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”「過去数十年の間、資本主義は私たちから市民としての力を奪い、もっぱら消費者や投資家としての力を強化することに向けられてきた」というもので、資本主義が暴走してきた今を超資本主義と名づけている。”か
http://mainichi.jp/enta/book/review/news/20081017org00m040002000c.html 書評 サンデーらいぶらりぃ:小川 真理生・評『暴走する資本主義』ロバート・B・ライシュ・著<サンデー毎日 2008年10月26日号より>
◆企業の本質を冷静に見る
◇『暴走する資本主義』ロバート・B・ライシュ・著、雨宮寛・今井章子/訳(東洋経済新報社/税込2100円)
未曽有の金融危機のさ中、友人から勧められた。
「著者はクリントン政権で労働長官を務め、今はバラク・オバマ民主党大統領候補の政策アドバイザーだから、今後のアメリカの政策動向を占うには読んでおいたほうがいいよ」と。
彼の問題意識を、誤解を恐れず簡潔に言ってしまえば、「過去数十年の間、資本主義は私たちから市民としての力を奪い、もっぱら消費者や投資家としての力を強化することに向けられてきた」というもので、資本主義が暴走してきた今を超資本主義と名づけている。
日本については、「超資本主義への移行は日本の消費者と投資家の利益になっている。2006年までに日本の株式市場は14年ぶりの高値更新を記録していたし、大都市の商業地の地価も上昇しつつあった。
だが日本人の労働者の多くはその恩恵に浴していない。2001年から2006年の間に貯蓄を持たない日本人の数は倍増した」などと述べている。
では、それへの処方箋は何かであるが、影響力のある彼が何を論じているかは本書にあたってほしい。
私が興味をもったのは以下である。
彼は「人々はまた、企業は『公益』を促進するためだとか『社会的責任』を果たすために活動しているのだという経営者たちの言い分にも気をつけなければならない。
企業というものは『公益』に関心があるわけではない」と極めて企業を冷静に見ている。
今、流行りのCSR(企業の社会的責任)をどう考えるか。
経営者の善意の有無でなく、利益を上げることが企業の本質であることを忘れてならないということだろう。