〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 12th edition 〜〜

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565夕暮れの道   1:04/11/03 03:02:19 ID:hrLzR98V

冷たいと九月の雨にけむる高層ビルが遠くに見えている深町署の
刑事課に電話がかかる
110番ではない

「山沢? ……山沢は今 出ています …どちらサン?」

捜査一課の鬼刑事も電話の相手が中年の女性とあって
いくらか声もやさしくなる
まさか飲み屋のオカ……

「紅藤と申します 山沢様はお忘れになっているやも知れませんが
高校の頃ご一緒させて頂いた紅藤康介の母親でございます」

何か訳ありの様子……

不機嫌そうな顔の康介が電話の向こうで母親の顔色を見ていた
566夕暮れの道  2:04/11/03 03:04:30 ID:hrLzR98V

黄色でもない茶色でもない 柿の色は秋の日に照らされる甘い色だ
たねなし柿と値札に書いてある

「おいしそうねぇ……」

山題貴子は無邪気に言うとあでやかな柿を手に取った
山題栄次郎は無表情に少しうなずいて答えた
これで今夜は……私をいじめに来るは……

小さなスーパーマーケットの売り場主任と話しているのは山沢刑事だった
二人連れの客も結構 来るようである
売り場主任の田島徹が死体のから描きおこした似顔絵のコピー見ていた
この方がアベックとかで御こしになっていたら
覚えていますね……

被害者の部屋にこのスーパーの袋があった
しかし
何も繋がる事実は見つからなかった

捜査がうまく行かない時は現場百遍という
もう一度現場に行ってみるか
567夕暮れの道  3:04/11/03 03:06:23 ID:hrLzR98V

「お前ぇ! 刑事ってのは勤勉に励めばいいってモンじゃ
ないんだよ」

先輩から叱責されるような気持ちで
それでも
現場百ペンだと……想う
今日の予定の聞き込みは終わった 手掛かりはない
ここで現場に行ってみる ……それがただの勤勉で
あるはずがない
はっきり
そんな事を考えているわけではないが勤勉な
行動派の山沢刑事だ

被害者は毎日この道を歩いていた
道端の電柱には所番地とローカルな広告が

/ハッピー金融 断りません/峠産婦人科 /ハッピー金融 断りません/峠産婦人科 //ハッピー金融 断りません/峠産婦人科 /山田学習塾 小学生から高校生まで/
/ハッピー金融 断りません/峠産婦人科 /ハッピー金融 断りません/峠産婦人科 //ハッピー金融 断りません/峠産婦人科 /山田学習塾 小学生から高校生まで/
568夕暮れの道  4:04/11/03 03:08:43 ID:hrLzR98V

この角を曲がると被害者が住んでいたアパートだ
被害者は10年以上勤めていた会社にも偽の名前を使っていた
アルバイトから本採用になるときに出した保証人の
住所も名前も
該当者がなかった
いったい何故 偽らなければならなかったのか?

被害者の身元が判らねばこれ以上の
捜査は行き詰まりだなぁ……
疲れを感じながら
山沢刑事は
歩いた

569想いは道:04/11/03 16:32:32 ID:Q83YXSJo

道は大蛇のように君に絡まっていた。 
――そして僕は
君の道の 形、 色、 質感 を 
静寂の空間に置いて眺めていた。

――あっ、

その時、僕は確かに見た。
道の上で 雨に濡れながら懸命に泳ぐ 
魚のようなシルエットを。

それは君に映る僕か、
それともただの風の記号か。


風呂上がりの君は
そんな僕の考えを知ってか知らずか
道を両手でねじってまわし、
魚や雨を消しながら 
メビウスの輪のような「何か」を作り始めた。

――君は言う、 
これで互いに行き来するための道が出来上がるはずだと。

生き返った空間
君の笑顔 
笑顔の君
 
僕は無性に嬉しくなり、君の道へと手を伸ばしていた。
570街灯:04/11/03 18:05:27 ID:pYh5LJ3j
例えば自分が生まれたその日に帰ったような
やさしい やさしい夜だよ
リュックをしょって 息を吸って
町の外に出るんだ

夜にすっかりくるまれた いとおしい町の屋根のもと
知る人たちがみんな もう眠っている

門の外は荒野だ
吹く風は星を揺らしはできず
踏みしめる砂利の軋む音は
ただどこかに吸い込まれていく
呼ぶ 誰もこたえない

眠る人たちの枕のそばの
灯りにぼくは守られている
この道のどこまでも先で星を見よう
あの家々の窓のために

灯りをかかげて行こうか
光をともしながら行こうか
571EVRYDAY EVRYDAY (ONE):04/11/03 19:45:15 ID:twzYrju/
人が苦しんでいるのが
人が死んでいくのが
小さな箱に映しだされる
EVRYDAY EVRYDAY
情報過多なこの世の中

かわいそうなんて同情
ちっとも役に立ちゃしない
優越感振りかざして満足かい
人の命は地球より重いなんて
悪いがそんな事信じちゃいない
不幸と思ってるアンタより
幸福そうに見える命は
EVRYDAY EVRYDAY
どの位消えていくの

特別な存在じゃなくても
生まれたなら生きりゃいい
ただそれだけ
アンタの世界ははアンタがなくなりゃ
スベテ真っ白
EVRYDAY EVRYDAY
笑っていりゃれりゃそれでいい
572EVRYDAY EVRYDAY (TWO):04/11/03 19:46:36 ID:twzYrju/
特別な存在じゃなくても
なんていうけど特別なんて誰が決めた
御託並べて言い訳好きな
この世に染められちまったかい

アンタの道はアンタのもんだ
茨だって裸足で走れよ
叩かれたって伸びやがれ

アンタの世界じゃアンタはGOD
人を羨ましがる前に
自分ひとり位幸せにしてみろよ
そんなに難しいことじゃないだろう

笑って生きれるように
EVRYDAY EVRYDAY
動くコトできりゃ
EVRYDAY EVRYDAY
幸せの道はそんなに遠くない
573571:04/11/03 20:04:16 ID:twzYrju/
EVRYDAY→EVERYDAYです…。すみません。
574夢の住人(1/8):04/11/03 20:39:56 ID:pvW8OQJf
文化の日 サーカスを見に行った
サーカスというモノを見た事が無かった

新聞屋に貰った無料のチケットを持ち
スーパーに行くようないつもの服装でぼさぼさと出かけた
賑やかなステージに家族連れのうるさい観客
今年三十になった私は一人指定席に座る
「ようこそ 夢の国へ あなたも夢の住人へ」
ありきたりな謳い文句 期待は出来なかった

想像で描くままのピエロが総合司会を務める舞台
次々と繰り広げられるものは正に夢物語だった
私はぐいぐいと惹き込まれていった

空中ブランコの少女のか細い指先
伸ばしきった指先は切なさと名前を変えて
青年がしかと繋ぎとめる―――と見せかけて
動揺誘うためわざと一度落ちていく青年
待ち受けるネットが大きく揺らいだ

演出と解ってはいるもののドキリとしてしまう
浮き上がる肩を自分でぎゅううと押さえつけた

悪夢を見てる最中(これは夢ですよ)と肩叩く自分
そんな無意識の自制心に似ている感覚だった
575夢の住人(2/8):04/11/03 20:44:01 ID:pvW8OQJf
猛獣使いの青年がびゅううと鞭をふるいながら現われた

金色タキシードに真っ赤なマント緑の蝶ネクタイ
金色シルクハットに目だけ隠せる黒アゲハのマスクを付けて
サーカスらしい目がチカチカする姿 美しい 蒼く光る目をしている

じゃれつく猫の様に虎は腹を見せた
本物の猫は細くしなる綱をせっせと渡った
象は蹴り上げるボールを見事にゴールへ
毛虫のような犬達はジェンカを繰り返す

猛獣使いが鞭をふるうと叶わない事が無かった
誰もかれも従順な一匹の獣になってしまう
触手の如く自由にしなる鞭 強い静かな蒼い目
 
憧れのような恐れのような恋にも似た感情を抱き

私は何度と無く肩をぎゅううと押さえつけていた


576夢の住人(3/8):04/11/03 20:47:01 ID:pvW8OQJf
夢の帰り道 
興奮冷めやらぬ私の足は
両親二人きりとなっている実家のマンションに向かう
今日の出来事をとりとめも無く話したくなったのだ

でね
あのね
それから
凄いでしょ

子供の頃と同じようにうんうんとうなづく母親と父親

昔と何一つ変わらない空気の中
熱いチーズの絡んだバーグ
もちもちと噛みむぐむぐと喉につまらせて

長い食事の後 大きな湯船に浸かった

重力にあらがえなくなってきた丸くない風船
四つ持っている私はドコを向いてもふわふわと浮いた
サーカスの猛獣使いがぴしゃりと鞭を振るうとぱちんと割れて
たちまち沈んでしまうんだろうな いや あの蒼い目が見つめるだけでも

一気に潜ると耳からしゅぱーっと抜けていく空気
代わりに注ぎ込まれたお湯がずんと音を消した
詰まりきった私は呼吸をしなくても生きていけた

ネルのパジャマを着て両親の間に眠る
ちゃんとパジャマを着るのは久しぶりだった
一人暮らしの長い恋人不在期間の長い私は
夏は裸族で冬はそのままコタツで寝てしまうから
577夢の住人(4/8):04/11/03 20:51:57 ID:pvW8OQJf
目が覚めた 何だか寒いな
玄関のクリアポケットパシパシと揺れ ドアーが開いている

両親は眠りこけている 寒くは無いのだろうか
何も変わらないと思ったのに
久しぶりに帰った実家は勝手が変わってしまっているのだろうか

冷え切った空気 床溜まり 静かな寝息の輪唱 二匹の化け物みたい

ハーフ毛布くるまって玄関へ 転がる化け物跨ぎ 
柔らかな寝床から 暗がりの中フローリングへ 冷たい

玄関に誰か居るのだろうか
 
思えば 思えば誰か居るのだろうか 
風で開く重さのドアーでは無いのだから

私はハーフ毛布を剥ぎ取って玄関へ急いだ

電気をつけると私の靴がなくなっている事に気付く
玄関のドアーは十センチ程の隙間を作っていた
隙間に私の靴が片方だけ縦になって挟まっている
靴をひっぱり抜いた 左の靴だ ドアーはごおんと鈍い音を立てて閉まった

すぐさま鍵をかけて右の靴を探す どこにも無い
魚眼レンズを覗くと外灯に照らされた右の靴がぽつん
左手に持ったままの左の靴と呼び合うように黒光っている
578夢の住人(5/8):04/11/03 20:55:27 ID:pvW8OQJf
不思議だ どうして片方だけ外にあるのか 取りに行くべきか
しかし不思議さよりもまだ怖さが勝っている 諦めて朝を待とうか

恨めしく見つめていると突然視界が金色になった
驚いて目を離し再び目をつける すると猛獣使いが私の靴を持って立っている
左に私の靴を持ち 右手で鞭を地面に二、三度打ちつけながら

急いで鍵を開けドアノブを右に回した
外灯の薄暗い光の中 右の靴があった しかし猛獣使いは居ない

夢を見ているのだろうか しかし肩叩く自分は現われない
 
ごおんとドアーが閉まり 私は一人夜の中歩き出す
とっくに恐怖は消え去り 首をかしげながら右の靴を拾った
右手に持った右の靴と左手に持った左の靴
再会を祝うつもりで両の靴底をぱんぱんと合わせ鳴らした

裸の足裏がひんやりとコンクリートにはりついている 
玄関のドアーを背にしばらく立ち尽くす 夢では無い

きょろきょろと周りを見渡した所で静かな真夜中だった
もう一度両靴を打ち鳴らして裸足のまま玄関に振り向いた
579夢の住人(6/8):04/11/03 21:03:10 ID:pvW8OQJf
突如
目の前の小さな魚眼レンズがズームアップしていく

直径1センチ程の丸い穴が中心から大きく広がり
ドアーの大きさぎりぎりまで膨張していく 
レンズは光り 夜の闇が作る真ん丸い鏡となって私を映した

そこには見開いた目の下に隈を作ったパジャマ姿の三十女が居た
両手に持った靴をパタリと落とし目の前の真実を凝視している私だった

呆然とする私の背後に金色シルクハットのてっぺんが見え始める
地底から浮き上がってくるように彼の全身は現われた 猛獣使いだ 

振り返る事も出来ずに鏡越しに私は彼の目を見ている 蒼い目を見ている
彼は私の頭の中に低い声で話しかける 

(ようこそ 夢の世界へ 君も夢の住人にならないかい) 

彼の目を見たまま 私は身体の自由を失っていた
持ち上がるように 両肩が震え始めた 押さえつける両腕は意のままにならず
震えはじきに頭部にも伝染し 私は頭を上下に震わせていた
580夢の住人(7/8):04/11/03 21:06:34 ID:pvW8OQJf
彼はぴしゃりと鞭を振るった 

はらはらとパジャマが脱げ落ちた 目の前に下着姿の私
直視出来ずに目を閉じかけた所 もう一度 鞭の音がした

私の首に衝撃が走る
瞬間視界は紫色一色となった

紫の液体を噴出す私の首根っこ 
ヒヤシンスの球根が逆さまになったよう 目の前の鏡に大きく映された 

私はスローモーションで落ちていった 
鏡越しにヒヤシンスになった自分を見ながら

何もかもが紫 
なのに鏡越し 視野の端っこで見る彼の目だけが蒼いままだった

自分の艶の無い肩を
自分のくびれの無い腰を
自分の垂れかけたお尻を

じっくりと眺めながら落ちた私は今 自分のかかとを見ている 

がさがさじゃないか
581夢の住人(8/8):04/11/03 21:12:14 ID:pvW8OQJf
こつこつと足音が近づく
 
足音に合わせて私の二足の靴
ひとりでに歩き出し私の横に並んだ

足音の主に拾われた私は温かい腕の中に居る
彼の手が私の頭を優しく撫でていた
ゴロゴロと喉でも鳴らしたい気分だ

彼はゆっくりと歩き出す 
その前に私の靴が軽やかに歩いていく

(どこに行くの?) 
(人が住むべき素晴らしい世界さ)

私の靴は迷う事なく紫の夜道を歩いていく

頭だけになっても迷いだらけの私は
これが夢であればと妄想を止めない しかし 終わりなのだ 


終わりたくない
終わりたくないな 

親孝行も
部屋の掃除も出来ていない
582ぺぷちど:04/11/03 21:30:31 ID:Tc+SFrr1
>>574〜581
おもしろかったです。8/8のオチをもっと派手で引田テンコウな
イリュージョンでキメて欲しかったです。
583581:04/11/03 21:37:27 ID:pvW8OQJf
↑ありがとう。

すみません 
>>581 三行目「私の二足の靴→私の靴」 に訂正です。申し訳無いです。
584十一月の追憶:04/11/03 22:53:40 ID:zqRvP/Qz
眠っている夢の影のとなりで君がやっぱり眠ってる
もっと泣き出した誰かの声に似た風景で
水たまりのように坂を流れていくのだろうね

消えた映像の代償として点々とつけられた靴跡
両手にそっと乗せた綿のような軽さで
いつか陽射しに溶けてしまうようなこの部屋の上で

夢は舞うだけの蝶のように止まる場所をきっと与えてくれなくて
君は一歩先にあるアスファルトの冷たさを知っていたのだろう
そこに何もないことだけが見えていることも


 雨の降ったこの空間で後ろを振り向いてみれば
 月と水銀灯の光と一つの影

  円ガラスを切り取ったような空は勝手気ままに
  無数の星だけを厚い雲で隠した

   道が前と後ろにあるだけの十一月のあの日は
   晴れた一日が欲しかった


僕の影を月が細い紐で引っ張り始めて
どうにも動けなくなった夢はそこから夢のままで
立ち尽くした太陽は月をもう追いかけられない

いつか見えなくなったら消えるだけの道の上で
眠ってしまった君の夢と 小さな十一月
585夕陽の中で:04/11/03 22:58:54 ID:o4DW9BmX
歩くことは罪か
進むことは罪か

生きている動物は穢れに非ず
想いが純粋だから
死んでいる大地は悪に非ず
徒に踏み潰されただけだから

けれども彼は確かに罪だ
何処かの宗教の神に拒まれたわけではなく 誰に裁かれたわけでもなく
けれどもそれは確かに罪だ
途方もない長さの影をした 何方かの下劣な笑顔がそう仰った

道は いつも光に向かうとは限らない
光が動くからではなく 大地が動くからではなく
誰もの向かう先が仮初だから
その仮初を人は希望と呼んだ

希望に向かって頑張る人がいたら
それを彼は素晴らしいと言うだろう
けれど彼は罪なのだ やはり彼は罪なのだ
何故なら彼は毎日 彼の足で歩いているから 進んでいるから

人は罪を憎み 罪人を笑う
人は罪を憎み 罪人を傷つける
それでも彼は黙々と あてもなく家路を急ぐのだ
それでも彼は黙々と オレンジ色の中を駆けるのだ

不合理は踏み荒らされた大地で道理になった
586固有値 1:04/11/03 23:31:08 ID:ZlCcPevT
カマーン、チャンプ、受けて立ちます、(こちらは副音声でお届けしています。
お題を出しな、(画面は最大、文字はなるべく小さめでお楽しみください。
道? ですか、そーですか。(ではまず、これは習性、硬直につづく三作目、
てんてんてん、(トリロジーのとりですね?
よしゃー、来ちゃった見ちゃった勝っちゃった、(ええ、エポックメイキングかつ豪華な仕上がりです。    
合計点数3000点、(申し遅れました、実況は作者、解説は作者です。                  
破格でぶっちぎる、(ところで、コテはつけないんですか?                 
錯覚レミゼラブル、(んー、なんか気の利いたやつとか思っちゃうとね、                
MUJINAが、これは希望抜きのパンドラの箱、(あと、かなりのびびりですから、       
イタチが、神々の黄昏にはこんなRock-'n'-roll、(きびしいこと言われたら、   
Alniteが、作者はエデンの蛇である、(もう来ねえよ         
て言うよなやつを、書きますよ、覚悟なさい。(ってすぐ逃げられるようにですね。     
あっと、敬称略ですから(あ、いままさに。こういう部分が失礼なびびりですね?
お気を悪くなさらずに、(そうですね。失礼ですね。
なにとぞひとつ穏便に。(Canopusさんにはイカのキンタマって言われましたよね?
じゃあ、いきますよ、(そう、そこで柳の下のどぶさらいですよ。                
キリストが博愛を(あと私もキンタマって言ってみたかった、
シャカが解放を(キンタマって。
レノンが平和をうたったように、(キンタマって文字にすることなかなかないですからね。           
最後の問題、(そうでしょう。
シノザワ教授に全部(そういう特殊な職業じゃないとね、
と言った人々の勇気をここに称え、(キンタマとは書かないですよね。          
爆発ゴローが直球勝負で直帰をホープする、(キンタマって。      
今週のびっくりどっきりメカ発進。(それではしばらく主音声、本編をお楽しみください。          
                       
587固有値 2:04/11/03 23:32:21 ID:ZlCcPevT
ボクノマエニ道ハナイ ボクノウシロニ道ハデキル(10月30日(土) 
て言うけどね、いまや21世紀、(ハロウィーンパーティーというものに行った。
そんな公共事業型信念は受けません。(また明日、と言って別れたバイト先の10才年下の
道がない(同僚たちが待ち合わせしていた場所に偶然出くわし、
という理由だけでは道をつくっちゃいけません、(考えなしに声をかけてしまったためだ。
エコだから。(なにしてんの?   
荒野は荒野に、都市は都市に、(いや、パーティーがあるんですけど…。                     
ネットとコンビニ往復で、(気まずいながらも好奇心が勝ち、ついていくことにした。
地球にやさしいライフスタイル。(会場の店には印象的な眼のあの娘がいた。         
                (あれー、珍しいんじゃないんですか?                   
生まれたときからブロードバンド、(こんな場所に来るのって。                   
親の敷いた道かまわず突っ走り、(プラチナブロンドのかつら。
誰が敷いたなんて気にしない、(青いカラーコンタクト。       
まずは頂点にのし上がる、(襟巻きをひらひらさせて、売春婦みたいですよね                       
理想はこうだ、(と彼女は言った。                            
成人式には自分目当てのファンの群れ、(それから、普段どおりの格好のぼくに、                 
はたちになったからタバコはやめた、(わざわざかつらを脱いで貸してくれた。                  
そう言ってにやけたにきびづらとは縁もない、(うしろにぺたんとなでつけられた濡れた黒髪が現れ、              
余生50年、悠々自適の自分探し、(とてもエロチックな気がした。
全面舗装の赤道直下で体育座り。(図に乗ったぼくはかつらをかぶってその辺を歩き回り、     
                (しかし、                   
588固有値 3:04/11/03 23:33:10 ID:ZlCcPevT
ひがんだ横目でニュースを見やり、(話し込む相手もいないので、かつらを返しに戻った。                   
歳だけいって踏み出せない。(彼女は背の高い男とキスをしていた。                       
勉強不足、運動不足、(かつらを持ったまま、                         
知性体力時の運、いつかを夢見る怠け者。(ぼくは目を逸らすことができずに立っていた。                
汗かかん、損をしたくナイっすから。(彼女は頬を上気させて目を閉じていた。                  
否定せん、面倒みたくナイっすから。(うっとりしていた。                 
主張せん、恥かきたくナイっすから。(幸せそうだった。                  
いうなればフリースタイル、(いま思うと一分もしなかったと思う。                     
あえてさらす無教養。(正気に返ったぼくは                           
                   (わーちょちょちょちょちょーっ                        
おれのまえには誰かが通った道しかねえ、(と叫んだ。
荒野を返せ、このやろう、(マトリックスの100人スミスのように増殖したぼくも    
こうなりゃ人工冬眠、50年後に火星で解凍、(ワーチョチョチョチョチョーッ                
火星初の火星詩人、興行収入火星一位、(といっせいに叫んだ。                 
地球の皆さん、こんばんわ、                     
一気呵成に火星で稼いでみませんか、(あの、脳内のマイク、スイッチが切れてなかったようです。                  
火星の駄洒落王、火星で犬のくそ踏んだ。(日記がだだ漏れですな。まあ、わざとですけどね。                 
                   (わざとですか? 
589お宝:04/11/03 23:34:28 ID:7Pf7dCG7
どんなに険しい道だとしても
その先にある お宝目指して

道がなくなったとしても
道を作って歩いた

手に入れたお宝は
無造作にリュックに入れて
再び取り出して見るような事なんてしなかった


お宝へ続く真っ直ぐな光の道が
見えていたよ
ああ
確かに見えていたんだ


なぁそれがどうしたんだ?
地べたに座って
キラキラしてるお宝見せ合っては
笑ってさ
590お宝:04/11/03 23:34:49 ID:7Pf7dCG7

何かが枯れていく音
とても小さい音だけど
それが響き渡るくらい
あたりは静かになった

次のお宝を目指さなくなった
目玉にうつるのは手に入れたお宝だけ

やがて風景は消え
光は消え
道も消え




これからお宝探しに出ると言う若い者達へ
お宝を手に入れたら
どんな所に入れておいてもいい
ただ 人にも自分にも見せないでほしいんだ

いいかい
手に入れた物を見てしまっては駄目なんだ
591固有値 4:04/11/03 23:36:27 ID:ZlCcPevT
わざわざ道の端っこ歩くから(ええ。メタな感じ?
犬のうんこ踏むんです。(いや、メタではないですよね?           
真ん中をさっそうと歩けば、(ないですか。
よっぱらいのげろにも当たりません。(意味分かってないのに覚えたての単語使いたがりますよね。     
そうはいっても世界の端に生まれついた、(でもね、今回、園川さんが来られそうにないらしいので、                
ものごころついたときには良心の呵責、(ここで言いますけどね、                 
みなさん、申し訳ありません、(道って方向と距離がありますね。これはベクトルです。                     
おれがもっとスマートだったり(この詩も主音声と副音声のずれが方向と距離を生んでいる。
クールだったりすれば、(つまりベクトルである。          
みなさんももっとスマートで(この詩は道についてうたいながら、
クールなメンバーになれたんですよね。(道を構成している。    
おれがカリスマだったら、(自己を内包しながら自己を構成するフラクタルである。                       
みなさんもカリスマの知り合いだって(これは老子の説く道にも合致するのである。
自慢できてたんですよね。(って言ったはずですよ、園川さんが。       
みなさん申し訳ありません、(いや、まったく言わないですよね。
おれさえメシアだったら。(ええ。言いませんね。          
                  (そもそも、ベクトルを持ち出してきたのは後付けですよね。
592固有値 おわり:04/11/03 23:37:30 ID:ZlCcPevT
愚痴りながらも一歩踏み出すその勇気、(いや、これはね、最初から考えてた。                 
踏み出す先には犬の糞、(えー、ほんとですかあ?                        
だから勇気が欲しいんだ、(本当だとも。それとも私がうそをつくと?                       
犬の糞をあえて踏む、(あんた、最初の作品の最初でうそついてるやん。                         
むしろ落ちてる糞はすべて踏む、(なはっ!                    
踏んで踏んで踏みまくる、(前回チャンプのameさんのと父に影響されて                       
オレオリジナルじゃないけれど、(遠浅なぱくりをしてしまいました。
でもその道の端っこ、(ということを告白したところで放送時間があとわずかです。          、
フンまみれの全力疾走、(それではみなさん、ごきげんよう。                        
フンでフンでフンでフンでふんふんふんふん(ごきげんよう。               
ふうん、で?            
593つじうら:04/11/03 23:55:09 ID:gK8j6UcS
それとも君は
吐息の渦に飲み込まれながら
鞄の中の写真に映った
あの笑顔を見せるだろうか

きっとあの人の思い出の中に
そう言ったよね

それとも君は
この星の何処かに生まれた
理想の人を求めるだろうか
可能性の中にある無限の限界を見つめて

馬鹿だなあおまえ
え?そうなの?
だからさあ言ったじゃん
昨日、見た?

無数の声が君を包んで
そこに聞こえないものだけを
聞き取ろうとしながら

道の真ん中立ち尽くす君を
遠くにいながら思っています
594Alnite ◆m3UVuKrnck :04/11/04 00:03:23 ID:rMNq2ozv
以上をもって締め切りだと思われます。
595Alnite ◆m3UVuKrnck :04/11/04 00:25:59 ID:rMNq2ozv
せっかくなので作品リストも作ります。
540 あぜ道にて
541-542 道子さん
543 特撰キンバエ ◆yuQ9t.UD8o #うっかりミスか?
545 普遍草原
546 危ない道
547-548 突堤
549-550 そら開拓史
551 道化
552-553 むかしの言葉
554 milky way # 555参照。
556 フロントガラスに霜が降りるころ
557 地の果て
558 道
559-561 海を渡る
562 道々しい
563 海上の道
564 未知行く際に
565-568 夕暮れの道
569 想いは道
570 街灯
571-572 EVERYDAY EVERYDAY # 573参照
574-581 夢の住人 # 583参照
584 十一月の追憶
585 夕陽の中で
586-588 591-592 固有値 # 詩が切れています
589-590 お宝
593 つじうら
それでは審査頑張りましょう。
596Canopus ◆DYj1h.j3e. :04/11/04 20:51:07 ID:PGEl5y3V
出来たぶんから挙げてくね。スレのサイズが残り少ないので圧縮バージョンで。

>>540 誠実そうな人柄が垣間見えるんだけど、惜しむらくは「顔」の欠落です。
登場人物の描写がステロタイプになってて、顔が見えてこないかな。
>>541-542 後半で、何でそっちに話もってくかなあ。壁の設定がものすごく面
白いのに、途中で放り投げちゃってる。道から足を外したら道子さん死んじゃ
ったり、語り口とか、面白く読めたけどね。随所にユニークさを感じた。
>>545 ドン・キホーテと将棋盤をフレーバーにして、みんなの歩いた道が普遍
草原なのかな。タイトルは魅力的なんだけど、内容に意外性がないかなあ。
>>547-548 イタリア映画みたいな、静かで明るい情景描写。ワンテイクでじー
っと撮影してるようで、生活感もあって、味わい深い。詩の終わらせ方には、
一工夫いるのかも。
>>549-550 構成に妙あり。時々コメントのように挟まれることば、電話の音、
猫がよこぎったり、それらがいちいち効果的です。他愛ない話といってしまえ
ばそれまでですが、明るめのテイストが詩全体を包んでいます。
>>554 天の川つーより、ぼくは事件や事故の現場に花が活けてあるよね、それ
を連想したなあ。それと天の川のイメージを繋ぐのに苦労してる。
>>556 「純粋さを増してんだ」は、なかなか書けないね。いいことばだと思う。
ただ、かなり粗削り。「THANK YOU MY FRIEND」は詩の世界をコワしてるし、
「大事」「大切」の重複など、もちっと気をつけたいね。
>>557 血だるま君と血みどろ君の会話ですか…。うーん、ナンセンスだねえ。
うん、こういう詩もアリだねえ。お題には沿ってないような気がすんだけど。
597Alnite ◆m3UVuKrnck :04/11/05 00:16:08 ID:WXiDWdkC
私と来たら大事なことを忘れていました。
審査期間は11/4(木)0:00〜11/6(土)24:00です。
つまり六日いっぱいまでって事ですな 一応あげときます
598名前はいらない:04/11/05 04:26:47 ID:DtJw8NJV
 採点ですー 影響力の有る……目に飛び込んでくる。……を基準にしました

3点 >>557 :地の果て :
 するっと、喉を過ぎていく感触。一気に読んだ。

2点 >>552-553 :むかしの言葉 :
 昔の言葉は形があったのかぁ……だから良く目に飛び込んでくるのかぁ……

2点 >>559-561 :海を渡る:1 :
 何だろう? と引き込まれた。 最後まで読んでしまった。なんともいえない……
読後感が残った。

1点 >>545 :普遍草原 :
 ドンキホーテを借りて、ドンキホーテしか飛び込んでこないかなぁ……
1点 >>547-548 :突堤 :
 なんかきらっとするフレーズが有る。突堤という突き出した黒っぽい一物の
イメージ?? ……なら、読み取れないフレーズも黒さの象徴??
1点 >>549-550 :そら開拓史ー1 :
 面白い。……けど、ナンセンスでもないし、ストーリーでもない。破綻するが、
もともと、成立していない……とも感じる。まあ、おもしろいから……いいっか?
599ななほし ◆lYiSp4aok. :04/11/05 04:30:31 ID:DtJw8NJV
 あぉ!! トリップ入れるのを忘れた!!  >598の続きです。
1点 >>551 :道化 :
 ちょっとぞくっくっと、した。一気に読み終わる。
1点 >>558 :道 :
 アスファルトの柔らかい。……感触がある。特に読後感が残らなかった。
 「ちふ」 < ちょっと意味がわからないが……誤字だったら邪魔にならない良いタイミング
 「楽になった」< この印象は強かった。
1点 >>563 :海上の道 :04/11/02 21:12:52 ID:iSgxoUek
 にじにじと と < このフレーズが切れがいい
1点 >>564 :未知行く際に :
 ドロリとした感触 < 飛び込んでくる。
1点 574-581 :夢の住人(1/8) :
 ふっと、風のように言葉が届く。意味は繋がりにくいが……
1点 >>586-592 :固有値 1 :
 所々、光ってる言葉がある。
600名前はいらない:04/11/05 07:17:50 ID:4LXzkP47
都会の女子中高生の間ではミニスカの下にブルマを履くのがはやってるらしい。
健康にいいし、足も長く見えるんだってさ。なんかのティーン雑誌で特集したらしい。
ミニスカの下にハーパンやスパッツを履いたり、階段でスカートを手や鞄で押さえるのってダサすぎ!!
みんなの笑いものだよ。自意識過剰。見られるのが嫌なら、最初から長いスカートをはけ
http://sports7.2ch.net/test/read.cgi/npb/1098053692/l50
601名前はいらない:04/11/05 12:33:26 ID:DtJw8NJV
 すいません、採点間違えていました。
3点 >>547-548 :突堤 :に、変更おねがいします。(読んではいけない、絵画的な詩だと思いました)
  プラス二点で、今回3点が二作品です。
602ななほし ◆lYiSp4aok. :04/11/05 12:36:17 ID:DtJw8NJV
>601 ななほしです。あせっていてまちがえたぁ
603MUJINA ◆iXws.WGCLY :04/11/06 00:50:12 ID:goCZLDPA
寸評、行ってみよう。
>>543 特選キンバエ
 仏教の無常観をベースにして、怪奇趣味とグロテスク風味で味つけたスープですなあ。
ただ、具材(単語)に頼りすぎて、じっくりコトコト煮込んでいない。味わいが既製品の
カップスープの域を出ていないなあ。「無数のざわめき」「吹き出る鮮血」「鬼火をまとって」
など、説明風になってしまい、詩語にまで到達していない。どうせ七語調をとるなら、文体も
擬古文でいったら、もっとオドロオドロしさが出るのに。たとえば、添削するなら、
「無数のざわめき」→「五月蝿(さばえ)の声明(しょうみょう)」、
「人の骨も」→「骨(かわら)の一片(ひとかけ)」など、古語や仏語を多用すれば
もっと雰囲気がでるはず。

>>549-550 そら開拓史
 起承転結がしっかりしている。難を言うなら、もう少し冒頭のクイズを工夫する余地がある。
学生時代、スペースオペラにはまって、ペリー・ローダンシリーズを読んでいた。その中に
反重力装置が出てきたっけ。ネタ自体に目新しさはないやね。挿入しているアフォリズムは
軽くてまずまず面白い。もっといくつかアイディアを詰め込むとオリジナリティーが出て
好感度UPだった。
604MUJINA ◆iXws.WGCLY :04/11/06 01:28:24 ID:goCZLDPA
>>559-561 海を渡る
 歩いて海を渡る――イエス・キリストじゃああるまいし、渡れるわけねぇだろ。
何? 線路の上を歩いて行くって? 海底トンネルか? 違う? 海洋特急だぁ?
何だ、それ。聞いたことねぇぞ。東京駅の何番線から出てるんだ? 「海洋特急は週に一本/
なぜか南回りの便だけだ」 それじゃあ、来週まで来ないっていう寸法か。それなら
オイラ歩いて渡るよ。線路の上を。えっ!命がけだって? 駅員が銃で射殺するって!?
ふざけんなJR。国土交通省に訴えるぞ。それならオイラ行かない。それでも君は行くのか。
おい、やめときなよ、殺られちまう。引き返せ。帰ってきなよ。カムバック。カンバック
カ○○○○!

>>547-548 突堤
 パンチパンチパンチ。ポエジーのラッシュ。すべて胸にクリーンヒットする。人の生死、一生の
場面場面をフラッシュして、一本の道に収斂させるとは。お手際、見事。すべての道はすべてに
繋がるリゾーム。全編、海のにおいがする。最終行の「風が吹いている」は海からの風だろう。
人間の来し方、行く末を暗示させる海の気配まで感じ取らせる作者の詩世界の奥行きの深さは
計り知れない。
 ホントにうまくて頭きちゃうから、あえて揚げ足取りしましょ。マンホールは表の現れないカネ、
モノ、ヒト、情報などの地下世界を暗示しているんだろうけど、ちょっと見え見え。詩は計算して
書くもんじゃない、と一言いじわる言っときます。
605MUJINA ◆iXws.WGCLY :04/11/06 02:30:09 ID:3UNtEVKK
>>586-588/591-592 固有値
 パンドラの箱を開けてモンスターを召還してしまった!(書いたよ。これでいいかい。)
しっかし、軽口無駄口減らず口は収まるぢころか、ますます磨きがかかってきてますなあ。
まさに饒舌大魔王の称号を差し上げます。呼ばれてないのに、呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。
と、誰も聞いてないのに、一人漫才かます、おしゃべり泥棒。名無しの作者氏に対するキャッチフレーズ
がたくさんありすぎて、こっちも饒舌が移ってしまう。
さて、今回の作品は軽い興奮のうちに一回めを読みました。いま、自分は最先端の詩を
読んでいる、という興奮です。読み終わってから、いや単なる気の迷い。こちらの勘違い、思い違い
と意気消沈。でも、やはり、この詩は凄いんじゃあないか、の行ったり来たり。
でも、作者の天性のものを感じます。やっぱり、こんな詩、いままでなかった。いや、こんなの
詩じゃないから、誰も書かなかった、と誰かに悪口言われそう。ただ、副音声というアイディアを
持ち出して、前回よりパワーアップしてきているのは事実。で、採点は今回までは
甘くつけます。次回こそ、この作者の本領発揮。いつまでもこの饒舌スタイルを続けると
読むほうもいい加減飽きます。こう言って作者にめ一杯プレッシャーをかけときます。

採点です。

【3点】>547-548 突堤
【2点】>586-588/591-592 固有値
【1点】>559-561 海を渡る

今回は私の琴線に触れる作品が少なかった。お題の「道」が難しかったのだと思う。
同じ方向性に誘導されやすいテーマで、みなさんオリジナリティーを出すのに一苦労、という
印象でした。そんな中で正攻法をとった「突堤」には力量を感じました。「固有値」は
どこまでも自由闊達に書いている姿勢はよかった。詩なんて、そんなに気張らずに、
やりたい放題やればいいんだ、ということを教えてもらったような気がします。
「海を渡る」は今回もまた海の向こうの世界を見させてくれずに、じれったさを感じました。
小出しにしているところがずるい。

以上です。しっつれい仕る。
606C ◆7sqafLs07s :04/11/06 17:47:21 ID:l9N+m/jw
凄く悩んだのですが、投稿した人は何かしら評価を得たいと思っているだろうと考え、
また新参の自分が評価する側の人間としてどういう基準を持っているか示すために
今回限定ですがすべての詩に対して評をつけていくことにしました。
少しずつ上げていきます。

>>540 あぜ道にて
ごく親しい人間への遺志としてこの詩を読むのでなければ、
多少の偽善と傲慢を感じてしまう。
それは自身が「言葉や感情」で伝えようとしているにも関わらず
受け取る側にはその伝え方を禁絶しているからだろう。
そして人間が選び得る無数の道のうち「前」が果たしていずれなのか、
詩の作者だけが規定できると思っているようだからでもある。
ではその偽善と傲慢こそが作者の「意図」だと仮定してこの詩を読み直してみよう。
すると「優しく踏みつけて」「いつか目差した夢」などの
一見そぐわない言葉が不思議に輝いてくる。

>>541-542 道子さん
猿に自慰を教えると死ぬまでそれを続けるという。
という真偽不明の有名な話をベースにして人間の進化を茶化している。
そのひねくれた発想は大好きだ。
しかし僕個人の趣味において唯一不満だったのはせっかく象徴的に「黒髪」を出すなら
自慰に「絡めて」欲しかった、という部分。
むりやり(作者に対抗しようとする虚栄から)もう少しひねくれた見方をすれば
人間はそれでも結局死ぬまでオナニーしているようなものじゃないか、
という考えも浮かんでくる。
607C ◆7sqafLs07s :04/11/06 18:02:24 ID:l9N+m/jw
>>545 普遍草原
どんどんと進む「俺」は猪突猛進の印象だ。一方「俺」はその道に対してある種の疑いを持っている。
この矛盾に対しドンキホーテを持ってきたとすれば説明的すぎるような気もする。
さらに盤上「香車」を動かしたのは今回のテーマにおいて「歩」の次にありがちな選択ではある。
しかし偶然だろうがイラクで人質になった「香田」氏のことも連想させて
危険で無意味な「自分探しの旅」を想起させもした。
砂漠生まれの宗教に生きる人々と僕達との差に関連して、取ってしまえば相手の駒はもう使えないチェスと
それを自分の駒として活用できる将棋との差、そんなことも考えたくなる。

>>546 危ない道
どんな事態が人生を空虚にするだろうかと考えたとき、個人的にはこう思う。
「それは意外な失望や予期せぬ絶望ではなく、むしろ予想どおりもたらされ続ける希望なのではないか」
もう少し押し進めればこうなる。「予想がつく人生ほど空虚なものはないのじゃないか」
「ありとあらゆる災いのつまった箱」の底にあったのは「希望」だったことをどう解釈するかの問題だ。
この詩を読んだとき気になったのは「それと引き換えに/楽しさを得るのだろう」とか
「終わったあとの感激」「危険のおまけ」などの予定調和的な感じ方だ。
これは幸福のみならず「危険」の範囲までもが予想済みだからこそ出てくる所感なのだろうか。

>>547-548 突堤
寂しさ侘しさ多少の不気味さの中に見える絶対的な「生」の意思もしくは定め。
小説ではあるが中上健二の『岬』を連想した。あれほど暴力的でも泥臭くもないけれど、
そのかわりに全てを風景のように語る視線がより過酷でなおかつとても効果的だと思った。
……思ったのだが、「誰もが行けるこの道に全てはあり/それはこの道を行けば分かる」
「道のどれもが未知でありしかしここで今確かにただの道であり」
これらの部分だけ作者の物思う姿が見えてしまった。豊かに構築されていた世界が一瞬、見えなくなった。
充分に描写された世界は思想を含包すると思うので世界を描ける人は思想を持ち込む必要がないと思う。
読者へのサービス精神かもしれないが、この詩の描写は充分に思想を浮かび上がらせていると感じた。
608C ◆7sqafLs07s :04/11/06 18:15:08 ID:l9N+m/jw
>>543 特撰キンバエ
出だしの七五調が描写の過酷化とあいまって少しずつ崩れていき、
最後に無常観を打ち出すときにはそのリズムもまた無常になっている。
やや古めかしい語調に対してこの構成は作者の心意気を充分に感じさせる。
ただしこの詩は物語のエピソードとして(特に付記のように)
つけくわえられるべきものではないだろうか。
このようなスタイルの詩が想像の世界へ人を導くためのものであって、
なおかつそこから読む側の世界が広がっていくものだとすれば
この詩のイマージュは作者の内側で完結してしまっている。

>>549-550 そら開拓史
SF(に限らずジャンル文学、カテゴリ表現)的な用語を持ち込んで表現をするときには、
そっち方面のマニアの目を気にするべきだと思う。
反重力装置というタームを見ただけでどうしても集中力が切れてしまう。
詩の運び方はビートルズのマジカルミステリーツアーを思い起こさせ
ユーモアもリズム感もあって良いと思うがどうもいかん。
イメージが反重力装置にまつわるエトセトラを巡って勝手に動き出し
反重力装置が壊れた?そりゃ壊れるだろうさ。なんて感じで収拾がつかないのだ。
……SFマニアではない人の評を読んでみたいと思った。

>>551 道化
単純に、夢を見るのは「目」なのだろうか、という疑問が浮かんでしまった。
それと(爆笑)はこのような詩の表現として不適切じゃないだろうか。()が読む側の心にクッションを置く。
で澁澤的もしくは乱歩的もしくは寺山的な怪しい見世物小屋の雰囲気に対して精神が拒絶の動きを始めてしまう。
アングラと呼ばれるような芝居を愛する人間としてこの詩の雰囲気には愛着を感じるのだが、
「見世物を見ているようで実は道化に嘲笑されている自分」を演じ続けることが出来なくなってしまって残念だった。
道というテーマに道化を持ってきたその着眼点だけでも評価したいのだが
好きな方向性のものにはやはり完璧を期してしまう。
609Canopus ◆DYj1h.j3e. :04/11/06 18:50:57 ID:BuIcr8Tt
続き。
>>562 イメージ的なことばの列だけど、軽みと重みの両方あって、不思議に情
景を喚起するものがあるね。でも尻切れとんぼでもある。
>>563 海に映る夕陽と夕焼け、ってヤツだね。ちょっと堅すぎるかもよ。
>>565-568 これ続き物だったのか…。んっとね、今回は焦点がかなりボヤけて
る印象。刑事を書くでもなし、事件を書くでもなし。ピント合わせよう。
>>569 この詩での道は、じつは道ではないよね。それだけに、「何か」をきっ
ちりと表現する必要があったんじゃないのかな。
>>570 端整な出来ですが、この街は西欧か中国の街でしょ。門が街を隔ててい
るもんね。その味付けは必要だと思う。
>>574-581 内容は面白いと思う。自分のカカト見たり、靴だけがついていった
り。でも小説の手法に近いんじゃないかな、これは。もっと短くできるよ。
>>584 すごくきれいだよね。でも不思議にことばが入ってこないんだよなあ。
夢の風景だからなのか、それともそれは十一月の為せるわざなのか。
>>586-588>>591-592 うん、三部作のなかではいちばん好きだよ。上質なイン
プロヴィゼーション。パーティの描写が特にお気に入り。最後の種明かしは、
やっぱ興ざめだったな。
610C ◆7sqafLs07s :04/11/06 18:53:53 ID:l9N+m/jw
>>552 むかしの言葉
言葉はそのままではただの記号なのであって、感情や記憶やその他あれこれ捏造されたものが附加されて
ようやく「触感」を得るものだと思う。その点で「いまの言葉」にもそれぞれ特有の感覚がある筈だし
その手触りに違和感を覚えたとして、それを「えんがちょ」してしまうことは
それこそ言葉達が敷設してきた「道」を自ら終焉させてしまう行為ではないだろうか。
ある言葉が別のある言葉を拒絶した時こそ、繋がっていたはずのすべての言葉は分散し、
それぞれの記憶の中で死に絶える。そうやって言葉を殺すくことは、ナメクジに触ることよりも危険だ。
不意にナメクジに触ってしまったときのあの素っ頓狂な声だって、やっぱり大切な「言葉」だろう。
むかしを知る者が今との接触を拒んだら本当に「失われて」しまう。今しか知らない者に手段は無い。

>>554 milky way
孤独は囁くだろうか。少なくとも僕の孤独は呟く。囁くのは孤独から抜け出したいと思う自分だ。
そして一歩。その一歩が道になる。餞別として用意された花束。僕は疑ってその花束を手にしないだろう。
涙は乾く。しかし涙を終えることはできるだろうか。全てが過去になったとき、僕は生きているだろうか。
それらの疑問と不安を胸にした僕は、空を見あげる余裕もなくただ足元を見つめる。
だからそんな僕は見ることもないのだ。その天の川を。

>>556 フロントガラスに霜が降りるころ
これは>>552への返歌として読んだ。閉ざそうとするむかしの言葉に突きつけられたいまの言葉。
都会の夜景の美しさは星達の輝きに決して劣らない。むしろそれらを比較すること自体が
ある種の欺瞞に満ちている。そこで「本当は答えなんて/どっちでも構わないんだけど」となる。
ただし「割れたビー玉でもいいのならそもそもビー玉なんていらないんじゃないか」と問われたときの答えだけは
やはり探しておかないといけないだろうと思う。そのくらいの範囲で「何が大切か」を決める必要はある。
「お前のカウント」だって「俺のカウント」に変えないといけないだろう。
611Canopus ◆DYj1h.j3e. :04/11/06 18:55:32 ID:BuIcr8Tt
採点っす。
2点 >586-588>591-592 固有値
1点 >541-542 道子さん
 >547-548 突堤
>557 地の果て
>584 十一月の追憶
612Canopus ◆DYj1h.j3e. :04/11/06 19:08:36 ID:BuIcr8Tt
新スレたてました。
以降はこちらでどんぞ。
〜〜詩で遊ぼう! 投稿梁山泊 13th edition 〜〜
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/poem/1099735482/l50
613C ◆7sqafLs07s :04/11/06 19:15:42 ID:l9N+m/jw
>>557 地の果て

思わず笑ってしまった(もちろん良い意味で)詩ではあったが「道」は何処にあるのだろう。
タイトルと「結局俺達死ぬ」事実だろうか。そこらへん「わっかんないんだよねー」


>>558 道

道を人生と比較するとどうしても死という終焉が見えてくるわけでそのような詩が多いわけだが
せっかく詩という虚構の世界で「生きる」のだから死を超えるようなものがもう少しあってもいいと思う。
僕はむしろバスに乗っている他の乗客たちのことが知りたかった。
バスの運転手のことも、そのバス停の名称も、バスの行き先も知りたかった。

>>559-561  海を渡る

ファンタジーは幻であるからこそ具体的に描かれないと茶番になるわけで、この詩はその点を意識している。
知らないものを語る、その語り口も徹底されている。
言葉の働きかけによって存在しない情景が読者の内側に想像され個々別々の世界が創造される。
その試みと企みは成功している。少なくとも僕の中で充分すぎる成功を見せた。
ここから先を「意味」に依って語る事は避けるべきだろうと思う。
ただし一つだけ考えてしまう。駅を「知らない」僕は、無人のプラットホームに立って
「知らなかった」僕になったのだろうか。それともまだ「知らない」ままなのだろうか。
「知らない」と言い張っているのか。それとも……
614C ◆7sqafLs07s
>>562 道々しい
君はロボットというより早漏だ、と詩を読んでそう思った。最後、もう少し堪えるべきだ。
しかしそれも意図として読むべきなのだろう。
「もう会えないと思っていた/道は分断され滞っていた」
この部分がテーマにこじつけた蛇足のように感じられた。
その後にある「いつかと同じく」のような方向性の言葉を費やすべきだった。

>>563 海上の道
今回のテーマで、海関係が多いのは何故なんだろう。道と海の関係とは一体。
やはりそれまでに書かれた詩を読んで投稿する人が多いために
影響しあうのだろうか、などと考えつつ
この詩に関して言えばイメージの選択には独特な奇想があり、
対比と象徴で攻める様も好みなのだが
最後、リフレインされる「にじにじと歩む」
の部分には自分の発想に酔っているような印象があってそこが残念。

564 未知行く際に
なにか独特のリズムを感じた。生理的なリズムとでも言えるだろうか。
しかしこれは独り言だ。日記を盗み読みしたような気分がする。
そしてそれは決して愉快な気分ではないのだ(少なくとも僕は)
「裏切られた」ことも「覚悟」も「私」しか知らないままで
始まり終わってしまう。「未知」に踏み出すその前に、
「後悔しない」と言えるだろうか。この場合は「後悔したっていい」じゃないのか。
そうやって感じてみても、閉ざされた言葉の前に何処か虚しかった。