「タカシがさーあんなこと言うんだよ。最低だよね」
電車の窓から見える景色はすっかり冬になっていた。
「先生は浮気とかしないの?」
「俺?しないよ。・・・たぶん」
たぶん、とか言ってみる。
「えー!、だめだよー!」ユミコの怒った顔。
「次の駅で降りるぞ」もう着いちゃうのか・・・。
「だってタカシがさー・・・」ユミコは1人でしゃべっている。
タカシ、タカシか。会ったこともないタカシ君にずいぶん詳しくなってしまった。
「次の授業、いつだったっけ?」もう1月になっていた。試験の日はすぐそこだ。
「再来週だよ」たぶんその日が最後の授業になるだろう。
「今日はありがと。ついてきてくれて」
「あぁ、うん」
「じゃあ、またね」
あんなにしゃべったのに、何かを言い忘れたような気がする。(つづく)
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