「今日で最後だね」
試験はあさってに迫っていた。もう教えられることもない。
世界史用語集をめくりながら、聞いてみる。
「最近タカシ君の話、聞いてないね?」
「・・・もういいんだよ。アイツのことは」笑いながらユミコが言った。
アイツ、か。
「私さ、先生のこと好きかも」
えっ?
「嘘だよ。ウソ!」笑ってる。
「大人をからかうなよ!」気にならなかった。このときは。
「あーもう間に合わないよ」
ユミコは古文の用語集をめくりながらブツブツつぶやいてる。
「じゃあ帰るわ」俺がいても邪魔になる。もう帰ることにしよう。
「駅まで送っていくよ」
「うん」
断らなかった。(つづく)
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