銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駆ける999号 Part4
1 :
名無し野電車区:
2 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/16 12:48:08 ID:ZI77+2SJ
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
鋼鉄天使(1)
ウトウト居眠りしていると、ズシンという衝撃で目が覚めた。そのあとも連続して衝撃がくる。
なにごとかとメーさんにたずねると対空砲火だという。列車に向かってそんなものを撃つとは
言語道断で、厳しく処罰すべきである。メーさんは落ち着いたものでいつものことだという
風である。なかなか物騒な所らしい。車掌が調査がてらまわってきて「次の停車駅はマスプロン。
停車時間は2日と3分」と告げる。惑星上空に入るとのようなガスが立ちこめて、まだお昼過ぎ
だというのに薄暗い。地上は見渡す限りの大工場群である。僕は物を造っている所は活気が
あって好きだが、メーさんはあまりお気に召さないようだ。今夜の宿はメーさんの提案で
銀河鉄道指定ホテルから変更となった。「機械ホテルに泊まったことないんでしょ。お酒を
飲めないからって、体験派が、そんなことじゃダメです。私もつきあいますから、ためして
みなくちゃ」僕もかねてから機械ホテルに一度泊まってみたいと思っていた。食わず嫌いと
いうわけではなく、僕たちの学生時代には、まだ一般的でなく、結婚してから、一人でのこのこ
出かけるのも気がひけて、なんとなく足が向かなかった。別にお酒のせいではない。列車が駅に
着きホームに出るといかにもといった工場風で、空気からして金属の香り。駅前では一人の
少年が引っ立てられていくところで、さっきの犯人だという。レールファンでないのが唯一の
救いか。
(続く)
3 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/16 12:48:49 ID:ZI77+2SJ
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号 種寸直樹
鋼鉄天使(2)
いよいよ機械ホテル宿泊初体験となるわけで、駅からは、メーさんが案内人をつとめることに
なり、薄暗いマスプロンの町を歩いたのだけれど、めざす「フライス盤ホテル」の所在は判然と
しない。分からなければ、適当な人をつかまえて、どんどん聞けばいいのに、自分で見当を
つけようとするからまどろっこしい。メーさんにかぎらず、ヤングと一緒に行動していて、
いつも気になるのは、道をたずねないこと。そのくせ、こっちでいいんでしょうねとなどと、
時々情けなそうな声を出す。そんなひまがあれば、地元の人にたよることだ。だんだん腹が
たってきたころ、ようやく着いた所は、雰囲気もなにもない、ブリキ細工の工場のような建物。
フロントマンなどもちろんいるわけがなく、なんとも無愛想なアンドロイドロボットが応対し
所要の手続き。夕食までには時間があるとのことで、割当てられた部屋に入ると無味乾燥な
病院のような部屋。あまりぜいたくは言わないが、これはひどい。ベットにすわっていても
仕方なく、そうかといって廊下ぐらいしか居場所がない。風呂をのぞきにいったメーさんが
痴漢に間違われるハプニングもあったが、生身の人間用は、小さいうえに湯が少なく順番待ち
の超満員で、はいれたものではないという。なんとも大変な所へ来たものだと、嬉しくなって
くるうち「メシだ、メシだ」の声。どやどや食堂に駆けつけると「早くご飯食べないとなく
なります」とメーさんがひとこと。そして彼女は脇目もふらずに2杯ほどかきこんだ。その間に、
こちらも黙々と4杯。たちまちおひつは空になり、だれかがお代わりを取りに行ったら、生身の
人間用はもうないとの情報。少し遅れて来た人もあり、一瞬騒然としかけたが、もう一度炊く
ということで落ち着いたらしい。あまりの殺伐さに食器を洗うのも楽しく、メーさんに感謝で
ある。
(続く)
4 :
名無し野電車区:04/10/18 11:28:23 ID:X1CZigul
保線
5 :
名無し野電車区:04/10/18 17:02:33 ID:OS6ERGXi
ストライキ決行!
6 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/18 19:39:44 ID:uElns8Xp
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号 種寸直樹
鋼鉄天使(3)
食後も、なんとなく食堂にたむろすることになったものの、話に聞くミーティングはなし。
ホテルは人間の従業員がいないのだから、顔を出さず、そのうち機械ホテル慣れしている
ような機械化学生が、知性のかけらもない大声で生身の女の子に抱きつきながらハアハアを始めた。
それを喘声をあげて喜ぶ娘も娘だが、これはおもしろい。ただ案内役であるメーさんは、
ぶすっとしたまま。やたらにテレビのチャンネルを回し「まだいますか。もう寝ましょう」
ただ眠るだけならどのホテルでも同じで人のハアハアを生で見る機会などめったにない。
メーさんを先に部屋に帰しハアハアにかぶりついて見ていると、大音響とともに食堂の床が
抜けホテルそものもが崩れ去った。「思い知ったか!ハアハアするだけで子供を造ることを
知らないウジ虫め!」おやおや、そんなことはないぞ。僕はハアハアも子供も大好きだと言い
たかったが頭に何か当たったようでそのまま意識がなくなってしまった。
「先生、大丈夫ですか」気がつくとメーさんが僕の顔をのぞき込んでいた。そばに機械
ホテルの責任者らしき機械化人が立っていて平謝り。「申し訳ありません。犯人は捕まえて
銃殺にしますから」銃殺とはおだやかでない。メーさんが犯人は女の子だと教えてくれた。
(続く)
7 :
名無し野電車区:04/10/19 02:31:08 ID:fmKgZJ9o
これって、もしかして元ネタは北海道の某浜頓別のYHのルポ?
8 :
名無し野電車区:04/10/19 08:47:51 ID:BEHwspXf
松本れいじの「銀河鉄道999」に種村が乗ったらと妄想して乗車レポートを書いている
だからコミックのストーリに沿って惑星に止まっている
もっと楽しみたければ原作と過去ログ見れ
9 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/19 21:17:47 ID:VHAWNQ93
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号 種寸直樹
鋼鉄天使(4)
さっそく駅前に出向くとかわいい女の子ではないか。銃殺はやめて僕にまかせてほしいと
お願いし女の子を引き取る。名前はクローマリアさんという。さっそく手を引いて近くの
ホテルへ直行する。僕はハアハアだけでないぞ、と教育するためだ。詳細は省略するがクロー
マリアさんにこれからはハアハアも楽しむようにと説教をして列車に戻った。「もう気が
済みましたか?」またまたメーさんが少し不機嫌な顔をして僕を迎えてくれる。いや、
これは教育だよとごまかすがやはりハアハアしたのがばれていたらしい。僕は一生懸命ハアハア
しているのは好きだと言うと「先生、機械の体になるとハアハアもつまらなくなりますよ」
と釘を差された。やはりメーさんは機械の体というものがあまりお気に召さないらしい。
999号は定刻にマスプロン駅を発車した。するとバタバタと車掌が通路を駈けていく。
なにごとかと後に続くとなんとクローマリアさんが乗っているではないか。車掌が
無賃乗車がうんぬんといっているのでどうやら密航らしい。クローマリアさんが僕の
姿を見つけ「助けて下さい」というが僕にはどうすることもできない。すると後ろから
メーさんが「これを渡してください」というので包みをわたすとなんと空間割引回数券
ではないか。クローマリアさんは「これからは先生の教えにしたがってハアハアを楽しみます」
とメーさんにお礼を言った。あわてる僕に「ハアハアだけではダメですよ」とメーさんから
チクリとやられてしまった。
(続く)
10 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/20 22:34:11 ID:GnetF/Zb
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号 種寸直樹
停時空間のかじられ星(1)
車掌が「次の停車駅はバカタレ」と告げる。バカタレとはまたひどい名前でもう少し
スマートな名前がいいのでは。窓の外を見ると風景がうす気味悪く、列車の振動も
ひどくなった。おそらく空間軌道の保守が行われていなのだろう。銀河鉄道でも最近は
人員削減による合理化が行われているそうだが、保守まで合理化されたのではこまる。
999はさらに異様な空間を抜けていくが車掌は「脱線して行方は分からない」とおろおろ
している。すると列車の隅にいた男が「おれという乗客の都合で寄り道してもらった」
という。独りよがりな理由で寄り道など言語道断だが脱線状態ではどうしようもない。
そのうちなんとか列車はかじられたような姿の惑星に進入し駅にすべり込んだ。
路線図にない星で駅があるのもきみ悪いが、とにかく停まった以上は降りて
駅前をぶらついてみよう。メーさんにはあまり遠くにいかないようにとクギを
刺された。駅を出て目に入ったのが「10円牛丼」ののぼりである。駅前旅館ならぬ
駅前屋台で牛丼が食べられるとは幸運である。お腹が空いていたのをこれ幸いにすぐ
飛び込んだ。ところが地元の者以外は一杯1000円だ、それに昼の営業は終わったと
断られてしまった。骨折り損のくたびれもうけで、屋台がこんなことでいいのかと
メーさんと声を大きくする。ほどなくメーさんが「屋台を仕切っている親方に
お願いしたら300円でいいことになりました」とニコニコ報告。「地球から来た
旅好き牛丼好きの者でございますが・・」と請願したのだろう。地球で代わりに
なっている豚丼とはひと味もふた味も違ううまさで満腹。
(続く)
11 :
名無し野電車区:04/10/20 22:51:30 ID:adGm/Vfg
. |
>>1を
, - 、_.'⌒ヽ. | r‐┐r‐、ァァ r‐┐r‐┐ ┌‐u‐┐ー‐、 /1
., - ノ | | | | ヽ. . | || |_ [ _ ] `ー'.ノ |
( 、ー--j‐i' | |_.ノ|..ノ |_ノ |_.ノ└‐リ__ノ | ̄ .ノ @
( / Q Ql | ._ _____ _n_  ̄ n  ̄ ̄
.__ゝて __> | |.| └―, , ┘ニコ lニニ, lニニ .ニニl
( ( \ノノ / .|.| n // ^コ lニ^ (0 |
`て ヽ. i'._  ̄| 、ー'ノ ゙、`‐┐(o_,ヘ.〉 、ソ ◎
.'⌒i.、! ノ7lヽ |  ̄  ̄
l l|ヽ'ヽ'|| l r'て_
| |  ̄ ̄〉! /`r-='
12 :
7ではないよ:04/10/20 22:59:55 ID:YW4wScwn
>>2-6 元ネタはユースホステルの話だよね。読んで藁ってしまった。
以前「銀河を掛ける〜」シリーズ読んでましたけど、
復活したんだ。続きが楽しみだ。
13 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/21 21:02:08 ID:qSmU2H9h
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号 種寸直樹
停時空間のかじられ星(2)
いかにもといった風貌の親方が顔を見せ、いかがでしたかと問うので大いに
満足であるが、つゆの味付けが少々と正直な感想を述べておく。その味付け
だがなんと地面をコクだしに使っているという。驚いているとメーさんが
「食べられますよ」というので指ですくって口に運ぶと、甘くも辛くもあるが
どうにもしまっていない感じで、僕の好みにはあわない。親方によれば余所の
星の人間が地面をかじり取って持っていくほどの人気だそうだ。なるほど、
それで星全体がでこぼこしたように見えるのか。かつて地球で見た石灰石を
採掘している山と同じ風景である。そうこうしているうちに車掌が飛んできて
出発するという。急いで駅に戻り列車に飛び乗るとすぐにガクンと動き出した。
異様な形の星を眼下に見ていると例の男が客室の隅で「こんなんじゃない!
二度と帰ってくるもんか」と叫んでいる。しかし、そもそも自分で勝手に
レールをねじ曲げてここに来たのだから自業自得である。僕にとっては
銀河鉄道の定期列車が発着すれば、ぜひにも再訪したい屋台である。地球の
牛丼屋で修行したらしい親方はますます腕を磨いてくれることだろう。
(続く)
14 :
名無し野電車区:04/10/21 21:08:48 ID:tB2czR07
忍者列車トリビア。
>>7 そういう突っ込みができる貴殿も、北の宇宙を生き抜いた漢とお見受けした。
ああ、これってやっぱり例のシ兵t別のネタか?
これのルポが出て2,3日後に友人5人から種氏は身勝手という非難を聞いた思い出がある
17 :
名無し野電車区:04/10/23 02:09:47 ID:LGa4KEi/
カムパネルラが死んだりはしないのか
19 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/24 17:06:42 ID:T9F9FZEB
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
怒髪星(1)
列車は快調に走り続けている。車掌がやってきて「次の停車駅は怒髪帝国。
停車時間は24時間」と告げる。僕たちの横を通り抜けるさいに「猛烈なところ
なので注意を」と付け加えられた。メーさんは「先生にはピッタリな所かも」
と笑う。惑星が近づいてくると怒ったような気流が立ち上っているように
見える。それと同時に車内の温度がどんどんあがりまるで蒸し風呂のようだ。
まるで冷房が故障したような感じだが、空調の吹き出し口に手を当ててみると
冷風が吹き出ていて故障ではない。あまりの暑さにTシャツ1枚でも耐えきれず、
上半身すっぱだかになった。「おや、メーさんは脱がないのか」とちょっと
邪な期待をこめてたずねると「そのうち脱ぎますから期待していて下さい」
とニッコリで僕もニヤリ。大気圏に突入すると「着替えてきます」とメーさん
が席を立ち、車掌が「私も、私も」といって車掌室に消えた。メーさんが
どんな格好で出てくるか、ワクワクしてよろしくない想像でイチモツが
勃起してしまう。やがて車掌が姿を見せるが、まったく同じ格好ではないか。
「デザインは同じでも夏向きの風通しのいい・・」と言い訳するが、もっと
さわやかなデザインを採用してもいいのにと思う。銀河鉄道のデザイナーさん、
御一考を。
(続く)
20 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/25 21:51:15 ID:ViQQf/B1
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
怒髪星(2)
メーさんが黒いハイレグ水着にコートというなんとも刺激的な出で立ちで
戻ってくると同時に列車が停止した。まだ空中であるがここが駅だという。
丸い円盤のようなエレベーターで地上に降ろされるが、将来の高齢者増加を
考えるとやはり段差のないホームに到着するのが望ましい。
街を歩き始めると僕の目の前で男がタバコをポイ捨てし、あやうく僕に命中
するところだった。男に声を大きくして注意すると「わかっとるわ!それ
ぐらい。ハンゴロシにしたるど!」といきなり殴られてしまった。不意を
つかれて吹っ飛んだ僕も、頭に血が昇って殴り返してやろうと立ち上がったが
「ここではこれがあたりまえです」とメーさんに止められた。とりあえず
居酒屋に入って酒で頭を落ち着かせることにしよう。入った居酒屋は満員で
若い女性の先客と相席とあいなった。若い女性には厳しいメーさんが、一緒に
お酒を飲むのは大歓迎、あるいは静かに飲むのがよろしければ別の席とチェンジ
をと、きつめの言葉で語りかける。僕たちの方が後からきたのだが、さすがに
メーさんはこういう事に手慣れている。幸か不幸か、彼女はしばらく思案した末、
席交換を選択したのだが、酒を汲みかわしていれば、ひとつのハアハアが生まれた
かもしれなかった。
(続く)
21 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/27 21:01:36 ID:aCzPdy4M
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
怒髪星(3)
メニューを見ると種類も豊富だがとにかく値段が安い「値段はよその十分の一、
品質は宇宙で一番です」とメーさんがいうのもうなづける。「きゃっ!どうして
くれるんだ。まだ食べ始めてもいないんだぞ」悲鳴をあげたのは僕。普段なら
笑って済ませる事なのだろうが、僕もなかなか順応性が高いらしい。ケンカ
していた巻き添えで、バイト娘が運ぶ途中の焼鳥の皿がひっくり返り、グレイの
ズボンのひざに落ちてきたのだ。たれが流れておろおろするバイト娘をよそに、
隣にすわっていたメーさんが、すかさずハンカチで押さえてくれたが効果なしと
判断。「水洗いしたほうがいいです。脱いでください。持って歩いても発車時間
までには乾くでしょう。乾かなかったら私のコートを貸してあげます。下に水着を
着ているから大丈夫ですよ」言い終わらないうちにズボンを脱がせて洗面所に消えた。
ほどなくメーさんが戻ってきたが僕には女装の趣味はなく、また女の服を着るのは
男の恥だと教わってきたのだと、丁寧にお断りする。パンツ一丁で飲んで、食べて、
そしてケンカを見てほどよくアルコールがまわってきたので、そろそろかと店を出る。
帰る途中、僕の格好を見たじいさまから「ウホッ、一杯やってからヤラないか」と
誘われるが、僕にはそっちの趣味はないのでお断りしてエレベーターで列車に帰った。
列車はガクンと衝撃を残してすぐに発車した。怒髪星というところは、なかなかに
大変な星だが確かに僕向きかもしれない。ただ、今後ヤングが焼鳥を差し入れて
いただくむきは、たれでなく塩をよろしく。
(続く)
22 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/28 20:10:37 ID:/fAhqn+h
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
幽霊世界のフィラメント(1)
座席の頭もたれに寄りかかってウトウトしていると尿意を覚えて目が覚めた。前駅
でTシャツ1枚の格好でいたからか、今度は寒くなってきた。メーさんに問うと
「そうですね、少し」と同意。どうにも列車の空調装置の容量不足なのではないか。
メーさんによると雲の海を通過中は車内の温度が下がるとのこと。外を見て下さい
というので窓から覗くとなるほど、電球のフィラメントが飛び散ったようなガス雲
が広がっている。かつてはこの地点に惑星フィラメントがあり、駅が設置されて
いたというが、惑星が爆発して四散したので今は信号場に格下げされた由。トイレに
立って隣の車両を除くと、おや、少なからぬ乗客が乗っている。デッキにいた一人旅
らしい女性に尋ねると、このガス雲地帯が観光名所であるという。列車はゆっくりと
ガス雲の縁に停車した。隣の客車からぞろぞろと機械人間の団体客が降りていく。
信号場で客扱いをするというのは昔からあったようで、銀河鉄道にもいくつか残って
いる。ここで999号は区間運転の急行列車を待ち合わせるため、約3時間の停車となった。
少しばかり頼りない板張りの通路を渡り簡易な駅舎を出てみると、こはいかに。立派な
観光船案内所がある。例の女性が「一緒に行きませんか」と誘ってくれたので
掲げてある運行時刻表を確かめた。案内所のカウンター氏によればガス雲の反対側
には銀河郵便局もあるという。郵便局もあると聞けばじっとしてはいられない。
(続く)
23 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/29 20:35:32 ID:LoFHKbzu
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
幽霊世界のフィラメント(2)
団体客が臨時便で出航したのち、案内所兼待合室で定期便を待つ。女性は相談が
あるといって、メーさんを待合室の端に引っ張っていった。メーさんは「私も連れて
行くのじゃだめですか?」と聞くが女性は「ダメです」とあっさり拒否。メーさんも
しつこくは食い下がらず、列車へ戻ってしまった。「入る気配はありませんが、ドーゾ」
「下へ降りないとハアハアをさせないとイッテください、ドーゾ」案内所のカウンターの
中から無線の交信に応答する大声が聞こえてきた。案内所は船の指令も兼ねていると
みえ、例の団体客を含めて臨時便が何隻か出ており、甲板でばかり客がハアハアして困ると
船長の声が飛びかっている。甲板でハアハアしすぎると船が傾くのは、かつて月面周遊船で
体験ずみだ。「ドーゾ」などと言っているうちに転覆でもしないかと心配になったが
無事だった。12時40分発の定期便「白熱」は、他2人のお客しかなかった。僕と一人旅
の女性に、くっつきぱなしのペアだけで船は定刻に出航した。「お知らせいたします。
ただいまよりハアハアされても結構です」船長の放送が流れた。くっつきぱなしのペアは
船倉の奥の部屋へ消え、僕たちも展望が利く部屋へシケこんだ。
(続く)
24 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/10/30 21:52:48 ID:l8H+HLFP
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
幽霊世界のフィラメント(3)
目の前に黒い物が動いた。海藻の茂みを押しわけるように、指を女性の秘部に挿入する。
丸いコリコリした感触があり、ネットリ刺激する。クリトリスだ。つまんでしばらく
刺激するとまたもぐり、体がピクピクと反応して首を振る。ほどよく濡れた所で僕の
イチモツを慎重に沈めていった。なかなかキツイ締めつけだが、包み込むような柔らかさ
も持ち合わせていて絶品である。これは機械人間にはないもので、生身の人間の良さ
でもあろう。体位を入れ換えたりしながらハアハアを続けていると、溜まったものがこみ
上げてくる。「いくよ、中田氏するよ!」「イッて・・イッて下さい!」女性の奥深くに
突き入れて大放出。同時に女性も逝ったようで荒い息を吐きながら失神状態だ。
ここ何年かで一番のハアハアとなった。イチモツを引き抜いて丁寧に拭きズボンにしまうと
ほどなくガス雲の最遠部に入って、反対側の桟橋着。船は30分近く停まるので桟橋を
散歩できる。少し離れた所に銀河郵便局の建物が見えて、女性を連れ迷わず下車。
ペアがガス雲をバックに三脚を立て、セルフタイマーをセットしている。その後ろでは
僕たちが抱き合っているが、われ関せずの表情。僕たちがそばにいるのだから、普通
ならシャッターを押してくださいと頼むところだが、さすがに遠慮したのか。ネットリ
としたディープキスの写真を横目に銀河郵便局へ向かう。
(続く)
25 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/01 18:52:54 ID:dLKnZ3pm
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
幽霊世界のフィラメント(4)
「いらっしゃいませ。そのとおり銀河系最東端の無集配特定局です。集配局ですと
プレーテッド局が最東端です。昔は簡易局もあったのですが、もうやめています」
きわめて明快な説明で、銀貨1枚の旅行貯金を頼むと手ぎわよく処理してくれ、
178252局目を達成。ゴム印が押されて戻ってきた通帳を見れば横書きで「銀河系
最東端の郵便局 フィラメント郵便局」なんと局名のほかに別の小さなスタンプも
そえてあるではないか。うれしくなってプラスチックメールを求め局のゴム印をと
所望したら「銀河系最東端の−」と同じ文字でコスモブルーの印まであることが
わかった。趣味の人がふえるにしたがってよろこばれるサービスを工夫し、増収に
つとめようとの姿勢が見える。大いによろこんで郵便局を出、角を曲がるとそこに
フィラメント資料館があり、二階展望室前から銀河鉄道の信号場が一望できる。
惑星フィラメントを再建しようとのスローガンとともに、再建事務所には「銀河鉄道
の信号場を再び駅に昇格させよう」の横断幕も出ており、フィラメント付近は内外
ともに難題をかかえているのであった。船の出航時間となり、女性と共に桟橋に
戻り例のペアとともに乗船。帰りももちろんハアハアをこなした後、ゆっくり話をする。
機械の体になるという事はいい事なのか、悪い事なのかと問えば「それは先生の
考え方次第です」とかわされた。船が出発地の案内所に着くと、少し不機嫌そうな
メーさんが出迎えてくれる。女性と別れの挨拶をかわし、999号は汽笛を残して発車した。
(続く)
26 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/03 19:39:52 ID:rvtqAkQZ
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
沈黙の聖地(1)
機関車の長音汽笛一声のあと、列車からはなにも音がしなくなった。メーさんに
よれば無音軌道と強制消音区域が重なっているとのこと。機関車の音もレールからの
音もしないようでは汽車旅とはいえず、迷惑な話である。「次の停車駅は銀の谷。
停車時間は四時間四十四分四十秒」車掌の声は聞き取りにくいほどの小さな声だ。
相手に聞こえないようでは案内として失格である。今度は先生には向かない所ですね
とメーさんまで小さな声で話す。それならいっそのこと、僕も下車して大声で
歩き回ろうかと冗談半分に言ったら「本当にそんな危ないこと、御免です。先生
みたく大声を出してウロウロしてたら一発でつかまりますわ。どっかに連れてかれて
騒音容疑で死刑−にならないまでも強制労働させられますよ。そりゃ先生は、うまい
こと帰られたら”抑留記”でも書けていいかもしれないですが、私はお断りします。
第一、銀の谷は観光地でもなんでもありません。どこのガイドブックにものっていま
せんよ」メーさんがまず反対し、車掌までも「なにしろ乗務員ですからね」とのって
こず、さたやみになった。列車が停車しメーさんだけ、用があるといって降りてしま
った。四時間もする事がなくてはヒマなので、こっそり列車を降り駅を出てみた。
人通りは少なく、珍しい二人連れの女の子を見つけ話しかけてみた。
(続く)
27 :
名無しでGO!:04/11/05 23:23:44 ID:e+pTHGMC
28 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/06 19:03:42 ID:iXb2zFDK
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
沈黙の聖地(2)
「黒いコートを着た髪の長い女の人を知りませんか」と尋ねたが、驚いたように
走って逃げられた。残念、ナンパも不成功に終わる。夜明け前だというのに開いて
いたタバコ屋の店番のばあさまに聞いてみるが、いきなりシャッターを閉じられた。
失礼な話である。のどが乾き、空腹も覚えるが、民宿ふうの店も閉まっており、
あたりには何もない。人がいそうな方へ歩いていると「大きな音にご注意ください」
と看板の出ていた道端で、変なクルマに囲まれ僕を捕まえようとした二人の人間が
いたのにはびっくりした。スプレーのような物を吹きかけられ、僕は気絶してしま
った。冷たい感触に目を覚ますと、そこは牢屋だったのだ。まったく、人に迷惑
なんてかけていない人間を捕まえるとは、ひどい話である。大声を出して助けを
呼ぶが、番人がきただけ。その番人が「騒音罪」で死刑だと小声で言うではないか。
とんでもない所である。そんな牢屋でよく眠れるはずもなく、ウトウトしていたら
もう朝。昨日の番人が僕を引っ立てて連れていく。えらく古い縛り首の処刑台に
連れていかれた。まわりには大勢の見物人がいて何やら僕のことを言っているが、
小声で腹も立たない。
(続く)
29 :
名無し野電車区:04/11/06 19:14:55 ID:veApqh9M
30 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/06 20:27:22 ID:iXb2zFDK
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
沈黙の聖地(3)
首に縄が掛けられてもうこれまでかと観念したら、突然エネルギービームが飛んで
きて縄を切った。その先を見るとなんと、メーさんが銃を構えているではないか。
やれやれ、助かったと一息つくとメーさんが「大声で叫んで下さい!」と言うので
ありとあらゆる苦言を大声で呈したところ、処刑人から牧師、見物人までみんな
倒れてしまった。「先生の声でみんな倒れてしまいました」メーさんまでも苦言の
内容にへきえきしたのか、顔をしかめている。メーさんによると密告が流行し、
耳の感度をよくしすぎて大きな声や音にたえられないという。機械の体も性能が
良くなりすぎるとやっかいなものである。とりあえず、さっさと列車に戻ることにし、
駅へ急ぐ。建物のカゲから耳に防護装置を付けた機械人間も現われた。ちょっとお腹
の具合がよろしくないのを幸い、試しにメーさんには言えない行為を思いついた。
メーさんを先に列車に帰し、頃やよしと思いっきりぶっ放した。結果は大成功で、
もちろん機械人間は昇天。こんな所で役に立つとは、思わなかったが。後は駅まで
戻れば、もう安心だ。メーさんが車掌と話をしている。「大声に自信をもつのもいい
ことだと思います。ちがうかしら?」「へ・へ・へ屁はどうでしょう」「あなたが?
勘弁してください」どうやら僕の行為をメーさんは知っていたようで、人が悪い。
列車は何事もなかったように銀の谷駅を出発した。宇宙空間へ出たところで、「メー
さんは列車を降りてどこへ行ってたんだい?」と尋ねたが「私にもすることがいろいろ
ありますよ」とかわされた。たとえ編集者でもいい男と会っていたなら、ちょっと
シャクである。
(続く)
何度読んでもおもろい。元ネタ詳しくないけど。
>ありとあらゆる苦言を大声で呈したところ
ワラタ
33 :
名無し野電車区:04/11/08 23:38:02 ID:NzNYoxdx
保守age
34 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/10 00:13:06 ID:C/It3hsg
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
プレーテッドシティの魔女(1)
列車がプレーテッド惑星に近づくにつれ、外が明るくなりはじめた。夜行列車で
迎える夜明けのような色でなく、まったくの金色でげんなりする。「ここではなにも
かも金色です。人間も」とメーさんが教えてくれた。プレーテッド惑星といえば
たまたま僕が監修をたのまれた「銀鉄1000万光年の旅」で銀河系東部を担当した
杉尾臨行氏が、「さて、銀河本線で銀の谷を越えたなら、この機会にプレーテッド
シティも押さえておいたほうが、のちのち苦労をしなくてすむ。定期列車は1ヶ月に
6往復しかないが、<超特急999号>で行けば、幸い24時間のロスタイムで、プレー
テッドシティを楽しんで夕食前にはウラトレスに到着できる。銀河系の外縁部
プレーテッド惑星には、惑星名物のひとつ、この星の全体をおおうほどの金を
産出する、プレーテッド金属の鉱山がある。折り返しのローカル列車で、そそくさと
退散する”乗りつぶしマニア”が多いのも、まんざら時間に追われているためばかり
ではないかもしれない」と簡単に片づけたのを、地元のホイールロッククンは大いに
嘆いた。「いくらなんでも、”押さえておく”とか”のちのち苦労しなくてすむ”
とか、じゃま者扱いはひどいです。それにさっさと折返した方がいいような書き方だし
納得できない。プレーテッドシティ駅そのものはつまらないけれど、町の中心、磁気
メッキ塔の形は面白く、珍しい建物ベスト5くらいには、はいると思うんです」
ホイールロッククンが太鼓判を押す以上、風変わりな建物にちがいなく、そのうち
行くよと約束しておいた。
(続く)
35 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/11 00:18:38 ID:ugPZAFrD
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
プレーテッドシティの魔女(2)
999号が駅に到着し降りてみると、なんとまあ。建物から車から、なにもかも金色である。
もう少し色に配慮をと思うのだが、メーさんがこれで普通だというので致しかたなし。
駅前にタクシーが客待ちしていたが、だれも乗らないので、すぐ走り去る。これも
ホイールロック情報によれば、プレーテッドシティの中心は磁気メッキ塔付近なので
銀河鉄道の駅で到着する旅行者をねらい、結構商売になるという。しばしぶらぶら行けば
ホテルに到着、やはり金色である。フロントで「予約はあります」とメーさんが言うが、
案内嬢は「予約?なんてことをいうの。その汚ならしい身なりで!ふざけないで」と
猛烈に拒否。まったく客商売がなっていないと怒鳴ろうとしたら、メーさんが案内嬢を
捕まえてロビーの端へ連れていった。戻ってきた案内嬢は平身低頭、「失礼しました。
列車のお客様とは知らずに。どうぞご案内します」とコロッと態度がかわって気持ち悪い。
銀河鉄道の名前はこの星でも大きなようである。案内された部屋も金色なのは仕方ないに
しても、ふろのお湯まで金色ではまがいものの温泉のようで、僕の好みに合わないのは
当然である。翌日はホイールロッククンが、磁気メッキ塔を案内してくれるというので
早々にふて寝。メーさんはなにやらゴソゴソしていたようだが。
(続く)
36 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/12 21:17:20 ID:8RAJKabz
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
プレーテッドシティの魔女(3)
早寝したこともあり、翌朝は早起き。ホテルでは生身の人間用の朝食を用意していない
とのことで、時間つぶしも兼ねて町をぶらつく。町のあちこちで、タイタンで開催中の
コスモピア割引きっぷの手書きポスターが貼られ、銀鉄が増収に励んでいる様子がわかる。
待合わせ場所に着いても、まだ8時前。あまりあてにしないで通りがかりの人に「喫茶店
か食堂で開いているところがありませんか」と聞いてみたら、朝食屋さんが1軒あるとの
返事。人通りの少ない町なのに、なんでも尋ねてみるものだ。その食堂「札金」は、表通り
から引っ込んだ、地元の人しか分からない所で「営業中」の札を掲げていた。店内にお客
の姿はなかったが、ばあさまが土びんごと熱いお茶を運んでくれた。と思ったら、中身
はオイル。「おやまあ、これはすまんかったね」と取り換えてくれたが、ここでも機械の
体が標準なようである。生身の人間用の朝食は銅貨4枚、みそ汁がおいしかった。お客も
いないのに早朝から営業している謎はすぐ解けた。たえず電話が鳴って、3人前、4人前と
朝食の注文があり、岡持ちをさげた機械化人店員が出入りする。町のホテルの合理化で、
宿泊者の朝食を一手に引き受けているのではなかろうか。やがて下宿しているサラリーマン
らしい機械化人ものれんをくぐり、「今日はオイル焼き定食にしてもらおうかなあ」と声
をかける。舌代もメニューも見当たらないが、いつも利用する人たちだけが知っている
何種類かの献立があるのだろう。
(続く)
37 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/14 00:37:35 ID:SCPRvI59
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
プレーテッドシティの魔女(4)
朝食を終え、待ち合わせ場所に戻ると金色に光るホイールロッククンが待っていた。
「僕はお金がないので吹きつけのインチキです」と苦笑し、わざわざ僕にまで
金色のスプレーを吹きかけた。まったくと言っていいほど人通りのない道を歩き、
町の中心へ着くと、ポイントの磁気メッキ塔は期待を裏切らなかった。プレーテッド
シティの中心らしく、かなり凝った設計にしたのだろうが、塔前広場の時計塔が0時
13分をさしたまま止まり、倉庫のようになった入口の守衛室の電気時計が15分ほど
進んでいたのがわびしかった。それにしても下から見上げると頂上は一層高い。
曲がりくねった道路から8段上がるとエスカレーターがあり、さらにオプチカル
エレベーターに乗ると頂上に出る。無人のドアを通り、また19段高くなったところが
磁気メッキ装置である。装置のまん中には、金が溶解したタンクが見える。すぐに
コンパニオンのような機械化女性が現れるが、「ようこそバカなお人よ。私はあなたの
ような勇気のある人といっしょに、溶解した金のおフロに入るのがすきよ」と言って、
ホイールロッククンをタンクに引きずりこもうとするではないか。これはいけないと
声を大きくして女性を突き飛ばしたら、女性はメッキ装置のボタンやレバーにぶつか
ってタンクに落ちてしまった。ギャーという声とともに警報も鳴り響き、どうやら
装置に異常が発生したようで、これはまずいとホイールロッククンとメッキ塔を逃げ
出した。塔を出ると星中のメッキが剥げて、ごく普通の風景になっている。しかし
「メッキの剥げない人がいる」と捕まりそうになったので、あわてて川へ逃げ込むと
メーさんが迎えに来てくれていた。そういえば、もう999号の発車時刻を過ぎている。
「車掌さんが管理局にデタラメな報告をして臨時停車して待っています」という。
車掌のとった思いやりのある処置に感謝しつつ、短距離ロケットは僕とメーさんを
乗せて999へ向かった。
(続く)
38 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/14 17:15:40 ID:SCPRvI59
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ウラトレスのネジの山(1)
列車の外はなにかキラキラしたものが流れている。窓に当たってコンコン音を立てる
のだが何ごとなのか。メーさんが「ウラトレスが近いからですよ」と教えてくれる。
車掌が入ってきて「次の停車駅はウラトレス。停車時間は八日と二十三時間二十三秒」
と告げた。またずいぶん長い間とまることだと、あきれる。機関車の手入れもおこなう
とかで、それならしっかりと整備をお願いしたい。列車が惑星の上空に近づくとサビの
色が惑星全体を覆っている。上空へ進入すると平地から三角錐が立ち上がっているような
ボタ山のあいだをすり抜けて行く。そのボタ山はみんな出来そこないのネジが捨てられた
ものの由。かつて地球にあったニッポン国の九州でも石炭殻が捨てられたボタ山をよく見か
けたものだ。駅に到着して下車すると、建物はみんなネジだらけ。地面もジャリではなく、
ネジである。約束していた地元のラセンさんが出迎えてくれ、今日の宿「スクリュー
ホテル」に案内してくれた。「スクリューホテル」は名物のネジ風呂に入れるうえ、建物
の裏がネジ山に面している。明日はこのネジのボタ山に登ってみようというのだ。メンバー
は僕とメーさん、そしてラセンさんである。早々に風呂と食事をすませ、就寝、そして朝。
今日も晴れ、登山日和である。
(続く)
41 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/15 21:57:56 ID:xLnKqgbS
>>39クンのいうとおり、やや強引だったかと反芻している
42 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/15 22:02:28 ID:xLnKqgbS
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ウラトレスのネジの山(2)
スクリューホテルを出るとき、フロントに「ネジ山登山証明書」を発行する旨の掲示が
見えた。ぜひ入手したいけれど、必ず頂上に立てるかどうか分からず、ものは試しと
絶対に登りますからとフロント氏に約束すると、事前発行してもらえることになった。
山の写真入りで発行番号と日付、ウラドレス政府印を押した立派なもので、フロント氏
はきちんと発行控えを残していた。ホテルを出た所にある「観光協会荷物預かり所」の
番をしている機械化おばあさんに見送られて出発。山へ向かって真っすぐ10分ほど歩いた
六角ボルト中学校バス停の近くに、ネジ山一合目の標柱が建っていた。ここから山を
巻きながら山頂までは4`。自販機で缶紅茶を買って手さげ袋に入れておく。八時四十五分
ごろの入山となり、昼までには頂上に立てるだろうと思う。若いメーさんやラセンさんは
もっと早いかもしれないが、女性に負けるのはくやしいのでがんばってみよう。十五分
ほどは舗装道路の軽い登りで、ジャリスキー場の「ハッテン公園」の上が二合目とあり、
山頂まで3.3`。なんだ、もう六分の一もきたのかと言うと、ラセンさんが「ここから
ですよ」とクギを刺す。そうか、ここからが本当の登りなのだ。クギやネジのなかに
急勾配の細い道がついている。細かいネジが多く歩きにくい。たちまちピッチが落ち、
ラセンさんはさっさと先へ。朝から体の調子がおかしいともらしていたメーさんは最初
そばにいたのだが、あまりに遅すぎると思ったとみえ、いつのまにか姿が見えなくなった。
(続く)
43 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/16 21:47:27 ID:1jKkT9nS
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ウラトレスのネジの山(3)
いつになっても三合目の標識が現れず、九時半に5分ほど休憩。約10分でネジもさらに
小さなものになった。ずいぶん道が荒れている。九時四十五分、また5分休憩。四合目
標識にも気づかず、十時十分、五合目に達した。あと二`で、一時間二十五分かけて、
ようやく半分登ったわけだ。まだ二時間かかると見積もれば正午をすぎるが、しかた
ないか。10分ほど休んで出発し、十時五十分ごろ杖をついて降りてくる機械化おじいさん
に会った。「三十分ほど前に女性の二人連れに会いましたよ。あと二十分くらいという
ところだったでしょうな。私は何十回となくこの山に登っていますが、しだいに腰が
老朽化してきょうは二時間以上かかってしまいました。来月、新品に取り換えるので記念
ですよ。では、お元気で」おじいさんは、軽やかに降りていく。”女性の二人連れ”が
メーさんとラセンさんだとすれば、もう山頂に着いている計算になるが、まさか・・・。
また10分休んで10分歩き、今度は15分休んで10分歩きと、しだいに休みのほうが長くな
って、七合目に着いたのが十一時半すぎだった。やがて展望が開け、左下に海が見えた
ので10分休憩。下山してくる人が多くなり、あと0.7`の八合目にたどり着いたときには、
もう正午をまわってしまった。十二時半をすぎて出会った熟年氏から正確な情報が得られた。
「お仲間のお二人が山頂でお待ちかねでしたよ。十二時半まで待つとおっしゃってました。
いえいえ、これからが大変で、まだ30分か40分かかるでしょう」なんだって?急に疲れが
出て、もう足が動かないのではないかとがっくりしたが、それでも10分ほど登るとメーさん
とラセンさんが降りてきた。ひどいものだ。確かに遅れすぎたとはいえ、捨てていくことは
ないだろう!「先生、大丈夫ですか。倒れたか落ちたのかと思い、心配していました」
メーさんがへらず口をたたく。「お疲れさまです。いったん降りてきましたが、もう一度、
私が上まで御一緒します」そういう打合せになっていたのかどうか、ラセンさんがやさしい
言葉をかけてくれた。下りかけた山にもう一度登るなど、なかなかできることではない。
(続く)
44 :
名無し野電車区:04/11/18 20:19:23 ID:5U4U6W9p
種寸先生、最近ハアハアしないのですか?
45 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/20 00:02:57 ID:XYo8LqTb
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ウラトレスのネジの山(4)
ラセンさんを初めて会ったときにちょっとキツい人だと思っていたが、きわめて誠実と
言い換えねばなるまい。気をとりなおし、十二時五十五分にラセンさんと出発すると、
少しは元気が出た。九合目をすぎると、いくらでも休んでくださいと声がかかり、10分
休憩。10分歩いて5分休むと岩場にロープがぶら下がっている。この難所を抜け出すと、
山頂らしい空間が開けた。十三時四十分、なんとか登頂。一合目から四時間五十五分かか
った。若い頃にくらべると、やはり足がかなり弱ったらしい。そろそろ機械の体に取り
換える時期なのか。缶紅茶を開けてゆっくり飲むと、変な味がする。思わず吹き出すと、
なんと小さなネジが混じっているではないか。「ぶえーっ、紅茶にまでネジを入れるのか」
と叫んだら、ラセンさんは「あら、勝手に飛び込んだのでしょう。よくあることです」
と平然としている。ネジを避けて紅茶を飲み干し、ラセンさんとハアハアする。イチモツが
ネジなどで傷つけられてはかなわないので、厳重に厚めのゴムでガードした。中田氏が
モットーの僕も、自分のムスコを守るためには仕方なし。時間もないのでいきなり挿入
開始だ。ゴムと金属がすれる音に興奮し、またしまりがよいことでたっぷりと出して
しまった。ラセンさんも生身のイチモツを堪能したようで、ぐったり。しばらく2人で
横になったのち、十四時四十五分、ラセンさんにうながされて下山開始。下りはさすが
に少し速くなり、何度か休んだものの、十六時四十五分に二合目の「ハッテン公園」
へ出た。メーさんが缶ビール片手に赤い顔をしている。缶ビール二本と氷を流し込むと、
人心地がついた。しばらく前に売店を閉めかけたので、たくさん売れるからもうちょっと
待って下さいと、メーさんが頼んでくれたとか。山頂到達は十時四十五分のラセンさんが
二時間でトップなのはともかく、体調不良のメーさんが二時間十五分とはくやしい。
メーさんは頂上に立ったらケロリとなおったそうだ。下りはメーさんが一時間四十分
ほどで、僕の二時間半はやはり遅く、”下りのチャンピオン”も返上せねばならない。
(続く)
46 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/21 18:41:09 ID:ZI839oK0
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ウラトレスのネジの山(5)
やはり登山の無理がきたのか、それからしばらくホテルで寝込む日が続いた。ようやく
5日目に体調が戻り、名物の「ネジ風呂」を試してみようと思う。メーさんとホテルの
フロントに降りると、ラセンさんとの待ち合わせまでしばし休憩。そばには地元ウラドレス
政府発行の「広報ウラドレス」が置いてあり、銀河鉄道の読みは「うらとれす」だけれど、
星名は「うらどれす」と濁っていることが判明する。「広報ウラドレス」によれば銀鉄駅
利用者減少に歯止めをかけようと、先月に「銀鉄ウラトレス駅利用促進協議会」が発足
したとのこと。合わせてボタ山の観光整備と、駅の「スクリューパーク」駅への改称運動を
展開するそうだ。「スクリューパーク」はボタ山を中心に建設される施設で、来年春に
完成予定の自動化旋盤工場とともに観光の目玉に育て、銀鉄の高速列車と星間バスを組み
合わせたウマウマきっぷづくりをめざす。かつて地球では熱い砂をかける「砂むし温泉」が
有名だったが、「ネジむし温泉」はまだ体験したことがない。本来は機械化人間が体にネジ
をかけ、わざとサビを付着させて洗い流し、体の汚れと疲れを取るのが目的とか。ほどなく
ラセンさんが現れ、合流。温泉へはバスの便はなく、ラセンさんがクルマで運んでくれる
ことになった。ホテルを出て温泉に向かう途中、ラセンさんはクルマを自宅前に止め、旋盤
で鉄の材料からネジを切って形を整える行程を見せてくれた。切った糸状のものはクッション
材に、細かい所は粉にして砂鉄にするから、捨てるところがないそうだ。
(続く)
47 :
名無し野電車区:04/11/21 20:38:58 ID:DHJ7I1/Z
よく分からんが、ウラドレスってのどかで良い所みたいですね
>>47 雨の日に外歩くと気持ちいいらしいぞ
なんかこう、一皮剥けるような感じらしい
49 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/23 03:05:13 ID:uryedQCA
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ウラトレスのネジの山(6)
「ウラドレス天然ネジむし温泉」はホテルからクルマで15分ほどのナット海岸にぽつりと
建っていた。”捻子浴料”が銀貨1枚、プロテクターを借りると銅貨1枚ましとなる。プロ
テクターを付けないと生身の体ではケガをするらしく、銀貨銅貨1枚ずつを払って素肌に
まとう。僕たちがこの日一番の客で、着替えをして浜辺へ出たら、スコップを持った機械化
おばさんが待っており、適当な間隔をおいてあお向けに寝そべると、たっぷりネジをかけて
くれた。なるほど、重い。重量100`ほどとかで、たちまち額に汗が吹き出す。両腕はネジ
に埋もれているので、ときどきおばさんが額をぬぐってくれる。波の音を聞き、ボタ山を
見やるうち、体の芯まで溶けるような感じになり、十〇分あまりで開放された。「一番の
客が一番重いんだよ」と、おばさんが笑う。水を浴びて体中についたサビを落とし、浴槽に
飛び込むとコースが終わり、ぐったりする。大型バスで二番手の機械化人間のグループが
到着し、平日でも盛況のようである。しばし、のんびりくつろいでいると「雨になります。
危ないですよ」とラセンさんが板きれをかぶせてくれた。ぽつぽつと雨が降り出すと、
痛いっ!ネジまで一緒に降ってくるではないか。これではたまらないと、建物へ避難。
ラセンさんは傷だらけになりながらも平然としている。大丈夫かと聞くと「皮は脱げばいい
のです」とあっさり。さすがにこんな時には機械の体は便利である。雨が小降りになる頃を
見はからってホテルに帰投、それから999の出発まで読者からの手紙に目を通して返事を書く
作業に没頭した。出発の日は快晴、ラセンさんが見送りにきてくれた。「いつか気がむい
たらまた来て下さい」と、みやげにネジの一式詰め合わせを頂戴した。何か機械を組み立
てる機会もあろうことなので、それまで大事にとっておこう。
(続く)
50 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/23 15:34:45 ID:uryedQCA
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
大酋長サイクロプロス(1)
時刻表によると次の停車駅はゴーストコロニーとなっていて停車時間は二時間二十分と
なっている。しかしメーさん情報によればゴーストタウンでだれも住んでいないという。
「えー、なんと言いましょうか・・停まっても意味がないので通過扱いになりました」
車掌が申し訳なさそうに告げる。これでは、ここまで来た値打ちが半分に薄れるので、
機関車に突撃、気むずかしそうなコンピューターに、ゴーストコロニーの写真を撮りたい
のであるが、スピードを落としていただくわけには参らないだろうかと、おそるおそる
お伺いしてみた。すると、「ジョコウ?イヤ、トマリマス。トマリマスカラマエヘキテテ
クダサイ」との返事。やはり停車するほうが正しいのかもしれない。宇宙列車なのに
開放的な運転台の横から、すばらしい直線で進む前方を眺めていると、前の方で光って
いる惑星が見えてきた。どんどん近づいてくると以外に大きく、またきれいで廃品とは
思えない。列車が駅に停車すると車掌はドア扱いをしなかったが、鉄道管理局からの
連絡でこのコロニーに生命反応があるという。メーさんは興味があるのか、調べてみま
しょうと同意を求める。いたしかたなし、列車を降りることにする。車掌が乗務員用の
ドアを開け、「ほら、ここから降りて好きなだけ調べてください」なんとも寒々とした
駅ではあるが、建物じたいはきれいである。
(続く)
51 :
名無し野電車区:04/11/25 19:23:39 ID:vIYLtPiN
救済age
52 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/25 20:03:20 ID:a1vhbMLp
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
大酋長サイクロプロス(2)
駅舎を出ると、これまた懐かしいたたずまい。メーさんはこんな街ではなかったと不思議
そうな顔をしているが、僕にとっては若い頃に戻ったようで違和感はない。試しに古い
木造アパートに入ってみると、あらうれしや。地球ではもう見ることができない、エロ本
などが散乱している。パラパラとめくって見ていると、「なにかね」とオヤジが顔を
出した。するとまわりの部屋から、同じ顔のオヤジがゾロゾロ出てきてかなり気分が悪く
なってきた。メーさんが「ドクターサイクロプロスそっくりです」という。なんでも
このコロニーを設計した人だそうだが、同じ顔ばかりというのはいかがなものか。大元の
ドクターサイクロプロスを捜しましょうとメーさんが言うので外に出ると、あるアパート
の一室から「わしゃここにいるよ」と声が掛かった。部屋に通されると、中は以外に
進歩的である。何をしているのかと問えば「重大な実験をしている」といってパタンと
倒れてしまった。ひどく疲れているようで、ご愁傷様ではある。メーさんが「先生は先に
列車に帰っていて下さい」というが、外は同じ顔のオヤジが集まっていて困る。すると
ドクター氏が「この人は偉大なレイルウェイライターである。手を出さないように」と
大声で怒鳴った。偉大といわれると、少々照れてしまうがオヤジたちが散っていったので、
部屋を出た。もしや、とこっそりすき間から部屋をのぞくとなんとメーさんが服を
脱いでいるではないか。
(続く)
ハァハァ期待sage
いぬも
あるけば
ルポライター
55 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/27 12:29:10 ID:T01R3RFw
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
大酋長サイクロプロス(3)
「一発抜いてあげますからおとなしくして下さい」とメーさんがいうが、いくらなん
でも服を脱ぐことはないだろう。目の保養とばかり、ドクター氏はニンマリしている。
「あんまり暑いんで脱いだんですよ。いけませんか」「いや、けっこうけっこう」と
ドクター氏はふとんに大の字。あんなオヤジが相手では、メーさんの趣味を疑うところ
だ。メーさんのフェラチオと手コキにもドクター氏のイチモツは歳のせいか、なかなか
勃たなかったが、それでもウーッと唸り逝ったようだ。やれやれ、本番がなかったと
一安心したところで急いで列車にもどる。車掌が出迎えてくれたが、突然地震のような
震動が起きて大変だ。ほどなくメーさんも戻ったが、この星が爆発するという。車掌が
あわてて発車手配を取り、999は発車。メーさんは間に合いますというが一大事である。
なんとか安全圏まで待避できると、コロニーが爆発して四散してしまった。メーさんが
自爆したのでしょうというが、まさしく昇天である。また、ドクター氏の日記を渡され
たが、僕にとって人の日記というものは意味がないものなので、窓を開けて一気に捨てて
しまった。本番がなかったとはいえ、メーさんに性欲処理をしてもらったドクター氏に
嫉妬を感じたところである。
(続く)
種寸先生、いつも先生の作品を拝読させていただいております。
最近では会社帰りに更新をチェックするのが
日課となってしまいましたが、
毎日小出しにされる寸止め感がたまりません。
これから先も長いでしょうけれども、
特に道半ばにして精力が尽きることのないよう、
お体に気をつけて旅を続けてください。
57 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/27 22:12:49 ID:T01R3RFw
>>56クン、励ましありがとうございます。
今のところ僕のイチモツも元気な感じですが、やや精力が減退しているのが
気にかかります。メーさんとのハアハアまではなんとか持たせてやりたいとの
想いがある反面、次々に現れる新たな女性に新鮮さを感じるのも事実で、
ハアハアは止められません。
>>56クンもお体には気をつけて、今後ともよろしく。。
58 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/27 22:15:04 ID:T01R3RFw
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ミーくんの命の館(1)
999号はなぜかこの辺り、淋しい感じの所を走る。「あら先生、ブラインドをおろさ
ないんですか」とメーさんに聞かれるが、外の景色を見なければ汽車旅とはいえない。
「次の停車駅は「ミーくんの命の館」停車時間は三十八時間と十五秒」と車掌が告げて
走り去る。変わった名の駅だと思うが、前に見えてきた星もいっぷう変わった感じで
はある。列車は汽笛も鳴らさず、ずいぶん静かに降りオモチャのような駅に到着する。
積木細工のような駅舎があるが、ぞっとしない。かつての銀河鉄道の駅舎は、堂々として
いて風格があり。このようなけばけばしいのは、いかがなものか。ホームに降りると、
列車へ向かって敬礼している駅員のそばに、白いTシャツにミニスカート姿の若い女性が
立っている。海苔助が「すっきりしたええ娘やから、センセに貢いでもよろしか?」と
事前に打診してきた人だろう。もごもごと自己紹介した女性はなかなか雰囲気がある。
海苔助とはヘビーメルダーで知りあったクオーターで、射手座のオメガ星雲出身のもと
スピードトラックの選手とのこと。海苔助の”浮気相手”というわけでもなさそうだが、
とかく詮索はやめておく。近年の取材の旅で女性参加者はカメラのメーさんを含めて
非常に多く、僕のイチモツも休まることがない。オカマヤーのマドンナは銀河鉄道の
ウェイトレスとして飛び立ち、また会うこともあるだろうから、ヘビーメルダーの人を
新たなマドンナ、ニューマドンナと呼んでおく。
(続く)
59 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/28 14:19:02 ID:6Zxc6Z/4
>>59 種寸先生、これで読めなかった話を楽しむことができます。
サイトの充実と新作執筆、両方は大変かも知れませんが
よろしくお頼み申し上げます。
なあに、当方待つのはなんでもありません。
"退屈"に勝てないようでは999の旅は楽しめませんからネ
61 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/29 21:25:17 ID:LVRYBRFE
>>60クンありがとう。気長にお待ち下さい。バックナンバサイトを更新して
おきました。
62 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/11/29 21:27:32 ID:LVRYBRFE
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ミーくんの命の館(2)
まだ十四時半だが、明日はこの惑星の目玉である動物観光車「はしるん」に乗りたい
から、駅で予約しておいた。さて銀河鉄道指定「ホテルアニマルパレス」は四人部屋
が税・サービス料込み、朝食つき金貨3枚、つまり一人銀貨4枚という安さ。ニュー
マドンナとメーさんに予約したツインの部屋をゆずり、僕は新たにシングルを予約
しようとしたら、リゾートなので一人部屋はなく、ツインが金貨2枚で一人でも同額
だった。いずれにしても安いので、地球の「メガロポリスグランドホテル」を思い
浮かべ、いかなるホテルなのか気になる。ホテルまではそれほど遠くないとのことで、
三人で歩く。駅から国道沿いの道ばたには「XXペットショップ」「△△Zoo」が
目白押しで、動物関係の建物ばかり。しかしながら暑からず、寒からず、気持ちの
よい所だ。メーさんは「ここは宇宙で一番気持ちがよくて住みやすい所です」と絶賛
するが、少し表現がオーバーである。おおよそ徒歩10分で「ホテルアニマルパレス」に
到着、駅と同じく積木のような子供っぽい外観をしたホテルだった。ペット業者や
団体客で活気があり、今までとは違う。四人部屋やツインベッドに畳を組み合わせ、
ゆったりとしたソファを配した立派な部屋で、日が高いうちからマドンナも加わって
酒盛りを始めても充分な余裕があった。初参加のマドンナに、999の旅がこれほど
リッチなものと思われては困るが、すべてなりゆきとめぐり合わせである。
(続く)
63 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/01 19:57:49 ID:OfcaIIbs
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ミーくんの命の館(3)
メーさんがルームサービスをと、フロントに電話するがお断りされたとの由。何か買って
くれば・・というが、それならレストランにに出向けばよし。3人で部屋を出てみるが
どこまで行っても同じ様な内装に案内がなく、困ったことである。まあうろつけば、その
うちどこかに行き当たるだろう。と、行き当たりの廊下に巨大なトラやヘビがうろついて
いるではないか。「ギャー」と叫んで追っかけてくるので、あわてて逃げようとしたら
メーさんが「大丈夫ですよ」と手なずけてみせた。やれやれ。やっとの思いで3階にある
レストランに到着、ウェイトレス嬢に案内された一角でラム酒の高級品をあけ、マドンナ
歓迎の宴とした。ニューマドンナの飲みっぷりはなかなかのもので、たのもしい。皆で
したたかに痛飲し、どのように部屋まで帰ったか記憶になく、気がついたらベッドに大の字
になっていた。もう朝である。洗顔をすませ、昨日のレストランで朝食。ウェイトレス嬢
に「昨晩はえらくご機嫌でしたね」と冷やかされ恐縮する。メーさん、マドンナともども
チェックアウトを済ませ、九時発を予約した「はしるん」乗車場の前で二十分ほどぶらぶら。
ここも宇宙の片田舎とは思えない人出で、パンフレットの「要予約」にしたがってよかった。
ふらふらときた人は一時間後の便にしか乗れない。乗車場には巨大なトリさんのような
「はしるん」のイラストが掲げてあったが、乗車場で待っていたのは普通の観光バス
「うるめ」。このバスに二十分ほど乗ってアニマルパーク入り口の中継所へ運ばれ、園内
周遊車「はしるん」に乗り移る仕組みだった。
64 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/02 21:19:39 ID:eN2kOUum
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ミーくんの命の館(4)
密閉型トロッコ列車のような「はしるん」は約50人を乗せて九時半ごろから周遊開始。
ガイド嬢の説明を聞きながら、まず肉食動物地域、ついで草食動物地域に静止し、丸い
窓からトラやライオンをはじめ、キリンやサイなど色々な動物を眺めた。大騒動もなく、
のんびりしている動物たちを見なければ普通の観光地の世界にいるのと変わらない。
正直いって「ココロの準備はできたかな?さあ、神秘と感動の世界へ出発進行!」と
パンフレットがうたうほどの感激はなかった。しかし、これからが本番なのである。
駅で予約したときも「お客さん、オプションはいかがします?」と駅員がニヤリと僕に
問いかけてきた。もちろんピンときたので申し込んでおいたのである。三十分あまりで
一周し、十時ごろ中継所へ戻ると、「うるめ」で送られてきた次のグループと入れ替わり
になりうまくできている。さて僕たちは「オプションツアーの方!」と係員に誘導され、
落ちつく先は薄暗い建物の地下で、風俗船で見たのと同じ趣向の”女王様とM女のプレイ”
の見物となった。痛いものには弱いはずのマドンナも怖いもの見たさに入場。女王様が
突然客席めがけてムチを振りまわしたものだから、マドンナはキャ〜と一声。震えながら
抱きついてもらう栄に浴する。エスコート役のメーさんは最前列に陣取ってプレイを研究
していたから、さいわい見られずにすんだ。プレイの結果はM女の失神。M女はいくら
でもいるので失神するまで攻められるらしい。性欲の素と宣伝していた品質保証の「肝
入りスッポンドリンク」を買ってみて試してみると、ムクムクとイチモツが勃起、さらに
顔がほてってくるではないか。さっそくマドンナをトイレに連れ込みハアハアする。
(続く)
65 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/04 21:01:48 ID:63tojgr9
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ミーくんの命の館(5)
マドンナに壁に手をつかせてバックから挿入。後ろからという体位もここ動物の国に
ふさわしいではないか。「あん・・先生の・・大きいです」なかなか艶っぽい喘ぎ
で僕のイチモツも大いに刺激される。充分なしめり気で激しくピストンすると、マドンナ
のひざがガクガク震え、たまらない。「逝くよ!」「逝くっ・・逝くう」というマドンナ
の声を聞きながら一番奥まで突っ込んでたっぷり放出。十分に余韻を楽しんでイチモツを
引き抜いた。グッタリしたマドンナを便器に座らせると、マドンナはお口で僕のイチモツ
をキレイにしてくれる。サービス精神旺盛で僕のお気に入りになりそうだ。2人でトイレの
外に出るとメーさんが待っていて、「先生、歳の差を考えてください」と苦言を呈されて
しまった。そうは言われてもハアハアは僕のライフワークだし、マドンナのような娘を前に、
据え膳食わぬのはなんとやらである。さてホテル方向へ帰るバスを待つあいだ、園内の
なんでも屋でパンなどをつまんだのだが、マドンナのような生身の若い娘は珍しいらしく、
店のおじさんたちの大歓迎を受けた。おれのもしゃぶれ、これも飲めと、正体不明のお薬
などをたくさんすすめられたマドンナは、興味津々の顔つきでおじさんたちとハアハアを始める。
淫乱なのがマドンナのいいところだ。メーさんは身の危険を感じたのか、どこかに消えて
しまった。
(続く)
66 :
名無し野電車区:04/12/06 01:27:28 ID:nP8K1vJU
もっとハアハア期待age
67 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/07 21:22:57 ID:hRAKHC9u
銀河鉄道のサービス拝見・銀河を駈ける999号
ミーくんの命の館(6)
たっぷりと乱交を楽しんでいると、いつのまにか戻ってきたメーさんが「バスだ!」と
叫んだ。帰りのバスは10分早発であやうく行き過ぎるところだったのにも驚かなくなった。
観光バス「うるめ」は駅へは入らず、999の客だと言ったら駅近くのバイパスで便宜停車
してくれた。子供が絵に書くような駅まで歩いて5分。発車まで10時間以上あるので
駅2階の食堂街で、マムシ汁やキリン鍋などを味わう。なにごとにも興味津々のマドンナは、
いくつもの皿に箸をつけながら「いつもの旅とは全然違って、おもしろかった。またきた
くなりそう」とつぶやいた。僕としても大歓迎で、またアンドロメダまでの間に参加して
くれることだろう。駅前の飲み屋が開くのを待って席を立ち、また痛飲。ここでメーさん
がカメラを忘れたようで、他人ごとではない。そろそろ要注意であるが、カメラマンが
カメラを忘れるとは冗談にもならない。また店を代えましょうと酔った勢いでマドンナに
誘われ、生まれて初めて同伴喫茶に入った。宇宙の離島でもゲーセン、ドーハンは大繁盛
である。メーさんは先に行きますと、駅に向かったが駅のコンコースで、エメラルダスと
出会い、労をねぎらったとか。同伴喫茶でもたっぷりとマドンナの肉体を堪能し、そろ
そろ発車時刻となり、店を出た。改札でまたまたあきれ顔のメーさんと合流、マドンナが
見送ってくれて999号は定刻に発車した。
(続く)
68 :
56:04/12/07 21:42:32 ID:7fTFE6Av
種寸先生こんにちは。
先日は下の健康にお気をつけて、とコメントいたしましたが、
やれやれ、私の心配はまったく杞憂だったようですね。
下のほうも、胃袋もまったくお元気なようで安心しました。
ところで先生、999号が停車する各駅の近くには
郵便局はないのでしょうか?
先生の旅貯や風景印に対する蘊蓄もぜひお聞かせ
いただければと思います。
これからも先生のご多幸をお祈りしております。
69 :
名無し野電車区:04/12/08 22:56:04 ID:YlGh/2le
お身体に気を付けて下さい
次回作に期待しております
70 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/09 19:17:27 ID:Jq5HIB6/
>>56クン、
>>69クンどうもありがとう。
マドンナのような若い娘が旅に参加してくれると、元気が出ます。
ところで銀河郵便局は各駅にはありませんが、大きな駅にはたいていあります。
全部を紹介するのは難しいですが、なるべくルポしたいと思います。
また、今回からは少し999から離れて333号のルポを載せることにします。
71 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/09 19:28:52 ID:Jq5HIB6/
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
カペラへの旅立ち(1)
カペラの歓楽街、ハアハアシティだよりは12月初めから「可」「一部可」がふえてきた。
下り333号のルポをするなら、姫初めを楽しむ男達でにぎわうにちがいない年末の
夜にかぎると、取材を心待ちにしていたのだ。銀鉄トラベルサービストレーダー支店
に勤務する10年来の読者−タヌキが同行志願、泊り明けと公休を利用してやってきた
ので、23時すぎのメガロポリス駅へいっしょに出かける。銀鉄労使が姿勢を正す一環
として職員・関係者用全線無料パスの精勤乗車証が今月から廃止になり、タヌキは
学割なみの7割引のキップを買ってきた。僕は自分のホームページで「いまの銀河
鉄道が正せること」でも書いたとおり、銀鉄職員・関係者が乗車証で銀鉄の列車に
乗ること自体は正当だと考えているが、自分でキップを買ってみることは大いに
結構で、窓口サービスなどにもよい影響が現れるだろう。カペラで姫始めを楽しん
だら、内銀河環状線でマザービーナスへまわる予定なので地球本社エリア発行の
「銀河グランド周遊券」を買い、メガロポリス駅中央コンコースに立つと年末と
いうのにメガロポリス独特のざわめきが感じられない。ずいぶんさみしいなと改札
口上の列車案内板を見れば、なんと列車が4本しかない。ピンクの文字で「23時51分
発〈333号〉」が75番線、黄色で「23時16分発冥王星ゆき」が41番線、グリーンの
「23時29分発タイタンゆき」43番線、ブルーの「23時47分ルナ東ゆき」が26番線−
これですべて。時計を見ると23時2分。もちろんほかに銀電が各方面へ走っているが、
この時間にメガロポリス発の宇宙列車が4本だけ、優等列車は〈333号〉1本とは驚いた。
表示方法が変わって発車まぎわの列車だけにしぼったのかと思ったほどだが、落ち
着いて考えてみれば、10月改正の長距離列車大削減の結果なのだった。
(続く)
72 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/10 23:01:33 ID:B4bbrBSt
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
カペラへの旅立ち(2)
ダイヤ改正までは、この時間帯以後にメガロポリスを発車していたオリオン大環状線
オルオディア547号、ベガラス369号、エメロード181号がバッサリ切られ、生き残った
行先不明プレアデス725号も運休中。臨時列車はまったく走っていない時期だから、
たしかに4本しか列車がないのだ。これらの列車に乗っていた人たちは、銀河高速幹線
に移ったのか、発車時刻の早い列車にしたのだろうか。なかには銀鉄利用をやめた
層もいるにちがいない。銀鉄の現状をきびしくみつめればやむをえない合理化改正
だが、情としてはさびしい。高架75番線ホームに上がるとかなりの男性がホームに
列をつくっていたのは予想どおりで、ようやく長距離列車の発車を待つ駅らしい雰囲気
になった。カメラのメーさんと合流。以前の111号ルポとベガまで同じ経路をたどる
列車だし、なるべく重複を避けようと打合せをする。仮眠の前のオナーニ用のエロ本を
買っておこうと、あらためてホームを見渡すとすでに売店はしまり、メガロポリス駅
名物のようなワゴンを押した機械化人もいない。エロ本どころかティッシュのスペア
さえ買えず、タヌキに買出しをたのむ。10分ほどしてもどってきたタヌキの
報告−「全然なんにもありませんよ。下の自動化売店もみんな店じまいしていて、
ワゴンも見えません。生身の人間が減ったので商売もやめたようです。5回もぐるぐる
まわって、改札の外へも出てみましたが、同じことです。機械化人用のメンテゴムと
オイルの販売機はあるけれど、生身の人間用はいっさいない。どうしましょう」どう
しましょうと言われても、どうしようもない。車内販売にわずかな望みをたくすだけ
だが、”エサなし”列車が増えている現状では、見通しはくらい。今後、333号などの
23時台の列車にメガロポリス駅から乗るときは、飲みものと夜食の用意が必要だ。
もっとも臨時列車がいっせいに走れば、自動化売店も臨時営業するかもしれない。
(続く)
73 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/11 19:38:30 ID:xyoOGWO1
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
カペラへの旅立ち(3)
前寄り9〜14号車の自由席を待つ列はどんどんのびて、席がなくなったら大変だと、
タヌキは10号車の列につく。入線時刻は23時22分と時刻表に記されており、まだ
時間はありそうだが、15分ごろから「まもなく入線します」と案内放送が繰り返され、
そのたびに列がジリジリと前へつまる。「自由席をお待ちのお客さまは、性欲処理を
してから御乗車ください。バイブなど道具をお持ちの方は、車内でハアハアをするさいに
他のお客さまのご迷惑とならないよう、十分御注意ください」ハアハアの注意が自由席の
利用者に向けられるのはおもしろい。たしかに寝台券を持っている人は、個室内で
ハアハアするだろうし、車内をよごす確率が小さいわけだ。車内で他人への迷惑を注意
する呼びかけはあたりまえすぎるけれど、333号へのいたわりなのか、自動放送の
設定だろうか。きれいなグリーンのボディーを輝かせて、314系M寝台車4両と座席車
10両の333号がEF62形55号機に押されて、ゆっくり入ってきた。乗りなれてきた333号
とは別の列車のようである。後部のLEDには赤字で「 急行[Express] 」とだけ書いて
ある。ボディーの表示はなぜか寝台車が「急行333」、座席車は愛称抜きで「急行」
と使い分けている。列車が停まりドアが開くと、ホームの列が少しずつ動き出したが、
出入口が狭いのに大柄な機械化人のお客が多いので、なかなか乗れない。それでも
列が乱れず、後ろから押す人がいないので、安心して見ていられる。列の長さから
判断して、後ろのほうの人たちも、ちょうど坐れるくらいの人数と安心しているの
かもしれない。
(続く)
74 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/13 19:27:53 ID:KlIIb/KO
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
カペラへの旅立ち(4)
メーさんと僕は4号車219・220番個室のM寝台券を持っているので、ひとまず部屋を
確認した。指定席5号車のすぐ隣で5号車寄りのデッキから入り、ドアを開けたとこ
ろが219・220番、そのつぎの区画で上下2階建てになっている。もう他の個室には
先客がいて、はやばやとドアとカーテンがしまったところもある。M個室寝台車は、
ほぼ満席の感じ。314系は最近新製されたばかりの新鋭車なので、個室スペースは
広く、これまで333号につながれていた旧999号用の雑形解放式に比べれば居住性は
格段によい。液晶テレビ、冷蔵庫は見あたらないが、シーツも毛布、枕といっしょに
片隅にそなえてあった。バッグをベッドの上に置き、もう一度、座席車よりのホーム
へ戻ってみると、勤め帰りらしいお客が三々五々とかけつけ、坐るのはあきらめて
デッキを埋めていく。カペラ高速線の最終列車なのだし、普通定期券では乗れないが、
宇宙ロケットをチャーターするよりははるかに安くて速い。22時44分発のフリード
行き、23時47分発のルナ東行きに乗りそびれた旅行者の救済列車の使命もあるよう
だ。発車ベルがプルプル鳴り出しても、エスカレーターを駆け登ってくる人たちが
たえず、発車は日付が変わった0時02分と、定刻より11分遅れた。なにかの接続待ち
だったのかもしれないが、時間厳守をモットーとする銀河鉄道なのだからこの辺は
厳しく願いたい。
(続く)
75 :
56:04/12/13 23:06:41 ID:rUWeFbUU
種寸先生こんにちは。
僕がメガロポリスに行ったのは1年ぐらい前だったと
思うのですが、その頃には先生がお見えになられた
時間帯ですと、普通に売店も開いていてそこそこ
賑わっていたと思うのですが、今ではすっかり
様子が変わってしまったようですね。
その時は333号が発車するメガロポリスの
75番ホームでは期間限定の「チョコボール弁当」
という駅弁が機械化人が売り子のワゴンに
並んでいましたが、今では無くなってしまったのでしょうか。
古風溢れる駅弁売りが手にする木箱を模した弁当箱に
いくつかの小鉢が並んでいる洒落た作りで、
この弁当のウリは濃厚なホワイトクリーシチュー
なんですが、普通のシーフードと違いマツタケとアワビが
添えられていています。何か不思議な取り合わせですが、
これが口の中では見事なまでに美味しく仕上がっていました。
種寸先生もいちどご賞味いただければと思い、掲示板に
書き込みいたしました。
参考にしていただければ幸いです。
俺が見たのはアワビじゃなくって赤貝だったよ。
イカソースが絶品。
僕が購入した時は、おやつのバナナが入っていますた。
78 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/14 22:10:32 ID:bfm9Ugey
>>75,
>>76,
>>77 おやおや、そんなお弁当があったのですか。それは残念ですね。こんどメガロポリス
駅に行くときには早めに行って捜す事にします。ただ、生臭いホワイトソースや
マツタケ、バナナといった棒系のものは僕としては苦手なのでメーさんに試食を
お願いしたいとおもっています。ちなみに僕のお気に入りはオリオン駅の季節限定
「イカ・メン・サイダー」という珍しいものです。
79 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/14 22:33:48 ID:bfm9Ugey
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
太陽系近郊を往く(1)
「皆さんこんばんわ。この列車は・・」先頭14号車の前寄りデッキにかたまっている
数人にゆずってもらい通路にはいると、ソフトな調子の自動放送が流れ、ベガまで
放送は中断と結ばれた。てっきり1日以上停車のフリードで”おはよう放送”だろう
と思ったのに、下車客が少ないので見合わせるのか。僕の見当では、フリードで
三分の一くらい下車するはずだが−−14号車では発車直後から車掌がまわり、「乗車券、
急行券、お持ちでない方」に車内券を売っている。車内改札ではないのだが、真っ茶色
のカイゼルひげをふさふささせ、制服のよく似合う車掌に気おされたように、あち
こちから手が伸びて、なかなか進まない。急行券を買う人がもっとも多く、乗車駅証明
書や普通定期しかないケースも少なくない。近郊の飛び込み客が定期だけなのはわかる
が、トップモードのブランド服に身を包んだ女性グループが乗車駅証明書だけという
のは、どんな神経なのだろう。よく見れば、ひとつふたつの空席−というか、背ずりを
回して3人グループで4席を占めているところ、のうのうと2人分に横になり眠ってしま
った人もあるものの、声をかけてまで坐ろうとしない立ち客は、ルナ東までの利用者と
見た。最初から座席を敬遠して床に寝ているのは、昔ながらのオナーニスタイル。座席より
も床のほうが楽だし寝台車なんてもったいなくてという若者が結構いるのだ。床で
オナーニするのは自由といえば自由だが、ハアハアいっている横を通り過ぎるのはむずかしい。
足の踏み場をさがしながら14号車から通り抜けていくと、各車のあいだのデッキから
洗面所もいっぱい。ひと目で近郊客とわかる。
(続く)
80 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/14 22:37:35 ID:bfm9Ugey
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
太陽系近郊を往く(2)
タヌキは10号車の中ほどに坐っていたので、しばらく雑談。すぐ横のグループが座席
を転換させ、集団でハアハアしはじめたので目のやり場に困るという。グループ客が多い
ので4人ボックス席にしてハアハアする区画が目立つのだ。314系は出入口ちかくに大型携帯
品置場があるが、そこも何人かのハアハア客で埋まっている。雑客車時代のハアハア客はトイレ
か洗面所でハアハアするのが一般的だったが、今はみな客室内でハアハアしている。トイレ
では揺れて転んでは大変なのでこのほうが安全だが、洗面所を敬遠するのは不思議だ。
ハアハアが終わってもすぐに手を洗えるし、シケ込む感じがまたいいと思っていたが、ハアハア
も着衣志向が増えたため、よごれては大変と思うのかもしれない。0時33分、遅れを
取りもどしてルナ東着。ホーム反対側に3つドア111系のタイタンゆきが停まっており、
超満員でドアがしまらない。あとで時刻表を見ると銀河中央線の近郊列車は0時08分発
の火星行きが最終のはずだし、やはりメガロポリスの接続待ちで大幅に遅れたのだろう。
「地球はまったく人が多いですね。夜11時すぎの銀電や空鉄に、どうしてあれだけ人が
乗るのか気持ちが悪いですわ。トレーダーも大都市だと思うけど全然違います。それと、
どうして機械化人は長距離列車に無札で乗るんですか。生身の人間は死ぬと腐るし始末
が悪いとか、いろいろ評判は悪いですけど、急行券はともかく乗車券くらいはちゃんと
買って乗りますよ」車掌がやっと10号車へ入ってきたのを見て、タヌキが首をかしげた。
無札の乗込み率が生身の人間より機械化人が高いとの説は初耳だけれど、事実かもしれ
ない。やたらに性能が高すぎるわりに窓口や券売機が不十分で、なんとなく適当なキッ
プで乗る習慣がつき、改札口でも対応できないまま、あたりまえのようになってしまっ
たのだろう。しかし超特急999号ではキップを持たない客などは、緊急避難の場合以外
は犯罪として公安官を呼ばれてしまうし、車掌の指示に逆らえば車外に放り出される
こともあるのだ。
(続く)
81 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/16 20:19:56 ID:W5VsXoTo
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
太陽系近郊を往く(3)
1時ちかくなったので、M寝台車の4号車のほうへ歩く。ルナ東でデッキの立ち客が少し
減ったていどで、自由席はあい変わらず120%以上の乗車率。旧型時代も333号の自由席
は10両だったが、ベガラス369号がなくなったうえ、同じ10両でも1両あたりの座席定員
が3割は減っており、ハアハアシーズンが始まったか始まらないかの週末でこんな状態では、
ピーク時になると乗り切れないのでは・・と気になる。明後日からは旧型車の〈カペラ
491号〉、〈マゼラン651号〉なども走り出すから、メガロポリス駅では分散誘導が必要
だ。333号といえば12年も前、旧型車で同じ列車名を名乗っていたM寝台でベガへ出か
けた夜を思い出す。まだ銀河鉄道の混雑が続いていたころで、発車まぎわにメガロ
ポリス駅へ行くと、寝台車のデッキから通路にまで立ち客がいてベッドへたどりつけ
ない。ホームの公安官にたのんでトランクと食料を窓から入れてもらうことにし、身体
だけやっと中へ入った。ほどなく駅員と公安官が寝台車へ入っていた立ち客の整理を
行ない、銃で威嚇しながらひとり残らずデッキまで押し出した。そのときの車内放送が、
「寝台車の通路に寝台券なしでお立ちになると犯罪です。見つけ次第射殺いたします
ので、左様ご承知ください」物騒な放送に車内の空気が凍りついたが、冗談ではなく
実話だった。そのしばらく前、M寝台車にお客の立ちすぎた333号で公安官と乗客の
銃撃戦で多数が死傷し、発車できなくなる事件があった。あんな混雑も今は昔−−
車掌に、314系ではハアハア客輸送に無理なのじゃないですかと水を向けたら、”カイゼル”
氏は「そうだね。もともと314系は臨時の特急あたりに使う車なんで、”ハアハア”用じゃ
ないから」もう一人は「いや、混むといっても週末だけだし、なんとか・・」と。
”ハアハア”用というのは言葉を変えれば、多客時に立ち客も楽しめる列車の意味である。
”カイゼル”氏はひげをなでながら「銀鉄が一番」と締めくくった。
(続く)
82 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/17 20:14:40 ID:eVv2leKQ
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
太陽系近郊を往く(4)
5号車のデッキで、発車後はじめてメーさんに会った。ナンパが多すぎて仕事にならず、
5号車の通路の腰掛けには変な男が坐っていて出入りするたびにイチモツを見せつけて
困るという。のぞいてみると、なるほど、下半身を露出させたままの中年男が219・220
番個室の前あたりに坐っている。フリードまでの立客がまぎれ込んでいるのだろうと
推測したら、そのとおり。フリード恒星系に進入するころ、ズボンをはいてデッキへ
出てきた。フリードの惑星進入線を前に5回も信号待ちで止められ−惑星上空のオゾン
ホールがじゃまをしているとの車掌の話−1日と8時間26分停車のはずのフリードは20分
遅れ。寝台車侵入客に続いてホームへ降りると、自由席からかなりの下車。1時22分と
深夜に帰ってきても、普通の人間なら”うたた寝”するだけで家を出ねばならないの
じゃないか。メガロポリスで深夜映画でも見ていたほうが効率的ではと思ってから、
機械化人間は睡眠時間があまり必要でないことに気がついた。家でエネルギーの補給
とメンテナンスカプセルでぐっすり眠るのだろう。うれしかったのは、4号車ちかくの
階段下にエロ本とならんでオナーニホールの自動販売機を発見!昨夜も遅くまで仕事をして
いてハアハアできなかったし、ベガではタヌキとハアハアしたいから、もう我慢できない。エロ
本が無修正でないのは残念だが、ともかく一発抜いて、せっかくのベッドで仮眠するに
かぎる。
(続く)
83 :
名無し野電車区:04/12/19 10:35:46 ID:XywuTO+Y
保守
84 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/20 21:17:10 ID:CilTo9a6
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
トランク盗難事件発生(1)
背をかがめて219番個室へ戻ると、メーさんが顔を見るなり「私のトランクを見ません
か」と浮かぬ顔をしている。220番個室の隅にセカンドバッグをかさねて置いた写真
機材入りのトランクが見あたらないという。メーさんがいつものトランクを持って
メガロポリス駅へ現われたのは記憶にあるが、重そうなものだし、必要なカメラ以外は、
あちこち持ち歩くこともあるだろう。ひとまず車掌にたずねてみると、メーさんはあわ
ただしく通路へ消えた。僕のバッグはベッドの上だし、メーさんのもセカンドバッグは
あるのだという。真夜中だし、眠っている人に聞くわけにもゆかず、トランク探しは
メーさんにまかせて横になった。寝つかれないのか、他の個室から「この列車には
AVの貸し出しかなんかありませんか」といいながら若い男が出てきて、通路で服を
脱ぎはじめた。メーさんがいないのをいいことに、220番個室の前の補助いすに腰を
おろしてオナーニを始める。時間といい場所といい非常識としか言いようがないけれど、
悪びれたところはなく、トランク”消失”事件とはかかわりなさそうだ。「僕のイチ
モツ、さわってくれませんか」などと大声で話しかけるのがわずらわしく、ドアをピッ
タリ閉じてオナーニを始めた。頭のどこかでトランクの消失が気になって、なかなか勃た
ない。サイドリバー信号場に停まり、ガクンと揺れて補機がつき、ゆっくりと次元
断層の谷を登り、オメガライト駅に停まり、また動いたところまでやっと逝けた。その
間にメーさんと車掌の声がして、トランクを置いた状態のやりとり。オナーニ中の兄さんの
「さっき、自分が持って行ったのじゃないの」と言う無責任な声が聞こえ、メーさんと
車掌の声は「念のため一度、車内をずっと見てみましょう」と自由席の方角へ遠ざかっ
ていった・・
(続く)
85 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/21 22:41:30 ID:HIbNJzt4
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
ベガ到着(1)
「ベガに着きましたよ」−タヌキの声だ。横になってしまえば目がさめそうにないし、
座席にいるタヌキならベガで大勢おりるからイヤでも気がつくだろうと起こし役を
たのんでおいたのだ。正味2時間ほどしか眠っておらず、これなら座席でもよかった
と思ったがあとのまつり。ホームへ出ると、さすがに寒さがきびしい。真っ暗な
6時前なのに「暖かいできたてのお弁当ですよ」と駅弁屋が2人声をあげ、どんどん
売れる。昔から気に入っている味噌汁も健在だったが、買ってみるとなんと合成
味噌を使用とかで、まずくなった。シメジのようなおいしいきのこも、原材料不明の
合成品に変わっておりガッカリだ。天然物は手に入りにくいのかもしれないが、
せっかくの早朝営業なのだし、少々値段が上がっても天然物を使ってもらわねば
困る。銀河急行333号はベガから快速3333号と列車名を変えてカペラゆきになる。
停車時間がなんと15日と19時間30分もあるので、降りる人たちはあわてない。寝台車
から、自由席車から、つぎつぎ身づくろいした人たちが出てきて改札口へ向かう。
改札内の精算窓口の列も切れないので、前夜車掌に申告しなかった乗越し客も多い
ようだ。案のじょう、自由席のほぼ半数が下車し、穴があいたように空席ができた。
もっとも長い停車時間でこれからゆっくり降りる人たちもいるのだろう。僕たち
も待合室で弁当をたいらげたあと、駅にほどちかいホテルにチェックインした。
(続く)
>>71-74 元ネタなんだっけ?
読んだ記憶はあるんだけど思い出せない。。。
> 落ち着いて考えてみれば、10月改正の長距離列車大削減の結果なのだった。
のところだけ妙に覚えてるんだけど。
>>87 昭和57年11月改正で14系化された急行妙高のルポの由。
88 :
名無し野電車区:04/12/23 23:06:19 ID:WXjAPGkX
救済age
89 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/23 23:10:31 ID:8DfWTyct
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
急行から快速へ(1)
さっそくタヌキとハアハア、と思ったらメーさんがトランクを捜すのに、タヌキを助手と
して連れ出すという。なんということだ、せっかくのもくろみは泡と消えた。二週間
以上の停車時間を「種寸直樹の機械化相談室」読者への返事を書くのにあて、毎日
電子メールと格闘する。メーさんとタヌキはその間、一度も僕と顔を合わさなかった。
さて、ベガ出発当日。7時ちょうど、向こう側のホームにオリオンからの急行555号が
着いた。555号の編成も2週間以上停まってから、ベガ7時30分発カペラ方面ゆき二番
列車として、やはり快速になる。カペラ方面へ行くなら、ベガでこちらに乗り換えれ
ば2週間以上も早く着くし、相当数が跨線橋を渡ってくるだろうと待ち受けたが、
今度のカンは外れた。乗換えどころか下車する人も数えるほど。もともと、きわめて
すいていたのだ。二十数年前のオリオン時代、何度も自由席や寝台で南カペラの
ハアハア宿に通い、カペラ地方鉄道のデネボラゆき始発を利用したころの555号は、
ハアハアシーズンの週末はいつも満員だった。これほどまでに”銀鉄ばなれ”と
ビックリすると同時に、333号が満席だっただけに、ダイヤの使いやすさと車両
格差を見せつけられたのだ。到着時と同じ立ち売り氏からまた、味噌汁を買う。
メーさんもまずい味噌汁を飲みながら、やはりトランクはなかったという。これで
盗難ときまったようなものだ。なんとなくうさんくさいのはフリードちかくまで
寝台車に侵入していた露出男だけれど、あの人が手ぶらだったのは間違いないし、
フリードでそれらしきものを持ち出した客はいなかったようだ。となると、僕が
座席車へ行き。メーさんも客室内を撮影していた間に何者かが寝台車からトランク
を持ち出し、オメガライトあたりで降りた可能性が強くなる。メーさんのセカンド
バッグ、僕のバッグともに無事だったのは、最初からトランクがめあての仕わざ
だろう。これまで身ぢかに寝台車内の置引きなど体験したことがなかったし、
きわめて不愉快だ。
(続く)
90 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/25 21:00:34 ID:30x69B+i
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
急行から快速へ(2)
買いたてのデジタルカメラと交換レンズを何本も、そしてメガロポリス駅で撮影
ずみのデータが入ったフラッシュメモリまで持ち去られたメーさんは不愉快どころ
ではないだろうが、怒りを表に現さないのには感心する。それにもまして手持ちの
カメラのほか、最小限のバッテリなどはセカンドバッグに入れてあり、ともかく
カペラまでの取材はこなせるのだから、さすがはプロカメラマンである。もっとも
僕自身、メーさんのトランクの中をくわしく見たことはない。中を見て後悔し、
自殺した機械化人もいたようだが・・・7時32分、快速3333号となってベガを発車。
普通車のボディーの「急行」の幕は白くなったが、寝台車の「急行333号」はその
まま。寝台車の4両は出入りできませんよという注意がわりだろう。お尻の赤字
「急行」まで消えていないのは、ちょっとおかしい。ここでもう一度横になっては
また眠ってしまうので、余裕のできた座席車へ移る。タヌキはウトウトしていた。
地球方面からの残りのお客の大半が降りるはずのカペラ星系エルリア小惑星までは、
なんとしても目を開けて333号の名残を見とどけなければならない。ベガから朝の
早い地元のカプールが何人か乗り、1号車前よりには銀河郵便局鉄道チームが便乗した。
555号から継送された郵便物といっしょにカペラへ向かうのだ。小惑星帯の中心
エドン駅で30人ほど男団体が降りた。ここからロケットバス15分ほどでエドンの
歓楽街がある。普通のホテルは灯りがついているようだが、ハアハア宿のほうは暗くて
人けがなく、宿へ着くまでは心配だろう。
(続く)
91 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/27 20:37:54 ID:2wpsaGKB
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
急行から快速へ(3)
次元断層の山にかかり、車窓に目をこらすと少しずつお城のような建物が増えて
きた。新築ではなく何十年も前のかつて地球にあったホテル街のようである。
「おはようございます」と放送が入り、全開されていた暖房が半減されクーラー
を送風にして換気し始めたのは6時20分。急行といえども時間がかかるのは在来線
列車ならではである。高速幹線経由ならこうはいかない。それというのも太陽系内
終列車のつとめを果たし、ベガからは一番列車なのだから、一列車三役の忙しさ
である。地元の人たちの姿も、駅に停まるたびにポツリポツリとふえていく。一番
列車なら314系、二番列車は512系と豪華な普通列車で恵まれていると思う人が
いたら大当たりだ。車内の空気はハアハアと暖房の熱気がまじりあってにごっており、
ハアハアしたあとのゴムやティッシュなども散らかりっぱなしの車内に入り、まだいちゃ
ついている人たちに遠慮しながら空席に坐るのは、かつての成人映画館と似たような
ものである。さらには車内がホカホカ暖まっている点もあり、短時間の乗車でハアハア
を見ながらオナーニする人たちには、もってこいだろう。エルナト・ハッサレー・メン
カリナンと大ハアハア場ゾーンの入口−−アルマーズに着くと、男性客がいっせいに席
を立ち、333号のお客はいなくなった。かわりにカペラへ通学する高校生が何人か
乗り、すぐオナーニを始める。朝っぱらから元気なことだと、感心するが僕だってまだ
まだ負けないぞと、カラ威張りいばりをしてみる。まだ6時まえ、つぎの7時17分発
ではカペラが8時28分着で、始業時間に間に合わないのだろう。サダトニから先なら
この3333列車の前後に短距離列車が1本ずつあり、サダトニ7時06分始発、カペラ7時
44分着なら通勤通学にピッタリの時間帯だが、アルマーズあたりから通うのは大変だ。
帰りもカペラ20時26分発アルマーズゆきのあとベガから急行334号になる21時48分発
快速3334号−−この編成の折返し運用が終列車になるから、ソープ通いなどで
遅くなると、314系で居眠りしながらもどるのだろう。
(続く)
92 :
86:04/12/27 21:45:53 ID:9QKiS3gr
>>87 THXです。
ちなみに単行本はなんでしたっけ?
実家にあるはずなんで、年末の帰省時に読んでみようかと。
>>92 単行本はわからないのだけれど、
RJの1983年3月号に記事が掲載されていたことである。
94 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/29 11:20:58 ID:GNK0A7oD
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
歓楽街カペラ(1)
アルマーズで空いた座席の向きを変え、足をのばして女子高校生を観察するうち、
とうとうガマンできず、ボックスに引っ張り込んでハアハアに突入してしまった。
わずかな時間だったけれど、僕の得意技でここしかない連続Gスポット攻撃で女子
高生を四つん這いにしてバック挿入。行きつもどりつですっかり結合部は濡れて
いる。次第に見学者の高校生が増えてきて、得意になって女子高生を突いていると
あっけなく昇天。しかし僕のイチモツはまだ逝ってはいない。興味津々で見ていた
他の女子高生を引っ張り込んで連続ハアハアに突入する。忙しいことだが若い娘とハアハア
はやめられない。二人を同時に攻めてたっぷり若い体を堪能して、もちろん中田氏。
引き抜いたイチモツをもう一人に舌できれいにさせているうちに、また勃ってきた
のでそのまま顔面へハナテン。グッタリとした二人をシートに残して、僕も他の
空席へと移った。座席にゴロンと横になって休んでいるとメーさんが「おやすみ
ですか」とあきれながら声をかけたような感じはするが、目が開いたときはもう
終着駅構内のポイントをわたっており、夜はすっかり明けていた。7時36分、定刻
にカペラ中央到着。向かい側には7時49分発の内環状カペラ428号が、ごくわずかの
お客を乗せて出を待っている。ホームに降り立つと、いつ乗ったのかと思うくらい
大勢の高校生が下車していく。もっと時間があればさぞや・・と後ろ髪を引かれる
想いで見送った。
(続く)
95 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/29 19:04:14 ID:GNK0A7oD
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
歓楽街カペラ(2)
DD13-2025号機が14号車の座席車に連結され、333号くずれの編成をひいて出て行った。
メーさんは車掌といっしょにトランク盗難を鉄道公安室に届けるという。帰りに
内銀河環状線へまわって機械化惑星のチェックをするといっていた予定もダメになり、
メガロポリス駅の333号乗込み風景などは後日に撮りなおすほかない。僕は「種寸
直樹の機械化相談室」の中で「車内の荷物が心配です」という問いに「銃を身につけて
いれば大丈夫」と答えたのを思い浮かべた。今度の事件を書けば、読者から「安全
じゃないではないですか」と何通もメールが送られてくるのが目に見えている。
銀鉄への信頼を裏切った犯人が憎く、レールファンの出来心ではないことを祈る
ほかない。おそらく僕の数十年にわたる追跡取材で初めてでない盗難事件の舞台
になった333号だが、不特定多数が乗降する自由席車と、密室のような寝台車の
混結編成が盗難の発生しやすい状況をつくったともいえる。こうした編成は長距離
列車にはあたりまえだけに、寝台利用者としては不審な者には銃で威嚇する一方、
機関車・客車にセンサーを搭載し、寝台券を持っていない乗客がみだりに寝台車へ
出入りしないよう、目を光らせてもらわねばならない。
(続く)
96 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :04/12/29 19:06:14 ID:GNK0A7oD
銀河鉄道のサービス拝見・伝統を受け継ぐ銀河急行333号
歓楽街カペラ(3)
新編成についての総評は、座席・寝台いずれも、旧編成とあまりにも格差がある
のに料金が据え置きということ。10両だけの314系座席では、多客時の輸送に不安
が残る。今後の利用状況を見ながら、(1)多客期は旧999号の3等座席編成に置き
替える。座席定員の問題だけでなく、グループ客には2人がけより4人ボックスが
好まれる傾向も見受けられた(2)地球−フリード間は約2ヶ月なのだし、寝台車に
こだわらず、全車314系座席編成とする(3)旧999号の3等座席編成と寝台車の編成
に変える(車両の一部改造が必要なら計画的に実施)−のいずれかを検討する
必要があるだろうと、メーさん、タヌキと話し合った。結論が出たところで解散
宣言。メーさんはさっそく折り返し快速3334号〜急行333号でメガロポリスへ折り
返し、タヌキは友人の家を尋ねるという。僕はといえば姫初めを楽しむべく、街へ
出た。大きく深呼吸をして「さあ、やるぞ」と決意を新たにしたことだった。
(完)
取材協力=銀河鉄道地球本社運転局
999号の連載は断続的に、ということでしょうか?
たまに他列車のレポートを交えるという理解で宜しいですね。
98 :
名無し野電車区:04/12/31 10:47:32 ID:POR+GMFH
スレタイに「999号」の字はあるものの、「銀河鉄道のサービス拝見」ともあるのだから、
対象は銀鉄全般でもいいんじゃないでしょうか?
では種寸センセ、あとよろしく
99 :
名無し野電車区:05/01/03 00:16:51 ID:WNoEESYD
種寸先生、新年おめでとうございます。
姫初めはまだでございますか?
999で100get!
101 :
名無し野電車区:05/01/06 08:54:04 ID:hYeHWvhZ
age
102 :
名無し野電車区:05/01/08 21:02:33 ID:29bS655W
保線age
103 :
名無し野電車区:05/01/11 00:01:39 ID:r0SQuaOz
先生は取材中ですか?
104 :
名無し野電車区:05/01/11 19:31:07 ID:TtfeBhL4
105 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/01/13 23:26:24 ID:JLefvl1d
いやいや、少し長いお休み頂きましてご無沙汰しておりました。
今年もよろしくお願いします。もちろん姫始めも楽しみましたよ
106 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/01/15 20:44:16 ID:LbSrI59w
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河特急777号
疲れの目立つ777号(1)
「オマタセシマシタ。アリガトウゴザイマス」週の真ん中木曜日の18時前、メガロ
ポリス駅東口コンコース前の自動キップ売場で、予想もしなかった言葉とともに、
最新型GV券売機が”IC”タイプのカード乗車券を押し出した。777号のルポにS寝台
を指定、そのあとマゼラン連絡線などへ寄るので、やや複雑な経路を機械にセットし、
たしかに1分ほど待ったものの、これまでの銀鉄の機械と比べれば受付から発券まで
上々の完成度といわねばならないのに、この一言。銀鉄に対する一連の批判にこたえ、
券売機の機能も少しずつ改善に向かっているのだろうか。後日有人窓口でも若い機械化
駅員が流暢な合成音で「ありがとうございます」と言うのを耳にして、くすぐったい
ような気がしたものだ。ともかく幸先がよろしい。そして「プロメシュームの像」の
前で待っていたのは、ひさびさにメーさんこと、そのプロメシュームの娘、星野芽衣子
嬢だ。”種メーコンビ”10年ぶりの復活。この間も仕事や個人的なつきあいで顔を
合わせてきたけれど、列車を一緒にルポするのは地球からアンドロメダまで一年間
も一緒だった999号の取材以来である。メガロポリス百貨店101階の「メガロ庵」−
地下22階の店は、生身の人間用メニューこそ細々と残ったものの、大部分は機械化
人間のメニューにかわってしまった−−で、合成ラーメンを食べながら打合せ。今度
のルポの主人公は、旧型編成そのものでしょうねと話合う。ベッドはオナーニの都合上、
僕が2号車のS寝台、メーさんが4号車のL寝台になっているけれど、いずれにしても
あまり眠っている時間はなさそうだ。
(続く)
107 :
名無し野電車区:05/01/20 01:08:48 ID:6vNE+ZCZ
保守age
108 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/01/20 04:56:22 ID:r3f7RY/E
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河特急777号
疲れの目立つ777号(2)
20時33分の入線を前に、頭の上の行先案内表示がカラフルに表示されている東口改札
から、高架の77番線へ向かう。僕は〈777号〉ルポのあと、オリオンでハアハア、さらに
娘のヌードグラビア撮影立会いまでかかえているので、ショルダーのほかにアルミ
バッグもさげ、いかにもレールファンといった出で立ちになる。自動改札口で乗車券
カードを改札機にかざしたとき、メーさんが後ろからシャッターを押したはずだが、
きれいに写っているかどうか。77番ホーム反対側の78番線にプレアデスからの普通
が到着してほどなく、「回送」表示だった77番線の列車案内機の表示が「急行777
オリオン」と変わった。ホームのトリコロールカラーは列車の塗色にあわせたとみえ
明るい。「鳥害で衣服をよごすことがありますからご注意ください」の文字は以前と
同じだが、スズメもハトもみんな機械化されてしまったらしいので、もう被害はない。
20時20分すぎ、77番ホームとレールを隔てた機械化人専用の無番ホームに、オイルや
簡易エネルギーカプセルなどの山が到着した。777号に積むらしく、プレアデスの
文字が目につく。やがて79番線ホームから777号のペア列車、行き先不明776号が発車
し、「オリオンユキ、マモナクニュウセンデス」と電子放送が聞こえた。ベンチに
坐っていた人たちが荷物を手に腰をあげる。77番ホームの先端から、白線の内側に
オレンジ色の明りが点きはじめ、乗車位置案内とわかる。やがて2本のレールが白く
光り、赤色灯がギラリと光った。推進運転の最後部車デッキには確認用の大型カメラ
が設置され、車止めをにらんでいた。発車先不明9777列車でよく定時に到着したもの
と感心するが、メガロポリス駅に着いた瞬間から定期列車777号となり、後部車の
カメラはすぐに引っ込んだ。
(続く)
109 :
名無し野電車区:05/01/23 21:59:37 ID:WCP00trF
保守age
110 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/01/25 12:49:31 ID:MJlWbCMr
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河急行777号
疲れの目立つ777号(3)
列車は倉庫車を含めて13両編成。パラパラ乗り込むお客とぶつからないように注意し
ながら先頭車までホームから観察すると、すべて「トレオオ」−銀河鉄道管理局
トレーダー支局オリオン客貨車区の所属だ。白、青、赤に塗り分けられたボディー
には屋根や溶接部から流れた緑サビや塗料のヒビ割れが目立って車齢を見せつける。
ボディーの行先表示は、行先と経由地、777号の愛称をひとまとめにしてあり、10
号車だけ「オリオン トレーダー経由 ORION (VIA TRADER JUNCTION)」の旧スタイル
を使っていた。デッキわきのLED表示機は全部「急行」あるいは「指定席」のシール
ばかりになっていて、表示機を使用しているものは見あたらない。機械化人の頭脳に
悪影響を及ぼすのと、表示データ変更の合理化で、この5〜6年ほとんどの列車がこんな
スタイルに変わっている。3号車のM寝台712形の個室寝台のカーテンが開けっ放し
になっていて、ここ地球までの利用客がハアハアした跡が丸見え。他のカーテンはきちん
と閉じてあるので、サービス係が閉め忘れたのだろうが、なんともエロティックだ。
夜汽車のお客をこれから迎えようというのにはなかなかの演出だし、隅々まで気を
配ってほしい。イヤらしいといえば、6号車762形のリクライニングシート4人分が
向かい合わせの状態にし、「ハアハア専用」と書いた紙を貼りつけ、分厚いシーツを
引いてある。なかなか気の利いたサービスではないか。老朽化している車両のお守り
は大変だろうが、第一線で働き続けるあいだはハアハアを当然の状態で使ってやりたい
ものだ。
(続く)
111 :
名無し野電車区:05/01/27 23:29:39 ID:Q6dxLElb
保守age
112 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/01/31 01:13:21 ID:qNj4MnCm
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河急行777号
キップを持たない機械化人客(1)
76番ホームに、この列車の途中まで後追いとなる261列車が到着してホームがごったがえす
ころ、6号車のF車内では専用ロボットによる車内改札が始まっていた。メガロポリス客
貨車区から回送されてきたときには車掌の姿が見えず、その後、乗り込んだ様子もない
のにと首をひねったのだが駅にある車掌区派出所で点呼を受け、列車をへだてた機械化人
専用ホームから乗ったとあとで聞いた。あのホームは以前生身の人間と機械化人のトラ
ブルを避けるために新設したそうだ。F車は半分以上の席が埋まっているが、車内改札は
スピーディである。ロボットはせっせと車内券を発行し、本社持ちの特別席とみられる
2番の列にも1人、また1人と案内している。長距離列車の場合お客の入れ替わりが激しく、
身の安全を安全をチェックするのは嬉しい心遣いだが、そればかりではなくキップを持た
ないものが少なくないため、先手先手に仕事を進めないと席をめぐっての銃撃戦に発展
する恐れもあるということだ。22時18分、発車時刻となり777号はガタンと動き出した。
どうも999といい、この777号といい、引出しは上手くない。ホームをはずれると雨。朝
からどんよりしていたがとうとう降り出し、かなり雨足が激しい。荷物を寝台におさめて
指定席へ足を向けると車両の連結部から雨もりがして、ドアは閉まっているのに10、11
号車のあいだなどデッキは水びたしだ。幌もきちんとつるしてあるけれど、車体の老朽化
や海賊の襲撃などが繰り返されるうちシールドが不完全になってしまったのだろう。空間
軌道内は空気があるとはいえ、やや不安である。洗面所をのぞけば、人工大理石の洗面器
が割れて取り替え部品がないのかアルミ板で代用した車両もあり「こんなことでいいのか」
と苦言を呈したくなる。
(続く)
113 :
名無し野電車区:05/02/03 00:11:01 ID:myfC3pZt
車掌さんってついてたんだ…
ついてないと思ってたよ。
115 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/02/03 22:50:23 ID:9t2LaPQl
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河急行777号
キップを持たない機械化人客(2)
3両の普通車は全部指定席で、1両でも自由席車があると”完全セット”−−欲をいえば
食堂車が足りないのだけれど食堂車は999号以外はるか昔に消えてしまった−−になる
ところだ。今の宇宙列車の”完全セット”はオリオンで顔を合わせる222号の下り3223列車
と、オリオン大環状線の555号くらいしか見あたらない。これらの列車も来年4月改正で
新系列編成へ置き換えられ、単純な姿になってしまうから、冬休みあたりに”お別れ乗車”
をするのもよかろう。指定席は各ボックスともちょうど3人くらいずつくらい、75%の乗車
率かやや多目といったところ。乗り比べるためにあらかじめ発車前に車掌氏から買って
おいた指定券を持ち先頭寄りの12号車に進む。古めのボディ風の機械人間氏が一人だけで
占拠、窓ぎわに坐って前の席へ足を投げ出し、通路側の自分の隣には工具箱、その前には
オイル缶を置いている指定ボックスを見つけ「よろしいですか」と声をかける。氏は機械
の目ごしにジロリと見上げ、いかにもイヤでたまらないような顔をして足と工具箱を少し
動かした。ブツブツと僕に聞こえよがしに文句を言って、宇宙旅の隣人としては好ましから
ざる人物ではあるが、いつまでもここに坐っているわけではないから・・と我慢していたが
とうとう耐えきれず、大声で怒鳴りつけてしまった。もみあいになって言い合いをしている
と、ややあってナンパを断りつつ撮影をしていたメーさんが駆けつけ「ズダーン!」機械化
人氏を射殺してしまった。あわてて車掌が飛んできたが、メーさんが一言、二言ささやくと
車掌氏はにっこりうなずき、機械の残骸をさっさと始末してしまった。いまさらながらメー
さんの力はすごいものだと感心する。「先生、宇宙では撃たれる前に撃たなきゃダメです。
躊躇したら命がいくつあっても足りませんよ」メーさんに苦言を呈されてしまい、そのとおり
なのだろうが僕は銃が苦手である。
(続く)
116 :
T田:05/02/05 13:39:17 ID:PBa0Iku0
117 :
名無し野電車区:05/02/07 00:20:41 ID:xeXyZp0h
機械化相談室マダー?
118 :
名無し野電車区:05/02/09 22:42:45 ID:zS3E679Q
保線age
119 :
名無し野電車区:05/02/10 12:53:18 ID:7iFaU7ng
種寸せんせいのイチモツは機械のイチモツよりも硬いと言う噂ですが、本当ですか。
もしかしたら、そこだけ機械化してますか。
ただ金属のように硬ければ良いという訳ではありません。
適度にしなやかな弾力を持ち、内壁にピッタリフィットする方が
女性にはより深い悦びを与えられるのでつ。
121 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/02/14 01:36:31 ID:ENRJZeft
おやおや、僕のイチモツが機械だという噂が流れているようですが、そんなことは
ありません。確かに機械には硬さでは負けますが、流れるような反り返り、また
女性に快感を与えるカリの張りなど、機械では到底造ることができません。
ですから僕は顔を造らなかったシャドウさんの気持ちがよくわかるのです。
122 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/02/14 01:38:12 ID:ENRJZeft
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河急行777号
キップを持たない機械化人客(3)
機械化人氏にしてみれば、せっかく一人でのんびりしていた安住のスペースに、僕たち
のような生身の人間が侵入して迷惑至極なのだろうけど、なにぶんメーさんという人に
出会ったことを運が悪かったとあきらめてもらうほかない。一般にこの種の横着は機械化
人に多いが、僕もいずれ体を機械化するかもしれないだけに自戒しておく。約30分でルナ
東着。7号車から始めていた専務車掌の車内改札はまだ2両たらず。8号車の終わりの方
までしか達していない。ほとんどの割で寝台券や乗車券を発行しなければならないのだか
ら大変だ。まだ車内改札を受けていない3人づれと2人づれ、計5人がそそくさと席を
立ったので、指定席券は持っていないのじゃないかと思う。まだ地球のにぎわいが感じ
られるルナ東で、かなりの乗降があった。メガロポリスをわずか15分後にタイタンゆき
261列車が発車し、ルナ東は25分後、火星へは33分後、タイタンでも35分後に着くのだし
わざわざ急行に乗ることもないような気がするが、夜の時間は1分1秒が貴重なのか。
「たしかにこの列車のタイタンまでは、太陽系内のお帰り列車という雰囲気です。機械
化人のお客さんの全部が乗車券や急行券をお持ちでないとは申しませんが、ない人の方が
多い感じですな。それというのも車内から見ているとわかるのですがメガロポリスでも
ルナ東でも、坐れたら乗って早く帰ろうという方が大部分です。今日なんかは混んでいる
のでのぞかれるだけの人も多いですが、閑散期ではどんどん乗ってこられます。トレーダー
までは全線タイプ以外のパス利用が認められていないし、そういうお客さんが乗られると、
自然に乗車券や急行券が売れることになります。7号車から10号車まで4両受け持った私
だけで、乗車券が126枚、急行券と寝台券が合わせて96枚売れましたよ」ひと息ついた
専務車掌の解説だ。
(続く)
123 :
名無し野電車区:05/02/16 17:40:37 ID:PmCju4Yh
124 :
名無し野電車区:05/02/19 02:11:03 ID:Bnnf92RJ
保線age
125 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/02/21 20:32:20 ID:3vyClJBX
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河急行777号
キップを持たない機械化人客(4)
777号の車掌定員は人間2人と改札ロボット2台だが、この日は車掌長以下、予備として
人間とロボットを各1人ずつ加えた6人乗務。いつも言うように銀鉄の機械合理化が各列車
とも順次進み、車掌の乗組基準はすでに見直しを終わって定員が減らされているのだが、
車内改札の状況を見るかぎり、改札ロボットを含めた6人乗務でも、けっしてムダとは
思えない。むしろ車内治安強化の鉄道公安職員をたえず乗務させ、無札者を厳しく監視
した方が賢明ではないか。「ねえ先生、車内警備専門の会社つくったらどうでしょうね。
銀鉄が車掌の射撃訓練ができないのなら、太陽系内だけ車掌のほかに警備会社の職員を
乗せて徹底的に不正客を射殺するんです。先生の読者なんかで、銃の腕前に自信がある
学生のアルバイトにピッタリじゃないですか。1人射殺で5割手数料をもらえば十分やって
いけますよ。銀鉄だって、いちいち不正客を放り出したり銃で威嚇するより、そのほうが
楽になるにちがいないです。だいたいキチンとキップを買っているお客に対して、いい
かげんな乗車をする層を見のがすなんて失礼ですしね。名案でしょ」メーさんは、この
ように力説した。美しい顔に似合わずぶっそうな人である。銀河鉄道沿線に出没する
宇宙海賊を雇って、そのまま車内に乗せればメーさんの”メー案”が実現することになり、
やろうと思えばできる。ただし学生アルバイトでは、あちこちで銃撃戦が起こり、無理
だろう。
(続く)
126 :
名無し野電車区:05/02/25 05:27:23 ID:oy3ThPTQ
保線age
127 :
名無し野電車区:05/03/01 07:39:16 ID:fQ+X0Rcb
ダイヤ改正・保線age
128 :
名無し野電車区:05/03/04 04:24:03 ID:ToelSpoP
保線age
129 :
名無し野電車区:05/03/05 08:28:34 ID:xZm9N6p5
999のようなお風呂車輌は、現実には無理ですか?
水タンク車輌があればいいんだろうか。
まあもちろん循環再利用するとして。
130 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/03/06 01:38:49 ID:96vLCCTk
>>129 たしかにあってもいいでしょうね。フェリーなどでは浴室も一つの売りになって
いますし。999のような小さなものでなく、ダブルデッカー1両全部風呂屋さんに
できたら面白いでしょうね。トワイライトあたりでやってくれませんかね・・
131 :
種寸直樹 ◆bIhJ0C9VEw :05/03/06 01:41:19 ID:96vLCCTk
銀河鉄道のサービス拝見・外銀河に散るか銀河急行777号
深夜の車内(1)
22時26分着のタイタン駅では15分停まる。車掌の乗り換え案内に地元のぶどう谷線がなく、
片手落ちではないかと思ったが、なんと時刻表を見ればぶどう谷線の最終は18時05分発で、
もう終わっていた。会社が夜の列車をばっさり切り捨てた由、さすがに「楽国法」を持つ
タイタンである。タイタン駅の1番線ホームに着くと、太陽系高速幹線の開業待ちですばら
しく明るい。もう橋上改札口を使っており、古めかしかった旧駅舎を思い出すのがむずか
しい。ルポの1週間後には駅ビル内に「花のホテル」も移転オープンする運びになっていた。
サファリジャケットとスノトレを頂いたばあさまは元気にしているだろうか。このタイタン
でかなり降り、乗車は数えるほど。駅弁屋さんがワゴンを押して歩いているが、閑散として
いる食堂車に対し、飛ぶように売れる。長旅の人はまだまだこれからなのだ。タイタンを
あとに太陽系も辺境の方に入ると”おやすみ放送”だ。冥王星までの到着時間の案内のあと、
トレーダー到着10分前から放送再開・・・と結ばれた。車窓左手には宇宙の海にどぎつい
ネオンのラブホテルが浮かび、おもわず心を惹かれる。はやくメーさんとごにょごにょ・・
宙道28号線が右側へ移り、「星間便」のLEDを輝かせた大型ロケットが猛スピードで777号を
追い抜く。
(続く)
種寸直樹先生、僕の大好きな「越前」ルポネタありがとうございます。
碓氷超えがどうなるのか楽しみです。
133 :
名無し野電車区:05/03/12 02:15:30 ID:EGqBDSJW
保守age
134 :
名無し野電車区:05/03/14 22:51:33 ID:qiQcb7a0
管理局age
135 :
名無し野電車区:05/03/18 23:42:14 ID:Rf31lMev
先生はライフワークの外宙の旅でしょうか?
136 :
名無し野電車区:2005/03/21(月) 18:01:37 ID:CugDWyXp
保線age
137 :
名無し野電車区:2005/03/26(土) 19:08:00 ID:tBlidU+0
高架工事age
138 :
名無し野電車区:2005/03/31(木) 01:22:44 ID:ChwRl5fb
とにかくage
いつの間にやら黒騎士ファウストに乗っ取ら
れている、それが銀河鉄道管理局クオリティ
141 :
名無し野電車区:2005/04/12(火) 00:27:42 ID:OUCkMDUZ
保線age
保守
143 :
名無し野電車区:2005/04/23(土) 00:28:17 ID:WqwyOFTA
もう1か月半も更新がない…
144 :
名無し野電車区:2005/04/23(土) 00:46:39 ID:pwWuULtA
いいスレなのに...
先生脳卒中かも。。。?
帰ってくるまで保守