰の低い「恐怖の侵略者」だ。 「控室の中の様子はどうなんでしょうか?」 「はいっ!それがもう大っ変!熱気むんむんなんですねぇ!怪獣用控室なんですから狭いワケないんですが、レッドキング選手を激励しようとお友だちが詰め掛けて、それはもう大騒ぎなんです!」 とってもライトなベムキングに促され、控室内にカメラが入った。 中継画面にはレッドキング二匹に加え、ドラコ、ギガス、チャンドラー、マグラ、アボラス…そしてタイラントとハンザギラン、バラバにベムスター、イカルス星人……こりゃ狭いわけである。 「正直言いまして、中はもうわたしが入っていくスペースが無いくらいくらいなんですね。」 「(大魔王なんだからゴリゴリ中に入ってけばいいじゃん…)わかりました。それでは取材の方引き続きヨロシクお願いします。」 そして、画面はもう一方の出場選手、サタンキング選手控室の方に切替わった。
277 :
助走その2 :05/02/10 12:38:54 ID:sjtH4c4D
「…ふははははははははは!ワタシの名はゴア。宇宙の征服者!」 サタンキング側の中継担当はマグマ大使のラスボスだった。 どうやら出場怪獣がみんな「キング」なので、位負けしない連中を起用したらしい。 カメラは控室内をフラフラ飛ぶゴリの円盤やバロンザウルス、マグラー、モグネチュードン、ネズバードン、モッグス、シルバーロボ、そしてファーム時代の仲間であるベガロンを映し出した。 みな口々に「オマエは強い」「オマエは負けない」などとサタンキングに話し掛け、暗示にかけようとしている。 「試合を前にして大変ナーバスになっているサタンキング選手を、皆がよってたかって励ましているところだよ、658くん!」 ゴアはベムキングと違ってテレビのままだ。658アナのことも「くん」づけである。 「はい、宇宙の帝王ゴアさま。どうもありがとうございました。」
278 :
助走その3 :05/02/10 12:40:27 ID:sjtH4c4D
「はい、では改めまして皆さんこんにちは。 最近コレ以外の仕事が入らなくなってきた職業アナの658です。」 カメラは放送本部席に切替わった。実況はおなじみ658アナである。 「本大会も前大会に負けないような強力な解説陣をお招きいたしました。では……」 KKKギャング団みたいな白い三角頭巾をすっぽりかぶった人物が映し出された。 「……黒十字総統です(秘密戦隊ゴレンジャー)」 つづいてカメラが映し出したのは禿げアタマに銀粉塗りの怪人だ。 「BF団大幹部、ドクトル・オーヴァーである。」 「………あれれ?失礼ですが、黒十字総統とドクトル・オーヴァーは声がそっくりなんですね。もしかしてご親戚ですか?」 「ちがう!」「ちがう!」 人間用観客席から「パペットマペットショー!」の掛け声が飛んだ。 言われて見れば、ドクトルオーヴァーの右手が黒十字総統の背中に入っているような気もする…。 「プロフェッサー・ギルはどこいったー?」更なる掛け声に観客席がドッと湧いた。 「……ちょっと便所に行ってくる…。」 黒十字総統とドクトル・オーヴァーがいっしょに立ち上がった。 「便所に行くって……悪の大立者がツレしょんですか?」 「いちいち突っ込むな!」 658アナを一喝したのはドクトル・オーヴァーだったのか、それとも黒十字総統だったのか……。 数分後、便所から戻ってきたときには黒十字総統の「中の人」は八名信夫になっていた。
「さて……と、だれがコイツのセコンドにつく?」 その言葉と同時に、レッドキング控室を沈黙が支配した。 ギリシャ神話の最強英雄にヘラクレスというのがいる。 海神ポセイドンや軍神アレスを組討で破り、太陽神アポロンとも互角に戦う超人。 巨人アトラスに代わりその両肩で天を支えたこともあるという英雄である。 じつはこのヘラクレスとレッドキングには大きな共通点がある。 どっちもキレると怖いのだ。それもケタ外れに…。 ヘラクレスは怒りの中で我が子を殺し、レッドキングはチャンドラーの翼をもぎ取った。 サタンキングとの激突は「ぶちキレ合戦」になる可能性が強い。 そのときセコンドはキレたレッドキングを、身をもって止めなければならないのだ。 体力的にそれが可能なのはもう一匹のレッドキングだが、最悪二匹いっしょにキレられたら…破滅である。 「いいよ、気にすんなオレ一匹で………」 「オレに任せな。」 そのとき、控室のドアの向こうから野太く低い声が控室に飛び込んできた。 「その声は!?」 そう、アイツしかいない! レッドキングに体力負けしない、もう一匹のウルトラマン怪獣の王様! 「殿下」がやって来たのだ。
>>279 どうもです。ただいくといっときながらネタが浮かばない・・・・・
自分は次なので考えとかねば・・・・
初代 目があった奴にはとりあえずケンカを売る。スマートなので雌だよ雌。 2代目 北アルプスの王。喧嘩っ早いがギガスを鍛えるなど親分肌の一面もある。 食えそうな気がしたものはとりあえず食ってみる。ごついので雄。 一族の復権をかけてGP出場のオファを受けた。 3代目 80に登場。初代と2代目の子供。戦いこそ我が宿命。 ミニラとは宿命のライバルだ! アニメ版 ザ☆ウルトラマンに登場。一家で唯一飛び道具を使う。 3代目の パワード雄・雌 崖から落ちたりパワードドラコに秒殺されたりする軟弱モノ。 海外移民で苦労した。 ブラックキング レッドキングの兄との噂が耐えない。だとすると幼い頃に養子に出されたものと思われる。
ブラックキング、養子っすかw
シルバゴンもレッドキング一族じゃないのかな
シルバゴンは確か、ゴルドラスの一族じゃなかった?
こんなの書いてみました。 会場の片隅に張り出されたトーナメント表を見ながらムカデンダーとコスモリキッドが立ち話をしていた。 ムカデ「ジャンボキングはカウラ、マザリュース、ユニタングの合体怪獣か」 コスモ「俺たちのタイラントよりマイナーだよな」 ムカデ「でもさ、グランドのアニキだって合体怪獣だぜ?」 コスモ「うそぉ」 意外そうな声を上げるコスモリキッドに、ムカデンダーが頷いた。 ムカデ「宇宙の悪魔が集まって生まれた超合体怪獣だってさ。立派な合体怪獣だ」 コスモ「……宇宙の悪魔?」 ムカデ「……なんか今ひとつはっきりしないな」 コスモ「どうせなら全怪獣の怨念集合体でもよかったのにな」 ムカデ「だよな。でもそれじゃタイラントと被るぞ」 コスモ「いくらマイナーでも、ジャンボキングは怪獣(超獣)の合体怪獣だもんな、凄いよな」 ムカデ「だな」 コスモ「あれ?」 ムカデ「どした?」 コスモ「今、誰かそこの柱の陰にいたような気がしたんだけれど……」 廊下の奥で、どこかに電話をかける一匹の怪獣の姿があった。 「あ、もしもし?いえ、あのですね、俺のモトになった宇宙の悪魔の名前を……その、実は、宇宙の悪魔じゃ今ひとつインパクトに……いや、強さに関係ないのは分かりますけど……」
ずしん!ずしん!ずしん!ずしん!……。 「おおーっと!?この放送席まで、物凄い振動が伝わってきました! 地響きが聞こえてくる方向からするとコレはレッドキング登場かぁっ!?」 「すみません658アナ!」 うわずった声で、大魔王ベムキングからのレポートが飛び込んできた。 「じつは、じつは…、レッドキング選手だけではないんですね。 物凄いスターがセコンドに付いてるんです!そのセコンドとは……。」 そのとき、ドッと歓声が沸きおこった。 花道奥にレッドキングが姿を現したのだ。 体から雪を払い落とすファン泣かせの演出のあと、ゆっくりと歩き出す。そして…。 ドドッ!歓声に突如ターボがかかった! レッドキングのうしろに巨大な三日月型のツノが現れたからだ! 大歓声に負けじとベムキングが声を張り上げた。 「『赤い王様』のセコンドは、なんと!『怪獣殿下』なんです!」
287 :
水爆は? :05/02/14 08:01:56 ID:QG8Z/dRZ
尖塔のようなシルエットのレッドキングの斜め後ろに、前傾した重厚感のあるゴモラが続く。 「王様」と「殿下」、ウルトラマン怪獣の王族の行進である! 大魔王ベムキング(サンダーマスク)はレポートを続けた。 「ご存知のとおりレッドキングには複数固体が存在しています。 今回出場の固体は『怪彗星ツイフォン』に登場の固体でございます。 ファンの中には『喉の出っ張りが無い』と、お思いの方もいらっしゃるかと思いますが、 レッドキング選手は昨年喉のポリープの除去手術を受けられまして……。」 「……ベムキングさん?ポリープはいいとして、……水爆はどうなりましたか?」 「水爆ですか?……さあ…?」 「(おいおい!)!水爆飲みこんだまんた出てきたんですか!」 「………かもね(笑)。」 笑って済ますな!ベムキング!
「水爆はどうなってるんだ?!」(by658アナ) 「そんなことワタシ知りませんよ!」(byベムキング) …で放送席が大騒ぎしているうちに、対戦相手のサタンキングがサッサと入場してきてしまった。 闘場にはレッドキングとサタンキングが対峙し、場外にはゴモラとバロンザウルス、マグラーが睨み合っている。 こうなってしまったら、いまさら中止にはできない。 例え水爆がどうであろうとも…。
289 :
怪獣水爆戦 :05/02/14 12:25:43 ID:QG8Z/dRZ
「く、黒十字総統(秘密戦隊ゴレンジャー)、試合予想をおうかがいしたいのですが…。」 658アナは局アナとしての使命をまっとうしようと黒十字総統に話をふった。 しかし、658アナの内心のパニックを見透かすように黒十字総統は逆に658に話を振り返してきた。 「658アナ、あんたが心配なのは試合結果よりも水爆でしょ?」 「は、はい…。」 「水爆の破壊力考えたら、いまさら心配したって始まんないでしょ。 それよりも、ま、青汁でも飲んで落ち着きなさい。」 黒十字総統は自分が愛飲し宣伝もしている「青汁」の入ったポットを取り出した。 即座に顔をしかめる658アナ。 「いやですよ、そんなマズイもん!」 「なに言ってんですか、マズくても体にいいんだから……。」 658アナと黒十字総統が今度は「飲め!」「飲まない!」と押し問答を繰り広げているうちに……。 カァーーーーン! ゴングが鳴ってしまったぁ!
290 :
戦闘開始! :05/02/14 12:28:12 ID:QG8Z/dRZ
シッポで地面をバンバン叩き、指をポキポキならすレッドキング! 一方軽く前傾し、マイク・タイソンみたいな姿勢で相手の出方を窺うサタンキング! 左右にフェイントをかましながら、二匹は次第に距離を狭めていく! 「ではドクトル・オーヴァーさん…。」 658アナは口もとの青汁を拭き取りながら話を振った。 「…試合の展開を予想していただけますか?」 ドクトル・オーヴァーは、まず黒マントを思わせぶりに肩に跳ね上げてから口を開いた。 「サタンキングのファイトスタイルは、一口で言って『狂気』です。 これに対し、レッドキングは部類のケンカ好き。 怪獣世界『し』ろしといえども、これほどのケンカ好きはちょっといないでしょう。」 「…あのドクトル・オーヴァーさん。それをいうなら『怪獣世界「ひ」ろし』ですよね?」 ドクトル・オーヴァーは何故か宇宙人でありながら「江戸弁」を巧みに操る。 そのため「ひろし」は「しろし」になってしまうのだ! 「…怪獣界しろし!」 「『ひろし』ですってば!」 「しろしっ!」 ドクトル・オーヴァーと658アナが不毛な争いを始めたのを見てとった黒十字総統は「自分も何か言わねば…」と思ったらしくマイクに顔を近づけた。 「………マズイっ!もう一杯!」
閑話休題…… これまで登場してきた「試合の進め方」。 A、イリス対ヤメタランス形式 登場怪獣の行動パターンを分類し、それぞれについて検討を加えるスタイル。 B、ナース対カマキラス形式 プロレス実況風のスタイル。アナウンサーや解説者が一枚噛むので変化がつけ易い。 C、ミニラ対ナース形式 物語形式。アナウンサーや解説者、第三者的怪獣も噛むので話が膨らむが、収拾がつかなくなる可能性も…。 D、アイアン対アーストロン形式 試合の様子を全く書かない。後日第三者の会話などで試合の様子を語るスタイル。 登場怪獣のことを全く知らなくても書けてしまうのが最大のメリット! E、ナース対モスラ形式 CとDの折衷形式で物語風に書き進めて、結末だけ後日回想形式になる。 F、ゴメス対ジラース形式 あくまで「怪獣同士の戦い」として客観的に書くスタイル。ノスタルジックに決ればグッド! G、ゴメス対アーストロン形式 基本的にはFのバリエーションで、どちらか一方の怪獣の主観にウェイトを置いて書くスタイル。 H、???? これから誰かが書く全く新しいスタイル。 こんなとこか? しかし、よくこれだけ出てきたな……と(笑)。
小刻みに上体を左右に揺らすサタンキングに、アタマを低く構えレッドキングが突っかけた。 怪彗星ツィフォンでも対ドラコ戦で見せた戦法である。 サタンキングはこれを横っ飛びにかわしながら、突っ込んで来たアタマにフック気味のパンチを叩き込んだ。 もんどり打って倒れるレッドキングだが、すぐさま跳ね起きる。 地底をゴリゴリ掘り進むレッドキングのアタマは破城槌のように丈夫で、しかも頭蓋骨の何倍もある太い首で支えられているので、なまじっかな打撃ではビクともしない! 頭突き突撃は効かないとみるや、レッドキングは両手を広げて棒立ちの姿勢でサタンキングに詰め寄っていった。
「レッドキングの戦法は捕まえてからが勝負だ。」 放送席が上げ足の取り合いでさっぱり機能していないので、やむなく「宇宙の帝王ゴア(マグマ大使)」がなぜか実況をする形になっていた。 「チャンドラー戦でもドラコ戦でも、とりあえず捕まえてから怪力にものを言わせる。 それがレッドキングのスタイルなのだ。 しかしサタンキングは、マグラー戦やバロンザウルス戦でもボクシング的な意味での接近戦を展開している。 つまり、レッドキングとサタンキングでは得意とする距離が微妙に違うのだ。 この『微妙な距離』をどう詰めるか、あるいはどう保つかが勝敗の分かれ目になるだろう。」 三ばかトリオ状態の放送席にひきかえ、ゴアの堅実さが目立つ…。 解説の最中にもゴツン!ゴツン!という鈍い音が轟き、中継のカメラが衝撃で揺れた。 「…しかしサタンキングがこの先も打撃戦を展開するなら、水爆の起爆信管を作動させてしまう危険も出て来るだろう…。」 なんと!ゴアの口からも水爆の話が飛び出した。 …どうやらあの話は本当らしい!?
フラックキングwithナックル星人軍団、出撃準備完了です。 ナックル星の王みずから来場なさいますです。 そのために凶器攻撃野朗をぶつけたんだしね。 その前にキングジョーvsキングデビラーと キングザウルスV世vsモグラキングをかたさにゃならんか。 ご隠居vs北米ゴリラはいのちゃんにまかすとしても、 どっちか一方はこなさにゃならんかな。
295 :
逆襲! :05/02/14 17:02:18 ID:QG8Z/dRZ
水爆を飲み込んだ怪獣にスペシュウムは使えない……って、サタンキングはそんな光線ワザ使えねえよ! 雨のように降り注ぐサタンキングの打撃も、レッドキングを怯ませることはできない。 むしろ、レッドキングはますます猛り狂い怒り狂った。 だが怒り狂うレッドキングに呼応してサタンキングの狂気もレベルアップしていく。 まさに展開は、当初の予想通り「ブチ切れ王決定戦」の様相を呈していた。 「戦いは次第にレッドキングの間合いになってきた…。」 相変わらずゴアは冷静だ。 「…狂気はサタンキングの手数と破壊力の双方を上昇させるが、同時に緻密さを失わせてもいる。このままなら、いずれレッドキングにチャンスが回るだろう…。」 ボスッ! そのとき、鈍い音を立てサタンキングの腰の入った打撃がレッドキングの右脇腹を捕らえた! レッドキングの口と鼻から真赤な泡が一つ二つ吹き出した。 「…肋骨が折れて肺に突き刺さったようだ。肺内部への出血は呼気と混ざって血の泡になる。」 冷静な口調で凄惨な事実を吐くあたり、さすがは宇宙の帝王だ。 目を血走らせ、レッドキングのボディに更に拳を食い込ませるサタンキング! レッドキングの口からはブクブク血の泡が吹き出した。 しかし……、ここでゴアが静かに宣言した。 「……レッドキングの勝機が来た。」 おのれの脇腹に食い込むサタンキングの腕に、レッドキングの太い腕が巻きついた!
「ぎゃおおおおおっ!」 鋭角的な響きの叫び声とともに、レッドキングはサタンキングを力任せに降り回した! ぶんっ! サタンキングの両足は闘場を離れ巨体が宙を舞う! そして、振り回したレッドキングの巨体ごとサタンキングは闘場に叩きつけられた。 その瞬間、ゴリッと不快な音が、たしかに聞こえた。 「レッドキングの怪力でサタンキングの肩が抜けたな。」 口から溢れる血の泡を気にも止めず、レッドキングは、肩をダラリと下げて立ち上がりかかったサタンキングに体を浴びせ掛けた。 そして上から打ち下ろす!打ち下ろす!打ち下ろす! 激しい動きで血の泡は更に激しく噴き出したが、それもレッドキングの勢いを増すだけだ。 サタンキングの顔に、胸に、アタマに、そして破壊された肩に、ところ嫌わずレッドキングの丸太のような腕が叩きつけられる。 「ぐがぁぁぁぁっ!」 サタンキングが苦痛の悲鳴をあげたところで、バロンザウルスがタオルを投入。 同時に両雄のセコンドが飛び込み、ゴモラが決死の覚悟でレッドキングを引き剥がした。 「赤い王」の名に相応しい、レッドキングの凄惨極まりない勝利だった。
「ふっふっふっふっふっふっふ キングジョーなどR30爆弾さえあれば恐れるに足らず。 所詮は30年前の骨董品。鉄面党の科学力をもってすれば赤子の手を捻るも同然。」 キングデビラーのコクピットでデビラー総統は踏ん反り返っていやがった。 「解説のドクトルオーヴァさん。この対戦をどう読まれますか?」 仏頂面で聞いた658の問いに八名はぶっきら棒に答えた。 「まずい」 「まずいんですか。戦前の予想はキングデビラー不利となりましたが、果たしてどうなる事やら。 まあ、予想が的中しまくりやがるんなら予想屋やらずに札を買ってる方が儲かる理屈でして。 ここであーでもないこーでもないと吹聴している段階で 予想が当った端子が無い事を吹聴しているのも同じことでして」 ヤケに意固地になった658のアナウンスに、おどろおどろしい視線を投げかけながら八名が言った。 「なぬかようか」 「ここのかとおか」 「じゅういちぬつじゅうぬぬつ」 がしっ 骨も砕けよと抱き合った黒十時総統と658はバロムクロスを交わし、闘場に目を向けた。 「両者にらみ合ってレフリーの注意を聞いています。聞いているかどうか分かったものじゃありませんが。」 「ネコに小判。馬の耳に念仏。ロボットに説明。まあ、音声入力を導入したのでしょう。」 いきなりかみ合い始めた実況と解説のやり取りにゲスト解説が割り込んだ。
ばしゅ キングジョーが放ったミサイルがキングデビラーを直撃した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「ペダン星人もバカじゃない。そもそもがライトンR30は彼らの発明だったんですねぇ。」 「キングジョーを一撃で葬り去る兵器を食らっては、そりゃあどうにもなりませんよね。」 「まあ、戦車の主砲は自分自身の装甲を破る事が出来る事を基準に設計すると言いますからねぇ。」 「逆に装甲は主砲を防ぎ切る事が要求性能と言いますよねえ。」 「盾と矛の関係ですか。考えても見ればペダン星人が何のためにキングジョーを作ったかと言えば、 キングジョー並の兵器がうようよいるからなんですよねぇ。」 「当然、対キングジョー兵器はあって当たり前なわけでして。」 「そう考えると妥当だったんでしょうねえ。そもそもあれって歩兵の携帯兵器なわけですし。」 ○キングジョーvsキングデビラー● 1R2秒 KO(ライトンR30) 考えても見ればキングジョーって単なる輸送機なんだよなぁ。
ほんと不思議なことにキングジョーは、ペダン星最強兵器であったハズがないんでんな。 アレは地球防衛軍の宇宙警戒網を掻い潜り、地球に工作員を潜入させるためのいわば「特殊スパイ兵器」? だからハイドランジャーを拿捕する光線は装備してても、ウルトラセブンとの戦いで使う兵器は怪光線しか装備されとりまへん(笑)。 アイツの中身はペダン星人の破壊工作員収用部と分裂時の飛行装置、それから合体時の連結装置などがギッチリ詰まっているハズなんで、怪光線以外のマトモな武装は積めへんかったんでしょうな(笑)。 だから…ペダン星本星に行けば、分裂合体機構や工作員収用スペースを持たず、代わりに武装や装甲に重きを置いたメインバトル・キングジョーがいたハズ。 そんなヤツが来てたら、ウルトラセブンもあそこで最終回に…。
300 :
観客A :05/02/15 09:27:46 ID:tFtjPbmi
おー始まった始まった…っていきなり流血試合か、すげぇな
エレキング対キングコングが始まらんようなんで、モグラキングのことを調べてみたが…。 情報少なすぎ! リアルタイムで見てるハズなんだが、じぇんじぇん思い出せまひぇん。 マルチやダークロンならポンポン思い出すのに…。 顔ぶれからして、マイナー勢で勝ち残りそうなのはモグラキングとキングザイガーぐらいなんだがなぁ…。
アンギラスは、宗家のお許しを得て鎌倉のお屋敷に帰参を果たしていた。 追跡のすえ、ついに九十九里浜でバラゴンを追い詰め決戦になっていたところが、東京湾に上陸したアメリカ特撮軍の別働隊と出くわしてしまったのである。 ビキニを着用した「巨大女」軍団を「ロマンポルノ軍団」と勘違いしたアンギラスが突撃。 目の前に突如現れたトゲトゲ怪獣に、ビキニ巨大女軍団はきゃあ!きゃあ!言いながら海へとUターン。 これが「アンギラス単独で別働隊壊滅!」ということになり、宗家よりの過分のお褒めの言葉も頂戴しての帰参とあいなった次第である。 「ああ………。」 今日もアンギラスは、きゃあきゃあ言いながら目の前でプルプル揺れる、ビキニのおしりの幻に惑わされていた。 「ああ…………逃げないでぇ……。」 アンギラスは……呆けていた。
303 :
名無しより愛をこめて :05/02/15 23:49:04 ID:38N5MvJi
やっぱGFWみたいにゴロゴロ転がるのか?
304 :
……三世 :05/02/16 08:02:33 ID:jjfYpY6g
「本大会では試合ごとにふさわしい解説者をお呼びすることになりました。 …でー、本試合の解説はというと……。」 カメラが切替わり解説者席を映し出した。 ……だれも座っていない……。 そのかわりカメラのレンズ?が中央に嵌め込まれた、石膏かなにかで出来たらしい鷲のレリーフが座席に置いてあるが……。 ぴこぉーん!ぴこぉーん!! 突然、レリーフが音を発し、レンズ部分が明滅を始めた! 「…みなさん、こんにちは…、ショッカー、首領です。」 黒十字軍とBF団の次はショッカーだ! 「と、いうわけで首領。ショッカーは以前バリアー破壊ボールを作ったこと(トカゲロン)がありましたですね?今日の対決のポイントはキングザウルス三世の…。」 「何!?三世!?ル…ルパンーーーーっ!」 ショッカー首領が、突如取り乱した!? 「しゅ、首領、いま『銭形のとっつぁん』が出てきませんでしたか?」 「……………………………失礼しました。もう大丈夫です。」 「では、話題を戻しまして…。キングザウルス三…。」 「ル…!ルパァアアン!」 さっきのドクトル・オーヴァーと黒十字総統といい、今回のショッカー首領といい、人間関係が複雑な方々ばかりだ。 おかげでさっぱり話が進ない…
いつの間にかかなり進んでる・・・・ PCぶっこわれてたからしばらくこれんかったがいまから核か
会場の奥から現れたのはエレキング。セコンドにはムーンサンダーとムーンサンダーに見つけてもらったルナチクス 次に登場したのはキングコング。セコンドには島の原住民達。 両者にらみ合い(エレキングはアンテナだけど・・・・)試合開始!
まず最初に攻撃をしかけたのはキングコング。エレキングをつかみ自慢の怪力で押したそうとする しかしそこでエレキングの口から光弾が発射されキングコングに命中!コングはあとずさりするがすぐにまた突っ込んでくる (このままじゃ終わらねぇなしかしこいつ電撃をつかうがわしには効かんぞ・・) そう考えながら突進してくるコングを光弾でまた後退させる。 そして次に突進してきたコングを自慢の長い尻尾で弾き飛ばす。 そしてまた懲りずに突進してきたコングを尻尾で巻きつかせる。 今だ!とばかりに電撃を使うが、コングには効かない(雷くらって回復するくらいだから) (くそっ!なんてやつでい。こっちは決め手がなくなっちまったじゃねえか!) エレキングの尻尾をほどいたコングはまた突進してくる。 (こうなったら・・・) 突進してきたコングを尻尾ではじき飛ばして構えに入る。そしてコングが起き上がり・・・ 「必殺!光弾百連発!」(勝手に名命) 口から光弾を連発しあたりかまわず打ちまくる!これではコングもたじたじ。 そのまま会場の奥へと逃げ出していった・・・・ 「勝者!エレキング!」 (あの技は疲れるからあんまり使いたくなかったんだが・・・・ by.エレキング (実況抜きでやったからちょっと面白みにかけるかもしれませぬが御了承くだされ。それと読みにくかったらいってください)
「…キングザウルス…を攻略する場合、問題になるのはバーリアだ。」 ショッカー首領はやっと落ち着きを取り戻した。 でも、彼の前で「三世」の語は禁句である。 「では首領、ウルトラマンがやったバリアーを飛び越す攻略方法はいかがでしょうか?」 「二度とは通用すまい。」 「それはいったい何故でしょうか?」 「バーリア発生器であるツノの向きを変えれば、バーリアの展開エリアも変えられるはずだからだ。 したがって『最初から空を飛んで近付けばOK』などというのは、愚の骨頂だろう。 上方にバーリアを展開されて、おしまい、だ。 これから何をやるのかを、キングザウルスに気づかせなかったからこその、ウルトラマンの勝利なのだ。」 658アナは思わず唸った。 「うーん…モグラキングにそれほど多彩な攻撃があるとも思えません。そうなると、モグラキングの勝機は無いと……。」 「スペシュウム光線が通用しなかったことを考えれば、三万度の熱線での力押しがムダなことは明らかだ。 一つ可能性があるとするなら、地下だろう。いかにキングザウルスといえども自分が立つ大地の中にまでバーリアは張れまい。」
ショッカー首領に指摘されるまでもなく、モグラキングは「モグラ」というくらいなので地底からの攻略を考えていた! (ゴース星人のセリフじゃねえが、テメエは地下からは無防備なんだよ!じゃ、地面をひと堀り……と…) ゴングが鳴りキングザウルス三世がバリヤーを展開すると同時に、モグラキングもトンネル掘削作業を開始した! ところが?! (ありゃりゃ?ぜんぜん掘れましぇん!?……こんにゃろ!こうなったら『モグラ』の名にかけて、意地でも掘ったるでぇ!) ごりごりごりごり……(うんしょ!うんしょ!) ごりごりごりごりごり………(えいえいえいっ!) 「ショッカー首領、実は前の大会でリドザウルスが闘場に穴を開けたので、闘場の床を張り替えておりまして…。」 ごり…ごり…(…………えっ?) 「……ほう?で、どんな材質で張り替えたのだ?658アナよ。」 ごりごりごり(…………) 「はい、超合金ニューゼット(グレートマジンガー)とニューバロンニウム(レッドバロン)それにペダン星の技術協力で製造した……。」 「…あ、そりゃ掘れんわ(笑)。」 ごりごりごり……ごり、ごりり………(がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?) 三種の超合金の床を一時間弱かけ1メートルほど掘り進んだところで、…モグラキングは勝手に力尽きた。 キングザウルス三世の勝利?である。 ちなみに「勝利の感想」を求められたキングザウルス三世はというと…… 「…オレなんもしとらんぞ?」 ……と言ったとか、…言わなかったとか…。 ちゃんちゃん。
なんか今回は秒殺が多い。まぁそれはそれで面白いのだが・・・・・ キングデビラーといいモグラキングといい・・・・・
ミスターK(レインボーマン)が言った。 「こんどの大会はキングコングも来てる関係でアメリカにも中継されるのだそうだ。」 「それで放送衛星が日本上空まで移動してきているんですな。」 相槌を打ったのは火焔大魔王(白獅子仮面)だ。 ここは解説者控室。 自称「宇宙の帝王」や「宇宙の征服者」たちの中にあって、場を仕切っていたのは「普通の人間」であるミスターKだった。 なんといっても彼は「ゴジラとゼットンを倒した男」なのだ。 これにはバルタン星人やM宇宙ハンター星雲人だって敵わない。 「ほう、そうですか」などと言いながらミスターKの周りに悪の帝王の輪ができていたところに、またもや「悪の大物」が一人やって来た。
312 :
凶兆 :05/02/17 08:18:21 ID:dvizARne
「おお、これはおそろいですな。…申し遅れましたがワタクシ…。」 「知っているよ。仮面ライダーストロンガーに出てたゼネラルシャドウくんだね。まあ、ここに掛けたまえ。」 ミスターKは御尻をずらして、ゼネラルシャドウの分の座る席を空けた。 「光栄です、ミスターK。では、お近づきのしるしに私がミスターKさんの運勢をトランプで占ってさし上げましょう。」 シャドウは例のトランプをシャッフルし始めた。 「……では、一枚引いていただけますか?」 「一枚だね?」 そう言いながらミスターKはトランプを引き、そして表に反した。 「……ジョーカー……。…凶…です…ね。すみませんが、ミスターK、もう一度やってみていただけませんか?」 シャドウはジョーカーをカードの山に戻すと、再びミスターKに差し出した。 「どれ……………………おや?」 ミスターKが引いたカードは、今度もジョーカーだった。 「……またジョーカーか、不思議な偶然だね。…………(おや?)失礼だがゼネラルシャドウ、何か気になることでもあるのかね?」 黙りこくって自分の手の中のカードを見つめるシャドウを、ミスターKが見咎めた。 「……実は……ここに来るまえファンのオジサンに捕まりましてね。そのときもこのトランプ占いをやったんですが……。」 そこまで喋って、黙り込んでしまったゼネラルシャドウにミスターKが促した。 「それでどうしたんだね。先を続けてくれたまえ。」 深く長いため息をついてから、ゼネラルシャドウは話を続けた。 「実は…、三回カードを引いてもらったんですが…三回ともジョーカーだったんです。」
313 :
客来たる。 :05/02/17 12:43:36 ID:dvizARne
「悪の帝王」たちが不思議な占いに首をひねっていたころ……。 鎌倉の邸宅に客が訪れていた。 「……よくおいで下さりました。」 昭和ゴジラは深々とアタマを下げた。 宗家と並んで自分が下座に座る…、そんな相手は日本特撮界には存在しない。 上座に座っているのは体毛がすっかり銀白色になった巨大ゴリラ=老キングコングだった。 「いや、リドザウルスの騒ぎを考えれば、このような手厚いもてなし、恐れ入るばかりにござる。」 キングコングも昭和に負けぬほど、深く深くアタマを下げた。 しかし、宗家は挨拶もそこそこに切り出した。 「…それよりキングコング殿、儀礼はそれぐらいにして、本題に入りませぬか。」 老コングがゆっくりアタマを上げた。 その表情は、アタマを下げる前の柔和なソレとは、およそかけ離れた堅く厳しいものに一変している。 「……さすがはゴジラ宗家。ウワサに違わぬ眼力でござるな。………それではまず、お二方にご覧頂きたいものがあるのでござる。」
314 :
神殿 :05/02/17 12:45:30 ID:dvizARne
「なんですか?この下手くそな絵は?物の形も遠近も、みんなメチャクチャに狂ってる。」 コングの言う「お二方にご覧頂きたいもの」とは一枚の絵を拡大したものだった。 それは巨石がならぶ遺跡を描いたものらしいのだが、不思議なことに遠近も角度も、およそありとあらゆる部分が歪みまくっているのである。 「たしかに、一見下手くそな子供の描いたような絵でござる。ところが、この絵、実はれっきとした名のある芸術化が描いたものなのでござるよ。」 「芸術化が??」 昭和はコングの話がサッパリ理解できなかった。 芸術の一分野にワザと形や線を歪ませて絵を描くステイルがあるのは、昭和ももちろん知っていた。 しかしこの絵からは……、芸術というよりも呪縛というか…極めて不快な印象だけしか感じ取ることが出来なかった。 そのとき、となりの宗家が低く強い声で呟いた。 「……夢で見たのでござるな。あの悪夢の神殿を…。」
「ぷるぷるぷるりん、ぷるぷるりん♪」 呆けた歌詞を鼻歌で垂れ流しながら、アンギラスが大会会場近くに姿を見せたのは、鎌倉で秘密の会見がもたれた日の午後のことであった。 「宗家に『様子を見て来い』って言われたけど、いったい何を見んのかねぇ…。」 アンギラスはキョロキョロあたりを見回した。 ………とくに目を引くものなど何も無い。 だいたいコイツは反射神経こそ鋭いが、アタマの回転そのものは大したことないのだ。 「なぁんも、気になるもんなんかアリましぇーん。しょーがないから、そのへん歩いてるヤツにでも聞いてみっか。」 ちなみに「その辺歩いてるヤツ」ってのも、もちろん怪獣だ。
その辺歩いてる怪獣に声をかけてみることにしたアンギラス。 まず最初に声をかけたのは、「二本足で歩いてる毛の無い黒いオオカミみたいな怪獣」だった。 特に気になることはないそうだ……。 次にアンギラスが声をかけたのは、「木の根っ子に触腕が生えて立って歩いているような怪獣」だった。 やはり、情報はない。 その次は「カニみたいな鬚?を口元にあしらった、海草だらけの巨人」に声をかけてみた。 こいつは答えてもくれなかった。 ……アンギラスは気がつかなかった。 この三体の顔ぶれに重大な手がかりがあったことに。 最初のヤツはペロリゴン(実写版「悪魔くん」)、次は水鬼(「かっぱの三平」)、そして最後のヤツは海の魔女パイドン(実写版「悪魔くん」)。 三体とも「怪獣」ではない。 「妖怪」だったのだ。
「グランドキングを作っている『宇宙の悪霊』の名前を教えて下さい。お願いします。」 こっそり電話をかけてみたが納得できる回答が得られなかった彼………グランドキングは 自らの出自を求める旅のすえ、オカルトへと流れ着いていた。 「……なあ、止めないか?こんなの。なんたってオレたち『空想特撮シリーズ』に出てんだからさ。」 「そうッスよ。コックリさんなんて、『空想』じゃなくって『妄想』じゃないッスか。」 頭数で参加させられたコスモリキッドとムカデンダーは、あまり乗り気ではなかった。 しかしグランドキングは頑として聞き入れない。 「ダメだ!やるんだ!オレを構成してるのが『悪霊』なら、コックリさんだからこそ答えてくれるはずなんだよ!」 そう言ってグランドキングは指…というかハサミ?を突き出した。 (そこまで言うなら仕方が無いか…) ムカデンダーとコスモリキッドも指を差し出した。 「コックリさんコックリさん……。」 グランドキングは、お約束の呪文を唱え始めた。
「コックリさん、コックリさん、グランドキングを構成している宇宙の悪霊の名前を教えて下さい。」 ……。 「コックリさん、コックリさん、グランドキングを構成している宇宙の悪霊の名前を教えて下さい。」 ……。 「コックリさん、コックリさん……」 「もう止めようぜ。返事なんかあるワケないよ。」 コスモリキッドがまたもや口を挟んだ。 グランドキングは、もう5分ほども同じ質問を繰り返していた。 もちろん返事などあるワケもない。 しかし、グランドキングの心は、己の出自の秘密に深く、強く、囚われてしまっていた。
319 :
応答あり… :05/02/18 15:19:48 ID:S2Khuol1
まともな返事があるハズも無い儀式にのめり込んでいくグランドキング。 その彼に向かい、コスモリキッドが口を開いた。 「オマエの気持ちは判る。でも……こんなこといつまでもやっていたって……。それよりジャンボキング戦にアタマを切り替えるんだ!」 先輩怪獣らしくコスモリキッドはグランドキングに言い聞かせた。 「……わかってる。わかってるよ。でも……。アタマを切り替えるためにも……、もう一度、もう一度だけ、挑戦させてくれないか?」 「……もう一度だけだぞ。」 グランドキングは黙って頷くと目を閉じた。 つられてコスモリキッドとムカデンダーも目を閉じる…。 「「コックリさん…、コックリさん……、オレを構成している宇宙の悪霊の名前を教えて下さい。お願いです!」 ………やはり反応はない。 もう止めようと三匹が目を開けた瞬間、三匹が支えた杯が、文字盤の上を静かに滑りはじめた。
「は、反応があったッス!」 「静かにっ!」 上ずった声を上げたムカデンダーをコスモリキッドが短く叱責した。 「コックリさん、コックリさん、オレを構成している宇宙の悪霊の名前を教えて下さい。」 グランドキングはもう一度同じ質問を繰り返した。 杯がこんどはゆっくり、文字盤の上を移動していった。 「ほしぼしのあいだをよぎるものたちにななどない」 「なんて意味ッスか?」 「……星々のあいだを過ぎるモノたちに、名など無い……。」 アタマの良いコスモリキッドが素早く文章に組み立てて、音読した。 名前は無いがその存在は確認できたことで、グランドキングは心が安らかになった。 「……コックリさん、コックリさん。質問にお答えいただき、ありがとうございました。これにてお引き取りください。」 グランドキングは定式道理の終了の作法を執り行った。 ところが……、杯はまたもやゆっくりと動き出したのだ。 「われはこっくりさんなどにあらず」 「ワ、ワレはコックリさんなどに非ず。」 「では、いったいどなたでしょうか!?」 思わずグランドキングが二つ目の問いを発すると、杯は、今度は目にも止まらぬ速さで文字盤の上を飛びまわり、文字列を綴っていった! 「くたあとあくあでいげん」
巨獣が2匹、リング中央でにらみ合っている。青コーナーからはアンチゴーネがダミ声を張り上げている。 「いいかジョー。引くんじゃねぇぞ!一気に畳み掛けろ!」 グロース星人達もやんやの歓声でうるさい事この上ない。 一方の赤コーナーにはナックル星の王自らが陣取り、腕組みをしたまま沈黙を守っている。 その後にはナックル星人の一団が隊列を守り、金の刺繍で縁どりした黒旗を掲げている。 団旗にはナックル文字で"ナックルキング親衛隊"の文字が真っ赤に染め抜かれている。 「すかした面ァしやがって。それとも俺のドリルが怖くってビビッちまったのかな。」 フライトキングは不敵な笑みを浮かべて言った。両者ともコーナーに戻ると、ゴングがなった。 「おらよ、食らいやがれ!!」 フライトキングは出来損ないの魚のような体形からは想像もつかない速度で相手に目掛けて突進する。 ドリルが突き刺さろうとする寸前にテイクオフ、ブラックキングの鼻先を掠めて垂直上昇に移った。 「野郎、こっちの挑発にちっとものりやがんなかったな。」 戦前にアンチゴーネから授けられた作戦は徹底的なヒットアンドアウェイ。 如何なドリルと言う凶器を持っているとはいえ、 スペシウム光線やウルトラブレスレッドすらも平然と跳ね返す相手には必ずしも風向ではないだろう。 怪獣界きっての豪腕を相手に格闘戦を挑むつもりも無い。 幸いにスピードを武器とする相手ではない。一方、自分には陸海空を制する機動力がある。 チョウの様に舞いハチの様に刺す。そして相手の焦りを誘い、意識をドリルに集中させる。 だが、それはあくまでもおとりだ。ブラックキングを倒すには首を切り落とすしかない。 自分にはうってつけの武器がある。フィニッシュブロウは回転ノコギリ。そう決めている。 この日のためにアイテムの瞬間チェンジを特訓してきた。 一瞬でいい、一瞬だけバックをとりさえすれば勝機はある。 それまでは徹底的に走り回るのだ。
旋回して下降に転じたフライトキングは、敵の脳天目掛けてまっ逆さまに突っ込んでいった。 バ チ ィ ィ ィ ィ ィ ン ! ドリルと角が交錯して火花が飛ぶ。 すぐに水平飛行にうつってブラックキングと距離をとる。 ブラックキングは戦いはじめてから一歩も動いていない。 今のファーストコンタクトも傍目には仁王立ちのブラックキングに、 フライトキングが挨拶代わりのジャブを打ち込んだように見えるだろう。 だがフライトキングには分かる。 ブラックキングは角をわずかに逸らせて相手の動きを制し、懐に誘い込もうとした。 あのまま突っ込むつもりだったら間違いなくつかまっていた。 フライトキングは敵の技量に旋律を覚えたが、同時に手ごたえも感じていた。 同じことをセコンドのアンチゴーネも考えていた。 やはりウルトラマンを倒した実力は生半可なものではないが、 自分達の取った作戦も間違ってはいない。敵の力を封じ込めるにはこれしかないのだ。 「ジョー、じっくりいけ。絶対に捕まるんじゃねぇぞ!」 「あいよ」 フライトキングは、さながらシュガーレイばりのアウトボクシングで、 細かい旋回を繰り返してドリルを突き出す。 そのことごとくを払いのけながら、ブラックキングがじりじりと距離を詰める。 ロールに詰まったフライトキングに対して豪腕が振り下ろされるが、 徹底的にガードを固めたフライトキングはロープの反動を利用して巧みにかわしている。 ロープ・ア・ドープ。かつてモハメッド・アリがジョージ・フォアマンを相手に、 絶対不利の下馬評を覆した戦法だ。 ラッシュを誘い、スタミナが切れた一瞬を狙って、打つべし。
323 :
拳王一喝 :05/02/18 16:22:43 ID:4V5hNtxy
「黒王よ、遊ぶでない!」 初めて発せられたナックルキングの怒号に、ブラックキングは拳で答えた。 渾身の力で叩き付けられた豪腕はロープを切り裂き、超合金のマットを打ち砕いた。 誰もがフライトキングが砕け散った事を確信した。 だがそうではないことを、3人・・・1人と2匹だけが知っていた。 ナックル星の特訓は情け容赦の無いスパルタ式で知られるが、そこには知識の教育も含まれる。 ブラックキングは相手がかわしやすいようにわざと隙を与えていた。 それはナックルキングの目にも明らかだった。 その事を、小さな飛翔で背後に周った時になってからフライトキングは知った。 死角から突き出したはずのドリルは、ブラックキングの左手に捕まっていた。 あせったフライトキングは、振りほどこうとしてフルパワーでドリルを回したが、 豪腕はびくともせずに、ドリルを支点として自分自身が錐揉回転をしてしまう。 醜態かた救ってくれたのは皮肉にもブラックキングだった。 左手に一段と力を込めると、ドリルが音を立てて砕け散った。 しばし回転したまま滞空していたフライトキングのボディーを、右ストレートが捉えた。 「ほごぉーーーーーっ!」 リングに叩き付けられたフライトキングはそのままマットにめり込んだ。 「立て!立て!頼む立ってくれぇ 立つんだ」 ブラックキングは、今度はアンチゴーネの台詞を全ていい終わるまで待たなかった。 身動きの取れないフライトキングに横合いから低空タックルを浴びせる。床の破片が宙に舞う。 堕ちてきたフライトキングをがっちりと受け止めると、メリメリとベアハッグで締め上げる。 フライトキングは悲鳴をあげる代わりに、相手の首筋に押し当てたノコギリを回転させた。 ただ一方的にボコられていたのではない。ロープ・ア・ドープはまだ続いていたのだ。
だが、刃先がめり込んだところで回転は止まった。 ブラックキングはフライトキングを無造作に放り投げて言った。 「後付の武器のコントロールを奪う秘孔と突いた。もう凶器は使えない。」 「立つんだジョォォォォォォォッ!!」 アンチゴーネの悲痛な叫びを無視して、ブラックキングが犠牲者を踏み潰して試合は終わった。 勝利のコールを受けたナックルキングの元に返ったブラックキングの顔に拳がめり込んだ。 「手緩いぞ、黒王。ナックルの名は恐怖と共に轟かねばならぬのだ。」 「はっ!拳王様の御意のままに。」 「皆の者、引き上げるぞ。」 ナックル星人達が引き上げた後のリングで、フライトキングは真っ白に燃え尽きていた。 3日後、再生フライトキングとして蘇った。
「ヤプールさま。試合が終わりました。 終わってみればブラックキングの圧勝です」 キングクラブは控室のモニターテレビを消した。 マスターである異次元人ヤプールの返事はない。 「………ヤプールさま?」 「…うむ。…試合は終わったようだな。」 先のキングクラブの言葉は、ヤプールの耳には全く入っていなかったようだ。 「また例の気配を感じてらっしゃったのですか。」 「そうだ…、ますます強くなっている。」 「やはり誰かの憎悪か何かの負の感情でしょうか?」 ヤプールは人間の負の感情を使うのが上手い。 それを核にして超獣を作ったりすることもできるのだが…。 「いや…違う。これは人間の感情ではない。一部に妖気も感じるが、中心的なものは別の気配だ。」 ヤプールは揺らめきながら立ち上がった。 「嫌な感じがする…。キングクラブよ、敵は目の前にいるとは限らん。注意せよ。」 「はい、肝に銘じまして…では行って参ります。」
326 :
呼び声… :05/02/18 17:09:02 ID:S2Khuol1
キングザイガーはうっすら目を開いた。 「また例の夢を見ていたのか?」 上から暗黒怪獣ダークロンがドロンパのような顔で見下ろしている。 「ああ…そうだよ。あの神殿の夢さ…。」 ザイガーは疲れたように立ち上がった。 「だれかがオイラに呼びかけてくるんだ。それ聞くと、ゾクゾク怖いのと、懐かしいのとがごっちゃになって、それでオイラのアタマの中もごっちゃになって……。」 「…試合、危険したらどうだ?」 心配顔でそう言ったダークロンに、ザイガーは無理やり作ったのがミエミエの笑顔で答えた。 「いいよ。だいじようぶさ。他のミラーマン怪獣のためにも、がんばってくるよ。」
「わが名はグランドキング、星々の間を過ぎる者にて構成されし破滅の帝王!…こんな感じでいいと思うか?」 不安も解消され、リングへ上がる際の名乗り方を練習しているグランドキング。 「凄いっス、もうまさに大怪獣っスよ!」 相手をしているのはムカデンダーだ。コスモリキッドはどこかへ行ってしまい、彼一匹でグランドキングの相手をしている。 ムカデンダーのお世辞にグランドキングは満足げに頷いた。 「そうか、そうか! ジャンボキングめ、来るがいい!よし、練習だ、手の空いている連中を全部集めろ、練習、練習、練習だー!!」 「ひゃああ!あ、あの、そりゃまずいっス!」 「まずい?」 さっきまでとは逆に、戦闘意欲満々のグランドキングをどう説得しようか迷うムカデンダー。 ウルトラ兄弟をまとめて相手にしても負けなかったパワーの持ち主なのだ。 下手に練習相手になったら、まとめて再起不能にされてしまうかもしれない。 必殺のグランレーザーが放たれた時の状況を想像し、ムカデンダーは震え上がった。 話題を逸らさなければ。ムカデンダーはよく考えず、口を開いた。
「あ、あのっスね、グランドさん」 「んっ、お前が最初の相手か?」 「違うっス、違うっス!あのですね、その・・・・・・星の間を行く人っスか、その人は呼ばないっスか?」 「へ?」 「いや、タイラントの旦那にはレッドキングさんやハンザキランが応援に来たっス。ジャンボキングにだってきっとカウラやユニタングが……」 「そうだ!俺も“宇宙の悪魔”に応援、いやセコンドへ付いてもらおう!ムカデンダー、もう一度“こっくりさん”だ!」
「くたあとあくあでいげんさん、くた(略)さん、星々の間を過ぎる者に応援に来てもらう方法を教えてください」 再度コックリさんを始めたグランドキングたち。最初はコックリさんを呼ぼうとしたが、 コックリさん(?)が“くたあとあくあでいげん”と名乗ったためそちらで呼ぶ事にした。 「くた(略)”さん、くた(略)さん、星々の間を過ぎる者に応援に来てもらう方法を教えてください」 「あのお、やめないっスか。何か嫌な予感がするっス」 「俺、よくわかんねえや」 不安げなムカデンダーと、新たな頭数として呼ばれたオイルドリンカーの言葉に耳を貸さず、グランドキングは再び口を開いた。 「くた(略)さん、星々の間を過ぎる者に応援に来てもらう方法を教えてください」 「コスモリキッドの兄貴、どこ行っちゃったっスかねえ」 「お陰で俺がこんなオカルトごとに・・・・」 目を閉じながらペラペラ喋る二匹。十五分も繰り返した、その時。 グランドキングはカッと目を見開いた。 杯が、文字盤の上を再び滑り始めたのだ。
思わず身を乗り出すグランドキングたち。 オイルドリンカーの顔色が変わった事に二匹は気づかなかった。 「くた(略)さん、星々の間を過ぎる者に俺の応援に来てもらう方法を教えてください!」 そして、再び文字盤の上を滑る杯。ムカデンダーがそれを読み上げる。 「ええと、わ・・・れ?ら、えーと、これなんて読むんだったっけ」 首を傾げるムカデンダーの横で、オイルドリンカーが震えだした。 「どしたっスか、オイル?」 「やべえ、お、俺イチ抜けたぁっ!」 「あ、オイル、どこ行くっスか!」 杯を放り出し、逃げ出していくオイルドリンカー。 グランドキングとムカデンダーは、反応が消えてしまった杯と文字盤を前にポカンとするだけだった。
ある怪獣本のレットキングの説明に 「一度、キングコングと戦わせてみたい」という記述がありました。 ・・・・・
333 :
月の控え室 :05/02/23 15:03:42 ID:m3B3KfwQ
ベッドにうつ伏せになったエレキングの背中に、ムーンサンダーがぺたぺたと膏薬を貼り付けている。 エレキ「おっ、おぉぉっ!〜〜〜〜っくうぅ、効くねぇ〜」 ムーン「少しはじっとしてて下さいよ。まったく、ケガ人の癖に元気良すぎですよ。」 エレキ「なんだと、人を病人扱いしやがって!これしきのことでくたばってられるかってんだ!」 ムーン「はい!これで最後。」 ペ ッ タ 〜 ン ! エレキングの尻尾の付け根にルナチクスが膏薬を叩き付けた。 エレキ「! ・・・・・・・・・いいいいいいい痛てぇじゃねぇかこんちくしょうめ。けが人なんだからもっと優しくあつかえよ。」 ムーン「言ってる事が支離滅裂ですよ。だいたい、やせ我慢も程ほどにしないと体壊しますよ。もう壊れたケド。」 エレキ「てやんでぇ、こちとら江戸っ子でぇ!お客さんにみっともねぇとこを見せられるかってんだ。」 ムーン「確かにみっともないですよねえ。往年の大怪獣が50肩にぎっくり腰に尻尾のこむら返りなんて。」 エレキングの背中には、首筋から尻尾の先までびっしりと膏薬が貼り付けてある。 口だけは威勢がいいのだが、その実、全く身動きが出来ないでいる。 ムーン「ま、心意気は買いますがね。傍目にはパワーファイター相手に格闘して止めに飛び道具って派手な試合でしたがね、 実際はキングコングを投げた拍子に身動き取れなくなって、泡食ってめくらめっぽう打ちまくってただけじゃないですか。 なにが光弾百連発なんだか。それにこっち指示を無視して、粋がって取っ組み合い始めて。 格闘苦手なくせに。ミクラスの時だって押されまくってたじゃないですか。」 エレキ「やかましい!勝ったからいいじゃねぇか。それにだなぁ、火事とケンカは江戸の華っってな、 取っ組み合いの一つや二つもできねぇなんて男じゃねぇ!」 ムーン「挙句がそのザマじゃないですか。そんな格好で怒鳴ったってちっとも迫力ないですよ。 それに誰がここまで運んだと思ってるんです。『担架に乗るなんてみっともねぇマネは出来ん』なんてダダ捏ねるから、 私とルナとで両脇抱えてあげたんですよ。ちゃんと花道を引き返していくように見えるようにね。」 エレキ「・・・・・・・・・・・・・・・・・面目ない・・・・・・・・・・・・・・・・」
334 :
月の控え室 :05/02/23 15:04:59 ID:m3B3KfwQ
クレセ「エレキングさん、入っていいですか?」 ムーン「あ、ハイどうぞ。」」 ムーンサンダーから返事を受けて、係員が入ってきた。月の輪怪獣クレッセントである。 クレセ「ルナチクスさんから提出された負傷届けは正式に受理されました。 リザーブマッチ開始までに回復しない場合は、棄権となって、キングコング選手の繰上げ出場となります。 って、実際のところご隠居の様態はどうなんですか」 ムーン「見ての通りですよ。口ばっかり達者で、その実ピクリとも動けやしません。まず無理でしょうね。 負けたはずのキングコングさんの方がよっぽど元気でしょう。」 クレセ「でしょうね。あっしの見たところ、格闘戦に適当に付き合っていたコングさんがご隠居のケガに気付いて、 痛めつけすぎないように負けを選んだんじゃないですかね。それにあの人、他に目的があるみたいですし。」 ムーン「んじゃあ向こうも出ないの?」 クレセ「それはなんとも。まあ、その場合はリザーバーから得dる事になりますが。」 エレキ「てめぇら好き勝手言いやがって。俺はまだやるぜ!」 ムーン「強がりは動けるようになってから言ってください。」 ワンダ「こんちは。いよいよご隠居がくたばったって?」 月面怪獣キングワンダーが見舞いにやってきた。 エレキ「勝手に殺すな!」 ムーン「なんだ、お前も来たのか。まあ、見てのとうり酷いザマだよ。」 ワンダ「ありゃ〜、今度は膏薬怪獣に転身ですかいw」 エレキ「てめぇ・・・・・」 ワンダ「おっと、そんな目で睨みッこなしですぜ。せっかくいいことしに来てあげたってのに。」 エレキ「いいこと?」 返事の変わりにキングワンダーはエレキングの腰に跨り、角の電撃を放った。 エレキ「おっ!おほぉぉぉぉぉっ!効く効くぅ!ああぁ、極楽極楽。」
335 :
月の控え室 :05/02/23 15:06:39 ID:m3B3KfwQ
ル ナ「ちわー、月見おまちい。あれ?ワンダーも来てたの?ありゃぁ、4つしかないや。」 おかもちを抱えたウナチクスが返ってきた。負傷届けを提出した後、月島までて自分から取りに行っていたのだ。 ムーン「お帰り、ご苦労さん。なに、ご隠居の分をワンダーに食ってもらえばいいよ。」 エレキ「おい、そりゃあねえだろ。」 クレセ「あっしはけっこうです。大会事務局の方から弁当の支給もありますんで。」 ムーン「いやいや、どうせ寝ッ転がったままじゃ食えないし、50肩で箸も持てない。 かといって直るまで待ってたらせっかくの蕎麦が伸びちまう。ここは4人で食いましょうや。」 エレキ「勝手に決めんな!俺は食うぞ!」 ムーン「じゃあ丼に顔突っ込みますか?無粋の極みですねぇ、みっともない。 食えるようになったらまた頼んであげますから、今はガマンしなさい。こどもじゃないんだから。」 クレセ「そう言う事ならご馳になります。」 ワンダ「んじゃおいらも。」 クレッセントと、アンマを中断したキングワンダーがルナチクスから丼と割り箸を受け取った。 ル ナ「はいよ。ムーンはこれね。んじゃ、いっただっきま〜す。」 ワンダ「ずずーーーーっ うんめぇ、やっぱり蕎麦は月島亭に限りやすね。」 クレセ「ずるずるごっくん 全く。咽喉越しといい香りといい出汁のコクといい最高っすね。」 ムーン「ルナ、七味ある?」 ル ナ「あるよ、ホイ。」 エレキ「てめぇらぁ、わざとあてつけてるんじゃねぇだろうなぁ。」 ムーン「そんなことあるわけ無いじゃないですか。早く良くなって下さいよw」 年甲斐も無く張り切りすぎで怪獣らしからぬ負傷を追ったエレキングは再びリングに上がれるのか? 果たして2回戦に進むのはエレキングか?キングコングか?それとも・・・・・・・・・・・・・ そしてエレキング控え室にたむろする月怪獣どもはやる気があるのか?! ル ナ「あ〜、美味しかった!」
336 :
名無しより愛をこめて :05/02/23 16:05:48 ID:vgs/1L54
ひばく星人ス○ル星人 ある会社の陰謀によって、無実の罪をきせられてしまった悲劇の人。
急激にマターリし始めましたね
次に進まないから時間稼ぎ・・・・ 日本で2番目(1番?)に汚い川の中に怪獣が封印されてるそうな・・・・ それは1万年前、このあたりで大暴れしていた大怪獣メットン。紫の肌に角とパラ ポラアンテナのような耳・・・・そのときは通りすがりの魔術師が通りかかって封印 したが今はいない・・・しかも、その怪獣は1万年経つと復活するという・・・・・ この話は本当だろうか・・・・?(続く・・・かもしれない
>>338 という話があったそうだ。
では新キャラを考えましょうか。
340 :
説得中 :05/02/25 23:56:28 ID:Lwxzdn/L
グランドキングが試合そっちのけで迷走を続けているころ、 対戦相手のジャンボキングは控え室の隅で膝を抱えていた。 「あのねえ、何時までも合体怪獣がマイナー、マイナーって気にしてもしょうがないでしょうが」 呆れ顔で言うのは、くの一超獣ユニタングだ。その後ろに控えているカウラとマザリュースも頷くが、 ジャンボキングはユニタング達に背を向けたまま振り返らない。 「でもさぁ、僕は、言い方悪いけれど地味地味な君らの合体怪獣だよ?」 「だから何なのよ、戦うのは構成元のアタシらじゃなくてアンタでしょうが」 「僕は駄目だぁ、超獣の面汚しだぁ」 泣き声をあげるジャンボキング。前回の大会時からずっとこうなのだ。 カウラとマザリュースは処置なしと考え説得をすでに諦めている。 だがユニタングはまだ諦めていなかった。 「面汚しって誰が言ったの?」 「何で僕が最後の超獣なんだぁ」 「あのね、気の持ちようよ。キングクラブを見て御覧なさい、アイツも知名度は低いけど、頑張っているでしょう? 下手すればブラックキングやキングジョーと戦う事になるかもしれない。 それでも出場したのは、超獣としての誇りと、出場できない仲間たちのため。そんな事も分からないの?」 その言葉を聞いたジャンボキングが振り返った。顔を輝かせるユニタングたち。だが 「もういいよ!出てってくれ、一匹にさせてくれ!」
お手上げと首を振り、控え室から出てきたユニタングたち。 外で待っていたベロクロン達にマザリュースが「無理だ」と無言でジェスチャーをする。 「あれじゃ負けちゃいますよ、ジャンさん」 カウラの言葉に顔を曇らせる超獣たち。 「キングクラブに励ましの言葉言ってもらおうと思ったんだけどな」 「ボス(ヤプール)は励ますなって言ったけどよ、やっぱそういう訳にもいかねえよな」 そう言いながら肩を落とすカメレキングとキングカッパー。 「仕方ねえや、俺らで応援しよう」 そう言うと肩を落として歩き去るカメレキングとキングカッパー。 他の超獣たちも皆キングクラブを応援するために応援席へと歩いて行った。 「まったくねえ」 一匹残されたユニタングが呟く。 「やる気になれば、強いのに・・・・・・」
「この来場は本来一週間前に予定されていましたが、キングコングが怪獣インフルエンザに罹患したため、一週間繰延となっていたものです! ……なお、怪獣インフルエンザは鳥インフルエンザと違い人間には全く感染しないそうなのでご安心ください。そしてみなさん、ご紹介遅れましたが、本日の解説者はというと……。」 「こんにちは。死神博士と瓜二つのドクター・フーです。」 「コング繋がりというワケですね。マダム・ピラニアは今どちらに?」 「ここには来ておらぬ。東京ガスの営業にでも行ってるんじゃろ…」 「そいつは残念、実はわたし、『007は二度死ぬ』以来のファンでして。」 「…さてはオヌシ、一瞬海面に出る水着のおしりに惚れたな?」 いい大人がアホな話題で密かに盛り上がってるうちに、キングコングは闘場へと足を踏み入れた。
歓声渦巻く闘場に老猿が姿を現した。 本家キングコングの表敬来場である。 「この来場は本来一週間前に予定されていましたが、キングコングが怪獣インフルエンザに罹患したため、一週間繰延となっていたものです! ……なお、怪獣インフルエンザは鳥インフルエンザと違い人間には全く感染しないそうなのでご安心ください。そしてみなさん、ご紹介遅れましたが、本日の解説者はというと……。」 「こんにちは。死神博士と瓜二つのドクター・フーです。」 「コング繋がりというワケですね。マダム・ピラニアは今どちらに?」 「ここには来ておらぬ。東京ガスの営業にでも行ってるんじゃろ…」 「そいつは残念、実はわたし、『007は二度死ぬ』以来のファンでして。」 「…さてはオヌシ、一瞬海面に出る水着のおしりに惚れたな?」 いい大人がアホな話題で密かに盛り上がってるうちに、キングコングは闘場へと足を踏み入れた。
344 :
セレモニー :05/02/28 08:56:19 ID:7UTAyjH7
老いたキングコングが闘場に立った。エスコート役で一歩下がって側に立つのは昭和ゴジラだ。 なんとも豪華なシーンだった。 このシーンを全米中継するためだけに、アメリカの多目的衛星ハワードが日本上空まで移動して来たくらいなのだ。 セレモニーは格式高く進行し、挨拶のあとキングコングは直後に対決するキングクラブ、キングザイガーの両雄とも握手を交わした。 ここで、物分かりのいいキングクラブがちゃんとキングコングに襲い掛かり、それに対しコングも胸のドラミングで応戦して見せる応酬があって、テレビ的には大いに盛り上がった。 一方のキングザイガーはというと、たたぼんやりキングコングと握手しただけに終り、事件の演出を期待していた仲間のミラーマン怪獣たちを大いにガッカリさせた。 もちろんキングザイガーだって、色々考えてはいたのだ。 例の呼び声が聞こえるまでは……。
(目を覚ませ…キングザイガー、「触手に顔を飾られたるもの」よ。目を覚ますのだ。) (また声がする。オイラを呼んでるのはダレだぁ?) キングザイガーは、目の前で進行しているセレモニーなどさっぱり気づいていなかった。 自分に手を差し出し…、反応が無いため怪訝な顔をするキングコングも目に入らない。 心は何処からか届く呼び声に向いていたのだ。 (オラを呼ぶオマエは、ダレだぁ?) 対戦開始のゴングが鳴ったのは、そのときだった。 キングクラブがハサミを構え前進した。 「さあ来いキングザイガー。ヤプール様の侵略用生物兵器!『超獣』の力を見せてやる!」
「ドクター・フー?キングクラブはセレモニーでキングコングに殴りかかったりとヤル気満々のようですが、ザイガーの方はというと棒立ちのままでサッパリやる気を見せませんね?どういうことでしょうか?」 「……。」 しかし解説者席の机に両肘をつき掌を組み合せた姿勢のまま、ドクター・フーは答えない。 しようが無いので、658アナは自分の問いに自分で答えることにした。 「…ザイガーは本放送ではミラーマンの主要なワザを尽く受け切りました。 バリアーで跳ね返したり、よけたりするのではなく、受け切ったのです。 ということは、防御力には絶対の自信ありってことに違いありません!」 658アナの自問自答にもドクター・フーは反応しない。 ただ組み合せた自分の両手越しに、無言で戦況を見つめるだけだった。 「ミラーナイフも跳ね返すキングザイガーに火焔放射が有効とも思えません。 かといって接近戦は触手と毒液の餌食になります! 打つ手が無いか?キングクラブ!?」 たしかに「得意技」として特記された限りではキングクラフブには打つ手が無いように見えるが……。 キングクラブは、そうは思っていなかった!
347 :
最大の武器 :05/02/28 17:03:40 ID:7UTAyjH7
キングクラブ最大の武器は、88メートルに達する身長と、6万3千トンもある体重なのだ。 ドラゴリーやバキシム、ガランといった見るからにスーパーヘビー級の面々よりも、キングクラブの方が上なのである! キングクラブが接近すると、ただちにキングザイガーの触手が次々絡み付いていった。 しかし、その程度のことではキングクラブの動きを拘束できない! 手足に絡む触手に構いもせず、キングクラブは頑丈なハサミの打撃をザイガーに叩きこんだ! ガツンッ! クラブの一撃にザイガーが一瞬仰け反ったが、すぐに触手の長さいっぱで止まった! ビーーン! 更に、ザイガーが戻ってくるところに、狙いすましてクラブが2発目! ガツンッ!! カサにかかって飛んで来た三発目はザイガーが肘でブロックしたが、一発の重さに体が泳ぐ! (チャンスだ!) 敵の下半身の備えが乱れたのを見てとったキングクラブは、硬い甲羅を力いっぱいキングザイガーにぶちかました!
「……触手やムチで相手の動きを拘束しようとする場合、パワーや体格で相手を上回っていないと、逆に相手に振り回されてしまう危険がある………と、知り合いのイカデビルが言っておった。」 ドクター・フーが対戦から目を離さぬまま静かに語り始めた。 「……すみませんが、ドクター・フー。イカデビル=死神博士なのですから、それはあなた自身の体験談…。」 ドクター・フーがジロリと横目で睨んだので、658アナは話題を巧みにすりかえた。 「意外な…と言ってはキングクラブに失礼でしょうが、正直ここまでキングクラブのワンサイドになるとは思いませんでした。」 闘場では相変わらず、キングクラブが体格差にものを言わせ、ハサミでキングザイガーをド突きまくっていた。 その光景を見ながら、ドクター・フーは素っ気無く答えた。 「……ここまでは……な。」
349 :
触手の秘密 :05/02/28 17:08:03 ID:7UTAyjH7
(…………おっと!?) キングクラブは、一瞬意識が飛んだのを感じた! 敵の攻撃で意識が飛ぶのは別段珍しいことではない。しかし、いま意識が飛んだのは自分の攻撃の最中だったのだ。 (そうか、この触手は!?)
350 :
毒ムチ :05/02/28 17:09:40 ID:7UTAyjH7
「毒ムチですって!?」 放送席では658アナが奇声を上げていた。 独特の嗄れ声で、ドクター・フーは続けた…。 「そうだ。友人の死神博士に聞いたことがある。 ムチを使う怪人には、ムチだけでなくプラスアルファの機能を搭載する例が多いのだそうだ。 最も多いのがナマズギラーやクラゲダールのような電気ムチだ。 しかし、キングザイガーに電撃能力があるという話は聞かない。 電撃に次いで多いのが毒ムチだ。 トリフィドのように相手を即死させるものや、シビレムチ程度のものまで様々なものがある。」 「なるほど、そう言えばキングザイガーにはミラーマンの視力を奪った毒液がありましたね?」 「そのとおり。毒といっても、毒牙で噛み付くだけが能じゃないということなのだ。触手の表面にも毒腺があるならば……。」
ずーーん! 地響きを立て、キングクラブが諸膝ついて座り込んだ。 「……やっと毒が回ってきたみたいだね。効かないのかと思ってドキドキしちゃった。」 両膝を屈したキングクラブを見て、キングザイガーはケラケラ笑った。 「くっそう…!」 触手の毒に気づいたキングクラブは両のハサミで触手を鋏み切ろうとしたが、その前に、ハサミの上から残りの触手が絡みつき動きを封じてしまった。 「甲羅はオイラの毒を弾くみたいだけど、ちゃんと甲羅の継ぎ目からも毒は浸透するんだ。もっともおかげでちょっと時間がかかったけどね。」 子供のように口を開け笑うキングザイガー。 「まさか、一回戦で切り札を使うとは思わなかったよね。」 「…………。」 一瞬にして形勢逆転。圧倒的優位に立ったのはキングザイガーだった。 しかしまだ、キングクラブにも切り札が残っていたのだ。
352 :
蟹の切り札 :05/02/28 17:13:21 ID:7UTAyjH7
しかしまだ、キングクラブにも切り札が残っていたのだ。 「ぐうぅぅぅぅぅぅっ!」 両ハサミを触手に捉えられたまま、キングクラブが低く唸り始めた。 「あれ?苦しいの?…やせ我慢するからだよ。さっさとギブアップしちゃえばいいのに…。」 しかし、キングクラブの唸り声は止まない…。 「ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!…………があっ!」 最後の掛け声と同時に、キングクラブの両腕が肩からスッポ抜けた!
「そうか!自切か!」 この展開は658アナはもちろんのこと、さすがのドクター・フーにも予想外だった! 「な、なんですか?その『ジセツ』ってのは!?」 「動物には絶体絶命のとき、自分の体の一部を切り離す戦略があるのだ。有名なのはトカゲのシッポ切りだが、カニの仲間もこれをやる!」 「それでキングクラブも!」 「それだけではない!最も毒がまわっていたのは触手が沢山巻きついていたハサミだったはず。そこを切り離したのだから………。」 ドクター・フーの解説など待たず、キングクラブは座り込んだ体勢から、カメラを逆回転したように、リズミカルに立ち上がった! 「行くぞキングザイガー!オレの切り札!背面アタックだ!」 キングクラブはキングザイガーにトゲだらけの甲羅を向けると、体ごと宙を舞った! がああんっ! ダンプカーに跳ね飛ばされた人間のように、キングザイガーの体がはじけ飛ぶ! もちろんキングクラブもザイガーもろともに吹っ飛んだが、逆回転立ちでザイガーよりも速く立ち直ると、立ち上がりかけたキングザイガーに二撃三撃と背面アタックを敢行した! キングクラブの逆襲に沸き立つ超獣たち! しかし、この攻撃がキングクラブにとって文字通り「最後の切り札」なのだ!
ぐわんっ! (がはあっ!まだこんな余力があったなんて! そ、そうか!?カニ野郎!まだ余力が残ってるうちに、毒が効いて動けないフリをしたんだな!) キングザイガーがそう思った刹那、キングクラブが放った四発目の背面アタックが目の前に飛んで来た! ぶうんっ!……がっつうううん! 避けるまもなくマトモに喰らったザイガーの意識は一瞬で消し飛んだ! そしてその後は……、キングザイガー自身も預かり知らぬ形で、戦いは進行していったのだ。
(こ、これが最後の一撃だ!) キングクラブの渾身の一撃はキングザイガーの意識を吹っ飛ばし、キングクラブに勝利をもたらした……ハズだった。 ところが……!! (な、なにぃ!?受け止められただと!?) …なんと、身長88メートル、両ハサミがなくとも5万トン以上はあるハズのキングクラブの巨体が、それまでとは全く次元の異なるパワーを漲らせた触手に捕らえられ、宙に浮いているのだ! 同時に、触手を通じてある種の「意思」が伝わってきた。 (………な、なに?なんだと?………神?! …キサマは、神だと、自分を神だというのか!?キングザイガーではないな?キサマいったいなにものだ!) キングクラブの問いの答えは、ただちに得られた。 (そ、そんなバカなっ!キサマが復活しているなんて!?ヤプールさまあああああっ!) そして…。 キングクラブの意識は、浸透してきた「神」の意思によって、全き闇の黒に塗り潰されてしまった。
キングクラブが未知の存在の侵攻に屈したころ…。 昭和ゴジラは空き控室の一つに老キングコングを問い詰めていた。 「コング殿、そろそろワタシにも話してはくださいませぬか?」 昭和ゴジラは正面から切り出した。 「……おお、単刀直入に来ましたな。さすがは宗家のご嫡男だ。」 「はぐらかさないでください!」 「………ごまかせませんか…。」 学者然とした老キングコングの瞳に、「知的威厳」とでもいうべきものを、昭和は感じとった。 「…昭和殿。以前ウルトラマンティガが闘ったガタノゾアという怪獣をご存知ですか。」 「名前だけは……。たしか一対一のまともな戦いではティガですら勝てなかった強敵であったと。」 「その通りです。彼らにはこの宇宙の諸法則の幾つかが無効であるため、まともに滅ぼすのはウルトラ兄弟といえども至難のワザです。」 「それではコング殿!今回もガタノゾアが!?」 「ノー!ガタノゾア程度ならば恐れはしません。」 「それでは何者が!?」 黒い瞳で闇を見つめながらコングは答えた…。 「………海底の深淵に封印されしものの王…。」 その顔に音も無く闇の帳が下りる。 「クトゥルー、クタアト、トゥルー、チュールー、クルールー……その名は様々に記されども実体は一つ。あくあ・でいげん、水の魔神です。」
「『宇宙の星の配置が変化したため』ヤツラはその神殿もろとも海底に封じられているのだそうだ。」 夕暮れが忍び寄るなか、キングコングの話は続いていた。 「星の配置………それはいったいどういう意味です?」 「本当の意味はワタシにも判らない。ただ、人間の魔導師とか魔法使いとか呼ばれる連中が書物にそう書き記しているのだ。」 「魔法使い………ですか……。」 昭和はだんだん眩暈がしてきた。 しかしそれも無理ないだろう。ロボットや宇宙人に宇宙怪獣、超兵器なら彼にとっては御馴染みといっていい。だが、魔法となると、畑違いもいいところだ。 「ヤツが最近この世に再臨しかけたのは1925年のことだった。」 「…いまから80年前ですか。」 「幸いそのときは『星の配置』が正しくなかったらしく、ヤツの復活は一時的なものに留まった。 しかし、その不完全な状態ですでにヤツの身の丈は1マイル以上、つまり約1600メートルに達したと言う。」 昭和は思わず息を呑んだ。 「せ、せんろっぴゃく……。」 「こうなると、もはや『山』だ。」 言葉を失った昭和を前に、キングコングは更に続けた。 「さらに加えて危険は一つにヤツだけではないのだ。 ヤツの復活が近付けば、ガタノゾアのような、より下位の『封印された存在』も連動して解放される危険がある。 また、心の柔らかな者や心の弱い者、感受性の鋭い者たちには、ヤツの放つ一種の毒電波が作用する。」 「それで、例の芸術家が神殿の絵を描いたのですね。」 「そのとおり。いずれにせよ、これは……。」 キングコングは口を横一文字に引き結んだ。 「…これは忌々しき事態なのだ。」
358 :
河原の夢 :05/03/01 17:01:21 ID:F6+3Epjh
(またこの夢か……) もう何日目だろうか? 昨夜も…。その前の夜も、そしてその前の前の夜も、いのちゃんは寸分違わぬこの河原のこの場所に立っていたのだ。 葦原は風に波打ち、春先の光が川面に跳ねる。 川べりから覗き込むと、小魚の影が矢のように走り、彼の足元からは慌てたカメが水中へと滑り込んだ。 見渡す限り、あたりに人の手が加わった形跡は微塵も見られない。 あるがままの自然の風景が広がっていた。 (でも、このままじゃ済まないんだよね…。) いのちゃんがそう思ったとたん、春の光が陰り、濁った空気が何処からか吹き込んできた。
(でも、このままじゃ済まないんだよね…。) いのちゃんがそう思ったとたん、春の光が陰り、濁った空気が何処からか吹き込んできた。 そして、澄み切っていた川面にカビのような斑点が浮かび上がる。 ムラサキと茶色と灰色と膿緑色がだんだらに交じり合った斑点はアッというまに版図を広げ、たちまち川面を覆い尽くしてしまった。 (く、来る!) いのちゃんはここでクルリと川に背を向けると、必死に河原を駆け出した。 ごぼこぼごぼっ! 後ろで汚泥の中から何か大きなものが身を起こした気配がして、同時に胸が悪くなるような悪臭が漂ってきた。 (ちくしょう!捕まってたまるもんか!)
「何てこった、どうしよう、次は、次は僕だ。嫌だ、嫌だ!」 試合を見ていたジャンボキングは、キングクラブ敗北の瞬間を見るなり控え室を飛び出していた。 そして今、ジュース売り場へと逃げている。 (カウラ、マザリュース、ユニタング・・・・・・僕は、戦えないよ) キングクラブの戦いを見た今、グランドキングに勝つ自身は完全に消え去っていた。 「みんな、僕を腰抜け呼ばわりするんだろうなぁ。あのミニラ様も戦ったってのに。 人間も、リド何とかに立ち向かったのに」 独り言を言いながらベンチに腰かけるジャンボキング。 その時、部屋の隅で震えている影に気づき、声を掛けた。 「どうしたんですか・・・・・・?」 彼の手が影に触れた途端、相手は悲鳴をあげながら火炎を吐いてきた!
361 :
JK対ОD :05/03/01 19:13:59 ID:Qm68rhkW
「わわっ!」 慌てて身をかわすジャンボキング。両手で火炎を防ぎ、相手を見極める。 どうやら、オイルドリンカーのようだ。 「オイル!?何やってんの、こんな所で?」 だがオイルドリンカーは攻撃の手を緩めない。火を吐きながら前進してくる。 「やめろって、やめろーっ!」 思わず振るった右腕が相手の側頭部を直撃し、オイルドリンカーはベンチへ突っ込んで倒れた。 「何やってんだよ、どうしたのさ?」 「ぎゃああ、やめて、触手はいや、食べないでーっ!」 まだ正気を取り戻していないオイルドリンカーを無理やり立たせると、 ジャンボキングは彼を激しく揺さぶった。 「どーしたんだって言ってんだろ!」 「やめて、チグリスフラワーはいや・・・・・・ありゃ、ジャンボキング?」 「そうだよ、ジャンボキングだよ。・・・・・・どうかしたの?」 「あー、えー、あああ!そ、そうだ、 や、ヤプール様にお話があるんだ、大事な、大事な話しぃ・・・・・・」 「あれ、ちょっと、おい!」 気絶してしまったオイルドリンカー。ジャンボキングは困惑しつつも、 なにかとんでもない事が起こり始めているという予感に晒されるのだった。
家族たちが来る。 いきなりそう言い切ったグランドキングを前に、ムカデンダーはキョトンとしたまま硬直した。 「オヤジっスか?」 「ああ、夢で見た。夢で話しかけてきてくれた!我ら目覚めし時は近いってな! きっと来てくれる筈だ!夢の中で頼んだんだ!」 「それで、顔は見たっスか?」 「いや、それがさ、ぼんやりとで顔は分からなかったんだよ」 そう言いつつグランドキングは風呂敷包みをとくと、メッセージボードを取り出した。 「これをな、俺の試合の時に観客席に取り付けてくれ!」 「いいんすか、こんなモン取り付けて・・・・・・」 「いいんだ!がんばるぞー、俺は、やってやるぞー!」 そう言うとグランドキングはサンドバッグを殴り始めた。一撃で砕け散るサンドバッグ。 その横でムカデンダーは 『Welcome! my family』 と描かれたメッセージボードを手に、途方にくれていた。
(はあっ、はあっ、はあっ…) いまにも心臓が口から飛び出すのではないかと思うほど、いのちゃんは走った。 どんなに苦しくとも、足を止めるワケにはいかない。 背後の川から、胸糞の悪くなるような悪臭と、重く大きな何かが葦を踏み潰す音が迫って来るからだ! (あそこまで!あそこまで行ければ!) いのちゃんは、川が大きく蛇行する部分の中州を目指し走っていた。 そこには「あの人」が、「力持てる人」がいるからだ。 いのちゃんの目指す場所に気づいたのか、追って来る何かはスピードを増したようだ…。
364 :
力持てる人 :05/03/02 08:11:59 ID:tM5HF6IX
(もうダメだ…) いっしゅん足が縺れ、いのちゃんの体が大きく前に泳いだ。 目の前に、川ジャリの地面が大きく迫る。 しかし、いのちゃんはそのまま倒れこんだりはしなかった。 倒れ行くさなか、力強い二本の腕に抱きとめられたのだ。 見上げると、頭巾を被ったようなシルエットだけが陽光を背に黒く浮かび上がっている。 気づかぬうちに、いのちゃんは目指す中洲に辿りついていたのだ。 「あなたは…?」 いのちゃんには、黒いシルエットが笑ったように感じられた。 そして、黒いシルエットは川からいのちゃんを迫って来た「何か」に向かい片手をかざした。 その手から強い光が迸る! 「ぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃっ!」 …悔しそうな歯軋りとともに、いのちゃんを追って来た「何か」の気配は完全に消滅してしまった。 「ありがとう、ありがとう…。」 黒いシルエットは泣きながら礼を言ういのちゃんの手に、何かをそっと握らせた。 そして…… そして、いのちゃんは目を覚ました。 夢の世界で貰った、小さな小さな石を握り締めて。
さて、リクエストどおりに338の伝説もストーリーに織り込んだべさ。 「力持てる人」を「古代の魔法使い」にするべか?それとも「『怪獣使いと少年』に出てきたメイツ星人」あたりか「ウルトラマン」にすべか? しかし、収拾つくんかいな……今回のGP(笑)。
366 :
機龍 :05/03/02 13:13:15 ID:PEENJSdC
収集はつかん ワシが保障する
さて…、放っといたらホントに収拾不能になりそうなんで、仕込んでたネタバラすべぇ…。 「邪神」の排除方法(とっても簡単!) 実は成層圏を移動して来た放送衛星が「星の配置」の一部を偶然代替してしまっている(という設定)だけなので、気がついたヤツが宇宙空間まで衛星を破壊しに行けばOK。 それまではお話のスパイスとして邪神さんにもがんばってもらって(笑)。 衛星破壊役の第一候補はキングギドラ。ダークヒーローとしてのギドラが描けるか? 第二候補は最近作のウルトラマン。彼はあおり加減のアングルでシルエットにすれば いのちゃんの夢に出てきた「頭巾を羽織った男」に見えると思いまへん?「光の巨人は何万年も前から頑張ってたんです」というお話に。 ニーベルンゲンの指輪のオーディン神みたいに「真のキング」に対する試練としての「邪神」なんで、できればGP最後の方で排除して、ラストで「真の王の中の王」決定戦に。 なんとか収拾なるか(笑)?
ワシも保障する
>>369 やっぱり「メットン」ってのはアイツなわけね(笑)。
でもあっちの話は間違いなく終息できまっせ。
問題はキングザイガーとグランドキングの方で(苦笑)。
そもそもの発端はキングザイガーの姿を30何年かぶりに見て「このデザインってクトゥルー神じゃん」と思ってもうたこと。
しかも、オラの考えてることを見事見破ったスレ住人までいたもんだからさあ大変。
でも…、責任もって収拾に勤めまっせ。
「悪の解説者控室」では、名だたる「悪の帝王」たちが顔をあわせ、額を寄せ合って、状況の分析を行っていた。 「まさか『キング』ばかりのGPに『神』が絡んでくるとは……。英雄対神……まるで『ニーベルンゲンの指輪』みたいな構図ですな。」 「だが、座してジークフリートの登場を待つワケにはいかん。」 ドイツ系のララーシュタイン博士(スーパーロボット・マッハバロン)がチャンスを掴んで学のあるところをひけらかすと、ショッカー首領(声だけ)も負けてはならじと対抗した。なにせ、組織のトップどころばっかりなので、自己主張が強すぎる。 「……で、星の配置はマズイ状況なんでしょうか?」 ここで、大魔王なのに腰が低いベムキングが皆に尋ねた。 答えたのは宇宙の帝王ゴアだった。 「80年前の復活のときから、マズイと言えばマズイ状況だ。ただし、それが今急に悪くなったようなことは無い。」 「つまり、今回の状況急変の原因になるような星の変化は無いということですな。」 ミスターK(レインボーマン)の総括に、一同は無言で頷いた。 「ひとつ…気になることがある。」 そのとき、派手目なメンバーの片隅でピントが合ってないような姿をチラチラさせていた怪人が手を上げた。 異次元人ヤプールだった。
372 :
w@3e :05/03/04 12:37:23 ID:BN9/JzNy
「神」の再臨が一部の話題となっていたころ、キングザイガーは仲間の姿を求め、広い会場内をさ迷い歩いていた。 自分でもよく判らないうちにキングクラブ戦に勝利してしまい、狐につままれたような気持ちで控室にもどってみたところが、控室はもぬけの殻になっていたのだ。 (きっとキングギドラ戦を控えたスネークキングのところに行ったんだな…) そう考え、自分もスネークキングのところに応援に行こうと思ったキングザイガーであったが、よく考えるとスネークキングの控室の場所など教えられていないことに気がついた。 (…まあ、いいや…。適当に探してみよ…) 万事暢気な性分だったので、キングザイガーは捜す当ても無く、会場内をただフラフラ歩き回っていたのであった。 そんな、ふらふらさ迷うザイガーが、同じくブラブラ歩きしていたアンギラスと出会ったのは、運命的必然というものだったかもしれない。 「あの…オジサン。」 「………おじさん?…ってのはオレのことか?」 「そうに決ってるよ。だって他にオジサンなんていないしぃ。」
「神」の再臨が一部の話題となっていたころ、キングザイガーは仲間の姿を求め、広い会場内をさ迷い歩いていた。 自分でもよく判らないうちにキングクラブ戦に勝利してしまい、狐につままれたような気持ちで控室にもどってみたところが、控室はもぬけの殻になっていたのだ。 (きっとキングギドラ戦を控えたスネークキングのところに行ったんだな…) そう考え、自分もスネークキングのところに応援に行こうと思ったキングザイガーであったが、よく考えるとスネークキングの控室の場所など教えられていないことに気がついた。 (…まあ、いいや…。適当に探してみよ…) 万事暢気な性分だったので、キングザイガーは捜す当ても無く、会場内をただフラフラ歩き回っていたのであった。 そんな、ふらふらさ迷うザイガーが、同じくブラブラ歩きしていたアンギラスと出会ったのは、運命的必然というものだったかもしれない。 「あの…オジサン。」 「………おじさん?…ってのはオレのことか?」 「そうに決ってるよ。だって他にオジサンなんていないしぃ。」
「『お兄さん』はアンギラスっていうんだ。」 「へえ、おじさん結構有名な怪獣じゃん。」 どうやらキングザイガーはあくまでアンギラスを「おじさん」として遇するつもりらしい。 「おめえ、オレさまを知らないたぁ、宇宙怪獣だな?」 「そだよ。この大会に出るんでこのあいだ地球に来たばっかし。」 「なんでえ、そんな地理不案内なヤツが一人歩きかよ。ガイドはいねえのかい?」 「それがいないんだよねー。それで捜してるのさー。」 「よしっ!わかった!このお兄さんがいっしょに捜してやるぜい!」 「わあ!おじさんアリガト。」 「………。」
「キングザイガー?ヤプール殿はその宇宙怪獣が怪しいと言われるのですか。」 「……そのとおり。」 相変わらず壊れたテレビ画像みたいな姿で異次元人ヤプールは答えた。 「ワタシは恨みや憎しみといった負の感情エネルギーと親和性が強い。負の感情が最も強い生物は人間だから、人間とはワタシにとって愛憎ともに激しい存在なのだ。ところが、大会開催のちょうど三日前から、未知の感情エネルギーが感じられるようになったのだ。」 「未知の感情エネルギー……とは?」 「人間その他の既知の生物ではないものの感情エネルギーということです。」 「そのエネルギーとキングザイガーに何か関係でも?」 「キングクラブ戦の最終段階で、問題のエネルギーが爆発的に急増したのです。」 「なるほど。」 ここでドクター・フーが発言の機会を求めた。 「私は問題の試合の解説者です。試合展開は99.99%まで負けていたはずのキングザイガーが突如逆転し勝ちを収めました。火事場のバカ力にしても極端過ぎる展開だと思ったのですが、もしやヤプール殿の言われるエネルギーと関係が…。」 ヤプールが結論部分を引き取った。 「そのとおり。おそらく、今回はキングザイガーが眠れる『神』を呼び覚ます役目なのだ。」
376 :
処理… :05/03/04 12:43:32 ID:BN9/JzNy
会議の参加メンバー全員が沈黙した。 誰も進んで発言しようとしない。 しかし、彼らは悪の帝王たちなのだ。為すべきことは皆判っている。 沈黙を破ったのは座長格のミスターKだった。 「迫る危険の大きさを考えた場合、とるべき手段は明らかだ。だが、ザイガーがインベーダーたちの配下怪獣である以上彼らの……。」 「それなら心配いらん。」 ヤプールはミスターKの発言を遮った。 「すでにインベーダーたちから内諾は得た。」 異次元人は冷たくつづけた。 「…すでに超獣たちがザイガーを処分しに向かっている。」 何も知らないキングザイガーとアンギラスのもとに、ヤプールの放った刺客が忍び寄っていた。
377 :
買い食い :05/03/04 12:44:58 ID:BN9/JzNy
解説などの準備のため殆どの「悪の帝王」たちは控室を出ていき、控室に残っているのはミスターKと異次元人ヤプールだけだった。 「しかし冷たいですな。インベーダーたちは。」 ミスターKは釈然としない様子だった。 「いくら事態が切迫しているとしても、仲間を……処理することを承諾するとは。」 「…彼らは少々特殊なのだ。」 相手がミスターKだけなので、エコーを抑え目にしてヤプールは答えた。 「インベーダーたちは一枚板ではない。インベーダーたちが変身する初期の怪獣・怪人たちと、インベーダーが連れてきた宇宙怪獣。それから後期の全くデザインポリシーの異なる恐竜型怪獣。しかも、絶対的なリーダーは不在ときている。」 「……ひとつに纏まれと言う方がムリか。」 「……そう。オマケにキングザイガーはある種の鬼子なのだ。他の怪獣たちとも繋がらず、ただ強いだけ。」 ヤプールの歪んだ映像の目が冷たく光った。 「処分すると言われても、擁護する者はダレもいない。…もっともそれは、こっちにとって好都合だが。」 「おう!ザイガー。ヤキトリでも買ってくか?」 「おじちゃん、買い食い好きだねー。」 そのころ、アンギラスとキングザイガーは、暢気に買い食い三昧を楽しんでいた。
「おい!ザイガー!ヤキトリ塩とタレとどっちにすんだ?」 暢気なアンギラスは、まえに新宿駅前で引っ張っていたヤキトリの屋台を引っ張り出していた。 「……まさかオジサンが自分で焼くワケー?」 「おう!任せときっ!昔とった杵柄よ!」 「昔」じゃなく、ついこないだのことだな。アンギラスがヤキトリ屋やってたのは…。 苦難の日々がアンギラスの脳裏をよぎる。 ただ、「脳裏」といっても腰の辺りの「分脳」であるところが彼独特だ。 (ちっ!久しぶりに焼くと煙が目に染みるぜ。視界まで涙でボヤケてきやがった…。) そのとおり。アンギラスの視界がチラチラ不安定に揺れだした。 (……やべえな、そろそろ老眼か……。やっ!待てよ!この殺気は!?) アンギラスが屋台を押し退けると同時に、虹色に揺らめくシルエットが浮かび上がった。
虹色のシルエットが三つ、キングザイガーを包囲するように揺らめき立ち上った。そして次の瞬間、揺れる三つのシルエットは一瞬で3匹の超獣へと収斂した。 「バキシム!」「サボテンダー!」「ガラン!」 そして三匹を代表するかたちでバキシムが進み出た。 「別に恨みはないが…、キングザイガー!死んでもらうぞ!」 「え!?え!?え!?」 驚きパニくるだけのザイガーに代わり、アンギラスがずいっ!と押し出した。 「おいテメエら!こりゃいってえどういう了見だ。まさか、キングクラブの敵討ち…なんてクダラネエわけじゃあねえんだろうな?」 アンギラスが押し出すと、三匹の超獣はそれぞれアタマを下げた。 「アンギラス殿。ここはお退きください。」ガランが静かに言った。 「ザイガーを殺す理由は、我ら聞かされてはおりませぬ。しかし…。」サボテンダーが続けた。 「ヤプールさまの命とあらば、我ら超獣、理由など問いはいたしません!」バキシムが締めた。 三匹とも口調は丁寧だが、目がすわっている。 (こいつら…本気(まじ)だ。) そのときアンギラスの腹も決った。 袖擦り合うも多少の縁…。 この体張って、キングザイガーを守ってやる!
380 :
JK控え室 :05/03/04 18:36:22 ID:bp7UxW74
「闇、ねえ」 意識を取り戻したオイルドリンカーから話を聞いたジャンボキングはそう言うと首を傾げた。 今、二匹は控え室にいる。 オイルドリンカーはまだ体の震えが治まらず、毛布に包まっている。 「そう、杯越しに伝わってきたんだよ、何かものすげえ怖い力が」 「ヤプール様よりも?」 少しふざけて言ったジャンボキングだが、オイルドリンカーは激しく頷いた。 「ああ、ああ。分かったのは闇だ、暗い、暗い大きな大きな力だけだよ。 それが・・・それが、近づいてるんだ!分かったんだよ、信じてくれよぉ!」 オイルドリンカーはそう言うと俯いてしまう。 先ほどまで戦う事を恐れていたジャンボキングは、自分が奇妙なまでに冷静な事に気がついた。 (闇の力か・・・・・・グランドキングは、何をするつもりだ?) ドアがノックされる。 試合の時が来たのだ。
遂に七回戦。先ほどのキングザイガーの奇跡的な逆転劇に観客達は盛り上がっている。 次の試合がジャンボキングとグランドキングのへヴィー級、しかも同門対決なので興奮も際骨頂だ。 その中で、唯一盛り上がっていない怪獣がいた。ムカデンダーだ。 横にいた猫舌星人グロストが彼に気づき、話しかけてきた。 「どしたぁ、浮かない顔してぇ」 「いや・・・・・・グランドのアニキがねぇ」 グロストに一部始終を話して聞かせるムカデンダー。だが、グロストはよく話を理解していなかった。 「そうか、グランドキングの両親か。会ったら挨拶しないとなぁ」 「本当に来るっスかねえ」 「あ、そういやセコンド、誰だぁ?」 「ベロンに頼んだっス」 「ベロン!?」 半分寝ているような口調だったグロストが甲高い声を上げた。 「よりにもよってグランドキングのセコンドをあの酔っ払い怪獣にか?!」 「他の奴らはみんな嫌がって引き受けてくれなかったっス」 「・・・グランドキング、友達いないんだな」 セコンドのユニタング、カウラ、マザリュースを引き連れてジャンボキングが喝采の中リングへとやって来た。 「落ち着いて、アタシの言った通りにね」 そういうユニタングに、頷き返すジャンボキング。 「ベストを尽くすよ。・・・・・・キングクラブや、他の超獣のためにも」 一方、グランドキングは酔っ払ったまま眠り込んでしまったベロンを引きずりながら会場へ現れた。 その姿に観客席の一部から笑い声が上がる。 例のメッセージボードを確認すると、グランドキングは既にリング場にいるジャンボキングを睨みつけた。 (最強超獣ジャンボキング・・・・・・ふん、星々の間を過ぎる者で構成されたこのグランドキングの力、思い知らせてやる!)
リングに上がった二匹。ジャンボキングは挨拶代わりに光線と火炎を盛大にリングへぶっ放した。光線を受けた超合金の床に亀裂が走る。 一方のグランドキングは右のハサミを床へ叩き込む。爆発と共に、床の破片が周囲へ飛び散った。観客達がどよめく。 互いの力を見せ合う二匹。このまま戦いか・・・・・その時、観客には聞こえない程度の声でジャンボキングが口を開いた。 「グランドキング・・・・・・君は、何を企んでる?」 「ああ?」 「オイルドリンカーから話は聞いた。彼の話では、途方も無い力が近づいているらしい。 しかも、それに君が関係してるらしいが?」 それを聞いたグランドキングの顔に笑みが浮かんだ。あの決め台詞をいうチャンスが来たのだ。
383 :
試合開始! :05/03/04 18:48:41 ID:bp7UxW74
「俺が何を企んでるだと?お前には関係ない!・・・我が名はグランドキング!」 突然大声を上げたグランドキングに驚き、会場中が静まり返った。 「星々の間を過ぎる者にて構成されし破滅の帝王!異次元の超獣など一撃で異次元に吹き飛ばしてくれる!」 ジャンボキングが思わずユニタングたちを振り返ると、彼女達は何か言い返せと指示を出している。 何を言えばいいのだ。 「えーと・・・自分はジャンボキング、全ての怪獣の上を行き、 全ての超獣を超える者。超獣の名を侮辱する者は絶対に許さない!」 自己紹介は終わった。 試合のゴングが鳴り響く。
384 :
JK優勢 :05/03/04 22:20:09 ID:bp7UxW74
咆哮をあげ、ハサミ(手?)を振りかざしたグランドキングが突撃してきた。 振り下ろされた一撃を間一髪、横っ飛びに避けたジャンボキング。すかさず光線を相手の頭部目がけて発射する。 グランドキングの頭部は爆発と共に白煙に包まれ、巨体が僅かにだがよろめいた。 だがこのチャンスにも拘らずジャンボキングは後ろへ飛びのき、距離を置いた。 658アナの実況を聞きながら、ムカデンダーとグロストはぺちゃくちゃと話をしていた。 「そういやよ、ムカデンダー。あのメッセージボードは何?」 「グランドのアニキに頼まれたっス」 「へえ・・・あ、あーっ」 思わず声を上げるグロスト。ジャンボキングの光線が、グランドキングの足を直撃したのだ。 思わずバランスを崩すグランドキング。 今度はジャンボキングは高スピードで接近し、態勢を整えていないグランドキングに体当たりを食らわせた。 轟音を立てて倒れるグランドキングを前に、ジャンボキングは一声咆哮をあげた。
「やっぱ超獣は頭いいな」 「へ?」 「グランドキングはさ、図体はでかいし体重だってジャンボキングの四倍以上だ。 そのぶんパワーも凄まじいけれど、見ての通り動きが鈍いんだよな」 「逆にジャンボキングはピョンピョンよく動くっスね。キングクラブより軽いっスからね」 「だから、あのハサミに捕まらなければとりあえず大丈夫だ。 グランレーザーをグランドキングが撃つ前に倒せればの話だけどな」 ムカデンダーたちが雑談をしている間にもジャンボキングは、 グランドキングに対してヒット&アウェイの戦法で着実にダメージを与えていった。 「あーっ、ちょこちょこと鬱陶しい!」 グランドキングが叫ぶと同時に、頭部から必殺のグランレーザーが発射された!
386 :
決着? :05/03/04 22:26:38 ID:bp7UxW74
ジャンボキングは危ういところで直撃を避けたが、爆風に吹っ飛ばされてしまった。 慌てて立ち上がろうとしたところをグランドキングに蹴飛ばされ、リングの上を転がるジャンボキング。 ジャンボキングを応援する超獣たち。だがグランドキングは更なる光線を浴びせる構えを取った。 その目がニタリと笑う。攻撃を行うため、グランドキングは頭を少し仰け反らせた。 (今だ!) ジャンボキングは、跳ね起きると全ての力を込めた一撃をグランドキングの首に叩き込んだ! 「あ・・・あがぁ!?」 目を白黒させるグランドキング。そのまま頭部の光が徐々に弱まり、 彼は地響きを立ててリングへ倒れてしまった。そのままぴくりとも動かない。 ジャンボキングは伊達にヒット&アウェイを行っていたのではない。 ユニタングから、怪獣の体にある急所を教えられ、その場所を攻撃するチャンスを狙っていたのだ。 チャンスはグランドキングがグランレーザーを放つ時。 その時を狙った一撃は見事に決まり、ジャンボキングは見事勝利を収めたのだった。 (目覚めよ・・・星々の間を過ぎる者にて構成されし者よ) (え?誰だお前・・・) (目覚めよ・・・汝の敵を倒せ・・・妨げるものを排除せよ・・・・・・!!) (あ、アンタまさか俺の・・・・・・!)
試合はジャンボキングの勝利が決定し、彼はユニタングやカウラ達に迎えられ控え室へ戻ろうとしていた。 「さっすが、やる気になればグランドキングもアンタにかかりゃ赤子の手を捻るようなものだね!」 嬉しそうにジャンボキングの肩を叩くユニタング。 「いやあ、ユニタングが怪獣の急所を教えてくれなかったら負けてたよ、絶対に」 「ヤプール様もお喜びよ、きっと!」 「あれ」 カウラが声を上げた。振り返ると、グランドキングがこちらへ近づいてくる。ユニタングが苦笑しながら首を振った。 「さすがね、普通なら半日は起き上がれないのに」 グランドキングはまだ立ち直っていないのか、時折転びそうになりながらも歩みを止める事が無い。 「ちょっと、再戦はまた今度にしてよ・・・」 「さい、せん・・・家が・・・おれの、いえ」 何をいっているのか良く分からないグランドキングに顔を見合わせる一同。 そこへようやく酔いを少し醒ましたベロンが後ろから追いついてきた。 「ぐらんどぉ、ひかえしつにもぉ」 だが、ベロンは最後まで言えなかった。グランドキングに凄まじい力で殴り倒されたのだ。 悲鳴をあげて転がるベロン。次の試合を心待ちにしていた観客達の間から困惑と驚きの叫び声が上がった。
「我が名はグランドキング・・・・・・偉大なる・・・帰還を妨げるものを・・・排除・・・ギガアアアッ!」 「うわあっ!」 グランドキングが振り下ろしたハサミを交差させた両腕で受け止めるジャンボキング。 ボキリ、と嫌な音が聞こえ、激痛が全身を貫いた。思わず息を吐いてしまう。 「逃げるよ!」 有無を言わさずカウラとマザリュース、そしてユニタングに支えられ、ジャンボキングはそのまま廊下へ逃げ出した。 「にぃげるなぁぁぁっ!」 グランレーザーを滅多矢鱈に撃ちまくるグランドキング。廊下の壁や天井が吹き飛び、ジャンボキング達に降り注ぐ。 「一旦異次元に逃げるよ!」 「わかった!」 虹のような揺らめきと共に姿を消すジャンボキングたち。彼らを見失ったグランドキングは狂ったように暴れだした。 「でぇてこぉぉおい!」 「おい、グランドキング!」 声の主を睨みつけたグランドキング。その時光線が発射され、グランドキングに命中した! 大爆発を起こし、煙と共に倒れるグランドキング。 「し、死んじゃったんですかぁ!?」 暗がりから現れたオイルドリンカーが不安げな顔で後から出てきたコスモリキッドに訊ねた。 「まさか。見ろよ、しっかり息をしてる。さすがですな」 そう言うとコスモリキッドは構えを解いた声の主を見た。 二匹の怪獣の後から現れた声の主・・・それは、ウルトラマンタロウだった。 七回戦終了です。グランドキングのパート、これで一応収拾つきますかね?
389 :
月亭雷蔵 :05/03/05 02:37:30 ID:rIWCdvKL
つかない ワシが引っ掻き回す
じりりっ…と、包囲の輪を詰めるガラン、バキシム、サボテンダーの三大超獣。 逃げ道は……無い!? 「……ようしザイガー、オレがひと暴れして包囲崩すから、そのスキに逃げろ!」 「おじちゃんは?」 「お兄さんなら自分でなんとかする!」 アンギラスは弾みをつけるように体を反らし叫んだ。 「弾丸スクリューボール!(仮面ライダーの怪人アルマジロングの技…)」 アンギラスの体が針千本のボールに一変し、正面のガランめがけてうなりを上げた! 「危ないっ!」 咄嗟に割って入るサボテンダー。 針と針では互いにノーダメージだが、スピードがある分アンギラスが当たり勝った。 サボテンダーとガランはもんどりうって吹っ飛ばされる! そしてキングザイガーは、アンギラスに言われたようにサボテンダーたちの横を走り抜けた。 (よし、いいぞ!後はバキシム!) アンギラスがボール状で回転を維持したまま向きを変えた。 ところが…。 走るキングザイガーの正面で空間がガラスのように割れ、中から四体目の超獣が二刀を手に飛び出したのだ!
391 :
ガマス出現 :05/03/07 08:36:06 ID:AAdFIcWs
(あいつは!まずいっ!) 新たな刺客を見るやアンギラスは急旋回した。 目の前に出現した新たな刺客を前に、キングザイガーは急ブレーキがかかったように止まった。 四番目の刺客が二刀を構えザイガーに迫る。 「……オレはガマス。ヤプールさまの命によりお命……。」 「どけええっ!」 ガマスが剣を振り下ろすより早く、二匹のあいだにアンギラスが転げ込んだ。 「おじちゃん!」 「へへ、こいつぁあ形勢悪いぜ。」 アンギラスも前大会でのガマスの活躍は昭和ゴジラから聞かされていた。 そのガマスが敵に回っているのだ。 形勢がいいワケがない。
392 :
失踪!? :05/03/07 12:20:44 ID:AAdFIcWs
「危ねえ危ねえ」「助かったぜ。」 アンギラスに吹っ飛ばされたガランとサボテンダーも復帰し、包囲は三大超獣から四大超獣にバージョンアップしてしまった。 (力押しでくるか!?) 身構えたアンギラスだったが、しかしガマスの対応は違っていた。 二刀を背中に収め、アンギラスに向かって深く深くアタマを下げたのである。 「……ムリな願いかもしれませんが…、アンギラス殿、退いてはいただけませんか?」 ガラン、バキシム、サボテンダーもガマスに習いアタマを下げる。 「判ってるじゃねえか……ムリな願いだってよ。」 「……でしょうな。」 ガマスが再び二刀を構えた。 四大超獣が一気に前へと押し出す! そのとき、アンギラスとキングザイガーの足元に、何処からともなく、霧と濁った水が湧き出した。 「??な、なんだこりゃ?」 アンギラスが不審に思ったその瞬間!? 突然、アンギラスとザイガーの足元が一瞬で消え失せた!? 「うわっ!」「あれれのれー?」 間の抜けた悲鳴を残し、アンギラスたちは霧と水の底へと消えてしまったのだった。
「ま、待てっ!」 水の中なら逃しはせぬとガランが水に飛び込もうとしたが…。 がんっ! 「いててっ!」 「どうしたガラン?!」 驚いたバキシムらが駆け寄ると、ガランは驚き顔で床を叩き答えた。 「床がちゃんとありやがる!ヤツラどこに消えやがった?」 ガランか手でバジャバシャ探っているうちに濁った水も何処かに退いてしまい、あとには当たりまえの固い床が残っただけだった。 「に、逃げられた!?」 「そんなバカなぁ!?」 「いや、しかしこの床には…。」 驚き慌てる三大超獣。 しかし、ガマスだけは冷静に言った。 「騒ぐことはない。逃げられはせぬ。手は打ってある。」
394 :
ココは…… :05/03/07 12:30:59 ID:AAdFIcWs
「あ……お……い?こ、ココ何処だ?」
アンギラスは蒸し暑い熱気の中に目を覚ました。
あたりを見回すと……光苔かなにかの燐光で照らされた鍾乳洞のようなところだった。
ただ、その広さが並みではない。
巨大なアンギラスの目で見ても「だだっ広い」と感じられる、そんな広さなのだ。
「目ぇさめたかぁ?」
ちょっとだけ聞き覚えのある声に振り返ると、「後足で立ち上がった黒オオカミ」みたいな怪物が舌をダラリと垂らして立っていた。
「……おめえさんは確か…大会会場の回りをウロついてた……。」
「…おだ、ペロリゴン。妖怪だべ。」
ペロリゴンさま御真影
http://dribox.g-serve.net/TV/akuma/akuma.htm 「そうか。ペロリゴンか。…んで、ここぁドコだ?」
ペロリゴンがアンギラスにしらっと告げたのは、トンデモナイ地名だった。
「ココ?…地獄だべぇ。」
395 :
兄と弟 :05/03/07 15:19:11 ID:AAdFIcWs
「なんだか騒ぎになってるよ、兄じゃ。」 超獣たちがキングザイガーを追い、グランドキングとジャンボキングのあいだでひと悶着あったころ……。 とある空き控室では、とある二匹の怪獣が密かに顔を合わせていた。 「そうらしいな…。まさかオマエの仕業じゃあないだろうな?」 「まさか!」 「そうか?でも、正体隠して鎌倉に出入りしてるのは、何か狙ってのことなんだろ?」 「しっ!兄じゃ!声が大きい!」 「誰も聞いてるヤツなんかいないさ。」 兄は弟の慎重さを笑った。
396 :
歌の時間 :05/03/07 15:26:57 ID:AAdFIcWs
「オマエはゴジラ一族を敵視するが、うちの一族のモンが何回ゴジラ一族のモンと闘った?例のファイナルウォーズだってトリはオマエが勤めたんじゃないか?」 「しかし兄じゃ!俺達ギドラ一族は宇宙大怪獣のはずだ!ゴジラ一族の後塵を拝するいわれは無い!」 「ボクはそうは思わないな。ゴジラ一族あってのギドラ一族さ。」 「兄じゃは人が良すぎるのだ!ファイナルウォーズだって、オレではなく兄じゃが出ていれば、ゴジラごときに……。」 「……悪いが待った!もうすぐボクの歌の時間だ。これで失礼するよ。」 兄はそそくさと空き控室を出て行った…。 残された弟=モンスターXが呟いた。 「…もんたーX兄じゃ…。」
遠くから微かに調子っ外れな歌が聞こえてくる…。もんたーXに違いない。 「相変わらず下手な歌だ。」 「だが、アレだけ下手なら、それも才能というものだろう…。」 「……あれを才能だと言うなら、デカイくそをすることだって才能だぞ。」 控室では三つの声が会話をかわしていた。 しかし、中にいるのはだだ一匹の大怪獣だった。 控室のネームは…… 「宇宙大怪獣キングギドラさま控え室」 がんがん! 「失礼します。」 控室に入ってきたのは老雄ガイガンであった。 「会場にいたのですが……耳が腐りそうで。」 「はははは」「ハッハッハッハ」「HAHAHAHA」 3色の声でキングギドラが笑った。 「ははは……して、本題はなんじゃ。」 「……恐れ入ります。実は…悪の帝王どもが密かに動いているようなのです。」
ドリルちんちん
「レッドスネークかもーーん!」
「はぁーい」
トゲだらけの怪獣とヘビの頭がいっぱいついた怪獣が東京コミックショー風の掛け合いコントをやっていた。
ハリゴジラとスネークキングであった。
ハリゴジラさま、スネークキングさま御真影
http://home.att.ne.jp/theta/graycat/gasyapri/smir1.htm 「オレたちが二匹でミラーマンに出てから、もう何年になるのかな?」
ちょっと考えてスネークキングが答えた。
「もう止しましょうよ、昔の話しは。年寄り臭くなるじゃない。」
「それもそうだな。オレもオマエも、まだこんなにピチピチだし。」
ハリゴジラはスネークキングを突っ突いた。
「嫌だよ。やめとくれ(笑)。」
スネークキングはいかにもヘビっぽく体をくねらせた。
「じゃあ、くれぐれも気をつけるんだよ。」
「あいよ!なんとしても接近戦に持ち込んで…。でなきゃ勝ち目は無いしね。」
「よし!じゃあ背中向けな。」
ハリゴジラがスネークキングの背中で両手の針をぶつけ合わせると、小さな火花が散った。
「ありがと。…んじゃ、行ってくるね!」
栄光の23get
401 :
お詫び :05/03/08 08:14:05 ID:MtLheJKI
昨日は当方の手違いにてアゲてしまい申し訳ござらぬ。 本来なら即日お詫びすべきところが、ジタバタすると災いを招きかねぬため黙っており申した。 無事下がってきたようなので改めてお詫び申す次第。 責任をとりましてしばらく謹慎いたしもうす。
402 :
月亭雷蔵 :05/03/09 00:58:12 ID:s+iK4TrQ
ぶっちゃけ過疎スレなんだからageようがsageようがかまわないと思うのだが よってage
さてと…纏まったのでボチボチ再開すべ。 話が「特撮」に収まらん部分が出てきて、ちょっと考え込んでただども、考えてもはじまらんべな。 ガイガンが集めた情報…「神」の復活…を耳にしても、キングギドラは泰然自若たるものだった。 「面白い話であった。…では、そろそろ、闘場に行くか?」 「行ってなんとする?『王』が闘うべき相手は『王』に非ず。」 「では、われら『王』の闘うべき相手とは何者なりや?」 「知れたこと!闘うべき相手は『神』。抗うべき相手は『運命』。」 「……その『神』が今、『王』の覇を競うこの大会において復活せんとす…か。それもまた『運命』かもしれぬ。」 キングギドラの三つ首の問答はまだまだ続きそうだったが、老雄ガイガンが話の間を読んで巧みに割り込んだ。 「あまり観客を待たせても悪いでしょう。伝説のあなたを一目見ようと、遠路遥々やって来た者もいるようですから。」
404 :
竜神降臨 :05/03/10 15:23:16 ID:R2YJj4v+
巨大な翼が風をはらんでゆっくり羽ばたき、その上にドラゴンというより東洋の龍の首が三つ、まるで重力が作用していないかのようにゆったり揺れている…。 全身を包む金色のウロコは照明を反射し、さながら光のローブでも纏ったようだ。闘場に立つキングギドラの姿は見る者に神々しさする感じさせ、怪獣というよりも竜神と呼ぶべきものだった。 一方のスネークキングはというと「首の数なら負けへんでぇっ!」と威勢のいい啖呵をきってはみても、相手の神々しさの前にどうしようもなく萎縮してしまう自分を感じていた。
405 :
火焔大魔王 :05/03/10 15:31:19 ID:R2YJj4v+
「キングギドラの金色のウロコは、宇宙空間で直射する太陽の熱や放射線、そしてその影での超低温、さらには大気圏突入時の摩擦に耐える機能を持っているものと思われます。 今度の解説者はというと…妖怪のくせに妙に科学的な解説をする火焔大魔王(白獅子仮面のラスボス)だった。 「ということは、ほとんど鎖帷子みたいなものなんですね?」 「そーなんです658さん。正確には鎖帷子というよりスケールメイルですね。」 …この妖怪、ヨコモジ言葉までくわしいぞ。 「さらには三つの砲門から放つ引力光線!ひとつひとつの砲門はほぼ無死角!」 「難攻不落というところですね。」
「ここ地獄なの?それじゃオレ死んだわけ?」 アンギラスは目を丸くした。 しかしそれもムリはない。 いきなり相手から「ここは地獄だ」と聞かされたのだから。 驚き焦るアンギラスに、ペロリゴンはのーんびり答えた。 「死んでなんかないべさ。ここは地獄は地獄でも、東映系の地獄だべさ。」 「東映系の地獄?………地獄に東映系や東宝系があるんか?」 「もちろんあるべさ。でも東映系の地獄は、他の地獄全部合わせたより何倍も広いべ。」 ……東映系の地獄、それは東映系最初の特撮テレビ番組「悪魔くん」とともに誕生した。 つまり「東映系の地獄」は、東映系の怪人・怪獣たちの故郷なのだ。
「オラたち東映系の妖怪や怪獣は、死んだらこの地獄に来るんだべ。 そんでもってココで英気さ養って、もう一回声がかかるのを待つんだべ。」 「それでオマエら東映系は再生怪獣が多いのか!?」 「当たりだっぺ。今もこのあいだのGPで死んだ忍獣たちが来てるべよ。」 「便利なシステムだな。オレたちの怪獣島より上だぜ。でもよ、地獄ってトコは、死なねえと入れねえんじゃねえのかい?」 「そうだべ。死なないでココに来られるのは妖怪だけなんだけど…。 でも最近なんだか変で、地獄と娑婆の境界が薄くなっちまってるんだべさ。 それでアンタみたいな生きてるヤツまで入ってこれるようになっちまってるんだべ。」 「そうなんかい……お、そういやあ、いっしょにいたキングザイガーって怪獣、ドコいったか知らねえかい?」
異次元空間から白いギリシャ風の衣装を纏った怪人が現れた。 表に出ない異次元人ヤプールに代わり超獣軍団を指揮しているのは水瓶超獣アクエリウスだった。 「ガマス。スパイからの連絡は入ったか?」 「……連絡では、ザイガーとアンギラスが消えたのは『東映の地獄』、手引きしたのは妖怪ペロリゴンだそうだ。」 ガマスとアクエリアスのやりとりにドラゴリーが口を挟んだ。 「どうするポカリスエット?オレたち超獣でも『地獄』は厄介だぞ。」 「……ポカリスエットじゃねえ!オレはアクエリウスだ!」 ドラゴリーとアクエリウスのボケ・突っ込みは相手にせず、ガマスが冷静に戦況を分析した。 「とりあえずスパイ超獣一体だけでアンギラスを排除しザイガーを仕留めるのは難しい…。」 しかし、そのガマスをアクエリウスが自信たっぷりに遮った。 「心配いらん。手はある。…冬と夏!怪奇軍団を呼べ!」 「おお!その手があったか!さすがだなアミノサプリ!」 …またドラゴリーがボケをかました。 「アクエリアスじゃ!ごらぁ!!」 そのときガマスがポツリと呟いた。 「…アクエリ『ウ』スだろ。」 「………。」
409 :
月亭雷蔵 :05/03/15 10:35:30 ID:Dv0NrwIo
「東映地獄」に「ポカリスウェット」禿藁 「アミノサプリ」をリーダーに超獣戦隊結成か?! それにしてもよくこんだけ次々ネタが出てくるもんでつね>誤字脱字氏 こちとら 「ワシが引っ掻き回す」 とか言っときながら勢いに押されて傍観者を決め込んじゃってますけど。 そろそろ月の連中や拳王黒王師弟の近況でも探ってこよかな。
ここは鎌倉の邸宅。 奥の間に設置された超大型プラズマテレビの画面では、キングギドラが金色の翼をはためかせていた。 試合開始と同時に飛び上がったキングギドラに対し、飛べないスネークキングは手も足も出ないでいる。 その上を、飛ぶキングギドラの姿は、まるで金色の雲がたなびくようだった。 杯を手に観戦していた宗家が一言呟いた。 「…美しい。」 「そうですね。テレビはやっぱりプラズマです。」 脇に控えたバラゴンがお追従を言った途端、宗家は手にした杯をバランに叩きつけようとしたが、その手を昭和がそっと捕まえた。 「…父上。」 (いけません)というように首を横に振る昭和。 「液晶もいいですが、これからはやっぱりプラズマテレビですね。」 バラゴンは宗家の逆鱗に触れたことを全く気づいていなかった。
411 :
美と怪獣 :05/03/15 17:16:25 ID:RUudMKzS
やっぱり宗家に杯を叩きつけられ、バラゴンは泣きながら退出していった。 「あのギドラの美しさが判らぬとは……。」 憤懣やるかたないという調子で宗家がうめいた。 「…それをあろうことかテレビ画面の美しさと取り違えおって!」 「宗家への忠節は疑いようもない者です。お許しください。」 バラゴンに代わって昭和がアタマを下げた。 「しかし意外です。父上の口から『美しい』などという言葉が出るとは。」 昭和の問いに対し、宗家は直接には答えなかった。 「…怪獣の美しさは、単なる美とは違う。怖さや威厳、力強さに裏打ちされた美でなければならぬ。」 「ギドラ殿にはそれがあると?…。」 またしても宗家は答えなかった。 テレビ画面では、ときおり引力光線を放ちながらキングギドラの横綱相撲が続いていた。 目をテレビ画面から離さぬまま宗家が言った。 「あやつはいつもこうだ。決して本気にはならない。オマエと闘ったときもそうだったように…。」 そのとき、それまで悠然と空を漂っていたキングギドラが攻撃を開始した。 三つの首からの引力光線斉射を受けては、スネークキングもひとたまりもなかった。
「おう、来たか!」 指揮所でアクエリウスが振り返った。 背後に立つ影が6体。 「怪奇6超獣参上!キングクラブの仇は任せろ!」 怪奇6超獣!彼らこそ夏と冬にテレビの前のチビッコを文字通り恐怖のあまりにチビらせてしまったという恐怖超獣軍団なのだ! 本当は全員で7超獣なのだが、「夏の怪奇」の一員であるキングクラブが戦闘不能なので6超獣になってしまっていた。 リーダー格の蟹江敬三…じゃない、カウラが低く吠えた。 「地獄行きと聞いた。怪獣墓場なら観光で言ったことあるが、地獄にゃ行ったことがねえ。」 「心配するな。オマエたちは超獣の中でも強い怨念エネルギーをもっている。つまり妖怪的な要素が強い超獣だということだ。」 デコ!デコ!デン!太鼓を叩いてカイマンダーが話しを受けた。 「…だから生者は行けぬ地獄にも、我らなら入れると。」 「面白い!地獄の釜をオレの冷気で氷つかせてやる!」 「頼もしいぞアイスロン。さて…地獄へ行く方法だが…。」 そのとき、強烈にレトロな曲が聞こえてきた。
「ハチのムサシは死んだのさぁ♪お日さま仰いで死んだのさぁ♪ ………地獄への道案内なら、アタシに任せな!」 ちょっとオミズっぽい女性の声がして、新たな超獣が姿を現した。 「ガイドはこのユニタングだ。」 アクエリウスに紹介され蜘蛛超獣が進み出た。 「アタシの構成員の一人が、どさくさ紛れにアンギラスにくっついて地獄に潜入してるのさ。」 「つまり地獄に片足突っ込んでるってわけか。」 「上手いこと言うね。フブギララ!でも女だからってアタシをバカにしてるんなら…。」 にらみ合う二体の超獣のあいだにアクエリウスが割って入った。 「よさぬか!怒りや怨念は、地獄に行ってキングザイガーにぶつけろ!いいな!?」 「……わかった。ポカリスエット。」 (こ、こいつ!怒!怒!怒!怒!怒) 「ここでおこっちゃだめよ。あなたが自分で言ったんだから…」 ユニタングがアクエリウスに流し目を飛ばして言った。 「……怒りや怨念は、キングザイガーにぶつけるんのよね?ア ミ ノ サ プ リさん。」
「第一回戦最終試合が終わったぞ。下馬評どおりキングギドラの圧勝だ。」 「おっ!そっかそっか。…ま、飛べないんじゃ仕方ないわな。」 控室では、すっかり落ち着きを取り戻したレッドキングとゴモラが言葉を交わしていた。 レッドキングが試合で受けた傷は、ケムール人のおじいちゃんが完璧に治療してくれていた。 レツドキングを睨みつけるようにゴモラは言った。 「次はキサマが闘うことになるかもしれんぞレッドキング。飛べないのはオマエも同じだからな。」 ゴモラのアドバイスにも、レッドキングは心配する風を見せない。 「がははは(大笑)!こうなりゃヘドラと闘ったときのゴジラみたくオレも空飛ぶか!」 「…キサマ火なんか吐けねえだろ。」 「がはは、下っ腹に力入れてよ!ぼおおおおかんって、屁の勢いで空飛んでよ! がはははははははははははははははははははははははははははははは(狂笑)。」 掌をバンバン打ち合わせ、レッドキングのバカ笑いが止らない。 ゴモラは呆れた。 「てめえ……アタマの中身は小学生並みだな。」 「がはは、とうとうバレちまったか!がはははははははははははははははははは。」 どこまでも豪放磊落なレッドキングであった。
415 :
夢の石 :05/03/16 08:34:11 ID:tQU+D0BX
いのちゃんは……。 いのちゃんは見つめつづけていた。 机の上に転がった灰色の石を。 夢の中で貰った石を。 (この石は、夢の中の川で「力ある人」からもらったんだ。なのに、なんで今ここにこの石があるんだろ?…あれ?そういえば、ボクなんであの人のことを「力ある人」って知ってるんだろ?) 考えても考えても、判らないことだらけだった。 考えつかれて いのちゃんがふと顔を上げると、とある宣伝公告が自然と目に飛び込んできた。 (「名前にキングのある怪獣GP」……………、ひょっとして……ひょっとしてこのGPと、ぼくの夢の石と、なにか関係があるのかな?) また少しだけ考えて……、それから いのちゃんは机の上の石を掴み立ち上がった。
トーナメント1回戦 試合結果
○レッドキング(マン)vsサタンキング(ゴリ)● KO
○キングジョー(セブン)vsキングデビラー(レッドバロン)● KO
○エレキング(セブン) vsキングコング(ゴジラ)● TKO
○キングザウルスV世(新マン)vsモグラキング(ミラーマン)● TKO
○ブラックキング(新マン)vsフライトキング(ジャンボーグA)● KO
●キングクラブ(A)vsキングザイガー(ミラーマン)○ KO
○ジャンボキング(A)vsグランドキング(タロウ)● KO
○ギングギドラ(ゴジラ)vsスネークキング(ミラーマン)● KO
てなわけで、レッドキング、キングジョー、エレキング、キングザウルスV世、
ブラックキング、キングザイガー、ジャンボキング)、ギングギドラが勝ち残り。
マイナー勢で唯一残ったキングザイガーの運命はどうなるやら。
ところで、いのちゃん推奨のレッドキングvsキングコングを是非とも組みたいので、
ご隠居はギックリ腰(
>>333-335 )で棄権させてもいいかな?
とりあえずリザーブマッチ
@ガラキング(タロウ)vsデスコングキング(ジャンボーグA)
Aアイアンキングvsキングショッカー(仮面ライダー)
Bペアモンスキング(ミラーマン)vsキングシーサー(ゴジラ)
キングショッカーはストロンガー最終回に出てきた岩石首領ってことで。
厳密にはテレビマガジンのコミック版での名称ですけどね。
でもレッドキングvsエレキングも好対照で面白そう。迷うなぁ〜 だったら小細工なしで素直に行くべきか。 ガラキングvsデスコングキング比較 何れも火を吐く。そして弾丸スクリューボールがメインウェポン デスコングには花火弾と言う飛び道具があるが、 ガラはガスタンクからバレーボールまで、 丸いものなら何でも使いこなす器用さがある。
「あ!アンギラスのおじちゃん、起きたー?」
「おうよっ!お目々パッチリでいっ!」
アンギラスがペロリゴンと話し込んでいると、キングザイガーが戻ってきた。
「ここ面白いよー。閻魔大王までいるしー。」
「そりゃ地獄なんだから、閻魔さまだっているべよ。」
ペロリゴンが応じた。
「閻魔さま、お仕事大変だから邪魔しちゃダメだべ。」
「はーい。」
元気にお返事するザイガーに続いて、アンギラスがペロリゴンに尋ねた。
「その閻魔さまってのが、この東映地獄で一番偉いのか?」
「ちがうよ。閻魔大王は東映地獄を管理してるだけだべ。一番えらいのは長老さま2人だべよ。」
重ねて問うアンギラス。
「へえ…、で、その2人の長老ってのは誰でい?」
そんなことも知らないのか?という調子でペロリゴンは答えた。
「『悪魔くん』の第1話に出た、メフィスト兄と百目妖怪ガンマだべさ!」
*メフィスト兄と百目妖怪ガンマさま御真影
http://dribox.g-serve.net/TV/akuma/akuma.htm
「……いかなる天の書にも地の書にも記されていない力が作用しておる。」 「間違いないか?」 「間違いない。しかし天球図からはそのような力の作用は読み取れぬ。いったい如何なる仕儀じゃ?」 東映地獄の最奥に建つ怪しい荒れ寺。 その本堂に集い寄っていたのは……黒猫妖怪、ドクロン、そして百目妖怪ガンマであった。 覗き込んでいた水鏡から顔を上げ、バラモン妖怪が言った。 「先ほど何者かがこの地獄に侵入したようだが、それと何か関係が?」 「…関係無しとはぁ、思わぬが…。」 布袋寅泰にどこか似ている黒猫妖怪も天球図を描きなおす作業を止めた。 「…ガンマはどう考えられる?」 黒猫妖怪とバラモンの目線が、本堂奥にわだかまる暗闇へと注がれた。 「………先の侵入者はもちろん関係があるだろう。だが……。」 ズシン……重々しい足音とともに、異様な怪物が闇の中から姿を現した。 一面に目が散らばった肉塊に白い蓬髪……、百目妖怪ガンマである。 「……最初の侵入者を追ってのことであろうが…、とてつもなく危険な存在がたったいまこの地獄に侵入してきた。閻魔大王に通報せねばならぬ。」
「じゃオレ、ちょっくらションベンしに行ってくらぁ。」 「どこへでも勝手に行け!」 呆れたゴモラを控室に残し、レッドキングは便所に出かけた。 それも「どこへでも行け」と言われたものだから、近くの便所ではなくワザワザ遠くの便所まで足を伸ばしたのだが、それが騒動の始まりだった。 もっとも、そのおかげでレッドキングの知名度が全米で飛躍的にアップしたのだが……。 レッドキングが便所に行ってみると、二つならんだ便器のうち一つは「詰まっています。使わないでください。」との張り紙がしてあった。 もうひとつの便器はというと、既に先客があったのである。 全身真っ白い毛に覆われた老猿、アメリカからの賓客、キングコングであった。
421 :
シビン :05/03/16 16:58:04 ID:tQU+D0BX
レッドキングはキングコングが用を足し終わるのを待つことにした。 ところが……。 キングコングは便器の前からなかなか退こうとしない。 なんといっても お年寄りなのだ。 しかし、気短なレッドキングはだんだんガマンができなくなってきた。 「おい爺さん。まだ終わんないのかよ。早くしてくれよ。」 キングコングは肩越しにチラッと振りかえったが、またすぐ便器へと視線を戻してしまった。 その態度にレッドキングはカチンときた。 「なあ、爺さん。年寄りなんだから、シビンでも使ったらどうだ?」 さっきとはまるで違う勢いでキングコングが振り返った。 「なんじゃと?シビンじゃと?…見ればオツムの悪そうな怪獣が、このワシを年寄り扱いしようっちゅうんか?」 「なんだ爺さん。実際年寄りじゃねえか!?」 キングコングの瞳に危険な光が灯った。 「……まったく近頃の若いもんは……、敬老精神というものをこの手で叩き込んでやらにゃあ ならんようじゃな。」
闘場ではモンターXが壮絶に下手な歌を披露している真っ最中だった。 どががぁぁぁぁぁぁぁん! そこに物凄い轟音とともに花道奥の扉が弾け飛び、巨大なボール状の物体が飛び出してきた。 慌てて身をかわし、闘場から飛び降りるモンターX。 巨大なボールは闘場に落ちて大きくバウンドしたかと思うと、次の瞬間スックと立ち上がった。 「クソ爺!やりゃあがったな!」 吠えるレッドキング! 花道奥からも100万匹のアフリカ象が一斉に吠えたような叫びが轟き、続いて銀白の巨猿が飛び出してきた。 「まだ堪えんようじゃな!若いの!」 こめかみにドクドク脈打つ動脈が浮き上がり、黒い顔も怒りにより充血でどす黒く変わっている。 「ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」 コングが天を仰ぎ胸板を両拳で叩きながら絶叫した。 たちまち全身の筋肉が、毛皮ごしにもソレと判るほど怒張する! まるで北斗の拳だ(笑)。 「ごめんなさいと言うまで許さんぞ!」 「そりゃこっちのセリフだぜ!」 レッドキングがキングコングに突進した!
魚雷のように突っ込んで来たレッドキングの首を上から抱え込むと、キングコングは絶叫一番、自分のアタマ越しに放り投げた。 さらに倒れたレッドキングの背中に飛び乗ると太い腕をまわしグイグイ締め上げる! しかし、レッドキングの首は胴体とさほど変わらないほどの太さがあり、コングの怪力をもってしても簡単には締め落とせない。 おおっ!観客席から愕きの声が漏れた! キングコングを首にぶら下げたままレッドキングが機敏に立ち上がったのだ! レッドキングはコングを背中にぶら下げたままいったん軽く反り返ると、次の瞬間物凄いスピードで前屈した!
レッドキングは勢いをつけて前屈した。思わぬ頭脳プレーだ! キングコングは回した腕がスッポ抜け、ロケットのようにすっ飛び、そのままの勢いで闘場に激突した。 猿特有のリズミカルな動きで素早く立ち上がったキングコングだが、そこをレッドキングの腕パンチが横殴りに襲う。 ぐわすっ! 鈍い音とともにコングの体は空中で横転! 闘場に叩き付けられ「The End」……、誰もがそう思ったが……。
闘場に叩きつけられるかと思われたキングコングだったが、これまた猿特有の身軽さで巧みに足からストンと着地したのだ。 ふたたびどよめく観客! 素早くコングはレッドキングの胴体に組み付くと、ワンモーションで一気に頭上高くリフトアップした。 そして、一度自分の肩の上までレッドキングの巨体を下ろすと、そこから斜め45度ほと゛の角度で上へと放り投げた。 ハイアングル・ボディスラムである! 飛びも飛んだり!巨体のレッドキングが自分の身長の二倍以上ブッ飛んだ! またもや闘場でバウンドするレッドキング。 しかし、こんどはバウンドを利用して前より素早く体勢を立て直すと、飛び込んで来たキングコングにカウンターで巨体そものを叩きつけた。 鋼鉄の筋肉の塊二つが激しく激突! どちらも後ろに弾けとんだ。 しかし、なおも立ち上がる両雄! 沸き立つ観客席! そのとき、花道奥からゴモラが飛び出し、喜んで観戦していた怪獣仲間を怒鳴りつけた! 「バカ野郎!さっさと二匹を止めろ!」 ゴモラの声に我に返った怪獣たちが一斉に殺到し、ついにこの「降って湧いた番外戦」は終りを告げた。 なおこの一戦はアメリカにも中継され、瞬間最大視聴率は99%に達したとも言われている。
さすがコング閣下。カッコいいぞ。
自分の要望にこたえてもらってどうもです。 それと私の一人称はぼくではないです。無論私でもないです
今回の方針は「言われちゃったことは全部やる」でござる。 ときに一人称は「私」でいいざんすね。 なんといっても「いのちゃん」には極めて大事な役目があるもんで…。
ありゃりゃ?よくよく読んでみれば、「一人称は『私』でもないです。」って買いてあるべっ! ……じゃあ、一人称は何がいいだべか? 「みども」とか「我輩」とか「拙者」とか……。 実のところ658アナや特オタ661氏、雷蔵師匠たちが登場してるのは全スレの「ゴジラ対ガメラ」の絡みなんだべ。 絶対実現しないと思うけど、もしガメラとゴジラが対決するとして、私らファンは見てるだけ。 参加できるとしても、エキストラが関の山だべ。 でもこのスレなら、ゴジラとガメラが闘うとき、「科学者」「自衛隊員」「ジャーナリスト」 「近くに住んでただけの人」etcの色々な役で参加することができるべ。 例えば、落語家の雷蔵師匠が荒れ狂うゴジラの足元から踏み潰されかけた子供を命懸けで助ける……とかね。 その意味での、前回大会での661氏の大活躍で、今大会だと「いのちゃん」が参加してるんだべ。 本当はスレ住人の全員参加が希望。 キャラが育てばそれもいつかは可能かもしれないだべさ。
430 :
地獄防衛軍 :05/03/17 17:00:30 ID:f3+Uu8W7
「百目先生より、この東映系地獄に潜入者ありと連絡いただいた。」 管理センターでは閻魔大王が居並ぶ戦士たち=「地獄防衛軍」を前に檄を飛ばしていた。 「地獄防衛軍」とは、東映系地獄の平和を守るため、ライダーシリーズや戦隊ものなんかで倒された怪人たちにより構成された防衛組織である! 編成以来ムダ飯を食いつづけてきた「地獄防衛軍」に、ついに…、ついに、出動命令がくだったのだっ!
「フォースゲイト、オープン!フォースゲイト、オープン!」 いままさに!地獄防衛軍の無敵航空艦隊が発進せんとす! だが、しかーーーし! ブラックホース(人造人間キカイダー)がガチャンガチャンと走ってきた。 「隊長!錆付いてゲートが開きません!」 「なんだとぉ!?」 隊長のムカデタイガー(仮面ライダー)がまるい目を更に丸くひん剥いた。 「錆付いてるなら、CRC556でも注せ!」 「CRCでしたら、我々ダークのアンドロイドが皆で使ってしまいました。だから、ほらこーんなに動きがスムーズ。」 そう言いながらブラックホースは後ろに反り返って見せた。 後ろに反ったはずみで、手にした「電子破壊リング」もクルリと一回転した。 ボンッ! リングの中に入ってしまったブラックホースは、白煙と地面に転がった数個の歯車だけ残し吹っ飛んでしまった。
「閻魔大王!隊員がバカばっかりでどうしようもありません!」 「はぁあ!?」 ……設立以来30年以上も活動していないのだからムリもないが…。 そもそも現役時代に仮面ライダーやキカイダーをまともに倒せなかった連中の集まりだから、まぁ、こんなもんかもしれない。 閻魔大王はアタマを抱えた。 「うぅぅむ、困った。このままではこの東映地獄が侵入者に陵辱されてしまうではないか!?」 「陵辱」?………ああ、それを言うなら「蹂躙」だろ! ……とワケの判らんボケをかましていると、管理室の出入り口から5人の影がガヤガヤ踏み込んできた!
433 :
秘密戦隊! :05/03/17 17:05:11 ID:f3+Uu8W7
「むふふふ…。お困りのようですな。閻魔大王殿!今回の件は、ぜひ我々にお任せ願いたい!」 「おお、オマエたちは!?」 閻魔大王が「お決まりのセリフ」を言うと、ここぞとばかりに五人が名乗りをあげた! 「ワルモノ戦隊!ワルレンジャー!」 ワルレンジャーとは……今にいたるも終了する気配を見せない「戦隊もの」にあやかろうと、「思いつき」と「悪ノリ」だけで編成された、東映系ワルモノによる戦隊なのだ! では、その恐るべき陣容を紹介しよう……。 アカレンジャー=地獄大使(仮面ライダー) アオレンジャー=骸骨丸(変身忍者嵐) ミドレンジャー=ゴッド秘密警察第一室長アポロガイスト(仮面ライダーX) モモレンジャー=桃色アルマジロ(人造人間キカイダー) キレンジャー =剣聖ビルケニア(仮面ライダー・ブラック) ……まともに活躍しそうなのはアポロガイストとビルケニアだけだった。
434 :
身柄引受人 :05/03/17 17:07:03 ID:f3+Uu8W7
「コングさん。大活躍だったそうですね。」 GP大会事務局に身柄拘束されたキングコングの身柄引受人になったのは昭和ゴジラだった。 「…アメリカでも大評判みたいですよ。コング復活って!」 「いやあ、お恥ずかしい限りじゃ…。」 大きな体を縮こませ、キングコングは答えた。 「アタマにかぁっと血が上ってしもうて……、あとのことはよう覚えておらん。あの怪獣さんにも謝らんと……。」 「その必要ならありませんよ。」 昭和はカラカラと笑った。 「あいつ、レッドキングは口を極めてアナタのことをベタ誉めしてますから。自分もあんな風になりたいんだそうです。」 「そうですか…。」 それを聞いて、キングコングもホッとしたようだった。 「アイツも闘ってて楽しかったんでしょう。 アナタの身柄引受人になってくれと私に連絡してきたのもレッドキングです。 それから…、アナタへの言伝も預かって来ましたよ。 ヤツの言葉どおりにお伝えしますからね、いいですか。」 昭和はキングコングの耳元に口を近づけ、言った。 「じじい!惚れたぜ!」
>>431 ブラックホースが間抜けすぎて爆笑しますた。
どうも「小説厨」というのがいるらしいべ。 オラのやってることも「小説厨」だべか?ちょっと気になるべぇ…。 「御疲れさまです。」 閻魔大王のトコが自薦他薦の「なんたら戦隊」とか「かんたら軍団」でごった返し、GP闘場ではキングコング対レッドキングの番外戦が繰り広げられていたころ……。 キングギドラ控室をモンスターXが再び尋ねていた。 「御疲れさまとな。しかし、疲れているのか?私は?」 「疲れてなぞおらぬ。こんなもの疲れたうちには入らんな。」 「本当に疲れたのは、金星で戦ったとき以来か。」 「金星人との戦いですか。愚かにも睨下に刃向かい、滅び去ったと言う。 全くもって無意味なことをしたものです。」 そのとき、眠たげにどこか遠くを見ていたギドラの三つの首が、一斉にモンスターXの法に向きを変えた。 それが、キングギドラとモンスターXの短い問答の始まりだった。
ふと気がつくと、六つの視線がモンスターXに降り注いでいた。 思わず身構えるモンスターXに、キングギドラの真中の首が問いを発した。 「では問う。モンスターXよ、生き物はすべからく死を迎える。生まれ生きてもいずれ死するなら、その生は無意味か?」 モンスターXは観客席の人間の親子の姿を思い浮かべ答えた。 「いえ、無意味ではないと…。生き物は死ぬ前に子孫を残します。その子孫もまた子孫を残します。故に個体の死も無意味ではありません。」 「ならばさらに問う。」 するとこんどは左の首から問いが発せられた。
こんどは左の首から問いが発せられた。 「モンスターXよ。宇宙に煌めく星々も、永劫のうちには死を迎える。 冷たき骸と成り果てたその最期は無意味か?」 「それは………。」 星は子など産まない。地球と違い、命を育まない星もある。モンスターXは答えに窮した。 しかし、なぜか「無意味」とは答えたくなかった。 「では重ねて問う。」 二番目の問いに答えられずにいるうちに、こんどは右の首から問いが発せられた。 「モンスターXよ、ゴジラたち怪獣、人間の諸王、人間非人間の英雄たちの戦いも、やがては忘却の彼方へと消える。この世になんの痕跡も残せず、空しゅう消えるなら、その戦いは無意味か?」 こんどは生き物や星といった物体ではなく、「戦い」という事実についての問いだ。 モンスターXは言葉を失ってしまった。
439 :
意思の意味 :05/03/18 15:07:54 ID:eA/NosJm
返事に窮し、言葉を失ったモンスターXにキングギドラの三つの首は静かに語りかけた。 「この世界そのものも、やがては無へと帰るという。ならば、この世にあるもの全ては無意味なのか?」 「いや違う。我々も含めた一切合切が無意味などということはあり得ない。あってはならない。」 「そこに在るのは究極の無に抗う『無意味であってたまるか』という我々の意思なのだ。」 「それがあるかぎり。我々の生は無意味ではない。」 「金星人たちの戦いと滅びもまた同じだ。」
キングギドラの三つの首は、口々にモンスターXに語りかけた。 「今は滅びた金星人たちも、己の生存を賭け死力を尽くして闘った。」 「そして、命を燃やし尽くし死んでいった彼らは、この私と闘ったのみならず、私を超えた滅びの運命と闘ったのだ。」 「…神が復活するかもしれぬ…。我々をこの世から一掃し得る存在だ。だが、モンスターX、いや、カイザーギドラよ。もし神が私の前に立ち現れたなら、死力を振り絞り、命の限り抗ってみせよう。それが、私のこの世にある意味となるのだから。」 モンスターXは気づいた。 (睨下は、ご自分だけ宇宙に逃げたりせずに「神」とでも戦うおつもりだ。) キングギドラの六つの視線は、再びモンスターXから離れていった。 「闘ってみせるぞ。あのときの金星人たちのように…。」
侵入者を捜せ! 東映地獄がそれを合言葉に大騒ぎになっているとも知らず、アンギラスとキングザイガーはペロリゴンのお家の周りを、暢気にお散歩していた。 「おう!ザイガー!こうして回ってみると、地獄ってのもいいもんだな。」 「住めば都とも言うしねー。」 二匹はすっかりマブダチ(これ死語?)になっていた。 ミラーマン怪獣の中でも浮いていたキングザイガーにとって、アンギラスは数少ないお友達になっていたのである。 のんびり歩く二匹の怪獣。 そのとき、アンギラスの足元から、誰かが声をかけてきた。 「アンギラスさん?アンギラスさんですか?」 「?だれでいっ、オレを呼ぶのは?」 アンギラスが足元を見下ろすと、なんと!自転車に乗ったちょっとケバめのギャル(こっちは確実に死語)がアンギラスを見上げているではないか!
「アンギラスさんですね。実は私……以前からアンギラスさんのことお慕い申し上げていたんです。………ここでお会いできたのもなにかのご縁。私とアンギラスさま、一人と一匹だけでお話するわけにはいきませんでしょうか?」 「オ、オレと二匹っきりでか?」 「殺る」とか「殺られる」とかなら慣れっこのアンギラスだったが、ケバいとはいえギャルに声をかけてもらえたのは始めてだった。 「おおおおおおおおおお……オッ…ケーだぜぜぜ…!」 裏返りかかる声を必死に抑えてアンギラスは答えた。 「ではアンギラスさまと私は向こうの方に………。キングザイガーさんにはここで待っていてもらって……。」 「……ちょっと待った!テメエいったいナニモンだ!?」
443 :
合体! :2005/03/22(火) 17:23:45 ID:ZDAr9//Z
「……ちょっと待った!テメエいったいナニモンだ!?」 「は?……ですから、アンギラスさんのファンの…。」 「とぼけんじゃねえ!オレの名前知ってるのはわかる。だがな、マイナー怪獣のキングザイガーの名前まで知ってるったぁあ、どういうワケでい!?」 「オ、オイラ、マイナー?」 「………なかなか切れるねアンギラス!マイナー怪獣を名前で呼んじまうなんて、アタシもとんだ大ドジさね!」 「…やっぱりオイラ、マイナーなんだね…(悲)。」 「キサマ刺客だな!」 「ふふふ…、アンギラス!まわりを見てみな!」 ケバめのサイクル・ギャルにそう言われ辺りを見回すと、なんと周囲は同じ服装の自転車ギャル集団にすっかり囲まれているではないか! 「テメエ…ヤプールんとこの超獣だな!」 「当たりだよ!」 ケバめの自転車ギャルはアンギラスの目の前で、自転車に乗ったまま器用に人間ピラミッドを組み上げた。 「合体!」 自転車ギャルのピラミッドは虹色のシルエットとなり、一瞬の後にはさっきまでのギャルとは似ても似つかぬ怪物=蜘蛛超獣ユニタングへと変じていた。 「マイナー怪獣キングザイガー!命はもらった!」
444 :
出撃! :2005/03/22(火) 17:29:39 ID:ZDAr9//Z
ユニタング出現は閻魔の庁にも直ちに探知されていた。 「閻魔大王、K地区に超獣出現です!」 「よし!地獄防衛軍はただちにK地区に出動せよ!!」 大王の命令は下った! 有象無象、自薦他薦の怪人軍団と地獄防衛軍は、思い思いにK地区を目指し進撃を開始した。
レス数が縁起悪いのでカキコ
もーん
「おい!オレンジアント!………K地区ってどこだっけ?」 マヌケなブラックホースに代わり班長になったのは、困ったことにブラックホースに輪をかけてマヌケなグリーンマンティスだった。 「……針のお山の南っかわをチョロッと行ったトコじゃないか。忘れないでくれよ。」 ロボットなので無表情だが、オレンジアントは内心困っていた。 比較的頼りになったムカデタイガーはブラックホースの自爆に呆れ果て、閻魔大王に辞表を叩きつけていた。 おかげで、彼らダーク破壊部隊のアンドロイドの指揮が、地理不案内のグリーンマンティスに任されてしまったのである。 (オレたちロボットだから、柔軟な発想って苦手なんだよな…) でも仕方ない。 いまは皆でグリーンマンティスを盛り立てていくしかないのだ。 こんなときは……ふりっ!ふりふりふりっ! オシリをフリフリしたら、なんだか気分も明るくなってきた。 「さ、隊長、行こうか。」 オレンジアントがそう言った、まさにそのときだった。 あの「音」が響いてきたのは…。
どこどん!どこどん!どんどんどんどん! 腹に響く重低音が連続的に響いてきた。 「なんだ?この音は?」 グリーンマンティスが不審そうに洩らすと、オレンジアントが応えて叫んだ。 「これはっ!この音はまさか!キカイダー!!」 「あほっ!」っと突っ込むグリーンマンティス。 「キカイダーはギターだろが!太鼓は……01(キカイダー・ゼロワン)だったかな?」 「01なら太鼓じゃなくラッパよ!ラッパ!」と女言葉で叫んだのはバイオレットサザエだ。 「なに言ってんだ!ゼロワンは橋本真也が主催してたプロレス団体……。」 グリーンマンティス、オレンジアント、バイオレットサザエ、そして最期にゃなんとスカーレットドッグ!らが喧喧囂囂のバカ丸出し状態。 物影では、出のタイミングを逃した超獣シシゴランが困って膝を抱えていた。
449 :
怪獣みっけ! :2005/03/23(水) 17:04:28 ID:uYpFyIQf
物影で、出のタイミングを逸したシシゴランとカイマンダーが並んでしゃがんでいた。 「(ひそひそ)なあカイマンダー、あいつらなんだかバカっぽいから、放置プレイでよかないか?」 太鼓を叩きながらカイマンダーは答えた。 「(ひそひそ)…いまさら変更はできないぞシシゴラン。オレたちゃ刺客組みの仕事に邪魔が入らないようにするのが任務なんだから…。」 「(ひそひそ)そんなこと言ったってよ……。」 そのとき、カイマンダーの後ろからデッカイ声があがった。 「怪獣見いぃぃっけ!」
「怪獣見いぃぃっけ!」 「おわわわっっと!ビックリしたぁ!!」 慌ててカイマンダーが振り返ると、足元でブラックハリモグラの子供がこっちを指さしている! 「あ、あのねボウヤ。おじさんはね、『超獣』!『ちょ う じゅ う』。怪獣じゃないの。」 「カイマンダー、なんならこの子のアタマも齧ってやる?」 カイマンダーとシシゴランは正月になるとアルバイトの獅子舞で『お子様』のいるご家庭を回り、お子様の無病息災を祈願してアタマを齧っていた。 「いや、シシゴラン。今日はアルバイトしてるわけじゃないから。」 「…あのさカイマンダー、獅子舞ってオレたちにとっちゃむしろ、アルバイトじゃなくて本職なんじゃねえか?」 「そう言やあそうだな……。」 ……などとシシゴランとカイマンダーがごちゃごちゃ言ってるうちに、気がついたらダークのアンドロイドがわさわさ集まってしまっていた。
「くたばんな!キングザイガー!」 ユニタングの口から幾百幾千の白い糸がアンギラスとキングザイガーめがけ吐き出された。 「しまった!先手を取られた!」 必殺のアンギラスボールを放つ間もなく、アンギラスとキングザイガーはユニタングの蜘蛛糸に絡めとられてしまっていた。 「アンギラスの旦那。安心していいよ。標的はそっちのザイガーだから。アンタまで殺したら宗家と戦争になりかねないしね。」 ユニタングが牙を剥き出し迫ってきた。 「怖がらなくってもいいのよ。痛いのは最初だけ。すぐ済むわ。お姉さんに任せな。」 「……オイラおばさんは嫌いだよー(泣)。」 ぶちっ!……どこかで何かが切れる音がした。 「…アタシだってアンタみたいなマイナー怪獣は嫌いだよっ!……思いっきり痛くして死なせたげるわ!」
452 :
萌えキャラ :2005/03/24(木) 17:16:08 ID:N9/nucnB
「デスコングキングか……。オレっち嫌いじゃねえんだよな。アイツのこと。」 東映系地獄では戦闘の火蓋が切られていたころ、GP会場の控室ではリザーブマッチ出場予定者、ガラキングがブロマイドを手にぶつぶつ言っていた。 ガラキングはブロマイドを、隣に立つ怪獣、アストロモンスに差し出した。 「なあタイラント。こいつ萌えキャラだと思わないか?」 ブロマイドに写っているのは、もちろんデスコングキングだ。 「…燃えキャラ?ああ、熱血ってことか?」 「違うよ!なんか…こう……、体の奥が…、なんていうかなぁ……。ムラムラッとこねえか?」 ガラキングの揺れる眼差しを前に、アストロモンスは憮然と答えた。 「全っ然、こねえよ。」 そのときアストロモンスは気がついた。 (そうか!デスコングキングの体型か!)
453 :
脱走王! :2005/03/24(木) 17:19:25 ID:N9/nucnB
アストロモンスは気づいた。
(デスコングキングは丸くなって放つデスコングボールが必殺ワザだ。体型もそれを前提にして上半身が丸っこくなってやがる!そこがタマ好き怪獣ガラキングを「萌え」させてるんだ。……こいつぁあ、ちっと厄介だぞ。)
デスコングキングさま、御真影
http://minicard.hp.infoseek.co.jp/yjanborg/yjanborg.htm ガラキングさまの御真影は発見できず(残念)
(肝心な対戦相手のことが大好きになってしまうとは、なんたる厄介。)
困ったアストロモンスは先輩怪獣のところに相談に行くことにしたのだった。
その相談の相手とは……。
「…なんだ?ムショ帰りの俺に何か用か?」
怪獣界の脱走王!宇宙怪獣ベムラーであった。
捕まっちゃあ脱走の繰り返しで、最期は地球まで逃げてきたあげくウルトラマンに倒された凶悪怪獣。 「脱走王」とも「脱出王」「怪獣界の引田天功(先代)」とも呼ばれるベムラーが、都合よくレッドキングの応援で大会に来場していたのだ。 若いころは「設定」でなくマジに脱獄歴もありウルトラマンに追われて地球まで逃げてきたりしたベムラーも最近では素行が改まり、いまでは自分の脱走経験を生かし脱北者支援などにも暗躍していた。 「……つまりはガラキングの丸い物ズキをなんとかして欲しいと、そういうわけだな?」 「はい。脱走王ベムラーさんなら何か良い知恵がおありじゃないかと…。」 「しかし厄介だな。丸いもん見たら即ってことはバンパイアに出て来るトッペイの弟みたいなもんだろ? キッカイくんなんかと出くわしたらどうなっちまうんだ?」 *手塚治虫の「バンパイア」主人公トッペイの弟は「丸い物見ると即オオカミに変身する。 *「キッカイくん」永井豪の同名マンガの主人公。股間の××が超巨大…。 「…??」 比較的若いアストロモンスにはベムラーの言っていることがサッパリ理解できなかった。
455 :
橋 :2005/03/25(金) 16:52:19 ID:RN6FWyXh
いのちゃんは大和川に架かる橋の袂に立っていた。 これを渡れば駅があって、GP会場まですぐだ。 でも、いのちゃんはそのごく普通の橋を渡ることが出来ないでいた。 (なんで前に行けないんだろう?これまでだって何度も渡ってるのに…。なんで足が動かないんだろう?) 理由は「恐怖」だった。 橋を渡ろうとすると、夢で見た怪物を思い出しそうになる。 そうするともういけない。 足が一歩も前に進まなくなってしまうのだった。
456 :
橋をわたる :2005/03/25(金) 16:54:08 ID:RN6FWyXh
この大和川に架かる橋を渡らなくても電車に乗ることは出来る。 でも、そうするには反対側に向かって随分歩かなければならない。 時間がかかるし、疲れるだろう。 そしてそれ以上に、いのちゃんは「男の子」だったのだ。 (ビクビクしてるなんてこんな橋ひとつ渡れないなんてどうかしてるぞ!こわくない!こわくなんかないっ!) いのちゃんは意を決すると橋の向こうへと歩き始めた。 ……渡り始めさえすれば怖くなくなる。 いのちゃんはそう思っていた。 ところが、それは間違っていたのだ。
457 :
夢の河原に :2005/03/25(金) 16:55:12 ID:RN6FWyXh
春先にしては暖かい日だった。 行交う人々は、みんな暖かさを楽しんでいる……いのちゃんを除いては。 (なんでだろう?背中がゾクゾクする。) 両腕で自分の体を抱えるかっこうになったとき、いのちゃんはあることに気がついた。 腕じゅうに鳥肌がたっているのだ。 思わずあたりを見回したが、寒そうにしている人など他には誰もいない。 それどころか、中には上着を着ていない人だっていた。 (なにか変だ!?) そう思った途端、いのちゃんの足は今度は一人でに走り出していた。 一秒でも早くこの橋を渡ってしまいたかったからだ。 足で力一杯コンクリートの面をけり走る! だが、その足に伝わっていた衝撃が、突然フッと無くなった!? 「ここは!?!?」 気がつくと、いのちゃんは夢でみた大和川の河原に立っていた。
458 :
メットン :2005/03/25(金) 16:56:15 ID:RN6FWyXh
(夢の川!) ただ大きく違っているのは、川が既にカビのようなダンダラ模様に染め上げられていることだ! (ヤツはすぐ来るっ!) いのちゃんは迷うことなく走り出した。 あの中州に向かって。 「力ある人」に向かって。 ざざああああああっ! 背後の川から激しく波立つ音とともに激し生臭い風が押し寄せる。 そして、びちゃびちゃという水音とズシンという振動が伝わってきた。 (来た!メットン!)
いのちゃんは走った。 前には希望。 後ろには死。 背後の怪物=メットンに追いつかれることは、すなわち「死」! 前の中洲には人影が立っている! (あそこまで辿り着けさえすれば…!) 心臓が口から飛び出しそうなほど、激しく胸の中で跳ね狂う。 だが12歳の年齢は、中高年にとっての不可能を可能に変える! いのちゃんは止ることなく、夢の中洲へと走りこんだ。 だが、しかし、中州で いのちゃんを待っていたのは、予想外の事実だった。
460 :
ある名前 :2005/03/25(金) 16:58:35 ID:RN6FWyXh
(ちがう!あのひとじゃない!) それは夢で見た「力ある人」ではなかった! 「力ある人」なら全身をローブですっぽり包み込んでいた。 だが、中州に立っていた人はローブなど纏わず、そのかわり黒い長マントを羽織り頭にシルクハット、握りの部分に宝石の嵌まったステッキを手にしているのだ。 (だめだ…!) 絶望した いのちゃんは夢と同じように中州の砂へと倒れこんでいった。 ところが!?マントを羽織った人物は弾かれたように飛び出すと 倒れるいのちゃんを抱きとめながら叫んだのだ。 「し、真吾!?」
大和川の橋はわたったことありません。いや実は結構遠いから歩いていかないです。 はしわたったら駅か・・・・間違ってはいないけど・・・・
>>461 まあまあ、私小説でないのだから穏便にお願いしますだべ。
「12歳」という要素を生かして「メットンの話」と結びつけようとやってることだべよ。
年配の人なら、「シルクハットにマントにステッキの人物」が誰かはバレバレだと思うべ。
彼が出てくるとお話全般の統一がとれて、「12歳」という年齢も生きるべえ。
あとはメットン倒したら「いのちゃん」にもマントつけてもらって空へGO!だべさ。
「年配の人ならバレバレ」と書いたべが…。 年配じゃない人もいるといかんから、ネタ元書いとくべ。 東映系最初の特撮番組は「悪魔くん」。 その主人公が小学生の「真吾少年」。ともに闘うは「シルクハットにマントにステッキ」のメフィスト(兄)。 最初に闘った相手が百目妖怪ガンマ。 ジャイアントロボも仮面ライダーも戦隊モノも、みんなここから始まったんだべよ。 すっごく、すっごく面白かったんだべ。 なかでも「ペロリゴン」「マネキン妖怪」「山彦妖怪」が大のお気に入りだったべ…。 真吾少年を演った金子光伸さんは亡くなられたそうだども、ここじゃ「いのちゃん」に悪魔といっしょに闘ってもらうべよ(←勝手なヤツ)。
464 :
オオカミさん :2005/03/28(月) 12:19:56 ID:oQR0RaZu
またもお話かわって……。 アストロモンスが空き控室でベムラーと話をしていると、怪獣用ドアの横にある等身大ドアが開いた気配がして、黒っぽい毛むくじゃらの姿がちらっとのぞき、アストロモンスに気づいてすぐ引っ込んだ。 ドアに向かってベムラーが声をかけた。 「いいよ。気にせんでも。コイツはオレの後輩怪獣だから。」 ……がちゃっ……。 ドアが再び開き、さっきの黒い毛むくじゃらが入ってきた。 「アストロモンス、オマエが見たこの彼のことは絶対喋るなよ。いいか?」 「わかりました。ベムラーさんがそう仰るなら、絶対他ではしゃべりません。…けど、この人どなたでしょう?」 「コイツはな。……」 ベムラーは黒い毛むくじゃらの人物を小さな手で起用に拾い上げた。 「…こいつは『ブーフーウーのオオカミさん』さ。何年か前に、オレが北朝鮮から助けてきたんだ。」
465 :
向こう側に… :2005/03/28(月) 12:21:12 ID:oQR0RaZu
「ブーフーウーのオオカミさん」…。 それはいまから40年近く前、某国営放送で放映されていた子供番組である。 3匹の子豚の兄弟…長男ブー(声・ドラエモン)、次男フー(声・パーマン)、末っ子ウー(声・黒柳徹子)と「オオカミさん」が主要なキャラクター。 ブーフーウーの声は全員今でも元気に活躍しているがオオカミさんは何処へ消えてしまったのか? それは、38度線の向こう。 「オオカミさん」は北朝鮮に「帰国」してしまったのだ。
466 :
凶悪怪獣 :2005/03/28(月) 12:22:48 ID:oQR0RaZu
「実は…何年か前、オレのとこにドラエモンとパーマンとユニセフ親善大使が来てな。 『外国で不遇な生活をおくってるオオカミさんを助けてください』って頼まれたのさ。」 「へーえ、ベムーラーさんホリエモンと知り合いだったんですか。」 アストロモンスの聞き違いに、ベムラーはまったく気づかなかった。 「パーマンとドラなら自分で助けに行けるだろうとも思ったが、正義の味方ってのはいろいろ制約が多いらしくてね。同じ時代を生きたもの同士、結局凶悪怪獣のオレが行ったってワケさ。」 アストロモンスはかなり驚いていた。 「なるほど。それ以来の脱走北者支援なんですね。」 「世間的には『オオカミさんは数年前北朝鮮で亡くなった』ってことになつてるから、絶対秘密だぞ。」
467 :
胸を張って… :2005/03/28(月) 12:23:56 ID:oQR0RaZu
結局ベムラーから、対デスコングキング用の妙案は聞かれなかった。 (妙案はなかったけど……でも、そんなこと、もうどうでもいいや。) 先輩怪獣は、テレビに出ないあいだも自身の超能力を生かして密かに活躍している。 そう考えたら、試合の勝ち負けなど小さなことに思えてきたのだ。 アストロモンスは来たときよりも心持ち胸を張って、ガラキング控室へと帰っていった。
「思いっきり苦しませてから殺したげるよ!」 キバを煌めかせながら糸に絡まれ動けないキングザイガーにゆっくり近寄るユニタング! 「くたばりな!」 蜘蛛超獣はザイガーに振り下ろさんと、三日月状に湾曲した一組のツメが生えた腕を振り上げた。 「待つだよっ!」 そのときユニタングの背後から大声がして、間髪いれず肉厚のムチ?が振り上げたユニタングの腕に絡みついた。 「東映の地獄で円谷モンに好き勝手させねえだよ!」 身動きできないアンギラスが叫んだ。 「ペロリゴン!そいつは超獣だ!なみの怪獣じゃ歯が立たない!!」 「東映系長老の一人として、それはできねえ相談だべ。それにオラ、怪獣じゃなくって妖怪だべ。」
スローモーな動きでペロリゴンはユニタングの前に立ち塞がった。
長大な舌がゆるゆるムチのように蠢いていたが……。
…びゅっ!
…ボトン!鈍い音をたてユニタングの腕が落ちた!?
それまでムチのように動いていたペロリゴンの舌が、一瞬目にも止らぬ速さで槍のように飛び出してユニタングの片腕を突き斬ったのだ!
「舌にはこういう使い方もあるべさっ!ランスフィルに習ったべよ」
*ランスフィルさま御真影、ちなみに右はアササボンサンなのでお間違えなく。
http://www.toei-anim.co.jp/tv/kitaro/104.html 舌を瞬間的に伸ばして(というより発射して?)、岩でも砕くという妖怪。白黒アニメのころから何度目かの登場。
しかし片腕を飛ばされてなおユニタングは、不敵な態度を崩さなかった。 「面白いワザだね。なんならもう一辺やって見せてくれないかい?ははは(笑)。」 「……ほんじゃリクエストにお答えして……。」 …ボトン 言葉を切ると同時に、ユニタングの残ったもう一方の腕が地面に落ちた。 「あっはっはっは(哄笑)。面白い面白い、それじゃ今度はアタシの首を落として見せてよ。」「強がりもホトホドにせんと死ぬぞ。」 びゅんっ! ………ボトン ユニタングの首はあっけなく胴体を離れ地面に転がっていた。
472 :
閃光走る! :2005/03/28(月) 17:13:18 ID:oQR0RaZu
「ほら、言わんこっちゃねえだよ。」 地べたに転がるユニタングの首を一瞥しペロリゴンはそう言うと、アンギラスとキングザイガーのところにヨタヨタ走ってきた。 糸の中からアンギラスが言った。 「おう、助けてくれるのは有難いが、この糸は力だけじで切るなぁ難しいぞ。」 「そんなの心配ないべさ。」 笑ってペロリゴンがひと舐めすると、あれほど丈夫だったユニタングの糸があっけなく溶け切れてしまった。 「さあコレでダイジョブだべ。皆で閻魔さまんトコ行って、ことの顛末報告する……。」 バリバリバリッ! その時、ペロリゴンの背中めがけ閃光が走った!
ばぁぁーーーーーん! 大爆発とともに倒れるペロリゴン。その煙の中から現れたのは……。 「あっはっはっは(笑)。たわいもないねぇ。」 くのいち超獣ユニタングの哄笑があたりにこだました。 「きさまユニタング!?バラバラにされたんじゃなかったのか!」 歯を剥いて叫ぶアンギラスに、ユニタングは余裕たっぷりで答えた。 「アタシはウルトラギロチンを喰らっても再結合できるようになってんだよ。知らないの?いやだねえ、これだから時代遅れの怪獣は……。」 「ちくしょう。だまし討ち仕掛けやがって…。おい、ザイガー!ここはこのお兄さんに任せて、テメエは逃げろ!」 「でも、おじちゃんは?」 「お兄さんなら大丈夫だ!気にしないで行けっ!」 「……ありがと、おじちゃん!」 トウトウアンギラスのことを「おにいさん」と呼んでくれないまま、キングザイガーは逃げていった。 「さあこれでいい……。いくぞケバ姉ちゃん!」
東映系の地獄では、K地区に進撃してきた東映系悪者たちの軍団と「夏と冬の怪奇シリーズ」超獣たちが同時に数箇所で交戦状態に入っていた。 「地獄大使!」 報告しに走ってきたアポロガイストを地獄大使は一喝した。 「バカめ!戦隊として活動しているときは、『アカ』と呼べといってあろうが!」 「…それでは『アカ』!超獣カウラが出現しました。」 ……ビルディングみたいな怪物が動いてるんだから、いちいち報告されんでもすぐわかる。 「よし!これより地上攻撃にうつる!」 「あの地獄…じゃなかった『アカ』。地上攻撃にうつるって言っても、我々は最初から地上に…。」 「ええい!うるさい骸骨丸!ワシの言うことが聞けんのか!?」 …東映系は体育会的なので先輩の言うことは絶対だ。 骸骨丸はすぐに黙った。 「それでは改めて……では諸君!これより、地上攻撃にうつる!」 「判りました!でややややぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」 なんと!剣聖ビルケニアは勇敢にも剣を抜き放つと、超獣カウラめがけ抜刀突撃を敢行した! 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」 そしてっ!!! どんっ! ……ぷちっ。 「あ…、踏まれた。」
475 :
超獣対怪人 :2005/03/29(火) 15:17:17 ID:4SVRVJJx
「ガイスト・ダブル・カッター!」 アポロガイスト(仮面ライダーX)が超獣カウラめがけ、太陽を象った盾を投げつけた。 ぎゅるるるるるるっ! 唸りを上げて盾は飛び…………こん!……カウラのツノに当たって落ちた。 「地獄…じゃなかった『あか』!やっぱり我々等身大の怪人が巨大怪獣の相手をするのはムリでないかと?ビルケニアも踏まれちゃいましたし…。」 「弱音を吐くな!骸骨丸(変身忍者嵐)!MATやウルトラ警備隊に遅れをとりたいのか!?」 「命懸けでガンバリます!」 骸骨丸は渾身の力で手裏剣を投げまくった!……が、やっぱり刺さらない! どうする?地獄大使??
一方こちらはカイマンダー、シシゴランと遭遇した地獄防衛軍の面…。 どんどこどんどこどこどこどん! 「ボディーガン!」 ばばばばばぁああああん! イエロージャガーの全身から弾丸が撃ち出された! つづいてサソリブラウンがレーザー光線を放つ! カイマンダーの打ち鳴らす太鼓の音をBGMに、グリーンマンティス率いる地獄防衛軍は カイマンダー、シシゴランと交戦していた。 彼らダーク破壊部隊は、ロボット集団なので地獄大使たちよりはマシな戦闘を展開していたが、しかし、相手が超獣二匹とあっては苦戦は避けられない。 どこどんどこどん…… 「オレに触れたものは、みな爆死するのだぁ!」 太鼓の音が響き渡るなか、アカジライガマがシシゴランの足元に飛び出した!
477 :
太鼓を消せ! :2005/03/29(火) 15:21:59 ID:4SVRVJJx
「オレに触れたものは、みな爆死するのだぁ!」 太鼓の音が響き渡るなか、アカジライガマがシシゴランの足元に飛び出した! どおおおおおおん! 大爆発だ! ただし、アカジライガマが、である。 シシゴランはほぼ無傷であった。 どどどどどどどぉぉぉん! カイマンダーが暴れ太鼓を打つとシシゴランが俄かに凶暴になった。 「うおおおおおっ!」 ドカーン!ドカーン! あっというまにタコヤマブキ、アオデンキウナギが踏まれて爆発する! 「ど、どうする?オレンジアント?」 リーダーのグリーンマンティスがおろおろ尋ねた。 「グリーンマンティス!タイコだよ!タイコ叩いてるヤツが音でもう一匹に指示を出してるんだ!」 「そうか!なら……キリギリスグレイ!おまえのスピーカーの大音量で太鼓の音を消せ!」 「ぎぃーーす!了解だ、グリーンマンティス!」 キリギリスグレイの背中の翅が立ち上がった!
キリギリスグレイの翅が立ち上がった。 「準備オッケー!」 「ちょっと待て」とグリーンノンティス。 「ただデカイ音というだけじゃ消し切れんかもしれん。似たような太鼓のある音楽をぶつけたほうが効果大だろう。」 グリーンマンティスはどこからかラジカセを出してきた。 「このカセットにゃたしか太鼓のミュージックが録音されていたハズだ。こいつを増幅してやれ。」 マンティスは大きな鎌の先っちょで器用に再生ボタンを押し込んだ。 じじぃぃぃぃぃっ……… ………どんどんどん!♪ 「始まった!」
479 :
踊れ踊れ :2005/03/29(火) 17:05:03 ID:4SVRVJJx
超大音響で太鼓の音が鳴り響く! ………どんどんどん!♪ 「始まった!」 たかたった♪どどんこどん♪…ちゃらっちゃちゃーーーん……。 オレンジアント「あれ?太鼓以外も入ってるんですか?」 ひとっつひとより力持ちぃ♪ グリーンマンティス「あれ?」 ふたっつふるさと後にしてぇ〜♪ グリーンマンティス「なんじゃこれ?」 オレンジアント「これアニメの『いなかっぺ大将』じゃないですか!」 しかし、驚愕はそれだけではすまなかった。 なんと!シシゴランがつられたように踊りだしたのだ。
「あらさ♪ほ〜らさ♪」 「どうしたんだ?シシゴラン?」 突如踊りだしたシシゴランに困惑したカイマンダーが言葉をかけるが、シシゴランの耳には入らない。 ひたすら盆踊りのような踊りをつづけるシシゴラン! 忘れ去られた獅子舞が具現化した超獣シシゴランは、お囃子タイプの曲を聴くとつい踊りだしてしまうのだ! まるで「いなかっぺ大将」の風大左衛門(大ちゃん)みたいな超獣なのである! 打つ手の無かったダーク破壊部隊に反撃のチャンスが回ってきた! オレンジアント「…理由はともあれ、一匹はキリギリスグレイが釘付けにしました。我々は残りの『太鼓叩き』に攻撃を集中しましょう!」 グリーンマンティス「よ、よし、オマエの言う通りにしてよし。」 そこへ後方からカーマインスパイダーがカチャカチャ音をたてながら駆けて来た。 「援軍のデストロン怪人、タイホウバッファロー、ミサイルヤモリ、カメバズーカが到着しました。」 オレンジアント「3人の怪人に連絡してください。全火力を『太鼓を叩く超獣』に集中せよ!」
481 :
集中攻撃 :2005/03/30(水) 17:13:42 ID:OtwjjZ/e
「よろしくお願いします。」 用件だけつたえると、伝令のカブトガニエンジは前線に戻っていった。 「ズーーカァッ!石ノ森の兄弟のために戦うときが来た!ゆくぞ!」 カメバズーカが檄を飛ばすと、ミサイルヤモリ、タイホウバッファローも拳をほ 「おおっ!」「まかせろっ!」 レッドコンドルとギンガメが煩く飛び回りカイマンダーの注意をひきつけているあいだに、ミドリマンモスが密かに接近すると、カイマンダーの足元に冷凍液を噴射した。 同時に、ギンガメがパイナップル爆弾で爆撃。 それを合図に、デストロンの3怪人も含めた総火力がカイマンダーに集中した!
ちょうど同じころ……。 「縛りのワザ!見せてあげるよっ!」 ユニタングの口から糸のシャワーが噴出した。 「くたばれ蜘蛛おんな!」 それに対し、アンギラスも体をボールのように丸め、ユニタングに突進する! たちまちアンギラスボールは真っ白な糸に包まれたが…! がっしいいいいいいいいん! 自分に降りかかる糸などお構いなく、アンギラスはユニタングに体当りしていった! 針に削られ血飛沫上げながら吹っ飛んだユニタングは、体勢立て直すとアンギラスの動き止めんと更に糸を吐き出した。 ところがアンギラスの動き止らず、更にユニタングに体をブチかます! またも吹っ飛ぶユニタング! それでも糸を吐くユニタング……あ、いやそうではない! 高速回転するアンギラスボールが、糸巻きのようにユニタングの糸を巻き取っているのだ! ついにユニタングの口から最後の糸が巻き取ると、アンギラスボールは動きを停止、 同時に中から勝ち誇ったアンギラスの声がした! 「ははは、もうこれで自慢の糸は品切れみてえだな。」 「あのさ、アンギラス…ひとつ聞いていい?」 「おう、なんでも聞きな!」 「あんたアタシの糸で雪球みたいになってるけどさ、その状態から何かできるの?」 「………転がって体当りよ。」 「いま止っちゃってるけど、その雪球状態からもういっぺん転がりだせるの?」 「………あ゛!?」
「たしかに糸は品切れだけど、アタシにはこの額のツノからの光線もあるのよねぇ(笑)。」 「しまった!なんとかして転がらんと、よけることもできねえぞ!…うんしょ、うんしょ。」 嘲笑うユニタングに焦るアンギラス! しかし力んでみてもアンギラスボールは転がらない。 手足使って助走かけなくても、背中の筋肉全体を使い針を動かせば転がることも出来る。 しかしいまは自分で巻き取ったユニタングの糸で糸球状態とあっては、どうにも転がりようがない! 「怪獣人生最大のぴーーんち!」
ここまで来ちまったら…、アンタとゴジラ宗家がどうであろうと、アンタを殺るよ!死になっ!」 額のツノにエネルギーを集めるユニタング! 「はっしゃ……!?」 …びゅんっ! しかし光線の発射寸前、肉色のムチがユニタングの右腕に絡みついた。 「ちょい待つだよ。」 「その声はペロリゴン!」 そのとおり。 背後に立ってたのは、ついさっき光線をまともに受けて殺られたはずのペロリゴンだった。 「あんたアタシの光線で死んだんじゃなかったのかい!」 「不勉強なヤツだべ…。知らないだべか?『オバケは死な〜ない〜♪』って。オラたち東映系妖怪は東映地獄じゃ不死身だべさ。」 「そ、そんなの反則よ!」
485 :
決着… :2005/03/31(木) 17:16:52 ID:99xdW7TE
ペロリゴン対ユニタングに始まりアンギラス対ユニタングへと移り変わった対決は、いままた巡り巡ってペロリゴン対ユニタングへと回帰し決着を迎えようとしていた。 「あんたが不死身じゃ倒しようがないわね。アタシにゃあんたを倒せないし、あんたにもアタシを倒すワザが無い。けっきょくアイコ…………???あんた!なにが可笑しいの!?!」 なんとペロリゴンが笑っている! へらへらと笑っているのだ。 「さっきの戦いで使ったワザは他人の猿真似だべよ。オラのホントのワザは……。」 ……あたりに鼻を衝く異臭が漂い始めた。 臭いは丸くなったまんまのアンギラスの鼻にも届いたようだ。 「………こ、この臭いは?……ひょっとして………屁?……屁なのかペロリゴン? 屁なんだな!テメエのホントのワザってのは屁なんだなっ! うおおおっ!早く転がって逃げねえと臭いにおい、胸いっぱい嗅がされちまうぜいっ!!」 ……。 「……アホは放っとくべ。オラのホントのワザは……。」 そのとき、ペロリゴンの舌が絡み付いたユニタングの腕から、白い煙が湧き始めた。 ユニタングの顔が苦痛に歪み、ペロリゴンの顔には対照的な笑みが広がった。 「オラのホントのワザはこの『なんでも溶かすヨダレ』だべ。」 対照的に、ペロリゴンの顔には笑みが広がった。 「なんですって!」 ユニタングの顔色が変わった! …ペロリゴンの舌には、白濁したヨダレがダラダラと伝いはじめていた。
486 :
足音 :変身!0w05/04/01(金) 15:08:53 ID:8De1SRgp
「ぎゃああああああっ!」 絶叫とともに、なんの物音もしなくなった。 「ペロリゴン?…ペロリゴン?……どうなったんだ!??」 丸くなったまんまのアンギラスにとって、「音」はたったひとつの情報源だ。 それが…まるで聞こえない。 「おい!いったいどうなった……!!」 ズシッ……ズシッ……何かが歩いて来る足音がする!? ズシッ!…足音はアンギラスのすぐそばで立ち止まった。
487 :
逃げた本体 :変身!0w05/04/01(金) 15:11:52 ID:8De1SRgp
足音はアンギラスのそばで立ち止まった。 「……待ってるべ。すぐ糸とってやるべえよ。」 「ペロリゴンか!ユニタングはどうなったんだ?」 べしょっという舌なめずりする音とともに、アンギラスは体に巻きついた糸の拘束が弱まったのを感じた。 「ありがとよペロリゴン。ちょっと退いててくんねえか?…………よいしょっと!」 背筋に力を入れると、アンギラスはたちまち自由になれた。 「ユニタングのヤツはどこに………あっ!あれは!?」 見回すとすこし離れた場所に、ぐずぐず解け崩れていく「おおむね人型」の物体がころがっている。 「……あれがユニタングだべ。」 「殺ったのか?」 「いんや、オデコんとこにツノが無えべ?溶かされる寸前に飛んでっただよ。たぶんあれが本体だべ……。ときにザイガーは何処にいるだべか??」
488 :
未知の反応 :変身!0w05/04/01(金) 15:13:05 ID:8De1SRgp
「大王さま。ダーク破壊部隊とデストロン怪人の連合軍は超獣シシゴランの足止めに成功!現在カイマンダーに攻撃を集中しています。」 「ペロリゴンさまから連絡です。K地区に出現した超獣ユニタングはペロリゴンさまが自ら殲滅されたとのことです。それからキングザイガーという怪獣の捜索願いが出されました。」 「わかった。手の空いている者は捜索活動に入れ。」大王は直ちに下命した。 「超獣カウラに追い込まれていた地獄大使の隊には、雪女さまと化けグモさまが助っ人参戦されました。」 閻魔大王のもとには、次々吉報がもたらされていた。 情勢は明らかに東映勢が押している。 「地獄では不死身の妖怪たちが出陣すれば、この地獄に敵はいない。戦士した怪人やロボットもすぐ復活する。さすがの超獣軍団も、いささか場所が悪かったようだな。」 そのときオペレーターの赤戦闘員から閻魔大王に新たな報告がとんだ! 「大王さま!Z地区にペロリゴンさまから報告のあった宇宙怪獣キングザイガー発見。 ……あ……それから……。」 「ん?」閻魔大王の額に縦ジワがよった。 「『それから』どうしたのだ!途中で止めんとサッサと報告せんか!」 「はい!キングザイガーの近くに未知のエネルギー反応が観測されました。」
489 :
本当の刺客 :変身!0w05/04/01(金) 15:14:23 ID:8De1SRgp
「ザイガーだけ逃がしたなんてムチャだべ!」 「でも、でもよ、ホントにユニタングは囮だったのか?!」 戦いの顛末を聞いたペロリゴンは直ちに断言したのだ。 ユニタングは刺客ではなく囮なのだと! 真の刺客なら、アンギラスなど放っておいて、逃げたザイガーを追うはずだ。 にも関わらずザイガーを追わずにアンギラスとの対決を続けたのは、実はユニタングによってアンギラスが足止めされていたということなのだと! 「ちょ、ちょっと待つだ…閻魔大王のトコからテレパシー連絡が入っただよ。 …………へえへえ……そうだべか…………お?そりゃ大変だべ! ザイガーの居場所がわかったべさ。そんでもってやっぱり刺客が迫ってるだよ!急ぐだアンギラス!」
490 :
鬼女 :変身!0w05/04/01(金) 17:08:42 ID:8De1SRgp
「えっしょ、えっしょ……ふう…ここまで逃げたらもう安心。」 ミラーマン怪獣最強とも言われるワリには何故か気弱なキングザイガー。 彼はユニタングの手を逃れ、血の池地獄そばまでスタコラ逃げてきていた。 見渡す限り誰もいない。 血の池地獄で溺れている亡者たちと彼らを金棒でどついている鬼たちを除いては…。 鬼も亡者も走ってきたキングザイガーの姿を見て、血の池の反対側に大慌てで逃げていった……。 あ?いやちがう。一人だけ鬼が残っている。 ただし、トラの毛皮のパンツを履いた鬼ではない。 長い黒髪にキモノを纏った女の鬼、鬼女だ。 鬼女が血の池の表に、浮かぶように立っている。 「………まっておったぞよ。キングザイガー。」 その言葉と同時に、鬼女の周りに朧な光の点が、ひとつ、またひとつと漂い現れた。 そして次の瞬間、鬼女の姿が虹色に揺らめく影へと変化した!
491 :
血の池 :変身!0w05/04/01(金) 17:10:35 ID:8De1SRgp
「ぎいいいい、ここへはもう誰も来ない。キングザイガー!ここがオマエの墓場だ!」 超獣ホタルンガが姿を現した。 「死ね!」 ホタルンガの口から対A戦でも使われた溶解液が噴射された。 じゅうっ! 溶解液がかかると白煙をあげザイガーの体皮を焼き溶かす。 「さすが宇宙怪獣だな。オレの溶解液でも体表が解けるだけとは…。ならばコレはどうだ?」 ホタルンガの発光器が光を放つと、高圧電流がキングザイガーを襲った。 バリバリバリッ! ザイガーの体の表をいくつもの稲妻が走る! だがしかし、この攻撃にもキングザイガーは耐えきった! 「オイラの体はミラーナイフだって効かねえんだ。こんなんで殺られるか!」 「……く、くそう!」 ホタルンガは焦ったように後退した。 「逃がさねえど!」 後じさりするホタルンガを追って、キングザイガーは血の池にザバザバ踏み込んでいった。
492 :
三超獣の罠 :変身!0w05/04/01(金) 17:12:08 ID:8De1SRgp
「逃げるなホタル!」 そのとき、キングザイガーは不自然な光景を捉えた。 (ホタルンガの目が笑ってる?!) ワナだ!と気づいたその瞬間、血の池の両側から猛吹雪が押し寄せてきた。 「フブギララ!」「アイスロン!」 二匹の冷凍超獣は中に踏み込んでいたキングザイガーごと血の池を氷漬けにしてしまったのだ! 「…ちなみにオレはホタルなんで水に触れてないから凍ってないぜ。」 それまで後退していたホタルンガが、一転前に進み出た。 「足が氷漬けでは動けまい!」アイスロンも踏み出した。 「それから、オマエの触手の射程は計算済みだ。アレたちは射程内には消して踏み込まない。」とフブギララ。 「…フブギララ!アイスロン!オレにエネルギーを貸せ。オレたち三匹のエネルギーで電流と電圧を極大まで上げ、コイツを始末する!」
493 :
急げアンギラス :変身!0w05/04/01(金) 17:13:10 ID:8De1SRgp
「ザイガー!どこでいっ!」 「キングザイガー!」 大声で名を呼びながら、アンギラスとペロリゴンは走った。 しかし、血の池まではまだ距離があり、三超獣によるキングザイガーの処刑には到底間に合いそうもなかった。
494 :
ガンマ動く :変身!0w05/04/01(金) 17:14:23 ID:8De1SRgp
「血の池のほとりで、また未知のエネルギーが顕在化したぞ。」 荒れ寺では東映地獄の主、百目妖怪ガンマが低く呟いた。 「大王に連絡を……」 そう言って地獄電話に手を伸ばしかけた黒猫妖怪を制し、ガンマは大儀そうに立ち上がった。 「いや、こんどは儂自らがまいろう。」
495 :
処刑 :変身!0w05/04/01(金) 17:15:30 ID:8De1SRgp
「では……これで作戦終了だ。………死ね!キングザイガー!」 フブギラン、アイスロンのエネルギーを借り、ホタルンガの発光器が太陽よりも眩しく輝いた! そしてそこから放たれるのは、さきほどザイガーの体表を焼いたものよりゼロがいくつも多い、ホタルンガ自身すらただでは済まない超高圧電流! キングザイガーの命も最早これまで……。 …と、確かにそう思われたのだが。
496 :
Otuum :変身!0w05/04/01(金) 17:23:05 ID:8De1SRgp
ばり!ばり!ばり!ばりっ!!! 「な、なんだと?そんなバカな?!」 ホタルンガの放った致命の電撃はキングザイガーまで届かなかった。 ザイガーとホタルンガのあいだに突如現れた「怪しい人物」がローブに包まれた片手を上げてホタルンガが放った電撃を受け止めたのだ。 電撃が止んだ。 呆然とする三超獣。 「……超獣などというから何ほどのものかと思ったが……この程度か?」 全身をスッポリとローブに包んだ怪人は不快に粘つく声でホタルンガたちに言い、つづいて体は一切動かさぬまま、ただ「顔」があると思しき部分だけヌルリとザイガーに向けた。 「お迎えに参上いたしました。わたくしの名はOtuum。あなた様のお父上に使えるものにございます。」
497 :
宿命の御子 :変身!0w05/04/01(金) 17:24:44 ID:8De1SRgp
「お、オイラの父さん?」 「左様でございます。あなた様は、お父上のため封印を解き、お父上をこの世界に招き入れる定めを負われた『宿命の御子』なのです。さあ、わたくしとともに『鍵の座』へと参りましょう。」 Otuumは、ローブに包まれた腕を差し出した。 「オラの父さん……。オラにも父さんがいるんだか!」 「左様にございます。それも限りなき栄光の光輝につつまれた大神さまにございます。」 「オラの父さん…。オラも一人ぼっちじゃない……。」 催眠状態にでもあるように、キングザイガーはぼんやりした表情で手を伸ばしOtuumの差し出した手をとった。 怪しい、水のように揺らめく闇がOtuumとザイガーを包んだ。 そして次の瞬間、謎の怪人Otuumとキングザイガーの姿は東映系地獄から完全に消え失せてしまっていた。
「…Otuum……たしかにそう乗ったのか?」 「フブギララたちの話だとそのようだ。」 例の古寺の境内で向かい合っているのは百目妖怪ガンマと超獣カウラであった。 ガンマが血の池地獄に転移したとき、Otuumとキングザイガーは姿を消した後だった。 フブギララとアイスロンはエネルギー切れ、ホタルンガに到っては限界を超える大技で体が自壊しかけている状態…。 侵入者である三匹の超獣めがけ殺到しようとした東映系怪人・ロボット・アンドロイドの軍団の前に、空間転移して立ち塞がったのがカウラであった。 いかにカウラといえども、地獄では不死身の妖怪たちに等身大悪役軍団まで相手にしては到底勝ち目は無い。 だが、戦闘不能の三超獣の盾となり一歩も退かぬ構えのカウラを、何故かガンマは自分の本拠である古寺に招いたのだった。
499 :
御子 :2005/04/04(月) 17:20:33 ID:pvECf0qK
戦争捕虜と思いきや、ガンマのカウラたちに対する態度は丁重なものだった。 ブスブス煙を上げるホタルンガの体は雪女によっていったん氷漬けにされ、なんとか一命を取り留めることもできた。 (どういう意図があるにしろ、助けられたのは事実だ。) そう考え、カウラは一切隠し事することなく、ガンマの問いに答えるつもりでいた。 「Otuumか……、とんでもないヤツが現れたものだ。」 百の目がてんでに虚空をさ迷った。 「ガンマ殿はそのOtuumという者を知っているのか?」 「Otuum…オトゥーム、北の深淵ゲル・ホーの支配者、別名『Cthulhuの騎士』。太平洋深く眠る大神に仕える神々の一柱じゃ。」 「神々の一人だと!?」 「そうじゃ。そしてそのオトゥームがキングザイガーとやらを『御子』と呼んだ…。 カウラは思わず実を乗り出した。 「それはいったい如何なる意味なのだ!?」 「キングザイガーこそ、実は『クトゥルーの落し子』。その神より受け継ぎし力を覚醒させ、大神の眠りを覚まさせるつもりに違いない!」
500 :
カウラの問い :2005/04/04(月) 17:23:43 ID:pvECf0qK
顕れた事件の全貌を前に、瞑想するかのように全ての目を閉ざすガンマ。 しかし、その瞑想を破るように、こんどは超獣カウラがガンマに言葉を投げかけた。 「ガンマどの。オレはオヌシの問いにこうして全て包み隠さず答えた。ならば、一つだけ、オレからの問いに答えてはくれまいか?」 静かに目を開くガンマ……。 「……よかろう。なんなりと尋ねられよ。」 「では、お尋ねいたす……。何ゆえ、我らを殺さずこの場へとお招きくだされた?侵入者であり、破壊者である我らを?」
501 :
妖怪の道議 :2005/04/04(月) 17:25:24 ID:pvECf0qK
「何ゆえ、我らをこの場へとお招きくだされた?」 問われたガンマの全ての目が、カウラに降り注ぐ。 やがてガンマは一語一語を区切りながら、カウラの問いに答えを返した。。 「…我らは妖怪…。妖怪とは、『たぐいまれな勇気や豪胆さ、強い信念』の前には道を譲るもの…。それが、闇に住まう者の道義というものじゃ。傷ついた仲間を守るため、体を張るオマエの眼光に、ワシは今は無き古武士の面影を見た…。故に、退くことにしたのじゃ。」 「……。」 カウラの顔に二つの感情が走った。 一つは「驚き」そしてもう一つは………「感銘」。 無言でガンマの百の目を睨み返すカウラ…、やがて…。 ズンッ! 地響きを立て両手を大地に下ろすと、カウラはツノが大地につくところまでアタマを下げた。 百の目を閉じると、同じくアタマを下げるガンマ。 その光景は、あたかも「名僧智識」と「いくさ人」の邂逅のようだった。
「…いよいよだな…………ガラキング!聞いてるのか?!」 「あ???……ああ、聞いてるよ。東京も桜が咲いたみたいだな…。」 全然聞いてない。 ところは変わって、ここはGP会場のガラキング控室。 …タイラントが何も言わないでいると、ガラキングはまたデスコングキングのブロマイドに視線を戻した。 顔には「萌えキャラだなぁ」と書いてあった。
503 :
恥じない戦い :2005/04/05(火) 17:01:41 ID:NiNGg7s4
「ガラキングよ。勝ち負けは関係無い。ただ名に『キング』を冠する怪獣として、恥ずかしくない戦いをしろ。」 タイラントはそれまでの試合の数々を思い出した。 アバラが折れても戦いを捨てないレッドキング。 宇宙人と怪獣という関係を超えた師弟としての結びつきを見せたナックル星人とブラックキング。 敗れはしたが、あらゆる手を尽くし勝ちに行ったキングクラブ。 番外だが年齢を全く感じさせぬパワーと躍動感を見せレッドキングと渡り合ったキングコング。 そして戦いではないが、何故か人助けに暗躍する凶悪怪獣ベムラー。 (あの先輩たちに恥じない戦いをしろよ) 例のブロマイドを大事そうに持ち闘場へと向かうガラキングの背に、無言の言葉をなげかけるタイラントだった……。
504 :
必勝の作戦 :2005/04/05(火) 17:02:40 ID:NiNGg7s4
「いいですか?ガラキングを動いて動いて動き回らせなさい!ヤツの最大の弱点はスタミナだからです!」 「…りょう か い…。」 指揮官アンチゴーネの指示に答えるデスコングキング。 「ガラキングはストリウム光線にすら耐える怪獣です。だからオマエの火炎放射や爆弾も効果的とは考えられない。 しかし、その一方で3分間しか闘えないウルトラマンタロウより先にスタミナ切れしてしまいました。…ここまでの話、記録されましたか?」 パンダのようなデザインのデスコングキングだが、実はロボット怪獣である。 アンチゴーネの指示も記憶ではなく人工知能に記録されるのだ。
「……ガラキングのスタミナ切れの原因…。」 デスコングキングに向かいアカチゴーネは説き続けた。 「…それはガラキングが無類のタマ好き怪獣だからです。つまりタロウとの対決がバレーボールごっこになってしまい、とち狂い過ぎスタミナ配分がメチャメチャになった結果なのです。……理解できましたか?」 「りかい でき ました。」 「ですからアナタの作戦は簡単です。試合開始と同時にデスコングボールになりなさい。 そしてガラキングには心ゆくまでタマ遊びをしてもらうのです。そうすれば……。」 遮光土偶を連想させるアンチゴーネの目線が細くなった。 「……ガラキングは勝手にスタモナ切れで自滅するでしょう。」
そして……。 「萌えるガラキング」と「指示どおり勝ちにいくロボット怪獣デスコングキング」。 なんともアンバランスな対決が開始されようとしていた。 「みなさんお久しぶりです。わたくしアナウンサーの前スレ658。 そして解説者はキングコングに帯同して来日されたこの方…。」 隣席のグラサンに皮ジャンの大男が軽くアタマを下げた。 「解説のT100です。」 「……というわけで、今回の解説者は、カリフォルニア州知事のターミネーターさんです。」 T100に、いちいち訂正する気は無いらしかった。
507 :
対策 :2005/04/05(火) 23:17:01 ID:qu1luXsb
キングサウルスV世対策 1、ジャンプして上から光線攻撃→上にバリヤーを張られたら? 2、バリヤー張られる前に攻撃→間に合うかどうか不安 3、力ずくでバリヤー突破→無理っぽい(全力振り絞れば可能?) 4、地底から攻撃→そんな能力無い 5、空間転移して不意打ち→いくら何でもそれは・・・・・・ 「うーん・・・・・・」 「なにやってんだ、ジャンボキング?」 控え室を訪れたブロッケンは変な光景を目にした。 ジャンボキングがハンザギランの周囲をぐるぐる回っていたのだ。 「いや、次の試合の練習・・・・・・」 「練習になってんのか?」 「・・・・・・あんまり」 「膠着戦だけは勘弁してくれよ、おい」
508 :
誤植です :2005/04/06(水) 03:42:25 ID:RheUBWsK
キングサウルスV世→キングザウルスV世 でした。
509 :
バレーボール :2005/04/06(水) 15:16:00 ID:0mQIidWO
ガラキングとデスコングキング…。 両雄がついに同じ闘場に立つときがやって来た! 「えーっと…ガラキングのワザはといいますと…。」 放送席の661アナはポケットからメモを取り出した。 「…ボクのメモによりますと、まずは『木の葉落し』、それから『ボルチンスカヤ殺人スパイク』ってあれれ?……。」 メモを間違って立ち往生する661アナに、解説者のターミネーターが無表情のまま助け舟をだした。 「……オマエ それ 間違いだ。ワタシの 電子頭脳によると それは『アタックNo1』に出て来るワザの名前。」 「州知事!あなたの電子頭脳にはサラ・コナーの住所や顔写真は記録ないのに、日本の少女アニメは記録されてるんですか?」 661の突っ込みにも、ターミネーターは無表情のまま応えた。 「プログラマーの 趣味だ。」
510 :
試合開始! :2005/04/06(水) 15:17:41 ID:0mQIidWO
かあーーん! ゴングと同時にデスコングキングはアンチゴーネの指示通り丸くなってデスコングボールに形を変えた。 (ま!まんまるるぅぅ……!) とたんにガラキングの目もまん丸になり、足が止った。 リングサイドに陣取ったアンチゴーネから更に指示が飛ぶ! 「よし!いいですよデスコングキング!そのままヤツを焦らすように転がって見せるのです!」 …ころっ……ころころころっ…。 デスコングボールが思わせぶりたっぷりに転がりだした。 ガラキングの目線もデスコングボールの動きを追うが、それは既に闘志を感じさせるものではない! (ちっ、ちくしょう!あの媚びるような転がり方!まるでサラ金のコマーシャルに出て来るチワワじゃねえか!汚ねえ闘い方しやがる!) 歯噛みして悔しがるタイラントだが、闘う権利があるのはガラキングであって彼ではない。いま彼にできるのは、ガラキングに声でアドバイスするだけなのだ
511 :
誘惑 :2005/04/06(水) 17:03:10 ID:0mQIidWO
「誘惑に負けるな!ガラキング!心を強く持つんだ!」 タイラントは叫んだ! しかし、ガラキングの心は着実にデスコングボールの魅惑の虜となり始めていた。 「おや?試合開始と同時にデスコングキングがボールになると、ガラキングも動かなくなってしまいましたね?州知事、これはどうしたんでしょうか?」 「丸いもの好きの ガラキングにとって、 デスコングキングのボールは 耐え難い魅惑を放っているのだ。」 「それでガラキングが動けないでいると…。」 「まだ 闘う意思があるので 動けないでいるが、誘惑に抗しきれず ボールの傍まで近寄ってしまったら、もうガラキングの負けだ。」 「相手の戦意を削ぐわけですね。でも州知事!怪獣どうしの戦いでそれは卑怯な手なのでは?」 「デスコングキングは ロボット 怪獣だ。ロボットに卑怯の概念は ない。指示されたとおり 戦うだけだ。」 「…ってことは。」661アナはリングサイドで指示を出すアンチゴーネを指さした。 「…卑怯なのは、あそこで騒いでるヤツってことですね。」 そう言っているまに、動きの無かった試合に転機が訪れた。 一歩二歩…ガラキングがデスコングボールに向かって歩きだしたのだ。
ころりん♪……ころころりん♪……ころころころりん♪ころころりん♪ (まんまるだぁ。ホントにホントにまんまるだぁ…) 「行くな!ガラキング!」 しかし、喉も避けよと振り絞られたタイラントの絶叫すら、いまのガラキングの耳には入らなくなっていた。 ころりん♪… (まんまるだぁ…) ころころりん♪ (まん まん まん まん まんまるだぁ…) 「ガラキング!ダメだ!!」 (まんまるだぁあ!) そしてついに! ガラキングがデスコングボールに手を触れた!
513 :
サインはV :2005/04/06(水) 17:06:15 ID:0mQIidWO
ガラキングがデスコングボールに触れた瞬間、会場内にとあるテレビ番組のテーマ曲が流れた! ぶいっ♪あいっ♪しいっ♪てぃい♪おー♪あーる♪わい♪(VICTORY) サインっはぶいっ♪ 「この曲は『サインはV』!?いったい誰が?」 「おそらく ヤツラの仕業だろう。」 ターミネーターはリングサイドでニヤつくアンチゴーネを指さした。 「明らかに 駄目押し狙いだ。」 デスコングボールがひとりでにガラキングの胸の辺りまで跳ね上がった。 思わずレシーブするガラキング! レシーブ!トス!そしてアタック! 闘場にあたって弾んだデスコングボールは、物理法則を一切無視してまたガラキングの方に戻ってきた! アンチゴーネの笑みが「ニヤニヤ笑い」から「快哉の笑み」に変わる。 (ほっほっほ、ガラキングの一人勝負が始まりました。 しかし、勝負するのはガラキング一匹でも、勝つのはデスコングキングでございます。(笑))
「レシーブ!トス!アタック!」 デスコングボール相手のガラキングの一人相撲が始まった! 「必殺!木の葉落し!」 デスコングボールが不自然な軌道を描いて落ちた。 「いまのは伝説のワザ『木の葉落し』!ひょっとして鮎原こずえ直伝でしょうかね州知事?」 「鮎原こずえというのは、こんど上戸なんとかがテレビでやるヤツのことか?」 「そうですよ。アイドル情報お詳しいですね、州知事。やっぱりプログラマーの趣味ですか?」 「……もちろんだ。」
「木の葉落し」の次は「シェレーニナ十字トス」からの「ボルチンスカヤ殺人スパイク」! ばっしぃいいいいいん!!! デスコングボールが床に弾むと闘場全体に衝撃が走った! こんなワザが出ていたら、ガラキングはテレビでもウルトラマンタロウに勝てたろう。 しかし過激な大ワザの連発は、ガラキングのスタミナを、まるでグラインダーに当てたチョークのように削り落としていた。 「はあ、はあ、はあ……アタック!」 いつしかガラキングは、大きく肩で息をしていた。 「間もなく、間もなくです。間もなくガラキングはスタミナ切れで立つことすらできなくなります。ほっほっほ。」 なにもかもがグロース星人アンチゴーネの思うとおりに進んでいた。 …… そう、このときまでは…。
516 :
溢れる想い :2005/04/07(木) 17:08:19 ID:JX0PHyz7
デスコングボールがこっちに向かって飛んでくる! 「(まんまる大好きっ!)レシーブっ!」 跳ね上がるデスコングボール。 「(まんまる大好きっ!デスコングボールも大好きっ!!)トスっ!」 ホールディングにならないように、でもとても優しくデスコングボールを真上に弾く。 デスコングボールは一瞬ガラキングから遠ざかり、そして再びガラキングに向かい落ちてくる。 (帰ってくる!オレめがけて帰ってくる!) そう思ったとき、ガラキングの胸の内は「まんまるなもの」への愛でいっぱいになってしまった。 それでも愛は、後からどんどん湧いてくる。 ……こうなったら、愛が溢れ出すのは必然だったろう。 「好きだっ!デスコングキングっ!」 自分でも知らぬうちに、ガラキングは心の内を口に出してしまっていた。
517 :
限界 :2005/04/07(木) 17:10:33 ID:JX0PHyz7
「好きだっ!」「大好きだよっ!」「大好きだよっ!」「まんまる大好きっ!」 そう言いながら、なんどもデスコングボールと戯れるガラキング。 もちろん人間の観客には聞こえないが、怪獣たちはみな目が点になっていた。 「大好きだアッ!」 そう叫びながら渾身のスパイクを決めるガラキング! しかし、そのときガラキングのスタミナは限りなくゼロに近くなっていた。 (あっ………) スパイクした直後、バランスを崩したガラキングはそのまま倒れこんでしまった。 「あれ…?た、立てないよ……。」
518 :
乱入 :2005/04/07(木) 17:11:53 ID:JX0PHyz7
「よし、いまですデスコングキング!スタミナ切れのガラキングを、ギタギタにたたんでしまいなさい!」 アンチゴーネの指示を受け、デスコングキングはボールであることを止めて立ち上がった。 闘場にパンダ怪獣が再び姿を現した。 (デスコングキング……やっぱりキミって、萌えキャラだね……) スタミナ切れで霞むガラキングの眼に、ゆっくり近寄るデスコングキングの姿が映った。 (……いいよ……オレを殺しても……キミになら……。) 静かな覚悟を決めるガラキング。 しかし、デスコングキングに萌えていたのは、ガラキングだけではなかったのだ! 「う、うぉ、うおおおおっ!パンダはみんなワタシのものだー!」 上気した奇声を上げ、闘場にスチール星人が飛び込んで来たのだ!
519 :
スチール星人 :2005/04/08(金) 17:07:49 ID:hnkPyiji
「パンダはみんなオレのものだぁあああ…。」 裏返ったような奇声を上げ、黒マントをまとったスチール星人が闘場に乱入した! 「なんだあの野郎は?658アナ?」州知事ことターミネーターは驚き尋ねた。 「あれはスチール星人。パンダが何より好きの宇宙人です。」 「ほおぅっ!」 奇声を上げスチール星人はマントを広げた。 「なんだアイツ!マントの下は裸にレザーの黒パンツか!?あれではまるで露出…。」絶句するターミネーター。 「……裸に黒パンツって………ああ、そういうふうに見えなくもないですね(大笑)。でもアレはああいう宇宙人なんです。」658アナのコメントに引き攣った笑いが混じる。 「つまり変態宇宙人だな!」 「だからそうじゃなくって……。」
520 :
変態? :2005/04/08(金) 17:09:35 ID:hnkPyiji
…しかし、州知事ことターミネーターの「変態宇宙人」という発言はあるいは当っていたのかもしれなかった。 「ああ………ボクのパンダちゃあああん♪」 スチール星人は、嬌声を上げデスコングキングに襲いかかったのだ!
521 :
本格的な… :2005/04/08(金) 17:11:44 ID:hnkPyiji
「パンダちゃあああああん♪」 嬌声を上げ襲いかかった……というより抱きつこうとしたスチール星人にデスコングキングは反撃を開始した。しかし…。 「…まずいな。」とターミネーター。 「??なにがまずいんでしょうか州知事?」 「デスコングキングはロボットだ。だから対ガラキング用の戦闘プログラムはもっていても、あの変態野郎用の戦闘プログラムはもっていまい。つまり『一般』戦闘用プログラムだけで、『変態』と闘わねばならないのだ。」 「そ!それでは!?」 デスコングキングの重そうなパンチが次々スチール星人に炸裂する。 ところがスチール星人は、それを避けるどころか自分から当りにいっているのだ! 「ああ、パンダちゃんのパンチがオレに♪」 …… (こいつぁあ、…本格的な変態かもしれん。)658アナは心の中で洩らしていた。
522 :
怒るひと、アタマを抱えるひと :2005/04/08(金) 17:13:11 ID:hnkPyiji
パンチに自分からあたりに行きながら、デスコングキングに抱きつこうと窺っていたスチール星人は、一瞬のチャンスを捉え目的を達成した。 「パンダちゃああああん♪」 デスコングキングにむしゃぶりつくと、相手の顔に自分の顔を近寄せるスチール星人! 「けしからん!あいつデスコングキングの唇を奪う気だぞ!」州知事が放送席で立ち上がった。 そのころ… ヤプール基地では、参謀格のアクエリウスと刺客筆頭のガマスが試合中継を見て頭を抱えていた。 「なんてことだ……オレたち超獣の名折れだぞ。なんであんな変態を放置したんだ?」とアクエリウス。 「……変態だから放置したんじゃないか。」ガマスも渋柿を口いっぱい頬張ったような顔だ。 「ガマス、おまえちょっと行ってアイツの首を刎ねてきてくれ。」 「断る。係わり合いになりたくない。」
523 :
子供が見るもんじゃ :2005/04/08(金) 17:14:24 ID:hnkPyiji
またまた一方…。 こちらは初登場の怪獣用ホテルの一室。 前GPのカメリーグ優勝者のキングトータス一家はまだ東京見物を楽しんでいた。 今日は同じタロウ怪獣のよしみで「デスコングキング対ガラキング」の試合をテレビ観戦していたのだが……。 ぷちっ! スチール星人がデスコングキングに抱きついたところでクイーントータスはテレビを消した。 「あっ!かあちゃん、なんでテレビ消すんだよ!まだ試合終わってないのに!」ミニトータスが不満げに抗議した。 「ダメです。子供が見るもんじゃありません!それよりアナタは早く寝なさい!」 「寝ろなんて言ったって、まだ7時半だよ!」 「そんなの関係ありません!」 「……ねえ、とうちゃん!なんか言ってよ!」 「……とうちゃんちょっとタバコ買いに行ってくる。」それだけ言って、キングトータスは部屋から逃げるように出ていってしまった。
524 :
闘え!ガラキング!! :2005/04/08(金) 17:16:03 ID:hnkPyiji
「パンダ好きとはこう言う意味だったのか!?スチール星人、いまデスコングキングの唇をスチール、つまり盗もうと猛烈なスパートをかけています!」あまりにトンデモな展開だが、658アナは職業意識だけで実況を続けていた。 「パ、パ、パ、パンダちゃああああああん♪」 スチール星人の狙いは、あくまで唇一本だ! まず自分の両足をデスコングキングの両足に絡め動きを封じる。 そして次にデスコングキングの左手……つづいて右手を捕まえ、自分の肘をデスコングキングの顎の下に捻じ込んで、首の動きも抑え込んだ! もう、ターゲットとの間に障害物はなにも無い! 「パン、パン、パンダちゃああああん♪」 スチール星人の顔がゆっくり下がっていく! 「止めろこのド変態!」 ガッシィイイイイイイイイイイイン!!! そのとき、怒号とともに激しいキックが、スチール星人のガラ空きの脇腹に叩き込まれた。 658アナが叫んだ! 「おおっと!ガラキングだ!スタミナを回復したガラキングが、スチール星人の欲望……じゃなかった、野望に待ったをかけたっ!」 闘え!ガラキング!!
525 :
おわび :2005/04/11(月) 07:43:15 ID:fO8SYCl7
スチール星人ファンのみなさん、ごめんなさい。 みなさんの愛するスチール星人を変態にしてしまいました。 あ、いえ、この駄文用に無理やり作ったんじゃなくて、前から思ってたもんで…つい。
526 :
昼メロ :2005/04/11(月) 15:10:27 ID:fO8SYCl7
「デスコングキングから離れやがれ!」 目をくわっと見開きスチール星人を睨みつけるガラキング。 「いよっ!色男!」観客の怪獣から掛け声が飛んだ。 怪獣の観客はドッとうけたが、もちろん人間の観客にはサッパリわからない。 「きえぇっ!邪魔をするな!」 スチール星人も素早く立ち上がり睨み返した。 「なんだか愛憎渦巻く戦いとなってまいりました、このリザーブマッチ。どうですか州知事?この展開は?」 「まるで昼メロみたいだな。」 「まさにそのとおりです。私658もこの年になって、まさか怪獣による昼メロが見られるとは思ってもみませんでした。」
あまりの展開に呆気にとられる放送席などお構いなしに、スチール星人とガラキングは到って真剣に戦っていた。 ピカッ! スチール星人が怪光線を放った! 「ガラクキングはストリウム光線にも絶えた怪獣です。スチール星人の光線なんか……。」 ところが、ガラキングはガックリ膝を突いたのだ。 「これはいったい?」 驚く658アナに解説の州知事ことターミネーターが説明した。 「658アナよ。ガラキングのスタミナは未だ回復していないのだ。だから、普段は凌げる攻撃も今は凌げない。」
528 :
閃光魔術 :2005/04/11(月) 15:13:44 ID:fO8SYCl7
スチール星人は片膝立ちで踏ん張るガラキングにすっと近寄ると、相手の立てた方の膝に駆け上がりざま、ガラキングの側頭部に膝蹴りを叩き込んだ! がぁあんんっ! ダルマ落しで叩き出された台のように、ガラキングはよこざまに吹っ飛んだ。 「ガラキングこれまでか?」658アナだけでなく、観客の誰もがそう思った。 スチール星人も勝利を確信したか、ボロ雑巾のようになって足元に転がるガラキングに背を向けるとデスコングキングに向き直った。 ところが、そのスチール星人の足首にガッキと指がかかった。 「デスコング……に手をだすな。」 口からドクドク血を流しながら、ガラキングが顔を上げた。
「ちっ!他人(ひと)の恋路を邪魔するヤツは……。」 スチール星人は足首をかえして踵を掴んだ手を邪険に振り解き…、 「……犬に食われて死んじまえっ」 そのまま踵をガラキングの顔面に叩き込んだ。 ぼくっ! 鈍い音がしてガラキングの顔から更にいっそう血が流れ出した。 「……愛しのパンダちゃあん♪」 再び視線をデスコングキングに戻すと、スチール星人は半分裏返った声を上げながらデスコングに迫った。
「あの革パンツ野郎を止めるヤツはいないのか?」 「…少なくとも闘場の中にはいませんよ、州知事。」 声を裏返らせ、腰をくねくねさせながらデスコングキングに迫るスチール星人! だっ! そのとき、激しく風を切る音とともに、何かがスチール星人の背後から踊りかかった! 「デスコングキングに手を出すな!」 血まみれのガラキングだ! もう「色男」などと野次を飛ばす怪獣は、一匹もいなかった。
「邪魔するなあっ!」 再三お楽しみタイムを邪魔されたスチール星人はとうとう頭にきた。 後ろから組み付いたガラキングを首投げで前に落とすと、その首に背後から腕を巻きつけたのだ。 「あれはチョークスリーパー!意外な実力者です、スチール星人!デスコングキングをグランドで制圧し、ガラキングにはシャイニングウィザード!プロレスもOK、アルティメットもOKか!?」 たちまちガラキングの目から光が失せた。 「デス……コン…グ…キン…グに、手を……。」 「うわああああああっ!」 そのとき、それまでガラキングとスチール星人の戦いを傍観していたデスコングキングが大声を上げスチール星人に体当りをしていった! スチール星人、思わぬ奇襲で吹っ飛んだ。 「……機械のターミネーターが命の重さを理解できるならば……。」 「は?なにかおっしゃいましたか?州知事?」
532 :
変化した戦い :2005/04/11(月) 17:21:17 ID:fO8SYCl7
対スチール星人用戦闘プログラム無しに、デスコングキングはスチール星人に立ち向かった。戦闘プログラムの不在は一目瞭然だが、動きのガムシャラさはプログラム不在以上の何かを感じさせた。 「パンダちゃん!?いったいどうしたの?」 ロボットには最も縁の無い言葉、「必死」とか「死にもの狂い」がピッタリくるデスコングキングの戦いぶりに、スチール星人も当惑を隠せない。 いったんは大きく闘場の反対側まで押し込まれた。 しかし、スチール星人の「宇宙超人」という肩書きはダテではない。 デスコングキングの動きの荒さを突いて、両腕を相手の両脇へと巧みに滑り込ませた。 「パンダちゃあん♪」 「消えろ!抱きつき魔!」 そこへなんとか蘇生したガラキングが体ごとブチかました! 戦いは、スチール星人対デスコングキング+ガラキングへと変化したのだ。
533 :
盾 :2005/04/12(火) 15:11:00 ID:RZdoyJU8
「デスコングキング!ヤツの狙いはオマエだ!オレの後ろに隠れてろ!」 「でもオマエの体は!?」 「気にするな!」 ガラクキングとデスコングキングのやり取りを聞いたスチール星人はキーキー騒ぎだした! 「きいいいいいっ!このオレを、パンダ愛なら誰にも負けないこのオレを仲間外れにするなんて許せないいいいいいっ!」 スチール星人がガラキングを標的に怪光線を発射した。 ばしゅっ!ばしゅっ! 命中個所に爆発がおこり、ガラキングは苦しそうにたじろいだ。 しかし、ガラキングはデスコングキングを庇う姿勢を崩さない!
534 :
そして盾 :2005/04/12(火) 15:12:04 ID:RZdoyJU8
ガラキングは苦しそうにたじろぐが、デスコングキングを庇う姿勢は崩さない! それを見たスチール星人はヒステリーでも起こしたようにジタンダふんで悔しがった。 「死ね死ね死ねっ!!」 またもや光線がガラキングめがけ降り注ぎ、爆発が起こった! しかし、爆発はガラキングの体でおこったのではなかった。 「オマエ……オレを!?」 …爆発はデスコングキングの背中で起っていた。 ガラキングを守ったのだ。
「オレの……いや、ワタシの背中はヨロイみたいになってるから……。」 「でも!」 (…デスコングキングの一人称が変わった…) 州知事ことターミネーターにはピグモンをモデルに開発された怪獣語翻訳プログラムがインストールされていた。 (……戦闘用の男性型プログラムが女性化しつつある!) 「どけ!デスコング!」 「いやよ!それよりお願いがあるの。」 「…?お願いって?」 「ワタシがデスコングボールになるから、アナタのさっきの殺人スパイクでスチール星人に叩き込んで!」 「そんなことして、最悪キミまで!」 「うっきいいい!オレを無視してヒソヒソ話なんてますます許せなーい!」 スチール星人はマジ切れ寸前だ。
536 :
最後の攻撃 :2005/04/12(火) 15:15:07 ID:RZdoyJU8
「お願い!もう猶予は無いわ!」デスコングキングはボール形態に変化した。 「でも!」 「お願い!!」 スチール星人の頭が前後左右にコマ落し撮影のように激しく揺れだした。 「きぃぃぃああああああっ!どっちもどっちもブッ殺すう!!」…切れたのだ! 「お願い!」デスコングボールは、ガラキングの頭上までひとりでに跳ね上がった! (お願い!) 「わかった!」 ガラキングは前腕を交差させ十字トスでデスコングボールを跳ね上げた。
537 :
殺人スパイク :2005/04/12(火) 15:16:55 ID:RZdoyJU8
ガラキングは前腕を交差させ十字トスでデスコングボールを跳ね上げた。 「あれはさっきの!」と州知事! 「ボルチンスカヤ殺人スパイク!」つづける658アナ! ガラキングの状態が大きく仰け反り、青竹のように撓った腕がデスコングボールに叩きつけられた! 「出た!殺人スパイク!!」 台風のような風斬り音を上げ、デスコングボールが空を走る! が、しかし! 658アナが叫んだ。 「は、外れたあ!」
538 :
決着 :2005/04/12(火) 15:22:57 ID:RZdoyJU8
658アナの叫び通り、デスコングボールは唸りを上げながら明後日の方角に!? 「いや!これなら当たれる!」州知事が叫んだ。 「当たれる」?…妙な言い回しの意味はすぐ明らかになった。 スチール星人が両手を広げ、唸るデスコングボールの前に飛び出したのだ! 「パンダちやああああん♪」 デスコングボール・殺人スパイクがスチール星人に炸裂! ぐわしゃあん! 1万台の自動車が衝突したような音とともに、49メートルもあるスチール星人の体が縫ぐるみのように闘場外まで弾けとんだ。 細かな何かの破片といっしょに場外の床に叩きつけられたスチール星人は、もうピクリとも動かなかった。
539 :
アンチゴーネ :2005/04/12(火) 15:24:15 ID:RZdoyJU8
「デス…コング?無事か?無事なのか??」 鮮血を流しながら、ガラキングがデスコングボールににじり寄った。 ……闘場に転がったデスコングボールが微かに揺れると、一瞬後にはデスコングキングが立っていた。 「よかった……。」 へなへな座り込むガラキング。 その顔には血たけでなく、安堵の涙も流れている。 デスコングキングがゆっくり近寄った。 そのとき、リングサイドで声を張り上げたものがあった。 スチール星人乱入ですっかり忘れ去られていたグロース星人アンチゴーネだ。 「よし、デスコングキングよ!そのままガラキングに留めを刺せ!」
「予定とはだいぶ違ってしまいましたが、結果は同じです。デスコングキングよ、ガラキングに留めを刺しなさい!」 アンチゴーネから指示が飛んだ! 「あっ!スチール星人がいなくなったと思ったら、まだコイツが残っていました! でも、いまさらですよね州知事。デスコングキングとガラキングはタッグでスチール星人を倒したぐらいなんですから。」 「…………。」 「あれれ?どうしたんですか?なんで黙ってるんですか?州知事??」 「……デスコングキングはロボット怪獣だ。だから…、主人であるアイツの指示には逆らえない。」 「……それじゃあ……。」 デスコングキングはガラキングの前に立つと、ハンマーのような腕を振り上げた。 658アナが叫んだ! 「そ、そんな!デスコングキング!オマエはそれでいいのかっ!?」
「……機械のターミネーターが命の意味を理解できるならば……。」 州知事ことターミネーターの口から、また「ターミネーター2」でのサラ・コナーの最後のセリフが漏れた。 「え?なにか??」 見下ろすデスコングキング。 見上げるガラキング。 視線が交錯した。 ……動かない。デスコングキングが動かない。 「動けないのだ。」州知事は呟き、そして立ち上がり叫んだ。 「泣く意味を知れ!デスコングキング!!」 デスコングキングの総身が感電したように震えた。 ……。 そして、デスコングキングの手がゆっくり下がるとガラキングの手をとった。 「ガラキング…」 デスコングキングはガラキングを立ち上がらせた。
542 :
学習 :2005/04/12(火) 17:00:39 ID:RZdoyJU8
「なにをしているんですか?デスコングキング?」 当惑するアンチゴーネは今度は州知事に向かって叫んだ。 「キサマ!オレのロボットに何をした!?」 「何もしていない。ただ……デスコングキングの人工知能が自分で学習したのだ。」 「学習したですって?」 「そうだ。デスコングキングは『萌え』の心を学習したのだ!」 ガタン!! 隣りで658アナの足が天に向かって伸びている。後ろにひっくり返ったのだ。 ターミネーターは658アナの古典的ボケなど賢明にも相手にしなかった 「……デスコングキングは『萌え』を学習した。そしてガラキングの『萌え』の心に応えるため、プログラム上の仕様も『男性』から『女性』になったのだ!」
「…そんなバカな!………デスコングキングよ!ガラキングを仕留めなさいっ!!」 デスコングキング……いや、いまはプログラムが女性仕様になったのでデスコングクイーンなのか?彼女の耳にもアンチゴーネの指示は入っていたが、もうただの雑音にしか聞こえない。 アンチゴーネはギャーギャー騒ぐと仲間のグロース星人や手勢の怪獣軍団を呼び集めだした。 裏切り者のデスコングキングを処刑しようというのだ。 ガラキングがデスコングキングの目を見つめ囁いた。 「………逃げよう。」 彼女が無言で頷くと、二匹の怪獣は脱兎の如くに駆け出した。 しかし、行く手にはさっきまで仲間だったはずの怪獣軍団が待ち構えている!
544 :
2人の未来へ :2005/04/12(火) 17:04:25 ID:RZdoyJU8
突如としてジャンボーグA怪獣軍団たちの間に凄まじい怒号が沸き起こった! 「こいつらはオレに任せろ!」 ガラキングのセコンド、暴君怪獣タイラントが単身殴り込んだのだ! ジャンボーグA怪獣たちを当たるを幸いになぎ倒し、タイラントは一本の血路を切り開いた。 「行けぇ!モタモタすんな!」 「ありがとう!」とガラキング。そして黙礼する「彼女」。 「暴君怪獣の力!見せてくれるわ!!」 タイラントの咆哮と立ち回りの轟音を背に、ガラキングとデスコングキングは会場から駆出していった…。 …2人の未来に向かって…。 リザーブマッチ「デスコングキング対ガラキング」結果。 デスコングキングがデスコングクイーンになってしまったため、本GPへの出場資格喪失により、ガラキングの勝ち。
「凄いっスね、さすがタイラントだ」 ガラキングの応援に来ていたムカデンダーとグロストが立ち話をしていた。 「やっぱ暴君と名乗るだけあるな、素晴らしい戦いぶりだよな」 「さすが、レッドキングやベムスターの合体怪獣だけあるっスよね」 「格好よかったな」 「あれっ?」 「どうした?」 「今、誰かいたような気がしたっスけれど・・・・・・」 「ダイダラホーシ!ダイダラホーシどこにいるっ!」 出番の無い超獣たちが集まっている部屋へジャンボキングが目を血走らせて飛び込んできた。 「よ、よぉ、次の試合いいのか、おい」 声をかけるカメレキングだが、ジャンボキングは聞いていない。 ひたすらタイム超獣ダイダラホーシを探している。 「うるさいっ、ダイダラホーシはどこだぁっ!」 「ダイダラホーシに何の用なんだよ?」 首を傾げるカメレキングだが、ブロッケンはすぐに悟った。 「だめだっ、タイラントの活躍を横取りしようなんて考えを起こすんじゃないっ!」
546 :
月の控え室 :2005/04/13(水) 15:31:59 ID:0wHpLnqa
エレキ「さて、リザーブマッチも終わった事だし、そろそろ出番か。」 ムーン「なんか、けったいな試合でしたねぇ。」 エレキ「所詮は特撮乱立時に暴走企画で生まれたネタ怪獣同士、あんなもんだろうよ。」 ムーン「ミもフタもない事おっしゃいますねぇ。それより、腰の具合はどんなです?」 エレキ「おうよ、ワンダーのおかげですっかりよくなったぜ。あんがとよ。」 ワンダ「いや、どういたしまして。放電ならお手の物ですから。」 ルナ「それよりさ〜、今度はあのレッドキングでしょ?ただでさえ非力なご隠居には荷が重いんじゃないの? エレキ「見くびってもらっちゃぁ困るぜ。たしかに俺ァパワーファイターじゃぁねぇがな。 あのミクラスにだってブン投げられたりしたもんだ。だがな、勝ったのは俺だろ?」 ムーン「そりゃそうですがね、レッドキングのパワーとタフネスは半端じゃないですよ。ご隠居の電撃が通じるか・・・・」 エレキ「おいおい、俺ァ電撃だけが脳じゃねェぜ。それに奴とはマン怪獣とセブン怪獣の筆頭同士、常々やりたいとは思ってたんだ。」 ルナ「でも、勝ったらうちの大将とやるかもしれないんでしょ?そうなったらおいらはどっちを応援すりゃいいんだか・・・・」 エレキ「そん時はそん時だ。江戸っ子は細けぇ事でうじうじしねぇもんだ。それにだ、火事とケンカは江戸の華ってな。 お前ぇらに怪獣の戦いとはどういうものか教えてやるぜ!」 ゴ ロ ゴ ロ ド ッ カ ー ン !! 床に尻尾を叩きつけたエレキングから稲妻が立ち上る エレキ「おい、ムーンの字!」 ムーン「へぇ・・・」 エレキ「月見よこせ!」
前のGPの最後の時に「もう二度と暴走しまへん」と誓ったような気がするだども…。 オラの脳みそのメモリーはデスコングキング以下みたいだべ。 …というわけで。ひさしぶりに「いのちゃん」登場だべよ。 「真吾!真吾なのか!?」 ステッキ、マントにシルクハットの人物=メフィスト(兄)は「いのちゃん」を助け起こそうとした。 「があああああ!」 そこに、いのちゃんを追ってきたメットンも襲いかかってきたが、メフィストはそれを下からキッと睨みつけた。 「邪魔するな!」 メフィストはメットンにステッキを突き付けると、その先端から轟々たる炎が噴出した。 「ごああ!」 不意をつかれたメットンは、大慌てで汚点の広がる川へと姿を消してしまった。
548 :
真吾って誰? :2005/04/13(水) 17:08:55 ID:99KeUf+h
「真吾!真吾しっかりしろ!?」 メフィストは いのちゃんを抱き起こし、相手の顔を覗き込んだ。 「真………吾じゃない……。」 「ボクは、いのちゃんだよ。それでオジサンは?」 「オレか?オレの名はメフィスト。こう見えてもちっとは知られた悪魔だぜ。」メフィストはマントを肩に跳ね上げ、ステッキを持ちなおして答えたが……。 「……全然知らないや。」 (がっくし…)メフィストは、傍目にも判るほど肩を落とした。 「それから『真吾』って誰?」 悪魔を名乗る相手にもまるで物怖じすることなく、いのちゃんは質問し続けた。 「真吾か……。」 メフィストの顔が、昔を懐かしむそれになる…。 「……真吾ってのはな、昔オレといっしょに妖怪退治をやった小僧の名前さ。」
549 :
真吾は… :2005/04/13(水) 17:10:58 ID:99KeUf+h
「……真吾ってのはな、昔オレといっしょに妖怪退治をやった小僧の名前さ。」メフィストが答えた。 「ボクのことをその真吾くんと間違えたんだね。」 「そうさ……、真吾のワケなんかねえのに……。」言葉の最後が何故か掠れ、尻切れトンボになって風に消えた。 「どうして真吾のわけないの?」 「死んじまったからさ。オレが地獄にいるあいだにな。」 そのとき、いのちゃんは、尋いてはいけないことを尋いてしまったような気がした。 なぜなら、メフィストの眼に光る涙を見たような気がしたから……。 「真吾……なんで死んじまったんだ?」
550 :
説教 :2005/04/13(水) 21:51:52 ID:ogwATYdV
カメレキング達に半ば無理やり控え室へ連れ戻されたジャンボキングは、ブロッケンに説教をされていた。 「いいか、お前は我ら超獣軍団の代表なんだぞ!」 「一応そうだけど・・・・・・」 「グランドキングを倒した時の勢いはどうした、え?」 「いや、あの時はあの時、これはこれだし。タイラントと関係ないし」 「考え方を変えろよ!次の試合に勝てば、レッドキングやエレキング、キングクラブの仇のキングザイガーと戦うチャンスも出来るんだぞ!」 「キングザイガー・・・・・・」 係員のサイモン星人がジャンボキングを呼びに来た。 「さあ、行って来い!」 「OK、分かった。超獣の名に恥じないよう準決勝まで進んで、決勝まで行って、戦う機会があったらキングザイガーを倒す!」 「その意気だ!」 「そのあとダイダラホーシに頼んで過去に戻ってスチール星人の乱入を止めて、タイラント大活躍の場を消してやる!」 「おい!」
551 :
試合開始! :2005/04/13(水) 21:53:26 ID:ogwATYdV
名前にキングが入っている怪獣GPトーナメント第二回戦第一試合 キングザウルスV世VSジャンボキング 帰って来たウルトラマンの主題歌と共に、キングザウルスV世が セコンドのベムスターと共にやって来た。 一方、反対側の花道からブロッケンを引き連れたジャンボキングがやってくる。 ベムスターを見たジャンボキングの顔が少し強張り、 動きが鈍くなったがブロッケンに小突かれ、また歩き出した。 リングの上に上がり、それぞれの流儀で礼をする。 そして、ゴングが高らかに鳴り響いた。
552 :
試合開始! :2005/04/13(水) 21:56:09 ID:ogwATYdV
試合開始と同時にモグラキング戦と同様バリヤーを展開するキングサウルスV世。 ウルトラマンも破れなかったバリヤーをジャンボキングはどう攻略するのかと 会場内がジャンボキングに注目した。そして、ジャンボキングは―― 「でえりゃあああっ!」 「げえっ!?」 ガギィン! いきなり突撃したジャンボキングはバリヤーに跳ね返され、床の上にひっくり返った。 が、すぐさま飛び起きると両目から光線、口から火炎を乱射し始める。 光線はバリヤーに跳ね返され床を吹き飛ばし白煙が上がる。火炎がバリヤーを包み込む。 しかしいずれの攻撃もキングザウルスV世には届かない。 (おいおい、無茶苦茶な攻撃だな) キングザウルスV世はそう思ったが、すぐにベムスターのアドバイスを思い出した。 「超獣は頭が切れる奴が多いからな、一見滅茶苦茶な行動をとっても注意した方がいい。 いや、無茶苦茶な行動をとった時こそ警戒するんだ」 攻撃が止み、煙が薄れていく。 目の前にいたジャンボキングが消えていた。 (やばいっ!)
553 :
上から・・・ :2005/04/13(水) 21:58:49 ID:ogwATYdV
(やばいっ!) すぐにバリヤーを頭上へ展開する。 予想通り、ジャンプして上から攻撃してきたジャンボキングは弾かれ、また転がった。 (あぶねえ、あぶねえ) ジャンボキングは立ち上がると、間合いを取り、光線攻撃を再開した。 が、幾ら攻撃してもバリヤーに跳ね返されてしまう。 (膠着戦になったら少し面倒だ・・・・・・) (いや、ここは奴が疲れるまで待とう。奴が疲れたところを・・・・・・) そのとき、キングザウルスV世の耳に変な音が爆発音に混じって微かに聞こえてきた。 ひゅるるるるるるるる・・・・・・ (んっ?) 何だろうと上を見ようとしたその時、キングザウルスV世の頭に爆発と衝撃が襲い掛かった!
554 :
試合終了 :2005/04/13(水) 22:02:14 ID:ogwATYdV
「あっ、もう試合終わっちゃったっスか!?」 タイラントを賞賛しに行ったムカデンダーが息を切らせて観客席へ戻ってくると、 角が折れたキングザウルスV世が会場から運び出されるところだった。 「終ったよ、お前遅いよ」 アイスキャンディーをペロペロ舐めながら言うグロストに対し、ムカデンダーは頭をかいた。 「いやあ、道に迷っちゃって。で、勝ったのは?」 「ジャンボキング」 「へえ・・・・・・どうやってバリヤーをクリアしたっスか?空間転移?」 「いや」 グロストはアイスキャンディーを一口で食べると、口の周りを軽く拭った。 「ミサイルだよ」
555 :
六番目の対策 :2005/04/13(水) 22:04:30 ID:ogwATYdV
ジャンボキングは練習で六番目の対策を思いついていた。 キングザウルスV世のバリヤーは正攻法で破る事は出来ない。 どうしても不意打ちになるが、空間転移は気が引ける。 困ったジャンボキングは自分の戦力の一つであるミサイルの使用を思いついたのだ。 キングザウルスがバリヤーを展開し、力技での突破が無理と分かるや否や 光線を滅多打ちして相手の視界を奪うとジャンプし、“頭上に向かって”ミサイルを発射した。 上に投げたものは推進力が消えれば必ず落っこちてくる。 ジャンボキングが落下音を聞かれないよう光線攻撃で撹乱し、 ミサイルは見事キングザウルスの頭部に命中、角を破壊したのだった。 最初のジャンプでバリヤー内に飛び込む事ができればそれで良かったが、 結果的に勝ったのでジャンボキングは満足だった。
556 :
閉鎖空間 :2005/04/14(木) 17:00:42 ID:pXFwG3oy
「その真吾って子…、死んじゃったんだ。」 いのちゃんは恐る恐る尋ねると、メフィストは空笑いして答えた。 「はは、もっとも死んだときは、もう子供じゃなかったけどな。」 「ああよかった。子供のうちに死んじゃったのかと思ったよ。」 メフィストの表情が少しだけ明るくなった。 「ああ、子供のころに死んだわれじゃないさ。でもオレにとっちゃあ、真吾はずっと子供のままさ。真吾が死んだとき……。」 悪魔の表情に、再び暗い影がさす…。 「…あのときオレは地獄にいて、どうしてやることもできなかった。 ところが昨日の夜、真吾のヤツが夢に出やがってよ。 この閉鎖空間にオレを案内しやがったのさ。」 「へいさくうかん?『へいさ』って、ココのこと?」 「そうさ。ここは誰か強力なヤツがさっきのバケモノを閉じ込めた世界なんだ。だから、この空間は、オマエたちの世界から切り離されて閉じてるのさ。」
557 :
空へ :2005/04/14(木) 17:02:22 ID:pXFwG3oy
「えーーーーっ!それじゃボク閉じ込められちゃってるのー?」 「ま、そういうことになるな。」 背筋を伸ばし、視線を上げあたりを油断なく見回しながらメフィストは言った。 「…夢の中で真吾が言うにゃあ、あの怪物はメットンと言うんだそうな。 大昔、どこかの魔法使いに封印された怪獣らしいんだが、長く閉じ込められてるうちに、妖怪まがいの能力を身につけやがってな。」 「怪獣が妖怪になったんだ。ネロンガと逆さまだね。」 「…それでメットンのやつ、自分が出て行けない代わりに外の世界の人間をここに引きずり込んで食ってやがったのさ。」 「じゃあ!ボクも食べられちゃうとこだったのー?」 「捕まってたら…な。」 それを聞いたら、いのちゃんは足がガクガク震えだし立っていられなくなってしまった。 中州の砂の上に座り込んだ いのちゃんを見下ろし、メフィストはちょっと考えていたようだったが、やがて いのちゃんに手を差し伸べた。 「安心しな小僧。真吾のヤツだと思ってオマエをこの世界から助け出してやるぜ。」 メフィストがステッキを一振りすると、いのちゃんの肩に突然銀色のマントが現れた。 「さあ!飛ぶぞ!小僧!!」 2人は空高く舞い上がった。
いのちゃんとメフィストが閉鎖空間の空に飛び上がったころ……。 レッドキング控室横の空き控室で二匹の宇宙怪獣、凶悪怪獣ベムラーと彗星怪獣ドラコが顔を合わせていた。 「ベムさん。レッドキングに会ったんだろ?ベムさんの目にゃあどう見える?レッドキングはエレキングに勝てると思うか?」 「ドラ公、そう言うオマエはどう思うんだ?」問いに対し問いをもってベムラーは答えた。 「オレの意見か?……難しいな。エレキングのヤツ、飛び道具持ってるし、強力なキメワザがあるから…。」 「そうか(笑)。そう思うか。」 狡猾そうにベムラーは笑った。 「なんだ?ベムさんはそう思わねえのか?」 「ああ…。思わねえな…。」そしてベムラーは確信を感じさせる口調でつづけた。 「…エレキングのあのワザには大きな弱点がある。」
「弱点だと!?」 「そうだ、エレキングはシッポの打撃で相手の動きを止めてから、シッポを巻きつける。そのとき、エレキングはシッポの長さを最大限利用するため、相手に完全に背中を向けるんだ。」 「……なるほど。オレにも読めた。」ドラコの細いつり目がいっそう細く吊り上った。 「判ったか?やられたフリして動きを止めれば、エレキングはシッポを巻きつけるためレッドキングに背中を向ける。」 「そのとき、後ろから襲いかかって……。」 「…エレキングのアンテナを二本とも引き抜く。それだけだ。」 「…さすがは元死刑囚。…じゃ、レッドキングの勝ちは決まりだな。」ドラコは感心したように鼻をならした。 「ところがそうもいかねえんだな。これが。」
「あのバカ、さっきオレが策を授けようとしたら、ギャーギャー騒いで耳塞ぎやがった。」 「なんでだ?」ドラコの細目が丸くなった。 「『小細工なんかで勝ちたくねえ』とさ。」苦笑いするベムラー。 「…大バカ野郎だな。」とドラコそして溜息ひとつつくと、呟くようにドラコはつづけた。 「……やれやれ、なんでオレはそんな大バカ野郎に負けたかなぁ……。」
「あのバカ、さっきオレが策を授けようとしたら、ギャーギャー騒いで耳塞ぎやがった。」 「なんでだ?」ドラコの細目が丸くなった。 「『小細工なんかで勝ちたくねえ』とさ。」苦笑いするベムラー。 「…大バカ野郎だな。」とドラコそして溜息ひとつつくと、呟くようにドラコはつづけた。 「……やれやれ、なんでオレはそんな大バカ野郎に負けたかなぁ……。」
あいやぁー。二重かきこみ申し訳無し(大謝)。
若手ナックル星人相手にスパーリングを続けるブラックキングに、ナックルキングの檄が飛ぶ。 「キングザイガーは疑いなくミラーマン怪獣最強、"地獄からの死者"との異名を取る程の相手だ。 宇宙広しといえどもこの怪獣と戦って勝てる相手はあまりいないとまで言われる。」 凡百の特オタの様に“あまりいない”という評判に「じゃあ勝った奴いるんだな」 などと言う野暮な突っ込みはしない。 中途半端な評価は、むしろ実戦の裏づけがあるものとも考えられる。 あくまでも客観的な事実のみに基づいて対戦相手を徹底的に分析し、 入念なシミュレーションを行い、先の先まで読んで戦術を練る。 決して己が力を過信しない。敵を見くびる事も過大評価する事も無い。 それがナックル星人の戦い方だ。 「ミラーナイフもシルバークロスも撥ね返したディフェンス能力に光線によるスタンドオフ攻撃、 そして視力を奪った相手を音でも撹乱するという慎重さも併せ持つ。 一方では光線を直撃させれば済むところをわざと外すという無駄な動きもある。 対ミラーマン戦はそれが敗因だった。だからといって今度も自滅してくれるなどと思うな。 既に判明した弱点など対策を練っているに決まっておる。 誰しもが戦いの中で、とりわけ敗戦から学び、新たな技を。」 ブラックキング自身、対ウルトラマン戦ではそうやって敗れたのだ。 だからこそ鍛える。昨日よりも強くなる為に。明日にも戦う未知の敵に勝つ為に。 「次っ、目隠しと耳栓をしてのタックル。気配だけで位置を掴め。」 視力と聴力を封じられたブラックキングの周囲をナックル星人が回る。 背後をとられたブラックキングは、しかし、くるりと向きを変えて弾丸タックルを叩き込む。 同じ事を何度も繰り返し、その度に技の精度は確実に増して行く。 「次っ、目隠しのまま10人組み手。ミラーマン怪獣の技は一通りシミュレートしておけ。 キングザイガーは1回戦後に姿を消したと聞く。当然新技をマスターしてくるはずだ。」 考えうる限りのあらゆる場面を想定しながら、トレーニングは黙々と続く。 戦闘民族ナックル星人の修行に終わりは無い。容赦も無い。 ブラックキングは、何度も叩きのめされ、己が弱さと向き合い、また立ち上がり、 その豪腕をより強固な武器に鍛え上げていく。
564 :
間違い :2005/04/15(金) 12:42:54 ID:QKphy5Ua
×「誰しもが戦いの中で、とりわけ敗戦から学び、新たな技を。」 ○「誰しもが戦いの中で、とりわけ敗戦から学び、新たな技を磨くのだ。」
頭上高く、かすかな光がゆらゆら揺らめくところ…。 異界の深淵の一つ、ゲル・ホーにキングザイガーはいた。 何重もの印や呪文のような記号が書き殴られた中心に座り、じっと目を閉ざしている。 そしてその外に座すのは、東映地獄の姿を現した神の一柱、Otuumであった。 床に描かれたのは一種の魔法陣。 それは、ミラーマンと闘ってから長い平和のあいだに眠ってしまったキングザイガー本来の力を、そして更には血統に由来するおぞましい力を呼び覚ますものであった。 「…おお御子よ…。」 Otuumはくぐもった声で歌うように呼びかけた。
ザイガーの回りをぐるぐる果てしなく回りながら、Otuumはくぐもった声で話つづた。 「おお、大神の御子よ。父君はあなたが扉を開くときを、待ち望んでおられます。」 「ちち…うえが……?」目を閉ざしたままキングザイガーは答えた。 「さようにございます。御子の立たれる日、わたくしばかりでなく、海の底からガタノトーアが上陸する手はずとなっております。ダゴンとハイドラも封印が破られ次第馳せ参ずるはず。」 「…ガタノトーア?…ダゴン?…ハイドラ?」 「みな御子をお助けする神々にございます。大神と諸神が建てば立たば、この星は大神と御子のものにございます。」 「……ゴジラいちぞくや、かいじゅうたちが だまってはいまいぞ?」
「……そのようなこと、ゴジラいちぞくや、かいじゅうたちが だまってはいまいぞ?」 「怪獣など所詮ケダモノ。我ら神の敵ではございませぬ。……ただ…。」 「………ただ……なんじゃ?」 「……ただひとつ気になりますのは、『星々のはざまを過ぎりしもの』の子にござります。」 「それは何者じゃ?」 「グランドキングと名乗る怪獣にございます。いまは己の出自に戸惑い錯乱しておりますが、やがては御子の前に立ち塞がるやもしれません。」
第一回戦で敗北したグランドキング。 ベロンに大怪我を負わせ、ジャンボキングを負傷させた彼はコスモリキッドにより会場から 放り出される形で避難させられていた。 「ああ・・・・・・他の奴等に顔向けできないよ、これじゃ・・・・・・」 がっくり肩を落とし町を徘徊するグランドキング。 行く所をなくした彼は、己の出自を今度こそ確かめるべく(+居場所を求めて) 電話をかけた相手のところへ向かう事にした。 「すんませ〜〜ん」 「あっ、グランドキングさん!?テレビ見ましたよ、ジャンボキングに喧嘩売ってましたね!」 「やっぱ帰ります」 「まあ、まあ」 そう言いつつ、グランドキングに挨拶をした怪獣とも怪人とも違う生物―― ファイティング・ベムのダクミランは帰ろうとするグランドキングを引き戻した。
569 :
宇宙の帝王? :2005/04/16(土) 22:30:47 ID:HhXjN5wH
「すいませんねえ、今ジュダ様は出かけているんですよ」 「はあ」 ダクミランに出されたお茶を前に、俯くグランドキング。 ファイティング・ベムのダクミランはグア三兄妹の三男・ジュダ配下で、 ジュダはグランドキングの育ての親に当たる。 「どこにいるんですか?」 「それがねえ、遊びに行く途中怪獣戦艦が暴走して町に突っ込んじゃって。その後始末」 「はあ・・・・・・」 「長男のモルドさんはグア星だし、ギナさんは世界旅行中でしょ」 「随分遊んでるんですね。ジュダ様は自分の事宇宙の帝王って言ってたのに」 「そりゃもう、平和ですから。帝王でも遊ぶ時は遊びますよぉ」 一応悪の存在なのに、それでいいのかよとグランドキングは思ったが、 言っても仕方が無いので黙っている事にした。
「ねえメフィスト。また前の川だよ。」 いのちゃんとメフィストは、あの川のあたりを延々飛び続けていたのだ。 「しようがねえ、いちど降りるか。」 2人は空からまた川原に舞い降りた。 「たしかに河の上を飛び越したのに、少し飛ぶとまた川に戻っちゃうなんて…。」 「メットンのやろう、オレたちをここから逃がさねえつもりだな!」 「え?これってあの怪獣の仕業なの?」 「そうさ、オメエを何が何でも喰うつもりだぜ。」 「メフィスト!なんとかしてよ。」 「……そりゃなんとかしたいのは、やまやまなんだが……。こう腹が減っちゃあ。」
571 :
チョコレート :2005/04/18(月) 17:03:52 ID:miASYWuU
「……そりゃなんとかしたいのは、やまやまなんだが……。こう腹が減っちゃあ。」 「お腹が減ってるんだ…、でもいま持ってるのは…。」 いのちゃんはポケットをあちこち探ってみた。 「……これぐらいしか…。」 いのちゃんは「特オタ」なので、お菓子も今風のものでなく、ちょっとレトロな板チョコを持っていた。 「おおっ!チョコレートじゃねえか!さっさとよこしな!」 「あっ!」 メフィストは いのちゃんの手からチョコレートをひったくると、あっというまにモグモグ食べてしまった。
572 :
魔力、旱魃! :2005/04/18(月) 17:07:29 ID:miASYWuU
「チョコレート好きなんだ…。」 あまりに見事な食いっぷりに、怒るのも忘れて いのちゃんは言った。 「ああそうさ。真吾のヤツはいつだってチョコレート持ってたんだぜ。オレのためにな。」 メフィストは口もとを拭いながらちょっとだけ懐かしそうな顔をしたが、すぐに前の自信満々で傲慢そうな表情に戻った。 「よし!じゃあメットルとかいうバケモンを、川の底から引きずり出すぞ! 魔力っ!旱魃っ!!」 メフィストが水晶の嵌まったステッキを一振りすると、汚れて悪臭を放つ川の汚水が空中に逆向きの瀧となって吸い上げられ始めた。 「すごい!すごい!帰ってきたウルトラマンがオクスターのときにやったみたいだ!!」 ものの一分もたたずに、川床は僅かな汚泥が残るだけになった。 しかし…。 そこにメットンのすがたは無かった。
573 :
黒猫来訪 :2005/04/18(月) 17:09:13 ID:miASYWuU
たびたび場所は変わって、ここはGP会場「悪の帝王」控室。 錚々たる顔ぶれの「悪の帝王」たちは、まだごちゃごちゃ会議ばかり続けていた。 だいたい「悪の帝王」なんてのは、「行動派」ではないものと相場が決っている。 情報ばかり集まるが、具体的な行動方針はまだ決っていなかった。 「ヤプール殿からの連絡だと、キングザイガーの討伐は失敗したということだ。」とミスターK(「レインボーマン/死ね死ね団首領」が報告すると、「悪の帝王」たちのあいだに動揺が走った。 「…そのこととも関連して…、大事な客人を皆にご紹介しましょう。」 ミスターKがそう言うと同時に、静かに闇の帳が下りた。 そして闇が消えるとそこには…。 「『百目』の名代でまいりました。黒猫ともうします。以後見知りおきを…。」
574 :
外相会談 :2005/04/18(月) 17:10:49 ID:miASYWuU
「…東映地獄から『百目』の名代でまいりました。黒猫ともうします。以後見知りおきを…。」 東映地獄の外務大臣格でやって来た「黒猫妖怪」がまず型どおりに挨拶した。 居並ぶ「悪の帝王」たち、特に東映系のドクトルオーヴァーや黒十字総統らは席から立ち上がり、またショッカー首領は鷲のレリーフを戦闘員たちにワザワザ持ち上げさせて礼を表した。 「まず、緊急事態であったとはいえ、東映地獄を侵犯したことをお詫びしたい。」歪み揺れる映像のヤプールが言った。 「ついては、その補償を……。」 「それには及ばぬ。」ヤプールに終いまで言わせず、黒猫が遮った。 「あくまで緊急事態でのこと。死傷者も東映地獄の中でのことなれば、放っておいても勝手に復活する。」 ヤプールも黒猫も、つまらぬ小競り合いに目が眩まず、大所を見誤らぬだけの見識を備えていたのは幸いだった。
「……なんと…邪神の復活がそこまで迫っているとは…。」 ゼネラルシャドウのトランプ占いの話し、そしてコスモリキッドからもたらされたコックリさんの託宣。そしてゴジラ宗家に老キングコングが語ったという話が明かされると、さしもの黒猫も驚きを隠せなかった。 「…東映地獄に現れたOtuumが申したという話しと、いちいち符合する!」 こんどは黒猫からキングザイガーとOtuumに関する情報が「悪の帝王」たちにもたらされた。 今度は、「悪の帝王」たちが色を失う番だった。
576 :
宇宙の悪霊 :2005/04/18(月) 17:16:10 ID:miASYWuU
「小神格とはいえ、すでに復活している邪神があったとは……。」掠れるような声でミスターKがそう搾り出した。 すると黒猫が眉を不意にひそめて言った。 「ひとつ気がかりなことがある。」 「それは?」 「グランドキング…とかのやったコックリさんの話しじゃ。『星々のはざまをよぎりしもの』とは、あの深海の魔神のことではない。」 …黒猫は天井を見上げた。…いや、正確には、天井の上、空の上、雲の上…、無限に広がる暗黒宇宙を見上げていたのだ。 「……『星々のはざまをよぎりしもの』とは『宇宙の悪霊』、つまり『黄衣の王』とその眷属どものことじゃ。」 そのとき、ショッカー首領に仕える赤戦闘員がいきせききって駆け込んで来るなり、大声で報告した。 「キングザイガーがブラックキング戦の出場手続を終えました!ヤツは出場します!」
577 :
xegy :2005/04/20(水) 08:49:17 ID:KoNe4bly
…昭和ゴジラの元をとある怪獣が訪れた。 それが、あの忌まわしい騒動の始まりだとは、昭和ゴジラには知る由もなかった。 とんとん…。 「おお、入れ。」 「……失礼します。」 襖を開けて昭和の私室に入ってきたのはカメーバであった。 入ってくるなりカメーバは、昭和に向かって、床につくまでアタマを下げた。 「ゴロザウルスから聞いてるぞ。何かオレに話があるそうだな。」 「は、はい……。」 そう答えただけで、カメーバはアタマを下げた姿勢のままピクとも動かない。 一分近くもそのままそうしていただろうか。 「黙ってちゃ判らんだろ?いったい何の話しがしたいんだ?」シビレを切らし昭和はカメーバに話すよううながした。 「……じ、実は……。」決心がついたか、カメーバは掠れた声で切り出した。
「実は、お願いがあります。」 「…なんだ?とりあえず言ってみよ!」 「はい……………。」 「今回はいろいろ騒動があってオレは忙しいのだ。話さんならオレはこれで…。」 「ガ、ガメラさまの元に行かせて下さい!」 昭和の目がギロリと光った。 「……オマエは我らゴジラ一族から離れ、ガメラの側につきたいと、そう言うのだな?」 「……はい。」蚊の鳴くような声で、カメーバは答えた。 「……この前のGPで…ガメラの男気に惚れたと、それでガメラを将に頂きたいと……そう…。」 「いえ、違います!」ガバと顔を上げ、カメーバは小さく叫んだ。 「違うと??…では何故ガメラのもとに?」昭和の顔に「さっぱり合点がいかぬ」と書いてある。 「……将としてガメラ様をお慕いしているのではありません。」 「では?」 カメーバは泣きそうな顔になった。 「………殿方としてお慕い申しているのです!!」 「……………………………おまえ!?メスだったんかあっ?!」
さてと……カメーバの「特撮版ロミオとジュリエット」はあっちにおいといて……。 メフィストが干上がらせた川床に、メットンの姿は無かった。 「メットン……いなくなっちゃった。泥に潜ったの?」こわごわ川床を覗きながら、いのちゃんが言った。 「…気をつけろよ小僧。近くにいるぞ!」 にゅるにゅるにゅるにゅる………。 耳を澄ますと、ウナギがのたくるような音があたりから、と言うより、正確には足元一面から聞こえてくる。 「地面の下をミミズみたいに進んでるんだ!」 いのちゃんが叫ぶと同時に、足元の湿った地面がクジラの飛び出そうとする海面のように一気に丸く盛り上がった。 「小僧!飛べ!」叫ぶと同時に、メフィストは いのちゃんの手を引っ掴んで飛び上がる! 同時に膨らんだ地面が弾け、クジラがジャンプするようにメットンが飛び出した!!
580 :
地下を泳ぐ :2005/04/20(水) 17:02:50 ID:KoNe4bly
急上昇しながら いのちゃんが視線を下に転じると、足の下でメットンがぐんぐん大写しになっていた! (ボクたちより速い!?) いのちゃんたちとのあいだは瞬時に詰まり、怪物が真赤な口を開けた! メットンの口が迫る! 3メートル!2メートル!1メートル!! バクン! メットルの口が、いのちゃんの足から数センチのところで閉じた。 上昇するメフィストと いのちゃん。 一方メットンは重力で下降していった。 「地べたに落ちたところを攻撃するぞ!」メフィストはステッキを構えた。 ところが、メットンは地面がまるで流動体であるかのように、音もたてず潜り込んでしまった! 「…まるで水みたいに潜ったよ…地面の中に…。」驚いたようすで、いのちゃんがもらした。 「意外な難敵だな。」メフィストも油断なくステッキを握りなおした。
581 :
神との約束 :2005/04/20(水) 17:04:34 ID:KoNe4bly
「グアァァァ……ニガサン。ニガサンゾ。」 突然、川原一帯に非人間的な声が響き渡った。 「この声って?」 「メットンだ!……人語を操れるところまで変化しやがったか!?」 怪物はメフィストと いのちゃんの会話もしっかり理解できるらしく、ただちに答えが返ってきた。 「ソウダ。ココニ繋ガレタ、永イ、永アイダニ。オデハ、人間ノコトバカリ、カンガエテタ。人間ヲ喰ウコトバカリ、カンガエテタ。ソシタラ、コウナッタ。」 「妄執での妖怪化か。典型的なパターンだな。」メフィストが渋い顔で言った。 「…こりゃ厄介だぞ。」 あたりに、鼓膜が破れるかと思う音量で狂的な哄笑が響き渡った。 「ウシャシャシャシャ(笑)。オデハ喰ウ。ソトノ世界デ、人間ヲ思ウ存分喰ウ!」 いのちゃんが怪物に負けじと声を張り上げた。 「そんなことできるもんか!オマエはここから出られないんだろ!」 「ウシャシャシャシャ、オマエヲ食エバ、ココカラ出レル。出シテ、モラエル。オデ、神サマト、約束シタ。」
富士の裾野に広がる原野。その一角にある湖の畔で、2頭の巨獣が組討を繰り広げている。 片や、大地の隆起がそのまま生を受けたかのような荒々しさを全身に漲らせた野生の塊。 此方、ポインター犬の如き洗練されたしなやかさにこの星の者ならざる幻惑の無表情。 言わずと知れたレッドキングとエレキングの戦いである。 レッドキングと言えば、怪獣界広しと言えども並ぶ者無き名声を誇る典型的パワーファイター、 肉弾戦には絶対の自信を持っている。 当然の如く仕掛けたファーストコンタクトでのぶちかましを、 以外にも一見華奢に見えるエレキングが真っ向から受け切った。 「火事とケンカは江戸の華ってな。売られた喧嘩を買えねぇとあっちゃあ漢が廃るってもんだ。」 いつもの彼ならそう軽口を叩くであろう。 しかしながら、瞬時たりとも気を緩められるような生半な相手ではない。 突進を止められても尚、レッドキングの動きは止まらない。 2本の足で大地をえぐり返し、豪腕をふるって力勝負を挑んでくる。 常に全開。ただひたすら前へ。 引く事も小細工も、微塵たりとも脳裏には浮かばない。 無尽蔵のスタミナを頼りに、ただひたすらに正面突破を繰り返し、飽く事を知らない。 エレキングもまた、レッドキングの攻撃をかわそうとはしない。 むしろ、積極的に組討に応じている。 共に長い年月をメジャーですごし、戦績を詰み重ねてきながら、すれ違いを繰り返し、いま始めて相まみえる。 互いに実力を認め合った好敵手を相手に、小手先のテクニックなど意味を持たない。 「なぜかって?それが怪獣ってもんだ!」
「レッドキング対エレキング、とうとう始まったな。」 「今回は屋内の闘場じゃなく、屋外特設リングだ。この二匹の激突なら、こっちの方が相応しかろうよ。」 他の仲間たちから離れテレビ観戦しているのはベムラーとドラコだ。 二匹が他のウルトラ怪獣たちから離れているワケはというと…。 「なあベムラー、あんたどっちを応援してるんだ?」テレビを見ながらボソッとドラコが呟いた。 「オマエと同じさ。……決められねえよ。レッドキングは同じウルトラマン怪獣だが、エレキングは同じ宇宙怪獣だからな。」 「なら、なんでレッドキングに必勝法アドバイスしようとしたんだよ?」 「オレはウルトラマン怪獣第一号だ。長兄格の怪獣として弟どものことを考える義務がある。」 ベムラーはテレビ画面の中で激突する二匹の大怪獣から目を離さぬまま、短く続けた。 「……レッドキングがオレのアドバイスを拒否してくれて内心ほっとしたよ。」 「どっちにも勝って欲しいな……。」とドラコ。 テレビでレッドキングが反撃すると、同時にどこかから歓声が湧き上がった。 たぶんレッドキング控室にたむろしている地球産ウルトラマン怪獣たちだろう。 ベムラーとドラコは、黙りこんだままだった。
584 :
xhd' :2005/04/25(月) 08:47:57 ID:T2pD8zE4
テレビでは、突進してきたレッドキングの足元をエレキングが光線で掃射したところだった。レッドキングの足元から、たちまち炎のカーテンが巻き起こった。 「やるなご隠居。」ルナチクスが感心したように呟いた。 「…けどなんで足元なんか撃ってんだ?」 「水爆さ。」答えたのはもちろんムーンサンダーである。 「…レッドキングはまだ水爆を飲み込んでるんだ。」 「なるほど…。」
585 :
二重の乱入 :2005/04/25(月) 08:51:32 ID:T2pD8zE4
作者のスレ住人とムーンサンダーの二重乱入にござる。 邪魔だったら、こっちのラインはアナーザストーリー扱いでかまいもうさぬ。 では……。 …水爆を飲み込んだ怪獣に電撃や光線は使えない。 しかもご隠居は腰に爆弾を抱えて参戦なので、あの激しい動きならいいとこ保って 3分…。 底無しスタミナと無限の闘志を誇るレッドキングを相手に、ご隠居の苦戦は必死だ。 だが…。 「……そろそろオレの出番だ。」 ムーンサンダーが立ち上がった。 驚き見上げるルナチクス。 「お、おい!ムーンの字!まさか乱入する気か?そんなことしたらご隠居ブチ切れるぞ!?」 「……そのご隠居の頼みで行くのさ。」 「そんな…あの江戸っ子のご隠居が乱入依頼なんか……。」 戸惑うルナチクスを尻目に、ムーンサンダーは月島の蕎麦屋から飛び立った。
互いにクリンチを繰り返しながらの殴り合い。腕を掴み首を抱えての投げの打ち合い。 レッドキングの距離での攻防だが、エレキングも譲らない。 怪獣としては細身のエレキングだが、典型的ブルファイターであるミクラスを相手に勝利を収めた実績がある。 敗れた相手も、ウルトラセブンやタロウといった類稀な格闘技術の持ち主たち。 彼自身も格闘戦は大得意である。 とはいえ、パワーとスタミナ、それにケンカなれしていると言う点においては、 やはりレッドキングに一日の長がある。 組討を続けるうちに徐々に押し込まれ始めた。しかし離れようとはしない。飛び道具は封印したままだ。 レッドキングの突進を巧みにかわし、一瞬の隙をついて腕の関節を取って逆に捻り上げる。 窮地に立ったかに見えたレッドキングは、すぐさま開いた手で相手の足を取ると、 腕一本で強引にエレキングを持ち上げ、力任せに放り投げた。 弧を描いて宙をまったエレキングは、綺麗に受身をとって膝立ちになると、 くるりと向き直って、間髪いれずにタックルをかましてきたレッドキング目掛けて光弾の連射を浴びせかけた。 直撃を受けたレッドキングは、しかし僅かに速度を緩めただけでそのまま突進する。 尚も畳み掛ける光弾の雨を腕をクロスさせて跳ね返しながら、 その弾道を逆にたどる事でエレキングがいる位置に検討をつけ、めくらめっぽうに体当たりを仕掛けた。 エレキングは一旦正面で受け止めてから、今押し返さずに身をそらし、相手の勢いを利用して投げを打った。 今度はレッドキングが宙を舞った。 ラグビーのトライのように地面に突っ伏した後、のそりと起き上がる。 その顔面を、エレキングの尻尾が打つ。 2度3度とレッドキングを打ち据える。 4度目尻尾は、レッドキングに掴まれた。 レッドキングがぐいと尻尾を手繰り寄せると、バランスを崩したエレキングが突っ伏した。 そのままハンマー投げの要領で高々と放り投げた。 倒れたエレキングに対し、今度は仁王立ちのまま、レッドキングが声を掛ける。 「立て」
ありゃ、おいらがもたもたしているうちに先越されてた。 どうしよう?
>>586 >どうしよう?
お続け下され。
ご隠居と暴れん坊がフリーズしちゃったみたいだから、乱入しただけにござる。
余計なことを致しもうしました。拙者は撤退ということで。
ちなみに考えていた展開は…
激闘のすえ、ご隠居のシッポが狙い済ましてレッドキングの首の後ろに炸裂。
その衝撃でレッドキングの口から水爆が弧を描き飛び出した!
地面に激突すれば大爆発必至!
しかし、それを乱入してきたムーンサンダーが急降下キャッチ。そのまま宇宙に飛んでいく…。
やがて大爆発。
解説者が「いまのは、もとに戻ろうとする宇宙空間の逆爆発です。」とワケの判らんことを言って…ちゃんちゃん。
勝敗は「最初からオレの水爆を引っこ抜くのが狙いだったんだろ?なら、狙いどおりになったんだからオレの負けだな。」とレッドキングが敗北を認め、ご隠居の勝ち。
…にござりもうした。
589 :
娑婆に帰れ :2005/04/25(月) 15:15:35 ID:T2pD8zE4
その知らせは、まだ東映系地獄のペロリゴンの家(洞窟)で居候を決め込んでいたアンギラスの耳に突然飛び込んで来たのだった。 「大ニュース!大ニュース!キングザイガーがブラックキング戦の参戦手続をやったそうだべぇ!」 「な、なんだって!」 アンギラスは飛び上がった! 「そんじゃザイガーのヤツ、あのオトゥゥムとかいうバケモンのとこから脱出できたんだな!」 「どうしてそこまで楽観的になれるんだべよ。オラ感心するべ。 手続はしてあるそうだけど、誰がやったのか全然判んないらしいんだべさ。」 「じゃあザイガーは?」 「それも行方不明のまんまだべ。たぶん今度ザイガーが姿を現すときは……」 ガンッ!大きな打音でペロリゴンの言葉が途切れた。 アンギラスが両拳で洞窟の岩肌を殴りつけたのだ。 「くそう…このオレがついてながら、こんなことに……。」 「オメエが悪いワケじゃねえべよ。なにせ相手はこの東映地獄にもワケなく侵入したぐらいのヤツだべ。」 だが、慰めるペロリゴンへとアンギラスは頭を巡らせた。 「こうしちゃあいられねえ!なあペロ!オレを元の世界に帰らせてくれ!」
590 :
連れてったる :2005/04/25(月) 15:18:10 ID:T2pD8zE4
「オレを元の世界に帰らせてくれ!」 「帰らせろって言われてもなあ……。」 ペロリゴンは口篭もった。 「娑婆で召喚されない限りは、勝手に行ったり来たりはできないべよ。地獄ってのは波いるのは簡単だけど出るのは難しいっぺ。それが掟なんだっぺ。」 「でもよ!オメエたしかGP会場に来てたじゃねえか?たのむよ!」 アンギラスはペロリゴンの前でアタマを地面に擦りつけるまで下げ、懇願した。 「お、オメ、そんなこと止めるだよ。どんなに頼まれても、掟は曲げられねえべ。」 眉間に皺を寄せ、拒否のポーズをとるペロリゴン。 そんな状態が何分、何十分続いたろうか? 「頼む、頼む」と懇願するアンギラスを前に、ペロリゴンはついに根負けした。 「……しょうがねえ。ここにオメエ連れこんだのはオラだしな。地獄の掟破ることになるだども……、オラが娑婆に連れてったるべえ!」
「…ヨモツヒラサカを抜ければいいんだべ。」 アンギラスの先に立って歩きながら、ペロリゴンは話した。 「…ただ、妖怪じゃない生物が突破するのは至難なんだべ。」 「そりゃまたいったいなんで?」 「途中に魔法系のトラップがシコタマしかけてあるんだべよ。いくら怪獣でも力づくで突破するのはムリだべ。」 「そんじゃいったいオレどうすれば?」 「オラが案内してやるべ。」 「でもそれじゃあ……ペロの立場が悪くなんねえかい?」 「気にすることねえだよ。ほら、ここを曲がるともう……!!!」 なんと!いつもは無人であるヨモツヒラサカの入り口が、ショッカーの改造人間たちにガッチリガードされしまっていたのだ。
(しまった!Otuumの侵入で警備が厳重になってるべ!) ペロリゴンは目でアンギラスに(黙ってろ)と合図すると、そのままヨモツヒラサカ入り口へと歩いていった。 「どこへ行かれます?ペロリゴンさま。」怪人たちを束ねていたゾル大佐(仮面ライダー)が進み出た。 「……娑婆へ行く。通らせよ。」ペロリゴンの口から発せられたのは、それまでと違う、威厳たっぷりの声だった。 (あれれ?ペロの喋り方が違うぞ??) ザコの怪人たちはペロリゴンの威光の前に直ちに道を開けようとした。 しかし、ゾル大佐はショッカー最高の実力者大幹部だけありそう簡単には引き下がらない。 「…失礼ですが、ペロリゴンさま。後ろにいるのは妖怪でなく怪獣なのでは?怪獣や怪人は娑婆で召喚されねばココから出られぬのが掟にございます。」 「……ワシは通る。このものを連れてな。」 「しかし……。」 「通さぬというのか?」
593 :
富樫登場 :2005/04/25(月) 17:11:31 ID:T2pD8zE4
「通さぬというのか?」 ゾル大佐の片目の視線とペロリゴンの視線がしばしぶつかり合った…。 だが、東映系は体育会系。 ゾル大佐といえども東映系長老の一人であるペロリゴンに、それ以上たて突くことはできなかった。 「判りました。」ついにゾル大佐も怪人たち同様ペロリゴンに道を開けた。 「…では行くぞ、アンギラス。」 アンギラスとペロリゴンは再び歩き出そうとした。 そのとき!? 「どこへ行くのだ?ペロリゴンよ??」 アンギラスとペロリゴンが振り返ると、東映系怪物の長、百目妖怪ガンマが立っていた。
594 :
{ :2005/04/26(火) 15:13:09 ID:dKO9NO8f
「どこへ行こうというのだ?ペロリゴンよ?」 低くボウボウと響く声で、ガンマが問い掛けた。 「こいつ(=アンギラス)を連れて娑婆まで行くのだ。」 隠してもムダと承知してか、ペロリゴンは率直だった。 「ヨモツヒラサカを抜けるというのか?魔力を持たぬ怪獣には不可能なことじゃぞ。」 「だからオレがついていくのだ。」 …ペロリゴンに引く気は無い。 「…この東映地獄の長老の一人であるオマエが、自ら掟を破るというのか?」 「ああ、破る。もともとこいつは…」ペロリゴンはアンギラスをアゴで指し示した「…オレがこっちに連れてきた。だからこいつを娑婆に帰すのもオレの責任だ。」
595 :
覚悟の上だ :2005/04/26(火) 15:14:31 ID:dKO9NO8f
「こいつを娑婆に帰すのもオレの責任だ。」 ペロリゴンはぐいっと胸を張った。 「罰なら受ける。逃げはしない。ただし、こいつを娑婆に帰してからだ。」 ガンマは重ねて問うた。 「液体に変えられて亀に閉じ込められるのだぞ。それでもよいのか?」 アボラスとバニラみたいな扱いだが、「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場する有名な刑罰だ。 「承知だ。」…ペロリゴンには迷いの気配すらない。 「………覚悟の上か………。ならばペロリゴンよ、頼みがある。」 ガンマは自分の後ろから何者かを招き寄せた。 すると、招きに応じて巨大な影がずずずいっと現れ、無言でアタマを下げた。 「ん?おまえは確か?」 「ペロリゴンよ。この超獣カウラも娑婆まで連れて行ってやって欲しい。」
596 :
三銃士 :2005/04/26(火) 17:05:08 ID:dKO9NO8f
「ペロリゴン殿、よろしくお願い申し上げる。」 ガンマの依頼で、アンギラスだけでなくカウラまで先導し、ペロリゴンはヨモツヒラサカを上っているところだった。 「任せるべえ。…だども、ガンマまで同じ目的できてたなんてビックリだったべ。」 「百目殿は、今回の件を地球全体に対する存亡の危機と捉えられているのだ。」 「それでまずは黒猫が娑婆に行ったってわけだべか。オラたちも黒猫と力合わせて悪い神様の復活を阻止しなくちゃなんねえだべな。」 「なんだかエライことになったな。」とアンギラス。 「うむ。ウルトラマンA最終回の後に、このような大業がオレを待っていようとは、思ってもみなかった。」とカウラ。 妖怪と怪獣と超獣のデコボコ三銃士は、遠く娑婆を目指して、ヨモツヒラサカを上って行くのだった。
597 :
フライヤーズ :2005/04/26(火) 17:06:36 ID:dKO9NO8f
「なあ、いまプロ野球のペナントレースはどうなってるんだべか?」 それまで無言で進んでいたペロリゴンが急に妙な話題を振ってきた。 「ペナントレース?」アンギラスは首を捻った。 「……オレがザイガーと地獄に行ったときにゃ、まだ始まってなかったからな。」 「そうだべか……。」 いったん口を閉ざしたペロリゴンだが、しばらくするとどこか遠くを見るような目線でニヤニヤしながら言い出した。 「……娑婆に行けば、フライヤーズの試合も見られるべ。楽しみだべな。」 「フライヤーズ?」カウラは怪訝そうな顔をした。 「フライヤーズだべよ!知らねえだべか?世間知らずなヤツだべ。」 常識知らず!と非難するようにペロリゴンは言った。 カウラにはまだ判らない。だが、アンギラスにはすぐ判った。 (東映フライヤーズか!)
東映フライヤーズ! …とっくの昔に親会社が東映でなくなり、名称も「日本ハム・ファイターズ」に変わった球団だ。 「……ペロリゴン殿、ひょっとしてそのフライヤーズというのは…。」 「わーわーわーわー!」 でたらめに叫び声を上げながら、アンギラスはカウラの後頭部を張り倒した。 「アンギラス殿!何を血迷って…。」 (言っちゃいけない!言っちゃいけない!) 必死に目で話そうとするアンギラス! それを見て、カウラにもどうやら理解できたらしい。 「(そうか!)あ、いや、フライヤーズですな。はは、モチロン知ってますな。ははは、いやオレとしたことが。」 「そうだべ!知ってるべ!楽しみだんべぇ。」 ニコニコ子供のように笑うペロリゴン。 だが、 フライヤーズはもう無い。 そんなことどうしてペロリゴンに告げられようか? こんなに楽しみにしているのに…。 心痛める優しいアンギラスであった。
599 :
科学と魔法 :2005/04/26(火) 17:10:15 ID:dKO9NO8f
そのころ「悪の帝王控室」では、東映地獄からやって来た「黒猫妖怪」を中心に、イグアナとゴッドイグアナの母娘(レインボーマン)、ツバサ大僧正(仮面ライダーV3)、悪魔道人(変身忍者アラシ)ら魔術の心得のある怪人たちが寄り集って、空の星辰を読み続けていた。 「……邪神復活をもたらすような星の動きはどこにも見出せませぬ。」と母娘を代表してゴッドイグアナ。 「こちらも同じじゃ」と、これは悪魔道人。 「どこかに見落としはないか?必ずあるはずなのじゃ!見落としが!!」 黒猫妖怪も途方に暮れていた。 「ザイガーがGPへの参戦を継続するということは、きっと儀式がココでのうては行えぬからなのじゃ!故に星辰もココを中心に読まねばならぬハズ!」 「しかし、」とこんどは娘のイグアナが答えた「…そこまで星の読み位置が限定される以上、見落としなど在り得ませぬ 。」 「あるいはザイガーのGP参戦継続そのものが罠なのでは?」ツバサ大僧正が鬚をしごきながらイグアナに続いた。 「……」さしもの黒猫妖怪も黙り込むしかなかった。 「見落とし」はたしかにあった。 だがしかし、魔術に長けた者たちにとっては、魔法・妖術の世界が全て。 科学の機器などは眼中に無かったのだ。
す、素晴らしいスレを見つけてしまった…… ウルトラマンとギャバンを原体験に持つこの身としてはもうたまらない、 たまらない上にクトゥルフまでもが……ちなみに北海道在住なので当然日ハムファンw くうぅぅ、参加してぇ! ??『やれやれ、仕方が無いですね。久しぶりに戻ってきましょうか……』 ??『だが、その魔術、日本じゃあ二番目だ』 ??『――を僕に操縦させてください!』 ……あ、あなた方はっ!?
「なあペロリゴン。ヨモツヒラサカってのは、こうダラダラ長いだけの洞窟なのか? オレはまた、もっと物凄いトコかとばっかし……。」 アンギラスがそう言うと超獣カウラは目を丸くした。 「ダラダラ長いだけですと!?さっきから同じ場所を何度も何度も通っているのに気がつかれんのですか?!」 「同じトコを何度もだとぉ!?」今度はアンギラスの目も真ん丸くなった。 「そんなワケねえぞ!だって枝道無しの一本道じゃねえか!」 「でも何度も同じところを通っているのは事実だ。げんにほら!」とカウラは近くの岩を指差した。「あの岩のキズは、オレがついさっき目印のつもりでつけたものだ!」 「そ、そんじゃオレたちちっとも前に進んでねえってことかよ!?」 アンギラスとカウラが立ち止まって口論しているあいだにも足を止ず先に行っていたペロリゴンが、このときやっと立ち止まり振り返った。 「モタモタしてねえでさっさと進むべえ!」 「いやしかし!」「だって、だってよう!」カウラとアンギラスが同時に口を開いた。 「さっきから全然前に進んでおりもうさぬ。」 しかしペロリゴンはカウラの問いかけにも平然としたものだった。 「いんや、ちゃんと進んでるだよ。」
「ここに掛かってるトラップは…」ペロリゴンが歩きながら説明してくれた「…同じトコをどうどう巡りしてるように見せる魔法なんだべ。」 「そうしたワナなら、我ら超獣にも心得があります。」カウラは簡単には納得しない「…そうした幻視系トラップならコチラが目印を置けば引っ掛からずに済むはずです!しかしココの場合は…」 「オメエが仕掛けた目印までちゃんと出てきたって言いたいワケだべ?」 「そのとおりです。」 「そこが魔法の怖さだべよ。仮に10メートルおきに見張り番を立てたって同じだべ。」 ベロリゴンの回答に絶句したカウラに代わって、アンギラスが口を開いた。 「……しばらく行くと、最初に立たせた見張りと出くわすってワケかい?」 「そうだべ。」 「ま、魔法……恐るべし。」ゴクリとヨダレを飲込んでカウラが言った。 「こんなんで驚いてちゃダメだべ。これは地獄に帰らせるのが目的のワナだから怖くねえべよ。でも、もう少し行ったら……。」 「…もう少し行ったら……どうなるの?」恐る恐る尋ねるアンギラス。 「命に関わるワナが出てくるべ。」
603 :
f@d) :2005/04/27(水) 15:06:51 ID:MxqErPZA
「おい小僧!気をつけろ!どっから出てくるか判らないぞ!」 「だから!ぼくの名前は『小僧』じゃなくて、『いのちゃん』だってば!」 メフィストと いのちゃんの2人は地鳴りも振動も無いまま地底から飛び出してくるメットンに苦戦を強いられていた。 「ねえメフィスト!こっちから地底に行くわけにいかないの?」 「そりゃムチャだ!こっちは地面をシャベルなりドリルなりで掘らなきゃならんが、あいつは地底を水の中みたいに泳いでやがるんだぞ!」 「でもこのままじゃ……。」 メットンが半ば妖怪化しているといっても、さすがに空は飛べないらしい。 2人はメットンが地下からジャンプしてきても決して捕まらない高さの空中に留まっていた。 この高さなら一応安全だ。 だがその代わり、メットンを倒すこともできない。 そしてガマン較べならメットンの方が絶対に強いはずなのだ。 なぜなら、メットンはこの空間に何千年か?何万年か?閉じ込められていたのだから。 しばしの持久戦など、屁でもないはずなのだ。
連続もうしわけござらぬ。タイトルが無いと場面転換がわからぬもので…。 「おい小僧!気をつけろ!どっから出てくるか判らないぞ!」 「だから!ぼくの名前は『小僧』じゃなくて、『いのちゃん』だってば!」 メフィストと いのちゃんの2人は地鳴りも振動も無いまま地底から飛び出してくるメットンに苦戦を強いられていた。 「ねえメフィスト!こっちから地底に行くわけにいかないの?」 「そりゃムチャだ!こっちは地面をシャベルなりドリルなりで掘らなきゃならんが、あいつは地底を水の中みたいに泳いでやがるんだぞ!」 「でもこのままじゃ……。」 メットンが半ば妖怪化しているといっても、さすがに空は飛べないらしい。 2人はメットンが地下からジャンプしてきても決して捕まらない高さの空中に留まっていた。 この高さなら一応安全だ。 だがその代わり、メットンを倒すこともできない。 そしてガマン較べならメットンの方が絶対に強いはずなのだ。 なぜなら、メットンはこの空間に何千年か?何万年か?閉じ込められていたのだから。 しばしの持久戦など、屁でもないはずなのだ。
(早くGP会場に行かないと!) いのちゃんの心に「急がないと大変なことになる」という思いがどんどん膨らんでいった。 (このままじゃどうにもなんないよ!…………ようしっ!!) すうーっ! 何を思ったか?いのちゃんは突然川原に向かって降下した! 「おい!気でもくるったか!?」 (*メフィストは昭和40年代のキャラなので、こういう言葉も使います) 「ぼくがオトリになる!メットンが出てきたらやっつけて!!」 「ムチャするな!」 いのちゃんを追ってメフィストも降下しようとしたそのとき、いのちゃんが飛ぶ少し後ろの草原が風向きに逆らう向きに揺れだした。 (出やがった!) 草の不気味な動きは低空飛行する いのちゃんの動きを追い、距離を一気に詰めた。 「小僧!後ろだ!」 いのちゃんがメフィストの声に振り返ると同時だった。メットンが草原をすり抜けるように地下から滑り出したのは。
「魔力!地獄の火!!」 メフィストのステッキから炎が噴出しメットンを飲み尽くさんと唸りをあげた。 しかしメットンはそれを体を左右にかわしながら、まるでジェットボートのように いのちゃんに迫る! 「グシャシャシャシャ、食ウゾ!食ッテヤルゾ!」 あっというまに距離はつまり、メットンの口がくわっと開いた! 「シャアアアアアッ!!」 バクンッ! いのちゃんは素早く飛びながら横滑りした! 激しく音をたて閉じた口の、そのキバのあいだをすり抜けて、いのちゃんは素早く右に横滑りした! 「シンゴっ!」メフィストが叫んだ。 (シンゴじゃないよ!いのちゃんだよ!) 「チョコマカ、ウザイゾ!!」 バクンッ!またメットンの口が閉じるが、こんどは左に横滑りしてかわす! (メフィスト!はやくコイツをやっつけて!ぼくが食べられちゃう前に!)
場面かわってこちらは妖怪・怪獣・超獣の珍三銃士……。 無限ループと見えた地下道も、おしゃべりしながらだと結構簡単に抜けられてしまった。 もちろん話題は「東映フライヤーズ」である。 「へええええっ!ぶったまげたべえ!フライヤーズ、いまは札幌なんだべか!?」 アンギラスは「日本ハム・ファイターズ」という部分だけ伏せて、球団の近況をペロリゴンに説明していた。 「おうよ、フラレターズはいま札幌よ。」 「……すすき野でブイブイ言わせてるだべな!」 彼女にフラレターズ……、古い駄洒落だがペロリゴンにはリアルタイムだ。 「いいのか?アンギラスどの。」カウラがアンギラスの耳元(どこが耳だ?)囁いた。「ペロリゴンどのは期待モリモリですぞ!」 「んなこといったって、『そんな球団ありません』なんて言えるかよ!」 「なんの話してるだべか?」急にペロリゴンが振り返った。 「なんでもないでーす。」息の合った漫才コンビのようにカウラとアンギラスは声を揃えて答えた。 「そうだべか………。」そしてその直後、ペロリゴンの口調が少し変わった。「…また別のトラップだべ。今度は命懸けだーよ。」
608 :
風を統べる者 :2005/04/27(水) 21:17:16 ID:WqKllTFZ
悪の帝王達が自分を話題に上げていることも知らず、グランドキングは ダクミランと一緒に彼が録画していたキングザウルスV世対ジャンボキング戦を見ていた。 「でも・・・」 試合が終わり、停止ボタンを押すとダクミランは口を開いた。 「何でまた、試合終了の後にジャンボキングを襲ったんですか?」 言われてグランドキングも首を傾げた。 コスモリキッドにも訊かれたが、意識を失った後の事は全く覚えが無いのだ。 ただ、意識を失う直前に“声”を聞いた。 「よく超獣達に仕返しされませんでしたねぇ」 ダクミランの声は耳に入らない。 “声”。そして・・・ (目覚めよ・・・星々の間を過ぎる者にて構成されし者よ) (え?誰だお前・・・) (我が名は・・・・・・目覚めよ・・・汝の敵を倒せ・・・妨げるものを排除せよ・・・) あの時、“彼”は確かに名乗った。 (我が名はイタカ・・・風を統べる“星々の間を過ぎる者”に従う者・・・・・・)
609 :
北国馬鹿一代 :2005/04/28(木) 02:52:59 ID:6Nn1oCC8
男は、特撮が大好きだった。 古来より『好きこそ物のあわれ也けり』と言う。 彼は、貴重な有給を使い、怪獣GPを見んが為にはるばる北海道より来ていた。 自身がどのような体験をするかも知らず……
えらいことになってきもうした。イタカまで出るでござるか?
特撮板だかSF板だかわからんようになってきました(笑)。
>>608 ところでイタカは「C」のサイドにござりまするか?
それともハスターなんかと同じ反「C」サイド?
それがしは例の人口衛星を破壊して星辰を崩す役目に、もんたーX、モンスターX、GKのどれかを考えており申しました。
GP準決勝と並行ぐらいのタイミングで人工衛星を守るオトゥゥムと戦う役目の怪獣にござる。
血統に飲まれるキングザイガーと、血統に飲まれず「己」を見出したGKという対比で構成するのが綺麗にござるが…。
>610 イタカはハスター(ハストゥールとも)の下に付く邪神ですよ。 吹雪の夜、哀れな犠牲者を見下ろす二つの瞳がある。 その瞳を見た者は風に乗りて歩むものに連れ去られ、絶対零度の宇宙をさまよい、凍て付いた骸となって繰り返される……
612 :
深淵の回廊 :2005/04/28(木) 15:13:11 ID:yAKkbsVh
「命の危険のあるワナって……、これまでと同じ洞窟が続いてるだけじゃねえのかい?」 アンギラスが言うと、カウラも続いた。 「まあ、強いて違いを言うなら…これまでより広いというぐらいしか……。」 「ところが大違いなんだべよ。おめえたち、ここが普通の洞窟に見えてるべえ?」 「……違うのかよ?」 「目には見えねえけんど、そこいらじゅうに無限の深淵が口開けてるだーよ。」 ペロリゴンの第六感と第七感には、そこいらじゅうに広がった深淵から吹き上がる異次元の冷気が捉えられていた。 「なんだってぇ!?そんじゃここはホントは穴だらけなんかよ?」 アンギラスが愕きの声をあげたが、ペロリゴンの答えはもっととんでもないものだった。 「穴だらけじゃねえべよ。足を置いていい場所の方がずっと少ねえんだから。」
613 :
二足?四足? :2005/04/28(木) 15:15:03 ID:yAKkbsVh
「穴だらけじゃねえべよ。足を置いていい場所の方がずっと少ねえんだから。」 ペロリゴンの言葉にアンギラスの顔が引き攣った。 「では、飛び石のようになっているのか!?」 カウラの例えには、ペロリゴンも頷いた。 「そーだよ。オラは妖怪だから気配でそこに淵があることが判るべ。だからいいだか!?オラが足置いたとこだけは安全だから、そこだけ踏んで進むだよ。」 「……わかった。慎重に行くとしよう。」 「んじゃ、行くだーよ。」 ペロリゴンが一歩、二歩と進みだした。 その後を、カウラが慎重になぞって足を下ろす。 「あ、あの……ちょっと。」 「ん?なんだべか?」 「あんたら忘れてない?」 「…忘れてるって、何を?」 「あんたらは二足だけど………、オレ四足なんだよね。うまく…なぞれねえんだけど…。」
「こんどこそいいだか?」 「一応だいじょぶみたい。」 心配そうなアンギラスに、超獣カウラが後ろから声をかけた。 「オレがついてる。心配するな。」 妖怪・怪獣・超獣の珍三銃士は先頭のペロリゴンの両肩にアンギラスが両前足をかけ、そのアンギラスの背中のトゲを掴むようにしてカウラが続く縦列隊形をとっていた。 ペロリゴンがアンギラスを支え、不慣れな二足歩行で踏み間違えないよう後ろからカウラがアンギラスを補助しようというのである。 「んじゃ、ムカデ競争!スタートだべ!」 シティ!イン シティ!!……と叫んだりはしない。 もちろんホンダ♪ホンダ♪ホンダ♪ホンダ♪なんて掛け声も無い。 ペロリゴンはそんな「新しい」コマーシャルなんか知らないのだ。 「それ、いーーーーち!にーーーーーーい!………」 味も素っ気もない掛け声とともに、ペロリゴン率いる珍三銃士は、見えない深淵がそこここに口を開くエリアへと踏み込んでいった。
つむじ風のように巨体が川原の面を飛びぬける! いのちゃんとメットンの追いかけっこは最悪のエンディングを迎えつつあった。 メットンは予想以上に速かったのだ! 永く絶食状態で封印されていたのだから、普通の生物なら体力不足で遅いのが当然だ。 しかし、永い封印の果てに妖怪化しかかっていたメットンにとっては、「いのちゃんを喰いたい!血を啜りたい!」というおぞましい執念そのものがエネルギー源になる! 「ウショショショショ!喰イタイ!食ワセロ!喰イタイ!食ワセロ!」 もう いのちゃんとヨダレを垂らすメットンの距離は0メートルになっていた。 つまり いのちゃんは足で怪物の鼻先を蹴ったりしながら、死の顎をかわしている状態なのだ。 (食べられてなんかやるもんか!) ぱしっ! すぐそこまで迫ったキバを蹴った直後、メットンの顎が音をたてて閉じた。 ばくんっ! キバの切っ先はとっさに引っ込めた いのちゃんの足先をかすめた。 (早く!メフィスト早く!) いのちゃんがメットンの胃袋に納まるのは、もう時間の問題だ!
616 :
ある法則 :2005/04/28(木) 15:19:45 ID:yAKkbsVh
(ちくしょう!メルッンのヤツ意外と早いぞ!?このままじゃオレが追いつく前に 小僧が食われっちまうぞ!) いのちゃんは「メットンの前を飛ぶ」というより「メットンの鼻先に立ち、メットンに押されている」状態に近い。 ここからメットンを振り切って上昇するのはもうムリだ。 (なんとか早く追いつかねえと……) そのとき、メフイストはこの世界の特徴である「ある法則」を思い出した。 (そうだ!その手があった!!)
(あっ!) メットンの口から白い紐のようなものが何本も飛び出し、いのちゃんの足首に絡みついた。 「グシャシャシャシャ……捕マエタァ。」 白い紐と見えたのは、途中で何本にも枝分かれした舌だった! 白濁した粘液に包まれ脈動する舌がうにょうにょ動いて、よりしっかり いのちゃんの足首を絡め獲った。 「グヴェェェェエエエエッ!」 振り返った いのちゃんの目の前で、メットンは歓喜の叫びをあげ口を開いた。 「きゃああっ!」 しかし、悲鳴をあげる いのちゃんのすぐ横を、真っ黒いものが稲光のように通り抜けた!
「地獄の火!」 真っ黒いもの=メフィストのステッキから魔力の炎が迸り、大口を開けたメットンの口の中で荒れ狂った! いのちゃんを捕らえていた舌も一瞬で焼け落ちた! 「メフィスト!なんで後から追っかけてたはずなのに、なんで前から!?」 「この世界が無限ループしてるからさ。だから、後からメットンを追いかけるより、反対側に飛んで迎え撃った方が速いと思ったのさ。」 メフィストは「ココのできが違うよ」というふうに自分の頭を指さした。 「あ!メフィスト!メットンが逃げるよ!」 「ゴゲゲゲゲゲゲ………!?」 言葉にならぬ悲鳴をあげ口を押さえていた、メットンは川原の地下に潜行して逃げようとした。 「逃がすかメットン!」
「逃がすかメットン!魔力!ワイアーロープ!」 メフィストのステッキの一振りで、魔法のロープがどこからともなく飛び出すとメットンの体に幾重にも巻きつく! ダイブしかかった地下から、見えないクレーン車にでも引かれるようにメットンが姿を現した! 「魔力!ボウガン!」 メフィストがステッキを一振りすると、水辺の葦の茎が一斉に金属製の矢に変わる! 「発射!」 びゅびゅびゅんんっ! 無数の魔法の矢がメットンに向け飛び、突き刺さる! 「ギェエエエエエエエエエッ!」 メットンは体に刺さった矢を払い落とすが、容赦することなく第二波、第三波が突き刺さった。 「ゴ、ゴアアアアアア!!」 たちまち血だるまになったメットンだったが、体を激しく痙攣させると死力を振り絞って体に巻きついたワイアーロープを引きちぎった! ブチッ! 「あっ逃げる!」 すぐさま川原の大地へと身を躍らせるメットンだが、メフィストは慌てない。 「魔力!深淵流し!!」 魔法のステッキの一振りで、メットンが身を躍らせた先の大地がバックリ二つに裂けた。 無限の深淵の冷気が立ち上る! 「ギ!?ギャアアアッ!」 自分が飛び込もうとしているのがどういうところなのか、メットンが気がついたときにはもう遅かった。 「…タスケテクレーーーーッ!」 メットンの姿が地割れの中に消え、助けを求める声が微かな谺になると、地割れは静かに閉じ合わさった。
620 :
GP会場へ :2005/04/28(木) 16:59:55 ID:yAKkbsVh
「メットン死んだの?」 「死んじゃあいねえさ。だが、次元の狭間にある深淵に落っことしてやったから、もう二度と出て来れねえ。」 「じゃあボクたちココから……。」 いのちゃんが最後まで言うより早く、あたりの雰囲気がにわかに一変した。 ……車のエンジン音。 ……人の話声 そして…。 いのちゃんは、勝手知ったる自分の町の空にいるのに気がついた。 閉鎖空間からの脱出に成功したのだ。 「よし小僧、これからその…なんとかGPの会場までひとっ飛びだ!」 「だからボクはいのちゃんだってば!」 空飛ぶ2人の話声は、あっというまに東の空へと消えてしまったのであった。
>>611 普通に考えると、首領格の「H」が「C」と敵対してるから「I」も同じく「C」と敵対するんでござろうか?
なんといってもティガ怪獣のゾイガー(ツァール+ロイガー)がガタノゾアの子分だったって既定事実があるもんで。
……特撮板なのにスレ違いすみもうさぬ。
>621 そらぁ、敵だろうな……と思って『クトゥルフ神話TRPG』を紐解いた。 はっきりそうと書かれていない……矢野健太郎の漫画だとそれでいいみたいだけど…… このレスは、多分丸ごと板違いだけど…… 後、ロイガーにはツァールと関係のない種族のロイガー(実体化すると爬虫類に似ている力の渦)てのもいて、 そっちはガタノゾアと関連付けられたりイタカと関連付けられたり。 ツァールはツァールでハスターやハスターの下僕のビヤーキーに関わる呪文を知っていたり、 あるいはツァン高原のチョー=チョー人という連中に崇拝されているので、 同じ場所にいて同じ連中に崇拝されるチャウグナー=フォーンと関わるとか関わらないとか?
623 :
本当の家族 :2005/04/29(金) 13:29:59 ID:szCtRzY4
珍三銃士が深淵へ足を踏みこんだ時と同じ頃・・・・・・ 「イターカ?何ですか、そりゃ」 「イターカじゃなくて、イタカ!」 グランドキングは声の主、イタカの事をダクミランに話したが ダクミランにはさっぱり分からないようだった。 「で、そのイターカがグランドさんの本当の家族だって言うんですか?」 ダクミランの問いに対し、グランドキングは満面の笑みで答えた。 「そうだよ、いいか、きっとイタカは、俺の家族の一員なんだ、きっとそうだ!だから話しかけてきたんだ!」 「はあ」 「でもなあ・・・・・・」 さっきまでの笑顔が消え、暗い顔になるグランドキング。 「何で、俺の試合のときに来てくれなかったんだろう・・・・・・」
624 :
GP会場へ :
2005/04/29(金) 13:31:38 ID:szCtRzY4 ダクミランはいつ「そういや何でお前らは来なかったんだ!」と言われないかヒヤヒヤしていた。 まさか、試合の事を忘れてハリウッドへ遊びに行っていたなどとは言えない。 が、グランドキングは何かを決心した顔つきになると立ち上がった。 「よし!決めたぞ!」 「えっ?」 「俺の本当の家族が来なかったのは、来られない事情があるからに違いない!」 「えっ?えっ?」 「俺が本当の家族を迎えに行くぞ!俺が迎えに行くんだ!」 「ちょ、ちょっと!まさかアンタ・・・・・・」 「GP会場へ戻る!ここでじっとしていても始まらない、行くぞ、俺は、絶対に迎えに行くぞーっ!」