カレル・ヴァン・ウォルフレンを叩くのってなぜ?v2

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1Enigma
僕はどうみても、これからの日本って
ウォルフレンのような分析が日本国内で叩かれる
世論が強いようじゃこのまま落ちぶれてドキュソ国民
になってしまうような気がしてなりません。
日本の将来を憂いながら、彼の鋭い分析
をたたく日本人ってなに?

前スレ
カレル・ヴァン・ウォルフレンをたたくのってなぜ?
http://money4.2ch.net/test/read.cgi/seiji/977162734/
2名無しさん@3周年:2005/07/18(月) 18:44:57 ID:NntBUz2w
カレル・ヴァン ウォルフレン, Karel van Wolferen,
略歴)
1941年4月、オランダ・ロッテルダム生まれ。1960年より国を出て中近東、
アジア諸国経由で1962年に来日。以来、主に日本を拠点とする。1972年から、
オランダの高級紙『NRCハンデルスブラッド』の東アジア特派員として
日本、インド、韓国、フィリピンなどを担当。1982‐83年、日本外国特派員協会会長。
1987年、フィリピン革命の報道で、オランダのジャーナリズム最高賞を受賞。
1997年6月からオランダ・アムステルダム大学政治経済制度比較論教授。
『フォーリン・アフェアーズ』、『ナショナル・インタレスト』、『インターナショナル・
ヘラルド・トリビューン』などに寄稿、国内外で講演活動を行い、冷戦後の
激変する世界の政治、経済の分析に力を注いでいる

カレル・ヴァン・ウォルフレン著作目録
http://www.geocities.jp/uwasano/wolferentyo.html
3 ◆8m7473I1co :2005/07/18(月) 20:20:50 ID:qHbhFRp0

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1104505784/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055139&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226586
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988934
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650747/

///////////// 絶賛発売中!///

4 ◆8m7473I1co :2005/07/18(月) 20:23:00 ID:qHbhFRp0

/// 強化の一世紀 80 //////

    権威主義の浮き沈み

 官僚は苛酷な社会介入をしたわけではなかった。彼らは、“調和”や“麗しき
古代の慣習”などを極度に強調する日本主義的な解決法を社会問題に適用
するのを任務だと考えた。事実、一九二〇年代のもっとも重要な民主化改革の
多くは、内務省の労働官僚の活動家グループがイニシアチブを取って始められた。
彼らは、国家の安全保障を考慮して、体の不自由な子供や体の弱い母親からは
弱くて不健康な兵士しか期待できないので、労働者を保護する必要があると、
二〇世紀以前から主張していた。しかし、内務省が労働者のため取った
イニシアチブの裏には、復活させられつつあった慈悲の理想があった。

///////// 絶賛発売中 ///

5 ◆8m7473I1co :2005/07/18(月) 20:26:22 ID:qHbhFRp0

/// 強化の一世紀 81 ///////

 神聖化された日本の秩序を救い、護ろうとする官僚と軍部の共同運動の
最中に、政治的に奇妙な時期があった。一九一〇年代から一九三二年に
かけてのこの期間について、歴史学者は意見を大幅に異にする。この期間は
裕仁の父天皇が在位した大正時代(一九一二年〜一九二六年)にほぼ一致
するので、“大正デモクラシー”と呼ばれている。日本の政治に構造的変化が
起きるかと思わせるような展開が、この間に見られたのである。政治的規律が
都市部である程度緩和され、政党の重要性が増した。

////////// 邦訳発売中 ///


6名無しさん@3周年:2005/07/18(月) 20:52:07 ID:yOG1Aqgg
投稿確認
・投稿者は、投稿に関して発生する責任が全て投稿者に帰すことを承諾します。
・投稿者は、話題と無関係な広告の投稿に関して、相応の費用を支払うことを承諾します
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし
第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき、掲示板運営者及びその指定する者に対し、
これらを日本国内外において無償で非独占的に利用する一切の権利(第三者に対して再許諾する
権利を含みます。)を許諾することを承諾します。また、掲示板運営者が指定する第三者に対して、
一切の権利(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)を許諾しないことを承諾します。
・投稿者は、掲示板運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。
7名無しさん@3周年:2005/07/18(月) 20:54:35 ID:yOG1Aqgg
>>3に記載されている出版元にこのスレ及び前スレのURLと
お前◆8m7473I1co のことを通報しておく。
8 ◆8m7473I1co :2005/07/19(火) 20:29:13 ID:JgUnbYaQ

/// 強化の一世紀 82 ///////////

 進化論的理論では、これが西洋型の議会制民主主義に向かう“自然”な進展
だと解釈された。だが、実際には、この期待は果たされなかった。一九二五年には、
選挙権がすべての成人男性にまで広げられたが、同じ年に治安維持法が制定され、
“思想統制”の法律的基礎が確立された。およそ一〇年間の比較的開放的で
自由な期間に続く一九二〇年代末の軍部・官僚の反動は、それだけ激しかった。

///////// K.V.ウォルフレン著 ///



9名無しさん@3周年:2005/07/20(水) 12:10:37 ID:rW1NPZ3I
ウォルフレンを叩くな。
暴力反対!
10名無しさん@3周年:2005/07/20(水) 12:11:18 ID:mSSHsfjh
狙撃者がいうな!
11名無しさん@3周年:2005/07/21(木) 04:47:08 ID:2nvu2Nud
12 ◆8m7473I1co :2005/07/21(木) 21:24:59 ID:dH+/BdtX

/// 強化の一世紀 83 //////////////

        大衆の封じ込め

 戦後日本の管理者は、彼ら自身の安全と心の平静を脅かす、社会・政治的混乱を
最小限に保つ世界をつくり出すことができた。服従礼讃を主な共通要素とする政治的
仕組みの継承によって形づくられた日本の政治的文化ゆえにできたことである。
この伝統は、個人の成長を妨げ、依存性を助長する。日本人は高度の組織化と
制限を容認し、役人によるさまざまな生活干渉を我慢し、いつまでも政治的後見の
下におかれても疑問を口にしない。市民による不服従を法にかなった政治行動だと
考えられる日本人は、非常にすくない。

///////// 「日本/権力構造の謎」 ///




13 ◆8m7473I1co :2005/07/22(金) 19:45:41 ID:GbmZacIH

/// 強化の一世紀 84 ///////////////

 それにもかかわらず、管理者たちは警戒しつづけなければならない。前任者の
確立した伝統が、自力で持続していくと安心しているわけにはいかないからだ。
この警戒のもたらした結果については、これまで本書の随所で見てきた。大学生、
新入社員や若い工場労働者は、しばしばまるで小学生のように扱われる。もっと
歳をとった大人でさえ、よく子供のように訓戒されたり忠告される。日本の若者や
若い成人男性をしつける助けとして兵役を使うわけにはいかず、戦後の家は家族の
メンバーを統制する戦前の法的な力の大部分を失った。だが、サラリーマン生活で
強制される集団への服従が非常に効果的な代用になっている。

//////////////// 原書1989年刊 ///




14名無しさん@3周年:2005/07/23(土) 13:42:07 ID:xYRKBL72
seiji / カレル・ヴァン・ウォルフレンをたたくのってなぜ?
http://p2.chbox.jp/read.php?host=money4.2ch.net&bbs=seiji&key=977162734&ls=all
29ch - カレル・ヴァン・ウォルフレンをたたくのってなぜ?
http://makimo.to/2ch/money4_seiji/977/977162734.html

前スレのミラー
15 ◆8m7473I1co :2005/07/23(土) 20:34:12 ID:Dt41pCTj

/// 強化の一世紀 85 /////////////

 <システム>内の決まりきった生活に、型にはまらない行動や予期せぬ変化が
生じるのは恐ろしいことであり、封じ込められねばならない。管理者たちは、
予想しがたい行動に出る恐れのある集団のために社会が騒然としはじめるのを
察知すると、いちはやく反応する傾向がある。戦前に見られた典型的な例は、
新興宗教に対する締めつけであった。官僚が懸念したのは教義ではない。
政治総体としての国家の弱点を撃つような教義ではなかったからだ。問題は、
新興宗派が既存の宗教ヒエラルキーの外で拡散した点だった。従来の団体と
あまりに違うこと自体が、望ましくなかったのである。

/////////////////// 早川書房 ///




16名無しさん@3周年:2005/07/24(日) 04:14:40 ID:Tygd1qlx
サバト(魔女の夜宴)エロすぎ・・・


シベリアで「魔女集落」見つかる.サバトも存続
http://academy3.2ch.net/test/read.cgi/whis/1119511334/
17 ◆8m7473I1co :2005/07/24(日) 19:35:14 ID:hWoPXv+o

/// 強化の一世紀 86 /////////////

 一九八○年代末頃、当局が指紋押捺を拒否した人びとに迫る際に見せた
エネルギーは、国家を根底から揺るがすほどの恐れが微塵もないことに
対して政府が力をふるった戦後の例である。数世代にわたり日本に居住
してきた国内少数派の韓国・朝鮮人、中国人の一部の人が、外国人登録
のため指紋押捺させる規定に異議を申したてた。彼らの見るところ、
日本国籍者で指紋押捺が要求されるのは犯罪者だけだから、この慣行は
彼らへの差別の象穀であった。他の外国人居住者のなかにもこれを拒否
する者がいた。

/////////////// 絶賛発売中! ///




18 ◆8m7473I1co :2005/07/25(月) 21:09:08 ID:dPBcNgoE

/// 強化の一世紀 87 /////////

なぜこの古風な身分証明法をいまだに使わなければならないのか、説得力
のある理由はない。拒否者に同情した地方の多くの市役所は、彼らの名前を
(法務省に)通告しないことで支援した。指紋押捺問題は外務省にとって
外交上の重荷になったが、法務省と警察庁の役人は“秩序”の強制を強硬に
主張する。時には強制的に指紋を取れる警察の工夫を用いたり、再入国許可証の
発行やビザの更新を拒んだり、国外退去命令を出して見せしめとした。

///////////// 邦訳発売中 ///




19名無しさん@3周年:2005/07/25(月) 21:25:08 ID:P/QujhSg
20 ◆8m7473I1co :2005/07/26(火) 19:22:23 ID:VlBWqoDG

/// 強化の一世紀 88 /////////////////

 このような統制のための統制は、日本人にも見せしめを示す。彼らが
社会統制を当然のこととして受け入れなくなれば、<システム>は崩壊
するであろう。報道機関の編集室にいる管理者たちも、警察や法曹界の
管理者に負けずに、公衆“道徳”の守護と称する高邁な目的に訴えて、
堂々と自由裁量の統制をおこなう。

//////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



21 ◆8m7473I1co :2005/07/28(木) 20:04:18 ID:jvi9SQ4h

/// 強化の一世紀 89 ///////////////

 管理者たちは可能なかぎり、みせしめと“慈悲”を組み合わせたがる。一九八四年に
ロサンゼルスでマリファナを吸っているのを見つけられた、二一歳のオリンピック
水泳選手の三人の場合が一例だ。実際には、日本の検察官は国外へは司法権が
及ばないのに、若者たちが禁断の草を好奇心から一度試しただけとして、彼らを
不起訴とした決定を、“寛大”だと思わせた。水泳選手の大学もまた“寛大”で、
まず彼らを停学処分にし、悔悟の意を告自する日記を一学期にわたり書かせ、
何回にも分けて大学当局に遅らせた後、復学許可を出した。

///////////// K.V.ウォルフレン著 ///




22>極右暴力団改憲軍需利権集団が、KIチガイ神社を拠点として活動↑:2005/07/28(木) 20:13:34 ID:Kc7NiDZI
528 :侵略殺人強盗皇軍兵士による家族殺しを称揚するキchiガイカルト神社:2005/06/17(金) 21:29:34 ID:Fjbs3pW
>http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-06-24/01_01_1.html
>極右暴力団改憲軍需利権集団が、KIチガイ神社を拠点として活動(Nタイムス、ルモンド)
>http://members.at.infoseek.co.jp/NankingMassacre/mondai/gyakusatu.html
>http://yeoseong.korea-htr.com/jyoseihoutei/nisino.htm
>太平洋戦争は日米という卑しいアジア侵略強盗同士が奴隷自国民を駆り立てた殺戮戦であった。
>靖国の英霊たちがアジア侵略強盗殺人の犯罪者若しくは犯罪の共犯者であるという事実から目を逸らしてはならない。
>英霊という犯罪者を野放しにして、時代に責任を霧散させて来たモラルが、戦後の無責任を拡大し「平成」の今に至った。
>拉致被害者を葬った金正日天皇北朝鮮軍需利権一派の愛国兵士たちが拉致家族の怒りから逃れる事など出来ないように、
>靖国の英霊たちもアジア数百万の家族を殺した犯罪者であり共犯者である事実から逃れる事は出来ない。
>数人の戦争指導者を連合国に裁いて貰うという怠惰に胡坐をかいて、英霊という個々の犯罪者を見逃してきた。
>靖国の英霊がアジア侵略強盗・家族殺しの犯罪者であり共犯者であるという重い事実を取り除く術などある筈もない。
>オウム裁判のように厄介で気の重いことだが、今、英霊という犯罪者を裁くのは我々戦後生まれ日本国民の義務である。
>アジア侵略の挙句、かけがえの無い家族を殺しておいて、たかが数十年で許されるはずがなかろう。
>靖国の英霊たちに家族を虐殺された被害者の怒りがもう消えたとでも思ってるのか。
>http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-03-17/2005-03-17faq.html
>日本人1697人を虐殺亡霊復活!特高官僚町村金五(田中内閣自治相、信孝現外相の父)たちの平成2005。
>http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-10-31/03_01.html
>北朝鮮の愛国拉致特攻兵士に家族を葬られた拉致被害者の怒りと
>侵略強盗家族殺しの靖国英霊兵士に対するアジアの凄まじい怒りは同じものだ。
>http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-07-01/2005070101_05_3.html
>http://www.h2.dion.ne.jp/~kyokasho/0_conb07.htm
23 ◆8m7473I1co :2005/07/30(土) 20:21:23 ID:eFXUorbJ

/// 強化の一世紀 90 ////////////////

       長期展望型の統制

 いうまでもなく、日本の管理者たちは、自分たちが一般市民を支配する力を
増大させるため、いかがわしい動機をもっていかがわしい計略をたくらんでいる
のだと考えているわけではない。彼らは、日本の官僚の伝統によって、警戒を
ゆるめれば社会の土台が傷つけられると信じこむようになったのだ。国民には
自分たちで決定を下す政治的権利があるという考えは、役人にはなじまない
ものだ。

/////////// 「日本/権力構造の謎」 ///


24 ◆8m7473I1co :2005/08/01(月) 20:07:42 ID:xvcBlaTC

/// 強化の一世紀 91 ///////////////

 日本の官僚が、はるか将来のことまで制限する施策を計画するという明白な
証拠はない。だが長期的統制に利のある機会が到来すれば、喜んでその
状況を利用する。たとえば、日本の女性は避妊薬を容易に入手できないが、
公式の理由は、この“新薬”が有害な副作用を起こすというものである。しかし、
一九八六年だけでも、厚生官僚は、同年に全世界で販売され始めた五〇近くの
新しい医薬品のうち、約半数に販売許可を出した。これらの新薬の大半が
日本で開発され、日本国内だけでテストされたものだった。日本人が能率のいい
避妊薬の使用を認められていない事実をめぐってよくおこなわれる説明は、
使用が儲けのいい堕胎産業(堕胎数は年に一〇〇万から二〇〇万)の土台を
ゆるがすというものだ。

//////////////////// 早川書房 ///




25 ◆8m7473I1co :2005/08/03(水) 23:36:29 ID:8R5POo0x

/// 強化の一世紀 92 ////////////////

日本医師会がかつて凄まじい力を行使して、“ピル”を日本市場に入れさせない
ようにしたのは事実である。(例外として月経周期調整を目的とするものを認めたが、
作用力の強いピルが使用され、結果的に副作用の主張を立証した)。内務省の
分身である厚生省の官僚が、積極的に共謀してこの統制をおこなったにしろ、
みずからの目的をとげる手段として医師会の圧力を歓迎したにしろ、日本の
女性を管理者の望むところに留めおく効果は同じである。日本の官界は、解放された
女性市民が国内の労働体系を乱しやすいことに気づいている。日本の女性は
ピル禁止によって、西洋の社会で女性の社会的解放のためにもっとも重要な
意義をもったものを拒まれたのだ。

////////////////// 原書1989年刊 ///



26名無しさん@3周年:2005/08/04(木) 00:33:53 ID:15RuE63Y
電波じゃん
27 ◆8m7473I1co :2005/08/05(金) 20:51:02 ID:hemW8TEg

/// 強化の一世紀 93 ////////////////

        古い夢の実現

 現在の日本の政治体系は、戦前の秩序より競争が激しく多元的だという普通の
議論には、もちろん、いくらかの根拠がある。社会の平穏を保つための行政的な
調整には、戦前より多様な意見がとり入れられている。管理者たちは、たしかに
一九四五年以前にくらべれば“世論”を気にするようになった。こういう点、
一九八○年代の日本は一九三〇年代より“民主的”であるといえよう。

//////////////////// 絶賛発売中 ///




28 ◆8m7473I1co :2005/08/08(月) 19:02:15 ID:vXOZS+hF

/// 強化の一世紀 94 ///////////////

 しかし、満州事変に先立つ何十年かの期間に、さまざまなエリート集団は権力を
めざして今よりはるかに劇的な競争をしていた。この頃には、明治時代に生まれ、
やっと巣立ちした政党が、体系的な妨害にもかかわらず本領を発揮し、権力を求めて
急成長してきた。政党は大企業と連携して、軍部を牽制するようになった。軍部=
官僚の連合がストップをかけるまでの大正デモクラシーが、どれほどの民主性を
秘めていたかをめぐってその後も議論が大いにたたかわされてきている。しかし、
諸政党は少なくとも政権を取るか、連合政権に参加するかのチャンスをかけて競争
したし、また、軍部と官僚の影響に挑戦した。一九一八年に原敬首相が組閣した
頃には、二つの主要政党、民政党と政友会が、官僚たちを自党に吸収して動かして
いたし、これらの党が交代で政権を担当するたびに地方の役人も両派に色分けされ
しばしば入れ替えられた。

/////////////// 邦訳1990年発行 ///




29 ◆8m7473I1co :2005/08/11(木) 21:00:52 ID:UD3i9eBO

/// 強化の一世紀 95 //////////////////

 また、政治家のパートナーだった大企業は、今日よりも企業としての構造と
動機の面で、西洋の企業に似ていた。明自に管理者階級に属し、中央の
官僚マシーンと密接に連携する経営者たちが、まだ完全には企業家に取って
かわっていなかった。
 このように、大正デモクラシーは多元的注政党政治の初期段階の形であった。
これは戦争直後の形に似ていなくもなかった。“国体”のイデオロギーに
覆われていたとはいえ、諸政党その他の政治勢力の間の闘争は、日本が
現実にたどったコースと別の、政治発展の可能性を持っていた。しかし今日
この選択は存在しない。

/////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



30 ◆8m7473I1co :2005/08/14(日) 18:54:40 ID:QEoTedQI

/// 強化の一世紀 96 ////////////////

 今世紀はじめの三〇年間の政治秩序は、一九八○年代に比べ不安定だった
にもかかわらず、今よりはるかに公然と競争がおこなわれていたからだ。
当時の政治体制は、今日の<システム>よりはるかに激烈な混乱を経験した。
これが、高い地位にいる多くの日本人にとっては心配の種だった。彼らは実際の
状況と、天皇の庇護の下の家族のような国家団結というイデオロギーとの
食い違いを、痛感していたからだ。一九二〇年代には、伝染力の強い争いが
ますますオープンになり、それが当然の事態として受け入れられる恐れさえあった。
そうなれば、和を旨とする国体と矛盾することになったであろう。議会の手続き上の
多元政党主義は、議会外でのあからさまな権力争いと同じく無秩序を意味した。
それは日本の聖なる秩序の守護者を自任する者たちにとって忌むべきことであった。

/////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




31 ◆8m7473I1co :2005/08/16(火) 22:55:09 ID:0ZcjeMop

/// 強化の一世紀 97 /////////////

 その結果、一九三〇年代に、支配エリート間の結束を固め、しかも日本の偉大さを
前面に出すことをねらった政策への国民の熱狂的支持を促進する計画への新たな
興味がおこった。革新官僚と日本社会のさまざまな分野にいたその仲間は、当初
マルクス主義、ナチスの理論、イタリアのファシズム理論のどれに感化されたかを
問わず、計画の目的は「ソ連、ドイツ、イタリアのように、政府に密接につながる
全体主義的大衆基盤の単一政党を作ることによってのみ、達成しうる」と考えた
のである。一九三七年の近衛文麿の内閣以来、先に述べた新国家体制(新体制)
運動が日本的単一政治組織の神聖さを強調するようになった。

//////// 「日本/権力構造の謎」 ///





32名無しさん@3周年:2005/08/19(金) 06:59:53 ID:k82B6LUP
支配者を支配せよ 選挙/選挙後
33 ◆8m7473I1co :2005/08/21(日) 18:27:01 ID:4A7du8uW

/// 強化の一世紀 98 /////////////

 革新官僚の提案の最終生産物である大政翼賛会は、近衛文麿の力添えによって
一九四〇年に設立されたが、元来の大計画にはとても及ばなかった。実際の
大政翼賛会は、日本人のエネルギーを統一して世界に日本の偉大さを知らせる
という、共通の方向に向かわせることより、すでに広く合意に達していた政府の
領土拡張主義的な目標への国民の支持を、さらに育てるための大がかりな
宣伝機構として機能した。所期の意図を実現できなかったのは、各種の権力集団が
強力な中心ができるとグループの権力を相対的に減少させると分かったとたんに
協力をやめたからだった。

/////////////// 原書1989年刊 ///




34 ◆8m7473I1co :2005/08/24(水) 21:04:25 ID:G3wn75ea

/// 強化の一世紀 99 //////////////

内務省、右翼、軍部のいくつかの派閥と、平沼配下の司法官僚たちが、
近衛主導の中央集権国家に対し反旗をひるがえしたのである。彼らは、
自分たちの権力が侵される独裁の台頭を恐れた。そこで、陸軍が率先して、
本当に全体主義的な“新体制”の体系化にとりかかったのだが、こんどは
経済人と官僚のグループ、さらに軍部内の対抗党派が一致して効果ある
反対に出た。

/////////////////// 早川書房 ///



35内閣機密費と民族間憎悪国民煽動とK.V.ウォルフレン:2005/08/24(水) 21:25:46 ID:a9EgD95r
元内閣安全保障室審議官が2チャンネルの真実を暴露
「2chの書き込みが膨大な内閣機密費を使って行われていることすら知らない若者が多いのには驚く。」
と簡単に軍需利権に煽られる単細胞な若者の無知に元カナダ大使館公使が警告した。
「2チャンネルの書き込みが、当初と違って右傾化、政権擁護的になってきているのは、権力者がネットの影響力に気づいて、機密費を使って役人や「さくら」に書き込ませ、世論誘導をはかろうとしているからだ。
これはもはや知る人は知っている。実に卑劣な手口だ。」 ,,,これは,もはや知る人は知っている。
http://amaki.cc/bn/Fx.exe?Parm=ns0040!NSColumnT&Init=CALL&SYSKEY=0097
http://www.shii.gr.jp/pol/2001/2001_02/2001_0218.html
首相 何に使われるか申し上げるわけにはいかないわけですから、そのことがいいか悪いか、私が申し上げる立場ではない、こう申し上げています。
志位 許されないこととはいえませんか。つまり、(「機密費」の目的は)「国の業務を円滑にする」というんでしょ。国会対策というのは、党派の問題でしょ。こういうものは許されないといえませんか。『内閣機密費の闇』
http://esashib.hp.infoseek.co.jp/isiikoki09.htm
また『読売報知』は次のようにいう。
「″戦争は儲かるものである″侵略主義者はさう思ってきた、なかでも僅か三五才の無一文の一青年がたった三年間に三三億円といふ天文学的数字に近い巨大な富を築きあげた実例は世界戦争史上にも稀有のことだろう。四五・十二・六」
http://www.shii.gr.jp/pol/2001/2001_02/2001_0212.html
http://www.linkclub.or.jp/~teppei-y/tawara%20HP/2000.10.2/korega.html
改憲・有事法制利権が右翼にとってどれほど美味しいかを児玉誉士夫はみごとに体現している。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik2/2003-10-31/03_01.html
36 ◆8m7473I1co :2005/08/26(金) 22:55:52 ID:7dHrbaNg

/// 強化の一世紀 100 //////////////////

 日本が、官僚や審議会の答申や新聞が好んで“情報化時代”とか“脱工業化社会”
と呼ぶ時代や社会になるにつれ、日本の政治経済はしだいに大政翼賛会の青写真に
反映されていたビジョンに非常によく似てきたように思える。一九四五年から五五年
までの政党勢力の群雄割拠的配置は、一九三〇年代の状況に似ていた。続いて、
植村甲午郎をはじめとする元官僚の経済団体指導者たちの熱心な努力の結果、
“保守”諸政党の大同合併が実現した。この合併は自民党の派閥争いに和平を
もたらさなかったが、政府を半永久的にただひとつの政党の手に預けることによって、
重要な意味を持つ政治秩序の安定をもたらした。イデオロギー一点張りの無害な
野党まで揃ったこの取り合わせは、12章で見たとおり、一般に“一九五五年体制”
と呼ばれる。それは、革新官僚が一九三〇年代に唱えていたものをほぼ実現したか
のような仕組みである。

/////////////////////// 絶賛発売中 ///



37 ◆8m7473I1co :2005/08/29(月) 21:07:07 ID:Q59Ytsyi

/// 強化の一世紀 101 //////////////////

 この一党制は、真の企業家や政治家といった予想のつかない政治要因に
煩わされないで管理者支配の政治体制の継続を可能にしている。今日の
日本は、徳川時代以来ついぞなかったほどの社会・政治的“秩序”を保っている。
サラリーマンの序列社会がくシステム>を支える肉と骨になり、企業の管理者は
役人といっしょになって労働者や中間階層の事務職を抑える。農協と農水省の
農業管理者の活動は、必要性よりも政治的考慮から絶えまなくおこなわれる
土木建設事業と手をとり合って農村部を抑える。教師たちは封じこまれていた。
医師たちは儲けさせてもらっている。

////////////////////// 邦訳発売中 ///




38名無しさん@3周年:2005/09/01(木) 06:50:27 ID:3tFSSMaV
落ちぶれてドキュソ
39名無しさん@3周年:2005/09/01(木) 19:16:39 ID:l4RyM125
官僚が意図していたかどうかは別として、この“財政硬直化打開”運動とそれに
続くやや控え目のキャンペーンは、大蔵省(現財務省)主計局を日本一強力な
政治的機関として確立すべくなされた努力であった。自民党の有力政治家(とく
に田中角栄)が主計局の特権をしだいに侵害しはじめていると感じたので、局
はこのような対策に出たのである。もしこのもくろみが成功していれば、財務
官僚が国の政策に新しい優先事項を自由に導入するようになっていたであろう。
現状では、日本の国家予算に新しく設定されたり意識して再確認された国家的
優先事項が反映されることはない。つまり、既存の優先事項を大幅に変えられ
る、中心的な政治的機関がないのである。『日本権力構造の謎(上)p.265』

この夏は突然の総選挙で予算をめぐっての政治折衝がなくなった。だから
従来の利益誘導型政治介入がないことになる。一部報道によると主計局で
厄介者扱いだった人物を小泉首相が選挙戦に担ぎ出したことで、なおさら
主計局は今仕事がやりやすい環境が整ったのではないのか、とも思う。
小泉首相が元大蔵族だったから財務省にこんな一石二鳥の事態を用意した
のだろうか?財務省の自由裁量で来年度予算をスリム化できるのだろうか?
今、ウォルフレン氏が日本を分析したら彼の言う責任中枢なき日本システム
で小泉首相や財務省主計局の権限はどのレベルに達しているのだろうか?
40 ◆8m7473I1co :2005/09/03(土) 21:22:48 ID:g3Lw2yAl

/// 強化の一世紀 102 ///////////////

暴力団は、犯罪そのものが確実に“管理される”よう協力を続けている。そして
今や、労働運動活動家の残党やイデオロギーで動く野党までが、<システム>の
囲いの中で歓迎されようとしている。事実、新しくできた全国的な主要労組
団体である「連合」は、少数党を“消毒する”気になっているようだ。つまり、
選挙の成り行きしだいで必要とあれば、事実上自民党に合流するためである。
 一九三〇年代と八○年代の決定的な違いは、三〇年代には、“国防国家”の
概念や、大政翼賛会を生んだ新体制運動に具体的なビジョンが明確に説明され、
当時のばらばらだった支配エリート諸集団を統合する意図があった点である。

///////////// K.V.ウォルフレン著 ///




41名無しさん@3周年:2005/09/05(月) 23:21:02 ID:nIPXq/gx
>1様。日本の大衆の心はいまだ、心にちょんまげを結っております。
こういう国では市民革命など起こりえず、逆に軍国主義が
はびこる土壌なのです。平和というとすぐ、共産党か、とい
うでしょう。昔はあいつは アカ などといいました。
この国では常識は通りません。いつも集団思考。隣の人の

顔色うかがわないと動きません。自ら首を差し出しているのですから
当然首はねますよね。こういう国には「きちがいじみた熱狂的なリーダ」
ーが根付きやすい風土です。今の小泉フィーバーがそうでしょう。
投稿するだけ無駄ですよ。
42 ◆8m7473I1co :2005/09/08(木) 07:06:49 ID:C0REal/c

/// 強化の一世紀 103 ///////////////

一部のエリートは当然ながら脅威を感じた。これとは対照的に、戦後の
くシステム>の建設とそれがめざしている無制限の産業の成長は、攻撃対象
とされそうな基本計画としてはまとめられなかったので攻撃のしようもなかった。
それでも、戦後のすべてのエリート集団の目的が、<システム>の構築と
目標に同調している。それぞれの管理者集団がそれぞれの無理を通せるので、
<システム>の性格を変えるのに熱心なものはいない。こうして、戦前の
前任者と異なり、現代の管理者たちは、国内の政治的な平和維持という
問題を解決しおおせたかに見える。

////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




43名無しさん@3周年:2005/09/10(土) 01:10:38 ID:exPbwhcP
きっと---------------
44 ◆8m7473I1co :2005/09/11(日) 10:10:36 ID:ShOuoTgt

/// 強化の一世紀 105 ////////////////

        自民党のマニフェスト・デスティニー

 自民党機関誌の一九八二年新年号の論文は、一部の管理者が前記の
ような状況における彼ら自身の役割をどう見ているかを、正直に窺わせる
ものだった。編集部の名で書かれたこの論文は、自民党の夢想家たちが
歴史をどう解釈するか、また、歴史を背景にして彼ら自身の組織の将来を
どう予想しているかを示すおもしろい論述となっている。

//////////////// 邦訳1990年発行 ///




45名無しさん@3周年:2005/09/12(月) 00:13:01 ID:fy7cTzKN
快傑ウォルフレンの「日本ワイド劇場」
46名無しさん@3周年:2005/09/12(月) 00:14:26 ID:fy7cTzKN
快傑ウォルフレンの「日本ワイド劇場」
47名無しさん@3周年:2005/09/13(火) 21:24:12 ID:BixDxPWJ
「専横的にならず謙虚に」 小泉圧勝で奥田経団連会長
2005年09月12日20時26分

 日本経団連の奥田碩会長は12日の記者会見で、自民党が総選挙で圧勝した
ことについて、「雪崩現象が起きるとは予測していなかったので、『驚いた』
というのが正直な感想だ」と述べるとともに、「(国会運営などで)あんまり
専横的にならず、謙虚に構造改革を進めて欲しい」と注文した。

 奥田会長は自民党の圧勝を招いた政治状況について、「瞬間的な今の状況を
とらえると、大変な時代になったと思う。大政翼賛会の時代は別として、戦後
はなかった状況で、重大に考えている」と述べ、政党のイメージづくりなどの
選挙戦略次第で選挙結果が大きく変わることに、警戒感も示した。

 大敗した民主党への注文として、奥田会長は「党の中心軸がはっきりせず、
小泉さん的なリーダーシップを発揮する人がいない。二大政党制が育つように
気を引き締めて立て直すように望みたい」と語った。

ttp://www.asahi.com/politics/update/0912/031.html
48 ◆8m7473I1co :2005/09/17(土) 20:57:11 ID:um55qp/P

/// 強化の一世紀 106 ////////////////

 野党による連合政権樹立のチャンスはほぼ消えたという事突を詮証した上で、
論文は一九五五年体制の終局を予言した(中曾根の同じ予言については、5章
後半で見た)。そして、これを明治維新以来の政治的な軌跡のうちで、執筆者が
重要だとみなした二点の特徴に関連づけた。一つは、日本の反体制勢力は決して
抑圧されたのでなく、むしろ政府は彼らの言い分にいつも耳を傾けてきたということ。
二つには、一八六六年以来、ほぼ三〇年ごとに政治的体系に大きな変化が
起きたことである。論文の説明によると、三〇年周期のおもしろい点は、その
周期なかばでつねに政治のブロセスに近づけなかったいくつかの勢力がひとつの
政治運動を起こし、政府がそれらの運動との調整をはかる結果、周期的な変化が
起こるというのである。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




49 ◆8m7473I1co :2005/09/25(日) 18:31:43 ID:OPL7qimR

/// 強化の一世紀 106 ///////////////

 論文は、太平洋戦争とアメリカの占領期間を都合よくとばし、最近の変化は
一九二四年と五五年に起こったとした。一九二四年の周期的な変化 −
それは一九五五年の変化にも通じる − の後に起こった運動は、ほかならぬ
革新官僚の新体制運動であった。これは、二つの政党が交互に政権を取る
状況に国民が不満をおぼえたことから生じたとされた。「これが政治腐敗と、
財閥による政治の制御を招いたからである」。大政翼賛会はこの問題に
対処するため設立された。そして、似たような意図をもって、民間企業は労使が
協力して企業の運営に当たるための産業報国会を結成したとこの論文は続ける。

///////////////// 原書1989年刊 ///




50 ◆8m7473I1co :2005/10/04(火) 21:26:48 ID:TQlJJEZp

/// 強化の一世紀 107 ///////////////

 新体制運動が国民の間から生まれたという自民党機関誌編集部の
執筆者は、大いに的はずれである。運動は政治的決定に発言を増したいと
望んだグループを引きつけはしたが、運動を支配していたのは、既成の
政治的党派であり、各党派はエリート階層内での自派の地位強化を
狙っていたのだ。ここで自民党の執筆者=スポークスマンは、帝国主義戦争と
日本占領を重要でない余興のように無視しているが、その一方で、戦時中の
政治組織に意義を認めている点が興味をひく。論文によれば産業報国会は
労働者にある程度、経営に対する発言権を与えた。

////////////////////// 早川書房 ///




51名無しさん@3周年:2005/10/07(金) 02:07:17 ID:VZA0kehl
快傑ウォルフレンの「日本ワイド劇場」
52 ◆8m7473I1co :2005/10/10(月) 20:35:58 ID:o15aKKtS

/// 強化の一世紀 108 ///////////////////

そして大政翼賛会は、「その軍国主義的右翼的姿勢ゆえに、今日では
否定的な評価がされているが」、政治を一般人の手に返すのに貢献した、
と述べている。このような形勢は一九五五年体制に受け継がれた、というのが
自民党イデオローグたちの驚くべき結論だった。自民党が、大政翼賛会の
ように諸政党をひとつにまとめ、一方、産業報国会の築いた基礎が非常に
望ましい企業別組合システムの出現を可能にした、というのだ。

//////////////////////// 絶賛発売中 ///


53名無しさん@3周年:2005/10/11(火) 00:24:04 ID:mMESctLg
道路公団の民営化会社がスタート。
公団からの天下り会長や社長では官製談合の根絶は期待できない。

54名無しさん@3周年:2005/10/12(水) 03:41:04 ID:wt1KYmHZ
 小泉首相は街頭演説で相変わらず郵政民営化しか語らない。
しかも340兆円の資金お流れについては全く触れず、ただ「郵政公務員」を
民間人にすることが「改革」という主張。しかし郵政公務員の人件費は税金から
出なく公社の収入から払われており、たとえ民間人になっても人件費の削減にはならない。
その上、小泉民営化では会社員になった後も年金などは国家公務員共済に残る、
事実上「準公務員」化だ。道路公団の民営化と同様、天下りポストの拡大につながる民営化。
道路公団民営化に準備に自民党参議院議員を辞めさせて総裁に送り込んだ近藤総裁は、
官製談合も天下りも放置し、他の公団幹部と共に民営化後の会社の会長に納まる。これが小泉流の「民営化」。

55名無しさん@3周年:2005/10/16(日) 01:08:37 ID:XS/MFyjn
小泉内閣はまたもや頭がおかしいことを露呈した!
「共謀罪」法案をこの10月4日に国会に提出。
この法案が旧社会主義国で悪の根源化した密告社会をつくり出すものである事をマスコミも無視!
過去二回内容が酷過ぎて廃案になった幽霊法案を何故郵政民営化の影で成立させようとするのか!
アホ国民の選択は取り返しのつかない禍根を未来に残すのだ!
この法案は将来「人権擁護法案」「盗聴法」とセットで密告疑心暗鬼社会を作り出す。
小泉圧勝の結果、過去の「治安維持法」以上の暗黒社会製造の道具として今国会で成立する・・・
http://www.videonews.com/
56名無しさん@3周年:2005/10/16(日) 23:49:38 ID:XS/MFyjn
10月14日、民主党『次の内閣』国土交通大臣ながつま昭は、国土交通委員会において、
北側一雄国土交通大臣に対し、公共事業のムダ遣いを中心に質問した。

国土交通省における公共事業は、官製談合疑惑、入札制度の矛盾、事業費の膨張、
追加料金の発生など、問題が山積している。

国土交通省は、談合を防止する対策として、一般競争入札の拡充を決定しているが、
一般競争入札によって実施された公共事業においても落札率が100%に近いものがあり、
一般競争入札の拡大が談合対策になるのか疑わしい。そもそも、日本の一般競争入札には厳しい資格審査があり、
誰にでも門戸が開かれているわけではない。談合を防止するため、
第三者機関の保証が付いた確約書(入札ボンド)を提示した業者がどのような入札にも参加できるボンド制度を導入するべきである、
と提示した。

また、国土交通省の公共事業には当初の事業見込額に比べて最終事業費が膨張したもの(※)や、
当初の調査が甘くて契約金額では足りず、追加料金を支払ったものがある。民間企業ならば、
こんなことをやった従業員は責任を追及される。しかし、国土交通省では職員の責任は問われない。
ムダ遣いが放置されている。

北側国土交通大臣は、ながつま昭の質問に対して明確な回答を避けた。北側国土交通大臣には
責任者の追及等の厳しい対応をするつもりはないことがわかる。

このままの政策を続ければ、談合体質は改善されない。談合によってわが国の建設業の国際競争力は地に落ちてしまう。
また、ムダ遣い体質は温存され、国民の貴重な血税をドブに捨てる事態が続く。こんなことを許してはおけない。
ながつま昭は今後とも談合撲滅及びムダ遣いの徹底究明に取組んで参ります。
57 ◆8m7473I1co :2005/10/18(火) 22:27:25 ID:6TWQ5M7d

/// 強化の一世紀 109 /////////////

 要するに、執筆者たちは、一九五五年以後の高度経済成長期の三〇年間を
通じて<システム>の主要な特質だった二つの事実 − 挑戦を受けない与党と
従順な労組 − が、戦時下の国を強化する目的で設立された組織の直接の
後継だと、誇らしげに認めているわけだ。これはまったく正しいのだが、それを
認めたこと自体、奇妙な話である。自民党はそれまで、戦時中の制度を外部に
向けて公然と賞賛する慣習はなかったのだから。

////////////////// 邦訳発売中 ///




58 ◆8m7473I1co :2005/10/24(月) 23:02:11 ID:JSDK5wWV

/// 強化の一世紀 110 ///////////////////

 党の将来はどうであろうか。いつになく歯切れのいい自民党スポークスマンに
よれば、一九八○年代のなかば、新しい三〇年周期の始まる間にまた
変化が起こり、二つの決定的な運動が日本を“一九八五年体制”に向けて
動かした。一つは、革新勢力が支配する地方自治体の数を増やしていこうとする、
革新自治体運動。もう一つは、消費者の利益向上をめざして大都市で起こった
地域住民連動だった。しかしどちらの運動も静かに死に絶えてしまった。
(3章を参照)これは、論文によれば、運動が無視されたからではなく、
要求が受け入れられ望みが果たされたからだという。

////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




59 ◆8m7473I1co :2005/10/31(月) 21:30:39 ID:83xyFvdJ

/// 強化の一世紀 111 /////////////////

 自民党の論文の結論によれば、このような進展は、自民党が現実に即応して
どのような調整をしていく必要があるかを明らかに示している、という。また、
自民党は都市部のサラリーマンやその妻にとっての政治的安息所になり、
労組の支持も得なければならないというのだ。
 この論文が伝えようとした主な内容の一つは、左翼主義的な労働組合の死が
問近いということである。たしかに一九八○年代なかばには、前にも見たように、
これに関連する大きな変化があった。日本国有鉄道の分割であり、国鉄労組は
公労協のなかでかつてかなり活動的で、左翼色の濃い総評の主力を占めていた。
すでに一九八六年の選挙で、いくつかの労組が自民党候補者の票集めをしていた。
また、いくつかの地域で、社会党の地元議員が開発事業を実現させようとして
有力な自民党国会議員と現実的な提携をした。全民労連(連合)が、既成勢力として
地歩を確立した後は、逃れられない<システム>の抱きこみもほとんど完了しよう。

///////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




60 ◆8m7473I1co :2005/11/03(木) 20:27:22 ID:WwbHw8cx

/// 強化の一世紀 112 /////////////////

 権力者は、労働者が権力者側の出す条件で組織するかぎり、いつでも労働組織を
受け入れる心の余裕があった。二つの世界大戦の中間で労働関係の法の制定を
推進したのは内務省の社会局だった。また、戦後の管理者は一貫して“現実的な”
すなわち体制順応の労組を歓迎した。今世紀に入って、はじめはキリスト教、後に
マルクス主義に導かれた労組が、一貫して<システム>と闘った唯一の主要社会勢力
だった点を考えれば、自民党のイデオローグたちが正確に記述している産業報国会の
労使協議会に源を発した労組抱きこみ過程の強化は、確かに歴史上、画期的な
出来事である。

//////////////////// 原書1989年刊 ///




61 ◆8m7473I1co :2005/11/06(日) 18:32:42 ID:n57n0EF0

/// 強化の一世紀 113 ////////////////

        脱政治的国家の夢

 <システム>は日本の左翼主義の根絶に向けてさらに大きく前進するのに従い、
非政治的な国家をつくる夢の実現にますます近づいている。これは、西洋でも
古くからの夢であった。一つの壮大な共同努力による協力で人間生活を改善し、
愛に溢れるいたわり合いの社会をつくるため協力するというビジョンは、マルクス
以前も以後も、多くの社会工学者とユートピア的な夢想家を鼓舞してきた。

////////////////////// 早川書房 ///




62 ◆8m7473I1co :2005/11/08(火) 21:11:56 ID:UFAdtI2c

/// 強化の一世紀 114 /////////////

 この夢の一部は、失われた楽園を取り戻せるという考えである。この考えを
学術的に裏づけるものとしてもっともよく知られているのは、一八八七年に
出版されたフェルディナント・テンニースの『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
(共同社会と利益社会)』である。彼は、二分法を仮定して、伝統的な村の
世界としてのゲマインシャフトは、親密な人間の絆で結ばれ、政治でない
共同体意識によって統治されるとした。この世界は、たいていの西洋社会
において、人工的で非友好的なゲゼルシャフトに取って代わられ、温かみの
ある理解が冷たい規則にかわったという。

////////////////// 絶賛発売中 ///




63名無しさん@3周年:2005/11/09(水) 12:25:14 ID:ARVuMuVP
>>1
ウォルフレンは賞味期限が切れた.それでも時々日本のメディアに登場し,過剰反応を招くことの方が不思議.そう言う意味で「なぜ?」と思う.
64 ◆8m7473I1co :2005/11/13(日) 19:46:29 ID:TNwhK3fU

/// 強化の一世紀 115 ///////////////////

権力闘争のないゲマインシャフトが存在したという納得のいく証拠を誰も
つかんではいないのだが、この二分法は何世代かにわたり、西洋の
ロマンチックな夢想家や共同体コミューン建設者の心を強く捉え鼓舞した。
またこの二分法は、日本人論における“人間的な心情”に溢れる、
親密で有機的で温かい伝統的な日本の共同体と、計算高く機械的で
信頼できないと日本人が想像する西洋の世界の対比に相当する。

/////////////////////// 邦訳発売中 ///



65名無しさん@3周年:2005/11/13(日) 20:09:54 ID:3meOecBD
■ 民主党の原点は、
   ・ 族政治
   ・派閥均衡
   ・既得権益
   ・官僚的機構主義
   といった自民党型旧来政治を打破すること。
 ■ しかし民主党の拡大とともに、わが党内部にも一部こうした悪弊が芽生え始めている。
 ■ 労働組合、各種業界との関係などについて、既得権擁護的議論は根絶する。
 ■ 党内の政策グループは否定しないが、内向き党内融和を優先する 政治手法 は徹底的にこれを排除する。
 ■ こうした改革のため、党内意思決定手続きも全面的に見直すこととする。
66 ◆8m7473I1co :2005/11/15(火) 21:23:06 ID:mAeYklMi

/// 強化の一世紀 116 ///////////////////

 夢には別の部分もある。軽薄で、かけひきばかりの政治を、合理的で私欲のない
科学的な政府に取り替え、国民が先進的で近代的な専門技術のもたらす利益を
充分かつ体系的に享受できるようにすることだ。国民的目標の達成の邪魔になる
繁雑な議会手続きやそのほかの憲法上の妨げを排除することについては、
西洋の政治思想家も熟思熟考を重ねてきた。これは、物事の管理が人間による
政府に取ってかわるというサン・シモンの有名な意見に要約されている。
これはまた、マルクス主義の未来予測にも含まれている。

////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




67 ◆8m7473I1co :2005/11/18(金) 23:40:02 ID:Jtw8t95q

/// 強化の一世紀 117 //////////////

 合理的な計画づくりが自己利益追求の政治に取ってかわる社会生活は、
歴史を通して人間を悩ませてきた問題を解決してくれるのだから、心を
そそる。アイザィア・バーリンが言うように、

  目的が合意されれば、残る問題は手段だけである。そして、手段の問題は
 政治的でなく、技術的である。すなわち、医者や技師どうしの議論のように
 専門家あるいは機械によって決着がつけられる。このような理由から、
 理性の最終的な勝利やプロレタリア革命などの、世界を変身させる大きな
 現象に信をおく者は、すべての政治的、道徳的問題が技術的な問題に
 おき変え得ると信じなければならない。

////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



68 ◆8m7473I1co :2005/11/21(月) 22:35:22 ID:yFPC3YJD

/// 強化の一世紀 118 /////////////

 バーリンの論を逆用すれば、“物事の管理”のもとでの、唯一の問題は計画を
たてることの目的がなんであるかということだ。日本の<システム>にとって、
答えは明治以来はっきりしている。秩序を保ち強くなることである。そして一九四五年
以来、管理者たちは、“目的”が何であるかを討議せずに、制限なき産業の成長を
優先させることが自明の善であるかのように − 彼らはまさしくそう考えている
のだが − 強化し調整し計画してぎた。<システム>の強化は、一見して大いなる
安定をもたらした。

//////////////// 原書1989年刊 ///




69 ◆8m7473I1co :2005/11/24(木) 22:25:44 ID:SvXTxJhq

/// 強化の一世紀 119 ///////////////

この安定がほんものなのか、外観だけであるのかが緊急の問題になるのは、
管理者が対処しきれない事態が生じてそれが危機を招く時だけである。
そして一九八○年代末、国内の緊張のうちで予見できる近い将来に危機的に
なりそうなものはない。<システム>は正統性の問題を表面に出させないよう、
効果的に、確かに一九四五年以前に比べ、より効果的に対処した。<システム>の
さまざまな部分が一部門の独裁的支配を防げるかぎり、正統性の問題は
深刻化しないだろう。争いに向かう傾向が強くなれば抑制される。先に
見たように、争いは政治的に容認されない。

////////////////////// 早川書房 ///



70名無しさん@3周年:2005/11/26(土) 21:55:41 ID:ZbUjZZPA
ウォルフレンも評価する日本有数の独立した知識人、関曠野さんの市民改憲ページ
http://jidaijuku.s23.xrea.com/
71 ◆8m7473I1co :2005/11/26(土) 22:06:07 ID:AY9o2ZQ/

/// 強化の一世紀 120 ///////////

 しかし、完全に非政治化された社会体制は存在しないし、存在しえない。テンニース
のいう意味でのゲマインシャフトは幻想である。そして皮肉なことに、日本の<システム>は
すでに見たように、全面的に政治化されている。<システム>の確固とした中核を
形成する経済界と経済団体の政治的動機や機能ははっきりしている。現代日本の
複合企業は、西洋のように単に政治的影響を与えるだけではなく、政治総体の
不可欠でかけがえのない一部になっている。これは、管理者によって産業の
無制限成長が無条件に優先事項とされたことと共に、日本の国際関係における
根本的要因になっている。この要素は、国内の緊張とは異なり、危険に十分
つながりうるのである。・・・・・

////////////// 絶賛発売中 ///



72 ◆8m7473I1co :2005/11/27(日) 20:15:22 ID:i/tb8uYz

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501785/qid=1104505784/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055139&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226586
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988934
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650747/

///////////// 絶賛発売中!///

73名無しさん@3周年:2005/11/27(日) 23:12:46 ID:BCBQ4tOG
読みにくいので漢数字を直してください一九四五年→1945年
74 ◆8m7473I1co :2005/12/01(木) 00:00:23 ID:jHqsQGFo

/// 世界にあって世界に属さず 1 //////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込) より

・・・・・
16章 世界にあって世界に属さず
・・・・・
    被害者意識と孤立感
・・・・・
        被害者としてのアドミニストレーター

 一般国民が、国際社会での日本の位置を歴史や政治と切り離して捉える
傾向があるなら、管理者にも概して同じ傾向がある。このことは、たとえば、
アメリカや他の貿易相手国との衝突を、政治的解決を要する政治問題として
捉えないことからも分かる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



75 ◆8m7473I1co :2005/12/03(土) 20:31:30 ID:z8ifdWfD

/// 世界にあって世界に属さず 2 //////////

 ここに日本問題の核心がある。数十年にわたり多くの国の経済に影響を
及ぼし、そのうえ最近は、国際経済を左右する金融力を増大させた日本は、
疑いの余地なく世界に対し力を行使している。経済のメカニズムによっては
止められそうにない日本の経済的猛威は、それ自体が政治問題である。
それにもかかわらず、自分達が権力を行使していることを国内で認めようと
しない管理者は、海外で権力を行使していることを、間接的にではあるが、
一貫して認めようとしない。

///////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




76 ◆8m7473I1co :2005/12/05(月) 23:16:28 ID:29e3JWCT

/// 世界にあって世界に属さず 3 //////////

彼らは、日本の国際問題は他の国の経済的措置あるいは市場の働きによって
解決し得るし、またそうすべきだと主張するのである。彼らは、日本の強大な
輸出推進力と、それが欧米諸国の一部の産業分野を破壊したことが政治的な
反発を引き起こしていることを認めたがらない。また、ヨーロッバ諸国は政治的
解決策を探りはじめ、アメリカ議会も政治的解決策を立法化しようとしていることや、
問題がなくならないのは日本の政治の麻痺状態に理由があるということに目を
つむりたがっているのだ。

//////////////////// 原書1989年刊 ///



77 ◆8m7473I1co :2005/12/07(水) 23:58:20 ID:2wd1muIi

/// 世界にあって世界に属さず 4 //////////

 日本の国際問題を政治的な性質をもつものだと認めるとするなら、
それらの問題を正面きって問い直すことになり、権力の行使をあからさまに
せざるをえなくなる。そうなれば、非公式の関係や過程が明確化され、
当局を拘束する法や規則が必然になる。言いかえれば、トップ管理者たちを
ぞっとさせる議論の世界に彼らはひきずりこまれるのである。

////////////////// 邦訳1990年発行 ///




78 ◆8m7473I1co :2005/12/09(金) 21:24:40 ID:UDqZoo2d

/// 世界にあって世界に属さず 5 //////////

 本書のなかでは一貫して、日本の一般国民の秩序を保つための巨大な
統制機構、<システム>を預かる日本の権力者について見てきた。しかし、
国際関係から見た日本に視点を移すと、管理者も結局のところ被害者である
ことは明らかだ。彼らは前任者が作り出した環境の産物であり、慣例から
逸れた議論は歓迎されない。想像力に乏しいまま、そこに縛りつけられている
彼らこそ、ほんとうの意味で<システム>の奴隷である。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




79 ◆8m7473I1co :2005/12/11(日) 21:18:18 ID:sho5Apbu

/// 世界にあって世界に属さず 6 //////////

権力を行使していないという彼らの見せかけと、権力を制御するための普遍的に
認められたルールの必要性の否認と、そこから生じるあいまいた指導権という
問題―いうなれば彼らは、徳川幕府と明治の寡頭政権の先輩たちから受け継いだ
自己欺瞞の犠牲者なのである。管理者たちは相互扶助の上に栄える複雑な
人間関係を育てあげてきた。そして彼らの重要な職務は、法律と裁判所が社会を
規制する最強の力とならぬよう、制御し合う互いの関係やルールを非公式に
維持しておくことであった。保身を目的として彼らは、手のこんだ理屈づけをして
実際に<システム>を制御する権力の存在を否定し、すべてを日本"文化"ゆえの
自然の成り行きと説明する。

///////////// 「日本/権力構造の謎」 ///




80名無しさん@3周年:2005/12/11(日) 21:22:16 ID:Ka0EbQo0
レスター・サローのが好きだ
81名無しさん@3周年:2005/12/12(月) 03:33:54 ID:YMRuEwbb
アメリカの一流の学者サローと
高卒の反日オランダ人じゃ
比べ物にならないよ
82 ◆8m7473I1co :2005/12/12(月) 22:58:27 ID:wpETWyVN

/// 世界にあって世界に属さず 7 //////////

社会を規律のもとに完全に統制するというプロシア的考えと、社会秩序の
乱れに対する極度の恐れ(それは秩序を矯正する力となっている)は共に
初期の管理者から受け継いだのだが、両者は彼らの動きに制限を加えるもの
である。欧米諸国においては、政治家や官僚や知識人は理論的な議論や
知的な警告、本格的な政治討論をおこなって、政治体制がそれに相当程度
反応するという利点があるが、日本の管理者はその利点を享受できない。
筆者が個人的に知っている欧米諸国の政治家や官僚や知識人のうちの
一部は、<システム>は事実上だれにも制御されていないことに気づくと
恐怖を覚えるようである。

//////////////////// 原書1989年刊 ///




83 ◆8m7473I1co :2005/12/13(火) 22:35:32 ID:R86S1Odv

/// 世界にあって世界に属さず 8 //////////

    究極的な国際的相反性

 日本における権力機構の実態を認めようとしないこと、広く行き渡っている
被害者意識、ユニークであると同時に誤解されているという意識、それに
指導者の不在、このすべてが合わさって、日本の世界での孤立を永らえさせる。
日本を"法治主義"に基礎をおく国際的枠組みの一部とすることについての
越えられないほどに見える困難のために、この日本の孤立はさらに悪化する。
 国際社会、ことにアメリカの主唱のもとに確立され、GATT(関税および貿易に
関する一般協定)、IMF(国際通貨基金)、OECD(経済鶴力開発機構)などの
機関によって維持される戦後の貿易体制は、日本の<システム>を動かすものとは
本質的に異なる規準にもとづいて運営されている。

/////////////////// 邦訳1990年発行 ///



84 ◆8m7473I1co :2005/12/14(水) 23:02:57 ID:wW/8k0ER

/// 世界にあって世界に属さず 9 //////////

GATT加盟国は、通常互いの力の上下を評価して他の加盟国との関係を
構成したりしない。なにか事を進める際に、アメリカが日本をおどすことで
しかるべき位置を認識させたことはない。政府は政府どうし互いに、あるいは
自国の国民に嘘をつくことがあるとしても、非共産圏の貿易国間の国際的
取引には、日本で見られるような実際上の現実と形式上の現実との間の
制度化された食い違いに匹敵するような食い違いはない。ある程度現実が
管理されることがあっても、見かけと現実の差が大きくなりすぎると、ある時点で、
外国のジャーナリスト、専門知識のある評論家、あるいは怒った政府が
指摘することになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



85名無しさん@3周年:2005/12/15(木) 00:23:23 ID:gQG6rf6a
ウォルフレン君に その名調子で 母国おらんだ の目下の混乱を熱く

語っていただきたい。 彼の同胞とムスリム移民との激しい対立憎悪を

いつもの快刀乱麻で 解きほぐしてみせてほしい。




  出来るものならな ハゲダッチ

86 ◆8m7473I1co :2005/12/15(木) 21:47:00 ID:5e6dJz2O

/// 世界にあって世界に属さず 10 //////////

 日本の<システム>と、それ以外の国際的自由貿易体系とは相容れない。
というのは、その貿易体系は日本の管理者が認め得ない規定を守るよう
要求するからであり、日本の管理者はそれを受け入れるためにはみずから
維持してきた非公式な関係を壊さなければならないからである。日本社会と
日本市場への外国からの参入者に与えられる機会に関する普遍的ルールを
認めれば、複雑に絡み合った人脈網や非公式の取り計らいが根底から損なわれ、
<システム>はおびやかされ、ついには崩壊するだろう。<システム>と取引は
できても、<システム>自体の中に普遍的なルールを導入させようとする相談は
そのような取引の対象にはならないのである。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



87 ◆8m7473I1co :2005/12/17(土) 00:22:47 ID:Yiq7+COS

/// 世界にあって世界に属さず 11 //////////

        日本を汚染する外国の流儀

 孤立した<システム>が促進する国民大衆の態度が、その孤立をさらに強化し、
日本の人びとをなおいっそう世界から疎外させてしまう。多くの外国の観察者は、
執拗な島国根性が日本の国際問題の主要因のひとつであると考え、文化的
側面の偏愛にことよせて説明してきた。ここで見落とされがちなのは、日本人が
統治されるその枠組みの中では孤立がいつでも助長されているということだ。
自由市民的中産階級の出現を阻止して孤立を続け、中産階級を企業のヒエラルキー
内に組みこんで孤立を守り、学校教育では日本の市民を育てるより、あらかじめ
決められた<システム>の階層構造に適合する管理者とサラリーマンを作り出して、
孤立を保つのである。

////////////////////// 原書1989年刊 ///




88 ◆8m7473I1co :2005/12/17(土) 18:19:20 ID:Yiq7+COS

/// 世界にあって世界に属さず 12 //////////

 これをもっとも明確に見せてくれるのは、いわゆる"帰国子女"現象―父親が
会社の海外支店に駐在する問、大切な時期の教育を外国で受けた日本の
子供たちの場合である。工学その他の技術分野以外、外国で受けた教育は
<システム>内で働くには概してハンディになる。"帰国子女"が日本の高校、
大学に持ちこむ外国での勉学と体験にもとづく視野の広さや新鮮さが高く評価
されるどころか、彼らは厳しい差別を受け、しばしばからかいやよそ者イジメの
対象になることが多い。彼らは、きまって自分のほうがおかしいと感じさせられる。

////////////////// 邦訳1990年発行 ///



89 ◆8m7473I1co :2005/12/18(日) 19:53:04 ID:bKNXf8qc

/// 世界にあって世界に属さず 13 //////////

問題があまりに大きいので、彼らを、社会に受け入れられる日本人につくり
直すため特別な学校を設立しなければならなくなった。教師は、彼らが質問を
しすぎると言って苦言を呈する。いうまでもなく、彼らが増える一方の校則を
あからさまに嫌えば、日本の社会秩序を乱す恐れがある者という烙印が
押される。彼らは、歩き方や笑い方にも気をつけるよう注意される。そうしたければ
彼らの母国ではすぐに異端者だと烙印を押されてしまうからだ。企業は外国に
住んでいた入社希望者を喜ばない。彼らの行動が職場を混乱させることを
恐れるからだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




90名無しさん@3周年:2005/12/18(日) 20:13:37 ID:K5fGyLFW
ところで、このスレ愛読してる人っているの?
ためになる?
なるなら、だれかダイジェストして(^^♪
91 ◆8m7473I1co :2005/12/19(月) 22:49:30 ID:oqynxrNg

/// 世界にあって世界に属さず 14 //////////

 少数の日本人駐在員しか住んでいない外国の町の場合には、日本人も、
他民族や他国の人々との正常な交際を妨げるようた心理的構えは特に
これといって見せない。それが、現地の日本人社会が大きくなり、日本人学校が
設立されると、彼らの孤立性は急に目立ちはじめ、閉鎖的な日本人クラブを
作るか、既存の現地クラブの中にさらに飛び地のような日本人専用グループを
作る。やがて彼らはできるかぎり同じ町か地域に移り住むようになる。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



92名無しさん@3周年:2005/12/20(火) 08:30:06 ID:th4Q+yK2
>>91
これって日本人にかぎらず中国人も韓国人もインド人もそうだし
ヒスパニック系も白人にも当てはまるな
93 ◆8m7473I1co :2005/12/21(水) 23:49:42 ID:pbG3noB8

/// 世界にあって世界に属さず 15 //////////

その規模も、日本人の現地社会からの孤立の度合も、海外のアメリカ人
社会やヨーロッパ人社会の場合とは比べられたいほど、激しい。東南アジアや
ヨーロッパに駐在する日本のビジネスマンと筆者が個人的に話してみて
判ったのだが、彼らが外国の流儀を身につけはじめたり、日本人どうしより
外国人とつき合うほうが好ましいと思っているなどと、さとられては困ると
考えている者が多いことだ。つまり、海外にいる日本人の振る舞いは、
会社や仲間からの圧力の結果であり、漠とした文化的影響を受けた
結果ではない。

//////////////////// 原書1989年刊 ///




94名無しさん@3周年:2005/12/23(金) 12:48:00 ID:JAY73YOv
ネット政治ヲタって低レベルな自民民主二元論ばっか。
2chでもウォルフレンとか読んでる香具師って少数派じゃないの?
95 ◆8m7473I1co :2005/12/23(金) 20:30:25 ID:FOTygtGq

/// 世界にあって世界に属さず 16 //////////

        <システム>は永遠か

 最後に、もっとも重要な質問である―この状況は変わるであろうか?
理論的には、答えはイエスである。本書を通して終始論証をこころみてきたように、
<システム>の性格は、究極的には政治的関係によって定められるものである。
政治的なものはみな長い目でみれば逆転可能である。ことにその政治的な
側面がまさしく政治的なものだと把握されるなら、なおさらである。日本人が
永遠に政治的監督下におかれなければならないという理論的な必然性は
なにもない。

//////////////////// 邦訳1990年発行 ///




96 ◆8m7473I1co :2005/12/24(土) 22:17:31 ID:rQ7iAQda

/// 世界にあって世界に属さず 17 //////////

 理想的には、どうすればよいのだろう?手始めに東大を廃校にする必要が
あろう。そのほかには、法体系および政党制に基本的改革を起こさなければ
ならない。多数の大学に法学部を設け、管理者の専断から身を守る手段を個々の
日本人に可能にする弁護士を養成する必要があろう。最高裁事務総局から、
国の司法制度および法曹界入りを支配する力を取り上げ、法律家の数を
人為的に制限するのを止めさせる必要があるだろう。学校および報道機関は、
会社などの組織に属することが重要だと強調しすぎるのを止める一方、
国民一人一人の政治意識と政治に対する責任感の涵養に努めなければ
ならないだろう。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




97名無しさん@3周年:2005/12/27(火) 22:18:45 ID:F9ep9eGT
◆8m7473I1co
荒らすな、お前が定期的に荒らすから会話が出来ないだろ。
500円で買える本を必死で複写するな呆け
お前の複写をプリントアウトするんだったら本買ったほうが安上がりなんだよ
98 ◆8m7473I1co :2005/12/28(水) 21:42:42 ID:wDv7BSn8

/// 世界にあって世界に属さず 18 //////////

これらすべてが、人脈関係にかわって法的規制を確立し、<システム>の
非公式性にかわって法によって保証された手続き過程を確立する推進力に
なるのだ。本質的な改善には、選挙区に政府助成金をいくら持ってこられるかに
依存する政党ではなく、中産階級と工場労働者の利益を真に代表しようとする
意志を持った政党が出てこなければならない。これは端緒にすぎないが、この
状況さえできれば、日本はそのあるべき姿と考えられている立憲民主主義国
として徐々に機能しはじめ得ると考えられる。そして、だれに、あるいはどの
機関に、支配する権利があるかという問題も解決に向かって動きはじめるはずだ。

//////////////// 「日本/権力構造の謎」 ///



99 ◆8m7473I1co :2005/12/28(水) 23:19:50 ID:wDv7BSn8

/// 世界にあって世界に属さず 19 //////////

 日弁連や市民による教育制度審議会などのような、活動的で洞察力豊かな
団体が現に存在している事実が、筆者の提案が決して高望みではないことの
証明である。彼らを見れば、日本人は真の市民になり、みずからもそう考える
能力のあることが判る。しかし、不幸なことに、これまでの経験からすると
楽観主義をとることはむずかしいといわねばならない。<システム>を導く、
支配的で神聖不可侵の目的があるとすれば、それは<システム>自体の
存続である。つまり、現在の管理者群の存続である。この目的が、あやまって
日本の存続と同一視されている。

////////////////////// 原書1989年刊 ///




100 ◆8m7473I1co :2005/12/29(木) 20:01:27 ID:rsawoBPE

/// 世界にあって世界に属さず 20 //////////

国家的優先事項についての政治的討議を欠き、紛争を解決するための
法体系がないことは、いつでも顔をのぞかせている日本主義強化の危険性を
増大させる。やがてそれは、"救国"という極端な感情の再出現へと
つながることになりかねない。そのようなことになれば、おそらく過去と同じく、
この国はさらに深刻な災難への道をたどるであろう。敵対的な世界との
対決というせっぱつまった感情が、ふたたび日本の<システム>に異変を
起こす可能性があることを考えておくべきだ。

//////////////////// 邦訳1990年発行 ///



101 ◆8m7473I1co :2005/12/30(金) 18:55:01 ID:uihU5g5o

/// 世界にあって世界に属さず 21 //////////

このような発作が起これば、ある特定の意を決したものの集団が権力を
掌中に集め、この国の新しい進路を密かに図るとも考えられる。そうなったら
成り行きはまったく予想不可能である。
 だがもっとも可能性が高いのは、西側世界、ことにアメリカと、なんらかの
暫定的妥協を図り、<システム>がなんとかお茶を濁したがら生きつづげる
形であろう。しかしこの場合には、欧米諸国の政府側の賢明な政策が
必要となる。
 <システム>が真の近代立憲国家になり、日本の国民が市民に変わる
という素晴らしいシナリオを達成するには、正真正銘の革命にも等しい
権力の再編成が必要であろう。・・・・・

////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




102 ◆8m7473I1co :2006/01/01(日) 00:09:32 ID:97MIVCey

/// 早川書房発行 /////////////

 カレル・ヴァン ウォルフレン (著), 邦訳 早川書房発行
 Karel Van Wolferen (原著), 篠原 勝 (翻訳)、原著1989年発行
 日本 権力構造の謎〈下〉 ハヤカワ文庫NF 840円(税込)

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103 ◆71yKFXSyuU :2006/01/06(金) 23:41:51 ID:6YFF0l31

////////////////// 1991年発行 ///

What’sジャパン?―日本「再統一」の脅威
著者/訳者名 : NPQ/編著 関元/訳 吉岡晶子/訳
出版社名 : JICC出版局 (ISBN:4-7966-0092-2)
発行年月 : 1991年03月 価格 : 1,101円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796600922/qid=1136556354/sr=1-2/ref=sr_1_8_2/503-1877322-7889529

/// JICC出版局 ///////////////////


104 ◆71yKFXSyuU :2006/01/06(金) 23:47:18 ID:6YFF0l31

/// 夜明け前の暗闇 1 /////////////

JICC出版局 1991年2月第一刷 ISBN: 4796600922
『What’sジャパン?―日本「再統一」の脅威』 より

    カレル・ヴァン・ウォルフレン
    夜明け前の暗闇

 【インタビュアー】 『日本/権力構造の謎』の最初の章で、日本について
「決定的な要因」は、「どのような状況にも常に通用する真理、法則、原則
あるいは倫理があるのだとする考え方が皆無に近いことであり……倫理規範が
普遍的ではなくむしろ状況次第で変わる」点にあると言っておられます。

////////////// What’sジャパン? ///



105 ◆71yKFXSyuU :2006/01/07(土) 20:56:37 ID:YSlmmbED

/// 夜明け前の暗闇 2 /////////////

 したがって、あなたの説によると、日本には責任の中心が存在せず、時の権力が
状況しだいで変わる自己利益に従いながら、非公式な関係からなるシステムで
現実を操作できる柔軟性があるだけ、ということになる。そうした状況に応じて変わる
倫理観は、どのような形の矛盾にも寛容なことや、内側からの変化は不可能だと
いうことを見越しているためなのでしょうか。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



106 ◆71yKFXSyuU :2006/01/08(日) 22:01:48 ID:ehkpGjC/

/// 夜明け前の暗闇 3 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 もちろん、超越的価値観は一世紀以上も前から
日本にも入ってきた。キリスト教の宣教師によって徳川幕府の長い鎖国より
前の時代、明治時代、そして一九四五年にアメリカの占領が始まった時、
と持ち込まれたわけです。だが、そうした価値観はけっして根づかず、
世界観までには至らなかった。一三世紀、仏教文化の鎌倉時代にも、
借り物でない超越的なものの考え方が発達したけれど、理性による
話し合いという伝統を残しはしなかったのです。また、自然と祖先を崇拝する
日本固有の宗教である神道も、つねに曖昧で漠然としたままで、教義を
生み出すことはなかった。

////////////////// JICC出版局 ///



107 ◆71yKFXSyuU :2006/01/10(火) 22:48:42 ID:U4i9D2/v

/// 夜明け前の暗闇 4 /////////////

 ものの考え方というのは、別の考えを採り入れたり、削ったりできるし、反駁を
受けたり、大きく変わったりするものであり − 批判精神をもって社会・政治秩序とは
距離をおいているものだが − 日本にはそうしたものの考え方が発達しなかったのです。
 他の社会では、この重要な視点が、既成の現実に挑戦あるいは反対するときに、
そのことに正当性を与えている。ローマ帝国に反抗して起こったキリスト教を考えても、
ヨーロッパの資本主義的秩序に反抗してドイツ思想から出現したマルクス主義を
考えても、そう言える。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///


108 ◆71yKFXSyuU :2006/01/12(木) 22:56:34 ID:QjuzWq/E

/// 夜明け前の暗闇 5 /////////////

 超越的なものの考え方をその判断基準として受け入れない社会・政治秩序では、
社会は本来調和に向かうといった神話には勝てないものです。個人的な体験から
言うのですが、日本の社会を本気で批評すると、けしからん奴だと思われる。
罪人扱いされるのです。
 日本というのは自己崇拝の社会なのです。外部の基準や標準を基にその社会や
政治を評価したり判断したりできないとすれば、日本自体が全ての徳を体現した
存在であり、自らを評価する唯一の尺度であり、自らを判断する唯一の判断基準となる。
自分で自分を正当化する社会は、内側からは基本的に変化できない社会であり、
それは、変化に訴える正当な基盤がないからに他ならない、例えば、フランス国旗に
象徴される「自由、平等、友愛」のような、信奉や離反の対象となる物がないから
なのです。

////////////// What’sジャパン? ///



109 ◆71yKFXSyuU :2006/01/14(土) 20:02:58 ID:CjqTjPPz

/// 夜明け前の暗闇 6 /////////////

 【インタビュアー】 オクタヴィオ・パスのような批評家は、この絶対的なものの
不在と柔軟性を、問題視せずに、むしろ「和の特性」と見なしている。この「和の
特性」のおかげで、日本は本来の文化を危機に陥れたり、西欧の例に見るような
社会変化を伴う革命的急転回をもたらしたりせずに、変化できると言っていますが。

 【ヴァン・ウォルフレン】 パスの出身文化であるラテン文化には、組織化された
反乱と革命の伝統がある。実体はないが意識の中に存在し、現存体制への決定的な
影響力として利用できる超越的次元の現実に訴える能力がなければ、そうした反乱や
革命は不可能でしょう。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



110名無しさん@3周年:2006/01/14(土) 20:08:49 ID:H4f6+Jwi
>>1はウォルフレンってことでいいですか?
111 ◆71yKFXSyuU :2006/01/16(月) 23:51:33 ID:j49Y/98a

/// 夜明け前の暗闇 7 /////////////

 【インタビュアー】 日本は状況しだいで変わる倫理観と集団的相対主義の
国であり、正当性について独自の定義をし、独自のルールで動いている
というあなたの説に、全体主義的共産主義社会に対する批判を思い浮かべて
しまいます。
 伝統的にものごとを相対主義でとらえる気質があるため、日本人はその
大義名分には歴史的な必然性があるとマルキスト的に思い込むだけで、
人権とか法規制といった倫理基準を受け入れなかった。

////////////////// JICC出版局 ///



112 ◆71yKFXSyuU :2006/01/18(水) 22:06:41 ID:eGWXrXUm

/// 夜明け前の暗闇 8 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 実は、相対主義の倫理観とか絶対的価値の不在といった
考え方が初めて頭に浮かんだのは、『真昼の暗黒』の著者として最もよく知られている
アーサー・ケストラーの本を読んだ時でした。彼は、あらゆる状況に置いて、適用
される絶対的価値が存在してないことも、全体主義の決定的要因だと警告していた。
 ケストラーが取り組んだ主題は、私が追求している主題と本質的に似ている。
つまり、社会や精神の正しい秩序をいかにして見つけるかという問題で、これは、
言うまでもなく、最初にソクラテスが系統的に語ったものです。また、これは全人類の
関心事でもある。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



113 ◆71yKFXSyuU :2006/01/20(金) 21:27:03 ID:6PvN8hVD

/// 夜明け前の暗闇 9 /////////////

 もっとも、ソクラテスは日本の知的伝統の一環を担っているわけではない
のだから関係ない、と日本人に主張されると、西欧の知識人は引き下がって
しまう傾向があります。
 だが、私はそうは思わない。好ましい統治とは何かという問題はすべての
人の関心事だ。政治体制を批判するのにう何らかの普遍的な基準を持たな
ければ、好ましい統治が存在するかどうかを評価することはできません。

////////////// What’sジャパン? ///



114 ◆71yKFXSyuU :2006/01/22(日) 18:30:35 ID:e+UzljfO

/// 夜明け前の暗闇 10 /////////////

 当然のことながら、社会がよく統治されているかどうかという問題は、
「なぜ従うのか」という問題でもある。力の行使が時の権力によって危険視
されるのはなぜかということです。そして、従順の問題を提起するのは、
日本ではオフリミットの問題、つまり社会への順応と個人の自由な発達を
対比させて問題を提起することになります。
 と言っても、もちろん、日本と東欧の元・共産主義国家には大きな相違がある。
東欧諸国は外国の支配者に従順だった。日本は、支配者がいないので、
自らに従順なのです。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



115:2006/01/22(日) 21:57:18 ID:4qsAsQ2E
>>1
では、どうすればいいのでせうか?革命でせうか?
116 ◆71yKFXSyuU :2006/01/24(火) 22:54:35 ID:e0zQGMT6

/// 夜明け前の暗闇 11 /////////////

 【インタビュアー】 それはどういうことですか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 日本のパワー・エリート層は底辺が広く大きいので −
最終決断の下される場所がない、つまり責任の所在がない、そして中心に
責任ある権力をもたないという、先端のないピラミッド型であるため − 抑圧が
目立たないということです。事実上支配者は存在せず、あるのは全てを包含する
クモの巣のような<システム>だけだ。

////////////////// JICC出版局 ///




117 ◆71yKFXSyuU :2006/01/26(木) 23:57:27 ID:ZcmjjhxI

/// 夜明け前の暗闇 12 /////////////

 その<システム>の管理者も<システム>の従僕であり、したがって<システム>の
犠牲者です。徳川幕府や少数独裁の明治政府の管理者から受け継いだ自己欺瞞の
犠牲者だ − 自己欺瞞というのは、つまり、権力を行使していないふりをするとともに、
その権力を規制するための普遍的に受け入れられるルールの必要性を否定する
ことを指します。
 日本のパワー・エリートがはっきりしたリーダーシップを受け入れにくいのは、
この「ふりをする」ところに原因がある。そのリーダーシップを受け入れる代わりに、
<システム>の管理者は、相互援助によって広がる複雑な人脈を培ってきた。
彼らの主要な仕事は、その関係とルールを非公式なものに保ち、裁判所や法律が
社会の最高調整機関にならないようにすることだったのです。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



118 ◆71yKFXSyuU :2006/01/28(土) 21:13:18 ID:RC/qj+9Z

/// 夜明け前の暗闇 13 /////////////

 パワー・エリートは自己防衛から、非公式な権力が<システム>を実際に
統治しているという現実を否定し、何もかも、日本「文化」独自のやり方だという
言い方をする。完全に組織化された社会というプロイセン的幻想と、社会の
無秩序に対する強烈な不安とが、彼らの動きを制限している。秩序を維持
するのに、最終的には、普遍的な妥当性をもつ法律その他のルールに
頼れないというのは事実であり、そうなれば、そうした幻想や不安が生じるのも
当然です。

//////////////// What’sジャパン? ///



119 ◆71yKFXSyuU :2006/01/30(月) 21:50:42 ID:KynEfsyJ

/// 夜明け前の暗闇 14 /////////////

 政治体制は理にかなった議論、批判、真の政治論争にはふつうは敏感に
反応するものであり、たいていの欧米諸国の政治家や官僚や知識人は
その利点を享受しているのに、<システム>の管理者はそうではない。
実際、<システム>を支配下に置けないと認識して、多くの管理者が恐慌を
きたしています。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///


120 ◆71yKFXSyuU :2006/02/01(水) 21:13:19 ID:z+4IH8Lc

/// 夜明け前の暗闇 15 /////////////

 【インタビュアー】 そうした理由で、<システム>を変えられないということですか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 <システム>を内側からは変えられない、と言っているのです。
<システム>という具体的現実以外には訴えるべき普遍的な妥当性がないので、
知識人からの有効な批判が不可能なのです。知識人は骨抜きにされている。
 変化を求める政治運動は中産階級からは発生しない。それは彼らが会社文化に
よって骨抜きにされているからだ。そして、サラリーマンは、精神的なエネルギーが
残っていても、政治活動をするとなれば、自分のキャリアを深刻に損なうことに
なるでしょう。

/////////////////// JICC出版局 ///



121 ◆71yKFXSyuU :2006/02/03(金) 22:11:09 ID:wo7KkKfu

/// 夜明け前の暗闇 16 /////////////

 政府にしろ産業界にしろ、官僚体制がおのれの立場を有利にしようと巧みに
立ち回ることができるとはいえ、そのなかの一人の人間が、ほかの者たちを
拘束するような決定を下す指図をすることはありません。
 意味のある変化という観点に立つと、本質的には日本の政治体制は麻痺
している。日本は無限の経済発展という目的をもって、日々のペースではきわめて
順調に進んでいるが、国家の長期的な目標とか方向を決める能力はない。
第二次大戦で敗戦国になって以来、国家としてどのような目的と方向をもつべきか
について論争が行われてきていないのです。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



122 ◆71yKFXSyuU :2006/02/05(日) 20:37:01 ID:YyJM854T

/// 夜明け前の暗闇 17 /////////////

 【インタビュアー】 核となる権威、責任の中心がなければ、反抗するに
しても相手がいないということになりますね。

 【ヴァン・ウォルフレン】 これは、麻痺の原因を作っているきわめて重要な
条件です。日本の強圧政治はソフトである。社会を囲む壁の感触がないので、
それをよじ登ったり穴を開けて逃げ出す方法も思いつかない。日本はしとね
張りの小部屋みたいなものだ。壁はぶつかっても柔軟性は持っているが、
壁に閉じこめられていることに変わりはない。

////////////// What’sジャパン? ///


123 ◆71yKFXSyuU :2006/02/07(火) 22:29:00 ID:L3fPW9Dq

/// 夜明け前の暗闇 18 /////////////

 反抗する相手がなかなか見極めにくい。それに、結局は、批判精神をもっていても、
母親に、そして国家という血のつながった虚構の家族に反抗しているような気分に
追い込まれる。
 その極めつけが、法に則った反対はなじまないという儒教的な考えです。韓国や
中国やベトナムにもこの儒教の遺産は残っているが、彼らは伝統的に、政府
そのものによってだけでなく「天命」によっても正当化された強力な中央政府を
もっています。
 中国では、「天」はつねに皇帝を超越した存在と見なされている。「天」が皇帝の
上にあった。日本では、伝統的に天皇は神格化され、天皇が「天」なのです。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



124 ◆71yKFXSyuU :2006/02/09(木) 22:23:41 ID:vH/nF8Jd

/// 夜明け前の暗闇 19 /////////////

 【インタビュアー】 全体主義的共産主義社会との比較に戻りますが、行動的な
市民社会 − つまり、自律的な競争集団を積極的に仲介する役割を果たす部分
− を発達させる必要が日本にはあると、あなたは指摘されているようです。
社会学者のラルフ・ダーレンドルフは、健全な市民社会から発生する創造的混沌が、
開放された社会を唯一保障するものであり − ひいては、自由を唯一保障する
ものだと言っていますが。

//////////////////// JICC出版局 ///



125 ◆71yKFXSyuU :2006/02/11(土) 21:03:59 ID:Bndvz37o

/// 夜明け前の暗闇 20 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 それは非常に重要な見方だと思います。日本が
輸出市場として異常なほど依存している世界と両立していくためには、問題は、
日本がその市場を開放することだけではなく、日本の政治体制の本質と
国際社会に占めるその位置とを真剣に理解しようとする政治論争が、
日本国内から持ち上がってくる必要があるということです。

 【インタビュアー】 日本の政治指導者の一部はそのことを理解していない
のではないでしょうか。中曽根康弘は、首相を務めていたころ、日本は門戸を
開放し、「世界の中にある」だけではなく「世界とともにある」べきだと説いています。

//////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///



126 ◆71yKFXSyuU :2006/02/13(月) 21:14:39 ID:Jx5pTZUS

/// 夜明け前の暗闇 21 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 いや、中曽根は、政治責任の中心を首相に
置かないかぎり、日本は国際社会でその国益を推進できないと理解していた
ナショナリストです。国際主義(インターナショナリズム)と世界主義
(コスモポリタニズム)を混同してはならない。
 もっとも、中曽根は民主主義者ではない。それどころか、統制のための
社会統制に深い関心を抱いていた。彼は、本質的には軍国主義かつ
日本主義の理想を支配体制にふたたび導入したがったのです。

////////////// What’sジャパン? ///



127 ◆71yKFXSyuU :2006/02/15(水) 22:07:01 ID:2DxK/e2+

/// 夜明け前の暗闇 22 /////////////

 【インタビュアー】 なぜ統制のための統制をしようとするのですか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 私が前に指摘したのと同じ理由です。日本が何より
恐れているのは無秩序だ − それも当然だが − それは日本が、法をはじめとする
普遍的に有効なルールを社会政治体制の最終的な調整役としているのでは
ないからです。つまり、日本は非公式な手段によってしか秩序を維持できない
ということです。社会では、閥をはじめとする利害関係者の集まりによって統制を
維持している。それに、数多くの非公式だが組織的な社会的圧力 − 穏やかな、
そして時にはさほど穏やかではない脅し、顔をたてる必要など − そういったものが
異常に強い。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



128 ◆71yKFXSyuU :2006/02/17(金) 21:56:31 ID:ocjYC72q

/// 夜明け前の暗闇 23 /////////////

 経済体制は自由裁量的権力によって統制されるものです。日本は人類の
歴史で最も強固な社会統制ネットワークの一つを発達させてきた。われわれは
そのことを理解するべきです。
 最近の日米構造協議のように、たいていは外圧が加わって、公式な統制が
外されたとしても、その時にはすでに必ずや、その同じ分野で非公式な統制
システムが強化されてしまっている。そこで、一見変化したように見えるだけで、
実際には変化していないことになる。

////////////////// JICC出版局 ///

129名無しさん@3周年:2006/02/19(日) 11:24:58 ID:vlqbClRU
2月22日、竹島の日
『嫌韓流2』ついに発売!

45万部のベストセラー『嫌韓流』をまだ読んでないやつは、今のうちに買って読んでおこう
130 ◆71yKFXSyuU :2006/02/19(日) 18:43:04 ID:1WXnxIQN

/// 夜明け前の暗闇 24 /////////////

 【インタビュアー】 高く評価されている日米構造協定は守られないと思いますか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 守る守らないの問題ではありません。流通機構が
公式な統制を外しても、非公式な関係がいぜんとして統制しており、それが
通商交渉で約束された変化を骨抜きにし、結局は現状のままということになる。

 【インタビュアー】 この無秩序恐怖症は、日本の、世界に対するアプローチに
どのような影響を与えるのでしょうか。

////// カレル・ヴァン・ウォルフレン ///


131 ◆71yKFXSyuU :2006/02/21(火) 22:00:28 ID:wUvKhbsx

/// 夜明け前の暗闇 25 /////////////

 【ヴァン・ウォルフレン】 日本人は外の世界を統制するのが苦手なので、外の
世界は彼らにとって常に脅威の存在なのです。気まぐれで、予測できず、危険だ
というわけだ。日本人は外の世界に対して恐怖感をもって育つ。外の世界が
日本をやっつけるのではないかという不安を持って育つのです。
 この脅威に対抗するために、日本は今世紀の初めに、経済拡張と軍事拡張の
どちらかが日本の安全を保障する最善の道かと論争した。軍国主義の活動家たちが
むりやり主張を通し、それが中国侵略に進み、そして結局は真珠湾攻撃に結びつく
一連の出来事を引き起こしたわけです。

////////////// What’sジャパン? ///



132 ◆71yKFXSyuU :2006/02/23(木) 21:38:43 ID:1plFp+c1

/// 夜明け前の暗闇 26 /////////////

 一九四五年以降は、軍国主義者の選択は締め出され、一九三〇年代に満州への
経済進出を主張した(一九四〇年代にそれは実行されるのだが)「革新官僚」が
実権を取り戻し − アメリカの占領のおかげだが − 戦後の日本「経済の奇跡」を
推進してきた。戦後の大蔵省、通産省、日本銀行などの中心人物は − 一部の
有名な政治家とともに − この満州進出計画の体験者たちだったのです。
 皮肉なことに、アメリカの占領は、官僚主導による日本の経済拡張体制の
助産婦の役目を果たした。国家の代理をする大政府と大企業の関係について、
何よりもナチス・ドイツの例に誘発された考えを持つ経済官僚の存在を容認すること
によって、先例のない強力な「日本株式会社」を設立したのです。

/////////// 日本「再統一」の脅威 ///



133 ◆71yKFXSyuU :2006/02/25(土) 20:19:01 ID:z2MeNzAN

/// 夜明け前の暗闇 27 /////////////

 【インタビュアー】 国内の無秩序に対する不安と外の世界の力に対する
強迫観念があるとして、西欧はどう反応すべきでしょうか。

 【ヴァン・ウォルフレン】 日本の労働者の生活の質の向上と、必要とされている
社会基盤の改善を犠牲にした飽くなき経済拡張は、日本の権力を握っている者たちが
強い不安感に突き動かされているかぎり続くものと思われます。そうだとすれば、
世界のほかの国が「日本問題」についてどのような解決策を採るにしても、底辺の
広い日本のパワー・エリートから、世界が彼らに反対しているという考えを取り除くような
プログラムを含めるべきです。冗談にせよ、日本叩きといった言葉を使ったり、
日本の政治体制を真剣に調べることを「アンチ日本」と解釈することによって、
日本人のあいだのこうした考えを刺激するのは、きわめて無責任なことです。

/////////////////// JICC出版局 ///



134 ◆71yKFXSyuU :2006/02/26(日) 19:33:10 ID:AFvkbwOw

//////////////////// 1991年発行 ///

 『What’sジャパン?―日本「再統一」の脅威』
 著者/訳者名 : NPQ/編著 関元/訳 吉岡晶子/訳
 出版社名 : JICC出版局 (ISBN:4-7966-0092-2)
 発行年月 : 1991年03月 価格 : 1,101円(税込)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796600922/qid=1136556354/sr=1-2/ref=sr_1_8_2/503-1877322-7889529

/// JICC出版局 ///////////////////



135 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/05(日) 18:55:53 ID:Uuuy6YrM

/// ハヤカワ文庫NF /////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///


136 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/05(日) 20:18:20 ID:Uuuy6YrM

/// ジャパン・プロブレム 1 //////////////

カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より

・・・・・
1章 "ジャパン・プロブレム"

 日本は世界を当惑させている。今や世界の大国になった日本。それにもかかわらず、
世界の大半が期待する大国にふさわしい態度をとらないばかりか、時として、国際社会の
一員になりたいと思っていないような印象さえ与えている。同時にまた、日本の強大な
経済力の存在は、欧米諸国や一部の近隣アジア諸国に不安を抱かせている。一方に
日本、もう一方にアメリカ・ヨーロッパを対置させた構図から見ると、その関係は今、
重大な局面にさしかかっている。一九八○年代の後半になって、日本は政治・貿易
パートナーとして、その責任を果たせないのではないか、と欧米諸国が疑念を抱きはじめた。
一方、日本では、官僚や著名な評論家が、日本は広範で国際的な悪意の犠牲に
されていると口をそろえて言いはじめた。日本の発言者はとかくに自分に都合の悪い分析は
"日本たたき"として簡単に片づけてしまう。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


137 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/08(水) 21:41:11 ID:kSRO707Z

/// ジャパン・プロブレム 2 //////////////

 この二〇年近く、欧米諸国は、日本については今しばらく忍耐をもって接するように
忠告されてきた。日本側でもいろいろな調整の必要性は自覚しているし、"国際化"を
大急ぎで進めているのだから、というわけである。たしかに、おびただしい数の
スピーチや新聞、雑誌に"国際化"のスローガンが登場し、"国際化"の必要性を
強調するPRがくり返し続けられた。それは日本の努力の裏付けのように見えた。
しかし、八○年代も終わりに近づいてくると、長年の約束である変革など起こらない
のではないか、そもそも変化が期待できると思わせた説明自体、実は間違っていた
のではないかという疑念が欧米諸国の間にしだいに広がりはじめた。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



138 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/11(土) 21:08:32 ID:ohY2+F4C

/// ジャパン・プロブレム 3 //////////////

一方、欲求不満におちいった貿易相手国、とくにアメリカから、批判や要求その他の
圧力が増え、初めて報復措置が発動される事態を招いた。それにつれ、日本側の
官僚や評論家の対処の仕方が変わってきた。それまでもう少し我慢して待って
ほしいと友好的に訴えていた彼らの弁は、しだいに反駁する気配をみせはじめた。
アメリカはまず自国の問題を解決すべきであるし、ヨーロッパ諸国は怠けぐせを
退治し、みずからの"先進国病"の実態に目を向けるべきだなどと、発言内容が
攻撃的な調子に変わってきたのである。日本、欧米とも、経済戦争だけは避けたいと
強い決意を口にしてはいる。しかし、一九八七年頃になって、両者は経済戦争の
真ただ中にあると認める者が双方に現われた。

///////////////////////// 早川書房 ///


139 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/13(月) 21:37:20 ID:Yx3qoZFw

/// ジャパン・プロブレム 4 //////////////

 日本が諸外国に投げかける謎は、経済紛争に始まり、経済紛争に終わるわけではない。
しかし、経済問題がもっとも目につきやすいのは、日本と取引するほとんどの国で
経済が問題になっていると思われるからである。この経済紛争は総じて"日本問題"と
呼ばれるのだが、この"問題"は、毎年更新される日本の記録的な貿易黒字に要約
されるというのが、大方の見方である。日本の貿易黒字は、一九八四年は四四〇億ドル、
八五年に五六〇億ドル、八六年には九三〇億ドルと増え、八七年に日本円の対ドル
為替レートが二倍近く切り上げられてやっと、七六〇億ドルにやや減少した。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


140 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/15(水) 21:55:08 ID:LuREGq30

/// ジャパン・プロブレム 5 /////////////////

 だが、このような数字だけでは"日本問題"の本質は見えてこない。単に輸出超過
というだけでなく、日本は、国内市場で外国製品を冷遇しているから、ダプルパンチで、
欧米の産業を土台からおびやかす。日本の貿易のやり方を表現するのに、アメリカの
経営学者ピーター・ドラッカーは、"敵対的貿易"という造語をあてた。自国の輸出品
と同種の製品を輸入する(欧米型の)"競争的貿易"と区別するためである。たしかに
西ドイツも貿易黒字は巨額だが、アメリカと同じく競争的貿易をおこなっている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



141名無しさん@3周年:2006/03/16(木) 22:42:10 ID:O8ysrhXC
今全然動かないね。もうミンスがだめだとわかって絶望したかな?
142 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/17(金) 21:38:13 ID:Icg6bcf2

/// ジャパン・プロブレム 6 //////////////

消費者向けエレクトロニクス製品やより専門的な産業の基礎製品になる半導体などの
分野を、ほとんど日本の企業にとって代わられてしまった欧米諸国は、そのうちに
"〈奪〉産業化"の事態に陥ってしまうのではないかと懸念しはじめたのである。日本の
企業は、どの分野であれ、ひとたび技術を手に入れてしまえば、あらゆる努力を結集して
競争に勝ち、最初にそのテクノロジーを発明、あるいは開発した本家に代わって
君臨する能力を持ち合わせているように思える。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



143 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/19(日) 21:02:23 ID:iA+23EJR

/// ジャパン・プロブレム 7 //////////////

 これまでは、貿易黒字だけに焦点をしぼって注目していた欧米諸国が、一九八八年
になって、徐々に疑念を抱きはじめた点がある。まだ一般には理解されてはいないが、
日本にさらになにか驚くべきことが起こって、それがまた国民すべてが血道をあげて
追い求める重要な国民的目標になりはしないかというのである。一九八七年一〇月、
ニューヨークとロンドンで株価が大暴落したが―東京の株式市場はそれほど影響を
受けたかったかに見受けられた―その数カ月後、日本企業の株価は、株価収益率
(PER)でみると新高値、欧米諸国の基準からいえば実に驚異的な高水準に達した。
東京のあちこちで、地価がたった一年間に二倍、三倍、時には四倍にも高騰した。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


144 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/21(火) 20:28:45 ID:9xQAuvcV

/// ジャパン・プロブレム 8 //////////////

また、一九八六年頃から、突然、日本企業が海外の不動産に巨額の投資をしはじめ、
外国銀行や企業を買収しはじめた。日本企業が支払った金額は、しばしば市場価格を
上回るものだった。日本の動きを見守っていた欧米人のなかには、「日本は、西欧式の
ゲームの場に乗り込んでいって、しかも勝っている」どころか、そもそも最初から
「西欧式のゲーム」などやっていたかったのではないか、とおくればせながら気づく者が
現われはじめた。逆に欧米が日本のやり方にならって張り合っていては、現行の
世界貿易体制に急ブレーキがかかり、いずれ非共産圏の国際経済秩序は崩壊する、
と考えるようになった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



145 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/23(木) 20:59:40 ID:uPLHOiiu

/// ジャパン・プロブレム 9 ////////////////

 欧米諸国にとっては、はた目には判然としない独自の目標に向かっていちずに
つき進んでいるかに見えるこの太平洋の島国は、ひかえめに言っても、なにやら
人騒がせな存在である。日本人が金を儲けたがるのは判るが、ひたすら海外の
マーケット・シェアを広げて市場を征服しているにもかかわらず、日本人の暮らしが
目にみえて良くなったり快適になったようでもない。都会の住宅は息づまるほど狭苦しく、
法外に高い。生活費も平均所得にてらして途方もなく高い。下水道普及率は日本の
全世帯の約三分の一にすぎない。通勤電車は極度な込みようだ。道路網の不備は
話にもならない。あれやこれや悪条件をかかえた社会基盤のもとで暮らす都市圏の
平均的な日本人の生活は、日本ほど豊かでないヨーロッパ諸国の大都市圏の
住民に比べ、快適さの面で劣っている。日本の政策決定者が目のつけどころを
変える必要があるのは明らかだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



146 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/25(土) 20:26:43 ID:fUeY7orJ

/// ジャパン・プロブレム 10 //////////////

 これまでの歴史では、貿易や産業が栄えて経済的にめざましく発展した国では
芸術も栄えたものだが、今の日本の場合、そのような様子もまだ見られない。
偉大な音楽や文学、あるいは印象的な建築物でもよいが、人間生活の非物質面、
すなわち精神文化を高める香気が今日の日本から活発に立ちのぼっているとは
言えない。
 思慮深い日本人のなかには、決定的になにかが間違っていると考える人が
増えてきている。ナショナリスティックな文化人類学者である梅棹忠夫は、外国人と
つき合うのは「なかなかしんどくて厄介なこと」としながらも、日本は文化を外から
とり入れるだけで外に発しないブラック・ホールのような国だと嘆いている。また、
知識人として定評のある元通産審議官・天谷直弘は、彼の同邦人を評して
「ピーターパン症候群」にかかっており、「子供じみた夢の世界へ逃避する……
日本のビジネスマンや政治家は、こんどは世界がどのように手を差しのべてくれる
と思う?と互いにたずね合いながら、ピーターパンごっこを続けている」と断言する。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



147 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/27(月) 22:39:57 ID:DvYrEixV

/// ジャパン・プロブレム 11 //////////////

 一体なにが日本人をここまで駆り立てるのかという疑問は、このようにして
国際的な謎になった。より快適な生活をあきらめ、世界中を敵にまわしてまで
追い求める究極の目的は何なのか?
 通常、日本人には(集団のためという)強い共同体意識があって、それが動機に
なっていると説明されている。たしかに、日本は、純粋に集団志向のもとで生活が
可能だということを実証してみせているように見える。外国人の目に映るかぎり、
たいていの日本人が、日々の生活の中で共同体の利害を個人の欲望や利害より
優先させるという日本社会の要求を、おとなしく受け入れているように見える。
ところが、この顕著な集団志向は、実は、三〇〇年以上も前の為政者によって
作為的に社会に組み込まれた政治的所産なのである。そしてそれは今日でも、
本質的には政治的方便であることに変わりはなく、日本人はそれに従うかどうかを
選ぶことはほとんどあるいは、まったくできない。

/////////////////////// 840円(税込) ///

148 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/29(水) 21:53:05 ID:X5zkyfzu

/// ジャパン・プロブレム 12 //////////////

このような状況のもとで、一個人としての日本人は、自己の知的向上や精神的成長が
共同体の意思によって抑えられるのを、しかたがないこととして受け入れるしかない。
苦い薬を糖衣でくるむように、共同体の意向とおぼしきものはおおむね地位が上の者
から伝えられる。それは権力的な押しつけではなく、慈悲心から発せられたものであり、
すべてはユニークな日本文化の必然的結果という形をとる。
 だが、この説明だけでは、その政治的な統制力が一体どこから発せられているのか
という疑問の答えにはならない。日本の個人主義を組織的に抑圧する力は、過酷な
中央政権があって、そこから発しているわけではない。日本は、欧米の自由市場主義国家
とは大いに異なるが、それと同じくらい、東欧やアジアの集産主義的共産国家とも
違うのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


149 ◆fbBDnBiXNw :2006/03/31(金) 22:56:48 ID:JnOl1p97

/// ジャパン・プロブレム 13 //////////////

 日本についての当惑の多くは、欧米の知識人や関係当事者に日本への関心が
相対的に欠けていることが原因になっている。たしかに日本を訪れる西洋人は多く、
彼らがおおざっぱに世界状況を評価する際には、もちろん日本にも一言を費やす。
だがその多くは、あくまでも好奇心の域を出ず、世界の中で一つの役割を担って
機能している日本の姿が、明確にとらえられていない。とくにアメリカの場合、
対日関係が戦略的に世界でもっとも重要なことは疑う余地がないのに、そのあまりにも
一方的な無知さ加減には驚かされる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


150名無しさん@3周年:2006/04/02(日) 08:56:55 ID:sKkbBzrE
abao~nn
151 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/02(日) 18:10:08 ID:TWzlLY+G

/// ジャパン・プロブレム 14 //////////////

日本側の政策、あるいはその無政策ぶりに関して、アメリカが欲求不満を募らせ
つづけているのは、太平洋時代というかけ声にもかかわらず、アジア最大の同盟国・
日本に関するワシントンの理解が嘆かわしいほど不適切なことに原因があることを
示している。事実、日本と直接に関わりのあるアメリカの役人が書いた公式発表文や
論文記事の行間から読み取れる日本の政治過程についての彼らの見方や思い込みは、
あまりにも間違いだらけのことが多いので、筆者のように、日米関係の深刻な悪化は
非共産圏内のだれにとっても得にならないと考える者は、寒気をおぼえてしまう。

/////////////////// 原書1989年刊 ///


152 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/04(火) 21:57:58 ID:SVFzixNg

/// ジャパン・プロブレム 15 //////////////

 他国ではあまり見られない日本独特の権力行使のされ方や、この国の非独裁的な
集団第一主義や国をあげての前進志向の背景にある日本の諸制度の働きについて、
これまで一般の欧米人からはほとんど注意が払われないままだった。いわゆる
「ポスト(脱)工業化」社会とか「テクネトロニック(電子技術)」社会とか「ポスト(脱)
資本主義」社会とかへの政策転換を論じる際には、日本はヨーロッパやアメリカと
一まとめにされることが多い。しかし、日本という国が実際にどのように統治されて
いるかについては、無視されたままである。

////////////////////////// 早川書房 ///

153 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/06(木) 20:31:05 ID:eQ87JSvl

/// ジャパン・プロブレム 16 //////////////

 これは奇妙な状況である。日本は、欧米以外の国で、現代になって重要な国際的
役割を果たすようになった最初の国である。二〇世紀に入って間もなくロシアを
打ち負かし、アメリカに攻撃をしかけた唯一の国となった。その後は、世界第二の
経済力をもち、国民一人当たりの所得では世界でもっとも繁栄する経済を作り上げた。
その過程で多くの貿易相手国の産業を壊滅させたり、消滅の危機に追い込み、さらに
世界経済を左右する重要な金融力をもつ地位へと着着と進みつつある。さらにいえば、
他の二つの非西欧国、韓国と台湾というアジアの新興工業経済地域は、欧米ではなく、
日本をモデルとして工業化を進めた結果、重要な経済的存在になりえたのである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



154 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/08(土) 19:04:21 ID:i5sB4Cpl

/// ジャパン・プロブレム 17 //////////////

 日本ではどのようにして権力が行使され、ひるがえって、それが日本の国際関係を
どう規定するかについて、考察をおろそかにしてきたために、事態は危険な状況に
達しつつある。一九六〇年代以来日本は大いに賞賛されてきたが、かなり悪くも
言われてきた。そして一九八八年の時点で東京からの眺めは、反感が賞賛を凌駕した
感がある。日本と外国との接触はこれからも増えていくだろうが、このままでは、
(もしこれまでの経緯が参考にできるならば)問題はさらに増え、批判もなおいっそう
はげしくなるだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///


155 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/10(月) 22:33:11 ID:4TjPCYtQ

/// ジャパン・プロブレム 18 //////////////

 そうなると欧米側はなんらかの対抗措置を講じるだろうが、それを日本人は敵意と
受け止めよう。そのような対抗措置は、日本の外国ぎらいという不合理な感情を
ふたたび呼び起こし、世界は日本のために席をあけたくないのが本音ではないか
という、昔ながらの疑念を強化することにもたりかねない。その結果、ナショナリズムが
強化され―実際、すでにその兆候が現われつつあるが―日本の政治は不安定となり、
予測不能の、そしておそらくだれにとっても望ましくない事態に発展しかねない。
このような現状のもとでは、日本の権力の本質や行使のされ方をもっとよく理解して
おくことは、決して単なる知的賛沢ではない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



156 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/12(水) 21:47:01 ID:mwBKLr9U

/// ジャパン・プロブレム 19 //////////////

    混乱を引き起こすいくつかのフィクション

 国際的信頼関係を腐食させる一番の要因は、つまるところ、日本とその同盟国や
友好国とされている国との間の、いろいろなレベルで起こる意志伝達上の混乱だろう。
なにしろお互いの意見が違っていることを認めあうのすら不可能なのだ。一九七〇年代
初頭から表出しはじめた日本と欧米諸国および一部の近隣諸国との間に介在する
コミュニケーション・ギャップは、時とともにさらに広がる一方である。広く好意的に
信じ込まれていて、外国人の日本理解の視野を曇らせ、コミュニケーションを複雑化する
虚構がいくつかある。その中でも次に述べる二つが、日本理解をむずかしくする主な
要因になっている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



157 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/14(金) 21:40:19 ID:oPfoA0xD

/// ジャパン・プロブレム 20 //////////////

        責任ある中央政府というフィクション

 第一の虚構は、日本が、他国と同様の主権国家、つまり国策としてなにが最善かの
判断ができ、しかも決めた国策の責任を究極的に負える国政の中枢を持つ国家だと
されていることである。このフィクションは払いのけるのがきわめて難しい幻想である。
外交は責任ある決定のできる政府の存在を前提とする。したがって、日本政府も
他国の政府と同じように、必要に応じて政策を変えることによって外部世界に対処
できるという前提なしでは、外国政府は日本との外交交渉などとてもやっていけない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


158 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/16(日) 20:33:21 ID:utT5ZH2x

/// ジャパン・プロブレム 21 //////////////

 だが、相対的にいうと日本では政府は諸外国の政府ほど大きな責任を負う
ものではない―これがお互いのフラストレーションの根本的原因である―ということを
認識しないかぎり、これから先、日本との関係はさらに悪化してしまう。日本の政治の
ありようはヨーロッパとも南北アメリカとも、大部分の現代アジア諸国ともかなり違う
のである。日本では、何世紀にもわたり、権力を分け合う半自治的ないくつかの
グループの力のバランスをはかることによって、国政がおこなわれてきた。

///////////////////////// 早川書房 ///


159 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/18(火) 22:18:11 ID:+CREJa7P

/// ジャパン・プロブレム 22 //////////////

今日もっとも力のあるグループは、一部の省庁の高官、政治派閥、それに官僚と
結びついた財界人の一群である。それに準ずるグループもたくさんあり、たとえば、
農協、警察、マスコミ、暴力団などである。これらすべてのグループは筆者が本書で
<システム>と呼ぶことになる権力構造の構成要素である。ここで<システム>という
用語を導入したのは「国家」という概念と区別するためである。個々のグループは
どれも、究極的な責任は負わない。これら半自律的な<システム>の各構成要素には、
国家の権威をおびやかしうる自由裁量権が与えられているが、それらすべてを
統率して牛耳るいかなる中央機関も存在しない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


160 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/19(水) 22:10:43 ID:9A76cfHx

/// ジャパン・プロブレム 23 ////////////////

 ここではっきりさせておかなければならないのは、こういった日本の状況は、
各種の利益団体からの政府攻撃や内部抗争のために政府が意思決定できない
というような、ほかの国の場合とはまったく異なるということである。つまり、ロビー
(院外団)の活動が政治を左右するという状況ではなく、これまでの政治理論の
どの類型にも当てはまらないひとつの構造的現象なのである。もちろん、この
<システム>にも、ヒエラルキー(階層構造)あるいは、互いに重なり合ういくつかの
ヒエラルキーの複合体がある。だが、頂点がない。いわば、先端のないピラミッド
だといえる。究極的な政策決定権をもつ最高機関が存在しないのである。したがって、
アメリカの元大統領ハリー・トルーマンがよくいった「最終的な決断はここでする」
ような責任の所在がないのである。日本では、最終責任をめぐって、どうどうめぐりが
続けられるだけなのである。

/////////////////////// 840円(税込) ///


161 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/22(土) 19:00:03 ID:Tm7x361r

/// ジャパン・プロブレム 24 //////////////

 日本は、世界の中の一国でありながら、国際社会の一員としての責任を果たさない
という印象を与えているとすれば、それは首相や他の権力者が政治の場で、ものごとの
決着をはかることができないためである。つまり、<システム>のいずれかの構成員
による重要な調整を要する通商事項やそのほかの案件などについては、首相も他の
権力者も、政治的公約を政策として実行する能力を欠いているからである。すでに
バランスがとれている国内勢力の土壌には、外国からの要望や要求を聞き入れる
余地がない。業を煮やした外国人たちが強硬手段に訴えてはじめて、しぶしぶなんらかの
検討がなされるが、時すでに遅しということが多い。日本は経済活動をさらに展開していく
ために、輸出市場として世界を必要とする。だが、公的な立場にある多くの日本人は、
伝統的な孤立のほうを好んでいるようにみえる。ややこしい国際政治に巻き込まず、
日本はそっとしておいてほしいというわけである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

162 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/24(月) 20:49:28 ID:8WFqZjqk

/// ジャパン・プロブレム 25 //////////////

        "自由市場"経済国日本というフィクション

 第二の虚構は、第二次世界大戦後まもなく欧米諸国が日本に対する態度を
決めるもとになったもので、日本経済が、いわゆる"資本主義的・自由市場"
経済の類型に属するというフィクションである。
 これまでいろいろと書かれてきたにもかかわらず、今なお、日本の経済形態を
きちんと定義するとなると、外国人も日本人も一様に頭をかかえてしまう。
日本の官僚はたいてい、自分たちが好んで標榜する日本経済の呼称と実態が
少し違うのではないかなどと言われると憤慨する。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



163 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/26(水) 21:53:55 ID:9sBm6zyp

/// ジャパン・プロブレム 26 //////////////

だが一方、日本のエコノミストたちが筆者に個人的に教えてくれたところでは、
日本について書いた欧米人に共通に見られる間違いは、市場の機能を過大視
しすぎるということだ。日本は実際には"自由市場"国クラブには属していないなどと、
欧米の経済学者、とくに伝統を重んじる新古典学派の学者に言おうものなら、
彼らは度胆を抜かれてしまうだろう。市場諸要因の自由な活動によって市場機能が
働くという、自由市場の原理にもとづかないで成功を収めている経済があるなどと
いうのは、彼らの多くにとっては邪説にも等しい。欧米の経済学者のほうでも、
普遍的とされている一連の経済理論に対して日本が事実で挑戦していることを
見て見ぬふりをしている一方で、日本の官僚はそういう状態にさせておくことが
好都合だとみている。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


164 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/28(金) 22:05:07 ID:sxnAXY/A

/// ジャパン・プロブレム 27 //////////////

 明らかに、日本経済はソビエト型の中央統制経済ではない。だとすると、
それは日本の多くの評論家たちが言うように、他に類のない独自の類型
なのだろうか?韓国や台湾など、日本をモデルとし、異常なまでに強力な
日本と同種の推進力によって工業化した地域があるのを見ると、そうでも
ないようだ。これらの経験からしても、日本の"経済的奇跡"をあらためて
見直す必要がある。文化的・心理的な特質を取り去ってもなお、発展途上の
国々にとっては経済モデルになりえよう。

///////////////////////// 早川書房 ///

165 ◆fbBDnBiXNw :2006/04/30(日) 19:41:53 ID:XYZinKYT

/// ジャパン・プロブレム 28 //////////////

 日本、韓国、台湾の例を見ると、欧米型と共産主義型のほかに、
第三の政治経済類型が存在しうることになる。アメリカの政治学者
チャーマーズ・ジョンソンは、この類型の工業国をとくに「資本主義的
発展志向型国家(CDS)」と呼ぶことにした。これらCDSの力の秘密は、
官僚と産業界との協力体制にある。従来の政治・経済理論が
見過ごしてきたひとつの変形である。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



166 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/04(木) 22:00:21 ID:VKC74sqd

/// ジャパン・プロブレム 29 //////////////

 ノーベル賞受賞の経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエクは、政府による経済への
介入に反対し、理論的な反論を雄弁に展開したが、中央の政策決定者は正しい
決定ができるほど社会・経済活動を細部まで十分に知り得ることは決してない、
というのが彼の論旨であった。この理論によれば、中央による計画経済は必ず
失敗することが運命づけられているはずである。もしこの説が正しいとすると、
日本や韓国、台湾など、製造業と商業に大いに関与するのを任務と考える政府を
持っている国が、国富と経済力を増大しえたのはどうしてだろう?

/////////////////////// 840円(税込) ///

167 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/04(木) 22:23:23 ID:VKC74sqd

/// ジャパン・プロブレム 30 //////////////

 ハイエク説の指摘する障害を回避し、成功裡に事を運べた日本、韓国、台湾が
採った道は、これらの国の政治経済を理解するための鍵である。まず、これらの国の
政府は、私企業を政府のめざす目標の敵対者とは決して思ってこなかったことが
あげられる。私企業を原罪にも等しいと考える共産主義国の手法とは異なり、また
諸規制が企業家を制約するヨーロッパの福祉国家の社会主義的アプローチとも異なり、
CDS諸国では、私企業が大いに奨励され、政府の民間部門への取り組み方も異なる。
官僚は決して、非公営企業に対して完全な支配権を入手しようと試みない。官僚は、
実業家をアンテナとして利用しながら、国の経済を誘導していく。資本家が業務の
拡大を求めて試みる新規事業の実績を常時モニター(監視)していれば、官僚は
中央から遠く離れたところでなにが起こっているかをいながらにして把握できるのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



168 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/06(土) 20:47:39 ID:kTH1IQmS

/// ジャパン・プロブレム 31 //////////////

 官僚はいろいろな誤りを犯すが、しかし産業発展のために彼らが果たす官民の
統合による利益はその誤りを償って余りあるものである。将来性のある産業分野は、
国の財政金融政策によって投資が刺激されるから、経済は繁栄する。戦略的に重要だと
考えられる産業は大切に保護育成され、てごわい外国の競争から守られる。問題を
かかえた産業は一時的に保護されて、企業に体質改善や合理化・多角化などの機会が
与えられる一方、先が見えたと判断された産業はあっさり切り捨てられ、強制的に
再編成を促す政策がとられる。いいかえれば、これは産業政策と通商戦略とがしっかり
結びついた共同態勢なのである。自由競争市場原理はそれ自体が望ましい目標として
ではなく、産業拡大という大目的達成のためのいくつかの手段のひとつとみなされる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



169 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/08(月) 22:04:14 ID:FHP0NPjs

/// ジャパン・プロブレム 32 //////////////

 日本は、一〇〇年ほど前、(国営企業主義の下で、多くの国営会社が崩壊寸前に
いたった後)官営事業の払下げ政策により国策会社から私的経営の手へと移行が
おこなわれた明治時代に、他国に先がけてCDSモデルをみずから創出した。日本は
さらに、一九三〇年代はじめから一九四五年にかけて、満州の産業開発を強行する
なかでこのモデルを実験した。戦後もう一度形を整えなおしたこの経済モデルは、
非共産主義のアジアの発展途上国の政治家やインテリの経済的指針として、
マルクス・レーニン主義理論の魅力をすっかり色あせたものにしてしまったが、
その本質は保護主義である。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



170 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/10(水) 21:05:30 ID:0UF629VF

/// ジャパン・プロブレム 33 //////////////

日本は、過去に証明ずみのこの成果を享受しつづけようとすれば、保護主義を
続けなければならないのである。この時、残る問題は、産業が国内市場で
飽和状態に達し、しかも海外市場でも冷遇されるようになってからもなお、この
官僚と実業家のパートナーシップがこれまで通りの利益をもたらしつづけるか
どうかである。もう一つ残る問題は、日本問題が持ち上がったために特に
緊急性をおびてきたものなのだが、通商戦略を持たない国ぐにが、これら
凄まじい破壊力をもつ資本主義的発展志向型国家との熾烈な競争で身動きが
とれなくなっても、国際自由貿易制がシステムとして生き残れるかどうかと
いうことである。

///////////////////////// 早川書房 ///



171 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/12(金) 22:42:38 ID:fWpKJBDt

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///

172 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/14(日) 20:59:34 ID:+I8IN4zg

/// ジャパン・プロブレム 34 //////////////

        自由に変えられる現実

 日本という国が、まだ定義すらはっきり確立していない新種の経済および
社会政治的類型を代表するかどうかは、多くの論争を呼んでいる。一九四五年
以降、日本は一貫して欧米諸国の同盟国と考えられ、資本主義自由市場国
クラブの正会員として扱われてきた。近年、貿易摩擦によって疑問が生じて
いるにもかかわらず、この点には変わりがない。日本からの説明は、この
論争に決着をつけるのに役立たない。自国の政治経済の本質について
本格的な理論化を試みる学者や評論家が、ほとんどいないからである。
高官は、誤解を解くことにもっとも興味がない人種である。理由はいうまでも
ないだろう。さらに、ジャーナリストや学者たちが、自国の社会を論じるのに
西欧製の社会や政治・経済の概念を日本用に誤って転用するので、物事を
あまり疑ってかからない観察者は十中八、九、日本で物事が実際にどう
運ばれるのかについて誤った理解をすることになる。

/////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



173 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/17(水) 21:52:39 ID:4vZngTU5

/// ジャパン・プロブレム 35 //////////////

 これらの虚構をそのままにしながら一方で自説を主張することは、日本の評論家や
公式スポークスマンにとって、少しも難しいことではない。というのは、日本の社会
でいう"現実"とは、客観的に観察した結果としての実際の事実というより、心情的な
イメージに合わせて構築された、そうあるべき"リアリティ"だからである。そして
いうまでもなく、望ましいと想定されるイメージは、その時その人の属するグループの
利益と一致することが多い。過去四世紀にわたり、日本人は社会的、政治的な
忠誠こそ至上の美徳だと教えられてきた。その結果、アメリカの文化人類学者
クリスティ・キーファーが言うように、真実が社会的に構成されるようになったのである。
これが外国人を最初に待ち受けている認識上の問題である。

/////////////////////// 840円(税込) ///


174 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/19(金) 21:58:42 ID:IaB3yx8k

/// ジャパン・プロブレム 36 //////////////

 西洋では、現実はそうやすやすと管理されたり、意のままに作り変えられたり、
相談で決められたりするものとは、考えられていない。つまり、こうあるべきだという
任意の考えによって左右されるものとは考えられていない。事実、西洋の哲学または
西洋の常識の基礎は、人間にはつきものの自己欺瞞をおさえるには、妄想や幻想を
入り込ませないようつねづねよく注意することだと教えている。ギリシャ文明以来、
西洋の知の発達の歴史を貫いてつねに強調されてきた戒めが一つあるとすれば、
それは、「矛盾を育むなかれ」ということである。この戒めは、論理、数学、科学の
根本法則である。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



175 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/21(日) 18:34:49 ID:9z1wVO0J

/// ジャパン・プロブレム 37 //////////////

 多種多様なアジアの思想の伝統を受け継いできた人々は、多様で
相矛盾する真実があってもそれほど違和感を感じないかもしれない。
だが、はっきりしていることは、他のアジアを詳しく見ても、日本ほど
"リアリティの管理"がおこなわれている国はほかにないということである。
このことは政治的に重要な意味をもつ。支配的な地位にある日本人は、
他の日本人や外国人に"事実"や真意を説明するのに、観点をある
現実から別の現実へと実に機敏に変える。相手が理を尽くして主張
してくると、観点を枠組ごとがらりと変えて論じることで逆襲できるわけ
である。そして、そこで議論は行き詰まって終わりになる。日本では、
こうして巧みに論を操るのが、地位が上の者や強者の特権であり、
意見を通す常套手段になっている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



176 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/24(水) 22:42:09 ID:ZqRMVsgM

/// ジャパン・プロブレム 38 //////////////

 ところが国際的なやりとりにおいては、この戦術は、論理的に話を進めようとする
西洋人を時として憤慨させる。そして、日本人と議論をするのは不可能、という結論
にもなってしまう。だから、外国人が日本人と話し合う場合には、彼らがひじょうに
巧みにありもしないことを引き合いに出して言いくるめる論法を使うということを、
充分に承知しておかなければならない。だが時には、たとえばヨーロッパ製のスキーの
日本への輸出をはばむことになる新たな規制を説明するのに、日本の雪は西欧の
雪とは雪質が違うと主張したケースのように、その論法があまりにも荒唐無稽で、
外交交渉には役立たないこともある。もっとも、西欧側の貿易パートナーのほうが
詭弁をくり返し、国際交渉で窮地に追い込まれた日本の役人が、四苦八苦はしたものの
なんとか切り抜けたという例も山ほどある。いや実際、そんな実例を記した本や
報告書を集めれば、ちょっとした図書館ができるほどだ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



177 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/26(金) 22:44:55 ID:0gkpjYsK

/// ジャパン・プロブレム 39 //////////////

 日本では、現実に対するとらえ方が柔軟すぎて、それは他の社会で
許される、辻棲の合わない弁解や身勝手な方便の許容限度をはるかに
越えている。たとえば、欧米諸国のビジネスマンや政府代表が契約や
法律、国際協定などに訴えると、日本側から、日本の社会は冷厳な法より
むしろそのつど、その場に応じた温かい人間的な感情によって導かれて
いると説明される。それではと次の機会に、日本の官僚に、法律を
持ち出さずに伝統的な方法で貿易問題について話をつけてもらえないか
と訴えると、そんなことはできない、日本は法治国家であり、民主主義の
国だということを理解してもらわないと、と言われるのがオチである。
こうして、一方では日本の社会は血の通わないルールに拘泥せず
人間的で柔軟性があると言い、また一方では、あくまでも法律通りに
しなくてはいけないと言う、相反する論が大いなる確信をもって堂々と
述べられる。それでも、日本人が、公平な立場でこの矛盾を指摘する
ことは、めったにない。

///////////////////////// 早川書房 ///




178 ◆fbBDnBiXNw :2006/05/31(水) 21:10:33 ID:qy3QD5Em

/// ジャパン・プロブレム 40 //////////////

        公的行動を決定する要因

 矛盾を容認するこの態度は、結局、日本の社会政治的な現状を決める
もっとも決定的な要因、つまり、何世紀にもわたる政治的な抑圧によって
日本人の知的生活の中に組み込まれてしまった特徴と切っても切れない
関係にある。どのような状況にも普遍的に通用する真理や法則、基本概念や
倫理がありうるという考え方が、日本にはほとんど存在しない。これには、
日本に長く滞在した西洋人もアジア人もないていびっくりする。また日本の
思想家のなかにも、つまるところ、このことが日本人の公的行動を決定する
要因になっていると見る者がいる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



179 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/04(日) 19:59:56 ID:07lL3B6Z

/// ジャパン・プロブレム 41 //////////////

 社会的な身分職業や権力者たちの要求といった俗世界リアリティを超えたところに、
独立の普遍的心理、不変の宗扱的信条があるという概念は、もちろん日本にも入って
きたのだが、現在の世界観の中には根づかなかった。政治的な取り決めや社会的な
慣習は、もともと自然や祖先崇拝を基調にして矛盾やあいまいさを許容する宗教である
神道が司ってきた。この日本固有の宗教―ただしこれを、一九世紀後半から一九四五年
まで大日本帝国の思想的な支柱として利用された「国家神道」と混同してはならない―
には、哲学的あるいは道徳的な教理の展開がまったくない。その後に哲学的・道徳的な
教義が中国から移入された時も、これらの教義が日本古来の社会・政治的な定めや
前提に取ってかわることはなかった。それどころかむしろ、これら中国の思想によって、
時の権力者を支える既存の現世的な信仰体制がさらに強化されたのである。

/////////////////////// 840円(税込) ///



180 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/10(土) 20:08:47 ID:T/jEVpTp

/// ジャパン・プロブレム 42 //////////////

 儒教および仏教の本来の教えに含まれていた、社会・政治上の方便と
しての現実を超越した思想・概念は、日本の支配エリートにとってつねに
歓迎されざる思想でありつづけた。キリスト教そして後にマルクス主義
によっても、日本人の思想の世界にこの超越概念が導入されかけたが、
結局どちらも、禁止されるか教義の本質に妥協的な折衷が強いられた
のである。日本はつねに新しい宗教をきわめて寛大に迎え入れてきた
というのが定説になっているが、そう言えるのは、その新しい宗教や
教理体系が既存の政治体制を脅かすことがたいとみなされた場合だけ
である。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


181 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/13(火) 21:07:40 ID:jA+lCZyA

/// ジャパン・プロブレム 43 //////////////

 超越的な真理を認めない政治的文化の本質を西欧人が理解
するには、なみはずれた知的努力がいる。この努力は、本格的な
日本研究においてさえ、ほとんどなされていないのが実情である。
西欧の知的・倫理的な伝統は、普遍的に通用する何らかの信念が
あるという前提に深く根ざしているので、このような前提を欠く文化が
ありうるとは、とても考えおよばない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



182 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/13(火) 22:52:33 ID:jA+lCZyA

/// ジャパン・プロブレム 44 //////////////

西欧では子どもを教育するのに、人間の欲望や気まぐれな考えとは
関係のないところに宇宙を支配する究極的な論理があるという前提を、
それとなく教えこむのが、暗黙のうちに了解されている一般的な慣行
である。この大前提は、大人になってもたえず確認されつづけるので、
欧米人は当然、先進文明社会のすべてにこの普遍的な真理という
概念が発達しているものと思い込む。だから、それが存在しない場合
にはどうなるかなどとは、あらためて考えてみようという気にすら
ならないのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///




183 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/16(金) 22:19:54 ID:6yYYjeop

/// ジャパン・プロブレム 45 //////////////

 たしかに日本人には普遍的な倫理規範はないが、その代わり、個別に
それぞれに応じた倫理規範があるとか、日本人には普遍的な価値観がなく
個別の価値観を持っているとかいうことは、日本についての文献によく
書かれている。だが、多くの場合、もっと表層的な事象を取り扱う今日の
社会科学上の特徴と混同されていて、日本人の行動を解明する手掛かり
として、一貫して活用されてはいない。ほとんどの著者が、日本人はおかれた
状況に合わせてたえず自分の考えや信念の調整をおこなうと一応は書くが、
このことの重要性についてはまったく気づかないかのように、さっさと次の
トピックに移ってしまう。

///////////////////////// 早川書房 ///



184 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/20(火) 21:56:20 ID:elYQ7h5Z

/// ジャパン・プロブレム 46 //////////////

        名ばかりの"相互理解"

 "信念"が社会・政治的状況によって変わり、"リアリティ"も操作できる
ものであるとすれば、多種多様な虚構を維持するのはかなり容易になる。
このような虚構によってもたらされる国際的な言語表現上の混乱は、
日本の評論家や官僚が"理解"という言葉を口にする時の特別な意味づけ
によって、さらに複雑になる。"相互理解"をさらに深めることが急務である、
という表現が熱意をもって強調されることが多い。

///////////////////////// 早川書房 ///




185名無しさん@3周年:2006/06/20(火) 22:09:40 ID:lMiOf6M5
今の小泉独裁状態に、ヴォルフレンの責任はないだろうか?
彼は官僚をけなし、改革の必要性を訴え、それが国民に浸透した。
それは認める。
だが、なぜかその改革を求めるものすごいエネルギーが小泉に
集中してしまった。

ヴォルフレンよ、あなたに今の状況の責任はないと思っていますか?
186 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/22(木) 21:50:57 ID:qCdWfQLF

/// ジャパン・プロブレム 47 //////////////

ところが、たとえば日本語で「わかってください」というのは、「私の
言っていることが客観的に正しいかどうかはともかく、当方の言うことを
受け入れてください」という意味の「ご理解ください」なのである。つまり
そこには、どうしても容認してほしい、あるいは我慢してほしいという
意味が込められている。したがって、このように使われる場合の
日本語の"理解"は、同意するという意味になる。だから"理解"の
真の意味は、その人や物事を変えるだけの力が自分にないかぎり、
そのままで受け入れるということである。もし自分に力があれば、
相手のほうがこちらの出した希望をある程度のんで、"理解"を示すこと
になる。

//////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



187 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/25(日) 17:56:03 ID:OvqfV9GP

/// ジャパン・プロブレム 48 //////////////

というわけで、"相互理解"というのは実際には、外国人は日本のスポークスマンが
述べる日本に関する説明をそのままの形で受け入れなければならないという
意味になる。したがって、日本側のいろいろな説明にもかかわらず、日本の
貿易のやり方に抗議しつづける外国人は、不断の理解の潅さを示していると
見られる。もはや「外国人の……無知と……よくある美しき誤解をいいことに、
われわれが安逸をむさぼりつづけられる」時代ではない、とある英字新聞の
編集者が警告したことからもわかるように、日本人自身は、この"理解"という
ことばが政治的に使われる場合の意味をよく知っているのだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



188 ◆fbBDnBiXNw :2006/06/28(水) 22:47:48 ID:OPrv7klL

/// ジャパン・プロブレム 49 //////////////

        バッファーと宣伝マン

 "日本問題"のうちで、コミュニケーション・ギャップという側面をさらに複雑
にしているものに、二つの重要な事象がある。一つは、日本は"バッファー
(緩衝役)"を使うということ。もう一つは、大規模な日本の宣伝活動である。
 ここでいう"バッファー"とは、外国人との接触をできるだけ円滑にするため、
その役を任された人物のことである。その人物はまさしく日本独特の存在で、
官庁においても会社においてもすぐにそれとわかる。日本に駐在する外交官や
ビジネスマンが日本側と交渉する場合、英語が話せて国際的であるとされている
彼ら緩衝役の仲介を通して話が進められる。予想もつかない外の世界が
自国の政府や会社に与えかねないショックを、彼ら緩衝役が和らげてくれる
ことになっている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



189 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/01(土) 20:29:38 ID:JUKTF2wm

/// ジャパン・プロブレム 50 //////////////

 バッファーたちは、多くの場合、びっくりするほど率直で、外国人がかかえる
いろいろな困難をよく理解してくれるので、希望をかなえてくれるかどうかは
ともかく、少なくとも彼らが代表している官庁や会社は外国人の問題を検討
するだけの思慮分別があるという印象を与える。
 日本にはスーパー級のバッファーが何人かいて、たえず世界中を飛び回り、
紛争解決役をつとめ、あるいは国際会議で日本の事情を説明している。大来
佐武郎や故牛場信彦などスーパー級バッファーの何人かは対外経済担当大臣に
任命されたが、かえってそのために問題が複雑になった。というのは、肩書は
大臣なのに、なにごとにおいても彼らには決定権がなかったので、本格的な
交渉ができなかったのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



190 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/04(火) 22:07:24 ID:gJla+Ziw

/// ジャパン・プロブレム 51 //////////////

 外国の通商代表と話し合う時には、より大物の大臣や経済団体の
リーダー、時には首相自身が、バッファーの役目を務めることがある。
交渉に来た外国の代表は、今回はしかるべき実権を持つ人物と
本格的に話し合えたので、すぐにも有効な処置を講じてくれそうだとの
印象をもって帰国するが、それがとんでもない思い違いだったと後で
気づかされることになる。日本には、それだけの広大な実権をもった
人間は存在しない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///




191 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/07(金) 22:59:12 ID:HdSmUggt

/// ジャパン・プロブレム 52 //////////////

 こうした緩衝役と重なりあうように存在しているのは、実業界、政界、
官界で地位に比例した階層構造を構成する情報提供役のグループで、
彼らは訪日する外国の高官やジャーナリストとたえず会って質問に答える。
日本の外部世界は、普通考えられているよりはるかに少数の人の
説明を通して、日本のことを知らされているのだ。外国から来て、これら
情報提供者という役割を担った"たしかな情報筋"に出会った者は、
往々にして、きわめておもしろい個人的な意見を聞かせてもらった
という印象をもつ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



192名無しさん@3周年:2006/07/09(日) 08:59:44 ID:BoyV0lPV
>>185
お前阿呆だろ。ウォルフレンは別に官僚けなしてるわけでは無いし、
彼を知ってる人は極少数。
小泉信者なんてテレビの情報が世の中の全てだと思っている
何にも知らない情緒的なDQN層だろ。
それを言うならマスコミに迎合してまともな批判すら出来なかった民主党に言うべきだろ。
社民共産みたいなオナニー政党は言うに及ばず。
193 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/10(月) 21:36:05 ID:pBQsnQuP

/// ジャパン・プロブレム 53 //////////////

だが、たいていの人が気づかないのは、その時点での緊急事項であれ、
日本の特徴とか役割とかに関するもっと一般的なテーマであれ、彼ら
情報提供役の口から出るのは、その時々に流布している新味もなければ
大した意味もない決まり文句で、彼らがいつも追従している"公式リアリティ"
の受け売りにすぎないということである。

///////////////////////// 早川書房 ///




194 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/13(木) 21:57:16 ID:VmHK2KIV

/// ジャパン・プロブレム 54 //////////////

 日本のスポークスマンは全員、まったく同じメッセージを録音した
エンドレス・テープを、プロンプターがわりに使っているらしい。
人によって多少の違いはあっても、メッセージの本質は同じである。
新聞あるいは官庁、経済団体や助成金で運営されている"民間"機関が
配布するおびただしい数の説明文書に目を通し、時流におくれない
ようにさえしていれば、どんなことを言うか、細かい点にまでおよそ
予想がつく。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



195 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/17(月) 22:02:15 ID:hKopLr33

/// ジャパン・プロブレム 55 //////////////

 このような見えすいた主張に個人的な意見が反映されていると
信じるようでは、もっと高い位置にある日本のスポークスマンの
知的能力を十分に評価していないことになる。彼らの本音の個人的な
意見は非常におもしろいことが多く、表向きの公式見解と大幅に
くい違うこともありえる。ところが、このような意見を聴くためには、
長期にわたる個人的なつき合いと、大量の酒とが必要になる。
あるいはめったにないことだが、公式の決まり文句を信じる相手
ではないと彼らのほうで気づけば、本音がきける。

///////////////////////// 早川書房 ///




196 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/20(木) 22:51:13 ID:dGHGQaQI

/// ジャパン・プロブレム 56 //////////////

 慣行として定着している情報提供役の、聞かなくても予想がつくような
意見にも、政府の政策や官僚あるいは実業界の姿勢などへの批判が
いくらか含まれていることがある。だが実質的にはいつも、<システム>の
主要グループの基本的な主張の後押しをしているだけである。いわく、
日本は自由市場制経済の複数政党制による民主主義の国である。
いわく、市場開放は順調に進んでいる、個人主義をもっと発達させるべきだ、
ほとんどの日本人がもっと国際人になる必要を感じはじめている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



197名無しさん@3周年:2006/07/23(日) 07:01:17 ID:YMcD+QRi
ttp://diary.jp.aol.com/applet/smnsmnfhu4xy/archive?b=80
オランダとホロコースト  

オランダ在住のユダヤ人の犠牲者は10万人にも上る。実に4人に3人のユダヤ人が
ホロコーストの犠牲になっているが、これは欧州最大級の規模で、例外は唯一
ポーランドのみであるという。一方例えばデンマークなどでは、わずか1.5%の
ユダヤ人しか犠牲を出していなかったが、これは政治家をはじめ、教会の牧師、
一般市民、漁民などの組織的な協力によりスウェーデン(中立国)への亡命を
実現させたためである。
それに対してオランダではこのような一貫性のある組織的な抵抗は殆ど見られなかった
(アンネも最後は結局裏切られた)。当時はオランダ王室が英国に亡命していた
ことは既に前の日記で述べた。従って、政治家(内閣以外の)と官僚組織に
あずけられたわけであるが、そのときのインストラクションは、アナーキーに
陥らないよう、上手くやっていく、ということであったらしい。ドイツがユダヤ人の
コンサートマスターを辞めさせるよう求めてきた際にも、「中間措置もありえるのでは」
といった一通りの抵抗は示したものの、決してNoと言うことはなかったし、
アムステルダムの市役所においてはユダヤ人の居住地を示す地図を丁寧にも
ナチスに差し出し、オランダ人警察官の手によって、次々とユダヤ人が連れられて
いったのである。当時のオランダは抵抗どころではなく、その協力的姿勢は、
フランスのヴィシー政権をもはるかに上回る程度であったという。
198名無しさん@3周年:2006/07/23(日) 07:01:44 ID:YMcD+QRi
ホロコーストの話題は欧州では戦後暫くはタブーであったらしく、
オランダ人自身も自らの(特に他国対比での)このような歴史には
必ずしも明るくなかったようであるが、1965年に歴史家JacquesPresser氏
により出版された本により多くのオランダ人がこの事実を知って愕然と
したようだ。しかし戦争世代が依然として残る間は、このような話は
あまりにも痛々しい。オランダは暫く、そしておそらく現在においても、
ナチスへの抵抗という幻想のストーリーを必要としているに違いない。
199名無しさん@3周年:2006/07/23(日) 07:59:06 ID:EToSwvXE
何の資料も、具体的な例も無く主観がダラダラと
述べられてる文など読んでも面白くないし、批判する気も起きない。
200 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/23(日) 19:56:21 ID:YD2s7ORB

/// ジャパン・プロブレム 57 //////////////

いわく、外国人は努力が足りたいから競争に勝てない、日本との
摩擦は主に外国の誤解によって生じる、などなど。
 日本のバッファーと情報提供役の活動は、そうとは気づかせない、
一体化した宣伝努力である。それというのも、この二つともが、はた目には、
世界に日本を"説明"するための誠意ある努力だと映るからである。
しかも、多くの情報提供役たち自身これらの説明を信じているのだから、
これほど説得力のある宣伝はない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



201 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/26(水) 21:47:44 ID:iMX3Pn0Y

/// ジャパン・プロブレム 58 //////////////

        増殖する詫び入れ稼業

 外国人も、<システム>に好意的な意見を流布するうえで重要な役割を
果たしている。日本の金の力によって、海外での日本批判のかなりの部分が
勢いをそがれてきた。ワシントンでのロビー活動費の公式記録によると、
一九八○年代のなかば以降に、日本ほど多額の資金を使った国はこれまで
類がない。日本政府および民間企業は、その立場を守るため、トップクラスの
弁護士とアメリカ政府官僚のOBを雇っている。日本をテーマにした欧米の
学者の学術調査研究の大きな部分が、日本政府や企業・団体の資金で
賄われている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



202 ◆fbBDnBiXNw :2006/07/29(土) 19:49:32 ID:KhzXBpbb

/// ジャパン・プロブレム 59 //////////////

学術資金援助には何も条件はついていないから、学者も評論家たちも
客観性を保てると思うのは、その金の出所が日本であるかぎり、幻想
というしかない。日本で仕事をするビジネスマンや学者にとって、しかるべき
人物や諸機関とのコネは重要である。したがって彼らは、日本に対して
真に批判的な立場をとれば相手にしてもらえなくなることを、身につまされて
知っている。金とコネの必要性、それに素朴な政治的な無知が相まって、
日本関係の専門家の多くが、程度の差こそあれ知らず知らずのうちに、
日本の弁護者になっている。マスコミに発表される彼らの公式発言や
コメントが、なによりの証拠だといえるだろう。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


203 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/01(火) 22:17:27 ID:L+1u4mH6

/// ジャパン・プロブレム 60 //////////////

 本格的な、あるいはそう目されているスペシャリストの多くが、日本を
弁護することによって日々の生活の糧を得ている。彼らは、"相互理解"を
深めるために企画され、宣伝もゆきとどいたセミナーやパネル・
ディスカッションや会議で、日本について大いに述べたてる。外国の
大企業の日本駐在代表や外国人コンサルタントも、日本で営業活動を
つづけるためには、<システム>の一部になるしかない。したがって、
彼らは<システム>から疎外される危険を冒してまで、批判的な分析を
公に発言することはできない。したがって、情載提供者としては信頼
できない。

///////////////////////// 早川書房 ///



204 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/04(金) 22:57:08 ID:kcYCAOT5

/// ジャパン・プロブレム 61 //////////////

 新聞や雑誌のお定まりの便法、つまり一本の記事に両当事者の話が
入っているべきだとする報道姿勢は、意図的であれ、あるいはそうでなくても、
結果的に日本の宣伝に一役買っている。そして、成果は目を見はるばかり
である―日本の保護政策がもう二〇年以上にもわたって組織的に展開されて
きたにもかかわらず、筆者がこれを書いている時点でもなお、アメリカ政府
およびアメリカの評論家の多くは、二国間の問題は自由貿易市場の
自律的な調整機能によって究極的に解決されると考えている。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



205 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/06(日) 19:46:50 ID:/XdmuKiF

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



206 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/08(火) 21:11:22 ID:0DGSTaex

/// ジャパン・プロブレム 62 ///////////////

        "不可思議"という煙幕

 日本を"理解"させること自体が、いくつかの<システム>の構成グループの
出資による重要な輸出産業になってしまった。だが、多くの日本人、とくに
外国に向かって日本の利益を代表しなければならない人は、自分たちが
本当に理解されてしまうと考えると、不安になるのである。日本人であることには
固有の精神的な元がある、そして、それはその基本的性質によって外国人には
不可能だという考えは、日本人の自尊心の重要な要素であり、それゆえに
広く日本人の間で信じ込まれている。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



207 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/11(金) 23:08:21 ID:32/BjHgW

/// ジャパン・プロブレム 63 //////////////

 日本のある全国紙の編集幹部が話してくれたことがある。彼によれば、
外国人の発言は、どんなにひどい批判でも、ほとんどすべて自分の新聞に
(競争紙も同じである)印刷できる。というのは、編集者も読者も、外国人には
彼らが発言している問題の微妙な本質はとうてい分かるはずがないという
信念をもって、みずからを慰めることができるからだ。つまり、外国人による
対日酷評をよむ読者は、ほんとうに深刻た結論は引き出さぬまま、表面的で
自虐的なスリルだげを味わって楽しむそうだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



208 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/15(火) 20:33:45 ID:ISx5eba2

/// ジャパン・プロブレム 64 ////////////////

 日本人のあいだでは、自分たちの文化はユニークだということが、ほとんど
信仰のようになっている。それも、すべての文化はユニークである、という
意味でのユニークさではなく、いわくいいがたいユニークさ、究極的に他の
文化とは異なる、ほんとうにユニークなユニークさである。それは日本人の
ユニークな感受性の源であり、そのために外国人がそれに言及しては
いけないということはないにせよ、理詰めに追求されることからは守られて
いるというものである。外の世界と比較する場面が生じるたびに、日本人は
学校でも会社でも、報道メディアや役人のスピーチを通して、日本という国は
特別なのだと言い聞かされる。

/////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



209 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/20(日) 19:40:58 ID:OVgAFO08

/// ジャパン・プロブレム 65 //////////////

 日本はまったく摩詞不思議な国だという考え―それが安易にユニーク
だという考えに転換されるのだが―を、西洋の知識人が抱きはじめたのは、
もう何世紀も前のことだ。日本がまだ「世界の裏側」にあったころ、マルコ・
ポー口は皇帝の宮殿の金無垢の屋根を想像しながら、ジパング(彼は、
日本をそう呼んだ)を神秘的で天の楽園のようなところだと描いた。英国の
作家ジョナサン・スイフトは、ガリバーが帰途につく前の最後の訪問先として、
ラグナグ国についで日本に立ち寄らせている。

/////////////////////// 840円(税込) ///


210 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/20(日) 21:06:57 ID:OVgAFO08

/// ジャパン・プロブレム 66 //////////////

近代において初めて日本の状況を詳しく分析した西洋人、ラフカディオ・ハーンは、
前世紀末に「外に現われている日本人の生活のその下に、何があるのかを
捉えて理解することの途方もない難しさ」を書いている。ハーンは、「日本の
内と外を、歴史的にまた社会的に、心理的にまた倫理的に描き出す作品は、
少なくとも今後五〇年間は現われないであろう」と思った。そして一九四六年、
ルース・ベネディクトが、日本の総括的な評価をはじめて試み、賞賛すべき
労作『菊と刀』を発表した。その中で、彼女は「日本はアメリカが総力をあげて
戦ったもっとも異質な敵国」であり、「過去の大戦争でも、これほど極端に
異なった考え方と行動に配慮する必要はなかった」と書いている。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


211 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/23(水) 21:51:11 ID:9Zr+mEMc

/// ジャパン・プロブレム 67 //////////////

 ラフカディオ・ハーンとルース・ベネディクトにこれほど強い言葉をはかせた
同じ事柄が、今日の日本についての議論に烈しさを加えている。西欧人は、
今なお日本ではなにもかもがあべこべだというハーンと同じ発見をし、興奮
している。さらにまた、日本は文化的に世界からまったく切り離された、
本質的に他所とは異なる、一つのまとまった国だとするルース・ベネディクトの
解釈に、多くの真剣な観察者は依然として惹かれている。しかし、このことを
地理的孤立のせいにできる時代は、すでに過ぎ去った。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


212 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/26(土) 19:58:44 ID:COZLmjje

/// ジャパン・プロブレム 68 //////////////

一九六二年、筆者はその年日本に入国した外国人二〇万二一八一人の
うちの一人であった。その年に外国に向けて旅立った日本人は、わずか
一四万五七四九人。二五年後、ほぼ六五〇万の日本人が海外に行き、
二〇〇万人以上の外交人が日本に来た。こうして、国際的な往来が
大いに増えたにもかかわらず、特殊で微妙な雰囲気を持つ外つ国という
昔のイメージが今も大いに残っている。日本は、いまなおロマンチックな
想いの対象なのだ。礼儀正しさ、勤勉さをはじめ、この種の徳目が
自国では少なくなったと嘆く一部の西欧人にとっては、日本はユートピア
のような国である。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



213名無しさん@3周年:2006/08/26(土) 20:47:45 ID:IYN1k7Dj
>>1
日本語も話せないくせに「評論」しているから。
もちろん、言葉が出来ずに深く探求できるはずもない。
214名無しさん@3周年:2006/08/29(火) 00:13:04 ID:8RCHVhFx
215名無しさん@3周年:2006/08/29(火) 02:03:59 ID:skL6R05Y
マッカーサーが連れてきたニューディーラーの正体

日本の戦後は、アメリカの政界の最も悪質な部分である「ニューディーラー」にたちによってつくられた。
彼らニューディーラーたちは、1930年代のアメリカのリベラル勢力である。彼らの代表がフランクリン・ルーズベルト大統領であった。
この一部が敗戦直後にマッカーサー元師の取り巻きとして日本にも上陸した。
この者たちによって私たち日本人は、敗戦直後から現在までずっと管理・教育されてきた。この事を英文で書くと次のようになる。
The‘New Dealers'(i.e the prototypical globalists)brought int japan with their ideeas that brainwashed the japanese people
duringt the Occupation years.As a result,japan has led a sheltered existence for the past half-century from the rest of
the world in terms of prevailing political thoughts,thus creating a one- domineted ruling class. This ruling class then
intentionally isolated the country from the outside, in order to maintain control over the japanese people.
上の英文の訳
ニューディーラー(すなわち、グローバリストの初期の形態)が、占領時代に日本に彼らの思想を植えつけた。
その後、それらの意図的な思想が、日本国民の思考の中に根づいた。だから日本は、この半世紀の間ずっと、
世界中で通用している本物の政治思想や考え方から壁を作られて遮られてきた。
そして国内に専制的なひとつの支配階級をつくった。この支配層は日本国内の支配を維持するために、
日本を外側世界と意思が通じない状態に置く原因をつくった。
この英文を、自分の友人や知人のアメリカ人やイギリス人その他の英語圏国民に見せてみとよい。
政治問題に関心のある少し知的な英米人であれば、必ずそれなりの興味深い反応を示すだろう。
もし、本当に頭の良い賢明なアメリカ人であったら、「どうして、お前は、このことを知っているのだ?」
と驚かれたあとに、さらに多くの恐るべき真実をあれこれ語ってくれるだろう。
引用は副島隆彦「日本の危機の本質」P33〜34
216 ◆fbBDnBiXNw :2006/08/29(火) 22:26:48 ID:Rh8VhCqA

/// ジャパン・プロブレム 69 //////////////

 われわれはよく、とくに学術論文の中で、日本をあまり特殊扱いしないよう
にと警告される。たしかに、日本人も人間であることを強調し、彼らも人間
としての基本的な特性を共有していると述べるのは結構なことである。日本を
もっと全面的に世界に組み入れたいという知的欲望は、賞賛にあたいする。
だが、この使命遂行への熱意のあまり、一部の西欧人は、類似性を不当な
までにあげつらい、いかに懸命に試みても西欧の経験律には当てはめようがない
日本の習慣や制度を、結局無視してしまう。

/////////////////////////// 早川書房 ///


217名無しさん@3周年:2006/08/30(水) 00:43:31 ID:QVGEKCiX
<カレル・ヴァン・ウォルフレン>
西欧とアメリカの人々は、東欧の市民社会再建の試みを期待を込めて見守っている。
しかし、政治的におとなしい日本の市民たちが、権力エリートたちが市民を参加させない
統治システムを強化させるなかで、なす術もなく立ちつくしている事実に注目する者は少ない。
日本人自身も、東欧の人々と自分たち立場の類似にほとんど気付かない。
私が在日のハンガリー人、ポーランド人、チェコ人から直接聞いたところでは、
日本人の生活が政治化されている度合いは、彼らが本国でかつて経験したものより
はるかにひどいということだ。

218名無しさん@3周年:2006/08/30(水) 16:32:54 ID:P1NmypjH
われわれはよく、とくに学術論文の中で、ヨーロッパをあまり特殊扱いしないよう
にと警告される。たしかに、ヨーロッパ人も人間であることを強調し、彼らも人間
としての基本的な特性を共有していると述べるのは結構なことである。ヨーロッパを
もっと全面的に世界に組み入れたいという知的欲望は、賞賛にあたいする。
だが、この使命遂行への熱意のあまり、一部の東洋人は、類似性を不当な
までにあげつらい、いかに懸命に試みても東洋の経験律には当てはめようがない
ヨーロッパの習慣や制度を、結局無視してしまう。
219 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/02(土) 01:06:17 ID:H2eMtmrs

/// ジャパン・プロブレム 70 //////////////

 ある国民を他国民と比較研究しようとする際に直面するのは、"相似点"と
"相違点"のどちらに重きをおくかという、長年つきまとってきた選択の問題
である。日本を考察する場合にも、このことが事情に詳しい評者たちの間で、
見方に大きな食い違いを生じさせてきた。世界のどこにでも見られる人間の
重要な習慣や行動で、日本人にはまったく見られないというものはない。
逆に、他の国ぐにでも、日本にある習慣や制度に相応する事柄が認められる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



220名無しさん@3周年:2006/09/02(土) 20:41:28 ID:pw9R7R36
ヴォルフレンはアホだ。
江戸時代が暗黒?監視社会?何一トン年!
ケンペルもシーボルトもペリーもプチャーチンもR・ウェルナーも皆江戸時代を大絶賛
しとったんじゃ。実際江戸時代は土地私有制や私有財産制は完成し、資本主義の基礎が
すでにできとった。
それに日本は朝鮮半島に被害を与えただって?本物のアホだな。
イザベラの朝鮮紀行やダレの朝鮮事情でも読んだらどうだ?
半島と台湾に私有制や法治主義、罪刑個人主義や市場経済を持ち込んだのは日本じゃ。
極めつけは「中国は侵略主義に走ったことがない」って・・・
人生やり直してこい!
221名無しさん@3周年:2006/09/05(火) 06:36:56 ID:U7ih/KwP
>220続き
ヴォルフレンは日本の特殊性を強調するあまり、日本と西欧の共通点を全く無視。
・・・というか、共通点など始めから探そうともしない。
それに対しエドヴィン・ライシャワーは、日本と西欧の共通性を認識しており、
立派である。
ライシャワー「西欧と日本は、互いに封建制度(レーン制度)を発達させてきた。
その結果、両者は共に土地私有制と私有財産制を発達させ、消費社会を拡大し、
市場経済を発達させるに至った。これにより、封建制度こそが資本主義の生みの親であることが
解るだろう。日本と西欧以外の社会には封建制の伝統がない。よって、土地や財産の私有化は
発達せず、資本主義を生み出せなかったのだ。」
ライシャワーの理論は、日本の近代化の理由をよく分析している。
少なくとも江戸を単なる暗黒時代と決め付けるヴォルフレンよりは遥かにまともだろう。
222 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/05(火) 21:54:13 ID:HhgfjE9v

/// ジャパン・プロブレム 71 //////////////

ところが日本の場合について述べる時には、しばしば「ずっと多く」とか
「はるかに少なく」という副詞を加えなくてはならなくなる。そして、その
程度の差、組合せの要素の違いを積み重ねていってある点に達すると、
そこから先は別種の問題に変質してしまう。いくつかの権カグループの
野望と気まぐれに左右される社会・政治的構造に支配されている
状況下では、特にそうである。

/////////////////////// 840円(税込) ///


223名無しさん@3周年:2006/09/05(火) 23:21:16 ID:Iw3f5gkE
オランダの街の中心には教会がある。
日本の街の中心には官公庁がある。
日本とヨーロッパは違う。

だからなんだ。
>>85 ムスリム対キリスト教になっちまっているな。
224名無しさん@3周年:2006/09/06(水) 07:16:43 ID:qT9UCFUa
ヴォルフレンの妄言
「日本は中国に対する侵略だけでなく、その結果中国に共産主義が根付いてしまったことの責任を
考えるべきだ」
またアホな事言ってますよー。どうしますライシャワーさん。

ライシャワー「こやつ、何もわかってないな。それじゃあロシアが共産化したのはなぜだ?他の
アジアは?説明してくれオランダ人。私なら説明できるぞ。
共産主義というのはな、アジア型の王朝社会の変形なのだ。王朝社会は、土地と人民の上に王や
皇帝が君臨し、特権的な貴族や官僚階級が王の絶大な権力を補佐する形で、全人民を統治する
システムだ。これって何かに似てるだろ?そう、共産主義。何が違うかは、支配者が王や貴族から
共産党幹部に代わっただけ。
要するに、中国は昔から土地や財産の私有制度ははっきり確立せず、共産主義に近い社会システム
だったのだ。」
わかったかヴォルフレン!ついでに言えば、日本の満州支配は中国初の大規模な市場経済の試み
だったんだ。それを日本に共産主義の定着の責任を取らせるなんて・・・アホ丸出しだな。
225名無しさん@3周年:2006/09/06(水) 08:08:24 ID:GK6jbu07
誰ももうウォルフレンは相手にしていないんじゃないか?
いつどういう形で影響力を失ったのかを考えるべきだ。
226名無しさん@3周年:2006/09/06(水) 11:36:27 ID:I8fcKrMd
ハゲ曽根に誘われてノコノコ対談してから、コイツは豹変した
227名無しさん@3周年:2006/09/06(水) 19:20:17 ID:skD1+C7k
つい先日、本屋でヴォルフレンの最新刊を見たが、その内容に愕然とした。
ヴォルフレンよ、いったいお前はいつから中共の宣伝マンになったのだ?
かつて「日本権力構造の謎」を書いた気概はどこへ行った?
(・・・といってもこの本は日本の歴史を誤解しまくっているが)
お前が今すべきなのは、「中国権力構造の謎」を書くことだろ!
それを「中国は脅威じゃない、脅威じゃない」って、中共の犬かお前は。
だいたいお前の論理なら、人民解放軍はシビリアンコントロール0%の軍隊じゃないか。
それなのになあ・・・アホになったなあ。
それとも中共に女性問題がらみの弱点でも握られているのか?
228名無しさん@3周年:2006/09/06(水) 20:24:30 ID:skD1+C7k
>184
世界中は虚構だらけ。
ブッシュがイラクやアフガンを民主化させるために侵攻したなんてのは虚構の典型。
糞ヴォルフレンはまるで日本だけが虚構天国のように書き立てる。
もっとすごい虚構大国「中国」には一言もふれずに・・・。
この糞が!
229名無しさん@3周年:2006/09/06(水) 20:35:38 ID:9KlOYY9c
糞ヴォルフレンは日本を愛しているのです

中国なんてどうなってもいいのです。だから中国のことなどしったこちゃないのです

ようは日本がよくなってほしいという関心からくる数々の本の執筆です

間違ったところもいろいろありますが、日本人ではわからない点を指摘しているときもあります

官僚の腐敗なんかは、日本のほうがオランダよりひどいのでしょう
230 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/07(木) 21:43:51 ID:2LvRWFa5


/// ジャパン・プロブレム 72 //////////////

        岐路に立ちつづける日本

 過去四半世紀以上にわたって、数えきれないほどの新聞記事、雑誌の特集、
そして学術的な論文で言われつづけてきたのは、日本は岐路に立っている
ということである。なにか差し迫った変化のきざしはないかと、これほどたえず
ジャーナリストや学者から注目されてきた国はおそらくほかにはないだろう。
どこの社会でも起こりそうなありきたりの変化ではなく、もっと根本的で、
日本人の日本人観が変わり、ひいては国全体の世界に対する態度が
変わるような変化がいつ起きるのか、と期待されてきたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




231名無しさん@3周年:2006/09/08(金) 06:43:03 ID:RkwLizj/
>>229
そうか?奴は以前、中国人は日本人より西欧人と似ており、おおいに親近感を
覚えるって言ってたぞ。どうみても奴は中国が好きなんだ。
例えば、欧米の植民地獲得の覇権的な歴史に対し、中国の歴史は周辺諸国に対し決して
覇権的ではなかったと言う。だから台湾問題で中国が脅威になることはないのだと言う。
おかしいだろ?
奴は中国がどうでもいいんじゃなく、中国を愛するあまり、中国に対して
盲目的になってるんだ。

232名無しさん@3周年:2006/09/08(金) 22:39:40 ID:3/Q6LVg9
>123
これは日本の歴史に対するヴォルフレンの無知からくる盲説だ。
中国では皇帝の上に天があるからすばらしい?アホか!
中国では皇帝の権力は万能で、徳を備えた君主による政治を絶対視した(王道政治)。
これは究極の人治主義で、このような儒教的価値観からは法治主義は生まれにくい。
それに対し日本は土地の開拓者(侍)が封建制(土地・財産の私有制)を創り出し、
王(天皇)に認めさせたという歴史を持つ。後鳥羽上皇と後醍醐天皇という反乱者はいたが、
(彼らは公地公民制・王道政治の復活を目論んだ)、北条氏と尊氏により封建制は守られ、
日本は経済を益々発達させていく。
要するに、国王が天だろうがその下にいようが、日本ではその権力が土地私有を主張する
開拓者(侍)に削ぎ落とされたのであり、その結果見事に資本主義の基礎を築くことが出来た
のだ。
逆に中国では皇帝の権力はいつまでたっても削がれず、資本主義的基礎を全く築けずに終わった。
(李氏朝鮮などもっと悲惨。儒教を絶対的真理とするあまり、超暗黒時代になってしまった。)
233名無しさん@3周年:2006/09/10(日) 08:40:08 ID:7BJXZF/Q
糞ヴォルフレンはたびたび日本に超越的価値観がかけていることを指摘し、それを日本の権力者が
都合よく利用してきたというが、これまたとんでもない無知だ。
まず、日本の歴史において重要な存在が「侍」だ。
彼らは墾田永年私財法によって登場した人々で、もとは土地の開拓者だった。
だが墾田法は開墾した土地のみ私有を認めると言うだけで、きちっとした土地所有のルールの
確立をしなかった。そのため、平安時代末期に日本全国を巻き込んだ内乱が勃発する。
それが保元・平治の乱から承久の乱にいたる闘争だった。
この時、日本の人々は、仏法の説く因果応報の摂理だけでは説明できない世の中の不条理さを知り、
人間社会の現実観察から人のあるべき姿を説く「道理」の理念を確立した。
さらにこの道理の理念を基礎とし、所有権のルールを確立した法が御成敗式目である。
もちろん、この道理の摂理は超越的理念ではなく、人間の現実社会から導かれる「合理主義理念」
のため、状況に応じて臨機応変に変化する側面はある。だが、それが日本の社会の発展性を
阻害したかと言うと全く逆で、この合理主義思考を得た日本はその後目覚しい発展を
遂げるのだ。
234 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/10(日) 19:52:27 ID:bIOCeL0P

/// ジャパン・プロブレム 73 //////////////

 岐路に立つ日本をテーマにしたたいていの報告が暗に示唆しているのは、
日本は変わらなければならないという考えである。そのような報告の中では
日本が世界の他の国ぐにとは違っていても、それは一時的、例外的なものだと
見なされることが多い。一九六〇年代には、日本の若者が影響力を発揮できる
地位に達すれば、彼らが状況を変えると広く信じられていた。また当時、
労働者の要求は、社会・政治的構造に劇的な変化をもたらすはずであった。
一九七〇年代には、企業が海外に派遣した多くの駐在員が帰国すれば、
彼らがすぐにも日本を"国際化"すると考えられていた。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



235名無しさん@3周年:2006/09/10(日) 20:34:50 ID:5miNC68k
侍と合理主義についてさらに考察しよう。
侍はもとは土地の開拓者で、墾田永年私財法によって登場した。
そして開拓者らしく強い勤労倫理を持ち、開拓地を拡げるために農民と共に開墾し、
開拓地を守るために武術の鍛錬を怠らなかった。
このように侍は常に現実社会のなかで生活していたので、世の中が神の見えざる手によって
動かされているなどといわれても今ひとつシックリこなかった。
特に所有権獲得のために不条理な闘争をせざるを得ない場合には、神がどうのとか因果応報が
どうのとか言っている場合じゃなかったのだ。
そこで彼らは既存の宗教観に囚われない、現実社会に根ざした合理主義理念、即ち「道理」の
摂理を生み出す。その摂理に見られるのは、人間のあるべき姿・行動を現実社会に照らして考える
という徹底した合理主義思考である。
236名無しさん@3周年:2006/09/10(日) 20:46:45 ID:5miNC68k
>235続き
侍と貴族の違いを一つ話そう。
鎌倉初期に日本全土を襲う大飢饉が発生したとき、時の執権北条泰時は、庶民が苦しんでいるからと
税の負担を軽減し、自らも質素倹約を貫いた。
それに対し朝廷貴族は、飢饉を鎮めるために様々な行事を行い、数百人を引き連れて
伊勢神宮に参拝した。挙句の果てに道中の村々に様々な供養物を拠出させ、朝廷支配下の村々は
益々貧しくなったという。
要するに貴族達は合理主義思考が全くできず、飢饉といえば「神の怒り」「怨霊の祟り」くらいしか
考えられなかったのだ。
我々日本人は、侍という勤労倫理と合理主義精神を持った人々の出現に感謝すべきだろう。
237 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/13(水) 21:55:07 ID:DdhpurOe

/// ジャパン・プロブレム 74 //////////////

また、多くの人びとがより良い生活を切望する風潮が一般化したので、
日本人の生活目標の優先順位が変わり、努力の対象も変わってくるとも
考えられた。次にはやりだしたのが、日本の金融市場の"国際化"や、
その他の止まることを知らない経済発展によって、日本は世界の期待に
合わせて、国際社会全体の利益のために、もっと関心を寄せ、イニシアチブを
とらざるをえなくなる、という考え方であった。一九八七年には、国民大衆は
変化を求めているとの想定からの圧力と、官僚のビジネスマンに対する
管理力が失われたことが相まって、日本の政治経済は従来よりもっと
明らかな形で市場経済の働きによって動くという形に変身しはじめたという
考えが広く行きわたった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



238 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/16(土) 18:56:30 ID:2s0ascZ/

/// ジャパン・プロブレム 75 //////////////

 さて今日、日本は二五年前と同じ岐路に立たされたままである。国内から
生じるはずの社会変化に助けられて、しかしつねに欧米人によって描かれた
方向に向かってのものではあるが、日本人は世界に対する新しい道を
選ぶことを期待されているのである。どの国であっても、これほど長く居心地の
悪い岐路で待たされつづけるべきではない。このような日本岐路説になによりも
明確に表われているのは、非西欧諸国の制度や構造がとりうる形態についての、
近視眼的な西洋の既成概念である。欧米諸国の多くの観察者が必然だと
考えた方向への進行は、とても起こりそうもないのである。

///////////////////////// 早川書房 ///



239名無しさん@3周年:2006/09/17(日) 09:31:16 ID:yXefDpct
糞ヴォルフレンは日本が西欧の概念では捉えきれないと言いつつ、日本の変則パターンを
認めようとはしない。
先に述べたように、日本は超越的理念を乗り越え、合理主義思考を発達させることにより発展してきた。
だがこれはヴォルフレンにとっては認めがたいことのようだ。
彼は何が何でも超越的理念の存在を重視し、それがなくて発展したなどとは到底信じたくない。
そこで江戸時代を暗黒視し、現在の日本の問題もそこに求めることにより強引に納得している。
だが、中国や朝鮮など、儒教に超越性を求めるあまり資本主義的発展をしなかったことや、
イスラム諸国のように教義に忠実すぎて発展が阻害された例などをみると、むしろ超越的理念と
社会の発展は何の関係もないことがわかる。というか、李朝などは儒教的価値観がはびこりすぎて
自滅したんだから、むしろ悪い側面が多いとさえ言えなくもない。
だが糞は、自分の価値観が絶対に正しいことを曲げない自己陶酔野郎。だから>123のような
間抜けな論理が出てきてしまうのだ。
240 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/19(火) 21:36:30 ID:Mp4TUmwp

/// ジャパン・プロブレム 76 //////////////

 一九七〇年代末のある時期しばらく、日本の役人が、変革があるとすれば
西側諸国においてであろうと主張して、論駁しはじめたことがあった。政府の
刊行物は、次のように具体的に述べて論点を明らかにした。もし先進工業社会が
産業をさらに発展させるための合理的なコースを進みたいと望むならば、
「日本式の社会的・経済的経営管理が、すべての先進工業社会において
普遍的に活用されよう」

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



241 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/22(金) 21:28:07 ID:DD5DUSe1

/// ジャパン・プロブレム 77 //////////////

 ほぼこのころから、日本的な慣行を採用すれば利益があがるのではないか
という考えが、ヨーロッパでもアメリカでも広がりはじめた。もっともなことである。
日本を訪れた人は、日本には暴力犯罪が存在しないも同然であり、産業の
障害になる労働紛争もなく、石油危機その他の難局もどこよりもうまく切り抜け
られるらしい経済システムがあるのを知ると、西欧も現在の日本のような社会を
目標にすべきではないかという考えが生じてくる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



242名無しさん@3周年:2006/09/22(金) 22:13:26 ID:v7RpLHl6
日本権力構造の謎(1987)
の予想は
日本経済がこのまま経済が急拡大し
アメリカとの本格的な貿易戦争になる
ということ
結局完全に外れた
本の中身も著者の見識も怪しいものだったということ
243名無しさん@3周年:2006/09/23(土) 10:22:10 ID:QeKeXPfD
ヴォルフレン信者はある意味かわいそう。
ヴォルフレンの論法は、何か人を引き付ける作用がある。俺も騙されかかった。
だがヴォルフレンの理論を冷静に検討すれば、的外れなことが多い。予言も見事に外す。
さらに悪いことに、外れたことについて全く釈明しない。
説明責任という言葉は、奴自身に求められるべきだろう。
244名無しさん@3周年:2006/09/23(土) 11:53:51 ID:/VmmXHVI
日本見直し論者といわれた人で一番まともだったのは
クライド・プレストウィッツ
彼は正直にバブル経済現象の現実とその崩壊を
見通すことができなかったと認めている

ヴォルフレンは日本の高級官僚たちがその気ならバブルを永久にコントロール
できたと思っていたように見える
245名無しさん@3周年:2006/09/24(日) 19:47:18 ID:Ota2eQgn
昔ヴォルフレンは、中曽根との対談で、日本はこのままでは国家破産すると言いふらし、
中曽根に窘められた。
中曽根「日本は決して危機になど直面していない。それなのに彼は危機、危機と騒ぎ立てすぎ。
国民を不安に駆り立てるのはどうかと思う。」
そういえばヴォルフレンは、最新刊で日本は孤立化の危機に直面していると騒いでやがる。
まあ、どうせまた予言は外れるだろうが。
246名無しさん@3周年:2006/09/24(日) 19:52:17 ID:HXyx1J2W

> いやいややっぱりコアの人材はしっかり会社で賄わなくちゃ、という方向に
> シフトする可能性が高いと見るわけです。もともと経団連はそういう発想が
> 強いですし、御手洗会長の考え方もそちらに近いですから、

正規と非正規をきっちり分けて、会社は正規職員の利益向上を最重要課題として
経営するという路線ですね。
正規職員とその正規家族にとってはいい流れなんでしょうけれど…

経営するだけじゃなくて、政府にも「正規職員とその正規家族を優遇」
するように要求する…
問題は『そうじゃない人がどうなるか?』ですが、その際に非正規から
正規へというスローガンを利用して非正規の人を食い散らかす、という
ことが行われるんだろうな、と悪い予想をしています
例えば、御手洗会長の会社ではどうなるか、見守りたいと思います

正規職員と非正規職員をキッチリ区別して扱う、という路線は例えばワーク・シェア
リングと真正面から衝突するように思う。
本当にソーシャルなのだろうかと。いや、「正規職員同士の間」ではソーシャルです

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_16bc.html
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_b331.html
247 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/26(火) 22:52:44 ID:BHc4MO9M

/// ジャパン・プロブレム 78 //////////////

しかし、この"日本から学べ"論は、うわべのよさに目がくらみ、日本と
西欧とのいくつかの決定的な違いを見落としている。<システム>の一部を
適用しても、日本式のあとの大部分とセットでなければうまく行かない。
だが、日本式<システム>を全部こみで引き受けることの代償を西欧の国が
負担することは不可能だ。西欧の慣行を日本方式の方向へ変革しよう
という試みは、社会的、知的な自由というものに価値をおくかぎり、
想像も及ばない状況をつくりだしてしまうことになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




248 ◆fbBDnBiXNw :2006/09/29(金) 22:55:02 ID:NioR3a4g

/// ジャパン・プロブレム 79 /////////////////

 日本岐路説がなくならないということが、日本の相違点が強調される
基本的理由なのである。欧米諸国の冷静な分析家の多くが、大規模な変化を
期待しつづけている。「『日本株式会社』は、そのようなものが過去にあった
としても、いまや解体しつつある」と主張するのは、高い評価を得ている経済紙
エイジアン・ウォール・ストリート・ジャーナルである。日本の"国際化"の
スローガンが額面どおりに受け取られているのである。民間企業に対する
さまざまな形での政府の行政指導のウエートは過去に比べて顕著に
低くなっている、というのが一九八○年代の日本の公式路線である。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



249 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/03(火) 23:14:16 ID:/B+a/HOc

/// ジャパン・プロブレム 80 //////////////

この主張にはきまって、現行の関税規制では日本は世界一自由な市場だ
ということを示す統計データが添えられているが、実際には、日本は
西欧型自由市場経済の類型には移行していない。日本では、紙の上の
事実はしばしば実際とは違っていて、しかもその違い方は西欧の場合より
顕著である。日本の役人は、表立たない徴妙なやり方で規制する方法を
考え出したり、規制に椀曲な呼び名をつけて耳あたりをよくすることに
かけては、ひじょうに創意工夫にたけている。外国政府やコラムニストたちは
機械的に、日本は新しい選択と新たな責任感をもつように迫られていることを
自覚していると決めこんで、日本に大きな変化を期待しつづける。

///////////////////// 原書1989年刊 ///

250 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/06(金) 23:27:29 ID:EMbWlNmm

/// ジャパン・プロブレム 81 //////////////

だが、現時点では予想できない激変でも起こらないかぎり、日本の制度や
機関がより円滑に外の世界とかみ合うようになるとはとても考えられない。
なぜなら、そのような激変が起これば、日本<システム>の根幹である
官僚と実業界とのパートナーシップが壊されることになるからである。
 日本岐路説からはこの辺でもう脱却したほうがよい理由がもう一つある。
期待された変化が実際に起こらなければ、欲求不満を募らせる。それは
結局、日本非難がさらに強まる結果になる。

///////////////////////// 早川書房 ///


251名無しさん@3周年:2006/10/08(日) 12:17:08 ID:whD/NTVi
ヴォルフレンは権力を悪く描きすぎ。
権力を分析するなら、プラスの面も言えよ。
我々がこうやって平和に暮らせるのも国家権力のおかげなんだよ。
252名無しさん@3周年:2006/10/08(日) 12:18:26 ID:fUH88UEo
国威権力になってるな国家じゃない
253名無しさん@3周年:2006/10/08(日) 15:00:02 ID:c2MUrBj+
少しはまともな本を読もうよ!!
254名無しさん@3周年:2006/10/08(日) 22:15:33 ID:mwaQr8LY
1989年の本をずーっとレスしてる人間ってかわいそうッス。
ものすごい時間の無駄だよな。
もっと人生を有効に活用しようよ。
255 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/10(火) 22:37:21 ID:gb/BPRxG

/// ジャパン・プロブレム 82 //////////////

 さて、岐路説を捨てると、残るのは、ラフカディオ・ハーンやルース・
ベネディクトの言う、日本文化の特異性という議論である。だが、この
接近法では、その主張そのものからして、より広範で普遍的な理解を
得られる人類の経験律の領域という枠組の中で日本を論ずることは
できない。また現実的に考えて、政府や各国のビジネス界が日本と
実務のレベルで妥協を見いだして共存の道をさぐる上で、なんの役にも
立たない。
 しかし、この概念的迷路から抜け出す方法はある。文化的な面から
説明しようとする通常の接近方法ではなく、日本ではどのように権力が
行使されるかを問いただしていけば、"日本問題"の神秘性もしだいに薄れ、
多くの疑問も解けるはずだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



256名無しさん@3周年:2006/10/12(木) 01:22:19 ID:LyAJqCGO
>255
こんなレスしてないで、時間を有効に使いなさい。
257 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/12(木) 21:43:01 ID:UuVowSXO

/// ジャパン・プロブレム 83 //////////////////

    見逃されてきた権力の役割

 人間社会の事柄を研究する方法は、社会的側面、文化的側面、経済的側面、
政治的側面のどれを強調するかによって、一般に四つのアプローチがある。
しかし、問題がどの側面に属するかは、一部の学者が設けた一区分に収まりきる
ことではない。さらにいえぼ、社会的生活、文化的生活、経済的生活、政治的
生活は、互いに関連し合っているから、どれもがあるていど他の三つを組み
入れている。したがって、人間社会の事柄はこれら四つの区分のどの名前でも
扱える。どれか一つのアプローチを選ぶのは、その側面を強調するためである。
 日本の評論家も日本を研究する外国の学者もともに好むのは、これまでの
ところ、たいてい文化的側面から見るか社会的側面から見るか、あるいは
よくあるように、その両方を一つに合わせた視点を用いる方法である。

/////////////////////////// 840円(税込) ///



258 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/15(日) 19:38:15 ID:aOpEqvTi

/// ジャパン・プロブレム 84 //////////////

        日本文化の政治的起源

 日本の政治は文化によって規定されるものとして描かれることが、現在でも
多い(とくに日本の公式スポークスマンは熱心にそう説く)。非マルクス主義の
立場をとる評論家は、必ずといってもいいほど、彼らの生まれた日本という
世界は、過去何代もの人の好みが総集されてできた産物だ、と当然のことの
ように言う。日本の政治および歴史に関する書物のはとんどは、歴史の
それぞれの段階において支配される側の人びとの生活の枠組を決める
手段をもった権力者が存在した、という印象を与えない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



259名無しさん@3周年:2006/10/15(日) 21:04:32 ID:1N/zE29S
>258
単にヴォルフレンの勉強不足。日本の歴史を文化だけで説明する奴なんてほとんどいない。
260 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/18(水) 20:55:40 ID:XJdkxKDM

/// ジャパン・プロブレム 85 ///////////////////

日本の社会的・政治的生活を、すべてを包含する新しい視野でとらえようと
する三人の著名な学者の最近の著作『文明としてのイエ社会』(村上泰亮、
公文俊平、佐藤誠三郎著)では、あたかも日本では権力の行使などまったく
なかったように、すべてが見事なまでに、文化的要因に還元されている。
もし、支配的な社会・文化的特異性が、政治的決定に起因していて、
それ以外の影響から切り離して見ることができる国があるとすれば、
それは日本なのである。だから、文化へのこのような単純還元は、
いっそう驚くべきである。

//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



261名無しさん@3周年:2006/10/19(木) 00:58:43 ID:DRhIaRpR
>260
繰り返しになるが、ヴォルフレンは日本を特殊化しすぎ。
相変わらず奴には、封建制の発達とそれに伴う土地私有の発達と経済の発展という、
西欧と日本の共通性に気付かない。
262 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/21(土) 20:14:09 ID:H6REhU5Q

/// ジャパン・プロブレム 86 //////////////

 もし筆者が生まれ育ったオランダの基本的な特徴を説明するとなれば、政治的な
決定要因を経済生活、宗教生活、そして一般的な社会生活の発展過程の中に
見出せるが、必ずしも政治を強調するアプローチは取らないであろう。オランダは、
ギリシャ思想とヘブライの思想、ローマ法、そして強力な影響力をもつキリスト教
からなるヨーロッパの伝統を受け継いでいる。ちょうど日本が儒教と仏教と道教
とからなる大陸アジアの伝統を受け継いで共有しているのと同じである。しかし、
当時オランダの支配階級だった貴族は、キリスト教の教理やローマの法思想の
中から自分たちになじむものだけを選んで、勝手にオランダの文化に組み入れたり
する立場にはなかった。また、ヨーロッパの絶対君主にしても、自分たちの
気にいらない思想が国境をこえて入って来るのを排除するだけの力を持たなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



263 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/25(水) 22:51:37 ID:6ITzyRX8

/// ジャパン・プロブレム 87 //////////////

 ヨーロッパのどの国についても、説明したいと思う事柄がなんであれ、
その起源や原因をつきとめるのに使える手がかりはいろいろある。
別の似た例をあげるなら、インドがある。中国文化にしてももっとも
重要な事柄の原点を探るには、何から先に見ていけばよいのだろう。
国家だろうか、それとも、その国家に正統性を与えた哲学だろうか?

///////////////////////// 早川書房 ///



264 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/29(日) 00:29:55 ID:NEYJeGzt

/// ジャパン・プロブレム 88 //////////////

 日本については、この"ニワトリと卵"式の問いは、あまりあてはまらない。
歴史をさかのぼってゆくと、明らかに政治的方策が日本の文化の発展を決定する
主な要因であったことがわかる。日本が相対的にいつも孤立していたのは、
そのほうが、権力維持をはかるエリートが、外国の文化の流入や衝撃を容易に
コントロールできたからだ。権力者はまた、外の世界にあるさまざまなもののうちで、
自分たちの地位を強化するのに最適だと思われる技術や態度だけを選んで、
取り入れることもできた。このように、広範囲に文化を管理できるということは、
体制をくつがえす可能性のある思想をもほぼ完全に近く排除できるという
ことでもある。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///




265名無しさん@3周年:2006/10/29(日) 02:59:52 ID:1mhyn/7H
ああ 疲れた。 寝てしまいました。まだ続きがあったな畜生 だれか
と め て。


266 ◆fbBDnBiXNw :2006/10/31(火) 23:37:18 ID:LQ9TpdmI

/// ジャパン・プロブレム 89 //////////////

        文化の政治的コントロール

 日本の公的文化を形作るうえで、中国の思想や方法論が多大な影響を与えた
ことは、一般的によく知られている。漢字体系や芸術の技法と様式などの
大いなる文化遺産は別として、外国から移入された文化は、主として政治目的
のために役立てられた。六世紀には、政治的な理由によるという説明のもとに、
日本の為政者は仏教を取り入れている。その後まもなく中国の国家統治(律令)
制度をモデルとして導入したのも、明らかに政治的な目的があってのことだった。

/////////////////////// 840円(税込) ///



267 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/03(金) 23:11:10 ID:UnmHE5eq

/// ジャパン・プロブレム 90 //////////////

 その後、中国との外交ルートが断たれ、為政者の判断により何世代にもわたって
国交途絶の状態が続いたが、一四〇一年に足利義満が明朝との交易を再開した。
明朝との貿易は、義満に莫大な利益と数々の賛沢品をもたらしたにもかかわらず、
彼の後継者たちはふたたび中国との往来を止めてしまった。朝廷と将軍が
中国との国交を途絶している期間にも、日本の南部では中国との交易が
続けられていたから、中国文化の浸透は続いていたにちがいない。だが、
日本の支配エリート文化にはこれといった影響のあとを残さなかったようだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



268 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/07(火) 21:10:47 ID:QNfZo+9c

/// ジャパン・プロブレム 91 //////////////

 一六世紀のなかばに、ポルトガル人が鉄砲、医学、天文学、時計、そして
何より重要なことは、彼らの宗教を持ち込むことを許された。ところが、
世紀が変わってすぐ、この寛容さも逆転する。将軍がポルトガル人を外敵に
内通する政治的第五列(スパイ)として恐れはじめ、彼が支配する者の忠誠心が
雲の上なる天帝(神)の方に転ずるおそれがあると気づいたからである。
将軍のこの政治的洞察力の結果は、その後、一九世紀なかばまで保たれる
ことになる、独居仙人のような鎖国政策だった。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



269 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/09(木) 22:14:32 ID:RpsJOCFr

/// ジャパン・プロブレム 92 //////////////

 一八六八年の明治維新とともに統治者となった新しい一群のエリートは、
アメリカやヨーロッパに派遣された使節団が新しい日本に役立つと考えたものなら、
なんでも輸入するよう奨励した。その結果、必然的に広まることになった
体制破壊的な思想はエリートの弾圧するところとなり、彼らは"往古からの"
伝統を広く宣伝しはじめた。この往古からの伝統なるものは、それまでにあった
政治的イデオロギーの断片を拾い集めて彼ら自身が作り上げ、天皇を日本という
家族国家の大家長にまつりあげる思想であった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



270 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/12(日) 18:57:44 ID:USE0cu25

/// ジャパン・プロブレム 93 //////////////

 一九四五年まで、日本の権力者たちは、"危険思想"の排除を仕事とする
特別高等警察(特高)を擁していた。戦後、この特高関係者で、文部省、法務省、
運輸省、自治省、厚生省の大臣になった者が六人いる。一九八○年代になっても
日本のナショナリズムの基本的な性格は、依然として明治の寡頭政権が
作り上げた神話的思想によって形づくられているのだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



271 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/15(水) 23:27:45 ID:3YaxokN7

/// ジャパン・プロブレム 94 //////////////

 一四〇〇年前、日本の権力者たちは、中国の文物を物色し、外部からの
文化的影響は、自分たちの意に沿う制度と思想・信条だけに限定した。
一九世紀後半ふたたび、西洋の影響に対処するに際し、このやり方が
またも見事に成功した。その間におきた何世紀にもわたる内戦の後、当時の
権力者たちは、宗教紛争を政治の領域にまで持ち込むおそれのある
土着化した仏教の宗派を抑圧し、さまざまな社会的、経済的、文化的動向を
自分たちの権力の座を守るうえでの重要性に応じて適宜、奨励したり、
抑えたりした。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


272名無しさん@3周年:2006/11/16(木) 13:49:44 ID:v3Qc1Kjc
この男は唐突に大江健三郎批判をおっぱじめる。奇異に感じて調べてみたんだ。オランダ人のノーベル文学賞受賞者はひとりも存在しないんですね(笑)
ことほど左様にこいつのメンタリティは子供っぽい嫉妬心、競争心に満ち満ちている。日本人に見下されるなんてことは絶対に受け入れられないのだろう。
273 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/18(土) 21:57:26 ID:7pmoqqTB

/// ジャパン・プロブレム 95 //////////////

ポルトガル人によって導入された火器を禁止したら、その使用法まで
忘れてしまったほど、権力者は、テクノロジーの発達でさえ逆行させる
ことができた。彼らは、民衆が新しい技術を得て立ち上がり、自分たちに
歯向かってくる危険を未然に防いだ。いうまでもなく、マスケット銃や
ライフルを撃つほうが、日本刀でやり合うよりはるかに単純だ。反乱を
城壁で食い止めるには、銃をばんばん撃ちまくる連中より、刀をふりまわす
連中のほうが相手として都合がよい。

/////////////////////// 840円(税込) ///


274 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/21(火) 21:07:55 ID:ujM6Is5D

/// ジャパン・プロブレム 96 //////////////

 先に見たように、普遍的または超越的な真理が日本の思想の中に根づく
ことは決して許されなかったから、知的勢力が政治エリートの権力を支配したり、
くつがえすことは不可能だった。日本の権力者は、知力まで制限できたのである。
実際、これまでどのような法律によっても、彼らの権力が制限されたことがない。
こういう次第だから、日本の宗教生活および思想の許容限度を決めるうえで、
政治的な方策が決定的な要因となったというのは、決して誇張ではない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



275 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/24(金) 22:33:47 ID:SZhhWfeU

/// ジャパン・プロブレム 97 ////////////////

 一九世紀ヨーロッパの、法律家や知識人、哲学者やフリーメーソン、さらに
作家やジャーナリストが参加した"知的総動員"は、社会・政治的行動とは
はっきりと区別できるが、日本の場合にはそのような区別ができない、と
アメリカの比較政治史学者フランク・K・アパムが指摘している。"蘭学"を始めた
大名や武士も同じように知的活動に従事したが、「蘭学を学ぶのに極端に
いちずな政治的目的をもってしたという点で、一九世紀ヨーロッパの"知識階級"とは、
はっきり違う」。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



276 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/27(月) 21:59:56 ID:A2MjxbVY

/// ジャパン・プロブレム 98 //////////////

 日本の知的営みは、時の権力者の意向によって、指導・監督あるいは禁止
されたりしてきた。日本の司法に対する概念や社会における法律の地位・扱いは、
統治者の都合のよいように変えられ、彼ら自身の振る舞いや統治方法に決定的な
影響を与えることはなかった。したがって、集団生活、会社・集団への忠誠、
協調的な傾向、個人主義の欠如、なきに等しい訴訟闘争など、日本の社会や
文化の典型的な側面とされている事柄は、究極的には、政治的方策に起因する
ものであり、政治的な目的のために維持されているのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///

277 ◆fbBDnBiXNw :2006/11/30(木) 21:18:30 ID:8z1R+b5o

/// ジャパン・プロブレム 99 //////////////

 社会的・文化的な面を主にして日本を見るかぎり、いつも一つの基本的な
疑問につき当たる。つまり、日本人と他国の人びとの習慣や制度との間に、
これほど大きな違いがあるのはなぜだろう、その根源は何なのだろうということだ。
一つの答えは、日本の歴史的な孤立性にある。だが、いちばん満足のいく
答えを出せるのは、政治的な側面からのアプローチではないだろうか。政治的
アプローチによって、日本の社会形成の背後で働いた強い力をはっきり見きわめる
ことができるからだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



278 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/03(日) 19:05:24 ID:JMbdc+tQ

/// ジャパン・プロブレム 100 //////////////

 もしソビエト社会が自由とは何かを知っていたとしたら、また、もし共産党の
特権階級が抑圧を手控えていたとしたら、もし自分の利益を守るため人に
嘘をつかせる力がシステム内に組み込まれていなければ、ボルシェビキ革命
から七〇年たった今、ソ連はまったく違う社会になっていただろうことは容易に
想像できる。ソビエト社会に比べ日本は、より自由で、より暮らしやすい、
まったく異なる社会だ。ところが、これまでのところ、日本の<システム>は、
ソビエト連邦の政治システムと同じに、日本人にとっては逃れえないもの
となっている。そして、その根ははるかに深い。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



279 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/06(水) 22:25:36 ID:fwXl5VyF

/// ジャパン・プロブレム 101 //////////////

        権カを見る目の偏見

 それにしても、なぜ、日本の文化を政治的な視点から見る方法よりも日本の
政治の在り方を文化的な側面から説明するという方法のほうが、ずっと魅力が
あると思われるのだろうか?この国の表面を一見しただけでは、政治的な
視点から眺めてみようという気はまったく起こらないのかもしれない。独裁者が
いるわけではない。それどころか、政治権力のはっきりした中核さえ存在しない。

/////////////////////// 840円(税込) ///



280名無しさん@3周年:2006/12/10(日) 14:03:18 ID:9u1z7+a0
 <●>   _ゝ  <●>
281 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/10(日) 19:42:20 ID:vuEnnRDR

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///


282 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/12(火) 22:19:56 ID:Ly08Iyp4

/// ジャパン・プロブレム 102 //////////////

一見したところ、個人に対する特に強力な抑圧がある状況でもない。日本に
長く滞在しても、たとえば警察権力や政府機関などによる抑圧があるとは
気づかない。日本関係の文献にむしろ充満しているのは、調和をめざして
努力する協調一色の社会というような記述である。一口で言えば、日本の権力は
高度の分散型で、それゆえ浸透力はいっそう強いにもかかわらず、すぐには
なかなか気づかないだけである。

///////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



283 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/15(金) 22:18:01 ID:n4IOLOlo

/// ジャパン・プロブレム 103 //////////////

 にもかかわらず、欧米人が文化的側面からの見方で成功したのには、もう一つ
別の、もっと重要な理由があるのではないかと思う。民主的に成立している
社会に暮らす多くの人にとって、権力などというものは考えるだけでも気分が
悪くなる。権力ほど恐ろしくない"政治"ということばでさえ、強欲や嘘つき、
そのほか人間の品位をおとしめるものを連想させて、嫌われる。まして、
「権力」は一段と下劣なことばであり、権力に餓えている者以外には心地よく
響かないことばに違いない。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


284 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/18(月) 21:45:53 ID:ucztPF9Q

/// ジャパン・プロブレム 104 //////////////

 人間社会の事象を研究する現代の大半の学者の用語集から、「権力」という
概念が排除されてしまっているのである。知識人、とくにアメリカの知識人にとっては、
あまりにも不快な意味が含まれているので、時としてこんなことばはすっかり
なくすべきだと本気で言うほど、その概念を否定したり拒絶してしまうところがある。
一つには、権力の概念が、イデオロギーにまで高められた機会均等という
アメリカの理想と、心情的に衝突するからかもしれない。少数の者が大多数の
人間を支配するという意味での権力や、主人が召使に対してふるう権力は、
不愉快ではある。そこで汚い部分を消毒して無害化する、ある種の知的創造物が
頭のなかに構築され、権力というものは集団による意志決定の結果としての
完全に合理的な力関係であると見なされるようになったのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



285 ◆fbBDnBiXNw :2006/12/24(日) 21:01:26 ID:DZ3ol7TG

/// ジャパン・プロブレム 105 //////////////

 この本の目的は現代政治学の弱点をあげつらうことではない。しかし、
二つ三つ、このアプローチを全体の構図のなかでとらえるのに役立ちそうな
観察を続けることにする。第二次世界大戦以来、学者や研究者は概して、
セロハン紙に包んだ、清潔そのものの社会・政治的世界像をわたしたちに
見せてくれた。このような見方においては、「権力」という概念が、時として
「影響」に置き換えられる。「影響」という表現はより中立的だとされるが、
その場合、権力という概念のもつ(潜在的な)力の要素が欠落してしまう。
主従関係は、もし認められても、もっぱら経済面からとらえられ、しかもだれに
とってもよいものだと考えられる。一方、「ツメをたて、歯から血をしたたらせる」
権力という概念は、革命的状況について述べる場合に登場するだけになる。

///////////////////////// 早川書房 ///



286 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/01(月) 00:36:45 ID:HP2n0dq8

/// ジャパン・プロブレム 106 //////////////

 とくに「多元的国家論」の支持者によって提供されるこのような解釈では、
改良すべき細かい点は残っているものの、基本的には、どのような政治的方策
でも必然として受け入れてしまうことになる。つまり権力は学術的な議論の対象
からすっかりはずされたいまでも、その鋭い鉾先はすっかり削り落とされてしまう。
権力がしばしば稀少商品のように扱われ、市場機能によく似た取引方法
(入札など)で、ある勢カグループから他の勢カグループヘ移るというのである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



287 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/02(火) 19:45:03 ID:/7qY9eHO

/// ジャパン・プロブレム 107 //////////////

政治的な世界をこのように経済的に説明するのは、権力という観念の
本質を見失わせる。このような見方では、たとえば、学校の「倫理・道徳」への
支配をとりもどそうとする国の文部官僚の試みに反対して、血のにじむような
闘いに身を投じる日本の教師のことは説明できない。権力が情け容赦なく
使われ、そのために、国がまっしぐらに大災難に向かって突進しつつある姿など、
想像することさえできないだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///



288 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/02(火) 21:47:58 ID:/7qY9eHO

/// ジャパン・プロブレム 108 //////////////

 民主主義的に成立している欧米社会における責任と義務との細分化―
「多元的国家論」の根本原理である―は、権力をどのように制限するかについて、
また、権力がどこまで一般市民に影響を及ぼしてもよいとされるかについて、
事前の合意があってはじめて可能である。権カに対する考え方は、法律の存在を
あだやおろそかにではなく、誠実に認めるという前提のもとに成立する。また
この考えは、多元主義代表制の理想が現実化された一つの姿であると仮定し、
この現実を出発点にするのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



289 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/06(土) 20:02:21 ID:j/2TxlNp

/// ジャパン・プロブレム 109 //////////////

 日本の市民は実際上、何かあったとき法律に頼ることができない。それどころか、
「市民」と「臣民」は違うということすら、ほとんど理解されていないようだ。
もちろん、紙の上では多元主義代表制が存在するのだが、これによって日本の
実態を説明されて額面どおり信じるのは、もはや信仰と言うべきだろう。
 これから先の章で、日本の権力には油断ならないところがあるという印象を
言外に与えても、それは意図してのことである。"多元的国家論"のモデルとなった
国ぐにの権力者と異なり、日本の権力保持者は組織的に権力を行使する。その
方法と目的を、有権者は究極的になんら制御できないのである。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



290 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/09(火) 21:58:45 ID:lGk3VV4/

/// ジャパン・プロブレム 110 //////////////

        政治的な動役を解明する

 日本の権力の実態を認識すれば、それまで気づかなかったことに気づく。
その一つは、日本の<システム>が現在、今世紀のどの時期よりもうまく機能
しているということだ。第二次世界大戦の敗戦とそれに続く占領は、一般に
考えられているほど、日本の政治の分水嶺にはならなかった。戦前および
戦時中の官僚的な権力組織から軍部を除いただけという組織が、戦後その力を
強化し、今またその力の強化が進められている。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



291 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/13(土) 00:09:51 ID:SrQ1zkOQ

/// ジャパン・プロブレム 111 //////////////

 筆者が提案するように政治的な視点から見れば、日本の国際ビジネスのやり方に
ついても、新しい見方ができる。日本の大企業が、中期的利潤よりもマーケット・
シェアの拡大に重点をおいているという点で見方が一致してから久しい。また、
その戦略上の目標を達成するためなら、欧米諸国の企業にはとうてい不可能なほど
長期間、健全な経営を維持していくのに必要な利潤さえ我慢するということも、
周知の通りである。マーケット・シェアの拡大は、国の領土の拡大と同じく、
より強大なカヘの欲望、政治的な動機に由来する。

////////////////////////////// 早川書房 ///



292 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/17(水) 22:02:14 ID:vtrzCXHD

/// ジャパン・プロブレム 112 //////////////

利潤最大化は、金への欲望、つまり経済的な動機があってのことだ。この二つは、
いうまでもなく、欧米諸国の企業でも日本の企業でも、互いに関連して渾然と
まじり合っている。だが、その重点の置き方の違いによる結果が重要である。
戦後日本のビジネスの官僚化は、官僚による統制と保護の強化、また、省庁と
折り合いのいい役人的企業管理者が企業家にとって代わったことによって、
国際市場のシェアをひたすら増やしていくという政治的な動機に直接結びついている。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



293 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/21(日) 16:12:56 ID:BngVaLOx

/// ジャパン・プロブレム 113 //////////////

 日本が一九七〇年代に見せた、相互主義(互恵主義)ぬきで外国市場の一角に
くいこんで勢力を築こうという海外進出熱の歴史が、一九八○年代後半に、
金融市場でふたたびくり返されている。日本企業が欧米諸国の金融機関を多数
買収しつつある。日本企業が、(完成品の国際市場で獲得したマーケット・シェアを
強化して得た)莫大な利潤を国内に再投資すれば、国内的にも国際的にもさまざまな
問題の解決が図れるにちがいないのだが、そうはしないで、マーケット・シェアを
さらに増やそうとして海外に投資している。大蔵省による金融・資本市場の
"自由化"が大々的に宣伝されたのだが、その結果は、日本の銀行、証券会社、
保険会社の海外進出を助けることになった。そのため、これら企業の活動が
国際的に自由になって、さらに好条件で世界の金融市場で競争できるようになり、
また、日本の商社が海外投資できる領域が新たに大幅に広げられることになった。

/////////////////////////// 840円(税込) ///



294名無しさん@3周年:2007/01/21(日) 19:04:54 ID:EhcyWAHx
強力な政治力で文化も規定されているのは当たっている。自由な社会はその
ため的外れ。筆者が政治に大事に保護されていたのではないか。外国人にたまに
内国人より気を使うときがある。
295名無しさん@3周年:2007/01/21(日) 21:52:41 ID:TyD1KkKb
日本文化は脆弱で、政治の下にあって、独自に文化は育たなかったとも言える。
日本文化に世界に誇れるものはないという説がある。ウオルは、東洋の国日本
を西洋の1国のようにしか見てないのかも?
296名無しさん@3周年:2007/01/21(日) 21:56:23 ID:TyD1KkKb
ウオルはたぶん、ほとんど書物から日本を理解しているのではないか。彼から西洋人
の考え方と文化が分かる。
297 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/24(水) 22:59:45 ID:+OL6lHkI

/// ジャパン・プロブレム 114 //////////////

 こうした事態の進捗は政治的に重大な意味をもつと考えられる。というのは、
もし現在のマーケット・シェア拡大の活動が目指そうとしているとおりに、
世界の金融市場において日本が強大な影響力を持つようになった暁には、その
一方的な経済的制覇に抵抗して世界がそれを食い止める可能性が著しく制限を
うけるだろうと思われるからである。欧米諸国は一貫して、そのような結果になる
ことを予知できずにきた。明らかに、彼らは日本人のように先の可能性について
考えられないということになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



298 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/27(土) 22:45:50 ID:vmwRKCul

/// ジャパン・プロブレム 115 //////////////

    日本人にとっての日本問題

 日本の権力の行使のしかたがもとで他の国ぐにとの摩擦や世界からの孤立が
起こっているのだから、ひとつの国として、日本は日本自身にとって問題である。
しかし、それだけではない。日本は個人レベルの日本人一人ひとりにとっても
問題である。筆者は、過去二五年間にわたって多くの日本人と話してきたが、
この国での権力の行使のされ方のため、彼らが不当な扱いを受けていると確信
するにいたった。日本人はもっと自由であっていいはずなのに、そうではない。
彼らは、教育制度や支配者によって、まるで庭師が生け垣の手入れをするのと
同じ取扱いを受ける。個性を少しでも出すと、ちょきんと切り取られてしまうのだ。
個人としての人間に対し思いやりのない政治システムの下では、国民の心理的
発達に重大な影響が及ばないはずがない。

////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



299 ◆fbBDnBiXNw :2007/01/31(水) 23:46:28 ID:ENWLd6cX

/// ジャパン・プロブレム 116 ///////////////////

 日本人は一人ひとりがみな個人であり、一億二〇〇〇万人のすべてが個人
であると、私は信じる。だれもが個人を主張したいと望んではいないかもしれない。
事実、大半の人が、長年にわたってこのように条件づけられてきたために、
そうは思わないようだ。だが、集団の中の目立たない一員というのではなく、
はっきりと一人の個人として認められたいという日本人にも、数多く会ってきた。
このように独立した考えをする人は、心穏やかではいられない。多くの場合、
自分だけの心の世界に引きこもってしまっている。日本の文化は、その巨大な内懐に、
あちこちに孤立して海図に載っていない群島のように散らばっている、このような
ごく個人的な世界をかくしもっている。個人主義的な日本人は概して政治には
関わらない。現存する権力構造に挑戦しようものなら、必ず火傷を負うからである。
しかし、体制への順応を拒む彼らも、日本人であることにはかわりがない。

////////////////////////// 原書1989年刊 ///


300名無しさん@6周年:2007/02/03(土) 00:14:54 ID:N5at6zr1
ウォルフレンよ、江戸時代は暗黒にあらず。
江戸時代末期の都市移住比率は15%と、産革前にしては驚異的に高し。
重要なのは、これ程の非自給都市を絶えず養っていく程の余剰生産物が、
常に存在したと言う事。しかも江戸時代は鎖国していたのだ。
いかに農村からの余剰凄惨物の量が巨大だったかは、これである程度想像できよう。
暗黒とは、ほとんど都市化も専属市場もつくれなかった李朝のような国をいうものだ。
301名無しさん@6周年:2007/02/03(土) 00:16:28 ID:N5at6zr1
余剰生産の文字がまちがっとった
302 ◆fbBDnBiXNw :2007/02/03(土) 20:11:01 ID:t5SDy+vx

/// ジャパン・プロブレム 117 //////////////

 日本について述べる際、個人の人間的成長を理想と考えることは、西洋の
自民族中心の発想であると片づけてしまい、日本人には日本人独自の個人の扱い方が
あると想定するのが、ここ数十年ほどの一般的な傾向になってきた。だが、
文化の違いにはよらない、普遍的な人間の成長の基準というものもありうる。
小さな花芽からバラが花ひらき、猫にみまがうトラの幼獣が立派な親トラに
成長するように、成長する人間には本来、円熟し完成した、より統一のとれた
一人の人間になるという目的が組み込まれている。日本以外のアジアの国ぐにや、
ものの分かった日本の人たちとの体験を通じて、筆者のこの信念はいよいよ
たしかなものとなった。

///////////////////////// 早川書房 ///



303名無しさん@6周年:2007/02/04(日) 19:05:20 ID:si1/SJRY
円熟の基準が西欧と日本では違うことに気づけよ、いいかげん
304名無しさん@6周年:2007/02/04(日) 19:25:37 ID:JyGG/A1+
273の理論に笑った。
戦国以前は農民はおろか、寺社や商人までも武装する時代。
斉藤道三も、油を仕入れるのに800人の武装集団で仕入れに行った。
じゃなきゃ匪賊に襲われ、商売できなかったからな。
寺社も、自らの利権保護のために武装しており、まるで暴力団さながらだった。
そのような時代における刀狩や鉄砲廃止は、国の経済発展に目茶苦茶寄与したのだ。
・・・って、fbBDnBiXNwはそんなことも分からんか。
アホなオランダ人の文章を盲目的にレスしやがって。
305 ◆fbBDnBiXNw :2007/02/06(火) 21:24:16 ID:mmRcZcdR

/// ジャパン・プロブレム 118 //////////////

 日本について述べる多くの評論家が、価値判断と決められかねないことについて
言及するのは、これまで極力避けてきた。だが、筆者の立場からすると、なんらかの
信念と究極的につながる価値判断をぬきにして、意味のある政治的な議論を
展開できると考えるのは、幻想にすぎない。客観性を保つためには、できるかぎり
偏見を入れない注意がつねに必要だが、テーマの選択そのものにその人の関心事が
すでに反映されている。これは必ずしも偏見とはいえない。たしかに多くの事が
比較の問題だろうが、望ましい生き方の基準はたしかに存在するし、選択は
しなければならない。自分の属する社会で、一人の人間としてどこに自分を
位置づけるかが、運まかせであってはならない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



306 ◆fbBDnBiXNw :2007/02/09(金) 23:06:34 ID:2WMHROjY

/// ジャパン・プロブレム 119 //////////////

 自己を知るには政治生活の本質と範囲を理解しなければならない、という
意義深い発見をしたギリシャの哲学者プラトンは、権力は腐敗しやすいことを
十分に認識していた。プラトンの合理的で洞察力に満ちた詩的な頭脳は、
政治行動に正統性を与えるための基本条件として、神話からの、伝統からの、
また、野蛮な権力からの解放が必要なことを最初に見抜いた。このことは、
西欧社会だけに当てはまるとは言えないはずだ。
 ポーランドに生まれ、共産主義社会に合わせて考えを変えるように強いられた
哲学者レゼック・コワコフスキは、西欧に生まれた同輩の大方の者よりなお深く、
このことについて考えた。そして彼の考えは、急所をついている。

/////////////////////// 840円(税込) ///



307名無しさん:2007/02/14(水) 00:37:12 ID:lfDDyDqa
ウォルフレンは西欧は個性を重んじるというが、歴史的にずっとそうだったわけじゃない。
宗教改革前の西欧は恐ろしく保守的だったし。
ルイス・フロイスは日本女性の開放性を褒めていたし、ヴァリニャーニョは日本人の自律を
重んじ、道徳心が高く、理性的な態度を高く評価し、「古代ローマ人のようだ」という賛辞を
送ったほど。
与謝野晶子はフランス滞在中、フランス上流階級の教育を「あまりに保守的。もっと個性を尊重する
教育を行うべきだ」と批判した。
要するに、文化や教育は時代とともに変化するということをウォルは知れ!
308 ◆fbBDnBiXNw :2007/02/14(水) 21:27:10 ID:PYwqj1Kk

/// ジャパン・プロブレム 120 //////////////

 個人の自由には、人類学上の論拠がある―と仮定してよいであろう。これは、
疑いをさしはさむ余地のない原理であり、「証明する」ということばの通常の
意味で証明することも反証することもできない原理である。それにもかかわらず、
われわれの希望、すなわち、自由は究極において全体主義と、世界の広範な
官僚化傾向との共同圧力によってもなくなることはないという希望と、その
防衛のためにいつでもすぐ立ち上がる用意があることは、実に我々の信念に
分かちがたく依存しているからである。自由への欲求、侵すべからざる自由な
選択による自己主張への欲求は、決して歴史の偶発的気まぐれではなく、特殊な
社会条件の結果でもなく、特定の経済生活の形態や、市場メカニズムによって
生じた副産物でもない、という信念である。この信念は、人間であるという、
われわれの特質そのものに深く根ざしているのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



309名無しさん@3周年:2007/02/15(木) 02:46:25 ID:k2ipt0Zn
民主主義とはより無能で分裂し、買収に弱い社会にすること。

自由主義経済とは欧米の勝てる分野だけ競争、買収を可能にすること。
310 ◆fbBDnBiXNw :2007/02/17(土) 20:29:16 ID:/ue9XEG5

/// ジャパン・プロブレム 121 //////////////

 これは哲学的な問題で、経験的な調査によって結論が出ることではないのを、
コワコフスキは知っている。そして、この問題を「科学的な探究を支配する諸原則
によっては解決不可能として、容易に無視あるいは否定することはできないだろう」と
考えた点で、彼は正しい。ひとたび、自由は個人にとって望ましいという哲学的見地に
立てば、社会秩序を維持するために必要とされる妥当な線を越え、自由をいちじるしく
侵す政治的方策をきちんと観察し評価するに当たって、人は批判的な分析アプローチを
用いる権利があるはずである。

////////////////////// 原書1989年刊 ///


311 ◆fbBDnBiXNw :2007/02/21(水) 22:48:54 ID:ZZcteSyO

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



312 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/07(水) 22:48:52 ID:WViu+Pc0

/// とらえどころのない国家 1 /////////////

カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より

・・・・・
2章 とらえどころのない国家

 日本人が生活する姿は、失敗作の劇をみるようだ。役者の言うセリフと役柄を
表現するはずの衣装とがちぐはぐなのだ。日本での権力の行使に関係する諸機関、
行使の過程、様態なども、一見したところと、よく観察した後とでは印象はまるで異なる。
 もっとも基本的なレベルにおいては、日本の政治生活も他の国ぐにの場合と
異なるわけではない。権力を愛する人もいれば、実際に権力を握る人もいる。
だが、大多数の人は、他の社会と同様、個人への懲罰や社会秩序の混乱を考慮して、
行使される権力にみずからすすんで服従することになる。日本にも、法律、
立法者、国会、政党、労働組合があり、首相、利益団体、株主などがいる。
だた、このように聞きなれた名称だからといって、日本での力の行使のされ方について
早急に結論を出しては、間違いになる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



313 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/09(金) 23:16:50 ID:rjtiTkwm

/// とらえどころのない国家 2 /////////////

 日本の首相は、統率手腕をあまり発揮することは期待されていない。労働組合は、
昼の休みの時間に合わせてストライキをする。また、立法府は、実際に法律を
制定するわけではないし、株主が配当を強く要求するなどということもない。
また、消費者団体が保護貿易を支持し、法律は、有力者の利益を損なわない
かぎりにおいてしか、発動されない。そして、与党の自由民主党は、どちらかと
いえば保守的で権威主義的だが、ほんとうの意味では一つの政党でもなく、
実際に統治しているわけでもない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



314 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/11(日) 20:56:44 ID:xPSYt4Nu

/// とらえどころのない国家 3 /////////////

 それなら、いっそのこと、そんな名称を変えてしまえばよいと思うかもしれないが、
ことはそれほど簡単ではない。日本の社会政治機関の中には、その名に
ふさわしい機能を果たすものもあるからだ。ところが、別の時には、程度は
さまざまだが別の意味をもつ。この混乱の主な原因は、日本のジャーナリストや
学者が、こうした食い違いを指摘する習慣―欧米のジャーナリストや学者なら
普通のことなのだが―を身につけていないということにある。彼らは、それが
名称どおりだとして扱ってしまいがちなのだ。

///////////////////////// 早川書房 ///


315 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/17(土) 21:21:23 ID:gW6y6NF2

/// とらえどころのない国家 4 /////////////

 だからといって、多くの日本人が自分でそう思いたがるように、日本が、
外国人には"理解"できない所であるわけではない。ただ、この独特の複雑さを
解明する目的にはほとんど役に立たないばかりか、かえって物を見えなくさせる
西欧の政治用語には頼らず、しんぼう強い努力を続ける必要がある。日本における
政治の世界の現実は、つかんだと思ってもすぐ指の間からするりと逃げてしまう。
筆者が日本についての記事を書くとき、いたる所で、普通に使っている用語を
定義し直したほうがよいのではないかと思わせられる。というのは、これらの
用語から受けるイメージと日本の現実とが、まったくではなくとも、かなりの部分、
違うからだ。正直なところ、日本の権力構造について真剣に考える人なら、
政治分野の語彙をすっかり書き直してしまいたい衝動にかられるにちがいない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



316 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/21(水) 23:54:02 ID:gqAtmMoK

/// とらえどころのない国家 5 /////////////

    姿を見せない権力

 まず、国家(ステート)という概念の検討からはじめることにしよう。最近の
傾向は国家を政府や国と区別しないのが普通になっている。しかし、
これから先しだいに明らかになるが、その違いははっきりさせたほうがよい。
とくに、日本について考察する場合には、それが解明のかぎとなるのだ。
 国(ネーション民族国家)とは、共通言語を使用し、ほかとは異なる独自の
文化がある所と定義されている。この意味では、日本は明らかに一つの国である。
国家のほうは、簡単には言い切れないのだが、どの定義でも一致しているのは、
国家はその国土の究極的な統治権を有し、権力の最高裁決者だということである。
とすると、日本の場合、どこに国家と言えるものがあるのだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///



317http://softbank219025208047.bbtec.net.2ch.net/:2007/03/22(木) 00:02:52 ID:LbdpQ88X
back search 京都
318 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/24(土) 21:02:30 ID:MztVmpvh

/// とらえどころのない国家 6 /////////////

形式上あるいは公式には、議会制民主主義国ということになっているから、主権は
国民にあり、立法権は選挙で選ばれた議員によって構成される国会両院にある。
だが、この自由選挙によって選ばれた国民の代表たる議員の集まり、憲法に
国政の最高機関と定められている国会が、憲法の規定どおりの、いまの日本で
おこなわれることの最終的な裁決者であるとはとても考えられない。このこと自体は
別に驚くことでもない。ほかにも、本来そこに権力があると想定されているはずの
機関に、実際には権力がないという国がたくさんある。しかし、そのような場合には、
実際上の権力を握る別の機関か、一人の人物あるいは集団がいると考えて
ほぼ間違いない。ところが、日本の場合には、明確にそれとわかり他と一線を画せる
権力集団がないのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



319 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/28(水) 23:52:48 ID:ZEKGBQwi

/// とらえどころのない国家 7 /////////////

 国会両院以外に、国家の中核として権力を持っているらしく見える組織は、
官僚と大企業である。だが、この両者のどちらにも、究極的な権力はない。
ボスはたくさんいるが、ボス中のボスといえる存在はないし、他を統率するだけの
支配力のあるボス集団があるわけでもない。首都が国の経済、文化の中心だという
意味では、日本は高度に中央集中型の国と言える。東京は、パリやロンドンに
負けず劣らず、"すべてのものがある"大都市である。大企業は、中央官庁の
役人から離れないよう、本社あるいは重要な支社を東京に構える。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



320 ◆fbBDnBiXNw :2007/03/31(土) 21:01:42 ID:PTNX2OU9

/// とらえどころのない国家 8 /////////////

主要教育機関も、ここに集中している。予算陳情のためには、地方自治体も国の
中央官僚に取り入らなければならない。東京以外には、重要な出版産業も
娯楽産業もほとんど存在しない。ところが、この地理的中心地には、政治の
中核がないのである。
 どの国についても、国家の実態をとらえるのは容易ではないが、日本の場合は
とくに、バケツの中のウナギを素手でつかまえる、ということわざのたとえ
そのものである。指令の流れる経路、責任の中心、見え隠れする政策決定上の
実際の動きなどが、すべて気が変になるほど、とらえどころがない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



321 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/07(土) 22:27:35 ID:q+0X+l9j

/// とらえどころのない国家 9 /////////////

        実権のない王

 日本の政治の姿を外国人が検討する際に、肝に銘じておくべきことは、外見と
中味が一致すること稀である、ということだ。体験にもとづくこの忠告は、
何世紀にもわたり、日本を訪問した外国人によって何度もくり返しいわれてきた。
なんと、神話や伝説ではない日本についての初めての記録にすでに、日本の
最高政治機関の目指すほんとうの目標と表向きの機能とされていることとは、
ほとんど関係がないと書かれているのである。時は三世紀、中国は魏の国の
史書に次のようなことが驚きをもって記されている―倭の国は、形式としては
卑弥呼という名の女王によって統治されているのだが、彼女は衛兵に守られた
宮殿の奥に隠れていて、外界とのやりとりは一人の男を通してお粉割れる。
そして、国を統治する仕事のほうは弟にまかせたままである。

///////////////////////// 早川書房 ///



322 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/11(水) 23:59:24 ID:kbBRrMew

/// 「定価」のカラクリを教えます 10 ///////

        消費税の"盲点"

 消費税のスタートで、物品税の払い戻しを受けた小売店は、もちろん
城南電機だけではない。
 ところが、私のところと同じような"還元セール"を行なった店は、知るかぎりでは
一軒もない。口先だけで"消費者の味方"と言っているところは多いが、
実態はこんなものだ。
 消費者の方はほとんど知らないが、消費税そのものにしても、実は小売店は
ずいぶん裏で儲けている。

////////////////////// 宮路 年雄著 ///


323 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/12(木) 00:00:45 ID:wy+sfZ+J

/// とらえどころのない国家 10 /////////////

 世界の歴史を見ると、世俗の権力を持った僧侶王、神王、魔術師、シャーマン
などがあふれている。"神々の意思を知る"のが仕事であった卑弥呼も、こんな類の
存在だったようだ。しかし、この倭の王国の名目上の長は、実権をもっていなかった。
そしてこの後に続く代々の天皇にも、形式上の権力と事実上の権力とを分ける
日本的性向が象徴的にあらわれている。
 日本の女帝や天皇は、先祖代々の神を精力的に鎮撫する仕事から解放された後でも
驚くほどややこしい儀式をとりおこなわければならなかったので、たとえ国を統治して
よいといわれても、とてもそんな時間はなかった。初期には、政治的支配力のある
天皇も数人いたようだが、その支配権はまもなく、まず皇太子に、ついで、
皇室顧問役に委託されている。

////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



324 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/14(土) 20:44:02 ID:2Y+BVHyb

/// とらえどころのない国家 11 /////////////

 一〇世紀および一一世紀の日本には、権力保持者の一団とはっきり言える
藤原家の一族がいた。一族の娘たちを次々と天皇に嫁がせて、権威者としての
地位を強化しながら、可能なかぎりの支配権を奪い取った老獪な一族であった。
藤原家衰退後およそ一世紀にわたって、皇室の実権は、上皇または法皇とよばれる
退位した天皇が握ることになる。その後、権力のほとんどが平家一族によって
握られた過渡期を経て、事実上の権力はいよいよ、産業化時代に至るまで日本を
支配することになる武家幕府政権に移る。一一八五年には、源頼朝が、日本の
全六六カ国を治める勅許を朝廷からもらった。そしてその七年後、彼は"野蛮人を
征服する大総統"すなわち征夷大将軍の称号を与えられたのであった。
この官職は、後にさらに強化されて、一八六七年(徳川幕府減亡)まで、日本の
権力の公的中心として残されることとなる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



325fbBDnBiXNw:2007/04/14(土) 21:20:45 ID:1AzGcmJ+

///とらえどころのない国家12/////////////

ここで重要なのが、頼朝は土地と人民の上に君臨するアジア型の王にならなかった
ことだろう。彼は御家人と呼ばれる武士に土地を所有する権利を承認したのだ。
さらに頼朝より数十年あとに現れた北条泰時は、土地の所有等に関するルールを
定めた法典「御成敗式目」を制定した。
この法典は、そのルールが人間社会の理に適うように配慮して制定されたことに
意義がある。同族間、兄弟間で所有権争いが生じたとき、北条泰時は双方の主張を
平等に聞き、どちらの主張が理に適っているかを判断し、過去の判例と照らし合わせ
ながら裁断したのだ。
このような合理主義に基づいて制定された法典はアジアでは他に類例がなく、非常に
驚くべきことと言えよう。

///////////////////////840円(税込)///

326fbBDnBiXNw:2007/04/15(日) 10:37:49 ID:PFfOHFNV

///とらえどころのない国家12/////////////

私は以前、武家政権も藤原氏のように天皇の権威を隠れ蓑にして権力を振るってきたと
誤解していた。だがそれは間違いで、武家のリーダーたる将軍や執権達は、天皇が絶対的な
アジア型支配者になることを拒む役割を果たしてきたのだ。
従って権力者にならんと欲した最後の後醍醐天皇を退けた後、武士達のなかには天皇の存在
意義に対する疑問を公然と主張したり、自ら日本国王を名乗るものさえ現れたのだ。

///////////////////////840円(税込)///
327fbBDnBiXNw:2007/04/15(日) 11:19:44 ID:jBzbma7n

/////////////とらえどころのある国家13///

従って、室町期の天皇や貴族達の生活は非常にみすぼらしいものだった。
16世紀に訪れた西欧人の記述によれば、貴族であるにも関わらず物乞い
をしながら生活するものさえいたという。
この天皇を再び担ぎ出し、権威をあたえたのが戦国時代を終わらせた
豊臣秀吉である。彼は出自身分が低かったため、自らの権威を高めるために
天皇を利用したのだ。だがここで勘違いすべきでないのは、彼はただ単に
権威がほしかったということであり、その権威を隠れ蓑にして権力を振るった
わけではない点である。これは徳川政権も同じであり、隠れ蓑にできるほど
天皇の権威は高くはなかったし、また彼らもわざわざ隠れる必要などなかった。

///////////////////////840円(税込)///
328 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/18(水) 22:59:46 ID:1/vE7u6x

/// とらえどころのない国家 12 /////////////

 一方、政治的な存在としての朝廷はこの間、ないがしろにされていた。
手元不如意の天皇も何人か出たほどである。たとえば、正親町天皇(在位
一五五七〜八六)は、手元の収支を合わすため、自筆の書や皇居の家具まで
売り歩かなければならなかった。このように弱体化させられた朝廷のなかで、
唯一の例外は、武士階級の独裁者たちへの挑戦に成功して、一三三三年から
三六年までのわずか三年間ではあったが、皇室の権威を取り戻した後醍醐天皇
だけである。他の国でも、立憲君主制が登場して国王の役割が変えられる以前の
歴史には、非力な国王がいたようだ。だが、日本の場合には、力がなかったのは、
天皇制そのものだった。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



329 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/22(日) 18:47:35 ID:9cRr3++8

/// とらえどころのない国家 13 /////////////

 日本における権力は、つねに将軍という官職に最終的に託されていたのではない。
一三世紀には、歴史学者ジョージ・サンソムが言うように、「国家の頂点には
名目的な天皇がいて、そのわずかな名残りの機能は上皇が果たし、実権は
名目上は世襲制の軍事独裁者に委任されるが、実際には、その独裁者の顧問
(これも世襲によって受け継がれる)に握られているという、ただただ驚くべき
形態の国家」であったこともある。この最後に言及された独裁的な顧問というのは、
北条家のことで、この一族は、それ以前に勢力のある一族が天皇を支配したように、
将軍を支配していたのである。

////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



330名無しさん@3周年:2007/04/23(月) 00:48:05 ID:O5Vl3xuY

///とらえどころのある国家13/////////////

日本における権力は、13世紀以降は天皇側と将軍側に分かれたが、両者の性格は
相当違っていた。特に将軍は、武士の土地所有を認めてくれる最高権威であった。
ところが、初代将軍たる頼朝も、その後に続いた将軍も、朝廷の権門に近づくという、
武士達にとっては期待外れの行動を見せるようになる。源氏将軍はわずか三代で
滅びるが、これは朝廷の関与を嫌った武士一派が源氏将軍を排除した可能性があるのだ。

武士達の悲願、それは何が何でも自身の土地所有の安泰を得る事だった。
この視点さえ持てば「ただただ驚くべき形態の国家」などというジョージ・サンソムの
言葉も単に彼の勉強不足であるのが分かる。

//////////////「日本/権力構造の謎」///
331 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/25(水) 23:22:14 ID:y+UIcMrr

/// とらえどころのない国家 14 /////////////

 このような仕組みは、何世紀にもわたり同胞の日本人を支配した権力者
にとって、明らかに好都合なものだった。彼らのうちだれ一人として、みずから
皇位を奪おうと本気で試みた者はいない。反乱に成功した将軍が、次から次へと
新しい王朝を築きつづける、権力移行の素晴らしい手本が隣の中国に
あったことを考えると、これはさらに、驚くべきことである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



332名無しさん@3周年:2007/04/26(木) 01:04:04 ID:ZV6VvOqE

///とらえどころのある国家14/////////////

このような仕組み(封建制)は、何世紀にもわたり日本を強力な地方分権国家
にさせた。また、日本人の関心を、国の役人になることから土地の開拓へ向けさせ、
経済発展の重要な土台となった。隣の中国が、血縁村落と王朝の単純なピラミッド
構造に成り立ち、その頂点の王族や士族の栄枯盛衰の繰り返し国家だったのとは
著しく対照を成すと言える。

///////////////////////原書198?年刊///
333 ◆fbBDnBiXNw :2007/04/28(土) 21:02:55 ID:CCqWo7rR

/// とらえどころのない国家 15 /////////////

 だが、目に見える栄光はなくても、影の実権者としての有利な地歩だけで
十分だったようである。このような統治形式を定型化した藤原家は、肩書以外は
すべて掌中にある統治者としての全特権を一族で代々継承できる体制を、
あえて壊す必要は感じなかったようである。この伝統的な統治構造はたしかに、
実権保持者にとって有利な仕組みである。本来その実権と共にあるべぎ肩書を
ほかのだれかに持たせておけば、安泰でいられる。実権をだれが握っているのかが
はっきりしなければ、的をしぼって攻撃しようもないからだ。

///////////////////////// 早川書房 ///


334名無しさん@3周年:2007/04/29(日) 14:39:51 ID:RCcrytjf

///とらえどころのある国家15/////////////

ウォルフレンは日本の権力者が常に隠た存在で、その形態の生みの親が藤原氏という。
だが、このような分析はあきれるほどの無知さから来ている。
そもそも日本の権力者が影だったことはなく、むしろ天皇の権威を受けているのだという
アピールをしているのだ。さらに藤原氏と北条氏などの武家を同列に論じるなど、
愚の骨頂だろう。北条氏などの武家の頂点に君臨するものは、絶えず自分の部下達の土地所有を
保障し、所有権争いが生じれば裁定や調停してやらなければならず、強い責任が課される
地位なのである。「影」とか「隠れる」とかいうウォルフレンの議論は一体何を指すので
あろうか?無知にも程があるし、思いつきで歴史を語り、本として出版するのであれば
害毒でさえある。

/////////////////////////早とちり書房///
335名無しさん@3周年:2007/04/29(日) 17:41:23 ID:4E9Ce407
てか、北条氏や足利氏、秀吉や家康はかくれていたってのか?
ウォルフレンって精神だいじょーぶ?
336 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/02(水) 22:29:14 ID:4i7PUFms

/// とらえどころのない国家 16 /////////////

        操作される一党体制

 この形式上の権威と実質的な権威との不一致とうことは、近隣のアジア諸国にも
なじみが深い。今日のアジアの形式上の権力構造の多くは体裁をつくろうための
作りものである。アジアの非共産主義諸国の飾りものの公式の体裁は、
インド、インドネシア、フィリピン、マレーシアの場合には、旧植民地宗主国によって、
また、タイや日本の場合には、西洋的形態を取り入れたほうが自国の独立も護れ、
西欧諸国からも敬意の目で見られるだろうと考えた国内の改革者によって、
西欧からとり入れられたものである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



337名無しさん@3周年:2007/05/03(木) 20:04:52 ID:3rGjEUwH

///とらえどころのある国家16/////////////

形式上の権威と実質的な権威の不一致は、決して実質権力者が形式権威の影に
隠れる事を意味しない。そもそも日本には目指す政体が全く異なる二つのグループ、
即ち朝廷と幕府、王侯貴族と武士(開拓者)が並存したのであり、天皇から授かる
征夷大将軍という構図は両者の妥協の産物に過ぎない。決して武家の棟梁が天皇の
権威に隠れているわけではない。
近代日本については、日本が民法や商法、会社法などの法律を取り入れることが
出来たのは、江戸期の日本が小家族社会で私有の観念を発達させていた事、信用制度を
高度に発達させていた事、商業活動が国や特定氏族の規制のもとになかった事などが
理由として挙げられよう。ただし、明治日本の指導者は、英米型の自由経済より帝国
ドイツ時代の新重商主義型経済に魅力を感じ、これに近いシステムを導入した。
これは実は今日の日本にも言えることで、現在の日本の経済はとても自由主義型とは
呼べそうにない。

///////////////////////篠原涼子(翻訳)///
338名無しさん@3周年:2007/05/04(金) 08:38:22 ID:yDc4w+LX
人の受け売りじゃない、自分の意見は無いのか。
339 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/05(土) 20:17:43 ID:Smv/yxkY

/// とらえどころのない国家 17 /////////////

 こうしたアジアの政治体系は大なり小なり、目に見えない権力構造を隠す、
みせかけの体裁であることが多い。したがって、これまでおこなわれてきた、
その国に固有な政治的行動の形態を明らかにすることによってはじめて、その
国の政治的過程が理解可能になる。欧米諸国においても法の規定を超えた非公
式の人間関係が、権力の行使に大いに影響を与えることはあるだろう。しかし、
ほとんどのアジア諸国の場合、個人的な人間関係が、歴史の浅い形式的に公平
な政治機構より、はるかに重要なのである。とはいえ、アジアの形式的な統治
過程を、無意味なパントマイムにすぎないと一笑に付してしまってはいけない。
西欧から移入された公式構造が、それ以前の政治的行為や慣習と作用し合って、
旧体制が根底から変えられた部分もあるからだ。このことにおいては、日本も
例外ではない。

/////////////////////// 840円(税込) ///

340名無しさん@3周年:2007/05/06(日) 13:51:21 ID:f59i1mar

///とらえどころのある国家17/////////////

ウォルフレンは自分が何か「そうに違いない!」と考えれば、すべてをそれに当てはめて
強引に解釈する癖がある。戦前の日本軍が天皇の権威を盾に権力を振るった事に対し、日本は
歴史上ずっとそうなのだと早とちりしているのだ。
だが、繰り返すが武家の棟梁は天皇の権威の影で権力を振るったわけではない。それどころか
多くの武士や御家人は、武家が朝廷の権力から逃れて欲しいと願っていた。頼朝が晩年娘の入宮に
こだわった事に失望した武士は多かったはずだ。それに、足利幕府や徳川幕府が「目に見えない
権力構造でみせかけの体裁」であるなどとは、日本史を少しでも勉強すれば誰も思わないだろう。

///////////////////////480円(税込)///
341 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/10(木) 00:31:52 ID:sFOfZ7Kt

/// とらえどころのない国家 18 /////////////

 ところが、日本は、欧米諸国以外で、民主主義国としての体裁がもっとも完壁に
整っている国であるし、地政学的に西欧の先進工業国と同じ類型に属すると
一般的に考えられているので、他のアジアの国々に比べ、いっそうその政治の
実体について誤ったとらえ方をしてしまいがちだ。また、日本は、近隣のほとんどの
国のように歴然と判るほど、権威主義の権力によって統治されているわけではない。
日本の政府は、権力の座を守るために、人びとを投獄したりはしない。というわけで、
日本は立憲制度がみごとに花開いていると、ずっと思われてきた。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



342名無しさん@3周年:2007/05/12(土) 21:19:56 ID:iaWem1cs

///とらえどころのある国家18/////////////

とらえどろがあるかないかなど、別に日本に限る話ではない。最近のアメリカの
外交行動はとらえどころがない。確かにアメリカの最高権力者は合衆国大統領で、
現在はブッシュだが、イラク戦争やアフガン戦争が誰が、どういうプロセスで決定
され、遂行されたのかは釈然としない。またその戦争理由も諸説あってあいまいだ。

日本の権力機構はピラミッドの頂点のない無政府型・官僚非統率型と指摘されるが、
そうでないアメリカのような国に於いてもとらえどころのない事象は往々にして起こる
ものだ。そしてこの米国外交のとらえどころのなさをオブラートで包む役割を担うのが
「自由化や民主化」のスローガンだろう。

////////////////////カレル・ヴァン・ポルフレン著///
343 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/13(日) 20:53:55 ID:Xa9NjgsH

/// とらえどころのない国家 19 /////////////

 日本には、議会制民主主義には欠かせないとされる機関がすべてある。
そして、表面的に見るかぎり、別に並外れて特異なところがあるわけではない。
東京の都心には国会議事堂がある。衆参両院の議員たちが集まって
審議をする場所である。民主主義にそって自分の職務を遂行していない
のではないかなどといわれれば、彼らは激怒するであろう。日本国民には、
四年ごとに、また時によってはもっと頻繁に、広範にわたる候補者の中から
自分がよいと思う議員を投票で選ぶ機会がある。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



344 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/17(木) 22:21:02 ID:I/R0FYWz

/// とらえどころのない国家 20 /////////////

 ところが奇妙なのは、この自由選挙の結果が、一九五五年以来一党支配
となって現われていることだ。しかも、野党は一度も本格的に自民党の地位を
おびやかそうとしたことがない。一九四七〜八年社会党の保守派が窮余の
連合政権をつくった一〇カ月間を除き、終戦以来ずっと、比較的少数の政治家
グループが、大臣の座をたらいまわしにしてきたといえる。席にありつくのは
お気に入りの子飼いだけで、国民は重要な政治的決定にじかに影響を
与えることはなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



345 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/19(土) 21:38:46 ID:sN4s9qFX

/// とらえどころのない国家 21 /////////////

 この政治家の集団は現在、自由民主党と呼ばれている。だが、すでに見たように、
政治的徒党である派閥の連合体を一つの政党と呼ぶのは完全な誤称である。
この自民党には、政党にあるべき草の根レベルに達する組織もなく、党内の
指導権の継承についてもその選出方法をめぐって全体的に合意に達した
総裁選びの規則があるわけでもない。それどころか、政党としての明確な
基本的政治理念にも立脚していない。党員数もある年には一五〇万以下だったのが、
次の年には三〇〇万を越え、さらに次の年は、また一五〇万以下に減るという
ぐあいである。というわけで、これではとうてい西欧で一般的に政党と考えられている
類のものではない。

///////////////////////// 早川書房 ///



346 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/23(水) 23:12:49 ID:loQfSnmi

/// とらえどころのない国家 22 /////////////

 日本は一党体制であるとは、めったにいわれない。むしろ、大衆は自国に
経済的繁栄をもたらした政治家を固く信じており、そういう政治家なら、いくら
大勢いてもいすぎることはないと考えているらしいと論じられている。事実、
ごく最近まで、日本について書く有力な外国の学者のほとんどが、この見方を
していた。だから、自民党が、この説をもって、その不動の地位を外部の
世界に説明するのも、それはそれで頷ける。アメリカの大統領が日本の首相に、
両国は共に複数政党制による民主主義によってたつといっても、日本の首相は
あえて異を唱えない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



347名無しさん@3周年:2007/05/25(金) 18:02:22 ID:meo1Tljy
>>334
>そもそも日本の権力者が影だったことはなく、むしろ天皇の権威を受けているのだという
>アピールをしているのだ。さらに藤原氏と北条氏などの武家を同列に論じるなど、
>愚の骨頂だろう。
たしかに武家政権が天皇の権威の影に隠れていたというのはウォルフレンの誤解だろう。
しかし 天皇家と藤原氏との関係や 将軍家と北条家との関係というのは諸外国では一、二世代ぐらいなら
あるだろうがあまり例がなく、歴史的にみて日本特有の権力構造であることは事実だろう。
権力の名目上の保持者と実際の行使者の乖離だろう
先の大戦における軍の暴走もこういう視点でみると理解できるところがある
よく明治憲法の統帥権に関する不備が挙げられるが、軍の統帥が君主の大権に属するような規定を持った憲法は
諸外国にもけっこうあったと思うが他国に武力行使する(小競り合いみたいのは別として)のに
軍と政府の意思統一の形成が成されない国なんて日本ぐらいしかないのではないかな
まあ ウォルフレンは結構間違いもあるけど なるほどとおもえることも多いな
348 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/26(土) 21:47:58 ID:psOdq1Lo

/// とらえどころのない国家 23 /////////////

 だが、自民党が権力の座を維持してこられた本当の理由は、ゲリマンダー、
すなわち自党に有利な選挙区の改変・維持にある。自民党に必要な全投票数の
約四八パーセントを確保するために金をばらまき、そして、農村地域の基盤整備を
すすめるには自民党の候補者を選ぶしかないという口上を、地元の有権者に
くり返したたき込む作戦である。自民党によって作り出された今の地方の
状況からいうと、実に的を射たくどき文句である。制度的に地方自治体は、
中央官僚によって割り当てられる一連の補助金に大きく依存している。

/////////////////////// 840円(税込) ///



349名無しさん@3周年:2007/05/28(月) 00:17:34 ID:TPGCYAnM
>347

日本軍だけでなく、例えば最近のハンミちゃん一家事件も川口外相や官邸に情報が
届いてなかったな。根は同じだろう。
だが、それと鎌倉時代の北条執権制とどう関係があるのかよく分からん。
北条氏が「これは天皇や将軍の命令なり」と言って、それらの権威を笠に着て権力を
振るったわけではない。単に朝廷と幕府の二重政体、朝廷方と御家人方双方の様々な
思惑の結果の産物が将軍家・北条執権制となったにすぎない。
350名無しさん@3周年:2007/05/28(月) 00:43:57 ID:RmDGqkyj
ウォルフレンにはそもそも武家が何を望んだかとか、封建制の発達とか、日本史を
根本から理解しようという姿勢がまるでない。
彼はただ単に、近代以降の天皇と日本軍の「権威と権力の不一致」や、「目に見えない
権力構造」という事象を日本史の中から探し出し、似た事例があれば「これもそう、
あれもそう」と強引に結びつけるだけで満足なのである。
351 ◆fbBDnBiXNw :2007/05/30(水) 22:03:25 ID:u5khEu+S

/// とらえどころのない国家 24 /////////////

この補助金制度は、公平な規則によって運用されているわけではない。
割り当てる側の中央省庁の役人との間をとりもってもらうのに、政治家が
必要になる。そして、自民党の政治家が、唯一ではないまでも、いちばんの
コネを持っている。そこで、自民党の政治家は、地元有権者の欲する公共事業に
必要な予算を割り当てる官庁担当者とつながりがあることを、選挙運動の
目玉として強調する。不正な選挙運動に手をかすのは、中立がたてまえの農協、
おびただしい数の建設会社、そして自社の施設を事実上の選挙事務所に
提供するその下請け企業である。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



352名無しさん@3周年:2007/05/30(水) 23:14:40 ID:rk9XtNdE
>>349
>鎌倉時代の北条執権制とどう関係があるのかよく分からん
そもそも最大の武力を有する集団が中央政府(朝廷)の統制を受けなくなったことが武家政権の発生ということからも
戦前の軍の暴走とパターン的ににているってこと 
北条家の支配体制というのは将軍の権威が必要でありながら権力としては将軍を無視して幕府を運営できるという体制で
こういうのは日本以外ではあまり例がないのでないかってこと
353名無しさん@3周年:2007/05/31(木) 00:38:28 ID:HrXaW6Oe
平安時代に発生した武士と日本軍が繋がるってちょっと(いや、目茶苦茶?)びっくりだ
あんたとは価値観が違いすぎるな
武士は土地の開拓者で、荘官で、自分の土地所有をきちっと認めてもらいたかったわけで
それを頼朝は認めてやり、幕府が開けた。
で、北条が将軍を迎え入れたのは彼ら武家一族は身分が低かったし、朝廷の権力も
まだ衰えてはおらず、朝廷方と何らかの妥協が必要だったためだ。
北条泰時は名君の誉れ高いが、それは決して武家の安泰だけを考えず、朝廷側にも配慮が
行き届いていたためだ。彼が武家だけでなく朝廷にも評判が良かったのはそのためだ。

というか、この王朝社会から封建制へ流れる日本史のハイライトが「武士の暴走」で
片付けられ、日本軍と同列に論じる手法に驚きを感じる。
武士の所有権争いが日本に「道理」という、西欧の「理性」に通じる合理主義を
根付かせたのではないのか。自分の土地所有が認められる体制になったのも大いなる
進歩のはず。北条家が後鳥羽のような王朝復古推進者を退けただけでも意義深いこと。

ウォルフレンのように武家が天皇の権威に「隠れている」などというのは論外だが、
武家が単純に暴走したというのも再考すべき。



354名無しさん@3周年:2007/05/31(木) 20:31:08 ID:FD1XzoC2
>>353
>王朝社会から封建制へ流れる日本史のハイライトが「武士の暴走」で
>片付けられ、日本軍と同列に論じる手法に驚きを感じる。
あたりまえのことだけど古代から中世への政治体制の変遷と近代の日本の政治権力の構成のゆがみが
同じだといってるわけではないよ 当然そうした政治体制の変遷には当時の経済や社会の発展度が主要因になるわけだから
でも 日本の歴史を通じてよく見られるパターンとして 上部の権力構造をそのままにしておきながら下部の権力構造が
実権を奪ってしまうという形が頻繁(少数の例なら外国でもみうけられるが)にあるってこと
例えば 歴代の武家政権は朝廷を滅ぼしてそれに代わることもなく 武家政権内部においても将軍が実権を握ってないような体制が発生したり
近代では 陸軍の一部が政府を無視して対外的武力行使をしたりなど
外国の場合なら下部権力構造が上部権力構造を完全に打倒してそれに取って代わってはじめて行えるような権力行使ができてしまうってことが
日本特有だといえるわけ
355名無しさん@3周年:2007/06/01(金) 01:17:03 ID:SN0bNqBS
 武士団が朝廷の言う事をきかず暴発したというより、朝廷とは価値観も目指す政体も異なる
開拓者集団が、朝廷から独立し、律令とは違う新たなシステム確立に立ち上がったということ
だと思うが(そもそも武士団は朝廷の正規軍でもなんでもない)。
ただ鎌倉時代は朝廷もそれなりに強く、両者の権力も拮抗していたため(権威は圧倒的に朝廷
が上)、幕府も仕方なく将軍を戴くしかなかったわけで。決してその権威を利用して権力行使
をしてやろうってわけじゃない(秀吉は明らかに天皇の権威を利用したが)。
 朝廷と幕府の妥協の産物が、将軍・執権制となって現れた(頼朝は天皇の権威で、北条氏は
将軍の権威で権力を振るっていない。そもそも鎌倉時代の御家人たちは朝廷の権威権勢を
嫌っていた)に過ぎない。

軍のシビリアンコントロールの欠如は結構あると思うが。第一次大戦でドイツ政府は
ヒンデンブルグ将軍指揮下のドイツ軍をコントロール出来なかったし。


356名無しさん@3周年:2007/06/01(金) 20:17:45 ID:8wWgNytI
>>355
>頼朝は天皇の権威で、北条氏は 将軍の権威で権力を振るっていない
頼朝は文治の勅許などを権力の根拠にしているし、北条氏は将軍家の執事であることで権力をふるってる
承久の乱後三上皇を島流しにできるほど権力では幕府が朝廷を圧倒しても幕府は朝廷をほろぼそうともしていない
こういう二重王朝制は外国では何世代も長くつづかない
>軍のシビリアンコントロールの欠如は結構あると思うが
たしかにシビリアンコントロールの欠如は外国にもよくみうけらる
しかし軍が国内において政府から独立しているような国でも外国に武力行使を開始するような重要な決定に対して
政府の意思決定がなされないで大規模な戦争に拡大したのは日本ぐらいだろう
だから外国からみるとどこで国家の意思決定がなされているのかがわかりずらくなるわけで
鎌倉時代なら問題のない国家の不在は近代になると致命的な欠陥となってくる

357名無しさん@3周年:2007/06/01(金) 20:37:35 ID:s0fliqpc
ドナルド・キーンって人いなかったっけ
358名無しさん@3周年:2007/06/01(金) 22:41:14 ID:9G2zXvkA
頼朝の権力の源泉は土地授与・保障の能力であり、天皇から勅許を受けたというのは
体面を繕うためのものに過ぎない。いくら勅許を受けようが、娘の入宮に拘り朝廷の
権勢に近づいた途端、有力御家人の反発を食らっていた。
それに鎌倉時代は西国ではまだ朝廷の力は強く、荘園主と地頭の争いも頻発しており、
いきなり朝廷を蔑ろにはできなかった(初期は地頭を置くだけでも反発があった)。
 ところでこのような二重体制って中世西欧の教会権力と領主権力の二重性に似てないか?
状況が違うのでなんとも言えないが。

まあ、何にしても、頼朝や北条氏のような封建君主の権力は、土地の保障や授与・調停能力
が源泉であり、それを失うと急速に失墜してしまう。
天皇や将軍の権威だけで真に御家人を平伏させることなど出来ないし、武家の棟梁という
地位はそんなにあまくはない。
ましてやウォルフレンが言うような「隠れている論」は論外だ。

359名無しさん@3周年:2007/06/02(土) 00:47:08 ID:IzYcO2bF
北条氏って悪く言われすぎだと思う。
泰時は江戸時代までは武士の英雄だった。大岡忠相も裁判官として泰時を尊敬してたし。
真に武家社会を確立したのも彼だろう。
また、北条独裁体制を確立した時頼も、名君として名高い。晩年に水戸黄門のように
諸国を巡察したという伝説があるほど庶民に受けが良かった。
 また、評定所や引付衆を設置して土地問題などを「道理や過去の判例、貞永式目」
に照らして合理主義的に解決させており、人治主義的ではないシステムを確立。
北条の治世は立派な面も多い。
 だが、近代以降の皇国史観は北条氏の評判を失墜させた。やはり後鳥羽の追放処分
や土地没収等が皇国史観にそぐわなかったのだろう。政子のあからさまな反逆劇も
不愉快な事。今では「泰時?誰それ?」というレベルになってしまった。
 
 北条の治世の意義が再評価された時、日本史は皇国史観の呪縛から完全に解放される
のだと思う。
360名無しさん@3周年:2007/06/02(土) 12:46:10 ID:qyzMlQ0O
 ちょっと本筋から離れてきたので戻るが、要はウォルフレンは「誰が権力者なのか
はっきりしなければ、支配者は安泰だ」と言いたいのだろう。>333のように。
だが、鎌倉時代は明らかに北条氏が権力者であるのがばればれなわけで。
というか、初めから北条氏は権力を曖昧にするつもりなどなかったから当然か。
 そして元寇以降土地授与能力を失った北条氏は御家人の総スカンをくらい、
あえなく撃沈された。これこそ>331で言うような、「権力移行の素晴らしい手本」
であると俺は考える。勿論御家人は北条氏が実権を握っている事を知っていたため、
的をしぼって攻撃することができた(って当たり前)。
361 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/02(土) 22:04:55 ID:sxMCt3aS

/// とらえどころのない国家 25 ////////////////

 さらに、自民党の絶対多数は、日頃なにくれと面倒をみている農村地区の
一票が、都市部の三票に値するという、不公平な票の重みの上に立つ代表制によって
保証されている。大都市以外の地方で再選を狙う自民党候補者は、実に
手のこんだ巧妙なやり方で選挙区向けの利益誘導工作をおこなうのがつねだ。
 つまり自民党は、なによりも、一個の巨大な集票機構なのだ。選挙の結果は、
ある政策に有権者が賛同するかどうかではなく、その時どきによって変わる
任意の要素により決まる。

//////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



362名無しさん@3周年:2007/06/02(土) 22:15:24 ID:ks4Kz1UB
>>358
>頼朝の権力の源泉は土地授与・保障の能力であり、天皇から勅許を受けたというのは
>体面を繕うためのものに過ぎない
たしかにむき出しの権力としては武家政権に必要とされたのは土地に関する調整力だろうが
権力というのはそれを正統化する根拠がないと単なる暴力や脅迫にすぎなくなる
これらのことを考えると勅許は体面を繕うといえるような小さいものと言い切るのは無理があるような
>ところでこのような二重体制って中世西欧の教会権力と領主権力の二重性に似てないか
たしかに朝幕体制とは似ているとおもうが基本的にはどちらも世俗君主であるところが大きな違いだと思う。
ウォルフレンがよく言ってたアカウンタビリティ(説明する責任)ってのは世俗領主が教会にたいして負う責任から始まったらしい
このアカウンタビリティの欠如が日本の権力構造の問題ってのがウォルフレンの主張らしい
まあこの論が正しいかどうかはわからないが
363名無しさん@3周年:2007/06/02(土) 23:19:57 ID:ks4Kz1UB
>>362
訂正
>朝幕体制とは似ているとおもうが基本的にはどちらも世俗君主であるところが大きな違いだと思う
朝幕体制とは似ているとおもうが基本的には天皇と将軍両方とも世俗君主であるところが大きな違いだと思う
364名無しさん@3周年:2007/06/03(日) 21:21:27 ID:it93hIRN
それにしても俺はあの時代(主に鎌倉)に朝幕二重体制で良かったと思うね。

封建制は、独立して徴税などを執行できる地方組織と、それらを包括して上位に
立つ中央政府(幕府)の存在、そしてその両者の力関係のバランスが重要という。
ここで中央政府が強すぎれば、封建制は消滅し古典的な王朝社会に戻ってしまうのだという。

もし朝廷という権威権力がなければ、個々の御家人を北条氏が圧倒して権力を持ちすぎ、
北条王朝なるものが出現してたりして。
ただ俺自身もっともっと封建制については学ばなければならないと思っています。
365 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/06(水) 23:13:41 ID:SZhNmSLJ

/// とらえどころのない国家 26 /////////////

投票率(農村部の投票率が高いほど自民党に有利)とか、複数の侯補者を
立てる選挙区であまり票が割れないよう、どの候補者を自民党公認にするかに
関してどの程度注意を払うかなどによって決まるのである。高名な政治学者、
升味準之輔が一九六〇年に指摘したように、自民党が日本社会党の
二倍の議席を獲得したといっても、それは、自民党の考えや福祉政策を
良しとした人が二倍多かったということではなく、自民党の出した金が、
社会党の単なる意見よりも二倍の重さがあったということなのだ。

//////////////////////// 原書1989年刊 ///

366名無しさん@3周年:2007/06/07(木) 07:50:46 ID:DwaEDlau
ところでウォルたんはどこの大学でてるか気になる
彼、ていうかオランダ人は好きだよ
小沢よりウォルのほうが好きかな 二人は一致してるけど
367名無しさん@3周年:2007/06/07(木) 20:58:07 ID:+tge+j+E
今の日本の権力者はマスコミ内の共産主義者でつよ
368 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/09(土) 22:08:23 ID:CxtDogq4

/// とらえどころのない国家 27 /////////////

        野党がうたうギリシャ悲劇のコーラス

 日本の"野党"は、自分がいるべき場所は、永久に政府の外だと考えている
かのような政党ばかりなので、自民党は不当に政治体制を操作しつづけることが
できる。自民党が、政権担当の能力をそなえているのは自党だけというイメージを
容易に定着させられるのは、第二党である社会党のおかげだといえる。社会党の
非武装中立の擁護と長年にわたる反米一辺倒の立場とイデオロギー上の
味気ない教理論争は、一般の有権者をひきつけないためにわざとそうしている
のではないかとさえ思えるほどだ。

///////////////////////// 早川書房 ///



369名無しさん@3周年:2007/06/09(土) 23:53:12 ID:iZiZAVvC
オランダは日本のせいで植民地失ったから反日
370名無しさん@3周年:2007/06/11(月) 00:13:43 ID:4N+JpsE9
日本が韓国に被害を与えたなんちゅう気狂い発言すんのがウォル

日本の満州支配は毛沢東の満州侵略の5万倍まともやのに日本の満州支配だけを
異常に非難する危惧類野郎がウォル

超ド級の気狂い、それがウォルの正体
371名無しさん@3周年:2007/06/12(火) 22:47:29 ID:fcbJ1xce
毛沢東の満州侵略は異常
満州人や朝鮮人虐殺しまくり
酷すぎたから豆満江渡って北朝鮮に逃亡する朝鮮人が後をたたなかったほど

一方、日本の満州支配には戦後の護送船団の原型がある
それは産業によって計画経済、自由経済、緩やかな官僚主導型経済を振り分ける手法にある
1920年代までの日本は重工業が西欧列強に大きく遅れてたが、それは自由経済に
委ね過ぎてたから 企業は株主の配当を増やすことしか頭になく、従業員の利益も、
設備投資の資金も著しく不足してた だがこれでは経済、特に国の基幹産業が発展しない
そこで登場したのが満州の革新官僚宮崎正義である
彼は、軍需や製鉄などの基幹産業は計画経済的に国が積極関与するのを良しとした 
ただし、それ以外はあまり国が前面に出るべきではないとし、自由主義と計画経済の折衷方式を
確立したのだ その結果、満州の経済発展はかなりのものがあり、満州建国以来毎年100万人
前後人口が増えていった
この満州の経験は、宮崎の部下であった岸信介らによって戦後の日本にも生かされたのである
372 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/13(水) 22:34:23 ID:FldMEzXZ

/// とらえどころのない国家 28 /////////////

もうひとつのイデオロギー政党、日本共産党は、いくつかの点で純理論
一点ばりの非現案的、教条的なところがやや少なく、共産主義者以外の
有権者からの共感票をかなり大量に集めることがある。だが、党成立後すぐ、
あきらかにモスクワの外交路線の道具になった過去があり、また、なんであれ
"共産主義"というレッテルには恐れをなすという戦後の名残りもあって、
他の少数党の連合パートナーとしてさえ受け入れられることはない。
 小さな民社党と公明党は、時どき、国政に正式に参加してみたいという様子を
見せるのだが、それは、自民党との連合パートナーとして、というだけである。
この二つの党が社会党と組めば、自民党以外の政権が誕生した可能性も
あるのだが、これまで一度もそんな機会をものにできなかった。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


373 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/16(土) 20:40:36 ID:mUAwJpHf

/// とらえどころのない国家 29 /////////////

 この日本の万年"野党"は、西欧の議会制民主主義国の有権者にはとても
想像もできないやり方で、機能する。これまでのところ、リベラル派の日本人に
戦前の政治や統制の悪夢を思いおこさせる立法に対するいやがらせ効果と
障害物としての役割を果たしてきたという意味では存在意義があった。国会の
常任委員会で、ニュースになるような議事進行をおこない、自民党を当惑させる
こともできる。しかし、政策について自民党と本格的に議論をたたかわす
ことはない。

/////////////////////// 840円(税込) ///



374 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/23(土) 22:15:25 ID:MAZGOV/q

/// とらえどころのない国家 30 /////////////

 "野党"不在のまま議案を通過させれば、自民党は独裁的だといって手きびしく
批判されるから、国会の議事進行ボイコットは象徴的に怒りを示すには効果的な
方法である。少数野党は、自民党の"傲慢無礼なやり方"に対し抗議する時、
"政治モラル"(自民党議員の政治腐敗をさしていう腕曲表現)を問う時、また
時には、政府予算案に同意できないという意思表示にも、この手に訴える。
一九八三年には、野党が二八日間にわたって国会審議を停止させて新記録を
作ったが、一、二週間にわたり国会審議を麻痺させることはたびたびある。
八七年の春には、ある少数党の審議ボイコットがきっかけになって、自民党支持者の
間で売上税案に反対の立場が強まり、やむなく大規模な税制改革案までが撤回の
うき目をみた(だが、一九八八年暮れに装いを変えて消費税法案が国会を
強行通過して成立した)。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



375 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/24(日) 19:44:50 ID:Z3Cy/uI0

/// とらえどころのない国家 31 /////////////

たいていの場合、ボイコットの圧力を受けた自民党は、実際の政策にごく
わずかの影響しか及ぼさない象徴的な問題についてのみ、妥協する。
ごくわずかな例外を除いて、日本の国会審議は民主主義的雰囲気を改めて
作りだすパフォーマンスであり、国政の展開にはほとんど影響力を持たない。
 ひとことでいえば、日本の国会における野党は、ギリシャ悲劇のコーラス役の
ようなものなのだ。この国の政治について百年一日のようにくり返される
単調な説明、そして自民党の道徳上の罪の数々を嘆くことばは、あくまでも
儀式的であり、毒にも薬にもならない。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



376 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/27(水) 22:58:46 ID:VTSLf9yd

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

///////////// 絶賛発売中!///



377 ◆fbBDnBiXNw :2007/06/30(土) 22:21:10 ID:duo2ANre

/// とらえどころのない国家 32 /////////////

        非力な大臣

 自民党は慣例的に"政権党"と呼ばれるのだが、実際には、これも誤称である。
なにしろ、この党の発案で法律が制定されたケースはほとんどないのだから。
いくつかの政策については、もとをたどれば自民党の有力議員グループが
イニシアチプを取ったものにいきあたるが、たいていの場合、自民党はたいして
重要な役割を果たすわけではない。自民党が政策実施の優先順位をみずから
打ち出すことは、ほとんどない。その実力の限界は、政治的決定ができなかった例
―たとえば、諸外国との紛争軽減を目的にした政治的決定や、国内の社会基盤
整備のための政策など―を見れば、いちばんよくわかる。自民党内のある人物や
集団が間接的な方法で力を行使することはあっても、国家の運営にふさわしいと
一般的に考えられるような権力ではない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



378 ◆fbBDnBiXNw :2007/07/04(水) 21:52:38 ID:IC9e1dEQ

/// とらえどころのない国家 33 /////////////

自民党の議員と他の日本人の違いは、議員は、まず大きな私的特権があり、
また、支持者に頼まれた要望を官僚に伝達する能力があるということだ。
八○年代後半には、日本の状況を見ていた欧米諸国の多くの者が、自民党は
一念発起して、産業構造の再編成、国内市場の開放、金融の自由化、
教育改革についての政策を積極的に議論しみずから推進役を買って出はじめた
という印象を持ったものだ。新しい政策が必要だと強調する過剰なほどの
委員会報告書や新聞記事を読んでのこのような印象は、しかし実は、
大部分が事実誤認だった。国内の議論でも、こうした事態への認識が誇張して
とりあげられた。これらの議論は、外国の圧力によって国内に持ちこまざるを
えなかったものが多かったのだが、それを最小限に抑え、つねに状況を
監視していたのは、自民党ではなく官僚である。

///////////////////////// 早川書房 ///



379名無しさん@3周年:2007/07/10(火) 22:58:27 ID:dcYfXRGn
蘭学忘れるべからず。
380 ◆fbBDnBiXNw :2007/07/11(水) 21:45:56 ID:udU821ug

/// とらえどころのない国家 34 /////////////

 自民党の総裁でもある日本の首相は力の弱い国会に君臨しているのだから、
理論的には強い権力を行使できる立場にある。ところが実際には、日本の首相は
外国人(外国政府も含め)からみて当然、首相の権限に含まれると考えている
権力を行使できない。もし、彼がある目標に全エネルギーを集中し、二年以上
首相の座にどまっていられたとしても、ほんの少し行政上の優先順位を変更
させることができるかどうかという程度の権力なのである。日本の首相が
直接行使できる具体的な権力の形は、衆議院の解散権だけである。もし、
それ以上に強大な権力を望もうものなら、自民党内のライバルたちと"野党"との
共同攻勢にあい、倒されてしまうのはほぼ確実だろう。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


381 ◆fbBDnBiXNw :2007/07/14(土) 20:37:27 ID:AWrXLjGS

/// とらえどころのない国家 35 /////////////

 日本の首相の権力は、欧米やアジアのどの政府の首長のものよりも弱い。
証拠が必要なら、最近の中曽根康弘が経験したことを見てもらおう。政府の
最高指揮者としての実権を握り、実際にすべてを統治したいという野望が
中曽根にあることは、明白だった。彼はまた、戦後の首相のだれよりも懸命に、
首相という官職の権力を強化しようとした。ところが、最終的には、彼が強硬に
主張した政策調整をひとつとして果たせなかったのである。唯一、彼がなしえた
例外は、世界一の赤字会社、日本国有鉄道の分割だけだった。

/////////////////////// 840円(税込) ///


382靖国カルト信者\(^o^)/オワタ:2007/07/14(土) 20:39:26 ID:qKuECRGh
>>1
泥棒国家を喜ぶ売国右翼がいるってことだね。
383 ◆fbBDnBiXNw :2007/07/18(水) 23:17:17 ID:GnBertb2

/// とらえどころのない国家 37 /////////////

 大臣が、あくまでも正式の規定どおりに権力を行使することにこだわれば、
あなどりがたい官僚のサボタージュに出会うこと必定であろう。まれな例外を
除いて、閣議は、ものの一〇分か一五分ですんでしまうまったく儀式的なものだ。
その前日の次官(各省庁の最高位の官僚)会議で決まった法改正案などを、
正式に認めることがその日の閣議の唯一の目的である。ヨーロッパの閣議では
よくおこなわれることだが、日本の閣議では、官僚がまだ知らない新しい事柄や、
詳細まで検討していないことについては、討議されない。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


384 ◆fbBDnBiXNw :2007/07/21(土) 19:58:57 ID:rLJ5nVDw

/// とらえどころのない国家 38 /////////////

 政治家の役割の重要性は、新しい政策目標にどれほどの緊急性を認めるか
によって、変わってくる。たとえば、一九五〇年代には、大半が官僚出身の
多くの自民党議員が、無制限産業拡大政策―当時は、当然の最優先国家目標
だとされた―を実施するのに必要な調整のための素案づくりに協力した。もっとも、
一九六〇年代のはじめには、池田勇人首相が、大蔵省の強固な抵抗を押し切って、
"高度経済成長"政策を打ち出した。その後は、政治家はこの政策にめったに
口をはさまず、他の新しい優先事項を持ち出したりもしなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


385名無しさん@3周年:2007/07/25(水) 12:58:02 ID:VZw/xOqv
預言者
386 ◆fbBDnBiXNw :2007/07/28(土) 18:58:29 ID:Bcw38sbt

/// とらえどころのない国家 39 /////////////

一方、教育政策に関しては、過去数十年にわたり、自民党議員が、文部省の
方針決定に積極的に介入してきた。また、七〇年代後半および八○年代に、
テレコミュニケーションのような新しい産業分野がどこの管轄に入るかということを
めぐり、省庁間の争いがあった際、降ってわいたような調整役を果たすことになった
自民党の一部の政治家は、政治力を増すことになった。総じていえば、自民党の
力は決して過小評価してはならないが、この国を統治することにおいては
官僚の力のほうがはるかに強いという結論はさけがたい。

///////////////////////// 早川書房 ///

387名無しさん@3周年:2007/07/30(月) 20:17:08 ID:csH+Ntpb
これ、ドイツんだ?
388名無しさん@3周年:2007/07/31(火) 03:49:31 ID:RMCND6lz
別な著者?の本に書いてあったが日本に戦略ないのは、戦略を考えると国の欠点が
見えてしまい反日になるからだと。

皇族の批判ができるようになったがまだまだ後進性が残る日本。

何かやる時は欠点も考えず仲間内で楽しむためにやり、ちょっと否定されると一転し自虐的になる
幼児性丸出しの日本人。
最近の対米追随路線も自虐的な売国の面も目立ったな。

ある外人もこういう日本人の姿をお前らアマチュアかと言ってたな。
389 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/01(水) 22:41:56 ID:jWLoZ5oa

/// とらえどころのない国家 40 /////////////

        権威主義的な官僚政治

 では、日本の国家権力を握っているのは官僚なのだろうか。日本の状況に
詳しい多くの人々が一見正しそうな、この結論に達している。
 日本の日常的行政活動において、官僚、とくに大蔵、通産省、建設省、
郵政省の官僚は、明らか理論的に認められた以上の権力を行使する。官僚は
さまざまな制限と規制を駆使して、経済発展を押し進める。法案もほとんど、
彼らがつくる。このことは、経済発展を押し進める。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



390 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/04(土) 20:46:59 ID:lp8ArTT6

/// とらえどころのない国家 41 /////////////

法案も、ほとんど、彼らがつくる。このことは、実質的な権力ということからいえば、
かなり重要なことだ。彼らが作った法案には、ほぼまちがいなく国会の承認印が
ぽんと押される。そして、成立した法律を、官僚がもう一度自分が大事に
あたためている計画目標達成の手段として便うわけだ。官僚の非公式の権力は、
その専管領域における公式に認められている権限をいっそう強めることになる。
この非公式の権力は、良否の討議の対象にはならないので、歯止めがない。

/////////////////////// 840円(税込) ///



391 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/09(木) 00:09:06 ID:gtni7h4+

/// とらえどころのない国家 42 /////////////

 それなら、やはり、日本は"権威主義的官僚国家"だと考えれば、日本の
権力の謎も解きやすくなるのではないか。ところが、その官僚の中で、実権を
握っているのはだれかということを見極めようとすると、また判らなくなってしまう。
それぞれの省庁の次官は、その省庁として反対している事柄を承認するよう
迫られても譲らない。形式的な閣議に先立って開かれる次官会議にいつも
出席している人々が筆者に話してくれたところによると、賛否両論に分かれる
ような問題について、断固として譲らない省庁があると、行き詰まりを打開する
すべもなく、話し合いはそこで停滞してしまうのがつねということだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



392 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/11(土) 21:55:23 ID:JQUF6XfH

/// とらえどころのない国家 43 /////////////

 官僚間の強烈な対抗意識のせいで、政策決定における全般的な支配力を
官僚が握るということは、これまでずっと妨げられてきた。同じ伝で、省庁間の
縄張り争いはしばしば名だたる争いに発展してしまうのだが、それは、ほんとうに
必要な、国の統一政策の形成を妨げる。このような内部的な拮抗はさておいても、
全体として官僚の権限がおよぶ範囲が制限されているのははっきりしている
のだが、どこにその限界があるのかということは、だれにも正確にはわからないのだ。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



393 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/17(金) 21:08:39 ID:+g0tUrS0

/// とらえどころのない国家 44 /////////////

        財界

 さて、あと一つ、主要な権力集団がある。日本の政策の裏にはなにかの陰謀が
あると見る推理派が好んで引き合いに出す、ザイカイである。経済界の最高位
にある企業経営者、とくに、強力な経済団体を通して発言する大物実業家の
集団、それが財界である。日本の国際的な知名度は、主に、工業製品とそれが
他国に与える経済的影響を通してだけなので、ややもすれば、大実業家が
政治的な決定をも左右しているのではないかと外国人は考える。この解釈によれば、
自民党と官僚は、両者とも財界の代理人として働いているのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


394 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/19(日) 21:29:07 ID:MByhcr/e

/// とらえどころのない国家 45 /////////////

 だが、この図式は正しくない。たしかに、経済関係省庁の官僚や自民党が
産業拡大をこの国の最大目標だと考えるかぎり、日本の企業はきわめて条件の
よい政治的風土の中で活動を展開できるし、この目標達成のためなら、たいがいの
方法は当然のこととして認められる。だからといって、大企業の社長や会長が
日本の陰の支配者ということにはならない。
 周知のとおり、経済界の連合団体、とくに経団連(経済団体連合会)は、
強大な力をもっている。経団連は、日本自動車工業会、日本造船工業会、
日本鉄鋼連盟、石油連盟、日本化学工業協会などの主要業界団体のほかに、
商社、卸売業者、銀行、保険会社、証券会社なども加わった、産業団体の
上位連合である。

///////////////////////// 早川書房 ///


395 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/25(土) 21:28:13 ID:UMvNXuDw

/// とらえどころのない国家 46 /////////////

ついで重要なのは、日経連(日本経営者団体連盟)でこれまで労働運動の
コントロールや賃上げ抑制を主たる任務としてきた団体である。経済同友会は、
財界人の経営指針の理論的べ-スがつくれるよう、エリート財界人のための討
論の場を提供してきている。一九五〇年代なかばには、日本式の"修正資本義"が
必要だと提唱して注目された。第四番目の、いちばん歴史が古い日本商工会議所
(前身は一八七八年設立の東京商業会議所)は、より小規模の企業を統轄する。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


396 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/25(土) 22:00:17 ID:UMvNXuDw

/// とらえどころのない国家 47 /////////////

 このような戦後にできた団体の創始者や大物リーダーを、企業家あるいは
企業家を代表しているとみなすのは誤りである。官僚と実業界のパートナーシップが
功を奏した理由の一つに、産業界の頂点にあるこれら経済団体が、発足以来
ずっと、戦時産業動員の責任者だった官僚と、官僚化した戦時カルテルの
指導者によって指揮されてきたということがある。一九五五年の保守合同を
実現させ、自民党発足に尽力したのも、彼らだった。彼らはまた、米占領軍撤退後の
日本の教育政策や、その後の学校教育制度形成にも決定的な影響を与えてきた。

/////////////////////// 840円(税込) ///


397 ◆fbBDnBiXNw :2007/08/29(水) 23:21:08 ID:pvK/WoYS

/// とらえどころのない国家 48 /////////////

 八○年代も後半に入り、ますます官僚化した経済界のトップには長老格の
財界人がおさまって、老人政治を展開している。彼らは、それぞれの会社の
会長として、社長にも勝る猛烈な力をふるいつづけることも多い。会長になると
時間的余裕もでき、各種団体の委員をつとめる機会も増える。彼らは、社会に
なにが必要かについての高説を披露し、世界における日本の任務とか将来の役割、
財界人に貢献できることなどといったおきまりの陳腐な話を重ねているうちに、
彼らの会社の評判を高める。しかし、日本の任務や国際的な役割云々という、
その説どおりの新しい方向に日本を進めるよう舵とりをする力はないのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

398 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/01(土) 21:01:28 ID:b3fZLNaM

/// とらえどころのない国家 49 /////////////

 現代の実業家は、個人としてではなく集団として、定期的に政治的な力を
金で買っている。個別業界、および個別の大企業は、自民党議員がそれぞれの
選挙区で集中的に広報活動を展開するのにかかる、途方もなく多額な費用の
肩がわりをして、自民党議員の大半を動かせるだけの影響力を維持している。
具体的に自社にかかわる行政上の決定に大きな影響力を持つ自民党の
代議士の政治力を金で買う企業もある。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


399 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/06(木) 22:02:18 ID:K4UlRyZE

/// とらえどころのない国家 50 /////////////

 だが、このような経済界の力にも限界がある。非公式に経済界を制御する
官僚の統制力のほうが、はるかに強いからだ。経済活動に限っても、既存の
国内市場を外国企業の競争から保護したり、新しい産業分野への移行を
行政指導し統合調整するのは、中央官庁であるから、財界は、関係省庁に
大きく依存せざるをえない。
 というわけで、右に述べてきた政治家、官僚、財界の三つの集団はそれぞれ、
ある時には、驚くほどの力を示し、またある時には、思わぬ弱さを露呈してしまう。
これらの集団が、互いにどのように関係し合い、権力を分け合うのかを明確に
示す図式をつくるのは不可能だ。いちばん重要なことは、どの集団をとっても、
それが日本の権力のヒエラルキーの頂点を構成しているとはいえないと
いうことである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


400名無しさん@3周年:2007/09/06(木) 22:32:43 ID:2FNzIr8N
彼の主著から
「被害者としてのアドミニストレーター」と
「システムは永遠か」をコピペして下さい。
よろしくお願いします。
401 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/08(土) 21:13:10 ID:BsoFJ8qc

/// とらえどころのない国家 51 /////////////

        国家は無用の長物か

 これまでに見てきた三つの権力集団と力を競い合うだけの強力な集団が、
もしほかに存在したいとすれば、国家としての日本の中心はどこにあるのか?
マルクスは、共産主義によって人間の必要物がすべて満たされると国家は
消滅すると予測したが、この場ちがいの日本で、まさにそのことが起きて
いるのだろうか。
 そもそも、日本人にとって、国家は必要なものなのか?少なくとも、中世から
一九世紀のなかばまでは、明らかに日本の政治エリートは、国家が必要だとは
思わなかったようだ。しかし、いつも不要だと思われていたわけでもない。

//////////////////////////// 早川書房 ///


402 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/12(水) 23:21:46 ID:Bg0cnmfx

/// とらえどころのない国家 52 /////////////

現在の日本の中央部にあたる大和の国の統治者が、七世紀なかばに自分の
領地を統合した際、他の豪族をも支配下に入れて、中国をモデルにした
中央集権国家を日本に作ろうとしたことがある。しかし、この"国家"は長続きせず、
永続的な中央集権を確立するには至らなかった。大和政権は全国を行政区画に分け、
首都から国司(地方官)が一定の任期をもって派遣された。そのうち、彼ら国司は
任地にとどまったまま、権力を自分の子孫に継がせはじめたのである。さらに、
中国との国交が絶えてしまうと、国家の必要性も日本の権力者の頭からすっかり
消えてしまったようだ。権勢の春を謳歌した藤原家でさえ、後には、しっかりと
国全体を統治できるほど強い権力は持たなかった。

////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



403 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/15(土) 19:03:17 ID:t4cfNltE

/// とらえどころのない国家 53 /////////////

 三人いた日本の天下"統一者"の中の一番手、織田信長(一五三四〜八二)は
国家を樹立したいと欲していた、といえるかもしれない。彼は、敵対する
大名領主を倒して領地を奪い、その後に自分の意のままになる忠実な武将の
家臣を配して統治させるという征服のしかたで、中央からの統治を試みた。
重要なのは、信長がこの武力による"平定"作戦の大義名分として、現存する
領国の単なる統合以上の国家概念を唱え、それを「天下」と呼んだことだ。
だが結局、この"天下"は実現できなかったのである。

/////////////////////// 840円(税込) ///



404名無しさん@3周年:2007/09/18(火) 23:41:32 ID:jRMSxJ0H
世界の明日が決する日
米大統領選後の世界はどうなるのか

405 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/20(木) 00:13:42 ID:7kor339N

/// とらえどころのない国家 54 /////////////

 彼の後を継いだ豊臣秀吉(一五三六〜九八)は、一五九〇年にはすでに、
ほぼ全国統一を果たした。おそらく彼が、ほんとうの意味での最高権力を有する
指導者にもっとも近い日本の権力者だったのではないか。ところが彼は、
打ち負かした領主を排除せずに、ほとんどの領主に以前どおり領地を統治させた
のである。事実、大名と呼ばれる半自治的な領主を軸に回転する封建制度を
つくったのは、秀吉であった。この政治的バランスに乗って、徳川の将軍たちは、
二世紀半にわたり権力の座を保てたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


406名無しさん@3周年:2007/09/24(月) 21:53:41 ID:N1vKJc3w
安倍が去り、ブッシュもやがて去り、プーチンも去っていく。
407 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/26(水) 21:51:13 ID:EQRrhVka

/// とらえどころのない国家 55 /////////////

        徳川家

 近世以前の日本国家樹立の最大のチャンスが生かされぬまま、一六〇〇年、
決定的な関ケ原の戦いとなった。この戦いによって、それまでの約三世紀にわたった
断続的な内乱に終止符が打たれ、新しい政治制度開幕の舞台が整った。
生き廷びた武家領主に忠誠を誓わせた上で、徳川家康が将軍の座におさまり、
その名も彼の姓氏からとった徳川時代という比較的平和な時代が長期にわたり
続くこととなる。もっとも、平和ではあったが、政治的な統一はなかった。将軍も大名も、
後継ぎに残すべきものをなくさないようにすることに心を奪われていたから、
中央集権政府を本格的につくる試みなどだれもしなかった。親藩・譜代・外様をとわず、
大名の権力を弱めるようないかなる統一国家の理想も危険すぎたのである。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


408「経済史」なきウォルフレン:2007/09/29(土) 14:25:56 ID:c0EtKXVF
近世・江戸時代。それは、経済の大隆盛の時代でもある。
中世以来の長きにわたる封建制の発達は、日本の経済を大いに発展させたが、江戸時代は
まさに、その集大成と言えるだろう。

江戸時代の経済には、いくつかの特徴があった。その一つは、「膨大な経済取引量に
対し、通貨供給量が常に不足していた」ことである。
江戸時代の人口はおよそ3200万程度と言われるが、そのほとんどが、貨幣経済に関わって
いたため、それも当然と言わねばならない。
さて、それでは江戸時代はこの弱点に、いかに対処していったのであろうか?
それを簡単に検討すると、以下のようになる。

@ 通貨における貴金属の含有量を下げる(品位を下げる)事で生産量を上げ、
通貨流通量の増大を図る
A 計数貨幣(通貨に単位を記した貨幣)を登場させ、貴金属量が少なくとも、
その表示単位の価値を持たせることにより、通貨供給量を増大させる(例 南りょう
2朱銀・天保1分銀・明和5匁銀・寛永通宝4文銭など)
B 諸藩は、藩札(紙幣)を流通させる事で、通貨不足を補う。その紙幣の信用は、
地元の豪商の他、大坂の両替商が担っていた。
C 手形に貨幣価値を持たせ、手形決済を多く認める。例えば、両替商が発行した
預り手形は今で言う預金通帳だが、これを第三者に、支払手段として使用することが
可能だった。

このように、江戸日本は様々な手段を生み出したわけだが、どれも、高度な信用社会が
達成されねば不可能なものばかりである。だが、ウォルフレンという男は、全くこれらを
顧みる事をしない。恐らく彼には「経済史」という視点が、全くないのだろう。
409:2007/09/29(土) 14:56:55 ID:9vUBe5QA

/// とらえどころのある国家52 ////////////

かつて古代の日本は、中国に倣った統一国家を作ろうとしたことがある。だが、
それは長続きせず、永続的な中央集権は築かれなかった。8世紀半ばには、早くも
「墾田永年私財法」が制定され、律令的価値観とは違う法が出現。10世紀頃には、
有力農民を「田堵」に編成し直し、彼らを統率するやり方で中央集権の強化を図った
時代もあったが、それも結局、土着勢力の増大を抑えれなかったのだ。
ただし、永続的な中央集権がなかった事は、日本にとっては「大いなる幸運」である。
と言うのも、任期制の国司のような者と違い、土着化した者は、子々孫々のために
その土地を開拓し、豊かにしようとする傾向が強くなるからだ。特に封建制によって
土地の所有権が完全に認められてからは、「一所懸命」の言葉通り、その一所の発展に
全力が尽くされ、経済発展に大いに寄与した。

/////////// 篠原涼子(翻訳)/////
410>408続き・計数貨幣:2007/09/29(土) 20:34:10 ID:VCnvBrCh
さて、Aの計数貨幣について。計数貨幣とは、貨幣に記された表示単位により、貨幣価値
を決める貨幣を言い、重さ・量で価値を決める秤量貨幣と対比される。
従来の貨幣はほとんどが秤量貨幣だったが、18世紀の田沼時代、ついに計数貨幣が登場した。
特に銀の計数化は画期的で、金の単位が銀に表示され、銀が金の補助貨幣となる「金本位
制度」が確立されたのだ。
ただし、このような事が出来たのは、それだけ幕府の信用力が高かったからである。
17世紀末に現れた、天才的な官僚・荻原重秀は、すでに「幕府(中央政府)に対する信用と、
社会の安定が高度ならば、貨幣は何も貴金属に限る必要はない」という原理を発見していた。
(実際、重秀は「瓦でも構わない」と言った)
そして計数貨幣は、まさに高度な発行主体にたいする信用なくして成し得ない貨幣なのである。
411 ◆fbBDnBiXNw :2007/09/29(土) 20:41:34 ID:wtgZBUIV

/// とらえどころのない国家 56 /////////////

 徳川幕府は、日本の国土の約四分の一を支配していたにすぎない。その支配は、
直接あるいは、約五〇〇〇の旗本家を通しておこなわれた。旗本は、俸禄を与えられ、
幕府の役人や事務官として働く。このほかに、徳川幕府に忠誠を誓う血縁関係をもつ
少数の親藩大名と一七〇家前後(平均)の譜代大名がいた。譜代大名はそれぞれの
領地内で自由裁量の権力を有し、徳川二代将軍以降は、幕府の幕政エリートの
供給源となった。さらに、平均八○家前後の外様大名がいたが、彼らについては、
将軍はつねに工夫をこらして幕府の決定権を持たせないようにしておかなければ
ならなかった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


412 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/03(水) 23:29:19 ID:opZJ1bBl

/// とらえどころのない国家 57 /////////////

 一部の大規模な外様大名の領地は、他の領地との関係以外は自治的で、
実質的には独立国家であった。幕府は、要所に関所を設け、スパイ網を張りめぐらし、
忠誠心の高い大名の領地を戦略的に配置することによって、一騒動もたらす
惧れのある領地を孤立させるよう工夫した。最終的に徳川政権を倒したのは、
外様大名の連合体である。この時点で、日本はすでにかなり複雑な政体に
発達していたが、中央の指導権の所在はまだはっきりせず、国家と呼べるものには
進化していなかった。

/////////////////////////// 早川書房 ///

413>410つづき:2007/10/05(金) 00:13:56 ID:1bg/c41J
江戸時代の経済の問題点は、「経済取引量が貨幣供給量を常に上回り、深刻なデフレ
に陥っていた」こと。
さらにもう一つが、「米価安・諸色高」である。
17世紀の大開拓時代は米の生産量を爆発的に増大させたが、これは江戸の支配層に
とっては決して喜ばしい事ではなかった。と言うのも、支配層は米を直接、全て懐に
入れていた訳ではなく、それを米市場に持って行って売り捌かなければならなかった
からだ。米の大規模な生産増は米価を大幅に減らし、その結果、支配層は手に入る現金
が大幅に減ってしまったのである。

                                   つづく
414 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/06(土) 22:22:12 ID:P0V3kmJQ

/// とらえどころのない国家 58 /////////////

 なんであれ、日本のこと、ものについては侵すべからずという強烈な意識を
もつのが、日本人の特徴なので、この強い不可侵の意識には、領土も含まれる。
しかし、これまでに見てきたように、日本の場合には、何世紀にもわたりその
領土保全に、国家への帰属意識は必要なかったのである。このことは、フビライ・ハンの
率いる蒙古軍が侵略(一二七四年および一ニ八一年)を試みた以外、だれも
日本に干渉しなかったという稀な状況におそらく関係があるのだろう。日本人は、
そっとしておいてくれるかぎり、国家という概念さえ必要としなかったと考えられる。
中国とは対極的な違いではある。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


415 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/10(水) 22:54:38 ID:Pkx9m1fV

/// とらえどころのない国家 59 /////////////

 だが、永久にそっとしておいてはもらえなかった。一八五三年、アメリカ合衆国提督
マシュー・ペリーが、不気味な黒船四隻をしたがえて到来し、日本近海を航行する
アメリカ船のための食糧と燃料補給の便益、それに難破した船員の人道的取扱いと
通商のための開港を要求したのである。八カ月後にペリーはなんとか条約の締結まで
こぎつけたが、日本がアメリカのために大した譲歩をしたわけではなく、また、
アメリカ人側が約束をとりつけたと思ったことも、日本の役人がぬらりくらりとうまく
切り抜けることのできる条約だった。しかし、この条約が、後に続くイギリス、ロシア、
オランダとの条約の先例となり、日本の鎖国政策に公的に終わりを告げさせたのであった。
ついに、日本は、一団の騒々しい世界の列強の争いの渦に、否応なく直面させられ、
外交政策の必要性にも迫られることとなった。

/////////////////////// 840円(税込) ///



416:2007/10/12(金) 21:41:29 ID:QmMI5wpm

///とらえどころのある国家58//////////

日本のこと、ものについての不可侵意識は、別に日本だけの特異現象ではない。
どんな文明の人でも、ある程度の不可侵意識はあろう。キリスト圏だろうがイスラム圏
だろうが。それに、日本に対して勘違いがあれば、反論するのは当然だろう。
また、日本は蒙古だけでなく、16世紀にも西欧の圧力に触れた。世界最大の銀産国だった
日本は、当初西欧人の侵略のターゲットにされていたことは、当時の西欧人の文献を読めば
明らかである。戦国末期や江戸初期の日本の支配層は、当然「日本」を自覚しただろう。
 対して中国は、「国家」意識など、歴史的にほとんど発達させた事はない。
彼らにあったのは、単なる「中華と蛮族」、「中華に対する周辺の朝貢」という、前近代的
観念のみで、「国家と国家」の関係など頭の中に全くなかった。

//////////////////// 840万円(税込)///
417>413つづき:2007/10/12(金) 22:01:12 ID:QmMI5wpm
 「米価安・諸色高」・・・。
17世紀の米の大増産、人口急増と庶民層の冨の蓄積は、米価を下落させ、
変わりに諸色(日用加工製品)価格を急上昇させた。諸色需要が異常に増大
したためだ。それには、農業生産の増大による余剰生産物の増大・庶民層への
冨の還元などが原因であった。
例えば、城下町における専属市場の発達は、私有財産を持った侍に冨を使わせたし、
大名の参勤交代は、宿場町や港町などを大いに発展させ、冨が庶民層に還元された。
なかでも最大の大名だった加賀前田藩の参勤交代費用は、現代の価値で約100億円
ほどだったと言う。その大金のほとんどが、庶民の懐に入ったのである。
そして冨を蓄えた庶民層が、侍とともに「諸色需要層」を形成していった。

                            つづく
418名無しさん@3周年:2007/10/12(金) 22:51:04 ID:+iTziJm0
ウォルフレンに限らず、西欧人のアジア史の無知振りには驚く他ない。
日本が世界最大の銀産国だったということさえ、西欧人は知らない。
これは石見銀山の遺産登録に梃子摺ったことからも伺える。
そもそも、16世紀に日本に来た西欧人は、ほとんどが銀獲得を目的としていたのだ。
ザビエルは「純粋に布教目的だけでここまで来る人間はほとんどいないと信じます」
と述べているが、ザビエルでさえこの次元である。西欧人は善良な布教徒ではない。
所変われば、平気で侵略の限りを尽くしてきた事を、我々は決して忘れるべきではない。
日本に対して彼らがそれほど攻撃的でなかったのは、日本の戦闘力が高かったからに
過ぎないのである。
419 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/17(水) 23:00:38 ID:gE/GjSSa

/// とらえどころのない国家 60 /////////////

        分断される明治の国家

 この外国の千渉が主なきっかけとなって、一八六八年には明治の寡頭政治政権が
支配権を得たのだが、これらの政治家の頭から離れなかったのは、強力な国家を
つくることであった。徳川幕府打倒から三年のうちに、「外国と対等な関係を保つためには、
ことばは本来の意味をもたなくてはならない。すなわち、この国の政府は単一の権威を
中心とするものでなければならない(〔内以て億兆を保安し、〕外以て万国と対時せんと
欲せば、宜く名実相副ひ政令一に帰せしむべし)」という詔書の説明と共に、旧封建領地を
廃止(廃藩置県)している。中でも勢力のある領主は、それまで独自に外国と交渉を保ち、
外国へ戦争をしかけたことさえあるほどだから、この布告は深い意味をもっていたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

420名無しさん@3周年:2007/10/19(金) 19:48:03 ID:SMGkLa6t


◆ 電通とは・・・ その1 ◆

電通に葬られた日本外国特派員協会会長
カレル・ヴァン・ウォルフレンの言葉

電通は、日本の全テレビ・コマーシャルの三分の一の直接責任者であり、
ゴールデンタイムのスポンサーの割り振りに関して実質的に独占的決定権を持つ。

午後七時〜十一時の時間帯の番組にコマーシャルを出したい広告主は、電通を通すしかない。
スポンサーの選定と放送番組の内容の大部分を電通が握ってるからだ。

このような状況下では、電通に気をかけて扱ってもらえることが一種の特権となり、
立場が逆転して広告主が電通の指示に従うことになる。

その結果電通の影響力は日本のテレビ文化の内容まで左右し、
世界中どこにも類例が見られないほど、強力なマスメディアを通しての社会統制力になっている。

新しい雑誌は、電通が一人前の広告媒体として認めるまでテスト期間を設けられ、その間は無料で広告を掲載するよう言われる。
もし電通の要請に応じなければ、逆に足を引っ張られ広告主が落ちてしまう。それほどの力が電通にはある。

また逆に電通は自社の子会社のみならず大手新聞社、全国・地方テレビ局、
その他マスメディア関連会社に社長やトップクラスの役員として人材を供給する。
421名無しさん@3周年:2007/10/19(金) 19:50:34 ID:SMGkLa6t


◆ 電通とは・・・ その2 ◆

電通に葬られた日本外国特派員協会会長
カレル・ヴァン・ウォルフレンの言葉〜  続き〜


他の国では広告代理店は仲介業者である。日本では広告主がどのような広告をどこに出すべきかまで電通が決めることが多い。
商業テレビが主要産業になってるもう一つの国、アメリカでは、番組がどのていど商業的に成功しているかを評価するのは、
独立した視聴率調査会社である。日本ではこの機関も電通の手に握られているのである。

電通は企業の不祥事を世に知らせたりその後でもみ消したりする手が使えるので、大企業を脅かすことができる立場にある。
また、電通は仕事の上で知った不正行為を当局に通告するという噂があるので、企業は代理店を変えることもできない。

一九三六年から四五年まで独占的な政治の宣伝機関だった同盟通信社と一体だったこと、
また、どちらも戦時中の同盟通信社の末裔である共同通信社と時事通信社という日本の二大通信社と、
非常に緊密な関係があることにも起因する。
このつながりは株式の相互持合いによって強化されている。
共同が扱うニュースについては、つねに電通に情報が入る。
422名無しさん@3周年:2007/10/19(金) 19:53:19 ID:SMGkLa6t


◆電通に葬られた日本外国特派員協会会長◆
カレル・ヴァン・ウォルフレンの言葉〜 追加分


週刊誌は電通の大きな顧客に悪影響を及ぼす可能性のある記事は載せないよう、ある程度自主規制する。
通常、次号の内容は電通に知れているから、発売以前に圧力をかけられることもある。
電通は、雑誌広告のスペースを大きくまとめて買い切るから、雑誌社から見れば定期収入の保証になり、独自に広告主を探す苦労が省ける


日本のマスコミは世の中の出来事を画一的に解釈し、自分たちに都合のいい現実を作る力を持っている。
この点、共産主義権の統制された報道界と肩を並べるものだろう。
ただ、外国人の観察者は共産圏の報道を大して信じないのに、日本の報道は信じてしまいがちである。
423鎖国肯定論:2007/10/19(金) 22:17:03 ID:ZPUwEnJb
17世紀末来日したケンペルは日本の鎖国を非常に肯定した男だ。そして「鎖国」という言葉も
ここから来ているのだが、私はケンペル以上に、鎖国肯定論者である。

16世紀や17世紀の初頭は、日本は大量の銀を駆使して、西欧人から膨大な商品(特に中国品)
を購入していた。陶磁器や絹織物など、中国の製品は尊重された。
だが、鎖国によって、それらの流入が非常に限定的となった。私は、これが実に素晴らしいと
思う。と言うのも、大量の銀を抱えながら日本がスペインのような「重金(重銀)主義」に
陥らなかったのも、鎖国のお陰だろうからだ。徳川の幕藩体制という「中央超権力なき政体」は、
鎖国以降、諸国が互いに産品育成を競わせ、高度な産業基盤を形成させたのである。
もしあのまま大量の銀を抱えたまま貿易を続ければ、決して自国に高度な産業育成の展開は
望めなかっただろう。

424鎖国肯定論:2007/10/19(金) 22:19:53 ID:ZPUwEnJb
追記・・・>268の「独居仙人のような鎖国」に、爆笑した。
425鎖国肯定論と、>417つづき:2007/10/19(金) 23:14:30 ID:ZPUwEnJb
さて、それでは諸藩はなぜ自国の産品育成に努めたのだろうか?
その答えは、「米価安・諸色高」にあった。
諸藩は、江戸の生活費や参勤交代の費用、城の修繕、奉公人への給料支払などに
大量の現金を必要とした。そこで江戸初期は、米を売って現金を手に入れた訳だが、
何せ時代が下るにつれて「米価安」になる一方。諸藩の財政は、途端に苦しく
なっていった。そこで諸藩が目をつけ始めたのが、「諸色育成政策」即ち「藩専売」
である。
例えば姫路藩は、河内から技術者を雇って綿織物産業の育成に努めた。最大の市場
だった江戸に藩の専売直営店を設け、(大坂の中央市場を通さず)そこに直送して
大量販売を行い、巨利を得た。
備中松山藩は、近くに鉱山があることを利用し、製鉄の大型工場を建設して工場制手工業
を行い、鍬や千刃こき等の鉄製品を製造。それを江戸にある直営店に直送し、大量販売を
行った。同藩の鍬は「備中鍬」として、ブランド化さえしたのである。

このように、米の販売だけに頼らず、独自の産品を育成して現金を稼ぐ。まさに「藩国
重商主義」が鎖国中に展開され、日本の発展に大いに寄与した。「独居仙人」とは、聞いて
呆れるほかない。(李氏朝鮮は、まさに独居仙人だろう)
426 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/20(土) 23:34:18 ID:jvNXHemT

/// とらえどころのない国家 61 /////////////

 国家樹立のこころみは、はじめすばらしく順調に行きそうだった。それは西欧列強が
賞賛するほどで、とくに一九〇五年の日露戦争の勝利は、日本の海軍の手腕のほどを
世界に示すこととなった。しかし、この中央集権制度は、創始者の命より長生きできるほど
強固ではなかった。最初の少数独裁政権は、意見の違いを調整し、統一政策を打ち出す
ことができたのだが、次代の指導者たちには先代ほどの仲間意識もなく、実効ある
少数独裁政権を形づくることはできなかった。内務省、陸軍、海軍、外務省、大蔵省、
枢密院など、国家の中枢となるべき重要機関の指導者がすべて、自分たちを国家権力の
中核の代表であるというよりも、それぞれが所属する機関の代表であると考えた。
事実、互いにことばすら交わさない者が多かった。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



427専属市場論:2007/10/22(月) 22:06:07 ID:6yBR/jEQ
江戸中期以降に展開された「諸色育成・藩専売制」。米価安・諸色高がそれを招いた事は
述べたが、それ以前に、江戸期に巨大な「専属市場」が形成されていたからこそ、意味が
あった。

「専属市場」とは、日用品を商人から物を「購入」する事によって、生活が成り立つ人々
が住んでいる所、を言う。

例えば、江戸が凄いのは、江戸の人口が100万を超えていた事ではない。
江戸の凄さは、上は大名から下は下町の人間まで「日用品を商人からの購入で生活していた」
事なのだ! この巨大な市場が存在するからこそ、藩専売も成り立ったのだ。
428専属市場論:2007/10/22(月) 22:26:36 ID:6yBR/jEQ
専属市場(日用品購入型都市)。これは歴史を語る上で絶対に考慮すべき概念である。
と言うのも、専属市場なくして、資本主義や企業社会の形成は「絶対にない」からだ。
 例えば、平安時代の京都を考えてみる。
平安期の京都は、人口20万に達していた。だが、ここに「専属市場」は存在しない。
平安京の20万の住人はほとんどが役人だが、彼らは日用品を「国から直接支給(配給)」
される事によって、生活したのだ。いわゆる「日用品配給型都市」である。
 勿論、上級貴族の場合は、個別に地方領からの現物収入などもあっただろう。
何れにせよ平安京に於いては、商業活動は「市」という限られた場でしか、行われていない。
しかも西市・東市が月2回行われたのみである。
 要するに、日用品を商人からの購入で成り立たせている人々が、ほとんど存在しないのだ。
従って、平安時代にペリーが来ても、近代資本主義や企業社会の形成は、絶対に不可能と
断言できる。

まさに、「専属市場なくして資本主義なし」である。
429専属市場なくして資本主義なし:2007/10/22(月) 23:08:53 ID:CVQ5+dar

専属市場、日用品「購入」型社会なくして、資本主義なし!

日本の古代都市のような、日用品「配給」型では、資本主義を発展させようがない。
また、室町期までのように、商業が定期的に開かれる「市」のみでしか行われない
ならば、企業社会も展開しようがない。
 日用品を「商人からの購入」によってのみ成り立たせている層がなければ、資本主義
及び企業社会の形成は、望みようがないのだ。

だから我々は、「専属市場なくして資本主義なし」を、毎日100回連呼すべきである。
430 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/29(月) 07:34:26 ID:XngYehpW

/// とらえどころのない国家 62 /////////////

 歴史のあと知恵でいえば、明治の改革者が多くを成し遂げたのはたしかだが、現在の
日本がかかえているリーダーシップ問題についても、彼らの責任なのである。詳細に
吟味してみると、彼らが設立した国家は、彼らの寿命よりも長く持ちこたえなくて当然
という感じさえしてくる。彼らが作った規則に、だれが責任をとるのか具体的に明示されて
いないことを見てもわかるように、国家をしっかりと固めるためには彼ら創始者一人ひとりの
個人的な努力によって統一を保っていかねばならなかった。この寡頭統治は暫定的な
もので、後に日本の制度と西洋の制度とを混ぜ合わせた、十分に整合した制度に
とってかわられる予定であった。ところが、彼ら近代日本の政治制度の設計者は、みずからの
権力を失うのを恐れて、このような整合には不可欠な政治権力の責任の所在の問題を
無視してしまったのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


431 ◆fbBDnBiXNw :2007/10/31(水) 22:58:52 ID:HHfwVJMH

/// とらえどころのない国家 63 /////////////

 時を経るにつれ、この国家の諸機関が、自分たちの偏狭な利益は国の利益にもなると
勘違いし、廃止された徳川時代の所領に似た自治観を持ちはじめた。世紀が変わった後、
枢密院、軍幹部、官僚、政治家、有力実業家、それに皇室顧問たちの間で、権力を得る
ための激しいつばぜり合いが展開されることとなった。二〇世紀のはじめの二〇年ほどは、
明治初めの少数独裁者たちが生きていて、元老という資格で全体を結合させる役目をした。
元老には、重大ないがみ合いになるのを防げるだけの実力があったのだ。しかし、
彼らがいなくなってしまうと、日本の指導者は、それぞれに天皇の命令によると主張
しながら、この国をいろいろな方向に激しくひっぱりはじめたのである。

///////////////////////// 早川書房 ///


432名無しさん@3周年:2007/10/31(水) 23:42:23 ID:enFAm6Of
ウォルフレンはたたかれているの?
彼は俺はきらいではないけどね。
433名無しさん@3周年:2007/11/01(木) 22:28:28 ID:QTT4zojW
既得権を保守したい連中は叩いてるね。
434名無しさん@3周年:2007/11/05(月) 23:09:48 ID:m4rh/zK1
暴力反対!
435 ◆fbBDnBiXNw :2007/11/10(土) 20:28:34 ID:91lOzX6T

/// とらえどころのない国家 64 /////////////

 天皇には公式な主権があったが、統治しないことになっていた。立法府は、実際の
権力をもたないはずであったが、設計ミスによって、いつのまにか反対の方向に独り歩き
はじめた。諮問機関の役割を果たすはずだった内閣は、その本来の役割の枠から
逸脱しはじめた。だが、憲法には、そのような場合どうすればよいのかについて、
具体的規定がなかったのである。第一次世界大戦後、大企業から金をもらった政党が
正式な政府を構成した。しかし、これらの政党が、明治憲法によって保証された他の
中心的権力機関と、充分に張り合っていけるだけの実権を得ることは一度もなかった。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


436 ◆fbBDnBiXNw :2007/11/18(日) 01:59:10 ID:i9KD/sol

/// とらえどころのない国家 65 /////////////

 これら"天皇の役人"たちの間で、どれほど意見の衝突があったかは、強い勢カをもつ
内務省と陸軍とが争った"ゴーストップ事件"によくあらわれている。一九三三年のこと、
大阪である一等兵が二回も道路を赤信号で横断した。交通巡査が彼を逮捕したのだが、
その兵士が警官の指示に従う義務はいっさいないと主張したことから、けんかが始まった。
さて、この言い争いが、上部レベルへとエスカレートしていくのである。第四師団の
参謀長はこれこそ警察を非難し陸軍の権威を高める絶好のチャンスだと見てとった。
荒木陸相も同意見で、さっそくエリート憲兵隊の隊長に命じて、軍人に対する涜職、
障害、名誉毀損で軍事法廷に告訴させた。

/////////////////////// 840円(税込) ///


437名無しさん@3周年:2007/11/18(日) 14:36:18 ID:OcwNL/1J
国益とか、偉そうに言うなら、官僚は中間搾取やめろ!
お前らが少しは精進せんかい!ボケ
保守の振りした族議員も天下り官僚と一緒に税金を貪るなよ
お前ら、取り分が多すぎるんだよ
国の無駄使いで、一番大きいのは特別会計だろが!
さっさと見直せよ

国益とか言いながら、赤字財政を作ってきたのはお前らだろ
国益とか言いながら、1000兆円の累積赤字かよ!
国益とか言いながら、国の体力弱らせてるじゃないか
ここまで借金を膨らませたら、取り返しが付かないだろ?
はっきり言ってお前らの責任だよ
お前らの財産は全て国に帰せ!ボケ
438 ◆fbBDnBiXNw :2007/11/21(水) 21:43:09 ID:KNenfcWb

/// とらえどころのない国家 66 /////////////

 一方、警察側では、この事件の報告は、地方警察部長経由で大阪市長、そして内務省
警保局長へと伝えられ、ついには内務大臣にまで達した。陳謝するなどもってのほか、
その兵隊のほうこそ裁判にかけられるべきだと、一同いきまいた。同じような事件が、
東京、名古屋、秋田、福山でも起こっていたから、内務省としては、断固として陸軍の
無礼な尊大さをただすことにしたのだ。ところが、陸軍の軍官僚は、あれやこれやの
手段で軍人への告訴を妨害した。争いは、ついに天皇の耳にも入り、荒木陸相がその件に
ついて問いただされた。そこで陸相は、陸軍の政務次官に、内務省の警保局長と話し合って
問題を処理するよう指示し、知事が和解の調停役として一働きさせられた。

/////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


439 ◆fbBDnBiXNw :2007/11/24(土) 20:42:03 ID:45rFM3GU

/// とらえどころのない国家 67 /////////////

        戦前の首なし鶏

 一九三〇年代には、西欧的民主主義へと進展するという希望がくじかれる一方で、
権力はしだいに軍部の手に握られていった。ところが、このような事態が起こっていても、
一体だれが軍部の責任者なのかは、だれにも判らなかったのである。陸軍、海軍、
いずれにも天皇に帷幄上奏できる長がいて、両軍が互いに相談しあうことさえなかった。
防衛政策をまとめるにしても、双方の目的がくい違い、戦略上の優先事項もくい違い、
上奏できる長がいて、両軍が互いに相談しあうことさえなかった。防衛政策をまとめるに
しても、双方の目的がくい違い、戦略上の優先事項もくい違い、仮想敵国も違ったから、
どうしようもなく難航してしまう。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



440 ◆fbBDnBiXNw :2007/11/28(水) 21:47:37 ID:tvmq0WGT

/// とらえどころのない国家 68 /////////////

軍需品も別々に調達された。海軍兵学校の士官候補生は陸軍軍人と武器について
討議することもできなかったであろう。というのは、海軍と陸軍はまったく違う用語を
使っていたからだ。また一方で、陸軍、海軍とも、内部抗争によってずたずたに分裂
していた。たとえば、陸軍の場合には、皇道派が統制派と激しく衝突していた。両者を
分けたのは、士官たちの経歴の違いと、大和魂の精神力によりつつも、現実的な計画に
どの程度のウエートをかけるかという考え方の違いであった。その後さらに、清軍派と
国体原理派が加わった。後者は、急進的な若い将校で構成され、あのきわめて重大な
一九三六年の"二・二六事件"の首謀者となった。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


441 ◆fbBDnBiXNw :2007/12/01(土) 20:17:28 ID:yo+rVVZ1

/// とらえどころのない国家 69 /////////////

 今世紀初頭に始まった中心的政治権力の消失現象は、一九三〇年代には、日本を
もうだれの力でもひきもどせないところまで漂流させていた。そして、狂信的な陸軍の
中間クラスの将校に、国を"乗っ取る"機会を与えることになったのである。一九三一年九月、
日本の関東軍の小部隊が奉天の中国軍守備隊に攻撃をかけ、それをきっかけとして、
満州征服が開始された。関東軍のこの途方もない反抗的独走を東京の政府がとがめ
なかったので、陸軍は思いどおりに事を進めてもよいと取り、勝手にみずからの発議で
満州国という傀儡国家を発足させた。この狂信的な将校による脅迫行動は、日本を、
真珠湾へ、そして広島へといたる道を歩ませることになる。

/////////////////////////// 早川書房 ///



442 ◆fbBDnBiXNw :2007/12/06(木) 21:04:30 ID:ct8IsmL3

/// とらえどころのない国家 70 /////////////

 自国の一〇倍の産業観模を持つ国を攻撃するのは、自殺行為と言わなければなるまい。
もし一本にまとまった強いリーダーシップがあれば、こんなことは起こらなかったに
ちがいない。事実、アメリカを第二次世界大戦にひき入れた日本の奇襲は、陸軍と海軍の
対立が直接引き起こした結果だったといえるだろう。日本を戦争への道に導きつつあった
陸軍は、海軍が強大なアメリカの戦力に対する守りを固めるのは当然だと思っていた。
片や海軍は、その権力と愛国的な海軍としての信用を失いたくなかったので、すでに
海軍内部で勝利は不可能という考えが広がっていたのに、それをあからさまに表明する
ことは避けていた。
 戦争それ自体は、この国の政治機関を統合するうえで、ほとんどなんの影響も与え
なかった。たしかに戦争によって官僚の権力は強化されたが、その権力は、だれか一人の
人間や一機関に集中していたわけではない。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///

443 ◆fbBDnBiXNw :2007/12/08(土) 21:16:02 ID:if3qvJQO

/// とらえどころのない国家 71 /////////////

 内閣は、それぞれが周到に特権と省内自治を守る省庁の寄合所帯のままであった。
首相は決して執行最高責任者ではなく、内閣の政策統一をはかろうとするコーディネーターの
最高位者である。彼は他の大臣に命令することも、意のままに大臣を変えることも
できなかった。大臣の更迭は、圧力と説得とを要する複雑な仕事である。
 戦時中の日本人は、ヒットラー、ムッソリー二、チャーチル、ルーズベルトらが握って
いたような権力にはるかに及ぼぬ程度の権力ですら、だれか一人の人物(あるいは
一政府機関)に与えることはなかった。戦争が終わりに近づいても、戒厳令をしけば日本の
総力防衛に必要な権力が得られたであろうに、政府は戒厳令を発動しなかった。
「理由の一つは、指導的エリートがだれも、他のエリートの権力が増すことを望まなかった
からである」。

//////////////////////// 840円(税込) ///



444 ◆fbBDnBiXNw :2007/12/16(日) 19:28:27 ID:m0Jd/oMp

/// とらえどころのない国家 72 /////////////

        戦後の誤解

 太平洋戦争という悲惨な冒険の後も、新たに、本格的な中央集権制を確立しようという
動きは見られなかった。一九四五年にダグラス・マッカーサー元帥と部下の政治改革家は、
日本には、ヒットラーやムッソリー二のような独裁制の強固な残澤があると想像し、
それを解体するつもりで日本にやって来たのだった。強力な指導者がいなかったために、
日本が欧米連合国に攻撃をかけることになったなどとは、だれも思ってもみなかったのだ。
一方、日本人自身のほうは、生活や国内の復興におおわらわで、中央集権国家という
明治の実験をくり返す余裕などとてもなかった。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


445 ◆fbBDnBiXNw :2007/12/22(土) 21:15:43 ID:xoyFqgYx

/// とらえどころのない国家 73 /////////////

 外交政策優先の立場をとらざるを得なかった明治の志士は、他国との交渉には強力な
国家統治の中枢機関をつくることが必要だと、そのことを第一に考えていた。しかし、
一九四五年以来一九七〇年代のなかばまでの日本は、国際的に一つの政治単位としての
行動を要求されることはあまりなかったから、国家であるかどうかなど気にかける必要も
ほとんどなかった。外交政策の必要性すらも感じなかったのだ。そして戦後初の重要な
首相、吉田茂は、注目にあたいする政治的現実を発見した。アメリカが肩がわりを
してくれるので、日本は戦前のように国防に力を注がなくてもよいということ、そして、
一つの国家として認められるために必要なすべての対外活動も、アメリカが代理人を
つとめてくれるということである。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



446B@a:2007/12/24(月) 11:51:18 ID:uv9cfiuH
写真展age@東京新聞朝刊3面「この人」
447 ◆fbBDnBiXNw :2007/12/29(土) 19:01:14 ID:DoVjaY0p

/// とらえどころのない国家 74 /////////////

 日本は、国防だけではなく、ついには、外交でも、完全にアメリカに依存することと
なった。要するに、アメリカが外交上の後楯になり、日本は新重商主義とも呼ぶべき
貿易のやり方に助けられ、強大な戦後の経済マシーソをつくり上げたのである。
中曾根康弘が首相になるまで、理想的な新政策として日本が世界にかかげてきた、
いわゆる全方位外交というのは、実際には、日本製品を買ってくれる国、原材料を
売ってくれる国のすべてに気にいられようと努める八方美人的な商法だった。ただし
あくまで、アメリカ政府の許容限度内においてである。日本のアメリカとの特別な関係は、
単に外交上の援助、相互貿易、軍事的保護や確約にとどまらず、さらに広範囲に及ぶ。
そのおかげで日本は、政治的結果にはほとんど注意を払わず、経済だけに集中して、
他国との関係をもつことができたのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



448 ◆fbBDnBiXNw :2008/01/01(火) 00:06:22 ID:2hPKlPH4

/// とらえどころのない国家 75 /////////////

        今日の先端のないピラミッド

 さて一方、国内では、重要組織間の関係はライバルとしての激しいつばぜり合いは
あるとしても、通常、問題にならない。官僚は、鋳掛け屋よろしく経済をあれこれ修理して
調整をおこない、なおいっそう成長するよう取りはからう。政治家をはじめとしてだれも、
その邪魔はしない。国会議員はもともと政府予算を自分の選挙区にまわす手腕を
買われて選ばれたのだから、再選工作に余念がない。再選されるかどうかは、国の富を
ばらまく能力次第なので、政治家は、つねに予算を握る官僚から恩義を受けている。
産業界は、官僚の助けをかりて、海外のマーケット・シェアを拡大し、新しい市場に参入
しつづける。そして、産業界は同業の仲間に監視される一方、政治家に資金を出す。
このように、三者の間にボスはいない。しかし、それぞれが他のだれかに対し、なんらかの
方法で、影響を与えるだけの力がある。こうして、社会的秩序が保たれる。

///////////////////////// 早川書房 ///


449 ◆fbBDnBiXNw :2008/01/04(金) 19:29:14 ID:UeEExUnW

/// とらえどころのない国家 76 //////////////

 官僚-自民党-産業界という三極構造のほかにも、有力な半自治的組織がいくつかある。
報道機関もそのひとつだ。日本の巨大日刊新聞は、互いに他社のやり口をまね、時事問題に
ついても、ほぼ同じ姿勢で報道する。異口同音の切り口のニュースや見解による報道で、
国内問題についても国際関係への態度についても、日本のマスコミは一般大衆の
心情に大きな影響を与える。
 もう一つの影響力のある組織、全国農協中央会(全中)は、日本の労働人口の八パーセント
にあたる農業従事者の要求を満たすべく組織された各地の単位農業協同組合、地域の
協同組合県連合会、専業事業組織の多数を統轄している。この団体は、農林水産省と
一種の共生的関係を維持している。その農水省は、自民党と協力して国内の米価を
世界相場のおおよそ五倍に保っており、そのかわり、自民党候補者は農村地域の多くで
ほとんど無条件の支持を得る。

/////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



450名無しさん@3周年:2008/01/14(月) 05:22:27 ID:rOdqSCXb
ウォルヴォル!
451名無しさん@3周年:2008/01/14(月) 08:23:06 ID:QIuEs8p1
日本って素晴らしい国だな。
452名無しさん@3周年:2008/01/14(月) 11:22:01 ID:4WAK1h1w
266 名前: 名無しさん@3周年 [age] 投稿日: 2008/01/07(月) 23:31:29 ID:kHrWPoyA
本気でこの国はブラックとしか言いようが無い。
無茶苦茶杉

ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm1874085
ジョブカフェの、いずれも「日給」で
プロジェクトマネージャー12万円、コーディネーター9万円、
キャリアカウンセラー7万5千円、事務スタッフ5万円。
※しかも問題を抱えた3社が地方自治体から再委託されている。

20年ほど前に大疑獄になったリクルート
こないだ株式会社立の大学を作って大問題を抱えている企業=LEC
ある議員(逮捕されて辞職済)と癒着し献金しまくりの派遣会社=日本マンパワー

生活保護費が削減されるかどうかの瀬戸際だというのに
こんな問題含みの企業に税金を使ってジョブカフェを
再委託している自民党と官僚は泥棒としか言いようがない。
453 ◆fbBDnBiXNw :2008/01/27(日) 00:19:36 ID:pIhb6Bug

/// とらえどころのない国家 77 /////////////

 このほかに、官僚の規制があまり及ぼない組織がいくつかある。暴力団組織も
その一つで、用心棒やゆすりを仕事にする巨大な組織を運営しており、日本各地の
ほとんどの地方にある盛り場で威喝が大目に見られている。警察は、犯罪を組織的な
統制下におくという点で、暴力団組織と非公式な共生関係を保っている。一方、警察自体も、
広範囲に及ぶ自由裁量権をもつ半自律的組織である。また、日本の検察当局は、多くの場合、
独自の判断で、起訴・不起訴を随意に決める。

/////////////////////// 840円(税込) ///



454 ◆fbBDnBiXNw :2008/01/28(月) 01:16:16 ID:je/t91Yx

/// とらえどころのない国家 78 /////////////

 というわけで、日本の権力は、自律的でかつ、なかば相互依存的な多数の組織に
分散されていて、それらは主権者としての選挙民に対して責任を明確にすることもなければ、
互いの組織の間に究極的な支配関係もない。政府のさまざまな活動に、このような組織
すべてが関わっているが、ある組織が他の組織に命令を下すことはありえない。どの組織
ひとつをとってみても、国の政策の最終責任をとったり、緊急を要する国家的問題について
決定したりするだけの力はない。しかし、日本は、たとえばアメリカ社会のような、おびただしい
数の協議会や政府機関、委員会、裁判所などに権力が分散されている社会とは違う。

////////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///

455 ◆fbBDnBiXNw :2008/02/02(土) 19:04:30 ID:r0suwgNM

/// とらえどころのない国家 79 /////////////

アメリカの場合、どれだけの数の機関があっても、指令の流れる明確な経路があるし、
逆に国民はその経路をたどって中心まで自分たちの意思を伝え、政策を作らせたり
実施させたりすることもできる。日本はまたひじょうに強い利益団体が政治中心の
権力をそいでしまっているという点で、西欧の社会とも違う。というのはヨーロッパの
政府の閣議は、政策のイニシアチブをとるし、究極的に、決定も下す。日本では、
さまざまな"統治"グループが、だれに支配されることなく存在しているのである。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



456 ◆fbBDnBiXNw :2008/02/07(木) 22:00:50 ID:rHouvEzO

/// とらえどころのない国家 80 /////////////

        見えたり隠れたりの権カの正体

 ということで、また、とらえどころのない国家・日本というところにもどってしまう。
もちろん、国民は、税務署や警察や膨大な数にのぼる規制事項から、"国家"
というものを感じる。しかし、最終的な政治責任ということを考えたとたん、国家・日本は
消え去ってしまう。おもしろいのは、平均的在日本人は、傀儡国家だった満州国のことを
"われわれの植民地"だったとは思っていないということだ。それは、陸軍の植民地
だったのであり、日本の植民地ではないのだ。日本人には、自分が明らかに一つの
国家の一員であり、したがってその責任も分担するとは、思わないところがある。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



457 ◆fbBDnBiXNw :2008/02/14(木) 21:59:10 ID:vJ0A3v8j

/// とらえどころのない国家 81 /////////////

 ここには明白なパラドックス(矛盾)がある。一方において一般の日本人が、
大日本帝国の数々の勝利や征服を熱狂的に迎え、国としての目的への帰属意識が
ひじょうに強かったという証拠にもとづいた事実がある。しかし他方において
彼らは、陸軍の行為を否定することに対して矛盾を感じていない。というのは、
陸軍が自分たちの国家を代表していたとは思っていないからだ。それは、
ある集団、たくさんある中の一つの集団にすぎず、思い返してみれば、大変な
迷惑をひきおこした連中だった、というくらいの感じしか持たないのである。

///////////////////////// 早川書房 ///


458 ◆fbBDnBiXNw :2008/02/21(木) 21:35:48 ID:Hb33eTYw

/// とらえどころのない国家 82 /////////////

 国家というのは、人によってその意味も違ってくる。しかし、少なくとも、
国家には、ある程度の"存在の一貫性"がなければならない。始終そこに
存在しつづけるべきものであり、突然、指の間からこぼれてなくなってしまうような
ものでは困る。一九八一年五月、アメリカ大統領を訪間した次の日に、当時の
首相・鈴木善幸が、みずから連署したばかりの共同コミュニケに書いてある
アメリカ合衆国との"同盟関係"について、一般の意味とは違う同盟関係だと日本の
新聞に話し、アメリカ政府をすっかり当惑させてしまった。このような場合、
外国側は、なにか隠された意図があるのではないかとすぐに勘ぐってしまう。
まさか、鈴木"首相"が、国家を代表していなかったとは、思いもつかないからだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


459 ◆fbBDnBiXNw :2008/02/23(土) 20:13:56 ID:ZLDk3jtx

/// とらえどころのない国家 83 /////////////

東京でかなり紛糾した後、結局、伊東正義外務大臣が辞任するということ
になった。ところが、後任者の園田直も、共同コミュニケというものは署名者を
拘束する力はないなどと発言し、状況は少しも改善されなかった。
 国家であるかぎり、最低限期待されるのは、統一された組織体として行動する
ということ、そして、少なくともそこから発せられる見解は一つのまとまったもの
であるということだ。これは実際に筆者の同僚外国人特派員が経験したことなのだが、
農水省から得た情報にもとづいて書いた記事を、正確ではないといって、
外務省が叱責するということがあった。このような状態で、どこに国家があると
言えるのだろう。

/////////////////////// 840円(税込) ///



460 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/01(土) 19:24:26 ID:v9iUTWsM

/// とらえどころのない国家 84 /////////////

また、これもよくあることがだが、ある省がすでに譲歩したことを、
外交交渉の席で別の省が否認するというようなこともどうであろうか?
 日本から入れかわり立ちかわり差しまわされてきた何人目かの調停役との
交渉で、ついにいらいらが爆発し、「責任者のところに連れていってくれ」と
叫びたくなる外国代表が多いはずだ。だが、日本にはそんた責任者などはいない。
日本には、筆者が<システム>と呼ぶものを構成する権力者たちが多数いるが、
彼らによって日本は押されたり、引きもどされたり、漂わされはしても、
率いられてはいないのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



461 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/05(水) 22:29:10 ID:7B5pr95X

/// とらえどころのない国家 85 /////////////

    ザ・<システム>

 みんながみんな、なんらかの形で権力行使過程に参加しているという政治体
(=統治体、つまり政治的に組織された国民の総体)を一応、"国家"と呼ぶことは
できる。しかし、まぎらわしいこの定義では、国家の概念があまりにも漠然としたもの
になってしまう。しかもこの場合でもなお、そこには政治的中心の存在を前提とする、
責任の所在がなければならない。では、国家の定義を適用できないが、しかし
一国の政治的営みをすべて包含するものを、何と呼べばよいのであろう。
筆者は、"システム"ということばを当てれば混乱がいちばん少なくてすむと思う。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


462 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/08(土) 22:01:47 ID:L1Qt8iJb

/// とらえどころのない国家 86 /////////////

これなら、社会・政治的な営為に携わる人びとの間のその相互作用が
おおよそ予想できる一連の存在、というほどの意味しかないからだ。
また、この"システム"は、個人が、暴力にでも訴えないかぎり手も足も出せない、
逃れようのない支配構造をさして言う時よく使われる用語である。さらに、
それは民主的な政治の調整力の範囲を越える権力をほのめかすものである。
私のいう<システム>は、時には騙されることもあるが、理屈というものをいっさい
受けつけない代物である。これはたまたまそうなっていいるということなのだが、
日本人は、個々人のいかなる力よりはるかに強い力をもつ社会・政治的な
仕組みの存在をいつも念頭におかなければならない状況下におかれている。

/////////////////////// 原書1989年刊 ///



463 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/11(火) 23:57:57 ID:7wTxl8wf

/// とらえどころのない国家 87 /////////////

したがって、その仕組みを変えるには、民主的な過程に訴えるのが理想的
だということについては、はっきりとは認識していないのである。だから、
一つの政治組織としての日本を述べる時には、この"システム"ということばが、
ひじょうに有効だと思われる。というわけで、"国家"でもなく"社会"でもない、
それにもかかわらず、日本人の生き方を、また、だれがだれに服従するかを決定する
機構をいうのにふさわしいものとして、あえて、強調のかっこつきで<システム>と
表現することにする。

/////////////////////////// 早川書房 ///


464 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/15(土) 23:52:32 ID:8pHgvhTY

/// とらえどころのない国家 88 /////////////

        あいまいな公私の境界

 外国人が日本でよく感じるのは、ここには"国家"という概念だけでは包括しきれない
なにかがあるということだ。この疑問の答えを探るうちに出てきたのが、流行語になった
あの"日本株式会社"ということばである。しかし、意見を統一し、それにもとづいて
重要決定をおこなう機関として、取締役会会長や代表取締役社長にあたるものや
取締役会すら日本政府にはないゆえに、この比喩は適当ではない。
 また一方、"日本株式会社"という考え方を好まない日本政府の公的スポークスマンは
西欧諸国を引き合いに出して、たとえば英国はフランスのほうが国営産業が多いのだから、
政府と産業界の利益が一体化しているのは、日本ではなく西欧諸国のほうではないかと
主張することがある。彼らは、日本について言及する評論家みなを待ちうける論理のわなの
誘惑に負け、リンゴをオレンジと言いくるめるに等しいことをしている。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



465名無しさん@3周年:2008/03/16(日) 14:40:37 ID:UY7RU4q9
upupu
466名無しさん@3周年:2008/03/16(日) 14:57:29 ID:StA8yIo7
>>464 つまり日本には左翼思想が蔓延り過ぎて国政を妨げ国論を
混乱させ諸外国から見て日本という国の真の顔が見えないと言う
ことであろう,日本の真の独立にはこうした叛逆思想の輩を徹底
的に検挙し鉄槌を加え一本化を図らねばならない時代になってきた
日本の顔を明確に世界にアピールする事は必要な事である
467 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/20(木) 22:32:06 ID:mniKvI8V

/// とらえどころのない国家 89 /////////////

 たしかに、官僚組織の規模の大きさからいえば、日本は西欧諸国と比べ、
とりたてて言うほどのことはない。たにしろ、西欧の福祉国家の肥大した官僚組織は
悪名高い。日本の公務員の数は、住民一〇〇人につき四.四人で、これは
英国の三分の一、アメリカや西ドイツの二分の一を少し上回るだけという数字である。
しかし、日本の<システム>についていう場合には、このことは直接関係はない。
西欧の混合経済においては、フランスでさえ、公私の間にまだかなりはっきりと
一線が画されている。国家の介入は理路整然とした計算にもとづいておこなわれ、
つねに効果のほどが監視されており、結果の成否は原因にさかのぼって評価される。
これと対照的に、日本の官僚による介入は分析になじまない傾向が強い。

/////////////////////// 840円(税込) ///



468 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/22(土) 19:49:29 ID:liA4rDPw

/// とらえどころのない国家 90 /////////////

 しかし、日本での私と公の領域の渾然となった状況が、不可解だというわけではない。
官僚の介入をたやすくさせるさまざまな慣行は、すぐにそれと指摘できる。
日本の官僚は、営利事業にかかわる許認可権を握り、助成金、税法上の特典、
低利融資などを自由に裁量して実施できるから、異常に大きな権力をもつ。
省庁は、"行政指導"という手段に訴えて、管轄下の民間組織を、"自発的に"
役所に従わせることができる。この手をつかって通産省は、海外および国内市場で
日本のさまざまな産業分野が全体として最善の業績をあげられるよう、構成し、
参加させ、またある場合には形を作りかえたのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



469 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/27(木) 21:17:16 ID:DVhCifJq

/// とらえどころのない国家 91 /////////////

日本の企業は一時期、資金をほとんど銀行借入金だけに依存していたため、大蔵省
および日本銀行には強力な規制力がある。一九八○年代には、大多数の大企業が
莫大な利潤をあげ、豊かな自己資本を持つに至ったが、今もなお、日本の官界と
産業界との関係は、欧米諸国とは比べものにならないほど、緊密である。
日本銀行は、窓口規制などの拘束力のある指示を市中商業銀行に出すことによって、
あらゆる大型投資に関する資金割り当てに、あいかわらず多大な発言権をもっている。

///////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



470 ◆fbBDnBiXNw :2008/03/29(土) 20:59:38 ID:D/mZs0ds

/// とらえどころのない国家 92 /////////////

 官僚はまた、ありとあらゆる経済的・政治的目的をもつ多くの公益法人を統轄し、
ついでに抜け目たく官僚の退職後の再就職先として確保し、閑職について生計費を
かせぐ準備をしておく。主に日本の郵便貯金制度(非共産圏最大の金融機関)の
原資をもとにこうした法人が運営されるが、その予算は事実上議会のコントロールを
受けないので、人目を引かずに、官僚の特定の目的を遂行するために支出する
ことができる。

///////////////////// 原書1989年刊 ///


471 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/02(水) 22:42:55 ID:SyAanAGS

/// とらえどころのない国家 93 /////////////

 毎年、およそ三〇〇人の高級官僚が、官庁在職中に監督していた会社の重役や
相談役として実業界に"天下る"。彼らは五五歳かその前に退官するので、
少なくともあと二〇年間は、産業界と省庁・中央銀行との間で"円滑なコミュニケーション"の
とりもち役でやっていける。政策を"調整"して合意に達するには、官庁の役人と
個人的なつき合いがあり、官僚の優先事項に精通していることが重要になる。
官僚と企業との間の情報伝達を密にするうえで、天下り官僚の存在は、どんな
公式のチャンネルよりも高率がよいのである。

/////////////////////////// 早川書房 ///


472 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/05(土) 19:56:59 ID:/ow0GmIZ

/// とらえどころのない国家 94 /////////////

 <システム>の上部では、官僚、民間企業の最高幹部に転じた元官僚、官僚出身の政治家、
官僚出身あるいは官僚化した財界指導者が渾然一体となり、親密につき合いながら、
経済全体を監督し、社会を管理している。"官僚"ということばを"管理者"に置きかえてみれば
伝統的な産業化社会における官僚、政治家、企業家などの峻別が日本ではほとんど
存在しないことが分かる。日本に特有なこうした人びとをこの本では管理者(アドミニストレーター)
と呼ぶ。
 戦後の実業界の領袖の大半は、その性質から企業家というよりも管理者といったほうが
ふさわしい。また、自民党議員の三分の一にあたる最有力政治家のほとんどが、元官僚で、
彼らがとる方法も態度もいかにも管理者らしい。形式上どのカテゴリーに入るかはともかく、
日本で最高位にある管理者は同じフィルターを通して選ばれた人間たちである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



473名無しさん@3周年:2008/04/05(土) 19:59:24 ID:ffX/v+VY
まずは簡単に始められる海外マネー撃退法を教えてあげよう。

日本の株式市場に流入している金の約6割が外資マネーということを知っているかな?
平均株価は外資によって維持されていると言っても過言ではない。もちろんこのような状態は
不健全であり、日本の株価は外資の思惑一つで簡単に上がったり下がったりしてしまうのが
現実なのだ。

しかし裏を返して言えば、あなたが株の売買を通じて利益をあげることができたとした場合、
その利益の6割は外資から金を奪うことによって成り立っていると言えるわけなんだ。
もしも君が株で100万円の利益をあげれば、外資から奪い取った金は60万円。
1億円の利益をあげれば、外資から奪い取った金は6000万円。
100億円の利益をあげれば、外資から奪い取った金は60億円にも達することになる。

つまり君が株式市場に参入し、利益をあげればあげるほど、外人投資家がそれに応じた
打撃を被るというわけだ。
君が利益をどんどんあげていけばいくほど、ハゲタカファンドは苦しんでいくんだ。

それがどれほど日本を守ることにつながるか、わざわざ説明するまでもないだろう。

株で勝つ方法は簡単。日経新聞や株に関する雑誌を講読すれば良い。
日頃から情報収集を怠りなくおこなえば、そして外資がすぐには入手することができない情報を
日本の地の利を生かして先に入手することができれば、外資を出し抜いて金を奪い取ることなど
造作もないのだ。
最近は株に投資するなとレスする奴がいるが、そいつは外資のスパイだ。日本の愛国者が株で
外資から金をせしめることを恐れて、外資のスパイが情報工作しているのだ、気をつけろ。

金が無いならサラ金で借りれば良い。株式トレーダーは自営業みたいなものだから、職業を聞かれたら
自営業と答えれば良い。
アコムで無理ならプロミスで借りろ、プロミスで無理なら武富士で借りろ、
武富士で無理ならアイフルで借りろ、アイフルで無理ならレイクで借りろ。

海外ファンドから日本経済を守るため、そして海外ファンドを苦しめるため、君も株に投資しよう。
474 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/09(水) 23:54:31 ID:nK/zRkJO

/// とらえどころのない国家 95 /////////////

同じフィルター、とくに東京大学と、数は少ないが京都大学―つまり、両旧帝国大学の
法学部である。<システム>の上部では反目も大いにあるが、国の公的機関が産業側の
組織と闘うという事態は、めったに起こらない。企業人集団と官僚集団が組むと、
同じ業種の他の企業人集団と別の官僚集団が向こうにまわることがあり、この裂け目は、
先端のないピラミッドを斜めに走ることになる。これに対し、このような省庁間の激しい
対立や縄張り争いは大変意味深いものであるが、官僚と手ごわい企業との本格的な
対立というのは、めったに耳にしない(もし、そんなことがあれば、その後何年も
とりざたされることになる)。<システム>のずっと下位に位置する新興企業、とくに
重要産業分野の中小下請け企業においてのみ、本来の意味での企業家を見い出す
ことができる。

////////////////////////// 840円(税込) ///


475 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/12(土) 21:42:48 ID:g2Y2iWGG

/// とらえどころのない国家 96 /////////////

        統制される資本家たち

 産業ヒエラルキーの底辺に位置する中小企業と官財界トツプとの間には、
戦後、世界に日本の名を知らしめた企業群が、高度に組織化された序列にたがって
並んでいる。これら日本版"資本主義"の"私"企業はその名にかかわらず自立
しているわけではない。大企業の大半は―その関係に程度の差こそあれ―コングロマリット
(複合企業体)に属している。その中の巨大な六つが、三井、三菱、住友、芙蓉、
三和、第一勧業銀行の各グループである。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



476kkk:2008/04/15(火) 23:50:30 ID:c5zoHFCj
kkk
477統一王朝の恐ろしさ:2008/04/16(水) 00:05:01 ID:h98wafU1
平安王朝は須様時かったらしい。
受領国司の横暴は凄い。
領民から税を搾るだけ搾る。京から沢山の荒くれ者を引き連れ、領民を襲撃するという手法を
用いたと言う。役所にも受領直属の荒くれ者が居座り、国の税を全て受領が横領。
おかげで税を配分されない国分寺や国分尼寺の僧は、飢えに苦しむ事が多かったと言う。
このような受領国司の横暴に対し、地方郡司達は土地や農民を守るために武装したり、有力寺社や貴族に
土地を寄進して国司から守ったのであった。
478統一王朝の恐ろしさ:2008/04/16(水) 00:17:00 ID:h98wafU1
藤原道長も凄い。
自分の屋敷の建造に大きな石が不足した為、平安京の一部を解体してかっさらった
という。おまけにその石を運ぶ際、都から屋敷の間の住民の家を強制的にぶっ壊し、
運んだらしい。さらに、屋敷の建造には都の下層民を強制連行して労働させた。

道長の息子達も凄い。
殺人や強姦を行わなかったのは、頼道ただ一人。それ以外は宴席の場で部下を殺したり、
女性を犯すのは日常茶飯事。ある意味今の北朝鮮の喜び組以上の凄さかも。
これが優雅な平安貴族の実態だった。
479 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/16(水) 23:40:19 ID:1GtKRw8+

/// とらえどころのない国家 97 /////////////

 これら"企業グループ"または単に"グループ"と呼ばれるコングロマリットには、
そのグループの銀行を中核に、不動産会社、保険会社、有名な総合商社などがあり、
そのほか、多種多様な産業分野の企業が多岐にわたって存在する。
どのグループでも、全体構造をつなぎまとめているのは兼任役員である。日本の
株式市場に上場されている株式の六〇〜七〇パーセントが、企業法人や
金融機関に保有されている。日本企業は、相互持ち合いの形で、株式をその
企業グルーブ内に留めておく。このような株は、投資というより、"政治戦略的な"
株とみなされ、売却されることは決してない。一社の株式の五割以上をグループ内で
相互保有することにより、外部の者による会社乗っ取りを未然に防げる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



480名無しさん@3周年:2008/04/16(水) 23:42:16 ID:/ZLcYOeI
商品の単価が1万円以上場合、消費税の税率を8%にする。

商品の単価が1万円未満の場合の消費税率は現行のまま税率5%に据え置く。


これが最善の消費税率。
481 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/20(日) 20:09:22 ID:VozBsqGf

/// とらえどころのない国家 98 /////////////

 グループには統率責任者はおらず、究極的な責任を負うものはだれもいない。
定期的に開かれる社長会は、相互規制のための機関である。その企業グループ内の
すべての主要企業の社長は、自社の株主としてではなく、自社が保有する他の
メンバー企業の株式を代表して、社長会に出席する。社長会のひとつの機能は、
メンバー企業による共同投資や新しい産業分野における共同出資の姉妹会社設立
について討議することにある。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



482 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/23(水) 23:22:22 ID:wBYEINL8

/// とらえどころのない国家 99 /////////////

 企業グループをさして言うのに、よく使われるもう一つのことばは、"系列"
である。しかし、この呼び方はもともと、メンバー間の関係がより緊密なタイプの
コングロマリットをさして使われていた。つまり、ある大手メーカーの子会社、
原材料供給会社、下請け会社、卸小売販売会社を整然と階層制により配列した
仕組みをいう。グループ内の大企業が、数百の会社を含む各タテ系列の頂点にある。
前記の六つの主要コングロマリットには属さないが、六大グループほどは大きくない、
戦後にできた巨大企業を中心に次々と登場した、新興企業グルーブもいくつかある。
 組織の仕組みやメンバー規制の度合いは、グループによって異なるが、相互に
援助し合い、できるかぎり取引をグルーブ内で自足するのが、当然のこととされている。

///////////////////////// 早川書房 ///



483 ◆fbBDnBiXNw :2008/04/24(木) 22:32:45 ID:YORVmkQE

/// とらえどころのない国家 100 /////////////

 こうした企業グループは、一九四五年以前は持株会社を中心に組織され、
占領軍当局により解体を指令された"財閥"の跡を受け継いだものである。
占領軍によるパージが、かえって多くの無用の長物を取り除いたうえでの再編成を
促す契機になり、この戦後育ちのグループには、戦前の財閥以上の実力が備わっている。
さらに重要なのは、銀行がかつての持株会社にとってかわることにより、融資網が
確立されたことである(銀行の復活と存続は日銀によって保証された)。
この資金ポンプがなければ、"経済的奇跡。もこれほど見事には達成されなかった
であろう。いや、あるいは、まったく不可能であっただろう。戦前および戦中の
経済統制制度を廃止するどころか、占領軍当局は、逆にいっそう活気づけて
しまったのである。

//////////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


484名無しさん@3周年:2008/04/30(水) 20:54:04 ID:hrvCNeEa
暴力反対!
485 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/02(金) 20:58:24 ID:oGLlSmVW

/// とらえどころのない国家 101 /////////////

 実際には、日本の産業界は、先に述べたことから察しうる以上に厳格に統制
されている。企業グループの各メンバー企業は、業種ごとに重なり合うギルドの
ように――ただし、ここでも階層制の構造がとられている――組織されている。
不文律に従うことは義務になっているから、自社の政策決定も自由にはできない。
個々のメンバー会社が規律を乱したり、他のメンバーが良しとすることを理解
しない場合には、この産業組織体がまとまって制裁を加えるという、超法規的な
権力をもつ。ただし通常は、"不快の意"を示す軽徴なサインが出されるだけで、
強制破産といった究極の制裁処置がとられることは稀である。

/////////////////////// 840円(税込) ///



486 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/06(火) 21:47:07 ID:6xUV4ojg

/// とらえどころのない国家 102 /////////////

 この凄まじくからみ合うヒエラルキーの複合組織はその最下位に、いまだに
家族全員が一日一〇時間も働くような零細工場にまでおよぶ、無数の下請け
企業を養っている。日本の"二重構造"としてよく議論されるが、この下層レベルでこそ
西欧人が言う意味での"資本主義"ということばが思い起こされる。これらの
零細企業は、今も、大きたリスクをみずから負う企業家によって経営されている。
とはいっても、彼らが市場の状態に左右されるのは、ある程度までといえよう。
とどのつまり、零細企業の主な機能は、ヒエラルキーの上位企業のために
低賃金労働を提供することである。全体として、この階層が、不景気時のショックを
吸収するクッションの役目を果たしている。また、なぜ日本は企業倒産率が
高いのかの説明にもなる。つまり、おびだたしい数のこれらの小企業が、
不景気のたびに破産してはまた違う製造業の役割を担って再登場するわけである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



487 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/08(木) 22:49:15 ID:EHnSr71z

/// とらえどころのない国家 103 /////////////

        相互抑制

 このような巨大な<機構>から、真に国家と呼べるものを見つけ出すのは不可能といえる。
日本が、関税引下げなど、外国製品の日本市場参入のための法律を承認したり
対策を講じたりする行為には、もちろん、一つの国家としての存在が感じられる。
しかし、実際的には、このような国家的行動はほとんどなんの意味もない。他の
産業諸国においては、こうした法律や対策には実効があるものだが、日本では、
必然的に、<システム>のはたらきによって打ち消されてしまう。つねに<システム>が
国家の上位に位置しているわけだ。

/////////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



488 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/10(土) 21:04:16 ID:RmqKQHlv

/// とらえどころのない国家 104 /////////////

 だが同時に、<システム>を一枚岩として見てしまわないよう気をつけなければいけない。
近代的な装いの東洋的専制君主制ではないのだ。専制君主はどこにも見あたらないし、
ジョージ・オーウェルの『一九八四年』にあるような、いつも目を光らせている
ビッグ・ブラザーがいるわけでもない。もし<システム>の構成員で、その役柄を演じてみたい
という野望を持つ者がいようものなら、たちまちにして、他の構成員が一団となって
反発することになる。<システム>において自己の力を保つことが、構成員それぞれにとっては
最優先事項である。自己の勢力の維持は、どれか一つの構成員が他の構成員を支配
できるほど強い力を得ないよう、始終、抑制し合い、相手をよく調べ、構成員間で互いに
介入し合うことによって、成し遂げられる。あの一九三〇年代のように、力のバランスが
くずれた時には、事がとりかえしのつかない悪い方向にいってしまうことがあるのを、
苦い経験をとおして日本人は知っている。

//////////////////////// 原書1989年刊 ///



489 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/14(水) 21:02:03 ID:UdumeAdQ

/// とらえどころのない国家 105 /////////////

 外の世界との取引の際、<システム>の構成員は、どちらかというと同じような
方向に向かい、同じような目標を達成しようと努力する。なにか巨大な陰謀を
たくらんでいるのではないかという印象を与えてしまうのはこのためである。
だが、国内では、互いに対立し合いながら取引を進め、互いの力を抑制し合う
一面もみせる。"日本株式会社"という比喩のそもそもの誤りは、タバコの煙が
たちこめる重役室で、取引や経済的征服の陰謀がおこなわれているという
印象を与えてしまうことだ。もし、それが事実なら、外国政府にとって、どれほど
事は簡単だろうか。少なくとも、役員会との交渉ができるのだから……。

///////////////////////// 早川書房 ///



490 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/17(土) 19:36:59 ID:gwXor/xh

/// とらえどころのない国家 106 /////////////

 その独特の世界観を広め、<システム>内に現存する力関係を維持するよう奨励し、
かつまた、貿易相手国の不満をなんとなく散らしてしまうための宣伝をおこなう際の
<システム>の意思統一を、日本人も外国人もあまりにも過小評価しすぎている。
また一方、危機に瀕した時には、統一のとれた政策遂行のため、既存の力関係を
犠牲にできるという能力のほうは、はなはだしく過大評価されているといえる。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



491 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/21(水) 23:08:39 ID:fNtfHgbd

/// とらえどころのない国家 107 /////////////

        麻痺した超大国

 中心を欠く<システム>でも国内向けには機能するが、明確なアクションをとらないために、
社会的機能不全に陥っている分野では問題が解決されないままに残されがちである。
役人や政治家や財界人が、枝葉末節の政策調整にうつつをぬかしている間にも、
日本はただなんとか転がりつづけて行くのである。
 戦後の産業債権は、強力な政治的中核によって決定されるまでもなく、明らかな
優先事項であった。その再建過程で、自然の成り行きとして、際限なくどこまでも
産業を発展させることが国の最優先事項であるという、政治的な前提が出てくることとなった。

/////////////////////// 840円(税込) ///



492 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/24(土) 23:21:09 ID:7AYApnoJ

/// とらえどころのない国家 108 /////////////

官僚が、その政策の推進・監督をみずから引き受けたが、他の重要事項はなおざりに
したままだった。政治家も、経済官僚の出した構想にあえて反対はしなかった。
日本は事実上の一党支配体制であるから、面倒な議会制民主主義的手続きに
煩わされることもなかった。しかしこれは、西欧の民主主義諸国では政治家の
責任が決定的な役割を果たすのに比べ、日本の政治家はその責任を放棄してしまった
ことになる。基本的には、日本はいまだに、一九五〇年代以来の政策に沿って事を
進めているのである。もはや、今世紀初頭の数十年間のように、それぞれが
"天皇の意思"を遂行すると主張する強力な対抗勢力によって、あっちの方向、
こっちの方向へと引きずりまわされる日本ではない。今の日本の問題は、新しい
政策を打ち出す仕組みもないままに、ただひたすら、一つの方向にあまりにも
強く引っばってゆかれているということなのだ。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



493 ◆fbBDnBiXNw :2008/05/28(水) 22:33:20 ID:93ybrB17

/// とらえどころのない国家 109 /////////////

 <システム>の構成員どうしの政治的かけひきが先行するため、国として外の世界と
関わる問題の処理が妨げられている。一例だけをあげれば、大半のとはいえないまでも
多くの政治家が、娩曲に"貿易摩擦"といわれていることに関わる、表向きにできない
なんらかの利害関係をもっている。彼らとしては、その問題が国益を大きく損なっても
困るので、ある程度まで表面をつくろう手を打ってくれと官僚に頼む。"貿易摩擦"問題が
完全に解決されれば、彼らは重要な資金源を失うことになる。国内市場での外国産業との
競合をもっとも恐れる業界は、もっとも気前よく"政治献金"を出してくれる資金源
であるからだ。

//////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



494 ◆fbBDnBiXNw :2008/06/07(土) 22:15:17 ID:z+H0FP+a

/// とらえどころのない国家 110 /////////////

 国際的視点から見れば、今ある日本の<システム>は時代錯誤ということになる。
貧しく孤立していた時代の日本には合っていたかもしれないが、国際的なパートナー
としての今の日本にはそぐわない。日本が、下手をすれば深刻な敵対関係に陥り
かねない可能性を秘めた外の世界となんとか妥協して共存できる方策を確立するのに、
効果的な方法を見出すためには、この、細かく網の目状にからみ合ったオール
日本製で構成される<システム>だけでは、あまりにもお粗末だ。

///////////////////// 原書1989年刊 ///




495 ◆fbBDnBiXNw :2008/06/14(土) 21:23:31 ID:EERQmB6n

/// とらえどころのない国家 111 /////////////

 この<システム>は、明らかなバラドックスをいろいろと見せてくれる。采配を
ふるう強力な指導者さえいないのに、世界の経済征服を狙う巨人がいるような印象を
海外に与えてしまう。政治的中核が存在しないのに、国内の反対勢力をほとんど
すべて抱きこんでしまう力がある。この<システム>は、とらえどころがない。西欧諸国の
人間が把握しようとしても、するりと逃げてしまう。それに参加しているはずの
日本人も、この<システム>を概念的にとらえることができないし、いわんや、変える
ことなどとてもできない。その参加者の大半に、そうとはっきり意識されないまま、
<システム>は存在する。姿も形もない。それどころか、法にてらした正当性もないのである。

///////////////////////// 早川書房 ///


496 ◆fbBDnBiXNw :2008/06/21(土) 20:00:13 ID:eFLaXoHD

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

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497名無しさん@3周年:2008/06/29(日) 22:00:20 ID:oqR8pxOw
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商品の単価が1万円以上場合、消費税の税率を15%にする。

商品の単価が1万円未満の場合は消費税の税率を3%にする。


貧乏人でも1万円以上の物を買う時はあるし、金持ちでも1万円未満の物を買う時もあるので、
幅広い国民に公平な負担を求めるという消費税の基本理念は貫ける。
したがって当面の間、これが最善の消費税率と言える。
500名無しさん@3周年:2008/07/24(木) 07:42:11 ID:Q1GXduEZ
日本でない。
501名無しさん@3周年:2008/07/24(木) 07:43:24 ID:Q1GXduEZ
日本でない。
502 ◆fbBDnBiXNw :2008/08/03(日) 00:06:25 ID:CqgseYb1

/// 抱き込みの包囲網 1 ////////////////

カレル・ヴァン・ウォルフレン著、原著1989年発行
日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、篠原 勝 (翻訳)より

・・・・・
3章 抱き込みの包囲網

 無数の政治的勢力が、しかも、それぞれがその気になれば国家を揺るがしうるだけの力を有し、
自分の利益を守ろうとひしめき合うなかで、責任をとるものがまったくいなくても社会的混乱が
起こらない。それどころか、社会の秩序正しさと人びとの規律正しさというのが、日本の
際立った特徴である。これでは、どこか別のところになにか非常に有力な政治的勢力があって、
それが結合力のもとになっているにおがいないと思ってしまう人もいるだろう。
 日本人は、自分が生活していくうえでの大部分のことはだれかが決めて管理してくれる
という考え方を、子供の時から無意識のうちに教え込まれる。また、日本人を取りまく環境は、
一般的に、臨機応変に行動することを奨励しない。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



503 ◆fbBDnBiXNw :2008/08/06(水) 10:45:20 ID:U6VzgUxR

/// 抱き込みの包囲網 2 ////////////////

心身を休めて楽しむ場合にも、えてして規律を重んじる。学校の行事から花見にいたるまで、
集団行動はほぼ例外なく苦心して準備され、本番はといえば予定どおりに進行される。
外部者の目から見ると、どんな楽しみもすべて周到な準備のためになくなってしまう。
 個々の日本人は自分にどのくらいの自由裁量が許されているのかをつねに念頭に置いて
行動するようだ。これは、日本の組織についてもほぼ当てはまる。既存の社会的、政治的な
仕組みに対する抵抗が長続きすることはまれである。たしかに、日本の組織も、勢力拡大を
図ることもあるが、それはあくまでも、ヒエラルキーの中で自分の地位を確保する最良の方策だ
というときのみである。通常、きわめて小規模な、少数の(誰が見ても)きわめて過激な小集団を
除けば、<システム>の秩序を乱すようなそぶりさえ見せるものはいない。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



504 ◆fbBDnBiXNw :2008/08/15(金) 20:13:37 ID:T1xI2QMv

/// 抱き込みの包囲網 3 //////////////

  政治的な競争の欠落

 アジア諾国や西欧社会では、宗教担織や血縁同族集団などが、既存のエリート階級に挑戦し、
それらにとって代わろうとする勢力として存在してきたが、日本にはこのようなオルタナティプ
(二つめの選択肢)の組織がまったくない。だから、既存の政治体制に対する長期的で粘り強い
反対をする伝統はなく、労働運動も、消費者運動という単純な現象すらうまれなかった。
いろいろな利益集団や、農業協同組合や労働組合もあるが、そのほとんどが<システム>に
取り込まれ、<システム>の目的に利用されてしまっているのだ。

//////////////////////// 早川書房 ///



505名無しさん@3周年:2008/08/20(水) 10:33:46 ID:St/KDMz/
ウォルフレン ... 30年 (?) だか日本に住んで、ほとんど日本語の読み書きが出来ない ガイジン って不気味じゃないか?

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2207/shuchou106.html
「1時間対談をしてもらう予定ですが、ウォルフレンさんは日本語を話せません」
「だったら二人で英語で話しますよ」
「それじゃ速記の人が書けませんから通訳を入れます。そうすると時間が二倍かかりますから、対談の時間は2時間みて下さい」と言われた。
506 ◆fbBDnBiXNw :2008/08/23(土) 19:47:51 ID:eOwx7p71

/// 抱き込みの包囲網 4 ////////////////

    骨ぬきされる伝統的挑戦

 日本の権力保持者は、これまで何世紀にもわたり、自分を脅かしうる集団を無力化あるいは
吸収するという技に磨きをかけてきた。この歴史は、少なくとも、仏教が「既存の社会体制
および伝統的価値体系の中の単なる小道具の一つ」になった時代にまで遡る。他の多くの
政治体制では、宗教が世俗の支配者に対抗して権力を求める最も強い勢力をうみだしてきた。
それらはある程度、個人を権力保持者の支配から解き放つ役割を果たした。
 したがって、インドでは武士階層に属するヒンズーの王侯は、つねに僧侶階層のバラモンに
目を光らせていなけれぱならなかった。プロヒタ(首相のようなもの)は宗教的に上位にある
僧侶階層を代表していたのである。彼の主な職務は形式的なものであったにもかかわらず、
王の意見に決定的な影響を及ぼすものとされた。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



507 ◆fbBDnBiXNw :2008/08/30(土) 20:38:02 ID:io5u4DL5

/// 抱き込みの包囲網 5 //////////////////

現代のインドでも、宗教的な配慮は政治生活の中で重要性を持ち、その傾向はより強くなって
いるようだ。タイでは、仏教が、国民の価値観の根幹として王制と同等の価値があると考えられている。
フィリピンでは、カトリックの司教が普遍的な原理に訴えて一九八六年のマルコス大統領追放の
先頭に立って、重要な原動力となった。また、インドネシアやマレーシアの政府はイスラム教指導者の
不興を買うような危険は決して冒さない。というのはそれらは、イスラム原理主義勢力に支援されて
いるからである。韓国の反政府運動は、全国に勢力を広げつつあるカトリックおよびプロテスタントの
教会を背景としておもに組織された。日本が主権在民の公式モデルとしている近代政治制度は、
いうまでもなくヨーロッパにならったものだが、これは何世紀にもわたりその時代の政治的論評の
テーマとなってきた、政教分離というヨーロッパの基本的な前提から生まれたものである。

/////////////////////// 840円(税込) ///


508名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:02:47 ID:ndp6SchD
まだやってるのかw
1989年の本を崇拝する馬鹿よ
509名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:06:34 ID:vcjH83Yh
yy
510王権仏授説:2008/09/03(水) 23:07:03 ID:ndp6SchD
>506
日本の権力者は、何世紀にもわたり・・・って、またかよ
何度言わせる?
日本の支配層は、神仏の下にあったんだよ。例えば白河法皇は「王権仏授説」を唱えてた。
「我は仏の僕なり・・・」と言い、神仏の信仰が厚かった。その後の天皇も同じ。
511名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:08:45 ID:vcjH83Yh
誰かにとっては痛打なのだろうか
512名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:10:14 ID:ndp6SchD
天皇自身が「神」になったのは明治から。キリスト教の物真似。
それまでは「カミ」と言われた事もあったが、これは一神教的な神と同じではない。
カミとは人の成れる、超越的存在である。
513名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:12:37 ID:ndp6SchD
504は爆笑した。
血縁社会を脱出したから、近代の基礎に辿り着いた。少し話そう。
514名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:13:22 ID:vcjH83Yh
自分としては明治という時代がもっとも妖しい
その後の大正天皇の行く末を考慮に含んでもね
515名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:15:34 ID:ndp6SchD
古代の日本は、「氏」にまとまる血縁中心社会だった。
それを封建制により、「家」にまとまる社会に導かれた。
日本以外のアジアは、血縁部族社会を卒業出来なかった。
要するに「古典王朝の輪廻」から逃れられない。それでは「古典王朝の輪廻」とは?
516名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:17:14 ID:ndp6SchD
>514
うん。そうね。でもこのスレいつまで続くのやらw

517名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:18:22 ID:vcjH83Yh
アジアってリスクが高いんじゃないの?
西アジアとか今回の事件みたいに。
ちょっと怖いんです。>亜細亜
518古典王朝の輪廻:2008/09/03(水) 23:22:38 ID:ndp6SchD
明治の学者「福田徳三」は、封建制の重要性を説いたが、これを得なければ「古典王朝の輪廻」
を繰り返すと言う。
王族が頂点に立ち、貴族が支え、大部分の庶民層を支配する。これが古典王朝の骨格。
だが、いつまでも王族の繁栄は続かない。
そのうち王族が倒され、部族集散状態となる。で、また、有力な部族が現れ、統一王朝を形成する。
・・・・・と、延々とこれを繰り返す。
519名無しさん@3周年:2008/09/03(水) 23:25:49 ID:vcjH83Yh
はっきりしてるのは、日本人は皇室の人間とそれ以外の人間で成立してるってことでおk?
まあ、今はどうでもいいことですが。

よくないよくない
520古典王朝の輪廻:2008/09/03(水) 23:26:11 ID:ndp6SchD
かつてのアジアはこういう状態を繰り返した。
ふと思ったが、イラクやアフガンも今は「部族集散状態」にあるのかなと。
フセインという強力な支配者(王みたいなもの?)が除去され、またバラバラに。
というか、まあ、フセイン体制も部族連合に過ぎないからなあ。
521古典王朝の輪廻:2008/09/03(水) 23:29:32 ID:ndp6SchD
>518
福田徳三が言いたいのは、封建制度が血縁部族を解体し、小家族化させ、支配と被支配を
権利義務で繋ぐ社会を作るという。難しいが・・・
522古典王朝の輪廻:2008/09/03(水) 23:33:16 ID:ndp6SchD
近代国民国家は、国と国民(臣民)の権利義務関係を、法で繋ぐ。
これは封建制度の延長上にあるという。ますますややこしい。
だが、血縁部族(氏族)のアジア社会は、こういう社会体制を作るのに苦労した。
今でも苦労している国も多い。
523>507:2008/09/04(木) 22:13:22 ID:a0CnC8D7
一番の爆笑は、507!
マルコス大統領の転覆や韓国の市民運動を賞賛するとは「本物のアフォ」ですw
また、イスラムの原理主義を長所にしたような論調には爆笑した。
今頃このオランダ人はどう考えてるのか?
分かってるのは、このオランダ人の頭の中は「革命史観の延長」にあるってこと。
ライシャワーのような「資本主義の歴史観」は存在しない。
524名無しさん@3周年:2008/09/04(木) 22:23:25 ID:a0CnC8D7
とにかく被抑圧者などが改革や革命に訴え出ることを良しとする。
そこには、資本主義の発達に対する考察が全く見られない。
その結果、韓国や東南アジアのような歴史を日本史より評価するという、トンデモ史観が
生まれる(本当は日本史は韓国史などより改革に打って出る歴史は強かったが)。
昨日は部族社会の離合集散(古典王朝の輪廻・・・部族拡散→統一王朝→部族拡散→
統一王朝→・・・・・)を書いたが、今日は庶民の財産所有形態などを述べたい。
525 ◆fbBDnBiXNw :2008/09/04(木) 22:31:40 ID:hu4Xs0sc

/// 抱き込みの包囲網 6 ////////////////

 中国の場合、宗教は世俗的な権威に対抗する力としてはあまりにも弱かったが、そのかわり、
高度に中央集権化された行政制度は、別の勢力からの挑戦を受けた。中国の国家は皇帝を
中心にすえて、マンダリンと呼ばれる官僚が運営にあたる大規模な官僚制度が首都から地方へ
向かって力を及ぼした。その一方、この権力機構に並立する、まったく異なる社会組織があったのだ。
つまり、氏族および地主階級が頂点に立つ地方権力機構である。この二つの体制の軋轢から
生まれる緊張感は、つねに紛争の火種になる危険性をはらんでいた。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



526財産所有形態の変遷:2008/09/04(木) 22:34:52 ID:a0CnC8D7
 なかなか想像できないが、古代日本では農民(民)は農具を持ってなかったという!
農作業の時に、民は里長や国の役人から農具を渡され、農作業が終われば回収された
んだと。要するに民には財産など一切無し。初期荘園でも田堵が農具を持ち、雇われ
の貧しい民に農具は無い。
 中世において農村が登場すると、農具は村の共有財産となる。もちろん名主のような有力農民
は農具の強い管理権を持っただろう。
 戦国期の検地、特に太閤検地において「1地1作人」の原則が現れ、農民1家族が「1つの
土地・家・財産」を持つに至る。農具もまた、農民1家族の所有物となったのである。
こうして近世江戸時代において、日本史上初めて庶民層に「財産私有形態」が現れたのだ。これが、
明治維新において、日本が土地私有制や私有財産制を導入できた理由である。

527 ◆fbBDnBiXNw :2008/09/10(水) 23:34:43 ID:y8mKkRtQ

/// 抱き込みの包囲網 7 ////////////////

 日本の場合、社会的なヒエラルキーと政治的なヒエラルキーとが一致していた。中国では、
家族の成員であるかどうかを決めたのは血のつながりで、儒教でいちばん大切とされる「孝」が、
皇帝や国家に対する政治的忠誠より重要なものとされていた。それに対し、日本では「イエ」に
政治的重要性があった。その成員としての基本的条件は、仕事の分担であり、血縁関係は
必要条件ではなかったのだ。家長の座の継承も、養子縁組によってなされることも多かった。
徳川政権が、「イエ」をその政治機構の基本単位にしたことは重要である。その結果「イエ」は、
公的に認められた家長の力に従わざるをえない財産所有権のない成員で構成される企業のような
組織となった。中国では国家に対立して存在した「イエ」が、日本では、このように、国家に
吸収されてしまった。この重要な歴史的展開については、6章で詳しく見ることにする。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



528 ◆fbBDnBiXNw :2008/09/14(日) 22:00:46 ID:cLuB77BM

/// 抱き込みの包囲網 8 ////////////////

    無カ化される市民運動

 日本の政治的現状にさからって変革を試みる者が直面する相手は、変幻自在で、雲を
つかむように実体がないから、結局は攻略もできないという難物である。日本の権力は
分散されすぎているので、対決するにも捕まえどころがないのだ。<システム>に対抗してくる
不平分子の主要なものはみな、そして小規模なものも大半が、<システム>の個々の構成員の
平和的手段によってその懐の中に抱き込まれてしまう。顕在化したものであれ、潜在的な
ものであれ、反対勢力はすべて、すみやかに牙を抜か れて、忘れ去られる。また、
その規模からいっても声の大きさから見ても無視できないほど大きな勢力は、<システム>内の
一部として機能するよう、ごく自然に同化させられてしまうのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



529 ◆fbBDnBiXNw :2008/09/20(土) 18:15:43 ID:sHXeed5y

/// 抱き込みの包囲網 9 ////////////////

 たとえぱ、消費者運動を例にとってみよう。日本の中産階級の主婦は、政治的に見て
重要な役割をになう可能性のある存在といえる。自由な時間が増えた主婦は、地域活動に
熱心にとりくむので、婦人会のない地域はほとんどない。主婦連は、もっとも古くからある
圧力団体の一つで、戦後の闇取引に対する反対運動などの中から一九四八年に結成された。
そして一九六〇年代の終わりから七〇年代の初めにかけて、地婦連(地域の数多くの婦人会を
統括する上部組織)と提携して、消費者運動の先頭にたってきた。それは、新しい形の
政治運動かとさえ思わせるほどの動きであった。ところが、缶ジュースの果汁含有量の
表示を義務づける法律をつくらせたり、カラーテレピの値段を下げさせるといった、小さな
問題ではいくつか成功したものの、活動は次第に尻すぼみになってしまった。

///////////////////////// 早川書房 ///


530名無しさん@3周年:2008/09/23(火) 10:46:04 ID:2+jFrqTc
527は大爆笑の理論だ。
そもそも、「イエ」というのが登場したのは、アジアでは日本だけなのだ。
「イエ」とは「小家族」の事。
中国は巨大な父系親族社会で、イエ社会では全く無い。
この「イエ」社会は、支配者層では封建制度の発展などにより、そして庶民層では
戦国時代の検地により、発展した。
531名無しさん@3周年:2008/09/23(火) 10:56:23 ID:2+jFrqTc
そして日本がヨーロッパの制度を導入できた大きな原因が、日本が「イエ社会」
だった事にある。
ライシャワーは日本とヨーロッパの共通点を、封建制の発展に求めたが、実は「小家族社会」
という共通点も存在するのだ。一組の夫婦がいて、夫の両親と(婿養子だと妻の両親)夫婦間の
子供達、それを一つの単位とする。これを日本ではイエと言うが、ヨーロッパも同じ構成単位
でまとまる社会だからだ。
日本がヨーロッパの民法を、若干の違いがあるが導入できたのは、小家族社会と言う共通点が
存在したからなのだ。
532山田一族?:2008/09/23(火) 11:09:09 ID:2+jFrqTc
このオランダ人は、そもそもイエが小家族を表している、という事にさえ気付かないようだ。
例えば山田太郎君がいるとしても、山田一族というのが存在するわけではない。山田とは
あくまで小家族の名前なのだ。確かに古代日本では、源、平、橘、藤原、伴、菅原などの
「親族名」は存在したが、封建制の発展などにより解体していった。一例として「源」は
山田、新田、佐竹、佐々木、足利、羽田、細川などのイエ(小家族)に分離していく。
533名無しさん@3周年:2008/09/23(火) 11:23:05 ID:2+jFrqTc
そしてこれら小家族単位で生活する社会になる。これはまさしくヨーロッパと大いに
共通している。検地の後は、庶民層にまで小家族社会は広まり、農民個々の家族が独立して
土地や家や財産(農具など)を保有する社会が生まれたのだ。
それに家長だけに財産権があることを咎めるが、室町時代までは多くの奴婢(下人や
所従)がいて、彼らは自分の家さえ持てなかった時代を考えよ、と言いたい。朝鮮でも
奴婢階級が30%以上存在し、かれらは両班の奴隷に過ぎず、奴隷に生ませた子は奴隷になる
という「奴婢の再生産」が行われていた社会だ(朝鮮紀行や朝鮮事情を参照しよう)。
このような社会に対し、小作人まで自分のイエを持てた江戸時代は、素晴らしいとしか
言えない(実際に、19世紀の日本に訪れた西欧人は、大いに褒めていた)。
↓与党【消費者庁】,民主【消費者権利院】案、【企業版の人権擁護法案】でないかと疑い!!
↓内閣や国会から独立/資料提出を要求する権限/処分の勧告権/を持つ【擁護委員会】?!

http://unkar.jp/read/mamono.2ch.net/newsplus/1219843362 「消費者庁」創設へ
>47 : 企業版の【人権擁護委員会】になりそうな悪寒
>86 :●野田聖子と古賀の利権になる…。
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/news/1217115708/ 『権利擁護官』を創設
>...「消費者権利擁護官」制度案をまとめた。...民主党案は、民間から登用する
> ★権利擁護官ら計五人からなる【擁護委員会】を、内閣から独立した機関として...
http://mobile.seisyun.net/cgi/agate/news24/wildplus/1219661907/1/a
【民主党】 内閣や国会から独立し、強い権限を持つ「消費者権利院」創設法案を提出へ
>3 : 何だそりゃ!四権分立にでもするのか???
>13 :【人権擁護委員会】のような裁判所とは別の処分が出来る聖域を設けて、自分達が入り込む...

↑【毒餃子】も中国内の米工作員(CIA)説あり、【汚染米】【メラミン】と続くのも農水省不手際も
↑「消費者庁必要」/「消費者庁+ユニバーサル法の●野田聖子マンセー」の世論操作ねらい?!
↑ http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1208608571/70
↑  ■□■消費者■□■庁発足■□■の閣議■□■決定が■□■目前!!■□■

★ 巻き添え業者の【実名公表】は【裁判によらない私刑】の先例づくり?!
535 ◆fbBDnBiXNw :2008/09/27(土) 22:03:01 ID:fULhJBs4

/// 抱き込みの包囲網 10 ////////////////

 いたるところに存在するが、とらえどころがなく、すべてを抱き込んで吸収してしまう
〈システム〉が、自身にとって害になると見て骨抜きにしてしまったのだ。一九七五年には、
財界の代表が、二五〇べージもの報告書を作成して関係省庁と企業に配布した。
その中で彼らは結論として次のように書いている。「住民運動、消費者運動などについては、
これを新しい経済社会運営のエネルギー源として、積極的に評価し、対応すぺきものである。
……可能なかぎり政策などの企画、立案に反映させる努力が必要である」。しかし、
これら運動の「エネルギーのボルテージが上がりすぎて暴走するような場合には……
阻止すべきである。そして政府当局は秩序を乱す行動に対しては断乎とした態度を
とることが必要である」。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



536 ◆fbBDnBiXNw :2008/10/03(金) 08:36:00 ID:8G3lGtxk

/// 抱き込みの包囲網 11 ////////////////

 なるほど、彼ら社会の管理者は、みごとにその"エネルギーのボルテージ"をずっと低い
レベルにまで下げさせたのであった。八○年代末現在、消費者団体の数は一万三〇〇〇
近くあると推定され、地婦連の主婦会員は六〇〇万人を越えると自称しているが、その存在は
ほとんど目につかない。ほとんどの商品(特に食料品)の過剰な値上げをはじめ、不正商行為
(ボロ儲け)の横行など世論に訴えて騒ぎたてるに正当な理由がありすぎるほどあったのだ。
ドルに対する円の価値が急騰した(八五年から八七年にかけておよそ二倍になった)にも
かかわらず、それを反映して価格が下がった主要輸入消費財はほとんどなく、その一方、
国内製品の価格はまったく変わらたかったばかりか"不安定な相場"を理由に値上がりした
商品すらあったというのに、なんの声も上がらず、ただ沈黙するだけだったのにはとくに
首をかしげたくなる。

/////////////////////// 840円(税込) ///


537枯れるウォルフレン:2008/10/04(土) 14:25:37 ID:XsEza14h

///抱き込みの包囲網12///////////////

 日本の場合、宗教の世俗的な権威に対抗する力は江戸時代に弱められた。
だが、日本の農村は、世俗権威に対抗する力を江戸時代にも持ち続けた。
特に近畿などの豊かな地域では農村の力は強く、度々世直し一揆や国訴を展開。
18世紀後半からは、肥料や綿などの価格闘争、大名領主の鞍替え反対闘争など、
活発に農村が動き出す。特に農村の国訴ネットワークは複数の領国を越えて
結ばれており、領主といえども無視できない勢力を誇った。
 
///////////////////////8400円(税込)///
538枯れるウォルフレン:2008/10/04(土) 14:52:59 ID:XsEza14h
///抱き込みの包囲網13/////////////

 江戸時代の農村の発展は、灌漑技術の向上などととともにあった。
例えば戦国時代の築城技術などが農業に生かされ、親池小池・用水路システムが全国に
整えられ、農業生産力が大幅に向上した結果、農村の人口が急上昇したのである。
 また、大和川の付け替え問題では賛成、反対の農村が代表者を江戸に送り、意見を幕府の
御前で戦わせたり、幕府の財政援助が得られなかった摂津中津川造営問題では、農村自ら
資金を拠出し造営を行うなど、近代地域社会さながらの行動を見せ始めるのもこの江戸時代
の特徴である。
 このように、川や用水路などの造営では地域社会が共同で討議し、検討する社会が江戸時代に
発展した。国訴とともにこのような現実問題に共同対処する経験は、農村に合理主義を鍛え、
根付かせる動機ともなった。中国などのアジアの農村が血縁でまとまり、村の周りに壁を築いて
防衛していたような社会とは、完全に一線を画した江戸農村である。

///////////////////////84円(税込)///
539名無しさん@3周年:2008/10/09(木) 22:59:40 ID:4V6DH6lA
枯れ木に花を咲かせましょう。
540 ◆fbBDnBiXNw :2008/10/12(日) 19:38:01 ID:P79TEYP8

/// 抱き込みの包囲網 12 ////////////////

 一九七〇年代には、政策決定に市民の意見を反映させようとする態度を少しはのぞかせた
役人も、いまや、消費者団体を懐柔する必要には迫られていないように見える。一部の
地方自治体政策決定時に市民の声を申し訳程度に入れて、彼らの逃走心を鎮めてしまう。
竹内直一を代表とする日本消費者連盟は、農産物の輸入規制撤廃に反対し、外国製品の
輸入を促進するための製品規格見直しに反対している。つまり、消費者運動の中ではもっとも
有力な団体が、食料品の高価格の維持と、消費者の選択を国産食料品に限定するために
熱心に運動しているわけだ。
 これは、消費者の利益のための深謀遠慮などではなく、この団体の代表者の力がなせる
業なのだ。竹内は農林水産省の高級官僚であった。同省の政策を批判して退職した彼を
天下りとはいえないが、彼が日本の官庁の中でももっとも保護主義的な役所の、昔の同僚に
背を向ける行為をするとは考えにくい。

//////////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



541 ◆fbBDnBiXNw :2008/10/18(土) 19:57:27 ID:KIuwFcu8

/// 抱き込みの包囲網 13 ////////////////

    圧カ団体

 政府の政策がいかにして形成されるかについて巷間有力な説は、"利益団体"や
"圧力団体"は、必要な協力を得るため、役所の都署をなんとかしていわぱ"取り込もう"と
するものだという。日本でまさにこの説どおりのことを、きわめて異例なほどにやってのけたのが
日本医師会(医師会)である。医師会は、圧力団体として日本以外の国では当然とされる
機能を発揮、あるいは、それを上まわる働きをして、一九五〇年代以来日本の圧力団体の
中でもっともはでな存在となった。他の多くの圧力団体とは違い、医師会は、官僚を
懐柔して意志を通すというやり方ではなく、官僚に真向から対決する姿勢をとった。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



542名無しさん@3周年:2008/10/25(土) 18:34:04 ID:uJ8Ux5u9

カレル・ヴァン・ウォルフレン(鈴木主税訳)

人間を幸福にしない日本というシステム
http://ac-net.org/common-sense/00b-wolferen.html
543 ◆fbBDnBiXNw :2008/10/25(土) 20:36:54 ID:KaZBv+V3

/// 抱き込みの包囲網 14 ////////////////

 一九八二年まで、武見太郎という高圧的な個性を持った会長に率いられた医師会は、
医療問題に関する政策決定を支配するため、新聞に一ぺージ広告を出してはげしく
政府攻撃をするというような攻めの手段に訴えると同時に、会の内部をもかためた。
医師会は経口避妊薬「ピル」の使用禁止を声高に主張し、その結果、利益の厚い
中絶医療産業を保護した。国政選挙にも独自の候補者を立てる一方、多数の有力
自民党候補者にも資金援助をしてきた。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



544 ◆fbBDnBiXNw :2008/10/31(金) 21:36:37 ID:o9hQI4cD

/// 抱き込みの包囲網 15 ////////////////

 医師会は、もし自分たちの儲けがあぶなくなると見れば、特定の医療機器の輸入を
阻止できる。だれの指示にももとづかない自由裁量の結果という形にみせかけて、
特定の医薬品や治療法を患者に処方させないようにすることもできる。また、
健康保険制度を悪用した診療報酬、薬価の不正請求が蔓延するのを放置している。
日本の医師は処方する薬の量を健康保険で決められた点数に換算して収入を得る
ぱかりか、自分の医院でその医薬品を売る権利も持っている。このため医師と
製薬業界は癒着し、患者の薬づけや過剰診療がたえず一部の成金医者を
つくり出している。

///////////////////////// 早川書房 ///


545 ◆fbBDnBiXNw :2008/11/06(木) 20:38:27 ID:7tIK9MkT

/// 抱き込みの包囲網 16 ////////////////

 武見太郎亡ぎあと、医師会の力はおとろえたが、今も<システム>の小さな構成員の一つ
ではある。厚生省の官僚は、医師会の意のままになることに慣れきってしまい、いまだに
医療関係の法案はまるで医師の発案によるかのように見える。欧米諸国でいう圧力団体
そのものの行動に訴える日本医師会ではあるが、日本では例外的な主要圧力団体として
これほどまで過激になれるというのは、注目に値する。公共サーピスとしての医療を守るため、
政府が医師を管理しなけれぱならないはずのところを、当の医師たちが政府の仕事を
乗っ取ってしまったのである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



546 ◆fbBDnBiXNw :2008/11/13(木) 00:48:06 ID:1623eTeE

/// 抱き込みの包囲網 17 ////////////////

 戦後の日本の社会には、圧力団体が雨後のたけのこのように続々と誕生した。主婦、
戦没者の遺族、退役軍人、傷痍軍人、戦後の農地改革で土地を失った旧地主、旧植民地
からの引揚げ者、そして売春業者など、よく知られているものをあげただけでこんなにある。
一九五〇年代のなかぱ以降、特に売春業者が売春禁止法案を阻止するために全国性病予防
自治会連合を結成したころから、こうした団体がたびたび新聞紙上で論評されるようになった
(結局、この法案は成立し、ざっと五〇万人の夜の女たちが、自分の職業を新しい名前に
かえなければならなくなった)。新聞で注目をあびた中でも成果を上げたのは、中政連
(中小企業政治連盟)で、これは後に中小企業の中核組織になった。

/////////////////////// 840円(税込) ///


547 ◆fbBDnBiXNw :2008/11/15(土) 22:35:31 ID:fuoBul6n

/// 抱き込みの包囲網 18 ////////////////

 政治の舞台に登場したこれらの新手の役者に対して、国民の反応は複雑だった。
一九五八年には、二つの復員軍人団体が軍人恩給予算の三〇〇億円増額に成功し、一方、
日本医師会も二一〇億円の上乗せを勝ちとった。政治評論家や新聞の社説は、このような
ことは民主的政治をくつがえそうとするものだと論評した。圧力団体は全体のための福祉を
考える配慮に欠けており、自己の利益のみ図る、ごり押しをおこなうと非難された。ところが
皮肉なことに日本人が圧力団体を非民主的だと見ていた六〇年代に、西欧の観察者は、
圧力団体がでてきたのは、ようやく日本にも"民主主義"が根づき始めたことを示すなによりの
証拠として引き合いに出していたのである。八○年代になっても、圧力団体は西欧では、
より本格的な多元主義を進展させる力とみなされている。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


548 ◆fbBDnBiXNw :2008/11/20(木) 22:48:10 ID:71zGOD/C

/// 抱き込みの包囲網 19 ////////////////

 しかし、さらに詳しく見てみると、日本では圧力団体がかなり変わった多元主義を推進して
いるということが判る。医師会は例外としても、日本における力関係はちょうど逆の方向に
進展する。つまり圧力団体が政府を"とりこむ"のではなくいくぱくかの補助金と最小限の
譲歩と引換えに、官僚と自民党がそうした圧力団体を逆に利用することになるのである。
管理者と組織的に緊密につながりのある圧力団体をすぺて除くと、本当の意味での圧力団体は
ごくわずかになる。さらに、<システム>の他の主要構成員となんらかの公的つながりのある
団体を除くと、さらに数は減る。結局残るのは、そのメンバーの多数の者が公然と反<システム>
活動をおこない、体制側には決して組み込まれないことを示威するため、ときどき機動隊と
やりあう一握りの集団だけである。成田新東京国際空港の拡張工事に対する阻止行動を
続ける農民と過激派活動家との連合組織が、その最たる例といえよう。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



549 ◆fbBDnBiXNw :2008/11/29(土) 22:30:36 ID:ZlEcoNne

/// 抱き込みの包囲網 20 ////////////////

    公害と闘う活動家

 戦後の圧力団体の中で、<システム>の外に身を置いてもっとも成功した団体は――
〈システム〉が耳を傾けざるをえない状況をどの程度作りだしたかという基準でいって――
産業公害の犠牲者のために立ち上がった運動だ。とはいえ、日本で深刻な公書問題が
本格的に検討されるようになるまで、およそ一〇年はかかった。後に世界中で環境汚染の
シソポルになった水俣の間題にしても、水銀に汚染された魚を食べた猫が痙攣を起こし
海にとび込みはじめて、やっと一部の新聞が関心を示した。被害者の窮状が全国的な
間題になったのは、それからさらに数年後のことである。患者の数は急速に増え、
神径系銃を冒され、激しい痙攣に疲れ果てて死んでいった犠牲者もいる。

///////////////////// 原書1989年刊 ///

550 ◆fbBDnBiXNw :2008/12/06(土) 21:27:43 ID:r989yjV4

/// 抱き込みの包囲網 21 ////////////////

 水銀を海にたれ流していた当の企業は、病気との因果関係を否定し、暴力団を使って
真相究明を求める患者やその家族に暴力を加えさせた。大半が貧しい村々に暮らしていた
患者たちは、自分の村で村八分にされた。まず、悪い報せをもたらした者、つまり水俣の
ケースや、同様の水銀中毒症が発見された新潟の症例を研究していた医師たちが、
信用できないとされた。次に熊本大学の研究調査チームの報告書が公表されずに
握りつぶされ、研究費が削減された。

///////////////////////// 早川書房 ///

551 ◆fbBDnBiXNw :2008/12/14(日) 20:31:51 ID:pZwOD8no

/// 抱き込みの包囲網 22 ////////////////

一方、富山県では、いわゆるイタイイタイ病の患者の治療をしていた萩野昇医師に対する
排斥運動も起こった。この病気は水田に流れ込んだカドミウムが原因で、骨がもろくなり
複雑骨折を起こす難病である。証拠は握りつぶされ、症状を訴えても、科学的な根拠が
欠けていると証言する医師が雇われるといったことがくり返されたのだが、水俣の
水銀汚染源の工場に犠牲者の家族や支援者がどっと押しかけ、全国紙が報道キャンペーンを
展開し、外国で広く報道されるようになって、やっとこうしたやり方は立ち行かなくなった。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


552 ◆fbBDnBiXNw :2008/12/23(火) 23:57:00 ID:BEs4I8rM

/// 抱き込みの包囲網 23 ////////////////

 一九六七年、左翼系の弁護団が公害の被害者救済のための最初の訴訟を起こすと、
すぐに三件の公害訴訟が続いた。七〇年代の初期には、このような訴訟によって首都圏の
深刻な大気汚染に対する一般市民の不満が噴出し、政府はやむなく一部の政治家や企業と
共ども、なんらかの対策を講じなければならないという結論に達した。いくつもの厳しい
産業規制法が制定され、生活環境を犠牲にした産業拡大を糾弾することが一夜にして
流行となった。裁判所も結審までに一〇年以上かかるものの、被害者に損害賠償を認める
判決を出しはじめた。もっとも、ほとんどの場合、裁判所はあくまで脇役としての役割を
果たしたにすぎない。マスコミによって大きく増幅された激しい抗議に<システム>が反応した
だけのことなのだ。これは不正が人目を引き、国民の怒りが社会全体に広がった場合に限り、
<システム>によって不正が正されるという証拠である。

/////////////////////// 840円(税込) ///



553名無しさん@3周年:2008/12/26(金) 06:52:39 ID:2+mxKcAZ
田母神さんの意見をちゃんと聞きなさい。
554 ◆fbBDnBiXNw :2009/01/03(土) 21:24:40 ID:aL6jPJ2l

/// 抱き込みの包囲網 24 ////////////////

 七〇年代後半になると、公害反対運動は日本の管理体制に対する新種の運動の前ぶれの
ようにも見えた。市民運動によって地域レベルで政治への関心を目覚めさせ、恒常的な
変化が到来したのではないかと考えられたほどである。各地で革新市長が生まれた。
ところが一方で、革新勢力が提案した政策を保守系自治体が取り入れはじめたのである。
自民党としては、こうして革新勢力を吸収したわけだ。八○年代もなかぱに入ると、
市民運動グルーブはみずからを"冬の風鈴"にたとえるようになった。夏には心地よい
風鈴の音も、冬には耳障りなものだ。革新自治体は、一九七四年には一三六あったのが、
八八年には六〇に減った。地方の自民党候補者は選挙公約に手を加え公害対策をあわてて
ねり直し、大型公共事業に必要な予算捻出は自民党しかできないと再確認することによって、
現状維持に反対をとなえる草の根運動に効果的にストップをかけたのである。

//////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



555名無しさん@3周年:2009/01/10(土) 12:51:12 ID:nfkTBgzf
水俣の苦しみを忘れるな!
556 ◆fbBDnBiXNw :2009/01/16(金) 00:03:14 ID:5RbaOEFw

/// 抱き込みの包囲網 25 ////////////////

    選挙運動員としての圧カ団体

 消費者運動や公害反対運動が政治の表舞台からしだいに消えていく一方で、他の
圧力団体は生き残り、政治的に重要な役割を果たしてきた。"圧力"を加えて、政治に
変化をもたらすのではなく、自民党議員の利益のために働くという意味においてである。
 与党には草の根的な支持組織がほとんどないに等しいので、国政選挙の候補者は、
後援会とよばれる個人の支持者組繊に頼らなければならない。たいていの場合、現職議員が
国会に議席を温存できるかどうかは、なににもまして、自分の後援会の組織と影響力を
次の選挙まで持続できるかどうかにかかっている。圧力団体は設立当初からうまく操れば、
理想的な後援会になるのは明白だった。こうして、圧力団体が日本の政治活動の前面に
躍り出ることとなった。彼らは個々の自民党候補者のために投票を依頼して歩き、
資金を集め、その他ありとあらゆる雑務を引き受ける。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///


557 ◆fbBDnBiXNw :2009/01/20(火) 22:43:06 ID:AyKNwj/i

/// 抱き込みの包囲網 26 ////////////////

 自民党議員にとっては、各省庁の官僚と友好的関係をもつことが、圧力団体との良好な
関係を保つためには決定的に重要になる。政治家は、少なくとも形だけでも見返りに
何かをおこなったということを証明しなければならないからだ。選挙区では、現職議員は
あいまいなものの言い方はしない。もし、地元民が新空港を欲しいと言えぽ、当方には
運輸省と大蔵省とにつながる一番強力なパイプがあるからおやすい御用だと請け合い、
もし道路拡張や橋の新設の要望が出れば、他候補よりもたくさん建設省に友人がいるから
任せてくれと言う。同じ選挙区で複数の自民党候補が立つ場合には、他候補より自分の方が、
関係官庁につながる強いパイプをもっていると強調することになる。いずれにせよ、他の
少数党にはこうしたパイプがないことはみなが理解しているのである。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



558 ◆fbBDnBiXNw :2009/01/24(土) 19:02:19 ID:O6SNYykw

/// 抱き込みの包囲網 27 ////////////////

 同じ選挙区の国政選挙で、自民党候補者が競合して戦う党内の"同僚"は、必ずといって
いいほど別の派閥に属している。したがって派閥の領袖としては、各地の圧力団体や
陳情団を統率している全国組織とよい関係をもつことが重要になる。こうして、復員軍人団体、
傷痍軍人団体、戦没者遺族組織は、議論の的である過去の軍国主義を賞讃するための
象徴的活動に参加するよう、自民党に圧力をかける重要な勢力として存続することになる。
ある政治家が新しく自分の選挙区に加わった小さな村をはじめて回る時に、筆者も同行
したことがあるが、彼がまず訪ねたのは、両脚のない一人の男の家であった。その人は、
傷痍軍人会の地元代表だったのである。

///////////////////////// 早川書房 ///


559 ◆fbBDnBiXNw :2009/01/28(水) 21:52:57 ID:E5Ft1DUm

/// 抱き込みの包囲網 28 ////////////////

    官僚の出先機関

 圧力団体の多くは、手始めにまず協力してほしい関係官庁へ直接出向く。比較的
弱小の地方の商工会は、「会に法的裏付けをもたせ、会員に強制加入を義務づけるなど、
組織の基盤の弱さを公権カの支持を借りて補おうと」官僚の力を利用してきた。
農業や他の経済関係の圧力団体は、所轄省庁に出入り自由である。その団体が
大規模で相当な力を持つと官僚が見た場合は、官僚側が積極的に接近する。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



560 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/02(月) 06:47:47 ID:qHfIjlKI

/// 抱き込みの包囲網 29 ////////////////

団体側は提示した要望を配慮してもらうかわりに、地元の様子や関係者の横顔、
重要な出来事について詳しく知らせる。こうして、その団体は、官僚が〈システム〉全体の
舵とりをすることを可能にする"レーダー"の一部と化す。情報は一方向にのみ、つまり
東京に流れるため、管理者たちは、これまで制御しきれず、したがって<システム>に
完全に組み入れることができなかった地方の政治的、社会的営みを意のままに
できるようになる。そして、多くの場合、その強化されたコントロールは、こうした
圧力団体を通しておこなわれる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



561 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/06(金) 00:11:27 ID:gJE0WbTM

/// 抱き込みの包囲網 30 ////////////////

 地方の圧力団体は通常、設立当初の存在理由がなくなっても、なお存続していく。
団体としての活動や目的は拡散し不明確になってしまっていることが多いが、大企業では
なくとも何か大きな社会集団に属していたいという人びとにとって、その忠誠心をもっぱら
集中できる存在としての意味がある。大都市以外では、利益団体が政治家といったん
癒着すると、そのおもな機能は選挙運動を組織することだけになってしまう。ここまでくると、
元々の発起人たちは愛想をつかす。しかし、彼らにはもう当初の影響力もないし、
「結成の原点に戻れ」と訴えても理解は得られない。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///


562 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/10(火) 07:32:58 ID:ilwd5CLd

/// 抱き込みの包囲網 31 ////////////////

たとえ彼らが、役所との友好関係がもたらすメリット以上のものを欲しても、会員はすでに
確立した報償配分の仕組みを妨げれば恩知らずで危険でさえあると考え、「大人しく
物わかりのよい態度で臨むか、既存の仕組みに適応するしかないと考えるのである」。
<システム>に抱き込まれた圧力団体の支配権は、それを個人的目的に利用する
指導者に受け継がれていくことが多い。それでも、圧力団体は依然として会員の
熱い忠誠心をかき立てる。つまり、忠誠心そのものが最終目的になってしまうわけだ。
団体内に争いのきざしが見えると、官僚や政治家から植えつけられた団結第一という
考え方がたやすく優位になる。<システム>の代表が団体の指導者の交代に手を貸す、
ということさえしばしばおこなわれる。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



563 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/12(木) 22:41:12 ID:O9pFsf75

/// 抱き込みの包囲網 32 ////////////////

 圧力団体、あるいは、各種の経済団体が<システム>にとって重要な存在だと
みなされると、まるで落下傘部隊のように官僚がそのトップに天下り、その集団は
すっかり支配されてしまう。このような場合、圧力団体は官僚出身者の政界進出への
足掛かりとしての役割をはたすことが多い。自民党議員の多くが官僚出身だという
事実から、圧力団体の幹部と官僚と政治家との間にいかに密接な取引関係が
生じるかということは、明らかであろう。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



564 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/17(火) 22:41:22 ID:DmNlPdls

/// 抱き込みの包囲網 33 ////////////////

 <システム>は、反対勢力をつぶし、金で黙従を買うために、行政上の柔軟性をかなり
犠牲にする。また、関係省庁は管轄下の団体とのつながりを深め、そしてその団体の目
標と自分たちのそれが一致していることを示す。だからたとえば、農水省が輸入食品の
自由化を阻む不動の障害として立ちはだかりつづけることにもなるのだ。こういったこ
とは、<システム>の他の構成員も必要と認めることであり、外国からの貿易問題がらみ
の報復手段を未然に防ぐ対策として<システム>全体をよく守る働きをする。このように、
<システム>は、反対勢力や敵対する可能性のある団体を吸収することによって、<シス
テム>自体を維持しつづけようとするのだが、そのことが<システム>の一部を麻痺させ
るのは皮肉である。

///////////////////////// 早川書房 ///



565 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/21(土) 20:14:37 ID:Xp6VgVbx

/// 抱き込みの包囲網 34 ////////////////

 政府機関が他の政府機関や<システム>の構成員との間でもめごとや権力闘争を起こした
場合に、可能な場合はいつも圧力団体が利用される。市場開放のキャンペーン中、当時の
中曾根首相のもとに、あまり急激な変革は避けるよう訴える電報やはがきが何千通も
どっと届いたことがあった。嘆願状の文面がどれもひじょうに似かよったものであった
ことからして、限られた数の農業団体と産業界の利益団体から出たものだということが
すぐに判明した。その直後の閣議で中曾根は大臣に、中央官庁が産業界に頼んで
抗議運動を起こさせるとは不適切である、と怒りをあらわにして注意したということだ。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



566 ◆fbBDnBiXNw :2009/02/25(水) 23:20:34 ID:RWiFBghS

/// 抱き込みの包囲網 35 ////////////////

 圧力団体や陳情団は続々と新しく結成されているが、時にはこうした団体が
一般国民の声を<システム>に反映させる媒介をする。融通性のある<システム>の
ことだから、あるていどこうした団体と妥協することもある。
ただ、現状の抜本的変革や、息の長い本格的反対行動に対しては容赦をしない。

///////////////////////// 840円(税込) ///



567 ◆fbBDnBiXNw :2009/03/03(火) 07:38:54 ID:zE2ae0Ct

/// 早川書房 //////////////////

 カレル・ヴァン・ウォルフレン(Karel Van Wolferen) (著)、篠原 勝 (翻訳)、
 原著1989年発行、邦訳 早川書房1990年発行
 「日本/権力構造の謎」 The Enigma of Japanese Power
 日本 権力構造の謎〈上〉 ハヤカワ文庫NF、840円(税込)、ISBN: 4150501777

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9940226551
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=18988933
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150501777/qid=1104753738/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-1157004-2829055
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/40b9c78bede2b01032ee?aid=&bibid=01055138&volno=0000
http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/0000650744/

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568 ◆fbBDnBiXNw :2009/03/07(土) 19:53:10 ID:jyGL1Xc5

/// 抱き込みの包囲網 36 ////////////////

    自家製"反対勢力"

 問題の芽を手におえなくなる前に摘みとり、まだ十分に掌握しきれない領域へも支配を
及ぼすための<システム>の常套手段は、お手盛りの"反対"団体を仕立てることだ。
一九五〇年代から六〇年代にかけて、経営者側が第二組合をつくり、潜在的に敵対する
恐れのあるマルクス主義に傾倒する全国組織の労働組合員を吸収しようとしたのが
よく知られた例である。また同様に、一九六〇年代に農村地域の圧力団体を統合する
中枢的役割を果たしていた農政推進協議会は、農水省の官僚がその管轄下での支配力を
強化し、予算編成時期に大蔵省との交渉を有利にするため、知恵をしぼって作り上げた
ものであった。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///




569 ◆fbBDnBiXNw :2009/03/13(金) 23:30:44 ID:NUlIhVWG

/// 抱き込みの包囲網 37 ////////////////

 購収賄事件が明るみに出て、怒ったマスコミの一斉攻撃の影響で自民党に対する
激しい批判が広がり、有権者の不満が高まった時に、自民党にとってなによりもの
救いとなったのは、掌中で手塩にかけて育てあげた反対勢カグループの登場であった。
一九七六年、自民党の大領袖の一人だった河野一郎の息子、河野洋平に率いられて
六人の自民党員が脱党し、表向きには反自民を掲げる新党、新自由クラブ(新自ク)が
結成された。新自クが、時折野党のように騒ぎ、きれいな政治を提唱したことで自民党に
不満を持つ保守層の有権者が良心の呵責に悩まされずにすみ、かつまた、自民党からは
離れないですんだのである。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



570 ◆fbBDnBiXNw :2009/03/21(土) 21:33:27 ID:bEgCSoLK

/// 抱き込みの包囲網 38 ////////////////

実質的には、新自クは自民党の党外派閥であった。いかなる案件でも必ず自民党と
共同投票したので、自民党は国会で必要とされる過半数を割る心配がなかった。
自民党が記録的な議席減を喫した(ただし総得票数の減少によるものではない)
一九八三年一二月の選挙の後、中曾榎首相は新自クに入閣を要請し自治大臣の
ポストを彼らに与えた。新しい傾向に拍車をかける重要なニュースはないかと
ウの目タカの目で待ち受けていた内外ジャーナリストの多くは、期待されていた
"連合政権"の時代がやっと来たとの結論を出した。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



571 ◆fbBDnBiXNw :2009/04/01(水) 00:17:28 ID:OKgkFJt6

/// 抱き込みの包囲網 39 ////////////////

 ところが実際にはそうではなかったのだ。それから二年半後、自民党が圧倒的勝利を
収め、新自クの必要性が失われた時点でこの"野党"は静かに解散し、新自クの議員は
一〇年前の党離脱時と同様にスムーズに、自民党にもどったのである。日本一の
発行部数をもっ読売新聞の社説が述べている。

  新自クは、自民党がロッキード事件によって失った都市部の票を吸収し、新たな保守票も
  掘り起こした。さらに、国会の与野党伯仲時代にあって、与党自民党を連立で支え、政局
  の安定に貢献した。

///////////////////////// 早川書房 ///



572 ◆fbBDnBiXNw :2009/04/04(土) 19:39:12 ID:6Uj2DV1n

/// 抱き込みの包囲網 40 ////////////////

  農村で機能する<システム>

 多くの先進工業国と同様、日本でも、一般に農業従事者は政治的に優遇されているようだ。
日本の農業は超・過保護で、米は世界のほかの産地相場の少なくとも五倍は高い。
日本の消費者は、実際、ほとんどの農産物に法外な代価を支払っているのだ。
 しかし、ことはそれほど単純ではない。日本の農業保護政策は、必ずしも農村部一般住民や
小規模の農業生産者の利益となってはいたい。農業生産はきわめて非能率である。
そして、農業全体を実質的に支配する巨大組織である農協がみずからの目的のために、
意図的にその非効率な生産性を放置している。農協は<システム>には不可欠な存在で、
これなしでは戦後の数十年もにわたって、今ある<システム>は生き残ってこられなかったに
違いない。農協は、農民が政治的行動を起こす前に、先制して、それを阻止する。
農協はまた、自民党の国会における不動の過半数を保証し、ひいては管理者の自由な
権力行使を可能にする働きをする。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///


573 ◆fbBDnBiXNw :2009/04/08(水) 20:44:07 ID:MHpI6kfj

/// 抱き込みの包囲網 41 ////////////////

 いってみれば、"農協"は、"日本の農業"と同義語である。普通、"農協"という場合、
農業協同組合の中央組織のみならず、その関連事業組織および全国各地の農協支部など
農協関係のものすべてが含まれる。一般的には、この組織全体をひとまとめにして、
日本全国六三〇万の農民を代表する"圧力団体"とみなされている。ところが、これがまた、
日本の機関や組織の役割をわけの判らぬものにしてしまう、ことばの誤用の好例である。
利益団体に固有の反体制的要素というものが、農協の場合には失われてしまったという
ことではない。そんな要素など、はじめから農協にはなかったのだ。

/////////////////////// 840円(税込) ///



574下からの近代化:2009/04/09(木) 23:54:07 ID:otOci/H3
日本の近代化と中国の近代化、何が違ったか。
一言で言えば、日本は「下からの近代化」であり、中国は「上からの近代化」であった。
中国は洋務運動で近代化を進めたが、民間企業の設立を認めず、重要産業は国家独占体制を
敷いていた。
一方の日本は、明治維新以降大量の民間企業が設立された。
というか、そもそも江戸時代に民間社会の基礎が出来ていたと言うべきか。
575下からの近代化:2009/04/10(金) 00:03:02 ID:otOci/H3
ウィット・フォーゲルは「日本文明と西洋文明は、互いにフューダリズムを発達させ、
商業や製造が国家の独占から解放され、活力ある民間社会の基礎が築かれた」と説明。
この説明は妥当のように思える。
江戸時代発祥の企業は多いが、彼らは豊富な民間社会の経験を日本に与えたのである。
その経験は存分に、明治維新に生かされるのである。
例えば日本最初の銀行「国立第一銀行」は、三井両替商と豪商・小野組の共同出資によって
設立された。彼らは西洋の金融制度に負けない金融知識を持ち合わせていたのである。
これら活発で知識豊富な民間社会は、日本の近代化に役立ったし、また推進者でも
あったのである。
576 ◆fbBDnBiXNw :2009/04/18(土) 20:46:14 ID:Ez0PEtfR

/// 抱き込みの包囲網 42 ////////////////

 農協は政府補助金を受ける非営利団体で構成されているが、この複合体は、(2章で扱った)
一つの系列グループとして考えるのがいちばんよさそうだ。農民は、この農業系列によって
ほぼ完全に「捕らわれの身」ともいえる市場を形成している。現に、農産物の飯売、種子や
肥料の供給から、銀行取引、保険、そして結婚式のお膳立てまで、この系列が営む
諸種の営利サービスを利用する以外、農民にはほとんど選択の余地がないからである。
 また農協は、農業行政の"補助機関"として見ることもできる。さらに、農協の主要機能の
一つはその集票能力にある。しかし、政府の補助金を受けている団体は一党一派に与しては
いけないとされているのであるから、このような政治活動は、明らかに、法の枠を
越えていることになる。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



577 ◆fbBDnBiXNw :2009/04/25(土) 19:49:17 ID:8/QbhD6f

/// 抱き込みの包囲網 43 ////////////////

    村人たちの管理

 農協が、<システム>のために果たす大きな役割をほんとうに理解するためには、歴史的に
見て日本の中央政府が地方におよぼす支配力がいかに限られたものであったかを、まず
見ておく必要がある。何世紀にもわたり、日本の村落はそれぞれに内部秩序を保つ
という意味で、実質的には自治をおこなってきた。大半の村落にとって、徳川幕府の
"共同統制制度"は単なる名目上のものにすぎなかった。地方によってかなりの違いはあったが、
多くの場合、村の自治の伝統は中央行政権力の介入を阻むうえでかなりの効果があった。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///



578名無しさん@3周年:2009/04/30(木) 18:20:49 ID:24edZTwt
農協には逆らえません。
579名無しさん@3周年:2009/05/04(月) 20:22:15 ID:9Da028Jx
ウォルフレンに決定的にかけているのは連合叩きだな。
反体制でも左翼に巻き込まれるのは勘弁して欲しい。
自身が左翼だからあえて連合叩かないのかね。土井孝子が嫌いらしいけど。
580 ◆fbBDnBiXNw :2009/05/05(火) 20:17:39 ID:Ru4UxN/j

/// 抱き込みの包囲網 44 ////////////////

 この障壁に風穴をあけるため、明治政府は多様な全国組織をつくったが、効果は
はかばかしくなかった。中央からしかるべき愛国的な考えを浸透させるため、地方の地主を
利用したこともある。地主は、村全体を従わせられれば自分の利益にもなる。またさらに
強大な権力をもっていた戦前の内務省は、川の氾濫に苦しめられた地域では治水対策費の
配分を通じて地主勢力を支配下におこうとした。そんなことがあっても、村は
独立自治体だとの伝統的な考えが、多くの村落で続いた。

///////////////////// 原書1989年刊 ///



581 ◆fbBDnBiXNw :2009/05/12(火) 23:21:28 ID:v2UkhjIN

/// 抱き込みの包囲網 45 ////////////////

こうした背景の中、今世紀の初めにできた農業協同組合の組織は、当然ながら農民管理の
新たな一つの手だてとして、政府と地主によって認識されることとなった。しかし、
一九二四年になっても、地方の農業協同組合に加入していたのは全農家の半分以下で、
それが約二〇〇の横断的連合組織に分かれていた。だが、一九四三年に、すべての協同組合が
中央の管理下におかれ、都道府県レベルの組織が解体されたことにより、村落のしたたかな
反抗もついにつぶされたのである。そして戦争協力の名目で、可能なかぎり多くの組合を
統合し、強化するための政策の一部として、農業会という大日本帝国の農業統制団体が
作られた。こうなると加入はもはや強制的なものとなった。

///////////////////////// 早川書房 ///



582 ◆fbBDnBiXNw :2009/05/21(木) 21:48:26 ID:fbAkgZCD

/// 抱き込みの包囲網 46 ////////////////

 今日の日本では、政府が警察官を通しておこなう地域社会の掌握力は、かなり弱いものだ。
二、三年の任期で地方の村や町に駐在する警官は、地元住民と酒を飲み交わし、村の
行事では名士として上席に座る。警官は、土地の人びとにとって貴重な情報源で、
相談をもちかけられたりもするが、あくまでもよそ者でしかない。また、建設業者も
地方の村をコントロールするもう一つの重要な媒介者なのだが、なんといっても、
日本の田舎は、まさしく戦時体制から受け継がれた農協を通して、もっとも効果的に
<システム>に、特に自民党に奉仕させることができるのである。

///////////////////// 篠原 勝 (翻訳) ///



583名無しさん@3周年:2009/05/24(日) 20:47:09 ID:+oHj+6uv
あぼーん
584 ◆fbBDnBiXNw :2009/06/02(火) 23:05:01 ID:cvWlVF04

/// 抱き込みの包囲網 47 ////////////////

 先に述べた戦時中の農業会が、戦後の農協体制の組織的基盤になった。その設備、
従業員、そしてその役割の大半が、戦後の新組織にそのまま受け継がれた。"新組織"は、
占領軍の肝いりで看板だけ変えて設立されたものである。日本の農業従事者のほとんどが
農協の事業活動やサービスに依存していることを考えれば、戦後の組織は一〇〇パーセント
近い組織率をも戦中から受け継いだことになる。

/////////////////////// 840円(税込) ///



585 ◆fbBDnBiXNw :2009/06/11(木) 23:02:00 ID:1uKN9l/k

/// 抱き込みの包囲網 48 ////////////////

 日本の農産物の価格を異常な高値に維持するのを助けている政府の食糧管理制度は、
農協の利益とわかちがたくからみあっている。同様に、農協にとって重要なのはアメリカとの
争いの骨格をなす、農産物に関する保護措置の障壁である。このことから、日本の
"過保護農業"といえば、実は、農協体制のことを指しているのだが、それは一九七〇年代末以来、
産業界と通産官僚の攻撃にあってきた。彼らは自分たちに向けられている国際的批判の
鉾先をかわしたかったのである。

///////////////// K.V.ウォルフレン著 ///



586 ◆fbBDnBiXNw

/// 抱き込みの包囲網 49 ////////////////

だが、このような<システム>内での対立はあっても、問題の根本がどこにあるのかを
表立って解明しようとするところまではいかなかった。農協が農民を代弁してないことは、
早くも六〇年代に日本の専門家が指摘している。都道府県レベルの農協連合会は農協の
中央機関の下請けであるから、上部組織の利益にそった決定を推進しようとして、
県連と地元の単位農協とが相当にぶつかり合うことがある。農産物自由化の障害となっているのは、
農民の利益のためというより、農協と農水省が自分たちの利益を守ろうとする動きの方が
大きいと考えてよいだろう。

////////// 「日本/権力構造の謎」<上> ///