神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)の医師2人が、乳がん患者48人に対し、
同意書を取らずに抗がん剤を使った自主臨床試験を行っていたことがわかった。
患者の健康に重大な影響はなかったが、厚生労働省が示した倫理指針に違反しており、医師は
患者と連絡を取り、謝罪した。市は医師を処分する。
市によると、同病院の40歳代の外科の医長と元医長(昨年7月退職)が2004年2月〜05年10月、
乳がんの手術前に抗がん剤を投与する際、投与の順番や量を標準的な方法から変更する臨床試験を行った。
試験は52人に実施し、医長は30人、元医長は18人の同意書を得ていなかったという。
厚労省は、03年施行の「臨床研究に関する倫理指針」で、臨床試験を行う場合、文書で同意を得なければ
ならないとしている。同病院では事前の実施計画を提出させ、院内の部長会が承認したが、同意書を得ているか
どうかの確認はしていなかったという。
市側が事情を聞いたところ、医長らは「口頭説明は全員に行い、同意書も大半の人に配布したが、忙しくて
回収していなかった」と釈明したという。
同病院の菊池晴彦院長の話「手続きが不適切だった。心からおわびしたい。再発防止を徹底する」
(2007年7月27日15時4分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070727i506.htm