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安倍首相らは北朝鮮が米国にミサイルを発射しても、アジアにおける米国の最大の同盟国
である日本は現段階では迎撃できないという事態を指摘している。日本の平和憲法では「自衛」しか認めていないためだ。
「自衛」という言葉は、軍隊は日本の領土に対する直接的な脅威にのみ対抗することができることを意味すると厳格に解釈されている。
安倍首相はこれに対して次のような対応を考えている。それは、第2次世界大戦で日本が降伏して以降
使われてきた「自衛」の定義を拡大し、「集団的自衛権」という原則によって、日本の軍隊が世界各地で
同盟国が直面する幅広い脅威と戦えるように許容範囲を広げよう、というものだ。防衛政策の転換を
正当化する最も喫緊の課題は北朝鮮だが、安倍氏の側近によると、安倍氏はその他さまざまな潜在的
敵対状況下で米国とともに戦えるように自衛隊の自由度を高めたいと考えているという。
この潜在的敵対状況には中国が関わる事態も含まれる可能性がある。
安倍氏は先月の国会答弁で昨年12月の北朝鮮のミサイル発射実験を引き合いに出し、
「(日米が)一体的にミサイル発射に備えているときに、日本が攻撃を探知しても米国の
イージス艦を助けないということになれば、日米同盟は危機的な状況になる」と述べた。
その後も北朝鮮の挑発的言動は激化する一方だ。北朝鮮の金正恩第1書記は今月29日、
米国本土や韓国、太平洋地域にある米軍基地を攻撃するためにロケットを発射待機状態にするよう指示した。
米国が韓国と合同で実施した軍事演習にB2ステルス爆撃機を飛行させたことを受けた対抗措置だ。
米国防総省のキャシー・ウィルキンソン広報官に安倍氏の提案についてのコメントを求めたところ、
29日に電子メールで「集団的自衛権は日本が決定することだ」と回答を寄せた。しかし、
ウィルキンソン広報官は「国防総省は防衛問題も含めて世界の舞台でより大きな役割を
引き受けるようとする日本の努力を歓迎する」とも述べている。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324500504578393320308890156.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesFirst