>>184 >仏教が本来アートマン説でなかったことが、仏教がインドに滅びる大
>きな理由であったと考える。』
「無我」の「無」を、文字通り「無い」と誤解する者が多いから、滅亡
するのが当然である。人間を含むすべての生物に共通する唯一の普遍の
事実としての「生存本能(生命)」を否定することになるからである。
しかし、「無我」が、「他者の我及び万物の相互依存性の産物」である
という悟りにより、「無我」は一転して、強力な「有我」となる。そこ
には、「相互依存性・関係性」という歯止めがしっかりと掛かっている
から、他者の我を侵すことがない。「自他及び万物の同一性」の自覚が
成立する。
釈迦においては、この「相互依存性・関係性」の理解は、まだ不十分で
あった。原始仏典に関して多くの混乱が生じているのは、それが原因で
ある。
釈迦が言及した「縁起・空」の本質を解明した竜樹は、誠に端倪すべからざる
人物であったと言わざるを得ない。竜樹は、悪い事も相当やったらしい
が、ヤワな男ではなかった。
しかし、「縁起・空」の概念に想到することにより竜樹にヒントを与えた
釈迦の偉大さは、聊かも否定されるものではない。