プログラマーがファンタジー世界に召喚されますた・2巻
3 :
仕様書無しさん:03/08/22 00:30
3だったら転職する
まとめのサイトどこだっけ?
>>3 さて、転職が決定したわけだが。
何になるんだ?
>Fighter
>Wizard
>Priest
>Thief
>Bishop
>Samurai
>Lord
>Ninja
>Asobinin
にきまってるぜフォルァ!
シーフに転職してまもなくゴートゥージャイルですか?
こっちが沈むのね。
スレ立ては2分ほど早いようだけど…
9 :
仕様書無しさん:03/08/22 01:16
やっぱ依頼をこなして金貯めて魔導書買ったりするんだろーな
漏れはケターイ関係の依頼は死んでも受けねーぞ
絶ッ対受けねーぞ!!
10 :
仕様書無しさん:03/08/22 01:19
>>5 小さい頃なりたかった「パン屋」になってもいいですか?
>>1 スレ立てお疲れさまです。
お手間を取らせまして申し訳有りません、有り難う御座いました。
前スレの皆様、不注意でご迷惑をお掛けして申し訳有りませんでした。
もっと落ち着いて投稿するよう反省します。
本当に申し訳有りませんでしたm(_ _)m
>>10 間違えてパソ屋になってしまいましたが何か
14 :
仕様書無しさん:03/08/23 05:49
ようやく到達。こっちでいいのですね?
雑談スレ見てないもんで経過がわからず、新スレたてそうになりました。危ない危ない。
一ヶ月ぶりですが、前スレ840から。
あらすじを書いときますと、近未来のゲームプログラマー達と、その知り合いで、
デスマーチ明けの長期休暇を利用してテストプレイヤーやってるプログラマー(主人公)の話です。
---- ここから ----
翌朝、三日目にして初めて、俺はテストプレイヤー全員を知った。
バーテンをやっている慶吾さん、スーツの伊吹さん、中学生の友彦、そして、
昨日のバグに遭遇した、明和さん。
友彦の糞餓鬼は事情を説明されてもまだ俺のことを恨んでいるようで、それでも、
しぶしぶと新キャラを作っているようだ。
このシステム、一度死んだら復活は不可能らしい。
今はプレイヤーも少ないからいいが、NPCのことまで考えると、データを消さないでおくと
二倍近く容量を喰ってしまうという話。オーバースペックなAIが相当メモリを圧迫している
みたいだ。大変だな。
明和さんのほうは、引っかかって動けなくなっただけなので復帰は可能な様子。
状況的に俺達が近くにいるので、まずは合流しようということになった。
俺達もいいかげんぼろぼろなので、今のままだと街に帰りつけないかも知れないし。
友彦、および、明和さんの復帰作業が終わったところで、三日目のテストプレイがはじまった。
“球体”の内部は、地球独楽のように見える。
全身にセンサとフィードバックを兼ねるバンドを巻き、手袋を着け、さらにその上に
腕時計上のコントローラ。身体を固定し、スコープやヘッドホンなどが一体化した
眼鏡状のものをかぶる。球体が回転運動し、扉が閉まる。無音、暗闇。
全身へのフィードバックが作用し始め触覚が奪われてゆく。
**** SIGN IN NAOTO, HEATH, EVE, CAIN, DARK ****
──それから数日は、事もなく過ぎた。
明和さん扮する「ダーク」は、財宝盗掘を専門とするレイダー。
街へ帰るまでは一緒にいたが、単独行動のほうが性にあっているらしくまた一人
出かけてしまった。
俺とヒース、イブはなんとなく組んで行動していたが、その間に俺のレベルも上がって
普通に使える…つまりゲームシステム側に予め用意されたという意味だが…魔法の数も増えた。
今日は、そろそろ帝国を抜けて他の領土にも足を延ばしてみようということで一致して
草むらをひたすら歩いている。
テストプレイは何も無ければ一日三時間。VR上では動きが拡大され時間の進みも早いとはいえ、
俺達もVR上で特に座ったり休んだりしない限り実際に三時間立ちっぱなし歩きっぱなしは
変わらない。最初のころは気にする余裕も無かったが、慣れてからは筋肉痛に悩まされた。
慶吾さんや、やたら頑丈そうなタオル男にはせせら笑われたが、他のプログラマー達には
大いに同情された。今では結構歩くのにも慣れたつもりだ。
帝国は、人口が他へ流出するのを好まないらしく、禁止こそしていないものの、旅行者を
支援するようなこともなにひとつ無い。
中心部から離れるにつれ、草むらを歩くことになる。
密度はそんなに無いのだが、下半身が隠れてしまうぐらいの深い草原。
先頭を行くヒースが、なたを握る手を止めて、前を指差した。
その指の先、草むらの影に、ちらちらと動くもの。
イブが銃を取り出しながら頷く。
お互いを探るように、ぐるぐると草の中を回る…。
突如、飛来!
それは、はるか後方に突き刺さった。矢だ。
警告か、それとも攻撃をしかけてきたのか。
俺とイブが散開しながら、ヒースが声をあげる。
「何もんだ!出てこい!」
再び、矢。ヒースは大きく動いてそれをかわす。
俺が魔法を使うより速く、爆発音。矢が放たれた方向へ向けて、イブが銃弾を撃ちこんだ。
…。
少しの間を置いて、三人の男女が姿を現した。
剣士風、弓手、大男。見たこともない。
ウィンドウを開いてみても情報が出て来ないので、プレイヤーではない。
イブとヒースもそれを察したらしく、遠慮無しの立ち回りが始まった。
銃声が一発、二発、三発…それでも大男は倒れない。
「後ろだ!」ヒースの声。イブの後ろから忍び寄った女剣士が細い剣を振るう。
俺は咄嗟に楯の魔法を起動した。指輪からソースコードが流れ、英字の羅列はふたりの間で
円を描き、女剣士の剣を受け止める。
女剣士は一転して俺の方に向かってくる。俺は飛び上がって逃げ出した。
俺と女剣士が追いかけっこをしてる間に、ヒースが声をあげる。
「できたっ」
工具を放りだし、手に持った何かをこちらに向ける。
俺は慌てて自分の前にも魔法の楯を張った。
発射!ヒースの手から放たれた矢が、女剣士の背後から突き刺さる。鈍い音がした。
「即席のボーガンだ!矢を再利用させてもらったぜ!」
そうして俺とヒースは弓手の方に向き直る。
一拍遅れて、イブが大男を打ち倒した。草むらに大きな穴を開けて、轟音と共に倒れる男。
弓手は、情けない声をあげると逃げ出した。
「ひぃっ…カイン…騙したなあっ…た、助けて…」
「ふう…何もんだこいつら」
ヒースは残されたふたつの死体を探っている。俺も、連中の荷袋を調べていた。
剣士の剣も安物だったし、装備も揃っていない。まあ、前で戦う戦士のいない
俺達でも勝てたことからして、そんなに強く無いのは明白だったが…。
「どうする?鎧でも剥いでくか」
女剣士の死体を前に、ヒースがそんなことを言う。
「やめてくれ。薬や金は貰ってくとしても…」
俺は財布を開けてみた。小銭の他に、不釣り合いな宝石がひとつ。
考え込んでいると、後ろでヒースの呻き声が聞こえた。
ホントにやってるんじゃないだろうなと振り向くと、最初ヒースが死体を担いでいる
ようにしか見えず、苦笑しかけたが、顔を見ると様子が違う。
女剣士の死体が、腕が動き、ヒースの首を絞めていた。
俺は慌てて腕を引き剥がそうとしたが、凄い力で絞めつけていて外れそうに無い。
途端に銃声、また銃声。イブが銃を撃ち続けている。
その足元には、大男が、今まさに立ち上がろうとしていた。
銃弾は絶え間なく突き刺さっている。しかし、衝撃で大男は再び地に伏すものの、
一向に起き上がることをやめようとはしない。
ガシャ、ガシャ、ガシャ…。
どこからか無気味な足音が聞こえる。行進のように整然として、軽くて重い音。
何もない時には裏技をあまり使うなと竜也にくどく言われていたが、悪い予感がして、
俺はExplode関数に音のする辺りの座標を渡し、実行した。
途端に爆発、巻き起こる煙、飛び散る炭化した草…。
風が煙を散らし、見通しがよくなった草原で、見えたのは骸骨の集団。
その中央には、神父のような格好をした人間。
イブが、短剣で大男を突き刺しながら、言う。
「あいつが、ひょっとしてカイン?」
俺は答えた。
「ええ、多分、友彦じゃないかな…」
イブに女剣士の腕の腱を切ってもらい、ようやく自由になったヒースが
咳き込みながら俺を睨む。
「例の中学生か?それで俺やイブも巻き込んで復讐ってか…?」
行進が近くに来て、顔がはっきり見えるようになると、もう疑問の余地はなかった。
「間違いない…」
あれから何度も事情を説明したってのに、ほんっとうに糞餓鬼だな…。
ここで復讐を成し遂げられたら殴られ損になるし、ユウリさんはどうしようもないと
わかった今は、この指輪はずっと持っておきたい。
「俺は応戦しますけど、嫌なら離れててください」
イブもヒースも、何言ってんだという顔で俺を見る。
「そうね、それじゃ、先行ってるわ。機会があればまたあいましょう」
イブがそういって場を離れようとした時、ネクロマンサーが呪文を唱えた。
大男の躯が無気味に光り、むくむくと起き上がり始める。
とっさに銃を撃つが、今度はまるで効いている様子がない。
イブは舌打ちして、弾入れから特別な一発を取り出した。
値段が高くて一発しか買えなかったとこぼしていたので、こんなところで使うのは
本意じゃないだろう…。申し訳ない。
通常の鉛弾を抜き、その一発を弾倉に装填すると、イブは銃を青白く光る大男に向け、
引き金を引く──銀の弾丸は放たれた。
---- ここまで ----
作戦指令室に戻ると、会議が始まろうとしていた。
カエルは急いで元の席に戻る。
マサキとヨモギは、なにやら楽しそうに会話している。
ヒイラギは座ったままの体勢で寝に入り、マコトは外を見やっていた。
カエルも外をみやる。
相も変わらず丘の端で蠢く魔物と、丘の真中辺りには砲撃によって空いた穴が見えた。
『状況はどうだ?』
総司令官の声が聞こえてきた。
会議が始まったらしい。
『朝から昼過ぎまでの五時間で10回の示威行動がありました。』
『全部砲撃により撃退。 弾薬を500発消費しました。』
城塞攻撃参謀が最初に声を挙げる。
『この示威行動による被害は出ておりません。』
城塞防御参謀も声を挙げる。
『ファイヤーウォールには手を出されておらんから、こっちの方も無駄な浪費は無いのう。』
組合長が珍しく会議中に声を挙げている。
『戦場の状況は?』
総司令官が言葉を進める。
『はい。 昨日に引き続き現在天候は快晴、西向きの風、風力2で安定した気候のため、夜まで雨が降る可能性は無い、と気象部から報告が上がってます。』
『したがって、戦場は良好な状態が夜まで維持されると判断いたします。』
カエルはその声を聞きながら再び外を見やる。
砲撃音が聞こえないところから判断するに、かれこれ一時間ほど示威行動は見られないようだ。
視線をそのまま、丘の端に移す。
すると、さっきとは違い明らかに動きが見られた。
『魔物軍勢に異常確認!』
会議の声を破り、突然伝声管から声が響いてきた。
『詳細を報告!』
総司令官が叫ぶ。
『不統一だった魔物軍勢の隊列が、整いつつあります!』
伝声管からの声が響く。
『どういうことだ?』
『通常、隊列を整えるのは移動をするときですが・・・。』
総司令官の問いに、部隊参謀が答える。
『移動? というと、引くのか?』
総司令官が突っ込んでくる。
『分かりません。 移動には攻撃の為の進軍もありますし。 示威行動の一種ではないでしょうか?』
部隊参謀が再び答えると賛同の声がする。
『その可能性は大いにありますね。』
『隊列を整えて何時でも侵攻できる体制を見せびらかし、我々を消耗させるのが敵の目的ではないでしょうか。』
戦略参謀だ。
『ふむぅ。 なるほどな。 これが示威行動となると、対処法としては今までと同じか。』
総司令官が皆を見渡す。
皆はソレに頷く。
カエルはそんなやり取りを聞きながら外を眺める。
魔物は今も動き回っている。
見ていると確かにだんだん綺麗に整列されていく。
『何をする気なんだか。』
そう、独り言をもらす。
小一時間ほどその様子を見ていると、綺麗に整列された魔物の群れが出来上がった。
『ほう、こりゃ綺麗だ。』
組合長が何時の間にかすぐ隣で、同じように窓の外を見やる。
『ですね。 さっきまでの乱雑具合が嘘のようです。』
カエルが簡単な感想を述べると、そのまま外を静かに見やる。
『魔物軍勢は、23個の部隊に分かれた模様です。』
『通常攻撃部隊2500、魔法攻撃部隊500、支援・工作500の計3500の混成部隊が四つ。』
『大型攻撃部隊1500、魔法攻撃部隊500、支援・工作500の計2500の混成部隊が四つ。 恐らくこの八つが主力になると思われます。』
『大型攻撃部隊2000、支援・工作500の計2500の混成部隊が二つ。』
『魔法攻撃部隊1000、支援・工作500の計1500の混成部隊が一つ。 この三つの部隊は後方待機で、戦況にあわせて投入されると思われます。』
『補給1000の部隊が三つ。 工作500の部隊が三つ。 この六つの部隊は後方支援、補給、特殊工作、設営など、戦闘以外の補助作業が任務だと思われます。』
『不明2500の部隊が六つ。 タイプ分け的に不明のこの一万五千の部隊は、この魔物部隊の中でも特殊扱いらしく、別途何かしらの特殊行動に出ると思われます。』
情報参謀が説明を続けている。
『組合長は、あの会議の内容を聞かないのですか?』
カエルが隣に問いかける。
『ああ、この辺の説明を聞いても、ワシには関係ないからの。』
組合長が外に視線を向けたままサラリと答える。
カエルもソレに合わせて外に視線を向ける。
魔物たちは再び動きを止めていた。
その後、何回か会議と休憩を挟む。
『状態は?』
総司令官が夕食直前の会議で声を挙げる。
『魔物は隊列を整えてから動いていません。 やはり示威行動であったものと思われます。』
情報参謀が答える。
『ったく。 何時になったら帰るんだか。』
戦術参謀が洩らす。
『まったくだ。 いい加減疲れた。』
戦略参謀もそれに乗る。
『まぁ、48時間試行錯誤してもダメだったのだから、いい加減帰るんじゃないのか?』
総司令官が更に会話をつむいだ。
『ああ、それでは、大砲隊の状態をレベル3に戻してもよろしいでしょうか? 朝からレベル2にしたままになっているので。』
城塞攻撃参謀が提言する。
『ん、ああ、まぁ大丈夫だろう。 万が一来てもファイヤーウォールで持ちこたえるだろうし。』
『だろう? 魔術組合組合長。』
総司令官が魔術組合長に言葉を当てる。
『ああ、大丈夫じゃよ。』
組合長は短くそれだけ、答えた。
『そうか。 じゃあ大砲隊の状態レベルを3に下げろ。』
『はい、了解しました。 大砲隊の状態レベルを3に下げます。』
城塞攻撃参謀は直ちに命令を実行に移す。
『さて、続きは?』
総司令官が促す。
『あ、はい。 引き続き現在天候は快晴、西向きの風、風力0.5で安定しています。 この様子では朝まで快晴かと思われます。』
情報参謀が残りの報告を終わらせる。
『今晩も月は出てるし、闇夜の奇襲は不可能ってことか。』
戦略参謀が口を挟む。
『だな。 とりあえず、ちょっと早いが飯にしようか。 飯の後は、明日について考えよう。 いい加減何とかしないと、部隊が疲労で内部瓦解しちまうからな。』
そう言い、総司令官が資料を纏め出て行った。
会議に参加していた他の面々も、揃って会議室を後にする。
カエルはそんな様子を見、外を見やる。
ココからだと、丁度魔物の背に夕日が見える。
『綺麗だな・・・。 こんな夕日、なかなか見られないだろうなぁ。』
前のところに書き込もうとしたら、容量オーバーで書き込めなくて、かなりビックリしました。
ココも遂に次のスレッドが立つまでに成長したんですねぇ・・・(嬉
途中、瀕死だったのを救出してよかった・・・。
前スレの語り手さん達が続々と来て下さってますね。嬉しい。
楽しみにしてますので無理のないペースで続けて下さい。
3
先生の部屋へ向かう途中、呼びに来た先ほどの兵士からとんでもないことを聞かされた。
最近国境を侵す賊が居ること、その賊は爆発する石や鉄の塊の様な車を使う事。
兵士達の間では異世界から来たか、誰にも知られていない見知らぬ国から来たと言われて
いる事。
帝国としても迎え撃つ意向である事。
そして。
そのために魔術師を集めている事。
心の中の黒い霧がより一層ざわめく。
先生の部屋へ入る。
短い沈黙の後一つ頷き、ゆっくりと先生は言った。
「アラタ、説明は受けただろう、そなたも従軍するが良い。良い経験になるだろう。」
初めて的中した悪い予感に、僕は目眩がした。
僕は今行軍の最中に居る。
魔術師は特別扱いなのか、自分で歩かなくて良いのが幸いだが、今はそんなことに喜んで
いる余裕はない。
あの兵士の説明だと、魔術師に攻撃力を期待している訳ではないらしい。
「後方支援をしてくれれば良い。」
彼や、魔術師隊を指揮する騎士はそう言う。
けど目が、それは詭弁であり、全ての面で魔術師の特別性に期待している事を物語ってい
た。
『闘わされるのか?』
膨らむ不安。
『僕に出来るのか?』
とりとめもなく考え続ける。
同じ馬車に乗る魔術師達は一様に暗い表情をしている。
同じ事を考えているのだろうか?
何故僕なんだろう?先生の元には僕よりも優れた魔術師が沢山居る。
先生は良い経験になると言った。
でもそれは出来の悪い弟子を体よく追い出す為の方便なんじゃないのか?
醜い猜疑心。
膨らむ不安と暗い感情を止められぬまま数日が過ぎた。
「来たぞー!!」
その叫びは突然だった。
索敵班の兵士があわてて陣に駆け込みながら叫ぶ。
しかし、敵の脚が速いのか、もう敵の起こす砂煙が目視出来る。
すでに動きの速い騎兵隊は陣を出ている、戦端が開かれるのはすぐだろう。
怖い。
脚が震える。
しかし周りがただ震えていることを許さなかった。
馬車に押し込まれる。
何事か判断しかねている僕、いや、魔術師達に隊長が言った。
「このまま戦闘区域の近くまで移送する!着いたら各自の判断で動け!」
あぁ、僕に何が出来ると言うのだろう?
シィプ・ラプラをかじりだしたばかりの僕に・・・
激しい困惑、加速度を増しながら膨れ上がる不安。
意識とは裏腹に先生から借り受けたライ・ブラリを握りしめ、着々と準備を進める自分。
やがて戦闘の様子までがはっきりと見える所まで辿り着く。
馬車から文字通りたたき落とされた魔術師達は、次に自分が何をすべきか判断しかねてい
る。
否、頭の切り替えの早い者は、すでに呪文の詠唱に入っている。
何をすれば良いのか見当の付かない僕はそれを見つめていた。
近くの敵の足下が小爆発する。
いや、炎じゃない、土が吹き上がった。
考えろ、考えろ、考えろ。
何をすれば良い?どうすれば今見たような事が出来る?
魔力を貯める?イメージが閃く。
ループ?
炎?
考えるより先に口が動く。
炎の魔力を貯めるイメージ。
先生のライ・ブラリを使って炎の魔力を作り出す、コンストラクタによって魔力が炎を
帯びる。
これをループして魔力を貯め込めば・・・
勝手が解らない、適当なループ。
目標にあてなければならない、対象オブジェクトに代入?型が違う、これじゃダメだ。
対象へのメッセージと考えるべきか?引数に取って・・・
魔力を解放・・・deleteか?ドキュメントを見てる暇はない。
デストラクタが働く、魔力が解放される。
炎が吹き上がる。
肉の焦げる嫌な臭い。
ほっとした。
人を殺した罪悪感より、戦場に放り込まれた不安より、いつ死ぬか解らない恐怖より。
上手く魔法を使えた自分にほっとした。
僕は調子に乗った。
新しいおもちゃを知った子供の様に魔法を繰り出す。
その時僕は周りが見えていなかった。
目の前に現れた人、どこかで見た事のある、この世界の物ではないであろう服を着たそれ
は自動小銃を振りかぶる。
突然沸き出す黒い感覚。
死にたくない!切望する。
目の前の人が吹き飛ぶ。
「大丈夫か!?」知らない兵士。
理解した、横から斬り掛かったのだ。
さっきまで目の前にいた人は動かない。
そして気付く。
『僕は人殺しをした。』
怖くなった、そんなつもりじゃ無かった、自分への言い訳。
嫌悪を憶えた、人を殺した自分に。
怖くなった、人を殺すことが当然のこの場所が。
次の瞬間。
地面が弾けた。
何が起きた?解らない、地面が弾けた?大きな音。
「投石機かぁ?!」誰かが叫んだ。
投石機?石?違う、もっと小さい、爆発した。炎を感じた。頭が痛い。何かが飛んできた
のか?耳が痛い。大砲?戦車?耳鳴りがする。
何かが違う・・・。嫌だ。何が違う?ここに居たくない。もっと遠く?
何故か"見えた"。
大きな
鉄の塊
僕が
元居た世界の
自衛隊と
よばれた組織で
使われる・・・
それが ゆっくりと 鎌首をもたげ
何かが飛び出した。
怖い。炎を。怖い。作り出さないと。怖い。ループ。怖い。違う、それでは遅い。怖い。
配列?一気に作りだす。怖い。そうだ、一気に。ありったけ。怖い。
急にクリアになる意識。
『詰め込めるだけ詰め込んで。一気に。』
魔力が膨れ上がる。
『まだ行ける・・・。』
冷静な自分。
『もっと・・・』
目標は、戦車の一群。
『もっと・・・もっと・・・!ありったけだ!!』
遠退く意識。
それはギリギリのタイミングだった。
スタックを食い尽くす直前。
例外が投げられる寸前。
ため込んでギリギリまで圧縮された魔力が一気に燃え上がる。
余りの速さに連鎖を起こし。
それは大爆発と呼ぶに相応しい物だった。
奇妙な充足感。
僕はゆっくりと倒れる。
最後に見えたのは、めくれ上がった鉄の板と、開いた穴からはみ出した、迷彩柄をした、
人間の上半身だった。
前スレの方達も無事見つけて戴いた様でほっとしました。
あとはsea-4さんですね、無事見つけて戴ける事を祈ります。
「みんな、ここに一列に並べ。一人ずつ順番に長老のところに行くんだぞ。
わかってるな?では、トカヤからだ」
今日は年に一度の精霊シィの祭りの日。それは、今年10歳になった子供達が
精霊シィにさずかった力“エ・スティ・ディ・ア・ウト”の性質を
村人全員にお披露目する儀式の日でもある。
トカヤと呼ばれた子供は、円形の広場の中心に進み出た。
そして、広場を取り囲む村人達の見つめる中、
緊張の面持ちで、長老から、村に伝わる透明な珠のはめ込まれた古い杖を受け取る。
「よし、では珠の中心を見つめて。よいな」
これまで数えきれない程の村人が珠の中に見てきたのと同じ光景が、
トカヤの目にも映る。
#include<stdio.h>
int main(){
printf("Hello World?n");
}
「コンパイル、リンク、実行!」
教えられた通り、杖を両手で握ってトカヤは叫んだ。
突然、広場にHello Worldの形の水たまりができる。
「水生成」
長老はトカヤから杖を受け取ると、村人に告げた。
“エ・スティ・ディ・ア・ウト”の性質の確認が済んだら、子供達はいよいよ
杖の助けなしでprintfを使う事を覚える為に、精霊シィについて学びはじめる。
授かっている力の性質によって、村での役割が決まってくるのだ。
戦乱によってprintf以外の術が失われて久しいが、
人々は精霊シィに授かった力とprintfを利用して、
自然環境の厳しいこの土地で暮らしをたてていた。
進み出る子供ごとに、違ったHello Worldが広場に現れる。
「炎生成」「塩生成」「発光」「キノコ生成」……
祭りはまだ続く。
あれれ、文字化けしたかな…すみません。
kara age
katu age
40 :
仕様書無しさん:03/08/26 23:20
satuma age
41 :
仕様書無しさん:03/08/29 19:04
保守
あぼーん
43 :
仕様書無しさん:03/08/30 19:18
小説書くために独自の言語を設定しようと思ってるんですけど
今一パッとしないような感じなのでココで晒して意見聞いたりしても良いですかね?
独自って言ってもC++のパクリっぽいんですが・・・。
こんな感じ。
(コレだと基本的な動作(文字を表示)とか出来なくなるけどそのときはC++を使うみたいな・・・。)
#attribute<***.a>//呪文の基本属性を決める※必須(火、水等)
#subattribute<***.a>//呪文のサブ属性を決める※無くても良い(光、闇等)
operetion main(***) //呪文の基本動作を決める※必須 複数可(攻撃、防御等)
{
//実際の命令部分(未定)
}
属性(attribute)
fire火
water 水
earth 土
wind風
サブ属性(subattribute)
shine 光
darkness闇
nothing無
動作(operation)
attack攻撃
defense防御
support補助
■属性(attribute)
基本的にどの属性もレベルに関係なく利用できるが、
詠唱者の基本属性によって向き不向き、効力やダメージに影響する。
火→土
↑×↓
水←風
性質上二つ以上の属性を一つの呪文に組み込む事は出来ないが、
複数の呪文を組み合わせることは可能。
ex.火の魔法と水の魔法で熱湯や霧を作り出す等。
この世界には魔法の種類はあっても魔法の名前は基本的に存在しない。
だが、スクロールの場合威力によって分類する事はある。
ex.
威力が弱い火属性の魔法 ファイア
威力が中程度の火の魔法 ミドルファイア
威力が強程度の火の魔法 ヘビーファイア
威力がそれ以上ラストファイア
(其々の魔法にも更に細かい10段階程度のレベルがある。)
■サブ属性(subattribute)
光や闇は先天的な性質に左右されるためどちらかしか利用できない。
無の魔法は光能力者も闇能力者もどちらも利用できるが効果の高い魔法はキャンセルがかかり利用できない。
無のサブ性質能力者の場合光も闇もどちらも利用できるが効果は薄い。
しかし無属性の魔法は最大限利用することが可能。
威力については光→闇であり、闇→光でもある。
同じ属性の場合効果は呪文全体の効力が半減する。
基本的に無くても構わないが高レベルの相手との場合多用する。
その代わり魔力消費量は格段に増える。
※魔力の限界値を超えると体力を消耗し生命の危険が生じる。
※しかし基本的にストッパーがあるため限界を超える魔法は使用できない。
■動作(operation)
攻撃や防御などそのまま魔法自体の対象に対する効果を決める。
コレの場合一度に複数(重複も可能だが意味は無い)指定することができる。
ex.
operetion main(attack)
{
}
operetion sub1(defense)
{
}
と指定すれば攻撃を受けるとダメージを跳ね返す魔法みたいなのが使えるようになる。
やはり複数指定するほうが難易度も消費魔力も高くなってしまう。
補助魔法は肉体の攻撃力の上昇や防御力、状態の回復などに関係する。
(防御魔法の場合保護壁自体を生成する。)
>>43 どうでもいいがその「小説」は
このスレに書くのか
出版するのか
応募するのか
自分のサイトに置くのか
何なんだ?
そもそも魔法にくっついてくる四属性はattributeであってるのか。
隠し属性で「読み取り専用」とかアルンジャネーノ
段々と頻度が落ちてきているのですが、せめて区切りのいいとこまでは書きたいな、と。
---- ここから ----
大男のどてっ腹に風穴を開けて貫通する弾丸。
しかし、大男はびくともせず、変わらずにこちらへ向かって歩いてくる。
「そんな…」
俺は近場のオブジェクトを列挙して男に相当するものを探そうとした。
名前はわからないし──座標は誤爆が恐いし──身長?
Humanのインスタンスで、もっともサイズの大きいものを探す!
…
for It in World'Range loop
if World(It).all in Human'Class then
Size := Get_Bound_Size(World(It));
if Size > Max_Size then
Max_Size := Size;
Target := World(It);
end if;
end if;
end loop;
…
得られたオブジェクトを、Fire関数の引数にして、実行!
途端に燃え上がる大男。正しかった──ほっとした。
大男は、顔の周りが炎に囲まれるにつれ、流石に動きも鈍って来ている。
俺は振り向き、ネクロマンサー相手に同じことをしようとした。
今度は、名前がわかっている。確か"CAIN"。
俺の周りはもうソースコードを流すエフェクトが飛び回って、視界は最悪。
まわりから見るとどんなことになっているのか、なんてことも少し考えた。
その時、いきなりのブラックアウトと共に、世界は消滅した。
**** SIGN OUT NAOTO, HEATH, EVE, CAIN ****
「まったく、なにやってるんだ!」
突然真っ暗になった世界。スリット、光。
それでようやく、現実に戻されたことを認識できた。
“球体”の扉が開かれた第一声は、竜也の怒鳴り声だった。
「テストプレイヤーなんだぞ、て・す・と・ぷ・れ・い・や・あ!」
竜也は、俺、慶吾さん、息吹さん、そして友彦を順番に睨みつけると、
くどくどと、いつもの調子で説教を始めた。
明和さんの“球体”だけは今も閉じられていて、中ではプレイが続行しているのだろう、
時々大きな音が漏れてくる。
いつものことだが、こいつは変なところで熱くなるきらいがある。
俺は適当に聞き流しながら、窓の方を眺めていた。
竜也が一息ついたところで、息吹さんが手を挙げた。
「なんだ!」まだ気が立っている竜也の声に竦む息吹さん。
「…銀でできた弾丸を買ったのですが、あの動く死体に効かなかったのですけど──」
竜也は怒鳴りつける。「後だ後!」
「後じゃねえ」
ドアが開かれ、慎之介が出てきた。「聞かせろ、それが仕事だ」
開かれたドアの方を見ると、紫苑君やタオル男もいて、要するに竜也の剣幕にそろって聞き耳を
立てていたらしい。
息吹さんがあらましを報告するにつれ、機会をうかがっていた紫苑君が、ようやく口を開いた。
「…あのう、それは贋物に当たったんだと思います」
慎之介が、紫苑君を振り返って、またか、みたいな事を呟いた。
「簡単に手に入れられたらつまんないかなあって」
竜也があきれたように言う。
「…お前な、そうやって勝手に変なこと付け加えるの、やめろ」
それで今度は紫苑君が責められることになり、ふと見ると時計が12時を回っていた。
時を同じくして、タオル男が話の流れなど一切無視して「飯ー」と吠え、
明和さんにもあがってもらって昼飯を注文しよう、といきなり満場一致で決定。
弁当が届けられる頃には明和さんも外に出ておしぼりで顔をふいていた。
出てきた最初、何か言おうとしていたようだが、目の前に弁当が並べられるのを見ると、
真っ先にそちらへ飛びついて、飯をかきこんでいる。
よれよれのワイシャツが汗だくになっていて、彼の運動量を物語る。
「ちづなふかなひはけ?」
明和さんに、紫苑君がお茶を差し出す。「はい」
受け取ったお茶を、うまそう!って感じで一気飲みした明和さんは、言い直す。
「地図なんか無いわけ?」
「地図ですか?」
「今いる辺りが全方位草むらでさ、そこにいきなり円形の建物が作られててな、
工事中みたいだけど誰もいないし、周り回ってたら自分が来た方角忘れた」
そう言ってはカラカラカラ、と豪快に笑う。
「ちょうど太陽が沈んだぐらいで、あんなとこで野宿したくないじゃん」
それに誰かが応える。
「だったら、これ食べ終わったら、たぶん丁度朝ぐらいですよ」
慶吾さんが言い足す。
「一人だろ。コンパスも持たずに旅してるのか?」
それに対し明和さんが、いいじゃん別に、みたいなことを言ったので、
テーブルは一時それぞれの攻略ポリシー談義で包まれた。
…全方位草むら。
俺はちょっと気になったので、場所を訊いて見た。
「それって、帝国から北へ抜けて道が無くなった辺りですか?」
「ふん?はんたらも…うん?あんたらもその辺にいるわけ?」
「ええ。建物なんて見えなかったから、距離は離れてると思うのですけど」
竜也は、明和さんが入ることで喧嘩が仲裁されるとでも思ったのだろう。
「じゃあ場所出してみる」
と、席を立ち開発室のほうへ歩いていった。
「なんだ、割と近くじゃん」
「えーと、この辺に建物なんてあったっけ?」
「見落としてたのかもな…まあ、見てみたらわかるだろ」
…。
「いいか友彦、スタートしたら、まず動く死体達を引っ込めてだな…」
「そんな魔法しらねーよ」
「…ふう。わかった。直人に消して貰う」
「わ、わかった。止めればいいんだろ」
…。
そんなこんなで、打ち合わせの末、午後からまた俺達は“球体”に入った。
友彦は最後まで俺と目をあわせようとしなかった──俺も同じだが。
**** SIGN IN NAOTO, HEATH, EVE, CAIN, DARK ****
再開後、真っ先に目に飛び込んできたのは、超高層ビルよろしく、まさに雲まで
届きそうな高い高い一本の塔だった。
草むらから、何十階あるのだろう高さを経て、上の方は不揃いに見える。
まだ工事中なのかも知れない。
立ったまま動こうとしない大男の下で、イブが誰と無しに言う。
「あんなの、無かったよね…」
カイン=友彦も含めて、全員が無言で首を縦に振った。
---- ここまで ----
57 :
仕様書無しさん:03/09/10 03:17
職人さんキター
実際のところ、何人ぐらいまだこのスレ見てるんだ?
漏れは毎日見てる。急かすのもアレだし、マターリと。
>58
ゝ
ノシ
ノシ
ノシ
66 :
仕様書無しさん:03/09/13 23:57
ノシ
何だ? と思ってたら点呼だったのか.
>>67 10 人目です.
>>67 さっきスレが復活してるのに気付いた(遅
11th
70 :
仕様書無しさん:03/09/20 03:26
ノ
12th
点呼って書き手の意欲をそがないかい?っと思いつつ
13th
板的に言うとむしろシリアル?
14th
俺も見てるよ15th reader
「以上がprintfの使い方です。では各自、テキストの次のページの練習問題を・・・」
自分のレベルをわきまえて超初心者向け講座を受講していながら、
単調な講師の声に半分意識が飛びかけていたあたしは、
慌てて開いたテキストのページをめくった。
けれど、そのページには、何故か練習問題ではなく怪しい図形が描かれていた。
魔法陣とかいう奴だっけ。つか何これ?印刷ミス?
と思う間に、その怪しい図形は勝手に広がり、あたしを飲み込んだ。
goto 35
保守
76 :
仕様書無しさん:03/10/03 01:03
保守
77 :
仕様書無しさん:03/10/08 15:31
保守あげ
久しぶりにいきます。
>>56の続き。
正直どこまで書いてたか忘れてた。
---- ここから ----
ひとりが足を向けると、皆、それまでのことなんか放り出して、我先に塔へと駆け出す。
草むらをかき分け進んでゆくと、塔の麓には人?…いや石でできた…像。
今にも動きそうな…。
「ダーク!?」
その石像の風貌は、まさに、明和さんのゲーム内キャラ、ダークだった。
「精巧だなあ…」
ヒースが像の頬をなぞりながら言う。VR空間中でそんなこと言っても意味無いのだが…。
「これって…やっぱ…アレだよね」
目印代わりとか何かの冗談とかでわざわざ石像を残す奴はいない。
この辺りに、石化攻撃を持つ敵がいるということ。
あっという間に出現した塔、明和さんは円形の建物と表現したが、これを見てそんな表現には
ならない筈。一体何が起きたのだろう。
カインが、骸骨の一体に命じて、塔の扉を開けさせようとする。
固く閉ざされた扉を、ガシャンガシャン言わせて骸骨は頑張るが、どうも開きそうも無い。
そうやっていると、突然頭上から何かの呟きが聞こえた…詠唱だ!
伏せる間もなかった次の瞬間、光の豪雨が降り注ぎ、音が鳴り止んだ。
──扉を引っ張っていた骸骨も、カインの後ろに控えていた他の死体群も、忽然と消えていた。
見上げると…塔の真ん中あたり、十階かそこらの窓から、ひとりの男が顔を出していた。
男は身を投げだすと、一瞬ふわっと浮いては、すっと目の前に、音も立てずに降り立った。
「君らが、ジェフの言ってた旅人達だね。…おい、顔を出したまえ」
男が呼びかけると、二階部分から、手に何か持った若い男が顔を出した。
若い男は、腕を引き絞る…弓だ!さっきの弓手!
「やめないか!」
俺達が反応するより先に、男が一括。
「だって…騙されたんだ!そいつらのせいで、ギースは、バーベラは…」
弓手は声を張り上げながらも、渋々弓を下げた。
イブが、振り向きもせずに言う。
「まあ、ヒールプレイしようが、勝手だけどね…」
「彼は、逃げてきたので匿ってやった」
男はそう説明する。改めて見ても、歳は中年、髭などは無く、どこにでもいそうな顔にみえた。
「明、じゃなくてダークは?」
「断りも無く鍵をこじ開けようとしていたので、石になってもらった…」
男は指をかざし、詠唱を始めた。
かなり複雑なソースが流れたが、C言語に読めた。
詠唱が終わると、ダークは元に戻っていた。
さて、と、男は俺達に向き直った。
凄味のある有無を言わせぬ声で、説くように語り始める。
「ジェフから話を訊いて、君達を待っていたのは他でもない、手伝って欲しいからだ。
この塔の完成を、そして、この世界を創った神を倒すことを」
**** 開発室 ****
開発室でトランプに興じてた五人は、ジュースが無くなるまでモニターを見ていなかった。
しかし、建物と訊いただけではピンとこなくても、流石に配置したはずの無い塔が
高く高く映し出されているのを見ると、異変を認めざるを得なかった。
RYUYA says: おい、その塔はどうした?
真っ先に明和が声を返してきた。
「石化ってありかよ!やる事ないし、これ付けるの面倒だから気軽に外にも出られないし、辛れえぞー」
太郎「そのあたりには石化する怪物も、魔法も売ってないはずだぜ」
竜也「塔のことを訊くのが先だ」
画面内では、自動生成されたNPCのひとりの筈の男が喋っている。
直人の聞いている音を、開発室のスピーカーにも流すよう設定を変える。
「…異端として国を追われてからも、研究を続けていくうちに、その体系の不自然さが見えてきた…
しかし、そのうちに、それこそが世界のあり方ではないのかと思うようになった。
この世界は、何かに都合よく作られた、箱庭のようなものではないのだろうか…」
太郎「…またか。あんだけ色々調整しても、出てくるなあ」
紫苑「…賢いですね」
竜也「…ああ、直人とエライ違いだな」
優理「ちょっと、そんな呑気なこと言ってていいの」
慎之介「どんなに長い塔を建てたって、どうなるもんでもないしな。
それにしてもエフェクトから呪文を読むとは…元々本番では変えるつもりだったとはいえ」
太郎「どんなに長い…って、流石に雲の上まで描画してないぞ。どうなるんだ?」
竜也「ちょっと試してみるか」
試すのは簡単で、新たにモニタを立ち上げ、仮想カメラを配置し、そのカメラを
どんどん上昇させてみるだけでいい。それでどんな風に描画されていくかが見える。
当然雲の裏側は描いていないので真っ黒、それを超えてどんどんと高くすると、
地上が描画範囲から外れたらしく、一面空のグラデーションだけとなった。
更に、高く高く…突然、モニタが停止した。
竜也「凍った。別に起動してて良かった」
紫苑「どうして…最後の座標は10の35乗ですか…あっ」
太郎「浮動小数点演算のオーバーフローだかアンダーフローだか、限界だな。
…まあ、実際そこまで塔が造れるはずもなし、ほっといても…」
優理「でも、この塔はさっきまで無かったのでしょう?」
慎之介「魔法を使ったなら、ログが残っているはずだ」
AYASE says: 直人、気付かれないように塔にマーキングをしてくれ
案の定「無茶を言うな」、みたいな台詞が帰ってきた。
仕方がないから総出でそれらしいものを検索して、ようやく見つけ出した。
竜也「…複製して、平行移動して、重ねてる…」
紫苑「…指数で塔が伸びてきたことになりますね…」
優理「あんな細長い塔…折れたりはしないの?」
慎之介「建物なんか剛体で処理しちまってるからな…こんな方法でフリーズさせられるのか…」
---- ここまで ----
他の人はどうか知りませんけど、私的には雑談推奨。
(ひとりでネタ考えるのにも限度があるんですよお)
書き手さまキター!
>竜也「…複製して、平行移動して、重ねてる…」
おー、はじめてプログラミング言語知らなくても中身が想像できる
プログラマっぽい会話シーンだ。感動。
すいませんバカなんで。
素晴らしい。
>>83 こないだ見てたShadeのレッスンムービーみたいだ。w
造物主に戦いを挑む箱庭世界の住人・・・架空世界ものの王道、ここに甦る!
動いているゲームシステムを止めたいのか
(同時にゲーム内存在である自分も滅びるけどこれなら比較的簡単)、
システムは残したまま自分の望む動きに変えたいのか
(やっぱ「動いてるカーネルにパッチ」でしょうか)、
はたまたシステムを作ったプログラマ達と戦いたいのか
(これは・・・プレーヤーキャラに憑依、は無理だから
ゲーム内でキャラとしてプレーヤーの潜在意識に働きかけ
現実世界で発動するような衝動の刷り込みでもする?)、
無邪気なAIの見た夢が、今、テストプレーヤーに襲いかかる!!
・・・などと煽ってみたりして
ソフィーの世界みたくゲーム世界からの脱出を試みるとか。
さすがにそれは無いか。
87 :
仕様書無しさん:03/10/22 19:14
thread = new page_get( "pc" , "prog" , "1061478354" );
thread.contribution( "" , "" , "保存age" );
『にぎやかだねぇ・・・。』
カエルが食堂に入ると同時に口を開く。
『大砲隊は朝から詰めっぱなしだったからのう。 今、一日分の飯を食べてるんじゃ。』
組合長が、すぐ後ろから説明してくる。
マコトたちは、空いている席を見つけて食事をとり始める。
食べ始め少しすると、唐突に声が聞こえる。
『非常警報!! 魔物二個半連隊規模が急接近!! 当直大砲隊非常攻撃開始!! 及び全大砲隊攻撃準備!!』
声の元は、部屋の天井に数箇所取り付けられている伝声管だ。
声が途切れると、部屋にいた大量の人間がいっせいに出口に殺到する。
外からは砲撃音が聞こえ始める。
内何人かが、壁際に向かう。
どうやら発信用の伝声管があるようだ。
『大砲隊! 部隊長を特定できるなら部隊長を、そうでないなら先頭の一体を集中的に叩け!』
『短期的にそれで持つはずだ!』
城塞攻撃参謀の声だ。
『ファイヤーウォールの状態を確認! 本格的攻勢に備えろ!』
重なって城塞防御参謀の声が聞こえる。
『全部隊、警戒レベル1! 緊急防御出動に備えろ!』
続いて部隊参謀の声が聞こえる。
『応急処置が済んだら、直ぐに作戦指令室に集合! 先に行ってるぞ!』
総司令がそれだけ言い残し、出て行った。
それに続き、何人かの司令部人員が出て行った。
伝声管に向かっていった数人も、伝声管に他に何言か叫んだ後、走って出て行った。
『どれ・・・ワシらも行くかの。』
組合長がノンビリと食べ終わった後、カエル達を促す。
『随分ゆっくりですねぇ・・・。』
マコトが半分呆れながら、組合長に続く。
『どうせ、会議の前半ではワシ等は居ても意味無いからの。』
マコト達は、外で大砲音が響き渡るのを聞きながら部屋を後にする。
作戦指令室に着くと、命令が飛び交っていた。
『第一から第五までの大砲小隊は順次正射準備!』
『第二大隊は部隊を整えろ! 直ぐに外に出て戦う可能性がある!』
『監視班は状況を・・・』
命令が飛び交う中、其々の席に着く。
カエルが外に目をやると、確かに魔物の群れがなにやら動いていた。
望遠鏡を使ってみると、それは四足で歩く、ライオンのような格好をした魔物だ。
だが、ライオンとは決定的に違うのは、顔だった。
口が異様に大きく、まるでワニの様になっていた。
『当直! 砲撃中止! 切り替えるぞ!』
城塞攻撃参謀が伝声管に向かって叫ぶと、砲撃が一瞬止む。
その瞬間、動き回っていた魔物たちが一斉に隊列を組み上げる。
『あ、ダメだ!』
カエルがその光景を見、叫ぶ。
『魔物がファイヤーウォールラインに並びました! 何か仕掛ける模様!』
監視班の声がする。
『え!?』
城塞攻撃参謀の声が凍る。
その声に重なるように、魔物たちが一斉に口を開き光の帯を吐き出す。
「バギィン!! ギリギリギリ・・・!」
金属的な音がここまで響いて来る。
『ファイヤーウォールに極端な高負荷! 長時間持ちません!』
伝声管から悲鳴が聞こえてきた。
『ないぃ!? ディ・オ・エスじゃとぉ!?』
魔術組合長が声をあげる。
『ヤツ等、魔物に術式をインス・トールしやがったな!』
今までの組合長からは、想像もできなかったような形相だ。
『まずい、直ぐに止めさせんと!』
城塞攻撃参謀に視線を投げる。
『はい! 全大砲隊、命令撤回、自由砲撃開始!』
伝声管に向かって叫ぶと同時に、膨大な数の砲撃音が重なる。
カエルが外を見やると、魔物が居た位置には土柱が大量に上がる。
『あれ・・・? 何か忘れてる・・・。』
砲撃風景を見、嫌な予感が走る。
『こちら気象観測班! 現在風力ゼロ風向南向き!』
伝声管から声が聞こえる。
『まずい! 砲撃緊急中止! 砲撃の爆煙で見えなくなるぞ!』
総司令官が叫ぶ。
『あ、ハイ! 砲撃中止! 全大砲隊、砲撃中止しろ!』
それを聞き、城塞攻撃参謀が叫んだ。
砲撃音が一斉に止む。
『大砲隊測量班! 状況を報告せよ!』
城塞攻撃参謀が引き続いて叫ぶ。
『み・・・見えません! 黒煙で視界が塞がれています! これでは砲撃出来ません!』
伝声管から声が返ってくる。
『やられた・・・。 こんな罠に引っかかるなんて、最悪だ。』
総司令官がうな垂れる。
『不明部隊残りの五つが一斉に突進してきます!』
観測班の声が聞こえる。
『大砲隊!』
『視界不良で砲撃できません!』
城塞攻撃参謀が叫ぶが、言い終わる前に答えが返ってくる。
『クッ!』
城塞攻撃参謀の顔が歪む。
『大砲隊の魔法測量攻撃砲は、元来味方に当てない大砲だ。 それを改良して弾道性能を上げている。』
『着弾地点での敵味方の識別の付かない、視界不良状態では砲撃できないようになっている。』
戦術参謀が、淡々と説明した。
「バギギィン! ギャギャギャ!!」
再び金属的な音が聞こえる。
『ファイヤーウォール、もう持ちません!』
伝声管から再び悲鳴が聞こえてきた。
しかも、もうすでに末期的な悲鳴だった。
「ギャン!!」
ファイヤーウォールが断末魔の悲鳴をあげる。
『き、機能停止・・・しました!』
同じ人の、暗く沈んだ声が伝生還から漏れてくる。
作戦指令室が重苦しい雰囲気に包まれる。
このままでは無くなりかねなかったので、ちょっち久しぶりに書いてみました。
ついでに簡単な設定をば・・・。
観測班の直接命令について。
食堂で緊急事態を知らせる報が入り、同時に命令が下っていましたが、アレは城塞防御隊観測班が下しています。
この国の軍隊では、緊急時に司令部・上流命令系を通している時間が無い場合、直接指示を下せることになっています。
その指示に従うかどうかは、指示を下された側の判断に任せられます。
ひどい間違いを犯さない限り、ここでの命令違反は咎められません。
当直チームの即時反応性と、観測班の観測能力を最大限に生かすようになっています。
あと、魔法測量攻撃砲について。
大砲と測量は別になっていて、十個づつ纏めて測量し、大砲の仰角、角度を調整するようになっています。
観測地点は二箇所づつ付いていて、三角測量に基づき着弾地点を決定するシステムになっています。
大砲の孔と同じ個所で測量をすると、二次砲撃をする際に、一時砲撃の砲煙が残っている可能性があるからです。
順次砲撃とは、0番砲が打ち終わったら1番砲というように順番に砲撃する方法。
一斉砲撃とは、0番砲から9番砲まで一斉に砲撃する方法。
自由砲撃とは、他の砲台との砲撃順序に捕らわれず、砲撃する方法。
其々に一長一短があり、
順次砲撃では常に砲撃をすることが出来るが、着弾地点を読まれる場合がある。
一斉砲撃では、一撃で大被害を与えることが出来るが、発射から発射までの間隔が長い。
自由砲撃では、一様に被害を与えられるが、砲撃にムラが出る上弾薬の消費が激しい。
さて、次に書き込めるのは何時になるやら・・・(汗
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
待ってました。というか、いつまでも待ってます!
「おう、起きたか」
起き抜けのぼーっとしたところに声をかけてきたのはおにーちゃんだった。
「・・・おにーちゃんが早起きなんてめずらしいね・・・」
「身体は大丈夫か?変なところはあるか?気分悪かったりしないか?」
ただ寝坊しただけなのに過保護もいいところのおにーちゃんの言葉に苦笑し
ようとして・・・ふと、実験を手伝ってくれと言うおにーちゃんが差し出した
お茶を飲んだ後の記憶がすっぽり抜けているのに気がついた。
思わず飛び起きて自分の身体を点検する。一見変わった様子はない。顔を
ぺたぺたさわってみても、目も鼻も口も耳も・・・耳?
「あ、あれ、耳、耳が!?」
耳が、まるでエルフの耳のように長くとがっていた。寝る前までは間違いな
く人間の耳だったのに!
「さわって感触があるか?だとしたら成功だな」
そこまで言って、おにーちゃんは会心の笑みを浮かべた。
おにーちゃんは、魔法使いだ。
「お前の基本クラスをHumanからElfに書き換えて再ビルドしたんだ」
いつものように専門用語ばりばりのおにーちゃんの説明をあたしなりにまと
めると、[生物→人間→あたし]という構造になっているあたしの存在を、
[生物→エルフ→あたし]に変えてしまった、と言うことらしい。
「なんでいきなりこんなことするの〜!?」
「だから実験だって。HumanもElfも、基底クラスが同じで構造もそっくりだ
から、俺にかかれば本質を壊さないように更新なんてチョチョイのチョイ」
チョチョイのチョイの割に、暦を見ると、あたしがお茶を飲まされた日から
0Ah日も経ってたりするのは何でだろう・・・。
「ホントに元に戻せるの?」
「大丈夫大丈夫、改版履歴ちゃんと残ってるから、何の影響も出ないさ」
そういっておにーちゃんははっはっはと笑い、「ちょっと寝る」と言って
自分の部屋に引っ込んでしまった。
人間をエルフに変えるなんて、素人考えでもとんでもない魔法だって分かる。
何の役に立つのか、よく分からないけど。
どうせだから、元に戻してから寝て欲しかったな・・・。
小ネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
>>82の続き
---- ここから ----
ふと、時計を見やる。
竜也「…意外に時間食ったな…進展はどうなった!?」
**** 直人 ****
各オブジェクトにはそれぞれ固有のアドレスが割り当てられているものの、デバッガでは
草や石ころもNPCもPCも羅列されるため、特定のオブジェクトを探し出すのは至難の業。
しかし、実際にプレイしている側からは、どれがどれか目視できる。
だから竜也達が探すよりも、こちらから教えてやった方が早い。
オブジェクトをマークするには、単にMarkを呼べばいい。
竜也からは奴をマーキングしろとの指示が出たものの、向かい合って会話している相手に
気付かれずそんなことをできるわけもなく、気付かれてしまえば、同じ方法で逆に俺達が
マークされるかもしれない。そうなれば一瞬でプレイヤー「オブジェクト」を消されることも
有り得るわけで、事態は慎重を要した。
「…さっきからのそぶり、そして、ジェフは君達がいつのまにか消えたとも言っていた。
君達はこの世界について何か知ってるのじゃないかな?」
…本当に勘がいい。
ゲームに使用されるものの範囲では最高を超えてオーバースペックのAIは、下手をすると
本物の人間すら一部上回ってるのではないかとも思えてくる。
ヒースが、どうする?という目で見渡して来た。
これが、単なるゲームの為に作られた世界で、竜也達の指先ひとつで
──実際には面倒な作業が待っているのだろうなあとは想像するが──
リセットされてしまうことを教えると、どう反応するのだろう。
人類が実は宇宙人やなんかに作られて、消されようとしているのを必死で訴えて、
ついに創造主の心を動かす…なんてドラマは過去幾多作られてきたが……。
「そうだとしたらどうするんだ?」
何も考えてない調子で、ダークが言ってしまった!
男は満足げに頷くと、空を仰いで語り始めた。芝居がかっているのは、やはりNPCだからか。
「最近不穏な事件が多発しているのを調べたんだ…。
それらは、明らかに人為的に『強制された』痕跡があった。
神、この世界を思うがままにできる主がいるのは間違い無い。
そして世界の動かされ方を見ていると、明らかに不穏な方向へ導かれている……
私は今や追われる身だが、それでも、祖国を思うと、護りたい。
神の真意を問いただし、もしこの世界を滅ぼそうとしているなら、戦わなければならない」
…。
何も言えねえよ、これは…。
塔を伸ばしていっても、描画の粗しか見えないだろうし、さらに伸ばしていったら、
今慎之介が新しくメッセージを寄越したように、エラーでシステムが停止するだけだろう。
箱庭という認識はある意味正しいがある意味間違っている。
ここが仮想世界である以上、本物の箱庭とは異なりどの方向にいくら進んでも、外には出られない。
どう説明するべきか…。
膠着状態のまま、こうして時間だけが流れた。
この世界の一日は短い。再び夕方が来て夜が来ようとした…その時、
天高くラッパの音が鳴り響く!
燃えるような夕焼けをバックに、南西から怒濤の蹄音が、押し寄せてくる!
「旗からすると、帝国の騎士隊ね…」
イブが帽子をかぶり直して、呟く。
大地を覆わんばかりのうねりには、投石器や大砲のような攻城兵器をも抱えている。
騎士隊長らしき、中央の兜の騎士が、馬を一歩前に進ませ、声を張り上げた。
「帝国領に皇帝の意にそぐわぬかような塔を建造し、何を企んでいる!
邪悪な魔術師め、我ら神炎騎士団が滅してくれるわ!」
急展開と、ど迫力に、俺は気圧されて動けないでいた。
俺は誰かに腕を引っ張られ、転びそうになりながらも、俺達は手近な茂みに隠れる。
男は、物悲しそうな顔で、ここでも追われる身か、みたいなことを呟いたが、
やがては、呪文の詠唱に取り掛かった。
男の身体が光と文字に包まれるのを見て、隊長は後ろに向けて槍をかかげた。
間髪入れずに石や砲弾の嵐が塔に向けて放たれる!
応酬の末、塔が、根元から、まるで鉛筆のように不自然な程奇麗に、倒れた。
地平線までとどくような長い、長い、瓦礫。
「塔の中に居た、なんとか言う奴、死んだな…」
誰かが呟いた。俺はカインの方を見てみたが、カインもただ展開に驚くばかりで、
気を回す余裕も無いようだ。
倒れた騎士を乗り越えて、次々に後方の騎士が押し寄せてくる。
ついに男は、今までとは異なる魔法を唱えた……宙に浮き、瞬く間に、点になる。
騎士のひとりに睨みつけられ、俺達は、すごすごと場を離れては、大地にへたり込んだ。
かくして、仮想世界の魔術師は、仮想世界の空へと消えていった。
余韻の暇も無く、ウィンドウが強制的に開き、文字が走る。
AYASE says: いいか、奴が着地した地点に飛ばすぞ!
**** 開発室 ****
慎之介「…止める!魔法のログは追跡できているんだ!
奴が飛行魔法を使っている限り位置は特定できる。追いかけるぞ!」
優理「飛ばすって?」
慎之介「プレイヤーについては完全に把握してるからな。
単にデバッガで座標を無理やり書き換えるだけだ。
物理シミュレータにとってはあまり良くないが、非常事態だ」
マイクから、プレイヤー達のざわめきが聞こえてくる。
急展開を飲み込めない者や、今の見たか、あんなのと戦えってのかよー、とか、
中には、明らかに気乗りして無さそうな直人のぼやきもあった。
竜也はあきれ顔でキーボードに指を走らせる。
RYUYA says: お前まだそんなこと言ってるのか?
俺達は自我を持ってるし、AIは人間より賢くなってもシミュレーションには変わりないんだ。
ぐだぐだ言ってないで、行くぞ!今度こそしっかりマーキングしてくれ。
竜也がキーを叩くと、「ナオト」達はエフェクトも一切無くモニターから掻き消えた。
そうしてカメラ座標を再設定すると、「ナオト」たちが異なる風景の中に再び表示される。
紫苑「でも…ブランク定数って、フォーマットは違うだろうけど、
例えば不動小数点型の最小値かもしれませんよね。量子の状態の重ね合わせって、
ひょっとしたら、干渉するまで途中の計算を省いてるだけかも…この世界って」
太郎「…お前いつもそんなことを考えてるのか?」
---- ここまで ----
単純に塔の頂上で決戦を考えていたのですが、
>>85-86とかも混ぜて、ジーンダイバーにしちゃいました。
「飛ばすぞ!」のためだけに折角登場させた塔をあっさり倒したのは勿体なかったかな…
帝国にとっては一夜にして万里の長城ができたも同然なので、なんとか使えないかな…とか。
それにしても、これに収集付けられるのか、俺。
AIが人間に反抗する常套手段としてはやっぱ
「 防 犯 シ ス テ ム 乗 っ 取 り 」だな。
実際可能なのかどうか知らんが。
「おい!ヨゼフ、気がついたか!」
ランプの灯りに照らされたほの暗い部屋の中で若者は目を醒ました。
彼は全身にぐっしょりと汗をかき、震えていた。
「書斎で倒れてずっと痙攣してたんだ。
ちょっと待て。いま葡萄酒を注いでやる。」
若者の横で看病していた男がすぐに立ち上がり、気付けのための
葡萄酒を小さなグラスに注いで若者に手渡した。
「グロイツに教えてもらった術式を試してたんだ。」
若者はグラスを受け取ると、ぽつりと呟いた。
「多分、遺失魔法だと思う。不思議な場所に心を飛ばされて、
ずっと誰かの声が話しかけてくるんだ。」
「声って、エリーゼのか?今、夜食にスープを温めてるけど、
ずっと心配してたからな。」
「違う、ラッパみたいに無機質な、感情のこもっていない声だった。
魔法の詠唱に失敗したとき頭に響く声に似てるけど、少し違う。
何かを教えようとしてるみたいだった。」
若者はなおも震えながら、まるで独り言のように呟いた。
「それは魔法の失敗で天国の一歩手前まで行ってたんじゃないか?
聖書にもあるだろ、天使の声はラッパみたいだって言うから。」
付き添いの男はベッドの傍においてあった手ぬぐいを手にすると、
汗にぬれた若者の額をぬぐおうとした。若者はそれをひったくると、
自分で顔を拭いた。
「けど、あそこは天国じゃないと思う。それにしてはあまりにも殺風景だった。」
若者は震える声で続けた。
「この世のものとは思えない場所だった。壁や床は全部白い、長い通路を
天井付近から見下ろしていた。そう言う光景が見えるだけで身体の自由は
利かないんだ。自分のいるところで通路が折れ曲がってL字になっていた。
通路には時折、人が歩いていた。見たことのない灰色の衣装を着ていた…。
それが突然、真っ暗になって、なにも聞こえなくなった。頭を落とされた気分だ。」
若者はなにかを思い出したように跳ね起き、すぐによろけて床に倒れた。
「そうだ!今の術式を記録しておかないと!忘れないうちに!」
「おい、無理するな!そんなに急ぐんなら紙とインクを持ってきてやるから。」
ちょうどそのとき、人数分のスープを持って女性が部屋に入ってきた。
(続かない)
お、久々に来てみたんだけど…
話の続きが!新たな物語が〜!
よし、これからは頻繁に見に来るぞ
フリーズの嵐・・・ブリザード?
こんばんは。
ボクは今、いわゆる異世界に来ちゃったみたいです。
闇と魔物と魔法が実在し、しかも魔法がプログラミング言語に非常に近い、異世界。
ここで同じように異世界に行った他の皆さんの話を聞いてると、
皆さん関数で直接物質に働きかけられたりするみたいですが、
ボクのいるこの世界では、魔法で物質に働きかける手段はただ一つ。
printfで、プログラムなら表示する筈の文字の形に
石炭の粒のような物を発生させるだけです。
自分の足下に、どこからともなく発生した1センチくらいの石炭の粒で
20センチくらいのHello Worldが書かれるさまを想像してみて下さい。
いや、石炭の粒なら良かったんです。この世界の魔法使いと同じですから。
ボクの場合、同じ事をやると…文字が爆発するんです。
石炭に何か爆発性の不純物が混じって生成されるんじゃないか、って
ここの魔法使い達は分析してくれてます。
そして…ボクは当然のように魔物退治にかり出されてます。
文字を表示させるのは体力を使うらしく、息が切れてきます。
演算やループ処理などは気力を使うらしく、頭痛や意識低下が起きます。
しかもこの世界にはstdioに相当する魔法しか存在しないようで、
出来る事に限りがありまくりです。
でも、全く身寄りのないこの世界での食事と寝床の代償として、
ボクは毎日ボロボロになるまで魔物に向かって
爆発文字を放ち続けなければなりません。
おそらく、いつか魔物にやられてしまうまでずっと。
107 :
仕様書無しさん:03/11/22 03:15
ン保守
単発でもなんでも、少しでも活気が戻って来て嬉しいところ。
>>101の続き。
(101はs/ブランク/プランク…恥ずかしー)
--- ここから ----
**** 直人 ****
何のフィードバックも無く、道端で瞬きしたら東京タワーの上でした、といった感じで
景色はうって変わって、一面の砂浜。
これは、心臓に悪いかも知れない。
…遠くには岩場が見え、波の音が聞こえる。振り替えると、深緑の海だった。
RYUYA says: リーナ領の真珠海の端っこだ。気をつけろ、近くにいるぞ!
そう言われても、俺達はスタート地点の帝国から出た事もなく、地図だって余り見ていない。
めいめい思い思いに、どこだどこだと、言いながら、周囲を見渡していた。
「おい、あっちの岩陰!」
そう言って駆け出すものが一人。ダーク!?
「俺達も行こうぜ!」
ヒースのかけ声で「あっ」て感じで俺達も後に続く。
レイダーとは聞いていたけれど、ダークは本当に足が早くて、俺達が岩場に着いた頃には
もう姿が見えなかった。
俺は砂に足を取られて一番最後だったんだけどな。
呼びかけても返事が無い。
…まさか?
「わぁ」イブが感嘆の声をあげる。
肩越しにのぞいてみると、海女さんが海に飛び込んだところか?飛沫が跳ね上がる。
カインも、刺々しさを忘れたように、言う。
「やっぱ、真珠の養殖とかやってるのかな」
真珠…。
無論俺は、すぐさまPerlを連想した。
JSPだASPだ、それからなんだっけ、予告だけ派手だったやつは…ともかく
なんだかんだ言いつつ、CGIはまだまだ現役で、Perlも、新たなスクリプト言語に
押されはしているが、充分今も使われていると言える言語。
きちんとしたプログラムを書くのも馬鹿らしい程度の雑用になら、まあ、
たまには使わないこともない…いや、昔は使った。
RYUYA says: 何やってんだお前ら!明和さんが一人で追って…見つかった!
びくっ、っと走る緊張感。俺達は岩場を駆け上がった。
頂を乗り越えてみると、まずダークの姿があって、その先に…さっきの男が、
いかにもくたびれた様子で向かい合ってたたずんでいる。
男は、口を開いた。
「追って来たのか…やはり、君たちは、何か特別なようだな」
ダークは、あくまで軽く、言う。
「ここは箱庭で、確かに俺達は遊びに来てるんだけどよ、
あんたは出れないからさ、観念しろや」
男の眉が動く。
「…出られない?どういう意味だ」
「あんたは架空世界の、AIが動かしてる登場人物に過ぎないからな」
男は、問う。
「架空世界とは何だ?登場人物とは、どういう意味だ?」
「…え、そりゃゲームの世界の…って言ってもわからんか…ええと」
「ゲーム?ここはチェスやルーレットの盤面ではないぞ。
ごまかす腹ならこちらにも考えがある」
ダークは、途端に言葉に詰まって、天を仰いだ。
「おい、開発室!あんだけ賢いこいつが、なんなんだよ!?」
俺もウィンドウを開いてみたが、達也たちもすぐには返事をしかねるようだ。
返って来たのが、案の定というか充分想像の範囲だが、このようなもの。
SION says: 概念が、無いんでしょうね…。
AYASE says: 空間が切り離されているような例が無いからな…。
つい、Cを使ってるんだったら「メモリ空間」が…と言いそうになったが、やめた。
向こうも相談してるみたいで、揚げ句の果てにこんなだし。
DOMON says: 奴も弱ってることだし、ぐだぐだ言わずに倒しちまえ。
皆が、じゃあそうするか、みたいに、それぞれに武器を構え始めて、俺は驚いた。
あんな凄い奴に勝てるのか…以前に。
いいのか…それで?
いいのか…本当に?
俺の迷いは消えないまま、ひとり、またひとり、ダークの横へと並びつつある。
俺も仕方なく、岩を降り、後ろへと並んだ。
「貴様等は、神の刺客だったのだな…」
俺達が揃う様子を眺めていた男は、ふふ、と漏らした。
そして、男も、指輪をはめ直す。
こうなったら男は疾かった。瞬く間に最初の呪文が完成し、ソースコードが舞う。
空中に無数の光の矢が出現し、一斉に振ってくる。
俺とカインは慌てて魔法の楯を唱える。ふたつの文字の円盤が、光の矢を、
辛うじて五人が入れる空間だけ、バチバチ音を立てて弾いていく。
イブは銃を構え…銃声よりも先に、男の体の周囲を光が取り巻く。
銃弾は、光に反らされて男には当たらなかった。
俺は、奴の光を消そうと、近場のオブジェクトを検索してそれが魔法効果であれば
破棄するようなコードを…。
男の周囲にまた一瞬文字が舞ったかと思えば、俺の詠唱中のコードは一瞬にして消えた。
そこから、間髪入れずにまた呪文!?
今度も、組み込みの魔法では無くてコードを唱えているよう…だ…が、速い。
気がつけば、吹き荒れる突風に吹き飛ばされ、背後の岩に叩きつけられていた。
コーディング速度、というよりも、ほとんどタイピング速度(口頭だけど)の勝負で、
AIに勝てるわけが…ない…だろ。
意識はまだあったが、俺は崩れ落ちた。
---- ここまで ----
こんばんは。
printf106です。
今日のボクの仕事は、村から少し離れた林に棲みついた魔物の退治です。
ウォルフという、なんでも大きな黒い犬みたいな姿の魔物だそうです。
昨日、村はずれの家の鶏小屋が荒らされたとか。
「大きくてしぶとい相手だが、住処も大体わかっているし
ただ倒すだけの単純作業だ。おまえでもできるだろ」
組合長にそう言われて、返す言葉はありません。
この世界を知らず言葉も不完全なボクは、聞き込みや交渉が必要な問題や、
何人もの魔法使いと連携して行う複雑な戦闘には全く役に立たないのです。
ボクは、ウォルフが住処に戻っているであろう昼間のうちに、林に向かいました。
林の中は思ったより薄暗く、気が付いた時には
ボクはウォルフの目の前まで来てしまっていました。
本当にでかいです。今は半分地面に伏せたような姿勢で坐っていますが
立ったらボクはウォルフの肩までしかないんじゃないかって位。
ウォルフが坐ったままこっちを振り向きました。
ど、どうしよう・・・
hosh
『こ・・・こちらボイラー室ボイラー長! 司令室応答願います!』
突然今までとは違う声が聞こえる。
『どうした、非戦闘部署の人員は割り込む・・』
城塞防御参謀が叫ぶが、総司令官が止める。
『何があった?』
『ボイラー火力急速低下、能力を維持できません! 魔法火力補助が効いてません!』
別の伝声管からも声が聞こえてきた。
『こちら蒸気機関室! 火力低下に伴い、蒸気圧力が維持できません! 必須圧力系、メインシャフト系以外の停止許可を願います!』
『こちら城塞内環境班! 室内照明系に致命的障害発生! 城内明度が維持できません!』
『城塞内空気循環系にも障害! 城塞内換気が出来ません!』
『あっと、水循環系にも障害です! 中層階までしか揚水できません!』
複数の系統での障害が一気に伝えられる。
『まずい! メイン水晶系がズタズタじゃ!』
組合長が青ざめる。
『全魔力系をチェックしろ! 緊急だ! 最優先事項!』
『観測班は魔物の状態を知らせろ!』
総司令官が組合長の言葉を受け、作戦指令室の全員に指示を与える。
一斉に指示が飛び交う。
『先ほどの魔物不明部隊が引きます! 次の行動はまだ起こしていません!』
まず最初に観測班から答えが帰ってくる。
『大砲の魔法測量が出来ません!』
城塞攻撃参謀が報告する。
『部隊補助系が動作障害です! 通常攻撃補助、通常防御補助、通常速度補助、魔法攻撃補助、魔法防御補助、魔法詠唱補助、魔法能力補助が効力半減状態。』
『通常防御障害、通常速度障害が効力半減状態。 通常攻撃障害、魔法攻撃障害、魔法防御障害、魔法詠唱障害、魔法能力障害が効力停止状態。』
『城塞城壁通常強化が効力半減、城塞城壁魔法強化が効力停止。』
部隊参謀と城塞防御参謀が続いて報告をする。
他の城塞内外の細かな魔力系の報告も引き続く。
『魔力動作系の能力が使い物にならんな・・・。』
組合長がぼやく。
『どうする? 今すぐ総合魔法処理水晶石を再起動させる事は出来るか?』
総司令官が聞く。
『まず、総合魔法処理水晶石の全魔力をクリアにするのに三十分はかかる。』
『全魔法を展開し必要にあわせ再構築した後、魔力を込めて発動状態に持っていき、安定状態にする。』
『最短で一日かかるわい・・・。』
組合長が重苦しい言葉で続ける。
『だったら、現在動作している魔法を維持させたほうが良いか・・・?』
総司令官が組合長に問う。
『そうじゃのう・・・。 とりあえず、現行展開されている魔法と、クラッシュして死んだ魔法を切り分けて、死んだ魔法を開放して・・』
組合長が遠くを眺めながらブツブツ独り言を始めてしまった。
『そ・・・そっちは、それで任せる。』
既に総司令官は組合長のほうを見ていなかった。
『第二大隊を出しますか?』
部隊参謀が具申する。
『いや、ダメだ。 部隊補助系と部隊障害系の魔法に機能障害を起こしている以上、兵を出しても・・・』
『魔物に動きがあります! 何か出してきました・・・あれは・・・なんだ・・!?』
総司令官の言葉が途中で遮られる。
だが、報告が余りにも曖昧だ。
『しっかり報告せんか!』
総司令官が叱責する。
『あれは・・・攻城兵器だ! 攻城兵器です!! 攻城兵器が二台、丘の左右に出てきました!』
伝声管から返ってきた声に、部屋が静まり返る。
状況の理解できないカエルが声を上げる。
『え? 攻城兵器だと何かマズイのですか?』
再び静まり返る室内。
『有史・・・といっても2300年以降の残された記録だが、魔物の軍勢が機械兵器を使用したことが無いんだ。』
『魔物の軍勢には、そういう細かなギミックを組み込む工業能力が無いんだ。』
『ここの防衛計画も、本格的な機械兵器の使用は想定していない。』
重い沈黙の後、総司令官が説明してきた。
再び重い沈黙の後、総司令官が立ち上がった。
『防衛計画を立て直す。』
力強く宣言する。
『主城に現在の城塞の状態を連絡しろ。 非常事態宣言を発令する。 市街・郊外・城下全域の警戒レベルを3から1にあげろ。』
『委員会を非常招集しろ。 城内魔法部隊は魔法の回復に全力を注げ。』
『情報参謀、攻城兵器にの情報収集。』
『部隊参謀、戦術参謀、攻城兵器に対する攻撃法を纏めておけ。 第一、第二大隊で攻撃することも視野に入れてな。』
『城塞防御担当、現在の状態で攻撃にどの程度耐えられるか試算しろ。』
『城塞攻撃参謀、魔力停止状態で各種攻撃兵器類の使用に対する手段を考案しろ。』
『戦略参謀。』
そこまで言って、いったん間をおく。
『城塞退去を含めた戦略案を考案してくれ。 ただし、全非戦闘員の避難に今から三時間はかかるから、その分を考慮に入れるように。』
『行動開始!』
総司令官の指示が出終わると、作戦指令室が大騒ぎになる。
マコトたちはそれを見守ることしか出来ない。
と、組合長が近づいてきた。
『スマンの。 お主らをココに匿うのも、もう限界のようじゃ。』
『わ、我々もお手伝いします!』
マコトが立ち上がり、言う。
が、その声を無視し、組合長が続ける。
『カエル。 この世界を出る方法は、ワシの知る限り一つじゃ。』
そういいながら、マコト達に向けて手をかざず。
『”権限”を手に入れるんじゃ。』
カエルが組合長を正面から見据え、短く答える。
『はい。』
組合長がさらに続ける。
『ただの権限ではなく、”ルート権限”じゃ、よいな。』
『はい。』
カエルが答えるが早いか、組合長が目を瞑り、呪文詠唱を始めた。
『あの!』
マコトが再び何かを言おうとするが、その前に組合長の呪文が完成する。
『イジェクト!』
その言葉と同時にマコトたちは光に包まれる。
カエルが再び目を開けたときには、ソコは外だった。
目の前には城塞入り口の鉄製の扉が見える。
『こっちだ!』
城塞内を案内してくれた中隊長が呼んでくる。
マコト達はその方向に向かって走り出す。
中隊長は馬車に乗って待っていた。
『あの、我々も・・・。』
マコトが今度は中隊長に言おうとするが、中隊長がそれを遮る。
『お前達は、カエルを守るんだろう!? 組合長からそう聞いているぞ。』
その言葉を聴き、マコトは押し黙る。
『だとしたら、今すぐこの国を出るんだ。 今、それが最も単純、かつ明快な保護法方だ。』
『お前達が出立し次第、北門を閉鎖する! 作戦指令室からの指示だ! 早く乗れ!』
中隊長が捲くし立てる。
『は、はい。』
マコトたちはそれに素直に従う。
『あ、ソラ!』
カエルが、外に放したままだったソラを思い出す。
今まで城塞内に居たので、肩に乗せているわけにもいかなかったのだ。
『行け!』
中隊長が馬車馬に鞭を打ち、馬車が走り出すと同時にカエルが指笛を鳴らす。
『ピィーー!!』
シー国までの道中でヒイラギに教わった合図だ。
と、どこからとも無くソラが飛来し、馬車の枠木に掴まる。
『お帰り、ソラ。』
カエルが挨拶すると、ソラもそれに答えて鳴く。
そうこうしている内に、魔術組合前に着く。
『荷物を持って来る。 必要なものはソコの道具屋で買って来い。 直ぐに発つぞ。』
その言葉を聴き、ヨモギとマサキが示されて店に消える。
中隊長も、魔術組合の重い扉の先に消えていった。
『大変なことになってるなぁ。』
マコトが外を覗き、もらす。
『ああ。』
ヒイラギも同じように外を覗きながら、言葉短く答える。
外は、色々な人で溢れ返っていた。
カエルは、そんな言葉が耳に入っていなかった。
頭には、組合長の言葉が渦巻く。
『ルート権限・・・か。』
自然、そんな言葉も漏れる。
『もし、元の世界と同じ意味を持つなら・・・ココでは神の言葉に匹敵するな・・・。』
『なんか言ったか?』
マコトが目ざとく聞いていたようだ。
『あ、いや、何でもないよ。』
カエルがそう返すと、ヨモギとマサキが戻ってきた。
『とりあえず、当面の食料類と薬草類を買ってきたから。』
そう言いながら、乾燥食料や薬草が入っていると思われる小さな紙袋を渡される。
『よし、全員居るな! カエル、これはお前に組合長からの餞別だ。』
そう言い、中隊長がタロットカードを渡してくる。
うち、何枚かは何か書いてあるが、残りは真っ白だ。
『あの・・・』
カエルが聴こうとしたときには、既に中隊長は馬車の前の運転席に回り込んでいた。
『行け!』
中隊長が再び馬車馬に鞭を振るう。
「ビシィ!」
「ヒィヒィィィン!」
と痛そうな音と馬の悲鳴とともに馬車が勢い良く走り出す。
人で溢れ返っている通りを全速力で走る馬車。
渡された乾燥食料と薬草類をバッグに仕舞い、カードの文面を読んでいると、馬車が急に止まる。
『北門に着いたぞ。』
マコト達は順に馬車の外に降り立つ。
カエルもカードを服の隙間に入れると馬車を降りる。
明らかに疲れきっている馬を通り過ぎ、見るとそこには優に10メートルはあろうかという、高い壁が立っている。
そこに、高さ4メートルほどの通用路がある。
幅も同じくらいあるだろう。
『ボーランド・シー国までの地図はあるんだろう?』
『はい。』
中隊長とマコトがなにやらやり取りしている。
そうしている内に、カエル達は門より外に出る。
ソコに広がっているのは平原だった。
右手には海が見え、左手には高い山と深い森が見える。
そして、その間には北に向かって真直ぐに道が伸びている。
今まで来た道と違って、見るからに平坦だった。
『はい、アリガトウございます。』
マコトが最後に門を出る。
同時に門が閉まり始める。
『道中気をつけてな。』
中隊長が声をかけてきた。
『そちらこそ、必ず勝ってください。』
マコトが声を返す。
『望み薄だな・・・。 だが、我らが人類には勝利を!』
そう言った中隊長の顔には不安の色が無かった。
「ズズン・・・」
重い音とともに門が完全に閉じた。
『勝てないのかな・・・。』
カエルが閉じた門を見ながら呟く。
『圧倒的戦力差だ。 あの状況で勝てると考えられる戦略家が居たら、それは天才か馬鹿のどちらかだな。』
マコトが同じように閉じた門を見ながら、答えてくれた。
「ミシ・・・ギシギシ・・・」
続いてさらに荷重をかける音がする。
『この扉は水圧加圧閉鎖型だ。 一回こうして閉めると、ちょっとやそっとじゃ開かない。 行こう。』
マコトが促し、ヒイラギ・ヨモギ・マサキ、そしてカエルがそれに続いた。
123 :
仕様書無しさん:03/12/09 06:19
あげ。
ルート権限はこのスレではもはや絶対的なものなのか
Java言語は何処の国の人が使ってますか?
>>124 SUN共和国だったかSUN帝国だっけかな?
太陽帝国。ありがりだなw
秋刀魚国…
太陽帝国……
陸海空軍が鷹と鮫と豹の紋章で(古いな
保守
何気に一周年ですよ
>>111の続き
---- ここから ----
ぼんやりと、誰かが戦っているのがわかる。
奴は、何処から取り出したのか棒のようなものを振るっていた。
動きの速いダークが近づいたり離れたりを繰り返して牽制している間に、
ヒースが土の上にロープを張り巡らせている…何かやるつもりだ。
時々、イブが銃を撃っているが、奴はまるで背中に目があるようなあり得ない動きで
それをかわしていた…いや、実際に何かの魔法で「見えている」のかもしれない。
うつろな意識に、何か、暖かいものが流れ込んでくる。
見上げると、カインが、回復魔法をかけてくれていた。
「お前…」
「あいつは何かの魔法で周囲をすべて把握してる。
まずはそれを解かないと勝ち目なはい」
カインは、続けて、地面に円を描き、何かの呪文を唱える。
円が光りだした…。
ある瞬間、ダークが避け切れなくなって、棍の突きをくらってふっ飛ぶ。
イブが叫ぶ。「まだ!?」
ヒースが叫ぶ。「できた!」
その声に応じて、カインは召喚を発動させた…!
地面が揺らぎ、魔方陣からは、無気味な多足の、大蜘蛛…いや、
皮膚も無気味な大蜘蛛のゾンビが迫り出て来た…!!
奴は、何かの魔法を、例によって物凄い速さで唱え始めたが、それよりも速く
ヒースがロープを引く!
奴を取り囲むように、張り巡らされた巨大な網が出現した。
そこへ大蜘蛛ゾンビが粘性の糸をどばっと吐きかけると、奴の視界が段々と
封じられていく…。
イブが銃弾を連発する!
今度は、全弾、奴の身体に食い込む。
動きが明らかに鈍っていた。
網が障害となって、イブの動きを検知できないのかもしれない。
蜘蛛は更に糸を吐きかける。
イブは、もはや宙ぶらりん張りつけ状態と化した相手に、撃ち尽くしては装填を繰り返し、
絶え間なく銃を撃ち続けた。
…今なら可能だ。
俺は、慌てて奴のオブジェクトを特定する。
瞬間、奴の目がぎろりとこちらを睨みつけた…反射的に止めそうになったが、
振り切って、続ける。「それ」を対象にMarkをコール!
「上手く行ったか!?」
RYUYA says: オーケー、このオブジェクトに間違い無い
奴は、まだ動く力があるようで、指輪に向けて再び何か唱えだした…
カインは、空に向かって叫んだ。
「もう、できるんだろ!さっさとこいつを消してしまえ!」
…だが、何も起きない。
「おい!」「早くしろ!」「竜也!」
その時走ったメッセージの戦慄は、俺達を絶望に叩き落とした。
AYASE says: すまん…!前の件で、killは使えなくしてあった。
奴の魔法は、発動した。
網が切断されたかと思うと、次の瞬間灰になる大蜘蛛ゾンビ。
こうなるとAIの詠唱は止められない。
再び突風が吹き、俺達は一斉に中を舞った。
またもや激しく叩きつけられたはずだが、不思議と痛覚は一瞬で消え、それどころか
再び体が軽くなった…!?
SION says: こっちで回復させました!
今度も一番長く放置されたダークが、文句を言う。
「だぁかぁらぁ、できるならさっさとやりやがれ!」
紫苑君は律義に答えているが、俺達はもう奴の動向を目で追っていた。
奴は、最も手近にいたカインの襟首をつかむと、何か唱えた。
流れたコード自体は、小さく、瞬く間だったが…
少し間を置いて、カインの皮膚が「沸騰」を始める。
「あ、あ、あ…」
イブが慌てて銃弾を撃ちこむが、再び発動した光のガードに反らされて、当たらない!
最初に沸騰を始めた部分が、融けかかってきた。
大蜘蛛が襲いかかろうとするが、視線すら動かさずに唱える奴の魔法で
魔方陣が消滅し、八本足の死肉は灰となってくずれていく。
表情ひとつ変えずに立つ奴の腕に吊るされ、
カインはそのまま霧散して、服だけが土の上へはらりと落ちた。
──俺は、仮想現実を振り切り、“球体”の扉を蹴飛ばしていた。
**** SIGN OUT NAOTO, CAIN ****
非常ランプが鳴り響く。
優理が行ってみようとした刹那、扉が開き、直人が飛びだしてきた。
危うくぶつかりそうになり、避けた勢いで二人とも床に手をつく。
竜也「なんだ?」
慎之介「まだ慶吾さんたちは戦ってるぞ…!」
太郎「トイレか?」
直人は、そんなモニタ前に座った連中に向かって、叫んだ。
「もう嫌だ!」
そしてそのまま、堰を切ったように続ける。
「確かに俺は最近のゲームなんて知らないけどなぁ…こんな…こんな…」
喚き散らす直人に、どうしたものかと顔を合わせるスタッフ達。
竜也は、そっと部屋の隅に優理を引っ張って行った。
竜也(なんとか言ってやってくれよ)
優理(なんとかって、何言えばいいのよ)
竜也(そりゃあ…なんとかおだててなだめすかしてだな…)
その時、再び扉が開いて、今度は友彦が、なんで俺ばっかこんなに
死に易いんだろうなー、などと言いつつ、現れた。
直人は、途端に中学生にすがりついて謝り始める。
「カイン…友彦…すまん…俺…俺…」
友彦は、何言ってんだこのオジサン?という顔で、スタッフに向けて言った。
「こいつ減給しろよな?」
竜也たちは、苦笑するしかなかった。
ただ紫苑一人だけが、無表情にデバッガを操り三人の回復を絶え間なく続けている。
太郎「とりあえず…引っ張ってくか?」
体格のある太郎が、そういって席を立つ。
直人は、即座に逃げ出そうとする。
慌ててそれを取り押さえるスタッフ達。四つんばいにされてなお暴れる直人。
慎之介「みんな、直人を抑えろ!」
太郎「他の連中にあんなのが倒せるか!おまえしかいないんだよ!」
竜也「ほら、優理も何か言ってやって!」
優理は、相当無理して、言った。
「ぶ、無事、終わったら、おいしいものでも食べに行きましょうか…二人で」
しかし、直人の耳には届かず、三人に乗りかかられてなお直人はもがいている。
優理「えっと…その…」
ずっとモニタに向かっていた紫苑が叫んだ。
「慶吾さん!息吹さん!明和さん!…ああ、今更リセットして調整からやり直しなんて
公開βテストのデータの納品に間に合いませんよ…しっかりしてください!」
…納品?
直人の眉がぴくりと反応した。
それを見て取った三人は次々に並べ立てる。
「プレイヤー100人公募だったよな」「週末までに納めないと!」「延期で損失…計算したくねえっ」
直人が、呟く。
「…週末って、そんなぎりぎりでこのテストやってたのか…?」
竜也、答える。
「ゼロから世界を再構築してる時間は無いんだ…今のさえ解決できれば、
現在のデータのままでも、調整してなんとかするから…」
「…テストプレイヤーごとき末端の仕事か?」
「今晩奢る!」
「忘れるなよ!!」
直人は、背中に乗っていた三人の重量をものともせず立ち上がると、
全く異なる目つきで、再び“球体”へと駆け出した。
ぽかーんとした優理を残し、竜也たちも素早く持ち場に戻る。
**** SIGN IN NAOTO ****
---- ここまで ----
なんでこんな日にこんなもの書いてるんだろうなあ…
一周年ですか…早いなあ…
もう一周年ですか。
そういえば、もうソロソロ年が変わるもんなぁ。
うし、来年も頑張らねば。
細く長くてとても (・∀・)イイ!
>140
すぐにdat落ちしそうな予感。
>>142 JAXAだけに落ちるのは定めって感じするね(w
てか何連荘だ?
打ち上げ失敗してんのは(死
保守
その日の夕暮れ、seimeiとhiromasaはいつものように酒を飲んでいた。
庭の草花はすっかり枯れ、桜の樹も枝だけの姿を冬風に晒している。
「じっと冬を耐える時もあり、華やかに咲く時もある。
桜の樹も、人も、同じようなものなのだなあseimeiよ」
夜には雪になりそうな夕暮れの曇り空を見上げてhiromasaは呟く。
「桜も人も、元を辿れば同じ基本クラスだからな」
唇にかすかな笑みを含んでseimeiは答えた。
「それは呪の話か、seimei」
hiromasaはseimeiを振り返る。
「おれは、呪の話になるといつも、心地よい夢から無理に覚めさせられたような心持ちになるのだよ」
「しかしhiromasa、おまえが言い出した事だぞ」
「おれは呪の話などしていないぞseimei」
「いや、おまえは、桜も人も同じだと言ったではないか。
それは即ち同じオブジェクトが継承されているという…」
hiromasaの視線を受けて、seimeiはそこで言葉を切った。
「飲もう」
「飲もう」
そういうことになった。
下がってますね…いつもながら
特濃師匠さんの続きも気になると言ってみるテスト
応援sage
応援message
どうも、KAERUです。
最近見事に停滞気味ですね・・・(汗
前から構想を練っていた魔法設定が、二つセットで纏まったのでちょっち投下してみます。
Silhouette/シルエット
引数 対象の生物オブジェクト 出現先のポイント
返り値 生成された魔法オブジェクトのアドレス
・対象の生物オブジェクトの状態を、正確に写した『実体を持つ』魔法生物オブジェクトを生成する
複製の対象範囲は魔法詠唱者が決めます。
(各種装備品とかをどの程度含めるか等)
(生物オブジェクトのみだと、色々不都合がある為)
対象範囲を広めると、より高い魔力が必要になります。
(大きい生物オブジェクトほど、高い魔力が必要)
装飾品を含めるとより高い魔力が必要になります。
(生物オブジェクトと装飾品の比率で必要魔力は変化)
・特徴
魔法生物オブジェクトは、生物オブジェクトの動作・状態を正確にシミュレートします。
生物オブジェクトは、魔法生物オブジェクトの動作・状態を正確にシミュレートします。
(まったく同じ動作をする。)
(外的要因により、一体でも怪我を負ったりすると全部が同じ怪我を負う)
(外的要因により、一体でも死ぬと全部死ぬ)
魔法生物オブジェクトは、魔法詠唱者の魔力が途絶えると消滅します。
魔法生物オブジェクトは、実体を持つので武具を装備したり攻撃したり出来ます。
・用途
精度を問わない攻撃
(全員に長弓を持たせて、遠距離一斉射撃)
(全員に投石具・短弓を持たせて、水平一斉射撃)
同じ均一動作をする作業
Mirage/ミラージュ
引数 対象の生物オブジェクト 出現先のポイント
返り値 生成された魔法オブジェクトのアドレス
・対象の生物オブジェクトの状態を、正確に写した『実体を持たない』魔法生物オブジェクトを生成する
複製の対象範囲は魔法詠唱者が決めます。
(各種装備品とかをどの程度含めるか等)
(生物オブジェクトのみだと、色々不都合がある為)
対象範囲を広めると、より高い魔力が必要になります。
(大きい生物オブジェクトほど、高い魔力が必要)
装飾品を含めるとより高い魔力が必要になります。
(生物オブジェクトと装飾品の比率で必要魔力は変化)
・特徴
魔法生物オブジェクトは、生物オブジェクトの動作・状態を初期状態のみ正確にシミュレートします。
魔法生物オブジェクトは、自らの意思(正確には魔法詠唱者の意思)を持ち活動できます。
魔法生物オブジェクトは、実体を持たないためあらゆる攻撃によるダメージを受けません。
魔法生物オブジェクトは、魔法詠唱者と元の生物オブジェクトの視界範囲内でしか活動できません。
魔法生物オブジェクトは、元の生物オブジェクトが死ぬと消滅します。
魔法生物オブジェクトは、魔法詠唱者の魔力が途絶えると消滅します。
・用途
兵士の数を水増しした陽動
見せ掛けの部隊による攪乱
対象は生物オブジェクトで、生成されるのは魔法生物オブジェクトです。
なので、生成されたオブジェクトを更に複製という作業は、通常出来ないようになっています。
シー国を襲撃した部隊は、この魔法を使用してとんでもない水増しをしたことになっています。
Silhouetteで実体を持つオブジェクトを生成して、そこにMirageを重ねることにより、意思を持った実体を持つオブジェクトを生成しています。
これは、どちらかと言うと、プログラム的にはバグに近い動作になります。
意思を持たず、本体にフィードバックをするオブジェクトに意思を持たせたらどうなるか・・・。
個別にオブジェクトが動き出し、本体はフィードバックを受けて砕け散るようになります。
通常本体が死ぬと複製オブジェクトは消滅しますが、この場合内的要因により死んでいるのでオブジェクトは生き続けます。
しかも、本来本体経由でお互いの状態を参照していたのに、その本体が居なくなったためリンクが切れて、お互いの状態が反映されなくなります。
つまり、実体を持つオブジェクトが其々単体として動作をさせることが出来るようになります。
154 :
仕様書無しさん:04/01/25 16:09
プログラムとかぜんぜんわかんないから、
ちょっとでいいから説明入れてください。
>>154 お前はなんでこの板に来ているのかと小一時(ry
>154
漏れもプログラムほとんどわからない(勉強はじめたとこ)けど来てるよ。
ここの話にちりばめられているプログラム的なネタで
笑ったり感心したりできるようになるのが目標の一つ。
プログラムろくにわかなくても雰囲気だけで楽しめるし、
まあ、ぼちぼち読んで行きましょうよ。
>>137の続き
---- ここから ----
「でやああああっ!」
ダークが大ジャンプで奴を飛び越し、背後を取る。
イブが合わせて投げた銃を左手でキャッチすると、ダークは男の首筋に銃を当てて
引き金を引いた。
飛び出る血…普通なら即死だろうが…HP制故か、奴はまだ動く。
手にした棒を振り回し、ダークを地に振り払うと、銃をからむ指ごと足で踏み付け、
攻撃を封じてから、呪文を唱える…傷は塞がっていた。
間髪入れずヒースが渾身の力をこめて鉈で切りかかる…振り下ろした刃は奴の持つ棒に
命中し、棒はそのままくの字に折れ曲がり、奴の手を離れた。
勢い余ったヒースは、そのまま転がって距離を取り…俺のすぐ前に来た。
「よう…戻ってきたか…」
イブも小走りでやってきた。
「見た?至近距離からなら、光の楯は発動しないのよ」
俺達が向き直ると、男は、懐から硬貨を一枚取り出した。
それがすぐに、軸を同じくする平行位置に、次々とコピーが湧き出てきた。
あっと驚くまもなく、男が手にしていたのは金属の長い棒だった。
硬貨と棒、円形の建物と塔…なるほどね。
ヒースは、一旦自分の鉈に目をやる…刃が欠けている。
イブの銃は、ダークの手に握られ、今は奴の足の下にある。
俺は、三人に聞こえるように言った。
「ありがとう。無駄にはしない」
そして、次に、宣言した。
「今度は俺が相手だ!」
奴は、ダークの腕を一旦棒で打って、銃を手放させ、自ら拾い上げながら、
問い返した。
「正気か…?力の差は見せただろう。貴様等が神の使いというのが本当であれば、
そして塔では行けないというのなら、私を神の元へ案内してくれればよい。
貴様も命は惜しいだろう?」
自分でも不思議なぐらい、言葉が出てきた。
「俺なんかよりもっと、この世界の為に、生活を賭けて命を削ってる連中がいるもんでね…
お前が暴れてると、彼らが食ってけなくなるんだ…悪いな」
一歩一歩向かう途中、砂に混じって何かを踏みつけた。
見ると、カインの服だった。その中に、きらりと光るものがある。
魔法の指輪。俺はそれを拾ってから、怪物の指輪とは反対の手の指を通した。
**** 開発室 ****
五人、そして友彦は、モニターにかじりついて、戦局を見守っている。
紫苑「直人さん、頼もしい…」
竜也「なんというか、まあ、あいつもようやく自分を取り戻したようだ」
モニターの中では、ナオトが、片方の指輪に呪文を唱えてから、
それがコンパイルされている間に、もう片方の指輪を使う、という離れ技でもって
詠唱速度の差を補い、AIの魔術師と互角の応酬を繰り広げていた。
慎之介「器用だな、あいつ。AdaとC++なんて、俺にはまるで違うように見えるんだが」
紫苑「EiffelやらHaskellやら、他に用意してる指輪と比べたら、比較的近いですよ」
慎之介「お前は黙って、回復に集中してろ!」
一歩離れてモニターを見ていた優理に、太郎が声をかける。
「優理ちゃん、どしたの?」
「ええ…なんというか…直人さん別人みたいで…
期日を言われただけで、あんなに変わるものなの…?」
わたしはスルーされたのに、と営業の優理に、無神経な開発陣の四人は、
何を当たり前な事を、という視線を一瞬だけ寄越して、すぐモニターに戻った。
再びの非常ランプにも気付かずに。
**** 直人 ****
脳味噌がどうかなってしまったんじゃないか、信じられないぐらいに調子がいい。
どれもこれもコンパイルは一発で通るし、逆に奴は、AIでも慌てるのか、
こんなシーンは学習不足なのか、詠唱速度が遅れてきたように思える。
ふたつの指輪の両言語が、共にgenericsを使えるのも俺に幸いした。
どんどん書き溜めていって、一気に複数のバリエーションで発動なんてのもやってみる。
久しぶりにいい気分だ!
どんどん奴の魔法を打ち消しては、じりじりと押していっている。
調子に乗った俺は、C++ではもはや常識、再帰的なテンプレートの使用を試みた。
これは、上手く行けば少ないコードで大量の記述をしたのと全く同じに
爆発的な効果を挙げる事ができる。
詠唱終わり!ノーミスの自信はある!コンパイル!
だが…一瞬後、俺は愕然とした。
エフェクトが出ない。応答が無い。指輪が反応しなくなった!?
慌てて、Adaの指輪で、詠唱時間を節約できる組み込みの魔法でシールドを張ったが…
奴の魔法はそれをすり抜け、俺に届いた。
…。
一瞬、覚悟を決めたが…何も起きない。
おれはほっとして、指輪を確認した。
友彦の持っていたC++の指輪は、全く反応が無くなってしまったかのようだ。
持ち主がひねくれてると指輪までひねくれやがる。
急いで、Adaのコードを準備しようとした。
その時、男は、顔に皺を寄せ、ふふふと笑いを漏らした。
「終わりだ…もはや貴様は、総て、私の手中にある」
まさか!?
今のは!?
──Mark!?
それから数発、魔法の応酬を行ったが、ひとつの指輪だけでは、とても間に合わず、
俺は一気に劣勢になった。やられてしまわなかったのは、モニターの向こうの
竜也達が、絶え間なく回復を続けてくれていたからだ。
男は、余裕を見せるかのように、語りかけてきた。
「私の言葉ひとつで、命の残量をゼロにすることができるのだぞ!?
もう一度問おう。神の真意を…」
ぐっと拳に力を入れたその時、友彦の指輪が光りだした!
指輪から、さっき俺が唱えたコードの断片と、膨大な量の光が流れ出してくる。
奴が言葉を絞り出すよりも速く、また、奴があらかじめ張り巡らせた防御魔法も、
圧倒的な物量でもって押し流して、勝負を一気に決めてしまった。
成功してたんだ…。
ああ…そうか…再帰的なテンプレートの展開は、コンパイルにやたら時間を食ったっけ…。
genericsの実体が単なるテキスト置換に過ぎないC++の場合は特に…。
砂煙の中、あお向けにぶっ倒れた男は、虫の息で、もはや呪文を絞り出す力も無いようだった。
「やった…」「すげえ」「観念したか」
俺達は、奴に止どめを刺すべく、近寄ろうとした、その時…。
奴が、うわごとのように何か呟きはじめた。
「あいつ、まだ…!」
構えをとる俺達の目の前で、奴の姿は掻き消えた。
「どうなったんだ!?」
俺達がどっと座り込んでから、暫くして…ようやくメッセージが来た。
RYUYA says: ようやくログを見つけた。あれだけやらかしてくれると、探すのも大変で
いいから、何が起きたんだよ…。
RYUA says: 逃げたんだ。自分の座標を書き換えて
AYASE says: こっちが移動したのを見てたかしたんだろう、きっと。
ともかくマークはもうしてるんだから、奴の現在位置はわかるよな。
RYUYA says: 妙だな…移動先から一歩も動いて無い。いや、回復すらしてない
AYASE says: 疲れてるところ悪いが…行ってもらうぜ。
また少し待たされて…ある瞬間を境に、俺達は山の中にいた。
本当にこの移動は、寿命を縮めないか…?
AYASE says: どうだ?近くにいるはずだが。
ちょっとだけ探して…そして、見つけた。
男は、半身を岩に取り込まれ、顔と肩だけ出した状態で、虫の息だった。
指輪のある腕も動かせず、何も出来ない状態なわけだ…。
DOMON says: 移動先が、丁度岩と重なったんだな。
AYASE says: こっちは俺達が移動先の座標を確認してから飛ばしてたからな…。
…。
でも、もうこいつは、何も出来ないんだな…。
俺が近づこうとすると、男は項垂れたまま、誰かも確認せずに、問うた。
「教えてくれ…ここが箱庭としたら、外の世界は、どんなのだ…?」
俺は、そして俺達は、理解して貰えないのを承知で、思いつく限りの言葉を並べた…。
**** SIGN OUT NAOTO, HEATH, EVE, DARK ****
その夜、竜也に飯を奢らせて、俺は久しぶりに旨い酒を飲んだ。
ほろ酔いのさなか、竜也が漏らした一言が、どうしてもわからなかった。
「損したな」
…?
---- ここまで ----
>>154 本文中に、流れを壊してまで説明入れたりはしませんけど、
聞かれればわかる範囲で答えますよー
保守
保守sage
ども、お久しぶりです。
以前の続き全然考えてなかったりと言うか考えてた奴忘れちゃったんで小ネタを一つ。
当スレ的C++言語講座ページテキストを作るとしたら。
***ここから***
えーと、新入生の皆さんはぢめましてこんにちわ。
私は当魔法学院のシィプ・ラプラ担当教諭で、トクノウと申します。
皆さんの隣のクラスの担任でもあります、宜しくお願いいたしますね。
え?彼氏はいるかって?
やだなぁ、私こう見えてもれっきとした男子ですよ(笑)
でわ、今日は最初の授業として次の授業までに揃えておくべき教材を紹介しますね。
まず、私の授業ではボーランドさんの指輪(コンパイラ)を使います。
ボーランドさんは良心的にも無料で指輪(コンパイラ)を提供してくださっています。
お店の住所は
ttp://www.borland.co.jp/です。
皆さんありがたく使わせていただきましょう。
後、すぐに必要になるわけではないですが、虫眼鏡(デバッガ)も必要になるでしょうから、それもついでにボーランドさんからいただいておきましょう。
こちらは登録が必要になります、指示に従って登録を済ませて置いてくださいね。
先程も述べたように、私の授業では基本的にボーランドさんの指輪(コンパイラ)を使用します。
しかし、他の指輪が使いたい、自宅がUNIX国なのでボーランドさんのコンパイラが使えないと言う方もいらっしゃるかも知れません。
そんな方は、グニュウさんの指輪(コンパイラ)を使われると良いでしょう。
グニュウさんは沢山の便利な魔法(プログラム)を無料で配布しています。
ボーランドさんは魔導具(プログラミングツール)のお店ですが、グニュウさんは魔法使いの組合見たいな物です。
だからみんなで勉強しましょうと言う意味も込めて呪譜(ソースコード)も公開されています。
肝心のグニュウさんの住所は
ttp://www.gnu.org/です。
え?他のが良いんですか?
仕方ないですね、私はあんまり良く知らないので詳しいことはお教えできませんが、デジタルマァズと言う指輪(コンパイラ)もあります。
しかし、デジタルマァズの指輪(コンパイラ)にはエス・ティ・エル(STL)の書(ライブラリ)が付いていません。
幸い、エス・ジィ・アイ(SGI)のエス・ティ・エル・ポゥト(STLPort)も配布して下さってる様なので、それを使えば良いでしょう。
但し、他の指輪(コンパイラ)と違って呪譜での配布ですから、ちゃんと生成儀式(ビルド)を行って魔法書(ライブラリ)にしておかないといけません。
私はエス・ティ・エル・ポゥト(STLPort)の生成(ビルド)はやったことが無いので、詳しくはお教えできませんから自力で調べて下さいね。
おっと、忘れるところだった、デジタルマァズの指輪(コンパイラ)はここで手に入れて下さい。
ttp://www.digitalmars.com/ 他にもインテル国産の指輪(コンパイラ)だとか色々ありますが先生詳しく無いのであんまり突っ込まないで下さいね(照笑)
では次回の授業でもはや通過儀礼とも言える簡単な魔法(プログラム)を詠唱(コンパイル)するので、皆さん指輪の準備を忘れないようにして下さいね。(微笑)
***ここまで***
さて、インストール方法の説明をこのノリでやるにはどうすればいいのか・・・
当然ですが指輪(コンパイラ)は魔導手袋(PC)の上から指にはめないと効力を発揮しません。
まず最初に、指輪を手袋にぴったりはめましょう。
指輪と手袋の種類によっては、はめる時に少し調節する必要があるかもしれません。
お兄さんお姉さんのお下がりの手袋を使っているひとは、
最初から手袋に指輪がはまっているかもしれません。
練習のために一度外して、自分でぴったりはめる感覚を身につけて下さい。
こんちわー。
わたくし、長老会議から各ご家庭に派遣されてます、調教師みたいなもんです。
最近増えてる新種のはやり病を村に入れないために、って、長老会議で話し合った結果、
各ご家庭の鳥を調教して、毎日帝国まで様子を見に行って、
配布があったら自分で部材を持ち帰って補修までさせる事になりました。
今までは、新しい病が見つかる度に、各ご家庭に、
帝国からの最新補修部材配布のお知らせの回覧板回してたそうですが、
これで皆さんが何もしなくても家が常に最新の部材で補修されているようになりますよ。
では、ちょっとお宅の鳥を見せて下さいね。
え?鳥なんて知らない?
ああそうか、この鳥は、家の造りに興味の無い方の前にはなかなか出てきませんから
ご存じない方も多いかもしれませんね。でも大丈夫ですよ。
この.REGっていう餌をIEっていうお皿に載せて置いておけばちゃんと食べに来ます。
あ、礼儀正しい鳥なんで、食べていいかどうか聞いてますね。
いいよ、と言ってあげて下さい。
はい、これでおしまいです。それでは失礼しまーす。
>>172 鳥がやたら太ってきた気がしてたが、それでも信じて補修を続けて貰ってたら、
ある日部材を追加した結果、箪笥が開かなくなったりランプが付かなくなったり、
しまいには家の鍵が開かなくなったりしたぞ!
長老会に文句を言ってもスルーされるし、しぶしぶ建て直したが、
家を建てるのにも認証が必要になってるってどういうことだ!出てこい役人!
>>173 家の建材逐一調べて報告ってのもプライバシー無いよねぇ<認証
175 :
TechnoWarrior:04/02/24 18:45
複線は残してはいるのですけど、この先どうするかなあ…とかぼやいてみるテスト
たまにはage
ここにいる香具師は現実逃避中なんですね。
の割には仕事から100%離脱できない人たちばかりだ。
だれか漏れにべホイミ唱えてください
>177
ええと、ケアルダしかないけどいいか?
早まるな!プログラマーの中には自分でも気付かないうちにゾンビ化してしまっている奴がいる!
親切のつもりでも、それが致命傷になる事だってあるんだ!
心当たりがあるだろう…土気色の顔色、生気の無い瞳、そして考える事を半ば諦めてしまったかのように黙々と他人の指示に従う奴が…
ヒィイイィイイィィィイー
宿屋はどこじゃあーあああああーーーーああ
目が冴えて眠れない(ティル・ナ・ノーグ風)
主人公PG01の攻撃
{
食らえー!
必殺("バッファオーバーラン","デスマ")
}
error : 構文エラー : ';' が '}' の前に必要です
デスマ に 主人公PG01は 破れた
まとめサイトの中の人、おつです
ho
「ho」
普段からあまり人通りのない街外れで、私はたまたまその詠唱を聞いた。
(一瞬だったな…何の呪文だろう…)
興味をおぼえて声のした方を見たが、薮に阻まれて見えない。
薮をかきわけ一歩進んで、私は息をのんだ。
その先には何も無かった。世界がそこで終わっていた。
まだ存在している世界に沿って薮の中を少しだけ横に進むと、
ほんの少しだけ剥き出しになった地面、そこにに穿たれた「ho」の形の溝、
そして傍らに倒れている人の姿が目に入った。
「…どう、したんですか?」
相手に意識があるかどうか危ぶみながら私は声をかけた。
「保守、じゃよ」
倒れていた人はゆっくりと首を巡らし私を認めると、そう言った。
「この世界は常に消滅に晒されておる。人々の語らい、行き来、戦い、
そういった事が活発に行われている時は、消滅は訪れない。
しかし、人々が平和と停滞に慣れ沈んでくると消滅は次第に近付いてくる。
それ故、常に消滅との距離を測り、時に形ばかり土地を拓いて、消滅を遠ざける。
…じゃがな、儂の時は終わった。魔力は尽き呪文は一部しか完成しなかった。
おまえさんに伝える事が出来たのは幸いだ。後は…」
倒れていた人の姿はいつのまにか白く砂とも煙ともつかぬものに変わり、
さらさらと崩れ風に散っていった。
「保守」
風の行方を目で追いながら、私は呟いた。途端、激しい疲労に襲われその場に膝をつく。
荒い息をついてなんとか顔を上げると、目の前の薮がちょうど一歩分だけ退き、
剥き出しの地面に溝が刻まれていた。
(これじゃ体が保たない…他の人達の力を借りないと…そうだ、戦乱を起こそう)
私はすぐさま謀略を練り始めた。
「保守」
不思議な言葉をマサキが耳に捕らえ、その場に立ち止まる。
ここは人通りの少ない街の外れ。
街中や、他の音の多い場所なら雑音に紛れて聞き逃していただろう。
静寂の中聞こえた、余り聞きなれない言葉だ。
『どした?』
先頭を歩いていたヒイラギがマサキの異変に気づき、立ち止まる。
『誰かが藪に潜んでる』
そう言いながら、マサキは剣に手をかける。
こんな人通りが少ない所で、わざわざ隠れるように藪に潜むなんて怪しすぎるのだ。
ヒイラギとマコトが無言で目配らしをし、荷物を置いて戦闘体制をとる。
マサキの隣に居るヨモギも弓を構える。
『で、何で藪の中に居ると?』
マコトが聞いてくる。
『声が聞こえた。 多分魔法詠唱だと思う。』
マサキがそれに答える。
『私には聞こえなかったけれど・・・。』
ヨモギが藪に視線を当てたまま、言う。
『なんて言っていたか判るか?』
マコトが魔力杖を構えながら促す。
『ho・・・syu・・・だったと思う。 かなり聞き取りにくかったから。』
マサキは藪を睨みつつ、少し悩む風に答えた。
『ho・・・syu・・・保守か。』
マコトが音を追い、詠唱されたと思わしき魔法を復元する。
構えていた魔力杖を降ろし、マサキとヨモギの前に立つ。
そして、それぞれの構えている武器に手を添える。
『大丈夫だ。 それは保守の魔法ってヤツだな。』
落ち着いた風にマコトが二人に言う。
『保守・・・? 聞いたことはあるけれど・・・アレって風説じゃないの?』
ヨモギが構えていた弓と矢三本を収める。
『そう。 只の風説だけれど、実在すると俺は信じたい。』
マコトがそのままの体制で、藪の方向を見る。
『おい。 その保守の魔法って何だ?』
既に構えを解いているヒイラギが聞いてきた。
ソレを聞き、マコトが懐からメモを取り出すと、得意げに語りだす。
『この世界は常に崩壊の時に向かっている。』
『ソレは人の目に付かない部分から始まり、次第に世界を侵食していく。』
『侵食は気が付かない内に広がり、最終的に世界のバランスの崩壊をもたらす。』
『世界のバランスが崩壊すれば、この世界は消滅する。』
『ふんふん。』
ヒイラギが相槌を打つ。
『その侵食を食い止め、修復するのが保守の魔法と言われている。』
『保守の魔法は、魔法基盤世界に対し直接作用する魔法だから相当消耗するらしい。』
『噂では、潜在的な魔法力ポテンシャルが相当高くないとダメらしいな。』
『ふぅーん。』
ヒイラギが最後に、そう相槌を打つ。
どうも、良く判っていないらしい。
『ま、何にせよ行こう。 違ったとしても、襲ってくる様子はないし。』
『かといって、藪を突付いて変なのが出てきても困るだろう。』
そう言い、地面においてある荷物を担ぐ。
ヒイラギもソレに倣う。
彼ら四人の旅は果てしなく続くのだ。
その先に何が待ち受けるかは、当人の知るところではない。
〜保ちて守りし物語〜
太郎「前におまえ言ってたよな?この世界もまた誰かに作られた物かもって」
紫苑「はい。ニュアンスはちょっと違…」
太郎「とすれば、作った奴がいるわけだ」
紫苑「ですからニュア…何が言いたいんですか?」
太郎「うん。この世界をつくった奴も、やっぱメンテに追われてるのかなあ?、と、ふと」
竜也「貴様もたまに面白い事言うな」
紫苑「既にβテスト版を納めたはずなのに、何故かまだ微調整を続けてる僕達みたいですね」
竜也「…言うな」
太郎「ブラックホールが消えたりするのも、デバッグの所業なのかなあ?」
竜也「…貴様も単にやる気が無いだけだろ実は」
太郎「そう言えば、竜也の知り合いのテストプレイヤー、最近来てないよな?」
竜也「直人ならとっくに復業したぜ…ついに時間の概念も無くなったか」
慎之介が、モニタに向かいながら、振り返りもせずに、つぶやく。
「…でもまあ、これ書いてる奴も、どんな筋をやるつもりでどんな伏線はってたか
さっぱり忘れちまって、必死で思い出そうとしてるんだから、あながちはずれでもないよな…」
紫苑「ところで誰です、このSWITCH_FLAG_ON_2って付けて、コメントも残してない人は」
保守ネタで競作!ブラボー!
読み直してみたら190だけファンタジーじゃ無いしorz
一応続きも構想中です…が、辻褄合わせができないでいます…こうやってまた時間が経って忘却の彼方へ…
#ちなみにこのカキコも保守
193 :
仕様書無しさん:04/04/02 17:07
保守ついでにあげ
保守ったら保守
195 :
TechnoWarrior:04/04/13 23:38
ジェイムズ・P・ホーガンの「仮想空間計画」を読みました
これもこのスレ向きの本かも知れません。訳者がD&Dも知らないみたいですが
寂しいのであげ
>>194ガイジャックスとかでてくる奴だっけ?
楽屋落ち小説って感じだったなぁ、ってあの本じゃないと凄い勘違いってことになるのだが。
タイトルすら忘れてるしなぁ
ガイジャックス…ぐぐってみたら、D&D作った人ですか?(今までガイ「ギャ」ックスと思ってた)
それは多分違いますね。
でも反応があって嬉しいよー、ありがとさんです
>>196 やっぱ違うかぁ(w
チャーリーロバーツとかジェームズダニガンとか怪しい名前のキャラばっかでてくるのを書いた事
あったりして(w
今度探してみよう。
保守
fork()の呪文で自分自身の分身を作り、敵に特攻かます戦闘魔導士。
間違えてオリジナルが特攻かまさないよう、返り値をチェックする必要がある。
「ゼロ・・・か。これで死の行軍から開放されるな。後は任せたぞ、オリジナル・・・・・・」
>>200 達成率の低い事をするのに、forkを繰り返して、何回も挑戦し、一番上手くいった奴が生き残ることにするとか
fork()しまくって1個中隊ぐらいの分身を作る魔術師。
激しく魔力(リソース)を消耗する。
sage
「sage」
薮のどこかで、声がした。
この世界の中を巡るのではない、この世界から「外」へ向けて魔力を放つ呪文だ。
魔力の波動に、保守の呪文に近い性質が感じられる。
声のした方へと薮をかきわけていくと、
世界の終わりに膝を接するような近さで坐って動かない人影があった。
このままでは消滅に侵蝕されてしまう…
私は反射的に保守の呪文を唱えようと身構えた。
「よいのです」
人影がこちらを振り向く。
「何事もなかったように保つ、のが私たちのやり方なのですよ」
その声は静かでやわらかかったが、私の動きを止める何かを秘めていた。
「消滅の闇を恐れ、世界をそこから遠ざけようと動かしてしまうと、
今度は世界が強すぎる光に晒され、別の災いを招いてしまう…
だから我々は、世界を極力動かさぬようにしています」
それだけ語ると、その人はまた世界の終わりに向き直った。
私はその場を離れ、ゆっくりと薮の中を進んで行った。
確かに、強すぎる光は嵐を呼ぶ、という言い伝えは私も記憶している。しかし…
歩いている薮の横から迫ってくる消滅に不安をかきたてられ、
私は先ほど聞いた呪文を唱えてみた。
「sage」
地面にも薮にも何の変化もない。しかし確かに、
こちら側に侵蝕しようとしていた消滅が、動きを止めた。
(こういうやり方もあるのか…確かに魔力の消耗は少ない。
しかし、目の前に消滅が変わらずある事に耐えられるだろうか…)
私は薮を後にした。
保守
suge-!おもしれー!こういう世界観もある、って事か。べんきょうになりやす。
潜伏せよ、地底に栄えよ
sag
211 :
仕様書無しさん:04/07/19 08:36
保守age
保守保守
ネタは無い事も無いが気分が書く気にならないのが問題だ…
保守sage
まだ終わらせない
──空腹と喉の渇き。
砂。
砂漠。
空。
太陽。
月。
日が昇り、沈み、上り、沈み…今日は何日だろう。
もう休暇はおしまい。自分の会社に戻って、新たなプロジェクトに参加して…
今度こそはデスマーチにはしない。はずなのに。
俺は砂に足を取られて転んだ。
夜空。
そこには、知っている星座は無く…元々星座なんて知らずに生きて来た事を思い出す。
腕を伸ばしてみると、右手の中指の中ほどに、光るものが見えた。
ズシン。
また音がする…。音?
風と自分以外が発した、音?
立ち上がり振り替えると…砂の中から、甲殻の足が何十本と…
ええと…ああ、そうだ。百足だ百足。虫なんて最近は蚊くらいしか見ないからすぐ出てこなかった。
俺の身長よりもありそうな百足だ…
現実感がまるで無いまま、逃げなきゃ、と思えるまでにまた時間がかかった。
しかし俺の口は感情とは別に「言い馴れた」スペルを紡いでいた。
begin ... GetCordinate ... Explode !
文字は舞わず、爆発も起きない。
途端に恐怖が現実感を持って、全身が硬直する。
一閃。
百足の胴体は、青い鮮血と共に、輪切りになっていた。
その後ろから現れたのは、ターバンを巻いた人間。
布に布を重ねた服と、今鞘に収めた太い剣と。
「そんな軽装で砂漠を横断しようだなんて、無茶にも程がある」
横断…?
俺は、どこへ行けばいいんだろう。
「…神殿を目指している連中とは違うようだな」
離れたところにこの人のラクダが繋がれていて、俺はそれで村へと運ばれた。
聞きたいことは山ほどあったが、乗り心地の良くない背中で、ぐったりしているしかなかった。
村に着いた。
オアシス、と聞けば想像するような、そんな村だった。
木陰の下何か編み物の絨毯に座らされ、村人が何人か集まってきて、俺を介抱してくれた。
水を飲ませてもらっても、一向に喉の渇きは癒えない。
「神殿に行こうとする者達が急に増えてな、通り道の近くになるこの村も賑やかになったのだが」
「その指輪…おまえさん魔法使いじゃないのかい」
「来訪客が増えるとともに、村を荒らす者も増え出しての…」
話を聞けば聞くほど、飛行機が落ちてインドかどこかの砂漠で俺一人助かった
…なんて状況とは思えなくなってきた。明らかに「別の」世界。
だが、唱えたコードも反応してくれなければ、ウィンドウも出ない。
それが、わからない。
俺の頭が働いていないだけかも知れない。
行き交う人達の中には、砂漠に似つかわしくない服装や鎧も見え、
何人かはちらちらとこちらを見てゆく。
不自然に思えるのだが、こういうものなのかもな。
夜も更け、招かれざる客の俺には、ラクダ小屋の空き部屋が与えられた。
目蓋の間からのぞいていた月の光が影になった次の瞬間、俺は引きずり出され、
踏みつけられ、わけもわからぬまま押さえつけられ、そして痛みが走った。
「くっ」
俺は咄嗟に指輪を左手で庇う。
だが、これはあの指輪と同じものか?
何もできないまま、指輪は抜き取られ、持っていかれた。
俺にできることは、なんとか寝床まで這って戻るぐらいだった。
翌朝…
昨日俺を助けてくれた…改めて布を外した顔を見ても、男か女かわからない…が
俺を見つけてくれ、医者まで連れていってくれる道筋、既に周囲は野次馬で
ごった返していた。
病院、といっても、板で囲まれた単なるスペースなので、いい見世物だ。
人間は大分入れ代わっていたようだが、ちらほらと昨日俺を見ていた奴らも確認できた。
「夜盗か…ますますひどくなってる」
医者は、俺に薬を塗りながら、彼/彼女に声をかけた。
「ラージャ、すまんが、夜の警備も増やしてくれんか」
「ええ、そうしようと思いました」
彼女が出ていってから、俺は医者に彼/彼女の事を聞いてみた。
「ん?ラージャはこの村の番人というか、そんなのだ。腕っぷしが強くて、
村の者も、村の者で無いものも、守ってる」
こんなことが前にもあったような気がする…と考えていると、
ふと、急に指輪が心配になった。
辻褄が合わないが、悲しいかな俺の人生に指輪なんて縁は無い、
あの指輪は、やはりあの化け物が持っていた…Adaの指輪ではないだろうか。
俺を庇ったユウリさんの顔が、フラッシュバックしてきた…。
昼過ぎ…診察室から板一枚隔てて、寝かされていた俺は、噂話を聞くことになる。
「ラージャが野党を追いかけて神殿に向かったらしい」
それで俺は、ばっと飛び起きた。
板を乗り越えようとして倒してしまい、驚きの目をした医者を踏み越えて
患者の肩を揺さぶる。
「どっちですか!?」
下から医者がうめく。「おい、何がしたいんだ」
若いというよりまだ子供の患者は、答えようにも言葉が出てこないようだった。
「方角!」
「に、西の方です…」
背後から医者の叫びが聞こえる。
「何をするつもりだ!ラージャは強い!足手まといになるつもりか…」
確かにそうだ。
だが、悪い予感がする。そしてあの指輪を取り返しておきたい。
今から追いつけるだろうか、と、急いで村を西へ西へと横断…皆が皆俺の方を見るのは
いい加減…あと少しで村外れという時、野次馬の一人がさっと出て来て、俺の腕をつかんだ。
「離せ!」
だが、その野次馬は、こんな台詞を吐いた。
「あなたもプレイヤーでしょう!違いますか!?」
あらためて相手を見る。
黒がかってはいるが青い髪に、手品師のような黒いコート、片手の指にはやはり指輪。
そしてもう片手には身長ほどの槍をかかえている。
往来でそれでも不自然では無いこの世界。
…なんてことだ。二度目だ。
俺は半分涙目で笑い出した。
「はっはっは…そうじゃないか、そうじゃないかと思いつつ、確信が持てなかったんだよなあ…
俺って奴は…」
相手は、不思議そうな顔で俺を見やる。
「走りながら話を聞きましょう。俺は直人、そのままナオト、メイガス。あなたは?」
すぐに返事をくれた。
「弥(ひさし)、フォルディ、同じくメイガス!
ゲーム開始早々、ステータスウィンドウが開かなくなった。そっちはどうです?」
今は公開βテスト、で、全国から100人ほどが、何箇所かのゲームセンターに置かれた
“球体”から参加している、とのことらしい。
公募されたプレイヤーじゃないのか、と聞かれたが…俺自身、どういう経緯でまた
この世界に入っているのか覚えていない。長期休暇も終わりに近づいたので
テストプレイヤーはもうおしまい…のような話をした記憶がある。自信は無い。
午前9時開始で、ゲーム内時間で一日ちょっとだから、今は昼過ぎのはず、らしい。
百足が出現したタイミングと開始時間が合っている。
ということは、俺は前日ぐらいにはもうここに入ってたのだろうか?
そして開始からゲーム内時間で半日ぐらい経ったところで、ウィンドウが開けなくなった
とのことだ。…またバグかな?
「管理者と連絡が取れないのをいい事に、好き勝手やる奴が現れました」
「じゃ、じゃあ、俺を襲ったのも…」
「プレイヤーです!」
221 :
仕様書無しさん:04/08/24 22:12
朝は連投制限に引っかかりました。
もう誰も見ていないでしょうけれどあげさせてください
キターっ!
お待ちしておりました……(涙
>>222 まさか待っててくれてるとは…ありがとうございます。
前のような頻度は無理かもしれませんが、書き残していたところは書きたいと思っています。
224 :
仕様書無しさん:04/08/26 00:11
まだ見てるよノ
ついでにあげあげ
「Me」の下で働くのも楽ではない。彼女は今まで出会ったマスターの中で
一番「不憫」な人間であるからだ。
たとえばこんな話がある。
ある時、城へ治められた地図を見て事務官は泡を吹いた。
増え続けるファイ・ルの精が勝手に土地を耕し、
その結果、目を当てるのも億劫になるほど無茶苦茶な地図ができたからだ。
そこでマスターは土地を整理しようとしたのだ。
しかしマスターには手の余ることであった。
最初のうちは必死にがんばっていたが、二、三時間もうちに倒れてしまった。
結局、ディスキー・パーさんが残りをやったがマスターは数時間ほど寝込んだ。
決してサボり癖があるわけでも仮病癖があるわけでもない。
ただマスターはあまりに大きなの仕事を行うといつもダウンしてしまうのであった。
そんな彼女にに使われていたある日のこと。
他国では「msblast!」と刺繍された軍隊に壊滅的な被害を与えられていた。
幸い、その軍隊は私のマスターの国には目もくれず。
混乱も収まったある日、門番の「ぞね」さんが一人の旅人を捕まえた。
なんでも「木馬」(邪心を持った怪物)を召還しているところを目撃したらしい。
早速私は詰め所に放り込んだ彼の尋問を行った。
結果、すぐに彼が「ビリー」の使いであることが分かった。
何せ私には「ヒューリスティック」という呪文が使える。
だが私はこの時点で報告なんぞせずに、すぐに国中の人間を調べ上げる必要があった。
そのことを後悔したのは城から黒煙と爆発音が聞こえた翌日のことだった。
・・・続く?
ほんの少しだけでも賑やかになってきたみたいで嬉しい限り。
>>220の続き
---- ここから ----
「何にしろメイガスが魔法の指輪を取られたとなると、そっちが先ですね」
フォルディは肩で息をはじめた俺を立ち止まらせると、自分の指輪を取り出し、
魔法を唱えた。彼の足元を中心に、円形の魔方陣が出現し、それがそのまま浮かび上がる。
「…?どうしました。乗ってください」
だが、俺は、こんな言葉しか言えなかった。
「これ、なんて魔法?いや、今回のプレイヤーって、何レベルスタート?」
「えっ…1レベルからですけど…ここに来るまでに経験値溜めて、今2レベルです」
新しく追加された魔法なのか、或いは、このゲームシステムでは指輪に記憶された
魔法しか使えないので、たまたま俺が遭遇してなかっただけか。
そういえば、あまりにもコードで何でもできるもので、普通の魔法を集めたりは
ほとんどしてこなかった。
そんな俺を乗せて、魔方陣は砂漠の上空を高速で飛んでゆく。
希にハゲタカが襲ってくるが、フォルディは槍で追い払っていた。
そういえば、俺は武器もなにひとつ持ち歩いて無かったよなあ…。
「あれは違いますか?」
砂丘に、ラクダがいて、脇に人もいる。
少し先に、遺跡の柱みたいなものが何本か立てられていて、さらに数人が固まっている。
俺達は、砂丘に降り立った。
ラクダを連れた人は、果たしてラージャさんだった。
「ラージャさん!」俺は駆け寄る。
「どうして来た!」
手厳しい。
「じ、じっとしとけないでしょう!盗られた物の中には俺の…」
フォルディが割り込んだ。
「あの人集りは何ですか?」
ラージャさんはかぶりを振った。
「わからない。見てくれ。ただ、近づかない方がいい」
よく見える範囲まで砂丘を降りてみると…
崩れかかった柱の下で、何人かの人間が、硬直していた。
文字どおりの硬直。
服装に統一感が無いことから、プレイヤーらしいとは推測できる。
そして、三対一ぐらいで、お互いに掴み掛かって戦っていたようにも見える。
付随して、ふたりがそれを取り囲むように固定されていた。
その周囲を取り囲んでいる野次馬も、俺達同様後から来たプレイヤーらしい。
「三人の方が、夜盗だ」
いつの間にかラージャさんも降りてきていた。
野次馬のひとりが話しかけて来た。
「一番外側の奴は、こっちのパーティなんだ。俺は触るなって言ったのにさ…」
とすると、外側のもうひとりも、同様だろう。一人旅なのか見捨てられたのかはともかく。
フォルディが小さく言った。
「ステータスウィンドウが開ければまだ何の状態変化か…」
俺が遮る。「いや、やめたほうがいい」
「バグでデータが動かなくなってる可能性があります。関係したら巻き込まれるかも」
竜也達のためにマーキングしておこうにも指輪は凍りついた夜盗が持ってるし
あったとしてもコードは使えなくなってるようだし…。
野次馬のパーティは、先へ進むかどうかも考えているようだ。
この柱が、神殿への目印らしく、そして、神殿が、あらかじめプレイヤー達に
言い渡された、今日の目標地点らしい。
神殿の次は、まだ教えてもらっていないとのこと。
βテストといっても適当に遊ばせておくのでは無く、イベントを行っているようだ。
相談を続けていると、日が暮れて来た。
あたりが暗くなりかけて、俺はすごく眠たくなった。
見ると、野次馬のパーティは少し離れてテントを張っている。
ラージャさんはラクダから荷を解いていた。
「弱ったな…突然で準備をしてこなかった。
何も無しで寝ると体力が削られると聞いてますし…」
フォルディがそんなことを言う。
「さっきので飛んで帰るのは?」
「マジックポイントが少し足りません」
あたりを見渡すと、もうみんな用意が終わったようだ。
俺は、パーティの方に声をかけた。
「すみません。この人だけでもテントに入れてやってくださいませんか」
実時間で、何食ぬいているのだろう。
たき火のちらちらした明かりも、妙に奇麗に表示された銀河も、目障りだ。
俺が眠るに眠れないでいると、砂を踏む音が聞こえた。
跳ね起きたつもりだったが、かなりゆっくり起き上がってしまって、
眼をこすると、フォルディがテントを抜けだしてきていた。
230 :
仕様書無しさん:04/09/02 22:31
「つきあいますよ。マジックポイントはどこでも回復するみたいですし
多少ライフが減っても明日朝は帰れます」
そう言って、俺の隣に腰かけた。
この人は、何故か、安心できる気がする。
「あなたは、プレイヤーでも、抽選で当たったのとは違うように思える」
俺は…
「人を殺しました…夢の中で。感触が残ってます。
こんな夢はさっさと終わらせねばと思う一方、きちんと終わらせないと寝覚めが悪そうで…」
目蓋を閉じた。
---- ここまで ----
保守
hohoho
>>206-あたり
「age」
物売りが立ち並ぶ街の広場の雑踏の中に、突然、澄んだ声が響いた。
同時に、足もとから不気味な振動がわき上がる。
広がる空の色が、かき回したシチューみたいにぐるりと回るのが見え、
めまいと振動でバランスを崩し倒れ込んだ時、空に閃光が走り
…いや、閃光に見えた光は一向に衰えず、しばらくして少しだけ目が慣れた私は、
空そのものの明るさが突然非常に増したのだという事を理解した。
(一体何が…と、その前に、他の人達はっ)
広場には結構な人がいたのを思い出し、慌てて周囲を確認すると
…座り込んでいるのは私一人だけで、皆何事も無かったように広場を行き交っている。
(そんな…あれだけの衝撃を、そしてこの空の明るさを…感じていないのか?)
立ち上がろうとしたが、足もとがふらつき、私はまた座り込んでしまった。
(あの振動のせいか…何故私だけ…)
座り込んだ拍子に路地を向いた私の、まだぐるぐる回る視線の先に、その時、
危なっかしい足取りの人影が現れ、私の数歩手前まで来てどた、と倒れた。
「あっ!」
背後から駆け寄った青年が、倒れた人影の腕をつかんで引き起こす。
「全くお前は、何て事をするんだ!他の人の迷惑を考えろ!」
「迷惑する人なんていないわよ。普通の人は『外』への魔力は感じないんでしょ?
感じるのはお兄ちゃんみたいな『消滅防御魔法』の遣い手だけ、
実際神殿のみんなはこの程度の魔力の動きにはびくともしてないじゃないの!」
腕をつかまれたまま少々ヒステリックに言い返しているのは、よく見れば少女だった。
「そういう問題じゃない。世界をこんな所に動かしてしまったら、嵐に遭う率が跳ね上がるんだぞ!」
「シールド魔法があるんでしょ。それに、今の季節なら『外』にそんなに嵐はない筈よ」
「お前、そこまで分かっていてやったのか…何故だ…」
青年がつかんでいた腕から力が抜ける。少女は顔を背けてつぶやいた。
「…あたしに『消滅防御魔法』の素質があるか知りたかったの。
お兄ちゃんと一緒に行けないかもしれない…それが怖かった…」
ベタベタな展開に困惑する私の横を駆け抜けて、やや年配の男が二人の横で立ち止まり声をかける。
「いたか。周りの世界にはここんとこひどい嵐は来てないそうだ。
こちらも、光から自然に遠ざかるまでの間、嵐の目を避けるシールドを張っておけば大丈夫だろう。
…ところで、その人は…もしかして巻き込んだな?」
二人は初めて私の存在に気付いたようだ。
「本当に申し訳ありません。妹が大変なご迷惑をおかけしました。大丈夫ですか?」
青年が少女を引きずって来て、頭を地面に押さえつける。
「いや、あの、その…正直、何がなんだか」
私は広場での体験を話した。
「そうですか…お気付きかとも思いますが、妹が無謀にも唱えた呪文は『外』への魔法の一つなのですよ。
消滅を防ぐためのものですが、消滅から遠ざけるため世界の位置を一気に光のすぐ側まで動かすので、
その衝撃でいろいろな不具合があらわれたり、嵐に遭いやすくなったりするのです。
あまりにも影響が大きい魔力故に、魔法使いの中でもごく一部の者にしか、
扱う事はおろか検知もできないものですが」
私はなんとなく理解した。かつて偶然行き合わせて保守の呪文を教えられた時に、
どうやら自分が、まだまだ自分には大きすぎ手の届かないものである筈の
「外」への魔法を感じる力を得てしまったのだという事を。
「まだまだ、私には力が足りませんね…」
ここに来るまでの出来事を思い返しながら、私はつぶやいた。
「世界の消滅に対抗する方法は、実にさまざまです。あなたの力を役立てる方法も、ある筈ですよ」
年配の男がそういって私の手を取って立ち上がらせる。
その手から魔力が流れ込み、今度はちゃんと立つ事ができた。
「ありがとうございました」
「いや、迷惑をかけたのはこちらですから」
頭を下げる3人に見送られ、私は広場を後にした。
(私に「外」への魔法が使いこなせる日は来るのだろうか…)
空の光が少し弱くなったような気がする。
世界がまた穏やかに消滅に向かって沈み始めたのか、それとも単に夕暮れが近いだけなのだろうか。
久しぶりにまとめサイトでまとめ読みしたら何か書きたくなってきた。
いやその前にいい加減真地面に続きを考えないと(´・ω・`)
地面というと、崩壊から世界を守るために「age」とか「sage」とか「osage」とか書いてみるシリーズですか。
前の続きを考えてたら頭が煮詰まった。妄想があらぬ方向へと飛びまくり。
その余波でこんな予告編のイメージが浮かんできたり。
いっその事これベースで書くか(´゚c_゚`)
─────────────────────────────────────
version 0/ Preview Release
やっとの思いで駆け抜けたデスマ。
女性という特権を使って得た公休有給代休7HITコンボ。
我が家を目指して乗った電車が辿り着いたのは異世界?!
「え? これ、C++? 魔法って言うかプログラムじゃない?!」
見知らぬ世界で見た魔法はプログラム?
「貴方も……日本から来たの?」
同じ世界から来た仲間との出会い。
「うん、帰れたら。今度は渋谷ででも会いましょう?」
ちょっぴりラブロマンス。
『魔法とは世界を凌駕する "異なる認識" 、世界は認識によって形を変える。
認識しろ。
私の世界を認識しろ。
常識を侵食する程強固な自己を認識しろ。
この世界を私の意識で塗り潰せ。この世界をねじ伏せろ。
私の望む世界を投影しろ。私の世界にあんな奴は要らない。
私の世界にはお前なんか居ない。
お前が私の世界にまでのさばるなら、お前が私の世界を侵すなら。お前が私の世界を否定するなら。
私がお前の世界を排除する。私がお前の世界を奪い尽くす。私がお前の世界を破却する!!』
剣と魔法に彩られた世界で女プログラマが成り行き任せに大活躍!!
新感覚ファンタジー。2ch@プログラマ板にて近日公開!!
ワイデスとか召喚できませんか?|∀゚)
保守しておきましょう
>>230の続き
----ここから----
**** SIGN OUT NAOTO ****
足下にハンバーガーの包みが転がる長椅子に、俺は横たえられていた。
俺が目蓋を動かすと、声が飛び交い足音がし、目を開けてみると男共に覗き込まれている。
子供、タオル頭、長髪。
紫苑「あ、気付きました。直人さん大丈夫ですか?」
太郎「お前なんであんなとこで寝てたんだよ」
慎之介「場合によっては…」
俺は…呻き声をあげ…事態の理解に努めようとした。
「…ちょ、待ってくれ。俺は…いつのまにか“中”に入ってて…」
それで、三人は顔を見合わせ、口を揃えた。
「「「あの中にいた!?」」」
慎之介「聞かせろ」
太郎「今日は竜也も出かけてるしよ…それで開始直後からトラブってて」
紫苑「とにかくこちらからもプレイヤーの様子がわからなくて」
連絡がつかないのは双方向だったのか?
まず、聞いてみる。
「例の呪文、禁止したんだな。使ったけど出なかった」
慎之介「前みたいな事があってはたまらんからな。表示はやめた」
紫苑「ですから、コードのエコーやエラーメッセージが出なくなっただけで、変わってませんよ」
直人「でも、一度コードで爆発を起こそうとしたんだが、起きなかったけど…?」
紫苑君は律義にログを探してくれた。
「…ありました。"GetCordinate"、oがひとつ抜けてますね」
俺は長椅子から転がり落ちた。
身体が衰弱している。起き上がれない。手を借りて再び長椅子に寝そべる。
安いスプリングに跳ね上げられて、どさっと横になる。
「何か買って来ます」と言い、紫苑君は出ていった。彼はいい子だ。
…。
太郎「それで、二日ぐらい中にいたってか?何のために」
「何分時間間隔が狂ってて…主観だ。それぐらいと思う」
太郎「お前が最後に来たのが水曜だから最長三日だ。それで、何のためだよ?」
「わからない…」
太郎「竜也と飲みに行っただろ?お前酔っぱらって乱入してくれたんじゃねえか?」
はっと思い出した。
「そうだ!固まってる奴がいるんだ。こっちから直してやってくれ」
「固まってる?」「こないだのダークみたいにか」
だが、タオル頭は首を振りやがった。
「こっちからは、どれがプレイヤーかもわからないんだぜ…」
頭痛がしたとき、紫苑君が戻って来た。
コンビニ弁当をがっつきながら、俺は尋問される羽目になった。
慎之介「ふむ、中からは、ステータスウィンドウが開けない、と…」
外からは、プレイヤーの追跡ができなくなっているらしい。
コンピュータを扱った映画などではあっさりしたものだが、実際には“見る”ための
メタ情報が無ければ全てはサーバー上のメモリの羅列、何がどれを指しているか
特定するだけでも一苦労。だからMarkのようなデバッグ用のメソッドもある。
慎之介「イベントのほうに人が出払ってて、割ける人数なんて無いんだが、
それでもひとり中に入ろうかという話になりかけたところだ。
それで“球体”のほうに行ってみるとお前が寝てたわけだが」
太郎「中にも不具合が出てるとなるとやべえな…なんとかマーキングして、あっ」
紫苑「どうしました?」
太郎「Mark」
慎之介「だから、中に入ってなんとかマーキングしてこないと、あっ」
紫苑「あっ…Mark」
三人揃って俺の方を見る。
慎之介「確か…AI魔術師にMarkかけられてたよな、お前」
紫苑「探してみます」
今度は三人揃ってどかどかと端末室のほうへ出ていった。
俺は、半ばあきらめながら、自分の会社の方へはなんと連絡するか、悩み始めていた…。
----ここまで----
shu
246 :
仕様書無しさん:04/11/10 11:52:12
ge
247 :
石黒 ◆VNX0nxDxEo :04/11/10 18:42:24
仲間が死ぬ
↓
プログラマーが召喚される
↓
さっそくザオリクを唱える
↓
生き帰らない
↓
ハッ、も、もしやバグ!?
↓
バグではなく仕様です。
↓
Ω<な、なんだってー!
↓
248 :
sage:04/11/18 07:58:35
age
sage
(1/3)
私達の国は,C/Java連合軍の魔術師(プログラマー)達に苦戦していた。
そしてついに,time_t==2091100744 には城1つを残すのみとなってしまった。
time_t==2091232591,連合軍はその城も包囲し,私達は絶体絶命。
私は城の中をうろうろするよりなかった。
time_t==2091327124,私は城の中にある壊れかけの家に隠れていた。
その中で私は何か光るものを見つけた。
「何だ,これ・・・」
それは錆び付いた剣で,柄にある紋章だけがなぜか綺麗に残っていた。
「・・・剣だと?
俺が戦えってことか?」
そう思って少し気持ちが沈んだ。
その剣を少し磨いてみた。
錆は表面だけで,中はまだ大丈夫だった。
そして,私はこの剣に何か運命的なものを感じた。
(2/3)
time_t==2091490643,ついにC/Java連合軍は城の攻略にかかった。
魔術師達の攻勢に対し,魔術師を擁しない私達の国はなす術がなかった。
私が剣を携えて戦場へ着いたとき,兵士達が次々と倒されていくのが目に映った。
しかし,ここでは引けない。
剣を持って,魔術師達に斬りかかっていった。
「え?」
全く切れない。
切れ味が悪すぎる。
「くっ,こんなんじゃ斬るより叩くしかないじゃないか・・・」
そう思いつつ戦っていたが・・・
四方を魔術師に囲まれた。
周りの魔術師達が呪文を唱えようとした。
「・・・どうする・・・」
その時剣が光った。
(3/3)
剣の光はたちまち周囲を包み込み,魔術師達の呪文をかき消した。
「何が起こったんだ・・・?」
魔術師達は叫んだ。
「あっ,あの剣は・・・」
「これはかなわん,退却だ!」
そして,その時の私には何を意味するのか分からない紋章「/* */」が煌いていた。
私がプログラミングを始めたのは,その1ヵ月後であった。
その時からずっと,私はコメントアウトに「//」は使わず「/* */」だけを使っている。
保守。ここ面白いですねー。SSも小ネタも良い感じで、大好きです。
作品は時間の都合で雰囲気しか読めないですが、面白いと思います。
皆さんもデスマ等大変でしょうが頑張って下さい。
・・・さて、自分も自分の学生用デスマ(受験)しますね。
257 :
仕様書無しさん:05/01/05 23:50:14
新年保守&あげ
ほこりかぶってら
ぱたぱた
第2回トーナメント用に、
マ知識の要らない短編を書いてみる勇者さまはいらっしゃいませんかー
261 :
仕様書無しさん:05/03/08 03:19:41
トーナメントって?
>>1 道具も無いのに何が出来るって言うんだ・・・
ハード屋ならまだ何か出来そうだが。
何かできてしまうからファンタジー世界なのですよ
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