機能的MRIは脳を知る有効な手段
2件の研究により、これまで脳内の血流を測定するため利用されてきたfMRIによる脳画像
撮影技術が、実は脳ニューロンの活性を反映しているものであるという説が支持された。
fMRIは非侵襲的な手段であることから、同技術を使った、どの活動に脳のどの部位が関与
しているのかを調べる研究が多数行われるようになった。しかし、fMRIで検出された血流の
変化とニューロン発火の関係は不明であった。
Roy Mukamelらは、脳外科手術を受けた患者の聴覚皮質の各ニューロンの電気的活動を
記録し、これを同じ知覚刺激下に置いた意識のある被験者から得られたfMRI信号と比較した
(両グループの被験者は「続・夕陽のガンマン」という映画の一部を見ていた)。著者らは、
fMRI測定値と単一ユニット活動間に長時間継続する相関関係を認めた。
ドイツのJorn Niessingらによるもう一方の研究結果もこの関係を支持しており、さらにもう
少し付け加えている。同チームは麻酔をかけたネコの視覚野に微小電極を設置し、様々な
コントラストレベルの白黒パターンを見せて神経活動を記録し、脳の血流と比較した。
その結果、血流反応とニューロンスパイクのレートはごく弱く相関しているにすぎないことが
明らかになった。しかし、複数のニューロン発火の同時発生を伴う、若干異なるニューロン
活性測定値(振幅レート)を見たところ、血流反応と高周波震動との間に極めて緊密な相関
関係が存在していた。
Science Highlight 2004年 8月 5日(金)
http://www.sciencemag.jp/highlights/20050805/index.html#1 Coupling Between Neuronal Firing, Field Potentials, and fMRI in Human Auditory Cortex
Roy Mukamel, Hagar Gelbard, Amos Arieli, Uri Hasson, Itzhak Fried, and Rafael Malach
Science 5 August 2005: 951-954.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/309/5736/951 Hemodynamic Signals Correlate Tightly with Synchronized Gamma Oscillations
Jorn Niessing, Boris Ebisch, Kerstin E. Schmidt, Michael Niessing, Wolf Singer, and Ralf A. W. Galuske
Science 5 August 2005: 948-951.
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/309/5736/948 関連スレ:
【脳】fMRIなどの最新神経科学を広告戦略に応用するニューロマーケティング
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1118067636/ (05/06/06)
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http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1114723256/ (05/04/29)
【生化学】アルツハイマー病の原因物質のMRI観察に成功/理化研
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ウソつくと脳がフル回転、MRIで解析・・うそ発見技術の開発過程で−米
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1101789776/ (04/11/30)