1 :
名前はいらない:
白と黒
夢幻と実存
光と闇
2 :
名前はいらない:2005/08/13(土) 18:10:48 ID:Zv6Hl79x
暗黒神よ
我に2を与えよ
3 :
名前はいらない:2005/08/13(土) 19:11:31 ID:CqRVJZcp
ハラペコだよな
実際 そこらへんはリアルに蠢くんだ
ほら見てみろよ
おれ
今日は真面目にお勉強したんだぜ
蝉が鳴き止む合い間を縫ってさ
何喰わしてやろうか?
胃袋のバカにさ
中華は最近喰いすぎだ
ドンブリは品がない
肉は一人で喰うもんじゃない
寿司も目の回るヤツこの前喰ったしさ
ビールで充分だよな?
ビールで充分だ
しかしさ ハラペコなんだよ
おれ 寂しいだけなのかもしれないな
5 :
名前はいらない:2005/08/13(土) 21:47:35 ID:WqsTw2az
食べたよ 満腹だ
今日は疲れたから早く寝ようかと思っても
寝れないもんだよな
起きちまったよ
結局さ
鯖の味噌煮とおでんの大根と卵と
青菜のお浸し食べたよ
時々行く定食屋でさ
食べるって不思議だと思わないか?
連綿と繋がる生命の駅伝を
支えてるのが「食」なんだぜ
すごいよな
なんだかおれ
ビールで顔洗いたくなってきちゃった
6 :
名前はいらない:2005/08/14(日) 00:27:07 ID:17kLIb/1
初めてビールを飲んだのってさ
高校の時だったよ
家の住人が寝静まった頃にさ
こっそり抜け出すんだよ 玄関の扉をゆっくり開けてさ
当時 友人から譲り受けたばかりの犬が
深夜の飼い主の不審極まりない行動を察知して
吠えるんだ
おれは家の住人が起きないか心配しながら
チャリンコに乗ってガコガコ漕ぎまくるんだ
酷い田舎だったから
街灯もほとんどなくてさ
それでもダイナモも点けずにガコガコ漕ぐんだ
星が綺麗に光ってて
妙にセンチな気分になったりしたよ
それよりも何よりも
ビールの自販機が眩しかったのを
今でも覚えてる
7 :
名前はいらない:2005/08/14(日) 01:59:41 ID:+DuqT2AD
高校の時に
おれ 経験すべき事は経験したと思うよ
酒もタバコもセックスも
死にたいっていう衝動も
生きたいっていう反動も
そんなの全部 高校の時に済ませたよ
でもさ
あの頃って非常にバカだったけど
(死にたくなるほどのバカもやったけど)
「あの頃って良かったよね」
とか言うヤツには膝カックンの刑
8 :
名前はいらない:2005/08/14(日) 02:15:07 ID:+DuqT2AD
眠たいのに寝れないって
道理に反してるよな
友人にウツを抱えるコがいて
「何かあった時の為に」って
デパスくれたけど
今はデパスの活躍シーズンじゃないと
おれ自身思ってるから
見向きもしない
ミンザイが宜しいかと
とか言ってる端から
どうせグウグウ寝ちまうんだよ おれって奴は
この眠りに落ちるまでのグレーゾーンで
奇妙なひらめきなんかが したり顔でおれの灰色脳味噌に
挨拶しに来るんだ
困るんですけど
歓迎しますよ
9 :
名前はいらない:2005/08/14(日) 11:37:13 ID:yPc1MIPV
朝だ
起きたよ 曇天の朝だ
窓から見えるおれの世界は
灰色ナマズの吐息の中で
首根っこ縮めて
ビー球の気泡だ
どんより濁る
目ん玉太陽
朝だ 起きてよ
空っぽの部屋では
おれの匂いが
気忙しくハグしてくるんだ
おはよう おれ
独りぼっちも悪くなかろう
10 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 12:28:19 ID:lYNAhZQF
帰省したんだ
そこには
人見知りしながら夜がやって来て
月が半分だけ光ってて
静かで 空気のネジが緩んでいて
おれと家族は
小奇麗な焼肉屋で
談笑したり 近況を報告しあったり
心無い人の心無い行動に腹を立てたり
虚しくなったりしたんだ
腹を満たして 心臓の近くに隙間をつくって
駐車場から見上げた月は
やっぱり半分ぽっちで
なんでだろな
こんな夜は海に沈めて
深海魚の餌になればいいんだ
11 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 12:35:15 ID:lYNAhZQF
オンナの体温が
オトコのそれよりも低い事を
おれは歓迎する
12 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 12:54:48 ID:lYNAhZQF
フローリングに座布団を敷いて
オンナの友人だか家族だかが
海外に行った時のお土産を
リッツの上に塗ってのせて
もしゃもしゃ喰う
クリームチーズとキャビアと炭水化物は
ビールと一緒に食道から暗澹へと落ちる
おれたちは
「ブルース・オールマイティ」を観て抱き合い
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を観て抱き合い
タバコを吸って
宅配弁当を喰って
シャワーを浴びて布団へ潜り込む
胃袋の中では恋だけが
消化されずに転がっている
おれはオンナが仕事に出掛けた後
洗い物を洗い 布団を片付け
タバコを一本吸って
そっとその部屋に鍵を掛けた
13 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 16:01:28 ID:Hc3L3CZY
それだけの事だよ
それだけの事
14 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 16:04:26 ID:Hc3L3CZY
紫は赤と青の融合で
青は黄色と緑の融合で
結局
何色になりたいのか
わからないのが おれで
それに混じるのがオンナで
鍵はポストに入れておいたよ
約束通り
15 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 16:13:36 ID:1yyGtyEH
いい、スゲー好きだ
16 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 16:17:38 ID:Hc3L3CZY
少し眠ろう
今日は静かだ
公園ではしゃぐ子供の声も
蝉も選挙カーも勧誘のチャイムも
べったりと引き伸ばされて
アスファルトで甲羅干しをしているに違いない
いい日だな
瞼が重いや
17 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 22:31:56 ID:KDmZOmrF
眠りは一体おれを
何処まで引き擦り込むのか
記憶の深海
意識の底辺
それは
見せる事のない月の裏側
18 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 22:39:31 ID:KDmZOmrF
おれはその海底深くから
記憶の砂を手にして
また浮上する
その砂は浮上する途中に
みな零れてしまう
時々 爪の間に残ったものが
おれを苦しめる
19 :
名前はいらない:2005/08/16(火) 22:40:26 ID:KDmZOmrF
記憶は残酷だ
20 :
名前はいらない:2005/08/17(水) 22:52:44 ID:rzQ+uBki
足音に気付いて振り向けば
大抵の場合
想像よりも一歩
近い
21 :
名前はいらない:2005/08/17(水) 23:08:16 ID:rzQ+uBki
夕立と呼ぶには
出遅れた雨は
なりふり構わず
頭へ 肩へ 胸へ 靴へ
降る降る降る降る降る降る降る降る
散髪嫌いの頭へ イギリスのメーカーのシャツへ
家路へ急ぐ疲れた胸へ お気に入りの革のスニーカーへ
降る降る降る降る降る降る降る降る
ブーツカットのジーンズへ 大きく平たい手の甲へ
眠気を秘めた二つの目玉へ 誰かから貰ったベージュの鞄へ
降る降る降る降る降る降る降る降る
そしたら
じいちゃんの小便みたいなのを
ちょろりと垂らし
遠雷ゴロロで
はい さようなら
22 :
名前はいらない:2005/08/17(水) 23:13:50 ID:rzQ+uBki
こってりであっさり
もっちりでしっとり
もっこりがひょっこり
すっぽりとがっぽり
23 :
名前はいらない:2005/08/17(水) 23:14:31 ID:rzQ+uBki
がっぽり
ガハハで
がり勉気分
24 :
名前はいらない:2005/08/17(水) 23:18:43 ID:rzQ+uBki
記憶は残酷だ
微塵もなく
砕ける骨だ
柊の葉の先端
捨て猫の
千切れた尻尾の
微かな揺れ
25 :
名前はいらない:2005/08/18(木) 00:46:53 ID:LR62td6x
おれは何年か前
何人のオンナと寝たか数えた事がある
何処かで読んだ小説の通り
浴室で頭を洗いながら
その時に出た数字は15で
たぶん あの記憶の海に
埋もれたオンナも存在するだろうから
16か17
そいつが
その数が生きていたら高校生だよな
それから何年か経った今
やはり何人かのオンナと寝て
数は増えたけれど
だけれども
別にそんなのは
何の役にも立たないと知ったよ
なんでだろな
まったく無意味なんだ
26 :
名前はいらない:2005/08/18(木) 00:47:26 ID:LR62td6x
数字は記憶と関係ないんだ
27 :
名前はいらない:2005/08/18(木) 01:04:53 ID:LR62td6x
エロ本か
中学の時はエロ本が主流
おれは こそこそ自販機などへ
行ったりはしなかったな
本屋のおばちゃんが奥の部屋で休憩してるのを
「すんませーん」とか言って
レジ前から呼び出し
安いエロ本を一冊
机の引出しは
その重みに耐えかねるかどうかの瀬戸際で
引き出す度に
ギイギイ喘いでいたよ
サンタフェも本屋で予約注文
美とはなんて滑稽で薄っぺらいものかと
陰茎も萎える思いで
写真集を見てたよ
なぁ
裸体はその全てを晒せば同時に
その全てを委ねるんだ
おれの目は
背景と被写体を
交互に見る とても
不器用な
情報伝達器官の一部にしか過ぎなかったよ
28 :
名前はいらない:2005/08/19(金) 00:53:46 ID:uECpBBOg
肉体はとても不純で
とても要領が悪い
とても怠け者で とても疲れやすい
とても変則的で とてもちゃっかり者
おれ
身体
とても
弛緩して
ぐ〜〜〜〜
29 :
名前はいらない:2005/08/19(金) 20:32:39 ID:ju8jIWyt
怠け者は美しくあれ
働き者は汗を拭うな
30 :
名前はいらない:2005/08/19(金) 20:42:16 ID:ju8jIWyt
帰り道
見上げれば
月はぼんやりと
妊娠している
31 :
名前はいらない:2005/08/19(金) 20:54:56 ID:ju8jIWyt
知ってるかい?
月は裏側を見せない
その理由
何故だか知ってるかい?
月の裏側は醜くて
深い渓谷とグロテスクな山々が
びっしりと表面を覆い
首のない生き物が地べたは這いずりまわり
琥珀色の岩と目潰しの砂がもじゃもじゃ喋っていて
そこには
蟹もウサギも杵も臼も
存在しない殺風景で味気ないものだからだよ
でもさ
残念な事に おれ
月の裏側なんて
見た事ないんだな
32 :
名前はいらない:2005/08/19(金) 21:10:48 ID:ju8jIWyt
残念 → ビール → エロ本 → 高校 → 中学
↓
蛍 → 暗い所でしか見えません D
↑ ↓
つまり ← 光るもの ← C ← 再び ← 素人
33 :
名前はいらない:2005/08/20(土) 19:16:36 ID:NkSQVDG1
喪服をクリーニング屋に持って行く時
初めて気付いたんだ
角の薬屋が潰れているって事にさ
この街は
新しいコンクリートが好きだから
こんな事がよく起きるのは知っている
でもさ
そこにあった
洗剤の匂いや薄汚れた白衣は
どこに整理されたのだろう
おれが気持ちの節目として
喪服を片付けるのと
どこが違うのだろう
街路樹の陰は色濃く
おれは訳もなく
そのがらんどうを見てた
34 :
名前はいらない:2005/08/20(土) 19:19:39 ID:NkSQVDG1
陰は影になり
影は光と逆走する
競争するとどっちが早いのかなぁ
光と影って
35 :
名前はいらない:2005/08/20(土) 21:00:39 ID:ZCXoCJKp
酒を買いに行こう
こんなに星が重たい夜は
酔っ払って眠るのが
理に叶っている
酒を買いに行こう
純粋で愚直なおまえが
電話をくれない夜は
酒を飲むのが身体に良い
酒を買いに行こう
自転する大地に逆らい
支離滅裂と握手をしよう
そうすれば
おまえの傍に
おれは
36 :
名前はいらない:2005/08/20(土) 23:41:18 ID:ZCXoCJKp
おれがこの街に来て
初めて寝たオンナには
深い負い目と 少しばかりの欠陥があり
おれは
まだウブに毛が生えただけだった おれは
その事実にたじろぎ
同時にそのオンナを
愛しく思ったんだ
そのオンナの部屋は
小奇麗過ぎるほどモノがなく
テレビすらなく
目に付くモノと言えば
ベッドと電子ピアノと
冷蔵庫と小さなラジカセと
白と黒のウサギだけだった
ウサギはゲージの中で
鼻をひく付かせては
おれを物珍しげに見てた
おれはそのオンナの誘いで
電子ピアノを少しだけ弾き
ビールを飲んでその時を待った
部屋の中は空っぽが囁きあって
体温が体温を呼んでいた
37 :
名前はいらない:2005/08/20(土) 23:49:26 ID:ZCXoCJKp
おれは
戸惑っていたのかもしれない
朝を迎えたベランダで
素っ裸でタバコを吸った
オンナの膣は
萎縮症と云うのか閉塞症と呼ぶのか
オトコのそれを受け入れるには適していなかった
オンナはおれの陰茎を咥え
なんとか事を果たそうとしたものの
ゲージをごそごそ動くウサギが気になり
おれは
射精もせず
オンナの隣りで
浅く苦しい眠りに落ちた
どちらかと言うと おれは
泣きたかった
泣いて湧き出た涙を全部
そのオンナに呉れてやりたかった
38 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 00:04:07 ID:TLNkmI+2
「オトコの人はエッチなしでは
オンナの人を好きになれへんのかなぁ?」
オンナは言った
おれは強く否定した
オンナは髪の長い美人だったし
ウサギはゲージをごそごそ動き回っていた
おれよりも2つ年上のなのがオンナで
ウサギよりもオンナの話を聞けないのがおれだった
おれは ウブに毛の生えただけのおれは
ウサギよりも20才も年上で
オンナよりも「哀しい」を知らなかった
テレビのない部屋は
朝陽が差し込み
その朝陽を踏み付けておれは
その部屋を去った
39 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 00:32:58 ID:TLNkmI+2
夢幻を食い止める方法は
実存に甘んじるしかないのか
過去は入り組み迷宮と化し
現在は途切れ途切れで
おれ
一人ぼっちの鼻歌歌うよ
誰かに聞こえたら負け
誰かに聞こえたら負け
40 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 04:20:02 ID:TLNkmI+2
テレビが詰まらないのは
テレビがない部屋に
足を踏み入れた事がないから
だ
おれは
この続きを
書くことを拒む
それは
実存だから
それは
今も生きているから
だ
41 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 04:22:54 ID:TLNkmI+2
ピッチャーは的外れに投げ
バッターはフルスイングで空振り三振
全力はぶつかり
結果的に
ピッチャーの勝ち
書生さん
あんたの事だよ
42 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 12:19:55 ID:ZmAsNOk9
脳味噌は時々
頭蓋骨に納まりきらず
空中へはみ出す
おれ
よく分かんないや
酒を宿した指先で
何書いてるんだろ?
出て来たものを
殴り書き
クライアントはお冠
43 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 14:25:35 ID:3EYkTNqo
言葉は
手入れしてやならきゃ
膿み始めるんだよ
知ってらい そんな事くらい
膿は切開して
悪血を抜かなきゃいけないんだよ
知ってらい そんな事くらい
悪血は陰干ししてから
スープにして飲むんだよ
知ってらい そんな事くらい
44 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 14:32:25 ID:3EYkTNqo
穢土 紫
プリンの稜線
おれの手は楽器
鳴らせ 叩け 爪弾け
平均律を
純正律を
ぐるぐる回して
音符を接着
ぐるぐる回して
ぐるぐるぐるぐ〜〜〜
45 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 23:37:37 ID:KutWi8JC
いつの間にやら
蝉はみんな死に絶えたらしい
あんなにぎーぎーうるさかったのに
死を知るからこそ
あんなにぎーぎー鳴いてたんだろうな
短い蝉の生涯なんて
おれの記憶の一滴に過ぎない
おれは以前 何人もの人間から
「お前は30で死ぬ」と言われた
24・5の時だ
友人から 職場の人間から
ピアノの調律師から
「お前は30で死ぬ」と
おれは30で死ぬかもしれないし
死なないかもしれない
猶予はまだある
蝉は
非常階段のコンクリートの上で
生涯を閉じる
おれは何処で閉じるのだろう
その時は記憶を手放すのだろうか
46 :
名前はいらない:2005/08/21(日) 23:54:37 ID:KutWi8JC
蝉は聞こえなくなりました
私は昼間のビールを買いに
サンダルでした
桜の木は雄雄しく
陽射しを抱きしめ
アスファルトと排気ガスの
交尾する匂いが
私の鼻腔で泳いでいました
私の耳元では
古い友人やピアノの調律師が
「お前は30で死ぬ」と
囁き合っては
まだらな青シーツの空へ
消えていきました
どこかの非常階段では
蝉が死んでいる事でしょう
私は喉か渇いたので
ぺたりぺたりと
歩きました
ぺたりぺたりと
歩きました
47 :
名前はいらない:2005/08/22(月) 21:13:45 ID:9DDsDG9d
ぺたりぺたりと歩いていると
濁音を忘れました
2005年ミス・タイプは
あなたに決定!
タイプミスは
おれに決定
濁音なんて嫌いだよ
いつも濁ってばかりいて
おれ
澄み切った愛液みたいな
言葉が好きなんだ
「今日の朝陽はきらきらと
わたしをしっかり見つめた後に
ほっそり優しく突き放したりして
そしたら 私を受けとめて
光の水滴くれました」
ほら
なんて品のいい言の葉たち
小便なんて言わないのよ
ここはお小水の世界なのよ
48 :
名前はいらない:2005/08/22(月) 21:14:27 ID:9DDsDG9d
がはは!
49 :
名前はいらない:2005/08/22(月) 21:19:43 ID:9DDsDG9d
ははが!
だはさ!
さはだ!
そやつ何者?
50 :
名前はいらない:2005/08/22(月) 21:20:33 ID:9DDsDG9d
知りませぬ
51 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 00:02:05 ID:v28EkCMb
自惚れビールをぐびぐびやろう
足の先まで真っ赤になろう
腑抜けた話題でらったらった
ティッシュの香りで朝まで泣こう
でっかい魚で小エビを釣ろう
ベーゼンドルファーやっつけよう
秘密の階段だんぐだんぐ
ナイフの先っちょチラリズムん
かいわれ大根ナツメロメロウ
指輪の代わりに炬燵でドロー
ひしめくよろめくさんざめく
わめくひらめくめくるめく
52 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 00:03:06 ID:v28EkCMb
調律師は
白髪の声で
53 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 00:39:57 ID:/esJL8iy
調律師はおれのアップライトを調律しながら
ビール片手にその様子を見ているおれを
涼しい目で一瞥して
それから視線を音程に向け
こういった
「あんたは30で死ぬタイプだね」
やや関東訛りの声の高い
神経質そうな細い目で
白髪まじりの声は
おれをすり抜け
流し台の中で木霊した
おれは
つい最近も友人に同じ事を言われたけどなんで?
と音程を探る手に問うた
声は
同じ一瞥をくれただけで
またチューニングを始めた
「最近は仕事が少ない 昔はキャバレーなんかの仕事も
たくさんあったんだけどさ」
と それは答えだったのかはぐらかしたのか
おれの小さな部屋は
歪んだ音が背伸びするたび
窮屈そうに姿勢を正した
54 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 00:48:07 ID:/esJL8iy
おれは
この指先で
何が出来るのか
なぁ
ここには
残骸しかない事を
おまえは知らないのか
ここは霊安室の特等席
おまえは
亡骸を見ているに過ぎない
影は光を呼ぶ
光は影と逆走する
記憶の砂は
零れ落ちる
深海へ
記憶の底辺へ
55 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 00:59:51 ID:/esJL8iy
世界が
目に見えるもの全てが
白と黒なら
おれは満足するのか
いや 違う
白など捨ててしまえ
黒など燃やしてしまえ
残ったものを
おれは掌に乗せ
握り締めず
振り払わず
おれ
飲み込むよ
きっと
ビールの味がするんだぜ
56 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 01:07:50 ID:/esJL8iy
ろくでもない
おれ
こころなくした
おれ
ひとでなしの
おれ
はとではない
おれ
かんがえても
おれ
かんがえたら
おれ
空洞ばかりが目に入って
それって
あんまし良くないと
思います
おれ
57 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 01:19:01 ID:/esJL8iy
音楽室でキスをするのが好きだった
放課後の夕陽が
漆黒のピアノを生温く染めて
おれたちは
決められたように
唇の挨拶をする
校舎の壁に
帰る生徒の靴音と会話の一部が反射して
ピアノの弦に共鳴しては
どのタイミングで呼吸するのか
灰色脳味噌の片隅で
手は 宙ぶらりんの不恰好で
そしたら
バッハと目が合って
ちょっと照れた
記憶は時に美しく置き換えられ
都合よく解釈されるのを
おれは知っている
58 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 23:19:46 ID:II6ysEdF
海馬の近くを散策すると
ひなびたおれとすれ違う
こっちは よう!と諧謔に
そいつに声を掛けたもの
そいつはしらっと素敵にスルー
暖簾に腕押しくたびれ儲け
59 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 23:20:25 ID:II6ysEdF
橙は
紅よりも
少しバカ
60 :
名前はいらない:2005/08/23(火) 23:27:04 ID:II6ysEdF
ここには秘密も
カラクリも仕掛けも種も
何もない
コウノトリの優雅な飛翔も
キャベツ畑の孤独な夜明けも
何もない
あるのは埃臭い過去と
捨てきれない現在と
下らない言葉の単独飛行
見ろ
そして 見るな
消し去る呪文は「てじなぁ〜にゃ!」
61 :
名前はいらない:2005/08/24(水) 00:16:31 ID:n/UUO/82
ピアノはおれで
おれはピアノで
呼ぶのがおれで
ピアノも呼んで
白黒白黒白白黒
ハミガキハノン
エチュードミソ
真夜中行き交う
音符のパレード
62 :
名前はいらない:2005/08/24(水) 00:22:45 ID:n/UUO/82
歌う
寿ぐ
夜は
耀く
63 :
名前はいらない:2005/08/24(水) 22:41:49 ID:cW07caRH
身体よ
聞け
お前はいつから
おれを見くびりだしたんだ
お前はいつから
おれをコントロールしようと思い立ったんだ
内臓は泥水袋じゃない
皮膚はコールタールの油膜ではない
骨は賞味期限の切れたチーズではない
おれは
生きている
おれは生きている
そうだろ?
おれは散々 お前を痛めつけて来たかもしれぬ
おれは時には お前を投げ出そうとしたかもしれぬ
しかしだ
だからと言って こんな仕打ちはないだろう
だからといって こんな裏切りはないだろう
もう少し おれの傍にいてくれよ
もう少しだけ おれの身体でいてくれよ
今 お前を手放すのは
正直 辛い
64 :
名前はいらない:2005/08/25(木) 03:56:11 ID:i5EIZP8V
こころが
ひとりぼっちで
彷徨ってる
おれ
助けてやらなきゃ
65 :
名前はいらない:2005/08/25(木) 04:01:12 ID:i5EIZP8V
肉体
おれ
精神
おれ
繋ぎとめなきゃ
おれ
魂
66 :
名前はいらない:2005/08/25(木) 04:09:31 ID:i5EIZP8V
頼むから
おれに時間をくれ
頼むから朝など寄越すな
67 :
名前はいらない:2005/08/26(金) 02:57:07 ID:zy/BmKXP
遅い朝は
電話の音と
倦怠感と
アパシーを引き連れて
やって来た
おれは
ヘッドフォンを被り
残った仕事をやり遂げ
うるさい留守電に応対した
この何時間かの間に
大きな球はぐるりと回り
おれの細い線を(神経が行き交う黄色の線を)
ズタズタに引き裂き
それでいて
安穏と午後の陽射しなどを
振り撒いていた
おれは
疲れた
それだけで満たされた気分だ
68 :
名前はいらない:2005/08/26(金) 03:22:12 ID:zy/BmKXP
朝は重たい脱脂綿の気圧の中
私を無気力と云う箱の中へ押し込み
私から空気を抜きました
ヘッドフォンから
生活が湧き出るのを知っている私は
音像の一つ一つを撫ぜ回り
イビツな形に仕上げ
それを電話に打ち明けました
告白のような
夏の空に漂う 小さな雲のような
陰陽のない 平淡でざらついた声で
足元では大地が
揺れもせずごおおおおと決められた方向へと
営みを果たし
私の中枢では
ぷちぷちと私である証明が息絶え
赤裸々に午後の陽射しを
言い触らしていました
それだけで
私は己を憎み
同時に安堵し
死人の顔で眠りました
私は生きるのが
得意ではありません
それは仕方がない事だと
私自身思っています
69 :
名前はいらない:2005/08/27(土) 00:18:59 ID:IE3W3BQL
ワカラン
リカイデキン
ゲセン
フニオチン
カタカナノ
オレハ
カタイジ ハッテ
カッコワルイヤ
カッコワルイ
70 :
名前はいらない:2005/08/27(土) 00:33:17 ID:IE3W3BQL
滑らかに
白肌で休息する蝶の触覚の
空を揺らめくタクトのように
息は 吸われ
吐息は 垂れ下がる
重たい瞼の睫毛の旋風
ゆるゆるるるる
そうだよ
ゆるゆるるるる
71 :
名前はいらない:2005/08/27(土) 00:34:59 ID:IE3W3BQL
るるるるるる〜
なんか
キツネ呼べそう
72 :
名前はいらない:2005/08/27(土) 00:38:47 ID:IE3W3BQL
るるるるるるる〜
なんか
ケダマ出来そう
73 :
名前はいらない:2005/08/28(日) 22:42:06 ID:cmQp/A1J
キミの小さな手のひらの上に
鬼灯を置いた時
おれ
キミを好きになったような
なんだか変な気分がしたんだ
星が夕闇のベッドの中で
次々と生まれる
とある田舎道で
74 :
名前はいらない:2005/08/28(日) 23:02:28 ID:cmQp/A1J
錆びたチェーンをしっかり握り
夕暮れが陽を隠し 星を起こす頃
ブランコ
青く眠そうな藤棚へ
両足が届く程
ぎーぎー
「ひとりで色々考えるんは
別にキライやないねんで」
キミは鼻に掛かった声で
おれは畠の向こうの民家の明かりなどに
気を取られたままで
反動を付けるキミの声を 聞く
「なんかよお分からへん事ばっかやわ」
開き直りに似たその声は
おれを少し安心させる
星が生まれる頃
おれは鬼灯をひとつ千切って
キミの手のひらに乗せる
風は静かで
キミの手は
ブランコの錆で赤茶けてて
75 :
名前はいらない:2005/08/28(日) 23:21:39 ID:cmQp/A1J
キミと手を振り
おれは
電車の中でしたたかに寝る
電車はおれをオンナの部屋へと
ぐらぐら運ぶ
オンナはいつもの眠たそうな目で
おれを迎えに来る
オンナの部屋から夜が始まり
この部屋で夜が終わるのを知っているおれは
いつもより強く抱きしめる
背中のホクロに毛が生えているのを発見される
小鳥が啄むようなキスをする
それだけの事
それだけの事で
おれの身体は確かに重い
76 :
名前はいらない:2005/08/29(月) 00:49:54 ID:dfPSSmyq
足の爪を
ぷちりぷちりと切り落とす
3LDKに
その音は冷たく響き渡る
空っぽの部屋には
誰も帰って来ない
空っぽの部屋には
誰も帰って来ない
空っぽの部屋には
おれが爪を切る音だけが
ぷちりぷちりと
住人の顔
77 :
名前はいらない:2005/08/29(月) 00:57:38 ID:dfPSSmyq
眠たいね
おまえも眠たいのかな
おれは
生きてるよ
下らない言葉を
子守唄にしながら
78 :
名前はいらない:2005/08/29(月) 22:22:37 ID:tKetZc3/
分かるかい?
分からないんだ
分かるかい?
分からないんだ
分からないが
分かるかい?
分からないを
分かるかい?
79 :
名前はいらない:2005/08/29(月) 22:24:50 ID:tKetZc3/
闇に目が慣れてくると
光が痛い
たぶんそんな感じなんだろう
分かるかい?
分からないんだ
おれにはちっとも分からないんだ
80 :
名前はいらない:2005/08/29(月) 22:36:15 ID:tKetZc3/
錯綜する
真理は何処へ
哲学は干乾び
精神は堕胎
81 :
名前はいらない:2005/08/30(火) 01:00:59 ID:SLB1md/2
何をしているんだ
この手は?
この目は?
この体は?
おれを返せ
おれを返せ
おれを何処に隠したんだ
おれを何処に隠したんだ
82 :
名前はいらない:2005/08/30(火) 01:13:35 ID:SLB1md/2
おれは今から布団に入り
出来るだけ自由に伸びをして
携帯の目覚ましをセットする
そして電気を消す
豆電球の心許ない明かりの下で
おれは一体何者なのかを
寒天の脳味噌でぐるりとひと廻しし
虚脱の海へと身投げする
おれの体は千千に千切れ
細胞は回帰し 精神は皆無と冥合する
朝が来るまでそのまま
誰かを抱きしめる事もなく
そのまま
83 :
名前はいらない:2005/08/30(火) 01:14:28 ID:SLB1md/2
夢など遠い幻として
そのまま
84 :
名前はいらない:2005/08/30(火) 01:16:52 ID:SLB1md/2
記憶は朽ち
明滅する
闇の底で
光の先で
85 :
名前はいらない:2005/08/31(水) 23:20:13 ID:5dP31sCR
雨が止み
湖が干上がって
お日様が空の上で遭難したら
おれ
魚になりたい
銀色の鱗で
パクパク鰓呼吸で
瞬きなんてしてやらない
糞尿なんて垂れ流し
乾きに乾いた窒素の海を
すす〜いのすいで縦横無尽
あのコのスカートひらりとさせて
黄色い歓声 聞く耳持たず
だってさ
背ビレのある生活って
なんか良くなくない?
86 :
名前はいらない:2005/08/31(水) 23:24:12 ID:5dP31sCR
幻想は複雑骨折
ばかみたいだ
おれは
何を
書
き
留
め
て
い
い
の
か
分からない
ば
か
だ
87 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 00:14:41 ID:7jQZCdf2
寝室のゴミ箱を
黒のビニールに移し変える瞬間
オンナの匂いがした
それは
ペディキュアだけ派手な看護婦の陰臭
こんな所にまだ居たのかと
おれは狼狽しつつも懐かしくなり
だが 素直に捨てた
88 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 00:29:27 ID:7jQZCdf2
だめだ
こんなの見るなよ
下らない戯言に過ぎぬ
今は神経が拡散して
(なぜだろう?今、今のオンナから電話があったから?)
言葉の工場は臨時休業
白も黒も陰も陽も
夢幻も実存も光も闇も
一緒くたになって洗濯機の中で
脱水されているんだ
だめだ
こんなの見るなよ
ふしだらで清潔で清楚で卑猥な
不潔で純粋で聞き分けの良い天邪鬼の
言葉の屍骸にたかる蝿の羽音の
実直な周波数
89 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 00:30:02 ID:7jQZCdf2
]掃き溜めの賦役
90 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 00:38:47 ID:7jQZCdf2
生きろ
そして 笑え
記憶は途切れぬまま
そこに鎮座している
生きろ
そして 嗜め
海底では亡者が
おれを待ち侘びている
おれの生き血の残り香を
啜るように目を細めて
91 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 00:46:31 ID:7jQZCdf2
おれはもうおれではなく
ピアノは遠くで鳴り響き
電線を越えた辺りでおれは
右腹の奥の斜め後ろが
鈍く痛み
おれ
目を閉じるのが怖いんだ
何処までも落ちていきそうで
92 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 22:36:41 ID:K6mrRAMT
ピアノを習い始めたのは高校の時で
近所のピアノの先生の家で
若いオンナの先生でさ
おれは 意味もなく張り切って
ピアノの練習をしたんだ
88鍵の世界に秘密が隠されているのを
まだおれは知らなかった頃だよ
ただただピアノを弾いて弾いて
夏の日に先生のシャツの隙間から見える
ブラジャーがやけにピンクで
それが気になって気になって
レッスンの終わりの方になると
次の生徒が来てて
それが気になって気になって
グランドピアノは狭い2階の一室で
たどたどしくもひとつひとつ
音を組み上げていったよ
それは
夏の擦り傷のかさぶたを剥がすように
ぺろり と潔く
93 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 22:52:54 ID:K6mrRAMT
次に習ったのがこの都市に来てからだ
自転車で徘徊していて見つけたジャズピアノ教室
作曲編曲ボーカルシャンソン云々 やたらと肩書きだけが大袈裟な看板を見て さ
入り組んだ路地の角にあるそこは普通の民家で
部屋の中は調度品とピアノとピアノと
ピアノが部屋ごとにひとつないしふたつあるような
叩けば音の鳴る民家で
先生は老人の2・3歩手前の小太りで
何故だかは知らないが只でレッスンをしてくれた
作曲・コード進行の妙・譜面の書き方・云々
おれはなんだか知らないが教わり
そしてぷつりと行かなくなった
「行きません」とも連絡せずに
目に見えるもの全ては穏やかに回転していて
陽射しは強く 何もかもが湿っていた
94 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 23:05:09 ID:K6mrRAMT
世界が綺麗に終わる頃
おれはそいつにキスをする
88のその向こう
銀河の果てのちょい手前
95 :
名前はいらない:2005/09/01(木) 23:06:46 ID:K6mrRAMT
がっつく犬は鎖に繋げ!
96 :
名前はいらない:2005/09/02(金) 00:51:56 ID:evCkAvF4
おれが高校を出る年に
大地は大きく震え 亀裂を街に刻んだ
おれは田舎を捨てその街に越した
世間知らずの優柔不断を脇の下に隠し
純朴な眼差しで 崩れた生活の骸を見た
モラトリアムの薄霧が
おれの背中を押したからだ
訳も分からず足手まといな奉仕に行った
役場の罹災証明発効の名前呼び 銭湯へ並ぶ列の整理係り
泊り込みで奉仕もした
テントの中は窒息するほど自由に満ち
おれは使命すら忘れた
それでいて
いい気分で当時のオンナをテントに呼んだりしていた
己の事しか見れない独善はここで産声を上げ
おれを形作ろうと躍起になっていた
崩壊し壊滅した街から投げ出され
行き場のない人々が 余った平地を埋め尽くす土地で
星が孤高の光りを放ち 冷気が酒を呼ぶ冬の最中で
97 :
名前はいらない:2005/09/02(金) 00:58:18 ID:evCkAvF4
言葉は死んだ
記憶が蛇行する遠心力で
ふしだらに
自叙を始めた
おれは
目を瞑る程の体力もなく
遜るしか方法はないのか?
そして
アスベストは 舞う
98 :
名前はいらない:2005/09/02(金) 21:08:23 ID:5E5fA5A+
雨は局地的に降り
おれは 裸足に憧れを抱き
持っていた傘をフェンスにぶら下げ
ずぶ濡れになる
皮膚の表面全てが
排気ガスの混じった水滴で満たされるまで
ずぶ濡れになる
そしたら おれ
なんだか肺の中が温かくて
ひとり鼻歌を歌うんだ
ビートルズの「FOR NO ONE」
通り過ぎるヘッドライトが
雨で迷子になるのを横目で見ながら
99 :
名前はいらない:2005/09/02(金) 22:09:11 ID:5E5fA5A+
街は夏に覆われて
おれはアスベストの舞うセンター街を
前掛けを腰に巻きつけ
走っていたんだ
崩れた街は「頑張ろう」を合言葉に
再生の新芽を育てていて
おれは配達のバイト
サインを貰う時に女子店員の胸元からブラを見る術を会得したり
どうすればサボれるかを真剣に考えたり
ポケベルが主流で携帯は高値の花で
何もかもが夏で彩られていて
その土地で出会う人の大半は
必ず 家族か知り合いが死んでいて
瓦礫の街は甦るために必死に生きていた
おれはそこでのうのうと息をしていたんだ
懐かしい友人に声を掛けるように
死にも気軽に声を掛けたよ
誰よりも大声で笑い
誰よりも空想し
誰よりも己が可愛かった
夏の湿度がおれを満たして
暗い夜を作ったんだ 光と影があるように
こっそりと
もういいよ
疲れたろ?
少しのアルコールと
柔らかいチーズがあるよ
体を温めて
ゆっくりおやすみ
時間はレールの上で
ことこと煮詰まるのを待っているんだ
疲れたろ?
重心は バランスは
何でこんなにも不均一で
傾きを好むのかなぁ?
ピアノでも弾こうか?
夜想曲でいいかい?
おれ おまえの為に
いま 何をしていいのか
分からない
言葉は低い方へ流れる性質を持つ
言葉は斜面を愛撫しながら流れて流れ
落ち着く先は
ドジョウの沼だと決まっている
おれ
雲が欲しいんだ
生まれたての雲が
真っ白で よく見たら透明で
触りたくても触れなくて
気が付けばいつの間にか包まれている
真っ白で透明な
雲が欲しいんだよ
飲酒は緩慢な自殺だと言った
酔っ払いを思い出して
ガードレールにでも腰掛けようか
お願いだから
死なないで下さい
生きて下さい
不条理は喉元で
句読点の練習をしているけれど
死なないで下さい
生きて下さい
サヨナラは恥部だと心得て下さい
月でも見ようかとベランダに出たが
ここからは何も見えん
或いは月さえ出ていないのか
夜だけがのっぺり
なんだか本気でどうでもいいや!
こんなのぐちゃぐちゃに丸めて
ベランダから見えない月へと
投げちゃえよ投げちゃえ!
そしたらさその落下点に
種が根付いて芽が出て
ぐちゃぐちゃの蔓が
月を目指して伸び
ぐちゃぐちゃの
花をぽつんと
綺麗に付け
なんだか
おれは
今日
死
な
な
け
れ
ば
な
ら
な
い
よ
う
な
気がして
そんなささくれたおれに
ワイングラス半分くれた
明日はステージ
コンビニで買った
白バンドは
偽善者の証
それを付けて
明日をやり過ごすよ
おれ
ほんとは
死にたくないんだ
世界の隅っこに愛と云う
生暖かい風が吹いて
おれが
不平等を全部食い尽くして
おれに争いのいがみ合いの
虚飾の虚栄の
毒素が溜まって
死ぬほど世界が澄み切った時
ぽっくり逝きたい
誰にも看取られずに
彼岸花の細い茎を
子どもがいたずらに手折るように
ぽっくり と
腹減ったから寝る
生きるには空腹と云うエネルギーが不可欠
おれは
おれでなくなる時が来て
おれは
しばらく宙に浮かぶタバコの煙なんかに
目を奪われ
おれは
回想の中で
おれは
懺悔の言葉をもぐもぐと噛み潰し
おれは
さよならの約束を忘れている事に気付き
おれは
死ぬほど後悔するんだ
おれが
おれでなくなる時に
きっと
ここは
おれの
闇の街
ここは
おれの
黒の旅
ここは
おれの
影の骸
ここは
おれの
生の轍
センター街のとあるブティックの
女子店員とコンパをしたとある夜に
おれは
夜光虫を見た
それは象の屍骸のように
折れ曲がった埠頭で
おれたちは
敗者の気分で
缶コーヒーを飲み
夏は重たく
風は風景に張り付いたまま動かなかった
オリックスが優勝する何ヶ月か前で
海の向こうの人工島は ぼんやりする霧の中
生活の明かりを灯していた
ざざと言う海をふと覗くと
無数のルシフェリンが青く儚く瞬いて
おれは
その静かな美しさに
死者の霊魂を
見た
クレバスが
ぱっくりと口を開ける
崩壊した街の
崩壊した埠頭で
手を伸ばして海水を弄れども
そいつらはきまって手に出来やしないんだ
消えてしまうんだ
生温い海水だけが
おれの手の感覚を刺激して
おれは
ついに
光とはなんて遠い存在なのかと
気付くんだ
そこに光っていながら
なんて遠いんだと
おれはひとりで旅に出た
それは夜光虫から
何年も先の事
不穏な空
台風が来る
何もかも滅茶苦茶にして
あっさり帰ってしまうあいつだ
テレビでなんとかという黒人が言っていた
「ブッシュは黒人をゆっくり助けるつもりだ」
と
おれは
昼飯を食べながらそれを観てた
観客はおれとその他大勢で
主役はいつもテレビの中で悲愴な顔をしていて
つまり
おれは部外者で無関係な人間のひとりで
なのになぜこんなに昼飯が不味いのだろう?
不穏な空は
明日 荒れる
ひとりぼっちで光が光ってもさ
暗がりがのさばってたら
光は寂しかろう
もしおれの手のひらが発光体なら
どうやって暗がりに手を翳そうか?
おれ考えるよ
その前に
どうやって人と握手したらいいのか
ってさ
暗闇ばかり見てたら
目に虫が入ってさ
痛いんだ
光ばかり見てたら
眼孔が焼けちゃって
痛いんだ
だからキミ
片目は時々瞑るようにしなさい
ウインクするみたいに
キュートな感じで
おれは
眠たいので
おれの体の欲求に従って
寝る事にする
台風は逸れ
雨だけが思い出したように振る
夜に
もしかして
おれ
陸地の半分が水没しても
今日の気だるさを忘れずに
のうのうと寝るのかなぁ?
おれは何処に行きたいのだろう
おれは何がしたいのだろう
満たされたいのか?
削ぎ落として欲しいのか?
電話の声は
リスカのオンナで
おれより2・3遅く生まれた
フェラチオの巧いオンナで
おれは
酔いの最中に応対をして
肝心な事を言い忘れたかもしれない
「生きるって何?」
その問いにおれ どう答えたのか
忘れてしまったよ
生きろ
細胞は生を望んでいる
その手首が傷つく度に
その傷は再生する
生きろ
東京は雨だった
しみったれた雨だった
おれは夜行バスの揺れを
三半規管に軽く残したまま
味気ない早朝の都市を歩いた
整備された閑散が
軍落ちリュックと楽器の肩には優しかった
雨はおれを受け入れてくれ
同時にひとりぼっちにさせた
優しく降る代わりにおれを冷やした
山手線に乗り 聞き覚えのある駅で降り
出来る限り静かで人通りの多い場所で
楽器を弾いた
しかし
音はすぐに疲れ 手の中に小銭が残った
夕の頃 見知らぬ街はコンクリートの堅さで暮れ始め
おれはそこでやっと友人に電話をした
彷徨っていた自由が
明日を考え出してから30秒後のことだった
記憶は私小説へと転落した
掴み損ねた砂の粒は
キラキラと海底に沈み
また同じ場所で安穏と
静寂を聴くんだ
おやすみ
世界中の手首たちへ
おやすみ
リスカのオンナは
死ぬつもりなんてないんだ
死にたいのじゃなくて
生きたくないだけなんだ
「血が安定剤みたいなものなんだぁ」
と酔っ払ったような声で言う
「流れてる血を見てると あぁ生きてるんだなぁって
嬉しくなるんだ」
抗鬱剤が呂律の端っこを結んでいるのか
縫合の後の恥じらいからか
恍惚からか
その声は聞き取りにくく
おれは電話に耳を押し当てる
何処かで誰かが不意に死ぬ
何処かで誰かがあさり殺される
地軸のズレは
電話の向こう側から
おれに語り掛ける
「生きるって何?」
と
死はいつも
あんぐり口開けて
おれたちがそこに落っこちるのを
のんびり待ってる
死はいつも
あんぐり口開けて
おれたちがそこに落っこちるのを
のんびり待ってる
死はいつも
そこにある
死はいつも
そこにある
死はいつだって
おれの背後で出番を待ってる
死はいつだって
おれの背後で出番を待ってる
ちいさく笑いながら
ちいさく笑いながら
ちいさくちいさく笑いながら
ちいさくちいさく笑いながら
おれは首都を転々とした
友人宅をまわり
その後は
コンクリートを布団にして寝た
やたらとカラスとネズミが多い事を知った
誰も何も言わなかったし
おれが誰であるかすら
誰も知らなかった
生きていた
鼓動はいつもより早く
コーヒー一杯を頼み
マックで寝た
サンダルに穿き潰したジーンズ
黒いジャージの上着姿で
赤坂の信号を渡った
すれ違ったOLがくすりと笑った
生きていた
誰にも邪魔されずにおれはおれを見た
その姿は滑稽なほどに
生きていた
誰かに笑われるほど
光よ
お前は何を照らす
光よ
お前は何を明るみにし
何をその刃で喰い千切る
光よ
おれはおまえの許へと帰りたい
光よ
笑ってくれ
光よ
出来る事なら殴ってくれ
光よ
お前は今何処にいて
何を計算しているのだ
光よ
おれは今 おまえに会いたい
光よ
おれは今 おまえに会いたい
訳もなく
両目が泣きたがっている夜は
吐息が鎖骨を舐める
オンナとの淫行を思い描いても
札束を浮かべたプールに
ドンペリを垂れ流す夢を見ても
背骨が苦しいだけで
おれ
涙が欲しいんだ
死海の塩辛さで
零れる涙が
冷蔵庫のビールを探っている時に
一匹のちいさな蜘蛛が
わざわざ冷蔵庫の中へと入り込んできた
おれは
迷信を信じる薄汚れた人間だから
家にいる蜘蛛は縁起がいいと
やはり薄汚れた思想でもって
そう信じている
朝ではなく 夜のことで
おれはいち早く酔っ払って
今日に穢れを洗い落としたいと
思っている最中で
蜘蛛はその足で身軽に冷蔵庫の奥へと
プラスチックの白い壁をととととととと歩き入り
おれは仕方なく 割り箸でそいつを外の世界へと
引きずり出そうとすれども
そいつはどうやら冷蔵庫のバターとかマヨネーズとか
誰かがわざわざ買ってきて おれの口には合わないチューハイとかの
隙間へ潜り込んだので
おれは
ビールだけを取り出しパタンと扉を閉めた
だってさ
ビールが温くなってはいけないから・・・・
命は簡単に消える
命は簡単に消せる
泣きたい泣きたい泣きたい泣きたい
命の摩擦で焼け爛れた心臓が
行く宛てなく流れる涙を欲しがっている
泣きたい泣きたい泣きたい泣きたい
女々しいと笑え 声高らかに
馬鹿面こいて同情しろ 鼻の穴ピクつかせて
おれは誰かに指図も受けず
おれは誰かに憚る事無く
泣きたい泣きたい泣きたい泣きたい
言っておくけど
火傷に塩を揉み込み出て来たおれの涙を
「生きてる証拠だよ」と簡単に丸め込むヤツは
死んでくれ
生が
お手軽ならば
死もまた同じ
光は常に
闇へと進む
闇はいつも
光を取り込む
影は光の後を追いかけ
光の意味を際立たせる
おれは
白にも黒にもなれず
夢幻と実在
区別も出来ずに
コーヒーカップに浮かぶくらいの恋ならば
捨ててしまえとおれが言う
夢にも現れぬくらいの
浅い感情は世迷言だとおれが言う
オンナに電話を掛けて
睫毛の上で昼寝をする象の子供みたいに
おれは少しだけ自分の中の自分を確かめて
おやすみ またね と電源を切る
静寂が左耳を支配して
おれはグラスを傾け
眠りの汁を啜る
降れば流れるくらいの情ならば
傘を差すなとおれが言う
誰かと居ても誰かと居なくても
誰かと寝ても誰かと寝なくても
お前は一人ぼっちじゃないかとおれが言う
リビングの白い壁に
左肩を押し当てたまま
おれが言う
あの頃のおれは快活で しかもよく笑った
何にでも興味があったし
誰とでも仲良くなれた
テレビドラマの助監督の部屋に泊めてもらった
映画を作りたいんだ と意気込む青年の部屋へも転がり込んだ
東京はだだっ広いと云う当たり前の事実を知って
コンクリートは硬いと云う在り来たりな情報を得て
意外にも寂しがり屋の側面を持つ首都におれはいた
春の終わる頃で
夏が始まる少し前で
おれはひとりのオンナと出会った
偶然しか存在しない旅の途中で
巡り合わせと呼ぶには大仰なほど
単純にして明快に
その時おれは
流れる人波をぼんやりと見つめ
財布の中の重たい紙切れが少なくなっているのを
気にしていた
アーケードの隅には
どこにも行けないオトコが楽器を弾いていた
出来得る限りのたおやかさで
言葉が家出しました
言葉が家出しました
おれはそいつを探しています
言葉が家出しました
言葉が家出しました
どなたかおれの言葉を探してください
見つけられた方には ささやかながら
ゴミ箱を一年分差し上げます
ほら見ろよ
夜がおれの掌の上
したり顔でこっちを見てるぜ
夜のクセに生意気なヤツだ
お前なんか くしゃくしゃに丸めて
半分お月様のゴミ箱へ
放り投げてやる
飛べ!
夜よ
二度と来るな!
考え込め
押し潰せ
理性のぬっぺらぼんを
哲学の沈黙を
噛み千切れ
引き裂け
他愛ない劣情を
掃くに足らぬ諌め言を
おれは今から
台所に行き
換気扇のノイズを聞きながら
メンソールを吸い
眠気に怯え
この続きの文章を
足の裏で考え
グラスに透明を注ぎ
左の頭を少し掻き
瞬きを気の向くままして
液晶の電源を落とし
いつもの夜の習慣に沿い
目覚ましをセットして
寝る
骨だけが重たく
寝る
どこかの子馬は
喉に孔を開けられ
半分閉じた目で
小さな飼い主を
見ている最中に
全て止まっている
花も木も 風も月も
自動車も酔いどれも
街娼もポン引きも
靴下もハヤシライスも
強姦も万引きも
鼓動も顫動も
滴りも声も
鬱もハイも
エニオパも
影も
ほら 見ろよ
電子の休憩時間は
息も出来やしない
哲学を
斜め
よんじゅう
ごどから
見る
くんれん
を
あなたは
小便の途中で
思い立つ
べき
だった
哲
学
は
猫
の
背
中
に
隠
さ
れ
て
い
る
酔いが臓腑を掻き回し
理性は千鳥足のままオンナの髪を撫で付ける
電気を消した瞬間から
舌がぺちゃくちゃ会話する
暗くてよく見えないや
名前を呼ぶ
吐息の中でオンナはうんと言う
いつもの手順で
いつもの方法で
いつもの性交で
ホックを外し 掌を這わせ
指先をオンナの体へ忍び込ませて
そのうち陰茎をすっぽりと嵌め込む
いつもと同じ手順で
いつもと同じ方法で
いつもと同じ性交で
いつもと違うのは
オンナだけ
夜は
終わるのを待っている
暗闇の目で
おれたちを見ている
裸を擦り付け
液体を滲ませ飛び散らす
おれたちを見ている
深淵の眼窩の
漆黒の目で
夜だ
夜だ
夜だ
夜だ
おれは
夜だ
夜だ
夜だ
夜だ
気だるい朝は昼間の顔で
リビングで寝ている女の体を
カーテン越しの淡い光で照らしている
おれはステレオでレゲエを鳴らし
それを聴きながら昼ごはんは何にしようかなどと
酔いの残る頭で考えている
キックがどむどむと
ベースがどぅっどぅっと
その光を踏み付ける
白は黒に憧れて
黒は白を仰ぐ
おれは白
寝ている女は黒
もしかすればその反対
なんだか狭心症になった気分だ
いっその事その光が
白も黒も見分けが付かない程に
おれたちを混ぜ込んでくれたら
いいのにな
いいのにな
そうしたら
おれ
おれが何であるか分かるかなぁ?
液体から生まれたんか?
おれ
漂う気体の結晶なんか?
抱き締め合った結果が
固体になったんか?
血を流せ
流しきれ
うらぶれたヘモグロビンを
おれの許から奪い去れ
おれ
生きてるんか?
なぁ
おれって
生きて行くんか?
なんでも言うよ
何度でも言うよ
おれは昼間のビールを開け
そいつを飲み干すその間に
世界が終わりませんように
世界が崩れませんように
世界が流されませんように
泡の声で祈るよ
この3日の間に
朝が夜を組み敷き
夜が夕陽をごくりと飲み込む
3度のサイクルの間に
おれ
3人のオンナと寝たよ
健康的に病的に
健全な顔で酔いどれた面持ちで
おれ
3人のオンナと寝たよ
自慢したいけど
自慢にもならないよな
言い触らしたいけど
それも格好悪いよな
おれ
3人のオンナと寝たよ
そして今 おれは
実に清々しい一人ぼっちだよ
実に潔い一人ぼっちだよ
どんなに素敵なオンナと寝ても
どんなに完璧なセックスをしても
おれの乾きは潤せなくて
いつもどこか乾いているんだ
咽頭の奥の砂漠が
睾丸の中に潜む蟹が
もっともっとと言っている
だから
死を下さい
おれに 出来るだけ純粋な
死を下さい
「へい!お待ちぃ!
今日はあんたの為に活きのいいのを用意しといたよ!」
ってな具合に
流れ作業のように簡潔で片意地の張っていない
死を下さい
おれは
「大将 いつも悪いねぇ」と満面の外出用の笑顔で
そいつを喉仏で味わうんだ
「やっぱり大将の死は他とは違って新鮮だよ」
とか言いながら
喉仏で味わうんだ
「苦しいようで 哀しいようで
味がいつまでも口の中で踊っていて
やっぱり 大将の死が一番だよ」
とかおべんちゃら言いながら
喉仏で事後感を味わうんだ
それは恍惚
それはコンプレックスの勝利
それは敗北の甘い味
疲れが
皮膚の表面を被い尽くして
おれは
息をするのも億劫だ
歪な球体の極地で
氷山は崩れ落ち
太陽の乱暴な光線が
くらくらする氷の飛沫を
宙に浮かべる
その時の
キレイ
おれを
まだ生かそうとする
未知
キーボードはカタカタ
髑髏の身震い
生きるって
ハラペコだ
生きるって
ハラペコだ
言葉は行方不明
夜逃げしたのかもしれないな
そういえば喪服も
まだクリーニング屋に預けたままで
収納棚で燃えているかもしれないな
トースターで焼いた明太子を
ぼそぼそ喰いながら
おれは
テレビドラマがCMに入るタイミングで
明日の事を考えている
それすらも 慣れちゃえば
ハラペコだけが残る
残飯みたいに
酒 愛しさ 矛盾 辛辣 悔恨 放棄 哀れ 赦し 情け
唇から滴り落ちろ
「酒と死刑と友と毛布」
・酒飲みて 友と語りし宵の頃 死刑における是非とは何か
たとえば彼は8つの小さき命を消し去り
その命の家族を 哀しみの深淵へと投げやり
電波から無慈悲にも 憎しみと怒りとやりきれなさを撒き散らした
グラスには焼酎 テーブルの下で転がる空き缶
皿の上のピーナッツは湿り気を増す
・友は言う 「死には死にて償うべきと 家族の心情計り知れずや」
だが彼は死を望んでいた
それは反省でも償いの念でもなく
ただ死を望んでいた 生きるのを拒んでいた
まるでそれは煩わしさからの解放 回避 逃亡
あるいは快楽 至福であるかのように
エアコンは沈黙の間だけ唸り声をあげ
錯雑とした部屋の中 スピーカーは音楽を遠い過去のものとした
・軽々と「おまえの家族が同じ目に 会ったらどうする」友は言いけり
そんな事があれば 馬鹿みたいな哀しみに付き纏われ
一生の痛みを心臓に背負い 憎しみの眼を己のものとするだろう
だがその悪魔を 死神を法の裁きで消し去るのは
残された者への慰めにもらなん
改心こそ謝罪こそ ちっぽけな望み
氷のないグラスに注がれる焼酎
新聞配達のバイクの音がカーテンの外から聞こえた
・「犯人と同じ空気を吸っている それでもお前は平気なのか」
生きる事を止める権限は人間にはない
たとえそれが惨たらしさを悦とする残忍な犯罪者であっても
それによって どんなにか感情が押し流されそうになっても
理性を失ってはならない 人間の本質を見誤ってはならない
カーペットに寝そべりピーナッツを口に運ぶ男
それを見ながらまた焼酎を注ぐ男
・「おめでたい」友は酔いどれ天井に言う 「犯罪肯定者に万歳!」
肯定ではなく勿論否定だ
有るまじき行為だ 非難すべき所業だ
ただ人間に生殺与奪の権限はないと言っているだけだ
犯人と同じく裁判官にも被害者にも
・「奇麗事で 全て済むなら警察いらん」友は寝息のままで言いける
なにも奇麗事など言ってはいない
真実だ これが真実だ
人間には誰をも殺す資格など認められていない
たとえ誰かを殺した者であっても 生きる事しか出来ないないのだ
・「誰に」とは言わずままに友は寝て 我は毛布を一枚掛けたり
今思うと あの頃ってのは
遠いな
けりけるられるられればられろ
不可思議で
愛しい
寝る
全ての犯罪者の為に
全ての被害者の為に
冤罪者の為に
少年の為に
老人の為に
あからさまなでっち上げの為に
不具者の為に
ダイヤモンドの穢れた煌めきの為に
精液の匂いの為に
不埒なおれの為に
愚眠だ惰眠だ貪れ
骨が眠る音を聞け!
また間違えた
あの時もそう思ったのに
間違える理由なら沢山ある
失敗の法則なのて数え切れない
酔っ払っていた 眠たかった
不注意だった 云々かんぬん
でもさ
成功する理由ってのはない
いや もしもあったとしても
それを語ればやっかみになるんだ
でもさ
2度間違うのは馬鹿
馬鹿は優しくしてやっておくれ
馬鹿は窮屈な布団に潜る
うん
ごろんと寝転んで
天井は空
また間違えた
うふふ あはは えへへ うきゅきゅ
時間の軸は小首を傾げ
痩せた体を振り回す
指先と網膜と
香辛料とアルコール
ぐでんと胸を張れ
馬鹿野郎
上澄みが欲しい
蒸留された言葉の吐息
キイロい優しさとピアノの雨音
ふらつく太陽酔っ払って
足踏み外して 井戸の中
歌うか 踊るか 跪くか 媚びるか
笑うか 喚くか 傍観者の鼻息か
おれの部屋にはおれが居て
風呂に入って出掛けるだろう
街は 肩を風にもぎ取られ
顔面に排気ガスのペンキを塗りたくって
変にびっこを引きながら おれに近づいて
悴んだ声でこう言った
「おう 旦那 あんた 今日 明日
金槌 拾う 来朝 雷 湯煙 バラバラ」
おれは生憎 仕事から帰ったばかりで
胃袋の中の鉛の調子もすごぶる悪かったので
こう言い返した
「ほんだ らすた たまきわる借る 電解液」
街の野郎は何を勘違いしたのか
やけに上気だって
「鳶 尚早 あいなめ チェック!」
と言いやがる 仕方ないじゃないか おれは
「ふらここ ばくはん 雲居遥か」
と言ってやったら
街の野郎 ない肩をコンクリートに押し付けながら
「ぽいと」
とだけ言って 西にある古城の方へと
びっこを引きずり歩いて行った
太陽が夜と格闘した挙句
真っ赤な血飛沫上げる頃に
残像 偶像 虚像 ベンゾー
警備員 バイト 眼鏡 浪人
出掛けよう
流石に 遅刻だ
遅刻は
子供の始まり
傲慢は大人の特権
無知は馬鹿の証言
らすたははらこのまんこうまんまんたる
ひかりあふるるけなげみつうら
ぱんこでびんごとかげしっぽかんせつむじゅん
ふせっせいたいふうがさかあがりけんこうけんそう
おれおまえいまからいくのはなんだかはいのなかに
せいよくがみちていやちがうなんだかおれひとりが
おっかないとかむじゅんをしたのさきでらろらろでんぐりがえり
ぴあのはおやすみぴあのはおやすみ
おれは
幸福という毒薬を
飲み干す
それは
臓腑に染み渡り
うまい
だから
おれは
言葉に見限られ
ひとちぼっちという
毛布に包まり
鼻の穴を広げたりする
幸福ってのは
厄介なものだ
うじゃうじゃ蛇の巣窟で
でんぐり返りの練習だ!
みんな来いよ 来いよ 来い!
蝙蝠の屍骸をマットにしてさ
ぐるるんぐるん地球を一周
右脳に少し血が上ったら
言語が感覚イメージが
へのへのもへじの「も」になった
見てみろ見てみろ
地球のヌード
キレイだねって言ってやれ!
セクシーよって褒めてやれ!
クライアントはお冠
喪服をまだ受け取りに行っていない
出来るだけ遠ざたいセンチメンタルの仕業
おれ
ピアノを弾くために生まれたんだよ
おれ
ピアノを弾くために生まれたんだよ
なのになんで
こんなの書いてるの?
なのになんで
こんなの書いてるの?
昼間まで強かった風は止み
のっぺりとした夜を寄越す
その隙間で狭間で瀬戸際で
おれは酔っ払う
痩せっぽっちの身体でさ
脳味噌 いつも肥満気味
フィクション 郷愁 堕落と並進する逃避
3度目のお披露目 詩の失墜 瑠璃色桃源郷
ブルーズ&ブルーズ
今は何処で彷徨うのか
もう二度と帰ってくるな!
「ほんのちょっと昔の話」
僕は詩人になりたくて
こっそり家を飛び出したんだ
リュックにノートと鉛筆と
親の財布から盗んだお金
喉に何かが詰まったような
変な気持ちでポケットに押し込んで
玄関のドア 閉めた途端
世界が動いている事を知ったよ
毎日毎日見てる風景
その日だけは空気の輪郭も見えたんだ
何処にでも行ける気がして
薄暗くなった街角を
遠くへ遠くへ走ったんだ
電車に乗って夜が終わる頃には
知らないマンションの階段で眠ったよ
コンクリートは冷たくて
それが生きている証のような気がして
上手く寝付けなかったけれど 嬉しくて震えたんだ
たった一人ぼっちなのに 何も怖くなくて
空が明るくなる頃 また僕は電車に乗ったんだ
ただただ遠くへ行きたくて
ただただ詩人になりたくて
僕は知らない街角の 大きな壁を曲がったり
ネオンが消えた歓楽街 カラスの群れを覗いたり
行く宛てなどなく ある訳もなく
ただただひたすら歩いたんだ
目にしたものは記憶に書き留め
心の動きは言葉となって
僕のノートを埋めていったよ
お風呂は銭湯 刺青の隣り
ご飯はスーパー パンと惣菜
ある朝見つけた毛布にくるまり
誰一人 僕を知らない 世界の外れで
僕は大きく寝息をついたよ
僕はどんどんみすぼらしくなっていったけど
気持ちはいつも公園の噴水みたいに
いつでも新しい空気に触れていたんだ
次から次へと絶え間なく
飛沫が溶けて 眩しくて
何度も瞬きしてしまうような
そんな感じで
** ノート **
『まだ冷たい 公園の水
猫の小便臭い毛布を洗う
僕を包むだた一枚の優しさが
だんだん重たくなってゆく
滴る毛布を鉄棒に掛け
端っこを持って 身体ごと回る
そいつを絞る
バタバタと砂を濡らす音が小気味よくて
何度も絞る
その途中 僕の目には空が
馬鹿みたいに晴れてやがる空が
僕の目を刺す
痛みではなく 現実として
僕は不意に
病気の猫が痙攣するみたいに
小さく 声を殺して
笑ったんだ
毛布は
鉄棒で干からびるのを待っている
僕はそれを見ながらぼんやりしてる
僕は僕の相棒が成長するのを
知らない街で ただぼんやり待っている 』
僕の物語はあっけなく終わる
たったひとりの相棒を見つけた次の次の日に
その朝 誰かに起こされて
気が付けばそこには 胴回りの太い警察官
もちろん腰には拳銃が重たそうにぶら下がっている
僕は適当に誤魔化したけど当然無理な話で
あえなく交番まで行くはめになったよ
一生黙ってやろう と決めていたのに
「捜索願い」に引っかかったらしい
電話を切ってすぐ僕の名前を呼びやがるんだもの
あえなく僕は降参したよ
日に焼けた警察官の鼻の左にあるホクロを
どれだけ引っ剥がしてやろうかと思ったことか
分かるだろ?この気持ち
こうして僕はまた元の暗闇に戻る事になったんだ
噴水もカラスも毛布もない世界にね
え?幾つの時の話だって?
それはもちろん
ほんのちょっと昔の話さ
おれは一体何がしたいのだ
おれは一体何をしているのだ
おれは一体何者で
おれは一体何屋さんで
おれは一体何色の肌で
おれは一体何冊の本を読んで
おれは一体何度間違いを蹴飛ばし
おれは一体何人のオンナと寝て
おれは一体何年前から地上で暮らし
おれは一体何を掌に隠し
おれは一体何%の酒に泳ぎ
おれは一体何から生まれ
おれは一体何に憧れ
おれは一体何を求めて
おれは眠りという馬鹿が
嬉しそうに跳ねているのを見る
なんて下らないおれの文字
なんて下らないおれの思想
馬に蹴られて骨折すればいいんだ
ピアノは吊り上げられ
おれを少し恨めしそうな目で見た
塗装の剥げた青いトラックの後ろ
毛布に包まれ
おれは
おれは何を思ったのだろう
あの時おれは
ビールを飲んでいた
2月だった
オニオンスープが飲みたくなって
みじん切りする玉ねぎの
いつもにはない涙の視界
覆い被さりおれはついに
理由なき涙を落とす
身体は理不尽でそれで良い
感情は揺れ動いてそれで良い
おれは
涙を押さえて
フライパンのオリーブオイルに
そいつらをばら撒く
サラダ油の方が良かったのかどうかなんて知らない
おれは
弱火で
涙は
目の裏側で深呼吸した
フライパンで炒めてから
鍋に移し変えて何が悪い
バジルを入れ忘れて何が悪い
おやすみ
暖かいため息よ
矛盾ってカッコイイ
ふしだらって魅力的
自堕落って奥ゆかしい
不摂生って逞しい
不養生は野性的
やさぐれるってニヒルでいい
でもさ
卑屈ってカッコ悪い
卑屈ってカッコ悪いよね
でもさ
不屈ならカッコイイ
改めて思ったりするんだけれどもさ
地球ってすごいよ
おれたち人間の
エゴもワダカマリも
センソウもフンソウも
キガもセンキョも
レンアイもケツベツも
フェラチオもユウジョウも
アコガレもサゲスミも
ウマレタテノナミダも
キエルサダメノヤサシサも
コウフクもフリンも
アガナイもツグナイも
全部全部その肩の上に乗せて
回ってるんだぜ
毎日大変ですねぇ
おれで良ければ肩揉みますよ
ピアノは入ってきた窓から出てったんだ
おれはビールを飲みながら
がたいのいい男がふたりでアップライトを運ぶ様を見てた
おれの部屋の引越しは1週間後で
生まれて初めて買ったピアノは
よたよたと揺れていた
調律師が「これは音がいいね」
と褒めてくれたのは数ヶ月前で
おれは88の白と黒を
始まりから最果てまで覚えていた
ウサギよりも早く酔いたい気分だった
猫も住めないベランダに続く窓は
取り外されて無口で
2月の風は迷子みたいで
おれの鼻の頭をコツンと叩き
辺りを行ったり来たりしたんだ
おれは あの時何を思ったのかなぁ
今でも思い出せないんだ
クレーンの唸りを聞きながら
ピアノは電線を越え
「さよなら」とちいさくメロディーを奏でた
おれが弾いてもいないのにさ
おれが弾いてもいないのにさ
虚無を喰ったから
おれの胃袋は空っぽで満杯だ
おれ 付き合ったオンナと別れる時にさ
「あなたの頭の中が好きだったの」
と言われた事が2度ばかしあるんだ
笑っちまうだろ?
ひとりはおれが振られる時でさ
ひとりはおれが振る時でさ
おれ 振られた時にしろ振った時にしろ
後悔よりも諦めよりもすこぶる安堵したよ
だってさ
おれの頭の中から出て来たものが
好きだっただけのそいつらが
もしも
おれの頭の中を本当に覗いたなら
何にも見えないに決まってるからさ
虚無の味は
まったりと白
足音は耳の後ろで響く
それはたゆたう血の流れ
おれは背骨を少し曲げ
アスファルトの平淡を
言葉が目から零れ落ち
劣情ポケット 会議をしている
おれは瞼を2回閉じ
記憶のおれと再会す
かたつむりの優しさで
街はどんより曇り空
立ち止まるは負け犬の尾
おれは肺から生きてやる
こんがらがった季節は眠い
おれは不埒に歩幅を広げ
闊歩闊歩で家路を辿る
白と黒とは交錯し
始めと終わりが入れ替わる
天秤の上 瞬く信号
靴の下にはループするグレー
咀嚼する
もぐもぐもぐもぐ
咀嚼する
もぐもぐもぐもぐ
ごくりと飲む
ぎゅううぎゅるぎゅるり
胃の中に
生命は落ち
そして 消える
反芻しようか
反芻しよう
反芻する
ぎゅばぎゅばぎゅぎゅぎゅ
反芻する
げぼげばぎゅるる
口の中に
命は戻り
そして 不必要
仔馬は生まれる
血まみれのまま
母親の
内臓の臭気を
漂わせて
生まれる
A&Dのスピーカーは
やや硬質に
ジャズシンガーの
気まぐれで有名な
黒人の
ビブラートが特徴的な
声を
再現する
おれは
人間てのは
生まれ持って
素晴らしい事を
デジタルに知る
声とは
その個性の歴史
音は
感覚の象徴
おれは
だだっ広い両の手の
肉厚で節くれた指どもに
アイシテルぜ
それだけでは不充分かもしれないけれど
アイシテルぜ
おれがおれである証明
それは言葉という
面倒な媒体を用いずして
まっすぐに進む
光の習性
テレパシー
野良猫は何処か街外れで
その亡骸を隠す
拍手は時雨
降り そして止む
ピンライトは
黒鍵の影を白に色濃く
おれはラプソディーの途中
野良猫の後姿
しだれ落ちた
尻尾を見てる
おれの指には
半泣きの天使と
優柔不断な悪魔が
鬩ぎ合い
白と黒を境界線で
分かつ
しらばっくれるな!
おれの旋律は
酸素の輪舞
あああああああああああああ
おれは今
お前に会いたい
おれは今
お前と眠りたい
夜は
スポンジケーキ
しっとりとして
肌触りが良い
おれは
困憊の最中
べっとりとした
血液の重さ
あえて相似点を挙げるならば
弾力ってヤツかなぁ
おれは今日を閉じ
未知を開く
布団の中で
種を蒔く
クラクションが
ドブネズミの街から
おれの鼓膜へ飛来する
うるさいよ
夜ってのは
神聖な生き物なんだ
目を閉じてしか見れない
高貴な生命なんだ
穢すなかれ
夜の粒子は
おれの目の玉の
半透明な粘液へ
付着する
付着する
おれは
目を瞑るしか
方法がない
おれは
ビッグイシュウーを高々と掲げる腕に
敬意を払った
おれは
垢まみれの服で
額を地面に擦り付け
物乞いする乞食を
風景から切り取った
おれは
休日の電車の中
杖の老婆に席を譲る少女を
羨ましく思った
おれは
ポン引きと罵声と唾と痰と
チューインガムの黒い染みが百年後も消えない路地を
右足と左足を交互に出して
歩いた
おれは
擦れ違う人間におれの顔を見出し
おれは
のっぺらぼうになった
おれは
コウフクというイマシメを知った
おれは
おれであるというフコウを知った
おれは
おれであるというフコウを知った
夜光虫が闇に灯る
酒を浴びれば
瞼はからくり仕掛け
夢なき夢へと
墜落する
アイスルってクウキョだよ
知ってらいそんな事くらい
いつでもそうだ
いつだってそうだ
おれの偏平な掌が
オンナの頭をガシガシと撫で
オンナは嬉しいのか
迷惑なのか分からない顔で
笑う
そんな時だ
いつでもそうだ
いつだってそうだ
おれは決まって肺の中に
バクテリアの棘を見つける
地下鉄の入り口が
静かに明るく
交差点が動き出す頃に
陰毛は逞しい
黒く黒く生えている
おれはそいつを眺め
孤独の茂みを散策する
馬鹿め!
虚根のデラシネめ!
浮遊する実存を握るのは
おれの遣る瀬無さと
ブラウン管の嘘
「ジャズって何ですか?」
と聞かれたら
おれは
「解決を求める音楽です」
と答えることにしている
誰がジャズの形式を作ったんだ
誰がジャズを分類し体系的に仕分けしたんだ
誰がジャズをクレヨンを選別するみたいに
「お前は赤 お前は青」ってなふうに境界線を引っ張ったんだ
誰がジャズ泥まみれにさせたんだ
誰がジャズを歴史から派生したひとつの文化だと命名したんだ
誰がジャズをジャズらしく発展させ
誰がジャズを殺すのか
おれはジャズなんて弾かないし
弾けやしない
言葉の土地から抜け出して
白と黒とで踊ろうや
初めは光 最後は闇で
あふあふ言い合い踊ろうや
ナミダの缶詰パシリと開けて
飲めや歌えの 駆け落ちる宴
おれの目には昆虫がいて
夏空の太陽が落とす底なしの影の昆虫がいて
リンリンるるる
瞬きの度にそいつ等は羽音を揃えて
規則正しい周波数で
リンリンるるる
おれの光が家出したら
おれの3LDKは空っぽのまま
埃が堆く積もり蜘蛛の巣が物理学の公式を描き
リンリンるるる
茶碗の代わりに誰かの頭蓋骨の半分やなんかで
リンリンるるる
タバスコの代わりにバニラエッセンスなんかで
リンリンるるる
おう!
常に未知に満ち溢れた素晴らしき道!
どこまでも行ってやるぜ 覚悟しな!
獣道
なんて大袈裟に言いながら
実はちっとも大した事ない
かまってちゃんのお得意の
ポーズ
さよなら
203 :
Mana魔名:2005/10/12(水) 19:06:58 ID:9H2KJVmx
白 壁 意地悪な 冷たい爪を立てて 囁くたびに風車
となりのとなりのとなりのとなりのとなりのとなりにWither...
黒 豹 生暖かい 滴るような食紅 くしゃみして頂戴
悪いがおれはまだ死んじゃいない
弔電など寄越すな
唄も唄うな
転がり落ちる生命を
その手で弄ぶな
這い上がろうとする指先に
重力の魔法を掛けるな
歯の奥で感じろ
性器の外れでいけ
放蕩な夜は
少女の顔に変わり
流浪するおれの脈拍を
あるいは無慈悲を
漂白する
光よ そこに座れ そしてよく聞くんだ
おれが瞬きをしない代わりに
おまえは何をおれに与えてくれるんだ
闇ならばもう腹一杯ここにある
絶望ならば背中に住み着いて家族まで作っている
光よ 慌てる事はない 夜には夜の尺度がある
おまえはおれに何を提供し何を生贄にするんだ
明日を喰らう狼を飼い慣らしすのはお手の物だ
薄氷の上でタップダンスだってやってのけるさ
ははは あほだ おれは あほだ
くだらん妄想に付き合うヒマがあったら
ゴミでも喰っとけ 美化に協力してろ!
今日が何の日か知らないおれは
クリーニング屋へ行き 遅くなりましたが などと挨拶して
おれは何を受け取ったんだったけな?
神の河が見てた
おれの喉を
鯵が見てる
河豚が見てる
伊勢海老が平目が穴子が
見てる 見てる 見てる
群れをなして
ぷかぷか浮遊して
生簀の隅で水槽の底辺で薄暗い角で
見てる 見てる 見てる 見てる 見てる
硝子の向こう側
こっちの世界を
窮屈なカウンターで天婦羅などを喰う
背の高いオトコと色の白いオンナを
見てる 見てる 見てる 見てる 見てる
その時 ―――― 網だ!
平目が攫われた!
目が鰭が髭が長い胴体が
ドキドキと鼓動して
水中には不穏なエアポンプの泡が
オトコが神の河を飲み干すのを
恨めしそうに
見てる 見てる 見てる 見てる
ソファーの近くに立てた墓標は40点
酔っ払いのミミズ文字を読んでくれた
カラシニコフさんに感謝の念を紙飛行機に乗せて
ベランダから滑空
おれ
ひねくれてるけど
攻撃するほど人間好きな性質じゃないよ
孤独のスープを火に掛けて
ことこと煮込んで
いただきまーす
昨日はまだ続いていて
なのに戻れないからムシャクシャする
気の効いた居酒屋でキミとふたり
女将さんは久しぶりに顔を見せたおれに
「お酒おっごったげる」とぬる燗2合
小さな胸の中に詰まった
キミの話を聞きながら
おれは悉く酔う
帰り道 おれたちは手を繋ぎ
駅へと流れる人込みの中
ほんとはさ
キミをポケットに入れて持って帰りたかったんだけど
そんな事するとキミはおれをキライになっちゃうだろ?
改札を入って「バイバイ」と手を
さっきまで繋がっていた手を振る
最終電車がおれを
そしてキミを
元の場所へと引き戻す
あらかじめ決められた時間に
約束の通りに
その手は鬼灯を乗せたのと
同じ手
雨は止んで夜だけが一人ぼっちで
ここにあって
でもさ おれ
雨がキライなワケじゃないよ
傘を差すのが億劫なだけ
ありがとうって言おうとすると
口篭もってしまうだけ
おれはここにしか居ないし
白と黒でしかない
そしてまた掘り返すんだ
過去を死に切れない現在の屍を
おれが住む世界は黒い
おれが見る視界は黒い
おれが聞く言葉は黒い
おれが知る知識や概念は黒い
おれの下着に隠した優しさは黒い
おれが触るオンナは白い
豆腐の脆さで白い
気分がいい
秋の気分だ
頬過ぎる風
したたかに
擽るようで
躊躇してる
好きだ!好きだ!
消えたネコの屍骸
蒼茫たるおれの決断
余りある残響と
ズル剥けの魂
おれは死んだ
秋の青白い月のナイフ
左胸から中央寄り
ずっくと深く あやふやに
死んだ
てな訳でおれは死んだ
秋は
テーブルの上で
おれを喰らう
おれは
食べ残された
ヘタやら種やらの心地よさで
さよならを噛み締める
「2005・04・25」
葉桜が さわさわ揺れている
マンションの下 公園の隣り
僕という塊を見下ろしながら
揺れている
散ってしまった花びらや
安穏とした陽気
ほんのり染まる散文を
忘れてしまったかのように
雄雄しく凛凛しく
揺れている
僕という塊の如何によらず お前は
夏になれば目一杯その腕を伸ばし
秋には痩せ細り 葉を散らし
冬にはただ黙って立ち尽くすのだろう
そして春がくれば 鬱陶しいほどの花びらを付け
少し幸福な面持ちで 空を見上げ
散れば またさわさわと僕という塊を見下ろすのだろう
(僕は・・悲しいのかどうかすらも分からないんだ
僕は 感情って奴に置いてきぼりにされちゃったんだよ
でもね なんだか嫌な気分なんだ とっても嫌な気分なんだ
廻り来る季節の移ろいの中に キミはもういないんだろ?)
葉桜が 揺れている
僕をいう塊を見下ろしながら
さわさわさわさ 揺れている
「桜花」
幸福な死などない
果てる事なき愛ならば
現在においても幸福
消え失せた桜花を
記憶の遠心力が
さも美しいものだったと
錯覚するのと同じように
ちゃちぃな
恋は現象
反応の過程
愛はサイクル
循環の象徴
その光
だが僕は 桜が咲くたび
その美しさに溺れてしまう
それもまたあり
「揺らぎ」
羊の毛皮を被ろうよ
出来る事ならみすぼらしくて
くるくるくねったヤツがいい
時々めぇーってないてやれ
もったいぶってないてやれ
それからタバコに火をつけて
ため息まじりで言ってやれ
もうごめんなさい 悪かった
明日のご飯は目玉焼き
そしたら地球の端っこを
力いっぱい蹴っ飛ばせ
地震だ津波だ脱線だ
涙に濡れろ 羊の毛皮
ほんとは僕は弱虫で
トントン拍子の裏拍で
キミの毛並みは宜しかろう
僕は慌てて手の甲つまむ
悲しいばかりで前が見えん
煙のせいかと思っていたよ
理不尽 不条理 不摂生
不協和音に音信不通
愚かな人ほど優しく泣くね
心の針穴 電車が通る
頼むから ねぇ もう泣かないで
羊の毛皮を貸してあげる
「東京発」
窓の外では
僕の失敗や後悔や懺悔が
時速270キロのスピードで
かの地へと
飛んで行った
僕は
苦いだけで味のないコーヒーを飲み
足を組替え
目を閉じた
君や君たちや
あの人やあの人たちは
僕の事など忘れてしまうだろう
君や君たちや
あの人やあの人たちは
2・3回笑ったら
僕の事など忘れてしまうだろう
窓の外では
失敗や後悔や懺悔や弁解が
時速270キロのスピードで
かの地へと
飛んで行った
僕を閉じ込めたまま
おれは言葉の息の根を止めたんだ
意外とすんなり事は運んだよ
最初にまずそいつの首根っこを
暗がりの中で探し当て
それから雑巾みたいにしぼるんだ
いや
実際は雑巾ほど太くはなくて
そうだな
例えるなら茹でたほうれん草を冷水に放ち
それをしぼる感覚に近いね
ぼたぼたとフローリングは
言葉が吐き出す例の汚物で汚れたけれども
おれが床を拭き終わる頃には
言葉の野郎ぐうも言わずに横たわっているんだ
換気扇を回しタバコに火を付け
なんだかそいつがあまりにも動かないものだから
不憫になって おれは毛布なんかを掛けてやるんだ
毛布は
世界のぬくもりを溜め込んで
まるまると太っていて
おれはまたタバコの続きを吸い始め
明日の献立なんかを考えたりするんだ
書くの待ってたよ。
出来るだけあっさりとしたものがいいな
おひたしなんかがいいんじゃないかな
と
ため息と同時に
メンソールの煙を吐き出しながら
思うんだ
ぽちゃぽちゃ滴る蛇口の水に
同情などしながら
***
おれ
もうダメだわ
やられた やられたんだよ
やられちゃったのさ うふふん
ってな具合に見事に華麗に
骨抜かれたよ
bottom in the depths
初めて知ったのが
今日だったってのが
そもそも不幸の始まりだったのかもな
参りました
降参です
***
半透明で素敵じゃぁないか
参った! 降参! お手上げ!
創作すんのがイヤんなっちった
参った! 降参! お手上げ!
負け犬がカッコ悪いと知りつつ
尻尾を股間に隠すおれは
世界におけるこの2秒間で一番
バカ犬だ
ウイスキーを舐め
チップスターを噛む
エアコンは喘ぎ
瞼は神経質に
キミが入浴剤をどれにしようか悩む頃
おれは液晶に夜を書き殴る
月が凍って
オリオンは燃えた
月は凍って
オリオンが燃えた
晩秋 夕暮れ
鬼灯を乗せたてのひらは
風呂からあがりおれを呼ぶ
世界はなんて小さいのかしら
草原で息絶えた
病馬のように
キラキラと
米を研ぐ音が
白いクロスに吸い込まれて
おれの手は冷たい
今日という
三百幾つの中のひとつは
産声もあげぬまま排水溝の中
おれは瞬きを年の数だけして
台所の蛍光灯を
その細く伸びた紐を
右手の重さだけで引っ張る
死にたいって衝動
生きたいって反動
殺されたい願望
殺戮のグリード
滴る蛇口の水は
盗掘された明日
ぽつりぽつりと
呼吸してる
固まった脳だ
おれの灰色
なぜ
きみまでもおれを
酔いどれて
白と黒を両手の下に
音階なき音律を
旋律なき音像を
置き去りにする
おれを
なぜ
睡眠時間なんて
ケンケンパっで充分だ
目よ
生きろ
き
み
は
お
れ
を
知
ら
な
い
か
ら
そ
う
や
っ
て
在
り
来
た
り
に
も
似
た
言
葉
を
た
め
ら
い
も
な
く
お
れ
に
寄
越
す
ん
だ
深夜が窓の外 鬱蒼と茂る
音符と記号と鉛筆の匂いと
少し伸びた爪のカタカタ鳴るぎこちなさ
今日ってヤツは
さんざん駄々をこねた挙句
疲れちまって不貞寝してる
おれはその隙に台所で
ブロッコリーを茹でパンをかじる
ビールをグラスに
幾千の兵隊の怨念が
幾万の散った魂が
蛍光灯にほの明るい
精子よ
無邪気な源泉よ
おまえは何処で何をしている
くしゃみを2回
1回目はおもむろに
2回目はややこわばって
3回目を期待するかのように
携帯が鳴った
おれは「もしもし」
「あのね 話たい事があるの」
女の声
「なに?」
おれの声は低い
「・・・・」
沈黙という抗議の手段
「だからなに?」
おれの声は低い
「別れたい・・・」
語尾を電波の届かない所へ持って行くのは
おんなの手腕
「そうか」
おれの声はやや持ち上がったものの やはり低い
「うん ごめんね」
泣き笑うかのような鼻から息の抜けた「ね」
「それじゃ またな」
ポチリと電源を押せば 終了
なぜガチャリじゃないのかを
おれは悔やむ
×セバスチャン
〇してあげる
×寓話
〇洟垂れ坊主の話し方
口腔いっぱい 人魚の懺悔
らりりるれれれろ 人魚の残骸
おれ 生まれ変わったら
もし そんなことが出来たら
お前が投げ付けたグラスになって
午後8時にガチャーって割れてやるんだ
散々に砕けて 欠片の欠片のその破片になって
お前の靴下にちゃっかりくっ付いて
林間学校の飯盒の内臓みたいに
怒りに任せておれの3LDKのドアをガツリとやる直前
お前の靴の中でチクーって刺してやるんだ
おれの生まれ変わった腰骨の一部が
お前の踵の先端から3センチをチクーって
口腔いっぱい 人魚の懺悔
らりりるれれれろ 人魚の残骸
欲しい欲しい 欲しくない欲しい
いいわるい わるくないわるい
嬉しい嬉しい 嬉しくない嬉しい
怠惰 堕落 落伍 極楽
見栄 偏見 劣情 自殺願望
欲しい欲しい 欲しくない欲しい
ネコ シベリアンタイガー ヒメネズミ ヌートリア
エゴ フェミニズム シシリズム プリズム
切れっ端 記憶 アスファルトの窪みに溜まる雨水 嘘
兵隊 コンドーム 超絶技巧 フッフールの鐘の声
光 光源 マンホールの裏側に垂れ下がるアーバン
すぐに震えるお前の上唇 チョコ 空き缶 ライター
河川敷 スカイラインの夜 墓標 奈良の二酸化炭素
立上る粒子 トマトソース クリシェ 留守電
下北沢のベーゼンドルファー 膣閉塞 花屋の軒先 溜息
さよならさよなら こんにちはさよらな
おれは言えない
さよならさよなら こんにちはさよなら
さよならさよなら こんにちはさよらな
おれは言わない
さよならさよなら こんにちはさよなら
つまらん くだらん いらん
おれはもう言葉をなくした
死んだんだよ あっさりと
それで充分じゃないか
それだけで充分楽しいじゃないか
死んだんだよ もう
あっさりと
人魚との口付けが終わる頃に
250 :
名前はいらない:2006/03/25(土) 18:31:44 ID:RyUOsvPX
スタンダールの赤と黒
火の無い所に煙は立たず?
事実無根のでっちあげさ
それで去るなら去ればいい
白と黒
その境目には
静かな灰色のバランスよい空間があったりする
でも 少しでも動けばそこは
純色に染まった
広大な傾いた空間
キミならどっちを選ぶ?
静かで狭い世界?or辛くても自由な世界?
言葉は死んだ
その死に顔は綺麗だ
木蓮の柔らかさで
綺麗だ
吸いたいと肺が蠢く
痛いと椎間板が騒ぐ
恋人は
とても
理解
が
あり
おれはひとり
アルコールで
目を
洗う
憐れなり
人体の奇怪さ
他人の臓器
植えつけられ
ほっぺたを腫らす
幼子の血流は
エゴイズムと
情と呼ぶ深海
冷たき流れに
翻弄され
おれは
痛々しさに
一億何千万の傲慢さに
虫唾が走った
そして同時に
健やかであれと願った
誰がための命ぞ
誰がための呼吸ぞ
胸の中に ニッキ水満たし
なにが優しさぞ
なにが幸福ぞ
おれはこの命果てども誰にもやらん
だが
命あるならば
息するものならば
おれは同じく命あるものとして
息するものとして
泥まみれの幸福を
ニッキ水の優しさを
噛み締め
歯茎から赤水でるころ
おまえと同様
請い求むるだろう
ちっぽけなおれが出来得る最小限として
兵隊さんは死にました
ころりと転び死にました
おれはそれを手紙に書いて
見知らぬ国へと投げました
街で街娼待ちました
マッチを点けて待ちました
おれはそれを写真に撮って
生ごみの日に出しました
劣化ウランが燃えました
うひひうひひと燃えました
おれはそれを声にして
コップに波紋を付けました
嘘八百と野次られて
罵詈雑言の悪口誹謗
儲からなけりゃやってらんない
おれはそれを瞼の裏で
見えないものに変えちゃいました
見えないものにあいなりました
尖ってた
先っぽには常に殺意があった
誰かを
殺すんじゃなくて
形振り構わぬ勢いが
くちをパクつかせながら
あった
おれは 今
腑抜けた奥歯で今日を噛み締め
追い詰められては眠ろうとしている
言葉は死んだ
それはおまえが一番よく知っている
胸を焼くアルコールと
記憶を喰らう一輪の痩せっぽちと
瞼の業苦とその重たさと
干上がったダムから申し訳なさげに顔を出した神社の鳥居と
民家の屋根と立ち枯れた杉の骸と
脳細胞の馬鹿と
明日の憂鬱を天秤にかけるしたたかな夜と
日曜に降り注ぐ芝生の匂いと缶ビールの吐息は
誰かが切望したであろう
二酸化炭素よりも無価値で
おれは覚悟を決め
そんなのを全部クシャクシャに丸めて
ベランダから放り投げてやるんだ
地面で大きくバウンドしたら
くたって動かなくなるんだ
そしたら
今日を昨日に変えられるのに
昨日よりも残酷な今日に巡り合えるのに
言葉は死んだ
見えなくなった
それは
美しさを求めた罰
それは
生きることの罪
音だけになった言葉が
窓のむこう
窓
蛙やコオロギ、雀
彼らは声だけしか存在しない
誰も見たことがない
(俺の体の中を 音だけが)
窓
窓のむこう
蟹のワルツが聞こえる
ぴあののあの白と黒が
ぴあののあの白と黒が
263 :
名前はいらない:2006/06/06(火) 00:26:10 ID:qj9St3bF
つまらない
264 :
名前はいらない:2006/06/06(火) 01:23:15 ID:jOz3w4ce
白黒ついて
スッキリした
明日も日本晴れ
おれもつまらないと思う
それでいい
言葉は死んだ
言葉も無く
死んだ
それでいい
それでいい
そんなのハナから知っていたじゃないか
白は白鍵
黒は黒鍵
誰かがエチュードを弾いているだけだ
ここには何もない
あるのは
死んだ言葉だけ
そしてそれはいつだって
つまらない
つまらない?
いや おれはこう思うぜ
ツバメが巣を作り
桜の葉が硬くその掌を厚くする頃
おれはしばたく目の奥で
水銀灯のアンニュイを持て余し
嘆くのはいつだって 靴の裏の社会で
ハッパやクラビンやトンテッチやパパトスや
憐憫めいた6月の湿っぽい熱気や
ああぁ
下らない
これに尽きる
く
だ
ら
な
い
こ
れ
に
尽
き
る
お
れ
な
ん
だ
か
疲
れ
た
ん
だ
よ
目が覚めれば
そこにはきっと何も無い
そんなことを願い 布団に入るには
きっとこの地上で あるいは水の底で
何千何万と繰り返された願いなのだろう
おれは
だれかが吐き出した 願いのCO2を
きっと鼻毛のスキマに埋めて
のうのうと
眠るのだ
年老いた獅子の尻尾のように
271 :
名前はいらない:2006/06/06(火) 02:14:11 ID:q3Dmde+q
書かない
災いを呼ぶのは言葉と文
だから二度と書かない
もう二度と悲しみの淵に落ちたくない
自分の文が大嫌いだ
災いを呼ぶ
同じ過ちは繰り返さない
黙っていると涙を流さずにすむ
飛べない小鳥
咲かない花
何も出来ない役立たず
あの人は認めてくれるのかな
どうすれば嫌われないのかな?
笑顔になってくれる?(こんな何も出来ない何もない私に?)
誰か教えて
あ
き
れ
て
も
の
も
言
え
ま
せ
ん
誰
か
お
れ
の
唇
を
噛
み
千
切
っ
て
下
さ
い
そ
し
た
ら
少
し
は
人
間
ら
し
く
275 :
名前はいらない:2006/06/06(火) 02:18:23 ID:q3Dmde+q
おしゃべり…
気の毒にな
捨
て
犬
み
た
い
に
眠
れ
る
で
し
ょ
う
277 :
名前はいらない:2006/06/06(火) 02:22:44 ID:q3Dmde+q
…捨てられた犬は眠れんのだよ
飼い主が本当に迎えに来てくれたと確認しなきゃ
眠れんのだよ
捨てられたショックと捨なきゃならなかった不幸を
ずっと覚えてるんだよ
犬を甘く見ないことだ
278 :
名前はいらない:2006/06/06(火) 02:33:33 ID:q3Dmde+q
犬は夢を見る
幸せだった頃の夢
犬はうろたえる
夢が現実になったら
二本足でスキップするだろう
目を白黒させながら
喜びにワン!と一声鳴くだろう
大好きな存在だけに、こっそりと
はいよ。
なんかさ、吹っ切れたよ。
実際、僕がここに書いたのは自分史みたいなもので、
誰かが推薦してくれた女のコとの話も実話で、
ほんとは誰かに言いたかっただけれど、僕は男嫌いなので、
女のコにこんな話をするのも気が引けて、まぁ、ここに書いたって訳だ。
正直、一番触れられたくない過去ではあるけど、
推薦されて実際ちょっと考え込んだけど、
書いたものは結局誰かに読まれる宿命で、
それを書き手が口を挟むってのもオカシナ事だと思うから、別に僕は何も言わない。
こんなふうに推薦されても、まだ自分の作品を読むのに躊躇してるのだな、実は。
それくらい僕にはナイーブな部分であり、そしてたぶん僕自身の考え方なんかを作る、とても重要な出来事だったのだよ。
まぁ、僕は明日も仕事で、
もうかなり眠たいのだけれど、
結構これが良いタイミングだったんじゃないか、とも思ってる。
と言うもの、僕は音楽家になりたくてなりたくて、
日々、録音やライブやその練習やなんかに追われているんだ。
なので、この機会にアッサリと2ちゃんと手を切るってのは
僕にとって有益な事であるんだよな。
まだ確たる答えも出していないし、これから白黒をどうしようかなんて考えてもいないけれど、
最近、どうも僕は言葉に嫌われている気がするので、たぶん金輪際書かないだろう。
なんか、こんなふうに誰か(僕の憶測ではコテだし、しかも僕が知ってる人だ)に書かれて初めて
キリの気持ちが分かったんだよな。あれは僕が悪かった。すまない。
あと少しだけ。
捨て犬もちゃんと眠るだろうに。
そして、それは希望だけを求めるのではなく、(それでも希望を捨てきれずに)
どうにかこうにか自分でやっていこうとするんじゃないの?
か弱いイメージしかないんだな。キミには。捨て犬ってのはさ。
それがたぶんキミ自身だよ。
僕は随分とひとりで生きてきた。
そして、僕はそれで良かったのだと思っている。
だけれど、僕はひとりぼっちが怖いとか、それが悪いものだったとは思わない。
僕は僕で充分楽しかったし、束の間の幸福感も味わった。
いや、別に人生経験や、生い立ちや生き方がどうとかこうとか、言うつもりはない。
僕は、僕の経験の全てから僕の「僕らしさ」を作り得たって話なだけで・・。
ま、と言っても、そんなに誰が見ても不幸な生い立ちではないし、
もしやすれば、あるいは僕は恵まれているのかもしれない、が、
僕は・・・・・
つかれたし、明日も早いので、もう寝るよ。
キミとはもう言葉も交わさないだろう。
すれ違いって経験したことあるかい?
なければここですれ違ってみような。スレ違い。白と黒。
鍵盤、どうしても話したいことがあるので、
捨てアドで構わないからメールください。
スレは汚したくないから、直接話したい。
いつでもいいから待ってる。気が付いたらお願いします。
[email protected]
283 :
名前はいらない:2006/06/08(木) 23:48:04 ID:A7wp86rI
無神経にも程がある。
285 :
名前はいらない:2006/07/24(月) 15:44:42 ID:5f7+2htA
わたらせ(AP)
286 :
名前はいらない:2006/09/07(木) 02:03:17 ID:53iTH4F0
なかさい
287 :
名前はいらない:2006/10/12(木) 01:01:04 ID:0UkFkCfp
ほんざん
288 :
名前はいらない:2006/10/12(木) 01:07:12 ID:QFPDYZmM
やーめたやーめた
反抗するのもうやめた
部屋に帰るとなんか違う
僕のマルメンでらすげー
でも見えない
誰が隠した誰が隠した
見せないつもりか
早くしないと隠れた目玉をひんむくぞ
まっくろくろすけ
でておいで
ho
290 :
名前はいらない:2007/07/07(土) 02:07:33 ID:GdV+9PBF
あげ
なんだぁオセロのことかぁ
292 :
名前はいらない:2007/07/12(木) 22:35:50 ID:ybFUwAl3
age
293 :
二人:2007/07/12(木) 22:36:40 ID:ybFUwAl3
オセロを4人対戦でやっていると考えればいい
294 :
名前はいらない:2007/07/12(木) 22:37:15 ID:ybFUwAl3
良く見ればわかる
これはとても甘い スィートだ
296 :
名前はいらない:2007/07/15(日) 04:49:00 ID:U6Fo1I41
神奈川のKさんごめんなさい。
298 :
名前はいらない:2007/09/03(月) 17:25:19 ID:qvcYr1Nr
「灰色の人生」
黒と白 君と僕 白と黒 僕と君
black coffe with white milk.
it is gray outside.
僕と君 見つめあい 君と僕 抱きしめあう
what a contrast between them!
keep one's balance.
陽と陰 君と僕 陰と陽 僕と君
black coffe or white milk.
it is gray inside.
僕と君 調和して 君と僕 対照する
what a contrast between them!
keep one's balance.
in the gray of the daybreak.
朝日は昇り
the gray office routine.
there is no moon tonight.
暗い夜の帰り道
待っているのは太陽そうそれは君僕の太陽それは君
でも白+黒=灰色 黒+白=灰色
black&white white&black.
灰色の人生 灰色の人生 灰色の人生
299 :
名前はいらない:2007/09/03(月) 23:27:53 ID:PVl6Cvoh
白と黒?
囲碁の世界
300 :
シロ ◆2kGDAebjUo :2008/01/28(月) 13:43:58 ID:le3nO5yX
君が飲むのはブラックコーヒー
僕はぽかぽかのホットミルクさ
お砂糖をたっぷり入れてね
これが最後の朝なんだって
お互い知りながら何も言わずに
何も知らないフリをして
甘くほろ苦いキスをした
触れるだけの一瞬のキス
「大好き」と「さよなら」の気持ちを込めて
(´・ω・`)
目を覚ませ
目を覚ませ
あっと言う間にこんな時間
いったい今まで何をしてたんだい?
いったい今までどこで息してたんだい?
ほおら 嬉しいだろ
これが優しい現実ですよ
これが楽しい現世ですよ
ところでキミ
ヒダリテクビの調子はどうだい?
ややや
やはりおれ目が見えてないや
やはりおれ鼻が腐り落ちたわ
世界中を見渡して
やっぱおれひとりきりだったわ、とか
言えないぜ、今は
体の細胞全部がさ
燃え滾るように喜んでるわ
へへへ
ラッキーだな、おれ
どうやら耳は聞こえるようだ
ラッキーにぶち当たったら
それこそラッキーだよ
不運を踏んづけるやつは、それこそ不運
前を向け、会釈しろ
ごめんなさい、ワタクシとした人間はアヤマチをオカシました
そうです
本気で生きたいと願うニンゲンは
不運を踏んづけても、「ラッキー!」と喜ぶものなのです
でも、どう考えても不運は不運で、ラッキーにはなれやしないのですが、ね
とてつもない失敗があるとすれば
おれの場合これだ これこれ
酔っ払ってさ 書くんだ
酩酊と闘う歌
酩酊と闘う歌
だ!
叫びではない
誰も呼んでない
液晶のバックライトが生ぬるい
ぼやけるのは脳味噌の一番腐りやすい部分で
いつだって後悔を抱えてやがる
そうだよ
優しいヤツだよ
いつだっておれには
殴りかかる覚悟があった
簡単だよ
グーを作って相手の左顎へ
不器用な軌道を描けば
何かがスパークして
きっとおれの胸の奥に巣くった
毛玉の毛玉が
サイダーの爽快さで
シューって、さ
びっくりするぜ?
でもね
おれは今
殴られる事を期待してる
ええ、そうです
それはきっと
おれが成長した
証拠
おまえ、桜を折るなよ
その手で折るなよ
生まれたばかりの桜を
青空が見えない桜を
明日散ることも知らない桜を
可愛そうな桜を
お前折るなよ
責任とれよ
お前の手
お前の手
責任とれよ
気が付けば
全裸で
公園で
逮捕されました
もちろん
嘘ですが
透明というのは
とてもよい
透明というのは
とてもよい
ワタクシどもニンゲンは
やたらと色をつけたがる
赤ですね
青ですね
いや白ですよあなた
こりゃ参った
あなた茶色だ
なんて
色が大好き
とても好き
ちなみにかくいうワタクシは
何色でもない猫色です
にゃーと鳴くから猫色です
おれの手よ
おれの手
助けてくれよ
おれの手
マジで
迷宮が大好きだって言ってたろ?
死ぬほどミステリーが好きだって
言ってたろ?
な?
おれ今
迷宮だ
屈託もない迷宮だ
精神統一しても何もないや
ほら、すんげぇ〜空っぽ
ほら、すんげぇ〜何もない
何もない
見てみろよ
お前、見てみろよ
何もないんだ
おれの手
おれの手
びっくりするくらい何もないんだ
でもな
びっくりしたって
何もないぞ
本気で何もないぞ
すげ〜よな
「何もない」ってヤツは!
だって、何もないんだもの。
怒らせたのは僕です
すみません
怒らせたのはきっと僕です
あぁぁいすみません
きっと
あなたは
あしたも
同じように
僕を
ゴミとか
不要物とか
(ええ、きっと体裁よく言えば粗大な不用物とか)
思って
僕に接するでしょう
僕はきっとそれがいやで
何か違う何かを
探すでしょう
でもそれがあなたはいやで
僕にさらにキツく当たるでしょう
それがたまらなくコタエルので
僕は出来るだけ大きな音で音楽を聴きます
いいですか
僕は出来るだけ大きな音で、音楽、を、聴くでしょう
ほんとは
謝らなくちゃならんのですが。
ほんとは
謝らなくちゃならんのですが。
誰もが知ってる通り
私の才能なんて
歩道橋の最初のステップです
誰もが知ってる通り
私の理想なんて
朽ちた自転車の寂しいペダルです
だれもが知ってる通り
私の理想なんて
カメラマンが撮れなかったあの一瞬です
だれもが知ってる通り
私は愚図で のろまです
形のないドロドロとしたものよ
行方を定めない、不確かでか弱きものよ
私とおいで
お前は汚い
お前は遅い
お前は不具だ
腐れ!塗れろ!朽ちてなお死んでしまえ!
そうだよ
そうだ
死んでしまえ!
そしてやり直したらいい。
寝起きのふりしてやり直したらいい
「あれ?私今、寝てました?」みたいなトボケ顔で
奥歯にでっかい何か噛み締めて
なんて心地よい
お前「心地よい」って言ってみろよ
ほら、
言ってみろよ
くっ・・!
照れてんのか?
照れたりするんだ。
へ〜〜
それって新鮮だよね
照れた顔
可愛いぞ
可愛いぞ
ほ〜ら、また怒った!
おい、お前!
怒ったその顔
可愛いぞ
ほ〜ら、また怒った!
しかもシカト体制マンマンだ
おいおい、まぁいい。
この機会に言っておく
おれ、お前と一緒になって
マジでよかった
マジでよかった
お前と一緒になって
それだけ言いたかったんだ
それだけ言いたかったんだ
ほら、バカだろ??
おれ、どうしようもないバカだろ??
だから言っただろ
何もないってのが完璧なんだって
何かあったらそこから全部マイナスされて
結局
何もなくなるって
え?なんだって?
あ!そうなんだ。
ごめん、おれわかんないよ
そんな難しい事
わかんないよ
まぁいいや
おれ、もうバカでいいや
お偉いさんは理論とか未完成ながらもそうあるべき人物像とか
言っちゃうけど
おれお前が好きだから
それでいいじゃん
ねぇ、おれ
お前と作る未来が眩しくて
ねぇ、おれ
お前が好きだ
お前が好きだ
お前テレビ消せや!
おれ、お前が好きだ!
コンキクショー!!
えっと
できるだけ
甘酸っぱく
してみました
以上
実況中継おわり
俺たちは白を黒にするのが仕事さ
白を黒にするのさ
えっさほいさ 楽しいね
甘いもの大好き
そうさ俺たちミュータンス