新しい抗がん薬のヒトでの安全性を検討する第I相臨床試験結果の多くが公表されて
おらず、公表されてもその多くが試験終了後長期を経過していることが、米テキサス大
学MDアンダーソンがんセンター(ヒューストン)腫瘍内科助教授のLuis H. Camacho博士
らの研究で明らかになった。研究は、医学誌「Cancer」オンライン版8月22日号に掲載さ
れた。
臨床試験は、結果を公表して同様な試験を実施する研究者や臨床医に対して、その
情報を提供する義務を有するものである。第I相臨床試験は、新薬ないし併用薬の新し
い組み合わせを評価する、ヒトを対象とした最初の段階の試験であり、Camacho博士は
「米国内で実施されるがんに関わる第I相臨床試験の件数は急激に増大している」という。
Camacho博士らは、がん治療薬に関する第I相臨床試験の実施件数を把握するため、
米国がん治療学会(ASCO)の1997年年次集会に提出された試験件数を検討し、このうち
医学誌に公表された件数を調査した。その結果、「年次集会から7年半後に公表された試
験は67%であったが、1年後のものはわずか12%であった」という。また研究者への質問
調査では、未公表の理由として、時間のないこと、論文著者の新しい施設への配置転換
が、上位2つに挙げられことが明らかになった。
Camacho博士は「第I相試験結果が公表されていないことは、医学文献が最新の研究を
反映するものではないことを意味する。例え極めて開発の早期段階であっても、第I相試
験結果はがん患者の治療に直ちに反映される。またこれらが報告されないことは、新薬
開発プロセス全体に遅延をもたらす結果となる」と指摘する。
ハーバード大学医学部内科助教授でダナ・ファーバーがんセンター(ボストン)のHarold
Burstein博士は、Camacho博士に同意する見解を示しした上で、第I相臨床試験の結果が
公表されないことは研究者の間に定着していると指摘。また、米国がん協会(ACS)研究副
部長のJerome Yates博士は「第I相臨床試験で有効性が示されるのは7〜17%であり、こ
のうち3分の1が未報告である。理想を言えば、結果のすべてを知らせることが重要である」
と述べている。
ソース:NIKKEI NET
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20050902hj000hj 関連スレ:
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http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1125306003/ 【医学】タキソール類似化合物?イチイと各種の植物から抽出した抗がん剤を開発 dat落ち
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1115135205/ 【医学】緑茶に含まれる抗がん成分、特定される(03/15/2005) dat落ち
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1111001164/ その他、多数。
原著論文:
「Presentation and subsequent publication rates of phase I oncology clinical trials」
Luis H. Camacho et al.,
Cancer, Published Online, 22 Aug 2005, DOI:10.1002/cncr.21337
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/abstract/110576781/ABSTRACT