新・連続架空ドラマ

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1柴田ぁ
「もう一度、やりませんか…」

関連スレ「想像力★架空ドラマタイトル★膨らませ!」
http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1042102085/
にて作られた全十二話〜のタイトルを基に妄想でドラマを紡ぎます。

せっかく書き上げた筋書きを書き込む前にリロードすると先に書かれていた…
そんな虚しさも心地よい、そんなスレです。
(現在の状況その他の説明は>>2以降に)
2柴田ぁ:03/02/14 01:39
前スレの続きが一応手許に残っているのですが、
続きをやるか(やりたい)、又は新たに「想像力★(略」の最初から始めるか、
ご意見をお聞かせ願えれば。
3柴田ぁ:03/02/14 01:49
一応前スレ

連続架空ドラマ
http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1041829944/
4名無し職人:03/02/14 16:16
タイトル「ねむねない」

第1話 「なんかまったくいらんとこが腫れた」
5名無し職人:03/02/14 16:26
第2話 「頻尿」
6コンブ:03/02/15 00:20
(柴田ぁさん、スレ立てオツです。前スレ沈没、無念です。
前スレ最後の方は難易度が上がりすぎて、正直、手が出せなかったのでした)

(おもうこと。登場人物増えると難度が上がりすぎる。
サブタイトルを生かすこと、キャラの設定を生かすこと、12話全体での流れを生かすこと、難しい。
サブタイトルが生きた話、キャラが掘り下げられる、前話が複線になっている、嬉しい。
この板には優れた長文職人(ベル式氏、僧侶(仮免)氏など)がいる。こっそり期待)

>>2については、どちらでも良いと思います。
「想像力★(略」スレはもうすぐ終わりそうですが…。
その場合最初からじゃなくて、良さそうなのを選んでしまって良いかと)
7柴田ぁ:03/02/15 04:37
>>4>>5 ご苦労ス。が、とりあえず流れが掴めるまで保留にして頂けると有り難い。
>>6 ドモ。そして全体的に同意。
前スレ「おにぎりレストラン」にて完璧な人物設定を組み立てた名無し職人203氏の導きで
俄然面白くなったと思うのですが、例えば

 ・「 船木百合子(飯島直子)→百合子」と一度役者の決定した人物は簡略化して表記した方が
  スマート且つスムースに話が進むのではないかと。
 ・直接的な使い方でなくとも、サブタイトルが活きているとオモロ味UP
 ・次話に続くウマい伏線が張ってあると、燃えるネ
 ・「間違って泣けちゃう」展開は、ネタスレとはまた違った笑いがあるヨネー

というのが私的「連続架空ドラマ」にハマった(読むのも書くのも)要素なのですが、って
前スレ読んでない人にはよくわかんないスね。すまん。暫し待てぃ。
ひとまず参加経験者で改めて流れを作るのが一番かと、って俺、本気だな…チョト痛イ

とりあえず、前スレより話が膨らみそうなドラマタイトルを↓に貼っておきまス。ゆっくりやりまッショイ
8柴田ぁ:03/02/15 04:39
医療問題をするどく抉る社会派ドラマ!  巨悪に立ち向かう一介の医師の運命は?
『命のちから』

第一話「ハルシオン」
第二話「うぐぅ登場」
第三話「ガーゼは鈴木さんのおなかの中です」
第四話「メス!オス!キッス!」
第五話「闇の臓器売買!肝臓の価値はおいくら?」
第六話「天才医師と美人ナースのラブアフェア」
第七話「脅威の回復力!現代医学VS仙豆」
第八話「余命宣告」
第七話「人間がすきだ!」
第九話「はいこちら、ナイトホスピタルです」
第十話「君が望む永眠」
第十一話「最後の賭け!盲腸速さばき対決!」
最終話「先生!そこはダメよ」
9柴田ぁ:03/02/15 04:40
ホームレス問題をするどく抉る社会派ドラマ! 巨悪に立ち向かう一介のホームレスの運命は?
『もみあげ』

第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
第四話「石原都知事の逆襲!」
第五話「無情!放たれたBB弾!」
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
第九話「ふと、我に返ったとき」
第十話「ボスはホームレス」
第十一話 『垢の嵐』
最終話「俺にはダンボールがお似合いさ」
10コンブ:03/02/15 05:31
>>7

> 前スレ「おにぎりレストラン」にて完璧な人物設定を組み立てた名無し職人203氏の導きで
> 俄然面白くなったと思うのですが

ホント203氏あっての「おにぎりレストラン」でしたね。うーん、敏腕。

>  ・「 船木百合子(飯島直子)→百合子」と一度役者の決定した人物は簡略化して表記した方が
>   スマート且つスムースに話が進むのではないかと。

僕は逆に、あったほうがイイかと。各話でのキャラ名後ろ括弧の配役ですよね。
僕自身が書いていて、このキャラの配役は?とよく分からなくなることもしばしばでして。
同一人物の呼び方が異なるのは、これも今までたまにあったと思いますが、
これはなくす方向で行けたらなぁと。初登場のにしたがって行けたらなぁと。
どーでしょ?

ま、とにかく今は203氏をはじめ皆さんの意見も待ちながらマターリと。
11名無し職人:03/02/15 20:19
おお、新スレが!おめ&乙です。
様子みてたら前スレ落ちちゃって「だったら書けよ>漏れ」とか思ってました。
ただ一人でいくつも書くのもなぁ・・・。職人さんたちのカキコ読むのも
楽しいし。

前スレ後半の長文化の一端には漏れも加担してまふ。。(書きたくなるのよ・・)
TVドラマ想定だと1時間と考えちゃうのでどうしても色々ほしくなるのかも。
NHKの夜11時みたいに15分くらいを想定して書いていくとテンポが良くなるかも
知れませんね。(書きたい人は長くてもいいでしょうし)

「〜木星と冥王星のあいだ〜」は書きたいなぁ。実はSFが好き・・。
12柴田ぁ:03/02/16 00:47
>>11
Yeah! よくぞ見つけてくれました。
もう少し集まるまで様子をみましょう。
1311:03/02/16 03:45
前スレの「はじめてのおつかい」は11話までいって未完のままdat落ち。
気持ち悪いので書いちゃいます。
許して!!
1411:03/02/16 03:46
「はじめてのおつかい」
第十二話「・・・お前を、殺す」

利香(田中美佐子)は誘拐された息子・淳也(子役)を助けるため、早乙女(哀川翔)が指定した倉庫の前にいた。
早乙女の要求は死んだと思っていた元亭主・キスケ(豊川悦史)の身柄。浦野(山本太郎)からの電話でキスケと
ともにここへむかっていると聞いた利香は激しく動揺していた。
「キスケに逢える・・・せっかく過去を振り切ったのに・・・」

浦野とキスケ、それに竹内組若頭・近藤(長瀬智也)は車で倉庫へと急いでいた。
浦野「キスケさん。あなたに何があったか知らないが、俺は利香さんが好きだ。淳也と一緒に幸せにしたいと思ってる」
キスケ「・・・・俺には何も言う資格は無い・・・・」
近藤「・・・聞きましたよ、キスケさん。あなたは巻き込まれた抗争から家族を守るために身を引いたと。そして、
利香さんの危機を知ってまた現れた。」
浦野「利香さんの危機ってなんや?近藤!」
近藤「例の主婦売春組織の元締め・・・どうも飯田(ココリコ田中)のようなんです。」
浦野「!!!」

倉庫の中、浦野たちの車が到着すると、奥から早乙女が現れる。再会する利香とキスケ。
早乙女「キスケぇぇ!今まで随分と邪魔してくれたのぉ!!こっちこいや!」
利香「淳也は?淳也はどこぉ!!」
浦野の制止を振り切り、早乙女の方へ歩き出すキスケ。
不意に暗がりからキスケに近づく一つの小さな影。手には拳銃を握っていた。

「・・・お前を、殺す」

振り向いたキスケの目に飛び込んできたのは・・・・・・・。

利香「やめてぇぇぇ! 淳也ぁ!!!」


next >>最終回「任務 完了。」
1511:03/02/16 03:47
最終回「任務 完了。」

「母さんを泣かす人は許さない!」
幼い体にはあまりにも不釣合いな大型の拳銃を構え淳也が叫んだ。
あまりの光景にうろたえる浦野「淳也、どうしたんや、そんな危ないもん、はよポイせぇ。なぁ・・・」
その刹那、キスケの張り手が淳也をおもいっきり吹き飛ばす。
・・・・!!
利香の胸に抱かれ泣きじゃくる淳也。
キスケ「・・・・強くなったな。淳也。」
利香「キスケさん・・・」

近藤「利香さん、許してください。こうでもしないと頑固なキスケさんはあなたたちの前に姿をみせないと思いました
ので。ご苦労だったな早乙女。」
早乙女「任務、完了ってことですね。」
浦野「近藤!きさまぁ!!」
近藤「ぼっちゃん、あなたの負けです。」
浦野「なにぃ??」
近藤「あなたには・・・殴れない・・・」
-----------------
車の中から利香がでてくる
キスケ「淳也は?」
利香「泣きすぎて寝ちゃった・・・。ヒドイ顔してるわ。」
キスケ「利香、俺は・・・」
利香「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この先、まっすぐ行って右手の方にコンビニがあったの。淳也の手当てに使う絆創膏と、淳也の好物のプリン。
あとメロンパンにジュース3本。『お・つ・か・い』いってくれるでしょ?」
キスケ「・・・・・・・・スマン。」
歩き出すキスケ。途中で振り返る。
キスケ「メロンパンと・・なんだっけ??こんなの、はじめてだから・・・」

END
16柴田ぁ:03/02/16 04:36
>>13-15 アリガトー
友達にビデオ借りてようやっと最終回を観ることが出来たよな気分ダス。
今後のことは又、後ほど。
ィヨロシクネ(ウインクのつもりが両目つぶってしまい視界が真っ暗。不安から半狂乱、絶叫)
1711:03/02/18 23:13
人こないのでage
18名無し職人:03/02/18 23:34
おお〜復活しとる!
実を言うと自分、ドラマタイトルと連続架空ドラの前スレ立てたものです(汗)
いやあ最初の方は自分も書いてたんですけど、
終盤は正直自分の手にはおえなくて、ロムったりたまに感想言ってるだけでした。
スンマセン。
でも職人さん達の文章力は凄い、今は一ファンとして続けてほしいです。
19柴田ぁ:03/02/19 00:15
>>17 申し訳。 >>18 やっとキター! 君かぁ! 待ってたおぉぉ。

多忙につき脳がどんよりしていてカキコむ気力が沸かず、というのは建て前で、
正直「必死」の向かない性格故、ちょとハズかったの。こっそり静観してたのダス。

とりあえず>>8,>>9からやってくとして、当面困らない程度に「想(略」からタイトルを保存しとこうかと。
全部はさすがにシンドイので、とりあえず独断でチェックしてもよろしい?
更に、おすすめのものをタイトルだけ言ってもらえれば、スレ立てた責任上、保管しとくので。
あと何かご意見・文句・謂われのない誹謗中傷等々、あったら書いといてー(すまん
20柴田ぁ:03/02/19 00:33
たびたびスミマセン。「結局必死じゃないか」とか言うな。

試しにいくつか選んでみようと思って見てみたんだが、無理ス。もう全部保存しときます。ので、
「想像力★架空ドラマタイトル★膨らませ!」
http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1042102085/
ここが終わってしまう前に、みなさんの妄想琴線に引っ掛かったもののタイトルを↓に書いてくれれば
順次終了し次第うpします。つうことで。
2118:03/02/19 00:57
ご苦労様です。
とりあえず500までのリクエストを書いときます。
>>94【ラーメン死亡遊戯】
>>165春の連ドラ「仮面ライダーケロッグ」
>>226【寝台特急北斗星殺人事件】
>>329【とあるタニシの一生】
>>355【2ちゃんねる連続殺人事件】
>>369「墓なんていらねえよ〜盆〜」
>>383【北の国から 〜亡命〜】
>>397【横綱八百長日記】
>>452「下町人情映画館」
>>468「トミーとお松」
>>481「名犬ポチと伝説の飼い主」
2211:03/02/19 01:16
122 >> 「初めてのアキハバラ」
137 >> 「実録・自民党本部24時」

この辺もすき。
どうでもいいけど、前スレ203氏はネタ始めればでてくるんじゃない?
本人が気に入ってそうだし。
2311:03/02/19 01:24
>>18
この板の傾向なのかもしれんが、いい人多いよね。
ネタが浮かんだら書く! でいいでしょ?
短くたって、破綻してたっていいと思うのよ。所詮は「あらすじ」だし。


24コンブ:03/02/19 01:42
前スレって、何人くらい参加してたんだろ。
あと、好奇心から聞いてみたいんだけど、
12話って長くないですか?平気ですか?
登場人物多くないですか?平気ですか?
25コンブ:03/02/19 01:43
>>24のメール欄は誤爆)
2611:03/02/19 02:18
>>24
漏れは、おにぎりからこのスレに参加したんだけど、参加者はコテ+3〜4人か?
「おにぎりレストラン」以降の第1話って同じ人だとオモテた。2chでこんな疑問も
おかしいけど。

12話は現実のドラマと同じだからおもしろい設定だと思う。 >>18 さんナイス!!

10話とかで新キャラでるとビックリだけど、それもまた面白味。黙殺されたりするのも味だし(w

ちなみに、おにぎりのラストを書いたときは自分の中で主人公は木村佳乃に変わってます(w
そんなネタバレしてもしょうがないけどネタスレなんだからもっと気軽にガンガンいけば
いいんじゃない?
じっくり完成度を求めるなら、文芸板かドラマ板でやるべき、とかいってみる。

あと、職人集めるならネタをageでネタを進行するべきだとも思ふ。
27柴田ぁ:03/02/19 03:42
>>24
たしかにしんどい部分もあるけど、僕、オモロ方面に対しては軽いマゾなんでw
十二話編成は許容範囲ダス。でもキャラ過増は確かに辛いスね。
>>26
>>14-15を読んで、おにぎり最終話は君だと思ったw やっぱり。

このままだと新規のみなさんがより入りづらくなる予感もするので、いっそ始めてみます?
つうことでとりあえず「命のちから」第一話、何となく書いてみたのでゴーサイン出ればうpしまっす。
28コンブ:03/02/19 21:18
大事な事を思い出しました。「…迷わず行けよ、行けばわかるさ…」
んじゃ、行きますか。
29柴田ぁ:03/02/19 23:32
『命のちから』
第一話「ハルシオン」

「しっかし、君はずいぶんユニークな名前だなぁ」
春原紫苑(はるはらしおん)。彼(岡田准一)はSF作家の春原慈庵(はるはらじあん/筒井康隆)
の息子であるという事に、あまり良い思いを抱いていなかった。
風変わりな親父というのは、他人からすればなかなかに楽しいものに見えるかも知れないが、
紫苑にとってはイイ迷惑でしかなかった。普通の家庭に対する憧れ。
親父のようにはなるまいと、紫苑は真面目な学生生活を送り、落第することもなく医大を卒業。
親友である秋山伸一(妻夫木聡)と偶然にも同じ病院に配属された。
「やっぱり言われんだな(笑)。でもユニークって、なぁ」伸一が小声で呟く。
紫苑は「普通の家庭」に育った伸一に対し軽い嫉妬心があるにはあるが、
唯一心を開ける大事な幼なじみと共に働けるというのは心強く、何より嬉しい。

「ハルシオン…か。君の父さんが付けそうな名前だねぇ」
気味の悪い笑顔を浮かべる医院長・会田(松尾スズキ)。親父の作品のマニアだとか。
「とりあえず二人には、えー、ちょっと野々村君。彼女に付いて色々教えて貰ってくれ」
野々村つぐみ(長谷川京子)…何故か初めて逢ったような気がしない紫苑だった。

次回、第二話「うぐぅ登場」
         (*サイコ調とも取られるかもしれませんが、寧ろラブコメ推奨)

30柴田ぁ:03/02/19 23:34
以降のタイトルは>>8参照
31目刺し屋文十:03/02/20 00:17
第二話「うぐぅ登場」

野々村つぐみ(長谷川京子)と共に過ごす病院での勤務は紫苑(岡田准一)にとって
心の救いとなった。彼女は常に明るく、周りに気を使うことを忘れない。
『精神科』という特異な分野において、その性格を維持していくことは
ある意味大変なことだったはずである。いわば紫苑にしてみれば、
父と正反対の性格だったのだ。日々を共に過ごしていくうち
いつか紫苑はつぐみに惹かれていく自分を自覚せざるを得なかった・・・。
 そんなある日。「紫苑!大変なの!すぐ・・・すぐに来て!」
つぐみからの緊急コール。駆けつけた紫苑が見たものは
白衣を切り裂かれて床に倒れ伏すつぐみと月光冴える窓を背にして佇む
半裸の痩身だった!
目を凝らす紫苑。男は暗い傷口のような唇をかすかに開き、
「・・・う・・・・ぐぅ・・・」とうめくような声をあげた。紫苑は戦慄した。
精神科の伝説。うめき声しか知られていない幻の病気。
誰が呼ぶともなくただ『うぐぅ』と言われたその病を前に、幾多の名医たちが
敗北していった。・・・その患者が目の前にいる!
紫苑は無我夢中で患者に飛びかかった。


次回第三話
「ガーゼは鈴木さんのおなかの中です」




32名無し職人:03/02/20 17:56
第三話「ガーゼは鈴木さんのおなかの中です」

紫苑は「うぐぅ患者」の男性(佐野史郎)へ飛び掛かり取り押さえようとするが、常人ではない力で
弾き飛ばされてしまう。
騒ぎを聞きつけた秋山が紫苑へと指示を出す。
「紫苑!”うぐぅ”だ!あれをやるんだ」
そう、幻の病気「うぐぅ」、その治療法は謎であったが、一時的に発作を抑える方法は分かっていたのだ。
「無理!!」
紫苑がとっさに秋山へそう返事をした刹那、倒れていたつぐみがゆるゆると立ちあがった。

つぐみ「・・・う・・・・ぐぅ・・・」

秋山「院内・・感染だ・・・
   紫苑!早くしろ!! 早く二人の・・・肛門をなめるんだ!!」

紫苑「だから無理だってぇ!!」

秋山「においが気なるなる鼻にガーゼでもつめておけ。看護婦さん!ガーゼを」

看護婦「ガーゼは鈴木さんのおなかの中です。そのまま退院しちゃいました。また医院長のミスです。」

秋山・紫苑「こんな時に内部告発すなぁぁぁ!!!!」



次回 第四話「メス!オス!キッス!」 〜その唇は何処を穿つか?ハルシオン・・・。

33コンブ:03/02/21 01:58
●第四話「メス!オス!キッス!」

死刑執行の際のメカニズムを採用し、目隠しシャッフルで肛門に構える紫苑と秋山。
事態を察した看護婦が、尻丸出しの「うぐぅ患者」の男性(佐野史郎)と、
野々村つぐみ(長谷川京子)の肛門をサッと脱脂綿で除菌。紫苑と秋山の目隠し状態もチェック。

秋山「さぁさぁさぁ! べろんと舐めちまえ紫苑」
紫苑「…お前の肛門が、ハズレだよ」

固唾を飲むばかりの二人を見て、事態を察した看護婦が、頭をぐいっと押す。
あわてて抵抗する二人。

「わかった。わかった。自分からさせて、自分で大丈夫」

取り囲むギャラリー。暴れるうぐぅ患者を取り押さえる若い研修医たち。
静かな室内に、すすり泣くような声と、ペロペロという音。

   ***

翌日、意識を回復した患者に、オペの詳細は伏せられ、
秋山と紫苑にも、肝心の事実は知らされることはなかった。

次回、第五話「闇の臓器売買!肝臓の価値はおいくら?」
34名無し職人:03/02/23 04:16
第五話「闇の臓器売買!肝臓の価値はおいくら?」

春原慈庵が家で突然倒れ紫苑の病院へ運ばれた。
検査の結果は重度の肝硬変。医院長は慈庵に助かるためには肝臓移植が必要だと告げた。
「ちょうど先ほど新鮮な提供者が『2名』現れたんですよ。もちろん他言は無用ですぞ。」
* * *
紫苑は病院の屋上でぼんやりしていた。「…舐めた…野々村さんの?…それとも患者1号の?」
うぐぅの発作は1週間ごとにやってくる。否応なしに来週になればまた肛門を舐めければならない。つぐみのなら構わない、いやむしろ嬉しい。しかし患者1号のは嫌だ、どうしても嫌だ。
目隠しをされるので、自分の舐めたのがどちらかは分からない、ほんとか?男と女の肛門は匂いも味も違うのではないか!そうだ、舌先の感覚を鋭敏にすれば判別することは不可能ではないはず!
よし、ババロアを舌先で味わうようにして先端の感覚を極めれば!って相手が男だったダメージが増えるだけじゃないか!もちつけ俺!そうだ、あの患者1号さえいなければ・・・
* * *
野々村つぐみは、偶然立ち聞きした看護婦たちの会話で事の次第を知った。「…舐められた?…うそ?…ほんと?」
正直、紫苑にも秋山にも悪い感情は抱いていない。2人とも若いし優秀だし医者だから食いっぱぐれないし。これからも毎週舐められる?発作が起これば意識が飛んでしまうので覚えていないのがおしい、
いえいえ。愛せる?あの2人のうちどちらかを?うん大丈夫そう。ああ、2人の天才医師を独り占めなんて罪な女ね、あ・た・し、ってほんと?ほんとにそう??患者は私だけじゃない。男がいるのよ!男!!
毎週男の肛門を舐め続けた人を愛せる?いや!いやぁ!そう、あの男さえいなければ!
* * *
深夜の病院。患者1号の病室の前で紫苑とつぐみは顔をあわせた・・・

次回 >>> 第六話「天才医師と美人ナースのラブアフェア」
35名無し職人:03/02/25 01:52
第六話「天才医師と美人ナースのラブアフェア」

病室の前で出会った二人。沈黙・・・
紫苑「・・・・きまずい・・・・」
つぐみ「いやぁぁ!まだこころの整理ができていないのに!
二人のうちどちらかを選ぶかなんてできなぁい!!」
突然走り出すつぐみを追いかける紫苑。「は、はやい!!」

その後、院長が数名の部下をつれて病室の前に来る。
ガチャリ・・・病室に入った院長がベッドの上に手を伸ばした瞬間・・・
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
そこでは秋山と若い看護婦が抱き合っていた。
うぐぅ患者の病室は隣だったのだ。

翌日、紫苑は父・慈庵の見舞いにいった。
慈庵「なあ、ハルシオン・・・」
紫苑「息子をそのあだ名で呼ぶな!!」
慈庵「やっぱり、移植・・・やめるわ」
・・・・・・
紫苑「父はこの僕が直します!!」
紫苑は慈庵の担当外科医に言うのであった。

(゚Д゚)ハァ おまえ精神科医だろ????

next -> 第七話「脅威の回復力!現代医学VS仙豆」
36名無し職人:03/02/27 02:51
第七話「脅威の回復力!現代医学VS仙豆」

2回目の「うぐぅ」の発作治療の日、待機室で紫苑と秋山はコーヒーを飲んでいた。
秋山「お前、おやじさんを”直す”とか大見得切ったらしいな」
紫苑「ああ」
秋山「どうするんだ?だいたい、”直す”じゃなくて”治す”だろ? テレビじゃあるまいし・・・」
紫苑「いいだろ。」
秋山「それで? どうするんだ? あては・・・あるの・・・か・・・・・・・・・・・・」
紫苑「ぜんぜん。それよりも秋山、お前にあやまらなくちゃいけないんだ。」
秋山「・・・・zzz」
紫苑「そのコーヒーに睡眠薬入れたの、俺。」
* * *
治療室に入ると紫苑は看護婦に告げた。
紫苑「秋山医師は体調不良のため、私一人で治療を担当します。現代医学を代表してがんばります!」

「まてぇぇぇい!!」
席に座ろうとした紫苑が振り返るとそこには5人の医師が立っていた。
「我々は、日本医学学会仙台青葉城恋唄支部うぐぅ対策豆知識班、略して「仙豆」だ!」

紫苑(・・・・略しすぎて原形とどめてねえぞ、おい。)

「みせてやろう!我々の研究成果による脅威の回復力を!!」


次回 >> 第八話「余命宣告」
37TβS放送協会:03/02/27 03:13
再放送のお知らせ〜おにぎりレストラン〜     (↓の1、スマン)
http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1045738318/9-
38∞ ◆MUGEN2X1b2 :03/02/27 16:36
第八話「余命宣告」

紫苑は病院屋上のベンチで落としていた。精神科医である紫苑の「パッチ・アダムス」方式
では麻酔が効いて眠っている父:慈庵を笑わせることは出来ず、看護婦が笑うばかりであった。
一方、仙豆の「肝臓豆知識」によって執刀医のメスさばきも冴え慈庵の手術は成功した。
「畜生、完敗だ。それに、NHKの「シャーロック・ホームズの冒険」を見逃した。
一体犯人は誰だったんだ?そしてそのトリックは・・・・!?くそう、親父め!」
「気にすること無いわよ。紫苑先生。」
「あ、つぐみさん・・・。いや、その・・・」
「面白かった、あのしゃがんだかと思えば立っていたり、脱いだ!かと思えば本当に丸出しだったり・・」
「有難う。『忍法お出掛けフェスタ!2003冬」だね・・・」
「え?なに?」
「いやなんでもないんだ。ワハハハ・・・う、うぐぅ・・・・!」
「紫苑先生!たいへん・・・・誰か!だれかぁぁぁ!!!」
「どうした!つぐみさん!」
「秋山先生!紫苑先生が!突然倒れたんです!」
「よし、病室まで運ぼう!つぐみさん!手を貸してくれ!」


「それで、具合はどうなんですか?」
「うぐぅだ・・・」
「そんな・・・・!嘘ですよね?医院長!」
「二次感染だよ。彼は専門じゃなかった。当然といえば当然だよ」
「あと・・・後どれくらいもつんですか?」
「うぐぅの二次感染は難しいんだ。もって3ヶ月、いやもっと早いかもしれない。」
「わ、私が彼の看病をします。今度は私が助けなきゃ!」


次回→ 第七話「人間がすきだ!」
39∞ ◆MUGEN2X1b2 :03/02/27 16:42
>>38
一行目「肩を」がぬけてる。
40柴田ぁ:03/03/02 02:39
第七話「人間がすきだ!」(今頃八と七が入れ替わってることに気付いた...キニシナイ!)

食事を運び入れた看護婦に優しい声で「ありがとう」と告げる紫苑。
穏やかな日曜の午後。空は青い。
事前の症状と云えばただ「うぐぅ」と喚き散らすのみ、他にこれといった痛みや苦しみを
伴うことなく死に至る、新手の「ポックリ病」とも云えるこの奇病も、こんな穏やかな太陽の下では無力だ。
「散歩でもしようよ」

中庭を歩く紫苑とつぐみ。
車椅子の老夫婦が眩しそうに空を見上げる。
「早いとこ現場に戻んないと、腕が鈍っちゃうよ」大きく伸びをしてそうつぶやく紫苑に、つぐみが尋ねる。
「憶えてる?」

─幼稚園のジャングルジム。大声で笑い遊ぶこどもたち。
古いフィルム映像にノイズ混じりで聴こえるおゆうぎの歌声。
ひとりの少年にズーム。泥だらけの制服の胸に「はるはら」とある。
少年の視線の先にひとりの少女。すぐに画面は切り替わり、先の老人達。まだ空を見上げている。

「子供の頃から、ずっと嫌だったんだ。あんな出鱈目な親父みたいにだけはなりたくない、って。
キャッチボールやファミコンに付き合ってくれるような、伸一のお父さんみたいな親父だったら
って、心底思ってたよ」つぐみの問いかけを軽く流すように、ひとり語りを始める紫苑。
忘れていたわけではないのだ。面影をはっきり残したつぐみの横顔に目をやる。

──「ぼくたち、けこーんすゆ!」──

「戻ろう。今日は体の調子もいい。ちょっと研究したいこともあrうぐぅ!!」急に悶える紫苑。

第九話「はいこちら、ナイトホスピタルです」
41名無し職人:03/03/04 19:33
第九話「はいこちら、ナイトホスピタルです」

紫苑は集中治療室へ運ばれた。しかし対処ができるわけもなかった。「うぐぅ」は不治の病なのだ。
一時的に症状を和らげる方法は・・・。つぐみは意を決して紫苑のパンツを脱がした・・・。
* * *
秋山は妙な胸さわぎを覚えつつ院長に呼ばれて部屋へと入った。
中では院長と「仙豆」のリーダー的な男が立っていた。院長は醜悪な笑みを浮かべ秋山の肩を
抱きながらことの次第を語り始めた。

・・・「ぽっくり病」の「うぐぅ」が臓器移植に最適なこと・・・・
・・・この病院には金持ち用の非合法の移植設備があること・・・・
・・・「仙豆」は「うぐぅ」を病院外には持ち出さず院内で臓器提供者を作り出す組織であること・・・
そして
・・・「うぐぅ」は患者の肛門を舐めることで感染すること・・・を。

絶句する秋山に院長がさらに告げる。
院長「仲間になれ。そうすれば君だけは助かる道がないわけでもない。もうすぐ君も発病する。」
秋山「冗談じゃない!! ・・・・!!・・・・・う、うぐぅ・・・」
院長「残念だよ。秋山君」
院長は電話をとると、内線をかけた。
「はいこちら、ナイトホスピタルです」
「私だ。また臓器提供者が一人増えたよ。」
* * *
集中治療室。眠っている紫苑の横でつぐみは自分の唇に指をあてていた。紫苑の寝顔に視線を移し
ゆっくりと顔を近づけようとしたとき・・・「う、うぐぅ!!! ほ、発作が・・・」
もんどりうって床に倒れこむつぐみ。必死にベッドへはいあがり紫苑の胸ぐらをつかむ。
「起きて!起きて紫苑!! ・・・今度はあなたが舐めるのよ! 起きなさいぃぃ!!!!
死ぬもんですか! ふたりで、ふ・ふたりで生き抜くのよ!」


次回 >> 第十話「君が望む永眠」
42柴田ぁ:03/03/09 01:21
第十話「君が望む永眠」

地下通路を歩く足音が不自然に響く。ガチャリ。ギィ。重い鉄製の扉。
「許可無く持ち出す事を禁ず 院長」と張り紙のしてあるガラスケースには
劇薬と呼ばれる類の薬品類がぎっしりと並んでいる。
「見つかったらなに言われるかわかんないわよ。それにどうしたっていうの」
「大丈夫。謎は全部解けたよ」

「肛門を舐める」という屈辱的な行為がなぜうぐぅの症状を和らげるのか。
紫苑は朦朧とする頭でひとつの無茶な仮説を導き出した。

うぐぅは、病気なんかじゃない。

人間の思いこみというものは侮れない。
小学生の頃、給食のシチューが原因と見られる食中毒事件があった。
昼休みの後、ひとりの生徒が「お腹痛い!」と保健室に運ばれた。
そういえば僕も、と次々に体の不調を訴える生徒。
「そういえば今日のシユー、味ヘンじゃなかった?」とひとりの生徒が口にした途端、
紫苑のクラスメイトの殆どが保健室やトイレへ駆け込んだ。
次の日、給食センターから「期限切れの牛乳が3本ほど混じっていた」との発表があった。

「大概のケガはツバつけりゃ治るんだよ」
何らかの大きな力が動いている、と疑った紫苑は、院長・会田(松尾スズキ)のことを
インターネットで調べた。三流マジシャン・会田満夫、催眠術による強盗行為──

院長室のドアを開けると、市会議員とふたり談笑する会田がいた。
出鱈目な薬品を混ぜ入れたビーカーを手に、紫苑が勢い込んで言う。
「これからうぐぅ患者全員の緊急オペを行います」


次回 >>第十一話「最後の賭け!盲腸速さばき対決!」
43名無し職人:03/03/11 01:25
第十一話「最後の賭け!盲腸速さばき対決!」

「これからうぐぅ患者全員の緊急オペを行います。議員さんも是非見学してください。
うぐぅの治療法が見つかったんです。これで全部解決です。この町の大きな問題なんだから
議員さんにも見てもらわないと。ほらこのビーカーの中身がそれです。はいはい早く手術室へ」
議員の手を引き部屋を出て行く紫苑。慌てて追いかける院長。

手術室では、秋山、患者一号、つぐみがオペ台の上でしっかりと拘束されていた。
「秋山!どうしてここに?」驚く院長を部屋の影から見ていたのは秋山の愛人の看護婦だった。
紫苑「それではいきます!」
つぐみ「ほんとに大丈夫なの?紫苑??どうする・・・つもり・・・」
紫苑「僕にまかせて」
キっと院長と睨みつける紫苑、
「このビーカーの中身は・・・・捨てちゃいまーーーーす!ど〜〜〜〜ん!!」
思い切り壁にたたきつけられ割れるビーカー。
「心霊手術で盲腸を摘出してみせま〜す!」
秋山「ちょ、ちょっと待てぇ!!紫苑!!!」
「も〜、オソイデ〜〜〜ス!!!! ズッボ〜〜〜」
秋山「う、げぇ!」深々と秋山の腹に紫苑の拳が突き刺さる。
「う〜〜〜ん。・・・・・・しっぱいデ〜ス! 次!」
患者一号の腹にもいっぱつ。
「これもシッパイで〜す! ツッギ!!」
つぐみ「うそでしょう!やめて!!!!紫苑!!!」
「カクゴをキメテくださ〜〜〜い!!!」
つぐみ「なんでニセ外国人??? きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
* * *
院長「ふん。ついに狂いおったか。ああ、内臓傷ついてないだろうなぁ〜」
紫苑「狂った? 冗談じゃない。みんな完治ですよ。」
院長「なんだと!!」


次回 >> 最終話「先生!そこはダメよ」
44名無し職人:03/03/13 12:53
    ~CM hosyu~
45柴田ぁ:03/03/15 04:19
最終話「先生!そこはダメよ」

紫苑(岡田准一)は内蔵に腕を突き刺す「ような格好で」患者の耳元にこう囁く。
「うぐぅ?ハァ?何言ってんの?」

都合の良い妄想に耽り気持ちよく「生きるのをやめる」事の出来る、うぐぅ。
所詮3流催眠術師のやることなんて、その程度のもの。ちょっと背中を押していたに過ぎない。
天狗もオバケも神様も、そしてSFも、その程度のものなんだろ?
安楽死。
本当は誰も困ってない。誰も悲しくない。うぐぅなんて治す必要はないかも知れない。
でも俺は嫌いなんだよ。糞。
「フツーにやろうよぉ」

バツの悪い顔で寝たふりをする元うぐぅ患者。
もっとバツの悪そうな顔の会田(松尾スズキ)に近付き、紫苑が言う。
「あのアレだ。辞めます俺。医者。向いてないわ。不思議だもの。病院は。概ね。
もっとこう平べったい...何て言うの?社員旅行行くような?ヌルめの職につきますわ」
「紫苑君、オイ、春原先生!そこは」
出口と思って手を掛けた扉の中から、一斉に吹き出し舞う札束。
「何かもう、いいわ。こんな現実味のない金額はもう俺の中では金じゃないもの。
知らないから。見てないから。そこそこに上手くまとめてくれよ。知らないよ俺は」

無気力に歩き出す紫苑の後を追うつぐみ(長谷川京子)と秋山(妻夫木聡)。
「何これ?何?何?」
「紫苑くん、一体...」
「もう、うん、いいだろ?
 あとつぐみさん、コレ。さすがに憶えてないだろうけどさ」
下手糞な字で「けこん」と書かれた褪せた画用紙。手に取りつぐみはこう言った。
「何コレ?」

〜『命のちから』おしまい〜
46柴田ぁ:03/03/15 04:21
       もうね、ホンットごめんなさい。
意味の分からない伏線張りまくって収集つかなくしてしまいました。

            スマソ
47TβS放送協会:03/03/15 04:24
『もみあげ』

第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
第四話「石原都知事の逆襲!」
第五話「無情!放たれたBB弾!」
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
第九話「ふと、我に返ったとき」
第十話「ボスはホームレス」
第十一話 『垢の嵐』
最終話「俺にはダンボールがお似合いさ」
48TβS放送協会:03/03/15 04:31
その他の放送予定

スペクタルSFドラマ
『〜木星と冥王星のあいだ〜』
第一話「宇宙マグロの襲来!行くぞ!戦艦つれたか丸!」
第二話「360度の攻防!遥かなるイスカンダルへ!」
第三話「お中元の季節-ガニメデの場合」
第四回「ブラックホールの悪夢」
第五話「酸素欠乏症の中で。」
第六話「私を殺して!〜ワタス神のコじゃなかったの?」
第七話「宇宙からのメッセージ:(^^)」
第八話「大異変!スレ下がりすぎ」
第九話「>>98の仕業と思われ・・・」
第十話「見えざる敵との戦い!守れみんなのスレ!」
第十一話「睡魔との闘い」
第十二話「乗っ取られたスポック」
第十三話「木星からのSOS!、山崎渉の陰謀」
最終話「ここはひどいインターネットですね」
49TβS放送協会:03/03/15 04:32
その他の放送予定

『西日暮里夫人』
第一話「私の下着はキツネ色」
第二回「お父さん、ヤメテ!」
第三話「襲撃あるのみ」
第四話「初物喰い」
第五話「息子の家庭教師のタケシ君が・・・」
第六話「我慢汁で癒されて」
第七回「梅毒の襲来」
第八話「懲りずに父子ドンブリ」
第九話「あっ あん きもちい ぎもぢいよー」
第十話「究極の夜這い」
第十一話「至高のテクニック」
第十二話「宿敵!東日暮里旦那現る!?」
最終回「家族全員梅毒」
50柴田ぁ:03/03/15 04:47
何となく1から読み返してみますた。
>>31>>32>>33>>34>>35>>36>>38>>41>>43、心底、乙。
掻き回してしまった反省も込め、次回から1,2クールは、いち視聴者として楽しみまつ。
皆さんで協議の上、とりあえず↑の中からスカッといけそうなタイトルを選んでネ
51名無し職人:03/03/15 18:52
ラストの紫苑は柴田ぁ氏の心情代弁者に思え(ry  で終了
52柴・F・田:03/03/15 19:23
>>51 絶対言われると思ったw  んなこたぁないス。
天狗もオバケも好きだけど、知識がないので誤魔化(ry で終了。すまん。
「結局、紫苑とつぐみって昔何があったの?」等の質問には答えかねまつ。

ここ数日、テレビで岡田やハセキョーを見かけるたびに
校門とか嘗めさせてしまって申し訳ないという気持ちになったのは俺だけか?
という部分も含めて楽しかったッス

次行ってミヨー
53名無し職人:03/03/15 22:25
職人さん少ないねぇ。
今回1ヶ月近くかかったもんなぁ。
で、もうちょっと軽くかける次回予告風にしてみた。
以下、『〜木星と冥王星のあいだ〜』

現行のままがいい人はそっちもどうぞ。
54名無し職人:03/03/15 22:25
20XX年、宇宙マグロの襲来!
喜ぶ回転寿司、落ち込む漁業。しかしこれは人類に忍び寄る新たな危機の
プロローグでしかなかった!!
その時、マグロの危機に一人の男(光一:長瀬智也)が立ち上がった。
「戦艦つれたか丸!発進!!!」
その姿を見て、人々は叫んだ・・・・

「漁船が空を飛ぶな!!」と。

新番組、スペクタルSFドラマ 『〜木星と冥王星のあいだ〜』
第一話「宇宙マグロの襲来!行くぞ!戦艦つれたか丸!」
おたのしみに!!
55名無し職人:03/03/15 22:26
宇宙マグロを守れ!環境保護団体「イスカンダル」が立ち上がる。
ついでに「タマちゃんを見守る会」も立ち上がる。
孤立無援のつれたか丸に現れた一人の女(ともみ:仲間由紀恵)。敵か?味方か?
そして、ついに宇宙マグロの初めての犠牲者が!!

「お客さん、食べすぎですよ。」

次回、
第二話「360度の攻防!遥かなるイスカンダルへ!」
あなたのハートを一本釣り!!
56名無し職人:03/03/15 22:26
「イスカンダル」を目指すつれたか丸に届けられた謎のお中元。
誰が?何故?? 深まる疑惑とくっつくお腹。たまらず開けられたお中元の中身とは
「カニ缶たぁメデてーな」!!
そしてつれたか丸に訪れる危機!飲料水が底をつく。反目しあう光一とともみ。しかし
恵みの雨に2人は笑顔をかくせなかった。「これでカニチャーハンが食える!」
その時、光一は叫んだ!

「カニ缶の汁は捨てちゃ駄目だぁ!!」

次回、
第三話「お中元の季節-ガニメデの場合」
1年間の感謝を込めて・・・。
57TβS放送協会:03/03/15 23:13
>>53 予告tnx!
臨時会議室コチラ
http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1046366415/
58TβS放送協会:03/03/16 00:24
新放送
スペクタルSFドラマ
『〜木星と冥王星のあいだ〜』

第一話「宇宙マグロの襲来!行くぞ!戦艦つれたか丸!」
第二話「360度の攻防!遥かなるイスカンダルへ!」
第三話「お中元の季節-ガニメデの場合」
第四回「ブラックホールの悪夢」
第五話「酸素欠乏症の中で。」
第六話「私を殺して!〜ワタス神のコじゃなかったの?」
第七話「宇宙からのメッセージ:(^^)」
第八話「大異変!スレ下がりすぎ」
第九話「>>98の仕業と思われ・・・」
第十話「見えざる敵との戦い!守れみんなのスレ!」
第十一話「睡魔との闘い」
第十二話「乗っ取られたスポック」
第十三話「木星からのSOS!、山崎渉の陰謀」
最終話「ここはひどいインターネットですね」
59名無し職人:03/03/16 01:24
第一話「宇宙マグロの襲来!行くぞ!戦艦つれたか丸!」

20XX年の日本。2000年頃から始まった停滞感を抜けきれず若者たちは相変わらず
無気力にただ流れる時間に身をあずけていた。日本の人口は減少傾向にあったが米の自由化と
世界の爆発的人口増加により世界は食料危機に陥っていた。
そこに救世主が現れた。なんと突如宇宙から生物が飛来したのだ。食える。(゚д゚)ウマー !!
その生物はその姿、味が似ていることからこう呼ばれた「宇宙マグロ」と。

御剣光一(長瀬智也)は新渋谷でチーマーのリーダーをしていたが、ある事件をきっかけに引退。
社会に馴染むことができず銚子で漁師見習いをしていた。きびしいが腕は確かな西田権蔵
(川谷拓三・故人)とその娘・ようこ(間下このみ・当時)との生活に光一は不思議な暖かさを
感じていた。そこへ現れた宇宙マグロ。無尽蔵とも思える程わらわらと現れる宇宙マグロに権蔵の
漁は壊滅的な打撃を受ける。

権蔵の危機を救うためつくば科学都市へ向かった光一は不思議な雰囲気をもった女性(椎名林檎)
に引かれるように都市の地下に迷い込んだ。そこは地下水路だった。そして一隻の小さな漁船。
光一がそれに乗り込むといきなり声がひびいた。
「対宇宙まぐろ用決戦兵器・戦艦つれたか丸、発進せよ!」
ゴゴゴゴゴ・・・・
「な・なんだ!・・・これ・・・浮いてる??」

* * *
東京上空
「あれはなんだ!!」
「かっこわる〜〜」
「漁船が空を飛ぶな!!」
「船底にこびりついた貝が気持ち悪い!」
阿鼻叫喚の怒号の中をつれたか丸がゆく。遥かなる戦いに向けて・・・。人類はまだその危機に
気づいてはいなかった・・・。


次回 >> 第二話「360度の攻防!遥かなるイスカンダルへ!」
60名無し職人:03/03/16 02:20
第二話「360度の攻防!遥かなるイスカンダルへ!」

つれたか丸は大漁旗をはためたせつつ大気圏を越えた。
光一(長瀬智也)は権蔵(川谷拓三・故人)の方針により操船させてもらえておらず、
実は操船はうまくない。しばらく計器やレバーを弄っていると突然無線が。
『オイ、貴様そんな所で何やってんだ!』
「すいません。操船に慣れないもんで、え〜とあの〜」
『チンタラやってると死ぬぞ!』
光一が何のことか分からず戸惑っていると一艘の船が迫ってきて、つれたか丸の横で停止した。
そして一人の屈強な男(松方弘樹)が出てきて
「なんだ、まだ若造じゃねえか。何考えてんだ『ヤマト』はよう。
 俺は『むれおむつ丸』の船長、池脇源三だ。あんちゃんは?」と言った。
源三は光一が名乗ろうとするとそれを遮り
「まずいぞ。俺の船について来い。それくらい出来んだろ」
宇宙マグロが迫る。

光一はむれおむつ丸に必死でついていく。宇宙マグロをなんとか避けて進むつれたか丸。

ドカーン

突如衝撃が走る。光一は床に叩きつけられた。宇宙マグロが船に突っ込んで来たのだ。
『おい、あんちゃん大丈夫か。無線とは別にマイクがあるだろ。それに向かって
なんか叫べ!マグロ野郎の悪口か面白いことを叫ぶんだ!」
「え!?あっ、ハイ。サカナーーーーッ!!!」
すると宇宙マグロの何匹かが爆発した。
『そんなんじゃやられっちまうぞ!持田香織ィーーーーー!!」
あたり一面の宇宙マグロが爆発する。
『見たか!ザマアミロ!おい、前方にでっかいマグロが見えるだろ。
あれが宇宙マグロの中継発射基地だ。あれをぶっ壊すんだ』
61名無し職人:03/03/16 02:20
* * *
なんだかんだで中継発射基地を破壊することに成功した二人。
「あの〜これは一体・・・」
「イスカンダルさ。全てはあそこから始まったんだ。俺たちはいずれそこへ行かなきゃならない
まあ、詳しいことは後だ。近くの星に知り合いが居るんだ。そこへ向かおう」
「え?俺も?」

次回 >> 第三話「お中元の季節-ガニメデの場合」
62名無し職人:03/03/16 02:58
すいません。>>60-61は無しでお願いします。
リライトはコチラ↓


第二話「360度の攻防!遥かなるイスカンダルへ!」

つれたか丸は大漁旗をはためかせつつ大気圏を越えた。
『つれたか丸について説明します。この船は目の前のマイクに何か言葉を叫ぶことで
攻撃します。よりインパクトのある言葉がダメージを多く与えることがせきるのです。
それでは目標まで誘導します。目標は宇宙マグロ中継発射基地です。」
何がなにやら分からない光一(長瀬智也)。すると宇宙マグロがつれたか丸に追突してきた。
爆発する宇宙マグロ。床に叩きつけられる光一。再びあの声がこだまする。
『なにか叫んでください。このままでは船が沈没する可能性もあります。』
「なんなんだよ、一体。くっそう、ようこちゃ〜〜ん!」
宇宙マグロ数匹が爆発する。
『それではまだダメージが低いです。もっとインパクトのある言葉を。』
「研ナオコ風呂ォーーー!!」
今度は一面の宇宙マグロが爆発した。
『目標に接近しました。合図をしたら叫んでください』
光一は緊張しながら合図を待った。そして、合図が、
「みのりかわのりお、またの名をみのもんたァーーーーっ!!」

* * *
宇宙マグロ中継発射基地を撃破した光一。
そしてナビゲートボイス(aiko)のダメ出し
『「またの名を」では若干意味がつながらないですよ』
「・・・・・・・・。なんなんだよ、これは」
『すべてはイスカンダルから始まりました。しばらくあちらも中継発射基地を
作れないでしょう。今のうちにイスカンダルへ向かいます。少し遠いですが・・・』
光一は突如睡魔に襲われ、その場に倒れた・・・・・

次回 >> 第三話「お中元の季節-ガニメデの場合」
63名無し職人:03/03/16 03:33
第三話「お中元の季節-ガニメデの場合」

「一寸、起きて頂戴」

昭和の時代『コスモルック』と呼ばれた、実用性に乏しいデザインの宇宙服を纏った零羅(椎名林檎)は、
つれたか丸の先端、見晴らしの良いラウンジルームで快適な宇宙(と書いて、そら、と読ませたいんだろう)の旅、
といった風で、右も左も分からない光一(長瀬智也)に対し、笑顔も見せず、
呑気に、しかし野暮ったい言い回しでこう言った。

「一旦此の星で降りるのよ。任務其の壱。ガニメデには有名なショツピングモゥルが在るの。
トロヤの酒場に『ゼウス』というお酒が在るから、それを1ダァス買って来なさい。
さっさと任務を終えて頂戴。まつたく、此処は危険な事ばかりで、碌な物が無いのだからねぇ」

何なんだよもう。少しイライラしながらもとりあえず外に出る光一。
ガニメデはそれなりに栄えた都市も点在する。地球からの移住者も居ると聞く。
街へ近づくと、懐かしい、というよりは地球の、それも日本のいわゆる商店街といった雰囲気。
「トロヤの酒場」はすぐに見つかった。「酒場というよりも、酒屋じゃん」
「はぃはぃ、お中元のシーズンにはゼウスだよう!」(翻訳コンニャクで聞き取り可)
威勢のいいおっさんの声。まるきり日本の酒屋じゃねぇか。宇宙くんだりまで来て何なんだよ、
とぼやきながらも、光一はおやじにゼウスをくれ、と頼む。
「ようボウズ、地球からか?」
酒屋のおやじ・ガリレオ(名古屋章)は親しげに話しかけてくる。
何でも地球人の血を引く二世なのだそうだ。
「地球人ならアイツ知ってっか? ミスター・ブラックホール。困ったモンだよアイツには」

ミスター・ブラックホール。宇宙を放浪する謎の男。
光一はイヤーな予感をひしと感じていた。
「うさん臭ぇなぁ」


次回、>> 第四回「ブラックホールの悪夢」
64名無し職人:03/03/16 13:50
第四話「ブラックホールの悪夢」

船に戻った光一(長瀬智也)は船員にミスター・ブラックホールについて聞いてみるが誰一人答えてくれるものはいなかった。
その何か含んだ様子に光一はこれ以上突っ込むのを止めることにする。
しかし光一の頭にはブラックホールの事がまとわりていて離れなかった。
「困ったモンだよアイツには」
ガリレオ(名古屋章)の言葉が思い出される。

ミスター・ブラックホール・・・一体何者なんだ?

するとその時船内に警報が鳴り響いた。
「宇宙マグロか!?」
だが光一の予想は裏切られた・・・
船員達が口々に言うその言葉によって

「ミスター・ブラックホール・・・」

船に通信が入りその男の顔が映しだされた。

光一はその顔に見覚えがあった
「あんたは!」

次回 >> 第五話「酸素欠乏症の中で。」
65名無し職人:03/03/16 15:33
第五話『酸素欠乏症の中で。」

「ミスター・ブラックホール」その姿を見た光一(長瀬智也)は戦慄した。
「姉さん?」
 その正体は五年前の結婚式で祝儀の金をネコババして去っていった
 光一の姉、洋子(磯野貴理子)だった。
「ミスターって女じゃん!」
 そんな突込みをさえぎるように洋子は言った。
「光一、ホースの力を信じなさい!私たちは選ばれた一族なのよ」
 そういい残して洋子は去っていった。

 しばらくたった後、船員(甲本雅弘)が騒ぎ出した。
「大変です。積んであった酸素がごっそり盗まれました」
 酸素がなくなっていく船内。
「僕がミスッターばっかりにブラックホールに・・・」
 そんな駄洒落が船内の空気をより一層薄いものにしていた。
 沈んだ空気をなんとかしようと光一は叫んだ。
「俺に任せてください。ホースの力を使えば絶対うまくいきますから」

宇宙の歴史がまた1ページ

次回 第六話「私を殺して!ワタス神のコじゃなかったの?」
66名無し職人:03/03/16 23:56
第六話「私を殺して!〜ワタス神のコじゃなかったの?」

「ホースよ!我に力を与えたまえ!!」
光一はいきなりトイレに飛び込んだかと思うと、すぐに現れ叫んだ。
「この水道のホースで宇宙空間から酸素を取り出すんだ!」
ドゲッシ!! 零羅(椎名林檎)のとび蹴り。「死んじゃうよ〜〜〜!!」

ガガガガガッ・・いきなり衝撃に襲われるつれたか丸
「なんだ!」
「船尾になんか突っ込んだ! アリャ 宇宙マグロじゃねぇか」
「体にボンベ巻きつけてるぞ!「あいつが犯人か!」
* * *
いきなりぶつかってきた宇宙マグロと酸素ボンベを回収しなんとか危機を
脱するつれたか丸。
「酸素と一緒に食料も手に入ったね」光一がそう言うと船内に緊張が走る。
「まさか? 食う・・・の??」
零羅の困惑の表情にとまどいながらも出刃包丁を取り出す光一。

「・・・・タ・・・ス・・・ケ・・・テ・・・」
「え?」光一が宇宙マグロに刃を向けたとき、ふいに声が聞こえてくる。
「タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ・・・・・・・・・・私を殺して!」
「ぐわぁ!!!!マグロがしゃべった!!しかも日本語!!」

宇宙マグロの声(戸田恵子)「ワタス・・・私・・・タスケテ・・・殺して!
カミノコ・・・殺して!・・・ワタシハカミノコ・・・・嘘つき!!・・・カミノコダ・・・
楽園・・なんかじゃなかった・・殺して」

呆然とする光一の肩に手をおいて零羅が言う。「これが・・・敵よ」


次回 >> 第七話「宇宙からのメッセージ:(^^)」
67名無し職人:03/03/19 17:40
第七話「宇宙からのメッセージ:(^^)」

つれたか丸のブリッジに座り込む光一。その横に零羅がやってくる。
光一「なぁ。あれなに?」
零羅「・・・」
光一「宇宙マグロってなんなんだよ」
零羅「・・・」
光一「答えろよ!」
零羅「・・・イスカンダルにいけば・・・わかるわ・・・きっと」
光一「おまえは知ってるんだろ?なんで教えない!」
零羅「・・・」
光一「チッ!!」
舌打ちして苛立ちをあらわにして光一が立ち上がった瞬間、船内に警報が鳴り響く。
船員「発信元不明の通信が入ってます。スクリプトかもしれません。モニタに出します。」
突然モニタいっぱいに映る謎の文字

(^^)

光一「なにこれ?」
零羅「わからない。でもなぜかしら・・・とってもムカツクわぁ」
* *  *
その頃、日本の銚子では光一の帰りを待っている権蔵とようこの身に危険が迫っていた・・・。


次回 >> 第八話「大異変!スレ下がりすぎ」
68コンブ:03/03/19 19:45
好奇心から立てた、パンツ売りますスレッド。

98 :権蔵 :03/02/14 18:43
  >>1のパンツには、うんこついとる。

なんだこの書き込みは! なぜ知っているんだ!
洋子は激しい憤りを覚え、レスも途絶えた。

   ***

猫を撫でながら、パートのおばちゃんを監視する謎の男、山崎渉(段田安則)。
69コンブ:03/03/19 19:45
次回、第九話「>>98の仕業と思われ・・・」
70名無し職人:03/03/22 23:11
第九話「>>98の仕業と思われ・・・」

意外なところから家庭崩壊の一路を辿る西田家。
「きゅ、>>98の仕業と思」
「わたし、出ていくから」

再び舞台は宇宙へ。

イスカンダルの港町・スレ。
宇宙海賊SAGEIZMの狙いはイスカンダルの国交を絶つことにあった。
海賊船にはためく「(^^)」のマーク。
光一を待ち受ける悪夢をあざ笑うかのよう。
人間の目には映らない透明種族SAGEIZMとの戦いが待っているとも知らず、
呑気に進むつれたか丸。


次回、 >> 第十話「見えざる敵との戦い!守れみんなのスレ!」
71名無し職人:03/03/22 23:14
一話>>59 二話>>62 三話>>63 四話>>64 五話>>65
六話>>66 七話>>67 八話>>68 九話>>70
72名無し職人:03/03/23 01:53
第十話「見えざる敵との戦い!守れみんなのスレ!」

イスカンダルの大気圏突入時にSAGEIZMの攻撃を受けたつれたか丸はスレの街から離れた
湿地帯に不時着する。
零羅「ここまでね。ここは私が押さえるから光一はスレのカッコーログ倉庫に行きなさい。
そこでコティ・ハンという人に会うの。」
光一「みえねぇ奴相手にどうするつもりだよ!」
零羅「だいじょうぶ。ああそれと、今から私のことは”スポック”って呼んで。」
光一「なんで!?」
零羅「にぶいなぁ。人間じゃないんだよ、あたし・・・」

* * *

そのころ西田権蔵は荒らしと認定され木星の洋子の元へ連行されて来ていた。
洋子「さぁて、なんで私たちのシークレットコードを知っていたのか答えてもらおうかしら?
今夜は寝かさないわよぉ〜」


次回 >> 第十一話「睡魔との闘い」
73名無し職人:03/03/25 02:10
第十一話「睡魔との闘い」

洋子「さぁ白状しなさい、ていうかおネゲします。」
権蔵「ねむい〜〜」
洋子「しぶといわね。不眠作戦終了!自白マシンを使うわ」
側近「最初からそうしてください。なんでこんなに時間をかけるんです?」
洋子「うっさい! ・・・趣味よ!!」
* * *
スレの倉庫に辿り着いた光一はなんやかんやあってやっとコティ・ハン
(ハーレイ・ジョエル・オスメント)に出会う。
光一「俺を地球から呼んだのはきみだったのか・・・理由は?」
コティ「今や完全な相互自主ネットワークが組まれたこの宇宙では外部からの
ハッキングは不可能だ。でもIPv20XXは1000京に1つだけ別の星系にクローンのIPを
作り出すんだ。宇宙機密だけどね。それが君だ。奴らのシステムに侵入できる
のはこの宇宙で君だけなんだよ。」
光一「え?でも・・・うちでコンピュータなんか使ってるのは・・・ようこだけだよ・・・」

ド〜〜〜ン!!!
突如、倉庫の入り口が爆破される。爆煙の中から現れる零羅。
光一「零羅!じゃなかった、え〜〜と・・・ス・スポック!! 無事だったんだね」
零羅「・・・・・・シネ!!」


次回 >> 第十二話「乗っ取られたスポック」
74名無し職人:03/03/28 12:38
〜CM〜

竹中直人「保守」
桃井かおり「なに言ってんの」
竹中「保守っつってんだろ!」
桃井「馬鹿じゃないの」

竹中・桃井「ほっしゅ」
75名無し職人:03/03/29 02:31
第十二話「乗っ取られたスポック」

「どうしたんだ!零羅!!」慌てる光一にコティがいう。
「無駄だよ。彼女はもう・・・。投降しよう光一。スポックは人間の100倍の嗅覚と
64倍の味覚と256倍の食欲があるんだ。かなわない」
「ミシュラン覆面調査員かよ!」
* * *
SAGEIZMの基地へ連行された一行は大型スクリーン越に洋子と対面する。
光一「ねえさん!!」
洋子「ミスター・ブラックホールとお呼び! まあいいわ。ごくろうさん光一、
あなたは餌の役割をみごとに果たしてくれたわ。目障りなコティとかいうハッカーを
捕まえるね。で?部下1号、ようこって女は?」
「は!すでにさいたmで援助交際しようとしていたところを捕獲してあります」
洋子「いくつよ!その女!! ふん、え〜〜そちらの部下さんたち、後始末よろ、
じゃ!!」・・・プチ(切れる通信)
光一「ねえさん・・・どうして・・・」
コティ「完全に操られてるね。それより光一、僕らの心配をした方がいいみたいだ」
コティは顎をしゃくって光一に近くにある水槽に目をむけさせた。
光一「宇宙マグロ?」
コティ「よく見てみなよ、尻尾のところ」
光一「あれ? あれって零羅のバンダナ??」
コティ「そう、もうすぐ僕らもああされちゃうんだ・・・」
光一「うそ〜〜〜!!」

ウィィィィ〜〜〜ン、不気味な音を響かせて奇妙な機械が光一に近づいてくる・・・


次回 >> 第十三話「木星からのSOS!、山崎渉の陰謀」
76名無し職人:03/03/29 03:09
一話>>59 二話>>62 三話>>63 四話>>64 五話>>65
六話>>66 七話>>67 八話>>68 九話>>70 十話>>72
十一話>>73 十二話>>75
77名無し職人:03/03/29 22:45
第十三話「木星からのSOS!、山崎渉の陰謀」

山崎渉(段田安則)の操る解析不能の電波「DEMPA」が
宇宙の至る星々で問題になっていた。
脳に直に刺激を与える音波と、網膜に焼き付く(^^)。
この時、木星は「DEMPA」による被害で壊滅的な状況にあった。

その知らせは、光一(長瀬智也)の腰に装着してある
「おしらせブザー」にも当然届いているのだが、むろん光一はそれどころではない。

ウィィィ、ウィィィィ、キュポン、ウィ、ウィ、ウィィィィ〜ン
「あう!」尻のあたりをゴム状の管に吸い込まれた。大変だ。
ゴム管を掴み引き剥がそうとしても、尻が伸びるばかり。「イデデ、イデデ」
コティ(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は決意を固めこう言った。
「いま光一をマグロにされてしまうことは、宇宙全体の死を意味する。
 今、わたしが盾となり君を守ろう。このコティの名を、伝記に残すなどして後生に伝えてくれ。えい」
図々しい言葉を残し、コティは熱を帯びたCD状の物体に変化。ゴム管を真っ二つに切り落とした。

「俺は一体何をやりゃぁいいんだよ!マンドクセー!!」
と叫びながら木星へとひとり向かう光一は、
この出鱈目な任務にいつのまにか「ハマっている」自分に気付き始めていた。
どことなく楽しげな表情の光一。


次回、 >> 最終話「ここはひどいインターネットですね」
78名無し職人:03/03/30 02:59
最終話「ここはひどいインターネットですね」

木星の山崎渉のひみつ基地へと最後の特攻をかけるつれたか丸。しかしその前に宇宙マグロの軍団が立ち塞がる。
「まんどくせぇ! まとめて成仏させてやるよ。音声砲最大出力!! いっくぞ〜〜〜〜〜」
『さいたま! さいたま!! さいたまぁぁ!!!! さいたまんぞう!!!!!!!!』

* * *

つれたか丸コンピュータ「だめです。DENPAの妨害でこれ以上の侵入はむりです。」
光一「ここまできて!なんとしろ!!」
コンピュータ「侵入コードが必要です。」
光一「俺の宇宙IPか? え〜と、俺のDNA照合キーとパスワードが14k.-fyyzz,bes.[\if.r  っとこれでどうだ!」
コンピュータ「access error」
光一「やっぱり侵入コードはようこなんだ・・・畜生。まてよ、まてまて、もちつけ。俺はとんでもない勘違いを
していたのかもしれない。思い出せ、ガニメデで姉さんにあったときの言葉・・・

「光一、ホースの力を信じなさい!私たちは選ばれた一族なのよ」

・・・ホース? 選ばれた一族・・・そうか!あの言葉は操られた姉さんの潜在意識が教えてくれたんだ! 
俺のIPからホースのキーボードの配列である「-\r」を抜くんだ! そしてそれをならべかえると「..1kf[yzif,4ybzes.」
これでどうだ!」
コンピュータ「コード識別。全回路オープン。DENPAのシステムに侵入しました。」
光一「もらったぁ! 突撃ぃぃぃぃ!!!」
コンピュータ「ちなみにこのコード、ニホンゴのかな配列にすると・・・」
光一「いいからつっこめ!!!!」

* * *

・・・・白色の光に包まれる木星・・・・
79名無し職人:03/03/30 03:00
* * * * * *

・・・数か月後の地球の日本。

「おらおら、しっかり働かねぇと刺身にして食っちまうぞ!! キリキリやれい!!」
光一は元の生活に戻っていた。姉の洋子は洗脳が解け戻ってすぐに見合いをした。そしてまたご祝儀を持ち逃げした。
権三とようことの変わらぬ生活、ただ2匹の仲間が増え、本鮪の友釣り漁を始めていた。
尻尾にバンダナを巻いた宇宙マグロ「キューキュー(もう!人ってかマグロ使いが荒いんだよ、あいつ)」
つぶらな瞳をした宇宙マグロ「モキュモキュ(よしなよ。ほんとに食べかねないよ彼なら。
              山崎渉の最後なんて・・・ ((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル)」
「キュー(船の上で遊んでるだけじゃないの!あ!ようことチチくりあってる、あのロリコン!!)」
「モキュ(はぁ、ここはひどいインターネットですね)」
「キュー(なにそれ?)」
「モキュ(網(net)に捕われた(in)僕ら、地球(tera)でひどい目に。ああ春はどこ?」
「キュー(ポエムかよ!! 苦しすぎだよ!!)」

光一「こら! 晩飯ぬくぞ!おまいら!!」



『〜木星と冥王星のあいだ〜』  ・・・ T H E  E N D ・・・
80TβS放送協会:03/03/30 03:17
皆さん乙。
81TβS放送協会:03/03/30 03:30
《放送するかもしれない番組一覧》

『もみあげ』
第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
第四話「石原都知事の逆襲!」
第五話「無情!放たれたBB弾!」
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
第九話「ふと、我に返ったとき」
第十話「ボスはホームレス」
第十一話 『垢の嵐』
最終話「俺にはダンボールがお似合いさ」
82TβS放送協会:03/03/30 03:30
『西日暮里夫人』
第一話「私の下着はキツネ色」
第二回「お父さん、ヤメテ!」
第三話「襲撃あるのみ」
第四話「初物喰い」
第五話「息子の家庭教師のタケシ君が・・・」
第六話「我慢汁で癒されて」
第七回「梅毒の襲来」
第八話「懲りずに父子ドンブリ」
第九話「あっ あん きもちい ぎもぢいよー」
第十話「究極の夜這い」
第十一話「至高のテクニック」
第十二話「宿敵!東日暮里旦那現る!?」
最終回「家族全員梅毒」

『久美の夕ご飯』

第一話『冷蔵庫のキャベツがない!』
第二話『亭主調理法』
第三話『野菜じゃないのよトマトは』
第四話『ひさよしとくみ』
第五話『ドラマなんて、くだらない』
第六話『与作、木を切る』
第七話『五作、木を植える』
第八話『雅子様、下から読んでも雅子様』
第九話『植えた木を誰かが・・・』
第十話『与作、五作の木を切る』
第十一話『五作、与作を切る』
第十二話『与作、久美を切る』
最終話『キャ〜ベツ〜はどう〜した〜。』
83柴田ぁ:03/03/30 13:12
>>21のリクエストから

【ラーメン死亡遊戯】

第一話「上板橋の首領(ドン)と呼ばれた男」
第二話「言いたい事もいえないこんな世の中じゃ」
第三話「声に出して読みたいギリシャ語」
第四話「ラーメンにうるさい俺の彼女」
第五話「殴られた。ダシのとり方で」
第六話「ラーメン遊戯殺人事件」
第七話「俺式便座カバー」
第八話「チャーシュー遊戯殺人事件」
第九話 「石焼ラーメン」
第十話「敵の館でラーメンをこぼす」
第十一話「鯖を味噌で煮込む女!?」
第十二話「そ、そのこんにゃくは・・・」
最終話「はるばるきたぜシベリア」


…いい匂いがしますが...
84柴田ぁ:03/03/30 13:20
>>22のリクエストから

「初めてのアキハバラ」

第一話「飾りじゃないのよ半導体」
第二話「とらのあなデビュー」
第三話「光を浴びたい・・・」
第四話「『電気のヨシハバラ』としか聞こえない」
第五話「ラジオデパートの怪談」
第六話「メイド喫茶の死闘」
第七話「手に取った同人誌を見て一言」
第八話「名無し職人の集い」
第九話「ヲタクと呼ばれて12年」
第十話「エロゲーと現実の見境が付かなくなった瞬間」
第十一話「普通とは?」
最終話「もうアキバには逝かない」


…いい匂いがします...
85柴田ぁ:03/03/30 13:27
もうひとつ>>21より

【とあるタニシの一生】

第一話「ぼくはタニシなのさ」
第二話「大東京」
第三話「キング・オブ・タニシ」
第四話「タニシVS後藤」
第五話「タニシ選手の憂鬱」
第六話「屈辱!姓を田西に」
第七話「純情タニシの転落人生」
第八話 「寄生虫」
第九話「必殺タニシアタック」
第十話「やったぜ子沢山」
第十一話「妻が鯉に食われる」
最終話「孤独な老後」


…泣ける予感...
86名無し職人:03/04/01 16:31
>>85
うっかりを装って1話で「サラリーマンの田西五郎は・・・」とか初めてみる。で
6話や10・11話がどうなるかをひっそりと楽しむのw
普通にいくと「タニシ科のオオタニシのハタ坊(トム・クルーズ)は幼馴染の
ちぃ坊(キャメロン・ディアス)との駆け落ちを決意した・・・」とか。


(以下、本当   出典 → ttp://botchan.infoseek.livedoor.com/

【飯山に伝わるタニシのわらべ唄】 

ターニシ ターニシ コートコト
 イヤマノマチヘ イカネーカ    (飯山のマチ(飯山観音の花祭)に行かねえか)
 イーヤナ イーヤナ コートコト
 キョネンノハルニ イッタラバ    (去年の春も行ったなら)
 サンショノ ミソデ コネラレタ   (山椒(さんしょう)の味噌(みそ)でこねられた)
 イーヤナ イーヤナ コートコト
 イーヤナ イーヤナ コートコ
−−−−−−−−−−−−−−−
厚木市飯山では、4月になると、タニシがたくさんとれた。
4月12日には飯山観音の例大祭が行われ、タニシを売る店が
多く見られ「タニシ町」と呼ばれるほどであったという。


(こんなのも → ttp://www.ct.sakura.ne.jp/~gen-yu/2000/tanishi.html

タニシの精子は2通りある。手塚治虫もこれをみたらしい。
87しば@仕事中:03/04/01 17:09
「うっかり」始まってくれぃ
88名無し職人:03/04/02 00:13
【とあるタニシの一生】

第一話「ぼくはタニシなのさ」

田西五郎(八嶋智人)は神奈川県厚木市の水道局に勤める38歳。未だに独身であることに
焦燥感を覚え出会い系サイトに出入りしては痛い目に会い続けていた。生意気で怠け者の部下、
飛田新之助(なかやまきんにくん)の存在も悩みの種。唯一の職場の女性であり同じ悩みを
もつ山岸恵子(光浦靖子)とグタグタ酒を飲む日々。二人の合言葉は「それでもお前だけはイヤ!」

ある日、五郎は東京の新宿水道局へ3か月の出向を命じられる。部下の新之助も一緒なのが
気に入らなかったが、ともあれ税金で東京にいけるし手当てもでる。五郎はしばらく離れていた
出会い系サイトで「すみれ」という名の子にアポをとり喜び勇んで東京へいった。

新宿水道局への出勤の初日。朝礼で紹介される五郎と新之助。
「厚木から、え〜、しゅしゅ、出向してきました・・・・
 ぼ、ぼくのなまえは、え〜と、ぼ、ぼ、ぼくはタニシなのさ!!」

ドッ!!! オフィスにに広がる笑い。
狼狽する五郎。その目に飛び込んできたのはオフィスの片隅でクスクス笑っている一人の女性、
吉田瑞樹(木村佳乃)。

「わ、笑うなよ! こんちくしょ〜〜〜」

五郎はオフィスを飛び出した・・・。


次回 >> 第二話「大東京」
89しば@仕事中:03/04/02 11:47
第二話「大東京」

「田西なんだから、タニシだよ。田螺。田西だっつの! はぁぁ」
咄嗟にオフィスを飛び出した五郎(八嶋智人)は、すぐに引き返すことも出来ず
屋上でぼんやりしていた。初出勤の日から何やってんだ俺は。
38階建てのオフィスビルの屋上は目眩がするほどに高く、遠くに目をやると
せかせかと動く電車や車、忙しそうな街並が一望出来る。
煙草に火を着け大きく吸い込む。けほ。
ひとつ大きく深呼吸をし落ち着きを取り戻そうとする五郎の肩をぽん、と叩く者の姿があった。
新宿水道局局長、山中澤雄(きたろう)だ。
「ややや、ここの連中はみんな陽気なやつらばっかりだからさぁ。
気楽にやってくれよ。さささ、中に入った入った」
局長のなんにも考えてなさそうな笑顔を見ていると、ひどく気が楽になった。

二週間後。
すっかり「タニやん」の愛称にも慣れ始めた五郎は、定時で仕事を終え、渋谷へ来ていた。
小洒落ているのかガタがきているのかわからないカフェのソファは無駄に低く座り辛い。
ソファに沈むように座り携帯電話を眺める五郎。と、
ピー、パッパッッパロッポッ。「スキャットマン」の着信音が鳴る。ディスプレィには「すみれ」とある。

「もう着くから。待ってて」
数分後、若いカップルと入れ代わりで入って来た女性の顔を見て五郎は蒼冷めた。
「よ、よ、よ、よ」


次回、 >> 第三話「キング・オブ・タニシ」
90名無し職人:03/04/02 19:23
第三話「キング・オブ・タニシ」

「よしお、お前、こんなとこで何やってんだ。何だその格好は!?」
なんと、すみれの正体は自分の弟であるよしお(藤原野紀香)だったのだ。
「あら、やだ、お兄ちゃんだったの? てっきりタニシってのはHNだとばかり思ってたわ」
「それにしても、お前、なんだよ。どこから見ても女そのものじゃないか・・・」
五郎はため息をついた。

すると、そこへ吉田瑞樹(木村佳乃)がやってきた。
「あら、田西さん。こんばんは。こちらの方は? 恋人ですか?」
「ち、違いますよ、こいつは・・・・」
「わかってますよ。このことは会社の人には秘密にしておきますね。それじゃ」
立ち去る吉田。

「ごめん。勘違いされちゃったみたいね」
「ごめんじゃないだろ。だいたいお前のせいでなあ・・・」
「おわびにいいとこ連れてってあげるよ」
「いいところ?」
「そう、いいところ。お兄ちゃんが王様になれるところに連れてってあげる」
そう言うと、よしおは、わが弟ながらドキリとする笑顔を見せた。


次回 第四話「タニシVS後藤」
91名無し職人:03/04/03 18:24
第四話「タニシVS後藤」

よしおがつれてきた場所は風俗街だった。
「バカ野郎、おれはまだ心の準備ができてないんだよ」
「何いってんのよ。新品の下着はいてきたくせに・・・」

図星をつかれてあせっている五郎(八嶋智人)の前に吉田瑞樹(木村佳乃)が現れた。
「あれっ?田西さんここよく来るんですか?」
「いやっ!そんな弟のやつが・・・」
「私もよく来るんですよ。あれって気持ちいいですよね」

あっけらかんと話す瑞樹の後をついで地下に降りていく五郎。そこには懐かしの風景があった。
緑の台の上を所狭しと動く白いボール。
そう!そこは五郎が青春を捧げた場所、卓球場だった。

目を輝かせている五郎の前に見覚えのある男があらわれた。
「紹介します。私の彼 後藤俊哉さん」

五郎の前に現れたのは高校総体決勝の相手、後藤俊哉(加藤雅也)だった。

対決の瞬間は刻々と近づいていた。


次回 >>第五話「タニシ選手の憂鬱」
92名無し職人:03/04/08 00:14
第五話「タニシ選手の憂鬱」

後藤俊哉を見た瞬間、五郎は強烈な眩暈と吐き気を覚える。そして高校時代の悪夢が
頭の中を駆け巡った。会社の同僚の山岸恵子(光浦靖子)は高校の同級生で卓球部の
マネージャーだった。どこか馬があって仲は良かった。しかし当時の五郎にとっては
恋愛の対象ではなかった。「顔がなぁ・・・」。五郎は県下でもベスト3に入る卓球選手
だった。周りのスポーツで強い奴はみんなモテていた。野球、サッカー、バスケ。
みんな可愛い彼女を連れていた。俺も・・・。思春期の揺らぎ。
高校総体当日、いつものように会場の前に集合した五郎は恵子がいない事に気づく。
探しているうちに裏手に出た五郎は芝生の上でうずくまっている恵子を見つける。
・・・泣いていた。靴は片方脱げて上着もボロボロだった。そして、その傍らには・・・
後藤俊哉が立っていた。五郎はその場から逃げ出した。どうしてだろう。とにかくその
場所にいられなかった。逃げた。
* * *
山岸恵子とはその後も普通に接していた。聞けなかった。あの光景が目に浮かぶたび
それを振り払うように悪態をついたり冗談をいったり。20年が過ぎこの記憶は頭の奥底に
しまわれていた。今、五郎の数百億の脳細胞はあの悪夢の光景に鷲づかみされていた。
* * *
「あれ?もしかして田西?あの『逃げちゃいました田西くん』の田西??」
後藤俊哉の驚きとも嘲りとも分からない言葉を遠くに聞き・・・五郎はその場を逃げ出した。


次回 >>第六話「屈辱!姓を田西に」
93名無し職人:03/04/08 22:06
第六話「屈辱!姓を田西に」

翌日出社した田西五郎は吉田瑞樹(木村佳乃)を避けるように席についた。隣には部下の
飛田新之助(なかやまきんにくん)がいる。
「逃げちゃいました田西くん」
ギョとして新之助を見る五郎。
「なんなんですかこれ? もう部内じゃ有名ですよ!ねぇ、タニやん」
「お前がタニやんとか言うなよ・・・」そう言いながら五郎はもの凄い形相で吉田瑞樹を睨んだ。
そこへ局長の山中澤雄(きたろう)がやってくる。
「ああタニやん、例の件は飛田くんにやってもらうから」
唖然とする五郎。
* * *
山岸恵子(光浦靖子)は厚木市内のホテルにいた。お見合いだった。38歳独身。崖っぷち。
気のいい親戚のおばさんが用意してくれる見合いもこれで24回目。もう相手の写真も
プロフィールも見てなどいなかった。
「恵子さん。こちらがお相手の田西光一郎さん。大手建設業の課長さんなのよ」
おばさんが慣れた口調でお見合いを取り仕切る。その時、突然恵子の表情が変わった。
「タニシ?」
「そう。このお話がまとまれば恵子ちゃんは田西恵子、まあいいじゃない、って、おほほ
まだ気が早いかしら。あ、光一郎さん。こちらが・・・」
「・・・・・」
「なに? 恵子ちゃん?? 今なんていったの?」
「屈辱だわ」
バンッ!! 恵子は突如テーブルを両手で叩くと立ち上がって言った。
「どうせ逃げるんでしょ! 逃げちゃうんでしょ!!」
頬を伝う雫を拭おうともせず恵子はその場から走り去った。


次回 >> 第七話「純情タニシの転落人生」
94名無し職人:03/04/09 05:28
よしお(藤原野紀香)は煙草をくゆらせながら、過去を思い出していた。
よしおは、ものごころついたときから、自分は本当は女なんだと思っていた。
神様が間違えたために、自分は男に生まれてしまったのだと。
しかし真面目なよしおは、誰にもそのことを相談できず、性転換したいとは思うものの
実際にはそんな勇気はなく、大学進学を機に上京したアパートでこっそりと化粧をしたり、
女物の下着や衣服をまとうのが唯一の楽しみだった。

そんなある日のこと、よしおは生まれて始めての恋をした。
同じ大学に通う緑健二(福山雅治)だった。
よしおはすっかり緑に狂ってしまい、寝てもさめても緑のことしか考えられなくなってしまった。
だが、もちろん告白するどころか、話し掛ける勇気すらなく、ただ遠くから見つめるだけだった。
95名無し職人:03/04/09 05:30
ところが、遠くから見つめるだけだった緑が、何故か、よしおに話し掛けてきたのだ。
「あのさ、お前のこと、前から気になってたんだけど・・・」
え、もしかして、彼も僕のことを好きなのかな・・・?
「お前、オレのこといつも見てないか?」
「え、あ、うん・・・」
「お前、オレのこと好きなの?」
「え、いや、あの、その・・・」
「はっきり言えよ。そうなんだろ?」
「うん・・・」
よしおは顔を真っ赤にして、俯きながら、消え入りそうな声で言った。

「やっぱり、そうかよ。気持ち悪いんだよ。このオカマ野郎」
緑は吐き捨てるように言った。
その後のことはよく憶えていない。

そして、よしおは、生まれて初めて新宿2丁目に行った。
優しくして、慰めてくれる人なら誰でもよかった。
手当たりしだいに自分の身をまかせた。

「そんなこともあったわね」
よしおは口の中で小さくつぶやいた。
「もう、あれから10年も経つのね。どうして急にこんなことを思い出したのかしら・・・」

次回>>第八話 「寄生虫」
96あぼーん:03/04/09 05:36
あぼーん
97名無し職人:03/04/09 23:18
第八話 「寄生虫」

吉田瑞樹はとあるホテルの部屋にいた。うつろに見つめる天井。ふらふらと立ち上がると
シーツをまとい、シャワーを浴びにいった。・・・・・・、瑞樹はシャワーを頭から
かぶりながらちょっと壁に額をあてる。コツン・・
なぜこうなってしまったのだろう。父の会社が危ないと聞いたのはほんの6か月くらい
前のこと。それまで特に不自由な暮らしはしていなかった。父は誰からも慕われる人格者で
優しかった。そんな父が瑞樹は大好きだった。つきあっていた彼氏も大手銀行に勤める
いい人だった。幸せだった。そのはずだった。あの男が現れるまでは。
「お〜〜〜い」
ベッドから声がする。そう、今あそこにいる後藤俊哉が瑞樹の前に現れるまでは。父は
メインバンクが不良債権処理に追われる煽りをうける形で運転資金に苦労するように
なっていた。そこを後藤につけこまれた。後藤の肩書きは経営コンサルトだが、実際は
闇金融とつながった乗っ取り屋だったのだ。あれよあれよと父の会社は最悪の事態に追い
込まれた。「お父さん助けたいでしょ?」後藤の言葉に瑞樹は逆らえなかった。

「なぁ、瑞樹。あの逃げちゃいました田西くんなんだけどさ、いいこと思いついちゃった。」
ベッドで煙草を吸いながら後藤が不敵な笑みを浮かべる。その声をどこか遠くに聞きながら
瑞樹はつぶやいた。
「寄生虫・・・、・・・・・、・・・・・・、・・・」声を出さないように泣いた。


次回 >> 第九話「必殺タニシアタック」
98名無し職人:03/04/12 10:06
カリアゲ
99名無し職人:03/04/12 11:36
第九話「必殺タニシアタック」

(・・・「え〜あれが谷やん? 『逃げちゃいました君?』w」
「きも〜 ばっかじゃない?」 「・・・最悪だな、あいつ」)

 仕事も何も手につかなくなっていた、周囲の雑音がかつてのきつい思い出と共に
田西五郎を責め、新たな傷を負わせていた。 『もう、あかん』 なぜかそんな
関西弁が口から出る・・・  だが、八方ふさがりの様に思えたその状況を変える
出来事が彼の身に舞い込んだ。

 きっかけは携帯電話を見ていたときだった。連日の心労から生気のなくなった顔を
得意先に行く前、少しでもマシにしようと鏡を探していた時にふと「携帯に鏡が付いて
居たら、便利だな」そう、思ったのだ。 その思い付きを取引先の会社の液晶関連の
事業を扱っている海山商事の穴子係長(声:ロイエンタール)に相談した所、
「いいよ君! まだ特許も何もでてないよ、今パテント抑えたら、ひょっとすると
すごい商品になるかもしれないって!」 ・・・それから先はとんとん拍子だった。
100名無し職人:03/04/12 11:51
 「信じられないな、まったく、夢みたいだ」 彼の人生は大きく変わった。
ベストセラーではないにせよ、そこそこ売れる、しかもロット数が非常に大きい
仕事を新規開拓することが出来た取引先からは、特許料の名目で彼あてに多額の
お金が舞い込んだ。 金銭面ではもう困ることはないだろう。

だが、一躍成功した立場になったものの、彼の心は晴れなかった。
いぜんとして職場の人間関係での問題はなんら解決しては居なかったからだ。
「いっそのことやめてもいいかな・・・いや、まだだ。まだ終らんよ」
そう、あの人に対する思いと、奴に対する復讐を果たすまでは・・・

>>次回 第10話 「やったぜ子沢山」
101名無し職人:03/04/15 18:19
〜CM age〜
102名無し職人:03/04/17 00:44
--CM--
爽やかな陽気に誘われ
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0120-@#$-\&%
シャブの三代目鬱氏組
103名無し職人:03/04/17 02:11
第十話「やったぜ子沢山」

「五郎さん!あなたの力になりたいの」吉田瑞樹が突然水道局を辞めて五郎の元へ
やってきた。「大丈夫。こう見えても私、税金とか法律には詳しいの」言葉の通り
瑞樹は、五郎の元に入ってくる「携帯用ミラー」の収入の税金対策などをテキパキと
こなした。五郎は必要以上に体をすり寄せてくる瑞樹に抗うこともできず流されて
いく。「絶対おかしいって」山岸恵子は忠告するものの五郎はとりあわない。
「特許を認可するんじゃなくて自分で商売を始めた方がいいわ」「会社化した方が
いいの」「大丈夫、あたしにまかして」矢継ぎ早に繰り出される瑞樹のプラン。
気がつけば五郎の口座には数千万円の大金が振り込まれていた。「すごいでしょ?
ミラーの販売を会社がするんじゃなくて会員制の販売員に買取委託したの。で、この
販売員たちにさらに子の販売員を勧誘させたの。もちろん親の販売員は自分が勧誘
した子の販売員の売り上げの20%が戻ってくる仕組み。そしてこの子の販売員に
さらに孫の販売員を勧誘させるの。これで五郎さんは億万長者よ!」
「おお! 子沢山マンセー!!!!」有頂天になる五郎。厚木市一番の高級クラブ
で派手に飲み倒し、その後公園で吼えた。「ポストに敬礼!!今夜、わたくし田西五郎
は・・・告白しちゃいま〜す・・・ははは!! 瑞樹ぃ!! 君は・・・」
ドゲッシッ!!!!
突然、後頭部に延髄蹴りを喰らって4回転半して砂場に顔をめりこませる五郎。
一気にシラフに戻り見上げた先には山岸恵子が立っていた。「五郎さん、局長が捜し
てるよ! なんなのマルチ商法って! それに水道局のお金を横領したってホント!?」
絶妙な角度の蹴りと衝撃的な恵子の言葉に飲んだ酒が逆流してくるのを覚えながら
五郎は意識を失った。

次回 >> 第十一話「妻が鯉に食われる」
104名無し職人:03/04/17 02:28
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105名無し職人:03/04/17 05:41
「妻が鯉に食われる」

緑健二はあてもなく街を彷徨っていた。
最愛の妻・美和(藤原紀香・2役)に先立たれてからというもの、生きる屍と化したのだ。
そんな時に街で亡き妻にそっくりなよしおと再会する。
一瞬、妻が生き返ったのかと思ったが、すぐに間違いに気づく緑。
だが、それがかつて自分がひどい言葉を浴びせ掛けたよしおだということには気づかない。
よしおは長い間、緑を憎んでいたが、憔悴しきった緑はもはや哀れみの対象にしかならなかった。
よしおはそんな緑を慰め、まるで子供のようによしおの胸で泣く緑。

一方、五郎はマルチ商法の容疑で警察の取調室にいた。
しかし、責任者は五郎であるものの、実行犯は吉田瑞樹であることも警察はつかんでおり、
そして、瑞樹の背後には誰かがいると朝倉刑事(ラサール石井)は確信していた。
朝倉の執拗な取調べについに後藤俊哉の名前を出す瑞樹。

よしおの胸の中で緑は妻は殺されたのだと告白。
だが、次の瞬間、緑の背中に飛来してきたボウガンの矢が突き刺さる。
混濁する意識の中で妻とよしおを間違える緑。
「美和、美和が、鯉に喰われる・・・」
なぞの言葉を残し、息絶える緑。

次回 >>最終話「孤独な老後」
106山崎渉:03/04/17 10:09
(^^)
107名無し職人:03/04/17 12:50
〜只今、age試験電波を発信中です。〜
108糞咲き渉:03/04/17 12:52
(´`)
109山崎ショウ:03/04/17 13:06
( ゚ζ゜)
110名無し職人:03/04/18 22:13
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ネンショウ系ネンショウ系ドキュン式
こんな犯罪しなくても〜
少年院少年院ドキュン式
111広告代理厨:03/04/19 02:52
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禿同萌え子NEW SINGLE
「ドキュソな君にハァハァ(はぁと)」NOW IN STORE
112名無し職人:03/04/19 02:53
113名無し職人:03/04/19 17:22
最終話「孤独な老後」

五郎は略式起訴となり保釈された。そこに憔悴しきったよしおが現れる。泣き崩れる
よしおから緑健二の死を聞く五郎。「鯉に食われる」??その言葉には聞き覚えが
あった。「来い!よしお!!」
* * *
五郎とよしおは新宿風俗街の地下卓球場にいた。目的の人物が現れるまで牛乳とアンパン
だけでしのいだ。五郎はほとんど口を開かずよしおは相変わらず泣いていた。3日目、
ついに後藤俊哉が現れる。
「ゴルァ!後藤!!勝負じゃぁぁぁ」
五郎の気迫のこもった言葉にもたじろぐことなく後藤はニヤッと唇をつりあげる。
「なんだ、『逃げちゃった君』じゃない。まだ逃げてなかったの? ハハハ」
「うるせぇ! こい!!」
「まあ相手してあげてもいいけどね。大丈夫? ぼくと違って日頃のトレーニングもして
ないでしょ? ぎっくり腰になってもしらないよ。」
よしおには五郎が一瞬笑ったようにみえた。五郎はゆっくりと両手を上にあげた。
「フンッ!!!」
ブチ!ブチ!ブチ!五郎の気合とともにYシャツのボタンが弾け、シャツは破け飛んだ。
その下から見事な筋肉が姿を現す。
「わりいな、できの悪い部下に筋肉バカがいてな、付き合わされてこのざまよ!!」
* * *
114名無し職人:03/04/19 17:23
* * *

圧倒的な勝負だった。後藤は五郎のサーブをほとんど拾えず、自分のサービスも五郎の渾身の
ドライブからリターンエースを決められた。
「ば、ばかな。『厚木の鯉』と呼ばれたこのぼくが・・・貴様!いつのまにあんなサーブを!」
「ああ、あれ? 高校総体用にあみだしたんだ。結局使えなかったけどね。」
「お兄ちゃん、『厚木の鯉』って・・・」
「鉄壁の守備を誇る後藤の姿が水面からパクパク口を開けているように見えた事からついた
あだ名、それから手当たり次第に女食っちゃうから。そうだよな!後藤!!」
「まさか!こいつが!!」後藤に飛びかかるよしお。
「よせ、よしお。証拠はない。なにもな・・・」
「どこ行くんだよ、お兄ちゃん」
「ちょっと・・・、あやまりにいってくる。今なら言えそうだから・・・」

* * *
115名無し職人:03/04/19 17:24
* * *

前略 この度の件について五郎さんにはどうしても一言申し上げたく筆を取りました。
あなたを私の個人的な復讐に利用したことはどんなにお詫びしても足りないことと思い
ます。分かってくれとはいいませんが私はあなたにすがるしかなかったのです。許して
ください。あなたと過ごした生活は私にとってはかけがえのない時間でした。ありがとう。
マルチ商法の片棒を担ぐふりをして、私は後藤の脱税の証拠を探していました。その証拠
となる二重帳簿と印鑑は愛人関係にあった緑美和さんの元にあったのです。そしてその後、
夫の健二の手に。後藤には正義の裁きがおりました。そして私にもいずれ裁きがおりること
でしょう。私はそれを静かに待ちたいと思います。
それではお体にお気をつけて。遠い異国の地より・・吉田瑞樹
* * *
ふう。手紙をゆっくりと封筒に戻しながら五郎はお茶をすすった。よしおは踏ん切りが
ついたといってモロッコへ旅立った。
「みんないなくなっちゃたなぁ。ああ、俺には孤独な老後しかないのか・・・・」
ドゲッシッ!!!!! 五郎の後頭部に旧姓・山岸恵子の踵落しが決まる。
「バカなこといってないで、さっさとご飯食べちゃってよ!片付かないでしょ!!」
「・・・いって・・・だからお前だけはやだったんだよ・・・」
「あ、そう? じゃ逃げたら。いいよ、逃げても・・・」
「・・・・・・・・いじわるいうなよ。」
風の香りが変わった。そうか、もう春なんだな。頭のコブを擦りながら五郎は思った。

                 終 幕
116TβS放送協会:03/04/19 17:24
即レス乙。
117TβS放送協会:03/04/19 17:31
118MβS:03/04/20 00:10
ドラマ・「タニシ」はよかった・・・ 次はなにかな?
119山崎渉:03/04/20 01:14
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
120名無し職人:03/04/20 17:15
【ラーメン死亡遊戯】

第一話「上板橋の首領(ドン)と呼ばれた男」

ヤクザである武田幸三(渡部篤郎)は敵対する組の組長を撃ち、3年の間刑務所に服役していた。
だが、この不景気のせいで出所したら、組が潰れていたのである。
たったひとり自分の出所を出迎えた弟分のマサト(加藤晴彦)にそのことを知らされる。
「そうだ、オヤっさんは? オヤっさんはどうしたんだ?」
「それが言いにくいんですが・・・」
「死んだのか?」
「いえ、生きてます。カタギになりました。ラーメン屋やってます」
信じられない言葉であった。
組長の松井昭義(安岡力也)といえば、ヤクザになるために生まれてきたような男である。それがカタギになるなど、武田には到底信じられなかった。
「そうか、オヤっさんがな。上板橋のドンと言われた男が・・・」
「でも、けっこうラーメンうまいっすよ。実はオレも今そこで働いてるんです。そうだ。兄貴も身の振り方を決めるまで、一緒に働きましょうよ」


>>第二話「言いたい事もいえないこんな世の中じゃ」
121名無し職人:03/04/20 17:17
↑読みにくくてスマソ
122虹色の瞳 ◆hapapmYlCc :03/04/20 17:21
上板橋だけかろうじて目に留まった
123TβS放送協会:03/04/20 17:50
【ラーメン死亡遊戯】

第一話「上板橋の首領(ドン)と呼ばれた男」

第二話「言いたい事もいえないこんな世の中じゃ」
第三話「声に出して読みたいギリシャ語」
第四話「ラーメンにうるさい俺の彼女」
第五話「殴られた。ダシのとり方で」
第六話「ラーメン遊戯殺人事件」
第七話「俺式便座カバー」
第八話「チャーシュー遊戯殺人事件」
第九話 「石焼ラーメン」
第十話「敵の館でラーメンをこぼす」
第十一話「鯖を味噌で煮込む女!?」
第十二話「そ、そのこんにゃくは・・・」
最終話「はるばるきたぜシベリア」
124 ◆Cyokit0E3k :03/04/22 00:04
第二話「言いたい事もいえないこんな世の中じゃ」

「オヤっさん・・・」ラーメン屋「松井軒」にやってきた武田幸三はかつて自分が
仕えた松井組組長・松井昭義の変わり果てた姿に言葉をつまらせた。ヤクザの組長が
ラーメン屋をやっている、幸三には納得がいかなかった。
「ごくろうさん。迎えにいってやりたかったんだがスープの仕込みがあってな。」
爽やかに汗を拭いながら松井は黙々と豚骨の骨に包丁をあてている。
「に、にあわねぇ」幸三は松井の姿を見ながら涙がこみ上げてくるのを感じた。
俺の3年間はなんだったんだ、そう思うと言わずにはいられなかった。
「オヤっさん! 全国制覇、あの野望は、俺たちの夢は・・・どうしたんだ!」
「・・・」無心に鳥ガラをゆがいている松井。
「なんとかいってくれよ」
「・・・」ゆっくりとズンドウ鍋を仕込み利尻昆布をひたす松井。
「私が説明しますよ。」奥から現れたのは元松井組若頭の蛭田猛敏(松浪健四郎)。
「・・・」ズンドウに材料を入れゆっくりかきまわす松井。
「武田さん、これから時代、ヤクザはラーメンで世界をとるんですよ。」
「・・・」さらにゆっくりとかきまわす松井・・・・ガシャン!!
「うるせぇ!!! す〜〜〜ぷが濁るだろうが!!」突如、おたまを振り回す松井。
「オヤっさん!! 豚骨スープは濁りが、その濁りがいいんですよ!」マサトが松井を
後ろから羽交い絞めにしてなだめる。「きさまぁ! 博多の回し者かぁ!」
・・・・・数分後、厨房の奥で豚と一緒に吊るされているマサトの前で冷静になった松井。
「なぁ武田、言いたい事もいえないこんな世の中じゃがな、うまいものはうまい、
うまいものの下に人は集まってくるのよ」
幸三の前にいるのは確かに『上板橋のドン』と呼ばれた男だった。

次回 >> 第三話「声に出して読みたいギリシャ語」
125名無し職人:03/04/23 11:40
第三話「声に出して読みたいギリシャ語」

格闘プロデューサーの宮本拳(松尾貴志)は新しいビジネス展開を
ラーメンに求めた。
親しいTV関係者の大塚恵一(所ジョージ)に話をする宮本。
「古代ローマ・ギリシャにパンクラチオンという格闘技があったの
を知っているか?」
プライドなんか目じゃねえ。噛み付きも目つきも金玉への攻撃だって
認められた本物の殺し合いだよ」
「それが、ラーメンとどういう関係が?」
「まあ、聞け。そのパンクラチオンが廃れたのは、過激すぎて
行き詰まったってことになってるが、真相は違う。
シルクロードを渡って中国人たちがやってきて、優勝者が
毎回中国人になっちまったからだ。
ギリシャ人はシルクロードのことをドラゴンロードと呼び忌み嫌った。
そして、中国人がギリシャに持ち込んだのは拳法だけではなく、中華麺もだ。
フランス料理と中華料理が合体したやつをヌーベル・シノワというが、
こいつはそれに勝るとも劣らない料理なんだ」
「しかし、そんな話聞いたこともないですよ」
「あったりまえやがな。誰も知らんから商売になるんや。
これで日本のラーメンの流れがガラっと変わるで」
「はぁ・・・・」
大塚がふと部屋の隅の机に目をやると、そこには一冊の本があった。
「声に出してみたいギリシャ語」民明書房

>>第四話「ラーメンにうるさい俺の彼女」
126名無し職人:03/04/23 17:55
おもろい、しかし、長い
127名無し職人:03/04/25 21:11
--CM--
髪の毛でお悩みのあなた。もう大丈夫。
髪の毛を弱らせている原因は実は男性ホルモン。
この「たまカッター」さえあれば、もう大丈夫。
男性ホルモンを出す金玉を根こそぎカット。
これで、あなたの髪はフサフサ。元気を取り戻せます。
128柴田ぁ:03/04/27 19:58
第四話「ラーメンにうるさい俺の彼女」

 大塚恵一(所ジョージ)は目の前の「声に出してみたいギリシャ語」をフタのおもし
にしてあるカップ麺に気が付いた。

「ぎりちょん」

滑稽なネーミングのそれは未だ企画段階の商品らしく、モノクロ印刷された素っ気ない
パッケージを手に取り、まじまじと見た。その姿をニヤけた目つきで眺めていた宮本拳
(松尾貴志)が口を開く。
「これをな、売れねぇラーメン屋を掴まえてコラボレーション商品として売るんだよ。
ラーメン界のヌーベルバーグ、遂に登場! なんてな。すでサップとCM契約結んであ
るから、あとはラーメン屋探し。コラボって響きさえあれば何でもいいんだ今の客は」

と、横で話を聞いていたバラエティ班のAD・座間卓(城島茂)が割って入ってくる。
「面白そッスね。や、俺の彼女、ラーメン屋にはめちゃめちゃうるさいんスわ。ちょっ
とその話、噛ませてもらってえぇスか?」
勝手に盛り上がる二人の間で、苦い表情を浮かべる大塚。
129柴田ぁ:03/04/27 19:58
「美味いだろ。でも客がいねぇ。何これ? お? 味だけじゃねぇ。店構えだって
お前、こんだけ金ピカでお前、これお前、どうだ? なぜだ?」
ガラガラの松井軒店内に響く、店主・松井昭義(安岡力也)のドスの効いた声。
むしろこの金ピカが問題なのでは...とは元構成員である店員達には口に出来ない。

「だったらこれはどうでしょう」若頭・蛭田(松浪健四郎)がアイデアを持ちかけよう
とした瞬間、一組の客が入ってきた。
「しゃぁぁぁぁいせぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!」
一糸乱れぬ統制のとれた怒号をあげる店員達にひるむ座間。それとは対照的に、座間の
恋人、馬場千代(ベッキー)は厨房を睨みつけ、何故か中指と薬指を立て叫ぶ。
「ふつうのラーメン、2つ!」

次回、>>第五話「殴られた。ダシのとり方で」
130 ◆Cyokit0E3k :03/04/28 16:14
第五話「殴られた。ダシのとり方で」

「ラーメンおまちぃぃ!!」馬場千代は出されたラーメンを食い入るように見ながらゆっくりと
器を持ち上げスープを飲んだ。一度、二度、三度。そして口を開く。「店主は誰?」
「おう、俺だよ。なんだ? あんまりうまいもんだから礼でもいいたい・・・」
ドガッ!! 松井の言葉が終わらぬうちに千代の鉄拳が松井の顔面に入る。吹き飛ばされる松井。
「なに!このスープ。15点。だいたいアクとりがいい加減だからこんなボケた味になるのよ。
それに出汁につかわれてる鳥はブロイラーだし、塩も塩化ナトリウムの合成塩。よくこんなもの
客にだせるわね。正気!?」
あまりの出来事に店内は凍りつく。が、すぐに皆正気を取り戻し、店員達が千代に殴りかかろう
とした時、蛭田が止めに入った。
「あんた・・・もしかしたら『ラーメンスープのお千代』!! スープに難癖つけては次々と
ラーメン屋を廃業に追い込んでいるという・・・」
「あたいはホントのことを言ってるだけよ! 潰れるのは自給自足よ。」
「そりゃ自業自得でしょ」座間卓がつっこむ。「それよりね、今日は皆さんにとってもお得な
お話を持ってきたんですよ。これこれ『ぎりちょん』っていうコラボがヌーベルジャンヌダルク
なものなんですがね。これさえあれば売上アップ間違いなしで・・・」
ガン!!! 突如蹴りを入れられ店外まで吹き飛ばされる座間。蹴りを放ったのは武田幸三だ。
幸三はゆっくりと馬場千代に近づくと頬に平手をみまう。ピシィィ!!
「ねえちゃん。親に教わらなかったか? 飯食ってるときにペラペラしゃべるな。黙って食え!」
「おぼえてろ!」中指を立てながら捨て台詞を残して出て行く千代と座間。
「ヘッ! おやっさん・・あんなのになめられちゃぁ・・・」幸三が松井の方に目をやると
松井は厨房の奥で座り込んで床に「の」の字を書いていた・・・
「ブツブツ・・・やっぱり塩はカスピ海産がいいのかなぁ・・・鳥は名古屋コーチン・・・」
「だめだこりゃあ」幸三は店を出て行った。

次回 >> 第六話「ラーメン遊戯殺人事件」
131名無し職人:03/04/29 02:10
第六話「ラーメン遊戯殺人事件」

「あの店にいても先行き暗いな」
幸三はそう口の中でつぶやくと、ブラブラと歩いた。
いつのまにか隣駅の商店街まできてしまった。
そのとき、幸三の鼻をプンといい匂いがくすぐった。ラーメンの匂いだ。
見ると、こじんまりとした店があり、看板に「名代とりぶたラーメン」と書いてある。
匂いにつられて店の中に入ると、馬場千代がカウンター席に座っていた。
「あ〜! あんた何しにきたのよ?!」
「なにしにって、ラーメン食おうと思ったんだよ」
「ふん、スパイ? そんなことするんだったら自分の店の味をよくしなよ」
「お前はここで何してんだよ?」
「ふん、あんたの店のラーメンがあんまりまずかったから口直しよ。
あんたの店、殺人的にまずいわよ。お遊びでやってるからよ。
あのまずさで、あたしが死んだらラーメン遊戯殺人事件だわよ」
「千代ちゃ〜ん。頼むからお客さんにケンカ売らないでよ」
店の主人の西田操一(伊集院光)が困ったように言った。
「で、お客さん。ご注文は?」
「ラーメンひとつ」
幸三はラーメンを啜って驚いた。これは?! なんという美味さだ。
なるほど。こんな味と比べられたら確かにうちの店の味はなってない。
「ふん、どう? 驚いた? 美味しいでしょ?」
千代が得意げに言った。
「ああ、確かに美味い。こんなラーメンを食ったのは初めてだ」
「そうでしょ。この店のご主人は美味いものをつくるには努力を惜しまない人なのよ」
「そいつはわかったが、なんでお前がいばるんだよ?」
「ご主人が謙虚でいばらないから、代わりよ」
しかし、それにしても美味い。
うちの店はしょせんオヤっさんのお遊びだったか。
ふふ、人を殺してまで与えられたものが金バッジじゃなく、あんな店の従業員とはな。

次回>> 第七話「俺式便座カバー」
132名無し職人:03/04/29 02:12
マァ、マァァ、、、
お兄ちゃんがチャンネル変えた〜。
133名無し職人:03/04/29 02:17
>>132
ナイスつっこみ
134名無し職人:03/04/30 17:12
(裏番組)
本日予定されていたプロ野球阪神×巨人戦は槍が降っているため中止となりました

替わりに「こんなヴァ―ジョンアップされたイヤなドラえもん」を放送します
135ちょっと一服:03/05/01 02:22
ここまでの登場人物

武田幸三(渡部篤郎) :元・松井組構成員。敵対する組長を撃ち3年服役して出所。
マサト(加藤晴彦)  :幸三の弟分。現在、松井軒の店員。
松井昭義(安岡力也) :元・松井組組長。上板橋のドンと呼ばれた男。現・ラーメン屋「松井軒」店主。
蛭田猛敏(松浪健四郎):元・松井組若頭。(松井軒の会計担当?)

宮本拳(松尾貴志)  :格闘プロデューサー。新しいラーメンを作り一儲け企む。
大塚恵一(所ジョージ):宮本と親しいTV関係者。
座間卓(城島茂)   :バラエティ班のAD。大塚の部下。
馬場千代(ベッキー) :座間の恋人。「ラーメンスープのお千代」と呼ばれる程ラーメンにうるさい。
西田操一(伊集院光) :「名代とりぶたラーメン」の主人。
136 ◆Cyokit0E3k :03/05/01 02:44
第七話「俺式便座カバー」

翌朝、武田幸三が二日酔いに苦しんでいるところに蛭田猛敏がやってきた。蛭田はラーメン屋と極道に
関する持論を語る。「正確な統計はないんですが、全国のラーメン屋は52000軒っていわれてます。
もちろん中華屋からドライブインまでメニューにラーメンを入れてる店をいれればその倍以上でしょう。
その多くが東京にあります。仮に20000軒のラーメン屋を配下に治めて毎月50万の上納金を課せば
月に100億。年で1200億。これだけあれば、あのロシアンマフィアどもをやれます。」
「おやっさん、やっぱやる気なんだ・・・。ならなんで!」
「武田さん。言いにくいんですが・・・あなたが原因です。」
「なに? 俺は人を殺ってまで・・・」
「そして失敗した。ロシアンマフィアのボス、ポチョムキンは生きてます。組は奴に潰されたんです。」
「ぐ・・・・」幸三は下を向いて歯をくいしばった。
「あなたもご存知のように組長は優しい方です。今はじっと耐えて反撃の機会を伺っているんです。
あなたが暴走するから黙っているように言われたんですが、やはり言っておいた方がいいかと」
「じゃあ、あのラーメン屋は芝居?」
「・・・いえ。凝り性なんですよ組長。私も本当の目的を忘れちゃったんじゃないかと心配で。やはり
ラーメンには便座カバーにも劣らない魅力があるんですねぇ」
「なんだよ?便座カバーって」
「便座カバーですよ。自分のお気に入りの手入れとか、季節の衣替えとか・・しないんですか?」
「俺は和式派なんだよ!!」

* * *

137 ◆Cyokit0E3k :03/05/01 02:44

宮本拳は新たな戦略を大塚恵一と相談していた。
「ぎりちょん売るなら、まず店を有名にすることだな。そこで大塚ちゃんの出番ってわけ。なんでもいいから
ラーメン特集の番組作ってさ、こいつを全国デビューさせるのさ。コラボを全面にだすの忘れないでね。
店は座間があたってるから。客はさくらでもいいけど臨場感が欲しいな。まあサップとミルコでも呼ぶか。
あ、それより便座カバーをもれなくプレゼントの方がいいかな? どう思う?大塚ちゃん!」
「・・・便座カバーで客は来ないでしょう」
「んなこたぁない。じゃあ思い切ってムートンの便座カバーにサップのサイン入り、これならどう?」
「・・・だから便座カバーは・・・」
「ようし、戦闘開始!!」
「聞いてね〜〜!!」

次回 >> 第八話「チャーシュー遊戯殺人事件」
138名無し職人:03/05/02 19:03
第八話「チャーシュー遊戯殺人事件」前編

武田幸三が店の掃除をしていると、そこに何人かのロシア人が入ってきた。
そう、幸三が撃った男。アレクセイ・ポチョムキン(ジャン・レノ)が部下を
引き連れてやってきたのだ。
「出所したんだってな。水臭い。知らせてくれりゃあ、よかったのによ」
ポチョムキンは流暢な日本語でそう言った。
「テメェが撃った弾丸がまだ頭の中に残っててよ。そいつが脳の神経に触るらしい。
おかげでオレは痛みも恐怖も感じないカラダになれたよ。くくっ、ありがとよ」
「何しにきた」
静かな声で問う幸三とポチョムキンを、松井もマサトも蛭田も無言で見つめる。
「まあ、別にお前を殺そうというんじゃない。殺す気なら店ごとロケット砲で
吹っ飛ばしてる。オレはお前らに儲け話を持ってきたんだよ」
「儲け話?」
【全国ラーメン職人選手権大会】
ポチョムキンはそう書かれたチラシをテーブルの上に置いた。
「この店流行ってねえだろ? マズイ店に上納金を納める店なんかありゃしねえよな。
ラーメン屋はみんな一匹狼だ。いくら脅したってマズイ店に上納金を納めるような
腰抜けはいねえよな。しかし、この大会に出てお前の店が優勝すれば、話は違ってくる」
「何を企んでる?」
「オレたちもこの大会に出るんだよ。全国ネットの前でお前らをコテンパンに
やっつけてやるのさ」
「ロシア人のお前らにラーメンが作れるのか?」
「もちろん、出場するのはオレたちじゃない。オレが金を貸してるラーメン屋が
いるんだ。そいつの店はまだ無名だが、間違いなく優勝できるとオレは睨んでる。
あ、そうそう、お前らがこの大会に出なかったら、店にロケット砲をぶちこむからな。
じゃ、アバヨ。お前らもせいぜい頑張ってくれ。」
言いたいことだけを言って、ポチョムキンは立ち去った。

次回>>第八話「チャーシュー遊戯殺人事件」後編
どなたか、後編をお願いします。
139 ◆Cyokit0E3k :03/05/05 04:02
第八話「チャーシュー遊戯殺人事件」後編

板橋警察署刑事課の永原長蔵(いかりや長介)は鑑識の報告を待っていた。昨日起こった殺人事件、
被害者は板橋のラーメン屋「うまいもん」の店主。鑑識の係員がやってきて死因を告げる。窒息死。
被害者の咽頭部及び鼻腔部に豚肉を検出。「やっぱりか・・・」報告書をゆっくり閉じ静かに煙草に
火をつける。永原は最近起こった同様の手口の殺人事件を追いかけていた。人間の穴という穴に
豚肉を詰め込んで窒息死させるという異常性からマスコミへの公開は避けられていた。再度、鑑識の
報告書に目をやる。豚肉とともにネギ・生姜・醤油・香味油の成分を検出。間違いない、これは
ただの豚肉ではない、チャーシューだ。そう推理を立てた永原はこの事件を「チャーシュー遊戯
殺人事件」と呼んでいた。人間を窒息させるほどの密度と柔らかさをもったチャーシュー、しかも
それは角煮チャーシューに違いない。しかし捜査は難航していた。肝心の「角煮チャーシュー」が見つ
からないのだ。「ふう」軽く溜息をついて永原は立ち上がった。「あれ?チョーサン、どちらへ?」
同僚の刑事が声をかける。「ちょっと、ラーメン食ってくる」もう関東のラーメン屋は食べつくした、
今日はどこへ行こうか・・・そう悩みながら部屋を出て行こうとした時、永原の目に新聞の広告が目に
入った。『全国ラーメン職人選手権大会』・・こいつはいける! そう思った時、部屋にに別の刑事が
走りこんできた。「チョーサン! また殺しだ。今度はラーメンの麺で絞殺された死体が発見された!」
いったいこの街で何が起きようとしているんだ、永原は不気味な影を振りほどくように走り出した。


次回 >> 第九話 「石焼ラーメン」

140名無し職人:03/05/07 21:22
-CM-
141名無し職人:03/05/08 13:19
続きマダー?
142名無し職人:03/05/08 15:39
内容:
第九話 「石焼ラーメン」

武田幸三は全国ラーメン職人選手権大会に出場するため、馬場千代にどうすれば
美味いラーメンをつくれるようになるか、教えてくれ、と頼む。
「大会は一ヵ月後じゃないの。そんなすぐに美味いラーメンがつくれるように
なるわけないでしょ」
「無理は承知だ。そこをなんとか頼む」
「そう、わかった。命を賭ける覚悟がある?」
「ああ」
「わかった。これはあくまでも噂なんだけど、『八竜の長城』に行けば、
短期間で麺の達人になれるそうよ」
「八竜の長城?」
「信州長野海抜二千メートル八ヶ岳連邦。そこにあるという噂よ」
「わかった。ありがとう」
「待って、そこに行く前にテストをさせて」
「テスト?」
「そう、生半可なことじゃ、あそこで命を落とすだけだわ。『灼熱石の儀式』
を経た者にしか、あそこへ行くことはできない」
「なぜ、そんなことを知っている? お前はいったい・・・?」
「よけいな質問はしないで、テストは簡単。
真っ赤に焼けた石鉢に入ったラーメンを全部食べればそれでいいの。
ただし、テーブルもレンゲもつかわないでね」
そう言うと、馬場千代は真っ赤に焼けた石焼ラーメンを用意した。
「さあ、どうする? 臆してこれを受け取らなければ、ここですべて終わりよ」
幸三はそれを受け取ると、顔や掌がヤケドすることを一切かまわず、
一気に啜りこんだ。
そして、完食し、石鉢をいきおいよく床にたたきつける幸三。
それを見て、言葉を発する馬場千代。
「確かに見届けた。これにて、『灼熱石の儀式』は成立。いざ行かれませい。
『八竜の長城』へ」
143名無し職人:03/05/08 15:40
八竜の長城
八竜の長城は今から約千年前、中国宋より渡った烙彪大師が中華麺を
日本全土に広めるために築城した。
常に堅い秘密主義のもと、歴史の表面には決して姿を見せぬが、
歴史にその名を残す多くの料理人たちが、この伝説の長城を修行の場として
鍛錬したという。
この長城の存在は二十世紀になってからは文献に現れることもないが、
現代にもまだ存在するという一部学者の説もある。
「二十世紀の秘跡」民明書房 より

次回>>第十話「敵の館でラーメンをこぼす」
144名無し職人:03/05/10 10:18
---CM---
2ちゃんねるやめますか?
それとも
人間やめますか
AC交響抗告気候です
145こんな人、知り合いにいませんか?:03/05/10 17:37
<アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)←脳の機能的疾患(遺伝が要因)>
http://www3.ocv.ne.jp/~cochome/kaisetsu.htm#chigai
http://www.autism.jp/l-02-03-aspe3.htm
http://www.geocities.co.jp/Beautycare/5917/as/
●接し方のルールがわからず無邪気に周囲の人に対して迷惑なことをしてしまうこと
がある。人を傷つけるということには鈍感です。年配の先生に向かって「おばあさん
先生おはようございます」と明るい大声で挨拶する生徒もいる。こういった言動をす
る場合にも彼らには悪意はない。
●小さな声でひとり言を言ったり、考えていることを声に出して言うことがある。
●融通が利かないことも学校生活で問題になる。時間割の変更や突然の教師の欠勤と
いう事態で不安を感じたりかんしゃくをおこしたりする。あまりに規則に厳格なため
に、遅刻した同級生に延々と注意をしたり、修学旅行などで消灯時間をかたくなに守
り、他の生徒の顰蹙をかったりすることがある。
●行動・興味・活動のパターンが貧困で反復常同的なことも自閉症の特徴である。すな
わち、日常の活動の様々な面にわたって柔軟性のないルーティン(決まった手順や日課)
を押しつける傾向、これを慣れ親しんでいる習慣や遊びのパターンだけでなく、たいてい
は新しい活動にも押しつける。そしてルーティンや個人的な環境の細部の変化(家の中の
置物や家具の移動によるなど)に対する抵抗がみられることがある。
●揺れる木の葉を見続ける子どもは興味のレパートリーが狭いとも言え、視覚的な敏感さ
があるといっても良い。
●精神遅滞を伴うものと伴わないもので大きく分かれる。100%果汁のオレンジジュー
スを思い浮かべてください。それにだんだん水を加えて薄めて行くと終いには水にごく近
くなる。一口飲んで「オレンジジュースだ!」とわかるものは自閉症、水に近いけれどな
にかオレンジの味が混じっているのがアスペや高機能・・。その濃度はさまざま。濃いオ
レンジジュースであったとしても早期の療育や周りの対応によって水に近づいていくこと
は可能。しかし間違えてはいけないのはオレンジジュースが一滴でも落ちている場合は
「純粋な水」にはなれないのです。
146名無し職人:03/05/12 19:30
第十話「敵の館でラーメンをこぼす」

八竜の長城から武田幸三が帰ってきた。
かつては、その横顔に童景が残る好漢であった幸三は、まったくの別人になっていた。
いや、面差しは変わらぬものの、その相貌からは甘さというものを全て削ぎ落としていた。
幸三を迎える松井軒の面々。馬場千代。そして、ポチョムキン。
「お前、たいそうなところで修行してきたんだってな? その成果を見せて貰おうか」
挑発するポチョムキンに対し、黙ってラーメンを作る幸三。
スープも麺も八竜の長城から持ち帰ったものだ。
幸三はポチョムキンにラーメンを差し出した。
ポチョムキンは一口スープを啜った途端、息も注がずに最後まで食べてしまった。
あまりの勢いで食べたため、ラーメンを少しこぼしてしまった。
「な、なんだ! この味は?! まるで麻薬だ」
「一度、口にしたら最後。全部食べるまで、ドンブリから口を離せない。それが俺のラーメンだ」
「幸三〜、よもや、よもや貴様がここまでの遣い手になって帰ってこようとは。
大会ではこの俺が自ら貴様の相手をせねばならぬようだな」
「なんだと?」
「ロシア人の俺にラーメンが作れぬとでも思ったか? 甘いわ。幸三。俺はシベリア帰りの男だ」
「なに?」
「俺はソ連が崩壊する前は秘密警察の人間だった。しかし、ペレストロイカのときに
旧体制側と判断された俺はシベリア行きとなった。
シベリアのイルーツクを知っているか?
気温がマイナス70度にもなる地球上で最も寒い地だ。あそこに比べたら南極なんて
ハワイみたいなもんだぜ。
そんなところを生き延びるには、ひたすらラーメンを作り、食うしかなかった。
俺は永久凍土のシベリアでラーメンを作ってきた男だ。貴様には負けない」
また、言いたいことだけを言って立ち去るポチョムキン。
なぜロシア人なのに、ラーメンなんだよ? ロシア人はボルシチじゃないのか?
という、つっこみを入れる暇もなかった。

次回 >> 第十一話「鯖を味噌で煮込む女!?」
147 ◆Cyokit0E3k :03/05/14 02:31
第十一話「鯖を味噌で煮込む女!?」

「なんでお前はこう使えないかねぇ・・・ペシペシ」宮本拳は座間卓の頭をせんべいの蓋で叩いていた。
「ぎりちょん」のプロモーションに使う店を座間が確保できないでいたからだ。宮本の隣でダイヤブロック
を組み立てている大塚恵一。宮本がネチネチと座間を苛めていた所に突如爆発がおこった! 爆煙の中
から現れるポチョムキン。
「予定が変わった・・・。文句は言わせねぇぜ。金を返せ、でないとロケット砲をぶちこむからな。」
「・・・撃ってから言わないで。。。」そういって座間卓は絶命した。
「『うまいもん』、これが大会にでる店の名前だ。宮本! テレビの準備しとけ!」言いたいことだけ言って
ポチョムキンは去っていった
* * *
松井軒で『全国ラーメン職人選手権大会』の準備をしている武田幸三。その横にはいつのまにか居ついて
いる馬場千代の姿があった。黙々と鍋に向かっている千代。
「なんでお前がいるんだよ!」
「うっさいわね! うちの家訓にあるの!! 右の頬を打たれたら・・・」ペシィ!! 千代の平手が
幸三の頬を打つ。「左の頬を打ち返しなさい・・・ってね(ハ〜ト)」
「・・・で、何やってんだよ! お前!!」
「見て分かんないの?? 相変わらずバカね!!」
「だから俺は・・・何でラーメン屋で、鯖を味噌で煮込んでるのか聞いてるんだ!!」
「必要になるの・・・いずれ分かるわ・・・・・・シィぃぃ!!!!」
幸三の言葉を遮り、千代は隣のズンドウのスープに手を伸ばす。バシィ!! 千代の手の平で叩かれた
スープが店の中に霧を作り出す。電気が落ちる店内。幸三が店の入り口に気配を感じた刹那、幸三は
飛んできた物体に手足を押さえつけられてしまう。
「な、なんだ、この油ぎった柔らかいものは! と、とれねぇ!!」
148 ◆Cyokit0E3k :03/05/14 02:32
(続き)

チリリーン・・・、死を予感させる不気味な鈴の音とともに現れる人影、それは「名代とりぶたラーメン」の
主人・西田操一であった。「ラーメンスープのお千代、裏切り者には死、それが掟だ。」
千代はポケットから粉末スープを取り出すと叫んだ「粒麺武殺技! 粉塵湯走!!」千代の手から放たれた
粉末が渦を巻きながら西田操一の体を襲う。
「そんなものが俺に通用するか!! 粒麺武殺技! 焼豚積息全苦!!」
西田操一は腹から大量のチャーシューを取り出し、そのチャーシューで千代の体をくるんでしまった。
「ははは!! お千代、俺のチャーシューの味を全身で味わいながら死んでいけぇぇ!!!!!」


次回 >> 第十二話「そ、そのこんにゃくは・・・」


【粒麺武殺技】
古来中国で最も恐れられた「暗殺」。その一番狙われやすい場面とは「寝る」「食う」「風呂」の3つ
であるが、粒麺死殺技はその「食う」において発達した武技であるという。満漢全席を食する皇帝の食座
においては護衛さえも武器の使用を禁じられた神聖な場であったという。そこで武器を用いずに粒麺と
いう食材で暗殺者に対抗したのが起こりであり、王大人が祖という説が有力である。しかし、この名前が
歴史の表舞台に登場することはなかった。

「粒麺武殺技その光と闇」民明書房刊より。
149名無し職人:03/05/15 23:38
第十二話「そ、そのこんにゃくは・・・」

「兄さん。お願い。やめて」
「今さらオレを兄と呼ぶな。オレはもはや馬場操一ではない。ラーメンの鬼だ。西田操一なのだ」
馬場千代と西田操一の会話を聞き、話に割り込む幸三。
「そうか、あんた。西田家の男なのか・・・」
「ほう、西田家を知っているのか」
「八竜の長城で西田家のことは聞いたよ。ラーメンによる日本征服をたくらむ一族があるとな」
「ほう、貴様、八竜の長城で修行したのか。ならば、わかるな。このオレに絶対に勝てぬことが」
「いや、そうは思わんな。あんたは自分の腕に自信がない。だから奇襲攻撃をかけた。違うか?」
「面白いことを言う。ならば、まともに立ち会えば勝てるとでもいうのか?」
「もちろんだよ」
「おもしろい」
そう言うと、西田操一は幸三の手足にまとわりついたチャーシューを剥がした。
厨房の真ん中で対峙する二人。
「いくぜ」
先に仕掛けたのは幸三だった。
勝負は一瞬にしてついた。
西田操一は仰向けに倒れ、完全に気を失っている。そしてその顔にこんにゃくが張り付いていた。
「見事だったわ」
幸三にチャーシューをとってもらいながら、言葉を発する馬場千代。
「でも、勝負はあくまでもラーメンにつかう素材のみよ。こんにゃくなんて臭いものをラーメンにつかう?
あなたは勝ちを得るためにラーメン職人としての誇りを捨てたんだわ」
「ラーメンにつかわない食材をここに置いたりするもんか。匂いを嗅いでみろ」
「どういうこと? このこんにゃくにはまったく臭みがないわ」
「こんにゃくの臭みはこんにゃくいも自体に由来するものではない。製造過程で
つなぎにつかう質の悪い石灰分とこんにゃくいもが反応した匂いなのだ。
美味いこんにゃくはラーメンの具材につかえる。立派にな。
美味ければ何をつかってもいい。ラーメンにルールなし。そう教えてくれたのはお前だろ」
150名無し職人:03/05/15 23:39
そして、ついに『全国ラーメン職人選手権大会』が開催された。
最終ラウンドは上位選手三名により争われる。
幸三もポチョムキンも順当に決勝戦まで勝ち進んだ。
残る最後の座席を手に入れたのが西田家最強の男と言われる西田聖司(松本人志)だった。
決戦の火蓋は切って落とされた。

次回 >>最終話「はるばるきたぜシベリア」
151名無し職人:03/05/18 15:41
---CM---
ついに究極のダイエット薬誕生。
「ラジュウムダイエット」新発売。
薬の中に有効成分である放射性物質が大量に含まれているから、みるみる痩せます。
体質に合わない場合は製品の使用をやめて、医師に相談してください。
副作用等で、髪が抜けたり、白血病になったり、ガンになることがあります。
使用上の注意をよく守っておつかいください。
152名無し職人:03/05/21 21:08
---CM---
知恵知恵古里 知恵古里 二酸化満貫 参加満貫 豊満知恵知恵
153 ◆XFjJshiba2 :03/05/21 23:25
最終話「はるばるきたぜシベリア」
 勝負は呆れるほどにあっけないものであった。西田家最強の男・西田聖司(松本人志)。
その実力とは裏腹に、実にきまぐれな男であり、決勝戦用に準備された食材に不満があると
言い残し、その場を去ってしまった。どよめく会場に残された武田幸三(渡部篤郎)とポチ
ョムキン(ジャン・レノ)。突然の事態に完全に動揺してしまったポチョムキンはミスを連
発。完成したラーメンは誰の目にも分かる失敗作だった。圧勝。

 数日後。

 旅客機の窓を見下ろす幸三の眼前に広がる広大なシベリアの大地。不安定に揺れる機内。
隣のポチョムキンが話しかける。
「本当にこれで良かったのか? 仲間を捨て、過去を捨て、そこまでして作るラーメンに意
味はあるのか? それにお前、ラーメンの修行にわざわざシベリ..」
「どうだっていいんだ。どうだって」幸三は言った。
守るものも、失うものも、俺にはないんだ。何となく始めたラーメン稼業で何となく一生を
終える。俺の器には丁度良いさ。それに・・・
「アンタ今、カッコイイこと考えてたでしょ!」
突然後部座席から真っ白いげんこつが伸びてきた。千代(ベッキー)だ。
「なんでお前、これ、オイ」
「いいから! やっべぇラーメン日本に持って帰っそい!!」
「そい??」


                               ラーメン死亡遊戯 完
154 ◆Cyokit0E3k :03/05/21 23:51
完結、乙です。
155TβS放送協会:03/05/22 00:19
>>154 みなさま
乙でした。

臨時控室
http://human2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1053198946/
156山崎渉:03/05/22 00:49
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
157視聴者:03/05/22 02:36
━―━―━―━―━―━―━―━―━[ほっしゅ(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
158名無し職人:03/05/22 17:37
  
159名無し職人:03/05/23 10:44
〜本日の放送はこれにて終了いたします。おやすみなさいませ〜 ピィィーッ
160名無し職人:03/05/23 21:14
このスレはもう沈めちゃうのですか?
161編成局長:03/05/23 21:24
えー、これより新番組の件について全体会議を行う。
まず前の番組の視聴率をプロデューサーから報告してもらう。
162プロデューサー:03/05/23 22:25
>>161
局長! ビデオリサーチもニールセンも見つかりません!!

それに、私の家庭の愛も見つかりません!!!!
163名無し職人:03/05/26 01:29

『久美の夕ご飯』

第一話『冷蔵庫のキャベツがない!』
第二話『亭主調理法』
第三話『野菜じゃないのよトマトは』
第四話『ひさよしとくみ』
第五話『ドラマなんて、くだらない』
第六話『与作、木を切る』
第七話『五作、木を植える』
第八話『雅子様、下から読んでも雅子様』
第九話『植えた木を誰かが・・・』
第十話『与作、五作の木を切る』
第十一話『五作、与作を切る』
第十二話『与作、久美を切る』
最終話『キャ〜ベツ〜はどう〜した〜。』
164名無し職人:03/05/26 01:31
第一話『冷蔵庫のキャベツがない!』


○月○日 AM6:00 曇り 都内近郊の一軒家

高円寺久美(広末涼子)は結婚して2年8か月。最近4か月と12日間、
夫・比佐善(織田裕二)とのセックスなし。拒む理由を夫は話そうとしない。
とにかく久美は我慢の限界だった。そしてある計画を立てた。

静かに寝息を立てる夫を起こさないように台所に降りてくる久美。
「あら? キャベツがない・・」
確か昨日一玉買って半分はサラダにしたが、残りはラップにくるんでテーブル
の上に置いておいたはずなのに・・・。

コンコン・・コン

そんな事を考えていると勝手口をノックする音が聞こえてきた。
久美の人生で最も長い一日はこうして始まった。


次回 >> 第二話『亭主調理法』

165名無し職人:03/05/26 01:45
>>164
間違えまスタ・・・。

(誤)
確か昨日一玉買って半分はサラダにしたが、残りはラップにくるんでテーブル
の上に置いておいたはずなのに・・・。

  ↓
(正)
昨日一玉買って半分はサラダにしたが、残りはラップにくるんで冷蔵庫に
入れておいたはずなのに・・・。



;y=ー( ゚д゚)・∵.   タ−ン
166柴田ぁ:03/05/26 04:04
第二話『亭主調理法』
「ごめんなさい、ちょっとかくまって頂けるかしら」
汗なのか水なのか、全身ずぶ濡れのその女、いや、正確には女性の格好をした男、にしか見えないのだが
その女(篠井英介)は上品ななオネェ口調で一方的に続けた。
「ちょっと一言では説明出来ない状況にあるの。決して怪しい者ではないの。
 …あらヤダいかにも怪しいでござるみたいな目つき。いいから! シッ!! 奴等だわ」
確かに大勢の足音が路地の向こうへと流れてゆく。
久美(広末涼子)は、とにかく大変な事になっているという事実だけは察し、
その女を家に上げ、バスタオルを渡した。
しばらくすると足音も止み、女も少し落ち着きを取り戻しているようだった。

○月○日 AM6:52 曇り 台所にふたり

「朝食? お弁当? あらヤダ手伝うわよ助けてもらったんだからぁ。
 こう見えても私、料理にはちょっとうるさいのよ。なにこの挽肉。なに作るの」
「ロールキャベツを作、あーっ、キャベツ。キャベツがなくなっちゃって。
 確かに冷蔵庫にしまっていたはずなんだけど。ないんです」
「あらヤダ。どうすんのよご主人のお昼。あのね、亭主をてなづけるにはまずお弁当。これ大事。
 お弁当のさじ加減ひとつで亭主なんてコロっと変わるんだから。お弁当作ることすなわち亭主を作ることなの。
 …あらヤダ私ったら。説教。こんな早朝に。まぁいいわ、別のもの作んないと」
ありったけの食材を並べる久美。
見知らぬ逃走中のオカマと料理をするという相当におかしな状況に疑問も抱かず、久美の戦いは始まった。


次回 >> 第三話『野菜じゃないのよトマトは』
167名無し職人:03/05/26 04:41
あなたが探してるあの話題はこれでしょ♪
http://endou.kir.jp/betu/linkvp/linkvp.html
168名無し職人:03/05/26 15:52
第三話『野菜じゃないのよトマトは』

キッチンの窓から突然、黒人の男(ローレンス・フィッシュバーン)が入ってきた。
「きゃ、誰ですか? あなた?」
そんな久美の問いを無視して、オカマに話し掛ける黒人。
「見つけたぞ。さあ、私と来るんだ。心配ない。私はヤツらとは違う。君の味方だ。
 私の名前はエイブラハム。君と同じく覚醒した戦士だ。早く。グズグズしてるとヤツらが来る」
「ちょっと、待って、アタシまだ事態が飲み込めてないの、どうしてヤツらに追われてるかも
よくわからないし。突然、味方だと言われても」
「事情は後で説明する。早く」
だが、突然、キッチンの窓から催涙弾が投げ込まれた。
素早く、それを窓から外に投げ返すエイブラハム。
次の瞬間、ドアから窓から、武装した特殊部隊のような連中が押し入ってきた。
一番最後に仕立てのいいスーツを着た初老の男(緒方拳)が現れた。
「やあ、エイブラハム。相変わらず、君はわたしの邪魔をしてくれるね。年寄りを
あんまりイジメんで欲しいなあ。とりあえず、今回はわたしの勝ちだね。さあ、そいつを
引き渡してもらおうか」
「私が手に何を持っているかわかるか?」
「トマトだろう? 野菜の」
「ところが、このトマトは野菜じゃあないんだな」
そう言うと、エイブラハムはトマトを床にたたきつけた。
強烈な閃光と耳をつんざくような音が破裂する。
久美は気を失った。

次回>>第四話『ひさよしとくみ』
169山崎渉:03/05/28 15:56
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
170 ◆Cyokit0E3k :03/05/29 18:04
第四話 『ひさよしとくみ』

○月○日 AM8:57 台所

「・・・くみ・・・・くみ・・・・・」
久美は夫の比佐善に起こされた。ハッと我に返る久美。台所を見回すが何も
異常がない。
「あの女の人は? いえ、女じゃなくて男なんだけど女なの。トマト、そうトマトは?」
錯乱気味の久美を比佐善が優しく抱きしめる。
「夢だよ。怖い夢を見たんだよ。」
「・・・そうね、どうかしてるわ、私・・・」 久美はそういって比佐善の腰に手を回した。
「あなた、会社は?」
「ああ、今日は休むよ。君が心配だから」

ちょっとの沈黙。久美の中に広がる安堵、そして疑問。いきなり久美は比佐善を
突き飛ばす。
「おかしいわ! あなた・・・優しすぎる・・・」
そういいながら久美は冷蔵庫を開けて中を確かめる。
「やっぱり、キャベツがない!!!」
倒れた比佐善がユラっと立ち上がる。
「どうし・・・タンダイ? クミ・・ボクダヨ・・・ヒサヨシダヨ・・・アイ・・シテル・・・ヨ」

あとずさりする久美。その時、勝手口をもの凄い勢いで叩く音がした。


次回 >> 第五話 『ドラマなんて、くだらない』
171名無し職人:03/05/29 21:38
第五話 『ドラマなんて、くだらない』

比佐善が目の前でドロドロとバターのように溶け出した。
「ひっ」
思わず息を呑む久美。
その時、勝手口をもの凄い勢いで叩く音がした。
「どうしたんですか? 高円寺さん。警察です。ドアを開けてください。高円寺さん」
警察・・・? そうだ、警官ならさっきから起こっているこの理不尽なことを
説明してくれるかもしれない。
久美は勝手口のドアに向かった。
「開けてはいけない」
後ろからいきなり腕をつかまれた。振り向くと、あのエイブラハムという
黒人が立っていた。
「君をこの戦いに巻き込むつもりはなかったのだが、もう手遅れのようだ。
キャベツがなくなっただろう?」
なぜこんなときにキャベツが出てくるんだろう? そう思ったが、久美はうなずいた。
「あのキャベツはこの世界の日常の象徴だった。だが、すでに失われてしまった。
もう後戻りはできない」
「なんの、なんの話をしてるんですか・・・?」
「この世界の話だ。君たちは今までドラマを見させられていたようなものだ。
いや、自分でもそうとは気づかず、出演させられていたんだ。
ニセモノの世界のくだらないドラマにね」
「ニセモノ・・・? ドラマ・・・?」
「そうだ。だが、君はもう気づいてしまった。道は2つしかない。
ここでヤツラに殺されるか、私たちと共に戦うか」
「ちょっと、待ってください。なんの話だがさっぱり・・・」
「話は後でしてやる。とりあえず、ここを出る。行くぞ」
そう言うと、エイブラハムは久美の手を握り締めた。
懐からトマトを取り出した。
トマトを床にたたきつけた。

次回 >>第六話『与作、木を切る』
172 ◆Cyokit0E3k :03/05/31 20:35
第六話『与作、木を切る』

「さぁせるかぁ〜〜〜!!!」
エイブラハムがトマトを床に叩きつける瞬間(秒240コマのスーパースロー)、台所の
窓を叩き割って男(キアヌ・リーブス)が飛び込んできた。その男はまるで野球のノッ
クのように左手に持っていた薪を右手の斧で真っ二つにしながらトマトを弾き飛ばした。

「五作! きさまの勝手にはさせんぞ!!」
現れた男にびっくりしながらエイブラハムが言う。
「五作って言うな〜〜。俺はエイブラハムだ!! なんだ与作のくせにぃぃ!!!」

エイブラハム(五作)の言葉に即座に反応する与作。
「与作いうな〜〜〜! 俺はリンカーンじゃぁぁぁ!!」

起きている事が全く理解できない久美に向かってリンカーン(与作)が言う。
「あなたは騙されているんだ。さぁ私と一緒にくるんだ!」

分けのわからない久美。はっきりしていたのは与作(リンカーン)より五作(エイブラハム)
の方がどっちかというと好みな事だけだった。

久美「黒人のセックスって凄いってホント??」


次回 >> 第七話『五作、木を植える』

173名無し職人:03/05/31 23:15
第七話『五作、木を植える』

「そーだよー、黒人のセックルはすごいんだよ〜 さあ、パソツを脱いで、マムコを出してごらん。
おじちゃんの大きな木をキミの穴に植えてあげるからね〜」
五作(エイブラハム)はそう言うとズボンを脱いだ。
「なにやっとんじゃ〜!!!!!」
与作(リンカーン)はそう叫び、なんと、右手に持っている斧で五作の木を斬り飛ばした。
「はうううううううう〜〜〜〜〜!!!!!」
世にも悲痛な声をあげる五作。
股間をおさえた両手のあいだから間欠泉のごとく出血。
キッチンの隅にすっ飛ぶ五作の木。
五作は素早く手を伸ばすと、キッチンの隅に転がった己がモノを拾い上げた。
そして、それを股間にくっつけると、何とたちまち繋がり、出血も止まった。
「テメェ、シャレにならないことするんじゃねえ」
「お前が抜け駆けして手柄を立てようとするからだ。しかもここでセックルしようとすんじゃねえ。
後でやれ、後で。時間がないんだろ」
「ちっ、テメェおぼえてろよ。この借りは必ず返すからな」
「こいつら、いったい何なのよ・・・」
久美は眩暈がしてきた。

次回 >>第八話『雅子様、下から読んでも雅子様』
174名無し職人:03/06/03 02:31
---CM---
175名無し職人:03/06/05 18:06
---CM---

いつかこの苦しみも終わる日がくる
だからこ耐えられるし、だからこそ死ねるのだ

マゾリックス・リローデッド
176名無し職人:03/06/07 19:06
---CM---
椎名淫語 NEW SINGLE 歌舞伎町風俗嬢〜度窮鼠の精子流れ〜

  N O W   O N   S A L E
177 ◆Cyokit0E3k :03/06/09 16:44
第八話『雅子様、下から読んでも雅子様』

いきなり狭い台所を舞台にカンフー対決を始める与作と五作。久美は気づかれないように
勝手口に向かってじりじりと移動した。扉に手をかけた瞬間、勝手口から女が顔を出した。
「あ〜ら、こんにちは!」その女、いや正確には女性の格好をした男にしか見えないのだが、
その女( >>166 第2話参照 )は上品なオネェ口調で一方的に続けた。

「あたし雅子っていうの。できれば様をつけて下から読んでもらえると嬉しいわ。」
同じジャンと思いながらも勢いに負けて久美が言葉を紡ぐ。
「マサコ・・・サマ、下から読んだら・・・マサコサマ」
「おじょーず!! では、これはな〜に?」そういうと雅子はブラウスのボタンを外し、
ブラの中から2つの赤い物体を取り出した。
「ト・マ・ト?」
「下から読んだら??」
「OTAMOT」
「ちっげーよぉ!!! 回文も解さないこの有閑マダムぅぅぅ!! なんであなたは我侭
で人の気持ちも理解しないで自分勝手に現実を解釈しようとするのよ! いけない追っ手
だわ! これはあげるわね。」
言いたいことだけいって雅子は消えた。久美の手には2つのトマトが残った。ふと久美が
顔を上げると与作と五作が顔面を蒼白にして立っていた。

「久美さん、危ないから、ね。それをこちらに渡しなさい。」
うろたえる与作と五作を見て、久美は立場が逆転したことに気がついた。


次回 >> 第九話『植えた木を誰かが・・・』
178名無し職人:03/06/10 23:52
第九話『植えた木を誰かが・・・』

「近寄らないで。何がどうなってるのか説明してよ。じゃなきゃ、これを投げるわよ」
久美がそう言うと、
「ちょっ、ちょっと待て。いま説明するから・・・」与作も五作も慌ててそう言った。
「久美くん、キミはその二人に騙されている。我々は仲間だ。安心しなさい」
突然、背後から声がかかった。
振り向くと、あの初老の男(緒方拳)がまた立っていた。
背後には例によって特殊部隊がズラリといる。
「その二人は精神病院から抜け出してきた患者でね。私は医者だ。彼らといると危険だよ」
じゃあ、後ろの特殊部隊は何なんだよ。
「彼らには武器弾薬の知識があり、様々な拳法もつかえる。あぶないからね」
この二人はキ○ガイだった。
そう考えるのが一番常識には合ってるような気がする。
しかし、それでは溶けた夫やすぐにくっついたチンポの説明がつかない。
どうせ、彼らはマジックのテクニックがあるとか何とか言うに違いないが、初老の男が
言ってることが真実であるという保障もどこにもない。
久美は瞬時に判断した。
初老の男は悪人顔だ。与作はハンサムだし、五作はチンポがデカイ。
したがって、こいつが嘘をついている。
「そんな手に乗るもんですか!」
久美はそう叫んで、初老の男と特殊部隊にトマトを投げた。
辺りが閃光に包まれた。
179名無し職人:03/06/10 23:53
気が付くと、恐ろしく汚い部屋にいた。
廃棄された工場を無理矢理住居につかってる感じの部屋だ。
しかも、工場としても機能してるらしく、あちこちで機械音がする。
高校中退板金工場にお勤めのヤンキーだって、もっとマシな職場にいるに違いないと
思わせる部屋だ。
「ようこそ、リアルワールドへ」
五作がそう言った。
初老の男に付いて行くんだった。
久美は後悔した。

次回>>第十話『与作、五作の木を切る』
180 ◆Cyokit0E3k :03/06/12 00:25
第十話『与作、五作の木を切る』

「やっと来てくれたね。トマトを一つだけ投げてくれて助かったよ。」
五作(エイブラハム)は妙にデカい椅子に座りながら久美に話かける。
「さぁ、君の望みどおりにしよう。」

* * *

・・・アン・・アン、、アン。。。

* * *

なんだろう? この満たされない気持ちは?? 久美は自分が望んだことを
五作がしているのに、何故だか怒りが込み上げてきていた。気がつけば左手には
残ったトマトが一つ。ためらわず五作の顔にグシャリ!!

その瞬間、天窓を割って与作(リンカーン)が2回転半ひねりで大股を広げて
着地を決め、五作の無防備な木に向かって斧を振り下ろす。

「ばか! ここはリアルワールドだぞ!! やめろぉぉぉ!!!」

五作の叫びも空しく、五作の『木』は綺麗に体から切り離されリヒャルト・
シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」をBGMに与作に踏み潰された。


次回 >> 第十一話『五作、与作を切る』
181TβS放送協会:03/06/12 00:32
ここまでのあらすじ
第一話>>164 第二話>>166 第三話>>168 第四話>>170 第五話>>171
第六話>>172 第七話>>173 第八話>>177 第九話>>178-179 第十話>>180
182名無し職人:03/06/13 18:30
第十一話『五作、与作を切る』

「おのれ〜、死ね、与作!」
五作は股間の出血をものともせずに、バネ仕掛けの人形のように跳ね上がると、
与作の持っていた斧をとりあげて、与作を袈裟斬りに斬った。
「ぐはぁっ〜」
血の海に沈む与作。
だが、それと同時にがっくりと、膝をつく五作。
股間からの出血が止まらない。
「大丈夫、しっかりして。死んじゃダメ」
だが、久美の呼びかけも虚しく、どんどん青ざめていく、五作の顔。
「この人はもう助からないわ」
久美の後ろから声がした。
それはあのオカマの雅子様だった。
「世界を、世界を救ってくれ・・・」
そういい残して、息を引き取る五作。
誰も気づいていなかったが、与作がいま密かに手に斧を持って立ち上がろうとしていた。

>>第十二話『与作、久美を切る』
183名無し職人:03/06/13 18:32
>>第十二話『与作、久美を切る』は
野球中継のためお休みです。
184名無し職人:03/06/14 19:05
雨で野球は中止になりました。
185名無し職人:03/06/14 19:05
第十二話『与作、久美を切る』

「うわぁぁあ!!」
与作は無防備な久美に向かって斧を振り上げる。久美がその動きに気づいた時にはもう
遅かった。与作の斧は久美の股間をかすめて床に突き刺さる。
「なんで『木』がないんだよぉぉ!! おらぁ木しか切れねぇだぁ」
錯乱する与作を横目に雅子が冷静に久美に告げる。
「大丈夫。さぁその扉を開けて。あなたにはやらなければいけない事があるんだから」
雅子の優しい瞳を見て久美は自然と言葉が漏れる。
「おねぇちゃん??」
* * *
「ぬぉぉぉらぁぁあぁ!!」
その瞬間、与作の斧が雅子の股間を捕らえる。
「ぎゃやぁっぁああああ!!」
* * *
「さぁ、全部終わったよ。じゃ、さよなら・・・」
与作はそういうと久美の頭に向かって斧を振り下ろす。
ザクッッ・・・・!!
* * *
久美は自分の体に必要以上の体重がかかっていることに気づいた。与作の斧は自分と与作の
間に割って入った男の背中に刺さっていた。その男は特殊部隊を引き連れていた初老の男だった。
「なんで??」
久美の疑問に初老の男はゆっくりと微笑む。
「・・・帰ろう、久美・・・」
「おとう・・・さん???」
久美は自分の口から出てきた言葉が嘘では無いことに気づいていた。
よく見れば、与作は夫の比佐善ではないか。手には五作が持っていた拳銃があった。

「さようなら」
久美は比佐善に向かって全弾を放った。

次回 >> 最終話『キャ〜ベツ〜はどう〜した〜。』
186 ◆Cyokit0E3k :03/06/14 19:19
>>185 トリブつけ忘れますた。

あと、最後の拳銃は五作じゃなくて、初老の男の持ち物ですね。
187 ◆Cyokit0E3k :03/06/16 01:20
最終話『キャ〜ベツ〜はどう〜した〜。』

「ふう」
久美はゆっくりと息を吐き出すと立ち上がって冷蔵庫の中身を確認する。
「ふふふ」
冷蔵庫にはラップにくるまれた半玉のキャベツがあった。
顔を上げて部屋を見回す久美。
「あ〜あ、トマトだらけ。後で掃除しなくっちゃ。」

* * *

○月○日 PM4:55 小雨 家の前

久美は傘をさして家から出てきた。そこに近所のおばさんが通りかかり声をかける。
「あら、高円寺の奥様。お出かけですか?」
傘に隠れて久美の顔は見えない。チラッと覗かせた口元がニヤリと笑う。

「ええ、みんな殺しちゃったので、ちょっと警察まで。それではごきげんよう。」
久美は傘をクルクルと回しながら坂道を歩いていった。


END





(↓蛇足。迷ったんですが書いておきます。)
〜〜〜(ニュース)先日起こりました凄惨な事件の続報です。殺害されたのは高円寺幸雄さん、
幸雄さんの息子の比佐善さんと五作さん、それに娘の雅子さんの4人です。犯人はなんと
比佐善さんの配偶者でした。犯人は動機に対して「夕飯のコロッケにキャベツが無かったことを
責められてやった。」と分けのわからない供述をしており・・・・・
188TβS放送協会:03/06/16 01:30
乙。

まとめ
第一話>>164 第二話>>166 第三話>>168 第四話>>170 第五話>>171
第六話>>172 第七話>>173 第八話>>177 第九話>>178-179 第十話>>180
第十一話>>182 第十二話>>185 最終話>>187

次回放送までしばらくおまちください
189 ◆Cyokit0E3k :03/06/16 19:08
比佐善はひっくり返すと善佐比(よさく)になるんだけど使いこなせなかった。
8話でやっとくべきだった。


次回のリクエストはっときます。
たまにはバカで笑えるのもどうですか ↓

* * *

日曜朝8:00〜
「義家族戦隊ヨメナンジャー」

メンバーはヨメレッド、オットブルー、シュウトグレー
シュウトメピンク、ヒキパラコジュートブラックの5人。

第1話「最強の敵現る」
第2話「カレーライスの夢」
第3話「ブラックだけ巨大ロボ一人占め」
第4話「怪人の主張『1対5は実際つらい』」
第5話「ダメよ店長、夫に知られたら・・・」
第6話「妻として母として女王様として」
第7話「夫として父として奴隷として」
第8話「レッドさん!このホコリはなんですか!」
第9話「内輪もめスペシャル」
第10話「今夜は生放送!怪人タマちゃん登場!」
第11話「ヨメナンジャー最大の危機!?ブラックホール出現」
最終話「最弱の敵現る」
190TβS放送協会:03/06/16 20:36
>>189
タイトル拾い上げサンキュー

ちょと忙しいので1話書いてる時間がない!
早いモン勝ちでアホアホドラマをおっぱじめてクレロ!
191 ◆Cyokit0E3k :03/06/18 01:40
すでに1話に着手されている方がいたらごめん。
なんか、たまにはキャスティング案の募集なんかしてみたいなぁと。
年齢設定も特にないので自由に配役を考えてくれい。
採用されるかは1話次第ということで。


(以下、テンプレ)
義家族戦隊ヨメナンジャー配役表

ヨメレッド(      )
オットブルー(      )
シュウトグレー (      )
シュウトメピンク(      )
ヒキパラコジュートブラック(       )

敵とか(複数可、怪人の名前とかもどうぞ。なくてもいいです。)
例:怪人タマちゃん(10話登場予定) 大滝秀治
1.
2.
3.


192KEL:03/06/18 02:41
義家族戦隊ヨメナンジャー配役表 案1

ヨメレッド(西田尚美)
オットブルー(ケイン・コスギ)
シュウトグレー (小林薫)
シュウトメピンク(木の実ナナ)
ヒキパラコジュートブラック(荻野目慶子)

敵とか(複数可、怪人の名前とかもどうぞ。なくてもいいです。)
例:怪人タマちゃん(10話登場予定) 大滝秀治

役者だけ。。。
【男優】哀川翔、鮎川誠、阿藤快、石立鉄男、岡林信康、小野ヤスシ、斉木しげる
    嶋田久作、田中健、寺田農、長渕剛、夏木ゆたか、萩原流行、山下達郎

【女優】浅岡ルリ子、イルカ、うつみ宮土理、片桐はいり、北林谷栄、鈴木杏樹
    兵藤ゆき、平野レミ、前田美波里、薬師丸ひろ子

暇なんで考えてみました。
よかったらどっかで使ってください!
193TβS放送協会:03/06/18 02:47
>>192
うわ、概ね同意。早いモン勝ちで!
194名無し職人:03/06/18 22:17
義家族戦隊ヨメナンジャー配役表 案2

ヨメレッド(水野美紀)
オットブルー(ユースケ・サンタマリア)
シュウトグレー (千葉真一)
シュウトメピンク(志穂美悦子)
ヒキパラコジュートブラック(浅野ゆう子)


195柴田ぁ:03/06/19 23:45
日曜朝8:00〜
「義家族戦隊ヨメナンジャー」

第1話「最強の敵現る」
北関東一の繁華街、ヒップスター商店街のど真ん中で
ナオミ(西田尚美)は茫然としていた。
先月まで、スーパー「ニコヤカマート」のあったその建物の前には
「日本最大手パチンコチェーン『スパルタンXYZ』近日開店」
と幾つもの立て看板が立っている。

元々は小さな商店街だったこの街で、ナオミは生まれ育った。
それが数年前、突如現れた「スパルタン商会」会長・四方木鉄男(石立鉄男)の
勝手な「改造計画」により、見かけだけは豪華な、しかし魂の抜けたような
ショッピングモールへと変貌してしまった。

ナオミは夫の祐介(ユースケ・サンタマリア)、舅(しゅうと)であるカオル(小林薫)と共に
小規模なフルーツ店「ももや」を経営している。
「スパルタンXYZ」のはす向かいに。

「どうにかしなきゃいけないと思うんだ」
カオルは静かな口調でそう言った。


次回 >> 第2話「カレーライスの夢」
196TβS放送協会 :03/06/19 23:46
各話タイトルは>>189参照
登場人物候補は>>192>>194参照
197名無し職人:03/06/20 04:13
第2話「カレーライスの夢」

高橋茂樹(嶋田久作)は世界制服を企む肛門科医師だった。
最初に自分の才能に気づいたのは一体いつのころだったろうか?
自分がまだ研修医だったころ、直腸検診に来た男性患者のリピーターがやたら多かった。
皆一様に目をトロンとさせ、「センセイ〜、早く直腸検診して〜」と口々にねだった。
その様子はまるで麻薬患者のようだった。
どうやら高橋の長い指が前立腺を微妙に刺激したらしかった。
「もしかして、これで天下を獲れるかもしれない!」
仮にアメリカ大統領が自分の前立腺マッサージにより、快楽の奴隷になってしまえば、
世界をこの手に握ることも可能だ。
しかし、そんな機会もないまま、日々は流れ、市井の肛門科医として埋もれていた。
そして、もうひとつ自分の野望を阻む者がいた。
妻の高橋愛(水野美紀)だ。
愛は柔道剣道は言うに及ばず、芦原空手、太氣拳、大東流合気柔術、荒木天神流捕り手術、
薬丸野太刀自顕流などを学んだバリバリの武闘派だ。
しかも、彼女は小学校のときの作文に「大きくなったら正義のヒーローになりたいです」
と書いたような女の子だったのだ。
「我が野望を阻むは最も身近である妻であるのやもしれぬ。ふっ、皮肉なことよ」
だが、高橋は世界制服の野望の第一歩として、祐介(ユースケ・サンタマリア)を
抱き込んでいた。
祐介はフルーツ店の経営は嫌気がさしており、本格インドカレーの店を開きたいと思っていた。
「キミの夢を応援するよ。わたしもインドカレーは大好きだからね。店を開くときには
いくらか投資してあげよう」
もちろん高橋の狙いはインドカレーによる痔主を増やすことだ。
患者が増えれば、手下もそれだけ多くなる。世界制服は地道なことからコツコツとだ。
「この黄金の指でわたしは天下を獲る」
高橋の野望は己の身を焼きかねない大きな炎であった。

>>第3話「ブラックだけ巨大ロボ一人占め」
198cyokit:03/06/21 03:18
第3話「ブラックだけ巨大ロボ一人占め」

祐介の姉・黒子(荻野目慶子)は半年前にイケメンのトルコ人と恋に落ち、
駆け落ち同然で家を飛び出した。黒子を溺愛していた父のカオルは相当落ち
込んだがナオミが明るく介抱した。
その黒子が突然帰ってきた。トルコ人は結婚詐欺師だったのだ。成田で既に
放り出されていたにもかかわらず、一途な黒子はトルコ人を信じて地中海を
彷徨い歩いていたらしい。

そして事件は起こった。
ナオミに優しくされることを嫌った黒子は何かにつけナオミを叱責する。祐介
はオドオドするだけだったが、そこをカオルが助けたのだ。
「お父さんはその女に味方するのね! もう誰も信じられない!! あたしは
一人で生きていくわ・・・そう悪魔に魂を売ってでも・・・」
黒子は泣きながら家を飛び出した。
そして・・・・
1週間後、黒子は帰ってきた。全長22mの巨大ロボットになって・・。


次回 >> 第4話「怪人の主張『1対5は実際つらい』」
199名無し職人:03/06/21 18:36
第4話「怪人の主張『1対5は実際つらい』」

黒子は家を飛び出したあと、行き倒れになった。そこを高橋愛に助けてもらった。
だが、黒子はやけくそになっており、開業医の院長夫人である愛をねたましく思う。
そこで愛の夫の高橋茂樹を誘惑するのだが、
「アタシのカラダ、あなたの好きにしていいのよ・・・・」
この言葉を聞いた高橋は愛を巨大ロボに改造してしまう。
高橋のゴールドフィンガーによって、重機メーカー、ロボット産業、免疫工学、ナノテクノロジー、
そういった最先端の科学技術の第一人者がすでに手下になっていた。
彼らの協力を得て、巨大ロボは完成した。
あとは黒子の脳ミソに催眠術を施し、街を破壊し、世界制服の第一歩を踏み出そうとしたが、
その前に黒子が脱走してしまったのだ。

ここで高橋茂樹の独白
現代の怪人とも言われるわたしだが、はっきり言って世界制服は並々ならぬ苦労がある。
まず、わたしの手下はわたしの考えに共鳴しているわけではなく、あくまでもゴールドフィンガーの
とりこになっているにすぎない。
手下の数も今では増え、そいつらに定期的に前立腺マッサージをしてやらねばならない。
ときには、同時に5人に前立腺マッサージをすることもある。
腱鞘炎になりそうだ。

次回>>第5話「ダメよ店長、夫に知られたら・・・」
200名無し職人:03/06/22 01:52
じゃ200
201名無し職人:03/06/22 01:52
☆こんなカワイイ子達がどうして脱いでるのかなー?☆
http://endou.kir.jp/betu/linkvp2/linkvp.html
202名無し職人:03/06/22 03:22
第5話「ダメよ店長、夫に知られたら・・・」

ナオミ(西田尚美)はタンスの中から一枚の紙切れを見つける。それは闇金融からの
請求書だった。そのことを祐介(ユースケ・サンタマリア)に問い詰めると
「そうだよ。オレはこんなボロイフルーツ屋の店長で終わるつもりはないんだよ!」
祐介は昔からいい加減な男だった。そもそも祐介は付き合う前自分のことを大会社の
社長だと言っていた。とにかく平気で嘘がつける男なのだ。

「チョットタバコ買って来る」
気まずくなった祐介は家を出て行った。都合が悪くなると祐介はいつもどこかに出かけて
その日は帰ってこない。
泣き崩れるナオミに心配になったカオル(小林薫)がハンカチを渡した。
「使ってくれ。心配すんな!さっきアイロンかけたばっかりだよ」
日頃無口で厳しいカオルの意外な優しさに触れてナオミはドキドキしていた。
「いけませんわ店長、夫に知られたら・・・」
「ナオミさん、昼ドラの観すぎだよ。それより表に祐介に会いたいという客が来たんで相手
してくれないか?」

ナオミが入り口に行くとそこには高橋愛(水野美紀)がビデオテープをもって立っていた。
「観てほしいものがあるんです」
高橋愛がもっているテープはベーターのテープだった。。
「そのテープ大きくないですか?」
「嘘!これ普通のテープじゃないの?」

「ベーターのビデオデッキなら家にあるよ。ナオミさん家あがってもらいな!」
エアロビの格好をした姑ナナ(木の実ナナ)が持っていた鉄アレイをナオミに
渡しそう言った。

次回>>第6話「妻として母として女王様として」
203名無し職人:03/06/22 06:22
すいません。第4話「怪人の主張『1対5は実際つらい』」ですが、

>この言葉を聞いた高橋は愛を巨大ロボに改造してしまう。

ここ、愛じゃなくて、黒子です。
間違えました。
204TβS放送協会 :03/06/22 06:26
ここまでのあらすじ
第一話>>195 第二話>>197 第三話>>198 第四話>>199(203) 第五話>>202
各話タイトルは>>189参照
登場人物(候補)は>>192>>194参照
205名無し職人:03/06/23 17:03
---CM---
新ドラマ「24人のビリー・ミリガン」

主演:渡部 篤郎

みどころ  何を演じても渡部篤朗でしかない渡部篤朗が、24人もの人格を
      どう演じ分けるのかに注目。
206名無し職人:03/06/25 19:48
第6話「妻として母として女王様として」

愛が家にあがろうとしたところ、突然、ものすごい地響きがした。
そして空が暗くなった。思わず、上を見上げると、巨大ロボが空からゆっくり降下してくる
ではないか。
「な、なに?」
愛もナオミもナナもその場に凍り付いてしまった。
巨大ロボは着地する場所がなくて困っているようだった。
仕方ないのでヘリコプターのようにホバリングしているが、そのせいで強い風が起き、
あたりの埃が舞い上がる。
愛やナオミのスカートも激しくめくれ上がった。
「あたしです。こんな姿になっちゃったけど、黒子なんです」
巨大ロボットが信じられないことを言った。
「あたし、あたし、間違ってた。こんな姿になって、やっとわかった。もし、人間に戻れたら、
地味だけど優しい人と結婚して、可愛い子供をつくって、夜は彼の女王様になって、
妻として母として女王様としてキチンとやっていきたい」
どうやら、黒子は混乱のあまり、思いついたことをそのまま喋っているようだった。

次回>>第7話「夫として父として奴隷として」
207名無し職人:03/06/26 02:48
第7話「夫として父として奴隷として」

祐介(ユースケ・サンタマリア)はスナック「愛人顔」で飲んでいた。その店はママの夕子(浅野ゆう子)
の人柄もあってかとても繁盛していた。店の奥にはリーダー(渡辺裕之)率いる
「パチンコ梁山泊」が熱く語っていた。
「スパルタンの連中絶対許さない!!」一番若いケン(ケイン・コスギ)もいきり立っていた。
「まあ、まちな。オレに考えがあるあと一人味方になってくれる奴がいれば絶対うまくいく!
 お礼ならいくらでも出すんだがなあ〜」

その言葉を祐介が聞き逃すはずがない。いつもの調子で梁山泊のメンバーと仲良くなった
祐介。夕子はその様子を見てこっそり電話をしていた。
「あたくしどす。どうやら計画が進行中どす」

夕子はセックス依存症で夫や夫の父、自分の言うことを聞く数人の奴隷とも関係をもっていた。
しかしこの電話の相手の男とだけはそういう関係にならなかった。その男は
夕子にとって一番信頼できる男なのだ。

祐介がほろ酔い気分で帰ると家がなかった。というか家がつぶれていた。
「何だよこれ!!意味わかんねーよ!」
一人叫ぶ祐介。新聞受けに置手紙が置いてあった。

「家はある事情があって損壊しました。でも安心してください家族は全員無事です。みんなこの地図の場所にいます。
誰にもつけられずにここに来てください! ナオミより」

身の回り品を損壊した家から探し出してカバンに詰め込み家を出ようとした祐介だったが
出口には包丁をもったヤクザ(松重豊)と数人の男が立っていた。


次回>>第8話「レッドさん!このホコリはなんですか!」
208名無し職人:03/06/29 01:24
第8話「レッドさん!このホコリはなんですか!」

ヤクザが祐介にからんできた。
「兄ちゃんさ、あんたカタギなんだろ? カタギはカタギらしく大人しくしとれや。
余計なことに首つっこむと大怪我するよ」
「な、なんの話ですか・・・」
「とぼけんなら、それでもええ、せやけど、家族のことも考えたりいや」
そう脅かすとヤクザは祐介の前から立ち去った。
思わず、膝からへたり込む祐介。
わあ、やっぱ、パチプロの世界ってすごいんだなあ、オレってまるでVシネマに出演してるみたいじゃん?
などと考える祐介。
Vシネマには名前さえ出ることなく死んでいくヤツも大勢いるのだが・・・
「おっと、それより早く地図の場所に行かなきゃ、ってここ、自衛隊の駐屯地か?」

巨大ロボになった黒子、高橋愛、ナオミ、ナナ、カオルは自衛隊の研究所にいた。
「う〜む、素晴らしい技術だ。いったい誰が何のためにこれを作ったんだろう」
そうつぶやいたの陸上自衛隊の近藤盛男一佐(千葉真一)だ。
「西本二尉、君の意見を聞きたい。あ、失礼、君はもう除隊して民間人になったんだったね」
「はい、結婚して、名前も高橋に変わりましたし」
そう答えたのは、高橋愛だった。
愛はかつて自衛官であった。そして巨大ロボに改造された黒子は警察の手に余るだろうと
考え、かつての上司に助けを求めたのであった。
209名無し職人:03/06/29 01:26
高橋茂樹はあせっていた。
巨大ロボに逃げられて、しかもそいつは自衛隊に運び込まれてしまったのだ。
さらに自衛隊の内通者の情報によると、ロボを運び込んだのは自分の妻だというではないか。
「くそ、くそ、何てこった。美人で性格がいいから妻にしてやったのに、オレのことを裏切りやがった」
裏切るも裏切らないも世界制服計画は愛には内緒だったので、ロボの製作者が誰だか
愛は知らないのである。
口では愛を散々罵っているが、ロボの製作者が自分だとバレたら離婚されるかもしれない。どうしよう?!
という恐怖に高橋茂樹は怯えていた。
高橋は現実逃避の手段として過去を振り返った。
自分がまだ病院勤務だったころ、ハリソン・レッドフォードという海外研修生が来ていたのだが、
こいつが映画スターみたいな名前にふさわしくないドン臭いヤツで、いつの間にか下っ端として扱われ、
看護婦さえからも「レッドさん!このホコリはなんですか!」とイジメられていた。
だが、それは実は世をしのぶ仮の姿だったのだ。
実はヤツは日本に来た潜入工作員であり、正体が当局にバレたヤツは高橋を人質に取った。
それを救ってくれたのが、当時、自衛官だった西本愛二尉だったのだ。
自分を救ってくれた愛に一目ぼれした高橋は熱烈なプロポーズを続け、ついに結婚まで
こぎつけたのだった。
それだけに自分の野望が妻にばれるのは耐えられないことだった。

次回>>第9話「内輪もめスペシャル」
210TβS放送協会 :03/06/29 01:29
ここまでのあらすじ
第一話>>195 第二話>>197 第三話>>198 第四話>>199(203) 第五話>>202
第六話>>206 第七話>>207 第八話>>208-209
各話タイトルは>>189参照
211名無し職人:03/07/06 20:35
  
212名無し職人:03/07/09 00:50
あげ
213cyokit:03/07/10 09:58
第9話「内輪もめスペシャル」

高橋茂樹は巨大ロボットの黒子を自衛隊から奪い返すべく作戦を発動する。
「行け!スパルタンXYZ!!」
パチンコ屋が轟音と共に巨大ロボットへと変形するとパチンコ玉をばら撒きながらその上を移動し始めた。
落ちたパチンコ玉を一生懸命拾っているのは梁山泊の連中だ。
よし! 今こそ有事関連法案の威力を見せてくれる!! テレビ中継をみながら陸上自衛隊の近藤盛男一佐は
燃えていた。しかし、姑のナナがそれを制す。
「何言ってんだい。有事法はあくまで外敵に対する法律だよ。あんな日本語の看板ぶら下げた奴に自衛隊が
出動なんかできるわけないだろ! ここは警察の出番なんだよ。国家公安委員長をお呼び!!」
実はナナはカオルと結婚する前まで公安にいたらしいのだが詳しいことは誰も知らなかった。しかし、ナナの
電話一本で政府の緊急対策本部は近藤一佐へ自衛隊の出動断念を伝えてきた。
「民間でできることは民間でやるんだよ! 黒子、あんたの出番だよ!!」
「ええぇぇ?? 今ネトゲやってるから嫌」
「・・・」
近藤一佐が痺れを切らす。「だからここは自衛隊がやると・・」
「うっさい!!」ナナの裏拳が飛ぶ。
離れたところでゆっくりと茶をすすっているカオル。

* * *
ナオミと高橋愛は、祐介の到着が遅いのを危惧して迎えにでていた。研究所から公道に出たところで不審な
ワンボックスを見つける。近づくと祐介が後部シートから恍惚の表情を覗かせていた。安堵したナオミが
ドアを開けると・・・祐介の背後から肛門に指を突き入れている高橋茂樹が姿を現した。
4人の時間が止まった・・・。


次回 >> 第10話「今夜は生放送!怪人タマちゃん登場!」
214名無し職人:03/07/11 21:43
第10話「今夜は生放送!怪人タマちゃん登場!」

「あの・・・ なにしてるんです?」
「どうやら前立腺に異常はないようだね」
ナオミが聞くと、内心の動揺を悟られまいと高橋茂樹は落ち着いたベテラン医師の声で答えた。
「いや、彼が排尿困難を訴えたので、前立腺に異常がないかどうかしらべたんだよ」
「あの、でも何もこんなところで・・・」
「排尿困難を甘く見てはイカン。たった1日おしっこが出なかっただけで、人間は死ぬことがあるんだよ」
「そうなんですか?! どうしよう?」
「大丈夫。彼のはそんなに深刻じゃないから。すぐ治るよ」
「そうですか、どうもありがとうございます」
「あの、シゲさん、早く研究所内に入ってください。巨大ロボがこっちに向かってて危険なんです」
高橋愛はそのロボの黒幕が夫だとは知らないので、夫を気遣う優しい声で言った。
「わかった。いま行くよ。ほら、君もズボンをはいて」
高橋茂樹はそう言うと、祐介の尻をひっぱたいた。

基地内に入ると、テレビがスパルタンXYZがこちらに迫ってくる様子を生中継していた。
テレビのレポーターがヘリの中で叫んでいる。
「ごらんください。またもや巨大ロボです。このロボは先日、民家を潰したロボとは別のロボのようです。
ふたつのロボにはいったいどんな関係があるのでしょうか?
巨大ロボ対策本部では、このパチンコ球をばら撒きながら移動するロボを怪人タマちゃんと名づけました」
「ネーミングセンスがゼロだわ・・・」
高橋愛がそうつぶやいた。

次回 >> 第11話「ヨメナンジャー最大の危機!?ブラックホール出現」
215cyokit:03/07/12 10:08
第11話「ヨメナンジャー最大の危機!?ブラックホール出現」

「しめしめ。うまく潜り込んだぞ。」高橋茂樹(嶋田久作)は内心でほくそ笑みながら祐介(ユースケ・
サンタマリア)と共に自衛隊演習所へと入っていった。なんとしても巨大ロボットを取り返さなければ
ならない。しかし、大ボスである自分自らこんな危険な行動をしなければいけないとは・・・まだまだ
世界制服の野望は遠いな、などとちょっと遠い目をしてみたりした。世界制服、そう世界中の女たちを
全員ナース服にするまではあきらめる分けにはいかない。愛する妻の愛(水野美紀)に何度断られた
だろう。ああ、憧れのナースプレイ! 全世界の人間がナース服を着るようになれば、よもや妻も断る
ことはできまい・・・。高橋茂樹は幸せな妄想に浸りながら祐介にそっと指示をだす。
「おまえのやるべきことは分かっているな」

* * *

演習所ではまだ姑ナナ(木の実ナナ)と黒子がもめていた。なんとしても黒子を使って自衛隊に昔の
復讐を果たしたいナナは一歩も引かない。横には気絶している近藤盛男一佐(千葉真一)。
「いいからお前は戦えばいいんだよ! ちょっとは役にたって見せな!!」
「ひどいお母さん! あたしはお母さんの道具なんかじゃないわ!」
「ええい聞き分けのない子!」
ドン! ナナの怒りの鉄拳が巨大ロボットを叩く。もちろんロボットはビクともしない。ところが
そのショックで何かのスイッチが入ったらしい。ウイイーン。巨大ロボットの腹のハッチが開いた。
そこには・・・スナック菓子を食いながらネットをしている「生身」の黒子がいた。
「あ、あんた、ロボットになったんじゃなかったの??」
「あ〜ん! ばれちゃったぁ!」
ひきずり出され、お尻を叩かれて説教される黒子。
なんてこったい!! この場面に遭遇し高橋茂樹は舌打ちをする。こんな所で秘密がばれてしまうとは。
その頃、祐介は倉庫で手榴弾を見つけ懐に忍ばせていた。
ナオミ(西田尚美)がナナを制するように割って入った。
「お母さんもうやめてあげて。黒子ちゃんもきっと悪気があったわけではないんですよ」
「ええい、嫁の分際で口を挟むんじゃないよ!」
216cyokit:03/07/12 10:09
「ひどい! 私だって家族の一員です! ・・でも黒子ちゃんが無事でよかった。さぁお母さん、もう帰り
ましょう。私たちはフルーツ屋さんじゃないですか。一般市民じゃないですか。後のことは警察や自衛隊に
任せて、ね? そうしましょうよ。」

『ばかもの!!』
ちゃちゃらちゃ〜ん♪、ちゃ♪、ちゃちゃらちゃ〜ん♪
突如鳴り響くなんか勇壮なテーマ曲。皆が振り返ると夕日を背にカオル(小林薫)が颯爽と立っていた。
「お父さん!! ・・・なんでパンツはいてないんですかぁ!!!」
ナオミ(西田尚美)が悲鳴を上げる。そうカオルは何故か下半身スッパだったのだ。
「よく聞けおまえら! 平和は自分の手で掴み取るものなんだ! 正義は人に頼るものじゃないんだ。」
ビシッとポーズを決めるカオル。
「それよりパンツはいてください!!」
「正直な心から生まれる力、人それを勇気と呼ぶ! 現実から目をそむけるな! 逃げちゃ駄目だ!!」
ビシィィ!
「なんでポーズをとりながら皺を伸ばすんですか! お父さん!!」
もうナオミは半狂乱だ。
「今こそおまえらの勇気が試される時だ! 立ち上がるんだ!」
ビシビシィィ!
「ああ、逆立ちV字開脚まで・・・・・分かりました、お父さんの言うとおりにします。だから、だから
せめてパンツだけははいて下さい、お願いします!」
「よく言った嫁よ! 我ら家族の力を合わせれば怖いものなどないのだ! ワッハハハ!!!!」
217cyokit:03/07/12 10:09
カオルの姿に皆が呆気にとられている中、巨大ロボットに近づく祐介。
「ごめん。みんなごめんよ。」
そう言いながら手榴弾を巨大ロボットのコックピットに投げ入れる。
バーーン!!!!
真っ青になる高橋茂樹。
「ばかやろう! 壊してどうすんだよ!! 取り返すためにここまで来たんじゃねえか!」
「え!?」
「ああもう、ほんとお前は中途半端で・・・ま、まずい!! あのロボットのエンジンには縮退・・・
とにかくこのままじゃブラックホールができちまうぞ!」
「うそぉ!!」
うろたえている高橋茂樹をじっと見つめる冷たい目、それは高橋愛だった。


次回 >> 最終話「最弱の敵現る」
218山崎 渉:03/07/12 16:34

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
219山崎 渉:03/07/15 12:35

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
220名無し職人:03/07/17 17:35
「ブラックホールが、だ、駄目だ。すべて終わりだ」
「泣き言いうんじゃない」
うろたえる高橋茂樹を張り飛ばしたのは高橋愛だった。
「このままじゃブラックホールができちゃうんでしょ? できないようにしなさい」
「はいっっっっっっっつ!!!」
高橋茂樹は瞬時にしてパニックから立ち直った。
そして妙案を思いついた。
そうだ、エンジンが縮退する前にぶっ飛ばしちゃえばいいんだ。つまりそれは、さらなる爆薬の投下。
「愛、爆弾だ、今すぐ用意できるだけの爆弾持って来い」
「ラジャー」
夫の命令に従い、愛はたちまち手榴弾を集めた。
「よし、エンジンに向かって全部放り込め」
「はいっ!」
一瞬のきらめきを放った。
あたかも消えるまえの電球のフィラメントのように。
そして大爆発。
すべて吹っ飛んだ。

「う〜〜〜、やれやれ死ぬかと思ったよ」
そう言って、瓦礫の下から出てきたのは下半身スッパのカオルだった。
「みんな、無事かい?」
「う〜〜〜」「げほっ、げほっ」「「顔がすすだらけになっちゃったよ」「やだ、服よごれてるサイテー」
とか、言いながら、奇跡的に全員が傷ひとつなく瓦礫の下から出てきた。
「おお、何ということだ」カオルがすっとんきょうな声をあげた。「今の衝撃でチンポの先の皮がない」
どっと、みんなで大笑い。
221名無し職人:03/07/17 17:37
そのとき、高橋茂樹は第5話>>202以降出てこなかったベータのビデオが転がってるのに気づいた。
愛に気づかれないように、そっと服の下に隠そうとする高橋。
「隠しても無駄です。それをここに持ってきたのは私ですから」
「ああ、そういえば、そのビデオはいったい何なの?」
ナオミが会話に割り込んできた。
「そ、それはその・・・」
高橋が返答に困っていると愛が代わりに答えた。
「茂樹さんは自主制作映画を作っていたんですよ。そんな趣味があるなんて知りませんでした。
照れ屋さんだから隠してたんでね。内容は『キミも世界制服に協力しよう』っていうギャグ映画です。
悪の結社がつくったプロモーションビデオって形式をとってるんですよ」
「ああ、そうなんだ」
愛の勘違いにほっとする高橋。
「ナオミさん、むかし映研にいたって言ってたから、ちょっと見てもらおうと思って」
「そうなんですか、じゃあ、あとで見せてもらうわ。それにしても仲のいい夫婦で羨ましいわ」
「じゃ、行きましょうか」
愛がそう言って、瓦礫の山から下りるために、みんなで歩き始めた。
高橋の隣にきてそっと耳打ちする愛。
「世界制服をあきらめないと、離婚しちゃいますよ?」



222名無し職人:03/07/17 23:44
完結 乙

ヨメナンジャー結成すらされねぇ〜w

スパルタンX(怪人タマちゃん)どうしたんだぁ〜w
223KEL:03/07/20 15:50
完結乙です〜キャスト(194も僕でした)と5話と7話をやらせてもらいました

使われる伏線と使われない伏線があってすごい面白かったですw
このスレは見るだけよりやっぱり参加したほうが楽しめますねえ〜

お疲れ様です.次回を楽しみにしてます。
224cyokit:03/07/22 00:17
新番組(>>21のリクエストより)

元スレの >>369 名前:名無し職人 投稿日:03/01/15 02:43

「墓なんていらねえよ〜盆〜」

第1話「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」
第2話「静寂の中、屁」
第3話「散骨か鳥葬か」
第4話「お布施でござる」
第5話「遺言〜道頓堀に流してくれ〜」
第6話「剃らせてください」
第7話「帰ってこない酔っ払い」
第8話「坊主だってたまには羽目をはずしたい!」
第9話「大仏か、住職か、」
第10話「尼僧恋歌」
第11話「炸裂!シャカドライバー」
最終話「毛が生えた」

225cyokit:03/07/22 00:17
第1話「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」

本望寺の住職、鷹鳥一斎(橋爪功)の元に刑事の片山秀郎(内藤剛志)が訪ねて
きたのは梅雨が明ける前の事だった。
「やれやれ、またかい」
一斎は茶を差し出しながら溜息をついた。片山が自分を訪ねてくる理由は一つしか
ないことを一斎は十分承知していたからである。
「で? 今度はどうしたんだい。」
「住職、何も聞かずに預かって欲しい人間がいるんだ。3か月だけでいいから。」
そらきた。予想通りの片山の言葉に一斎は心の中で舌打ちをした。
「おまえさんね、ここは駆け込み寺でもなければ少年院でもないんだよ。」
そんなことを片山に言ったところで引っ込むわけもないのは承知の上だが少しぐらい
愚痴らなければ自分の気が収まらなかった。片山には大きな借りがあるので頼まれれば
断れない、がそんなこんなで不良達を預かるのもこれで何度目になることか・・・。
「入ってこい」
片山に言われて帽子を深々と被った小柄な少年が入ってくる。
「住職、ちょいと分けありなんだが宜しく頼みます」
片山はそういって頭を下げると隣で憮然としている少年の頭をグイっと下げさせた。
その時、帽子が外れその下からみごとな長髪が姿を現した。それは紛れもない女のそれだった。
「おい片山! うちの寺は尼さんはお断りだよ! 知ってんだろ、本堂は女人禁制だって」
「だから分けありって言ったじゃない」
「分けもわけぎもワキ毛もあるかい! そら見ろ、にょ・にん・きん・せい。読めるだろ!」
狼狽しながら一斎は隣の間にある屏風を指差した。
ク・ク・ク・・・
言い争う二人の横で腹を押さえて笑いをこらえている少女。
「坊主が・・ハハハ! 坊主が屏風に絵描いてる、ハハハ!! おかしぃ!!」
箸が転んでもおかしい世代の少女、名前を菊池美早紀(上戸彩)といった。

次回 >> 第2話「静寂の中、屁」
226名無し職人:03/07/23 01:11
第2話「静寂の中、屁」

米国 ワシントン州 タコマ港沖 アルガードス刑務所
重犯罪者ばかり集めたこの刑務所で悪魔のように恐れられている男がいた。
「囚人番号0858出ろ」
「また仕事かい?」
「文句を言うな。今度は刑期を20年減らしてやる。それでいいだろう」
「ほ、デカい仕事だな。今度は」
「さっさと出ろ」
「どうもNSA(米国安全保障局)の方々はせっかちでいけない」
そう軽口をたたくと、菊池健吾(竹中直人)は伸びをして、面会室に向かった。
「やあ、ケンゴ。またオレと組むことになるそうだ」
そう挨拶したのはマイケル・ハディダ(サミュエル・L・ジャクソン)だった。
「また、お前さんとか。で、どこだい?」
「今度は中央アフリカだ。そこの新興国家でコカインをワンサと作ってやがる。
そこのコカ畑を焼くのがオレたちの任務だ」
「わからんな。なぜ俺らが出張る必要がある? 空爆して畑を焼けばいいだろ?」
「実はその新興国家ってのがアメリカの肝いりで独立したとこでな。こんなことが
知れたらアメリカの面子は丸潰れだ。選挙も近いしな。いつもの秘密任務。非合法活動ってやつだよ」
「なるほどな。いつもどおりドジっても死体を引き取りにくる奴さえもいないと」
「まあ、そういうことだ」
「畜生。娘に会いたいな。大きくなってんだろうな」
菊地健吾はそう言うと、小さな女の子が写っている写真を胸ポケットから取り出して眺めた。
その写真に写っているのは幼い頃の菊池美早紀(上戸彩)であった。
「そうしんみりするな。お前さんらしくないぜ」
そう言って、マイケル・ハディダはぷうっと一発屁をこいた。
「おいおい、なんだよ」
「お前さん、この任務が終わったら出所だろ? 娘にだって会えるんだぜ。弱気の虫は追い払いな」
「ああ、わかったよ。ありがとう」

次回 >>第3話「散骨か鳥葬か」
ハッキリ言ってアメリカなどの多民族国家では黒人の方がアジア人よりもずっと立場は上だよ。
貧弱で弱弱しく、アグレッシブさに欠け、醜いアジア人は黒人のストレス解消のいい的。
黒人は有名スポーツ選手、ミュージシャンを多数輩出してるし、アジア人はかなり彼らに見下されている。
(黒人は白人には頭があがらないため日系料理天などの日本人店員相手に威張り散らしてストレス解消する。
また、日本女はすぐヤラせてくれる肉便器としてとおっている。
「○ドルでどうだ?(俺を買え)」と逆売春を持ちかける黒人男性も多い。)
彼らの見ていないところでこそこそ陰口しか叩けない日本人は滑稽。
228cyokit:03/07/25 21:24
第3話「散骨か鳥葬か」

「あ〜あ、まいったなぁ〜」鷹鳥一斎はわざと菊池美早紀に聞こえるように悪態をついた。
そんな一斎にニコッとこれ以上ない笑顔を見せる美早紀。
「しゃあないな」一斎はそういって奥に引っ込んだかと思うとさらしと剃刀を手に戻ってきた。
「ほれ頭だせ! それで、これで胸をしばって・・やる必要はねぇか・・」
とっさに胸を押さえる美早紀。
「早くしろよ。寺の坊主どもが帰ってきちまうだろ。いいかお前にはしばらく男のフリを
してもらうからな。なんせここは女人禁制なんだから」
一斎が剃刀で何をするのかを察した美早紀は脱兎のごとく中庭へ逃げ出した。しかし一斎は
その年齢を思わせない素早い動きで美早紀の背後をとるとサマーソルトキックを一閃。そのまま
コブラツイストを決めた。
「女だからって手加減してもらえるとでも思ったか!!」
「つ・つええ!! 坊主のくせにおっちゃん強ええ!」
「あのな、僧兵って言葉知ってるか? 戦になりゃ先陣切って戦ったりもしてたんだ。この寺は
その流れを直系で受け継いでるんだ。そこら辺のなまくら坊主と一緒にするなよ。さあ観念しろ!」
キラリっと一斎の剃刀が光る。美早紀の悲鳴が境内に鳴り響き、裏山の木々に吸い込まれる。

* * *

中央アフリカの森林に一発の銃声が響いた。銃を撃ったのはマイケル・ハディダ、そして倒れたのは
菊池健吾だった。
「ヘ〜イ健吾、悪いな。俺様の本当の任務はあんたから『例の秘密』を聞き出して始末すること
だったんだ。まったくあんたと友達になるには苦労したぜ。やっぱり死線を共にしたのは正解だったな。
俺の田舎じゃ友の死には散骨で葬るんだがここじゃあいいとこ鳥葬だな。あばよ、あんたのこと嫌い
じゃなかったぜ。・・・さあ次は日本か」
ハディダは菊池健吾の骸から一枚の写真を取り出した。
「ミサキちゃんか。カワイイじゃないの。」


次回 >> 第4話「お布施でござる」
229名無し職人:03/07/27 03:20
第4話「お布施でござる」

日本に着いたハディダはまず美早紀の通ってた学校を調べた。
「美早紀ちゃんですか? 彼女、学校に来てないんですよ。まあ、もともとあまり素行の
良くない子でしたしね。どうしているのやら」
美早紀の担任はそう言った。
天に上ったか、地に隠れたか、NSAの情報網をもってしても美早紀の居所がわからなかった。
おかしい。小娘ひとりがこんなに完全に身を隠せるはずがない。誰か仲間がいるな。
「おい、黒人さんよ。あんた、あの娘に何の用があるんだい?」
そう話し掛けてきたのは、黒いスーツをきちんと着こなした男(長瀬智也)だった。
「誰だい? あんた?」
「オレは民族結社、【桜の光】に所属する北野龍一だ」
「民族結社? つまりは右翼か。右翼がオレに何の用だい?」
「質問しているのはこちらだ。あの娘に何の用がある?」
「その質問に答えるわけにはいかないなあ。こっちも仕事なんでね」
「なるほど。では答えたくなるようにしてやろう。ご同行願う」
「嫌だね」
「ひとの国に来てデカイ面をしている奴に礼儀を教えてやりたいところだが、時間がない。
早く来い」
そう言うと、北野は懐からサイレンサー付きの拳銃を取り出した。
「SIG P220かよ。ボクは自衛隊とつながってます。って言ってるようなもんだぜ」
「右翼と自衛隊がつながってるのはこの国じゃ常識だ。もっと勉強しろ、黒人」
「ちっ、わかったよ。行くよ。ただオレはアメリカ政府の命令で動いてる。オレを大事に
しないと、後で後悔するぜ」
「心配するな。ここは日本だ。お前が死んでも死体も出ない。この国は国土の68%が山でな。
死体を埋める場所には事欠かない」
230名無し職人:03/07/27 03:21
* * *

「おや、目が覚めたかな?」
気がつくと菊地健吾はジャングル内の仮設住宅のベッドに寝かされていた。
「あんなとこで寝ていたら、あんたジャガーの餌食になってたところよ」
確かに撃たれたはずなのに、なぜ生きてる?
お布施も払えんような貧乏人だから、地獄から追い返されたか?
胸に手を当てると、そこに蝋がついていた。
蝋?
そうか、模擬弾か。
ハディダは俺を撃ったと見せかけたというわけか。
しかし、いったい何故?
何か、とてつもない裏がありそうだな。
「ちょっと、あんた英語はわかんないの? 礼くらい言ったらどうよ?」
「ああ。ありがとう。俺の名は菊池健吾。あんたは?」
「あたしはジョセフィン・マーチ(ペネロペ・クルス)。生物学者よ。ゴリラの研究をしてるの」
「若草物語のジョーと同じ名前か」
「そうよ。みんなは笑うけど、あたしは気に入ってるの」
「笑わないさ。似合ってるぜ」
「そう、ありがとう。ミサキ、ミサキってずっとうなされてたけど、誰?」
「そうだ。ミサキだ。日本に帰らないと」
「日本? そんなの無理よ。だって、また内戦が始まって、空港は封鎖されてるわ」
「なんてこった。そうだ。あんた協力してくれ。うまくいったら、ゴリラ保護活動の資金を
山ほど寄付してやる」
「あんた、お金持ちなの?」
「いや、今は貧乏だが、日本に帰れば金持ちになれる。協力しろ」
「事情はわからないけど。協力するわ」

次回 >> 第5話「遺言〜道頓堀に流してくれ〜」
231cyokit:03/07/28 01:09
第5話「遺言〜道頓堀に流してくれ〜」

鷹鳥一斎の手によってツルツルの坊主にされてしまった美早紀。そこへ托鉢にでていた本望寺の僧侶・
真如(渡部篤郎)が帰ってくる。真如の姿を見て一斎が声をかける。
「おう丁度良かった。しばらくこいつの面倒をみてくれや。名はミサ・・・いやミサ・・ゴロウ、そうミサゴロウ
っていうんだ。頼んだぜ。」
無愛想な会釈をする真如の前に美早紀が突き出される。真如は黙って美早紀の手を引いて歩き出すが
すぐに立ち止まって一斎の方に振り返る。
「ああ住職、これから本堂の掃除をするんですが女はまずいんじゃないですか?」
ヤレヤレとにかく一段落だ、などと腰をポンポンと叩いていた一斎は真如の言葉でずっこける。
「お、お、おめえさん何言ってんだ、そいつは男だよ、お・と・こ!」
「ハァ? 頭丸めてたって見りゃわかりますよ。女ですよ、こいつ。」

・・・ かぁ〜かぁ〜〜 本望寺の境内で烏が鳴く。石になる一斎と美早紀・・・

「・・・グワァ! 持病の心臓が・・・、ああタイガースの優勝をこの目で見届けたがったがもうダメみたいだ。
俺が死んだら骨は道頓堀に流してくれ・・・」
わざとらしい一斎の演技にプルプルと拳を震わせる美早紀。
「ざぁけんなぁぁ〜!!」


次回 >> 第6話「剃らせてください」
232名無し職人:03/08/01 23:03
第6話「剃らせてください」

刑事の片山秀郎(内藤剛志)は【桜の光】のメンバーに捕まって拷問を受けていた。
「しぶといな。いいかげん吐いたらどうなんだ」
椅子に縛り付けられた片山秀朗の全身が傷だらけだった。
そこへ、北野龍一がハディダを連れて、現れた。
「見ろよ。黒人。こいつ、ひどいことになってるだろ? お前もこうなるぜ。協力せんと」
「こいつは何をしたんだ?」
「どうも、こいつが菊池美早紀をどこかに匿ったらしい。しかし喋ってくれないんだな」
「お、お前ら、こんなことして、ただですむと思うなよ。オレは警官だぞ。警察を舐めるなよ。
必ず、お前らの手にワッパをはめてやる」
「そりゃ、まあ、生きて帰れたらの話だわな」
「お前ら、警官殺しは重罪だぞ」
「死体が出ればな」
「けっ、今どき拷問かよ。自白剤の一本でも打ちゃすむもんを」
「黒人、拷問は大事だよ。部下に人間の強さ、もろさを学ばせるいい機会だ。
あとで君も体感するといい」
「遠慮しておく」
233名無し職人:03/08/01 23:04
「では、これから肉体的拷問にも屈しなかった男が、自分から口を割るところを見せよう」
「オレは絶対しゃべらんぞ」
「ま、そう言わずにこれを見ろ」
そう言って、北野は片山にノートパソコンの画面を見せた。
「こいつは今、オンラインでつながってる。場所は都内の某美容室。そしてそこにいるのは
片山刑事の奥様だ。この店では顔剃りのサービスをやってる。床屋ならあたりまえだが、
美容室だと別料金が取れる。女は何でも金がかかる。おっと話が脱線した。実は
この美容師は我々の仲間だ」
「なに?」
「美容師はいつもどおり、『奥様、お顔を剃らせてください』という。しかし、剃るのは
顔の産毛ではなく、頚動脈だ。頚動脈にね、すぅっとね、鋭利な刃物が入るのさ」
「やめろ〜〜〜〜!」
「話す気になったかね?」
「しゃべる、しゃべるから、やめてくれ・・・・」
「な、これが人間のもろさというものだよ。勉強になっただろ。黒人」

次回 >>第7話「帰ってこない酔っ払い」
     ∧_∧  ∧_∧
ピュ.ー (  ・3・) (  ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
  = ◎――――――◎                      山崎渉&ぼるじょあ
第7話「帰ってこない酔っ払い」

「坊主憎けりゃ〜、袈裟固めぇ〜」
やけっぱちの歌を歌いながら境内に水をまいている美早紀。真如の提案で女人禁制の本堂に入らなければ
いいという結論に落ち着き、自分の髪の毛はなんの意味もなく失われたという事実が美早紀をある意味で
開き直させていた。
「何やってんだ、おまえ?」
美早紀の背後から真如が声をかける。出し抜けの言葉にびっくりした美早紀はバケツをひっくり返し、
見事に頭からかぶってしまう。
「ああ、もうしょうがねぇ奴だなぁ。だいたい掃除しないで水まいてどうすんだよ。」
真如は愚痴をいいながら手ぬぐいを出して美早紀の頭をゴシゴシとぶっきらぼうに拭く。
「あ・・・・」
顔を赤らめる美早紀。それが自分でも分かったらしく顔をうつむかせる。
「なんだ? 変な奴だな??」
「なんかね・・・お父さんみたいだ、って。あたしのお父さんね、家にはほとんどいなくてね、たまに
帰ってきてもずっとお酒のんで酔っ払ってるだけなの。でもお風呂には必ず入れてくれて、ゴシゴシって
頭を、そうそんな感じで拭いてくれたの。でいつも言うんだ。『美早紀、頭を大切にしろ』って。
変でしょ? ・・おかしいよね。」
「・・そうだな」
美早紀の頬に涙がつたうのを見て真如はさらにぶっきらぼうに美早紀の頭を拭った。
ガサガサ・・・、そこへ片山秀郎が寺の竹林を掻き分けながら現れた。
「い、いや〜、皆さんご機嫌いかが、かな〜なんて・・・」
引き攣った笑いを浮かべる片山の後ろから10人ほどの黒のスーツの男たちが現れる・・・。

* * *

その頃、菊地健吾とジョセフィン・マーチは中央アフリカのジャングルで現地の部族に身ぐるみ剥がされ
そこを脱出してスーダンからエジプトに入りピラミッド保存運動に参加しながら子作りに励みつつ
日本を目指していた。

次回 >> 第8話「坊主だってたまには羽目をはずしたい!」
236名無し職人:03/08/04 05:42
第8話「坊主だってたまには羽目をはずしたい!」

「片山のおっちゃん、どうしたの?」
「いや、ちょっと、お前を迎えにね。それよりお前こそ、その頭どうした?」
「ここの坊主に無理やり剃られたの。そんなことはどうでもいいよ。やばいから、
ここに隠れていろって言ったのはおっちゃんだよ」
「いや、ここよりも安全な場所が見つかったんだよ。で、そこにお前を移そうと思ってさ」
「その人たちは?」
「この人たちは大丈夫。味方だよ。心配しなくていい。さ、おいで」
「そいつは嘘だな」
美早紀と片山の会話に真如が横から割り込んだ。
「な、なにが嘘だ」
「あんたはさっきから、嘘をついた人間が示す仕草をくり返している」
「てきとうなこと言うな。そんなこと分かるもんか」
「わかるさ。オレの親父は詐欺師でな。世界ヘビー級チャンピオン並みの嘘つきだった。
オレはその親父にみっちり仕込まれた。男が嘘をつくときの仕草は17種類ある。ちなみに
女は22種類だ。つまりお前がどんなに上手く嘘をついたつもりでも、オレから見れば
下手なかくれんぼと一緒で、丸見えってことだ」
「・・・・・」
「あんた、脅されてるだろ。後ろの黒服連中に。大丈夫。まかせなさい。オレも
ここの坊主共も最近暴れてないんで、ストレスが溜まってるんだ。
おい、みんな出て来い」
その一声で、どこからともなく、大量の坊主がそこかしこから出てきた。
「こいつら、悪者だ。足腰立たないようにやっちまえ」
「おう!」
「ちょっ、ちょっと、待ってくれ、話を聞いてくれ」
片山はそう言ったが、もちろん誰も耳を傾ける者などなく、一斉に黒服どもに襲い掛かった。
「みんな、すごく嬉しそうに人を殴ってるわぁ・・・」
美早紀が呆れたように言うと、いつのまにか後ろに鷹鳥一斎が来ていた。
「いいじゃないか。坊主だってたまには羽目をはずしたいんだ」

次回 >>第9話「大仏か、住職か、」
第9話「大仏か、住職か、」

北野龍一は本望寺の坊主にコテンパンにやられる黒服たちを木陰からじっと見つめていた。
隣で拘束されていたマイケル・ハディダが口を開く。
「ずいぶんと旗色が悪そうじゃないか。やるねぇ日本の坊主も。」
「よく覚えておけ、黒人。日本では銃を使うのにも準備というものがいるんだ。」
そこへ北野の部下が近隣の制圧が完了したことを伝えにくる。
「これで派手にドンパチが楽しめるってもんだ。」
北野はニヤリと笑いながら手で合図を送る。どこに潜んでいたのか迷彩服の特殊部隊が現れ
威嚇射撃を始めたかと思うと戦闘ヘリが3機飛来した。蒼然とする本望寺の坊主たち。

* * *

その頃、危険を避けるため真如は美早紀を連れて寺の奥へと逃げていた。迫る追っ手を
蹴り倒す真如。
「かっこいいじゃん・・。」
感心する美早紀の頭をポンと叩く真如。
「いいか。ここを動くなよ。」
そう言い残して戦いにいく真如。残された美早紀は戦いを避けてじりじりと奥へ行く。
「動くなっていったって・・・ああ、ここがいいや。」
美早紀が入り込んだのは寺の本堂だった。昼間なのに真っ暗な中で足を踏み外し転げ
落ちる美早紀。そこはまるでコックピットのようだった。まるで美早紀を待っていた
かのように計器が光りだす。


「何だこいつ。動くぞ。」
目の前のスクリーンに住職の鷹鳥一斎らが捕まっている姿が映し出される。
「おっちゃん!!」
その声がスピーカーを通して寺の境内に響き渡る。真っ青になる一斎。
「この声は美早紀。ばかやろう! 本堂は女人禁制だって言っただろう。俺らのことは
いいから早く本堂を出ろ! 間違っても赤いボタンとか押すんじゃねえぞ!!」
「赤いボタン? これか!」
「ああ、バカ!!」
ゴゴゴゴ・・・・凄まじい地響きとともに本堂をぶち壊して大仏が動き出した。

* * *

その頃、菊地健吾とジョセフィン・マーチはモンゴル地方でモンゴルロバの保存活動に
参加しながら子作りに励みつつ 日本を目指していた。

次回 >> 第10話「尼僧恋歌」

239名無し職人:03/08/10 22:05
第10話「尼僧恋歌」

「な、なんじゃ、ありゃあ・・・」
マイケル・ハディダが呆然としてつぶやいた。
「出やがった。見ろ、黒人。これこそ汎用人型決戦兵器。大仏ちゃん壱號だ」
「おい、なんだよ、あれ? 二足歩行兵器か?」
大仏ちゃん壱號は全長20メートルはあろうか。
その名前、もうちょっと何とかならんかったのか? とつっこむのさえ忘れそうな巨大ロボだ。
「これぞ、我々が求めていた最終兵器だ」
「こんなデカいもん何の役に立つんだよ? あっ!」
ハディダがそう言ったそばから、戦闘ヘリが3機とも打ち落とされた。撃ち落されたのではない。
大仏ちゃん壱號が軽く手を振っただけで、ヘリを的確に捉え、木っ端微塵にした。
「す、すげえ・・・」
「こんなのはまだまだ子供騙しだよ。大仏ちゃん壱號の真価はこんなものではない」
「おい、あんたら」
その声で北野とハディダが振り向くと、いつのまにか、真如がふたりの後ろに立っていた。
「さっきから、嬉しそうに解説してくれてるが、事態がわかってるのか? 打ち落とされたのは
あんたらのヘリだぞ。しかも乗ってるのはうちであずかってた娘だしな」
「そんなことは取るに足らないことだ」
北野はいつものように余裕を見せた。
「大仏ちゃん壱號は長い間封印されていた。理由は乗り手がいなかったからだ。大仏ちゃん壱號に
同調できる操縦士がいなかったのだよ。しかし、あの小娘は完璧に同調している。
くくく、これで我々の夢がついに実現する」
「残念ながらそういうわけにはイカンな」
そのとき、茂みから声がした。
「誰だ!」
なんと、茂みの中から出てきたのはジョセフィン・マーチを連れた菊地健吾だった。

次回 >> 第11話「炸裂!シャカドライバー」 
240名無し職人:03/08/10 22:07

し、しまった。
タイトルと何の関係もない話を書いてしまった・・・
第11話「炸裂!シャカドライバー」

「解説しよう! 大仏ちゃん壱號とは旧日本陸軍が終戦間際に本土防衛用として開発した決戦兵器である。戦地に
赴いた家族や恋人を想う気持ち、無事を祈る心、そんな女性たちの想いを中心部に閉じ込め、それをエネルギーに
変換して大仏ちゃん壱號は動くのだ。」北野龍一が解説をしている間に、在日米軍がスクランブル。NSA(米国安全保障局)の
手引きで東京湾に待機していた巡洋艦がトマホークミサイルをロックオンした。
「ばかな! 話が違うぞ」 米軍の予期せぬ動きに動揺を隠せない北野。その横でハディタが冷静に言う。
「ふん。見捨てられたなあんたら。これもNSAの計画のうちか。HEY! Kengo! うまくNSAを出し抜いて
一儲けしてやろうと思ったがこのザマだ。すまなかったな」
「ハディ、おまえは何にも分かっちゃいない。美早紀! 聞こえるか!」菊地健吾は大仏に向かって大きく手を振った。
「お父さん!!」大仏ちゃん壱號の中から美早紀の声が聞こえる。
「時間がない! よく聞いて俺の言うとおりにするんだ。まず左手の下にあるハンドルを時計方向にいっぱいに回す」
「オッケー!」
「右のフックを降ろすと翼が開く」
「これか!」
「操縦桿のダイヤルを『炸裂』に合わせてカプセルを取り出せ」
「おうよ!!」
「そこにお前の髪の毛を3本入れて元に戻す」
「えっ!?」
「それを思いっきり押し込むんだ。これぞ大仏ちゃん壱號空戦モード『シャカドライバー』だ!」
「・・・」
「どうした美早紀!! 早く髪の毛を入れろ!」
「・・・」
「そうか! 女の想いをもっとも込めやすい髪の毛が情念の動力を増幅してそれで飛行する推進力を・・」
ガン! 鬱陶しい解説を始めた北野をジョセフィン・マーチが蹴り倒す。
「早くしろ美早紀! トマホークがくるぞ! 撃ち落すんだぁぁ!!」
「・・・駄目だ・・・駄目だよお父さん・・・」
「な・なに!!」
菊地健吾の肩をポンと叩いて鷹鳥一斎がポツリと言う。
「ゴメン・・・」

次回 >> 最終話「毛が生えた」
242名無し職人:03/08/15 16:20
最終話「毛が生えた」

「なにぃぃぃぃ〜〜〜、スキンヘッドだああああああ。嗚呼なんてこった女の黒髪を
テメェ、なんてことしやがる」
「ぐえええ、チョーク、チョーク」
菊地健吾は怒りのあまり、鷹鳥一斎の首をぐいぐいと締め上げた。
「くそ、どうすりゃいいんだ? そうか。おい美早紀」
「なに? お父さん?」
「お前、処女か?」
「なに、いきなりセクハラかましてんのよ。このクソジジイ」
「真面目な質問だ。お前の答えに日本の命運がかかってる。早くしろ」
「処女よ。バリバリよ。キスだってまだなんだからぁ!」
「よし、お前、下の毛を抜け。陰毛だ。早くしろ。カプセルの中に押し込め」
「そうか! 出陣する兵士にお守りとして処女の陰毛を渡す慣習があるくらいだ。つまり・・・」
また解説を始めたため、ジョセフィン・マーチに蹴られる北野。
「もう、今、押し込んだわよ。これでいいんでしょ」
「よし、赤いボタンを押せ」
「押したわ」
だが、その時すでにトマホークは大仏ちゃん壱號の頭上にやってきていた。
「だめ、もう間に合わない」
絶叫する美早紀。
243名無し職人:03/08/15 16:23
「間に合ったさ」
菊地健吾はニヤリと笑った。
飛来してきたトマホークは爆発せずに、ポスッと間抜けな音を立てて地面に突き刺さった。
「見たか。敵のあらゆる攻撃を無効化する。これぞ大仏ちゃん壱號の真の能力だ。
そもそも大仏ちゃん壱號は大日如来である大毘盧遮那仏がモデルであり・・・」
またもや長い解説を始めて、ジョセフィン・マーチに蹴られる北野。
「ハディダ。そして北野。今のでわかったように大仏ちゃん壱號は争うための武器ではない。
身を守るための武器。いや、争いを避けるため、平和のため、御仏が遣わした人類の未来のうてななのだ。
これはアメリカ政府にも日本政府にも渡さん。そもそも大仏を管理するのは坊主の役目だ。
お前らの出る幕はない」
鷹鳥一斎が固い決意を秘めた声で力強く宣言した。
「くっ、まあいいさ。金にならんことはあきらめる。あばよ」
マイケル・ハディダはそう言って去っていった。
「まあ、今回は引いておく。助けてもらったしな。だが、オレは諦めん。近いうちにまた来る」
北野龍一もそう言って立ち去った。
「これで当面は終わりましたね」
真如がしみじみと言った。
「ああ、これからが大変だ」
鷹鳥一斎もしみじみとした声で返した。
244名無し職人:03/08/15 16:24
「あれ?」
大仏ちゃん壱號に乗り、みんなを頭上から見下ろしている美早紀が素っ頓狂な声をあげた。
「お父さん、禿げてたところから毛が生えてきてる」
「なに? 本当か?」
「あ、本当だ」
皆で菊地健吾の頭を覗き込む。
「そうか。大仏ちゃん壱號の癒し効果がこんなところにも発揮されたんだな」
と、真如。
「ね、これ商売になるんじゃないの? リ○ップよりも効果があります大仏ちゃん壱號」
と、美早紀。
「そうそう、うんと大儲けしてもらわないと。そもそも、あたしがここまで付き合ったのは
ゴリラの保護活動に寄付してくれるって言うらだったのよ」
とジョセフィン・マーチ。

これにて、ひとまず物語は大団円。


age
246山崎 渉:03/08/15 19:51
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
247TβS放送協会:03/08/15 22:08
乙&保守です。

次回放送予定は後程。
248TβS放送協会:03/08/16 02:10
とりあえず
前回の放送「墓なんていらねえよ〜盆〜」早見表

第1話>>225「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」
第2話>>226「静寂の中、屁」
第3話>>228「散骨か鳥葬か」
第4話>>229-230「お布施でござる」
第5話>>231「遺言〜道頓堀に流してくれ〜」
第6話>>232-233「剃らせてください」
第7話>>235「帰ってこない酔っ払い」
第8話>>236「坊主だってたまには羽目をはずしたい!」
第9話>>237-238「大仏か、住職か、」
第10話>>239「尼僧恋歌」
第11話>>241「炸裂!シャカドライバー」
最終話>>242-244「毛が生えた」

〜次回放送までしばらくお待ち下さい TβS〜
249TβS放送協会:03/08/16 02:15
新番組(>>21のリクエストより)

元スレの >>383 名前: 名無し職人 投稿日: 03/01/15 19:37
【北の国から 〜亡命〜】

第1話「電気がないです」
第2話「では自家発電スタート」
第3話「おばあちゃん、それ電気じゃなくて便器だよ」
第4話「将軍様、食べものを」
第5話「極東経由のエアメール」
第6話「脱出失敗 − ようこそ収容所 −」
第7話「鉄格子に味噌汁ぶっかけます」
第8話「北はサムいし、南はコワいし」
第9話「西はマンモス、東はそのまんま」
第十話「鉄格子がさびて壊れた!脱獄」
第11話「豆満江を越えろ」
最終話「足枷よ、ここが自由の地だ!」

〜第1話 製作中〜
250柴田ぁ:03/08/16 02:56
【北の国から 〜亡命〜】

第1話「電気がないです」

「これ見ろぃ。じゃがいもぉ。ぶっといじゃがいもだよぅ」
と、馬鹿みたいな大きな声で叫んでいるのが、僕の父、堅崎駕太郎(中尾彬)。

僕らの住む星・ジョニールの最北端の国、ミングー。
父はそもそも「地球」に住んでいたそうなのだが、父が20歳の頃起きた第4次世界大戦の頃、
疎開移民としてこの星に流れついたのだそうだ。その時持ってきた地球野菜の種が、たまたま
この星の土壌に合ったらしく、おかげで父は一代でそこそこの大金持ち。
でも、もともと素朴な農家で育った父は金に頓着がなく、今日も呑気にじゃがいもを掘っている。

「ケンタウローよぉい、じゃがいも、じゃがいも」
僕、堅崎ケンタウロー(小林賢太郎/ラーメンズ)は高校を卒業し特に就職するでもなく、
時々父の仕事を手伝っては小遣いを貰う生活をしている。何も不自由のないくらし。
でも、時々思うんだ。僕はこうして毎日、じゃがいも掘ってる器じゃないんじゃないかって。
何不自由ない暮らし。でも、何かもの足りない。

隣に住むジョセフおじさん(井上順)も元は地球人で、彼はこの国に未だ無い「電気」の開発に勤しんでいる。
時々彼の発明を手伝っているのだけれど、この「電気」を使えば、何か凄いことがおこりそうな気がするんだ。
この日も、父の声を聞こえないフリをして、ジョセフおじさんの家に向かった。
「ケンタ君、良い時に来た。いよいよ電気だ。電気がこの国に!」

どきどきしていた。
電気って、何なんだろう。

次回 >>第2話「では自家発電スタート」
第2話「では自家発電スタート」

ジョセフおじさんの家に行くと一人の少女(紺野あさ美/モ娘。)が座っていた。リンという名前だと
おじさんが教えてくれた。見た目は人間のように見えるけど別の生物なんだって言ってた。
リンと目があった。ドキドキした。粗末なボロ布を着て体にはいろいろなコードが繋がれていた。
ジョセフおじさんの研究では、リンは「地球」の「電気ウナギ」に近い生き物なんだって。何の事か
よく分からなかったけどすごい発見なんだ。

「ケンタ君、いよいよ自家発電の開始だぁよ!」
そう言うとジョセフおじさんはリンの体を擦り始めた。頭、顔、手、胸、太腿・・・まもなくすると、
家の天井にぶら下がっていたガラス玉から光が溢れ始めた。

「電気だぁよ、電気だぁよ!!」
ジョセフおじさんは興奮しながら奇声をあげた。そしてゴシゴシとリンの体中をこれでもかと擦り
まくっていった。

「ケンタ君! 君もこっち来て擦れ。あったかいぞぉ。やったぞ! ついにやったぞ!!」
おじさんに促されるままリンに近寄った。また目が合った。とても・・・悲しそうだった・・・。
ぼくはなんだか・・・せつない気持ちでいっぱいだった・・・。


次回 >> 第3話「おばあちゃん、それ電気じゃなくて便器だよ」

252名無し職人:03/08/20 07:10
第3話「おばあちゃん、それ電気じゃなくて便器だよ」

リンは人間じゃないんだ。どこから見ても人間にしか見えないのに。
だから、ぼくはつい、リンに話しかけてしまったんだ。
「リン、きみはぼくの言うことがわかる?」
すると、リンは何とこっくりと頷いたのだ。

「ケンタ君ダメだよ。そんなことしちゃ」
ジョセフおじさんはとても厳しい声で言った。
「え? なにが?」
「今、リンに話しかけただろ? そんなことしちゃダメなんだよ。掟でそう決まってるんだ」
「掟で・・・」
そう、ぼくの住んでいるところでは掟は絶対なのだ。掟で決まっていると言われてしまえば
なぜ? と訊き返すこともできない。

ぼくの目頭がなんだか熱くなってきたので、上を見ることにした。
「おや?」
すると、昼間だというのに空に流れ星が見えた。
その流れ星はだんだん近づいてきて、ものすごい音を立てて、すぐ近くに落ちた。
もちろん、ぼくとジョセフおじさんは流れ星が落ちたところまで走って行ってみた。
253名無し職人:03/08/20 07:10
地面が抉れてクレーターができていた。
そこのクレーターの中心から、驚いたことに女の子(矢口真里/モ娘)が出てきたのだ。
女の子は体にぴったりとしたテカテカと濡れたように光る服を着ていた。
女の子は手に大きな銃を持っていた。

女の子はぼくたちを見るとこう言った。
「4M@@@^¥7##&&蜂蜂蜂^^^」
「え、なに?」
「いけない。翻訳機の調子がおかしい」
「翻訳機?」
「始めました。冷やし中華。おばあちゃん、それ電気じゃなくて便器だよ。地球は丸い。
丸いは青い。青いは四角。人民の人民による人民のための。わたしは〜するや否やです。
あれ? このボロ翻訳機め」
女の子は何だかわけのわからないことを言った。

次回 >>第4話「将軍様、食べものを」
第4話「将軍様、食べものを」

流れ星に乗ってやってきた女の子のせいで村は大騒ぎになった。町からもなんか偉そうな
人たちがやってきて色々ともめていた。なんか「翻訳機」というものが壊れていてうまく
話ができないらしい。ただ女の子は「しょ・・ぐ・・・ん」という言葉を繰り返すので
僕らはこの女の子の事を将軍様と呼ぶことにしたんだ。

翌日は大騒ぎだった。
町の偉い人と話していた将軍様はいきなり銃を乱射して相変わらず「冷やし中華!」とか
「バンバンジー!」とか分けのわからない言葉をいっていた。そして、リンを見つけたんだ。
将軍様はリンの右手を乱暴に掴んで引きずりはじめたんだ。リンは嫌がっていた。
町の人たちが大勢で引き止めた。
それで僕は分かったんだ。リンが・・・このままでは連れて行かれてしまうという事に。

僕は将軍様の所にいった。
「将軍様、食べものをどうぞ」
睡眠薬を入れておいた。
その夜、僕はリンの手をしっかりと握って村を出て行った。

父は黙って見ていてくれた。


次回 >> 第5話「極東経由のエアメール」
255名無し職人:03/08/25 22:25
第5話「極東経由のエアメール」

ぼくらはまず東に向かうことにした。
極東には宇宙空港があるのだ。空港に向かってからはどうするかはまだ決めていない。
地球型の生物が宇宙に出るにはものすごいストレスがかかるそうだ。
そのために空港では、ぼくらの体を情報圧縮体として処理し、変換しなくてはならない。
これを『エアメール』と呼ぶ。

ぼくは空港に向かって、車を走らせた。
このスピードで行けば、2日もあれば空港に着くだろうと思った。
だが、その途中で、ぼくらは大兵団に出会ってしまったのだ。
戦車、装甲車、武装ヘリ、巨大ロボまでいた。
ぼくの車はすぐに発見され、たちまち捕らえられた。

ぼくらを捕らえた兵団はどうやら反政府ゲリラであるらしかった。
ぼくらのいた国はあまりにも田舎なので、つい、この星の政治状況にうとくなっている。

ここまで、独白して、ぼくはとんでもないことに気がついた。
電気もないような村に住んでいたぼくにどうして『エアメール』の知識がある?
電気もない村のどこに車があった?
戦車、装甲車、武装ヘリ、巨大ロボだって? どうして、見ただけでぼくにそんなことが
わかる?
ぼくは、ぼくは、いったい何者だ?

次回 >>第6話「脱出失敗 − ようこそ収容所 −」
256ちょっと気になる富田林 ◆Cyokit0E3k :03/09/02 01:59
第6話「脱出失敗 − ようこそ収容所 −」

夢を見た。
父とジョセフおじさんが暗い部屋の中で話をしていた。

「戦い・・・革命・・・・聖戦・・・・・・・」
「・・・秘密・・・兵器・・・大量の・・・」

突然、大勢の人たちがやってきて二人を連れて行った。
僕は小さな水槽みたいな中でそれを見ていた。誰かが近寄ってきた。
リンだった。とても悲しい瞳をしていた。
リンは右手に握ったピストルで・・僕を撃った・・・。

* * * * *

・・・はっ!
夢から覚めるとそこは鉄格子の中だった。記憶が混乱していた。
いや、何かが頭の深いところで蠢いているような感じだった。

「ようこそ我が収容所へ」
いつのまにか鉄格子の外に、人(高橋克実)が立っていた。
「とんだタナボタだ。まさかあんな所に隠れていたとは。これからは
我々のために働いてもらうぞ」

その人が何を言っているのかよく分からなかった。それよりも僕はその人の
後ろで鎖に繋がれてボロボロの姿のリンのことだけが心配だったんだ。


次回 >> 第7話「鉄格子に味噌汁ぶっかけます」


257名無し職人:03/09/03 01:50
第7話「鉄格子に味噌汁ぶっかけます」

収容所の所長(高橋克実)は僕を捕まえるとニヤリと笑った。
「君はもうすぐこの世から消えてなくなる。最後に何か言いたいことでもあるかい?」
「僕を殺すのか?」
「殺す、ということが君の生命活動を停止させるのか、という質問なら答えはノーだ。
しかし、個人の死というものがアイデンティティの喪失であるならば答えはイエスだ」
「どういうこと?」
「いま話している君は本当の君ではない。言わば、ペルソナだね。表層人格というやつだ」
「表層人格?」
「そう、誰かが君の知ってる色々な秘密を隠すためにニセの記憶と人格を植え付けた。
これからそいつをひっぱがして、本当の君においで願おうってわけさ」
「・・・・」

どういうことだか、よくわからない。
でも、つまり、僕は僕でいられなくなるらしい。
さよなら、リン。
心の中でそうつぶやいた。
その時、突然、この収容所は空襲を受け、警戒警報がなった。

「何だ?」
慌てる所長の声を聞きながら、空を見上げると、僕が将軍様と名付けたあの女の子が
空を飛び回りながら、レーザーキャノンを辺りかまわず乱射していた。
「鉄格子に味噌汁ぶっかけます。本日は晴天です。冷やし中華万歳。生麦生米生卵。
汁男優のギャラって一回いくら?」
翻訳機の不調のせいで相変わらず訳のわからないことを言っていた。

次回 >> 第8話「北はサムいし、南はコワいし」
258名無し職人:03/09/05 07:51
第8話「北はサムいし、南はコワいし」

しかし、僕はこのあとの翻訳機に出された言葉に驚愕した。

「ゆで卵を食べようとしたらまだ中身が半熟でした。
 責任者出てこい!と叫んだが、明日は雨のようです。」

もちろん、意味不明な内容だった。
しかし、僕にはその意味がわかった。「早く逃げろ!」と言いたかったのだろう・・・。

(これは、ひょっとすると、あの女の子がくれたチャンスなのかも)

所長の慌てている隙に、なんとか収容所から抜け出すことに成功した僕は、
リンを探すため、東西南北あらゆる地を回っていた。
ところが、今年は異常過ぎる程の冷夏だった。

北は梅雨明けがなく、作物も育たず不作というぐらいの寒さだった。
この寒さに耐え切れず2週間程、病魔に侵されてしまった・・・。

だからと言って南に行くと、謎の工作船に出会い、威嚇射撃をされ、
あわや、今度こそもう後が無い状態にまで陥ってしまった・・・。

「何てこった・・・このままだとリンの行き所が掴めない・・・。」

僕は、頭を抱えながら悩んでいると、
そこにひとりの男(児玉清)が立っていた・・・・・。

次回 >> 第9話「西はマンモス、東はそのまんま」
259名無し職人:03/09/06 23:57
第9話「西はマンモス、東はそのまんま」

その男(児玉清)は僕を見ると、まるで痛ましいものでも見るように目を細めた。
「可哀想に。まだ記憶が戻らないんだね。このままキミを無明の闇に落とすのも気が引けるが、
これもまた宿命。せめて苦しまずに私の手で逝かせてやるが情け」
男はそう言うと、突然、僕に襲い掛かってきた。
とっさに男の一撃をよけた。
男の手は僕がそれまで寄りかかっていた大岩に深々と突き刺さっていた。
「何をするんですか、先生」
「おや、私を先生と呼んだね。記憶が戻ったのかな?」
先生? どうしてこの男が先生なんだ? 何の先生だ?
「まだ、わからぬか。しかし、お前を哀れんではやれるが、助けてはやれぬ。観念せい」
また、男の手が閃いた。
しかし、今度は逃げずに逆に一歩踏み出していた。
両の手のひらで男の胸を強く打った。
男が口から血を吐いた。白目をむいた。人形のように倒れた。
「火星甲機術奥義、双掌衝撃波。見事じゃ、お見事。もう私が教えることは何もない」
「先生!」
「まだ、私を先生と呼んでくれるか。あ・・りがとう。しかし私はもう長くない。東だ。
東へ行け。西はマンモスの勢力地域と化したが、東はそのまんまだ。記憶を失っても技の
冴えは変わらなかったな。お前のような弟子がいたことを誇りに思う・・・」

次回 >> 第十話「鉄格子がさびて壊れた!脱獄」
260ちょっと気になる富田林 ◆Cyokit0E3k :03/09/11 03:57
第10話「鉄格子がさびて壊れた!脱獄」

僕は先生に言われたとおり東に向かって歩いていた。
荒廃した巨大なビル郡があった。どこか懐かしい光景だった。
その間を歩いていると目の前にジェセフおじさんが現れた。

「ケンタ君。君は悪い子だ。掟に従わない悪い子だぁ。」
おじさんにも驚いたけど、もっと驚いたのはおじさんの右手に握られた鎖の先に
リンがいたことだった。
「ケンタ君ぅん。君は悪い子だ! おかげで奴らにつかまりおじさんはひどい目に
あったんだぞぅ!! 鉄格子がさびて壊れたおかげでこうして脱獄してきたんだ。
もう実験は必要ない。今ここで発動させてやるぅぅ!!」
突然、おじさんは持っていた拳銃を僕に向かって撃った。
避けられない・・・そう思った瞬間、僕の前に大きな背中が立っていた。父だった・・・。
父は何発も銃弾を浴びながらおじさんに近づいていき、おじさんを絞め殺してしまった。

「ケンタウローよぉい」
父は僕の腕の中で弱々しく僕の名前を繰り返し呼んでいた。涙が止まらなかった。
「ケンタウロー、振り返るな。行け豆満江へ。」
僕はどんどん冷たくなっていく父をずっと抱きしめていた。
そんな僕の手をリンがそっととって自分の頬にあててくれた。とても暖かかった。
僕はリンの肩を強く抱きしめて歩き始めた。


次回 >> 第11話「豆満江を越えろ」
261名無し職人:03/09/12 10:59
第11話「豆満江を越えろ」

僕もリンも歩きつかれた頃、僕が将軍様と名付けた女の子が空を飛んでやってきた。
「やっと翻訳機が直ったわ。それで、あなたの記憶は元に戻った?」
「・・・・」
「そう、まだ元に戻らないのね。いいわ。聞いて。私はあなたの味方よ」
「状況が何一つわからないんだ。そんなこと言われても・・・」
「そうね。じゃ、簡単に説明するから、聞いて頂戴。この星はかつて大規模な
テラフォーミングが成功して、地球にもまけないくらい栄えた星だったの。
でも、何がいけなかったのか、ある日環境が激変して、そのせいでこの星の人口は
5%以下になった。文明も徐々に消え去り、旧世界のテクノロジーを持っている者と
そうでない者に二分された。
地球と火星の連合政府はこの星の様子を見るため、それぞれ1名づつの視察員を出したの。
地球の視察員が私。火星の視察員があなたよ。
でも、あなたはこの星を調べていくうちに、過剰にこの星に肩入れしていった。
たぶん、あなたは自分のトラウマを忘れたかったんでしょうね」
「トラウマ?」
「火星は何年にも渡って、大規模な内乱がつづいているの。そこで、あなたは家族を
すべて失ったわ」
「・・・・・」
「そして、あなたはこの星に同化しようとした。自分の履歴を改竄してこの星で生まれたと
信じ込もうとした」
「履歴を改竄って、だって、僕には父もいたし、おじさんだっていた。あの人たちは
どうしたっていうんだよ?」
「あの人たちは存在しないわ」
「何を言ってるのさ?」
「私たちの体は実体じゃないのよ。情報圧縮体よ。エアメールよ。それも忘れた?」
「何だって? じゃあ、僕に襲い掛かってきた先生も・・・」
「そう、飲み込みが早いわね。すべてあなたが創り出したモノなの」
262名無し職人:03/09/12 11:01
「とても信じられない! じゃあ、もしキミが実体じゃないというのなら、キミをこの銃で
撃ち殺してもキミは死なないんだな?」
「いいえ、死ぬわ」
「さっきの言葉と矛盾してるじゃないか?」
「矛盾はしていないわ。私たちはデータだもの。あなたが私を銃で撃ったら、私のデータは
壊れる。回収できないわ。つまり、それが死よ」
「ちょっと待て、僕らの実体はどこか別のところにあるんだろ?」
「もちろんそうよ。私たちは本体の人格と記憶を持ってここに来てるの。完全なるコピーよ。
でも、ここで得た知識や経験は私たちの人格に影響を及ぼすわ。オリジナルとは違うものになっていくでしょうね。
わからない? 私たちの本体がどうであれ、私たちはこうして自分で考えることもできれば、
話すこともできる。アイデンティティだって持ってる。
我思う故に我在り、ならば、私たちは実体じゃなくても立派に人間なんじゃない?」
「ちょっと待て、僕らがデータだとして、回収された後はどうなる? 回収先で人間として
扱ってくれるのか?」
「いいえ、それは無理。実体がないもの。データだもの」
「どうなるんだ?」
「どこかのデータバンクに保存してくれるでしょうね」
「データバンクに保存されたらどうなるんだ?」
「どうなるって? 質問の意味がわからないわ?」
「僕らはこうして今までのように、しゃべって、考えたりできるのかって訊いてるんだよ」
「さあ、それはわからない。でも私たちは永遠を得るのよ」
「何だって?」
「わからない? 不確かな壊れやすい肉体に捕らわれることなく、ハードディスクやメディア
の中で今の形を保存し続けることができるのよ」
「まるで、宗教だな。死ぬのは怖くありませんよ。永遠の安らぎを得られます。神の国へ
行けますよ。ってな」
「・・・・・」
「キミは今までそれを疑問に思わなかったの?」
「私、私は・・・・」
想像以上に彼女はショックを受けたようだった。
263名無し職人:03/09/12 11:02
「どいてくれ。僕は行かなくっちゃ」
「行くって、どこへ?」
「豆満江へ。父の最期の言葉だったから」
「何を言ってるの? あなたにお父さんなんかいない。それはあなたが創り出した妄想よ」
「じゃあ、僕の妄想に従うさ。僕はキミの話なんか信じない。データとしてどこかに保存
されるなんて、まっぴらさ。僕は今、この瞬間の僕を信じる」

次回 >> 最終話「足枷よ、ここが自由の地だ!」
264ちょっと気になる富田林 ◆Cyokit0E3k :03/09/13 01:20
最終話「足枷よ、ここが自由の地だ!」

目の前に大きな川が現れた。きっとこれが豆満江なんだと僕は思った。
向こう岸まではどれくらいあるんだろう。そんなことを考えてもしょうがないか。
僕はしっかりとリンを抱えて川の中へと入っていった。川はまるで海のように、進めば
進むほど深くなっていった。すぐに足がつかなくなって僕等は泳ぎ始めた。
どれくらい泳いだだろう。・・・疲れた。向こう岸はまだ見えない。
足が攣ってきた。水を掻く手が重い。リンを片手に抱えているんだからしょうがない。
・・・リン。こいつは何なんだ? やっぱり将軍様の言うように僕の作り出した妄想
なんだろうか? だとしたら随分とやっかいな妄想だ。僕はこの足枷を抱えてここで
朽ち果てるのだろうか。
僕は泳ぐのをやめた。リンを見た。いつもの悲しそうな瞳がそこにあった。
僕はリンを離すとゆっくりと彼女の首を締め始めた。
ごめんよ。僕は妄想と一緒には死ねない。ごめん。力を込めた。その時、遠くで声がした。
「ケンタウローよぉい、じゃがいもぉ。ぶっといじゃがいもだよぅ。」
父が笑っていた。僕はハッとして手を離した。そして・・リンが口を開いた。

「・・・待ってるから。ずっと・・・待ってるから・・・」

途端に僕の目から涙が溢れてきた。僕はリンを抱きしめてそっと唇をあわせた。
僕たちはそのまま川の底へと沈んでいった。

265ちょっと気になる富田林 ◆Cyokit0E3k :03/09/13 01:21

* * *

ガシャ〜ン!! 
僕を入れていたカプセルが壊れ水が溢れ出した。随分と水を飲んだみたいで咳き込んだ。
将軍様の声が聞こえた。
「なんてこと! エアメールを自分の意思で拒否するなんて。あなたはせっかくの亡命
の機会を逃したのよ。もう人類は5年も生きられない。情報体として保存されない限り・・
せっかく私が外部からの侵入者から守ってあげてきたのに・・・あなたに世界を与えて
あげてきたのに・・・」
僕は将軍様の声がするコンピューターユニットを無視して扉を開けて外へ出て行った。

外は雪だった。そこに一人の少女が立っていた。
リンだった。
「おかえりなさい。」
そこには僕を待っていてくれた優しい瞳があった。
この一瞬を精一杯生きていこう。そうだよね、父さん。
僕たちは北の大地をしっかりと踏みしめながら歩き始めた。


E N D

266TβS放送協会:03/09/13 01:29
乙。

【北の国から 〜亡命〜】
第1話「電気がないです」 >>250
第2話「では自家発電スタート」 >> 251
第3話「おばあちゃん、それ電気じゃなくて便器だよ」 >> 252-253
第4話「将軍様、食べものを」 >>254
第5話「極東経由のエアメール」 >>255
第6話「脱出失敗 − ようこそ収容所 −」 >>256
第7話「鉄格子に味噌汁ぶっかけます」 >>257
第8話「北はサムいし、南はコワいし」 >>258
第9話「西はマンモス、東はそのまんま」 >>259
第10話「鉄格子がさびて壊れた!脱獄」 >>260
第11話「豆満江を越えろ」 >>261-263
最終話「足枷よ、ここが自由の地だ!」 >>264
267TβS放送協会:03/09/13 01:31
リンクミス...

【北の国から 〜亡命〜】
第1話>>250 第2話>>251 第3話>>252-253
第4話>>254  第5話>>255第6話>>256
第7話>>257  第8話>>258 第9話>>259
第10話>>260  第11話>>261-263 最終話>>264

---次回放送までしばらくお待ち下さい---
(’’)核兵器&世界平和
269cyokit ◆Cyokit0E3k :03/09/15 23:43
新番組

>>22から

「実録・自民党本部24時」


第1話「明日から俺は…」
第2話「層化との折り合い」
第3話「ハゲっていうな バカ」
第4話「永田町の恋人たち」
第5話「表と裏」
第6話「上と下」
第7話「左と右」
第8話「右斜め45度と左後ろ斜め135度」
第9話「西と東」
第10話「凸と凹」
第11話「湯と水」
第12話「千と千尋」
最終話「菊と刀」

270cyokit ◆Cyokit0E3k :03/09/15 23:45

第1話「明日から俺は…」

2003年8月、自民党総裁選の告示まで1か月をきったが小泉総理は劣勢に立たされていた。
構造改革に失敗し日本経済はどん底、内閣支持率も低迷、そして最大派閥の橋本派と江藤・亀井派が
連携して統一候補に堀内総務会長をかつごうとしていた。
このままでは勝ち目がないのは誰の目にも明らかだった。この情勢では身内からも造反者がでかねない。
しかし、小泉にはどうしても負けられない事情があった。米国のブッシュ大統領と交わした約束、
「今度の会談ではアメリカ側が接待しますよ。ハリウッド女優もいっぱい呼びま〜す。」次の日米首脳
会談までどうあっても総理の座を明け渡すわけにはいかない。小泉は盟友の山崎幹事長を呼び秘策を
話し合った。
「純ちゃんの頼みならしょうがないね。でも、今晩は・・・いいよね?」
小泉から手形をとった山崎幹事長は即座に行動を開始した。狙いは総裁選でライバルになるであろう
堀内総務会長。
堀内の出入りするキャバクラ嬢を買収し、ホテルで堀内と1対1で接見することに成功する山崎。
「堀内さん・・・・、さあ夢の世界へ連れて行ってあげますよ・・・」

* * *

翌日、堀内派の会合で激震が走った。
「明日から俺は・・・小泉支持だ」
その後、報道陣に囲まれた堀内会長は黙して語らず。彼の首筋に縄の痕があることに気づくものは
いなかった。この日、小泉総理は腰痛のため公務を休んだ。


次回 >> 第2話「層化との折り合い」

271cyokit:03/09/18 01:47
第2話「層化との折り合い」

堀内総務会長の翻意により最大派閥橋本派は揺れた。混迷を極める自民党。遂にドンと言われた男、
中曽根元総理が動いた。中曽根は橋本派を不沈空母とするべく自民と連立政権を組むコンペイ党
に側面支援を願い出る。コンペイ党のバックには赤装束集団・層化学会という巨大組織がいる。
今回の総裁選は議員票と一般党員票がほぼ5:5。一般党員への働きかけのためにコンペイ党を
利用しようと考えたのだ。
層化学会のドン・池田会長と赤坂の料亭で会合を持つ中曽根。しかし中曽根はボケて忘れていたのだ。
かつて自分が総理時代にコンペイ党にどれだけひどい仕打ちをしたかということを・・・。
翌日、中曽根は赤いちゃんちゃんこを着てテレビ出演。スタジオで爆笑され、なおもキャスターの
田原の「レーガンはここにはいませんよ??」という冗談を真に受けて生放送で失禁。これを受けて
コンペイ党は「わが党のシンボルである赤いちゃんちゃんこがあのような形で汚されたのは遺憾」という
コメントを発表。続けて小泉支持を打ち出した。

一方、小泉陣営は更なる橋本派の切り崩しにかかっていた。ターゲットは青木参院幹事長。
「青木さん。あなたがお探しのスターウォーズのボトルキャップの第一期のシークレットですが、
いまなら3個ほど用意できるんですが・・・」
青木参院幹事長が小泉支持に周ったのは中曽根失禁事件の翌日の事だった。


次回 >> 第3話「ハゲっていうな バカ」
272cyokit:03/09/18 01:47
第3話「ハゲっていうな バカ」

堀内・青木の両氏の造反により、もはや橋本派の瓦解は決定的となった。しかし、まだあきらめて
いない男がいた。野中元幹事長である。 野中は江藤・亀井派との合掌連合を模索、もう一人の
実力者・古賀前幹事長と強烈なタッグを組みこの難局にあたった。
しかし・・・なんということでしょう! 野中は亀井氏との懇談のために訪れた亀井氏のギャラリーで
亀井氏が趣味とする油絵のテレピン油を誤ってかぶってしまい、しかもその拍子に金歯が擦れて発火、
あえなく焼死してしまったのだ。
古賀はこの事実をマスコミから隠蔽するも八方塞がりで頭を抱えていた。そこに現れたのは宮沢元総理
(E.T.)だった。自身の派閥の堀内の造反をこころよく思っていなかった宮沢は古賀に協力を申し出る。
宮沢は同胞である火星人とコンタクトをとり野中の改造手術という禁じ手に打って出た。
見事、サイボーグとして蘇った野中元幹事長。この時点で古賀は野中を捨て駒にするつもりだった。
小泉と刺し違えてもらおう、と。蘇った野中は24時間休むことなく動き回った。もはや尻の穴を貸す
ことにも躊躇しない文字通りの化け物として小泉支持派を次々と切り崩していった。
しかし、そんな野中にも弱点があった。脳細胞だけは元の体のままだったのだ。体の負荷に対して年齢
を重ねた脳細胞がついていけず遂に街頭演説中に暴走を始めてしまう。
「私は〜この身を賭して〜〜〜小泉総理を討ち果たすべく・・・・このままでは日本は〜〜〜〜
ハゲになってしまいます。ハゲは悲しいです。・・・・こら! そこハゲッていうな バカ〜!!!」
この日の深夜、野中元幹事長の政界引退が発表された。


次回 >> 第4話「永田町の恋人たち」
273cyokit:03/09/18 02:12
第4話「永田町の恋人たち」

野中氏引退を受け、総裁選は小泉の圧勝で終わった。引き続きありきたりな人事が行われ、
小泉首相は衆議院を解散した。
支持率60%の力を持って、合併した民主・自由連合を倒す・・・はずだった。
しかし、一寸先は闇なのが政治の世界。
今回の総裁選のゴタゴタで自民党を離れた若手議員たちが新党を結成した。
その中心は東京3区選出の片桐徹也(唐沢寿明)だった。片桐は芸能界との太いパイプを
利用して度肝を抜く手を使って選挙に名乗りを挙げる。

「新党あやや」

なんと片桐は新党の党首に人気抜群のアイドル、あやや(松浦亜弥)を担ぎ出したのだ。
「未成年が党首かよ!!」
そんな批判もどこ吹く風。新党あややはなんと支持率80%以上を獲得し「永田町の恋人あやや」を
キャッチフレーズに選挙の台風の目となったのだ。
こうして日本全土を震わせて選挙戦はスタートした。


次回 >> 第5話「表と裏」

274名無し職人:03/09/18 16:16
第5話「表と裏」

地元に戻りあついあつい選挙戦が繰り広げられている今日この頃、80%以上の高支持を得た片桐徹也(唐沢寿明)代表の「新党あやや」。
この支持層は今までまったく興味の無かった20代の若者たから、
「この名前は今が旬だから。」「新しい日本を作ってくれそう。」と、大きな支持を得た。
報道番組「政界に新たな旋風・新党あやや」を見ていた片桐と愛知1区の副代表・藤沢貴也(堤 真一)は、
「旬の名前・・・新しい日本を作ってくれそう・・・ちょっと曖昧だな。」
「若い人たちが政治に興味をもってくれるのは大きな収穫だ。」
「しかし、“あやや”にはちょっと抵抗感はあるが・・・」
「仕方ない、いいネーミングがなかったんだ。」
「・・・・・。そういう問題ですか?(笑)」
ここになって“あやや”という名にちょっとした疑問符も出てきたが、選挙戦はどのニュースを見ても「新党あやや」への高支持は一向に衰えない。
さらに、家系がすべて政治家であり、今後の政界を大きく動かすだろうと言われている「政界の申し子」こと千葉3区、獅子門輝貴(八嶋智人)や、
女性への支持も上げるため、女性・若者問題を投げかけ、若くして奈良県議会議員となった、駒井円(中澤裕子)。
そして、今年4月、自分の考えた構想とは大きく違うと自民党から離党した福岡4区、元・官房副長官の梅林利雄(小野武彦)を補強として呼んだ。

そして、選挙当日。今回の総選挙は今までに無い大きな投票率となった。
選挙は大方の予想通り、自民党と新党あややの一騎打ちとなり、最終結果は、ほとんど差は無かったが、新党あややが僅かに上回った。
さらに、駒井、獅子門に関しては自民党候補を大きく引き離す圧勝だった。

「信じられないですね。ま、まさか自民党に勝てるとは・・・。」
「うん。やはり若い層からの支持が多かったのが勝因だったな。
 まさに、ロケットスタートだ。これを機に上昇気流に乗ろう!」
「しかし、CMに本物のあやや(松浦亜弥)を使ったのは・・・・・。」

まさに、新党あややは順風満帆だった。
しかし、表と裏のが政界である。この裏で大変な出来事が起こっていたのである・・・・・・。

次回 >> 第6話「上と下」
275cyokit:03/09/20 08:51
第6話「上と下」

新党あややの躍進の秘密を取材していた嫁売新聞の記者・岡元恭子(富田靖子)はあるスキャンダルを
掴んた。それは、代表の片桐と駒井円は不倫関係にあるのでは?という疑惑であった。片桐にはれっきと
した妻・めぐみ(財前直美)がいるのだが現在は別居中であるという。なによりも今回の駒井円の行動
がおかしかった。駒井は奈良県議会当時は社会党に属していたのだ。それが選挙前にあややに合流した。
また片桐は「永田町のプレイボーイ」という影のニックネームの持ち主だ。
岡元は執拗に片桐をマークし、ついに密会現場を捕らえた。
それは、国会の首班指名の前日。与党となった新党・あややから片桐が指名され内閣総理大臣・片桐徹也
が誕生する前の日だったのである。ホテルからでてくる片桐と駒井。
「スクープいただき!」
岡元が飛び出そうとしたとき、それよりも速く片桐の前に飛び出した女性がいた。アイドルのあやや
(本名・山本花子)である。
「片桐さん! これどういうこと?? あたしのことスキだっていったのはウソだったの? やっぱり
私を利用しただけなの? ねえ? そうなの?? なにが党首にしてやるよ! なにが世界のトップに
してやるよぉぉ!!!」
俗にいう修羅場である。たじろぐ片桐。
「あやや・・・。しょうがないだろ? 君はまだ15歳だ。被選挙権がないんだから。」
「だからなに? 議席をとるためにその人と寝たの!!」
「いやだから・・・」
「わかった。党首も総理大臣もいい。最初からそんなことどうでもよかったんだもん。でも、内閣には
いれて。官房長官がいいな。そうすればいつも一緒にいられるでしょ? 首相の民間人登用には年齢
制限なんてないもんね。いやなら全部マスコミにバラすんだから。」
「あやや・・・そんな知識、誰がそんなこと教えたんだ!」
「誰でもいいでしょ。それより駒井さん! あたし、負けませんから。年が上とか下とか、そんなの
関係ないですから。ぜったい負けないんだから〜〜」
そういって涙をおさえて走り去るあやや(本名・山本花子)であった。


次回 >> 第7話「左と右」
276cyokit:03/09/22 03:02
第7話「左と右」

「スクープ、スクープ!!」嫁売新聞記者・岡元恭子は今見た修羅場と盗撮に成功したカメラを
持って社に急いでいた。その前に現れた黒塗りの車。中から顔を出したのはなんと小泉元首相
だった。小泉は恭子に今のことを伏せるように言う。敵のスキャンダルを何故?? 不思議に
思う恭子に小泉はいった。
「片桐君は永田町のプレイボーイとか言われてるみたいだけど実は単に女に弱くてだらしない
だけさ。そこで君に頼みがある。その写真を持って片桐の奥さんのところに言って欲しい。
うまくやってくれれば、いずれ私が総理に戻ったときに君を総理付きの国会担当記者として推薦
しようじゃないか。あとYOSHIKIにも会わせてあげるよ。フフフ。」

* * *

内閣総理大臣・片桐徹也ついに誕生。引き続いて組閣人事が発表され、またもや永田町に激震が
走る。
「外務大臣 駒井円」
「内閣官房長官 あやや(本名・山本花子)民間」

この時点で駒井=愛人説は世間では周知の事実だった。左と右になんと愛人を配置するとは!!
しかしもっとマスコミを驚かせたのはその後の発表だった。
「総理大臣秘書官 片桐めぐみ(民間)」

翌日の新聞には予想通りの見出しが躍った。

「ハーレム内閣発足!!」



次回 >> 第8話「右斜め45度と左後ろ斜め135度」
277cyokit:03/09/25 18:26
第8話「右斜め45度と左後ろ斜め135度」

臨時国会の召集まであと1週間。すでに自民党を柱とする野党連合は初日から片桐内閣
不信任決議案の提出を狙いその動きを活発化させていた。
* * *
連日、片桐総理をマスコミが取り囲む中、一際大きな声が片桐の耳に入ってきた。
「ソーリ! ソーリ!! 最後に答えてくださいよ! ソーリ!! ソーリ!!! 『世界のトップにしてやる』って
なんですか?? ソーリ、ソーリ、ソーリィィィ!」
嫁売新聞記者・岡元恭子であった。その言葉にびっくりした片桐は官邸で恭子との単独会見を承諾する。
「史上最短の内閣となる総理に最後に是非コメントを頂きたくて・・・」
いたずらっ子のように岡元はそういって、以前撮った片桐と駒井、あややの修羅場の写真と録音テープを
片桐にみせた。写真を手に持ったまま石像のように硬直する片桐。やがて肩を震わせながら口を開いた。
「これ・・・どうするの?」
「もちろん、これから社に戻って記事にします。今の総理のコメントもつけてね。」
「ひどいよ・・・」
「仕事ですから。だいだい愛人を入閣させるあなたがいけないんですよ。自業自得です。」
「ひどい・・・・ひどいよ。やっと、グスッ、やっと総理になったのに。グスッ、15年も
頑張ってきたのに。ヒック、僕が悪いんじゃないんだよ、めぐみがさぁ、誰かがめぐみに
ばらしちゃってさぁ、びぇ〜〜ん!!! びぇ〜〜ん!!! あややがさ、わがままでさぁ、びぇ〜〜ん!!! 
円がさぁ、びぇ〜〜ん!!! びぇ〜〜ん!!! え〜〜〜〜ん!!こうやって、こうやって皆で僕の事を
虐めるんだぁぁ! え〜ん、え〜ん、ひどいよぉぉ!!」
床に転がって右斜め45度の姿勢でまるで赤ん坊のように泣きじゃくる片桐。唖然とする恭子。
* * *
官邸からでてきた恭子を小泉元総理の乗った車が出迎える。
「ごくろうさん。これで片桐は終わりだ。君の将来も安泰だよ。」
「・・・・ごめんなさい、あの約束はなかった事にしてください。」
恭子はそういってフィルムとテープを道路に叩き付けグシャグシャにした。
「総理のこと放っておけなくなっちゃいました。左後ろ斜め135度を突かれたというか、
なんか、可愛そうになっちゃって。」


次回 >> 第9話「西と東」
278ヒガタハヤト:03/09/26 12:27
cyokitさん。>>274で第5話「表と裏」を書いたものです。
内容を把握して作りましたが、後で見て、かけ離れた部分もあり作りにくかったと思います。
出演者も多くなってしまい。申し訳ないです。

第9話「西と東」
「ちょっと、岡元くん。どういうことかね?」
「すいません・・・」
そう言うと、岡元はその場を去った。
片桐のあの姿を見て、自分のやったスクープに遺憾を感じた。

岡元は、新党あややの本部に立っていた。
すると、本部からひとりの議員が出てきた。副代表・藤沢貴也である。
彼も、今回の会長(総理)のスキャンダルの件でピリピリしていた。
藤沢は立っていた岡元に気づき血相を変えこう言った。
「あ、あんたはウチの会長のスキャンダルを撮った嫁売の記者だろ。
  今度は何のようだ!また騒ぎを起こすつもりか!!」
「あの・・・ちょっと、私の話を聞いてもらいませんか・・・。」
そう言うと、藤沢は落ち着き、岡元を彼の事務所に案内した。
279ヒガタハヤト:03/09/26 12:27
岡元はこの件について、藤沢にすべてを話した。
「会長が?」
「そうなんです。突然赤ん坊のように泣き喚いて・・・。」
「・・・・・・。」
黙った藤沢。しばらくして、こう口を開いた。
「そういえば、最近の会長、様子がおかしかったなぁ・・・。
  “ハーレム内閣”と書かれたときも。」
「何か詳しいことは分かりませんか?」
「・・・。確か、過去にとんでもない出来事があったと会長が
  おっしゃってましたね。出来事まではさすがに言えない感じでしたね。」
「何か手がかりとかは?」
「う〜ん・・・そこまでは・・・・・。」

岡元は翌日から片桐の過去を突き止めるため、東奔西走する日々が続いた。
そして、岡元が突き止めた場所は片桐の実家がある京都だった。
しかし、不信任案提出の日が刻一刻と近づいていた・・・・・。

次回 >> 第10話「凸と凹」
280ヒガタハヤト:03/09/26 13:10
ここまでの登場人物です。(4話以降から)

片桐徹也 (唐沢寿明):「新党あやや」を立ち上げ、総理大臣。「永田町のプレイボーイ」東京3区。
藤沢貴也 (堤 真一) :副代表。愛知1区。
獅子門輝貴(八嶋智人) :家系がすべて政治家で、「政界の申し子」の異名をとる。千葉3区。
駒井 円  (中澤裕子) :片桐内閣の外務大臣。元・社会党。奈良より選出。片桐の愛人説も。
梅林利雄 (小野武彦) :元・官房副長官。自民党を離党し、この党へ移籍。福岡4区。
岡元恭子 (富田靖子):嫁売新聞の記者。新党あややを取材。
片桐めぐみ(財前直美) :別居中の妻。片桐内閣総理大臣秘書官。
あやや(本名・山本花子)(松浦亜弥?):アイドル。片桐内閣官房長官。党の名前の主でもある。
小泉純一郎(  ? ):元総理。しかし、片桐を倒すための野望もあるが・・・
281cyokit:03/09/26 19:15
>>278
言い訳はこの話が終わってからと思ってたんですが・・・

_| ̄|○  スマン・・悪いのは全部俺だ。


『実録』だからいっそのこと全部本人でいいか、と始めてみた(1話)
やっぱツマンネ(2話) → レッツゴー永田町ノリにするか(3話) → ヤッパダメジャン(4話)
と堂々巡りん。

え〜と、一応配役は、

 小泉純一郎 : 久米宏
 山崎幹事長 : 江頭2:50
 「あやや」という芸名(愛称ではなくこれで芸名)で本名が山本花子という役、の配役が「松浦亜弥」ということで。 

あと当たり前ですが現実には未成年のあややは官房長にはなれません、ってかタレントみたいな限られた職以外で
働いちゃいけません。_| ̄|○
宮沢=E.T.(3話)の段階からパラレルワールドに入り込んでるんです・・。
282cyokit:03/09/26 19:57
第10話「凸と凹」

京都。岡元恭子は片桐の実家にいた。そこには片桐の母親・菊(黒柳徹子)がいたが、
すでに老人性痴呆症が進んでいてインタビューは不可能な状態だった。恭子は粘り強く
菊と話を続けた。そして総理の所信表明演説の日がきた。朝からマスコミにもみくちゃに
される片桐。その様子をテレビで見ていた菊が呟いた。
「あの子はねえ。ほんとに優しい子なんですよ。あんな事がなければねぇ。あれからあの子は
女の子に逆らう事ができない子になってしまった。」
「おばあさん、それは何ですか? 片桐総理に何があったんですか!」
「それは・・・・・・・・・」
恭子は脱兎のごとく駆け出した。片桐に会うために! 所信表明演説まであと6時間・・・。

* * *

所信表明演説の時間が迫っていた。国会議事堂に集まる議員たち。いきなり場内がざわめいた。
それは、新党・あややの実力者、梅林利雄がなんと自民党の席に座っていたのだ。自民を離党しあややに
参加した梅林だから間違えたのだろう・・・誰もがそう思った。しかし梅林は席を動こうとしない。
ニヤニヤと笑いがこらえきれない小泉元首相。入閣できなかった梅林が裏切ったのだ。しかも梅林の
グループは20名以上の議員がいる。すでに新党・あややは国会初日で議席過半数を割ってしまったのだ。
もともと小泉と梅林は前政権時代には「自民の凸凹コンビ」で名を馳せた間柄。梅林を冷遇した
(というか、梅林のポストをあややにしてしまった)時点でこの事態は必然だったのかもしれない。
壇上に立つ片桐は梅林を見て思った、「終わったな」と。俯いたまま壇上で石になる片桐。何を演説した
ところで無駄だ・・・そう思った瞬間、場内に警備員を薙ぎ倒しながら岡元恭子が飛び込んできた。
「ソーリ! これを見て!!」

次回 >> 第11話「湯と水」
283cyokit:03/09/28 20:40
第11話「湯と水」

岡元恭子は立ち塞がる警備員達に熱湯を振りまきながら議会場へ強硬突入してきた。
右手には煮えたぎる熱湯の入ったヤカン、左手にはカップ麺。壇上で石になっている片桐はその
様子を見て過去の忌まわしい記憶を思い出した。
それは片桐がまだ小学生だった頃。近所でも評判の秀才で美少年だった片桐は隣人の女子中学生の
性のおもちゃにされていた。毎晩のように車庫に呼び出されては好奇心の対象としてパンツを降ろ
され様々な悪戯をされていた。それを聞きつけた悪友達も集まり、片桐は20人以上の女生徒達に
弄ばれる毎日だった。取り分け「男のあそこは、湯をかけると大きくなって水をかけると小さくなる」
という迷信を信じて毎日のように湯と水をかけられていた。泣いた、喚いた、愛顧した・・・。しかし、
片桐が解放されることはなかった。決定的だったのはそんな目にあっている息子を見殺しにした母・菊
の姿だった。片桐は心に大きな傷を持ったまま成人し、逃げるように生まれ故郷を後にした。忌まわ
しい記憶を心の奥底にしまいこんで・・・。
「ソ〜〜〜リ!!」恭子は片桐に見えるようにカップ麺に湯をそそぐと物凄い勢いで食べ始めた。
取り押さえよとする警備員に踵落しを見舞い、ズルズルッと食いまくる。
「ソ〜リ! 片桐さん、思い出して! あなたは女に対しての恐怖心から言いなりになってしまうの。
でもそれは幼いときのトラウマなのよ。解き放って! 自分を取り戻して!!」
恭子の姿を見て片桐は遂に壇上で口を開いた。所信表明演説が始まった。
284cyokit:03/09/28 20:40
「片桐内閣が目指すもの! それは国民一人一人の自主独立であります。」
「そうよソーリ! 愛人達を閣僚から更迭するのよ。まだ間に合うわ。」警備員をヤカンで殴りながら
恭子は身を乗り出す。
「それは男性が自信を持って生きていける社会の創造であり・・・」
「よしよし!」恭子、回転回し蹴り。
「尻に敷かれるのなんて真っ平です!」
「よく言った!!」恭子の卍固めが警備員に炸裂!
「ですから・・・・片桐内閣は『一夫多妻制』の導入を実現するために邁進する所存であります!」
「なんでそうなるのぉぉ!!!!」
恭子は数十人の警備員達に押しつぶされながら叫んだ。その後、片桐は首相公選制も公約するが、
拘束され連行されていく恭子に聞こえるはずもなかった。はたして過半数割れの新党・あややに法案を
成立させることはできるのか? そして翌日、内閣不信任案が提出されたのであった・・・。


次回 >> 第12話「千と千尋」
285TβS放送協会:03/09/29 00:51
〜これまでのあらすじ〜
第1話>>270 第2話>>271 第3話>>272 第4話>>273
第5話>>274 第6話>>275 第7話>>276 第8話>>277
第9話>>278-280 第10話>>282 第11話>>283-284
286ヒガタハヤト:03/09/30 21:54
第12話「千と千尋」

翌日すべての朝刊一面が『片桐内閣不信任案提出』に関する見出しだった。
片桐内閣支持率も一時期は80%近くあったが50を切っていた。
さらに、岡元は今回の所信表明演説中の強硬突入の件で謹慎処分となった。
新党あやや本部。片桐と藤沢との極秘の話し合いが行なわれていた。
「会長、どうするつもりですか?何か手立てはないんですか?!」
「・・・・・。」
「突然『一夫多妻制』なんて言われて正直、私も驚きましたよ。
 『永田町のプレイボーイ』って言われるにも程がありますよ!」
「私は正しいことを言ったんだ。何が悪い。」
「それがダメなんですよ。“ハーレム内閣”だってそのひとつじゃないですか。」
「黙れ!藤沢…これは私の改革なんだ!口を出さないでくれ!!」
「会長!いい加減にしてください!!」

バシッ!

思わず藤沢は手が出てしまった…。
「な、なんだよぉ〜〜〜〜!なぐらなくてもいいじゃないかぁ〜〜〜〜〜!!
  ひ、ひどい〜〜〜〜!!ウエ〜〜〜〜〜ン…」
(ハッ!これがあの新聞記者の言っていた…)
287ヒガタハヤト:03/09/30 21:55
「会長、すいません…。殴ることはなかったのですが、これだけは聞いてください!
 今までスキャンダルで追い回された議員が相次いで出ています。会長だって女性問題で
 いろいろ言われたじゃないですか。“ハーレム内閣”だってそうじゃないですか。
 まずその女性問題を直すべきです!『永田町のプレイボーイ』の名を返上するんです!!
 それが原因で奥さんとも別居したんじゃないですか。『一夫多妻制』もそのひとつですよ。
 どうなんですか?!」
藤沢はこれまでの不満をすべて打ち明けた。すると、カチャっとドアの開く音がした。
「片桐会長、お客様です。応接室でお待ちです。」
そうすると、片桐は立ち上がり応接室に向かった。そこには、ひとりの男(賀集利樹)が座っていた。
「に、兄さん・・・・・」
「ち、千尋、千尋じゃないか。どうしたんだ?!」
男は片桐の弟である、千尋だったのだ。
「今日、嫁売の新聞記者が来てこれを渡してくれって言われたんだ。」
と茶封筒を渡した。中身を見ると、一冊の古いノートと手紙が入っていた。そのノートとは…

『徹也と母の1000のマニュアル』
288ヒガタハヤト:03/09/30 21:55
“ 徹也へ お元気にしていますか。母さんは元気です。
  総理大臣として忙しい日々を送っているのではないでしょうか。母さんは心配です。
  さて、近ごろ大変な騒ぎになっているみたいですね。また、徹也の悪い癖がでてしまったみたいで、
  総理の座が危ぶまれているではないですか。このノートを送りますので、初心に帰って読んでおいてください。
  それでは体に気をつけて頑張ってください。 母・菊 ”
「マ、ママ…(グスッ)」
「どうですか?!ソーリ!!これで何とかなりますよね?」
後ろに謹慎中のはずの岡元がいた。謹慎をくつがえし、菊から預かっていた封筒を弟のもとに届け、そっと後ろから見ていたのだ。
「会長、これを機に出直してみてはどうですか。」
「兄さん、ボクも応援しているからさ!」
「ソーリ!これが最後のチャンスだと思って頑張ってみてくださいよ!」
「み、みんな……ウア〜〜〜〜〜〜!!」

涙が止まらなかった………。

次回 >> 最終回「菊と刀」
289ヒガタハヤト:03/09/30 21:56
“ 徹也へ お元気にしていますか。母さんは元気です。
  総理大臣として忙しい日々を送っているのではないでしょうか。母さんは心配です。
  さて、近ごろ大変な騒ぎになっているみたいですね。また、徹也の悪い癖がでてしまったみたいで、
  総理の座が危ぶまれているではないですか。このノートを送りますので、初心に帰って読んでおいてください。
  それでは体に気をつけて頑張ってください。 母・菊 ”
「マ、ママ…(グスッ)」
「どうですか?!ソーリ!!これで何とかなりますよね?」
後ろに謹慎中のはずの岡元がいた。謹慎をくつがえし、菊から預かっていた封筒を弟のもとに届け、そっと後ろから見ていたのだ。
「会長、これを機に出直してみてはどうですか。」
「兄さん、ボクも応援しているからさ!」
「ソーリ!これが最後のチャンスだと思って頑張ってみてくださいよ!」
「み、みんな……ウア〜〜〜〜〜〜!!」

涙が止まらなかった………。

次回 >> 最終回「菊と刀」
290ヒガタハヤト:03/09/30 21:57
すんません。>>288>>289が重複しました・・・。

_| ̄|○
291cyokit:03/10/03 01:05
最終話「菊と刀」

議長「それでは、片桐内閣に対する内閣不信任案の決議に入ります。」
まさに前代未聞、国会開催と同時に内閣不信任が叩きつけられたのだ。新党・あややからはすでに
梅林利雄を筆頭に多数の造反者がでていた。片桐内閣の命はまさに風前の灯であった。
片桐総理が壇上に立つ、手に母からのノートを握り締めて。
「男なら潔く生きろ、これは私の母の言葉です。議長! 回りくどい投票などやめて起立投票にして下さい。」
片桐の呼びかけに野党・自民党からは罵声が飛ぶ。しかしそれを小泉前首相が押さえた。
「米百俵!」
野党の分けの分からない合意のもと議長が決をとる。
「この不信任案に賛成の方の起立を求めます。」
自民党を中心に多数の人間が立とうとした瞬間、片桐が雄たけびをあげた。
「小泉敗れたり! 国会議員は男の方が多いんだ!! よ〜し、あやや、脱げぇ!!」
「は?」総理の横に座っていたあややが唖然として片桐を見る。
「いいから脱げ、全部脱げ!! ついでだ円、おまえも脱げ、めぐみも脱げぇぇ! 全部晒せぇ!!」

・・・・・

議長「起立・・・・・・半数に満たないと認めます。よって本案は否決されました・・・って、いいの??」
議場に静寂が走る。
小泉「立てましぇん・・・」男達はみな股間を押さえて俯くだけだった。

292cyokit:03/10/03 01:07

* * *

ドン! ゲシ! ドガ〜ン!!
あやや達に袋叩きにされる片桐総理。めぐみの渾身のパンチで吹き飛ばされ転がった先には母・菊が
立っていた、右手に日本刀を持って・・・。
「徹也さん! 心配になってきてみれば・・・。ああ、なんてことでしょう!! さぁこの母と一緒に
死にましょう。もう世間様に顔向けできません。さあ、これでその腹かっさばいて」
「危ない! 危ない!!」藤沢が止めに入ろうとするが菊は刀を無造作に振り回して誰も近づけさせない。
「ママ! ママはいつだってそうやって自分の意見を僕に押し付けるんだ。僕はママの操り人形なんか
じゃないんだ!」
片桐は手に持っていたノートをビリビリと破り捨てる。
「徹也さん・・・」
「ママ、分かってよ! 僕やったんだよ。総理なんだよ。褒めてよ。優しくしてよ! 僕、頑張ったんだよ!」
カタン・・・菊の手から刀がすべり落ちる。
「ごめんなさい。ごめんなさい徹也さん。そうね、悪いママよね。」
「うわぁぁぁ〜〜ん!!!」
菊の手の中で泣き崩れる片桐。

こうして、「失われた事を思い出すのも無駄な7日間」と言われる政争は決着した。
国権の最高機関で行われた痴話喧嘩は意外にも国民の自主独立を促す結果となり新たな形の政府を
生み出す源になったのである。


E N D
293cyokit:03/10/03 01:09
その後・・・・

片桐徹也(唐沢寿明):強制ワイセツ罪で起訴され議員を辞職。京都に帰り母・菊と共に幸せに暮らす。
藤沢貴也 (堤 真一) :新党・あやや解党後、新党・ゴマキの結成を目論み奔走する。
獅子門輝貴(八嶋智人):ドタバタに乗じてちゃっかり自民党に入る。その後政調会長に就任。
駒井 円 (中澤裕子) :藤沢→梅林→小泉と愛人として渡り歩いたらしい。
梅林利雄 (小野武彦):実は2人の愛人を囲っていて一夫多妻制には賛成していた事をばらされ政界から消される。
小泉純一郎(久米宏):徐々にマスコミから相手にされなくなっていった。
岡元恭子(富田靖子):嫁売新聞を退社。今回の事件の裏側をノンフィクション小説にしてベストセラー。
              その後は作品に恵まれず朝のテレビ番組のコメンテイターをするようになる。
片桐めぐみ(財前直美):片桐と離婚後、「ブロードバンドの鷹」と呼ばれる青年実業家と再婚。
あやや(松浦亜弥)   :アイドルに戻る。奥の手のヘアヌードが使えなくなったため事務所と対立し独立する。

294TβS放送協会:03/10/03 01:31
乙death.

「実録・自民党本部24時」
第1話>>270 第2話>>271 第3話>>272 第4話>>273
第5話>>274 第6話>>275 第7話>>276 第8話>>277
第9話>>278-280 第10話>>282 第11話>>283-284
第12話>>286-288 最終話>>291-293

    〜次回放送までしばらくお待ち下さい〜

ご意見・ご要望はTβS会議室へ気軽にお書き殴り下さい
http://human2.2ch.net/test/read.cgi/owarai/1045154218/
295cyokit:03/10/03 01:45
_|\○_  今回はイロイロスマンカッタ・・・

ヒガタハヤトさん、お付き合いアリガトウ。
296TβS放送協会:03/10/03 01:54
政治ボキャを一切持ち合わせない私にはパロディすらままならず...
___○_
もう土下座なんだかうつぶせなんだか分かりゃしねぇ!
297TβS放送協会:03/10/03 03:33
秋の新番組予定表・1(>>21様のリクエストより)

「トミーとお松」
第1話「トミーの葬式中お松事故死」
第2話「焼き場で鍛冶場の馬鹿力」
第3話 「謎の男女粗悪。 −おれたちが主人公−」
第4話「トミーのしゃくれアゴ、敗れたり」
第5話「対決!トミー対お富」
第6話「トミーとお松、仲良くケンカしな」
第7話「トミー対お松」
第8話「死闘」
第9話「琵琶湖で……」
第10話「琵琶湖競艇」
第11話「鳥人間コンテスト」
最終話「新記録で着水〜ボート上で抱き合う2人」


298TβS放送協会:03/10/03 03:36
秋の新番組予定表・2(>>21様のリクエストより)

「名犬ポチと伝説の飼い主」
第1話「裏の畑にじじいが埋まる」
第2話「バターにはこだわってます」
第3話「首なし犬」
第4話「壮絶!!おすわり地獄!」
第5話「明日は隣町の公園まで行きましょうよ旦那様」
第6話「お手はできません」
第7話「涙の去勢」
第8話「そして渡米」
第9話「パキスタンの友人」
第10話「子犬が生まれた」
第11話「クローン犬!?」
第12話「絶体絶命!食われる」
最終話「進化」




299ヒガタハヤト:03/10/03 12:20
>>295
いえいえ。こちらこそ。
出演者まで増やしてしまって申し訳ないです。
また、今度も頑張りましょう。
300ヒガタハヤト:03/10/03 22:37
新ドラマ「トミーとお松」

第1話「トミーの葬式中お松事故死」

ここは、富士見署捜査課。かつてはトミーこと岡野富夫(国広富之)と、マツこと松山進(松崎しげる)の
名・・・じゃなくて・・・迷コンビがいた。最終的にはコンビは解消してしまったが、また、何らかの理由で、
また二人が一緒になってしまったのである。相変わらずなところもあるが、20年経つと、富士見署もガラッと変わり、
よい部下にも恵まれた。そこには、富田清次(ユースケ・サンタマリア)と松葉博善(松岡昌宏)のふたりの刑事がいた。
富田は何事もダイナミックだが、空回りしてしまうこともある。父の影響で刑事になった。
対する松葉は東都大卒のエリートで、将来は約束されたようなもの、しかし、バカな一面もみせる。
マツを非常に尊敬し、「お松さん」と呼んでいる。まさにどこのコンビか知らないが凸凹している。

そんなある日・・・。
Truuuuuuuu!
三条捜査課長(小林稔侍)「はい、捜査課。何・・・立てこもり?!新宿の丸菱銀行!分かった!」
ガチャ!
「言ったとおりだ!現場に急行してくれ!」
マツ「よし!行くぞ!!」
トミー「いやですよぉ〜とばされたらどうするんですかぁ〜?」
松葉「何行ってるんですかトミーさん。行きますよ。」
富田「そうですよ!仕事!仕事!!」
三条「おい!富田、松葉。岡野の手引っ張っていけ。」
富田&松葉「ハイ!」
トミー「え〜〜〜〜いやだぁ〜〜〜〜〜〜」

これでも上司なのか・・・。若い2人に手を取られ現場へ急行。大丈夫なのだろうか…。
301ヒガタハヤト:03/10/03 22:39
丸菱銀行新宿支店。
「犯人に告ぐ〜!貴様は完全に包囲されている!ただちに出てきなさ〜い!!」
「ウルセ〜〜!ブッ飛ばされて〜のか〜〜〜〜!!」
立てこもり犯の桜沢(宮迫博之)が手にダイナマイトとジッポを差し出し脅している。
そして、そのころあの4人は・・・。
「なんでこんなところにいるんですかぁ〜?」
「静かにしろ!裏から入って犯人を捕まえるんだ」
「しかし、4人もいらないじゃないですか」
「そうッスよ!お松さん。2人ぐらいでいいじゃないですか?」
「うるさい!これでいいんだよ!!」
「誰だ!後ろに誰かいるだろ!!」
「おい!コラ!見つかったじゃねぇかよ!!」
「お松さんが叫んでたじゃないですか?!」
「どうするんですか?!」
「仕方ない・・・トミーお前行ってこい!」
「え〜〜〜なんでボクなんですかぁ〜〜〜〜?!」
「トミーさん!頑張ってください!!」
「ほら!部下もそう言ってるんだから、行ってこい!ホレ!!」
「何だ!お前!!これで死にたいのか!!」
「うわ〜ごめんなさい!ごめんなさい!いやだぁ〜〜〜〜死にたくないよぉ〜〜〜〜」
302ヒガタハヤト:03/10/03 22:42
「何やってんだ!昔と一緒だろ!!お前それでも男か〜!よ〜し…久しぶりに言うぞ〜このぉ・・・・・・ト・ミ・コ〜〜!!」

ご存じの通り耳がピクピクっと動き、トミーが急変!一気に桜沢に襲い掛る。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお〜!!」

ビシッ!バシッ!ドカッ!!

激しい争いが続いている。しかし!競り合ってる間にダイナマイトが引火してしまった。
桜沢をボコボコに倒し、取り抑えるが、ダイナマイトは爆発寸前だった。ここでなんとトミーはダイナマイトを抱え込んだ。
「マツさん!富田!松葉!逃げて!」
「トミー!お前はいいのか?!」
「一緒に逃げましょうよ!!」
「危ないですよ!!!」
「僕のことはいいから!逃げて!」
「開始早々から殉職かよ!」

ドゴーーーーーーーン!!!

人質と桜沢とマツ、富田、松葉は助かったが…。
「トミーーーーー!!」
「トミーさん…自ら犠牲になって…」
「トミーさん!トミーさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
303ヒガタハヤト:03/10/03 22:42
翌日、トミーの葬式が行なわれた。
憮然とする富田と松葉。しかしそこにマツの姿がなかった。
松葉「マツさんどうしたのかなぁ・・・」
富田「パートナー無くしたんだからどこかで泣いてんじゃないの?」
すると、富田の携帯が鳴った。
「はい、富田です。東部署。ああ、お世話なってます。どうも。えっ・・・
え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」

なんと・・・富田にかかってきた電話はマツの交通事故死だった。葬儀場へ行く途中、
反対から来る車を知らぬまま、カーブの途中、追い越し車線から飛び出たトラックを避けきれず、
そのままガードレールを突き破り、崖へ転落。そのまま車は爆破したのだ。
東部署の調べで、中にいた男の身元によると、マツだったという・・・・・。

翌日、マツの葬式が行なわれた。
富田「何で2日続きで葬式何だよーーーーーーーーーー?!」
松葉「トミーさん!マツさん!!帰ってきて下さい〜〜〜〜〜!!!!!」
上司を2日連続で亡くし、明日からどうする!富田と松葉!!!

次回 >> 第2話「焼き場で鍛冶場の馬鹿力」
304柴田ぁ:03/10/04 00:53
第2話「焼き場で鍛冶場の馬鹿力」

ここは、富士見署捜査課。バリボリバリボリ、煎餅の音が鳴り響く。
「これさぁ、ちょっと固すぎねぇ? 爺さんとかこんなの食べれないよ。
 口の中血だらけだよ。絶対。凶器だよこんなの」
煎餅を噛み砕いては茶を注いでは飲みを繰り返しながら
富田(ユースケ・サンタマリア)は誰にともなくボヤいている。
松葉(松岡昌宏)はそんな富田には目もくれず黙々と、乱雑に積み上げられた資料を丁寧に整理している。
「今日はどうせ何も起こんないからさぁ(バリボリ)さっさと切」

ジリリリリリリリリリリリ

「ハイ、富士見署捜査課。ハイ、ハイ、え? ハイ」
「なーんスか! もう! 切っちゃえ。切っちゃえ。今日はもう終」
「新宿七丁目の葬儀場に霊柩車が衝突した。婆さんが巻き添えだそうだ。急ぐぞ」
三条捜査課長(小林稔侍)は受話器を置くと早口でそう皆に伝えた。
松葉「新宿七丁目の葬儀場ってこないだの先輩達の」
三条「あぁ。何の因果だろうな。行くぞ」
富田「もー。あー。もー」
305柴田ぁ:03/10/04 00:54
現場は野次馬でごった返している。
人並みをかき分け現場へと近付く三条と松葉、遅れて富田。
信号が変わったことに気付かなかった婆さん(菅井きん)がうっかり飛び出したところへ霊柩車が突進。
急ブレーキでハンドルを切ったものの、婆さんを引きずる格好で葬儀場の壁に衝突。
「ちょっと! 早くこの車をどけなさいよ!」
現場はかなり凄惨なことになっているものの、婆さんは巧い具合に壊れた壁の隙間に潜り込み、
奇跡的に殆ど怪我はないらしい。寧ろ巻き込まれたことに腹を立てわめいている。
「これ俺らがやることッスかぁ? 幸い婆さんはピンピンしてるみたいだし、他に任せて帰りましょうよ」
とことん休みモードの富田がダルそうにつぶやく。
「お前こないだからどうしたんだよ!? 先輩達が居なくなってから、お前おかしいぞ。
 先輩達のぶんまで俺らが頑張んなきゃいけないんじゃないのか!」
業を煮やした松葉が叫ぶ。それでも不貞腐れボヤき続ける富田。その時。
「アアアアアアアアアアアガッ」
壁を破壊し、無理くり脱出する婆さん。
「アンタ富田さんとこの清ちゃんでしょうが! 黙って見てたらホンット…コラ!」

結局、婆さんはスリ傷程度、運転手にも大した怪我はなく、
ただ、婆さんに杖でボコボコに殴られた富田の頭にコブが数カ所。
しかし、いくらなんでも富田の生気の無さはおかしいのではないか、
何かあったのでは、と首を傾げる松葉であった。

次回 >>第3話「首なし犬」
306ヒガタハヤト:03/10/04 01:20
>>303
柴田ぁさん。次のサブタイトル間違ってますよ。

>> 第3話 「謎の男女粗悪。 −おれたちが主人公−」です。
307ヒガタハヤト:03/10/04 01:21
>>305でした・・・。


_| ̄|○
308柴田ぁ:03/10/04 01:38
間違えた...番組自体を...

__○_ <スマンス...
309ヒガタハヤト:03/10/04 12:58
第3話 「謎の男女粗悪。 −おれたちが主人公−」

富田(ユースケ・サンタマリア)の生気の無さに疑問を持つ松葉(松岡昌宏)。
「おお〜痛て〜チクショ〜。まさか裏の婆さんってなぁ・・・。あの婆さん。昔からああだもん。」
「富田。何かあったんだ?!」
「・・・・・何んでもねぇよ。」
やっぱり何か隠している。松葉はそう思った。
翌日から今回の事故の捜査が行われた。
「単なる事故じゃん!別にたいしたことないんじゃないの?どっか行こうぜ。」
「課長命令なんだからそんなこと言うなよ」
「ああ・・・何でもなければいいんだけどなぁ・・・」
「あ、あのなぁ・・・」
しかし、そんな富田の期待も外れ、捜査が行われていくに連れ、新たな事実が浮き上がった。
ふたりの良きアドバイザーでもある、ベテラン中竹警部補(愛称:タケさん)(渡辺篤史)が情報を入手した。
「課長、今回の事故ですが、何か暴力団が関係してる話を耳にしまして。」
「暴力団?」
「ええ。葬儀場によると紅組の幹部・川合靖典の葬儀があったみたいで、時間帯がちょうど事故が起きたときだったとのことです。」
「タケさん、どういうことですか?」
「いやぁ、何でも今回の死因が駿風会との男女関係の抗争で襲撃されたらしい。
 川合が交際していた女が駿風会と関係を持ってたみたいで、それが原因かもしれない。
 課長・・・ひょっとすると、これは狙っていたとしか考えられませんねぇ・・・。」
「なるほど・・・じゃあその見解で行ってみるか・・・まずは、紅組からだな・・・富田、松葉。紅組に行って来てくれ。」
「え〜〜〜っ?!何でふたりだけなんですか!!」
「そうしないとすべて始まらないだろ〜が」
「しかも紅組って・・・殺されたりしたらどうするんですか?!」
「富田!これは課長命令だ。行って来い!!松葉、富田の手引っ張っていけ。」
「ハイ、分かりました!」
「ち、ちょっと!これどこかで見た光景じゃね〜か?!うわ〜〜〜〜〜ヤダ〜〜〜〜〜!!!!」
310ヒガタハヤト:03/10/04 13:20
紅組に行く松葉とシブシブとした表情の富田。それを見て松葉が口を開いた。
「富田・・・もういいだろ。何があったか教えてくれよ」
「・・・・・。」
「富田!」
「・・・いやぁ、あのトミーさんの爆死、マツさんの事故死は相当ショックだったよ。
 オレ、トミーさんとマツさん好きだったんだ。富士見署に来てからトミーさんとマツさんに
 いろいろ世話になって・・・刑事の仕事がどんどん好きになってきたんだ。でも、
 トミーさんとマツさんいなくなってから、やることなすことみんな上の空なんだよ・・・。
 タケさんにも言えなくて・・・・どうすればいいのか分からなかったんだよ!!!!」
「富田、そういうことだったのか。オレだってトミーさんとマツさん死んだのはショックだよ。
 でも、オレは死んだ先輩たちの分も頑張ろうって気持ちになったんだよ!前向きに考えようぜ!富田!!」
「ありがとう・・・何か前より頑張れるようになれたかもしれねぇ。本当ありがとう・・・・・松葉。
 ・・・あっ!ところでさ、オレたちもさぁ。富田と松葉なんだから、トミーさんとマツさんみたいにやろうゼ!
 名前はそうだなぁ・・・あっ!お前さぁマツさんのこと『お松さん』って言ってたから『トミーとお松』ってのはどうだ!」
「はぁ?なんでだよ?!なんで『お松』なんだよ?!じゃあお前だって『お富』にしろよ!」
「やだよ!縁起悪いから。♪死んだはずだよ〜お富さん〜ってな!ま、とにかく『トミーとお松』で決定!」
「ズルイぞ!おい、待て!この野郎!!」

こうして富田も復活し、『トミーとお松』の新・凸凹コンビ誕生した。

次回 >> 第4話「トミーのしゃくれアゴ、敗れたり」
311名無し職人:03/10/08 19:09
〜CM〜
312cyokit:03/10/10 02:16
第4話「トミーのしゃくれアゴ、敗れたり」

紅組の様子を伺うトミーとお松。あっさりと組員にみつかり事務所に連れて行かれてしまう。
「おおお、おまえら! こんな事をしてただで済むと思ってんのか!」
お松が精一杯の虚勢をはるが、紅組の若頭・富野六郎(大杉漣)が軽くいなす。
「大丈夫ですよ。東京湾に沈むコンクリートは何もしゃべりません。」
「おわりだ・・」悲嘆に暮れるトミーの横で突如、お松が笑い始めた。
「HaHaHa!! おまえら! 俺らが、ま・さ・か、手ぶらで来たとでも思っているのか!? こっちにはな、
バズーカがあるんだぞ。」
お松はそう言うとトミーのアゴを右手で持ち肩の上に乗せた。
「いけトミー! 撃て!! 撃つんだトミィィィ!!!」

      Oノ アフォカ!
      ノ\_・’ヽO. 
       └ _ノ ヽ  
           〉

グルグルに縛られ港の倉庫に連れて行かれるドラム缶に入れられる2人。そしてコンクリが流し込まれようとしていた。
「おい、トミー! なんとかしろ!」
「ムリです。」
「おまえ、何かないのかよ? ほら、岡野先輩みたいによ、トミコ〜で変身するとか。」
「ありません。」
「思い出せ。幼少期のトラウマとかないか? これだけは許せないみたいな事とかないのか?」
「・・・・ああ、そういえば・・・・」


次回 >> 第5話「対決!トミー対お富」
313ヒガタハヤト:03/10/10 19:00
第5話「対決!トミー対お富」

「・・・・ああ、そういえば・・・・オレが小学校2年のときだったなぁ・・・」
トミー(富田清次:ユースケサンタマリア)はおもむろに語りだした。
「給食のときについてた小さいパックのジャムあっただろ。オレ、それが食べれなくて毎日ランドセルに入れてたんだ。
それが溜りに溜まって、ある日の授業中に教室のうしろ見たらアリの大群が入ってきて誰かのランドセルに入っていて、『おい!誰のだ〜!』って見てみると・・・・・
それ以来ジャムが食えないんだ!!」
「あぁ…ジャムが食えないんだって関係ないだろ!!むしろ、ジャム嫌いになれよ。」
お松(松葉博善:松岡昌宏)のノリツッコミも虚しくコンクリートが入れられようとしている。すると、富野(大杉漣)がふたりのもとにやってきて、
「ふっふっふ・・・刑事さん・・・これで終わりだな・・・可哀想に。ここでゆっくりと腹拵えしながら見物といきましょうかねぇ。」
富野は菓子パンを取出しふたりの哀れな姿を見ながら食べだした。
「畜生・・・もう何もできないのかよ?!トミー!・・・・・トミー??」
トミーの様子がおかしい・・・。そして、次の瞬間!!

「うおおおおららららああぁぁぁ!!何食べてんだてめええぇぇぇ!!!」

トミーが豹変した。そして、グルグルに縛られていた縄が一気に裂け、富野に襲いかかった!!

ビシッ!バシッ!!ドガッ!!!

「そ、そんなバカな・・・。」
お松は目を疑った。あのトミーがここまでやるとは・・・。まさか・・・・・。
富野は逮捕され、ふたりは命からがら助かった。
「トミー・・・お前・・・・」
「・・・・・ん??何だ?お松!何かオレの顔に付いてるか?」
「いや・・・何でもない」
「??変なヤツだなぁ!!」

そして、翌日から事故の取り調べが行なわれた・・・。

次回 >> 第6話「トミーとお松、仲良くケンカしな」
314名無し職人:03/10/12 01:47
第6話「トミーとお松、仲良くケンカしな」

逮捕した富野の取調べは難航した。とにかく一言もしゃべらない。何故か? それはトミーが顎を
砕いてしまったから。全治2か月ではどうしようもない。
「トミー! このバカ」
「知りませんよ〜。僕、何にも覚えてないんですよ〜。っていうか、お松。もしかして僕に罪を
なすりつけたりしてません?」
「何言ってんだよ! おまえが全部やったんだろ!」
「ほんとですか〜」
「もう知らん!」スタスタと部屋を出て行こうとするお松。

「逃げる気ですか?だとしたら堂々と憤慨させてもらいます。
富野が再起不能になってどれだけ憤慨してるかわかってるんですか?
期限は明日までのばしますが、もう許す気がなくなってきました。
何の返答ないし。
最初から書類送検にすればよかったかも。
返答だけでも今日ください」

「なんだと? やんのかゴルァ! ちょっと屋上こいや」
屋上で対峙する2人。
しかし、それを遠くから狙っている謎のスナイパーの影が。


next >> 第7話「トミー対お松」
315ヒガタハヤト:03/10/14 23:05
第7話「トミー対お松」

「これはグッドタイミング!まとめて殺ってやるか…」
スナイパーは紅組の幹部・池山誠(高知東生)だった。若頭の敵をとるためトミーとお松を狙っていたのだった。
一方、屋上ではトミーとお松の口論が始まっていた。

「お前なぁ!いくら何でもやりすぎだろ?!」
「そんな〜あのときは無我夢中だったんですから、こんなになるって思ってなかったッスよ〜」
「普通限度ってものがあるだろ!」
「でも危なかったじゃないですか?!助かってなかったら、今頃東京湾の底でポックリっスよ!!」
「そういう問題か?!」
「あ〜!お松さんは自分の命はどうでもいいって言うんですか?」
「それは大事だよ!でもなぁ、事件解決の重要参考人だぞ!」
「何ですか?理屈っスか?それがお松さんのダメなところですよ!」
「何だと!」
「よしっ!今だ!」
お松がトミーの肩をどついた瞬間だった…

バキューン!

もみ合っていたふたりが、お松がどついたときに放れ、その真ん中に銃弾が地面に叩きつけられた。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「う、うそだ…狙撃率100%のオレが…」
「何で銃弾が飛んでくるんだ?!仕込んだだろ?!」
「仕込む?そんなことオレにできませんよ!」
「じゃあ何で弾が飛んでくるんだよ!」
「知らないですよ〜!ちょっとやめてください!」
「畜生・・・今度こそ・・・」

バキューン!!
316ヒガタハヤト:03/10/14 23:06
今度は逆にトミーがお松をどついた瞬間、銃弾が叩きつけられた。
「ま、また外した・・・」
「・・・・・おい、こんなことしてる場合じゃないな・・・・・」
「これ、絶対狙われてますよ!」
「まだ何かあるかもな・・・」
ようやく気付いたふたり。するとタケさんがやってきた。
「何だ?あいつらの上司か?こりゃあいい。まとめて殺ってやるか…」
「なんだ、お前たちこんなところにいたのか?富野が自供したぞ」
「えっ?言えないじゃないっスか?」
「富田、何言ってるんだ。手が使えるだろ。書いて自供したんだよ」
「あ!さすがタケさん!」
「これでもキャリアは25年。結構閃くもんだよ。さ、仕事だ!課長が待ってるぞ!」(ポン!)

バキューン!!!

今度はタケさんがふたりの肩を叩いたあと、銃弾が叩きつけられた。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・屋上にいるのは危険だな・・・トミー、タケさん、捜査課に戻りましょ」
「そ、そうしましょ〜!」
「そ、そうだな…」

と、捜査課に戻る三人。一方・・・

「う、運のいいヤツらめ・・・何しにきたんだオレは・・・」

池山の役目は終わってしまった・・・。

次回 >> 第8話「死闘」
317名無し職人:03/10/19 02:31
第8話「死闘」

東京某所、そこの地下には一般人には知られることのない巨大闘技場があった。
日本を影で動かす謎の組織が運営する地下闘技場。夜な夜な屈強な男達が死闘を
繰り広げていた。その様子を嬉々として眺めている姿が・・・。
それは 第2話 >>305 で登場した婆さん(菅井きん)だった。
黒服の男が婆さんに近づいてくる。
「ボス、池山がしくじりました。」
バシ! 婆さんの杖が黒服の男を叩きつける。
「何度しくじれば気が済むんだい、このバカども! あの証拠に気づかれたらお終い
なんだよ。わかってんのかい! 早くあの2人を始末しな!」
「しかし、あれはボスが・・・」
バシッ!! また婆さんの杖が飛ぶ。
「いいかい。これが最後のチャンスだ。今度しくじったら・・・」
「お任せください。実はとっておきがあるんです。」
カ〜ン、カ〜ン。その時闘技場にアナウンスが流れた。

「レディース&ジェントルメン! 本日のメ〜ンエベント〜。中国三千年の秘術で
蘇った不死身の男達〜!! フレディ・トミーそしてジェイソン・マツだぁ!!!」

なんとそこには死んだはずの岡野富夫(国広富之)と松山進(松崎しげる)の姿が・・・。
全身に手術痕がありドーピングによって筋肉モリモリになっていた。
「どうですかボス。次はあいつらを使います。」
「ふん、いいだろう。決戦の場は琵琶湖でいくかね。ホッホッホッホッ!!」

第9話「琵琶湖で……」
318名無し職人:03/10/22 02:59
第9話「琵琶湖で……」

都内で爆弾テロが起きた。そして犯行声明が出され、犯人からの要求が。
「富田清次を琵琶湖に連れてこい、さもなくば・・・」
なんでトミーだけとふてくされるマツだったが、とりあえず2人で新幹線ひかりに乗って琵琶湖に向かうことに。
敵は強大だ。しかしトミーの横で何故か余裕のマツ。
「ふふん。安心しろトミー。俺はおまえの力を引き出す方法を解明したのだ。これを見ろ!」
マツが懐からジャムパンを取り出しトミーの鼻面に押し付ける。
「ほらほら、変身するんだ、おらおら」
「なにするんだ〜」
「あれ? おかしいな? おまえジャム嫌いだろ??」
「う〜ん・・・・・パクッ・・・・モグモグ・・・うん、うまい。」
「おまえ、トミーじゃないな!」
「ふ・ふ・ふ・・・」
ペリペリっと顔の表面の変装を剥がして現れたのは・・・なんとタケさんだった。
「これで手柄は俺のものよ。署長も夢じゃないぜ」
「なんてことだ。誰かに見られたらやばいですよ。早く戻ってください。」
「ああこの変装セットは使い捨てだ。」
「じゃあ予備を」
「そんなものはない」
「じゃあどうするの! ってか本物のトミーはどこ?」
「ああ、のぞみに乗っているよ。」
「向こうの方が早いじゃん!」


次回 >> 第10話「琵琶湖競艇」
319TβS放送協会:03/10/22 03:05
〜『トミーとお松』ここまでのあらすじ〜
第1話>>300-303 第2話>>304-305 第話>>309-310
第4話>>312 第5話>>313 第6話>>314 第7話>>315-316
第8話>>317 第9話>>318
320名無し職人:03/10/22 09:31
マツ→お松です・・・
321ヒガタハヤト:03/10/22 10:29
第10話「琵琶湖競艇」

「タケさん、あいつひとりで大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ。トミーは必ずやってくれる。課長がそう言ってた。ま、ゆっくり行こう!ついでに旅がてらな!」
「・・・・・。」

一方、のぞみから乗り継ぎ琵琶湖にひとりきていたトミー(ユースケ・サンタマリア)。
「ここで何しろって言うんだよ!」
すると、どこからともなくあの婆さん(菅井きん)が、
「あれ、清ちゃん?!何してるの!」
「げっ!なんで裏の婆さんがいるんだよ!よりによって琵琶湖って。」
「こんなところほっつき歩いて!仕事はどうしたの!」
「何かオレ、脅迫電話でここにこい!って言われたんだ。一応仕事!」
「ああ、あの事件ねぇ・・・・・。」
「??。婆さん何か知ってるの?」
「さっきねぇ、あの公衆電話に紙が貼ってあったわよ。それじゃない?」
「あっ、そう!じゃあ行ってみるよ。で、婆さんこそ何してるの?」
「私?私はね、観光!」
「ふ〜ん。婆さんひとりじゃ危ないから気よつけてよ!じゃ、ありがと!婆さん。」
トミーが去ったあと、婆さんはすぐさま携帯を出し、死んだはずのトミーとマツに連絡した。
「・・・・うまくいったよ。ここまでは予定通り。あとはこのレース次第ね・・・・・
 大丈夫よ。私、昔こうみえても『競艇のトメ』って言われた予想家だったから・・・・・」
322ヒガタハヤト:03/10/22 10:30
トミーは指定の公衆電話のところに。すると、

ジリリリリリリリリリリリ

「は、はい!」
「富田さんだね・・・よくここまで来てくれた・・・お前に次の指令を命ずる。
 今からびわこ競艇に行け。そこで指定するレースに全額つぎ込め。上に封筒がある。
 そこに紙と金が100万入ってる。分かったな・・・・・」
「ち、ちょっと!お前は何がやりたいんだ?!」
「(ガチャ!)」
「おい!お・・・・・。何だよ、それ。封筒?あっこれか。何?『第4レース 3連単2−6−3』??
 何がやりたいんだ?!分かんないよ!!」
訳も分からず、びわこ競艇へ行くトミー。
そして、指定の4レース3連単2−6−3に100万すべてをつぎ込んだ。

実況(西山光樹・びわこ実況担当・特別出演)
「第4レースです。内から2・1・3・6・4・5の順で・・・・スタートしました!
 内で2号艇大倉がトップスタート。さらに3号艇武岡が2番手に上がります。
 なお、第4レース。スタート正常、スタートOK!・・・・・」

「お、おい!本当に2−6−3の順じゃん!」
そして、そのまま・・・
「・・・・・2番艇大倉ゴールイン!6号艇沢口ゴールイン!3号艇武岡ゴールイン!1号艇・・・」
「う、うそ〜?!当ってるよ!何だよこれは?!」
場内アナウンス「3連勝単式2−6−3の組2940円」
「え・・・ということは、に、2千万?!犯人、何をやりたいか分かんねぇよ!!」
それを後ろの影から見ていた婆さんはすぐさま携帯をかけ連絡した。

「・・・・大成功よ。さ、対決のときがきたよ。準備しておきなさい・・・・・」

次回 >> 第11話「鳥人間コンテスト」
323名無し職人:03/10/24 14:01
第11話「鳥人間コンテスト」

「次の指令だ。その金を持って琵琶湖の鳥人間コンテストに参加しろ。13番がエントリー番号だ。
そして見事に飛んで見せろ!」
謎の指令に従いトミーは飛行艇に乗り鳥となって琵琶湖上に飛び出した。そして空中で電話が。
「ご苦労だったね清ちゃん。その艇は着水と同時に爆発する。水に触れるとドカン!っていう仕掛けさ。
飛び降りようとしても爆発するからね、気をつけな。おまえさんは2000万の公金を横領、脅迫事件を
自作自演して逃げようとしたが失敗して自殺する、という筋書きさ。」
「その声は婆さんじゃねえか。どうして?」
「悪いネエ。前にあんたを杖でボコボコにした(第2話)ときに杖の先につけておいたマイクロチップが
あんたの頭にめり込んじまったのさ。それが見つかったら組織は終わりなんだ。」
「ちくしょう! こうなったら向こう岸まで飛んでやる〜〜」
パチン。丘で様子を見ていた婆さんが黒服に合図を送る。するとトミーの乗っていた飛行艇の両翼から
蘇ったフレディ・トミーとジェイソン・マツが現れた。
「あの2人の使い方って間違ってないか?」婆さんの素朴な疑問とともにバランスを失い高度が下がっていく飛行艇。
「わぁぁぁぁあぁぁぁ!!! もう駄目だぁぁぁ!! 助けてぇぇ!! 助けてよぉぉ〜〜お松ぅぅ〜〜〜〜」
トミーは必死にペダルを漕ぐが飛行艇はどんどん湖面に近づいていく。

・・・・その時・・・・

「あきらめんじゃねぇ!!」
なんとパラセーリングでお松が現れた。ボートを運転してるのはタケさんだ。
「お松ぅぅぅ!!!」
「トミーィィィ!!!」
湖面まであと5メートル。


次回 >> 最終話「新記録で着水〜ボート上で抱き合う2人」
324ヒガタハヤト:03/10/30 21:53
最終話「新記録で着水〜ボート上で抱き合う2人」

「トミー!頑張るんだーー!!」
「分かってますよ〜!」
「落ちたらドカーン!だぞ!!このままじゃあオレたちも吹っ飛ばされるぞ!!」
「・・・・・お松!もう限界ッス!!落ちてしまいますよ〜!!」
「バカ野郎!本当に死んでしまうぞ!」
「もうダメっス〜〜〜〜〜〜!!!」
湖面まであと2メートルに達していた。少しでも触れると一発で木端微塵になってしまう。
もう後はないのか?!すると、お松があるものを取り出し、トミーに投げつけた。
「・・・そんなトミーには・・・これでも喰らえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「?!」
お松が投げつけたものとは、あの第9話に出てきたジャムパンだった。
見事トミーの顔に命中し、顔にベッタリとジャムがついた。そして・・・・・
「うおおおおおおおおおおおおおおお!チキショョョョョョョョョ!!ジャムめ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
まるで別人。今までのトミーがよりパワーアップした。
その力で飛行艇は再び空に向かって加速し始めた。
「やった!トミーが復活したぞ!」
「しかし、いつからあいつはジャムを見たら性格変わるんだ?」
タケさんの疑問を尻目にトミーを乗せた飛行艇はさらに上昇する。
フレディ・トミーとジェイソン・マツが必死に湖面に叩きつけようとするが、
トミーの力が大幅に上回り、ビクともしない。
「よし!このまま行けば爆発しないですむぞ!」
「しかし、松葉、どうやって降りるんだ?」
「あっ!・・・・・」
肝心な降り方を忘れていた。しかし、今飛び降りたとしても爆破してしまう。
「トミー!どうするんだー!降りれないぞー!!」
「もう陸まで漕ぐしかないッス!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そう言うトミー。しかし、陸に到達するまでにまだ相当な距離がある。
さらに、この後トミーにさらなる悲劇が待っていた。
325ヒガタハヤト:03/10/30 21:53

バキッ!

「!!・・・お松!ヤバいことになったッス!!」
「どうしたー?!」
「ぺ、ペダルが壊れてしまったッス!!」
「な、なに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜?!」
漕ぎ続けた勢いの余りペダルの片方がトミーの力に支えきれず壊れてしまった。
飛行艇は一気に急降下し始めた。もう終わった・・・・・。誰もがそう思った。

ガガーン!!

思わず目をつむるお松とタケさん。
しかし、爆破していない。お松が目を開けるとそこにはとんでもない光景があった。
なんと、湖内で漁をしていた漁船のデッキ上に不時着していたのだ。
「そ、そんなバカな・・・ト、トミー!トミー!!」
「お松・・・オ、オレ死んでないのか?!」
「トミ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「お松〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
ボート上で抱き合うふたり。さらに、
場内アナウンス「ただ今の富田清次さんの記録・・・7万5963.0メートルです」
今までの記録を大幅に破る新記録のおまけつきだった。

「運のいいふたりだねぇ・・・・・私の負けね・・・あのふたりに何かあるのかもしれないねぇ・・・」
妙な納得をする婆さん。しかし・・・・・
(トントン)
「富士見署捜査課です。大庭トメさんですね。あなたを殺人罪、ならびに人質強要罪で逮捕します」
三条捜査課長である。富野の自供で琵琶湖にやってきた。計画的犯行だったという。
婆さんの正体は大庭トメという紅組の実力者だったのだ。その後、紅組、駿風会の事件関係者、
フレディ・トミー、ジェイソン・マツと次々に逮捕された。また、フレディ・トミーとジェイソン・マツは
実は、彼らの顔に似せるように整形し、婆さんが雇った外国人だったのである。
過去に、婆さんはこのふたりに恨みがあったという・・・・・。
326ヒガタハヤト:03/10/30 21:56
******************************

−別の日

富士見署捜査課には平和な日々が訪れていた。
「しかし、お前ら大手柄だったなぁ」
「タケさん!そんなこと言わないでくださいよ〜!オレ本当は怖かったッスよ!!」
「トミーが一番活躍してただろ。オレなんて何もしてなかったよ」
「お松だって、あのジャムがなかったらオレどうなってたか」
「ま、ひとまず一件落着だ!」

ハハハハハ

談笑する3人。そこに、

ジリリリリリリリリリリリリ

「ハイ、捜査課。何?・・・強盗?・・・・よし分かった」
ガチャ!
「4丁目のコンビニで強盗事件があった。すぐ現場に急行してくれ」
「あ〜あ、また事件ッスか?」
「行くぞ。トミー、また手引っ張られたいか?」
「イヤです!もう・・・・・」
「おい、ふたりともうかうかしてないで行くぞ!」
「「ハイ!」」

こうしてまた、富士見署捜査課の一日が始まる・・・・・。


E N D
327名無し職人:03/10/31 17:45
つまらないが作ってみた。
富士見警察「仮」
配役
内田啓太郎 (八嶋智人)
松井由美 (中澤裕子)
内田美沙(井上真央)
内田健一(金澤匠)
本城達也(宇崎 慧)
大野沙織(小松 愛)
大川美代子(宮崎真汐)
328名無し職人:03/10/31 17:48
>>327追加
宮谷和江(生稲晃子)
村田雄一(宇崎慧)
329名無し職人:03/10/31 18:17
キッズ・ウォー6
今井 茜(井上真央)
今井 里香(宮崎真汐)
今井 健一(小谷幸弘)
今井 浩(金澤匠)
今井 春子(生稲晃子)
今井 大祐(川野太郎)
今井 友恵(島かおり)
今井 真理(今野絵美)
黒木 清美(吉田ゆかり)
今野 翼(斉藤祥太)
堀部智穂(円城寺あや)
水野あゆみ(小松 愛)
330名無し職人:03/10/31 18:18
>>329
紺野を今野と間違えた。
スマン。
解答版
キッズ・ウォー6
今井 茜(井上真央)
今井 里香(宮崎真汐)
今井 健一(小谷幸弘)
今井 浩(金澤匠)
今井 春子(生稲晃子)
今井 大祐(川野太郎)
今井 友恵(島かおり)
今井 真理(今野絵美)
黒木 清美(吉田ゆかり)
紺野 翼(斉藤祥太)
堀部智穂(円城寺あや)
水野あゆみ(小松 愛)
331名無し職人:03/10/31 18:22
>>330追加
新田一也(斉藤慶太)
332cyokit:03/11/05 18:55
新番組

『西日暮里夫人』
第一回「私の下着はキツネ色」
第二回「お父さん、ヤメテ!」
第三回「襲撃あるのみ」
第四回「初物喰い」
第五回「息子の家庭教師のタケシ君が・・・」
第六回「我慢汁で癒されて」
第七回「梅毒の襲来」
第八回「懲りずに父子ドンブリ」
第九回「あっ あん きもちい ぎもぢいよー」
第十回「究極の夜這い」
第十一回「至高のテクニック」
第十二回「宿敵!東日暮里旦那現る!?」
最終回「家族全員梅毒」
333cyokit:03/11/05 19:05
第一回「私の下着はキツネ色」

「う〜む。どんなに検査しても体には異常は見られないわね。」
野々村病院泌尿器科の医師、矢部葉子(名取裕子)は頭をポリポリと掻きながら悩んでいた。
「それじゃ困るんです。なんとかなりませんか? 9時までにどうしても直したいんです。
あたしの未来がかかっているんです。お願いします先生!」

有坂美咲(松嶋菜々子)は必死だった。彼女は5年前からある症状に悩まされていた。
それは・・・興奮すると「おもらし」をしてしまう事。特に性的興奮では顕著に現れる。
普段の生活ではなんとか自制もできるがSEXでは我慢することができない。最近では電車で
人と肌が触れるだけでも失禁する状態が続いていた。自然と異性との付き合いを避けるように
なっていた。しかし、真壁健介(木村拓哉)との出会いで気持ちが大きく揺らいだ。まさに
一目惚れだった。そして健介もまた・・・。病気と闘いながら健介との付き合いを始めた美咲は
常用していた「おむつ」のためベッドインすることができないでいた。この病気のことを健介に
伝えることもできないまま付き合いは続き、そして昨日、健介からのプロポーズ。美咲は返事を
1週間後にしてくれと頼むがさんざんはぐらかされてきた健介は明日までと、返事を迫った。
美咲は意を決して明日の夜9時にシェラトンホテル1003号室で返事をすると健介に伝えた。
プロポーズにOKをし、そのまま彼の胸に飛び込んでいきたかった。この病気さえなければ・・・。
334cyokit:03/11/05 19:05

期待はしていなかった。今までもたくさんの医者にかかってきたが直らなかったのだから。
それでも美咲はすがるように矢部医師を訪ねたのだった。
「まあ気にすることないわよ。いわゆる「潮吹き」と呼ばれる症状だって一般的な事だし、
あなたの場合、神経が異常に過敏だということでしょう。それも心的なことが要因ね。
水分をなるべく控えて・・・」
「そんなこと分かってるわ!!! ・・・そんなこと今までもずっとやってきたわ。でも駄目なの。
だって・・・今日なんだもん。昨日食べちゃったんだもん!。あっ! あああ・・・」
「どうしました?」
「・・・やっちゃいました。」
「ああ、興奮したからね。検査後だからおむつもしてないでしょうけど気にしないで・・・」
「いえ・・・・あの・・・・その・・・・・」
「どうしたの?」
「あの・・・・・・・・・大きい方なんですけど・・・・・・・・・ゴメンナサイ。」
「(大)も、漏らしちゃうの?」

* * *

診察後、受付。
「有坂美咲さ〜ん。お薬です。強力ですから気をつけて服用してくださいね。はい下剤です。」


次回 >> 第二回「お父さん、ヤメテ!」

335名無し職人:03/11/05 21:26
>>298はどうなった?
336名無し職人:03/11/05 23:23
放送の順番は決まってないのでそのうちやるでしょう。
337名無し職人:03/11/07 16:49
第二回「お父さん、ヤメテ!」

真壁健介(木村拓哉)は自衛官であった。
階級は二尉であり、戦前で言うなら中尉の位である。
父の真壁正洋(緒方拳)もまた自衛官であり、一佐(大佐)であった。
有坂美咲とのデートを終えて、家に帰るなり、父に書斎に来るように言われた。
「なんでしょうか? お父さん」
「うむ、例の計画だが、いよいよ明日決行することにした」
「え!?」
「どうした? なにか問題でも?」
「いえ、ただずいぶん急だなと思いまして」
「こういうことは早いほうがいい。グズグズしていると計画が漏れることがある」
父の正洋が言う計画とはクーデターのことであった。
この腐った日本を我々は立て直さなくてはならない。
そう決意した正洋たちはクーデターを起こすことにした。
計画ではテレビ、新聞、ラジオのマスコミ各社と首相官邸、国会議事堂を同時に押さえる。
そして民衆に呼びかけ、自分たちの正しさを訴え、あくまで自分らは正義のために
決起したことを理解してもらう。
226事件では民衆に対する呼びかけがなかった。
正しいことをすれば人々はついてくると思ったからだ。
その過ちをくりかえさないように、プロバガンダとマスコミ対策のマニュアルには
もっとも力を入れた。
「明日やる。オレたちが日本を変える!」
「はい!」
正洋の熱い言葉に健介も力強く答えた。
「明日、彼女とホテルでセックスしたいから、お父さん、ヤメテ!」
とは、とても言えなかった。

次回 >> 第三回「襲撃あるのみ」
338cyokit:03/11/08 17:18
第三回「襲撃あるのみ」

PM9:00 遂にクーデターが始まった。真壁健介は父の命令で政府要人の暗殺部隊と同行する。
行き先は・・・シェラトンホテル。官房長官がパーティーに出席中だった。
ホテル襲撃。中に美咲がいることを知っている健介は体を張って部隊を止めようとする。
「きさま! この売国奴がぁ!!」バンッ! 部隊長の拳銃が健介の腹に当たる。ホテルの
入り口で倒れ込む健介。
ホテル内で銃撃戦が始まった。官房長官はSPの護衛で10階へと逃げだす。そこには1003号室で
下剤を飲んで体中の体液を搾り出し、健介が来るのを待っている美咲がいた。
廊下で戦いが始まった。銃声に驚いた美咲が助けを呼ぼうと窓から顔を出す。眼下に血まみれの
健介の姿が。
その時、暗殺部隊がロケット砲を発射。吹き飛ぶフロア。美咲は爆風で外へと投げ出されてしまう。
10階の高さから落下する美咲。
「美咲ぃぃぃ〜〜〜!!!」
健介は血まみれの体を引きずって・・・美咲を受け止める!
健介の体がクッションになり奇跡的に助かる美咲。しかし下敷きになった健介は・・・。
「み、美咲・・・け、け、結婚・・・し・・よう・・・・」
ポケットから血まみれの婚姻届(健介捺印済)を出し美咲に抱きしめられながら絶命する健介。
「結婚しましょう。私達いつまでも一緒よ・・・健介さぁ〜〜〜ん!!」
美咲の絶叫が血まみれの高層ビル郡に木霊する。


次回 >>第四回「初物喰い」
339名無し職人:03/11/09 12:59
第四回「初物喰い」

許せない。誰がいったい健介を殺したのか? それはもちろんこのクーデターの首謀者に
決まっている。
許せない。絶対に許せない。復讐してやる。
美咲は健介の死体を抱きしめながら、己の心に固く誓った。

クーデターは大成功だった。
長い不景気で英雄の誕生を待っていた国民は、この事態を歓迎した。
もちろん最初こそ大いに戸惑い、恐怖したものの、プロバガンダが成功し、国民はやがて
真壁正洋こそが、自分たちの暮らしを良くしてくれる英雄に他ならないと信じた。
かのゲッペルスは言った。「マスコミと情報を支配する者に不可能はない」と。
そして、クーデター騒ぎは収まり、真壁正洋は初の日本国大統領となった。
340名無し職人:03/11/09 13:01
美咲は息子の恋人だった女として、正洋に面会を申し出た。
復讐の念に凝り固まり、しかし、表面上はそれを押し殺した美咲はギラギラとした
かつて正洋が見たことのない美しい女へと変貌した。
たとえるなら、それは猫科の肉食獣のような美しさだった。
やもめ暮らしの長かった正洋は美咲の美しさのとりこになった。
わたしは貴方の息子の恋人だった女です。貴方と結ばれるなんて許されないことです。
と言いつくろい、焦らし、駆け引きをし、正洋をますます夢中にさせた。
そして、ついには正洋と結婚し、西日暮里に大御殿を建てさせ、人々から西日暮里婦人と
呼ばれるようになった。

初めての夜、美咲は処女(おとめ)であったしるしをシーツに散らした。
正洋はそれにひどく感激した。
今まで付き合った男はもちろん健介以外にもいたが、ベッドに入ると必ずおもらしをして
しまうので、最後まではいかなかったのだ。
大便を漏らすとさすがにどの男も続行不能な状態になり、それで今まで処女であったのだ。
しかし、健介が殺され、復讐を誓ったその日からおもらしはピタリと止まった。
そう、この男に身を任せたのも、幸せの絶頂から、一気に不幸のドン底に突き落とすため
だった。
「見てらっしゃい。この世に生まれてきたことを後悔させてあげる・・・」

次回 >> 第五回「息子の家庭教師のタケシ君が・・・」
341名無し職人:03/11/17 00:46
第五回「息子の家庭教師のタケシ君が・・・」

「あの女が現れてからの真壁大統領の腑抜けぶりはなんだ!」新設された「警察親衛隊」初代
委員長の安川タケシ(船越英一郎)は美咲と結婚してから真壁正洋が丸くなった事が気に入らなかった。
反対勢力に対する綱紀粛正の名の下に思う存分権力を振り回せると思っていたからだ。安川は
正洋を焚きつけるために一計を案じた。それはシェラトン・ホテルの玄関ロビーの監視カメラの
ビデオだった。
「息子さんを殺したのはあの女なんです。家庭教師もしていた私を信用してください。証拠もあります。」
安川は健介が撃たれた所をカットし美咲を受け止める瞬間だけに編集したビデオを正洋に見せた。
激昂する正洋。
「この売女が! 騙された自分が情けないわ!!」
正洋は美咲を蹴り飛ばし髪を掴んで西日暮里邸の物置小屋に閉じ込めてしまう。
「こんな事で負けるもんか・・・」
小屋の床に思いっきり爪を食い込ませる美咲。
トントン・・・その時、物置小屋の明かり窓をノックする音が・・・。


次回 >> 第六回「我慢汁で癒されて」
342名無し職人:03/11/19 05:33
第六回「我慢汁で癒されて」

物置小屋の外には運転手の清国誠吾(仲村トオル)がいた。
「奥さん。必ず私が助けてあげます。待っていてください。」
清国は真壁正洋の部下でありボディーガードを兼ねて運転手をしていた。
「寒いでしょう? これでも飲んでください。」
清国は明かり窓から美咲にお椀を手渡した。
「僕の実家の粕汁です。あまりおいしくないかもしれないけど・・・」
「ありがとう。私がんばるわ。これを頂いて我慢する。」
* * *
清国は警察親衛隊の本部に忍び込み、安川タケシが捏造したビデオのオリジナルを見つけた。
「こ、これは・・・。健介さんを殺したのはあいつだったのか。」
その時、背後から忍び寄る人影。安川だ。
「見てはいけないものを見たようだな」
安川は逃げようとする清国の背後に3発の銃弾を浴びせる。

・・・・ハァハァハァ・・・
瀕死の清国はなんとか脱出するも運河の側で力尽きる。
「た、頼む。これを・・・西日暮里に・・・・美咲さん・・・僕は・・あなたが・・ガクッ・・・・」
絶命する清国。
彼の手からビデオテープを受け取る女。それは美咲の主治医の矢部葉子であった。


次回 >> 第七回「梅毒の襲来」
343名無し職人:03/11/20 09:31
第七回「梅毒の襲来」

有坂美咲(松嶋菜々子)は閉じ込められた物置小屋で清国誠吾(仲村トオル)の帰りをじっと待っていた。
「清国さん。無事でいて・・・」
「あの男は死んだわよ。」外から声がした。美咲が明かり窓に顔を向けるとそこには、美咲がおもらしで
悩んでいた頃の主治医・矢部葉子(名取裕子)の姿があった。
「よくよくあなたは男を不幸にする女みたいね。」
「先生!? 何故あなたがここに??」
「いろいろと分かった事があってね。あの運転手に近づいて協力していたの。フフフ。知りたい?」
「先生・・・何を言っているのか分からないわ。」
「おもらし、直ったみたいね。あなたはそうやってちゃっかり病気を治して、こんな立派な所に住んでいる。
あなたが憎いわ。憎くてしょうがないわ・・・あら、ちょっと興奮しちゃったみたい。」
「何を言って・・・・ウッ!」
美咲は壁越しに悪臭を感じて言葉を詰まらせた。間違いない。葉子は・・・おもらしをしている!
「美咲さん。あの後、あなたの糞尿を調べたの。見つけたわ、新種のウイルスを。」
「え!?」
「人の大腸に働きかけて興奮したときに脳から出るある波長に感応して泌尿器を混乱させておもらしを
引き起こすの。おもしろいでしょ? しかもね、人から人へ・・・感染するの。」


344名無し職人:03/11/20 09:35

「そんな・・・」
「『梅を食っても核食うな』。よくいったものね。通常の接触では感染しないわ。このウイルスはね、
糞尿と一緒に一部が体外に排出され、やがて空気に触れて無害になるの。でも・・・排出後3時間以内の
接触では感染する。だからこの病気を梅毒病(うめどくびょう)と呼ぶことにしたわ。バカにしてるわよね。
おかげで私はこんな有様よ!!」
「知らなかったの。ごめんなさい。」
「フン! 私が興味があるのは、何故あなたが治ったのかってこと。腸内洗浄しても無駄だったしね。」
「わからないわ・・・」
「色々調べたけれど、私の結論は真壁正洋よ。きっと彼がこのウイルスの抗体を持っているんだわ。」
「!!」
「言いたいことはこれだけ。時の首相に近づく手段を考えていたんだけれど、あなたの忠実な犬くんが
すばらしいものをくれたわ。」葉子は1本のビデオテープを取り出してみせた。
「それは!」
「あなたには渡さない。あなたは一生、この暗がりで生きていくのがお似合いよ。じゃあね。」
「待って!」
「ああ、そうそう。一つ聞いておきたいんだけど。あなた、真壁に復讐するつもりじゃなかったの? 一緒に
寝てたんだから、いくらでも殺すチャンスはあったでしょ? なんで?」
「それは・・・」
「まあいいわ。さようなら。・・・・永遠に。」



次回 >> 第八回「懲りずに父子ドンブリ」
345名無し職人:03/11/28 00:12
第八回「懲りずに父子ドンブリ」

物置小屋で悲嘆に暮れる美咲。ふと見上げると明かり窓に人影が。そして粕汁がそっと置かれた。
美咲「こ、これは粕汁! 清国さん? 清国さんなのね。生きていたのね!」
* * *
矢部葉子はビデオテープのネタを元に真壁正洋に近づくことに成功していた。葉子が持っていたテープには
真壁の息子の健介が命を落とした一部始終が映っていた。安川タケシが報告した美咲の落下を受け止める
シーンの前に、安川が隠した部分があった。それは健介が銃弾に倒れる所。そして、撃ったのは・・・・。
葉子「大変なスキャンダルですよね、大統領。」
健介「望みはなんだ?」
葉子「今日からあたしを西日暮里夫人にしてください。それだけでいいわ。」
健介「これも・・・業か・・・」
葉子「わたし、息子の健介さんとも寝たこともあるの。スキなんでしょ?父子ドンブリが。だからあの女を・・・」
健介「わかった。全部君の言うとおりにしよう。こっちにきたまえ。」
* * *
「僕は清国誠吾じゃない。」
窓から外を覗いた美咲は清国誠吾と瓜二つの姿を見て驚いた。
「僕の名は清国正四郎。誠吾の双子の兄です。さあここから逃げましょう。真壁大統領はもうあなたを生かして
おいてはくれないでしょう。さあ早く!」
「ありがとう。でも・・・私は逃げません。逃げてはいけないんです。」


次回 >> 第九回「あっ あん きもちい ぎもぢいよー」

346名無し職人:03/11/30 18:41
第九回「あっ あん きもちい ぎもぢいよー」

真壁大統領の弱みを握り、梅毒を治すために真壁と寝る矢部葉子。しかし・・・、
「ぐは! グフェ! ぐびおぼ!!」
寝室から飛び出してくる真壁。糞尿まみれのベッドで呆然としている半裸の葉子。
「そ、そんな・・・。大統領が抗体を持っていないなんて・・・それじゃあ彼女は・・何故治ったの?」

* * *

物置小屋。必死に脱出することを説得する清国正四郎。しかし、美咲はただ首を横に振り続けるだけだった。
痺れを切らした正四郎はドアをぶち破り美咲の手をとって強引に連れ出そうとする。
「やめて。もう私には構わないでください。」
「そうはいかない。弟はあなたを愛して、助けようとして、死んでいった。あなたを殺させるわけにはいかない。」
「やめて。そんなんじゃない。私、そんな人間じゃない! 愛される価値なんてないの!!」

バキューン!!

もつれ合う二人の背後から突然の銃声。倒れる正四郎。そこには安川タケシがいた。
「あっ あん きもちい ぎもぢいよー。たまらないよー。人を殺すの たまらないよー。」
恍惚の表情を浮かべる安川。
そして銃口がゆっくりと美咲を捉えた・・・。


次回 >> 第十回「究極の夜這い」
347名無し職人:03/12/02 02:17
第十回「究極の夜這い」

安川が美咲を撃とうとした瞬間、背後から襲い掛かる男。安川を仰向けに押し倒しマウント
ポジションをとる。
「き、きさまは! 死んだはずだ!」
そう、その男は清国誠吾と瓜二つの姿だったのだ。狼狽する安川。清国正四郎は眼前で倒れている。
ではこの男は誰だ?
「ふん。俺たちが双子だと思ったのがおまえの敗因さ。」
「なに! そうか、きさまら三つ子だったのか〜。」
「そうさ。俺の名は清国参吉。俺たちはこれを利用して学生時代から色々悪さしたもんさ。ある時、
片思いの彼女に夜這いを仕掛けようって事になってな、一人が彼女を、もう一人が彼女のお母さんを、
そしてもう一人がお父さんに同時に襲い掛かったのさ。これぞジェットストリーム・アタック!!
まあ、まさに究極の夜這いとも言える素晴らしい作戦だった・・・」
「分けわかんね事言ってんじゃねえよ!!」
話に夢中になっている間にあっけなく撃たれてしまう参吉。
「ハァハァ・・・。なんなんだこいつら・・・」
安川は必死に平静を取り戻そうとした。どうやら正四郎も参吉もまだ息があるようだ。美咲を含めて
一気に止めを刺そうとした時、
「ドラッシャァァァアァ〜〜〜〜〜」
美咲は気合一閃、左足で鋭く地面を蹴り上げ体を浮かすと右足を内側に回転させて遠心力を作り、
安川の下腹部めがけて突進した。見事にタックルを決めると、間髪いれずに安川の喉に肘鉄を落とす。
安川失神。その間わずか1.63秒。
正四郎・参吉「つ・強ええ!!! 強いよ姉(アネ)さん!!!」
「西日暮里夫人とお呼び! って・・・あら、ヤダ・・・」
髪をかきあげながら啖呵を切った後、ハッとして顔を赤らめる美咲であった。


次回 >> 第十一回「至高のテクニック」

348名無し職人:03/12/03 00:03
第十一回「至高のテクニック」

気絶した安川は物置小屋で縛られて目を覚ました。
「さあ安川委員長。教えてもらいましょうか、例のビデオテープの秘密を。」
清国参吉と正四郎が安川を問い詰めるが安川は黙ったままだ。
「いいでしょう安川委員長、それならこちらにも考えがあります。私達兄弟は色々な技を持っていましてね、
そう、あれは確か北の馬鹿息子がネズミランドにやってきたときの事、政府の依頼で我々3人が尋問にあたった
んですよ。世論はあっさり返して非難轟々だったが実は我々の拷問に屈して全部しゃべっていったんですよ。
そう、あれはまさしくトライアングル・フォーメーション!! まさに至高のテクニックと呼べるミッション
だった・・・・。」
「うるさいよ、お前! だいたいお前らは2人しかいないじゃないか! そのトライなんたらはできないだろ!」

ハァッ・ハ・ハ・ハ!! 

突如物置小屋に響き渡る笑い声。「その心配には及ばないぜ!! とぉ!」
現れた男は・・・やはり清国兄弟そっくりの男だった。
「俺の名は清国弐蔵。みせてやろう、至高の拷問テクニック!」
「なんなんだよ! お前ら!!」
驚いているのか呆れているのか分からない安川を置いてけぼりにして清国3兄弟は安川の前に縦に並んだ。
先頭:弐蔵「音が・パクパク」中堅:参吉「パク・遅れて・パク」後衛:正四郎「パクパク・聞こえるよ」
「イッコクドウかよ!なんじゃそりゃ!!」
「ほらほらほら・・・ここでここでここで・・・楽しい楽しい楽しい・・・冗談冗談冗談。布団が布団が布団が
ふっとんだふっとんだふっとんだ・・・プププ・・・ふぉふぉふぉ・・・」
349名無し職人:03/12/03 00:04
***2時間後

「やめてくれぇ〜。つまらない冗談をバルタンエコーで聞かせないでくれぇ〜。」
「さぁさぁさぁ・・・話せ話せ話せ」

「あのクーデーターの日、真壁大統領自身も作戦に参加していたんだ。シェラトンホテルにいたんだ! 
部隊長として・・・。そう! あのテープに映っていたんだ。真壁大統領が・・・息子の健介を撃ったんだ!!」

「そうだったのかそうだったのかそうだったのか、やったよ美咲さん!やったよ美咲さん!やったよ美咲さん!
・・・・・・あれ?あれ?あれ? ・・・美咲さんが美咲さんが美咲さんが・・・いないいないいない・・・
ね・ね・ね。」


次回 >> 第十二回「宿敵!東日暮里旦那現る!?」
350名無し職人:03/12/04 03:01
第十二回「宿敵!東日暮里旦那現る!?」

倉庫を出た美咲は屋敷の寝室に入っていった。中ではベッドで呆けている矢部葉子の姿があった。
泣きじゃくりながら美咲にすがりつき、なぜ美咲が梅毒を治せたのかと聞く葉子。美咲は葉子を突き放し
ゆっくりと口を開く。
「治ってなんか・・・いないわ」
そう言って美咲はスカートを捲くってみせた。太腿から流れる雫。
「健介さんを失った時から不感症なの。それに、悲しみと恨みがあれば我慢もできるようになるわ。」
愕然とする葉子。そして観念したように美咲にビデオテープを渡すのであった。
「そのテープ。こちらにいただきましょう。」
気がつくとドアの所に一人の男が立っていた、拳銃を構えて。その男は、やっぱり清国兄弟そっくり。
「あなた、何番目?」美咲が冷静に聞く。
「1番目さ。名は清国一郎。もう芝居は終わりです。さあテープを。これで任務完了だ。」
「どうなってるの??」葉子は状況を掴めないでいた。


351名無し職人:03/12/04 03:02

「日本が軍国主義に戻られると色々と都合の悪い国があるんですよ。でも今の世の中、正面きって外国から
軍事介入もしずらいですしね。独裁者の首根っこを捕まえて操った方がはるかに楽だしお金もかからない。
まあそういうことです。スパイをやるのに5つ子っていうのは実に都合がいい。誤算はできの悪い末っ子が
美咲さん、あなたに本気で惚れてしまったことです。ああ、この本気は『マジ』って読んでくれてもいいですよ。
でもこれで万事解決。息子殺しの大統領という事実がバレたら真壁も終わり。その証拠を握れば後々の
処理もやりやすい。僕も美咲さんみたいにこんな豪邸でも立ててもらおうかな、政府のお金というか日本
国民の血税で。東日暮里辺りがいいかな。どう?いい案でしょ? 日本を影から操る、その名も東日暮里旦那。
ジャジャジャーン! なんてね。」
「あなた達兄弟、みんなおしゃべりね。」美咲が笑う。
「いいんですよ。SPはみんな片付けたし、邪魔者は・・・・」
清国一郎がポケットに手を入れると・・ドォォーン!!! 爆音と共に物置小屋が吹き飛んだ。
「これであなた達だけだ。」
「あなたの兄弟もあそこにいたのよ。」
「同じ顔の奴らとおさらばできて嬉しいですよ。兄弟なんかじゃないんですよ。諜報活動用に顔を作られた
だけです。さあ、最後は真壁大統領です。隣の部屋にいるのは分かってるんです。おとなしく出てきなさい!!」
BANG! BANG!
清国一郎はあっけなく背後から撃たれてしまう。そこには風呂上りでバスローブを着た真壁正洋がいた。
「さあ馬鹿は片付けた。これで終わりにしよう。」


次回 >> 最終回「家族全員梅毒」
352名無し職人:03/12/04 04:58
最終回「家族全員梅毒」

(下7行は台詞でやると長すぎるので説明だけで。対峙した美咲と真壁の会話でビデオテープの
映像の概要について語られる。)

クーデーター決行日。正洋の前に手を広げて立ち塞がる健介。
正洋が撃つ。倒れる健介。正洋は振り返らずホテルへ突入する。大量の出血で倒れている健介。
そのまま微動だにしないまま23分経過。
(安川はここまでの映像をカットした。真壁への配慮と暗黙の脅迫。ここで真壁はホテル内に
入ったのでこれ以後の出来事は安川がテープを持ってくるまで知らなかった。)
美咲がホテルから落下。その時、健介は突如として起き上がり美咲を受け止める。
右手から紙を取り出し美咲に渡す。美咲号泣。

葉子「ありえないわ。テープで見たけれどあの出血では10分もかからず絶命するはずよ。美咲さんを
助けたときに彼はもう・・・」

* * *

真壁は美咲に拳銃を向けたまま話し続ける。
「私はここで終わるわけにはいかんのだ。日本の未来のために!」
「そのために健介さんを殺したのね。そうよ、あなたが殺したんだわ。」
「クッ・・・。美咲、お前は健介から何か渡されたな! それを使って私に復讐でもする気だったのか?
だから私に近づいて結婚したのか!!」
「・・・そうよ。あなたが息子を殺したっていう証拠。どんな権力を使っても消すことのできない証拠。
あなたは終わりよ。」
353名無し職人:03/12/04 05:02
「どこにある! 渡せ!! さもないと・・・」
「ここにあるわ」
美咲はポケットに手を入れる。
「欲しければその銃で撃ちなさい。健介さんのように!!」
「撃てないとでも思っているのか!」
「どうかしら?」
「息子を捨ててまで選んだ道だ。後悔は・・・ない!!」
「なら撃ちなさい! さあ!!! 撃てぇぇぇ!!」

真壁が引鉄を引く。撃たれて倒れる美咲。

真壁が倒れた美咲に近づいてくる。美咲は震える手で真壁にポケットから出した紙を渡す。
「ふん。馬鹿な女だ。」
真壁は紙を見て愕然とする。
「な、なんだこれは? 診断書?? ・・妊娠???」
「フフフ、ろ、ろ、6週間ですって。でも・・立派に・・・あなたの子供よ。」
「!!!」
「こ・・これで2人目ね。あなたの子供殺しは・・・」
「なんてことを!」
美咲は最後の力を振り絞りながら、股間から体液を手にすくい取り、唖然としている真壁の頬に擦り付ける。

「大統領・・・長生きして下さいね。」




『西日暮里夫人』 完
354TβS放送協会:03/12/04 13:36
乙。
『西日暮里夫人』
第一回>>333-334 第二回>>337 第三回>>338 第四回>>339-340
第五回>>341 第六回>>342 第七回>>343-344 第八回>>345 第九回>>346
第十回>>347 第十一回>>348-349 第十二回>>350-351 最終回>>352-353
355名無し職人:03/12/10 02:01
保守
356名無し職人:03/12/17 20:52
新番組


「名犬ポチと伝説の飼い主」

第1話「裏の畑にじじいが埋まる」
第2話「バターにはこだわってます」
第3話「首なし犬」
第4話「壮絶!!おすわり地獄!」
第5話「明日は隣町の公園まで行きましょうよ旦那様」
第6話「お手はできません」
第7話「涙の去勢」
第8話「そして渡米」
第9話「パキスタンの友人」
第10話「子犬が生まれた」
第11話「クローン犬!?」
第12話「絶体絶命!食われる」
最終話「進化」

357名無し職人:03/12/17 22:10
第1話「裏の畑にじじいが埋まる」

12月。冬の寒さも一段と本格的になった東京、成城の公園で事件は始まった。
絵魔潤子(中谷美紀)は保健所に勤める35歳。『野犬狩りの潤』という異名を持ち、都の対策本部
(犬の他、のら猫やカラスなども管轄範囲)のメンバーでもある。
早朝、潤子は不機嫌そうに頭をボリボリと掻きながら現場に赴いた。
そこには、12匹の犬の死体が転がっていた。
全て、なにか鋭利な刃物のようなもので無残に切り裂かれていた。
「あ〜あ、」潤子は面倒なことになる予感に溜息を漏らした。すると、
「ひっど〜い!! しんじらんな〜い!!」
甲高い、というよりキンキンとした声が潤子の耳元でした。思わず耳を塞ぐ潤子。
声の主は菊原沙智江(菅野美穂)。動物愛護団体『ドッグ da ワン』の人間だ。
「警察! 警察はどうしたんですかぁ!! 鑑識は? 機動隊はぁぁ! 大事件ですよこれぇぇ!!」
早朝の公園で叫びまくる沙智江。あきれ顔の潤子。
「犬っコロごときで警察は動きません。だ・か・ら・あたしが来たの。」
互いに名乗りあう二人。沙智江の素性を知ってさらに不機嫌になる潤子。
「あたしの嫌いなもの、教えてあげる。トマトと上司と愛護団体。覚えておいて。」
そう言うとスタスタと現場の中へ歩いていく潤子。
「あ〜あ、」今度は沙智江が溜息を漏らす。右手の人差し指を伸ばして手首を中心に1回転。あきれた時に
でる沙智江の癖だ。「こんな人とうまくやれるかっちゅうの」。保健所の行き過ぎた行為やサボタージュを監視
するため、沙智江のグループで保健所の担当に張り付くことに決まったのは昨日の事だった。
358名無し職人:03/12/17 22:11
凄惨な現場でテキパキと仕事をこなす潤子。横で犬の死体の処分方法にあれこれ注文をつける沙智江。
「焼いちゃうなんてひど〜い」「お墓、お墓はどうするんですか」しかし全然取り合わない潤子。
そこに一匹の犬(織田裕二・着ぐるみ着用)が現れた。「目撃者ですよ!」沙智江の言葉に全く耳を貸さない潤子。
その犬は首輪にに『P』の文字プレートをぶらさげていた。
「そうかぁ。じゃあ君はとりあえず・・・・・・ポチだ! よろしくね、ポチ。」
勝手にポチと名づけられた犬の首輪に住所を見つける沙智江。喜び勇んで潤子の所に駆け寄る。それをみて怪訝な
表情を浮かべる潤子。
「こっちの死骸の首輪にも同じ住所が書いてあるわ・・・」

* * *

首輪の住所を訪ねる2人と1匹。しかしいくら呼んでも返事がない。
勝手に裏に周りそ〜と中に入った沙智江は裏庭に大きな穴を見つける。覗き込み・・・腰を抜かした。
そこには人間の死体(大滝秀治)が埋まっていた。
沙智江の悲鳴で駆けつける潤子。腰を抜かして口をパクパクさせている沙智江の肩に手を置いて言う、
「よかったわね。これで警察がやってくるわよ。」
するとそれまでおとなしかったポチが突然、信じられない行動に。

「俺じゃねえよ。俺じゃねえよ。」

「・・・・・・しゃ、しゃべった!!!!!」
今度は潤子が腰を抜かした。



次回 >> 第2話「バターにはこだわってます」
359ガラム:03/12/18 16:36
第2話「バターにはこだわってます」

「犬がしゃべったくらいで腰ぬかしてちゃこの先やってけないよ」
その声と共に、潤子の後ろから、ガクラン姿の日本刀を持った美少年(上原多香子)が現れた。
「あんたら、どいてな」
「ちょ、ちょっとキミ誰よ? だいたいその手に持ってるものは何?」
潤子が少年にそう声をかけた刹那、穴の中の死体が突然飛び出して潤子に襲い掛かった。
「シャアアアアアアア!!!」
「きゃぁぁぁぁ」
「フン!」
少年が穴から飛び出した死体に斬りつけた。その一撃で見事に首を落としていた。
「はわわわわ・・・・」
今の騒動を見て、腰を抜かしたふたりはますます体に力が入らなくなった。
少年は刀を鞘にしまいながら、こう言った。
「ま、警察に通報したけりゃしてもいいよ。でも、この事件はなかったことにされるよ。
まず間違いなくね。下手すりゃ、あんたら拘束されるかもな。見ちゃいけないもん
見ちまったってことで」
「あ、あ、あ、あんたいったい誰よ? 何者?」
声を絞り出す潤子。沙智江はショックの余り声が出せないようだ。
「そいつは聞かないほうがいいな。聞くとあんたも斬らなきゃならなくなる。
ああ、そうそう。犬がしゃべったことについては気にしなくていいよ。
たぶん何かが憑依してるだけだから。悪い“気”は感じないから大丈夫だと思うよ」
少年はそう言うと、ポケットから何かを取り出して、口の中に入れた。
「じゃあね。バイバイ」
少年が立ち去ったあとには、バター飴の包み紙が落ちていた。
その包み紙には、『バターにはこだわってます』と書いてあった。

次回 >> 第3話「首なし犬」
360ポン吉:03/12/18 21:26
第三話「首なし犬」

潤子は保健所に報告のために戻らなければならなかった。
区役所のオンボロ車に乗り込むと、ひとつ大きなため息をつく。
潤子は先ほどの出来事がまだ信じられなかった。
車を走らせながら、時折両頬を挟み込むように叩いたリ
つねったりをくり返していた。

「もういいかげん受け入れたらどうなんですかぁ」
沙智江が嘲笑ぎみに言った。
「・・・っさいなあ、大体なんであんたがいんのよ!勝手に付いて来た癖に。あんたとあたしは水と油の関係なの、解る?こっちが親切で乗せてあげてんだから大人しく乗ってろっつーの!」
「潤子さんって意外と柔軟性ないんですね(笑 」
「失禁した娘が言う台詞じゃ無いよそれ(ニヤリ 」
沙智江のホワイトジーンズには黄色いシミがはっきりと浮かんでいた。
「ひっどーい、いくらなんでも言い過ぎだよ!ああーん、苛められたー、訴えてやる、いたいけな娘を辱めたって慰謝料ふんだくってやる!」
(やれやれ・・とんだお荷物を背負わされちゃッたな・・・)
潤子は片方の眉を少しゆがめ、沙智江をちらりと見た。
沙智江はいじけて窓の外から目線をそらさないでいる。
(・・でも、人の事いえないか・・・・)
潤子は自問自答しさめた笑いを浮かべた。
潤子は脱糞していた。








361ポン吉:03/12/18 21:45
保健所に着いた二人は取りあえずトイレに駆け込んだ。

トイレを出ると一言も口を聞かないまま、潤子のデスクへと向かう。
無言で後ろをついてゆく沙智江。
時折振り返る潤子、振り向かれると目線をはずす沙智江。
突然潤子が振り返り沙智江に言った。
「ねえ、一体どこまで着いてくるわけ!?
ここはあたしの職場なの、あんたはとっとと自分の所に帰んなさいよ!」
「・・・・・・」
「ちょっと、なんか言いなさいよ」
「・・・このまんまじゃ帰れないもん・・・」
消え入るような声で沙智江が言った。
「え?何?」
「このまんまじゃ納得いかないもん!真相究明するまでは!
・・あの犬達が誰の仕業で殺されたのか、あの喋った犬の事も
生き返った死体のことも!」
「それと・・・・」
「それと?」
「・・・・お漏らしした事も・・・」
潤子は少し安堵した。どうやら脱糞したことはばれていないようだ。
これでこいつにアドバンテージが取れると確信した潤子は言った。
「分かった。じゃあ真相究明する間ではあたしのそばにいていい。
但しこの件は口外無用、絶対に喋んないように。
いい?これが守れなかったら追い出すから」
「分かったわよ」少しぶっきらぼうに沙智江は答えた。



362ポン吉:03/12/18 22:21
潤子たちが部屋に入ると周囲がやけに騒がしい。
暖房中だというのに窓を開け放つ者、口を手で押さえ外へ飛び出す者。
その中の一人、後輩の森田(妻夫木聡)を捕まえる。
「ちょっと森田、何かあったの?」
「あ、先輩、大変なんですよ、臭い臭いって!」
(バレたか!?)一瞬自分の事かと緊張する潤子。
「な、何が臭いのかな・・・森田君?」
平静を装いながら潤子が言った。
「あれですよ、あれ!」森田が指差す方向には段ボール箱があった。
自分の事では無いと解ると、安堵で若干括約筋が弛んだ。

潤子たちは段ボールに近付き、そして恐る恐る開けてみた。
「・・・! こ、これは!!」
むせ返るような異臭が部屋に充満する。
・・そこにはあの喋る犬がいた。
正確には、半ば腐乱しはじめている喋る犬だったものが入っていた。
しかもその首は鋭利な刃物で切り取られていた。
森田が込み上げるものをこらえきれずにトイレへ走ってゆく。
沙智江も言葉を失い立ちつくす。潤子はその首なし犬をしげしげと眺めた。そして腐乱臭の中に、異なる臭いがあるのに気が付いた。
(これはバター飴の臭い・・・?)








363ポン吉:03/12/18 22:23
潤子は先ほどのガクラン姿の日本刀を持った少年を思い浮かべた。
「沙智江、これはちょっと面倒なことになりそうよ」
潤子はそう言うと、後ずさりしながらその場を離れた。

部屋を出ると廊下をぎこちない小走りで走る潤子。
ジーンズのお尻の部分が茶色くシミになっている。
(もう生ガキのバカ食いは止めよう・・・)
そう思いながら潤子は再びトイレに駆け込んだ。


次回>第4話「壮絶!!おすわり地獄!」
364名無し職人:03/12/20 04:54
第4話「壮絶!!おすわり地獄!」

潤子はトイレに入り長い溜息をついた。今日あった色々なことを思い出し整理していた。

・成城の公園に12匹の犬の惨殺死体。すべて茶色の柴犬で首輪に住所とアルファベットのプレート。
・生き残り?の1匹を発見。首輪に『P』のプレート。沙智江が勝手に「ポチ」と名付ける。
・首輪に書いてある住所にいくと裏庭の穴に死体。(警察には報告済み。今頃は現場検証しているだろう。)
・「ポチ」がしゃべった。(幻聴??)
・死体が突然、生き返った(本当に死んでいたの??)、そして突然現れた少年が斬った。
・保健所に届けられた首なしの犬の死体 → ポチ(首輪に『P』のプレートがあった。)

「そうそう、最初に殺された12匹の犬のプレートは・・・・・・『a』『b』『c』『e』『f』『g』『h』『i』『j』
『k』『l』『m』だったかな。うん、間違いない。」
潤子の自慢はその記憶力だった。きっちり思い出せて悦に入り、リアルに死体を思い出して気持ち悪くなった。
「まって・・・あのプレート・・・小文字? そう殺されたのは小文字よ! 『d』がなかった??」

ウ○コ付きパンツを便器に投げ捨て、脱兎のごとくトイレから駆け出してくる潤子。
森田がマスクをして死体の入った段ボールを嫌々片付けていた。
突然、森田に肘鉄をかまして段ボールを奪い取る。中にあったプレートを取り出す。何事かと沙智江も寄ってくる。
潤子はプレートと首輪をつないでいたチェーンを持って沙智江の目の前にぶら下げた。Pの文字がひっくり返る。
「これ、『P』じゃありませんね。」
「そう、これ小文字の『d』よ。この死体、あの犬じゃないわ。」

「ワン!!」
プレートを挟んで見つめあう二人の横で鳴き声がした。二人が見るとそこにはポチが尻尾を振って座っていた。
365名無し職人:03/12/20 04:56
「ウッキィィィィ!!!!!!!」ポチの姿を見た潤子は奇声をあげ、先ほど肘鉄を食らって倒れている森田を
踏みつけて奥に消えた、と思ったらすぐに注射器を持って現われた。安楽死用の薬だ。
「成仏せいやぁぁ!!」ポチに襲い掛かる潤子。沙智江が後ろから羽交い絞め。
「だめですぅ! やめて下さい潤子さん! 動物虐待ですよ、犯罪ですよ!!」
「ええい、離せ離せ!!!」
「だめです。森田さん助けてぇ」
ダメージを引きずったまま森田が前から潤子を抑えようとする、がその前に潤子の膝蹴りが森田の下顎にヒット。
「み、見えた・・・」森田あらゆる意味でKO。
沙智江を振りほどきポチに迫る潤子。その時、潤子の上司の所長・垣根健三郎(伊武雅刀)が入ったきた。
「なんだなんだこの騒ぎは!!」
沙智江が必死に潤子の足にしがみつく。バランスを失った潤子の手は・・・所長の腕に注射針を刺していた・・・
オーマイガァ!!!

* * *

救急車で運ばれていく所長と森田。幸い血管には刺さらず所長は一命を取り留めた。
「ちょっと惜しいことをしたな。あのまま事故を装って殺ってやれば・・・」ブンブン、よからぬ妄想を振り払う
潤子。沙智江はポチと一所懸命話をしようとしていた。
「潤子さぁーん! やっぱりこの子、喋ったりしませんよ。」
はぁ、やっぱり幻聴か・・・。潤子はすっかり脱力して帰ろうとする。
「この子はあたしが面倒見ます。ね? いいでしょ潤子さん。」
勝手にしろ、と手で仕草をする潤子。
366名無し職人:03/12/20 04:56
* * *

家に帰った潤子。ちなみに潤子は一人暮らしだ。離婚暦あり。
「はぁ〜〜〜。散々な一日だったわ。」ベッドに倒れこむ潤子。
「ほんとですねぇ。」床に正座している沙智江とお座りしているポチ。
「って、なんであんたがここにいるのぉ! しかも犬と一緒にぃぃ!!!!!」
「いや、その・・ですね。この子の面倒をみたいのは山々谷々なんですがぁ〜、あのぉ〜私の彼がですね、ああ豪君
っていうんですけど、あのぉ〜そのぉ〜・・・彼が犬がぁ〜〜〜嫌いというか、実はぁ〜〜あたし、彼とあの、そのぅ
同棲・・・っちうのかな? もしかして同棲とかいうようなことをしてまして・・・はい、いや豪君はとっても優しくて
いい人なんですよ。それに結構・・格好いいし・・・いや結構というのはちがくて、かなり?かな?? それでですね・・・・

・・・・・1時間経過・・・・・・

・・・・・まぁそれが、彼との馴れ初めっていうかぁ、あの・・・潤子さん? そろそろ姿勢が、きついというか・・・
足が痺れてきたというか・・・潤子さん? 潤子さぁ〜ん??
 
・・・寝てる・・・・しかもポチまで・・・・

あのぉ潤子さ〜ん。いつまでこうしていればいいんでしょうか。ちょっとお風呂も借りたいかなぁなんて・・・
もう限界かなぁなんて・・・・潤子さぁぁ〜ん。」

こうして夜は更けていった・・・。



次回 >> 第5話「明日は隣町の公園まで行きましょうよ旦那様」
367ガラム:03/12/20 17:05
第5話「明日は隣町の公園まで行きましょうよ旦那様」

潤子はすっかりポチと眠り込んでしまったので、沙智江は無断でお風呂を借りることにした。
「ふう、今日は色々あったなぁ。なんか疲れて眠くなっちゃった・・・」
沙智江はいつのまにか湯船で眠り込んでしまった。
「いけない。いけない。こんなところで寝たら死んじゃう・・・」
眠い目をこすりつつ、風呂からあがる。
風呂から上がって、潤子とポチがいる部屋に戻ると、そこには“鬼”がいた。
最初は筋骨隆々の外人プロレスラーでもいるのかと思ったが、体の色が真っ赤で、頭から
角が生えているし、耳まで裂けた口からは牙がのぞいている。
「あれぇ、まだ寝ぼけてるんだなぁ・・・」
368ガラム:03/12/20 17:05
一方、厚生労働省の内務検疫課では、課長の磯貝重和(渡辺兼)が報告書を読んで真っ赤になっていた。
内務検疫課は国内に様々な汚染を広がるのを防ぐのが役割であり、そのためには非合法な
活動を行うこともしばしばである。
たとえば、国家にとって好ましからざる人物の暗殺から、治療法が見つからない伝染病の
隠蔽(国民のパニックを防ぐため)まで、いわば厚生省の汚れ仕事を一手に引き受けている。
「なんだ、これは?! どういうことだ!?」
「すいません、報告が遅れました。それというのも警視庁の内通者が・・・」
「言い訳はいい。このふたりの女を拘束。犬も拘束。一刻も早くだ」
「了解。しかし、課長、この日本刀を所持してた少年は拘束しなくてもいいのですか?」
「拘束できるなら、しろ。しかし、俺が間違ってないなら、拘束は不可能だな」
「政治的にですか?」
「いや、物理的に、だ。少年と接触したら、俺に報告しろ。拘束できなくても写真は撮れ。
拳銃を所持しろ。スーツの下にプロテクトアーマーを着込め。他の諜報組織が出張ってきたら、
蹴散らせ。それから日本刀を所持しろ。“鬼”が出てくる可能性が高い。改めて言うまでも
ないが、“鬼”に銃弾はきかん。必ず斬り殺せ。拘束しようなどと思うな。
“鬼”に肉体を乗っ取られたときのこと考え、符丁を決めておく。『明日はどうする?』と
訊いたら、『明日は隣町の公園まで行きましょうよ旦那様』と答えろ」
「了解」
命令を下された男たちは武装して、潤子の家へと向かった。

次回 >> 第6話「お手はできません」
369名無し職人:03/12/23 09:39
第6話「お手はできません」


潤子は悪夢にうなされていた。巨大化したポチが「俺じゃねぇ」と喋りながら追い駆けてきていた。
必死に逃げる潤子。袋小路に追い詰められた・・・。遠くの方で沙智江の悲鳴が聞こえた・・・。
* * *
“鬼”と対峙し我に返って悲鳴をあげる沙智江。バキッ!! ドアが蹴破られ例の美少年が飛び込んでくる。
「気配を隠していたのか! 討ち洩らすとは一生の不覚、覚悟っ・・・!!」そう言って刀を抜いて切りかかる。
「アワワワ・・」鬼に切りかかろうとする少年の足にすがりつく沙智江。
「ワッ! は、離せ!!」
一瞬の隙。しかし鬼はその大きな腕を振り回し少年に叩きつける。吹き飛ばされた刀が宙を舞う。その時・・・
「わぁぁぁぁ!!!」目を覚ました潤子はベッドから跳ね起きる。その手に測ったように刀が落ちてくる。
「悪霊退散ッ!!」潤子は鬼を真っ二つにした。鬼は血を流すこともなく、まるで霧のように消えていく。
その後に残った物は・・・『P』のプレートがついた首輪だった。
放心状態の潤子と沙智江。少年はいつの間にかいなくなっていた。
「夢??」そう呟く沙智江に間髪いれず潤子が平手打ち。パシィ!
「違うわね・・・」
「ひ、ひどい・・・」
* * *
潤子は仏壇に手を合わせていた。すでに夜は明けていた。沙智江が不思議そうに覗き込む。
「一人暮らしのマンションに仏壇なんてかわってますねぇ」
「・・・」
答えない潤子。沙智江は仏壇の位牌を見て驚く。
「こ、これってぇ・・・もしかしてぇ・・・動物の?」
「・・・」
「もしかしてぇ、潤子さん? 今まで処分した犬とかを供養してるんですかぁ? 全部ですかぁ??」
パシィ! また潤子の平手打ちが飛んだ。
「・・・・・・潤子さん・・・・・・優しいんですねぇ・・・」
370名無し職人:03/12/23 09:46
残された首輪を手に取る潤子。『P』のプレートを外して自分のネックレスにつけた。特に理由はなかったが
そうしたかったのだ。
「あれぁ? きゃぁ〜潤子さんっ! それどこで買ったんですかぁ? 可愛いですよぉ、その尻尾!」
「ハァ?」
潤子は沙智江が指差して騒いでいる自分の尻を触った。
「なんじゃこりゃぁ!」
パンツを突き破り潤子の尻には尻尾が生えていた・・・。
「きゃぁきゃぁ! 潤子さん可愛い! も〜う、あたしが飼っちゃいたいくらいですよぉ!」
事情を知らずにはしゃぐ沙智江。真っ青の潤子。
「潤子さん、潤子さん!!」
「な、な、なに??」
沙智江は潤子の前に手の平を出して言った、
「お手っ!!」
「・・・・」

  ↓ 潤子
  Λ_Λ
  ( ・∀・)   | | ガッ
 と    )    | |
   Y /ノ    人
    / )    <  >__Λ∩
  _/し' //. V`Д´)/ ← 沙智江
 (_フ彡        /


その頃、潤子のマンションは重武装の集団に取り囲まれていた。



次回 >>第7話「涙の去勢」
371ガラム:03/12/24 21:46
第7話「涙の去勢」

潤子の頭の中で突然声がした。
「いや〜、まいった、まいった。どうやら長いこと犬に憑依してたもんで、犬の“気”が
移っちゃったみたいだね。尻尾はえちゃったね。ごめんね〜」
「あんた今なんかしゃべった?」
沙智江に問い掛ける潤子。
「いいえ〜、なにもしゃべってないですよ〜」
「ああ、違う違う。オレはあんたの頭の中にいるの。オレはポチだよ。正確に言うとポチに
憑依してた霊魂ね。さっきポチの体が“鬼”に喰われちゃってさあ。体がなくなって
どうしようかな、って思ってたのよ。で、オレは憑依する体がないと本当に死んじゃうのね。
だから、あんたの体に乗り移らせてもらいました」
「じょ、冗談じゃないわよ」
「まあまあ、そんなこと言っても、あんたにだって責任あるんだよ。犬の首輪のプレート
なんか付けるから、それがオレの呼び水になっちゃったのよ」
「なに言ってのよ。すぐ出てってよ」
「出て行きたいのは山々なんだけどね、今オレが出て行くとあんたも死んじゃうよ」
「なんでよ?!」
「オレが生きてる動物の体から抜け出るのってすんごいカロリーが必要なんだよ。あんた、
体細いでしょ。あと、30キロは太ってもらわないと」
「潤子さぁ〜ん、さっきからなに独り言いってるんですかぁ〜」
「あのね、たぶん信じられないだろうけど、あたし、霊に取り付かれたみたい」
「そうだったんですかぁ、でも、さっきから変なことばっかり起こってるんで、霊が
取り付いても今さら驚きゃしないですぅ〜」
「そう、それもそうね。でも、さっきから、自分では解決できない理不尽なことばかり。
去勢されたオス犬の心境よ」
潤子がそうつぶやいたとき、玄関にノックの音があった。それはもちろん内務検疫課の
来訪であった。

次回 >> 第8話「そして渡米」
372名無し職人:03/12/24 22:58
第8話「そして渡米」

「・・・どなた?」
ノックの音に反応し、潤子がドアに呼びかけた
「私は・・・厚生労働省の磯貝と申します。」
ドアの向こうからハッキリとした図太い男の声が返ってきた
「絵魔潤子さんですね?少々・・・お伺いしたいことが・・・。」
その声は、ハッキリとはしていたが少し上ずっているようにも聞こえた
「お客さん・・・みたいですよぉ?」
佐智江はチラと潤子を見ながら、招かれざる客人に興味を示していた。少し呼吸を整え、潤子がドアのほうへと歩いていく
「えっと、今開けま・・・」
「開けないほうがいいぜ。」
潤子の頭の中で声が響いた、ポチの声である
「・・・・何を・・・」
「開けないほうがいい。あの扉の向こうからビンビンの殺気を感じる。野生のオレだからこそ感じる『危機感』ってやつよ。」
潤子の顔がこわばる、自分に取り付いた迷惑な動物霊の忠告が、妙に重々しく感じられた
「潤子さん?」
不思議そうな顔で佐智江が潤子の顔を見つめている。どうする?潤子の心に迷いがよぎった
「いいか。逃げろ。裏口もダメだ、固められてる。風呂場の窓から抜け出して屋根伝いに脱出しろ。それしか手は無い。」
コンコンと催促のノックが鳴らされる、潤子は掌に汗をかいていた
「絵魔さん?ドアを開けていただきたいのですが?」
磯貝の声に力がこもっていた
「えっと・・・。」
ギュッ・・・!と、潤子が佐智江の服を掴んだ
「今・・・シャワーを浴びてて・・・。全裸ですの・・・。着替えたいんでしばらく待っていてくださる?」
「ん・・・。ああ・・・。解かりました。」
磯貝の返答を聞くや、潤子は佐智江を引っ張り、部屋の奥へと駆け出していた、逃亡するために
ガッゴオオオオオオオン!!
「え・・・!?」
が、その直後、凄まじい音とともに、玄関のドアが吹き飛んだ
373名無し職人:03/12/24 22:59
その破壊された扉の向こう、2人の男性の姿が確認できた。そしてその後ろに控えている大勢の武装した人間の姿も・・・
「オヤオヤ、イケマセンねぇ・・・。全裸だなんて、嘘を言っちゃぁ・・・。」
片方の外人風の男が言った。謎の男、Mr.J(パトリック・ハーラン)であった
「オイ、ちょっとアンタ・・・!」
そして、その隣の男が慌てた様子でMr.Jに呼びかける。磯貝だ
「アナタ・・・何者・・・?」
潤子がMr.Jに問い掛けた。この男、磯貝とは違う独特の雰囲気を醸し出している
「フフ。私ですか?私はMr.J。まあ本名は明かせないんですが・・・。職業柄・・・ね。」
「お仕事〜?」
美智江が気の抜けた声で言った。
「ええ。私はね、アメリカ国防総省。『ペンタゴン』の主任を務めてまして・・・。まあ、ワケあって出張してきたんですが・・・。」
「ペンタゴン!?」
潤子の体が固まる、いくらなんでもこんな大物が出てくるとは予想外であった
「ちょっとアンタ!何を勝手なことを・・・!」
「いやぁ、Mr.磯貝。君の出る幕はどうやら無いみたいですねぇ・・・。しばらく黙ってなさい。」
ギラッとした目線でMr.Jが磯貝を睨む。それだけで磯貝はビクンと体を震わせて押し黙ってしまった
「オイ、潤子。コイツちょっと・・・ヤバイぜ。」
ポチの声が頭の中に響いた。ヤバイ?そんなこと最初から解かりきっている
「いやぁ、ヤバイだなんて、そんな・・・。アナタ方が抵抗せずに従ってくれれば何もしないんですがねぇ。」
「な・・・!?アナタ・・・ポチの声が・・・!?」
2人のやり取りに、美智江はモチロン磯貝も、後ろで控えている機動部隊も状況の把握が追いついていなかった
「ヘッ・・・。どーやらコイツ、ちょっと敵う相手じゃなさそうだぜ・・・?」
ポチの言葉には潤子も賛同だった
「それで・・・アナタの望みは何なの?」
潤子の言葉を待ってましたとばかりにMr.Jはニコッと笑って答えた
「実は招待したいと思いましてね・・・アナタ方を・・・。アメリカにね。」
「ちょっ!チョチョチョ!?待てよ!それじゃ俺たちはどうするってんだ!?これじゃぁ厚生労働省のメンツが・・・!」
ピッ!次の瞬間、赤い液体が飛んだ。磯貝の血液だ。頬にくっきりと斬り後が残り、そこからポタポタと血が滴り落ちていた
374名無し職人:03/12/24 23:00
「メンツも大事ですけど・・・。命はもっと大切でしょう・・・?ねぇ・・・Mr.磯貝・・・?」
「ヒッ・・・!」
腰を抜かした磯貝が、ガタンと床に倒れこんだ
「なっ・・・!?ななな、何が起こったんですかぁっ!?」
その光景を見ていた美智江も甲高い声をあげた
潤子も脱糞していた
「さあて・・・。ついてきてくれますか・・・?」
「・・・そうするしか・・・無いみたいね・・・。」
頭の中のポチも『何も答えない』という態度で同意を表した
「そうですか・・・♪さあっ!それでは参りましょうか!レッツ・ビギンでございます!!」
ババババババババババババババババ!!
その瞬間、突如ヘリのプロペラ音が聞こえてきた
「我々が手配したヘリですよ。まあ、そうですね。5時間も空の旅を楽しんで頂けば・・・。スグに到着ですよ♪」
「(まさか、こんな展開になるなんて・・・。ツイてないわね・・・。)」
突然の来訪者、Mr.Jによって導かれた渡米への道
いったい、何が待っていようというのか
と、その様子を遠くから見つめる少年の姿があった
「・・・・・生きていたのか・・・・・・。ジャック・・・。ジャック・ザ・リッパー・・・。」
少年はギリリと歯を噛みしめ、日本刀を持っていた右手に力を込めた

次回 >> 第9話「パキスタンの友人」
375ガラム:03/12/25 01:38
第9話「パキスタンの友人」

「何やってんだか、磯貝さん、あんたいつからそんな可愛い性格になったのさ」
日本刀を持った少年がそう言いながら場に割って入った。
「ほ、現れたな」
磯貝が言う。
「磯貝さん、あんた腰抜けのふりして、このさい目障りなペンタゴンの連中をまとめて
とっ捕まえようってつもりなんだろ? でも、そいつはやめとけ。その外人憑いてるぜ。
それもうんと凶悪なのが」
少年の言葉に答えたのは磯貝ではなくMr.Jだった。
「誰ですか? キミは?」
「とぼけるなよ。それとも自分の首を斬り落した相手の顔を忘れたのか?」
「ナルホド。なにもかもお見とおしというわけですね」
磯貝が少年に呼びかけた。
「カオル、お前がオレの前に現れたのはとりあえず、共同戦線を張ってくれると解釈して
いいのかな?」
「ああ、ただし今だけな」
「で、この外人、なにが憑いてるって?」
「そいつはジャック・・・」
カオルがそういった途端、Mr.Jが磯貝に斬りつけた。手には刃渡り40センチは
あろうかという大きなジャックナイフを持っている。
ギイン!
磯貝が日本刀で、そのジャックナイフを受けた。鞘は抜いていない。抜く暇がなかった。
「ぬうっ!」
磯貝は後方に飛び退り抜刀した。そのままMr.Jに斬りつけた。居合だ。
首を撥ねた。Mr.Jの首が宙を飛ぶ。
宙を舞ったMr.Jの首が沙智江のすぐそばに飛んできた。思わすそれを受け止めてしまう沙智江。
「ちっ、油断したな。首を斬られちまったよ。またどこかで会おうや。坊や」
Mr.Jの生首はそう言うとすぐに事切れた。
気絶する沙智江。
376ガラム:03/12/25 01:39
「ひさしぶりだな。カオル。今までどうしてた?」
「やめてくれよ。いまさら父親面するのは!」
カオルはそう毒づいた。
「父親面するわけじゃない。内務検疫官として、磯貝家の当主として、お前の行動を把握
しておきたいだけだ」
「そうかい。なら、言っとくがオレはもう磯貝家の人間じゃないんだ。磯貝カオルはもう
どこにもいない。今のオレは立原カオルなんだ」
「お前が母さんの旧姓を名乗ることを母さんが望むとは思えんがな」
「よしてくれ。あんたが母さんを殺したようなもんじゃないか」
「そう思うのはお前の勝手だが、その思いに捕らわれている限り、心は自由になれんぞ」
「あんたと話すことなんてもう何もないよ」
「待て、どこへ行く?」
「とりあえずの危機は回避しただろ? オレは消えるよ。そうそう、さっきの外人に
憑いてたのはジャック・ザ・リッパーだよ。最近じゃパキスタンのパンジャブ州で
56人殺したやつだよ。
そいつの首をパキスタンの友人(政治的な意味での)に持っていけば喜ばれるんじゃないの?
そいつの首をやるから女たちを開放してやってくれ」
「そういうわけにはイカン。それとこれとは別問題だ。どうしてもと言うなら力づくでこい」

次回 >> 第10話「子犬が生まれた」
377名無し職人:04/01/04 01:35
第10話「子犬が生まれた」

刀を抜き対峙する磯貝とカオル。お互いの隙を狙って微動だにしない。意識を取り戻した沙智江は
手に生首をみつけて絶叫、そして首を潤子にむかって投げつける。とっさに首を打ち返す潤子。
飛んだ首が磯貝達の間を抜ける。それを合図に二人が切りかかる。
キィィィィンンン!!! 刀が合わさる甲高い音が部屋に木霊する。
「・・・大きくなったな、カオル・・・」膝をつく磯貝。
「だから言ったろう、もう俺は・・・磯貝カオルじゃ・・・ないって・・・」カオルが勝ったかにみえた
刹那、カオルは床に倒れてしまう。ゆっくりと立ち上がる磯貝。
「みねうちじゃ、安心せい。よし、全員を拘束しろ」部下に指示を出す磯貝。武装した人間が次々と入ってくる。
「おいおいヤバイぜ。逃げるぞ。」潤子の頭にポチが話しかけてきた。こんな連中に連れて行かれれば何を
されるか分からない。潤子はポチの提案に同意するとすばやく沙智江とカオルを両脇に抱えて窓から飛び出した。
「イヤッホー! アネさん、やるねぇ!!」ポチが変にはしゃぐ。
「あのさ、大変なこと思い出したんだけど。。。」潤子がポチに言う。
「なにさ?」
「ここ、7階なんだけど」
「あんたちっとは考えて行動しろよぉぉぉ!! ・・・・なんてね」
スタッ! 潤子はまるで何事もなかったかのように地面に着地した。
「あれ?」
「あんたならこれくらいできるさ。これでも犬なんだから。」
「便利ねっ・・・て犬って何??」
「う〜ん。なんかね。うまく同化しそこなっちゃみたいで・・・今のアネさんは、そりゃもう立派な犬なわけで
ほらほら頭なんて、」
「ギクッ!!」おそるおそる自分の頭を触る潤子。嫌な予感は的中した。耳が生えてる、まさに犬のそれが。
「いやぁ、なんていうか子犬が生まれたときの親の気持ちっていうのはこういうもんなのかねぇ。」
「ふざけないで・・・ん? とりあえず休戦ね」
潤子の耳に追っ手の足跡が響く。潤子はもの凄い勢いで走り追っ手を撒いた。

次回 >> 第11話「クローン犬!?」
378ガラム:04/01/05 18:28
第11話「クローン犬!?」

だが、その潤子の前にひとりの男(ジャン・レノ)が現れた。
「お前、憑いているな。“アジダハーク”か?」
“アジダハーク”はイスラム文化圏では“脳漿をむさぼる蛇”という意味の悪霊を指す。
パキスタンのパンジャブ州で56人を殺したジャック・ザ・リッパーは現地でそう呼ばれていた。
「我が名はハザールハッド。お前に殺された妻と子、そして同胞たちの魂のために貴様を消滅させる」
そう言って男は突然、半月刀を抜いて襲い掛かってきた。
「え、なに? 違う、人違いだよう」
潤子がそう言うのも聞かず、男は半月刀を振り下ろした。
死?!
潤子は死を予感した。
嗚呼、こんなとこで死んじゃうのか。短い人生だったなあ。
だいたい、あたしは35歳でまだ処女だってのに、どうしてこんなとこで死ななきゃいけないのかしら。
今から、子供産んでも高齢出産もいいところよね。第一、この歳で破瓜の苦しみに耐えられるのかしら?
などと、とりとめのないことを考えていた。それは死の恐怖からくる逃避だったが、本人は気づいてない。
あれ、あたしまだ生きているみたい。どうして?
ハザールハッドの半月刀が目の前、額に触れるか触れないかの距離で止まっていた。
「いや、違う。お前は“アジダハーク”ではないな。何者だ?」
「え、何者だって言われても・・・」
潤子が答えあぐねていると、頭の中からポチの声がした。
「そうか、あんた処女だったのか。どうりで悪霊も“鬼”もとり憑けないわけだわ」
「な、なによ。失礼ね。ひとの頭の中覗くのやめてよ。あたしにもプライバシーってもんが・・・」
「とりあえず、言い争いは後にしてくれ。このおっさんは敵じゃなさそうだが、新しいのが現れた」
ハザールハッドの後ろに大きな黒い犬が現れた。頭からいくつも角がとびだし、背中からは
ひも状の触手のような長いうねうねとしたものがびっちり生えてる。
「な、なにあれ?」
「クローン犬のおでましだぁ」

次回 >> 第12話「絶体絶命!食われる」
379名無し職人:04/01/07 05:04
↑ここで新キャラだすのってジャック・ザ・リッパーとの決着をつけたいってことか?
ポチも磯貝父も潤子もジャック・ザ・リッパーとの因縁って希薄だから出てきたのかもしんないけど
退魔役としてはすでにカオルがいるしなあ。
>>366で潤子に離婚暦ありと書いておいたんだが処女だから云々って・・・。悪いけどこれ無視します。
なんか潤子と沙智江の関係、「名犬ポチと伝説の飼い主」というタイトルに拘ってるの俺だけみたい。
愚痴だねゴメン、続き↓



第12話「絶体絶命!食われる」

潤子達に迫る異形の犬。それは首を落とされたジャック・ザ・リッパーの憑依した姿だった。
探していた仇敵と対峙するハザールハッド。死闘。目を覚ましたカオルの加勢もあって遂に
ハザールハッドはその使命を完遂させた。四散するジャック・ザ・リッパー。
厚生労働省の内務検疫課の包囲をなんとか抜け出した4人は潤子の案内でとある家に逃げ込んだ。
勝手に入って大丈夫?と聞く沙智江。なぜか鍵を持っている潤子。
「大丈夫。家主は入院中だから。それに半分は私のものだし。」
そこは保健所所長の垣根健三郎の家だった。垣根は潤子の別れた夫だったのだ。
深手を負ったカオルとハッドを介抱しながら4人と1匹?の奇妙な同居生活が始まった。徐々にカオルに
魅かれていく沙智江。
一方、磯貝重和は辞表を出し、静かに妻の墓に手を合わせていた。
380名無し職人:04/01/07 05:05
「潤子さぁ〜ん。お箸使いましょ、お箸! 犬食いは駄目ですよぉ」
沙智江の言葉も虚しく潤子の『犬化』はどんどん進んでいった。
2日目、ハザールハッドは異様な気配に気づいた。それは、間違いなく潤子から出ていた。重症で混濁する意識の中、
ハザールハッドは必死に訴えかけた、「アジダ・・・ハーク」と。しかし沙智江は気がつかない。
翌日、寝ていたハザールハッドが潤子に半月刀を突き立てる。とっさに身を翻してかわす潤子。
ハザールハッドはジャック・ザ・リッパーに乗っ取られていた。
そして遂に本性を現すポチ。それは異界の鬼。ジャック・ザ・リッパーの半身。
退魔刀で切られても復活するジャック・ザ・リッパーの秘密は半身を切り離していた事だったのだ。
以前、カオルに切られたジャックは分かれた半身を捜していた。ポチは記憶を失い日本で犬に憑依して安穏と
暮らしていたのだ。
ポチを食らい、完全体に戻ろうとするジャック。助けに入ろうとしたカオルを投げ飛ばし切りかかる。カオルを
庇って身を投げ出した沙智江が背中を切られる。その隙にカオルの刀がジャックを捉える。手傷を負いハッドから
飛び出すジャックの怨霊。
「ポチ、いくぞ!」覚悟を決める潤子。
「いいのかいアネさん? そんなことをしたら・・・もう人間には戻れないぜ」
「まあ、これも運命ってやつよ。『野犬狩りの潤』最後の仕事よ!!!」
ジャック・ザ・リッパーを捕まえた潤子は大きく口を開けて噛み付いた。
「バ、バカな! 俺様を逆に取り込むつもりかっ!!」潤子とポチの思いもしない逆襲に動揺するジャック。
「潤子さぁ〜〜ん!!」沙智江の叫びに潤子は目で『さようなら』と返事した。


次回 >> 最終話「進化」
381ガラム:04/01/07 21:41
↑すいません。潤子に離婚暦ありっての忘れてました(汗)。離婚した理由はダンナがインポ
だったってのはどうでしょうか? だから、膜あり、ということで。
最終回にむかって話を進めていただいてありがとうございます。


最終話「進化」

ジャックの霊体を飲み込んでいく潤子。
キィィィィン、という高周波数の音がまわりをつつんでいく。
「ぐはっ! オ、オレをとりこむのはや、やめろ。お前も無事ではすまぬぞ。このままではオレもお前も消滅するぞ」
「そう、よかったわね。こんな美人と心中できて」
「た、頼む。やめろ。やめてくれ! そうだ。お前にもチカラをわけてやろう。お前もオレのようになれる。他人の体を次から次へと飛び回り、肉体が滅んだら次に乗り換えればいいんだ。死をも超越した究極の進化生命体だ。どうだすばらしいだろう?」
「ごめんなさいね。そういう話には興味なくって」
ジャックの霊体を潤子は完全に飲み込んだ。その直後、潤子の体が金色に光りだした。
「うっ!」
潤子はえずいた。体中がビクンビクンと蠕動する。口を大きく開けた。そこから何かが出てきた。
潤子のアゴは完全にはずれていた。そこから徐々に姿を現したものは何と一匹の犬だった(織田祐二・着ぐるみ着用)。
犬は全身が潤子の胃液とよだれにまみれていたが、特に変わったところが見当たらない普通の犬だった。
「あれ? これってどういうこと?」
潤子はつぶやいた。気分は悪くない。それどころか2週間ぶりの便秘が解消したかのようなすっきりとした気分だ。いつのまにか外れていたアゴも治っている。
「ポチ・・・」
そう犬に呼びかけてみる。
犬は小首を傾げて、小さく「わん」と鳴いた。もう、ただの犬になっていた。
382ガラム:04/01/07 21:42
「ジャックの魂が消滅したんだ」
カオルがそう言った。
ポチは人間の体から抜け出るにはひどくカロリーを消費する。だから潤子にあと30キロは太れと言っていた。
つまり、ジャックが潤子の体から無理矢理ぬけだそうとしたために、そのカロリー消費をジャック自身の魂でおこなってしまったのだ。
「つまり、これですべてが終わったというわけだ・・・」
カオルはほっとしたように肩を落としてそう言った。
「ホント? 何かあっけなかったわね。でもよかった」
沙智江がそう言うとみんな初めて笑った。

ポチは潤子が飼うことにした。もちろん大家には内緒で。
ハザールハッドはパキスタンに帰った。
カオルは相変わらず重和と元気に親子ゲンカをしている。
潤子は保健所で今までどおり働き、沙智江はどうやらカオルに恋心をうちあけるつもりのようだ。
一見、おだやかな日々が舞い戻ったようだった。
だが・・・
潤子はときどき頭痛がするようになった。酒を飲んだわけでもないのに、記憶が飛ぶようになった。だが、あまり気にしないようにしていた。
しかし、もし潤子が自分のベッドの下をのぞいたら、きっと仰天しただろう。
そこには刃渡り40センチはある巨大なジャックナイフが隠されているのだから。

383 ◆Cyokit0E3k :04/01/12 19:32
年も明けてきりもいいので、今までの反省と感想などをちょっと書かせてください。
リレー小説式でサブタイが決まってて完結しなくちゃいけないという厳しい制限が
あるので振り返って「ここを、ああすれば良かった」というのをちょっと。

#1『命のちから』>>29-45
「うぐぅ」というキーワードを病名にしたのが良かった。これでうまく続いたと思ふ。
紫苑と父親、つぐみの関係をもっと書ければ・・・。父親との確執から手術への経緯、>>40ででてきた
つぐみとの過去。ここを使い切れずラストまで走った結果、ハッピーエンドにならなかった。
でも自分的にはお気に入り。いつか全話リライトしてみたいと思わせた作品です。

#2『〜木星と冥王星のあいだ〜』>>58-79
SFは難しいことを教えてくれた。設定が書き手によって右往左往した結果、話もとっちらかったままだった。
話し合いもせずにリレーしていくのだから、ベースの設定を「ヤマトのパクリ」とか開き直って1話を書いて
しまえばもっと纏まったか突き抜けられたかも。H・J・オスメントが流暢に日本語を喋って平気で出演している
のは架空ドラマ的楽しみだった。

#3『とあるタニシの一生』>>88-115
サブタイの並びからは想像できない話になっったのはよかった。各話の消化具合もまあまあ。結果、通すと
平凡な内容になるという罠。もう少し主人公の悩みの部分を強調できれば・・・。

#4『ラーメン死亡遊戯』>>120-153
勢いがあった。ポチョムキン登場後の滅茶苦茶さは書いていたときは嫌だったが終わってみれば楽しい。
民明書房ネタは登場後、それぞれの話に全部くっつけてもよかったかも。

#5『久美の夕ご飯』>>163-187
ローレンス・フィッシュバーンがでてきて結局マトリックぱくりをしながら進むことに。主人公の足が地について
いない感じをもっとうまく使えれば。夢落ちにして欲求不満の主婦像というテーマにしてオチから先に書き始め
ればもう少しピントがあうんだが。オチを知らずに書いていく怖さを実感した作品。
384 ◆Cyokit0E3k :04/01/12 19:34
#6『義家族戦隊ヨメナンジャー』>>195-221
日曜8:00の内容ではない! それはいいんだがやはり戦隊をもっと早く結成させるべきだった。ずるずると
進んでしまった。サブタイの消化もあまり本筋とは関係なく裏をとりすぎて話がボケた。登場人物も多く、
あらためて難しさと自分の力量のなさを嘆いたもんだ。

#7『墓なんていらねえよ〜盆〜』>>224-244
最大の失敗は上戸彩のキャスティングか? NSAの話の時にすこしでも主人公の方の話も書いてもらえれば
もう少し主人公(上戸)像がはっきりしたんだが、結局主人公が活躍するのは最後の方だけでそれまであまり起伏
が起きなかったのが惜しい。ラストは「毛が生えた」で主人公が女で丸坊主なんだから素直に結びつけて欲しかった。

#8『北の国から 〜亡命〜』>>249-265
出だしからSFの匂いがするけど、それを結構無視して人間ドラマになればなぁ、なんて淡い期待をしていたけれど
>>255からSF全開になってしまった。主人公の一人称視点が最後まで崩れなかったのは良かった。
サブタイの並びが難しすぎたなあ。

#9『実録・自民党本部24時』>>269-293
ネタ選びからして間違い。しまいには下ネタに走るという最低の展開に。書いていて初めて鬱になった。

#10『トミーとお松』>>297-326
うまい具合に纏まったんだけどトミーとお松のコンビの楽しさを書くには1、2レス内の文章量では難しい。特に
会話で話を進めようとするとすぐに改行制限にひっかかるし短くまとめられない。通してみると全話で2時間SPくらいの
ボリュームに見えてしまう。


385 ◆Cyokit0E3k :04/01/12 19:34
#11『西日暮里夫人』>>332-353
梅毒の無理な設定とクーデター、軍事話がでてきてバランスが悪くなってしまった。主人公の不幸話にしたい
という当初の自分の勝手な拘りが最後まで抜けなかった。個人的理由でここから名無しで参加。

#12『名犬ポチと伝説の飼い主』>>356-382
ラストは「伝説の飼い主」というタイトルに触れて欲しかった。途中から女2人の話と鬼切りの話の縦線が2本
できてしまってちょいと中途半端になってしまった。犬を殺す側と守る側の対立と和解を途中に入れられれば
よかったんだが。ドラマ内の時間があまり進まなくて、1シーン=1話みたいになってしまったのは大反省。




以上、このスレに入って12本の作品ができました。参加者皆さん乙です。自分の反省が多いのでネガティブな事を
書きましたが許してください。


↓では、何もなかったように続きをどうぞ。
386森山記者 ◆eLwIi8IzBk :04/01/19 23:02
もうすぐ一年になるんですねこのスレ。地味ながら着実に歩み続ける脚本家の皆さん、これからも頑張って下さい。
387名無し職人:04/01/20 01:32
>>21のリクエストから


新番組「下町人情映画館」

第1話「いきなり閉館かよ!?」
第2話「リニュアルオープンかよ!?」
第3話「土砂災害!おかみ死す!」
第4話「ひじぶつけた」
第5話「エッチなのはいけないと思います!!」
第6話「こんなのムリ!!地底魔神と暴れ牛」
第7話「セックスと嘘と高木ブー」
第8話「借金取りがやってきた」
第9話「ハリウッドマジックのすべて」
第10話「ドルビーサラウンドの誘惑」
第11話「映画のCMでバカな感想言ってるアホどもを皆殺し!」
最終話「女と男のいる舗道」

388柴。 ◆shibatXtDE :04/01/20 01:53
第1話「いきなり閉館かよ!?」

東京都江戸川区のとある街。
不況により閉店を余儀なくされたスーパー「あけぼの」。
店主の渋川崑(矢沢永吉)は、友人知人親戚とありとあらゆるつてを頼って
一念発起、長年の夢であった映画館を設立した。
「3歩も歩けばコンビニにぶつかる時代にさ、スーパーなんてのはやっぱ必要ないわけ。
 これえからはさ、後世に残すべきものをさ、俺等おっさん達が提供してかなきゃいけないと思うわけ」

昭和の日本に残された良い映画を上映すべく建てられた名画座「乙女座」。
第一回目の上映は、渋川たっての希望により「ピンキーとキラーズ・恋の季節」に決定した。
初日、初回上映。
客席には、出資に協力した友人・長田(ムッシュかまやつ)小池(横山剣)の2人だけ。
長田「渋ちゃんさぁ、チラシなんかはちゃんと配ったのかい」
渋川「チラシ?」
長田「宣伝しないとさぁ、それは駄目だよ」
小池「弱ったネこれ」


次回>>第2話「リニュアルオープンかよ!?」
389柴。 ◆shibatXtDE :04/01/20 01:58
長らく断筆していて申し訳ない。
>>383-385 乙だ!
390名無し職人:04/01/20 03:35
第2話「リニュアルオープンかよ!?」

「おねがいしま〜す。お〜ねがいしま〜す!」
駅前で声を張り上げる渋川。急遽作った手作りのチラシ。そのチラシはまるでスーパーのチラシそのものだった。
主婦が喜んで受け取り中身をみてがっくり。
はぁぁ〜。大きな溜息をついてはまた声を振り絞る渋川。
通りがかった学生の成瀬光一(注1)はチラシを受け取った側からクシャクシャと丸めてポイ! 激怒する渋川。
「やっぱ今の流行はワイヤーだよ、ワイヤーアクション。」光一の言っていることが全然分からない渋川。
チラシ配り成果なし。うなだれながら帰る渋川は川原で数人の学生からいじめられている光一を見つけ助ける。
光一を連れて乙女座に帰ってきた渋川は映画を見ていけと誘う。
「ピンキーとキラーズ・恋の季節」第2回上映。客は光一と長田と小池の3人だけ。
上映終了。
「どうだ! ワイヤー・・・なんとかなんてなくてもおもれえだろ。」
「・・・ふん! わかんねぇよ・・・でも・・・」
「でも?」
「なんでもねぇよ!」走り去る光一。

翌日の早朝。乙女座の前にやってきた渋川はなぜかゴジラの切り抜き看板がワイヤーで吊られて踊っている姿を目撃する。
「なんじゃこりゃぁ!!」
乙女座の屋上からひょっこり顔をだしたのは光一だ。
「おっちゃん。やっぱりワイヤーだよ。ワイヤーアクションさいこー!!」
「ばかやろう!!」


次回 >> 第3話「土砂災害!おかみ死す!」

(注1)配役なんですが「ごくせん」に出てたおでぶちゃんです。名前がみつけられんかった・・・。
391名無し職人:04/01/23 17:24
第3話「土砂災害!おかみ死す!」

長田が町内の福引で「鬼怒川温泉1泊2日ご招待券」を当てた。「乙女座作戦会議」の名目で渋川、
小池と3人で行くことになった。
途中、小池が冷凍みかんを買っていて発車に間に合わなかったり、長田が横川の釜飯を食いたがって
ダダを捏ねたりしながらなんとか到着。
ひなびた温泉旅館「湯ちゃん」はおかみの橋田きん(山岡久乃)が一人で切りもりしていた。相棒は
白猫のユウジロウだけだ。息子夫婦とは廃業を巡ってもめているらしい。
渋川達は旅館の中で1室だけきれいな装飾のされた部屋を見つける。
「探検だ! 特攻だ!!」渋川が制止するのも聞かず、小池が部屋に入っていく。仕方なく続く2人。
そこにあったのは、壁一面に貼られた故・石原裕次郎のポスター。そしてブロマイドや記念品の数々。
客には決して見せない笑顔をしているおかみと裕次郎の2ショット写真。
勝手に入ったところをおかみにみつかりしゃもじで叩かれる3人。おかみは裕次郎の大ファンであり、
生前、石原裕次郎が泊まったこの旅館を大切にしていたのだ。
話に聞き入っている中、長田が我慢できずに放屁。後ろで寝ていた猫のユウジロウがびっくりして大
暴れしてしまう。取り押さえようとしてユウジロウに引っ掻かれる3人。そして、ユウジロウはおかみ
が大切にしていたポスターを破ってしまう。
激怒したおかみはユウジロウを裏山に捨ててしまった。渋川がおかみさんに話しかける。
「おかみさん、ビデオだDVDだって時代だけどね、俺さ、やっぱ映画は映画館に限ると思うんすよ。
大画面とか音とかってよりも、なんか思い出はその、なんだ、心にあるのがいいなって・・」
渋川の言葉に一瞬足を止め、すぐに部屋に篭ってしまうおかみ。
その夜、鬼怒川一帯を豪雨が襲う。消防署から避難命令が出て慌てて逃げ出す3人。しかし、おかみの
姿が見えない。渋川が裏山におかみの姿を見つける。しかし、雨で危険な状態だと消防職員に止められ
てしまう。そして、土砂崩れが・・・。夜が明けた。懸命の捜索。現場には・・・白猫のユウジロウがいた。
* * *
乙女座 第3回上映「嵐を呼ぶ男」
客は長田と小池の2人と猫が1匹だった。

次回 >> 第4話「ひじぶつけた」
392名無し職人:04/01/28 18:20
第4話「ひじぶつけた」

乙女座の前で突然倒れた婦人、赤根麻衣子(鶴田真由)。渋川が介抱していると長田と小池がやって
くる。小池は麻衣子に一目惚れ。舞い上がること竜巻のごとく。
乙女座の館内で意識を取り戻した麻衣子は理由も言わずに慌てて出て行こうとする。必死に止めよう
とする小池。
「ね、ね、今いい映画がやってるんですよ。是非見て行ってくださいよ。」
強引な小池の誘いに渋々了承する麻衣子。しかし、席順をめぐって大騒動。今や野獣と化した小池を
抑えるため、永田が麻衣子の隣に座ろうとするが小池は譲ろうとしない。揉み合っている間に長田の
ひじが麻衣子の胸に触れてしまう。
「このエロおやじぃ!! 死ね、死んで麻衣子さんにお詫びしろ!!」
もはや発狂状態の小池。そこに麻衣子の旦那、銀二(石倉三郎)がやってくる。麻衣子の帰りが遅い
ことを問い詰める銀二。銀二のどうみてもスジ者風の格好にビビる長田。しかし小池は果敢に銀二に
戦いを挑み・・・帰り討ちにあう。
「負けらんねえよ!」あきらめない小池。そこに割って入ったのは長田だった。
「あんたがやってることは・・・エゴだよ、おせっかいだよ!」
「どけよ!」長田を殴り飛ばし銀二に襲い掛かる小池。あまりの迫力にびびった銀二のパンチは空を
きり、小池のパンチが銀二の顔面をとらえる。倒れた銀二に2発目を浴びせようとした時、麻衣子が
銀二の上に覆いかぶさった。
「やめて下さい! うちの人を・・・うちの人を虐めないでください!!」

* * *

乙女座 第4回上映「あ・うん」
お客は4人。上映中、小池のひじが長田にあたる。長田は一瞬ムッとするが、すぐに自分の体を横にずらした。
上映終了。長田が横の小池を見ると・・・小池は寝ていた。
「死ね! 死んで詫びろぉお!!」長田の絶叫が乙女座内に響き渡った。


次回 >> 第5話「エッチなのはいけないと思います!!」

393名無し職人:04/02/01 01:02
第5話「エッチなのはいけないと思います!!」

渋川はそわそわとしながら小脇にフィルム缶を抱えて乙女座にむかっていた。その渋川を尾行する影。
乙女座に着くと長田と小池が待っていた。
「ついに手に入れたよ!」
興奮気味の渋川がフィルム缶を開ける。そのラベルには「愛のコリーダ オリジナル・無修正版」の
文字が。
「ついにこれを上映する日がやってきたんだね。」長田の言葉にウンウンとうなずき合う3人。
「愛のコリーダ」はその過激な性描写で、公開当時は大幅な修正を余儀なくされた作品。芸術か?
エロか? そんなもの見る人間が決めるんだ、渋川はそう思っていた。
いよいよ上映日。客の入りも上々だ。渋川が緊張しながら上映を開始しようとした時・・・突如サイレン
が鳴り響き、黒服の人間が大挙して渋川を取り囲んだ。その中心の女性(田嶋陽子)は渋川の胸ぐらを
つかみ上映を中止するように言う。それは市民団体「女性差別映画根絶同盟」だった。
抵抗する渋川は小部屋に監禁され、説教をくらうことになった。
そして3時間後・・・憔悴しきった表情で渋川が現れ、大半は帰ってしまったが残った僅かなお客におわび
をして上映を再開した。観客の期待する問題のシーンが近づいた時、突如渋川はスクリーンの前に立ち
ぼかしなしの映像を隠すように飛んだり跳ねたりし始めた。唖然とする観客たち。
「エッチなのはいけないと思います!!」渋川は完全に洗脳されていたのだ。
静まりかえる場内。その時、長田が叫んだ。
「おかしいよ! こんなのおかしいよ!! 渋やん、目を覚ましてよ、こんなの映画じゃないよ!」
渋川はその動きを止め、その場にうずくまってしまう。
「やっぱり無理じゃない。やっておしまい!」女性の命令で黒服の男がフィルムを映写機から引き出し
火をつける。そして、何かに満足し、満面の笑みで引き上げていった。
「ごめん、みんなごめん。」涙をながして許しを請う渋川。
「渋やんのせいじゃないよ」長田がなぐさめる。
「見たいんじゃぁ! 理屈なんかあるかい! 見たいもんは・・・見たいんじゃぁ!!」小池が絶叫する。
場内から拍手が起こる。
この日、乙女座では映画は上映されなかったが、残った人々は朝まで映画談義に華を咲かせた。

次回 >> 第6話「こんなのムリ!!地底魔神と暴れ牛」
第6話「こんなのムリ!!地底魔神と暴れ牛」

コリーダ騒動も一段落したある日、渋川達の前に現れた一人の若者、誰あろうワイヤー光一であった。
「テメエ、何しに来やがった!」気色ばむ渋川を小池がなだめ、奥へと連れて行く。
残った長田が光一に耳打ちする。「渋やんはああ言ってるけど、ホントはオメエのこと心配してたんだからな」
「わかってるよ。それより今日はいいアイデア持ってきたんだ。おっちゃん達、3Dはどうだい?3D!」
「3D?」
「『地底魔神と暴れ牛』ってパニック映画があるんだけどさ、クライマックスの暴れ牛が突進するシーンで
 本物の牛をスクリーンの向こうから、飛び出させるのさ。」
「ムリ!! スクリーンが破けるだけに決まって・・・」「いや、待て!」
長田の声を遮るように、奥に引っ込んだはずの渋川が顔を出す。
「面白いかもしれんぞ。やるとなりゃあ『ポリゴン』だ」
「ポ、ポリゴン!? 渋やん、そんな難しい言葉をどこで・・・」
「この際意味はいい、ポリゴンいっぱい買って来い!」

かくして上映初日、今回は宣伝の甲斐もあって客の入りもまずまず。
ポリゴンは買えなかったが、スクリーン裏の牛のスタンバイはOKだ。
そして、いよいよクライマックスシーン。
映画の牛の突進に合わせて、スクリーンから勢いよく飛び出す暴れ牛。
当然のようにスクリーンはあっさり破れ、館内は阿鼻叫喚地獄絵図。
警察の事情聴取を終え、抜け殻のようになって帰ってきた4人。
その役目を不本意な形で終えたスクリーンの切れ端を拾い上げ、渋川が呟く。

「なんつーか、あれだな。ここまで予想通りだと逆に気持ちいいわな」

次回 >> 第7話「セックスと嘘と高木ブー」
395名無し職人:04/02/01 03:32
第6話「こんなのムリ!!地底魔神と暴れ牛」

渋川(矢沢永吉)が映画館をオープンして3ヶ月が過ぎようとしていたがその間の客数はあいかわらず散々だった。
小池「やばいネ。これ」
長田「渋ちゃん。なんかいい案ない?」
渋川「まあこれ見てくれよ!」
二人「ウォー!ゴジラかあ〜」
渋川「やれCGがどうたらというけど。やっぱり日本の特撮映画といえばこれだよな」
その日三人はそれぞれの怪獣映画にかける思いを熱く語った。

しかし、次の日泥棒が入ってゴジラのフィルムを盗まれてしまった。
動揺する三人の前に光一(脇知弘)がやってきた。
光一「おっちゃんどうしたの?」
事情を話した渋川に光一は言った。
光一「困ったときはお互い様だよ!おれ自主制作で映画撮ってるんだ。かわりにそれ上映すれば」
渋川は背に腹は変えられないとなけなしのお金でその映画『地底魔神と暴れ牛』を買い取った。

映画の中身はそれはもう悲惨なものだった。
地底魔神(内山君)とワイヤーでつながれた光一(脇知弘)がほとんど裸同然で戦っていた。
長田「こんなの絶対ムリだよ!」
小池「これはひどいネ」

しかし予想に反してこの映画は一部のデブホモマニアに爆発的に受けてこの館始まって以来の大ヒットとなった。

しかしこの話はこれからはじまる伝説の序章でしかなかったのだ。。

次回 >>第7話「セックスと嘘と高木ブー」
396名無し職人:04/02/01 03:34
うわあ〜作ってたらかぶってた。。。
397TβS放送協会:04/02/01 03:39
>>396 前にはよくあった話だ。
一応ストーリーの流れは>>394優先、
>>395はパラレルワールドということで。ひとつ。
398TβS放送協会:04/02/01 03:44
〜ここまでの放送〜 参考>>387
第1話>>388 第2話>>390 第3話>>391 第4話>>392
第5話>>393 第6話>>394

399名無し職人:04/02/01 18:02
第7話「セックスと嘘と高木ブー」

ある日、渋川(矢沢永吉)は別居中の妻、陽子(余貴美子)と伝説のギャルソン(松本幸四郎)がデートしているのを目撃する。
渋川「おいこいつ誰だよ!」
陽子「そんな言い方やめてよ!この人はその・・・」
渋川「おいお前!うちの妻とどういう関係なんだよ!」
男「毎日のように何回もセッ・・・」
陽子「この人はね。伝説の映画館オーナーの五郎さんよ。相談にのってもらってたの」
渋川は乙女座に謎の男を招待した。
男「この店は最低です。大体このジュースは何ですか?高すぎる!!私は師匠から教わりました。
  聞いたことのないメーカーのコーラはメチャメチャ安いと。。
  あとお客様は王様ですが。王様のなかには外国の歌に日本語で歌う奴も大勢いるとね。。」

調子に乗ってしゃべりまくる謎の男の発言を必死にメモする渋川。その様子を心配そうにみている小池と長田。
男「私が来たからには安心しださい。フランスのマドマアゼル劇場にも負けないぐらいの一流の映画館にしてみせましょう!」
雷にもうたれたような衝撃をうけて目を輝かせる渋川だった。。
小池「駄目だこりゃ!」
長田「バンバンババン〜バンババンバンバン〜騙されるなよ!」

ナレーション(森本レオ)
〜伝説のギャルソンの助言によって乙女座は伝説の映画館に大きく変わっていくことになるのだが・・・それはまた別の話・・・〜

次回>>第8話「借金とりがやってきた」
400名無し職人:04/02/07 04:30
第8話「借金取りがやってきた」

伝説のギャルソン・五郎は乙女座をイタリア調の家具や絵画で埋め尽くした。一躍、おしゃれな映画館
に変貌する乙女座。リニューアルにかかった費用は1000万。びっくりする渋川に「のープロブレム」と
言って現金で支払いをする五郎。翌日から五郎は姿を消した。
渋川のもとに悪徳ファイナンスの君島(安岡力也)がやってくる。五郎が借りた乙女座名義の借金が
5000万もあった。
五郎に騙され絶望する渋川。乙女座の権利書と五郎が揃えた調度品や絵画を持ち出す君島と部下たち。
「こんな3流の絵ばっかりじゃ全然足りねぇな。しょうがねぇ、これももらっていくか」
そう言って君島は映写機とフィルムを持ち出そうとする。
「待て! そ、それは…それだけわ!!」
君島に必死にすがりつく渋川。
「なんだ? 借金を返せないからって力ずくかい? どうしようもねえな、貧乏人は!」
「なんと言われようがそれだけは、それだけは渡せねぇ!!」
「おもしれぇ。俺様に勝てるとでも思ってるのかい?」
「スーパー出身をなめるなよ!!!」
ドカガスドカガスバキィ!ドカ!!! ・・・・30分経過
「ハァハァハァ・・・・しつこい親父だ。今日のところはこれは勘弁してやるよ・・」
ボコボコにされた渋川は、映写機とフィルム缶を抱きしめて意識を失った。
****
翌日、君島がやってきて乙女座の権利書を渋川に放り投げた。
「どういうことだい?」びっくりする絆創膏だらけの渋川。
事の説明を始める包帯だらけの君島。なんと五郎が揃えた家具も絵画もほとんどが3流モノの贋作だったが
1点だけ「マーシーフェイク」と呼ばれる本物よりも高い値段で取引される贋作が混じっていたのだ。それ
によって乙女座の借金はチャラになるというのだ。
「まったく・・・あんたは悪運が強えよ」
「へっ・・・・・・・・・、スーパー出身をなめるんじゃねぇよ・・・」
フフフ・・ハハハハハ・・・・・アーハッハッハッ!! 2人はいつまでも笑いあっていた。


次回 >> 第9話「ハリウッドマジックのすべて」
401名無し職人:04/02/07 11:46
第9話 「ハリウッドマジックの全て」

借金騒動が一段落した後、陽子(余貴美子)が乙女座を訪ねてきた。
陽子「あの人が随分迷惑かけたみたいね?」
渋川「いいよそんなことお前が気にしなくても。それに君島さんと仲良くなれたおかげで来週この館にあの引田天功がやってくるんだぜ」
陽子「そう。。。男の人はいいわよねえ。殴り合いの中でいい関係が作れるから。。。」
渋川「俺は。。ホラッ。。男以外だってそのいい関係つくれるよ。来週絶対来てくれよ!付き合ってるハリウッドスターのこと聞けるかも知らないぜ!」
陽子「そうね。マジックには興味ないけどその相手が誰か?は凄い気になるわね」
渋川「だろ!絶対来いよ!」

小池と長田が心配そうに見守る中、渋川は必死に陽子を説得していた。
小池「陽子さんやっぱりあの事まだ気にしてるんだな」
長田「そりゃあ〜そうさ。忘れたくても忘れられるもんじゃないよ・・・」

翌週、引田天功(本人)や若い男たち(村井克行 他)がやってきて乙女座は開館以来の記録的大入りとなった。
スクリーンを真っ二つに破いたり、スクリーンから大量の牛を出現させたり見物にやってきた光一(脇知弘)を空中遊泳させたりとそれは
まさにハリウッドマジックそのものだった。

しかし渋川には3つの問題が残った。
1つは別居中の妻、陽子が結局、姿を現さなかったこと
2つ目は結局引田天功の恋人の存在を確かめられなかったこと
そして最後は引田天功のギャラだった。君島(安岡力也)から格安と聞いていた出演料は諸経費こみで二千万円を超えていた。

渋川「おいおい聞いてないよ!それにスクリーンやっぱり破けたままだし。あのデブは空中から落ちて骨折するしおまけになんだよこの請求金額はよ!」
君島「大体ワイヤーもなしにあのデブが浮くわけないだろ!これで1勝1敗になったわけだな。
   いいかマジックとうまい話には必ず種があるんだ!よ〜く覚えとけ!ホタテをなめるなよ!」
渋川「・・・」

乙女座は開館以来の大ピントとなってしまった。。。

>>第10話「ドルビーサラウンドの誘惑」
402名無し職人:04/02/07 17:18
第10話「ドルビーサラウンドの誘惑」

破れたスクリーン、増える借金。途方に暮れる渋川の前に松葉杖をついた光一が現れた。
「おっちゃん! 音ゲーだよ音ゲー!! 知ってっか!? えれぇ流行ったんだよ。これだよ、
ぜってぇ〜いけるって!」
スクリーンが無いのなら画を出さなければいい。光一のコロンブスの卵的発想にびっくりする渋川。
こうして『音だけで感じる映画』の実験が始まった。
「だ、だめだ! 臨場感が足りない。画がない分を補うには、これじゃあだめだ…」
「おっちゃん! ドルビーだよ、サラウンドだよ!!」
「なんだよサラウンドって・・・」
「いやぁ〜、俺も良く知らないんだけど、とにかく…四方八方から音が飛んでくるんだよ」
「四方八方から…」
こうして乙女座ではサラウンドの特訓が始まった。館内の4隅に渋川、長田、小池、光一が立ち、映画
にあわせて声をだした。
「だめだよ光一! そこはフユルルルル…じゃなくてテューリュリュだ! 長田! 雷の時はもっと激しくヘ短調で!
小池! 英語の発音が間違ってるぞ、そこはロシア語だ! 心を一つに! ハモるんだ!!」
・・・・血の滲む様な特訓だった。皆、喉を涸らし、血を吐きながらサラウンドに取り組んだ。

* * *

「だめだ、どうしても・・・どうしても高音部が足りない・・・俺たちじゃこれ以上高い音が出せない・・・」
・・・・ガクッ、膝をつく渋川。その時、
「ラ〜ラララ〜〜〜ラララ〜ラララ〜ラ〜〜〜〜」
乙女座の館内に澄み切った歌声が響いた。歌声の主は陽子だった。
「こんな私でも・・・・・まだ、あなたのお役に立てるかしら・・・」


次回 >> 第11話「映画のCMでバカな感想言ってるアホどもを皆殺し!」


403名無し職人:04/02/07 19:38
第11話「映画のCMで馬鹿な感想を言ってる奴を皆殺し!」

世界初のドルビーサラウンド無画映画は爆発的なヒットとなった。それというのも
カリスマ的人気女性雑誌のライター、キャシャーヌ澤田(木村多江)の記事を見て若い女性が多数来場したのだ。
渋川「ありがとうこれも全部お前のおかげだよ」 陽子「いいのよ。借金の原因は私にもあったんだから・・・」

しばらくして光一がやってきて引退したいと言い出した。
光一「おれこの劇場に来ておっちゃんらから映画の素晴らしさいっぱい教えてもらった。やっとやりたいことが見つかったんだ。
   本場のハリウッドにいって本格的に映画を学ぶことに決めたよ!」
小池「いいヨ!お前元からメンバーに入ってなかったし・・・」
長田「それよりお前、お金あるのか?」
光一「て言うかおれの親父任天堂の社長だし。お金ほしいとおもったことねえよ」
みんな「・・・」
冗談を言いながら笑いあう五人であったがこのメンバーで会うのはこれが最後となってしまった。。。

長田がしばらくして喉の癌で他界した。奥さんの話では本人も自覚していたらしいが医者の制止を振り切って親友の渋川のために声を張り上げてくれていたのだ。
小池も本業がおろそかになってしまいある日突然夜逃げした。仕事内容を全く知らなかった渋川だったがいなくなって初めて知った。
「世の中にこんな胡散くさい仕事があったのか。。。」

渋川がキャシャーヌ澤田にそのことを話すと
澤田「いいじゃない。この話ものすごい面白いじゃない!いっそのこと映画にしましょう!」
かくして半年後、乙女座の奇跡は任天堂の前面バックアップによりかなりの脚色で映画化された。「オトメ・ザ・サムライ」として・・・
渋川・・・役所広司 陽子・・・鈴木京香 長田・・・長塚京三 小池・・・渡辺謙 そして。。。
客1「感動しました。となりで泣いてる彼氏をみてもっと泣きました」
客2「キムタク最高!!」
客3「おすぎです。キムタクのそして邦画最高の傑作が誕生しました。これを観なさい!後悔はさせません」
渋川「なんだかなあ〜あのヤローおいしいとこ全部もっていくか」
渋川が映画の試写会から帰ってくると陽子とそしていなくなった小池からそれぞれ手紙が来ていた。。。

次回>> 最終話「男と女のいる舗道」
404KEL:04/02/10 18:13
最終話 「男と女のいる舗道」

渋川はとりあえず外国から来ていた小池の小包を開けてみた。
(俺はいまアルゼンチンで鉱山の発掘をやってるヨ!ビバ!!マラドーナ!!そこで飛び切り素敵なダイヤモンドを
二つ発見したのでとりあえず1個だけ送るヨ!機会があったらまたみんなで集まろう。  愛という名のもとに。。 )
渋川「この台詞なんかでみたことあるぞ。。本当あいかわらず胡散臭い奴だなあ〜」
ポツリとつぶやくと今度は切手の貼ってない陽子の手紙を開けた。
(いろいろ考えましたけど、やっぱりあなたと一緒に暮らす気にはなれません。陽子)
渋川は送ってもらったダイヤモンドを片手に陽子を追って走り出した。(間に合ってくれ!)とダイヤに祈る。そのときほのかに光るダイヤ。。。

渋川が舗道を走っていくとそこには見覚えのある顔があった。声を失う渋川。。。
「おっ。。お父さん。。」
それは十年前、渋川と殴り合いの喧嘩をして家出して夫婦の不仲の原因となっていた娘の乙女(星野真理)だった。乙女はずっとロサンゼルスでヘアメイクの仕事をしていたが日本人の成金新人映画監督にストーカーされて
一時アルゼンチンに国外逃亡していた。そこにたまたま小さい頃からよく遊んでいた小池と出会い今の渋川たちのことを聞いて心配になって日本に帰ってきたのだ。
「お父さん、ごめんなさい。いままでずっと心配かけて」
「おれの方こそあの時はすまなかった。ついカッとなってフルネルソンのまま放り投げてしまって。。。首は大丈夫だったか?」
なぜか今日は素直になる二人

その様子を疲れ果てて歩いていた、いるはずのない陽子が近づいてくる
陽子「なんか今日は変なのよ〜バスもタクシーも全然拾えなくて。。。」
遠くからは君島(安岡力也)が照れた笑顔で札束を振っていた。 
渋川「そういうことだったのか。。。」
渋川は君島に軽く一礼した。
405KEL:04/02/10 18:16
十年ぶりに再会を果たした三人はその足で伝説の映画館『乙女座』に。。。
渋川「見てくれ!これが父さんがずっと夢見ていた映画館だ。あの日お前に夢の話をされてからずっと考えていたんだ。俺にも昔、夢があったんだって。。」
陽子「あなた。。。」 
乙女「お父さん」
映画のワンシーンのように抱き合う三人。
渋川「この映画館もようやく俺が目指していた一流の映画館になりそうだよ」

そこに再びあらわれた伝説のギャルソン(松本幸四郎)

男「この映画館が一流ですって?笑わせないで下さい。大体なんですか?この小さい肘掛けは?カナリアでももう少し大きなスペースを欲しがりますよ!
  シートも固いし一見高い物を使っているようですがこれはマネーの虎の堀の内社長からゴミ同然で買った中古の安物です。プロの目はごまかせません。
  この映画館はまだまだイタリアのバッジーオ劇場には遠く及ばない三流以下の薄汚れた映画館だ!!それに。。」

渋川「。。。あのヤロー!また出てきやがった今度こそぶん殴ってやる」
乙女「お母さん。。お父さんを止めて!」」
陽子「今回は仕方ないわね〜」

ナレーション(森本レオ)
その日、下町の映画館『乙女座』に本当の奇跡が舞い降りた。このあと伝説のギャルソンによって乙女座は今度こそ開館以来の最大のピンチを迎えてしまうのだが。。。それはまた別の話・・・
406KEL:04/02/10 18:19
〜出演〜

矢沢永吉
余貴美子

ムッシュかまやつ
横山剣

星野真理
脇知弘

鶴田真由
石倉三郎・木村多江
引田天功
山岡久乃(特別出演)

安岡力也

松本幸四郎

(ナレーション)
森本レオ

制作:TβS放送協会
407名無し職人:04/02/10 21:50
完結乙!
こういうネタは落ち着くね
408名無し職人:04/02/11 00:56
ネタ拾いあげ

「寝台特急北斗星殺人事件」
第1話「電車のトイレは落ち着かない」
第2話「なかなか寝られない」
第3話「修学旅行生が騒々しい」
第4話「こうるさいがきどもを皆殺し」
第5話「生活指導教師の応戦」
第6話「担任の思わぬ反撃」                   
第7話「担任、吼える」
第8話「車掌、出動」
第9話「女子の恋話」
第10話「やっぱりバスだよね」
第11話「先生!古内君が具合悪いって!」
第12話「古内、散る」
最終話「そして、伝説へ・・」

春の連ドラ「仮面ライダーケロッグ」
第1話「出現!怪人コーンフロスティー!」
第2話「ライダー死す!?変身ポーズは忘却の彼方!」
第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」
第4話「怪人スプーン男の涙」
第5話「もぉうガマンできな〜い」
第6話「止めてくれるなおっかさん」
第7話「そして旅に出た」
第8話「登場!5人目のライダー」
第9話「レッドライダー、死す!!」(仮)
第10話「密着!仮面ライダー24時!」
第11話「仮面ライダー女に走る」
第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」
第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!」
最終話「カミングアウト」
409名無し職人:04/02/11 00:57
「二等辺三角形の旅路」

第1話「ピラミッドめざして」
第2話「公式を忘れたのは誰だ!?」
第3話「四角形になりたい」
第4話「台形さんこんにちは」
第5話「とがった性格」
第6話「○の逆襲」
第7話「ハ○ー♪の行方」
第8話「俺の名はアルキメデス」
第9話「楕円の神秘」
第10話「必殺直角切り!」
第11話「さよなら正三角形」
最終話「不運!コンパスに刺される!」


「俺の彼女はあいつのあいつ」

第1話「上見て暮らすな下見て暮らせ」
第2話「彼女の背中にジッパーが」
第3話「やさしく脱がして」
第4話「練り物中心の晩ご飯」
第5話「サイズが2倍に」
第6話「人にやらしく」
第7話「お味噌汁の具論争」
第8話「青い目の刺客」
第9話「衝撃!彼女はスナイパー」
第10話「標的に永遠の安らぎを」
第11話「大学に潜む罠」
最終話「あいつとか気安く呼ぶな」
410奪三振:04/02/11 01:11
おお、自分が書いた番組がドラマになってる。
作者の方々乙です。これからも頑張ってくださいませ。
411TβS放送協会:04/02/11 01:22
仕事を忘れとった。

「下町人情映画館」
第1話>>388 第2話>>390 第3話>>391 第4話>>392
第5話>>393 第6話>>394 第7話>>399 第8話>>400
第9話>>401 第10話>>402 第11話>>403 最終話>>404-406

イイヨ!

>>410 そうだったのネ!
>>408-409 乙。
この中から何が始まるのかは、1話職人次第だ!
412名無し職人:04/02/15 02:03
新番組

「俺の彼女はあいつのあいつ」

第1話「上見て暮らすな下見て暮らせ」
第2話「彼女の背中にジッパーが」
第3話「やさしく脱がして」
第4話「練り物中心の晩ご飯」
第5話「サイズが2倍に」
第6話「人にやらしく」
第7話「お味噌汁の具論争」
第8話「青い目の刺客」
第9話「衝撃!彼女はスナイパー」
第10話「標的に永遠の安らぎを」
第11話「大学に潜む罠」
最終話「あいつとか気安く呼ぶな」
413名無し職人:04/02/15 02:05
第1話「上見て暮らすな下見て暮らせ」

バレンタインデーにチョコでなくシチューを持ってきた女、今西響子(仲間由紀恵)と付き合い始め
た大学生の神代辰吾(伊藤英明)。タッパに溢れんばかりのシチューを持ってきた姿があまりに
おかしかったからか、それとも響子のちょっと影のある仕草に魅かれたのか、それは本人にもよく
分からなかった。
ある日、辰吾は交通事故に巻き込まれてしまう。
病院で意識を取り戻した辰吾の前には妹の千草(宮地真緒)と響子、そしてもう1人・・・黒い帽子を
かぶり、背中に黒い羽をつけ、大きな鎌を持った女性(山口智子)が・・・。
「あの・・・どちらさまで?」
「わたしは死神death!! ・・ってわたしが見えるんdeathか??」
死神と名乗った、どうみてもただのコスプレ女に事故後で意識が混濁する辰吾は「ああ、ついにお迎え
がきたのか・・」と妙に納得して目を閉じた。
「・・・もう! お兄ちゃん!! いつもボーッとして上ばっかり見てるから車に轢かれちゃうんだよ!!」
耳元で大きな声が聞こえ、骨が折れんばかりに体を揺すられる。妹の千草だ。千草の声にはっきりと
意識を取り戻す辰吾。目の前にはやはり死神が立っていた。
「なあ千草・・・あれなんだけど・・・」死神を指差す辰吾。
「なに? 頭打っておかしくなっちゃった???」困惑する千草。
「普通の人にはわたしは見えないdeath!!」
『です』に変なアクセントをつけて喋る死神は人差し指を辰吾の方に向けて『チッチッチ』と舌を鳴らす。
「まあ安心するdeath! わたしが迎えに来たのはあなたじゃないdeath! わたしのお客さんはこちら
death!!」
死神の鎌が響子の首筋にあてられ鈍い光を放った・・・。


次回 >> 第2話「彼女の背中にジッパーが」
414奪三振:04/02/15 11:40
第2話「彼女の背中にジッパーが」

「やめろ!」
辰吾は叫んだ。今意識を取り戻したとは思えないほどの声で。
すると鎌は、死神は動きを止めた。そして、不思議な顔で言った。
「何故death?何故止めるのdeath?」
相変わらずの妙なアクセントに閉口しながら、辰吾は言った。
「好きだからだよ」
突然の辰吾の言葉に呆然とする一同を見ながら、ああ、こいつは俺しか見えてないのか、じゃあ俺ははたからみれば変人なわけだ、
などと思いながら、辰吾は続ける。「好き奴には死んで欲しくない。当たり前の事だろ」
そして辰吾は自分の台詞に照れて黙った。沈黙。それを破ったのは死神。
「分からないdeath」死神の、辰吾を見つめる目が真剣さを増す。
「分からないdeath」さらに、増す。
その時、慌しい足音が聞こえ、果たして病室のドアが開いた。
「辰吾、ちゃんと生きてるー?」
入ってきたのは同級生の高野慶子(深津絵里)だった。
「ホントだらしないんだから、あんたは」
「…お前は相変わらずタイミング悪いな」
「は?何が――」
次の瞬間、信じられない出来事が辰吾を襲った。
死神が慶子の後ろに素早く回り、その鎌を振り下ろしたのだ。
今度は止める間も無い。辰吾は目を瞑る。だが、すぐに開く。
そこにあったのは、これまた信じられない光景だった。
慶子の背中が開いていた。といっても、血やら臓器やらは出ていない。でも、確かに開いている。
背中に一本線が入り、そこがジッパーのようになっていて、今まさに死神がそれに入ろうとしていた。
もうここまでくると声は出ない。辰吾は再び目を瞑った。
「辰吾」
呼びかける声は死神の声。辰吾は静かに目を開けた。慶子がいた。
「こんにちわdeath」
目の前が真っ暗になった、気がした。

次回 >> 第3話「やさしく脱がして」
415名無し職人:04/02/15 13:25
第3話「やさしく脱がして」

「うわぁぁ〜〜〜!」不条理な出来事に錯乱した辰吾は慶子に飛びかった。
「高野ぉ〜、今助けてやるからな」
辰吾は慶子の背後に回る。さっき空いたはずの穴は痕跡すら残っていない。それでも辰吾は慶子の
中に入ったであろう死神を取り出そうと慶子の服をたくし上げ背中をあらわにしようとする。
「なにするdeath! だめdeath! エッチdeath! もっとやさしくするdeath!!」
慶子?が叫び声を上げる。
「お兄ちゃんのバカぁあ!!!!」
辰吾の行動を見かねた千草が、横にあった洗面器で思いっきり辰吾の頭を叩く。気絶する辰吾。
今西響子は一連の騒動に動じることもなく、部屋の片隅でりんごをむいていた。
「てへ! うさぎちゃんだぞ〜。一人じゃ寂しいよね? 今、友達も作ってあげるからねぇ〜」

* * *

「辰吾ぉぉ! 無事か? 死んだか? 死んだな!? 大丈夫だ、安心しろ! お前が死んでも
千草さんは俺が命をかけて守るからな! 辰吾ぉぉ! 死んだか?」
けたたましく病室のドアを蹴破って入ってきたのは「自称」日本一熱い男、山本正義(山田孝之)。
辰吾の大学の友人で千草に猛烈なアタックをしている男だ。千草は見向きもしていないのだが…。
「千草さ〜ん!! ご無事ですか!!!!」
「出ていけ〜〜〜〜〜〜!!!」
千草の逆鱗に触れ退散する正義。
正義の蹴破ったドアの下敷きになる慶子(死神)。
今西響子は相変わらずりんごをむいていた。すでにシルバニア・ファミリーと張り合えるぐらいの
りんごのうさぎ達が出来上がっていた。

416名無し職人:04/02/15 13:26

* * *

「・・・・さん・・・・・辰吾さん・・・・・・大丈夫?」
辰吾はようやく目を覚ました。目の前には響子がりんご(うさぎ仕様)を両手に持って立っていた。
「ああ、なんだ夢か・・・」辰吾は響子の手からりんごを食べさせてもらいながらそう思った。
「辰吾さん、大丈夫・・です・・か?」うつろな辰吾に響子が話しかける。
「です・・か・・・・・・・・です?・・・・・death??? ・・・・・・で〜〜〜〜す!!!!!!!」
突然、辰吾はベッドから飛び起きて響子に掴みかかった。
「お兄ちゃんのバカ! お兄ちゃんのバカ! お兄ちゃんのバカぁぁぁあああああ!!!!!!」
千草はベッドの下にあった一斗缶で辰吾を叩きまくった。
意識を失いながら辰吾は死神の声を聞いた。
「なかよくするdeath! しばらく一緒にいるんdeathから・・・・・」


次回 >> 第4話「練り物中心の晩ご飯」
417名無し職人:04/02/19 01:46
第4話「練り物中心の晩ご飯」

病院で大騒ぎしたため辰吾への面会を打ち切られ、千草たちは渋々帰ることになった。
「落ち着け落ち着け、よ〜し、深呼吸だ! 吸ってぇ〜吐いてぇ〜〜〜吸ってぇ〜吐いてぇ〜〜
吸ってぇ〜〜吸ってぇ〜〜吸ってぇ〜〜吸ってぇ〜〜〜〜ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!!!!!」
辰吾が一人上手をやっていると目の前にどこから忍び込んだのか慶子(死神)が現れた。
「おかしいdeath!! でれないdeath!!」
辰吾をからかうために慶子の中に入ったはいいが、ドアの下敷きになったショックで出れなく
なったらしい。
「これじゃ仕事ができないdeath! 部長に叱られるdeath!!」
どうやら慶子から抜け出さないと死神としての仕事、響子を殺すことはできないらしい。
ちょっと安堵する辰吾。しかし、響子は死ななくても慶子がこのままでもまずい。
「まあ、人間の中に入っていられるのは1週間death、それがすぎれば自動的にでられるはずdeath!
だからそれまであなたが面倒をみるdeath!!」
なぜ自分の恋人を殺そうとする死神の面倒をみなくてはならないのか・・・しかし慶子も放っておけない。
それよりもあのうるさい千草をどう説得して慶子をここにおけばいいのか・・・それ以上に響子は
許してくれるのだろうか・・・・様々な事を考えすぎて気持ちが悪くなる辰吾であった。
「助けて辰吾・・・あなたが好きなの・・・どうしようもなく好きなの・・・・・」
「こら死神!! 卑怯な手段を使うな!!」
「ちがいま〜す。これはこの人のほんとの気持ちdeath!!」
「えっ!? 」
418名無し職人:04/02/19 01:47

夕飯が運ばれてきた。外傷だけで特に病院食の必要のない辰吾の食事。そこには山盛りのハート型の
さつまあげがのっていた。どうやら響子が病院に手をまわしたらしい。片側に「辰吾」、もう一方に
「響子」と焼印が圧してある。どうみても手作りだ。
「やっぱ、裏切れないよなぁ〜〜〜」
響子の想いを感じながらシミジミと手にしたさつまあげを見る辰吾。
「さつまあげdeath! だいこーーぶつdeath!! よこすdeath!! ハグハグハグ・・・バクバクバク・・・・・・
パクパク・・・・・・まずいdeath! 毒でも入っているかのようdeath!!」
「全部食ってから言うなぁ!!」
辰吾は自分の手に残った最後のさつまあげを口に運んだ。
「もぐもぐ・・・・ウッ! うまいじゃん!!」


次回 >> 第5話「サイズが2倍に」
419名無し職人:04/02/23 01:48
第5話「サイズが2倍に」

翌朝、千草は響子と一緒に病院にいくため響子の家を訪ねる。
特に恭子と仲が良いわけではない。ただ、なぜか響子の単独行動を阻止したかった。
響子の家は古びた洋館で、なにかひんやりとした雰囲気を持っている。
呼び鈴を押しても返事がないので千草は横に周った。そこは何かの倉庫のようだった。
半開きの扉から中をうかがうと、そこでは響子が変なまじないを唱えながら、なにか怪しい
ものをこねていた。響子は自分の指を剃刀で切ると、その血を練り物の中へ垂らした。
怪しい光景に足がすくむ千草。千草の存在に気づいた響子はゆっくりと千草に近づいてくる。
響子は千草の額に指を突き立てた・・・
「〜エロエロエッサイム・エロエロエロポン・・・・・あなたは今のことを忘れる。次に目を開けたときあなたは
何も覚えていない〜エロエロエクザイル・エロエロエロポン」

・・・やがて千草は目を開けた
「あれ? あたしどうしたんだろ?」
「どうしたの千草さん? さあ病院にいきましょ」
「はい。あれ? それってもしかしてお弁当ですか?」
「ええ・・・」
「かぁ〜〜〜、お兄ちゃんにはもったいないよなぁ〜〜〜ハハハ」
そういいながら千草は、自分が作った弁当をかばんの奥に押し込むのであった。

* * * *
420名無し職人:04/02/23 01:49

病院。辰吾の横でポテチをつまみながら朝のワイドショーをみている慶子(死神)。
テレビの司会者の髪の毛の生え際が不自然だとか喚いている。まるっきり主婦だ。
「おい、死神。なんで響子は死ななければいけないんだ!」辰吾がポテチを取り上げて質問する。
「そんなこと教えられないdeath。死神にも守秘義務があるdeath! 契約death!!」
「契約?? なんだよ契約って?」
「契約は契約death! 彼女は我々と契約を結んだdeath、それでわたしは代金を取りにきたdeath!!」
「なんだそれは! 響子はお前に何を頼んだんだ!!」
慶子(死神)の首を絞める辰吾。
「NO! チョークチョーク!! そんなことされたら・・・出ちゃうdeath!!」
「なんだ? なにが出るんだ!?」
さらに激しく慶子(死神)の首を絞める辰吾。
「出ちゃう! 出ちゃう!・・・本音が・・・・でちゃう・・・ガクッ・・・」
突然うなだれる慶子(死神)。しまったやり過ぎたか、と慌てた辰吾が慶子(死神)の肩を揺する。

すると慶子はその手を跳ねのけてベッドの上で辰吾に馬乗りになる。
「おかしいわ! おかしいわよ!!」
それはまさしく慶子の声だった。死神に乗り移られる前の・・・
421名無し職人:04/02/23 01:51

「だってそうでしょ? おかしいでしょ? 辰吾! あんたさ、あたしの事が好きだったんじゃないの?
そりゃあさ、確かにあたし達、スキだ・・・とか、愛してる・・・とか確かめあったことなんてなかったけどさ、
いつも一緒にいたし、買い物にも行くし、映画も一緒に見るし、ご飯も一緒だし、まぁ、あの小姑の
ような妹がおまけでくっついてくることも多いけど、これって付き合ってるて事なんじゃないの??
手だって、つないだことあったじゃん・・・1回だけだけど・・・・キスもさ・・・ニアミスならあったじゃない!
あたしさ、この自然な雰囲気がいいって、そう思ってたわけ! それが、それが! な〜〜〜によ! 
あの響子とかいう女! バレンタインにシチューなんて持ってきちゃってさ! 
あんただってあれもらった後、大爆笑してたじゃない! 変な女にひっかかっちゃた、ぐらい言ってた
じゃない! あたしの手作りチョコに大袈裟にびっくりしてくれたじゃん! そりゃあ、まあ、あれだ、
あのチョコが・・・失敗作だったことは認めるわよ。砂糖と間違えて塩をいれるなんてお約束かましたのは
謝るわよ! ええ、ごめんなさい、す・い・ま・せ・ん・で・し・た!! なに? あのシチューがそんな
においしかったの?? 次の日になったら、今までのことはぜ〜〜〜んぶイニシャライズして〜〜平然と
あの女と付き合い始めるってどういうことよ!! あたしに何の断りもしないでさ!! あんな事されたら
辰吾と付き合ってるのはあたしよ、とか言って出て行ったらあたしがバカみたいじゃない! そうでしょ?
あの女のどこがいいのよ? そりゃあ、ちょっとは、美人?とか思うけど、貧乳じゃん! 胸ならあたしの
方があるわよぉ! ほら! 触っていいのよ、辰吾! あんたにならいくらだって触らしてあげるわよ。
ホラホラ! いつだってあたしは準備万端だったのよ? 知ってた? 下着だっておニューをたくさん
揃えたんだから! あんたの好きな水色で準備してたのに! この鈍感男! なによなによなによ!!!
言いなさいよ! 白状しなさい! あの女とはもうやったの? どこまでやったの? あんな事とか、
そんな事とかやっちゃたわけ? 言え! 言え! このやろ〜〜〜〜〜!!!!」
422名無し職人:04/02/23 01:53
「慶子・・・・・・・・く、く、苦しいって!!」
「ハァハァゼイゼイ・・・」慶子は辰吾の首を絞めていた手を離した。「だから出ちゃうって言ったdeath!!」
「ふざけんなよ、この死神が! 下手な芝居しやがって!」
「ほんとdeath。今のはこの体の持ち主の本音death! まあいつもより2倍ほど多く出してみましたけど」
「長いんだよ! でも・・・そうだよな・・・俺・・・慶子のこと好きだったような・・・そうじゃないような・・・
あれ? なんだろ?? この頭の中にかかる霧のようなものは?」

ドサッ!! 
千草はショックでバックを落とした。ベッドの上で辰吾の上に馬乗りになっている慶子(死神)を見たからだ。
「お兄ちゃんの〜〜〜〜バカ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
泣きながら病室を飛び出す千草。響子はゆっくりと近づいてくるといきなり慶子(死神)をベッドの下に
突き落とした。
「いや、響子、あの、これは違うの、誤解、誤解だよ」
「はい、朝食もってきました。食べてください」
「は、は、はい・・・」
響子の静かな口調におされる辰吾。お弁当は竹輪だった。通常よりサイズが2倍ほどでかい。
響子は無言の圧力で辰吾の口に竹輪を詰め込む。
「ハグハグ・・・う、うまい! やっぱり響子の料理は最高だよ!」
「そう。よかった。」
「ハグハグ・・・う、うまい! 響子、好きだよ! 愛してるよ!!!」
ベッドの下に転がった慶子(死神)は下から、そ〜と手を伸ばして響子が持ってきた竹輪をつまみ食いする。
「この竹輪・・・まずいdeath!!」


次回 >> 第6話「人にやらしく」
423奪三振:04/02/24 00:46
「千草さ〜ん!!!!!!」
「お兄ちゃんーーーー!!!!!!」
「うるせえーーーーー!!!!!!」
正義を追い払ったり、千草と言い合ったりと何かと騒がしい病室だが、辰吾はそんな毎日に少し充実感を感じていた
だが、響子や慶子(死神)の事を考えると憂鬱な気持ちになり、響子が作る料理も美味しく感じられなくなるのだった…。

* * *

うるさい正義をいつものように追い払った辰吾は、一息つこうと一人屋上にあがる。
「あーあ、俺これからどうなるんだろう」
煙草の煙を吐き出し、ふと夜空を見上げる。広がる夜空。あの向こうにはあの世があるのかもな。
すると浮かぶ死神の姿。続いて慶子、響子、千草、正義…はすぐにかき消す。
「ホントわけわかんねえよなあ」
などと、煙と愚痴とを交互に吐き出していると、いつの間にか後ろに人が立っていた。
「辰吾」
「その声は……慶子か?」
「…うん」
「ホントに、慶子か?」
「本当よ!」
「…ったく、なんでこんな確認作業しなきゃいけないんだよ、めんどくせえ」
424奪三振:04/02/24 00:47
「辰吾」
「何だ?」
「私の気持ち…聞いてくれる?」
「…ああ」
本当は嫌というほど聞いたのだが、それを言うわけにもいくまい。辰吾は慶子に背を向ける。
「私、辰吾の事…」
次の言葉を待つ辰吾。好き。その言葉はやはり重いのか、慶子は黙り込む。
しばしの沈黙の後、辰吾は覚悟を決めた。
「慶子、お前の気持ち――」
「タイムオーバーdeath!時間切れdeath!!」
「てめえ、邪魔すんじゃねえよ!!!」
「うるさいdeath!うるさいdeath!!」
「ああ、もう!俺、病室戻る!」
「待つdeath!」

「あーあ、俺これからどうなるんだろう」
本日二度目の台詞を口にし、辰吾はベッドに寝転がる。するとベッドの片隅に置いてあったある物が目に入った。
「…これ、コンドームじゃねえか!畜生、正義だな!こんな物置いてきやがったのは!」
辰吾はコンドームを投げ捨てた。バシッ。めんこのような音をたて、コンドームが床に落ちる。
「誰よ、こんな時間に騒いでるのは」
病室のドアが開き、看護婦(猫背椿)が入ってきた。コンドームは運悪く、彼女の足元へ。
「何よこれ!いやらしい!」
「あ、いや、これは…僕のじゃない…death」

次回 >> 第7話「お味噌汁の具論争」
425名無し職人:04/02/25 02:00

[ C M ]


☆連続架空ドラマ インディックス(まとめページ)
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過去19作のサブタイと配役表です。


☆裏・連続架空ドラマ
ttp://pantomime.main.jp/test/read.cgi/owarai/1077640983/

没ネタなどを集めています。


426名無し職人:04/02/29 04:26
第7話「お味噌汁の具論争」

「看護婦さん、お詫びというわけではないんですけど、これ・・・」
辰吾は響子がくれた差し入れの『かまぼこ』を出した。放っておくと死神がマズイマズイと言い
ながらも全部食べてしまうので隠しておいたのだ。
「あら! ダメよ・・・こういうことは規則で禁止されてるんだから・・・みんなには内緒よ。パクッ」
「ねえ看護婦さん。俺、全然元気なんですけど、まだ退院できないんですか?」
「モグモグ、そりはいんりょうれんれいのしりがらいとらめね、りいりっけんらいらとみってた・・・ウッ!!」
「はぁ?? 食いながら喋られてもわかんないですよ。ね、おいしいでしょ?」
「グハァァァァ!! あんたこれ! 毒でも入ってるんじゃない? 相当マズイわよ!!」
「え????」
* * *
「はい、どうぞ。今日はお味噌汁を作ってみたんだけど・・・」
夕方、いつものように響子が辰吾の食事を持ってきた。千草はまだ学校から帰ってきていない。
味噌汁の具は・・・やはり「かまぼこ」と「さつまあげ」だった。そういえば、響子からもらった
バレンタインのシチューの中に肉ではない、何かプニプニした食感のものがあったことを辰吾は
思い出し、味噌汁をしげしげと見つめた。
ドタドタドタドタ!!!!
けたたましい足音がしたかと思うと、千草が息を切らして病室に入ってきた、かと思うと辰吾の
ベッドの裏に隠れてしまう。またか、辰吾はこの後に『確実に』起こる事を思って頭が痛くなった。
「ち〜ぐ〜さ〜さ〜〜〜ん!!! この俺のパッションを〜〜〜受け止めてくれ〜〜!!」
ドアを蹴破って正義が飛び込んできた。毎度のことだ。いつもなら千草のカウンターパンチに撃退
されるところだが、今日はあまりの傍若無人ぶりに遂にキレた看護婦さんに延髄蹴りを食らった。
廊下で看護婦さんに説教される響子と千草。病室でふんぞり返っている正義。あまりに理不尽な
図式だがこの熱血バカに何を説教しても通じないことを看護婦さんはこの数日で嫌という程思い
知ったのだ。
427名無し職人:04/02/29 04:28
「おお! 辰吾!! そ、それは! その味噌汁はもしや千草さんの手作りかぁぁ!!」
辰吾がそれを否定する間もなく正義は味噌汁を奪い取る。
「さすが千草さん! 味噌汁の具にかまぼこなんて、くぅぅ〜〜〜俺への愛情が溢れているzeee!!!
そうだよな、やっぱ味噌汁にはかまぼことさつまあげ! 決まりだzeeee!!!」
呆れる辰吾。いったいどうやったらこんな勘違い男が生命の神秘をくぐりぬけて生まれるのか?
「正義! いい加減にしろよ。だいたい・・・味噌汁の具は大根と油揚げに決まってるだろ!」
「ぬぅわんだぁぁとぉぉ!! きさま! 千草さんの味噌汁にケチをつける気か!」
「だからそれは違・・・」
「千草さん! 男・山本正義、謹んであなたの愛情のこもったこの味噌汁をいただきます! ズズズ
・・・・・・・・・・・・・・・グッ!!!・・・・・・マ・マズイ・・・・・・マジデ・・・・マズイ・・・・・・・・いや、そんな事はない。千草さんの
味噌汁がマズイはずなんかない! そうだ、これは俺のパッションが足りないんだ! ウオオオ!!」
正義は病室内をのた打ち回りながら味噌汁を飲み干すとそのまま倒れた。そこにやっと説教から解放
された響子と千草が戻ってきた。すると、倒れていた正義が起き上がり二人にむかって走り出した。
「ええい! 性懲りもなく!!」千草がパンチを放つ。当然、自分に向かってくると思っていた千草の
拳は空を切る。正義は・・・響子に抱きついていた。
「響子さぁ〜ん! 響子さぁ〜ん! 好きだ! 大好きだぁ!! 俺の全てを奪ってくれぇぇ!!!」
凍りつく病室。辰吾の疑念は確信に変わった。響子に抱きついている正義を蹴り飛ばし響子の胸ぐらを
掴むとかまぼこを口に押し付けた。
「響子! 食えよ! 食ってみろよ!!」
「し、辰吾さん・・・」
「おまえ何をした? 死神と何を契約した! 言ってみろ!!!」
怒りに震える辰吾を見て、千草は初めて自分の兄を「こわい」と思った・・・。


次回 >> 第8話「青い目の刺客」
428名無し職人:04/03/03 05:28
 
429奪三振 ◆cvgy/Enbqk :04/03/07 03:04
第8話「青い目の刺客」

「…あ、あれは、間違いなのよ」
「間違い?間違いって何が間違いなんだよ!」
辰吾は激しく問い詰める。それこそ周りの目などお構い無しに。
「…私じゃないのよ、人違いなのよ」
「人違い?」
「そう、人違いよ。私死神となんて契約してないわ。ていうか、するわけないでしょ、そんな事!
何なのよ、死神って!何で私が死ななきゃならないのよ!ふざけないで!」
いつになく興奮する響子に思わず怯む辰吾。余計訳が分からなくなる千草達。失神中の正義。
「ひと…ちがい?」
振り向くと慶子(死神)が青い顔で立っていた。
「人違い…deathか?人違いなのdeathか?」
死神は呟くようにそう言うと突然走り出し、病室を出て行った。
「待て!」

「は!俺は一体何を…」
「あ、起きたの正義」
「千草さん!!大好きだーーーーー!!!!!」
「いきなりすぎるわ!!!」
正義はまたしても病室の床に崩れていった。

そんな混乱の中響子は一人意味深な表情を浮かべていたのだが、それに気付くものは誰一人としていなかった。
430奪三振 ◆cvgy/Enbqk :04/03/07 03:05

* * *

辰吾は屋上に辿り着いた。死神は…いた。手摺に背中を預け、思い詰めた顔で空を見上げている。
「おい!」
辰吾が声をかけたその時、死神の後ろのあたりに1つの光が現れた。光の球体だ。
それはゆっくりと空を移動し、死神の前に降り立った。死神の顔がさっと青くなる。
徐々にそれは光を散らしていき、やがてそこに人が出現した。青い、鋭い目をした男(上川隆也)だ。
「ぶ、部長!」
この不可思議な状況を、とりあえず辰吾は見守る事にした…。

次回 >> 第9話「衝撃!彼女はスナイパー」
431名無し職人:04/03/10 22:57
第9話「衝撃!彼女はスナイパー」

部長「メンドメッサ・ミャサノバ・バイエール・ウンディエート・バラホバ・ウ・ディンエ!!
このバカものが!! きさまはいつになったらまともな仕事ができるのだ!!」
辰吾「おまえ・・・そんな名前だったのかよ」
死神「そうdeath! わたしのなまえはメンドメッサ・ミャサノバ・バイエール・ウン(ガキィィ!)
・・・・ひたかんら(舌噛んだ)・・・」
辰吾「自分の名前もいえねぇのか!」
部長「まったく・・・きさまのお陰で私が専務に怒られたのだぞ! ちょっと来い! まずは
お仕置きだ! こめかみをゲンコツでグリグリしてくれる!」
そう言って死神に手を伸ばす部長。しかし、その手はスルリと死神の体をすり抜ける。
部長「・・・・・・きさま! なんで人間の体の中になど入っているか! 死神が現世の肉体に触れない
と知っての所業か。えええい、いまいましい奴め!」
「千草さぁぁ〜〜ん!! ま〜〜〜いラ〜〜ヴ!!!」
屋上に千草を探して正義が飛びこんできた。正義には死神の部長は見えない。相変わらず騒ぎまくる
正義をみて、部長は手をポンと叩き、「ひらめいた!」のポーズをとると、正義の後ろに近づき、
死神が慶子にしたように背中のジッパーを開けて、正義の中に潜り込んだ。
部長「ふっふっふっ! さあこれでお前をおもいっきり殴れるぞ! 覚悟しろ!」
そういって「戦いのポーズ」をとった正義(部長)は背後に迫る危機に気づいていなかった。
「正義ぃぃ!! このばかぁぁああ!!」
それは千草だった。正義のバカ騒ぎでまた看護婦に怒られた千草の怒りの鉄拳が正義(部長)の
後頭部にめり込む。
バタンとその場に倒れる正義(部長)・・・・・・・。しかし、すぐに立ち直ると千草の手をとった。
正義(部長)「これは美しいお嬢さん。あなたのような方に握りこぶしは似合いません。しかし、
あなたの様な方になら私はいつだってこの頭を差し出しましょう! それであなたの心の傷が癒える
のなら、私はいつだって地獄の業火の風呂に入ってみせますよ」
千草「ちょ、ちょっと。正義? あんたなんか変よ??」
正義(部長)「何をおっしゃいます。男は・・・綺麗な女性の前ではいつでも狂ってしまうものです。
そう・・・あなたは罪なお方だ」
432名無し職人:04/03/10 22:59
千草「き、き、き、気持ち悪い〜〜〜〜〜!!」
逃げていく千草。千草の後姿をいとおしく見つめていた正義(部長)は慶子(死神)に向き直り、
いよいよお仕置きをしようと近づく。逃げる慶子(死神)はつまずいて転んでしまう。その拍子に
死神の本体(山口智子)が慶子から滑り出すようにでてきた。
死神「でれたdeath! でれたdeath!! さすが部長death!!」
正義(部長)「きっさま〜〜!! いちいちしゃらくさい真似を! それならこっちもこの体から
出て・・・・・・・出て・・・あれ?・・・出・・・・出れない・・・・・・」
千草に殴られたショックで正義の体から出られなくなる部長。いいかげん死神への怒りも失せて
しまい、書類を渡して仕事の話を始めた。
正義(部長)「だから間違いなんだよ。おまえのターゲットはこっちだったの。でも、これは
キャンセルになって、こっちの仕事になったんだけど、それもまたキャンセルになって、それで・・・
アイタタタ!!」
いつの間にか千草が戻ってきて正義(部長)の耳を引っ張り上げる。看護婦に土下座して謝まるんだと
正義(部長)は連れて行かれてしまう。
死神「部長・・・行っちゃったdeath。まあいいdeath。さっさと仕事を済ますdeath」
辰吾「お、おい! 仕事ってまさか・・・・」一連の出来事から取り残されていた辰吾が死神に掴みかか
ろうとするが、慶子から抜け出した死神には触れることができない。
死神「ふんふんふん・・・death!death!!death!!!」
死神は鼻歌を歌いながらトレードマークの鎌を分解し始めた。刃の部分が取れると、それをしまい、
柄が4つに分かれなにかパズルのように組み立てた。出来上がったのは・・・・ライフルだった。
死神「それじゃあいくdeath!!」
死神はライフルの銃口をゆっくりと・・・・辰吾に向けた。
辰吾「・・・・・・え!? 俺なの!!!!」


次回 >> 第10話「標的に永遠の安らぎを」
433TβS放送協会:04/03/13 16:40
「俺の彼女はあいつのあいつ」これまでのあらすじ

第1話>>413 第2話>>414 第3話>>415-416 第4話>>417-418
第5話>>419-422 第6話>>423-424 第7話>>426-427
第8話>>429-430 第9話>>431-432
434名無し職人:04/03/13 17:51
第10話「標的に永遠の安らぎを」

「標的に永遠の安らぎを・・・・アーメン・・・death!」
なんで死神がキリスト教?などという突っ込みをいれる余裕はもう辰吾にはなかった。死神の向けた
冷たい銃口は間違いなく辰吾の心臓を狙っている。辰吾は脱兎のごとく逃げ出した。追う死神。
「う、う、う〜〜ん」辰吾と死神がいなくなった後、ようやく慶子が目を覚ました。もちろん、
それまでの経緯など覚えていない。ドタドタドタ!そこに凄まじい勢いで駆け込んできたのは正義
(部長)だった。
「今、ここにバカがいなかった!?!?」
「バカって・・・・・・・辰吾のこと??」
「ばかやろう!そいつがバカだ!追え〜〜〜〜!!」いきなり慶子の腕をつかみ死神をおいかける
正義(部長)。「絶対あいつは勘違いしてるぞ! やば〜〜い〜〜〜!!」
その後に正義を追いかけてきた千草がやってきた。正義が慶子の手を引いて階段を降りてくるところで
すれ違う。あまりの正義の勢いにくるっと1回転する千草。「ゴラぁぁ!正義!!まだ終わってないぞ!」
千草は2人を追いかけた。
* * *
本来の姿に戻った死神は軽々と空を飛び、病院の裏庭に辰吾を追い詰めた。
「と、と、と、とにかく落ち着け! な、な、な、なんで俺なんだよ!」
「成仏するdeath!」ジリっと歩み寄る死神。
「落ち着こう、な? 話せばわかる。そうだ!深呼吸しよう! すって〜、はいて〜〜、すって〜〜〜
はいて〜〜〜、すって〜〜〜〜、すって〜〜〜〜、すって〜〜〜〜〜すって〜〜〜〜〜〜!!」
辰吾・死神「ゲホッゲホッゲホッゲホッゲホッ!!」
・・・・・
「こんなんじゃ納得いかないよ! おまえと契約したのは響子じゃなかったのかよ??」
「それはキャンセルになったと部長がいったdeath! だからそのまえの本来の目的をはたすdeath!」
「本来ってなんだよ!わかんないよ! とにかく深呼吸だ!いくぞ・・・・」
435名無し職人:04/03/13 17:53
・・・・・
「ゲホッゲホッゲホッ!! と、とにかくさ、響子は契約したんだろ? 惚れ薬を作るまじないとか
なんとか。それで俺を惚れさせたんだろ? だんだん頭が晴れてきたんだ。分かるんだよ! 俺は
ほんとは誰が好きだったのかって」
「ゲェ〜ホッゲェ〜ホッゲェ〜ホッ!! 惚れ薬なんてしらないdeath! 死神は生と死をあつかう仕事
death!」
「じゃあ!じゃあ響子は何を契約したんだ!」
「そ、それは・・・」
「よ〜し!もう1回深呼吸だ!!」
「や、やめるdeath!! 喉が痛いdeath!! 彼女は自分の命と引きかえに生き返らせたんdeath!!」
「生き返らせた? 誰を・・・??」

* * *

看護婦室。正義と千草に説教の最中に逃げられた看護婦さんはやれやれといった表情で席に座った。
「まったく、903号室は困ったもんだわ。でもあの神代辰吾さんってダンプに轢かれたのに、元気よね〜。
ここに運ばれてきたときにはもう心臓止まってたのに、元気よね〜。死亡確認をした後に突然息を吹き
かえしたのに、・・・元気よね〜。そりゃ院長先生も特異な症例として研究したくもなるわね〜。
まあ、わたしにはどうでもいいことなんだけど、不思議よね〜。」


次回 >> 第11話「大学に潜む罠」
436奪三振:04/03/15 22:02
次回 >> 第11話「大学に潜む罠」

辰吾は混乱する頭を揺さぶり必死に考えた。今の状況。響子の事。恵子の事。死神。
一体いつ始まったのだ、こんな馬鹿げた事が。一体どうすればいいのだ、これから。訳が分からない。
更に混乱する頭は、辰吾に1つの記憶を思い出させた。それは辰吾が響子と出会う半年前の出来事だった…。

* * *

辰吾は友人の正義や龍二(速水もこみち)、そして慶子などと毎日遊びほうけては、単位を取るのに必死になっていた。
そんなある日、辰吾は大学からの帰り道一匹の犬を見つけた。柴犬。首輪に『タツ』と書かれている事から誰かの飼い犬だという事は分かった。
ほっとけと言う正義や龍二を尻目に、辰吾は自分の名前に似たその犬を抱き上げた。「ワン」タツは弱弱しく鳴いた。
「きっと飼い主の人が探してるわ」と慶子が言った。確かに今頃飼い主は血眼になって探しているかもしれない。それこそ今にも泣きそうな顔で。
しかし犬はよく見ると体中傷だらけだった。多分事故にでも遭ったのだろう、足は折れているようにも見えた。ほっとけない。辰吾はとりあえず犬を病院に連れて帰行く事にした。

タツは予想通り足の骨が折れていた。医者(小林薫)の話では、さっきまで歩いていたのが不思議なくらいだという。
診察に慶子が立ち会っている間、辰吾達三人は犬の今後について話し合った。
「飼い犬だからなあ、俺たちにできることは限られてくるよな」
「だよな。飼うわけにはいかないし、かといってほっとくわけにもいかないし。どうすればいいんだか…」
「飼い主を探すのが一番だと思うけど、どうやって探すかねえ」
途方にくれる野郎三人。そこに慶子が医者とともに現れた。
「聞いて!この人が飼い主探しに一役買ってくれるってさ!」
「ホントですか!」辰吾は思わず大声をあげた。
「ええ。私もこの犬にはどこかほっとけない雰囲気を感じるんです。それに、ここなら色々と情報も入ってくるでしょうし」
「そうですか!ありがとうございます、先生!」
「いえいえ。では、この犬は私が預からせてもらいます。情報が入ったら伝えますので」
「はい!」
437奪三振:04/03/15 22:03
かくして犬は医者のもとに預けられたのだが、その後辰吾達に犬の情報はなかなか入ってこなかった。
最初のうちは犬の事を心配していた辰吾達だったが、日が経つにつれて犬の事は徐々に頭から消えていき、やがてそれは頭の片隅に追いやられていった。
そして年が上げ、そろそろ二月に入るという頃、やっと医者から連絡があった。飼い主が見つかったのだという。
だが医者が言うには、飼い主は犬を引き取ると名前も言わずにすぐ立ち去ってしまったのだという。ただ、「タツを助けてくれたのは誰ですか?」とだけ聞いて。
辰吾は少し不気味に思ったが、その思いもまたすぐに消えていった。大学生活は忙しかった。割合的には遊びのほうが大半を占めていたのだけれど。

その後、辰吾は不思議な現象に襲われた。犬の報告を受けてから、学食の味がどうもおかしいのだ。明らかに不味い。しかも、自分だけ。正義や龍二からは気のせいだと言われたが、それは気のせいで片付けられるレベルではなかった。
ある時は醤油ラーメンを吐き、ある時は味噌カレーを吐いた。そしてまたある時は塩ラーメンを吐いた。俺がラーメンを食いすぎなのが悪いのかと思ったが、それはうどんでも同じだった。
苦しい日々だったが、辰吾はその度に慶子に介抱された。「もうこれっきりにしてよ」と言う慶子の顔は嬉しそうだった。今思えばの話だが。

そして2月14日。あの運命のバレンタインデーが訪れた。

* * *

「響子はまさかあの時の!」
「訳の分からないことを言うなdeath!さあ、潔く成仏するdeath!!!」
銃口の位置は揺るがない。辰吾はいつかのように目を閉じた。

次回 >> 最終話「あいつとか気安く呼ぶな」
438名無し職人:04/03/20 02:17
最終話「あいつとか気安く呼ぶな」

辰吾が死神に撃たれる寸前、やっと追いついてきた正義(部長)は叫んだ。
「い、いかん! だ〜いピ〜〜ンチ!!」
正義(部長)は慶子の手を離すと背中を向けて首筋の辺りを指差して叩けと言った。
ジッパーがかんで出られないからそこを叩けと慶子に言うが、慶子がそれを理解できるわけもなかった。
ポカンとしている慶子の後ろから千草が追いかけてきた。正義(部長)は「ひらめいた」のポーズをとって、
突進してきた千草を抱きとめるといきなり千草の唇を奪った。
「は〜いハニー。どうしたんだい?」
「・・・・・こ、こ、こ、この強姦魔ぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!!」千草の鉄拳が飛ぶ。正義(部長)はその
鉄拳を首筋に浴びてぶっ飛ばされる。その拍子に本来の部長が正義の体からすべり出してた。
「ふう。やっと出れたな。コラぁ! やめんか! 誤解だ! やめろと言っておるのだ、メンドメッサ・
ミャサノバ・バイエール・ウンデ(ガキィ!!)・・・し、したかんら(舌噛んだ)」
「発射death!」
ついに死神のライフルから銃弾(のようなもの)が発射された。それは正確に辰吾の心臓を射抜いた・・・
と思った瞬間、辰吾の前に別の影が滑り込む。それは・・・響子だった。響子は死神の弾に撃たれ、
辰吾にもたれかかるように倒れた。
「きょ、響子! 響子ぉぉ〜〜〜!!」
「はずしたdeath! よ〜しもう一発!!」
「いい加減にせんか!」部長の蹴りが死神に炸裂&頭グリグリ攻撃。
倒れた響子は辰吾の頬に手をあて、かすれるような声で言った。
「ごめん・・・なさい・・・。ちょっとの間でも・・・一緒に・・・いたかったの・・・優しくされたかったの・・・・」
響子の体は霧のように弾け飛び、その後には・・・以前、辰吾が助けたあの犬の姿があった。そして、
それもすぐに霧となって消えていった・・・。
439名無し職人:04/03/20 02:18
死神の頭をグリグリしながら部長が言う。
「まあ、結果オーライか・・・。ほら見ろメンドメッサ・ミャサノバ以下略! きさまは犬と契約したんだぞ!
犬と人間の魂を交換してどうする! ど・う・し・てお前はそんなにバカなんだ!!」
「いたいdeath! 部長〜〜〜。しらないdeath! 契約したときは人間だったんdeath!」
「(グリグリ)だからそれは契約によってこの者は人間になっていたんだ。3か月間、人間になる契約を
していたのだ」
「その契約した死神は??」
「あ〜〜、それは〜〜〜、ボソボソ(私だ)」
「は?」
「あ〜〜(グリグリ)うるさいうるさい!! さぁ帰って始末書を書くんだ(グリグリ)」
「あ、あの〜〜〜」放心していた辰吾はようやく正気を取り戻した。
「コホン。まあ本来、君は我々が迎えにくるべきところだったのだが、このバカのせいで生き返って
しまったわけだが・・・、まあ、あれだ。こちらにも落ち度があったということで・・・。このことはお互い
不問に付すということにしておこう。な? それではさらばだ。」
死神たちは空へと消えていった。
辰吾は響子のぬくもりがまだ残る手をじっとみつめていた。涙が流れた。慶子が近づいてきてそっと
抱きしめてくれた。

* * *
440名無し職人:04/03/20 02:23
「拝啓。おやじ、おふくろへ。元気ですか? こちらは、まあいろいろあったけど、とりあえず元気です。
前から言われていた件だけど、大学を出たらやっぱりそっちに行こうと思います。千草も大学はそっち
で行ってもいいといってるし(頭がついていけるのか心配ではあるけれど)、来年からはみんなで揃って
暮らすほうがいいと思うので。いつか、この1週間で何があったのかゆっくりと話そうと思います。今は、
ちょっと・・・整理がつかないから。それにしても、『あいつ』みたいな『バカ』が、人の死をどうこうしている
かと思うと、不安というか・・・アホらしいというか。ああ、それから・・・会わせたい人がいるんだ、とっても
大事な・・・・」
自室で辰吾はフゥと溜息をつくと書きかけの手紙をクシャクシャと丸めてゴミ箱に捨てた。
「あら? どうしたの? 続きは??」
後ろから慶子が辰吾の肩に手を回して耳元で囁く。
「覗くなよ。こういう事は、直接言った方がいいんだよ、きっと・・・。」
「フフフ・・・。『あいつ』か。・・・・あ・い・つ・・・・・、とか気安く呼ぶな!!〜〜〜〜death!!!!」
「!?」その声を聞いて飛びのく辰吾。それはとても聞き覚えのある語尾だった。慶子の中に、また
『あいつ』が入っているのだ。
「お、おまえ! 何しにきた〜〜〜!!」
「仕事death! 仕事death!! ちゃんと働かないと『課長』に怒られるdeath! 頭グリグリされるdeath!」
「な、なにぃ??」
「む? ここじゃないdeath! となりdeath!!」
慶子(死神)は勢いよく辰吾の部屋を飛び出し、隣の千草の部屋へと入っていく。辰吾が追いかける。
千草の部屋に入ると・・・千草は部屋の床に魔方陣を描き呪文を唱えていた・・・・。
441名無し職人:04/03/20 02:24

「エコエコアザラクエコエコエコロジー、あたしの大好きなお兄ちゃんが・・・いつまでもあたしだけの物でありますように・・・・
彼女の手料理なんてまずくて食べられなくなっちゃいますように・・・もう誰の目にも触れさせず・・・
一生、今のままの姿で・・・ずっと・・・永遠にあたしと二人だけでいてくれますように・・・
エコエコアザラクエコエコタイヨウエネルギージカハツデン・・・・ついでにあの熱血バカに死を・・・」

「契約するdeath!!契約するdeath!! ここにハンコを押すdeath! なければボインでもいいdeath!」
慶子(死神)に追いついた辰吾は後ろから羽交い絞めにして叫んだ。
「させるかぁ〜〜〜!! 千草! やめろ〜〜やめるんだ〜〜〜〜!!」
「千草さぁ〜〜ん! ファイヤ〜〜〜!!」正義が窓をぶち割って飛び込んできた・・・・。

春の日を浴びてぬるんだ水たまりが、暴れまわる阿呆どもをいつまでも映していた。

END
442TβS放送協会:04/03/20 04:37
乙age

「俺の彼女はあいつのあいつ」

第1話>>413 第2話>>414 第3話>>415-416 第4話>>417-418
第5話>>419-422 第6話>>423-424 第7話>>426-427
第8話>>429-430 第9話>>431-432 第10話>>434-435
第11話>>436-437 最終話>>438-441

・・・次回放送までしばらくお待ち下さい・・・

TβS
443名無し職人:04/03/25 06:05

「寝台特急北斗星殺人事件」

第1話「電車のトイレは落ち着かない」
第2話「なかなか寝られない」
第3話「修学旅行生が騒々しい」
第4話「こうるさいがきどもを皆殺し」
第5話「生活指導教師の応戦」
第6話「担任の思わぬ反撃」                   
第7話「担任、吼える」
第8話「車掌、出動」
第9話「女子の恋話」
第10話「やっぱりバスだよね」
第11話「先生!古内君が具合悪いって!」
第12話「古内、散る」
最終話「そして、伝説へ・・」
444名無し職人:04/03/25 06:06
第1話「電車のトイレは落ち着かない」

暑川きよし(稲垣吾郎)は人気絶頂の演歌歌手だが、彼にはある秘密があった。
マネージャーの屑原もずく(鈴木紗理奈)のドジで飛行機のチケットがとれず、しかたなく
札幌公演のために「寝台特急北斗星」に乗車することになったきよし。
たちまち修学旅行の生徒やおばちゃん達に取り囲まれサイン攻めにあってしまう。

北斗星出発。
やっと解放されたきよしはトイレ(和式)にいく。
パンツを下ろしてホッと一息。
その時、列車が急ブレーキ! きよしはその反動でトイレの壁に叩きつけられる。
そして髪の毛がドアのフックに引っかかり・・・『ズラ』が飛んだ。
飛んだ『ズラ』は便器に落ちて、流れて消えた。


次回 >> 第2話「なかなか寝られない」
445名無し職人:04/03/25 19:58
第2話「なかなか寝られない」

暑川きよしがどうしようと慌てていると、ドアを激しく叩く音がした。
ドアを叩いていたのは椎名ちひろ(鈴木杏)だった。
「もっちゃう、もっちゃう、もっちゃうよ〜。どうして中から何も反応がないの?
もしかして、中の人死んでるんじゃ・・・」
無理でもドアをこじ開けようとしたとき、ドアがやっと開いた。
「ひっ、ミイラ男」
ちひろは後ずさりをした。よく見ればそれはトイレットペーパーを全身にまいただけの男
なのだが、ちひろは驚いてよく見ていなかった。
ミイラ男の正体はもちろん暑川きよしだ。
頭だけターバンのようにトイレットペーパーを巻こうとも考えたが、すると、いかにも、
そこに隠したいものがありますと教えているようなものだ。
ならば、全身にトイレットペーパーを巻いてしまえば、どこがポイントかわかるまい。
この作戦は功を奏し、見事にちひろは騙された。
廊下にへたり込んでしまったちひろを尻目に、暑川きよしは自分の寝台に戻ろうとした。
だが、次の車両に移った途端、大量の修学旅行の生徒に発見されてしまった。
「わ〜、ミイラ男だ。ミイラ男だ」
大騒ぎして、暑川きよしを取り囲む修学旅行の生徒たち。
だが、ちひろにとってそんな騒ぎはどうでもよかった。
おもらししちゃった。
この歳でおもらししちゃったよ〜
座り込んでいる床に黄色い水溜りがどんどん広がっていった。


次回 >> 第3話「修学旅行生が騒々しい」
446コンブ:04/03/29 22:55
第3話「修学旅行生が騒々しい」

「それ以上剥がすなッ! 知らんぞおまえたちッ!」

ピラニアにつつかれるように踊る暑川きよし。
バレずに逃げ切れることができるか? もうズタズタ。
抵抗空しく、最後のペーパーがハラリと落ちた。

騒ぐ生徒たちが、ピタリと黙る。冷たい、黒い目玉。
女子生徒の顔が握られ、次の瞬間潰れた。
笑っているような、泣いているような暑川の眼差し。

「みんな逃げて!」

椎名ちひろの声が聞こえ、暑川は振り返る。

次回、第4話「こうるさいがきどもを皆殺し」
447名無し職人:04/04/06 20:46
にゃあ〜
448名無し職人:04/04/11 23:23
第4話「こうるさいがきどもを皆殺し」

東京・四谷の大手芸能プロダクション、林プロ。社長の林花子(森公美子)の携帯に
暑川のマネージャー、屑原もずくから連絡が入った。報告を聞いた林は、机の奥の
赤いボタンを押す。会社中に鳴り響く警報。社員が一斉に屋上に集合し、ヘリが発進
準備をすすめる。林はヘリの前に立ち、社員に号令をかける。

「こうるさいがきどもを皆殺しにしてでも秘密を守れ!」
「サー! イエッサー!!」

* * *

北斗星車内・・・椎名ちひろは二度目の失禁をして座り込んでいた。
剥がされたトイレットペーパーからのぞいた暑川の頭部は、すっぽりと穴が開いていて
その中から緑色のカエルが顔を出していた。


次回 >> 第5話「生活指導教師の応戦」
449名無し職人:04/04/16 00:38
第5話「生活指導教師の応戦」

「なに? あれ? 頭のところから緑のカエル?」
ざわ……ざわ………ざわ…ざわ…………ざわ……
まるで福本伸行のマンガのような反応をする生徒たち。
「じつは我輩はケロッピ星人だぴょん」
緑のカエルはいきなりそう言った。
「な、なんだってー(AA略)」
驚く生徒たち。
「なにがケロッピ星人よ。バカバカしい。こんなのおもちゃに決まってるじゃないの」
と生活指導教師の古池恵子(浅野ゆう子)がケロッピ星人に掴みかかった。
突然、ケロッピ星人が巨大化して、古池恵子に襲い掛かった。
あっという間に、押し倒されてしまう。
だが、次の瞬間、ケロッピ星人の巨大な目玉をグーパンチで思いっきり殴る古池恵子。
「ぐあああああああああ!!!!!」
目玉を押さえてのたうちまわるケロッピ星人。
「ふん、いくら私の名前が古池だからって、カエルに強姦されてたまるもんですか」
古池や 蛙飛び込む 水の音
古池恵子は国語教師らしく、シャレを言ったつもりだったが、生徒の中には誰一人
その意味を理解したものはいなかった。

次回 >> 第6話「担任の思わぬ反撃」
450名無し職人:04/04/24 10:27
第6話「担任の思わぬ反撃」

「古池先生!大丈夫ですか〜〜!!」
倒れていた古池恵子を助け起こそうとするのは、D組担任の水尾芭蕉(萩原流行)だ。
「触るな!このセクハラ野郎!!」
古池恵子のグーパンチ炸裂!
「な、な、な、なんでですか!僕はこんなにも先生の事を心配しているのにぃ!」
「気持ち悪いんだよ、おまえは!」
「うう・・・」

(おまえの望み・・・かなえてやるぴょん)
ケロッピ星人は水尾の頭に直接話しかけてきた。

水尾はゆっくりと立ち上がると、古池のパンチで仰向けに倒れているケロッピ星人を
頭の上に載せた・・・。

                   
次回 >> 第7話「担任、吼える」
451名無し職人:04/05/02 14:25
第7話「担任、吼える」

「うぉぉ!!」
ケロッピ星人を頭にのせた水尾芭蕉(萩原流行)は大きな唸り声をあげると、どこから出したのか
イーカラ(e・kara タカラ製)を手に喋り始めた。
「故郷を離れ、寂しい思いをしている、あの人に捧げます・・・聞いてください! 『望郷カエル』!!」
水尾の歌声が車内に流れる。唖然とする一同。不思議な波長の歌を聞いて、古池恵子(浅野ゆう子)は
踊りだし、これまた、どこから出てきたのか生徒たちは紙テープと紙吹雪を水尾に向けて投げ始めた。
「きゃぁぁ〜〜〜! みずさま〜〜〜!」女生徒の黄色い声援が飛ぶ。

一方、
マネージャーの屑原もずく(鈴木紗理奈)は車掌の山辺勘九朗(伊東四郎)を人質にして、
運転席に押し入った。
「止まらないで!! ノンストップで北海道までGO!GO!よ!!」
椎名ちひろ(鈴木杏)は濡れたパンツを気にしながら、もずくの行動を監視していた。

その時、
林プロの社長、林花子(森公美子)が乗る攻撃ヘリ・AH-64D アパッチ・ロングボウは
北斗星の姿を捉えようとしていた。林花子のお腹からは・・・ケロッピ星人が顔を覗かせていた。

寝台特急・北斗星は青函トンネルに入ろうとしていた。


次回 >> 第8話「車掌、出動」
452名無し職人:04/05/02 22:52
第8話「車掌、出動」

アパッチが北斗星の後部に近づいてくる。林花子の合図で戦闘員が北斗星へとダイブ!
ヘリと列車をロープで繋ぐ。その時!列車は青函トンネルへと入っていった!!
プロペラをガリガリと擦りながら引きづられていくアパッチ。

車掌の山辺は屑原もずくに拳銃で脅かされながら泣いていた。
「あーー! 私はもうすぐ定年なのに、なんでこんな事に! ダイヤを乱したことなんてなかったのに。」
「おっさん、うるさいねん。ちょっとぐらい早くついたってかまわんでしょ。その方が客も喜ぶやん。」
もずくの言葉に顔面を硬直させて怒る山辺。
「なんだと〜〜〜!! きさまぁ、JRのダイヤをなんだと思ってるんだ! ダイヤはなぁ、ダイヤはなぁ、
狂わないから美しいんだ。こっちが先についてしまったら、ほかの路線にどんな迷惑がかかるか、ああ、
あの美しい線を、私が・・・まさかこの私が乱してしまうだなんて・・・」
「やってられんわ・・・」もずくがあきれて銃を上に向けた瞬間、山辺はもずくの手首をとって拳銃を叩き
落とした。
「はっはっは! JR勤続40年の力を思い知ったか!」
勝ち誇る山辺。一部始終を見ていた椎名ちひろはパチパチと手を叩きながら、物陰からでてきた。
「おじさん、カッコイイ!!」
「おう、サ〜ンキュウ〜〜」
しかし、近づこうとしたちひろは、失禁したパンツをかばうあまりに必要以上に内股になり、落ちた拳銃に
つまづいてしまう。「BANG!」拳銃が暴発し運転席に当たった。列車に急ブレーキがかかった。
出し抜けの急ブレーキに後方に張り付いていたアパッチは北斗星に激突、林花子はアパッチの鉄板に
押しつぶされてしまう。
その時、林花子のお腹にいたケロッピ星人から一条の光が・・・。

* * *
北斗星はいつのまにか止まっていた。
ショックで気絶していた乗客がおそるおそる外を覗いてみると・・・そこには見たこともない、広大な砂漠が
広がっていた。


次回 >> 第9話「女子の恋話」
453名無し職人:04/05/07 01:09
第9話「女子の恋話」

見知らぬ砂漠に放り出された寝台特急・北斗星。
水尾芭蕉の頭の上のケロッピ星人はここがどこだか瞬時に理解した。そう自分の故郷、太陽系の
はずれの惑星だ。
「おお!!遂に帰ってきたんだ我が故郷。この感動を皆さんにも伝えたい!聞いてください、『ふるさとカエル♪』」
空気を読めないケロッピ星人がみんなにタコ殴りにされる・・・。

時がたち、皆がようやく冷静さを取り戻し始めていた。
ケロッピ星人の呪縛から解放された暑川きよしと水尾芭蕉は何故か意気投合。お互いの初恋の話を
自慢しあっては、「それじゃあカラオケで勝負じゃあ〜!」の繰り返しをしていた。
一方、偶然北斗星に乗り合わせたノーベル物理学賞受賞者、大前田周五郎(田村正和)は北斗星の後部で
発見したケロッピ星人の死骸から、ある大胆な仮説を立てていた。
「ふるさとに帰りたい気持ちと死の瞬間のクロスオーバー・シンクロ相対理論」と勝手に呼ばれた大前田の理論に
すがる乗客たち。
大前田の結論・・・地球に帰るためには、一番帰りたいと思っている人間を殺せ・・・時速150km以上で・・・
カラオケでバカ騒ぎをしながら、「ああ、あの初恋のあの人にまた会いたいよ〜〜」などとわめいている
暑川と水尾にみんなの冷たい視線が向けられていた。


次回 >> 第10話「やっぱりバスだよね」
454名無し職人:04/05/11 22:47
第10話「やっぱりバスだよね」

「押せぇ〜〜〜! がんばれ〜〜〜!! 押せぇ〜〜〜!!!」
大前田のプランを実現するため北斗星から切り離した車両を押す乗客たち。
車両の上で日の丸扇子を振っている暑川と水尾。

乗客たちが放り出された場所から500mほど離れた所に急勾配とその先にクレパスを発見したのは
屑原もずくだった。
それから数時間、乗客たちはまるで熱病にうなされる様に北斗星を急勾配に向けて押していた。
車両の落下スピードで時速150kmの速度を得て・・・・殺して・・・・・地球に帰る!! 乗客たちの
心は一つにまとまった、ようにみえたが・・・
水尾が担任をしている組の生徒、古内数馬(玉木宏)がなにげない一言を・・・

「やっぱり旅はバスだよね。電車は重すぎるよ」

急に現実に引き戻される乗客たち・・・。



次回 >> 第11話「先生!古内君が具合悪いって!」
455名無し職人:04/05/12 09:47
456名無し職人:04/05/23 02:58
第11話「先生!古内君が具合悪いって!」

大前田の言っている事には何の根拠もない・・・108人の乗客たちは地球に
帰ることよりもまずは目の前に迫った生存の危機に立ち向かうことにした。
水がない、食料もない・・・。北斗星の食堂車にあったものはいつのまにか、
暑川と水尾のカラオケ合戦のつまみにされていた。
「もうこいつらを生かしておく必要なんかない!」
凄惨なリンチが始まった。
水尾の頭のケロッピ星人が踏み潰され、その血を古内が浴びてしまう。
狂った乗客たちはなおも暑川と水尾を殴り続ける。
「先生!古内君が具合悪いって!」
女生徒が叫んだ。
ケロッピ星人の血を浴びた古内に異変が・・・。

次回 >> 第12話「古内、散る」
457名無し職人:04/05/30 23:13
第12話「古内、散る」

古内は異形の姿へと変貌し暴れ始めた。
逃げ惑う乗客たち。
突然、暑川が古内の前に立ち塞がり歌いはじめた。

「妻カエル」
母ちゃんは〜♪ 母ちゃんは〜♪ 出て行ったぁ〜♪
おいらを残して出て行ったぁ〜♪
だからおいらは〜今日も編むのさ〜手袋を〜〜♪
母ちゃんが〜いつ帰ってきてもいいように〜〜♪

古内は暑川の歌を聞いて涙を流し、北斗星を押し始めた。
「いまだ! みんな乗るんだ!!」大前田の掛け声に我に帰った乗客たちは
北斗星に乗り込む。
変異した古内の力により北斗星はクレパスの直前まできていた。
「古内くん!乗って!!」
古池恵子が差し伸べた手を、古内は掴もうとしない。
「母ちゃんに・・・よろしく言っといてくれよ、せんせ」
「古内く〜〜〜〜ん!!」
古内を残して、北斗星はクレパスへと落ちていった。


最終話「そして、伝説へ・・」
458名無し職人:04/06/02 13:46
a
459名無し職人:04/06/04 12:38
ge
460名無し職人:04/06/04 12:58
最終話「そして、伝説へ・・」 

あれから何日が過ぎたのだろう。時は経ちもはやこの男を深く知る者は少ない。
彼女の手さえ握っていればこんな孤独にさらされなかった。いや、その温もりさえあればしこしこできる。
なんの変化もない平坦な日々。今は穏やかな時の流れだけ奇跡と呼べる。

次回 最終話後編「どうすりゃええねん」

 
461コンブ:04/06/09 18:50
●最終話「そして、伝説へ・・」

暗い。母ちゃん、暗いよ。

おわー!急に明るくなったぞ!
なんだよ、ここ、列車?
なんだい君たち、カエルでも見るような顔して…。

462コンブ:04/06/09 18:53
エンディングテーマ
ttp://www.tunes.co.uk/tunes/ram/a_go_go01f.ram

寝台特急北斗星殺人事件
第1話「電車のトイレは落ち着かない」 >>444 名無し職人
第2話「なかなか寝られない」 >>445 名無し職人
第3話「修学旅行生が騒々しい」 >>446 コンブ
第4話「こうるさいがきどもを皆殺し」 >>448 名無し職人
第5話「生活指導教師の応戦」 >>449 名無し職人
第6話「担任の思わぬ反撃」 >>450 名無し職人
第7話「担任、吼える」 >>451 名無し職人
第8話「車掌、出動」 >>452 名無し職人
第9話「女子の恋話」 >>453 名無し職人
第10話「やっぱりバスだよね」 >>454 名無し職人
第11話「先生!古内君が具合悪いって!」 >>456 名無し職人
第12話「古内、散る」 >>447 名無し職人
最終話「そして、伝説へ・・」 >>460 名無し職人 >>461 コンブ
463名無し職人:04/06/14 01:46

464名無し職人:04/06/20 23:53
春の連ドラ「仮面ライダーケロッグ」

第1話「出現!怪人コーンフロスティー!」
第2話「ライダー死す!?変身ポーズは忘却の彼方!」
第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」
第4話「怪人スプーン男の涙」
第5話「もぉうガマンできな〜い」
第6話「止めてくれるなおっかさん」
第7話「そして旅に出た」
第8話「登場!5人目のライダー」
第9話「レッドライダー、死す!!」(仮)
第10話「密着!仮面ライダー24時!」
第11話「仮面ライダー女に走る」
第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」
第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!」
最終話「カミングアウト」
465名無し職人:04/06/20 23:54
第1話「出現!怪人コーンフロスティー!」

テレビ夕陽の制作会議室。
プロデューサーの池袋小五郎(吉田栄作)はドタバタと資料の山を持って、
会議室に飛び込んできた。今日は大事な新番組の制作会議、お偉方も
揃っているのに、相変わらずの悪癖で遅刻してしまう池袋。
池袋を睨み付けるのは制作部長の大山益雄(小林稔侍)だ。来るや
いなや矢継ぎ早に説教を食らわせる大山。資料を抱えたまま、ドアの前で
直立不動の池袋。そこに新たな足音が迫ってきてドアを勢いよく開けた。
そのドアに押されて資料の山を大山の頭の上に思いっきりぶちまける池袋。
入ってきたのは池袋の部下の成増良三(布川敏和)だった。
長い説教がやっと終わり、企画の説明に入る池袋。

<企画書>
『春の連ドラ「仮面ライダーケロッグ」』 

テレビ夕陽のドル箱シリーズの大人版!
それを、なんと21:00の連ドラ枠に!!
仮面ライダーで育ったお父さんと現イケメンライダーに夢中のお母さんを
ターゲット!!
主演は反町隆史、敵役にケイン・コスギなど豪華キャスティング!


自信満々に企画を説明する池袋。しかめっ面の大山。
「お前、こんなのがいける訳ないじゃんか! だいたいだな・・・」
大山が池袋の企画に文句をいい始めた時、
口を挟んだのは編成局長の朝霞弘毅(北大路欣也)だった。
トレードマークのコーンフロストを牛乳もかけずにボリボリと食べながら朝霞が
続ける。
「ボクはいいと思うよ、この企画。これでいこう。」
466名無し職人:04/06/20 23:55
テレビ夕陽では朝霞は絶対的な権力者だ。鶴の一声で池袋の企画は決まった。
池袋と成増ががっちりと握手。
「ノルマは15%、数字が取れなかったら、大山くん、君に責任をとってもらうから」
真っ青の大山を残して、コーンフロストを食べながら会議室を出て行く朝霞。
「ああ、それから、この企画書、一つ間違ってるよ。この番組は『春』じゃなくて
『秋』だから。今やってる『スペードを狙え!』は来月で打ち切り。その後に入って
もらうからね。じゃ、よろしく。ボリボリ」

シーン・・・・。
会議室に残され、頭を真っ白にしている大山、池袋、成増の3人。
「じょ、冗談でしょ・・・。おい成増! 反町とケインのスケジュール! 大至急
押さえなおすんだ!」
「む、無理ですよ。二人とも来年の頭まで一杯だって言われて、この企画だって
2月からスケッジュールをいれるのが精一杯だったんですから!!」
「それじゃあ、あれだ! 永井なんかどうだ?」
「そんなの準備段階で全部当たりましたよ! だいたいOAまで1か月ですよ?
この時期にスケジュールが空いてる売れっ子なんていませんよ〜」
「池袋ぉぉ〜〜〜!! なんとかしろぉぉ〜〜!! 俺にはまだローンが残って
いるんだ!! 来年には孫が生まれるんだよぉぉ!!」
大山の絶叫が会議室に響く。


ナレーション(声:中江真司)
怪人コーンフロスティーの奇襲により、窮地に立たされた「仮面ライダーケロッグ」
果たして、主役は誰がやるのか? 視聴率15%はとれるのか??
放送日は待ってはくれない!!
次回 第2話「ライダー死す!?変身ポーズは忘却の彼方!」
467コンブ:04/06/22 18:58
●第2話「ライダー死す!?変身ポーズは忘却の彼方!」

苦肉の策、功を奏せば結果オーライ。

  ライダーは誰だ!?

主演を伏せ、豪華俳優をバラエティ豊かにつまみ食い、
スケジュールの合間に友情出演の形で登場してもらう。
苦し紛れに奇をてらったものにすぎないが、予想外の反響。
視聴者は組み合わせの妙を楽しみ、正体を推理して楽しんだ。

初めのカットは反町の眼鏡のアップからであったし、
ケインも跳び箱を飛んだり、フッくんが寿司の歌を歌ったりもした。
最後はライダーキックで爆破! 正義は勝つ!

   ***

おおむね好評ではあったのだが、ついていけない、
古くからのライダーファンは嘆き、ライダーは死んだと投書。

大山たちは冷静だった。わかっているさ、これからだ。

ナレーション(声:中江真司)
ライダーは誰だ? 正体を隠したまま戦う仮面ライダー。
ありがとう、君のおかげでとりあえず街は救われた!
次回、第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」
468コンブ:04/06/22 18:59
(撮影と放送日の関係ってこんなんでよかったのかなぁ。失敗したかも)
469名無し職人:04/06/23 02:10
第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」

無茶苦茶なスケジュールをなんとかこなし、ヘトヘトになっている池袋。
そこへライダーの恋人役で出演している巨乳タレントのミルク(乙葉)がやってくる。
「最近、かなりお疲れのようですね」
「ああ、でもしょうがないよ。スケジュールが無理の上に無理を重ねてるから」
「睡眠時間あります?」
「そんなもんあるわけないよ。でも、少しは仮眠をとってるから」
「あのね、いいものがあるんですよ」
そう言うと、ミルクはバッグの中から、何か白い粉の入ったビニール袋と金属製の
スプーンをとりだした。
「なんだい? これ?」
「あのね、とってもいいものなんですよ。疲れが一発で吹っ飛ぶし、寝なくてもよくなる
魔法のクスリなんです」
こ、これは、どう考えてもヤバイクスリなんじゃないだろうか・・・
しかし、それを断るには今の池袋は疲れすぎていた。
この状態が少しでも楽になるなら・・・
つい、そう考えてしまった。
「これ、どうすればいいの?」
「簡単ですよ。スプーンにこうやって乗っけて、下からライターであぶって・・・」

>>次回 第4話「怪人スプーン男の涙」
470蛇足:04/06/29 22:57
東武東上線

池袋 北池袋 下板橋 大山
中板橋 ときわ台 上板橋 東武練馬
下赤塚 成増 和光市 朝霞
朝霞台 志木 柳瀬川 みずほ台
鶴瀬 ふじみ野 上福岡 新河岸
川越 川越市 霞ヶ関 鶴ヶ島
若葉 坂戸 北坂戸 高坂 
東松山 森林公園 つきのわ 武蔵嵐山
小川町 東武竹沢 男衾鉢形 玉淀 寄居
471名無し職人:04/07/08 23:57
sage
472コンブ:04/07/14 20:43
  ∧_∧
 ( ・∀・)ワクワク
 ( ∪ ∪
 と__)__)
473名無し職人:04/07/16 12:56
第4話「怪人スプーン男の涙」

「この軟弱者がぁ!!」
いきなり池袋に張り手をかます男、柳瀬川竜次(藤岡弘、)。彼こそ、初代仮面ライダー
であった。
「おまえの窮地は知っている! なぜ、この私に相談に来ないのだ! た〜しかに、私は、
ライダーを引退した。しかし、しか〜し!! お前が頭を下げて頼むのなら、男・柳瀬川!
今一度、ライダーにへ〜んし〜ん!!!」
勝手に演説をぶちかまし、倒れている池袋の背中を足げにして往年のポーズを決める柳瀬川。
なぜか、感動に涙して、池袋から奪った、「ヤバイ粉」の入ったスプーンを飲んでしまう。
さらにハイテンションで語り続ける柳瀬川。
なんとかなだめようとする池袋だったが、口を挟もうとする度に柳瀬川からパンチやキックを
浴びせら続けた。
「あのぉ〜、柳瀬川さん? 僕ら・・・今日が初対面だと思うんですけど・・・」
この日の池袋の最後の言葉であった。

ナレーション(声:中江真司)
遂に立ち上がった初代・ライダー!。
本当に彼がこのまま主役になるのだろうか?
薬事法違反は大丈夫か?? 
次の撮影は明日だ! 気絶している場合じゃないぞ、池袋!!
次回、第5話「もぉうガマンできな〜い」
474名無し職人:04/07/26 00:08
第5話「もぉうガマンできな〜い」

「え〜い、大山め! しぶとい奴だ」
バリボリ・・視聴率表を見ながらトレードマークのコーンフロストを牛乳もかけずに
食べていた怪人コーンフロスティーこと編成局長の朝霞は、その視聴率表をクシャ
クシャに丸めてゴミ箱へ投げ捨てた。そこには「ケロッグ」の先週の視聴率が
書かれていた。16.8%。放映3週目でも主演俳優が一度も顔を見せない事が、逆に
話題になり始め、視聴率は上昇していた。
「まあいい。柳瀬川がうまくやってくれるだろう。ふふふ、大山よ、初代ライダーは
手強いぞ!」

* * *

ロケ現場の石砕場でネットの書き込みを見ながら頭を抱えている池袋。
ライダーは誰だ? 様々な憶測が書き込まれる中で大半の書き込みが・・・、
「柳瀬川竜次(初代ライダー)って線は?」
「それサイテー!」
「柳瀬川だったら首を吊る」
「柳瀬川だったらテレビ夕陽に火をつける」
「柳瀬川だったら妹の風呂写真うp」
などなど・・・。
こんな見え見えの中でホントに柳瀬川がでていったらどうなることか、想像しただけで
池袋は気持ち悪くなった。だいたい柳瀬川はもう60歳をとうに超えている。しかし、今
までの話の中で主人公はスタントマンを使って派手に立ち回ってしまっている。なんとなく
20代くらい?とかの伏線も張ってしまっていた。どう考えても柳瀬川では無理がある。
「なんとかしろ〜池袋〜〜!! もうすぐ柳瀬川がくるぞ!」
大山が池袋の首を絞めながら泣き叫ぶ。
その時、突如、ロケバスの中から奇声が!
「もぉうガマンできな〜い!!」
475名無し職人:04/07/26 00:09

ロケバスから一人の女性が飛び出してきて、大山を蹴り倒し、池袋の上に馬乗りになって
首を絞めはじめた。ケロッグのメインシナリオライターの志木江吏子(森下愛子)だ。
「よ〜くもあたしのホンをズタズタにしてくれたわね! だいたい主役の台詞なしで
どうやって話を進めろって言うのよ! もう限界よ、ゲ・ン・カ・イ!!!!」
そう、ロケには来たものの、ケロッグ第4話のシナリオはまだできていなかった。志木は
ロケバスに缶詰になっていたのだが・・・遂にキレてしまったのだ。

大混乱のロケ現場に柳瀬川の乗るブルーバードSSSが近づいていた。


ナレーション(声:中江真司)
遂に黒幕が正体を現した!
ちょっと早すぎるかもしれないが気にするな!

次回 第6話「止めてくれるなおっかさん」

476名無し職人:04/07/26 02:18
第6話「止めてくれるなおっかさん」

「このこのこの!!」
池袋の首を絞め、殴り続けていた志木江吏子の拳は、徐々にその力を失い、いつしか
江吏子は泣き出していた。
ペシ! ペシ!!
力のない江吏子の拳が池袋の頬をなでる。
「嘘つき! 嘘つき!! 言ったじゃない、最高のライダーを作ろうって! 言ったじゃない、
夢を作ろうって! 大人も楽しめるエンターテインメントにしようって。約束したじゃないの。
嫌よ、こんな中途半端。・・・あたしは・・・嫌・・・」
江吏子の涙を顔に受けながら池袋はゆっくりと立ち上がり、江吏子の手をギュッと握り
しめた。
「ゴメン・・・。俺、自分のことでいっぱいいっぱいで・・。スタッフのみんなのこと考えて
なかった。ほんとにゴメン・・・。」
「池袋くん・・・」
「柳瀬川さんは俺がなんとかするよ。だから、最高のライダーを書いてくれ!江吏子さん」
「ホント? いいの?」
「それで・・・もうしばらく主役は台詞なしで変身したままってことで、第4話よろしく!」
「え!??」
いつのまにか、池袋は江吏子の両手両足を縛りあげていた。スタッフ達がすばやく集まり
江吏子を担ぎ上げてロケ車に連れて行く。
「池袋! このやろ〜〜〜!!」
悪態をつく江吏子に手を振りながら、池袋はADの成増良三を伴って柳瀬川のやってくる道を
走り始めた。
477名無し職人:04/07/26 02:19
* * *

双眼鏡を覗いている池袋。山道を猛スピードでドリフトしながらやってくるブルーバードSSSを
見つけ、無線で指示を出す。
「よ〜し成増! 作戦開始だ!」
「いいんですか? ちょっとやり過ぎじゃあ・・・」
「ふふふ、柳瀬川さんには悪いが、ロケ地には一歩たりとも入らせないぜ!」
池袋の合図とともに木が切り倒され、柳瀬川の行く手を塞いだ。
「よ〜し、やったぁ・・・・あれ?」
池袋がガッツポーズを決めようとした瞬間、柳瀬川のブルーバードのバンパーからチェインソー
が現れ、木を切りながら先に進み始めた。
「くそう! じゃあプランBだ!」
今度は、道が爆破され大穴が開いた・・・・が、ブルーバードは底に仕掛けられたスプリングで
高々とジャンプし大穴を飛び越えてしまう。
「そんなのありかよ〜〜〜!!」
この後も池袋の妨害工作はことごとく無駄に終わった。
「ちくしょう! こうなったら最後の手段だ!!」
池袋は上着を脱ぎ捨て、柳瀬川の車の前に立った。
「何を考えているんだ池袋!」
大山が池袋を制止する。
「止めてくれるなおっかさん!!」
「誰がおっかさんじゃい!」
行く手に池袋の姿を見た柳瀬川は高らかに笑いながらアクセルを踏み込んだ。
「おもしろい! この柳瀬川カスタム、止められるものなら止めてみろ!!」
478名無し職人:04/07/26 02:21
ガンッ!!!!
閃光が走った。池袋を追いかけてきた成増は信じられない光景をそこに見た。
池袋は見事に車を受け止めたのだ。そしてバンパーを持ち上げ前輪を浮かしていた。
空回りする柳瀬川のブルーバード。
「ば、馬鹿な!!」
「FF車が仇になりましたね。これが俺のケロッグにかける想いです!! 俺には守らなくちゃ
いけないスタッフがいるんだ!」
「ふふふ。池袋! おまえはおもしろい奴だな! しかし、忘れているぞ! このブルーバードは
アテーサ内蔵だ! 4輪駆動にもなるんだよ!」
「な、なんだってェェェエェ!!」
「砕け散れ! その情熱とともに!! アテーサ、スイッチィィィオオオオ〜〜〜ン!!!!」
柳瀬川のブルーバードの後輪が駆動を始め、ズルズルと押される池袋。
「くそったれぇぇ!! こ、ここまでか・・・・」
・・・・・池袋の手から力が抜けようとした瞬間、池袋の手を上からがっちりと押さえる手が!
「おまえ一人じゃないぜ!」
「お、大山さん!!」
「思いあがるなよ池袋! ケロッグはお前だけの作品じゃないんだ! 一人じゃ番組は作れ
ないんだぞ! もっとスタッフを信用したらどうだ!」
「そうだそうだ!」
成増を先頭に集まってくるスタッフたち。
「み、みんな!! ありがとう・・・。柳瀬川さん。どうあってもあなたを主役にするわけには
いかないんだ! 分かってくれ柳瀬川さん!! うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
池袋の雄たけびとともにスタッフ全員が前輪を持ち上げ、ついに車をひっくり返してしまう。
479名無し職人:04/07/26 02:22
「やるじゃないか。あんた達の想い、確かに見せてもらったよ。」
「柳瀬川さん!」
車から這い出してきた柳瀬川は池袋とがっちりと握手をかわすと、夕陽をバックに来た道を
ゆっくりと引き返していった。歓喜に沸くスタッフ達。池袋はそのまま意識を失った。

* * *

ロケ車の中で意識を取り戻す池袋。
「しまった! 撮影は! シナリオはどうなった!!」
バサッ! 池袋の顔にケロッグの台本が投げつけられた。そこには江吏子がいた。
「やるじゃない、さすが敏腕プロデューサー」
軽くウインクをして車を出て行く江吏子。
しばらくキョトンとしていた池袋は台本を見て、やがて大笑いした。

「仮面ライダーケロッグ 第4話「死闘! 怪人ブルーバード」

シナリオのところどころに江吏子の字で「CG合成よろしく(ハート)」の文字が書いてあった。
池袋の枕元には「お疲れ様でした」という成増のメモと、今日の柳瀬川との対決の一部始終を
収めたテープが転がっていた。


次回 >> 第7話「そして旅に出た」
480名無し職人:04/08/02 22:25
 
481コンブ:04/08/02 22:30
  ∧_∧
 ( ・∀・)ワクワク
 ( ∪ ∪
 と__)__)
482名無し職人:04/08/04 04:34
第7話「そして旅に出た」

池袋と大山はミルクを降板させることにした。
「なにしろ、クスリはまずいよ。ばれたらこの番組つぶれちゃうよ。だから、今のうちに
ミルクちゃんには番組降りてもらわないとねぇ」と大山。
「でも、台本どうします? ミルクは主人公の恋人役ですし」と池袋。
「だいたい主人公の正体が謎なのに、恋人がいることがおかしいんだよ」
「いまさらそんなこと言っても・・・」
「旅に出てもらうことにしよう」
「旅に?」
「そうだ。ミルクは自分探しの旅に出た。これで行こう」
「唐突ですね」
「いいんだよ。ミルクは恋人が正義の味方なのに、平凡な自分はいったい何だろうって
悩むんだ。そして、アイデンティティの崩壊を起こし、自分探しの旅に出る。
エヴァっぽく演出すれば、それもまたドラマに深みをもたすことができるだろうよ」
「なるほど。じゃ、それで行きましょう」
こうして、ふたりはミルクの降板を決定したのだが、何とミルク本人がたまたまその話を
立ち聞きしていたのだった。
ミルクは親指の爪を噛んだ。そして、決心した。
「いいわ。しょうがない。スキャンダルを恐れるのは当然だもの。どうあがいたって、
アタシはこの番組を降板するしかないでしょうね。でも、ただでアタシが引き下がると
思ったら、大間違いよ。この番組を滅茶苦茶にしてやる」

次回>> 第8話「登場!5人目のライダー」
483名無し職人:04/08/04 05:05
第8話「登場!五人目のライダー」
ボ、僕は五人目のラッ、ラッ、ラ、ライダーのヤッ、山下清っていうんだな。ボッ、ボ、僕は伝説のオッ、おにぎりを探す旅にデッ、デ、出てるんだな。
>>第9話「突然!おにぎりライダーのピンチ」
484名無し職人:04/08/05 08:18
おにぎりライダー頑張って!!
485名無し職人:04/08/09 00:03
第9話 「レッドライダー、死す!!」(仮) 改め 「突然!おにぎりライダーのピンチ」

「な、なんじゃこりゃあ〜〜!!」
ケロッグ第4話放映後に流れた次回予告>>483 を見て大山は絶叫し、隣で口を開けてポカンとしている
池袋に掴みかかった。
「こら!池袋!!なんじゃあの次回予告は! 次回は『レッドライダー、死す!!』じゃなかったのか??
だいたい、版権とかおさえてんのか? それよりも何よりも、あれ、ウケるか?? だめだろ!なあ!!」
「グ、グルジイです大山さん。知らないですよ、あんな次回予告なんてホント知らないですよ。」
「知らないってこたぁないだろ! だいたいさ、あの山下清役の俳優・・・誰だ?? 誰も知らんぞ! その
辺の近所の爺さんじゃねえのか? しかも・・・全然似てねえぇ!!」
ドッカ〜ン!! 突然、ドアを蹴破って江吏子が入ってきた。
「ゴラァ!! 池袋!! あたしのホンをどこへやったぁぁ!!! コロォォ〜〜ス!!」
* * *
「チーン!」
とあるホテルの一室でケロッグの放送を見ながらワインで乾杯する2つの影。
それは、編成局長の朝霞とミルクだった。
「ご苦労だったね、ミルクくん。ククク・・・大山の奴、今頃転げ回っているに違いない。」
朝霞の肩に手を乗せてシナをつくるミルク。
「たまたま2人の利害が一致しただけよ。それに、いい協力者もいたしね、テープのすり替え・・・」
ミルクが部屋の片隅に目をやると、一人の男が頭を抱えてうずくまっていた。成増良三だ。
「・・・やっちまった・・・やっちまった・・・池袋さん・・・ゴメン・・・」
まるで成増などこの部屋に存在しないかのようにミルクは朝霞の膝の上に足を乗せ、耳元で囁いた。
「そ・れ・よ・り・も、局長、今度のドラマの主役・・・」
「ああ、わかっているよ。薬の件もうまくもみ消してあげるよ」
「きゃあ、だから局長さんってす・て・き!! ああそうそう、局長、このワインは下からライターであぶって
あげるともっとおいしくなるんですよ〜」
「やめろ!!」

次回 >> 第10話「密着!仮面ライダー24時!」
486名無し職人:04/08/18 12:29
ここまでの登場人物

池袋小五郎(吉田栄作) : テレビ夕陽 プロデューサー
大山益雄(小林稔侍)  : テレビ夕陽 制作部長
成増良三(布川敏和)  : 池袋の部下
朝霞弘毅(北大路欣也) : テレビ夕陽 編成局長


ミルク(乙葉)        : ライダーの恋人役
柳瀬川竜次(藤岡弘、) : 初代ライダー


ナレーション:中江真司
487名無し職人:04/08/24 12:46
第10話「密着!仮面ライダー24時!」

ミルクは朝霞から取り付けた「次のドラマの主役」の約束手形に有頂天。渋谷で
豪遊していると、昔のワル仲間にみつかってしまう。ミルクはずっといじめられっ子
だったのだ。いいように弄ばれるミルク。泣きじゃくりながら家に帰ると、警察が
待っていた。朝霞に裏切られたのだ。
薬物所持違反で警察に逮捕されたミルク。全てに絶望し、ただ泣き続けるミルク。
そこにやってきたのは、頭を丸坊主にした成増だった。
「ミルクさん! 君は優しさが欲しかっただけなんだよね!」
そう言いながらミルクの持っていた「ヤバイ薬」を出す成増。
その中身は「バファリン」だった。

警察から釈放されたミルクにいきなりスポットライトが当たる。
「いい写真(え)がとれたよ、ミルクちゃん!」
そこには池袋たちケロッグのスタッフ達の姿があった。
「今だ!ミルクちゃん!!」
成増がコンビニのおにぎりを放り投げる。ミルクは反射的に一回転しておにぎりを
口に食えて着地、そしてキメポーズ!!

ナーレーション(中江真司)
「おにぎりライダーは偽物だった!! こうしておにぎりライダーは敗れ去ったのだ!」

スタッフの拍手の中、成増に抱きつくように見せかけて、大山に抱きつくミルク。
この夜、盛り上がったスタッフ達は新宿に繰り出し大騒ぎ。
店を一軒、半壊させてしまうが、成増が陰毛を剃って詫びをいれたことでなんとか
収まった。


次回 >> 第11話「仮面ライダー女に走る」
488名無し職人:04/08/29 23:14
第11話「仮面ライダー女に走る」

「仮面ライダーケロッグの正体は実は恋人役のミルクだった!」
苦し紛れながら意表を突いた展開だと池袋は胸を張った。しかし結果は惨憺たる有様だった。
まず「女ライダーなんて許さない!」と旧来のファンに見放された。
そして、子供たちからも見放され、視聴率は一桁に落ち込んだ。
「なぜだ〜〜!」
絶叫する池袋にスポンサーの番台玩具からクレームが・・・。
番台玩具のライダー担当・坂戸聖一郎(別所哲也)は池袋に言う、
「何故今まで主役のライダーが男だったかが、あなたには分かっていない! 男は女に惚れるが
憧れることはないんだ。」
こうして男をターゲットにした関連商品の発売は中止になった。
頼みの綱のオタク層も「コスチュームが萌えない」とそっぽを向いた。当然だ。ケロッグは男の
予定でデザインされていたのだから・・・。
俺たちは一番大事なことを忘れていたんだ・・・_| ̄|○ 絶望にくれるスタッフ達。


「くくく・・・、なかなか面白いことになっているじゃないか。もう一押しだな。」
怪人コーンフロスティー・朝霞は転げまわる池袋の姿を柱の隅から覗き見していた。そして朝霞は
携帯を取り出して何者かに電話をする。
「ああ、君か? そろそろフィナーレといこうじゃないか。ケロッグは来週は野球で休止だけど、
次の回は生放送でいくから。そう、場所は後楽園で。うん、それじゃそういうことで・・・」


数時間後、生放送の件を編成から伝えられた池袋はその場で卒倒し病院に担ぎ込まれた。


次回 >> 第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」
489名無し職人:04/09/04 13:21
第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」

「仮面ライダーケロッグ 次回は後楽園から生放送! 君もぼくと握手!」
次回予告が流され、もう池袋たちには後がなくなった。
池袋は入院先の病院で布団を頭からかぶってシクシクと泣きながら1週間が経とうと
していた。生放送まであと6日。
それもそのはず。前回でケロッグの正体を恋人のミルクだったと言ってしまったが、
ミルクは絶望的なまでに運動音痴なのだ。
それでも池袋には勝算があった。今のテレビの技術ならCG使いまくり、スタント
使いまくりでも、あとでどうにでも合成できるからだ。
しかし生放送ではどうしようもない! 変身後はスタントマンでいいとしても、その
前はミルクがやるしかない。あのミルクが生でワイヤーアクションなんかできるわけが
ない!! もうだめだ〜〜!!!!
悲嘆に暮れる池袋の前に志木江吏子が現れ、いきなり池袋に平手打ちをかます。
「この駄目男! 一緒に来なさい!!」
江吏子は泣きわめく池袋を車に乗せテレビ夕陽の社屋のある汐留に連れて行く。
そこで池袋が見たものは・・・
490名無し職人:04/09/04 13:21
「がんばれ〜! がんばれミルクちゃん!! 君ならできる!!」
そこには成増たちケロッグのスタッフと出演者たちが円になって集まっていた。
その集団の真ん中で・・・ミルクが腕立て伏せをしていた。
「あなた、あれを見てもなんとも思わないの!」
江吏子の檄に池袋は・・・いまさら腕立て伏せをしてもなぁ〜てか腕立てすらできて
ないじゃん、ほらつぶれた、2回が限度かよ〜〜等ということはこれっぽちも思わず、
男泣きをしながらスタッフに走り寄っていった。
「みんな〜〜〜! 俺が悪かったぁ〜〜〜〜〜!!!」
池袋の復帰を暖かく迎えるスタッフ達。
「待っていたぞ池袋! それでこそ男だ!!」
背後からの声に振り返る池袋。
「あ、あなたは・・・柳瀬川さん!!」
そこには初代ライダーで以前、池袋と激闘をかわした柳瀬川竜次と大山が立っていた。
「喜べ池袋! 今度の生放送では柳瀬川さんがまた怪人役を引き受けてくれたんだ。
ミルクのアクションの指導もしてくれていたんだぞ」
大山のこの言葉に池袋は・・・今更ロートル増やしてどうすんだよ〜、客がみたいのは
アクションなんだよアクション! それも度肝をぬくようなやつ。どうせ連れてくるなら
もっと若くて人気があって数字が取れる奴を連れてこいよ〜大山、お前も使えねえなぁ〜、
等ということはこれっぽちも思わず、顔を涙でクシャクシャにしながら柳瀬川に抱きついて
いった。
「ああ!大山さんだ!」
大山に惚れているミルクは手を振りながら大山に向かって駆け寄ってきた。
そして、あっさりと石に躓き、もんどりうって倒れ救急車で運ばれた。
491名無し職人:04/09/04 13:22
診断の結果は両足の捻挫で全治1週間。
それまでは立つことも無理、というものだった。生放送まではあと6日。
病院の前に立ちつくす池袋と江吏子。
「終わったわね・・・あなたも早く入院した方がいいんじゃない? 放送に穴を空けたら
致命的よ。なんとか責任回避の方法でも・・・」
そう言いながら江吏子が池袋の方をみると・・・池袋は満面の笑みを浮かべていた。
「ど、ど、どうしたの。ついにおかしくなった??」
「へへへ、燃えてきたぞ! こうなったら何がなんでもこの生放送を成功させてやる!!
いくぞ! やろうども!!」
「おお!!」
どこに隠れていたのかケロッグのスタッフ達が集まり池袋を先頭に後楽園に向かって
夕日をバックに走り始めた。
「男って・・・単純・・・」
江吏子は風ではためく髪を押さえながら、この狂気の集団を見つめていた。


次回 >> 第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!
492名無し職人:04/09/05 06:47
あげ
493名無し職人:04/09/09 12:54
第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!」

ついに生放送の日がやってきた。
気合や根性でミルクの足が治ることもなく、無理が祟ってさらに悪化する始末。
柳瀬川は勝手に張り切ってリハーサルにのぞみ、ギックリ腰になってしまった。
本番スタート!
その光景に後楽園にやってきた観客達は唖然とした。
いきなり身長3mのミルクが登場、歩けないミルクを成増が肩車をして
いたのだ。腰から下を布で覆ってはいるものの、その異様な姿はとても
人間のものではなかった。当然、動きも鈍く、あっちへふらふら、こっちへ
ふらふら・・・。
観客席から嘲笑が漏れはじめたとき、反対側から怪人ブルーバード2号が
・・・同じく2人羽織で登場した・・・。上半身は柳瀬川、下半身は池袋だ。
最初は唖然とし、クスクスと笑っていた観客もこれには大激怒。
起死回生のワイヤーアクションで空中に浮かぼうと試みるも、合計4人もの
体重を支えきることができず、ステージ中央に落下してしまう。
「いいかげんにしろ〜〜〜〜!!」
客席から一目でその筋のファンだとわかる男性が立ち上がった。
「俺たちがみたいのはこんなライダーじゃない! だから女は駄目なんだよ!」
もぞもぞと布きれから顔を出す池袋。
「うるせぇ! 男に走るよりはマシだろが!」
まさに支離滅裂・・・。
出演者もスタッフも観客もこれがゴールデンタイムの生放送である事を忘れ
怒声の浴びせ合いをはじめてしまう。
「ごめんなさ〜い!!」
ミルクが足を引きずりながら現れた。
「あたし、あたし・・・実は・・・実は!!」
ミルクは突然上着を脱ぎだし、ブラジャーをたくしあげた。
胸からこぼれ落ちるシリコンラバーの『偽乳』・・・。
「ミルクちゃん! き、きみは!!」

次回 >> 最終話「カミングアウト」
494名無し職人:04/09/18 14:33:56
最終話「カミングアウト」

ミルクは胸を露わにしながら告白した。
「巨乳なんて嘘なんです! 事務所の社長さんがこれを付けろって・・・、
NASAが開発した特殊なんたらだから絶対ばれないって・・・、だから・・
だから・・・ごめんなさ〜い!!」

ミルクのカミングアウトは・・・まったく意味がなかった・・・。
そもそも観客が怒っていることとミルクの胸が大きいとか小さいとかとは
関係がなかったのだから。
仮面ライダーケロッグの生放送は惨憺たる有様で放送を終了しようとしていた。
しかし、池袋には最後の秘策があった。
池袋がさっと右手を挙げるとステージの両サイドにスタンばっていたスタッフ
たちが一斉に縄を引っ張りはじめた。
「これが世界初のステージ丸ごとのワイヤーアクションじゃああ!!」
ゴゴゴゴ・・・・
大地を揺らしながらステージが持ち上がる・・・かと思ったが、ステージは
大きくバランスを崩し、観客席に向かって2回、3回と転がりながらぶつかって
いった。次々とステージの下敷きになる観客達・・・。
重軽傷者36名。こうしてケロッグは打ち切りになった。

* * *

池袋達は警察に逮捕された。総責任者であるはずの大山は事故当時は現場に
おらず罪に問われなかった。全ては池袋以下スタッフ達の暴走ということになり、
池袋は江吏子が用意した保釈金によって出所し、テレビ夕陽の正面に立っていた。
「おお〜い!池袋!」
脳天気な声に池袋が振り向くと、そこには大山と朝霞が仲良く手をつないで立っていた。
495名無し職人:04/09/18 14:35:31
「いやぁ〜今回はまいった、まいった」
大山がペシペシと自分のおでこを叩く。
「まったくだよ。おータン(大山)がさぁ、『スタッフの結束を高めるためには敵が必要だ』
なんていうもんだから敵役を引き受けたのにぃ〜」
「なに言ってるんだい、『立ちふさがる壁は高いほうがいい』ってアーさん(朝霞)も
言ってたじゃないのぉ〜〜〜!」
「いや〜しかし・・・まさかここまで大失敗するとは・・・」
「ほんとほんと、思わなかったよねぇ〜〜」
「そういうわけで・・・池袋くん、君は首ね(は〜と」
池袋はいちゃつく2人に対し右手を高々と上げ、テレビ夕陽の本社ビルの屋上を
見るように指で招いた。
「もう、遅いですよ・・・」
ビルの屋上からスルスルっと大きな縄が落ちてきたかと思うと、地上にケロッグの
スタッフたちが大勢現れ、その縄を引っ張り始めた。
「な、何をする気だ!池袋!!」
うろたえる大山と朝霞に池袋はニヤっと不敵な笑みを浮かべながら言う。
「夢を・・・夢を追い続けることにしたんですよ、俺ら。いつか、地球丸ごとひっくり返して
やりますよ。これは、『手始めに』ってやつです。やれぇ〜〜!!」
池袋の号令でスタッフ達が渾身の力で縄を引っ張る。同時に、ビルの地下で爆発が
起こりテレビ夕陽のビルは轟音とともに崩れていった。
呆然とたちつくす大山と朝霞を残し、池袋たちは地平線の彼方へと消えていった。

ナレーション(声:中江真司)
この後、池袋達は地下に潜り、数年後に秘密結社イケイケ団を結成し世界征服を
始めるのであった。そして人々が絶望にあえぐとき、悪にに立ち向かう正義の使者、
仮面ライター・エリコが登場するのだが、薄給のライターは今は保釈金に使った
借金の返済に追われる日々を送っていたのであった。
立ち上がれ!ライター!! 目標はシナリオ週6本だ!!


「仮面ライダーケロッグ」完
496コンブ:04/09/19 14:23:31
春の連ドラ「仮面ライダーケロッグ」

第1話「出現!怪人コーンフロスティー!」 >>465 名無し職人
第2話「ライダー死す!?変身ポーズは忘却の彼方!」 >>467 コンブ
第3話「驚愕!怖〜いミルクの甘〜い罠!」 >>469 名無し職人
第4話「怪人スプーン男の涙」 >>473 名無し職人
第5話「もぉうガマンできな〜い」 >>474 名無し職人
第6話「止めてくれるなおっかさん」 >>476 名無し職人
第7話「そして旅に出た」 >>482 名無し職人
第8話「登場!5人目のライダー」 >>483 名無し職人
第9話「レッドライダー、死す!!」(仮) >>485 名無し職人
第10話「密着!仮面ライダー24時!」 >>487 名無し職人
第11話「仮面ライダー女に走る」 >>488 名無し職人
第12話「ライダー躓く!全治1週間!!」 >>489 名無し職人
第13話「仮面ライダー激白!男に走るよりはマシだろが!」 >>493 名無し職人
最終話「カミングアウト」 >>494 名無し職人
497名無し職人:04/09/24 23:49:48
もうネタも少なくなってきました。
>>9で出ていたにもかかわらずここまで使われなかったもの↓

『もみあげ』

第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
第四話「石原都知事の逆襲!」
第五話「無情!放たれたBB弾!」
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
第九話「ふと、我に返ったとき」
第十話「ボスはホームレス」
第十一話 『垢の嵐』
最終話「俺にはダンボールがお似合いさ」
498名無し職人:04/09/27 23:56:33
第一話「オレが藻見 亜毛太郎だ!」

オレの名前は藻見亜毛太郎。
もと冷食捜査官だったが、現在はホームレスだ。
みなさんご存知のとおり、現在では自然食は食べることはもちろん所持することも
一切禁止されている。その理由はもちろん地球環境に多大な負担をかけるからだ。
だが、自然食のストックがときおりどこからの冷凍庫から発見されることがある。
これは冷食と呼ばれ、もちろん自然食同様禁止されている。
だが、違反者があとを絶たない。
理由はどうも冷食は美味いらしいのだ。
生まれたときから、合成食しか食べたことのないオレには不潔な自然食などを口に
入れたがる神経というものがどうも理解できないのだが、違反者に言わせると
これこそが人間らしい食べ物だそうだ。
そんな冷食捜査官のオレがこともあろうに、冷食保持の容疑をかけられたのだ。
どうやら、誰かにハメられたらしい。
だが、容疑を晴らす術もなく、オレは追い詰められた。
捜査官の冷食保持は死刑だ。
オレは逃げ出した。そして、現在ホームレスになっというわけだ。
オレはホームレスに身をやつしながら、誰が何のためにオレをハメたのかを必死で捜査した。
そんな、ある日、オレの耳に信じられない情報が飛び込んできたのだ。

>> 第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」
499名無し職人:04/10/05 12:21:26
ほし
500名無し職人:04/10/11 23:17:11
第二話「亜毛太郎のはじめてのおつかい」

ある朝、いつものように新宿の段ボールハウスで目を覚ましたオレの
目の前に、あさり(渡辺いっけい)がぶさいくな面をして立っていた。
「もみあげさんに・・これ・・・渡してくれって・・」
あさりはそういって携帯電話を俺に渡した。あさりってのはもちろん
あだ名だ。ここでは誰も本名なんて名乗らない。こいつはいろんな所から
物を漁ってくるからら「あさり」と呼ばれている。
あさりはその携帯を誰からもらったかというオレの問いに答えずに、
どこかに行ってしまった。
いかにも胡散臭い携帯が鳴った。
オレが電話に出ると、相手からの声はなく映像だけが送られてきた。
今の時代、携帯はどれもテレビ電話だ。
 VOICE OFF LIVE
液晶に文字が出ている。
その映像をみてオレは驚いた。
倉庫のようなところで何人かの男達が箱とスーツケースを交換していた。
ご丁寧に箱にズームされる映像。その箱には「ニチレイ」という文字が!
間違いない。冷食だ。
映像が切れ、液晶には「横須賀第3倉庫」という文字だけが残った。
罠であることは容易に想像できた。しかし今のオレには他に手段もない。
「ずいぶんとヤバイ匂いのするおつかいだな」
オレは急いで横須賀に向かった。
しかし、すぐにオレは重大なことに気がついた。オレはホームレスだ。
金なんて持っていない。
ここは新宿・・・横須賀は・・・遠すぎる・・・。

次回 >> 第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」
501名無し職人:04/10/12 02:16:33
今日の料理

「揚げハムのシェネ、地中海風」

講師:タモリ魚蔡先生
502名無し職人:04/10/16 20:34:34
第三話「とっとこ新キャラ!?アゲハムちゃん!?」

ケイタイの画面が切り替わった。
電子マネー使用許可ON 上限金額なし。
こ、これは俗にブラックカードと呼ばれるシロモノだ。この表示さえあれば理論上は
なんでも買える魔法の電子マネーだ。
もちろん実際は上限金額はあるのだが、その額は50億とも100億ともいわれている。
オレはまず捜査官時代に知り合った武器密売人に連絡をとると、相場の倍払ってやるから
拳銃、グレネードランチャー付き突撃銃、防弾チョッキ、麻酔銃、スタンガン、手榴弾
防弾ガラスのクルマを10分以内に用意しろと命令した。
「旦那、ひさびさに連絡くれたと思ったら、戦争でもおっぱじめる気ですかい?」
そういって、武器密売人(八嶋智人)はきっかり10分以内にすべてを用立てた。
この武器密売人は日本人なのだが、なぜかイスラム教に改宗しており、洗礼名を
ア・ゲハムという。
ア・ゲハムは支払いの電子マネーを見て、ヒューと口笛を吹いた。
「こいつは驚いた。旦那、いつから大金持ちになったんですかい?
 ま、あたしは支払いさえちゃんとしてれば、このカネどこで手に入れたんだなんて
野暮は聞きませんがね」
言葉とは裏腹にカネの匂いを嗅ぎつけて、自分にもおいしい思いをさせろと言わんばかりの
ア・ゲハムをオレはその場から追い払った。
そして、オレは完全武装すると、クルマを横須賀へととばした。

>> 第四話「石原都知事の逆襲!」
503名無し職人:04/10/22 12:24:54
第四話「石原都知事の逆襲!」

ア・ゲハムが用意した車は「マスタングV6」。なかなかいい趣味だ。
前輪には毛並みのいい柴犬が3頭。華麗なコーナーリングが期待できる。
後輪にはセントバーナードを装備。古のポルシェのような後輪でグイグイ
引っ張る感覚が味わえる。まぁポルシェなんて乗った事はないが・・・。
言っておくが今の時代、ガソリン車なんて環境に悪いものは存在しないぜ。
水素も太陽電池もいつのまにか外国に特許を独占されて使えない。
だからもっぱら日本で車と言えばこの「犬車」だ。
「ワンワンワン!!」
威勢のよいエキゾーストノートを響かせながらオレは東京新外環道MK3をひた走った。
120歳まで都知事を続けたイシハラとかいうオッサンのせいで東京は出るのも
入るのもめんどくさい場所になっちまった。東京は何重もの外環道で囲われ、
やれ「排ガス規制」(主に糞・尿)やら騒音規制(主に鳴き声)やらを口実に
税金をむしり取られるようになっていた。
「朝までにはつけるかな?」
ふとバックミラーに目をやると、さっきから気球がオレをつけているようだ。
言っておくが今の時代、ヘリコプターやジェット機なんて、以下略。
顔もよく知らない妖怪都知事(と当時呼ばれていたらしい)オッサンのおかげで
なんともしまらないカーチェイスが始まった。
オレは腹立ちまぎれにクラクションを撫でる。
「にゃあ〜〜〜」
マスタングにシャム猫のクラクションは似合わない。
これが終わったら三毛猫に変えよう・・・。

次回 >> 第五話「無情!放たれたBB弾!」
504名無し職人:04/10/30 16:53:55
第五話「無情!放たれたBB弾!」

ようやく横須賀の倉庫に着くと、当たり前のことだが取引はとっくに終わっていた。
どうしようかな〜と間抜けにつぶやきつつ、一応辺りの遺留品を探してみる。
そのとき、「動くな」と大きな声がオレに突き刺さった。
周りを見るとすっかり囲まれていた。
オレを包囲しているのはかつての同僚。農林水産省の冷食捜査官たちだった。
クソッ! はめられたのか?!
「藻見、お前がなぜここにいる?」
そう声をかけてきたのはかつてのオレの相棒、小鳥遊小鳥(たかなしことり・藤原紀香)だった。
「お前らこそ、なんでここにいるんだ」
「タレコミがあったんだ。ここで冷食の取引があると。それよりもなぜお前がここにいる?
いや、そんなことは後でゆっくり問いただしてやる。藻見亜毛太郎、お前を逮捕する」
「ちぃっ、捕まってたまるか」
オレはマスタングに飛び乗った。いや、正確には飛び乗ろうとした。
その瞬間、捜査官たちが、オレに向かって一斉に発砲しやがったのだ。
もちろんそれは鉛の弾丸ではない。BB弾と呼ばれるものだ。
バイオ・バルド(bio bald)弾。
この弾丸の洗礼を受けた者はたちまちハゲ頭になってしまう。
もちろん、命に別状はない。だが、すぐに解毒剤を打たないと残りの人生をハゲ頭で
すごすことになってしまうのだ。
このため、たいていの犯人が逃走を思いとどまるというシロモノだ。
オレの足も一瞬止まってしまった。捕まれば死刑だとわかっているのに。
その隙を逃す冷食捜査官たちではない。元同僚たちがオレに襲い掛かった。
505名無し職人:04/10/30 16:55:08
だが、そのとき、以外なことが起こった。
オレをずっと尾行していた気球が元同僚たちに向かってBB弾を発射したのだ。
意外な展開に唖然としているオレの肩になにかが刺さった。
「うっ」
そいつを抜いて見るとどうやら注射器を改造した吹き矢のようだ。注射器には解毒剤と
書いてある。恐らくBB弾の解毒剤なのだろう。
気球に乗っているのがどこの誰かは知らんが、オレは今度こそマスタングに飛び乗って
この場から脱出をした。

>>第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」
506名無し職人:04/11/09 12:17:00
ho
507名無し職人:04/11/18 20:54:47
syu
508名無し職人:04/11/25 12:30:55


509名無し職人:04/12/07 12:55:43
第六話「必殺!三枚刃包丁炸裂!!」

オレがマスタングを走らせていると外は突然雲行きが怪しくなり、
激しい雷雨となった。オレをつけていた気球はあっさりと雷にうたれて
墜落した。
オレが気球の墜落現場に行くとそこには既に人影はなかったが、ひとつの
段ボールが落ちていた。段ボールには「陳軒楼」と書かれていた。
横浜の中華街にある有名な高級店だ。
オレが冷食捜査官だった頃からこの店はブラックリストにのっていた。
しかし何度強制捜査で踏み込んでも証拠をあげることはできなかった。
「やはりか・・・」
次の行き先は決まった。その時、例の携帯が鳴った。
携帯の映像は「おいでませ北海道」とこれみよがしな看板から始まり、
キタキツネの愛くるしい姿を映した後、その先の雪原で冷食らしく物の
取引きの様子が映し出されていた。
なんとも間抜けな奴だ。
どうやら、この携帯をオレに渡した奴はこちらの状況を知らないらしい。
オレはマスタングに飛び乗るとまずは近場の床屋に向かった。
「陳軒楼」は横浜一の高級店だ。こんな姿じゃ近づくことさえできやしない。
「バーバー斉藤」という店に入ると店主(斉藤洋介)が名物の三枚刃包丁で
見事に髭を剃ってくれた。その腕前に感心しているオレの喉元に包丁をあてながら
店主が耳元で囁いた。
「お客さん・・・シナリオを勝手に変えちゃあいけないよ・・」
!!驚愕する間もなくオレは後頭部を殴られて気を失った。

第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」
510名無し職人:04/12/13 22:37:45
第七話「亜毛医師、病に倒れるの巻」

「ダンナ、目が醒めましたかい?」
オレにそう声をかけたのは、ア・ゲハムだった。
「おっと、まだ動かないほうがいい。頭を強く打ってるようですからね」
「お前が助けてくれたのか?」
「べつに助けるつもりはなかったんですがね。誰かがアタシの家にダンナを投げ込んだ
んでさあ。で、放っとくわけにもいかないんで、ベッドに寝かせたってわけです」
「そうか、そいつはすまなかった」
「いえ、謝ることはないですよ。ダンナのケイタイね、調べさせてもらいました。
残高ゼロになってましたよ。アタシも慈善事業してるわけじゃないんでね。
ダンナの身柄をカネに変えるにはどうしたらいいかなと考えまして。
このひとに来てもらったんですよ」
ア・ゲハムの後ろから、小鳥遊小鳥が顔をのぞかせ、こう言った。
「藻見亜毛太郎、お前を逮捕する」
「おい、まってくれ、誤解だ。オレはただ・・・」
そういいわけして、起き上がろうとした瞬間、世界が反転した。
「わ、ダンナ、ひどい熱ですぜ」
どこか遠くでア・ゲハムの声が聞こえた。
ホームレス暮らしで弱っていた体に最近立て続けに起こったドタバタがこたえたらしい。
くそ、こんなところで倒れるわけにはいかない。
なんとか、無実を証明して冷食捜査官に返り咲かなければならない。
オレは一日たりとも冷食捜査官だったことを忘れたことはない。
冷食捜査官こそ今の時代にメスを入れる医師なのだ。オレは冷食捜査官なのだ。
ダメだ・・・ 嗚呼、意識が・・・・

次回>>第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」
511名無し職人:04/12/26 12:52:45
第八話「今日もあぶれた!競輪だ♪」

・・・・
世界がぐるぐる回ってる。

オレは・・・オレは・・・・誰だ??
・・・・
・・・・そう・・オレは・・・・・ホームレス。
世界中でもっとも駄目な奴。
妻の小鳥に逃げられ、酒びたりの毎日を送って会社をクビになった奴。
今日も素晴らしい政府がしてくれる、ありがたい日雇いバイトから漏れ、
競輪場で車券をあさっている。そんな駄目な奴。
素晴らしい政府がうってくれる注射のおかげで死ぬことなんてない。
でも働けない・・・そんな駄目な奴。
ああ、素晴らしい政府よ!
こんなオレにできることならば、あなたの靴をなめることでもかまいません。
ああ、素晴らしき政府よ!
素晴らしい政府・・・・素晴らしい・・・
・・・
違う!!
オレは見たんだ!!
冷凍食品の中に潜む、恐ろしい陰謀を!
そう! おれは冷食(ドガッ!!)捜査・・・・かん・・・・
オレは後頭部をしこたま殴られ、また意識を失った。
遠くで男の声が聞こえた。

「まったく手間のかかる・・・シナリオ通りにいかない人だ。ねえダンナ。」


次回 >> 第九話「ふと、我に返ったとき」
512名無し職人:05/01/06 23:58:31
2005年保守
513名無し職人:05/01/08 17:04:03

514名無し職人:05/01/15 02:52:02
第九話「ふと、我に返ったとき」

「・・・なた・・・・ぁなた・・・・あなた!!」
オレは激しく肩を揺さぶられ、首を絞めれて目を覚ました。
目の前に妻の小鳥が立っていた。
「どうしたの? ずいぶんうなされていたわよ」
「ああ・・・」
オレは気のない返事をして頭を振った。割れるように痛い。
夢か・・・。
ずいぶんとリアルな夢だ。しかしおかしな話だ。このオレが
ホームレスだなんて。オレは時代の寵児と言われ年商100億を
稼ぐ実業家なのに。
「どうしたの?」
「いや、夢でさ、おまえが捜査官でオレを追い回すんだ」
「あらやだ! あなたに逮捕されちゃったのは、あ・た・し!」
「こいつ〜〜〜」
オレはふざけて小鳥の頭を横にはたいた。
ズラが飛んだ・・・。
「お、おまえは誰だ!」
「わははは! よくぞ見破った!」
突然、小鳥の声がずぶとい男に変わり腰に手をあてて高笑いをはじめた。
「ある時は冷食捜査・小鳥遊小鳥! そしてまたある時は・・・」
小鳥は顔に手をあてて皮膚をひっぱる。その下から現れたのは・・・
「謎の武器商人、ア・ゲハム! またまたある時は三枚刃包丁のバーバー
斉藤! またまたまたある時はホームレスのあさり! またまたまたまた
ある時は! ・・・なんだっけ? まあ以下略! しかして、その実体は!!」
「じ、実体は??」
「じゃぁ〜〜〜ん!! 山田雄介だ!!」
「誰だよそれ!!」


次回 >> 第十話「ボスはホームレス」
515名無し職人:05/02/02 22:14:59
   
516名無し職人:05/02/10 23:14:37
このスレすごい。2年も続いてる…
517名無し職人:05/02/19 07:44:13

518名無し職人
第十話「ボスはホームレス」

「山田雄介って誰だよ!」
「やはり記憶は戻りませんか・・・。山田雄介とは、あなたの事ですよ、ボス!」
ア・ゲハムの顔をした男は残念そうにうなだれながら話を続けた。
「あなたは冷食捜査官のボス、山田雄介なんです。あなたは、ある事件の捜査の
ためにホームレスを装って単独で潜入捜査をしていた。しかし敵に捕まって
記憶を奪われてしまったんです。我々はあなたの記憶を取り戻して犯人を逮捕する
ためにこんな芝居をうったんです。」
「そうかそうか。おかしいと思ったんだよ。オレのような「できる男」がホームレス
なんてさ。」
「医者の見解は、あなたの深層心理の中にホームレスのままでいたい、という願望が
あるため記憶を蘇らせる邪魔をしているんだそうです。どちらにしてもボス・・・」
ア・ゲハムはゆっくりと右手をあげオレの方に向けた。その手には拳銃が握られていた。
「残念ながらタイムリミットです。」


次回 >> 第十一話 『垢の嵐』