【感染症】H5N1のパンデミックに備える ウイルス間の「再集合」無くても自然発生的な大流行の可能性−Science誌トリインフルエンザ特集

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1pureφ ★
H5N1 トリインフルエンザ特集
Special Section on H5N1 Avian Influenza

Science 本号では、長く待ち望まれた、フェレット間での呼吸器飛沫によるH5N1 トリインフルエンザの伝播能力に関する研究を
掲載している。これに付加し、H5N1 ウイルスのこの伝播能力が自然に進化する可能性を評価した一部共通の著者らによる
別の研究も掲載している。さらに、解説記事6 本、Science 編集長ブルース・アルバーツ(Bruce Alberts)による序論、News
記事一組、およびScience ポッドキャストも発表されることになっており、このコンテンツはすべて
http://www.sciencemag.org/site/special/h5n1/index.xhtml で一般公開する予定である。

フェレットで遺伝子組み換えH5N1 ウイルスがエアロゾルにより伝播
Modified H5N1 Virus Transmitted by Aerosols in Ferrets

H5N1 トリインフルエンザウイルス株に、フェレットにおいて呼吸飛沫を介したウイルスの伝播を可能にする5 つの変異が特定された。
この結果から、自然な進化により同様に伝播可能なウイルスが生じ、ヒトのパンデミックを引き起こす恐れがあることが示される。
この研究はまた、インフルエンザに対する世界規模のバイオサーベイランス、ならびにこの脅威から人々を防御する薬剤やワクチンを
開発する取り組みを助けるものである。この研究の全体を発表するという決定は、National Science Advisory Board for
Biosecurity および世界保健機関(WHO)の推奨に一致している。すべての実験は、Netherlands Erasmus Medical Centre、
米国国立衛生研究所(NIH)および米国疾病対策センター(CDC)のモニタリング下で、厳格なバイオセキュリティの条件(BSL3+)
において行われた。

A/H5N1 ウイルスが微小な飛沫すなわち「エアロゾル」を介して空気伝播できる能力をもつようになる原因を明らかにするため、
Sander Herfst、Ron Fouchier らはまずウイルスの遺伝子組み換えを行った。哺乳類の宿主に対するウイルスの親和性を高める
ことが予想される3つのアミノ酸を置換し、ヒトのインフルエンザに類似した症状を示すフェレットに、鼻腔内に直接植菌して感染
させた。ついでこれらのフェレットの鼻腔スワブを採取して別のフェレットに植菌し、数回にわたりウイルスを「継代」していかに進化
するかを調べた。

実験が進んだ段階で、フェレットの組織サンプルを採取し、検出されたウイルスの配列決定を行ったところ、最初に導入された変異が
一貫して認められた。さらに、伝播実験のあいだにいくつかの新たな変異が現れた。それらの変異によって、鼻腔および咽喉で増殖し、
空気伝播する能力が高められたようであった。

ついで、「選択された」変異ウイルスが未感染のフェレットに空気(呼吸飛沫)を介して伝播するかどうかが検討された。健康な
フェレットと感染したフェレットを入れたケージをペアにして、直接接触させずに隣接して設置した。大部分の健康なフェレットは
インフルエンザウイルスに感染した。感染したフェレットはやがて回復し、変異ウイルスが致死的となるのは、極度に大量のウイルスを
直接咽喉に植菌した病理実験の場合のみであることが示された。空気感染するウイルスの配列決定を行ったところ、空気伝播の
能力を付与する5 つの変異が認められた。3 つは最初に導入された変異であり、2 つは継代時に選択された変異であった。4 つの
変異は、ウイルスの表面に存在してウイルスの宿主細胞内への侵入を助けるタンパク質である血球凝集素(ヘマグルチニン)内に、
第5 の変異は、ウイルスのゲノム複製を助けるポリメラーゼ2 タンパク質に認められた。

これらの変異は、互いに別個に、あるいは一部の組み合わせで、天然のウイルス内でも検出される。インフルエンザウイルスがパン
デミックを引き起こすためには、自らのゲノムを動物の宿主内で他のウイルスとまず混合させる必要があると、これまで長く考えられて
いた。しかしHerfst らの実験では、変異ウイルスがその伝播特性を変えるためにそのような「再集合」は必要ではない。この研究は、
現在利用可能な薬剤やワクチンはフェレットのA/H5N1に対して有効であり、これはヒトにおいてもあてはまることを示しているが、
さらなる研究が必要である。In vitro 実験では、遺伝子組み換えウイルス株は抗ウイルス薬オセルタミビルや、H5N1 候補ワクチンを
接種されたフェレット由来の抗体に対して反応を示した。

>>2あたりに続く

Science 2012 年6 月22 日号ハイライト
http://www.eurekalert.org/pub_releases/translations/sci062212jp.pdf
2pureφ ★:2012/06/24(日) 03:14:56.89 ID:???
Airborne Transmission of Influenza A/H5N1 Virus Between Ferrets
Sander Herfst, Eefje J. A. Schrauwen, Martin Linster, Salin Chutinimitkul, Emmie de Wit, Vincent J. Munster, Erin M. Sorrell,
Theo M. Bestebroer, David F. Burke, Derek J. Smith, Guus F. Rimmelzwaan, Albert D. M. E. Osterhaus, Ron A. M. Fouchier
Science 22 June 2012: Vol. 336 no. 6088 pp. 1534-1541 DOI: 10.1126/science.1213362
http://www.sciencemag.org/content/336/6088/1534.full

自然発生的な大流行の可能性
The Potential for a Natural Outbreak

Colin Russell らによる調査データの解析によれば、流布しているいくつかのH5N1 トリインフルエンザ株は、既に、ウイルスの実験
株において、哺乳類間の呼吸飛沫を介したウイルスの伝播を可能にしたと知られている5 つの変異のうち2 つを持っている。した
がってこれらのウイルスは、さらにわずか3 つの変異を起こせば、Herfst、Fouchier らの研究で明らかにされたウイルスに似たものに
なり、またわずか2 つの変異を起こせば、最近Nature に発表された、Masaki Imai、Yoshihiro Kawaoka らによる研究のウイルスに
似たものになる可能性がある。

現在、このような空気感染するウイルスが自然に進化する可能性を正確に推定することはできないが、この結果は、残りの変異が
単一の哺乳類宿主で生じうることを示唆しており、空気感染するH5N1 ウイルスが自然に進化する可能性が「潜在的に重大な
脅威」となっているとRussell らは述べている。

研究の第2 部で、Russell らは、ウイルスがヒトまたは他の哺乳類に感染した後に変異を起こす可能性を増減させる因子について
解析した。そして、宿主内でのウイルスの進化の数学的モデルを用いて、ウイルスのすべての変異を進化させる可能性を高める
6 つの因子と、可能性を低下させる2 つの因子を明らかにした。

これらの結果は、将来の研究・調査の取り組みの的を絞るうえで有用であろう。

The Potential for Respiratory Droplet–Transmissible A/H5N1 Influenza Virus to Evolve in a Mammalian Host
Science 22 June 2012: Vol. 336 no. 6088 pp. 1541-1547 DOI: 10.1126/science.1222526
Colin A. Russell, Judith M. Fonville, André E. X. Brown, David F. Burke, David L. Smith, Sarah L. James, Sander Herfst,
Sander van Boheemen, Martin Linster, Eefje J. Schrauwen, Leah Katzelnick, Ana Mosterín, Thijs Kuiken, Eileen Maher,
Gabriele Neumann, Albert D. M. E. Osterhaus, Yoshihiro Kawaoka, Ron A. M. Fouchier, Derek J. Smith

大流行への備えを強化するには
How to Improve Preparation for a Pandemic

このPolicy Forum で、Rino Rappuoli とPhilip Dormitzer は、世界各国がインフルエンザのパンデミックに備えるために役立つ3 つの
短期戦略と1 つのより長期的な戦略を提案している。1 つ目は、あらかじめ免疫をつくり、大流行した場合に症状を全体的に軽く
できるよう、現存するH5N1 に対するワクチンをなるべく多くの人に接種することである。残りの2 つは、大流行している株種に合わせた
ワクチンを、製造会社が大量かつ迅速に製造できるようにする方法について述べている。最後に、様々なインフルエンザウイルスに効く
汎用的なワクチン開発の長期的な見通しについて考察している。

Influenza: Options to Improve Pandemic Preparation
Rino Rappuoli, Philip R. Dormitzer
Science 22 June 2012: Vol. 336 no. 6088 pp. 1531-1533 DOI: 10.1126/science.1221466
http://www.sciencemag.org/content/336/6088/1531.full

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【医学】テロ懸念で発表が見送られていたヒト感染する鳥インフル変異株論文、英ネイチャー誌に掲載される/米ウィスコンシン大 画像あり
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1336114347/-100
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【感染症】鳥インフル(H5N1)がインドネシアで豚に感染、一部が人間に感染しやすい型に変異
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1283297130/-100
3名無しのひみつ:2012/06/24(日) 03:33:18.70 ID:/WTirE1A
4名無しのひみつ:2012/06/24(日) 04:12:56.76 ID:HGfBzRGf
4し、鳥インフルエンザを滅ぼそう。
単なる遺伝子配列の塊だ、
このウィルスが絶滅しても生態系に及ぶ悪影響もさほどあるまい
5名無しのひみつ:2012/06/24(日) 04:36:03.23 ID:nFO+xW3e
いやあ、大増殖を続ける人類こそ数を減らす努力が必要だ。
故に人類に脅威を与える新型インフルウイルスは神の摂理とも
言うべき正当な存在。

人類が行うべきは、これを神からの警告と受け止め
欲望を抑え、地球という生命体の一員としての使命を
思い起すことだ。
6名無しのひみつ:2012/06/24(日) 12:10:33.12 ID:HGfBzRGf
>>5
ばかばかしい。
貴方だって鳥インフルエンザにかかって死にたくないだろう?
7名無しのひみつ:2012/06/24(日) 22:21:34.79 ID:eJxN10A8
5W1H
8名無しのひみつ:2012/06/25(月) 02:04:54.54 ID:zY574uTU
だれか3行で
9名無しのひみつ:2012/06/25(月) 02:07:43.63 ID:zY574uTU
>>4
エントロピー増大則より、すべての可能な配列は最終的に生成し試されます。
10名無しのひみつ:2012/06/25(月) 17:02:32.90 ID:hsEp40No
もっと強力にして中国へ輸出しよう。 当然、容器は中国で破損する仕掛けでね。
11名無しのひみつ:2012/06/25(月) 17:40:31.09 ID:91f9TvD5
症状がない人も調べたら、けっこう抗体持ってる人がいて、普通のインフルエンザより弱いんじゃない
って話になってたような
12名無しのひみつ:2012/06/25(月) 21:28:15.06 ID:7JjBMyCU
>>4
鳥インフルエンザを絶滅させるということは 自然宿主であるカモ・ガン類を絶滅させるということだな
それを絶滅させても北極圏の永久凍土には未知のインフルエンザウイルスが眠っていると考えられている
13名無しのひみつ:2012/06/26(火) 02:03:48.75 ID:rjm43mmN
H5N1のN1に対する抗体はH1N1から獲得してるかもしれないけど
H5に対する抗体は実際に感染してないと獲得できないよね

プレパンデミックワクチンを一般人にも売ってくれれば良いのに
14名無しのひみつ:2012/06/26(火) 10:10:17.52 ID:apOAqPd8
なんとかしなさいよ
15名無しのひみつ
恐ろしいな。
5W1Hは。