さくらと小狼の子供たち。

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940126:03/11/10 01:27 ID:L4BYIntt
その時、黒鋼さんはティーカップを両手で抱えて、紅茶を飲みだした。
「ほぇ〜!じょうずに飲んでるよぉ」
「ええ。黒まーさんは、熱いのはだめですが、冷めていればじょうずにお飲みになりますのよ」
「すごーい。紅茶を飲むリスさんって初めてだよ」
「あら、ケロちゃんさんだって、ティーカップを使って、じょうずに紅茶を飲まれますわ」
「そ、それはそうだけど・・・」
黒鋼さんとケロちゃんを比べるのは、違うと思う。
カップをソーサーに戻した黒鋼さんに、知美ちゃんが聞く。
「お腹いっぱいになられました?」
黒鋼さんは、こくんとうなずいたようだった。
「それでは、お家までお送りしますわ」
知美ちゃんが両手を差し出すと、黒鋼さんは自分から知美ちゃんに抱かれていった。
キタリスがペットに向かないというのは、うそみたいだ。
知美ちゃんは、あたしの方を向くと
「車を出しますので、すみれちゃんも、ご一緒しませんか?」
「うん」
941126:03/11/10 01:28 ID:L4BYIntt
黒鋼さんをお家にーといっても、公園の近くの林のことなんだけどーに帰してから数日後、
あたしと知美ちゃんは、葵先生のところにプリントを届けに行った。
理科の準備室に入って
「先生、理科のプリント、持って来ました」
「ありがとう、木之本さん、大道寺さん。そこの空いている机の上に置いておいてくれないかしら?」
「はーい。って先生、どこにいるんですか?」
あたしたちは不思議なことに気が付いた。
葵先生の声は聞こえるけれど、姿が見えない。
「こちらよ。今、探し物をしているの」
どうやら、先生は準備室にたくさんある、標本や実験器具の中に埋もれているようだ。
「お手伝いしましょうか」
「だいじょうぶよ。見つかったから」
「ほ、ほぇ〜っ!」
あたしは、思わず、飛びのいた。だって、葵先生、いきなり目の前にぬーって現れるんだもん。
「驚かせて、ごめんなさい」
先生は、箱を持ちながら言った。
「何を探されていたのですの?」
知美ちゃんの質問に、先生が答える。
「イチョウなんかと葉っぱと、ギンナンやドングリの木の実。去年の1年生が、理科の授業で集めたも

のね」
「あたしたちも、1年生の時に、先生の授業で集めました。公園近くの林ですよね」
「そうよ。でも、今年の1年生はかわいそうなの」
「え?どうゆうことですか?」
942CC名無したん:03/11/11 20:44 ID:gXFQ14n3
あんたはファイか知美ちゃんw
943126:03/11/17 01:17 ID:SExZ13/c
「あなたたちもそうだったけど、毎年、秋になると1年生のみんなが、あの林に行って
紅葉で色が変わった葉っぱや、木の実を集めてくるの」
「はい」
「それが、今年は、冷夏だったせいか、あの林、紅葉が全然進んでいないのよ」
「そ、そういえば・・・」
黒鋼さんとお別れした林は、日差しは確かに秋だったけど、まるで夏の林のように緑がまぶしかった。
ただ、あたしは、別のことが気になって、そのことはあまり気にならなかったのだけど。
「でも、それじゃ授業にならないから、今年は、みんなで行くのはあきらめて、
去年集めた標本を使って授業しようと思って、それで、去年のを探していたのよ」
「そうなんですか・・・」
944126:03/11/17 01:19 ID:SExZ13/c
準備室を出ると、知美ちゃんが、あたしに聞いてきた。
「すみれちゃん、ひょっとしたら、これもクロウ・カードのしわざですの?」
「・・・そうかもしれない」
「では、さっそく、カードキャプターの出番ですわね!
ああ、今夜にでも、すみれちゃんとさくらさんの活躍が撮影できますわぁ!」
「・・・今夜は、無理だと思う」
「あら、どうしてですの?」
「あの林、いっぱいいるんだ。幽霊みたいなのが」
「まぁ」
「この前、黒鋼(くろがね)さんをお家に帰した時、知美ちゃん、あたしの様子がおかしいって
聞いたよね」
「はい」
「あれは、そのせいなの。あの林の奥の方って、人の気配とかいっぱいするの」
「では、すみれちゃんのように魔力があると」
「混乱しちゃう・・・あたしは、まだだいじょうぶだけど、ママは多分、だめ。
イリュージョンのカードの時みたいに、ほえほえになっちゃうよ」
「そうなんですの・・・でも、どうしましょう。クロウ・カードのせいかもしれませんし」
知美ちゃんの言うようにクロウ・カードのせいかもしれないし、
葵先生が言ったように冷夏のせいかもしれない。あたしはちょっと考えてから、知美ちゃんに
「今日の放課後、行ってみようよ。明るいうちなら、幽霊とかの気配が弱いはずだから
クロウ・カードのせいかわかるかもしれない」
と言った。
「わかりました!いっしょに参りましょう!」
知美ちゃんの目はきらきらしていた。
945126:03/11/17 01:21 ID:SExZ13/c
その日の放課後、あたしと知美ちゃんは、黒鋼さんとお別れした林に来ていた。
「どうですか、すみれちゃん?」
「う、う〜ん。やっぱり、こっちかな?」
あたしたちは、少しずつ歩いては立ち止まる。
「・・・。こっちかも」
この林にいると、いろいろな気配があるのがわかる。
悪意のあるっていうか、良くないものの気配はないんだけど、いろいろとうずまいている感じ。
あたしは、少し歩いては精神集中をする。そして、気配が強くなっている方へ歩き出す。
「カードの気配はしますの?」
「まだ、わかんない。とにかく、いろいろな気配があって・・・」
「それにしても、ほんとうに夏のようですわね」
知美ちゃんの言うとおりだ。日差しは確かに秋なんだけど、落ち葉なんでほとんどないし、
木々の色も緑のままだ。

「あら、あれは?」
「知美ちゃん、なにか、見つけたの?」
「あれは、ひょっとして・・・」
知美ちゃんは木に走りよって、ひざをついた。そして、その陰をのぞきこむようにして
「元気がないようですが、だいじょうぶですの?」
その木の陰から、黒い影がゆらりと現れると、知美ちゃんのひざに倒れこんだ。
「どうなさったんですか、黒むんさん!」
946CC名無したん:03/11/29 23:17 ID:kUwSpuHq
気づかない間に更新されている。
しかも2週間前…

さくら板のみんなにも気づいてもらえるように、あえてあげてみます。
(126さん、ごめんなさい。けど、ここに気づかない新人さんも
いると思うので、そういう人たちへの告知の意味も込めてあげます。)
947126:03/12/01 01:02 ID:aKheqBLA
「で、どないなったんや、その黒とんとかいう豚は?」
「豚さんじゃないよ。リスさんだよ!名前も黒鋼(くろがね)さんって言うんだからね!」
「・・・似たようなもんやないか。で、どないなったんや?」
「すぐに知美ちゃんが、お家につれて帰ったの。今ごろ、お医者さまに診てもらっていると思うよ」
そして、あたしは家に戻って、こうしてケロちゃんと相談している。ママには、まだ内緒だ。
「ふーん。そりゃ、知美も大変やなぁ」
「ケロちゃん、どう思う?」
「どうって?」
「今度のこと、クロウ・カードのしわざかもしれないってこと」
「確かにやっかいやなぁ。あの林、さくらがミラーを封印した時からそうやったけど、
幽霊とかいっぱいおって、魔力のあるもんにとっては、ほんままぎらわしいんや。
そのせいか、建物も建たずに、今でも林のままなんやけどな」
「そうなんだ。じゃ、やっぱり、もしママがそこに行ったら」
「あかんやろな。さくら、人一倍、幽霊とかに弱いよって・・・」

その時、あたしのケータイの着メロが鳴った。
「知美ちゃんだ。はい、すみれです。黒鋼さんは、だいじょうぶ?お医者さまに診てもらったの?」
あたしが聞くと、画面の向こうから知美ちゃんが
「はい、お医者さまは大変なことをおっしゃいました」
「大変なことって?!病気か何か?」
948126:03/12/01 01:03 ID:aKheqBLA
「黒鋼さんのお腹が空っぽだと、お医者さまがおっしゃいまして・・・」
あたしとケロちゃんは、固まってしまった。
「・・・それって、お腹ペコペコだって言うこと?」
「そういうことですわね」
画面のフレームから、知美ちゃんが外れていく。そして見えてきたのは、ものすごい勢いで
ナッツを食べている黒鋼さんだった。
「それで、今、黒みーさんは、お食事中ですの」
その時、ケータイをのぞきこんでいたケロちゃんが言った。
「なんや。わいの方がずうーっとかっこええやないか!」
ケロちゃんのことばが聞こえたのか、黒鋼さんが、ナッツを食べるのを止める。
「・・・うっ!」
ケロちゃんが、ちょっとひいた。
「・・・こいつ、わいにガン飛ばしよる・・・上等やないか!この封印の獣、ケルベロスさまに
けんか売ろうやなんて!」
「ケロちゃん、やめて!黒鋼さんはリスさんなんだよ」
あたしは、ケロちゃんをケータイの前からどかすと、知美ちゃんに
「じゃ、黒鋼さんは、もうだいじょうぶなんだよね。お腹いっぱいになれば、また、お家に
帰れるんだよね」
「そうなんですが、わたし、心配しておりますの」
「心配って?」
「お医者さまのお話では、黒ちぃさんは、お家に帰ってから何も食べていないんじゃないか、
あの林で食べ物を見つけられなかったのでないか、ということですの。
そうしますと、お家にお帰しても、また同じことになりそうで・・・」
949126:03/12/01 01:04 ID:aKheqBLA
「それは、変な話やな」
横からケロちゃんが言った。
「あの林、秋になるといろんな木の実がいっぱいできるんや。えさが見つからないなんて、
考えられへん。あの林は、いつごろからかペットのリスやらがぎょうさん住み着いたことで、
友枝テレビでも紹介されとったほどなんやで」
「じゃあ、あの林で、やっぱり、なにかが起きているんだね」
「そういうことや。クロウ・カードのせいとは限らんけどな」
「でも、どうしましょう。すみれさんでも、カードの気配はわかりませんでしたし、
さくらさんでは、ほえほえになってしまわれますし・・・」
「すみれ、知美、忘れてへんか?」
「何を?」
「魔力を持つもんは、ここにもおる。わいなら、カードの気配、きっちり見抜けるで」
950CC名無したん:03/12/01 02:13 ID:wEbOTHHm
126氏乙カレイド
黒鋼たん萌え。
951CC名無したん:03/12/01 23:25 ID:v6oOFI8c
ケロvs黒鋼、爆笑。
952126:03/12/08 00:47 ID:6gt+ot7a
その次の日曜日、あたしたちは例の林に来ていた。
「あ、来た来た!知美ちゃん、こっちだよ!」
「知美、待ってたでぇ!」
ケロちゃんが、たまごリュックからからだを乗り出して、手をふる。
「お待たせしてしまって、申し訳ありません。
黒みんさんのしたくに時間がかかってしまいまして・・・」
そう言って近づいてくる知美ちゃんの胸には、黒鋼(くろがね)さんが抱かれていた。
「どう?黒鋼さんの様子は」
あたしが聞くと、知美ちゃんはにっこりと笑って
「もう、だいじょうぶですわ。お医者さまも、体調は万全だとおっしゃっておられましたわ」
「じゃあ、もうだいじょうぶなんだ。よかったぁ。こんにちは、黒鋼さん」
黒鋼さんは、あたしに向かって、軽くうなずいた。けれども、ケロちゃんが
「よう!わいは、ケルベロスや」
と、あいさつすると
「・・・また、わいにガンを飛ばしよった。なんや、わいに恨みでもあるんかい?!」
ケロちゃんは、たまごリュックから飛び出すと、黒鋼さんの前に飛んでいって、にらみつけた。
ふたり(?)の間に火花が飛ぶ。
「だめだよ、ケロちゃん!」
あたしは、ケロちゃんを抱きかかえた。
「すみれ、なんで、止めるんや?この黒いの、わいにけんか売っとるんやで!」
「落ち着いて、ケロちゃん。黒鋼さんは、リスさんなんだから。
それに、今日は、この林にクロウ・カードを探しにきたんだからね」
「わかった・・・今日は、すみれの顔を立てて、勘弁したる。けど、そこの黒いの、これから
この封印の獣、ケルベロスさまが超かっこえーとこを見せたる。わいのナイスで小粋な活躍、
よう見とるんやでって・・・なんや?」
ケロちゃんは、突然、あっけにとられていた。
953126:03/12/08 00:48 ID:6gt+ot7a
見ると、知美ちゃんの胸に抱かれているはずの、黒鋼さんがいなかった。
「知美ちゃん、黒鋼さん、どこに行っちゃったの?
「黒りるさんは、突然、あちらの方に走って行ってしまわれましたわ」
知美ちゃんは、林の奥の方を指差した。
「あちらが、黒ぴむさんのお家だと思いますの」
知美ちゃんのことばを聞いたケロちゃんは
「・・・なんや・・・わい、あほみたいやないか・・・」
黒鋼さんが突然いなくなって、がっくりしていた。
「気を取りなおしてくださいな」
すると知美ちゃんが、ケロちゃんに小さな袋を差し出した。
「少しですが、クッキーが入っています。これを食べて、元気を出してくださいな」
「わーい、クッキーや!」
ケロちゃんは、知美ちゃんの手から袋を奪うと、クッキーをむさぼるように食べだした。
「うまいっ!うまいで、知美!」

「ケロちゃんって本当に食い意地はってるね」
「すみれ、それを言うんなら、わいは食いもんに対して、いつも真剣勝負なんや!」
「・・・なんなの、それ」
あたしとケロちゃんの、お約束のやり取りだった。
954126:03/12/08 00:49 ID:6gt+ot7a
ケロちゃんがクッキーを食べ終わると、あたしたちは林の奥に入って行った。
「どう、カードの気配、わかる?」
あたしがケロちゃんに聞くと
「すみれはどうや?カードの気配がわかるんか?」
「・・・わかんない。いっぱい、いろんな気配がして・・・」
「わいもや。昔、さくらとここに来たときより、いろんな気配がごちゃまぜになって、
ごっつう強くなっとる。こりゃ、クロウ・カードが隠れとっても、並の魔力ではわからんやろな」
「まぁ、すみれちゃんだけでなく、ケロちゃんさんでも、わかりませんの?」
「ああ、こりゃ、ほんまにやっかいやでぇ」
その時、あたしは、一瞬だけ、気配を感じた。
「ケロちゃん、今の?」
「すみれも、感じたか。今のは、確かにクロウ・カードの気配や。
どうやら、クロウ・カードが、この林にいるんは、間違いないようやな。
けど、また、他の気配も強うなった。他の気配がカードの気配を隠しとるみたいやな」
「そんな、どうして?」
「わからん・・・」
その時、あたしの目の前がふっと暗くなった。
「すみれ、だいじょうぶか?!」
「すみれちゃん、しっかりしてください?」
倒れそうになったところを知美ちゃんが支えてくれた。
「・・・うん、なんとか」
「あかん。すみれの気配を読む力はさくら以上やから、こうぎょうさん気配があるところに
長くおると、まいってしまうんや。はようカードを見つけんと・・・」
「そんな!すみれちゃんがだいじょうぶなうちに、カードを見つけませんと・・・」
「ああ、そやけど、これはやっかいやで」
955126:03/12/08 00:51 ID:6gt+ot7a
その時、あたしたちの目の前をレーザーのような光線が走った。
「何?!」
驚いていると、光線が飛んできた方から誰かがやってきた。
「パパ!ママ!」
「すみれ!ケルベロスといっしょに、どうして、こんなところにいるんだ?」
「パパやママも、どうしてここに?今日は、ママがパパを空港までお出迎えに行っていたんでしょ?」
「そうよ、すみれちゃん。でも、空港からの帰り、車の中で羅針盤が反応したの」
「羅針盤って?」
あたしが聞くと、パパは手に持っているものを私に見せるようにした。
「これだ。これはクロウ・リードが作ったもので、クロウ・カードのある場所を示すものなんだ」
「それで、こちらにいらしたんですわね」
「すみれこそ、どうしてさくらに黙ってカードを探しているんだ?」
「ここって、幽霊とかの気配がいっぱいあるから、ママがほえほえになっちゃうと思って、
それであたしたちだけで、なんとかカードを封印しようと思って・・・」
あたしがパパに質問にあわてて答えると、
「ママはだいじょうぶよ」
「幽霊とか平気になったの?」
「ううん、全然。でも」
「でも?」
ママはにっこりと笑って、
「だって、小狼くんといっしょだもん!」
ズザーッ!!!(←すみれ、ケルベロス、知美がめいっぱいコケる音)
「と、とにかく、羅針盤もあることやし、クロウ・カードのところまで行こうやないか」
あたしたちは、なんとか立ち直ると羅針盤の示す方向に歩いて行った。
「これは?!」
956CC名無したん:03/12/08 16:49 ID:LJKS1yuQ
キタ!(゚∀゚)
126さん乙!
957CC名無したん:03/12/08 17:14 ID:IevKavyd
「だって、小狼くんといっしょだもん!」
ズザーッ!!!(←すみれ、ケルベロス、知美がめいっぱいコケる音)

にワラタ。これからも期待
ガンガレ!
958CC名無したん:03/12/08 22:58 ID:ZjCQvKvP
126さん、いつも読ませていただいてます。

>>957
禿同
同じところでワラッタ。
959CC名無したん:03/12/09 16:23 ID:HjsGJhw/
>>957
皆同じやー!ww
960CC名無したん:03/12/14 07:45 ID:xDWFOKzW
ホッシュ
961126:03/12/15 02:13 ID:nZmaALhu
あたしたちが見たのは、いっぱいに枝を伸ばしているウッドのカードさんだった。
その枝は、林の中いっぱいに広がっているようだった。
「わかりましたわ!」
「わかったって、どういうこと?」
「この林に起こっていることですわ。ウッドのカードさんが秋になっても紅葉にならないように
してるのですわ!」
「つまり、いつまでも他の木がいつまでも緑のままでいられるように、エネルギーを与えているって
いうわけね」
知美ちゃんとママの説明を聞いて、
「どうして、そんなことを?」
と、あたしが聞くとパパが答えた。
「ウッドのカードは、木々を緑に繁らせることができるんだ。秋になって紅葉が進み、
やがて落葉するのを、仲間が弱っていくと思って助けているんだろう」
「そや。ウッドは、クロウ・カードの中でも、いっちゃんおとなしくて優しいカードなんや」
「ほんとう、ケロちゃんさんのおっしゃるとおりのようですわ」
あたしたちは、納得した。
「でもでも、ウッドさんをこのままにするわけにはいかないよね」
「すみれの言うとおりだ。主(あるじ)のいないカードを放っておくわけにはいかない。
それにこのままだと、いずれ魔力が途切れてただのカードになってしまうぞ」
パパのことばにうなずくと、ママがウッドのカードさんに言った。
「というわけなの。あなたの仲間を助けたいという気持ちはわかるけど、このままではいけないわ。
カードに戻ってくれないかしら?」
けれども、ウッドさんははっきりと首を横に振った。
962126:03/12/15 02:14 ID:nZmaALhu
あたしたちの説得はしばらく続いた。
けれども、ウッドさんは首を横に振るばかり。
「・・・いつまでも、こんなことをしているわけにはいかない」
パパはそう言うと、剣を実体化させた。
「パパ、なにをするの!」
「伸ばしている枝を切れば・・・」
「だめ!ウッドさんを傷つけちゃ!」
あたしは、パパに抱きついて止めた。
「しかし、このままじゃ・・・」
「あたしがなんとかする!きっと、ウッドさんはわかってくれるから!」
「・・・うん・・・わかった」
パパは振り上げた剣を降ろしてくれた。
「・・・どないするつもりや、すみれ?」
ケロちゃんが心配そうに聞いてきたけれど、あたしに考えがあるわけではなかった。

「あら?」
その時、知美ちゃんのケータイに着信があったようだ。
「これは・・・近づいて来てますわ!」
「近づいているって・・・何が?」
963CC名無したん:03/12/15 13:19 ID:N+4ATe0s
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
126さん乙!

小僧がちょっとかっこいいなと思ったら、
>「・・・うん・・・わかった」
弱ッ!
嫁にも娘にも弱いパパ(;´Д`)ハァハァ
964CC名無したん:03/12/15 20:38 ID:6hHf6O9k
ウッドのしそうなことだなー。と納得する自分がいる。
126さん乙!
965CC名無したん:03/12/20 00:53 ID:qmQJTNKg
更新されてる(*´∀`)
126タン乙!
966126:03/12/22 02:13 ID:wNSZpCOc
知美ちゃんはケータイの画面を見て
「この木の裏ですわ」
と、のぞきこんだ。思わず、あたしも知美ちゃんのとなりからのぞきこむ。
「黒みるさん、どうしてここへ?」
あたしたちが見つけたのは、黒鋼さんと、リスが4匹。
「黒あむさんの、お友だちですの?」
知美ちゃんがそう聞くと、黒鋼さんは黙ってうなずいているように見えた。
「でも、みなさんの、そのご様子は・・・」
黒鋼さん以外のリスさんは、ずぅーっと何も食べていないらしく、ふらふらだったんだ。
「ウッドさんが木を枯れさせなかったせいで、みなさんの食べ物が見つからないんですわね」
「リスさんたち、おなかペコペコで死んじゃうかもしれない・・・」
あたしは、思わず、足元にいた、よりそっている2匹のリスさんを抱き上げた。
知美ちゃんも、別の2匹を抱き上げる。
あたしと知美ちゃん、そして黒鋼さんは、みんなのいる所まで戻った。
「どうしたんだ、ふたりとも、リスなんか連れて来て?」
「リスさんたちが、たいへんなの」
そして、あたしと知美ちゃんはウッドさんの方を向いた。
「見て、ウッドさん。このリスさんたちは、この林に住んでいるリスさんなの。
毎年、秋になると、ここにいっぱいできる木の実を食べて、おなかいっぱいになって
そして寒い冬に備えるんだよ」
「ですけど、今年は食べ物がなくて、みなさん、お困りのようですの」

あたしたちのことばを聞いて、ウッドさんの表情が変わった。
967126:03/12/22 02:14 ID:wNSZpCOc
「すみれたちの言うとおりだ。お前は、仲間を助けているつもりかもしれない。
けれど、お前の仲間は木だけではないんだ」
パパがそう言うと、ママもことばを続けた。
「そうよ。あなたの仲間は、この林のすべて。秋になって、紅葉になって、落ちた木の実は
林に住む動物たちの大切な食料になるの。それに、落ち葉だって、春に生えてくる
新しい木や草のたいせつな養分になるのよ。木をいつまでも夏のように繁らせてしまうと、
この林のみんながおかしくなってしまうのよ」
そして、あたしも言った。
「だから、だから、ウッドさん、お願い、カードに戻って!」

一瞬、ウッドさんのからだが光に包まれた。
光が消えていくと、ウッドさんのからだから伸びていた枝がなくなっている。

「・・・空気が変わった」
思わず、あたしはつぶやいた。
その時のあたしたちは、まるでタイムマシンの中にいるようだった。
まぶしいほどの緑が、みるみるうちに赤や黄色に変わっていく。
そして、色づいた葉は地面に落ち、ぱらぱらと音を立てて木の実が落ちていく。
「さぁ、お食事の時間ですわ」
知美ちゃんがリスさんたちを降ろすと、2匹は木の実を食べ始めた。
あたしも、2匹のリスさんをそっと降ろす。
1匹のリスさんが、ふらふらだったけど、木の実をつかむと、もう1匹のリスさんに差し出していた。
あたしには、なぜかその2匹がパパとママみたいに思えた。
968126:03/12/22 02:15 ID:wNSZpCOc
「すみれ、リスもだいじょうぶなようやし、そろそろ封印や」
「うん」
あたしは、呪文を唱えだした。
「光の力を秘めし鍵よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、すみれが命じる」
「封印解除(レリーズ)!」

杖を持つと、あたしは、ウッドさんにお礼を言った。
「ありがとう、わかってくれて。リスさんたちは、もうだいじょうぶだから、カードに戻って」
ウッドさんもやさしく微笑むと、カードにその形を変えてくれた。

「汝のあるべき姿に戻れ!クロウ・カード!」

手の中にすべりこんできたウッドのカードさんを見て
「よかった。ウッドさんて、ほんとうに優しいカードさんなんだね」
「そうや。すみれも、ようやったな」
969126:03/12/22 02:17 ID:wNSZpCOc
帰りの車の中で、あたしは知美ちゃんに聞きたいことがあった。
「知美ちゃん、黒鋼さんが来たの、どうしてケータイでわかったの?」
「ICタグですわ」
「ICタグって、イヌさんやネコさんに埋め込んで、迷子にならなくしたりするのだよね」
「そうですわ。今日、すみれちゃんをお待たせしてしまったのは、お医者さまにお願いして
黒みいさんの額にICタグをつけていただいたためですの。
これさえあれば、黒ぽんさんが近くにいらっしゃっればケータイでわかりますし」
「しかし、あの黒いの、ほんま気にいらんやつや。わいに、なんべんもガン飛ばしよったで」
ケロちゃんが、話に入ってきた。
「でも、黒鋼さんは、リスさんだから。紅茶も上手に飲むんだよ」
「なんや、それ?紅茶ぐらいなら、わいも飲むで。紅茶飲むぐらいでほめられるんなら、
わいもICタグつけてもろうて、知美のペットになろうかな?」
「それは、いいアイディアですわ」
知美ちゃんがうれしそうに言う。
「ICタグには、悪いことをすると懲らしめるように電流を流す機能も付いておりますの」
「・・・なんやって?」
「もともとは、吠えるのを止めさせるための機能ですが、ケロちゃんに付ければ、
もう、つまみ食いなんかさせませんわ」
「・・・堪忍や、それやったら、プリン食べてすみれに怒られとったほうが、まだマシやで」
「それですか。それは残念ですわ。ほほほほほ・・・」
「・・・知美ちゃん」

この時、さくらや小狼も含めて、車内のみんなが知美を敵に回すのだけはよそうと思ったのであった。

<すみれと知美の新しいおともだち:終劇>
970CC名無したん:03/12/22 21:36 ID:lG2uVCa5
知美……あんたお母さんより格段にワル(←褒め言葉)やなあ……
971CC名無したん:03/12/22 23:36 ID:dvdTQ+i+
ツバサの黒タンもつけられてそうだな(w

今回も面白かった。
126さん乙ー
972CC名無したん:03/12/29 23:02 ID:bAKSLSgS
ホッシュ(・∀・)ホッシュ
973( ゚∀゚)ノィョ―ゥ :03/12/30 13:07 ID:nLi4ifnn
973
974( ゚∀゚)ノィョ―ゥ:03/12/30 23:47 ID:Kh10CJWA
http://www.office-will.com/freewill/w/
だまってこれやるとよろし…
975126:03/12/31 12:25 ID:cvtY5+bX
次回予告
最近、とっても眠いんだ。
けさなんか、おそよー君に起こされちゃったし。
そういえば、知美ちゃんも眠そうだよね。
え?夜更かしして、そんなものを作っているの?
は、はずかしいよぉ〜。

カードキャプターさくらと小狼のこどもたち
すみれとそっくりなプチすみれ

次回もすみれと一緒に
さくらと一緒に
封印解除(レリーズ)!
976CC名無したん:04/01/01 21:17 ID:10f8KEYs
次回予告キテル━━━━(Д゚(○=(*゚∀゚*)=○)Д゚)━━━━━!!!
>126さん、あけおめーことよろー


次スレは980くらいかな?
977( ゚∀゚)ノィョ―ゥ:04/01/01 21:35 ID:MWpqWO3u
http://www2.rak-rak.ne.jp/kowai/machigai.swf
かっこいい。ずっと見てたらかっこよさがわかるよ
978つーか:04/01/02 19:30 ID:hvW74ZNr
その前に次スレだろ、、、
979CC名無したん:04/01/02 20:55 ID:pfjouhxT
>>977
それ何?


次スレよろ
980CC名無したん:04/01/03 12:35 ID:6fK386gP
えっ? 何?
126氏が立てるんじゃないの? 俺がやってもいいのか?
981CC名無したん:04/01/03 20:31 ID:okpwtKR4
age
982980:04/01/03 22:23 ID:6fK386gP
んじゃ立てます
983980:04/01/03 22:34 ID:6fK386gP
立てますた
カードキャプターすみれ さくらと小狼の子供たち 2
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/sakura/1073136436/l50
後は埋め立てよろ
984CC名無したん:04/01/03 23:30 ID:x2MbJ6Vg
乙。
126さんが移行したのを確認した後、こっちを埋めよう。
985CC名無したん:04/01/04 20:35 ID:IvBiDtve
126氏ノ移行ヲ確認
自沈弁開ケ
986CC名無したん:04/01/04 23:41 ID:ZZyOT3kX
後は・・・、頼む
987CC名無したん:04/01/05 22:17 ID:Bx5jX7gL
>986
了解
988CC名無したん:04/01/06 22:17 ID:vPd/g1Sk
988。
989CC名無したん
989。