【生化学】生命の遺伝暗号表構築における「生きた化石」タンパク質の立体構造を解明

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1 ◆KzI.AmWAVE @Hφ=Eφ ★
ホスホセリルtRNA合成酵素(SepRS)は進化的に古い生命の遺伝暗号表の構築に働いていたと
考えられているアミノアシルtRNA合成酵素である。東京大学は理化学研究所と共同でSepRSと
リン酸化セリンおよびシステイン用tRNAの複合体の立体構造を、大型放射光施設SPring-8を
利用して決定し、生命の遺伝暗号表の進化の過程を1つ解明した。


生物の生命活動をおもにコントロールしているのは、タンパク質である。タンパク質は、わずか
20種類のアミノ酸からできており、 DNAの遺伝情報にもとづいて合成される。この過程を翻訳と呼ぶ。
翻訳のときには転移RNA(tRNA)が仲介役となってDNAの塩基情報をタンパク質のアミノ酸と結び
付ける。特定のアミノ酸を、対応するtRNAに正しく結合させることで遺伝暗号表を構築しているのが、
アミノアシルtRNA合成酵素と呼ばれる酵素群である。

多くの生物は20種類のアミノ酸に対応して20種類の合成酵素をもっている。合成酵素のうちの1つ
システイニルtRNA合成酵素(CysRS)はシステイン(Cys)をシステイン専用のtRNA(tRNACys)に
結合させ、Cys-tRNACysを合成する酵素である。ところが進化的に古い特徴をもったある種の細菌
はCysRSをもっていない。その代わり、そのような生物はホスホセリル tRNA合成酵素(SepRS)と
呼ばれる他の一般的な生物にはない酵素をもっている。SepRSは標準的な20種類のアミノ酸の
いずれとも異なるアミノ酸であるリン酸化セリン(Sep)をtRNACysに結合させSep-tRNACysを生成する。
Sep-tRNACysはその後別の酵素であるSepCysSにより最終産物であるCys-tRNACysへと変換される。
初期の生命の遺伝暗号表においてはSepRSとSepCysSがCys-tRNACys生成を担っていたが、
進化に伴って登場したCysRSがCys-tRNACys生成の役割を引き継いだと考えられる。
したがってSepRSは生命の遺伝暗号表進化における「生きた化石」であると考えられている。
ここで、SepRSがいったいどのような形をしていて、どのようにリン酸化セリンやtRNACysを認識するのか、
は分かっていなかった。それらを解明することで生命の遺伝暗号表進化の歴史の一端が明らかに
なることが期待された。

研究グループは、SepRSがリン酸化セリンおよびtRNACysと結合した状態での複合体立体構造を、
大型放射光施設SPring-8の共用ビームラインBL41XUを利用し、0.26ナノメートル分解能で観測する
ことに成功した。

その結果、SepRSはN端ドメイン、触媒ドメイン、挿入ドメイン、C端ドメインの4つのドメインからなる
ことが分かった。触媒ドメインにおいて、リン酸化セリンを厳密に認識している様子が観測された。
またSepRSのC端ドメインがtRNACysを厳密に認識している様子も明らかになった。
(以下ソースにて)

東京大学理学系研究科プレスリリース
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/info/protein.html

Structural insights into the first step of RNA-dependent cysteine biosynthesis in archaea
Nature Structural & Molecular Biology, Published online: 11 March 2007; | doi:10.1038/nsmb1219
http://www.nature.com/nsmb/journal/vaop/ncurrent/abs/nsmb1219.html
2名無しのひみつ:2007/03/18(日) 10:38:26 ID:Gg44pO2J
よお!テトラヒメナ
3名無しのひみつ:2007/03/18(日) 16:33:08 ID:X10ziqm1
>>0.26ナノメートル分解能
紛らわしいから構造屋が使ってるオングストロームにしてくれよ。
0.26オングストロームかと思ったじゃねえか。
4名無しのひみつ:2007/03/19(月) 00:51:22 ID:AtuwtckR
5名無しのひみつ
また横山か
またX線か