【宇宙/カッシーニ】土星リングに関する新発見――遅い粒子の回転、ちりの集合、Dリングの変化、螺旋状構造…
カッシーニの合成赤外線分光計は、土星のメインリング(A、B、Cリング)を作る粒子の
回転が予想されていたよりも遅いことを発見した。粒子が密に集まって互いに衝突してお
り、もっと速く回転していると研究者達が考えていた場所でも、同様の観測結果が得られ
た。
研究者らは、粒子の温度の分析により回転速度を特定した。彼らは、密度の高いAリン
グやBリングでは衝突によってリング粒子の回転速度が上がり、それによってより均一な
温度になるはずだという仮説を立てていた。しかし結果は異なり、AリングやBリングの粒
子はゆっくりと回転しており、より希薄なCリングの粒子とほとんど変わらなかった。
「リング粒子を集め、地球へ持ち帰って研究することができたらどんなに素晴らしいだろ
う。それができないので、このような観測機器を使ってリング粒子が実際にはどのような様
子なのかを明らかにしているのだ」、とカリフォルニア州パサディナにあるNASAのジェット
推進研究所のカッシーニ・ホイヘンスミッション代理プロジェクト科学者Linda Spilker博士
は話した。「リング粒子は恐らく、固い氷の塊というよりはふわふわの雪球のようであろう
」、と彼女は話した。
遅かったリング粒子の回転
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA03561 http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA03562 カッシーニの合成赤外線分光計によって土星のメインリング(A、B、Cリング)の温度分
布マップが得られた。位相角(太陽‐探査機‐リング角)が60度未満のとき(LOW PHASE)
と、位相角が130度以上のとき(HIGH PHASE)の温度分布を示している。また、太陽光が
当たる側の面(LIT)とその裏面(UNLIT)の両面での温度分布が示されている。青は約
65K、赤は約110Kを表している。土星のリング粒子は土星周囲を1周する間(6〜14時間)
に数回から1回未満しか回転していないことが明らかになった。
これらの画像を比べると、位相角が大きくなるにつれて温度は低下しているのがわか
る。Cリングとカッシーニの隙間は暗く、太陽からの熱をよく吸収するので、両面において
位相角による温度変化が大きい。Bリングは分厚いので、表面と裏面との温度差は10Kに
も及ぶ。Aリングでの位置角の違いによる温度変化は、外側へ行く程小さくなっている。こ
れはAリングの外側部分がより小さな粒子から成っているか、またはより速く回転している
ために、温度が均一化されているからであろう。
土星のメインリングの一番外側にあるAリングもまた議論を呼んでいる。カッシーニの紫
外線撮像分光装置は、このリング中の粒子が常に変化するちりの集合の中に閉じ込めら
れていることを示した。これらの集合はばらばらになり、惑星の重力の影響によって再び
集められる。このことはAリングが本来空のスペースであることを示している。粒子の集合
はセダンサイズから引越用トラックサイズにまで変化している。
「塊同士の間隔は、塊自体の幅よりも広い」、とボールダーにあるコロラド大学の紫外線
撮像分光装置チームのメンバーJoshua Colwell博士は話した。「リングに十分近づくことが
できたとしたら、これらの塊は、間にごくわずかな粒子を伴う短くて平らな螺旋状の腕とし
て見えるだろう。」
Colwellはこの過程を、ビーチボールの周りを回る一握りのビー玉に例えた。ボールに最
も近いビー玉はより速く周回し、新しい周回する塊へと再編成される前に群から押し出さ
れるのだ。
Aリング中のちりの集合
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA03556 左は、カッシーニの紫外線撮像分光装置が捉えたAリングの擬似カラー画像であり、リン
グは反時計回りに回っている。中央の最も青い部分は、最も大きなちりの重力的な集合
が見られる部分である。右は、このちりの集合に富む領域の150m四方のコンピューター・
シミュレーション画像である。
画像を分析した科学者らもまた、いくつかの驚くべき発見をした。Dリング(土星に最も近
いリング)の一部が、25年程前にNASAのボイジャー探査機により観測されたときよりも薄
くなり、土星に向かって約200km(125マイル)内側へと移動していたのだ。
ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学の画像チーム関係者Matt Hedman博士は話
した。「Dリングのカッシーニの高解像度画像により、非常に惑星に近い新しい領域にある
リング粒子のダイナミクスと一生涯について新しい情報が得られている。」
Dリングにおける新事実
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07714 http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07715 下のパネルは1980年にボイジャー1号が25万kmの距離から撮影したDリングの画像。左
下の明るい部分はCリングの内縁である。その内側には3本の明るい細環、内側から
D73、D72、D68がある。一方その上は2005年5月3日にカッシーニが27万2000kmの距離か
ら撮影したDリングの画像で、画像のスケールは13km。緑の線がCリングの内縁を示して
いる。2つの画像を比べると、25年前にはDリング内で最も明るかったD72が暗くなり、さら
に内側へ約200km移動していた。
1枚目の右上の挿入画像及び2枚目の画像はこれまでにない高解像度の画像。カッシー
ニが2005年5月21日に狭角カメラで撮影した、D73とCリング内縁の領域。分解能は2km/
ピクセルである。波長30kmの周期的な波状構造が見られ、土星やその重力場の影響を
受けて形成されていると考えられる。カッシーニは、惑星に非常に近い領域における細か
な氷の粒子の力学についての情報を与えてくれる。
中でも彼らが最も驚いたのは、惑星を取り囲むぜんまいのような螺旋状のリングであ
る。この予想されていなかった「らせん状の腕」はFリングの近くに存在し、Fリングの軌道
を横切っている。
「この螺旋構造が、Fリングを横切り粒子を周囲に広げている衛星によって作り出されて
いる可能性が十分考えられる」、とパリ大学の画像チーム関係者Sebastien Charnoz博士
は話した。「Fリングは非常に不安定であるか、もしくは短命な構造なのかもしれない。」
Fリングの螺旋状腕
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07717 これはFリングのマップで、縦軸がリング半径方向、横軸が経度を示している。中央にFリ
ングのコアがあり、それを横切る螺旋状構造が見られる。土星のメインリングにも密度波
と呼ばれる螺旋構造があり、衛星の重力の影響で形成され、比較的大きなリング粒子が
互いの重力の影響で一緒に運動しているためにできる。一方Fリングの螺旋構造はこれと
は異なり、非常に細かな粒子から成っており、Fリングのコアから放出されるようにして形
成されている。科学者らは、Fリングを横切る衛星が粒子を周囲に追いやっている結果だ
と推測している。
リング粒子の集合か?それとも衛星か?
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07716 Fリングの奇妙な構造は、羊飼い衛星であるプロメテウスの影響だけでは説明がつか
ず、リングの間に小さな衛星が隠されているのではないかと考えられている。カッシーニは
この画像中に写っているような細長い物体をいくつか発見しているが、これらが実際の衛
星なのか、それともプロメテウスなどとFリングとの衝突などで形成されたリング粒子の集
団なのかは未だ謎である。この領域の物体の運動は様々な衛星の影響を受けているた
めに軌道を確定するのが困難である。
上の2つの画像はS/2004 S6と名付けられた物体で、8.5ヶ月間にわたって観測されてい
る。S6はFリングを横切るように周回しているようで、2005年6月21日に撮影された左上の
画像では外側の細環の中にあり、29日に撮影された右上の画像では内側の細環の中に
ある。物体のリング半径方向の幅は約2000kmである。左下はS/2004 S3の画像で、13.5ヶ
月間観測されている。この画像ではFリングのメインリングにぴったり沿っている。2005年4
月13日に撮影された右下の画像に写っている物体はS3なのかS6なのかわかっていない。
粒子を纏め上げる
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07579 カッシーニが2005年8月2日に、930nmを中央値とする赤外線フィルターで撮影したFリン
グと衛星パンドラの画像である。パンドラからの距離は61万km、位相角(太陽‐パンドラ‐
探査機角)は146度である。Fリングの外側を回る大きさ84kmのパンドラは、Fリングのすぐ
内側を回る大きさ102kmのプロメテウスとともに、Fリングを纏め上げている。Fリングのコ
アに沿う小さな節は、現在科学者らが衛星なのか一時的なリング粒子の集まりなのか
はっきりさせたいと思っている物体の一つである。
Fリング中の正体不明物体
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07713 Fリングの中に孤立した粒子の集団のように見えるものが見られる。科学者らはこれが、
リングもしくはリング内の粒子のゆるい集団を制御している衛星なのかどうかをはっきりさ
せようとしている。この画像は、2005年4月13日にカッシーニの狭角カメラにより土星から
120万kmの場所から撮影された可視光画像である。
希薄なGリングに見られる弧
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07718 これらの画像は、2005年5月24日に土星から約170万kmの距離からカッシーニによって
撮影された偏光近赤外線画像で、45分おきに撮影されている。最初の画像では下側に、
中央の画像では最も外側に、最後の画像ではそれより少し上側に、他より明るい部分が
見られる。Gリングのこのような明るい弧がどのように形成されているのかはわかっていな
いが、Gリングを形成する物質がどこからやってきたのかを知る手がかりとなるかもしれな
い。
ひだの形成
http://photojournal.jpl.nasa.gov/catalog/PIA07712 羊飼い衛星プロメテウス(大きさ102km)の重力の影響を受けてFリング内側部分にでき
た暗いひだが見られる。外側を回るのはパンドラ(大きさ84km)である。内側のプロメテウ
スはFリング粒子よりも速く公転している。プロメテウスが土星から離れてFリングに近づく
度にFリングはプロメテウスの重力の影響を強く受けるので、その度Fリング内に粒子の塊
と暗いひだができる。リング粒子は内側ほど速く公転するため、ひだは斜めになっていく。
5 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 02:13:45 ID:gHWxraBP
で、わかったからって、生活に関係ないよなw
6 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 02:20:00 ID:+STYtYhv
7 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 02:31:12 ID:zCIJD5dP
へっへっへっへっへ
8 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 02:35:58 ID:pGJmihg5
へっどらいんが---
9 :
F.LIGHTAF6 ◆THENXBYNLE :2005/09/08(木) 02:37:27 ID:ZNgOS8za
また物故割れた
10 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 02:37:42 ID:RsD85lTy
俺も将来こうゆう機関で働きたいなぁー!
11 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 02:53:15 ID:Bonu68k7
Fリング中に漂う謎の物体は
打ち捨てられた異星人の宇宙船だった!
とかそんなところから始まる創元SF文庫
12 :
名無しのひみつ:2005/09/08(木) 10:28:36 ID:AKwwy1DU
土星の輪はいつ見ても不思議な感じがする。
ただ、地上から望遠鏡で見る限りは構造も成因も良くわからなかったが
探査機が飛んでいって近くからの詳しい情報が得られるようになってから
急速に進展し始めた。今の時点では直接役に立たないかもしれないが
人類が宇宙へ移り住むときには重要になってくるかも。
探査費用を無駄という無かれ。
13 :
名無しのひみつ:2005/09/09(金) 10:50:43 ID:vvHfXgGE
14 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう: