季節の変わり目だけあって、常連さんが軒並みお忙しいようですね。
その中で、気を吐くお二人の作品が光っています。
匿名さんの
>>661「小咄・ピンはね疑惑(仮)」は落語を端的に表現された
作品ですね。与太のような雰囲気の使用人?のボケで全てのお題を
効果的に使っています。無駄な部分を全て省いたようなすっきりとした
小咄です。
次の勇助さんの
>>664「マタギの説得(仮)」はとうとう息子が
マタギの仕事が嫌になるという作品ですが、マタギの釣り方もせこくて、
お題の使い方も持ち味の強引さがとても面白いです。お題を選んだときから
「USJ」はイニシャルで使って頂けたら、と思っていたので興味深く
拝見しました。
しばらくはこのまま続けましょう。今週末から来週辺りになれば
常連さん方にも時間が作っていただけると思いますので。
もちろん、初心者の方の作品も大歓迎です。こういうと何ですが、
現在ですと注目度は高いです(笑)
作品お待ちしています。
いそがしくて噺がつくれないよー
ヤコさんと同じく・・・。
どうしてこう春はドタバタしますかねえ。
案練りながら生活しています。
どうも常連さんの投稿がないようですね。こっちも野暮用に追われてなかなか取っかかれなかんたんです
が、本業は不景気で閑古鳥が鳴いてるしまつなんで時間が作れないわきゃあない、なぁにやる気になれば
噺の一つや二つ...とはいってはみたがアイデアが出ないといった具合で何とも締まらない話で...
不景気をぼやいてばかりいても仕方がないんで、いつもとちょいと趣向を変えまして、化けもの屋敷と
いう馬鹿馬鹿しいお噺でご機嫌をうかがわせていただきます。
「化けもの屋敷」
ちかごろではテーマパークってんですかね、でっかい遊園地に押されて昔ながらの見世物小屋なんぞが
出る幕はないようですが、今と違って娯楽の少ない時分には縁日などでもずいぶん色んなことをやって
いましたね。
あたしが子供の時分に覚えているのは、小っちゃな金盥の中に真っ黒な水が入っている、そこにセルロイ
ドのアヒルが浮かんでいましてね、これがあっちに行ったり、こっちに行ったりして、ちょこまかと泳ぎ
まくっている。とってもゼンマイ仕掛じゃあこうは行かない。
盥の後ろには小汚い親父なんぞが一人で下を向いて何にも言わずに座っていて、横の看板にこの不思議な
アヒルについて知りたい奴は本を買えなんぞと書いてありましてね。
盥の周りには人がいっぱいたかっていましてね、ああでもない、こうでもない、としゃべってるんだけど
誰も仕掛けがわかりゃしません。
そのうち折り合いをみはからってサクラが本を買うと、客のほうもつられて俺も、俺もという調子で
傍に積んであった本があっというまに売り切れます。
これでもう商売はお終いかなと見てると、親父はまたどこからかごそごそ10冊くらい新しい本を出して
くる。
こっちも子供心にアヒルがどうして泳ぐのかが気になってしょうがない。それでなけなしの小使いを
はたいて本を買って懐に入れて、ワクワクしながら家に帰るんですがね、こういう時は帰るまで待てない
もんで...
横丁の路地かなんかの陰で本を開いてみると「アヒルの首に糸を結びつけるべし。」と書いてある。
オヤって思ってもう少し先を読むと「糸の先には泥鰌をくくりつけるべし。」なんて人をくった商売が
昔はあったもので...
ろくろっ首「一つ目の坊や、何で泣いてんだい?」
一つ目小僧「だってお腹が空いてたまんないんだもん。」
唐傘お化け「そういゃあ俺もここんとこロクなものを食ってないんで骨と皮になっちまったなぁ。」
大入道「おめぇは昔から骨と皮だったじゃあねぇか。」
のっぺら坊「おい、おい、混ぜっ返すんじゃあないよ。でも確かに最近は実入りが悪いからなぁ。」
河童「おいらだって皿の水が乾いちまったよ。胡瓜の酢の物とうまい田楽でも肴にキューっと一杯やった
ら頭の湿り具合もよくなるんだがなぁ。」(パチパチパチ)
古狸「そういゃあ、座がしらの猫娘が割りをピンハネしてるっていう噂もあるぜ。」(パチパチパチ)
ろくろ「そんな根も葉もない話をしゃべるんじゃあないよ。あたしだってたまにはおいしい油も舐めて
みたいけど、今は世の中が不景気なんだから仕方がないじゃあないか。」
ざしき童子「『不景気』あたいも食べたい。」
河童「この餓鬼ぁ、ケーキと間違えてやがらぁ。そりゃ食いもんじゃあねぇや。」
猫娘「さっき誰かあたしの悪口を言っやしなかったかい、ピンはねがどうとか?」
大「おや、猫の姐さん。誰もそんなこたぁ言ってませんよ。なぁ、おい?」
古「そうだとも。昔おいらがサイコロに化けたころ、ピンを出してハネたことがあったなぁという思い出
話をしてたんで。」
猫「ふーん、それならいいけど。それにしてもみんなどいつもこいつも揃って不景気な面をしてるじゃ
ないかね。」
大「それなんですがね、姐さん。一つ目の坊やは腹を空かして泣いてるし、みんなお茶をひいてどうにも
こうにもならないんでさぁ。何かいい知恵はないもんですかねぇ。」
猫「そうさねぇ、近頃はテーマパークとやらにお客を取られて...それじゃみんなこうするかい?」
古「そうします。」
猫「まだ何も言ってないよ。ただ黙って待っててもジリ貧だからこちらから打って出ようじゃあないか?」大「おい、野郎ども、姐さんのおっしゃることを聞いたか。それじゃあみんな鉢巻をして、得物は得意な
ものをてんでにもって...俺りゃ金棒にするか。」
猫「馬鹿だねぇ。だれが殴り込みをかけると言ったよ。人の話をよくお聞き。」
大「へぇ。」
猫「みんなで揃って大阪はUSJの前に小屋掛けして、化けもの屋敷を開いて客を呼び込むんだよ。」
(パチパチパチ)
大「そんなんでうまく行きますかねぇ?」
古「満員で入れずあぶれた客がこっちに来るかもしれねぇな。」
猫「情けないことを言うんじゃないよ。皆で頑張ればどうにかなるさね。」
ということになりまして、USJの近くを探すとちょうど適当な空き地があったんでそこに勝手に小屋掛
けしまして、文句を言いにくる奴はろくろっ首が顔をペロリと舐めて追い返す、なんぞと大変な騒ぎで
して。
さていよいよグランオープンとなりましたが、物珍しいのか若い娘さんたちが外に鈴なりの勢いで列を
作るといった具合で...
大「姐さん、当たりましたねぇ! これからは俺いら達の天下だ!」
猫「そうは問屋がおろしそうもないよ。」
古「どうしてです?」
猫「だって外の娘達をご覧よ。真っ黒けなのとか、のっぺら坊に眉毛を描いた奴とか、あたし達よりよっ
ぽどすごい化け物揃いだ。これじゃあ商売にはならない。」(ドンドン)
671 :
重要無名文化財:02/04/13 23:18
よっ、決まったねぇ。頼れるのはやはり筍さんだ。
『疑惑の笑点』 (USJ・田楽・ピンハネ)
こん平「さ〜仕事だ、仕事だ!はりきっていこう!!」
楽太郎「あいかわらずうるせぇなぁ」
小遊三「まぁまぁ、いいじゃないですか、そういうキャラなんだから」
歌 丸「でもねぇ、近ごろ円楽さんの様子がおかしいと思わないか?」
好 楽「そうかな?ただ年とっただけじゃないの?」
木久蔵「ダハハハー」
楽太郎「・・・木久ちゃんはしょうがねぇなぁ」
円 楽「さぁ笑点、大喜利のコーナーです。まずは第二問」
一 同「いきなり第二問かよ!」「おいおい!」「なんだよそれ!」
円 楽「うるさい、いいの。第二問はやりくり川柳です。最近は大阪でUSJが
人気です。そこでU・S・Jを頭に付けて川柳を作ってください」
(パチパチパチ)
歌 丸「問題はいつもとあまり変わらないな」
円 楽「はい、小遊三さん」
小遊三「上着から スッと抜き取る 十万円」
円 楽「泥棒だよそれじゃ。山田くん、座布団1枚取りなさい」
小遊三「ありゃ、最初から取られちゃった」
円 楽「はい、こん平さん」
こん平「うまい米 主食の国が じゃパンかな」
円 楽「くだらないね。座布団1枚取っちゃって」
こん平「なんだよ!」
円 楽「はい木久蔵さん」
木久蔵「ユーフォーが 空の上から、えーと、・・・ジャジャジャジャーン!」
円 楽「何やってんだか。山田くん、1枚取りなさい」
木久蔵「あーもう」
円 楽「はい歌丸さん」
歌 丸「馬小屋で しみじみ思う 自分の身」
円 楽「誰のことだよ。1枚持ってけ」
歌 丸「おやおや」
円 楽「はい、楽太郎さん」
楽太郎「うしろから そっと引っぱる じじいの毛」
歌 丸「よせよ、おい」
円 楽「ひどいね。山田くん、全部持ってって」
楽太郎「全部かよ〜」
円 楽「それでは、笑点このへんでおひらき。また来週をお楽しみに」
一 同「えっ、もう終わりかよ!」「おいおい!」「なんだよそれ!」
好 楽「皆さん皆さん、ちょっと集まってくださいよ」
歌 丸「どうした」
好 楽「ね、円楽師匠なんか変でしょ?結局座布団を1枚もくれなかったでしょ」
こん平「それなんだよ。何があったんだろ?」
好 楽「実はね、きょうは特別にスポンサーから祝儀が出てたでしょ?」
小遊三「あぁ、もらったもらった。円楽師匠が1万円ずつ配ってたな」
好 楽「あれね、本当は1万円じゃなくて一人10万円で、座布団の数に応じて
1万円ずつくれることになってたらしいんですよ」
楽太郎「何それ?聞いてないよ」
好 楽「えぇ、だから誰にも座布団あげないで、みんなに1万円ずつ渡しといて、
残りは自分がピンハネしちゃったらしいですよ」(パチパチパチ)
木久蔵「なんだよ!それはひどい!」
楽太郎「・・・木久ちゃんは金もうけのことになるとハッキリするなぁ」
歌 丸「とりあえず円楽さんの所に掛け合いに行きましょう」
歌 丸「円楽さん、スポンサーからの祝儀をピンハネしたってぇじゃないですか。
本当ですか」
円 楽「えっ、いや、そんなことはしていない」
楽太郎「あっ!その祝儀袋は何ですか!「楽太郎さん江」「こん平さん江」って、
メンバーの名前が書いてある!」
円 楽「しまった!・・・うぅむ、ばれてしまったことは仕方がない、責任は
取らせてもらう」
こん平「どうするんです?祝儀を返すだけじゃすみませんよ」
円 楽「うん、三遊亭円楽の名跡を返上する」
好 楽「ええっ!それで師匠、名前はどうするんですか」
円 楽「実はもう考えてあるんだ」
小遊三「用意周到だなぁ。さては計画的な犯行だな。で、なんてェ名前です?」
円 楽「三遊亭田楽だ」(パチパチパチ)
小遊三「で、田楽ぅ?? 道理で、ミソをつけやがった」
ドンドン
675 :
重要無名文化財:02/04/14 22:25
面白い!落語はそんなに知らないけど御馴染みの人たちが
出てきてよく分かった。
676 :
重要無名文化財:02/04/14 22:45
>>675 禿童。面白かった!目に見えるようですね。
677 :
重要無名文化財:02/04/14 22:55
きくぞうのジャジャジャジャーンいかにもありげw
今回は皆さん忙しい中での力作ですねえ。
ヤコさんも筍さんも勇助さんも凄い。
それでは久しぶりに歴史もので。
「田楽」「USJ」「ピンはね」
ですね。
えぇ、今や大河ドラマもトレンディてなことを言いまして、若者うけを狙ぅておる
ねやそうですが。森内閣のごり押しやとかボロクソに言われながら、それでも前田
利家ちゅう人はやはり凄い人やったんやそうですな、あれも。
加賀百万石ちゅうて、大河ではまだ金沢の「か」の字も出てきてないんですけんども、
やはり与えられるだけの働きがあったんですなぁ。親友の秀吉が偉い、それの仕えてた
信長が偉い、何やかやで大大名になったんでしょうけど、もし、信長が桶狭間で
義元にやられてたとしたら、また大分変わってたかもしれまへんな。
歴史の世界でも、お笑いの世界でも「ヨシモト」ちゅうのは強いもんで、
二万五千の大軍を率いて上洛してきた。まぁ信長てなもんは箸にも棒にも掛からん
やろぐらいに思てたんですやろな。物見遊山みたいなもんで、
義元「信長?知らん?誰や?」
てなもんやったそうで。
信長はちゅうと、内心焦ってた。味方の軍は三千、向こうは二万五千。
野球を9人と1人で戦うようなもんですさかいね。いくらなんでも焦ったと思いますわ。
丹羽長秀「御館様、いかがなさいます!」
柴田勝家「ここは合戦あるのみにござりますれば!」
林秀貞「いやいや、篭城が肝要にござる!」
織田信長「やかまっしゃい、たわけめ!評定はこれまでじゃ!適当に休め!」
てんやわんやもてんやわんやですさかいに、信長もキレとりまして評定を
終わらせます。
信長「さて・・・、どないしょうかしら・・・。こらまぁ奇襲しかないことぐらいは
わしかて分かってるねやが・・・。」
濃「信長様。何をブツクサ申されます?」
信長「おう、濃か。いや、どないしょうかしら、と思て。」
濃「上方弁でしゃべるか、普通に戻すか?」
信長「何を言うとる、そんなんどないでもえぇねんや。ともかく今川がそこまで
来てるねや。」
濃「昨日は策があると申されたではござりませぬか。」
信長「あぁ・・・、あらウソや。」
濃「ウソ!?今更ウソでは皆が困るではございませんか。」
信長「そら、何とか頑張るけど。」
濃「何とかと申しますと?」
信長「奇襲よ。」
濃「本陣をでございますか?で、義元は今いずこに?」
信長「それが分からん。」
濃「分からん!・・・父斉藤道三より譲られし懐刀、抜かねばなりませぬな。」
信長「ちょ、ちょ、待たんかいな!おっとろしい女子やで。最後まで聞かんかいな。
今、間者に調べさせてるさかいに、分からんちゅうてるねや。もうすぐ戻って
くるはずや。」
藤吉郎「御館様!サルめにございます!」
信長「おう、サル!どないした?」
藤吉郎「梁田政綱殿が戻られましてございまする。」
信長「おぅ、待ってたんや!はよ来いちゅうとけ。」
藤吉郎「はい、向こうも今行くちゅうとけ、と。」
信長「えらい言い草や・・・、おう、政綱!」
政綱「御館様!好機にございまする!」
信長「ほう、ちゅうと?」
政綱「今川治部太夫義元の本陣は、田楽狭間にて休息中にございます。」(パチパチパチ)
信長「おぉ!何と!でかした、政綱!あんな狭いところで休憩やなんてアホとちゃうやろか。」
俗に「桶狭間の戦い」と言われとぉりますが、ほんまは田楽狭間ちゅうところに
義元はいてたんやそうですが、何しろ狭い狭間ですさかいに、あんな大軍が
ずーっと蛇みたいに延々と、こぉ一直線に長ぉなっておるんですな。
そうなってると大軍は意味を成さん。伝言ゲームみたいなもんで、遠くに
味方がおっても助けに行けんので五分五分やちゅうんですな。
信長「サル!皆に出陣やと伝えよ!」
政綱「御館様、サルでしたらもう勝手に「出陣や」と叫びながら、皆の下へ。」
信長「かぁー、抜け目ない奴っちゃなぁ。おぅ、濃、湯づけを持て。」
濃「は?」
信長「湯・づ・け!」
濃「USJ?」(パチパチパチ)
信長「どんな耳をしとんねや、お前。出陣前の腹ごしらえや、はよ持って来い!」
湯づけを持ってこさせまして、サクサクとそれをたいらげます。
そないたいそうなもんやない、ご飯に湯ぅかけただけでっさかいね。
いっぺん家戻ったらやってみなはれ、味気ないもんでっせ、そら。
まぁ出陣前でっさかいに、そんなんでちょうど良かったんでっしゃろが。
信長「濃、敦盛を舞うさかい、お前、鼓せぇ。」
濃「は?出陣前にございますが。」
信長「死ぬかもしれんさかいに舞うねやないか、準備せぇ!」
そら出陣前に舞を舞う言われたら誰かてあわてますわな。
ドタバタで支度を整えて幸若舞いの「敦盛」の舞を舞います。
「人間五十年」の台詞で有名ですけんども、信長この時「敦盛」を
忙しい最中に三べん舞ったちゅうんでっさかいに、よっぽど思い入れが
あったんでっしゃろな。阪神ファンでも六甲おろし三回歌ぉたらしんどなり
ますけんど、人生賭けてやってますので、よぉ舞ったんやと思います。
さぁ、やる事全てやり尽くしたら、信長。あれだけやっても一番で出陣を
いたします。いきなり大将が勝手に出陣するもんで皆慌てて後を追いますが、
途中、雨男でもおったんでっしゃろな。もう雨がじゃんじゃんぶり。
陣笠ちゅう笠をかぶっておりますので、多少は雨がしのげるもんの
雨にぬれて寒い寒い。陣笠ちゅうのは兜の代わりですけども、あら陣中では
鍋にもなるんですな。せやさかい丈夫やけども重い。鉄の塊さして歩いてる
ようなもんで。なかなか信長に追いつけん。
信長、一旦熱田神宮に立ち寄りまして、必勝祈願を致します。そのころになりますというと、
大分味方が追いついてきた。
信長「えぇか、皆のもの!今から永楽銭を何枚か投げるさかいな。
「総てが表だったら我が軍の勝ち」じゃ。神のご加護を祈れ!」
パァっと永楽銭を投げると、パラパラちゅうて地面に落ちる。
信長「サル、確かめてみぃ。」
藤吉郎「御館様。土砂降りで地面に埋まって見えません。おそらく全部表やと思います。」
信長「おそらく、て何やねん。そんな曖昧なんでは困るがな。」
藤吉郎「とにかく、永楽銭お返しいたします。」
信長「ん?一枚足らんぞ。サル、返せ。ピンはねは許さぬ。」(パチパチパチ)
藤吉郎「あぁ、これはしたり。背中にうっかり入り込んでおりました。」
信長「そんなところにうっかり入らぬ。欲深め。」
丹羽「御館様、あれをごらん下さいませ。白鷺にござる。社殿を越えて・・・、
ほれ、わが軍の旗の先を飛んでいきまする。」
信長「おぉ!これこそ験がえぇわい。」
藤吉郎「あのぉ、糞落としていきよりましたけど。」
信長「また、こいつ!いらぬことを。ウンが付いたと思え。」
藤吉郎「はぁ、運の尽き。」
信長「持って回ってなんちゅう言い草や!」
柴田「御館様、なにやら社殿の奥から「鎧の草摺」の音が聞こえまする。」
信長「おぉ、熱田社の御加護、吉兆じゃ。・・・サル、何か申すなよ。」
藤吉郎「はっ、縁起のえぇこって。」
さぁ、信長軍は奮い立ちます。さぁ、信長軍は田楽狭間裏の「太子が根」ちゅう
小ぃさな丘に陣を張ります。
嵐が止むのを待っておりますというと、
義元らが勝ったつもりなんでっしゃろな、地元の民百姓からの貢物なんかを
並べまして、酒盛りをやっとぉる。
義元「皆のもの、雨も上がった。酒も肴も馳走も揃うておる。織田ごとき小大名
には勝ったも同然、前祝に大いに騒げ!」
家臣「ははは、愉快にござる、前祝にござる。」
家臣「はぁ、テケツクテケツクスッテンテケツク。」
家臣「どうや、皆、これだけワァと騒いでるねや。皆で、「ん回し」でもしよか?
「ん」が付くごとに田楽食わすちゅうて、田楽狭間だけに。」
家臣「噺が変わってまうがな、やめとけやめとけ。」
信長「好機じゃ!皆のもの、突撃じゃあ!」
さぁ、呆けてるところに信長の奇襲が始まったもんですさかいに、一同はもう
滅茶苦茶でございます。
家臣「ん?わしの兜これ?」
家臣「何を言うておる。それは杯じゃ!」
家臣「これ!物干し竿で戦ってはならぬ。」
服部小平太「今川義元、お命頂戴!」
義元「うぬぬ、アイタタタ。本気でやるなよ。」
服部「何を言うておるか、ほれ毛利、首をとらぬか。」
毛利新介「何を言う、一番槍のそなたがとらぬか。」
服部「わしは一番槍の巧妙にて十分じゃ。はよぉ。」
毛利「いや、やはりお主が。」
服部「おぬしに譲るちゅうに。」
毛利「頑固な奴じゃな。」
義元「人の首で争うな、おぬしら!聴いてるわしはどうなる?」
服部「ほな、あんた、どっちにあげたい?」
義元「どっちも嫌じゃ!」
毛利「えぇい、面倒じゃ!」
毛利新介が首級をあげますというと、今川軍は総崩れとなりまして、
散り散りになって逃げ失せてしまいます。
信長「皆のもの、よぅやった!勝どきをあげよ!」
そこへ、1人の若武者が首を抱えてやって参ります。その男の名は
何を隠そう前田利家と申します。同朋衆の十阿弥を切って信長にとがめられて
出奔しておりましたが、この戦で功を上げ帰参願いに参ったちゅうわけで。
利家「御館様、この功をお認め下さいませ!」
信長「犬か・・・、首をいくつかあげたか。」
利家「ははっ。」
信長「えぇか、皆のもの。今回の一番手柄は梁田政綱じゃ。これからは
一番槍やとか首をいくつあげたとかでは判断せんぞ。その戦の勝ち負けに
一番貢献した奴が一番手柄じゃ。そう心得ぃ!」
一同「ははっ!」
信長「出直しやな、利家。また頑張れ。」
利家「そ、それはいくら何でも・・・お、御館様!!」
利家の言うことも聞かんと信長、さっさと行ってしまいよった。
藤吉郎「犬千代よ、そうふてくされんなて。」
利家「サルよ、わしゃ御館に嫌われた。」
藤吉郎「すねるなちゅうとんねん。また斉藤との戦や何かで手柄立てりゃ
えぇがな。」
利家「いや、もうわしゃ怒った!わしゃ、一人立ちする!仕官口を探す!」
藤吉郎「イノシシやなぁ、犬のくせに。」
利家「お前はサルのように知恵が回るが、わしは槍働きしかない。首あげて
手柄にならなんだら、わしゃ用なしじゃ。ピンで流浪するから、まつをよろしく。」
藤吉郎「やめとけ、ピンで生きるんはやめとけ。」
利家「とめるな、サル。」
藤吉郎「ピン(一)はあかん、禄(六)にありつけん。」
ドンドン
686 :
重要無名文化財:02/04/15 16:28
これも凄い!大河見てるからスルスル読めたよ。
関西弁の信長、愛嬌あって面白い!
687 :
重要無名文化財:02/04/15 21:11
史実では『ピン』で行動しても斎藤方の「足立『六』兵衛」を討ち取るから
それにもかかっているな、このサゲは。
688 :
重要無名文化財:02/04/15 21:32
>>687 なるほど!秀吉は信長の元で出世を願っていたから「禄にありつけない」
事を心配したが、利家は自力で「六兵衛」を倒して「禄」を手に入れたのか。
足立六兵衛までやってサゲても良かったね。それだと桶狭間から離れすぎるか・・・。
689 :
重要無名文化財:02/04/15 23:45
USJの使い方が強引すぎて笑った。わはは
690 :
重要無名文化財:02/04/16 16:42
実際、雨は止んでたっていうな、今川の本陣攻める時。
691 :
重要無名文化財:02/04/16 23:53
『湯漬け』(U・U・E)
『USJ(ゆー・えす・じぇー)』(U・EU・IE)
音便は似てる。
692 :
重要無名文化財:02/04/17 23:44
ウーン皆さんすごいね。
693 :
湖亭半弗 :02/04/18 02:40
何か私の作品で盛り上がっていただきまして。
問題作だったんでしょうか。
足立六兵衛は大河ドラマで知りましたが、そこまで深く考えてないですよ。
まぁ、暫定題名が「桶狭間」だったので、戦明けでサゲたかったのは確かですが。
里の筍さんの作品は私の「もののけ川」の雰囲気に似てますが、さらに改良された
感じですごいと思いましたね。私の作品は下手に環境問題を知りもしないのに
入れたのでトロくさいですが、筍さんの作品の方が現代の噺らしくて軽く楽しめて
完成度が高いです。御見それしました。
694 :
重要無名文化財:02/04/18 14:11
あげあげ
695 :
重要無名文化財:02/04/18 22:51
あげあげあげ
たくさんの作品が集まりましたね。
すいませんが、感想を一言づつになります、何ぶん忙しさから抜けられない
生活でして。
筍さんの
>>669-670「化けもの屋敷」はテーマパークに負けじと燃える化け物
たちがコミカルなのが印象的でした。便乗商売なのも笑いを誘いますね。
ヤコさんの
>>672-674「疑惑の笑点」は一連の政治家不祥事からのネーミングとお見受けしましたが
着眼点が凄く良くて、とても分かりやすい噺でした。こういう作品は間口が広くて
読者の方もお喜びでしょう。
半弗さんの
>>678-685「桶狭間」は時間がないと仰っていましたが、きちんと
歴史考証のされた大作です。上方弁で少し頼りない信長、熱田神宮での秀吉との掛け合い、
そして大河ドラマも取り入れての好作品です。
それでは、第十七回へと参りましょう。
お題取りをただいまより行います。
例によって一レスにつき一単語でお願いします。
明日の夜半くらいまで募集いたしますので、よろしくお願いします。
697 :
重要無名文化財:02/04/19 02:46
根津神社
698 :
重要無芸文化財:02/04/19 04:40
忙しくてサボってますが。
ところで、お題取りは、新スレッドを作ってやった方がいいんじゃないでしょうか?
容量一杯で、表示できないおそれや、ちょっと書き込み間隔が開くと、dat落ちの可能性もありますので。
699 :
重要無名文化財:02/04/19 18:36
あげ
700 :
重要無名文化財:02/04/19 18:38
きりがいいからここで終了にしましょうよ。新スレ立てときます。
面白い!!!!!
お〜
704 :
重要無名文化財:02/07/23 21:21
こちらも残しておきたいAge
名作あげ!
706 :
重要無名文化財:02/10/23 03:41
1周年age
707 :
重要無名文化財:02/12/07 23:06
残存
708 :
重要無名文化財:02/12/29 12:42
age
(^^)
(^^)
まだあった
712 :
重要無名文化財:03/02/03 23:23
保全age
久しぶりに読んでみたけどやっぱり面白いね
713 :
重要無名文化財:03/03/08 16:39
>701
新スレないよ(悲
(^^)