【果てしなき】ライダー共闘SSスレその8【戦い】

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1名無しより愛をこめて

ライダーに関する自由度の高いSSを職人さんに発表してもらうスレです

・時代も世代も違う作品群の夢の競演
・仮面ライダー作品の世界観のアナザーストーリー
・ライダーの敵(幹部、怪人)をメインとしたSS
・オリジナルライダー
・小説・ノベル
・ライダーをメインにした他作品とのクロスオーバー

age,sage自由、批評は良いが煽りをしてはいけないよ
読者の方も感想、激励等どんどんカキコして行きましょう
職人さんもぜひよろしく

<注意事項>
・新フォーム、ネタバレなどはTVの流れに準じて解禁
・劇場版のみのライダーは公開から約1月後をメドに解禁
・他作品とのクロスオーバーの場合、
元ネタをみなが知っているとは限らないので(特にアニメ系)、
元ネタを先に宣言してくれるとありがたい
・避難所のみで連載している人もいるので避難所も時々覗いてね
2名無しより愛をこめて:04/09/21 11:49:50 ID:KtBFV15U

前スレ
【復活!】ライダー共闘SSスレその7【戦え】
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1092199989/l50

↓バックナンバーはこちら
まとめサイト(その7以降)
http://www.geocities.co.jp/Bookend/7827/777.html
ログ庫 
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Studio/9133/rider/index.html
避難所 
http://jbbs.shitaraba.com/movie/3028/saidestory.html


↓関連・参考スレ(サイト)↓
【勝手に】仮面ライダー龍騎R・D・C【補完2’】
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1090755572/
【今年も勝手に】劇場版仮面ライダー555【補完】
http://www.geocities.co.jp/Bookend/7827/Gekijou555.html
特撮キャラで、ちょっとしたストーリーを描くスレ4
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1086452342/
帰ってきたぞ!特撮キャラ総出演!!
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1076553553/
【名作】オリジナルヒーロー第二話【駄作】
http://tv6.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1095726168/l50
3名無しより愛をこめて:04/09/21 11:50:45 ID:KtBFV15U

ライダー共闘SSでSS職人も共闘しよう!

<これまでの流れ>

昭和・平成すべてのパラレルワールドをひとつに集約して行われる、ライダーVS組織の最終決戦。
最前線ではライダーと敵との果てしなき戦いが繰り広げられていた。
空と大地を埋め尽くさんばかりの、グロンギ、アンノウン、ミラーモンスター、オルフェノクの群れ。
さらにライオトルーパーの大部隊が、ジェットスライガー、サイドバッシャー、
オートバジン、ジャイロアタッカー、らの高性能マシンを駆り、疾走する。
その中で一際高くそびえる鋼の巨人・量産型キングダークの群れ。
まさしく動く山々を思わせる岩石大首領のコピー達の群れ。。
そして人間の理性を失い凶暴な巨獣と化したエラスモテリウムオルフェノクの群れ。
さらに、太古の恐竜や伝説上の架空の生物・ドラゴンを連想させるネオショッカー首領のクローンの群れ。
ライダー達の戦いは終わらない・・・・・・。

※シャドームーン、13riders全員、オーガ、サイガもライダー側で参戦です。


<この話の戦闘シーンのSSを書いてくれる方を募集してます>

・複雑なストーリー、設定は一切ありません。
・ライダー達が格好良く共闘する戦闘シーンであればどんなのでもOK
・自分が好きなライダーが大活躍するシーンなどでもOK
(例えば、RXのリボルケインでモンスター千体斬りとか)
・自分が考えたライダー同士の戦闘コンボなど
・フォームチェンジ激し杉、必殺技出し杉も基本的には気にしない方向でw
・整合性もあまり気にしない?<あまりに酷くなったら何処かから分岐しているパラレルという事で
・名前覧に「ライダー共闘/タイトル」で投稿して貰えるとわかりやすくてありがたい
等々
4名無しより愛をこめて:04/09/21 11:52:30 ID:KtBFV15U

<お約束>

・自分が好きなライダーを活躍させるのは構いませんが、
他のライダーをかませ犬にしたり、貶めたりしてはいけません
・ライダーを殺してはいけません
・オリジナルライダーはこの話では避けましょう
・後はこのスレの良識の範囲内で


<悪役サイド>

ライダー達との最終決戦がはじまる半日程前。集結する歴代組織の幹部。
彼らの前に姿を見せる人間達の戦力。戦車をはじめとする地上部隊、戦闘機が空を翔る。
沿岸には空母や巡洋艦などの艦隊が砲撃の準備を行っている。
その数は、おそらくこの国の全戦力を、いやこの国に駐留している某国の戦力をも総動員しているに違いなかった。

敵側サイドを書きたい人はこちらのフォーマットをどうぞ
敵がライダーを倒す訳にはいかないので、こちらは悪役連合VS人間の軍事力です
幹部、怪人がメインで活躍する話をやりたい人向けです


※今迄の作品は前スレ、もしくはまとめサイトをご覧ください
5:04/09/21 12:02:20 ID:KtBFV15U
見やすくしようとしたら、妙に改行が多くなった
だが私は謝る、スマソ
6名無しより愛をこめて:04/09/21 12:56:35 ID:tftLKp5b
>>5
いやいや、読みやすいですよ。GJ!
7名無しより愛をこめて:04/09/21 14:09:04 ID:94syVEy3
>>1
8ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 16:35:22 ID:KtBFV15U

パラレルワールドをひとつに集約して行われる、ライダーVS組織の最終決戦。
最前線ではライダーと敵との果てしなき戦いが繰り広げられていた。

モンスター軍団と戦うブレイド・剣崎の前に突如現れる2つの人影。
「・・・・・・許されない・・・・・・」影の主は口々にそう呟く。
「トライアルD?」ブレイドいや剣崎はその出現に驚く。
「なぜ、ここに?」「いや、なぜ3体も?」
戸惑うブレイドに容赦無く襲い掛かる2体のトライアルD、ブレイドの前後を取り囲む。
トライアルDの全身を駆け巡る伸縮自在なコードが、前後から高速でブレイドを目掛け飛んで来る。
トライアルDのコードはブレイドの首やボディに絡みつき、身動きを封じる。
締め付けられその手からラウザーを落とすブレイド。
「なぜだ」ブレイドは必死になり両手でコードを振り払おうとするが、
締め付けられた威力でカラダに思うように力が入らない。
ブレイドの意識が徐々に遠のきはじめる。

その時一閃。ブレイドに絡みつくトライアルDのコードを斬り落とす者。
タイタンフォームとなったクウガであった。
「剣崎さん、大丈夫ですか?」「五代さんっ」カラダの自由を取り戻したブレイド。
「こいつらは人造アンデッドなんです」「人造アンデッド?」
「不死だから倒す事も出来ないし、カードに封印する事も出来ないんです」

スピードに優れた青の戦士、ドラゴンフォームにその姿を変えるクウガ。
1体のトライアルDをそのスピードで撹乱する。
その間にブレイドは5[キック]、6[サンダー]、9[マッハ]の3枚をラウズ『ライトニングソニック』
雷をその脚に纏い、もう一体のトライアルDに必殺のキックを放つ。
倒れるトライアルD、ベルトのバックルが2つに割れる。
だがブレイドがカードを投げてもそのボディに吸収されてしまう。
「やはりダメか」ブレイドは何度も見たその結果に落胆する。
そして倒れたトライアルDはそのボディを液体状へと変え、地中へと染み込んで行く。
9ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 16:35:56 ID:KtBFV15U

2体のトライアルDを引き付けながら、その様を見ていたクウガ。
「ここは俺に任せてください」クウガはブレイドに向かって叫ぶ。
クウガはその姿をアルティメットフォームへと変える。
その発火能力でトライアルDのボディに火を放った。
超高温のボディがトライアルDのボディを焼く。
だがトライアルDはすぐにその再生能力でその姿を復元する。
クウガは拳を強く握りしめ、意識を集中させ力を込め、さらに炎の温度を上昇させる。

クウガの業火に焼かれながらも、再生を繰り返すトライアルD。
だがついにトライアルDは再生出来なくなる。
トライアルDの再生能力をクウガの超高温の発火能力が越えたのだ。
その身を焼かれるトライアルD、最早再生が追いつかない。
液体状になって逃れようとするが、それが全くの裏目となる。
液体状になった瞬間、トライアルDはその熱で瞬く間に気化してしまったのだ。

人造であるとは言え、不死であるはずのアンデッドを完全に消滅させたクウガ・アルティメットフォーム。
「すごい、こんな倒し方があるなんて」ブレイド・剣崎はただただ驚くばかりであった。
「しかし、なぜ、トライアルDがここに?」剣崎は何か妙な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。
10ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 17:13:06 ID:KtBFV15U

ギャレン・橘、アギト・津上の前に現れたのはアンデッドの群れだった。
「こいつらは確かに俺達が封印したはずだ」ギャレンもまた予期せぬ出来事に驚きを隠せない。
橘の言う通り、大方のアンデッドは封印されているはずであった。
ギャレン達BOARD製ライダーは封印されたアンデッドの力で今現在戦って来たのだから、
カードが再び封印を解かれたというのは考えられない。
だが現に封印されているはずのアンデッドが目の前に群れとなって襲い掛かって来ているのだ。

今はそんな事を追及している場合では無かった。向かい来る敵を倒さねばならない。
「津上君、こいつらはアンデッド、不死の生命体だっ」
「殺す事は出来ない、カードに封印するしかないんだっ」
「これを使ってくれっ!」ギャレンはアギトに向かってアンデッドを封印するカードを次々と投げる。
回転しながら空を切り飛んで行くカード。アギトはこれを器用にすべてキャッチする「わかりましたっ、橘さん」

太陽の光を受け、シャイニングフォームとその姿を変えるアギト。
カードをラウズしてJフォームとなったギャレン
空を舞うギャランは超高速で低空飛行しながらラウザーを連射、アンデッドの動きを牽制。
その後ろからアギトが超高速で地を駆け、シャイニングガリバーで次々とアンデッドを切り倒して行く。
バタバタと倒れていくアンデッドにカードを投げ封印していくアギトとギャレン。

「津上君、君はみんなの居場所を守る為に戦うと言っていたな」「はいっ」
「俺は、アンデッドとの戦いの中で、居場所を、帰る場所を失ってしまった」
「だから俺は、俺のように帰る場所を無くした人々を、これ以上は増やしたくは無い」
橘の言葉を聞き、しばし間を空けて津上翔一は言葉を返した。
「俺も姉さんを失って、記憶も失って、
それでも、優しくて暖かい人達に出会えて、そこが俺の居場所なんだと思えるようになりました」
「橘さんにもきっとありますよ、自分の居場所が、帰る場所が」
「そうか、そういうものなのかもしれないな」橘の声はそれでも少し寂しそうでもあった。
11ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 17:51:15 ID:KtBFV15U

レンゲル・睦月、龍騎・真司の前にもやはりアンデッドの群れは現れていた。
「も〜う無理ですよっ、城戸さんっ」「ただでさえこんなに敵がいるのに、アンデッドまでなんて」
「睦月、弱気になるなっ」龍騎はストライクベント・ドラグクローで、火炎弾を打ち込み、
アンデッドの群れを爆破炎上させる。アンデッドのベルトのバックルが二つに割れる。
「城戸さんっ、カードで封印するんですっ」睦月の助言に従い、龍騎はカードを投げた。
「城戸さんっ、城戸さんのカードじゃダメですって」
そう、龍騎が投げたのはラウズカードでは無く、アドベントカードだった。
「馬鹿、早くそれを言えよっ!」「カード無くしたら大変なんだからなっ!」
龍騎は慌てて投げたカードを拾いに行った。その間レンゲルはカードを投げアンデッドを封印。

睦月は倒してもキリが無い敵の前に、弱気になりはじめていた。
まだ高校生であり、精神的にも強くは無い睦月。
そんな時に決まって聞こえるのはカテゴリーAの声であった。
「・・・・・・戦え・・・・・・倒せ・・・・・・・」頭を抱えもんどりうつ睦月。
12ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 17:53:29 ID:KtBFV15U

「いやぁ、まいったまいった」「カードがあって良かったぜ」
頭を掻きながら戻ってくる龍騎にレンゲルが再び襲い掛かった。「!?」「なんだっ?またか?」
レンゲルが振り下ろす錫状型のラウザーを、その手甲・ドラグバイザーで受け止める龍騎。
次の瞬間、龍騎はレンゲルの顔目掛けてその拳を放つ。
が、今度はレンゲルの掌でその拳は受け止められた。
「同じ手には引っ掛かりませんよ」その声は睦月本来の声とは違う冷たいものであった。
「なら、これだっ」龍騎はそう言うと、両手が塞がった体勢から飛び蹴りをレンゲルに喰らわせた。

倒れたレンゲルを見下ろす龍騎。
「なぁ、睦月」「俺達が敵を1体倒すと、それでどれだけの人の命が助かるんだろうな?」
「きっと、何人もの人の命が、それだけで助かるんじゃないかな」
「すごい事だと思わないか?」「俺がちょっと頑張れば、何人もの人の命が救えるんだぞっ」
「だから、例え果てしのない戦いであろうと、俺は戦い続けるんだ」

得意になって話す龍騎の背後からレンゲルが襲い掛かる。
「てめぇっ、人がいい話してんだから、まともに聞けってのっ!!」
レンゲルは龍騎との乱闘の後、しばらくしてやっと正気を取り戻すのだった。
13ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 18:34:08 ID:KtBFV15U

スカラベアンデッドに苦戦するファイズ。
思い通りに対象物や空間の時間を停める能力を有しているスカラベアンデッドに、
ファイズ・乾巧には何が起こっているのか理解する事すら難しかった。
攻撃しようとしても、一瞬のうちに、巨大な左腕で叩きのめされる。
巧はアクセルフォームのような超高速での移動による攻撃ではないかと考えていた。
ファイズはアクセルフォームへのチェンジを試みるが、スカラベアンデッドはその隙すら与え無かった。

叩きのめされるファイズを救ったのはファイズであった。
カリスアローから放たれる矢がスカラベアンデッドの背中に突き刺さる。
「こいつには時間を止める能力がある」カリスはファイズに助言する。
「なるほどな、そういう事か」よろめきながら立ち上がるファイズ。

「なら、時間を止める前にぶっ倒してやるぜ」
カリスがスカラベアンデッドを牽制しているその隙に
ファイズはアクセルメモリーをファイズフォンのメモリースロットにセットする『Start up』
胸のフルメタルラングが展開し、目が黄色から赤色に変色、
フォトンストリームが銀色のシルバーストリームに変化、超高速戦闘形態・アクセルフォームへと変わるファイズ。
14ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 18:34:43 ID:KtBFV15U

超高速でスカラベアンデッドに突進、拳で殴りつけるファイズ。
だがスカラベアンデッドはすんでの所でファイズの時間を止めた。
ファイズはその拳をスカラベアンデッドに当てる直前で止まる。
そのはずだった。だが実際にはファイズはスカラベアンデッドを殴りつけた。
ファイズのアクセルは時間を止められる前に、
スカラベアンデッドのその腕に巻かれていた布に指一本の差で触れていた。
もちろんそれを指示したのはカリスだ。

時間を止められなかったスカラベアンデッドが、次にファイズの動きを止める事は出来なかった。
時間を止める前に、ファイズの超高速の動きに瞬殺されたからだ。
カリスはカードを投げ、スカラベアンデッドを封印する。

「時間を止められる奴なんて、もう懲り懲りだな」
巧はそう言ったが、ファイズとカリスの前にはさらに数体のスカラベアンデッドがその姿を見せる。
「一体どういう事だ?」カリス・始はアンデッド軍団の出現がどうしても解せなかった。
15ライダー共闘・祝8スレ目:04/09/21 18:51:01 ID:KtBFV15U

アークオルフェノクに付き従う村上、そしてダグバと共にいるバラのタトゥーの女。
「ついに彼らもやってきましたか」村上は頷きながらそう言うと
「不死の者か、面白いな」バラのタトゥーの女が微笑を浮かべる。

「俺達にチャンスを与えてくれた事にまずは礼を言うべきかな?」
人の姿をした12人の上級アンデッドがその場に姿を見せる。
「あなた達の細胞を集めるのには苦労しました」「我がSBの科学部門が総出だったのですよ」
村上はそう言いながら薄ら笑いを浮かべた。
「あなた達はクローンではありますが、その力も意識も本体とは何ら変わりはありません。」
「是非、ライダーを倒して、あなた方の本体をカードから解き放ってください」
「期待していますよ」

こうして、ついにライダーと組織との最終決戦にアンデッド達も参戦を果たす。
ライダー達の戦いが終わることは無い・・・・・・。
16:04/09/21 18:53:10 ID:KtBFV15U
というわけで、ご祝儀SSも出したので、私は前スレに戻りますw
17名無しより愛をこめて:04/09/21 20:22:45 ID:m7XEl5Uy
>>1
スレ立て乙です。

>>8-16
職人様、新作乙です。なるほどこれでアンデッドも出し放題ですね(マテ)
スカラベアンデッドは自分も使いたいなと思ってたので…。
18名無しより愛をこめて:04/09/21 23:07:52 ID:PzJOExbE
現行放送の怪人出せた方が盛り上がりはいいよね、多分
スカラベUD、トラDはSS書くなら一度はやってみたい設定かも

新スレ誘導につきageさせてもらいます
19アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/21 23:28:18 ID:ub7ohXvc
>>1さん
新スレ作成お疲れ様です
アギト外伝は、明日昼以降に掲載予定です
20名無しより愛をこめて:04/09/22 07:25:12 ID:M2NA3ypt
age
21アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 12:52:56 ID:oLAsO/ek
【2007/7/10/17:44 都内某所・中屋敷モータース】


「…ブレーキホースが劣化してる。今のまま走り続ければ、そう遠くないうちに事故確定だな」
「マジっすか!?」
 つなぎを着た男の言葉に、驚きの声を上げる青年。
「ああ、こんなことで冗談は言えん。今のうちに交換しておけば安くつくが…どうする?」
「…お願いします」
「1時間もあれば作業は終わる、その辺で暇を潰して来い」
 そう言って、早速作業に入る男。慣れた手つきで部品の交換を始める。

 そして、1時間後―

「走り屋を名乗るなら、こまめに整備、点検に出せ。完全に故障してから修理に出すより、出費は少なくてすむ」
「はい!」
 男の言葉に答え、修理を終えたバイクで走り去る青年。
「なかなか堂に入った言い方だったぞ。涼」
 バイクを見送る男に、近くにいた壮年の男性が声をかける。
「俺がおやっさんに言われた事を、そのまま伝えているだけだ」
 その声に苦笑しつつも、男性=『おやっさん』に答える涼という名の男。
 そう、彼の名は葦原涼。かつてギルスと呼ばれ、アギト=津上翔一、G3−X=氷川誠と共に、アンノウンと戦った青年である。
「お父さん、涼ちゃん。夕飯の支度ができましたよ」
 店の奥から響く明るい声。『おやっさん』の奥さん、涼が『おふくろさん』と慕う女性の声だ。
「おお、もうそんな時間か。涼、店じまいの準備だ」
「わかった」
 『おやっさん』の言葉に答え、閉店の準備に入る涼。
 今、涼は自分の居場所を見つけていた。そして、この場所を失いたくは無いと強く望んでいた。
22アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 12:53:29 ID:oLAsO/ek


 仮面ライダーアギト外伝:第4話『ギルス』


【2007/7/11/12:24 警視庁・G5ユニット詰め所】


「え? 葦原さんの居場所がわかったんですか?」
 G5ユニット詰め所に昼食の差し入れに来ていた翔一は、偶然居合わせた氷川の言葉を聞き、思わず聞き返した。
「ええ、都内の中屋敷モータースというバイク店で、働いているそうです」
「その店なら知ってますよ」
 翔一からの差し入れが入っているバスケットに視線を送りながら、宮田が答える。そして―
「あ、まあ、詳しい事は食べながら話しましょう。宮田さん、我慢できないみたいだし」
 その翔一の一言が決め手となり、昼食会が開始された。
23アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 12:54:43 ID:oLAsO/ek


「俺、趣味でバイクに乗っているんですけど、その中屋敷モータースって行き着けなんですよ」
「どんな店なんですか?」
「良い店ですよ。仕事は速くて値段は良心的。店員のにいちゃんがちょっと無愛想ですけどね」
「あ、その人が多分葦原さんです」
 昼食を食べながら、氷川、翔一の問いに答える宮田。
 なお、今日のメニューは『そら豆のリゾット』『鶏肉とトマトのオーブン焼き』『トマトの丸ごとサラダ』の3品である。
 五代と翔一が交代で差し入れてくれる料理は、α小隊のメンバーにとって、ひと時の安息を与えてくれる貴重な存在であった。
「しかし…津上さんや五代さんには、申し訳ないと思っています。お店の営業にも支障をきたしているのに、こうして差し入れまで…感謝の言葉もありません」 
 食事も終わりに差し掛かった時、北條がスプーンを置き、深々と頭を下げた。
 そう、α小隊に協力する事を決めた為、翔一は店の営業を、昼だけではあるものの休止していたのだ。
 また五代も、妹のみのりや親友の桜子がフォローしてくれているとは言え、時として店の臨時休業を余儀なくされていた。
 その事実を改めて思い知らされ、静まり返るα小隊のメンバー+氷川。しかし、翔一は―
「いやだなぁ、頭を上げてくださいよ、北條さん。これは俺自身が決めた事なんですから」
 と、明るい声で答える。その声からは悲壮感や後悔は微塵も感じられない。
「確かに、ランチの売り上げが消えた事はちょっと痛いですけど、その分夜頑張れば良いし、可奈さんや頼りになる仲間もいますから、心配はいらないんですよ」
「そう…言って頂けると、正直救われます」 
 翔一の言葉に、どこか救われたような気持ちを感じる北條だった。 
24アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 12:55:44 ID:oLAsO/ek


【2007/7/11/12:41 都内某所・有名ホテル】
 

「アギト…それがあの戦士の名前かい?」
 ミディアムレアに焼きあがったステーキにナイフを入れつつ、目の前にいるオーディンに問うダグバ。
「そう、私と同質の存在である『彼』の力を受け継いだ『限りなく進化し続ける存在』、それがアギトです」
 ダグバの問いにそう答え、ワインの入ったグラスに口をつけるオーディン。その動きには一部の隙も無く、高貴さすら漂っている。
「先の戦いを見た限り…アギトの力、クウガと等しいようだな」
「うん、楽しくなりそう…いや、楽しくなるよ。今度の戦いは…」 
 バルバの言葉に答えながらも満面の、だが氷のように冷たい笑みを浮かべ、ステーキを口に運ぶダグバ。
 そんなダグバを見ながらオーディンは、静かな笑みを浮かべつつ、また口を開いた。
「ダグバがもっと楽しくなる事をもう1つ教えましょう。クウガ、アギトと同等の力を持つ者が、もう1人います」
「名前は?」
「ギルス…クウガやアギトとは、また違った戦い方をする戦士ですよ」
「そのギルスは、いつ現れるんだい?」
「今は、戦いから離れた暮らしをしているようですが、舞台に上がってもらうつもりですよ…バルバ、『メ』の中から3人ほど選出しなさい」
「そのギルスと戦わせるのか?」
「そうです。たとえ、本人が望まなくても舞台には上がってもらいます」
 そう言って、再び笑みを浮かべるオーディン。その笑顔はダグバ以上に冷たいものだった。
25アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 12:56:23 ID:oLAsO/ek


【2007/7/12/16:12 都内某所・某児童公園】


 昼食会の翌日、氷川は一条と共に中屋敷モータースを訪れていた。
 涼の頼みで、近くの公園に場所を移した氷川と一条は、事情を説明し協力を要請する。しかし―
「…悪いが、その頼みを聞く事は出来ない」
 涼の返答は、期待とは大きくかけ離れた物だった。
「今の状況がとんでもなくやばい事も、十分わかっている。だが…」
 涼はそこまで言うと、一瞬間を置き― 
「俺はここを…自分の居場所を失いたくは…ない」
 静かにそう呟いた。
「ですが、今の我々には葦原さんの力が―」
「氷川君、よすんだ」
 なおも食い下がる氷川を止める一条。
「彼には彼の人生がある。それを歪めさせる権利は、我々にはない」
「…はい」
 一条の静かな言葉に、氷川は引き下がらざるを得なかった。
「すまない…」
 そう言って、店へと戻ろうとする涼。その時―
「うわぁぁぁぁぁっ!」
 店の方から悲鳴が響く。
「おやっさん!?」
 その声に弾かれる様に走り出す涼。氷川と一条もそれに続いた。
26アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 12:57:06 ID:oLAsO/ek
 

「ギルスは、どこだ…」
「ギルス…殺す」
「教えたほうが、身の為だよ」
 店内を滅茶苦茶に荒らし、自分達の力を見せ付けた上で、おやっさんに迫るメ・ビラン・ギ、メ・ガドラ・ダ、メ・ガルメ・レ。
「し、知らん。俺達は何も知らん!」
 妻を庇いながらも、毅然とした態度で未確認生命体達の問いに答えるおやっさん。
 だが、それでビラン達が納得する筈もない。
「なら…死ね」
 そう言いながら、両腕のカッターを振り上げるビラン。そして、そのカッターが振り下ろされようとしたその時!
「うぉぉぉぉぉっ!」
 声と共に何かがぶつかってきた。予想だにしなかった方向からの攻撃に、思わず倒れるビラン。
「誰だ」
 すぐさま、体勢を立て直し、攻撃の主を睨むビラン。そこに立っていたのは―
「おやっさん、おふくろさん、無事か?」
 そう、葦原涼だった。その表情からは、燃え上がるような怒りが感じられる。
「俺達に歯向かうか、リント」
「勇敢だけど、愚かだね」
「貴様から血の海に沈めてやる!」
 言うが早いか、必殺の左拳で涼に殴りかかるガドラ。だが―

 バシィ!

 その必殺の拳を、涼は受け止めた。
 いや、正確には涼の手の寸前で『別の何か』が、ガドラの拳を受け止めたのだ。
「な、何だ!? お前、ただのリントではないな!」
27名無しより愛をこめて:04/09/22 12:59:21 ID:UjMP6MtT
書き込み支援
28アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 13:00:16 ID:oLAsO/ek
 目の前の現象に驚きを隠せないガドラ。だが、涼は―
「お前達にはあるのか…」
 そんなガドラを無視するかのように―
「居場所を奪う権利が…そんな権利が、お前達にあるのかぁ!」
 まるで青い炎のような強い怒りと共に叫んだ。

 グシャァ!

 その瞬間、『何か』がガドラの左拳を力任せに握りつぶす。
 そして、ガドラの悲鳴が響く中、涼は叫んだ。
「変身!!」
 声と共に涼の体が変わる。体中が生体装甲に覆われ、荒々しい野獣の如き戦士へと生まれ変わる!
「ウワァァァァァォッ!!」
 魔獣のような咆哮をあげるその名は、ギルス!
「りょ、涼…」
「涼ちゃん…」
 目の前の出来事に驚きを隠せない2人。そこへ氷川と一条が駆けつけた。
「2人を…頼む」
 そう言うと、ギルスはガドラを蹴りで吹き飛ばし、店から離れるかのように走り出した。ビランとガルメもそれを追いかける。
 そんなギルスを、おやっさん達はただ見守る事しか出来なかった。
29アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 13:01:03 ID:oLAsO/ek


 人気のない廃工場まで移動したギルスは、ガドラ達との戦闘を開始した。
「ウワォッ!!」
 咆哮をあげながらガドラに飛び掛り、馬乗り状態で滅多打ちにするギルス。
 ガドラも何発か殴り返すが、そんな体勢ではまともなパンチが打てる筈もなく、顔面に30発近いパンチを浴びて、自分自身が血の海に沈んだ。
 動かなくなったガドラを片手で持ち上げ、まるで塵のように投げ捨てるギルス。
 そんなギルスに、今度はビランが突進する。両腕のカッターで、ギルスの体を斬り裂こうとするが―

 ズバァ!

 それよりも早く、ギルスが両腕から伸びた鉤爪『ギルスクロウ』で、ビランの両腕を斬り落とした。
 ビランの悲鳴と共に、その傷口から血が噴出す。 
 更にギルスは、口の牙『デモンズファングクラッシャー』でビランの喉笛に噛み付き―

 ブチ、ブチブチブチブチィ!

 力任せにビランの喉笛を喰い千切った。頚動脈からも血が噴出し、倒れるビラン。返り血がギルスの体を赤く染める。
「(あの2人をこうも簡単に…)」
 ガドラもビランも決して弱くはない。『メ』の集団では上位に位置する実力の持ち主なのだ。
 その2体がこうも簡単に倒された事、そしてギルスの強さにガルメは戦慄を覚えた。
「(ここで無理をする事はない)」 
 自身の不利を悟ったガルメは、透明化しその場を離れようとする。

 ギュルル…ビシィ!

 だが、完全に透明化するよりも早く、何かがガルメの首に巻きついた。ギルスの腕から放たれる生体鞭『ギルスフィーラー』だ。
30アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 13:02:26 ID:oLAsO/ek
「逃がしはしない…」
 圧倒的な力でガルメを引き寄せるギルス。同時にその踵の突起が鋭く伸びる。
「ウワァァァァァォッ!!」
 ガルメを締め上げたまま、ギルスは宙に舞い―

 グサァ!

 必殺の『ギルスヒールクロウ』を、ガルメの脳天に叩き込んだ。
「………」
 断末魔をあげる事もなく、頭部から真っ二つになったガルメは、そのまま爆発した。


 戦いの後、涼は氷川達に戦いに参加する事を告げた。
 そして、迷惑をかけたくないという理由から、店を辞める事も決意した。
「おやっさん、おふくろさん、今までお世話になりました」
 アンノウンとの戦いが終わってから、今まで世話になっていたおやっさん達に頭を下げる涼。
「涼…全部片がついたら、戻って来い。待ってるからな」
「そうよ、私達にとって…涼ちゃんは息子同然なんだからね」
 そう言うおやっさん達の目には涙が滲んでいた。
「ああ、全部片がついたら、俺は必ずここに戻ってくる。だから、それまで…元気で」
 そう言って、涼は歩き出した。こんな自分を、怪物のような姿を晒しても受け入れてくれた温かい場所。だが、振り返る事はない。
「俺自身の居場所を守る為にも…俺は戦う。戦い抜いてやる」
 そう心に決めた涼の目に迷いはなかった。



 第4話完   次回『2つのG3』近日公開
31アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/22 13:04:36 ID:oLAsO/ek
と、言う訳で、新スレのご祝儀代わりと言う事で、アギト外伝第4話を纏めて投稿させて頂きました。
次回は金曜の昼に書き込み予定です。

オリジナル未確認生命体とオリジナル改造のG3&G3−Xが出演します。
お楽しみ頂ければ幸いです
32名無しより愛をこめて:04/09/22 13:19:19 ID:/DtSMoGW
何がご祝儀だ。前スレをきちんと埋めてからやれ。
削除依頼出しにいけ。
33名無しより愛をこめて:04/09/22 13:32:15 ID:Pmze2Wq+
外伝さんお疲れさまです!
ギルス好きなので期待しています。
34名無しより愛をこめて:04/09/22 13:38:54 ID:lKIQmyaj
>アギト外伝作者さん
GJです!
続きも期待してますよ!

>>32
別に新スレに書いたっていいじゃない。
無理な埋めは鯖に悪いと聞くし。
いやなら来なければいい。
351:04/09/22 14:54:22 ID:A67HIGwu
前スレは職人みなさんの誘導が済んだらキチンと埋めますので
<私の実験的なSSの場としてw
みなさまはこちらでどうぞお続けください

36クウガ新説作者:04/09/22 16:00:57 ID:IPeLYDzL
今日の夜か明日中に何とか書き込みできそうです。
待っててください。
37まとめ:04/09/22 19:36:22 ID:JxGsXzyg
1さん、アギト外伝作者さん、新スレのご祝儀 イイ!です。乙です。
レス34迄更新しました。
381:04/09/22 20:08:33 ID:A67HIGwu
>>37
スレ移行期間は二重手間で大変かもしれませんが、よろしくです
39名無しより愛をこめて:04/09/22 23:41:45 ID:M2NA3ypt
職人様新スレですよage
401:04/09/23 02:17:20 ID:+pWIyFgU

512kと言いつつ、前スレは500kぐらいで書き込み出来なくなりました
なので前スレは既に埋まってしまっております

SS職人のみなさまの誘導は大丈夫だったでしょうか?
新スレでもみなさん頑張ってくださいね
41名無しより愛をこめて:04/09/23 10:31:18 ID:b4PbzN/o
>>アギト外伝作者殿

新作掲載お疲れ様です。
血がバンバン吹き出し、骨が砕け肉が喰い千切られる凄惨な戦闘が、ギルスには似合いますね。
おやっさん達のキャラもいいです。
新作期待してます
42名無しより愛をこめて:04/09/23 21:06:09 ID:jUxmTkXd
>アギト外伝作者さま

力強いギルスを有難う!読んでて凄い元気出てきたよ!
43クウガ新説 壊滅-09 江東区の戦い:04/09/23 23:51:42 ID:zapc+bUd
【同日19:00 江東区某所】
未確認が現れた現場。そこは前回と同じように、何体もの未確認が殺人行為を繰り返していた。
その未確認は孔雀のような華麗な姿をしていた。しかし、その姿とは裏腹に現場には
まさに『地獄』という言葉がぴったり合うような光景が広がっていた。

そこへG5全三機が到着した。GM−01をアクティブにし、右太腿に収納。
GX−05を展開し、戦闘を始めた。

【同日同刻 Gトレーラー内】
現場に到着したG5からリアルタイムで送られてくる情報を元に分析していた。
今回もデータベースには存在せず、分析は難航していた。
とりあえずオペレーターからは『様子を見ながら冷静に戦え』との指示しか出せなかった。

【同日 江東区某所】
オペレーターからの指示を受け、G5全機は暫く様子を見た。未確認は攻撃を仕掛けてきた。
数分後、オペレーターからは新たな指示が出された。未確認の攻撃は軽く、行動パターンも
分かりやすかったため、多少強引に戦っても影響はないとの事だった。
その指示に、『了解』と答え、G5はGX−05を構え、銃撃を開始した。
何体もの未確認はその場で崩れ去り、残すは一体のみになった。
その一体にも銃撃を開始し、未確認は苦しみだした。そして爆発。

―するはずだった。なんと爆発せずに、最後の一体も崩れ去り姿を灰に変えた。

『何!?』そこにいたG5は驚きを隠せなかった。そしてそれはGトレーラー内の
オペレーター、尾室、小沢も同じだった。

G5はあたりを警戒し、見回した。特に変わった様子も見られず、G5が離脱しようとしたその時、
G5二号機へ攻撃が加えられた。いつかのように姿を消した未確認の攻撃かと思われたが、それは間違いだった。

二号機へ攻撃を加えたのはなんとG5一号機であった。
【同日同刻 江東区内某所】
G5二号機へと攻撃を加えた一号機はそのまま暴れだした。その攻撃は三号機へも加えられた。

【Gトレーラー内】
「小沢さんG5はどうしたんですか?まさか氷川さんの時のようにAIプログラムが誤作動を起こしたんですか?」
尾室の一言に小沢が反論した。
「そんなはずはないわ、G5のAIプログラムはあの高村教授の作った制御チップ
 を使っているはずよ。それが誤作動を起こす確立は1%にも満たないはずよ。」
オペレーターも必死になってG5の全プログラムをチェックしていた。

【江東区内某所】
一号機の両機への攻撃は止むことなく続いていた。その攻撃はG5の持てる力をフルに
活用している戦い方で、実に効率がよく二号機と三号機は次第に力を奪われていった。

【Gトレーラー内】
未だプログラムのチェックは続いていた。緊迫した空気に包まれているGトレーラー内に
北條が入ってきた。それもかなり深刻な表情で。

「大変なことが分かりましたよ、小沢さん。都内のホテルの一室で
 西川、つまり一号機の装着員であるはずの男の遺体が見つかりました。」
「どういう事?」小沢は聞き返す。
「つまり、現在G5一号機の装着員をしているのは赤の他人です。もしかすると
 我々が前々から抱いていた疑惑は本当なのかの知れません。一号機の全機能をロックしてください。」

オペレーターはすぐさま端末から一号機のロックを始めた。
「だめです、尾室管理官。G5全体のプログラムが変更されています。一号機の機能ロックできません。」
「なんだと?二号機と三号機のアーマー耐久率とバッテリー残量はどのくらいだ?」
「両機とも耐久率・残量ともにほぼ満タンです。弾薬も十分に残っています。」
「二号機・三号機に攻撃命令を出せ。それと現場の捜査官は射撃による援護を。」
「了解しました。」
45クウガ新説 壊滅-11 未確認のG5:04/09/23 23:54:23 ID:zapc+bUd
【江東区内某所】
G5二号機と三号機は一号機への攻撃命令を受け、必死に抵抗していた。

アクティブになっていたGM−01を使い、遠距離からの射撃。
いくらG5同士でも二対一では徐々に差が開いてくる。二号機と三号機が押し始めた。
「さすがに二対一じゃ厳しいか?まぁいい、面白い物を見せてやる。」

突如、一号機は自分の周りのアスファルトに銃撃した。そしてすでに倒されたコピー未確認の
灰の中から小さな石を取り出した。石に念を込め始めて、10秒後。また新たなコピー体が誕生した。

そこまでは前回と同じだった。そこに現れたのは、さっきの未確認ではなく十体のG5だった。

二号機と三号機は十体余りのコピーG5に囲まれていた。警戒心からか、両者とも暫く動きを見せなかった。

沈黙を破ったのはG5両機だった。背中を合わせ、回転しながら周囲のコピーG5に
GX−05を連射し始めた。それと同時にコピーG5も連射を始めた。

連射性能・威力は同じだった。つまりは二対十一では圧倒的に二号機・三号機の方が不利だった。
全方向から絶え間なく弾丸が打ち込まれる。次第にアーマー耐久率も低下していった。
『こちら本部。聞こえるか二号機三号機。作戦を変える。GX−05をそれぞれ一体ずつに集中させろ。』
両機は「了解」と答え、集中攻撃を始めた。

一体、また一体と次々とコピーG5は灰になり始めた。

十体倒したところで、二号機と三号機にはとうとう限界が来てしまった。全身から火花を噴き、
力なくその場に倒れこんだ。装着員は気を失い、「離脱せよ」との命令にも反応しなかった。

一号機はアーマーを脱ぎ、本当の姿を現した。それは紛れもなく先ほど戦ったコピーと同じ姿をしていた。
倒れているG5二機の首を掴み、上空へ飛んだ。100メートル位飛んだ時、地面に叩き付けた。
G5は今度は火花どころか、爆発を起こしてしまった。G5は手と脚のパーツの一部を残し、
大破した。装着員も全身から血を流し、倒れていた。もうすでに息はしていなかった。
46クウガ新説 壊滅-12 波乱の一戦:04/09/24 00:01:01 ID:uJDOmrVP
【同日同所】
そこへクウガが現れた。どうやらクウガのところにも分身が表れたらしい。未確認の標的はクウガへと移った。
戦いは互角だった。一方が押せばすぐさまもう一方が押し返す。それの繰り返しだった。

クウガが右フックを放つ。未確認のあごに当たった。それをきっかけにクウガがラッシュを仕掛ける。
左ストレートを胸部に、右アッパーを腹部に当てる。クウガが徐々に押し始めた。
未確認が一瞬ひるんだ。さらに回し蹴りで未確認との距離をとる。

クウガは金の力を使った。腹部のアークルには装飾品が、右足にはアンクレットが出現した。
クウガは変身する時と同じ構えを取り数秒後、走り出した。敵の数メートル手前で飛び、体勢に入る。

「うぉぉりぁぁぁ」クウガはキックを放った。胸部に命中。未確認の肉体にクウガの紋章が浮かび上がる。
「俺の力は………こんな物ではない!!」未確認は胸部に全神経を集中し、紋章をかき消した。
未確認は息を切らしながら、自らの肉体に付いた装飾品を剣に変化させた。同時に肉体も
筋肉が異常なほど発達し、まるで鋼鉄の鎧を纏っているようだった。

クウガもBTCSからトライアクセラーを引き抜き、剣へと変化、紫の鎧を纏った。
体が交差するたび、互いの体が傷付く。致命傷ではないが傷は増えていくばかり。
次第に距離を詰めていく。暫く鍔迫り合いの構図になる。
47名無しより愛をこめて:04/09/24 00:04:14 ID:uJDOmrVP
突然その均衡が破れた。未確認生命体が苦しみ、爆発した。
粉塵が舞い上がり、視界が0になった。次第に粉塵が晴れ、そこには
一体の未確認生命体が立っていた。

「さすがはクウガだな。こいつがこれほどまで苦しめられるとは。」
「お前は!?」クウガは警戒しながらも未確認へ問う。
「ただの未確認生命体。お前を殺す存在。それだけで十分だろう?」
「なぜだ?なぜ味方を殺した。」
「邪魔だったんだよ。こまけぇ話はいいだろ?俺はウズウズしてんだよ。
 戦いたいんだよ。次のゲゲルをするのは、俺だ。てめぇを殺す。
 それを言いに来ただけだ。」
未確認生命体はそういい残すと姿を消した。

―『G5』という人類最大の武器をなくした警視庁。そしてクウガ。
 彼等の戦いはまだまだ厳しくなることは安易に予想できた。―

   第四話 壊滅 完
次回第五話 仲間 公開
48クウガ新説作者:04/09/24 00:08:54 ID:uJDOmrVP
新スレ初カキコです。次は土日のいずれかに書き込みます。
まとめて四話書き込めばよかったかな?今現在は五話の後半までできてます。
また、近々避難所に設定も書き込む予定です。このスレでもよろしく頼みます。

47のタイトルは「壊滅-13 波乱の一戦2」です。また忘れちゃった……orz
49名無しより愛をこめて:04/09/24 00:15:55 ID:95VG/ij9
>>クウガ新説作者 様
乙彼〜とりあえずageときますね
50ダブルライダー2004/キカイダー編:04/09/24 00:41:03 ID:95VG/ij9

↓前スレ564からの続き

零は手にするギター、そのダブルネックを上方に向け、ダブルネックのギターから銃弾を連射した。
暗い倉庫の中に反響するマシンガンの銃声。
倉庫の天井からバタバタと落ちて来る蜘蛛男達。
蜘蛛男達は背中から生える4本の腕と本来の腕を使って器用に着地する。

2階の通路付近にいた本郷と一文字は鉄柵の上に飛び乗り、跳躍する。
その6本の腕で壁を這いずりまわる蜘蛛男達に飛び蹴りを浴びせ、下へと叩き落した。

下に着地した蜘蛛男達は俊敏な動きで、跳躍し、その場にいた
イチロー、零、そしてジローと少女に飛びかかっていく。
向って来る蜘蛛男をダブルネックギターのマシンガンで蜂の巣にする零。
襲い掛かる蜘蛛男を跳躍で軽く飛び越え、背後から蹴りを浴びせるイチロー。

ジローは少女を庇いながら、飛びかかる蜘蛛男を投げ飛ばす。
その背中から生える腕は、蜘蛛男の特徴のひとつではあるが、
体面積が大きい為掴みやすく、その腕の長さもテコの原理で投げ飛ばすには丁度良い。
51ダブルライダー2004/キカイダー編:04/09/24 00:42:08 ID:95VG/ij9

だが改造『人間』である蜘蛛男達を殺す事に躊躇するジローには、
その口から吐かれる蜘蛛の糸を手刀で切り裂き、
襲いかかる蜘蛛男達を投げ飛ばすのが精一杯であった。
防戦一方のジロー。
ジローに向かって行く蜘蛛男、それを本郷猛が横からの飛び蹴りで蹴散らす。

「すまない」本郷の助けに礼を言うジロー。
「ここは俺達が引き受けた」「君は人々を安全な場所へ」
本郷は身構え、蜘蛛男達を牽制する。

「やはり、僕には、彼らを殺す事は出来ない」
「改造されていても、彼が本来で人間である以上」
ジローは辛く悲しいような顔で本郷に打明けた。
「僕は、人間になりたいんだ」
「だが、本来人間である彼らを殺してしまっては、僕は永久に人間にはなれない……」
「……そんな気がするんだ」
ジローの顔はさらに曇っていく。
「あなたはさっき、完璧だと言ったけど」「僕は完璧なんかじゃない」
「僕の良心回路はいつまで経っても不完全なままだ…」
52ダブルライダー2004/キカイダー編:04/09/24 00:42:51 ID:95VG/ij9

「君の事情はよくわからないが」
「俺には、君が人間以上に人間らしい感情を持っているように思える」
「奴らのように、本来は人間であっても、人間の心を無くした者もいる」
本郷はそこまで言ってある事に気づく。
それは自分の事ではないのか?改造により一部の感情を失った自分よりも、
ジローの方が余程人間らしい心を持っているのではないか?
そんな考えが本郷の頭の中をよぎる。
「君は俺なんかよりはるかに人間に近いかもしれない……」「??」

「とにかく今は、彼女達を連れて早くここを離れるんだ」
「彼女達が戦いに巻き込まれる可能性も高い」本郷は話を止め、ジローを急がせた。
ジローは蜘蛛男の蜘蛛の糸でがんじ絡めにされ、宙吊りにされていた人々を助け出す。
そして、少女と助け出した人々を庇いながら倉庫の外へと連れ出した。

ジローがいなくなり、標的を本郷に定める蜘蛛男。
「組織に改造されたという点では俺とお前達は同じ」
「俺とお前達の違いは、人間らしい心が有るか無いかの差」
「人間らしい心を失ったお前達を哀れと思うのは、俺にもまだ人間らしい心があるという事か」
本郷は蜘蛛男に言っているのではない、自分に対して言っているのだ。

「せめてもの温情だ、一撃で終わらせてやろう」本郷はそう言い叫ぶ「変身っ!」
ベルトの風車が回り、光が本郷を包み、光の中から仮面ライダー1号が姿を現す。
53:04/09/24 00:44:37 ID:95VG/ij9
とりあえず今日はこんだけなので、投稿する方がいたらご遠慮せずどうぞ
54:04/09/24 00:46:06 ID:95VG/ij9
『今日』じゃなくて『今夜』かなw
55ダブルライダー2004/キカイダー編:04/09/24 10:31:31 ID:waD5hxPE

「フンッ、それがお前達の真の姿か?」本郷が変身した1号ライダーを見たイチロー。
「どっちが真の姿か俺達にもわんかないんだけどな〜」一文字はイチローの言葉に突っ込みを入れる。

20体の蜘蛛男がそこかしこで蠢き、蜘蛛の糸を吐き散らす。
その間を縫うように蜘蛛男を蹴散らし疾走するイチロー「零、俺達もチェンジするぞっ」
ダブルネックギターのマシンガンを撃ちまくっていた零はそれに応える「了解だっ」

イチローはポーズを取り、スイッチをオンにする。
その人間の体は瞬く間に機械のボディへとチェンジして行く。
赤と青の左右非対称のカラーリングに、クリアパーツからのぞく機械部品の数々。
その姿は彼らが紛れも無く、人間ではない事の証しでもあった。
人造人間、それは改造人間である仮面ライダーとは明らかに違う存在。
キカイダー01、それがイチローのもうひとつの名前である。

零もまたチェンジを果たす。やはり赤と青の左右非対称のカラーリング、
左右の胸に大きな円の縁取りをしたクリアパーツ、その奥には機械部品が光輝く。
キカイダーダブルオー、零はもうひとつの名ではそう呼ばれていた。

「おぉ、まさしくキカイだーって感じだねぇ〜」
「んじゃっ、俺もいきますかっ」「変身っ!」一文字もまた2号ライダーへと変身する。
「てめえらこそっ、バッタみてぇじゃねぇかっ!」今度は01が2号に言い返す。
「みたいじゃなくっ、バッタモチーフなんだけどねぇ〜」
56名無しより愛をこめて:04/09/24 10:57:26 ID:44ht1Urq
おお、いつの間にか復活してたのねこのスレ。嬉すぃ。
57ライダー共闘・悪の変奏曲 序章:04/09/24 12:51:58 ID:bQebyWvM
 そしてまた、怪人軍団を蹴散らすガラガランダ&サザンクロス。
「邪魔だ!」「そっちこそ!」どうやらこの二人は同じ声に聞こえるが仲が悪いらしい。

「ええい、ドリルアーム!」腰にライダーマンベルトをつけたガラガランダが右腕を変形させれば、
「喰らえ、ライドルホイップ!」Xライダーベルトのサザンクロスも剣を抜く。

『やらせはせん、やらせはせんぞぉっ!』アルマジーグ&ジャガーバンが立ちふさがり、激しく切り結ぶ。

「貴様ら、名を聞こうか?」つばぜり合いの最中ガラガランダに問い掛けるジャガーバン。
「俺は煉獄毒蛇、あっちが漆黒殻鬼だ、冥土の土産にするんだな!」パワーアームで押し込む煉獄毒蛇。

 その頃、強化外殻を纏い周囲を火の海にする漆黒殻鬼と逃げ惑うアルマジーグ以下怪人軍団。

「やれやれ、わたくしの出番は残っているのでしょうな?」さらに割り込んできた死神カメレオンの腰にはストロンガーのベルト・エレクトラーが。
「ほっほっほ、雷神カメレオンこと黒電幻蛟も戦わせてもらいましょうか」飄々とした声で電撃を放つその姿が徐々に変わり、ヒルカメレオンに変身する。

 先の二人と合わせ、怪人軍団を蹴散らす5人の謎怪人を見た仮面ライダー剣が傍らのクウガに聞く。
「アレ、なんなんでしょうね?」「……さぁ……」
58アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/24 14:10:05 ID:vonJRWDA
【2007/7/13/11:22 警視庁・G5ユニット詰め所】


「………」
「………」
「………」
 沈黙と共に重たい空気が詰め所を漂う。そして―
「それが、上層部の決定ですか…」
 北條が静かに口を開いた。その声からは静かな怒りが感じられる。
「…残念だけど、そうなるね」
 北條の言葉に何とか答える尾室。すると―

 ドゴォ!

 大音響が詰め所に響く。宮田が近くにあった机を殴ったのだ。強烈な拳の威力に、大きく歪む机。
「宮田…」
「結局、予算、予算予算! 上は金勘定しか出来ないんですか!!」
 怒りの咆哮を上げる宮田。他のα小隊メンバーも、口には出さないが、同じ感情を抱いている事は間違いない。
「五代さん、津上さん、葦原さんの3人が、力を貸してくれる事になったから、上はそれを戦力増強と見てるんだよ…」
「だから、G5の強化は必要ない。そういう事ですか」
「そう…なるね。北條警視や一条警部も力を貸してくれたんだけど…」
 悔しそうに呟く尾室。彼も今の状況には憤りを感じているのだ。しかし―
「G5ユニットに理解があった総監がいない今、我々への風当たりは強くなる一方だ…」
 自分に出来る事が無い事に、無力感も感じていた。その時―
「情けないわよ! 尾室君!!」
 詰め所に響く女性の声。全員の視線が声の方向へ向く。次の瞬間!
「お、お、小沢さん!?」
 驚愕した尾室の声が響いた。そこにはG3、G3−Xを開発した、旧G3ユニット指揮官小沢澄子が立っていたのだ。
「久しぶりね。尾室君」
 そういうとニヤリとした笑みを浮かべる小沢だった。
59アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/24 14:10:44 ID:vonJRWDA


 仮面ライダーアギト外伝:第5話『2つのG3』


「小沢さん、いつ日本に?」
「つい2時間ほど前よ。総監から直々に連絡を頂いたの」
「総監から直々に…という事は?」
「そう、私の今回の仕事は2つ、1つはG5の強化―」
 α小隊が記録した膨大な量の戦闘データをチェックしながら、尾室の問いに答えていた小沢は、ここでいったん言葉を切り―
「もう1つは…G3、G3−Xの強化よ」
 はっきりとした口調で宣言した。


「それでは、只今よりG5ユニット強化の為の意見交換会を始めます」
 小沢の宣言から5分後、詰め所では会議が始まった。
「強化改造を行う前に、装着員5名の意見を聞かせてもらうわ。忌憚のない意見を聞かせて頂戴」
 小沢の言葉に次々と上がる手。装着員達の率直な意見が上げられ始める。
「GGX−02の弾丸ですが、現在のグレネード、焼夷弾、液体窒素弾、ネット弾の他に、第31号対策として、特殊閃光弾の導入を希望します」
「同じく、GGX−02の弾丸ですが、過去に対策班が使用し、一定の効果を上げた特殊ガス弾も導入してみるべきだと思います」
「現在の稼動リミットは55分ですが、複数の場所に未確認が出現した場合、若干不安が残ります。稼動リミットの延長を希望します」
「GBX−08ですが、威力の面はともかく、1発しか撃てず、後はデッドウェイトになるのは少々問題だと思います。可能ならば総弾数の増加を」
「あと、照準が目視によるものなので、遠距離での精度に不安があります。簡単な物でいいので、照準システムを付けて頂ければ、総合的な性能は更に上昇すると思います」
 次々と出てくる意見に真剣に耳を傾け、記録していく小沢。同時に、彼女の頭の中では、改良の為のプランが着々と練り上げられていく。
 そして、あらかた意見が出終った時、会議を黙って聞いていた新井が静かに手を上げ、意見と言うか疑問を口にした。
「あの、会議の始めからすごく気になっていたんですが…改良の為の予算はどうなるのでしょうか? 上層部が出してくれるとは、とても思えないのですが…」
 新井の言葉に凍りつく室内、たしかにここでいくら意見を述べた所で、実際に改良できなければ机上の空論、絵に書いた餅に過ぎないのだ。
60アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/24 14:12:06 ID:vonJRWDA
「その事なら、心配いらないわ」
 だが、そんな中でも小沢は余裕を崩さなかった。静かに笑みを浮かべ、言葉を口にする。
「予算は既に準備できているわ。α小隊所属のG5改良費用として…5億」
「「「「「「「さ、5億!?」」」」」」」」
 小沢の言葉に驚愕するα招待の面々。
「ええ、新しくユニットを丸ごと5体作るには、足りないけど、改良を施すだけなら十分な額よ」
「そんな額、一体どうやって用意されたのですか?」
「簡単よ。私が今までに取得した特許。そのいくつかを海外の企業に売ったのよ」
「特許を…売った」
「なるほど、その手があったか…」
 小沢の言葉に納得する北條達。天才小沢澄子が、その類稀な知能で生み出した様々な新技術。その特許となれば相当な額となる。
「入院されている総監も、α小隊を取り巻く今の状況を憂いておられてね。私に可能な限りのバックアップをするように頼まれたのよ。だから私も出来る限りの事をすると決めたのよ」
「総監…」
 小沢の言葉に思わず感激する尾室。
 未確認生命体が再び出現する少し前、過激派の襲撃を受け重傷を負い、一時的に第一線を退いた警視総監。
 彼の後ろ盾がなくなったα小隊は、総監の椅子を狙う副総監の一派によって、今まで冷遇されてきた。
 正直、くじけそうになる事もあったが、それに負けずに頑張ってよかったと思う尾室だった。
61アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/24 14:14:55 ID:vonJRWDA
すいません、今回の投稿はここまでです。
次回の投稿は未定ですが、そろそろPCの修理が終わるので、まとめて投稿できると思います
62アイキャッチ ◆r33gKGW/KA :04/09/24 16:36:48 ID:bQebyWvM
>61
過激派……まさか、黒いタイツで『イーッ』とか言う……(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
63名無しより愛をこめて:04/09/25 01:17:24 ID:REYhRsbj
今夜は誰も来ないのねage
64ネタだけ投下:04/09/25 01:44:01 ID:0YS167vX
この世界は、幾多の脅威に晒されている。
改造人間による世界回復を企む悪の秘密結社。
太古の眠りより目覚めた古代の戦闘民族『グロンギ』
人類の進化系『オルフェノク』の理想郷を築かんとする謎の国際的大企業『スマートブレイン』
一万年前、地球の覇権を争い、今また復活した53体の『アンデッド』

人類の、世界の運命はまさに風前の灯であった。
だが、まだ希望は残されていた。希望の名は『仮面ライダー』!!


伝説の1号ライダーからニューフェイスのブレイドまで、歴代ライダー総出演で繰り広げられる大巨編!

「全てを失って得たこの力、平和の為に使い続ける」
「見ていてください、俺の! 変身!!」
「皆の居場所を守る為に戦うなら、それが俺のいるべき場所なんだ!」
「人を護る為にライダーになった。でも、わかりあえるなら、アギトだって、オルフェノクだって、守ってみせる!」
「戦う事が罪なら、俺が背負ってやる」

新番組・スーパーライダー大戦近日公開!(かも)




「改造人間も、アギトも、オルフェノクも皆同じさ…皆心の底から腐っていくんだよ」
65名無しより愛をこめて:04/09/25 11:05:47 ID:jcAi6CTM
新作期待age
66第二話『邂逅』:04/09/25 16:44:32 ID:/Uy8hkTP

第二話『邂逅』

「世界一の大企業グループ、スマートブレイン。
 自然食品から最先端医療まで幅広く手がける…。」

高々とそびえる巨大なビル、スマートブレイン本社。
ロビーに備え付けられた大画面から流される会社説明のVTRが
いかに素晴らしい会社であるかを訴えかけているが、伊坂にとっては
それが滑稽な姿にしか見えなかった。
閑散としたロビーに響く自分の足音、通常の会社では平日の昼間ともなれば
行き交う人々で賑わいを見せていてもいいはずだがそこには伊坂以外の
人物の姿を確認する事はできなかった。

「経営状態は良くは無いらしいな…」
「失礼しちゃう!せっかくあなたが来るって聞いたから
 通常業務をお休みしてお迎えしたっていうのに、ぷんぷん」
67第二話『邂逅』:04/09/25 16:46:51 ID:/Uy8hkTP

独り言の様に呟いたその言葉に反応を見せる女性の声、その声の方に振り向くと
スッと柱の影から、青を基調にした近未来的な服を着た女性が現れた。
さっきまで怒っているそぶりを見せていた女性が今は笑顔で語りかけてくる。

「社長の村上もあなたに会いたがっていますよ、でもでも
 村上は社長なわけで、アポの無い人と会う事は出来ないわけなの
 だからその人達からアポを奪っちゃって下さーい」

その声に合わせエレベーターの扉が開き三人の人間が姿を現す。
会社という場所にはおおよそ相応しくは無い
ロック歌手のような服装をした男たちが伊坂の前に立ちふさがり
その姿を異形の者へと変える。
68第二話『邂逅』:04/09/25 16:47:32 ID:/Uy8hkTP

「オックスオルフェノク、カクタスオルフェノク、マンティスオルフェノク
 この三人を倒せばアポをゲットできちゃうから張り切ってやっちゃいましょう」
「断る」
「そう、じゃバトルスタ…ってええッ!何で?!社長に会いたいんじゃないの?」
「私は君たちと話し合いに来たのだ闘いに来たわけではない、それに
 少し辟易としているのだよ、ヒューマンという種の戦いへの欲求と言うものに」

「闘う事を義務付けられた存在、種の祖たる不死生物『アンデッド』とは
 思えないほどの愁傷なセリフを言うんだね」

そういいながら現れた男は、スーツに包まれたその体から他者とは一線を画す
オーラの様な物を醸しながらゆっくりと階段を降りて来た。
伊坂にはそれだけで分かった、その男がスマートブレイン社社長村上峡児であると。
                          
『仮面ライダー』〜ダークサイドストーリー〜「伊坂と愉快な仲間達」復活したのか?
69「伊坂と愉快な仲間達」作者:04/09/25 16:57:53 ID:/Uy8hkTP

少しの間パソコンとは無縁の生活をしていたら
新スレに移行しているとは…時の流れに戸惑います…。
またほそぼそと書いていきますのでよろしくお願いします。
70名無しより愛をこめて:04/09/25 17:18:46 ID:Kgt+ZEeF
>>69
いや〜一瞬どの話かとまどいましたよ。
久しぶりですね。続き楽しみにしてます!
71前スレの250:04/09/25 20:59:02 ID:rQupaY4M
レス61まで更新しました。
http://www.geocities.co.jp/Bookend/7827/777.html
クウガ新説さま、G5までコピーするとは…
小説なのにTVのクウガの雰囲気がでててイイ!です。
ダブルライダー2004さま、セリフの掛け合いが軽妙でいいですね。
キカイダーって昔見たけど、ほとんど記憶にないです(汗
レンタルビデオ借りてこようかな…
悪の変奏曲さん、続きであってますよね?
(SS一発!)にまとめましたが長くなれば独立させますので
アギト外伝さん、GJです!続きが楽しみです。 尾室よかったなw



72アイキャッチ ◆r33gKGW/KA :04/09/26 00:43:02 ID:7GV5j1Co
>71
はい、悪の変奏曲の作者です。アレは確かに前のものの続きですよ。
次はカニレーザーとヤモリジン、死神バッファロー予定。
73ダブルライダー2004作者:04/09/26 01:02:22 ID:3PjolFJ2
>>71
本当にいつもありがとうございます
このキカイダーは原作っぽいキャラ立てに
S.I.C版とTV版が混ざった感じの.ver2004ということで書いてます
74アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 01:58:56 ID:9yW17rAG
【2007/7/16/21:31 都内某所・有名ホテル】


「ここ数日、リントの戦士達が動きを見せているようですね」
「リントの戦士…G5とか言う鎧に身を包んだ、奴らの事だね」
 チェスに耽りながら、会話を続けるダグバとオーディン。
「そうです。この時代に生きるリントの力は侮り難い。その事は貴方も解っているでしょう?」
 そう言いながらもナイトの駒を進め、進路上のルークの駒を取り除くオーディン。
「そうだね。ドルドを倒した時には驚かされたよ」
 負けじとビショップの駒を進め、進路上のポーンの駒を取り除くダグバ。一進一退の攻防である。
「数年前にも、1人のリントの戦士がアギト、ギルスと共に『彼』と戦い、『彼』の僕である数多のロード、エルロードを退け、最後には『彼』自身をも退けています…」
「そして、今はクウガやアギトと共に、この街を守るリント達。その強さは本物だね」
「その事に関しては、もはや否定の余地はありません。それだけではなく、その強さは増そうとしています。鋼の鎧を強化し、歴戦の勇者を呼ぶ事でね」
「…いつもの情報だね?」 
 オーディンの意味深な発言に目を輝かせるダグバ。『いつもの情報』とはなんなのか?
「ええ、その情報によれば明日、その強化は終わるそうです。ダグバ、その力…見たくはありませんか?」
「…仕掛けるんだね。誰を差し向けるんだい? 僕が出ても構わないよ」
 子どものように無邪気な笑みを浮かべ、オーディンに問うダグバ。オーディンはそんなダグバを静め―
「前にも言いましたよ。貴方の出番はまだ先だと…」
 微笑を浮かべながら言った。オーディンは言葉を続ける。
「今回戦いに挑む者達を今、バルバが迎えている筈です。もうすぐ、姿を表すでしょう」
 そう言ってチェスを再開するオーディンとダグバ。それから10分後、バルバに連れられ『戦いに挑む者達』が姿を現した。
「へぇ…君達か」
 その姿を見て、少し驚いた表情を見せるダグバ。そこには―
「久しぶりだな。ダグバ」
 6人の男女が立っていた。どの顔も今まで見た事のない者達ばかりだ。
75アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 02:00:04 ID:9yW17rAG
 眼鏡をかけ、ギターケースを背負った青年。
 和服に身を包んだ黒髪の美女。
 ゴスロリの衣装に身を包み、クマのヌイグルミを抱いた美少女。
 白い拳法着に身を包んだ青年。
 パンツスーツ姿、銀縁眼鏡にショートカットの美女。
 そして、Gパンとタンクトップという軽装ながら、抜き身の刃のような雰囲気を持つ青年。
 いずれも首筋や手の甲等にタトゥーが刻まれており、グロンギの一員である事は間違いない。
「7年前、君達はあそこにいなかったからね。目覚めさせる事が出来なかったよ」
「我ら6人は、あの戦いの前にクウガによって封印されていたからな」
「彼らは、ダグバ達が封印されていたあの山から、かなり離れた場所で封印されていましたからね。目覚めさせる事が出来なかったのも無理はありません」
 ダグバとタンクトップの青年の会話にすかさず補足を加えるオーディン。
 どうやら、この6人は古代のクウガによってグロンギが封印された際、ダグバ達とは違う場所に封印されていたグロンギのようだ。 
「さて、本題に入りましょう。貴方達6人には明日、ある場所を襲ってもらいます。そこはリントの戦士達にとって、とても重要な場所です」
「前もってこの街の各所に、『ズ』と『メ』の者達を多数送り込んでおきます。彼らが囮となりますから邪魔は入りません。久しぶりの戦いを思う存分楽しんでください」 
 そう言った後も、静かな口調で6人に幾つかの指示を与えるオーディン。
 片や6人は、久しぶりに味わう事の出来る戦いの快感を思い、笑みを浮かべていた。
76アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 02:01:29 ID:9yW17rAG
【2007/7/17/11:14 千葉県某所・科学警察研究所】


 ダンダンダン!

 『GMX−01』の弾丸が、飛んでくるバレーボール大の鉄球を次々と撃ち砕いていく。

 バァァァンッ!

 『GGX−02』から放たれたグレネードが、目標の廃車を吹き飛ばす。
「改良の成果、バッチリ出ているようね」
 その光景をモニターで見ながら、様々なデータを見比べていた榎田ひかりが、隣に座っていた小沢に笑いかける。
「ええ、そのようですね」
 小沢も微かに笑みを浮かべ、それに応える。
 詰め所でのやり取りから4日。小沢、そして榎田を中心とした科警研の特別チームは、文字通り不眠不休の働きで、G3とG3−Xの改良を行っていた。
 そして、最終テストの数値も満足のいくものが次々と弾き出され、残すは新兵器のテストを残すのみとなっていた。その時―
『都内各所に大量の未確認生命体が出現。α小隊に出動要請』
 との一報が飛び込んできた。そして、これが戦いの幕をあげる合図となった。
77アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 02:02:47 ID:9yW17rAG
【2007/7/17/11:27 東京都・武蔵野市緑町2丁目付近】


「ウワォッ!!」
 咆哮をあげながら、目の前に立ちはだかるズ・ゴオマ・グ、ズ・メビオ・ダ、ズ・バヅー・バに次々と一撃を叩き込んでいくギルス。
「うぉぉぉっ!」
「喰らえ!」

 ズバァ!
 ズバァ!
 ズバァ!

 間髪入れずに宮田と穐山が『GSX−03』で、ゴオマ達を斬り裂き、止めを刺す。 

 ギュルル…ビシィ!

 『ギルスフィーラー』が、ギャリドを締め上げ―

 ダダダン!
 ダダダン!

 『GMX−01』の連射が、バヂスを撃ち落す。
78アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 02:04:12 ID:9yW17rAG
【同時刻 東京都・江戸川区中央1丁目付近】


「液体窒素弾、発射!」
 北條の持つ『GGX−02』から放たれる液体窒素弾が、前方のメ・ギノガ・デ2体を氷付けにし―
「津上さん、今です!」
「はい!」
 
 ズバァ!
 ズバァ!

 アギト・ストームフォームが、薙刀『ストームハルバード』で一気に斬り裂く。


【同時刻 東京都・練馬区豊玉北6丁目付近】


「うぉりゃぁ!」
 クウガ・ドラゴンフォームが、『ドラゴンロッド』で、ズ・ガズボ・デ、ズ・ダーゴ・ギを打ち倒す。

 ダダダン!
 ダダダン!

 永瀬と竹内は『GMX−01』で、ズ・メビオ・ダ2体を仕留める。

 東京の各所に現れた未確認生命体を倒す為、戦力を分散させたクウガ達。
 同時進行である場所が狙われている事など、彼らは知る由もなかった。
79アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 02:06:23 ID:9yW17rAG
【同時刻 警視庁】


「うわぁぁぁっ!」
 蛙のような悲鳴を上げ、1人の警官が投げ飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「フッ…リントの戦士にも弱い奴はいるのか」
 その警官を冷ややかに見つめるタンクトップの青年。彼が警官を投げ飛ばしたのだ。そして彼は姿を変えた。
 金色の鬣を持つ百獣の王、『獅子』の姿と力を持ったグロンギ『ゴ・ライガ・ダ』へと!
「ゴセザギビビドグゲンンドグギ、ゴ・ライガ・ダ!!(俺は一騎当千の闘士、ゴ・ライガ・ダ!!)」
 自らの異名を名乗り、獅子の咆哮を上げるライガ。駆けつけた警官が一斉に発砲するが、気にも留めない。その時―
「ライガ、1人で始めるのはずるいよ」 
「まだ、ゼンガは配置についていないぞ」
「派手に暴れたい気持ちは理解できるがな」
「抜け駆けは感心できませんね」
 ライガの背後にゴスロリの少女、ギターケースの青年、拳法着の青年、和服の美女が姿を現し―
「パダギパザジャデンバシグゾ、ゴ・ヅバー・グ!(私は疾風の狩人、ゴ・ヅバー・グ!)」
 ゴスロリの少女は、蒼天を自由自在に翔ける『燕』の姿と力を持ったグロンギ『ゴ・ヅバー・グ』へ―
「ゴセザザバギンゲンシヅ、メ・ゼミン・バ!(俺は破壊の旋律、メ・ゼミン・バ!)」
 ギターケースの青年は、猛暑の中、己の力の限り鳴き続ける『蝉』の姿と力を持ったグロンギ『メ・ゼミン・バ』へ―
「ゴセザザシジャランギビガリ、ゴ・ザボン・デ!(俺は針山の死神、ゴ・ザボン・デ!)」
 拳法着の青年は、灼熱の砂漠で針に包まれて生き抜く『仙人掌』の姿と力を持ったグロンギ『ゴ・ザボン・デ』へ―
「パダギザギゾラベブシャシュ、ゴ・ドリガ・デ!(私は死を招く射手、ゴ・ドリガ・デ!)」
 和服の美女は、美しい花と強力な毒を併せ持つ『トリカブト』の姿と力を持ったグロンギ『ゴ・ドリガ・デ』へと、それぞれ姿を変えた。
 人々の悲鳴が周囲に響き渡る。大混乱の中逃げ惑う人々。殺戮が始まった。
80アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 02:10:45 ID:9yW17rAG
すいません、今回の書き込みはここまでです。
続きは上手く行けば今日中に投稿できると思います
81名無しより愛をこめて:04/09/26 10:06:18 ID:SvKnjmzE
>>80
オリジナルグロンギですか。すごいです!
予告編によるとたしかG3には一条さんが入るんでしたよね?
ちゃんと戦えるのかちょっと心配ですがw
楽しみです♪
82名無しより愛をこめて:04/09/26 11:09:57 ID:GmEtNXS/
>>71
前スレの250様

いつもありがとうございます。大変読みやすいです。

えっと本日ダブルライダー2004様のお話を読み返しておりましたら
緑川ルリ子編の最後の一文字のセリフが文字化けしています。
レスナンバー370です。
この前まとめられたときはなんともなかったと思うのですが。
再表示しても化けていたので一応ご報告まで。
83アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 13:01:27 ID:n9yo102Z
「た、助けてくれぇ!」
 ひときわ高く絶叫が轟く。声の主である中年の男性の前には。
「た、助け―」
 絶叫はそこで止まった。ザボンが持っていた棘付のヌンチャクで、その男性を殴りつけたからだ。
 男性の頭部は柘榴のように弾け、頭部を失った体は血の噴水を吹き散らしながら、そのまま地に倒れた。
 ついでもう1人、近くにいた男性が同じように頭を砕かれ、地に倒れる。
 風に血の匂いが混じり、ザボンは満足そうな笑みを浮かべた。

「ザセバサバソグババ(誰から狩ろうかな)」
 未確認生命体にしては小柄な体のズバーが、空中から獲物を探す。
 そして、狙いを定めると胸の装飾品を細身の長剣に変化させ―
「ギンジャゲ(死んじゃえ)」
 上空から一気に急降下、目標である老夫婦を一気に斬り裂いた。
 それぞれ片腕を斬り落とされた老夫婦は互いを庇いながら、なおも逃げようとするが―

 グサッ!

 ヅバーが手裏剣の様に放った羽根に貫かれ、崩れるように地に倒れた。  
「あれ? 急所は外したのに…相変わらず、リントは脆いね」
 首を傾げながら、死体となった老夫婦を見つめるヅバー。その体は返り血を浴び、真っ赤に染まっていた。 
84アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 13:03:07 ID:n9yo102Z
「ゴセンゲンシヅゾビブガギギ!(俺の旋律を聴くがいい!)」
 警官隊の一斉射撃を受けながらも、背中の羽を開き、高速で振動させるゼミン。

 ブゥオン

 耳障りな羽音が響く。すると―
「ウゥア…ガァ!」
 ゼミンを取り囲んでいた警官達が、一斉に苦しみ始めた。そして、次の瞬間―

 パァーン!
 パァーン!
 パァーン!

 そんな音と共に次々と『破裂』していく警官達。それに続いて、周囲の車や電柱などが、少しずつ塵に変わっていく。
 もしも、この場に榎田か小沢がいれば、この現象が超振動によってもたらされたものである事に気がついていただろう。
 物体の分子結合を破壊し、塵に変える程の超振動。もしも、これが生物に照射されれば、振動により体液が沸騰・膨張し、塵に変わるよりも早く…破裂する。
「一応、10人殺したが…これじゃカウントも出来ないな」
 そう言い残し、飛び去るゼミン。そこには物言わぬ肉片と血の海だけが残った。
85アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 13:04:33 ID:n9yo102Z
「…ドサゲダ(…捉えた)」
 そう言うと胸の装飾品を変化させた弓を引き絞り、矢を放つドリガ。
 放たれた矢は風を切る音と共に飛び、数百m先を逃げ惑う人々を数人纏めて貫いた。
 第2射を放とうとしたドリガを警官隊が取り囲む。
「やつの武器は弓だ! 側面や背後に回りこめ!!」
 指示を受け、ドリガの背後や側面から発砲する警官達。ドリガはそんな警官達を鬱陶しそうに見ながら、見当違いの方向に矢を放った。
 矢は一直線に飛び、ビルの壁に当たると―

 キィン!

 壁に突き刺さらず、別の方向へ反射した。矢はその後も何かに当たる度に別の方向へ反射し―

 グサァ!

 最後には3人の警官を一度に貫いた。
 次々と放たれる矢が、常識では有り得ない方向から警官達に襲いかかる。
「ザンシャグスジャ。パダギンジュリビギバブザバギ(反射する矢。私の矢に死角はない)」
 矢に貫かれ、屍の群れと化した警官隊を見ながら、ドリガは静かに呟いた。

「早く来い、リントの戦士!」
 手にしたツインブレードで、警官達を次々と斬り捨てながら、ライガが吼える。
「こんな雑魚を何匹殺した所で、俺の渇きを潤す事は出来ん! 早く来い!!」
 ツインブレードで串刺しにした警官を持ち上げ、再度野獣の咆哮をあげるライガ。その周囲には屍の山が築かれていた。
86アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 13:05:32 ID:n9yo102Z
「副総監! こちらです、早く!」
 警官隊がライガ達と戦っていたその頃、副総監と取り巻きの役人達は、反対方向から避難を図っていた。
「下の者達が何人死のうがどうという事はないが、私が死ねばこの国は大きな打撃を受けるからな」
「いや全く、下は所詮駒。副総監の御命とは比べ物になりません」
「副総監は、これから先もっと大きな事を成される方ですからね」
 そんな事を話しながら、車に乗り込もうとする副総監達。その時―
「誰だ!」
 護衛の私服警官が気配に気づき、銃を向ける。
「オーディンからの伝言を届けに参りました」
 気配の正体は、あのパンツスーツ姿の美女だった。その顔は満面の笑顔に包まれている。
「おお、あの御方の使者の者か。で、伝言とは?」
 ニヤニヤとした笑みで美女に言葉を返す副総監。美女は笑顔のまま話を続ける。
「これまでの貴方達の働きに、オーディンは大変満足しておられます」
「そうでしょう、そうでしょう…クローンを生産する施設を嗅ぎ回っていた対策班に情報が漏れないように細工したのも、α小隊の力を削ぐ為、予算を縮小したのも、独自に戦力増強を図っている者達の情報を流したのも、全て我々ですからね」
「全ては、オーディン様が与えてくださる富と力の為です」
 衝撃の事実、彼らは自らの欲望の為に人間を裏切っていたのだった。美女は満面の笑みのまま言葉を紡ぐ。
「ええ、あなた達の功績は大変大きな物です。故にオーディンは貴方達に褒美を与えるとの事です」
「褒美、それはありがたい事ですな。で、その内容は?」
「オーディンの言葉をそのまま伝えます。現時点より貴方達のいる場所から、半径10m四方の土地を永久の領土として差し上げます」 
「?」
 美女の言葉に意味がわからないという顔をする副総監達。美女の言葉は続く。
87アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 13:06:42 ID:n9yo102Z
「そして、新たな命令を下します。その領土周辺に生息する小動物に対しての滋養分散布を早急に行え。以上です」
「ど、どういう意味だ!」
 美女の発言の真意がわからず、思わず怒鳴る副総監。すると―
「あら、おわかりになりませんでしたか? …では、解りやすく言いましょう………さっさと死んでしまえ、この蛆虫ども」
 そう言いながら美女はその姿を変えた。
 美しい花と、自らの種子を遠くへ発射する力を持つ『鳳仙花』の姿と力を持ったグロンギ『ゴ・ゼンガ・デ』へ―
「パダギザガギジャブゾラブロン、ゴ・ゼンガ・デ!(私は災厄を撒く者、ゴ・ゼンガ・デ!)」
 名乗りと同時にゼンガは手首と腰の装飾品を同時に変化させ、サブマシンガンと散弾銃を装備―
「ガギチュグブジョ…バギギ(害虫駆除…開始)」
 2つの銃を乱射。その場にいた副総監以外の人間を撃ち殺した。
「ま、まて…わ、私を殺したら、もう情報は手に入らなくなるぞ」
 惨劇に腰を抜かし、失禁しながら後ずさる副総監。
「ああ、もう情報は必要ありません」
 冷酷に宣言するゼンガ。散弾銃の銃口が副総監に向く。
「わ、私を不老不死にすると約束したではないか、オーディ―」
 
 ドグォン!

 副総監の言葉はそこで途切れた。至近距離からの散弾銃が、彼の頭を吹き飛ばしたから…。
「我らの神がリントと約束? それを本気にするとは随分と馬鹿ですね」
 そう言うと、ゼンガは戦いが繰り広げられている方向へと進みだした。
88アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/26 13:08:53 ID:n9yo102Z
今回の投稿はここまでです。
続きは早ければ数時間後に…
89名無しより愛をこめて:04/09/26 18:24:31 ID:pl29cabO
age
90maskedrider:04/09/26 21:19:51 ID:I9YfzoM4
仮面ライダークウガ 第32・5話「伝説」

文京区内 ポレポレ AM8:36

カウンターでコーヒーを飲む本郷猛の姿がある。
本郷の目線の先には忙しく店の支度をしている伍代雄介の姿。

「少しばかり世話になった。それにしても・・・このコーヒー、美味いな。」

本郷が置いた空のコーヒーカップを笑顔で手に取る雄介。

「そりゃそうですよ!!なんてったってあの飾玉三郎直伝・・・」

「玉三郎?・・・知らねぇな。」

不毛なやり取りを遮るかの様に店のドアが開く。
そこには年齢にして40代程の中年の男性の姿。

「おう!!雄介、友達かぁ?」

「あっ、おやっさん!!まぁ・・・そうですね。さっき出会ったばっかりですけど。」

軽く会釈する本郷の顔を見つめると何か思い悩んだ様子のおやっさん。
額を突き合わせてなぜか睨み合いの様な格好になる2人。
しかしどこか可笑しな雰囲気を醸し出してもいる。
その光景を笑いながら見つめる雄介。

「どうしたんすか・・・2人共。」

91maskedrider:04/09/26 21:20:50 ID:I9YfzoM4
それと時を同じくして外に駐車していたトライチェイサ−2000に一条からの通信が入る。
店を出てバイクに跨り通信を聞く雄介。

「未確認生命体第41号が犯行を開始した。現在、広尾から白金方面へ逃走・・・」

「わかりました。今すぐ俺もそっちに向かいます!!」

一条の通信を受けた雄介はバイクの発進させようとする。
そこへ店を出た本郷の姿。

「伍代・・・だったか?・・・コーヒー、美味かった。礼を云う。」

本郷の言葉に対して笑顔とサムズアップで返す雄介。

「また、店に来て下さい。待ってますから!!」

雄介の後姿を見て店の中にあったスクラップ記事を思い出す本郷。

「未確認生命体・・・だったかな。どの世界にも似たような奴等はいるもんなんかねぇ。
ま、いいさ。元の世界に戻る方法は後から考えればいい。少し、遊んでみるかな。」

本郷はサイクロン号に跨るとアクセルを吹かしながらポレポレを後にした。

本郷の後ろ姿を眺めながら物思いに耽るおやっさん。

「本郷って人、どこかで会った様な・・・会わなかった様な・・・いや・・・」


92クウガ新説 仲間-01 G5活動不能:04/09/26 23:05:31 ID:AcunGhCq
第五話 仲間

【2005年 8月20日8:00 警視庁・捜査本部】
昨日の戦いから約12時間後、捜査本部は朝早くから対策会議に追われていた。

「尾室君、G5の状態はどうなっている?」本部長から報告を迫られた。
「まず、G5二号機と三号機ですが、前回の戦いとは違い、AIプログラムも
 メイン回路もすべて破損しました。アーマー自体もほぼ全壊です。一号機は
 未確認生命体爆発の際、巻き込まれて内部のメモリが全壊状態です。
 GM−01、GX−05はなんとか使えそうです。」
「では、装着員の状態は?」
「一号機の装着員だった西川は、ご存知と思いますが未確認生命体でした。
 本物の西川は都内のホテルにて遺体が発見されました。その遺体の一部は
 切り取れらていました。おそらくその肉体の一部を使って西川に成りすました
 ものと思われます。また二号機と三号機の装着員は両名とも昨日深夜、病院で
 死亡を確認しました。現在G5ユニットは活動できません。」

「G5ユニットが再び活動できるまではどのくらいかかる?」
「早くても五ヶ月はかかると思われます。」

捜査本部の空気は最悪のものとなっていた。4号が加わり、わずかながら
期待を持っていた。さらには『4号のコピー』であるG3の進化系、G5を
完成させ、万全の体制をとっていた。しかし、人類の平和のためのG5こうも利用され、
壊滅させられた。これはまさに、G5ユニット、いや警察にとって屈辱としか言いようがなかった。


―その後も会議は続いた。しかし、やはりたいした結果は得られなかった。
【同日 11:00 警視庁・G5ユニット】
小沢澄子と尾室隆弘は今後のG5ユニットについて模索中だった。
特に小沢は今回の結果には正直信じられない物があった。
自分の理論の集大成であるG3−Xをも上回るポテンシャルを持つ
G5をいとも簡単に破壊されたからである。

「小沢さん、どうします?これから。G5無しじゃ到底太刀打ちできませんよ。」
「わかってるわよ、それくらい。今回ばかりはどうにもできないわ。
 私は実質G5の製作に関わっていないからね、G5のことは余り知らないよ。」

―長く沈黙が続く。

「そうだ小沢さん、G3−Xならまだ警視庁に残されているんじゃないですか?」
「でも耐えられるかしら?G3−XがG5の武器に。」
「しかし、G5を0から作るよりはG3−Xを改良したほうが時間はかからないんじゃないですか?」
「………そうかもしれないわね。何とか上と掛け合ってみるわ。」

小沢はそういって立ち去った。
94クウガ新説 仲間-03 ポレポレの一時:04/09/26 23:07:49 ID:AcunGhCq
【同日12:00 文京区内ポレポレ】
五代はポレポレで店を手伝っていた。といっても今日はおやっさんがいなく、
店番をしているといったほうが正しいだろう。昨日の戦いで五代も傷付いているはずなのに、
その様子をまったく見られず、やはりアマダムが五代に強大な力を与えているようだ。

昼時を向かえ、店には徐々に客が増えていた。さすがに一人で昼時は無理か、
休む暇もなく働いていた。

「いらっしゃい…あれ?一条さんどうしたんですか?」
「あぁ、昨日のことでな、しかし今日は混んでるな。マスターはどうした?」
「今日は奈々ちゃんの舞台があるって埼玉いっちゃたんですよ。」
「そうか…お前のほうは大丈夫なのか?」
「戦いの後は結構傷ついてたんですけど、やっぱり石の力はすごいですね。」
「そうか…余り無理はするなよ。石に負担をかけると何があるかわからないからな。
 今は忙しそうだな、後で警視庁に来てくれ。今後のことを話し合いたい。」
「わかりました。店片付いたら行きますんで。」

一条はその場を後にした。五代はその後も店の客をさばいていた。



昼時を過ぎ、徐々に店も落ち着いてきた。
「いらっしゃ…あれ、おやっさんどうしたんですか?今日は奈々ちゃんの舞台じゃ?」
「聞いてくれよ〜雄介ぇ〜。舞台明日だったよ〜。」
マスターから渡されたチケットにはしっかりと”8月21日午後3時から”と書かれていた。
「誰だよ〜カレンダーめくったのは?」日めくりカレンダーを見ながらマスターが呟く。
「誰って昨日めくってたんじゃないですか、自分で。」

「あっ、俺か。そうだったっけ?」 「しっかりしてくださいよ。おやっさん」
こうしてポレポレの日常は過ぎてゆく。
【同日15:00 警視庁・G5シュミレーション室】
「シュミレーション、終了。」
シュミレーション室の操作室で小沢が端末を見ながらなにやら打ち込んでいる。

部屋の中からヘルメットを被った氷川が息を切らしながら出てくる。
「どう?調子は」小沢はタオルとスポーツドリンクを手渡し、尋ねる。
「やはりアンノウンと戦ってたときとは大違いですね。正直厳しいです。」
「結果も大分落ちてるわ。それに状況判断も遅い。今のままじゃ戦えないわね。」
「はぁはぁ……誰か僕のほかに装着できる人はいないですか?」
「残念だけど、北條君か一条君ぐらいしかいないわね。
 それにG3マイルドは今のところ一機しかないわ。戦力はガタ落ちね。」
「ちょっと小沢さん、僕は装着員無理なんですか?」
「あんたじゃ話にならないわ。G3マイルドも十分に扱えないんだから。」

そこへ北條が入ってくる。「私のV1システムは使えませんか?」
「現在V1システムは使用されていませんが、スーツ自体は修復して保管されています。
 プログラムをG3用の物に書き換えればすぐにでも使用できると思いますが?」
「でもねぇ、V1はあなたが装着することになるわ。」
「私は構いませんが?」 「こっちがこまるのよ。勝手に装着解除されるから。」

北條は呆れ、溜息をした。
「そのことはもういいじゃないですか。なんなら緊急脱出装置はつけなくてもいいですよ?」
「そう、それならいいわ。あなたはV1システムの装着員ね。ただ、武器はG3の物を使ってもらうわよ。」
「わかりました。ではプログラムの書き換えをお願いします。」
北條はシュミレーション室を立ち去った。

小沢は書き換え作業の準備を始め、尾室と氷川はもう一度シュミレーションをはじめた。
96クウガ新説作者:04/09/26 23:10:10 ID:AcunGhCq
今回はここまで。次は火曜日の夜を予定してます。
97名無しより愛をこめて:04/09/26 23:31:26 ID:3PjolFJ2
みなさま、貴重な休日にたくさんの書き込み感謝です

>>伊坂と愉快な仲間達 作者様
最近投稿が多くスレも活発です、このスレも流れが速いかもしれませんw

>>アギト外伝作者様
PC直って良かったですね、これからもガンガン出してくださいね

>>maskedrider様
お久しぶりです、いよいよ本郷も平成組と遭遇ですね

>>クウガ新説様
隠れV1システムファンなので楽しみです
98アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/27 01:08:00 ID:tMvRlEPw
【2007/7/17/12:13 東京都・江戸川区中央1丁目付近】


「まさか、警視庁が襲撃されるとは…」
 警視庁からの入電に、少なからず驚きを感じる尾室。だが、すぐに思考を切り替え、隣の新井に指示を下す。
「新井君。誰か警視庁へ迎える者がいないか、確認を」
「はい」
 尾室の指示に従い、新井は通信機を操作すると―
「こちらGトレーラー。現在、未確認生命体が警視庁を襲撃中。数は最低でも4体。なお、どの個体も過去に確認されていない新種の模様です。α小隊及び五代さん、津上さん、葦原さん。どなたか警視庁へ迎えませんか?」
 都内各所で戦う全員に通信を送る。だが―
『こちら宮田! 残念だけど、こっちの敵を倒すので精一杯、出来ればこっちに増援を!』
『こちら永瀬。26号と31号が3体ずつ新たに出現。とてもじゃないが、戦力は割けない!』
『こちら北條。そっちでも確認できていると思うが、救援に向かう事は…無理だ』
 返ってくる言葉はどれも期待とはかけ離れた物だった。
 もっとも、ただでさえ戦力が充実しているとは言えない状況を何とかやりくりして、各地に散っているのだ。北條達を責める事は出来ない。
「打つ手なしか…」 
 思わず呟く尾室。だが、その時―
『警視庁には僕達が向かいます!』
 無線機から聞こえてきたのは氷川の声だった。
99アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/27 01:08:55 ID:tMvRlEPw
【同時刻 千葉県某所・科学警察研究所】


「小沢さんが決断しました。僕と一条さんで警視庁に向かいます!」
『氷川さん…しかし、最終テストはまだ終わっていないのでは?』
「残りのテストは実戦の中で行います!」
 無線機越しに交わされる氷川と尾室の会話。そして―
『わかりました。お2人にお任せします』
 尾室が決断を下した。

「エクスチェイサー及びガードチェイサー、全装備搭載、発進準備完了!」
「G3−F及びG3カスタム、オールチェックグリーン。バッテリーパック、交換完了!」
 数分後、新しく生まれ変わった2つのG3ユニットの出動準備が完了した。
「G3ユニット5番目にして、最後の機体…それがG3−F! 氷川君、少し暴れて来なさい!!」
 氷川誠が装着する新生G3−X、G3−F。
「頑張ってきてね。一条君」
 一条薫が装着する新生G3、G3カスタム。
 小沢、榎田からマスクを受け取り、装着した2人は、それぞれのマシンへと向かった。
 G3カスタムには新たに用意された制式仕様のガードチェイサーが―
 G3−Fには、クウガのビートゴウラムをモデルに旧G3、G3−Xが使用していたガードチェイサーを改造した新マシン『エクスチェイサー』が用意されている。
「12:20、G3カスタム&G3−F、オペレーションスタート!」 
 小沢のその声で氷川と一条は発進した。警視庁へ向かって
100アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/27 01:10:00 ID:tMvRlEPw
【2007/7/17/12:40 警視庁】


「………」
 無数の屍に囲まれ、ライガ達は静かにそれを待っていた。
 周囲を警官達が取り囲んではいるが、ライガ達の圧倒的な強さの前に手を出せずにいる。そして―
「…来たか」
 ライガが呟いたその時、それは来た。サイレンの音を響かせて、エクスチェイサーとガードチェイサーが!
 ライガ達の10mほど前で止まり、それぞれのマシンから降り立つG3カスタムとG3−F。
 静かに睨みあい、そしてゆっくりと動き出す8つの影。2対6の大混戦が始まった。


 ダダダダダダダダン!
 ダンダンダン!

 G3カスタムと撃ち合いを始めたのは、ゴ・ゼンガ・デとゴ・ドリガ・デだ。
 時に併走し、時に足を止めて、壮絶な射撃戦を展開する。
 
 ダダダダダダダダン! 
 ダダダダダダダダン!

 両手にサブマシンガンを持ち、文字通り乱射するゼンガ。

 シュバァッ!
 シュバァッ!
 シュバァッ!

 弓に矢をつがえ、次々と放つドリガ。その連射スピードは常人が1射する間に3射。とんでもないスピードである。
101アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/27 01:12:52 ID:tMvRlEPw

 ダダダン!
 ダン!
 
 一方、G3カスタムも負けてはいない。『GMX−01』の連射で矢を撃墜。更に弾丸を回避しつつ応戦も行う。
 互角の射撃戦を繰り広げ、同時にビルの陰に隠れる。
「このままでは埒が明かないな」
 空になった『GMX−01』のマガジンを抜きながら、そう呟く一条。
 
 ズドォン!
 ズドォン!

 その間にも武器を散弾銃に持ち替え、ゼンガが発砲してきた。無数の散弾がビルの壁を穿ち、削っていく。
「散弾銃か…」
 物陰から様子を伺い、ゼンガが武器を変えた事を確認した一条は、決心した。
 『GMX−01』にロングマガジンを装填し、セレクターをフルオートに切り替え―
「3、2、1!」
 ある時を狙って飛び出した。それは散弾銃のフォアエンドをスライドさせる瞬間、散弾銃の攻撃が止む瞬間だ。
 飛び出した一条はゼンガ達へ向かって走りながら―

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!
 
 『GMX−01』を連射した。放たれた弾丸は、数発がドリガの体を貫き、残る大部分がゼンガに襲い掛かった。
 弾丸はゼンガの体を傷つけながら、手首と腰の装飾品、その全てを弾き飛ばす。 
「なに!?」
 装飾品を失った事で一瞬狼狽するゼンガ。その隙を突いて一条は一気に接近―

 ズシャァ! 
 
 腰に装備していた『GSX−03』をゼンガの腹部へと突き刺した。
102アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/27 01:14:32 ID:tMvRlEPw
「………」
 悲鳴をあげる事もなく、崩れ落ちるように倒れるゼンガ。だが、一条には勝利を感じる余裕もない。
「シャァッ!」
 ドリガが背後から襲い掛かってきたのだ。見れば弓が諸刃の剣のようになっている。
「接近戦も可能と言うわけか!」
 『GSX−03』でドリガの攻撃を受け止める一条。

 ガキン!
 ガキン!
 ガキン!

 刃がぶつかりあい、火花が散る。
 射撃だけでなく、剣道の腕前もかなりのものを持つ一条だが、ドリガの技量も相当なものだ。
 幾度となく激突と後退を繰り返す一進一退の攻防。だが、それを見つめる者がいた。
103アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/27 01:16:36 ID:tMvRlEPw
「止めを刺さなかった事を後悔するがいい…」 
 それはゼンガだった。腹部の傷は深く、完全には再生していないが、十分動けるだけの力は残っていた。
「武器も…まだ残っている」
 言うが早いか、ゼンガは右耳のピアスを引き千切り、単発式のグレネードランチャーへと変えた。
「ドリガには悪いけど、一緒に死んで頂戴」
 ゆっくりと狙いを定め、グレネードを発射する。

 バァァァンッ!

 爆発、そして爆炎。ドリガもろともあのリントの戦士は死んだ。ゼンガはそう確信していた。だが―

 ダダダダダン!

 黒煙の中から放たれた弾丸が、ゼンガの確信を打ち砕いた。
 弾丸に体を貫かれ、決定的なダメージを負うゼンガ。その目に最後に映った物は、背中が大きく抉れ、黒焦げになったドリガの死体。そして―
「クルマの窓ガラスにお前の姿が映っていた事と…G3カスタムの防御力に救われた」
 しっかりと2本の足で立ち、『GMX−01』をこちらに向けている一条の姿だった。
 そう、ゼンガがグレネードを放つ直前、その姿をクルマの窓ガラスで確認できた一条は、咄嗟にドリガとの体勢を入れ替え、ドリガを文字通り自分の盾とする事で、グレネードの爆発からその身を守ったのだった。
「…見事です、リントの戦士。今回は…私の負けですね」
 そう言い残し、事切れるゼンガ。その顔は不思議と満足気だった。
104名無しより愛をこめて:04/09/27 13:53:33 ID:j7jSxE27
>>アギト外伝作者殿
G3カスタム…イイ!
一条さん、カコ(・∀・)イイ!!

早く、G3−Fの活躍を見せてくれ!
氷川君の活躍を見せてくれ!!
105名無しより愛をこめて:04/09/27 17:37:35 ID:bqD7N3G3
>>アギト外伝作者さん
うわ〜一条さんカッコ良すぎ!
最初はちゃんと動けるか心配だったけど、杞憂に終わったみたいですね〜
G3−Fも期待してます!!
106名無しより愛をこめて:04/09/27 17:49:08 ID:woyWbMT1
V1登場期待hage
107名無しより愛をこめて:04/09/27 19:26:45 ID:wiDLQRnG
>>104-105

まあ、考えてみれば一条さんは、生身でグロンギとの戦いに生き残った兵だからね。
バルバの攻撃を受けても怪我だけで済んだし、並の警察官数百人は殺してそうなガドルからも生き延びた。
剣道は五代より強いし、射撃の腕も優れている。
葦原涼じゃないけど、ホントに不死身かもね。
108maskedrider:04/09/27 19:54:10 ID:06rGcbuT
東京湾近郊 AM8:40

「これは我々のゲゲルだ。邪魔をするつもりか?」

東京湾を眺めながらバラのタトゥを施した女は表情を変えぬまま呟いた。

「人は闇の子。あまり殺されては困る。まだ、あの御方は目覚めてはいないが、な。」

同じく無表情で話す青い服を着た謎の青年。
やがて青年の周りをタトゥーをした男や女達が取り囲み始める。
やがてその男女は怪人態へと変貌を遂げる。
それを見て恐れるどころか笑みさえ浮かべる青年。

「成る程、私を”試す”つもりか。いいだろう・・・」

青年を蒼い気の様な物が包んだかと思った次の瞬間、青年はグロンギとはまったく違う謎の生命体に変貌した。
その姿は鯨を模した様な気もする。

「パダギン、バザ・・・リズ・ン・ゲス(私の名は水のエル)。」







109名無しより愛をこめて:04/09/27 20:56:58 ID:RrHu2iuY
盛り上がってるのでageてみる
110maskedrider:04/09/27 21:06:10 ID:06rGcbuT
勝負は一瞬の内に決した。四方から襲い掛かる未確認生命体、グロンギの怪人達を
嘲笑うかのように姿を消すと背後から槍を突き刺し惨殺。
さらにもう1体、1体・・・とあっと云う間に4体以上の未確認生命体を殺害してみせた。

「これで、わかった筈だ。この程度の奴等では私の体に傷一つ付けれはしない・・・」

バラのタトゥの女は表情を変えぬままエルと向き合った。

「エルか。お前も我々と等しい存在なのだな・・・私と闘うか?」

女の言葉に笑みを浮かべると背を向け去って行くエル。

「まだ、私が人を救うには早い。もう少し、お前達の狩りを見させてもらおう。」

その言葉に薄っすらと笑みを浮かべるバラのタトゥの女。

111前スレの250:04/09/27 21:45:56 ID:uaasMPRU
レス91まで更新しました。
投稿ラッシュだ。スゲェw

>>82
ご報告、ありがとうございました。
確かになんか文字化けしてました。編集したHtmlでは文字化けして無かったので
気付きませんでした。
何度か上げなおしてもなるのでUP用マネージャーの仕様のようです。
半角カタカナを全角カタカナにしたら文字化けは直りました。
他の半角カタカナは大丈夫なのに、あそこだけ文字化けしてしまうのは
UP用マネージャーの微妙な癖のようです。
また何かありましたら、おしらせください。
112第三話『対峙』:04/09/28 00:24:33 ID:LIZHBkPS

第三話『対峙』

「なるほど…情報交換というわけですか…」
「そうだ…君はオルフェノクについて、私はアンデッドについて」
「悪い話ではない、けれど私達にとってメリットが少ない
 アンデッドについての知識などはとうの昔に手に入れているんですよ」

スマートブレイン本社ビルの一階にて対面を果たした二人はそのまま社長室に場所を移し
伊坂と村上二人だけでの話し合いを始めていた。
しかし伊坂の提案に村上は難色を示し始める、がそれは予想の範囲内であったのだろう
慌てもせずに話を切り返す。

「君たちが得ている程度の情報はこちらも手にしている
 私や君が知りたいのはもっと先の情報だろう?」
「無駄な駆け引きはそれこそ時間の無駄だと言うことですか…。」
「下らん化かし合いに時間を浪費出来るほど互いに暇ではないはずだ」
113第三話『対峙』:04/09/28 00:25:54 ID:LIZHBkPS

村上は椅子に深く座り直し大きく一息をつくと掌を返し腕を横に広げ
お手上げのポーズをとると、机に備え付けられたインターホンで
さきほどのスマートレディと呼ばれる女性に呼びかけた。

「例のディスクを…」
「はーい、わっかりました」
「失礼しまーす」

言うが早いか部屋の扉から入ってくるスマートレディ
部屋の前に張り付いてでもいたかのような速さで現れたが
その手にはしっかりとディスクが握られていた。

「そのディスクを使えばスマートブレインのコンピューターから
 オルフェノクの情報が引き出せるはずです」

スマートレディから手渡されたディスクを確認する事もなく
懐にしまいこむと、代わりにこちらもディスクを取り出しデスクの上に静かに置く。

「いままでに出現したアンデッドのデータが入っている
 君の知る情報よりも遥かに詳細な情報がね」
「確認は…必要ありませんね、あなたが取引で下手を打つような方には見えませんから」
「互いにな…」
114第三話『対峙』:04/09/28 00:27:40 ID:LIZHBkPS

交わした言葉は少なくとも二人は互いの本質を理解していた。
利益が得られるならば多少のリスクをいとわず、取引もするし利用もする
その結果己に不利益が起ころうとも最後に笑っているのは自分だという
確信に近い自信があると言う事を。

「用件が終わったのならいいですかー?あのー社長、例のベルトを追ってた
 スティングオルフェノクちゃんの通信が途絶えたんですけど。」
「失敗したのですか…ちょうどいい、さっきの三人を九州に向かわせて下さい」
「そういうと思って、九州行きのチケット三枚用意しちゃって今
 空港に向かわせてまーす、空港に着いたら連絡するよう言ってあるんで
 そろそろ連絡があるはずでーす」

用件を済ませた二人に割って入るように和やかな空気を醸しだすスマートレディ
ここに付き三体のオルフェノクと対峙したのが昼過ぎ、そして今は夕暮れ時
あの後すぐに空港へ向かっていたのなら、確かにそろそろ連絡があってもおかしくは無い

そんな事を何の気なしに考えていた伊坂だがこれ以上ここにいる必要は無いと
踵を返し部屋を後にしようとするそこにスマートレディの持つ携帯電話から着信音が鳴る
115第三話『対峙』:04/09/28 00:31:45 ID:LIZHBkPS

「噂をすればなんとやらさっそくかかってきました、もしもーし
 空港につきましたー?」
「……た…助けて!襲われてる、ライダーに!!他の奴はやられちまった」
「えー!?555がもう東京に来てるの、それとももう九州に着いちゃったの?」
「違う!!紫のライダー……!!?」
「ファイナルベント」
「グワァァーーーーーッッ!!………ッッぷつんツーツー」

断末魔の叫びを最後に電話が切れる、不幸にも電話を耳の傍に寄せていた
スマートレディは顔をしかめていたそれと同じ様に顔をしかめる村上だが理由には
かなりの差があった、その姿を尻目に部屋を出て行く伊坂。

「…555…紫のライダー…今回のバトルファイトは思う以上に混沌としているようだ…」

『仮面ライダー』〜ダークサイドストーリー〜「伊坂と愉快な仲間達」こんなんでいいのか?
116名無しより愛をこめて:04/09/28 01:17:40 ID:H6CTEGw/
SS祭り状態、イイ!
117名無しより愛をこめて:04/09/28 13:43:06 ID:n1wVRd5c
>>115
ファイナルベントに紫と来たら、王蛇ですね!
盛り上がってまいりました!!
118前スレの250:04/09/28 16:25:17 ID:VEvk/RGA
レス115まで更新しました。
ttp://www.geocities.co.jp/Bookend/7827/777.html
SS職人の皆様、乙です!!
119クウガ新説 仲間-05 未確認の狂気:04/09/28 23:47:30 ID:2NgudQHF
【2005年 8月21日 都内某所】
都内某所。未確認生命体はさらに場所を変えていた。廃ビルから
今度は使われていない映画館。場内はボロボロでスクリーンは切り裂かれ、
座席のばねもすっかり錆びてしまった。

「どういうつもりだ?なぜあいつを殺した。」
「そんなことはどうでもいい。早く俺にゲゲルをさせろよ!?
 一体何日我慢してると思ってるんだ?もう限界だ。」
「お前がそういう態度を取るのなら、お前は暫くゲゲルはお預けだ。頭を冷やせ。」

軍服を着た未確認生命体が言った。ふと、周りを見るとすべての未確認は姿を消した。


「足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ
 足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ足りねぇ
 暴れ足りねぇ。」
狂ったように壁に頭を打ち付けながら大声で叫んだ。餓えた獣のように。

劇場内には大声と頭を打ちつける音が響いていた。
【2005年 8月30日 12:00 警視庁・G5シュミレーション室】
未確認生命体対策の支えでもある旧G5ユニットは、調整作業を続けていた。
小沢が上層部へと掛け合ってくれたようで、特別予算が組まれ、その大半をつぎ込んだ大規模な作業が続いていた。
また、武装の強化も同時進行で行われた。


「どう?北條君V1の調子は?」小沢が問いかける。
「えぇ、もう少し出力を上げても私は耐えられます。上げてみてはどうですか?」
「わかったわ。…………これくらいでいいかしら?もう一度シュミレーションしてみて。」
「了解。」 北條は再びシュミレーションに入る。

「一条さん大分慣れてきましたね。徐々に結果が上がっています。」尾室が一条に話しかける。
「さすが小沢さんだ。噂には聞いていましたが、これほどの物を作るとは。」息を切らしながら一条は感慨深く呟く。
「何言ってるんですか?これもすべては五年前、一条さんと五代さんが中心になって
 未確認を倒してくれたからじゃないですか。ねぇ小沢さん。」
「話しかけないでくれる?今忙しいの。」 「すいません。」  一条はそのやり取りを見て微笑む。
「尾室さん、続きをやりましょう。少しでもあいつの負担を軽くしたいんです。」
「わかりました。では五分後に開始しましょう。」

室内からは息を切らしながら氷川が出てきた。
「どうですか?尾室さん。結果は?」尾室へと問いかける。
結果が表示されているディスプレイを見ながら過去のデータと比べる。
「………さすがですね、氷川さん。完全に勘を取り戻しましたね。G3ユニット時代を上回っています。」
「そうですか……ハァハァ。もう一回お願いできますか?」
「氷川さん無理しすぎですよ。最近毎日2時間くらいしか寝てなんでしょう? 少しは休んでください。
 シュミレーションは明日から再開で。」
「わかりました。では失礼します。何かあったら呼んでください。」
氷川はシュミレーション室から立ち去った。

さらに小沢は北條の調整が終わると、G3マイルドの最終調整に入り、こうして時間は過ぎていった。
121クウガ新説 仲間-07 調整完了:04/09/28 23:48:37 ID:2NgudQHF
【同日 17:00 G5シュミレーション室】
新Gユニット結成に向け、全員が作業に当たっていた。装着員の調整はほぼ
完了し、作業は最終段階へ入っていた。

「GM−01の威力ははこのぐらいでいい?」小沢はテスト装着員をしていた尾室に聞いた。
『うーん、もう少しだけ威力を挙げてもいいんじゃないですか?』
「そう?でも余り威力を高くすると、今度はコストがかかるからね。」
『ならこれでいいんじゃないでしょうか?』
「それじゃこれで決定にしようかしら。ご苦労様、尾室君。」

尾室がシュミレーション室から出てくる。相当疲れたようで
部屋から出た途端に座り込んでしまった。

「ハァハァ……でもなんで僕がテスト装着員なんですか?」
「氷川君や一条君はそれぞれの調整で大分疲れてるわ。今の状態じゃいざって時にむりでしょ。
 …それにあなたなら何かあっても被害はないし。」
「そんな事言わないでくださいよ〜小沢さん。僕だってやる時はやりますよ。」
「まぁいいわ。新型弾丸はこれで上に申請してくるわ。後のことは頼むわよ。」

小沢が部屋を出る。とその時五代がやってきた。
「あら五代君どうしたの?珍しいわね、いつも来るときは一条君と一緒なのに。」
「その一条さんに用があってきたんですけど、ここじゃないかって言われて。」
「一条君なら今本部にいると思うけど?どうした?」
「いや、一応相談しておかなきゃいけないかなと思って。これからの事。」
「そう…じゃあ行って見たら?案内してあげるから。」
「いいんですか?頼んで」 「えぇ。どうせこれから上に掛け合ってこなきゃないし。行くわよ。」

五代と小沢はその場を立ち去った。疲れて肩で息をしている尾室をそこに残して。
122クウガ新説 仲間-08 未確認行動計画:04/09/28 23:49:44 ID:2NgudQHF
【同日 数時間前 都内某所】
未確認の潜伏先、都内某所にある廃れた映画館。まだ未確認の姿がそこにあった。
中からはまだ叫び声が聞こえる。どうやらあれから一週間余り叫び続けていたようだ。

そこへ数体の未確認生命体が入ってきた。

「少しは頭が冷えたか?」軍服の男が言った。
「どうでもいいからよぉ、早くゲゲルをさせろよぉ。このままだと狂っちまうよぉ。」

どうやらこの未確認に与えた時間は無駄だったようだ。頭を冷やすどころか
かえって狂気を帯びてしまった。頭からは血を流し、全身に引っかき傷が付いていた。
この一週間、体全身を傷つけ、体の疼きを抑えていたようだ。

「おい、ホントにこいつにゲゲルをさせるのか?こいつにやらせるんだったら
 俺にやらせてくれよ。いいだろ?」
「はぁ!?何ふざけた事言ってんだよ。お前も殺しちまうぞ!?」

徐々に険悪な空気になってきた。今回の未確認は前回にさらに輪をかけて仲が悪いようだ。


「お前たち、いい加減にしろ。ゲゲルがやりたいなら少しは黙っていられないのか?」
「さっきから『早くやらせろ』って言ってんだよ?わかんねぇのか?」

「…………言っても無駄か。仕方ない。次のゲゲルはお前がやれ。
 但し、開始は明日だ。方法はすべて任せる。それでいいな。」
「へっ、上等だ。まぁ『駄目』って言ってもそれでやらせるんだろう?」
「当然だ。貴様らに選ぶ権利はない。決定権は我に有り。断ればお前の命はない。」

高笑いをしながら狂気に満ちた未確認は姿を消す。

そして他の未確認のまた、散り散りになりそこには誰もいなくなった。
123クウガ新説作者:04/09/28 23:54:11 ID:2NgudQHF
夜遅くの投稿ですいません。本当は夜7時頃にやろうと思ったんですけど、
こんな時間になっちゃいました。

次は木曜日の9時過ぎ位に投稿します。現在七話前半製作中です。
124アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 00:33:55 ID:yZvFgouL
 一条がゼンガとドリガを倒したその頃、G3−Fはヅバー、ザボン、ライガの3体と戦いを繰り広げていた。
「ホァタァーッ!」
 咆哮と共に、ザボンの手にした棘付ヌンチャクが縦横無尽に宙を駆け巡り、G3−F目掛けて襲いかかる。  
「退屈なの、楽しませてね!」
 ヅバーも細身の長剣を持ち、鋭い突きを繰り出してくる。

 ガキン!
 ガキン!
 ガキン!

 怒涛の攻撃を氷川は、『GKX−06』による防御と、AIのサポートも手伝った最小限の動きによる回避で凌ぐ。 
 更に思い切った踏み込みでヅバーの懐に飛び込むと―
「うぉぉぉっ!」
 『GKX−06』のナックルガード部分でボディを殴り、ザボンも強烈なミドルキックで吹き飛ばす。 
「やるな! リントの戦士!!」
 氷川が息つく暇もなく、今度はライガが襲いかかる。
「むぅん!」
 手にしたツインブレードから繰り出される斬撃。凄まじく速く、そして重い一撃が氷川を襲う。
 受ける事は危険。そう判断した氷川は、バックステップでその斬撃を回避―

 ダダダダダン!

 素早く『GMX−01』を抜き、発砲した。数発の弾丸がライガの腹部を貫く。だが―
「そんな物じゃ俺は倒せない!」
 その傷はすぐに再生してしまい、大したダメージにはならない。

 ダダダダダダダダダダダダダン!

 それでもなお、発砲を続ける氷川。ダメージには期待していない、ライガ、そしてヅバーとザボンの足止めが狙いだ。
125アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 00:35:46 ID:yZvFgouL
 撃ちながらエクスチェイサーへと移動すると、装備ボックスを展開。ランチャーユニットを取り出し―
「グレネード発射!」
 『GMX−01』に接続、ハンドランチャー『GGX−02』にすると、間髪入れずにグレネードを発射した。

 バァァァンッ!

 グレネードが直撃し、爆発がライガを包む。氷川は更に攻撃を続ける。

 バァァァンッ!
 バァァァンッ!

 少しの間を置いて、2度繰り返された爆発。ランチャーユニットに装填されていたグレネード3発を撃ち尽くした氷川は、ユニットを分離し、『GMX−01』を構え直した。
 並の未確認生命体なら一発で葬る事の出来るグレネード、それを3発も受けたのだ。普通なら倒せている筈。
「大した威力だ…リントも……ここまでの力を持ったか」
 しかし、ライガは生きていた。体中に深い傷が刻まれ、血まみれとなっているが、2本の足で立っている。
「だが、それが真の力ではあるまい? リントの戦士」
 徐々にその傷を再生させながら、氷川へ向け歩き出すライガ。
「悪いけど、私が楽しませてもらうよ!」
 しかし、それを出し抜く形でヅバーが飛び出した。背中の翼を羽ばたかせ、猛スピードで氷川に迫る。そして―

 ズバァ!

 手にした長剣ですれ違いざまに一閃。G3−Fの胸部装甲が火花を散らす。
 氷川も『GMX−01』で反撃を試みるが―
「遅い、遅すぎるよ!」
 ヅバーの圧倒的なスピードの前では牽制にもならない。
 戦いは一方的な展開になろうとしていた。
126アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 00:37:04 ID:yZvFgouL
 
 ズバァ!
 ズバァ!
 ズバァ!

 亜音速のスピードで氷川を翻弄し、隙を見て斬撃を叩き込むヅバー。
 その攻撃をガードを固めて、じっと耐え続ける氷川。
 誰もが、ヅバーの圧倒的優位を信じて疑わないだろう。
「………」
 だが、氷川は攻撃に耐えながら、必死に何かを待っていた。
「ほう、やはり気がついたか、リントの戦士」
「いい筋だ。オーディンが評価するだけの事はある」
 氷川の狙いに気がついたのか、感心したかのような声をあげるザボンとライガ。そしてその時が来た。
「これで終わりだよ!」
 斬撃から一転、突きを仕掛けるヅバー。狙うは、氷川の額だ。だが―
 ガキン!

 額の数cm手前で必殺の突きは止められた。氷川の左手が刃を掴んでいるのだ。
 慌てて剣を引き抜こうとするヅバーだが、パワーではG3−Fが勝っているのか、ビクともしない。
「ヅバーの力では、斬撃だけで奴を倒す事はまず不可能。止めを刺すには、頭か心臓を貫くしかない」 
「そして、狙う場所がわかっていれば、ああ言う事も可能になる。もっとも、ヅバーの速さは半端ではないがな」
 そんなヅバーを見ながら静かに呟くザボンとライガ。一方の氷川は―
「この時を待っていた…如何に素早くとも、この距離ならかわす事は出来ない!」
 『GMX−01』をヅバーの腹部に向けると― 
 
 ダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!

 マガジンに残っていた全弾を一気に連射した。ヅバーの腹部に無数の風穴が開く。
「もっと…楽しみたかったな……」
 そんな言葉を残したヅバーは、そのまま崩れるように倒れ、直後爆発した。
127アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 00:39:33 ID:yZvFgouL
「残るは俺とお前…どうする?」
「先に行け。俺は後からで構わん」 
 ザボンの問いにそう答えたライガは、一歩下がり戦況を見守る事をアピールした。
「強者の余裕ってやつか…まあいい、リントの戦士! 楽しませてもらうぜ!!」
 言うが早いか、G3−Fに突進するザボン。
 氷川も弾切れとなった『GMX−01』を捨て、エクスチェイサーの武器ボックスから新しい武器を取り出すと、それを両腕に装備。迎え撃つ為に走り出した。
128アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 00:43:26 ID:yZvFgouL
今回はここまでです。
警視庁を襲った未確認、残りは3体。
今度の投稿で決着をつけようと思います。

新装備も出します
129名無しより愛をこめて:04/09/29 01:35:27 ID:oCVunXcL
クウガ新説とアギト外伝のダブル投稿だっage
130前スレの250:04/09/29 03:19:35 ID:Nm7ifB11
【今年も勝手に】劇場版仮面ライダー555【補完】のまとめ終わりました。
http://www.geocities.co.jp/Bookend/7827/Gekijou555.html
よかたらドゾー

クウガ新説様、アギト外伝様、乙です
131名無しより愛をこめて:04/09/29 18:06:35 ID:4F2sYj+Q
オーガの木場や龍騎組の性悪連中はともかく、サイガのレオまでがどうして味方に
ついてくれたのか、整合性ににはそれほどこだわらないとは言いつつもちょっと知りたい。
誰かお願いします。
132名無しより愛をこめて:04/09/29 18:49:45 ID:qUx+Bgjh
>>131
可能性1:物語の舞台が龍騎のスペシャルビデオの世界と同一。
巧 「俺達は!」
木場「悪の大企業スマートブレインから!」
草加「人類の平和と!」
三原「未来を守る!」
レオ「正義の使者!」
全員「仮面ライダーだ!!」


可能性2:ファイズとの戦いで巧との間に友情が芽生え、スマブレを裏切った。
レオ「巧、お前の魂の拳で俺は過ちに気がついた。贖罪という訳ではないが、この戦い協力させて欲しい」
巧 「ああ、一緒に戦おう! そして掴もうぜ、俺達の夢って奴を!!」


可能性3:インパクター・ロギアの法則
レオ「乾巧、お前を倒すのはこの俺だ。だが、今は邪魔が多すぎる。一時休戦といこう」
巧 「戦力は多いに越した事はない。頼むぜ、レオ」
レオ「だが、忘れるな。この雑魚どもを倒した後で、お前の命を貰う!」
巧 「ああ、いいぜ。やれるもんならな」

この中のどれかだろう
133アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 23:31:19 ID:NkGfWrgj
 両者の間合いの一歩手前で、棘付ヌンチャクを振り回しながら隙を窺うザボン。
 氷川も『GSX−03』を構え、攻撃に備える。そして―
「ホァタァーッ!」
 ザボンが仕掛けた。角度、スピード、タイミング、どれを取っても必殺という言葉に相応しい攻撃が、氷川の頭部に迫る。
 
 ガキン!

 だが、その攻撃を氷川は『GSX−03』であっさりと防ぎ―

「うぉぉぉっ!」

 そのまま空いた右腕で、ボディーブローを叩き込んだ。

 ドゴォ!

 普通のパンチではありえないような爆発音が響き、吹き飛ばされるザボン。
「な、なんだ…今の攻撃は」
 何が起きたのか解らないまま立ち上がるザボン。彼の腹部には何かで貫かれたような穴が開いている。
「すごい威力だ…」
 一方の氷川も、右腕に装備した武器の威力に驚いていた。

 天才、小沢澄子が開発した新兵器『GPX−09』。
 装填された実包を撃発させる事により、ユニット前部から小型の杭を射出、目標に打ち込む近接戦闘用兵器。
 一般にパイルバンカーと呼ばれている兵器である。

「なるほど…ヅバーとの戦いで目が慣れたか」
 そんな2人を見ながら静かに呟くライガ。
「ザボンも遅くはない。だが、ヅバーの速さに慣れた奴から見れば、止まって見える」
 ライガの言葉どおり、戦いはG3−Fの有利に進んでいた。 
134アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 23:33:37 ID:NkGfWrgj
 ザボンは棘付ヌンチャクに加え、胸の装飾品を変化させた針をダーツのように飛ばし攻撃するが―
「そんな物!」
 氷川は攻撃に目が慣れた事、そしてAIのサポートによって簡単に回避していく。そして―
 
 バシュ!

 一瞬の隙を突き、左腕に装備した『GAX−04』からアンカーを射出した。強靭なワイヤーが瞬く間にザボンに巻きつき、その動きを封じていく。
 ザボンの動きを封じた氷川は、ガトリングモードの『GXX−05』を構え、引き金を引いた。

 ズガガガガガガガガガガガガガガガ!!

 無数の弾丸が襲いかかり、瞬時に蜂の巣となったザボンは―
「今回は…俺の負けだ。だが、その力見せて―」
 そう言い残し爆発した。素早く『GXX−05』のマガジンを交換し、ライガの方を向く氷川。
135アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 23:35:16 ID:NkGfWrgj
 だが、ライガは背後から襲い掛かることもせず―
「見事だ。それでこそ、俺の相手に相応しい」
 そう静かに言うと、ゆっくりと構えを取った。
「我が名はゴ・ライガ・ダ。リントの戦士よ、名前を聞かせて貰おう」
「氷川…誠」
 ライガの言葉に応え名乗る氷川。睨み合う両者。緊迫した時間が流れる。だが、その時間は突然終わりを告げた。
「氷川さん! 無事ですか!!」
 遠くから聞こえるアギトの声。各地の未確認生命体を撃破したアギト達が、氷川と一条の救援に駆けつけたのだ。
「邪魔が入ったようだな…氷川誠、この勝負は預けるぞ」
 言うが早いか、ライガは目の色を黄色から青に変えると―
「さらば!」
 50m近いジャンプを行い、タイミング良く飛んできたゼミンの手につかまり飛び去った。
「貴様の命は俺が貰う! 忘れるな!!」
 そう言い残して…。
 これが氷川誠とゴ・ライガ・ダ。2人の戦士に因縁が生まれた瞬間だった。



 第5話完   次回『再会』近日公開
136アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/09/29 23:44:52 ID:NkGfWrgj
と、言うわけで今までの中で最長となった第5話。
これにて、終了となります。
氷川とライガの因縁はこれから続いていきます。最終決戦時まで…

なお、避難所の方にG3−F、G3カスタム、『GSX−03』『GAX−04』『GPX−09』『エクスチェイサー』の設定。
あと、オリジナル未確認生命体6体の設定も掲載しました。

前スレの250さん。
お手数ですが、掲載の際はこちらの方もお願いできれば幸いです。
137名無しより愛をこめて:04/09/30 00:06:57 ID:bncj+T1Y
アギト外伝掲載age 
138名無しより愛をこめて:04/09/30 13:56:10 ID:LF2nNpUi
>>131,132
面白そうなの思いついたので、機会があればSS書いてみたい
139前スレの250:04/09/30 18:12:58 ID:NnQG1n6Y
レス136まで更新しました。
ttp://www.geocities.co.jp/Bookend/7827/777.html
アギト外伝様、設定も追加しました。
140クウガ新説 仲間-09 虐殺開始:04/09/30 21:06:28 ID:tMFnQUpm
【2005年 8/31 16:00 関東圏内某所】
八月ももうすぐ終わるこの日。8月初めに新しくできた総合イベント会場では
オープニングイベントもかねて総合格闘技の大会が開かれていた。
18:30から試合開始とあって約2時間前の16:00。徐々に人波も増えてきた。

人々は皆これから起こる試合を楽しみにしていた。中でも注目は最終カード、圧倒的な人気を誇る
日本人選手と対戦相手をかならず2ラウンドで仕留めてきた『殺し屋』の異名をもつ選手の試合だった。
その注目度は格闘技雑誌各誌が様々な特集を組むほどであった。


―しかし、その場からは確かに狂気を帯びた不穏な空気が流れていた。―

【同日 同所 18:25】
場内はざわついていた。もうすぐ試合が始まるとあっては仕方ない。もちろん場内は満員だった。
フッと場内の照明がすべて落とされた。その瞬間、場内は静まり返った。

数秒後、場内のすべてのスピーカーから大音量で音楽が鳴り始めた。照明は赤や青といった
様々な色が付いたり消えたりして、選手の入場口の少し手前から炭酸ガスが噴出され、
入場口からは一人の男が入ってきた。そのままリングへ上がり、大会実行委員会からの挨拶として、
マイクパフォーマンスをはじめた。それが終わると場内は一気にヒートアップ。そのまま選手入場へ。

赤コーナー側から一人の男が入場。リングへ上がる。しかし、本来出るべき選手ではなかった。
場内は騒然、主催者側も混乱していた。

その男は大声で笑い始め、姿を未確認生命体へと変貌させた。その姿はコブラとそっくりであった。

逃げ惑う人々。出口へ人が集中し、恐怖を感じながら外へ出ようとしていた。

その恐怖に染まった会場を見ながら、未確認は楽しそうに笑っていた。
男女かまわず目に入った人間をじわじわと殺し始めた。未確認の手にかかった人々は徐々に苦しみながら死んでいった。
141クウガ新説 仲間-10 やり切れぬ思い:04/09/30 21:07:30 ID:tMFnQUpm
【同日 同所 19:00】
未確認生命体発生の知らせを受け、すでに調整の終わったG3−X、G3マイルド、V1はすぐ現場に向かったが、
間に合わなかった。未確認生命体はそのまま逃走。被害者は120人を超えていた。

「やり切れませんね、氷川さん。」現場の惨劇の様子を見た北條は言った。
「えぇ、我々がもう少し早く着いていればこんなことにはならなかった……」
「どうです?一条さん。前の未確認でこういう事件を起こしたものはいませんか?」
「いや、こんなに残酷な手法をとったものはいません。」
「一条さん、これがやつら特有の『ゲームのルール』なんですか?」
「はい。おそらくそうでしょう。未確認はまた何かの法則にしたがって
 事件を起こすでしょう。はやく法則を見つけなければ……」

三人は現場検証に立会った。この大会は後日テレビでダイジェスト版として放送予定で、
そのために会場設置された数台のカメラと、観客が持っていたDVDハンディカムや
デジタルカメラなどを徹底的に調べ、未確認の犯行の様子が映っていないか、チェックをしていた。



一通りの検証が終わり、一条は死亡者の解剖を椿へ依頼し、自らも関東医大病院へ向かった。
氷川と北條は一度本部に戻り、検証結果をもとにその後の捜査方針を決めるために警視庁へ向かった。
142クウガ新説 仲間-11 検死:04/09/30 21:09:23 ID:tMFnQUpm
【同日 20:00 関東医大病院】
一条は虐殺現場から関東医大病院へ到着した。同時に未確認に虐殺された
人々の死体の搬送も終わった。

「一条!」一条を見つけた椿は声をかける。
「おぉ椿。すまんな急に。」 「仕方ないだろう。あいつ等がこっちの都合で動くわけがないんだ。」
「じゃあよろしく頼む。」 
「わかった。検死は2時間程度で終わる。どうする?いったん本部戻るか?」
「あぁ、やることもまだまだあるしな。結果がでたら俺の携帯に連絡をしてくれ。」

椿は部屋の中へ入り、一条は警視庁へ帰るために出口へ向かった。

途中一条は桜子と出会った。
「沢渡さんどうしたんですか?こんな時間に。」
「えぇ、五代君のことで少し相談に来たんですけど、事態が事態だから
 今日のところは失礼しようかと思って。」
「相談事というのは?」
「最近五代君、金の力をもっと強力なものにしようとしてるみたいなんですよ。
 だから、もしかしたら『聖なる泉を枯らした凄まじき戦士』になるんじゃないかと心配で、
 椿さんならアマダムの状態に詳しいかなって。」
「五代がそんな事を………でも沢渡さん、安心してください。確かに以前なら
 五代がそこまでする必要があったでしょう。しかし、警視庁は未確認生命体捜査本部の
 装備のひとつに『Gユニット』があります。その分五代にも負担はかからないはずです。」
「そうですか……一条さん、五代君のことお願いします。」
「わかりました。沢渡さん何かあったらすぐに連絡ください。では失礼します。」
一条はその場を立ち去った。
143クウガ新説 仲間-12 法則を探せ:04/09/30 21:10:11 ID:tMFnQUpm
【2005年 9/1 8:00 警視庁】
警視庁では昨夜の未確認の大量虐殺の情報整理及び捜査方針決定のために
夜遅くから朝方まで夜通しで考察していた。

しかし被害者の身元など周辺のことをいくら調べても関連性は見当たらなかった。
唯一の情報といったら椿の検死結果で、それも『最初の一撃でほぼ即死だったが、
その後も未確認は暴行を加え続け、頭蓋や肋骨は原型を留めていない』と、
殺人行為のみ判明し、法則発見には至らなかった。本部には重苦しい雰囲気が漂っていた。


「どうです?一条さん。何か法則は発見できそうですか?」コーヒーを差し出しながら北條は聞いた。
「おそらく今度の未確認は人が大勢集まる場所で犯行を行うつもりでしょう。」
「……そうか。だから昨日はあそこを。注目の試合とオープニングイベントが重なっていた
 昨日なら自然と人が集まるという訳か。」
「えぇ、今週末は各地で様々なイベントが開催されます。できる限りイベントの中止を
 よびかけ、念のために捜査員を向かわせたほうがいいでしょう。」
「わかりました。いつでも出動できるように一条さんはGユニットへ向かってください。
 私も本部に指示を与えたらすぐ行きます。」北條は捜査員を集め、今後のことについて
指示を出した。


一条は先にGユニットへ向かった。
144名無しより愛をこめて:04/09/30 21:12:12 ID:tMFnQUpm
どうも作者です。次は土曜の深夜か日曜の朝になると思います。
145名無しより愛をこめて:04/09/30 21:16:48 ID:EzBQf4Fo
幼稚園に新任の先生として赴任してきた主人公。
園児になめられ赴任当日からさんざんな主人公だったが、彼には人に言えない秘密があった。

いずれ現れるとされていた怪物との闘いのために、秘密裏に組織されていた仮面ライダー部隊に
所属していたのだ(剣のボードのようなもの)。
しかし、人を守るために入隊した主人公だったが、いつまでも現れない敵、組織内での権力争い、
力だけを求め人の命など省みない同僚。
わきあがる疑問と嫌気に耐えきれず力を捨てて普通の人として生活を始めた主人公。
だが一度力を求めた者に安息は訪れなかった・・・平和を切り裂きついに怪物達が姿を現し始める。

オリジナルですが色々混ざってる気がしますよ(´Д`)
怪物との闘いを中心に、組織またはかつての同僚達との対立・共闘、
幼稚園での日常、園児や同僚の保母さんに正体ばれたり、その上で応援してもらったり。
なんてのがあったらいいなーとか思ってます。
怪物の正体は巨額の予算を投じて対策を練りながらも、結局怪物が現れなかったため
組織の人間達が作り出してジサクジエンしていたというオチとか・・
平成しか知らないんですが昭和とかこんな感じのあったんでしょうか。
146オルタナティブ−ミッシング・剣−:04/09/30 22:02:12 ID:AZVaJ3Wh
「ここは・・・一体!?」

深い暗闇の中、光を求めて彷徨う1人の男の姿。
彼の名は香川英之。清明院大学の教授でありまた自らが見た物は
理解する前に全て記憶してしまう特殊な能力を持つ。
彼は同僚であった神崎士郎の計画を阻止する為、闘っていた。

しかし・・・

「そうだ。私は、東條君に・・・」

彼は自分の愛弟子とも云える男、仮面ライダータイガ=東條悟によって殺されてしまった。
ミラーワールドを閉じ、英雄になる。それが香川の「願い」であった。
その願いは無念にも叶う事はないだろう。

「私は・・・ここはどこなんですか?東條君、君は純粋過ぎたのかもしれない。
だからこそ、私は君に人の愛情を教えたかった。それが人に愛される英雄になる事。
だが・・・君は私の言葉を理解できなかった。」

深く広がる闇の中、香川の独り言は虚しく響いている。

「あれは・・・何ですか?」

147オルタナティブ−ミッシング・剣−:04/09/30 22:02:53 ID:AZVaJ3Wh
深い闇の中、1筋の光が見えた。
その光の中には、見覚えのある少女の顔。香川は思い出した。少女の名は神崎優衣。
香川がミラーワールドを閉じる為、抹殺しようとしていた人間。
憎むべき存在であるはずの香川を優衣は笑顔で見つめている。

「なぜ・・・私はあなたを殺そうとした人間ですよ。なぜ、笑っているんです?」

優衣は穏やかな笑みを浮かべると一筋の光を差した。

「もうライダー同士が闘う必要なんてない。だから、あなたも生きて。」

優しい光が香川を包む。やがて闇は消え去り、いつのまにか香川は洞窟にいた。
やがて洞窟の外からバイクの音が聞こえてきた。バイクは香川の目前で止まる。
それと同時に目の前を異形の怪物が通り過ぎる。

「あれは・・・ミラーワールドのモンスター?」

香川の目前で止まった青年はバイクを降り、バックルの様な物を出すと同時にゆっくりと構えた。

「変身!!」

「ターンアップ」

青年が言葉を同時に変身ポーズを取るとその姿は瞬時に紅の戦士へと
変貌した。

「仮面・・・ライダー!?」



148オルタナティブ−ミッシング・剣−:04/09/30 22:15:12 ID:AZVaJ3Wh
横で見ていた香川はその姿を見て思わずそう呟いた。

「ん?ここは一般人のいる所じゃない!!邪魔だ。出て行け!!」

香川の存在に気付いた戦士は怒鳴ると目の前のアンデットへ突進して行った。


相手のモンスターに最初は優勢に闘っていた戦士だったが、徐々に攻撃を受け始め追い込まれていく。
香川は戦況を見つめながら自分の手が何かを握っている事に気付いた。

「これは・・・オルタナティブ・ゼロのデッキ。東條君に倒された時、破壊されたはず。」

しかし、目の前では紅の戦士が徐々に追い込まれていた。

「クソ・・・俺はまだライダーシステムの恐怖を克服できてないのか?う・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!」

モンスターの一撃で遂に吹き飛ばされた戦士の変身が解除されてしまった。
人間の姿に戻った青年にモンスターが徐々に近づいていく。
青年は悲鳴を上げ、逃げようとするが腰が抜けてしまいその場から動けずにいる。

「このデッキを作った理由。それは多くの人間の命を救う為。
そして、私が生き返った意味も同じかもしれないですね・・・」

香川は眼鏡の位置を手で直しながらモンスターの背後に立った。
カードデッキを空高く舞い上げると同時に香川の腰にベルトが現れる。

「変身!」

左手でデッキを受け取りホルダーに装填する。
香川の体は瞬時に漆黒の戦士に変わっていった。

「か・・・仮面ライダー?俺達以外にもライダーシステムを開発した人間が?」

香川の変身した姿、ゼロを見た青年は近づいてくるモンスターに怯えながら叫んだ。
青年に襲い掛かるその寸前、ゼロがスラッシュダガーでモンスターに斬り掛かる。
吹き飛ばされたモンスターは本能のままにゼロへ向かってくる。

「お前は・・・一体!?」

「私ですか?ただの英雄・・・ですよ。」

「アクセルベント」

ゼロはカードをバイザーに装填した次の瞬間、一瞬でモンスターに近づきダガーで斬撃した。
攻撃は終わった。無数の傷跡を残し倒れたモンスターの姿が残っているだけだ。
一瞬の決着を見ていた青年は無言で変身すると「封印」のカードを出しモンスターへと投げ付けた。
腹部に突き刺さったカードはモンスターを吸収し戦士の手へと戻って行った。
戦士が振り向いた時、あの黒いライダーの姿はどこにも無かった。


1501:04/10/01 00:42:59 ID:hhN4TQ4x
>>147-149
教授の玩具を手に入れる為、ここ数日這いずり回っていたんで
『オルタナティブ・ゼロ−ミッシング・剣−』キター!イイ!って感じです
俺も教授書こうかな〜
151名無しより愛をこめて:04/10/01 10:06:22 ID:ZQMLy8Rv
>>145
主役に三原をイメージしたw
組織が自作自演というのもワロタ
昭和はもっとストレートだし、そういうのはないんじゃないかなぁ
スパイダーマン2に通じるテイストを感じる、面白そう

152氷の心:04/10/01 12:23:52 ID:WQx93dW8
いつも僕は損をする。いつも僕は駄目な人間だ。
だれからも期待されず、信じられもしない。僕は、何の為に生きているんだろう。

都会の雑踏の中・・・虚ろな目をした青年、東條悟は当ても無く歩いていた。
すれ違う人達が自分を笑っている様な気がする。

「駄目な奴」

「勘違い野郎」

「気持ち悪いんだよ」

「消えろよ」

行き交う人々と目を合わせる度、僕にはそんな声が聞こえていた。
でも、その中で1つだけ・・・違う声がした。

「闘え」

タタカエ?僕を呼ぶその声はショーウインドーの鏡の中から聞こえた。




153氷の心:04/10/01 12:38:09 ID:WQx93dW8
鏡の中に映るその男は僕の知っている人間だった。
彼の名は神崎士郎、僕のかつての同僚。そして江島研究室での事件の首謀者と呼ばれた男。
失踪し行方を眩ませていたはず・・・
僕は何が何だか分からないまま、鏡の中の神埼君に問いかけた。

「タタカエってどういう事?僕には全然分かんないんだけど。」

「13人の仮面ライダーの1人としてお前も闘え。最後の1人になった時、お前の願いが叶えられる。」

「願い?何でも叶うのかな。許せないライダーは殺してもいいのかな?」

「それはお前の自由だ。これがお前のデッキ・・・」

神崎君が僕に投げつけた青い「箱」。そこには何枚かのカードが挟まれていた。
自分以外の12人の人間を殺せば願いが叶う。でも僕の願いって何だろう。
まぁ、いいかな。退屈で悲惨な毎日が少しでも楽しくなればいいし。

「面白そうかも・・・」

僕は僕の道を見つけた。もう誰も邪魔させないから。
154名無しより愛をこめて:04/10/01 14:12:14 ID:QcU0LD+q
>>147-149
『オルタナティブ・ゼロ−ミッシング・剣−』

GJっす!!
この先の展開として、広瀬(父)&トライアルシリーズと対決して欲しいな
155名無しより愛をこめて:04/10/01 23:09:56 ID:hhN4TQ4x
サトちゃんもキター
龍騎、555系も頑張れっ
156第四話『微震』:04/10/02 22:44:14 ID:epTG6TMz

「伊坂と愉快な仲間達」第四話『微震』

「…現実世界に現れたイレギュラーな存在…それはお前達とはなんの関係もない
 …お前達はお前達の闘いをすればいい…」
「関係ないって…だから放っておけってのかよ!」
「いちいち突っかかるな」

いつもは誰も寄り付かぬであろう廃墟に佇む五つの人影、ポケットに手をいれたまま
淡々と語る男に突っかかる長髪の男、それをたしなめる黒いロングコートの男

「みんな集めて何を言うのかと思えば、そんな事を言いたかったわけ」
「なんだっていい…イライラが消える闘いが出来るなら…な…」

呆れ顔で呟いた男の胸には弁護士の証である金バッジが輝いている、その横にいる
落ちていた棒切れで地面を叩き続けている蛇柄の服の男は
面白くも無さそうに言葉を吐く。
157第四話『微震』:04/10/02 22:45:55 ID:epTG6TMz

朽ち果てた廃墟、元は教会だったのだろうか、鮮やかな色をしたステンドグラスは
その姿のほとんどを残し、差し込む光によりきらびやかに輝いていた。
後光を浴び、その存在を幻想のように不透明なものとしている神崎士郎は
城戸真司の言葉に答える様に続ける。

「放っておこうとも問題は無い…脅威にはそれと対を成す抑止力が存在する…
 ミラーワールドのモンスターに対するお前達…ライダーのような存在がな…」
「なら、俺たち以外にもモンスターと闘っている奴がいるのか!?」
「はしゃぐな、うっとうしい!」

自分達以外の闘う者の存在に心を躍らせる城戸、それをさきほどと同じ様に
たしなめる秋山蓮、そこに北岡秀一が話を要約するように言葉を紡ぐ
158第四話『微震』:04/10/02 22:47:03 ID:epTG6TMz

「つまり、他は他で勝手にやってくれてるからお前達はさっさと
 闘って潰しあえっていいたいわけでしょ」
「どうとろうともお前の自由だ…しかし…闘いが長引いて得をする者など
 存在しない…時間が無いのは皆…同じだ……」

一陣の風が吹くとそこにあるはずの神崎士郎の姿はそこにはなかった。
それと代わるように手にしていた棒切れを放り投げ
カードデッキをちらつかせる浅倉威はさきほどとは違い楽しそうに言葉を吐く

「なんだっていい…せっかく四人もいるんだ…闘るか…?」

『仮面ライダー』〜ダークサイドストーリー〜「伊坂と愉快な仲間達」伊坂がいない…
159名無しより愛をこめて:04/10/03 04:23:54 ID:xpnCWTCG
伊坂がいないけどage
160名無しより愛をこめて:04/10/03 04:24:31 ID:xpnCWTCG
ageそこなった
161クウガ新説 仲間-13 虐殺再び:04/10/03 10:11:12 ID:f+EkQrV4
【同日 13:00 都内某所】
未確認生命体は心から激怒していた。自分のゲゲルのやり方に対し、
ほかの未確認は『無駄が多い』とけなし、挑発してきたからであった。

別に無駄が多いことはわかっていた。しかしゆっくりと行為を行うことで
自分のイライラは解消され、より長い時間快感に浸れるからこの方法をとっていたのであった。
それに対し、妙に自分とそりが合わない奴は皆作業のように淡々と殺すだけだった。
『心から楽しめない奴に言われたくない』というのが心境だった。

―しかし、また自らの手法でゲゲルをできる時間が近づいている今、
そんな事はどうでもよかった。 こいつにとってゲゲルは自分の心を癒すものであった。―



早速、今回のゲゲルのステージを選んでいた。地図や雑誌など、様々な物を開き始めた。
未確認生命体は高い言語習得能力を持っており、また現代の知識も少しではあるが持っていた。
だからマップに書かれていることはそこそこ分かるのであった。

今夜も野球、サッカー、映画の初日舞台挨拶、有名シンガーソングライターのライブ
など、人がウジャウジャいそうなイベントが数え切れないくらい予定されていた。

結局、一番人が集まりそうな野球の会場でゲゲルを始めることにした。
これから自分が行うことを思ってか、未確認生命体からは自然と笑みがこぼれていた。


―数時間後、徐々に球場に人が集まりはじめた。そしてそれと同時に、また殺人が行われようとしていた。―
162クウガ新説 仲間-14 激戦開始:04/10/03 10:12:31 ID:f+EkQrV4
【同日 17:00 関東圏内某球場前広場】
警視庁に未確認生命体出現の情報が入り、G3−X、G3マイルド、V1の三機は
現場へと急行していた。三人は前回の『間に合わず被害を大きくしてしまった』との
思いから自然とハンドルに力が入っていた。

約20分後、現場に到着した。すでに五代がクウガとなり、戦っていた。
後方から銃撃を食らわせた。未確認は一瞬気がそれた。その隙にクウガは
渾身のパンチを放つ。

「次から次へとゴチャゴチャ出てきやがってよぉ!!邪魔すんなよ。!!」
そういって自らの分身体を20体ほど出現させ、Gユニット三機へと向かわせた。


未確認は引き続き、クウガとのタイマンへと戻った。クウガはあらかじめ抜き取っていた
トライアクセラーを握り、自身の形態を変化させ、紫の鎧を纏い、剣を持った。
その姿を確認したら未確認も体につけられた装飾品を一つ取り、筋肉が発達した姿へと変化した。
装飾品は振り回して戦うのにはちょうどいい中型の斧に変わった。


両者とも一歩も引かず、体のぶつかり合いとなっていた。打撃や両者の武器の
傷が体中についてくる。それはどんどん増えていった。

振り下ろされた斧。クウガはとっさに身をかわす。一瞬バランスを崩した隙に、
近くに落ちていた拳銃を拾い、『超変身』の掛け声で緑のスナイパーへと変身した。
金の力を使ったボウガンを未確認の体に密着させて放つ。紋章が浮かび上がるが、すぐに消える。

未確認は普通の姿に戻り、突然大声で笑い出しクウガに挑発の意も込めて捨て台詞を吐いた。
「どうした?戦士なんだろ、お前?だったらもっと俺と戦えよ!?俺をもっと楽しませてくれよ?」
163クウガ新説 仲間-15 Gユニット戦い方:04/10/03 10:13:17 ID:f+EkQrV4
【同日同刻同所】
一条、氷川、北條の三人はそれぞれ特殊強化服を纏い、未確認の分身体と戦っていた。
今回は皆バラバラの動きをしており、攻撃パターンが読めずにいた。

周りをすっかり未確認に囲まれた三人。身動き一つ取るのも精一杯だった。
攻撃は何とか当てることができても、食らう方が圧倒的に多かった。
「皆さん。無理に攻撃しないでください。内蔵された戦闘プログラムがある程度の
 動き方を示してくれます。同士討ちを狙ってください。」 二人に向かって北條が言った。

それからは攻撃をかわすことに重点を置いて戦った。
二匹の未確認から強烈なフックがV1を襲う。すかさずV1は身をかがめる。
見事に未確認同士で殴りあう。そしてそのままGM−01を左側に、右側には強烈な裏拳を放つ。
二体は崩れ去り、周辺の敵に攻撃しながら立ち上がる。攻撃の手は他の未確認に移る。

その後も巧に攻撃をかわしながら逆に攻撃を当て返す。V1の周りいた未確認は全て灰に姿を変えた。
それはG3−X、G3マイルドも同じであった。残すは後一体のみだった。

最後の一体はV1に向かって走り出した。V1の顔めがけて右の拳を突き出す。

V1は左手で未確認の腕を払い、GM−01の銃口を未確認の体に接触させて連射する。
最後の未確認もあっけなく灰となった。

「弾丸の残りはある……小沢さん。バッテリー状態はどうですか?」
『G3−Xが78%、G3マイルドが71%、V1は80%。まだまだいけるわ。』
「わかりました。一条さん、氷川さん。今から五代さんの所へむかいますよ。」

三人はクウガの元へと走っていった。
164クウガ新説 仲間-16 強力な仲間:04/10/03 10:17:22 ID:f+EkQrV4
『どうした?戦士なんだろ、お前?だったらもっと俺と戦えよ!?俺をもっと楽しませてくれよ?』

その言葉にクウガは怒り、怒りに身を任せ、殴りつけた。
未確認は一瞬怯んだ。クウガはさらに攻撃をしようとする。その時、クウガの脳裏を一言の言葉がよぎった。
――聖なる泉枯れ果てし時、凄まじき戦士雷の如く出で太陽は闇に葬られん――
クウガの動きが止まった。怒りに任せた戦い方では凄まじき戦士になってしまう。その思いからだった。

未確認はこの止まった時の隙を見逃さなかった。未確認は形態を変え、武器も鎖に変わった。
その鎖をクウガの首に巻きつけ、首を絞め始めた。心の底から楽しそうに笑いながら。

一発の銃声が鳴った。その先にはGユニットの面々が立っていた。G3−Xは首につながれている
鎖をめがけて何度も撃ち込む。鎖は切れ、束縛されていたクウガは解放される。
「大丈夫か?」G3−マイルド、一条が駆け寄る。 「はい、なんとか。」
「五代さん、一条さん、氷川さん、行きますよ。いいですか?」V1は呼びかける。
それを合図にGユニットの面々は少し時間をずらしながら未確認に対して発砲する。

次々と発射される弾丸の前に攻めるに攻められない未確認。体に溜まったダメージが
一気に爆発して大きくバランスを崩す。 『今だ!!』三人は声をそろえてクウガに攻撃の合図を出す。

クウガはトライアクセラーを握り、斜め前方に高く跳んだ。その姿を紫の金へと変える。
『うぉりぁぁぁ』着地と同時に剣が未確認の体を貫く。苦しみだす未確認。断末魔の叫びを上げて爆発した。

爆風で舞い上がった砂ぼこりが粉塵を上げた。 その塵の中からクウガが出てくる。変身をとき
クウガから五代へと戻る。マスクをはずしたGユニットの面々は五代に駆け寄る。
「ありがとうございます。なんか助けてもらっちゃって。」 「それはお互い様だろ。」一条が言う。
「これからも頼みます。同じ人間のために戦う戦士として。」氷川の言葉。
四人が未確認生命体と戦う意志を、改めて決意した瞬間であった。

―数日後、小沢によってGユニットの新名称は『Gに無限の可能性を』との思いから『Gxユニット』と名付けられた。

    第五話 仲間 完
次回 第六話 胎動 公開
165クウガ新説作者:04/10/03 10:20:24 ID:f+EkQrV4
これで五話は終わりです。明日避難所に五話全部と設定を載せます。
六話からはすごい展開が待ってます。次の投稿は火曜日か水曜日を予定しています。
166氷の心:04/10/03 15:25:33 ID:ZCzGxi7m
第一話 「デストワイルダー」

目覚しい時計の音が鳴り響く。僕はこの音が嫌いだ。
何故かって?苦痛でしかない1日が始まる合図だから。

でも今日は少しだけ違うかな。昨日、神崎君から貰った青い箱。
彼はこの箱をカードデッキと呼んでいた。
彼が云うにはこの箱に入っているカードには特別な力があるらしい。
そしてその力を持つ者の名が「仮面ライダー」。

今日は少しだけ早起きをした。こんなに楽しい気持ちになれたのは凄く久しぶりだ。
でも大学に行くのは嫌だな。そう云えば、僕は何の為に学校に行ってるんだろう?

朝の通勤電車の中には不安と苛立ちしか無い。
こんな箱の中で人間を詰められていると生きている事を忘れそうになる。
そうだ・・・バイクが欲しいな。僕も「ライダー」になるんだから。
お父さんにお願いしようかな。お父さんなら何でも買ってくれるし。

考え事をし過ぎた。気がついたら電車はとっくに降りるはずの駅を通り過ぎていた。
167氷の心:04/10/03 15:41:40 ID:ZCzGxi7m
30分も遅刻した。また僕は損をした。だから学校には行きたくないんだ。
急いで大学に行かないと。早く駅を出て・・・

「・・・!?」

耳を貫く様な音が響いて頭が痛くなった。何なんだろう?この感覚は。
それは駅を出た裏通りの鏡の中から響いていた。
鏡の中には何かがいる。鏡に顔を近づけてみた。蠢く何かを追って・・・

「うわぁ・・・た、助けて!!」

信じられない事に僕は鏡の中の何かに引っ張られてしまった。
とてつもない力で引っ張られてしまった僕に逃げる術は無かった。
次の瞬間、僕は地面に叩きつけていた。ここはどこだろう?

「へぇ・・・」

目の前に広がる世界はさっきまでいた場所と同じだった。
ただ1つ、「全てが反転」しているという事を除けば。





168名無しより愛をこめて:04/10/04 00:44:07 ID:m3vzU72t
新作age
169クウガ新説作者:04/10/04 19:21:24 ID:spu0qSYo
作者です。非難所に五話全部と設定を書き込みました。
前スレ250さん、これまでの設定もあわせてまとめてくれませんか?お願いします。
170「伊坂と愉快な仲間達」:04/10/04 22:57:32 ID:z/7HXJ7E

第五話『激震』

王蛇のべノサーベルがうなり龍騎を狙う、それをドラグシールドで
何とか受け止めるが勢いに負けガードに隙が出来る、それを見逃す事無く
王蛇は龍騎の腹に蹴りを叩き込んだ。
たまらず距離を取る龍騎はすぐさまカードをベントした
それに合わせ、べノサーベルを放り出し王蛇もカードをベントする。

「ストライクベント」
「ストライクベント」

ドラグレッダーが天空より飛来し龍騎の腕にドラグクローが装着され
ドラグクローから放たれるドラグクローファイヤーが王蛇に向かって放たれる
それを迎え撃つようにメタルホーンを構え突進する王蛇、両者がぶつかり
激しい爆炎に辺りが包まれる。
171第五話『激震』:04/10/04 22:59:21 ID:z/7HXJ7E

「トリックベント」

四人の騎士がゾルダに向かい攻撃を仕掛ける、それをマグナバイザーで
的確に打ち抜くが、かき消された騎士の幻想の中に本体はいなかった。

「…?!」
「ソードベント」

天から響く機械的な音声に反応しその場から飛びのくゾルダ
数瞬前までゾルダがいた場所を切り裂く様に騎士のウイングランサーが通過する。
相手の攻撃をかわしたゾルダは今度はこちらの番だと言わんばかりに
カードをベントする、それを見越していた騎士もカードを素早くベントする。

「ガードベント」
「シュートベント」

ギガランチャーを撃ち放つゾルダ、激しい爆炎に辺りが包まれた。
172第五話『激震』:04/10/04 23:02:55 ID:z/7HXJ7E

「やはり闘うならライダーがいい…前に闘った奴…確かオルフェノクとかいったか…
 …奴ら三人もいたのにまるで歯ごたえが無い…」

爆炎の中から現れた王蛇はそんな言葉を口にした。

「オ、オル…?浅倉、お前そのオルなんとかと闘ったのか!?」
「オルフェノクでしょ…他のとこにちょっかいだすと話がややこしくなるんだけどね〜」

龍騎と王蛇の前に姿を現すゾルダは迷惑そうにそう言うと
マグナバイザーにセットしたカードをベントする。

「ファイナルベント」
「まあ、その辺の奴等は俺が相手しとくから安心して秋山の後を追いなよ」
「れ、蓮が?!」
173第五話『激震』:04/10/04 23:03:32 ID:z/7HXJ7E

ゾルダの言葉に驚きの声を上げる龍騎、それに意を返さずゾルダは地面から
浮かび上がる様に出現するマグナギガにマグナバイザーをセットするゾルダ。

「バイバイ…」
「ナスティベント」

飛翔するダークウイングから発せられるソニックブレイカーがゾルダを襲う
たまらずゾルダはマグナバイザーを取り落とす、そこにゆっくりと騎士が現れた。

「誰が、誰の後を追うんだ?」
「蓮!」
「しぶといね〜まったく」

「御託はいい…闘え…」

『仮面ライダー』〜ダークサイドストーリー〜「伊坂と愉快な仲間達」伊坂…ッ!
174伊坂と愉快な仲間達作者:04/10/04 23:13:37 ID:z/7HXJ7E
>ゾルダの言葉に驚きの声を上げる龍騎、それに意を返さずゾルダは地面から
>浮かび上がる様に出現するマグナギガにマグナバイザーをセットするゾルダ。

最後の所、余分にゾルダをつけてしまった…
伊坂は出てこないは…ほんとすみません。

すみませんついでに前スレ250さん、まとめサイトに捕捉される時に
修正出来るならしていただけないでしょうか?
無理ならかまいませんのでよろしくお願いします。
175名無しより愛をこめて:04/10/04 23:28:38 ID:m3vzU72t
城光がこのスレでも人気出そうな気がw
176名無しより愛をこめて:04/10/06 00:06:38 ID:bfDnK6E4
新作待ちage
177250:04/10/06 12:23:00 ID:pF3/OjJC
近所に引っ越しました。
その7以降のまとめ
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/777.html
レス174まで更新しました。

555劇場版
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/Gekijou555.html
178仮面ライダー剣・橘漫遊記:04/10/06 18:04:35 ID:38BLTAjx
志村=アルビノとの戦いから3ヵ月後、心に深い傷を負った仮面ライダーギャレン、
橘朔也は1人、南国の楽園に来ていた。
華やかなビーチで短パン姿の橘はカキ氷を頬張りながら久しぶりの安息に浸っていた。

「終わったんだ。俺の戦いは・・・」

空を見上げ思い出す。剣崎、睦月、烏丸所長、広瀬、伊坂、そして・・・小夜子。
辛い日々だった。でも俺はこうして生きている。そう思えるだけで幸せな気持ちだった。

「まだお前の戦いは終わってはいない。」

その声は橘の隣から聞こえた。振り向くとそこには死んだはずの男、烏丸がいた。

「しょ・・・所長?なんで?なんでだぁぁぁぁ!!」

驚愕の表情を浮かべる橘を横目に烏丸はテーブルの上のカキ氷を手に取り食べ始めた。

「それ、俺のハワイアンブルー・・・」

「これ、食ってもいいだろ?」

「もう食ってるじゃ・・・」
179仮面ライダー剣・橘漫遊記:04/10/06 18:51:24 ID:38BLTAjx
「2度もアンデッドの封印が解かれた事により、時空に歪みが生じてしまった。」

「時空に歪み?歪みが起きたら何が起こるんですか?」

「早く歪みを戻さなければこの世界と他の世界との間に境目が無くなる。
世界の全てが崩壊してしまう・・・」

橘は烏丸からハワイアンブルーを奪い返し貪り食った。

「そんな・・・剣崎達は?あいつらに頼めばいいじゃないか。俺はもう戦いたくない!」

「剣崎、睦月とは連絡が取れないんだ。君だけだよ。居場所を突き止める事ができたのは。」

「そんなぁ・・・」

戸惑う橘の右手に烏丸は1枚のカードを突きつける。

「ダイヤのA!?」

「今は君しかいない。仮面ライダーとして戦える人間は。」

第0話 「バカンス」 完

180名無しより愛をこめて:04/10/06 22:23:17 ID:H9p3JyFG
またもやギャレンage
181名無しより愛をこめて:04/10/06 22:23:51 ID:H9p3JyFG
あげ
182250:04/10/07 00:09:30 ID:abSG0Y+d
過去スレから
つくば地震記念(地元の人いたらごめんなさい)
http://www.geocities.jp/maskedrider_ss/333tinnbotu.html
日本沈没 対 仮面ライダー
183名無しより愛をこめて:04/10/07 18:15:53 ID:uQ25iz+n
沈没さん期待上げ
184アイキャッチ ◆r33gKGW/KA :04/10/07 22:22:36 ID:dUUf0o5i
>57の続きですが……

カニレーザーが『蟹光仙』なのは決まっているのに、他の二人の名前、それにライダーベルトが未定なので……
185名無しより愛をこめて:04/10/07 22:59:11 ID:zF72atKn
期待あげが多いな、やはりあげ
186アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/07 23:14:28 ID:VrxK2H13
現在執筆中です。
…が、少々仕事に追われており、土曜日頃の投稿になりそうです。
あ、あと予告と異なる部分が少し出てきそうですので御了承ください
187クウガ新説作者:04/10/07 23:30:01 ID:45Ip14Ce
火曜日水曜日に投稿出来なかったから今日やろうと思ったんですけど、
風邪引いた上になんかパソコンの調子が悪くて無理でした。
早ければ明日深夜、遅くても日曜日のブレイドが終わるころまでには投稿します。

最近、俺のパソコンと体はボロボロだ………orz
188アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/08 01:32:24 ID:Z003M9q1
【2007/7/18/10:27 都内某所・有名ホテル】


 グロンギの精鋭6体による警視庁襲撃から1日、優雅なティータイムを過ごすオーディンのもとに思わぬ訪問者が訪れた。
「ずいぶんと、珍しい方々が来られた…私を倒しにでも来ましたか、エルロードの諸君」
 突然の訪問者に驚くこともなく、警戒するダグバ達を手で制しながら、訪問者である水、風、地の3大エルロードに声をかけるオーディン。
「我らが主に悲しみを与える事、例え主と同等の存在である貴方であろうとも許されぬ事…」
「これ以上、このような愚行を続けられるのであれば…」
「我らの手で、貴方を…討つ」
 オーディンの声にそう応え、それぞれの得物である矛斧=怨念のバルディッシュ、長弓=憐憫のカマサ、長剣=敬虔のカンダを構えるエルロード達。
「フッ…主の為、命を捨てる覚悟ですか……では、その忠誠心に敬意を示す為…本気で相手をしてあげましょう」
 エルロード達の決意に感心したのか、オーディンはそう言うと―

 パチン!

 右手を掲げ、指を鳴らした。すると周囲の空間が揺らぎ、ホテルの一室は古代ローマのコロッセオに似た闘技場へと姿を変えた。
 オーディンは、自分と室内にいた全ての者達を異空間へと転移させたのだ。
「空間転移…」
 オーディンの力、そのホンの一端を見せ付けられ、思わず呟く水のエル。
 風のエル、土のエルも声には出さないが、オーディンの力に警戒を強めていた。
「さて、始めましょうか」
 そんなエルロード達を尻目に、上着を脱ぎ、ネクタイを緩めたオーディンは、軽く息を吸い―
「…ハァッ!」
 その力を一気に解放した。覚醒の余波が衝撃波となり、周囲に吹き荒れる。
 その衝撃波を、それぞれの方法で防御するエルロード達。ダグバ達も同様だ。
 そして、その衝撃波が止んだ時、オーディンはその体を金色のオーラに包み、エルロード達と向かい合っていた。
「さあ、始めましょうか」
 そう言って軽く構えを取るオーディン。そして―
「…御覚悟を!」
 エルロード達が先に動いた。3方向に散り、攻撃を仕掛ける。だが―
「甘いですよ」
189アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/08 01:33:52 ID:Z003M9q1
 そんな声と共にオーディンは、地のエルが振り下ろした敬虔のカンダを無造作に受け止め、その刃の一部をまるで砂糖菓子のように千切り取ると同時に蹴りで吹き飛ばす。
 水のエルが放った怨念のバルディッシュによる突きを跳びあがって回避し、上空から憐憫のカマサを連射しながら突撃してきた風のエルを叩き落す。
 最後に着地の隙を狙い、背後から再度突進してきた水のエルの攻撃を流れるような動きで回避し―

 ドゴォ!

 そのボディに掌底を叩き込み、吹き飛ばした。
 ここまでにかかった時間は僅か7秒。その動きには一分の無駄もなく、優雅ですらある。
「おやおや、貴方達の覚悟とはその程度ですか? それでは精々30点といった所ですよ」
 そうエルロード達を挑発するオーディン。その挑発に再度立ち上がり、攻撃を仕掛けようとするエルロード達。その時―
「そこまでです」
 エルロード達を止める者が現れた。そう、あの黒い青年である。
「「「我らが主よ!」」」
 青年の出現に跪くエルロード達。一方、オーディンは不敵な笑みを浮かべていた。
190アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/08 01:37:09 ID:Z003M9q1


 仮面ライダーアギト外伝:第6話『再会』


「エルロード達よ、お前達の忠誠心…私は誇りに感じています」
 背後に跪くエルロード達にそう言葉をかける青年。その目はオーディンを見つめたままだ。
「勿体無きお言葉…痛み入ります」
「この度の我らの行い、言い訳をする気はありません。存分にお裁きを」
「いかなる罰もお受けします」
「この行いは私を思っての事、喜びを感じこそすれ、罰を与えようという気持ちは微塵もありません。さあ、下がりなさい。ここからは私が彼と話をします」
「「「ははっ!」」」
 青年の言葉を受け、姿を消すエルロード達。自分達が本来いるべき場所へと戻ったのだろう。
「さあ、早速本題に入りましょう。まさか、思い出話をする気もないでしょうしね」 
「ええ、貴方と話をする為に私はやって来ました」
 エルロード達が消え、会話を始める青年とオーディン。その内容はシンプルな物だった。

「貴方、そして、貴方が生み出したもう1つの種族『グロンギ』が『リント』と呼ぶ種族は、全て私の子供達。無闇にその命を奪う事…見逃すわけには行きません」 
「なるほど…では、この戦いに貴方が直接介入しますか?」
「………」
「貴方が直接介入すれば、この戦いはすぐに終わる。無駄な犠牲も出なくて済む」
「…それは、この世界のバランスを崩す事に繋がります」
「そう、貴方の直接介入はこの世界のバランスを崩す。世界の調和を何よりも重んずる貴方には、この選択肢を選ぶ事は出来ない」
「…確かに私は、その選択肢を選ぶ事は出来ない。ですが、このまま静観も出来ません…故に私は、第三の選択肢を選びます」
「第三の選択肢…貴方の僕でもあるエルロードやロード達でも送り込みますか?」
「いえ、人間の為戦う…アギト達を助ける…その道を、私は選びます」
191アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/08 01:39:39 ID:Z003M9q1

「もっと面白くなりそうだね。オーディン」
 話を終え、本来いるべき場所へと戻っていった青年を見送るオーディンにダグバが声をかける。
「ええ、彼が多少なりとも動くという事は、戦いが更に激しくなるという事です」 
「ワクワクするな…戦いは全ての命を極限まで輝かせ、散らせていく」
「そう、戦いこそが、命を極限まで輝かせる唯一にして絶対の手段。進化の糧となる物なのですよ」
 そう話す2人の顔は歓喜に満ち溢れていた。
 
 一方、青年の方もある存在と接触を図っていた。
「志半ばで倒れた者よ、そして守るべきものの為、死を背負い戦った者よ…今言ったとおり、貴方達には3つの道があります」
 目の前に浮かぶ2つの光球に対し、静かにそして優しく問いかける青年。
「1つはこのまま永久の安らぎを選ぶ事。もう1つは転生し、新たなる生と言う名の試練を受ける事。そして―」
 青年が言い終えるよりも早く、2つの光球が輝いた。
「本当に良いのですか? その道は最も厳しく辛いものに―」
 再度青年が言い終えるよりも早く、輝く2つの光球。
「…ありがとう」
 光球の確かな意思を感じ取った青年は、感謝の言葉を口にするのだった。
192アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/08 01:48:49 ID:Z003M9q1
外伝第6話現段階での完成分を投稿しました。
もう、おわかりの方も多いとは思いますが、あの人だけでなく、予定を変更してあの人も出します。

残りは土曜か日曜に…
193前スレ250:04/10/08 08:47:55 ID:uIoXfAaA
>>174
最後の所のゾルダを削除してUPしました。

>>178 仮面ライダー剣・橘漫遊記
(SS一発!)にまとめました
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/777.html

日本沈没 対 仮面ライダー 第4話、第5話追加しました
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/333tinnbotu.html

>>187 クウガ新説作者
お体を大事にしてください。
人間、体が1番の資本ですから。
快癒されるまで、このスレは保守しておきます(w)

>>アギト外伝作者様
乙です、これからジックリ読ませていただきます。

とりあえず、レス192迄更新しました。
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/777.html
1941:04/10/08 09:29:30 ID:S5xLPLg7
みなさん無理せず息の長い投稿でいきましょう
俺も投稿結構ご無沙汰になっちゃってて申し訳ないですが
195Φ−THE NEXT− :04/10/08 21:14:47 ID:KeNCPFQN
オルフェノクが絶滅した世界。だが・・・本当にこれで良かったのだろうか?
街では無意味な命の奪い合い、人間同士が傷つけ合っている。

オルフェノクは本当に滅んだのだろうか?
いや、まだ滅びてなどいない・・・新たな力の種は人々の心の中で静かに復活の時を待っていた・・・
憎しみが憎しみを生み、世界は新たな力を手に入れた者達の欲望により崩壊し始める。
かつてファイズとして戦った青年、乾巧の望んでいた「夢」が実現する事も無く。

−Φ −THE NEXT− 第一話「夢と現実」に続く−
196伊坂と愉快な仲間達作者:04/10/09 21:39:27 ID:iHTerexa
前スレ250さん、まとめサイトに加えて頂くだけでも感謝なのに
修正を快くお受けしていただき本当にありがとうございます。
作品の方はぼちぼち書いていきますので
気長に見てやって下さい。
197クウガ新説 胎動-01 早半年:04/10/10 12:54:46 ID:Oz2tNqSP
第六話 胎動

【2006年 2/4 12:28 港区某所】

『うぉぉりぁぁぁ』クウガの剣が未確認の腹部を貫く。未確認は苦しみだし、そのまま爆発した。
「やったな、五代。これで四十七体目か。」G3マイルドを装着している一条が駆け寄る。

クウガは変身をといた。時同じくして一条のガードチェイサーとBTCSに無線連絡が入る。

『こちら北條・氷川。杉並区の未確認生命体新46号は撃退しました。』別の場所にいる北條からだった。
「こちら一条。五代と共に港区の未確認生命体新47号も撃退しました。」一条も本部と北條たちに連絡する。

『ご苦労様。三人とも早くGトレーラーに戻ってきて。五代君は帰っていいわ。
 また現れたら頼むわ。』指揮官である小沢から通信が入る。

「了解。五代、俺は一度本部に戻る。何かあったら本部へ来い。」
一条はガードチェイサーに乗り、警視庁の方向へ走っていった。
五代はというと、戦いで使ったトライアクセラーを差し込み、ポレポレへと帰っていった。



突如未確認生命体が出現してから約半年。警視庁はクウガとGxユニットの連携を保ちながら、
過酷な戦いの日々を送っていた。もちろん、世間からはクウガも未確認生命体という認識から
『未確認生命体の力を借りてる』との批判もあった。しかし、確実に未確認生命体を倒していた。
この半年間で倒した未確認生命体は三十体を超えていた。その中にはかつて警視庁を襲って、壊滅的状況にした
新五号もいて、組織が強くなった事の証明にもなっていた。
198クウガ新説 胎動-02 新たな動き:04/10/10 12:59:26 ID:Oz2tNqSP
【同日 12:40 都内某所】
都内にありながら、あまり人が寄り付かない五階建ての雑居ビル。今度はそこに未確認は潜んでいた。
といっても、この雑居ビルを使っているのは一階と二階のみで、潜んでいたのは五階だった。
この半年で未確認も随分と殺され、その場には数人程度しかいなかった。

「これで四十七体の仲間が死んだか。」軍服の未確認が呟く。
「今度のクウガは結構やりおるな。それにリントの作ったクウガの偽者も。」
別のものが関心した様子で言う。

「で、どうすんの?まだこのまま続けるの?」髪が逆立っている奴が言った。
「当たり前だ。一刻も早くゲゲルを成功させなければ……」
「次は誰がやるの?誰もやらないならボクがやるけど?」十七歳位の背格好の者が言った。
「いや、ここはこの俺がやる番だ。小僧は黙ってここにいろ。」気性の荒そうなものが言った。

暫くこの二人を中心として言い争いが続いた。誰も止める様子はなかった。

そこに純白のドレスを着て、額に蘭のタトゥーが入った一人の美しい女性が入ってきた。

「バルバの妹か。随分と遅かったな。お前もとっくに目覚めたんだろ?」軍服の者が言った。
「まだあっちに用事があってな。それももうすんだ。これからは私が指揮を取る。いいな。」
「誰も文句のある奴はいまい。お前等『花』の一族は我等が主に一番近い存在だからな。」

「ではゲゲルはお前がやれ。」一人の未確認を指差しながら呟く。
「やだね、めんどくさい。第一ゲゲルは好きじゃないんだよ。」その男は抗議する。
「命令が聞けぬのか?ならばお前の命、頂くしかないな。」男に詰め寄る。
「わかったよ。しょうがねぇなぁ。やればいいんだろ、やれば」面倒臭そうに言い放ち、その場を後にする。

―ここにきて未確認生命体に新たな動きがあった。しかし、一条らはそれを知る由もなかった。―
199クウガ新説 胎動-03 48号のやり方:04/10/10 13:01:02 ID:Oz2tNqSP
【同日 17:00 都内某所】
未確認生命体は密かに活動を始めようとしていた。
一見、普通のサラリーマンに見える服装とは裏腹に、殺意にも似た雰囲気を放っていた。


都内某映画館。今日はアメリカで公開された期待作の先行上映とあってか、上映の15分前にもかかわらず
劇場内は満員だった。そこにさっきの未確認が。今まさにゲゲルを始めようとしている。

未確認はチケットに書かれた番号の席に座る。まだ場内は騒がしい。
ふと、未確認生命体の体から胞子のような物が漂い始める。それはすぐ場内に充満した。

場内の明かりが落とされ、いよいよ始まろうとしているその時、スクリーンの前に未確認生命体が立った。
怪人体へと変身。場内は騒然とし、人々は恐怖に怯え、悲鳴が響き渡る。

聞いたことのない言葉で何かをしゃべり始める。そして自らの装飾品をナイフに変え、
場内にいた客全員へ投げ、人々はそれを受け取った。それをきっかけに人々は近くにいた人間を殺し始めた。

「そうやって殺しあうんだ。俺は殺すのは嫌いだからな。」

そう言い放ち、その場を跡にした。しかし殺し合いはまだ続き、その場にいた全員が死ぬまで殺し合いは続いた。
200クウガ新説 胎動-04 実況検分:04/10/10 13:01:53 ID:Oz2tNqSP
【同日 17:30 同所】
未確認による惨殺事件が発生してから数分後、すぐさま捜査本部から数人の
警察官が現場へと向かい、実況検分を行っていた。

「しかし、今回も残酷な事件を起こしてくれましたね。」北條が言う。
「えぇ。死体には鋭利な刃物で何度も刺した傷があります。それに、被害者のほぼ全員が
 未確認生命体の物と思われる装飾品を握っていました。」氷川の一言。
「ということは、おそらく何らかの方法で人間自らの手によって殺人を行うように
 命令したということになります。」
「恐ろしいですね、これではうかつにG3も出動できない。」

明らかに今までのやり方とは違う事件に、困惑する二人。その後も二人を中心に
現場の捜査が行われていた。約一時間後、北條の携帯に一条から電話が来る。

「はい、北條ですが。」『一条です、関東医大病院での解剖結果を知らせます。』「わかりました。」
『まず、死因は大量出血によるショック死と思われます。また血管が腐食しており、血液中からは
 一種の催眠作用がある毒物が発見されました。これは主に茸に含まれるもので、
 今回の未確認生命体は茸の能力を持つと思われます。』
「そうですか、では二十六号用の対策で対応できますね。」
『しかし油断は禁物です。今回はおそらく人が集まる密閉された空間での犯行をする物と思われます。』
「わかりました。では本部に連絡して各種機関に自粛するように呼びかけます。」
『お願いします。私はいったん本部に戻ります。』一条は電話を切った。

「北條さん。私はGトレーラーに戻って小沢さんと新48号の胞子への対策を考えます。」
「わかりました。おそらく成分については一条さんが詳しく知っていると思います。
 私はもう少しここを調べますので。」

氷川は北條と捜査員を残して警視庁へ戻っていった。
201クウガ新説作者:04/10/10 13:05:21 ID:Oz2tNqSP
今日はここまで。体の調子もパソコンの調子もなんとか良くなりました。
続きは遅くても明日の昼ごろには投稿します。

前スレ250さん、遅れましたがまとめサイトに設定集の追加ありがとうございました。
202名無しより愛をこめて:04/10/10 21:16:25 ID:xqhDWwNa
3連休age
203アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/10 23:27:08 ID:L6m6/vR0
現在、第6話を執筆中ですが、少々煮詰まっています。
公開できるようになるまで、あと少しかかりそうです。

読者の皆さんには申し訳ありませんが、もう少しお待ちください


>>クウガ新設作者さん
執筆おつかれさまです。
お体には気をつけてくださいね。
気楽にフンワカ行きましょう。フンワカ(^^b
204名無しより愛をこめて:04/10/13 16:04:18 ID:0TA2gUWi
age
205ライダー共闘・金色の鋏:04/10/13 21:59:29 ID:4fGWKm/t
 ヤツハ、コノテデタオサネバ――

「おや、どうやら貴方は、この私を倒したくてたまらないようですが……」
 金色の戦士、仮面ライダーシザーズが目の前の怪人に問い掛ける。
「ああそうだ……俺は、貴様のせいで赤っ恥をかいた上に無様に負けたんだからな……」怒りに震え、右手の鋏を打ち鳴らす怪人。
「はて……何があったか知りませんが、倒される気はありませんよ?」
 バババ!手にしたGM-01スコーピオンを打ち込むシザーズ。
「の、のわわっ!貴様飛び道具とは卑怯だぞ!と言うかどうしてそれを!?」「私、本業は警官ですから」しれっと言う悪徳刑事。

「うぬぬ……一度ならず二度までもこのグランバーザミーをコケにしやがってっ!」
「……だから、一体何の話を……」

「忘れたってのか!某プロジェクトX番外編、地獄の駅伝編のあの屈辱!
 貴様のシザーズピンチが最強だと言うので信用して使ったらあっさり撃ち砕かれて!!」

「…………ああ、ネタにマジレスした恥ずかしい人。逆恨みもはなはだしいですねぇ」
「ぬがぁっ!!
 喰らえ、グランファイヤー!」

<ナスティベント>
 ボルキャンサーの吐き出す泡が炎を消火する。
「ルール上オリジナルカードは規制されていないのでやってみました。では」

<ファイナルベント>
 ボルキャンサーに打ち出され、グランバーザミーを粉砕するシザーズ。

「まぁ、結局アレですね。ズルいやつほどよく笑う。って」
206クウガ新説作者:04/10/13 23:42:54 ID:x3BoNsQI
どうも作者です。ちょっと執筆が遅れています。明日中には絶対に投稿します。
207クウガ新説 胎動-05 五代の日常:04/10/14 19:19:27 ID:syg0Sz7I
【同日 19:00 文京区内ポレポレ】
マスターが「奈々の舞台があるから見てくる」といって今度は京都までいっていたため、
ここ数日ポレポレは五代が切り盛りしていた。未確認との戦いも一条たちのおかげで
前よりは負担が減り、自分の好きなことをやってるからか、生き生きとした表情をしていた。

「五代君、ポレポレカレー1つとコーヒー1つオーダーね。」手伝いに来ていた桜子が
注文を五代へと伝える。五代はそれを聞き、コーヒーを淹れ始める。同時に皿を出し、ご飯を盛り始めた。

フッと一瞬、五代の意識が遠のく。手にもっていた皿を落とし、皿が割れてしまった。
皿が割れる音でハッと気が付く。 「五代どうしたのよ?ボーっとしちゃって。」
桜子が心配そうに五代に聞く。 「なんでもない。あーあ割っちゃった。」五代は皿を片付け始める。
桜子は五代が空元気でいるような気もしたが、再び働き始める。


数時間後、店も閉店時間となり、五代は桜子と話ながら仕込みをはじめた。
「五代君、さっきどうしたの?」 「なんか最近、たまに眩暈がするんだよね。」
「眩暈?大丈夫なの五代君?」 「ホントになんでもないから。心配しないで。」
「心配もするわよ、もし戦いの最中に眩暈がしたらどうするのよ?いくら一条さんや
 氷川さんも戦っているっていっても未確認が脅威なのは5年前も今の変わらないんだからね。」
「大丈夫だって桜子さん。疲れてるだけだから。」五代はサムズアップで答える。

こうして五代の日常は過ぎていく。
208クウガ新説 胎動-06 未確認の一時:04/10/14 19:22:16 ID:syg0Sz7I
【2006年 2/5 12:00 都内某所】
ここ最近、未確認が潜伏してる雑居ビル。昨日は何か動きがあったが今日は
大きな動きはないようだ。

「昨日一日で100人か。少しペースが遅いんじゃないか?」蘭のタトゥーの女が言った。
「今までこれでゲゲルをやってきたのか。ガドルの兄だろ?お前は。」
「愚弟の話はするな。俺も誇り高き『虫』の一族の一人。やる時はやる。」

「ゲゲルのことなら安心しろ。昨日はリントが思ったより早く動き出したからな、
 少し手間取っただけだ。これからのは心配いらない。」冴えないサラリーマン風の男が言った。
「ならよい。私は暫くここをあける。」 「どこへ行く?」 「…長野だ。」
「長野?一体何のために。」 「ダグバが目覚めた、倒れたところだからな。」

蘭のタトゥーの女はその場から立ち去った。蘭の香りを残して。

「しかし、どうして『花』の一族はこうも上品ぶるかねぇ。ドレスなんか着ちゃってさー。」
「仕方あるまい。『花』の一族、特にバルバとあいつは戦闘能力が高い上に我らの中では
 一番主に近いからな。だれでもああいう風になってしまうだろう。」

「まぁいい、あいつに反抗するのはゴウマくらいの物だしな、われらには関係ない。
 ……じゃ、俺はゲゲルといきますか。」

冴えないサラリーマン風の男は今までのどこか穏やかな表情ではなく、狩りへと向かう『ハンター』のような表情をしていた。
209クウガ新説 胎動-07 強化プログラム:04/10/14 19:26:11 ID:syg0Sz7I
【同日 13:00 Gxユニット・Gトレーラー内】

「何とかなりますか?小沢さん。」氷川は今回の未確認が胞子を使うことを受け、
万が一のことを考え、小沢へと相談に来ていた。本当なら判明した時に相談すればよかったのだが、
昨日訪ねたときには小沢は出かけていたようだったため、今日の午後になった。

「それは大丈夫よ。G3−Xはもちろん、G3マイルドとV1のマスクにはそういう
 場面を想定して特殊技術ですごく小さな粒子も通さないようにできてるの。」
「そうなんですか、何で黙ってたんですか?」 「そう?いわなかたっけ?まぁいいわ。」

小沢は自分のバッグの中を探し始めた。そして小さなチップを三つ取り出した。

「これは……なんですか一体?」 「G3−X用のチップよ。そしてこれがV1でこれがマイルド用。」
小沢はトレーラー内のコンピュータ端末の電源を入れた。
「実は昨日、高村教授のところへ行ってきたの。」 「何のために?」
「最近は色々と複雑になってきたからね、事件も。だから何とかもっと強くできないかしらって思って。
 その事を相談したら、すでに強化チップは開発してたんですって。私が来ることを予想して。」
話しながらも手は端末のキーボードを恐ろしい速さで打ち続けて、マスク内側の頭部にチップを取りつけた。
「終わったわ。これでG3-Xの消費エネルギーとパワー出力のバランスが向上されたわ。」

次にV1とG3マイルドのプログラムを書き換え、チップを取り付けた。瞬く間に作業は終わった。

「さすがですね、小沢さん。」 「まぁ、私が唯一尊敬するあの高村教授が作ったし、これくらいはね。」
「でもなぜ昨日の内にやらなかったんですか?」 ふと疑問になったので聞いてみた。
「私だって昨日やりたかったわよ。でも高村教授と別れてから美杉教授に会ってね。」
「美杉さんですか。でも何の関係が?」
「成り行きでお酒飲むことになってね。美杉教授、酒癖すごく悪いのよ。もう、飲み過ぎたわ。
 おかげですっかり二日酔いで頭痛いわ。」頭を押えながら言う。
210クウガ新説 胎動-08 残酷な手法:04/10/14 19:27:46 ID:syg0Sz7I
【同日 16:40 都内某所】
白昼堂々と未確認による事件が起こった。今度は都内にあるライブハウスが
ターゲットに選ばれた。今日はここで今若者から注目を受けている5組のインディーズバンドが
共同で15:20から21:00までのライブを開いていた。会場は満員だった。

「また同じ手口。48号の犯行に間違いないですね。」現場を見た北條が言う。
「そのようですね。っと君。被害者の数はどのくらい?」氷川が所轄の警官に聞く。
「えーっとライブハウス自体は300名収容ですが、今回何人かはライブハウスの
 外に出てさらに犯行を行ったようです。最終的には400名ほどになるものと
 思われます。被害者の全員が死亡しています。」手帳を見ながら所轄の警官は氷川へと返す。

「400名……これはまた大規模にやってくれましたね。」北條が言った。
「北條さんもう少し調べてみますか?」 「そうしましょう。こうしててもしょうがありません。」

ピリリリリリリ。氷川の携帯に電話が着信する。一条からだ。

『氷川さん、一条です。港区台場に新48号が現れました。すでに五代が戦ってます。
 私もG3マイルドで向かいます。二人も急いでください。』
「わかりました。ではすぐ行きます。」

「どうしました?」と北條。「港区に48号です。五代さんが戦って、一条さんも向かっています。」
「そうですか…では急がなければ。後のことは頼みましたよ。」

二人は走ってパトカーへと戻った。乗ってすぐに尾室から「トレーラーで向かってるから現場に」
と無線が入る。そしてパトカーは港区へと走っていった。
211クウガ新説 胎動-09 港区にて:04/10/14 19:31:05 ID:syg0Sz7I
【同日 17:00 港区台場】
今度は比較的いつでも人がいる確率が高い観光スポットに未確認は現れた。
しかし、偶然通りかかった五代の手によって胞子が撒かれたところで
犯行を何とか防いだ。二人はそのまま戦っていた。

分身体八体と本体の計九体と戦っていた。クウガは落ちていた棒切れをロッドへと変えて、
青色のクウガで戦った。水流のような流れる動きで翻弄し、未確認を倒していた。

本体のみとなり、本体は装飾品をはずし槍へと変え、しなやかな筋肉、軽い身のこなしで
青のクウガ同様に流れるような素早い動きで戦っていた。どちらも甲乙つけ難い戦いぶりだった。

両者ある程度距離をとり、しばし沈黙が続いていた。一定の構えのまま両者とも探り合っていた。
その沈黙を切り裂いたのは一発の銃声だった。G3マイルドが現場へと到着し、クウガへと加勢した。
クウガは今だとばかりに高く跳び、全体重をかけて未確認の体を突いた。

倒したかと思われた時、未確認に浮かび上がったクウガの紋章が消えた。インパクトの瞬間に
体を強靭な筋肉を持つ剛力体へと変身を遂げた。もっていた槍もクウガの剣よりも一回り大きい剣になった。
クウガもBTCSへと戻り、アクセラーを抜いた。クウガも紫へと変わり、剣を構える。
同時に剛力体の分身体が四体現れ、三体はG3マイルドへと襲い掛かった。もう一体は本体と一緒にクウガへと迫って行った。

G3マイルドは寸前で攻撃をかわしながらゼロ距離でGM−01を発射して未確認を倒す。

一条がクウガの加勢へと向かい、走り出す。それを待ってましたといわんばかりに再び分身体を作り出す。
分身体の攻撃が当たるかと思われた瞬間、無数の弾丸が分身体と本体へと当たる。 G3−XとV1が到着した。
無数の弾丸に注意を取られた瞬間、クウガの剣が未確認の右腕を貫く。

紋章が浮かび上がった。しかし、未確認はかき消してしまった。そして「分が悪いな…」とつぶやき、
体中から胞子を噴出させて、辺りの視界をゼロにした。視界が良好になった時には、すでに姿はなかった。
212名無しより愛をこめて:04/10/14 19:33:13 ID:syg0Sz7I
【同日 17:20 都内某所】
未確認生命体は右腕を押えながら、潜伏先である雑居ビルへと入っていった。

「逃げてきたのか?ならば死、あるのみだぞ。」軍服の男が言い放ち、怪人へと変身する。
「逃げたわけじゃない。まぁ、見てな。俺の力はリントを同士討ちさせる事だけではないんだよ。
 もうすぐ、クウガ等は愕然とするさ。俺の胞子の力を見てな。」右腕を押えながら言う。
「そうか、ならいい。敵に背中を見せないのは我々の掟だからな。」軍服の男は変身をといた。

【同日同刻 港区台場】
四人は暫く現場周辺を捜索し、逃走した未確認を探していた。しかし発見できず、捜索を断念せざるを得なかった。
Gxユニットの三人は現場付近で待機していたトレーラーでそれぞれの強化スーツを脱いだ。

三人が現場へ戻ると、すでに何人かの捜査員が実況検分を行っていた。
「逃げられましたね、一条さん。」五代は一条へと言った。
「あぁ。しかしいずれ、見つかるだろう。」
「じゃあ一条さん。俺は店に帰ります。何かあったらすぐ連絡ください。」
五代はヘルメットを被り、BTCSのエンジンを吹かし、立ち去ろうとしていた。

まさにその時だった。 突然、捜査員から現場の様子を聞かれていた一人が鼻、耳、指先、口内、脚など
全身から血が噴き出てきた。立つ力も無くなって来た様で、力なく倒れこむ。目もうつろになってきた。
「刑事さん助けてくれよ。助けてくれよぉ……けいじ…さ……」力無くうなだれる。事情を聞いていた警官が
駆け寄るが、もう息は無く、徐々に体温が低下し警察官の手の中で冷たくなっていく………

それをきっかけに、目撃者の約四十人の血が一斉に噴き出しはじめ、次々と倒れていく。必死に警察官が
人々に話しかけ、何とか助けようと四苦八苦するが、原因もわからぬ今、どうする事もできなかった。
現場は何十人ものおびただしい程の血で真っ赤に染まっていた。


原因不明の出血、徐々に迫る死の恐怖。恐怖の時間は違うが、五代は旧42号の事件をまた思い出し、
『怒り』『悔しさ』『憎しみ』の心がこみ上げてきて、五代の心に不穏な影を落としていった。
213クウガ新説 胎動-11 現代対古代:04/10/14 19:34:33 ID:syg0Sz7I
【同日 17:00 関東医大病院】
一条は今回のライブハウスと港区での事件の被害者の解剖を椿へと頼み、解剖結果を待っていた。
五代とはあの場で別れたが、不安になっていた。あの時、五代は未確認に対する感情から
自然と拳を握っていた。表情もどこかいつもとは違う様子だった。


解剖室から椿がマスクとキャップをはずしながら出てくる。手には解剖結果を記した資料をもっていた。

「どうだった、椿?」一条は椿にたずねる。
「どうもこうも無い。まず最初のライブハウスでの事件は直接的な死因は刺しあった時と
 傷からの出血から来るショック死。刺された傷自体はそんなに深くない。これを見てみろ。」
椿は数枚の資料を取り出した。
「それはな、昨日こっちに搬送された死体の付着していた胞子と血液を榎田に調べてもらったんだ。その結果だ。
 血液中にはその胞子が含まれていた。昨日も言った通り、一種の神経毒が含まれている。
 今必死に科警研でその毒に対するワクチンを作っているそうだが、現代には無い、古代の環境で
 繁殖し易いらしくてな、対抗策は今のところ……無い。」

「では、下手に攻撃を加えると胞子が飛び散って危険だな。」
「それは大丈夫だ。次のページを見てみろ。」 一条は次のページに書かれている内容を黙読した。
「600度以上の熱で死滅するらしい。しかし、人間が600度の熱に触れたら生きて入られないだろう。
 『弱点はあるが、そこを突けない』。それが今最大の悩みの種だそうだ。でも、倒す時に
 お前の武器の火力を挙げれば胞子は消える。五代にも言っとけ。」

「そうだ椿、五代のアマダムは大丈夫なのか?」 「どうしたんだ?一体」
「最近のあいつ、旧42号の時の様にどこか雰囲気がおかしい。そこが心配でな。」
「一週間前にきた時には異常は無かったが?大丈夫だろう。お前が付いてるからな。」
「……椿。俺は本部に戻る。また後でな。」 「あぁ、五代に付いていてやれよ。なるべくな。」

一条と椿は互いにサムズアップをして別れ、それぞれの仕事へと戻っていった。
214クウガ新説 胎動-12 不思議な空気:04/10/14 19:35:55 ID:syg0Sz7I
【2006年 2月6日 9:00 長野県・九朗ヶ岳遺跡周辺】
蘭のタトゥーの女はダグバが復活した場所、そしてクウガとダグバが壮絶な戦いを
した九朗ヶ岳遺跡周辺へ付いた。

蘭のタトゥーの女は目を閉じ、九朗ヶ岳の木々や草花と自らの体を同化しはじめた。
ダグバとクウガの血で血を洗う壮絶な戦いを、遺跡周辺に息づいている自然と同調し、
草や木、花から感じ取っていた。そこにはなぜか穏やかな空気が流れていた。


戦いの記憶を感じ取った後、ゆっくりと目を開けた。その途端、さっきの穏やかな空気とは一変して、
殺気と優しさとが混ざり合った妙な空気に包まれていた。

そこへサングラスに黒いコートを纏った男が降りたった。「どうだった。我らが主の様子は。」男へと問う。
「まだ眠ってるよ……静かにな……しかしそれももうすぐ終わる。」
「そうか……ならばなおさらダグバの破片を見つけなければなるまい。」
「そのダグバの様子は感じられたか?」 「いや、感じられない。クウガとの戦いしか感じ取らなかった。」
「じゃあここで戦ったのは間違いなんだな。」 「あぁ。おそらく近くにいるはずだ。」

二人は別々の道へ歩き、『ダグバの破片』なる物を探し始めた。
215クウガ新説作者:04/10/14 19:40:00 ID:syg0Sz7I
どうも作者です。今回はこれまで。続きは月曜日に必ず投稿します。


>>アギト外伝作者さん
お言葉、ありがたく頂戴します。
私もアギト外伝の続きを見たいです。
お互いがんばりましょう。
216名無しより愛をこめて:04/10/14 20:59:12 ID:UqohJA5e
>じゃあここで戦ったのは間違いなんだな。
これは
>じゃあここで戦ったのは間違いないんだな。」 
の間違いかな?
217クウガ新説作者:04/10/14 22:03:07 ID:syg0Sz7I
すいません。その通りです。間違えました。
218アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 00:50:48 ID:MBF6ZYnA
【2007/7/20/15:13 文京区・後楽1丁目付近】


「これだけいれば…撃ち甲斐があるってもんだぜ!!」
「同感!」

 ズガガガガガガガガガガッ!
 ズガガガガガガガガガガッ!
 ダダダダダダダダダダダン!
 ダダダダダダダダダダダン!

 『GXX−05』と『GRX−07』、2つの大型火器を両手に持ち、四方八方に撃ちまくる穐山と宮田。
 東京が誇る某ドーム球場の周辺は、過去に都内の遊園地等数ヶ所で目撃されたミジンコ種怪人『ベ・ミジン・バ』の群れに埋め尽くされていた。
 150体近い『ベ・ミジン・バ』の大群を相手に奮闘する10人の勇者達。
「ハァッ!」
 スライダーモードに変形したマシントルネイダーを操るアギトが、体当たり技『ドラゴン・ブレス』で吹き飛ばし―
「うぉりゃぁ!」
 『タイタンソード』を2刀流で装備したクウガ・タイタンフォームが、次々と斬り捨てる。
「ネット弾発射!」
「GAX−04、シュート!」
 北條の持つ『GGX−02』から放たれる特殊繊維製のネットと、竹内の左腕に装備された『GAX−04』から射出されたアンカーが、十数体を一気に拘束し―
「氷川警部! 一条警部! 今です!!」
「「了解!」」

 ズガガガガガガガガガガッ!
 ズガガガガガガガガガガッ!

 氷川と一条の『GXX−05』が、それらを一気に殲滅する。
219アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 00:52:09 ID:MBF6ZYnA
「ウワォッ!!」
 野獣のような身のこなしで、ギルスが5体を一気に戦闘不能に追い込めば―
「sechs(ゼクス)! sieben(ズィーベン)! acht(アハト)!」 

 ダダダン!

 永瀬は、あのガ●=カタ並の機敏な動きと正確な射撃で、1度に3体を撃ち倒す。
 戦いはクウガ達有利に進み、そして、およそ40分後―
「これで、ラスト!」
 宮田の『GMX−01』が放った弾丸が、最後の1体を撃ち貫き、『ベ・ミジン・バ』の群れは全滅した。
「敵集団の殲滅を確認。これより帰還する」 
 北條の言葉で周囲に安堵感が漂う。今までで最大といっても過言ではない戦いを制したのだから、無理もない。
 だが、戦いはまだ終わってはいなかった。
「パセサザ、ベ・ミジン・バ。ルセゾバグロンバシ(我らは、ベ・ミジン・バ。群れを成す者なり)」
 突然、200体近いベ・ミジン・バの群れが、クウガ達の前方に出現したのだ。まるで瞬間移動でもおこなったかのように…。
「そんなのありかよ!?」
 突然すぎる敵の出現に、思わず突っ込みを入れてしまう宮田。
 勿論、そんな突っ込みに答える事もなく、ミジン達は前進を開始した。
「くそっ!」
 進撃を開始した敵に、穐山は『GXX−05』で攻撃を仕掛けるが―
 
 ズガガガガガッ!………カチッ! カチッ!

 数発、弾が発射された所で、攻撃が止まった。弾切れである。
「弾切れかよ…」
 舌打ちと共に呟く穐山。先程の戦いで、弾丸は殆ど使い果たしていたのだ。
 更にバッテリーの残量も15%を切っており、G5とG3カスタムは文字通り、戦闘不能に陥ろうとしていた。 
「今のままでは、10分動くのがやっとか…」
 マスクの中で、冷や汗を流しながら呟く北條。呟きながらも、現在の状況で最善の策を考える。そして―
「これより、Gトレーラーに帰還。速やかにバッテリーと弾薬の補給を行い、戦列に復帰する!!」
 現状で最善と考えられる指示を下した。
220アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 00:53:14 ID:MBF6ZYnA
 

「一条さん達が戻るまで、俺達だけで頑張りましょう!」
 Gトレーラーへ向かう北條達を背に、アギト達へ声をかけるクウガ。それにしっかりと頷くアギト、ギルス、G3−F。
 4対200、圧倒的戦力差の中、第2ラウンドが開始された。


【同時刻 Gトレーラー内】


 一方、Gトレーラーへと戻った北條達は―
「補給が出来ないって…何故です!?」
 尾室から聞かされた意外な言葉に、驚きを隠せないでいた。
「Gトレーラーのコンピューターに何者かが侵入して、システムの一部を破壊したんだ。そのせいで弾薬・バッテリー保管庫のロックが解除できなくなったんだよ」
 悔しそうに呟く尾室。その背後では、新井が必死の表情でキーボードを操作し、システムの復旧を図っている。
「どの位かかる?」
 尾室ではなく、新井に声をかける北條。新井の返答次第で、これからの行動を考える必要があるからだ。だが―
「正直言って、かなり酷いです。システムの再構築が必要な部分もありますから、どんなに急いでも30分…いえ、20分はかかります」
 新井の返答は最悪といってよい物だった。北條は舌打ちをしつつも、今出来る最善の事を実行する覚悟を決めた。
「皆、力を貸せ…保管庫をこじ開けるぞ」
221アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 00:57:26 ID:MBF6ZYnA
【同時刻 都内某所・有名ホテル】


「これで、リントの戦士達の動きは封じました」
 パソコンの画面を見ながら、笑みを浮かべる8人のゴ・ジャーザ・ギ。
 そう、Gトレーラーのコンピューターに侵入し、システムを破壊したのは彼女達だったのだ。
「お見事、上の上ですね」
 満足げな顔でジャーザ達に言葉を書けるオーディン。そして誰に言うでもなく彼は呟く。
「『ベ』の者達ではクウガ達に太刀打ちできない。だが、それは単体での話。圧倒的多数と戦えば、如何にクウガ達でも疲弊し、いつかは倒れる…さあ、貴方の言う『援護』とやらの正体、見極めさせてもらいますよ」
 その呟きは、今はこの場にいないあの青年に向けて発せられた物のように感じられた。
222アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 00:59:31 ID:MBF6ZYnA
【同時刻 文京区・後楽1丁目付近】


「はぁっ!」
 バーニングフォームに変身したアギトが、その燃える拳を振るう度に、1体、また1体と吹き飛ぶベ・ミジン・バ。
「ウワォッ!!」
 エクシートギルスの背中から放たれる触手『ギルススティンガー』が、7〜8体を一気に刺し貫く。
「喰らえ!」

 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

 G3−Fの専用装備の1つである重機関銃『GHMX−11』。
 それから大音響と共に放たれる大口径の弾丸が、周囲に群がる十数体を一気に蜂の巣にする。
「うぉりゃぁ!」
 『タイタンソード』を2刀流で装備したクウガ・タイタンフォームが、一気に6体を斬り捨てる。
 200体近くいたベ・ミジン・バの群れも、4人の奮戦によりあと僅かになっていた。だが―
「パセサザ、ベ・ミジン・バ。ルセゾバグロンバシ(我らは、ベ・ミジン・バ。群れを成す者なり)」
 その声と共に、再び200体近いベ・ミジン・バの群れが、クウガ達の前方に出現したのだ。
「これではきりが無い…」
 『GHMX−11』を撃ちながら、呟く氷川。
 敵集団、個々の能力は大した事はないが、倒しても倒しても現れるこの数が問題だった。
「このままでは、こちらの体力が限界に達した時に押し切られる…」
 そんな思いが、氷川の脳裏を過ぎったその時、奇跡は起きた。

 ダダダン!

 突如、別方向より放たれた弾丸が、ミジン3体を撃ち倒す。
「α小隊が戻ってきた?」
 銃撃の方向に視線を送る4人。次の瞬間、アギト、ギルス、G3−Fは驚愕の声をあげる事となる。
223アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 01:02:46 ID:MBF6ZYnA
「「「あれは…まさか!?」」」
 そこには2人の戦士がいた。
 1人は鋼の戦士。黒と銀のボディに青い目。G3−Xをも凌ぐ力を持つその名はG4!
 そして、もう1人。異形の姿に限りなき力を秘めた戦士、その名はアナザーアギト!
 2人の戦士は、周囲のミジン達を蹴散らし、クウガ達へ合流した。
「き、木野さん…ど、どうし―
「話は後だ。まずはこいつらを片付けるぞ」
 アギトの言葉を遮り、構えるアナザーアギト。そのまま戦闘が再開された。


 戦闘は文字通り一方的だった。
 アナザーアギトとG4を加えたクウガ達は勢いを増し、次々とミジン達を撃破していく。
 そして、何とか補給を完了したα小隊とG3カスタムが現場に戻ってきた時、ミジンの大群は全滅していた。
224アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 01:11:14 ID:MBF6ZYnA
【2007/7/20/17:00 都内某所・有名ホテル】

「なるほど、あの2人が貴方の言う『援護』ですか…バルバ、『ゴ』の者達に数日中に『儀式』を行う…そう伝えなさい」
 満面の笑みを浮かべ、バルバに指示を送るオーディン。
 果たして『儀式』とはなんなのか。今、物語は終焉に向けて加速しようとしていた。



 第6話完   次回『限りない進化の力』近日公開
225アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/17 01:13:19 ID:MBF6ZYnA
何とか、第6話が完成しました…。
今回は煮詰まり方が半端ではなく、何とか形になったこれも、お世辞にも良い出来とは言えません

何とか、次回は名誉挽回の為にも頑張りたいので、よろしくお願いします
226名無しより愛をこめて:04/10/17 11:01:55 ID:P6YXfbyy
>>アギト外伝作者
いやいや。いつも面白いですよ!
G4とアナザーアギトが出てきたのはビックリですが、たしか謎の青年が話しかけたのがこの二人ってことですね。
これからも楽しみにしてます!
227クウガ新説 胎動-13 ポレポレにて:04/10/18 21:34:32 ID:p4vH+cgJ
【2006年 2月7日 10:30 文京区内ポレポレ】
今日も五代は一人で店番だった。昨日からマスターは奈々の舞台を見るために
大阪へ行っていて、今日の夜に帰ってくる予定だった。
桜子はもうすぐ来るらしいが、今日は長居できないそうだ。

ドアが開く音がする。そこに立っていたのは一条だった。一条はコーヒーを注文する。
「五代。昨日の未確認のことなんだが、残念ながらあの胞子に含まれる毒から
 ワクチンを作るのは難しいらしい。ただその毒は600度以上の熱で死滅するらしい。」
「そうですか…一条さん。じゃあ俺が金の力を限界まで高めて奴を倒します。」
「我々のほうでもGX−05のランチャーの火力を高めている。」

一条の話を聞きながら食器を洗っていた五代は、洗い終わったコーヒーカップを
拭こうとした時、また眩暈がしてコーヒーカップを割ってしまった。


「大丈夫か五代?珍しいなお前がコーヒーカップを落とすなんて。」
「大丈夫です。ただ最近よく眩暈がして……」 「眩暈?」 「疲れてるんですかね〜。」
「余り無理はするなよ。戦いに協力してくれるのはうれしいが、無理されて
 お前の生活に支障をきたす様な事は余りしたくない。」 「ホントに大丈夫ですから。」

五代と一条の会話を一条の電話の着信音が遮った。
「はい一条です。………わかりました。すぐに現場に向かいます。」一条は電話を切る。
「どうかしたんですか?」 「未確認生命体が千代田区に現れた。五代行くぞ。」
二人は出口へと向かった。ちょうど桜子がポレポレへと到着したところだった。
「あ、桜子さん。後よろしく頼む。」五代は桜子にエプロンを渡し、BTCSへと乗り込む。

午前中の文京区を一条のパトカーのサイレンが切り裂いた。
228クウガ新説 胎動-14クウガの異変:04/10/18 21:35:18 ID:p4vH+cgJ
【同日 11:00 千代田区内某所某ビル】
千代田区のとある五階建てのビルの屋上。現場ではまた惨劇が繰り返されていた。飛び散る鮮血。
繰り広げられる惨劇の前に恐怖し、悲鳴をあげる人々。…それを見ても顔色一つ変えない未確認。
被害者は25人前後であったが犯行自体は前と変わらず残忍なものだった。

そこへGxユニットとクウガが到着した。未確認はそれを見るなり変身して分身体を作り出した。
その数は40体以上。その40体以上が一斉に四人へと襲い掛かる。
『ここは我々に任せて、五代さんは48号本体と戦ってください。』
氷川と北條が声を揃えてクウガへと叫ぶ。クウガは頷き、本体へと向かって行った。

Gxユニットは40体以上という今までにないくらいの大人数を相手にしていた。
前から後ろから止むことのない攻撃。3人は苦戦を強いられていた。

クウガは新48号本体と戦っていた。両者とも剣を持ち、重心を低く保ち、攻撃的な構えをしていた。
戦いは剣を使った接近戦、しかも互角という構図になっていた。

ふと、無数の小石が飛んできた。見たところ、小学1年生ぐらいだろうか?子供が未確認に対して
小石を投げるという攻撃をしてきた。子供のそばには血まみれで倒れている男女が。
どうやら両親を目の前で殺された事に対する怒りから、未確認へと攻撃を仕掛けたらしい。

未確認は鬱陶しそうに、もっていた剣をその子供めがけ投げつけた。剣は無情にも子供の体を貫き、
そのまま力なく倒れこんだ。「パ……パ………マ……マ………」子供は声にならない声で呟き、
二度と動くことはなかった。


―その瞬間、クウガの、いや五代雄介の中で何かが切れた。
人とは思えないような大声で叫び、未確認を殴りつけた。未確認はバランスを崩し、倒れそうになるが
クウガは倒れることを許さず、未確認の首を掴み、屋上から飛び降りた。未確認を地面へと
叩きつけると、そのまま馬乗りの体勢になる。打ち下ろしのパンチで容赦なく攻める。
クウガの顔や体は未確認生命体の返り血でだんだん真っ赤に染まっていった。
229クウガ新説 胎動-15五代、倒れる:04/10/18 21:36:15 ID:p4vH+cgJ

クウガは未だ攻撃をやめない。未確認の血で真っ赤に染まったクウガの体に異変が起きた。

体の色が黒へ変色し始めた。それもかつてダグバと戦った時の清々しい黒ではなく、
憎しみは怒りなどの負の感情に染まった禍々しい黒だった。

未確認もクウガが打つパンチにあわせクウガを殴り、反撃してきた。やがてクウガは大きくバランスを崩し、後退した。

未確認もさすがに恐怖したか、クウガに背を向け、逃げ出そうとした。クウガは落ちていた警官の拳銃を握り、
ボウガンに変化させて未確認に向けて撃ち込んだ。致命傷には至らず、地面にうつ伏せに倒れる未確認。
何とか身を起こそうとするが、クウガは未確認の腹部を容赦なく蹴る。
そのまま数メートル転がり、一本の木にぶつかり仰向けの状態で止まる。

余りのダメージに未確認は立てずにいた。クウガは棒切れを拾い、剣として鎧を纏う。
その鎧もやはり紫ではなく漆黒の鎧だった。そのまま剣を構え、未確認の首めがけて突き刺す。

未確認の首元からはおびただしい量の血が噴き出し、返り血が黒の鎧を赤へと変色させた。
未確認は断末魔の叫び声を上げ、そのまま爆発した。


未確認の分身体を全て倒したのを確認してからGxユニットはクウガの元へと駆けつけた。
三人が着いたときにはクウガから五代の姿へと戻っていた。

今日も未確認を倒した事で三人に衝撃が走った。五代はゆっくりと後ろへ倒れこみ、ピクリとも動かなかった。
三人はすぐさまマスクを外し、五代の元へと近づく。

「五代、しっかりしろ五代。」一条が五代を抱きかかえながら必死に声を掛ける。しかし
反応はない。眠っているかのような穏やかな顔をしていた。
一条が五代の胸に耳を当てる。 「―――呼吸をしてない!?」 「一条さん今はとにかく病院へ。」
氷川は急いで救急車を呼んだ。数分後、救急車が到着する。三人は救急車に五代を乗せ、
一条はそのまま五代へと付き添った。
230クウガ新説 胎動-16 邪悪な者の胎動:04/10/18 21:39:08 ID:p4vH+cgJ
【同日 数時間後 長野県・九朗ヶ岳遺跡周辺】
『ダグバの破片』を探していた蘭のタトゥーの女ともう一人の未確認の元へ
一匹のカブトムシが。タトゥーの女はカブトムシを両手でやさしく包み込むと、
この前と同じ要領で今度はカブトムシと同調し、何かを感じ取っていた。

「――とうとう主が目覚める。あと一週間もあれば我らの元へ現れるだろう。」
「本当か?ならば早くダグバの破片を探さなければ……」
「大体の場所の見当は付いてる。行くぞ。」 二人は森の奥深くへと入っていった。



ちょうどそのころ、半年前にグロンギが目覚めた場所でも異変が起こっていた。
目覚めた遺跡からさらに奥地。現地民も知らないようなまだ発見されていない場所。
そこでクウガ、いや五代の怒りに呼応するように、何かが胎動し始めた。

そしてついに、遺跡の地中から何かが現れた。その姿はクウガと瓜二つだった。
唯一異なっていたのは、瞳までが漆黒に染まっていたことだった。
ゆっくりと歩み始め、遺跡の外へと向かっていく………………。



ついに大きく動き始めたグロンギ一族。果たして『クウガ』の姿を持つものの正体は何なのか。
『ダグバの破片』とは何なのか、一体何をしようとしているのか。

そして……五代はなぜ倒れたのか。 これを機に、物語は大きく動き出す。

    第六話 胎動 完
次回 第七話 太古 公開
231クウガ新説作者:04/10/18 21:45:30 ID:p4vH+cgJ
これで6話は終わりです。最近ネタギレ気味です。今回も何とか書き上げれました。
7話では超古代の話を少し書きます。皆さん、長い目で見てください。

またパソコンの調子が悪くなってきました……
232名無しより愛をこめて:04/10/20 20:17:54 ID:3/60KKKu
>>クウガ新説作者さん
おお、なんか話が大きく進みましたね!
ネタギレはしょうがないことです。もちろん長い目でみますとも!
233アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/10/20 22:04:54 ID:Q6eW08g/
>>クウガ新設作者殿
執筆お疲れ様です。
続きを楽しみにしていますが、決して御無理はなさらないで下さいね。

アギト外伝も、次の回で一気に話を動かす予定です。
時間がかかるかもしれませんが、御容赦ください
234M/R -THE zero-:04/10/20 22:58:01 ID:7ZBZihnb
−世田谷区、アパート・PM8:00−

「まったく・・・何て有様だよ。」

アパートの一室、初老の刑事、深見の目に映る凄惨な光景。
遺体の頭は切り取られ、切り口の首からはおびただしい出血。周りは黒い血の海に染まっている。

「で・・・山田、被害者に関して何か分かった事はあるか?」

深見に即されて入ってきた新米の刑事、山田宗治は首を横に振り自信なさそうに微笑む。

「なぁ〜に笑ってやがんだ!!突っ立てる暇があるならもっと聞き込みして来い!」

「こりゃ、完全に愉快犯の犯行だな。」





235M/R-THEzero-:04/10/20 22:59:14 ID:7ZBZihnb
深見の振り向いた先には、鑑識課の須藤の姿。年は深見と同じ程か。
血で壁に書かれた英語を指差すと、ポケットからウイスキーの瓶を取り出し1口飲む。

「ありゃ・・・なんて読むんだ?チクショ・・・英語は嫌いなんだよ。」

舌打ちをする深見を横目に、山田が文字を指差し笑う。

「簡単ですよ、ウェルカム・ヘブン・・・天国へようこそ。」

「このヤロウ・・・馬鹿にしやがって。」

苦笑いを浮かべる深見。しかし、すぐに厳しい表情に戻る。

「天国へようこそ・・・だと?この世界のどこが天国なんだ。地獄じゃねぇか。」

第0話「発端」 完

次回 「都市伝説」に続く
236名無しより愛をこめて:04/10/23 12:23:09 ID:vBIZ03j7
うーむ
237名無しさん@ゴーゴーゴー:04/10/23 13:19:22 ID:Yy/AN3/Z
つまみだせ
238名無しより愛をこめて:04/10/23 13:37:25 ID:AhWlrs9p
age
239名無しより愛をこめて:04/10/24 14:24:23 ID:tzXzhPZl
まとめサイト見れねえよヽ(`Д´)ノウワァァン
240名無しより愛をこめて:04/10/24 19:28:05 ID:I87wi8t5
いったいどうしたんだろう?
241名無しより愛をこめて:04/10/24 20:17:06 ID:HunzSom7
242名無しより愛をこめて:04/10/25 01:06:06 ID:3/jN+wNT
>241
d。そっか、新しい地押しティーズに移行したんだね。
243クウガ新説作者:04/10/25 19:05:58 ID:sBvSySfr
避難所にグロンギの設定を追加しました。
244名無しより愛をこめて:04/10/27 09:40:57 ID:QB0mjBGz
Kフォームと映画の3人組ライダーはもう解禁でよろしいですか?
245名無しより愛をこめて:04/10/28 20:50:40 ID:bdlNxhoQ
いいんじゃないですかね?
246名無しより愛をこめて:04/10/31 00:07:13 ID:rM3FvkTz
新作待ちage
247名無しより愛をこめて:04/10/31 14:59:50 ID:uzOcVDoe
職人達はどうしたんだ?
248名無しより愛をこめて:04/10/31 15:23:58 ID:5QI5q8wd
>>247
新潟の大地震で事故ってたりしてるかも知れないな…
249名無しより愛をこめて:04/10/31 20:57:08 ID:Dbox7OFZ
沈没さん期待上げ
2501:04/11/01 00:34:34 ID:PLglWCJE
少なくとも俺は無事です(他の方達も無事であって欲しい)
周期的に来る超多忙期に突入してしまった、スマヌ
スレを見に来てはいるので保守、時間の合間見て投稿もするので、
生暖かい目で見てやってください
251アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/11/01 00:57:31 ID:ndEFxFoO
私も、現在仕事に追われ、執筆がロクに出来ない状態です。
あと1週間前後はこの状況が続くと思われます。

読者の皆様には申し訳ありませんが、暫くの間御辛抱ください
252仮面ライダーZO 外伝:04/11/01 03:19:51 ID:YxGHCuDv
2204年 ヨコハマ

旧世界と呼ばれた時代から新世界に変わって、200年が経った。
世界は1度完全に崩壊し、残ったのはこの「ヨコハマ」だけ。
かつての過ちを繰り返さない為に新世界の「支配者」達は人類の交配を抑制、「感情」を消し去り
「生きる」為だけの存在へと退化させていった。
多くの人間がこれに従ったが、僅かな者達はこれに反抗。対抗組織を結成し立ち向かった。

やがて、対抗組織は「支配者」達が隠すある「施設」の存在を知る。
そこには旧世界が崩壊した「理由」が隠されていた。
世界が崩壊した理由、それは人間が作り出したある「生命体」であった。

その生命体の名は「ドラス」。あらゆる生物の能力を凌駕する究極生命体である。
旧世界を復元する為には、ドラスが誕生した年「2004」へ向かわなければいけない。
だが、「支配者」の物質転送装置を使い自分達が2004年に向かっても究極生命体である「ドラス」を倒せるはずはない。
253仮面ライダーZO 外伝:04/11/01 03:27:04 ID:YxGHCuDv
やがて、「支配者」達の保護によって「ドラス」が未だに生命維持装置の中で生きている事を知る対抗組織。

そんな中、組織の1人の男が言った。
「我々がドラスを持ち出し、自分達の思うがままに制御し改造した物を2004年に送り出せば・・・」
まさに、毒には毒を。彼らは計画を実行に移した。

厳重な警備を振り切り、多くの犠牲者を出しながらもドラスを持ち出す組織。
地下研究所でドラスは新たなる命と使命を与えられて蘇った。
その使命とは、過去に現れた「自分自身」を殺す事。
人間としての仮の姿と名前「ショウ」を貰い、彼は物質転送装置の闇の中、2004年へ向かった。

次回「新宿」
254仮面ライダーZO 外伝:04/11/01 03:30:42 ID:YxGHCuDv
とまぁ、何となく書いてみました。
時間稼ぎとスレの保守にでもなればと思いまして、感想でもあればよろしくお願いします。
255名無しより愛をこめて:04/11/01 15:06:47 ID:HqlMSnrm
ターミネーター+ハカイダー?
時間を越えた自分殺しは原作BLACKを思い出すね。
256クウガ新説作者:04/11/02 18:28:27 ID:f/9NBX/y
私も無事ですが、風邪やパソコンの不調が重なり、ここ5日程執筆できていません。
調子がよくなり次第急ピッチで執筆します。もう少し時間ください。
257名無しより愛をこめて:04/11/02 22:47:23 ID:qXdddisl
自分はいくらでも待ちますよ!
楽しみにしてます!
258アヒャ:04/11/03 10:37:40 ID:vUpG0x0G
お願いがあります。
避難所の方のURLを貼ってもらえないでしょうか?
2591:04/11/04 02:17:22 ID:YaW0pRKf
いつの間にか避難所のURLが微妙に変わってましたスマソ

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/movie/3028/
260アヒャ:04/11/04 18:23:16 ID:eL3dH702
ありがとうございます
261名無しより愛をこめて:04/11/06 23:43:59 ID:/CyjDQmS
そろそろageさせてもらいますね
262アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/11/08 22:24:21 ID:rS3VRaD4
現在、執筆に入っています。
今週中の掲載を目処に頑張りますので、暫くお待ちください
263名無しより愛をこめて:04/11/11 10:11:52 ID:TFPyDV+N
保守
264アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/11/11 19:27:33 ID:jg+CxmVm
【2007/7/20/20:00 警視庁・G5ユニット詰め所】


「…これが、俺達の復活した大まかな理由だ」
 G4とアナザーアギトの参戦から数時間後、G5ユニットの詰め所へと集結した五代達は、木野、そして水城から話を聞き、情報を収集していた。
「なるほど…大まかな事情は理解できたわ。情報を整理してみましょう」
 一通りの情報を入手した所で、小沢はそれを整理するかのように少しずつ、語り始めた。
「1つ、今回の未確認生命体大量発生は、自然発生的なものではなく、何者かが引き起こした計画的な物である」
「2つ、その首謀者はアンノウンの長…と言って良いわね。氷川君から報告にもあった謎の青年と…同種の存在である」
「3つ、アンノウンの長である存在と、今回の事件の首謀者は対立関係にある」
「4つ、そして…その両者は神に例えられるだけの力を持った存在であり、貴方達2人は、その存在に力によって復活した…この位かしらね」
「相手が神だろうと何だろうと、俺は俺の居場所を護る為に戦う…それだけだ」
「俺も葦原さんと同じ意見です。誰も、人の未来を奪う権利なんかないんですから」
 翔一と葦原の言葉に全員が頷く。そこへ―
「神との戦い。まさにそれは、神話の世界への回帰と言えるでしょうね」
 詰め所に2人の男が姿を現した。1人は北條透、そしてもう1人は―
「貴方は!」
「白河参議!」
 そう、その男は昔、北條の進言を採用して、G3ユニットのアンノウン保護組織化を決定した白河尚純だった。
「そんなに怖い顔で睨まないで頂きたい。別にG5ユニットを解散させに来た訳ではありませんからね」
「それでは、何の御用ですか? あいにく、我々は貴方の相手をしている暇はありませんので」
 指すような視線で白河を睨みつつ、口調だけは丁寧に応対する小沢。すると―
「北條君から連絡を受けた時は、信じられませんでしたが、修復されたG4。そして死んだ筈の水城三…いえ、特進して一等陸尉もいるとなっては全ては事実のようですね」
 そんな事を言いながら、近くに待機させていた部下に、2つの大きなトランクを運ばせる白河。
「それは、もしや…」
 トランクに見覚えがあるかのような声を上げる水城。と、同時にトランクが開けられた。
265アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/11/11 19:29:09 ID:jg+CxmVm
「間違いない。『オルトロス』と『プロメテウス』…廃棄されずに残っていたのか」
 トランクの中身、それは2種類の銃火器だった。水城の言葉が正しければ、『オルトロス』と『プロメテウス』という名前らしい。
「G4用に開発されていた専用火器。調整の遅れから実戦投入が遅れている内に、事件のゴタゴタに巻き込まれ、倉庫の隅で埃を被っていたものです。これを、私の責任でG5ユニットに譲渡します」
 白河の言葉にざわめく詰め所。
「それと、私はここには一度も足を運んでいない。そう言う事でお願いしますよ」
 そう言い残し、詰め所を後にする白河と北條。
「……なんだったんでしょう」
「さあ、とにかく1つだけ言える事は、戦力アップが出来た…これだけよ」
 そう呟く小沢の口には、僅かに笑みが浮かんでいた。


 仮面ライダーアギト外伝:第7話『限りない進化の力』

266アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/11/11 19:31:59 ID:jg+CxmVm
すいません。今回の投稿はここまでです。
続きは近いうちに…


執筆の時間が…欲しい
267名無しより愛をこめて:04/11/13 19:00:30 ID:vkLIdi9S
>>アギト外伝作者さん

おお、新作ですね!続きも待ってますよ。
ついでにあげときます。
268名無しより愛をこめて:04/11/14 12:28:35 ID:2FBN1teQ
269名無しより愛をこめて:04/11/17 00:49:29 ID:Roc9aqZE
ホス
270名無しより愛をこめて:04/11/17 06:38:49 ID:y0HbTmP4
271名無しより愛をこめて:04/11/17 19:24:50 ID:4oOdHzKv
日本沈没の新作をまた見たい
272名無しより愛をこめて:04/11/18 09:12:34 ID:iJ0iTi9Z
これを本にしてくれ
273アイキャッチ ◆r33gKGW/KA :04/11/18 21:51:54 ID:DjWAwkaI
>272
んな、電車男じゃないんだから。
274名無しより愛をこめて:04/11/19 19:43:22 ID:9S7Vnx7/
自分は気に入った小説は印刷してるよ。
275名無しより愛をこめて:04/11/20 13:02:03 ID:uCepEQP2
まとめサイト見れない
276名無しより愛をこめて:04/11/20 13:08:54 ID:0axXjlZB
>>275
まとめサイト、しばらく更新が無かったので自動的にクローズされちゃったのかも
277名無しより愛をこめて:04/11/20 13:10:32 ID:bqLFqUcF
>275,276
241
278名無しより愛をこめて:04/11/22 02:35:17 ID:cvP9s8VP
>271
同意。

あと、昭和ライダーの共闘もみたい
279名無しより愛をこめて:04/11/22 11:07:27 ID:Z2lb+S6I
読み手の需要もあるだろうけど、書き手の意欲ってのもあるからね
280名無しより愛をこめて:04/11/26 01:17:58 ID:HUnKGh27
保守


ダブルライダーさんの続きも読みたいなぁ
281名無しより愛をこめて:04/11/26 23:14:41 ID:5CiJ5bZI
そうだね
自分はダブルライダーさん流の二人の出会いを読みたいな

それから沈没さんの加藤保憲はどうしているんだろ・・・
282Wライダー作者:04/11/29 10:48:43 ID:Dk1Urlfv
SIC匠魂で機械ダー再燃の雰囲気あるので、機械ダー編ぐらいはやり遂げたいかなと。
二人の出会いは考えてなかったよ(汗
剣も佳境だし、来年の新ヒーローの噂もあるし…気長にお願いいたします
283名無しより愛をこめて:04/12/02 19:39:17 ID:FsfkRyoo
来年は、彼面雷駄響鬼らしいね
284名無しより愛をこめて:04/12/06 11:23:28 ID:Q8ml75+c
ホス、ついでに告知
「仮面ライダー 2005新訳ver.」を現在構想中
285仮面ライダー/2005新訳ver.:04/12/06 12:52:59 ID:Q8ml75+c
何百席もある大会議室。そこに座っているのは二人の年配の男達だけであった。
一人は軍属であろう制服を着ている。勲章や階級章などから軍の上層部の人間である事は一目瞭然だ。
もう一人の男はつなぎ姿のラフな格好である。

「まさか君とのような形で再会するとは思ってもみなかったよ」
「おそれ入ります」
「君は非常に優秀な人材であり、人望も厚かった。
退官後はOBとして後続の指導にあたってくれるのだとばかり思っていたのだが。」
「退官後、喫茶店をはじめたと聞いた時は驚いたものだ。」
「それがいつの間にかアンチショッカー同盟に参加していたとは…」
「しかもだ、"Masked Rider"の交渉代理人となっているとは…」

「"Masked Rider"いえ、仮面ライダーは、人間の権力争いに自らの力を利用されている事を畏れているのです。」
「それは国家間の利害関係に関しても同様です。」
「人間同士の争いには、理念や信念がある。それはどちらが正義でどちらが悪というものでもない。
そしてどちらが正しくどちらが間違っているというものでもない。」
「彼らはそんな人間同士の争いに介入する事を望んではおりません。」

「彼らが戦う相手は、闇雲に人間を襲い、人々を恐怖と絶望の淵へと叩き落すショッカーのみです。」
「私はそんな彼らを守ってやりたい」
「いえ、全世界の人間をショッカーの魔の手から守ろうとする彼らを、守るなどと言うのはおこがましいセリフですな」
「私は彼らが少しでもショッカーとの戦いにのみ専念出来るように、彼らをサポートしたいのです」
286仮面ライダー/2005新訳ver.:04/12/06 12:53:42 ID:Q8ml75+c
「君の言う事はよくわかっているつもりだ。」
「君は昔から律儀で、一途で、頑固な所があったからな。」
「ところで我々が先に提示した今回のオフォー、"Masked Rider"は受け入れてくれるのかね?」

「依頼の内容に関しては説明はしてあります。」
「現在は、アンチショッカー同盟が事実関係の裏を取っている段階です。」
「もちろん、あなた方を信じていない訳ではありません。」
「ですが、一国の存亡を左右する事だけに我々も慎重を期さなければなりません。」
「一国を壊滅させて間違えていましたでは、済まない話ですから」

「国家の利害を無視して、活動を行っている君達では、致し方の無い事だな」
「ご理解頂き、恐縮です」

「おそらく、いつものように、オファーを受ける代わりに、
『今回のN国の行為については、事実を全て隠蔽し、一切を不問に付す』という条件が提示されるでしょう」
「N国もまたショッカーに利用されているだけに過ぎません」
「今回の件でU国にN国攻撃の口実を与えるような真似は、我々とて本意ではありません」
「それは仮面ライダーとて同じ気持ちです」

「やれやれ全く厄介だな"Masked Rider"という奴は」
「その代わり、世界の最大の危機を必ず救ってみせるとお約束致しましょう」

つなぎ姿のラフな格好の男はそう言うと会議室を後にしようとした。
軍服の男は、最後にもう一言背声を掛ける。
「そう言えば、もうトレードマークのパイプは止めたのかね?立花藤兵衛君」
287:04/12/06 12:57:48 ID:Q8ml75+c
まぁこんな感じでやろうかと
288名無しより愛をこめて:04/12/10 00:58:33 ID:x2iumITK
新作期待
289名無しより愛をこめて:04/12/11 11:44:35 ID:sL+ZW2Ie
響鬼とか見るとオリジナルライダーとか考えるのがアホらしくなってくるな
もちろん好意的な意味でだが
素人が考えるライダーの斜め上行くライダーが次々と出てくるからな
響鬼をこのスレで歴代ライダーとどう絡ませるか考えるのが楽しみだ
290名無しより愛をこめて:04/12/12 07:59:02 ID:qTBV9XDq
ホス
揚げ
291名無しより愛をこめて:04/12/13 17:23:24 ID:b4FS3do8
>>287
おもしろそうじゃないですか。いいですね〜
292名無しより愛をこめて:04/12/14 21:58:28 ID:GhLGKnhy
保守ついでに、このスレ的には響鬼はいつ解禁?
先代クウガと響鬼の先祖の共闘話とか既にいろいろ構想はあるんだけど
293名無しより愛をこめて:04/12/15 15:53:13 ID:lmVX70f8
ネタならともかく真バレ絡みだと敬遠する人も多いだろうなあ・・・・
>>1の注意事項に準じるなら、放送開始まで待つべきだし

避難所先行公開とかではだめ?
294名無しより愛をこめて:04/12/15 17:35:27 ID:essTsq/Q
自分で書いている>>1に自分で引っ掛かってる俺ダメポ
>>293
放送開始と同時にUPの方向でいきまする
295名無しより愛をこめて:04/12/18 11:45:35 ID:6JnGBSfM
おもしろそうですね〜
期待してます。
296名無しより愛をこめて:04/12/18 14:45:58 ID:H3ws3vHd
2005新訳さん、マダー
297アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/12/19 23:11:47 ID:6KFmUR0i
お久しぶりです
>>264-265の続きが完成したので投稿します。
文に纏める暇がなかったので、似非プロット風ですが…
298アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/12/19 23:13:53 ID:6KFmUR0i
 詰め所での白河とのやり取りから5日後。
 北條達捜査一課の必死の捜査によって、クローン生産施設の所在が遂に判明する。
 『伊集院生化学研究所』、日本有数の企業集団『伊集院コンツェルン』生化学部門の総本山が、生産施設だったのだ。
 直ちに現場へと向かうクウガ達。その中には、小沢の手で生まれ変わった新生G4『G4カスタム』や、アナザーアギトの姿もあった。

 研究所に正面から乗り込んだクウガ達は、迎撃に出てきた未確認生命体を次々と蹴散らし、一直線に生産施設を目指す。
 数十体の未確認が屍と変わった頃、遂に生産施設へとたどり着く。 
 生産施設では、数百体の未確認生命体が覚醒の時を迎えようとしていた。
「撃て! ここに眠っている未確認…一匹たりとも目覚めさせるな!!」
 覚醒を阻止する為、攻撃を指示する北條。
 α小隊、G3−F、G4カスタムの装備する火器が、一斉に火を吹き、生産施設を炎で彩っていく。
 外へと撤収するクウガ達。生産施設の炎は、次第に研究所全体を飲み込んでいく。
 そして、クウガ達が研究所の外へ飛び出した次の瞬間―
 
 閃光、爆音、そして大爆発。
 研究所は完全に倒壊し、瓦礫の山と化した。

 研究所ごと破壊しつくされた生産施設。これで未確認が増殖する事はもうない。
 その事に安堵するクウガ達。だが、次の瞬間―
「せっかく作り上げた物を壊されるのは、困りものですね」
 そんな声と共に、何者かが放った衝撃波に吹き飛ばされる。

 攻撃の主はオーディンだった。
 彼は言う、研究所を潰した褒美に少し遊んでやると…。
299アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/12/19 23:15:30 ID:6KFmUR0i
 クウガ達とオーディンとの戦いが開始される。
 だが、その戦いはあまりに一方的なものだった。
 α小隊は超重力で動きを封じられ、G3−F、G4カスタムも赤子扱い。
 アギト・シャイニングフォーム、エクシードギルス、アナザーアギトも歯が立たず、かろうじてクウガ・アルティメットフォームだけが、オーディンの攻撃を凌ぎ続けていた。
 だが、それにも限界があった。とうとう直撃を喰らい、吹き飛ばされるクウガ。
 
 止めを刺そうと迫るオーディン。ダメージのせいか動けないクウガ。
 それを阻止しようと、満身創痍ながら立ち上がるアギト、ギルス、アナザーアギト。
「アギトの力が無限に進化し続ける力なら…今…皆を守る為の…」
「「「力を!!」」」
 叫ぶ3人。それと同時に光に包まれる。
「まさか、新たな力が目覚めたとでも言うのですか…」 
 その光景に思わず呟くオーディン。そして、次の瞬間3人は新たな姿へと進化していた。

 異空間からその光景を見ていた黒い青年は静かに呟く。
 「無限に進化する力、それは永遠の存在となりえる物」
 アギト・エターナルフォーム!  
 「何事にも挫けぬ強き心、それは何者をも砕く絶対の力」
 アブソリュート・ギルス!
 「自らの心の弱さを知り、それを乗り越えた者に与えられるは真理の力」
 アナザーアギト・トゥルースフォーム!
300アギト外伝作者 ◆aG3gqUWFnw :04/12/19 23:16:27 ID:6KFmUR0i
 新たな力を手にした3人は、オーディンに反撃を開始する。
 驚異的なパワーアップを果たした3人とクウガは、力を合わせる事でオーディンと対等に渡り合う。
 更に『気合』で重力の呪縛を振り切ったα小隊、G3−F、G4カスタムが援護攻撃を仕掛け、とうとう、オーディンを一旦退かせる事に成功する。
 
 オーディンを退けたクウガ達は、最後まで戦い、人々の笑顔と未来を改めて誓うのだった。

 一方、オーディン陣営では―
「戦いに勝ち残った『ゴ』の精鋭達よ。貴方達に究極の力を与えましょう」
 オーディンが、クローン同士殺し合い、最後に残った精鋭達に新たな力を与えていた。



第7話完   次回『決戦前夜』近日公開
301名無しより愛をこめて:04/12/20 00:05:59 ID:6MMXnIkf
age
302名無しより愛をこめて:04/12/26 16:16:53 ID:5DPItTVO
ho
303名無しより愛をこめて:04/12/28 15:51:36 ID:N9ct8qM1
何でこんなに人いないの?
304名無しより愛をこめて:04/12/28 19:07:56 ID:FsbeEVyz
以前のスレが落ちたときもそうだけど、
職人さんのインターバルが重なるとヤバいんだよね…
305名無しより愛をこめて:04/12/28 19:39:27 ID:ASwehMY1
年始休暇で里帰りしてる職人の皆さんもいるだろうから、ネタ出ししながら保守らない?
まだライダー共闘シリーズが有効なら、
是非カニフェノクとモグラ獣人の共闘物がみたいでーっす!
306名無しより愛をこめて:04/12/28 22:01:00 ID:8zCXnDmW
個人的に見てみたいのは
アルティメットクウガ、シャイニングアギト、龍騎サバイブ、ファイズブラスター、キングブレイド
の最強フォーム勢揃いとか。今度ガシャポンフィギュアも出ることだし。
307名無しより愛をこめて:04/12/29 17:21:42 ID:je3vQCyP
ライア、ガイ、王蛇が共闘するってのはどうだろ
あの三人がユナイドベント使って協力して戦ったら面白そうだ
308名無しより愛をこめて:05/01/01 20:03:51 ID:FXoYL+za
ほしゅ
309名無しより愛をこめて:05/01/04 03:18:53 ID:+zi8N87e
保守age
310名無しより愛をこめて:05/01/08 12:44:58 ID:s6pdBsLO
hosyu

311名無しより愛をこめて:05/01/08 14:09:38 ID:Lrw1q7As
作者さんたちのオリジナルライダー同士を戦いあわせるっていう
展開はどう?

 ヒート、アルズ・・・・
312名無しより愛をこめて:05/01/09 15:44:02 ID:3phYc9Fq
オリジナルオンリーはあんまり好みじゃないな。
313名無しより愛をこめて:05/01/10 16:24:35 ID:s+vWTyQ9
オリジナルフォームはどうですかね?レンゲルがライアにコピーベントでギャレンのアブゾーバーコピってもらってJフォームになるとか・・・
314名無しより愛をこめて:05/01/10 17:20:16 ID:os3xanCc
アリだろうけど、誰もが納得出来るレンゲルJフォームを出せるかは難しいかな?
どうせなら龍騎からサバイブ借りてがいいな、俺は。
315名無しより愛をこめて:05/01/10 20:48:44 ID:RdOHHuaW
ここの住人さんにちょっと質問。
歴代ライダー総出演の物語を書いているんだけど、時間の流れとかキャラの関係とかは弄ってもOKなの?

例えば、草加は原作どおり巧を陥れようとするけど、本郷達によってその悪事と本性を暴かれ、孤立化とか…
駄目だったら、突っ込みお願い
316名無しより愛をこめて:05/01/10 21:36:00 ID:nkQtx0/a
>>315
望む所
317名無しより愛をこめて:05/01/10 23:03:41 ID:B2uRbTPW
僕もどんな話でも結構です
318315:05/01/11 00:26:01 ID:uvMszGX5
「くそっ、何者だ…お前達は」
 体中の激痛に耐えながらそう呟く仮面ライダーカイザ=草加雅人。
 人間の中に紛れているオルフェノクを3匹ほど『狩り』、上機嫌でいた所を襲撃された。
 相手は2人、オルフェノクではなく『ベルトの力』で変身した存在だった。
 慢心もあった。だが、それ以上に力の差がありすぎた。気づけば、散々に叩きのめされ、サイドバッシャーも破壊されていた。
「スマートブレインの…手先か」
 自分を嘲るような視線で見つめる2人を睨み返しながら、更に問うカイザ。すると…
「草加雅人、『カイザのベルト』適応者にして、反オルフェノク・アギト主義者」 
 2人の片方、紺色のライダーが喋り始めた。意外と軽い感じのする声だ。
「その過激な思想と言動が仇となり、MRA内部でも孤立、そして2ヶ月前にMRAを出奔。その後は独自に行動し、オルフェノクやアギトを自己の判断で抹殺している。その数は現時点で、オルフェノク23体、アギトが…11体」
「違うな、オルフェノクは27体だ」
「ほう、まあ…穏健派、過激派問わずに狩りまくっているあんたの行動は…正直言ってやり過ぎなんだよ」
「やり過ぎ? フン、心の底から腐っていくような化け物、いくら狩ろうが大した問題じゃ―」
 カイザの言葉は最後まで続かなかった。紺色のライダーが、手にした『フォンブラスター』で攻撃したのだ。
319315:05/01/11 00:26:44 ID:uvMszGX5
「お前さぁ、口の聞き方に気をつけろよ…殺すぞ」
 さっきまでとは違う冷たい口調でそう言いながら、カイザを『フォンブラスター』で更に攻撃する紺色のライダー。
「レオ、こんな奴さっさと殺しちまおうぜ。カイザのベルトさえ回収できれば良いんだろ?」
「Wait until he comes(彼が来るまで待て)」
 紺色のライダーをそう言って制止する白いライダー。
「チッ…わかった、よ!」
 静止された紺色のライダーは、腹立たしげにカイザを蹴り付けた。
「ぐはっ!」
 数m吹き飛ばされるカイザ。そこへ1台の黒塗りのベンツが到着した。
「おや、主賓の到着だ」
 紺色のライダーのそんな声と共に車から降り立つ1人の若者。その顔を見た時、カイザは思わず驚きの声をあげた。
「木場…勇治」


続く
320315:05/01/11 00:29:54 ID:uvMszGX5
とりあえず、今出せる所まで出してみる。
続きも早いうちに出す予定
321名無しより愛をこめて:05/01/11 21:25:24 ID:ub2ARSSU
新作だ!期待age
322名無しより愛をこめて:05/01/12 23:32:52 ID:DMw9gfBe
まとめサイトが繋がりません。
URL変更しましたか?
323名無しより愛をこめて:05/01/13 11:44:10 ID:EP49tnZ1
324名無しより愛をこめて:05/01/13 20:50:08 ID:yQPgySn9
>>315
せっかくの力作に水さして申し訳ないが、スペックや能力差では

アギト>>>>>>>>>>>>>>>>>>ファイズ.カイザでないの?
325名無しより愛をこめて:05/01/13 21:42:31 ID:5HJ8whDX
「強さ比較スレ」か何かで徹底的に討論するならともかく、
そのへんは書き手の趣味次第でいいんじゃないかなあ。
客演キャラがクロスオーバー補正で強くなったり弱くなったり
することは往々にしてあるし。
326名無しより愛をこめて:05/01/13 22:06:05 ID:k1QKBKio
>>324
アギトにもピンからキリまであるという事だろう。
あるいは全部不意打ちとか、だまし討ちで倒したとか…

まあ、草加ですから
327アイキャッチ ◆r33gKGW/KA :05/01/15 14:22:48 ID:FxwTf93U
『ライダー共闘・悪の変奏曲 序章』の作者です。
うちの黄金狼たちはシャア板のほうでも使っているキャラでしたが、そっちの出番終わらせたのでこっちに専念させたい、させたいが……

シャア板の物語はまだまだ続くんで作者が専念できない……!
328名無しより愛をこめて:05/01/15 17:40:19 ID:4twCNdOu
>>327
こちらは頑張って保守します、たまに戻ってきてくださいね。
                                 ROMより
329名無しより愛をこめて:05/01/18 20:56:05 ID:dHOR19QS
保守
330315:05/01/18 23:35:12 ID:eSKqklON
>>318-319
「…スマートブレインに魂を売って、随分と立派になったな」
 ヨロヨロと立ち上がりながらも、近づいてくる木場勇治に嘲りの言葉を発するカイザ。
 その言葉どおり、今の木場は高級ブランドのスーツを見事に着こなし、何処かの御曹司としても十分に通用する姿だった。
 だが、木場はその嘲りに怒りの表情を見せることもなく、むしろ穏やかな表情を浮かべ、カイザへ歩み寄った。
「貴方には恩がある。その恩返しをするのだから、正装が当然でしょう?」 
 そう言いながら…そして―

 バキィ!

 次の瞬間、木場は瞬時にその姿を変え、カイザの顔面にその豪腕を叩き込んでいた。
 反応する事さえ出来ず、派手に吹き飛ばされるカイザ。
「貴方は僕の迷いに答えをくれた。人間を滅ぼすという答えを…だから、御礼をします。死と言う御礼をね」
 静かにそう言いながら、再度カイザに歩み寄る木場。いや、ホースオルフェノク。
 ただ、その姿は多くの者が知る姿とは異なっていた。

 『激情態』、それはオルフェノクの中でも特に優れた者だけが変化できる姿。

 そう、ホースオルフェノクは『激情態』と化し、カイザへと迫っていた。
「オル…フェノク、如きがぁ!」 
 勿論、カイザも黙ってやられている訳ではない。カイザブレイガンを抜き―
『BurstMode』
 濃縮フォトンブラッド弾の連続発射で攻撃する。だが、ホースオルフェノクは大したダメージを負う事もなく、カイザへと歩み寄る。
「ちぃっ!」
『Ready』 
 それを見たカイザは『カイザショット』を構え―
『ExceedCharge』
 必殺の『グランインパクト』を繰り出した。だが、その拳もホースオルフェノクの装備する盾によって、完璧に防がれる。
 次の瞬間、ホースオルフェノクの魔剣がカウンター気味にカイザへ振り下ろされた。火花を散らし、切り裂かれるカイザの装甲。
331315:05/01/18 23:36:37 ID:eSKqklON
 数分後、ボロ雑巾のような姿となり、地面に倒れている草加雅人を、木場は哀れむような目で見ていた。その手にはカイザのベルトが握られている。
「さて、そろそろ止め刺しちまおうか」
 そこへ声をかける紺色のライダー。その手には『フォンブラスター』が握られている。横にいる白いライダーも、同じようにトンファー状の武器を構えている。
 だが、木場の口から出た言葉は意外なものだった。
「いえ、もうその必要はありません。この男は殺す価値もない」
「あらら、見逃すって事かい?」
「Is it consciousness? This man will be a security risk(正気か?この男は危険人物だぞ)」
「責任は僕が取ります」
 有無を言わせない木場の言葉に、渋々了承のサインを見せる2人。
「そう言うことです、さっさと僕達の前から消えてください」
 見下すような視線と共に木場からそう言われた草加は、悔しさに顔を歪ませながらもふらつく足で歩き出した。
 カイザのベルトは奪われた。何よりも圧倒的な力量の差。今は逃げるしかなかった。
「(だが、このままじゃ終わらない。この屈辱何倍にもして返してやる)」
 木場達への憎悪を募らせながら、100mほど進んだ頃、草加の耳にこんな言葉が飛び込んできた。
『BurstMode』
 次の瞬間、草加の体を光弾が撃ち抜いた。ワンテンポ遅れて更に3発の光弾が草加を撃ち抜く。
「…ぐはっ」
 口から大量の血を吐きながら、ゆっくりと崩れ落ちる草加。
「卑怯だとは言わせませんよ。これは貴方が、海道と結花にした事なんですから…」 
 その光景を見ながらそう呟く木場。今の彼は漆黒のライダーへと姿を変えていた。

 これが、正義と悪、光と影が繰り広げる戦いの幕開けとなる事は、まだ一握りの者しか知らなかった。
332315:05/01/18 23:38:26 ID:eSKqklON
一応これがプロローグみたいな感じ。
次からが本編になる予定。

下手だし、不定期連載になると思うけど、どうかよろしく
333名無しより愛をこめて:05/01/19 01:31:15 ID:LgxCXN39
新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!! 乙です!!
334名無しより愛をこめて:05/01/20 22:25:13 ID:kpXxMfsH
新作読んだ。
中の上、続きに期待age
335名無しより愛をこめて:05/01/21 11:55:47 ID:Gj2NrLHD
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/777.html
職人の皆様GJ!
322まで更新しました。
>>315
草加死んだ?オルフェに覚醒しまつか?w

題をどうしようか?
336クウガ新説作者:05/01/21 21:16:22 ID:XhqkYs7x
どうもご無沙汰です。覚えてますか?w

10月下旬にパソコンが逝ってしまい、そのパソコンを処分したので
全然執筆できませんでした。ですが、新しいパソコンもやっと買えたし、時間を見つけて
そろそろ再開しようかなって思ってます。いろいろと忙しいので書くペースが遅いですが、
気長にお待ちください。
337名無しより愛をこめて:05/01/22 08:37:32 ID:myDr4xyg
>>332 >>336
どちらも続きを楽しみにしてますよ〜
338名無しより愛をこめて:05/01/23 00:07:28 ID:qblFbrEN
サイガ;レオとオーガ木場はわかるとして紺色は誰?
パラレル設定の剣崎か禍木かな?
339315:05/01/23 00:46:07 ID:yAk0/GqT
 西暦200X年。今、この世界は―

 世界征服を企む悪の秘密結社ショッカー。
 怪人による理想郷建設を企む暗黒結社ゴルゴム。
 異世界からの侵略者、クライシス帝国。
 人類の進化系『オルフェノク』による世界支配を目論む謎の大企業『スマートブレイン』

 僅か十数年の間に次々と台頭する悪の組織の暗躍により、未曾有の危機に襲われていた。
 だが、人々には希望があった。
 希望の名は『仮面ライダー』。
 ある者は悪の組織の手によって、またある者は自らの意思で、またある者は運命の悪戯によって、人ならざる者へと変わりながらも、己を失わず悪と戦い続ける勇者達の事である。
 長き戦いの中で彼らは出会い、共に戦う事でその力を高めていった。
 また、彼らを援護する為、多くの人々が名乗りを上げた。
 そして、人々の熱き思いは国連をも動かし、直属の防衛組織が誕生した。
 それが『MRA(Masked-Rider-Association=仮面ライダー連合)』である。
340315:05/01/23 00:49:43 ID:yAk0/GqT


 第1話『宿命の対決〜ファイズvsオーガ』 


 MRA本部。
 東京湾の海底深くに建造された秘密基地のメディカルルームに、瀕死の重傷を負った草加雅人は運び込まれていた。
「全身打撲、計9ヶ所の骨折、大量の出血…あと5分、ここへ運び込まれるのが遅れていたら、確実に死んでいたな」 
 草加の治療を終え、手術着を脱いだ木野薫は、草加の治療が終わるのを待っていた乾巧、園田真理、菊池啓太郎の3人にそう伝えた。
「それじゃあ、草加君は…」
「一命は取り留めた。暫くは絶対安静だが」
 木野のその言葉に安堵の表情を見せる真理と啓太郎。巧も顔には出さないものの、何処かホッとしている様子だ。
 その時、サイレンが鳴り響き、全館放送でオペレーターの声が響く。
『都内で、怪人による破壊活動発生! 第一種戦闘体勢発令、繰り返します―』
「巧!」
「たっくん!」
「ああ、行ってくる」
 真理と啓太郎に見送られ、走りだす巧。
 
 数分後、MRA本部を数台のバイクが猛スピードで発進した。 

 街ではローズオルフェノク、ラッキークローバーの4大オルフェノク、あの白と紺、そして漆黒のライダーが猛威を振るっていた。
 そこへ駆けつける1号ライダー、ライダーマン、スカイライダー、スーパー1、クウガ、G3−X、ファイズ、デルタ。
 すぐさま、8対8の大乱戦が始まった。
341315:05/01/23 01:02:23 ID:yAk0/GqT
ごめん、今出来ているのここまで
できるだけ早く、続きを書き込むから

>>335
掲載してくれてありがとう。
タイトルはまだ考えていないけど、コンセプトとしては『ライダー版スパロボ』だから、とりあえず『スーパーライダー大戦(仮)』とでもしておいて

>>338
紺色のライダーはオリジナルライダー
もう1本、プロトタイプ的な帝王のベルトがあったって言う設定で作ってみた
名前はシグマ。
上手く描写できるように頑張るからよろしく

あと、登場するライダーは龍騎系以外全部出ると思ってくれると良いと思う。
色々と原作とは違う展開になっているから、気に食わなかったら御容赦
342名無しより愛をこめて:05/01/23 09:40:05 ID:P8qvZ0IJ
続き期待age
343名無しより愛をこめて:05/01/23 18:17:41 ID:M/bxUWSh
剣TV版ENDからクロスオーバーする共闘もの見たいな。
ミッシングエースのノリで解放されたアンデッドと、それを最封印しながら再びライダーになる3人、
そして剣崎は、「仮面ライダー」と名乗る仲間たちとともに、ついに姿を現す……そんな感じで。
344風が教えている 1/2:05/01/23 23:40:24 ID:kdGPRHnZ
 ――剣崎君がいなくなってから数ヶ月が過ぎた。
 最初の数日のことはほとんど記憶に無い。……ただ、呆然としていた。ようやく何時もの調子が戻ってきたの
は更に1週間程経ってからのことだと思う。

 烏丸所長と橘さんは相川始が使うスピリットのカードと剣崎君がそのまま持っていったスペードスートを除い
た38枚のラウズカードを封印し、チベットへと旅立った。何でもまだボードストーンの解析が終わっていない
らしい。これが終わったらBOARDを再建したい、とも言っていた。きっと橘さんは剣崎君を元に戻す方法を
研究するつもりなのだろう。あの戦いの最中敵対する事も有ったけど、やっぱり橘さんは後輩思いの良い先輩だ
と思う。

 広瀬さんはコンピューター関連の企業に再就職し、一人暮らしを始めた。さすがに嫁入り前の娘が男と二人暮
しはまずい、とのことだ。……でも剣崎君がいた時の方がもっとまずいような気がするんだけどなぁ?あの時は
非常事態だったからいいのかな?閑話休題。何でも最近恋人ができたそうだ。電話をかけたら惚気話を聞かされ
た。羨ましい。

 睦月君はあの時無理をしたせいで傷が悪化してしまった。でも、望美ちゃんのかいがいしい看護のおかげで結
局当初の予定より早く退院できた。もしかして愛の力?退院時にそうからかったら2人とも顔を赤くしてしまっ
た。若いっていいね……本当に。後、最近になって聞いたんだけど、実は睦月君留年しかけたらしい。一時期行
方不明で、帰ってきたと思ったら1ヶ月半で入院だもんねぇ。本当に留年しなくてよかったよ。
345風が教えている 2/2:05/01/23 23:41:06 ID:kdGPRHnZ
 ……相川始は、今もハカランダにいる。最近ちょっと仲が良くなった気がする。「俺は、人間の中で生きて行
きたい。何時かは天音ちゃんや遥香さんとも別れる時が来るが、その時までは俺が2人を守り抜く。」アイツは
そう言った。その時僕は、コイツなら任せられる、と初めて心の底から思ったんだ。……あー、でもコイツから
義叔父さんとか呼ばれたらどうしよう。義兄さんって呼ぶのとどっちがましかな……?

 最後に僕こと白井虎太郎。今僕は、「仮面ライダーという名の仮面」の改訂作業をしている。このまま表に出
さない、って選択肢も有ったんだけど、そうも行かなくなった。いつか原稿を見せた出版社の人から出してくれ
と頼まれたんだ。皆真実を知りたがっている、って。だから僕は、書くことにしたんだ。それが僕の――ルポラ
イターとしての仕事だから。もちろん結末は変えている。『仮面ライダー剣は決断の末ジョーカーを封印し、人
類を救った』、と。これぐらいの嘘はしかたないよね。まさか本当に真実を書くわけにはいかないし。


 後、さ。最近出版社にも復帰したんだけど(「仮面ライダーという名の仮面」のことはまだほとんどの人には
秘密なんだ)、こういう仕事しているとね、やっぱり聞こえてくるんだ。
 「異形の怪物と戦う鎧の戦士」の噂が。
 僕はそれを聞く度思うんだ。
 ――剣崎一真は、友も人類も捨てずに守り抜いた青年は、今も何処かで戦っている、って。
346名無しより愛をこめて:05/01/24 21:04:12 ID:eXPXyXjt
>>344-345
GJ。
やっぱり切ないなぁ・・・・・・・・・
347名無しより愛をこめて:05/01/24 23:07:55 ID:hqii37va
ジョジョの2部4部を思いだした。GJ!
348315:05/01/24 23:46:29 ID:HA3Mwill
>>318-319
>>330-331
>>339-340
「歴戦の勇者、仮面ライダー1号と戦えるとは、光栄の極みですね」
 そう言いながら、1号との間合いを徐々に詰めるローズオルフェノク。
「穏健派のオルフェノクと人類は、少しずつだが良き関係を築きつつある。今からでも遅くはない。対話を選ぶ事は出来ないか?」
「対話? 話し合いでこの対立が治められると御思いなら、それは現実を見ていない証拠ですよ!」
 そう言いながら、手からの破壊弾で1号を攻撃するローズオルフェノク。
「良き関係と貴方は言ったが、それは所詮偽りに過ぎない。ちょっとした火種でその関係は崩壊し、悲劇を生む!」
「火種は消す事も出来る。何故、人間を信じる事が出来ない!」
「人間の心に他者を妬み、憎む気持ちがあるからですよ。そう、この対立は必然なのです!」
「そうやって、どちらかが滅びるまで戦いを続けるつもりか!」 
「戦いを止めたければ、貴方が人間全てに知恵を授けてみなさい!」
 破壊弾を避け続けながら、ローズオルフェノクへの説得を試みる1号。だが―
「どうしました? 今のままでは下の下以下ですよ!」
 その説得を嘲笑うかのように、ローズオルフェノクの攻撃は苛烈さを増していく。
「くっ…仕方がない。少し、痛い目にあってもらう!」
 ここで1号が反撃に出た。破壊弾の途切れる僅かな隙を突いてジャンプ―
「ライダー! スクリュゥゥゥキィィィック!!」
 体をドリルのように高速回転させてキックを叩き込む『ライダースクリューキック』をローズオルフェノクへ放った。
349315:05/01/24 23:47:15 ID:HA3Mwill
「くっ!」
 咄嗟に防御を固めるローズオルフェノク。キックの衝撃で数m後退するが―
「むぅん!」
 両腕に渾身の力を込め、1号を吹き飛ばす。だが―
「かかった!」
 それは1号の仕掛けた罠だった。宙を舞いながらも体勢を整え―
「ライダー!」
 壁の代わりに横転したバスを蹴る事で方向を変更―
「反転! キィィィック!!」
 キックを弾いた事で、がら空きとなったローズオルフェノクのボディに、必殺の『ライダー反転キック』を叩き込んだ!
「ぬぉぉぉっ!」
 直撃を喰らい、吹き飛ぶローズオルフェノク。近くのビルに突っ込み、ようやく止まる。
「やったか…」
 警戒しながら、ローズオルフェノクの元へゆっくりと近づく1号。その時―
「はぁっ!」
 複数の破壊弾が1号ライダーへ飛んできた。咄嗟のジャンプで回避する1号。
「流石は1号ライダー、貴方を上の上の敵として、任命しますよ」
 そこへ姿を見せるローズオルフェノク。かなりのダメージを負っている筈だが、動きにその影響は殆ど感じられない。
「さあ、極上の美酒にも似たこの戦い、ここで終わらせては勿体無い!」 
 再度、1号へ攻撃を開始するローズオルフェノク。
 両者互角のまま、戦いは続いていく。
350315:05/01/24 23:49:15 ID:HA3Mwill
今日の分はここまで、ぶつ切りの投稿で申し訳ない。
この後も1対1のバトルをいくつか続ける予定
351名無しより愛をこめて:05/01/26 00:02:18 ID:R3KgJ3LJ
新作期待age
352名無しより愛をこめて:05/01/27 22:13:48 ID:Tu8SKqqa
>>315
1号と社長の会話がなんだか、アムロとシャアぽくっ感じた
続きに期待age
353名無しより愛をこめて:05/01/30 11:26:26 ID:mo1+ZXC1
干す 乾す 保す
354名無しより愛をこめて:05/01/30 11:36:23 ID:mo1+ZXC1
響きスレ乱立で心配になった

補す ほす ホス
355名無しより愛をこめて:05/01/30 23:34:06 ID:xhkRnMoX
>>352
アムロとシャアというよりは、ムウとクルーゼだろう>>315の会話云々

等といいつつage
356名無しより愛をこめて:05/02/04 11:51:52 ID:yJQxnN0V
ホシュ
357351:05/02/04 23:35:47 ID:rjMdv13K
>>318-319
>>330-331
>>339-340
>>348-349
 1号ライダーとローズオルフェノクが、激戦を繰り広げる一方で、他の戦士達も戦いを始めていた。
「Dance and dance! Dance of death!!(踊れ踊れ! 死のダンスを!!)」
 背中に装備した飛行ユニットの力で空中に舞い上がり、攻撃を仕掛ける白いライダー。無数のビームが雨の様に降り注ぐ。
「奴は俺に任せろ! セイリングジャンプ!!」
 ビームの雨を掻い潜りながら、スカイライダーも宙に舞い、白いライダーへと向かっていく。
 一気に間合いを詰め―
「スカイ! パァァァンチッ!」
 必殺の鉄拳を叩き込もうとするが―
「There is no problem. if not hitting(当たらなければ、どうという事はない)」
 紙一重の所で、その攻撃を回避する白いライダー。
「早い!?」
「It is different. You are only slow(違うな。お前が遅いだけだ)」
 次の瞬間、スカイライダーの背中に数発のビームが直撃した。 
「ぐわぁ!」
 ダメージを受け、落下していくスカイライダー。
「It ends(終わりだ)」
 白いライダーは、更なる一撃を加えようとするが―
「レーダーアイ発射!!」
 地上からスーパー1が放った『レーダーアイ』によって、足止めを喰らってしまう。その隙に体勢を立て直すスカイライダー。
「…It is a lucky fellow(…運の良い奴だ)」
 そう呟き、再度スカイへ攻撃を仕掛ける白いライダー。
358351:05/02/04 23:37:44 ID:rjMdv13K
 一方、スーパー1も―
「俺の事を無視するなんて、ずいぶんと余裕だね!」
 紺色のライダーから、攻撃を受けていた。
「一応名乗っておくよ。俺はシグマ、あっちはサイガ。以後よろしく!」
 そんな事を言いながら、目にも止まらぬ連続蹴りでスーパー1を攻め立てるシグマ。
 だが、スーパー1は『赤心少林拳・梅花の型』を駆使し、その攻撃全てを受け流していく。
「あらっ?」
 攻撃を防がれた事が意外だったのか、シグマは素っ頓狂な声をあげつつ、スーパー1と距離を取り―
「やっぱ、使える物は使わなくちゃ駄目か…ホイールアタッカー、起動!!」
 両脚に装備していたローラーブレード型の走行ユニットを起動。今までとは比べ物にならないスピードで、再度スーパー1に突進し―
「っしゃぁ!」
 回し蹴りを放った。スーパー1も再度受け流そうと構えるが―
「っ!」
 何かに気がつき、咄嗟にスウェーバックで、攻撃をかわした。
「チッ! バレたか」
 舌打ちするシグマ。見ると、両爪先と踵から鋭い刃が飛び出している。走行ユニットに仕込まれていたのだ。
「ま、あんたの実力を過小評価してない証拠だと思ってよ!」
 そう言うと、再度攻撃を仕掛けるシグマ。変幻自在の刃がスーパー1に迫る。
359351:05/02/04 23:39:19 ID:rjMdv13K
「くっ…」
 今までとは違い、受け流さずに回避に徹するスーパー1。
「どうしたのさ? さっきから避けてばっかりじゃん!!」
 そんなシグマの言葉どおり、流石のスーパー1も回避するのがやっとに見えた。だが―
「………」
 回避を続けながら、スーパー1はじっと待っていた。シグマが隙を見せるその時を!
「掌握!」
 次の瞬間、スーパー1は動いた。シグマの蹴りが途切れる僅かな隙を突いて―
「しまっ―」
 シグマの驚く声も無視して、踏み込みと共にがら空きのボディへ掌底を叩き込む。
 強烈な衝撃にシグマの体が僅かに宙に浮き―
「せぇやぁ!」
 更にスーパー1の強烈な蹴りが、シグマを吹き飛ばす。
「チェーンジ! エレキハンド!!」
 スーパー1の攻撃は続く。素早く『エレキハンド』を装備し―
「エレキ光線発射!」
 『エレキ光線』で追い討ちをかけた。3億ボルトの高圧電流が、一直線にシグマを襲う。
 必殺のタイミング。シグマは回避できずに直撃を受ける。誰もがそう思うだろう、だが―
「甘いね、フォトンシールド!!」
 シグマは左腕から光の盾を発生させ、『エレキ光線』を完全に防御した。
「俺の手札は、まだ全部見せてないからねぇ…」
 そう言いながら、スーパー1へ近づくシグマ。第2ラウンドが始まろうとしていた。
360351:05/02/04 23:42:54 ID:rjMdv13K
今回の分はここまで、毎度の事ながらぶつ切り投稿で申し訳ないです
361名無しより愛をこめて:05/02/05 15:44:59 ID:1fNlDJPh
>>360
ほぉやっぱり先輩ライダーは強いですね〜
続き待ってます。
362名無しより愛をこめて:05/02/05 19:37:44 ID:n/MMzBpG
新作期待age
363名無しより愛をこめて:05/02/05 22:30:47 ID:PhTXdbhH
>>351

当たらなければ、どうという事はない
↑シャア&サンダール

早い!?
違うな。お前が遅いだけだ。
↑ガイガー&ジェイダー

と思われるのですが、当たってますか?
ニヤケながら読ませてもらいました。
364名無しより愛をこめて:05/02/06 21:24:16 ID:wJTJlIlz
>>351
楽しく拝見させていただいています
質問ですが、響鬼はでますか?
365名無しより愛をこめて:05/02/08 21:57:17 ID:e+MV6EGz
期待age
366名無しより愛をこめて:05/02/08 22:49:20 ID:6AhxWcGF
アギト外伝の作者さんはいったいどうしたんだ?
367名無しより愛をこめて:05/02/09 07:39:27 ID:GHl9mxr6
>>366
クウガ新説の作者さんもだな。
御2人とも社会人らしいし、仕事が忙しいんだろう。
気長に待とう
368名無しより愛をこめて:05/02/12 02:53:49 ID:TNWYSXdV
ほしゅ
369アギト外伝作者 ◆mNGnc3tROU :05/02/12 23:18:31 ID:HzR417Yf
読者の皆様、お久しぶりです。
作品の連載が途絶えたままで、御迷惑をおかけしております。

現在、仕事の都合で執筆が完全に止まっています。
今年度一杯この状況は続きそうです。
暫く書き込みもできなくなりますが、作品は必ず最後まで書きますので、暫くご辛抱ください
370351:05/02/13 17:03:00 ID:fDmVWoD4
>>318-319
>>330-331
>>339-340
>>348-349
>>357-359

 サイガvsスカイライダー、シグマvsスーパー1が激戦を繰り広げている最中―

「マシンガンアーム!」
「Fire!」
『BurstMode』
『カイジョシマス』
 ライダーマンの『マシンガンアーム』、デルタの『デルタムーバー・ブラスターモード』、G3−Xの『GX−05』。
 3人の一斉射撃が、クロコダイルオルフェノク、センチピードオルフェノク、ロブスターオルフェノクを吹き飛ばす。
 3対3の乱戦の中、デルタ達はその力を合わせる事で、戦いを優位に進めていた。

 しかし―
371351:05/02/13 17:04:51 ID:fDmVWoD4
「ねえ、僕を楽しませてよ」
 ドラゴンオルフェノクと対戦していたクウガだけは、苦戦を強いられていた。
「楽しませてよ…楽しませろぉ!」
 ドラゴンオルフェノクの一撃がクウガを吹き飛ばす。
「超変身!」
 力負けしている事を悟ったクウガは、すぐさま、タイタンフォームへと超変身し、がっちりと組み合う。
 だが、すぐさまクウガの手が徐々に灰化していく。
「くっ!」
 組み合うのは危険と判断したクウガは一旦距離を取り、『タイタンソード』を装備。
「うぉりゃぁ!」
 一撃必殺の斬撃を仕掛けるが―
「無駄だ」
 ドラゴンオルフェノクが『タイタンソード』の刀身を掴んだ瞬間、その部分は灰と化してしまう。
「剣も駄目か!」
 『タイタンソード』を手放し、再度距離を取るクウガ。
「僕は無敵なんだ。お前なんかじゃ勝てないんだよ!」
 掴んだままの『タイタンソード』を灰に変えながらドラゴンオルフェノクは、再度クウガへと歩み寄る。
「グレネードアーム!」
 だが、その歩みは続かなかった。ライダーマンの新装備『グレネードアーム』から放たれたグレネードが、ドラゴンオルフェノクの背中に直撃したのだ。
「ぐぅっ!」
 思わぬ攻撃に歩みを止めるドラゴンオルフェノク。
「五代君、今だ!」
「はい、超変身!」
 ライダーマンの援護を受けたクウガはマイティフォームへと変身し―
「うぉりゃぁ!!」
 必殺の『マイティキック』を、ドラゴンオルフェノクの顔面へ叩き込んだ。
 完全に隙を突かれた形となり、吹き飛ぶドラゴンオルフェノク。
 吹き飛びながらも、その外殻が弾け、オルフェノクにしては禍々しい龍人態が姿を現す。
「僕に傷をつけたね…殺す!」
 次の瞬間、ドラゴンオルフェノクは、文字通り目にも止まらぬスピードで移動を開始。
 ファイズ・アクセルフォームをも凌ぐ超高速攻撃が、クウガを襲う。
 咄嗟にガードを固めた為、クウガのダメージは少ないが、このままではダメージが蓄積していくばかりだ。
372351:05/02/13 17:08:03 ID:fDmVWoD4
「五代さんを援護しなければ!」
 すぐさま、デルタとG3−Xが援護射撃を行うが、ドラゴンオルフェノクのスピードの前には牽制にすらならない。
「遅いよ、遅い遅い! 遅すぎる!!」
 ドラゴンオルフェノクの嘲笑が響き、同時にクウガへダメージが刻まれていく。
「あの動きを何とかしなければ、五大さんが!」
「だが、一体どうやって…」
 打つ手無しの状況に、それぞれの仮面の下で顔を歪ませる氷川と三原。だが、その時―
「奴の動き、見切った!」
 今までじっと状況を観察していたライダーマンがそんな声をあげた。
「氷川君、5秒後に五代君の右後方47度に攻撃!」
「は、はい!」
 ライダーマンの指示に従い、『GX−05』を発射するG3−X。すると―
「ぐはっ!」
 今まで1発も当たらなかった弾丸が命中した。思わぬダメージによろけるドラゴンオルフェノク。
「ぐ、偶然だ」
 そう呟き、再度高速移動を開始するドラゴンオルフェノク。
「三原君、3.7秒後に五代君の左後方54度に攻撃!」
「はい!」
 今度はデルタの攻撃が、命中した。
「そ、そんな馬鹿な…」
 予想外の事態に、完全に動きが止まるドラゴンオルフェノク。そして、その隙を見逃すライダー達ではない!
「ネットアーム!」
 ライダーマンの『ネットアーム』が、動きを封じ―
「「くらえっ!」」
 デルタとG3−Xの銃火器が、ドラゴンオルフェノクを炎で彩り― 
「うぉりゃぁ!!」
 最後にクウガ渾身の『マイティキック』が、再びドラゴンオルフェノクを吹き飛ばした。
373351:05/02/13 17:09:55 ID:fDmVWoD4
「きょ、今日は調子が悪かった…かな」
 ヨロヨロと起き上がったドラゴンオルフェノクは、そう言い残し、姿を消した。
 見れば、他のラッキークローバーの面々もいつの間にか姿を消していた。
「とりあえずは、退けたか…」
 フッ、と安堵の溜息をつくライダーマン。
「そう言えば、結城さん。どうしてアイツの動きを読む事が出来たのですか?」
 そんな結城へ至極当然の疑問をぶつけるG3−X。デルタ、クウガも同じ疑問を抱えているようだ。
「統計的に高い確率で起こりうる事態をピックアップしただけだ。それが出来れば、如何に素早い動きでも、十分予測できる」
 そんな3人に理由を話すライダーマン。だが、イマイチ理解できていないようだったので―
「いいか、戦闘に限らず技術というものは、洗練されればされるほど様式化しやすい」
 細かい説明を始めた。
「なぜなら、数ある技術の中でも真に効果的な技法は数えるほどしかないからだ。様々な技術の中で自然淘汰がなされ、真に有効な技法だけが生き残り、体系づけられる」
「それが即ち技術の洗練であり、技術の成熟に伴い避けることのできない道でもある」
「裏を返せば、それらに対する有効な対応法も自ずと限られる」
「それが『統計的に高い確率で起こりうる事態』に対応する方法だ」
「白兵戦の場合、敵に対して正面から突撃するのは得策ではなく、側面や後方からの攻撃が効果的である」
「つまりこの時点で『正面から突撃してくる』可能性は極めて低く、否定される…ここまで言えば、もうわかるだろう?」
「そうやって、可能性の低い事態を消去していき、最終的に残る可能性の極めて高い事態に対応する…ですか?」
「御名答、奴の移動速度、五代君の体勢、直前に行った攻撃の方向と位置。その他諸々の情報を統合、整理していけば、この位の予測は簡単だ」
「「「は、はぁ…」」」
 まだ、完全には理解できないながらも、言葉を返すクウガ、デルタ、G3−X。
「さあ、まだ戦いは終わっていない。各自、援護に向かうぞ」
 そのライダーマンの言葉で、4人は各自の判断で移動を開始した。
374351:05/02/13 17:14:10 ID:fDmVWoD4
今回はここまで。
次回からファイズvsファイズ戦が始まります。

あと、今のうちに陳謝。
この作品では草加雅人が徹底的に悪役として描かれますので、ファンの方はご容赦ください
375名無しより愛をこめて:05/02/14 10:00:11 ID:/kMlEoAG
結城丈二カッコイイ!
376クウガ新説作者:05/02/15 20:22:46 ID:VP0q1SIb
第七話 太古

【同日 11:58 関東医大病院】
関東医大病院の救急患者搬送口。椿は五代を乗せた救急車の到着を待っていた。

三分もしないうちに救急車が到着し、中から五代と一条、それに救急隊員が出てくる。

救急隊員が五代の様子を報告する。椿はそれを確認すると、処置室へと運び込む。
「一条。俺はこれから五代の治療にかかる。終わるまで待っててくれるか?」
「わかった。沢渡さんには俺から連絡しておこう。…椿。五代を頼む。」
椿は五代の治療を始め、一条は本部の氷川・北條と桜子へ連絡に走った。

椿が処置室へと入っていってから四十分後、椿は処置室から出てきた。ベッドには様々な機器を
取り付けられた五代が眠っている。数人のナースが付き添い、五代を病室へと運んでいた。

「一条、五代のことなんだが、どうも様子がおかしい。」 「様子がおかしい?」
「あぁ、目立った外傷はない。それに運ばれてきた時は心臓は殆ど動いていなかったが、
 それも通常時に戻った。アマダムにも特に変化は見られない。あの毒素も発見されなかった。」
「どういうことだ?」一条はなぜ無傷なのに五代が倒れたのかがわからなかった。
「これは医学的見地からではなく、一人のクウガの理解者としての意見なんだが、
 覚えてるか?五代が前に未確認の毒にやられて仮死状態になったことを。」
「あぁ。しかしそれと何の関係が?」
「おそらく今回も五代の体に何か変化が現れ、それを阻止するために五代の腹の石は
 五代を一度死なせたんだろう。そして改善されたから再び心臓を動かした。」
「なるほど。しかし、今回はなぜ?」 「それはわからない。だから沢渡さんに早く聞きたいんだがな。」

話をしているとそこへ桜子が。「椿さん。五代君は?」 椿へと聞く。
「沢渡さん、今案内しますから。一条、お前はどうする。」
「五代のことは任せる。俺は本部に戻る。沢渡さん。では私はこれで。」 一条はその場を立ち去る。
椿は桜子と五代の病室へと入っていった。
377クウガ新説作者:05/02/15 20:24:23 ID:VP0q1SIb
【2006年 2/7 長野県・九朗ヶ岳遺跡】
蘭のタトゥーの女によるダグバの破片の捜索はまだ続けられていた。
誰も近寄らない森の奥深く。二人の探索はそこで終わった。

そこにはダグバが身に着けていたベルトの欠片が落ちていた。近くには何者かの
白骨もあった。蘭のタトゥーの女はその白骨を拾い上げた。

「ダグバ……こんな姿になって……今蘇らせてやるからな。」蘭のタトゥーの女は呟く。

今度は自然とダグバの骨・ベルトを同調させた。骨とベルトは次第に何かを形成していく。
数分後、それは確かにクウガと激闘の末、死んだダグバの姿になっていた。

雄叫びを上げ、狂ったように周りの木々をなぎ倒していく再生ダグバ。それはとまることを知らず、
再生した場所一帯は木が全て倒されていた。

「理性をなくしたか……ダグバ。お前は少しジッとしてろ。次期に理性も取り戻すだろう。」
蘭のタトゥーの女はダグバの体に手を当て、念じ始めた。

それをきっかけに、ダグバは動くのを止めた。それを見届けると、蘭のタトゥーの女は
その場を立ち去った。ダグバに一言だけ、残して。

「動けるようになったら『東京』へ来い。新たな闇の始まりだ。」
378クウガ新説 07-03 不穏な影:05/02/15 20:25:53 ID:VP0q1SIb
【2006年 2/9 13:00 警視庁・Gxユニット】
「そうか…まだ五代は目覚めないのか。」 『あぁ、体の様子は完璧なんだがな。』
「五代に何か起こったら連絡をくれ。…椿、五代を頼んだぞ。」一条は椿との電話を切る。

五代が突然倒れてから三日が経った。この三日間、目覚める傾向はなく眠り続けていた。
この間に未確認生命体が大きな動きを見せなかったのは、不幸中の幸いだった。

「まだ目覚めませんか…五代さんは。」氷川が一条に聞く。 「えぇ、あれからずっと眠ってるようです。」
「何があったんでしょうか?五代さんに。このまま目覚めないって事はないですよね。」氷川が不安がった。
「…あいつが倒れる少し前、私に『大丈夫!』って言ったんです。あいつはいつもそうやって切り抜けてきました。
 どんなに困難な状況でも。私は信じてます。あいつが……五代が我々とまた戦ってくれることを……」

そこへ小沢が入ってくる。 「一条君。ちょっとこれ見てくれないかな?」小沢は
英語で書かれた電子メールを印刷したものを一条に見せた。
「この人は私がロンドンにいた時の大学の教授仲間なの。といってもこの人は生物学専門だけどね。」
「これがどうかしたんですか?」 「次のページの画像見てくれる?」一条は次のページを開く。
そこには『クウガ』の姿をしたものと正体不明の未確認生命体が写っていた。

「これは一体?」 「この前、アフリカに行った時の写真だそうよ。やっぱり一条君にもわからない?」
「えぇ、五代は今病院ですし、第一アフリカにいける時間はないはずです。」
「なにか起こりそうですね、また。」

アフリカで目撃されたクウガの影は一体なんなのか。Gxユニットにまたもや暗雲が立ち込める。
379クウガ新説 07-04 アマダムの記憶:05/02/15 20:26:55 ID:VP0q1SIb
【同日 深夜 関東医大病院】
五代は未だ眠り続けていた。椿は五代の様子をカルテに書き込んでいた。
五代の体にある変化が現れていた 「……体温が上昇してる?五代が目覚めるのか?」

椿は五代に布団を掛けなおし、病室から立ち去った。






五代の体温がわずかに上昇したその時、アマダムが五代の脳に何かを語りかけてきた。
それは、紛れもなく、超古代に行われていた戦いの記録だった。

380クウガ新説作者:05/02/15 20:32:28 ID:VP0q1SIb
どうも作者です。約4ヶ月ぶりの掲載です。
やっと前ほどではありませんが時間を作れるようになりました。
これからピッチを上げて行きたいと思います。気長に待ってください。


本日投稿分の最初の2回のタイトルは、一回目「椿の見解」で
二回目「確かなる異変」です。書き忘れました。
381名無しより愛をこめて:05/02/19 13:08:39 ID:rHb7AKdA
保守
382名無しより愛をこめて:05/02/19 14:24:33 ID:91sKqZ6e
>>クウガ新説作者さん

久しぶりですね。待ってました〜
続きも楽しみにしてます!
383名無しより愛をこめて:05/02/22 14:23:48 ID:SzJ1uWi3
保守です!
384名無しより愛をこめて:05/02/27 17:49:50 ID:uiZ2aG3W
hosyu
385名無しより愛をこめて:05/02/28 21:07:25 ID:npF0DjfX
色々と考えていたらどんどんネタが絡み付いて、

『吠えろ!仮面ライダーダルダvs両津勘吉が見ている 〜浅見光彦を逮捕しちゃうぞ〜』迄来た所できっぱりやめた。

むしゃくしゃしてやった、反省している。
386名無しより愛をこめて:05/03/02 11:46:31 ID:CCg4bFkX
保守
387名無しより愛をこめて:05/03/05 08:23:32 ID:U5tp5XZ1
保守
388名無しより愛をこめて:05/03/05 08:37:40 ID:TsluVJWn
>>385
すまない。
それ…無茶苦茶見たい。
うわ結局ダルダは戦うのか?
スレ違なのもよく判るし、
うpれとも言わない。










しかし、どんな内容なのか全然想像出来Neeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!
頼む、教えて苦Reeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!
389名無しより愛をこめて:05/03/05 16:54:09 ID:9SeeQLRt
ライダー共闘で剣崎カリスとか桐生レンゲルを出してくれる偉人いない?

390名無しより愛をこめて:05/03/06 17:29:57 ID:JkPVetop
剣崎カリスとは?
391名無しより愛をこめて:05/03/07 01:30:43 ID:uQZZR+GE
>388
385だ、俺も知りたい。
392名無しより愛をこめて:05/03/07 14:06:26 ID:uq7FKT8O
剣崎のジョーカー体のことじゃないの?
393名無しより愛をこめて:05/03/07 14:13:40 ID:+dWfeEUp
アナザージョーカー=剣崎カリス。

そう解釈して良いのかな?
394名無しより愛をこめて:05/03/07 14:28:09 ID:QJNTwrTM
ジョーカーと剣崎ジョーカーはベルトの形状がまったく同じだから
ハートAで変身するとカリスになれるということじゃないか?
395名無しより愛をこめて:05/03/08 07:06:17 ID:oPu+DsPX
そういうことね。
見てみたいなあ・・・・・・
396名無しより愛をこめて:05/03/08 10:14:57 ID:dyrPRSzV
カリスがスピニングダンスする時 剣崎声で「ウェーーイ」するわけか
見てみたいな
397名無しより愛をこめて:05/03/10 16:09:34 ID:8/WznDO2
>>394の言うとおりです。
398名無しより愛をこめて:05/03/12 18:34:31 ID:jOoRvI4P
ライダー共闘、響鬼は解禁?音撃が他の敵に通じるかは微妙だけど・・・
399名無しより愛をこめて:05/03/12 21:19:37 ID:XZkxXSSo
>>398
音撃はともかく、基本スペックの数字がえらく高いから大丈夫しょ!
400名無しより愛をこめて:05/03/13 15:15:48 ID:BD8IWKnV
 テレビ版の後の話で始ブレイドなら考えたことがある
401名無しより愛をこめて:05/03/13 19:22:33 ID:yTwNBKDQ
あえて、剣崎カリスと始ブレイドの共闘が見てみたい気もするな。
402名無しより愛をこめて:05/03/14 15:12:39 ID:Wn/nVaJ2
それ(・∀・)イイ!!
なんかすっごく読みたくなってきた!
403名無しより愛をこめて:05/03/14 20:35:53 ID:be3cxFvN
>>401
いいねそれ
凄い読みたい! 書いてくれる人誰かいないかな
404400:05/03/17 00:14:15 ID:5mMFbxlW
 テレビ版終了後の話で、天王寺理事長の息子(烏丸所長の友人)
が新世代ライダーを率いてくるという展開を考えたことがある


>>heat氏
 あとスカイ役の村上さん、ライア役の高野さん、NHKドラ競演おめ
405名無しより愛をこめて:05/03/17 14:26:48 ID:8eUQCPGK
というか、まとめサイトの文字色が白系で見えにくいのは俺だけか?
406名無しより愛をこめて:05/03/17 16:42:23 ID:XoKWWgIk
>>405
同意。
407maskedrider_ssまとめ:05/03/17 19:05:09 ID:+COU8EBl
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/000.html
bgカラーを黒にしてるんだけど、時々白くなってるね。
同じタグを使ってるのに、全てのページではなく長文のページだけってことは???
理由は不明。

【初代から】ライダー共闘SS【その6まで】はあのまま放置の予定です。
408名無しより愛をこめて:05/03/17 20:31:07 ID:YSMf7zfY
遅レスだけど>>374
正直草加の猫かぶりやその裏での陰謀イヤガラセ陥れ気質は
「555」本編以外からの人々には速攻で見破られるんじゃないかという気が。
409名無しより愛をこめて:05/03/18 18:11:49 ID:jUmF9nTY
桐生さんが正式にレンゲルになるパターンとかブレイドで観てみたかった…。
410555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 09:00:01 ID:uOBJBLVO
「ッはぁ・・・はぁ・・・」
一体どれほどの間走ったのだろうか、少なくとも、息が切れるまで走る事は滅多に無かった。
「はぁ・・・っくぅ・・ふぅ・・・」
こんなに惨めな気分になる事も、無かった。
「ひぅ・・はぁ・・・糞ォ!」
膝が震えた。あの場所からは離れたはずなのに未だに治まる気配は無い。
―――結局、私は何も変わらなかった―――
涙が、流れた。訳も判らないが、泣いた。
側にある水溜りに映る姿が「人間」で無い事も忘れて。

そばにあったドラム缶に持たれ、眠る一人の男。
―――人間として生きていた出来損ないのオルフェノクの始末人「だった」男、琢磨逸郎。
しかし今は、ヒトで無くなる事に恐怖する・・・『出来損ない』の仲間入り。
物語は、ここから始まる。
411555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 09:01:17 ID:uOBJBLVO
――――ペロリ。
何だ?
――――ペロリ。
薄らと目を開けた。見た事も無い小犬が、琢磨の頬を舐めている。
「・・・何ですか?この犬は・・・」
まだ目覚めきっていない頭を押さえ、起き上がりながら呟く。
「おーい・・・どこだーー?」
男の声が聞こえた。コイツの飼い主だろうか?
「・・・あっちですよ、ホラ。シッシッ。」
しかし、小犬は走るどころかまだ私にじゃれ付いている。
「あっ・・・」男までこちらに気付いてしまった。目線が合う。
一瞬の沈黙。そして、その気楽そうな男の質問。
「えっ・・・と・・・・・こんなところで何してるんですか?」
「・・・・・別に何もしてませんよ。ただ少し・・眠っていただけです。」
「でも何でこんなところで?・・・あっ、もしかして家を追い出された、ってやつですかねぇ?」
全くどうしてこの手の人種はこちらの気も知らないで答え難い質問ばかりするのだろうか?
「どうした?」
その声がした方向へ振り向くと、先程まで私にじゃれ付いていた犬を抱える金髪の男。
「あ、葦原さん、見付かりましたね。」
「ああ。・・・ところで・・・コイツは誰だ?」
「えっと、この人はなんでも浮気がばれて家から追い出され、帰る場所も無くここで野宿を・・・」
勝手に人生を捏造するな。
「・・・そうか。」そして納得するな。
412555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 09:02:22 ID:uOBJBLVO
「・・所で・・あなた暇ですか?」
「ええ、それがどうかしましたか。」少し嫌味をこめながら言う。
「丁度良かった。今、可奈さんカゼひいちゃってて、人手が足りなくて困ってたんですよ。」
「・・・手伝え、と?」
「ええ。ああ、オレは沢木哲也。レストラン「アギト」のオーナー権シェフです。」
宜しく。沢木と言う男が右手をこちらへ伸ばす。
・・・何故こうも容易く他人を信用できるのだろうか?
「あ、空き部屋ならありますし、奥さんの怒りが冷めるまでの間だけで良いですよ。」
「そんなこと・・急に言われても・・」
ぐうぅ、断ろうとした時に鳴った空腹の音色。
会話が一瞬途切れ、笑いで又始まる。
「いまなら三食おかわりもつけますよ。」

結局、琢磨は空腹という欲望に負け、このレストランで少しの間住み込みで働く事となった。
少し自棄になっていたことも有るだろう。
・・・もう、以前の生活には戻れないのだから。
それでも何日かするとこの空間、この雰囲気に馴染んできた。
最も、あの青年・・沢木哲也の性格には未だに馴染めなかったが。
・・・事件はそんな日。
「あ、そうだ忘れてた。」という沢木の呟きから始まった。
413555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 09:03:29 ID:uOBJBLVO
「何かあったのですか?」琢磨は今日の昼食・・・まかないのラビオリに舌鼓を打ちながらたずねた。
「ええ、実はちょっとお願いしたい事が・・・」
お願いしたい事とは、単に加奈を病院まで送るだけの事だった。
加奈はカゼがぶり返し、未だに熱が出ていて、少し頭痛もあるそうだ。
沢木は以前から行なっている会合で出す料理の準備があるので、手が離せないそうだ。
「料理は普通のコースでもいいと思ってたんですけど、何せ氷川さんも来るし、今回はスペシャルなゲストも呼ぶ予定ですからねぇ〜」
氷川誠―――沢木によると、目の前でナイフとフォークを使い、
真剣な顔で肉料理を宙に舞わすと言う『ちょっと』不器用な男だそうだ。
そんな奴が来るのならいっその事箸で全て食べられる料理にしたらどうだろうか?
それにゲスト・・・トークショーでも行なうのだろうか。
そんな事を考えながら、琢磨は沢木に借りたバイクで加奈と共に病院に向かっている。
琢磨はバイク自体、免許は持っていても乗る事はないという所謂ペーパー。
それでも沢木のバイクを乗りこなせているのは、やはり琢磨が、『ヒト』で無いからだろうか。
そして、廃工場の前のカーブを曲がろうとしたその時、何かが琢磨達に襲い掛かった。

刹那の爆音、一瞬でバイクから吹き飛んだ。
煙の中から現れたのは、謎の怪人。
・・・少なくとも、紅色のオルフェノクなど聞いた事も無い。
誰だ!?虚勢を張りながら叫ぶ。それに答えるかのように怪物は口を動かす。
414555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 09:04:21 ID:uOBJBLVO
「・・・・・ギィ・・・・・」
――――何を言っているんだ?
「・・アギトォ・・・」
『アギト』・・・琢磨の脳裏に浮かんだのは、沢木のレストランと同じ名前だと言う事、
そして、かつて村上と言う男から聞いた『もう一つの進化系』の事であった。
「ΑGITΩ・・・オルフェノクと同様に、進化を遂げ始めた人類のことです。
以前に『アンノウン』と呼ばれる未確認生命体の亜種による大量虐殺がありましたが、
その犠牲者はみな『アギト』になる因子を持っていた・・・」
『アギト』・・因子・・・まさか!?
「・・・琢磨さん・・・逃げて。」赤い顔で、朦朧とした意識の中で加奈は呟いた。
「何を言ってるんですか・・・・」
「ヤツは私が狙いなんです!琢磨さんは・・関係ありません。早く!」
琢磨も、逃げ出せるならそうしたかった。
だが、以前、『王』と対峙した時と同じように腰が抜けてしまっている。
すると加奈は咄嗟に被っていたヘルメットをアンノウンの顔面へ投げた。一瞬生まれた隙、それを逃さずに
だっ!と走り出す加奈、そして加奈に引かれる琢磨。そのまま、放置してあったコンテナの陰へ隠れる。
「・・・大丈夫ですか?」加奈は琢磨に尋ねる。
「・・・ええ・・・」
「すみません、こんな事に巻き込んじゃって・・・でもあの化物の狙いは・・・・」
そこで、会話が途切れた。
コンテナを手に持つ鎌で叩き切り、アンノウンが迫る。
415555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 09:05:33 ID:uOBJBLVO
アンノウンは琢磨を投げ飛ばすと指をこすり合わせる動きをした。神にでも祈っているのだろうか。
・・・最も、本当に神に祈りたいのは加奈の方だろう。
一歩一歩近づいてくるアンノウン、逃げようにも頭痛のせいで、動きが鈍い。
―――沢木さん、ごめんなさい―――
気づいた時には、口に現れている諦め。
加奈は自分のその言葉を聴くと、微かに、笑った。
こんなところで諦めようとしている自分を、沢木が見たらどう思うだろうか。
―――あの人なら、きっと助けに来てくれる。
天高く掲げられたアンノウンの鎌は、今まさに加奈の元へ振り落とされようとしている。
―――絶対に、諦めない。私は――――
そして、アンノウンは動いた。目の前の獲物を狩る―――いたってシンプルな目的の為に。
―――諦めない!
416スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/21(月) 11:31:18 ID:jVqP8t2D
>>318-319
>>330-331
>>339-340
>>348-349
>>357-359
>>370-373

 ラッキークローバーの面々が撤退したその頃、ファイズは漆黒のライダーと激闘を繰り広げていた。
 ファイズエッジと漆黒のライダーが持つ剣がぶつかり合い、火花が散る。
 更に数度刃を交え、互いに距離を置く。
「流石だね…乾君」
「お前、やっぱり木場か…」
 漆黒のライダー=木場勇治の発した声に、答えるファイズ。その声からは何処かこの事を予測していたような節が感じられる。
「何故だ…何故、俺達の敵になった! お前…夢を、夢を捨てちまったのかよ!!」
 搾り出すようなファイズの言葉。だが―
「夢か…夢は所詮、夢に過ぎない…それに気がついただけだよ! 僕は鬼になった。このオーガの力で人類全てを滅ぼす為に!!」
 漆黒のライダー=オーガはその言葉を一蹴し、再度ファイズに斬りかかった。
「ちぃっ!」
 咄嗟のバックステップで斬撃をかわすファイズ。
「本気でそんな事を言ってるのかよ!」
「ああ、本気さ。そして、これは結花と海道の敵討ちでもある!」
「何?」 
 『結花と海道の敵討ち』、その言葉に思わず動きを止めてしまうファイズ。
「結花と海道は殺されたんだよ…人間にね!!」
 怒りを前面に出し、叫んだオーガは静かに語り始めた。 
「オルフェノクの王を退けたあの戦いの後、旅に出た僕達3人はある町にたどり着き、そこに腰を落ち着けることにした」 
「オルフェノクであることを隠しながら、それでも僕達は静かな時間を過ごしていた…あの日までは」
417スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/21(月) 11:32:29 ID:jVqP8t2D
 町に火の手が上がり、人々の悲鳴が響く。
 悪の秘密結社ショッカーの部隊が、町を強襲したのだ。手当たり次第に破壊活動を行っていく戦闘員、そして異形の怪人達。
 逃げ惑う人々の中、3人のオルフェノクが人々を守る為、奮戦していた。
 木場勇治の変化したホースオルフェノク。
 長田結花の変化したクレインオルフェノク。
 海道直也の変化したスネークオルフェノク。
 オルフェノクでありながら、人間との共存を望む彼らは必死になって戦った。
 数時間の戦いの後、ショッカーの部隊を撤退させる事に成功した彼らを遠巻きに取り囲む人々。その視線は自分達を守ってくれた異形の存在に対する感謝と畏怖が交じり合った複雑なものだった。
「木場さん…」
「ああ、この町から離れる時が来たみたいだね…まだ、人間とオルフェノクは完全に理解できていない…無用な争いは避けるべきだ」
「っふぅ、仕方ねえなぁ」
 3人がその場を離れようとしたその時―
『BurstMode』
 クレインオルフェノクとスネークオルフェノクの体を数発の光弾が直撃した。
「海道! 結花!」
 突然の攻撃に驚きつつも、射線の延長線上にいる攻撃の主を睨みつけるホースオルフェノク。そこには―
「騙されるな! オルフェノクは心の底から腐った化け物だ!!」
 『フォンブラスター』を構えたまま、人々に訴えかけるカイザ=草加雅人の姿があった。
「ここで、あの化け物を野放しにすれば、新たな犠牲者が出る! ここで奴らの息の根を止めるんだ!!」
「さっきのショッカーだって、奴らが呼び寄せたんだ。そうに決まっている!!」 
「戦っていたのは奴らの演技だ! 騙されるな!!」
 カイザの言葉は、異形の者達に畏怖の感情を抱いていた人々を煽動するに十分だった。
418スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/21(月) 11:33:15 ID:jVqP8t2D
“化け物を倒せ!”
“奴らに騙されるな!”
 
 周囲に落ちていた鉄パイプや角材、ショッカーの戦闘員が使用していた自動小銃や大型のナイフを手に、暴徒と化した人々が3人に迫る。
「おい、木場!」
「彼らと戦うわけには行かない…逃げるんだ!」
 何とか、その場を逃げ出そうとする3人。だが―
『BurstMode』
 カイザブレイガンから放たれる光弾が、クレインオルフェノクを襲った。
「あぁぁぁっ!」
 十数発の直撃を受け、その場に倒れるクレインオルフェノク。
「死ね! 化け物!!」
 その時、ナイフや鉄パイプで武装した男達が、クレインオルフェノクに襲いかかった。そして―
 彼らの攻撃は目標を貫いた。だがそれはクレインオルフェノクの体ではなかった。
「…………海、道さん…………」
 呆然と呟くクレインオルフェノク。男達の攻撃は、スネークオルフェノクを貫いたのだ。
 攻撃がクレインオルフェノクに届くその刹那。スネークオルフェノクがその前に立ったのだ。そう、クレインオルフェノクを庇って。
「海道さぁぁぁぁぁんっ!!」
 絶叫するクレインオルフェノク。背中から光の翼が出現し、男達を吹き飛ばす。
「海道さん…海道さん」
 スネークオルフェノクを抱き、泣きじゃくるクレインオルフェノク。
「海道…」
 涙を堪えるホースオルフェノク。
「ハハ、カッコつけたりする…もんじゃねえな…こんなドジ、踏んじまった」
 息も絶え絶えの中、必死に言葉を紡ぐスネークオルフェノク。
「喋るな海道、大丈夫だ…この位の傷―」
「気休めはいいって…それより、早く逃げろ……木場、夢を捨…て………」
 最後の言葉を言い終わる事もなく、力尽きるスネークオルフェノク。その体が灰化していく。
「海道さぁぁぁぁぁんっ!!」
「海道ぉぉぉっ!!」
 苦楽を共にした友の死に泣き崩れる2人。だが―
419スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/21(月) 11:34:25 ID:jVqP8t2D
“見ろ! 奴ら、攻撃してきたぞ!”
“やっぱり、あいつらも化け物に変わりないんだ!”
“殺せ! 化け物を殺せ!”
“殺せ!”

 暴徒と貸した人々は、再度2人に襲いかかった。
「くっ!」
 泣き崩れたままのクレインオルフェノクを庇うように前に立つホースオルフェノクだが―
「君の相手は俺だよ」
 『フォンブラスター』と『カイザブレイガン』、2つの火器を乱射しながら、接近してくるカイザによって、クレインオルフェノクから引き離されてしまう。
 そして、クレインオルフェノクは灰と化したスネークオルフェノクを抱きしめたまま、暴徒の手にかかり死んでいった。
「結花ぁぁぁっ!」
 海道に続く結花の死。度重なる衝撃に放心状態となるホースオルフェノク。
 それを見たカイザは『カイザショット』を構え―
『ExceedCharge』
 必殺の『グランインパクト』を繰り出した。必殺の拳が直撃し、吹き飛ぶホースオルフェノク。そのまま、海へと落下する。
「フン、あのダメージで海に落ちたんだ。助かる筈もない」
 そう言い残し、その場を立ち去るカイザ。その場には暴徒の咆哮だけが響いていた。
420スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/21(月) 11:36:17 ID:jVqP8t2D
 どれほど、意識を失っていたのだろうか?
「ここは…」
 意識を取り戻した木場が周囲を見回すと―
「気がついたようですね」
 そこには村上峡児の姿があった。どうやらここは、『スマートブレイン』の息がかかった病院らしい。
「あなたは…どうして……」
「我々も貴方達を探していたのですよ。木場勇治君。あの草加雅人が君達を狙っていると言う情報を入手してね…敵対していたとは言え、同じオルフェノク。何とか、貴方達を危機から救いたかったが…一歩遅かったようです」
 そういい、無念そうに顔を伏せる村上。
「そうだ…海道と…海道と結花を…」
 呟きながらフラフラと立ち上がる木場。だが、2、3歩歩いた所で、再び倒れてしまう。
「無理をしてはなりません。貴方の体はまだ完全ではないのですから…」
 木場を助け起こし、ベッドに寝かせた村上は―
「それに…あの2人はここにいます」
 小さな2つの小瓶を木場に差し出した。
「私の部下を使いに出しましたが、これだけ集めるのがやっとでした…」 
 2人の灰が入った小瓶を抱きしめ、涙を流す木場。
「近いうちに、我々はあの町を攻める予定です。オルフェノクを惨殺した人間達を許す訳にはいかないので…」
 そう言うと、村上は部屋を後にした。
「まずは、傷を癒す事です。貴方が人間との共存をなおも望むならそれも良し、その時は再び敵と味方に分かれる訳ですが、今は休戦です」
 そう言い残して…。
 1人になった木場は、無表情で小瓶を見つめていた。
「アレが…人間の本性……」 
 暴徒と化した人々の狂気。
「あんな奴らと…」
 無残な最期を遂げた海道と結花の姿。
「あんな奴らとわかっていれば…共存など考えなかった!」
 そう叫ぶと勇治は小瓶から灰を出し、それを一気に喰らった。
「海道、結花、これで僕はいつも君達と一緒だ。だから見ていてくれ…必ず仇をとる! 許さない…決して許しはしない! 人類皆、俺が皆殺しにしてやる!」


 数日後、あの町はオルフェノクの襲撃を受け、あっさりと壊滅した。
 その中には、激情態へ変身能力を身につけたホースオルフェノクの姿もあった。
421スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/21(月) 11:37:28 ID:jVqP8t2D
長らく、投稿を休んで申し訳ない。
今回はここまでだけど、続きは近いうちに
422555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 17:57:14 ID:uOBJBLVO
ギュォォ!一瞬でも遅ければ直撃していたろうその光弾を鎌で受け止めるアンノウン。
「ヴゥウ・・・・・・」
振り向くと、そこには逆光を浴びた一人の男が立っていた。
―――間に合ったんですね―――
加奈は一人、納得する。そこで意識が朦朧となっていく。
―――沢木、さん。
そのまま意識を失う加奈。
しかし、彼女は知らなかった。
沢木には光弾を放つ能力などない事を。

琢磨は目の前のアンノウンを見据えると、ぽつりと言う。
「・・・・・・二人の囚人が、鉄格子の窓から外を眺めたとさ」
バターの様に溶けた鎌を捨て、殴りかかってくるアンノウン。
琢磨はその拳を左手で受け止め、すかさず右腕をアンノウンへと翳す。
「一人は泥を見た――――一人は」
そして、閃光。琢磨は零距離から光弾を放つ。
「星を見た。」
423555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 17:57:55 ID:uOBJBLVO
琢磨は思う。
自分が詩と言うものが好きな理由、
それは恐らく、そこから誇りを感じるからだろう。
そう考えれば全て納得できる。
何故、村上と言う男に尊敬の念を感じていたか、
何故、影山と言う女に惹かれていたのか、
何故、北崎と言う男が嫌いだったのか、
何故―――いつも逃げだす自分が、それ以上に嫌いだったのか。
理由はわかる。村上さんも冴子さんも、それぞれ誇り高く生きていた。
だからこそ、従った。
だからこそ、惹かれた。
だからこそ、誇りを平然と捨て、容易く逃げられる自分に苛立った。
だから―――今くらいは、逃げたくない。
今くらいは、この胸の安い誇りに従いたい。

―――フレデリック・ラングブリッジ『不滅の詩』
まだ人間だった頃に初めて読んだ詩。
あの頃の私は、夢や自信、そして希望に満ちていた。
どんな状況でも、星を見る、そんな自分を夢見ていた。
その結果がこれだ。
・・・星どころか、泥を見る事も許されないような男。
だから、もう、自分を誤魔化していたくない。
だから、もう―――

「もう、沢山なんだよォ!」
逃げたくない。
此処で逃げたら、私はずっと泥しか見られない、そんな気がした。
424555外伝 もう一人の夢の守人:2005/03/21(月) 17:59:26 ID:uOBJBLVO
吹き飛び、壁にぶち当たるアンノウン。
そのまま何度も光弾を打ち続ける琢磨、爆風が目を覆う。
だが、相手はその程度で倒れるほどの存在ではは無かった。
煙の中から琢磨に向かい高速で飛んでくる二本の鎌、
琢磨はそれを回避しつつ、片一方を足で蹴り落とす。その鎌を持つと片方を叩き落とした。
カラン、金属の反響音が響く。それと同時に猛スピードで走りだすアンノウン、終着駅は、加奈。
最も、そう易々と行かせてくれるような男なら、ラッキークローバーなどと言う存在にはなれなかったであろう。
首を縛り付けるムチにアンノウンが気付く、それと同時に琢磨は、エネルギーをムチにこめる。
閃光と共にアンノウンは一瞬つんのめった形になると、そのまま壁に叩きつけられた。
衝撃により一瞬生まれた空白、
それから回復したアンノウンが次に見た物は、目の前に迫る特大級の光――
爆発。その煙の中から現れる物は無く、静寂が空間を包み込んだ。
琢磨は、ムチを投げ、振り返る。
目線の先には、倒れてはいるがほぼ無傷の加奈。
完全なる勝利―――それを感じると、琢磨はそのまま倒れこんだ。
青空を見上げ、大の字になる。
「・・・さて、沢木さんにどう言い訳しましょうか・・・」
琢磨は、体を覆う心地よい眠気に従いながら、そう呟いた。

ふと、空を見た。今夜は、星が見えそうだ。なぜだか、そう思った。
425名無しより愛をこめて:2005/03/21(月) 18:57:23 ID:SDYHwMEr
投稿ラッシュage
426名無しより愛をこめて:2005/03/21(月) 22:28:48 ID:zWZ3HU1m
禿カコイイよ禿
427名無しより愛をこめて:2005/03/22(火) 00:10:08 ID:7n75LKy0
まさか禿がここまで格好良く・・・・。
428名無しより愛をこめて:2005/03/22(火) 23:09:36 ID:8c8d6agc
>>555外伝 もう一人の夢の守人

琢磨が漢になった!
おめでとう、あんたはもうへタレなんかじゃないよ…

>>スーパーライダー大戦

海道と結花が…orz
このまま木場は復讐に突き進んでいくのだろうか…続きに期待します

429maskedrider_ssまとめ:2005/03/23(水) 08:35:57 ID:aO99cMyO
ttp://www.geocities.jp/maskedrider_ss/000.html
スーパーライダー大戦
555外伝 もう一人の夢の守人
更新しました。
ハゲ、はげ、禿! 格好良いのに、頬が緩む。w  ありがとう!職人様v
もれもorz、草加はもう限りなく真っ黒だな。勇治、やちゃっていいよ!
430名無しより愛をこめて:2005/03/25(金) 01:55:22 ID:4mscGKPL
>スーパーライダー大戦様
草加「(例によってネコっかぶりでペラペラペラ)」
アマゾン「ダマレ!オマエ十面鬼ト同ジウソツキノ臭イスル、
    アマゾンオマエ信ジナイ、トモダチ違ウ!」
城茂「ほー、アマゾンに毛嫌いされてるようじゃこっちもちっとばかし信用できねえな、
    えぇカイザさんよぉ?」
草加「(ギクギク(汗))…」  いつの間にか周囲からも少しづつジト目が…

MRA内で孤立していく過程に例えばこんな一幕があったりして…?
431スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/27(日) 22:28:48 ID:auqA80zP
新作掲載までもう少しかかりそうです。
それまでの繋ぎ代わりに、この作品にでてくる敵組織の簡単な説明なんかしてみます。
そういった物は余計だという方は、読み飛ばしてください。
今回は、秘密結社ショッカーの紹介です。
432スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/27(日) 22:35:11 ID:auqA80zP
『秘密結社ショッカー』
十数年前から世界規模で猛威を振るい始めた謎の秘密結社。
世界を征服し、改造人間による世界を築くのが目的で、謎のショッカー首領を頂点に、『十闘将(注1)』と称される10人の大幹部の命令を受け、怪人たちと戦闘員が暗躍する。
世界各国に大小様々な支部を持ち、勢力という点では最大。
だが、十闘将を除く個々の戦闘力という点では他の組織に若干劣り、それを数でカバーしているという見方もある。

<組織図>
ショッカー首領
   ↓
  十闘将―→ゾル大佐
   | |→死神博士
   | |→地獄大使
   | |→ブラック将軍
   | |→ドクトルG
   | |→ヨロイ元帥
   | |→アポロガイスト
   | |→百目タイタン
   | |→ジェネラルシャドウ
   | |→暗闇大使
   |
ショッカー幹部(主に科学者)
   ↓ 
  怪人―→ショッカー怪人部隊  
   ||→合成怪人部隊
   ||→機械合成怪人部隊
   ||→獣人部隊
   ||→UFOサイボーグ部隊
   ↓
  戦闘員

※怪人軍団、戦闘員のほかに多数の機動兵器を戦力として所持。
433スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/27(日) 22:38:34 ID:auqA80zP
注1・十闘将

ショッカー最強の戦闘集団にして、10人の最高幹部達。
単なる戦闘能力だけでなく、それぞれが卓越した頭脳や特殊能力、指揮能力を持ち、その気になれば、単独で一個師団と戦う事も出来る。
また『十闘将裁判』と呼ばれる組織内粛清の権限も持つ。
だが、その戦闘力の高さと個性の強さゆえに連携を取る事が難しく、複数展開しても殆どの場合各個撃破という行動を取らざるをえないという欠点も存在する。
しかし、それを差し引いても彼等の強さは尋常ではなく、MRA以外に彼らに対抗できる人物、組織は存在しない。


作者注

名前こそショッカーですが、実際はショッカー〜バダンの複合組織(ドグマ、ジンドグマ除く)です。
また、十闘将に名を連ねていない組織幹部は、都合により出演しません。
434名無しより愛をこめて:2005/03/27(日) 23:41:46 ID:G2j7Rtci
組織図キタァー!age
435名無しより愛をこめて:2005/03/28(月) 01:48:46 ID:MNFW55/l
仮面ライダーSDのグランショッカーの設定に似てるな
436名無しより愛をこめて:2005/03/28(月) 11:55:32 ID:pA4iW03Q
ゲドン、ガランダー、ネオショッカーも見当たらないけど単にオミットしただけ?
それとも伏線アリですか?
437スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/28(月) 21:20:16 ID:WgAyr6oW
敵組織紹介、第2回はゴルゴムです

暗黒結社ゴルゴム

日本を中心に数年前から猛威を振るう謎の秘密結社。
文明や文化を徹底的に破壊し尽くした後、生き残った優れた人間だけを怪人に改造し、『創世王』を頂点とした怪人だけの世界を作ることを目的とする。
人間のメンバーを多数有していることも特徴で、彼らは人間社会で高い地位につき、社会を陰で操りながら、ゴルゴムに貢献している。
他の組織とは異なり、戦闘員は存在せず、文明破壊活動は基本的に『世紀王シャドームーン』もしくは『三大大怪人』の指示の元、ゴルゴムメンバーの支援を受けた怪人が単独で行う。
例外として、『剣聖ビルゲニア』が怪人を引き連れ、作戦を執り行う場合もある。
戦闘員が存在しない分、怪人の戦闘力は非常に高い。
しかし、日本を中心に活動している事からもわかるように、組織の規模としては決して大きいとは言えず、物量の面で劣る。

<組織図>

   創世王
    ↓
世紀王シャドームーン
    ↓
  三大大怪人―→大怪人ダロム
    |  |→大怪人バラオム
    |  |→大怪人ビシュム
    |
  剣聖ビルゲニア
    ↓ 
  ゴルゴム怪人
    ↓
 ゴルゴムメンバー
438スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/03/28(月) 21:38:41 ID:WgAyr6oW

>>436さん
>ゲドン、ガランダー、ネオショッカーも見当たらないけど単にオミットしただけ?
>それとも伏線アリですか?

伏線と言えるほど、大したことではありませんが、ご説明します。

ゲドン&ガランダー
:どちらもショッカーの下部組織。
今までとは異なる技術形態で開発された新型怪人『獣人』を多数擁し、テロ活動を行うが、MRAの活躍でどちらも半年前後で壊滅した。
しかし、獣人自体の性能は高く評価され、『獣人部隊』としてショッカーの戦力に組み込まれている。

ネオショッカー
:組織自体は本作では存在せず。
ただし、怪人は『ショッカー怪人部隊』に組み込まれている。

ドグマ&ジンドグマ
:ショッカーとはまったくの別組織。
本編以前に宇宙から襲来し、世界征服を企んだ。
しかし、MRAの活躍によりどちらも半年前後で壊滅。
このとき、ショッカーは完全に静観を決め込んでいた。

オマケでジェネラルシャドウ以外のデルザー軍団
:ジェネラルシャドウの紹介で、ショッカーに食客として招かれる。
その後、日本制圧作戦の主力として参加するが、MRAの活躍で全滅。

実は、食客として招いた事自体が、MRAの実力を図る為、ジェネラルシャドウが仕組んだ事だったりする。
439名無しより愛をこめて:2005/03/29(火) 00:20:42 ID:i7IA1MMF
>>468
ジェネラルシャドウ、策士だな
440名無しより愛をこめて:皇紀2665/04/01(金) 01:27:35 ID:RnyrCHoh
ガンガッテください。
441名無しより愛をこめて:変身!0w05/04/01(金) 16:05:06 ID:4VkhXGf0
某所で聞いたんだけど、
ttp://elements.xrea.jp/ondulup/img/031.wmv
始め(仮面)ライダーズ・フォーエバーって題で作られたんだって。
お話作るときのBGMに使ってみてw
442名無しより愛をこめて:変身!0w05/04/01(金) 19:03:43 ID:IXEv0AjG
ネタしか思いつかない・・・
剣の映画とTVのミックスでジョーカー(剣崎)VSアルビノの対決ってのは無理かなぁ・・・
443名無しより愛をこめて:変身!0w05/04/02(土) 01:46:44 ID:/2ssVAPi
剣番外編を二つほど考えているんですが、
片方(先に出来そう)は仮面ライダーがあんまり出てこなかったり。
444名無しより愛をこめて:変身!0w05/04/02(土) 02:23:12 ID:GMvaxdc7
そういうのもたまにはいいと思いますよ。
445名無しより愛をこめて:変身!0w05/04/02(土) 03:09:31 ID:pI4Qjpci
龍騎と555をクロスオーバーさせたような小説ってある?
446名無しより愛をこめて:変身!0w05/04/02(土) 14:06:05 ID:OizZ1w4k
ここでブレイド正伝キボンとか言ってみたり
447名無しより愛をこめて:2005/04/02(土) 19:49:17 ID:mBDrbzHl
>>444
うい。
本編のサイドストーリーとして書いてますが、比較的独自キャラの比率が高いです。
元になる話はブラックファング編。
全4話くらいの予定、目処が立ったら投下します。
448名無しより愛をこめて:2005/04/02(土) 20:08:47 ID:rWP3NdJK
>>447
よし頑張れ
449名無しより愛をこめて:2005/04/02(土) 22:29:09 ID:rWP3NdJK
友達が書いていった奴があるんだがそれ投下していいかな
特撮関係の夢を語れと剣崎ファンスレにある奴だけど 友達はコピペしといてとかいってくるんだけど
450名無しより愛をこめて:2005/04/02(土) 23:38:54 ID:NKJJCHAR
>449
SSになってるんなら、OKじゃないの?
さすがにスレそのままコピペは、いかがなものかと思うが……。
451449:2005/04/03(日) 06:42:20 ID:K39LXLAR
ごめんやっぱ無理とか言われた....
嘗めてんのか ('A``)
452名無しより愛をこめて:2005/04/03(日) 23:31:38 ID:fGg3S4/1
>>451
説得するんだ!

正直、ここで読んでみたい!
453447:2005/04/05(火) 02:27:32 ID:5Zr5ogno
『狼と人間の黒い牙』全4話予定

仮面ライダー剣第24話・25話を元にしたサイドストーリー、
ノリと勢いで書きました(まだ途中ですが)。

独自設定と独自キャラがかなりの割合を占め、
さらにライダーがほとんど出てこないので
そういうのが苦手だなという方はスルーして下さいな。

454『狼と人間の黒い牙』第1話1/11:2005/04/05(火) 02:31:27 ID:5Zr5ogno
<第1話>
-1-

その夜、BOARD職員の守山一明はちょうどトイレに隠れて一服している所だった。
一服する、と言っても彼はタバコは吸わない。
吸ったとしてもトイレに隠れて吸うなんて中学生みたいな事は好まないだろう。
彼は個室の洋式の便座に腰掛けて携帯を弄っていた。
別にそれがどうしても必要だったわけではなく、なんとなく、だが。
──────今日はどうも気が乗らない──────。
実際朝から体調は悪いような気がしていた。
いつもなら「気のせい」と片付けるところだが、どうも今日は勝手が違った。

「疲れてるのかな。」
人間後ろ向きに考え始めると止まらないもので、いつになく弱気な言葉が浮かんでくる。
体か心が警告を発しているのではないか。段々そんな気もしてきた。
せっかく得た仕事を失うわけにはいかない、という気持ちも焦りに拍車をかける。
若くして家族の居ない彼には頼る人も貯金も無い。
日々の暮らしというものを切実に考えなければならなかった。
「ああ…。頑張ろう!っと。」
仕方なく、カラ元気で便座から腰を上げる。
彼は覇気に溢れる性格でもなければ人生を謳歌しているわけでもない。
何かに打ち込んでいなければ生きていることを実感できないという人間だ。
あまり良くないとは思っていたが、こういう性格的問題はすぐに治るものでもないのだ。
だから今日も一日頑張って働かなくては。

トイレに行って来ると断って出て来た以上、あまり長居は出来ない。
彼がここで休んでいた時間は4〜5分といったところだろう。
彼自身はこのわずかな自主的休憩を無意味なことだと考えていたが、後から考えると非常にツイていた。

彼がトイレのドアに手をかけたその時、BOARD全施設の電源が落ち警報が鳴り響いた。
455『狼と人間の黒い牙』第1話2/11:2005/04/05(火) 02:36:00 ID:5Zr5ogno
-2-

騒然とするBOARD施設、それを闇の中から見つめる琥珀色の目があった。
「ローカストアンデッド…カテゴリー5ごときに?所詮人間の作った組織だな。」

呆れた様に吐き捨てたその影は、明らかに人間ではなかった。
身の丈は2m以上あり、全身を刃物のような鋭いモノが覆っている。
彼はウルフアンデッド、カテゴリーJ(ジャック)と呼ばれるものだ。

彼はここしばらくこの施設を監視していた。
彼の参加している(参加が彼の意思であるかは置いといて)戦いの中で、
この施設の存在は異様だった。
彼の戦いは「バトルファイト」と呼ばれ、
各52種族の代表者が争い、勝ち残った種族は全てを手に入れることになっている。
それはつまりこの世界の支配権だと代表者である「アンデッド」達は解釈していた。

アンデッドとは不死生物であり、その名が示すとおり彼らに死は無い。
ただ、致命傷を負うと腹にあるベルトのバックルが開き行動不能に陥る。
そうなったアンデッドは敗者として統制者=バトルファイトのマスターに封印され
カードの中で一万年後の戦いを待つのだ。
それがこの戦いの厳正なルールのはずだった。

だが今回は代表者達の戦いにBOARDとかいう組織が介入してきた。
BOARDは「仮面ライダー」と呼ばれる戦士を使いアンデッドを勝手に封印する。
なにやらルール違反にも見えるが、
そもそもこのバトルファイト自体がイレギュラーの可能性が高いのだ。
456『狼と人間の黒い牙』第1話3/11:2005/04/05(火) 02:37:18 ID:5Zr5ogno
-3-

ウルフアンデッドは回想する。
封印を解かれた時から既に色々と様子がおかしかった。
アンデッド達は狭い部屋にすし詰めになっていて、
かなり混乱しながら建物の外に逃げ出し各地へ散っていった。
一万年の封印を解かれバトルファイトが始まる時、本当はどういう状態が正しいのか、
記憶があいまいで、ハッキリとは思い出せないが今回が何かおかしいのは間違いない。

封印が解けた後、彼はほとんどアンデッドとは戦っていない。
前回の勝利者であるヒューマンアンデッドの眷属である「人間」がのさばるこの世界で
下手に動くことは危険だと思われた。

しばらく状況の調査に没頭する日々が続く中、彼は数体のアンデッドの気配が消えるのを感じた。
この感覚は覚えている。「封印」だ。
それはバトルファイトが正常に機能していることを表しているはずだったが、
実際ははアンデッドを封印して回るイレギュラーな存在「仮面ライダー」、そしてBOARDの仕業だった。
ヒューマンアンデッドが眷属である人間を使い戦いを有利に進めている。
彼はそう解釈した。
この戦いは頭脳戦の意味合いが濃いと思われた。
457『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:44:15 ID:5Zr5ogno


だから彼はBOARDに目をつけた。
この組織が今回の戦いの鍵だろう。
人間達の作る兵器────例えばライダーシステム────を利用すれば、
彼が本来苦戦するであろう他の上級アンデッド、カテゴリーK(キング)にも勝てる可能性がある。
バトルファイトの勝利者へ、その実感に彼は身を震わせた。



パニックの度合いが強まるBOARD施設を眺めながら回想に耽っていた彼だが、
目の前の光景には少々落胆していた。
下級のアンデッドであるカテゴリー5ごときに壊滅するようではその技術など高が知れている。
宝の山に見えていた目の前の施設が少し色あせるのを感じた。

しかしここまで来て何も得ずに引き返すことはない。
彼はアンデッドの姿から人間の姿────若者の姿に変身すると、
素早く敷地内に侵入を開始した。
458『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:45:34 ID:5Zr5ogno
-4-

守山はその夜見た光景を生涯忘れることは無いだろう。
短い期間とはいえ自分の勤めた組織が、共に働く仲間が、瞬く間に「終わる」のを見てしまった。

その最初の一撃────BOARDにとって致命的となった一撃────を
彼は運良く回避することが出来た。
トイレから出ようとしていた彼は、突然の停電と警報に身を硬くして立ち止まった。
「なんだ?」
非常電源によりすぐに回復すると思われた電灯は点く事は無く、警報も止まない。
これは、訓練ではないのか。
彼は一刻も早く職場に戻ろうとして────聞こえてきたその音に凍りついた。
近づいてくる虫の羽音。一匹二匹ではない、何百何千の大群の羽音。

以前テレビで外国の農場を襲うイナゴの集団を見たことがある。
画面いっぱいに、そして青空までもが虫に覆われ凄まじい轟音を響かせていた。
その音が、今近づいてくる。
守山は本能的に個室へ逃げると素早く鍵を閉め息を潜めた。
五分程度だっただろうか。一時間だろうか。
死の音が近づき、悲鳴と破壊音を飲み込んで通り過ぎる。
彼はこの非現実的な状況に呆然としつつ、「音」が通り過ぎるのをひたすら待った。

そして、突然羽音が遠ざかり辺りが静寂に満たされた時────
ようやくトイレを出ることが出来た守山が見たのは、死体の山だった。
459『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:46:47 ID:5Zr5ogno
-5-

警報が鳴り響く暗い部屋でウルフアンデッドはパソコンに向かっていた。
もちろん今は人間に変身している。
床に転がっている研究員を気にも留めず、ひたすらパソコンを操作する。
先ほどまで整然としていたと思われる研究室はもはや暗闇の一部と化し、
彼の操作するパソコンのモニターだけが光を放っていた。

ローカストアンデッド────イナゴの不死生物の襲撃からそれほど時間は経っていないが
彼がBOARDの施設に侵入してから生きている人間には会っていない。
イナゴの大群へ姿を変えたローカストアンデッドは
見事なまでにこのフロアの人間を殺し尽くしており、
ウルフアンデッドは余計な手間をかけずに資料を漁る事が出来ていた。
片っ端からデータをコピーしつつ、目当てのものを探す。
彼はこの施設に存在すると思われる対アンデッド用兵器の資料を探していた。

「これか。」

彼はモニターを一瞥しただけでその情報を全て読み取るとデータをコピーして部屋を出た。
目的のモノがある研究室へはここから少し歩かねばならない。
460『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:48:06 ID:5Zr5ogno
暗い廊下をしばらく進むと、一人の青年が呆然と立ち尽くしていた。
この状況で生きている事に驚きつつ、ウルフアンデッドはこの若い青年の使い道を考える。
この場で殺すか、いや眷属に作り変えても問題は無い。
だが、これからする作業や荷の運び出しには人間が必要だ。
面倒が起きたら操ればいいだけだ、そう決断すると青年に話しかけた。

「おい、大丈夫か?」

その声で青年はこちらに気づいたようで、安堵した表情を浮かべ近づいてくる。
青年はスーツ姿で短髪、誠実というより少々弱気な印象を受けた。
こちらはBOARD職員の制服の正確な再現など出来ないので茶髪に私服だが
研究スタッフということで通せば問題ないだろう。

「ええ、僕は大丈夫。しかしここに居た人達で他に生きている人は…」
「そうか…」
悲しんでるかのように顔をかげらせてみる。これはもちろん演技だ。
青年の方は本気で悲しんでいるようだったが、
死の暴風が吹き荒れた現場を見たにしてはショックが少ないように思えた。
彼はアンデッド───不死の怪物───として
封印が解かれてから人間の極限状況における様々な言動を観察してきたが、
この青年の今の反応はどうにも不感症的なものに感じられた。
性格なのか何かの訓練の結果なのか、それとも実は人間一般の正常な反応なのか。
人間への研究考察の題材として興味はあったが今はそれをやる時ではない。
461『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:49:33 ID:5Zr5ogno

「とりあえず、ここは危険だ。またアンデッドの襲撃があるかもしれない。
 研究資料を運び出すのを手伝ってくれ。」
「あ、はい。しかし…逃げた方がいいんじゃ?」
「心配するな、奴はもうここには居ない。」
「奴?」
「アンデッド、ローカストアンデッドだ。
 イナゴの群れに姿を変えてここを襲ったのはあいつだろう。」
「なるほど、詳しいですね。」
ああしまった、と一瞬思うが、言い訳も瞬く間に組みあがる。
「俺は対アンデッドの研究をしていたからな。」
「もしかして、仮面ライダーですか。」
ここの職員だ、当然ある程度の知識はあるのだろう。
ウソがばれる可能性と青年から攻撃される可能性を考慮したがこのまま続行と決めた。

「いや、違う。俺はライダーシステム以外の対アンデッドシステムを構築するチームだった。
 極秘のチームだったから、お前は知らないかもしれない。」
「ああ、僕は最近ここに雇ってもらったばかりなので…あまり詳しいことは知らないんです。」
それは好都合だ。
「なるほどな。まあ話は後だ。急ごう。」
「あ、はい!」

話を打ち切ると
二人────いや、一人と一匹?────は目的の部屋へ向かって走り始めた。
462『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:52:30 ID:5Zr5ogno
-6-

お互いの自己紹介は目的の部屋へ向かう途中で済ませた。
青年の名は守山一明(モリヤマカズアキ)というらしい。
本当に最近雇われたばかりのようで施設に対する知識も曖昧だった。
ウルフアンデッドは自分の事について、
「俺の名はシンメイ、新しい名と書いて新名」とだけ話した。
名前の由来など、どうでもいい。

ルートは全て把握している上、ロックもあらかじめ解除してあったので
彼らは難なく目的の部屋への侵入を果たした。
ウルフアンデッド=新名は電源が一時的に落ちることでルートが通行不可能になる事を懸念していたが
幸いその心配は無かった。
この施設を襲ったローカストアンデッドにしてもわざわざ上級の自分に戦いを挑んでくるとは思えない。
彼の頭を唯一悩ませていたのは、途中で職員や研究員に出くわした場合の対処法であるが
ここまでは守山以外生きている人間には遭遇しておらずとにかく順調と言える。

目的の部屋にたどり着いた時、彼は一緒に来ていたはずの守山がいないことに気がついた。
「おい?」
「…すいません」
廊下の向こうから息を切らせて守山が走ってくる。
「あなたの、走るのが、速すぎて…」
「そうか。」
今の新名は人間態とはいえその力はアンデッドのものであるから、
当然運動能力は生身の人間とは比べ物にならない。
あまりこの能力を見せては怪しまれるかもしれないので、これ以降は自重することにした。
463『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:53:43 ID:5Zr5ogno

横でハァハァ言っている守山は放っておいて、ゆっくりと扉を開ける。
非常灯のわずかな明かりの中、目的のものが鎮座していた。
人間の守山はよく見えないだろうが、新名には昼間のようにハッキリ見える。

「あれは?」
「対アンデッド用のマシン、ブラックファングだ。」
「バイク…ですか?すごいな。ライダーマシンとも違う。」
「ああ、そうだ。これはライダーマシンとは別のものだ…。」

新名は、自分の予想以上に目の前の兵器を気に入った。
人間の作るものとはいえライダーシステムを利用しているだけはある。
その黒く生物的なボディから放つ凶暴なオーラは、アンデッドである自分が扱うのがふさわしく思えた。

ブラックファングは未完成であり自走は出来ないが、
この研究室は一階にあり、そのまま外の舗装路につながっているのでトラックに積んで運ぶことが出来る。
彼は守山に他の資料の荷造り指示してトラックを取りに行くことにした。
別れ際に守山にはアンデッドを引き寄せないため、という理由で明かりは最小限にしろと言っておいた。
もちろん実際は研究員の生き残りや、万が一の救援チームに見つからないためだが。

敷地内では制御系が壊れたのか狂ったようにサーチライトがぐるぐる回り、警報がけたたましく鳴り響いている。
常人ならこの光景だけでパニックに陥りそうだが、今彼のやっている火事場泥棒には都合がいい。
464『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:55:29 ID:5Zr5ogno
-7-

敷地を横切ろうとした所で激しい戦闘の音を耳にした。
反射的に身を隠し、目と耳に意識を集中する。

玄関前でローカストアンデッドと────青い戦士が戦っていた。

「あれは仮面ライダー、仮面ライダーブレイドか。」

どうやら威勢はいいが戦闘技術においてはそれほどでもないらしく、ローカストアンデッドに押されている。
ブレイドが腰から剣を抜きローカストアンデッドを切りつけた。
一撃目はヒットしたが───ああ、それでは駄目だ。
「ウェイ!ウェイ!ウェイ!ウウッ!」
ほら見ろ、反撃の回し蹴りを喰らい剣は片手で防がれ、無様なものだ。
ローカストアンデッドの強烈な蹴りを胸に喰らいブレイドが林の方へ吹っ飛んでいく。
立ち上がり胸を押さえたところで……何かに気づいたようだ?
「橘さん!?何故見ているんです!?」
そちらの方向には赤い戦士が立ち尽くしていた。

「あれは、仮面ライダーギャレンだな。」

ギャレンはブレイドを助けることも無く黙って見つめている。
465『狼と人間の黒い牙』第1話:2005/04/05(火) 02:57:36 ID:5Zr5ogno

「橘さん…!本当に裏切ったんですか!?」
呼びかけながらではまともに攻撃を捌けるわけも無く、滅多打ちにされるブレイド。
橘さん、と呼びかけられたギャレンは無言で歩き去っていく。

「仲間割れか?」

そう呟くと新名はその場を離れギャレンを追った。
あの調子ではこちらの作業が終わるまでブレイドは戦い続けているだろうし、
戦闘後はかなり疲労しているだろうから妨害はされないはずだ。
(ブレイドがローカストアンデッドに殺される可能性も高いがそれはそれでいい。)
しかしギャレンにこちらの行動を気づかれ邪魔されてはたまらない。

しばらく進むとギャレンが誰かを助け起こしているのが見えた。
「なるほど、仲間の手助けより要人の救助を優先したのか。」
だがそれにしてもさっきの光景を思い出す限り、ライダー同士で意思の相通が取れているとは思えない。
まあこちらには好都合だ。いずれ奴らも利用するのだから。

ギャレンが敷地から去るのを確認し、トラックを取りに(というか盗りに)駐車場へ急ぐ。
幸いなことにローカストアンデッドとブレイドの戦いはまだ続いており、
しばらく決着はつきそうになかった。


<続く>
466447:2005/04/05(火) 03:01:33 ID:5Zr5ogno


今日はここまでということで。
豪快に番号の振り分け間違えました。
あまり長いものは書いたことが無いので、
書きながら色々修正したりしています。
今日の投稿もなんだかミスがありそうです。
では、続きが出来次第また。
467名無しより愛をこめて:2005/04/05(火) 12:31:25 ID:LWWB7iQH
面白かったです!!
ウルフの新名さんの企みがすごいなあ。
続きも楽しみにしてます。
468名無しより愛をこめて:2005/04/05(火) 22:10:57 ID:dZmCoI9e
GJ!
早く続きが読みたいです。
469555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/06(水) 17:13:48 ID:pgbZ4OJg
「あーあ。やーっぱりやられちゃいましたかぁ。」
ディスプレイの中、光の中に消え去るアンノウンを見ながら、その女―――スマート・レディは呟いた。
「でも、しょうがないですもんね〜。」
あっけらかんとした様子で、そのディスプレイのパネルを操作するレディ。
そして、ディスプレイは新しい画面を映し出した。
レディはそれを見て、誰にとも無く言う。
「量産しゅうりょ〜う。これより第二陣のしゅっつげきに入りま〜す。」
キャハハハハ。
その、無邪気とも狂気とも言えない笑い声は響き続けた。

「・・・気がついたか。」
琢磨が目を覚ますと、そこにはあの金髪男――葦原が立っていた。
どうやら、沢木のレストランへ運ばれたらしい。
「加奈さんは?」
「俺が病院まで運んだ。もうここに戻っている。」
「そう―――ですか。」
琢磨は立ち上がり、時計を見る。沢木の言っていた『会合』の時間まであと十五分。
「・・・お前は何者なんだ?」
「・・・妻に愛想つかされた無職男性・・・ですが」
未だに根に持っているのだろうか、琢磨は言ってからそう思った。
「俺が聞いているのはそういう事じゃない。」
「じゃあ何ですか?」
「・・・お前なんだろう、あのアンノウンを倒したのは。」
――っ、琢磨は自分が息を飲む音をはっきりと聞き取った。
「やはり、お前なのか。」
「・・・・」
琢磨は葦原の眼を見た、真直ぐに自分を見据える瞳。
470555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/06(水) 17:14:36 ID:pgbZ4OJg
―――だからこの手の人間は苦手なんだ。
少しの躊躇いの後、琢磨はうなずいた。
そのままドアの元へ向かう葦原
「何も・・・・聞かないのですか?」
「人にはそれぞれ事情がある。お前にも・・・俺にも。」
琢磨は顔を伏せる。
「ただ・・・一つ聞かせてもらう。」
「・・・何ですか?」
「お前は・・・・人間か?」
「・・・言っている意味が良く判りませんが・・」
いや、琢磨はその言葉がどういう意図で発せられたのか十分判っている。
「・・・お前は人間として生きているのか、それとも・・・・」
―――琢磨は、そんな事を考えた事も無かった。
最も、余り考えない様にしていただけだったのかもしれない。
「・・・私は・・・・」
その先が出てこない。
「・・・わたしは・・・・」
ヒトか、バケモノか、
だが、その続きは加奈の悲鳴で途切れる。
「・・・琢磨、逃げろ!」
葦原は言うなり走り出した。
「どう言う事ですか!?」
と言う琢磨を背に。そして響き渡る反響音。
その音の方向へ走る琢磨、そして、彼は見た。
会場のガラスが割り、潜入してくる者の姿を。
「あれは・・・・・」琢磨は、目の前の光景に少し呆然となった。
471555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/06(水) 17:16:56 ID:pgbZ4OJg
まるで軍の様に整列するアンノウン。
そして、その姿は、先程自らが消滅させた物と全く同一・・・
「逃げて!」
そう叫び、アンノウンに向かい発砲する長身の男。
それと共に襲い掛かるアンノウン。
―――数は七体前後。この姿では二体か三体が限度だろう。ならば―――
琢磨の体を覆いはじめる灰色のライン。
そして、走り出す。
ヒトを超えたモノ―――センチピード・オルフェノクとして。

「シャァァ!」
センチピードのムチは、的確に長身男―――彼が氷川だった――に襲い来るアンノウンへ叩きつけられた。
そちらへと矛先を変えるアンノウン。
そして、センチピードはもう一度ムチを振るった。
だが、
「―――外した!?」
氷川が呟く。ムチはアンノウンの脇をすり抜けた。
そしてセンチピードへ迫るアンノウン。
―――かかった。
センチピードは、巧にその手を動かす。
刹那、センチピードへ向かうアンノウンが、後方から迫る物体に気付く。
ムチに縛り付けられた、もう一人のアンノウン。
振り向いた直後、それは直撃した。二体のアンノウンは、一直線にセンチピードへ迫ってくる。
「・・・本当はテーブルでも良かったんですが・・・・」
そしてセンチピードは、手を翳す。
琢磨の姿だった時とは比べ物にならないほどのエネルギーを持った、光を抱えて。
急速に迫るアンノウンに対し、こう、呟いた。
「・・・何分、バイト代が安い物で―――」
そして、閃光。
―――弁償は難しい。
爆音と光の中、アンノウンがそこまで聞き取れたかどうかは定かではない。
472555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/06(水) 17:18:56 ID:pgbZ4OJg
「待ってください!」
氷川の声に、琢磨は振り向く。
「・・・貴方は・・・」その問いに、センチピードの影は答える。
「・・・・味方ですよ。」
その会話の後、センチピードは走り出す。
先着者へのプレゼントとして贈られ始めたアンノウンの鎌を返品する為に。
そして、氷川も走り出した。
自らのなすべき事―――会員全員を無事避難させる為に。

センチピードの光弾が、最後のアンノウンを包み込む。
爆音と共に消滅するアンノウン。
琢磨は変身を解いた。呼吸が軽くあがっている。
「沢木さん!・・・沢木さん!」
加奈の声、すぐに向かうとそこには倒れた沢木の姿。
「他は!」
「氷川さんが全員避難させました!後は・・・」
―――私達だけ。
その言葉と同時に、壁を突き破り現れるトラック。
「なっ・・・!?」琢磨は息を呑んだ。
そして、そのコンテナから現れる金色の兵士。
「・・・・ライオ・・・トルーパー・・・」
琢磨は、無意識のうちに呟いた。
―――私だけなら戦えるだろうが・・・
ちらりと、後ろを見る。気を失った沢木と加奈・・・
―――万事休す、か。こんな事なら―――
向けられる銃口を前に、琢磨は思った。
―――あのラビオリのお変わりを貰っておけば―――
自分の意外な食い意地の悪さに、ふと気付く。
そして、衝撃が――
473555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/06(水) 17:19:55 ID:pgbZ4OJg
――来ない?
薄っすらと目を開ける琢磨達。そこには、葦原が立っていた。
いや―――
葦原、と琢磨がが認識したヒト以外のモノが。
エクシード・ギルス。
今の彼がそう呼ばれる存在である事を、琢磨は知らない。
そして、ギルスの咆哮。
葦原の触手は、ライオトルーパーをなぎ払う。
その隙に沢木を抱え上げる氷川。
「氷川!琢磨!・・・・皆を・・・頼む!」」葦原の叫び。
琢磨はうなずく、そして、
「行きますよ!」
と言う氷川に次いで走り出した。
琢磨は一旦立ち止まると、葦原に言う。
「・・・・先程の答えは・・・答えは、十年後、貴方が生きていたら答えますよ!」
此方を向き、うなずく葦原。
その野獣のような咆哮の中、琢磨たちは車に乗り込んだ。
474555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/06(水) 17:27:18 ID:pgbZ4OJg
・・・・っと、書き溜めてあったのはここまで。
続きは又次回があれば。
475名無しより愛をこめて:2005/04/06(水) 22:17:36 ID:8duxyDmn
なんか普通にカッコいいなあ、禿。
476名無しより愛をこめて:2005/04/07(木) 00:16:37 ID:pq5if94Z
447さん、乙彼です。
新名は本編中、あれだけ濃い連中揃いの上級UDで
描写が薄い方だったので期待しています。
477447:2005/04/07(木) 00:25:38 ID:MFFwagt9
>555外伝

台詞一言一言が熱いです。
葦原の描写で、なんだかまたアギト見たくなりました。

>>476
どうもです、ちょうど先ほど第二話が出来たので今から投下します。

前よりさらにライダー達が出てきません。
本編と合流するのはもう少し先です。
なんだか書くにつれて予想より長くなり、5〜6話くらいまで行きそうです。
478『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:32:55 ID:MFFwagt9
<第2話>

-1-

新名と守山はブラックファングをトラックに積むと、すぐに施設を脱出した。
ブレイドとローカストアンデッドの戦いは結局ブレイドの勝利に終わった。
ラウズカードによる技の発動は一度は避けられたものの
ローカストアンデッドと組み合った瞬間に第二撃を発動し、倒した。
センスはあるのかもしれない、と新名は思った。
ブレイドの中身───確か剣崎一真という名だ────は、
変身を解除するとその場で何やら悔しそうに呻いていたが、
とりあえず今の新名にはやることがあったので手を出さなかった。

夜の闇の中をトラックが進む。
ハンドルを握るのは新名で、守山は助手席。
トラックの荷台には、それ以外にも研究資料がぎっしりと積み込んである。
他にも色々と役に立ちそうなものはあったが、あまり欲を出すのは良くない。
守山はしばらくするとスヤスヤ寝息を立て始めた。
会話を続けなければ眠気が襲うわけでも無いので、新名は放っておいて運転を続けた。
479『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:33:48 ID:MFFwagt9
目的地には夜のうちに到着した。
森の奥にある、小さな別荘だった。新名は守山を叩き起こすと鍵を開けて中に入った。
別荘の中は案外掃除が行き届いていて水や食料、燃料の蓄えもある。
ここは新名が手に入れた活動拠点の一つなのだ。
上級アンデッドの力を使えば、人間社会で必要なものは簡単に手に入った。

アンデッドなのだから野外で寝起きしても問題は無いが、荷物が多いとそうも行かない。
服や小物は変身時に偽装できるが大型のパソコンや車両は無理だった。
だから、この別荘のような活動拠点が必要だった。

明かりや騒音で誰かに気づかれては困るので、作業は夜が明けてからすることになった。
熱いシャワーも使えたし冷蔵庫には食べ物もあったが、部屋の場所を教えてやると
守山はすぐにベッドに倒れこんだ。緊張で疲れているのだろう。
480『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:35:18 ID:MFFwagt9

新名は冷凍庫からパン、冷蔵庫からハムとゆで卵を出すと二人分サンドイッチを作り、
自分の分をむしゃむしゃ食べ、守山の分をラップで包んでおいた。
それからじっくりとシャワーを浴びた。
これらの行動もアンデッドには必要の無いものだが、
新名は人間態の時はなるべく人間らしく振舞うことにしていた。
いくら知識と判断力に優れた上級アンデッドでも、人間特有のしぐさや行動は
日頃から訓練していなければ身につかない。
特に新名はこれから人間を駒にして扱う以上、疑いを持たれるような行動は避けたかった。

自室に戻るとパソコンを立ち上げた。
ネットでニュースをチェックしたが、予想通りBOARD襲撃関連の記事など一つも無い。
秘密主義、情報統制。それはこちらにとっては好都合だ。
彼はしばらくネットを見て回った後、明かりを消しベッドに入った。
別に眠いわけではない。頭の中では明日からの計画が繰り返し再検討されていた。

遠吠えが聞こえた気がした。
彼の眷属──人間からの改造ではない、この国では今は絶えたとされる狼の血筋──が
森に散らばり警戒の任についているのだった。
481『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:36:47 ID:MFFwagt9
-2-

守山が起きた頃にはすっかり日は昇りきっていた。
彼が寝ぼけたままキッチンに行くと、サンドイッチと新名が書いたメモがあった。
大きな冷蔵庫には未開封のオレンジジュースと牛乳もあったが、
彼は遠慮して開封済みのミネラルウォーターをコップに注いだ。
サンドイッチを食べながらメモを見る。
新名の指示は

1、BOARDから運び出した資料に目を通すこと
2、他の事はするな

その二点だけだった。

玄関を出ると青空と深い緑が目に飛び込んできた。
守山は休暇で旅行にでも来た様な気分になったが、頭を振ってそれを追い払うと
昨日トラックを置いた場所まで歩いて行った。

もう荷物は全てガレージに降ろされていた。
ガレージの真ん中にはカバーをかけられたブラックファングがあり、
その周囲に研究資料の入ったダンボールが置いてあった。
ノートパソコンとディスクを箱から出し、起動させるとパスワード入力の画面が出てきた。
パスワードは新名のメモに全部書いてあるので、どのディスクも簡単に読むことが出来た。
「ブラックファング…ライダーマシン。仮面ライダーかあ。」
幾つかの専門用語は彼には理解できなかったが、ディスクの中身は興味をそそるには十分だった。
夕方になって新名が帰ってくるまで、彼は黙々と資料を読み続けた。
482『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:38:22 ID:MFFwagt9
-3-

その日の夕食は新名の作ったミートソースのパスタだった。
守山は自分が作りましょうかと遠慮がちに言ったが、今日はいいと断られた。
手持ちぶさたなので守山は椅子に座り新名の調理を見ていた。
新名は挽肉をたっぷり使っていた。
昼のハムぎっしりのサンドイッチといい、彼は肉が好きかなのかなとぼんやり思った。

食べながら守山は新名に昼間どこに行ったのか聞いてみた。
彼は「これからのために必要な事をやってきただけだ」と言った。

「これから、というと?」
「BOARDは壊滅した。再建するとしてもかなりの時間がかかるだろう。
仮面ライダー達は生き残っているが、彼らだけでアンデッドに対応するのは無理だ。」
「…僕たちが、アンデッドと戦うんですか?」
「ああ。」
守山の動きが止まる。
「怖いのか?」
「怖いというより…その、勝てるとは思えないんですが。」
怖い、というのが本音だろう。新名は思った。
弱気なコイツはすぐ言い訳をする。
483『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:39:32 ID:MFFwagt9

「大丈夫だ、二人だけで戦うわけじゃない。仮面ライダーとも協力する。
今日は人手や装備を手配してきた。それに、俺達にはファングとBOARDの研究資料がある。読んだか?」
「ブラックファングの性能はすごいですね。今のライダーマシンですら相当すごいのに。」
「ああ、ファングは素晴らしい。知れば知るほど惚れこむ。」
「知れば知るほど、ってファングを作っていたんじゃなかったんですか?」
まったくこいつは妙なところで鋭い。

「前に言ったろう、俺は極秘のチームだった。ファングの開発に直接関わっていたわけではない。
俺はBOARDの裏側のチームだ。だからこんな別荘を手配できるし、お前を助けることも出来た。」
「新名さんには本当に感謝してますよ、あの時助けてもらわなかったら僕は…。」
「気にするな。それより早く食べないと冷めるぞ。」
「あ、はい、すいません。」
気にするな。そうだ。何も気にすることは無い。俺の駒に過ぎないのだから。
484『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:41:25 ID:MFFwagt9
-4-

翌日から色々な事が急ピッチで進みはじめた。
まず人員の確保。新名が集めた人間には元BOARDの者もそうでない者もいたが、
どの人間も新名が直接説得した。
彼らは身寄りが無かったり交友関係が乏しかったりと、
どちらかと言えば世から消えても問題の少ない人間だった。
そして、そういった孤独な人間は、理想を持ち出すと説得しやすい。
BOARD自体がそういう人間を集めていた傾向もあった。
完全なプロフェッショナルではなく、どこか歪んだ組織とはそういうものかもしれない。

説得に際し必要ならワーウルフも使用した。
近くに居た人間を殺しワーウルフに変え、目標を襲わせる。ちょうど良いタイミングで助けに入り、
「こんな脅威に社会が脅かされている。人類を助けるために人手が必要だ。」
使い古されたコントのような話でも、ワーウルフのおかげで真実味が増した。
彼は狙い通りに目標を仲間に出来たが、さすがにこの手はあまり多用はできないと思った。

作ったチームの目的は他のアンデッドの打倒とブラックファングの開発だ。
チームリーダーには平井という眼鏡の男を据えた。
平井は若いメンバーの中では年を食っているせいか落ち着きがあり、メカニックも銃器の操作もこなせた。
自衛隊かBOARDか、それなりの経験があるということだ。
彼の副官=サポートは守山にした。
守山は新名を信頼しているから、万が一平井が新名に疑問を持った際の安全装置なのだ。
485『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:43:07 ID:MFFwagt9

数日で10人ほどのメンバーが揃った。
新名は平井にガレージに全員集めるように指示を出した。
「新名さん、全員集めました。」
「わかった。」
新名がガレージに入ると全員が注目した。ラフな私服もいればスーツ姿もいた。
一様に皆緊張している。これからどうなるのか、という不安な目をしていた。

「俺の名はシンメイ、新しい名と書いて新名だ。」
改めて全員に自己紹介をする。
「もうすでに知っているだろうが、俺達の目的はアンデッドを倒すことだ。
アンデッド達は人間社会を脅かす、俺達はそれを排除する。シンプルだ。
アンデッドと戦うために作られたBOARDはアンデッドに襲撃され壊滅した。
今、アンデッドと戦えるのはわずか二人の仮面ライダーだけだ。」
仮面ライダーという言葉に数名が微妙な反応を示す。

「仮面ライダーは都市伝説のものではない。
実際に関わったことが無い者もその活躍を耳にしたことがあるだろう。
仮面ライダーとはライダーシステムを着用した、BOARDの対アンデッド要員だ。
彼らはBOARDのサポートに支えられ戦ってきたが、BOARDの壊滅でそれが消えた。
今のままでは、彼らはアンデッドと戦い続けることが出来なくなる。
だから、俺達が彼らを助ける。」
誰かがごくっとつばを飲む音が聞こえる。
486『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:45:01 ID:MFFwagt9

「君達は俺に会い、全員が志願してここに来た。
なぜなら君達は自分が戦わなければならない理由を理解しているからだ。
誰かがアンデッドと戦わなければならない。
誰かがやらなくてはならない仕事があり、そこに君達が居た。
まだ迷いがあったり、怖くなった奴は今この場で言ってくれ。
今ならまだこの戦いから抜けることが出来る。これが最後のチャンスだ。」

沈黙。誰も一言も発せず時が過ぎる。
まあこの状況で辞退できる人間など普通はいないのだが、
新名は邪魔な奴はなるべく早く排除したかった。
余計な迷いを持つ奴がいれば、士気に影響しトラブルが生まれるだろう。
後々になってから始末する手間は省きたかった。

「よし、皆よく決断してくれた。
これから俺達は一つのチームであり、共に戦う仲間だ。
チームは基本的に二つの班に分ける。アンデッドとの戦闘を主体とする班と…」
新名はカバーを勢いよくはずした。ガレージがどよめきに包まれる。
「このブラックファング、そして対アンデッド用の武器を開発する班だ。」
全員がブラックファングに度肝を抜かれていた。そうだろう、こんな兵器は人間社会には無い。
必要ないからだ。
487『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:45:50 ID:MFFwagt9

「最後に、チームの名はアンデッドハンターだ。俺達はアンデッドを探し出し、倒す。
チームの一員として、ハンターの一員としての誇りを持ってくれ。
これから厳しい訓練と戦いが待っているが、俺は君達なら出来ると確信している。
何か質問は?」
再び沈黙。
だが先ほどまで迷いの色があった彼らの目には、確かな意思が宿っていた。
「よし。平井、班分けを始めてくれ。」

打ち合わせ通りに平井がテキパキと指示を出す横で、新名は少しため息をついた。
付け焼刃の人間向け演説だったが、まあそれなりの意味はあったようだ。
ふと守山と目が合った。
なにやら笑顔を向けられて、新名はまた少しため息をついた。
488『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:48:07 ID:MFFwagt9
-5-

翌日から訓練が始まった。
直接戦闘には加わらない開発班も、基礎訓練には参加する。
体操から始まりマラソンやダッシュ、そして体操に終わる基礎体力作りに、銃器の操作だ。
その後で戦闘班はさらに厳しい運動と具体的な戦闘訓練を行う。
訓練教官も平井の役割だった。新名は優秀な男だと思った。
優秀であるが、上官=新名の指示には疑問を持たない所もある。
彼はそこがさらに気に入った。

「撃て!」
平井の号令で一斉に引き金が引かれた。
新名は地下室を利用して簡単な射撃練習場を作らせていた。
隊員達は両手で銃を保持し、素早く引き金を引く。
平井は隊員には両手での構え方を教えていたが、彼自身は片手撃ちを好んだ。
「撃ちかたやめ!」
ぴたっと銃声が止み、全員が銃を置くと標的を確認する。
ほぼ全員素人だったがある程度訓練すると標的を外さなくなった。
新名はその成果に満足していた。標的を外さないことはとても重要だ。

「新名さん、やっぱすごいですねえ」
守山が新名の標的を見て感心したように言った。
新名の撃った銃弾は、全弾ターゲットのど真ん中を撃ち抜いていた。
新名はなるべく訓練に参加し、隊員達と苦楽を共にすることにしていた。
彼はアンデッドの能力を抑えつつもその力を見せ付けたので、
それがまた隊員達から畏敬の念を抱かれることになった。
489『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:49:44 ID:MFFwagt9

武器や開発機材、食料に衣服、必要なものは何でも新名が揃えた。
戦闘班の主な基本装備は黒の戦闘服にプロテクター、ゴーグル、無線機、
武器はリボルバーと手榴弾、それにナイフだ。
必要な数のリボルバー(回転式拳銃)と手榴弾を手に入れるのも簡単だった。
さらに予備のパーツに整備用具、大量の銃弾。
上級アンデッドの力は素晴らしい。もちろん入手方法は誰にも言わなかった。
(わざわざ聞いてくる奴もいなかったが)

リボルバーと手榴弾ではアンデッドにダメージを与えるのは難しい。
平井にも守山にも指摘されたが、新名は他の武器は手に入らなかったと答えた。
そう言われると二人とも引き下がるしかないし、ブラックファングが完成・量産化されるまで
アンデッドハンターの仕事は仮面ライダーのサポートなのだ。
そもそもアンデッドにダメージを与えても、「封印」装置が無い。
アンデッドの活動を一時的にでも止める兵器が出来るまで、
あくまでアンデッドの活動を牽制する、それが彼らの共通認識だった。
490『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:55:00 ID:MFFwagt9

だが、アンデッドである新名としては、あまり対アンデッド用の兵器を作られたり
対アンデッド用のチームが強力になられては困るのだ。
現在でさえ強力な戦争用の兵器が世界には溢れている。
下手すると携帯式のロケット弾数発でも下級アンデッドのバックルは開くだろう。
もちろん、当たればの話であるが。
もし、人間達の軍隊や警察が対アンデッド用装備と知識を得て、本格的にアンデッド殲滅作戦を開始すれば、
例え上級アンデッド達でさえも長くは戦えまい。
このバトルファイトは再びヒューマンアンデッドの勝利に終わる。

だから、新名にとってBOARDの秘密主義と壊滅は非常に好都合だった。
ライダーシステムにしても「アンデッドを倒す」ためだけの装備でしかない。
仮面ライダーの攻撃手段は肉弾戦に限定されていた。
赤い戦士、ギャレンは銃を使うがそれでも近距離戦用である。
彼らが接近戦にこだわるのは、市街地で動き回るアンデッドに接近し、
「周囲に被害を及ぼすことなく」確実にダメージを与えるために他ならない。
ミサイルで人のいる建物ごと吹き飛ばすような真似は、彼らには出来ないのだ。

人間はそのままでいてくれればいい、新名は改めて思った。
いずれ滅びの日が来る。
彼がバトルファイトに勝利すれば、人間は駆逐される運命なのだ。
アンデッドハンターもファングも俺の道具だ。
情報を集め、仮面ライダー達を騙し、他のアンデッドを倒す。
そのために人間を利用する。彼は当然の事だと思っていた。
491『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:56:44 ID:MFFwagt9

新名は窓の外を見ながらさらに考える。
そう、そういえば同じようなことを考えている奴がいた。
そいつの名はピーコックアンデッド。孔雀の不死生物でカテゴリーは新名と同じJ(ジャック)だ。
眷族の報告によれば今は伊坂と名乗り、人間を操って組織を作っているらしい。
新名は伊坂=ピーコックアンデッドが苦手だった。
勝利のためにあらゆるものを利用し研究する。それを厭わないのは新名も伊坂も同じだが、
伊坂の方には新名には無い老獪さと得体の知れない不気味さがあった。

俺にはあいつに無い臆病さがある、と新名は思う。
臆病だから慎重になる。物事は慎重にやらなければならない。
それは他のアンデッドとの格闘戦でも、彼のやっている計画でも同じだ。
伊坂とは近い内に戦うことになる。奴は潰さなければならない。
そして、奴の研究も人材も全てもらう。

新名は満足そうに息を吐いた。
しかし同時に彼は伊坂には無い激情性、戦闘時の感情の爆発も持ち合わせていた。
その激情が命取りになるということを、彼の若々しい性格は意図的に無視した。
492『狼と人間の黒い牙』第2話:2005/04/07(木) 00:58:54 ID:MFFwagt9

新名はノックの音で我に返った。
「なんだ?」
「守山です。食事の準備が出来ました。」
「わかった、すぐ行く。」

訓練後のわずかな時間、自室で休むつもりがだいぶ長い間物思いに耽っていた。
ここしばらくの人間との集団生活で、少し人間性に慣れすぎたかと彼は思った。
予測はしていたが対処法を考えなくてはならない。
滅ぼす相手との馴れ合いは危険だ。
部屋を出るとちょうど守山が階段を下りようとするところだった。
「お疲れ様です。」
「ああ、メニューは?」
「鶏肉の照り焼きがメインってとこです。」
「うまそうだな。今日の料理当番は?」
「僕です。」
「そうか、それは期待できそうだな。」
その言葉に守山が照れ笑いをする。
守山が料理に詳しかったのは新名にとってある意味幸運だった。
アンデッドの身では忘れがちだが、食事は人間の士気に影響する。
集団生活を管理する以上気をつけなければならない。
それに守山の料理は確かにうまい、と新名は思う。
人間を滅ぼすのには一遍の迷いも無いが、この料理が食べられなくなるのは少し残念だ。

眷属に作り変え、生き延びさせるのもいいかもな。
新名は冗談みたいに考えながら、守山と一緒に階段を下りていった。


<続く>
493447:2005/04/07(木) 01:00:42 ID:MFFwagt9
今日は以上です。
次はもう少し物事が動きます。
ではまた。
494アイキャッチ ◆r33gKGW/KA :2005/04/07(木) 01:01:22 ID:E2TmOb1U
>493
リアルタイムで読ませて頂きました。乙彼!
495名無しより愛をこめて:2005/04/07(木) 13:47:11 ID:gD4EQa6y
乙です。伊坂VS新名とか期待しているのは自分だけですかそうですか
496名無しより愛をこめて:2005/04/07(木) 13:53:39 ID:A3RynS+D
戦うのはともかく本編では実現しなかった上級との対談も期待してしまう内容だね。
ライスピやクウガのゴみたく全員が群れるシーンとか鳥肌立つだろうな。
497495:2005/04/07(木) 14:28:45 ID:u88IKi4I
いや、どうしてもこういうの考えちゃうんだよ。
敵対敵の戦いって滅多にないからさ。しかも似たような力がある奴らだと特に。
まぁこいつらの場合は組織どうしの戦いになるか。
498名無しより愛をこめて:2005/04/07(木) 22:35:09 ID:I4X2tLS9
>>555外伝
皆、俺の説を良く聞いてくれ。
琢磨を主役としたSS→禿カコイイ→禿でも良い・・・

    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > そう、このSSは全日本人禿化計画の第一歩だったんだよ!
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠ 
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /
499名無しより愛をこめて:2005/04/08(金) 00:52:00 ID:/iK6CmOR
なっなん(ry
まあでも俺もう禿でもいいや〜禿カコイイ…
という訳で555外伝さん頑張ってください。

所で津上とか氷川とか、琢磨タンの容姿について突っ込まないのかな?
誰かさんに似てるとか…
500名無しより愛をこめて:2005/04/08(金) 18:32:47 ID:sC9O9v5z
まとめサイト更新。
501名無しより愛をこめて:2005/04/08(金) 21:21:30 ID:xx9OL7V+
職人さん、乙です。
アギトと555の世界ってうまいことリンクできますよね。世界観が似てるから
だろうけど。今後も傑作期待してます。

502447:2005/04/10(日) 17:02:28 ID:q3YseOHk
ども、感想ありがとうございます。
やはり5話くらいまでは行きそうです。
503447:2005/04/10(日) 17:03:27 ID:q3YseOHk
<第3話>

-1-

季節は変わり、気温も少しずつ上がっていた。
青空の下、黒ずくめの隊員たちが日頃トレーニングに使っている敷地に整列していた。
今、隊員達の前に2台の車両がある。
トヨタのSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビーグル)とオフロードバイクだ。
SUVは戦闘班の隊員の移動用で、バイクは新名専用である。
隊員達にはどちらもピッカピカの新品に見えた。

「ああ、自由に見ていいぞ。」
新名の声で隊員たちがSUVに駆け寄る。
新しいおもちゃを買ってもらった子供みたいだな、と新名は思った。
確かに新名からすれば隊員達は子供のようなものである。
それは、手塩をかけて育てている我が子のよう、という意味でもあり
何も知らずに操られる無垢な子供という意味でもあった。
504『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:04:06 ID:q3YseOHk

新名も自分のバイクの方に行く。
バイクはホンダのXR250モタード、カラーはブラックだ。
XR250モタードはそのベースとなったXR250に比べ舗装路走行に適している。
彼が自分専用のバイクを手配したのは、
第一にはブラックファング完成までにバイクの操作に慣熟するためだ。
通常のオフロードバイクとブラックファングは、異なる物とはいえ基本的な操作は似通っている。
また、アンデッドハンターの隊長としても、単独行動が出来た方が良い。
彼がアンデッドとして色々な策を実行するためには、隊員達といつも一緒にいるのは都合が悪かった。

バイクに乗りキーを入れ、セルスイッチを押すとすぐにエンジンが始動した。
単気筒エンジンの軽快なアイドリング音が周囲に響く。
「おおー。」
気がつけば周りに居た隊員達に、なんだか分からないが歓声で迎えられた。
「俺はしばらくこいつの練習をする。お前達もSUVに慣れておけよ。」
「はい!」
隊員達はSUVの元に戻り、平井の指示を聞く。
新名はそれを見ながらしばらく暖気した後、ギアを落としゆっくりと走り出した。
505『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:05:31 ID:q3YseOHk
-2-

新名は別荘付近の不整地と舗装路でライディングを楽しみ、
バイクの汚れを落とすとガレージに戻った。
目的は操作訓練であるが、バイクを操るのは確かに楽しかった。
ガレージに戻ると、開発班の面々がツナギ姿でファングの調整を行っていた。
開発班の一人が新名に気づき話しかける。
「お帰りなさい。どうでした?」
「ああ、いい感じだ。早くファングに乗りたいよ。」
「もう少しですよ、もう少しで走れるようになる。」
新名はバイクから降り、そっとファングに手を触れる。
「ッ!?」
その瞬間、触れた手から全身に奇妙な感覚が走った。
これはなんだ!
思わず手を離し周囲を見渡す。
周囲の開発班員達は自分の作業に没頭しており、新名の異常には気がつかなかったようだ。

新名はゆっくりとファングから離れると、ファングに触れた手を見つめた。
今のはなんだ?
わずかだが、力を感じる。
ブラックファングはライダーシステム・ライダーマシンと同じく、
バトルファイトに由来する力を利用したマシンだ。
アンデッドであるこの身と共鳴してもおかしくは無い。
…ますますコイツが気に入った。

エンジン音に振り返ると、隊員達が訓練を終えSUVでガレージの前まで戻って来るところだった。
506『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:06:32 ID:q3YseOHk
-3-

ブラックファングの開発は順調だった。
他の対アンデッド機器に関しても、BOARDから運び出した資料と資材を形にするだけで
かなり使い物になることがわかった。

例えばアンデッドサーチャー。
その名の通りアンデッドを探すためのプログラムで、パソコンとアンテナさえあれば簡単に使える。
アンデッドサーチャーの存在を知った時、アンデッドである新名は戦慄した。
これではいかに上級が人間に偽装しても、どこに隠れても人間に存在を知られることになる。

しかし現在のアンデッドサーチャーでは、
アンデッドの攻撃バイオリズムが一定値を超えなければ見つけることが出来ない。
さらにアンデッドハンターとしてもアンデッド発見手段が不可欠だ。
結局新名は仕方なくアンデッドサーチャーの導入を認めた。
だが、もしアンデッドサーチャーが平常時のアンデッドすら見つけるようになったら…。

ガレージと繋がる作戦室に行くと、守山がパソコンとにらめっこしていた。
「どうした?」
「開発版の人がアンデッドサーチャーを改良したんです。」
その台詞に思わず血の気が凍る。
「俺は聞いていない。」
「あー、すいません、たいした改良じゃないんですよ。
アンテナの位置とか、パソコン使用上の調整とか。」
「驚かせるな…。俺には一応報告しろ。もし改良して不具合が起きた時、
知らなかったでは後手に回る可能性がある。」
「わかりました、すいません気をつけます。」
あとで開発班員にクギをさしておく必要がある。
余計な事をされてはたまらない。
507『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:07:26 ID:q3YseOHk

そのまま椅子に腰掛け、守山と話す。
「コーヒー入れましょうか?」
「いや、いい。どうだ、訓練には慣れたか?」
「ええ、最初は辛かったですけど…。」
「他の連中はどうだ?」
「みんなすごい真剣にやってますよ。でも」
「でも?」
「ああ、大した事じゃないです。ちょっと飽きはじめている人もいるかも」
「そうか。」
予想はしていた。
社会と隔離された訓練の日々で、しかも他に娯楽も無ければ飽きるのは早い。
「カズアキ、お前はどうなんだ?」
「え、ええ、僕は楽しいですよ!」
なぜか妙な反応を示す。
「どうした?」
「いや、僕のこと名前で呼ぶの新名さんだけですから。」
ああ、そんなことか。
「モリヤマよりカズアキの方がなんとなく呼びやすい、それだけだ。前にも言ったろう。」
「はあ、まあいいですけど…。」

「それで、お前は訓練が楽しいのか?」
「ええ。生きている実感がするっていうか。」
「今まではそうじゃなかったみたいだな。」
「なんか、生きる目的が分からなかったというか、
ただ生きていただけというか。」
「なんだそれは。目的の無い生になんの意味がある!」
知らずに語気を強めていた。目の前の青年が驚いたようにこちらを見る。
しまった、心の中で舌打ちして笑顔を作る。
508『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:08:14 ID:q3YseOHk

「…それは駄目な事だ。今は生きる目的が見つかったのか?」
「は、はい。新名さんや皆とアンデッドを倒すって事が目的です。
すごく生きてるって実感がありますよ。」
「そうか。良かった。その実感を忘れるなよ。」
「はい!」
「俺は夜になったら出かける。夕食はいらない。」
「わかりました、気をつけて。」
守山の声を背中に受けながら作戦室を出た。
新名が武器や資材の調達、情報収集に一人で出かけるのは日常茶飯事なので
いまさら疑うものはいなかった。

新名は廊下を歩きながら先ほどの言葉に再び怒りを覚えていた。
”生きる目的が分からなかったというか、ただ生きていただけというか。”
そんな生が許されるのか。ではこの俺は何なのだ。
アンデッドとして戦い続ける事を目的とし運命付けられたこの俺は。
人間の心理などある程度心得ていたつもりだが、苛立ちを感じる。
どうも最近人間として振舞う時間が長すぎるのかもしれない。

「ふう。」
ため息と共に雑念を振り払い、今からやる作業に意識を向ける。
そろそろアンデッドハンターには実戦経験が必要だ。
訓練ばかりでは中だるみをする。
ハンターに獲物を用意してやるのだ。
509『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:09:21 ID:q3YseOHk
-4-

真夜中、アンデッドハンターの基地からは少し離れた街外れ。
この時間になれば、大都市でもないこの辺りには人影はほとんど居なくなる。
居るとしても会社帰りのサラリーマンや学生くらいのものだ。
ちょうど終電も通り過ぎ最後の客が駅から家路に急ぐ。
数名はタクシーを拾い、残りはそれぞれの家の方向へ散っていった。
何人かは駅前の居酒屋で一杯やっていくのだろう。

新名は建物の屋上からそれをじっと見ていた。
今日はいつもの黒い戦闘服では無く、私服だ。
獲物を見定めるように何人かに視線を向ける。
「あれでいいか。」
街灯の少ない方向へ一人で歩いていく女性を見つけると、
建物の影を跳躍しつつ後を追った。

会社帰りのその女性はハイヒールを響かせて家路を急いでいた。
いくらこの国の治安が良いとは言っても、
この時間、民家も無いこの辺りを女性が一人で歩くのには勇気がいる。

「ケチらずにタクシーを拾えばよかったかなー」
彼女はここを通る時はいつも同じ事を呟いてしまう。
そうは言っても毎晩タクシーを使う事など出来ないし、
全く同じ時間同じ場所へ一緒に帰る人など、彼女の周りにはいなかった。
せめて自転車か、いや原付を買おう、そうすれば今よりは安心だ。
そう思って彼女は頭の中で給料と生活費の皮算用を始めたが、
結局原付を買うことは出来なかった。
ウルフアンデッドに姿を変えた新名が、彼女の真後ろに降り立った。
510『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:10:26 ID:q3YseOHk

新名は建物の影から女性の後ろに静かに降りた。
気配に気づいた彼女が振り返る。新名はその胸に向けひょいと爪を振るった。
彼女は何が起こったのかもわからないまま、新名の腕の中で死んだ。
新名は目撃者が居ないことを確認し、死体を抱えて暗がりへと飛ぶ。

近くの雑木林へ死体を運び、死体がワーウルフへと変貌するのを確認する。
それなりに綺麗だった顔立ちは見る見る毛に覆われ、細い肉体が音を立てて変貌していく。
完全に人ならざるものへ変わった死体は、起き上がるとじっと新名を見つめた。
新名はそれを見て満足そうにうなずく。
彼はその新しいワーウルフに指示を与え、素早くその場を離れた。

「これで二体目。」
ワーウルフが彼の指示通り人家から遠ざかり、身を隠すのを感じると
彼はアンデッドの姿を解いた。
二体で十分だろう。あまり人が消えると騒ぎになる。
今夜作ったワーウルフがアンデッドハンターの初の獲物となる。
後は基地まで戻り、頃合を見計らってアンデッドサーチャーに反応させる。
アンデッドハンターが出動し、悲惨な姿になったアンデッドの犠牲者を銃で成仏させる。
SUVで追い詰め取り囲む。
そうしたら正面に目標を捉え引き金を引くだけだ。
バンバンバン、こんな射的は小学生でも出来る。
ワーウルフは撃たれても抵抗などしない。そう指示する。
511『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:11:36 ID:q3YseOHk

人目につかぬよう廃工場の脇を通り、トンネルをくぐろうとしたところで
突然後ろから声をかけられた。
「なんだか面白いことをやってるね、君は?」
弾かれたように振り返る。
月明かりの下、赤いシャツを着た少年が立っていた。
「カテゴリーK(キング)!」
瞬時にウルフアンデッドの姿になり一気に距離を詰める。
奴の盾と剣にまともに打ち勝つ力など無い。
この身の武器は、スピードだ!

「ウォオオオオオオオウ!」
「おっと!」
少年は横に動き新名の爪をかわす。
二撃、三撃、立て続けに爪を振るう。
徐々に少年の動きに追いついてきた。
「ととっ…、しょうがないなあ。」
新名が空中に飛び上がり両足で蹴りを放った瞬間、
少年の姿が黄金の鎧に包まれたアンデッドへと変わった。
新名の蹴りを容易く盾で受けると、その手に持った剣で打ち払う。
「ッ!!」
吹き飛ばされた新名の体がトンネルの壁に激しい音を立てて当たり、
コンクリートの破片と共にそのまま下に落ちた。

「くっ…!」
すぐに身を起こし少年を睨み付ける。
金と銀の二体のアンデッドが僅かな月明かりの下で相対する。
512『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:12:23 ID:q3YseOHk

「やーめやめ。別に戦う気はないんだよねえ。」
金のアンデッド=カテゴリーK(キング)であるコーカサスビートルアンデッドが
少年の姿に戻った。
「なんだと…!」
「ただ君が何か企んでそうだなあ、と思ってね。」
「!」
こいつ、知っているのか。俺がやろうとしていることを。

「ピーコック…今は伊坂か。彼も色々とやっているね。君達はそういう事が好きだからさ。」
「俺の、邪魔をする気か。」
「そんなことはしないよ。僕は楽しめればいいのさ。」
「楽しむだと。」
「僕達アンデッドが苦しい戦いをしてるのに、人間達はのんびり暮らしてる。
気に入らないと思わない?」
「……人間がどうあろうと、俺には関係無い。」
「ふふ、君は真面目だからなあ。あの虎とはまた違った意味で真面目だな。」
「ふざけるな、お前もアンデッドだろう、己が種の為に戦え!」
その答えに、また少年が笑う。

「君もなんだか人間臭い事を言うね、やっぱり人間に付き合うと変わるもんだねえ。」
「どういう意味だ?」
突然、ドキッとするような確信に触れてくる。
「以前の君は一々そんな事を言わなかったんじゃないかな。」
「……。」
「まあ僕を楽しませてくれればいいんだけどさ。」
513『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:13:18 ID:q3YseOHk

少年が言い終わる前に、新名はその爪で切りかかっていた。
「やめなよ。」
少年は再びアンデッドの姿に変わり、盾でその爪を弾く。剣で何度も切り付ける。
「君じゃあ僕には勝てない。」
ついに新名は地面に倒れ、人間の姿へと戻った。緑の血が体から滲み出してくる。
「努力は認めるけどね。」
屈辱。思わず手を握り締める。それを見て、少年が静かに笑う。

「無駄な戦いなんて止めて楽しみなよ。それに君は知ってる?
封印のあの石が機能していないって。」
「!?バカな!」
「本当だよ。アンデッドを倒しても封印に来ない。僕らは戦っても無駄って事さ。」
「そんな…。」
「あの”ジョーカー”も姿を見せないしね…。このバトルファイトは最初から
意味が無いんだよ。」
頭が混乱する。どういう事だ、バトルファイトに意味が無いだと。

「だからさ、別にここで君を倒してもしょうがないって事。
なんだか企んでるなら、面白そうだから頑張ってよ。」
「馬鹿にするな!」
新名が再びアンデッドの姿に変わろうとしたところで、少年が声を上げた。

「あーもう。とめろ。」





「動かせ」
514『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:14:10 ID:q3YseOHk

-5-

新名にとっては一瞬の事だった。
瞬く間に目の前からカテゴリーKが消え去った。まるで魔法だ。
人間の姿のままトンネルの中で立ち尽くす。
頭の中では先ほどのカテゴリーKの言葉が鳴り響いていた。

”このバトルファイトは最初から意味が無いんだよ。”

発作的に壁を殴りつける。
壁のコンクリートが割れ大きなへこみが出来た。
壊れた壁を一瞥すると、新名はトンネルの外に歩き出した。

自分のバイクを隠した場所までしばらく歩いた。
緑色の血はほぼ止まり、外から見える部分は怪しまれないために公園で洗い流した。
バイクに乗って基地への道を進むと、前方から見慣れたSUVが走ってきた。
アンデッドハンターのSUVだ。
新名はクラクションを鳴らし道の端に寄せバイクを停めた。
SUVも道の端に停まり、運転席から守山が降りてきた。
助手席からは平井が降りてくる。
515『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:14:48 ID:q3YseOHk

「新名さん!」
「ああ、お前ら。どうしてここに?」
「アンデッドサーチャーに反応が、この近くです!」
ああ、まったく。

「お前ら…今の装備ではアンデッドには対抗できないんだぞ。
出動しても殺されるだけだ。」
「ええ、しかし基地で黙っているだけなんて出来ない。
偵察や住民の救助なら出来るはずです。」
「それはそうだが…今もアンデッドの反応はあるのか?」
「いえ、先ほど消えました。しかし恐らくまだこの付近に」
「なら基地に戻れ。俺も後から行く。」
「でも!」
「命令だ。貴重な戦力を失うわけにはいかない」
「…わかりました。」

隊員達はしぶしぶSUVに戻り、来た道を引き返していった。
それを見届けて、新名も再びXR250モタードのアクセルをひねる。
バイクは夜の峠道を軽快に登って行った。
516『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:16:04 ID:q3YseOHk
-6-

新名はバイクに乗りながら考えていた。
先ほどのカテゴリーKとの会話。封印の機能不全。ジョーカーの不在。
そして伊坂が取り組んでいる研究。
奴はとっくにこの異常事態に気づき、その研究を進めているのかもしれない。
眷属の報告から考える限り、奴がBOARDと同じライダーシステムを作っているのは間違いなかった。
人間を操り、新しい仮面ライダーを作る。
最初にそれを聞いた時は何故そこまでライダーシステムに拘るのか分からなかったが、
今思えばこの異常なバトルファイトの中での当然の戦略だったという事だ。

アンデッドは死なない。
アンデッドを停止させるためには封印するしかない。
だが今、自動的な封印は行われなくなった。
そしてライダーシステムはこの世界で唯一封印能力を持つ。
アンデッドとの戦いの中でライダーシステムは勝利の切り札だ。
勝ち残り最後の一体になるためには絶対に必要だろう。

バイクで連続するコーナーを軽やかに抜ける。

だが、もし最後の一体になっても願いがかなえられなかったら?
バトルファイト自体がおかしいなら、当然その可能性も考慮しなくてはならない。
この戦いに、本当に意味が無かったら。

思わずバイクを止める。呼吸が荒い。

アンデッドはバトルファイトの為に作られた存在。
バトルファイトに意味が無ければ──アンデッドの存在にも意味が無い。
俺は──。
517『狼と人間の黒い牙』第3話:2005/04/10(日) 17:16:47 ID:q3YseOHk
キーを回しエンジンを止めた。辺りが闇と静寂に包まれる。

意味が無ければ、どうする。
今更アンデッドとも人間とも戦う必要など無いというのか。
ブラックファングもアンデッドハンターも無意味か。

このままどこかに逃げるか。
上級アンデッドの力を使えば、人間の世界は簡単に楽しめる。
手に入らないモノなど、無い。
この国は狭いから、どこか外国の森林地帯を買い取って狼達と暮らすか──。

「馬鹿な、ふざけるな!」
思わず叫んでいた。自分自身に向けて。
アンデッドとして生を受けたのは運命だ。運命は変えられない。
俺はアンデッドハンターを集めた時、ガレージでこう言った。

”誰かがやらなくてはならない仕事があり、そこに君達が居た。”

そう、その通りだ。
俺がやらなくてはならない仕事がある。狼の不死生物としての仕事。
自分以外のアンデッドは全て倒す。
それが俺の仕事だ。
そのための狼の黒い牙──ブラックファングだ。

エンジンを始動させ、峠道を登る。
別荘へと続く山道の扉の前で止まり、扉の鍵を開けまたバイクを走らせる。
月の下、山道を走りぬけるバイクを狼の瞳だけが見つめていた。


<続く>
518447:2005/04/10(日) 17:18:05 ID:q3YseOHk


以上です。
感想などへのご返事はまた夜にでも…。
519名無しより愛をこめて:2005/04/10(日) 17:22:28 ID:MMvEnygT
う〜む、新名さんかっこいいなぁ・・・
言えることはただひとつ、GJ!そして頑張って。
520名無しより愛をこめて:2005/04/10(日) 17:53:16 ID:Xb5I58md
ここでキングかぁ…
うん、GJ!!
521447:2005/04/11(月) 01:25:06 ID:qUjsfX8M
感想ありがとうございます。
そしてまとめサイトの方更新乙でございます。

基本的に、
というか根本的に本編の流れに沿う事にいっぱいいっぱいなので
上級ズはあまり出てこないと思われます。
また別の番外編として書くかもしれませんが
とりあえずコレを書き終わったら考えるという事で。
そろそろライダー達出てきます。
と言ってもコレも本編に沿った出番しか(略。

ではまた気合とノリで続き書きます。
フォーーーーウと叫びながら書きます。
522名無しより愛をこめて:2005/04/13(水) 21:07:51 ID:TbyKa0zq
ほしゅ
523555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:11:46 ID:Imxqxcfr
何台も連なり移動する車両。
その先頭車両を運転しながら氷川は呟いた。
「・・・先ずは、会員を無事に避難させないと・・・・」
「避難場所はあるのですか?」
それに後部座席の琢磨が尋ねる。
「それは大丈夫ですよ。もう少し先につが・・・沢木さんの別荘があります。」
「道は知ってるんですか?」
「それは・・・」
氷川は助手席を見た。
「一度行った事があるだけですけど・・・・」
加奈が、地図を見ながらナビゲートをしている。
「それで・・・避難者の人数は?」
「会員が12名と、本日のゲスト3名です。」
「後続の車が――」
「ええ。会員が乗っているのが4台と、ゲストのワゴン車一台です。」
「ゲスト・・・連れて来て良かったのですか?」
「・・・彼らが来たのが、丁度あの金色の兵隊が襲撃した直後でしたので・・・」
下手に残ると、ライオトルーパーに襲われる事を考えて、か。それにしても・・・
―――本当に彼は不器用なのか?
琢磨の中に、疑念が浮かぶ。
とてもじゃないが、こんな真面目な男がナイフで肉を宙で半回転などする人間には見えない。
「・・・それで・・」
そして琢磨は、その疑念を植え付けた男を見る。
自分と同じ後部座席に寝転ぶ、意識の無い沢木を。
「・・・大丈夫でしょうか?」
「・・・大丈夫ですよ。きっと。」
加奈は、そう答えた。
524555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:13:42 ID:Imxqxcfr
―――いや、
琢磨は思う。
彼女は心から、そう言ったのではない。
彼女は心から、そう信じたいのだろう。
少し震えるその指は、風邪のせいか、あるいは―――
此処で琢磨は思考を止める。詮索しても意味が無い
「・・・私のせいなんです。―――私が逃げ遅れた方を助けようとして・・」
―――逆に、沢木に助けられた。
「そう・・・ですか。」氷川が、呟く。
「それで・・・他の会員への連絡は?」話を変えるため、琢磨がたずねた。
「それは全て終わらせておきました。本日のアギトの会は中止です。」
アギトの会。
ゲストを呼ぶ様な大掛かりな会。
だが―――琢磨は考える。
先程の襲撃、そして、狙われる会員。
村上はなんと言っていた?被害者は全員―――
『アギト』
この集会が、「アギト」と言う存在を支援する会だと考えれば全て辻褄が合う。
最も、それにしては規模は小さい方だろう。
「オルフェノク」を支援するスマートブレインに比べれば、だが。
それにしても―――だ。
・・・そのネーミングセンスは無いだろう。
琢磨は心の中、この名前に決めた張本人であろう沢木に、少し突っ込みを入れたくなった。
「・・それよりも―――」氷川の言葉。
これから、どうするか。琢磨は窓の外を眺める。
525555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:14:28 ID:Imxqxcfr
―――『これから』、か。
そもそも、私はこれからどうするのだろうか?
『・・・お前は人間として生きているのか、それとも・・・・』
それとも、ヒトを襲う怪物として生きているのか。
―――少し、目を閉じた。
頭に浮かんだのは、蝙蝠だった。
以前は、あんな中途半端な生物が嫌いだった。
何故かは判らなかったが、今は少し、わかる気がする。
おそらくその、中途半端な存在が、似ていたからだろう。
限りなく似ている。
―――私に。
ヒトと、バケモノ、その間を蝙蝠のように浮かんでいる私に。
―――惨めな物だ。
どちらにするかも決められないで、中途半端に生きている。
どちらにするかも決められないで、今のうのうと生きている。
ヒトである事は捨てたはずだった。
―――オルフェノクになったあの日から。
ヒトである事は捨てたはずだった。
―――初めて、ヒトを殺した日から。
526555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:15:54 ID:Imxqxcfr
だが、
バケモノになる事もできなかった。
―――目の前で、完全にヒトを捨てた影山さんを見て。
バケモノになる事もできなかった。
―――何か、自分の中にあった何かが無くなってしまう様な気がして。
どちらからも、逃げ出した。
そして今、ここに居る。
いずれは彼らにも判るだろう、自分がどんな存在か。
だから、
だから、その前に―――
琢磨は目を開いた。
そして、
周りにいる氷川や、加奈や、沢木達との、いずれは必ず来る別れを考える。
琢磨の見る世界は、瞳ににじむ塩水により、軽く歪んだ。
527555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:17:30 ID:Imxqxcfr
「・・・それにしても・・・」
似てますね。静寂に耐えられなくなった氷川が琢磨を見て、ポツリと言った。
「・・・また北条という方の話ですか?」
沢木、葦原、アギトに来た尾室というひげの似合わない警官、それと小沢という姐御肌の女性、そして今度はこの氷川。
「これで5人目ですよ?その方が私に似ているといったのは。」
「でも・・・本当に似ていますよね。」
加奈が軽く笑いながら呟く。
琢磨の中の大福帳に六人目が追加された頃、琢磨はある異変に気がついた。
「・・・どうか・・・しましたか?」
窓から身を乗り出し、後方を見る琢磨に尋ねる加奈。
琢磨は、出来るだけ落ち着いた声で、答える。
―――追跡されている。
「追跡・・・!?」加奈が驚いた様子で後方を見た。
最後尾のワゴン車の後ろにちらつく、何台もの金色のバイク。
琢磨はそれ―――ジャイロアタッカーを見取ると、舌を打った。
「・・・・・さて、どう対処しますか?」琢磨が氷川に尋ねる。
「・・・先ず会員達の安全を優先しないといけませんが・・・・・」
「案は?」
「我々と会員と、二手に分かれる・・・・」
―――いや、
その氷川の言葉に続ける琢磨。
「万一、会員の方へ向かってしまうと厄介ですよ・・・」
会話が途切れた。こうしている間にも一刻一刻と時は過ぎる。
―――一刻一刻、死の可能性が高まる。
その静寂を破ったのは、この状況には似つかぬ軽やかな電子音。
沢木の携帯電話へ、連絡が入った。
加奈はそれを取る。
「はい・・・・・えぇ!?」
―――琢磨と氷川を襲う超音波。
528555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:21:53 ID:Imxqxcfr
「なんですか!?一体・・・」琢磨が耳を押さえたずねる。
「それが―――ゲストの方から連絡があって・・・」
「連絡?」
「『あいつらは俺達で何とかする。』って・・・」
そして、後方から、微かに聞こえる声。
只の人間である氷川と、完全にアギトに覚醒してはいない加奈には聞き取れなかったが、
後方の追跡者に対し、感覚を澄ませていた琢磨にはその言葉が聞き取れた。
『変身』
ワゴン車から放出する青き光に、氷川たちが驚く中、琢磨はこの再会を呪っていた。
―――ゲスト、か。つくづく私には『偶然』の女神が付きまとっている様だ―――
そして、ワゴン車の上に立つ男。
―――あなたも、そうは思いませんか―――
黒く輝く装甲に身を包んだ、赤い仮面の戦士。
―――三原、修二。
デルタ。
529555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/14(木) 20:27:33 ID:Imxqxcfr
      ./       ;ヽ 
      l  _,,,,,,,,_,;;;;i  <いいぞ ベイべー!
      l l''|~___;;、_y__ lミ;l キャラをついつい追加しちまうのは俺だ!!
      ゙l;| | `'",;_,i`'"|;i |  それでまとめるのに苦労するのも俺だ!!
     ,r''i ヽ, '~rーj`c=/ 
   ,/  ヽ  ヽ`ー"/:: `ヽ
  /     ゙ヽ   ̄、:::::  ゙l, ホント SSは地獄だぜ! フゥハハハーハァー
・・・さて、来週までに続き書こう。
530名無しより愛をこめて:2005/04/14(木) 22:47:11 ID:uJ8GN/3d
わー!!!!!
なんか三原がものすっごくカッコイイ!
三原好きなので、ガンガン活躍させちゃってください。
531名無しより愛をこめて:2005/04/15(金) 08:15:27 ID:eGQCVUAu
話も面白かったが>>529にもワラタ
三原が出るとは思わなんだ!期待してます。
個人的に、やっと琢磨タンの容姿にツッコミが入ったのが嬉しいw
532名無しより愛をこめて:2005/04/15(金) 23:03:49 ID:5cx4a8hr
次回は
三原相変わらずのヘタレっぷりで速攻変身解除、
そして琢磨ついに念願のデルタ変身、か?
533447:2005/04/16(土) 14:11:29 ID:Qmf0/t/j
>>529
>ホント SSは地獄だぜ! フゥハハハーハァー

フォーウ!フォオーーーーーウ!フゥハハハーハァー !
(激しく同意中)
そして乙です。

『狼と人間の黒い牙』第4話

長くなりそうなので、分割して6話完結にする予定です。
534『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:12:42 ID:Qmf0/t/j
<第4話>

-1-

「目標に動きなし。下車して前進しろ」
「了解」

その夜は月も出ない闇夜だった。
廃工場の暗がりに潜む一台のSUVから数名の男達が降りてきた。
全員が黒い戦闘服に身を包み、手には拳銃を持っている。
「前進」
先頭の眼鏡の男の指示でその一団はゆっくりと歩き始めた。

新名からアンデッドハンター出動の指示が出たのが約数十分前。
休息を取っていた隊員達は素早く装備を身につけSUVに乗り込む。
後部座席ではノートパソコンのアンデッドサーチャーが作動し
常にワーウルフ──これから戦う相手──の位置を示している。
全員が緊張し、一言もしゃべらなかった。
新名がバイクで先行し偵察、SUVの戦闘班はその指示で目標を包囲する。
そういう段取りだった。

新名は隊員達とワーウルフの様子を同時に監視していた。
ワーウルフは肉眼で監視し、隊員達は眷属の狼で監視する。
ワーウルフはふらふら歩いているだけで、じきに戦闘班と接触するだろう。
一体倒したらもう一体、それで任務完了だ。
535『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:13:56 ID:Qmf0/t/j

「平井、ワーウルフがお前達の前方から近づいている。俺も左後方からそちらに向かう」
「了解。」

指示を出し、新名もアンデッドと戦闘班の居る場所に移動する。
彼が戦闘班の横にバイクで到着すると同時に暗闇の中からワーウルフが姿を現した。
元は中年の会社員だったそのワーウルフは、生前の背広姿のままゆっくりと歩いてくる。
その姿は人に似ているが、明らかにもう人ではない。
隊員達に緊張が走る。
新名はゴーグルを降ろすとサッと右手を挙げた。

「やれ」

新名の指示で隊員達が一斉に引き金を引く。
周囲が銃声と硝煙に包まれ、ワーウルフの体から火花が散る。
たった数発の銃弾でワーウルフは倒れ、絶命した。
倒れたワーウルフの体から炎が立ち上り、辺りを照らす。
炎の明かりの中、隊員達と新名、そして近づいてくるもう一体のワーウルフの姿が
不気味に照らし出された。
536『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:14:28 ID:Qmf0/t/j

その二体目のワーウルフも、服装は生前の面影をほぼ留めていた。
人狼の体にスカート・ブラウスという格好が悲惨さを際立たせる。
ワーウルフが吼え、その喉から明らかに人ならざる音を出した。
新名からの情報で、隊員達はアンデッドに使役された被害者について多少は知っていたが
それでも実際に目の当たりにした光景は吐き気をもよおすには十分だった。
動揺する隊員たちを尻目に新名は再び指示を出す。

「やれ」

二度目の指示も簡潔かつ感情の色を出さないものだった。
死刑執行命令が下り、蜂の巣になった女性のワーウルフは今度こそ死ぬことが出来た。
倒れたワーウルフ二体が炎に包まれこの世から消えていく。
新名はその前で手を胸に当て祈るような姿勢をとった。
周りに居た隊員達もそれにならう。

「……撤収だ。」

隊員達は静かにSUVの元に戻っていった。
537『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:15:29 ID:Qmf0/t/j
-2-

「おいカズアキ、ちょっと話がある」
「えっ?」
「平井、他の奴は先に車に戻って待機だ」
「了解。おい、行くぞ」
平井が隊員たちを連れてその場を去り、
廃工場の中には新名と守山の二人だけが残された。
守山は何事かと不安そうな目で新名を見ている。

「どうだった?」
「は。」
「今日の任務だ。お前の感想を聞きたい」
「……正直、甘く見てました。現実は僕の予想より酷かった」
「そうか。」
「ゆるせないですよ、あんな事をするなんて」
「ああ……」
目の前の青年は珍しく怒りを露にしていた。
「わかった。他の奴もショックを受けているだろう。
よく見て後でみんなの様子も教えてくれ」
「わかりました。」

カラン。
その時、新名の耳に僅かな物音が聞こえた。
「!」
「え?」
守山が反応する前に、新名は音の聞こえた方向へ走り出していた。
新名の接近に驚いたのか、音を立てた人物が逃げる。
しかし暗闇の中でアンデッドから逃げる事など出来ない。
新名は跳躍すると人物の前に立ちふさがった。
538『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:25:06 ID:Qmf0/t/j

「誰だ。なぜ逃げる」
「……っ!」
逃げていたのは一人の少女だった。
まだ中学生、と言った所だろうか。
ショートカットでシャツにジーンズという服装、手には懐中電灯を持っている。

震えながら恐怖に満ちた目で新名を見つめている。
「新名さん!……この子は?」
遅れて守山も追いついた。
「さあ?」
「さあ、って……」
仕方なく守山が少女に声をかける。
「怖がらなくてもいいよ。僕達は警備会社の者だ。
君、こんな時間にここで何をしていたんだ?」
こういう時の一応の身分の偽装も多少は訓練されていた。
「わ、わたし、お母さんが帰ってこないから探しに……」
警備会社、という言葉に多少は警戒感を解いたのか少女が喋り始める。

思わず新名と守山は顔を見合わせた。
帰ってこない母親、というのはあのワーウルフだろうか。

「お母さんを探すとしても、こんな時間にこんな場所へ来ては駄目だよ」
「はい……ごめんなさい」
萎縮したように謝る少女を新名と守山は見つめていたが、
その胸の思いは両者とも異なるものだった。
539『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:27:33 ID:Qmf0/t/j

「……おい、お前は先に帰れ。俺はこの子を送る」
「あ、はい。いいんですか?」
「全員でぞろぞろ行くわけにもいかないだろう」
「確かに。じゃあお願いします」
うなずくと、守山は改めて少女に向き直った。
「この人が家の近くまで送ってくれるから」
「あ、ありがとう、ございます」
たどたどしく少女が答える。

「じゃあね……お母さん、見つかるといいね」
別れ際、そう言った守山の声が震えていたのに新名は気づいていた。
新名は少女を連れて自分のバイクまで行き、ヘルメットを被ると後ろに乗せた。
「しっかりつかまっていろよ」
「はい」
少女はおずおずと新名の腰に手を回す。
ゆっくりと発進し、丁寧に少女が言った家の近所まで走る。
その道は新名が少女の母親──おそらくは──を襲った通りだった。
少女はじっと新名の腰につかまっている。

突然、新名が暗闇の中でバイクを停めた。
「え?」
怯えたように少女は新名の様子をうかがう。

新名は考えていた。
アンデッドハンターの仕事を、ワーウルフを見られたか?
当然確認する必要がある。
もし、見ていたなら……。

新名が振り返り、少女とその目が合った。
540『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:29:32 ID:Qmf0/t/j

-3-

アンデッドハンターの隊員達は、別荘に戻ると黙々と装備の点検整備をし
それぞれの部屋に戻った。
その晩はみんな一様に口数が少なかった。
初の任務の緊張と、
アンデッド、ワーウルフの脅威をリアルに感じた事による精神的疲労は想像以上に大きかった。

守山は一人ガレージで新名の帰りを待っていた。
平井からは部屋に戻ってもいいと言われたが、
彼はあの少女の事を新名に聞きたかったし、色々と話がしたかった。

アンデッドハンターでの経験は確実に守山の意識を変えていた。
明確な目標と、それへの明確な手段。
目標を同じくする仲間達。
そして信頼の置けるリーダー。
ただ漫然と生きる事に慣れてしまった彼にはそれらは新鮮だった。

経験値の増加とその実感は、彼に少しずつ自信を与えていた。
そして、その事を彼自身も認識していた。
平静を装いつつも、心の中には自虐と不審を絶えず溜め込んでいたかつての自分。
今思えばまるで別人のようにさえ感じる。
541『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:31:18 ID:Qmf0/t/j

──今の自分なら、あの頃あこがれていたヒーローに手が届くかもしれない。──

テレビの中に居たあのヒーロー達。
その姿にあこがれ、その活躍に興奮した幼き自分。
だが彼は主役よりも脇役の方が好きだった。

しかしそれは、脇役の存在の意味を本当に理解しているというよりも、
自分は決して主役にはなれないという思い込みから来るものだった。
生まれつきなのか、育つ環境がそうさせたのか、
ともかく幼い彼は空想の世界でさえ自分が主人公になる事を遠慮した。
そして脇役の活躍に自分を投影しささやかな喜びを得、それに甘んじた。
それでいいと思った。

守山はガレージの椅子に腰掛けながら思った。
今、アンデッドハンターになった自分は、あの脇役達ぐらいにはなっただろうか。
アンデッドハンターが居て、主役の仮面ライダーがいる。
いや、僕にとっての主役はもう仮面ライダーじゃない。
BOARDに入りたての頃はその存在に羨望を覚えたけれど、今は僕にはあの人がいる。

そして自分はもう「脇役ですらない一般人A」では無いのだ。
かつて世の中は、世界は自分とは関係の無い遠いものだった。
だが今、自分は世界の運命を左右する戦いの中にいる。
自分の存在は世界にとって意味のあるものになったんじゃないか。
その思いは彼にとって喜びだった。
さらに今夜の戦闘、怪物との遭遇という異常な現実が彼を幾分かハイにさせていた。
542『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:34:53 ID:Qmf0/t/j

近づいてきたバイクのエンジン音で守山は思考を中断した。
シャッターを開けると、そこに新名が立っていた。
「おかえりなさい。」
「ああ、どうした?」
「あ、いやさっきの女の子が気になって……」
「家の近くまで送った。彼女はワーウルフは見ていない。心配ない。」
「そうですか、よかった」

会話は途切れ、新名はバイクをガレージに入れる。
守山も黙ってシャッターを降ろした。
ガレージ内を沈黙が支配する。
「どうしたカズアキ、何か言いたいことでもあるのか?」
「ああ、いえ、みんな今日の任務には多少ショックを受けているようです」
「そうだろうな。仕方の無いことだ。だがお前はうれしそうだな?」
「えっ!?」
その言葉に守山は思わず凍りついた。
新名は守山の心を見透かすようにじっと見つめてくる。
「そう、見えますか?」
「……いや、そんな気がしただけだ」
再び沈黙。
新名はそのまま別荘内に繋がる扉へ向かう。
守山は固まりながら考えていた。
自分の気持ちを誤解無く伝えるにはどうすればいいだろうか。

───あなたが僕のヒーローなんだ───

しかし今この場でその話をするには不謹慎だ、さすがにそんな自制が働き
守山は扉の向こうに去っていく背中をただ無言で見送った。
543『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:37:31 ID:Qmf0/t/j

-4-

ワーウルフと対峙したショックに隊員達が慣れ始めた頃、
新名は別の件で大きなショックを受けていた。

眷属の報告を聞いた彼は、部屋に閉じこもると呆然と椅子に腰掛けた。
「馬鹿な、奴が……負けた!?」
思わず口からそんな言葉が漏れる。
眷族の報告は簡潔なものだった。

───伊坂=ピーコックアンデッドは仮面ライダーギャレンと戦い封印された───

人間よりはるかに勝る上級アンデッドが、しかもあの伊坂が負けた。
しかも操っていたギャレン=橘に裏切られ、海岸での格闘戦で敗北したと言う。
好き嫌いはともかく、新名は伊坂の能力を評価していたので、この結末には衝撃を受けていた。
数に押し切られたわけでもなく、人間の策略に負けたわけでもない。
ライダーとの戦いで負けた。しかも相手は一人だ。

正直、仮面ライダーの能力を甘く見ていたのは事実だ。
いつの間にこれだけの力を手に入れたのだろうか。
BOARD壊滅前後に彼が直接監視していた限りでは、
所詮人間である彼らは取るに足らない存在という印象だった。
それが、上級アンデッドを倒した。
当然伊坂の研究していた新型のライダーシステムも人間の手に渡ったのだろう。

この時新名は本格的にライダーへの、そして人間への脅威を感じた。
それはつまり”封印されるのではないか”という不安だ。
そして、彼の思考は当然の様にそれに対する答えを出す。
544『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:39:58 ID:Qmf0/t/j

「やられる前に潰す」
そのためのブラックファングだ。
彼はカテゴリーKに敗北して以来ますますファングに傾倒していた。
それは、彼にとってファングが最後の切り札だからである。
バトルファイトの封印システムが正常に作動しない以上
他のアンデッドを倒すことが出来ない。
それは自分も倒される心配が無いことを意味するが、
戦いを続けると決意した以上勝たなければならない。

そのために、人間の作り上げたライダーシステムを利用する。
ライダーシステム、ライダーマシンに搭載されたラウズカードシステムは
アンデッドを封印したラウズカードを使用することでその力を使役する事が出来る。
例えばブレイドは、カテゴリー6ディアーアンデッドを封印しラウズカードとして
ライダーマシンで使用し、その電撃の力をマシンに付加した。

ブラックファングにラウズカードシステムを搭載されれば、正に無敵のマシンになるだろう。
なぜならブラックファングは他のライダーマシンの後継機に当たるからだ。
そして、何よりもブラックファングに乗るのは新名=ウルフアンデッドである。

「ファングで……そうだ、ファングでアンデッドもライダーも全て倒す」
新名は椅子から立ち上がるとガレージに向かった。
そこで彼のブラックファングが待っている。
545『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:41:53 ID:Qmf0/t/j

開発班の努力により、ファングはもうほぼ完成といってもよい状態にあった。
開発班員達は信じていた。
ファングと仮面ライダーによってアンデッドは倒され、人々が守られる、と。
そして自分達はその一翼を担っているのだと。

新名がガレージに入ると開発班と平井・守山がいた。
「あ、新名さんお疲れ様です」
「お疲れ様です」
「ああ、お疲れ」

最初に気づいた守山が新名に挨拶をし、他のメンバーもそれに続く。
「平井、どうだ?」
「ラウズカードシステムの搭載に問題はありません。ただ」
「他のライダーマシンのデータが必要、か?」
「そうです」

ライダー達に近づき、ラウズカードシステムを手に入れなければならない。
上手く騙せれば、彼ら自身にその作業を行わせる事も出来る。
そのためには、新しいオモチャが必要だ。
546『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:42:53 ID:Qmf0/t/j

「例の銃はどうだ?」
新名がそう言うと、開発班の一人がジェラルミンのケースを持って来た。
開けると中には大型の拳銃が入っていた。
「部品の組み立てと補修は出来ましたが、弾丸までは」
新名は平井の言葉を聞きながら銃を手にし、しげしげと眺める。
銃はブラックとシルバーのパーツにブルーのラインが入っていた。
拳銃と称するには少々大きく、重い。

「T細胞活性弾、か」
それは、アンデッドの活動を抑制する魔法の弾丸。
しかし完成していれば、の話だ。
BOARD壊滅時に運び出したデータとパーツで銃自体は完成したが
弾丸は手に入らなかった。
研究資料を見る限り弾丸までは完成しなかったらしい。
BOARDの研究者達が試行錯誤の中で作り出した失敗作の一つだろう。
ライダーを騙す道具でもあるアンデッドハンターのため、自分自身のため。
利用できるものは全て利用する。
547『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:43:46 ID:Qmf0/t/j

新名は銃をケースに戻すとフタを閉めた。
「俺の方でも銃弾の情報を探してみる。引き続き資料の解析を頼む」
「わかりました」
「この銃とブラックファングが完成すれば、仮面ライダーと共にアンデッドと戦う体制が整う。
もうその準備を本格的に始めてもいいだろう。」
「って事は、いよいよ仮面ライダー達と共闘ですね」
守山が会話に入ってきた。
「ああ、そうなるな。俺達も彼らの足手まといにならない程度の力は手に入れた」
「これでファングが完成したら、アンデッドなんかイチコロですよ」
「そうだな、イチコロだ」
新名はそう言ってブラックファングのボディをそっとなでた。
力を感じる。だが、まだ足りない。
まだ、あの少年───カテゴリーKには勝てない。
ラウズカードシステムさえ手に入れば……。

「ファングの最終テストと共にライダー達と接触する。
後で打ち合わせだ」
「了解です」
「はい!」

開発班と二人を残し、新名はガレージから外に出た。
夜風が気持ちいい。
月を見上げ、深く息を吐いた。

ここまで積み上げた計画が、仕上げの段階に入る。
慎重に、慎重にやらなくてはならない。
548『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:45:02 ID:Qmf0/t/j

-5-

そしてブラックファングはほぼ完成し、
後は最終テストとラウズカードシステムの搭載を待つのみになった。
数日後には仮面ライダー達と接触する。
まずは探りを入れ、彼らの信用を得てからファングの改造を持ちかける。
そのための裏工作の準備もしてある。
明日の朝にはサーキットでの最終テストのため移動する。

そして今、新名のコップにはビールが入っている。
「皆今日までよく頑張ってくれた。明日からアンデッドハンターは新しい段階に入る。
気を引き締めて戦い抜こう。では、乾杯」
「カンパイ!」
新名の乾杯の音頭に合わせて隊員達がコップのビールを飲み干す。
隊員達の前には数々の温かい料理が置かれていた。
ブラックファングの準完成と最終テスト前のささやかな懇親会というわけだ。
もちろん戦闘班も開発班も一緒だ。
アルコールを摂取する事には疑問もあったが新名が許可した。

例えアンデッドが出現してもアンデッドハンターは出動する事は無い。
ワーウルフ程度が相手でなければ戦えないのだ。
だが、念のため二名ほどは警戒の為に参加していない。
ローテーションで交代する。

「新名さん、この料理ほとんど俺が作ったんですよ!
食ってくださいよ。うまいですか?うまいですか、そうですか。」
普段よりテンションが高くなった守山が新名に絡んでくる。
すでに顔が赤い。
549『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:45:56 ID:Qmf0/t/j

適当にあしらっていると今度は平井がやって来た。
「新名さん、……私は本当に新名さんには感謝してます」
こちらはこちらでなにやら感極まった様子だ。
「行き場の無かった私にこんな意義ある仕事を……」
眼鏡を上げ、ぐっと涙をぬぐう。
いつのまにか他の隊員達も新名の周りに集まっていた。

「そうですよ、俺もすごい感謝してます」
「うん、新名さんが来なきゃ、ずっと意味の無い人生を送ってたなと」
「俺は日頃あんまり話して無いっスけど、新名さん訓練も実戦もすごい的確な指示で。
俺は新名さんなら一生付いていくっスよ!」
隊員達の口から次々に感謝と賛辞の言葉が送られ、握手を求めてくる。
新名はビールの残りを飲み干すと口を開いた。
「……いや、俺もお前達には感謝している。
お前達がいなければアンデッドと戦う事もファングを完成させる事も出来なかった。
ありがとう」
「新名さん!」
隊員の一人がビールの瓶を新名に差し出す。
新名がコップを向けると、その中にビールがなみなみと注がれた。
泡が少しこぼれたが気にせず飲み干す。
それを見て他の隊員達もぐいっと飲み干す。
「いやー新名さん最高です!」
「愛してます!」
「うはー!」
どうにも学生の飲み会のようなノリだが、実際の話隊員達は若かった。
若く守るものも持たない青年達だからこそ、こんな部隊に志願したのだ。

ふと隊員達の向こう側を見ると、キッチンにツマミの補充に行っていた守山が
輪に入るタイミングを逃し寂しそうにしていたが、新名はとりあえず無視しておいた。
550『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:49:03 ID:Qmf0/t/j

-6-

宴が終わり、隊員達も酩酊し部屋に戻り始めた頃
新名は月夜の下に一人たたずんでいた。
手に持ったウィスキーを口に運ぶ。
一般にアンデッドにアルコールその他の薬物が効くかというと、
当然ながらほとんど効かない。
酔った振りをする事も可能だし、意図的に酔う事も可能ではあるが、
そんな意味の無い事をするアンデッドなど普通はいないだろう。
ただ、新名は今だけは素直に酔いを感じていた。

足音に振り返ると守山がコップを持って歩いて来る。
「新名さん、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ」
そのまま新名の横に腰掛けた。
もう素面に戻ったようだ。
「休まなくていいのか?大分酔っていたようだが」
「後片付けをしていたら、酔いがさめちゃったんですよ」
「そうか。それは?」
新名が守山のコップを指差す。
「ああ、水ですよ」
そこまで言った守山は、新名の脇に置いてあるウィスキーの瓶に気づき
コップの水を飲み干した。
「少し頂いてもいいですか?」
「ああ」
そう言ってウィスキーを少しだけついでやる。
守山はそれを一気に飲み干すと、とたんに”うげえ”という顔をした。
551『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:50:40 ID:Qmf0/t/j

「大丈夫か?」
「かはっ……、よくこんな強いの飲めますね、はあ」

そのすっとぼけた言動に新名は思わず微笑む。
そして思った。
俺がアンデッドだと知ったら、こいつは、こいつらは俺を憎み倒そうとするだろうか──
自分がそんな人間的感情を持つ事に違和感は感じたが、もう驚きはしなかった。
人の姿を借り、人の様に振舞えば、人と同じ様に考えるようになるのは道理だ。
一時とはいえ人間を操るためその中で生きる以上は避けられないことだ、と新名はあきらめていた。
彼には、下級アンデッドや人間を問答無用で操る伊坂のような強力な洗脳能力は無い。

だが、いくら人間的感情を得ても、彼は人間を滅ぼすことを止めようなどとは微塵も思わない。
人間が食用の動物に同情したからといって、殺し食べるのを止めるだろうか。
人は言う、「それは仕方の無いことだ」と。
そう、仕方の無いことだ。最早運命付けられ決まっていることだ。

彼は、
自分の行動がどれだけ人間を苦しめ絶望させるかを理解している。
自分の目的が人間側からは絶対に容認できない事も理解している。
そして、自分が人間とは絶対に相容れない存在である事も理解していた。

彼は、種の繁栄と言う目的の為に作られた装置だと自分自身を規定した。
その装置は、目的の為だけに存在し、与えられた任務を遂行する。
それが彼の仕事なのだ。
これまでもそうだったし、これからもだ。何も変わらない。
552『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:51:37 ID:Qmf0/t/j

「新名さん?」
守山に話しかけられ思考を中断した。
「なんだ」
「いや、僕は改めて新名さんにお礼が言いたくて」
「その話ならさっき全員からたっぷり聞いたぞ」
「あ、まあそうなんですけどね」
次に出た言葉と真剣な表情にはさすがに新名も少し驚いた。
「新名さんこそがヒーローなんですよ」

「……ヒーロー?俺が、か」
「ええ、少なくとも僕にとっては」
「俺をおだててもしょうがないだろう」
「そんなんじゃないですよ。本当にヒーローなんです」
「俺のやっている事は別に大した事じゃない」
「いや、僕にとっての憧れ、夢みたいなものなんですよ。
恥ずかしい話ですけど子供の頃テレビで見たヒーロー番組のヒーロー達、
新名さんは正にそんなすごい人なんですよ僕にとっては」
553『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:52:39 ID:Qmf0/t/j

新名は守山の言葉を聞いた後、一呼吸置いて話しだした。
「……ヒーローなんていない。そんなものに頼るな。期待もするな」
「え、いやーでも」
「お前が憧れるのは勝手だが、
所詮誰かに頼ることを考えている奴はその時点で負けている。
もし俺がヒーローだとして、万が一俺が死んだらどうするんだ?
アンデッドハンターが壊滅したらどうする?仮面ライダーが消えたら?
その時は、お前が一人で戦うしかない。
ヒーローに憧れるならお前がヒーローになれ」
「……」

「カズアキ、アンデッドの目的とは何だ?」
「ええ?あ、それは、バトルファイトに勝ち残り種の繁栄を目指す、ですよね」
「では、お前の生きる目的とはなんだ?」
「アンデッドを倒す事、です」
「それは今だけだろう。お前はそれを履き違えている。
お前は人間だろう。人間の生きる目的とはなんだ。
アンデッドはアンデッド、人は人として生きるものではないのか?」
554『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 14:53:51 ID:Qmf0/t/j

「……なんだか難しい、ですね。謎かけみたいだ」
「ああ……、すまない。妙な説教をしてしまったな」
「いえ、なんだか勉強になったというか」
わかってるのかわかってないのか、曖昧な答えをする守山に苦笑する。
「そろそろ部屋に戻れ。明日は早い」
「あ、はい。新名さんは?」
「少し出かけるかもしれないが、朝には戻る」
「わかりました」

ウィスキーの酔いかフラフラと立ち去っていく守山が別荘に入るのを見届けると、
新名はそれとは逆の方向に歩き出した。
その足がだんだんと速くなる。
走り出した新名は真っ暗な森の中に入った瞬間ウルフアンデッドの姿に戻り、
さらにそのまま走り続けた。
守山と話している間中感知していた気配を探る。
街の方向だがアンデッドの脚力ならすぐだ。
彼には確かめたいことがあった。

すさまじいスピードで木々を避けつつ走る。
先ほどの宴会、守山との会話を少し考える。
話せば話すほど、人間というものは不可思議に感じる。
やはり、彼らを殺さなければならないのは少々残念だ。

その思考すら人間じみてきたのを無視し、
川を飛び越え崖を駆け登り、街を目指す。
眼下に街の夜景が見えてきた。
555『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 15:00:55 ID:Qmf0/t/j

-7-

夜の繁華街、さすがにこの時間ではほとんどの店が閉まっている。
その路地裏で今まさに殺人が行われていた。
巨大な角を持った怪物が、運悪くその場にいた浮浪者の一人を突き殺した。
もう一人の悲鳴を聞きつけ、巡回中の警官二人が駆けつける。
警官達は唖然とした。
「なんだぁこいつ!?」

怪物は身の丈2m以上、半身を闘牛士のようなマントに身を包み、
殺したばかりの被害者を投げ捨てる。

それを見て思わず警官達は拳銃を抜いた。
「動くな……!」
警告を発しようとしたその瞬間、気配を察し突進して来た
怪物=バッファローアンデッドに吹き飛ばされた。
目の前にあったゴミ箱のおかげで直撃は免れたが、一人は衝撃で昏倒、
もう一人も意識はあるが何箇所か骨を痛めた。

「……ッ!」
うめく警官の前にバッファローアンデッドがゆっくりと近づく。
雄牛のようなうなり声を上げながら、一歩、また一歩。
警官が死を意識したその瞬間、路地裏に突風のように何かが飛び込んできた。
556『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 15:02:29 ID:Qmf0/t/j

その突風に殴り飛ばされバッファローアンデッドが反対側までぶっ飛ぶ。
警官も生き残りの浮浪者も一瞬何が起こったか分からなかった。
街頭の明かりが届かず薄暗い路地裏に、銀色の怪物が立っていた。
全身を刃物に身を包み、それが鈍く光を放つ。
少々おかしいのは左手にウィスキーの瓶を持っていたことだ。

銀色の怪物は、自分の手に持っているモノに今気づいたかのように
ウィスキーの瓶を見ると、それを浮浪者に投げ渡した。
「邪魔だ!さっさと行け!」
怪物が人間の言葉を話した事に驚く暇も無く、
浮浪者はウィスキーの瓶を抱え転がるように逃げ出した。
うなり声を上げ、バッファローアンデッドが起き上がる。
その目が突然の乱入者への怒りに燃えているのが分かった。

「カテゴリー8か。面白い」
嘲る様なその声と同時に銀色の怪物=ウルフアンデッド=新名が飛び掛った。
バッファローアンデッドがその巨大な拳を振るうが、新名は苦も無くよけると
次々にその体に斬撃を加える。
バッファローアンデッドが攻撃を一つ繰り出すたびに、
新名からはその数倍の量の攻撃が浴びせられる。
鋭く強力なナイフはバッファローアンデッドの硬く厚い体皮を易々と切り裂き、
路地裏は斬撃の火花で煌々と照らし出された。
557『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 15:03:44 ID:Qmf0/t/j

警官から見て、銀色の怪物の強さは圧倒的だった。雄牛の怪物の攻撃は一度も当たっていない。
その圧倒的スピードは、人間の目では正確に捉えることも難しい。
まさに鋭い刃の旋風が路地裏に吹き荒れているようだった。

連撃に耐えられず、ついにバッファローアンデッドがよろめき膝をついた。
新名はすかさず空中に飛び上がると両足で強力な蹴りを放つ。
その瞬間、バッファローアンデッドは新名に角を向けその特殊能力を発動した。
「!!」
新名の体がバッファローアンデッドのマグネット能力によりその角に引きつけられる。
バランスを崩し、このままでは大きな角に串刺しに────

新名は空中でわずかに体をひねると右手を突き出した。
そのまま真っ直ぐバッファローアンデッドに向け落下し────手首の刃でその体を切り裂いた。
額から腹まで縦一文字に切り裂かれ、バッファローアンデッドの体から緑色の血が吹き上がる。
もう抵抗することも無くその場に崩れ落ち、腹にあるバックルが軽い音を立て開いた。
558『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 15:05:13 ID:Qmf0/t/j

それをただ見つめる新名。
「やはり何も起こらないか」
封印のあの石──というより板──は来ない。バトルファイトが正常に機能していない証拠だった。
目の前で痙攣するアンデッドの姿によって確証を得た新名は、
そのまま路地裏の外に向け歩き出した。

ゴミ箱の横に二人の警官が倒れている。
その一人が荒い息で声をかけてきた。
「一体何者だ……なんだ、これは」
「フン」
新名は警官を一瞥し、そのまま路地裏の外に出た。


警官は痛みに耐えながら新名を追って路地裏の外に出たが、
そこにはもう誰もいなかった。
通りの静けさで、まるで今の出来事が夢だったかのように思える。
警官は思う。
あれは一体なんだったのか。記憶を探っていると最近聞いた噂話を思い出した。
────世に隠れ怪物達と戦う者がいる。そのヒーローの名は────
「仮面、ライダー?」
なんだか聞いた話と随分違うが、噂話とはそんなものだろう。
結論を出した警官は、とりあえず同僚を怪物のそばから非難させ、
応援を呼ぶ事を思い出した。
559『狼と人間の黒い牙』第4話:2005/04/16(土) 15:08:08 ID:Qmf0/t/j

バッファローアンデッドを倒し、カテゴリーKの話の真偽を確信した新名は
森の中を駆け別荘へと戻っていた。

あの浮浪者と警官を殺さなかったのは失敗だったろうか。まあいい。
バッファローアンデッドのバックルは戻るハズだが、それを確認する時間は残念ながら無かった。
まあ、傷ついた体ですぐに戦いを求めるほど下級アンデッドも愚鈍ではなく、
どちらにせよすぐに逃走するだろうが。

やはり黒い牙、ファングが必要だ。あれにラウズカードシステムを搭載すれば、
倒したアンデッドの能力を使役できるだろう。
封印システムの行使すら可能かもしれない。

岩の上を飛び、再び森に入る。
小高い丘の上でふと東の地平に目をやると、夜の闇がわずかに白みはじめていた。
もうすぐ夜が明け、新しい一日が始まる。


<続く>
560447:2005/04/16(土) 15:09:08 ID:Qmf0/t/j


次回から本編24に合流します。
ようやくライダーが出ます…
ではまた。
561名無しより愛をこめて:2005/04/16(土) 16:10:09 ID:3Dhj0dB5
GJ!
562名無しより愛をこめて:2005/04/16(土) 16:17:16 ID:F1uk95k7
なんつーかいろいろ切なくなった・・・GJ。
563名無しより愛をこめて:2005/04/16(土) 20:33:52 ID:paoW0xPJ
GJ!

守山がいい味出してる。
そして>>562と同じく切なくなってきた・・・。
564名無しより愛をこめて:2005/04/16(土) 20:38:14 ID:x0UJ4cJ5
GJ!

ところで、今回登場した警官って、志村純一のソックリさん……じゃないよな。
565スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/17(日) 22:52:41 ID:xBoQsGWC
>>318-319
>>330-331
>>339-340
>>348-349
>>357-359
>>370-373
>>416-420

「結花と海道が…死んだ!? 木場、嘘をつくならもっとマシな嘘を―」
「こんな事を嘘で…僕が言うと思うのかい? 乾君」
 衝撃の事実を打ち消そうとしたファイズの言葉を、即座に否定するオーガ。そのまま一気に間合いを詰め、ファイズに攻撃を仕掛ける。
「くっ!」
 ファイズも迎え撃つが、オーガの言葉に動揺したのか動きに精彩を欠いている。そして―
「はあっ!」
 オーガの放った強烈な袈裟斬りが、ファイズに炸裂した。
「うわぁっ!」
 胸部装甲から火花を散らしながら吹き飛ぶファイズ。
「乾君、今からでも遅くはない…僕達と共に来るんだ」
 ダメージを受け、膝を突くファイズに近づきながら声をかけるオーガ。
「村上さんも君の実力を高く評価している。オルフェノクとして、共に歩んでいこう…乾君」
 何処か懇願するようなオーガの声。木場勇治の偽らざる本音。
「…木場、俺の答えはNOだ」
 だが、ファイズの答えは、オーガの希望とは逆のものだった。
「俺は決めたから…人間として…ファイズとして生きていくってな」
「………残念だよ、君を敵として討たなくてはいけないなんて……」
「俺は死なない…そして、木場…お前を止めてみせる!」
 そう言うとファイズは『ファイズポインター』に『ミッションメモリー』をセットし、右足に装着した。
『ExceedCharge』
 電子音声が響く。必殺キック『クリムゾンスマッシュ』の体勢だ。
「行くぜ!」
 声と共にオーガへ向けジャンプするファイズ。ポイント弾と一体化し、真紅のドリルとなったファイズがオーガに迫る。 
 だが、オーガはそれを避けようともせず、正面から迎え撃つ。
566スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/17(日) 22:54:21 ID:xBoQsGWC
 次の瞬間、吹き飛んでいたのはファイズの方だった。
 地面を転がり、数回転した所で何とか立ち上がる。
「そんな攻撃じゃ、オーガの守りは崩せないよ」 
 何処か寂しげに呟くオーガ。そのまま、左手をベルトへと伸ばす。その時―
「乾!」
 ドラゴンオルフェノクとの戦闘を終えたデルタが、ファイズの元へと駆けつけた。
 見れば、1号にはライダーマンが、スーパー1にはG3−Xが、スカイにはクウガが、それぞれ救援に駆けつけている。
「ラッキークローバーは撤退したようですね…ここは退きますよ」
 戦況が不利になった事を感じ取ったローズオルフェノクの指示で、撤退を開始するサイガとシグマ。
 オーガもまた、ローズオルフェノクとともに姿を消した。
「乾君、いやファイズ。君はこの手で倒す…必ず」
 そう言い残して…。


 スマートブレインの襲撃を辛くも退けたMRA。
 だが、木場勇治が敵となった事実は乾巧の心に深い傷跡を残すのだった。

 
 第1話完
567スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/17(日) 22:58:04 ID:xBoQsGWC
どうにかこうにか1話完成。
第2話は敵組織のお披露目を予定してます。
568名無しより愛をこめて:2005/04/18(月) 16:51:39 ID:dAFjvGDa
新作age

569名無しより愛をこめて:2005/04/20(水) 17:54:54 ID:7MJ2tPGx
GJ!!
570スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/21(木) 17:12:34 ID:311OI111
現在執筆中。
間を持たす為に、敵組織紹介の第3回を投稿してみます。
今回はスマートブレインです
571スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/21(木) 17:14:44 ID:311OI111
スマートブレイン

表向きは世界有数の大企業。
しかし、その実体はオルフェノク(過激派)の本拠地であり、『オルフェノクの王』こと、アークオルフェノクを頂点としたオルフェノクの理想郷を築く事を目的としている。
だが、本編の3ヶ月前、木場勇治(ホースオルフェノク)を始めとする穏健派のオルフェノク達の協力を得たMRAの総攻撃を受け、多大な被害を受ける。
更にその戦いのダメージでアークオルフェノクが休眠状態となった為、現在は村上峡児(ローズオルフェノク)が、暫定的に指揮を取っている。
現在はアークオルフェノクの復活を最優先目標として活動を行っており、他の組織に比べて破壊活動は控えめである。
また、オルフェノクという種族自体が少数である事もあり、勢力という面では最も小さい。
しかし、『帝王のベルト』を所有するアークオルフェノク親衛隊『ロイヤルガード』や独立部隊『ラッキークローバー』など、一騎当千の精鋭達の戦力は特筆すべき物がある。
また1万人を超える量産型ライダー騎兵部隊『ライオトルーパー』も有しており、戦闘員の質という点では他の組織の追随を許さない。
また、数多くの機動兵器を所有している事も特徴である。
572スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/21(木) 17:15:48 ID:311OI111
<組織図>

         アークオルフェノク
             |
     ――――――――――――――――
     ↓              ↓
村上峡児(ローズオルフェノク)   ロイヤルガード―→仮面ライダーオーガ=木場勇治(ホースオルフェノク)
     |                  |→仮面ライダーサイガ=レオ(グリフォンオルフェノク)
     |                  |→仮面ライダーシグマ=ガイ(メガロドンオルフェノク)
     ↓
 ラッキークローバー→北崎(ドラゴンオルフェノク)
     |   |→影山冴子(ロブスターオルフェノク)
     |   |→琢磨逸郎(センチピードオルフェノク)
     |   |→ジェイ(クロコダイルオルフェノク)
     |
 ライオトルーパー部隊→ジャイロアタッカー部隊(約8000人)
     |    |→量産型サイドバッシャー部隊(約1500人)
     |    |→量産型ジェットスライガー部隊(約500人)
     ↓ 
 一般オルフェノク   
573スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/21(木) 17:19:10 ID:311OI111
うわ、組織図ずれてるorz

新作が書きあがったらオリキャラの設定なんかも投稿します
574555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/22(金) 20:55:38 ID:P+a9AFXW
「・・・オイ三原ァ!『何とかする』って・・オメーにできんのか!?」
本日の二人目のゲスト―――海堂直也は、車上の男に叫ぶ。
「・・・やってみるさ。」
――――もっとこう『大丈夫だ!』とか自信を持って言えないもんかねぇ?
その三原の答えに、海堂は少し苛立つ。
「まあまあ・・・」
それを取り成そうとするのは三人目―――ワゴン車の持ち主、菊池啓太郎。
そしてデルタは、ベルトにつけられた銃型の武装へ手を伸ばす。
片手には、デルタギアにつけられた自らの相棒、デルタムーバー。
片手には、かつての仲間の愛用した武装、カイザブレイガン。
デルタはブレイガンを起動させると、デルタムーバーを口元へ寄せ囁く。
「Fire。」
その命令に答えたのは、ムーバー達からの無機質な返答。
『『BURST MODE』』
標的に向かい、両手を交差させ構えるデルタ。
―――なーに格好つけてんだよ。
三原のくせに生意気だ、海堂は思った。
そして、閃光。
薄っすらと暗くなった景色を照らす、青と金の光。
「啓太郎!しっかり避けろよぉ!」
575555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/22(金) 20:56:42 ID:P+a9AFXW
海堂はそう叫ぶと、銃撃の中、先頭車両・・・加奈達へ連絡した。
無論、使うのは三原の携帯。
「いいか!一度しか言わないからちゃんと耳ィかっぽじってからよ〜く聞け!」
『はい!』女性の声、後で連絡先を聞いておこう。
「お前らはそのまままっすぐ行け!俺達はここであの連中をぶっ飛ばす!」
『大丈夫なんですか!?』
「だいじょ〜ぶだいじょ〜ぶ、この海堂の直リン達にぃまかせなさい!」
『分かりました!』
「そんじゃま、精々がんばんな!」
『そちらこそ、気をつけて!』
通信を切る。安月給であろう三原の為、通話時間は出来るだけ短くした。
「よーっし・・・後は啓太郎!お前はこのまま走って・・・」
逃げろ。その言葉を止めたのは、バンと言う破裂音と、車体を襲う振動。
「・・・・・当たっちゃった?」
「『当たっちゃった?』じゃねぇ!」
―――なんでこう緊張感ねェかなぁコイツは!
「・・・啓太郎!あそこらへんで車を止める!」
「えっ!?でも・・・」
「いっいからオレに任せろ!モタモタやってると次の会合はあの世でする事になっぞ!」
「ええっ・・あー神様、仏様、あと・・・ええっと・・・」
576555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/22(金) 20:57:37 ID:P+a9AFXW
そして、啓太郎は覚悟と、祈る相手を決めた。
―――長田さん!
刹那のブレーキ。
半分目を閉じた啓太郎、そして停車と共に飛び降りるデルタ。
そして、海堂の叫び。
「へんしぃん!!」
その掛け声と共に、海堂だったモノ――スネーク・オルフェノクはデルタと共に走る。
目標は、バイクを撃ち落とされたライオトルーパー部隊。
いくら量産型とはいえ、その性能は以前戦った自分が良く知っている。
しかもその時とは比べほどにもならない軍勢。
無意識で、足が震えた。
海堂はそれに気付くと、それを鼻で笑う。
―――なーにビビってんだよ・・・そんな事じゃ―――
笑われちまう、アイツに。
―――あのクソ似合わねぇオールバックのまんま死んじまった、アイツに。
脳裏に浮かぶのは、自分の選択に自信を失い、迷いながら死んだ友。
そう、今のオレは―――
灰色の戦士、スネークオルフェノク。
577555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/22(金) 20:58:44 ID:P+a9AFXW
スネークは、深く息を吸い込んだ。
手には、自らの創り出した剣。そして、叫ぶ。
「さぁぁて、テメェら!腹ァくくったか!?ションベン済ませたか!?」
その罵声は―――自らを、奮い立たせるために。
そして、それにすら無反応な敵を前に、デルタはミッションメモリーをブレイガンへ差し込む。
『ready』
金色の逆手剣を持つデルタ、その隣で灰色の剣を持つスネーク。
「しゃぁ!――――行くぜ三原ァ!」
デルタは、その友の逆手剣を強く握り、目を閉じる。
―――願わくば俺を、お前の様に戦わせてくれ。
脳裏に浮かぶのは、たとえどんな状況でも、自信を失わなかった男。
そして、目を開く。
「―――ああ!」
――――最初ッからこんぐらい自信もって言えよ!
スネークのその思いを知ってか知らずか、軽く鼻を鳴らす三原。
二人は、叫ぶ。
「「行くぞォ!」」
そして走り出す二人の影。
578555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/22(金) 21:01:28 ID:P+a9AFXW
「・・・でも、本当に大丈夫なんですか?」
加奈が心配そうな顔をする。
「大丈夫ですよ、彼らなら。」
琢磨は、そう答えた。
そう、彼らなら大丈夫だろう。
それに―――
琢磨の頭に浮かんだのは、一人の男。
そうだ、奴もいる
今は―――
「今はその別荘へ―――」
早く向かいましょう。
そう続けようとした琢磨の体は、突然の衝撃により一瞬中を舞う。
衝撃の中、目前まで迫りつつある助手席を前に琢磨は感じた。
シートベルトの重要性を。
579555外伝 もう一人の夢の守人:2005/04/22(金) 21:02:30 ID:P+a9AFXW
>>532
              , -‐;z..__     _丿
        / ゙̄ヽ′ ニ‐- 、\  \   ところがどっこい
       Z´// ,ヘ.∧ ヽ \ヽ ゝ   ヽ   ‥‥‥‥
       /, / ,リ   vヘ lヽ\ヽヽ.|    ノ  ベルトは取れません
       /イル_-、ij~  ハにヽ,,\`| <      ‥‥‥‥!
.        N⌒ヽヽ // ̄リ:| l l |   `)
            ト、_e.〉u ' e_ ノノ |.l l |  ∠.   琢磨はデルタになれない
          |、< 、 ij _,¨、イ||ト、|     ヽ      ‥‥‥!
.           |ドエエエ「-┴''´|.|L八   ノ -、   これが現実‥!
            l.ヒ_ー-r-ー'スソ | l トゝ、.__   | ,. - 、
    _,,. -‐ ''"トヽエエエエ!ゝ'´.イ i l;;;;:::::::::::`::ー/
   ハ:::::::::::::::::::::| l\ー一_v~'´ j ,1;;;;;;:::::::::::::::::::
.  /:::;l::::::::::::::::::::;W1;;;下、 /lル' !;;;;;;;;;::::::::::::::::
  /:::::;;;l:::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;|: :X: : : : : |;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::
580名無しより愛をこめて:2005/04/22(金) 21:05:04 ID:CHrjh+z6
リアルタイムで見てました。GJ!

それにしてもやっぱり琢磨は変身できないのか・・・orz
581名無しより愛をこめて:2005/04/22(金) 21:18:27 ID:MLiGiJHA
なんか壮大ですね〜
おもしろそうです!
582名無しより愛をこめて:2005/04/22(金) 21:24:51 ID:MLiGiJHA
リロードしてなかった・・・・・・・・・・・・・・・
>>573にです。

>>574-578
うおー、三原と海堂がむちゃくちゃカッコイイッ!!!
>>579
ワロタw
583名無しより愛をこめて:2005/04/22(金) 21:33:52 ID:rpMD+VUm
クソ似合わねぇオールバック…ひでぇw
584スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/23(土) 21:01:37 ID:Lhe6pMyM
 MRAの活躍により、スマートブレインの破壊活動による被害は最小限に食い止められた。
 だが、長田結花と海道直也、オルフェノクでありながらも人間として生きようとした友の死、それをきっかけとした木場勇治のスマートブレイン参加と言う残酷な事実は、仮面ライダーファイズ=乾巧の心に深い傷を与えるのだった。
 そして今、スマートブレインは新たな動きを見せようとしていた。 


 第2話『暗躍』 

585スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/23(土) 21:02:57 ID:Lhe6pMyM
「他の組織と…交渉?」
「そうです。貴方と私、そしてガイの3人でショッカー、ゴルゴム、クライシス帝国との交渉を行います」
 木場の言葉にそう答えた村上は一旦言葉を切り、部屋にいる全員を見渡してから再度口を開く。
「我々は他の組織に比べ人的資源という点で大きく劣っている。如何に個々が一騎当千の兵であろうとも圧倒的な物量が相手ではいずれは疲弊し、倒されてしまう。それを防ぐ為にも同じ目的を持つ組織同士手を組むべきだと私は思っています」
「正論ですね。私も村上さんの意見に賛成します」
 村上の言葉にいち早く賛成の意思を示す琢磨。すると― 
「へぇ、琢磨君は怖いの? 他の組織と戦うのが…」
 案の定、北崎が突っ込みを入れてきた。 
「北崎さん…これは怖いとかそう言う問題ではなく―」
 琢磨もすぐさま言い返すが―
「戦いを長く楽しむ為の工夫…そう言う事よ北崎君」 
 それを遮るように影山冴子が、北崎にそう告げた。すると―
「ああ、そう言う事なんだ。なら、納得かな」
 北崎は意外に早く納得した。それを見た村上は三度口を開く。
「では、そう言う方向で行動を開始したいと思います。ラッキークローバーの皆さんは交渉が終わるまでの間、MRAの注意をひきつけて下さい」
「それは好きに暴れて良いってこと?」
「そう言う事です」
「そっか、クウガとか言った…あのライダーはこの手で…潰す!」 
 村上の言葉を聞いた瞬間、北崎の雰囲気が変わり、全身から物質を灰化させるエネルギーが溢れ出す。
「き、きき、北崎さん!」
 その場を逃げ出すように離れながら、北崎に呼びかける琢磨。その表情からは必死の一言が感じられる。
「ああ、ごめん…ちょっと力が入っちゃって」
 琢磨の声で我に返ったのか、いつもの様子に戻る北崎。同時に灰化のエネルギーも消失する。
 それをきっかけにして会議に参加していた者達が体質を開始し、室内には4人の男だけが残った。
586スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/23(土) 21:04:04 ID:Lhe6pMyM
「交渉ねぇ…ま、いいけどさ。俺は何処に行けば良いわけ?」 
 部屋に残った4人の内、最初に口を開いたのはブランド物のスーツをラフに着こなした、ホスト風の男だった。
 男の名はガイ。軟派な外見とは裏腹に高い実力を持つ上の上のオルフェノクであり、スマートブレインが開発した『帝王のベルト』の1つ『海のベルト』の適合者でもある。
「ガイにはショッカーとの交渉をお願いします。また、木場君はゴルゴムとの交渉を」
「了解」
「わかりました」
「クライシス帝国とは、私が交渉を行います。レオ、すみませんが護衛をお願いしますよ」
 村上の言葉に無言で頷く寡黙な青年の名はレオ。
 木場やガイ同様、非常に高い実力を持つオルフェノクで、『帝王のベルト』の1つ『天のベルト』の適合者でもある。
 この2人に『地のベルト』に適合した木場勇治を加えた3人が、アークオルフェノクの親衛隊にして、スマートブレイン最強の部隊『ロイヤルガード』である。
「それでは、任務開始といきましょう。ああ、それと研究開発部から新兵器が完成したと連絡があったので、各自受け取っていくように」
 村上の言葉から暫く後、準備を整えた4人がそれぞれの目的地へと出発した。
587スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/23(土) 21:04:49 ID:Lhe6pMyM
今回の投稿はここまで。
続きは近日中に
588まとめサイトの人 :2005/04/24(日) 00:56:00 ID:fPbEhiZP
581迄更新しました。
今現在プロキシ規制ってやつで2chへの書き込みができません。
漏れのパソコンが、ではなくIPアドレスがね…、
驚いたんであせってマカフィー・ノートン・バスターそれぞれでスキャンしたけど、
全部白でした。…早くIPアドレスの振替してもらいたいです。
長文のページの背景が白いのは理由がわかりません。
色々やってみますが気長にお待ちください。m(__)m
589名無しより愛をこめて:2005/04/24(日) 11:28:00 ID:C91s1FvL
いつもご苦労様です。
590スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/24(日) 15:09:23 ID:PD0IDuII
>>584-586

 会議から数時間後、ガイはカイザから奪い取ったサイドバッシャーを駆り、某山中に建設されたショッカーの秘密基地を目指していた。
 ある程度まできた所でサイドバッシャーから降り、徒歩で移動を開始する。
「情報ではこのあたりなんだけどなぁ〜」 
 鼻歌交じりに山道を登っていくガイ。スーツ姿、しかも両手にトランクを持っているにも拘らず、その足取りは軽やかだ。その時―
「ギィッ!」
 茂みから1人の戦闘員が跳びかかってきた。その手には大型のナイフが握られている。
「おおっと」
 戦闘員の鋭い斬撃をバックステップで回避したガイは、にこやかな笑顔で戦闘員に話しかける。
「タイムタイム、俺はここのトップの人に話があって来た訳、取り次いでくれないか…っとぉ!」
 だが、戦闘員は聞く耳持たずと言わんばかりに攻撃を再開した。
 普通の人間なら5回は死んでいるほどの激しい連続攻撃がガイを襲う。
「だーかーらー、俺は怪しく見えるかも知れないけど、敵対する意思は無いんだって」
 しかしガイは飄々とした態度を崩さずにその攻撃を避け続ける。そして、戦闘員の僅かな隙を突き―
「少しは…落ち着けって」
 鋭い蹴りでナイフを弾き飛ばし、そのまま流れるような動きで戦闘員の腹に蹴りを叩き込んだ。
 強烈な蹴りを受け、吹き飛ぶ戦闘員。近くの木に叩きつけられそのまま動かなくなる。
「あら…手加減したんだけどな……強すぎたか…ごめんね〜」
 何処かバツが悪そうな感じで戦闘員に謝るガイ。すると―
591スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/24(日) 15:10:06 ID:PD0IDuII
「我が配下を子ども扱いとは、なかなかやるな」
 そんな台詞と共にショッカー怪人蜘蛛男が、戦闘員10名を引き連れて姿を現した。
「少しは話が通じそうだな…あのさぁ、悪いんだけどここのトップの人に取り次いで―」
「だが、この基地を見たからには生かしては帰さん!」
 話が通じる。そんなガイの考えは無残にも打ち砕かれた。蜘蛛男は完全にこちらの声を無視し話を続けている。
「我らショッカーの恐ろしさ、骨の髄まで叩き込んでから惨めな死を与えてやろう。ハッハッハッハ―」 
 蜘蛛男の笑い声はそこで止まった。自分の僅か30cm横を強力な破壊弾が通り過ぎたからだ。
 破壊弾は、山肌に直撃し巨大な穴を空ける。
「話聞いてくれる? 俺はスマートブレインからの使者で、ここのトップの人と話がしたい。悪いんだけど取り次いでくれるかな?」
 ようやく周囲が自分の話を聞く状況になったので、ガイは再度自分の要求を発表した。にこやかな笑顔を崩さずに…
592スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/24(日) 15:11:22 ID:PD0IDuII
 数分後、ガイはこの基地のトップと面会する事が出来た。
「私がこの基地の責任者を務める死神博士だ」
「スマートブレインから参りました、ガイと申します。お会いできて光栄です、プロフェッサー」
 挨拶を交わす死神博士とガイ。外見上は友好的な態度を両者とも取っている。
「まずは、部下の非礼をお詫びせねばな。職務に忠実ゆえの事なので、どうかご容赦願いたい」 
「いえいえ、お気になさらず。忠誠心に厚い部下をお持ちで羨ましい限りです」
「では、ここに来られた理由をお聞かせ願おうか」
「ええ、現在うちのトップを務めている村上からの提案を、そちらで御検討頂けないかと思いまして」
「提案…切れ者と噂の村上殿の提案となれば、こちらにとって有意義な事でしょうな」
「ええ、そう思いますが」
 そこまで言うとガイは一旦言葉を切り、本題を切り出そうとした。その時―
「博士」
「何事だ、御客人の前だぞ」
「申し訳ありません、ラボの方でトラブルがおきまして…」
「そうか…申し訳ない、少々お時間をいただけますかな?」
「ええ、構いませんよ」
「それはありがたい、そうだ。こんな殺風景な司令室では何なので、部下に応接室の方へご案内させましょう」
 死神博士のその言葉と共に、ショッカー怪人蜂女が姿を現した。
「どうぞ、こちらです」
 どうやら、死神博士の秘書的な役割を担っているようだ。蜂女に案内され司令室を後にするガイ。
「…フム…あの男、若いがなかなかの曲者のようだな」
 そして死神博士もそう呟き司令室を後にした。
593スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/24(日) 15:12:18 ID:PD0IDuII
 それから暫く後、場所を応接室に移して死神博士とガイの会談が再開された。
「スマートブレインとの同盟…」
「はい、理想としてはショッカー、ゴルゴム、クライシス帝国。この3つの組織全てと同盟を結びたいと村上は考えています」
「なるほど…4つの組織の力を集め、MRAを叩き潰す事が目的ですな」
「そう言う訳です。同じ敵を持つ者同士、力を合わせこれを打砕くべきではないか? と、村上は言っています」
「ふむ…MRAの存在は我々にとって目の上の瘤。そして、それを取り除く為には総力を結集しなければならない」
「その為にも、組織同士の潰しあいは得策とは思えません」
「たしかにな。私個人としてはこの申し出、受けても良いと考えている。だが…」
「他の十闘将がどう動くか…ですね」
「さよう、我がショッカーの行動は基本的に十闘将の合議制なのでな」
「ですが、この申し出決して悪い物ではないと思います。私は何とかなると考えていますよ、プロフェッサー」
「宜しい、次回の十闘将会議の際、この事を私の方から提案しましょう」
「ありがとうございます、プロフェッサー」
 こうして、ショッカーとの交渉は一応成功した。


「交渉は成功♪ 後は待つだけ♪け♪け♪け♪け♪結果は後日のお楽しみ〜♪」
 訳のわからない替え歌を歌いながら、停車しておいたサイドバッシャーの元まで戻ってきたガイ。
 だが、すぐにサイドバッシャーには乗らず、車体を入念にチェックしている。すると―
「あった」
 カウルの下から小さな機械が見つかった。小型の発信機だ。
「あの爺さん、抜け目ないねぇ〜。まあ、一種の社交辞令みたいなもんか」
 そう言って発信機を握り潰すとガイはサイドバッシャーを走らせ、その場を後にした。
594スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/24(日) 15:16:49 ID:PD0IDuII
今日の分はここまで、ぶつ切り投稿で申し訳ないです

>>588=まとめサイトの人さん
いつも、ご苦労様です
595名無しより愛をこめて:2005/04/24(日) 20:30:45 ID:HJU4TMow
新作age
596名無しより愛をこめて:2005/04/25(月) 18:16:54 ID:XgURlM6T
14との戦いから数ヶ月。剣崎、橘、睦月の三人は2枚のジョーカーを除いた全てのカードを
山奥へと封印する旅に出た。それぞれのバイクを走らせ、目的地へと急ぐ。

突然強い衝撃を受けた三人。そして気を失った。目が覚めた三人の前には髑髏を象った
黒尽くめの集団に襲撃された。変身して戦おうとカードを構えた三人の前に現れた一人の男。

「――――ライダー、、、変身―――――」



なんていう書きもしない予告編を投下してみる。
597名無しより愛をこめて:2005/04/26(火) 01:52:12 ID:A41y4+5p
「橘君…先日の実験で負傷した桐生君の代わりに仮面ライダーギャレンへの変身実験を受けてみてくれないか?」
 廊下を歩いていた橘を呼び止めた烏丸は橘にコーヒーを渡しながらそう喋りだした。
「桐生君はあの実験でギャレンへの適正がないことがはっきりとした」
 橘に反論する間も与えず烏丸は喋り続ける。
「あの実験を目にしたキミが乗り気でないのはわかる。もしキミが断るなら他の適正者を探し出す。 
 だが、できればライダーシステムやアンデッドの研究を共にしてきたキミに戦って欲しい、どうだろうか?」
そこまで一気に喋り、烏丸は橘を見つめる。
「俺にギャレンへの適正が…?」
 橘は思い出す。桐生の変身実験の結果と、そのせいで桐生がどうなってしまったかを。
「桐生君も橘君、キミがギャレンになるなら不満もないだろう」
 橘は迷いに顔を曇らせる。その表情を見て烏丸は更に続ける。
「もちろん、今回は医療スタッフを万全の体勢を整えて待機させる。
 キミが仮にギャレンに適合できなかったとしても、後の社会生活に影響を残さないことを約束しよう」
「ですが…本当に俺がギャレンに…」
「頼む、橘君。アンデッドを封印し、日本、いや全ての人類のための平和を取り戻すための戦いに参加してくれないか!」
 烏丸の熱意に満ちた目と口調に負け、橘はギャレンになることを了承した。
598名無しより愛をこめて:2005/04/26(火) 01:54:09 ID:A41y4+5p
とかいうところから始まる橘さんの本編前の戦いを書いてみようかとか思ったんですが
細かい設定とかがわからない部分が多くてイマイチ踏み出せない_| ̄|○
599名無しより愛をこめて:2005/04/26(火) 08:48:18 ID:jV+PO/PN
>>598
そこで「超全集」とかで確認ですよ・・・でも「超全集」自体間違っているとこもあるそうで
参考にならないかな。
600447:2005/04/26(火) 19:29:27 ID:EYttnSIV
みなさま、乙でございます。

『狼と人間の黒い牙』第5話 です。
601『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:30:23 ID:EYttnSIV

<第5話>

-1-

 夜の街を幸せそうに笑いながらカップルが歩いていた。
微笑ましい光景だが、新名は気にも留めず一撃で男の方を殺した。
一瞬で接近し、殺し、立ち去った。それだけだった。
女が状況を理解し、悲鳴が響き渡る。

倒れた恋人に駆け寄り、涙声で何度も必死に呼びかけるが、
恋人の体はみるまに狼の怪物に変貌した。
怪物は恐怖と絶望の悲鳴を上げる恋人に襲い掛かり、食い殺す。
そして、夜空を見上げ雄叫びを上げた。
新しい眷族の叫びに答え、新名も低く吼える。
月光の下、ビル街に人ならざる獣の咆哮が響いた。

それは、彼が今から行う戦争の宣戦布告だった。
602『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:31:46 ID:EYttnSIV

-2-

 朝の静かな空気を、エンジン音が震わせる。
真っ黒なバイクがサーキットのピットから姿を現した。
バイクに乗っている男は、真っ黒なヘルメットにカーキ色のツナギ。
そのままレーンを抜けコースへ向かう。コースに出るとさらにエンジン音を響かせ、加速した。
新名とブラックファングが、第一コーナーに向け走り出した。

ファングの加速は凄まじく、瞬く間にコーナーが迫ってくる。
新名は軽々とコーナーを抜けると再び加速した。
朝日に照らされたコース上を、ファングが滑るように走り抜けていく。
エンジンは快調でギアは素直に反応し、タイヤはしっかりと路面を取らえる。
不安定な外観に反してその安定性は驚異的だった。

新名はファングと自分が一体化するような感覚を覚えた。
まるで、その手と足が、マシンにめり込むような感覚。
心臓も脳味噌も、魂さえも融合し、一つの生命体と化す。
そうして一匹の獣となったアンデッドのマシンがささやくのだ。
603『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:32:49 ID:EYttnSIV

倒せ。アンデッドを倒せ。倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ倒せ

「ああ、そうだ」
無意識にヘルメットの中でつぶやく。
そのささやきは、自分の心となんら反してはいない。
とても自然でリラックスした空間を、猛スピードで走り抜ける。
大気も風景も全て血液の中に溶け込み、一つの目的にのみ特化する。
マシンは、走る事だけを求め、
乗り手は、勝つ事だけを求めた。

新名が人間の中で学んだ煩雑な疑問や悩みがかき消されていく。
それはまるで、封印が解けたあの頃に戻ったかのような懐かしく新鮮な感動だった。
ひどくクリアーな頭でピットへと戻る。
そこでアンデッドハンターの隊員達が待っていた。
今の新名にとってその人間達の存在は、
アンデッドである自分とマシンとの対話を妨げるようにも思えた。
乾いた不快感が沸き起こる。

こんな種族などさっさと滅ぼしてしまえ。

それは内なる衝動か、それともファングのささやきだろうか。
新名はそんな気持ちを表には出さず、隊員達の出迎えに笑顔で答えた。
604『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:34:22 ID:EYttnSIV

-3-

 朝の静かな空気を、エンジン音が震わせる。
隊員達の前をブラックファングが走り抜けていく。
それは走る、というより、まるで滑るように自然だった。
守山はその姿をひたすら目で追う。
漆黒のマシンとそれを乗りこなすライダーに、ただ見とれていた。
それは確かに、理屈も何もすっ飛ばし見る者を魅了するパワーがあった。

そして黒いマシンがピットに戻って来た。
開発班の隊員達が笑顔で迎え、新名もそれに笑顔で答えた。
「どうでした、ファングは?」
「ああ、最高だ。最高のマシンだよ」
満面の笑みで答える新名。

守山は開発班の後ろで、その様子を微笑ましげに見ていた。
だが、新名がマシンから離れた後に一瞬だけ見せた冷酷な目に背筋が凍った。
あんな目をする人だったか。
疑問を振り払い、新名に清涼飲料水のペットボトルを渡す。
季節は初夏、もう長袖では汗ばむ陽気だった。
一見バイクは涼しいようだが、ヘルメットにグローブ、ウェア等に全身を包まれ
さらにアスファルトの照り返しとエンジンの排熱が乗り手を苦しめるのだ。
アンデッドにとってはそんな暑さなど気にする事は無いのだが、
新名はちゃんと暑そうなフリをして清涼飲料水をうまそうに飲んだ。
605『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:35:19 ID:EYttnSIV

「お疲れ様です。すごいですね」
「ああ、すごいマシンだ」
「いえ、新名さんが」
「……そうか。ありがとう」
曖昧な表情でそれだけ言うと、新名はピットを出て行った。
 守山は、なにやら釈然としない思いを抱えたまま、その背中を見ていた。
彼は新名をまるで目的の為にだけ動く正確な機械のようだ、と思っていた。
そして時折新名が見せる多面的な部分に、魅力も感じていた。
人間的に見える時もあれば、非人間的な冷酷さを見せる場面もある。
他の隊員は特に気にもしていない様だが、守山は注目していた。
どちらが新名の本質なのだろう、と考える。
彼は、人間的な部分が新名の本質だ、と信じたかった。

その時、無線機から全隊員に指令が下された。
──アンデッドサーチャーに反応あり、集合せよ。──
守山は思考を中断すると、日光の降り注ぐピットの外へ駆け出していった。
今は考えるときじゃない。僕は任務を遂行する。
606『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:36:47 ID:EYttnSIV

-4-

サーキットに程近い遊園地内に、突如として数匹のワーウルフが出現した。
騒然とし、逃げ惑う客の流れとは逆方向に、アンデッドハンターのSUVが進む。
アンデッドサーチャーの反応が近づくにつれ、客の数が少なくなる。
だが突然ワーウルフ二匹の反応が消えた。
それは誰かに倒されたことを意味する。

そして現場に到着しSUVから下車した隊員が見たものは、
倒されたワーウルフ、そして少年と女性。その間には一匹のワーウルフ。
新名がSUVの後方からバイクで到着し、忌々しげにゴーグルを外す。
階段側にいた女性の表情が驚愕へと変わった。
「お前は!?」
新名はそれを無視し、ワーウルフへと向くと左手を上げた。

「やれ」

5丁の拳銃が一斉に火を吹きワーウルフを打ち倒した。
「なんなんだアンタ達」
少年が戸惑いながら話しかけてくるが、新名は無視する。
隊員たちも、作戦行動中必要以外は口をきくなと厳命されている。
「油断するな、アンデッドはもう一匹いる」
「アンデッドの存在を知っているのか?」
少年をさらに無視し、隊員たちに新しい標的を指示する。
「あの女だ」
新名の命令を聞くと同時に、隊員達が女性に向け一斉射撃を始めた。
607『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:38:16 ID:EYttnSIV

だが銃弾は当たらない。
素早く階段の上に跳躍したのだ。
こちらを見て微笑し、そのまま向こう側へ消える。
「追うぞ!」
ギアを一段落としエンジンに活を入れ、新名が走り去る。
その声で弾かれたように隊員達が走り出した。
平井はSUVに乗り後方から追う。
「……えーっと」
一人残された少年──仮面ライダーレンゲル=上条睦月。
避難させた女友達が頭に浮かんで一瞬迷ったが、
結局アンデッドと戦闘集団を追うことに決めた。

銃弾から逃げながら女性=上級アンデッド吉永みゆきは考えた。
なぜアイツがここに?人間を配下に置いて、私を攻撃してきた。
これは、何を意味するんだろう。
駐車場まで来た所で新名のバイクが立ち塞がった。
慌てて振り返ると、数名の男達が銃を構えこちらにやって来る。
さらにその後方からは一台の自動車が現れ、止まった。
608『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:41:00 ID:EYttnSIV

「行け」
助手席で平井が指示を出す。
ドライバーは、アクセルを踏み込んでみゆき目掛けSUVを突進させた。
「くっ」
みゆきの周囲に蘭の花びらが舞い、
清楚な女性の姿から毒々しい花のアンデッドへと変貌する。
「んううっ!」
突っ込んできたSUVを全力で押さえ込むが、徐々に押されていく。
このSUVには防弾加工が施されており、その強度・重量共に通常のSUVを大きく上回る。
ドライバーがさらにアクセルを踏み込み、強化されたエンジンが唸りを上げる。

鉄柱の前まで後退したところで、みゆきは裂帛の気合でSUVを押し返した。
重量数トンのSUVが数メートルも押し返され、周囲の隊員達も一瞬ひるむ。
隊員たちは上級アンデッドと相対するのは初めてだったが、
優しげな女性の姿と、さらに二つの理由でそれほど恐怖は感じなかった。
一つは事前のミーティングで新名から「恐れる相手ではない」と教えられていたため、
もう一つは、彼らには今日手に入れた切り札があったからである。
「う……わあああああああ!」
「アンデッド……マジ不死身ってこと?」
みゆきが吼え、いつの間にか追いついた睦月が畏怖のこもった声でつぶやいた。

新名は茶番を見ているような白々しさを覚えたが、
自分の役を演じるために、バイクから降りた。
その手には隊員達の期待の切り札が握られている。
609『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:42:27 ID:EYttnSIV

みゆきに近づき、ゆっくりと威圧しながら話しかけた。
「ライダーシステム以外で、お前らを封印する方法は無い」
他の隊員達が素早くみゆきの周囲に展開し、退路をふさぐ。
「だが、この銃で撃ち出すT細胞活性弾なら……」
誇示するように銃を見せ付ける。T細胞活性弾と言ったがこれはただの銃弾だ。
しかし隊員達は、新名が本物を入手したと思っている。
「お前らの動きを封じることが出来る!」
銃を両手で構え、みゆきへと向けた。相手が動揺しているのがハッキリとわかる。
みゆきは背後を振り返り、退路を断たれたことを確認すると新名に襲い掛かった。

ウルフアンデッドの反射神経ならば避ける事は容易だったが、
新名はあえて攻撃を受けた。
吹き飛ばされ、受身をしながら倒れこむ。
わざとらしく苦痛の声を上げながら、みゆきが走り去るのを確認すると
助けに来た隊員達にアンデッドを追跡するように指示を出した。
「でも、新名さん!」
「俺は大丈夫だ。行け!」
心配そうに救急キットを取り出す守山にも怒鳴り声を浴びせる。
「行くぞ!」
SUVから平井が呼び、ようやく守山はその場を離れた。
新名と睦月だけがその場に残された。
610『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:43:41 ID:EYttnSIV

「あのー? 大丈夫ですか」
そう聞いて近づいてくる睦月を手で制し、新名はバイクに乗った。
先ほどからの無視にイラついたのか、睦月がバイクの前に立ちふさがる。
「なんなんだ、アンタ達は」
睦月と新名の目が合った。
新名は、睦月からカテゴリーA(エース)の強い気配を感じ取った。
それは他のライダーの持つカテゴリーAの気配とは異なるものだ。
その邪悪なエネルギーは、カテゴリーAが完全には支配されていない証拠だった。
今は眠っているようだが……いずれはこの少年を食い潰すだろう。

上級には区分されないが、カテゴリーAの力はあなどれない。
最近ではカテゴリーAのマンティスアンデッド、「カリス」が人間の体を乗っ取っとり、
ずいぶんアンデッドを倒しているようだ。
カリスに友情を誓っていたカテゴリーJイーグルアンデッドも敗れ、
そのまま近くにいたブレイドに封印されたらしい。
まあ奴にとっては本望だろう。かつて望んだ相手と雌雄を決する事が出来たのだ。

「ふんっ。邪魔だ、どけ!」
「えっ」
鼻で笑いアクセルをひねった。
睦月は突っ込んできたバイクを慌てて避け、地面に転がる。
「ッてえ!……なんなんだよ」

新名は、睦月が起き上がるのをバックミラーで確認した。
今あの少年、仮面ライダーレンゲルと戦うつもりは無い。
倒せたとしても、カテゴリーAに逆支配されるようなライダーシステムなどに価値は無い。
まずはみゆき=オーキッドアンデッドにお灸をすえる必要がある。
隊員達はみゆきを追って行ったが、途中でワーウルフに遭遇し追跡を断念するはずだ。
残りのワーウルフにそう指示を出してある。
みゆきの気配が近くなり、新名はバイクを降りて走り出した。
611『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:46:10 ID:EYttnSIV

みゆきは、眼下のプールへと繋がる通路を走っていた。
ハイヒールのおかげで走りにくいが、今更脱ぐという考えは思いつかない。
彼女はカテゴリーQ(クイーン)の上級アンデッドであり、当然能力は下級をはるかに上回る。
だが上級アンデッドの中では、その実力は下位だった。
だから今、ぶざまにも人間態で逃げている。
その姿は不死生物とは思えないほどに弱弱しく、また人間的だった。

彼女は考えていた。
仮面ライダーレンゲルにウルフアンデッド、そしてあの人間達。
なぜか手を組んで私を襲ってきた。
理由は分からないが、とりあえずは逃げたほうが得策だろう。
そもそも彼女は、直接アンデッドと戦うよりは漁夫の利を得ることを好む。
その態度を同じカテゴリーQの女性型アンデッドに諭されたこともある。
しかし上級の中で戦闘能力に欠ける彼女には仕方の無いことでもあった。

階段を下り、プール際まで来た所で、背後に殺気が膨れ上がるのを感じた。
みゆきが振り返った瞬間、ウルフアンデッドの姿へ戻った新名が頭上を飛び越え
前方に降り立った。
「余計なものを見たな!」
振り向きざまに発したその声は、人間とは明らかに違う低く残忍なものだった。
612『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:47:21 ID:EYttnSIV

みゆきは動揺を抑え、笑顔で話しかける。
「面白い事をしているのね?手を組みましょうか」
「そんなつもりは無い!」
新名は全く意に介さず、みゆきに襲い掛かった。
この女の誘いなど、聞く方が馬鹿なのだ。
「ハァッ!」
「!」
みゆきは身をひるがえして鋭い爪を二度三度避けるが
一瞬の隙に喉をつかまれ地面に叩き伏せられた。
「──ッ!」
「ヌゥアアッ!」
そのまま顔目掛けて振り下ろされる爪を、横に転がり回避する。
激しい金属音を立て新名の爪がコンクリートに突き刺さった。
「ウヌゥウ!」
「くっ……」
膝立ちの姿勢でそのまま睨み合う。
その時、呆れるほど軽い拍手がプールに鳴り響いた。
613『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:49:19 ID:EYttnSIV

見ればプールの向かい、パラソル下のビーチチェアから一人の男が手を鳴らしている。
麦藁帽子の男は気だるそうに胸の上の雑誌を置くと、ゆっくりと立ち上がり二人を睨みつけた。
「ふんっ!」
軽々とプールを飛び越え、二人の前に降り立つ。
「さあ、遠慮しないで。続けて続けて」
男の、ひょうひょうとした態度とは裏腹の威圧感に、新名とみゆきは思わず後ずさった。
「まってくれ!」
「あなたのテリトリーを犯すつもりはなかったの」
思わぬ乱入者に新名は焦っていた。
こいつはエレファントアンデッド、新名と同じカテゴリーJだ。
しかも、その怪力はカテゴリーJ随一、いやQやKの中でもトップクラスである。
新名の苦手とするパワータイプのアンデッドだった。
”コイツと正面からやりあうのはマズイ!”
逃げ道を探す。みゆきもいるが共闘などしないし、したとしても頼りにはならないだろう。
男は麦藁帽子の下から黙って二人を見据えている。
614『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:50:07 ID:EYttnSIV

その沈黙を破るかのように、突然バイクのエンジン音が近づいてきた。
紫と緑のライダーマシン、上条睦月とグリーンクローバーだ。
ヘルメットを脱ぎ、目の前のアンデッドをにらみつける。
「上級アンデッドが二体……いや三体。お前も、アンデッドなのか」
睦月はバイクを降り、麦藁帽子の男に言った。
「勝手にやってくれ。戦いは嫌いなんだ」
余裕と侮蔑のこもった表情を見せながら男が答えた。
一歩踏み出した睦月の背後から、今度は二台のバイクが現れた。
橘のレッドランバス、剣崎のブルースペイダーだ。
「吉永……みゆき」
怒りのこもった声で剣崎がバイクを降りた。
それに対しみゆきは見下すように顔を上げた。
剣崎にとってみゆきは、大切な友達を騙し傷つけた憎きアンデッドだった。
遅れてバイクから降りた橘が並び、三人が身構える。

新名は、目の前にいる彼ら三人が何をするのか分かったが、邪魔はしなかった。
この危険な状況を打開してくれた礼を言いたいくらいだ。
そして、実際に彼らと手合わせをして実力を計る必要もある。

また上級アンデッド──カプリコーンアンデッド──を倒したそうじゃないか。
さあ来い、仮面ライダー。
615『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:51:35 ID:EYttnSIV

三人が一斉に腰に筆箱大の装置を付け、カードを差し込んだ。
一瞬でベルトが展開し、その装置はバックルとなる。
三種のチャージ音が重なり合う中、それぞれが独自の構えを取り────叫んだ。

「「「変身!」」」
同時にバックルを操作する。

『オープンアップ』
『ターンアップ』
『ターンアップ』

音声と共に前方に四角い映像──オリハルコンエレメント──が放出された。
睦月は向かってきた映像をその場でくぐり、
両サイドの剣崎と橘は、前方に固定された映像目掛けて突進し、くぐりぬけた。

そして、
上城睦月は仮面ライダーレンゲルへ
剣崎一真は仮面ライダーブレイドへ
橘朔也は仮面ライダーギャレンへ
それぞれの姿を変えた。

三人は打ち合わせたように各自の標的へと走る。
ブレイドはみゆきへ、ギャレンは麦藁帽子の男へ挑みかかった。
新名の方にはレンゲルが向かってくる。
616『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:53:29 ID:EYttnSIV

新名はレンゲルのパンチを易々と避け、裏拳を食らわした。
レンゲルは攻撃を続けるが新名には当たらない。
予想通り、この少年──上条睦月はライダーシステムを扱いきれていない様だ。
頃合を見計らってプールサイドへと逃げる。
みゆきも同じ事を考えていたのか、新名の隣へ逃げて来た。
「もうすぐお前らを倒す力を手に入れる。楽しみにな!」
新名が吐き捨てた。
「ここはあなたに任せたわ」
「!」
みゆきは、麦藁帽子の男へ愉快そうに言い放った。
二人はそのまま一気に跳躍し、プール際の戦場から抜け出した。

「また会いましょう」
プールから逃げる際、みゆきは笑いながら新名に言った。
全く苛立たせてくれる。どうせまたよからぬ事を企んでいるのだろう。
新名はみゆきの気配が遠ざかっていくのを感じた。
みゆきは新名とは逆に林の方へ逃げたようだ。
人間態に戻り、バイクに乗って隊員達の元に戻る。
無線で状況を確認すると、ちょうどワーウルフを始末したところだった様だ。
617『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:54:15 ID:EYttnSIV

それからすぐ、人気の無い駐車場で隊員達と合流した。
守山が駆け寄ってくる。
「新名さん、大丈夫ですか?」
「ああ、あの上級アンデッドを追ったんだが……逃げられた」
「怪我の手当てをしましょう」
「いや、大丈夫だ」
「ホントですか?」
「本当に大丈夫だ。俺は不死身だからな」
冗談交じりに言ったが、嘘はついていないぞ。
「それより、ワーウルフは全て倒せたのか?被害は?」
新名のその言葉で、平井が一歩前に出る。
「追跡中に現れた二匹を倒しました。こちらには被害はありません」
「そうか。よくやった。俺がいなくても大丈夫だな」
「いえ、やはり新名さんがいてこそのアンデッドハンターです」
その言葉に周囲の隊員達もうなずいた。
「そうか……撤収するぞ」
「はい」

隊員達がSUVに乗り込む。
最後に乗り込んだ守山が、ドアを閉める前に振り返ると
新名がバイクの上でなぜか苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
618『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:55:34 ID:EYttnSIV

-6-

夜の静かな公園に、突如青年の悲鳴が響き渡った。
新名はアンデッドの姿で、不運な通りすがりの青年を食い殺した。
「やめろ!」
向こうから剣崎一真が走ってくるのが見える。
いいタイミングだ。
少し演出過剰だが、新名はそのまま逃げ去った。
剣崎一真が被害者に駆け寄る。
「大丈夫ですか!?大丈夫ですか!?」
そして怒りをあらわにする。
「なんて……なんて酷い!」
俺を追いかけようとして──背後の被害者の気配に気づく。
ワーウルフの誕生だ。
「死んだ人が、アンデッドに!?」
ああ、危ないぞブレイド。
鳴り響く銃声。飛び散る火花。アンデッドハンターの登場だ。
「偶然」居合わせたアンデッドハンターが、「偶然」仮面ライダーを助ける。
我ながら陳腐な筋書きだな。
619『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:56:05 ID:EYttnSIV

ワーウルフは倒れ、炎に包まれた
剣崎はそれを驚愕の表情で見る。
「ブレイド────剣崎一真か」新名が近寄り声をかけた。
「睦月が言っていたのは、あなた達なんですね。アンデッドを倒せる人間が……いるなんて」
唖然とした様に、そしてゆっくりと言葉を選ぶ様に、剣崎が話す。
「これはアンデッドじゃありません。アンデッドの犠牲者です」平井が答えた。
「犠牲者?」
剣崎の問いに、今度は新名が答える。
「アンデッドが人間を殺し、その死体を自分の仲間にして操っている……」
「一体、あなた達は?」
犠牲者を悼むように胸に手を当て、剣崎の目をのぞき込んだ。
「アンデッド・ハンター」
620『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 19:59:18 ID:EYttnSIV

-7-

そして翌日の昼、新名の誘いを受け、二人のライダーがサーキットにやって来た。
仮面ライダーブレイドこと剣崎一真と、
仮面ライダーギャレンこと橘朔也である。

「あれは!」
コース上にたたずむ一台のマシンを見て、橘が驚きの声を上げた。
慌てて駆け寄ると、マシンの周りには、アンデッドハンターの開発班と新名が待っていた。
「このマシンは!」
「お気づきですか。さすがはギャレン、橘朔也」
新名がやや声を弾ませ、橘に話しかけた。
「あなたが……新名さん?これを見せたくて、俺達を」
橘は、相手を伺う様に慎重に答えた。
初めて新名と剣崎が会った夜、新名は自分をBOARD職員だったと話したらしいが
橘は新名を見たことは無かった。

「BOARDでお見かけした事はありますが、ご記憶ではないでしょうね」
その考えを見透かすように新名が言った。
「これェ、すごいっすね!」
そんな二人の緊張とは関係無しに、剣崎は素直にマシンに驚嘆した。
その声に、二人の緊張も緩む。
621『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:00:27 ID:EYttnSIV

「ブラックファング。俺達が作り上げようとしていた、最高のマシンだ」
グリップを握りながら、橘が懐かしそうに言った。
彼は、ブラックファングの研究に参加していた。
だから、BOARD壊滅で潰えたと思っていたファングとの再会は、嬉しい驚きだった。

「じゃあBOARDの!?」
BOARD、という言葉に剣崎は笑顔を溢れさせた。
彼は、自分が信じ働いた組織であるBOARDには思い入れがあった。
「ああ」
それは橘も同じだった。
「開発中だった、ライダーマシンを超えるマシン。そして我々は、
ライダーシステムとは別にアンデッドを封印する方法を模索するチームだった」
新名はボディを撫でながら説明する。
「それが────完成していたのか」

「試してみますか?」
橘の呟きに、新名が答えた。
その声と表情は、多少挑発の色を帯びていた。
一瞬、橘と目を合わせる。
橘は少し考えた後、テスト走行を申し出た。
622『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:01:49 ID:EYttnSIV

-8-

コース上を2台のマシンが走る。
ブラックファングには橘が乗り、その後にブルースペイダーに乗る剣崎が続いた。
剣崎は自分もブラックファングに乗りたかったようだが、結局先輩である橘に譲った。
後で乗る機会もある、そんな風に橘に諭される剣崎を見て、
アレは守山に似てるかなと新名は思った。

2台のマシンは丁寧に、そして力強くコース上を走っいていく。
新名は、それをピットの上から見ていた。
ふと振り返ると、戸を開けて守山が入って来た。
「どうしたカズアキ、戦闘班は休んでいてもいいんだぞ」新名は言った。
「ああ、いや、ファングのテスト、しかも仮面ライダーが来るって言うんじゃ
休んでなんかいられないですよ」
守山は楽しそうに答え、新名の脇に立った。

コース上に目をやると、ちょうど橘のファングが剣崎のブルースペイダーを引き離しにかかったところだった。
剣崎も慌てて加速するが、2台の距離は加速度的に離れていく。
623『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:04:14 ID:EYttnSIV

「すごい……」
守山が感嘆の声を漏らす。
「俺達の、ファングだからな」
新名が答えた。
「僕も、早く乗ってみたいです」
守山が返す。
「量産化さえすればいくらでも乗れる。もう少しの辛抱だ」
新名はそう言ったが、本心では量産化する気などさらさら無かった。
ファングは俺の乗る最強の一台だけでいい。

守山が新名の言葉に満面の笑みでうなずく。
「そうですね。ヒーローになるにはバイクが必要でしょう」
それは、懇親会の夜に守山に言った言葉を受けたものだった。
”ヒーローに憧れるならお前がヒーローになれ”
新名はそう言った。

ヒーロー。
「ヒーロー、か。なりたいか?」
「ええ、俺がヒーローを目指してもいいんだ、目指したいんだ、って気持ちが最近出てきて。
新名さんがあの時言ってくれたから。」
「そうか」
「なれますかね?僕は」
「……なれるさ。ファングにも乗れる」
新名はゆっくりと答え、コース上へ目を移した。
2台のマシンがそろそろピットに戻ってくる。
624『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:06:04 ID:EYttnSIV

「まいったなあ、ブルースベイダーがまるでついていけないよ!」
剣崎のブルースベイダーは、橘よりだいぶ遅れてピットに戻って来た。
「まだまだ、コイツのポテンシャルはこんなものじゃないはずだ」
ファングの感触をじっくり試した橘が、確信したように言った。
「もしこのマシンが俺達の力になれば、すごい事になりますね!」
その言葉で橘の顔が曇る。
無邪気に喜ぶ剣崎とは対照的に、橘はまだ新名に不信感を持っていた。
これは話がうますぎはしないか。
今まで何度も騙された男のカンが違和感を知らせていた。

「ブルースペイダー、レッドランバスに組み込まれたラウズカードシステム。
その技術を、コイツに加えたい。」
その沈黙を破ったのは新名の自信に満ちた声だった。
ピットに戻って来た新名が、橘と剣崎の前に立つ。
625『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:06:37 ID:EYttnSIV

「じゃあ、俺達のマシンを分析して、そのテクノロジーを参考にすれば……」
剣崎が嬉しそうに新名に言った。
「私達のブラックファングは、より完成したものになる!」
新名も、笑顔で剣崎に答えた。
二人とも破顔してうなずき合う。
コイツはまるで子犬みたいだな、と新名は思う。そういう所でも剣崎は守山に似ていた。
そして、他人の理想に疑いを持てない点も似ている。
それが命取りになる。

私達の、ブラックファング?
そんなものは無い。
BOARDのファングでもなければアンデッドハンターのファングでもない。
俺の、俺だけのファングだ。
626『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:08:00 ID:EYttnSIV

新名と剣崎の打ち解けた雰囲気を、橘だけは冷ややかに見ていた。
「ブラックファングを完成させて、どうするつもりだ」
橘は詰問する様に言った。
「我々の装備として量産します。アンデッドを倒すために」
顔を背けたまま、新名が答えた。
「アンデッドを封印できるのはライダーシステムだけだ」
さらに問いただす橘に真剣な眼差しを向ける。
知らずに眉が寄り、険しい表情を作った。
「我々は、一時的にアンデッドの活動を停止させる方法を見つけました」
その言葉で、隊員の一人が新名に大型の銃を渡す。
それはT細胞活性弾を発射する、という触れ書きのあの銃だった。

「すごい!」
剣崎が目を輝かせる。
「そんな方法があるのか」
「システムは後で詳しく説明します」
なおも食い下がる橘をかわし、笑顔で答え、話を進める。
「私達がアンデッドを捕獲し、あなた達が封印する」
「封印!」
その言葉に、剣崎がまた反応した。
「橘さん、やりましょう!このまま奴らを放っておいたら、
人間がどんどんアンデッドもどきになっちまいます。橘さん!」
剣崎は橘に詰め寄って必死に訴えかける。
橘の新名に対する疑念は消えてはおらず、しばらく渋い表情をしていたが
結局は剣崎の熱意に押され、ブラックファングの改造に協力することになった。
627『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:09:54 ID:EYttnSIV

-9-

日が落ち、サーキットが闇に覆われ始めた頃ブラックファングの改修作業が始まった。
ガレージ内に明かりやパソコン機材を持ち込んで作業をする。
ブラックファングを中心に、3台のマシンがガレージに並んだ。
それぞれを配線がつなぎ、データの移動やシステムの統合を行う。

「やはり実戦に使われていたマシンですねえ。システムが実用的に洗礼されています。」
パソコンのモニターを覗いていた平井が感心したように呟いた。
「データを写して、ファングでも使えるようにしましょう。そうすれば俺達のマシンを合わせた、
いや、それ以上の強さを持つことになる」剣崎はそう答え、平井と頷き合った。
よっしゃ、と気合を入れ、剣崎はブラックファングとレッドランバスの間に移動する。
「コレとコレっすよね!」
「はい」
そして配線をつなぐと、平井に尋ねた。
「コレでどうすか?
「……いや」
「ええ?」
「コレで大丈夫ですよね」
「ちょっと違いますね」
「今度こそ、大丈夫?」
当てずっぽに接続を試していく剣崎に橘が近づき、
「ここだ」
半ば呆れたようにそう言った。
この手の作業が不得意な事が判明した剣崎は、その後は橘の助手役に回されるのであった。
628『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:12:08 ID:EYttnSIV

その後作業は順調んでいった。
剣崎はコーヒーを入れに給湯室に行き、そこにいたアンデッドハンターの隊員と話した。
元BOARD職員のその青年とはお互い面識が無かったが、
在りし日のBOARDの思い出でから話は盛り上がった。
しばらく話したところで、剣崎は自分がコーヒーを入れに来たことを思い出した。

剣崎が立ち去ろうとした時、青年がたずねた。
ヒーローとはどんな気分なのか、と。
剣崎は、「仕事だから」と笑顔で答え部屋を出た。
その言葉と表情に、照れや不満は感じられなかった。
彼は、その言葉を反芻しつつ給湯室で指示を待っていた。
新名からの指示で、今日はアンデッドハンター全員がガレージ周辺にいる。

他の隊員達も、折を見ては仮面ライダーの二人と話しをしていた。
かつてBOARDに居た者は再会を喜び、
そうでない者も、都市伝説との遭遇に感激した。

ファングが完成したら、仮面ライダーの二人も入れて懇親会だろうか。
ここの設備じゃあ料理は作れないなあ、誰が買い出しに行くんだろう。
守山は給湯室の椅子で、そんな事をぼんやり思った。
629『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:14:34 ID:EYttnSIV

作業を続ける橘に剣崎はコーヒーを渡した。
「橘さん、どうぞ」
「ありがとう」
没頭していた橘も、コーヒーの香りで緊張をほぐす。
「なんか、わくわくしますねぇ。最強のマシンかあ」
「ああ」
本当に嬉しそうに言う剣崎に、橘も笑顔で答えた。
剣崎は仲間が、しかも元BOARDのチームが加わったことがよほど嬉しかったのだろう。
その思いは橘も同様だった。
組織は消え、裏切られ、操られ、最愛の人まで失った。
そんな孤独な戦いも、剣崎やオペレーターの広瀬、それにこの新しいBOARDの仲間達となら戦いぬける。
そう思った。
橘のその瞳は、目の前のファングだけではなく、かつてのBOARDも映していた。

あの頃も仲間達や所長とこんな風に作業や研究をして、こんな風にコーヒーを飲んだっけ。
俺達の、理想。
俺達の、ブラックファング───。
630『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:17:42 ID:EYttnSIV

-10-

 夜明けも近くなった頃、ブラックファングが完成した。
タンク上にラウズカードリーダーを搭載し、
ブルースペイダーとレッドランバスのデータを組み込んだ。
これで、ラウズカードを行使する事ができる。

橘と剣崎は徹夜作業の疲れからか、完成前にうたた寝を始めた。
新名が休ませてやろうと言い、開発班は彼らを起こさぬようにそっとファングを移動させた。
別のガレージで、システムの最終テストを行うのだ。

ガレージに運び込まれたブラックファングの前に、アンデッドハンターの隊員達が整列した。
新名がブラックファングの横に立ち、隊員達を見回す。
こうやって話をするのは二度目だった。
最初はアンデッドハンターを結成した時で、あの時不安な目をしていた青年達は
今は自信と決意に満ち溢れ、新名の前に立っていた。
「みんな今まで良く頑張ってくれた。ブラックファングが完成した」
短い言葉だったが、それだけで十分だった。
隊員達は歓声を上げ、喜びを分かち合った。

それを満足そうに見ながら、新名は再び口を開いた。
「これで、俺はアンデッドを倒す力を手に入れた。皆には心から感謝したい。
これから、最終テストを行う」

最終テストとは何なのか。
隊員達は知るよしも無かったが、それはつまり彼らの死を意味した。


<続く>
631『狼と人間の黒い牙』第5話:2005/04/26(火) 20:27:45 ID:EYttnSIV


次回でラストです。
ダンキサーン、オンドゥルゲストキャラナンディスカー!!と叫びながら一気に書きます。

>>設定
超全集も本編以上の事はあまり書いていないですが、
手元に置いておくと設定確認に役立ったりしますね。
本編でも超全集でも明らかで無い部分は、
逆に言えば自由に空想できるのでオイシーんじゃないかと。
フォーウ。
632名無しより愛をこめて:2005/04/26(火) 20:30:33 ID:xqvH3QHr
>>631
初めてカキコ中に遭遇しました。
守山はやはり最後は…


次回、泣くかもしんない。GJ!!
633スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/26(火) 23:33:07 ID:EDbAzI1o
>>『狼と人間の黒い牙』作者さん
新作掲載お疲れ様です。
いつもながらの素晴らしい出来栄えに、ただ感心するばかりです。
最終回も頑張ってくださいね

















でも、これだけ完成度の高い作品が投稿されると…自信無くすなぁorz
634スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/28(木) 01:42:31 ID:v72/rbb+
>>584-586
>>590-593

 ガイがショッカーとの交渉を成功させていたその頃、クライシス帝国との交渉に当たっていた村上とレオは、クライシス帝国地球攻撃兵団最高司令官ジャーク将軍の提案で、クライシス帝国の代表と一線交える事となった。
「そちらの代表と戦い、こちらが勝利すれば同名の件を検討していただけるのですね?」
 村上が再度ジャーク将軍に条件を確認する。その声からは揺ぎ無い自信が感じられる。
「さよう、貴公らが勝利すれば同盟の件、皇帝陛下に進言し前向きに検討させてもらう」
 その問いに答えるジャーク将軍も同様だ。
「わかりました…レオ! It is time of work(仕事の時間です)」
 村上の声に応えるように前に進み出るレオ。その腰にはスマートブレインが開発した『帝王のベルト』の1つ『天のベルト』が既に巻かれている。
「怪魔ロボット、キューブリカンMK−U出撃せよ!」
 ジャーク将軍の一声で、クライシス側の代表も姿を現す。以前、仮面ライダーBLACKRXと戦い、善戦空しく破壊された怪魔ロボット『キューブリカン』の2号機だ。
 しかし、レオはキューブリカンの巨体を前にしてもまったく動じず―
「After all,you are only a machine(お前は所詮、ただの機械だよ)」
 そう呟きながら、持っていた『サイガフォン』にスタートアップコード『315』を入力した。
『Standing by』
 電子音声が響く中、サイガフォンを投げ上げてキャッチすると―
「Henshin!!」
 サイガドライバーのバックル部に装填した。
『Complete』
 再び電子音声が響き、レオをフォトンストリームが包み、その姿を変えていく。
 帝王のベルトの戦士『サイガ』へと!!
「Now the iodination including the game(さあ、ゲームを始めようか)」
 変身完了したサイガはそう言いながら、右手で首を掻っ切る仕草をして見せた。得意の挑発だ。
 それに反応した為かどうかはわからないが、キューブリカンは右手のビーム砲を乱射してきた。ビームがサイガの周囲に着弾し、爆発が起きる。
635スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/28(木) 01:48:33 ID:v72/rbb+
 その光景にクライシス側から声が上がる。だが、村上は余裕の態度を崩していなかった。事実、爆煙が晴れると―
「Cannot you hit it also even to the stopped target?(止まった的に当てる事も出来ないのか?)」
 そこには無傷のサイガの姿があった。サイガは背中の飛行ユニット『フライングアタッカー』を起動させ、空へ舞い上がると―
「This blockhead(この木偶の坊)」
 『フライングアタッカー』に装備されているビームライフル『ブースターライフル』を構え、地上のキューブリカンへ連射した。
 強烈なビームによるダメージがキューブリカンの全身に刻まれていく。
「It ends(終わりだ)」
 そして、その呟きと共に放たれた一撃がキューブリカンの頭部を貫き、頭部を破壊されたキューブリカンは、その機能を停止した…かに見えた。
「What!?(なんだと!?)」
 驚愕の声を上げるサイガ。頭部を失ったキューブリカンが再び動き出したのだ。破壊された頭部が強制排除され、重火器を装備した第2の頭部が出現。圧倒的な火力で上空のサイガに攻撃を仕掛ける。
「There is no problem. if not hitting(当たらなければ、どうという事はない)」
 キューブリカンの対空砲火を類稀な機動性で回避するサイガ。しかし、圧倒的な弾幕の前に反撃が出来ずにいる。その時―
「レオ! The use of the imperial memory is approved(インペリアルメモリーの使用を承認します)」
 村上から指示が下った。すぐさまサイガは、左腕に装備した篭手型の新兵器『サイガガントレット』から新型のミッションメモリーを取り外し、サイガフォンのメモリースロットに装填した。
『Standing by』
 電子音声が響き、サイガギアが再起動を開始。青い閃光に包まれ、サイガが新たな姿へと『転身』する。
 ファイズ・ブラスターフォームに匹敵するその姿の名は『サイガ・インペリアルフォーム』!!
636スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/28(木) 01:50:39 ID:v72/rbb+
「レオ、The instruction is only one(命令はただ1つ)
「Destroy the enemy in the presence completely(目の前の敵を完全破壊しなさい)」
 『転身』を終えたサイガに村上が指示を送る。サイガは静かに頷くと、こう叫んだ。
「Go! Blasterpod!!(行け! ブラスターポッド!!)」
 次の瞬間、サイガの両肩と背中から合計10基の小型メカ『ブラスターポッド』が射出された。
 ブラスターポッドは、それぞれが縦横無尽に飛び回りながら、キューブリカンに接近。全方位からビーム攻撃をしかける。
 高速で飛行する物体からの全方位攻撃に成す術もないキューブリカン。
 それに追い討ちをかけるようにサイガは、背中の飛行ユニット『ネオフライングアタッカー』に装備されているビームライフル『メガブースターライフル』を構え―
「Blow off by the death(死ぬほど吹き飛べ)」
 引き金を引いた。
 『ブースターライフル』の倍以上の威力を持った強烈なビームが、キューブリカンの両腕を吹き飛ばす。
 間髪を入れずにサイガは『ネオフライングアタッカー』を起動し、瞬く間に高度1000mの高空へ舞い上がる。
「Sky impact…」
 数秒後、サイガ必殺の鉄拳『スカイインパクト』が、スクラップになりかけていたキューブリカンを完全に破壊した。
637スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/28(木) 01:53:49 ID:v72/rbb+
 サイガの勝利が確定していたその頃。ゴルゴムとの交渉に向かっていた木場勇治は―
「では、同盟の件は成立という事で宜しいのですね」
 交渉をほぼ成功の形で終わらせようとしていた。
「ああ、MRAを倒すその日まで我らは同志という事になる」 
 木場の言葉に静かに答える世紀王シャドームーン。その言葉は木場の言葉を肯定する。
「では、同盟の条件など詳しい事は後日、こちらから使者をお送りします」
 そう言って去っていく木場。その姿をシャドームーンは静かに見つめていた。
「(スマートブレイン、予想以上の勢力のようだ……敵対すればこちらも危うい。ここは手を組み力を蓄えるが大事か…)」
 心の中でそう呟き、視線を横にやる。
 そこには5体をバラバラに斬り裂かれ、絶命したビルゲニアの姿があった。その表情は恐怖で無残に歪んでいる。
 クライシス帝国同様、ゴルゴムもスマートブレインが同盟を汲むに相応しい組織かどうか見極める為に、勝負を挑んでいた。
 ゴルゴム側の代表は剣聖ビルゲニア。ゴルゴムの中でもかなりの兵だ。
 だが、木場勇治…いや、オーガの力はビルゲニアを大きく上回っていた。そして―
「(インペリアルフォーム…そう言っていたな。あの力、警戒せねばなるまい…そして、いずれは……)」
 再度、心で呟くシャドームーンの心には闘争という炎が燃え始めていた。。

 
 サイガ同様、新たな力を手にしていたオーガ。
 だが、その真の力は、未だベールに包まれている。


 第2話完
638スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAE :2005/04/28(木) 01:55:18 ID:v72/rbb+
第2話はこんな感じになりました。
続きはまた後日…


まだまだ俺って未熟だorz
639名無しより愛をこめて:2005/04/28(木) 18:41:20 ID:6TjDdwh1
>>スーパーライダー大戦
新作乙。そして、俺の説を聞いてくれ
サイガ新フォーム獲得→その武装にはファンネルらしき物が→全方位からのビーム攻撃=オールレンジ攻撃…

    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > そう、これはレオがオルフェノクであると同時に
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠  ニュータイプであるという証明なんだよ!
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /





………自分がガンダムも好きなのでやってしまった。
ガンダムネタなら何でも良かった…今は反省している
640名無しより愛をこめて:2005/04/28(木) 21:35:18 ID:TOyVO6qZ
いきなり死んでるビルゲニアのかませっぷりにワラタ
641名無しより愛をこめて:2005/04/29(金) 13:07:25 ID:x/b65mVy
>>639
そうか、君もそう思っていたのか…
じゃあ、俺の説も聞いてくれ。
この作品に出てくるオリジナルライダー『シグマ』。
彼の足には刃が仕込まれている(>>358参照)→アストレイBF2ndの仕込みアーマーシュナイダー?
彼の腕には光の盾が装備されている(>>359参照)→ビームシールド?

    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > そう、これはスーパーライダー大戦の
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠  作者自身がガンダム好きである証明なんだよ!
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
--─‐ァ'| `ニ--‐'´ /  |`ー ..__   `´
    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
   「 ∧ 7;';';'| ヽ/ _,|‐、|」 |L..! {L..l ))
   |  |::.V;';';';'| /.:.|トl`´.! l _,,,l | _,,|  , -,
    ! |:.:.:l;;';';';'|/.:.:.:||=|=; | |   | | .l / 〃 ))
    l |:.:.:.:l;';';'/.:.:.:.:| ! ヽ \!‐=:l/ `:lj  7
    | |:.:.:.:.l;'/.:.:.:.:.:.! ヽ:::\::  ::::|  ::l /





………私もガノタで色々とニヤリとさせられたのでやってしまった。
だが、私は謝らない
642名無しより愛をこめて:2005/04/29(金) 13:08:56 ID:x/b65mVy
>>639
そうか、君もそう思っていたのか…
じゃあ、俺の説も聞いてくれ。
この作品に出てくるオリジナルライダー『シグマ』。
彼の足には刃が仕込まれている(>>358参照)→アストレイBF2ndの仕込みアーマーシュナイダー?
彼の腕には光の盾が装備されている(>>359参照)→ビームシールド?

    ,ィィr--  ..__、j
   ル! {       `ヽ,       ∧
  N { l `    ,、   i _|\/ ∨ ∨
  ゝヽ   _,,ィjjハ、   | \
  `ニr‐tミ-rr‐tュ<≧rヘ   > そう、これはスーパーライダー大戦の
     {___,リ ヽ二´ノ  }ソ ∠  作者自身がガンダム好きである証明なんだよ!
    '、 `,-_-ュ  u /|   ∠
      ヽ`┴ ' //l\  |/\∧  /
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    く__レ1;';';';>、  / __ |  ,=、 ___
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………私もガノタで色々とニヤリとさせられたのでやってしまった。
だが、私は謝らない
643名無しより愛をこめて:2005/04/30(土) 00:21:57 ID:p2A0GNo+
ネタもないのにageる俺は悪♪
644ガノタでもある1読者:2005/04/30(土) 10:58:32 ID:FOWVgTJT
サイガがファンネル装備で、台詞がシャア。
シグマがビームシールドと仕込みアーマーシュナイダー装備。
となると、オーガの新フォームにはサテライトキャノンでも装備されているのだろうか?


正統派の外伝『狼と人間の黒い牙』
ある種パロディと言うかクロスオーバー的な外伝『スーパーライダー大戦』
どちらも新作に期待だね

645名無しより愛をこめて:2005/04/30(土) 11:07:08 ID:hziuKp7Z
ここはガノタ率の高いインターネッツですね
646名無しより愛をこめて:2005/05/02(月) 12:50:40 ID:KN2crplX
hosyu
647555外伝 もう一人の夢の守人:2005/05/02(月) 19:12:10 ID:cqaDEcP5
「・・・あ〜〜、やっと起きましたかぁ!」
氷川が意識を取り戻すと、そこは公道の上。
そして周りには5体ほどののライオトルーパー。
目の前には謎の女―――スマート・レディ。
「も〜ぅネ・ボ・ス・ケ・さん。」
氷川の頭を軽く叩くその女。
そうやら他の会員も、とらわれの身となったようだ。
氷川は唇を噛むと、琢磨達の状況を把握しようとする。だが、
「・・・居ない!?」
公道に並ばされているアギトの会メンバー、加奈の姿も見つけた、無論気絶中の沢木も。
だが、足りない。
後部座席に座っていたはずの琢磨だけが、忽然と姿を消している。
もしや―――
氷川は、この状況で、不謹慎ながらこう思った。
―――こんなところまで、北条さんに似ないで下さいよ―――
そう思ってばかりもいられない。氷川は気を取り直し、その女に尋ねる。
「・・・我々をどうするつもりですか!?」
「そんなことは、おしえてあげまっせ〜ん」
キャハハハハ、甲高い笑いが硬い道路に良く響く。
「・・・・ふざけるのも・・・」
いい加減にしろ、そう言い掛けた氷川の腹に迫るライオトルーパーの膝。
―――晩のご飯がなくなったのは、それはそれで運がよかったのかな?
648555外伝 もう一人の夢の守人:2005/05/02(月) 19:12:41 ID:cqaDEcP5
そして、衝突。
音も無く倒れこむ氷川。
「―――氷川さん!」拉致されかけている加奈の声が、氷川にはどこか遠くで聞こえる。
「あ〜あ、貴方はカンケーなかったのにねぇ〜」
「・・・関係・・・無い?」
地面に這い、消化しきった胃の内容物の代わりの息を吐く氷川。
「用があるのはアギトだけ、ただのヒトのアナタにはカンケーありまっせぇ〜ん」
しゃがみこみ、氷川を見る女。
アイシャドウの濃さが印象に残る。
「本当なら、もー帰っても良いんだけれどね〜」
そして、レディは立ち上がりライオトルーパーの方へ向かうと、こう言った。
「アナタとは・・・ココでお別れ。」
その言葉の真意を悟り、とっさに立ち上がる氷川。
だが、その体に叩きつけられるライオトルーパーの拳。
二度目の衝撃に、一瞬意識を失いかける氷川。
その意識をつなぎとめたのは、目の前のトラック。
その先には、今まさに連行されようとしている民間人。
―――沢木達。
そして、彼らの乗るトラックは走り出した。
「待・・・てぇ・・・」
氷川は、届くはずも無い言葉を口から捻り出す。
耳に届くのは、レディの高笑いだけ。
「やっちゃえ〜!」
笑い声を響かせながら命令するレディ。
その笑い声が、氷川にはとても、愉しそうに聞こえた。
この生死の係った状況には不釣合いな、その笑い。
649555外伝 もう一人の夢の守人:2005/05/02(月) 19:13:24 ID:cqaDEcP5
そして氷川の前に並ぶライオトルーパー。
銃口は、こちらへ向けられる。
―――やられる?
極度の緊張の中、引き伸ばされた一瞬の間に、氷川は思った。
―――沢木も、加奈さんも、葦原さんも、あの会員達も、ゲストとして巻き込まれた彼らも、
僕は―――誰も助けられないのか?
こんなところで―――
貫かれた右肩の痛みに耐えながら、立ち上がろうとする氷川。
誰も助けられないで―――
そして、立ちあがる。
―――終わってたまるかぁ!
その彼の思いを打ち砕くかのように、ライオトルーパー達の指は、軽く動き―――
光が、放たれた。
650名無しより愛をこめて:2005/05/04(水) 09:04:57 ID:Ft4wA8cD
新作キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
つーかダレモイナイ?
651447:2005/05/04(水) 15:25:22 ID:G4A7etLX
書けたクマー(AA略

『狼と人間の黒い牙』第6話。
最終話ディスよ。
652『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:26:31 ID:G4A7etLX
<第6話>

-1-

 その夜、アンデッドハンターの守山一明は、部屋で一人くさっていた。
彼はファングの最終テストに参加できなかったのだ。
今は、アンデッドハンターの銃器や装備の番をしている。
この国では、戦闘時以外に銃器を持ち歩くことは色々な意味で危険だった。
だから、何か隊員の集まりがある時でも誰か一人が番をしている。
今回たまたまそれが守山だったという事だ。
それは仕方の無いことだと分かっていたが、正直おもしろくなかった。
人間の作り出した最強の黒い牙の完成を、仲間と共にこの目で見たかった。
目の前のパソコンにはアンデッドサーチャーが入っているが反応は無い。

守山が呼ばれ部屋に来た時に、入れ替わりで新名が出て行った。
その後しばらくして森山は、
アンデッドサーチャーが動作していない事に気がついて起動させた。
あの人らしくないミスをするもんだ、と思った。

今夜何杯目かのコーヒーを入れようと腰を上げた時、
突然アンデッドサーチャーのサーチ音が鳴り響いた。
慌ててパソコンに向かうと、確かにそこにアンデッドの存在が表示されている。
「これは……上級アンデッド! 距離20m!?」

その出現位置は、新名達がブラックファングの最終テストを行っている場所を示していた。
653『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:29:17 ID:G4A7etLX
-2-

 新名はウルフアンデッド、カテゴリーJ(ジャック)と呼ばれる存在だ。
彼は他のアンデッドに勝利するためにブラックファングを手に入れ、完成の為に人間を利用した。
彼には強力な洗脳能力は無い。
あるにはあるが、それはわずかに暗示をかけるくらいのものでしかない。

人間を騙し共に過ごす中で、彼の意識は人間的なものに引きずられつつあった。
気まぐれと戯れで人間と接し、話し、その感情を知った。
奇妙で愉快な体験だったが、そもそも彼の戦いには不要なものであったので
そろそろこの茶番をお開きにする必要があった。

彼は、共に過ごし信頼を得た人間を自らの手で殺すことで、人間との決別と自己の存在意義を確認する。
彼は、アンデッドである。
654『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:32:15 ID:G4A7etLX

新名は躊躇することなくウルフアンデッドの姿に変わると、目の前の隊員達に襲い掛かった。
一瞬で彼らの懐に飛び込みその爪を振るう。
前列に並んでいた開発班の隊員達は、何が起こったのかも分からないまま
ポカンと口を開け唖然とした表情で死んだ。

パニックから一番早く立ち直ったのはやはり平井だった。
「アンデッド!」そう叫ぶと素早く腰に手を伸ばす。
絶望的な事に、そこに銃を収めたホルスターは無かった。
武器は全て別の部屋にある。
「逃げろ! 武器を取りに行くぞ!」
平井は出口へ走り出しながら叫んだ。
思考停止していた他の隊員達も、その声で弾かれたように走り出す。
新名は、前列の隊員を殺し終えると、逃げる平井達に背を向けた。
ブラックファングにまたがり、起動させる。
ラウズカードシステムとライダーマシンのデータで強化されたファングは、
これまでとは明らかに違う膨大なエネルギーに満ちていた。
満足そうにうなずくと新名は出口に向かってファングを突進させた。
655『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:33:37 ID:G4A7etLX

ガレージの外は既に日が昇り始めていた。
死を免れた隊員達が、息を切らせ走る。
彼らがピット脇を抜けようとした時、後方からエンジン音が聞こえた。
それは聞きなれエンジン音で、かつて彼らにとっては希望の音だったはずだが
今は絶望しかもたらさなかった。
「振り返るな! 走れ!」
先頭を走る平井が叫んだ。
エンジン音は瞬く間に近づき、背後で隊員の悲鳴が聞こえた。
同時に暴風、いや爆風のような凄まじい音と衝撃に襲われ、地面に叩きつけられた。
痛みをこらえ起き上がると、目の前に銀色の怪物がいた。
ファングの脇に立ち隊員の一人を掴みあげている。
左手で長髪の隊員の体を軽々と持ち上げると、するどい刃物の付いた右手を向けた。
「やめろォー!」
平井の絶叫を気に留めることもなく、ウルフアンデッドは隊員の心臓を貫いた。
隊員は一瞬痙攣して、すぐに動きを止め崩れ落ちた。
周囲を見れば、他の隊員達はすでに地面に倒れ動かなかった。
苦痛と怒りの呻き声を上げる平井の前に、ウルフアンデッドが立つ。
震えながら睨み付ける、その姿がウルフアンデッドから人間へと変わった。
「新名……さん」
「平井」
新名の声に、問う。
「なぜ」
だが全て言い終わらないうちに、新名の手が平井の体を貫いた。
656『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:37:56 ID:G4A7etLX

新名は、平井の目を覗き込みながら鋭い爪で内臓を突き刺した。
ずぶりと肉を貫く感覚がする。
驚愕に見開かれた平井の目から力が失われ、倒れた。

新名はブラックファングに跨り、再び走り出した。
背後に平井の追いすがる視線を感じたが、気にも留めなかった。
あの男はもうすぐ死ぬだろう。
アンデッドハンターの隊員達を殺す事に、案外と悔恨は感じなかった。
ここまで来るまでに、ファングが完成するまでに感じた煩悶は、殺し始めれば消えていた。
それはいつもの彼だった。
彼は、自分がアンデッドであるという当たり前の事実を改めて確認した。
657『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:39:47 ID:G4A7etLX
-3-

 部屋から外に飛び出した守山の耳に、ファングのエンジン音と悲鳴が聞こえた。
思わずその場で凍りつく。

彼は、部屋を出る時、T細胞活性弾の銃を持ち出すつもりだったが───無かった。
その銃が無いという事は有り得ないし、無ければアンデッドと戦う事など出来ない。
その事実に部屋の真ん中で立ち尽くし、思考が停止する。
まるで、BOARDが壊滅したあの夜の様に、隠れていれば命は助かるかもしれない。
だが、何も出来ずに見過ごす事は、もう出来なかった。

腰のホルスターにそっと手を伸ばした。
硬く冷たい銃の感触が伝わってくる。
これが、以前の自分と今の自分を分ける象徴だった。
あの時には無かった力の象徴だった。

なんとかして、仮面ライダーの二人を呼びに行かなければならない。
しかしそのためには外に出てガレージまで走る必要がある。
倉庫の脇を抜け、道路の手前まで来た。
ここからガレージまでは遠く、身を隠すものも無い。
一気に走りぬけようと身構える。
先ほど聞こえたエンジン音は聞こえず、辺りは静かなままだ。
「よし!」
意を決して飛び出した瞬間、真横でエンジン音が鳴り響いた。
658『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:42:23 ID:G4A7etLX

反射的に左を向くと、ブラックファングとそれに乗った銀色の怪物が見えた。
「!……あいつ!」
ホルスターから回転式拳銃を抜き、素早く目標に向けた。
アンデッドと相対した恐怖は強かったが、ファングを奪われた怒りが勝った。
両手でしっかりと保持すると、躊躇せず引き金を引いた。
44マグナム弾が次々とアンデッドに命中し、火花を散らす。
銃口からのブラストで目標が見えなくなっても、そのまま撃ち続けた。
だが、気がつけばアンデッドとファングは一瞬で目の前に迫り、守山の手から銃を弾き飛ばした。
「うあっ!」
手首がひねり上げられ、激痛が走る。

顔の数十センチ前にアンデッドがいる。
守山は死を覚悟し、体がぶるぶる震えた。
その時、アンデッドが言葉を発した。
「カズアキ。ヒーローごっこは終わりだな」
嘲笑うようなその言葉で、わかってしまった。
わかりたくも無かった事が全て明白になった。
今まで薄々感じていた違和感は、アンデッドが人間の姿になった事で決定的になった。

新名はアンデッドだ。
659『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:45:16 ID:G4A7etLX

「新名さん!?」
わけのわからないまま叫ぶ。
新名は答えない。ただ、黙ってこちらを見据えていた。
守山はパニックに陥っていた。
新名はアンデッドであるという現実と、自分がこれから死ぬという予感と、
裏切られた屈辱や怒りや悲しさや腕の痛みが全てごちゃ混ぜになっていた。
信じたくなど無い。アンデッドが新名の姿を借りているだけかもしれない。
だが、目の前のそれには、確かに新名であると確信できる何かがあった。
ただひたすら、震えながら目の前のアンデッドを呆然と見る。
どうすればいい。どうすればいい。

新名は、守山の目の前で一瞬考えた。
コレをどう扱おうか。
それは、BOARDが壊滅したあの夜、初めてこの青年と会った時と同じだった。
この青年とはファング完成までの短い間に、色々な事を話したものだ。
だが、それは殺戮を止める理由などにはなりはしなかった。
それがアンデッドの在り方である。
新名は、すぐにアンデッドの姿に戻り、アクセルを捻ると守山に向け突進した。

守山がコンバットナイフを鞘から抜いて手に持ったのと、ファングが走り出したのは同時だった。
その時、太陽が地平線から顔を出し、サーキットが朝の光に満たされる。
太陽が守山のちょうど真後ろから登ったため、一瞬だけ光が新名の視界を奪った。
真っ直ぐ突っ込んでくるブラックファングに対し、
守山は身を捻りながら無我夢中でナイフを突き出した。
刃渡り10cmほどのステンレスの刃が陽光を反射しギラリと光る。

新名は舌打ちしながら、守山が避けたと思われる方向に軽く蹴りを放った。
ナイフの刃が触れたと思った瞬間、守山は新名の蹴りで思い切り飛ばされた。
衝撃と痛みで視界が真っ白になる。
自分の体が宙に浮いているのを認識してすぐ、背中から叩きつけられた。
遠ざかっているエンジン音を聞きながら、守山は意識を失った。
660『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:49:58 ID:G4A7etLX
-4-

 ブルースペイダー、レッドランバス。2台のライダーマシンの佇むガレージで
二人のライダーが転寝していた。
暖かい朝の日差しと小鳥のさえずりで、殺風景なガレージ内も柔らかい雰囲気に包まれている。
持たれ掛けていたマシンから頭がずり落ち、剣崎は目を覚ました。
「っいて……あれ、橘さん。……ファングは?」
その声で机に突っ伏していた橘も目を覚ます。
「ああ、システム統一できたかな……」
二人とも寝ぼけているのか、言動が少々あやしい。

別の場所でファングの作業をしていると判断した二人は、外に出てガレージへ移動する。
「早く走らせたいですね」
剣崎が嬉しそうに言った。
だが、ピット脇まで来た時、恐るべき光景が目に飛び込んできた。
アンデッドハンターの隊員達が地面に倒れている。二人は慌てて駆け寄った。
「平井さん! 平井さん! しっかりして下さい!」
剣崎は副隊長だった平井を抱き起こし、必死に呼びかける。
それに反応して、平井が苦悶の表情で剣崎を掴み体を起こそうとする。
「アンデッドだ……新名さん……ファングを!」
だがそこで残っていた力を使い果たしたのか、その言葉を最後に平井は息絶えた。
「橘さん!」
「ファングと新名が危ない!」
橘と剣崎はガレージに向かって走る。
ガレージのシャッターは開いていて、中は静かだった。
二人の走る音だけが鳴り響く。
機材の合間を抜けると、そこにも隊員達が倒れていた。すでに息は無い。
「おい、しっかりしろ……!」
「!」
突然ガレージの外から聞こえたエンジン音。
聞き覚えのあるその音と共に、一台のマシンが外の光の中から現れた。
661『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 15:55:43 ID:G4A7etLX

ブラックファングと、その上に乗る狼のアンデッド=新名。
誇らしげにエンジンを鳴らし───
「ヌゥウッ!」
ファングのラウズカードリーダーに手をかざした。
「ハァアアアアアアアアア……!」
ファングが緑色の光に包まれ、その姿を変えていく。
カウルから鋭い爪を生やし、ホイールにはアンデッドのベルトと同じウロボロスの紋章が刻まれた。
ウルフアンデッドの力とファングのエネルギーが循環し、みなぎる。
その琥珀色の目が不気味に光を帯びた。
剣崎と橘は、高らかに笑い声を上げるアンデッドを睨み付け、立ち上がった。
「ヌアッ!」
ファングが二人に向け突進する。
素早く身を翻し左右に避け、二人は腰にバックルを当てた。
「「変身!!」」
『ターンアップ』
『ターンアップ』
ブルーの光をくぐりぬけ、二人が仮面ライダーへ姿を変えた。
「そのマシンから降りろ。アンデッド!」
ギャレン=橘の言葉に答えることなく、新名は二人に向け再び突進する。
ブレイド=剣崎がその前に立ち塞がりファングのボディを押さえた。だが明らかに力負けし後退する。
「くうっうう!」
「ヌアアアアアアアアアア!」
積んであったタイヤまで剣崎が押しやられた瞬間、ファングのカウルが変形し
鋭い牙となって剣崎を襲う。
「う"わあっ!」
ぶっ飛ばされ転がる剣崎を横目に、橘が再び言い放つ。
「マシンから降りろ」
それにも答えず、新名はアクセルを捻った。
高鳴るエンジン音と共にファングが緑の光に包まれる。
そして、光は新名の体に集まり、吸い込まれた。
「力が──あふれる!」
662『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:01:15 ID:G4A7etLX

「マシンが、アンデッドをパワーアップさせている!?」
ようやく起き上がった剣崎が呆然とつぶやいた。
「降りろ」
橘が三度目の警告を発する。
怒気をはらんだその声と共に、彼の銃=ギャレンラウザーに手を伸ばした瞬間
ワーウルフの群れが二人に襲い掛かった。
「危ない!」
それは、先ほど殺されたばかりの隊員達の変わり果てた姿だった。
「戦え」
新名が冷酷に命ずる。
「貴様ぁ!」
橘と剣崎が非道な行為に怒りを露にしたが、新名は意に介さずガレージの外に走り出す。
「ウヌアアアアアアアアアア!」
「待て!」
二人はライダーマシンに駆け寄ると、勢い良くアクセルをひねりファングの後を追った。

新名はファングを自在に操り、誇示するように一般道を走り抜けていく。
「逃がすか!」
剣崎と橘がその後を追い、道行く人々が何事かと振り返る。
しばらく走ると新名は脇道へと入った。
道の中程でターンし、追ってきた二台と向かい合う。距離十数メートル。
夏の強い日差しの下、マシンの上でお互いをにらみ付ける。先手を打ったのは新名だった。
勢いよくアクセルを捻り、ファングを正面の二台に突っ込ませる。
ライダー二人もこれに応え、ファングに向かって走り出した。みるみる距離が縮まる。
「ヌウアッ!」
後数メートルで接触、という時に突然新名はファングをジャンプさせた。
ライダーマシンの上に飛び上がったファングから緑色の衝撃波が発射され、すれ違った二台に叩きつけられた。
「!」
「うあっ」
よろめき、二台のマシンが倒れた。
マシンから投げ出された剣崎の目の前で、新名がファングから降りる。
663『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:03:00 ID:G4A7etLX

剣崎は痛みをこらえ、新名に突撃した。
「うわああああああああああっ!」
渾身のパンチはあっさり捌かれ、ボディを殴りつけられる。
「あうっ!」
「俺の敵はお前らではない!アンデッドだ!」
攻撃を避けながら、新名が一言一言区切って叫ぶ。
剣崎はさらに攻撃を繰り出すが、全て捌かれ裏拳を喰らう。
衝撃で一回転し、よろめく剣崎。
やみ雲に出した拳も空を切り、顔面への強烈な一撃で地面に転がった。
「その為に、大勢の命を奪っておいて、何を言う!」
剣崎が吼える。
「黙って見ていろ! 邪魔をするな!」
あしらう様に剣崎に告げ、新名はファングに向き直った。
その時、ようやく起き上がった橘が新名に銃口を向けた。
それを察知した新名がファングに乗りアクセルをふかす。
「ムンッ!」
ファングと新名が緑の光に包まれ、橘の撃った銃弾を全て弾き返した。
弾かれた銃弾は剣崎と橘に命中し、その変身を解く。
人間の姿に戻った二人を嘲笑うかのように、
ファングに乗った新名がその間を走り去っていった。
「俺と、橘さんと、みんなのマシンを!……俺は、俺はあのマシンを絶対に取り戻す!」
悔しさをこらえる様に立ち上がった剣崎が、ベルトを掴みながら言った。
熱せられたアスファルトの上で、橘と剣崎、敗れた二人のライダーは新名の去った方向を睨みつけた。
664『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:05:48 ID:G4A7etLX
-4-

 守山は激痛で目を覚ました。
全身が痛い。
目を開けると太陽がまぶしい。
頭は霞がかかったようにぼんやりしていて、何がなんだかよく分からない。
倒れたまま、ゆっくりと体を動かす。
骨は──折れていなようだ。
左手がズキリと痛み、見ると折れたナイフの刃が浅く刺さっていた。
思わず血の気が引く。

それを見て全て思い出した。
上半身を起こし、激しく咳き込む。
辺りを見渡すが、誰の気配もしない。
サーキットには、早朝の爽やかで静謐な空気が満ちていた。
資材の中から体を起こす。
落下地点に資材があり、アスファルトに叩きつけられなかったので一命を取り留めたらしい。
守山は立ち上がった。
足にも痛みがあるが、うめきながら何とか立ち上がった。
時計を見ると、気を失ってからさほど時間は過ぎていない。
落ちていた自分の銃を拾い、よろよろとガレージへ向かう。

ガレージには誰もいなかった。
無線での呼びかけに答えるものも無い。
ライダーマシンもファングも無く、仮面ライダーもいない。
そこにあったのは何かが燃えたような跡だけだった。
その跡には見覚えがある。
ワーウルフは死んだ時に燃える、その燃えカスだ。
そして、その燃えカスに混じる服には見覚えがあった。
アンデッドハンター開発班のツナギだ。
665『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:10:14 ID:G4A7etLX

ふらつきながらピット脇を通り、部屋に戻る。
途中で路上に光るものを見つけた。
拾い上げると、見慣れた眼鏡。平井の眼鏡だった。
「平井さん……みんな」
膝から力が抜けそうになる。
ピット脇のトイレに倒れこみ、嘔吐した。

洗面所で片手で顔を洗った。
死体のように蒼白で、今にも泣き崩れそうな顔が、そこにあった。
「わああああああーーー!」
叫び声をあげ、鏡を叩き割った。
荒い息を整える。
痛い。苦しい。まだ生きている。
頭の中で激情がぐるぐる渦巻く。
彼は部屋に戻ると、アンデッドサーチャーを起動させた。
すぐさまサーチ音が鳴り響き、アンデッドの位置を示す。
それは、上級アンデッドの位置を示していた。

無言で怪我の治療をし、痛み止めを飲む。
部屋にあったパソコンと機材を集め、SUVに積み込んだ。
やはり、T細胞活性弾の銃は無い。
新名がアンデッドで、自分達を騙していたのだから対アンデッド用の武器など置いていくわけが無い。
そう、新名はアンデッドだったのだ。
そして、自分や仲間達は騙されていたのだ。
666『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:11:29 ID:G4A7etLX

だが、守山は今はその事を考えるのを自分に禁じた。
考えていたら二度と立ち上がれなかっただろう。

自分の持っている銃に弾をこめる。
スミス&ウェッソンM29クラッシックには、44マグナム弾が6発装填できる。
人間なら一発で殺せる44マグナム弾も、アンデッドには効果が薄い。
しかし守山はあえてそれを無視して弾をこめた。
他にろくな武器など無いのだ。
新名がアンデッドハンターに強力な武器を与えなかった理由も、今考えれば全て辻褄が合った。
ポケットに予備の銃弾を入れようかと思ったが、以前平井に危険だから止めろと言われた事を思い出した。
代わりに、腰にもう一つホルスターを付け、平井の使っていたM29クラッシックを全弾装填して入れた。
手榴弾を束ね、肩掛けのバッグに入れ、胸部には防弾版代わりの鉄板を入れた。
ヘルメットは迷ったが新名の置いていった黒のハーフヘルメットを持っていく。
最後に、隊員達の残した私物──アクセサリーや小物で、その大半は死体と共に燃えてしまった──を
ポケットに入れ、部屋を出た。

騒ぎを聞きつけ警備員や警官がやって来る前に、守山はサーキットから離れた。
仮面ライダーの二人に連絡を取る方法は、無い。
携帯の所持は許可されていなかったし、連絡先は全て新名が管理していた。
アンデッドサーチャーも彼らが変身しなければ探知できない。
今確かな事は、あのアンデッド──新名の位置だけだった。
667『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:19:58 ID:G4A7etLX
-5-

 人気の無い、海岸沿いの道路をブラックファングが走る。
新名は人間の姿でブラックファングを走らせていた。
彼は獲物──他のアンデッドを探していた。
ファングを手に入れた今、アンデッドとの戦闘を避ける理由は無い。
ブラックファング単体では封印は出来ないが、
彼はテスト用と称し橘達からコモンブランクを入手していた。
コモンブランクとは二種類ある封印用ラウズカードの片割れである。
もう一つはプロパーブランクといい、これは封印できるアンデッドが限定される。
コモンブランクは全てのアンデッドを封印可能だが、
プロパーブランクはカードに刻まれたスート(ダイヤやクラブといった)のアンデッドにしか対応しない。

ラウズカードに封印したアンデッドの力を使役するには、
ラウズカードリーダーにカードを読み込ませる必要がある。
仮面ライダー達のラウズカードリーダーは弓や剣といった武器を模している。
それはつまり戦闘にも使用可能なラウザー(覚醒機)で、
カードを使用するたびにラウザーのAP(アタックポイント)を消費する。
当然APが減少すればカードの力は使用できなくなる。
だが、動力炉を持ち、しかもアンデッドである新名が使用するブラックファングなら
APはほぼ無限であり連続してカードを使用できるのだ。
だが新名は今封印済みのカードは持っていない。
ライダー達から奪う事も考えたが、彼らのカードのコンボ=必殺技で敗北するリスクもある。
だから、まずは下級を封印し戦力を集める事にした。

人間の姿で気配を隠しつつアンデッドの位置を探る。
あいにくこの近辺には一匹もいない様だ。
市街地方面へ抜けるため、崖沿いの道へ入った。
しばらく走るとだんだん道が細くなり、明らかに人里から離れていくのがわかる。
引き返そうかとアクセルを緩めたその時、
カーブの向こう側から見慣れたSUVが現れ、突っ込んできた。
668『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:28:35 ID:G4A7etLX

守山はノートパソコンを助手席に置き、
アンデッドサーチャーで新名の位置を確認しつつSUVを走らせていた。
表示が段々と大きくなり、ついに数メートルまで迫った。
守山はホルスターのロックを外し、カーブを慎重に抜けた。
カーブの先には、見慣れた黒いバイクと見慣れた人物がいた。アクセルを思い切り踏み込む。
カクンという軽い衝撃と共にSUVが加速し、目の前のバイクが迫る。
新名はギリギリの所でSUVをかわし、その運転席側を抜けた。運転席の守山と視線が交差する。
SUVとファングはターンしつつ急停車し、お互い向かい合う形で止まった。

SUVから守山が降り、新名もヘルメットを脱いでファングから降りた。
守山は新名の使っていたハーフヘルメットをかぶっており、その肩にはバッグをかけていた。
「何の用だ?」
新名が呆れたように言った。
守山は素早く銃を抜くと、新名の顔に目掛けて一発撃った。頬に小さく穴が開き新名がよろめく。
だがそれだけで、新名は平然と守山を見つめた。
「本当にアンデッドなんですね。人間じゃないんだ」
守山が言った。
「ああ、人間じゃない」
新名が少しだけ感慨深く呟き、ゆっくりとウルフアンデッドの姿に変わった。
「それで?どうするつもりだ。殺されに来たのか」
「……」
守山は銃口を向けたまま新名を見つめる。
「新名さん、あなたは僕を騙したんだな。全部嘘だった」
「ああ、そうだな。」
「皆、あなたが殺した」
「そうだ」
「あなたは僕のヒーローだったんだ。あなたのおかげで僕もヒーローになれるかと、
そんな風に思ったのに」
そこまで聞くと新名は馬鹿にした様に笑い出した。
669『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:36:03 ID:G4A7etLX

「何がおかしい!」
守山がまた一発撃った。
今度は当たらず、新名は超高速ステップで銃弾を避けた。
そのまま一瞬で守山の眼前まで移動し、銃を弾き飛ばした。
「お前は何も分かってない。学習もしないなァ」
今朝と同じように手から銃を弾かれ、ガラ空きになった守山のボディにパンチが叩き込まれる。
パンチは軽いもので、守山は吹っ飛んだが胸に仕込んだ鉄板のおかげで即死には至らなかった。
ほう、と驚いたように頷くと、新名はSUVの前で膝をつく守山に近づいた。
「馬鹿でも少しは考えるんだな」
新名のその言葉に、守山が息を整えながら答える。
「あんただって、封印も出来ないのに、ファングなんか乗り回して」
守山の前まで来た新名が、二枚のカードをどこからか取り出した。
「やはり頭が足りないようだな。これが何かわかるか」
「……コモンブランク」
「そうだ。これがあればアンデッドを封印できる」
「そう……、封印できるっ!」
待っていたかのように守山が叫び、肩のバッグを新名に突きつけた。
ピンが外れるような軽い音と、守山がSUVの運転席に飛び込んでドアを閉めたのはほぼ同時だった。
次の瞬間、新名の眼前で数個の手榴弾が一気に炸裂した。

轟音と共に爆炎と破片に周囲が包まれ、SUVが激しく揺れた。煙が充満し視界を奪う。
守山は反対側のドアから出ると、新名の居た位置に慎重に近づいた。
あれだけの爆発、さしものアンデッドと言えども無事ではあるまい。
ダメージを受け、バックルが開いた所を封印する。
新名の持っていたカードを使えばそのまま封印出来るはずだ。一歩ずつ確かめるように歩く。
670『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:39:50 ID:G4A7etLX

だが爆心地にたどり着いた時、そこには何も無かった。
代わりに、白煙の中からヌッと新名が現れた。
体は無傷で、バックルのウロボロスの蛇は繋がったままだ。
無限をあらわすウロボロス、その二匹の蛇の円環が切断された時、アンデッドの不死性は失われる。
「俺は上級アンデッドだぞ。まったくお前は」
呆れたように言う。
「おかげでカードがどこかにいったぞ」
その声はやや怒気をはらんでいて、さすがに寒気がした。そのまま近づいてくる。
万策尽きた守山は、ただ無言でそれを見ていた。

「あきらめたのか」
無抵抗になった守山に新名が言った。
「……もう、何も手がないんで」
守山が無気力に返す。
新名の手が守山の胸倉を掴み上げた。
「くだらないな。人間は」
体が宙に浮き、息が詰まる。
「お前はヒーローなんかにはなれない。一生そんなくだらない悩みに振り回されて惨めに死ぬ」
息が苦しい。視界がチカチカと白くなっていく。指先がしびれて来た。
「そんな言葉に意味は無い。カズアキ」
その台詞の調子は何か引っかかる感じで、それでも新名の手は緩められなかった。
守山は朦朧とした頭でその言葉を反芻し、腰に手を伸ばした。
そこに平井の銃があった。

この距離なら。そうボソリと呟いて、銃口を、新名の琥珀色の目に当てた。
新名の胸の眼球がギロリと蠢く。
守山は、そのまま片手で引き金を引いた。
671『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:44:43 ID:G4A7etLX

目の前で小さな爆発が起きた。
強烈な反動で手が叩き上げられ、砕かれた銃弾の破片が、散弾のように守山の顔に突き刺さる。
守山は絶叫しながら何度も引き金を引いた。

弾は全て撃ちだされ、カチリカチリと撃鉄の落ちる音だけが響く。
硝煙が薄れた時、銃口の前には新名の手があった。
そこからわずかに緑色の血が滴る。
ぐったりとした守山を一瞥すると、新名はそれを放り投げた。

守山は、体が宙に浮く感覚は今日二度目で、今度はずいぶん長く感じた。
視界が逆さまになり、新名から離れていく自分がわかる。
そのまま、青い海面が迫り、そこに突っ込んだ。
衝撃と共に体が沈む。
肺から空気が叩き出され、重い海水に体が拘束された。
かえるの様に手を動かし、もがくように海面の明るい光を目指した。
無意識にサスペンダーを外し、鉄板入りのジャケットを脱ぐ。
何も出来ない。息が出来ない。ただ、無我夢中で手足を動かす
しばらくそうして、ようやく薄暗い海中から、海面へと顔を出した。

太陽の光がまぶしい。
海水を吐き出し、咳き込みながら息を吸った。
しばらくそのまま立ち泳ぎで呼吸を整える。
快晴の真っ青な空と緑の林が見える。
海岸からはそれほど離れてはいないようだ。
体はひどく痛むが、なんとかまだ動く。
守山は波をかきわけ、必死で陸に向かって泳ぎ始めた。
672『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:49:23 ID:G4A7etLX
-6-

新名は人間の姿に変わると、砂浜で人を待った。
仮面ライダーの二人はブラックファングを探しているだろう。
そして、俺がアンデッドである事はまだ知らない。
どちらかやって来たところで殺しカードを奪う。
先程は興に乗って遊びすぎた。おかげでコモンブランクを失った。
舌打ちしつつ気配を探ると、道路沿いに仮面ライダーの一人────剣崎一真が来る。
新名はゆっくりとブラックファングを押し始めた。

ブラックファングを探していた剣崎は、海岸を背にファングを押してくる新名を見つけた
驚きながら携帯電話で橘に連絡を取り、駆け寄った。
「新名さん!取り戻してくれたんですね」
「ああ、だが逃げられた 迂闊だったな」
悔しそうに新名は言った。
つまり、新名はアンデッドからブラックファングを奪い返したが
アンデッドには逃げられてしまった、という筋書きだ。
普通は怪しむだろうが、目の前のコイツは人がいい。
「でも、新名さんだけでも無事でよかった」
ホッとした様に剣崎は言い、笑顔を見せる。
「剣崎くん」
その笑顔に新名も答え、見詰め合う。
「新名さん、今度こそ俺達で新しいBOARDを作りましょう。人類を助ける、正義の組織を」
頷き合い、剣崎はブルースペイダーへ向かって歩き出した。
その後姿を見る新名の表情が一変し、剣崎を睨みつけた。
その手が不気味に変化する。
アンデッドと人間の中間態のように、肌の色は落ち漆黒の爪が鋭く伸びた。
その爪を背中に突きたてようとした瞬間、手をつかまれた。
673『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:54:25 ID:G4A7etLX

「正体を現したな、新名!」
橘は新名の手を押さえ、怒りの表情で睨みつける。
「まさか」
剣崎が、ただ呆然としながら言葉を発する。
「このファングを完成させるため、俺たちを利用したのか」
「うそでしょ、新名さん」
悲壮な顔で剣崎が詰め寄る。
「アンデッドハンターなどというのも、人間社会に潜り込み、効率よくアンデッドを始末するため」
新名はうざったそうに橘の手を振り払うと、高笑いを始めた。
「信じていたのか、BOARD再建など……ハンッ!俺の目的は最初からBOARDから盗み出したコイツの完成だけ。
そして今、お前らのおかげで俺は最強になった」
嘲笑し、橘達を馬鹿にするように見渡すと吐き捨てた。
「ふざけんな!」
怒り心頭に発した剣崎が新名を殴りつけ、新名のポケットの銃──T細胞活性弾発射機を抜き出す。
銃口を新名に向け、そのまま一気に連射した。
激しい火花が散り、新名は後ずさったが、その体には傷一つ無い。
新名は、おもしろくて仕方が無い、というように息を切らせ笑う。
「それもただのガラクタだ!アンデッドを捕獲するノウハウなど────あるものか」
その侮った視線に二人の表情が歪んだ。
「全部嘘か……嘘だったのか」
「貴様……!」
新名の目が見開かれ、その体が空中に舞った。
一回転しウルフアンデッドへ変化すると、剣崎を殴り飛ばしファングみに乗り込む。
「このマシンは俺のためにある!」
満足気に黒いボディを撫で、橘を睨みつけると激しくスキール音を響かせその場から走り出した。
674『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:56:23 ID:G4A7etLX

「剣崎!」
橘は走り去るファングを唖然と見送ると、道下の砂浜に叩き落された剣崎に駆け寄った。
「大丈夫か」
「俺の責任です。アンデッドに騙されて、ファングを与えてしまった」
殴られた肩を押さえながら剣崎が悔しそうに言う。
「俺も、同罪だ」
橘が目をそらし、つぶやいた。
「橘さん」
「ブラックファングを見た時、俺も、BOARDの時代に戻ったような気がした」
立ち上がり、水平線を見つめながら橘が言った。
橘はBOARDの時代の会話、上司である烏丸所長との会話を回想した。
『君達が、乗る事になるかもしれないマシンだ。発見されたライダーシステムを元に再現された』
明かりに包まれたBOARDの研究施設内部、烏丸と橘の前に二台のライダーマシンがあった。
完成したばかりのブルースペイダー、およびレッドランバスである。
『これが人類を防衛する、最高の武器』
マシンを見つめ、橘が言った。
『さらに、この二台のデータを元に、ブラックファングという最新バージョンも開発中だ』
研究室のモニターには確かに「BLACK FANG PROJECT」とあり、その完成予想図が表示されていた。
『君にも、そのプロジェクトに加わってもらう。人類の未来を守るための、研究だ』
期待と自信に満ちた表情で烏丸が言い、橘は力強くうなずいた。
675『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 16:58:20 ID:G4A7etLX

「烏丸所長も俺も、理想に燃えていた」
静かに打ち寄せる波を見つつ、橘は続けた。
「時間を戻すことは出来ない。だが、あの頃の理想が戻って来た気がした。ファングを見た時……」
「俺も、同じ事を考えていました。BOARDに入った時の、夢や希望」
剣崎が立ち上がり、言った。

橘は剣崎に向き合う。
「BOARDはもう無い。だが、剣崎。仲間ならいる。俺達が理想を忘れなければ────いいんだ」
静かに、強い意志がこめられたその言葉。
剣崎が受け、返した。
「全ての人類を、守るために!」
その、新たな決意に満ち溢れた表情で二人は歩き出した。

「「変身!!」」
土埃の舞う中、ライダーマシンに乗った二人の男は仮面ライダーへとその姿を変えた。
過去を利用した敵と、その道具に決着をつけるため、走り出す。
676『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:00:01 ID:G4A7etLX
-7-

「予選A組、期待の山口達也、ゼッケン5番は快調に飛ばします。
まもなく、第一コーナーから第二コーナー……」
サーキット内に設置されたスピーカーから実況が響き渡る。
今日はバイクのレースが行われていた。
空気を震わせ、観客達の目の前を弾丸のようにすっ飛んでいく。
観客席とはフェンスに隔たれているとはいっても、コースまでの距離は数メートルだ。
真夏の強い日差しが照りつける中、観客達は汗を拭きつつレースに見入っていた。
暑さが辛いのはレーサー達も同じである。
当然ながらその体力、集中力の消費は莫大なものだ。
直線では300km/hにも達するマシンを長時間全力で操るのは、相当消耗する。

そんな過酷なレースの中、先頭のゼッケン5番の選手は快走していた。
が、異様な気配に突然後ろを振り返る。
サーキットを走るマシンにはサイドミラーが付いていないので、目視するしかない。
レーサー達の最後尾に、真っ黒なマシンと怪物が迫ってきた。
選手は、以前そのマシンを一度見ていた。
テスト走行だと言って怪しい連中が走らせていたのだが、
どうにもサーキットには不釣合いなマシンであった。
構造的にもパッと見ではオフロードやモタードといった感だ。
それが、ぐいぐいとレーサー達のマシンに迫る。
冗談もいいところだ。

新名はライダー達の前から走り去った後、戯れにサーキットに乱入していた。
今の彼には、人やアンデッドからコソコソと隠れる理由など無い。
むしろここでその姿を見せ付けてやる方がいい。

最後尾に追いつくとレーサー達がキョロキョロ後ろを振り返る。
新名は鼻で笑うとブラックファングから衝撃波を発射した。
緑色の衝撃がレーサー達を襲い、激しくマシンが揺さぶられる。
慌てて、しかし各自が慎重にコースから逃れたおかげで転倒は免れたが、レースは当然中止である。
677『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:04:09 ID:G4A7etLX

コースから外れていくレーサー達を横目に、新名はファングのアクセルをまわし先頭の選手をパスした。
選手は不思議そうにそれ見送る。
そして後方からの気配に再び振り向くと、今度は二台、またおかしなマシンが猛スピードで追いかけてきた。
それぞれ左右を抜けていくマシンを見送り、選手は思わずマシンを止めた。
ヘルメットのシールドを上げ、様子を見守る。
「逃がすか!」
青いマシン=ブルースペイダーを駆る剣崎と、赤いマシン=レッドランバスを駆る橘。
両者ともマシンは常識を超えた能力のライダーマシンであり、乗り手は仮面ライダーだ。
しかしアンデッドの操るブラックファングはその予想を超えた能力を持ち、
接近した二人のライダーを容易く衝撃波で弾き飛ばした。
弾かれたマシンはよろめきながらコースの外壁へと向かう。
間一髪、正面から叩きつけられることは免れたがこれではファングを追う事が出来ない。
歯噛みする二人を尻目に、ファングは遠ざかっていく。
その時、様子見をしていた5番の選手が突然走り出した。
フロントアップし、一気に加速する。その先にいるのは、ブラックファングだ。
「やめろっ!」
「危ない!」
橘と剣崎が慌てて声を上げるが、ここからは届くわけも無い。
選手はコースの内側をショートカットし、素早くファングの後ろに張り付いた。
新名は苦笑しつつ目障りなレーサーを遠ざけようとファングを操るが、選手はぴったりと張り付いてくる。
業を煮やし、緑の衝撃波を発射した瞬間、予想しなかったことが起こった。
678『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:07:37 ID:G4A7etLX

ファングの真後ろに接近したマシンには、衝撃波が通用しなかったのだ。
それを見た橘は一瞬考え込んだ後、剣崎に言った。
「見たか、スリップストリームだ」
「ハイ!」
選手とファングに目をやると、選手は相変わらずピッタリとファングを追跡していた。
新名は忌々しげにファングのラウズカードリーダーに手をやり、後方に向け白煙を放射した。
これはカードの能力ではなく、アンデッドの力が循環する事で得たファング固有の能力の一つだ。
視界を奪うガスに耐え切れず、ついに選手がコースアウトした。
「行くぞ!」
「ハイ!」
それを見て橘と剣崎が気づいたように走り出した。
ファングとの距離は、まださほど開いてはいない。
”ファングの真後ろに着けば、攻撃を受けずにアイツの速度を利用して着いていける”
「スリップストリームだ、その一点にかけろ」
「ハイ!」
ファングとライダーマシン、三台は一気にサーキット内を抜け海岸沿いの道路に出るた。
このまま行けば、もうすぐ港に着く。
港の構内に入ったところで、剣崎は一枚のカードを出し、マシンのラウズカードリーダーに通した。
前方の空中に青色の紋章が浮かび上がり、マシンに吸い込まれる。
『マッハ』
カテゴリー9、ジャガーアンデッドのカード効果は「マッハ」。
その名が示す通り、使用対象を高速化する。
「はあああああああああああああああああ!」
ブルースペイダーが一気に加速する。
ブラックファングとの差が急激に縮まり、ついには真後ろ────衝撃波の通用しない位置まで来た。
もはや両者の差はわずか数十センチである。
新名は慌てたように何度も振り返り、うめくと白煙を放射した。
剣崎の視界は大幅に奪われるが、それでも離れない。
ブレイド搭載コンピューター「ネクサス」の補助と、なにより彼のカンと技術で絶妙な位置が保たれる。
ブラックファングの速度を利用し、さらにその一瞬の隙を突き、剣崎は加速する。それはほんの一瞬。
一瞬でブルースペイダーがブラックファングを抜き去り、勝敗は決した。
679『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:12:29 ID:G4A7etLX

新名の視界からブルースペイダーが遠ざかる。
「馬鹿な!」
混乱していた。最強のマシン、ファングが敗れた。ありえない。怒りが渦巻く。
角を曲がり消え去ったブレイドを追って一気に曲がった。
港の接岸地点と水平線が目に入る。
大型の機材を避けたその先に、ブレイドが居た。
激怒し突進する新名の前で、剣崎は落ち着いたままラウザーを展開、
また一枚のカードを通した。
『スラッシュ』
小気味良い電子音と共にAPが消費され、ブレイラウザーに青き光がともる。
カテゴリー2リザードスラッシュはそのエネルギーを刃に集中させ、
剣崎は突っ込んできたファングからすれ違いざまに新名を叩き落した。
「おおああああああっ!」
「ヌウウァアッ!」
バイクから無様に落ちた新名に剣崎が斬りかかる。
もちろん一対一で負けることなど有り得ないが、
ファングが敗れたことで新名は動揺していた。
動きに精彩を欠く。
そして、後からあらわれたギャレンが、戦う剣崎達の横で静かに銃口を向けた。
その先にあるのは、ブラックファング。
今回の戦いの道具であり原因であったそのマシン、
狼と人間の作り上げた黒い牙は、空しくタイヤを宙に向けていた。
ギャレンラウザーの引き金に指をかける。
橘の頭に、あの時烏丸所長の言った言葉が響いた。
『人類の未来を守るための、研究だ』

──俺達の、俺達のファングよ。

──さらばだ。

決別の銃弾が放たれ、ブラックファングは爆炎に包まれた。
680『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:17:48 ID:G4A7etLX
-7-

『キック』『ドロップ』
『サンダー』『ファイア』
「ヌォオオオオァアアアアアアアアアアアアアア!」
新名は目の前の二人のライダーの行うアクションに対し、咆哮した。残った力をみなぎらせ、身構える。
敵が放とうとしているのはラウズカードのコンボ技、しかも二人同時だ。
この位置からではもう避けられない。ならば────迎え撃つのみ!
『バーニングスマッシュ』『ライトニンングブラスト』
空中に浮かび上がり吸い込まれる紋章と無機質な電子音声。
ライダー達の頭部が発光し、彼らのライダーシステムがフル稼働しているのが分かる。
飛び上がったのは二人が先で、新名は一瞬出遅れた。
「ッ!トゥアッ!」
だがその一瞬の隙で勝敗は決した。
「ウエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!」
「フゥァアアッ!」
雷撃と炎撃、二つの閃光と衝撃が新名に迫る。
空中で二人に向かって突進しふるった爪は────届かなかった。
小さな爆発が起こり、周囲が一瞬光に包まれた。
三つの物体が落下したが、着地したのは二人で、新名は地面に叩きつけられ、膝をついた。
「ウワォァアアアあああーーーーッ!?」
勢いで一度立ち上がったが、体に叩き込まれたエネルギーは押さえられるわけも無く再び爆発した。
新名が倒れ、ベルトのバックルが開く。
分離された二匹の蛇の間にカテゴリーを示す「J」の文字。
体を起こそうとするが、もはやこのアンデッドは不死の存在ではない。
首半分起こそうとしたところで、ブレイドの持っているカードが見えた。コモンブランク。封印のカードだ。
捨て台詞を吐く余裕も与えられず、それは容赦なく投げつけられた。
緑色の光と共に、新名は数センチ四方のカードへ意識も体も吸い込まれていった。

封印完了。
ここに新名=ウルフアンデッドのバトルファイトは終わりを告げた。
681『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:23:46 ID:G4A7etLX
-8-

守山は新名の封印を見届けることは出来なかった。
海岸にたどり着いた後SUVまで行ったが、手榴弾の破片でタイヤがパンクしていた。
タイヤを交換し、朦朧としつつアンデッドサーチャーの表示を追った。
海岸道路を走り港の方向へ進む。
アンデッドサーチャーには上級アンデッドと仮面ライダーの表示があり、
彼らが戦闘状態にあるのがわかった。
今更守山が行っても出来る事など無いが、行かなければならないと思った。
その思いに突き動かされ、ひたすら車を走らせる。

表示された場所まで後少し、という所で、上級アンデッドの表示が消えた。
「あ」
知らずに声が漏れていた。
車を止めそうになるが、そのまま走り続けた。
モニターには仮面ライダー二人の表示のみ。
それはつまり、新名が封印されたことを意味した。

目的地まで後数十メートル。
守山は車から降りた。
手元に銃は無く、徒手空拳だが、その場所目指して歩く。
パソコンのアンデッドサーチャーが新たな上級アンデッドの出現を告げる。
しばらくすると、仮面ライダー二人の表示が離れ、上級アンデッドも消えた。
戦闘の勝敗が決したというよりは、ただその場からいなくなったようだ。
682『狼と人間の黒い牙』第6話:2005/05/04(水) 17:33:25 ID:G4A7etLX

コンテナの隙間を抜けると、港のバースに出た。
大型のクレーンの隙間に青い空と海が広がる。
その下に、燃える一台のバイクがあった。

「ブラック……ファング」
守山はSUVを持ってくると消火器でその火を消した。
外装は滅茶苦茶に壊れ、炎にさらされたパーツはもはや原形を留めていない。

しばらく立ちすくみ、
燃えずに残された部品をSUVに積んでその場から離れた。
そのまま、海沿いを当ても無く走った。
本当に当てなんか無かった。

砂浜の近くに車を止め、海に向かって歩く。
ふと足を止めると、そこに大型の銃があった。
T細胞活性弾発射機。
アンデッドと戦う上での自分達の切り札だったソレは、ガラクタの様にそこに捨ててあった。
座り込み、その銃を胸で抱える。
ジャケットは海中で脱ぎ捨てたので、平井や仲間達の遺品は何も残っていなかった。

海から涼しい風が吹く。
日はもう傾き始めていて、昼間の熱気とは対照的に気温が下がり始めていた。
まだ暖かいが、この場所もじきに夜を迎える。

守山は、色々な事がもう終わってしまったことを知って、うずくまりながら泣いた。

683『狼と人間の黒い牙』:2005/05/04(水) 17:38:31 ID:G4A7etLX
<エピローグ>


 道に枯葉が積もっていた。
背後に大きな森林地帯を持つこの街は、街中でも木々が多く自然豊かである。
そのおかげで、閑静なこの地に家や別荘を持つ人は多かった。
街の中心部まで行けばそこそこに賑わいもあり、電車を使えば歓楽街へ抜けられる。
大都市圏へのベッドタウンとしてはまあ悪くなく、通勤通学時間には駅へ急ぐ人々で通りは混雑した。
この季節にはもう木々の葉は落ちていた。
普段から並木道にも手入れが行き届いているはずだが、なぜか枯葉やゴミが散らばっている。
いくら寒いとはいえ、雪が積もっている様子もない。
道端に人影が無いのは不自然だった。

住宅街へ向かうと、ここもゴーストタウンのように静かだった。
見れば破壊の跡がある。
何かが起こった、というのは間違いない。
家々には鍵がかけられ、車庫に車は無い。
人々が我が家を捨てどこかに逃げたのだ。
それは尋常な話ではないが、理由さえ知っていれば納得は出来た。

突然の物音に振り返った。
通りの向こう側、交差点を誰かが走っていく。
そして、その後ろを数匹の怪物────緑と黒のグロテスクな────が追いかけて行った。
684『狼と人間の黒い牙』:2005/05/04(水) 17:40:24 ID:G4A7etLX

数日前だろうか。
その怪物はある日突然現れて、人間を襲い始めた。
その外見や生命力も恐ろしかったが、何よりも人々を恐怖に陥れたのは数である。
怪物の数は爆発的に増え、いくら倒しても湧き上がるように都市に押し寄せたのだ。
多くの人間が命を落とし、それによってさらに多くの人間が人生を変えられた。

自然破壊への地球の怒りだと言う人もいれば、他国の生物兵器だと言う人もいた。
宇宙人、なんて意見さえも真実味を持って語られた。
だがそれに何の意味があるのか。
人々は、ただ己や愛する者の命が守られることだけを願い、神に祈った。

走り去る人影を見た青年は、ギアを落としエンジンに渇を入れ、バイクを交差点に向けた。
信号は機能しているが他に走る車両など無い。
後輪を滑らせつつ素早く曲がると、すぐ前に襲われている女性がいた。
いや、女性というより女の子と言う方が合っている。
まだ中学生、と言った所だろうか。
ショートカットで、ジーンズにコートという服装だった。
青年は腰から大型の銃を抜くと、怪物達に慎重に狙いをつけた。
重い銃声と共に銃弾が発射され、怪物が緑の光を放ち消えた。
一匹、二匹。
次々に命中する銃弾に、怪物は反撃する間も無く消え去った。
685『狼と人間の黒い牙』:2005/05/04(水) 17:41:13 ID:G4A7etLX

呆然とする私の前に、バイクから降りた人が近づいた。
「立てる?」
ただそれだけ言って手を差し出す。
掴んだその手は傷だらけで、温かく大きかった。
若い男の人は黒のハーフヘルメットを被っていた。
ゴーグルを外したその目が細められ、じっとこちらを見つめた。
その視線に居心地悪そうにしていると、彼が口を開いた。
「ああ、ごめんね。会った事があったかなと思って」
だけど、私はその人を知らなかった。
そのまま私をバイクまで連れて行き後ろに乗せる。
「しっかりつかまっていてね」
「はい」
私はおずおずと彼の腰に手を回す。
ゆっくりと発進し、バイクが街から離れ始めた。
「なんでこんな場所に?」
彼が声をかけてきた。
「家がこの辺にあって。書置きをしてきたんです」
「誰に」
「母です、随分前から行方不明なんで」
「……そう」
「あなたは、なんでここに?」
一拍置いて、彼が答えた。
「この近くの森にちょっと用があってね」
「? 別荘でもあるんですか?」
「ああ、まあ。そんなものかな」
それから、彼が黙ってしまったので会話が途切れ、二人とも無言になった。
686『狼と人間の黒い牙』:2005/05/04(水) 17:47:14 ID:G4A7etLX

背中越しに流れる町並みを見る。
なんだか、前にもこんな事があった気がしたけれど、頭に靄がかかったように思い出せなかった。

しばらく走って、街外れの避難所へたどり着いた。
ここは自衛隊が守っているので、周りの街からも人々が非難してきていた。
彼はゲートの横で私を降ろした。
改めて近くで見てみると、彼の体は満身創痍に見えた。
だけど、治療所に行こうと言うと、彼はそれを断った。
「これは最近の傷じゃなくてね。まあ色々あってさ。人間なかなか死ねないもんだよ」
だから君も頑張れ、と
よくわからない励まし方をして、彼はバイクを今来た方向に向けた。

どこに行くのかと聞くと、自分の用は終わったので、まだ街に残っている人がいるようだから、
助けに行くと言う。
確かに自衛隊と警察は怪物との戦闘にその労力を割かれていて、各都市の住民の救助は滞っていた。
だからって彼一人行ったところで何になるのか。
なんでそんな危ないことをするのかと聞くと、彼は答えた。
「そうだね、確かに危ないし、無鉄砲かもしれない。
でも、誰かがやらなくてはならない事があって、たまたまそこに僕が居た。
このバイクと銃があって、たまたま僕にはそれが出来る。
何より、僕はそういうのが嫌いじゃない。
……それだけなんだ」
彼は、それだけなんだ、と誰に向けてでも無くもう一度繰り返した。
その瞳に迷いは無かったけれど、少しだけ寂しそうだった。
687『狼と人間の黒い牙』:2005/05/04(水) 17:50:49 ID:G4A7etLX

「じゃっ」
片手を挙げ、青年が夕日に去っていく。
私は何をするでも無く、ただその後姿を見ていた。
なんだかテレビの、子供向け番組のヒーローのような彼を見て、
ここ一年でよく聞く様になった都市伝説を思い出していた。
「仮面ライダー、……か」
なんとなく気恥ずかしくて、私はもう見えなくなった青年に背を向けゲートをくぐった。


落ちていく太陽を横目に黒いマシンが走る。
それは、かつて狼と人間が作ろうとした黒い牙の成れの果てだったろうか。

誰もが、過ぎ去り変えられぬ想いを背に、その身にまとった運命と戦う。
例え、決意が時と共に色褪せていったとしても。

守山はアクセルをひねりマシンを加速させた。
狼の咆哮のように、エンジンがうなる。
その牙は、乗り手と共に、訪れる夜を切り開くのだ。


<終>
688名無しより愛をこめて:2005/05/04(水) 18:00:49 ID:XJ+9DWWt
初めてリアルタイムで読んだ。
守山くん、死ななくて良かった!
最後の女の子を助けるところもカッコイイし。
すっごく面白かったです!
689447:2005/05/04(水) 18:56:09 ID:G4A7etLX
>>688
ども、感想ありがとうございマス。

>>スーパーライダー大戦 ◆rAbda18lAEさん
毎回楽しみに読ませていただいてますよー。
自分もまだまだ考えてばっかりで手が動かない未熟へっぽこです。
共に楽しんで精進していきませう。

しかし現在487KB?やばかったー…(´Д`;)
そろそろ次スレですね。
自分はちょいと弾切れなんで、充電するのです。
「輝」聞いて充電します。ドンドコドンドンドコドン。熱すぎる。
690名無しより愛をこめて:2005/05/04(水) 20:59:01 ID:/E66fWOr
「狼と人間の黒い牙」 完成乙です。
今日初めて存在を知り 遡って読ませてもらいました。
力技タイアップの所為?なのか 
本編はいささか厳しい評判だった(と記憶していた) 24、25話に
着目して 
描かれないには惜し過ぎる設定のUDハンターに焦点を当てたと言う
発想の勝利と 
書き上げた文章力を楽しませてもらいました。
スーパーGJですь(´.∀`)
691名無しより愛をこめて:2005/05/04(水) 22:20:09 ID:syaeeh/q
「狼と人間の黒い牙」エピローグで泣いた。
きっかけが何であれ、人はヒーローになり得るんだな、諦めない限り。
日々の暮らしで忘れかけていた「正義の心」を、久しぶりに思い出した気分だ。

こうやって少しづつでも、人々の心に「あともう一歩の勇気」が伝わっていけば
誰もがヒーローになって、みんなが平和を守りあう地球ができるのかも知れないな。

チラシの裏的な感想ですまん
692名無しより愛をこめて:2005/05/05(木) 16:13:06 ID:U4k4czVU
「狼と人間の黒い牙」 完成乙!!マジ乙!!
すげー感動した 守山くん死ななくてよかったなぁ
充分楽しませてもらいました
GJです
693名無しより愛をこめて:2005/05/07(土) 04:16:04 ID:zW6qg48q
 原作版「変身忍者嵐」+仮面ライダー響鬼

 鬼と呼ばれる者たちが、その世界の最後の魔化網を倒した時、全国の
「猛士」のすべての「鬼」と呼ばれる者達が現代から消失した。

 鬼と魔化網と呼ばれる者達は表裏一体の存在であったのだ

 彼ら(全ての鬼)は、江戸時代に跳ばされた。その世界では
魔化網でもなく鬼でもない血車党と呼ばれるもの達が世界を征
服しようとしていた。

 その世界を守るために戦う鬼達。だが彼らの中には、未来を憂う故に
統率者になろうとする者・野心が芽生えた者、が出てきたのだ・・。
694名無しより愛をこめて:2005/05/07(土) 04:20:47 ID:zW6qg48q
江戸時代で、孤立に戦うヒビキ。彼は「自ら親兄弟を殺した」という青年
ハヤテと出会う・・・。
695名無しより愛をこめて:2005/05/07(土) 14:34:07 ID:C4w3rpBa
そういえば嵐も、鍔鳴りの音に反応して化身するんだなあ。
696名無しより愛をこめて:2005/05/10(火) 08:20:06 ID:aqk9tP7j
ほしゅ
697まとめサイト:2005/05/11(水) 19:05:05 ID:JmJR30tK
http://www.geocities.jp/maskedrider_ss/777.html
タグなおしました。これで背景が白くなることはないとおもいます。
狼と人間の黒い牙、もう一人の夢の守人を更新しました。
スーパーライダー大戦(仮)その他は明日更新予定です。
698名無しより愛をこめて:2005/05/11(水) 19:31:10 ID:9Uk5P3gn
今新しいSSを連載しようかななんて思ってる。近々詳細発表予定。
699名無しより愛をこめて:2005/05/14(土) 22:06:25 ID:NhyvdQyf
ダブルライダー2004さん、復活期待ホシュ。
700名無しより愛をこめて:2005/05/15(日) 21:57:31 ID:fe3JY3/n
突如復活した未確認。そしてまた人間を襲い始めたオルフェノク達。
誰もが絶望していたとき2人の戦士が現れる!!
「いきましょう乾さん。俺達で未確認達をなんとかするんです。」
「今回ばかりはめんどくさいとも言ってられないみたいだな。いくぞ五代!」
五代と呼ばれた青年は腹部にベルトを出現させをポーズ取る。
もう一人の乾を呼ばれた青年は腰に機械的なベルトを巻きつけ、ケータイを持った右手を天高く上げる。
そして2人の青年は同時にこう叫ぶ!!!
「「変身!!」」
すると五代はクウガへ乾は555へと変身をとげる。
2人の戦士はは未確認、オルフェノク達の群れへと向かって行くのであった。


ってな感じで書こうかなぁと思っています。
ですがこういうのは書いたことがない初心者ですのでうまく書けないと思いますが、
一応やれるだけやってみようとは思っていますので。
701名無しより愛をこめて:2005/05/15(日) 22:01:06 ID:fe3JY3/n
うわっ「はは」とかなってる。いきなりミスったぁ
702名無しより愛をこめて:2005/05/15(日) 23:56:01 ID:AEF+WY03
五代とたっくんとは珍しい組み合わせですねぇ。
頑張ってください!
703名無しより愛をこめて:2005/05/16(月) 19:49:29 ID:XfvmrzYc
多数の未確認とオルフェノク達。
その数50体。
本来ならば2対50なの勝ち目など無いはずだが2人の戦士は決して諦めずに戦いを挑んでいく。

赤のクウガで戦いを挑む五代。敵は30体ほどだろうか。
(赤のクウガだとこの数に対応できない。。ここは防御や動きを捨てて紫のクウガで一気に勝負をつける!)
そして五代は
「超変身!!」
と叫ぶと赤だった体が紫に変化する。そして近くに落ちていた棒切れを拾いそれをタイタンソードに変えると、
一気に敵をなぎ払っていく。そして20体・10体と数を減らしていく。しかし五代にも疲れの色が見え始め動きが鈍くなってきている。
そして五代が油断した瞬間敵の一撃が五代に直撃する。そして五代はそのままその場に倒れる。
起き上がろうとするが、起き上がれない。体力の限界に達したようだ。
「はぁはぁはぁ・・・・・」
(あとたった5体だと言うのに体がついていかない。もうダメなのか・・・・・)
五代が諦めかけたときふっと頭にみんなの笑顔が思い浮かぶ。
「そうだ。こんなところで諦めちゃいけないんだ。俺はみんなを守るために戦ってる。ここで俺が諦めたらみんなが傷付いてしまう。」
そして五代は立ち上がり青の金のクウガに超変身する。
「敵の数はそう多くない。俺の体力も限界まできてる。青の金で一気に倒す)
そして落ちていた鉄パイプを拾いドラゴンロッドに変化させる。
素早く敵に接近していくと同時に青の金に変わりロッドで敵を倒していく。
4体倒し残り1体になる。青の金でいられる時間は残り10秒。
五代は最後の力を振り絞り敵に近づき、ロッドで刺す。
「おぉぉりゃぁぁ!!」
未確認達を全部倒し終えた五代はその場に倒れる。
(だ、大丈夫かな?、乾さん、、、)
そう思い助けに行こうとするが体が動かずにその場で意識を失うのであった。

そのころ555は20体のオルフェノク・未確認達と戦っていた。


なんか書いてみたけどやっぱし難しい。全然うまくかけてないけど投下しておきます。
704名無しより愛をこめて:2005/05/16(月) 19:51:57 ID:XfvmrzYc
上のはミスです。こっちでお願いします。

多数の未確認とオルフェノク達。
その数50体。
本来ならば2対50なの勝ち目など無いはずだが2人の戦士は決して諦めずに戦いを挑んでいく。

赤のクウガで戦いを挑む五代。敵は30体ほどだろうか。
(赤のクウガだとこの数に対応できない。。ここは防御や動きを捨てて紫のクウガで一気に勝負をつける!)
そして五代は
「超変身!!」
と叫ぶと赤だった体が紫に変化する。そして近くに落ちていた棒切れを拾いそれをタイタンソードに変えると、
一気に敵をなぎ払っていく。そして20体・10体と数を減らしていく。しかし五代にも疲れの色が見え始め動きが鈍くなってきている。
そして五代が油断した瞬間敵の一撃が五代に直撃する。そして五代はそのままその場に倒れる。
起き上がろうとするが、起き上がれない。体力の限界に達したようだ。
「はぁはぁはぁ・・・・・」
(あとたった5体だと言うのに体がついていかない。もうダメなのか・・・・・)
五代が諦めかけたときふっと頭にみんなの笑顔が思い浮かぶ。
「そうだ。こんなところで諦めちゃいけないんだ。俺はみんなを守るために戦ってる。ここで俺が諦めたらみんなが傷付いてしまう。」
そして五代は立ち上がり青のクウガに超変身する。
「敵の数はそう多くない。俺の体力も限界まできてる。青の金で一気に倒す)
そして落ちていた鉄パイプを拾いドラゴンロッドに変化させる。
素早く敵に接近していくと同時に青の金に変わりロッドで敵を倒していく。
4体倒し残り1体になる。青の金でいられる時間は残り10秒。
五代は最後の力を振り絞り敵に近づき、ロッドで刺す。
「おぉぉりゃぁぁ!!」
未確認達を全部倒し終えた五代はその場に倒れる。
(だ、大丈夫かな、乾さん、、、)
そう思い助けに行こうとするが体がついていかずその場で意識を失うのであった。

そのころ555は20体のオルフェノク・未確認達と戦っていた
705698:2005/05/16(月) 20:09:19 ID:QuNqDgJs
一応二つほど考えました。

@劇場版のブレイド、ギャレン、レンゲル、カリスと、
 ゲルショッカー壊滅後(デストロン出現前)の1号、2号の6人が
 異世界に迷い込んだ。そこは彼らがそれぞれ知っている世界とは
 微妙に違う世界だった。彼らは自らの時代に帰還するため、
 元の世界に戻る方法を知っているという人間に力を貸すのであった。

AファイズTV版のその後。スマートブレインがしていたオルフェノクの研究
 に目を付け、その研究成果を会社ごと買収したある大企業が行った実験のせいで
 オルフェノクが大量発生。巧はまた人間とオルフェノクの間で争う事に悲しみを
 覚えながらも、木場に言われた『答え』を探す、再び戦いに赴くのであった……


このどちらかを連載したいと思います。どちらにするかはまだ決まってません。
706名無しより愛をこめて:2005/05/16(月) 20:34:56 ID:XfvmrzYc
五代が30体の未確認やオルフェノクと戦っていたころ、
乾も20体のオルフェノク達と戦っていた。

555はファイズエッジを手にたたかっていた。
こちらは五代とは違いあまり手こずってはいなかった。
1体1体を確実に倒していっていた。
「やっぱ数が多いなぁ。ここはアクセルフォームでケリをつける」
そういうと555はミッションメモリーをファイズポインターにセットし
足に装備する。
その後アクセルメモリーをセットする。
すると555の姿が銀色の戦士に変わる。
そしてファイズアクセルのスタータースイッチを押す。
「start up」
ファイズアクセルから機械的な音が聞こえると同時にオルフェノク達の前から555が消える。
いや、正確にはアクセルフォームになった、555が超高速で動いていると言うべきか。
全ての敵達に数十発ずつパンチやキックを加える。
オルフェノク達は必死に反撃しようとするが今の555の動きについていけるはずもなく為す術もない。
そしてにそこにいる全ての敵はロックオンされ『クリムゾンスマッシュ』が直撃していたのであった。
変身を解く555。
「ふぅ。」
(なんとかなったみたいだな。五代は大丈夫なのか?早く助けにいってやらないと)
そう思っている時巧の目の前にはもうこの世には存在しないはずのはずのオルフェノクが立っていた。
そのオルフェノクとはホースオルフェノク。そう木場勇治が。
当然巧は驚きを隠せない。
「木場!!どうしてそこにお前がいるんだ!!」
そう言う巧の言葉も聞かずに剣を構えホースオルフェノクは巧に向かってくる。
「なんでなんだよ・・・・・木場・・・・木場ぁぁぁ!!!!!」
707名無しより愛をこめて:2005/05/17(火) 00:23:42 ID:7NgNXn5X
次スレ誰か立てて下さい。

今497 KB ですよ
708名無しより愛をこめて:2005/05/17(火) 00:37:18 ID:Ibpgk2iD
>>705
一番でお願いします。
709名無しより愛をこめて:2005/05/18(水) 13:22:14 ID:qSFskkYu
>707
OK、今から立ててくる。
710名無しより愛をこめて:2005/05/18(水) 13:30:19 ID:qSFskkYu
次のスレ立てました。
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1116390514/l50
スレタイが浮かばなかったのでこのままです。
711名無しより愛をこめて:2005/05/18(水) 22:46:48 ID:ssuK0suk
もしデンデがウーロンレベルの人材だったら
712名無しより愛をこめて:2005/05/19(木) 01:12:03 ID:nT983ZRH
ムゥ……
713名無しより愛をこめて:2005/05/20(金) 23:33:32 ID:XJS/abzD
梅盾宙
714名無しより愛をこめて:2005/05/21(土) 01:41:06 ID:weaJvtmG
        (\
         \\
          (\\
           \\\
           (\\\\
           (\\\\\
            \\ |||
( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | ⊂⊃
  ̄ ̄( ̄ ̄//// ̄\  ∧ ∧   
      ̄(//// ̄\\( ゜Д゜)
        (/(/// ̄(つ@つ   <天使が通りますよ・・・
            (/(/|  |
              (/((/ ∧|
                 ∪ ∪  


715名無しより愛をこめて:2005/05/21(土) 16:27:36 ID:UTaJj54O
響鬼やりたいけど、本編自体がまだどう転ぶかわかんないんだよなぁ〜
716名無しより愛をこめて:2005/05/25(水) 22:41:51 ID:cGklWdhU
717名無しより愛をこめて:2005/05/26(木) 20:33:20 ID:nUFwAWfp
埋め
718名無しより愛をこめて:2005/05/26(木) 23:47:24 ID:TQhgvd6K
埋め
719名無しより愛をこめて:2005/05/27(金) 18:10:05 ID:DkQsWzBV
ume
720名無しより愛をこめて:2005/05/27(金) 18:10:39 ID:DkQsWzBV
ume
721名無しより愛をこめて:2005/05/27(金) 18:10:50 ID:DkQsWzBV
722名無しより愛をこめて:2005/05/29(日) 11:58:48 ID:Pn4qfapu
B-DASH
723名無しより愛をこめて:2005/05/30(月) 16:03:07 ID:J1Zijy/N
Re仮面ライダーなるものと被らない事を祈りつつ「HAYATO」なる短編を構想中
ライダー共闘に響鬼なども出したいし
724名無しより愛をこめて:2005/06/04(土) 00:14:09 ID:yHetonX5
Do family
725名無しより愛をこめて:2005/06/05(日) 09:58:20 ID:p5Wk1YnT
次スレ落ちたぞ?
726名無しより愛をこめて:2005/06/05(日) 18:44:38 ID:kb4DkQ3Z
うん、落ちたね--;
28レスでは少なかったんだね。
727名無しより愛をこめて:2005/06/05(日) 19:09:52 ID:p5Wk1YnT
>>725
まだ早すぎたのか?
728第9スレにSS投下しようとしてた新人:2005/06/06(月) 22:44:25 ID:UsKratvD
【果てしなき】ライダー共闘SSスレその9.5【戦い】
は立てるのだろうか?
729名無しより愛をこめて:2005/06/07(火) 09:56:53 ID:wddvKLwr
立てた方がいいと思うが、また落ちるんじゃないか?
730名無しより愛をこめて:2005/06/09(木) 10:00:57 ID:FuvPTyMp
2,3日内にスレ立ってなければ俺が立てるよ
今はちっと忙しいので
731名無しより愛をこめて
新スレ立てました

【1号2号】ライダー共闘SSスレその9.1【響鬼】
http://tv7.2ch.net/test/read.cgi/sfx/1118484086/

スレ立てなんぞ久し振りなので不備があったらごめんなさい
タイトルは今年のライダー映画2作から