もっとぼろかすに言われるかと思っていたので、ちょっとホッとしました。
私の説明が不明瞭だった点があるようなので、少し補足します。
>>263 > この「シーンを生成した構造」というのは生体側の
> たとえば脳を指しているのか、それとも環境側の
> たとえば点光源か平行光源かを指しているのですか?
シーンを「生成した」側ですから、環境が持つ構造ということになります。
「あるシーンが与えられた時にそのシーンを生成した構造を特定せよ
という問題には一般的に解が存在しない」
という点についてもう少し説明しておきますと、例えば影絵を
考えてみてください。スクリーンの裏にテニスボールを置けば、
丸い影が映ります。一方、ジュース缶を置いた場合でも、向きに
よっては丸い影が映ることがあります。
視覚がやってることというのは、この影絵の例でいえば
「丸い影が映っているとき、スクリーンの裏にある物の形状を答えなさい」
というのと似ています。丸い影をつくる形状というのま無数に考える
ことが出来るので、この問題の解をひとつに定めることは不可能です。
というわけで、上記の「…には一般的に解が存在しない」というのは、
正確にいうと「解となりうる候補が無数にあって、解を特定することが
出来ない」ということになります(この点、不正確でした)。
これは脳がどうとかいう問題ではなく、光学(正確には逆光学)の問題です。
で、…つづく。
「視覚が可能であるためには、シーンを生成する環境が
ある種の構造を持っていることが必要不可欠である。」
>>256 という点ですが、やはり影絵の例でいくと、スクリーンの裏にある物体が
あらかじめ制限されていれば、先ほどの問題が解ける「場合がある」
ということです。例えば二種類の物体があることがわかっていて、それらが
1)ボールと本 → 丸い影は「ボール」
2)缶と本 → 丸い影は「缶」
3)ボールと缶 → 丸い影は「ボールか缶か、特定不能」
ということになります。
ここで注意していただきたいのは、二種類の物体の組み合わせによって
「丸い影」から推定できる内容が異なるということです。
つまるところ、影絵から物体を特定することが可能か、影絵から物体を
特定するときの妥当な推論規則は何か、という点を規定するのは「缶と
本のみが存在する」といった環境の構造なのです。
もうひとつ。
>>262 > ここで、これは静止画像を呈示するのですか?
Shape-from-Shadingの実験という場合は、静止画像を用います。
観察者自身や刺激が運動してしまうと、陰影以外の手がかりが含まれて
しまいますので。
>>265-267 のお返事はまた時間があるときにさせてください。