生地に施した特殊な加工により、乳がんのしこりを早い段階で発見できる
ブラジャーの開発に、英ボルトン大の研究者が取り組んでいる。
今後2−3年のうちに発売される見通しだという。
同大のエリアス・シオレス教授によると、ブラジャーの生地にはマイクロ波
アンテナが織り込まれ、体内組織の微妙な温度変化を検知することができる。
増殖する腫瘍(しゅよう)の周辺は血流が増え、温度が上昇することが知られて
いるため、この兆候をとらえれば早期発見につながるというわけだ。
「乳がんの治療中に効果を観察する目的で使うこともできる」と、同教授は説明する。
ただ、このアイデアが本当に実用化されるのか、従来の検診に代わる方法と
なり得るのかについて、懐疑的な見方を示す専門家もいる。
米トーマスジェファソン大病院の乳腺外科医、アン・ローゼンバーグ教授は
「良性の腫瘍や炎症でも、血流は増える可能性がある」と指摘する。
衣服に医療機能などを導入する研究は、10年ほど前から飛躍的に進歩し、
これまでに防虫、防臭などの作用を持たせた服が売り出されている。
米コーネル大では昨年、服飾デザインを専攻する学生が、銀イオンの殺菌
作用を利用して「風邪やインフルエンザを防ぎ、洗濯も不要なファッション」を発表。
米デラウェア州のテキストロニクス社は、運動中に心拍数などを計測できる
「スポーツブラジャー」の開発に成功した。
欧州では3年前から、欧州委員会の出資で、生体センサーなどを衣服に織り込む
国際共同プロジェクト「バイオテクス」が進められている。チームでは第一段階として、
着る人の汗の量や成分を測定できる衣服の開発を目指す。
同プロジェクトに参加するアイルランドの研究者、シャーリー・コイル博士は
「繊維製品にさまざまな機能を加える方法は、日々新たに発見されている。
大きな可能性を秘めた研究分野だ」と話している。
ソース:
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200808100018.html 画像:
http://www.cnn.co.jp/science/images/CNN200808100017.jpg CNN.co.jp 2008.08.10 20:27