アフォーダンス

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268251
もっとぼろかすに言われるかと思っていたので、ちょっとホッとしました。
私の説明が不明瞭だった点があるようなので、少し補足します。

>>263
> この「シーンを生成した構造」というのは生体側の
> たとえば脳を指しているのか、それとも環境側の
> たとえば点光源か平行光源かを指しているのですか?

シーンを「生成した」側ですから、環境が持つ構造ということになります。

「あるシーンが与えられた時にそのシーンを生成した構造を特定せよ
 という問題には一般的に解が存在しない」

という点についてもう少し説明しておきますと、例えば影絵を
考えてみてください。スクリーンの裏にテニスボールを置けば、
丸い影が映ります。一方、ジュース缶を置いた場合でも、向きに
よっては丸い影が映ることがあります。

視覚がやってることというのは、この影絵の例でいえば
「丸い影が映っているとき、スクリーンの裏にある物の形状を答えなさい」
というのと似ています。丸い影をつくる形状というのま無数に考える
ことが出来るので、この問題の解をひとつに定めることは不可能です。
というわけで、上記の「…には一般的に解が存在しない」というのは、
正確にいうと「解となりうる候補が無数にあって、解を特定することが
出来ない」ということになります(この点、不正確でした)。
これは脳がどうとかいう問題ではなく、光学(正確には逆光学)の問題です。

で、…つづく。
269251:2001/07/25(水) 11:04
「視覚が可能であるためには、シーンを生成する環境が
 ある種の構造を持っていることが必要不可欠である。」>>256

という点ですが、やはり影絵の例でいくと、スクリーンの裏にある物体が
あらかじめ制限されていれば、先ほどの問題が解ける「場合がある」
ということです。例えば二種類の物体があることがわかっていて、それらが

1)ボールと本 → 丸い影は「ボール」
2)缶と本   → 丸い影は「缶」
3)ボールと缶 → 丸い影は「ボールか缶か、特定不能」

ということになります。
ここで注意していただきたいのは、二種類の物体の組み合わせによって
「丸い影」から推定できる内容が異なるということです。

つまるところ、影絵から物体を特定することが可能か、影絵から物体を
特定するときの妥当な推論規則は何か、という点を規定するのは「缶と
本のみが存在する」といった環境の構造なのです。

もうひとつ。

>>262
> ここで、これは静止画像を呈示するのですか?

Shape-from-Shadingの実験という場合は、静止画像を用います。
観察者自身や刺激が運動してしまうと、陰影以外の手がかりが含まれて
しまいますので。

>>265-267 のお返事はまた時間があるときにさせてください。