766 :
ごじゅういち:03/06/15 18:16
下駄屋「隠居はん、えらいこっちゃ! これを、これを読んどくなはれ!」
隠居「どないしたんじゃ、平吉が見つかりましたか? ん? これは瓦版じゃな。(パチパチパチ)
どれ。『世間を騒がす狂言騒動 色青ざめし男現れ曰く 我こそは北条一門の嫡流なり』
何じゃこれは。この色青ざめし男というのが平吉のことやとしても、その後は…」
下駄屋「平さん、かわいそうにとうとう気がふれてしもたんでっせ。しかし言うにことかいて
北条一門やなんて、お城の役人がこれ見てしもたら、もう助かりまへんで」
隠居「ほんまじゃ。下駄屋さん、これはえらいことになりましたぞ。で、平吉は今どこに?」
下駄屋「それがわかりまへんのや。これには何も書いておまへんやろ」
隠居「そしたら、まだお上に捕まったわけじゃありゃせんのか?」
役人「許せよ。煮売屋平吉なる男が住んでおるのはこの町内であるかの」
下駄屋「わっちゃ〜。もうあかん…」
隠居「これ、ここはあんたは黙ってなされ。へい、平吉はこの町内のもんでございます」
役人「さようか。してそのほうは何じゃ?」
隠居「へ、そこの瀬戸物屋から隠居を致しまして、身寄りのない平吉の父親がわりのようなことを
しておる年寄りでございます」
役人「あいわかった。いや、平吉なる男の身柄は、城のほうで預かりおる。ならばそのほう、
身共とともに城までご同行願おう」
767 :
ごじゅういち:03/06/15 18:18
下駄屋「あ、隠居はん、お帰りやす。どないでした? 平さんには会えましたんか?」
隠居「会わせてもらえなんだ」
下駄屋「やっぱり…平さん、もう助かりまへんねんなぁ。殿の身内を騙る不埒なやつ、とかいうて」
隠居「いやそれがな、普通やったらそうなるわな。ところがわしにもようわからん話になっててな。
殿さんは大層お喜びなんじゃそうな」
下駄屋「どういうこってんねん」
隠居「訳言わなわからんな、というより、訳を言うてもわからんかも知れん、不思議な話じゃ。
何でもな、平吉が喋った話というのは、お殿さんのことやのうて、昔の鎌倉の世の頃の
ことばっかりなんじゃと。何と400年も昔の鎌倉のことをひたすら喋り続けてるんやそうな」
下駄屋「400年も昔! はぁ、まだ気がふれたままでんねんなぁ…」
隠居「お寺を作れ、てなことも言うてるらしい。その周りにあじさいをぎょうさん植えて、
立派なお寺を作れ、とな」
下駄屋「あじさい? 隠居はん、あじさいなら確か、平さんのうちにもおましたで」
隠居「それやがな。わしがこないだ平吉に会うたときにも、あじさいに見とれておかしなって
しもてたんやがな」
下駄屋「あのあじさいがあきまへんのか。そうとわかったら今からでも引っこ抜いたろ。
そうでもしたら平さん、ひょっと正気に戻るかも知れん」
隠居「これこれ早まりなさんな。今まで知らなんだが、あのあじさいは大変な木じゃぞ。お役人の
話では、平吉がひたすら喋ってるあじさいをぎょうさん植えたお寺というのは、驚いたことに
ほんまに鎌倉にあるんじゃと。それも、お殿さんとは深ぁい関わりのあるお寺なんやそうな。
しかも、平吉のうちにあるあじさいは、そこから移植してきたもんなんじゃそうな」
下駄屋「ほたら何ですかいな。平さんの言うてることというのは、気がふれたんやのうて
ほんまのことなんでっか?」
隠居「さぁ、それはほんまかどうか…わしにはわからん。とにかく、そのことでお殿さんは
ことのほかお喜びで、平吉もお咎めなしで帰してもらえることに…」
768 :
ごじゅういち:03/06/15 18:19
下駄屋「ほんまでっかいな! よかった!」
隠居「ただし、ただしじゃ。それは平吉が正気に戻ったらという条件がついてますのじゃ。
下駄屋さん、さて、どないしたらえぇじゃろな」
これを先ほどから横で聞いておりましたのが、名前をお政と申します、今年17になる下駄屋の娘で
ございます。
お政「お父っあん、その話、うちにやらせて…」
下駄屋「おまさ、聞いてたんか。しかしこの話、お前に何ができるねん?」
お政「うち、あのお店が平さんのお店になる前の、亡くなったおじさんの頃の味が好きやったから
ようおぼえてますの。その味をうちが作って平さんに食べさせてあげたらどうやろと思うの」
隠居「なるほど。これはえぇとこに気が付いたかも知れんな。お政ちゃん、それやってみよ。
わしも味見ぐらいしかでけんが手伝わせてもらいましょ」
下駄屋「よし、やってみ、お政。それに味見ぐらいなら誰でもできるがな。隠居はんの
古ぅなった舌だけでは頼んない。この町内みんなでもう一回あの味を思い出してみよ」
さぁ、また町内の連中が集まりまして、お政の作る惣菜を味見しては、ああでもないこうでもないと
話し合います。お政のほうもそれに応えて大いに張り切りまして、何とか三品ほど満足のいく
惣菜ができあがりました。これを早速瀬戸物屋の隠居がお城へ持ってあがりまして、平吉に食べさせ
ます。すると、忘れてた味を思い出しましたか、平吉を思うお政の気持ちが通じましたか、あるいは
ご近所の人々の心も通じたのかもわかりませんな。いずれに致しましても平吉、お政の炊きました
おからを口にしたところで正気を取り戻しよった。この話がお殿さんの耳に入りますと、近年まれに
見る美談である、とますますの大喜びで。平吉が店を建て直す仕度金のご配慮は申すに及ばず、
もしお政と平吉が縁付くようなことあらばその祝言はぜひとも余が…と大はしゃぎでございますな。
当の二人のほうも、まるで元々約束があったかのように自然に結ばれます。なめくじの出る店で
ひっくり返ってた男が、おからで正気に戻ってできた夫婦、その後の歩みはかたつむりのように
着実やったんやそうで、お政平吉あじさいの縁談、これまででございます。
ドンドン
トーシロウさんとネタがつく上に釣られきれてもなく、
マクラや地がやたら長かったりと問題点が多いんですが、
ジューンブライドに免じてご容赦を…。
てすと
「コネ」「かわら版」「あじさい」
拓也:「と、と、徳さん・・・。(小声で)」
徳さん:「な、何だよ。変なとこで呼ぶなよ、こっちは忙しいんだからよ。」
拓也:「何だか、変だと思いませんか?」
徳さん:「だから、何がだよ・・・。」
拓也:「徳さん。徳さんがどっかに行って、いないうちに・・・。これ、見てくださいよ。」
徳さん:「!」
徳さん:「ん・・・?!」
徳さん:「お、おい、拓也!いつの間にか、2年目に突入して、次スレになってるじゃねーか・・・どーすんだよ。
お前が来ねぇ〜から、すっかり忘れられちまっったじゃねーか。」(パチパチパチ)
拓也:「そうですよ・・・。前スレ
>>602-603から、全然登場してないじゃないですか!もう。」
徳さん:「おっ!誰か『紫』になってます・・・? 俺は嬉しいぞ。(号泣)」
拓也:「何、泣いてるんですか・・・。それと、何パクってるんですか。人さまのネタを。しかもかなり前のネタじゃないですか・・・。」
徳さん:「誰が、ウルルンしてるって?」
拓也:「誰も言ってません、そんなコト。」
徳さん:「あれは、オレが泣くから、ウルルン紀行なんだよ、よく覚えておけ。」
拓也:「はい・・・。」
徳さん:「ちなみに、『あじさい』って「紫陽花」って書くんだぞ。「紫」が入ってるんだぞ。」
拓也:「もう・・・こんなんで、(パチパチ)しないでくださいよ。ったく・・・。」
徳さん:「しっかし、みんなうまくなってるよなぁ・・・。いいなぁ・・・。
しばらく見てないんだが、楽しくなっちまう。
俺なんて何も変わってない、ただの飲んだくれだもんな。
でも、あれだな。このスレ(落語)を見ながら、飲む酒ってのは、ほんとにうまいってもんだ。」
拓也:「徳さん。今までどこに行ってたんですか?僕も探しましたよ、茅ヶ崎の徳さん家に行っても、いつも留守だもの。」
徳さん:「ちょっと珠緒と出かけてたんだ。旅行にな。」
拓也:「え?さとう珠緒ちゃんですか。いいなぁ・・・。って、やっぱり競馬じゃないですか。」
徳さん:「バカ。あいつはなぁ、局アナに仕事を取られちゃったんだよ。せっかく競馬が好きになってったってのによ・・・。
だから、一緒に遊びに行ってやったんだ。こないだ飲んだ時に井崎も言ってた。『珠緒ちゃんの方がよかった』ってよ。」
拓也:「ふ〜ん。でも、どうせ競馬三昧だったんでしょ?円漠さんが『徳さんは新潟へ逃げた』ってわめいてましたよ。
まったく、いっつも競馬の事ばかりしか頭にないんですから・・・。」
徳さん:「いや。今年は野球もつまらんし。有馬終わったら、『年忘れにっぽんのうた』の司会だ。。。今年こそ、打倒紅白!」
拓也:「ああ、去年は一緒に家で紅白見てましたもんね・・・。『Re:シャンパン』歌いましたね。」
徳さん:「ま、あいつらの映画はコケタらしいがな。明日はないよな。日テレぶらんぶらん、って感じだよな・・・。」
拓也:「いちお、徳さんはテレビ関係者なんでしょ?怒られますって・・・。仕事してくださいよ、ちゃんと。」
徳さん:「そうそう。最近、テレビを見ていたら、ずっと腑に落ちないことがあって。
あの『福富』の野郎が、ズブの素人のクセに自分の番組で、犬と『競馬予想』なんてやっててよ・・・。
悔しいから、俺も競馬の番組をテレビ神○川で持たしてもらったんだよ。その取材で珠緒と行ってたんだ。
ずっと居なかったのは、そのせいでもあるんだな、これが。」
拓也:「いいですね、趣味と仕事と同時に出来る人は・・・。」
徳さん:「でもな、ギャラが違うんだよ、全然。福富の野郎、犬と『競馬予想』なんてやってるくせに
こないだ、司会の契約延長の「更新料」をもらったらしいんだ。直々にTVSの社長からよ。」(パチパチパチ)
拓也:「う〜ん、犬予想で視聴率好調。。。まさにワンダフルですね。。。」
徳さん:「くだらねぇぞ、お前。古いぞ。」
拓也:「すんません。」
徳さん:「俺のことはいいんだよ。早くお前も仕事をしろよ、まだ就職してないのか、このインチキ大学生が。」
拓也:「僕の事はいいです・・・。ほっといてください。ところで、徳さんて、福富さんのこと、嫌いなんですか?」
徳さん:「ああ、TVに映ってないところで、いきなりAD殴ったりしてるらしいからなぁ、あいつ。しかも笑いながら。」
拓也:「そんなこと言っちゃっていいんですか?怒られますよ、きっと。」
徳さん:「そのAD、俺の麻雀仲間なんだよ。殴られていつも青アザらしいんだ・・・。」
拓也:「あらら・・・。アザらしい・・・。どっかのお題で使おうとしてたような・・・。」
徳さん:「笑えるのが、そいつ福富のことをよ、
激怒した時の顔が『ゴジラ』に似ているから、『ゴジラ』って福富のことを呼んでいるんだよ。
ま、確かにタバコを吸ってる奴の態度は、ゴジラが口から火を吹いているみたいだからな・・・。」
拓也:「ふぅ〜ん、そーなんですか。
でも、何か徳さん、ブランクがあるせいで、イマイチです。
(小声で)『ゴジラ』って大分昔のお題じゃないですか・・・、そりゃ。」
徳さん:「ん・・・?お前、誰と話してんだ?急に。」
拓也:「いや、何でもないです。で、その人、どんな人なんですか?」
徳さん:「ほぉ〜。そーいや、こんな話があるぞ。こないだ麻雀してたんだけどよ。面白いんだ。誰かが『チー』って言うだろ?」
拓也:「まぁ、言いますよね。」
徳さん:「その『チー』が、福富の口グセの『チッ、この小僧ADども。』の『チッ』だと思ってよ、
すぐ麻雀台の下に隠れてしまって、麻雀にならねぇんだ。トラウマだな・・・。」
拓也:「あ、実際は、かわいそうだけど、なんか笑えますねぇ・・・。
でも徳さん、福富さんとガチンコなんてしないでくださいよ。TVSだけに。」(パチパチパチ)
徳さん:「・・・・・。」
拓也:「何ですか?いつもこんな風にお題を消化してったじゃないですか。忘れました?」
徳さん:「知らねーよ。」
徳さん:「やんねーよ、バカ野郎。ちなみにガチンコな、あの番組はやらせじゃねーか。
ヤツとガチンコなんてしたら、やらせどころか、洒落にもならんわ。」
拓也:「すんません。」
徳さん:「さぁ〜て、今日はもう疲れた。俺は少し休むぞ。カミさんも恐いからそろそろ家に帰らないとな。」
拓也:「僕もじゃあ帰ります。レポートの宿題あるんで・・・。
帰りにA4のレポート用紙かわら半紙を買っていかないとならないんです。」(パチパチパチ)
徳さん:「おう。また、明日から船橋だぞ、拓也。」
拓也:「はいはい。それじゃ・・・。」
拓也、家を出ようとするが・・・。
拓也:「徳さん・・・。」
徳さん:「ん?なんだ。もう寝かせてくれよ。」
拓也:「最後に1つ聞きたいことが・・・。競馬の取材はさておき、本当に昨日まで「新潟」とかにいたのですか?」
徳さん:「何でそんなことで嘘つかなきゃいけねぇんだよ、拓也。」
拓也:「せっかくの野球ネタもあったし、「24時間テレビ」。去年は、嬉しいジャイアンツ日本一。
絶対色々、徳さんとしては、いっぱいネタがあったはずなのに・・・。何をしてたんですか?こんな時に。」
徳さん:「本当に取材だ・・・。
ま、途中でコージー冨田に任せて、山形や石川へ取材を兼ねて、競馬しに行ったけどな。カミさんには内緒だぞ。」
拓也:「・・・・・。」
徳さん:「あとな、24時間テレビのネタは、次回(夏)まで楽しみに待っとけよ。
その頃には、我がジャイアンツも大逆転で2年連続で日本一だしな。
ミスターも全日本の監督になったし、楽しみが増えるな。(泣)」
拓也:「泣いてますねぇ・・・。相変わらず。」
徳さん:「ミ、ミスター、よかったよ。本当に。(泣)」
拓也:「そうそう。僕、ずっと思ってたんですけど・・・。
どーせ本当は、毎回このスレの『3つのお題』とか『他の方々の作品』は、ちゃんと見ててたんでしょう?」
徳さん:「・・・。(泣)」
拓也:「で、本当は、自分も毎回毎回ネタを書きたかったんでしょ?」
徳さん:「・・・。(泣)」
拓也:「わかりますよ・・・。こんだけ、徳さんと長く付き合っていれば・・・。」
徳さん:「・・・・・・。」
拓也:「もう・・・黙っちゃって。実は、図星でしょ?」
徳さん:「はっはっは・・・。いや、まいったな。さすが拓也だ。そうだよ、ずっとこのスレッド見てたよ、影ながらな・・・。」
拓也:「やっぱり。で、書いてても、なかなか思いつかなかったんでしょ?オチが。」
徳さん:「・・・オチが?」
拓也:「そうです。だから、見てるだけで・・・。」
徳さん:「いや、違うぞ。」
徳さん:「『オチ(落合)』は、参観王だからよ・・・。見てるだけでいいんだ。」
(どんどん)
※ごめんなさい。
>>772の(パチパチパチ)は間違いです。
すいませんです。
776 :
ごじゅういち:03/06/23 00:58
>771からの こんちわ。 さん
見なくなったなぁ、と思ってたら、ちゃんといたんですな。
てことは
>>278なんかも読んでもらえてます?
しっかし、久々な分だけずいぶん色々と入れ事しましたね。
作者による「自虐落ち」(?)ってのは驚きですなぁ。
それにしても、泣きすぎでっせw>徳さん
いつものヤツでもう一作品と思いつつも、好調すぎると極めて作りにくい
ということが発覚してきたり。若き4番をいじり倒すネタを考えてたら
怪我でいなくなっちゃったし…。
代わりと言っては何ですが、前回のロケット広場の説明でも貼っときます。
www.nambacity.com/rocket/rocket_m.html
これだけ感想レスがないと、作り手としては正直、かなり寂しいわけですが…。
もう限界ですかね?
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
ごじゅういちさん、感想レスがなくとも、作り手が気合を入れて作っていれば
人は集まってきますよ。主催者氏が多忙な分、何とか作品の質で
盛り上げていけたらなあと私は考えています。
「コネ」「かわら版」「あじさい」ですね。
もう一席聞いていただきますが。今はネットやとか何とか、すぐにこの、
情報やとか事件やとかが知れるようになりました。昔やと「とんとんとんからり」
てなこと言うて回覧板やとか人づてやとか、そういうもんで情報が回ったり。
せやけど、あの、新聞ちゅうのは面白いもんで、今でも号外号外ちゅうて、梅田の駅前
で配ってたりしてますわな。号外という言葉も面白い。以前に号外が配られた時に
警察庁か、どこやの偉いさんが強盗を捕まえた、それがちょっと名の知れた盗人やった
ちゅうので号外が出た。そのときの見出しがこれ、「長官勇敢」と書いたあったんでんな。
朝刊夕刊やったら号外やないわい、てな事言うたもんですが。
A「今日の新聞、みてみ。桃太郎やで。」
B「桃太郎ちゅうのはどういうわけや。」
A「まず、地方欄。20CMの大きな桃の話や。まずこれで桃太郎やな。
ほんで、次はこれや。犬の人命救助。これで犬。来年のプロ野球の順位予想
ちゅうのももう出てる。鬼が笑うちゅうさかい、鬼や。巨人の外人が帰国で、
去る(猿)やし、コラムで吉備真備ちゅう遣唐使で有名な、知ってるやろ、
日本史でやった、あの人とりあげられてる。これでキビ団子や。どや、桃太郎やろ?」
B「ほんに、確かに桃太郎や。しかし、何が足らんのか、あぁ、犬猿雉のキジが
ないのか。」
A「あほ、記事だらけじゃ。」
まぁいろいろな話があるもんですが、
喜六「こんにちわ。」
甚兵衛「お、こっち入り。まぁあがりなはれ。」
喜六「へぇ、派手にあがろか陽気にあがろかそれとも豪気にあがろか景気よぉあがろか。」
甚兵衛「えらい今日は元気のえぇ事やな。どれであがってもやかましい、何ぞえぇ
ことでもあったんかぃな。」
喜六「へぇそうでんねん。甚兵衛はん、あんたこないだのかわら版見なはったかいな。」
(パチパチパチ)
甚兵衛「こないだの?さぁ、読んだとは思うが・・・、何ぞあったんかぃ?」
喜六「へぇ、それがでんねん。今度わたい、へへ、どうやら褒美がもらえるらしいん
でんねん。」
甚兵衛「へぇ、それは気づかなんだな、見落としたかもしれん。褒美がもらえる、
結構なこっちゃ。何をえぇことして誉められるねや?」
喜六「いや、わたい何もしてまへんねん。」
甚兵衛「そんなことがあるかいな。何かがあって誉められる、褒美がもらえるんやろがな。」
喜六「それが何もしてないのにもらえるさかい、喜んでまんねん。」
甚兵衛「喜んでたらあけへんがな、よぉ分からんのに褒美やなんて・・・、ちょっと待ちなはれ、
たしかかわら版はとってあるさかいに・・・、ちょっと前の話やな、どれ・・・、
おまはん、見てみ、これのことやないか?」
喜六「どれぇ・・・、そう!これでんねん。やっぱり褒美がもらえる。」
甚兵衛「この褒美もらえる人の名前、よぉ見てみ。横町の喜六やのうて『喜大』。
よしひろさんやがな、奥の豆腐屋の。」
喜六「・・・わたいやおまへんのかいな。二銭でももらえん?」
甚兵衛「喜大さんやないさかいな、一銭もあたらん。」
喜六「・・・せやさかい、わたいかわら版ちゅうの嫌いでんねん!」
甚兵衛「うってかわってとはおまはんの事やな。だいたい何もしてないのに
褒美がもらえるというのが、まずおかしいと思わんかぃ?かわら版ちゅうのは
あったことそのまま書くもんや。何もしてないのに褒美があたる、そんなもんは
記事にもならんちゅうのや。よぉ読まんといかんで。」
喜六「そらもっともな話で。・・・ほな、これ褒美をもらってかわら版に名前が
載るにはこれ、どないしたらよろしいやろ?」
甚兵衛「ふぅん、それはまぁ、まず褒美がもらえるような行いを始めるのが
先やな。」
喜六「ほう、行いちゅうとえらい賢そうな。」
甚兵衛「そない難しいことばかりやないで。例えば町中の植木や草花に誰にも
気づかれんように水をやる。こういうのもまた誉められたり記事になったり
するもんや。」
喜六「へぇ、そうでっか。・・・わたいそういう事してまっせ。」
甚兵衛「へぇ、見かけによらんもんやな、そういう隠れた善行は誰かにきっと
伝わるもんや。どんなことしてなはる。」
喜六「いや、筋向かいに大きな紫陽花がおますやろ、あの大きな家の。あれだけ大きいに
なったん、わたいのせいでもおまんねん。」(パチパチパチ)
甚兵衛「へぇー、あの紫陽花は見事なもんや。ずっと水やってたんかいな。」
喜六「風呂の帰りしにそこで毎日小便して帰る。」
甚兵衛「そんなもんが記事になるかいな。逆に人様のうちに小便していくちゅうて
罪になるで。悪い方で載ってしまうがな。」
喜六「あきまへんかな。・・・これ、甚兵衛はん、あんたのコネで何とかなりまへんかな。」
甚兵衛「コネちゅうと?」(パチパチパチ)
喜六「あんた、町役さんや何や知り合いいてまっしゃろがな。わたいがこれ見よがしに
町で草抜きなとなんなとしてますさかいに、甚兵衛はんが町役さんらに見せますやろ。
それで褒美、かわら版ちゅうのはどうでおます。」
甚兵衛「そういうのを捏造記事というのや。そういうヤラセの記事を作らすような
事をしてはいかん。そういうので褒美をもろうたところであぶく銭や。ましてや
ウソがばれてみぃ、袋叩きではすまされん。番所へ入ってなんかもわからんで。」
喜六「ぶるる、そらえらいこっちゃ。」
甚兵衛「欲を出す前に仕事をきっちりやるとか、毎日をきちんとしてたら
見てくれてる人もあるわいな。そういうとこから始めてたらえぇねや。」
喜六「へぇ、そうしてみます。」
この男、アホはアホなりに考えまして、仕事の合間を見つけては、殺風景な
土塀やとか白壁に、近江八景の風景を描いていくちゅうことをやり始めた。
もともと絵が好きやったのも手伝って、「瀬田の夕照」「石山の秋月」「粟津の晴嵐」
「三井の晩鐘」「唐崎の夜雨」と順々に書き上げていきます。さぁ、そうなると
人づてで話が伝わる、その界隈は近江小路と呼ばれ始める始末。一念ちゅうのは
えらいもんですが、何かしら才能ちゅうのはあるもんでございまして、書いて
もろおた壁の持ち主も喜んでおります。
「比良の暮雪」「堅田の落雁」まで書き終えたところで、奉行所から褒美の
話が飛び込んでまいります。
役人「近江八景を書いておる喜六はその方か?」
喜六「さいです。」
役人「その方が近江八景すべて書き終えた折、奉行所より褒美をとらせる事と
あいなった。今は七景、もうすぐ仕上がるのぅ。これからも町民の心和む絵を書くことを願うぞ。」
喜六「あの、お役人さま、これ、かわら版に載りますやろか。」
役人「さぁ、おそらくは載るじゃろうが、いかがいたした。」
喜六「あの、近江八景すべては書けまへんので。」
役人「何、あと一景で仕上がると申すに、何ゆえじゃ。」
喜六「へぇ、矢橋(やらせ)の記事は番所へ入れられます。」
ドンドン
787 :
重要無名文化財:03/07/13 15:04
やはり作家さんが気合出してくれると読み手も楽しいな。
ずっと書き続けてる人はやっぱすごいと思うよ。俺もROMってるだけだけどしっかり読んでるから。
788 :
sana亭omi:03/07/13 19:13
>ごじゅういちさん、
感想レスは少なくても、ROMっている人たちの中に
あなたのファンは多いはずです。
楽しみにしていますので、これからもよい作品をお願いします。
ところで、
お政と平吉の息子は、先祖発祥の地を求めて
関東方面に家出したそうです。
その何代目かの子孫が水戸泉です。
相変わらず、塩を思い切り掴む癖だけは抜けていないようです。
>湖亭半弗さん、
枕も、小噺も、本題もさすがです。
維持し続けるのは大変と思いますが、質の高い作品、
今後ともお願いします。
温泉紹介の記事は、命の「洗濯」で、
スポーツ欄のゴルフは、「山へ芝刈り」ですね。
そして、
褒美を貰うことを目的で始めた喜六ですが、
近江八景ですかぁ・・・
喜六の懐におぜぜは入りましたか?
789 :
ごじゅういち:03/07/14 23:09
>>777を書いたのは、私もちょいと多忙で久々に見に来たら
6/23でストップしてたんで、誰もいなくなっちゃったのかなぁ、と
心配になったんですよね。でも、「限界」は言い過ぎでした…。
さて、
>半弗さん
本編ももちろんながら、枕の小噺の鮮やかさがすごいですね。
「近江八景」を盛り込んだのは、原点回帰の意味もありますかな?
>omiさん
>>769でもボヤきましたが、今回は多忙になる前に駆け込んでしまえ、
みたいな作り方だったんでかなり雑です。塩のくだりも東西の味の違いとかと
絡めてやろうという「仕込み」で入れておきながら放ったらかし気味でして…。
激励と毎度の小粋な感想、感謝です。
790 :
重要無名文化財:03/07/14 23:40
ハンドルさんと51さんという二枚看板がこのスレッドを
支えている、そんな感じがするな。
新人さんはやはり飛び込みにくいんだろうか。
新人さんにはハードルが高い?
791 :
重要無名文化財:03/07/14 23:43
シュール匿名氏の三枚看板だよ
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
793 :
重要無名文化財:03/07/15 21:03
すげえよ
794 :
新参亭トーシロウ:03/07/19 21:41
いつも高いハードルを蹴倒してます新参者です。感想を書くのが
遅れましてすみません。
>ごじゅういちさん
釣られてくださってありがとうございます。下町の人情噺は大好きです。
ところで批評なんていうとおこがましいんですが平吉がなんだか取り憑かれてる
らしいことをもっと最初の方で判らせるってのはどうでしょう?
>こんちわ。さん
あーっ!徳さんだ!(新入生が有名な先輩を見たような気分)
「三題噺」スレのダイジェスト版!?芸が細かいですねー。
>湖亭半弗さん
粋な題材でシンプルかつ面白く、ハードルの高さを引き上げてるのは
半弗さんだ!蹴倒そうにも足が届かない…くぐって通るのでもっと書いてください。
795 :
ごじゅういち:03/07/22 22:17
>>794トーシロウさん
おこがましいなんて全然思わないんでどんどん書いてやってくださいな。
自分のを読み返すたびに思うのは、お政を登場させるタイミングを
もっと早くすべきだったかな、と。さらに言えば、前後篇に分けるぐらいの
余裕があればよかったんでしょうけど…「七ツ海」のときで懲りてるんで…。
796 :
重要無名文化財:03/07/23 18:17
毎月更新くらいがいいなあ。
内容も充実するだろうし。
過去ログだと一日おきで御題交替してたね。
797 :
重要無名文化財:03/07/31 15:46
三題噺、おもしろいですね!しかも皆さんうまい!
古典風に作られる方やプロの新作落語のようなものまであって楽しみました。
やはり落語の下地ガないと、作るのって無理ですか?
∧_∧ ∧_∧
ピュ.ー ( ・3・) ( ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
= ◎――――――◎ 山崎渉&ぼるじょあ
801 :
ごじゅういち:03/08/02 18:36
>>797さん
下地というか、落語を聞いたことがあり(当たり前ですな)、
真似をしてみたいなぁ、と少しでも思ったことがあれば適性ありだと思いますよ。
私なんぞは、落研・天狗連までは踏み込む勇気がないヤツなので、このスレは
ちょうどいい感じなわけでw
ところで、主催者氏のご登場がないので、思い切ってひとつ提案。
次のお題取りが始まるまでの間は、敢えて「三題」にこだわらず、
フリーで「落語らしきもの」を作ってみよう、というのはいかがでしょう?
このところ、ハードルという言葉がちょいちょい出てきてるので、
主催者氏の復活までの限定ってことでやってみませんか。
完全フリーにするか、「三題」以外の条件をひとつぐらい設けるか、
そこらへんが10レス前後でまとまれば、言い出しっぺとして「開始!」の合図を
出したいと思ってますので、ご意見募集でございます。
802 :
重要無名文化財:03/08/02 19:06
自主練習ということで、自分で三題挙げて作ってみました、というのも
おもしろいかもしれない。そういうところから新たな落語が生まれるかもしれない。
803 :
重要無名文化財:03/08/02 19:15
804 :
新参亭トーシロウ:03/08/02 23:26
面白そうですね。なにか縛りがあると考えやすいってのもあるので、
たとえば「サゲに数字を入れる」とか「食べ物が出てくる噺」とか
一つ広がりそうなお題を設定するのはどうでしょう?
805 :
sana亭omi:03/08/02 23:56
ごじゅういちさん、面白い提案だと思います。
僕も、拙いながらのシロート投稿経験者として・・・。
何らかの制約がないと噺は作りづらい。
落語の形態ならば「二題」と言いたいけれど
「『一題』噺やりませんか?」
にした方が噺を作りやすいと思います。
「題」をフリーにする場合は
作品の形態を小噺かなんかに限定するか
何らかの制約がないと難しい。
ごめん、ちょっと(だいぶ)酔っています。
806 :
重要無名文化財:03/08/03 00:11
制約をもうけた上で「つかない」ようにする、なんてのは厳しいでしょうか?
ひとつの番組をみんなでつくるような・・。
ネタ帳が埋まっていくと、後からでる方は大変かな。
トリは大ネタでぜひ!
807 :
重要無名文化財:03/08/03 00:54
主催者さんが来れない中、やはり主催者さんに負担ばかりさせては
申し訳ないのはそうだと思うし。
「夢の三題噺寄席」企画は面白いかもしれないね。
演者募集して、出番決めて、寄席形式に発表。
中トリは中トリらしく、またモタレはモタレなりに短くいかねば
ならないとか。これは責任が重大かな。代演とかもありにして。
808 :
ごじゅういち@にわか仕切り人:03/08/03 22:01
ご意見感謝でございまして。
>なにか縛りがあると考えやすいってのもあるので
>何らかの制約がないと噺は作りづらい
固定の方々からのこの反応はある意味予想通りだったりw
かくいう私もこれについては同意見でして…。縛りとか制約とか
マイナスニュアンスで語られがちながら、実は手引き、ヒントなんですな。
ところで、今、気がつきました。お題を「挙げる楽しみ」を奪っては
いけませんでしたね。そこで、いつものお題取りの代わりとして
>>804のトーシロウさんのをサンプルに「今回の縛り(手引き)」を
ひとつずつ挙げてもらって、私がその中から選ぶ、てなところで、
いきたいと思います。
>>806-807さん
夢のある提案なんですが、ハードルをさらに高くする恐れもあるような。
おまけに、「にわか仕切り人」の私にはちょいと重荷っすw
願わくは、毎度速攻で投稿されてる「シュールの匿名」さんのような
漫才風の作品がトリ前ぐらいのタイミングで出てきて下されば、その次の人が
微妙にプレッシャーを感じつつもトリを取ってもらって、その頃には
主催者氏カムバック、みたいな展開だと大団円かも…。
それでは、特別な異議申立てが出ない限り、このまま「お題取り」とまいりましょう。
「縛り」に当たるものを挙げて下さい。いつもは一レス一単語ですが、
一レス一行ぐらいで行きましょう。何とぞよろしくお願いするのでございます。
809 :
重要無名文化財:03/08/03 22:25
サゲは駄洒落を使わない。
禁止例)めくら平兵衛に怖じず・たーがやー・夜の瘤は見逃しならんわい
成功例)あ、忘れてきた・抱えてる俺はいったい誰だろう・二百両ー、あ、夢か。
810 :
重要無名文化財 :03/08/04 18:31
パロディ限定
811 :
重要無名文化財:03/08/05 20:17
サゲに必ず花言葉を使う
812 :
ごじゅういち@にわか仕切り人:03/08/07 01:02
あと1日ぐらいで決めます。
出し忘れのございませんように。
813 :
重要無名文化財:03/08/07 23:06
必ず川柳を入れる。
814 :
重要無名文化財:03/08/08 00:39
どこかに動物を登場させる
815 :
ごじゅういち@にわか仕切り人:
お題を挙げてくれた方々、どうもありがとうございます。
なかなか甲乙つけがたくて、いざ「一題」となると悩むもんですね。
それでは、不肖ごじゅういちプロデュースの番外編のお題は、
「必ず川柳を入れる」
に決定させていただきます。上方の新作派の某噺家さんの作品に
川柳連発の快作があるんですが、川柳というのは「ベタ路線」から「捻りあり」まで
幅広く使えるんじゃないでしょうか?
それでは、夏の自由研究感覚で気軽にご参加をお待ちしております。
私もどこかで登場したいと思います。