1 :
名無しより愛をこめて :
02/01/08 10:12 ID:gDp0heXJ 元仮面ライダースーパー1
2 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 10:52 ID:qSzbUSDI
うっさいハゲ!
3 :
懐かしいなあ :02/01/08 11:21 ID:ELoKkd5T
30代後半には、50mの煙突の上でポーズを取ったV3!で決まり
4 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 11:42 ID:wSPVtKqm
アギトのおやっさんで思ったんだけど、 この人こんなに芝居ヘタだったのか。 いくら元スーツアクターとはいえずいぶんひどいと思ったよ。
5 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 11:46 ID:ds4Xa55o
心配するな。 相方の涼も同じレベルだから。
6 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 12:45 ID:ZvbhZscm
つ〜か、アギトに出演している俳優さんで 演技上手いって思う人が誰もいないんだけど。。。
7 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 13:13 ID:ZwdfBS1h
8 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 16:04 ID:mAb4Dvjt
>4 昔のライダーで中屋敷さん、よく顔出し出演してたけど 演技はド下手だったよ。台詞棒読み・・・
9 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 20:56 ID:K05inr+0
エルにやられ、瀕死の翔一と涼。エルがとどめを刺そうとする刹那、「待て……」と声が響く。 エルと倒れる二人を見やり、事情を察したおやっさんはエルの前に立ち塞がり、涼に言う。 「言ったな、涼……。昔の俺にそっくりだと……。もう、この姿になることは無いと思っていた。 親友の良が“殺してくれた”この姿にはな……」 涼にでも、エルにでもなくつぶやいたおやっさんは、今度こそエルロードに向き直ると、凛とした声で続ける。 「貴様に涼はやらせはせん。かつて俺の過ちを正してくれた親友のために、 俺はあえてもう一度、パーフェクトサイボーグの姿になる! ウワァァァアアオォ!」 今、バダン最強の怪人、パーフェクトサイボーグ・タイガーロイドがエルロードに挑む!
10 :
名無しより愛をこめて :02/01/08 21:01 ID:ZsM/mvD+
11 :
名無しより愛をこめて :02/01/10 04:25 ID:dE1EW70O
12 :
名無しより愛をこめて :02/01/10 04:54 ID:UsedFHm9
>>9 か、かっこいい!
続編(=死ぬとこ(藁))もきぼん!
13 :
名無しより愛をこめて :02/01/10 08:51 ID:641aOi73
>>9 さん!ぜひ続編を!
このスレッドはタイガーロイドのスレッドにしましょう!
14 :
9 :02/01/10 20:31 ID:UIWFq2mG
>>10-13 さん
アリガトございます。十面鬼の顔ネタとか大虎龍太郎ネタとかも考えたんですが、
三影英介が一番しっくりきてたもので。お待ちいただけるなら、マターリと続きを書いていこうかと。
15 :
名無しより愛をこめて :02/01/10 20:33 ID:JvKNMNfn
素敵や・・・。
16 :
名無しより愛をこめて :02/01/10 21:36 ID:FlORLjx1
17 :
9 :02/01/10 22:33 ID:+gt4bieB
距離を置いて対峙する2匹の怪物。
エルも目的である“アギト”の抹殺の為には闘わざるを得ないことを理解したのだろう。
憐憫のカマサを構え、戦闘態勢に入る。
「聖地を犯す人間が……」
風のエルのつぶやきと共に、光の矢がタイガーロイドに向かって飛ぶ。
刹那、タイガーロイドの腰に装着されている2門の機関砲が火を吹く。
光の矢は空中で二度、三度と砲弾にうたがれ、消滅する。
(聖地……? あの竹薮の光か?)
タイガーロイドは脳内に浮かんだ考えを振り払い、腰の機関砲の火線をエルに集中させる。
たちまちエルの身体に着弾光がきらめき、エルは硝煙に包まれる。
その時、風が吹いた。
風のエルが起こした突風だった。
硝煙が消え、その中から出てきたエルのボディには傷一つ付いていなかった。
なんか、スレの趣旨からどんどん離れてる気が……。
>>1 さん、スマソ。
18 :
名無しより愛をこめて :02/01/12 20:11 ID:qJnopRCl
19 :
9 :02/01/13 04:02 ID:QnR985mt
「ヴ……?」 視界を遮った煙を吹き飛ばしたエルだったが、 晴れた煙の向こうには未だ気絶している涼と翔一が倒れているだけだった。 不意の状況に対応できるよう緊張しつつも辺りを見回すエル。 不意に、上空からエルの目前に黒い影が舞い降りた。 エルの眼前に立ったタイガーロイドは、その両手でエルの二の腕を掴み取る。 エルは理解した。機関砲の攻撃が、ダメージを狙ったもので無かったと言う事に。 視界を奪い、間合いを詰めるための布石でしかなかったのだ。 純然たる腕力ではZXをも上回るタイガーロイドである。 その力は凶器を通り過ぎて、兵器のレベルに達していた。 ミシミシと嫌な音をたててエルの両手がねじれていく。 「ガァァァアアアァッ!」 その音を掻き消すタイガーロイドの咆哮と共に、その牙がエルの首筋に突き立てられた。
20 :
名無しより愛をこめて :02/01/13 08:07 ID:vIRLaqO/
>>9 さんタイガーロイドのソフビ欲しくなっちゃったよ〜
21 :
名無しより愛をこめて :02/01/13 08:09 ID:2n+9RASh
22 :
:02/01/13 08:58 ID:e6eGNNkz
特撮オタクの妄想は異常 お前いったい何歳?
23 :
9 :02/01/15 19:44 ID:iEvtEYpu
風のエルはその翼を広げ、はばたかせるとタイガーロイドと共に一気に高空まで舞い上がり、 そのままとあるビルに狙いを定めると急降下を始めた。 “ビルの外壁に自分だけをぶつける”という敵の意図をタイガーロイドも察知した。 いくら改造人間とはいえ、高空からの落下衝撃というあまりにも大きい運動エネルギーに耐えられはしない。 行きがけの駄賃、とばかりにゼロ距離で機関砲をエルに叩き込むと、 ロックしていた両手と牙を離し、自由落下を始める。 逆さ落としの格好で落下していくタイガーロイドは地面を見遣り、 被害拡大の懸念が無いことを確認すると、 背中の3門の大砲の連続発射を始めた。0・7秒の間隔で大砲が発射されるたび、その反動で落下速度が減少していく。 計算通りに行けば、地上10m程で空中に静止し、そこから更に落下が始まるはずである。 地上10mからの落下衝撃であれば、さしたる問題にはならない。 そして、計算通りにタイガーロイドは地上10mで空中に静止した。 その瞬間、光の矢がタイガーロイドの左足を貫いた。そこまで計算していたのか、それとも偶然か。 いずれにせよ、“空中に静止した敵”という絶好の目標を逃すほど、風のエルは甘くは無かった。
24 :
名無しより愛をこめて :02/01/15 21:25 ID:15OfzZzv
25 :
名無しより愛をこめて :02/01/17 20:25 ID:MnUF1grI
26 :
9 :02/01/19 16:34 ID:KiIlgfVb
着地……と呼ぶには抵抗のある姿勢で地面に着地したタイガーロイドとほぼ同時に、エルも地上へと降下してきた。 高空から憐憫のカマサで狙い撃ちにすれば、戦闘を有利に進められていたに違いない。 しかし、もはや風のエルにはばたく力は残されていなかった。 タイガーロイドの牙から注入された毒……人間ならほぼ瞬時に跡形もなく消え去る猛毒……が全身に回り始めていたのだ。 タイガーロイドは立ち上がり、腰の機関砲をエルに向けた……否、向けられなかった。 立ち上がろうとして無様に転んだタイガーロイドが己の左足に目を向ける。 「……!」 タイガーロイドの左足、膝関節から先が完全に消失していたのだ。 チャンスと見たか、エルはその二つ名の「風」のごとくタイガーロイドに襲いかかる。 タイガーロイドは座り込む格好で腰の機関砲を乱射した。 なんとか憐憫のカマサを射る隙を与えないものの、地上にあっても圧倒的なスピードを誇るエルに対して、それがいつまで続くか保証の限りでは無い。 アブソーバーの役割を担う足の片方を失っている以上、大砲の正確な射撃は出来ない。せいぜい静止目標に当てるのが関の山である。 それ以上に、民家が立ち並ぶこの場所で大砲の水平射撃など、出来ようはずも無い。 やがて、タイガーロイドの弾幕を縫って、光の矢が深々と右肩に突き刺さった。
27 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 00:18 ID:sJ6kYGFZ
>>9 さんタイガーロイドかっこよすぎるよう!最高!ぜひ完結に向けて
がんばってくださいね。
2000のスレではココが一番面白いなあ。
28 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 01:04 ID:Wiq53E3E
29 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 01:05 ID:DeARzPad
中屋敷鉄也って誰?
30 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 01:11 ID:Wiq53E3E
>>29 仮面ライダースーパー1など数多くのヒーローのスーツアクター。
ZXの特番「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」では素顔で
ZXのライバル・三影英介(タイガーロイドの正体)を演じた。
アギトでは涼の良く行く(バイトしている)バイク屋のおやっさんを
演じています。
31 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 01:42 ID:DeARzPad
>30 そんなすごい人だったのか、あのおやっさんは!
32 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 01:51 ID:wxYiVN0l
よせよ、照れるぜ
33 :
岡田勝 :02/01/20 01:54 ID:Wm8AeGVP
ついでにワシも称えてくれんかのう… 一応、体毛は全部剃ったし…
34 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 02:54 ID:EfgKWXnX
>>7 印象に残らない演技だね〜。
特に上手いとも思わない。
淡々と演技をこなしている感じ。
アギトは話が面白いから観てるけど
もっといい役者使ったらいいのになぁって歯がゆい思いしながら
毎週みてるよ。
35 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 22:00 ID:qsOkk6ql
36 :
名無しより愛をこめて :02/01/20 22:17 ID:3k4f3a+R
マジでタイガーロイドのファンになりそう
37 :
9 :02/01/21 01:48 ID:locGbHY1
涼は、脳の奥から響いてくる耳障りな音を感じた。生理的に不快感を呼び起こす音。 それを、頬に当たる冷たいアスファルトが手伝い、涼の脳を覚醒に向けて走らせた。 うっすらとあけられた涼の目に飛び込んで来たものは、死力を尽くして闘う2匹の怪物の姿だった。 「何!」 状況を把握した涼は飛び起きる。その傍ら、翔一も頭を振りながら起き上がった。 「アンノウンが……アンノウンと戦っている?」 「どういうことです? 葦原さん!」 つぶやく二人に気付いたタイガーロイドは、機関砲の斉射でエルを牽制する。放たれた煙幕弾が着弾し、たちまちエルは煙に包まれた。 タイガーロイドはその隙に、残った右足で地面を蹴り、二人の側へとジャンプした。 「気付いたか、涼……」 「その声……おやっさん!」 「え? 葦原さん、アンノウンと知り合いなんですか!」 二人の会話に、翔一の巣頓狂な言葉が続く。 「涼、逃げろ。ヤツは……強い……」 片足で立ちながら、タイガーロイドがつぶやく。その言葉と同時に、光の矢で射られた右腕……肩から先……が消滅する。 常人のように即死とまではいかないまでも、憐憫のカマサから放たれる光の矢は着実にタイガーロイドの身体を蝕んでいっていた。 やがて、涼と翔一は目を見合わせ互いに頷くと、それぞれ腕を組み、腰に手を当てる。 「へんし……」 「逃げないのなら手を出すな!」 「え……?」 言葉の意味を理解しながらも、その真意までは読み取れない二人にタイガーロイドは言う。 「ヤツは俺の獲物だ……」 「おやっさん、その身体で……」 「そうですよ! 力を合わせて戦いましょう!」 四肢のうち二つを失いながらも直立し続けるタイガーロイド。 それはバダンの技術の結晶とも言えるバランサーユニットの賜物であった。 いや、真の意味でバダンの技術の結晶と言えるのは、それらを組み込み昇華させた、パーフェクト・サイボーグであろう。 「心配するな……」 タイガーロイドは脳裏にもう一人のパーフェクト・サイボーグを思い浮かべながらつぶやく。 「この世で俺に勝てるのは、ヤツしかいない……。そう、俺に勝てるのは村雨良だけだ……」 その言葉の意味を理解した涼は、「でも」となおも食い下がる翔一を制する。 それを確認したタイガーロイドは、視線をゆっくりと頷く涼から風のエルに向けた。
38 :
名無しより愛をこめて :02/01/22 12:41 ID:5FDB9egu
39 :
:02/01/22 14:55 ID:SlELiQIi
中屋敷の演技見たけりゃ今テレビ東京でやってる「右門捕物帖」の再放送見るべし。 度々しか出ないけど・・・・・
40 :
名無しより愛をこめて :02/01/22 23:37 ID:LkVcb2O7
9さん…素晴らしすぎる! 同じタイガーでも、レッドタイガーじゃ こうはいかないでしょね。(w
41 :
名無しより愛をこめて :02/01/23 16:14 ID:B6FbiaEb
42 :
名無しより愛をこめて :02/01/24 16:11 ID:a7GSCSEF
9さん最高です!続き期待してます!
43 :
名無しより愛をこめて :02/01/24 23:01 ID:efgYQNMe
たたえage
44 :
9 :02/01/25 01:02 ID:uvbjsSdZ
晴れた煙の中から姿を現したエルは、そのまま高速移動を開始する。 距離を取った射撃戦が自分に有利だと踏んだのであろう。 そして、それは間違っていなかった。 野原での戦いであれば、あるいは周囲への被害をまったく考慮しなければ、 タイガーロイドのもつ火力を最大限に生かせるであろう。 しかし、周囲の状況がタイガーロイドの最大の武器である3門の大砲を封じてしまっている。 高速移動するエルに対し、タイガーロイドは姿勢の変更もままならないまま機関砲を斉射していた。 射撃の合間を縫って憐憫のカマサが光の矢を放つが、それは今のところ機関砲により迎撃されている。 しかし、それがいつまで続くかは保証の限りではない。 機関砲がエルに無力なのは実証済みである。そして、エルは射撃間のスキを突いて光の矢を放てる。 このままでいけば、いつかはタイガーロイドは光の矢の餌食になってしまうだろう。文字通りのジリ貧である。 「葦原さん、あれは……」 「ああ。あの攻撃、当てるつもりはないのか……」 闘いを傍観している翔一と涼が、タイガーロイドの不自然な行動に気付く。 二人の言うとおり、タイガーロイドの射撃はエルそのものを狙っていないように見える。 「どういうつもりですか、あれじゃ……」 「信じろ、津上。おやっさんが『心配するな』と言ったんだ……。 俺たちに出来るのは、信じて見守ることだけだ……」 二人の見守る中、幾度目かの射撃をかわしたエルが憐憫のカマサを構え、光の矢を放った。 タイガーロイドの双眼はその瞬間をスローモーションのように捉えていた。 即座にタイガーロイドはアスファルトに爪を突き立てる。その指は易々とアスファルトを貫いた。 「俺の、勝ちだ……」 タイガーロイドがつぶやいた。それは揺るがぬ勝利を確信したつぶやきだった。
45 :
9 :02/01/25 01:15 ID:uvbjsSdZ
>>ZXスレの326さん アリガトございます。 このスレのみなさんやZXスレの326さんのカキコ、本当に嬉しいです。 あと少し、マターリ書いていきますので、今しばらく駄文にお付き合い下さい。
46 :
名無しより愛をこめて :02/01/25 01:22 ID:iTSgDlkr
>>45 の9さん
ぜひタイガーロイドが勝ち残って、大地のエルであるライオンと戦う
ストーリーを書いて下さい!!
47 :
名無しより愛をこめて :02/01/30 01:03 ID:meu7Hn/d
age
48 :
須賀ちゃん :02/01/30 01:06 ID:JnC7JWNq
決して更迭されない。
49 :
名無しより愛をこめて :02/01/30 18:17 ID:nhZziwBZ
9さん面白いよ!
50 :
9 :02/01/30 21:22 ID:lsvvcCjT
タイガーロイドの背中から、閃光と共に砲弾がはじき出された。 そのショックで、爪がめり込ませたアスファルトにひびを入れる。 砲弾発射のたびにアスファルトに連続的なショックが伝わり、 タイガーロイドの左手を中心に崩壊していく。 「フゥッ……」 風のエルの口から失笑が漏れた。 その程度のとろくさい攻撃が当たるものか……その笑みはそう語っていた。 事実、タイガーロイドの砲撃は、風のエルのスピードであれば 悠々と機動回避と言う理想の回避行動でかわしきれる攻撃であった。 あとはそれを実行に移すのみでいい。 移動のための重心を足先にシフトした瞬間、風のエルは凍りついた。 充分にかわしきれる攻撃である。しかし、避けてはならない。 自らの身体が崩壊しても受け切らなければならない。 そのことを理解したのだ。 タイガーロイドの機関砲攻撃は、 すべてこのポイントに移動させるための手段でしかなかったのだ。 「オオォォォォオオォ!」 風のエルの叫びがこだましたのと同時に、砲弾が直撃した。 そのまま0・7秒刻みで、次々に砲弾が風のエルの身体を穿っていく。 やがて、砲煙が収まり、その中から風のエルが姿を現した。 ある種の美しさを感じさせたその姿は、今はもはや見る影もない。 「破壊」というタイトルの芸術作品といえば、納得する人間もいるかもしれない。 風のエルの身体は、そのレベルに至るまで崩れ去っていた。 タイガーロイドの砲撃は、エルの先に「聖地」を捉えていた。
51 :
名無しより愛をこめて :02/01/30 21:32 ID:5m1zDx6I
9さんすごいよ!大作だね♪
52 :
名無しより愛をこめて :02/02/01 07:18 ID:Ldoqjhj2
age
53 :
名無しより愛をこめて :02/02/02 12:49 ID:0rKHpxol
なんかワクワクします!9さん早く続きを!
54 :
名無しより愛をこめて :02/02/02 23:30 ID:CFyXl2TE
9さん…!
55 :
9 :02/02/04 00:58 ID:gz1hHVNt
えと、ここまで書いてふと悩んだんですが、
ここで
>>12 さんの希望通りタイガーロイド殺して
終わりにするのがいいでしょうか(これが当初の私の考えでした。
多少強引でもインサイドストーリーでいける範囲で収められましたので)?
それとも、
>>46 さんの希望通り地のエルとも戦わせたほうがいいでしょうか
(たぶん、アギト最終回の最終決戦外伝=完全パラレルみたいな形になると思います。
なおかつ、タイガーロイドが地のエルと戦うとは言い切れません)?
みなさまの希望の多いほうにしますので、
よろしければご意見お願いします。
56 :
名無しより愛をこめて :02/02/04 06:43 ID:g4oM0UiT
続けてください!
57 :
名無しより愛をこめて :02/02/04 18:25 ID:S1pnfDQK
>50 「タイガーロイドの砲撃は、エルの先に「聖地」を捉えていた。」 これ一度読んだだけでは実はわかりませんでした。 「砲撃が」→「砲口が」あるいは「砲の照準が」 「捉えていた」→「捉えていたのだ」 とするとわかりやすいかと。 「エルを倒したタイガーロイドの砲口が捉えていたのは、まさに「聖地」で あったのだ。」 ではどうでしょう。
58 :
名無しより愛をこめて :02/02/04 23:00 ID:5Gfotm7W
とにかく続けて!
59 :
46 :02/02/04 23:29 ID:8RniNseu
>>9さん あの不完全燃焼に終わったアギト最終回を補完するためにも ぜひその最終決戦外伝の方をやって下さい。 地のエルとの戦いは単にトラ対ライオンの戦いが見たかっただけですので、 コンセプトに納まらないならオミットされてけっこうですから。
村雨にいさんは?出るですか? いや、ZXの衝撃集中爆弾をタイガーロイドの大砲で発射して 庵野雲倒すという妄想をしてしまったので(w ジャッカー、ゴレンジャー映画のオチですね
61 :
9 :02/02/05 21:08 ID:lK0usLHk
タイガーロイドの砲撃を受け切り、なおも立っていた風のエルであったが、 それは単に「直立している」以上のものではなかった。 やがて、どう、と音を立てて風のエルは地面に倒れ臥した。 「葦原さん……」 「ああ……。やったよ、おやっさんが……」 二人が視線をタイガーロイドに転ずる。しかし、タイガーロイドに動きは無かった。 砲撃の直前に風のエルが放った光の矢がタイガーロイドの腹部を捉えていたのだ。 蓄積されたダメージの限界がきたのであろう。タイガーロイドは人間形態へと変化していく。 「おやっさん!」 「大丈夫ですか!」 叫びと共に、二人はおやっさんの傍へと駆け寄る。 「ざまぁ無いな……。村雨以外のヤツに、ここまでやられるとは……」 自嘲気味につぶやくおやっさんを、涼と翔一は抱き起こす。 四肢の切断面から機械が覗き、体内を駆け巡っているであろう潤滑液が零れ落ちていた。 「おやっさん……。あんた一体……」 「土に還るがいい、アギトよ……」 涼のつぶやきの最中、低いが、よく通る声が響いた。その声の主を3人が見遣る。 長剣を持つ二足歩行の獅子……土のエルが「聖地」から歩み寄ってくる。 涼と翔一は反射的におやっさんと土のエルの間に立ち塞がったが、 風のエルに受けたダメージは抜け切ってはいない。 全力戦闘はおろか、変身するのが精一杯であろう。 意を決し、勝ち目の薄い戦いに二人が身を投じようとした刹那、 土のエルとの間に“それ”は割り入ってきた。 “それ”……一握りほどの小判状の物体……は、何かを確認させる暇を与えず、 強烈な爆炎、そして衝撃と共に充分な殺傷能力を持った金属片を撒き散らす。 不思議なことに、通常であれば放射状に拡大していく爆炎も衝撃波も、 全てが土のエルに狙いを定めたかの如くに集中して襲い掛かっていた。
62 :
9 :02/02/05 21:08 ID:lK0usLHk
>>57 さん
ご指摘ありがとうございます。
自分の脳→文章→読む方の脳と、
都合3回の情報伝達の過ちの可能性を考えずにホイホイ書いていたもので……。
「タイガーロイドの砲口が捉えていたエルの先にあったのは、
エルが己の存在のすべてを賭けても護らねばならぬ「聖地」であったのだ。」
書き直してみましたが、
>>57 さんの文章の方が状況判断はしやすいですね……。
>>60 さん
当初戦いには勝ったけど結果相撃ち……的なことを考えてまして、
それだったらタイガーロイドボコボコにしたほうがやりやすいな……
と考えやってしまったんですが、なし崩し的に続くことになりまして、
あれだけダメージ負ったタイガーロイド何とかするには
登場してもらうしかないなぁ……となった次第です。
>ZXの衝撃集中爆弾をタイガーロイドの大砲で発射して
当然、敵は合体エルロード(笑)。←は多分やりませんが。
63 :
名無しより愛をこめて :02/02/05 21:10 ID:N6i8BjvC
9さん・・・・かっこよすぎるぞ!!
64 :
名無しより愛をこめて :02/02/05 21:34 ID:QZTfyeJy
60です。 おお村雨登場!!!(いや、まだバダン時代のコマンダーか?) 9さん、ありがとうございます!! 先日ZXスペシャル見て萌えてしまったもので…。 三影の最後の満足そうな笑みが余りにも印象的だった のでつい変な妄想を書いてしまいました。 9さんこれからも楽しませてください! >当然、敵は合体エルロード(笑)。←は多分やりませんが。 ↑私も同じ事考えてました(藁
65 :
9 :02/02/07 21:37 ID:f7x5zS/I
爆風が収まり、土のエルはガードしていた腕を顔から降ろす。 土のエルの双眼に、一人の男の影が写し出されていた。 土のエルと3人との狭間に立ち塞がる影。 銀色を基調とした身体のポイントポイントに斑のような赤い色がかかっている。 返り血を浴びて立つ銀色の人間……そうとも取れるような配色である。 「村雨……?」 おやっさんがつぶやくが、その男は振り返らずに土のエルと対峙している。 「アギト……。いや、貴様はアギトではないな……」 土のエルの言葉は、また翔一と涼の考えでもあった。 アギトに似ている。いや、似すぎている。 「ヤツはアギトでは無い……。一頃話題になった未確認4号でもない……。 ヤツは……俺と同種だ……」 翔一と涼の懸念が聞こえたかのように、おやっさんは言う。 「貴様がアギトであろうと違おうと関係は無い……。 アギトをかばうのであれば……土に還すのみ!」 言葉と共に、土のエルは男に踊りかかる。 長剣……敬虔のカンダ……を振りかぶると、男めがけて切りつけた。 袈裟切りに振り下ろされた敬虔のカンダは、確かに男を捉えていた。 しかし、左肩から右脇腹まで切り裂くはずだった 敬虔のカンダが切ったのは、空気でしかなかった。 「虚像投影装置か……」 おやっさんが頼もしそうに笑う。その言葉と同時に、土のエルは背後から首をホールドされる。 「幻影と遊んでいるのがお似合いだ……。おまえ程度のやつはな……」 土のエルの耳元で男が囁く。男は手にした電磁ナイフを 右肋骨の下から三番目の隙間……あくまで人間に例えればの話しだが……に突きたて、 すかさず手首をひねり、傷口を拡げる。そのままナイフを抜き、 土のエルの脇腹……肝臓の位置に再びナイフを挿入する。 流れるような鮮やかさで、“人間”であれば即死する位置を的確に攻撃する。 それは、男の身体に染み付いた技能の一つであった。 「バダン」……かつて男が、そしておやっさんが所属していた その組織で叩き込まれ、研鑽してきた技術であった。
9さん…いい!ありがとう!!
67 :
57 :02/02/08 17:49 ID:h2Hj9GOs
>62 いへいへ、こちらこそ差し出がましく失礼しました。書いてる本人 は話が分かっているから結構表現に穴があくものです。ここだけじゃなく 海底軍艦のシナリオとか、この板はレベルが高いすね。がんがん行ってく ださい>9さん
68 :
名無しより愛をこめて :02/02/10 19:17 ID:bThPEmi5
あげましょう!
69 :
名無しより愛をこめて :02/02/11 00:56 ID:R4WjSVNE
どうなる?どうなるんだ一体!? …ハァハァ…
70 :
9 :02/02/11 01:34 ID:NY8P93lB
男は突き立てた電磁ナイフを土のエルから抜くと、首に絡み付いている左腕を緩める。 土のエルはそのまま倒れ行く。そして、地面に膝が付こうとしたまさにその瞬間、 前屈の姿勢から反動を付け、自分の真後ろにいる敵目掛けて敬虔のカンダを振るう。 完全に不意を突いた形であるが、その行動は男の予測の範囲内でしかなかった。 土のエルが反動を付けるために僅かに左足に重心を傾けた時点で、すでに男は飛んでいたのだ。 敬虔のカンダが再び空を切ったのと同時に男は土のエルの肩に乗り、 そこで更に反動を付け、3人の目の前まで跳躍する。 「すまなかったな、三影。遅くなった……。だが、遅すぎはしなかったな。 今ならまだ修理でなんとかなる」 「修理……か。少しはいたわれ、村雨。ケガ人だぞ、俺は……」 男は苦笑するおやっさんを抱きかかえると、涼と翔一に向き直る。 「おまえらも逃げろ。今、俺があいつと戦って勝てないこともないが、 三影を放っておくわけにはいかん。 それに、待っている人間がいるだろう、おまえらには……」 男は翔一と涼に言うと、土のエルに向かってレーダーかく乱煙幕を放つ。 本来の目的……電波のジャミング……とは違い、 単純なめくらましとしての効果しか期待できないものの、 数秒間視界を奪えば逃走できるだけの能力が彼らには備わっている。 土のエルが再び視界を得たとき、すでに目の前に抹殺すべき対象はいなかった。 「アギト……。それに、アギトならざるアギト……」 土のエルはつぶやくと、「聖地」に向かい歩み始めた。 その横で、倒れ伏した風のエルの身体が、光の粒子となり「聖地」へと帰還して行く。 「聖地」で眠る青年の体内に入った風のエルは、 やがてふたたびその身体をこの世に出現させる。 それと共に、青年の身体からもう一つの光が這いずり出てきた。 翔一が、涼が、そして、死んだ木野がここにいれば、驚愕の表情を浮かべたであろう。 そこには、土のエル、風のエルと並び、水のエルが立っていたのだ。
71 :
9 :02/02/11 01:39 ID:NY8P93lB
>>69 さん
ハァハァしたことはあれど、させたことはありませんでしたね(笑)。
ハァハァありがとうです。
今考えているのは、アギトの最終決戦がこうだったらいいな、
と妄想した内容にZXとタイガーロイドを加え、
あと一つプラスαするつもりです。
拡げたフロシキたたみきれるか、誰よりも私が心配です(笑)。
72 :
9 :02/02/11 01:49 ID:NY8P93lB
あ、あと
>>65 の右肋骨……のくだりは左肋骨のマチガイです。
単純に心臓狙ったということで。イージーミススマソ。
73 :
名無しより愛をこめて :02/02/11 09:11 ID:g5xXiRXS
9さん最高です!ZXのソフビ買ってもいいですか?(勝手に買え)
>>73 私もホスィ…(勝手に買え)
でも今のソフビ出来がアレだし。昔買ったHGガシャポンのZXも
塗装の手抜きが酷すぎて…(泣)
300円の食玩のシリーズとかでカッコイイZXでないかな…。
タイガーもロイドもね。
75 :
名無しより愛をこめて :02/02/12 05:28 ID:RBH/Fc2J
あと一つ?・・・まさか、警視総監はあの人だったのか!?
木野さんがバダンに改造されて…とか?>あと一つ
77 :
9 :02/02/12 21:07 ID:SG0Gca5V
男は隣で眠り続けるおやっさんを見た。 すでに、おやっさんの“修理”は完了している。 だが、睡眠という脳の休息は彼らにも必要なものだった。 「俺は、村雨良……。 バダンによって改造されたパーフェクト・サイボーグ、ZX……。 こいつは、三影英介……。 俺の親友、そして、俺と同じパーフェクト・サイボーグ、タイガーロイド……」 男は自らに語りかけるようにつぶやいた。 そうしないと、男自身、自分が何者であるかを忘却してしまいそうな不安があったからだ。 もやがかかっているような脳の奥から、何者かの声が聞こえてくる。 『倒す……。たおす……。タオス……!』 自分自身の声で脳の奥から語りかけてくる声に いいかげん辟易した男はねむるおやっさんを見遣り、外へ出た。 気分転換のつもりであるが、外気の冷たさも、よどんでいない新鮮な空気も、 生身ではない男にとって、すべては単純な信号として脳に送られてくるに過ぎない。 それを理解しながらも、男は外へ出た。 かつて人間だったときの、それは“癖”だった。
78 :
9 :02/02/12 21:07 ID:SG0Gca5V
Gトレーラーのコンピューターに向かったまま、小沢澄子はため息をついた。 ディスプレイにはG系強化服……左肩に「00」の文字がペイントされている……と、 四連装のミサイルランチャーが表示されていた。 「完成はしてる……。G4と違って、人体への過度の負担も無い……。けど……」 彼女はトレーラー内部に並ぶ、G3−Xのパーツに目を向けた。 「G3−Xだけでカタが付けば……。でも、もしあれを使うことになったら……」 氷川誠、北條透、津上翔一、尾室隆弘、水城史郎……。 かつて、G系強化服にその身を預け、戦ってきた男たちが彼女の脳裏をかすめる。 彼女が“あれ”と呼んだもの……G3MILD改は、 自らを操る主人を待っているかのように、Gトレーラーの中で眠り続けていた。
79 :
名無しより愛をこめて :02/02/12 21:16 ID:1RqKR2RN
9さん意外な展開!先が読めないよ!
80 :
9 :02/02/14 00:21 ID:QAGmi9VZ
おやっさんが目を覚まし、真っ先に確認したのは自分の四肢であった。 風のエルとの戦いで、勝ちはしたものの左足と右腕を失うと言う代償を払っていたからである。 完璧に処置されている自分の身体を確認するため、指先、足先を動かしてみる。 なんの問題も無く指の一本一本まで動くことを確認したおやっさんだが、 それを行った男がいないことに気がついた。 「村雨……?」 おやっさんの呼ぶ声に答えは返ってこない。 「長く眠りすぎたか……」 深い眠りの中何回か目を覚ましたものの、 休息を要求する脳の欲望に負け、起きはせずにそのまま眠り続けていた。 胴体内のバックアップメモリーの日付を脳に転送し、日付を確認する。 すでにあの戦いから何日かの時が流れ去っていた。 おやっさんが起き上がるのと同時に、体内の通信回路に緊急のコールが入ってくる。 ライオンに似たアンノウンと戦うアギトが破れた……。 そのコールはそう伝えていた。 おやっさんは飛び起きると、 クローゼットの奥深くしまってある革のジャンパーとサングラスを取り出す。 かつて男と戦ったとき……そして、望んでいた敗北を与えられたときに着ていた服に再び袖を通す。 「直接の音声通信を使わずに、暗号化されていない平文のみ送られてくる……。 まさか、村雨になにかあったか……?」 おやっさんはサングラスをかけオートバイに飛び乗ると、 男がコールを送信した場所に向けスロットルを開放した。
81 :
名無しより愛をこめて :02/02/14 00:22 ID:uRxVdQ7Z
9さん快調ですね!面白いです!
なんだか波瀾の予感…。 期待してますよ!9さんがんばってください。
83 :
名無しより愛をこめて :02/02/16 06:12 ID:N/g+JJ5D
唐揚
84 :
9 :02/02/16 16:33 ID:aHroJpxP
土のエルの猛攻により、アギトは倒れた。 敬虔のカンダにより折られたシャイングカリバーが転がり、 その向こうに人間態に戻った翔一が倒れている。 その様子を男はただ眺めていた。 たすけにいかなければならない……。 その想いはあるのだが、頭の中のもやがそれを実行させないでいる。 もはや頭痛と呼んでも差し支えない頭の混乱の中で、 なんとかおやっさんに状況を伝えたものの、自身がZXに変身するだけの余裕はなかった。 「やつを、倒……姉さん……俺は……バダ……ジ……」 男はうわ言のようにつぶやくと、糸の切れた人形のように倒れこんだ。 意識が途切れる寸前、男の目に土のエルと翔一の間に割りいる青い影……G3−Xが写ったが、 男の意識はそれを認識する前に深い混濁の中へ落ちていった。
85 :
9 :02/02/17 21:58 ID:wrKwPAIP
氷川誠が操るG3−Xは善戦していた。 しかし、それは「善戦している」以上のものではなかった。 水、風、土の3体のエルロードを相手にして、付け入る隙を与えていない。 しかし、押されていることは疑いようの無い事実である。 その様子をGトレーラー内部でモニターしていた小沢澄子は、 ヘッドセットを外すと立ち上がった。 「尾室くん……」 「え、ハイ?」 「氷川くんへのサポート、お願いね……」 「え?」 小沢は尾室の言葉を流し、コンピューター下部の収納スペースから“それ”を取り出し始める。 「それは……G3マイルド!」 「いいえ、違うわ……」 尾室の問いに答えながら、小沢は四連装のミサイルランチャーを取り出す。 「これはG3マイルド改。破棄されることになったG3マイルドを改良……いえ、改造したもの」 「G3マイルド改……」 「そう。簡単に言えば、G4のギガントを使えるようにしたG3マイルドね」 「それって、すごいじゃないですか!」 「確かに、それだけならね。でも、G3マイルド改はギガントのため、他の全てを犠牲にしているわ。 発射時の対ショック、ギガントの誘導、その他諸々のために全てを犠牲にした……。 言うなれば、ギガントを撃てるだけのただの人間よ。防御力は無いに等しいわ……」 G3マイルド改を見つめながら、小沢はつぶやく。 防御面をまったく考慮していないG3マイルド改は、ある意味G4以上に非人道的な装備と言えよう。 「小沢さん、ぼくが行きます……。G3マイルド改で……」 「いいえ、私が行くわ……。開発者の義務として、そして、責任とし……」 ぱん、と乾いた音がGトレーラーにひびき、小沢の言葉を中断させた。 尾室の平手が小沢の頬を張ったのだ。
86 :
名無しより愛をこめて :02/02/17 22:01 ID:qWc5954h
ありゃ〜すごい展開ですね。今後が楽しみです♪
87 :
名無しより愛をこめて :02/02/18 10:10 ID:6HG2jTrY
面白いです!ageましょう
88 :
9 :02/02/18 22:09 ID:/5PxNHdD
小沢は信じられないといった顔で尾室を見つめる。 「尾室……くん……」 「ぼくが行きます……。こういうことって、やっぱり男がやるべきですから……。 それに、小沢さんにもしものことがあったら、ぼく……」 小沢はためいきをつくと、うなだれる尾室の頬を思い切り張った。 「へっぺ!」 ぱぁんという小気味のいい音と同時に尾室の悲鳴が吐き出される。 「今のでさっきのはチャラね。いいわ。いってらっしゃい、尾室くん!」 「は、はい……」 頬に残る真っ赤な手形をさすりながら尾室はG3マイルド改の装着を始める。 G3マイルド改が装着と機動チェックを完了しギガントを手に取った瞬間、 Gトレーラーの後部ハッチが開き、一人の男が乗り込んできた。 まばゆい白銀の強化服……V1システムに身を包み、マスクを手にした北條透だった。 「内輪のいざこざは終わったようですね。 では、尾室さん。行くとしましょう、氷川さんのお守りに」 「ちょっと、北條くん! 盗み聞きしてたの! それに、どういうこと!」 小沢がGトレーラーに入ってきた北條に、言葉を文字通り叩き付ける。 「やれやれ、あいかわらず口が悪いですね。 無線を開放したまま話していれば、嫌でもV1のレシーバーに入ってきますよ。 加えて言わせていただきますが、どういうこととは心外ですね。 私が氷川さんを助けに行ってはいけないのですか? 私はいい人間ですから。苦戦している人間を放ってはおけないのですよ」 ふと考え込んで、北條は続ける。 「それに、氷川さんに死なれたら寝覚めが悪くなりますからね……」 それだけ言うと、北條は尾室を促してGトレーラー後部へと歩き始める。 「北條くん……」 小沢の呼びかけに北條は足を止め、振り向く。 「なんですか? あまり余裕がないので、手短にお願いしますよ」 「北條くん、氷川くんをお願い……。 それに、無線を聞いてたならG3マイルド改の欠点も分かってるわね。 尾室くんのことも頼むわよ……」 北條は一瞬だけおや、という表情をしたが、すぐに満面の笑みを浮かべる。 「あなたにそこまでして頼まれたら、嫌とは言えませんね……」 「ありがとう、北條くん、尾室くん……。 これが終わったら、みんなに焼肉おごるから……」 「ハイ!」 「やれやれ、好みではないと前に言った記憶がありますが……。 まあ、どうしてもというなら付き合いましょう」 尾室と北條はそれぞれ言い、頷き合うとマスクを装着してGトレーラーから降車した。 二人の行く先では、未だ3体のエルロードを相手に氷川誠……G3−Xが苦闘を続けていた。
89 :
名無しより愛をこめて :02/02/18 23:12 ID:Fw9DM6sV
9さん面白いよ〜。続き楽しみ♪
90 :
名無しより愛をこめて :02/02/20 12:52 ID:TqS/Dshu
ageてみる。
91 :
名無しより愛をこめて :02/02/21 15:06 ID:DPHqH/PN
素晴らしい!あげよう
92 :
名無しより愛をこめて :02/02/21 15:11 ID:MNY+DFdy
すげーよマジで
93 :
9 :02/02/21 20:08 ID:CV2v1HKi
幾度目の攻撃だったろう、ついに水のエルの怨念のバルディッシュがG3−Xの胸部装甲を捉えた。 すでにGX−05ははじき飛ばされ、 右手にガードアクセラー、左手にGK−06を構え防戦をしていたG3−Xは、 その一撃で後方によろめき、尻餅をついた。 3体のエルロードがG3−Xとの距離を一歩一歩ゆっくりと詰めていく。 「クッ……」 マスクの中で氷川は歯を食いしばる。 かつて幾度もそうしたように、G3−Xに、 そして、G3ユニットの仲間たちに生命を預け、再び立ち上がった。 「おまえはアギトではない……。 なぜそれほどまでに戦える? おまえは……何者だ?」 「ただの……人間だ!」 土のエルの問いかけに、氷川は答えた。凛とした、自分の心の拠り所から出てくる言葉で。 その時、排気音が轟き、エルロードの前にバイクが立ち塞がった。 革のジャンバーに身を包み、サングラスをかけた男……おやっさんは、 バイクから降りるとヘルメットを脱ぎ、エルロードと正対する。 「ただの人間が……ここにもいるんでね……」 「ただの人間……か? おまえが?」 「そうさ……。普通の人間が考える人間と言う概念からは大きく逸脱している。 しかし、それでも人間だよ……」 風のエルの問いかけに冷笑とともに答えたおやっさんは後ずさり、G3−Xと肩を並べる。 「警視庁のG3ユニットだな。俺はおまえらの敵の敵だ。 味方ではないかもしれんが、とりあえず敵対する理由も無い」 おやっさんは言いながら、周囲の状況の把握、そして分析を始める。 人気の無い森林地帯、ZXであれば掛け値なしにその能力……隠密性……を発揮しうる場所だった。 しかし、連絡を送った当の男の姿は見当たらない。 前に涼と一緒にいた若い男が倒れているが、命に別状は無さそうである。 おやっさんが状況の分析を終えたとき、もう一台のバイクが割り入る。 「涼!」 おやっさんの叫びに頷いた葦原涼はエルロードに向き直る。 「貴様……」 「俺は……不死身だ!」 涼が答えた瞬間、銃声が響き、3体のエルロードに銃弾が浴びせられる。 「やれやれ、お守りが必要と思って来てみたのですが……。 私以外にも氷川さんのお守りをしようとする物好きがいたのですね……」 「氷川さん、ぼくもがんばります! ぼくは氷川さんの弟子ですから!」 G3−Xのレシーバーに北條と尾室の声が入った。 氷川が振り向くと、V1ショットを構えたV1と、ギガントを提げたG3マイルド改が立っている。 3体のエルロードと相対する5人の目にゆっくりと立ち上がる翔一の姿が映った。 翔一は5人の姿を確認すると、笑みを浮かべ、ゆっくりと、だが力強く頷いた。
94 :
名無しより愛をこめて :02/02/23 01:03 ID:kMH9WL1p
凄い展開だ!面白いよ9さん!!
95 :
名無しより愛をこめて :02/02/23 14:20 ID:v7wJxmzK
村雨にいさんはど〜なったage
96 :
名無しより愛をこめて :02/02/23 23:25 ID:LrwfVoMA
ageます!!!
97 :
名無しより愛をこめて :02/02/24 23:53 ID:pjUpoNZC
ageとく
98 :
9 :02/02/25 22:32 ID:TPpGEK12
3体のエルロードと6人の男が「聖地」で激戦を繰り広げていた。 小沢はGトレーラーの中でその様子をモニターしながら、2体のG3のサポートに忙殺されていた。 当初、おやっさんが変身したタイガーロイドにG3ユニットが混乱したものの、 それは翔一と涼のフォローにより大事には至らなかった。 「このままでいけば……いける……」 小沢のつぶやきは、真実の一側面を捉えていた。 6対3、……G3マイルド改はクロスレンジでの戦闘を避け、 ギガント射出のチャンスを狙っているので実質は5対3であるが…… と数で優位に立ち、なおかつ一人一人がエルロードと互角に戦っている。 最悪を想定して一人一殺でも3人の人間を残してエルロードの殲滅が可能……。 彼女はそう分析し、今のままで事態が推移すれば、 その“最悪の想定”に移行する可能性が極めて低いことも理解していた。 不意に、乱戦の間中で爆発が起きた。 誰にとっても予想外の出来事だったのであろう、 皆が距離を取り、相手を牽制しつつ周囲の気配に注意を傾ける。 「小沢さん、Gトレーラーのレーダーに反応はありましたか?」 「え、ちょっと待って!」 北條からの質問で小沢はレーダーレピーターに目を向ける。 普段は二人の人員を必要とするG3−Xのサポートを一人でやり、 なおかつそこにG3マイルド改のフォローの負担も掛かってくる。 それが彼女をして操作と報告を一瞬遅らせる要因となった。 「尾室くん! 背後、何かがいる!」 小沢の叫びがレシーバーに入ったのと、 G3マイルド改の左腕に何かが絡まったのが同時だった。 G3マイルド改が振り向くより早く、 それは5万ボルトという途轍もない電流をG3マイルド改に流した。 悲鳴を上げる暇さえ与えられず、G3マイルド改は地面に倒れ行く。 「尾室さん!」 「尾室くん!」 叫び声がG3マイルド改のレシーバーに入るが、G3マイルド改に動きは無い。 「あれは、マイクロチェーン? まさか、さっきの爆発は衝撃集中爆弾……」 タイガーロイドのつぶやき、それは危惧と呼べるものだったのかもしれない。 そして、G3マイルド改の向こうから歩み寄ってくる男を認識した瞬間、 その危惧が現実のものとなったことを、タイガーロイドは悟った。 「村雨……」 タイガーロイドはつぶやいた。 だが、その声を聞いてなおG3マイルド改を倒した男……ZXは、 明らかな殺気を発散させつつ、エルロードと戦う男たちに向かい、跳躍した。
おい!マジ凄い展開だよ9さん!!
100 :
名無しより愛をこめて :02/02/25 23:09 ID:bVAKrBsw
100ゲット
101 :
名無しより愛をこめて :02/02/26 00:06 ID:zLI0bdRZ
スゴイ展開にビックリ! で、9さんに質問。翔一はシャイニングモードなの? で涼はエクシード? 脳内補完したいんで、今後の展開に問題なかったら教えて下さい。
102 :
9 :02/02/26 20:18 ID:bj9OfzTu
>>101 さん
えと、アギトはシャイニング、ギルスはノーマルギルスです。
白状しますと、各々の変身シーンを書いてもどうもピンとこなかったので、
手抜きでGトレーラーからの視点に移して書いてしまいました。
手抜きからの説明不足、すみませんでした。
それはさておき、できれば全員に見せ場を与えたいのですが
(含むエルロード)……できるかなぁ……。
103 :
名無しより愛をこめて :02/02/26 23:14 ID:7nwk9u9p
9さん…僕はあなたについていくぜ!
104 :
9 :02/02/27 21:12 ID:N7Uz7glp
ZXに対し、真っ先に行動に出たのはV1だった。 放物線を描く敵は頂点で上下運動が停止する。 その瞬間を狙い、V1ショットで正確な射撃を遂行した。 しかし、銃弾が命中すると同時に中空に浮かぶZXが霞のように消えて行く。 「違う! 北條くん、敵は下!」 V1のレシーバーにGトレーラーからの情報が伝達される。 「クッ!」 北條は舌打ちすると、視線を下方に転じた。 まさに自分の真正面で、ZXはその手甲からチェーンを伸ばし、それをV1目掛けて投げかける。 間一髪、後ろに倒れることでV1は難を逃れた。 「北條くん、なにやってるの! 敵はあなたのすぐ後ろよ!」 「何!」 北條がZXのいた位置に視線を向けるが、そこにはただ木々がざわめいているだけに過ぎない。 あわてて立ち上がり、振り向いた北條の目に写ったのは、 電磁ナイフを今まさに繰り出さんとするZXだった。 (狙っている……どこを……V1の装甲の隙間……首!) とっさに首をガードした左手に電磁ナイフが突き刺さる。 それはV1の装甲を貫通し、北條の左手を深々と貫いた。 肉が焼け、血が蒸発する嫌なにおいが立ち込める。 しかし、左手を襲う激痛の中、北條はマスクの中で笑っていた。 「この距離では……逃げられませんよ。 それに、今度は幻ではないようですからね……」 北條はそうつぶやくと、ZXの胸にV1ショットを突きつけた。
105 :
ムサイ :02/02/28 03:18 ID:ELcFyZiP
106 :
9 :02/02/28 23:42 ID:n+QIUzul
ZXは自分の胸に突きつけられたV1ショットに視線を向けると、 銃口を掌で包むように左手でつかんだ。 状況を理解しながらも、北條は委細構わずに引き金を引く。 二発、三発とZXの掌の中でV1ショットの発火炎が煌き、ガス圧でZXの手が踊る。 その衝撃の中で、ZXは右手にひねりを加えた。 瞬間、北條の脳にいままでに経験したことの無い感覚が生まれた。 骨を腕の内側から電磁ナイフにより焼きながら削られる痛みを現す言葉など、 人間の世界にあるわけは無い。 数瞬遅れて、北條の脳は無意識のうちに悲鳴を上げることを選択した。 右手はV1ショットを手放し、ZXの右手をつかんで痛みの源を取り除こうとする。 だが、北條の絶叫と共にZXは左手の手甲からマイクロチェーンを延ばし、 それを木の枝に結びつけると北條の眼前から消え去った。 そのまま空中で左肘から武器を取り出す。それは、手に握られると同時に四つの刃を出した。 それをV1に向けて放つと同時にぐい、と左手を引き、木の枝の上に飛び乗る。 V1に命中したそれは小規模の爆発を起こし、衝撃でV1のマスクが外れる。 V1が最初にZXに対して発砲してから10秒足らずの出来事であった。 木の上では再びZXが数体に増えている。 「村雨ーッ!」 タイガーロイドがZXに向けて駆け出すが、その前に土のエルが立ち塞がる。 ふと見ると、アギトは風のエルと、G3−Xは水のエルとそれぞれ闘いを繰り広げていた。 「この前は仕留め損なったが、こんどこそ貴様らを塵に還す……」 敬虔のカンダを振り上げ、土のエルはタイガーロイドに挑みかかった。 その様子を木の上から見ていたZXは、狙いをタイガーロイドに絞る。 幻影と共に攻撃を開始しようとした瞬間、 ZXの首に何かが絡まり、そのまま力任せに引っ張られる。 不意を突かれた形のZXはバランスを崩し、背中から地面に落下していった。 その衝撃で次々と幻が消えていく。 ZXが視線を転ずると、そこにはギルスフィーラーで攻撃を仕掛けたギルスが立っている。 敵の殺意を感じ、本能で攻撃するギルスに、幻影投射装置など無意味なものだったのだ。
107 :
9 :02/02/28 23:46 ID:n+QIUzul
>ムサイさん >画像 す、スゴいです! やっぱり実際の映像の説得力っていうものはかなりのものがありますね。 非礼を承知でお願いしたいのですが、 この文章を全部打ち終わったら、多少修正して自分のHPに載せようと思っているのですが、 その時に使用させていただいてよろしいでしょうか?
108 :
ムサイ :02/03/01 01:37 ID:iAEK9gmJ
>>9さん よろこんでいただけて幸いです。V1とG3Mは自作フィギュアですので 少々ディテールが荒い部分もありますが、お許し下さい。 HPの件は、私に版権があるわけでも何でもないので、どうぞどうぞお使い下さい。 それからよろしければ、以降もできる範囲でまた画像作りたく思いますが、いかがですか? 実はシャイニングとギルス(ノーマルエクシード両方)は市販の、 タイガーロイドも同スケールの自作フィギュアがあったりしますので(笑)。
109 :
名無しより愛をこめて :02/03/01 02:01 ID:5Ci5SnjZ
おお、このスレに神がもう一人…!
110 :
名無しより愛をこめて :02/03/02 08:11 ID:2GIfW14O
続き待ちage
111 :
名無しより愛をこめて :02/03/02 08:16 ID:nzjBBXtF
9さんもムサイさんもすごいよ!
112 :
名無しより愛をこめて :02/03/02 23:53 ID:6pkGO03t
9さんムサイさんおまえら早く続きをオネガイシマスage
113 :
ムサイ :02/03/03 12:32 ID:4aogfHhE
114 :
9 :02/03/04 00:38 ID:59uAB7Oo
倒れるZXに向かい、ギルスはヒールクロウを放つ。 間一髪、踵が振り下ろされる瞬間にZXは前転し、難を逃れる。 ZXは回避行動の前転をしつつも膝部に手を伸ばし、衝撃集中爆弾を手にする。 回避の遂行と同時に攻撃の準備を整え、 立て膝の状態に移行すると共に衝撃集中爆弾のスローイングを行った。 「ヴワァァァア!」 ギルスは咆哮と共に飛び出すと、 手から離れたばかりの衝撃集中爆弾をギルスフィーラーで叩き落すと、 そのままギルスクロウを構え、ZXに向かい突進する。 電磁ナイフを手にギルスの迎撃を行うZXであるが、 両手から繰り出される攻撃にはやや分が悪い。 ギルスクロウと電磁ナイフが何度目かの火花を散らした時、 不意にZXはゼロ距離でレーダーかく乱煙幕を放った。 煙の中、ギルスは敵の気配を察し、その方向へと向かう。 やがて視界が開け、ギルスは数メートル先にZXを視認した。 ギルスはZXの殺意を感じていた。そして、“それ”も視界に捉えていた。 しかし、ZXのあまりに強烈な殺意に意識を取られるあまり、 ZXの前方3mほどに落ちている“それ”にまで意識が回らなかった。 “それ”……ギルスが弾き飛ばした衝撃集中爆弾は、 ギルスが真上にくると同時にZXからの電波指令により爆発した。 爆炎が晴れ、その中から地面に倒れ伏したギルスが姿を現す。 ギルスに動きが無いことを確認したZXは背を向けると、次の標的に向け歩き始める。 不意に、ZXは歩みを止めて後ろを振り向いた。 ゆっくりと、だが、確実にギルスは立ち上がっている。 「ガゥアァァァァアアアァァァァァ……」 突然、ギルスの咆哮が森にこだました。 それは、怒り、悲しみ、痛み……どれからの咆哮だったのか、涼にも分からなかった。 あるいは、禁忌の領域に足を踏み入れた自嘲的な歓喜の咆哮だったのかも知れない。 そして、その咆哮と共にギルスは更なる異型へと変化を遂げていく。 姿を現した異型……エクシードギルスに対し、 今度こそ完全なとどめを刺すべくZXはエクシードギルスに襲い掛かる。
115 :
9 :02/03/04 00:41 ID:59uAB7Oo
>>113 >ムサイさん
独断専行なんてとんでもないです。
モニターの前で震えるくらい楽しみにしていますので、
よろしければこれからもお願いします。
ただ、まだ出てきてない最後のプレスαに関しては
フィギュアがあるかどうかが問題なんです。
メジャーっていえばメジャーなんですが、
マイナーっていえばマイナーなキャラなもので。
116 :
ムサイ :02/03/04 00:56 ID:c4uX8Gq1
良かった、お許しいただけましたね〜。 それではできる範囲でですが、引き続きやらせていただきます。 最後のプラスαって何でしょうかね? 楽しみだな〜! たぶんフィギュアはなんとかなると思いますよ。 無けりゃ作るし(ニヤリ)…。
117 :
名無しより愛をこめて :02/03/04 17:03 ID:vmkNnk5g
プラスアルファがZXと他のライダーの戦いじゃなかったの?一体何?
118 :
名無しより愛をこめて :02/03/04 23:05 ID:CwhiDO5o
な、なんかこのスレすごい事に……。 ついていかなくっちゃ! ついていかなくっちゃ!!
119 :
名無しより愛をこめて :02/03/05 11:55 ID:XRwp0oVq
ageる!
120 :
名無しより愛をこめて :02/03/06 16:47 ID:xPzjTRZY
ZXとギルス、カミキリムシ対決?
121 :
9 :02/03/06 22:36 ID:ffOIem9P
土のエルが次々と繰り出す攻撃を、タイガーロイドは何とかかわし続けていた。 敬虔のカンダの軌跡を読み、最低限の動きで避けつつ反撃の機会を窺っている。 力みすぎたのか、土のエルの斬撃が大振りになった。 軽く後ろに引いたタイガーロイドは敬虔のカンダが空を斬ると同時に間合いを詰め、 左手の爪で剣を持つ右腕を、右手の爪でのど元をそれぞれ狙う。 牙と並ぶ猫科の猛獣の最大の武器である爪、 それに加えてタイガーロイドのベースとなっているおやっさんの驚異的な身体能力が加わり、 必殺の威力を持つ攻撃が土のエルに襲い掛かる。 タイガーロイドと土のエル、クロスレンジの近接戦闘においてその能力を発揮するのは、間違い なく土のエルである。 タイガーロイドの近接戦闘能力も低いわけではないが、 あくまでタイガーロイドは距離を取った砲戦を主眼に開発されたものである。 しかしその差を、そして土のエルの能力を持ってしても、 一度攻勢に出たタイガーロイドの勢いを止めるのは容易ではない。 何とかタイガーロイドの攻撃を防ぎつつも後退していた土のエルだが、不意に歩みを止めた。 その瞬間、土のエルの胸元に四条の傷が出来る。 「虫が良すぎた。おまえほどの者を相手に無傷で勝とうなどと……。 最初からこうすべきだった……」 相手の全力の攻撃を受け切り、その隙に反撃する……。 タイガーロイドを相手に取る行動として考えれば自殺行為と言えよう。 しかし、土のエルはその自殺行為に耐え切った。 「終わりだ。塵に還るがいい、虎の勇者よ……」 土のエルの言葉と共に、攻撃を振り切り回避もままならないタイガーロイドに向かって 敬虔のカンダが風をまき襲い掛かった。
122 :
9 :02/03/06 22:41 ID:ffOIem9P
>>117 さん
ZXが敵になることじゃないです。
でも、プラスαって一番スカくらう可能性が高いんです。
不安……。
>>118 さん
飽きるまでで結構ですのでついてきて下さい。
お願いします。
>>120 さん
そーです。当初ZXとタイガーロイドの再戦にするか、
ZXとギルスのカミキリムシ対決にするか悩んだんですが、
やはり映像化されていないほうを優先したほうが良いと結論した次第です。
123 :
名無しより愛をこめて :02/03/08 13:53 ID:INLlVeoA
すごいよ9さん!あげなきゃ
124 :
ムサイ :02/03/09 01:33 ID:mOa5MlfB
125 :
名無しより愛をこめて :02/03/09 01:43 ID:mzbaqcXb
そー言えば、レッドタイガーって最初は中屋敷氏が声もやってたけど、 途中から古谷徹にアテレコされてたっけ。メタルダーも途中から別の 俳優さんが声アテてたよなぁ。
126 :
名無しより愛をこめて :02/03/10 01:00 ID:xe9+mzEQ
カキコ待ちage
127 :
名無しより愛をこめて :02/03/10 01:03 ID:9Gs+FpnE
128 :
名無しより愛をこめて :02/03/11 16:52 ID:ivWdwPT+
age。書き込みまだかな?
129 :
9 :02/03/11 19:55 ID:bg0RPkpM
小沢はヘッドセットのマイクに向かって尾室の名を呼び続けていた。 突如現れたアギトモドキ……ZXの攻撃により倒れたG3マイルド改であったが、 尾室は意識は失ったものの生命に別状は無かった。 ZXが他の攻撃手段を使っていたなら、間違い無く尾室は絶命していたであろう。 ZXが使用したマイクロチェーン……感電を主目的とし、電流を流す武器……の攻撃は、 幸運にもG3マイルド改の装甲がアースの役割をし、その電流のほとんどを地面へと逃がしてい た。 「尾室くん、目を覚ましなさい!」 「え、小沢さん……?」 何十度目かの呼びかけで、ようやく尾室は目覚める。 「いい、そのまま動かないで聞いて」 「え? ハイ……」 有無を言わさぬ小沢の口調に、起き掛けた尾室は突っ伏した格好で小沢の言葉を待つ。 「手短に言うから。まず、G3マイルド改が攻撃を受けて、尾室くんは気絶したの。 まあ生命に別状はなかったんだけど……」 「な、何ですか? 教えてください!」 「その攻撃の通電でG3マイルド改の機能の一部が死んだのよ。 ギガントの誘導っていうG3マイルド改の肝が……ね」 「そんな! それじゃ何もできないって……」 「そんなことはないわ。誘導ができないだけで発射は出来る……。 いい、尾室くん。そのままやられたフリを続けなさい。 そして、こちらが指示したら、その敵に向かって目視でギガントを撃つのよ。 それから言っておくけど、自分で適切だと判断したらいつでもギガントを撃ちなさい。 私だって、タイミングってものを見落とす可能性があるから」 「わかりました……やってみます!」 尾室の返事を聞いた小沢はV1を追っているディスプレイに目を向ける。 「それにしてもあのバカ男は……。 威勢良く出てった割りに、怪我してへたり込んでるだけじゃない……」 ディスプレイの中、V1をまとった北條は 歯を食いしばりながら右手で左腕の傷口を押さえている。 ふと小沢は、北條の右手がおかしな動きをしているのに気付いた。 人差し指のみがケイレンしているようにピクピク動いている。 「あれは……和文モールス!」 確かに北條の指はツーツートトツー、トツートト、ツートツー、 ツートツート、トツートト、トト、トツーツーツート、と繰り返し打っている。 「なるほど、考えることは似たり寄ったり……か」 北條の意図を理解した小沢は、ただ一人水のエルと苦闘を続ける氷川との無線を開放した。
130 :
名無しより愛をこめて :02/03/11 19:58 ID:wMRM8sra
おお、燃える展開だ! どこまでもついていきます(^^)>9さん
131 :
名無しより愛をこめて :02/03/13 11:30 ID:KuFzfJwY
すごいですね!続きも期待しちゃいます!
モ、モールス信号と来たかぁ! 渋いぜ!
133 :
9 :02/03/14 21:44 ID:rxClQDht
白い光跡を描きながら、光を味方につけたアギト…… シャイニングフォームの攻撃が風のエルに襲い掛かる。 拳撃に、蹴撃に打ち据えられるたび、 身体の内部で何かが爆発したような衝撃が風のエルを襲う。 かつて圧倒したバーニングフォームと シャイニングフォームとのあまりの戦闘力の差は、風のエルにとって不幸な誤算だった。 近接格闘戦で全てにおいて一枚上を行かれる以上、 距離を取って憐憫のカマサによる攻撃に移行するより他に手は無い。 風のエルが跳躍したのを確認したアギトは、そのまま前傾姿勢を取る。 空中にぼんやりと紋章が浮かび上がり、アギトはそれに向かって突っ込んでいく。 憐憫のカマサを射るべく反転した風のエルの目に写ったのは、 恐るべきスピードで突進してくるアギトであった。 「ヴワァァァァァ……」 風のエルに取れた行動、 それはアギトに隙を与えた自分の愚かさを呪う悲鳴をあげることだけであり、 それすらも自分の身体を貫くシャイニングキックで中断を強制されるに至った。 着地したアギトの後方に落下した風のエルは、 今度こそ己の痕跡も残さずに爆発、四散した。
134 :
9 :02/03/14 21:51 ID:rxClQDht
>>132 さん
>モ、モールス信号と来たかぁ!
いや、ただ単に強化服→ダメージ受けるとマスクパコーン
というイメージがありまして、
何の気なしにV1のマスクを外してしまったのですが、
それだとマイクもレシーバーも使えないと言うことに
気付いたときは遅かったという次第です。
あの状況での意思伝達を考えると手旗や
パントマイムだと絵にならないので、モールスにしたと。
Gトレーラーのカメラは、指の細かい動きまで捉えられないんじゃ?
ということは忘れることにします(笑)
しかし、シャイニングフォームって極端に強いか
首をひねるほど弱いかの両極端なんで、書きにくいです、マジメな話。
135 :
ムサイ :02/03/15 12:20 ID:wbaZAP0S
136 :
名無しより愛をこめて :02/03/17 00:56 ID:bzSfjmYj
age
137 :
9 :02/03/18 00:02 ID:p4vq3FLE
マスクの中で歯を食いしばりながら、氷川誠は戦い続けていた。 3体のエルロードと戦った疲労、そしてダメージが蓄積しているものの、 ガードアクセラーとGK−06を握る手にそれは感じられない。 怨念のバルディッシュをガードアクセラーで受け、その隙にGK−06で攻撃を行う。 しかし、水のエルは半身になってそれをかわすと、 すかさず怨念のバルディッシュの柄をG3−Xの脇腹めがけ突く。 G3−Xは後ろに倒れながらも前足抵で水のエルのみぞおちを強打する……。 そんな一進一退の攻防が続けられていた。 「氷川くん!」 「小沢さん……?」 そんな中、G3−Xのレシーバーに小沢からの通信が割り入ってきた。 「いい、氷川くん。なんとか敵の足を止めなさい。 北條くんの考えていることが私と同じなら、 相手の足を止めて距離を取ることがあなたの役割よ」 ふと小沢が別のモニターに目を移すと、 北條は水のエルに気取られぬようにゆっくりとマスクに手を伸ばし、それを装着している。 一方、G3マイルド改の手も、いつの間にか離れていたギガントに伸びていた。 「いい、氷川くん。北條くんも尾室くんも準備はできているみたいだから。 あとはあなた次第よ! いいトコ見せなさい!」 「分かりました、やってみます!」 氷川は言い、小沢との無線を切る。 しかし、そうは言ったものの、水のエルを相手にそれを行うことがいかに困難か。 他ならぬ氷川自身がそれを承知していた。 何とか足を止める方法を……戦いの最中、氷川が思考に囚われた一瞬、 アッパースイングで怨念のバルディッシュが襲い掛かって来た。 普段の氷川であれば、辛くもかわすことができる攻撃である。 しかし、一瞬の思考が氷川の行動を遅らせることとなった。 ぎん、と鋭い金属音が響き、GK−06がG3−Xの手から空高くへ弾き飛ばされる。 「クッ……」 弾かれたGK−06を見上げて舌打ちする氷川に再び怨念のバルディッシュが襲い掛かる。 なんとか残されたガードアクセラーで受けきったものの、 もはやG3−Xに攻撃手段は残されていない。 「諦めない……絶対に!」 氷川はつぶやいた。その瞬間、氷川の脳裏にバクチとも言える攻撃方法が浮かんだ。
138 :
9 :02/03/18 00:02 ID:p4vq3FLE
成功確率など考えるのも愚かしい。だが、今はそれに賭けるしかない……。 そう判断した氷川は、タイミングを見計らって右のハイキックを繰り出す。 「ハッ……」 氷川の行動を読んだ水のエルは冷笑と共に怨念のバルディッシュを持つ手に力を入れ、 そのままG3−Xを押し切ろうとする。 確かに、G3−Xのハイキックが命中したところで、 水のエルに深刻なダメージを与えることは難しいだろう。 そのことは氷川自身も承知していた。 しかし、氷川の狙いは単なるハイキックでは無かった。 空中に舞い上げられ落下してきたGK−06をハイキックのモーション中の右足の甲で拾い、 そのままハイキックと共に水のエルに叩き込んだ。 「ナ、ニ……?」 突如自分の首を襲ったキックの衝撃などとは比べ物にならない感覚に水のエルは戸惑い、 怨念のバルディッシュを持つ手から力が抜ける。 それを確認した氷川は軸足の左足を浮かし、 中に浮く格好で水のエルのボディに強烈なキックを叩き込んだ。 「今です!」 叫びながら氷川はその反動で距離を取り、前転しながら着地する。 チャンスが到来したことを悟った北條は、転がっているGX−05に飛びつくと、 水のエルに向けて掃射を始めた。 V1の手の中でGX−05が弾丸を吐き出すたびに、 電磁ナイフでえぐられた北條の左腕に鋭い痛みが走る。 その痛みに耐えながら、北條はGX−05の射撃を続けていた。 水のエルは、無意識のうちにV1に正対し、両手を組んで防御の体勢に入る。 それは決して間違った行動ではなかった。 水のエルの再生能力を持ってすれば、GX−05の掃射に耐え抜き、 そこから再生することが可能である。 しかし、水のエルはV1に正対したことによって、 もっとも晒してはならない背中をG3マイルド改に晒す結果となった。 「いくぞーッ」 気合と共に立ち上がったG3マイルド改は、ギガントの照準に水のエルを捉えると、 4発の対地ミサイルを釣瓶打ちに放つ。 ロケットモーターの燃焼と共に接近してくる4発のギガントに、 GX−05の対応に忙殺されていた水のエルは最後まで気付かなかった。 立て続けにミサイルが着弾し、爆炎の中に水のエルが消えていく。 やがて、爆炎が晴れる。 その中に、かつてアギトたちを、そして今、G3−Xを苦しめ抜いた水のエルの姿は無かった。
139 :
9 :02/03/18 00:05 ID:p4vq3FLE
>ムサイさん 毎回毎回ありがとうございます。 今回、多少はやりやすくなるかと思いまして、 北條にマスクを再装着してもらいました。 いやはや、何の気なしにマスク外すものじゃないですね(笑)。
140 :
ムサイ :02/03/20 15:03 ID:MOS67d4k
>9さん どうも細かい御配慮ありがとうございます。 確かに素顔だと、表情を変えることができないので苦労しそうですよね。 一応、北條の顔は作ってあったりするんですけど、もっぱら似てないと評判です(笑)。 それで新作フォトUPしました。いろいろ考えたのですが、 やっぱ139のこのシーンが印象深いんで、こっちをやらせてもらいました。 水のエルはウルトラマンコスモスがベースです。
141 :
ムサイ :02/03/20 15:06 ID:MOS67d4k
すみません、番号間違いました。 138のシーン対応ですね。
142 :
ムサイ :02/03/20 15:13 ID:MOS67d4k
143 :
9 :02/03/21 21:31 ID:HhnlOGMz
咆哮と共に、エクシードギルスの鋭く、かつ重い攻撃が繰り出されていく。 そのしなやかな身体のバネを使った拳撃、蹴撃のみならず、 ライヴアームズ、ライヴレッグスから伸びる爪を利用した斬撃を織り交ぜ、 ZXに息つく暇すら与えないほどの勢いで圧倒的な攻勢を続ける。 だが、その濁流のような勢いをもってしてもZXを追い詰めることは叶わなかった。 相手の動きを計算し尽くしたかのように、すんでのところでかわし、受け、捌いている。 エクシードギルスの大振りなパンチをかわしたZXは、 ここぞとばかりに電磁ナイフによる攻撃に移行する。 隙を見せたかに思えたエクシードギルスだが、 空振りしたパンチの勢いを利用し、そのまま身体を半回転させて後回し蹴りを放った。 左腕で攻撃を捌き、そのまま電磁ナイフでエクシードギルスのわきの下から 直接心臓へ攻撃する……瞬時にZXは判断を下し、ブロックのために左腕を上げる。 「……ッ」 ZXが己の左腕に違和感を持ったのと同時に、エクシードギルスの攻撃が左腕に命中した。 そのままブロックは弾き飛ばされ、ZXの頭部をエクシードギルスが蹴りこむ。 ZXの左腕がだらん、とぶら下がり、掌から火花が散る。 V1の攻撃で半壊し、その機能を低下させていた左腕は、今度こそそれの停止を余儀なくされた。 「ヴワアァォオオ!」 さらなる雄叫びを上げ、エクシードギルスがZXに襲い掛かる。 不意に、ZXが跳び上がった。片手が死に体である以上、近接戦を避けるのは当然と言えよう。 そのまま空中で右腕からマイクロチェーンを伸ばし、エクシードギルス目掛けて投擲する。 マイクロチェーンを弾こうとしたエクシードギルスだったが、 それを読んだZXは手首をひねり、マイクロチェーンの動きに変化を持たせた。 マイクロチェーンはそのままエクシードギルスの手に絡みつく。 「……」 それを確認すると同時に、ZXはマイクロチェーンに電流を流す。 突如自分を襲った衝撃に、エクシードギルスは戸惑った。 何が起きているのかすら分からない。そのまま意識が遠くなっていく。 薄れていく意識の中でエクシードギルスの目にZXが写った。 あれは敵。敵、てき、テキ……。テキハタオス……。 朦朧とした意識の中、そう思ったのは涼だったのか、それともギルスだったのか……。 「ガゥァアアアアァァアアァァ……」 エクシードギルスの叫びと共に、わきの下からギルススティンガーがZXに向かって飛んだ。 ギルススティンガーはそのままZXを捉え、マイクロチェーンの電流をそのままZXへと送る。 「……!」 「ヴアアアァァァアアァァ……」 やがて、同時に限界を迎えたのだろう。ZXとエクシードギルスは同時に大地へと倒れ行った。
144 :
9 :02/03/21 21:33 ID:HhnlOGMz
>ムサイさん 土に続いて水まで……ありがとうございます。 ところで、装着変身の股ってあんなに開きましたっけ? 股関節の可動性はあまり無かったように記憶していましたので。
145 :
名無しより愛をこめて :02/03/21 21:37 ID:o7SEepkm
凄い展開・・・ただ呆然ですよ
146 :
ムサイ :02/03/21 21:46 ID:9Fi/Le1J
>9さん いや〜、また超ハードな展開、燃えますね〜。 さてどうしようか、また考えます(笑)。 装着変身の股ですけど、あれノーマルであそこまで開くんですよ〜。 「足の甲にGK-06」ってのを試してたら無改造ですっぽりはまったんで、 大喜びでポーズ付けてたら、なんとあそこまで上がってくれました。 しかもあれ、支えがいらないんです。両足と水のエルの肩の3点でバランスとって 見事に自立してくれたんで、ちょっとした感動がありましたよ。
147 :
ムサイ :02/03/21 21:54 ID:9Fi/Le1J
また大ボケこきました。 バランスとってるのは「左足とエルの肩に乗った右足の2点で」ですね。 まだ疲れてんのかもしんないです。それともやっぱり天然ボケかな(笑)。
148 :
名無しより愛をこめて :02/03/23 02:38 ID:z+fTJPDT
>>9さん >>ムサイさん あなた方を尊敬します.本当に 初めてこのスレ見たけどこんなことになっているなんて… 涙が出そうです,本当 ありがとうございます.
149 :
名無しより愛をこめて :02/03/23 20:28 ID:/RhQgwOM
称えてageる
まだプラスアルファは出ませんね… もしや、プラスアルファの正体は後方の小沢さんに狙いを定めたアンノウンを ハンガーを使った格闘術で食い止める初老の男だったりしますか? しませんか。
151 :
9 :02/03/25 21:05 ID:DwuvKOWn
土のエルの斬撃をかわせないと判断したタイガーロイドは、 攻撃の勢いを生かしてそのまま土のエルの懐に飛び込む。 敬虔のカンダがタイガーロイドの肩に食い込むが、 ヒットポイントをずらすタイガーロイドの動きのため、 効果的なダメージを与えるに至ってはいない。 密着とまで言える接近に成功し、敬虔のカンダのレンジから外れたタイガーロイドは、 その牙を土のエルの首に突き立てる。 牙という凶器を、咬合力という動物の持てる最上級の力で急所に食い込ませていく。 それも、通常の牙や咬合力ではない。 バダンがその持てる技術を駆使して造り上げた破壊兵器の、である。 それは、なまじのアンノウンであればとても耐えられるものではなかった。 そんな圧力の中、土のエルは敬虔のカンダにさらに力を加え、 さらにタイガーロイドの肩口深くに食い込ませていく。 「オォォオォ……」 「グゥウゥゥ……」 半ば我慢比べの様相を呈した両者であるが、不意にどちらからともなく相手を放し、 即座に相手の追撃を避けるために間合いを取る。 このままで行けば共倒れになる……両者ともそれを理解している故の行動だった。 相打ちに意味は無い。相手を完膚なきまでに叩き潰さねばならない。 そんな、言えば不条理な心理が二人を支配していた。 あるいはそれは、並び立てない孤高の猛獣同士の共通認識だったのかもしれない。 そんな中、タイガーロイドの視界の隅に、共に倒れ行くZXとエクシードギルスが映った。 二人の男はうつぶせに倒れたまま、ピクリとも動かずに人間の姿へと変化を遂げていく。 「リョオォォぉぉ!」 タイガーロイドは無意識のうちにその名を叫んだ。 自分が自分であることを取り戻させてくれたかけがえのない親友の、 そして、過去の自分を投影させた小生意気な、だが信頼できる後継者の名を。 タイガーロイドはそのまま二人のリョウの下へと駆け出す。 そんな隙を土のエルが見逃すはずは無かった。 いや、他の誰であっても見逃さない隙であったろう。 タイガーロイドの正面に立ち塞がり、敬虔のカンダをその顔目掛けて振るう。 「ジャマをするなァッ!」 タイガーロイドは自らの顔目掛けて振り下ろされた敬虔のカンダを、 その牙で咬み込み受け止めた。 そのまま両手で土のエルの両肩をガッチリと掴み、 敬虔のカンダを咬んだままジリジリと頭を垂れていく。 敬虔のカンダを振り抜こうとする土のエルだが、 肩を押さえられていては思うように力が入らない。 不意に、土のエルの目と鼻の先に何かが現れた。 何か……前屈の姿勢を取ることによって正面を向いたタイガーロイドの背中の大砲……は、 土のエルに思考の暇を与えず、 電磁ソレノイドで着火した砲弾を砲口から数cmの距離にある 土のエルの顔という目標目掛け叩き出した。 砲煙が晴れ、その中からタイガーロイドと土のエルが姿を現す。 以前と唯一、そして、決定的に違っていることは、 土のエルから頭というものが消え去っていることであろう。 タイガーロイドが両肩を掴んでいる手を離すと、 かつて土のエルだったものはゆっくりと、意志の力を感じさせずに倒れていく。 タイガーロイドは地面に倒れる土のエルを見遣り、一瞬だけ目を閉じた。 次の瞬間、その目を見開いたタイガーロイドは、 もはや土のエルには目もくれずに二人のリョウの下へと走り出した。
152 :
9 :02/03/25 21:11 ID:DwuvKOWn
>みなさん
よーやっとアギト最終決戦外伝が終わりました。
あとはプラスαだけですので、
ここまできたら見捨てずにお付き合い下さい。
>>148 さん
ありがとうございます。
148さん他の書き込んでいただいた方のおかげで
ここまでやってこれました。
>>150 さん
ひょっとして、小沢澄子の中学時代の恩師で同僚にマリバロンがいる彼ですか?
いや、夢にも思いませんでした(笑)。
>151 >二人のリョウ が最高っス!なるほど、こう来たか… 9さんの熱い文章に感服
154 :
名無しより愛をこめて :02/03/25 22:56 ID:FbeuAD3a
うぉー 9さん 本当に熱い物語をありがとう! 感謝の言葉が見当たらないくらい感謝しています
155 :
ムサイ :02/03/26 16:26 ID:dhVOTC5c
ムサイ氏もノってるね。 某板でコテハン使い始めた頃より、生き生きしてるよ。 9氏も、カッコイイ話ありがとう。
157 :
名無しより愛をこめて :02/03/28 02:17 ID:3ioe7Kc3
新展開期待age
158 :
9 :02/03/28 23:31 ID:EoPg88a9
倒れた二人のリョウの下へと急ぐおやっさん……すでにタイガーロイドから、 人間形態へと変身解除している……の後ろで、 「聖地」の主であろう青年が身体を横たえたまま、空高くへと昇っていく。 それを見たアギトはゆっくりと構え、空中に紋章を描くと青年目掛けシャイニングキックを放つ。 アギトと青年は、共に爆炎に包まれ、やがて、その中から光の粒子が小雪のように舞い降りてきた。 『あなたは、この世界に存在してはならなかった……』 まるで、その光の粒子が語りかけてくるように、おやっさんの脳に直接言葉が響く。 「おまえは誰だ? それに、どういうことだ?」 おやっさんが答えるが、周りに話が出来る人間はいない。 ZXとギルスは共に倒れ、アギトももはやいない。 G3ユニットの面々は激闘の跡とも言える傷の応急処置に追われている。 『私が何者か……。そのようなことは些細な問題です。 それよりも、あなたに伝えなければならないことがあります』 「俺に?」 『あなたは、この世界に存在すべき人間ではありません。 あなたは、確かに普通の人間だった……。 ただ、アギト……いえ、その変種とも言えるギルスと接触したことによって、 自分の別の人生を呼び出してしまったのです……。 その人生では、あなたはバダンという組織によって改造された人間、 そう、今のあなたの記憶にあるとおりタイガーロイドとしての人生を歩みました」 「それじゃ……」 『そうです。あなたのこの世界での選択は、普通に生き、普通に死んで行くことでした。 その選択も間違いではありません。本来なら、今すぐあなたの後始末を…… ごく普通の人間に戻っていただくところですが、ひとつだけやっていただきたいことがあります』 「……」 『それは、あなたの隣で寝ている人間……村雨良でしたか、彼のことです。 彼もまた、あなたに引きずられるようにして別の人生をこの世界に具現化してしまった……。 多分、あなたの三影英介としての人生が、彼をも呼び寄せたのでしょう。 ところが、彼はさらにもう一つの人生までも内包してしていました。 その二つの人生のせめぎ合いの結果の混乱が、あなた方を敵と見なした先ほどの彼の行動です』 「村雨の……もう一つの人生……」 『彼のもう一つの人生は危険です……。私の愛する人間を傷つける事を厭いません。 彼を……止めてあげて下さい……。私の愛した人間たちを、守ってください……』 「待ってくれ、村雨を倒せというのか?」 おやっさんは叫ぶが、その声は二度と聞こえることは無かった。 不意に、倒れていた男が苦悶のうめき声を上げる。 やがて、周りの石が、木が、草がピントのぶれた写真のように二重になり、 それと共に男の身体も分裂を始める。
159 :
9 :02/03/28 23:31 ID:EoPg88a9
やがて、石が、木が、草が再び一つに繋がって行くが、 男の身体のみは二つに分かれた状態のままであった。 「クククッ……。ハーッハハハハ……」 笑い声が森にこだました。二つに分かれた男の一人があげた笑い声だった。 その声と共に分裂した男の片割れも起き上がる。 「なるほど、そういうことか……」 笑い声をあげた男は、立ち上がり、納得したようにつぶやく。 そして、それを聞いたもう一人の男がつぶやく。 「三影、気をつけろ。やつは強い。俺だから分かる。あれは、俺でもあるからな……」 「村雨……」 「心配するな、三影。俺とおまえがいれば、やれるさ。どんなことだってな……」 男は言うと、急な事態の推移についていけなくなっているG3ユニットの面々に向き直る。 「装備も尽きたあなた方ではもう戦えない。だから、ここで倒れている男……葦原涼だったな、 彼のことを頼む。人の生命を救う仕事をしてくれ、お巡りさん……。 俺たちは……人を殺す仕事をする……」 男は言うと、もう一人の自分に正対した。 「話は終わったようだなァ。 ククク……。ジャンパーソンのいない世界など、面白くもないと思ったが、 どうやら俺が相手をしてくれるようだな……。 いいぞ……俺を倒し、そして邪魔者を消し去り、この世界に君臨してやる!」 男が言い終えると同時に、もやが男の身体を包む。 そのもやが晴れたとき、その中から茶褐色の光沢を持ったボディ…… バイオボーグ・ビルゴルディが現れた。 「BILLGOLDY! FOR EVIL!」 強大な負のプレッシャーを発散させながら迫るビルゴルディに対し、男とおやっさん…… いや、村雨良と三影英介は臆さずに叫ぶ。 「変……身! ゼークーロースーッ!」 「ウワァァアアオォォ!」 変身したZXとタイガーロイドだが、その間中にビルゴルディが膝から放ったミサイルが着弾し、 二人は爆炎の中に包まれた。
160 :
9 :02/03/28 23:38 ID:EoPg88a9
あ、石投げないで下さい。
こうしないと話の整合性が取れなかったんです……。
>>153-154 156さん
熱いか、カッコイイかどうかは書いてる本人にはなかなか分からないもので……。
ただ、自分では楽しんで書いています。
楽しんで書いている文章で他の方が喜んでいただければ、
アマチュア文章書き
(といってもマトモな長文書いたことは一回しかありませんが)
冥利に尽きます。
>ムサイさん
今回出てきたプラスα、大丈夫でしょうか?
前にも話しましたが、メジャーといえばメジャーですが、
マイナーといえばマイナーですんで……。
161 :
名無しより愛をこめて :02/03/28 23:42 ID:zBWZTJN8
ビルゴルディか!本当の急展開に期待age!頑張れ9さん!!
プラスα=ビルゴルディ これを予想できた奴がいるだろうか? 9さん、今後の展開が全く読めないが、そこがまた楽しみです 果たしてどんな結末を迎えるのであろうか 活目して待て次号!って気分です
163 :
ムサイ :02/03/29 15:13 ID:QUPBFNQV
う〜ん、ビルゴルディは全く予想できませんでしたね〜。 あっ、でもこれは楽しみな展開ですよ! よろしゅうございます。この挑戦状お受けしましょう(笑)。 装着サイズのビルゴルティ、ただ今鋭意制作中です。 日曜には間に合わせます。
164 :
名無しより愛をこめて :02/03/29 15:45 ID:UDHbiqSy
うわ!凄い展開!ひえ〜。
>>163 ムサイさん、装着サイズのジャンパーソンのソフビならあります。
必要ならおっしゃってください。
165 :
名無しより愛をこめて :02/03/30 03:39 ID:L8WVY/Nq
アギト&ギルス対風のエル 風のエルの勝ち。アギト、ギルス共に気絶。 タイガーロイド対風のエル タイガーロイドの勝ち。ただしタイガーロイドもほぼ引き分けのダメージを受ける。 ZX対土のエル 引き分け。アギト、ギルス、タイガーロイド、ZX逃げる。 アギト対土のエル 土のエルの勝ち。アギト気絶。 G3−X対水、風、土のエル 引き分け。G3−Xに増援が来て乱戦になる。 G3マイルド改対ZX ZXの勝ち。不意打ちを受けたG3マイルド改、何も出来ずに気絶する。 V1対ZX 引き分け?V1、ZX共に左手にダメージ。 アギト対風のエル アギトの勝ち。シャイニング紋章キックで圧勝。 G3ユニット対水のエル G3ユニットの勝ち。見事な連携で勝利。なにげに止めがオムロン。 ギルス対ZX 引き分け。エクシードになってからギルスが押し気味だったが、結局相打ち。 タイガーロイド対土のエル タイガーロイドの勝ち。ほぼ互角に戦ってたが終わってみればタイガーロイドの圧勝。 アギト対黒ダミ 引き分け?両者ともいなくなる。 ZX&タイガーロイド対ビルゴルディ どうなる?どうする!
166 :
六百二十五 ◆R3mXiXtQ :02/03/30 03:52 ID:Ygmdf9z/
土のエルじゃなくて、 地のエルなんだけど わかっててやってるの?
167 :
名無しより愛をこめて :02/03/30 09:44 ID:DXEsoGPB
意表を突かれた展開…(A^-^;) もしかして赤虎も出てくるのか!?
168 :
154 :02/03/31 00:27 ID:B/1w4iKH
>>9さん 参りました. 熱い物語が,さらなる熱い展開を迎えそうで 私はヒートアップしそうです. いま心臓が鳴っているのを感じています. 仮面ライダーSPIRITSスレからのリンクでここに来ましたが, 絶対にここでしか読めない話,それも我々が夢に見た, いや,それを超えたかも・・・ 新たなる展開とこのストーリーがさらに続くことを 祝ってageます. 追伸 >>ムサイさん 漢の仕事(熱いストーリー)に 漢の仕事(3Dの写真)で応える まさに漢の生き様を感じます. そしてお互いをさりげなく気遣うとは・・・ 一傍観者でしかいられない私は,自分の無能力さを ただ恨むばかりです. スレ汚しすみません.
169 :
名無しより愛をこめて :02/03/31 19:06 ID:Gp54FkdH
期待age
170 :
ムサイ :02/03/31 20:33 ID:eim8FVME
171 :
名無しより愛をこめて :02/03/31 21:00 ID:6mUmrfO1
>>170 ムサイさん
短時間でこれは凄いですよ。ますます今後の期待が高鳴ります。
172 :
名無しより愛をこめて :02/03/31 23:50 ID:AAtXlGTL
もぉ、鼻血が止まらないくらいイカス展開だよぉ! 9さん、ムサイさん、これからも頑張って下さい!!
173 :
9 :02/04/01 20:42 ID:mH5dl53Z
数瞬の間を置いて、うっすらと晴れた煙の中から、 大砲の発射姿勢に入ったタイガーロイドが現れる。 個人で携行する火器として考えれば破格とも言える大口径砲を、 これもまた破格といえる0.7秒という驚異的な発射速度で、 次々とビルゴルディに向けて放っていく。 しかし、ビルゴルディは太腿からゴールドデジックを抜くと、 正確に自分に命中するコースを飛来する砲弾のみを見切り、 それのみを銃弾で叩き落していく。 「死ねィ!」 ビルゴルディは吐き捨てるように言うと、 大腿部に収納されているデュアルレーザーをタイガーロイドに向けて発射した。 それと同時に、至近弾になったタイガーロイドの砲弾がビルゴルディを凄まじい土煙で包む。 一方のタイガーロイドも、ビルゴルディが攻撃姿勢に入ると同時に 回避行動を取ったことが幸いし、辛くもデュアルレーザーの直撃を避けていた。 視界を奪われたビルゴルディに対し、ZXは衝撃集中爆弾の投擲を行った。 爆炎に爆炎が重なり、更なる轟音が響くが、ZXは攻撃の手を休めなかった。
174 :
9 :02/04/01 20:54 ID:mH5dl53Z
プラスαがスカ食らわなかったようで、とりあえず一安心です。 ライダーの世界観から外れるとか、 私的な文章でも「特撮世界はきっとどこかで繋がっている」派(←私はコレです) の夢をブチ壊すとか、いろいろ懸念もあったんですが。 >六百二十五 ◆R3mXiXtQさん どへっ! これは私の汎ミスの大ポカです。 振り返って見てみると……最初は地のエルって書いてるんですよね、私。 多分、「塵に還る」を「土に還る」と勘違いし、それに釣られて 地から土になってしまったんではないかと……。 ご指摘ありがとうございます。 >ムサイさん ……早いですね、マジで。 これは何らかの元にパテか何かを盛って 削り出しで製作しているのでしょうか? 私はクラフト関係はさっぱりなものでただただ感服するばかりです。 あ、もちろん製作だけでなく、その後の画像作成もです。 今後もどこが立体化されるか、一ファンとして楽しませていただきます。
175 :
名無しより愛をこめて :02/04/01 21:09 ID:TPskd1ZY
ジャンパー損見てなかったんで,ビルゴルディのことがよくわかんないです。 誰かキャラ紹介お願いします。 教えてクンでスマソ。
ふん、お手並み拝見しようか。 少なくとも、見るに値するスレッドではある。
177 :
ムサイ :02/04/01 22:56 ID:JjrPX8BP
>9さん スッゴイ大迫力の戦いですね〜! こういうのが一番フィギュアで再現しにくかったりするんですが、 まあ、また考えてみます(笑)。 それから今回のビルゴルディは、ミニソフビのジバンの下半身と ドラフトレッダーの上半身を組み合わせた物に、パテを持って整形した造型です。 なんでこんな組み合わせかというと、前に登場させたV1が、ミニソフビの ソルブレイバーの頭と、ジバンの上半身と、レッダーの下半身と、G3の腕を 組み合わせて整形した物だからです。つまり今回は余りパーツのリサイクルなんです(笑)。 まだまだ細かいディテールもウソなんで、追ってできるだけ整形していきます。 さて、とりあえずはゴールドデジックを作りましょうか…。 い〜やでもビルゴルディって、困ったことにweb上に資料が落ちてないんですよね〜。
龍騎の脚本を9さんがやれば おもしろくなるかも、なんて思ったり。
179 :
名無しより愛をこめて :02/04/02 00:57 ID:8jIh4H8W
180 :
ムサイ :02/04/02 01:27 ID:75M8hO3Z
179さん、ありがとうございます。 2種類のオモチャの写真と、あとは宇宙船66号のモノクロの写真しか 資料が無かったんでホント助かりました。
181 :
名無しより愛をこめて :02/04/02 11:37 ID:d1UM3viU
なんか凄いことになっているな・・・
182 :
名無しより愛をこめて :02/04/02 16:56 ID:sBIrvI1V
今回短かったのはタメですよね!次回も期待age!
183 :
9 :02/04/02 20:11 ID:HVxIKbOd
「マイクロチェーン!」 ZXは手甲からチェーンを引き伸ばすと、 それをうっすらと見えているビルゴルディに向けて投げかける。 ビルゴルディの左手にガッチリと絡みつくマイクロチェーンを見たタイガーロイドの脳裏に、 かつて自身がZXと戦ったときの記憶が蘇り、 そのときの自分とビルゴルディがオーバーラップしていく。 衝撃集中爆弾でダメージをあたえつつ体勢を崩し、 マイクロチェーンの攻撃で相手の身体に活動を著しく制限させるに至る電撃を与え、 そして、ZXキックでまさに相手の息の根を止める……。 そのZXの必勝パターンとも言える攻撃にビルゴルディははまっていた。 否、はまっていたかに思われた。 「フン……」 ビルゴルディは冷笑と共に、絡みついたマイクロチェーンごと、 その腕をZXに向けて射出した。 ZXの腹部に射出されたビルゴルディの腕が強烈なパンチを見舞う。 完全に想定外の攻撃を受け、ダメージを負ったZXであるが、 瞬時にビルゴルディの腕が無線誘導だと見抜き、 レーダーかく乱煙幕により電波のジャミングを行う。 ジャンパーソンのワイヤーパンチ……有線であればジャミングの影響を受けなかったであろう。 しかし、妨害に弱いというワイヤレス唯一の弱点が晒される結果となった。 「何ィ?」 帰還してくるはずの左腕がZXの傍に転がったままであることが 無線のジャミングであることに気付いたビルゴルディは、 即座にゴールドスティックを抜き、 近接戦の準備を終え己の左腕を取り戻すためにZXに向かい突貫する。 しかし、ビルゴルディは左腕の……そしてZXの元へたどり着くことは出来なかった。 再度の砲撃準備を終えたタイガーロイドが、その全火力をビルゴルディに向けて放っていたのだ。
184 :
9 :02/04/02 20:29 ID:HVxIKbOd
>>161-162 >>164 さん
好評いただいたようで幸いです。
もう隠し玉はありませんが、よろしければこれからもお願いします。
>>165 さん
まとめ、お疲れ様です。
ラストですが、どういう結果を迎えるか、書き込むまでお待ち下さい。
>>168 さん
私はSPIRITS読んでいなかったもので
(薦められたんで先々週1〜2巻買ってきました)、
SPIRITSスレはチェックしていなかったのですが
リンクが張られているんですね。
SPIRITSスレチェックしてきましたが、
もしこのスレ以外でここにリンクが張られているスレがありましたら、
ぜひご一報下さい。
……やっぱり、どう書かれているのかって気になりますから(笑)。
>>175 では次回に簡素なものでよければビルゴルディのキャラ紹介つけます。
とりあえず、ジャンパーソンスレに行ってみてはいかがでしょう?
>>176 さん
お手並み拝見とは……恐縮です。
拝ませるほどの手並みだったかどうか、
ラストまで書き終えたら伺わせていただきます。
すみません、他のレスは次回にします。
185 :
名無しより愛をこめて :02/04/02 23:32 ID:nC1ed9ku
辞めてくれ…じゃなくて、辞めないでくれぇ〜!!
ZX対ビルゴルディ…美味しすぎるぅ〜!!(号泣)
>>9 さん、いい加減にしてくれ。
鼻血が出そうでたまらんわぃ!
決着を期待する反面、いつまでも続いて欲しい気持ちも爆発です。
ここを読めて、我が人生に悔い無し、って気分ですよ!!
186 :
名無しより愛をこめて :02/04/03 03:05 ID:DN57prv4
185さんに激しく同意だ 9さん 体だけは大事にしてください ムサイさんも
187 :
名無しより愛をこめて :02/04/03 17:15 ID:NZvIGWTO
9さん、ムサイさん まさか、こーゆうすれにこんな熱い物が!タイガーロイドかっこよすぎです。 9さんもすごいですが、それにまたすばらしい物で答えるムサイさんもすごい! お二人ともがんばってください。 9さんのストーリーに感化されて警視総監=本郷ネタを考える人が出たりして…これはこれでみてみたい
188 :
ムサイ :02/04/03 19:21 ID:TVqg6BOn
189 :
9 :02/04/03 20:37 ID:bLbU0lrl
>ジャンボキングさん
あ、あのジャンボキングさんですか?
私、超獣の中ではエースキラーさんに次いでジャンボキングさんのファンです。
今度、ぜひエースとの戦いの話を聞かせてください。
>>179 さん
あ、そのサイトなら私もたまに見てます。
ZXのところにZX対タイガーロイドの写真もありましたね。
>>185-186 さん
今回アップした小ネタの続きを書いてくれる人がいたら、
私鼻血吹くどころか射精しかねません(笑)。
>>187 さん
プラスαがあると書いたとき、本郷ネタを挙げてくださった方もいましたね。
私、それ見るまでそのネタはぜんぜん頭にありませんでした。
>ムサイさん
毎回毎回ありがとうございます。
私の癖で、どうしてもギミック使いまくりの戦い方ばかりになってしまうんです。
可動部分が限られ、ギミックも少ないフィギュアでの再現は大変だとは思いますが、
これからもがんばってください。
閑話休題
自分で一週間に最低2回アップというルールを決めてまして、
最近はそれを守っていますので、本文は次回に。
レスだけじゃナニですので、以下に小ネタ書いておきます。
エルにやられ、瀕死の翔一と涼。エルがとどめを刺そうとする刹那、「待て……」と声が響く。
エルと倒れる二人を見やり、事情を察したオーナーはエルの前に立ち塞がり、翔一に言う。
「言ったな、翔一……。おまえは外食産業の雄になる男だと……。そのおまえを死なせはしない……」
翔一にでも、エルにでもなくつぶやいたオーナーは、今度こそエルロードに向き直ると、凛とした声で続ける。
「貴様に翔一はやらせはせん。外食産業ナンバー1の未来のライバルのため、
俺の正体を見せてやる! ドナ○ドマジック!」
今、外食産業の雄マクド○ルド最強のキャラクター、ドナ○ド=マクド○ルドがエルロードに挑む!
190 :
9さんイカス・・・けど・・・ :02/04/04 02:04 ID:UxrSeyI9
小ネタ面白すぎる だけど だけど この小ネタのシリーズ化を求める人が出るかも・・・ 9さん 体だけは大事にしてくださいね
191 :
名無しより愛をこめて :02/04/04 11:06 ID:3hCpVxWz
・・・小ネタ続き見てえよ。ドナ○ド対エルロード、マジで夢の対決だし。
192 :
六百二十五 ◆R3mXiXtQ :02/04/04 11:19 ID:vvMQSwlr
>ドナ○ドマジック! 最高!
193 :
名無しより愛をこめて :02/04/04 13:31 ID:jIl8wFlz
ヒィィーッ 小ネタ面白すぎる
マックの巨大ロボが出てくるのかなぁ? <○ナルドvsエルロード
195 :
名無しより愛をこめて :02/04/05 11:11 ID:GVo+NrE3
にこやかに微笑みながらエグイ攻撃でエルロードを殺すドナル○・・・
196 :
六百二十五 ◆R3mXiXtQ :02/04/05 11:19 ID:z4snkCsX
ハッピーセットのおもちゃでエルロードを攻撃するドナル○・・・
197 :
名無しより愛をこめて :02/04/05 18:08 ID:0qceXl58
小ネタで終われないところが9さんの偉大なところ・・・
198 :
9 :02/04/06 00:03 ID:yhYEK+2F
空気を裂いて飛来する無数の大砲、機関砲弾を確認したビルゴルディは、 自分への命中コースを取っているものを即座に絞り出し、 さらにその中で最も被害が大きいと思われる 大砲弾……頭部への直撃コースを取っているもの……に目星を付けると、 他の弾は一切無視し、その砲弾にのみ集中した。 迎撃回避の頃合を見切ったビルゴルディは、ゴールドスティックを砲弾に打ち込み、 着弾する寸前に信管を作動させる。 その砲弾の爆発と同時に、無数の機関砲弾がビルゴルディの身体を穿った。 「……まだ、浅いか?」 タイガーロイドはつぶやくと素早く再斉射の準備を終え、 身体の各所から煙を上げながらも 未だにその足で立っているビルゴルディに向かい、照準を付ける。 不意に、ビルゴルディはその手に持つゴールドスティックを タイガーロイド目掛け、投げつけてきた。 近接戦用の武器を投擲する……当たってもどうと言うことはない。 しかし、それが命中すれば照準がぶれる事となり、 回避行動をとればその時点で再び弾道計算を始めとする照準を一からやり直さねばならない。 「せこいと言えばせこいが、理に適った妨害だ……」 飛来するゴールドスティックを避けたタイガーロイドは、 再び砲撃のための照準を取る。ビルゴルディもゴールドデジックを抜いてはいるが、 間一髪の差でタイガーロイドの斉射の方が早く始まる筈である。 完璧に狙いを定めた砲撃がビルゴルディに向かって放たれようとしたまさにその時、 タイガーロイドの足にゴールドスティックによる強烈な打撃が与えられた。 ZXのレーダーかく乱煙幕の呪縛から解き放たれたビルゴルディの左腕が、 投げつけられたゴールドスティックをキャッチし、 そのままタイガーロイドへの攻撃へ移行したのだ。 脚部に強烈な衝撃を受け、照準がぶれた砲撃はあらぬ方向へと飛んでいく。 身体の芯がずれながらも目標を追っていたタイガーロイドの目に、 ゴールドデジックを放つビルゴルディが写る。 「まずい……ッ! 何も、できないかッ?」 つぶやきの中、二発、三発と銃弾がダイガーロイドに命中する。 致命傷には程遠いとは言え、 数瞬の行動を妨害するには充分すぎるダメージがタイガーロイドに降りかかる。 「喰らえィ!」 そして、その行動の取れない数瞬の中で、ビルゴルディの叫びと共に デュアルレーザーが、次いでニーキックミサイルが発射された。 「村雨……」 親友の名を言い終えると同時に、デュアルレーザーが身体を貫き、 続けざまにニーキックミサイルが着弾する。 「三影ェーッ!」 腹部へのダメージのを振り払うかのように叫んだZXが立ち上がる。 しかし、その叫びに答えは返ってこなかった。
199 :
9 :02/04/06 00:04 ID:yhYEK+2F
>>175 さん
ビルゴルディ
ジャンパーソンのラスボス(悪の組織が複数あるため、
この表現は適切ではないかもしれない)にて、同時に最大のライバル。
帯刀コンツェルンの総帥、帯刀龍三郎が自らの身体をバイオボーグへと改造した姿。
基本的な能力や武装はジャンパーソンを踏襲しており、
初登場時にジャンパーソンが「ニーキックミサイルまで!」と驚愕したほど酷似している。
ワイヤーパンチの相当するパンチがワイヤレスになっていたりと、
部分的にみればジャンパーソンよりパワーアップしていると言えよう
(純粋なロボットのジャンパーソンと
バイオボーグのビルゴルディのどちらにアドバンテージがあるかは、
その時の状況などにもよると思われるため、部分的と言う表記にさせて頂いた。
あくまで個人的見解であるが、戦闘能力だけを取れば、
ジックキャノンの差を考えてもビルゴルディの方が上を行くと考える)。
ジャンパーソンと激戦を繰り広げるも、最終的にはジャンブレーダーで腹部を貫かれ、
「I’ll be back!」
と叫び死亡する。
その後、予告どおりビーファイター最終2話にてQ(ブルースワットのラスボス)と共に復活。
ジャンパーソン、ブルースワット、ビーファイターと戦う事となる。
個人的に、ビーファイターのラスト2話はメタルヒーロー史上に残るお祭り話だと思うので、
未見の方は観賞することをお勧めする。
尚、ベースの帯刀龍三郎も理知的な計算高さと幼稚性が入り混じった特異なキャラクターで、
菅田俊氏の怪演がそれを際立たせていた。
ビーファイター客演時の唯一の不満点は、
帯刀の幼児性の面にあまりスポットが当たらなかったことである。
200 :
9 :02/04/06 00:06 ID:yhYEK+2F
……分かりましたよ、続き書きますよ。 ただ、オチもなにも考えてないんで期待しないでくださいね。 今後、こっちは気が向いたら追加していきますんで。 距離を置いて対峙する1匹の怪物と道化師。 傍から見ていると自らの正気を疑いたくなる光景である。 そんな中エルも目的である“アギト”の抹殺の為には闘わざるを得ないことを理解したのだろう。 憐憫のカマサを構え、戦闘態勢に入る。 「聖地を犯す人間が……」 風のエルのつぶやきと共に、光の矢がドナ○ドに向かって飛ぶ。 「ぼくたちのドナ○ドに……」 ドナ○ドが歌うように口ずさむと、その姿がかき消されていく。 光の矢はかつてドナ○ドがいた空間を通り過ぎていく。 「できないことはないさ……」 不意にエルの後方でドナ○ドの歌声が聞こえた。 エルが振り向くと同時に、ドナ○ドのキックがエルにクリーンヒットする。 「ドナ○ドマジック……」 その言葉と同時にドナ○ドが一瞬にして忍者装束に身を包む。 軽やかなステップで間合いを一歩詰めたドナ○ドは素早い前蹴りをエルに浴びせかける。 腹部に、胸部に、顎に、一見軽いキックがヒットする。 だが、ドナ○ドのキックの恐ろしさは見てくれで判断は出来なかった。 キックが命中するたび、内臓が破裂し、胸骨が折れ、下顎骨が粉砕される。 だが、そんな中で風のエルは笑っていた。 「さすがに勝てないか……。だが、こんなこともあろうかと助っ人を用意していたのよ! 先生、やっちゃって下さい!」 風のエルの叫びと共に現れた影にドナ○ドは驚愕した。 「てめぇか……」 ドナ○ドは現れた影……カー○ル=サン○ース……に向かい、吐き捨てるようにつぶやいた。
201 :
負けました :02/04/06 02:04 ID:7bGZ5s2v
カー○ル=サン○ース ・・・ 私は幸せです こんな気分になれたのは本当に久しぶりです ありがとうございます
小ネタ見たときは、正直「あ〜あ、やっちゃったよ…」と思いました しかしいま、>200を読み、自分の不明を恥じているところです 9さん、あなたに一生ついていくYO
>>189 貴方の代わりに私が写生してしまいました…(感動)
204 :
名無しより愛をこめて :02/04/07 00:22 ID:PUiEv4qJ
本文も凄い所だけど小ネタのインパクトが・・・
205 :
名無しより愛をこめて :02/04/07 02:18 ID:C2fT6A6t
フライドチキンのサ○ダースに対抗できる助っ人がいるとすれば… コロッケの梅○辰夫とか?
206 :
名無しより愛をこめて :02/04/07 02:48 ID:5PibcmnZ
律儀に伏字にしているのが9さんの偉いところ
207 :
名無しより愛をこめて :02/04/08 17:10 ID:CsjNLcYf
クライマックス!?age
208 :
9 :02/04/09 21:51 ID:15mk4dzr
ミサイルの発射煙を立ち上らせる膝のミサイル発射筒を収納し、 ビルゴルディは再び立ち上がった。 放った左腕も戻り、再びゴールドデジックを手にZXに向き直る。 「邪魔者は、消えたなァ! 次は、貴様を倒す!」 「邪魔者だと……」 自分自身の声で語りかけてくるビルゴルディ……帯刀龍三郎に、 ZX……村雨良はたまらない嫌悪感を感じていた。 近親憎悪……いや、自己嫌悪と言う方が正しいだろうか。 心なしか、ビルゴルディのマスクがアルカイックスマイルを浮かべているようにも見える。 「奴を、三影英介を……邪魔者だと!」 「そうだァ! 俺と俺の戦いに割り入ってくるなァ!」 「おまえは……許さん!」 ZXが叫び、肘の十字手裏剣に手をかける。 「待て……」 その声は、その瞬間に響いた。 ただならぬダメージを受け、立つことにすら多大な労力を要することは想像に難くない。 しかし、それでもタイガーロイドは立ち上がった。 自分のために戦う人間にとって、彼が立ち上がる理由も、力の源も決して理解できないだろう。 得られたことが一生の誇りになる友人……親友のためにこそ、彼は立ち上がったのだから。 「邪魔者をまだ、倒しきれていないだろう?」 「だからァ? 今の貴様に何が出来る!」 「おまえの邪魔だ……。自分で言っただろう? 俺を邪魔者だと……」 体中を駆け巡る違和感……生身の身体であれば、痛みと呼ばれるもの……の中で、 タイガーロイドは一言一言を搾り出すように言い、 朦朧とする意識を振り絞り、ZXとの無線を開放した。
209 :
9 :02/04/09 21:52 ID:15mk4dzr
>みなさん いや、ですから小ネタは小ネタに過ぎませんから期待されても……。
211 :
名無しより愛をこめて :02/04/10 10:50 ID:tHU/Qkwr
(*゚Д゚)
212 :
名無しより愛をこめて :02/04/11 12:48 ID:6UMaI0lt
age・・・。
213 :
ムサイ :02/04/11 23:58 ID:FpcD5fJ5
9さんの熱い文章によるクライマックスが続き、非常にワクワクしております!
ここんとこ、火器・光線撃ちまくりの内容のため、ちょっと出る幕なかったのですが、
208には内面の葛藤を描く場面がありましたので、またちょっと画像作ってみました。
ZXのポーズが同じなのはどうか見逃して下さい(笑)。
ビルゴルディのアルカイックスマイルは表現できたかも知れません。
http://members.tripod.co.jp/fziro/grid2oyassanplus.html ところで、小ネタが盛り上げてますが、これの画像化を見たい方はいますか?
大いに危険なのですが(笑)、ちょっとやってみたい気もしてきました。
214 :
名無しより愛をこめて :02/04/12 23:54 ID:BW3QJ5AY
・・・見たい、ド○ルドとサ○ダース。 でも危険すぎる。モザイクくらいはかけた方がいいかも。
215 :
名無しより愛をこめて :02/04/13 20:09 ID:AxfuP+Z7
定期age
216 :
名無しより愛をこめて :02/04/14 01:47 ID:sC1PDfBl
9さんの熱い文章だけでも腹いっぱいなのに ムサイさんの3D画像でそれをさらに補完してくれるなんて. ビルゴルディの後ろのZX,そしてZXの心情を表すかのような その背景が凄すぎます.
217 :
名無しより愛をこめて :02/04/14 03:42 ID:X2i2E1hY
小ネタ映像化…横隔膜が限界を越えそうです す…既に腹筋が…ヒーヒー
218 :
名無しより愛をこめて :02/04/14 14:01 ID:xtZrYQ84
>いや、ですから小ネタは小ネタに過ぎませんから期待されても……。 小ネタに終わらないところが9さんの凄いところ(オイオイ・・・)
219 :
名無しより愛をこめて :02/04/15 02:11 ID:xOBKyBAD
真性厨房丸出しクソZXマンセー妄想すんな!!!!!!! クソスレのせいでZXがゾルダに勝つ妄想するアフォが出るんだよ!!!! ZXにシャブ漬けにされて氏ねヴォケ!!!!!!!!!!!!!!!
220 :
名無しより愛をこめて :02/04/15 02:14 ID:T3bwVAXU
221 :
名無しより愛をこめて :02/04/15 03:23 ID:ZGrOXtbt
ほっとけ、昨日の龍騎が久々にまともだったのが気に食わない井上信者だ。
>>219
>>219 春だからね。気にしないでまったりしましょ。
224 :
9 :02/04/15 21:54 ID:uPz/BXJ8
ゴールドデジックの銃撃をかわしながらも、 タイガーロイドとの通信を終えたZXは無線を再び切り、当面の敵に集中した。 致命傷は避けているものの、すでに何発かの銃撃がZXの身体を捉えていた。 動きを止めれば、即座にデュアルレーザー、 ニーキックミサイルと言った重火器が火を吹くだろう。 かと言って、このままでいけばいずれ ゴールドデジックのダメージの蓄積により敗北することは明らかである。 「三影……頼むぞ!」 ZXは半ば自分に言い聞かせるようにつぶやくと、虚像投影装置を使い己の幻を作り出す。 あるZXは電磁ナイフを手に突撃し、 別のZXはジャンプすると上空からマイクロチェーンを投げかける。 そのZXは前転と共に膝に手を伸ばし、衝撃集中爆弾のスローイングを敢行し、 あのZXは肘の十字手裏剣を投擲する。 嵐のような攻撃がビルゴルディに襲い掛かるが、 ビルゴルディは落ち着き払ったままでゴールドデジックをタイガーロイドに向けた。 「本命は……オトモダチだろォ!」 ビルゴルディの言葉と同時にタイガーロイドの大砲が火を吹くが、 中空でゴールドデジックに迎撃され一際派手な爆発音を轟かせるのみに終わった。 自分たちの作戦が失敗に終わったことを悟ったZXは幻影を自ら消滅させ、ビルゴルディに備える。 しかし、蓄積されたダメージが祟ったのか、自分の意思とは無関係に方膝を付いてしまう。 そのZXの前にビルゴルディが立ち塞がる。 「Beware! You will never get out of this world alive!」 ビルゴルディはZXに向かい言うと、ゴールドデジックをZXに向け突きつけた。
225 :
9 :02/04/15 21:55 ID:uPz/BXJ8
……すみません、今回はレス遠慮させていただきます。
226 :
名無しより愛をこめて :02/04/17 00:41 ID:dx36Y9bm
て〜きのあげ
227 :
名無しより愛をこめて :02/04/17 17:16 ID:QJflIiNw
続き待ってます!
228 :
9 :02/04/18 22:00 ID:7u95Pr8m
残りの体力の全てを賭けていた最後の一撃をあえなく屠られ、三影英介はその場に倒れた。 三影英介の脳裏に、過ぎ去った時が浮かんでは消えていった。 邪気も無く、日が暮れるまで友達と遊んだ幼少の自分がいた。 初恋の相手を、ただ遠くから見ているだけで幸せを感じている自分がいた。 誰よりも強くなろうと、自己練磨に全てを傾ける自分がいた。 この世界に絶望し、バダンへと走る自分がいた。 そして、バダンシティで村雨良と出会った自分がいた。 間違い無い、と、三影英介は確信した。 自分の半生の中で、村雨良と出会えたことが最大の僥倖であると。 互いを信頼し、隣に彼がいるだけでどんな事でもできるような気がした。 そして事実、村雨良と三影英介の息は完全に一致していた。 互いの足りないところを補い合い、互いの長所を伸ばし合う絶妙のコンビだった。 敵対した後も、自分を信頼してくれていた村雨良という男を、 そして、それがゆえに闘ってくれた村雨良という男を 友人……いや、親友と呼べたことを。 三影英介の目に、帯刀龍三郎に追い詰められる村雨良の姿が映った。 もはや自分に余力が無いことを三影英介は理解していた。 しかし、それでも自らの最大の武器である大砲の照準をゆっくりと、慎重に付ける。 砲身が村雨良を……親友を捉えた事を確認した三影英介は砲弾に着火した。 強烈な反動が三影英介を襲った。 その衝撃が三影英介の残り僅かな生命を削り取っていく。 (すまんな、村雨……。悪いが、先に楽させてもらう……。 おまえなら、気付いてくれるな……。おまえ……な……) 三影英介の、心からの信頼と生命を乗せた砲弾が村雨良目掛けて疾走していく。 砲弾が空気を切り裂く音を聞きながら、三影英介はゆっくりと目を閉じた。 その音が小さくなるのと比例して、 闇が自分の中に広がっていくのを三影英介は感じていた。 やがて、完全な闇が三影英介を包んだ。
229 :
名無しより愛をこめて :02/04/18 22:02 ID:1ir/1oKD
カードデッキを7個持ってる
9さん 三影殺しちゃっていいんですか!? 驚きage
231 :
名無しより愛をこめて :02/04/19 12:11 ID:lp9u8UDy
おもしれえなあ、いつも。
232 :
名無しより愛をこめて :02/04/19 19:04 ID:Zn+IB5S+
ずっと読んでて気になったんですけどどこがクライマックスなんでしょうか?毎回ヒキが凄いんで・・・・
233 :
名無しより愛をこめて :02/04/19 19:36 ID:XjZ+l/yi
ぐわんばれ9さん
234 :
名無しより愛をこめて :02/04/19 21:37 ID:KHoDd37U
>>232 漏れはアギトが風のエルを仕留めてから
タイガーロイドが地のエルを仕留めるまでの、
連続決着だと思う。
それまでが前菜で9さん言うところのプラスアルファはデザート。
三影さぁぁぁぁぁんんんんっっっっっ!?!?!? なんとかしてくれ神様!あんたが頼んだんだろうが!
236 :
名無しより愛をこめて :02/04/21 03:52 ID:ZkTMRXCe
見守りましょう・・・・
237 :
9 :02/04/22 21:25 ID:mv4wV+Ec
タイガーロイドが放った砲弾がZXに迫るが、 ZXも、ビルゴルディも意外なほど冷静にそれの対処を始めた。 砲弾はZXへの命中コースを取っている。 回避行動を取り、オトモダチの砲弾で 瀕死になったZXを倒せばすべて終わる……。 ビルゴルディはそう判断し、距離を取るために跳躍した。 砲弾は自分への命中コースを取っている。 だが……。 ビルゴルディが跳んだのを確認したZXは十字手裏剣を肘から外すと、 瞬時に弾道を計算し刃を出さずに砲弾に放った。 「終わりだ、これで死ねィ!」 中空でゴールドデジックの狙いをZXに定め、 今まさに引き金を引こうとした瞬間、 ZXに命中するコースを取っていたはずの砲弾がビルゴルディに着弾した。 十字手裏剣が命中し、ビリヤードの要領でコースを変えられた砲弾が命中したのだ。 ZXは残された体力を総動員し、ビルゴルディに向かって跳ぶ。 「ZXキィック!」 ZXの叫びと共に、タイガーロイドの砲弾によって すでに死に体になっているであろうビルゴルディにとどめとも言える攻撃が加えられる。 地面に着地したZXの後ろに、ビルゴルディが落下してくる。 「助かったよ、三影……」 ZXはつぶやくと、ビルゴルディに向けて変身を解いて歩き出した。
238 :
名無しより愛をこめて :02/04/23 17:37 ID:I9d1LNNZ
かっけえ!!
239 :
名無しより愛をこめて :02/04/24 01:45 ID:KRjo6eb2
これでバトルは全部終り?
240 :
名無しより愛をこめて :02/04/24 09:27 ID:4yd7bdWA
どうなる? どうなる? まだ何か起こるかな…?
241 :
名無しより愛をこめて :02/04/24 23:19 ID:svo0LUcA
あと少しでラスト?age
242 :
名無しより愛をこめて :02/04/25 11:31 ID:wNUTzBmU
つづきまだかな♪
243 :
名無しより愛をこめて :02/04/25 17:18 ID:YPa+cilC
ムサイさん、最近来ないな… またカッコイイのできたらうpしてほしいなぁ。
244 :
9 :02/04/25 20:11 ID:7u5oruSN
マスクが外れ、帯刀の素顔が露出したビルゴルディの前までやってきた村雨は、 そっとしゃがみこむと帯刀の目をのぞき込む。 帯刀の手がゆっくりと動き、村雨の身体にゴールドデジックを突きつけるが、 村雨は微動だにせずその口を開いた。 「もう、止めよう……。引金を引く力は……残っていないんだろう?」 自分の状態を完全に見抜かれた帯刀は力なく笑う。 それと同時に、もはや力を入れることすら叶わない右手がばたり、と地面に放り出された。 「さすがは……俺だ。満足させてもらえたよ……」 弱々しい呼吸と共に帯刀の声帯が震え、言葉となって村雨の耳に届く。 村雨は黙って頷き、帯刀の言葉を促した。 「オトモダチは……いいのか? 少なくとも、タダじゃすまんぞ……」 「三影なら、死んださ」 「なぜ、言い切る?」 「三影は、自分の生命を削り取ってでも俺を助けることを選んだ。 あの砲弾に、三影の生命を感じた。それが理由だ……」 「そうか……。一つ、聞かせてくれ……。 オトモダチが死んだら、泣くんじゃないのか?」 村雨はその言葉に一瞬だけ詰まったが、それは一瞬の事でしかなかった。 「涙は、枯れた。三影を俺の手で殺したとき、完全にな……」 「そうか……。オトモダチも、いいものらしいな……。 ジャンパーソンとオトモダチになるのも、悪くなかったか……」 帯刀の言葉が次第に弱くなっていき、最後の言葉を言い終えると同時に、 帯刀の顔からすべての動きが消えた。 「なれるさ。いや、もう“オトモダチ”になっているはずさ。きっと……な」 完全に機能を停止したビルゴルディに対してか、 それとも自分自身に対してか、村雨の言葉は、彼自身 誰に向けたものか分からなかった。 葦原涼を保護し、様子を窺っていたGユニットの面々がこちらに向かってくる。 だが、突如として全員がその場に倒れた。 あわててその場に向かった村雨だが、全員が安らかな寝息をたてている。 不意に、村雨自身にも強烈な睡魔が襲ってきた。 眠ることが今の自分の使命……そんな錯覚を起こさせるほど、 強烈で、抗いがたい睡魔だった。 「みかげ……」 無意識の中親友の名を呼んだ村雨の意識はついに睡魔に敗北し、 深い眠りの中へと自分をいざなって行った。
245 :
ムサイ :02/04/25 20:34 ID:vxLlKILx
9さん、いや〜、カッコ良さの極みですね!
ここのとこ9さんの筆力についていけそうになかったので
ジオラマはお休みで、もっぱら楽しませていただいておりましたが、
バトル終了記念ということでまた画像つくってみました。
もうあとで使うこともないでしょうからZXフィギュア刻んでポーズを付けました。
ビルゴルディも修正が難しい程に折れ曲がってもらっています(笑)。237対応です。
http://members.tripod.co.jp/fziro/grid2oyassanplus.html あとは締めくくりのエピローグのみですか?
この物語がいったいどんな結末を迎えるのか、9さん大いに期待しています。
246 :
名無しより愛をこめて :02/04/25 23:10 ID:hR0yirFv
>>ムサイさん 画面から「ZXキィィィーック」の 叫びが聞こえてくるようでした
247 :
神風 :02/04/26 12:58 ID:JAc2bwqr
いーかげん、やめれ! 表現はともかく、文章が非常に読みづらい。 文章をわざと難しく書こうとしているのではないか……? そこには何のドラマ性も感じられず、ただ自分の書いた文章に酔っているとしか思えない オナニーとおんなじ!
248 :
名無しより愛をこめて :02/04/26 13:42 ID:9HxIOaPQ
>>247 ちょっとキツイ言い分でないかい?
自分はすげえカコイイと思うんだが…
このノリでイイと思うなぁ。
>>247 ヲレはこんなに上手く文章書けないから、充分すごいと思うけどね
楽しんでる人もいるんだから、あんまり無粋なこと言うなよ
でも、一行空けや段落の分け方とか、読みやすい工夫の仕方はあるかも知れない
掲示板なんだから、あんまり無茶はいえませんが
250 :
神風 :02/04/26 15:42 ID:JAc2bwqr
確かに彼の実力は認める。 これだけ書けるのだから、尚更勿体ない。 難しい文章や、訳のわからない表現が凄い事だと思っていないか。
251 :
ファン :02/04/26 22:51 ID:u/axYk8R
>>250 =247
>表現はともかく、文章が非常に読みづらい。
>文章をわざと難しく書こうとしているのではないか……?
>そこには何のドラマ性も感じられず、ただ自分の書いた文章に酔っているとしか思えない
ビジネス文章じゃないから難しいとか簡単とかじゃなく
全体から受けるインパクトが大事じゃないかな?
そういう意味では9さんの文章は
俺的には凄くイケてるというか
いつも楽しみにしている。本当に
(ムサイさんの写真も)
252 :
名無しより愛をこめて :02/04/28 00:54 ID:yLOyP3Hb
漏れもファンです。続き待ってます!!!
>250 まあ確かに、状況描写が微妙で難度か読み込まないと理解し難い部分があるとは思う。 でも、難しい文章だとは思わないなあ、段落分けの都合で読み難かったりはするけど。 難しいで言えば、お堅い歴史小説や軍事小説なんて、遥かに難解な文章で構成されてるし。 ちなみに、私も応援してます。 ここを読んで、名前と外見しか知らなかったZXに興味を持ったくらいですから(w
254 :
9 :02/04/29 22:15 ID:2W0Ufe7w
深い闇の中を、三影英介は彷徨っていた。 自分が何者か、なぜここにいるのか、ここはどこなのか。 なにも分からず、ただひたすらに虚無の中を漂っていた。 闇の世界の中、一条の光がさす場所があった。 意識したわけでもなく三影はそこに向かう。 『礼を言います……』 再び、あの青年の声が響く。 だが、三影はその声を認識しなかった。 その声を聞いてはいる。ただ、認識しなかった。 『あなたのおかげで、世界の綻びは最小限に食い止められました』 三影は光が差す場所までやってきた。 『私があなたにしてあげられること……。 それは、あなたの魂に永遠の安らぎを与えること……。 もしくは、あなたの魂に、今一度生という試練を与えること……』 三影の身体が柔らかい光に包まれていく。 『そうですか……。やはり、あなたは生を選びますか……。 もう、“あのこと”を憶えている人間はいません……。 今度こそ、普通の生を全うしてください……』 光がゆっくりと三影の身体を溶かしてゆく。 『私は、いつまでもあなたがたを見守っています……』 その言葉が終わると同時に、三影英介の身体は闇の中から消え去った。 それを最後に、再び闇の世界から一切の動きが消えた。
255 :
9 :02/04/29 22:24 ID:2W0Ufe7w
>神風さん 文章が難しく感じられるならばそれは私のウデの限界です。 文法上の誤りも腐るほどありますし、 なにより、文の書き方の統一ができていませんから (科白周りに顕著。ここらへんはどうも上手くやれない)。 文章を短文のブロックの組み合わせで考えて、 その組み方が統一できていないのが 読みにくくなっている原因でしょうか? ここらあたりはもう少し自己分析を進めます。 ただ、私の文章の自分で気付いている限りの最大の欠点、 「文章を時系列順でしか展開できない」 と言うのが7年前指摘されて未だ直っていませんので……。 「いーかげんやめれ」に関しては、 あと一回だけですのでどうかご勘弁。 オナニー文章でも、ケリだけは着けさせてもらいます。 それが出来なければ、最悪レイプ文章に堕してしまう可能性もありますので。
256 :
ムサイ :02/04/29 22:33 ID:dJSctDB3
9さん、ちゃんとした批評をしてくれている人はまだしも、 単に悪態付いているような人はあまり気にしなくていいと思いますよ。 このスレには9さんの熱い文章を楽しみにしている人は多数いるわけですから 私も9さんの文章に燃えたからこそ、いくつかの画像を作ってみたくなった訳だし 私の出入りしているいくつかのスレ、オモチャ板の「装着変身スレ」、 少年漫画板の「仮面ライダーSPIRITSスレ」、 ヒッキー板の「特撮と玩具と格闘技の園」等でも評判はとてもよかったですよ。 あと1回。ほんとにどういう結末なのか楽しみです。 首を長くしてお待ちしております。
257 :
名無しより愛をこめて :02/04/29 23:10 ID:S3g0CBhg
9さん あと一回ですか 少し悲しいです(でも仕方ないですね) 最後に生を選んだ戦士・三影のラストシーン どのように描かれるか楽しみにしています (実は小ネタも楽しみにしていたりして・・・)
258 :
9 :02/04/30 05:35 ID:h5ZohluC
4ストロークエンジンのオイル交換を終え、 トルクレンチでドレンボルトを締める。 チェックのため、セルモーターを回し、エンジンに火を入れる。 オイルという、いわば血液が新品に変わったことにより、 エンジンは心なしか嬉しそうな排気音を轟かせた。 「よし、と……」 エンジンオイルの交換を終えたおやっさんは、 待っていた客に整備が終わったことを告げる。 「アリガト、また頼むよ。今度は車検整備になるから。 ところで、この前までいた兄ちゃんは?」 「ああ、涼か。旅に出るって……な。 もっとウチでやってて欲しかったが、 まあ、若い内しかできない事もあるからな……」 「ふうん……。じゃ、また来るよ」 客は言うと、ギアを入れ、バイクをスタートさせた。 「夢を見つける旅……か」 おやっさんが想いを馳せる最中、 一台のオートバイが2ストローク独特の排気音を響かせやってきた。 プラスチックパーツを多用した、最終生産型の黄色いハスラーである。 乗っていた男はジェットヘルを脱ぐと、おやっさんに話しかける。 「人づてに聞いてきた。ここのおやっさんのウデは確かだってな。 調子が悪いんだが、排気音だけで分かるかい?」 男は言い終え、おやっさんの顔を見る。 一瞬、二人の時が止まった。 どこかで逢っている。 確かに邂逅している。 だが、いつ、どこでか。 二人とも、それが思い出せなかった。 「あ、すまない。音で判別できる範囲だと、 キャブ内部のゴムの硬化でガソリンが正常量エンジンに回ってないみたいだな。 まあ、ハスラーって言えばたいてい20年物だから、そこら辺にガタきてるんだろう。 部品を交換してキャブの調整すれば直るはずだ」 「なるほど。じゃあ、それの交換とキャブの調整、後は排気関係の同調も取ってくれ」 「はいよ! ただ、消耗品は取り寄せだから今は出来ないよ」 おやっさんは言うと、ハスラーの様子を見て回る。 何気なくフレームに手をかけたとき、 経年劣化でささくれ立った金属に指を引っかけ、ほんの小さな切り傷ができた。 赤い血が、じわっ、と湧き出るようにおやっさんの指に溜まる。 それをながめていたおやっさんの目から、不意に涙がこぼれた。 「どうした?」 おやっさんの様子をいぶかしんだのか、男が話しかけてくる。 「あ、いやね……。なんか、こう……嬉しいんだ。 血が流れるって、そのことが妙に嬉しいんだ……。 ハハ……。なんでだろうねぇ……」 「……俺もそうだった。髭を剃っていたとき、剃刀で切った。 その時流れた赤い血がなぜかたまらなく嬉しかった……。 理由は分からない。ただ、涙が止まらなかった……」 理由こそ分からないものの、奇妙な感覚を共有している。 お互い、それを理解しあった。 「そう言えば、名前を聞いてなかったっけ。俺は……」 おやっさんは男に自分の名を名乗った。 これが、親友同士の、この世界での初めての邂逅だった。
259 :
9 :02/04/30 05:41 ID:h5ZohluC
260 :
名無しより愛をこめて :02/04/30 10:21 ID:jR1Ht96m
ありがとう… ありがとう9さん… あんた最高にカッコイイよ… またいつか面白い話 見せてね。
261 :
名無しより愛をこめて :02/04/30 10:45 ID:daoRwuz3
9さん、小ネタもうPして下さい!! どうかお願いします!
262 :
ムサイ :02/04/30 11:30 ID:JDY7/YS3
とうとうその時が来てしまいました。 どんな物語にも終わりがあり、 読んでいる最中はそこにたどり着くのが楽しみなのに、 いざそうなると、どことなく寂しくなってしまう すばらしい物語の終わりを知る瞬間が…。 9さん、すばらしい結末です。 アギトの敵(?)の設定をこれ以上なく有意義に生かしきり、 誰もが納得の、しかもTVのラストとも見事につながる これ以上ないラストシーンだと思います。 二人が血を流すことに喜ぶシーンは、 二人の境遇とこれまでの戦いの熾烈さを知る 9さんの物語の読者のみが心から共感できる描写であり、 私は不覚にも涙ぐんでしまいました。 9さんは本当のバイク乗りだったんですね。 ラストのおやっさんの店でのやりとりは、リアリティありまくりです。 私もSDRというやや古いバイクを保持していますので、 パーツうんぬんの描写には笑ってしまいましたよ。 9さん、すばらしい物語をほんとうにどうもありがとうございました。 私のつたない画面写真が少しでも9さんのお役にたてて、 こんなにうれしいことはありません。 しばらく休まれた後でけっこうですから、 どうかまた、すばらしい物語を私たちに味あわせてください。 まだこのスレには、700以上もの残りがあるのですからね…。
263 :
名無しより愛をこめて :02/04/30 22:48 ID:nz9MkG7V
完結記念age
264 :
祝・完結 :02/05/01 00:18 ID:VO4ZkhkE
9さん、ありがとう!!(感涙)
265 :
名無しより愛をこめて :02/05/01 00:28 ID:CBuB3pvC
この調子でまたお願いします。 できたら、他のライダーで
266 :
名無しより愛をこめて :02/05/01 03:23 ID:1Oy1SMQM
つきなみですが9さんありがとうございます 泣いてしまいました
267 :
名無しより愛をこめて :02/05/01 23:19 ID:qyQvsx3O
新作はあるんですか? 旧ライダー、新ライダーどちらもうまく料理してくれそうですね。 期待しています。
はじめてカキコします。いつも楽しみにしてました。 とてもいい夢を見せて頂きました。 9さん、ムサイさん、ありがとう・・・!
9さん、ムサイさん、お疲れ様でした。
270 :
名無しより愛をこめて :02/05/03 21:17 ID:eP95NJsq
このスレはこの後どうなるのでしょうか?
やっぱ小ネタの続き、 気が向いた頃でいいので是非!>9さん、ムサイさん
272 :
名無しより愛をこめて :02/05/06 12:11 ID:4xyiIVVh
あげる。
273 :
:02/05/08 13:22 ID:4YC8T+sv
9さんやムサイさんにお礼を言うには やっぱり文章や画像でやらねばならないのだろうけど そちらの才能が無いため感謝の言葉で変えさせていただきます。 ありがとうございました 本当に面白かったです
274 :
名無しより愛をこめて :02/05/08 15:51 ID:Ls3YBN8n
このスレの存在は知ってたんだけど、 あがってきた時にチラチラ見るだけでまともに読んでなかった。 今まとめて読んだんだけど、 9さんすっげー良かったですよ。ラストシーンには感動しました。 なんでビルゴルディが出てるんだろうと前から疑問に思ってました。(w
275 :
名無しより愛をこめて :02/05/10 21:52 ID:vTeiL11P
9さんの大河ドラマが完結してから、このスレも鳴かず飛ばずになっちった。 この苦境を救えるのはもう小ネタの復活しかないよ。 9さん、よろしくおながいします。
あげ!!
277 :
名無しより愛をこめて :02/05/12 00:01 ID:lLnI2I0T
このスレの今後 9さんが新しい話を書く 9さんが小ネタを書く 9さんの後継者が新しい話を書く 9さんの後継者が小ネタを書く このまま静かに落ちる 最後だけは勘弁。9さん、まだ見ぬ後継者さん、燃えるSSを!!!
278 :
名無しより愛をこめて :02/05/12 14:23 ID:iNkKoGfI
後継者には凄いプレッシャーがかかるぞー 9さんのレベルを期待するのだったら 逆に有志数人でリレー小説にするなんていうのはどうでしょうか?
279 :
名無しより愛をこめて :02/05/12 22:14 ID:ZXflB10K
>>278 でしょうね。でも、連載する作品は必ずしも一本でなければ
ならない、という事もないと思います。有志の方数人が、
雰囲気は守りつつも、形式にとらわれずにそれぞれの作品を
定期的に(不定期かな?)発表できる場として活用できれば
いいかなあ、なんて。そうなれば、僕も一枚噛んじゃう。
280 :
名無しより愛をこめて :02/05/12 23:11 ID:TMVE7gRM
280ゲット
281 :
名無しより愛をこめて :02/05/12 23:22 ID:2bDQ61cK
だれかが基本的なルールをまとめて そのルールに従ってみんなで連載を 始めていったらいかがでしょうか?
282 :
9 :02/05/12 23:48 ID:xYRvAYhI
いや、みなさんやっちゃって下さい。 楽しみにしてます。 私もPROJECT G4の時点でアナザーがいたら面白かったな、 でも、それだけじゃ物足りないし……。 なんて考えてる最中です(笑)。 やっぱり加えるのはおやっさん? ただ、ぜんぜん考えもまとまっていない段階ですんで。 考えがまとまった時点でまだこのスレがあって みなさんがオナニー文章許容して下さるなら、あるいは……。
283 :
名無しより愛をこめて :02/05/13 01:47 ID:AmFzuYcy
うぉぉー 9さん、次回作期待しています!
284 :
名無しより愛をこめて :02/05/13 10:07 ID:zigTlk9J
9さんガンバ!!
スレタイに関係無くなっちゃうけど、おやっさん以外のキャラでも 夢のある話を読んでみたいなあ。新たにスレを立てなくても、 ここの住人さんだけで楽しめたらそれでいいかな、なんて。
このスレの何が素晴らしいかっていうと、よく知ってるつもりの過去の キャラ(悪く言えば忘れてそうなキャラ…失礼)に今一度スポットを 当てる事により、浮き彫りにされたその魅力を再発見、再確認できた という事が、まず一つではないかと思ったりします。 でもやっぱりすごいのは、番組の枠をブッ越えた絶妙なるリンクですよね。
287 :
名無しより愛をこめて :02/05/15 20:42 ID:1c6oDhUy
少年漫画板か特撮板のライスピスレでリンクを見つけて、 以来楽しみに読ませてもらっていました。 9さんはもちろんだけど、それをきっかけにいろんな人の、 いろんなライダーが読めたらうれしいなあ。 何か思いついたら自分もやってみたいし。
288 :
名無しより愛をこめて :02/05/16 14:07 ID:62qYEebW
・・・このスレは絶対dat落ちさせん・・・
289 :
名無しより愛をこめて :02/05/16 16:41 ID:qi5yd6Cc
今、一時間かけて一気に読ませていただきました。 9さん、ムサイさん、お疲れさまでした!ありがとう。
290 :
名無しより愛をこめて :02/05/16 23:42 ID:vUr7E8NE
今後のこのスレの方向性としては 9さん・ムサイさんに最大限の敬意をはらいながら 仮面ライダーor中屋敷おやっさんのオリジナルストーリーを 発表する場所と考えていけばいいのですね …楽しみ…\(^o^)/
291 :
ムサイ :02/05/17 00:04 ID:knLdybz9
>>290 さん
9さんはともかくも、私に敬意を払うなどおそれ多いです〜。
私もみなさんと同じ9さんの文章のファンで、
たまたまお人形をいっぱい持ってただけのことなんですからね〜(笑)。
今後のこのスレの展開は私も楽しみです。
9さんの新作にせよ、他の方のオリジナルストーリーにせよ。
どんなお話が読めるのかと思うとドキドキしてきます。
また私にできることあったら協力させていただきますので、
どうかみなさまもよろしくお願いしますね。
292 :
290さんじゃないけど :02/05/18 02:23 ID:6z9bza6s
>>ムサイさん 9さんの文章に感動しながらも 私などは文も書けない、写真も取れない 何も出来ずROMさせてもらっているだけなので わたしも290さんとムサイさんには敬意を払っています。
293 :
名無しより愛をこめて :02/05/19 18:40 ID:QIBOovSW
とりあえず書いたらここにあげればいいのかな?
294 :
:02/05/22 16:37 ID:PX1jHCFQ
9さんという偉大な先駆者がいるため なかなかあげれない悲しさ
へたでもあげればいいんじゃない? 悪いところの無い文章なんて無いんだし みんなの意見を聞いて書いてれば うまくなってくよ
296 :
名無しより愛をこめて :02/05/22 19:27 ID:Jr6pTga3
だれかがオリジナルストーリー始めると祭りが始まるの?
297 :
名無しより愛をこめて :02/05/24 00:08 ID:wNd/v6Pd
保全あげ
298 :
名無しより愛をこめて :02/05/24 00:52 ID:cnVPSeiS
このスレは絶対に落とさせん
9さんにとても及ばないどころか、ストーリーともいえませんが 「こんな状況の戦いも見たかった」と自分が思ったことを文にしてみました。 (アギトネタ) (言い訳...原型は4月に書いたので烈しく季節ハズレの上に、 3ライダーの行動も怪人の設定もほとんどアギト本編のどこかで 見たことあるものです。時系列も整合とれてません。スマソ) (以下、本題) 早過ぎる満開を迎えた桜の下に立つ、黒い青年。 その胸から新たなアンノウンが生まれる。 「葬りなさい・・・アギトの種を持つ人間を」 「gggr....ghaar!」 センチピードロード、スコロペンドラ・ロンギペス。 舞い散る花に似合わぬ、ムカデに似た毒々しい姿の使徒。 桜並木の川辺で、バイクを止めて小休止する涼。 周囲に広がる、花をいっぱいにつけた枝を見るともなしに眺めている。 突然、川面に絶叫が響き渡った。 ロンギペスの標的となった男が、必死で遊歩道を這いずってくる。 彼の護衛についた警官たちは怪人に喉を食い裂かれた後、跡形もなく消滅していた。 すぐに追いつかれた男に、ムカデの大アゴが迫る−− 間髪をいれず、声の方にダッシュする涼。 恐怖に歪んだ男の表情と彼にのしかかろうとする化け物の姿が 視界に飛びこんできた刹那、 「変身!」 涼の身体はギルスへと変貌した。 「うぐぁあお!」 触手だらけの頭部を蹴り飛ばす。 すんでのところで助かった男が、そのまま川原の方へ逃げる。 「うぐああぁぁぁああああう!」 天を仰ぎ、咆哮するギルス。 そのままがっと開いた口で、敵の肩口に食らいつく。 大アゴの餌食にならないための先制攻撃だった。 だが、敵はギルスをはるかに上まわる力を持っていた。 肩口からギルスの頭を振り払い、逆にギルスの肩に大アゴを深く食い込ませる。 「ぐわぁあああああ!」 長い鞭のような1対の触角がギルスの頭と首に巻きつき、 恐ろしい力で締め上げにかかる。 ギルスの視界でうごめく、敵の無数の触手が霞み始めた−− 獲物にとどめをさそうとしたムカデ怪人の背を、重い衝撃が襲った。 「ギシャア!?」 ギルスを拘束していた触角が離れる。 かろうじて体勢を保ちながら振り向いた怪人の眼に、 自分に向かって手刀を構える影が映った。両眼だけが真紅に輝く影が。 「ア・ギ・ト・・・」
(299から続き) 「はぁ!」 蹴りを次々に繰り出してくるアギトに対し、次第に防戦一方になる怪人。 だがその両手が、突然空中に伸ばされた。 何もない空間が白く輝き、長い槍状の武器がロンギペスの手の中に落ちる。 「GHRRR!」 長槍をアギトの顔面に叩きつける怪人。形勢は逆転した。 足元を強烈に払われ、アギトがよろめく。 そこへ槍の殴打が降り注ぐ。アギトの身体が沈み始めた。 金属的な連続音が轟いたのはその時だった。 怪人の暗緑色の皮膚が一直線に弾ける。 「ギャシァアアア!」 三度目の攻撃の主は、重々しい足取りで戦いの場に歩み寄ってきた。 銀色に輝く身体が、がちゃりがちゃりと規則的に音をたてる。 G3-Xの出現に救われたアギトは、反撃を開始した。 「シャッ!ハッ!セヤァッ!」 拳と蹴りが続けざまに放たれる。ついに地に倒れ伏す怪人。 G3-Xの装甲が、だしぬけに嫌な音をたててきしんだ。 背後から、腕に抱えたGM-01ごと胴を締め上げられている。 「な、何っ!」 息を詰まらせながら、氷川は渾身の力を絞って仮面の頭部をめぐらし、見た。 自分を拘束する、もう一体のアンノウンの姿を。 「シィイイ・・・」 嘲笑に似た音が、紫のウロコに覆われた唇から洩れた。
(300から続き) ムカデは夫婦で棲み、一匹が退治されると 残された方が復讐に現れるという。 スコロペンドラ・ロンギペスのつれあい、 スコロペンドラ・ミュリエリスだった。 鉄鎖をG3-Xの胴に巻きつけ、そのままねじ切ろうとしている。 想像を絶する力に、G3-X内部を走る回路がついに 断末魔の悲鳴をあげた。 だが氷川が意識を失った直後、 女ムカデ怪人の鉄鎖は鋭い音とともに断ち切られた。 「シャッ?!」 そして次の瞬間、額から伸びる渦巻状の触手も根元からちぎれ飛ぶ。 「ギェシャアアアアアアアア!」 憤怒の絶叫を放ち、顔を覆うミュリエリス。 二体の怪人よりはるかに長くしなやかな 触手を閃かせ、女怪人に致命的ダメージを与えた エクシードギルスは、低い唸り声を発すると 思い切り跳躍した。 空中で振り上げた脚の踵から伸びる、鋭く反った爪。 着地寸前、それはミュリエリスの肩に深ぶかと刺さった。 喉を掻きむしる女怪人の頭上に白い光の輪が現れ、 瞬く間にその身体を呑み込む。 同時に、アギトが舞いのような構えを取った。 淡く光を放つ巨大な紋章が、周囲に浮かび上がる。 「はあっ!」 気合と共に跳躍した。 ロンギペスの胸に、アギトの身体が脚から 一直線に吸いこまれていく−− 二つの大爆発が、夜桜の群れを震わせた。 花のトンネルに炎が照り映え、無数の影がゆらめく。 狂ったように散る花びらの中、 炎を背に歩み去るアギト、 炎に向かい黙然と立ち尽くすギルス、 残った力を振り絞り身体を起こすG3-X。 そして、少し離れた桜の下から三者を見つめる、 黒ずくめの青年。 「人間よ。 健気だが愚かなお前を、私は許します。 ギルス、 お前は最初から、滅びに向かって歩むべく定められた者。 哀れなお前も、私は許します。 だが、アギト・・・ お前を許すことはできません・・・」 END
かっけえ!! いいね、ムカデ怪人。これはテレビ本編の脇ストーリー、ってことかな?
303 :
名無しより愛をこめて :02/05/24 23:12 ID:IcMqqs48
>>299-301 さん
おやっさん出てこないけど
シチュエーションが目に浮かぶ
カコイイ!!!!!!!!!!
304 :
299 :02/05/24 23:16 ID:YXwScLSJ
>302さん ありがとうございます。 少しでも楽しんでいただけたなら、よかったです。 確かにテレビの脇ストーリーのつもりだったのですが、 ギルスのプロモも同然に(汗)
305 :
299 :02/05/24 23:24 ID:YXwScLSJ
>303さん ありがとうございます。 楽しんでもらえてたら、ほんとに嬉しいです。
306 :
名無しより愛をこめて :02/05/25 04:28 ID:u+Y4ClBJ
今月号のマガジンZ 仮面ライダーSPIRITS 第二部 仮面ライダーZXを読んだら 9さんのミカゲとムラサメが頭に浮かんだ・・・
307 :
名無しより愛をこめて :02/05/25 15:35 ID:ClteuHZl
おお、このスレに職人がまた一人・・・・・
299さんとお呼びしたら良いのでしょうか? ありがとうです 知らない間にまた新たな作家が生まれているとは… このスレは絶対に落とさせん!age
309 :
299 :02/05/26 22:28 ID:8a4yf5Qq
299-301を読んでくださった方々、 >307さん、 >308さん、 本当にありがとうございます。 繰り返しになってしまいますが・・・ 楽しんでいただけたのでしたら、 ほんとうによかったです。 とはいえ、286さんの言葉を一部お借りして言うと、 「番組の枠をブッ越えた絶妙なるリンク」が特徴の 9さんの作品、私もすごく楽しみにしています。 それに、287さんも言われてるように、私も 「いろんな人のいろんなライダー」が是非読みたいです。 というわけで、 次の作品おねがいしまーす、 とどなたにともなく振ってみるテスト・・・
おやっさん、ドルゲの捕虜第13号役で クモゲルゲの電撃糸の餌食になってましたね。まあ、 それを挙げればキリ無しですが。あとでバロム1の中身になって しっかりと復讐を果たしたことでしょう。 ある時は、冒頭で怪人に燃やされたり溶かされたりする一般市民。 ある時は、「へっへっへっ」とか言って正体を見せる悪の怪人。 七変化は、中屋敷鉄也のたしなみです。
≫310 スカイではコブランジンの人間体で、空手を披露してくれてましたね。 もうあの動きの華麗さといったら・・・。惚れ惚れしました。
312 :
名無しより愛をこめて :02/05/27 01:46 ID:W9k2nnoh
>>310-311 やっぱ三影英介対村雨良のジャンプキックでしょう。
なんかの大全集にフィルムから起こしたであろう写真が載ってましたが、
一枚絵で見ても決まってるのなんの。
殺陣の流れの中であれだけ美しいキックを披露できる方は希少ですよ。
もしも、貴方の乗ったタクシーの運転手が 中屋敷鉄也だったら…? 「おい君、道が違うんじゃないか?」 「へい、こっちが近道なんで……」 ………………。 「おい、どこまで行くつもりだ?」 「…フフフ……」 「?」 「…フハハハ!!」 「──お、お前は!!」 (おわり)
314 :
名無しより愛をこめて :02/05/29 12:08 ID:Bzj74Ook
落ちてるぞ、あげとこう
315 :
名無しより愛をこめて :02/05/29 16:19 ID:YIeaeI1t
316 :
名無しより愛をこめて :02/05/29 19:18 ID:BySSl2O/
>>313 はたして、この怪しい運転手の正体は・・・?
1.殺人兵器開発の為に博士を拉致しに来た
某組織の怪人
2.ただのぼったくりタクシー
3.大野剣友会の手の込んだスカウト
317 :
名無しより愛をこめて :02/06/01 10:30 ID:IZwjm+Kd
4.人員不足のドグマのスカウト 5.〜バダンのスカウト
318 :
名無しより愛をこめて :02/06/02 10:14 ID:h5V6nwht
保全あげ
319 :
名無しより愛をこめて :02/06/02 22:33 ID:fu8dHeXj
320 :
名無しより愛をこめて :02/06/02 23:03 ID:+IchxG3R
本人ならその意気や良し! 本人でなくてもリレー小説のきっかけになるかもしれないので良し!!!
321 :
名無しより愛をこめて :02/06/04 11:46 ID:0x9kp/Pd
とりあえずage
322 :
名無しより愛をこめて :02/06/04 19:36 ID:1gpvDoBQ
9さんの連載が終わって一月。 またあの上がるたびにドキドキしながらスレを開いた感覚を味わいたいです。
323 :
名無しより愛をこめて :02/06/06 19:01 ID:nZmIJots
職人さんの再降臨待ちあげ
324 :
名無しより愛をこめて :02/06/09 01:47 ID:VFb17Tbv
揚げとく
325 :
名無しより愛をこめて :02/06/10 23:47 ID:qG4uMQOT
危ないぞ
誰かー
327 :
名無しより愛をこめて :02/06/14 03:10 ID:K04IzNSh
328 :
名無しより愛をこめて :02/06/14 22:26 ID:b6Ei5itt
>327 流れるような殺陣の一瞬でこれ・・・・。 ためいきがでそうなキックだ。
329 :
名無しより愛をこめて :02/06/15 12:42 ID:+10S1Ky2
仮面ライダー魂にそのまま使えそうだな・・ まさしく絵に描いたような・・・だ。
330 :
名無しより愛をこめて :02/06/18 03:36 ID:J1afTppd
救済AGE
331 :
名無しより愛をこめて :02/06/20 10:56 ID:A1FuWZYF
また小説見たい。
332 :
名無しより愛をこめて :02/06/21 06:41 ID:LqCVvb3G
現在構想中
333 :
9 :02/06/21 20:03 ID:kRjDueZO
未確認生命体対策班への転属命令を受けたとき、須藤雅史は内心ほくそ笑んだ。 各地で跳梁する未確認生命体、 その対策として、警察に協力している未確認4号のデータを元に 急ピッチで開発が進められたG3システム。 そのメンバー……G3ユニットと呼称される……に選抜されたのである。 それも当然のことだろう。 しかし、須藤がほくそ笑んだ真の理由は別にあった。 自らが手に入れたカードデッキ。 そして、契約したモンスター、ボルキャンサー。 それの“エサやり”が楽になると踏んだからに他ならない。 須藤自身、未確認に対する知識は標準以上に持ち合わせているわけではない。 しかし、仮面ライダーシザースの能力、そしてボルキャンサーのサポートがあれば 少なくとも死ぬことはないだろう、と、胸の内でソロバンを弾いていた。 現時点で、鏡などの前での失踪事件は未確認の仕業と思われている。 それが未確認ではなく、 モンスターの所業だと知っているのは警察内部では須藤のみであろう。 このこと上手く利用して未確認の仕業に偽装すれば、 ボルキャンサーの“エサやり”はさらに楽になるだろう。 問題は、自分に近い力を持ち、 なおかつ警察に協力していると言う未確認4号である。
334 :
9 :02/06/21 20:05 ID:kRjDueZO
ここまで書いてしばらく止まってます。
構想もへったくれもなくクウガ、アギト、龍騎が同一の時間軸上で展開し、
それを須藤刑事の視点で書こうか……。などと考えましたが、どうも上手くいかずに(笑)。
>>332 さんの構想中のSS、一読者として楽しみです。
キター!!
336 :
名無しより愛をこめて :02/06/21 23:52 ID:n2QztVyL
9さん 待ってました!
なんと…またしても豪快なクロスオーバーを…期待せずにはおれませぬ…
338 :
名無しより愛をこめて :02/06/22 14:27 ID:gbb5D7It
キタ━━━( ´∀`)゚∀゚)*゚ー゚)・ω・) ゚Д゚)´ー`)・∀・) ̄ー ̄)・A・)´Д`)丶`∀´>━━━!!!
339 :
ムサイ :02/06/22 15:28 ID:UdWIUaWG
9さん、私も楽しみにしています。 カニを準備しますかね?
340 :
名無しより愛をこめて :02/06/24 02:54 ID:EWjYcZo6
キター!!い上げ
341 :
ぼるぼる :02/06/24 23:44 ID:mXKaTaSG
おお!須藤さんだぁ!! 9さん、今作も期待してます。
342 :
名無しより愛をこめて :02/06/26 16:58 ID:LG55MbDz
保全ageさせていただきます
343 :
名無しより愛をこめて :02/06/29 02:25 ID:vO5Whx3h
9さん!続きは・・・・続きはまだですか!!!!
344 :
9 :02/06/30 00:21 ID:ew1kzFfV
未確認生命体。そう呼称される一団による殺人は増加の一途を辿っていた。 だが人々は、その恐怖の渦中にあっても日々の雑務から逃れることはできず、 自らに襲い掛かるやもしれない恐怖に麻酔をかけ、日常を送っていた。 「振り向くな!」 メ・ガリマ・バがつぶやき、被害者が振り向くと同時にその首が落ちる。 転がる遺体を一瞥したガリマは、そのまま雑踏の中へと消えてゆく。 だが、それを遠くから見据える複数の瞳があったことにガリマは気付かなかった。 ある瞳の持ち主は、ガリマを見つめたまま左手でこぶしを握り、 右手の人差し指と中指で左手の甲を二度なぞった。 パンテラス・ルテウス……後に警察により、未確認と区別され アンノウンと呼称されることになるが……は、ガリマをその瞳に焼き付け、去っていった。 また、別の瞳の持ち主は背広の内ポケットに手を伸ばし、 携帯用のエチケットミラーを取り出した。 鏡の中で、金色に輝く蟹の怪物、ボルキャンサーが おねだりをするような視線を向けてくる。 「どうやら、未確認が気に入ったようですね。 いいですよ。すぐに食事の時間になりますから……」 エチケットミラーを閉じた男……須藤雅史はつぶやくと、 口元に笑みを浮かべてガリマの追跡を開始した。
345 :
9 :02/06/30 00:21 ID:ew1kzFfV
えと、前にアップしたのは忘れてください。 考えれば考えるほど一つの話としてまとめられそうにないので (少なくとも私の力量では)、 クウガ、アギト、龍騎が同時に進行する世界 (G3の関係上、クウガがやや先行してますが)の 幾人かの人間の話を別々に書いていくことにします。 とりあえず、最初は須藤刑事ってことで。 あと、すみませんが前みたいに 一週間に二回アップのペースは期待しないで下さい。 ところで、この世界でもバイク屋のおやっさんは 虎のおやっさんなんでしょうか? 私にも分かりません(笑)。
346 :
名無しより愛をこめて :02/07/01 00:59 ID:byzZIv1k
9氏降臨あげ。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!! 敵同士の戦い未確認対アンノウンとかはあるんですか モンスターや未確認から人を守るアンノウンの描写が あればアギトでのアンノウン保護の話も説得力が出て くると思いますが。 >ところで、この世界でもバイク屋のおやっさんは >虎のおやっさんなんでしょうか? >私にも分かりません(笑)。 そのうち龍騎に出てくるのでは、おやっさんライダー(笑
うおおおお
うっ
うんこ
351 :
名無しより愛をこめて :02/07/02 01:46 ID:dFF1DkaL
良スレなんだから上げようぜ
352 :
名無しより愛をこめて :02/07/04 16:52 ID:+E+5zgaB
続きまだですか・・・・
353 :
9 :02/07/05 22:54 ID:sH075YVo
自らが課したルールの下で狩りを行うガリマ。 彼女は再び、動く箱の中での残り香を持つ人間を探し当て、 その美しい唇を歓喜に歪ませて近づいていく。 刻々と距離が縮まり、大鎌が空を斬った。 しかし、大鎌は被害者の首に届く寸前に、 派手な金属音を響かせて停止を余儀なくされた。 「なに?」 ガリマの前に立つ怪人、ジャガーロードは、 ガリマを見据えながら手の甲を指で二度なぞる。 ジャガーロードはそのまま無言でガリマに斬りかかった。 狩りの対象であるリント、そのリントを守る戦士クウガ。 ゲゲルにその二者以外の邪魔が入ることを想定していなかったガリマは 徐々にジャガーロードに押されていく。 不意に、ガリマの魔手から逃れたかに見えた被害者に災厄が降りかかった。 ビルの窓から金属質の何かが顔を出し、被害者をそのまま鏡の中に引きずり込む。 「なるほど、未確認同士の仲間割れですか。 しかし、そこまでにしていただきたいですね。 あなた方は二人とも、大事なエサなのですから……」 鏡の中という異世界からの干渉と、その後戦いの最中に響いた声に、 二人とも一瞬動きを止め、声の主を見遣る。 声の主、須藤雅史はカードデッキを取り出し、 相手に誇示するかのごとくに見せ付ける。 デッキをを写す四つの瞳が鏡の役割をし、須藤の腰にベルトが巻かれた。 「変身!」 叫びと共に、節足動物の外骨格にも見える鎧が須藤を包み込み、 仮面ライダーシザースが出現する。 「おまえは……」 「ヴゥ……」 ガリマとジャガーロードは互いに距離を取り、 当面の敵と歓迎されざる乱入者双方に注意を向けた。 シザースはバックルのデッキからカードを取り出すと、バイザーにセットする。 『アドベント』 感情の抑揚のない無機質な声が響き、それと共にシザースの契約モンスター、 ボルキャンサーが姿を現した。
引き際を知らない9がいるスレはここですか?
今度の主役は蟹ライダー?
356 :
名無しより愛をこめて :02/07/07 02:06 ID:aA7aWIMw
>>9 さん
今回の話はかなり複雑になると思いますが、
非常に楽しみにしています。
(おやっさんは出てくるのかな?)
ご苦労様です。
357 :
名無しより愛をこめて :02/07/08 23:36 ID:ZMjUPR3C
テレビであまり活躍に機会が無く 闇に消えていった仮面ライダーシザース 楽しみです、マジで
358 :
名無しより愛をこめて :02/07/10 23:52 ID:6XgQTcFO
一度あげる
359 :
ムサイ :02/07/11 21:47 ID:worvJ7yS
360 :
9 :02/07/12 19:53 ID:aQ9+Pk5W
シザースの前面に現れたボルキャンサーは、 そのままジャガーロード目掛け突進を始める。 それを確認したシザースはもう一枚のカードを抜き取り、ガリマに向き直った。 『ストライクベント』 声と共にやってきたシザースピンチを右腕に装着したシザースは、 グロンギのおぞましい姿を現したガリマに襲い掛かる。 ガリマが構える大鎌とシザースピンチがぶつかる音に、 ジャガーロードの剣がボルキャンサーの外殻を痛打する音が加わり、 耳障りな金属音となって辺りに響いた。 不意に、ジャガーロードと戦うボルキャンサーの背中に予期せぬ斬撃が命中した。 応援に駆けつけたのか、 もう一体のジャガーロードがボルキャンサーの外殻に斬撃を浴びせている。 「チッ!」 シザースは舌打ちすると、シザースピンチでガリマの大鎌を受け、 がら空きになった腹部をつま先で蹴りこんだ。 「クッ……!」 グロンギの強力な生命力があるとはいえ、 内臓を痛打され前かがみになる反射行動までは抑えきれない。 (追撃、来る……?) かがんだまま大鎌でガードするガリマだが、当てずっぽうの域は出ていない。 シザースによる致命的な攻撃を覚悟したガリマだったが、 一瞬経ち、数瞬が経過しても攻撃は襲い掛かってこない。 ようやく顔を上げ、辺りを見回し状況を把握する。 ガリマの目に写ったのは、三体の……さらにもう一体が 応援に駆けつけていた……ジャガーロードと戦う シザースとボルキャンサーの姿だった。 敵は敵と戦っている。当面、自分に被害は及びそうに無い。 瞬時にガリマは計算し、ダメージの残る足を引きずって逃亡していく。 シザースにも、ジャガーロードにも予想外に強い相手との戦いに忙殺され、 ガリマを追う余力は残されていない。 『ガードベント』 声と共に左腕に装着された盾でジャガーロードの攻撃を防ぐシザースだが、 数に起因する劣勢は如何ともし難い。 「気に入りませんが、未確認と同じく逃げた方が賢明ですかね……。 そう甘くは無い相手でしょうが、これなら……」 シザースが“とっておき”を使用すべくデッキに手を伸ばした瞬間、 ジャガーロードの動きが止まった。 その瞳の先から、一人の男がゆっくりと歩いてくる。 「あれは、4号……? 新しい金の力?」 シザースのつぶやきをよそに、ジャガーロードの口から 初めて言葉らしいものが吐き出された。 「アァギトオォォ……」 アギトと呼ばれたものは、 そのまま感情を感じさせない動きでジャガーロードに近付いていく。 本来の目的の一つであるアギトの力の抹殺を遂行すべく、 三体のジャガーロードはアギトに襲い掛かった。
361 :
9 :02/07/12 19:54 ID:aQ9+Pk5W
>ムサイさん >ぼるぼるは……、また少し考えさせて下さい(笑)。 とんでもないです、ありモノだけで充分ですから。 なんかマジに申し訳なくなってきます。
わお、「アァギトオォォ……」と来たよ。 以前ZX世界とアギト、ジャンパーソン世界をつなげたときも その手腕に驚いたけど、今回も凄いな。 話に出るだけで未登場の4号もいるけど、出るのかな?
363 :
名無しより愛をこめて :02/07/13 23:54 ID:WxY/ibb5
下がってるんで揚げ。今度は週一ペース?
364 :
名無しより愛をこめて :02/07/15 03:05 ID:EFaf4DLG
保全
365 :
名無しより愛をこめて :02/07/16 20:30 ID:v6Tr8skg
救済
366 :
名無しより愛をこめて :02/07/18 00:21 ID:LTxtX1pC
負けるな
367 :
名無しより愛をこめて :02/07/19 00:13 ID:0HjdptkZ
シザースメインで話が進んで未確認4号がいてアギトもいる。 G3も出てくるらしい。他のライダーはどうなるの?
368 :
名無しより愛をこめて :02/07/19 15:39 ID:AMrY3VQA
9氏にもわからないというおやっさんの方が気になる・・・
369 :
9 :02/07/19 20:34 ID:2fBy7xiZ
三体のジャガーロードを相手にしてなお、 アギトは余裕すら見える戦いを継続していた。 しかし、その動きに感情は感じられない。 入力された命令を淡々とこなす精密機械……そう表現するのが最も近いだろう。 アギトのキックの衝撃で、一体のジャガーロードが吹き飛んだ。 戦列に戻るべく立ち上がったジャガーロードだが、 その前にシザースが立ち塞がる。 「あなたの相手は私がさせていただきますよ。 いえ、私とボルキャンサーが、ですかね」 言うが早いか、シザースピンチを振りかざしたシザースは ジャガーロードに向かい突進した。 二発、三発と攻撃を繰り出すが、ジャガーロードは難無くそれをかわしていく。 「フゥッ……」 ジャガーロードの口から笑みともとれる吐息が吐き出された。 『この程度か……』その表情がそう語っている。 ジャガーロードはシザースの大振りな攻撃を見切り、 攻撃の終わりの隙を狙って渾身の一撃をシザースに放った。 「待ってましたよ。両手を使った攻撃をね……」 わざと隙を見せ、ジャガーロードを誘っていたシザースは、 その攻撃をシェルディフェンスで防ぐ。
370 :
9 :02/07/19 20:34 ID:2fBy7xiZ
間髪入れずにジャガーロードの 『静止したまま揃っている両腕』をシザースピンチで挟み込んだ。 「ゴゥォォォオオ!」 ジャガーロードの口から悲鳴が上がった。 しかし、それを聞いてなおシザースピンチはジャガーロードの両腕を絞め上げ続ける。 「ボルキャンサー!」 シザースの叫びと共に、ジャガーロードの背面にボルキャンサーが抱きつき、 いやな音を立てながら捕食を始めた。 「どうです? 未確認の味は……」 応える時間も惜しいのか、 ボルキャンサーはありついた極上の獲物を貪り続ける。 不意に、バイクのエンジン音が轟いた。 警視庁が開発した高性能オートバイ、トライチェイサー2000。 それが戦いの場に割り入ってくる。 乗っていた男はヘルメットを脱ぎ、 周囲を状況を確認した瞬間、凍りつくような衝撃を味わった。 「俺以外の……クウガ? それに……」 男……五代雄介……がボルキャンサーに目を転じる。 生きたまま捕食され続けたジャガーロードが断末魔の悲鳴を上げ、 腕がだらり、と垂れ下がる。 動きの無くなった『エサ』を、ボルキャンサーは平らげた。 しかし、その顔に飽食の色はない。 「敵は……二体の未確認? それとも、あの蟹か?」 一瞬迷う雄介だが、自分の成すべき事を思い出し、迷いを振り切った。 「変身!」 叫びと共に雄介の体は戦士クウガへと姿を変えた。
371 :
名無しより愛をこめて :02/07/19 21:02 ID:c4ZimdU8
9さん!おもしろすぎるよ!
372 :
名無しより愛をこめて :02/07/20 17:12 ID:k13phrNW
なんか大うけした>「あの蟹か?」
373 :
名無しより愛をこめて :02/07/22 16:58 ID:w2klayXA
金曜待ちあげ
374 :
ムサイ :02/07/23 23:30 ID:J/Ms1K/U
9さん、アプローダーのところにレスくれてたんですね。気づきませんでしたよ。 向こうにレスしてますので見て下さい。 それからぼるぼる作りました。今乾かしているので、 次の原稿up時くらいには、画像作れるかな?
375 :
名無しより愛をこめて :02/07/24 15:05 ID:rfMK4lu/
下がりすぎなので上げ
376 :
名無しより愛をこめて :02/07/26 15:20 ID:E5GSXz3n
蟹あげ
377 :
9 :02/07/26 20:22 ID:Qv3P+D7W
二体のジャガーロードと戦うクウガ、そしてアギトを、 シザースは一歩置いた位置から観察していた。 「逃げるべきですかね? あるいは……」 ボルキャンサーを従えたシザースは、己のデッキに残っている切り札と、 戦いを繰り広げる4体の怪物を秤に掛る。 ジャガーロードの一撃をかわしたアギトは、自らの腹部に手を伸ばした。 オルタリングから細長い棒状のもの……ストームハルバード……が出現し、 腰に手を当てると同時に金色のボディが深い青へと変色する。 「青の力! やはりクウガ?」 アギトのフォームチェンジを見た雄介は思わずつぶやく。 ジャガーロードの攻撃を捌きながら、 クウガは一瞬の隙を付いてドラゴンフォームへと変化した。 転がっている鉄パイプを足で引っ掛けてキャッチし、ドラゴンロッドに変える。 素手ではやや分が悪かったものの、 ドラゴンフォームのスピードとドラゴンロッドの的確な攻撃で、 クウガは次第にジャガーロードを圧倒していく。 たがて、ハルバードスピンとドラゴンスプラッシュが同時に決まり、 二体のジャガーロードの頭上に光の輪が輝いた。 「アァギィイトォオオ!」 ダメージが限界を突破したジャガーロードは、 断末魔の叫びを上げて爆発する。 「アギト……。それが、君の名前?」 クウガはグランドフォームに戻ったアギトに話しかける。 だが、アギトは機械的な動きを継続させたまま、クウガのボディへ鋭いパンチを放った。
378 :
9 :02/07/26 20:23 ID:Qv3P+D7W
なんか、ギミック生かした戦いが書けませんねぇ……。 もうちょっと考えないと……。
379 :
名無しより愛をこめて :02/07/27 01:40 ID:nA7cLFeM
クウガ対アギト!カニはどう動く?
380 :
ムサイ :02/07/27 21:33 ID:ED+eRHBo
381 :
名無しより愛をこめて :02/07/27 21:52 ID:vTgNVfU+
アギトは番組初期のイメージみたいだけど、 クウガはどの時点のクウガなんだろう。 もしみんな初期の設定だったら 蟹ライダーが一番強かったりして。
クウガが先行してるからクウガは番組中期〜後期ぐらいじゃないかな? 金の力発言もあるし
383 :
名無しより愛をこめて :02/07/29 23:21 ID:M8cg9aRM
保守
384 :
名無しより愛をこめて :02/07/31 10:49 ID:JiaXGpt6
時をー越えーろ 空をー駆けーろ このほーしのage〜
385 :
名無しより愛をこめて :02/07/31 20:50 ID:JZZ5RjVL
BLACK登場してくれるかな?
386 :
名無しより愛をこめて :02/08/02 11:38 ID:2FLCxJfp
光の オーロラ〜 身にまとい〜 君はー戦うー人にage〜
387 :
9 :02/08/02 20:43 ID:vehXFB+P
クウガのボディにアギトのパンチが二発、三発と連続して決まる。 だが、不意をつかれ攻撃を食らったものの、 クウガはドラゴンフォームの機動性を生かし、一気にアギトのレンジ外へと離脱 した。 「待ってくれ! 君はあいつらと戦ってたんだろう! 話を聞いてくれ!」 クウガの叫びが木霊するが、 アギトはクウガをにらみつけたまま、ゆっくりと腕を振るう。 その動きと連動するようにアギトの足元に紋章が出現し、 流れ込むように足元に吸い込まれていった。 「とりあえず、話し合いは無駄なようですね。 アギト……でしたか? 彼の相手は私がしましょう……」 クウガの脇に立ったシザースがゆっくりと話しかける。 「そういえば、君は? 見たところ、クウガでも、アギトでもないし……」 「そうですね。正義の味方、仮面ライダーシザース……と言ったところですよ。 未確認から人間を守るあなたに死なれたら困りますからね」 なによりあなたは、未確認の戦い方を知る上でのいいモルモットですからね、 とシザースは心の中で付け加え、アギトと相対した。 アギトがクウガとシザースに向かい、助走を開始する。 自分たちに向けてアギトが跳び上がったのを見たシザースは、 “とっておき”をバイザーに差し込んだ。 『ファイナルベント』 機械的な声が響き、ジャンプしたシザースをボルキャンサーがさらに押し上げる 。 ライダーキックとシザースアタックが空中で激突し、衝撃波が辺りをかすめてい った。 やがて、衝撃と爆音が止む。 そこにアギトとシザースの姿は無く、 ただ一人取り残されたクウガが立ち尽くすのみだった。
388 :
9 :02/08/02 20:43 ID:vehXFB+P
同時刻、病院で苦しむ男がいた。 体の内部……腹部から溢れて来る許容量を越えたエネルギー。 それが、ギルスと呼ばれるものの力であることを、彼はまだ知らない。 同じ病院で、昏睡状態の女を見舞う男がいた。 その元凶とも言えるカードデッキ……蝙蝠を思わせる エンブレムが描かれている……と昏睡する女の顔を交互に眺め、やがて立ち上が る。 後に、死力を尽くして戦うことになる男が同じ病院にいることを、彼はまだ知ら ない。 同時刻、水のエルは彼女の中に潜んでいた。 アギトの力と、そしてそれと同様に 主が忌むもの……グロンギ……と戦うために。 その力を完全に解放できる時が来るのを待ち、水のエルは静かに眠り続けていた 。 同時刻、男は未確認関係資料のファイリングを終えた。 パソコンにデータを入力し、これまでの動きからこれからの動きを予測する。 「おもしろいじゃん。でもま、俺がもっとおもしろくしてやるよ」 彼は自分が予測した未確認の行動に一石を投じるべく立ち上がった。 同時刻、女は自らが設計した傑作を眺めていた。 人類の力で造り上げられた未確認四号……G3システム。 それがついにロールアウトしてきたのである。 だが、彼女の仕事は終わったわけではなかった。 自衛隊に配備される予定の大火力型であるG4、 G4のテクノロジーを使ってパワーアップされた改良型G3ことG3−X、 そして、簡易型G3と言うべきG3マイルド。 彼女は、それらを産み出していかねばならない義務を負っていた。
389 :
9 :02/08/02 20:49 ID:vehXFB+P
なんか改行がおかしくなってますね。 おかしいな……。 それはさておき、BLACKですか? ただでさえ収集付かないのに (今の所、いくつかのシュチュエーションを 書こうと思っているだけです。 今の所、話としてキッチリ完結させられそうにないので) これ以上放り込んだらどうなるんでしょ? BLACK入れるとしたら○○○の○○○を持った○○○のRXが ○○を殺すために○○を使って○○○にやってきた……って感じになると思いますが、 多分やりません。
平成テレビライダー勢揃いキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
(おっとまだ龍騎の存在は確認されてない)
>>389 384と386は俺です(w
スレがひどくさがってたけど、
ただ「保全」とか「あげ」とか書くのは味気ないと思ったので。
別に他意はないです。
391 :
名無しより愛をこめて :02/08/05 02:47 ID:DJ/sNxKJ
392 :
名無しより愛をこめて :02/08/07 13:09 ID:vmNtKE3u
おそれてーいてはage〜だと 心に誰かのメッセージー 宇宙の青いエメラルド 地球に悪の手・がーのびーる〜
393 :
9 :02/08/09 21:32 ID:+Itjxdyj
腕を組みながら黙って見ていた須藤が一条の言葉に答えるように言う。 警視庁が開発したG3システム。 その装着員の候補に挙がっていた、 そして、万が一の時の予備装着員として登録されている3人、一条薫、北條透、須藤雅史。 3人はそれぞれの想いを込めてG3を見据えた。 「しかし、敵は未確認だけではありません。 未確認との交戦が確認されているアンノウンと呼称される事になった一団、 未確認と戦っているだけならいいのですが、アンノウンによる市民の被害も出ています」 G3から視線を逸らさずに、北條が話を振る。 「しかも、アンノウンだけじゃない。 鏡の中から人を襲う怪物も確認されている。まさにモンスターだよ。 それに五代が遭遇したアギトと呼ばれていたもの、 そのアギトから五代を救った仮面ライダーと名乗っていた男。 どっちにせよ、アギトや仮面ライダーは人間を襲っていない。 味方であって欲しいよ」 北條の問いかけに一条は答えた。 「とりあえず、可及的速やかに行わねばならないことは、 アギトと仮面ライダーの正体を知ることではないでしょうか? 味方であれば良し、そしてもし市民に危害を加える恐れがあれば、4号とG3で……」 須藤はそこまで言いかけ、言葉を止めた。 モンスターの感覚が……カードデッキを持つものが 感じることのできる、あの感覚が襲ってきたのだ。 不意に、室内演習場の空気が歪んだ。 歪んだ空気をかき分けて、 演習場と司令室を隔てるガラスからモンスター……メガゼールが演習場へと降り立つ。 そして、ミラーワールドからそれを追ってきた二人の男、 仮面ライダー龍騎と仮面ライダーナイトも クウガとG3の戦場であった演習場へと降り立った。
394 :
9 :02/08/09 21:35 ID:+Itjxdyj
タイタンソードがGS−03を弾き飛ばし、そのままG3ののど元に突きつけられる。 「……さすがですね」 G3装着員、氷川誠はふう、とため息をついて言う。 しかし、G3とて一方的に押されていた訳ではない。 クウガのボディにもGM−01のペイント弾が着弾の証を付けていた。 五代が変身を解き、氷川がマスクを外す。 『OK OK! 上出来よ、氷川くん!』 それと同時にクウガとG3が模擬戦を繰り広げていた室内演習場に、 小沢澄子の声が響く。 「あれが、G3……」 模擬戦を見学していた一条がつぶやいた。 その横で、北條が憮然とした顔でG3を見つめている。 「まあ、これで未確認の相手は多少なりとも楽になるでしょうね」 腕を組みながら黙って見ていた須藤が一条の言葉に答えるように言う。
395 :
9 :02/08/09 21:35 ID:+Itjxdyj
警視庁が開発したG3システム。 その装着員の候補に挙がっていた、 そして、万が一の時の予備装着員として登録されている3人、一条薫、北條透、須藤雅史。 3人はそれぞれの想いを込めてG3を見据えた。 「しかし、敵は未確認だけではありません。 未確認との交戦が確認されているアンノウンと呼称される事になった一団、 未確認と戦っているだけならいいのですが、アンノウンによる市民の被害も出ています」 G3から視線を逸らさずに、北條が話を振る。 「しかも、アンノウンだけじゃない。 鏡の中から人を襲う怪物も確認されている。まさにモンスターだよ。 それに五代が遭遇したアギトと呼ばれていたもの、 そのアギトから五代を救った仮面ライダーと名乗っていた男。 どっちにせよ、アギトや仮面ライダーは人間を襲っていない。 味方であって欲しいよ」 北條の問いかけに一条は答えた。 「とりあえず、可及的速やかに行わねばならないことは、 アギトと仮面ライダーの正体を知ることではないでしょうか? 味方であれば良し、そしてもし市民に危害を加える恐れがあれば、4号とG3で……」 須藤はそこまで言いかけ、言葉を止めた。 モンスターの感覚が……カードデッキを持つものが 感じることのできる、あの感覚が襲ってきたのだ。 不意に、室内演習場の空気が歪んだ。 歪んだ空気をかき分けて、 演習場と司令室を隔てるガラスからモンスター……メガゼールが演習場へと降り立つ。 そして、ミラーワールドからそれを追ってきた二人の男、 仮面ライダー龍騎と仮面ライダーナイトも クウガとG3の戦場であった演習場へと降り立った。
396 :
9 :02/08/09 21:36 ID:+Itjxdyj
393のアップちょっとおかしかったです。393はナシってことで。
397 :
名無しより愛をこめて :02/08/09 21:48 ID:wH96ZZFP
面白すぎるよ、9さん!
398 :
9 :02/08/09 21:59 ID:+Itjxdyj
>>397 さん
今回はちょっと自分でも分からないんです。
前回のおやっさん話はラストを決めて、
それに向かってガムシャラに書いていったんですが、
今回はラストが決まっていない上に、
書いてみたいシュチュエーションを書いていっているだけですので。
ひょっとして、世界が構築されていない
メンツが豪華なだけのクソ話書いてるんじゃないかって気もしてきまして……。
このスレも長いですね
9さんこれからもがんばってください
401 :
名無しより愛をこめて :02/08/12 13:34 ID:qwnsBotH
保守
402 :
名無しより愛をこめて :02/08/14 15:55 ID:FvSMf+Zb
完全独走〜 俺がーageて〜やるー 超変身!仮面ラーイダークウガ〜
正義のアゲ
404 :
名無しより愛をこめて :02/08/19 17:15 ID:6WgxyXwh
スイッチ〜 オン! ワン!ツー!スリー! でーんりゅうーう ひーばーなが スレッドをageーるー
405 :
名無しより愛をこめて :02/08/22 22:48 ID:paHKVLMS
そろそろ危ないので一度あげ。
406 :
名無しより愛をこめて :02/08/26 16:06 ID:peiQkb0w
とーどろく叫びを みーみにして age〜てきたぞ age〜てきたぞ〜 ウールトーラーマ〜ン
407 :
名無しより愛をこめて :02/08/29 16:59 ID:fKPH85cG
保守
408 :
名無しより愛をこめて :02/08/29 23:27 ID:Vd/bSwgM
もう終わりでいいんじゃあないのかい?
409 :
名無しより愛をこめて :02/09/01 01:01 ID:ZwJu9qfY
終わってはダメ
410 :
名無しより愛をこめて :02/09/03 00:48 ID:LilMy0Cz
sage age
411 :
名無しより愛をこめて :02/09/05 13:27 ID:wJHi5va5
ライダ
職人さん再降臨待ちage
413 :
名無しより愛をこめて :02/09/07 09:42 ID:6sviPHCW
てすと
415 :
名無しより愛をこめて :02/09/11 18:17 ID:JO+3Pw6T
ちょっとした長編のプロローグというかオープニングがあるんですが、 貼ってみてもいいものでしょうか? 職人ってほどのものではないですが。 ここの9氏には楽しませてもらいましたし、 何よりまだここに終わってほしくないなーと思ってますので……。
>415 良い考えだと思う。
417 :
名無しより愛をこめて :02/09/13 08:12 ID:BQD/s9Fn
期待アゲ
418 :
名無しより愛をこめて :02/09/13 09:29 ID:uL9Sx08X
>>398 いえいえ、そんなことないですよ。9さん!
無理のない設定で「警察」という組織を使ってうまくリンクされている。
たくさん出てきてもそれほど違和感を感じない。
それはきっと基の「平成ライダー」3作自体に明確なリンクがないことと
それから来る『話の拡張性の高さ』があるんでしょうね。
最後が大変でしょうけど、
これからも頑張ってください。
419 :
415 :02/09/13 19:50 ID:VE+bio16
月光をさえぎる雲がながれる。夜に。 まとわりつく夜風の昏さをふりはらうように低く、走る。 マシントルネイダー。スカーレットとゴールドの対比の映える車体が風を切る。都心にそびえる雑多なビルディングのすきまを、鋭角的なフォルムが抜けていった。 闇をつらぬき、つぎつぎと地面へ突き刺さる光の刃。空〔くう〕をふるわせる迫撃のさなかに。 その身に、さかる炎を纏わせながら、津上翔一が、アギトが降りそそぐ光輪の嵐をかわしてゆく。 一瞬、タイヤの回転がゆるまった。シートの端に右足の踵を乗せて、そのまま蹴りつけ、高く跳びあがる。 ふたたびシートに足裏を着地させたときには、すでに車体はもとの姿をとどめていなかった。おおいなる力による変形〔へんぎょう〕、メタモルフォーセの発現。 スライダーモードへと変形させたマシントルネイダーをあやつり、砲撃の雨をくぐりぬける。 ザウッ! と凝縮した光の塊がすぐ傍らの地面を削った。それは合図だった。 ――来る。 「!」 本能にしたがって、彼は後方、ななめうえへと視線を投げた。 はるか彼方より撃ちはなたれた光点が尋常でないスピードで眼前にせまっていた。ほとんど反射的に、マシントルネイダーを横へすべらせる。 己のすぐ隣、ごく間近をいくつものまばゆい銀光がつきぬけていった。しかし嵐は止まない。背後にあらたな光点がうまれるのを感じとる。 「く……!」 苦悶のつぶやきを洩らし、翔一はマシントルネイダーをさらに加速させた。バーニングフォームの力のうみだす炎が、紅蓮の軌跡をえがいた。 「!?」 ざわざわと喧騒のようなノイズが頭上をよぎった。そう感じた直後、凄まじい速度でなにかが頭上を追い越していた。上空をみあげてたしかめる。黄金色の光。――巨大な、虫? 轟音をあげて、光の塊はすぐそこに見えていた地下鉄駅の降り口へとつっこんだ。 マシントルネイダーを鋭く傾斜させて、アギトは急停止をかける。そのまま地面に降りたった。 崩れおちる瓦礫のなか。翔一の、その視線のさきに黒い影が、ゆらりとたちあがった。 夜の深暗のなかにあってなおさらに冥〔くら〕く。 漆黒のボディをいろどる黄金のラインが、闇のなかに映えていた。
420 :
415 :02/09/13 19:51 ID:VE+bio16
「――…〈アギト〉、か?」 翔一が、疑念を口にした。〈変身〉を遂げた自分と酷似したその姿に。だがおそらくそれは間違いだ。〈アギト〉にしては、敵の持つ力はあまりにおおきすぎた。 「……なんだ?」 我しらず、つぶやいた。 奇妙なおびえがあった。根拠のない、だが感覚の芯をつらぬく、悪寒。 敵が一瞥を返した。……ように、見えた。そのとき。 「――ッ!」 可能なかぎりの素早さでアギトが手中に光槍を生じさせた。強い衝撃があり、一歩うしろにあとずさった。交叉したふたつの刃がおくれて不協和な響きをあげる。 一瞬。ただそれだけのあいだに数十メートルの距離を詰められていた。黒い戦士が、いつのまにかあらわれていた棍を軽く振る。その両端に鋭い刃がひかる。 そしてその姿もまた、変わっていた。黒いボディはそのままに、より身軽で、より機敏な動作の可能な形態へと。 戦士が両腕を頭上にかかげ、双刃のロッドをぐるりとひとふりしてみせる。そのままの勢いで真下へふりおろした。シャイニングカリバーの身でうけとめるが、次の瞬間にはさらなる剣戟がまちかまえる。半身をひねってさらにもう一撃。 ガガッ、ガ、ガンッ、と連続した炸裂音となっておたがいの光刃が激突した。流れる動作で刺突が来る。みひらいた翔一の眼には残像だけがのこる。疾い。 「クッ、……!」 直感と反射神経だけでかろうじて身を躱すが、そのせいで次の動作におくれが生じた。――がつりと横ざまからの一撃をくらった。 「グアッ」 短い呻きをあげ、アギトがよろめいて膝をつく。ぶうん、と空気の唸る気配がした。はっとして顔をあげる。 戦士の姿が変わっていた。また。 左腕のブレスレットに嵌めこまれた石が、緑色の光を発する。その先の掌中には黄金色の弓銃がかたちをあらわしていた。 ためらわずに銃爪がひかれた。刮目した翔一の面前に、清冽な霊気と雷吼を帯びた光の矢が射ちはなたれる。 「!」 ――光だ。 そう思い至った瞬間、反射的に右腕が動いていた。 迷いなく、アギトが、その銀光の矢をうけとめていた。直接〔じか〕に。 ガガッ!! と激しい破裂音をひびかせ、稲妻にも似た衝撃が大気を伝播した。アギトの胸を覆う炎の鎧が音をたててひびわれた。 その空隙から、透明な閃光が湧く。あざやかな輝きが洩れる。
421 :
415 :02/09/13 19:52 ID:VE+bio16
「うおおッ!!」 ふたつに分かたれたシャイニングカリバーを握りなおし、アギトが横殴りに凪いだ。なめらかなラインを持つ曲刀の、そのきっさきが光の残像をのこして軌跡をえがいた。 戦士の持つ弓銃の銃口がざくりと切断された。間髪をいれずに前に踏み出し、身体全体を鋭く回転させる。 上段の後ろ回し蹴り。輝くアンクレットがおなじように流れる軌跡を描く。まともに喰らい、相手がおおきく吹き飛ばされた。 振りきった足先をゆっくりと地面に着地させて、翔一が倒れる黒い戦士を睨みやる。闇中にうかぶ光の虚像が、その姿に幾重にもかさなる。 澄んだ烈光のなかで、アギトの姿は最強のシャイニングフォームへと変わっていた。 「はあああ……」 深く息を吐きだし、翔一は構えた双つの光剣を斜に返す。厚い雲の層がとぎれ、はるかな上空に淡い月輪がのぞく。照らされる。それを契機として、アギトが勢いよくアスファルトを蹴りつけた。 「ハッ!!」 膝をついた戦士の肩口にむけて、右の掌に握る曲刀を、そして力のかぎりに振り落とした。その腕に、がつりと確かなてごたえを感じとる。 しかし月光を反射するその刃は、戦士をきずつけては、いなかった。 彼の身を包む堅牢な鎧によってくいとめられていた。三度姿が変わっている。黒く染まる、光沢のない生体鎧が重装甲に変化していた。 「――な」 驚愕を声にすることは果たされなかった。なかばで途切られた。掌中にあらわれた剛剣を戦士が逡巡なく振りはらい、不快な金属音とともにシャイニングカリバーの刃が両断されていた。 身の凍る危機を察知して翔一は本能的にその場をのがれようとする。が。 遅い。 重心を下げた姿勢から両の腕を伸ばしあげて戦士が、雷撃の力をやどす黄金の凶刃を、ふりおろし。 重くひろがる夜闇ごと、アギトの左肩先から胸郭の中心までを凄惨に、斬りさいた。 「痛……!」 左肩を狙った刃の痕を爪で掴むようにおさえてから、しかし風谷真魚はそれが自分の痛みではないと知ってはっとした。 あふれだす鮮血のイメージに眩暈をおぼえていた。 肩からはなした右手をみつめ、それからのろのろと、前髪をおしあげて掌を額にあてた。そして脳裡にうかんだその光景に愕然としながら、つぶやいた。 「……翔一くん……?」
422 :
415 :02/09/13 19:52 ID:VE+bio16
「――――」 ひゅ、と掠れた吐息が洩れた。どこかでずるりと、生肉を裂く音がした。身体にくいこんだ刃を、強引にひきぬかれた。 くずおれて、アギトがごろりと地面をころがった。空気中に波紋がひろがり、彼をつつんでいた光が霧散する。 「……ァッ、……ハ、ッ……」 肺から直接に遡る息を吐きだして、両手を地につけて喘いだ。ひとの姿へと戻された翔一が。 胸に、ななめにはしる疵口からは濁った血液が流れ出している。しかし傷の深さにみあわず、その量は決して多くはなかった。 「っ!」 双眼をみひらいて翔一が顔をあげた。あらたな一撃が迫っていた。最初に眼にしたときの姿へ戻り、黒い戦士が眼前に高く跳躍していた。瞬間的にアギトの力を解放して、翔一は中空へ跳んで後方へと逃れる。 ズズン、と盛大な音を立てて、戦士の蹴りがアスファルトを抉った。 着地したアギトがバランスを崩して片手をついた。その反動で、ふたたび翔一の姿へとひきもどされる。傷痕を覆うように強く胸を掴みながら、それでもなお、敵を見据えた。 「……が、――……」 ザッ、と地に膝を擦って翔一が立ちあがる。血の味を噛みしめ、咳の混ざった息でつぶやく。――夜が、明ける。 陽がのぼる。東の空が浅葱色にひかりはじめていた。輝きを、浴びる。 おそらくそれが最後の好機だった。翔一は奥歯をくいしばり、漆黒の戦士をにらみやる。 空間がゆがんでゆく。かれらの対峙する、狭間の位置。眼にうつる白炎をうみだすほどにつよく、烈しいオーラの奔流がそこに顕れていた。 白銀の火焔が、いまふたつの紋章を描きだす。〈アギト〉の因子。ひとが身内に持ちうる神の光。その究み。 まっすぐに直線上にならぶアギトの紋章が、その力を解放し、ゆっくりとそれぞれのクロスホーンを展開した。しかし。 夜陰に透ける淡い光の奥で、戦士が悠然と右腕をもちあげたのが見えた。 じり、と紋章のひとつに変化があらわれ、そして半瞬後、轟と重い唸りとともに虚空から灼熱が迸る! 「!?」 吹きぬける熱風にあおられ、翔一がきつく眼をこらした。息をのんだ。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 赫く熾烈に、燃やされていた。――アギトの紋章が。
423 :
415 :02/09/13 19:53 ID:VE+bio16
陰惨な黒炎につつまれた紋章が、灼かれた部分からじわじわとそのかたちを変えてゆく。 やがて炎ははっきりと、あらたなシルエットをかたちどる。浮きあがるその紋章はアギトのものよりはさらに端然とした、秩序だった性質を備えている。 明確な意匠のうかがわれる輪郭の、上部にのばされた四本の角に見える部分だけが、ただひとつ、そこに異質な印象をあたえていた。 それは超古代、〈リント〉と呼ばれた種族の用いた表意文字だった。その意味するところは『戦士』――すなわち。 〈クウガ〉。 ゴオッ、と風に吹かれ、炎が舞いあがった。 とっさに右手を顔のまえにかかげ、そして翔一はさらなる驚愕に瞠目する。 たちのぼる、陽炎のゆらぎのむこうがわ。 戦士が、まがまがしき究極の力を持つものへと変貌を果たし。 あゆみだしていた。その姿。 もって呼ばわるは、『凄まじき戦士』――アルティメットフォーム。 「――……」 闇を視た。そんな錯覚をおぼえていた。仄青くかがやくアギトの紋章と、妖火に燃える戦士の紋章の、そのむこう。確かな足どりで歩みよるその体躯は、ぞっとするほどに凄絶な静謐を有していた。 うつくしくすら、あった。 空を染めあげる朝日に照らされ、生身の翔一と、深い黎闇をまとわる戦士の眼差しが、紋章をはさんで交錯しあう。 「う、お……おおお!!」 裂帛の叫びをあげて翔一が駆けだした。 一瞬の隙間を狙い、まるで入れ替わるように、その姿はふたたびアギトへと変わっていた。白く闇を斬る光、シャイニングフォームへと。 低く腰をおとした姿勢から、クウガもまた凄まじい瞬発力で地表を蹴る。その両の足先に紅蓮の熱がうまれている。 「!!」 両者が同時に跳躍していた。中空、たがいに必殺の蹴りをくりだす体勢のまま、はりつめた、凝縮された時の流れのなかに対峙した。刹那。 「――――」 「はああああああッ!!」 充溢した力の塊ごと、一閃にそれぞれの紋章をつらぬいて、今、凄絶な一撃がぶつかりあった――。 ...This is only the beginning. 【THE LEGEND OF MASKED RIDERS original episode. inspired from SHOTARO ISHINOMORI / KENICHI MURAEDA】
424 :
415 :02/09/13 19:54 ID:VE+bio16
>>415 ありがとうございます。
結局貼ってみることにしました。
楽しんでいただけると幸いです。
>>417 ええと、私に期待してくれてたのでしたら、
ありがとうございます。
クウガもアギトも最近はまったばかりなので
あんまり練った設定にはできませんでしたが……
楽しんで書いたのは確かですので、
それが少しでもつたわればと思います。
スレ汚し失礼しました。
425 :
名無しより愛をこめて :02/09/13 19:58 ID:K3yOc+In
とりあえず
>>1 と2000技スレ連発のヴォけ野郎は豚以下のクズってことでいいよな。
うわ・・・上手いなこれは。 最近読み応えのあるSSがあちこちで読めて嬉しい。 415さんがんがれ!つーか、続き書くよな?(藁
427 :
415 :02/09/14 17:18 ID:C4IFQyNB
>>426 あ、ありがとうございます……。
素直に嬉しいです。
続きですか。
一応プロットは半分くらいできてるんですが、
たぶん結構長くなると思うんですよね。
なんで、様子を見つつ、少しずつ貼っていきたいと思います。
最後まで行けるかどうかはわかりませんが。
とりあえずは、第一話(上のはプロローグですので)が書きあがるまで、
少しのあいだ待ってていただけると幸いです。
428 :
名無しより愛をこめて :02/09/17 06:50 ID:C1Ad2KMj
保守
429 :
名無しより愛をこめて :02/09/19 08:19 ID:Axu3WNXT
久しぶりに見てみたら職人さんキテタ━━━━━━Σ(゚Д゚ )━━━━━━!!!! シャイニングVSアルティメットカッコイイ! でもアメージング強すぎない?
アメージングでマイティ以外のフォームもアリか… フォーム多いなぁ…クウガ(w
431 :
名無しより愛をこめて :02/09/21 02:20 ID:AgM0Jvxt
432 :
415 :02/09/21 20:28 ID:RzWF2MJw
「津上さん! ――――」 バンッ、と乱暴に扉を叩きあけて病室にとびこんだ氷川誠がまずしたことは、沈鬱にゆがませた面を、いちど無表情にもどす、というものだった。 なにかあまりに突拍子もない話を聞かされたときのような、形容しがたい表情だった。 「――……」 それから、ごくわずかに眉をうごかした。 きっちり十秒間の沈黙ののち、風谷真魚が林檎を差しだしていた手をあわててひっこめるのと、重傷患者であるはずの沢木哲也――津上翔一がベッドのうえから「氷川さんおひさしぶりー」と手を振るのとがほとんど同時だった。 全身を支配していた緊張がとぎれて、がっくりと氷川がその場にしゃがみこんだ。目をまるくして真魚がそれを見た。とりあえず、大丈夫ですか? と声をかけた。 「…………、つ、津上さん……」 どっと襲いくる倦怠をふりはらい、それでも疲労を隠せずに、氷川がうらめしく翔一の名を呼んだ。にこにこと屈託のない笑顔を向けつつ、 「はいっ」 翔一が元気に答えた。氷川がおおきく肩を落とした。 「あっ、氷川さんもりんご、ひとつどうですか? これ真魚ちゃんが剥いてくれたんですよ。ちょっと剥きすぎて、ちっちゃくなっちゃってますけど、大丈夫。ちゃんと食べられますから」 「どーゆーイミよ」 ききずてならない様子で、真魚が翔一を睨みつける。ごごごめん真魚ちゃん、と翔一が反射的に身をすくめた。 なんとか気力をふりしぼって、氷川はその場に立ちあがる。深く息を吐いて、そして今度は彼が翔一を睨みやった。 「本気で心配したんですよ!!」 ほとんど泣き出しそうないきおいで言った。 「やだなあ。そんな半泣きになることないじゃないですか。嬉しくなっちゃいますよ、おれ?」 「なってませんっ!」 「あの……」 遠慮がちに、ふたりのあいだに真魚が口をはさんだ。ふりむいた氷川に、言いにくそうに、言葉をつづけた。 「あんまり、翔一くんを責めないでください。一時はほんとに危険な状態だったんです。……あたしがみつけたときには、呼吸、止まってましたから」 氷川はわずかに眉をひそめて、それからもういちど、翔一へ視線を落とした。 たしかに、その顔には血の気がたりないようにも見えた。 「そう、ですか……」
433 :
415 :02/09/21 20:29 ID:RzWF2MJw
「まあまあ。実際こうして元気なんだからいいじゃないですか。そう、おれがこんなに元気なのも、真魚ちゃんの献身的な看病があったからこそ! だったり。ははは」 かわらぬ調子で笑う翔一に、真魚がおもわず口元をゆるめた。 「ちょっとなによ翔一くん、誉めたってなんにも出ないんだからね」 「えっ、じゃあさっきの続きはナシ?」 「あ」 はた、と真魚が我にかえってつぶやいた。そして隣をふりかえった。 「……献身的……」 考えこむように口のなかでくりかえして、氷川が皿の上に置かれた林檎をじっと眺めおろしていた。きまじめな顔のまま、「なるほど」などとつぶやいてみる。真魚が慌てた。 「あっ、ち、ちがうんです! これはその、翔一くんがどうしてもって、いうから、その……」 「そうそう。なんか食べさせてくれるって言うんで、ちょっと甘えちゃいました」 「翔一くん!」 真っ赤になった真魚がもういちど翔一を睨むが、上目遣いのせいで今回はいまひとつ迫力に欠けた。 苦笑しながらそれを見ていた氷川が、ふと思いあたって真魚にたずねた。 「真魚さんが、倒れている彼をみつけたんですか?」 翔一くんのばか翔一くんのばか……と唱えていた真魚が、少しおくれて顔をあげた。 「――あっ、はい。……ていうか、『わかった』んですけど」 「ああ……」 得心のいった顔でうなずいた。彼女には、そういった特殊な能力がある。予知、あるいは透視といわれるものだ。 「あの、氷川さん」 真魚が、声のトーンをひとつ落として呼びかけた。 そして間をおいてから、真摯な瞳を氷川に向けてつづけた。 「実は、そのことでちょっと相談したいことがあるんです」
434 :
415 :02/09/21 20:29 ID:RzWF2MJw
「よォし。二班、休憩に入れ。――三班、すぐにはじめるぞ!」 ひろいグラウンドの上に、いくつもの土煙がたちのぼる。 スピーカー越しにひびきわたる声を合図に、ランニングを終えた若い隊員たちが、ぞろぞろと日陰へと歩きはじめた。 品川区。高速湾岸線沿いに、まわりからは半ば隔離される形で建設された訓練施設。 警視庁未確認生命体対策部特殊機甲中隊――使用する特殊武装の名称から、『G5ユニット』と呼称される部隊の養成所、兼本拠地である。 隊員の養成と実務を兼ね備えるという、常識からは考えられない組織運用によって、現在この部隊はなりたっていた。 あまりにも常軌を逸し、またごく秘密裏に遂行されねばならないというその特殊な職務内容と、そこから予想される要員育成の問題を考慮した結果の、警視庁上層部の苦肉の策ともいえた。 「ッ、かれた……」 疲れた、と、六十分にわたる訓練の感想を端的にひとこと洩らし、G5システムの装着員のひとりである北沢敦志は、グラウンドの端にどっかりと腰を落として天をあおいだ。 その左隣から、おなじく装着員である岬一砂がちらりとまなざしをよこす。北沢とは対照的に、その表情には少しの疲労もみられない。そのまま視線を前方に移して、口をひらいた。 「聞いたか。今度の総火演の話」 「総合火力演習? 自衛隊の? ナニよ?」 掌でぱたぱたと喉元をあおぎながら、北沢がききかえす。 「目玉は陸自の制式Gシステム部隊、だそうだ」 「……まじ?」 「覚えてるだろ、以前俺たちが訓練につきあった『新人研修』。あれが、実際はその装着員の習熟訓練だったってオチだ」 「だああっくッそ、どうりでやたら訓練された動きだと思った! 俺たちは踏み台かよおい」 「俺たちへの牽制って意味もあるんだろう。このままいけばG5ユニットは、独立した武装勢力への途をまっしぐらだ」 「の、わりには、いかにもハンパ者のよせあつめだけどな」 「その筆頭が言うか」 「あァ!?」 かっとなって身をのりだした北沢を尻目に、岬は涼しい顔でたちあがる。グラウンドを駆ける隊員たちの姿をじっと睨みやり、それからふいにぽつりと、つぶやいた。 「……真実ってやつからは、遠いな、俺たちは」 北沢がその背になにか言葉を投げかけようとしたとき、すぐ近くから別の声がかかった。
435 :
415 :02/09/21 20:31 ID:RzWF2MJw
「私語はなるべくつつしめよ。訓練中だ」 G5ユニットの教官と司令官を兼任する、尾室隆弘のものだった。北沢があわてて立ち上がり敬礼する。岬は表情をかえずに振り向いた。 「尾室管理官」 そのかれらのもとへ、綺麗に切りそろえられた髪をゆらして、制服姿の女性がかけよって呼びかけた。 尾室の前で立ちどまると、落ち着きのある声音で告げた。 「お電話が入っていますが」 「わかった。今行く」 短く答えて尾室は踵をかえす。その背をみおくってから、女性――水野詩織巡査部長が今度は残されたふたりへ、たずねた。 「あなたたち、うちの班長を知らない?」 「ああ、ユキさんだったらですね――」 詩織よりも階級が下である北沢が慣れない丁寧語で答えて、それからおもむろに雲ひとつない青空をゆびさして、つづけた。 「『上』っすよ」 整った眉をわずかにひそめて、詩織がその指の先を見た。小さくひとつ、ためいきをついた。
436 :
415 :02/09/21 20:32 ID:RzWF2MJw
棟の隅に申し訳程度に据えられた階段をのぼって、水野詩織は施設の屋上へたどりつく。本来ならば立ち入り禁止のはずのその場所で、煙草を銜えながら仰向けに寝転がる女性の姿をみつけた。 近寄って、短く息をつきながら声をかけた。 「高いところがお好みなのはたいへんよくわかるんだけど」 「…………。おい」 縁のない眼鏡のうちから上目遣いにそれをみあげて、宮瀬雪が情けない声を投げる。あえて聞かないふりをしておいて、詩織が言葉をつづけた。 「すぐに訓練がはじまるわ。五分後にグラウンドに集合」 「走るの嫌いなんだよね」 「馬鹿なこと言ってないで、行くわよ、ほら」 「……あんた、わたしを馬鹿って言うの癖になってないか」 「そうかもね」 肩をすくめて、さらりと詩織が言った。吐息まじりの煙を宙へ流して、雪が可笑しそうに笑った。無造作に切られた黒髪の毛先を、夏の風にゆだねていた。 眼を細めてその様子を眺め、詩織がつられるかたちでふっと笑みをうかべる。さしだされた右手を自然な動作で握り返して、雪のからだをひき起こした。 「もしかすると近いうちに、出動があるかもしれないわ」 紺青の制服を乱暴に叩いて埃をはらう雪に、詩織が言う。少しの間があってから、雪がそれを見返った。その唇にまだ、笑みの残滓をのこしていた。 「…………」 指先の煙草を口元へはこんで、ふうん? とつぶやいた。それだけだった。
437 :
415 :02/09/21 20:32 ID:RzWF2MJw
『黒い〈アギト〉?』 回線のむこうから、尾室の訝しげな声が返る。 病院内に設置された公衆電話の受話器を握り、氷川が重くうなずいた。 「はい。それが、……ふたりが言うには、どうも未確認生命体第四号に酷似していたらしいんです」 話をするのと平行して、かたわらに立つ真魚へ視線をおくった。不安げな表情で、こちらをうかがっている。 かつてこの国をおおきく脅かした恐怖。その具現――〈未確認生命体〉。 そしてそれに敢然とたちむかった『英雄』、第四号。その名が、こうして人の災いとして呼ばれるなど、決してあってはならいことだった。 ゆえに。 氷川は、どこかで禁忌にふれているような、そんな落ち着きのなさを感じていた。 『でも、〈アギト〉なんだったら多かれ少なかれ、四号に似るもんなんじゃないですか?』 尾室が問う。 たしかに翔一の〈変身〉するそれをはじめ、〈アギト〉と呼ばれる存在はどれも、第四号を思わせるフォルムを有している。 「そうなんですが……」 氷川が口ごもる。翔一たちの話を聞いてからずっと感じているわだかまりを、うまく説明できずにいた。 『……わかりました。ちょうど例の長野の遺跡の件で、以前合同捜査本部に所属していた人たちが集まることになってるんです。彼らに話をきけるよう、僕のほうから頼んでおきますよ』 「え、合同捜査本部って……『未確認関連事件』のですか!?」 思わず声をあげた氷川に、真魚がぎょっとして顔をあげた。 『そうなんです。すごいですよね。彼らがまた、集まるんですよ』 わが身のことのように誇らしげに語る尾室の声が、真魚のほうにまで届いていた。 「じゃあ……」 誰にともなく、氷川がひとりごちた。かすれた声音だった。 『未確認生命体関連事件合同捜査本部』の一同が今、時を経て会する。その意味するところを正確に認識する、そのための独白だった。 予兆だったのかもしれない。 なにかが音をたてて転がりはじめている。そんな。
438 :
415 :02/09/21 20:34 ID:9syrY8tg
なぜ。 と、気がふれるほどの冷たい恐怖のなか、そんな感情とは乖離したどこか余剰の部分で、むしろ冷静に彼女は考える。 なぜ、自分でなければならないのか。 なぜ、こんな悪夢が今、現実としてめのまえに在らねばならないのか。 「――――」 声をあげたつもりだったが、風の吹き抜けるような音が口から洩れただけで終わった。悲鳴にはならなかった。 壁際においつめられ、感覚が凍りつき、もはや四肢をうごかすこともかなわない。いや―― 麻痺した腕をゆっくりと持ちあげると、それはがくがくと震えていた。自分の意志ではとめられずに、おおきく、ゆれうごく。 そして人のものではありえない強靭な長い爪が、明確な殺意とともに彼女の眼前に迫る、そのとき。 カラン、と乾いた音とともに、彼女と異形のあいだの地面を、人の頭ほどの大きなものが過ぎさった。 「!? ――グアッ!!」 次の瞬間には、衝撃とともに声をあげていた。ばけものが。 うつろな瞳のままで、女が下方へ眼差しをおとす。アスファルトをころがるフルフェイスのオフロードヘルメットをぼんやりとながめる。そして、その横にぶざまに吹き飛ばされた異形の姿を見た。 さらに視線をうごかす。そこには。
439 :
415 :02/09/21 20:34 ID:9syrY8tg
「ヒ……」 化物を殴りとばしたのがやはり同じく異形のものであると知って、彼女はふたたび声にならない悲鳴をあげた。ぺたりと地面に座りこんだ。 だが半瞬もしないうち、殴ったほうの化物のむこうがわに、景色がうっすらと透けてみえるのに気がついた。まるでその存在が不確かであるかのように、輪郭線があいまいだった。 ……いや、そこにいるのはもはや化物ではない。ひとりの青年が、地に片手をついて佇んでいた。 顔をあげて、言った。 「行け」 女が瞳をみひらく。ゆっくりと、全身に感覚が戻ってくるのがわかった。 よろよろと立ちあがり、それから、確かな足どりで走りだした。 彼女が逃げ去るのを横目で確認して、青年はそして身を起こした異形へと視線を戻した。ひざまづいた姿勢のまま、けわしく、赤くいろどられた眼をむけた。 「そこを、どけ」 不意に、異形が口をひらいて言った。下賎なものを相手に命をくだす語調だった。青年が眉をひそめてそれを見る。 「断る」 両の腕を顔の高さまで持ちあげ、眼前で交差させながら、葦原涼は厳しいひとことを投げかえした。 to be continued.
440 :
415 :02/09/21 20:45 ID:9syrY8tg
おまたせしました。第一話です。
なんだか分け方が上手くなくて、
レス数かなり使っちゃいました。すみません……。
>>429 クウガが紋章を燃やすあたりは、
私も燃えながら(笑)書いてました。
アメイジングがやたら強くみえるのは、
フォームの使いわけが上手かったから。
……ということで。(汗)
>>430 フォーム、多いですねたしかに。
状況に応じて的確に使いわけている、という描写が、
上手くできてるといいんですが。
441 :
名無しより愛をこめて :02/09/21 23:22 ID:qctdRgew
415さん、面白かった! これからもがんばって!
言っていいのかな…言っていいのかな… 良し、言うぞ 真魚たん萌(略
443 :
名無しより愛をこめて :02/09/23 15:02 ID:NuR29ydV
おお〜涼とスタンドギルス(だよね?)がカコイイね。
続きが楽しみです。
>>442 自分も激しく萌えますた。
444 :
名無しより愛をこめて :02/09/23 20:16 ID:u06rqHoP
まちどおしいなぁ。
9さん、415さん、期待して待ってます!
正直、バトルシーン読んでると頭の中で勝手に佐橋BGMがかかります ついでに決め技のところで「believe yourself」が・・・・・・・・ ( ;´Д`)ハァハァ( ;´Д`)ハァハァ( ;´Д`)ハァハァ
447 :
名無しより愛をこめて :02/09/25 16:29 ID:6GWZlkjI
とりあえず挙げとく
448 :
名無しより愛をこめて :02/09/25 21:06 ID:DZP18agM
保存しますた
449 :
名無しより愛をこめて :02/09/27 19:01 ID:ipHsCRtc
保守です。 9さん遅くなってもいいですから続きを書いてください。
450 :
名無しより愛をこめて :02/09/27 19:12 ID:Xp8mwEBH
うんこ
451 :
名無しより愛をこめて :02/09/28 09:31 ID:JuRMdr5p
まちどおしいなぁ。
452 :
名無しより愛をこめて :02/09/28 23:52 ID:fNUWlfC1
全然関係ないけど、中屋敷さんて今日光江戸村にいるのですね
453 :
415 :02/09/29 20:56 ID:jQwCBaWh
千代田区霞ヶ関。皇居桜田門前に屹立する警視庁本部庁舎ビル。地上十八階のその建物のなか、来客用のひろびろとしたつくりの部屋に、翔一と真魚はまねかれた。 品のある適度な調度と装飾が施され、上質のカーペットのうえには、長く美麗なテーブルと応接椅子が据えられている。都心のパノラマをみおろす大きな窓から、午後の陽光が床をてらしていた。 ふと真魚が、差しこむ光のまばゆさに目を細めた、そのときに。 ブラインドに指をかけて、眼下の景色をじっとながめる男の姿を見た。厳然と、遙かかなたの声音に耳をすます貌つきで、そこに立っていた。 端正なその横顔に、だがかすかに落ちる翳りをみつけて、真魚がまばたきをする。つよい日差しのせいだけではないはずだった。 声をかけようかと迷った矢先、同伴した刑事に、腰掛けるようにうながされた。翔一とならんで長椅子に座る。 「すまんな。退院早々足を運んでもらって」 刑事――警視庁捜査一課所属の杉田守道が、湯気のたつ緑茶の碗をふたりのまえに差しだした。そのいかつい印象とは結びあわない手早い対応に、どちらも「はあ」としか答えようがない。なんとなく顔をみあわせた。 「しかし何だな。全治一ヶ月の重傷が、一週間もしないうちに完治しちまうとは。これも〈アギト〉の力ってやつか」 骨太な顔を奇妙なぐあいにしかめて、杉田がむう、と唸って言った。翔一がえへへと首のうしろに手をまわして笑った。 「さあーどうなんでしょう? おれもよくわかってないんですよ、実は。〈アギト〉って確かにめちゃめちゃ強いですし、ケガとかしにくいってことはあるんですけど、ケガが治っちゃうなんてのは初めてですから」 「そうなのか」 「はい。それに今回こんなに早く退院できたのは、なんていうかりんごのおかげっていうか」 「ア?」 「っていうのは冗談ですけど」 「……ア?」 「まあとにかく、よくわかってないんです。すいません」 ああ。うむ。そうか、と、それこそよくわからないままで杉田があいまいに答えた。 翔一のとなりでは、『りんごのおかげ』で勢いよく長椅子から立ち上がった真魚が、へなへなとテーブルに肘をついていた。翔一が「どうしたの真魚ちゃん?」と真顔でたずねつつ、それを覗きこむ。真魚がいっそう力がぬけた様子で座りこんだ。
454 :
415 :02/09/29 20:58 ID:jQwCBaWh
「じゃあ早速本題に入らせてもらうぞ」 ふたりとむかいあわせの位置に腰をおろして、杉田がきりだした。懐から四枚の写真をとりだし、つややかなテーブルのうえに並べて置いた。 写真は、どれも〈アギト〉のもののようにみえた。それぞれ微妙に、生体鎧の形状とそれを彩る色が違っている。 「いいか。きみたちは未確認生命体第四号にきわめてよく似た〈アギト〉を目撃したと証言したそうだが……」 杉田の言葉に、写真を見下ろしていた翔一が顔をあげた。いままでの気さくなうけこたえとは、その言いかたはどこか違っていた。なにか重要な感情を棚上げして、無理に事務的に徹しているような印象をうけた。 平坦な口調のままで、杉田がつづけた。 「まずはこの写真をよく見てくれ。きみたちの見た〈アギト〉ってのは、この写真のうちどれに似ていた?」 翔一がふたたび写真へ視線を移す。やや間があってから、答えた。 「んー……どれも、だと思います。おれの〈変身〉する〈アギト〉もそうなんですけど、変わるんですよ。色とか形とか。で、その黒いやつも、いろいろ変わってましたから。色は黒いまんまだったですけど。だからここにある写真の形は、どれも見ました」 「あたしが見たのは角が四本ある形の〈アギト〉でしたから、この写真のどれとも違っていました。すぐに、どこかへ消えちゃったから、そんなにはっきりとは見てませんけど……」 真魚が翔一の言葉を継いだ。翔一がうんうんとうなずく。 「そう、おれの最後に見たのもそれです。四本角の、ほんとにまっくろな。うーん、なんていうんでしょう、もう邪悪そのもの! って感じの……あ、すいません……」 軽い調子で言った科白が、黒い〈アギト〉の正体が四号である可能性を失念していたものであることに気づいて、翔一が謝罪の言葉を口にした。いや、かまわない、と答えておいて、杉田は腕をくんでふたりの証言を吟味する。 そして、重い溜め息を吐いてから、神妙な面持ちでうしろを振り向いて訊いた。 「どうだ、一条」
455 :
415 :02/09/29 21:03 ID:jQwCBaWh
真魚が、はっとしてそちらを見た。彼を。 スーツ姿の両腕を悠然と組みあわせて、窓際に立つ。いつのまにか、その視線はこちらをむいていた。やや長めに伸ばされた髪が、ブラインドから洩れる陽の光に透けていた。 「…………」 一条薫は、すぐには、杉田の問いに答えなかった。 するどい目線にわずかに思案の色をみせて、それから低く、口をひらいた。 「あなたたちが見たという『四本角の戦士』。……その、眼の色を、おぼえていますか」 「――め、ですか……」 翔一がくりかえした。考え込んで、宙を仰ぎながら答えた。 「いやあ……どうでしょう。暗かったですし、おれも必死だったものですから」 「そうか。風谷さん、きみは?」 「あっ、いえ……すいません、あたしはほんとにちょっとしか見てないんで……」 ふかく息をついて、一条が組んだ腕を解いた。重く、その身体にまといつく倦怠のかいま見える動作だった。 「沢木くん、きみはさっき怪我の治癒がはじめてのことだと言ったが――」 沢木と呼ばれて、翔一は一瞬誰のことかと考える。『津上翔一』の名で呼ばれることに慣れすぎていた。まずいなあ、と内心苦笑する。 「四号の腹部にあるベルト状の装飾……『アークル』と呼ばれるものだが、その中心を飾る石には、戦士の怪我や病気を驚異的な回復能力で治癒する力がある。きみを診た担当医師の報告によると、きみの身体は、その能力とよく似た力によって治癒されたようだということだ」 「へえ……」 翔一が感心したようすで、自分の身体をまじまじとみおろしてつぶやいた。 「あっ、おれがアギトになるときにも、なんかベルトみたいなのが出てくるんですよ。そのナントカってのとおんなじものなのかなあ」 一条がゆるやかに頭を振ってみせた。 「いや。〈アンノウン〉の絶滅以来、〈アギト〉に関する研究もわずかながら進んでいる。だがどうやら、〈アギト〉の力というのはあまりに神がかりすぎて、今のところわれわれ人間の手におえるものではないようだ。四号や未確認の〈変身〉のメカニズムよりもさらに、だ。
456 :
415 :02/09/29 21:06 ID:jQwCBaWh
そう、たしかに〈アギト〉にもアークルと酷似したベルト状の装飾があるが、アークルの中心の石、『アマダム』がその主の身体をしだいに侵食し、〈変身〉を解いているときにも物理的な反応 ――たとえばレントゲン写真などにはっきりとその存在を示すのに対して、〈アギト〉のそれは平時には影も形もあらわれない。 〈アギト〉の力による〈変身〉は、五代のものよりもさらに超常的な現象であるというのが、研究者たちの一致した見解らしい。それもまたどこか間のぬけた話だが……」 「超常的、ですか」 一条の説明になるほど、とうなずきかけて、ふとひっかかりを感じて翔一が彼を見た。なにげない口調でたずねた。 「……『五代』?」 その一瞬。 不意に短く、厳しい沈黙が、一条におとずれていた。 ゆっくりと瞳をみひらいた。遅れた反応で、翔一のことを流し見た。 「…………」 それからほんのわずか、眉に隠せぬ痛みの表情をよぎらせて、瞳を閉じた。 ブラインドのすきま、透明なガラスごしに届く光を背に浴びる。吐息とともに、閉ざした瞼のまま顔をうわむけて、言った。 「……四号の、名前だ」
457 :
415 :02/09/29 21:07 ID:jQwCBaWh
いままでに何度もあじわってきた酩酊を重く実感しながら、葦原涼はそこに片膝をついている。 眼前にたちはだかる敵を睨んだままで、交差した両腕をすばやくおろした。 ざわりと異質な息づかいが、すぐかたわらに皮膚を撫でるように生じていた。のがさずにその異形の気配を、全身で、感じとり、いちど嶮しく眼をとじる。そして。 かっと瞳をみひらき、己のすべてを瞬時にしてくつがえす、その銃爪となるひとことを、言いはなつ! 「――変身ッ!」 「!!」 爬虫類をおもわせる、グロテスクにぬめる腕をもちあげて、化物が一瞬の閃光にひるんだ。 左膝を地につかせて赤い瞳をむける、涼の姿はもはやそのかたちをとどめてはいない。〈アギト〉の力による変形〔へんぎょう〕を了〔お〕え、異形のものと化していた。変わっていた。 〈ギルス〉へと。 「どう思う」 壁にスーツの背をあずけて、杉田が傍らに座る一条に、もう一度おなじことを尋ねた。 翔一たちを残してきた応接室の扉を、斜むかいに視界にいれることのできる休憩フロア。壁際に据えられたソファで、膝のうえに両手の指を組みあわせ、一条が前方へ視線をむけたまま答えた。 「沢木哲也の話が、偽証や誤認であるようには、簡単には思えません。 あの写真の四号はどれも武器を所持していない状態でしたが、彼の証言では、四号の色と武器とがぴったり一致していました。かれらが見たという『四本角の戦士』が、『凄まじき戦士』である可能性がきわめて高いことは……」 「一条」
458 :
415 :02/09/29 21:09 ID:jQwCBaWh
静かに、だが厳しい呼びかけによって、杉田が彼の科白をさえぎった。 一条が右隣にいる彼のことを、少ない表情のままで振り仰いだ。 「俺は、そんなことを訊いているんじゃあないんだがな」 「…………」 「気持ちはわかるが、おまえらしくないぜ。……あァ、いや、そのほうがよりおまえらしいと言えば言えるが……」
459 :
415 :02/09/29 21:09 ID:jQwCBaWh
そこで一度顔をしかめて、杉田がだがな、と続けた。 「だが、まるで『彼』と出逢うまえの、おまえに戻っているみたいに見えるな」 「……私は――」 唇をひらいて、一条がなにか反駁しかけたとき、バタン! と勢いよく応接室の扉が、内側からひらかれた。 何事かとそちらを向いたふたりの前を、部屋からとびだした津上翔一が全力疾走で駆けぬけた。杉田がぽかんとしてそれを見送った。 「…………なんだァ?」 「翔一くん!」 うしろから、遅れて真魚がそれを追いかけていく。「あ、おい!」とその背に声をかけて、杉田がたずねた。 「どうしたんだ彼は?」 「あ、えっと……」 翔一のほうを気にしつつも、ふりかえって、真魚が答えようとした。 そこに、電子音が割ってはいった。失礼、とひとこと告げて立ち上がり、一条がスーツの内ポケットから携帯電話をとりだす。 「一条です。ああ、桜井さん。――…え?」 応じた彼の声が、ふいに硬質なものへと変化する。敏感に察知して、杉田がそれを見守った。 「一条さん!」 緊迫した女性の声が、さらにそこへすべりこんだ。制服姿でこちらへ駆けよる、笹山望見のものだった。 はっと杉田がいちど翔一の走り去ったほうを見て、それから笹山へ振り向いた。 「まさか〈アンノウン〉ってやつが、また!?」 「いえ、それがその……」 口ごもる笹山に、杉田が怪訝な目をむける。その隣で、通話を終えた一条が、携帯電話を握る手をゆっくりと耳元からおろした。 そしてけわしい顔つきのまま、さだまらぬ焦点で宙を見やりながら、渇いた声音で、言った。 「……未確認、生命体です」 「…………」 凝然と、杉田が一条の横顔を見返った。何? とつぶやいた。 それ以上彼は言葉を発することをせず、耳鳴りのするような静寂がその場をつつみこむ。 やがて厳しく両眼を細め、一条がギリ、と強く奥歯を噛みしめた。見えないなにかを睨んだ。 ふたたびおとずれた、戦慄を。
460 :
415 :02/09/29 21:10 ID:jQwCBaWh
「…………」 わずかな沈黙をおいて、……ククッ、と、ギルスのまえに立つ化物が、ゆがんだ哄笑を洩らした。 下卑た笑いに、涼が顔をしかめる。それは、かつての闘いではみられなかった『現象』だった。 「クククッ、〈アギト〉……〈アギト〉か!」 笑みをおしころした声を響かせて、化物が呼ばわった。 「いいね……。ゾンヂバサ……ゾンヂバサグガセダ、ロドドゴロギソギ、ゲゲルグゼ、ビゴグザ」 発せられるその言葉が、それまでの日本語からかけはなれた言語へと変わっていた。 「ギダバサグラセダ〈メ・ガルメ・レ〉ザ!」 「!」 バシュッ! と空気を裂く音とともに、細く鋭いなにかが涼の喉元をめがけて射ちはなたれたのがその瞬間だった。右腕のひとふりで、ギルスが伸びた舌の一撃を激しく殴り払った。 ふたたび視線を戻したときには、化物――ガルメの姿は消えうせていた。かわりに、やまない笑い声が空〔くう〕に響いた。 緊張をとぎれさせぬしぐさで、ギルスが立ちあがる。首をめぐらせて周囲をみわたす。哄笑はつづいている。 ふと、ギルスの額に埋め込まれた光石、ワイズマン・オーヴがかすかに輝きを増した。まよわずにただ一点を、そしてその真紅の複眼が射抜いた。 ザッ、と右腕を高く掲げて涼が鋭く呼びつけた。 「――来いッ!!」 「バンザドッ!?」 自分の位置を気取られたのだと理解したガルメがひきつった叫びをあげた。 攻撃をしかけようと飛び掛ったその瞬間を、まさに狙いすましたタイミングで横ざまからすべりこむ強い衝撃があった。 「ガッ……!!」 不意をつかれた攻撃に掠れた呻きをあげながら、ガルメが襲撃者の正体をたしかめる。ホンダXR250……いや、その本来の性能をはるかに超えて高々と跳躍する、深緑に染まるそのマシン――ギルスレイダーの姿を視界にいれる。 「!」 予期せぬ光景にガルメが瞠目した。 落下しつつあるギルスレイダーの側面を蹴りつけて涼が――ギルスが中空を跳ねていた。重力を絶ったように、身軽に。 視線がぶつかる距離にまで、近く。 「ゴラゲっ……」 ヒュ、と風が、ギルスの疾さに遅れて渦をまいた。 時間の流れがゆるやかにひきのばされ、刹那の間隙にのみこまれていた。
461 :
415 :02/09/29 21:10 ID:jQwCBaWh
「――――ヴァアアッ!!」 涼のさけびが、停滞した時の奔流をひきもどす契機となった。空中で脚をななめにふりおろし、地面に降りたつ前の、体勢のさだまらないガルメに足刀ぎみの飛び蹴りをくらわせた。 着地と同時、衝撃によろけた相手との間合いを一息に詰め、その勢いを殺さずに体重を乗せて右のストレートをくりだす。続けて左拳を顔面にあびせ、そのまま脇腹にもう一撃。そして容赦なく右腕で横面を殴りとばしてコンクリートの壁際へと叩きつけた。 「……!!」 ガルメがぎり、と歯をくいしばる。くるしまぎれの舌での攻撃は流れるギルスの動きに躱される。 みぞおちに拳がくいこむ。つづけざま、顔面に衝撃がくる。反撃の暇を微塵もあたえない、たてつづけの連打でギルスが相手の身を躍らせた。 強くその喉元を掴みあげ、ひきずるように壁から離し、そのまま右の拳をたたきおろす。 「ぐ、お、……ック!!」 「ゥゥゥ……ヴァアッ!!」 苦悶の声を吐きだすガルメに、放った一声とともに渾身の前蹴りが打ちこまれた。 大きくとびのき、肩から回転して地面にころがり、しかしそれでもガルメは素早く身をおこす。だが。 いまいましげに睨みつけるガルメのその視線のさき、ザラッとギルスが一歩、足を踏み出した。その踵には硬質な、つめたい刃が形成されている。
462 :
415 :02/09/29 21:10 ID:jQwCBaWh
「ハッ!」 強く、地表を蹴ってギルスが高く跳びあがる。空中でかかえあげた脚を、真上から加速させてそのまま相手の肩口にうちおとす! 「ガ、あああッ!?」 尖鋭な刃が、ガルメの背にずぶりとくいこむ。悲痛な叫びをあげる。右足の踵を敵の肩に落としたまま、両腕をつきあげ、涼が天を仰いで咆哮した。 「ヴァアアアアアッ!!」 ガルメの胸板を足がかりにして勢いよく後方に回転し、ギルスが低く腰をおとした姿勢で着地した。同時に、ガルメがぐらりと膝からくずおれ、ドッ、と前倒しにたおれた。 その背に、びくびくとこまかい痙攣が走り、やがてその動きもゆっくりと途絶えてゆく。 「…………」 涼が眉をひそめてその様子を見やる。着地の姿勢から膝を伸ばして立ち上がったその姿は、すでに人へと戻されている。 だが、間をおかず、すぐにその面には極限の緊張が疾った。 素早い動作で肩から背後を振り向いた。 そこに。 黒い、影が。 「――――」 ゆっくりと眼をみはる涼をごく間近からみつめ、外界の季節を拒むような黒色のコートに身を包んだ男が、そこにたたずんでいた。 昏く、凄絶にひきゆがんだ笑みを、その唇にうかべながら。 to be continued.
463 :
415 :02/09/29 21:24 ID:jQwCBaWh
みなさん、暖かいお言葉ありがとうございます。 新着レスがあるたび、ドキドキしながら画面をスクロールする今日このごろです。 というわけで、第二話、おとどけします。 ていうか、なんか字数にうまく収まらないですね…… 無駄なレス使っちゃってすいません。 >442 女性キャラはどうしても出番が少なくなっちゃうんで、 そのぶんなるべく魅力的に描いてあげたいと思ってます。 ので、萌えてくれるのは嬉しいです。(笑) >443 はい。スタンドギルスくんです。 劇場版の発展系って感じでしょうか。 >446 オープニングの戦闘は微妙に暗い感じですね。 次あたり、もっと『believe your self』の似合う戦闘シーンが出てくると思いますよ。
新作キター!!
465 :
名無しより愛をこめて :02/09/30 13:24 ID:xCKQXY35
保守
466 :
名無しより愛をこめて :02/10/01 13:21 ID:F37CIuHP
職人さん乙彼! 静→動って感じのギルスイイ!
いい! 俺が見たかったのはこういうギルスなんだ!! 続き楽しみにしてます!
468 :
名無しより愛をこめて :02/10/02 18:14 ID:TpNHt24M
保守
469 :
名無しより愛をこめて :02/10/04 01:23 ID:re0ItOKS
がらっと消えたようなので保守
保守sage
471 :
415 :02/10/06 20:38 ID:8AdXo1RU
日本アルプス九郎ヶ岳においてその遺跡が発見されたのは、つい最近のことだった。 これまでに知られる世界中のどの古代文明とも関連のみられない古代墳墓。それはまさに歴史的な発見といえた。 そして、あの壮絶な闘いの一年がはじまったのも、この場所からだった。三年前。すべてがここから動きだし、そして終焉もまたこの場所にておとずれた。 ――長野県、九郎ヶ岳遺跡。 だがまた季節は巡りくる。熱夏。 今、そこにふたたび、なにかの兆しが刻まれている。胎動が響きはじめている。ゆるやかに。 異変は、なんのまえぶれもなくあらわれた。 それは異質な光景だった。 ひろく、そびえる山々をみはるかす上空かなたから、透明な欠片がこぼれおちていた。清めの白氷のごとく、舞いちるものがあった。真夏の空に。 雪が。
472 :
415 :02/10/06 20:40 ID:8AdXo1RU
痩せた頬をこわばらせ、桜井剛は携帯電話のフリップを片手で閉じた。 「諸君らも知っての通り、都内に未確認生命体と思われる怪人があらわれた。アンノウンではない。未確認だ。出動は本庁からの正式な要請通達を以ってこれが許可されるわけだが、あー、その前に諸君らに――」 G5ユニット管理官、尾室隆弘のややうわずった声が、広場に響いている。棟の一階、高く吹き抜けになったロビーに、G5ユニット全部隊が緊急招集をかけられ、整然と並びたっていた。複雑な沈黙のまま、桜井が視線を横にずらしてそれを見た。 すでに外のグラウンドでは、G5システム八機、G5-S.S.C.〔センスド・スナイパー・カスタム〕二機、ガードチェイサー七機、ガードチェイサー改一機、GDCS-F.S.〔ガードチェイサー・フルセンシング〕二機を収容する計三台の新型Gトレーラーが、 万全を期して出動のときをまちかまえている。 G3システムを収容していた旧Gトレーラーに比して、その車体はふたまわりほども巨大である。圧巻、というほかない。 「ものものしいな……」 桜井がつぶやいた。 九郎ヶ岳遺跡での原因不明の降雪を発端に、資料の再整理もかねて、かつて未確認生命体関連事件合同捜査本部に所属していた人員が今ふたたび顔をそろえる。 それをうけて、合同捜査本部所属のひとりであった桜井は、現未確認生命体対策班である特殊機甲中隊の視察のため、この訓練施設へ派遣されていた。 そして今、かれらは創設以来はじめて、『未確認生命体関連事件の解決』という名目で出動しようとしている。このタイミングでこの場にいあわせられたのは、幸運だと言うべきか。それとも……。 すくなくとも、一条薫への連絡が自分の役割であったことに関しては、桜井は現在の状況を最大限に忌まいましく感じていた。 最悪の報せがかさなるようなものだ。今の彼にとっては。 「――本日付をもって、一斑は『第一小隊』、二班は『第二小隊』、三班は『第三小隊』へとそれぞれ呼称を変更する。それにともない、各班の班長は――」 尾室の説明がつづいている。桜井がドアのガラス越しに、空をみあげた。夏の強い日差しをぶあつい雲がおおいかくそうとしていた。
473 :
415 :02/10/06 20:44 ID:8AdXo1RU
「!」 不意に、神経を刺すような警報の音が、建物じゅうに鳴りひびいた。同時に、回転等の赤い光が広場をぐるりとなめる。 『警視庁より入電』 まあたらしい白い壁に設置されたスピーカーから、女性の声が告げた。緊張の面持ちで、尾室と隊員たちがそれを見守る。 「……来たか」 尾室がつぶやいた。ごくりと唾をのんだ。そして、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 『警視庁より出動要請。中央区晴海五町目交差点付近で、アンノウンと思われる怪人が出現。くりかえす――』 目をまるくし、大口をばっかりとひらいてその場に立ちつくした。 「どういうことなんだ!」 ナビシートの持ち手をきつく掴んだままで、杉田が唸った。 警視庁庁舎の地下駐車場から桜田通りへと、タイヤを路面に滑らせ、鋭いアクションで躍り出る黒の日産セドリック。ルーフ上に展開されたパトライトが、真っ赤な光線をビルの壁によぎらせた。 「わかりません。ただの誤報だったのか、それとも……」 ステアリングを握る一条が、冷静な口調で答える。だがその表情には、隠しきれない剣呑さがうかがえた。勢いよくカウンターをあてて、車体をコントロールする。ぐお、と声を洩らして杉田が身体をよろめかせた。 そこに、現場に到着した捜査員からの無線連絡が入った。一条が左手でマイクをつかみあげて、ひきよせた。 「こちら長野県警の一条警部。現在そちらへ急行中です。詳しい状況の説明を願えますか」 『えっ、ほんとにあの一条警部なんですか!? ……あ、その、失礼。ええっと、アンノウンと思しき怪人は三体。現在〈アギト〉が交戦中の模様です』 若い警官が応える。杉田が片目を細めた。「沢木くんか」と小さくつぶやいた。 「……間違いなく、〈アンノウン〉であると?」 『それは、特長からいっても間違いないと――…ああッ!?』 スピーカーごしに驚嘆の声が届いた。一条が眉をひそめてマイクを持ちなおす。 「落ち着くんだ。状況を説明してくれ」 『あ、あの、今、黒い……黒い〈アギト〉が……』 「…………」 なんだと、というかすれた呟きは、アスファルトに擦れるタイヤの音にかきけされた。
474 :
415 :02/10/06 20:45 ID:8AdXo1RU
「く、『黒い〈アギト〉』ぉ!?」 Gトレーラー一号車の広いカーゴ内に、尾室隆弘の素っ頓狂な声が響きわたった。隊員たちがいっせいにそちらを向いた。 「どういうことだ!? いやそのまえに、敵は未確認なのか、アンノウンなのかどっちなんだ!?」 モニターのずらりとならぶコンソール群の端、無線マイクの細首を握りしめながら、尾室が問いただす。 その様子を眼鏡の内から眺めやって、宮瀬雪が肢体のラインにそって纏う特殊鋼ジャケットの肩をすくめた。 「今度は『黒い〈アギト〉』だってさ」 「大歓迎ね、私たち」 モニターに背をむけ、椅子のうえからさめた声音で水野詩織が答えた。 「先輩たち……」 詩織の隣から投げられた気弱な声は、G5ユニット最年少、十八歳の今泉俊之のものだ。 ふたりが視線を転じると、いまにも泣きそうだったはずの彼はとたんにぱあっと華やかな顔になってよろこんだ。 「わあ、やっぱりおふたりが一緒のフレームにおさまってると、いいですよね、なんかこう……じゃなくって!」 瞬時にしてふたたび世の終末をシミュレートしたような顔に戻った俊之に、雪と詩織がおたがいの顔をのぞいてみる。 「『黒い〈アギト〉』って、あれですよね? あの、最強の〈アギト〉を倒したとか、未確認第四号かもしれないとか言われてる……。そんなのを相手にするかもしれないのに、なんだってそんな落ち着いてられるんですか?」 「何でと言われてもね」 雪が言う。 「いまさらあたふたしたってどうにもならないだろ」 「そうね。私としては、宮瀬『第一小隊隊長』には、その方向性においてより統率力の発揮される部分を強調していてもらいたいし、 存在による意識の規定が真に認められるものとして――特に隊長のそれが私の言動によって左右されるものであるなら、私自身もなるべく冷静な状態で事態にのぞみたいと、そう思ったりはするわ」 「……おい」 さらりと凶悪なことを言ってのけた詩織にむかって、今度は雪が暗い表情をつくる。 この程度で動揺をみせるようであるなら、隊長たる資格はないと言っているも同然だった。ただそれすらも自分のコントロール下においているつもりだとわざわざ申告するあたりは、警察学校時代からの同僚であるがゆえのきやすさも、てつだってはいた。
475 :
415 :02/10/06 20:46 ID:8AdXo1RU
「冗談よ。半分は」 文句のつけようもない美しい笑みでそう言われ、雪はにがにがしく眉間にしわをよせつつ、ああそう、と溜め息を洩らす。 「そんな顔することないじゃない。いたいけな今泉少年に教えてあげてるのよ。『私だってつとめて冷静に見えるようにしているのよ』ってね」 「フォローになってねえよ」 視線をそらして雪がぼそりとつぶやくが、とうの俊之は会話についてゆけずに呆然としている。 「はあ……おふたりがやっぱり凄いひとたちなんだなということは、わかりました。なんとなく」 そう結論を出して俊之がひとりでうなずいたとき、無線連絡を終えた尾室から、全隊員に号令がくだされた。 「諸君! 敵はまちがいなく〈アンノウン〉であると正式に認められた。 諸君らの任務は、交戦中のアギトを援護し、このアンノウンを実力を以って排除することである。なお、黒い〈アギト〉出現との報も届いている。充分留意されたい。諸君らの健闘をいのる」 大仰ないいぐさでそこまで伝えてから、尾室は直立不動の姿勢で敬礼をしてみせる。ほとんどつられる形で、隊員たちも答礼を返した。 口元に拳をあて、ごほほんとわざとらしい咳払いをしておいて、尾室がつづける。 「では行くぞ。――G5ユニット、出動!」 ひとり無駄に力の入っている司令官の様子に苦笑しつつ、それでも若い隊員たちは、やはりどこか昂揚をおさえきれない気分で答えた。 「了解!」 to be continued.
またキター!!!!!!!!!!
477 :
415 :02/10/06 20:59 ID:8AdXo1RU
おまたせしました。
第三話をおとどけします。
……なんか前回、『believe your self』の似合う戦闘シーンが三話で出るとか
言ったような気がしますが、
ちょっと計算違いで次回にまわされました。(汗)
ところで、クウガ陣のキャラとアギト陣のキャラが、
何故か水と油のように『あわない』……。
他作品のキャラ同士の掛け合いなんかを楽しみにしている方、
もしいらしたらすいません。
うーん、何故だ。
>>466 ,
>>467 ありがとうございます。
ギルスはひいきキャラのひとりなので、
もう少し力入れて描きたかったんですが、
いかんせん時間との闘いに負けました……。
それでも、そう言ってもらえると救われます。
478 :
名無しより愛をこめて :02/10/07 16:59 ID:Ad9Cpj/Y
ageてみる
479 :
名無しより愛をこめて :02/10/08 18:31 ID:5Y6tJexu
ワラタ >目をまるくし、大口をばっかりとひらいてその場に立ちつくした。
ウンコー!!
481 :
名無しより愛をこめて :02/10/11 01:19 ID:iSqCxVgC
アギトとクウガってかなり作品のトーンが違うからね。実は。 上手く混ぜるのも難しいのかも。 と保全代わりに言ってみる。
482 :
名無しより愛をこめて :02/10/11 01:23 ID:vm1lARFL
9さんってどこいっちゃったの?
やっぱりもうモチベーションないのかな?>9さん
484 :
名無しより愛をこめて :02/10/12 00:40 ID:yabx9fH2
久しぶりに読んでみた。415さんも、9さんも、がんばれ〜。
485 :
名無しより愛をこめて :02/10/13 10:17 ID:19lB1i0J
とりあえず、保全age
486 :
415 :02/10/13 19:21 ID:0eqlb7bn
通行量の多い大通り、銀色の車体を縫い過ぎるように操って勝鬨橋に乗せる。 ホンダVHR1000F。尖鋭なラインのカウリングが風を切った。 「!?」 広い交差点にさしかかったところで、翔一は愛車に急制動をかけた。摩擦とともに後輪が滑り、車体が半円をえがいて横向きに静止する。 人が、たおれていた。ふたり。 そのうちひとりは、翔一のよく見知った顔だった。フルフェイスのヘルメットをはずしてバイクから降り、蒼褪めた顔で呼んだ。 「葦原さん!」 返事はない。しゃがみこんで彼の肩を抱えあげ、もう一度、葦原さん、と声をかけた。 びくりとその腕が動いたのを確認して、翔一はほっと息をつく。視線を移動させて、近くに倒れるもうひとりのほうを見た。顔をしかめた。 金色に染めた髪の、若い男だった。おそらくすでに、死んでいる。 「!」 反射的に顔をあげた。 もう知りすぎたその気配を、過たず、その身にとらえる。 ぴしゃ、と濡れた足音をひびかせて、それは翔一の眼前に姿をあらわした。道路をはさんだむこう側。 三体の、異形。 涼の身体を静かに地面へ戻してから、翔一が立ち上がってそれを見やった。 低くななめ下におろした右腕を素早く振りあげ、腰の位置までひきもどす。 体内に拡散していた〈力〉の源が、その腹部にかたちとなって顕れていた。 人が、身裡に〈アギト〉の力を持つ、その証。 〈オルタリング〉とそれを呼ぶ。 「はあああ……」 ゆっくりと、翔一が右腕をまっすぐに前に伸ばしてゆく。 深く息を吐き、意識の変革をうながす。そして。 「変身!」 鋭い一声とともに、彼をつつむ空気に波紋が生じてひろがった。一瞬を境に、その姿は変わっていた。 ――アギト。ひとにあたえられた、あらたな炎。めざす光。 そして彼は、前方から視線ははずさずに、低く、腰を落として悠と構える。 不意に異形のうちの一体が地を蹴った。迫る瞬速の突きを右腕の動きだけで捌いて、アギトが反撃をくわえる。だが、ひるんだその身体のむこうから、さらにもう一体が跳ねている。 とっさの判断でアギトは左腕を大きくまわして敵の動きを止めた。うまれた隙に踏み込んで、右の拳をくりだした。
487 :
415 :02/10/13 19:22 ID:0eqlb7bn
ザッ、と足先を後方にずらして、アギトがふたたび構えをとった。その指先にまでも緊張のつたわる所作でありながら、烈しさは微塵もみられない。 遅れて、連続した鈍い音とともに、二体の異形が落下して地面をころがった。 だが目前に立ち上がる敵のうごきにダメージは感じられない。アギトがわずかに顎をひいてその様子を見た。 二体がふたたび攻撃へ移ろうと構え、そしてのこる一体が手に持つ三叉の槍のきっさきをアギトへとむけた、そのとき。 ドドッ! と重い銃声が後方に響いた。敵の、粘性のあるその身体に着弾の火花が噴く。衝撃によろける相手に、さらにつづけて銃撃がくわえられた。 アギトが弾丸のゆくえを目線で追って、それから振り向いた。 たちのぼる白い煙のむこう。伸ばした右手に黒の専用ハンドガンを携えて立つ。つややかな光沢を放つメタリックブルーの装甲が、雲間に洩れる陽の光を反射した。 風に流れる硝煙の隙間に、左肩にしるされた文字がうかびあがる。 ――『G3-X』。 「氷川さん!?」 翔一が驚いて尋ねた。 「え、だって氷川さん、捜査一課なんじゃ……」 「詳しい話はあとで。今はアンノウンを!」 氷川が厳しい声を返した。アギトが後方を見返る。倒れた二体がなおも身を起こそうとしていた。GM-01での攻撃は効をなしていない。 それを確認して、G3-Xがハンドガンをホルスターへ戻した。チュイン、と間接部のアクチュエーターが駆動音をあげる。 「津上さんはうしろにまわってください。そのあいだに僕が――」 「待って!」 氷川の科白を、翔一が鋭く遮った。G3-Xの赤いセンサーがまっすぐにアギトを見た。 「津上さん?」 「――…なにか、来ます」 翔一のそのひとことから瞬刻の時差をおいて、黒い影がふたりのあいだをかすめて過ぎた。疾風が、その速度に追従しておきた。 尋常ならざるスピードでの移動、その余韻がうみだす衝撃波だった。G3-Xが装甲の重みとともに、ガシャリと一歩あとずさった。 「何だ!?」 氷川が声を荒げる。それから、はっとして前方を見た。
488 :
415 :02/10/13 19:25 ID:0eqlb7bn
そこにさらなる異形の後ろ姿をみつけ、彼は息をつめる。 陽光をさえぎる深甚な闇が。 黒く染められた体躯が、そこに立っていた。 その左腕のさき、鋭い爪を持つその掌中に、アンノウンの喉頚を掴み。 高く、掲げあげ。
489 :
415 :02/10/13 19:26 ID:0eqlb7bn
「葦原、さん……?」 翔一が、思わず声に出してつぶやいていた。やや鋭角的な印象はあるものの、その姿は涼の〈変身〉する〈アギト〉とよく似ている。だが振り返った視線の先には、たしかに地面に倒れる涼の姿がまだあった。 腕一本に拘束され、自由を奪われたアンノウンの右手から、三叉の槍がぬけおちて音を立てる。呻き声を洩らす化物をこともなげに掴みあげながら、黒い〈ギルス〉がのろりと首を動かした。こちらを向いた。そして、 「ギ、イ、ィ、……」 笑んだ。 「――――」 ぞくりと背後に寒さを感じて、ふたりが声をうしなう。その貌は、ギルスの面影を残しながら、なお凶悪にゆがんでみえた。開かれた顎の内側に、するどい牙がならぶのがみえる。真紅の複眼はバイザー状のマスクのようなもので覆われていた。 突然、黒い〈ギルス〉がその左腕を横殴りに振りきった。猛烈な勢いでアンノウンが吹きとばされる。だがその瞬間、黒い姿もまた消えうせていた。一瞬ふわりと重力を無視してうかんだように、氷川の眼には見えていた。 バサッ、とかすかに羽音がきこえて、氷川がそちらへ視線を向ける。 「!!」 投げとばされたアンノウンを追い越して浮かぶ影の、その背に。 漆黒の翼が、大きくひろがっていた。 そしてそれもまた、限界を逸脱した高速のなかの、ほんの半瞬のできごとだった。中空、はばたかせた翼の勢いで黒い〈ギルス〉が急制動をかける。ななめ下を過ぎる敵をめがけ、踵に形成されている鋭利な直刃をむかわせる。 そして翼をバサリとたたみこみ、咆哮とともに身体全体を弾丸のように撃ちはなつ! 「――――ンギィイイイアアアアッ!!」 ザウッ!! 相反するベクトルの凄烈な衝突に耐えきれず、アンノウンの身体がまっぷたつに分断された。間をおかず、分かたれた肉片はそれぞれが爆発をおこし炎上した。 舞いちる火の粉に闇色の膚を照らされて、黒い〈ギルス〉が地に降りたつ。 片膝をついた状態から、だらりと両腕をおろした姿勢で、立ち上がった。 「ラギィイイイ……」 牙をむき、凄惨な笑みを残したままで。
490 :
415 :02/10/13 19:44 ID:0eqlb7bn
レスくれるみなさん、ありがとうございます。
9さんには、私もまた戻ってきてもらいたいと思ってます。
同時進行できたりしたら、面白そうですし。
とりあえず、第四話(前編)をおとどけします。
なんか長くなっちゃったので、続きの後編は明日にでも貼ることにします。
それにしても、どうも文字数の把握がうまくいかないですね……。
>>479 G5ユニット司令官のオムロンって、描く人によってキャラクター違うんですよね。
『昔とは別人のようにかっこいいオムロン』も捨てがたいものがありましたけど、
やっぱりオムロンはオムロンかなと。(笑)
>>481 ちょっと考えたんですが、『クウガ』のキャラクターたちって、
『クウガ』っていう作品が終わった時点で止まってるのかなと。
それが良いか悪いかはべつとして、
あの一年が『クウガ』のすべてだったのかな、とか。
『アギト』はどっちかというと、終わったあとも未来を感じさせるつくりでしたからね。
そのへんの差なのかもしれません。
491 :
415 :02/10/15 21:56 ID:fibWuT8V
Gトレーラー一号車のカーゴ内。締まった肢体の輪郭に黒いインナージャケットを沿わせ、宮瀬雪は一〇一号機用メンテナンス・スペースへ飄然と足をすすめる。縁のない、薄いレンズの眼鏡を細い指で一息にひきぬいてはずし、隣を歩く詩織へ無言で手渡した。 ごくあたりまえのようにそれを受け取って、詩織が制服の胸のポケットにおさめる。うわあ、と一部始終を眺めていた俊之が、感嘆の声をあげた。 「やっぱ先輩たち、かっこいいなあ……何やってもキマってるもんなあ」 「オイ、俺のバックアップを忘れてもらっちゃ困るんだがな」 すでに自機用メンテナンス・スペースに待機していた一〇二号機装着員、戸川祐二が複雑な声をかける。俊之があわててそちらへ駆けよった。 何度も頭をさげている少年の姿をちらりと一瞥しつつ、雪がスペース上に足をのせる。むかいあわせに立つ詩織へ、たずねた。 「言われるほどか?」 「当然でしょう? 私がこうしてついてきてるんだもの。――雪ほど綺麗でカッコイイ人はいないわ」 「……………………」 「……そこで黙られると私が困るわ。冗談よ。半分は」 顔をそらして、雪がこほんと小さく咳払いをする。 「ああそう」 つぶやいた。 「――さあ、行くわよ」 詩織が気をとりなおすように言った。いまの科白は、彼女にしてみてもやや不本意な結果におわった試みだったらしい。 溜め息をついて、雪が前方に向きなおった。瞼をとじる。その身体を、極小モーターの駆動音とともにメタリックブルーの装甲がつつみこんでゆく。 G5システム。 G3システムの設計者である小沢澄子が、警察組織を離れイギリスへ発つ直前に警視庁へと残していった、置きみやげである。 かたわらのデッキから詩織がマスクをとりはずし、そして腕を伸ばして裸眼のままの雪の顔にかるく押しあてた。モーター音が耳元に響き、後頭部全体が装甲につつまれる。 マスクの内側でとざした双眼をひらき、雪はそのまま顎をもちあげて横へ視線を移動させた。マルチスコープを通してつたわる情報が、彼女の視界にひろがっていった。 雪の隣で、おなじく装着を完了した戸川と、一〇四号機装着員、真船邦孝が一歩、前にすすむ。
492 :
415 :02/10/15 21:58 ID:fibWuT8V
カーゴの後方、カタパルトに固定されて並んでいるガードチェイサーの車体をスコープごしに見やり、それから雪は右の腕をかるく持ち上げてみる。小気味のいい音を響かせるアクチュエーターの駆動に、支障はみられない。一度握った拳をひらいて、感触をたしかめた。 そしてマスクに覆われた顔をあげて、言った。 「よし。第一小隊、出るぞ」 赤い光と警報の音が広い道路をよこぎる。 威圧的な存在感をもって直線上に並んで走る三台のGトレーラー。そのカーゴハッチが、ゆっくりと左右に開かれる。 遠ざかってゆく外の景色は、雲に覆われた空のためにどこか暗い。 カーゴ内のコンソールランプと明度をおさえた照明を、ガードチェイサーに跨ったG5の装甲が照らしうつす。 ゴン、と重苦しい響きとともに、ガードチェイサー一〇一号車がカタパルトごと後方へ押し出された。 ハッチ下に収容されていたタラップが展開され、走行中のGトレーラーから、ツートンカラーの車体が後ろ向きのままで地面へと駆けくだった。続いて一〇二号車の車体が、カタパルトに固定されたままタラップのレール上に移動してゆく。 同じプロセスを経て、Gトレーラー二号車、三号車からもつぎつぎにガードチェイサーが発進していった。 フルセンシング仕様のものをのぞいた計八台が、Gトレーラーの巨体をとり囲むかたちで平走する。車体前方に供えられた赤いランプが明滅をくりかえし、非常時を告げるサイレンの音がかさなって響く。 やがて八機のG5がいっせいにガードチェイサーを加速させ、編隊をくずさぬ動作でGトレーラーを追い越していった。 ドオン!! と爆音のとどろきを一条薫は聴いた。衝撃が、車のフロントガラスにびりびりと伝播する。同時に湧き上がった火柱に照らされた。不意をうたれ、車体のコントロールをうしなう。セドリックの後輪が、アスファルトに焦げつく痕を残して擦過した。 流れるリアタイヤを強引なステア操作で押さえ込み、一条はどうにか車体を静止させることに成功する。間をあけず、乱暴にドアをひらいて車の外へ出た。
493 :
415 :02/10/15 21:59 ID:fibWuT8V
「おい一条……」 めまぐるしい一連のアクションに眩暈をおぼえつつ、自分も車外に出て杉田が声をかける。だが一条は答えない。 その、視線の先には。 黒く染まった、異形の戦士の姿。 「――――」 無言で、一条が険しく眉間をしかめた。杉田がその眼差しをたどって、「……四号じゃないな」とつぶやいた。 「……『凄まじき戦士』に、少し似ているようですが……、いや、あれは……」 低めた声で一条が言いよどむ。ざっとあたりに一瞥を投げて状況を確認してから、車内の無線マイクを手にとった。 そこに、あらたなサイレンの音がすべりこんで止まった。 青色の強化装甲服に身をつつみ、専用の特殊白バイに跨った機甲部隊。 「――『G5ユニット』か!」 杉田が言った。 本庁への連絡を終えた一条が、その声に振り向いてかれらを見た。そして、なにかを思いついた様子で携帯電話をとりだす。 指先の操作で、メモリから桜井剛の名を呼び出した。 「一条です。G5ユニットが現着したようですが、今どこに?」 『Gトレーラーっていう『移動要塞』の、三号車のなかです。尾室って管理官、何を思ったんだか全部隊出動させて……おかげで目立ちまくりですよ』 「では、その尾室管理官につたえてください。出現した黒い〈アギト〉には、沢木哲也が目撃したものとはあきらかな差異がみられます」 『そうなんですか!?』 驚いて声をあげる桜井に、一条がうなずく。 「はい。それと、怪我人が出ているようですがわれわれも捜査員も危険すぎて近づけません。そちらの隊員に救助してもらえるよう、頼んでください」 わかりました、と短い返答があって、通話が切れた。携帯電話をスーツの内側に戻し、一条はもういちど爆発のあった方向を見る。 風に舞う火の粉をふりはらう様子もなく佇む黒い戦士のむこうに、残った二体のアンノウンと、G5とはべつの強化装甲服が見えた。 そして。 「!」 さらにその隣。金色〔こんじき〕の生体鎧に身をつつむ戦士の姿が眼にうつる。ちからづよく、黒い影を見据えていた。清冽に、神の光を身にやどす、その名を。 アギト。
494 :
415 :02/10/15 22:00 ID:fibWuT8V
「何? じゃあ、四号じゃないのか?」 尾室が言った。 椅子に座ってコンソールに向かう詩織が、ちらりとそれを見返った。 「もともと『黒い〈アギト〉』が四号であるという説には、未だ確たるものがない状況のはずですが。 GT三号車からは、今回現れた黒い〈アギト〉が、沢木哲也が目撃したものとは別種である可能性が高いという証言が得られた旨つたえられたのみです。詳細は調査方一報するようにとの本庁からの要請もありましたが、これは三小に任せますか?」 詩織からの返答は的確で判断も素早い。尾室がそれに応じようとしたとき、無線連絡を知らせる電子音が彼の耳元のインカムに届いた。 同じくそれを聴き取った詩織が、眼前のディスプレイを確認して訝しげに眉をひそめる。インカムに手を添えて、尾室を振り返って言った。 「――うちの隊員からではありません」 警戒をうながしつつ尾室がうなずく。モニターに向き直った詩織の操作で、回線が開かれた。 『尾室さん、氷川です』 「氷川さん!?」 『G5ユニットはこちらに着いてるんですね? このアンノウン、以前より強くなっているようです。そちらの協力が必要になるかもしれません。 黒い〈アギト〉はアンノウンとともに動きを見せずにいますが、四号でも、津上さんの見た『黒い〈アギト〉』でもありません。それと怪我人がいます。今のうちにG5を――』 「ち、ちょっと待ってください!」 反問に答えずたたみかける氷川の声を、尾室があわてて遮った。 「なんで氷川さんがここに?」 答えが返るまでは、わずかな間があった。氷川自身に、冷静に事情を説明する余裕がうしなわれていたようだった。 『……小沢さんの計らいで、G3-Xはいつでも使えるようになっていたんです。それよりも今は怪我人の救助を』 「わ、わかりました」 答えて、尾室が回線を共有〔オープン〕にする。 「ごほん。あー、三班、怪我人を――」 「『第三小隊』です」 言いかけた尾室の科白を、詩織がすげなく訂正する。そ、そうだったなと尾室が罰がわるそうに口元に拳をあてた。
495 :
415 :02/10/15 22:01 ID:fibWuT8V
「第三小隊、ええとだな、まずその黒い〈アギト〉に、気をつけろ」 『気をつけろって……』 回線のむこうから呆れた声を返したのは、雪だ。側面のモニターに、額に掌をあてる彼女の姿が見えた。 『詩織、頼むわ』 ぼそりと雪が言った。詩織がわずかに笑みをうかべて、了解、と答える。それから自分のインカムを、コンソールの操作でオープン回線へときりかえた。 「各員へ。尾室管理官の指示をつたえます。 三小、特機三〇三号、及び四号は黒い〈アギト〉を警戒しつつ、怪我人をGT三号車へ。特機三〇一号は黒い〈アギト〉のデータ搾取。GT三号車を経由して、そちらのG-COMと本庁のスパコンとをリンクさせます。 一小、二小は二手に分散してアギトとG3-Xを援護。同じく黒い〈アギト〉への警戒もおこたらぬように。――以上」 『了解!!』 緊迫した空気を両断するような明晰な指示に、全隊員が揃って受諾の声を返した。 ひとつ息をついて、詩織が尾室を振り返る。 「で、よろしいですか?」 「う、うむ」 腕を組んで大仰にうなずく尾室に、詩織の隣に座るバックアッパーたちが笑いをこらえる格好になる。 『上出来』 満足げな雪の声が、詩織の耳元に届いていた。 G5部隊があわただしく動きはじめたのを、氷川はG3-Xのマルチスコープで確認する。それから、目前のアンノウン二体に視線を戻した。 睨みあいが続いていた。 アンノウンのむこうには黒い〈ギルス〉。敵味方の判別のつかないその存在が、氷川たちにとっても、そしてアンノウンにとっても脅威となっていた。ぎりぎりに拮抗して彼らの動きをおさえつける、不可視の圧迫があった。 そこへ。 「行くぞ!」 「二小各機、続け!」 二機のG5が、強い日差しを拒絶する黒い輪郭線のさらにむこうから声をあげた。 曲線の多用された特殊な外見のサブマシンガン、GMG-09を両手で構える隊長機二機を先頭に、G5計六機が隊列を組む。モーター音と装甲の擦れる音が渾然となって響いた。 ゆっくりと、黒い〈ギルス〉がそれをふりむく。そして低く唸り声をあげると、おもむろに翼を大きく開いた。
496 :
415 :02/10/15 22:02 ID:fibWuT8V
「!?」 場にいた全員が、そのとき起こった現象を認識しきれなかった。たった一瞬の間隙をねらいすまして、黒い影はそこから消えていた。その翼のまきおこす突風だけが余韻のように残り、顔を庇うように掲げた腕がかれら自身の視界を遮っていた。 いちはやく混乱からぬけだしたのは二体の異形だった。 低く路面を疾走し、アンノウンはそれぞれ迷わずアギトとG3-Xへ狙いをさだめてその強靭な爪を伸ばしていた。 遅れをとった両者が、おたがいに距離をあけるように左右に跳ねて攻撃を避ける。雪と、そして第二小隊隊長本橋義衛は、あわてて持っていたGMG-09の銃口を上に向けた。 『全機! GM-01、アクティブ! 目標、的、アンノウン!』 事態の急変に対処できず呆然としていたG5装着員たちに、無線を介して尾室が叩くように命じた。 反射的に、雪が銃床の下がわを左手で押しあげる形でサブマシンガンを翻し、アンノウンの頭部を斜めに傾くオプチカルサイトにおさめいれていた。同時に省略された復唱をする。 「一小、GM-01!!」 「了解!」 ザッ、と横滑りに移動して、一〇二号機と一〇四号機がひきぬいたハンドガンを素早く構えた。 ほとんど同じタイミングで、雪の隣に並ぶ本橋も、彼女とは対照的に模範的なスタンディングポジションで射撃の体勢に入っている。サイトの赤い光点が狙うのは、第一小隊三機の目標とはべつの、もう一体。 「二小、GM-01アクティブ! 的、左アンノウン!」 本橋の声に応じて、第二小隊の二機が地面に片膝を立てて両手でGM-01を照準した。 「目標の視認はおまえの仕事だろう。何をやってるんだ」 二〇三号機のマスクをちらりと傾けて、岬一砂が言った。「ひとのこと言えんのかよ!?」と北沢敦志が愕然と言い返す。次の瞬間。 『撃っ!!』 尾室の号令が甲高く耳に届いた。一斉射撃がはじまった。距離をとったアギトたちへ追いうちをかける体勢でいた二体の異形に、銃弾の矢がふりそそいだ。 高性能炸裂弾の嵐が、アンノウンの動きをとめる。
497 :
415 :02/10/15 22:03 ID:fibWuT8V
アギトとG3-Xが体勢をたてなおしたのをモニターで確認して、尾室がふたたび命じた。 『撃ちかたやめ!』 ぴたりと止んだ銃撃が、そのまま合図となった。 アスファルトを強く蹴りつけて、G3-Xがアンノウンとの距離を一気に詰める。その掌中には、左上腕部のマウントからつかみとったコンバットナイフが握られている。 アギトが高く宙に身を躍らせたのも、またそれと同時だった。中空で背をまるめて回転をつける。ひろがる一瞬の波紋のなかで、その姿は目のさめる赤に彩られていた。炎の力をやどした右腕にはするどい片刃の剣、フレイムセイバー。 カウンターで迫る敵の爪を、G3-Xが身体の中心を軸に肩から回転する動きで避ける。 加速の勢いと装甲の重量とをすべて乗せ、逆手に持ったコンバットナイフをアンノウンの脇腹に突き刺した。左手でナイフの柄をむりやりに押しこんで、電流を帯びる刃をさらに深く食いこませる。ギギ、と呪詛の声が異形の口から洩れた。 いっぽうで、陽炎を纏わせる刃に左手をそえる姿勢のまま、アギトがもう一体のアンノウンのめのまえに着地していた。間をいれず鋭利な軌跡を曳いてフレイムセイバーの切っ先をななめうえにはしらせる。 とっさに後ろへ跳んだ動作と、胸のまえに出した右腕で、敵が致命をのがれた。 だが一瞬の間をおいて、ゴウッ、と火焔がその疵口に湧く。灼かれる痛みに、敵がさらに数歩うしろへ引いた。拡散した炎にまぎれ、グランドフォームへと戻ったアギトがさらにそこへ踏み込む。 ナイフから手を離したG3-Xが一歩左足をずらして体重をかけた。す、と右脚が宙に浮く。 「はあッ!!」 前のめりによろける敵の頭をめがけて、高くあがった蹴りがうちこまれた。 「フンッ!!」 その背後から、鋭い回転の後ろ回し蹴りをくらって、もう一体のアンノウンがこちらへふきとばされた。アギトとG3-Xのはざま、ひろくあいた空間に、二体の異形の位置がいれかわる。
498 :
415 :02/10/15 22:04 ID:fibWuT8V
『今だ、敵の動きを止めろ!』 状況を的確に読んだ尾室の声が、G5部隊に届いた。第一、第二小隊両隊長の判断は迅速だった。 「一小各機! GG-02アクティブ!」 「二小各機! GA-04アクティブ!」 第一小隊の三機が、それぞれ掌中の武器にグレネードユニットをとりつける。素早いポンプアクションで榴弾が薬室へ装填された。 「アンカー、射出!」 本橋の一声が響き、第二小隊三機が一斉に右腕に装着したアンカーユニットを放つ。ヒュン! とチタン製のワイヤーが孤をえがく軌跡で宙をよぎった。 撃ち出された勢いでそのまま敵の身体にぐるりと巻きつき、先端のフックが肉に直接くいこんで動きをとめる。北沢がたしかめるように右手をひくと、ぴんと張ったワイヤーごしに軽いてごたえが伝わってくる。 「ッら、遅れんな!」 雪が声をはりあげた。右肩のすぐそばに上向きに置いた左手で、グレネードユニットを装着したGMG-09のストックを支える。 やくざな言いかただったが、戸川と真船は慣れた様子で「ウィッス!!」と応じた。 「撃ぇッ!!」 独特のかまえから、雪が命をくだす。同時に全員が、グレネードユニットと連動させてあるトリガーを引ききっていた。 たてつづけに大きな爆発があり、アンノウンがその衝撃に数歩よろけてこうべを垂れた。 ざくりとアスファルトの道路に足裏をつけて、アギトがその眼前にたちはだかった。前方に伸ばした両腕をゆっくりと横にひろげてゆく。その足下に、黄金色にかがやくアギトの紋章がうかびあがる。鞘内におさめられた鋼刃をいまにもぬき晒さんとする、はりつめた静謐。 そして半身をひねって姿勢をひくく落とすアギトの、その横顔のむこう。G3-Xが、長銃身のガトリング砲をかかえあげていた。ズシャッ、とその重量を両手で支え、からんだワイヤーのせいで身動きのとれずにいるアンノウンへ銃口をむけた。
499 :
415 :02/10/15 22:05 ID:fibWuT8V
地にあらわれた紋章が、螺旋をえがいてアギトの両足に集束されてゆく。ロック・オンを報せるサインが、G3-Xのマルチスコープにあざやかに示される。 ふたりの戦士が並びたち、屹と異形を睨みすえた。 「!!」 とぎすまされた緊迫をうちやぶり、路面を蹴りつけてアギトが瞬時に高々と跳ねあがった。その隣でまっすぐに銃爪をひかれたGX-05が、低いモーター音を唸らせてドッと強烈な閃光を放った。そして。 「はあああ――――――――ッ!!」 吐き出した気合とともに、アギトが中空、伸ばした右脚で空〔くう〕を斬る。 一閃。 GX-05の凄まじいマズルフラッシュがぴたりと止み、その斜交いに、右手を伸ばした低い姿勢でアギトが着地する。 G3-Xがガトリング砲の銃口を上向け、アギトが重心をおとした姿勢のまま、吹き飛ばされた異形に背をむけた、その一瞬。 ――衝撃と地響きに続いて、地表を抉る爆発がおきた。 道路のまんなかにななめに停まるセドリックの傍らで、一条と杉田が燃えさかる火炎の影をみつめていた。 戦いの終焉をしめす炎。勝利のあかし。戦士の。 一条が口元を厳しくひきむすぶ。 あの日を境にふかすぎる眠りに陥っていたなにかが、ふたたび動きだしたような気がしていた。 あのときとおなじく、血の匂いをともないながら。 「…………」 押し黙る一条の横で、車内の無線から彼らを呼び出す音声が鳴った。助手席のドアを開けて、杉田がマイクを手にとった。 『笹山です! 一条さんの言ったとおりでした。三号の超音波を、こちらでキャッチしました』 「……何? じゃあまさか――」 『間違いありません。そちらに現れた黒い〈アギト〉は、未確認生命体第三号です!』 暗い灼熱の照らす貌で、一条が眼差しを下におとした。 やがて、静かに瞑目した。
500 :
415 :02/10/15 22:11 ID:fibWuT8V
一日遅れちゃいましたが、四話(後編)をお届けします。 前半の山場になるのかな。 494で何故か最初の二行が開いてますね。 ここは493のラストとつながります。
501 :
415 :02/10/15 22:13 ID:fibWuT8V
訂正。492のラストと、493の最初がつながるんでした。
>>500 GETおめ。
このスレもまだ半分と言うべきかあと半分というべきか・・・・・。
お疲れ!! ・・・しかしこのスレおもろいな〜
504 :
名無しより愛をこめて :02/10/16 00:25 ID:6UajqcWc
ゴオマキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
ゴオマ…ボス敵?の、一体か…大出世だなぁ。
506 :
名無しより愛をこめて :02/10/17 16:46 ID:ImjF4fCf
こんなに強くてカコイイゴオマなんてゴオマじゃない・・・ウワアアアン と言いつつageてみる。
507 :
名無しより愛をこめて :02/10/19 19:04 ID:MLPFJ/4Q
強魔大人気age。
508 :
名無しより愛をこめて :02/10/20 19:45 ID:TyhElqbL
まちどおしいな〜。
509 :
415 :02/10/21 20:01 ID:zx4LbhRJ
「悪かったな。世話になった」 都内でも有数の総合病院前。路肩に停めてあるホンダXR250のステアに手をかけて、涼が言った。 翔一が、彼と目をあわせて笑った。 「いやー、たいしたことなくて良かったですよ。倒れてる葦原さん見たときは、ほんとびっくりしましたもん」 「不覚を取った」 「ですよねー。葦原さんがそう簡単に負けるわけないですし。でもたしかにあのアンノウン、相当強かったからなあ。あれがまた、やたらうたれづよくって」 「……『アンノウン』?」 眉をひそめて、涼が訊きかえす。翔一がまばたきをした。 「はい。アンノウンですよね、あれ?」 「…………」 「葦原さん?」 翔一がよびかける。視線をおとして黙考したまま、ふと、涼が鋭い顔つきで、つぶやいた。 「俺が見たのは、人間だ」 え? と翔一が反問するが、それ以上返る言葉はなかった。 無言でバイクに跨り、涼はエンジンを始動させる。ステアに下げてあったオフロードヘルメットをとりあげ、両手のなかでくるりと回した。 「――…津上」 前をみつめたまま、呼んだ。 「はい?」 「……俺も、どう言えばいいのかわからない。ただ、……」 唇をひきしめ、用心ぶかく言葉をさぐるように、言った。 「気をつけてくれ」 「はあ……」 よくわからずに曖昧に答える翔一を、かぶったヘルメットのバイザーごしに涼が見る。ふっと洩らしたわずかな苦笑はフルフェイスにさえぎられ、細めた眼がうかがえるのみだった。 「いや。いいんだ、気にするな。余計なことだったな。おまえには」 やはりのみこめずにいる翔一に、じゃあな、と声をかけて涼はバイクを発進させた。
510 :
415 :02/10/21 20:03 ID:zx4LbhRJ
陽がしずむ。 高く都心をみおろす警視庁庁舎の内側、外界を遮る窓のそとに、晩照をみる。 瀟洒な印象の渡り廊下が、赤く照らされていた。 「――つまり」 西の空を色濃く染める残火からまなざしをはずして、一条薫が俯きぎみに言った。 「未確認の行動を阻害する存在があると、きみは言うのか」 「ええ」 彼のかたわらに立つ男が、うなずいて答えた。一条の、整った造作の横顔をまっすぐに見ていた。 北條透。 あらたに組まれた警視庁未確認生命体対策班へ、捜査一課から派遣された人材のひとりだった。 「未確認第三号の再出現から三日。都内各地ですでに三十体近い〈未確認生命体〉が目撃されています。 それらは、その形状から以前『ゲーム』と称して連続殺人を行っていたものと同種か、あるいはまったく同一のものと判断されているわけですが……だがそれが今回は複数で、しかも同時多発的に殺人を行っている。そこには何の法則性も見出せません。 G5ユニットも津上さんの協力のもと最善をつくしてはいますが、後手にまわっている感はいなめませんし、何よりこちらには圧倒的に手だてがすくない。 対未確認生命体用途限定の強化型高性能特殊炸裂弾――『神経断裂弾』でしたか。科警研の用意したぶんでは話にならないほど数がたりない。こちらとしても対策のとりようがかぎられてしまう。 にもかかわらず、結果的に被害は最小限に抑えられている。それは何故か」 淡々とした語調の説明を、北條はそこでいちど区切る。 そして唇にかすかに笑みをうかべて、つづけた。 「〈アンノウン〉の存在です。アンノウンが未確認の殺人を防止するために動いているであろうことは、すでに各地からの報告によりあきらかだ」 「理由は?」 みじかい問いを投げかける一条に、北條はさらに口元の笑みをつよくする。芝居がかった口調で答えた。 「未確認に襲われた人々は、みな慄えながら口をそろえてこう言う。『またなのか』、と」 「……どういう意味だ」 「私自身驚きましたよ。彼らの顔には見覚えがある。――去年一年間のあいだにアンノウンに襲われた被害者、そしてその血縁者。つまり、今回未確認が狙うのはどういうわけか〈アギト〉の因子を宿した人間なんですよ」
511 :
415 :02/10/21 20:04 ID:zx4LbhRJ
一拍の間をおいて、一条がその涼やかな双眸を北條へとむかわせた。窓のむこうをいちめんに彩る斜陽を映す、水気のある瞳が彼をとらえた。 間近にかさなった視線をたしかめるように、北條が沈黙をおいた。 「ならばアンノウンは、己の獲物をとられまいとして、未確認を殺してまわっていると?」 一条がたずねた。北條はかぶりを振る。 「アンノウンはいまだ、人間をひとりとして殺害していません。この事実は、今回の件におけるやつらの目的が『〈アギト〉の抹消』ではあり得ず、これがかつてとはまったく別の方向性を内包していることを意味しているはずだ。例の、『原因不明の高熱』については?」 「聞いている。この二週間ほどで、すでに数百人規模の人が症状を訴えているそうだな」 「すぐに千をこえるでしょう。都内の病院はその規模に関わらず、どこも対処に追われて飽和を起こしつつある。……いや、対処のしようがなくて困惑しているといったほうが正しい。なにしろ原因がまったくわからないのですから」 話のつながりが読めず、一条が顔をしかめる。かまわずに北條が先を進めた。 「しかしつい先ほど、津上さんを通じて彼の知り合いから面白い証言が得られましてね。この症状の原因に心当たりがある、というのですよ。 『自分が〈アギト〉に覚醒しはじめたころ、同じような症状をともなった』。証言の内容はこうです。念のため調べてみたところ、昨年のアンノウン事件の被害者とその血縁者は、そのほとんどが症状を自覚していました。 今この時期に一度に覚醒が起こっている理由については不明ですが、もちろん、未確認やアンノウン再出現との関連性は考慮すべきでしょう」 「だが未確認が襲っているのは昨年の事件の被害者のみなんだろう? 高熱の原因が〈アギト〉化にあるのだとして、なぜやつらが他の人間を狙わず、対象をそこへ絞っているのか。またどうやってそれほど正確に、対象を選定し得るのか。それについては?」
512 :
415 :02/10/21 20:09 ID:zx4LbhRJ
「たしかにもっともな疑問ではありますが、私にはそれほど重要なこととは思えません。むしろ重視すべきはやつらの目的が明白になったという事実だ。 かつてのアンノウンのように『〈アギト〉たる資格を持つもの』すべてを狙うのではなく、『かつてアンノウンに襲われた経験があり、そして今このとき〈アギト〉に覚醒しようとしているもの』のみを殺害の対象としている。 これだけはっきりと相手の目的がわかれば、策を練ることもたやすい。 私はこれから、このことを上層部へ報告するつもりです。一条警部はどうされますか?」 「……上申についてはきみにまかせる。俺はこれから城南大学での対策会議へ出席する予定だ」 「なるほど。その際は、今の私の話も考慮にいれていただくと――」 北條の科白はなかばでとぎられた。携帯電話の着信をつげる電子音が、渡り廊下に響いていた。 失礼、と前置きして、北條がスーツの内から電話をとりだす。液晶表示の『非通知』の文字にわずかに眉をひそめながら、耳元にひきあげた。だがすぐに、ふっとその表情がやわらいだ。 「ああ……あなたでしたか」 電話口に言った。 「いえ、少々意外だったものですから。……そういう意味ではありませんよ。口の悪さは相変わらずだ。私もあなたの声が聞きたいと思っていたところです。嬉しいですよ、素直にね」 会話をさまたげぬよう、一条が静かに視線を窓のそとへ戻す。 地を灼く朱光が暮れてゆく。ゆっくりと。しずけさをたずさえて、闇がすぐ間近へとちかづいていた。 あからかな残響に、刺されるいたみをおぼえてごくわずか、瞳を細めた。赫い陽に。 迎える夜に。
513 :
415 :02/10/21 20:35 ID:zx4LbhRJ
第五話(前編)をおとどけします。
ちょっと週一ペースがつらくなってきたかも……
まあ今回は急遽ここで出演の決まった北條さんの、もってまわった言い回しの説明をくどくど考えてたので、
それに時間とられたのもあるんですが。
後編は、来週頭になると思います。そして、その後は少しだけ休みをもらうつもりです。
プロットもきちんと最後まで練り直さないといけないので。
>>502 あ、ほんとだ。500ですね。
ちょっと嬉しいです。
私の物語も次で節目(の予定)です。
最後までつきあっていただけると、幸いです。
>>503 ありがとうございます。
他のスレでもここの話題が出てたりして、あらためて9さんの偉大さを痛感させられたりしてます。
その半分でも、私にもエンタテインができてるといいなと思う、今日このごろです。
514 :
415 :02/10/21 20:38 ID:zx4LbhRJ
>>504-507 なんかゴオマくん人気ありますね。(笑)
ただ自分で言うのもなんなんですが、今回のギルス・ゴオマ・グ(勝手に命名)は、
どっちかというと「ダークウィングと契約したギルス」のような気もしないでもないです……
ファイナルベントしてたし。(ボソ)
>>508 おまたせしてすいません。
なのに短くてすいません……。
とりあえず、北條さんのせいにしておいてください。
……いや、好きなんですけどね、北條さん。
お疲れ!! 次もよろしく〜
516 :
名無しより愛をこめて :02/10/23 08:46 ID:mCfIHUgm
乙です! ところで「GMG-09」のMGって「マシンガン」のMGなんかな。 GM-01もそうじゃなかったっけ?
517 :
名無しより愛をこめて :02/10/25 00:34 ID:2/iWdeV8
びっくり。下に行き過ぎっす。あと、4・5日の辛抱か〜。
415さんの戦闘シーンも立体で見てみたい
519 :
名無しより愛をこめて :02/10/26 21:32 ID:37KHzyvi
下がりすぎage
520 :
名無しより愛をこめて :02/10/26 21:33 ID:K10qnwJr
うんこ
保守sage
同じく保守sage。
523 :
名無しより愛をこめて :02/10/29 21:13 ID:4zsay9QS
そろそろでしょうか。お待ちしております。
524 :
415 :02/10/30 22:38 ID:YRoVBvXv
おまたせして大変申し訳ありません……。 ちょっと不測の事態がかさなって、執筆が遅れています。 明日か、遅くとも明後日には貼れると思いますので、 もう少しだけ待っていていただけると幸いです。 そのかわりと言うわけではないですが、 それなりにボリュームのあるものができそうですので、その点は期待していてください。 ……問題は質がともなうのかどうかなんですが。(汗) それでは、ご報告まで。
>>524 締め切りがある訳じゃないんだから、自分が納得できるまで出さなきゃいい
保守してる人が多いことだし気楽に書いてくださいな
525と同意見。あわてずに〜
527 :
523又は全裸士郎。 :02/10/31 18:19 ID:8wQxd8ba
528 :
415 :02/11/01 23:44 ID:hKALCZQC
「ええ。それは何とかなると思います。あとで尾室さんとも相談してみて……はい。じゃあ、そちらも風邪など気をつけて。ロンドンは寒いと聞いていますから。……はは、そうですね」 では、と短い挨拶で会話を結んで、氷川が携帯電話を耳元からおろした。その場に揃う面々に向きなおって、かるく頭をさげる。 「すいません。会議を中断させてしまって」 「いや」 一条が答えた。 古い木製の楕円形テーブルに、細い指をくみあわせて置く。 城南大学考古学研究室。そのあるじを反映してか、資料が散乱しながらもどこかおちついた雰囲気の室内は、今は暮れた日の残影につつまれて暗い。 あけはなたれた窓は濃藍の夜空が染めていた。ときおり吹きこむ熱を持った風に、レースのカーテンが揺られる。 「では、続けましょうか」 一条の言葉に、皆がうなずいて応える。 彼のほかには、沢渡桜子、榎田ひかり、そして激務に追われる尾室隆弘に代わって氷川誠が、今回の対策会議の出席者だった。 「今回の未確認出現に際して、碑文に記された古代文字の再解析を試みたんですけど、……結局、これといった収穫はありませんでした」 「未確認――〈グロンギ〉が一度倒されたにもかかわらずまた蘇る、そういった点に関しても何も記されていないのですか?」 神妙な面持ちで報告する桜子に、一条が尋ねる。 「はい。ただ、碑文には〈グロンギ〉を『倒す』、『殺す』、といった表現はいっさい使われていません。必ず、『封印する』、『封じる』、そういうふうに書かれているんです。ですから……」 「いつその『封印』が解かれてもおかしくないということか……」 「でもさあ、具体的にその『封印』ってのはどんなシステムなわけ? たとえば三号なんかは、死体もきっちり残ってるんでしょ?」 桜子の隣から、榎田が眼鏡の奥の瞳をむけた。桜子が小さく首を横に振る。 「想像もつきません。もちろん、いままでどおり科学的にも説明のつくものだとは思いますけど」 「ふうん……」 つぶやいた榎田の声と同時に、二度、扉をノックする音がした。どうぞ、と桜子が声を返した。 扉のすきまから顔を出したのは、沢木哲也――津上翔一だった。 「津上さん」 氷川がかすかに笑顔になって呼んだ。 頭を低くさげて、翔一は遠慮ぶかげに部屋へと足を踏みいれる。
529 :
415 :02/11/01 23:48 ID:hKALCZQC
「失礼します……あの、遅れてすみません、津上――」 翔一、と名乗りかけて彼はふと眉根をよせた。それから氷川をかるく睨んで、 「じゃないですってば氷川さん」 憮然とそう言う。 だが氷川たちがあいかわらず彼を『津上翔一』の名で呼ぶのは、べつだん今にはじまったことではない。納得のいかない顔で「僕ですか?」と自分を指さして、氷川が首をかしげた。 「えーっと、沢木哲也です」 「ああ。友人のほうは?」 「はい。なんか怪我はたいしたことないらしいです。ちょっと元気がなくて無愛想でしたけど、まあいつものことですから」 自分の隣の椅子を引きながらたずねる一条に、翔一はハハハと笑って答える。誘われるままに腰をおろした。 氷川がさらに複雑な表情をそこへ向けた。「いつものこと」で済まされる葦原涼のあつかいに、内心同情をしていた。 「話をつづけよう」 一条がきりだした。クリップでまとめられた手元の資料に眼を落とし、指先でめくって続ける。 「沢木君の証言によると、『黒い〈アギト〉』が彼の〈変身〉したアギトを追跡せしめたのは、『金色に光る巨大な虫のような物体』の飛行能力によるところが大きい。そうだな?」 「はい」 翔一が首肯する。 「榎田さん」 一条のよびかけに、榎田が神妙な面持ちでうなずいた。持っていた資料をテーブルの上へぱさりと落とし、椅子の背もたれに体重をあずける。天を仰いだまま、一度、深く息を吐いた。 「当然、どう考えても〈ゴウラム〉のことよね。うん」 独白のように言ってから、正面へ向き直った。 「で、そのゴウラムは未だ科警研〔うち〕で預かってるわけだけど、……石になったまま、何の反応も示さなくなっちゃってるのね。今までは石に戻っても、アマダムからわずかに何らかの反応があったんだけど、今はそれも途絶えてる。 この二週間いろいろ試してみたけど、あたしもジャンも出した結論は一緒。――つまり、あれはもう〈ゴウラム〉じゃないのよ」
530 :
415 :02/11/01 23:51 ID:hKALCZQC
「……観念的にそうであったとしても、理屈としてどういうことなのか、よく、のみこめないのですが」 慎重な思索のすえに、一条が問いを投げかける。 「ゴウラムの機能が完全にうしなわれ、ただの瓦礫へ戻ったと、そう単純に考えていいのでしょうか」 「そうね。とどのつまりはそういうことだわ。ただ問題なのは何故そうなったのか、どういう経緯でそうなったのか、そのこと。 〈ゴウラム〉っていうのは、アマダムを中心として特殊な処理をほどこされた石が寄り集まってできてるのね。そこへさらにさまざまな金属が無理矢理合成されて形成されてる。要するにゴウラムをゴウラムたらしめてるのはアマダムってことなの。 アマダムのなかにはおそらく、ゴウラムをかたちづくるためのプログラムが詰まっているはずだわ。そして、もしそのプログラムをそっくりどこかへ移植することができるなら…… そう、光だけで構成された〈ゴウラム〉が生まれても不思議はないし、ついでに『凄まじき戦士』があらわれたときに発動するプロテクト――砂になって崩れさるっていう例のあれね。それも意味をなさなくなる」 「…………」 嶮しく眼をこらし、一条がわずかに歯噛みをするのを、めざとく榎田は察している。だが今は、事実を告げるほかに成せることがないのだと、よくわかっていた。うつむいて、レンズの内側で瞳を閉じる。 「ゴウラムを『盗んだ』のが、『彼』だっていう証拠はないわ。でも、今ゴウラムは彼のもとに居る。それはたぶん、間違いないと思う……」
531 :
415 :02/11/01 23:53 ID:hKALCZQC
「――…でも、……」 桜子が、辛い表情を隠せずに顔をあげて口をひらいた。 「じゃあ、なんで? どうして――」 「桜子ちゃん」 言いかけた科白を、榎田が遮った。静かに。 声をつまらせ、桜子がうつむいて視線をおとす。 「今われわれは、ひとりでも多くの命をすくうことを考えたい。そのために……」 一条がつぶやいた。 「まだあきらめるわけにはいかない。榎田さん、あなたの推測にはひとつ大きな過ちがある。プロテクトが意味をなさなくなるからと言って、それが即『黒き瞳の凄まじき戦士』、その発現に繋がっているとはかぎらないということです。 アマダムの力をもちいて、『黒い〈アギト〉』が沢木君の怪我を治癒させた可能性もまだ捨てきれていない。今、まずはじめにわれわれがしなければならないこと、それは」 その場にいる全員が、決然と告げる彼をじっとみつめた。一条がまっすぐに前をみて、そうしてつづけた。 苦いなにかを噛みころす声音で。 まよわぬように。そのための、証のように。 「あきらめないということだ。ほかでもない、あいつ自身が培ってきたものを」 「うん」 榎田が素直にそう答えた。 「期待をするということだわ。彼に。……そうね、そうよ。うん。大事大事」 胸に手をあてて何度もうなずく彼女の様子に、桜子が少し笑う。そうですね、と小声で言った。 それまで黙って話の推移を見守っていた翔一が、ふと口をひらいた。 「信じるってことですよね、それって。なんとなくわかります。おれ、たとえばみなさんの間の絆とか、そういうのは想像しかできませんけど……でも、おれも一緒になって信じたいと思います。すごくそう思います。 ……なんかあんな大ケガさせられて、こんなこと言うのもばかみたいですけど、それはそれです」 言いながら、微量な苦笑をうかべる。氷川も知らず、そこに笑みを向けていた。 そして、と翔一は言葉をつなげた。たしかめるように、自分のてのひらを見つめていた。 「――そして、信じたいものをちゃんと信じられる、そういうみんなの居場所を守るのが、今のおれの役目なんだ」
532 :
415 :02/11/02 00:16 ID:98MJHXUD
たいへんながらくお待たせしました。 第五話(後編)あらため第六話(前編)です。 こまぎれにしちゃってすみません。 この先の部分は、もう少し煮詰めてから貼りたいので、明日か明後日になると思います。 そして。 暖かいお言葉をくれた方々、本当にありがとうございます。 申告していたにもかかわらず遅れていたので焦ってたんですが、 逆にこんな励ましをもらえてしまって、嬉しいやら恥ずかしいやら……。(汗) これからもご迷惑おかけすることになると思いますが、よろしくおつきあいください。
おつかれ〜!! まーそう焦らずに〜
534 :
名無しより愛をこめて :02/11/02 00:40 ID:EZ7LQX8s
いや〜やっぱりいいっすよ。うん。
535 :
名無しより愛をこめて :02/11/03 21:58 ID:tsJXXMCP
期待age。
536 :
415 :02/11/04 00:44 ID:SEqrsA7H
「北條君」 呼びかける声音を、北條は片眉をしかめて聴いた。 会議室に添えつけられたテーブルをはさんで、幹部職員三人と対峙する。 報告はとどこおりなく終えられていた。具体的な対策案もパターンごとに数例を提示し、その内容は申しぶんないものであったはずだ。 しかし眉間に指をあてて次の言葉を模索する幹部たちのその反応は、北條の期待していたものとは大きく違っていた。 「今きみの述べた推論がおおむね正しいことは、私が認めよう」 中央に座する男が、重々しく口を開いた。 「きみの描いた筋書は立派なものだ。だが残念ながら、われわれはすでにこの舞台からは降ろされた。演じてみせるのはもはやわれら警察ではないのだ」 「――――」 言葉の意味を正しくうけとめるのに時間が要った。遠慮なく、北條はさらに顔をしかめていた。だが、 「……まさか……」 ゆっくりと、明白にひらけてゆく思考に、瞠目した。掠れた声を絞り出した。目前に座る三人が黙ってそれを見る。返る声はなかった。 窓の外、闇にのまれる天涯の景色から赤熱のライトの光がまぎれこみ、北條の頬を鋭くよぎった。ワッとおしよせるように、きこえるはずのない外界の喧騒が耳朶にひろがる。 不意にボリュームをあげて、ざらついたクラクションの音色が鳴りひびいた。
537 :
415 :02/11/04 00:45 ID:SEqrsA7H
ざんッ、と。 四方をかこむ投光器の鮮烈な光に照らされ、装甲車輌の列をはさんで屹立するG型強化装甲服の甚大な群れが、異様な輪郭を浮かびあがらせていた。 数百にもおよぼうかというその装甲の色は、どれもみな寸分たがわず夜闇にとけこむ黒。微塵の乱れもゆるさぬ均整で、くろぐろとした岩塊をいくつも形成し、厳然とならび立つ。 あおざめた光を醸し、幾百対のスコープ・アイがぞろりと並ぶ。それは、見るものの戦慄を呼びおこす光景だった。
538 :
415 :02/11/04 00:46 ID:SEqrsA7H
携帯電話が鳴った。 どこかそれが何かの兆しであるような気分で、一条は部屋にひびく着信音を聴く。 「一条です。――杉田さん。今……は、城南大学の研究室ですが。テレビですか?」 怪訝に訊きかえして、傍らに座る桜子の顔をうかがった。気づいて彼女が、自分のデスクへリモコンをとりに駆ける。 ふっと頬をかすめる微細な気配に、翔一が窓へ眼差しを移していた。眼をほそめた。それをみてとり、氷川が遅れて外を見た。赤く煌めく光が、視界のはしに見えた気がした。 「ちょっと待ってください、あの、杉田さん、いったい何の――。…………」 尋ねる科白を半ばでとぎれさせたきり、一条の声は不自然にそこで止まる。息をのむ気配に、皆が彼へ視線をむけた。 空白ののちに、つぶやいた。 「……なんですって?」 『番組の途中ですが、これから緊急放送をお送りします。ご注目ください』 新宿区。 雑多な灯りに埋もれたビルの側面、設置された大型画面のなか、ちらちらとこまかな粒子にかたちづくられた女性アナウンサーが、緊張した面持ちで視聴者へよびかける。いったい何事がはじまるのかと、街頭をあるくひとびとが足を止めた。 『この番組は、NHKのテレビ、ラジオをはじめ、民放各局のテレビ、ラジオのチャンネルでも放送しています――』 がたりと椅子を鳴らして、涼が立ちあがった。 奥歯を噛みあわせ、厳しい表情で部屋の隅に置かれたテレビ画面を見つめる。 『繰り返しおつたえします。政府はさきほど行われた緊急閣議において、一連の未確認生命体関連事件に対し、一般の警察力をもっては治安を維持するのが困難であると判断し、陸上自衛隊の一部部隊の出動を……定し……発表……』 不意に暗闇がおとずれた。視界が昏くとざされていた。つたわる音声もきれぎれとなって意味がつかめない。 怪訝に眉をひそめる暇もなく、次の瞬間には裡がわから後頭部を撃つような衝撃が涼を襲っていた。 「!! ク……!」 とっさに机の上に片肘をぶつけ、上体の重みをささえる。左手で頚のうしろを押さえた。 倒れこむように椅子に腰を戻し、にぶい疼痛に苛まれる両眼をきつく閉ざす。 「くそッ!!」 机上の右腕に乱暴に頭をうずめて、呪わしげに吐き出した。
539 :
415 :02/11/04 00:48 ID:SEqrsA7H
「なんだってこんな時に……!」 頭蓋をゆさぶる眩暈と急激な墜落感。 無意識に、何かを掴むように左の腕を前方に伸ばし、――そして、涼の意識はぶつりとそこでとぎれた。 『まもなく首相官邸において、緊急記者会見がおこなわれます。このままもうしばらくお待ちください。――あ、今、猪上内閣官房長官が会見室に入ってきたようです』 「はじまりますよ!」 桜井剛が後方に顔をむけて呼ばわった。 警視庁庁舎、未確認生命体対策班捜査本部内のモニターでは、画面がきりかわり、首相官邸一階の記者会見室の様子が映しだされたところだった。 杉田守道、笹山望見をはじめとする対策班の面々が、あわてた動きでよりあつまってモニターを注視する。 『エ、よろしいですか』 原稿用紙を手渡された内閣官房長官が、目前に居ならぶ記者団にむけて尋ねる。間をおいて、しわがれた声で用意された原稿を読みあげはじめた。 『えー、政府は先ほどの緊急閣議で、一連の、未確認生命体関連事件に対し、これがもはや一般の警察力をもって対応しうるものではなく、現在の状況では治安を維持することが、困難であるとの判断にもとづき、自衛隊の一部部隊に出動を命令いたしました。 内閣総理大臣は、自衛隊法第七十八条に規定されている、『命令による治安出動』を防衛庁長官に対し発令し――』 『これを受けて、防衛庁長官は、ただちに各部隊に――』 「真魚姉、はやく!」 下から急かす声に呼ばれて、風谷真魚がばたばたと一階リビングへの階段を降りた。パジャマのうえに薄いカーディガンを羽織った格好で、フローリングのつめたい床に裸足がふれる。 「真魚姉……」 おなじくパジャマ姿の美杉太一が、常の勝気さを消しさって、不安げな瞳を彼女へむけていた。子供にしか感じとることのできない、得体のしれないそんな何かにおびえて、ぎゅっと唇を噛みしめていた。 何も言わずに、真魚がその小さな身体を片手で優しくひきよせる。 そして、呆然とリビングのソファから腰を浮かせて固まる美杉義彦の視線を追って、テレビの画面を見やった。
540 :
415 :02/11/04 00:49 ID:SEqrsA7H
『繰り返しおつたえしていますとおり、政府はさきほど行われた緊急閣議において、一連の未確認生命体関連事件に対し、一般の警察力をもっては治安を維持するのが困難であると判断し、陸上自衛隊の一部部隊の出動を決定したと発表しました……』 『自衛隊の部隊の移動、必要な物資の輸送にともない、都心の道路では大規模な交通規制が行われています。車での移動はできるだけ控え、鉄道、バスなどの公共機関をご利用ください』 渋谷駅前の交差点。 高く伸びるビルの壁面に投影された巨大な顔が、延々と話をつづけていた。 すきまなく並ぶ建造物が、電気仕掛けの光で夜を照らしている。狭くぎざぎざに切りとられた暗い空を、赤く点滅する何かが飛んでいった。 「ねェ、ニッポンてさー、戦争ってしないんじゃなかったの?」 「えー? ていうか戦争じゃないんじゃないー? ミカクニンが相手なんでしょ?」 だらしなく着くずした学校の制服姿で、少女たちが言いあった。 友人の答えに、尋ねたほうはフーン、とあいづちをうつ。とりあえずそれで納得したらしかった。そのままふたりで信号を渡っていった。 だが彼女たちの通りすぎるそのむこう、流れる人の波にまぎれず、大型ビジョンをみつめる女の姿があった。 黒色のスリップドレスを纏い、いまだ熱を孕む夜気に肩をさらす。なめらかな膚ざわりの長手袋に覆われた両腕を、細い肢体のまえでかさねあわせていた。 真紅に彩られた美麗な唇をひらき、かすかな吐息を混じらせてつぶやいた。 「愚かな……」 女の声は誰にききとがめられることもなく、ひややかに響く。 その額には、白く玲瓏と、薔薇の花弁をかたどったしるしが刻まれていた。
541 :
415 :02/11/04 00:51 ID:SEqrsA7H
回線ごしにつぎつぎととびだす悪口雑言に、尾室隆弘はその内容でなくまず声のボリュームに圧倒されて携帯電話を五十センチほど顔から離した。渋面をつくって反対がわの掌で片耳をおさえる。 「そんな怒鳴んないでくださいよ! 僕だって今の今まで知らなかったんですからっ。……そうですよ。僕だけじゃなく、北條さんや一条警部だって知らなかったと思いますよ。 こっちだって冗談じゃないですよ。上の勝手な都合で出る幕追い出されたあげく、明日にでも強制武装解除だって言うじゃないですか。やってられませんよ。最悪ですよ。横暴ですよ。せっかくこれから僕の育てたG5ユニットが大活躍するところだったっていうのに。 え? そりゃ文句のひとつも言いたくなりますよ。やりくちが隠顕ですよ詐欺ですよ!」 しだいに言っていることが無茶苦茶になってくる尾室に、相手の声もいつのまにか彼をなだめる調子へきりかわっていた。 三秒間の沈黙ののちに、尾室ががっくりと首を倒してためいきを吐いた。 「わかってますよ、どうせ僕に活躍の機会なんてあるわけないんですよ。いっつもいっつもいいとこはみんな小沢さんとか氷川さんとか津上さんとか葦原さんとか北條さんとかあと小沢さんとかに持っていかれるんですよ。 ……僕いまなんかマズいこと言いました? は? いえあの、そういうつもりじゃ……ええ!?」 まるめていた背すじを急にのばして、尾室が顔を跳ねあげた。携帯電話に両手を添え、声をひそめて訊いた。 「いや、でもそんな……ほ、本気ですか?」 おもくるしく、ぬばたまの夜が遙かに震撼をしていた。 道路のうねりに沿って、装甲車輌の長大な隊列がアスファルトを轟然とうごめき這い進む。 G5ユニット施設棟の正面にかかる高架上を、遠景に建つ高層ビルをよこぎって、回転灯の赤い光が等間隔につらなり通過する。 地を噛む履帯の、大気をゆりおこす鳴動がここまで届いているような錯覚を、岬一砂はおぼえていた。 「なんか見えるか?」 横ざまから声がかけられた。 開けた窓につきだした暗視双眼鏡から、岬はいちど両眼を離して首をめぐらせる。声の主を確かめた。 「俺にもちょっと見せろって」 「おい……」
542 :
415 :02/11/04 00:52 ID:SEqrsA7H
きやすい語調で言って、北沢敦志が岬の胸元へ腕を伸ばした。止める暇もなく、双眼鏡は彼の手にわたっている。 首にかけていたストラップがぴんと張り、岬はよろける形で一歩横へ移動した。不意に近まった距離に眉根をよせ、じろりと北沢を睨みつけて声をあげた。 「寄るな!」 「いや寄ってきたのそっちじゃん」 暗視双眼鏡をのぞきこんだまま、北沢がしれっと返す。 いまいましく顔をそらして、岬はストラップを首からはずそうと手をかけた。しかしその動作も、勢いよく身をのりだした北沢の一声によってはばまれた。 「うおッ!?」 反射的に、岬も高架線上へ視線を向けている。だがここからでは赤光の列線しか確認できない。しかたなく、北沢へたずねる。 「なにが見える」 「ウソだろ? あの横についてるの、ミサイルじゃねーのか!?」 「何? ――貸せ」 北沢の手から半ばむりやりに双眼鏡をとりもどし、岬がふたたびレンズごしの光景を眼にいれた。 緑がかったディスプレイのなか、変動する数値に重ねて、装甲車輌の群れがうつしだされる。ざっと左右へ視界を滑らせて、列の後方、大型砲塔を搭載した重装甲車をレンズにおさめた。 たしかにその右側面にマウントされているのは、おそらくはG型強化装甲服携行用の、四連装ミサイルランチャー。接眼レンズを覗いたままで、岬がさらりと呟いた。 「巡航ミサイルか。まあGシステムの管制下なんだ。周囲の被害は最小限でとどまるだろうさ」 「……オイ」 がくりと肩を下げて北沢が、「何か違うだろ!?」と呻いた。 「装甲車から顔をのぞかせてるGシステムが抱えているあの大砲、形は対戦車ライフルのようだが……口径は二十五ミリ程度か。この調子だと高性能炸裂弾を吐き出す自動小銃はもちろん、重機関銃あたりは全機標準装備していそうだ」 「…………全員がGX-05やGXランチャー掲げて街を闊歩するよーなモンか。――誰だよそんなバカげた武装許可したの!?」 「俺に訊くな」 突然に声のトーンをあげて喚いた北沢をすげなくあしらい、岬は双眼鏡からはずした肉眼で、遠くのビル窓から眩しく洩れる、いくつもの四角い誘蛾灯をみつめている。明滅する赤い光が異物のようにその中をわたる。
543 :
415 :02/11/04 00:54 ID:SEqrsA7H
「いや、っていうかとりあえず俺はこんなズラーッとGシステムが並んでることのがコエーよ。なんなんだよアレ」 奥歯に苦虫を噛みしめた顔の北沢を一瞥して、岬がもういちど、どろどろと流れる車輌の隊列を眺めた。 彼の言うことはもっともだった。少し考えれば誰にでもわかる。つじつまがあわないのだ、この異常な量産体制は……。 「……『真実』からは、俺たちはひどく遠い」 前をむいたまま、岬は誰にともなくひとりごちる。 「陸自のプロジェクトは、俺たちが思っているよりもずっと早期から開始されていたのかもしれない。噂されているデータ強奪事件のすぐ後、いや、あるいはもっと以前から……」 「あなたね……」 さすがに心底呆れた様子で、水野詩織がつぶやいた。 気がつけば、救護室のベッドはもぬけのからだった。散らかしっぱなしの包帯をほうりだして、そこに寝ていたはずの人物はどこかへ消えていた。さんざん探しまわってたどりついた場所は、例によって棟の屋上。だが。 「まだ熱があるんでしょう? よくこんなところまで来られたものだわね。いっそ感心するわ」 「だろ?」 添えつけられたフェンスに後ろ手をからませて、宮瀬雪がぬるく湿った夜風を浴びていた。煙草を銜えた唇に稚気のある笑みをのせた。詩織がさらに呆れる。 「もうここまでくると、あらためて指摘するのも憚られるわね」 「何が」 「あなたの馬鹿さ加減よ」 「……言ってんじゃんおもきし」 「黙って」 小さく囁いて、詩織が右のてのひらを雪の前髪のなかへ差しいれた。 「あァくそ際限なくばかばか言うしな、馬鹿っていうほうが馬鹿だってオヤから教わらなかったか?」 ぶつぶつと文句をこぼしつつ、雪は視線をそらして口元の煙草へ指を添える。それでも額にあてられたつめたい掌を、振りはらうことはしなかった。 「まだ、だいぶ熱いわ」 「寝んの飽きマシタ」 「馬鹿。だいたいその怪我だって私のミスが原因なのに、意地張って司令官には自分の責任だなんて言いはるし……ああもう、やっぱりどうしようもない馬鹿よあなた」 「で?」 フェンスに体重をあずけて、やや低い位置から雪が上目に見あげて訊いた。詩織が溜め息をついた。
544 :
415 :02/11/04 00:55 ID:SEqrsA7H
「……さっき、正式な武装解除命令が出たわ」 声音を低めて言う。 「執行は明正午。本庁警備部から武装解除執行班が出動してこれにあたる。警視庁未確認対策部特殊機甲中隊は武装解除の後、その機能を大幅に縮小したうえで、同日付をもって現未確認対策班に統合。 以後も未確認生命体、およびアンノウンへの警戒を強めつつ、各自職務に励め」 淡々と述べたのち、「だそうよ」と、他人ごとのようにつけたした。 「あ、そ」 そっけない返事を吐きだしておいて、雪は煙草を挿んだままの指先で乱暴に自分の眼鏡を抜きさった。夜の高みへ、晒された双眼をむかわせた。 「――――」 轟音とともに、まきあげられた風が頬を叩いた。暗く厚い雲にふさがれた闇空を、輸送ヘリコプターの編隊が擦過する。 夜陰に赤くともる航空灯が、明滅をくりかえして渡り過ぎていった。
545 :
415 :02/11/04 01:00 ID:SEqrsA7H
かんだかいホイッスルの音色が、鋭く、熱をもつ大気を切った。 市ヶ谷、新木場をはじめとする都内各地のヘリポートでは、偵察ヘリの誘導を受けて、タンデムローターの大型輸送ヘリがつぎつぎに緊急着陸をおこなっていた。 あけはなったヘリの後方ハッチから、重い足音をひびかせて、黒い強化装甲服の隊列がざらざらと駆けおりる。不安定に左右に揺れるサーチライトが、左肩のマーキングを照らしだす。 『G4-A』。 ――夏の夜は短い。 深い静寂〔しじま〕をうちくべる、熾炎の熱を帯び。 さまたげるすべもなく嚆矢は、すでに、もう、放たれている。 神の所業でも悪魔の為業でもなく、それをなすのは。 ひとの手だ。 to be continued. <SIGN> ネオンの海原を渡るスカウトヘリの外部灯火が、まばゆい電光にまぎれて消えた。 都心の夜空にあかあかと浮きたつのは、華やかにライトアップをされ、するどくそびえる鉄塔。 東京タワー。 「『究極の闇』……。うまく表現したものだね、かれらも」 ゆきすぎる強風とローター音をやりすごし、つぶやく声があった。 黒色のシンプルな上下に身をつつんだ、まだおさない子供だった。地上二百五十メートルの高層、特別展望台の屋根のうえに、ひるむ様子もなく立っていた。 稚いしぐさで天を仰ぎ、白磁にみがかれた皮膚に虚ろな熱の残滓をうける。 うつくしい少年だった。 彼の周りをとりかこむどんなものとも決してまじわることなく、うきあがる輪郭にはかすかな燐光すらしょうじていた。 少年はそして、ゆるやかな動作でうしろをふりかえる。もうひとり、このはるかな高みにたたずむ人影を見た。 若い男が、星のない天の涯を、深く何かをさぐる顔つきでみつめていた。 「きみは、この空になにを見る?」 少年がたずねた。 だが。 幽闇の空にじっと細めた双眼をむけたまま、五代雄介は答えない。
546 :
415 :02/11/04 01:11 ID:SEqrsA7H
お待たせしました。第六話をおとどけします。
なんだか全力疾走した後のような気分です。……まだ先は長いのに。(苦笑)
とりあえずは、以前書いたとおり少しだけお休みをいただきます。
次回がいつになるか、はっきりとはいえませんが、なるべく早く戻りたいと思います。
それまで、気長に待っていていただけると嬉しいです。
>>516 おっしゃる通り、マシンガンのMGです。
このへんは私も少し迷ったんですよね。GM-01ってハンドマシンガンなのに、劇中で一度もフルオート射撃を行っていないので……
だからGMG-09は、兵器としてのポジションも、ついでにデザインも、実銃のFN・P-90を想像してもらえるといいと思います。
アサルトライフルとサブマシンガンの中間的な位置にある銃なんですが、これだったらGM-01に対するアドバンテージも得られると思うので。
ちなみにMでないのは、GM-09だと口頭でGM-01との区別がつきにくいから、という設定にしてあります。
……なんか長くなっちゃいましたが、もし興味ない話でしたらすみません。(汗)
547 :
415 :02/11/04 01:18 ID:SEqrsA7H
>>518 うわ。
もしそんなことをしてくれる人があらわれたら、拝んじゃいますよ私?(笑)
でもいかんせん戦闘シーン少ないですね。反省。
関係ないですけど、戦闘シーンって、書いてるだけなのに何故か体力つかいます。
>>533-534 あ、ありがとうございます……。
こういうひとことをもらえるのが、すごい嬉しいです。
少し間をあけますが、頑張りますんで、よろしくお願いします。
548 :
名無しより愛をこめて :02/11/04 08:17 ID:FeY/vhLw
今読ませていただきました。もう次が気になってしょうがないです。 でも待ちます。 お体に気をつけて 次回作をお書き下さい。 最後に「でた〜っ!!」
御疲れ〜〜〜!!! 「キタ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」 次回も期待してます〜〜〜。
ageます!
551 :
名無しより愛をこめて :02/11/04 10:54 ID:15YltIPJ
ageてなかったYO・・・・・
アレもコレもキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!! G4軍団キタ━━━━━━( ゚д゚)━━━━━━━??!!!
人狼キター----!! ケルベロスキター----!! 手足をもがれた未確認対策特機中隊はどう動く!? 首都封鎖来るかー 燃 え て 待 ち ま す
押井魔テイストが感じられますな(やっぱP2が頭に浮かんだ) 乙カレー様&気長に次回を待ってます
「バカヤロー!! モタモタすんなーぁッ! サボってる奴ァ東京湾にブチ込むぞッ!!」 「中屋敷のおやっさん…」 すみません…妄想でした…
乙です〜怒涛の展開ですな 尾室とG5ユニットが良い感じだ あと小沢の姐御が何か企んでる予感。 しかし9さんはバイク海苔だったみたいだけど、415さんは ガンマニアだったのか・・・
557 :
名無しより愛をこめて :02/11/06 23:01 ID:W+5z1Mj5
バイクも銃も男のロマンだしage あとオシイも。
>>555 まさか415さんのSSにも中屋敷おやっさんが登場?
559 :
名無しより愛をこめて :02/11/07 12:05 ID:ljsQ0yHP
小沢姐さん帰国するのかなあ こういう時って出入国て大丈夫なんだっけ? 続きが楽しみすぎます! 415さん、気長に待ってますんでがんがって!age
560 :
名無しより愛をこめて :02/11/08 02:27 ID:hBVW+JgU
9さんまだ?
age!
562 :
名無しより愛をこめて :02/11/09 22:43 ID:E42+bkJl
ageてなかった・・・。
保守sage
564 :
名無しより愛をこめて :02/11/12 15:44 ID:6SC+RUJf
そろそろあげ
現状維持。
566 :
415 :02/11/13 23:42 ID:GVjYFciH
どうも、415です。
本編のほうは現在プロット作成中です。
ので、いましばらくお待ちいただくことになりますが、
今回はレスくれた方々へのお返事と、それからちょっとしたおまけを用意しました。
>>549-554 第六話、結構反響が大きくて喜ばしいかぎりです。
みなさんのレスひとつひとつが、本当に嬉しいです。
期待に応えられるよう、これからも頑張りたいと思います。
>人狼、ケルベロス&P2キター
来ました。自分でも書きながら、「キター」と心中喝采あげてました。(笑)
ずっと描きたかったシーンだったので、ほぼ理想どおりにできたのが嬉しいです。
P2はたしかに意識しました。
参考にしたのは、どっちかと言うとG2なんですけどね、実は。
G5ユニットの正式名称も最初は、『特殊武装機動警備中隊』だったんです。
ただそれだとあまりにもそのままだったので、『特殊機甲中隊』に変更したんですが、
映画『人狼』の特機隊の正式名称、『特殊機甲大隊』だったんですよね……
完全に失念していました。時すでに遅し。……みのがしてください。(汗)
それにしても553さんの書いてくれたようなアオリが入ると、
自分で本編書いてるにもかかわらず「うわーどうなるんだろう」と先が楽しみになりますね。
ケルベロス……もといG4軍団の活躍にも、ご期待ください。
567 :
415 :02/11/13 23:53 ID:GVjYFciH
上のレス、
>>548-554 でした。すいません。
>>555 >>558 てことはシゲさんは(現在意識不明中?の)葦原涼氏ですか?
「いいか。トイレットペーパーもひとり一回十五センチまでだ」
…………。
中屋敷おやっさんの出番については……あんまり期待はしないでいてもらえると……
今のところは秘密ということで。
>>556 G5ユニットの面々は、かなり即席で考えたにもかかわらず、
動かしてるうちにかなり気に入ってきてます。
みなさんにも気に入ってもらえたら、と思いながら描いています。
ただ読んでるほうは名前を一気に覚えるのってつらいですよね。小説の弱点です。
岬&北沢コンビと、雪&詩織コンビの描写に絞って、
なるべくキャラを立てていきたいと思います。
銃に関しては、マニアというほど詳しいわけじゃないです。(汗)
ただ、銃自体もガンアクションも好きですから、自然描写には力入りますね。
保守sage
569 :
415 :02/11/14 00:00 ID:OBgbXG7A
>>557 ええーと、たしかにおっしゃる通りだとは思います。が、
たいへん申しあげにくいのですが、私は女なんですよね。(苦笑)
……押井作品も男のロマンでしょうか?(笑)
>>559 小沢さんの出番は、本編をお楽しみにということで。
とりあえず、彼女は私のお気に入りキャラのひとりであるとだけ、言っておきます。
応援ありがとうございます。ほんと、嬉しいです。
さて、レスだけでもなんですので、ちょっとお遊びで後半の予告など作ってみました。
あらかじめ言っておきますが、プロットから科白を抜き出して適当に並べたシロモノなので、
予告というのもおこがましいほどの嘘予告になる可能性が大きいです。(笑)
意図的に科白のニュアンスを変えてある部分もあったりしますし、
まあ『アギト』の予告も真っ青ってくらいだと思っていただけるといいかと。
それでも雰囲気くらいは伝わるかと思いますので、そう思って楽しんでみてください。
では、どうぞ。
570 :
415 :02/11/14 00:12 ID:OBgbXG7A
――――――――――――――――――――――――――――――― 【THE LEGEND OF MASKED RIDERS original episode.】 +++++ 仮面ライダーSPIRITS / オリジナルエピソード +++++ #415 presents Special Preview ―――――――――――――――――――――――――――――――
571 :
415 :02/11/14 00:12 ID:OBgbXG7A
inspired from SHOTARO ISHINOMORI / KENICHI MURAEDA 「新たなる、希望の、歴史を、創るもの……」 berry special thanx for #9 and ALL in this thread 吹きすさぶ雪のなか、ゆっくりと瞳をとじる五代雄介。 真っ白な空間にたたずむ翳りのなかを、こまかな雪片が激しく擦過する。 唇をつよくひきしめて、天をあおぐ。 ...written by #415 「……五代……!」 ――――爆発!! 正面からの凄まじい爆風が、異形の肩になみうつ闇色のマントを大きく後方に はためかせる。 だが異形は、閃光のなか、微動だにせずそこに立つ。その後ろ姿。
572 :
415 :02/11/14 00:13 ID:OBgbXG7A
「〈アギト〉の力は、なにかを滅ぼすためにあるんじゃない」 「闇とはこころのすきまが招くもの。真実とはつねに過酷なもの」 「あいつのしてきた戦いを、決して無駄になどさせない!」 「フン。こんな状況でまで、俺たちの敵は〈クウガ〉なのか」 「そうぼやくな。俺たちの後ろにもまた〈クウガ〉だ。……一興じゃないか」 「爆破!?」 「ひょっとすると、 都内に配備された全部隊を敵にまわすことになるかもしれない」 「いま、この名状しがたき愚かしさの源、 たどりかえれば、すべてきさまらリントの驕傲のしわざ。 そのいたみ、自身へ返る応報の刃に因ると知れ」 「感謝する。おまえのおかげで進むべき路がみえた」 「プレディクション開始!」 「予知能力か!」 「何故だ! そうしてあの人の理念も希望も…… すべてを己のものとしておきながら、何故……!!」 「――舐めるな――人間〔ひと〕を!!」
573 :
415 :02/11/14 00:15 ID:OBgbXG7A
「バ、サダリゲデジャソグ、パセサン、ガサダバヂバサ……ゼン、ギン!」 「アンノウンとは、〈アギト〉――『人を超える力』を持つ可能性のある人間を 排除する存在のはずです。 そうすると、 未確認生命体というのはつまり、〈アギト〉である、ということなのでしょうか」 「そんな……。そうして、そのあとはどうなるのよ? やつらがその力でまたゲームを始めたら、 今度こそ手のつけようがないじゃない!」 「逢いたかったよ、リントの戦士」 「……ああ」 「待ちたまえ! ……いったい、きみは何のためにこんな馬鹿げたことを……」 「大丈夫!! 今、一条くんたちが必死に頑張ってくれてるんだから! だから、絶対に大丈夫よ……!」 「われらの欲するは、神を滅する力!」 『離脱しなさい!!』 「――…まったく、いったいどっちがバケモノなんだか……」 「人はすでに、神を屠る『力』を得ている。 〈アギト〉など問題にならないほどのね」
574 :
415 :02/11/14 00:16 ID:OBgbXG7A
「無粋な名で呼ぶのはよしてもらおう」 「忌憚のなきところを言えば、私はもう飽いた」 「き、脅迫じゃないですか、それって……」 「正当な取引と言って欲しいわね」 「うわ。なに水野さんを胸で泣かせてるんですか隊長?」 「…………。おい」 「いいわ。じゃあ、あなたに戦う力を貸してあげる。 そのかわり、わたしと一緒についてきて」 「行ってこい。おまえにはまだ、『力』があるんだろう」 「いいえ。その程度では、人の善性に対する私の信頼は揺らぎませんよ。 なぜなら私がいい人間ですから。それに……」 「これ以上、もう、ひとりも死なせない!」 「信じて、待ってろ」 「馬鹿。あなた以上に信じてるもの、ほかにないわよ。私には」 「何をしているんです!! ――G3-Xを退かせるんだ! 今すぐ!!」 「翔一くん! 勝って! 〈アギト〉に! 運命に!」 「うおおおおおおおおおおおおッ!!」
575 :
415 :02/11/14 00:16 ID:OBgbXG7A
翔一、伸ばした両腕を前方で重ねあわせる。 その身を強化装甲服につつまれてゆく氷川。 涼、両の腕を胸元でクロスさせ、素早く振り下ろす。 そして。 拳を握った両腕を、瞳を覆いかくすように顔の高さで交差させる雄介。 うつむきぎみで、眼を閉じる。 ――――――――――――――――――――――――――――――― 黒く染まり、もはや何を映すこともない異形の瞳。 その眼の下に、斜めにはしるひとすじの疵が。 まるで流れおちる涙の痕のように、 哀しく。 ――――――――――――――――――――――――――――――― THE LEGEND OF MASKED RIDERS original episode. ■■『仮面ライダーSPIRITS オリジナルエピソード』■■ comeing winter 2002 ――――――――――――――――――――――――――――――― 「もう誰も、おまえの手を離したりはしない」 「――…一条さん」
576 :
415 :02/11/14 00:19 ID:OBgbXG7A
なんか改行規制にひっかかってえらくレス使っちゃった…… すいません、考えなしで。(汗) いちおう、ageておきます。 それでは、第七話まで、もう少しだけお待ちください。
577 :
予告編あげ :02/11/14 00:22 ID:JJZyNWzk
予告編なんか熱い!!!!!! そろそろクルカ〜〜〜!?
熱い!!!! ごっつー楽しみです!!
579 :
305@別スレ :02/11/14 01:08 ID:Fc+mM0ig
>>415 さま
あなたこそ真の職人だ!
・・・・・・他スレから失礼しました。
でも何気に楽しみにしてます。
師匠と呼ばせてください。
>>415 確かに少々改行多すぎるね
容量オーバーで落ちるのもあるらしいことだし、もう少し控えましょ(^-^;
正直言ってかえって見づらいし・・・ね。
581 :
557 :02/11/14 20:22 ID:hyrzfBry
こりゃ失礼。しかし女性だったとは・・・ちょっとビクーリ 予告編読ましてもらいました 確かに熱い!! 期待して待ちます。
582 :
名無しより愛をこめて :02/11/16 00:51 ID:0qVtCqN+
保守sage
しまったあげちまった
保守
おなじく保守 つーか415さん女性ていうのにまじびびりました…カコイイ!
586 :
名無しより愛をこめて :02/11/19 00:02 ID:28RIq6kH
っつーかカメスピだったんだ。今更だけど。 ついでにage
ライスピだな、俺は
保守sage
589 :
名無しより愛をこめて :02/11/22 08:01 ID:vhTohS0K
この機会にもう一人位SS職人さん降臨してくれないかなと言って見るテスト 平成昭和スレとか盛り上がってるみたいだし。 他力本願スマソ文才ないもので
>>589 ちょっとずつ思いつきつつはアルのよね。
出だしは「R・R・K・K」のロボットを雇った銀行強盗をG3−Xで撃退する、っての。
氷川くんとKのコンビってなんだか良さげ
>>590 さんぜひぜひ(^-^)
>>590 あんたはまずあちこちで広げた大風呂敷をたたむのに専念汁!
……すいません、G3−Xの中身、誰がいいですか?(オイ いやほっとくと、(TV朝日つながりで)辻本夏実が出そうでさぁ……
>>593 もう少し練って、というか実際書いてから来てね
それとあまりネタバレやめれ。9さんの良かった所はプラスアルファがあると宣言しながらもそれが何かは一切秘密にしてた所なんだから。
保守sage
597 :
名無しより愛をこめて :02/11/26 00:05 ID:k3lreH51
そろそろあげ
成田空港。 長野県警の一条薫が駐車場に車を乗り入れたとき、その男は―― 父親「どうもすいません」 母親「御手数をおかけしました」 五代雄介「いいですよ。そんな……」 子供にジャグリングを見せていた―― 子供「お兄ちゃん、またね(サムズアップ)!」 雄介「ああ、またな(サムズアップ)」 一条「……迷子か」 雄介「あ、一条さんお久しぶりです(サムズアップ)!!」 一条「うん、お前も元気そうで何よりだ(サムズアップ)。じゃ、行くか」 雄介「はい!」
仮面ライダー外伝『Cross Over the Masked Riders』第一話『双青機』 時間は少し遡って、夕方3時ごろ。 都内某銀行の某支店。 行員「申し訳御座いません、当銀行の営業時間は終了しました。また明日お越しいただいて……きゃァァっ!」 強盗1「金だ!金を出せ!」 強盗2「手めぇら(店内の客に)!がたがた騒ぐんじゃねぇ!」 強盗3「さぁ、金庫に案内して……んあ?」 強盗4「……っておい、貴様ら誰に断って強盗しにきやがったぁ!」 強盗1「けっ!この俺様に逆らうと……(原作版コブラ男改に変身)……痛い目に会うぜぇ?」 強盗3「フン……やっちまえ!」 強盗5「……了解(鋼鉄の身体をもつロボットの正体を露わにする)」
そして、一条の車は東京に向かっていた―― 一条「その後、どうだ?その……」 雄介「……アークルは……出そうにありません……まぁ、その必要が無いのはいいことですよね」 一条「うん……(rrrrrr)……あ、こんな時に電話が……あ」 雄介「(ひょい)……はい、ごだ……じゃなく一じょ……あ、榎田さん?はい、はい……は?……一条さん、警察の偉い人が僕らに来て欲しいって……」 一条「え?」 コブラ男「……って事は何か?あのロボットどもの借り賃に上がりの半分をやるってか!?」 強盗3「ああ、本当は独り占めできたらいいんだがな……うっかりもたついてしまった。ここは協力して何とかするしかなぁ……」 コブラ男ともう一方の強盗団のボスはロビーに座り込み、語り合っていた。 コブラ男「全く、せっかく視察に来ていた頭取と代議士を捕らえたのによぉ……おい」 強盗3「どうした?」 コブラ男「思うんだが、人質の中にテンガロンハットの妙なのがいるだろ?」 強盗3「いるがどうした?」 コブラ男「早いうちに始末したほうがいいと思うんだ……」 強盗3「ああ、そうだな。あいつは怪しいよな。おい!」
コブラ男「……待て、裏手に機械音が二つ……」 指示を出すまでも無く、目線を感じてロボットが一体、裏手のほうへ………… ガシャン!ドンガラガッシャーン!バシュ〜〜! 発煙筒が強盗たちと人質のいるロビーに打ち込まれ、裏手で破壊音が鳴り、警官隊が突入してきた。 コブラ男「んなぁ!?」 強盗3「無茶しやがる!おい!」 だが、動き出した強盗たちにゴムスタン弾が撃ち込まれ、裏手から頭部を失ったロボットの残骸が転げてきた。 そしてその後を追い、右手にその頭部を、左手に大型のハンドガンを構えたG3-Xがゆっくりと姿をあらわした―― コブラ男「くそっ!くそっ!くそっ!」 手にした鞭で機動隊を打ち据えるコブラ男。だが、人質に手をかけようとした瞬間、縄抜けしたテンガロン男が立ち上がった。 テンガロン「鞭の達人コブラ男。だがその腕、日本じゃあ二番目だ」 コブラ男「何?じゃあ日本一は誰だって言うんだ!」 テンガロン「チッチッチ(サムズアップして)俺さ」 コブラ男「っざけるなぁっ! ……ぎゃぁぁっっっ!」 その鞭が、全身の人工皮膚が、ずたずたに引き裂かれる。
G3-Xは最後に残ったロボットと対峙していた。 ハンドガンがロボットの頭部を撃ち抜いたがその頭部はダミーであり、真の頭部が傍らのバッグからふわふわと漂い出る。そしてその全身が分割され、無数のリングとなってG3-Xを襲った! G3-X「がはぁっ!」 ワッカマン(?)「ククク、知ッテイルゾ警視庁ノえくそすけるとんヨ。 貴様ハ人ノ反応速度デシカ動ケンノダ。コノわっかまんMk-3ガ引導渡シテクレルワ!!」 だが次の瞬間、G3-Xの目が赤く輝き、そのハンドガンはワッカマンの重要なパーツを残らず打ち落としていた。 ワッカマン「ナッ!人ノ反応速度デ俺様ノ動キニ追イ付クリだげはフィうぇェリェェリィン!!」 床に散らばるリング、もうそれらが動き出す事は無かった―― 外にでたG3-X。そこには二階から叩き落されたロボットとそれに馬乗りになってガードアクセラーを喉元に叩き込んだG3がいた。 G3とG3-X。向き合う二人は事件が解決した事に安堵し―― ――サムズアップをかわした。
っと言うことで、『Cross Over the Masked Riders』はじめました。 本当のこと言うと、中身が誰かは最初から決まっていたんですよ。 第二話、三話の方も荒筋は出来ていますが、その後どうしようかな〜〜 第二話では、意外な場所で意外な人たちが意外な事をします。でも意外とそうでもないかも。
ついにズバットまで・・・ そのうち、アオレンジャーもでてくるんじゃ(w
早川健だけでなく新命明も風見志郎もついでに言えば三浦参謀長もテンガロンハットをかぶったことがありますが何か?
保全SAGE
607 :
名無しより愛をこめて :02/11/30 00:03 ID:2mVZnLDZ
415さん、期待あげ。 さがりすぎだよ・・・。
608 :
名無しより愛をこめて :02/12/02 18:05 ID:G3LRnm04
保守あげ
609 :
415 :02/12/03 00:27 ID:3dYXcwB7
「ご説明願います」 一条薫の、抑えられた硬質な声が部屋に響いた。すべてを透徹せんとする純度の高いまなざしが、今はまっすぐに対峙する相手にそそがれていた。 革張りの椅子に腰掛ける人物は、目線をあわせることなく、右の耳に彼の屹然とした言辞をうけとめる。 未確認生命体対策班捜査本部本部長、松倉貞雄。 前回の未確認生命体関連事件において合同捜査本部本部長を務めた経験を買われ、現在は新体制の対策班を束ねる。 彼の、年齢に似合わぬ、ぬけめのない精気がうかがえるその横顔に、直立不動の姿勢で一条がさらに言葉をつなげた。 「自衛隊の治安出動などという、本来『最悪のケース』として想定されなければならない状況が目前に展開されるにいたるまで、なぜ上層部は事態を静観するに甘んじていたのか。われわれ対策班の働きに落ち度があったとは思えません。 事実、北條警部補が未確認の行動目的を割り出し、すぐにでも対応策の検討が進められる状態だったはずです」 「きみたちに落ち度があるとは誰も思ってはいない。これは政治的な判断だ。前回の一連の未確認事件の際、都レベルでの対策が迅速であったにもかかわらず、政府の対応は遅れに遅れていたからな。さらなる批判を免れるための政治的ジェスチャーが必要だったのだ」 「しかし、だからと言ってわれわれ警察に黙ってそれを受け入れろと?」 きりかえす一条の言葉に、松倉が大きく息を吐く。ぐるりと椅子をまわして、ガラス越しに下界をみおろした。いまだに曇り空がつづいていて、外は暗い。 「むろん上も事態を黙認していたわけではないだろう。今回の件においては、どうやら彼らにもそれなりの思惑があるようだからな」 「……どういう意味でしょうか」 「真実なるものが仮にどこかに存在するとして、しかし私もまたそこからは遠い位置にあるという話だ。 とにかく、未確認生命体対策班はすべての資料をひきわたしたうえで治安部隊へその任務を引継ぎ、以後は未確認、およびアンノウンへの警戒を強めつつ、別命あるまで本庁舎内にて待機。それが、上層部からの通達だ。わかったなら持ち場へ戻りたまえ」 「…………」 一条が、にわかには信じられぬといった様子で顔をもちあげた。
610 :
415 :02/12/03 00:29 ID:3dYXcwB7
「……そんな――」 トーンの高まったつぶやきを洩らす。 「納得できません。われわれに対しいっさいの情報が遮断されていただけにとどまらず、このうえ配備された治安部隊との協力体制さえゆるされないとは、いったいいかなる理由あってのことでしょうか。 ――いえ、たとえいかなる理由があろうとも、それは対策班そのものの実質的な活動停止を宣告されるに等しい。承服するわけにはいきません」 するどく一条が明言する。その静謐な声音のなかに、だが峻烈にかがやく気高さと、信念がある。 そんな彼の性質を、松倉は高く評価もしていたが、しかし今はその言い分をやすやすとききいれるわけにもいかなかった。 「これは公安委員会の決定だ。覆すことはまかりならない。……忸怩たる思いなのは、私も同様なのだ」 背中越しに発せられた最後のひとことに、松倉の押し隠した本音がうかがえる。それ以上の反駁もゆるされず、一条は頬をこわばらせた。 「一条君」 正面に向き直った松倉が、はじめて一条と眼をあわせ、呼びかけた。 「これは私の勘にすぎないのだが、どうも政府は今回のことを予見していたふしがある」 そう言った。一条が敏感に眉を動かし、それを見た。 「根拠はない。聞きながしてくれてかまわない。だが、……あまりにもすみやかに事が進みすぎている。私はそこに、なんらかの作為を感じてならないのだ……」 鉄錆の匂いがたちのぼる。 警視庁庁舎一階ロビー。擬似球型の瀟洒なフレームと窓ガラスでおおわれた入り口のむこうに、暗く重い雲が見える。 ぬるい熱がわだかまっていた。なまなましく。 色素の薄い前髪の端に目線を隠して、一条は左手首に填めたオメガの腕時計を確認する。 バーインデックスのシンプルな文字盤がしめす時刻は、午前十一時十五分。無為に時が過ぎる。やり場のない焦燥をふりはらうように、彼はひとつ、頭を振った。 ざわっと周囲の雰囲気が一転したのがその直後だった。一条が鋭い眼差しをドアのむこうへ投げやった。 「!」 突然、宙をひるがえった異形の体躯が、はじけるように視界へとびこんできた。女性の悲鳴があがり、ロビーを足早に歩いていた人々が窓のそとへ目をむける。
611 :
415 :02/12/03 00:32 ID:3dYXcwB7
アスファルトに叩きつけられた異形の身体は、無数の銃創からあふれでる体液にまみれている。すでに致命を負っていると、誰の目にもあきらかだった。 そして、重装甲の足裏に地を噛ませる音とともに、六機のG4-Aが遅れてそれをとりかこんだ。 「ち、治安部隊……?」 誰かが畏怖のつぶやきを洩らした、その瞬間。 ざらり、と、見るものの背筋をこおりつかせるほどに精密な動きで、彼らの手にする長大な凶器の銃口が、いっせいに地に伏す異形へむけられた。 G型強化装甲服携行用五式十二・七粍汎用重機関銃。 その威圧的なフォルムの銃身が、揃って鎌首をもたげ、異形を狙う。
612 :
415 :02/12/03 00:32 ID:3dYXcwB7
「撃」 窓越しに、くぐもった声が発せられた。ドオッ! と轟烈な唸りをあげて、並んだ銃口からまばゆい閃光がひろがった。 大気を裂くような甲高い銃声がひびきわたり、猛烈な勢いで弾丸が撃ちだされる。薬莢の飛び散る音がそこへ錯綜する。一瞬ぶるっと痙攣した異形の身体が、続いてたえまない迫撃によって道路のうえを踊り狂った。 撃ちだされる無数の銃弾は異形の肉体を容赦なく抉り、微塵の断片へとかえてゆく。とびちる粘性の体液が、窓ガラスへこびりついた。 凄惨な光景に、ひとびとが眉をしかめ、目をそらす。一条は動かず、ただ、揮われるその力の強大さを、黙って見つめるだけだった。 「あれが、今生のリントのうみだした〈クウガ〉か」 ふいに。 傍らから、艶めいた女の声が彼の耳に届いた。ひそやかに。 冷涼な響きをともなって。 「愚かしいことだ。あのような枯れた泉のもとにある限り、遠からず闇はおとずれる」 「…………」 ゆっくりと、一条は視線を横へ移動させる。スリップドレスの黒い布端が、ざわめきのなかに舞う。 ガラス一枚をへだてた向こうがわで、爆発があった。騒がしくその場を駆け去るひとびとが、ふたりの狭間をゆきすぎた。 時間のながれが断ちきられていた。わきおこる炎に照らされ、距離を置いて立つ、たがいのその瞳だけが、間近に出逢う。 まなざしが触れあう。深く。 「逢いたかったよ。リントの戦士」 女が言う。謡うように。 いとおしく。 ――その額に、白き花弁。 「……ああ」 きびしい緊張はそのままに、一条はしかし本心から、短いひとことを選んで、囁いた。 「そう、願っていた。俺も」
613 :
415 :02/12/03 00:34 ID:3dYXcwB7
右肩に隊長機識別用のペイントが施されたG4-Aが、機械的な動きで、汎用重機関銃の銃口を上向けた。 周囲に爆発による被害がないことを確認し、無線の回線を開く。 「こちら第一小隊、作戦終了。目標、的〈アンノウン〉の排除に成功。〈未確認生命体第十四号〉の逃走を確認」 ひととおりの連絡を終え、彼は長銃身の凶器を無造作にコンクリートの壁に立てかけた。 両腕を持ちあげ、黒く彩られたマスクへ指をかける。極小モーターの駆動音がして、後頭部の装甲が瞬時にして両端に集束される。 陸上自衛隊G型強化装甲服部隊第一小隊隊長を務めるのは、まだ二十代前半と見られる、若い男だった。 黒い前髪を、きつく後ろにかきあげて撫でつける。瞼をとじて、深い息を吐いた。 「おつかれさまです、隊長」 同じようにマスクをはずした隊員から、声がかかる。ああ、とそっけなく応え、かるく手をあげた。 ふと、思い出したように、彼はもちあげた手を腰のガンホルダーに移動させる。GM-01改四式自動拳銃がマウントされるその後ろがわに、ちゃちな銀色の遊具がとりつけられていた。 『プラクシノスコープ』と呼ばれるごく簡易な生動画鏡だが、中心軸が歪み、回転鏡はひび割れ、今はもう、はばたく小鳥をうつしだすこともなかった。 「霧生三尉、集合がかかっております」 うしろに控えていた第五小隊の後方支援隊員が駆け寄って、敬礼とともに呼びかけた。プラクシノスコープへと伸ばした腕をなかばで止め、彼――霧生一真はそちらを振り向く。 「了解。すぐに向かう」 謹厳な表情をくずさずに、霧生も敬礼をもって応える。 メッキの剥がれかけた円筒が、その傍らで、ことりと揺れた。 to be continued.
614 :
名無しより愛をこめて :02/12/03 00:38 ID:Z99Bdc2W
おお、415さん降臨・・・ 待っていました・・・
615 :
415 :02/12/03 00:56 ID:3dYXcwB7
たいへんながらくおまたせしました。
『仮面ライダーSPIRITS オリジナルエピソード』、第七話をおとどけします。
これからは今までどおり、基本的に週一のペースでお送りできるかと思いますが、
ペースがくずれることもままあるかと思われますので、
そのへんは寛大なおこころで生温かく見守っていただけると、幸いです。
>>577-578 ありがとうございます。
予告編は前にも言ったとおり、嘘八百の可能性がおおいにありますので、
そのつもりで見ててください。
実際さらにプロットを詰めてて、すでにいくつかのシーンが二転三転していますし。(笑)
>>579 し、真の職人……(汗)
えええーと、実はそのスレ、結構前から読ませてもらってたり……。
だからかなり驚いてます。あのスレのあの方ですよね? いや、って訊いてもしかたないんですが。
なんか凄い光栄です。
元ネタを知らなかったりする不勉強者ですが、
それでもあのスレはひそかに楽しみにさせてもらってます。
師匠だなんてとんでもない。
おたがい、頑張っていきましょう。
616 :
415 :02/12/03 01:06 ID:3dYXcwB7
>>580 すみません。ご心配おかけします。
容量については、今のところ300KBちょっと。残り200KBってところですね。
どのみち1000までは行かない可能性のほうが高いでしょうか。
この手のスレの宿命みたいなものですが。
見づらいのは、3レスで収まるはずのところを、
6レスも使っちゃったせいだと思われます。大変申し訳ありません……。
>>581 いえいえ。
びくーりですか? まあ自分でも、「らしくない」という自覚はあります。(笑)
>>585 か、カコイイですか?
ありがとうございます……。なんだか照れますね。
待っていました、415さんお疲れ様です! バラ姐と一条の再会に燃えー また週一ペースに戻るみたいで、楽しみです
618 :
415 :02/12/03 01:13 ID:3dYXcwB7
>>586-587 そうなんです。
元々は、SPIRITS番外編スレに触発されて考えたストーリーなので。
実際、脳内設定では、『クウガ』編と『アギト』編があって、その後でこの話、という『SPIRITS』をなぞった形になってました。
文体や科白も村枝氏の癖を拾って、SPIRITS『クウガ&アギト』編を書きたいと、漠然と思ってました。
プロローグ、両者のキック対決で物語が幕を開けるのが、そのなごりだったり。
そしてなんと、ここに貼り出す直前までは、滝和也を出すつもりでした。しかも番外編スレよろしく、G4を纏って。
滝を通して、アギトやクウガの『仮面ライダー』たる由縁を描きたい――なんて不遜きわまりないことを思ってたんですが、
昭和ライダーをSPIRITSでしか知らない私に、そんなことができるはずもなく……。
そんなわけで、今の形となったわけです。
タイトルから『SPIRITS』をはずさないのは、村枝氏の作風をなぞるのではなく、私なりの『仮面ライダーSPIRITS』を描きたいと、今は思うからです。
ただ、余談ですが、直前まで考えてただけあって滝関連のネタはいろいろできましたね。
「G4システム……」
「いいや、違うな。
――今からこいつは、『仮面ライダーG4』よ」
とか。
「違ぇ! こいつは『仮面ライダーG4』だ!」って言い張って、小沢さんに「はいはい」とあしらわれたり、とか。(笑)
……うわ、長々とすみません。
ともあれ、これからもまたしばらくおつきあいいただくことになると思いますが、
私なりの『仮面ライダーSPIRITS』をきっちり描けるよう、頑張っていきたいと思います。
>>614 >>617 あ、お早い反応、ありがとうございます。(笑)
ながらくお待たせしてすみません。
これからも、よろしくお願いします。
619 :
名無しより愛をこめて :02/12/03 01:38 ID:IWcNhnyh
415さんキターーーーーーー!!!!! もうこないと思ってたけど来てくれた!!!!!! 薔薇のあねさんまで・・・(感涙)
620 :
415 :02/12/03 02:43 ID:sw2cIh2s
>>589 大賛成です。
平成昭和スレは私も楽しませてもらってます。
ここも盛り上がるといいですね。
>岩のような瓦斯さん
SS、読ませていただきました。
G3&G3-Xコンビの正体に素で驚いてたり。(笑)
意外三昧という第二話、楽しみにしてます。
415さん御帰りです。
>>612 いやぁ、うちも『バラのタトゥの女』は出る予定ですが、
>「逢いたかったよ。リントの戦士」
> 女が言う。謡うように。
> いとおしく。
> ――その額に、白き花弁。
>「……ああ」
> きびしい緊張はそのままに、一条はしかし本心から、短いひとことを選んで、囁いた。
>「そう、願っていた。俺も」
……くはぁ、これは超えるの大変そうだ。
ところで、今後相当数の怪人を出す予定ですが、リクエストがあれば今のうちに。
まあ、どうせ雑魚ですが。
622 :
名無しより愛をこめて :02/12/08 01:59 ID:5QIC49In
そろそろあげ
623 :
名無しより愛をこめて :02/12/09 06:10 ID:3YcJ5wLv
age
624 :
415 :02/12/10 23:25 ID:sy0G9Df9
丸みを帯びた装甲車のルーフ上に、ぽつりと水滴が落ちる。 すぐに、ざらざらと大きな雨粒となってふりそそいだ。 雨が降りはじめた。 「降ってきたな」 トヨタクラウンベースのパトロール・カーの後部座席で、警視庁警備部警備第一課課長・福山正がつぶやいた。 彼の隣の背筋を伸ばして座る警視庁第一機動隊隊長・平井隆信は、そちらへ眼差しを送りはするが、特に言葉を返すことはしなかった。かわりに、ルームミラーに映る後続車輌の隊列を確認する。 灰地に白いラインの直線的な車体の列。 ボディをほぼ完全に鉄板で覆われた数台の装甲車が、一直線にならび、公道を走る。 警視庁未確認生命体対策部特殊機甲中隊――『G5ユニット』の武装解除を施行するため、警視庁警備部第一および第四機動隊から編成された、武装解除執行班。その警備車の隊列が、品川区へ向かう大通りを法定速度で進んでいた。 「――――」 広い交差点を右折する途中、福山が窓の外へふと眼をむけた。 その視線の先、停車した治安部隊の重装甲車の車上に、ぬるい熱の雨にうたれる漆黒の鎧姿を平井もみつける。 G4-Aシステム。 褪めた青色のスコープ・アイは、濁った水に濡れていっさいの感情を見せない。まるでほんとうに、ただの機械人形のようだと、平井はかすかな寒さを背におぼえた。 「平井君。私はあのようなありさまを見ていると、そら恐ろしくなるのだよ」 おもむろに、福山が話しだす。視線は、まだ窓のむこうへ向けられたままだった。 「はい。個人的な心象を言わせていただけるなら、自分もそうです」 端然と、しかし慎重に、平井がそう答えた。 「このような事態は、できるならば避けたかった。――『自衛隊の治安出動』。自分は、それは警察の敗北を意味するのだと、ずっと思ってきましたから」 「成程、きみらしい。しかし、いや、違うんだ。この事態をひきおこしたことを悔しむ気持ちはもちろんあるんだが、もっと恐ろしいと感じるのは、今この状況に明確な危機感を抱けないでいる私自身に対してだ」
625 :
415 :02/12/10 23:28 ID:sy0G9Df9
その肩に負う責任の重さに比して歳若い福山の言葉を、平井は寡黙な態度で聞く。三十代後半の自分とも、そう違わぬ年代のはずだった。 首肯し、「わかります」と言った。 「うちの若い連中も、そんなことを言っていました。『何か変だ』という、そんな感情しか湧かないのだと」 「ふむ……」 福山がわずかに表情をゆるめて何か言いかけた。 そのとき。 「ええっ!?」 運転席から、若い警官が高い悲鳴をあげた。 前方のシートをがしりと掴み、鋭く、平井が厳しい声を投げる。 「何事だ?」 「ま、前を!!」 運転手のその言葉と同時に、雨音を一直線に叩き斬る激しさで、青と白に塗りわけられた巨大なトレーラーが彼らの真横を通り過ぎた。驚愕に目をみはり、平井がそれを視線で追った。 「馬鹿な……『Gトレーラー』!?」 ガンと窓枠に拳を打ちつけ、低く声を絞り出した。
626 :
415 :02/12/10 23:28 ID:sy0G9Df9
「システムの換装は終了しています。これからS.S.C.本体の調整に入ります」 「GSR-07は?」 「精度調整にあと数時間を要します。ヤスとマサが必死でかかってますよ。基本設計が完了してたとはいえ、ほとんどフルカスタムですから。ヤスが『完成したらヤス・スペシャルって命名する』って騒いでました」 「オーケー。そっちはまかせるわ。ただし死んでもあと一時間以内に終わらせるように伝えときなさい」 「……了解」 「姐御! 遅れてすみません、GDCS-FS、到着しました!」 「……だからその『姐御』っての、やめなさいってば」 「あ、すんません。でも聞いてくださいよ姐御、イクサーの連中結局ぎりぎりまでデータを出し渋りやがりまして、おかげでこっちはMDSS開発の時のごたごたまで話に出すことになっちまいましたよ。ッたくムカツクわ」 「…………。それはご苦労さま。WCS、TRCS、BTCSのデータ奪取のほうは三班の松山くんの仕事だったわね?」 「っス。本庁のスパコンにハッキングするんだゼなんて得意がってましたけど、G-COMのネットが生きてるうちはそんなの俺んちのバイオに進入〔はい〕るより楽勝仕事じゃないっスか。そろそろ終わってるころだと思いますけどね」 「そう」 「アネゴ!」 「――だからっ、それやめなさいってば!」 「ッ、す、すんません!! ……で、あの、アネさん、第二小隊とG3-Xはあと三十分で準備できそうっすけど、どうします?」 「……………………。りょおおーかい。あと四十五分待って。今のうちにお昼にしときなさい。出発は十二時ジャスト。先行した第三小隊との連絡は怠らないように。……きみは北沢くんだったわね。覚えとくわ。それと本橋隊長を呼んでもらえる?」 「……え、あの、覚えとくって……俺なんかワルいことしました? ――あああハイ隊長っすね? 了解!」 二階層ぶんを吹き抜けにしたつくりの広いロビー、その白壁にかかる電光掲示板が、デジタル表示の時刻を刻む。 午前十一時十五分。 G5ユニット訓練棟内は、恐慌状態一歩手前の喧騒につつまれていた。あわただしく人が行き交い、はりあげた声で四方から指示が飛ばされる。
627 :
415 :02/12/10 23:29 ID:sy0G9Df9
「これは……一体……」 ロビー入り口にたちつくし、福山が呆然とつぶやいた。外では駐車させたパトカーの横に、警備車がつぎつぎと並んだところだった。 「おいきみ!」 福山の隣で、平井が傍をとおりすぎた人物に声をかけた。まだどこか幼さののこる顔に申し訳程度の髭を生やした、若い男だった。 振り向いて、彼はげっ、とおもいきり渋い顔つきでそれを迎えた。かまわずに、平井がつづける。 「責任者を呼びたまえ。どういうことなのか説明をしてもらおう」 「は? いや、ええと……」 「これはこれは」 渋い顔のままで自分を指差し、まだ何か言いあぐねている男のうしろから、女性の声がわりこんだ。毅然とした足どりで歩みより、小柄なその女性は福山の前で右腕をあげ、あざやかに敬礼をしてみせた。 「警備第一課長みずからお越しとは。ご足労、おそれいります」 「きみは……」 「ああ、失礼。習慣というのは抜けないものですね」 持ち上げた右手をおおきな瞳で眺め、女性は苦笑いをしてみせる。福山が目を瞠り、だがすぐに納得のいったようすで顎をひいて眉間に皺をつくった。
628 :
415 :02/12/10 23:31 ID:sy0G9Df9
「成程……そういうことだったのか。いつ日本に帰国したのかね」 「つい先ほど」 「……いったい何を企んでいる?」 「『正義』の執行です」 臆面のない女の言葉に福山が言葉をうしなう。じっと眼をあわせ、彼女は黙っている。信じる何かを胸の裡に確かに持つものの、真摯なまなざしだった。 「では、わたしはこれで」 「待て!」 踵を返し、立ち去ろうとした彼女に、平井が鋭利な声を投げた。胸元から無線のマイクをとりあげ、待機している執行班へ指示を出そうとした。だが、遮るように上がった福山の腕が、それを制した。 「よせ。無謀だ。……考えてもみたまえ。完全武装したGシステム二個小隊を相手に、われわれだけで何ができる」 「賢明なご判断です」 立ちどまった肩越しに、皮肉めいた声音が届く。尖った表情で、平井がそれを睨みつけた。 「それはきさまらにも同じことだろう! このまま進撃したところで、都内全域に配備された治安部隊を相手にたった三個小隊でどうしようというのだ。どのみちただでは済まないぞ!」 「承知のうえです」 「――…馬鹿な……何故だ、いったい、何のためにこんな馬鹿げたことを……」 愕然とたずねる平井に、ブラウスの胸ポケットから折りたたんだサングラスを拾いあげ、両手でかけなおす間を、女性がはさんだ。 そしてふりかえり、小沢澄子が、ゆるがぬ信念を口にする。 「すべてを、終わらせるために」
629 :
415 :02/12/10 23:49 ID:sy0G9Df9
第八話(前編)をおとどけします。
後編は、明日か明後日に。
やっとあのお方の登場です。
彼女が出たからには、もうどうにも止まりません。(笑)
>>619 お待たせして大変申し訳ありません。
これからも、よろしくおつきあい願います。
薔薇姐さんは出さないわけにはいきません。
物語のためにも、私の心の安息のためにも。(笑)
>>621 岩のような瓦斯さん
一条さんと薔薇姐さんはやっぱりこうでないと、という。(笑)
本編でも逢うたびスローモーションばりばりで二人の世界でしたし。
そちらのお話での薔薇姐さんの登場も、楽しみにしてます。
怪人ですか。
個人的には、うちのゴオマが登場からすでにえらい出世しちゃってるので、
ゴオマらしいゴオマが見てみたいかなと。
おお、小澤キター-----!! ついでに、 WCS(ウインチェイサー)キター-----!! さりげにネタを出してますな。 まぁICPOパリ本部帰りの男が紅く塗られたG5を装着してウインスコードを駆る、なんて事はないでしょうけど。 あったらあったで嬉しいんですがね。 期待してますってったらプレッシャー?
小沢アネゴキターーーーー!!!!!! ・・・・燃える展開やなあ・・・・・・
632 :
415 :02/12/12 23:21 ID:5HNXwgxJ
ガレージの屋根を叩く雨音が、激しさを増した。 水のたまったアスファルトを、車が走り過ぎる。足元が濡れるのにもかまわず、葦原涼は真剣な表情でバイクと向かいあっている。 そんな彼の様子を、不安そうな表情で見ている女性がひとり。 涼のかたわらで、小さな子犬を抱きながら立っていた。 「おう。あんまり根つめるなよ。まだ本調子じゃないんだろう?」 奥のほうから、そんな声が届いた。涼が手を止めて、声の主を見返った。 「おやっさん……」 「べつに休んだってかまわなかったんだ。それをおまえ、おまえが意地張るもんだから、見ろ、その子だってずっと心配そうな顔してるじゃないか」 親父さんと呼ばれた初老の男が、顎をあげて涼の隣に立つ女性を指した。涼はちらりと彼女を一瞥するが、すぐに眼前のバイクへ視線をもどす。 「関係ない。そいつが勝手について来たんだ」 「おまえな……その性格、もう少しどうにかしたほうがいいぞ? だいたいその子がいなかったらおまえ、今ごろどうなってたかわからないじゃないか。部屋で倒れてたおまえをみつけて、病院まで運んでくれたんだろう?」 「ただの貧血さ。おおげさなんだよ、おやっさんも、……真由美も」 名前を呼ばれて、片平真由美が顔をあげる。だが、悲しげに眉をひそめて、すぐにまた俯いた。その腕のなかで、彼女を見上げる子犬が鼻を鳴らした。 仁王立ちのままで、この店――都洋自動車整備工場の親父は大きくため息をつく。何かを言いかけて、だが結局言葉をみつけらなかった。そのまま、ふたたび奥へ戻った。 しばらく静寂が続いた。 雨の音と、工具の金属音だけが、そこに響いた。 「――おまえ」 沈黙を破ったのは涼だった。 バイクへ向けた眼差しはそのままで、真由美へ呼びかけた。ぴくりと肩をうごかして、真由美がふたたび、顔をあげた。 「どうして戻ってきた。もう会わないんじゃなかったのか」 「涼……あたし……」 言いかけた真由美の言葉を遮るタイミングで、店先へ2ストロークの鋭いエンジン音がすべりこんだ。盛大な白煙とともに、エキゾーストノートはガレージの前で急停止する。 タイヤにはじかれた雨の飛沫が床を濡らす。眉をひそめて、涼がそちらをうかがう。
633 :
415 :02/12/12 23:23 ID:5HNXwgxJ
白く、細身の低いボディに、黒いラインが走る。ヘッドライト上部にかぶるハイスクリーンのビキニカウルが、全体をなめらかな流線に見せている。そして車体の右がわには、曲線の多用されたフォルムの側車がとりつけられていた。 ニーラータイプのサイドカー。乗っているのは、どちらも女性だった。 「ああもう、どうしていつもいつもそう運転が乱暴なのよ」 「天にも昇る気分だろ?」 パッセンジャーシートに座る女性の抗議に、黒いジェットヘルメットをはずしながらドライバーが軽口を返す。肩先にかすかに揺れる黒髪のはしから、水滴がこぼれおちた。馬鹿、と同乗者がぽつりと呟いた。 「いらっしゃい。こりゃあまた凄いバイクだねえ。ベースはマッハかい」 いつのまにか奥から出てきた親父が声をかけた。ドライバーの女が、口元にふと笑みをうかべた。 「500。空は飛ばないけどね」 「ハハ。そいつはいい。で、どうしました。見たとこ完調のようだけど」 「いや、残念ながら客じゃない。――葦原涼」 断ち切るように言葉を区切り、女が涼の名を呼んだ。ふたたびバイクへ落としていた視線を、涼がゆっくりと移動させる。眼があった。 「あんたを迎えにきた」 「何?」 訝しげに反問した。 遠くで、いくつかの排気音が重なって響いたようだった。女が背後にある橋のむこうを仰ぎみた。 「雪」 同乗者が短く呼ばわる。 「ああ」 雪とよばれた女が、革のグローブをきつく填めなおし、「わかってる」とつぶやき、うなずいた。そしてもう一度、涼を見て言った。 「時間がない。そこのオッサンと女を厄介事に巻き込みたくなかったら、そいつら連れてついてきな」 「なんだと?」 二度めの反問はほとんど暴力的なエンジン音に掻き消えた。 オープンフェイスのヘルメットをかぶりなおし、雪がスナッピングでアクセルを吹かす。 「言っとくが、相手は治安部隊だ! 一度捕まったらそれまでだぞ!」 爆音に負けないように声を張り上げ、雪が言う。そして左手でメットのシールドを下ろすと、呆然とする三人を置きざりに、サイドカーを発進させた。
634 :
415 :02/12/12 23:24 ID:5HNXwgxJ
「……治安部隊だと?」 涼が眉をしかめる。遠ざかるカワサキトリプルの排気音とはべつのエキゾーストノートが、それを追いかけるように近づいているようだった。 「ちッ……」 舌打ちし、自分もオフロードヘルメットを手にとって停めてあったバイクに跨った。セルを回し、エンジンに火をいれる。 「真由美、うしろに乗れ! おやっさん悪い、ついてきてくれ!」 促す声を放ち、フルフェイスのゴーグルを下げる。言われるままに二人が準備を終えたのを確認して、涼はXR250のスロットルを捻った。 『おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため……』 「ああああもうっ、どこほっつき歩いてんのよあのアホ男っ!!」 握り締めた携帯電話にむかって、小沢澄子が怒鳴りつけた。電話からは、変わらず無情なアナウンスが流れるだけだった。足下の床を、靴の底で憎々しげにふみにじる。憤然とためいきを吐いた。 ――そのしかめた横顔の向こう、G5ユニット訓練棟ロビーのすみで。 「〈変身〉できない?」 風谷真魚が、むかいあわせに立つ人物にといかけていた。 「って、〈アギト〉になれないって、ことですか?」 「ああ」 あっさりと、葦原涼が首肯してみせる。 「前と同じだ。『盗られた』んだ。力を」 「あの男のひとに?」 「違う。……黒いコートを着た男に、噛まれた。たぶんその時だ」 「それで、身体のほうは」 「時々鈍い痛みがはしる。その程度だ。……治安部隊の予防検束から逃がしてくれたことには感謝するが……きみたちの力にはなれない。すまない」 「そうですか……」 「悪いけどこっちも人手不足なのよ。『力』のひとつやふたつ失くしたくらいで、戦力外宣言されても困るのよね」 うつむく真魚の後ろから、小沢が無茶な科白をすっぱりと言いきった。 驚いて真魚がふりかえる。涼も、眉をひそめて彼女を見た。 「あんたは確か、金剛寺――」 「小沢よっ!」 考えられないほどに見当はずれな名前をいいかけた涼を、小沢が鋭く制する。涼がさらに顔をしかめて視線を遠くへ泳がせた。
635 :
415 :02/12/12 23:26 ID:5HNXwgxJ
「今の話で確信が持てたわ。葦原くん、あなたを襲ったと思われるB群二号――未確認生命体第三号は、あなたが〈変身〉した〈アギト〉とそっくりな姿であらわれたそうじゃない?」 「…………。そうらしいが」 「わからない? 未確認の目的は〈アギト〉よ。〈アギト〉の力、そのものよ」 「え。って、じゃあ、〈アギト〉の力を盗んじゃって、自分で使ってるってことですか? ――アリなんですかそれ!?」 真魚が目をまるくし、口をおおきく開けて尋ねた。小沢が苦笑する。 「そうね。もう何でもアリだわ、こうなると。……まあ現実的に考えて、〈アギト〉のメカニズムを解明し、さらにそれを自分のなかにとりこむ技術をやつらが持っている、ってところかしら?」 「だが自衛隊だって、そのくらいは察しがついてるんじゃないのか。やりかたはともかく、連中に任せておけばいずれカタもつくだろう」 「それがそうもいかないのよ。連中、どうにも行動がうさんくさいのよね。たとえば、今日午前十一時の時点で治安部隊が排除した〈アンノウン〉は四十七体なんだけど、それに対し〈未確認生命体〉は、ゼロ」 「ゼロ? 一体も?」 涼が信じられずに問い返した。小沢がうなずく。 「そう。そして連中、作戦終了後、かならず無線連絡に『未確認生命体の逃走を確認』とつけくわえられてるの。 バカ男の推理によると、今回のアンノウンはどうやら未確認の排除が目的らしいから……そうすると治安部隊は、『アンノウンから未確認を守ってる』ってことになるわね」 「馬鹿な! 何のために」 「さあ?」 無責任な答えを涼へ返しておいて、小沢がわざとらしく肩をすくめた。しかしすぐに真顔に戻り、ふたりに告げる。 「とにかく、これだけは言えるわ。未確認が手に入れたその力でゲームをはじめたら、人間にとってどれほどの脅威となるか見当もつかない。そして、今の状況はあきらかにそれを促進している。――わたしはそれを、くいとめたいの」
636 :
415 :02/12/12 23:28 ID:5HNXwgxJ
「……けど、俺は……」 涼が、そこで押し黙って床へ視線を落とす。きつく握られるその拳を、小沢が黙って見やる。やがて、口をひらいて言った。 「あなたに、戦う力を貸してあげるわ。そのかわり、わたしと一緒についてきて」 「何?」 顔をあげた涼が怪訝に問う。口元に不敵な笑みをつくり、小沢が続ける。 「言ったでしょ。こっちは人手不足なの。どういうわけか津上くんにも氷川くんにも連絡がつかなくてね。そのうえ消息不明のドアホ男がさらにもうひとり。つまり、装着員候補が揃って行方をくらましちゃってるってわけ。尾室くんはハナからあてにならないし」 さらりと戦力外通知をくだされた尾室隆弘が、ロビーのむこうがわで盛大なくしゃみをしていた。
637 :
415 :02/12/12 23:28 ID:5HNXwgxJ
「……『装着員』?」 涼が、たしかめるように口をひらく。彼女へ尋ねた、その時。 「涼」 不意に背後から投げかけられた声に、涼がぎくりと首を動かした。 ひどく間近に。 立っていたのは、子犬を抱える真由美と、そして…… 「おやっさん、今の話……」 目をみはり、涼が呟く。相手は、かすかに苦い笑みを浮かべて、それを見ていた。 「なあ、涼」 優しく、呼びかける。 「言ったなあ。昔の俺に、そっくりだって」 何かをなつかしむように、その瞳が涼からはずれ、どこか遠くを見る。 雨の音が遠くきこえる。涼は、今めのまえにいるのが誰なのか、何故かひどく曖昧な気分でいた。 「涼。俺はな、薄々カンづいちゃいたんだよ。おまえが何かと闘ってる、そのことにな」 「…………」 言葉をうしなう。 自分がどうしようもなく間違えていたのだと、思い知る。 だれも信じられずに、今までいた。逃げていたのだ。 何も知られずにいようと。 だが違う。違っていた。 こんなにもあたたかくまぶしい光が、すぐ傍にあったのに。 「行ってこい。おまえにはまだ、『力』がある。力をあたえてくれる人がいる」 一歩、涼のほうへ近づいて、そして彼はその肩に強く、両の掌をのせる。 まるで、己のすべてを預けるように。運命をくれてやるように。 「今の俺にできないことを、おまえがしてくれ」 涼が、唇をきつく噛みしめる。熱くなる胸の中心を右の手で強くおさえる。 「おやっさん……」 「頼む」 彼が、静かにつけたした。
638 :
415 :02/12/12 23:32 ID:5HNXwgxJ
口をはさまぬよう、じっとそれを見守っていた小沢が、ふとその両眼をほそめる。 その言われかたには、おぼえがあった。 (今の俺のできないことを、きみたちがやってくれ) 託される意思。ゆだねられるもの。 人から人へ、わたりゆくもの。 今はそれが、さだめを砕く剣のかたちをとって、ここにある。 「守るんだ。おまえが、守りたいと願うものを。そうだろう? なあ、――リョウ」 彼が言った。 涼が、かすかに、だがはっきりとうなずいてみせる。
639 :
415 :02/12/12 23:32 ID:5HNXwgxJ
「ねえ、涼。あたしも連れて行ってよ」 横から、真由美が言った。涼がそれを見返る。とがめの声はなく、続く言葉を待つ眼差しで彼女を見た。 「あたし、最近ときどき身体が熱いの。凄く。……わかるでしょ? それが、どういうことなのか」 「――おまえ……」 「怖いの。自分が、自分でなくなるような、そんな気がして……。涼がずっと、こんな痛みと闘ってたんだって、あたし、知らなかった。 いまさら許してなんて言わない。でも、あなたの傍にいて、見ていたいの。あなたの闘いを。それがあたしにできる、精一杯のことだと思うから……」 「…………」 いくつものかなしみを知った。 永遠にこの手中にかえらない、さまざまな刻があった。 世界は、うつくしいだけではないのだと。 もう、知っている。それでも。 「ついて来い」 厳しく言い放ち、そして涼が右手をさしのべる。おおきく両眼をみひらいて、真由美がそれを見る。 やがてぐっと唇をひきしめ、彼女がしっかりと、その手を取った。 決して喪くせないものがある。守るものが。 まだ、この胸に。 「おやっさん」 そして声の力を強め、告げる。決意を。 「行くよ」 「ああ。行ってこい。涼」 剣は、たしかにうけ継がれる。過去から現在〔いま〕へ。かれらのゆく、そのさきへ。 未来へ。 to be continued.
640 :
415 :02/12/12 23:49 ID:5HNXwgxJ
おまたせしました。第八話(後編)をお届けします。 うーん……何と言えばいいのか……。 この物語の『彼』は、9さんの物語の『彼』とは違う場所にいます。 それでも、9さんの物語がなければ、この物語での『彼』の科白はなかった。それは確かです。 あらためて、このスレに感謝をしたいと思います。
641 :
415 :02/12/12 23:49 ID:5HNXwgxJ
>>630 こういう小ネタを散らばすのは大好きなんで、ほんとはもっとやりたいところなんですけど、
何せここは特撮板。
半端な知識で半端なことをしても、怒られるのは目にみえてますから。(笑)
ウインチェイサーに関しては、流れとして自然だったので入れてみました。
ちょうど世代的に直撃な作品で、毎週楽しみに見てましたし。
ただ、この物語で『仮面ライダー』意外の作品を絡ませる予定はありませんので、
残念ですが私が『彼ら』を描くことはないと思います。ご期待に添えなくてすいません……。
でもこの事件の裏で『彼ら』の活躍があったかもしれないと考えるのは自由ですので、
そのへんは好きに楽しんでください。
しかし……
>ICPOパリ本部帰りの男が紅く塗られたG5を装着してウインスコードを駆る
も、燃え……。
むしろ私が見てみたいです。(笑)
>>631 ありがとうございます。
なんかほんとに、そういうひとこと、嬉しいんですよね。
燃える展開、これからももっと描けるように頑張りたいです。
ところで私事ですみませんが……
「『SPIRITS』でしか昭和ライダーを知らない」と言った私ですが、
小学生のころRXまでの歴代ライダーが大集合する漫画をノートに描いていたことが判明しました。
しかもどうやらゼクロスが好きだったらしいです。
……渋いぞ、小学生の自分……。
どっちかというとウルトラ派だと思ってたんですけどね。
城南大学の駐車場に停められたG-トレーラー。その中に数人の男女がいた。彼らが二機のG3をメンテしているところへ、一条が入ってきた。 一条「どうです?」 女整備員「さしたる損傷もありませんね。さすがG3です」 シバシゲオ「いやぁ、俺も色々な機械を弄ってきたが、こんな弄くりがいのある機械はなかたよ。 全く、こんな素敵な物に触れる時代になったなんて…… …………ウフフフフ(肩を震わせ)」 そのほか全員「マ、マッドエンジニア……」 そこで気が付く。 一条「そう言えば、五代雄介は?」
仮面ライダー外伝『Cross Over the Masked Riders』第二話『壊魔界』 そこは、荒れ果てた世界の残り滓であった。 そこに住むは様々な種族、あるいは獣人やロボットたち。 それは地球であって地球で無い世界、かつて『怪魔界』と呼ばれし世界の残滓での事件。 猫目の子供「爺ちゃん!スクライド爺ちゃん!!またあの話してよ!」 壁にめり込んだロボット「なんじゃ、また来よったか」 翠の肌の少女「ねぇ、聞かせてよ。光と水に満ち溢れた地球の事……」 皇帝クライシスと共に滅んだと思われていた怪魔界。だが、その一部は残り、残された住人は生粋のクライシス人もそうでない者も、協力して世界の復興に尽くしていた。 十年の年月が流れ、やせた大地もその活力を取り戻し、にごった雲も消えた。 戦争を知らない子供達が増え、その名を失った世界は千年前の輝きを取り戻そうとしていた、その矢先だった――
デッドライオン「この『怪魔界』はたった今から我らショッカーが制圧する!」 戦闘員(骨)「イーッ!」 地獄サンダー「ケケケケッ」 スノーマン「スゥノォォォ」 ジャガーマン「ヒョーオゥ」 この頃ショッカーは皇帝クライシスの足跡をたどり、異世界へと出入りする術を我が物としていた。 そう、彼らはこの地に自らの拠点を築き上げんとしていたのだ! ショッカー軍団の数は多く、それに対する戦士はあまりに少なかった。 殆どのクライシス人は殺される事無く囚われの身となった。洗脳し、戦力の一端とせんがためである。 そして、怪魔界に残された希望は皮肉にも『仮面ライダー』であった。 かつてショッカーと戦った彼らなら…… だが、現れたのは…… シラキュラス「ブルルルルゥー?」 突如自分の腹から生えた刃を見下ろすシラキュラス。やがて前のめりに倒れた彼の背後に立っていたのは――――
デッドライオン「き、貴様は……アポロガイスト!?何のつもりだ!」 アポロガイスト(?)「ふ、今の私は、一見アポロガイストであってアポロガイストではないのですよ。 そして目的は……貴方方の殲滅です」 言うなり彼の両腕の電磁カタールが唸りを立てる。 次々と倒れる怪人軍団。 デッドライオン「ええい、奴一人に……他にもいる!?」 見上げれば、崖の上に立つ六つの青い人影。色違いのマフラーを巻いたその正体は―― エイキング「ウハゥーッ!あれは狼男(青)ではないか!」 スノーマン「スノォォーゥ!しかも、腰にライダーベルトだと!」 青狼1「おっと、俺達はしょせん下っ端」 青狼2「本命は――あの方だ!」 彼らが指し示す先には――腰にダブルタイフーン(おなじみV3の変身ベルト)を巻いた鮮血怪人狼男(金)が! デッドライオン「……聞いた事がある。遺伝子操作で最強の人間兵器を生み出さんとしたとある組織がショッカーの技術提供を受け、かって大佐の名で恐れられた戦士のコンセプトを継承した改造人間を生み出したものの、脱走され壊滅したと!」 黄金狼「よく知ってるな!今や俺たちは、貴様らの敵と言うわけだ!覚悟!!」 八つの風車が唸りを挙げ、横一列に並んだ狼の指先から放たれた火炎弾が怪人軍団に降り注ぐ。 デッドライオン「ええい!奴は、狼男の弱点は炎だ!行け、ウニドグマ!」 ウニドグマ「ゥニィー!……ウニぃ?」
今まさに必殺の『ドグマファイアー』を放たんとしたウニドグマの腹部を忍び寄ったカメレオン男の舌が貫き、ウニドグマは感電爆死する。見ればそのカメレオン、腰に巻いたはエレクトラー(ストロンガーのベルト)であった。 カメレオン「ウウー、ウクッウクッウクッ!この、死神改め雷神カメレオン、簡単には倒されませんぞ?」 アポロガイスト(?)「おお、皆よく来てくれました。それと、通知した通り私の事は『ギルノイズ』と呼ぶ事」 黄金狼「ああ、こっちは今回『ケイン・マットレイ』だ」 ギルノイズ「……痛烈な皮肉ですねぇ。よりによってその名でブラックサタン残党に刃向かうとは」(セミミンガ「ハンナ・バーベラかよ!」サイギャング「つーか普通はわかんねーよ!」) カメレオン「と、私の方は『アルフレッド』ですから。ウクッウクッウクッ」 各自、手際よくショッカー軍団を葬っていく。そして最後の一人、デッドライオンとギルノイズとの決戦が残された。 ギルノイズ「ははは、量より質ですねぇ、これは。 でもそれも終わり。 さあ落ちなさい!『戸隠流小太刀二刀流・花吹雪斬り』!」 電磁カタールが獅子の皮膚を、肉を、骨を刻む。 デッドライオン「ショ、ショッカー万歳!」 その言葉を残し、不遇の獅子は異世界に倒れた―― 捕えられたクライシス人たちは開放され、二度と異世界からの侵略者が現れる事は無かったと言う―― ――そして、ギルノイズの名を伝説として語り継いだ……彼らの真の目的も知らず。
647 :
名無しより愛をこめて :02/12/13 00:04 ID:khBe2pkc
今まであくまで傍観者の立場を貫いてきたのですが・・・ 415さん、面白すぎです!! 個人的には、G4も出てきたので、劇場版つながりであの、警視総監の登場も期待しています。 そういや、涼だけ彼と絡みがないんですよね・・・・
『Cross Over the Masked Riders』第二話です。
今回デッドライオンたちを蹴散らした怪人軍団は別名で連作していたSSにゲスト出演させていたキャラで、そっちの展開が終ったので次の出番と相成った次第。
知らなくてもいいようにしてあるはずですがね。なお、そちらの方々に迷惑をかけないよう、以前の話には今後一切触れません。
さて、
>>632 ですが……おやっさんキタ――!
特警シリーズはろくに見てなかったのでコメントしませんが。
……夢を見ました。涼が『もう一人のギルス(蝶ベース)』に出会う話で……ちなみにレディーシェルエット。
おやっさんキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
650 :
名無しより愛をこめて :02/12/13 22:20 ID:mUEG8kKQ
カワサキの500SSとは……。ハカイダーですか(笑)。 で、次のバイクはV−MAXにする、と。
おやっさんや〜〜〜〜〜〜!!!!!!!! 渋いっすね〜〜!!!
652 :
名無しより愛をこめて :02/12/14 10:25 ID:Qg5q82DA
ハカイダーって750SSじゃなかったっけ? キカイダーじゃないかと。サイドカーだし しかし415さんのおやっさんもタイガーロイド・・・ 「守りたいもの」のくだりは本誌のライスピ読んでるとジーンと着ますなぁ
654 :
名無しより愛をこめて :02/12/16 00:49 ID:hmOAE6Gt
>>641 ライダー以外の作品を絡ませる予定は無いんですか……。
実は真由美は宇宙忍軍の四の槍その人で、
地球を侵略する際に邪魔になるであろうアギトの存在を察知した
タウ・ザントの命令により一足早く地球にやってきていた、とか……。
その際、自分の正体を隠す為、自己暗示により完璧に記憶を封印、
片平家の両親の記憶をも操作し本来は存在しない娘になりすましていた。
そして、体の異変は自身のアギト化ではなく、
ジャカンジャの一員としての記憶がよみがえり始めている……。
そして、アンノウンに襲われたのは彼女がアギトの種を持っているからではなく、
人類に害を為すジャカンジャを謎の青年が危惧していた為だった……とか。
なんか、即興で考えた割りに辻褄合ってますね(笑)。
655 :
415 :02/12/18 01:04 ID:OMojokL6
会議室の扉が開き、三人の幹部職員が部屋のなかへ足を踏みいれる。 濃紺のスーツに身を包んだ、体格のいい私服警官四名が、敬礼でそれを迎えた。 わずかに疲弊の影がのこる表情で、北條透が椅子に座った姿勢から顔だけうごかしてそれを見た。 「おきかせ願いたいのですが――」 楕円形のテーブルをまわりこんで上座へと進む幹部職員たちを眼で追いながら、北條が尋ねた。 「私の軟禁は、いつになれば解かれるのでしょうか」 「口をつつしみたまえ」 末席に座る北條に正対する位置に腰をおろして、中央の男が硬い声を返す。 「酷なようだが、これは必要な措置なのだ。きみはあまりにも知りすぎた。今、万が一にもこのことが外へ知れるようなことがあれば、警察の……いやひいては日本政府の威信にかかわる」 「北條君。きみは聡明な男だ。だが洞察のすぐれたばかりに身の破滅をまねくこともあるのだと、覚えておくといい」 「きみの心中は察してあまりあるよ。ましてきみはまだ若い。人間に対する不審をつのらせるのも無理なからぬことだ。だがこれも、人としてさらなる成長をするための良い機会なのだと思いたまえ。期待しているよ」 三者の言いようを、北條はうんざりとした顔つきで耳にいれる。 だが、静かに口をひらいた。ごまかしのない眼で彼らを見た。 「いいえ。その程度では、人の善性に対する私の信頼は揺らぎませんよ。なぜなら私自身が『いい人間』ですし、それに……」 言葉をくぎる。 そこに、重い扉が乱暴にひらかれる音がかさなって響いた。 「ほ、報告します!!」 「何事かね」 眉をしかめ、幹部のひとりがたずねる。息をきらせた若い職員が、蒼白な顔で答えた。 「特機の大型特殊輸送車が甲州街道を西進中! 武装解除に向かった一機および四機の執行班とは連絡がとれません……!」 「――――」 半瞬の沈黙ののち、その場にいた者たちがそれぞれに驚愕の声をだした。 だが喧騒のなか、北條だけは表情をかえず、テーブルに片手をついてゆっくりと立ちあがる。 そして顔をあげて、言った。 「そう、それに……私の周りにいるのは、人間のなかにひそむ闇に打ち勝とうとする、そんな人たちばかりでしたから」
656 :
415 :02/12/18 01:09 ID:fLOXljDq
「G5-S.S.C.、GSR-07、共に準備完了! ヤスもマサも、今にも死にそうな有様ですが一応準備完了してます!」 「GDCS-FSの積み込み終了しましたあ!」 「第一、第二小隊、およびG3-Xの準備は完了しています。いつでも行けますよ!」 「オーケー。――さぁて……」 整備班員たちからの報告をうけ、小沢澄子が笑みを刻んだ唇を舌先で濡らす。左手の指を右掌に押し込んで、ぱきぱきと音をたたせた。 「姐御!」 「姐さん!」 「アネさん!」 駆け足でロビー中央に集まった第一、第二小隊の隊員、そしてその後ろに整備班員総勢数十名が、口々に彼女へ呼びかけた。 小沢のとなりに立つ風谷真魚が首をすくめてやや脅えぎみにそれを眺め、葦原涼は腕を組んで我関せずと言いたげに顔をそらしている。 尾室隆弘は何故か隊員たちにまぎれ、活き活きとした眼差しで小沢を見ていた。 「あなたたち……よくわたしに命を預けてくれる気になったわね。感謝してるわ。さすがは、尾室くんの育てた『G5ユニット』よ」 レイバンのサングラスを片手ではずして、小沢が言う。そしてすぐに声音をきりかえ、厳しい瞳を彼らに向けた。 「第一小隊、および第二小隊の北沢、岬両名を除く全隊員は、本橋隊長の指揮のもと、高井戸インターチェンジまで西進。 北沢くんと岬くん、尾室くん、そして風谷さんと葦原くんはわたしと一緒についてきて。先行した第三小隊と合流後、高井戸インターでさらに第一第二小隊と合流するわ。 そろそろ本庁の連中が押っ取り刀でかけつけてくるはず。なるべくバラけて逃げるのよ。……ああそうだ。武装解除執行班の身柄を解放するの、忘れないこと」 強い語調ですべてを言い終えたのち、小沢が背筋を伸ばし、踵を打ちつけて敬礼する。そして告げた。 「そう、いつもいいとこ持っていくのがあたしの役目だものね。だったら今回も、美味しいとこもらっていこうじゃない! ――行くわよ、G5ユニット、出動!!」
657 :
415 :02/12/18 01:10 ID:ns4yHW1M
『特機大型特殊輸送車、甲州街道南鳥山を通過!』 『訓練施設へ向かった警邏隊より入電! 拘束されていた武装解除執行班を無事救出!』 『棟内に隊員および職員の姿は発見できず。大型特殊輸送車二両もすでに棟を離脱した模様!』 警視庁庁舎内、通信指令センター。 ずらりと並べられたコンソールの最前列中央、周りを占める騒擾のなかで、通信指令本部長である中邑成之は愕然とした顔つきのままその場にたちつくしていた。 「……馬鹿な……」 いまだ、眼前に展開される事態を信じられずにつぶやいた。だが真正面の壁面に斜めに傾く巨大な液晶パネルは、刻々とうつりかわる状況を無情に映しだしている。こわばった顔つきで、中邑がそれを見上げる。 その様子を横目に見ながら、彼の隣に立つ通信司令官がインカムへたずねた。 「警告は。無線はつながっているのか」 『何度かこころみていますが、各車とも応答ありません』 スピーカーから即座に返答がある。通信司令官が眉をしかめる。そして、傍らの中邑へよびかけた。 「本部長」 インカムのマイクを掌で覆い、低めた声で言う。 「連中は本気です。このまま治安部隊にやつらの身柄を確保されるようなことがあれば、警察の威信は地に落ちる。マスコミにかぎつけられればいたずらに社会不安を増長することにもなりかねません。そうなる前に、なんとしてもわれわれの手で……」 「……目標はどこなんだ。連中の目的は!」 歯噛みをして中邑が呻いた。そこへ、鋭いブザーの音が響いて彼の神経を刺激した。 『環状七号線および環状八号線に特機大型特殊輸送車! いずれも完全武装したG型特殊強化装甲服を積載しています!』 スピーカー越しの報告に、通信司令官が緊張をさらに増した顔つきで隣を見返る。 「本部長、時間がありません。このまま中隊規模でひとつところにまとまられると、ただちに治安部隊が殺到します。早急に対処しなければ」 「…………」 短い間があった。そして、慄えながらも抑えた声音で中邑が、決断を口にした。 「――…警備部長を呼び出せ。緊急回線でだ」
658 :
415 :02/12/18 01:12 ID:6TKE2ioh
ふたりめの参入者がG5ユニットのあらたな動向を報告するために会議室へ入ってきた。そこにいた幹部職員三名と、私服警官たちの意識がそちらへ逸らされた、ちょうどそのときだった。 私服警官のうちのひとりが、なんのまえぶれもなく、その場へくずおれた。 「!?」 席から立ち上がった幹部たちが、呆然とした表情でそれを眺めた。倒れた男のうしろに、北條が手刀を胸元まで引きよせて立っていた。 のこりの私服警官が事態を察し、とっさに身構える。 「おっと」 つぶやいて、北條は右腕を上げた。その掌中に黒くつめたい拳銃のグリップが収められていた。 シグ・ザウエルP220。気絶させた男のホルスターから抜きとったものだ。 「それ以上動かないほうが身のためかと。私の腕はよくご存知でしょう」 あいているほうの左手でスーツの襟を正しながら、こともなげに言った。ゆっくりと、シグのハンマーを起こす。45ACP弾がすでに薬室へ装填されていることは、腕に返る重みでわかっている。 「では、失礼」 ぴたりと動きを止めた警官たちを尻目に、北條はあっさりと会議室から出て行った。はたと我にかえった様子で、幹部のひとりが声をあげた。 「――お、追え! とりおさえろ!」 駆け去る男たちを見送って、報告をしに来たふたりの若い職員が、無表情に顔を見合わせていた。
659 :
415 :02/12/18 01:14 ID:u/CqoXzg
長い廊下を走りながら、北條は一度うしろを振り返る。追手の足音が、すぐそこまで迫ってきていた。 警視庁庁舎は、その性格上構造のいりくんだ建物だ。このままだと、庁舎を脱出するまえに追いつかれる可能性が高かった。 角を曲がったところで足をとめる。一度深く息を吸い込んで、吐き出す。手に持つ銃のデコッキングレバーを親指で下ろし、ハンマーを落とした。 足音が近い。 「! 何!?」 叫び声と同時に、ガンと鈍い音がする。シグの銃床を、角で待ち受ける北條が男の頭部に叩きつけていた。 「ぐあ……」 「きさまァ!」 膝をついて頭を抑える男のむこうから、さらに声があがる。繰り出される渾身のストレートを身を捻ってかわし、その鳩尾に北條が左拳をめりこませた。勢いのまま、男は壁に背をぶつける。 とどめとばかりに、北條が高く脚を降りあげ、苦しげに低くかがんだ男の後頭部へ踵を打ちおとす。 呻き声を洩らして、彼もまたその場にたおれた。 いちど深く息をつき、しかし北條はすぐに緊張をとりもどした。 「そこまでだ」 抑えられた声が、不意に背後から発せられた。耳朶の裏側にがつりと硬い感触。 「みかけによらず、なかなかやるじゃないか。だが、ちょっとはりきりすぎだ」 「……これでもG3システムの装着員候補ですから。そういえば、ひとつ忠告しておきたいのですが――」 銃を床へ落とし、注意深く両腕を上へ伸ばしながら、北條が肩のうしろへ視線を送って言う。 眉をひそめてそれを聴く男の肩へ、ぽんと軽く誰かの手がおかれた。振り向こうとした男の腕が、勢いよくひきよせられた。何者かに腕の関節をとられ、身動きを封じられる。 好機をみのがさず、北條が素早く振り向いた。無駄のない動作で男の右手に収まる銃のスライドを掴み、奪いとった。
660 :
415 :02/12/18 01:15 ID:mN2fkrFb
「むやみに銃を人におしつけるのは、危険ですよ」 にやりと笑って、言った。 それから、男のうしろに立つ人物へ視線を移す。 「河野さん」 「よう」 男の腕を背にまわしながら、初老の男性が気楽な口ぶりで言って右手をあげた。刑事部捜査第一課に所属する河野浩司だ。 次の瞬間には、男の身体は床へ叩きつけられていた。年齢を感じさせぬ、鋭い切れをみせる一本背負い。受身を取る暇もあたえられず、そのまま男は意識をうしなった。北條がわずかに目をまるくする。 「……お見事です」 「あァ、最近どうも腰が痛くってなあ。歳はとりたくないわな。――しかしまあ、派手にやったもんだ」 腰のうしろに両手をあてて背をそらしながら、河野が周囲のありさまを見回して苦笑いする。そのまま膝を折り曲げてしゃがみこんだ。 「そら」 倒れている男のスーツから何かを取りだし、北條へ投げ渡した。 反射的に受け取ってから、北條は掌のなかをたしかめる。没収された、彼の携帯電話だった。 ふと気になってたずねる。 「河野さん、なぜ私のことを?」 しゃがんだ姿勢から、河野が片眉をあげて北條をみあげる。歯をみせて笑った。 「なに。ちょいと正義の味方に頼まれてな」 「は?」 「いやいや、こっちの話さ。それよりおまえ、早いとこお姫さんのとこに行ってやれや。あの、ZOユニットだかRXだかいう、例の連中、どうせあの子が引っ張ってんだろう?」 「…………。『G5ユニット』と『G3-X』ですか? いやそれよりも、彼女に対して『姫』などという美称は、世界中のあらゆる貴人の御息女に失礼ではないかと……」 「はっはっはっ、照れんな照れんな。まァとにかく行ってやれ。待ってるぞ」 「……………………。はあ。では」 釈然としないものを感じつつ、北條は携帯電話をスーツの内側へ戻す。 走り出して、だが不意にその足をとめた。うしろを見返った。まだしゃがんでいる河野がそれを意外そうに見た。 深く、頭を下げた。何もいわずに、北條が。 河野が笑みをこぼして、「おう」とうなずいた。振り返り、北條はそのままふたたび歩を踏み出す。前へ。 to be continued.
661 :
415 :02/12/18 01:29 ID:mN2fkrFb
第九話をおとどけします。
……あれ。なんか北條さん大活躍です。何故。
「必然性がない」という理由で、せっかくの一条さんのM:I-2ばりのバイク&ガンアクション(……。言うだけなら自由です。ええ)をカットした反動でしょうか。
ああでもやっぱり一条さんは描きたかったかも……。
>>647 ありがとうございます。
凄い、嬉しいです。
そうですね。涼は総監との絡みがなかったので、それなら、ということでおやっさんにその役目を頼んだというところもあります。
警視総監の出番はちらっとだけあると思います。変身はしませんが。
そのかわり…………まあ、今後をお楽しみに。
>>649 回ってますね。(笑)
喜んでいただけて、幸いです。
662 :
415 :02/12/18 01:39 ID:mN2fkrFb
>>650 ,652
あーもうv(謎の歓声)
嬉しいですね。何せここは特撮板。
ってことは、逆に言えばこんなふうにネタには即反応が来るってことなんですよね。やっぱり。
もっと特撮見ておけば良かったかな。
で、雪のサイドカーですが、モデルはカワサキマッハIIIスペシャルサイドカーGT500。『サイドマシーン』です。
『白いカラス』は652さんのおっしゃる通り、750SSですね。
実は最後まで迷ったんです。500SSにしようか500のサイドカーにしようか、それとも750SSにしようか。
ハカイダーってのも、雪のキャラ的にオイシイかなとも思ったんですが。
結局サイドマシーンのカッコよさに負けてスペシャルサイドカーGT500レプリカ(?)になりました。
ただ実際には、サイドマシーンの実車とは結構違うはずです。空も飛びません。(笑)
まーこんなバイクに乗ってるからには、きっと特撮好きなんでしょう、雪が。
本を読んだりグッズを集めたりって感じではなく、子供のころの憧れがそのまま残ってる、という感じ。
その勢いでG5ユニットに入ったのではないかと。
>「守りたいもの」のくだり
はい。やっぱりそこは意識しました。
「腐れきったこの世に善も悪もねえ」。
そう言い放っていた三影が、どんな経緯であのおやっさんになったのか、
考えると少し、興味深いですね。
663 :
415 :02/12/18 01:54 ID:mN2fkrFb
>>651 渋いですか?
ありがとうございます。
今回の河野さんもそうですが、ああいうふうにカッコ良く歳をとった人を描くのって、
難しいけど楽しいです。
>>653 カワサキマッハIII。
なんでも「止まらない曲がらないまっすぐ走らない」という無茶苦茶なバイクだそうで。
フロントが軽いから、三速ウィリーもあながち嘘じゃなかったらしいですね。
「走る玉砕マシン」とか、あだ名もまたえらいことになってます。(笑)
>>654 うわ。
凄い、たしかにつじつまあってます。
個人的にはこういうクロスオーバーは好きなんで、こういうのは嬉しいですね。
たぶん、最後まで話が進んでも組み込めるんじゃないかな、これ。
でもそうすると真由美が巨大化……ごほごほ。(汗)
664 :
415 :02/12/18 13:39 ID:SoHpoMhv
>>648 岩のような瓦斯さん
すいません、レス遅れました。
第二話、読ませていただきました。
なかなか凄い展開になってますね。
元ネタをもっとちゃんと知ってれば、さらに楽しめるんだろうなあ。
ともあれ、おつかれさまでした。
>>415 さんお疲れ様です!毎度楽しみにしてますですよ。
最近ペースが速いから嬉しいけど無理してないかなーとかも思います。
負担にならない程度に全力でがんがってください(ドッチダ
ってワケで誰か・・・某スレの五代氏とかもこっちで書いてくれないかな。
昭和平成競演スレは容量オーバーなのに新スレ立たないし。
あのラストを見たらどうにも続きが読みたいし。
667 :
名無しより愛をこめて :02/12/18 17:49 ID:ZPNLeHe2
こんなかっこいい北條さんを本編で見たかったw
北条・・・・こんなかっこよかったか?(笑) まあ河野のおやっさんの活躍見れたからいいや〜 中年の渋い活躍はやっぱいいな〜
保守sage
670 :
名無しより愛をこめて :02/12/21 13:38 ID:5idteje7
さがりすぎなので アゲてみる テスト
671 :
名無しより愛をこめて :02/12/24 02:24 ID:VbtsvbPz
保守
672 :
415 :02/12/25 19:45 ID:QE/gQQhw
415です。 えー……情けないことにちょっと体調をくずしてしまいまして、 申し訳ありませんが、今週はお休みさせていただきます。 しかも年末年始はちょっと執筆時間を取れないと思うので、 再開はたぶん年明け一週間を過ぎたころになると思います。 すみません。それまでお待ちいただけると幸いです。
673 :
415 :02/12/25 19:56 ID:QE/gQQhw
>>665 ありがとうございます。
でも……すいません、見事に風邪こじらせちゃいました。(汗)
執筆自体は自分のペースでやってますし、負担にはなってませんので、心配いりませんよ。
体調が戻ってこの忙しさに一段落ついたら、また全力でがんがらせていただきます。
昭和平成スレは次スレが立ってましたね。
むこうのみなさんにも頑張ってもらえるよう、期待してます。
>>666 岩のような瓦斯さん
>豪快な間違い
河野さんを出したら絶対やろうと思ってましたので。(笑)
>シゲさんの作ったプロテクトギアが後のG1
これもなかなか凄い設定ですねえ。
でもシゲさんならやりそうなあたりが……。(笑)
674 :
415 :02/12/25 20:06 ID:QE/gQQhw
>>667 私も見てみたかったです。(笑)
実際、こんな活躍するとは……。
プロットではせいぜい、
『銃を奪って部屋から脱出する北條』
くらいのシーンだったので。……やっぱ反動?
>>668 いやもう、
私も不思議で仕方ありません。(笑)
河野さんの活躍は、私も描けてよかったですね。
年末の繁忙期だとか、世間のモテどもがクリスマスだなんだと浮かれてるとか、風邪引いたとか、しかも治ってないとか、色々あって執筆力がつきかけてます。
仮面ライダー外伝『Cross Over the Masked Riders』第三話『雷甲覇』はしばらく脱稿できません(T□T)。
>>673 415さんも、御大事に。今、『G−トレーラーの床板を開いてショットガンを二本引き抜くシゲさん(演:千葉繁)』という『紅い眼鏡』チックな場面が浮かびました。
何だか頑張れそうです。
『カブトムシルパン三世の相棒は15代目ガマゴエモンと誰だろう?』などと言うショーも無いネタも浮かびましたが。
今、エキサイト翻訳でG5ユニットの正式名称考えてたんですよ。 特殊怪奇事件対抗機関(Special mysterious incident confrontation organization) ……略して『S.M.I.C.O』……オムロ〜ン(T□T)
保守
679 :
名無しより愛をこめて :02/12/30 21:10 ID:CWN2MK/E
年末あげ
680 :
名無しより愛をこめて :03/01/01 22:11 ID:AAIAVR3T
新年あげ
681 :
名無しより愛をこめて :03/01/04 11:46 ID:w7qjuq6d
三が日終了アゲ
682 :
名無しより愛をこめて :03/01/06 17:21 ID:UWTFD4PR
そろそろあげ
683 :
名無しより愛をこめて :03/01/07 23:17 ID:dvsgpJR5
期待してますage
684 :
名無しより愛をこめて :03/01/08 15:15 ID:kyqu3DZP
一周年記念あげ
685 :
山崎渉 :03/01/08 21:33 ID:yvPHPuoy
(^^)
686 :
名無しより愛をこめて :03/01/09 18:31 ID:rfpKEO4q
期待あげ
687 :
415 :03/01/09 21:04 ID:Wysg1Ts/
「じゃあ何か。あの鎧軍団、わざわざアンノウンだけを斃してまわってるわけか」 杉田守道が言った。 緊急に組まれたあらたな未確認生命体対策班のために、捜査本部として警視庁庁舎内に即席でわりあてられた一室。テーブルの脇に置かれた椅子の背もたれに体重をあずける格好で、不機嫌に天井をみあげた。 「ハ。ずいぶんと選り好みが激しいこった。好き嫌いしてちゃあ、おとなになれねェぞ」 いらいらと吐き捨てる杉田に、桜井剛が返す言葉をすぐには決めそこねる。対策班としての活動を制限されて、いらだつ彼の気分もよくわかるのだ。 「どうも、意図的に未確認を逃がしてるんじゃないかって噂が」 しかたなく、桜井は事務的な返答をえらんで口にした。杉田がますます顔をしかめる。 そこに、部屋のむこうから物音があがった。ドアをあけた一条薫が、なかへ足を進みいれるところだった。杉田が椅子からたちあがり、「おう一条」と、そちらへ声を投げかける。だが。 「――――」 「……一条さん、そちらの方は?」 眉をひそめてうごきをとめた杉田の隣で、桜井がたずねた。一条は答えず、ただ、自分のななめうしろに立つ人物へ、肩越しにちらりと視線をよこしただけだった。 薄い布地のスリップドレスを纏った女が、ひややかな眼差しでかれらを見渡していた。その額には。 しろく、薔薇のはなびらが。 「!!」 ジャッ! と一瞬の間隙をつく動作で、杉田と桜井が同時にスーツの内側から拳銃をひきぬいていた。どちらもぴたりと正確に、照準に女の頭部をとらえて静止する。 「――未確認生命体、B群第一号……?」 桜井が、まだどこか信じられない様相でつぶやいた。 この近距離で銃口をむけられてなお、女は微動だにせずそこに立っている。杉田がクッ、と口許をゆがませた。笑いにはならなかった。 「オイ……おいおいおいおい、いったいどういうことだ一条!!」 コルトパイソン357マグナムの長い銃身を一瞬震えさせて、怒鳴りつけた。それを見すえる一条からのこたえはない。
688 :
415 :03/01/09 21:06 ID:Wysg1Ts/
「無粋な名で呼ぶのはよしてもらおう」 ふいに、女がそう言った。 いつのまにか静寂につつまれていた室内に、パイソンのハンマーを起こす刺戟音がひびいた。まわりの対策班メンバーも、かたずをのんで彼らのようすを見守っていた。 「わが名は〈ラ・バルバ・デ〉。真実を告げるため、ここへ来た」 長手袋で覆われた腕をゆるりと胸元へうごかし、女が告げる。むきだしの細い肩がかすかに揺れた。 ギッ、と奥歯に音をたてて、杉田がそれを睨みやった。銃を持つ手に力をこめた。 「……ふざけるなよ未確認! よくもノコノコと……今度はどんなゲームのつもりか知らんが、これだけのコトを起こしておいて、いまさらただで済むと思ってやしないだろうな!?」 「だまれ。のぞむのならば今ここで戦端をひらき、この場にいるリントすべてをわが手にて灰燼と帰することも苦ではないのだ」 静かな、しかしするどい一喝によって、バルバが杉田の憤慨をばさりと切り捨てた。蔑む眼つきでつづけた。凛然と。 「いま、この名状しがたき愚かしさの源、たどりかえればすべてきさまらリントの驕傲のしわざ。そのいたみ、自身へ返る応報の刃に因ると知れ。――聴け、闇よりいづるものどもよ。おのれの業をかえり見よ。そして真実を、識るがいい」
689 :
415 :03/01/09 21:07 ID:Wysg1Ts/
かたわらに置いてあった携帯電話が、バイブレータ機能の振動で着信をしらせた。 幹線道路を走るGトレーラーのひろいカーゴ内でそれをとりあげ、液晶表示を確認すると、小沢澄子はおもむろに息を吸いこんでから通話ボタンを押した。そして、 「――遅い!!」 相手の声をまったく待たずに抗議の声をはりあげた。同乗していたほかの六人が、ぎょっとしてそちらを見た。 『…………』 回線のむこうからも、少なからずショックをうけた様子で、複雑な沈黙が返ってきた。 『……決定的な情報を持って来た相手に対しての第一声がそれですか。あなたには恩を売る甲斐すらもないようだ』 数秒の空白ののちに、予想外のダメージから立ち直った北條透がなんとかそうきりかえすが、 「なに? わたしに何か期待してたわけ? 『よくがんばりました』って褒めてもらいたかったの? それとももっと即物的な何かを?」 『……………………』 容赦のかけらもなく、小沢がみごとに撃ちのめす。デジタル回線ごしに、おそろしく複雑な沈黙がながれた。北條さんおきのどくサマ、と、尾室隆弘がカーゴの奥からぼそりと言った。 ごほんと咳払いをあいだにはさんで、北條がもういちど深刻な精神的疲労から立ち直る努力をする。とにかく、と話をもどした。 『まずは、あなたがたが現時点でどれほどの情報を把握しているのかを確認したいのですがね』 「何も」 『何も?』 あっさりと言われて、おもわずそのまま訊きかえした。小沢がしれっと同じ答えかたをする。 「ええ。何も。状況証拠からいくつかの推測はたてたけど、実際のところ確証の持てるものはひとつもないわね」 『……あきれたひとだ。真実を何も知らぬまま、こんな騒ぎをひきおこしたのですか』 「わたしはただ、なにもかも終わらせたいだけよ。このおかしな状況を、すべて。――それに、真実なら今あなたが持っているはず。『期待どおり』にね。それでいいわ。違う?」 『…………』 みたび、北條は複雑な黙りかたをする。やがて深いためいきを吐いた。 『まったく、どこまでもあきれたひとだ』 わずかに笑みを含んだ声音で言った。 そして、告げる。 『いいでしょう、すべて話します。私の知った真実を』
690 :
415 :03/01/09 21:18 ID:Wysg1Ts/
あけまして……、は、もう遅いですね……。 まずはスレの一周年、おめでとうございます。奇蹟のようなこのスレも、建ってからもう一年。早いものです。 私の物語も、「龍騎の最終回までには終わるかな」とか思ってたのは遥か去年のこと。(笑) こうなれば完結まで、じっくり彼らとつきあっていきたいと思います。 みなさんにも、そんな私の物語に最後までおつきあい願えれば、幸いです。 というわけですので、あらためまして、今年もなにとぞよろしくお願いいたします。 さて、遅くなってまことに申し訳ありません。第十話(前編)をお届けします。 ……短いです。かさねがさね申し訳ありません。(汗) 後編はボリューム増で、しかもなるべく早いアップをこころがけたいと思います。 読んでいただければおわかりのとおり、後編は一気に物語の謎解きに入ります。そうなればもう最後まで一直線。 ……とはいえ、まだまだいろいろありますが。(笑)
691 :
415 :03/01/09 21:26 ID:Wysg1Ts/
>675 >677 岩のような瓦斯さん お気づかいありがとうございます。 おかげさまで、風邪はすっかりよくなりました。そちらのほうは息災でいらっしゃるでしょうか? >特殊怪奇事件対抗機関(Special mysterious incident confrontation organization) >……略して『S.M.I.C.O』……オムロ〜ン(T□T) すいません、おもわず笑いました……。 オムローン……(笑) >678-684 >686 スレの保全、ありがとうございます。 「期待」の二文字を見ると、申し訳ない気持ちとともに、感謝の思いがあふれてきます……。 頑張らせていただきますので、これからもよろしくお願いいたします。
692 :
名無しより愛をこめて :03/01/09 23:21 ID:Cuno0zQz
415さん乙です!今年も頑張って下さいー 後編もたのしみにしてます。 にしてもクウガ組とアギト組の雰囲気の違いが面白いです。 即物的な何かってなんかやらしーっすね
693 :
名無しより愛をこめて :03/01/10 02:35 ID:rNBDlld3
415さんおつかれ〜!!! いよいよ全ての謎が明らかになる!!! ・・・・のかな?(笑)
415さん、御久しぶりです。今後とも、御互い頑張っていきまっしょい。 さて今回は、『一条専用G3改』の作り方。 1.北岡(30)を暴れないように縛り上げる。 2.G3の胸部をG4のパーツと交換する。 3.通信機能を強化する為に角を一本追加する。 4.第四号のリスペクトとして赤くリペイントする。
695 :
名無しより愛をこめて :03/01/14 22:26 ID:tCn05S5h
そろそろあげ
696 :
岩のような瓦斯 :03/01/16 22:52 ID:E6vq4EIW
四番、保守、古田。
697 :
山崎渉 :03/01/19 05:33 ID:ukOyVhVn
(^^)
698 :
名無しより愛をこめて :03/01/19 14:50 ID:+8Vkch1W
そろそろかな?あげ〜
699 :
名無しより愛をこめて :03/01/20 23:58 ID:yLiZ0cQ6
保守。
うんこ
701 :
415 :03/01/21 21:23 ID:EAwwRXEq
「忌憚のなきところを言えば、私はもう飽いた」 胸の前で両腕をかさねあわせ、壁に身を寄せながら、バルバが簡単にそうつげた。言葉を投げすてるような響きがあった。 「いや、われらグロンギがみな、どこかで飽いているのだろう。閉ざされた、はてのない円環に。螺旋のように、どこまでもおなじ軌跡をたどり、くりかえすことに」 「飽きただと……?」 テーブルをはさんで彼女と向かいあう位置から、がたんと椅子を鳴らして杉田が立ち上がる。 「よくも言えたものだな、おい!!」 けわしく自分を睨みつけるそのさまを、バルバはかわらず氷のまなざしで眺める。 「われらのおこなうことを、一律に罪と断ずるか。その資格を有しうるのか、おまえたちに。欺瞞だな」 ざくりと斬りつける口調で、言い放った。 「万物すべての霊長をきどり、ただしき戦と称して剣をとる。それを驕傲というのだ。もっと正直に、本意をあきらかにするべきではないか? ――われらが邪魔なのだと」 「何ィ……」 「杉田さん」 一条が静かによびかけて、両者のあいだに割り入った。それから、バルバのほうを見た。 「〈薔薇のタトゥの女〉――ラ・バルバ・デ。おまえも、そんな話をしにきたわけじゃないんだろう。 たしかにわれわれが、『自然』というシステムからの離叛による階層構造的優位性と、そのリスクをカバーするために働かせてきた防衛機構によって、ある種の特権意識を持っていることは事実だ。 だがいまさらそれを糾弾したところでどうなる。俺たちは……少なくとも俺はそんな理由で剣をとったわけじゃない。自分のなかに、決して癒されない痛みがあるからだ。おまえたちのすることによって、うみだされる悲しみがあるからだ。 おまえの言うとおり、それを正義とするのは欺瞞だ。だが、それでも俺は止めたいと思う。守りたいと願う。――人々の、笑顔を」 「…………」 バルバがかすかに、両の瞳をほそめた。わずかな間をおいて、そうだな、とつぶやいた。
702 :
415 :03/01/21 21:24 ID:EAwwRXEq
「非礼を詫びよう、われらがはらからよ。私の言葉はまた、われらグロンギにとっても返す刃となるものだ。……リントは、ほんとうにわれらと等しくなった」 深紅にいろどられた唇の紡ぐ言葉の端で、美しく、彼女はうれしそうな笑みをみせた。あでやかに、だが。 幽く。 一条がつよく眉をしかめてそれを見るが、あえて何も反駁せずに、口許をひきしめた。そして言った。 「おまえの話をきくまえに、前提として知っておきたいことがある。それを、尋ねたい」 「いくらでも」 軽くこうべをうごかして、バルバが答えた。 「訊きたいのは、なぜ、おまえが生きてここにいるのかということだ。なぜ今、未確認生命体――〈グロンギ〉がふたたび世にあらわれている?」 「私が今ここに存在する理由と、ほかのものたちが新たな生をうけた理由は異なる。私は、たんに運がよかっただけだ」 「……つまり、『死んでいなかった』ってことか? ようするに」 やや呆れ顔でつぶやいたのは、杉田だ。 「そうだ」 バルバがあっさりと言った。そしてつづけた。 「先に言っておこう。これは取りひきだ。私は同朋たちの愚挙を押し止め、ともにふたたび眠りにつくことを希んでいる。そのために〈アギト〉の力を借りたい。ひきかえに、おまえたちは〈クウガ〉をその手にとりもどすだろう」
703 :
415 :03/01/21 21:26 ID:EAwwRXEq
『〈グロンギ〉が四号に斃されるとき、そのすべての情報は一時的に四号のアマダムに転写され記録されます』 疾走するGトレーラー一号車カーゴ内のスピーカーから、北條の声がながれる。コンソールに向かって座る水野詩織の傍らに、伸ばした手をついて、宮瀬雪がレンズごしの双眼を彼女へむけた。詩織がそれを見返し、そしてまたスピーカーのほうへ瞳をもちあげる。 ほかのメンバーも、それぞれ真剣な表情で説明をきいていた。二号車の無線に繋がれた小沢の携帯電話を介して、各Gトレーラーに情報がいきわたるようにしてあった。 『『封印』の際、空気中に散布した大量のナノマシンによって、極少量の空間……というよりは空気の『転移』がおこなわれ、強制的に重複を起こした物質同士により、そのまま核融合が開始されます。 核爆発のエネルギーが、人ひとりぶんという膨大なデータの記録を瞬時にして可能とするわけです。さらにそのエネルギーは、データの転送と対象の破壊にも利用されます。転送先は――』 「〈封印の地〉だ」 バルバが言った。 「『封印の地』?」 たずねる一条へ視線を返し、彼女が薄く微笑した。 「〈九郎ヶ岳遺跡〉ね?」 小沢が断定してみせる。スピーカーからは、肯定の言葉が返った。 『そう。つまり、四号は遺跡を大規模な管理システムとしたネットワークの一部であり、プログラムのホストであるといえるわけです。 仔細はともかく、そのメカニズムの存在自体は、かなり早い段階から一部の人間の手によって解明されていました。 にもかかわらず、われわれにすらそれが伏せられていたのは、おそらく四号の兵器としての有効性を表面化させたくないという、政府の政治的判断によるものでしょう。遺跡内部にどのような機能が備わっているのかは、いまだ未知なままですから』 椅子の背に体重をあずけて、小沢がうんざりと天井をあおいだ。 「なるほどね。よくわかるおハナシだわ」 皮肉めいた口調で言った。 「で、肝心の、今回の件においてその『封印』が解かれた理由については?」 『――……』 返答までに、北條はわずかな沈黙をはさんだ。
704 :
415 :03/01/21 21:27 ID:EAwwRXEq
「闇とはこころのすきまが招くもの。真実とはつねに過酷なもの。それを心〔しん〕から思い知るがいい。――今、愚かしくもわれらの封を解きはなったのは、おまえたちリントどもだ」 「!?」 まるで予測もしない位置からがんと強烈に殴られたように、一条が目をみはった。すぐに苦々しく顔をしかめた。だがバルバから、眼をそらすことはしなかった。 その反応をたしかめるように、バルバはじっと彼へまなざしを向けている。やがてしずかに、瞳をとじた。 「すべてきさまらのくわだてたことだ。分限をわきまえず、われらを意のままにしようと弄した謀〔はかりごと〕だ」 「……説明してもらおう」 一条がうながす。閉ざした双眼をひらいて、バルバが応じた。 「おまえたちリントのなかには、その身裡にやどる光――〈アギト〉を厭うものたちがいるようだな。〈神〉を打ち滅ぼすほどのその力、怖れ慄えるのも無理なからぬことだが、……数が集まると異なるものは排除しようと考えるのが、今生のリントの特性らしい」 『主要な大手企業のトップをはじめ、警察、自衛隊各上層部、政治家、果ては米軍関係者に至るまで、およそあらゆる権力者たちが、その『組織』には名を連ねています。いかにして〈アギト〉を根絶するか。彼らの目的はただその一点に限られる』 淡々と、感情の少ない声音で、北條が説明をする。 葦原涼が無言のままけわしい表情をつくり、隣から片平真由美がそれを不安げに見守った。 「そのなかには、小沢さん、あなたもよく知る人物、白河尚純の名前もあります。私も一歩間違えば、そこに与するひとりとなっていたかもしれない」 「…………」 小沢が苦い沈黙をはさむ。G3ユニットが一時期その活動の方向性を誤って、『〈アンノウン〉の保護』を前面におしだしていたことは、まだ記憶にあたらしい。 その中心にいたのが、白河尚純だった。 北條が、過去の話題を長引かせぬようきりあげて、さらに続けた。
705 :
415 :03/01/21 21:28 ID:EAwwRXEq
『〈アギト〉を怖れる『組織』は、当然〈アギト〉についての研究を積極的に進めています。そして、さまざまな調査と研究のすえ、〈九郎ヶ岳遺跡〉と〈アギト〉には強い関連性がみられることがわかってきます。 たとえば、人の〈アギト〉化が現在まで日本国内でしか起きていなかったのは、遺跡に備わる機能による弊害であるとか……。時が来れば、いずれ世界中で〈アギト〉の種が覚醒をはじめるでしょう。 これは余談ですが、〈アギト〉に対して危機感を持つ国は非常に多く、あらゆる国がその情報を買い取り、『組織』はそれを活動資金としていたふしもある』 腕を組んでじっとスピーカーをみつめる岬一砂を、北沢敦志が隣からちらりとうかがい見た。 気づいた岬に「なにを見てるんだ」と呆れた顔でにらまれた。別にとつぶやいてごまかすが、まだ視線は彼の横顔を追っていた。 彼ののぞんでいた『真実』が、今めのまえにある。どんな心境でいるのか、知りたい気持ちがあった。
706 :
415 :03/01/21 21:30 ID:EAwwRXEq
『そんななかで、人の〈アギト〉化を促進させるシステムが、遺跡内部にあることが明らかとなります。 遺跡の端末である未確認生命体第四号が媒介となって、〈アギト〉を促進させる要素――詳細は不明ですが、四号との接続につかわれている微弱な電流や電波、あるいはナノマシンに関連した『何か』を、人々に『感染』させる……簡単に言えばそんなところでしょう。 だが同時に、現在の四号の力でこのシステムを発動した場合、彼が斃してきた数十体の未確認がその『封印』を強制的に解かれることも判明します。 『組織』は遺跡の存在を危険視しますが、しかし〈九郎ヶ岳遺跡〉は、きわめて貴重な歴史的価値を持つ遺跡です。簡単に抹消してしまうわけにはいきません。それに、下手に破壊して未確認の封印を解除してしまうような事態も避けたい。 何より、遺跡の存在の有無にかかわらず、これからも〈アギト〉は確実に増えつづける』 外の雨が、いちだんと激しさをましたようだった。ザアッ、と巨大なタイヤが溜まった雨水をいきおいよく跳ね散らせる音が、風谷真魚の耳にも響いた。真魚が顔をあげた。 そして北條が、声音をひくく落として言った。 『だがそこで、彼らはその機能とリスクを一気に逆手にとって利用する方法をおもいつく……』
707 :
415 :03/01/21 21:30 ID:EAwwRXEq
「〈アギト〉とは、リントがわれらへいたる途のひとつ。つまりわれらと〈アギト〉とは、本質において同種のものだということだ。〈アギト〉の力にめざめたのちであれば、リントからその『力』を奪うことも、われらにはたやすい。 前生のリントののこした文献に、それらのことが記されているのをみつけたのだろう。『〈アギト〉を厭うものども』は、そのことについてもすでに知っていたようだ」 「……アンノウンがおまえたちを狙うのは、それが理由なのか」 短い思索ののちに、一条がたずねた。バルバがうなずく。 「おそらくは。〈御使い〉どもがいまさらわれらを駆逐せんと動くのであれば、〈神〉もまた降臨をはたしているということ。あれも、〈アギト〉を『悪しき光』と忌み嫌うからな」 『これだけ材料がそろえば、もうおわかりのことと思いますが』 「……遺跡の機能を利用して人々の〈アギト〉への覚醒を加速させ、それを未確認によって『刈りとらせる』……」 小沢が抑揚のない語調で、導きだされた結論を口にする。 わずかな沈黙の間をもって肯定の証左とし、北條がさらに話を先へすすめた。 『現在、日本アルプス上空では大規模な低気圧が停滞しており、遺跡付近の大気の温度差によって発生した水蒸気と、おそらくは人為的に起こされている上昇気流によって、大量の雨雲が発達しています。 遺跡付近で観測されている季節はずれの降雪は、システムを使用することによる遺跡全体の発熱を抑えるためのおおがかりな冷却装置だと予想され、そしてその現象それ自体、システムがすでに稼動状態にあることを証明しているわけだ』
708 :
415 :03/01/21 21:48 ID:EAwwRXEq
えー……有言不実行女、415です……。
大変お待たせしたうえ、あまつさえ未完成です。申し訳ありません……。
ちょっと諸々の事情がありまして、十話完成まではまだ少し時間がかかることが予測され、
これ以上お待たせするわけにもいかないと思いまして、すでに書きあがっていた部分を十話(中編)としてここに貼らせていただきました。
(……でも『諸々の事情』のうちの42%が、龍騎49話の影響で日曜日を一日棒に振ったからだとはとても言えにゃい……かも)
もちろん真の後編は可及的すみやかに完成させるつもりです。
いましばらくお待ちください。
>>692 七〜十話あたりの流れは、かなり早い段階から決まっていたことでした。
しかし気がついてみると、メンバーが見事にクウガ組とアギト組にわかれていて、
それで
>>477 のようなことも言ったわけなんですが……
結局開き直って、クウガ組、アギト組の謎解きのタイミングをあわせて、交互に展開していく構成にしてみました。
雰囲気の違いは……なんとなく自然にこうなりました。(笑)
やっぱり作品の色の違いでしょうか。
>即物的な何かって……
あはは……そうかもしれませんね……。
…………すいませんちょっとだけそう思いつつ書きました。(笑)
709 :
名無しより愛をこめて :03/01/21 22:04 ID:MSSIeOER
わ〜い415さん来てくれた〜!! まあ隆起は・・・・・おいときましょう(笑) 次こそ全てが明らかになる!! ・・・のかな(笑)
710 :
415 :03/01/21 22:06 ID:EAwwRXEq
>>693 大丈夫です。おまかせください。
きっとばっちりすべての謎をときあかしてみせます。
と、693さんにいただいたレスを見た瞬間思ったものですが、
……すみません私が甘かったです。
いえ、設定自体はもちろんはじめから考えていましたが、
プロットの詰めが甘々だったために、執筆が非常に大変な作業になってしまいました。
この調子だと、十話だけでは説明しきずに十一話に少し謎解きが流れるかも……
これでも明かすべきところと伏せたままにしておくべきところは吟味してあるつもりなんですが……
未熟者であいすみません。(汗)
>>694 岩のような瓦斯さん
ええ、おたがい頑張りましょう。
>『一条専用G3改』の作り方
(笑)。
そういえば、私の話の初期案では、一条さんは赤いG3-Xを装着する予定だったんですよね。
結局、滝和也G4案の廃止と共にボツにしましたが。
……『一条さんの顔が見れないのは嫌』という、ごくごく個人的な理由もあったという話も。(笑)
711 :
415 :03/01/21 22:14 ID:EAwwRXEq
>709
お待たせして大変申し訳ありません。(汗)
龍騎……49話を見た後は泣けずに放心状態がしばらく続きましたが、
最終話の後は泣きはしたものの清々しい気分でした。
見たのは途中からでしたが、すばらしい作品だったと思います。
……スレ違い、失礼しました。
>次こそすべてが……
ええと……
>>710 のレスを見ていただければ……。(汗)
もちろん、全力はつくすつもりですので。
415さん!すごい面白いッス!クウガとアギトがこんな風に絡むとは。 なんかもうありがとうございます!
713 :
名無しより愛をこめて :03/01/23 13:49 ID:xoCziEIj
415さん!乙です! がんがれ! みんな保守して、待っていますから、時間かかっても大丈夫ですよ!
714 :
名無しより愛をこめて :03/01/24 19:23 ID:u7t3iv+M
今までクウガ関連の書籍で見られた、「倒す」のではなく「封印」したという表現に 違和感を覚えていたのですが...今回415さんの小説を読んでやっとモヤモヤが取れました。 これからも頑張ってください。
何故だっ!?このスレに書き込もうとするとIMEがエラーを起こすっ!! 415さん、つまり全ての平成ライダーは九郎ヶ岳に通じるんですか? そう言えば『赤いG3』ってどっかにあった気が。 モチベーションを何とか取り戻そうと、岩瓦斯版G5のラフを書き出しました。今のところG3系列とオルタナティブを混ぜた感じで。 第二話のギルノイズですが、さらにパワーアップします。それもかなりいやな方向で。 そうそう、『龍騎』のキャラのうち城戸君もでます。変身するかどうかは未定。でも、変身の心構えは出来てます。
716 :
名無しより愛をこめて :03/01/26 19:16 ID:gfpfl1b3
保守しとくか
717 :
名無しより愛をこめて :03/01/29 02:37 ID:HwOaSRlI
保守
保守
オーイ! またダミアン神は登場するの?火のエルはどうかな? (指輪物語、後編を見ながら。イヤッほらバルログが……)
720 :
名無しより愛をこめて :03/02/02 18:12 ID:TdlKBhZA
救難age
721 :
名無しより愛をこめて :03/02/04 20:45 ID:aK98UqsC
スレッド大量消滅につきage
722 :
名無しより愛をこめて :03/02/06 21:36 ID:JkXf5W17
お前ら、ライスピ4巻の中屋敷さんのインタビュー読めよ。
723 :
415 :03/02/06 21:51 ID:R89xz0Ky
「ちょっと……ちょっと待ってください」 突然、話をさえぎる声があがった。 小沢がふりむくと、額に掌をあてて真魚が、途方にくれた表情でうつむいていた。 「そんな……〈アギト〉の力をわざと未確認に渡すなんて……そうしてそのあとはどうなるんですか!? 未確認がその力でまたゲームをはじめたら」 『『手の施しようがなくなる』? それは違いますよ』 言いかけた科白の半ばで、北條が否定してみせた。……え? と顔をあげて真魚が睫毛を揺らした。同時に小沢が厳しくスピーカーを睨みやったが、あえて言葉を挟むことはしなかった。 『手の施しようはある。やつらをひとつところにまとめて、核のひとつでも撃ち込めばそれでことはたりる。前回と違って意思の疎通が可能なことはすでに実証ずみだ。連中を『騙す』手段はいくらでも講じられる」 「…………」 つづける言葉をうしなって真魚がたちつくした。まるでまったく異質な世界の話をきくような顔つきで、まばたきをした。 小沢が眉間をしかめてそれを見る。それから北條へ問いかけた。 「北條くん、ひとつ聞きたいわ。その話――…いま現在舵を握っているのは、誰なの?」 『…………。さすがに勘のするどいひとだ。あなたの考えるとおりですよ、小沢さん』 スピーカー越しに、北條からはあっさりと返答があった。キーボード・コンソールの前に両手をついて、小沢が低く、たしかめる。 「……米軍ね?」 『実質計画を管理しているのは日本政府ですが、裏で糸をひいているのは、そのとおり、米軍です。 日本政府にとっても、アメリカ政府にとっても、『組織』の存在は公然の秘密でした。今回の計画にしても、その当初からアメリカの厳重な監視のもとにあった。そのうえで、日本もアメリカも、静観のかまえをとるつもりでいた。 〈アギト〉、〈グロンギ〉、そして第四号。計画が成功すれば、厄介なそれらの要素の排除に、表面的には理にかなった大義名分があたえられることになる。両者にとってこれほど好都合なことはありません。……だがそこに、新たな不確定要素が加わってくる』
724 :
415 :03/02/06 21:53 ID:R89xz0Ky
「〈御使い〉――すなわちおまえたちが〈アンノウン〉と称するばけものどもだ」 おだやかに面を伏せて、バルバが語る。 「どのようないきさつがあったのかは私の知るところではないが、〈神〉がふたたびこの地に降臨を果たし、そしてわれらグロンギのおこなうことをさまたげようと動きだした」 「『神』ねえ」 向かいに座る杉田が、もったいをつけてつぶやいた。頑なに腕を組んで、視線を部屋の隅に投げた。 「気にいらんな。神サンってやつはいつの世にも横暴な力でもって人を裁く。親心ってやつか? いらん世話だ」 ゆるやかなしぐさで、バルバが顔をあげてそれを見た。ふっと、その唇に微笑のかたちをうかべた。 「同感だ。はじめて意見があったな?」 小首をかしげて言った。邪気のないそのいいように、杉田が言葉をつまらせて眉根に皺をつくる。舌打ちをしてふたたび目をそらせた。 笑みをのこしてバルバが続ける。 「世に〈神〉は居る。そのかぎりにおいて、救いなど決してありはしない。 弥勒の世。一切衆生を迷いの苦界より救済し、悟りの彼岸へわたらせる。そんなことが叶った例〔ためし〕があるならば、おまえたちも、そしてわれらも、神など希みはしないだろう。……だが世に〈神〉は居る」 「いや」 間をおかず、一条が厳しい声音を挟ませた。 「いいや、神などいない。その存在がわれわれに認識されたとして、それはもはや神ではない。話を戻そう。つまりアンノウンの出現は『組織』にとって想定外だったということだな」 「そうだ」 一条の言葉に興味をひかれたようすをみせつつも、バルバが素直に答えた。 「どこまでも欲深い生き物だ。この国を治めるものたちは、それすらもまた己の謀の呼び水としようと考えた」 『今回の治安出動、あまりにも即座に決定されたことに疑問は感じませんでしたか?』 前後の脈絡を無視し、北條が話を転じて尋ねた。だが反問はせずに、小沢は「なるほどね」と吐息をするだけだった。 「ま、そんなことだろうとは思ってたわ」
725 :
415 :03/02/06 21:55 ID:R89xz0Ky
涼が眉をひそめる。 「……最初から予定通りだったというわけか、なにもかも」 乾いた声でつぶやいた。 『そういうことです。ここからは推測の域を脱しない話になるので、それを了承されたうえで聞いていただきたい。 事態がこれに及ぶに至って、日本政府はかねてからアメリカと謀議していた、『未知生命体の排除』を方便とした自衛隊治安出動の先例づくりを実行に移します。 日本にとっては日米間の軍事的パイプの強化にもつながり、アメリカにとってはうまく日本政府の動きを誘導すれば、自国にとって脅威となりうる軍事兵器『Gシステム』のデータ奪取の機会を得ることができる――おたがいの利潤はそんなところです。 そして結局、陸自制式Gシステム部隊は、アメリカの思惑どおり異常なまでの大量投入をされることになる』 濃厚な霧におおわれ、にぶく汚泥に濁り隠されていた『真実』が、だんだんとその輪郭をあらわしてくる。 だが……。 現在自分たちをとりまくこの状況の、はたしてどこまでが人の作為によるものであるのか。どこまでが我欲に尽きるものたちの組みたてる、醜悪な計略〔パズル〕の断片なのか。 『陸自にとってみれば、これで実質的に極秘あつかいの警視庁G5ユニットに対して世間的に大きな優位性を得ることにもなる。G5ユニットの独立武装勢力化への牽制という意味も大きい』 「……っもう考えただけで腹がたつ、わたしの苦労なんだと思ってんの、なあああーにが『アドヴァンスド』よ、だいたい全ッ然可愛げがないのよあの大量生産兵隊アリ!!」 Gシステムの設計者として『G4-Aシステム』には言いたいことがやまほどあるらしく、小沢ががつりとコンソールデスクに額をうちつけて唸る。びっくりして真魚がそれを見た。奥のほうから、小沢さんファイト、と尾室のささやかな激励があった。 コンソールの表面に額をつけたままで、なんとなく小沢が尾室をにらむ。ななななんで睨むんですか、と尾室が一歩その場を退いた。そこに、 『姐御、高井戸インターまであと十分です』 Gトレーラー運転室からの無線通信が届いた。 雨音のなか、小沢が顔をあげる。はじまりはもう告げられている。ひとの手によって。
726 :
415 :03/02/06 21:57 ID:R89xz0Ky
先行していた第三小隊の三号車と合流し、Gトレーラー一号車は三鷹から上高井戸へとひきかえしている。二号車との合流地点、高井戸インターチェンジまでは、もうあとわずかだった。 「……熱は、だいぶひいたみたいね」 カーゴ内を薄い壁で仕切った個室のなかで、雪の前髪の下に掌をすべりこませながら、詩織が囁いた。 細身に纏わせた黒い特殊鋼ジャケットのファスナーをひきあげて、雪が唇で笑う。 「病みあがりにキツイ仕事だな。報酬でもなけりゃ、ワリあわない」 「なにがお望みですか、隊長?」 詩織が、軽口につきあうように笑みをみせて、彼女の目を見た。少し考えてから、雪が答えた。 「焼肉たべたい」 「え?」 「焼肉。カルビ焼き」 「……また? この前みんなで行ったばかりじゃない」 「面白い店みつけたんだ。普通のお好み焼き屋なんだけど、裏メニューになぜか焼肉があって、これが偉い美味いらしいって」 「お好み焼き屋なのに、焼肉? ……というより、『裏メニュー』って、何?」 「ああ、そういやそこの店員、管理官の」 「隊長、準備できました!」 言いかけた科白の途中で、壁のむこうから、今泉俊之少年の軽快な声が届いた。 また少し考えてから、「あァ、すぐ行く」と雪が返した。そして両手の指先を眼鏡のフレームにかけてひきぬき、おりたたんで詩織の胸ポケットにするりと挿しいれた。そのまま上目に詩織をみあげて、 「焼肉な」 念をおす。 呆れつつも苦笑して、詩織が口許に指をあてる。 「はいはい。特上カルビでも、サーロインでも、お好きなだけどうぞ」 「うん」 嬉しそうに雪が、素直に双眼をほそめて笑った。 ……ただし料金の請求は管理官あてにね、などとつけたしながら、詩織が個室のドアをあける。左手首に絡めた、ブレスサイズのあわないオメガスピードマスターのケースをおしあげて、クロノグラフで経過時間をたしかめた。 そしてその場にいる全員に、通る声で告げる。
727 :
415 :03/02/06 21:59 ID:R89xz0Ky
「目的地到着まであと約五分。今のところなんの妨害もないけれど、この先何があるか予測できないことに変わりはないわ。充分注意して」 「そういうことだ」 詩織の肩に手をのせて、低い位置から雪が声をわりこませた。それから、コンソールデスクの前で腕を組んでいる本橋義衛のほうを見た。彼女とおなじように黒いインナージャケットに身を包む本橋が、うなずいて応える。 唇の端を笑みのかたちに曲げて、雪が言う。 「よし。オマエら気合いれてけよ」 クリップで綴じられた数枚の書面が、無造作にテーブルのうえに落とされた。その場にいるものたちはみな怪訝な面持ちで机上をながめ、やがて一条が腕をのばしてそれをとりあげた。 書面をさしだした当人――バルバは、なにも言わず、ただ怜悧なまなざしを彼らへむけるだけだった。水気のある瞳を彼女から書面に記載された内容へと移し、そして一条は愕然と口許をこわばらせる。 「…………」 横からそれを覗き込んだ杉田と桜井も、おなじく言葉をうしなった。 黒枠でふちどられた表のなかにずらりと、日本人姓名とそれに対応した住所がしるされてあった。最初に書かれた数人の氏名ですぐにそれとわかる。――昨年の、『アンノウン関連事件』の被害者と、その血縁者のリストだ。 「おい……」 杉田が、かろうじて声を絞りだした。バルバがそれを見おろし、端然と言った。 「見たとおりだ。それが、おまえたちにとっての真実だ」 「……ああ……クソッタレ!」 テーブルのうえに視線を落としたまま、噛みしめた歯のあいだから吐き出すように杉田が毒づく。 「つまり……アンノウン事件の被害者とその身内を、人身御供として差し出したってことか、おまえたちに……!!」 ガン! と壁に拳を叩きつける音がその横で響いた。桜井だった。 「あの人は……未確認と人間がどうしてもわかりあえない悲しみを背負ったまま、それでも俺たちには笑顔をみせて、ずっと、ずっと戦い抜いてきたのに…… せっかく通じた人間の『意志』を、こんなふうにしか利用できないなんて……! これじゃ、あの戦いは全部無駄じゃないか!!」 かぶりを振って、くやしさをにじませた声を白い壁にぶつけた。きつく握った右の拳を、眉間におしあてた。
728 :
415 :03/02/06 22:00 ID:R89xz0Ky
杉田も、笹山も、そしてほかの対策班メンバーたちも、痛みの表情でそれを見る。おなじ気持ちを、この場にいるだれもが抱いていると、知っていた。ただ一条だけが顔をあげずに、じっとどこかをみつめていた。つよく。 祈るように。 「――……」 そこで部屋の片隅に設置してある無線機の呼び出し音が鳴り、沈黙をやぶった。 笹山がインカムを耳にあてて、それから眉をくもらせた。どうした? と杉田が声をかける。 「訓練棟を発進した特機大型輸送車三両が、本庁の管制を無視して都内を西進中……」 インカムに神経をさしむけたままで、笹山が通信の内容をくりかえした。桜井が驚いてそちらを見た。 「G5ユニットが……」 その呟きにかさなって、杉田がいきおいよく椅子から立ち上がった。俯いたままの一条を、横からみおろす態度で言った。 「呆けてる場合じゃねェぞ、オイ一条! こんなところでグズってる暇はねェ。――未確認!」 乱暴に呼びつけた。壁ぎわに身をあずけ、黙ってかれらのことを眺めている、うつくしい女を。 両手をくみあわせたまま、バルバがそれを流し見て、先をうながした。決して威圧されぬつよさで杉田が言い放つ。 「おまえの話に乗ってやる。俺たちにも、できることがあるはずだ。そうだろう!?」 何も言わずに、バルバはただ長い睫毛を伏せた。それから、一条へ眼差しを移す。
729 :
415 :03/02/06 22:01 ID:R89xz0Ky
ふと、一条が唇をうごかした。 「俺は……」 ぽつりと言った。 「俺たちは、あいつを喪うわけにいかない」 胸の前に拳を握ってつぶやく。心中に、かれの名を呼ぶ。ひそやかに。 喪えない。 失くせない光だ。 顔をあげて、バルバへ尋ねる。 「〈クウガ〉の居場所は、わかるのか」 「知る方法はある」 「わかった」 立ちあがる。 『真実』への失望も諦念も、まだ要らない。絶望にはまだ早い。こうして胸の裡に、腐壌を覆う闇を照らしつける光があるなら。 人はまだ、先へすすめる。 神のさだめた意味など、そこにはない。 「ならば俺が行こう。杉田さんたちは、G5ユニットの援護に回ってください。最終的には、彼らも目的地は一緒のはずです。そこで合流しましょう」 「よし」 明晰な一条の指示に、杉田が笑みをみせてうなずいた。すぐに桜井たちが駆け出し、準備をはじめる。 一条はそれから、もういちどバルバとむかいあう。まっすぐに。 「感謝する。おまえのおかげで進むべき途がみえた」 そう言った。彼女へむけて。バルバが不意をつかれた表情になる。 やがて瞼をとざし、薄く微笑した。……そうか、と呟いた。 そしてかれらは歩みだす。降りつづく雨のなかへ。閃く、尖鋭な刃のような覚悟を双眸へうつし。 神にさししめられたものではなく。 みずからの手できりひらき、つくりだす道の、その先へ。 「あいつのしてきた戦いは決して無駄じゃない。俺たちが、無駄になどさせない!」 to be continued.
730 :
415 :03/02/06 22:08 ID:R89xz0Ky
(´□`;;) えー……有言(以下略)……。 なんていうか……祟られてますか、十話。 なんかおよそ考えられる限りの「予期せぬアクシデント・アーンド・トラブゥ」が我が身にふりそそいだ気がします。 いやしかし。 なんとか後編を書き終えることができました。 もうひとえに、みなさまの暖かな声のおかげです。ありがとうございます。 そして、お待たせして本当に、申し訳ありません。 話の内容としても、十話はキャラがなかなか前に進んでくれなくて苦労しました。 おかげでプロットから書き直しを要求されて悲鳴あげてました。(汗) 構成に無理があったなー……。 ここに来て、長編を書き慣れてない(というかほとんど初めて)ことのツケが一気にまわってきた感じです。うう……。 とにかく、そんな苦労の結晶の第十話、お楽しみいただければ幸いです。 >712 ありがとうございます。 そう言ってもらえると、すごい嬉しいです。 でもでっちあげもいいとこなので、あんまり突っ込まれるとやばいですが。(笑) 他にもツッコミどころ満載な部分もあるでしょうけど、そのへんはなまあたたかく見守ってやってください。(汗) >713 うわ…… なんかもう、言葉がありません……。 もうほんとにありがたいのですが、 結果的に甘えることになってしまって、申し訳なくて…… すみません。ありがとうございます。頑張ります。
415さんおつかれ〜!! 今回も面白かったッス!!! ついに一条&アネゴの反撃が始まるのか〜!?
732 :
415 :03/02/06 22:18 ID:R89xz0Ky
>714 人によっては、「前生のクウガは(ゲームのルールに則って)『封印』していたが、 五代はその方法を知らず(『ゲーム』の方法を知らず)、すべてのグロンギを斃していた」という解釈の方もいるようです。 これはこれで残酷で面白い(……)と思うのですが、 今回は物語の内容にあわせて、こんな感じかなと考えてみました。……かなり無茶でしたが。(汗) 応援ありがとうございます。頑張らせていただきます。 >715 岩のような瓦斯さん >すべての平成ライダーは九郎ヶ岳に通じる? どこかの格言みたいな。(笑) 龍騎やファイズもつながるんでしょうか。 龍騎までならでっちあげもできそうですが、ファイズは今後の展開次第でしょうかね。 『赤いG3』は、SPIRITS番外編スレにあったネタでしたね。 あれを参考に、最初は滝G4と一条G3-XRを出そうと思ってたんです。 モチベーション、維持するのも大変ですよね、結構。 小説のために『クウガ』の47、48話を見たんですが、 「おおーアルティメットフォームかっこいいー早く書きたいいー」……とか思いつつモチベーションあげてたりします。(笑) >『龍騎』のキャラのうち城戸君もでます。 おお、真司くんですか。どんな感じで登場するんでしょう。楽しみです。
733 :
415 :03/02/06 22:25 ID:R89xz0Ky
>719 おまたせしてすみません! ダミくんと愉快な仲間たちは、一応出番がある予定です。あくまで一応。 ただ、火のエルの登場予定はないです。 理由は……言うとネタばれになるのかな。ので、とりあえず伏せておきます。 >722 あ、四巻のインタビュー、中屋敷さんでしたか。 楽しみです。 ……はい。実はまだ買ってません。買う暇もありませんでした。(汗) やっと少しは時間ができるかな……。 >731 早速のレス、ありがとうございます。 ほんとに、おまたせしてすみませんでした。 一条&姐御の反撃、楽しみにしててください。(笑)
734 :
415 :03/02/06 22:28 ID:R89xz0Ky
保全してくださった方々、ありがとうございます。 期待に応えられてるといいなとちょっとびくびくしつつ、とても感謝してます。 ところでふと思ったんですが、この小説、主人公は誰なんでしょう? ……あれ。そういえば翔一くんはいったいどこに。 ……次回までお待ちください。(汗) ちなみに上で「アルティカッコイイ」といいましたが、 そう言いつつアギトが紋章キック炸裂させれば「アギトさいこー」だし、 ギルスが吼えれば「ギルスカッケー」だし、G3-Xの出動シーンでは「ううーんG3-X良いなあ」だし、 弟に、「龍騎カッコイイって。龍騎カッコイイよ。カッコイイよね?」と何度言っても絶対うなずいてもらえなかったりしてます。 (同じやりとりを、ターンエーガンダムの時もさんざんくりかえした記憶が……) すいませんミーハーで。(笑)
415さん、御帰り♪ らいすぴ4巻か……早く探そう。 ところで、北岡先生のシーンは簡単に思いつけるのに、秋山君のシーンは思いつけない……いや、出ると確定したわけじゃないんだけど。 自衛隊がGシリーズを装備するかどうか、此れも考え中(吉岡平の『二等陸士物語』を読みながら)。
736 :
名無しより愛をこめて :03/02/10 03:53 ID:nWCsddUy
あげ
奥多摩。 レストラン『アギト』のオーナーシェフ、沢木哲也はここの農家で無農薬有機栽培の野菜を買い付けていた。 沢木「やはり、全部自分で作りたいとこだけどそれをやると時間が足りなくなるからねぇ。 やっぱり、こちらさんみたいな御百姓さんと出会うのが店を開くまでに一番苦労した事かなぁ」 城戸「ふんふん」 安くて美味しくてヘルシーなメニューを出す店として若い女性に人気の『アギト』に取材を申し込んだのがネットマガジン『OREジャーナル』の見習い記者、城戸真司である。 何時の間にか二人は意気投合し、城戸は沢木の仕入れにまでついてくることになった。 二人の宿命が本格的に絡み合うのは、まだ少し先である。
仮面ライダー外伝『Cross Over the Masked Riders』第三話『雷甲覇』 富士山麓の『G5ユニット訓練施設』。ここでは多くの警察官が明日の『特殊強化装甲服G5装着員』を夢見て訓練を重ねていた。今、演習ルームでは最終的な装着員に選ばれたうちの二人が格闘訓練を行っている。 G5-A1『でりゃぁぁっっ!』どっかーん G5-A2『のわぁぁんとぉ!』ずどぉぉん 尾室「よぉし、時間だ。そこまで!……お前ら、壊しすぎだぞ」 演習ルームは内部の障害物共々、二人のG5の格闘戦によって無残に破壊されていた。 A1「(マスクを外して)別にこのくらい」 A2『そうですよ、尾室管理官。形あるものはいつか壊れるんです』 尾室「鷹司、鯨井……G5の予算にだって限りがあるんだ!このままじゃ修理費だけで破産するぞ! ……胃、胃が痛い……」 そんな尾室を見ながら、海法警備部長はデジャブを感じていた……
突如灯る赤ランプ。唸る警報サイレンの音。 アナウンス『第八区画に武装した侵入者です!』 尾室「何……もしや、ショッカーか!?」 海法「尾室君、落ち着きたまえ。ここは一つ、君が育てたG5の御手並み拝見といこうか」 尾室の推測どおり、施設内に侵入したのはエイキングが5体、エレキボタルが3体と戦闘員16人、そして彼らを指揮するクワガタ怪人のショッカー電撃戦部隊であった。 クワガタ「お前達!この施設をバ、潰せ!壊せ!破壊せよ!!」 エイキング「ウハウゥー」 エレキボタル「リュリュリュリュリュ!」 戦闘員「イ――ッ!」 その言葉どおり、侵入者たちは大暴れに暴れた。 職員1「じ、G5はまだかっ?」 職員2「た、助けてくれぇっ!」 戦闘員「イーッ!」 エレキボタル3「リュリュリュ!俺様を見ろ……『地獄の舞』……ぎゃアッ!」
エイキング1「ウハウゥー!この案内図によればこの先が司令室だぞ……」 G5-A3『く、くそう…………!誰だ!(仰ぎ見る)』 ???『天が呼ぶ……地が呼ぶ……人が呼ぶ……悪を倒せと俺を呼ぶ……聞け悪人ども……俺は正義の戦士 仮面ライダーストロンガー!!』 A3『じょ……城先生!城南大電子工学部の城茂先生でしょう!?』 ストロンガー「んな?何を……俺は、かめ」A3『その声とか、後ろのバイクとか……』 ストロンガー「電キ――ック(倒れるエイキング1)!敵はまだいるぞ、楠君!」 A3(楠、ちなみに女)『……やっぱり城先生だ』「……」
クワガタ怪人「ここは……『G5特殊装備保管庫』だと?扉が開いていると言うのは…… ……誰だ!」 そこから姿を見せたのは、どう贔屓目に見てもGシリーズではなく、 ???「ビガラザバンザ クウガゼザバギバ」 クワガタ怪人「……?その姿は…………どこの怪人だ!?」 ???「ゴゼゾザセザドゴロデデギス!ズン!」 職員「(足元に倒れている)……くそぅ、怪人の癖にG5用の追加装備を着込みやがって……」 クワガタ怪人「追加装備?どういう……ぬな?」 謎の怪人の全身に火花が走り、ちぐはぐな印象だった装備が素体のもともとの装飾とマッチしたものに変わっていく。 ???「ゴゼザ ゴ・ガヅル・バ ビシズザザ」クワガタ「くっ!」 跳躍した謎の怪人――ガヅルの角が輝いて、とっさに受け止めようとしたクワガタ怪人の大顎をへし折る。懐に飛び込んだところで右腕のリボルビング・ステークを鳩尾に捻じ込み、全弾打ち込んだ。吹っ飛び、二・三度バウンドしたところで爆発するクワガタ怪人。 そうして開いた壁の穴の向こうで待ち受けていたのは――
ストロンガー「いよぅ、テメエ、何ものだ?ショッカーやそこらの連中とも違う……」 A3「城先生、あれは多分未確認生命体46号ですよ。いや、ちょっと違う気もしますが、未確認であるのは間違いないかと」 ストロンガー「ほおぉ、相手にとって不足は無しか」 二人の戦いはまさに激戦であった。 共に、カブトムシをモチーフとした雷の戦士。 二人は何時しか、本能的に相手を好敵手と認めていた。 ストロンガー『超電子ドリルキーック!』 ゴ・ガヅル・バ『ゼンゲビ・ビブブ!』 弾ける閃光、そして爆発。 侵入者を全て排除したG5部隊がそこに到達したとき、そこには傷ついた城茂を肩に担いだG5-A3 ―― 城「ちっ、とんだ三枚目だぜ……(がくっ)」 楠「……先生、ありがとう御座います……」
第三話、やっとお届けできました…… 多分誰もが思っていた事を、瓦斯なりにやってみました。余計な物がついているのはまあ、ご愛嬌。 さて、次の話ですが、半分ほどできています。あの人たちも出るんだけど、やっぱり秋山君も出てきそうですわ。
744 :
名無しより愛をこめて :03/02/12 00:25 ID:dRVvXYpR
岩さんおつかれっす! 岩さんのも楽しみにしてるよ〜!
746 :
415 :03/02/14 22:11 ID:yKiLGrUl
透明な窓ガラスのむこうがわを、ぬるい雨水が流れる。 ぬめる翳りを孕んで、たえまなく、つたいおちる。 「『第零号検知システム』?」 夏の雨へむけていた眼差しをもどして、榎田ひかりが客人へたずねかえした。 「はい。今すぐ使用することは可能でしょうか。正式な書類は用意できないのですが……」 自分のデスクに腰掛ける榎田を見下ろすかたちで、一条薫が言う。 そのかたわらで、榎田に出されたコーヒーカップに口をつけながら、椿秀一が視線を上げて彼を見た。『黒い〈アギト〉』に関する情報を聞きに、この科学警察研究所まで足をはこんだところに、一条と偶然はちあわせになったのだった。 榎田はデスクに肘をのせて、頬杖をつきながら難しい顔でもういちど窓の外を見る。一条がふと眉をひそめた。 「なにか問題が?」 「んー……いや、全然いいんだけどね、たださっき、おんなじこと頼みに来た子たちがいたのよ。ええっと、ホラ、なんて言ったっけ。ちょっとひょろながいコと、けっこう可愛いカオしたカレ」 「零号検知システムを?」 「うん。なんかどうしてもって言うから、動作確認ってことにして一度だけ使ったの。わざわざ気象庁にまで手をまわしてね」 「…………」 デスクのうえに両腕を投げ出してそう話す榎田を、一条は困惑の面持ちで見る。それから床へ眼差しを落とす。思索をめぐらせるしぐさで、口許に指をあてた。 「ほらほら、城南大学で話し合いしたときに、一緒にいた」 榎田がかさねて言う。思いあたって、一条が顔をあげた。 「氷川君と沢木君ですか?」 「そうそうそうその子たち。なんかえらく慌ててたみたいで、結局何のためにそんなこと頼みに来たのかは、教えてもらえなかったんだけどね」 「……目的は、おそらく私と同じです。第零号のアマダムが常に自身の周囲に散布している極微小機械〔ナノマシン〕は、第四号のそれとほぼ同質のものである可能性が高い。 気象レーダーを使用することによってその位置を掴むことができるレーダーシステムなら、……四号の居場所を知ることも、可能なはずです」 これは他人の受け売りですが、とつけくわえて、一条が言葉を切る。
747 :
415 :03/02/14 22:12 ID:yKiLGrUl
「じゃあ――」 椿が、カップを隣のデスクに下ろして言った。 「そのふたりも、あいつを捜してるってことなのか?」 「たぶん、そうだ」 一条が彼へ視線を移して答える。 「『〈アギト〉の闇は〈アギト〉の光によってのみ、うちやぶられる』。ある人物がそう言っていた。 〈アギト〉――つまりわれわれ人間の『可能性』によって生じるさまざまな争いや醜い計略といった闇の部分……それをうち祓うのもまた、人間の持つ『可能性』であるのだと、そういうことだろう。 そして今、もっとも強い『可能性』を持つもの、最強の『力』を持つ〈アギト〉、それが沢木君だ。だからこそ今俺たちには、四号の居場所を知ることと、そして彼の力が必要だったんだが…… どうやらすれちがってしまったらしい。これが吉と出るか、それとも凶と出るかは、わからないな。とにかくこちらも早急に手を打つ必要がある」
748 :
415 :03/02/14 22:13 ID:yKiLGrUl
「ううむ……」 腕を組んで、椿が眉根に皺をよせた。 「ようするに、あいつを追いかけている二人組をさらに追っかけるってことだな?」 「そうだな。だがすでに都内を出ている可能性も高い。現在東京に流入するあらゆる道路には、治安部隊による検問体制が敷かれている。俺たちは今正規の命令で動いているわけじゃないから、少し厄介だ」 「よしわかった。俺をつれていけ」 椿が言うと、不意をつかれて一条が言葉を止めた。 「……椿」 双眸をみあわせて、しずかに、友人の名を呼んだ。椿がしかめた顔のままで続ける。 「言っとくが、べつにあいつの代替〔かわり〕をするつもりはないからな。俺が俺の意思で、おまえの傍にいたいんだ。東京を出るのが難しいだと? 俺にまかせておけば、そんなもの一瞬で解決してやる。だからつれていけ、俺を」 「…………」 椿がひといきに言うと、一条が沈黙した。 結びあった視線は離さずに。 榎田は、ちょっと面白がって、ふたりの様子を眺めている。 「……あいつを」 床へ眼を落として、一条が言った。雨音に遮られずに、彼の声音は迷いなくまっすぐに届いた。 「捜しだして、たすけたい。あいつが培ってきたもの……それは、俺のなかにある。それをあきらめたくない。まだ、信じていたいんだ、人間〔ひと〕を」 顔をあげる。澄んだ冷水のまなざしで、椿をみた。囁く息で告げた。 「信じさせてくれ」 「ああ……」 椿が苦笑いする。 「たいした殺し文句だ」 「そうだな」 微かな熱を帯びた笑みを唇に蘇らせて、一条が答える。それから、
749 :
415 :03/02/14 22:14 ID:yKiLGrUl
「榎田さん、彼らがレーダーシステムを使用したときの記録は、確認することは可能でしょうか」 「え。あああうん、できるわよ、もちろん」 急に話を降られて、それまで傍観に徹していた榎田があわてた。くるりと椅子をまわし、デスクトップ型の端末に向かう。 だがすぐに、すくめた肩ごしに振り返って、笑顔になった。 「ジャンがみつけたんだけど、上野にさ、美味しいお好み焼きのお店があるのよ。今度桜子ちゃんも一緒に、みんなで行きたいね」 一条と椿が、互いの顔をちらりと見て、それから笑った。 「ええ。ぜひ」 一条が言う。榎田がうんうんとうなずいた。 「そのお店さあ、本庁の、特機部隊の管理官さんが」 「尾室さんですか?」 「今データをプリントアウトするから、ちょっと待ってね。そう、その尾室君が――」 電子音がそこに響いて、榎田の科白を途切らせた。一条が、スーツの内側から携帯電話をとりだす。 液晶画面の発信者表示を見て、彼は微妙な表情でしばらく黙る。 やがて電話を耳元にあてて、ややぶっきらぼうに応じた。 「俺だ。なにかあったのか。…………。そんなことを言うためにわざわざ電話を? ……いや……」 その対応のしかたが、どうにもぎこちなく思えたので、椿と榎田が興味をしめした。わかった、と短い通話を終えて、一条がためいきをつく。 「女の声だったな? 誰だ」 椿が尋ねた。 「…………」 表情の少ない顔のままで彼を見遣って、一条がまたしばらく沈黙する。 「おい一条……」 「B一号だ」 ぽつりと返答があった。 そして、五秒間の空白ののち。 「なッ、何!?」 「ええ!?」 おもわず壁に背をぶつけた椿と、いきおいよく椅子を回転させた榎田が、いっせいに声をあげた。
750 :
415 :03/02/14 22:16 ID:yKiLGrUl
薄暗い裏通りの隅で。 降りつづく雨をしのぐ傘の下、掌中におさまる赤いボディカラーの携帯電話を、バルバはどこか愉しげな表情でしばらく眺める。軽量薄型かつ多機能の、最新機種だ。 「ズイブンと、リントの文化にかぶれているヨウダナ」 溜まった雨水をはじく硬いブーツの足音とともに、横ざまから低い声がかかった。傘の露先をあげて、バルバがそちらへ双眸をむかわせる。 「ゴオマか」 つぶやいた。 薄く青みがかった白髪を雨に濡らし、黒のシャツ一枚を身につけた男の姿で、ズ・ゴオマ・グがそこに立っていた。 彼の右腕に視線を移して、バルバはかすかに眉をひそめる。 「闇の残滓か。馬鹿なことを……」 「コイツノおかげで、オレはふたたびよみがえるコトガできた」 雨中に噛みあわせた歯を浮かせ、ゴオマが酷薄な笑みを口許にきざみつける。その右腕は黒く変色し、硬質な皮膚におおわれていた。 するどい突起の伸びる肘を曲げて、そして彼はふるえる右腕をもちあげる。手首に左手の指をきつく巻きつけ、その震顫をおさえた。 顎をあげて、みくだす瞳でバルバを見た。 「クク……ダグバのいない今、オレがグロンギの頂点に立つ。キサマをコノ手でホウムることで、それを証明シテやる……!」 ぎらりと剣呑な光を牙に反射させて、ゴオマはいっそう笑みをつよくする。 大きく息を吐き出し、左手で手首を抑えたままで、右の握り拳を眼前に移動させた。腹部にかがやきがうまれ、〈オルタリング〉がそこへ形をあらわした。 そして、叫ぶ。 「――ゼン、ギン!!」 彼をとりまく周辺の大気が振動し、波紋をひろげた。〈アギト〉の発現。雨にうたれ墨色に照る異形の姿。 「ギ、イイイ……」 『黒い〈ギルス〉』へと〈変身〉をとげたゴオマが、顔のまえで右手をひろげてみせた。そのままゆっくりと、胸元へとひきおろす。 「バァルバ……」 したわしく、尖る牙のあいだからゴオマが女の名を呼んだ。そして、 「――――ンラギィイイイイイアアアッ!!」 ふりしきる雨のなかに、天をあおいで咆哮をした。マスクの下の複眼が、紅く不気味な光をはなった。 対峙するバルバの眼差しは、叩きつけられるその叫びを、ごくひややかに受け流しただけだった。
751 :
415 :03/02/14 22:17 ID:yKiLGrUl
瞬間、バルバの目前から黒い影があとかたもなく消えうせた。余韻の旋風と雨水の飛沫だけがそこに残った。跳ねあがったしぶきが再び地面へと落ちる、そのまえに。 バルバの背後に、音もなくゴオマが翼をはばたかせていた。そのまま右肩をつよく引き。 「ィアアアッ!!」 渾身の力でうちおろす。尖鋭な刃と化した五本の爪が、赤色の傘を無惨に斬り裂く。 「!」 爪にまとわる傘の残骸をふりすてて、ゴオマはあたりを見回した。バルバの姿がない。 「バルバぁ!!」 虚空に呼ばわる。そのむこう、ゴオマから距離をおいた路上を、バルバが悠然と歩む。そして、右腕をあげた。 ゴオマがとっさに両腕を盾にし、深紅に渦まく花弁の嵐をふせいだ。 ギイ……と唸って、バルバを睨んだ。まるめた背に漆黒の翼をひろげ、ゆっくりと宙に浮き上がった。 「――…グ、ウ、ウ……!」 腰を折り曲げ、両腕を震撼させ、わきあがる力をもてあますように、中空でゴオマがわなないた。その両の踵から足裏へと、すらりと長い直刃が形成されてゆく。 「シ、ネ……」 剥いた牙をギリとこすりあわせ、言う。翼を身体に沿わせるようにおりたたみ、そして凶刃のきっさきをバルバへと向ける。 そのとき。 「!?」 ガキン!! と不快な金属音をたてて、ゴオマの両踵に生じた刃が中途で折られていた。 はじきとばされた刃は空中で幾度も円をえがき、そのままアスファルトへつきささる。衝撃に体勢を崩して、ゴオマは肩から勢いよく落下する。地表へ叩きつけられる直前、かろうじて広げた翼の浮力で滑空してダメージを免れた。
752 :
415 :03/02/14 22:18 ID:yKiLGrUl
この場への何者かの介入を知り、ゴオマはバサリといちど翼をうごかして鋭く遠方のビルを睨みつける。すぐに、バルバへと視線をもどした。が、その一瞬が大きな隙となった。 バルバの立つ足元のコンクリートをうちやぶり、地面より這いいでた巨大な薔薇の蔓が、まっすぐにゴオマへと伸びていた。 そのまま蔓は翼ごとゴオマの身体をおさえこみ、その動きを拘束する。鋭利な棘が皮膚へくいこみ、ゴオマが苦悶のさけびをあげた。 「ギアアアアアッ!! バルバあああッ!!」 「愚物めが……」 殺気めいた呟きを唇にすべりださせて、バルバは宙に身じろぎするゴオマをねめあげる。 「リントと通じ、〈クウガ〉をくるわせたか。われらグロンギの誇りを地に貶めた罪は重い。そのおろかしさ、おのれの下賎な生命をもって贖うがいい……」 美しくしずかな声音のなかに、おさえきれぬ苛烈な怒りがこめられていた。胸元に、そろえた細い指先をもちあげる。 だが断罪の剣が、彼女の手によってふりおろされることはかなわなかった。ジャッ!! とまるで不可視の導火線をすべりたどるように、鮮烈な火花がコンクリートの上を迸った。 光は一直線にゴオマを戒める薔薇の蔓を貫き、そのまま天地をゆるがす稲妻となって凄惨な爆発をひきおこす。まばゆい雷撃の炸裂が、地上に轟いた。 「何……?」 蔓を焼く炎に白い頬を照らされて、バルバが口走る。なにものか……? 「…………」 地表を走った雷光の軌跡を、白煙がたちのぼる。そのむこう。 左手に、すでに生気のうしなわれた異形の屍を無造作に掴み、そして右の腕には、雷撃の余韻ののこる巨大な剣をたずさえて。 屈強な戦士の姿がそこにあった。 バリバリと爆ぜる、帯電した空気をその身に纏う。 名を、ゴ・ガドル・バ。
753 :
415 :03/02/14 22:28 ID:yKiLGrUl
ええと、みなさん、ハッピー・バレンタインです。 というわけで、第十一話(前編)をお届けします。 なんだか久しぶりにアクションを書いた気がします。 ……気がするんじゃなくて久しぶりですね。(汗) でも久々だったんで結構楽しかったです。 特にゴオマの変身シーンあたりと、そしてガドル閣下の登場シーンあたりが。 閣下には次回大活躍してもらう予定ですので、お楽しみに。 ……あれ。翔一くんは(以下略) >735-743 岩のような瓦斯さん うわー……。 なんというか、良い意味でつっこみどころ満載ですね。(笑) ネタの宝庫という感じです。 ともあれ、おつかれさまです。 とりあえず海法警備部長に合掌。 それと、城先生と楠隊員のやりとりに萌え。(笑) ストロンガー VS ガヅル(ガドル?)もたいへん楽しませてもらえました。 期せずして同時期に同キャラ(?)を登場させることになりましたね。 ネタとしてガドルにストロンガーをかぶせるのはお約束でしょうか。 ……次回をお楽しみにということで。 そちらのほうも、次に誰が出てくるのか楽しみにして待っております。
415様へ
御疲れ様でしたっ!
>なんというか、良い意味でつっこみどころ満載ですね。(笑)
ケイン・マットレイ「いや、瓦斯って奴は突っ込まれるしか能のないやつでさぁ」
……普段はこうやって自分とこのキャラに突っ込まれるような芸風なんですがね。
ところで
>>741 、ガヅルがやっているのは要するに『SRWのアルトアイゼンの『切り札』である』って事、わかりましたか?
いやね、『SRW・OG』で『赤いカブトムシ』なんていわれてたので……つい……
755 :
名無しより愛をこめて :03/02/15 22:31 ID:aOmpUBvJ
スピリッツでの若きしおやっさんは美化100倍
756 :
名無しより愛をこめて :03/02/16 20:20 ID:H6sVpS7P
415さん乙です! 携帯持って楽しそうにしてるバラ姐さん萌え〜 そしてガドル閣下キターーー燃え〜
757 :
名無しより愛をこめて :03/02/19 13:57 ID:1wKf0MtA
保守
758 :
k :03/02/19 13:58 ID:98cgDe7F
759 :
名無しより愛をこめて :03/02/21 20:06 ID:hgOHD+Yv
あげとくか
760 :
名無しより愛をこめて :03/02/21 20:13 ID:3WgBi194
>755 同感、三影とおやっさんのギャップが激しすぎ(w
762 :
名無しより愛をこめて :03/02/24 09:53 ID:VMkg9U00
あげとくか
763 :
415 :03/02/24 21:31 ID:EpZ6bnUj
椅子の背もたれに首をあずけて、津上翔一は宙を仰いだ。そのまま左腕を高く持ち上げて、腕時計を見た。 「もう一時間もこうしてるんですね」 「…………」 隣で背筋をのばして座る氷川誠からの答えはない。翔一がデジタル表示の文字盤を視界からひきはがす。姿勢を変えずに左手だけをだらりと下げた。 「なーんかあっちのほう、騒がしいですね」 「…………」 「あーあ。なにやってんだろ、おれたち」 「…………」 「っていうか、最初にバイク止められたときに氷川さんがばっちりシラを切ってくれれば、こんなことになってないんですよね」 「僕のせいですか!?」 氷川が声をあげた。隣を、急にふりかえった。するといつのまにか翔一がうらみがましい眼でこちらを睨んでいたので、言葉をつまらせた。 「だって。あんな態度じゃG3を無断で持ち出したこと、バレバレじゃないですか」 「も、もとはといえば、きみが第零号検知システムを使って四号を探し出せないかと提案したのがはじまりでしょう」 「無理矢理ついてきたのは氷川さんです」 「…………」 「ところでなんでG3なんですか? G3-Xのほうが強いんじゃないですか?」 「……しかたなかったんですよ。G3-Xのセキュリティを破るのは、並大抵のことじゃできないんですから。G3だって、科警研の協力がなければ……」 「あー。ほんっと要領ワルいんだから氷川さん。小沢さんなんか、ちょくちょく勝手にG3-X持ち出してたじゃないですか」 「……要領が、悪い……」 氷川が微妙にショックをうけている様子でつぶやくが、翔一あまり気にしていない。そのふたりの前へ、陸上自衛隊の制服に身を包む、痩身の青年があゆみよってきた。
764 :
415 :03/02/24 21:32 ID:EpZ6bnUj
「氷川誠警部補」 氷川の名を呼ぶ。ふたりが揃って顔をあげた。 「東京のほうで何か騒ぎが起きているらしく、あのGシステムがあなたの証言どおり、正式な許可を得て運用されているものなのかどうかの確認がとれない。それと」 青年は翔一のほうを見て続ける。 「きみの身元の確認もできていないままだ。免許証そのものが偽造である可能性は低いが……」 「そうですか。お仕事ご苦労さまです」 翔一はさらりとそう答えるが、提示した免許証は彼が記憶喪失中に取得した『津上翔一』名義のものであり、身元の確認には時間がかかって当然だった。氷川が、なかば呆れて翔一を見る。 「要領良すぎませんか、津上さん」 「備えあれば患無しです」 こそこそと小声をかわすふたりを訝しげに一瞥し、青年――霧生一真が言う。 「とにかく。きみたちには、もうしばらくここで待機していてもらうことになる」 翔一が再びげんなりと天井を仰ぎ、氷川がふかい溜め息をつく。ザッ、と雨音が彼らの耳元をゆきすぎた。 中央自動車道、駒ヶ根インターチェンジ付近。雨を切って高架道路上を疾走する大型特殊兵員輸送車の車内に、彼らはいた。 東京方面の状況確認に追われている隊員たちのほうへ、一真は視線をきりかえす。
765 :
415 :03/02/24 21:32 ID:EpZ6bnUj
そのとき、予期せぬタイミングで、輸送車がタイヤにブレーキを掛けた。そして翔一もまた、それと同時に厳しい顔つきで正面へ瞳をむけていた。 「何かあったのか」 一真が操縦手席へむけてたずねた。モニターを凝視したままで、副操縦手が答える。 「〈アンノウン〉の反応が……複数です」 「出動準備。――何体だ」 「確認できるだけで三体。まだ数体潜伏している可能性があります」 「要保護対象の確認は」 「未確認生命体の目視は、まだできていません」 「わかった。周辺を封鎖してスペースを確保しろ。ゼロツーから順に――」 「待ってください!」 一真のうしろで声があがった。 いちどななめ上に目線をあげて、そして部下の失言にかすかに息をついてから、一真は声の主を振り向く。 椅子から立ちあがった氷川が、撃ちぬく瞳で彼を見ていた。 「未確認が保護対象とは、どういうことでしょうか」 「聞いたとおりの意味だ」 「そんな……何のために!」 「あなたが知る必要はない」 抑制された語調で、一真が冷然と答える。氷川がそれを睨み、そして告げた。 「僕は、警察官だ」 剣呑に眉をうごかして、一真が彼を見た。唇をゆがめた。 「すばらしい。人々に迫る危険を見逃すわけにはいかないというわけだ」 「G3システムを返してください。僕が出ます」 「現状、治安活動への警察力の介入には国家公安委員会の承認が必要だ。われわれにあなたの行動を阻む権利はないが、その場合、われわれが出動することは事実上不可能になる」 「かまいません。あなたがたの手は借りない」 嫌悪をあらわにし、強く否定の言を放つ氷川を、一真はほとんど笑いだしながら上目に見る。 「……なるほど」 つぶやいた。 「なるほど! さすがは『英雄・氷川誠』だ。暴風雨のなか〈あかつき号〉の乗員乗客を救い出し、G3システムの装着員としてアンノウンの危機から人々を守り、そして、……呪われたシステム――G4システムの活動を停止させ、その暴走を抑えた」 軽口のような科白の最後に、まるで尖鋭な刃をつきつけるようなつめたさがあった。 氷川が眉をひそめ、苦々しい顔つきで一真から視線をそらせた。
766 :
415 :03/02/24 21:33 ID:EpZ6bnUj
「浮かない顔だな。あなたは誇っていい。深海理沙の理念は決してまちがったものではなかったが、方法を誤っていた。あなたは正しき力でそれを裁いたんだ。そうだろう?」 「違う……僕は……」 氷川が床をみおろしたまま、言いよどむ。一真が嘲る顔つきで息を吐いた。 「まあいい。あなたがどうしても出ると言うのであれば、先刻言ったとおり、僕らにそれを阻む権利はない。――G3システムを」 奥のほうへ指示を投げる。言われるままに、隊員のひとりがG3システム一式を持ちよった。 「いいんですか、隊長」 「かまわない。もともと彼らは独自に行動していたようだし、その過程で『人命を護る』という警察官の義務を遂行したまでのことだ。われわれの容喙するべきことでもない」 手早くG3システムを装着しはじめる氷川のとなりへ、いつのまにか腰をあげていた翔一が並んだ。はじめから決められた位置へむかうような当然さだった。一真が怪訝な顔をする。 「どうするつもりだ?」 何をあたりまえなことを、という顔で、翔一が彼を振りかえった。 「おれも行くんです」 「馬鹿な……それは認められない。民間人を巻き込むわけにはいかない。きみはここでおとなしくしているんだ」 「いや、でも……」 「いいですよ、津上さん」 言いつのる翔一を氷川が制した。はあ? とおおきく口をあけて翔一が彼を見た。 「放っておいてください。僕ひとりで大丈夫です」 「何いってるんですか。相手は三体なんですよ? まだ増えるかもしれないんですよ? しかもG3-XじゃなくてG3ですよ? あのG3なんですよ? いかにも大丈夫じゃないじゃないですか」 「…………。そこまで言わなくても……。確かに僕は不器用で武骨で間が悪くて要領も悪くておまけに話にならないほど弱い所詮補欠どまりの噛ませ犬かもしれませんが、でも!」 ……いや、そこまで言ってません、という翔一の言葉を耳にいれずに、氷川がむきになって続けた。 「これでも警視庁の誇るG3システムの装着員です。ひとりでも大丈夫です!」 きっぱりと言いきる氷川を、翔一が少し怒った顔でにらむ。
767 :
415 :03/02/24 21:33 ID:EpZ6bnUj
「本っ当、に、いいんですか?」 「本っ当、に、いいんです」 「どうしても?」 「どうしてもです」 「…………」 「…………」 ひとしきりにらみあったのち、翔一が梳けた褐色の髪へ指をいれて、ぐしゃぐしゃとかきまわす。 「あーもーわかりましたよ! そのかわり、あとで「助けてー」なんておれに泣いて縋ってもムダですよ?」 「全然かまいません! そんなことはありえませんから!」 G3の装着を終えた氷川が、棚の上からマスクをひろいあげ、踵を返して後方ハッチからあっさりと外へ出た。ふくれた顔で翔一がそれを見送る。 なりゆきを見守っていた一真が、翔一へたずねた。 「きみは、彼の友人なのか」 「ゼンゼン友達ですよ。見ればわかるじゃないですか」 ふくれた顔のままで答える。「そうか」と、吐息とともに一真はつぶやいた。ふと気になって、翔一が彼を見た。
768 :
415 :03/02/24 21:34 ID:EpZ6bnUj
「……隊長」 アンノウンの動きをモニターしていた副操縦手が、緊張した声音で呼んだ。一真がそちらへ視線をむかわせる。 「どうした」 「ちょっと、様子がおかしいです……反応がどんどん増えて……現在二十六、……四十三――まだ増えます!」 副操縦手が一真を見返って声をあげた。 「アンノウンがいるということは、未確認生命体もこの場にいるということですよね……」 一真の隣に立つ隊員が、ぽつりとつぶやいた。翔一が無言で、一真へ瞳をむけて説明を求める。 「……現在、アンノウンは未確認生命体の排斥を目的として活動している。一体の未確認に対して、一ないし三体のアンノウンがやつらを排除するために動いているんだ」 「――そんな……」 翔一が独白の行方を失う。その異形の群れのただなかに、独り飛び込むことの、その意味に。 「今、百を越えました……」 「モニター出ます」 さらにべつの隊員が、人工衛生からの映像を傍のモニターへ呼び出した。中心のぽっかりとあいた円形の黒い塊がみえた。いや――。 それは、アンノウンの大群だった。 群れあつまり、うごめく異形が、路上に立つG3をとりかこんでいた。……くッ、と翔一が唇を噛む。 「……なんだ……何故――いいや、違うな……」 我知らず呟きを洩らし、一真が何かに思いあたって言いなおす。 「何が狙いだ……?」 「変身!」 その声に疑念を投げかける間は、一真にはあたえられなかった。まばゆい光とともに、変化はすでにおとずれていた。 彼のかたわらに具現する、神のかがやき、その端緒。 金色〔こんじき〕の戦士――アギト。 「な……」 その深紅の瞳に見据えられ、一真は掠れた声を出す。言葉にはならなかった。あけはなたれた後方ハッチから覗く道路上へと、アギトは双眼を移す。鋭い雨がアスファルトに跳ねていた。 精悍な顎をひいて、前を見遣る。 「――――」 一真がいちど瞼を閉じ、そしてまた開くそのあいだに、戦士の姿は車内から消えさっていた。
769 :
415 :03/02/24 21:34 ID:EpZ6bnUj
膜のように、こまかな軌跡をひいて降りつづく雨のなか。 威容をなしてざわりととりあつまる、化生の群れ。 その中心で、氷川はG3のマルチスコープ越しに周囲へ眼差しをめぐらせる。ゆっくりと、腰のガンホルダーへと手を伸ばした。 そこへ、 「ハッ!」 ききなれた、戦友の声がわりこんだ。高く中空で身をひねり、大気中に起こる波紋のなかから青い生体鎧が姿をあらわす。 G3をかるがると飛びこして、そこがはじめから決められた場所であるかのように、アギトが彼の背後に着地する。深く沈めた片膝をそのままに、左腕を振り上げた。その手中、ヒュンッと風をきって回転する長棍の両端で刃がひらき、水滴をきらめかせた。 「津上さん……」 肩越しに半分だけ振りかえり、氷川がつぶやく。たちあがったアギトが、赤い瞳で彼を見た。 「わかるのやめました。小沢さんに、氷川さんのこと頼まれてますから」 「――……」 「ほっとかないですよおれは」 翔一のその言いように、氷川はマスクの内側で苦笑いをする。だが言葉を返そうと彼がさらに振り向いたとき、そのむこうで閃光がひろがった。 反射的に、ふたりが背を合わせる形でそれぞれ隙なく構える。そこから遠くはなれた場所であざやかな氷柱が高く直立し、間をおかずたてつづけの爆発がおこる。吹き飛ばされたアンノウンが連鎖してつぎつぎに爆発、四散していった。 「何だ!?」 氷川が声をあげる。 「!」 アギトが、とっさにすばやく左腕をひるがえした。高速で回転させたストームハルバートが真円をえがき、まきおこる疾風の防壁が急迫する氷の矢を連続してふせぐ。ギギギギン! とはじかれた光弾が四方へ飛び散って、あたりを瞬時にして凍結させた。
770 :
415 :03/02/24 21:34 ID:EpZ6bnUj
「〈アギト〉……」 雨の降りいたる高みから、よばわる声が響く。G3とアギトが宙を見上げた。 路上の端にすらりと伸びる細い柱、そこに設置された信号灯器のうえに両足をのせて、若い女が立っていた。 黒のチャイナドレスを身にまとい、冷淡にふたりをみおろす。あおざめた唇に、薄く笑みをうかべてみせた。 「バリゾゾ、ソドグゾンバ、ガジャビ、パセサンロンビ……」 「未確認生命体!?」 氷川が言う。 「氷川さん!」 翔一の声にG3が振り向いた。そして言葉をうしなう。 アギトの視線の先、高架道路のフェンスのうえに、いつのまにか異様な風体の人間がずらりとならんでいた。 「未確認……? あれが全部……」 翔一が、驚嘆を声にする。彼をとりまくアンノウンたちも、あらわれた未確認生命体への敵意をむきだしに唸っていた。 す、とチャイナドレスの女が左腕をあげた。まっすぐにアギトを指差して、ひややかな声音で言う。 「バ、サダリゲデジャソグ、パセサン、ガサダバヂバサ……ギンボンザブダダ、〈ゴ・ベミウ・ギ〉レ」 下ろしてゆく左腕といれかえに、孤を描くように右手をゆっくりと持ち上げ、やがてひろげた五本の指をぴたりと眼前にかざす。 女の腹部に光が集束していき、輝く〈オルタリング〉が発生する。そして、 「――ゼン、ギン……」 呟く。獲物をとらえる蛇のごとく、つきだした右手を一瞬の動作で胸元へひきもどした。空間をゆがめる波紋がしょうじ、女は紫色の〈アギト〉へと変身を遂げる。 ――それが契機だった。 なまぬるい雨につつまれる高架道路の全方位、高所に立つ未確認生命体たちが、口々に声をあげはじめた。 「ゼン、ギン……」 「ゼン、ギン!」 「ゼン、ギン」 「ゼン、ギン!!」 「ゼン、ギン!」 大気がうなりをあげた。 あらぶる波のように、彼らはぞくぞくと天に腕をつきあげて叫びつづける。氷川と翔一が息をつめて上方を見まわした。たちのぼる不協和の声に、ぐるりととりかこまれていた。 濡れる地表をどよもす、それは異形のあげる鬨の声だった。
771 :
415 :03/02/24 21:46 ID:EpZ6bnUj
お待たせしました。 見事に規制にひっかかってしまってました。(泣) さて、第十話(後編)あらため、第十一話(前編)をお届けに参りました。 ガドル閣下の活躍を描くつもりでしたが、いいかげん翔一くんを出してあげないとマズいかなってことで、 今回は「そのころの翔一くんと氷川くん」という感じでお届けします。 なにしろ私自身、「はて主役は一条さん&小沢さんだったかな」とか思いはじめてましたから。(笑) 次回は閣下の活躍と、できればG5ユニット大暴れってとこまで行けるといいな、という具合です。
772 :
415 :03/02/24 22:00 ID:EpZ6bnUj
>>754 岩のような瓦斯さん
スパロボですか。
なつかしいなあ。昔は中原茂氏の声が頭から離れなくなるほどハマったものですが。(←ビルバイン好き)
敵を誘導して、幸運+マップ兵器で一掃することに執念を燃やすイヤーなプレイヤーでした。
最近のはあまり知らないんですが、
アルトアイゼンってたしか主役機でしたね。シャア専用ゲシュペンスト(というかジョニー・ライデン少佐専用?)って感じの。
『切り札』は技名でしたっけ? 描写を見る限り、なかなかカッコイイ。パイルバンカー(違)が良いです。(笑)
773 :
415 :03/02/24 22:00 ID:EpZ6bnUj
>>755 それを言ったら他の人たちも……(大失礼)
かっこいいから良いのです。(笑)
でも『アギト』でのおやっさんも、かっこいいと思いますけどね。
>>756 ありがとうございます。
薔薇姐さん、意外とリントの文化には興味津々っぽかったので、あんなふうに描いてみました。
一条さんはさぞ複雑な気分だったことでしょう。(笑)
ガドル閣下はここからが美味しい役どころです。おたのしみに。
五代雄介は考古学教室の壁を攀じ登っていた。なぜかと聞かれても彼には答えようが無い。ただ、『そこに壁があるから』と答えるのみである。 そして、手の先の窓を開ければ沢渡桜子の後姿が―― ファラオ「(窓を開けて)……?」 雄介「うわぁっ!」 落ちそうになった雄介をファラオの面の男は片手でがっしりと掴んで引き上げた。 ファラオの男「ははは、驚かせたようだな。すまんすまん」 男は謝りながら仮面を外し―― 雄介「ああああっ!あんたは――!」 その、先ほど見たばかりの顔に驚いた雄介は再び落ちそうになった…… ??「……何を驚いているんだ(雄介を再び引き上げながら)?」
仮面ライダー外伝『Cross Over the Masked Riders』第四話『その名は仮面ライダー・前編』 と、いう事で城南大の桜子の部屋に―― 沢木「遅くなりました……ええと、どちら様で?」 榎田「貴方が『アギト』こと沢木哲也君ね?私は科警研の榎田よ。よろしく」 一条「俺は一条。で、コイツが……」 五代「通称第四号、『クウガ』こと、五代雄介です。よろしく!(サムズアップ)」 沢木「え?第四号って、あの『未確認事件』の?」 五代「いや、君も『アンノウン事件』で大活躍したって聞いたよ」 二人の戦士の間に流れる『まったり』とした空気。 氷川(腕吊り)「……失礼します。G3−X『正』装着員の氷川誠です」 沢木「あ、氷川さんどうぞどうぞ」 榎田「いや、あなたの部屋じゃないでしょ」 一条「一条です。あなたの事はいろいろ聞いてますよ」 五代「あ、どうも(名刺を差し出す)」 まだ、部屋の主はいない――
都内某所の『都洋自動車』に一組の男女がやって来た。 葦原涼「よう、秋山。出来てるぜ」 秋山「どうも。……恵理、行くぞ」 秋山が恋人を後ろに乗せてバイクを発進させようとした時、別のバイクが店先に停車した。誰より早く反応したおやっさん。 おやっさん「しばらく振りだな、リョウ!」 リョウ「ああ、ちょっとニュージーランドに行っててな」 抱き合って再会を喜ぶ二人。 葦原「……リョウ?」 そこへ数台のバンが急停車した。 一条「ええと、風見博士、本当に銀行にいたのはあなたではありませんね?」 風見「ああ、それに俺は鞭の心得は無い。まあ、その場にいたらそいつと同じ様な事をしたと思うがね」 五代「でも、本当によく似ているなぁ」 風見「ふっ、なぜだか知らんが俺のそっくりさんを見た話は良く聴くなぁ。あ、ちょっと用があるんで席をはずすぞ」
カミキリキッド「キィーリィー!裏切り者どもめ、覚悟しろ!」 踊り出る数人の怪人及び戦闘員達。 おやっさん「くそぅ、お前達は逃げ……!」 沢渡「お待たせ」椿「検死が済んだぞ」だが、彼らの後に入ってきたのは…… 一条、氷川、沢木『警視総監殿!』五代、榎田『本郷先生!』全員『……が、二人!?』 椿「いや、同じ顔が二つあるのは俺も驚いたが」沢渡「御二人は幼い頃生き別れた双子だそうよ」 一条「それは分かりましたが、なぜここに?」 その時、五代雄介が開けた窓から風が吹き込み、本郷の腰に現れたベルト中央の風車がうなりを上げる。 一号「単刀直入に言おう。我々の敵はショッカー。我々は、30年近く前から奴らと戦ってきた」 五代はその後ろに現れた男の顔に覚えがあった。 五代「……一文字さん?って、その姿は……」 五代雄介の父と親しかったカメラマン、一文字隼人。その姿も風を受けて本郷と似たような姿に変わる。 二号「奴らの目的、それは世界征服」 さらに戻って来た風見が赤い仮面の姿に転ずる。 V3「そして俺達は悪と戦う改造人間、『仮面ライダー』だ!」 五代「クウガが!」沢木「アギトが!」 三人ライダー『違う!仮面ライダーだ!』
アリガバリ「ギーゴー!」 怪人の爪がおやっさんを襲う直前、それを止めた横から伸びる手が緑色の姿に―― 葦原「おやっさん達、逃げてくれ!変身!」 ギルスの回し蹴りをしかし、アリガバリは受け止める。 リョウ「あの若者は……トゥ!」 左右から襲いかかるモグラング達をかわし、イカファイアの火炎放射の中から現れた姿、それこそは―― ZX「来い、怪人ども!この仮面ライダーZXが相手だ!」 ギルス「あ、あんたは……」 怪人たちを蹴散らすギルスとZX。それを見て取って、 カミキリキッド「キィーリィー!先生、お願いします!」 タイホウバッファロー「ブーフー、どぅれ」 その両肩の大砲が逃げ損ねたおやっさんと秋山たちを襲う――
爆炎の中から踊り出る黄色い姿は小脇に恵里を抱え口に秋山をくわえしなやかな跳躍を見せる そう我が子を守らんとする野獣のごとき威圧感で牽制に動かんとする戦闘員をにらみつけて着地し二人を降ろすとさあ逃げろと促す 後ろから飛び掛ったイモリゲスとドクガンバに腰の機関銃を後ろに向け見る事無く撃ち倒すと二段回し蹴りで獣人カタツムリを退けてタイホウバッファローに突進し 敵の二門の大砲は副砲で相殺して砲身を伸ばした主砲を押し付けてのゼロ距離射撃が撃ち貫く猛牛の装甲は粉々になりというかいやむしろ怪人は爆発して果てた。 ギルス「おやっさん、一体どうして……」 タイガーロイド「どうやら、役者が揃っちまったな……」 ZX「若いの!詳しい話はこいつらを倒してからだ!」 ――続く――
やっとこさ第四話上梓できました。うん。
415の姐御
……奴ら[アギト]は群れでやって来る……ですか?つうかむしろレギオンですか?
>>755 あ〜〜、あれは『三影英介』であって『中屋敷鉄也』では無いから、と言ってみるテスト。
気が付けば、予定の分量を大幅に越す事が判明したので前後編でお送りします。じゃあまた。
>>779 タイガーロイドが二人を救出するシーン、ライスピ2巻、p138〜p139のアマゾンを反転させた構図で。
あ〜〜、そういや『ゴウマらしいゴウマ』どうしよう?
782 :
名無しより愛をこめて :03/02/28 21:23 ID:+N2yykyb
ageる。もはや中屋敷おやっさん=三影英介は完全に定着してしまってまつな。
783 :
名無しより愛をこめて :03/03/03 06:34 ID:r1wsGOiZ
ほしゅ
784 :
名無しより愛をこめて :03/03/05 18:34 ID:6/M+wMhb
age
785 :
名無しより愛をこめて :03/03/07 18:32 ID:UG9wSxBt
サルベージしとく
786 :
名無しより愛をこめて :03/03/07 19:18 ID:eMJdUrJH
ageます。 今きづいたけど、ベミウたんの「ゼンギン」は王蛇のポーズだったんですな
787 :
名無しより愛をこめて :03/03/10 09:34 ID:i0/mM6P9
age
788 :
415 :03/03/11 10:18 ID:DUeRYIfu
ロングレンジスコープのアイピースにかさねた右眼を、一条薫はわずかに細めた。 円くきりとられた狭い視界に、異形の乱入者のすがたがうつしだされていた。 「おい、第四十六号じゃないのか、あれ?」 左上方から、双眼鏡をのぞく椿秀一の声がとどく。「そうだな」と抑えた声で一条が言った。 「どうする。もう一発いくか」 片膝を立ててスナイパーライフルを構える一条を見下ろし、椿がたずねる。 「いや。こちらの正確な位置を気取られるとまずい。今も、よけいな手出しは無用とばかりに睨まれた。様子を見よう」 アイピースから視線ははずさぬままで、一条が答えた。うなずいて、椿がもういちど双眼鏡をのぞきこむ。そんな『メッセージ』を、あの一瞬でよくもうけとれたものだと、内心苦笑もしていた。 バルバとガドルが対峙する裏通りを、かろうじて眼下に眺めることのできるビルの屋上。約七百メートルの距離をおいて、彼らは未確認生命体どうしの対立をレンズ越しに監視する。
789 :
415 :03/03/11 10:19 ID:DUeRYIfu
「なあ、訊こうと思ってたんだが……その面妖なテッポウは、いったいどっから持ちだしてきたんだ?」 椿が言った。一条の持つ、特異な形状のライフルを顎でさししめした。ワルサーWA2000。ドイツ製の高性能狙撃銃だ。 直線的なストックの側から、上下二本の金属製レールと溝の掘られた黒い銃身がのびる。下方のレールにはハンドガードが、上方のレールには吊りさげる形で支持二脚が装着されていた。 「SATでトライアルテスト用に納入したものを譲りうけた。強化型神経断裂弾の使用に耐えられるように改造してある、ほとんど俺の私物だ。榎田さんにG5ユニットの新装備の話を聞いていて思い出したんだ」 「……おまえほんと、本性むちゃくちゃ不良警官だよな」 「その点については否定しきる自信がないな」 スコープから目線をうごかして、一条はちょっと笑ってみせる。……自覚があるぶんたちが悪いぞ、と双眼鏡へ両眼をもどしつつ椿が呟いた。それからはっとして身をのりだした。 「おい一条」 呼びかけられて、一条もふたたびスコープをのぞく。 「……!?」 視界がいちめんに白くとざされる。とっさに一条が、右眼をアイピースから横に逃がしていた。……光? 知らず、ひとりごちた。 「あれが、〈神〉……?」
790 :
415 :03/03/11 10:19 ID:DUeRYIfu
どさりと異形ひとつぶんの重量が、薄汚れたアスファルトへ落とされた。濁る雨水にまみれ、濃褐色の体躯が地によこたわる。額に突起する太い角に、堅牢な外骨格。それをごみくず同然に投げすてたガドルのものと、その姿はよく似通っていた。 「脆い」 ぶんと右腕ごと大剣をひとふりし、ガドルが独白を洩らす。 「こんなものがおれの始祖であるというのか」 倒れふす異形の頭上に、ぼうっと白い光がさしこむ。光輪はすぐにあふれる輝きとなり、その巨躯をすべるようにたどっていった。 ゴッ、と爆音をあげ、灼熱がその場からたちあがった。バルバが炎の奥へ眼をこらす。ガドルが、軍服を身に纏った男の姿でそこに立っていた。 「ガァッ……」 ゴオマが叫んだ。蔓の枷からのがれ、翼をひろげて苦しげに宙へ浮く。 「ガドルかっ……キサマ!!」 「だまれッ」 憤りは、一閃するいかづちのようなひとこえに遮られた。ガドルがぎらりと光をやどす双眼をそちらへむけていた。 「小物が……偽りの力におぼれ、いきがるか。身のほどを心得てからものを言うのだな!」 「……ク」 ゴオマは歯噛みをし、中空で〈アギト〉の力の作用を解いた。全身から鋭利な印象が消え、体色が漆黒から褐色へとうすまった。翼は背でなく両腕の下に展開する。そのまま、空の高みへと飛び去った。 バルバの眼差しが、ゴオマのゆくえを追う。それからガドルを見やった。 「庇いだてするのか」 「おれにはおれの果たすべきことがある。そしてそれはやつにもおなじ。それだけのことだ。やつの専横、裁くのはおれでもきさまでもない。それは、ただ時の流れのみがくだしうることよ」 「成程。ではかさねて問おう。おまえの果たすべきこととは? リントどもの狭隘な愚計にむざとのせられ、グロンギの誇りを穢し、なおどのような意あって口にしうるものであるのか」 ガドルが、ふと笑った。精悍なそのおもてに、昏い愉悦を孕んだ笑みをきざんだ。
791 :
415 :03/03/11 10:19 ID:DUeRYIfu
「すぐに知れる。――そう、われらの欲するは神を滅する力、〈アギト〉。神を屠る炎獄、神を滅ぼす光輝。そして、いまこそ……」 向かいあうバルバの肩よりむこう、裏路地の先へと、ガドルは視線を移す。 「いまこそ成就のとき……! この力、存分にふるわせてもらう。かまわぬな。――〈神〉よ!!」 「!」 バルバがはっ、と瞠目をする。背後を振り返った。そこに。 光の渦! 「〈神〉、か……!」 ざらっと宙に雨粒をはじいて、ガドルが右腕を真横へ振った。沿わせる左腕とともに、そのままゆっくりと大きな半円を描いてゆく。 「ゼン、ギン、ゴセパザバギンバシグラ、〈ゴ・ガドル・バ〉ザ!」 斜に伸ばし上げた左手に右の手をふれあわせる。その刹那、苛烈な火花がそこへおこり、腹部の〈オルタリング〉が輝きを放った。 右手をひきおろして擦過させる。残光を曳いて、雷火が大気を灼きつける。 透明な雨のなかにうちひびく遠雷の音。地に両足の重みをおろし、戦士が立つ。胸元と肩を覆う装甲がひとまわり量感を増し、頭部の角もさらに長く発達していた。 猛々しく、精気にみちた貌をもちあげて、その瞳が一点を射抜く。光をみる。 「かなしいことだ」 美しい青年が言った。 「ひとはただ、ひとのままで、あればいい」 いつくしみぶかい、優しい声音だった。奔騰する光彩の嵐のなかにひとり、たたずんでいた。 かがやく微粒子、高密度に凝縮された霊耀のはたらきによって、なにもないその空域に生身の人間がうみだされてゆく。鮮烈な黄金色の残照に、彼の輪郭はきりとられていた。逆巻く風に色素の薄い髪をおどらせて、しずかに、瞼をとざしていた。
792 :
415 :03/03/11 10:20 ID:DUeRYIfu
「あなたたちがいきるべき時代〔とき〕は、とうに過ぎさった。あなたたちはもはや、この世界にはふさわしくないものだ」 壮絶な霊気の湧出のなかで、その声は凛と澄んでひびきわたった。清澄にすぎるその波動に、ガドルが巨躯を慄わせた。 (神か) 怯える足で立ち尽くした。どれほどに強大な力を己のものにしようとも、埋めることのできない絶対的な格差。如何ともしがたく、天地の両極にあることをあらかじめ定められているのだと、本能が知るのだった。 だが。 「〈神〉よ!」 身を縛る畏怖をふりはらうように、ガドルが再度、つよく呼ばわった。 「われらに生きるなと断ずるか。その言いようこそ天主の倨傲ではないのか。それは正義か!」 「ひとが、ひとを殺めることはならない。生まれ出でたそのときから、あなたたちには滅びのさだめがあった」 「さだめか!!」 獣のような哄笑とともに、ガドルが言った。 「そうであろうな。異端でありながら、あまりに永い空隙をわれらは生きすぎた。快楽〔けらく〕であったはずのひとごろしに厭〔あぐ〕むなど、あってはならない。それほどに遠い処まで、おれたちはたどりついてしまったのだ。――だが」 高く、右腕を掲げあげる。空間をゆがませて、その掌中に先刻のものよりもさらに巨大な剛剣が顕れた。 「それを決して天意などとは語らせまい。その証にきさまのいう『定目』、おれがこの手で断ってみせよう!」 その場を一歩退いたバルバが、眩しく瞳を細めてそれを見ていた。示現する……それもまた、巨きな流れの過渡に狂った歯車を――運命を、たちきるための剣だった。 「心のままにするといいでしょう。私はもう、それを、愚かしいとは考えない。ただ、あなたの為すことの、そのゆくすえを見届けるのみ」 秀麗な美貌に感情の波をたたせることはせずに、青年はゆっくりとそう告げた。それから、バルバのほうを見た。 「ひとの悪意にあやつられた異形を、憐れと思い、力を貸しました。だがそれもまた、大局にあって、ささいな波紋をおこす水のひとしずくに過ぎない。彼はもう、私のもとにはいません」 「…………」
793 :
415 :03/03/11 10:20 ID:DUeRYIfu
慎重に、バルバがその言葉の意味をとらえる。そういうことか、と胸裡につぶやいた。光子のみで構成された〈ゴウラム〉の提供者がわかったのだ。 「〈耀けるもの〉たちよ……出でなさい」 青年が囁いた。右手を眼前へ掲げ、その甲へ刻まれた紋章が黒い光をはなつ。彼をとりかこむように、ぽつぽつと光球が浮きあがった。ひとつ、ふたつ、みっつ。 やがて光球はゆがんでいき、徐々にかたちを変える。異形へ。 〈御使〉の上位に君臨する、〈耀けるもの〉の名をもつ超越者たちだった。 大剣を斜におろし、ガドルが彼らを睨みやる。もはや怯懦はそこにはなかった。 「バルバよ、見ておくがいい」 音をたてず背後にまわった女へ、言った。爛とつよい眼光で神をみすえたままで。 「諸天の王よ、大神よ、すべてが……ただすべてがきさまを弑せんと欲するがゆえ……。それこそがこのおれの、本懐よ」 ヒュッ、と白光が空をきった。〈耀けるもの〉のひとり、風をつかさどるものの持つ長弓からはなたれた破魔の矢だった。同時にガドルが強く地を蹴りつけていた。剛剣を両手に携え力まかせにふりあげる。迫る光矢を断つ。だがそれで終わらない。 一直線に駆けながら連続して撃ちだされる銀光をつぎつぎに斬り捨てていった。 「ぬあああッ!!」 剣尖のまにあわぬ迫撃を、握りしめた右の拳で無理矢理に叩きおとした。強堅であるはずの手甲が砕け白煙をあげるがガドルはあえて気にとめず、そのまま風をつかさどるものの面前へ迫り拳をうちつける。 鈍い音が響いて、鷹のすがたをかたちどる化生が一歩しりぞいた。屹とガドルは左へ眼差しをやる。振るわれる戦斧の軌跡をがつりと頑健な刃でくいとめた。人型をした鯨のすがた。褪めた青色の膚が間近にあった。――水をつかさどるもの。 壊れかけた右の手を伸ばし、大剣の柄を両掌で握る。じりじりと、戦斧ごと異形をおしてゆく。だが、 「グ……!」 その真横から不意の衝撃があった。獅子のすがたをもつ、地をつかさどるものが掌をこちらへむけていた。身を灼くこまかな砂塵の熱に耐え、ガドルがアスファルトへ片手をついた。
794 :
415 :03/03/11 10:21 ID:wev7hTpf
「……退けぬ……!!」 呻きとともにガドルが声を洩らす。どどう、と紫電の勢いで、閃光があたりに拡がった。波動は吹きあれる風の軌道を狂わせ、雨粒がうずまく光の奔流となった。 「ただの一歩も退くわけにはいかぬ! 天がそうと定めた以上、われらはいくさでしかこの身を証しだれられぬ! なればこそ、このおれが為し遂げてみせる――神殺し、かならずや!!」 雷光が舞った。 黒雲の裡をかけめぐる龍のごとく、光芒があちこちへ四散し、ひるがえった。バルバが眼をみはる。 「『あらたな力』――」 つよい磁力にひかれるように、空中に拡散していた雷閃が不規則な曲線をえがいて、ひとつところへ集束してゆく、 振りあげた剛剣の切っ先を天へむかわせて、ガドルが叫んだ。 「森羅万象をうちくだく力よ!!」 バシッ!! と天空におこった壮絶な烈光が、その一瞬いっさいの景色をふきとばした。そらを裂く未曾有の稲妻が地表へふりそそいだ。爆音が遅れてとどろいた。 真白い光の源、その真下に、ガドルがゆらとたちあがる。その姿に変化があった。頭部に突起する長角が銀に染まり、胸元には銀光のラインが走る。 なかば崩れさり、つかいものにならなくなった大剣をなげすてる。そして。 その双眼に憤念をみなぎらせ、婉然と雨のなかに麗姿をさらす青年を、ながめた。 「ぬうう――」 頑迷に重く、地にはりついた足をアスファルトからひきはがして、ガドルは一歩を踏みだし、駆ける。 右足がひときわ強く路面を蹴りつけた。跳躍。 「――――おおおおおおおお!!」 そろえた両足先のただ一点を軸に旋回をくわえる。轟、と、迸る雷光が中空に軌跡を描く。 極限までとぎすまされた刃の、つらぬかんと、むかうさき。森厳のかがやきを湛え、玲として透きとおる美しい貌をもちあげた。 神が。 to be continued.
795 :
名無しより愛をこめて :03/03/11 10:24 ID:wev7hTpf
お、お待たせしました……。 すいません、コメントとレスくれた方々への返答は夜にあらためてさせていただきます。
415さんお疲れっす!文字通り神キタァァァァァ!!!! 続き、期待して待ってます!でも体調崩さないでね・・・・。
797 :
415 :03/03/11 21:22 ID:5y9gxMXI
さて、あらためまして、第十二話(後編)をお届けいたします。
まずはいくつか訂正とおしらせがありますので、それをちょっと。
えー、わたくし何を勘違いしていたのか、
『アギト』最終話における「一年後」の表記をきれいさっぱり忘れていました。
つまりどういうことかというと、たとえば作中での北條さんの科白、
「昨年のアンノウン事件の被害者〜」を、
「一昨年のはじめから一年間のあいだにアンノウンに襲われた被害者〜」と訂正する必要があったりするわけです。
ふ、不覚。
ほかにもいくつか要訂正個所がありますが、そこは適当に補完して読んでいただくと幸いです。
ちなみに、〈九郎ヶ岳遺跡〉でダグバグローイングフォームが暴れたのが四年前ということになりますね。
作中の年代設定は、『クウガ』を基準とすれば2004年。
『アギト』を基準とすれば2003年。の、夏、ということです。
もうひとつ、第十一話と第十二話で少し話が混雑してしまっているので、
>>746-749 が第十一話(前編)、
>>763-770 が第十一話(後編)、
>>750-752 が第十二話(前編)、
そして今回の>788-794を第十二話(後編)という感じにさせてもらいたいと思います。
まあ、あまり気にしていただかなくてもいいことですが、一応。
……
>>771 でなんか私、
「第十話(後編)あらため第十一話(前編)」とかよくわからないことを言ってますが、
これも忘れてください。(汗)
798 :
415 :03/03/11 21:23 ID:5y9gxMXI
ところで言い忘れていましたが、第十一話からこの話は最終章である第三章に突入しています。 (ちなみに第六話までが第一章、第七話から第十話までが第二章だと思ってください) というか今決めました。(……) 機会があれば、第十話にも〈SING〉を追加して、統一性をもたせたいところですが。 まあそれはともかく。 そういうわけですので、のこり数話となりましたが、最後までなにとぞよろしく―― ……と、言いたいところなのですが、現在スレの容量が442KB。……厳しいです。 どう考えても最後まで連載をつづけることは不可能なので、 このスレへのアップは今回をもって最後にしたいと思います。 むこうの住人のみなさんの許可が得られれば、SSスレで連載を再開したいと考えていますので、 そのときはどうぞまた、かまってやってくださいませ。 9氏の大作に触発されて、手探り状態で連載をはじめてはや半年。 …………は、半年?(愕然) まあ、それもともかく。 初めて書く長編に四苦八苦で、ほとんど綱渡り状態でやってきましたが、 ぜえはあ言いながらもなんとかここまで来られました。 お世話になった住人のみなさんに、あらためてお礼を言いたいと思います。 ありがとうございました。 ……つくづく有言不実行女で、すみませんでした。(汗)
799 :
415 :03/03/11 21:30 ID:5y9gxMXI
>>780 岩のような瓦斯さん
あ、姐御ですか?
小沢さんや薔薇姐さんにのみ使用することがゆるされている敬称を、そんなおそれおおい。(笑)
>奴ら〔アギト〕は群れでやってくる……つうかむしろレギオン?
そんなにいたら、翔一くんも氷川さんもただじゃすみそうにないですね。(笑)
ところで新作のほう、読ませていただきましたが――
>タイガーロイド「どうやら、役者が揃っちまったな……」
お、おやっさん……かっこよすぎです……。
あ、ゴオマについてはあまり気にしていただかなくていいですよ。
うちのゴオマも、いつのまにかあんな感じですし。(笑)
800 :
415 :03/03/11 21:43 ID:5y9gxMXI
>>782 ええ、なんかもうこのスレの伝統ですね。(笑)
やっぱインパクトありましたし。
今でも
>>9 を読むと、「かかカッケー」と心中快哉あげます。
>>786 はい。王蛇です。そのまんまです。(苦笑)
ちなみに、ゴオマはナイトを意識しました。
閣下は……言うまでもないですね。
……カニ種怪人っていたっけ、とふと思った今日このごろ。
801 :
415 :03/03/11 21:44 ID:5y9gxMXI
>>796 ちょっとびっくりしました。(笑)
すごい偶然。
そして神、きました。
本編のほうでもえらい無茶な神サマ(失礼)だったので、
私の話の彼も微妙に言動がおかしいです。(笑)
>でも体調崩さないでね・・・・。
……なんかもう、すごい、嬉しいです……。
ありがとうございます。
そしてご心配おかけして、ほんとにすみません。
続きは場所を変えることになると思いますが、
そのときはまた、よろしくお願いします。
415の姐御、御久しぶりです。 ……ワルサーWA2000……全く面妖な物を……(無意味にサムズアップ)僕はH&K PSG-1が好きなんですが。 つうか、もう、スーパー刑事くんは不良警官ですか。ひとし君人形はぼっシュートですか。 神はガドルに超電子ダイナモをおあたえに成ったかw前話でガドルが掴んでいたのはゴウマでなかったのか。もしや、ビートルロードの人ではありませんか?
803 :
415 :03/03/13 01:07 ID:FWbqXn3/
>802 岩のような瓦斯さん WA2000、かっこいいですよ、ええ。(おなじく無意味にサムズアップ) PSG-1も好きなんですけど、ちょっとメジャーすぎて、作中に登場させようって気にはならないんですよね。 どちらにせよ、スーパー刑事さんは不良警官決定ということで。(笑) ガドル閣下の二段パワーアップは、名づけて『チャガジガムム』。(笑) >前話でガドルが掴んでいたのはゴウマでなかったのか。 すみません、アップした後で「これ、ゴオマが死んじゃってるように読める……」と気づきました。 というわけで、ゴオマではなかったんです。 >もしや、ビートルロードの人ではありませんか? はい。 じつは裏設定として、黒ダミくんはグロンギに対して同じモチーフのアンノウンを刺客として送り込んでいる、 というものがあります。 つまり、ハチ種怪人にはビーロード、カブトムシ種怪人にはビートルロード、というわけです。 ……まあ、あの神サマの考えることですから。(笑)
804 :
415 :03/03/13 01:08 ID:FWbqXn3/
415の姐御へ まぁ、スナイパーライフルとしての面妖さではPGMウルティマラティオにかなう物はないでしょうw それじゃまあ、共闘SSスレに帰るとしますか(あそこの初代スレで書いたことがあったんですよ)。
地味に保守しておこう。
一応
808 :
名無しより愛をこめて :03/03/21 09:02 ID:W8SESl94
うめたてあげ
809 :
名無しより愛をこめて :03/03/24 16:18 ID:OeNH7M+z
いっぱいになるまでは残しておこう
810 :
名無しより愛をこめて :03/03/27 19:53 ID:xxy8ae1J
age
梅
812 :
名無しより愛をこめて :03/03/31 23:29 ID:4/meMHpP
さげてた
813 :
名無しより愛をこめて :03/04/03 20:55 ID:c4LRBgfZ
どうせなら有効に使わない?各SSの印象に残ったシーンを上げるとか 自分はそれぞれの一話目がどれも印象に残ってまつ
814 :
名無しより愛をこめて :03/04/04 00:38 ID:3GlPytjs
そ〜だね。
>>9 がすべての始まりだったわけだし。漏れはみんなの中屋敷おやっさんの使い方かな。三様のリョウへの接し方。
815 :
名無しより愛をこめて :03/04/07 21:52 ID:642To92g
「二人のリョウ」にイピョーウage
もう終わりか
817 :
名無しより愛をこめて :03/04/13 20:26 ID:/AoRoWRz
415さんの六話(だっけ?)とか小沢さん登場とかは燃えたなあ 今後にも期待
保守すべきスレ。
819 :
名無しより愛をこめて :03/04/19 17:25 ID:iRABaIot
浮上
820 :
山崎渉 :03/04/19 22:47 ID:dkJR3HHQ
∧_∧ ( ^^ )< ぬるぽ(^^)
やっぱドナ○ドとカー○ルだな。
ネタ切れでも保守。
823 :
名無しより愛をこめて :03/04/26 16:25 ID:OI0LWe20
浮上
824 :
名無しより愛をこめて :03/04/29 18:58 ID:k7AqeSOH
次スレは無いのか?
827 :
名無しより愛をこめて :03/05/06 13:26 ID:NXpOhzBJ
age
828 :
名無しより愛をこめて :03/05/11 11:37 ID:/IX3S9v2
うめたて
829 :
堕天使 :03/05/11 19:54 ID:WMgLydfn
830 :
名無しより愛をこめて :03/05/16 19:56 ID:tUtNP5QC
あげとく。
831 :
名無しより愛をこめて :03/05/20 19:23 ID:heQFqaD9
833 :
名無しより愛をこめて :03/05/26 17:28 ID:6NyC+C0F
age
834 :
名無しより愛をこめて :03/05/26 22:58 ID:RaIpT3/s
中屋敷さんって仮面ライダーアマゾンに出てくる十面鬼の中にいましたよね?
835 :
山崎渉 :03/05/28 09:13 ID:T6lm/dz6
∧_∧ ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。 =〔~∪ ̄ ̄〕 = ◎――◎ 山崎渉
836 :
名無しより愛をこめて :03/05/30 20:05 ID:3QeJvO9l
そういえば覇悪怒組にも強盗犯の役で出てましたよね?
「柔道一直線」を観ていたら、学生服姿の中屋敷と中村文弥が出てきたので のけぞったな
838 :
名無しより愛をこめて :03/06/05 23:28 ID:xZqvhqxj
浮上。
839 :
名無しより愛をこめて :03/06/14 01:37 ID:ixoWxc3R
まだ読んでない人がいるかもしれないので保守
保守
841 :
名無しより愛をこめて :03/06/25 09:31 ID:JU8zREpO
あげ
842 :
名無しより愛をこめて :03/07/02 07:58 ID:ka/hBOuB
あげ
843 :
名無しより愛をこめて :03/07/08 12:55 ID:7YzEtXkx
あげ
844 :
名無しより愛をこめて :03/07/12 15:25 ID:LZNcW3Mb
スレッド大量消失のため避難あげ
845 :
山崎 渉 :03/07/15 12:02 ID:Szhg/ZXj
__∧_∧_ |( ^^ )| <寝るぽ(^^) |\⌒⌒⌒\ \ |⌒⌒⌒~| 山崎渉 ~ ̄ ̄ ̄ ̄
846 :
名無しより愛をこめて :03/07/17 23:18 ID:kzGi9yIv
あげぽ
847 :
名無しより愛をこめて :03/07/26 05:07 ID:WEgw+lvW
age
848 :
山崎 渉 :03/08/02 01:44 ID:1Ofe/qod
(^^)
850 :
名無しより愛をこめて :03/08/13 15:47 ID:zGddrjaL
ageとく
851 :
山崎 渉 :03/08/15 13:10 ID:7PYp5ChP
(⌒V⌒) │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。 ⊂| |つ (_)(_) 山崎パン
漫画業界に今1つのブームが起こっています。 それも裁判ブーム。 しかも、裁判漫画では無く、漫画家が実際に裁判を起こすケースが多発しています。 つい数年前、小林よしのり先生が自分の漫画から引用した評論本の作者を訴えた事件がそもそもの発端だったようですが、まさかここまで広がるとは…。 つい先月には、金田一少年時代の取り分を争って、金成陽三郎がキバヤシ先生を訴えたり、 世界的カードゲームの会社「マジック・ザ・ギャザリング」のWOC社が、「遊戯王」の作者・高橋和希を訴えたり、 と、あちこちで裁判が起こっています。 週刊少年ジャンプ「少年探偵Q」のしんがぎん先生が、週刊少年マガジンの「学園探偵Q」サイドを訴えようとした寸前に亡くなったケースなどを見ると、何か裏があったのではないかと思うのはキユだけでしょうか? そして、ついに、週刊少年マガジン連載中「RAVE」の作者・真島ヒロ先生が訴えられました。 以前から、「ワンピースのパクリ」などとの噂(あくまで噂)があった漫画だけに、訴えられたこと自体には、誰も驚きもしませんでしたが、 まさか、訴えた人物が、「BLACK CAT」の作者・矢吹健太朗氏で、その訴えた理由が、【他の漫画をパクるのは俺のパクリ】という理由だったとは。
853 :
名無しより愛をこめて :03/08/24 02:05 ID:HGfc4Coc
854 :
名無しより愛をこめて :03/08/28 17:16 ID:s/RSmEVZ
いつのまにか2000の技スレってここだけ? ここも意味なく保守されてるだけだけど。
hosyu
856 :
名無しより愛をこめて :03/09/13 18:05 ID:uSlTxYTF
あげ
857 :
名無しより愛をこめて :03/09/25 17:50 ID:dR/JvR3s
9さんの話の最後で村雨良が乗ってたバイクがテレビ版ZXの オマージュってライスピファンブック2読んで始めて気付いたよ_ト ̄|○
859 :
名無しより愛をこめて :
03/10/16 19:00 ID:X3F3vB0m 保守age