P4はタスクスイッチに弱い
P4はPentiumProから引き継いだP6アーキテクチャーを拡充したものである。
主な変更は演算ユニットのパイプラインを深くしたことと、バス帯域を大きくしたことである。
バス帯域を大きくしたことはCPUの全般的な性能アップに貢献する。
しかし深いパイプラインはピーク演算能力を上げるが、
コード/データのローカリティーが低いとストールしやすくタスクスイッチに弱くなる。
結果として、P4はコード/データのローカリティーが高いMPEGやMP3のエンコードでは高い性能を発揮する。
そしてそのゲインはデコードよりエンコードに大きい。
それは規則正しく並んでいる非圧縮データは処理しやすいが、デコードでは不等長のデータを取り扱うので能率が落ちるのである。
当然ながらGUIイベントに伴うタスクスイッチはP3より遅くなり、特にフォント展開や日本語変換などのプロセスが混ざるとさらに遅くなる。
インテルはこのことを知っていて、それをクロックを上げることによってカバーしようとした。
また、ベンチマークの主眼をオフィスプロダクティビティーから、画像/音声データのエンコードを多く含むインターネットコンテントクリエーションに移したのである。
その作戦は実に巧みであった。
ハイパースレッディングの意味するもの
かつてハイエンドユーザーの志向するところは高い3Dゲームの能力であった。
しかし、それが飽きられるにつれ、インテルは軸足を画像/音声のエンコードに移しつつある。
GUIのタスクスイッチに弱いP4は確実にエンコードではP3を圧倒する。
しかし考えてみるとヘンな話である。ハイエンドCPUのプレミアム分のコストで
リアルタイムエンコードが可能なハードウェアMEPGボードが2枚以上買えるのである。
いかにエンコードソフトがフリー(それはすばらしいことではあるが)であっても、
膨大なレガシー画像データを抱えるシリアスな画像ユーザーであれば、MPEGボードを買ったほうが早いだろう。
ttp://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higa0211.html#021229