http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/071101.shtml > 伊藤
> そうですね。それと、社会全体が悲惨に対して「無関心」になっている、それを可能にしているライフスタイルも含みます。
> 社会状況が先鋭化した針先に、感情調整などのテクノロジーが表象として現出している、ということです。社会そのものが、
> テクノロジーを経由して、個に投影される、という。
> だから、「虐殺」をセカイ系だという方もいらっしゃたんですけど、それはちょっと待て、違う、流入経路が逆方向だ、と(笑)
> 個がセカイに直結しているんじゃなくて、セカイが個に直結している。逆セカイ系なんです。
「セカイ系」的な物語と、それに対する批評言説を確実に参照しているという意味では
>>948の感想は的を射ているとは思う。
まぁ、多数の人間の観察結果の総体としてセカイがある、という意味においては、
根本的なパラダイムシフトによって、セカイの在りようが変わってしまった世界の物語、とは言えるかな。
>>951 あまり明確な描写はなかったけど、
世界と社会(あるいはセカイ)の境界の不一致みたいなのは常に意識されてるよね。
彼の熱心な読者になるタイプの人間にはあまりにも自明だからわざわざ書かなかった
だけなのかもしれないけど。
主人公に語られる世界と、主人公が所属してる(か、したがってる)セカイとの差、みたいな?
その切り口もあるよね。虐殺器官の真のオチ(と想像されるもの)とか。
>>953自体は、「世界は、セカイの総和より大きい」みたいな話。
それでも、(少なくとも自我の存在を肯定する限りにおいては)
俺たちは自分の「セカイ」に縛られてしか生きられないわけだが。
なるほど。
ハーモニーでは意識して書かれてる場所はしっかり「セカイ」って書かれてたっけ。
改めて言うことでもない気もするけど、
・セカイ系的物語(セカイに直結した個の実存を主題とする物語)
と、
・セカイ系的物語への批評的言説(「セカイに直結した個」に対するメタ視点)
の、さらにその先を描こうとした作家であることは間違いないと思う。
「The Indifference Engine」とか、素朴なセカイ系的視点からはもちろん、
「セカイに囚われる個」という(現状追認的なタイプの)メタ視線からでも
ああいう物語は出てこないように思う。
The Indifference Engineは精読してないんで言えるほどのことがないんだけど、
現状追認的なタイプのセカイ系メタ小説って巷に結構溢れてたりするの?
虐殺と対比させながらもう一度読んでみようかな。
MGS4小説、amazonやセブンで新品取扱いしてないのね。
もう増刷かけてないのか?
まぁ大きな本屋では普通に置いてあるけど。
>>958 それこそ批評としてはフツーな感はあるなぁ。
俺の観測範囲が偏ってる気もするが。
962 :
961:2009/05/15(金) 07:56:45
ああごめん、ボケてた。
批評というか批判としては「セカイ系(笑)」みたいな方が圧倒的に多いわな。
メタセカイ系的な物語としては、セカイ系のフレームに自覚的で、
その辺をひねった感じの作品を書く作家が何人かいたりはする。
(アプローチとしては、セカイ系云々より、「物語を紡ぐ作者」のレイヤーを
作品内に取り入れるメタフィクション、という方が正しいかもしれない)
読んだことある範囲では、谷川流とかわりとそういうところがあると思うけど。
まぁ、他にも↑夜中のノリでテキトーなことを書いた気もするのでバンバン突っ込んでちょ。
963 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2009/05/15(金) 10:23:17
6月に短編が入る予定?の2008年SFベスト、6/30発売
超弦領域
>>962 ああ、だったら解る。普通のメタセカイ系なんだな。
現状追認タイプってことで、一般的なセカイ系が個人の心象とでかい世界を直結させるのに対して、
セカイ系を参照しつつ「そんなことできるわけないだろ」ってアイロニーを綴ってくタイプかと思ってた。
それは普通に批判としてって意味か。
作品としてだと、谷川流以外だと一人かな、俺が知ってる範囲だと。
たしかにThe Indifference Engineはそのどれとも違ってたな。
965 :
964:2009/05/15(金) 12:39:51
>作品としてだと、谷川流以外だと一人かな、俺が知ってる範囲だと。
↓
メタセカイ系を扱った作品としてだと、谷川流以外だと一人かな、俺が知ってる範囲だと。
改行一つ入れればよかった。すまん。
正確には純粋な作家じゃないけど、メタセカイ系と言えば、田中ロミオとか?
ところで、やっぱり『ハーモニー』はセカイ系要素満点だと思うけどな。
父は、セカイを支配する組織のリーダー。
最大の親友は、その反対勢力の首謀者。
事件の発端は、もう一人の親友。
ほか、関わってくる全ての人間が組織と事件の核心にいて、
主人公の行動がこの先の趨勢を左右すると、誰もが思っている。
露骨にハルヒとかも引用してくるし。
セカイ系の定義はさておいても、
「あなた一人にセカイの双肩が掛かっている」という台詞が象徴してる。
セカイ系を目指してるっていうよりは、
売れる要素としてセカイ系を利用してやったって企みを感じた。
うーん、そこらへんには詳しかったと思うし、『利用した』というか皮肉った、というイメージが。
あなた一人に〜って下りはモロにそう感じたんだが。
セカイ系の定義はもうざっくばらんに、
「世界の構成要素の根幹や趨勢に主人公が関わる=複雑な社会のレイヤーをすっ飛ばす」
くらいの意味で考えてたけど。
この定義だけだとまあハーモニーもそうなんだけど、その枠組みを利用した上で、
個人って要素を抹消する作品を書いたのは凄いと思った。
そこまでいくとタイトルの凄まじさが象徴してるように。
この人って地味にニューアカも通ってるよね
そこらへんが東に気に入られた理由なのかしら?
小説ではサラッと流してはいるけどね。
映画の絡みで知ってるのもあるみたいだし。
でも明らかに通ってるって思えるほどブログとかで結構そっちのネタ扱ったりしたっけ?
昔のサイトのMGSレビューで環境管理の話とかしてたりはするね
>>962 本田透の「イマジン」なんかもセカイ系的物語自体を話のギミックに使っている(なおかつ登場人物が、それがセカイ系であることを認識している)
から、メタセカイ系だと思うな。
セカイ系というのは定義が曖昧だから、「ハーモニーは逆セカイ系」などといっても、セカイ系的世界観を受け入れて逆用した時点で、
「セカイ系の中の変わった奴」ということで、セカイ系のなかに取り込まれてしまう。
ハーモニーは逆用してないんじゃない?
虐殺器官のこと言ってるなら分かるけど。
>>972 そういやそうだな。
作者が逆セカイ系と主張しているのは虐殺器官のほうだな。
すまん。
まぁ、セカイ系かどうかで評価してもあまり実がない気はするんだよね。
主著2作(+短編2編)で示された基本的なアイデアは、
>>950の言う「人の意識に手を出すシステム」が全面化した時に、
俺たちが自明のもとのしてきた価値観がいかに揺らぐか、ということなわけで。
(まぁ、「揺らぐ」じゃすまないからこそのディストピア小説ではあるが)
http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51311811.html の
>>351が言うように、テクノロジーによってヒトの価値観の前提そのものをひっくり返す
存在がこの世に溢れ出てきたときに(フラットラインしかりウィンターミュートしかり)、
ドキュンを主人公(インタフェース)に据えることで、読者が理解できる形にギアを落として
描かれたのがサイバーパンクであるとしたなら、
そこへ果敢にも真っ向勝負を挑んだ作家こそ、伊藤氏だったのではないか。
どっかのブログで、「日本サイバーパンクの旗手になるはずの人だった」と言ってた
人がいるけど、本当にそう思うよ。
これは前に読んだっけ。
そういえば伊藤氏の007漫画をどっかでDLできたんだが、URLなくしちゃったな。
あれはどこだったか。
これだ、ありがとう。
ファイルは残ってたんだが、URLだけなくしちゃってて。
でもその漫画は読んでみたかったなあ。
ほとんど氏のイラスト作品を知らない身としては、そのへんもアーカイブされてたら感動もんだったんだが。
全裸というと、ゼロ少佐が「全裸は戦争のためにあるんじゃない」って締めくくるやつ?
>「全裸は戦争のためにあるんじゃない」
見てぇーw
>>977 うわぁ、すげぇいい雰囲気だなぁ。
メタルギアのも含めて、同人で出した奴をどっかでまとめて出版してもらえたりしないだろうか。
980越えたけど次スレどうする?
まだ人は来るだろうし次スレはあっていいんじゃないか?
>>984 ナイスw
やっぱ笑える
次スレ、
>>990ということでどうか。
押しつけるようだが、俺規制中で携帯使ってるから出来ないんだ、すまない。
はてなのキーワードを見ながらざっくりと著作リストを作ってみた
テンプレとしては長い?
<Project_itoh:dates=1974-2009>
<hatena:id=Projectitoh>
<!--
http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/ -->
<list:works>
<i:title= 虐殺器官 >
<i:title=The Indifference Engine:pub=SF マガジン 2007 年 11 月号 :rep= 虚構機関 >
<i:title=From the Nothing, with Love:pub=SF マガジン 2008 年 4 月号 >
<i:title= つぎはぎの王国から :pub= 群像 2008 年 9 月号 >
<i:title=METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS>
<i:title= 侵略する死者たち :pub= ユリイカ 2008 年 7 月号 >
<i:title=SF の或るひとつの在り方 :pub=SF マガジン 2009 年 1 月号 >
<i:title= 人という物語 :pub=WALK 57 DECEMBER 2008>
<i:title= ハーモニー >
</list>
<notes>
2009年5月末発売のSFマガジン2009年7月号では伊藤計劃追悼特集が組まれ、
長篇のプロローグとして予定されていた遺稿が掲載される。
また、第二短篇「From the Nothing, with Love」は2009年6月末発売の年刊SF傑作選『超弦領域』に収録予定。
</notes>
</Project_itoh>
>>984 牛乳吹いたwww
本当に惜しい才能を亡くしたものだ・・・。
>>984 これ、同人誌に掛けてた帯の裏側にあったマンガだ。懐かしいな。
ああどっかで見たことあると思ったらオールカラー本のやつか
さすが篠房氏のお友達…。
993 :
名無しは無慈悲な夜の女王:2009/05/19(火) 21:43:30
1000ならProject_i 始動。
お疲れさん。
>>991 前立てようとした時に揉めるみたいになっちゃったんで傍観に回っちゃってた。
あと
>>984には凄いいいもの見せて貰ったw
こういう作品がもっとあったんだよなあ。
>>991 乙です。
直後はショックが大き過ぎて見れなかったけど、同人誌も
久しぶりに見てみようかなと思った。
CD-Rのもあったよね。どこにしまったか・・・
埋め
998
例えるなら私はスレだ。いまこうして終了しつつあるテクストだ――
そのうえで、私にこう記す振舞いを許して欲しい。
私のdatに安らぎあれ、と。
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。