【PSU】新ジャンル「パシリ」二十体目【祝二十体】
1 :
名無しオンライン:
2 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:14:27.59 ID:UZ+TMYJm
2 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 11:02:53 ID:LvPgVlId
ブーツでGH-440を作ってEXデバイスでGH-470にした
そして初の打撃100なGH-410を作ろうとして打撃武器を集める日々〜〜
新キャラ育成は荊のみち〜 そして新スレの行方は…
即死だけは回避したい
3 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 11:10:55 ID:GJ+/8Q3g
ややこしい設定前提のが増えてからすっかり読まなくなった
ワンオブサウザンド(笑)
4 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 13:37:16 ID:l6KzjSRA
誘導
【PSU】新ジャンル「パシリ」十九体目ver2.0
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/ogame3/1255244211/ 5 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 14:53:05 ID:LK22MtMv
俺のパシリ遍歴
メイン
打50法50の420→470→465(今ここ)
サブ1
射100の430→432→431(今ここ)
サブ2
防100の440→421(今ここ)
3 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:18:29.61 ID:UZ+TMYJm
6 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:15:50 ID:q2Nb7kK5
スレ立てお疲れ様です。
早速後編投下。
7 名前: ボクはちゃんと覚えてる 1/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:16:34 ID:q2Nb7kK5
ご主人が先に飛び出し、ボクが後に続く!・・・が。
「何も居ない…?」
ボクが呆気に取られていると、
「何やってる!アッシュ! 死ぬぞ!」
「え!? 何もないよ!?」
「そこら中に居るぞ! 早く撃て!」
そう言いながら、ご主人は・・・
がむしゃらにアオリユウを振り回している。・・・何もない空間に。
「ご主人…? どうしたの…?」
鬼気迫る表情そのもので、ご主人は武器を振り下ろす。
「こんなに! まだ残ってたのか!? 封印された筈だぞ!」
「こんな数が!」
「こんな…こんなに…!」
8 名前: ボクはちゃんと覚えてる 2/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:16:55 ID:q2Nb7kK5
「ご主人! やめて!」
「アッシュ!? 死にたいのか!?」
ボクはご主人に抱きついた。ご主人を止めなくちゃ・・・!
「どうしちゃったの、ご主人!? 何もいないんだよ!?」
「お前には見えないのか!? SEEDが!」
「やめて…ご主人…お願い…何もいないんだから…!」
それでも、ご主人はその手を止めようとはしない。
「離れろ! お前も死ぬぞ!」
そう言うとご主人は、ボクを無理やり引き剥がす。
「ご、ご主人…」
「エミリア! だれかこっちにいるぞ!」
4 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:20:49.50 ID:UZ+TMYJm
9 名前: ボクはちゃんと覚えてる 3/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:17:18 ID:q2Nb7kK5
「貴方!? 何をやっているんです!?」
リトルウィング社員と・・・ガーディアン?
「くっ、また来やがったか!」
ご主人は振り返ると、その人達に斬って掛かる。
「ご主人、やめて! SEEDじゃない! SEEDなんかじゃ…!」
「うおぉぉぉぉっ!!」
アオリユウを振り下ろし・・・
次の瞬間、ご主人は地面に地面に倒れていた。
「…ご主人…?
大丈夫!? ご主人! お願い、起きて!」
「ちょ、ちょっとあんた、強くやりすぎたんじゃないの?」
「まったく…スタンモードとは言え、手加減も必要ね」
10 名前: ボクはちゃんと覚えてる 3/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:17:53 ID:q2Nb7kK5
「…ご主人に何をした!」
「ちょ、待った! ストップ! 気絶させただけよ!」
「救援を呼んであげるわ。あなたはここで待ってなさい」
そう言うとガーディアンの人は連絡を取り出した。
ご主人は確かに気を失ってるだけみたい、よかった・・・
「ご、ごめんなさい…ご主人が心配で…」
「この異常な状況じゃ仕方ないわ」
「ここ…いやなかんじがする。長くはいないほうがいい」
「私達は先に進みます。あなたは帰還して、この現状を報告しなさい」
「この子はガーディアンズじゃなくてリトルウィングの社員なんですけど」
「そう。だったら情報協力をお願いしたいわね」
「…わかった、そうするよ」
「あと20分ぐらいで到着するわ。 …しっかりご主人を守ってね」
「うん」
「こっちだ!はやく!」
「こら、そんなに急がない! ヤバイのが出てきたらどうするのよ!」
「まったく、世話が焼けるわね…行きましょう」
ガーディアンズは横に立っていた人にそう言うと、先に行った二人を追いかけていった。
5 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:22:29.63 ID:UZ+TMYJm
11 名前: ボクはちゃんと覚えてる 4/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:18:27 ID:q2Nb7kK5
気付くと俺はベッドの上に横たわっていた。
部屋は一面真っ白で、目覚めたばかりの目には眩しい。
そして、身体に感じる微かな重み。青い髪が目に入った。
頭を撫でる。どうやら眠っているようだ。
「…まったく、お前も人間らしくなったもんだ」
ここは・・・病院か。
俺はあの時・・・
「どうだ? 気分は良くなったか?」
「あなたは…ラリーさんですか」
青いキャストは病室に入ってくるなり、『どっこいしょ』と言いながら椅子に腰かける。何だその掛け声。
「君のPMから話は聞かせて貰ったよ。なるべく…他人には話さない方がいい」
「やっぱり…おかしいですよね」
「お偉方はこの状況を一応認識してはいるが、公表は避ける方針だ。緘口令、という事だな」
「ラリーさん、俺は」
「分かってる。仕事は引き続き可能だ」
「よかった…」
「君の精神も正常そうだしな」
「そうだ、アッシュ君には感謝した方がいい。君が寝込んでいる間中、ずっと付き添っていたんだ」
12 名前: ボクはちゃんと覚えてる 5/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:18:51 ID:q2Nb7kK5
「おかげでオーバーヒート寸前になったがな…今は休んで貰っているが、
どうしても君から離れたくないようだ」
「そうだったんですか…」
「まだ仕事が山積みだ。そろそろ失礼するよ。……もう目を覚ます頃だろうしな」
俺の返事を待たず、彼はさっさと出て行ってしまった。
最後の方はよく聞き取れなかったな・・・
そのうち、アッシュがもぞもぞと動き出した。
「ううん…?」
「おはよう、アッシュ」
「ご主人…大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だよ、心配するな」
「うん…よかった」
「ご主人、今日は何の日か知ってる?」
「いや? 知らないな…」
「ちょっと待ってて」
そう言うと、脇に置いてあった帽子から何か─白い箱のようなものを取り出した。
「ボクはちゃんと覚えてる。ご主人のことを」
「おいおい、何なんだ?」
6 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:23:32.52 ID:UZ+TMYJm
12 名前: ボクはちゃんと覚えてる 5/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:18:51 ID:q2Nb7kK5
「おかげでオーバーヒート寸前になったがな…今は休んで貰っているが、
どうしても君から離れたくないようだ」
「そうだったんですか…」
「まだ仕事が山積みだ。そろそろ失礼するよ。……もう目を覚ます頃だろうしな」
俺の返事を待たず、彼はさっさと出て行ってしまった。
最後の方はよく聞き取れなかったな・・・
そのうち、アッシュがもぞもぞと動き出した。
「ううん…?」
「おはよう、アッシュ」
「ご主人…大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だよ、心配するな」
「うん…よかった」
「ご主人、今日は何の日か知ってる?」
「いや? 知らないな…」
「ちょっと待ってて」
そう言うと、脇に置いてあった帽子から何か─白い箱のようなものを取り出した。
「ボクはちゃんと覚えてる。ご主人のことを」
「おいおい、何なんだ?」
13 名前: ボクはちゃんと覚えてる 6/6 [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:19:10 ID:q2Nb7kK5
「本当はミッションが終わってからするつもりだったんだ」
そう言うと箱を開けて・・・中身を取り出す。それは・・・
「ちょっと遅くなっちゃったけど…」
そうか。あの日は・・・
「お誕生日おめでとう、ご主人」
14 名前: ボクはちゃんと覚えてる [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 20:23:39 ID:q2Nb7kK5
これで後編も終了。
パシリスレってこんなに長く続いてるんですねぇ…
これからも様々な方が作品を投稿してくれることを願います。
7 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:24:33.72 ID:UZ+TMYJm
/~~> - -<~^}
£§/´ ::::::: :: ;;::: . ヽ.
/::~/:: :: :::::::: ;ハ;:: : :;ハ
| ::::| :: ( ::::;ノ ヽノ;;::::.}
| ::::|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <1乙。これはポニーテールうんたらかんたら
| :::,ハ,|ツヘ.{、 ( フ_ノノ´
ヘ,ツツ≠;:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
(__.}つ/ GH-420 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
>>3 と、いいつつ即死回避に協力してくれるとは。
あんた、IDといい、本当にいい奴だな。
>>14 後編投下乙です。だが、タイトルが前編のままなのぜ?
誕生日プレゼントを渡すPM、何かすごくほのぼのしたぜ!
16 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/25(火) 23:43:02 ID:7odm2ZLK
20か、すげーな
もうPSUからは離れちったけど
別のゲームでもロボットとかマシンの名前にGH−430は使ってるんだぜー
8 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:25:01.40 ID:UZ+TMYJm
18 名前: 最適化機能 1/3 [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:35:24 ID:2zpmdax3
惑星パルム、リニアラインの中。心地良い音と共に景色が流れてゆく。
上を見ても下を見ても街が広がっている。
「…見たけりゃ見ればいいだろ。人の顔色を伺うな。」
そう言ってやると、ぱっと瞳を輝かせて窓際へかじりつく。
年の離れた弟を連れている様な気分だ。
「──まもなく、グリングリンステーションへ到着致します。」
アナウンスの声に、ぱっとこちらを振り向く470。
今度は疑問系の表情だ。
「ああ、仕事だよ。降りるぞ。」
こくりと頷くとシートから立ち上がり、おしりをパンパンとはたく。
ホコリなんか付かないっつうの。
19 名前: 最適化機能 2/3 [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:36:17 ID:2zpmdax3
「どうもー。ガーディアンズの者です。こいつはパートナー。」
「あっ!お待ちしておりました!」
グリングリンファーム管理者レムリア・ノルフェがしなやかに大鎌をナノトランサーへ
格納しこちらへ駆けてくる。
放牧エリアから脱走したゴルドルバ3匹を連れ戻してほしいという依頼なのだが
恐らく骨の折れる仕事になるだろう。
「実は、先ほど1頭を別件でいらしていたリトルウイングの方々が連れ戻して下さった
ので、お二人に連れ戻して頂きたいのは残りの2頭になります。
大変な作業になると思うのですが、どうかよろしくお願い致します。」
丁寧にお辞儀をするノルフェに、同じく深々と頭を下げる470。
それに気づいて微笑み、「お願いしますね♪」とノルフェは優しく付け加えた。
20 名前: 最適化機能 3/3 [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:37:30 ID:2zpmdax3
ヒトは五感のいずれかを失うと残った感覚が発達するというが、それはマシナリーにも
言える事なのだろうか。
アタシはキャストやマシナリーに詳しくないのでサッパリだが、こいつにはどうやら
その発達が現れた傾向が見られる。というかおかしい。
何故、どうしてマシナリーがゴルドルバの鼻を撫でて大人しく躾けられるのだろう?
2頭のゴルドルバはまるで親の後へ付く様に、470について放牧エリアへと戻った。
それを見たノルフェの表情がおかしくて忘れられない。
「おかげで助かったけど、一体どうやったんだ?」
問いに、てへへと照れる様な表情で微笑む470。
言葉以外の表現で意思疎通を試みる様最適化された結果なのだろうが、この所嫌に
ヒトじみてきている。
「GRMで発声ユニットを付けてもらったら詳しく教えるんだよ。いい?」
真顔で親指を立ててこっちへ突き出してみせる470。声が出せないこいつもかわいい。
「──まもなく、ホルテス・シティへ到着致します。
GRMをご利用の方は、左側出口より西ブロック通路をご利用下さい。」
21 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/26(水) 12:42:16 ID:2zpmdax3
しゃべらない○○っていうのを某所で見たので、そのパクりです。
保守のお手伝いになればー。
9 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:27:44.83 ID:UZ+TMYJm
22 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/27(木) 21:11:50 ID:MIkP75oe
>ゴルドルバの鼻を撫でて大人しく躾けられるのだろう?
>2頭のゴルドルバはまるで親の後へ付く様に、470について放牧エリアへと戻った。
何この470すげーカワイイw
某所の某動画の影響でしゃべらない○○系で浄化されてしまう俺ガイル
23 名前: 1/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:54:13 ID:4wJlE0H5
「はひっ・・・はひっ・・・はひっ・・・」
頬を上気させ、息を切らせながら主人がふらふらと走る。
いつもならこんな事はないんだけど、今日はいつもとは違う。
「少し・・・休憩するか」
そう。この人がいるからだ。
パートナーカードを交換してから数日、早速主人がミッションへと誘ったのだ。
返事はあっさりOK。向こうもPMを連れて行くので私も一緒に行くことになった。
本来ミッションで同行できるPMは一体となっているが、今回のようにこっそり2名以上連れて行く人も多い。
少しでも長く一緒に居られるようにと、普段行かないような長めのミッションを選んだのが悪かった。
主人は緊張からかペースを乱し、何度も息を切らせた。
本日何度目かの休憩。主人はへたり込んで必死に息を整え、セシル様は無言でマップの確認。マイは相変わらず「休め」のポーズ。
沈黙。気まずい。空気が重い。何か喋らないと・・・。
「すみません。その・・・ご主人様、体力あまり無くて」
「・・・フォースだから・・・」
「・・・・」
「・・・・」
会話終了。私が話し下手なのか?
と、そこで復活した主人がもう大丈夫ですとのお知らせ。助かった。
24 名前: 2/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:54:48 ID:4wJlE0H5
その後、目的の大型エネミーを討伐し、無事にミッション終了。
と言っても、ほとんどセシル様とマイの二人で倒したようなものだ。
戦闘前から既にへろへろになっている主人と、普段ほとんどミッションへ参加しない私。
はっきり言って居ても居なくても変わらなかっただろう。むしろ邪魔だったかもしれない。
帰り道、持ち直した主人がしきりにセシル様に話しかけている。
カード交換の時の事を思えば結構な進歩だ。・・・成果はあがってなさそうだけど。
何だろう、決して適当に聞き流しているわけじゃなさそうなのに、返事が「ああ」とか「うん」とかばかり。
くじけない主人も大したものだ。
「あの・・・らぶさん」
隣を歩いていたマイが声をかけてきた。
「はい、なんでs「うあーーーーーーん」
私の返事は子供の泣き声にかき消された。見ると、女の子が道端で泣いている。
迷子かな。そう思っていると、主人が女の子に駆け寄っていた。
10 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:30:14.42 ID:UZ+TMYJm
25 名前: 3/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:55:20 ID:4wJlE0H5
「だいじょぶか?どないしたん?」
「おかあさ・・・いっ、いなく、なっ、うあーーーーーーーーん」
やはり迷子のようだ。
「そっかぁ、かわいそうになぁ。もう大丈夫やで、お姉ちゃんが一緒にお母さん探したるからな」
「ぐすっ、ひっ・・・ほん、と・・・?」
「任しときぃ。だからもう泣いたらあかんで、お母さん心配してまうからな」
頷く女の子の頭を撫でるとこちらへ振り向き、いいよね?という顔をする主人。
私とマイは勿論異論なし。セシル様も頷いた。
その後30分程歩き、ショップの立ち並ぶ通りで母親を見つけることが出来た。
時間によっては人通りが増える場所のため、はぐれてしまったらしい。
何度も頭を下げてお礼を言う母親に、主人は少し照れていた。
別れ際、女の子が手をぶんぶん振りながら、大きな声で
「おにーちゃん、おねーちゃん、ありがとーーー!」
・・・あの女の子の記憶には「背の高いお兄さんと関西弁のお姉さんにお母さんを探してもらった」と
刻まれたんだろう。
26 名前: 4/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:55:52 ID:4wJlE0H5
女の子を見送った後、私達は元の道へ向かって歩き出した。
途中、多分初めてだろう、セシル様が主人に話しかけた。
「いつもは、あんな感じなのか」
「へっ?」
言葉が少なすぎて意味がわからない。主人が困惑していると、それに気付いたのか言葉を付け足した。
「その・・・喋り方」
「・・・・!!」
喋り方。そうだ。いつも聞いているせいか違和感がなくて気付かなかったけど、さっきの女の子に主人は普段の口調で話していた。
というか、主人は敬語じゃないと標準語が扱えない。
「え・・・っと・・・あれは、その・・・」
「無理、してたのか?」
「う・・・うん・・・変、かな、って・・・・」
「別に、いいんじゃないかな」
「えっ?」
「なんというか・・・さっきの方が、自然、だったと思う」
「そ、そう?・・・さっきの方が、いい?」
「・・・私は、そう思う」
多分、心の中でガッツポーズしてるんだろうなぁ。
活き活きとした表情でいつもの様に早口で喋り始めた主人を見ながら、そう思った。
・・・あれ、今回私何もしてなくね?
11 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:30:57.58 ID:UZ+TMYJm
27 名前: 5/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:56:16 ID:4wJlE0H5
主人と共にルームに帰ると、マイからメールが来た。
「今日はお疲れ様でした。
今、お時間ありますでしょうか?」
主人はシャワーを浴びている。長風呂だからしばらくは大丈夫なはずだ。
「お疲れ様でした。
私は大丈夫ですよ。何かありましたか?」
返信、と。
・・・お、返事きた。
「では、いつものチャットルームでお待ちしています。
クロさん」
目玉が飛び出そうになるってこういう感覚なんだろうか?
なんでマイが私のHNを知っているんだ・・・。
私は慌ててビジフォンの電源を入れた。
28 名前: 6/6 [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 01:56:37 ID:4wJlE0H5
---- クロ さんが入室しました。
クロ:こんちゃー・・・
乙女>>クロ:こんにちは。お待ちしていました。誰か来るかもしれませんから、個人チャットにしましょう。
クロ>>乙女:了解。早速だけど・・・もしかして、マイ?
乙女>>クロ:はい。
クロ>>乙女:マジでか!
乙女>>クロ:マジです。それでですね、お話なんですが
クロ>>乙女:うん。
乙女>>クロ:ミコト様の件、私も協力させていただけませんか?
クロ>>乙女:へ?い、いいの?
乙女>>クロ:はい。・・・その、我が主は決して悪い方ではないのですが
乙女>>クロ:如何せん社交的とは言い難く・・・ご友人がとても少ないのです・・・
クロ>>乙女:ああー・・・うん・・・なんとなく分かる・・・
乙女>>クロ:せっかく出来たご友人ですし、私も何かお役に立てたら、と思いまして・・・
クロ>>乙女:そっかぁ・・・でもいいの?自分の主人と他の女の仲を応援するんだよ?
乙女>>クロ:はい。ミコト様はとても良い方ですし、主も決して嫌ってはいないと思うんです。
クロ>>乙女:そっかぁ・・・わかった。心強いよ、一緒に頑張ろうね!
乙女>>クロ:はい!
おわり
29 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/28(金) 02:09:49 ID:4wJlE0H5
「遅ればせながら、二十体目おめでとうございます」
「おめでとうございますー!」
>>14 >そう言うと、脇に置いてあった帽子から何か─白い箱のようなものを取り出した。
「やっぱり、あの帽子はナノトランサーやったんやな・・・!」
「他に言う事ないんですか・・・?」
>>21 >2頭のゴルドルバはまるで親の後へ付く様に、470について放牧エリアへと戻った。
「なぁ、頼んだら背中乗せてもらえへんやろか」
「やめてくださいよ恥ずかしい・・・」
12 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:31:37.28 ID:UZ+TMYJm
31 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/29(土) 23:43:22 ID:ntgt16Q9
どなたかは知らんが、前スレ梅乙&保守
>>28 ご主人といる時はすごく堅苦しい感じなんだが、チャット時は案外普通だよな。
どっちが本当の性格なんだろうと、ふと思った。
32 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/05/31(月) 23:37:18 ID:lyJhFin1
,ヘ/~ヽ/~\ヘ,ヘ
((@〈´_/^, ~;;~ ^ ヽ.〉
/./ :〃..::::..,,へ,;. , ハ
( ::|::i{l|..::::,ノ'' ソ,;;:::.}
| ::|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <保守なのです
/ ::>、|ツヘ.{、 ( フ_ノイ
(.:;リ /';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
/ :ソ (__Zつ/ GH-410 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
新着レス 2010/06/03(木) 02:00
33 名前: 名無しオンライン [sage] 投稿日: 2010/06/03(木) 00:25:19 ID:0olB5Uw4
保守。
2日に1回、保守しとけば大丈夫かなと個人的には思ってる。
13 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 20:33:47.78 ID:UZ+TMYJm
前スレ サルベージ完了
2スレ続けて途中で落ちてサルベージとは
ま 今回は 謎のサーバー移転らしいですが?
14 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 22:04:58.89 ID:VSMEtbVZ
スレ立て&サルベージ乙。
Wiki保管庫からの誘導はこちらで修正しました。
15 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 22:10:39.27 ID:QyBebyK5
>>1&14
乙であります。
そして、また即死回避を頑張る必要がガガガガ
_____
|__ \ :::::::::/|
| | |__::::_| |
へ. \ Y |ヘ
〔_\_|___|___ノ_ 〕
| :: ( :::::;ヘ;; ;;ハハ::::.}
|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <合成Up期間だし、どんどんポリマー持ってきてね♪
ム;:::リヘリ、 ( フ_ノツ
ムル/';:'`.7/ ̄ ̄ ̄ ̄/
.(__.]つ/ GH-440 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
16 :
名無しオンライン:2010/06/03(木) 22:12:53.05 ID:FhsnbrDL
「我、食べずしてごちそうさま無し
理想の食卓、整わざるとも屈せず
これ、後悔とともに仕えること無し」
嗚呼、パシリが行く……
望まれることなく、食卓から
外されし彼女等を動かすもの。
それは、食べる意志を持つ者の
食欲に他ならない。
17 :
名無しオンライン:2010/06/04(金) 00:26:10.62 ID:PZlcltDd
18 :
名無しオンライン:2010/06/05(土) 01:18:31.91 ID:jOgA+nRu
>>17超乙です。今、読み終えました。
諜報部のワンワンサンドの2人、出てこないから何してるのかと思いきや、
元気そうでよかったです。
ってか、「狂戦士」のご主人、マガシにやられて、
てっきり死んだものとばっかり思っていた俺ガイル。
そろそろ物語も最終かな?
それまでにはきっと制服も復活するさw
主 「最悪ショップで買えばいいさ、と思って検索したが、
不人気な色とそうでない色の差が半端なかったな。」
GH450 『女性服は前から人気の色は途轍もなく高いですからね。』
主 「こういう時は男性でよかったと思うよ。」
GH450 『どの道、着たきり雀のご主人には関係ない話ですけどね。』
主 「ひどいな。つーか、それを言うならPM全般も着たきり雀じゃないか。」
GH450 『何を言いますか!確かに私達PMはいつも同じ服を着てるように見えますが、
ちゃんと毎日着替えてるんです!それに服も微妙に違うんですよ。ほら。
(PM用服のクローゼットを開けながら)
例えば、この服は普段着用。普段着なので、洗濯しても困らないよう同じ素材のが5着あります。
こっちの服は寒冷地用で少し生地が分厚いです。
逆にこちらは熱帯気候用で涼しい作りになってます。』
主 「俺に全部、同じに見えるんだが・・・」
GH450 『全然違うじゃないですか。これなんか、耐火処理が施されていて、フォイエLv50でも絶対に焼けない特殊仕様ですよ。
いろいろな用途に合った服をちゃんと用意してあるんです!』
主 「(違いが全く分からん・・・)じゃあ、その奥に閉まってあるのは何用なんだ?」
GH450 『え、あ、それは駄m』
ご主人
Get:勝負服 ☆15
主 「・・・」
GH450 『〜〜〜〜〜〜!!!(///)』
主 「ア、アノ、450さん?」
GH450 『・・・の』
主 「???」
GH450 『ご主人のバカァ〜〜〜〜〜####』
19 :
名無しオンライン:2010/06/05(土) 11:36:17.25 ID:Lk8JX9PM
やっと書き込む暇ができたぁ
前スレ
>>15 タイトルが同じなのは、元々一つの話を無理やり前後に分けたからです。
UPロダに上げる事も考えましたが、それだとライブ感がないなぁ、という変な拘りが。
前スレ
>>29 それが440のマジシャンタイプたる所以なのです。多分。
>>17 おう、パパと412さん来た!…と思ったらまだ17話を読んでなかったという。
今から読んできます…
さてさて、保守がてら投下します。
20 :
unsung episode01 1/6:2010/06/05(土) 11:37:28.53 ID:Lk8JX9PM
「少女型マシナリー?」
「そうだ。今回新たに開発され、ガーディアンズにて実地試験中の新型でな」
「それをウチもテストすると?」
「その通り。話が早いじゃないか」
殺風景な廊下を行く、ラリーとヒューマンの青年。
ヒューマンは話に少々困惑している様だ。
「でも、『少女型』ですよ? そんなんを戦場に連れていく気ですか?」
「お偉方の命令だ、仕方あるまい」
「それに現場じゃな、ハラルト。GSM-05シリーズにはほとほと嫌気が差しているらしい」
「確かに信頼性の低い旧式ですが…でもマシナリーとは言え女の子を戦わせるなんて、
倫理的に問題が─」
ヒューマン─ハラルトがそう言い掛けたとき、研究者らしき男が話しかけてきた。
「あっ、少佐! すいません、既に起動してしまって…」
「構わん、入るぞ」
ラリーは男の言葉も気に留めず、その男が立っていた横のドアに入る。
「いーたーいー! 引っ張らないで!」
「もぎもぎ…微妙な味」
「それそれ、必殺のスピニングブレイクぅ!」
「きゃぁぁぁぁ!」
「お茶を出して下さる? わたくし、喉が渇きましたの」
部屋に入ると、まるで遊び盛りの子供の様に大暴れする・・・また、見た目も子供の様なマシナリー。
「こいつらが、パートナーマシナリーだ」
ハラルトはただ驚くばかりだ。
「まったく、まるで幼稚園だな…ずいぶんとやられた様だな、モニカ?」
「も、申し訳ありません!」
女性キャストがPMの下敷きになっている。ラリーに話しかけられると、
すぐさま立ち上がって敬礼をした。
「GH-410から450まで、間違いありません。全員居ます」
「よろしい」
「さて…君達は普通のマシナリーとは違い、学び、経験して成長する。
ガーディアンズなら主人と一対一の関係になるだろうが、ここは同盟軍だ。
上官の命令には何時でも従わねばならん。わかるな?」
「はぁーい」
赤いPM、GH-410はさも面倒臭そうに返事をした。
「私たちは特定の人物をマスターとする機能はオミットされています」
GH-420が口早にそう答える。
「それはあえてそう注文した。運用上の面でその機能は不要なのだ。君達はボーマルタや
グリナ・ビートの様なポンコツに替わる戦力として期待されている…とはお偉方の言葉だがな」
「だが君等にはまず教育が必要なようだな…特にそこの帽子」
「は、はィッ!」
「よくもクーラーを食べてくれたな。おかげでこの部屋は灼熱地獄だ」
「ハラルト、辛いのなら出てもいいぞ?」
「いえ、大丈夫です!」
どう見てもやせ我慢だ。この部屋は日当たりも良い。
「所で君等の名前は? まだ付いてないのか?」
「ううん、あるよ。『同盟軍のヤツらは、どうせロクな名前を付けんだろう』って、
作ってくれた人が付けてくれたの」
「むっ…」
GH-430がおっとりとした調子で答えた。
「GH-410がレイチェルで」
「どうも」
レイチェルはぶっきらぼうに挨拶する。
「GH-420がシャーリー」
彼女は軽く会釈するのみだ。
「わたしがエマ」
今話しているGH-430自身のことだ。
「GH-440がマリー、」
「よ、よろしくおねがいしますっ」
少しビクビクした様子で頭を下げる。帽子が落ちてしまっているが、本人はまだ気付いていない。
「GH-450がフィオナ」
「宜しくお願い致しますわ、隊長さん」
少し気取った様子だが、礼儀正しくお辞儀をする。
────
「試験開発団、PM5体を受領しました」
「よろしい」
ラリーの前には、豪勢な椅子に座った男が見える。
キャストばかりの同盟軍において、高い階級にあるヒューマンは珍しい。
「くれぐれも大事に扱ってくれよ?」
「はっ」
「GRMの生産ラインに割り込むのにはかなりの金を使った…換えは無い。もしも誤って大破しようものなら
諸君の首が飛ぶと思いたまえ」
「…存じております」
「しかし、少女型マシナリーに戦闘をさせるとは、GRMにもかなりの変人がいたものだなぁ?
それが『変人』の部隊に配備されるとは、何とも可笑しい話だ」
────
げんなりした様子で部屋から出てきたラリーに、モニカが駆け寄った。
「少佐、『ゴルドルバ』は何か言ってました?」
「『ゴルドルバ』?」
「司令の事ですよ。でっぷりと太って不細工だから、隊のみんなはそう呼ぶ様になったんです」
「ふん…いい名前を付けるじゃないか」
「まったく、こんな厄介な代物を押しつけておいて、絶対に壊すな、だとさ」
「ですが…隊の皆は最近気が立ってますから、少しは空気も和むのではと思いますが」
「ほぅ、そう思うか」
「ま、キャストには通用しないでしょうけど」
「そういう君もキャストだ」
「わ、私は! 私は…少佐を見習わせて頂いておりますから」
「ふぅん…」
「まったく、君も異端児だな…」
「…何か仰られましたか?」
「いや、独り言だ。気にするな」
sage忘れた。アスタークに殴られてきます。
今回は何かキャラ紹介みたいになってしまいましたが、まぁ1回目だし仕方ないかな…
27 :
名無しオンライン:2010/06/05(土) 17:42:33.37 ID:1CNZgLCG
>「よくもクーラーを食べてくれたな。おかげでこの部屋は灼熱地獄だ」
ああ、なんか好き、こういう洋画っぽいギャグ好き
これからも楽しみにするよ
28 :
2:2010/06/06(日) 12:39:43.20 ID:opF7Of2H
ついに打撃100のGH-410完成
ムーンアトマイザーと2000メセタ打撃武器を与える日々
つかれた
保守〜
29 :
名無しオンライン:2010/06/06(日) 14:49:04.76 ID:Ggbp/64F
>>19 今思った。何だ17話って。7話だよ…疲れてるのかな
ついでに保守
30 :
名無しオンライン:2010/06/06(日) 21:07:50.46 ID:9kIIy0kR
>>28 おめでとう!そしてお疲れ様。
,ヘ/~ヽ/~\ヘ,ヘ
((@〈´_/^, ~;;~ ^ ヽ.〉
/./ :〃..::::..,,へ,;. , ハ
( ::|::i{l|..::::,ノ'' ソ,;;:::.}
| ::|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <ご主人様、これからもよろしくお願いします♪
/ ::>、|ツヘ.{、 ( フ_ノイ
(.:;リ /';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
/ :ソ (__Zつ/ GH-410 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
>>29 半角で7を入力しようとして半角/全角キーと同時に1を誤入力と予想。
ってか、俺がそれをよくやるだけなんだけどねw
31 :
名無しオンライン:2010/06/07(月) 20:55:31.37 ID:SChAHvqG
>>18 ご拝読いただき、ありがとうございます。
作中に『狂戦士』と『魔女』の二人が出てくるのは、意外と稀になってしまいました。
能動的に諜報部と関われない今となっては仕方ない事ですが、今後も何かの折には彼女の前にひょっこりと現れるはずです。
>ってか、「狂戦士」のご主人、マガシにやられて(ry
実は、過去の作品中に、一度も彼が「死んだ」という表現はしてません。
死んだと思わせるような表現にして、実は生きているというのがやりたかったからなんですが。
ちゃんと誤解されたという事は、それなりに書けていたみたいで、ちょっとうれしかったりします。
ところで……
>ご主人
>Get:勝負服 ☆15
返してあげたんだろうか……
>>26 >「よくもクーラーを(ry
出先で携帯からチェックしててフイタw
同盟軍のパシリはどうなるか、今後が楽しみです。
>>28 オメデトウ!
さぁ、次のパシリが待ってるぞw
32 :
名無しオンライン:2010/06/08(火) 23:15:10.70 ID:0y/vFwQm
保守にはやっぱり、投下だよね!という事で今から投下します。
さて、打って変わって本遍ですが、パシリスレにあるまじきPMの出番の少なさと
なってしまいました…
でも話を繋げる為だし、いいよね?
33 :
あこがれ 1/4:2010/06/08(火) 23:15:42.62 ID:0y/vFwQm
「最近よく会うな…?」
「気のせいじゃない?」
俺はあまり特定の友人を作る事はない。
赤の他人と居るのはどうも落ち着かないし、人付き合いもそんなに得意じゃない。
だから今まで一人で仕事することが多かったし、リトルウィングに入社してからも、
大抵はアッシュと二人でやってる。もちろんPTを組んでやることもあるが、
メンバーとそんなに深く付き合いを持とうとした事はなかった。
が・・・
「またあんたか」
「わたしじゃ不満?」
何かやたらと縁がある・・・いや、付きまとわれている?
とにかく、最近この女性ヒューマンとよく組んだりする。
そもそも事の発端は何だ・・・?
以前に初めて組んだ時・・・いや確かにソードは刀身の幅が広いから、うまく使えば防御もできるが・・・
・・・まさかそんな単純な理由?
子供じゃあるまいし。
34 :
あこがれ 2/4:2010/06/08(火) 23:16:03.74 ID:0y/vFwQm
「ケイちゃん、ジョニーさんと仲いいね? 何かあったの?」
「別に何も〜? ただの偶然よ?」
「…だと思いたいけどな」
「な、何よ!」
「まぁまぁ、二人とも…」
あれは凶暴化した原生生物を駆除する仕事だったか・・・
何でも亜空間実験の影響で凶暴化したってのが発表されたばかりの頃だ。
担当したのはラフォン草原の北部・・・詳しいポイントは亜空間発生装置に近く、機密扱いなので話す事はできない。
メンバーは俺、アッシュ、シュネー・・・そして『ケイ』という女性ヒューマン。
何でもシュネーの友達だそうで。
二人とも経験の多い方じゃなかったから、俺はリーダー兼教官という訳だ。
別にそんな困難な仕事でもないし、特に何も無かった筈だ。
道中、ケイが何度か危ない目に遭ったんで、その都度面倒を見なくちゃいけなかったがな。
そういえば帰り道でアッシュがちょっと不機嫌だった・・・そんなに俺の手際は悪くなかったと思うんだが。
そんなところだ・・・多分。
「…ジョニーさん、多分それだと思うよ」
「…は? 何だって?」
シュネーがひそひそ声で続ける。
35 :
あこがれ 3/4:2010/06/08(火) 23:17:27.64 ID:0y/vFwQm
「…いや、ははは、ケイったらずいぶんと箱入りだったみたいで、戦闘経験より男性経験の方が少ないからさぁ。
あーでも、別に紹介するつもりだとかそんなんじゃないよ? ただジョニーさんが知り合いだったから、
丁度いいやと思って参加しただけなんだから…」
「…お前なぁ…」
「あ、あはははは…あ、あたし、用事思い出しちゃった! じゃあねケイちゃん、ジョニーさん! バイバーイ!」
「おっ…おい」
「じゃあね、シュネー」
逃げられた・・・
「…どうする?」
「わたしはどっちでも?」
「…俺は帰る。っと、その前に買い物して行かなきゃならんな」
「じゃあわたしも」
「あいつ…金払わずに行きやがって」
「わたしが払おうか?」
「いや、いい。今度取り立てればいいだけだからな」
カフェを出ると、クラッド6内の照明は傾きかけていた。
「あー、アッシュか? 今から買い物して帰るが、晩飯は何がいい?」
≪ボクはなんでも。 ご主人の好きなものでいいよ≫
「うーい、わかった」
36 :
あこがれ 4/4:2010/06/08(火) 23:17:53.10 ID:0y/vFwQm
ケイは『わたしも』とは言ったが、特に何かをカゴに入れるわけでもなく、ただ商品を見て回っている。
「さて、さっさと済ませて帰らなきゃな…お前は? PMが待ってるんだろ?」
「あ、うん…」
「ん…どうした?」
「いえ、別に」
「ふーん…?」
おっといかん、もう暗くなってきたな。必要な食材をぽいぽいと買い物カゴに入れて、レジへ進む。
「じゃあな、ケイ」
「また会えるといいわね」
「そう言って、そっちから会いにくるんじゃないのか?」
「…! バカ言いなさい!」
「わかったわかった、またな」
≪お嬢様、お食事の用意が出来上がっております、お早めにお帰りくださいませ≫
「…わかったわ、今から帰るから…」
≪夜道は危険です。迎えに参りましょうか?≫
「結構よ。子供じゃないもの」
≪わかりました≫
「そうよ、私は…」
照明はすっかり落ちて夜になっていたが、リゾートコロニーはまだ活気に満ち溢れていた。
37 :
あこがれ:2010/06/08(火) 23:18:50.92 ID:0y/vFwQm
今回分は終了。
よかったねジョニー、久々の全編通しての主役だよ。
その代わり、アッシュの出番が一行だけになっちゃったけど。
38 :
名無しオンライン:2010/06/10(木) 11:41:57.21 ID:ewkIKnNb
昼の保守タイム 40まで あとすこし
39 :
名無しオンライン:2010/06/11(金) 22:07:32.87 ID:DdmO9vjh
>>37 「おぉーぅ・・・なんやロマンスの香りがするなぁ。
アッシュちゃんも焼き餅焼いとるっぽいし」
「人のことより自分の心配した方が良いんじゃないですか?」
「うぐっ・・・ええねん!こういうのは駆け引きやねん!
押してばっかりじゃあかんねん!」
「はいはい・・・ではこちらも投下しますよ」
40 :
1/5:2010/06/11(金) 22:08:22.94 ID:DdmO9vjh
キャストの女性がディスプレイを食い入る様に見つめている。
手にはゲーム機のコントローラーを握り締め、一心不乱に操作している。
隣に佇んでいた彼女の相棒が口を開いた。
「あと10分で出発予定時刻です」
「ま・・・待って。もう少しで倒せるはずです・・・」
画面から視線を逸らさず応える主人に、相棒───GH-430は無言でナノトランサーからハンドガンを取り出すと、
ゲーム機に向けた。
「ぎゃーっ!すみません!ほんっとすみません!すぐ終わらせますから!」
謝った拍子に手元が狂ったのか、画面内のプレイヤーキャラクターが攻撃を受け、倒れ伏した。
「あーっ!!」
画面に浮かぶゲームオーバーの文字にがっくりと肩を落とす主人を見つめていたPMは、何故かコントローラーをもう一つ取り出した。
「・・・?」
「協力プレイならば今の相手は7分25秒で片付けられます」
「・・・手伝ってくれるんですか?」
「このまま出発してもゲームの事ばかり考えそうですから。上の空で怪我でもされたら困ります」
そう言われた主人はコントローラーを放り出し、PMに抱きついた。
「・・・ありがとうリム!愛してます!」
ばちーん!
リムと呼ばれたPMの平手が容赦なく主人の頬に炸裂する。
「調子に乗らないでください。あと早く準備してください」
「・・・はい、すみません」
主人は赤くなった頬をさすりながら、それでも少し嬉しそうにコントローラーを握った。
41 :
2/5:2010/06/11(金) 22:09:00.45 ID:DdmO9vjh
無事に予定時刻に出発した二人は銃器専門店を訪れていた。
主人が鼻歌を歌いながら商品を品定めしている。
とあるパーツを手に取った時、リムが声をかけてきた。
「それ、ハンドガン用のカスタマイズパーツですよ」
主人はガンナーだが、ハンドガンを使うことは滅多にない。
「ああ、頼まれているんですよ。ハンドガンのカスタマイズ」
ニコリと微笑みながら主人が応える。
「ほら、ショップのカスタマイズって武器の威力を上げるだけじゃないですか。
どうにもしっくりこないらしくて」
「セシル様ですか、頼んだの」
「あら、よくわかりましたね?」
「貴女に頼みごとをするような人が他にいるとは思えませんから」
容赦のない言葉に主人は苦笑を浮かべる。
「まぁ、命の恩人ですから。このくらいは、ね」
「そうですか」
眉一つ動かさず素っ気無く応えたリムだったが、どこか不機嫌に見えた───気がした。
主人がにやっと気色の悪い笑みを浮かべる。
42 :
3/5:2010/06/11(金) 22:09:22.07 ID:DdmO9vjh
「あれ、もしかして妬いてます?」
「何がですか」
生まれつきなのか極悪な目つきを含めていつも通りの無表情だったが、ちょっとスネている───様に見えた。
「んもぅ、照れちゃって。この顔だけ狂犬さん♪」
主人がつん、と頬をつつくと、
ばちーん!
出発前とは反対側の頬にリムの平手が炸裂した。
余りに見事な効果音に周囲の客や店員の視線が集まる。
「馬鹿なことしてないで、さっさと会計済ませてください」
「・・・はい、すみません」
主人は頬を撫で、それでも少し嬉しそうにレジへ向かった。
43 :
4/5:2010/06/11(金) 22:09:49.47 ID:DdmO9vjh
ショップでの買い物を終えた二人は、射撃訓練場を訪れていた。
「実は今日はお仕事はお休みなのです。自主訓練に来ました」
「知っています。誰に言ってるんですか」
「何事にも取っ掛かりは必要なのです」
「そうですか」
主人が射撃位置につき、ナノトランサーからツインハンドガンを取り出した。
旧式の実弾銃を模し、発砲すると実弾に似せた弾丸が飛び、薬莢が吐き出されるタイプだ。
主人がゆっくりと銃を構える。練習用ターゲットが表示された。
ガンガンガンガンガン。
連続で銃口から弾丸が吐き出される。飛び散る薬莢。箒と塵取りで薬莢を掃除するリム。
ターゲットは無傷のままだ。
「うーん、当たりませんねぇ」
首を傾げながら主人がぼやく。
「交差撃ちなどしているからです。それは曲芸の部類ですよ」
てきぱきと箒を動かしながらリムが言った。
「だってぇ、カッコいいじゃないですか。普通に撃ったってつまらないですよ」
主人が口を尖らせながら答え、ターゲットに向かって「普通に」構えて引き金を引いた。
44 :
5/5:2010/06/11(金) 22:10:09.86 ID:DdmO9vjh
弾丸は寸分違わずターゲットの中心を撃ち抜いた。
主人は銃口に口を近づけ、ふっ、と息を吹きかける。勿論煙など出ていないが。
その後何体かのターゲットを蜂の巣にした主人はリムの方に向き直ると、
「そろそろ帰りましょうか」
「もうよろしいのですか」
「ええ。頼まれごともやらないといけませんしね」
「そうですか」
帰り道、アニメソングを口ずさんでいた主人がふと思い出したように言った。
「そういえば、セシルさんに面白い友人が出来たそうですよ」
「友人、ですか。あの方に」
あんまりな反応に思わず苦笑を浮かべながら、主人が続ける。
「ええ。リトルウィングの社員らしいんですけどね、なんか、とにかくよく喋る人だそうですよ」
「・・・私も人のことは言えませんが、あの方と会話を成立させるのは至難の業だと思います」
「ですよねぇ。どんな人なのか会ってみたいですね。・・・可愛い女の子だったらいいなー」
がんっ!「おぅふっ!」
リムのローキックが主人の脛に直撃した。
おわり
45 :
名無しオンライン:2010/06/11(金) 22:12:26.22 ID:DdmO9vjh
「あれ?おわり?うちの出番は!?」
「ありませんでしたね。名前すら出てないです。」
「主人公なのにこの仕打ち・・・!」
「まぁこれで40超えましたし、いいじゃないですか」
「全っ然よくないわー!!」
46 :
名無しオンライン:2010/06/11(金) 23:54:54.89 ID:zC4AuHp6
レス&保守&駄文投下。
>>31 GH450 『ご心配おかけしました。服はちゃんと返してもらいましたよ。』
GH422 『奪い返したって感じだけどね〜(横で転がっている黒こげの何かを見ながら)』
GH450 『あれぐらい当然です。大体、こっちが説明の為に開けたとはいえ、
勝手にクローゼットの中身を触る方がいけないんです!
(横で転がっている黒こげ何かに冷たい視線を向けながら)』
GH431 『確かにそうだけど、そういう事は本人がちゃんと聞いてないと意味ないんじゃない?』
GH440 『(うんうん)』
GH422 『そんな事よりさ。あんたのその勝負服、ご主人様とニャンニャンする時用のとっておきよね?』
GH450 『$%&ぶラぁぁldrftgじょ!!!111 なななあ、そんあんことあrまsンヨ』
GH431 『・・・バレバレね。』
GH440 『(ニャンニャン////)』
GH450 『バ、バレバレってナンデスナ。ソンナキョトはマッタク全然考えテなどイナイデござりまするよ?』
GH431&
GH440 『(これはひどい・・・)』
GH422 『まあ、否定するのはいいけど。(慌て方が面白かったしw)
で、もし、そういう用途で着るとして、
ご主人は勝負服と普通の服の違いが全く分からないのに意味あるのかな〜って思ってね。』
GH431&
GH440&
GH450 『あ』
GH422 『・・・気づこうよ皆。orz』
>>37 新キャラ乙。
今後の伏線なんだろうけど、最後の含みがとても気になるな・・・。
>>45 投下乙。
ツンデレ?パシリがいい味だしてて楽しめたぜ。
47 :
名無しオンライン:2010/06/13(日) 22:48:23.09 ID:SjN6V3eF
γ-―‐‐ヘ
/厂/~~: ~:,ノノヽ.
/ ∞:::...:::...;;,ハ, : ハ
|.:i{l|::::...;,/ ソ;;:.:.}
|:(@:)イ-‐ ‐ ,'.:.ノ < ご主人様、保守しておきますね。
ノ::::.リヘリ、 ( フ_ノ:.ノ
/ ::イ/';:'`.7/ ̄ ̄ ̄ ̄/
|:::リ(_||]つ/ GH-430 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
48 :
名無しオンライン:2010/06/15(火) 16:55:43.58 ID:KyRv36R7
「よーしいいぞー!
主人の代わりに保守するのは良いPMだ!
保守を兼ねて投下してしまうのは訓練されてない私だ!
ホントパシリスレは地獄だぜぇーふぅはははーはー!」
「・・・と中の人が申しております」
「ええっと、要するに保守兼ねて投下しますっちゅーことで、うりゃー」
49 :
1/8:2010/06/15(火) 16:56:27.57 ID:KyRv36R7
それは、主人と一緒に買い物に出かけた時だった。
「あら!」
前方から歩いてきたキャストの女性が、主人を見て声をあげると、こちらへ近寄ってきた。
私と主人は顔を見合わせる。・・・主人の知り合いではないらしい。
主人をじっと見つめてぶつぶつ呟いている。
「主人に何か御用でしょうか?」
私は主人をかばう様に前に出て、声をかける。
クラッド6の中とはいえ、不審者がいないとも限らない。前に侵入者が暴れた事件もあったし。
私の疑うような視線に気付いたのか、黒いパーツに身を包んだキャストはニコリと微笑んだ。
「ああ、突然失礼しました。私、アイリスと申します。セシルさんの・・・えっと、友人です」
「あー、なるほど・・・あ、私は」
自己紹介しようとした主人を制し、アイリスが微笑みながら続ける。
「ミコトさん、ですよね?セシルさんから聞き出し・・・もとい、聞いていますよ」
50 :
2/8:2010/06/15(火) 16:57:00.80 ID:KyRv36R7
意外だ。あの人に友人がいることもそうだけど、主人のことを話しているなんて。
・・・なんて言っているんだろう。
「あ、あの、セシルさん、私のことなんて言ってました?」
主人も気になったらしい。
アイリスは少し考えるような仕草をした後、主人に提案した。
「立ち話もなんですから、お時間よろしければカフェでも行きませんか?」
元々私達はただの買い物だ。その後も特に予定があるわけじゃなかった。
主人がこくこくと頷く。
「ああ、よかったです。じゃあ、行きましょうか」
連れ立って歩く二人の後を私ともう一人のPMがついて行く。
・・・もう一人のPM?
「!?」
思わずぎょっとして相手を見た。いつの間にかGH-430が隣を歩いている。
多分アイリスのPMなんだろうが、全く気付かなかった。
私の視線に気付いたのか、こちらに顔を向けてきた。
・・・物凄い目つきだ。視線で人が殺せそう。こぇぇ・・・。
しかし相手は軽く会釈してきただけで、すぐに視線を前に戻した。
こっちを睨んできたわけじゃなさそうだ。元々なのかな・・・。
その時ふと思い当たることがあった。目つきの悪いGH-430。
・・・いやいやまさかね。あんなの都市伝説だ。
51 :
3/8:2010/06/15(火) 16:57:30.66 ID:KyRv36R7
「ああ、そういえばお互いPMの紹介がまだでしたね」
席について飲み物を注文した後、アイリスが思い出したように言い、自らのPMに顔を向けた。
「・・・GH-430、リムと申します。よろしくお願いします」
凶悪な目つきのPMは無表情な顔の通り、平坦な声で名乗り、一礼した。
アイリスが苦笑しながらフォローする。
「ごめんなさいね。この子、元々こういう顔つきで、別に不機嫌なわけじゃないんですよ」
「あー、そ、そうなんですか」
主人も少しびびっていたらしい。
「ええ、本当はとっても可愛らs」
どごっ!「うげふっ!」
リムの肘うちがアイリスのわき腹に突き刺さった。
主人と私は唖然として二人を見つめる。アイリスは腹を抱えて悶絶していた。
自分の主人に対して銃器をぶっ放したり、ロッドで殴ったりするPMもいるとは聞いていたけど、
実際に見るのは初めてだ。・・・うわ、痛そう。
52 :
4/8:2010/06/15(火) 16:58:08.87 ID:KyRv36R7
自分の主人を横目で見ていたリムは、こちらに向き直った。
ああそうか、私の番だ。
「GH-450のらぶと申します。よろしくお願いしますね」
先程と同じように、私も一礼する。
互いの紹介が終わったところで、何とか立ち直ったアイリスが話を再開する。
「げほっ・・・えーっと、さっきの続きですね」
「はい」
しゃちほこばる主人を見て、アイリスがクスリと笑った。
「そんなに緊張しないで。セシルさんからは明るくて活発なお嬢さんだと聞いていますよ?」
「へっ?あ、で、でも」
「ああ・・・言葉遣いのことなら聞いています。私も気にしませんから、普段通りで大丈夫ですよ」
「そ、そうかな?じゃあアイリスさんも」
普段通りとなるとどうしてもタメ口になる。相手が敬語なのにこちらだけタメ口というわけにもいかないだろう。
「ああ、気にしないでください。私のはキャラ作りですから」
「は?」
ゴスッ!
リムの肘うちがまた突き刺さった。
53 :
5/8:2010/06/15(火) 16:58:35.94 ID:KyRv36R7
「げほっ、ごほっ・・・あー、前にですね、相談されたんですよ、セシルさんに」
「相談?」
「ええ。よく話しかけてくれる人がいるんだが、どう対応すればいいのか分からない、ってね」
アイリスは薄っすらと苦笑を浮かべた。
「あの人、なんていうか無愛想とかそういうレベルじゃないでしょう?
だから最初はみんな何とかコミュニケーション取ろうとするんですけど、そのうち離れてしまうんですよね」
私は先日のミッションの帰り道でのことを思い出した。
確かに話しかけてもあんな態度とられたんじゃ嫌われてるのかと思ってしまうだろう。
「でもその人───ミコトさんですね───は違った。自分がいつも通りの対応をしても
ずっと話しかけてくるし、メールもよくくれる。こんなこと初めてだから、どう対応すればいいのかって」
主人は少し俯いて、口を開いた。
「迷惑そう・・・やった?」
「まさか!もし迷惑に思っていたらあの人なら無視していますよ」
主人の言葉を否定した後、アイリスはにやっと笑みを浮かべた。
「多分、逆だと思いますよぉ。嬉しいんじゃないですかねぇ。
それに、貴女に応えたいからどうすればいいか相談してきたわけですし、ね」
「そ、そっかぁ。よかった・・・」
54 :
6/8:2010/06/15(火) 16:59:03.57 ID:KyRv36R7
「あーでも、どうしてそこまで仲良くなろうとするんですか?」
突然の質問に主人は言葉に詰まる。
「さっきも言いましたけど、普段あんな態度だし、とてもじゃないけど仲良くなりたいと
思うような人ではないですよねぇ」
何気に酷いことを言う。同感だけど。
「えっと・・・それは・・・その」
「もしかして、一目惚れしちゃったとか?」
冗談のつもりで言ったんだろう。しかしその言葉に耳まで真っ赤にした主人を見て、アイリスは一瞬固まった。
「え・・・当たっちゃった?」
こくりと主人が頷く。
「・・・・」
「・・・・」
嫌な沈黙が流れる。主人は俯き、アイリスは何事か考えているようだ。
55 :
7/8:2010/06/15(火) 16:59:36.21 ID:KyRv36R7
数分後、沈黙を破ったのはアイリスだった。
「・・・つまり、たった一度ミッションで一緒になっただけで惚れてしまった、と」
「・・・!」
確かにその通りだが、棘のある言い方だ。私はアイリスを睨み付けた。
「一目惚れなんて錯覚だ」とでも言うつもりなのか。
しかし、ぱっと表情を輝かせたアイリスから出た言葉は全く違うものだった。
「素晴らしい!」
「へっ?」
アイリスは両手を広げ、早口でまくし立てる。
「戦場で始まる禁断の恋!こんな漫画みたいなことが身近で起こるなんて!
しかもヒューマンのハンターとニューマンのフォース、なんて王道なカップリングでしょう!素敵すぎます!
分かりました、私も一肌脱ぎましょう!大丈夫、こう見えてもそこそこ古い付き合いですから色々吹き込んであげます!
手始めに次話しかけられたら返事は「愛してるよ、ハニー」とでも教えt」ドゴッ!「うぉぐっ!」
本日三度目の肘うち。
56 :
8/8:2010/06/15(火) 17:00:17.72 ID:KyRv36R7
「ハァハァ・・・ちょっと取り乱しました、すみません」
ちょっとどころじゃなかった気がするが。
「あの、このことは・・・」
「ああ、大丈夫、誰にも言いませんよ。もちろんセシルさんにも、ね。
それからさっきも言いましたけど、私も協力しますから、何か出来ることがあれば遠慮なく言ってくださいね」
アイリスが主人ににっこりと微笑む。
「え、で、でも、そんなの悪いし」
「あぁ・・・一度やってみたかったんですよねぇ、攻略対象の情報を教える主人公の親友的ポジション」
聞こえてないようだ。
と、アイリスが突然真顔になった。
「まぁ冗談はさておき───やってみたかったのはホントですが───あの人、本当に友人や知人が少ないんですよ。
月並みですがヒトは一人では生きていけません。せっかく出来た友人を大切にさせてあげたいんです」
「・・・・」
「セシルさんは私にとっても大切な友人です。セシルさんにとっての貴女も、そんな存在になれるように、
協力させてください、ね」
微笑みながらそう言うアイリスに主人も頷き、「よろしくお願いします」と笑みを返した。
おわり
57 :
名無しオンライン:2010/06/15(火) 17:03:23.76 ID:KyRv36R7
「IDが・・・KY・・・」
「連投まがいなことしやがって空気嫁ってことですかね・・・」
58 :
名無しオンライン:2010/06/18(金) 08:04:39.79 ID:uXoBYfwF
>>57 結構楽しみにしてるので頑張って。
旧作ネタがちょっとだけ入ってるのが、前から見てる身には嬉しかったり。
>>57 アイリスとセシルの間にも何かありそうですねぇ…これからの展開に期待です。
おっしゃ、暇ができたので今から投下します。
今度はまた同盟軍のPM編です。
本遍と話がごっちゃになって分かりづらい?仕様です。
草原を行軍する隊列にそっと忍び寄る、小さな影。
「事前に打ち合わせた通りです。私は奇数番、貴方は偶数番の兵士を攻撃して下さい」
「わかってるわよ…じれったいわね、まだなの?」
「完全に通り過ぎるのを待ちます」
レイチェルは今にも飛び出したくてうずうずしている。
「…今です」
「よしきたっ!」
シャーリーが合図すると同時に飛び出す。
そして一気に飛び掛かって行く・・・はずだったが。
『ビーッ!』
「えっ!?」
≪レイチェル、戦死だ≫
「うそっ!? まだ何もやってないのに!?」
≪続いてシャーリーも戦死。ぬるいな。その程度か?≫
「レイチェルが戦死した時点で私の攻撃力は失われました。計算の結果、勝利の確立はほぼ0%です」
≪どうした、チームワークを欠いたか?≫
「ちゃんと息は合ってた筈よ!」
兵士の一人が呆れて言う。
「あのなぁ…そんなでかい得物を持って飛び出してきたら気付くに決まってんだろ」
見ると確かに、レイチェルはソードを持っている。
≪ヘルムートの言う通りだな。プロに舐めてかかると痛い目に遭うぞ?≫
「あ、あたしはソードが得意なのっ! セイバーよりもこっちの方が効率的だと思ったのよ!」
「ですが隠密性に欠けます。この場合は小型の装備が適切です」
「むぅぅぅ…」
「本部、状況終了。帰還します」
≪本部了解。あぁそうだ、近くでディ・ラガンが暴れてるらしいから懲らしめて欲しいとさ。≫
「あいあい。了解」
「レイチェル、お前は補習だ。先に帰ってセイバーの練習してろ」
「…はぁーい」
「ハラルト、それではわたくしが居る意味がございませんわ」
「いいや、この技術は無意味なものじゃないよ。応急処置が適切になされるかで、死亡率は大幅に変わる。
でも、PPが尽きたらレスタは使えない。その時の為に備えて、ね」
「部隊において衛生兵は生命線なんだ。兵士の士気にも関わる。みんなは衛生兵である僕を頼りにするし、
僕もいざという時に…それこそ種族の隔たりなく命を救わなくちゃならない」
「…わかりました。わたくしも伊達にナースタイプを名乗る訳ではありませんから」
「じゃあ、まずは基本からだ。出血を止める場合は、止血帯もしくは幅のある布で傷の手前をきつく縛る。
ここに訓練用の人形があるから、これを相手にやってごらん」
これは本来PMの用途ではないので、フィオナにもこの情報はない。
たどたどしい手つきで言われた通りにやってみせるが・・・
ドゴォォォン
「…やってしまいました」
「…食べていいよ、これ」
────
「ちょぉぉぉ! 俺のファントムがぁぁぁ!」
「ご、ごめんなさぃぃぃ!」
突然の絶叫に、ぞろぞろと人が集まってくる。そこには、半壊状態のライフルを手にした隊員が・・・
「どうした、フリッツ?」
「ちょっ、見てください、班長! マリーが俺のファントムを齧りやがって…!」
「あーあ、スコープがオシャカじゃん」
「整備部に掛け合ってみろ、駄目だったら俺にも知らん」
「そ、そんなぁ…」
「でも、おいしかった」
騒ぎなどどこ吹く風、マリーは満足そうだ。
「なぁ、ところでここに置いてあったフリーズトラップ知らね?」
「班長ォ、マリーが凍ってます!」
────
「どうした、モニカ。機嫌が良さそうだな」
「ふふっ、あの子たちが来てから、ずいぶんと騒がしくなりましたね」
「…違う方向にな」
「少佐はお気に召しませんか? 皆はPMと接するのを楽しんでいるみたいですよ。
まるで娘か…妹ができたみたいに」
ふ…『姉妹達』と言った所か」
「相変わらずのセンスの無さですね、少佐」
「キャストは皆、センスが無いものだ」
「おうて!」
「ま…参りました」
ニューデイズの伝統的なボードゲーム『ショウ・ギ』を挟んで、エマと隊員の一人が向かい合っている。
「デミトリ、また負けたのか? 君らしくもない」
「だって少佐…こいつ、強いんですよ? 今まで部隊で負け無しだったのに…」
「へっへ〜ん、どうですか?」
「ふむ…」
「少佐、ショウ・ギごときで考えすぎでは?」
「いや、案外彼女らをうまくまとめてくれるし、あるいは…」
「そうでしょうか…」
「まだだぁっ! もう一戦!」
「何度でも返り討ちですよ〜」
今回分はこれで終了。
PMが配備されてかなりはちゃめちゃになったラリー達ですが、
はてさてこれからどうなることやら…ね。
長編あんま好きじゃないなぁ
ほどほどにまとめておくれよ
>>58 「ありがとうございます。あなたのおかげで中の人のブラストゲージがもりもりたまります」
>>65 「うん、うんす・・・うんすんぐ・・・?」
「・・・アンサング・エピソードです。歌われていないエピソード、という意味だそうです」
「う・・・ちゃうもん!読めとったもん!ボケただけやもん!」
「はいはい」
「では、勢いに任せて投下してしまいますよー」
68 :
1/5:2010/06/19(土) 21:40:24 ID:lqUbgnQk
その日、ミコトは珍しく一人で買い物に来ていた。夕飯の買出しだ。
買いだめすると食材をダメにしてしまうことが多かったので、出来るだけこまめに買い物に行くようにしている。
食材を選びながら、今日は何を作ろうか考える。
自慢じゃないが料理の腕にはそこそこ自信があった。その腕を披露する相手はもっぱら相棒であるらぶだったが、
ミコトはつんと澄ましたした顔でパクパクと料理を食べるらぶを見るのが好きだった。
特売の野菜を手に取った時、「あ・・・」と聞き覚えのある声がした。
振り向くと目に入ってきたのは、買い物カゴを持った長身のヒューマン。セシルだった。
いつもの如く仏頂面・・・ではなく、どこか戸惑ったような顔をしている。
アイリスが本当に何か変なことを吹き込んだのだろうか・・・ミコトは先日会ったキャストを思い出した。
「こんにちは!奇遇やね〜」
とりあえず笑顔で挨拶してみた。
「・・・こんにちは」
問題はここからだ。何を話したものか。
「(何してるん?って見たらわかるわ買い物やがな。ショップで他に何せぇっちゅーねん。
この野菜安いよなー・・・あかん、「そうだな」で終わってまう!
今日の夕飯何にしようか迷ってて〜・・・いや、料理しそうなタイプには見えへんしなぁ・・・)」
ミコトが頭をフル回転させて話題を探していると、なんとセシルの方から口を開いた。
69 :
2/5:2010/06/19(土) 21:40:55 ID:lqUbgnQk
「買い物・・・か?」
当たり前だ。買い物カゴを持って他に何をするのか。
先程の脳内シュミレート通りのツッコミをかましそうになったがそんなことはおくびにも出さず、
「うん、今晩の夕飯の材料。セシルさんも?」
「ああ・・・私は今晩の、というより食料の買いだめだが」
そう言って持っているカゴを示した。
ミコトがカゴを覗くと、中に入れられていた物は───。
ペロリーメイト(フルーツ味)、ペロリーメイト(チョコ味)、コルトバヌードル(即席タイプ)、
ペロリーメイト(ポテト味)、ペロリーメイト(メープル味)、ミネラルウォーター数本。
「・・・・」
「・・・・」
顔を引きつらせながらミコトがそれらを指差し、セシルに顔を向ける。
「えと・・・食料?ご飯?」
「うん」
「あ・・・ああー、そうやな、小腹が空いた時とか夜食とかかぁ!
ペロリーメイトも最近色んな味出てきておいしいって聞くし」
「いや、主食だが」
「・・・ダイエット中、とか?」
「いや、そういうわけでもないが」
「え・・・じゃ・・・いつも、こんな感じなん・・・?」
「たまに外食することもあるが・・・基本的には、そうだな」
70 :
3/5:2010/06/19(土) 21:41:26 ID:lqUbgnQk
ミコトが俯き、ぷるぷると震えだした。怪訝な顔をしたセシルが声をかけようとした時、
「あかーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」
ミコトが叫んだ。店中に響き渡る声だった。
珍しく呆気にとられているセシルにミコトがまくしたてる。
「食べ盛りの働き盛りがこんな食生活しとったらあかん!ご飯っちゅーんは栄養とれたらええっちゅーもんちゃうねん!
そら忙しい時はしゃあないけどそうやない時は美味しいもん食べてお腹いっぱいになってごちそーさんせなあかんねん!
お腹空いとったら力出ぇへんし頭も回らへんねんで!?」
周囲の視線も気にせず怒ったように早口で喋るミコトに、セシルは気圧されたようにこくこくと頷く。
荒くなった息を整えてから、ミコトが訊いた。
「嫌いなもんは?」
「な、なに?」
突然の質問が理解出来ずセシルが聞き返す。
「食べられへんもんとか、ある?」
「いや・・・特に、ない」
少し考えて応えたセシルに、ミコトはうんうんと頷いた。
「ええこっちゃ。好き嫌いしとったら大きぃなられへんからな」
セシルは十分過ぎる程大きいが。
ミコトはセシルをびしっと指差した。
「わかった!ほなうちが今日の晩御飯作ってルーム持って行くから待っとって!
絶っっっ対後悔させへんから!」
「わ・・・わかった。待ってる」
セシルが頷くとミコトも頷き返し、会計へと向かった。
セシルは暫く買い物カゴの中身を見つめた後、一つ一つ律儀に商品棚に戻していった。
71 :
4/5:2010/06/19(土) 21:42:00 ID:lqUbgnQk
「っちゅーわけでして・・・」
「・・・いくらなんでも強引すぎじゃないですか?」
買出しに行った主人が真っ青な顔で戻ってきたものだから何事かと事情を訊いてみれば。
なんというか、主人はどうもその場の勢いやテンションで物事を進めてしまうクセがある。
勢いも大事だが時と場合によりけりだ。後になってみて後悔することも多いし。
今回は帰り道で冷静になってえらいことをしてしまったと青くなったらしい。
「下手したらドン引きですよ、それは・・・」
「うう・・・」
主食がペロリーメイトのヒューマンってのもどうかと思うが。
私は一つため息をついた。
「まぁ、言ってしまったものは仕方ありません。それに、考えようによってはチャンスですよ、これは」
「チャンス・・・?」
「ええ、手料理を振舞えるわけですからね。しかも相手の部屋で」
「!!」
男を落とすにはまず胃袋を掴めという。・・・セシルは女性だけど。
「そっか・・・そうやな!よし、頑張る!」
相変わらず立ち直りの早い主人に、私は質問した。
「それで、何を作るんですか?」
「ああ、それなんやけどな。カレーにしようかなって」
「なるほど、無難ですね。カレーが嫌いな人ってあんまり聞きませんし」
「ふふーん、そうやろ?あとはサラダかなぁ」
嬉しそうに愛用のエプロンを付ける主人を見て、ふと気付いた。
72 :
5/5:2010/06/19(土) 21:42:30 ID:lqUbgnQk
「あの、ご主人様?ルーは何を買いました?」
「何って、いっつも買っとるやつやけど?」
いつも買ってるやつ・・・。
「いつものっていうと、まさか、甘口ですか?」
「そらそうに決まって・・・あー!?」
主人は辛いものが苦手なので我が家のカレーはいつも甘口だ。だが相手もそうとは限らない。
むしろいい年した大人が甘口を好むとは思えない。更に言ってしまえばセシルは見た目からして辛口を好みそうだ。
「・・・仕方ありません。とりあえずそのまま食べてもらって、甘いようなら調味料でごまかしましょう」
「うう・・・」
何だか早速雲行きが怪しくなってきた。かといって私が手伝えばもっと酷い結果になりかねない。
どうする主人、どうなるカレー。
つづく
>>66 どのくらいからが長編になるんでしょうか?
毎回出来るだけ無駄な文章は省くようにはしているのですが・・・
話を考えているとどうしても長くなってしまいます。申し訳ない。
短くて面白い文を書ける方が羨ましいですorz
>>66では無いけど、
>>73 >毎回出来るだけ無駄な文章は省くようにはしているのですが・・・
それはどちらかといえば「長編」ではなく、「長文」にならないように注意してるんだと思うんだ。
で、あくまで俺の意見だが物語を短編と長編で分けるとするならば、
以下に該当する場合が短編。それ以外が長編だと思う。
・1回の投稿が1〜10レス程度として、1〜3投稿程度で話が終わっている事
イメージ的には、アニメのサ○エさんやちび○子ちゃんみたいな感じと言えばいいか。
(30分で1〜3話、登場するキャラ名や性格以外は特に前知識必要なし)
1〜3投稿程度ってのは前・中・後編みたいな感じでも短編の枠とみなすって事。
ぶっちゃけ、どれぐらいが短編 or 長編というのは、
読み手毎の好みで違ってくるから一概には言えないと思うよ。
上記の俺の意見を例にすれば、
「1〜10レス程度」、「1〜3投稿程度」の部分が人によって違ってくるだろうから。
その為、この話題になると議論状態になってしまうから困った話だ。
>話を考えているとどうしても長くなってしまいます。申し訳ない。
無駄な文章は省くようにして、それでも書きたい事があって長くなってしまう場合は
別段謝る必要はないんじゃないかな?
それはそれとして、
>短くて面白い文を書ける方が羨ましいですorz
激しく同意だw俺もそんな文章書きてぇorz
>ちび○子ちゃんみたいな
GH450 『伏字になっていない件』
主 「フヒヒwwwサーセンww」
76 :
73:2010/06/22(火) 00:34:39 ID:2XwVGEM4
>>74 レスありがとうございます。
>それはどちらかといえば「長編」ではなく、「長文」にならないように注意してるんだと思うんだ。
確かに、長編と長文は違いますよね。履き違えていました。
>無駄な文章は省くようにして、それでも書きたい事があって長くなってしまう場合は
>別段謝る必要はないんじゃないかな?
そうですよね、書きたい文を省いてしまったら意味がないですし。
開き直って書き続けます!
「・・・というわけで、開き直って書いた前回の続きです」
「なんか・・・結局なごぉなっとるなぁ・・・」
「そういうこと言うと、また出番なくなりますよ?」
「長編結構!長いの結構!投下やー!」
77 :
1/8:2010/06/22(火) 00:35:32 ID:2XwVGEM4
主人が台所に篭ってから一時間余り、カレーの良い匂いがしてきた。
「完成ですか?」
「んー、出来たことは出来たんやけど、あとは煮込まなあかんなぁ。
ほんまやったらもっと時間かけたいとこやけど・・・しゃーないな、もう1時間くらいしたらいこか」
そう言うと主人はセシルにメールを送った。あと1時間もすれば丁度夕飯時になるだろう。
時折鍋の中身をかき混ぜる主人をぼーっと見つめていると、私のパートナーカードにメールが着信した。
相手は一人しかいない。マイだ。
『こんにちは。本日の夕飯の件、主より聞きました。
こちらで何か準備するものはありますか?』
準備か。といっても夕飯自体こちらが持っていくわけだし、食器くらいだろう。
主人に確認した後、そう返信した。すると、
『了解しました。買ってきます。』
買ってきます・・・って食器すらないの!?
慌てて待つように返信。主人に話すと私と同じような反応をした後、今回はこちらが持っていこう、ということに。
待てよ・・・食器すらないってことはご飯もないよな。これも持っていくのか・・・。
炊飯器、ナノトランサーに入れて大丈夫かなぁ。
78 :
2/8:2010/06/22(火) 00:35:59 ID:2XwVGEM4
パートナーカードに記載された住所を頼りに、セシルのルームへ到着。
ドアが開くと、マイが門番のように仁王立ちしていた。
マイは軽く息を吸い込むと、元気よく
「ようこそいらっしゃれました!」
噛んだ。
顔を真っ赤にし、先程とは打って変わって小さな声で「こちらへどうぞ・・・」と奥を示すマイを
にやにやと眺めながら、私と主人は部屋へと入った。
「お邪魔しまーす」
イメージ通りというべきか、殺風景な部屋だった。最初から設置されているベッドや棚以外、一つも家具がない。
セシルは部屋の奥のベッドに腰掛けていた。
「わざわざ、済まないな・・・」
「ううん、うちが強引に決めてもたし・・・あ、火、借りるね。あっため直すから」
主人が鍋を暖めている間に、私はテーブルに食器を並べた。程なく主人が鍋を持ってやってくる。
「あれ、マイちゃんは?」
「ああ・・・そういえば入り口のとこに立ったままですね」
「マイちゃーん、準備できたでー」
主人が声をかけると、マイがトコトコと歩いてきた。
79 :
3/8:2010/06/22(火) 00:36:23 ID:2XwVGEM4
「何でしょうか?」
「準備できたから、食べよ?」
マイがきょとんとした顔になった。
「自分も・・・ですか?」
今度は主人がきょとんとする。
「いや、そらそうやろ?ほら、二人分準備しとるし」
「主とミコト様の分ではないのですか?」
「あはは、ちゃうよー。今日は二人に食べてもらお思って・・・」
言いかけて主人は何事か考え込む。
「もしかして、いつも食べてない?」
「はい・・・定期的に武器や防具をいただいてはいますが」
そう、私達PMはヒトと同じように空腹を感じることはあっても、基本的に餓死することはない。
これが原因か、聞いた話ではガーディアンズでは様々な理由でマスターを失ったPMがルームに立てこもり、問題になっているという。
何も摂らずとも死ぬことのない身体故に帰ってこない主人を待ち続けている、と。
「何か・・・まずいのか?」
セシルが珍しく不安そうに訊いてきた。
80 :
4/8:2010/06/22(火) 00:36:48 ID:2XwVGEM4
「じ、自分が食事しなくても平気と言ったんです!その、現に生活には支障はありませんし!」
自分の主人をかばうようにマイが言う。
「うーん・・・」
主人が考え込む。これが仮に主人だけ普通に食事をしてPMには与えていない、とかなら間違いなく主人は怒っていただろう。
しかしセシルは本人すらまともに食事を摂っておらず、マイに普通の食事を与えていないのも特に他意はないようだ。
ただいらないと言われたからその通りにしただけで。
「えっと、確かにPMは食べへんかっても大丈夫やねんけど、でもうちらと同じようにお腹は空くやん?」
「それは・・・そうですが・・・」
「やったら、やっぱりご飯は食べた方がええと思うねん。それに、一人より二人で食べた方がおいしいで?」
主人が笑いかける。セシルはしばらく主人とマイを見つめていたが、やがてマイに向き直ると、
「マイ。・・・一緒に食べよう」
「はっ・・・はい!ご一緒させていただきますっ!」
そのいつもより少し嬉しそうな返事に、私と主人は顔を見合わせて笑った。
81 :
5/8:2010/06/22(火) 00:37:13 ID:2XwVGEM4
さて、ある意味ここからが本番だ。お皿にご飯を盛り付け、カレーをかける。
良い匂い・・・なんだけど、やっぱり辛そうに見えない。どう見てもお子様用だ。
二人の前にカレーが置かれ、主人の顔が若干緊張する。
セシルがスプーンを手に取った。
「すとぉーーーっぷ!」
主人だ。びっくりして動きが止まったセシルとマイの視線を受けながら、ゆっくりと両手を合わせ、
「いただきます」
「・・・いただきます」
大人しく真似した二人にニコリと笑って「召し上がれ」と言った。
セシルがスプーンでカレーをすくい、口に運んだ。
どうだ・・・?
もぐもぐと咀嚼するうち、セシルの目が段々と開かれていった。
手と口を動かすスピードがどんどん速くなる。がっついてはいないが、結構見事な食べっぷりだ。
マイは少しづつ食べながら主人の顔を上目遣いで見つめ、「美味しいです・・・」と小さな声で言った。
無言で食べ続けるセシルを見ていた主人はマイの言葉にはっとした。
「あ、ありがと〜。・・・セシルさんは、どう?」
82 :
6/8:2010/06/22(火) 00:37:38 ID:2XwVGEM4
「・・・・」
主人の声が聞こえていないのか、セシルは無言で食べ続けている。
「あの・・・セシルさん?」
「・・・!!」
二度目の問いかけにようやく気付いたセシルは手を止めた。少し顔に汗をかいている。
「ごめん・・・なんだ?」
「えっと、味、どうかな?美味しい?」
「美味しい。物凄く」
即答したセシルはまた無言で食べ始める。主人はほっとして「よかった〜・・・」と言って脱力した。
まぁ、ここで飛び上がって喜ぶわけにもいかないしね。
それ程時間をかけずに食べ終えたセシルは主人を見ると、珍しく、本当に珍しく、少し恥ずかしげに
「おかわり・・・いいかな」
と言った。
お世辞ではなく、本当に気に入ったようだ。まぁ、お世辞言うような人には見えないけど。
もちろん、主人の返事は決まっていた。
結局その後もう一度おかわりして、夕飯は終了となった。
83 :
7/8:2010/06/22(火) 00:37:58 ID:2XwVGEM4
「ごちそう様でした」
「ごちそう様でした」
最初と同じように主人の真似をして二人が手をあわせた。
主人は肩の荷が降りたような顔をしてセシルに話しかけた。
「ほんでもよかったわ〜、美味しい言うてもらえて」
「ああ。・・・三食あれでも良いくらいだ」
「あははは。でもあれ甘口やってんけど、もうちょっと辛い方がよかったんちゃう?」
セシルが一瞬口をつぐんだ。
「私・・・辛いもの、全然だめなんだ」
これは意外だ。・・・もし主人が辛口で作ってたらどうなってたことやら。
「あは、ほなうちと一緒やねぇ。・・・っと、時間もおそなってったし、そろそろ帰ろかな」
時計を見ると、もうとっくに暗くなってる時間だ。・・・クラッド6は暗くならないが。
席を立ちかけた主人と私を、セシルが引きとめた。
「あ・・・待ってくれ」
「うん?」
「・・・何か礼をしたい」
84 :
8/8:2010/06/22(火) 00:38:37 ID:2XwVGEM4
「お礼て・・・言われても」
主人が困惑する。
「そんなえらいことしてへんしなぁ・・・気にせんでええよ?」
「しかし・・・」
「ん〜・・・あ、ほんなら」
何か思いついたようだ。主人はモジモジしながら、
「名前・・・セシルって呼んでも、ええ?」
「・・・そんなことでいいのか?」
「うん・・・」
セシルは少し拍子抜けしたような感じだったが、すぐに了承した。
「構わないよ。・・・元々、さん付けで呼ばれるのは慣れていないしな」
「あ、あ、あと、うちも、ミコトって、呼んで欲しい・・・」
「わかった」
思わぬ収穫だった。セシルは主人より年上みたいだから勝手に呼び捨てには出来ないし(しても気にしなさそうな人だけど)
かといっていつまでもさん付けでは距離を感じる。
セシルは居住まいを正すと、改めて主人に礼を言った。
「ミコト。今日はありがとう」
「ううん・・・こんなんで良かったら、またいつでも作るから」
その後、もう遅いからとセシルとマイに主人のルームまで送ってもらい、二人と別れた後、私と主人は気付いた。
私達、夕飯食べてない。
おわり
「うぅ・・・こんな時間にこんな話書くからほんまにお腹空いてった」
「我慢してください。夜中に食べると太りますよ」
「むぐぅ・・・」
>>85 投稿乙でした。噛んだマイかわいいなwおいw
で、ちょっと
>>74が言葉足らずだったので補足。
前に、いろいろな書き手さんの長編が重なった時に
とある書き手さんが「流れに割り込むのもどうかと思って・・・」と
投稿をちょっと躊躇してたって事があったんだわ。
だから、
「無駄な文章は省くようにした上で、結果長編になるなら仕方ない」
のだけれど、
「それでもうまく短編に纏めるよう努力する事」
「スレの流れを見て長編(短編)ばかりにならないように空気読む事」
は必要だと思うんだ。
例えば、
「書きたい長編があるけど、ここの所、長編が続いてるから、
書くだけ書いて投稿せず、小ネタの短編作ってみようかな〜」とかね。
ただ、スレの空気読もうにも、そもそも書き手さん自体が減ってきているから、
そんなところまで考えてると投稿出来なくなってしまうという・・・
いや、物語を書くって難しいね、マジで。
ここまで書いておいて、今更ですが、
とっても偉そうで、しかもとっても難しい事を言ってるのは理解してます。
「言われなくても分かってるし、そんな事出来れば苦労はね〜よ!!!!」
全くもってその通りです、申し訳ない。
どこぞのお馬鹿の戯言程度に考えててくださいな。
お詫びついでに駄文おいておきますね。ノシ
○月×日
稼ぎの少ないご主人様がコツコツと☆2杖を取ったり買ったりしてくれたおかげで
今日ようやく人型になれた。嬉しさのあまり、ご主人様に飛びついて見たが
勢いあまってタックル状態に。かなりいい角度で入ったらしく、ご主人様はしばらく起き上がらなかった。
今度飛びつく時は少し遠慮しようと思う。
人型に成れたといういい機会なので、これから日記を書いていこうかと思う。
○月□日
ご主人様と初ミッションに行く事になった。
場所はニューデイズ。私の食事の杖を取っていた場所でもあるらしく、
ゴーモンのバータを避けつつサクサクと進んでいく。
私はせっかく人型になれたのだから、と張り切ってフォイエを連打していると、
遠くで「くそぅ、ダメダ・・・」と声がした。
どうやら、間違えてご主人様に当ててしまったらしい。次は注意しようと思う。
○月◎日
手作り料理でご主人様をメロメロにしよう!とパシ通に書いてあった。
メロメロは置いておいて、ほっておくとご主人様はインスタント物で済ませてしまう為、体に良くない。
玉型の頃から料理はたまにしていたが、人型になったので、本格的に頑張ってみようと思う。
手始めにパシ通の付録「マヤリー先生のお手軽クッキング♪」を熟読し料理を作って見る。
早速ご主人様にご馳走すると、ご主人様は泣きながら食べてくれた。隠し味のドグマドロップがよかったのだろうか?
ともかくここまで喜んでもらえると頑張った甲斐があると言うものだ。もっともっと料理の勉強を頑張ろうと思う。
☆月○日
お友達が出来た。GH440ちゃん。ご主人様の知り合いのヒュマ子さんのPMだ。
とっても内気な子だけど、そこがまた可愛らしかった。
仲良くなろうといろいろ話を聞くうちに、少し気になったので、
ご主人様とヒュマ子さんの関係について聞いてみた。
なんでも私のご主人様がヒュマ子さんの所の倉庫を借りる代わりに、ヒュマ子さんに服を提供するという事らしい。
拾った物は捨てられないご主人様の性格からして、うまくやったなあ〜とは思うけど、何か複雑な気分。
だって、ヒュマ子さんってすごく美人なんだもの。
何かご主人様を取られちゃいそうで・・・って何書いてるんだろ、私。
□月×日
店番をしてたら、いきなり黄色い鳥の着ぐるみが入ってきた。
余りにも突然だった事と、着ぐるみの意味不明なハイテンションについていけず、
思わずフォイエをぶつけちゃった。しかも「くそぅ、ダメダ・・・」と聞き覚えのある声が・・・
ご主人様、着ぐるみ取れてうれしいのは分かるけど、そうならそうと早く言ってよぅ。
○月×日
ミッションから帰ってきたご主人様がいきなりハラロドウの現物を渡してきた。
何がなんだか分からないので、聞いてみたら、
「ほら、今日で人型になって1周年だろ?」だって。
・・・そっか、もうそんなに時間がたってたんだ。
本人すら、もうすっかり忘れていたのに、ご主人様が覚えてくれていた事がとてもとても嬉しかった。
まだ呆然としている私に、ご主人様は照れた様子で、
「で、だ。その、・・・これからもよろしくな!」
と言ってくれた。
・・・当たり前じゃないですか。こちらこそ、よろしくお願いしますね。ご主人様♪
>>85 セシルの普段の生活ってどんなんなんだろ…
>>87 このPMは450なんでしょうか。
ほほえましい内容に癒されますね。
私のはどう見ても長編です。本当にありがとうございました。
でも気にせず投下します。
89 :
悩み 1/4:2010/06/23(水) 11:55:25 ID:a5MmVkf+
「お嬢様、朝食の用意が出来ております」
またこの声。今までと大して変わっちゃいない。
「出発のお支度は済みましたか、お嬢様?」
私は何のために飛び出して来たの?
「いってらっしゃいませ、お嬢様」
束縛から逃れるため。自由になるため。それ以上でも、それ以下でもない。
ただの単純な理由よ。
「よう、また会ったな、ケイ」
変わりたかった。
90 :
悩み 2/4:2010/06/23(水) 11:55:47 ID:a5MmVkf+
このクローですか?」
「それ、可愛いですよねぇ…私は装備できませんけど」
「ボクも見たことない」
「ツインミケクローです。2年3カ月と4日前にマスターから頂いたものです」
「あの人から…」
「いい御主人様ですね。羨ましいです、シュネー様なんてちっとも私の事なんか…」
ボクは・・・ご主人に何て思われてるんだろう。
「…ッシュ様? アッシュ様、いかがなされました?」
「ぁあ、うん、何でもない」
「嘘。顔に書いてありますよ。何か心配事でもあるんですか?」
「…」
「ボク、もう帰るね。ありがとう」
「…? お気をつけて…」
「何かあったんでしょうか…」
「私には推測できません」
91 :
悩み 3/4:2010/06/23(水) 11:56:13 ID:a5MmVkf+
ご主人のしあわせは、ボク達PMのしあわせ。
ご主人のしあわせを願うのは、PMとして当然のこと。
だけど・・・
何かイヤだ。
あの『ケイ』とかいう人が現れてから、ボクはご主人と仕事に出ることはほとんどなくなった。
連れて行ってもらえないわけじゃない。
行きたくないんだ。
ボクは成長したはずだ。色んなことが理解できるようになった。
でもこれは・・・これだけは・・・
わかんないんだ。
いくら考えても。
92 :
悩み 4/4:2010/06/23(水) 11:56:34 ID:a5MmVkf+
「よかった、貴方がお箸を使えて」
「俺もニューデイズで育ったからな」
「これ、ケイが作ったのか? なかなか美味いな」
「ううん、私のPMが作ったの」
「ふぅん…どんなヤツなんだ? ケイのPMは」
「そうね…逃げ切ったと思ったら、そうじゃなかった」
「はっ?」
「何でもないわ。あんまり話したくないのよ」
「PMを避けてるのか?」
「好きではないわ」
「じゃあ、貴方は自分のPMをどう思ってるの?」
「どう思ってるかって?」
「頼れる存在か、それとも恋愛の対象か。やっぱり、私よりも立場は上なの?」
「上って…何を言ってるんだ」
「ごめん、忘れて。私ったら、色々と考えすぎちゃって」
「俺はお前の事を何も知らない…だから大したことは何も言えない」
「そうよね…話したことがなかったもの。いいわ、折角だもの、話してあげる」
93 :
悩み:2010/06/23(水) 11:57:12 ID:a5MmVkf+
今回分はこれで終了。
★今回の課題:展開をゆっくりにする
>>86 レスありがとうございます。開き直って、というのは言葉が悪かったですね。
「長文にならないようにする努力」が必要なのは認識しています。
誤解させてしまっていたら申し訳ありませんでした。
割り込みに関してですが、私の場合は一応一話完結のつもりで文の最後に「おわり」と
つけて他の方が投稿されてもおかしくならないようにはしているつもりです。
ご指摘ありがとうございました。
それはそれとして。
>>87 >どうやら、間違えてご主人様に当ててしまったらしい。次は注意しようと思う。
「なるほど、その手がありましたか・・・」
「待てぇーい!どういう意味やそれ」
「
>>88様の「セシルは普段どんな生活をしているのか」という疑問に勝手にお答えしたいと思います」
「っちゅーわけで、ミコトと!」「らぶの」「「突撃!インタビュー!!」」ワーパチパチパチ
「ゲストは勿論セシル様とマイ、インタビュアーは主人と私、カメラマンにアイリス様でお送りします」
「え、私映らないんですか?」「カメラさん、喋らないでください」
「えー、では早速セシルさん、普段何してますか?」「お見合いの質問みたいですね」
「あの、セシルさん映すとマイさん見切れるんですけど」「だからカメラさん喋らないでください。・・・らぶ、肩車や!」「エーッ」
「・・・あの、喋っていいのか?」「どうぞ!」「お、重い・・・」「す、すみませんらぶさん・・・」
「普段は・・・指定された任務がなければフリーミッションをこなしている」「なるほどー」
「・・・・」
「・・・・」
「えーっともうちょい具体的に・・・あ、一日のスケジュールみたいなんってありますか?」
「スケジュールか・・・まず、朝起きて、顔を洗って朝食」「うんうん」「・・・ペロリーメイトですよね」
「その後指定任務の有無を確認して、なければ午前中はフリーミッションをこなす。昼食後は大抵場所を変えてミッションだな」
「・・・えー、あー、仕事熱心デスネ・・・」「仕事人間ってレベルじゃないですよ」
「帰宅したらシャワーを浴びて夕食、就寝・・・以上だ」「・・・・」「・・・・」「膝がガクガクしてきました」
「・・・えー普段から仕事に励み、自己鍛錬にも余念がないっちゅうことですね!
以上、ミコトとらぶの突撃インタビューでした!」「モノは言い様ですねぇ・・・」
「も、もう降ろしてもいいですよね・・・うわ、あ、わーーっ!」「きゃーっ!」バターン
おわり
「書ける!私にも短編が!」
「勢いで書いたせいで物凄いごちゃごちゃになってますけどね」
本当、読みにくかったらすみません・・・。
パシリがメインなら文句は無い
つまり文句あるって事だ
98 :
96:2010/06/23(水) 21:57:27 ID:ffAiq61Z
>>97 申し訳ありません。確かにこれでは短編云々以前にスレ違いですね。
すみませんでした。
固有名詞は一見さんにキツいという注意
続き物を書く時に配慮しておくれ
test
最近はパシリスレというよりご主人様スレな気がする
あと上にもあるけど固有名詞はどうしてか違和感を拭いきれないな
いや、もちろん読物は楽しませてもらってる
>>87 タイトルに「古い日記」ってあるのに気付いて胸が苦しくなった
そうだよな… そうだったよな…
103 :
名無しオンライン:2010/06/26(土) 15:01:38 ID:81y86Ci3
株式会社ロックワークス 廃業のお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★ RoC Works ★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前略、皆様にはますます御清祥のこととお慶び申し上げます。
多くの皆様に長らくのご愛顧をいただいてきました『株式会社ロックワークス』は、
2009年11月30日12時00分をもちまして本社閉鎖ならびに
一切のサービス終了とさせていただきました。
2005年12月27日より事業を開始して、様々な
世界観を、オンラインネットワークゲームを通じて皆様にお楽しみ
いただけるよう尽力してまいりましたが、弊社の力及ばす、お客様
にご満足いただく為のサービスの提供が非常に困難との結論に至り
誠に遺憾ではありますが、先日に発表のとおりと相成ります。
わずかな期間でありましたが『株式会社ロックワークス』を温かくご支援いただいた
全てのお客様に、心より感謝と共に厚く御礼を申し上げます。
敬具
2009年11月30日 株式会社ロックワークス
※ロックワークスがポケモンをぱくって訴えられてる件
ttp://www.kajisoku.org/archives/51359282.html
肺魚ウッ
____
/|_:|:::::::::: __|
/´ ::::::::: ,ノノ :.ヽ.
/ :::: :::::::,;:::: :::::;; ハ
| :: ( :::::;ヘ;;,.,:;:,ハ::::.}
|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <まだだ、まだ終わらんよ!(このスレ的意味で
(;イソヘリ、 ( フ_ノノ´
(イリ/';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
(.リ(_;:::つ/ GH-450 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
さーて、PSUチャレンジモード最終話、ようやく一部完成です。
詰め込みすぎてややこしくなってきてますが、2年半続けてきたものの伏線回収は楽しいですなw
ではどうぞ。
わたくし、荒ぶる戦乙女のGH432がいつの間にか手にしていたその箱は、開くと大きさも形もまるで違うものになっていました。
色とりどりの花を敷き詰められた金剛石の棺。一人の女性がその中に入っていました。
主…?いや違う?
呼吸音もしませんし、心臓の拍動もありません。生物学的に言えば死んでいる、ただの蛋白質の塊。
ですが、それはまるで眠っているだけ…今にも起きだしそうな安らかな表情で。
主とまったく同じ姿をしていますが、なぜか違うとわかります。記憶領域の中にはないはずの人です。
ですが…
わたくしは…この女性を、知っている…!
「本作戦の目的は、炎侵食下におけるフォラン地方病院の生存者救出である」
「主、主〜?どこにいらっしゃいますか〜」
「はぐれた!?よりによってこんなときに!」
「探さなくちゃ…パートナーなのよ、私の大切な…」
失われていた記憶が断片的ですが甦ります。
それは3惑星すべてが炎侵食を受けたときのことで、わたくしとその人…わたくしがかつて主と呼んでいた人は、浄化が遅々として進まないパルムを救おうと、平原の浄化や地方の建造物での救出作業を繰り返していました。
報酬が少ないためかガーディアンズからも見放され、多数の重傷患者がいるにも関わらず、焼け落ちるのを待つだけの地方病院。その日のミッションはそこの救出作業でした。
燃えさかる建物の中で悠々と飛ぶ珍しいちょうちょを追い回しているうちに、主とはぐれてしまったことも…
爆発がありました。建物が崩れ落ちるのと、主がわたくしに覆い被さるようにしたのが見えたところで、目の前が暗転しました。
「御されない、出来損ないのフォトンか…アドバンスト・フォトンなどとは、皮肉の効いたネーミングだこと」
次に目に入ってきたのは神々しい亜麻色の髪。わたくしはその女性を見上げていました。わたくしのボディは損壊が激しく、焼けこげた死体が覆い被さって…
「あなたの主人は死んだわ」
目の前に立っている女性も主の姿をしていますが、わたくしに覆い被さった死体の顔は、ずっと過ごしてきたことの大きさから感じられる何かは、その物言わぬ物体が主だと…
この黒焦げの塊が…主…?
嘘…嘘!主が…こんなこと嘘に決まってる…!わたくしのせいじゃない、嘘、嘘、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…
「自分の身に降りかかったことが理解できないか…その幼さがここで特異点を生み出すとはね。残念だけど、これは現実よ」
主を返してくださいよ、ねえ…
返して、返して、返して!返して!返して!返してよーっ!!
右手と両足が破損しているので、左手だけでしがみつき、黄金に輝く鷹の翼に似た衣をまとった亜麻色の髪の女性に向けてみっともないくらい泣きわめく、錯乱したわたくし。
わたくしのエネルギー源であるフォトンジェネレータがアラートを発し、胸中の、恐れと悲しみとやり場のない憤りがないまぜになった感情が、どす黒い塊と感じられるような質量を持ちだしました。
「そう…では、あなたがいつかこの現実に向かう勇気を得るなら、勇者となる誓いをたてるなら、その願いを叶えましょう」
女性はため息をついてわたくしを抱き上げました。わたくしの中で爆発した荒れ狂う感情と物理法則を超えて増大しだした質量が溶けるようにして消えていきました。
「ただし、この事実は残るということは忘れては駄目。私が行うのは、あなたの主人が死んだという事実とは別の方向を進んだ世界を作ること。
いずれあなたは自分の力で本来の運命と向き合わなければならない。あなた自身がこの願いを叶えるのよ。そう誓いなさい」
ぐるぐると頭の中で言われたことが錯綜します。怖いことを認めるのもいや、わからない何かをしなければいけないのもいや、今のままもいや…
「このままでいいというならそうするけど。誓うの?誓わないの?」
わかりました…誓います…
意味はわかりませんでしたが、誓えばなんとかなるというのだけはわかり、その言葉を口にしました。
「よろしい、誓い(ゲッシュ)は掲げられた。勇者の前途に祝福を」
そうして、わたくしはそれまで本物の主と過ごした事実と引き替えに、主の死ななかった世界を創造してもらったのです。
……………
すべて理解できました。わたくしが覚えている限り最初からGH432で、GH430より前の記憶がないこと、主の素性を知らないこと、そして今までの主の不審な行動。
なんということはありません。あるはずだった過去は、この世界には存在していないのですから。わたくしの知っているこの世界は、このときに作られたものだったのですから。
わたくしは…わたくしは、戦乙女の名を持った、ただの負け犬だったのですね…
本物の主を自分のミスで死なせ、それを受け入れられないまま逃げ出した…
「そう、あなたは死というものが理解できなかった。ただ目の前の事実が怖くて、目をそらして、ねじ曲げた」
「………」
聞き慣れたような、ちょっと違うような声が、わたくしに残酷な事実を告げました。わたくしはうなだれた首を上げられず、目から流れ出る液体を落ちるに任せるだけでした。
「ねじ曲げたところで事実は変わりません。あなた以外のすべてのものが、その事実を指し示しています。そこから逃れるために他を歪ませ、その歪みが生み出したものが、あなたの作ったダークファルス、最終的に全てを破滅に導く無限エネルギー」
「そう、そういうことだったんですね…だから死に反応して…」
「わたくしは誰よりそれを知っています。だって、わたくしは、あなたですもの。あなたの本当の姿ですもの」
やっと顔を上げたわたくしの目に入ってきたのは、体のあちこちが焼けこげ、右腕と左足首より先、右膝から先が壊れてなくなったGH432、他ならぬわたくしでした。
わたくしはたしかに成長してきたのでしょう。ダークファルスにも黒の巨人にも勝ちました。でも、何も解決していませんでした。
結局わたくしは、神という存在、越えられない壁の前に、同じように逃げ出しただけ。自分が作った闇にとらわれたまま、もがいていただけ。
何も始まってなんかいなかったのです。
わたくしはいてもたってもいられなくなり、何をしよう、何を言おうとか考えるでもなく、主のところへ向かおうとしました。ただ会いたい、それだけのために。
しかし、開けられた箱から広がっていた空間は、わたくしを見えざる手で縛り付け、ミッションカウンターへ行くことを許しませんでした。
それでも光の翼で無理矢理向かおうとしましたが、今度はまっすぐ進むことができず、天井にぶつかって落ちるはめになりました。見れば、不安定な翼は奇妙にねじくれてしまっていました。
「やはり何もわかっていなかったか…それでは何もできぬと言ったであろう」
もう一度聞きたい、でももうそれはかなわないと思っていた声。はっとして声のほうを向くと。
「残酷だとも思ったけど、しょうがなかったのかもね。止められていた無限エネルギーを使った以上、あなたはそれを使えなければいけなくなったんだから」
ラシーク王に、リコさん…
「言ってくれたよね?自分を見るのは怖いんだって。自分は自分をやめることはできないんだって」
ネイさんと、お姉さん…
「この世界において、おまえはいったい何をやってきた?ライラ・ブラングウェンは相手を悪と断じるのではなく、純粋に利益同士のぶつかり合いで我を殺した。
だが貴様はどうだ。貴様自身を正当化する正義とは何か、その結論も出せていない」
あなたは、ジオ…
「現に貴様は我が何を求めたのか、自分の知らない観点を理解しようとすらしなかったではないか。ステージクリアはできたからもう関係ないとでも思っていたのか?だから貴様はモノなのだ」
敵だったとはいえ、ジオの言葉が正しいことはわかります。言い返しようがありませんでした。
「パルマ王として、為政者として言わせてもらおう。人が大きな問題に立ち向かうとき必要なのは、正しい情報と知恵だ。
それをするためには、物理や化学、政治経済、歴史を学ぶことを避けて通ることはできぬ。すべては蜘蛛の巣のように絡み合っているのだ。学問とはそういうものだ」
「たとえば、あなたが食べていたものがどこで作られたか、その材料はどこから集まって、誰にどれだけの利益がわたったか。
身近なことに関係があるとわかれば、学ぶこと自体が楽しくなるはずよ。まずは興味のあるところから入ればいいんじゃないかしら」
それだけ言い残すと、忌まわしい過去を詰め込んだ金剛石の棺や、今まで出会ってきた人たちは、ふっと意識が遠のくような一瞬の感覚とともに、跡形もなく消えました。
わたくしが取り残された出られない空間には、相変わらず周囲には映像が舞い、星々の光の間にいくつもの宇宙の歴史が映し出されています。
リコさんに言われたとおり、先ほど使われた端末に、わたくしの不完全な『光』でアクセスして、記録の海を彷徨っていました。
興味のあるところと急に言われてもすぐに思いつきませんでしたので、とりあえずグラール全体の歴史から見ていきました。
そこにはいろんな歴史がありました。起こった出来事には理由があり、またいくつもの分岐点があって、そこでいくつもの宇宙が存在していました。
SEEDが出現しなかったグラール。レリクスを作った旧文明の人たちが突如現れたグラール。ファージと呼ばれる謎の惑星破壊因子に3惑星とも破壊されたグラール。
そのファージが気になって調べてみると、外宇宙との関わりがある場所へと続いていき、私はそこにたどり着きました。
1つの恒星と8つの惑星で成り立つ太陽系の、青い水の惑星。それは『地球』といいました。
ネイさんを助けるとき協力してくれたオンミョージさんの出身はここだと本能的にわかり、興味がわきだしました。
その星の過去の姿を見ていくうちに、非常に大きな光が見えてきて、その中を覗き込むと、輝く宮殿の玉座に座る人物が見えました。
「『炎より守られたる所』へようこそ、遠い未来の勇者よ」
主と同じように、まぶしい光の中からそこにずっといたかのようにして現れた、歴史の教科書に載っているような古代の服を身に纏った黒髪の偉丈夫。孫を見守る老人のような優しさをたたえた眼差しの男性でした。
主の『席のある部屋』と同じ、変なネーミングセンスの館…この人、まさか。
「あなたは誰です?主のことを知っているのですか?」
「『女主人』の兄、『主人』とでも言っておこうか。そう呼ぶものが多かった」
「主の…?お兄さんがいたんですか」
「私と妹は、あらゆる時代、あらゆる世界で兄と妹であり続ける。ネロとアリサのように、兄が先にいなくなることも含めた運命の連鎖となっている」
ちょっと理解の範疇を超えていますが、もうさすがにわからないことが多すぎて、慣れてきてしまいました。
もうかたっぱしから質問していきますよ、ええ。
主のお兄さんは聞いたことをわたくしにもわかるよう丁寧に教えてくれました。
その膨大な知識量で、何を聞いても教えてくれそうでしたが、時々知っているのに答えないというそぶりを見せるのが主そっくりで、なんだか心安らぎます。
「…そして神々が作り出した知性の集合体たる世界樹は黒の巨人に壊された。私が残しておいたその根幹が『牡鹿の角』と呼ばれるものだ。立派に育っているようで何よりだ」
お兄さんが手にした、いくつも枝分かれした奇妙なセイバーをわたくしのほうに向けると、わたくしが先ほどから彷徨っていた、古き神の遺産がその全貌を見せました。
それは人の意志でアクセスすることのできる超巨大データベースのような、しかしそれだけではない何かでした。
わたくしのいるところから前後に長大な光の束がのび、何千何万という枝に分かれて、あらゆる方角へと飛び散っています。
それは作られたときには最小限の大きさでしかなく、お兄さんが今持っている大きさでしたが、わたくしが見ると膨大な知識を蓄えているという巨大な木のようでもありました。
それを見上げるわたくしはあまりにもちっぽけで。
わたくしが無限エネルギーを制し、自分の過ちに向き合って進めるようになるのには、これを理解しろという話ですが。
ただでさえ勉強嫌いで、しかもいろいろと制限の多いパシリのわたくしなんかにできるものでしょうか…
満月の下でそびえ立つ光の大樹に呆然としているわたくしに、主のお兄さんはほほえみかけました。
「妹は先天性色素欠乏症で、日光に弱かった。そしてそれを克服するためにマジックを創造した。月の女神と呼ばれたのは、日が落ちてから外に出ることが多かったためだ」
「あ…『光』は力劣る者が生み出しやすいとは、そういうことですか?ないものを求め、必要があるから生み出すと」
「そうだ。劣るからこそ、君にはできる。少しは自信がついたかな?」
そこまで言うと、主のお兄さんはわたくしから視線を外し、周囲を見回しました。
「気がついていたか?入り口も出口もないこのパイオニア2の不自然さに。君がいるのは君が作り出した『闇』、ブラックホールの中。だから時間も空間もおかしくなっていて、出ることができないのだ」
「その中では時が止まっているということですか?」
「まあ、そんなところだ。時間がなぜ過去から未来に流れるか、考えてみたことはあるか?それがわかれば、なぜ止まっているかもわかる。
原因がわかれば、対処の方法も考えられるだろう。焦らずに、道草をして足下を固めながら行くがいい。無駄な経験など、何一つとしてないのだ」
大きくて暖かい、力強いのに柔らかいお日様みたいな手と握手すると、少し勇気がわいてきて、一つずつできるところから見ていくことにしました。
幸いにして、時間は無限にあるのですから。
「立ち直ってみせたまえ。君が今まで不可能を覆してきたのと同じように」
-続く-
個人的な事だけ書くなら
起点がすげえ残念
早く続き見てえ! から 続き投下されたか見るかぁ くらいに落ちた
>>106 久々に戦乙女キター
>PSUチャレンジモード、2年半続けてきた〜
もうそんなになるのか。パシリスレで一番長い作品なんじゃないか?
今回ようやく戦乙女の過去が明らかになって、すごく複雑な感じになった。
今の時間軸が作られた物ならば、女主人に勝ったら元の時間軸に戻ってしまうって事になるんだろうか?
次回で最後かな?そのあたりの展開も含めて、楽しみにしてます!
>>114 3ヶ月目のショールの伏線が、ここにきて回収されてびっくりした。
ともあれ、無事出産おめでとう!
某大佐や『かわいい、やっちゃいましょう!』にはワロタw
後、あとがきに関して
>連絡通路突破
実際にやる人がいたとは、すごいわwマジで
主 「今度、お前もやってみるか?俺はビ○コ食って待ってるから。」
GH450 『遠慮しておきます。そんな事より、私にもビ○コください。(じゅるり』
>次回作
俺はどっちも見てみたいんだが、
どちらかといえばちょこっと書いてほったらかしになってる感があるカエデ&ソル君かなぁ。
無茶を承知であえて言わせてもらうと、片方は短編で、片方は長編でってのもいいかも?
どちらの場合も、今回のように一部エロ過ぎてアウト〜!の為ロダUpじゃない方向でw
>斧
俺の感覚での話だけど、
fFだと遅めの斧JAだけれども、FMだとモーションが早くなってる関係上、慣れれば結構やりやすい。
まあ、その分受付時間も短くなるから、慣れない最初は1段目→1段目→1段目→以下略 になったのは内緒だがw
最終がFMなら、とっととそこまで上げて練習すべし!
問題はFMのJAタイミングに慣れすぎると、AF以外の他の近接職でJAやりにくくなる事だな。
モーション補正、恐るべし・・・
こっちも次回で最終だな。楽しみにしてます!
>>106 戦乙女の本当のマスターじゃなかったんですね、女主人。
彼女は、今はどうすればいいのか分からないでいるけど、今までの試練から学んだ事で、この世界から抜け出せる、かも知れない。
試練の答え合わせ(笑)まで終わって、彼女はどう成長するのか、後編を楽しみにしてます。
>>115 ご拝読いただき、ありがとうございます。
おかげさまで、何とかメインの出産場面までたどり着けました。
ソルとカエデ方面以外の伏線は、これで全部拾ったはずですが……
次回作のご意見は参考にさせてもらいます。
>片方は短編で、片方は長編で
それも考えたんですが……二本立ては死ねそう;
ネタ用でもある斧については、まぁぼちぼち練習ですね。
さっさとFMにしないと……あとΦG4レベル上げなきゃ。
>>106 話についていけない私涙目。
過去ログから見直してきます…
>>114 ついに出産ですね…思えばロザリオも遠くまで来たもんだ。
まだ全部読んでないけど…
あらかじめ書いておいたのをお昼休みにぱぱっと投下。
まぁ…お茶受けぐらいの感覚で読み飛ばしてください。
アッシュ様の行動についての計算結果が出ました。
結論から言います。
98.3%の確立で『愛』です。
今でこそマスターとPMの恋愛は珍しいものではありませんが、
私が軍に居た頃は、それこそ『異常者』扱いされる様な行為と見られていました。
私達はマシナリーなのですから。
私は以前、マスターにこの様な質問をした事があります。
PMは何故主人に対して愛情を持つのか?
それに対して、マスターはこの様な話をして下さいました。
「PMにはな、擬似恋愛感情を持つためのシステムが搭載されている。公にはされていないことだ」
「秘密にされている?」
「GRMがテノラ・ワークスとのコンペに勝利した秘策だったのだよ。
確か名前が付いていた筈だ。コンフェ…何だったかな」
「どなたからお聞きになりました?」
「GRMに古くからの友人が居てな、PMの開発に関わっていたそうだ。今は退職してしまった様だが…」
「所で、何でその様な事を訊いたのかね?」
「…女性だけの秘密です」
「ふ…そうか。ならこれ以上は詮索すまい」
アッシュ様の愛情を、ただの作り物ではなく『本物』として、ジョニー様には受け取ってほしい。
結ばれながらも非情な終わりを迎えた、彼女の為にも。
今回分はこれで終了。
短編にした…つもりですが、どうでしょうか。
*最近の悩み
:『音』の表現
>>120 >結ばれながらも非情な終わりを迎えた、彼女の為にも。
意味深だけど、一体誰の事でしょう……
ざっと前のほうを読み返したけど、分からなかったorz
度々ども、パパと412作者です。
久々にロザリオでINしたら、部屋に出産祝いが置かれててビックリしました。
(ビックリした一番の理由が、送り主がパトカ貰ってない方だったからというのは内緒w)
ガーディアンズ女性制服(緑×白)、ありがとうございます。
当人は早速着て、喜んでます。
この場を借りて、彼女に成り代わりお礼申し上げます。
それではこの辺でノシ
>>121 出産おめでとうございます。……フリーコースなのでご祝儀は送れませんがorz
って、なんだいエル君?『どうせミクナスの黄黒を送っていつか二回目の集会に着てきてもらおうと言う魂胆でしょう』って?
バカいうな。ただ単に第二子誕生のお手伝いを……すいませんマジでメイロドウはやめアッー
エル「どうもお久しぶりです。GH470からGH465になったエルヴィアです。そして……」
女主人「(゜∀゜)」
エル「……そこで歓喜の表情のまま固まっているのがボクのマスター(小さめのビースト)です」
女主人「って、あえてあたしの状況をつっこまないのは何故かしら」
エル「知ってますよ。ヴィヴィアン・レプカですよね」
女主人「その通り!ようやく待ちに待ったヴィヴィアン・レプカ!これを着てお揃いの武器で……」
エル「……残酷かもしれませんが、マスター。ヴィヴィアン・レプカはパーツです」
女主人「百も承知よ?だからこそ、『こんな事もあろうかと!』」
エル「嫌な予感しかしませんが……」
女主人/C「どうも、女主人/Cです」
女主人「とある人にあたしそっくりのキャスト製作を頼んでおいたのよ。彼女も青髪赤眼貧乳の同志として快く引き受けてくれたわ」
女主人/C「あたしの特技は108まである!」
女主人「……性格に難はあるけどね。そこだけはちょっといただけないけど、よくやってくれたわ」
エル「……あの、末尾の『/C』って……」
女主人「…………クバラ品?」
ウソダッ! ホントウダッテ!
実際に作ってみました。……いつか、女主人と同エントランスに移す予定です。
あと、/Cは本当にクバラ品の意味ですよー。間違っても某赤いおじ様やPoのヒロインのような存在ではないですよー。
/"ヽ
| | ,/^\
| | / ヘゝ
/⌒\| | | |,ヘ
/ 〃//~ ~~ . :.~ヽ.〉
./ /.:〃 ,; . ,, . ハ
/ /|.:i{l| ノヘ;,;,ハハ::...}
| . .:| |.(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <暑くなってくるので、そろそろ出番でしょうか?
| :| (;イソヘリ、 ( フ_ノイ
| . ,リ /';:'` / ̄ ̄ ̄ ̄/
. ム;ル;;リ (__〕つ/ GH-460 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
七夕のパシリネタを考えたが思いつかなかったので、
以前断念したこちらを作成してみた。出来はあんまり良くない。
GH520ファンの方々、お目汚し失礼。
つーか、欲しいパーツ探すの難しすぎるだろう・・・orz
γ-―‐‐\
/厂/─‐ ,,ノノヽ.
Σ ;〃 : :::::,;:: :::::; ;ハ
ム:i{l| .ム: ::: リソ ハ ::;}
|.(@:)ル ;リノ ‐ ,'レ´ <正直スマンカッタ
/.リヘリ;ハ;ソ ( フ_ノ
/:;ノ /';:'`.7/ ̄ ̄ ̄ ̄/
/ リ (...||つ/ GH-520 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
>>121 一見意味深ですが、別にそんな事はなかったり…
という訳で、『彼女』が誰なのかを今から投下していきますよ。
人気のないグラウンド。レイチェルが一人、セイバーの練習をしている。
そこに近づく、もう一人のPM。フィオナだ。
「ふんっ! せいっ! やあっ!」
「ずいぶん熱心だこと、レイチェル?」
「ちゃんと、やっとかないと、デトレフの奴に、会わせる顔がないのよっ!」
「班長の事?」
「そうよっ!」
「少々いいかしら…? すぐ済ませるから」
「ぜぇ、ぜぇ…何か用なの?」
フィオナがこそこそと耳打ちをする・・・と、レイチェルの顔色がみるみる変わっていった。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!? 好きになったぁぁぁぁ!?」
「しーっ! 静かにしてください!」
慌ててレイチェルの口を押さえ、きょろきょろと辺りを見回す。幸い、二人の他に誰も居ないようだ。
レイチェルはわざとらしく咳払いをし、息を整える。
「…そんで、どうしようっての? あたしじゃ大したアドバイスはできないかもだけど」
「今度、彼が誕生日を迎えるらしくて…何か贈り物をしたいのだけど」
「贈り物、ねぇ…他の誰かには聞いてみた?」
「いいえ、まだ」
「いいねぇ…面白くなってきたわ、行こっ」
「どこへ…?」
「決まってるじゃない、聞きに行くのよ!」
そう言うと、レイチェルはフィオナを引っ張って兵舎へと駆けて行った。
「練習はどうするのよ…」
「そんなん後回しっ!」
────
「プレゼント?」
「そうっ、男が貰って喜ぶものよ」
「そんなのわたしに訊かれてもなぁ…」
「食べ物だったら嬉しいなっ!」
「アンタは食い気ばっかりね…」
「エマとマリーじゃわかんないか…」
「シャーリーはどうです?」
「んー…アイツお堅いからなぁ…」
「でも、訊かないよりはいいのではなくて?」
「そうね、行こっか」
「シャーリーは何所に居るか、ご存知?」
「確か東棟の倉庫に居たと思うよー?」
「ありがとう、それじゃ」
「恋かぁ…いいもんだねぇ♪」
「そうかなぁ…よくわかんない」
────
「私にその質問をするのは得策ではありません」
「…ほらね」
「うー…」
「おちびさん達、そんな所で何してんだ?」
「あ…ベルンハルトさん」
「質問をして回っている様です」
「質問? 何の?」
「それがね…」
「わたくしから言います」
フィオナが小さい声でぼそぼそと事を伝える。
「ほぅ、そいつは驚いた。近頃のマシナリーは高性能だな」
「あっ…あの、何が良いと思われます?」
「そうだな…あいつはまだ若いし、食べ物とかがいいんじゃないか?」
「食べ物…?」
「ヒューマンには、誕生日になると『ケーキ』を贈る習慣があるらしい。
それに倣ってプレゼントしてみるってのもいいかもな」
「あっ、ありがとうございますっ」
「何、大したアドバイスじゃないさ」
「班長、ここにいらっしゃいましたか」
「どうしたウルフ。何か問題でも発生したか?」
「マリーが兵舎でショットガンを暴発させて…フリッツとファビアンの部屋がボロボロになっちまいまして」
「わかった、すぐ行く。…フィオナ」
「は、はい!」
「健闘を祈る」
「…はいっ! 頑張ります!」
「でも『ケーキ』って、どうすんの?」
「一般的には小麦粉と卵を─」
「そうじゃなくって、どうやって調達するかよ」
「そうですね…ナウラのケーキがいいと聞きましたが」
「無理無理。あたし達はお金なんか持ってないし、そもそも自由に外出もできないんだから」
「どうしましょう…」
「手作りするのはいかがでしょう。人間的な、ごく一般的な方法です」
「手作り?」
「材料は少佐か、厨房スタッフに掛け合えば調達してくれるでしょう。
ただし、もっともな理由付けが必要ですが」
「理由ね、そんなん何とでもなるわよ」
「例えば?」
「『調理訓練』とでも言えばいいんじゃない? 前線での温食の提供ができるってのは重要なことよ」
「適当ですね」
「レイチェル…シャーリー…ありがとう、わたくし、やってみます!」
「そうこなくっちゃね!」
「よい結果を期待しています、フィオナ」
「そういえば言い忘れていました。次回の演習の日時を伝えます」
「またぁー…?」
「次回の演習は…」
今回分はこれで終了。
何か忘れてると思ったら、ナンバリングを忘れていましたね…
お久しぶりです。
女主人「ちょっとフローダー乗って来た」
エル「どうでしたか?」
女主人「……エアボードだったわ。いい意味でも悪い意味でも」
女主人「そういえば、昔、進化する410の主人さんが『真剣風のソードが欲しい』って言ってたわね」
エル「とあるガーディアンのパートナーマシナリーの方ですね。それが何か……」
女主人「うん、これ(
ttp://www.psuxxx.info/uploader/src/up6209.jpg)なんだけど……」
エル「……微妙ですね(ランクB)」
女主人「でも、性能としてはまずまずっぽい(PP587・攻612・命221)し、見た目から入る人にとってはこれでもいいんじゃ?」
エル「まあ、昔は真剣のようなソードはアギト・レプカ一択でしたし、幅が広がったと思えば」
女主人「あと、あたしはこれ(
ttp://www.psuxxx.info/uploader/src/up6211.jpg )が欲しいな、と」
エル「……マスターもこういうの好きですね」
女主人「でもPP量はエッジ・クオリアが一人勝ちしてるし、ちょっと悩んでるのよ」
新武器を手に入れてもグラが表示されないのが辛い所ですがorz
>>132 名前ばっかりでどのパシリがどの型番なのか
それどころか誰がパシリで誰がパシリじゃないのかわかんない…
過去投下読み直してきます
最近のはみんな固有名詞作ばっかりでごちゃごちゃになるんだ
なんで昔の作品はみんな型番や種族名での作品だったのか
その理由をちょっと考えてみるのもいいんじゃないか?
>>132 既に出てるけど、誰がご主人で誰がパシリか、そのパシリの型番は?
ってのが分かりにくくなってしまっていると思うよ。
次回投稿時に前置きで
イーサン=ヒューマン 男性 ガーディアン機動警備部所属
ピート =GHX-005、イーサンのパートナーマシナリー
って感じで、キャラ紹介をネタバレしない程度に軽く入れてみてはどうだろう?
>>132 >>134のような意見も有るし、今まで投下した分をまとめて、どっかのロダにうpするというのはどうだろ?
そうすれば
>>135の言う人物紹介もそこに入れられると思うんだ。
>>134,135,136
舞台が同盟軍という以上、どうしても人が多くなっちゃうんですよね…
実際、私自身もキャラの書き分けにヒーコラ言っている所です。
どうも内容をすっきりまとめられなくて駄目ですね…すみません。
とりあえず、unsung_episodeの他にも、本編も別にまとめて上げるつもりです。
しばしお待ちを。
そういうのも含めて腕だよな。上手くなりたいぜ
ちょっとunsung_episodeのおまけに書き忘れがあったのでここに上げます。
度々すみません。
『試験開発団』について の項の一番下にでも追加してください。
────
部隊は6班に分かれており、基本的に四名で構成されています。
ただ第4班だけは二名のみで構成されており、ラリーの業務の補佐を務めます。
────
以上です。連投すみません。
>>140 GJと言いたい所だけど、unsung_episodeまとめのパスが合わないんだが、俺だけか?
GH450 『ちなみに私達にもちゃんと名前はありますよ。』
GH433 『中の人の自キャラがモデルですから、当然といえば当然ですけどね。』
GH450 『中の人曰く、「こっちも自キャラをモデルにしないとネタが浮かばん!」とかなんとか。』
GH422 『そういえば、この間の日記のアレ、GH440ってアンタの事よね?』
GH440 『・・・はい。でも、ちょっと恥ずかしかったです。(////)』
GH450 『ん、何の話です?』
GH422 『(やっば、本人は知らないんだっけ・・・)いやいや、何でもない、こっちの話よ、こっちの(滝汗』
GH433 『で、でも「自キャラがモデル」って言ってる割にはネタ少ないですよねぇ。』
GH422 『(話のすり替えGJ!)確かにね。何とかならないの?アタシらのご主人様の華麗な大冒険の話とかさぁ?』
GH450 『いや、それを私に言われても・・・』
GH422 『何いってんのよ!カンストしてるアンタの所のご主人ばかり頑張るから、
アタシらの出番が無くなるんでしょうが。』
GH433 『もうちょっと出番は欲しいですよねぇ。』
GH440 『・・・(←倉庫係みたいな物なので、関係ない)』
GH422 『こうやって話てる今だって、アンタのご主人が「極幻の大攻勢」頑張ってるんでしょ?
PMなんだからご主人を何とかしなさい。』
GH450 『いえ、ご主人はTVの前で「うひょ〜w必○!仕○人ktkr!」とか言ってましたが・・・』
GH422&GH433&GH440 『ネタ考えんかい!!!!!!!!!!!!』
>>142 GJ!今度は落とせたぜ。今から読んでくる ノシ
,、vVWv,
ρノ /ヾν
/ @イ ゚ ヮ゚ノヽ <保守♪
〈ィ 〉゚〉、
<,:,:,:,:,ヾ
し'ノ
ノ^:,,∧-∧、
((({ミ((从)))
ノノ!@゚ ー゚ノj <♪
'´ | とヾy)つ
レ'.( Y.)
.し'ノ
_ ノノ
ィ∩ ヘ`ヽ
ァ!ノリノノ )))〉
| @i ゚ ヮ゚ノリ <イベント中はご主人様がかまってくれません
|⊂)i卯!(つ
..!ノく/_| 」
.ζ し'l_ノ
規制解除ならファック
…規制解除なら再びファックを書くとか書くつもりだったごめんなさい
>>148 規制解除記念のファックですね、わかります。
最近スレが静かなので投下してみる。本当は試験期k
「少佐? いかがなさいました?」
司令室から戻ってくるなり、珍しく苛立った様子で椅子に座りこんだ。
モニカが不思議に思って尋ねる。
「…PMの改造実験だよ」
「改造?」
「先程司令に呼び出されてな…」
「それで、どのような内容なんです?」
「PMに兵士10人分…あるいはそれ以上の戦力を持たせる計画だ。
姉妹達にそれぞれ別個の改造を施す。計画書も…ほら、ここにある」
ナノトランサーから取り出した書類をモニカに差し出す。
ぱらぱらとめくって目を通して行くが、徐々にその表情は曇っていった。
「こんなの…無茶ですよ。あの子達の小さな身体じゃ耐えられません」
「だろうな」
「AIにも過負荷が掛かります。人格がもつかどうか…」
「分かっている」
「あの子達を純粋にマシナリーとして扱うなんて…」
"ドンッ!"
ラリーがテーブルを激しく叩き、話が続くことはなかった。
「よぅ、ハラルト。何だその箱?」
「これか? フィオナから貰ったんだ」
「ほーぅ? マシナリーにご執心か」
「そ、そんなんじゃないって!」
「開けてみろよ」
白い包装を解くと、中からこれまた白い箱が現れた。蓋を開けると…
「…ケーキだ」
「おっ、こんなんなかなか無いぞ。俺にも食わせろ」
「セルゲイ、お前が食ったらハラルトの分が無くなるだろ」
「…班長!」
黒いキャストがいつの間にか傍に立っている。5班の班長だ。
「敬礼はいい。それよりどうだ。一杯やらんか?」
「ハッピージュースじゃないですか。どこで手に入れたんです?」
「秘密だ」
キャンティーンカップに、ハッピージュースがなみなみと注がれる。
「班長、注がせて頂きます」
「おう、すまんな」
「グラスだったら言うこと無しなんだがな」
「そんなんここには無いよ、我慢してくれ」
「さて、乾杯しよう」
「誕生日おめでとう! ハラルト」
「そういえば今日でしたね…すっかり忘れてました」
「お前、フィオナに夢中すぎて自分の誕生日も忘れたのか?」
「ち、違いますって…」
「聞けばお前、前回の合同演習でもフィオナに付きっ切りだったじゃないか。
お熱いねぇ、このこの」
「僕はフィオナの監督官だったから当然だろ!」
「とか何とか言ったりして。お前、反応がまるで子供だな」
「うぐ…!」
「そういじめてやるなよ、セルゲイ。ハラルトはお前とは違って顔の出来がいいんだ」
「うわ、酷いなぁ班長!」
「PMはマシナリーと言えども心を持っている。我々キャストと同じようにな。
もし彼女を泣かせるような事があれば…覚悟しておけよ?」
「は…はいっ」
「…って、キャストの私が言っても締まらんな。ハハハ、まぁ仲良くやれよ」
「どうしたハラルト、顔が赤いぞ?」
「さ、酒のせいだよ…」
今回分はこれで終了。
本編の流れを忘れてしまった方も多いかな…
>>147,148
____
/|_:|:::::::::: __|
/´ ::::::::: ,ノノ :.ヽ.
/ :::: :::::::,;:::: :::::;; ハ
| :: ( :::::;ヘ;;,.,:;:,ハ::::.}
|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <よろしい、ならばファックだ
(;イソヘリ、 ( フ_ノノ´
(イリ/';:'`.=/ ̄ ̄ ̄ ̄/
(.リ(_;:::つ/ GH-450 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
>>149 投稿乙です。乙なのだが、試験期間は試験に集中しないとw
>>154 440「ご主人、何そのノート?」
私 「試験勉強だよ」
440「ふぅん? 間違ってるよ、ここ」
私 「えっ?」
440「ここも間違ってる。ちゃんと写したの?」
私 「ごめん…ちょっと寝てた」
440「仕方ないなぁ…よっと」
私 「わっ!? ちょっと、帽子で見えん!」
440「ここと、ここと、こことここ。ボクが直すよ」
私 「ど…どうも」
440「はい終わり。留年しないよう頑張ってね」
私 「は…はい…」
咄嗟に思いついて書いた。反省はしていない。
>>155 試験勉強頑張って!
・・・でも続きも楽しみにしてます!
さて、規制中に書いたものをどばっと投下します。
ちょっと長いです。
157 :
1/7:2010/07/24(土) 21:09:17 ID:1QNe97DZ
製造されてすぐ、私は「不良品」の烙印を押された。
製造ラインの不具合ではなく、噂に聞くワンオブサウザンドのような───私は「普通」の故障だが───
ごく僅かな確率での不具合らしい。
一つ狂えば芋づる式に不具合が発生するらしく、いくつかの機能が本来のスペックよりも半減、もしくは使用不可となっていた。
どの機能がそうなったのか説明は受けたが、生まれたばかりの私には理解出来なかった。
ただ、その説明をした職員の、私を、「不良品」を見る目は今でも覚えている。
その説明の中から一つだけ理解できたのは、私の廃棄処分が決定したということ。
しかしどこから聞いたのか、暴走したりヒトに害を為すタイプの故障ではないからという理由で、
私を買い取りたいと申し出た物好きな組織があったらしい。(勿論格安で、だが)
その組織というのがリトルウィングだった。
配備されてすぐ、私は酒臭いひげもじゃのビーストに呼びつけられた。どうやらこのひげもじゃが私を買い取った物好きらしい。
「あー、わかってると思うがお前は「不良品」だ。あのままGRMにいたら廃棄されてただろう。だが勘違いすんなよ。
俺がお前を買い取ったのは可哀想だと思ったからじゃねぇ。安かったからだ。その分はしっかり働いてもらうぜ」
格安とはいえ、PMの値段分の働きとはどれくらいになるのだろう。しかし私には元々選択権などありはしなかった。
出来ることはただ、「ヒト」の決定に従うことだけだ。
158 :
2/7:2010/07/24(土) 21:09:39 ID:1QNe97DZ
その日から私は、リトルウィング社内の一室で暮らすこととなった。一室、とは言ってもPM用の小さなベッドがあるだけだが。
最初の何日かは食事とその部屋の掃除以外は何もせず、ただ無為に日々を過ごした。
一般的な家事の知識は既に頭の中だし、それを実践しようにもその部屋は狭すぎた。
そして、私の、「最初の」マスターと出会う日がやってきた。
受付嬢の独特な声に呼ばれ、事務所の受付へ行くと、そこにはヒューマンの男性がいた。
熱血漢、というのだろうか。溌剌とした大きな声で自己紹介をされ、前から考えていたのだという名前をその場でもらった。
私は一礼して、「これからよろしくお願いします」と言ったと思う。
でも、その人の名前も、つけてもらった名前も、もう覚えていない。
その人の下に配属されて後、私達はフリーミッションへと出かけた。
曰く、自分も入社して初めてのミッションだからと肩慣らし代わりに簡単なものを選んだらしい。
凶暴化した原生生物に主人は囲まれるが、なるほど簡単というだけあって難なく敵を捌いている。
私が援護するまでもなかったが、だからといって何もしないわけにもいかない。
私はライフルを構え、主人を囲む原生生物の一体目掛けて、引き金を引いた。
───それが間違いだった。
159 :
3/7:2010/07/24(土) 21:10:02 ID:1QNe97DZ
「冗談じゃねぇよ!」
主人の怒声が事務所に響き渡り、周りの社員の視線が集まる。
対応しているチェルシーさんも困惑顔だ。しかし、気付いていないのか気にしていないのか、主人は怒鳴り続ける。
「敵の集団の真っ只中で背中を撃たれたんだぜ!?しかもご丁寧にフローズンシュートでだ!格下相手だったから良かったものの、
あれがヤバイ相手ならなぶり殺しにされてたとこだ!」
「しかもそれが一度や二度じゃねぇ!ミッション中両手で数え切れない程やらかしてくれたさ!
わざとじゃないにしたって、こんなヤツに背中を預けられるか!!」
説明されただけではわからなかったことも、実際に体験してみればわかる。嫌という程に。
遠隔照準の故障、射撃機能不全。本来私達GH-430はライフルやハンドガン、ツインハンドガンといった射撃武器を得意とするPMだ。
しかし私の射撃の命中率は、冗談かと思う程に低かった。それこそ、射的屋で遊ぶ子供と勝負しても負けるだろう。
ハンドガンの射程距離で命中率30%未満。ライフルに至ってはどこに弾が飛んでいくかわからない。
主人の背中を狙う敵目掛けて引き金を引いたら、打ち抜いたのは主人の背中だった。笑い話にもならない。
「とにかく他のヤツと交換してくれ!それが無理なら俺は一人でいい!味方だと思ってたヤツに殺されるよりよっぽどマシだからな!」
主人───いや、元主人ははき捨てるように言うと、私をにらみつけ、背中を向けた。
待って。行かないで。ごめんなさい。もうしないから。努力するから。捨てないで───。
泣き叫びたかった。主人の元に走ってその足に取り縋りたかった。
しかし私の目からは涙は出ず、眉一つ動くことなく、出たのは平坦な声で「短い間でしたが、お世話になりました」という
セリフだけだった。
元主人は振り返ることなく、事務所を出て行った。
160 :
4/7:2010/07/24(土) 21:10:27 ID:1QNe97DZ
感情制御機構の異常。説明された故障のうちの一つ。
PMはただの機械、マシナリーとは違い、感情を持っている。「ヒト」と同じ、喜怒哀楽を感じることができる。
私はその感情を司る機能が異常な動作をしているという。
例えば怒りを感じることはあっても、表情には「出せない」。嬉しいことがあっても笑うことが「できない」。
悲しいことがあっても涙を流すことが「できない」。
唯一自由だと思っていた言葉でさえも、感じたことを言葉にして出そうとすれば声にして喋るまでに無機質なセリフに組み替えられ、
平坦な声で出てくる。
事務所に取り残され、自らの故障を身をもって知った私にチェルシーさんが何か言葉をかけてくれたが、覚えていない。
その場に立ち尽くしていた私は、チェルシーさんに半ば引きずられるようにして以前いた部屋に戻り、ベッドの上に転がった。
それからしばらくは何をする気にもなれず、時折チェルシーさんが様子を見に来てくれる以外は誰とも接することなく過ごした。
数日して何とか立ち直った私に、新しいマスターが決まったとチェルシーさんが告げた。
今度は優しそうなオネーサンだからきっとダイジョーブヨ、と笑いかけてくれた。
私はただ頷くことしか出来なかったが。
新しい主人は、確かにチェルシーさんの言う通り温和な性格で、悪く言えば少し気弱な感じだった。
たどたどしく自己紹介と挨拶をさえ、私も挨拶を返す。
マイルームへ向かう道すがら、私の以前の戦闘の件を聞いていたようで、
私はフォースですから背中を撃っちゃう心配はありませんね、と笑えない冗談を言ってくれた。
勿論、私は笑うことも怒ることも出来ず、ただ無表情に頷くだけだった。
161 :
5/7:2010/07/24(土) 21:10:51 ID:1QNe97DZ
数日で限界は訪れた。沈黙と気まずい雰囲気を恐れる性格だったらしく、主人は何かと私に喋りかけてきた。
しかし私に出来る返事は相槌かYESかNOくらいだ。主人は次第に私を避けるようになり、一人でミッションへ向かうことが多くなった。
そして一人で行動した結果、原生生物との戦闘で大怪我を負った。
これは私だけの責任ではないかもしれないが、一人で行動することになった原因は明らかに私だし、
私との関係のことで相当にストレスをためていたらしく、身体も弱っていたという。
私は入院した主人の見舞いに行こうとしたが何故か許可が出ず、面会謝絶する程の重症なのかと思いながら一人ルームで過ごしていると、
リトルウィングの社員がルームを訪れた。
主人がPMの交換を求めているという。
仕方ない。やっぱり。主人は無事なの?またか。私が悪いんだから。
様々な感情と言葉が渦巻いたが、私の口は開かず、ただ頷くのみだった。
事務所へ戻り、また元の部屋へと向かう私に、チェルシーさんは慰めの言葉をかけてくれた。
途中、配備されてすぐに会ったひげもじゃのビースト───結構偉い人らしかった───とすれ違った。
最初に言われたことを思い出し嫌味の一つでも言われるかと思ったが、ひげもじゃの口から出たのは
「久しぶりだな。元気か?」
というただの挨拶だった。私は何も考えず、即答した。
「いいえ」
「だったら飯食って寝ちまえ。ヒトだろうがPMだろうが同じだ。飯食って寝ちまえば多少元気も出らぁ」
ひげもじゃはそう言うとさっさと立ち去っていった。私はその言葉に従い、部屋に戻って配給された食事を口へ押し込み、
ベッドに転がった。しばらくして気付いた。眠れない。
仕方なく強制的にスリープモードへと以降したが、この頃からだったと思う。
私が普通の睡眠がとれなくなり、スリープモードでしか眠れなくなったのは。
162 :
6/7:2010/07/24(土) 21:11:11 ID:1QNe97DZ
それからは何度も同じことの繰り返しだった。
新しい主人に就いては失態を演じ、返品、交換を要求される。何度も何度も、繰り返した。
いつだったか、何人目かの主人が私の顔を見て悲鳴を上げた。鏡を見て、私も悲鳴をあげたくなった。
目つきがとんでもなく悪くなっている。目の下には深い隈ができ、製造されてすぐの頃と比べると、
瞳はその輝きを完全に失っていた。
どうやらまたどこか故障したらしい。私は悲しみを通り越して笑いたくなった。
いっそ全部壊れてしまえばいいのに。
時が経つにつれて、マスターを紹介される間隔が段々と空いていき、遂には紹介すらされなくなった。
チェルシーさんが言うには新しく入ってくる社員が減っているだけ、とのことだったが、私にも嘘を吐いているのは分かった。
ひげもじゃは時折部屋を訪れては「仕事しろってうるさくてなぁ。ちょっとサボらせろ」と酒を呑んでいた。
一度私も勧められたがアルコールは飲まないと断ると、次からは酒と一緒にコルトバジュースを持ってくるようになった。
ひげもじゃが去った後、酒の匂いが残っているうちにチェルシーさんが訪れたことがあった。
チェルシーさんは珍しく眉を吊り上げると部屋を出て、直後にひげもじゃの悲鳴が聞こえてきた。
チェルシーさんは激務の合間を縫ってよく私を訪ねてくれた。主人のことや私の機能のことには一切触れず、
自分の将来の夢や日々の業務の話、ひげもじゃやその養女との話等を面白おかしく語ってくれた。
「モシ、私が自分のお店開くマデ良いマスター見つからなかったラ、私のお店で雇ってあげるカラネ」
と、冗談なのか本気なのかわからないことも言われた。
163 :
7/7:2010/07/24(土) 21:11:32 ID:1QNe97DZ
そんな日々が続いた。チェルシーさんやひげもじゃの優しさが嬉しくもあり、申し訳なくもあった。自分の情けなさに腹も立った。
しかし、ただのPM、それも「不良品」の自分に出来ること等何もないのは自分が一番よくわかっていた。
そんなある日、実に久しぶりに新しいマスターを紹介された。しかし、その報を持ってきたチェルシーさんは困惑顔だった。
「なんか、ネ。チョト変わった人なのヨ」
人のこと言えるのかとも思ったが、チェルシーさんでさえ「変わった人」と表現されるのは一体どのような人なのか。
どうせまた同じことの繰り返しだろうとしか思っていなかった私に、少し好奇心が生まれた。
チェルシーさんに連れられてきた受付にいたのは、髪色からパーツカラーまで黒でまとめたキャストの女性だった。
見た目は普通だ。しかしその人は、私の顔を見ても驚くどころか、ニッコリと笑ってすら見せた。
悲鳴を上げる人ばかりではなかったが、今まで私の目つきを見た人は例外なくぎょっとするか、顔を引きつらせていた。
肝の据わった人なのだろうか。それでも、チェルシーさんが一応のフォローを入れる。
「コノ子ネ、別に怒ってるわけじゃないノヨ。ちょっとした事情が・・・」
言いかけたチェルシーさんを、その人が手でさえぎった。
「大丈夫です。大 好 物 ですから!」
その人・・・私のマスターとなる人は、はっきりとそう言った。
チェルシーさんのぽかんとした顔を、私はその時初めて見た。
つづく
以上です。続きはまた明日にでも。
>>155 主 「PMと手取り足取り、一緒に勉強だと!?」
GH450 『(何故だろう、普通の事なのにご主人が言うととても卑猥に聞こえる・・・)』
>>164 ワンオブサウザンドのように「不具合だが、ある1点の機能については良品よりも高性能」ってのはあったが、
「どこもかしこも完全に不良品」ってテーマの話は今までになかったような気がするな。
しかし、今の所悲惨って言葉に尽きる・・・今後どうなるのだろうか。続き待ってます。
166 :
164:2010/07/25(日) 22:17:43 ID:ffJatvLh
お待たせしました、続き投下します。
167 :
1/7:2010/07/25(日) 22:18:30 ID:ffJatvLh
その後、チェルシーさんから私の機能のこと、これまでの失態の数々を、時々私自身から補足を交えて新しい主人に説明した。
思い出したくもないことだらけだったが、何人もの主人に何度も繰り返すうちに機械的に淡々と説明できるようになった。
その人は、私が主人を誤射したことも、半ば私のせいで主人が大怪我をしたことを話しても、ただニコニコと笑って聞いていた。
説明を終えると、その人は「なるほどなるほど、わかりました」と事も無げに言い、私に手を差し出した。
「これからよろしくお願いしますね」
この言葉を何度聞いただろう。
私は差し出された手を握り、何度も言ってきた言葉を口にした。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
───このやり取りを、何度繰り返したのだろう。
これが最後になるのか、それともまた繰り返すのか。
その時の私には分からなかった。
168 :
2/7:2010/07/25(日) 22:18:52 ID:ffJatvLh
マイルームへの道すがら、その人───新しい主人は、ひたすらに喋った。
自分のタイプ。好きな武器。苦手な武器。流行のパーツの話。昨日見たアニメやドラマの話、等々。
決して早口ではないのだが口を挟む余地はなく、かといってこちらを完全に無視しているわけじゃないのか時折相槌を求めてくる、
妙な話し方だった。私の性格───「故障」のことを思ってそうしてくれているのか単に素なのか、私には図りかねた。
そうこうしているうちにルームへと到着し、主人がパスを打ち込む。扉が開いた。
中の惨状に、私は内心唖然とした。
配属───要は引越しだ───されてすぐのはずなのに、本棚に詰め込まれた大量の本。
それも漫画や小説───後に主人にライトノベルというのだと教えられた───ばかり。
そして部屋中にベタベタと張られているゲームやアニメキャラのポスター。ビジフォンの近くには幾つかのゲーム機。
モニターの横や窓の下、棚の上などのスペースと言うスペースに置かれているフィギュアの数々。
私が沈黙していると、主人が突然私を抱き上げた。そのまま部屋の奥へ歩き、ベッドに転がる。
「ふぅーむ」
何をされるのかと思ったが主人は私を抱えベッドに転がったまま何か考え込み、何度か寝返りの様に左右に転がった。
そしてニッコリと笑うと、
「これなら二人でも寝られそうですね」
と言い放った。
169 :
3/7:2010/07/25(日) 22:19:12 ID:ffJatvLh
主人と暮らす様になって、驚いたのはそれだけではなかった。
誤射の件を話していたにも関わらず平然と私をミッションへ連れて行った。さすがに困惑した私が何も出来ないでいると、
「撃つのが怖いなら、それもオーケーです。味方を間違えて撃ってしまったりしたら、トラウマになるのは当たり前です。
銃を持てるだけでも凄いんですよ?あなたは」
と、私に笑いかけてきた。そして真顔になると、
「今はまだ無理でしょうが、私を信じて。あなたが戦えないなら私があなたの分まで戦えば良いことです。
いいですか?私があなたを守ります。戦闘は全て私に任せなさい。大丈夫、私は強いですよ」
今まで、私の事情を聞いて同情はしてくれても、それを許容してくれた人はいなかった。
しかし、この人は自分を信じろと、全てを任せろと言う。
本当に任せてもいいのだろうか。それではただのお荷物ではないだろうか。
そんな私の思考を感じ取ったのか、主人はニヤリと笑った。
「よくあるシーンじゃないですか。主人公のピンチに、ヒロインの必死の応援を受けて主人公が何がしかの力に目覚めて
逆転勝利。私は特に今ピンチではないですが、あなたが応援してくれれば、普段よりもっと頑張れるかもしれませんよ?」
応援。たったそれだけのことでも、「故障」を抱えた私には荷が重い。「頑張って」の一言ですら、口が開いてくれない。
170 :
4/7:2010/07/25(日) 22:19:37 ID:ffJatvLh
そうこうしている内に、辺りから原生生物が湧き出る様に現れた。結構な数だ。主人は両手に持った双短銃で次々と
急所を撃ち抜いて行くが、数が多すぎる。私は思わずライフルを取り出そうとした。
しかしライフルに触った瞬間、あの、主人の背中を撃った瞬間がフラッシュバックする。
駄目だ。これだけは駄目だ。でも、でも、応援って、どうすればいいの?
「何か声をかけるだけでもいいんです。あなたなりのやり方で、言葉で」
引き金を引き続けながら主人が言う。
・・・リトルウィングのあの部屋で過ごした日々。業務の合間を縫って他愛もない話をしにきてくれたチェルシーさん。
何も言わず、ただ酒を呑むだけだったけど、一緒に居てくれたひげもじゃ───クラウチ。
二人も二人なりに私も励ましてくれていたんだ。
私にも・・・できるはず。
いや。
できる!
171 :
5/7:2010/07/25(日) 22:20:17 ID:ffJatvLh
開くことを拒む口を無理矢理開ける。歯がガチガチと鳴った。構うものか。もう既に壊れているんだ。
これ以上壊れたって構わない。
必死に声を絞り出す。
「が・・・ば・・・て」
異常動作する制御機構が邪魔をする。
「負け・・・い・・・で」
それは主人に対してではなく、自分への応援だったのかもしれない。
「がんばって・・・負けないで!!」
言えた。戦闘中だというのに、主人は私に微笑んだ。
「ありがとう。・・・あなたがそう言ってくれる限り、私は負けませんよ。絶対に」
そう言った瞬間、空が光った。次いでレーザーが降り注ぎ、原生生物を一掃した。SUVウェポン・・・。
私と主人以外に何もいなくなったと同時に、私はへたり込んだ。
172 :
6/7:2010/07/25(日) 22:20:43 ID:ffJatvLh
後日GRMで改めて検査を受けたところ、私は異常動作していた感情制御機構の制御部分を完全に破壊してしまったらしい。
そのおかげで、思ったままの言葉が出せるようになった。反面、二度と感情を表情に表すことは出来なくなったらしいが。
主人はそれを聞いても「私は無表情キャラも好きですよ」とわけのわからないことを言っていた。
余談だが、検査を受けた時のことだ。GRMの社員が私の検査結果を主人に話していた時。
「故障箇所が複数ありますね。はっきり言って「不良品」です。有償になりますがパーツか機体ごと交換・・・」
言いかけた社員の胸倉を主人が掴み、引き寄せた。
「うちの子を「不良品」呼ばわりしないでくださいね。・・・ぶち殺すぞ」
それまで聞いたことのない底冷えのする低い声だった。
私の位置からは主人の表情は見えなかったが、社員は真っ青な顔でカクカクと首を振っていた。
主人は手を話すと私へ向き直り「帰りましょうか」と言った。
「交換、しなくて良いのですか」
「こんな失礼な輩がいる所であなたの身体をいじらせたくありませんね。それに・・・」
「それに?」
「私は、「変わり者」が大好物なんですよ」
主人は、最初に会った時と同じ笑みを浮かべて言った。
173 :
7/7:2010/07/25(日) 22:21:13 ID:ffJatvLh
「・・・・」
私は目を覚ました。時刻を見ると、まだ真夜中だった。
夢を見たのは久しぶりだ。それも昔のことなんて。
起き上がり隣の主人を見ると、気持ちよさそうに眠っていた。
何気なくその頬に触れてみる。
・・・温かい。
「・・・リム?どうかしましたか?」
目を閉じたまま主人が口を開いた。起こしてしまったらしい。
「夢を、見ました。昔の夢を」
「・・・良い、夢でしたか?」
「半分は」
「ふふっ・・・それは・・・良かったです・・・」
主人は静かな寝息を立て始めた。私はその頬にそっと口付けた後、もう一度横になった。
また、今日のように昔の夢を見る日もあるだろう。
その時は半分ではなく、全部、良い夢だったと言いたい。
この人と一緒なら、言える日がくる。そう思いながら私は、また眠りに落ちた。
おわり
以上です。
実は書いてて一番悩んだのがNPCの口調でした。
チェルシー難しいよチェルシー・・・
>>174 投稿お疲れ様です。最初の書き出しからどうなる事かと思ってたが、
無事いいご主人にめぐり会えてよかったぜ!
>>実は書いてて一番悩んだのがNPCの口調でした。
いやいや、中々いい感じでしたよ。
しかし、確かにチェルシーの口調の表現は難しいよな。
なんたってチェルシー本人がその口調をわざとやってr
おっと、誰かきたようだ。なんだよこんな時間に・・・・
ア゙ーーーー
>>174 大好物との憧れの生かtゲフンゲフン
いいキャストは変な人。
>>175 ラリー 「チェルシー…? 聞いたことのある名前だな」
シャーリー「軍で『硝煙女帝』と呼ばれていた教導官です。現在は退役しています」
ラリー 「そういえば居たな。直接会ったことは無いが、彼女が指導した兵士は精強で有名だった」
シャーリー「退役後の足取りは不明、一切の記録が抹消されている様です」
ラリー 「そのチェルシーと同名…まさか、な」
シャーリー「在籍時の外見、性格とは似ても似つきません。別人かと」
ラリー 「そうだろうな」
177 :
174:2010/07/30(金) 01:36:06 ID:Q4HSqKat
>>175,176
ご拝読いただきありがとうございます。
書き忘れたのですが、最後にちょこっとだけ名前出てますが
>>174は
>>40と
>>49のリムとアイリスの馴れ初めでした。
え、言われなくても気付いてた?すみません。
規制が長かったおかげでネタは結構あるんですが連投ってどうなんでしょうか。
ズタボロになって休眠とか爆死とかヤだなぁ
>>177 >連投
書き手が減ってる現状、2〜3連投ぐらいなら大丈夫だと思われ。
>>178 ついに完結か〜超乙でした。
本編ラストやおまけでその後の彼&彼女達の事が書かれていたのがよかったけど、
そのおまけで悲惨な最期になった面々がいたのは、ちと悲しかった。
書き方的にもうこの2人メインでは話が続かないっぽいが、どうなのかな?
別ロダUpなのでバレの大きな無い範囲で。
>野生ディ・ラガンに別のディ・ラガンが割り込み急襲〜
何この怪獣大決戦w
>「スキヤキのうらみ〜」
430が思い込んでるスキヤキをジュエルズ含めルド家全員で行うと凄い事になりそうw
後、「10ヶ月目3」で430が440表記になっている部分がありましたよ。
次回作未定との事ですが、俺は楽しみにしてるぜ〜
>>179 確かにおまけで悲惨な結果になっている面々がいたのはちとショックだったな。
つーか、あるキャラは暗殺云々しちゃってる事書かれてたしw
では、遠慮なく投下します。
182 :
1/10:2010/07/31(土) 09:27:52 ID:HyENusVg
「行って来る」
「はっ!お気をつけて!」
いつも通りに敬礼して、マイはルームを出る主人を見送った。
しばらくそのままの姿勢で固まっていたが、手を下ろすときびきびとした動作で家事に取り掛かる。
部屋の掃除、洗濯・・・セシルと共にミッションへ出かける日以外は毎日やっていることだ。
そして、昼。
ルームにロックがかかっていることを改めて確認したマイは、少しだけうきうきした足取りで
キッチン───あんまり使ってない───へ向かった。
そしてナノトランサーから大事そうにある物を取り出す。ピンク色の、小さな子供用弁当箱だ。
マイは弁当箱を手に取りじっと見つめると、嬉しそうに笑った。
「ふふっ・・・♪」
PMの武器や防具もタダではない。メンテナンス代もかかるし、壊れもする。
それに一緒にミッションをこなしている以上分け前を受け取るのは当然の権利だ───と、
セシルは結構な金額をマイに与えてくれていた。
それは武具代には余るほどの額だったが、使い道を思いつかなかったマイはとりあえず貯金しておくことにしていた。
しかし先日、ショップへ同行した際に偶然欲しい物を見つけたのだ。
それがこの弁当箱だった。
183 :
2/10:2010/07/31(土) 09:28:21 ID:HyENusVg
こういうのも一目ぼれ、というのだろうか。弁当箱なんて使ったことがないし、これからも使うかどうかわからない。
しかし買ってしまった。小さくて可愛い形。大好きなピンク色。
───買った以上は使いたい。
そして今日はパートナーの同行が認められていないミッションに行くとかで、セシルの帰りは遅い。
絶好のチャンスだ。
こっそり買っておいた冷凍食品───残念ながらマイは料理が得意ではなかった───を暖め、弁当箱に丁寧に詰めていく。
マイは、ふと思い出して口を開いた。
「これっくらっいのっ♪おべんとばっこにっ♪」
弁当箱の使い方について調べた時に知った歌だ。意味はわからないがきっと弁当を作る時に歌うものなのだろう。
「───完成であります!」
質素だが可愛らしい弁当が出来た。さて、どこで食べようか・・・出来れば屋外の公園等で食べたかったが、
主人の不在時に無断で外出するわけにもいかない。と、その時、マイは思いついた。
そうだ、外に出られないなら部屋の中でやればいいんだ。
───室内ピクニックだ!
184 :
3/10:2010/07/31(土) 09:29:25 ID:HyENusVg
本来はルームグッズを置くスペースのど真ん中に、マイはビニールシートを敷いた。児童向けアニメのキャラクターが描かれた
子供用の物だ。
そして周りにサンフラワを置いていく。
セシルはミッションやクライアントオーダーの報酬でもらったルームグッズを飾らなかったが、捨てもしなかった。
あとは・・・そうだ、センプーキ。あれがいい。
すぐに設置してボタンを押す。もちろん弱だ。飛ぶ、なんて押したら部屋の外まで飛ばされてしまう。
そよそよと微かな風が吹く。マイは座ると、目を閉じて思いを馳せた。
一面の花畑にそよ風が吹く。自分の周りにいるのはセシル、ミコト、らぶ、アイリス、リム。
そう、みんなでいつかこんな風にピクニック行けたらいいな・・・。
「あの」
それでみんなでお弁当食べて、色んなお話して・・・。
「あの、マイさん」
そう、あんまり喋ったことのないリムさんともこうやってお話して・・・え?
目を開けると、リムの仏頂面が目前にあった。
「ほにゃあぁぁぁぁっ!?」
185 :
4/10:2010/07/31(土) 09:29:49 ID:HyENusVg
奇声を上げて飛び上がったマイを、リムがじっと見つめる。
「セシル様に頼まれていたハンドガンのカスタマイズが終わりましたので届けに来たのですが。
・・・ご不在のようですね」
「は・・・はっ、ごごごごしゅご主人様は」
「いえ、ご不在でしたらそれで良いのです。預けていきますのでお戻りになられましたらお渡ししてください」
「は、はっ、はい、了解です」
「それで、何をされていたのですか?」
マイはぎくりと体を強張らせた。そして思わず言ってしまった。
「ピ、ピクニック・・・を・・・」
しまった・・・!言った瞬間マイは後悔した。一人でピクニックなんて。しかも室内で。
こんなにサンフラワ並べて、センプーキでそよ風の演出までして・・・!
マイの顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
絶対笑われるに決まってる。リムが笑うところなど想像できなかったが。
どうしようどうしよう。マイは内心半泣きになっていたが、リムの口から出たのは意外な言葉だった。
186 :
5/10:2010/07/31(土) 09:30:13 ID:HyENusVg
「そうですか。では、私もご一緒させてください」
「は・・・はっ?へっ?」
どういうことだ?もしかしてニヤニヤと笑いながら観察されるのだろうか。
室内ピクニックってぇ〜、どんな事するんですかぁ〜?(笑)
あ〜、サンフラワ見ながらお弁当とか食べるんですかぁ〜(笑)
とか言われたりするんだろうか。
マイのネガティブ思考は止まらない。
「今日はうちの人も留守なので、ルームに戻っても私一人なのです。無理にとは言いませんが」
リムの平坦な声に現実に引き戻される。
正直遠慮したい。しかしここで断っても角が立つし出来れば弁解しておきたい・・・!
「わ、わかりました。自分で良ければ、お供致します」
「ありがとうございます。・・・シートは二人分座れそうですね。お邪魔します」
「ど、どうぞ・・・あ、でもお弁当・・・」
「ご心配なく。こんな事もあろうかと手作り弁当を持参しています」
こんな事ってどんな事なの・・・!?
マイはますます混乱していく。
187 :
6/10:2010/07/31(土) 09:30:37 ID:HyENusVg
「丁度お昼ですね。いただきましょうか」
「あ、は、はい。そうですね」
リムが取り出した弁当箱は、一回り大きい大人用の物だった。
マイが自分のものと見比べていると、リムが言った。
「可愛いですね、お弁当箱」
「あ、は、ど、どうも・・・」
声も表情も全く変わらないせいで嫌味を言われているのか純粋に褒められているのかわからない。
蓋を開けたリムがふと動きを止め、口を開いた。
「以前うちの人から聞いたことがあります。友人とお弁当を食べる時の作法を」
「さ、作法・・・ですか?」
「おかず交換の儀式です」
儀式・・・!マイは軽く衝撃を受けた。
188 :
7/10:2010/07/31(土) 09:31:05 ID:HyENusVg
リムがマイの弁当をじっと見つめる。
「私はそのから揚げを所望します。マイさんもお好きなものを」
「あ、じゃ、じゃあ・・・えっと、そのタコさんウィンナーを・・・」
「わかりました。では」
リムが箸で器用にタコさんウィンナーを掴み、マイの顔の前に持っていった。そして
「あーん」
「は?」
「口を開けてください。あーんです」
「えぇっ!?」
「これも儀式の一環です」
マイは顔を赤らめながら「あーん」をして、タコさんウィンナーを食べた。
「美味しい・・・です」
「それは良かったです」
リムがじっと見つめてくる。そうか、次は自分の番だ・・・!
マイは弁当箱と一緒についてきた可愛らしいフォークをから揚げに刺した。
「あ、あーん・・・」
「あーん」
ぱくり。
支援
190 :
8/10:2010/07/31(土) 10:31:20 ID:HyENusVg
「美味しいです」
「よ、よかった・・・です」
儀式はそれで終了らしく、黙々と弁当を食べ始めたリムを見てほっとしたマイも自らの食事を進めた。
程なくして二人とも食べ終わると、リムが改めて室内を見回した。
「以前来た時はルームグッズの類はなかったと記憶していますが、これはマイさんが?」
「あ・・・はい、少しでもピクニックの雰囲気が出ればと・・・」
「・・・センプーキ」
「あ、それは・・・」
なんて言おう。そよ風の演出、なんて恥ずかしすぎて言えない。室内ピクニックの時点で相当恥ずかしいが。
マイがあれこれ考えていると、リムがセンプーキに近づいた。
「あ”ぁ”〜〜」
「!?」
「ワレワレハ〜」
「あ、あの・・・リムさん、何を・・・」
「センプーキを使うときの作法です。さあ、マイさんも」
私もやるの!?とは言えず、渋々とリムの隣に並び、頬がくっつきそうな距離で一緒にセンプーキに向かって声を出した。
「あ”ぁ”〜〜」
「あ”ぁ”〜〜」
「ワレワレハ、ウチュウ、ジンダ〜」
「ワレワレハ、ウチュウ、ジンダ〜」
あ、ちょっと楽しいかも・・・。知らないうちにマイは少し笑っていた。
191 :
9/10:2010/07/31(土) 10:31:56 ID:HyENusVg
「・・・何をしているんだ?」
聞き間違えるはずのない主人の声に、センプーキの前でマイは固まった。
時計を見ると、セシルが帰ってくる時刻をとっくに過ぎていた。いつの間にこんな時間に・・・!
マイが固まっていると、隣にいたリムがすっと立ち上がり、セシルに向き直った。
「頼まれていたハンドガンのカスタマイズが終わりましたので、お届けにきました。
その後、マイさんと二人で室内ピクニックを楽しんでいたところです」
「・・・そうか」
よくわかっていない顔でセシルが返事を返した。
「では、私はこれで」
「ああ、アイリスによろしく伝えておいてくれ」
「はい。・・・では」
ルームのドアの前まで行ったリムは足を止めて振り返ると、
「ピクニック、楽しかったです。今度はみんなで行きたいですね」
といつも通りの平坦な声で言い、出て行った。
192 :
10/10:2010/07/31(土) 10:32:27 ID:HyENusVg
セシルがサンフラワを見渡し、センプーキを見て首を傾げた。
「す、すみません!すぐに片付けます!」
「ああ・・・いや、構わないよ」
「え?で、でも・・・」
「たまには、花を見るのもいい」
そう言うとセシルはマイの隣に腰を降ろした。
「湖畔公園でいいか?」
「えっ?」
突然の問いに意味がわからず、マイが聞き返す。
「ピクニック。私は室内ピクニックは知らないが、外でやるピクニックなら多少は知っている。
リムもああ言っていた事だし、今度ミコト達も誘ってみんなで行こう」
「・・・!はい!」
おわり
以上です。
分割しなくてもいけるかなーと思ったら投稿しすぎって怒られましたorz
>>179、
>>180 ご拝読いただき、有難うございます。
怪獣大決戦(笑)は、あのディ・ラガンも成長しているという事を書こうとしたら、ああなってしまったのですよ。
ある意味、作者が振り回されてますw
430とスキヤキは、以前に鍋物のSSを読んでから是非ともいずれやらねば!と思ってた話でもあります。
自分の知る事実がある意味間違いだと知った430はどう動くのか。
俺が書くと、ああなりますw
>430が思い込んでるスキヤキを(ry
もしやったら?(脳内会議を招集してシミュレート中……)……ハッΣ(−д− ;)
いかん、いかに肉をゲットして、ルドに「はい、あーん」をするかという、恐ろしい修羅場がガガガガ……
(作者がオーバーフロー中、暫くお待ち下さい)
……失礼しました。
おまけに関してですが、明るい未来ばかりでは無いということで……
昔から「習いは性になる」と言うとおり、『凶戦士』はすっかり諜報部のやり方に染まっています。
だから、ああいった事を平然とやるようになった訳です。
それと同じ理由で、自然と真面目な性格になってしまったオリビン。
AIの成長に影響を受けやすい時期(彼女はロザリオに次いで“若い”のです)に周囲の環境があれでしたからねぇ……
ただ、それゆえに悲惨な結末を迎えてしまったという、なんとも皮肉な話なんです。
ちなみに、ジュエルズのなかで一番したたかで陰険なのは、実はウラルです。
彼女は、負傷を理由に休眠することで他のジュエルズが稼動停止、つまり死ぬのを待ち、いずれルドを独り占めにしようと画策してるのです。
恋に暴走する女(パシリですが)って、実に恐ろしいですねぇ……
最後はああいう引きをしましたが、あの二人が主人公の本編を書く可能性はゼロじゃありません。
というか、気が向いたら書きますw
もしかしたら、某種死みたいに脇で出て主人公の座を奪ってく可能性が……(苦笑
それから
>>180様、誤字情報有難うございました。
いずれ、全話まとめて再うpを予定していたので、早速修正しました。
チェックしたはずなんだけど、よくよく見ると数箇所間違ってたし……
校正に時間がかかると思うので、全話まとめは暫くお待ち下さい。
>>193 なにこれかあいいっ!マイかあいい!
おかず交換の儀式のくだりが何とも言えませんっ!
しかも叫び声が「ほにゃあぁぁぁぁっ!?」ですよ奥さん!
うちのロザリオに叫ばせてみt……
(背後から妙な殺気)
……え? 何ですかロザリオさんそのペギータは、え、ちょ、メギドらめぇ! アッー!
こっちでも楽屋オチやるレベルにまで落ちないでほしかったな
同意 楽屋オチは楽屋でやってこそだろ
>>193 投稿乙です。
分割は・・・まあ、どんまい。
>「こんな事もあろうかと〜」
いやいや、準備万端すぎるだろうw
>「ワレワレハ、ウチュウ、ジンダ〜」
扇風機といえばこれですな。
ありきたりだが、定評のあるシチュエーション。だが、それがいいw
「はひ、はひ、はひっ…待ってよぉ〜!」
小さな体ですたすたと最適化されたルートを歩いてゆく431。ってあんにゃろ!
ゲートコンソールの上に座って足ぷらぷらさせてやがる!まるでいかにも暇だな
時間が余っちゃったなとでも言わんばかりに。声かけてるのにこっちを見もしない。
私がゲートにたどり着かんとしたそのきっかり2秒前にぴょんと飛び降りて
またすたすたとスペースポートの奥へと歩いてゆく。こっちを見もしないで!
まったくかわいくないったら!
「こんの、待てったら〜!」
歩幅はこっちの方が有利なはずなのに憎たらしい。GRMめ。
『当機はまもなく、惑星ニューデイズへ出発します。』
アナウンスの流れるスピーカラインを目で追う様に見上げながら、礼儀正しい姿勢で
431はシートに座っている。
こっちはと言えば、かいた汗が引かないもんだから手で顔をぱたぱた、服をぱふぱふ
シートになんか座ってられなくて通路をうろうろしてる。
「これに着替えてシートに座って下さい。フォトンドライブの衝撃で座席最後尾まで
吹っ飛びますよ。」
サンダルとハーフパンツ、ユカタウェアをこっちのナノトランサーへ勝手に転送し
なんと勝手に装着変更を実行する。
「ちょ、ちょっと!ばか!何やってんのよ!ばかっ!」
「バカなのはマスターの方です。発信のレッドシグナルが点灯していますよ。」
ぐいっとかなりの出力でひっぱられて、私は座席の上にどすんと置かれた。
「着きましたよ。マスター。起きてください。」
ユカタウェアのひんやりとした感触にすっかり汗もひいて、いつの間にか眠って
いたみたい。
窓の外を見るとまだスペースポートの中だ。
「ニューデイズのスペースポートへ到着したんです。降りますよ。」
ヒトの寝ぼけまで先読みしててきぱきと行動指示。ほんとに出来た子だこと。
よだれを裾でふいて、よっこらせとシートから立ち上がる。
「裾でよだれを拭かないで下さい。マスターはビースト族なのですから、唾液が
匂いますよ。」
余計なお世話だ!と言い返す間もなくユカタウェアの色がヒュインと変わる。
「あーっ!また勝手に!失敗して脱げたらどうすんのよ!」
「見られて減る体型ではないでしょう。それに装着変更の失敗確率は0%です。」
「あんった女性型のクセに女心解ってないよねぇ〜…」
「でしたら女性らしい振舞いを心がけて下さい。」
「く!ああ言えばこう言う!」
スペースポートを出る。外は夜。
ドーンという空を包む様な音と共に、ちょうど一発目のハナビが上がったところだった。
- end -
202 :
名無しオンライン:2010/08/01(日) 06:46:06 ID:09gfZzuF
ニューデイズで行われる花火大会の開始時刻にマスターを間に合わせようとした感じの話です。
スレが沈下していたのでドーンと一発ちいさな線香花火をあげておきます。
>>178 遂に完結かぁ…ロザリオがまだPMだった頃の事を考えると、何だか感慨深いですね。
次回作、私は絶対に読みますよ。濃ゆい設定が特にたまらnゲフンゲフン
>>193 今回は長めでしたね、お疲れ様です。
最近私の方が何か殺伐とした話になりそうなので、こういうほのぼのは癒しになっていいですね。
>>202 世話の焼ける主人ってのはかわいいもんです。
長編は好きな人嫌いな人にハッキリ分かれるので、こういった短編は私としても嬉しいですよ。
さてと、unsung episodeばかり書いてましたが、ようやく本編投下です。
(またアッシュの出番が無くなっちゃったけど…)
204 :
過去 1/4:2010/08/01(日) 13:03:03 ID:5WcLPnSl
私の家はニューデイズでも有数の資産家なの。
ヒューガ・ライトには及ばないけど、GRMの主要株主のひとつでもあるのよ。
私には5歳上の兄が居てね、本当は兄が家を継ぐはずだった。
でも兄は家を飛び出してガーディアンになったのよ。
嫌気が差したんでしょうね。私も小さい頃から兄の姿を見てたけど、
家庭教師がつねにつきっきりで、いつも勉強させられてた。
それにスクールでも友達はまったく居なかったみたいね。そりゃ飛び出したくもなるわよ。
兄は17歳になった時に家出した。
そりゃもう家中てんやわんやの大騒ぎよ。大事な跡取りが居なくなったんだからね。
お父様は血眼になって兄の行方を探したけど…
分かったのは兄が殉職した後だった。
SEED事変の時だったわね、私の兄は暴走したキャストに殺された。
それを知ったお父様の落胆ぶりと言ったらなかったわよ。
いっつもお酒に溺れて…家の者も気が気でなかったみたいね。
でもある時、突然思い付いたようにこう言ったのよ。
『ケイ、お前が家を継げ』
205 :
過去 2/4:2010/08/01(日) 13:04:09 ID:5WcLPnSl
それまでは結構自由にできてたんだけど、今度は私が縛り付けられた。
この時お父様は何処から手に入れたのか、私にPMを付けたのよ。
私の事を四六時中見張って、身の回りを世話する役目。
食事もPMが出すし、勉強だって教えるのはPM。
お父様は分かってやってたのかしら。兄が家出した原因なのに…
その後は言うまでも無いわ。この通りよ。
リトルウィングは身分を隠すのも容易だったし、丁度よかったわ。
でも私にPMが支給されるのにはちょっと時間が掛かったの。本当はPMなんて要らなかったんだけど、
会社の規則となっちゃ仕方ないと思って待ったわ。
それでやっとの事で私の元に来たPMは─
『宜しくお願い致します、お嬢様』
私に付けられたPMとあまりにそっくりだった。
勿論見た目は違ったわよ。家に居たのはGH-413、支給されたのは当然だけど410。
206 :
過去 3/4:2010/08/01(日) 13:05:00 ID:5WcLPnSl
でも見た目なんて関係ない。その子の口調や…何より雰囲気で分かる。
追いかけて来たのよ。
大方、お父様に言われて来たんでしょう。私を監視する為に。
「ケイ、それは考えすぎじゃないのか?」
私には分かるのよ。
私は知ってるんだから。真夜中にビジフォンでどこかと連絡を取ってるのを。
「PMだってキャストと変わらん。本心があるんだろうよ」
「PMの事なんかどうでもいいの! 私は貴方に知ってもらいたいのよ!」
突然凄みを増したケイに、ジョニーが少したじろぐ。
「私…初めて貴方に会った時に、貴方と居れば変われるかもって感じたの。
一緒に居てほしいのよ、私と…」
「俺はお前が思ってる程いい人間じゃない。…そろそろ帰らなくちゃな」
ジョニーが立ち上がり、遠くを見る様な目でそう言うと、ケイも無言で立ち上がった。
207 :
過去 4/4:2010/08/01(日) 13:05:34 ID:5WcLPnSl
マイルームに入ると、一体のPMが出迎える。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「…ただいま」
「いかがなされました? ご気分が優れない様子ですが」
「何でもないわ」
「分かりますよ、私には。ジョニー様の事ですね」
「…」
「何があったかは存じませんが、その様に沈んだお気持ではますます辛くなるだけです。
そういう時こそ、明るく務められた方がよろしいかと」
「…ありがとう」
「夕食の用意が出来ておりますが」
「先にシャワー浴びてくるわ」
「かしこまりました」
「明るく、ね…そういえばあの子をジョニーに会わせたこと、無かったなぁ…」
服を脱ぎながら、ケイはぼんやりとそう思った。
そして思い立った様に、脱衣所の外に声を掛ける。
「エリ! 今度ミッションに出る時、ついて来てくれない?」
208 :
過去:2010/08/01(日) 13:07:24 ID:5WcLPnSl
今回分はこれで終了。
ちょっと実験的な描写も含んでますが…伝わりましたでしょうか。
>>202 線香花火なんてとんでもない!綺麗な打ち上げ花火なのぜ。
しっかり物のPMと大雑把そうな主人。だからこそか、とても相性がよさそうでほのぼのしました。
>>208 >実験的な描写
過去語りの部分かな?
ケイのPMに対する冷たい態度が気になってはいたが、そういう事か。
ただ、PMそのものを嫌悪してるというよりは、
家に縛られる事を嫌悪し、その嫌悪の矛先としてPMを嫌悪しているって感じだな。
>>194 ありがとうございます。口調こそアレですがマイは登場人物中ではきっと一番女の子。
>>198 リムのナノトランサーはきっと四次元ポ○ット。ほら、430って服も青っぽいですしね。
>>202 たーまやーっ!!
ユカタ着て涎たらしながら寝てるビーストとか違う意味で涎が出t ゲフンゲフン
>>208 こんな馬鹿話で和んで頂けたなら幸いです。
ケイさんのPM,口調から勝手に執事型だと思ってました。410さんだったんですね。
最近スレがにぎやかでいい感じですね。この勢いを絶やさないように本日も投下します!
211 :
1/6:2010/08/02(月) 23:13:19 ID:FWGfRxC4
「彼」は、この草原一帯の主ともいうべき存在だった。
同じ種族の配下とも呼べるモノ達は「彼」には一切逆らわなかったし、
縄張りを侵してきた愚か者共は自慢の爪で八つ裂きにしてやっていた。
しかし今、「彼」は、怒り狂っていた。
「彼」の縄張りを侵した愚かな侵入者を、いつもの様に引き裂いてやろうとしたのだ。
しかしどういうわけか、気がつくと「彼」が連れていた配下のモノ達が逆にズタズタに斬り裂かれて息絶え、
侵入者はいなくなっていた。
あの侵入者・・・確か、「ヒューマン」とかいう種族だった。
か細い身体で爪も角もない下等生物だ。それがどうやって配下のモノ達を倒したのかはわからないが、
所詮は格下の存在だ。「ヒューマン」などという下等生物に倒されても仕方のないことだろう。
しかし自分は違う。自慢の爪で引き裂けない物はなかったし、万一傷を負っても癒す術も持っている。
あんな爪も持たぬ下等生物に負けるわけがない。
「ひゃぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーッ!!」
突然の叫び声に、「彼」は驚いて辺りを見回す。何もいない。と、足元に影が出来た。
不思議に思って空を見上げると、先程「彼」が下等生物と呼んだ存在が、空から落ちるように向かってきていた。
それが、「彼」の見た最後の光景になった。
212 :
2/6:2010/08/02(月) 23:13:48 ID:FWGfRxC4
「ふふっ、うふふふふふふっ、あはははははっ」
少女が笑いながら仕留めた獲物───ゴ・ヴァーラと呼ばれていた───を、両手に持ったツインクローで切り刻む。
何度も何度も、最早原型を留めていない「それ」に執拗にクローを叩き込んだ。
腕を振り下ろす度に返り血とも言える体液が飛び、顔や身体に付着するが、少女は気にも留めなかった。
頬を紅潮させ、恍惚とした目でクローを振るう。
「はぁっ、んっ、んぁっ、あぁっ」
笑い声が段々と嬌声へと変わり、少女は両腕で自らを抱きしめ、空を見上げた。
しばらくそのまま虚空を見つめていたが、ふっと我に返ったように視線を下ろし、ゴ・ヴァーラだったモノを見た。
少女は口をとがらせると、拗ねたように言った。
「ちぇっ、壊れちゃった」
立ち上がり、次の獲物を探そうかと思った時、少女は自身の空腹に気がついた。
「・・・帰ろっと」
そう呟くと、少女はその場から掻き消えるように居なくなった。
213 :
3/6:2010/08/02(月) 23:14:18 ID:FWGfRxC4
「たっだいまぁ〜〜〜っ!」
元気な声が響き渡る。このルームの主人の声だ。
声の主に仕えるPM、GH-412は主人を出迎えた。否、出迎えようとした。
「お帰りなさ「メガネちゃぁぁぁん寂しかったよぉぉぉぉ」
そう言いながら主人───ヒューマンの少女はPMに抱きついた。
メガネと呼ばれたPMは、抱きつかれた拍子にずれた眼鏡を直し、少女の頭を撫でた。
「お帰りなさい、ご主人様。随分汚れていますが、お怪我はありませんか?」
「うん!ぜぇーんぶ悪いヤツのだよ!」
少女はミッションに出かけると毎回必ず敵の血や体液にまみれて帰ってくるが、一度も怪我をしたことがなかった。
「メガネちゃん、お腹空いたぁ〜」
「はい、お昼にしましょうね。でも、その前にお風呂です」
「えぇー、お腹空いたぁ〜」
汚れ放題の少女に思い切り抱きつかれたことで、メガネの服も相当に汚れてしまっていた。
メガネはため息をつくと、「私も一緒に入りますから」と言った。
「ほんと!?じゃあ入るー!」
少女は先程とは打って変わってご機嫌になった。
214 :
4/6:2010/08/02(月) 23:14:50 ID:FWGfRxC4
メガネが少女の頭を優しくシャンプーで洗う。
「目、開けちゃだめですよ?」
「うー」
メガネがシャワーで泡を洗い流すと、少女は犬の様に首をぶるぶると振った。
「はい、次は身体を洗いますからね。・・・ご主人様?どうしたんですか?」
少女はメガネの胸の辺りと、自分の胸を見比べていた。
「あたしもメガネちゃんみたいになるかなぁ?」
「・・・私は生まれた時からこのサイズですから。ご主人様は・・・まだ成長期です。きっとこれから大きくなりますよ」
「大きくなったらぼんきゅっぼーんになれるかなー?」
「・・・どこでそんな言葉覚えたんですか」
身体を洗い終わると、少女はメガネを抱きかかえて湯船に飛び込んだ。
お湯が辺りに飛び散った。
「ざぶーん!」
「きゃっ!・・・ご主人様、お湯もったいない・・・」
「えへへー」
少女はご機嫌でメガネを抱きしめる。聞いていない。
メガネは少し困ったような笑みを浮かべた。
215 :
5/6:2010/08/02(月) 23:15:30 ID:FWGfRxC4
風呂から出ると、通信端末に着信が残っていた。
少女がおぼつかない手つきで端末を操作する。相手はすぐに出た。
「何をしていた、定時報告の時間を過ぎているぞ」
「メガネちゃんとお風呂入ってた〜」
「・・・またPMか。まぁいい、報告をしろ」
「えっと、草原で、ヴぁ、ヴぁ・・・悪いヤツいっぱいやっつけた!」
「・・・もういい。こちらで計測するから映像データを送れ」
「はーい」
少女は通信端末を放り出すと、脱ぎ捨てていた服から録画用の端末を取り出し、データを転送した。
「・・・確認した。いいか、報告は時間通りにしろ」
「はーい」
少女の投げやりな返事に相手は忌々しげに舌打ちすると通信を切った。
「ご主人様、終わりました?」
「うん。遅刻だーって怒られちゃった」
ちっとも悪びれていない様子で言う少女にメガネは苦笑した。
しかし・・・とメガネは考える。自分はガーディアンズ所属PMだ。今いるルームもガーディアンに与えられるものだ。
しかし、先程の通信の相手はそうではないだろう。そして・・・恐らく、主人も。
ガーディアンとして登録されてはいるが、正規の手続きを踏んでいないはずだ。
ガーディアンズに入るにはまず2ヶ月間、養成学校に通い、卒業しなければならない。
しかし、少女がそこに通った記録はない。恐らく通信相手か、相手の所属する組織が何らかの手段で登録したのだろうとメガネは考えていた。
主人が話さないならそれもいいと思っていた。事情を無理に聞こうとも思わないし、聞いたからといってただのPMである自分に
何かできるわけでもない。自分にとって大事なのは、主人と一緒に居られることだった。
216 :
6/6:2010/08/02(月) 23:16:03 ID:FWGfRxC4
「全く・・・」
「どうした、またアイツか」
「ああ。あのクソガキ、定時報告をしないからどうしていたのかと思ったら、PMと風呂に入っていた、だと。
あんなおもちゃのどこがいいのかね」
「所詮は子供って事だろ。まぁ戦闘データもだいぶたまってきた。もう少しの辛抱さ」
「あのPMはどうするんだ?戦闘には一緒に出してないとはいえ、ガーディアンズにデータ残したらまずいだろ」
「ああ、戻す時に廃棄する予定だ」
「あのガキ、相当執着してるぞ。大丈夫か?」
「なに、その時はGRMから代わりの同型機を買って与えればいいだけだ」
「まぁ、それもそうか───」
つづく
以上です。
いつもと違ってほんのりシリアス風味にしてみたんですがいかがでしょうか。
「つづくって事はうちらも出るんかな」
「そのようですね」
「うちら使ぅてシリアスやるとか・・・」
「無謀にも程があります」
アーアーキコエナーイ!
ただいまー。なかなか余裕ができないので、書き手が増えて活性化しているのは嬉しい限りです。
>>193>>202>>208>>217の作者さんの、まとめ読みしたいw
>>178 長い連載、お疲れ様でした。妙な発言できっかけ作っちゃって申し訳ないようなw
個人的にはこういう終わり方は嫌いじゃないですw幸も不幸も、すべてを飲み込み時は流れる、と。
ていうか深遠なる闇w
続いて投下。
あと2回ぶんで終了のPSUチャレンジモードです。最後はもうほぼできあがっているので、2,3日中にできると思います。
終わったら過去のも加筆修正分があるので全部まとめてうpします。
宇宙論に足を突っ込んだ内容のため概念的な事柄が多くややこしいですが、今回はなんとなくわかったって程度で見てもらえれば幸いです。
それではどうぞ。
モタブの預言書という本がある。テクニック、そしてその礎となったマジックの秘密が書いてあるといわれる本だ。
噂と違い、そこにはマジックそのものの解説は書いていない。書いてあるのは歴史のみ。
しかし、その歴史は本が編纂された時期よりも未来のことまで書いてある、開くたびに違うことが書いてあるという奇妙な書物。
「預言書か…私も、これで練習したわね」
人は今という時間を過ごすときに、常に無限の選択肢からひとつを選び出す。ただ歩くだけでも、どこに足を踏み出すか、どのタイミング、
どんな力の入れ方をするか、場合によっては立ち止まって何もしないなど選択肢は無限にある。
ほとんどはその後すぐに収束するが、それぞれにほんのわずかに違う未来が作られる。
『歩く』に対して『何もしない』など、ある選び方をして未来の方向が決定的に変わったとき、そこが歴史の枝となる…
なんともなしに本を開けば、ランダムに選んだ事実から未来が決定され、毎回書かれていることが違うが、意志をもって開けばある程度決められる。人が道を選ぶ時代ゆえの預言書である。
これがすなわちマジックの本質。ある意味で、この預言書にその秘密が書いてあるというのも間違いではないだろう。
「あなたと同じように練習させればいいと思ったのですが、アルバムの写真ばかりに気をとられて手にも取りませんでしたからね、あの子は。そのために余計な苦労を背負わせてしまいました」
「さしのべられた手を払いのけて辛い道のりを選んだのだから、そうさせればいいわ。やり方は一つではないでしょう」
亜麻色の髪の女が本を開くと、そこには魚の息、猫の足音、鳥の唾が存在する歴史が書かれていた。それらはかつてある究極の封印術を創る代償に、この宇宙から消滅したものだった。
「本当に変わりましたね、あなたは。優しいだけの娘ではなくなった」
「優しさは時に残酷よ。子供はいつか大人にならなくてはいけないもの」
彼女はありとあらゆる動物の皮となる可能性のある革装丁の本を閉じた。すると本は最初からなかったかのように消え失せた。
「ルツ、あなたは自分の両親のことを覚えている?」
「もちろんですとも」
「私もよ」
「SEEDが人の裏の姿だというのは聞いたな?お前だけでなく人間というのは誰もが少なからず都合の悪い事実から目をそらす。これ自体は心を病まないための防衛本能といえるだろう」
「だから人がSEEDを生み出すと…人と闇とは切り離すことはできないと?」
「そうだ。だがその歪みは積もりに積もって、古代文明さえ滅ぼした!現実を受け入れて問題に対処する、たったそれだけのことができないばかりにな!
それだけではない、フォトン利用をあきらめたヒューマン、真実を隠蔽されたまま500年続いた戦争。やっと訪れた平和の中でさえ、キャスト至上主義、狂信的なグラール教団、無法そのものなビーストの社会…
何一つ反省していない。SEEDの出現は必然ではないか。あまつさえその対処方法が劣化した封印などとは」
「イルミナスという組織、掲げているにしては不自然なヒューマン原理主義…『光』はヒューマンに発現しやすいから、必要になる状況にまで追い込んで、できたものだけ生き残らせると?」
「いかにも!このハウザーがただの傷の嘗めあいの組織でしかなかったイルミナスを乗っ取り目指したのは、人が自ら現実を認め、自分の力で立ち向かうのが当然の社会を作ることよ!
言ったはずだな、SEEDは受け入れるべきなのだと!このハウザーのようにSEEDを御することはできるということだ!それさえできれば、旧文明も滅ばずにすんだのだ!」
「だからこそ私はハウザー様に身も心も捧げたのさ。もっとも、私には不完全にしかできなかったし、実験に使ったマガシは『支配を受けない』というだけの幼稚な自我になってしまったけれど」
「そのために何千人も犠牲を出して…過ちの歴史は繰り返される、ですか。正しいと信じて神を作ろうとした人たちがいましたが、それとそっくりですね」
「誰が正しいなどと言ったか。淘汰は必要だが、それは必要であって善ではない。それを悪と呼ぶのなら、イルミナスは喜んで悪であろう!そこに一片の悔いもありはしない!」
「そうとも、ガーディアンズが私たちを殺して人類の本当に求めるべき未来を壊したのはただの歴史の選択で、間違いじゃないのさ。私たちも何も間違っちゃいないけどね、ハハハ!」
カール・フリードリヒ・ハウザーとヘルガ・ノイマン。彼らの弁を最後に、グラールの歴史は見終わりました。
「いいか、逃げようなどと考えるなよ。お前はまさに、イーサン・ウェーバーやヒューガ・ライトが失敗し、このハウザーが求めた一つの理想を体現できる領域に踏み込もうとしているのだからな!」
「わかりましたから自己主張はここまでにしてください。あなたに言われるまでもないことです」
何もない空間の中で、わたくしは今まで得てきたことを刻みつけていました。
「何をしているのですかなァ…闇にとらわれた貴女がァ…ふほほほほ」
「…翼を描いています。わたくしの翼を」
「翼ですとォ。まだ数枚羽を描いただけですなァ」
「ええ、でも数枚描けました」
「無駄なことをなさるゥ」
「あなたもこれの一部になるんですよ」
目でとらえた瞬間に、その闇の存在は一つの情報に変換されて、わたくしに『食べられ』、わたくしの思い描くものの一部になりました。
パシリが何かを食べて能力を上げる際に何が起きているのか、今まで疑問に思わなかったそれを研究しての応用です。
今やわたくしは物質に限らず概念やその記録を摂取して自らのものにするということを覚えていました。
しかし、600年以上あるグラールの歴史でさえ、ほんの数枚にしかなりません。自分の『光』たる翼のことをまるで理解していなかったわたくしは、
ゆっくりとしかそれを描き出していくことはできませんでした。でも、それはとても充実してやりがいがあることでした。
次は、リュクロスから垣間見えた平行世界。ラグオルにまつわった歴史。
「モンタギュー博士、おひさしぶりです」
「やあ、無限エネルギー制御の補助プログラムは役に立ってるかい」
「…いいえ、残念ながら」
「即興だったからねえ。いいさ、不完全なのは僕自身が一番よくわかってるよ、ウフフ…で、どうして僕を呼んだんだい。まさかこいつを改良してほしいのかい」
「違います。改良するのはわたくしです」
「そうか。その様子だと、もうわかっているようだねえ。僕はもう新しいものを作ることはできない。歴史の中の僕は、そこまでの存在にすぎない。もう終わった人生なんだから」
「ええ、ですから…すみません。あなたをください」
「謝ることじゃないだろう。僕の生きた記録を君が取り込むことで、僕は君の中で生き続ける。なあ、人はなんで生きるんだと思う?
僕はね、何かを残すために生きるんだろうと思っているんだよ。遺伝子しかり、技術しかり…僕に子供はいないから、それで何かを残していけるのなら、喜んで君に僕をあげるよ」
「ありがとうございます」
「僕にとってはかけがえのないものだ。あせらずゆっくり味わってくれよ。ウフフ…オラキオの剣よりも情報量は多いからね。無理して一気に食べるとまた調子を崩すよ」
人に、ものごとに触れるたびに、得たものが自分の中のプログラムを書き換えて、可能になることがどんどん増えていくのがわかります。
もっと知りたい。もっとできるようになりたい。学ぶことがこんなに楽しいことだっただなんて。
気づけば、わたくしは自ら進んで記録に向かい、解析に没頭していました。
遠く遠く、さらに遠く遠くへ。
止まった時間の中で、もうどれだけ体感時間が経過したかなんて、わからなくなっていました。
無限の時間の中で悠久の時の彼方までを食べ尽くし、これが最後。立ち向かうべきものを乗り越え、この空間から出るためにひたすら学習に徹してきました。
目を服の袖でごしごしこすって、大きく息を吸い込んで自分を落ち着けてから、わたくしは意識を宙に解き放ちました。
どこにでもあるけれど普段は見えない、薄壁一枚を隔てただけのように、ちょっとしたことで堕ちてしまう深淵。この宇宙が生まれた頃からの、すべての人の、幾度も繰り返されてきた業の領域へ。
黒の巨人が力としていたもの、恐怖を固めてできたような、ダークファルスよりもさらに危険さを感じる名状しがたい絶対の真理に、かつて見た『深遠なる闇』に、もう一度わたくしは対峙しました。
頭の中でアラートが鳴り響きます。パシリをそのように造っているシステムによる警告は止めようがありませんが、わたくしにとっての本能といえるそれを押さえ込み、その禁断の世界に飛び込みました。
それはありとあらゆる偶発的事象、ありとあらゆる不条理を放り込んだ混沌そのものでした。
増殖することだけを目的とした不確定なままの重力やエネルギーがわたくしを痛めつけ、あっという間に巻き込まれた体が破壊されていきます。
とても処理し切れるものではありません。ですから、わたくしがそれを取り込むのではなく、わたくしもその一部であると考え、溶け込もうとしました。
(そうだ受け入れろ!それが生き物のサガだ!)
すると今度はそこにさらされた人たちの意識の濁流が襲ってきました。
痛い辛い苦しい悔しい憎い悲しい嫌だ嫌だ嫌だ…
エゴ、エゴ、エゴ、エゴ、エゴ。
なんと醜いのでしょう。一歩踏み外せばそれ自体を嫌い、鏡写しのように自分も飲み込まれそうです。これではラシーク王やリコさんがそうなるのも無理はないでしょう。
しかし、わたくしは一度そうなって、主に助かる方法を実践されています。流されず踏みとどまり、少しずつですが動き始めました。
狂った野獣のように暴れ回る『闇』の手綱を必死で握り、闇の淵の深く、深くへ。そこにある何かを求めて、深く…
今度はその意識はわたくしに向けられ、明確な悪意となってわたくしを責めさいなみました。苦しくて、思わず目を閉じて耳をふさいでしまいました。
(目の前のもの、今という時間だけにとらわれてはだめよ)
主を死なせたことの記憶が何度も何度もフラッシュバックし、そのたびに胸の中からわき上がるやり場のない憤りが身を焦がし、悪鬼のように顔が歪みます。
どこからか今まで出会った人たちの声が聞こえて、かろうじて理性を保ちました。
(お前の重ねた努力は無駄ではない。思い出せ、巨大な樹を)
わたくしは歴史の記録の中で数え切れない生と死を見てきました。そして避けえぬ運命としてそれに向き合った人たちの哲学も…
だから。
わたくしは。
「もう、逃げません!!」
つぶっていた目を見開いて、何かをつかもうとするように手を伸ばしたそのとき。
荒れ狂う嵐の中心に入ったかのように、負の感情が急に止まったかと思うと、肌触りの良い黄金の衣のようになり、
時空間の乱れと重力に打ちのめされてぼろぼろになったわたくしを抱きとめ、最深部へと下ろしてくれました。
そこにあったのは、砂漠の砂の一粒よりも小さく縮こまった、もうひとつの宇宙でした。
それはとてもちっぽけですが、畏怖すら感じるほどの存在感でその場にありました。
手に取ろうとすると、それはすっとわたくしの体におさまり、今まで感じたことのなかった、脈打つ感覚を放ち始めました。
見えました、可能性。見えました、確固たる自分。
絶望の中で輝く希望と、それを作り出してきた意志。暗くて、醜くて、歪んでいて、それでも美しく輝いている、人という存在。
広がり続ける無限大の力、『深遠なる闇』。それに向きを与え、形にする『大いなる光』。それぞれにつながりを持つものだけが、そうなることができるのです。
この宇宙を支配する気まぐれな法則の中を流されず踏みとどまり、何度失敗しても挑んで理解したものが得る、知恵と勇気の力。
それがわたくしの光の翼や、伝説のハンターズたちが使っていた黄金のフォトンの持つ意味。
だから、翼。わたくしの『光』は。飛翔する主を見て憧れた、わたくし自身の可能性。
「立ち直ったな。さあ、飛び立つがいい」
「この宇宙の創生の時から、空を飛びたいと願った者が何人いたと思う?飛行機が作られてからも、人は自らの力で翔ぶことを夢見たほどなのだ」
洞窟に鳥を描き、空に憧れた人。
空を飛ぶ道具を思い描いた芸術家。
短い時間の飛行を可能にする簡単な機械を開発した兄弟。
まだ見ぬ宇宙へと飛ぶために、ロケットエンジンでの宇宙船を作ったチーム。
そんな時代においても、自分の体力任せに簡単な道具で滑空を試みた人たち。
さまざまな人が飛ぶことを夢見ていました。
それはとてもささやかな願い。でも、小さな願いは幾万幾億となって絡み合い、『人は空を飛べない』という世界の摂理を覆す力となったのです。
わたくしの翼は、わたくしだけのものではない希望でできている。
そう理解した瞬間、どこからか舞い落ちた、砕けたガラスのような光の欠片たちが集まり、一つ一つが翼となってわたくしのちっぽけな翼に結合しました。
大きな翼、小さな翼。夢を叶える力を持つ人の翼は、力強い風切り羽根として。力及ばない人の翼は柔らかな羽毛として。
見る間に翼は巨大でありながら重さを感じないものに変貌しました。巨人の剣を受け止めたときよりも、さらに大きく、力強く。
翼のひとつひとつが羽根となって構成され、先端がまったく見えない、長く巨大な、白銀の光でできた異形の翼。それは、周辺のエネルギーの方向を、混沌が支配する確率を操作し、自在に変える力。
黒の巨人と戦っていたときに光の翼を手にして、なんとなくこうすればこうなるという程度で使っていましたが、無限に時間を使った地道な分析からやっと見つけ出したこれが本来の使い方なのでした。
翼を動かそうと思う前から、すでに体は浮いていました。
「そうよ、あなたは飛べる」
羽ばたくまでもないと、そう言っているかのように。
「飛べ、無限の長さ持つ光の翼で。運命は君のものだ!」
重力の方向を逆にしてやるだけ。光の速度でさえ出ることのできない強大な重力の空間から抜け出すことなど、たやすいことでした。
動く、動きます!わたくしの思うがままに、軽やかに!
ただ飛んだだけなのに、今までとは比較にならないほどの開放感に高揚しながら、そのまま空間をねじ曲げて途中を飛ばし、第9の天をさらに越えたその場所、神の御座へ。
止まっていた時間が、動き始めました。
-続く-