【霊感持ちの】シリーズ物総合スレ14【友人・知人】
そうか。子どもにとっては昼間に誰もいない家だからこそ、ノックをしてドアの郵便受けからなぞなぞを投げ掛けるなんていうイタズラができるのだ。なのに、いないはずの誰かにそのなぞなぞを聞かれている。
これはいったいどういうことだろう。
「答えがないから七不思議なんだろう。その702号室のおじさんは変な噂が立ったせいで奥さんに怒られて、今なぞなぞ禁止になってるよ。というか、近所の子どもと遊ぶの自体自粛中」
子どもが好きな人だろうに、少しかわいそうな気がするが世間体というものがある。ほとぼりがさめるまで仕方がないのかも知れない。
ほとぼり?
ふと思う。そんなもの、さめるのだろうか。一度七不思議になったものが、そう簡単に。
なにかきっかけになった事件や事故があったとしても、一度そういう怪談になってしまったものは、延々と子どもたちのコミュニティーの中で一人歩きをし、生きながらえていくのではないだろうか。
「いや、それがな。最近奥さんが仕事を休んでて家にいるようになったもんだから、子どもが昼間来ても郵便受けからなぞなぞを出した時点で追い返されてる。奥さんは怖い人だから、いずれ子どもたちも懲りるだろう」
そうか。それなら確かにほとぼりはさめるかも知れない。
七不思議が消えるのか。
笑ってしまった。
「可笑しいか」
頷く。
「でも、直接本人から聞いた話で、笑えないのがあるんだ」
「本人というは、そのおじさんですか」
「そう。まだ共働きのころ、たまたま仕事を休んでて昼間一人でいたらしいんだ。密かに楽しみにしてたのは、噂につられた子どもが実際にドアをノックしてなぞなぞを出してくるんじゃないかってこと。
もしそんなことがあったら、どうやって脅かしてやろうかとニヤニヤしてたらしい」
「全然懲りてないじゃないですか」
でも子どもがやってくる気配はない。それはそうだ。普段留守をしている平日の昼間なら、子どもたちだって学校があるはずだ。たまたま休校だとか、水曜日で午後は授業がないとか、そういう日じゃないと。
子どもが来そうになかったので、近くのコンビニに買い物をしに行った。帰って来て702号室のドアの前に立った時、思いついてノックをしてみた。当然誰もいないから返事はない。ドアの郵便受けを親指で押し込んでみる。数センチ幅の隙間ができる。
屈んだまま子どもの真似をしてなぞなぞを出してみた。
『おじさん、おじさん、松の木の下ではお喋りしたかったのに、桜の木の下まで歩いたら綾取りをしたくなりました。な〜ぜだ?』
……返事はない。こんな馬鹿なことをしているのが恥ずかしくなって廊下をキョロキョロしてしまう。子どもたちはこれのどこを面白がっているんだろうと思いながらドアを開けて部屋に入る。中に誰かいたら嫌だなと思ったけど、もちろん誰もいない。
ホッとしてコンビニで買ったものを袋から出して冷蔵庫にしまっていると、玄関のドアをノックする音が聞こえる。はあい、と返事をして冷蔵庫を後ろ足で閉め、はい、はい、と言いながら玄関に行き、サンダルを引っ掛けてドアの鍵を外そうと手を伸ばす。
すると視線の下、郵便受けがカタリと鳴る。外の音がほんの少し流れ込んでくる。ざわざわざわざわ……
あ、これは、と思った瞬間、声が聞こえる。
『おじさん、おじさん、松の木の下ではお喋りしたかったのに、桜の木の下まで歩いたら綾取りをしたくなりました。な〜ぜだ?』
誰の声だ。鍵を外そうとした手が空中で止まる。
あれ? いつの間に夜になったんだろう。暗い。玄関が暗い。電気。電気をつけないと。
声は続ける。
『答えはね……』
木が変わったから。答えは気(木)が変わったからだ。心臓が激しく動いている。その、どこかで聞いたことのあるような、低い、男の声がささやくように言う。
『答えはね、桜の木の下には、死体が埋まっているから』
……ドカン、とドアを蹴った。声は黙る。すぐにドアの鍵を外し、開け放つ。光が溢れる。さっきまでまるで深夜のように暗かったのが嘘みたいに。外には誰もいない。誰かが走り去る気配もない。
なんだ今のは? 足がガクガクする。自分の声のようだった。さっきまでドアの向こうに自分が立っていたのか? なにがなんだか分からなくて、ひたすら震えていた。
って、いう話。
とおどけてみせるのを、俺は久しぶりにゾクゾクした気持ちで見つめていた。
「怖いですね」
完全に怪談だ。なぞなぞおじさんという七不思議に出てくる存在が、自分自身とは別個のもののように立ち現れている。まるで……
そこまで考えたとき、ハッとして横に座る人の顔を見た。
この人の周囲には、「それ」が多すぎる。
かつての自分の体験を記憶の底から呼び覚まそうとして、一瞬意識がこの場所から離れた。
その時だ。
俺の耳は子どもの声を拾った。ぐずるような声。近い。
ゾクリとしてジャングルジムに視線をやる。その中にさっきまでいなかったはずの子どもの姿を見てしまう気がして顔が強張る。
一秒、二秒、三秒……
俺のその様子を見てその人も緊張したようだったが、やがて俺がなにを考えたか分かったようで苦笑する。
ああ、そうか。
俺はあえて見えない振りをしていたのだ。冷静になれば、なにも怪談話などではないのに。
照れくさくなり、「ちょっとトイレに」と言って立ち上がる。
「あっちにある」
指で示された方へ歩くことしばし。小ぎれいな公衆トイレを見つけて用を足し、俺はその場で考えた。
行ってみるか。
トイレの前にはC棟という刻印がされたクリーム色の壁がある。A棟は近い。挙動不審に見られない程度にキョロキョロしながら何色かに色分けされた舗装レンガの上を歩き、Aの刻印のある巨大な建物の前に立つ。
玄関でのセキュリティーはなかったので堂々と正面から入り込み、エレベーターに乗る。「7」を押すと、途中で止まることもなく目的地で扉が開いた。
平日の昼ひなか。太陽の角度の関係か、妙にひんやりした空気が漂っている廊下に出る。
静かだ。ここまで住民の誰とも出会わなかった。
ウニさんキタ━━(゚∀゚)━━!!
支援
702号室は端の方だ。壁と良く似た色のドアが並んでいるのを横目で見ながら歩き、やがて702の表示を見つける。
ドアの両脇の壁に、自分で取り付けたのか、プラスチックの板があった。
『こどもたちのために禁煙を』
『喫煙は決められた場所で』
そんな活字が黒く刻まれている。
なぞなぞおじさんはどうやら、禁煙運動だか嫌煙運動だかをこの団地で推進している人らしい。団地の集会では、お母さんたちからは支持され、お父さん連中からは煙たがられているに違いない。
俺は小さく笑ってドアをノックする。
しばらく待っても反応はない。やはり仕事に出ているらしい。
ドアノブの横、下目の位置に横長の郵便受けの口がある。色は銀色。軽く屈んで右手の親指で押してみる。覗き込んでも部屋の中は見えない。ドアの内側に郵便物を受けるカバーがあるのだ。
少し大きめの声で言う。
「おじさん、おじさん、ヘビースモーカーがある朝急に禁煙したのはな〜ぜだ?」
篭った声がそれでもカバーの向こう側に漏れて行くのが分かる。
けれど室内から人の気配はなく、なぞなぞに答える声もなかった。
しばらく待つ。静寂が耳に響く。耳鳴りがやって来そうで身構えているが、いつまで経ってもそれは来なかった。
カタリと郵便受けから指を離し、702号室を後にする。
一度廊下で振り返ったが、ほんの少しドアが開きかけている、なんてことはなかった。
A棟の玄関に降り立ち、出来るだけ遠回りして戻ろうと、来た方向の逆へ足を向ける。
なんとか迷わずに元の公園に戻ってくると、その人は逆方向から来た俺に、あれ? という表情をして、そしてすぐにニコリと笑った。
「気をつかわせたな」
ちょうど胸元をしまうところだった。
胸に抱いた赤ん坊はさっきまでぐずりかけていたのに、今は満足そうな顔で目を閉じている。赤ん坊の口をハンカチで軽く拭き、その人は俺に笑いかける。
「家に寄って行かないか」
その提案に一瞬迷ってから、遠慮をした。「友だちがもう迎えに来ますから」
「そうか、残念だな」とさほど残念そうでもなく言うと、その人は赤ん坊に向かって、「あぶぶ」と口をすぼめて見せた。
俺は、もう行って来ましたよ、と口の中で呟く。そうしながら、三桁の番号が印字された鍵があのタイミングでポケットから落ちたのは偶然なのかどうか考えている。
やがてその夢想も曖昧なままどこかに消え、ただ冬の合間に差し込まれた柔らかい小春日和の公園に立っている。
小春日和にあたる季節を、アメリカではインディアン・サマーと言うらしい。寒さの本格的な到来の前にぽっかりと訪れる、冬に向けた準備のための暖かな時間。春でも大げさだと思うが、夏とは凄い例えだ。
その時、ふいに思ったのだ。
数年前、人のいないプールで始まった自分の夏が、終わってしまったのはいつだろうかと。
思えば、ずっと夏だった。秋も、冬も、春も、またやって来た夏も。見たもの聞いたもの、やることなすこと、なにもかも無茶苦茶で、無茶苦茶なままずっと夏だった気がする。山の中に身を伏せて虫の音を聞いた秋も。寒さに震えた冬の夜の海辺でさえ。
やがて、別の世界に通じる扉がひとつ、ひとつと閉じて行き、気がつけば長かった夏も終わっていた。
『夏への扉』という小説がある。
その中でピートという猫は、十一もある家の外へ通じる扉を飼い主である主人公に次々と開けさせる。扉の向こうが冬であることに不満で、夏の世界へ通じる扉を探して主人公を急かすのだ。
何度寒さに失望しても、少なくともどれかひとつは夏への扉であると疑わずに。
俺は失望はしていない。そんな別の世界へ通じる扉などない方がいいということはよく分かっているからだ。
ただそのころ垣間見た、ありえない世界の景色に今さら感傷を覚えることはある。そんな傷が、胸に微かな痛みをもたらすのだろうか。
「じゃあ、さようなら」
手を振って公園を出る。
その人はベンチから立ち上がり、こちらを見送っている。
これからその人が帰る扉の向こうには、ありふれた生活があるのだろう。七不思議の世界などではなく。
俺はもう一度さようならと呟いて、歩きながらゆっくりと背を向けた。
小春日和のベンチと、ずっと抱いていた遠く仄かな輝きと、そしてかつて愛した夏への扉に。
来週
ウニさん乙でした。
来週も待ってます!
ウニさん乙でした!
来週も楽しみにしています。
これは、序章なのだろうか。
雨上がりに似た雰囲気を感じる。
12 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 01:09:12 ID:VU+V1GxUO
ウニさん乙でした!
ずっと待ってた甲斐があったー!
来週も楽しみに待ってます。
しかし…
結婚出産してたのか。
変わっていた名字に過ぎた時間を感じ、妙な切なさが…
ウニさん乙でした!
最後の一節が切な過ぎる。
彼女、本当に素晴らしいキャラでした。
今後は過去話にしか登場しないのだろうけど、彼女のハッピーエンドに感動しました。
団地妻とか全く想像つきませんでしたわw
…凄い人とバッティングしちゃったけど、一本だけお邪魔します。
今落とす必要は全くないから、もう少し温存してくれよw
皆さん、今年のお盆はどのように過ごされたのでしょうか。
俺の母方の本家は東京近郊で、母の姉が家を継いでいる。
本家には伯母夫妻と、俺よりひとつ年下の従弟とその姉がいる。
本家では冬に俺たちの祖母が亡くなったため、今年は新盆だった。
こじんまりとだが、親族で盆の集まりを行った。
盆には仏壇の戸を閉じて、その前に盆棚を設ける。
ホオズキと枝豆を飾り、季節の果物や野菜を供える。麦藁の馬と牛、
蓮の葉にミソハギ、仏花、線香とおりん、灯籠…そして位牌。
俺が本家を訪ねた時には、
盆棚の脇には親類縁者が持ち寄った花や供物が色々置かれていた。
両親が先に着いていたので、俺は手ぶらでよかった。
しかし一応、鞄からボンタン飴を取り出して供えた。祖母の好物だった。
数日前、夢を見た。
盆の集まりの席に祖母がいた。盛装でおしろいをはたいた顔に赤い口紅をして、
出かける時はいつもしていた水晶のネックレスを着けて。
周りで歓談する親類の中に混ざって、黙ってにこにこ話を聞いていた。
目が覚めて、そう言えば通夜の日、斎場の売店で母が偶然ボンタン飴を見つけて
買って来たことを思い出した。祖母のお棺に入れる為に。
柔らかい飴がオブラートに包まれているお菓子で、俺もいとこの亜矢ちゃんやトモも、
子供の頃にばあちゃんから貰って食べたことがある。
俺は盆の集まりにそれを買って行くことに決めた。
それにつけても供物の山はカオスだった。
水ようかんとゼリー、有名洋菓子店の洒落た箱、ういろう、
綺麗なあられの詰め合わせ、南部せんべい、紫芋の薄皮まんじゅうに
レトルトカレーの箱詰め、そうめんとうどん、贈答用のジュースとビール、
常温保存の安いあんみつとミックスフルーツ缶詰、そしてボンタン飴。
18 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 01:41:02 ID:wXIZhvwRO
ウニちゃんお帰りなさい。今からベッドの中でじっくり読みます〜。
どうやら供物に始まって親類の土産、しまいにはお中元までここに置かれているらしい。
しかしどう見ても自宅用の具のないあんみつと小さな缶詰は不思議な感じだった。
弟分のトモに訪ねると、「それ姉貴」 と言う答えが返って来た。
亜矢ねえの話は随分前にここでもしたことがあると思う。
幽霊が出るとか、おかしなことがあるとか、
そんな場所に行こうとしても見つけることが出来ない、辿り着くことが出来ないひとだ。
だから、彼女にまつわる怖い心霊の話はない。
でも、人に話をすると、それこそが彼女の霊感の強さの現れだと言われる。
本当に霊感の強い人というのは、見たり遭ったりすることすらないのだと。
トモによれば、あんみつは彼女自身の好物らしい。
具がないのでミックスフルーツを投入して、すると今度は量が多いので、弟と半分こにする。
食事制限のある祖母に悪いので、時々深夜に居間でテレビを見ながら二人で食べていたそうだ。
祖母が亡くなって四十九日の少し前だったか、
亜矢ねえはいつもひとつだけ買って来るあんみつと缶詰を二つづつ買って来た。
一組は祖母の為だ。
「昨日夢におばあちゃんが出て来てね、“亜矢ちゃん、あれ買って来てよ、
いつも智ちゃんと食べてるやつ”って言うの。ああ、あれ食べたかったんだなぁ…と思って」
それで、買って来たという。
7年ほど前に祖父が亡くなった後も、亜矢ちゃんは夏の夕方、
昼寝をしていた二階の自室から降りて来るなり、「ちょっとワンカップ買って来る」 と
言ってコンビニに出かけて行った。
トモが後でよく聞いてみると、「ドア開けて寝てたらね、
お祖父ちゃんが生きてる時普通に上がって来たみたいに部屋の前まで来て、
千円札出して言うの。“亜矢、ワンカップ買って来てくれ” って、普通に」
やっぱり、それで買って来たという。
思えばあれもお盆に近い日だったのだろう。
亜矢ねえは幽霊は見ないが、夢でお遣いを頼まれる性質なのか。
ある友人から、ご先祖様の夢のお遣いの話を聞いたことがあったが、
それに比べると何ともシンプルで他愛ないお遣いだ。でもほのぼのしていて、
なんだか祖父母に可愛がられていた彼女らしい話でもある。
祖父の葬儀の直後、俺も祖父の夢を見ている。
しかし祖父は懐かしそうに微笑んで俺の顔を見るだけで、やはり言葉はなかった。
亡くなった人の方の都合なのか、俺のアンテナの問題なのか、
それとも別の理由があるのかは判らない。
家族以外にしてみれば些細なつまらないことかもしれないけれど、
日常の小さな事象にも目を向けると、案外と不思議が転がっているのかもしれない。
>>16 中々休みがないのですみません…
あとは百物語に行って来たいと思います。
お邪魔しました。
ウニ乙&間の悪かった枯野も乙
週末だもんね…
『子供達の為に禁煙を』
『喫煙は決められた場所で』
「おじさん、おじさん、ヘビースモーカーがある朝急に禁煙したのはな〜ぜだ?」
この辺り、ウニ独特のギミック炸裂って感じでほんとニヤニヤしちゃうんだがw
ウニさん乙です。
そして枯野さんも乙でしたノシ
今夜は充実したな〜
なんか夏の終わりにふさわしい話だったね。
そう言えば去年の今頃は先生が投下されてたんだっけ。
もうずっと昔みたいだな。
>>24を書きこんだ後、先生が投下されたのいつか確認したら
丁度去年の8月21日だったw
乙でした!
27 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:06:07 ID:IH39jULO0
メリーさんは言いました。
『私メリーさん。あなたの後ろにいるの』
それは全世界じゅうに同時に配信されました。
ボットネットウイルスに感染した全部の端末をメリーさんの回線に繋げたのです。
本来なら田代砲と化す集中アクセスも、ハイスペックなメリーさんには全然効きません。
何百何千何万の端末に同時に宣告してしまって、メリーさんはどうするのでしょうか。
心配いりません。
メリーさんは自動的なので、条件さえ整えば場所も時間も関係ないのです。
次々と背後にたち、次々と呪い殺してゆきます。
次々と殺してゆくのですが、何人かは全然殺せませんでした。
ゴルバチョフを殺そうとすると位相転位して逃げられ、
ローマ法王を殺そうとするとグラディエイターに逆に虐殺されました。
プリン頭の男なんて、メリーさんにたくさんプリンを食べさせてきました。
ヤケに美味しいから余計に質が悪いです。
メリーさんは身長120cm120キロになりかけて、たまらず逃げ出しました。
眉毛の太いゴルなんとかさんも全然殺せませんでした。
FF7のキャラに似た名前だったような気がしますが、
メリーさんはクラウドフェチなので赤犬の名前をポチに変えてしまっていて全然思い出せませんでした。
28 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:06:14 ID:IH39jULO0
「ゴルポ……ポチサーティーン……なんだったかなぁ」
メリーさんは殺し回ります。
でも“山嵐”を大プッシュしてくる人はころせませんでした。
ラキ☆なんとかって人にクラウド×スコールのBL小説を批評してもらって、
メリーさんは泣いてしまいました。
思いのほか辛口だったのです。
泣きはらしたメリーさんは涙で海抜を上げてしまって空中人魚を普通に水中人魚にしてしまいましたがハイスペックなので全く問題ありません。
海に沈んだ東京の街をマダール泳法でスイスイ進みます。
「私ごぼがぼごぼ、メリーさんごぼごぽごぼ、今あなたの後ろにゴボボボ……」
ただ少し公衆電話が使いにくくなったのが難点です。
29 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:07:17 ID:IH39jULO0
「ふふふ。そう、私は島京プリン……君ほど真実に肉薄した者は居ない。褒めてあげよう」
「私メリーさん。今あなたの──」
「メリー?はて何処かでお会いしたかな?私は今忙しいんだ。プリンをお食べ」
「──あなたの後ろに……きゃ!な、何なの?!プリンが動いてるの?!」
「さぁ、遠慮せずにお食べ。ふふふ」
「ぷ、プリンが勝手に口に!?やめ、ごぼがぼごぼ……ッ!!……」
「ふふふ、お嬢さんはデザートに夢中のようだ。さぁ、君もお食べ。たくさん、ね……」
30 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:08:10 ID:IH39jULO0
『はい、もしもし』
「もしもし、わたしメリーさん」
『あっ、久しぶりー!』
「へっ?」
『高校の同窓会以来だっけ? 今何してるの?』
「え、えっと……今、あなたの家の近くのタバコ屋の前にいるの」
『本当に? それじゃあさ、今から家来ない?』
「あ……うん」
『それじゃあ、待ってまーす!』
ピッ!
「……誰と勘違いしてるの?」
31 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:08:34 ID:IH39jULO0
prrrr!prrrr!―ピッ!
『……』
「もしもし、わたしメリーさん」
『……』
「今、あなたの家の前にいるの」
『……』
「……あの、もしもし?」
『たすけt』
ピッ!
「……これから行く所で何が起こっているの?」
32 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:08:48 ID:IH39jULO0
prrrr!prrrr!―ピッ!
『中島さん!?』
「……えっと、わたしメリーさん」
『あっ……すみません……』
「う〜……今、貴方の家の前にいるの」
『あっ、すみません! キャッチです』
ピッ!
「……中島さんに負けたの?」
33 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:09:04 ID:IH39jULO0
prrrr!prrrr!―ピッ!
『はい、もしもし』
「もしもし、わたしメリーさん」
『おおおおおおおっ!! マジでか!!!』
「今、貴方の家の前にいるの」
『スクール水着を用意して待ってます!!!!』
「……」
『待ってまーす!!!!!』
ピッ!
「……行かなきゃ駄目なの?」
34 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:09:23 ID:IH39jULO0
prrrr!prrrr!―ピッ!
『お電話ありがとうございます。創作引越しセンターです』
「もしもし、わたしメリーさん」
『はい、メリー様ですね。今日はどうなされましたか?』
「今、貴方の家の前にいるの」
『家の前と言いますと、御引越し先の家の前という事でしょうか?』
「……」
ピッ!
「……やっぱり業者関連は駄目なの」
35 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:09:55 ID:IH39jULO0
深夜、メリーは電話ボックスのなかから電話を掛けていた。
「私メリーさん。今、駅前に……」
『そうか。だけど、僕はもう君の後ろにいるよ』
「!」
メリーは咄嗟にしゃがみ込んだ。
メリーがしゃがみ込んだとほぼ同時、メリーが電話を掛けていたボックスが半ばから“ズレた”。
しゃがむ時にまい上がったメリーの毛束の数本が斬れハラリと舞う。
ズレた電話ボックスの上半分が崩れ落ちて目茶苦茶に音を発てた。
電話ボックスの切り口は、何かとんでもなく鋭い刃物に一瞬で両断されたかのように綺麗なものだった。
メリーは立上がり、背後を見た。
街頭の薄明かりに僅かに照らされる線。
黒いシルエットがワイヤーを手繰っていた。
黒いシルエットは左右非対象の笑みを浮かべた。
メリーは斬られて毛先が揃ってしまった髪を気にしながら言った。
「困っちゃうな、私から行って殺すのが決まりなのに」
黒いシルエットは非対象の笑みを崩さない。
「僕は自動的なんだ。自らの意思で進んで現れるわけじゃあない。君だって似たようなも
のだろう?」
「どうかな……でも、言われてみればそうかもしれない。あなた誰?」
「僕は……奇妙な泡(ブギーポップ)。君のような存在に近しいもの、さ」
「ふーん」
メリーは半分になってしまったドアを開け、電話ボックスから出た。
「じゃあ始める前に、これだけ聞いて」
「何だい?」
「ふふふ、様式美ってやつよ。──“私メリーさん、今からあなたを殺すの”」
メリーは微笑んだ。
シルエットは非対象の笑みを強めた。
ふたつの都市伝説が交錯した。
36 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:10:12 ID:IH39jULO0
黒いシルエットが走っていた。
身体にフィットした黒いライダースーツ、漆黒のバイク、そしてネコミミめいた突起がついたメット。
無音で走るそのバイクは、まるで跳ね馬が如き凶悪な加速を見せた。
──白バイ、いないだろうな?
バイクを駆る女、セルティ・ストゥルルソンはなるだけ目立たないように、しかし迅速に速度を上げた。
その時だった。
ガシャーーンッッッ!!
──?!
歩道からとてつもない轟音が響き、セルティは思わず速度をおとした。
50メートルくらい離れてからリアを振り回して180°ターンし、轟音の方を見やる。
見やった先では、下半分の電話ボックスに佇む赤いドレスの少女と、円筒型の黒いシルエットが睨み合っていた。
──相変わらずイカれた街だなぁ。
セルティは愛馬コシュタバワーを止め、影でできた死神の鎌を携えて、
街のイカれた部分の具象みたいな二人の仲裁に入った。
自らの空っぽのメットの事を棚上げして。
37 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:10:46 ID:IH39jULO0
毎週土曜日の深夜0時になると必ず電話がかかってくる。
ディスプレイには非通知としか表示されない。
「もしもし?」
『私メリーさん。駅前にいるわ』
今日も“メリーさん”からの電話だ。
「この前、酔っ払いに絡まれたって言ってたけど大丈夫ですか?」
『大丈夫よ、近くには交番もあるし』
「そうですか気を付けてくださいね」
僕がそう言うと電話は一方的に切れた。
数分後またもや電話がかかってきた。
「もしもし?」
『私メリーさん。今TSU○YAで勢いに任せて映画借りたの。2泊3日で5本も』
「観る時間あります?」
『……頑張るわ。そうそう、友達が出演してるのもあるの』
「友達ですか?」
『ええ、楽しみにしてなさい』
38 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:10:51 ID:IH39jULO0
カタカタとキーボードを叩く音が響く。
「よし、投下っと」
僕は今某スレにSSを投下しているところだ。
最近のお気に入りは新ジャンル系のスレだ。
「そろそろ、電話くる頃だけど……」
中々メリーさんからの着信がない。
どうしたんだろうか。
考えていると電話が鳴った。
「もしもし?」
『私メリーさん。今コンビニでジ○ンプを読んでるの。サ○デーとマ○ジンも読むから長くなりそう』
「長時間の立ち読みは迷惑ですよ。僕の部屋にその3冊おいてますから」
『そうなの?なら良いわね』
そう言ってメリーさんは電話を切った。
メリーさんはマイペースだ。
「もしもし?」
『私メリーさん。今**公園にいるんだけど、道が分からないの』
「……何回目ですか?」
『……』
「もしもし?」
『私メリーさん。今貴方の部屋の前にいるの』
「ちゃんと着きましたね」
『ええ、着いたわ』
「鍵は開いてますから」
「もしもし?」
『私メリーさん。今貴方の後ろにいるの』
今日も僕とメリーさんは徹夜で遊ぶ。
因みにメリーさんが借りた映画の中には“リング”があった。
39 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:11:48 ID:IH39jULO0
「私メリーさん。あの、その、用事っていうか、その、声が聞きたくなって……」
「……来てください」
40 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:12:07 ID:IH39jULO0
「私メリーさん、今ゴミ溜めにいるの」
「ふーん?」
「もっとはっきり言えば、あなたの後ろにいるの」
「ゴミ溜めでゴメンなさい…」
41 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:12:22 ID:IH39jULO0
メリー「わたしメリーさん。今――」
ゴルゴ「……どうした」
メリー「夜空がとても綺麗なの!」
42 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:13:08 ID:IH39jULO0
メリー「私、メリーさん。今あなたの後ろに居るの。」
?「そう。……じゃあとりあえず死んでくれる?」
メリー「久しぶりなの。アリスちゃん。」
アリス「久しぶりね、メリーちゃん。」
?「久しぶり〜」
メリー「あ、リカちゃん。」
アリス「久しぶり。真ん中の足変えたかしら?」
リカ「久しぶり!うん、前の三本目の足古くなっちゃったから。」
?「あら、皆もう来てたの?」
メリー「口裂けお姉ちゃんなの!」
43 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:13:12 ID:IH39jULO0
リカ「久しぶりー」
口裂け「貴女は昨日も会ったでしょ。仕事場近いし。ところで、私綺麗?」
アリス「……いちいち答えるの面倒だから死んでくれる?」
口裂け「貴女もこの鎌の錆になりたいのかしら?」
メリー「皆仲良くしようなの!」
リカ「うんうん。」
アリス「……わかったわよ。」
口裂け「よし、じゃあパーっとやりましょう!」
メリー「うんなの!」
リカ「カンパーイ!」
アリス「……早いわよ。死んで欲しいわ。」
リカ「ごめんごめん。じゃあ、改めまして。」
一同「乾杯!」
〜妖怪学校同窓会にて〜
44 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:13:46 ID:IH39jULO0
小人「はい。コチラ、活け作りと挽き肉と抉り出しをお持ちしました〜」
赤マント「隣の席、さっきから五月蝿くね〜?」
ドッペルゲンガー「何処の居酒屋でもそんなモンだろ?」
コインロッカーベイビー「何でメリー達呼ばなかったの?」
だるま女「え〜!なに?もしかしてメリーの事好きなの〜?」
コインロッカーベイビー「あ、いや、そういうわけでは…////」
エンジェル様「お前(こっくりさん)が呼んどくって言ったのに何で呼んで無いんだよ!」
こっくりさん「お前(エンジェル様)が呼んどくって言って無いから呼んで無いんだよ!」
エンジェル様「なんだよ!お前が呼ばなかったから来ないんだろ」
こっくりさん「なんだよ!お前が呼べば来たかも知れなかっただろ」
エンジェル様「どうして俺があんな奴らを呼ばなくちゃいけないんだよ」
こっくりさん「どうしてあんな奴らが俺を呼んじゃいけないんだよ」
コインロッカーベイビー「だったら2人で一緒に呼べば良かったじゃないか」
こっくりさん、エンジェル様「「いいや、元々呼ぶ気無かったけどね」」
人面犬「ぺディグリーチャムうめぇ♪」
居酒屋「猿夢」より
45 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:14:05 ID:IH39jULO0
「私メリーさん、今あなたの後ろに居るの」
承太郎「俺の後ろに誰かが居るッ!最近とり憑かれたみたいなんだ」
46 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:14:19 ID:IH39jULO0
「わたしメリーさん、今あなたの後ろにいるの」
「そっちは前です、すいませんね、裏表分かりにくい体で」
47 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:14:37 ID:IH39jULO0
透明になる薬を手に入れたわ。ゴックン。
すごい、本当に消えて行くわ!
服を脱いだらカンペキよ。あら。さっそく着信。
『私メリーさん、今あなたの後ろにいるの』
ふふっ嘘ね。だって私は見えないんだから。
『私メリーさん、ファンデ落とさないと完璧には消えないの』
あらやだ本当。これじゃ顔だけ宙に浮いてるみたいだわ。
でもメリーさん、あなたはどこにいるの?
『私メリーさん、ずっと部屋の中にいたの』
48 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:14:50 ID:IH39jULO0
隙間女「ボク、隙間女って言われてるんだけど…、好きで隙間に入ってる訳じゃ無いんだ。」
隙間女「ビルとビルの隙間に500円が落ちてて、それを頑張って無理に取ろうとしたら…挟まっちゃったんだよ。それから全く出れなくなって……あっ、でも今は落ち着いてるから良いんだけどねwww」
隙間女「隙間男っていうのが居るらしいけど、あれはボクの事だよ。喋り方もだけど自分の事をいつも「ボク」って言ってるし、見た目も男の子って感じだから勘違いされちゃったのかな?w」
隙間女「好きなのは、ドンキとビレッジバンガードかな?ごみごみしてたり隙間沢山あるから。嫌いなのはゴキブリと鼠だね。隙間から急に現れて、人の体によじ登って来るんだ」
隙間女「メリーさんはボクの高校の先輩だよ。確か軽音学部で学園祭の時、V系のバンドのボーカルやってたんだ。今とは比べ物にならないよw」
メリーさん「ねえ、アンタさっきから誰に言ってるの?」
49 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:15:25 ID:IH39jULO0
「私メリーさん、ジョージソロスがポンド危機を引き起こした時、影の黒幕として背後に居たの」
50 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 11:15:39 ID:IH39jULO0
俺の名は目理 伊三。作者すら漢字変換が分からなくなってきたメリーさん刑事である。
なまじ当て字なんかするからそういうはめに陥るのだ。
まあそれはともかくとして、今俺は道路交通法に違反しているであろう相手と話している。
「お前ねえ、パトカーより早い速度なんか出しちゃいかんだろ。
そしたら俺も見逃すわけにはいかないから、な。
交通事故の凄惨さってのはお前が一番知ってるはずだろうが。
ほら、一応免許証出せ。……へえ、持ってるとは思わなかった。
ふうん、中々男前じゃねえか。……お前のとは確認できないけどな」
そう告げると、目の前の男はがっくりと肩を落とした。
「そうしょげるな。ああそうだ、今ウチんとこで白バイ隊員募集してるんだ。
何だったら、上司に相談してやるぞ?
緊急車両ならどんな速度出したって他人に迷惑かけない限り怒られないからな」
男はブンブンと俺の手を取って上下に動かす。どうやら嬉しいらしい。
「あーはいはい、分かった分かった。……あ。でもお前無線使えないか」
ぴたり、と男の動きが一瞬停止し、そのままなよなよと地面に崩れ落ちる。
「ええいちょっと待て、そういうのも連絡を取るから、な。とりあえず俺と来い」
数ヵ月後。都市伝説・妖怪対策本部こと警視庁第零課には、紆余曲折の末
首の無い新人白バイ隊員が所属することになった。
51 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 13:51:28 ID:yrkQavcQO
は
52 :
呪術師:2010/08/21(土) 13:57:09 ID:88KHKPkY0
拙者怒ったでござるよー。
術呪術が使えるようになっておりござらんかったら。
みんなころすでござるよー。
53 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 20:15:31 ID:yrkQavcQO
誰かまたウニ専用スレ作ってカスを隔離してくれ。
確かにウニちゃん専用あったらいいないいな。
55 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/21(土) 22:48:01 ID:IH39jULO0
ここのバカどもは検索すらできないのかよw
この中に糞以下のレスで前スレの容量無駄遣いした方はいらっしゃいますかー?
57 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:30:54 ID:z/1yEVVI0
マッドガッサー「私はマッドガッサー。昔、毒ガスを撒き散らし、死と恐怖を教える黒衣が似合うナイスガイと言われ、恐れられていた男だ」
「しかし、世の中は変わってしまい。毒ガスを何時でも撒ける様に所持していても、今では子供や大人達が平気で私に近寄って来るようになってしまった」
「でも…ギャラはイマイチだがバルーンアーティスト(パフォーマー)も悪くはないので、毒ガスを撒き散らすのはまた今度にしよう」
「全く本当にこの世の中は不思議だらけだ」
「(ところでメリーよ…。見た目では分からないが、子供達に混ざって、私から風船を欲しがるのは止めた方がいい。自分の年齢を考えろ)」
マッドガッサー CV,谷口節
58 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:31:06 ID:z/1yEVVI0
マッドガッサー「(前回、メリーだけに風船をやらないのは色々と不味いと思い、メリーには風船で可愛いお花を作ってやり、それをプレゼントしてあげた)」
「(勿論。メリーは喜んで満面の笑みで去って行った。あの時の顔は今でも忘れていない)」
「しかし!その時から1週間、私の頭の中にはずっとメリーがくっついて離れない。芸をやっている時でも、寝ている時でも、例え何をしていてもメリーの事ばかり考えてしまう。最近では、メリーが幻覚で現れて見える様になってしまった」
「今までこんな事一切無かった筈なのに……食欲も出なくなって…はぁ」
59 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:31:19 ID:z/1yEVVI0
マッドガッサー「食欲も無くなってから3日になる。芸にも影響が出てきた。何時もの簡単な事が出来ない…。」
「(観てくれているお客さん達が皆メリーに見える…。細長いメリー、太ったメリー、犬のメリー、小汚いメリー、セレブそうなメリー……。その観客の中に本物のメリーを見付けた)」
「(沢山のメリーの中に本物のメリーが私をずっと見つめていてくれた…。私にニッコリと微笑んでくれた。メリーが天使に見えてしまう。いや、天使と言って良いだろう)」
「(しかし、私は見付けてはイケない物を見てしまった…。最悪な物を。)」
「(メリーの左手薬指に…指輪があった事を今更知ってしまった…。私の今までの人生の中で一番知ってはイケない事を知ってしまった)」
「(気づいた時には完全に手が止まっており、氷漬けにされたかの様に体が固まってしまっていた。曲が終わるまで、ただただ流れていく)」
「(体が動く時には、丁度曲が流れ終わっていて時お客さんは私に沢山の拍手とギャラをくれた。何時もより遥かに多いギャラだった。お客さん達は、風船だけでは無くパントマイムもやっていたと思っていたらしい)」
「(メリーが居た所を向いて見たが、もう居なかった。何処を見てもメリー擬きしか居ない。幻覚が更に酷くなってきている…。観ている世界も、頭の中の世界もメリーで埋め尽くされている)」
60 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:31:44 ID:z/1yEVVI0
「へえ、あんたがアタシの後釜ねえ。目理から話は聞いてるよ」
ぷかぷかとタバコをふかしながら、あたしは目の前に立つ男を見やる。
体格、特に筋肉のつき方は悪くなさそうだ。
傍らの愛車も中々いい手入れがされている。
最近貼られたらしい『警視庁』のステッカーも眩しい。
だが……よく見れば、ステッカーの横には(仮)と書かれている。
「その(仮)、取りたいんだろ? 条件は聞いてるね」
男は手帳を取り出した。はい、と書かれた部分を指で示す。
「成る程。まあ伊達や酔狂で都市伝説をやってるわけじゃないんだ。
あんたの覚悟、見せてもらうよ」
その言葉を聞くと、男はバイクにまたがった。
「アタシを追い越したら、あんたの勝ちだ」
煙草の吸殻を地面に落とし、つま先で踏みにじる。
目理からは、肺を壊すからやめろ、といわれたのだがこれ位で壊れるほど、
アタシの肺はやわなものではない。
着物の裾を揃え、少し白髪の混じりだした髪を整える。
「さあ、勝負(レース)だ。アタシに勝ったら、念願の白バイ隊員だよ、坊や!」
アタシの名は、鬼路 百代(きろ ももよ)。
元第零課所属の交通機動隊員だった女。
とはいっても、アタシにはいかなる乗り物も必要ない。
アタシに必要なのは……時速100キロを出せる、この脚だけ。
……『100キロババア』だなんて言う奴は、この脚で蹴り飛ばすよ!
前任者が100キロババアとか言うから夢が広がりんぐしちゃったじゃないか!!
ババア俺だ結婚してくr(キィーッドーン)
ぐふっ!
61 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:32:11 ID:z/1yEVVI0
「私メリーさん、助けてほしいの」
「どうしたんですか」
「今チェーンメールがきたの」
「別に怖くないでしょ」
「そうじゃなくて、メール送ろうとしたら、アドレス帳に誰も入っていなかったの…」
チーンがチェーンに見えただけですすいません
62 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:32:28 ID:z/1yEVVI0
メリーさん「バンドも良いけど、探偵もあり…か?」
メリー「とうとう見付けたの。カシマ二十面相」
カシマ二十面相「フフフ、捕まえられるものなら捕まえて御覧。メリー君」
メリー「アリかも…」
63 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:32:46 ID:z/1yEVVI0
「今日の質問なの。
>>736さんからのお便りで『メリーさんは誰にでも
電話をかけられるって事は、ありとあらゆる電話番号を知ってるのでは?』なの」
「実際のトコさ、ドウなのヨ? くねくねしなガらキクけどさ」
「考えるな、感じろ……なの」
「ワケわかんナインだけド?」
「かけなきゃいけない人には、自然にかかるの。番号わからなくても
OKなの。だから……ふう、なの」
「ソンナわけで、メリーの携帯はアドレス空っポなのネ」
「……うぅ……なの」
64 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:33:00 ID:z/1yEVVI0
「私がかける電話は普通の電話じゃないから非通知拒否なんて無意味」
「なんでそんな事をいきなり説明してるんですか?」
「世界のどこかで番号通知されると思っている人がいたから」
「俺じゃなくてその人に説明してやれよ」
65 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:33:13 ID:z/1yEVVI0
「わたしメリーさん、今海外にいるの」
「わたしメリーさん、今空港にいるのげほっ」
「わたしメリーさん、今飛行機にごほっ、乗ったのごほごほ」
「わたしメリーさん、今帰国したのげほごほ……頭が痛いわ」
「わたしメリーさん、熱があるって空港でとめられたのごほごほごほ」
「わたしメリーさん、拒否してダッシュで空港から逃げたの……げほげほ、
今、あなたの後ろにいるの……うう、気持ちが悪いわ、げほごほごほ……」
66 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:33:29 ID:z/1yEVVI0
「私、メリーさゴホッ!」
「何電話かけてきてるんですか。寝てて下さいって言ったでしょ!?」
「でも電話の時間だかゴホッ!らっ…ズズズ」
「あーもー…ちゃんと寝てないと治りませんよ」
「うん…今から寝るゴホッ!ゴホッ!帰りに今週のジャンプ買ってきてほしいの」
「マンガ読んでないで寝てください」
67 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:33:42 ID:z/1yEVVI0
「また断ってましたよ」
「全く、海外渡航経験のない人にまで、過敏すぎるんですよねー」
「そうですよね。普通に考えて大丈夫でしょうに」
「ですよねー」
「あ、メリーさんですよ」
「風邪ひいたんですかねー? マスクしてますよー」
「また断られたりしちゃうんでしょうか……」
「ふむふむ、なになにー」
「どうです?」
「先日、何かポンチョとか着てたっぽい外人さんの後ろに
出た事があって、その場所がどこかはわかんないの、って
言ってますねー」
「……」
「……」
「やばくないですか?」
「……ま、うちらには関係ないですよー」
「そうですね。私なんか半分中身見えてますからね!」
「私もホルマリンに漬かってますしー!」
『はっはっはっは』
――とある医院での、人体模型とホルマリン漬け蛙の会話である。
68 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:34:32 ID:z/1yEVVI0
―このように、メキシコでの豚インフルエンザの死者は増え続けています。
次のニュースです。
「…」
「私、メリーさん…今あなたの後ろにいるの…」
「ダメですよ寝てなきゃ。
ご飯、もうちょっとでできますからね」
「今すぐ謝っておきたいの…」
「なんです?急に…」
「もし私が豚インフルエンザにかかってたら…
きっともううつしてるの」
「毎日一緒ですからね」
「…あなたもきっと気分悪いのに、看病してもらってごめんなさいなの…」
「…」
69 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:34:42 ID:z/1yEVVI0
「あ、あと…旅行先で知らない男の人の後ろに出ちゃって…
ぐすっ…きっと…あぁのせいでっ…ぐすっ」
「ふふっ よしよし…
そんなことで、怒ったりしませんよ
だから、泣かないで」
「…ぐすっ」
「心配しなくても、豚フルすぐ治るみたいですから、大丈夫ですよ」
「…ありがとうなの…」
ふらっ
「!」
がばっ!
「メ、メリーさん!?
大丈夫ですか!?し…しっかりして!」
「…そ、そんな…
やめてくださいよ悪い冗談は…
昨日まであんなに…元気だったじゃないですかぁ…
うっうっ…うぅぅっ…」
「私、メリーさん…」
「! 気がついた! よ、よかった…!うぅっ…」
「今あなたの腕の中にいるの」
70 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:34:56 ID:z/1yEVVI0
「私、メリーさん 最近暑くなって寝苦しいの」
「まだ5月なのに暑いよねー」
「だから、エアコンが欲しいの」
「ええー…そんな金無いんだけど…」
「今すぐ欲しいの 買ってくれなきゃバイト先まで後ろに着いていくの」
「じゃあまず携帯の通話料どうにかしてよ」
「うっ…これは…ダメなの」
「毎月1万もかけなくてもいいだろ」
「だって…仕事なの…」
「だってじゃない。払ってんの俺やないか。」
「うち半分くらいはあなたにかけてるの。 愛のメッセージなの キャッ///」
「可愛くしてもダメ。」
「…私可哀相なメリーさん…今冷たい人にいじめられてるの…」
「ん? それ誰にかけてんの?」
「あなたのお母さん」
「ちょw」
71 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:35:12 ID:z/1yEVVI0
「うん、うん、うん、グスッ…そうなの」
(半笑いで泣き演技してやがる…パねぇ)
「うん、代わるの。」
「…もしもし」
「…もしもしたっくん!?」
「たっくんはやめーやw」
「なんしょーんの!あんな可愛い子泣かせてからに!」
「いや俺悪ないし…」
「女の子は大事にせんといかんので!
あそうそう今度の休み帰ってきんさいや、二人で」
「えぇー…うん…ええけど…」
「楽しみにしちゅうけんね!切るよ!」
ガチャッ ツーツーツー
「今度の休み、うち帰ってこいってさ」
「そう、嬉しいの♪」
「へあ、なんで?」
「たっくんの実家に居るととってもくつろげるの」
「たっくんw まぁうちの母さんと仲いいもんな」
「それもあるけど、普通にしてなきゃいけないから
わざわざ携帯でお話しなくてすむの」
「めんどいならやめろよw」
72 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:35:41 ID:z/1yEVVI0
マッドガッサー「……メリー…私のメリー……」
私は自分が住んでいるアパートの向かい側にあるマンションの屋上に来ていた。メリーが私を手招きしている。奥へ奥へ…と。
私は金網をよじ登り一歩歩く二歩目歩くと地面が無い。でもメリーは私を手招きする。手招きから抱き着いて来てと両腕を広げ、ポーズを変える。でもメリーの立っている所は地面が無い。でも私は関係無かった。一瞬でも良いから一緒になりたかった。
そして私はメリーに飛び付き両腕で確り抱き締めたと思いきや、メリーは私が見ていた幻覚であり、メリーはBYE-BYEと私に手を振る。
そして、幻想のメリーはスッと消えた。
私はそのまま真っ逆さまに頭から20階19、18、17、16、15、14、13………1…頭が地面に付くホンの一瞬、「!」
そこのマンションに住んでいたメリーと目が合いニヤリと三日月を逆さまにした感じの形の口を見せ、逆さまの私に笑みを魅せた。
………
……
…
BADEND
73 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:35:57 ID:z/1yEVVI0
俺の名は目理伊三。今日は自殺未遂を起こした男に事情を聞いている。
「……まあ、なんだ、あんたもご愁傷様だな」
何でも、好きになった『メリーさん』が既婚者だったのが相当ショックだったらしい。
念のために聞いてみたが、俺のおふくろではなかった。よかった。
「で、これからどうするんだい、マッドガッサーさんよ」
「……分からない……」
ボロボロになった男は、がっくりと肩を落としている。
都市伝説が、ビルの屋上から落っこちたくらいで死にゃしないのが、逆に辛かったようだ。
「あーまあ、俺が言うのも何だけどな。女なんて星の数ほどいるんだ。
あきらめて、次の相手を探せばいいさ」
「だが、私のメリーは彼女だけだった」
「……大丈夫、メリーさんも星の数だけいる」
ぽんぽん、と俺は彼の肩を叩いた。
実際、俺以外のメリーさんにも既に何度か遭遇したことがある。
ああ、そういやあ子供が好きでボランティアをやってるメリーさんもいたっけか。
俺は携帯を取り出して、アドレスを確認する。
フォルダは三つ程、『メリーさん』で埋まっている。
俺の名は目理伊三。案外交友関係が広いメリーさんである。
メリーさんネットワークは、世界各地に広がっている。
74 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/22(日) 10:36:20 ID:z/1yEVVI0
「私メリーさん」
「いいえ、メリーさんなのは私です!」
「いや、私だ」
「メリーさんなのは……俺ダァー!」
「メリーさんなのか!」
「ああ、後ろにいるからな」
「メリーさんじゃあ、仕方ないな( ´∀`)」
・・・やってみたかっただけとです。
>自称メリーシリーズ
スルーしてたけど容量的に実害が出てきたので通報しときますね
言い訳は聞きません
判断は運営に任せましょう
黙って通報しとけ。喜ぶだけ。
普通にメリーさんシリーズ楽しめてる俺は異端なのか?
メリーさんは構わんが、容量オーバーはちょっとなぁ・・・
通報いたしかたあるまい・・・
メリーさんシリーズ楽しいんだけどな
この調子で行けばまた容量オーバーになりかねんし
せめて週1で1レスだけとかならなあ
そもそも容量オーバーする意味が分からん
他の書き手だって長文ばかりでしょう?
投稿間隔が長いだけで、メリーシリーズと基本的には変わらないはず
短い間隔で投稿するとオーバーする仕組みなの?
その投稿間隔に感想や雑談が挟まってスレが正常終了するんじゃないの
メリーさんにはレスもつかないから長文が延々連投されることになる
>>81 そういう意味じゃないと思うんだ
物理的な問題というかな。システム側から見たら荒らしの長文とちゃんとした作家の投稿の区別つかないだろ?
前々スレだって容量的には変わらないはずだよ
>>82 システムでは内容による区別はしてない。
単純にスレに書き込まれた容量が500KBを超えたかどうかで判断してるだけ。
ただメリーさんが大量に投下されることで本来よりも早くスレが落ちていることは確かだから
スレ住人が運営に報告して埋め立て荒らしだと判断されればアク禁にされる。
久しぶりに来てたからわからんかったけど、
あの既存の話をばんばん投下してたのと同じ奴だったのか
自演もあるだろうがメリーさんが楽しいとか書いちゃってる人は目を覚ましてね
まともな作品が投下された後の狂おしいまでの連投を見ていると
荒らし君の妬み・僻みが良く伝わってきます
ま
ごめん変なとこで送信した
まともって…創作長編連載2本と空気読まずに実話臭いの書いてる奴位しか…
このスレ自体が既になんか微妙だよね…
昔は色んな人いて活気あったけど
>>89 少なくても「まとも」な作品だろ
今はその貴重な作品まで減らしかねない荒らし行為が叩かれてるんだよ
内容の面白さや出来はともかく、自分で一所懸命書いて投稿してるなら、やってることは『まとも』。
内容が良いとしても、ググればすぐ読めるような他者の創作物を自分が勝手にシリーズ物とうたって
引くほど異常な量を連投するのは、よほど性格が悪いか、冗談抜きで頭おかしくなってる人ぐらいだな。
>>86 俺は面白ければOK派なんだけど、目を覚ませとかおせっかいはやめてね
>>93 おせっかいって…誰もお前のこと思って言ってるわけじゃないだろうが
皆に迷惑がかかる事態を助長しかねんから目を覚ましてくれっつってんだろ?
>>86は
面白ければOKなら、すべて既存の話なんだから自分で探して読んでくれ
いやいや、dat落ちしてるスレの話はそうそう読めないだろ
●買うか、誰かがサルベージしてくれなきゃ読めないんだからありがたく思ってる人もいるんだよ
ここにコピペされたメリーさんの話がここ以外で読めるところあるの?
ググればすぐ読める、なんて無責任なこと言ってるけど
ウニさん来てた
相手は京介さんかな、702に住んでる
「まだいいか」とつぶやいたシーンってタリスマンのことかな
>>95 よくわかった、お前は何もわかってない
とりあえず迷惑行為を助長してるという自覚は持てな
>>95 >>97 にもあるように、まさにググればすぐ読める訳だが?
「創作 メリーさん」とでもググれば、他スレからのコピペだと分かる。
探しもしないで、無責任なこと言ってとか煽って…本人乙って言えばいいのかね。
あ、あったのね。
すまんすまん
まあ荒らし本人よりはずいぶんいいよ。どんまい
自分で改変してるかと思ったらコピペなのか
荒らし以外の何物でもないな
作者にレスがつくのが悔しくて仕方ない
↓
でも自分では何も書けない
↓
コピペをシリーズものと謳って連投
いつまで煽ってんだよ
週末のウニ降臨待ち
>>1ウニ枯野まとめて乙!
メリー荒らしはメリーさんにごめんなさいして首吊って死ね。
>>84 動かぬ証拠ですねw
グッジョブ!
通報されてない件
ひょっとしたらコピペが治まるかもと思ってあえて黙ってたのにw
一応はいつでも報告できるように前スレの分からまとめてみたけど1人で200レスくらいしてるのな
dat落ちしたスレのレスは提示してもスルーされるよ
メリーさんてあれ、全部コピペだったのかorz
こんなに書くなんて凄いなぁ…とか普通に思ってた
ウニ待ち
カニ来い
海老来い
イサキ!イサキは⁈
汗ダルマで待機中
明日かな
ウニのバカ!
もぉねゆ!
ウニさん待ち
119 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/29(日) 13:52:44 ID:9fyn2U7Z0
期待age
死ねよウニ
土曜にまた来週って言ってるからな
師匠から聞いた話だ。
大学二回生の春だった。
休日の昼間に僕と加奈子さんはとある集会所に来ていた。平屋のさほど大きくない建物だ。
バイト先の調査事務所の所長から話を聞きにいくように指示されただけで、なんの準備もなしに渡された地図を頼りにやって来たのだった。
迎えてくれたのは五十年配の女性。玄関から入ってすぐの襖を開けると十畳ほどの日本間があり、そこへ通された。
地区の寄り合いに利用される集会所で、鎌田さんというその女性はそこの鍵を管理しているらしい。その鎌田さんのご主人が地区長をしていて、また彼女自身、地区の婦人会の会長とのことだった。その土地の名主的な家柄ということだろう。
鎌田さんがほっそりした顔に困惑げな表情を浮かべて切り出したのは、その集会所にまつわるお化けの話だった。
「気持ちの悪い声、ですか」
「ええ」
加奈子さんの言葉に頷きながら、彼女は気味悪そうに視線を部屋の中に彷徨わせる。
思わずその視線を追いかけるが、なにも変わったものは見つからなかった。
話を聞くに、かなり以前からこの集会所の中で誰のものとも知れない声がどこからともなく聞こえてくることがあったそうだ。
昼のさなかであればこそ、夜の集会所ともなれば人ごこちのしない不気味さで、ましてたった一人居残って片付け物をしている時に、誰もいないはずの部屋の中から声がするともなればその恐ろしさいかばかりか、ということらしい。
昔から密かにささやかれていた噂話だったのが、このところのオカルトブームのせいか地区の子どもたちの間でその噂が一人歩きしはじめ、「お化けの声に話しかけられたら返事をしないと殺される」だの、
逆に「返事をしてしまうと床下に引きずり込まれる」だのといった恐ろしげな怪談になってしまい、子ども同士で物陰に隠れて脅かしあいをするのが流行り、気の弱い子が気絶して救急車を呼ぶような騒ぎも起こってしまったとのことだった。
「お寺や神職にお払いをしてもらわなかったんですか」
加奈子さんがそう問うと、鎌田さんは答えにくそうに「あ、ええ」と曖昧な返事をした。
その様子から僕は『お払いをしてもらっても、怪異が終わらなかった』という裏を読み取った。たぶん加奈子さんもそう思っただろう。
そうでもなければ、こんな話が小さな興信所に持ち込まれるわけはない。たとえ『お化け』がらみの依頼をいくつも解決し、業界内では多少名の知れた看板娘がいるにしてもだ。
「その噂はいつごろからあるんです」
「さあ……二十年、いえ、二十五年くらい前だったか、この集会所は一度建て替えをしてまして、その前からあったかどうか」
そう言って鎌田さんは首を捻った。
ということは、はっきり分からないくらい昔からある噂ということか。
「あなた自身はその声を聞いたことがありますか」
ハッと表情を硬くして鎌田さんは曖昧に頷く。
「声だけなんですか。姿を見たという人は?」
「私は……見たことはございませんけれど」
言いよどむ。
見た、という噂は歩いている。そう受け取った。しかし『気持ちの悪い声が聞こえる』という噂がメインであることは間違いないようなので、『なにかを見た』という噂の方は信憑性がさらに低い。
「少し、見させてください」
加奈子さんは立ち上がり、周囲を軽く見回しただけで襖に手を掛けた。
日本間から出ると、真剣な表情で集会所の中を一通り見て回る。もう一回り小さい部屋に、トイレ、台所。祭りで使うような提灯や小道具でいっぱいの物置。
二階もなく、あっという間にもう見るべき場所はなくなってしまった。
ついて回っているあいだ、僕も何か違和感がないかとアンテナを張っていたが、特に感じるものはなかった。
しかし加奈子さんは僕より遥かにそういう違和感を感じ取る能力が高い。畏敬を込めて師匠と呼ぶほどにだ。
その師匠が、難しい顔をして廊下の天井を睨んでいる。一緒にそちらを見上げるが、木目が波打っているだけで何も変なところはない。
どうしました。と言おうとして、手で制された。
「何か聞こえる気がするんだけど、なんとも言えないな」
思わず耳を澄ます。しかし何も聞こえない。
師匠が神経を集中し始めたのが分かる。表情が無くなり、身動きをしなくなる。僕は固唾を飲んでそれを見守る。鎌田さんが後ろで気味悪そうに佇んでいる。
師匠の気配が揺らぐ。ゆらゆらと、まるでそこから消えて行きそうな錯覚。
僕は怖くなって彼女を現実に戻すために肩を叩こうかと逡巡した。
「わかんない」
ふいに彼女が戻ってくる。その声に僕は少しほっとする。
結局怪異に遭遇したという体験談が多い夜まで様子を見ることになった。鎌田さんは半信半疑というか、困ったような顔のまま僕らに鍵を預け、よろしくお願いしますと言いおいて立ち去った。
昼の三時過ぎだった。
今日はこの集会所を使うような予定も特にないらしく、僕と師匠はひっそりとした室内に腰を据えた。
探索もしたばかりだったのでとりあえずすることもなく、玄関からすぐの日本間で古い型のテレビをつけてさほど面白くもない旅番組を見ていた。
「気持ちの悪い声って、なんなんでしょうね」
ぼそりと口にした僕に、座布団を数枚並べてその上に寝転がっていた師匠が顔を上げる。
「お化けだといいな」
お化けだといいですね。
賛同しつつも、自分たち以外のなんの気配も感じないことに疑惑を抱いていた。異常に霊感の強い師匠でさえ、「なんとも言えない」と言っているのだ。
もし何らかの霊的存在が巣食っていたとしても、微弱で矮小なやつに違いない。
噂にあるように「話しかけられたら返事をしないと殺される」だとか、「返事をしてしまうと床下に引きずり込まれる」といった素晴らしい体験は間違いなくできないだろう。
溜め息をついて僕はトイレに立った。
廊下に出る時、ギィ、と床が鳴いて無駄に広い集会所の壁や天井に反響した。防音構造になっているのか、外の音があまり中まで響いてこない。
なるほど、これで中の音がやけに大きく聞こえて、ちょっとした物音でも気になってしまうのか。
トイレから戻り、またテレビの前に寝そべる。
時間だけが過ぎていく。チッチッチッチ…… という壁にかかった時計の音が、テレビが静かになる瞬間にだけやけに大きく響く。
鎌田さんから食べていいと言われていた台所の柏餅を日本間に持ち込んで、自分で淹れたお茶と一緒に口にする。
「うまいな」
うまいですね。
やがて夕暮れがやってきて、小さな窓からも光が失われていく。
知らぬ間にうとうとしていた。
師匠がなにか言った気がした。
畳の跡が頬に張り付き、剥がす時にヒリリとする。半覚醒の頭で、言葉を認識しようとする。
ああ、そうか。
もういいかい。
そう言われたのだ。
身体を起こすと、周囲を見渡す。師匠がテレビの前でうつ伏せになったまま死んだように寝ている。
あれ? 師匠じゃなかったのか。
じゃあ、一体誰が。
そう思った瞬間、もう一度聞こえた。今度ははっきりと。
『もういいかい』
立ち上がって身構える。どこから聞こえた?
分からなかった。ただ、その言葉の余韻が室内から廊下に向けて動き、襖を通り抜けていったのを感じた。
この日本間には僕と師匠しかいない。はずだ。
これか。噂は。
緊張して襖に手をかける。そろそろとずらして、首だけで覗き込む。廊下はすでに暗く、ひっそりと静まり返っている。闇の戸張りの向こうに人の気配はまったく感じない。だからこそ異様な空気がひしひしと伝わってくる。
僕はそっと襖を閉め、室内を振り返る。
師匠はまだ寝ている。膝をついて揺り起こす。
もぞもぞと動いていたが、めんどくさそうな声で「お化け以外見たくない」と呟いたのが聞こえた。
「見えないから問題なんですよ」
僕は白いストレッチパンツのお尻の部分を遠慮なく叩いた。
「ッてぇな!」
師匠が乱暴な口調で起き上がったその瞬間だった。
『もういいかい』
どこからともなくそんな問いかけが降ってきた。思わず二人とも動きが硬直する。視線だけを走らせて室内を観察するが、なにも目に見える異常はない。
なんだ? これからなにが起こる?
ドッドッドッ、という心臓の音を聞きながら考える。
噂ではなんと言っていた? 返事だ。返事はするのが正解か、しないのが正解か。もういいかい、に対してする返事は……
「師匠」
横目で見ると、「黙ってろ」という一言。
緊張しながらもじっとしていると、また得体の知れないその声の余韻が空中に糸を引いたようにすうっ、と動き、今度はテレビのある壁の向こうに消えていった。
壁の向こうは外のはずだ。
はぁっ、と息を吐き、初めて自分が息を止めていたことに気づく。
師匠は間を置かずに走り出した。
廊下に出て、電気を点けて回る。トイレや台所、物置ともう一つの小部屋。すべて一通り探索したが、自分たち以外の第三者はどこにも潜んではいなかった。
玄関に戻ってきてドアを見ると、自分たちで施錠した時のままだった。
腕時計を見ると夜の八時過ぎ。ほんの少しうとうとしたつもりだったのに、こんなに時間が経っている。
「さっきのはなんでしょう」
恐る恐る訊く僕に、師匠はかぶりを振った。
「言葉は発していたが、人間的なものを感じなかった。普通の霊とは違う気がする。かと言って物霊とも……」
僕は『もういいかい』というさっきの言葉の声色を思い出そうとする。
男か、女か。そして若いのか、年寄りなのか。
しかし、駄目だった。空気を振動させて伝わった音ならば記憶の中に確実に残っているはずだが、あの声は直接脳に響いたとでも言うのか、まったく勝手が違った。まるで幻聴を思い出そうとするように、捕らえどころのない感じ。
余計な情報が刻一刻と揮発し、『もういいかい』という言葉の意味だけが純粋に脳裏に刻印されていく。
最後に壁の向こうに余韻が消えていったような気がしたことを思い出し、玄関の扉に目を向ける。
師匠も頷いて玄関の段差を降り、靴に足を入れた。
扉を開けて外に出ると、明るさに慣れた目に、夜の空気がどろどろと黒い幕となってまとわりついてきた。
古い家の並ぶ閑静な住宅街の一角にある集会所の敷地は広く、玄関から表の道路まで少し距離があった。
その間の砂利道を歩いてくる黒い人影に気づいた。
「どうかされましたか」
怪訝そうな表情が敷地の隅の街灯の明かりに照らし出される。鎌田さんが両手にお盆を抱えて立っていた。
ホッとして、「ええ、それが」と言いかけるのを師匠が制した。
「ちょっと訊きたいことがありますが、いいですか」
「え、ええ、はい」
鎌田さんは玄関の扉を開けてお盆を置いた。ラップに包まれたお握りが六つと惣菜らしいタッパーがのっていた。夜食を持ってきてくれたようだ。
「姿を見た、という人はいないんですね」
「え、ああ、噂ですか。そうですね、あんまり。声がすると。みんな」
「あなたは聞いたことが?」
「……気のせいかも知れませんが」
「もういいかい」
師匠の言葉に鎌田さんは肩をビクリとさせる。
やはり。
「噂では、返事をするとどうだとか、しないとどうだとか言っていましたが、実際に」
そこまで言った時、また聞こえた。
『もういいかい』という声が、どこからともなく、そしてどこへともなく。
だが、今度はその声と同時になにか別の気配が高まるのを感じた。それはほんのわずかな違和感だったが、僕の首筋をひやりと撫でて、師匠を一瞬で反応させた。
玄関から飛び出して走り出す。
集会所の壁伝いに左側へ回り込む。自転車が何台か置き捨てられている場所を膨らみながらかわし、玄関正面から見て敷地の右奥へと向かう。
敷地の端の煉瓦塀のあたりは砂利だったが、集会所の側の地面はコンクリで舗装されている。その壁際にプロパンガスのボンベが二基立てられている。小さな窓に見覚えがあった。頭の中で集会所の間取りを思い浮かべる。ちょうど台所の裏手だ。
128 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/29(日) 21:41:24 ID:4lcIRpXy0
ウニさん!
支援!
師匠はその壁際の地面に両手をついて這いつくばる。這っている蟻を見つけようとするような格好だった。
しかしその目の焦点は遥か地面の下に向かっている。
「なにか、埋まっているな、ここに」
コンクリ舗装の地面を食い入るように見つめたまま、師匠は呟いた。僕は少し手前で立ち止まり固唾を飲んでその様子を眺める。
ようやく鎌田さんが追いついてきて、怯えたように「どうしましたか」と問いかけた。
師匠はその声が聞こえなかったかのようにひたすら地面を舐めるように見ていたが、やがて身体を起こし、「なにか、埋まっていますね、ここに」と言った。
僕はこちらの方角からなにか気配のようなものを感じ取っただけだったが、師匠は確実に場所まで特定したらしい。
「なにかと言いますと?」
「それが知りたいんですよ。この下はなんです? もしかして地下室かなにかがあるんじゃないですか」
鎌田さんは首を捻っていたが、そんなものはありませんと断言した。確かにそれもそうだろう。平屋のなんの変哲もない集会所に地下室など似つかわしくないし、中を探索した結果それらしき地下への出入り口はなかった。
小さな貯蔵庫の類もないということを付け加えられ、師匠は考え込む。
「じゃあ、浄化槽は?」
一瞬ハッとしたが、さっきトイレに行った時、普通に水洗式だったことを思い出す。いや、しかし水洗式でも下水ではなく浄化槽で汚物を溜めるということもあるのだろうか。
「浄化槽は……」
鎌田さんが答えようとした時に、表のほうから懐中電灯の光がゆらゆらと近づいてくるのが見えた。
「なんの騒ぎです」
近所の人だろうか。五十年配の痩せた男性が緊張したような面持ちでやってきた。後ろにはその奥さんらしい女性。
「ええと……」
鎌田さんがどう説明したものか迷っていると、かまわず師匠はその痩せた男に向かって「この下に浄化槽はありますか?」と訊いた。
男は怪訝な顔をしながらも、「ないよ」と即答した。「今は下水が通ったから」と続ける。
しえん
「だったら、下水が通る前は?」
「通る前?」
少し思い出すような表情を浮かべた後、男は表の方を指差した。
「浄化槽はあったけど、玄関の横だな」
そう言えばトイレは玄関から入ってすぐ左手にあった。浄化槽はその表側に埋まっていたのだろう。
師匠は考え込む。
ぶつぶつとなにか呟いている。
いつの間にか男の奥さんらしい女性が消えている。鎌田さんに向かってなにかジェスチャーをしていたので予感はあったが、しばらくすると数人の足音が聞こえてきた。
「この人が霊能者?」
そんな無遠慮な声が掛かった。小太りのおばさんが興味津々という感じに近寄ってくる。どうやら婦人会長の鎌田さんが独断でこっそり調査事務所に依頼したというわけでもないようだ。
師匠は露骨に嫌な顔をして、それでも増えた地元の人々に向かって再び問いかけた。
「この集会所の建て替えはいつの話ですか?」
鎌田さんにも訊いた質問だ。
何人かが顔を見合わせ、今年大学卒業のナントカ君が生まれた頃だという情報から、「二十二年前」という結論が出た。
「その建て替えの前から、気持ちの悪い声に関する噂はありましたか」
ざわざわする。
気味悪そうに、その中の一人が「あったと思う」と言った。
建て替えの前からあった?
では今の集会所の構造にこだわってはいけないということか。
「では建て替え前に、浄化槽はどこにありましたか」という師匠の問い掛けにはすぐに返答があった。
「トイレの位置は変わってないから、同じ玄関の横」
「だったら、そのさらに前でもいいですから、とにかくこの地下になにか埋まるような心当たりはありませんか」
ざわざわと相談に入る。
いつの間にかまた人が増えてきている。子どもの姿が表の方に見えたが、すぐに母親らしい女性に引っ張って行かれた。
なんだか大ごとになってきたな。
キターーーー!!!
ウニさん応援してます^^
僕は師匠の後ろに控えたまま、困ったような興奮してきたような複雑な気持ちで事態を見守っていた。
何度かのやりとりの結果、数十年前にこの集会所が出来る前には、この敷地は近所の工務店の資材置き場に使われていたということが分かった。
その頃、工務店を手伝っていたという初老の男性がたまたまその中にいて、「地下になにか埋めるようなことはなかったと思う」と言った。
実直そうな物言いではっきりそう告げられると、なんだかもう手詰まりな感じがしてしまったが、次の師匠の問い掛けで空気が一変した。
「その資材置き場の頃に、気持ちの悪い声の噂はありませんでしたか」
初老の男性は、目を剥いて驚きの表情を浮かべた。そして今、重要な事実に気づいたように絶句した。
「……あった」
ええっ? と周囲からも驚きの声が上がる。
「いや、言われて思い出したんだが、確かにあった。そうだ。ヨシミツさんも聞いたと言って怖がってた」
本人も今の噂と若き日の体験談が結びつくことにはじめて思い至ったようで、頬が紅潮していた。
「どんな声を聞いたんです」と師匠が畳み掛ける。
初老の男性は、「いや、自分は聞いたわけじゃないが」ともぐもぐ言ったあと、「夜、子どもが遊んでいるような声がする」という怪談じみた話が従業員たちの間に広がっていたことを話した。
なんだこれは。集会所の建て替えどころの話じゃない。いったいどこまで遡るんだ?
話の行く末にドキドキしていると、師匠がさらに畳み掛ける。
「資材置き場の前は、ここにはなにが?」
この問いにはなかなか即答できる人が現れなかった。やがておずおずと六十歳くらいの女性が手を挙げて、「松原さんの地所だったはずです」と言った。
その言葉に、「そう言えば」という声があがる。だが、直接当時を知る人は誰もいなかった。かなり古い話なのだろう。
「こりゃあ、うちの年寄りを連れてこにゃあ」と言って妙に嬉しそうにこの場を離れる人がいた。
師匠はもう一度地面に這いつくばり、コンクリの地面をコンコンと叩いたり撫でたりしながらなにかを感じ取ろうとするように目を閉じたり開いたりを繰り返していた。
やがて八十歳は超えていると思われる女性が息子に連れられてやってきた。夜の九時を回ろうかという時間に急に外へ連れ出されたにも関わらず、泰然自若として足取りも落ち着き払っていた。
師匠は身体を起こし、そのおばあさんに向かって訊いた。
「ここには松原さんという方の家があったんですか」
「ええ、ええ、ございました」
「戦前ですか」
「ええ、日中戦争の前に家を引き払いまして一家揃って隣町へ引っ越されました」
「ではまだ松原さんがここにおられた頃に、家を訪ねられたことは?」
おばあさんの丁寧な口調に自然と師匠の口調も改まっている。
「ございました。私と一つ違いのやよいさんというお姉さんがおりまして、よく一緒に遊んでおりましたので」
「その頃、今のこのあたりは松原家でいうとなにがあった場所でしょうか」
この問いには答えられず、小首を傾げた。
「地下室、もしくは防空壕のようなものは?」
続いての問いにも記憶が定かでないらしく、かぶりを振るだけだった。
「では……」
師匠が一瞬、舌なめずりをしたような気がした。
「このあたりに浄化槽、いや、便槽はありませんでしたか?」
おばあさんは、あ、という顔をした。
「当時はもちろんボットン便所でしたが、確か玄関からこちらに向かったところにあったような気がします」
「ここが大事なところなんですが、どうでしょう。その家で、誰かいなくなった人はいませんか?」
いなくなった?
最初は「亡くなった人はいませんか?」と訊いたのだと思った。しかし師匠は確かに「いなくなった人はいませんか?」と訊いたのだった。
行方不明になった人ということか。
おばあさんは、記憶を辿るように伏目がちに小さく頷いていたが、やがてほっそりした声で「ちえさん」と呟いた。
しえーん
そろそろ支援要る?
「やよいさんには、二つか三つ年下の妹さんがおりました。今はなんと申すのでしょうか。その……知恵遅れの子でした。いつもやよいさんの後ろをついてまわって、おねえちゃんおねえちゃんと、傍から見てもそれはそれは懐いておりました。
やよいさんも知恵遅れの妹を心配して、あれこれと世話をやいていたのを覚えております」
「いなくなったのは?」
「さあ、それが……」
おばあさんは困ったような顔をして、懸命に記憶を呼び覚まそうとしていたがどうやらはっきりと分からないらしかった。
分かったことと言えば、その松原ちえという女の子が恐らく十歳を過ぎた頃、ある日急に姿が見えなくなったということだった。
「どこかにもらわれて行ったか、どうかしたのだと思うのですが」
子ども心にも大した事件ではなかったということか。それとも姉のやよいさんと仲の良かった娘からすれば、その姉にべったりの妹はむしろお邪魔虫であり、ある日急にいなくなっても心配するようなことはなかったのだろうか。
「松原ちえ」
師匠はゆっくりと呟いてもう一度地面に這いつくばった。
コンクリに額をぴったりとつけて、目を閉じる。
「ちえ」
もう一度そう呟く。その瞬間、僕にも分かった。さっき、玄関で『もういいかい』と聞こえた時にこちらの方角から感じた気配のようなものが、足元からじわじわと湧き上がってくるのを。
足先が重くなっていく。ずぶずぶとコンクリの中に靴がめり込んで行くような錯覚を覚える。
「チャンネルが、合った」
ぼそりと師匠がそう言う。そして「おまえは?」と訊く。僕はかぶりを振る。師匠が言うのは、僕が今感じている程度の感覚ではないのだろうから。
這ったまま師匠の左手が差し出される。僕はそれを躊躇いがちに握る。
その瞬間、自分の視界に被るように別の視界が開けた。ノイズのようなものが走り、不鮮明だが、笑っている女の子が見えた。十代前半だろうか。着物を着ている。
その子が木の幹に向かって顔を伏せた。
なにか言っている。
数だ。数をかぞえている。
もういいかい
視界が動いた。木と女の子に背を向けて、走り出す。途中で茂みを掻き分けようとしていたが、諦めてまた走る。呼ぶ声。返事をする。家が映る。古い木造家屋。その縁側を回り込む。隣の家の垣根。そのそばに井戸。小さな離れのような建物が見え、木戸が風で揺れている。
また呼ぶ声。返事をする。視界がしゃがむ。木戸の傍に頑丈そうな板が地面に埋まっている。それを苦労しながら取り外す。中を覗き込む。暗い。
視界が振り返る。家と垣根の間、その向こうにはまだ人影は見えない。
地面に開いた穴に視界は滑り落ちていく。
臭気。
腰まで汚泥のようなものに浸かる。暗い。上を見ると、丸い穴から空が覗いている。
呼ぶ声。今度は小さな声で返事。見つからないように。
時間が過ぎる。
探す声。
やがて遠ざかる。
さらに時間が過ぎる。なんだか楽しい気分。
空から声。なんだ、危ないな。開いているじゃないか。
丸い穴から見下ろす男の顔。驚く。眉間に皺。
視界は半月になる。笑いかけているのだ。
ますます険しくなる男の顔。震える頬。短い時間の間に、複雑な変化をして、そして穴から離れる。
次に丸い空の穴から男が見えた時、その手には大きな石が握られていた。
打ち下ろされる手。
衝撃。赤く染まる視界。暗転……
ハッと我に返った。
師匠は左手を引きながら、見えたか、と訊いてくる。こんなことができるのは、最近知ったことだった。
僕よりも師匠の方が遥かに霊感が強く、師匠に見えて僕には見えないということが多々あったのだが、そんな時に師匠の身体のどこかに触れていると、どういう効果なのかほぼ同じレベルで見えてしまうことがあったのだ。
交霊術などで、参加者同士が手を繋ぐのと同じことなのだろうか。
周囲にざわざわした空気が戻ってくる。僕らを奇異の目で見つめる人々に師匠は向き直った。
「この下に、松原ちえさんが埋まっています」
剣呑な言葉に驚きの声が上がれば、「やっぱり」というような声も上がった。そして半分以上は疑わしげな声。
支援。
ウニさん待ってました
姉とかくれんぼをして遊んでいる最中に、便槽に隠れたちえさんと、偶然それを見つけてしまった父親。そしてどういう心理が働いたのか、衝動的に娘を石で打って殺してしまう。
それからは恐らくだが、便槽をコンクリかなにかでそのまま埋め立て、ちえさんはいなくなってしまったことになった。
訥々と語った師匠に、頷く人もいれば胡散臭そうな顔を隠さない人もいる。しかし当時の松原ちえを知るおばあちゃんは涙を浮かべて言葉を発せない状態になっていた。
「じゃあ、集会所で聞こえた気持ちの悪い声は、そのちえさんが?」
誰かが言った言葉に師匠はかぶりを振った。
「私たちが聞いたのは、もういいかい、という言葉でした。ちえさんは隠れる側でした。だから、ちえさんなら『まあだだよ』もしくは『もういいよ』と返すはずです」
そうだ。もういいかい、は探す側の言葉。探しているのは誰だ?
「やよいさんが……」
おばあさんがようやくそれだけを言った。ハンカチで涙を止めようと目元を赤くしている。
松原やよいが、ある日かくれんぼの最中に急にいなくなった妹を探して今も彷徨っているというのか。その魂だか思念だかで。
胡散臭げだった人々も、気味の悪い怪談から人情話になりそうなせいか、納得したような雰囲気になってきた。確かに現にそんな気持ちの悪い声の噂が広がっている以上、これは落とし処としては取っ付き易いのだろう。
しかし僕は、最初に師匠が言っていた「言葉は発していたが、人間的なものを感じなかった」という言葉が引っ掛かっていた。そこまで言うのであれば、単純な霊などではないはずだ。
俄然井戸端会議になってしまった場所で、それぞれの雑談の波を越えて師匠はまだ涙を拭いているおばあさんに話しかけた。
「すみません。あと一つだけ。隣町へ引っ越した後、やよいさんはどうされました」
「……結婚されてどこかへ行かれていたはずですが、二十年くらい前に旦那様と死に別れて隣町へ戻ってらっしゃいました。
その後は私ともまた往来がございまして親しくしておりましたが、確かあれは五、六年前だったかと思いますが、胸を悪くして入院先の病院で亡くなりました」
「五、六年前」
師匠はそう呟くと、違う、というように首を振った。
「オッカムの剃刀だ」と僕に耳打ちする。
支援
「いいか。声が聞こえるという噂は、やよいさんの存命中からあった。では生霊か? 生霊になってまで昔いなくなった妹を探していたというのであれば美談だが、本人は隣町に住んでいるんだ。
生身で来ればいいんだから、わざわざ生霊になる必要もない。では昔妹がいなくなったことを普段は忘れているかほとんど認識していないとして、夜眠っている時にだけそれを思い出し、魂が肉体から離れて隣町から探しに来ているのか。
そして五、六年前にやよいさんが死んだ後も、今度は死霊となって以前と変わらない現れ方で妹を探し続けてる?」
師匠の囁きを聞いているとなんだかややこしくなってきた。
「生霊から死霊へそのまま引き継がれる怪異なんて聞いたことがない。それ以外にもめんどくさい前提が多すぎる。オッカムの剃刀というのは哲学だか論理学だかの言葉でな、ある現象を同じ程度にうまく説明する仮説があるなら、
より単純な方がより良い仮説である、っていう金言だ。私なら、こう仮説するね。『もういいかい』と言って探しに来ているのは松原やよいではない」
それはただの反論で仮説ではないでしょう。
そう返そうと思ったが、ぞくりとする悪寒に口をつぐんだ。
では一体なにが松原ちえを探して集会所を彷徨っているというのか。
僕らを無視してざわざわと思い思いの会話をしている人々の中で、師匠はゆっくりと考えをまとめるようとするように呟く。
「子どもなんだ。かくれんぼをしていた子ども。探しにくるはずの鬼。なかなか見つけてくれない。わたしはここにいるのに。ここに。この地面に下に。そうか。遊び相手だ。遊び相手がいない子どもはどうする? 孤独の中で架空の遊び相手を作る。
イマジナリー・コンパニオンだ」
師匠の独り言を聞いて僕も思い当たった。イマジナリー・コンパニオンは幼児期に特有の空想上の友だちのことだ。
しかし。
本来それは本人にしか見えないし、知覚できないもののはずだ。
「いや、触媒があれば、混線するように他者が知覚することもありうる」
経験があるのか、師匠はそう断言する。
「触媒って……」
問い掛ける僕に、師匠は地面を指さす。「本人だ」
オッカムのカミソリ=草刈正雄
松原ちえの霊魂だか、残留思念だかを通して僕らにも彼女の架空の遊び相手の声が聞こえるというのか。この世にはいない、架空のかくれんぼの鬼の声が。
一体それはどんな姿をしているのだろう。
想像しかけた。
師匠の表情が変わる。「しまった」と口元が動く。
『もういいかい』
聞こえた。確かに聞こえた。またあの声が。
周囲を見たが、反応しているのは僕と師匠だけだった。みんなお喋りに夢中だ。しかし異常なものはなにも見つからない。
夜空や集会所の壁、台所の窓、プロパンのボンベ、そして地面を順番に見回すがなにも見つからない。
しかしゾクゾクと背筋の毛が逆立つ。なんだ。異様な気配。どこからともなく異様な気配を感じる。
まあだだよ、と言ってしまいたくなるのを必死で堪える。
師匠は脂汗を浮かべて目を剥いたまま俯いている。息が荒い。
「いま、わたしに、触るなよ」
それだけをようやく搾り出すように呟く。
口元が声にならない言葉を紡いでいた。僕はそれを読み取る。チャンネルが、あっちまった。と、そう言っている。
師匠には見えている。
胸が脈打つ。想像しまいとする。なにを想像したくないのか。もちろん、いないはずのかくれんぼの鬼。十歳そこそこの、知的障害を持つ少女が、父親に石で打ち殺された少女が、
そのまま地面の底に埋められた少女が、ずっと誰かがみつけてくれるのを待ち続けるその少女が、空想で創りあげた鬼。夜な夜な集会所を彷徨うなにか。
ああ、想像しまいとして、想像してしまう。思考が止まらない。
やがて、数分にも、数時間にも思える時間が過ぎ去り、硬直した肩を師匠が叩いた。
「もう消えた」
かくれんぼの鬼をやりすごすには、じっと息を殺して耐えるしかないということを今さら思い出す。
師匠の顔色は蒼白になっている。一体どんな恐ろしいものを見たのか。
最後にまた来週で終わるのを希望
ウニさん♪
顔を上げた師匠は慌しく、そこに集まった人々に向かって「今日はもう解散してください」と言った。
そして明日以降、なるべく早くこの下を掘り起こして遺体を見つけ、丁寧に弔ってあげてくださいと。
集まった人々がガヤガヤとそれでもなんとか全員帰ってくれた頃には夜の十時を過ぎていた。最後に残った鎌田さんに師匠は言った。
「もしこの下から遺体が出てきても、警察には私のことは言わないで下さい。地区で井戸を掘ろうとしたとか、なにか適当なことを言って上手く誤魔化して下さい」
「はあ」
反応が鈍い鎌田さんに念押しをする。大事な所だ。警察に目をつけられるとやりにくくてかなわない。今回のケースは古い話なのでまだいいが、彼らは犯人しか知りえないことを知っている者はとりあえず犯人と見做して対応するものだから。
「それから……」
師匠は少し言いよどんでから、「できたら」と続けた。
「みいつけた、と言ってあげて下さい」
鍵を返しながら、軽く頭を下げた。
ウニ乙!
お疲れさまです。
これから拝読します〜
乙でした
ウニさん乙でしたノシ
「メリー、ちょい起きてー」
「スースー…」
「っしゃーねーな…」
プルルルル プルルルル
「うんっ…ん…おはよう…」
「これから仕事行ってくるけど、今日遅くなりそうなんだ」
「はいはい…行ってらっしゃい…zzz…」
「ン、そゆことで適当にご飯食べといて」
「え…何時頃帰るの?」
「うーん、夜勤もありそうだからたぶん朝帰りになるな」
「そんなに長い間一人は寂しいの…」
「我慢してくれよ、そういつもじゃないんだから」
「じゃあ、これ持ってって」
「携帯の充電池?」
「9時過ぎたら2分おきにかけるから、その為なの」
「かけすぎww」
「だってメリー、寂しいと死んじゃうの…」
「死なない死なないw
ウサギのアレも嘘だしな、都市伝説ってやつ?違うかw」
「たっくんには夢がないの…」
「金もねぇしなww
ま、帰れそうになったら電話かけるから、もう行くな」
バタン
「私メリーさん、電話…待ってるの…」
「はぁー…やっと仕事オワタ…忙しすぎだろ…
…そういや電話する暇なかったけど…怒ってるかな、あいつ」
カチッ
「携帯見る暇もなかったな…」
着信 41
9:30 メリー
9:31 メリー
9:45 メリー
12:20 メリー...
「かけすぎw 電話してみっか…」
プルルルル
「…もしもし」
「もしもしメリー?オレオレ、今駅前にいっから」「…うん」
ガチャッ ツーツーツー
「テンション低っw」
5分後
プルルルル
「…もしもし」
「もしもしメリー?今コンビニの辺りなんだけど」
「…はいはい」
「切ろうとすんなよw 何か買って帰ろうか?」
「……いい」
ガチャッ ツーツーツー
「相当キてるなw」
5分後
「あれ…鍵かかってるんだけど…」
プルルルル
「…」
「もしもしメリー?部屋の前なんだけど、開けてくんない?」
「…」
ガチャッ ツーツーツー
カチャッ
「謝っとくかなぁ…一応」
プルルルル
「…」
「も…ただいま。電話かけらんなくてゴメンな」
「…」
ガチャッツーツーツー
「目の前で切んなw」
「悪かったよ、だからそんな怒んないでくれよ」
「…」
プルルルル プルルルル
"着信 メリー"
「もしもし?」
「12時間と20分前から放置中!」
「アクエリオンww」
「3時間過ぎてかけたら電源入ってなかった!
諦めて寝ようとしてたらかけられた!」
「(なんだよこの替え歌w)」
「君が帰ってこないから!
ピザを頼んで泣きながら食べた!」
「ごめんw」
「歌にしてみました!」
「イミフw お前テンションおかしくねぇかw」
「うるさい!ほったらかしにして…(もじもじ…)」
「ん?」
「…ハグハグ…あとチューして…」
「えーw まぁ…何か恥ずかしいけどいいか…」
ガシッ
「うわっ、酒臭ぇw」
「私メリー…今あんたの口の中にゲロ吐いてやりたい気分…」
「ちょw誰か助けてwww」
プルルルル
「はいもしもしー」
「……」
「もしもしー?」
プツッ
「?」
プルルルル
「はいもしもしー」
「…ゎ…ぅ…ぇ…」
「もしもーし」
「…!」
プツッ
「何なんだ?」
プルルルル
「もしもし?」
「…ぁ………ぅしろ…」
「うしろ?」
クルッ
「うわあああああ!誰やお前!」
「ぁっ…!ぅー…ぇと…ごめんなさい…」
「急に泣かれても…どちらさん?」
「…!ぁっ!…ぁの…すき…」
「あァ!?」
「…!ひっ!ごめんなさいごめんなさい…帰ります…」
「待たんかいコラ」
ガシッ
「ぁぅ…!」
「お前何勝手に入ってきとんのや。警察呼ぼ。警察。」
「け…警察…」
「そや」
「警察はぃゃ…」
「嫌で済んだら警察いらーん!」
「…!ぇっぇっ…ぅぅぅ…」
「あーもー…そこで泣いとれ!」
ピッポッパッ
「もしもしー?警察ですかねー?あのですねー...」
数時間後
「はい、それではこの子は本官が引き取りますので」
「はいーどうもー」
バタン
「君ねぇ、これで補導されるの6回目。次から監視も強くなるよ」
「えぐっ!ぐすっ!ひっく!」
「…にしても今回は大分ひどく怒られたみたいだなぁ
前は暴行されそうになって自分から交番にかけこんでくるし
その前は東京から名古屋まで連れ去られて迎えに行ったっけ…
まぁ今回怒られただけで済んでよかったと思いなさい」
「ぐすっぐすっ…はい…」
「にしても懲りないねぇ…おっちゃん心配だよ。
たとえ君がお化けだとしてもさ…はぁ…」
「私メリーさん」
「こんちは」
「今駅前に居るの」
「お菓子準備してますね」
「私メリーさん」
「今は…公園の辺りですかね」
「そう…はぁ…」
「どうしました?」
「いやなんか、私達の関係もマンネリ化したなぁって思って」
「うーん…僕はそれでも楽しいんだけれど」
「…やーめたっ!」
「えっ?」
「ふつうの女の子に、なーろうっと!」
1st CAP
GAME OVER
テレッテーレッテーテーテーテレレン♪
メ「もしもし、私。今駅の近くだから」
メ「もしもし、私。今コンビニの辺りよ」
メ「もしもし、もう少しであなたの家の前y あっ!!」
キキィーッ ガン! ガン! ドンッ!
「ちょ、おい大丈夫か!?」
プーップーップーッ
「事故でも遭ったのか…?」
男「あのぅ…」
「はい? うわっ!」
男「おどかしてすいません、メリーの兄です。」
「え?あ、はぁ…」
男「いつも妹がお世話になってます。
あいつ、電話してたら後から車に追突されちゃったみたいで、
こちらに来れそうに無かったんで代わりに私が来ました」
「そうなんですか…ってメリー大丈夫なんですか!?」
男「ん〜大丈夫…じゃないですかねぇ
乗ってた原付はダメかも知れませんけど。ハハハハッ」
「いや、ダメだろそれ!ちょ、俺迎えに行ってきます。近くなんでしょ?」
男「えぇ、向かいの交差点です。
おっと俺も電話かかってきた。仕事戻らなきゃ。
あ、妹よろしくお願いします。それじゃ」
バタン
「えええぇ〜…はぁ…」
タッタッタッタッ
「あ、居た!おーい!大丈夫か!?」
メ「大丈夫じゃないわよー!見てよこれ!」
「うわー…原付ぺしゃんこだな…で、怪我はないか?」
メ「うん。降りて電話してたから。
そしたら後ろからすごいスピードで車が突っ込んで来てー、原付飛ばされたの」
「まぁお前が無事でよかったよ…相手は?」
メ「それがねー、逃げたのー。ムカつくー!」
「おいおいそれ当て逃げじゃないか…警察呼ばなきゃな」
メ「あ、いいのいいの。相手に直接かけるから」
「直接って…」
メ「久しぶりに遊び甲斐の有りそうな人に会えて私幸せよ…ウフフフフ…」
「(めちゃくちゃ生き生きしてる…心配して損した…)はぁ…」
「私メリーさん。いま後ろにいるの」
私は振り返ったが、メリーさんの姿はなく、ただ巨大な足跡が――
琵琶湖誕生の瞬間である。
「私メリーさん、今あなたの後にいるの」
突然鳴った携帯に出たら。女の子の声で、そう聞こえてきた。
私は、これが都市伝説などで聞いたメリーさんの話なのかという考えが頭をよぎった…
ここで振り向いてはいけない、頭では理解している。しかし身体が勝手に動いてしまう
やめろ、やめろ、やめろやめろやめろやめろ、やめ………
思考は恐怖で埋め尽くされているのに身体が動いてしまう。
何者かに操られるように私は後を振り向いてしまった……
そこには、分厚いコンクリートの壁が見えた。
「私メリーさん、今壁に埋まってるの…助けてほしいの…」
携帯からはか細く泣きそうな声が聞こえてきた。
そして私はレスキューを呼び、メリーさんは無事救出され、何故こんなことをしたのかこっぴどく怒られていた。
ウニさんお疲れ様でした!!
「私メリーさん、今駅前のコンビニに居るんだけどサンクスだっけ?」
「え?‥‥いや俺ん家セブンイレブンの方だけど」
「私メリーさん、セブン?じゃあさっきの角じゃなくもう一つ先の交差点曲がった所?」
「違う違う。ていうか駅から反対の方向行ってね?そんな駅から離れてない」
「私メリーさん、反対の方?あ、携帯のバッテリー切れ‥‥‥プープープー」
何の前触れもなく、携帯電話が振動する
丁度ウトウトと眠気が差していた所を妨害された俺は半ばキレ気味に携帯電話を開く
『非通知』
迷い無く電源ボタンを押し、通話を拒否する
こういう手合いは電源に出ないのが俺の正義…
だが数分もするとまた携帯電話が非通知着信を告げる
再び電源ボタンを押した俺は、機能設定で非通知を着信拒否に設定した
「ちょっ…何よそれ!」
背後から、声が聞こえた…気がした
携帯だけど、乱筆だけど、書いてみたかったんです;;
耳栓を準備するので少々お待ちを…
「おっぱい…おっ…ぱい…はぁ…おっぱい見たいなぁ…おっぱい…」
プルルルル
ガチャ
「もしもし」
「私メリーさん 今あなたの家の前に居るの」
「メリーさん…?め…メリー…ぃっばい…おっぱい…」
「え、ちょ…何言って…」
「うふふふふ…見ぃつけた…僕のおっぱい…」
「何これ…え…電話切れない…ひっ!」
「今君の後ろに居るよぉ…おっぱいぱい…ハァハァハァハァ…」
「きっ…いやああああ!!」
ガバッ
「はぁー…はぁー…夢…よかった…
今日はやめとこうかしら…」
プルルルル
「ひっ!」
「わらひめりーひゃん……いみゃあにゃにゃのうひほにいひゅのー」
「ああ、おぶってるからな。当然後ろにいるよな」
「もうのめにゃひ……」
「こんなに弱いなら、興味本位で飲ますんじゃなかったな、まったく……」
「あ、でんぴゃー」
「え、ちょっと、うそ、マジで? この状態で転移されたら」
「じゃんぴゅー」
「あ」
「わらひめりーひゃん……いみゃあにゃにゃのうひほにいひゅのー」
「ひゃぁぁあああ!? え、何!? 誰っ!?」
「……す、すんません、お邪魔して」
「な、なんなんですか貴方っ! 人を呼びますよ! ってここ私の部屋なのに、
一体どうやって中に入って……」
「すいませんすいませんすいません、色々事情がありまして! すぐに
出て行きますんで!」
「え、あ……」
「ばっははーい、にゃのー」
「……行っちゃった。……な、なんだったのかしら……」
「……いきなりアレはやめてくれ。俺はともかく、相手の人がマジでびびるだろ」
「ごめんにゃひゃいー……もう、しにゃい……ねみゅ……」
「……寝てていいぞ。家に着いたら、ちゃんとベッドまで運んでやるから」
「そのみゃみゃおしょわにゃいでなのー……すぅ」
「襲うかっ! ……って寝たか」
「……すぅ」
「……襲いそうになる前に、さっさと寝かせてさっさと自分の部屋帰ろ、っと」
終わり
俺の名は目里伊三。今日は行き着けの小料理屋に来ている。
「ニュース見たんだけどさあ。
暴行されて放置された男が凍死したんだって?」
「ああ。この暑いのにな」
ここの店主は少しとうのたった美人で、常連からの人気も高い。
「人間は20度でも凍死するんだよ。昨日は冷えたしねえ」
おかげで寝やすかったけどと店主が笑う。
「しかし、悲しいねえ」
「珍しいな、あんたが人の生き死にを悲しむとは」
俺の言葉に、彼女はまた笑った。
「この暑い中で凍死されちゃあ、ウチの商売あがったりだよ」
「おいおい……」
俺は苦笑する。
と、ガラガラと店の戸が開いた。
「うー、あーつーいー」
「あら、サキちゃんいらっしゃい」
「雪花さーん、かき氷くださーい」
「はいはい」
空のガラス鉢を取り出し、フッと息を吹くと瞬時に氷……いや、雪が現れた。
「わーい」
イチゴシロップをかけてもらいパクパクとかきこむ後輩を見ながら、
俺はため息を漏らす。
俺の名は目里伊三。
行き着けの小料理店『雪の花』に来ている。
ここの店主の名は、雪花。いわゆる、雪女である。
「はあ……サキちゃん本当に可愛いわねえ。食べちゃいたい」
ついでに、百合女である。(性的な意味で)
メリー「ぁ〜もしもし?メリーなんだけどさぁ〜今からそっち行くから」
俺「・・・・・ガチャン」
俺「んだよ・・・いたずらか」
〜数分後〜
メリー「ぅぅぅぅぅ・・・なんで・・・何で切ったの?・・・」
俺「・・・・・・ガチャン」
そのときオレは後ろから泣き声が聞こえたきがして振り返ってみた・・・
そこには・・・血まみれの・・・・(ry
今日はここまで
おk、俺が確実に通報しとく
ウニさん乙でした!
うーん、読ませるな・・・。
こーなると、メリーさんて邪魔なだけだねぇ・・・。
今回は正当な怪談だったな
緊張感パネェ
うにさんありがと
涼しくなれたよ!
177 :
本当にあった怖い名無し:2010/08/30(月) 18:33:46 ID:qG9weK5n0
うに乙!!!!
次も待ってるお!
ウニさんありがと
メリーの奴って明らかにウニさんが投稿したタイミング見てやってるよね
生ウニさんの投稿、初めて見たけど、話に引き込む力すごいな
正統派に怖い話、久々で良かったです
[訪問者]
1/9
彼と会ったのは、6年前。
私が入会してから、2年経ったときのことだった。
会長の”お気に入り”だった私は、他の会員とは異なり、滅多に本部に来ることも無く、会長の下であらゆる事を学んでいた。
入会してから2年間もそんな状態だったので、会長と私の間には色々な噂が流れ、たまに本部に行くと、私は常に好奇の目で見られていた。
そんな時、広報の仕事を学ぶため、当時は課長であった汐崎祐一と出会った。
彼はその時37歳。こちらは22歳という若さ。
私は決して惚れやすい性格でもなければ、年上好きという自覚もなかったけれど…一目で彼を好きになってしまった。
その気持ちは、その後、彼が奥さんと死別していること、一人娘がいることを知っても変わらなかった。
でも…その想いを表に出すことはしなかった。
理由は色々とあるけれど、私の立場と年齢差を考えただけでも、到底、口には出せなかった。
本部長になってからは、完全に”上司”として彼に接した。
プレッシャーに負けないように常に気を張っているけど、彼に対しては特に意識をして、そうしている。
己の武器を前面に出し、上からものを言っていると…”背伸び”をしていると、彼との年齢差が縮まるような錯覚もあったから…。
2/9
マンションの自室。
私はソファーで横になり、そんな事を考える。
汐崎さんが監禁されてから、今日で2日が経った。
昨日の夜、彼から言われた事は…ある程度の覚悟はしていたものの、やはりショックだった。
一晩でなんとか立ち直り、今日も普通に…と思ったけど、本部に行って彼の顔を見てしまうと、やはりダメだった。
普段通り上司として話し掛けることもできず、早々に仕事を切り上げ、定時になると、逃げるようにして帰ってきてしまった。
もう、彼からの信用は得られないかもしれない…。
それが悲しい。
考え出すと、落ち込んでいってしまう。
…でもそれでも、約束は守りたい。
真奈美ちゃんとの約束と、彼との…こちらから一方的にした約束も。
あの2人を無事に、元の生活に戻してあげたい。
なんとかして――
カラ〜ン…
不意に家のチャイムが鳴る。
もう…誰?
私はノロノロと立ち上がり、ドアホンに向かう。
3/9
私「はい…」
声「…高城さんのお宅でしょうか?」
若い男の声。
何かの勧誘かなと思い、備え付けのモニターを見ると、1階の玄関ホールにスーツ姿の男が立っているのが分かる。
知らない顔だけど…と、目を凝らすと、その男は、こちらが見ていることを知っているかのようにカメラを見つめ返してくる。
そこで私は、その訪問者が誰であるかを理解し、愕然とする。
これは…どういうこと?
男「…」
ホールの男は、ジッとこちらを…カメラを見つめている。
間違いない。この男は、写真の――
男「高城沙織さん、ですよね?」
男が私の名前を言ってくる。
私は一呼吸おいて、気持ちを静めてからそれに応える。
私「えぇ、そうよ…。桐谷隆二さん」
4/9
桐谷「あぁ…良かった。間違っていたらどうしようかと思いましたよ」
そう言って、ニッコリと笑う桐谷。
私「そう…、良かったわね」
私は頭を、”本部長モード”に切り替える。
この男が私を訪ねてきた目的、意図は、想像がつかない。
特に今の私では…少し情緒不安定になっている私の頭では、考えがつかない。
…でも、桐谷に対しては後手に回っているこちらにとって、弱気なところを見せる訳にはいかない。
桐谷「あの、少しお話がしたいのですが…お会いできませんか?」
話がしたい…、ね。
私「…どこか、外でよろしい?」
桐谷「えぇ。それは勿論。さすがに、お部屋にお邪魔はできません」
照れるように言う桐谷。
どうやら、私が1人暮らしをしているということは知っているようだ。
私「足は…車よね?」
桐谷「えぇ、車です」
私「じゃあ――」
私は、ここから少し離れた場所にある、喫茶店を指定する。
5/9
桐谷「あぁ、来る途中にありましたね、そんなお店。分かりました」
私「そこに、そうね…」
私は時計を見る。
19時半。今から…
私「…1時間後で良いかしら?20時半までには着くようにするわ」
桐谷「20時半ですね、了解です」
素直に了解する桐谷。
こうなることは読んでいたようだ。
私「ごめんなさいね。ちょっと、支度しないといけないから…」
桐谷「いえいえ。こちらこそ突然、すみません」
にこやかに応えてくる。恐ろしく友好的だ。
私「それじゃ、後で――」
桐谷「あぁそうだ、高城さん」
私「…何?」
桐谷「誰を連れてきても構いませんから。何人でも…どうぞ」
私「…」
最後にそう言い、彼はホールから出て行った。
6/9
何人でも構わない…、か。
今から本部に電話して、10人でも20人でも連れてきて取り押さえる?
…まさか、街中でそんなことができる訳もない。
でも、桐谷を捕まえられれば…事態は収束して、汐崎さんは解放されるかもしれない。
ここはよく考えたい。
そのために、時間を貰ったのだから。
実際に取り押さえるには、何人も要らないだろう。
藤木1人でも事足りそうだ。
でも、周囲に知られないようにするには、副会長の部下が適している…ような気がする。
私は頭をフル回転させる。
一番大切な事は何?
そのために、私は何をすれば良い?
――そうして考え抜いた後、私は携帯を手に取った。
7/9
――
20時前に、俺は指定された店に着く。
ごくありふれた普通の喫茶店だが、この時間だと流石に客は少ない。
窓際の席に着いて上着を脱ぎ、とりあえず珈琲を注文しておく。
さて…、と。
鮎川古乃羽、神尾美加、汐崎真奈美…そしてこれから、高城沙織。
思えば、女性とばかり会っているな、俺は。
しかしこういうのも、これで最後になるかも知れない。
今回は今までとは違い、危険な賭けとなった。
高城沙織とは初めからコンタクトを取る予定だったが、少し事態が変わってしまったからだ。
高城沙織が、汐崎祐一に想いを寄せていることは分かっている。
それがあるため、汐崎が監禁されている今、彼女に会うのは危険を伴うことになった。
俺の身柄を確保できれば、汐崎は解放される…。
そう考えて、彼女が強引な策に出る可能性が高まってしまったのだ。
冷静に考えれば、汐崎が解放される可能性などまったく無いのに、だ。
8/9
珈琲を飲みながら、高城を待つ。
果たして、誰を連れてくるだろう。
あの…藤木という男か?
…まぁ、それは無いだろうな。
高城が藤木を嫌っていることは傍目にも分かるし、まさか兄貴を殺した男を、弟の俺に会わせるような事はしないだろう。
一番あり得るのは、副会長の部下だ。
連れて入ってくるのは1人。
表で見張る人間が数人。帰りに、俺の車を尾行する人間が更に数人…という形で。
その他には、副会長を連れてくるという手もあるかな。
あの爺さんとは、一度話をしてみたい。
…しかしまぁ、どんな人間を連れてこようと、俺には逃げ切る自信がある。
高城の部屋に招かれたら多少の危険はあったかも知れないが、街中でなら派手なことはしてこないだろう。
今日の目的は、高城沙織がどういった人物か、それを知ることだ。
この件をどう捉えているか。これからどうしようと考えているか。
できれば往来会の内情も詳しく知りたいが、今はそれだけでも良い。
9/9
20時半が迫る。
まもなく来る頃だろう。
こちらも覚悟を決めなければ。
高城本人は来ない、というパターンもあるが、それも頭に入っている。
常に先手を取るのだ。
それを心掛け、注意しなければならない。
――そして、約束の時刻になる。
…と、店に高城沙織が入ってくるのが見える。時間ぴったりだ。
俺は席を立ち、こちらですよと合図をし…そのまま凍りつく。
…やられた。
最悪だ…。
なりふり構わず、急いでこの場から逃げ出したい気持ちに駆られるが…そんな訳にもいかない。
俺にとって、唯一会いたくない…頭の上がらない人物。
高城沙織に続けて入ってきたその人を、俺は力無く見る。
…それは、汐崎真奈美だった。
がーん・・・うにきてた
なぞなぞって前スレの後半になるよね?前スレ見れんかったぁ
誰かがまとめるまで・・・おあずけかぁ、はぁ
>>191 ろくに調べずお手数をおかけしました。
本当にありがとうございます。
>>181赤緑さん乙
サイト行って全部読ませて貰ったよ
続き早くみたい
ウニさんも次の話期待してます
ウニ氏と赤緑氏乙です
毎回楽しませてもらってます
デパートの中は広く、人も多く居た
暫く中を歩いていくとATMが有ったのでそのでお金を降ろして更に歩いて行く
すると広いスペースが空いている所で子供がある人に群がっていた
見た目からみたら背の高さでは大人だろう…そしてガスマスクを被っていた
ガスマスクを被った人と周りの子供達の手には風船
しかも風船といっても、犬や剣や花…勿論普通のもあった
ガスマスクの人は子供達に人気のようだ
その子供達の中に1人だけ何故か目立つ子がいる…
見えているのは背中なので顔が可愛かったとか、服や派手だったりカラフルなわけでもない
とりあえずその子は女の子である事は分かるが何処か違った…
なんといえばいいのか分からない…オーラというやつだろうか…?
ていうかその子を見に来たワケでは無いっての
と、自分に突っ込み買い物の続きを始めた
買い物の続きをしている時にふと気付いた事があった…
赤マント「(…そういえば今の年頃の女の子って指輪付けてんだな)」
…そんな事を考えながら買い物をして……
……終わらせた
デパートから出た時にはもう夕日が照らす時間になっていた
早く帰らないとすぐに暗くなるので急ぐ様に帰る
帰る時の夕日が眩しかった…
「あら?パンが無ければブリオッシュを食べればよろしいんじゃなくて?」
高飛車お嬢様、だけどちょっぴり寂しがりやなマリーさん。
「ん〜今日もいい天気!まずはダッシュから!」
スポーツ万能、健康優良活発女子、ミリーさん。
「無理なの。どうせ失敗するの。何もしない方が良いの。」
常にネガティブ。裁縫とかが得意で家庭的なムリーさん。
「私、メリーさん。今、あなたの後ろに居るの。」
這い寄るヤンデレ、不思議な感じのメリーさん。
「モンスターを捕まえて戦え!最強のチームを作るのじゃ!」
モンスター闘技場支配人、モリーさん。
「私、メリーさんをそろそろ卒業しようと思うの」
「ふーん、メリーさんを卒業してどうすんの?」
「どうもしないの。ただ卒業したいの」
「そっか。じゃ、そうしなよ」
「うん…」
「そんじゃ、今度から何て呼んだらいい?」
「うーん…」
「ミリーさん?」
「何か、多重人格みたいで嫌」
「ムリーさん?」
「無理矢理な名前ね。嫌」
「メリーさん?」
「羊の肉、とってもヘルシー。嫌」
「モリーさん?」
「もりくん…。ぐすん」
「ヤリーさん?」
「どこまで行くの?」
「私メリーさん。今あなたの後ろにいるの」
いつもの時間、いつもと同じように、彼女は現れた。
「また来たか。毎日よく飽きずにやってくるな」
この言葉はひどく彼女を傷つけたようだった。彼女はしばらく、何かを
言いあぐねるように押し黙った。俺が沈黙に耐えかねて口を開こうとした
時、ようやく彼女はその言葉を口にした。
「あなたのことが、好きだから……」
再び静寂がその場を支配した。
「今夜はもう帰りたくないの……」
俺は荒々しく彼女を抱き寄せ、その服をゆっくりと……
「破ァーーーーー!!!!!!!」
その瞬間、荒々しい声が聞こえたかと思うと、メリーさんはすぅーっと
消えていった。寺生まれで霊感の強いTさんだ。
「あの霊は随分お前に執着していたようだ。危ないところだったな」
彼はそう言い残すと颯爽と去っていった。
おいwてめえwww余計なことすんなwwwww。改めてそう思った。
上にあったミリーさんで参加してみる。
「もしもし?
私ミリーさん、いま、あなたの後ろにいるの・・・。」
突然の電話から聞こえてきた声は、女性特有のかわいらしさはあるものの、
何か言い知れない薄気味悪さが漂っていた。
オレは急に身の危険を感じ、ほとんど反射神経のようなもので後ろを振り向いた!
・・・だが、
そこには誰もいなかった・・・。
いったい?
からかわれたのだろうか?
電話はまだ繋がっているようだ・・・。
「
誰も・・・いないじゃいないか・・・。」
オレはそのまま、辺りを確認すべく足を踏み出した。
「きゃあああああ! ダメェェェ!!踏まないでぇぇぇ!! 踏んじゃダメェェ!!! きゃああああああ 」
プチッ!
えっ?
・・・・
ツー、ツー、ツー、ツー・・・。
電話は切れてしまった・・・。
いや、それよりも・・・足の下のあの感覚・・・。
まさか・・・
そーっと、右足を持ち上げると、
そこにはミリーさんの・・・ry
この事件がトラウマとなり、オレは二度と女の子と口を聞くことができなくなった・・・。
「はぁ・・・いいなぁ・・・ウチにもメリーさん来ないかなぁ・・・」
デッデケデケデケ
「んだよこんな時間に・・・職場からか・・・はい、もしもし?」
「・・・私、メリーさん」
「ちょ、え、あう(キタ━━(゚∀゚)━━!!!!!)」
「い、今からね、あなたのお家に行くから」
「は、はい!待ってます!」
「え? あ、あぁ、ありがと。じゃ。」ガチャン
うおお。 何か知らんが俺のところにもメリーさんキタ。
メリーさんてあんな声なのかぁ・・・萌えボイスすなぁ・・・
・・・さて、いつ来てもいいように部屋を片付けるkピンポーン
「早っ」
まぁ、いいか。 きっと気が付いたら後ろに立ってたりするんだ。
今から片付けても一緒だろう。
「はいはーい、今開けるからねー」
ガタンッ
ドアノブに手をかけた瞬間、僕の背後で物音がした。
きっと、そこにはメリーさんが居るんだろう。僕のメリーさん。
可愛い可愛いメリーさん。
「痛ってぇ!」
可・・・愛いメ・・・リーさん。
「ちょ、挟まったし!マジ無理マジ無理!助けて!」
振り向きたくなくなってきた。
恐る恐る振り返ってみると、
脚立を置くために開けておいてある80cmほどのタンスと壁の間に
メリーさん・・・だと思われる人物が挟まっている
成人男性なら少々窮屈な思いはするかもしれないがつっかえたりしないと思うが
白鵬と呼んだ方が正確そうなガタイの彼女はぎゅうぎゅうに詰まってしまっている
「ちょちょ、ちょっと!見てないでこれどかしてよ!」
白鵬に不意に呼びかけられて現実に帰った。
「お、おぉ」
頭は混乱したままタンスを引っ張ってみる・・・がビクともしない。
確か搬入の時大男二人が担いできてたな・・・
「重くて俺だけじゃ動かせないよ、せーのでこっちに押してくれるか」
「オッケオッケ!なんでもいいから早くして!」
「よし、せーのっ」
ドガン!
一瞬何が起こったか良くわからなかったが引っ張った瞬間
凄い勢いでタンスがこっちに倒れこんできた
上部が壁に突き刺さっている。俺は尻餅をついたおかげで無事だったが・・・
「いやー、いっつもドアから入れねーから後ろ来たら
つっかえちゃってビックリした! つかあっつ!」
横綱はシャツをパタパタさせながら息を荒げている。
「あの・・・メリー・・・さんですか?」
タンスの下から這い出ながら恐る恐る聞いてみた
「そう!そうよ!私がメリーです!トゥース!ww」
親指みたいな人差し指を付き立てながらにこやかに笑うその顔には
重油みたいな汗がたっぷり染み出していた。 死にたい
ザーー・・・
外は雨か。 結構強い雨の音がだんだん強くなってくる。
眼が覚めてきた。
「ふぅー・・・暑いな・・・」
身体を起こすと、シャツが汗だくだ。
まぁ最近暑いからな・・・・・・ ・・・ ・・・ いや違う。
左半分だけ特にぐっしょりと濡れている。
「・・・」
無言で自分の左側を見やると夢から覚めて現実に、そして悪夢へと戻された。
無意識に布団だと思ってた大きい塊は、・・・メリーさんだ。
そうだ、昨日あれから早く帰って欲しかったのだが、
メリーさんルールだとかよくわからない理由でとりあえず
当日帰るわけには行かないということで強引に俺の部屋に一泊することになって
暑いのとヤケになったのでビールをいくらか飲んで
寝る場所が無いからと言うので俺は床で寝ようとしたらベッドに引きずりこまれて
最初は抵抗したんだが、甘い可愛らしい声で誘われて、
だんだん酔いが回ってきて彼女の顔もよくわからなくなって、
スレに書かれてた可愛らしいメリーさんのイメージが浮かんでくると
そのうち悪い気もしなくなってきて・・・
・・・そこから記憶がない。俺は・・・・・・いや、その先を詮索するのはよそう・・・
「私、メリーさん 今ダーリンの後ろに居るの」
どうしてこうなった・・・
「なぁ、そろそろ帰ってもいいんじゃないか」
結局今日は体調不良を理由に会社を休んだ。
まんざら嘘というわけでもないのだが。
「えー なんでそう帰そうとするのよー
彼女居ないんでしょ?もちょっといいじゃなーい」
横綱にうりうりされる。いかん。このままでは寄り切られる。
「だいたい、メリーさんて何しに来るんだよ!」
「まぁデリヘルじゃないからこういうのは稀だけどねー」
「くっ・・・ちくしょー!もういいから帰れよ!」
半泣きになりながら叫ぶ。もう恥もクソもない。
「何よー!言われなくたって帰るわよ!バーカ!バーカ!童貞!」
「うるせー!肥満体!メタボリックシンドローム!」
バタン!
あんなメリーさんでも、いざ居なくなると寂しいな・・。
・・・! いかんいかん! 感傷に浸ってたらひょっこり戻ってきそうだ。
はぁ・・・それにしても、とんだ災難だった。
一人の人間の一生のうち、メリーさんが来る確立ってどのくらいなんだろう。
某メリーさんスレを読みながら考える。
もしかして、俺の一生でやっと来たメリーさんがアレで、
そしてもう2度と来ないんじゃないだろうか。
そう考えると物凄く人生が暗く思えてきた。涙も出てきた。
「はぁ・・・メリーさん来ないかなあ、可愛いの」
デッデケデケデケ
「ん? 上司からか・・・明日は出ますって言っとくか・・・もしもし」
「もしもし?私メリーさん」
「え、あ、ちょう(またキタ━━(゚∀゚)━━!!!)」
「今、あなたの家の前に居るの」
頭の中にふと黒い記憶が蘇る。
もしかしてアイツじゃないのか。声は違うようだけど・・・
無言で玄関まで歩いてドアスコープを覗いてみる。
「あれ・・・」
そこには確かに携帯を持っているメリーさんが居た。
今度は・・・可憐な美少女だ。
「お待ちしておりました」 ガチャッ
「えっ!? ビックリした・・・えと・・・おじゃまします・・・」
神はもう一度チャンスをくれた。 今度こそ、今度こそ
あの忌まわしい記憶を振り払って俺にもバラ色のメリーさんライフが訪れる。はず。
〜まともなメリーさんが来ない 第2話〜
彼女を丁重に部屋に迎え入れる。
ふいにベッドの上が大変な事になってるのに気が付いた。
「あ、あ、あ、あ、えーと、ちらかっててごめんね、エヘヘ・・・」
「いえ、私こそ急に来てしまってごめんなさい・・・」
望むところです。
「ま、まぁ座って・・・お茶でも出そうか・・・」
「あ、えと・・・はい・・・お願いします・・・」
彼女はちょこんと可愛らしく座って僕を見ている。
これ。これですよ。これを待ってた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
お茶を出して対面に座る。
「あの・・・いきなり来て申し訳ないんだけど、ひとつ謝らなきゃいけないことがあって・・・」
「え?」
「あの・・・メリーさんルールっていうのがあってね」
その単語を聞いた瞬間目眩が起こり倒れかける
「わっ!だ、大丈夫!?」
「あ、あぁ大丈夫・・・ちょっと寝てないだけさ・・・
んでアレだろ?一晩帰っちゃいけないってルールなんでしょ」
「え、えぇそうなの。 ・・・知ってるの?」
そう。知ってる。 また目眩が起きそうになった。
・・・それにしてもそんなルールがあるなんてスレには書いてなかった。
最近出来たのだろうか。
「ちょ、ちょっといろいろあってね・・・まぁ狭いけどゆっくりしていってもらえたら・・・」
「いろいろありがとう」
好感触。 横綱もこの為の予行演習だと思えばよかったのかもしれない。
「もし寝るんなら、ちょっと今ちらかってるけどベッド使っていいから・・・」
不意に口走ってしまったが、ヘンな意味に取られないだろうかと不安になる。
妙にガッツくことに抵抗がなくなっててやっぱりマイナスだったかも・・・
「あ、ありがと・・・でも出来たらね、朝までお話したいな」
「へ?お話?」
何をガックリしてるんだ俺は。
「うん。私ね、絵を描くのが好きなの。
だからあなたにも描いた絵を見てもらいたいし、
あなたが今まで見た美しい風景のお話なんてしてもらえたら
きっとこれからまたいい絵が描けるな、なんて
・・・あっごめんなさい・・・私のことばっかり喋っちゃって・・・」
いいんです。 大好きです。
「いや、全然いいよ! 俺も、絵は好きだよ」
「ほんとう?」
彼女の表情がぱっと明るくなる。カワイイ。
それから朝まで絵の話をした。
彼女が書いたイタリアのなんたら川の風景画とか
中世の偉大な画家の話とかうんたらかんたら
まず絵が好きだってのがウソなので話を合わせるのに苦労したが
ロンドンがフランスの首都だとか言ってしまっても
彼女は笑ってくれた。
ヨーロッパの知識なんてセリエAにベッカムが居るとかしか知らない。
「あら、もうこんな時間・・・」
「ほんとだ 早いね」
物凄く長く感じたがでも彼女の笑顔を見てるのが楽しかったので苦にはならなかった。
「もう帰らなきゃ・・・」
「え、もう帰っちゃうの?」
「えぇ・・・あ、そうだ。そういえば私今度個展を開く事になってね」
彼女は鞄の中をゴソゴソし始めた。
「はい、これ」
手渡されたのは、1枚のチケット
「初めての個展なんだけど、昔お世話になった先生がよくしてくれてね、
街中で開けることになって・・・なったんだけど、緊張しちゃって・・・
もしよかったら、見に来てくれない?
あなたが居てくれたら、安心・・・する・・・から」
「いいいい行くよ!きっと行く!」
むしろガードマンになる勢いで一日君を守るよ。
「ほんと!? ありがとう!」
嬉しそうに笑いながら両手で僕の手を握る。
彼女の手はやわらかくてあったかい。
「へへ・・・お安い御用さ・・・」
俺マジイケメン。
「それじゃあ、会場で待ってるから。約束よ!」
「あぁ、楽しみにしてるから!」
僕らは指きりげんまんをして別れた。
待っててくれメリー。 僕が君の個展を成功させてあげるよ。
個展当日 ・・・開場4時間前。
流石に早く来すぎた。
もし準備してたら手伝ってあげようと思ったのだが
準備はどうも昨日終わってるらしく今日は開場を待つのみだ。
そりゃそうか・・・
デッデケデケデケ
「もしもし」
「もしもし、私。」
「あぁ、おはよう」
不意に肩をぽんぽんと叩かれる
「うわっ!ビックリした!」
「ウフフフw もしかしたらあなたかな、って思ったら、やっぱり」
どうしよう。早く来すぎて恥ずかしいのだが。
「えっと、その・・・準備してたら手伝おうかなー・・・なんてね・・・w」
「ありがと。 今は中でスタッフが休憩してるから、よかったら一緒にコーヒーでもどう?」
願ったりかなったりだ。 少し眠くてコーヒーはありがたい。
「あぁ、そうするよ」
僕らは施錠されているビルの裏口地下駐車場から入って
5階の個展準備室に入った。
「し、失礼します・・・」
「やあ、よく来てくれたね、君がメリーの話してた」
初老の男性がにこやかに歩いてくる。
俺の話?
「あ、あぁそうか、君は知らないのか。まぁコーヒーをどうぞ」
「いただきます」
パイプ椅子に座り、コーヒーを受け取る。
「この人が、私が話してた先生」
「どうも、初めまして。」
「初めまして。」
そういえば絵を描きそうな顔をしている。
「実はね、私も・・・その、「メリーさん」の一族なんだよ」
ボフッ! コーヒーを少し噴出してしまった。
「あ、あぁすまない急にこんな話をしてしまって」
「いえ、いえ、いいんです。なんとなく聞いた事ありますから。
男性のメリーさんもいらっしゃるって。」
ソースは2ch。
「うん。実はそうなんだ。 そして私は彼女に絵を教えてね、
我々が人間の世界に、都市伝説としてではなく、一人一人の人間として
受け入れてもらえるようにとこの個展を開いてみたんだ」
「へぇ、そうなんですか どうりでメリーさんの話も熱がこもってました」
彼女が照れている
「・・・でも、何でまたメリーさんが」
「まぁそれなんだがね、恐らく普通のやり方では、芸術レベルの高い昨今では
そうウケないだろうと、残念ながら考えた。
そこでまずは都市伝説の通り電話で現れて、個展に誘ってみることにしたんだ。
まさかメリーさんが、個展に招待しに来るなんて思わないだろう?」
「え、それじゃあ結構回ったんです?」
「そうだな、彼女だけじゃないが営業ということでここ数週間いくらか」
営業だったのか・・・またまたガックリする。
だが彼女らの夢を応援するというのも悪くないんじゃないか。
気が付くと開場10分前になっていた。
「よし、そろそろ開場の準備するぞメリー」
「はい、先生」
「僕も何か手伝います」
二人が入り口の方へ歩き出したので慌てて後を追った。
大通りから少し入った雑居ビルが会場ということもあり、
ちらほらと客が入ってくる。
メリーと先生は、客に絵の解説をする為に忙しく回っている。
僕はというとすっかりスタッフ気分だ。
お客の誘導から売れた後の棚に次の絵を持っていく手伝いをしたりしている。
「ふぅ、少し休むかな」
昼前になり、することも無くなったので休憩することにした。
会場内で座ってるのもマズいので、準備室の袖口の目立たないところに引っ込んだ。
「はぁー メリーも頑張ってるな〜 ・・・ん?」
何やら後ろの方でひそひそ話が聞こえる。
悪いと解っていながら聴いてしまう。
「・・・それで、どうだ 成績は」
「まずまずといったところですね、今はだいたい8割、残りの客もまぁ大丈夫でしょう」
「そうか、後は・・・あの手伝ってる奴だけだな」
「彼は最後まで残ってるでしょうから、・・・まぁとっておきを」
「フフ、そうだな」
なんだろう。恐らく俺の事だろうけどとっておきって。
ウニさん、今週末は来てくれるかねぇ
これだけ荒らされるともう、ウザいを通り越して笑えてくるのを通り越して笑えない。
ゴメンなさい
客観的に見てみたらすごい幼稚なことしてたと実感したわ
もう辞めます
本当にすいませんでした
メリーをNGにすると凄くすっきりする
ウニのトリップでソートする方がもっとすっきりする
最近は高速スクロールどころか、shift押しながらスクロールバーを押すようにまでしてたわ
専ブラ使ってないの?
メリーさん、面白いのに
少なくても赤緑よりよくできてる
ああいう三文小説まがいより笑わせてくれるパロディの方がいいよ
ウニに比べて赤緑へのレスがショボすぎてかわいそうだろw
赤緑はまだコテつけてるから読みたくなければ読み飛ばしやすい。
だが、メリーは目立ちたいくせにコテを付けてないからウザイだけ。
コテをつけてくれれば、即座にNGに放り込んでやるのだが。
ウニ以外は自動保守装置扱いのスレで何をおっしゃるやら
赤緑はオカルトからどんどん遠ざかってるし、スレ違いの域に来てるよな
けどちゃんと自分で書いてシリーズ物として投稿してるなら全然いいだろ、読んだことないけど
オカルトじゃないなら板違いだろ、読んだことないけど
一応は霊感持ちが出てきてるしオカルトだろ
>赤緑作品
霊感持ち大活躍のシリーズですよ
まあ完全に創作だし、好き嫌いは別れる所ではありますが
嫌なら読まなきゃいいんです
俺は大好き!
そうそう、嫌なら読まなきゃ済むレベルの投稿頻度だから全然いい
ほんとに読んでなくてこういうこと言うのもチョット申し訳ないがな
批判をする上で失礼の無いように今回の赤緑先生の作品をじっくり拝見させて頂きましたが、全く面白くない上にオカルトでもないですね。
オカルト系の話を構築する上で不可欠と思われる緊張感を演出する文章の才能が欠落しているようです。
そしてこの作品を例えるなら、やめる時期を見誤って何年もだらだらと連載を続けているジャンプ漫画です。
昔の赤緑先生はそれこそ「学芸会の台本」と酷評されており、実際その通りだった訳ですが「状況描写をしっかり書け」というようなレスを受けて大分マシになったと感じます。
これには先生も感じる所があったのだと思います。才能の無さを実感したのだと思います。それでも努力したのだと思います。
しかし、それでも足りません。
「 読 ん で な い け ど 」残念ながらこれが先生の作品の本質なのです。まさに多数の人に読み飛ばされるジャンプ漫画です。
先生の作品を読んで生暖かい応援をしてくれる読者の方は若干名いらっしゃるようです。
そのファンの方に「ストーリーのあらすじを書いてみろ」と言っても、誰も書けないと思います。思い出に残るシーンは?と言われてもきっと書けません。
そして大半の人は興味もありません。なにしろ大多数が読んでいないのですから。
その理由は何でしょうか。
読者に伝えるべきものが何も無いからです。私も酷評する上で先生の作品を読み返しましたが、作者が何を考えているのか、何を伝えたいのかさっぱりです。
それどころか作品に一番力を入れている所さえも見えて来ません。キャラなのか、恐怖なのか、描写なのか、ストーリーなのか全くわかりません。ただのオナニーです。
面白いとか言ってるのは他人のオナニーを褒め称えて性的興奮を覚える変態野郎です。
プロのように書けとは言いませんが、最低限、人に読んで貰える文章を書くにはどうしたらいいのか考える努力をしましょうよ。
まあ読み返したのは嘘だし興味もないしどうでもいいけどね。
あ、でも
>>233が赤緑本人じゃないのならどの辺が大好きなのかkwsk教えて欲しいね。
アレ読んで大好きと言える感性が凄いと思うし。幼稚というか、ろくな本読んだ事ないのだろうね。
確かに、読まないから毎回ズルンとスクロールするの大変だし、
今回みたいに、ウニさんの書き込みが流れちゃうから迷惑だしね。
237 :
233:2010/09/03(金) 23:03:45 ID:APuVgnkI0
俺、参上!
そうねえ、どこが好きかといえば一人称の立場がクルクル変わるパズル的、ゲーム的なところでしょうか
いわゆるザッピングの手法ですね
デジタルノベルやゲームで使われていますが、読み物では斬新だと思います
今まで完結した話をみれば、伏線回収はバッチリ決まってて安定感はあります
読みづらいのも台本仕立てなのもザッピングありきの構成だからでしょう
好き嫌いは分かれるでしょうね
嫌いな人は嫌いでいいと思いますよ
読まなきゃいいだけで
その為のコテトリでしょ
全く面白くないのはいいとして、オカルトでもないとは頭沸いてんじゃネーノと思いましたが、読み返したのが嘘でしたかw
それは良かったw
感想書くのも大変w
投稿者の皆様には本当に頭が下がります
赤緑は初期の悪霊視点の頃がピークだった
誰もいないこのスレで、何でそうまでして必死で追い出しかけてるのか分からん。
読んでない人はいつもどおり読み飛ばせばいいのに、なぜ読んでる人の個人的な感想につっかかる
俺としては正直確かに面白いものとは思わんが、好きで読んでる人がいてもいいんじゃない?
>>237 ストーリーの事は完全スルーワロタw
褒めるところがない小説の典型的な批評がこういう感じだよな
特に「斬新」とかw
というか、何度も言われてるけど自分のブログ持ってるんだろうに、なんでそこだけでやらないんだ?
メリーさんと同じように負荷かけてるだけだから辞めたほうがいい
こんだけ読んでない人がいるんだから需要ないんだろう
嫌なら読むな、じゃなくて読みたい人はブログ行けばいいんだし
なんか間違ってるか?
>>223
>>241 本当につまらない、と思える作品群を「面白い」と言う人に対して「どこがだよ」と疑問に思うのはおかしい事なのか?
コピペ荒らしをやめたと思ったら今度はまた「赤緑出てけ」を繰り返す作業に戻ったのか
ほんと成長がないなお前は
ブログ持ってるからってここに投稿して悪いこともないだろうが
ほんともうやめろってみっともないから
おいおい今度は自演扱い?
良いとか悪いとか言ってるんじゃないよ
ブログで読めるのにここに投下する理由教えてくれよ赤緑先生
まーた始まった
個人の好き嫌いをどうにかして普遍的にしようと必死な様子
いやまあ俺も読んでは無いけど、別にいても良いだろ
保守代わりに定期的に投下だけして去って行く赤緑△
>>疑問に思うのはおかしい事なのか?
疑問に思うことはおかしくねーよ馬鹿かw
ただお前は自分がやっていることが「疑問に思ってるだけ」だと思ってるの?
好きで読む人がいるかもしれない、ここで初めて読んで興味を持つ人だっているかもしれない。
そういう人の好奇心や感性を侮辱し、一方的に喧嘩フッかけるのが「疑問に思うこと」だって?w
そもそも、荒らしに比べて赤緑は全然良いよな→「赤緑大好きだよ」って人の書き込み
ってだけの流れだったのにお前が一人で勝手にややこしくなるようなこと言い始めただけ。なに?唐突に
>>235こんなん書いちゃって。
約一名、スレ発端からずーーーーっと粘着してる人がいるよね。
誰とは言わないけど。何かこのスレに恨みでもあるの?
見るのが苦痛なら、無理して見ることないのに。
そりゃ、妬ましい相手がどーしてるか? 気になって必ず見に来るよなwww
252 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/04(土) 20:33:34 ID:xgTYhuMm0
1
>>249 あいたたた
自演だと決めつけてかかるバカとは話にならんわ
俺の書き込みは今のIDのみだよ
普段過疎ってるこのスレに、突然単発IDで同じようなレスしてるお前こそ自演じゃないの?w
>>253 いや、自演関係無いし
お前が
>>235だって事を言ってるだけだろ
俺もそう見えるわけだが
なんでそこで自演が出てくるんだw
師匠から聞いた話だ。
大学に入ったばかりの頃、学科のコースの先輩たち主催による新人歓迎会があった。
駅の近くの繁華街で、一次会はしゃぶしゃぶ食べ放題の店。二次会はコースのOBがやっているドイツパブで、僕は黒ビールをしたたかに飲まされた。三次会はどこに行ったか覚えていない。
ふらふらになり、まだ次に行こうと盛り上がっている仲間たちからなんとか逃げおおせた頃には夜の十二時近くになっていただろうか。
同じようにふらふらと歩いているスーツ姿の男性とそれにしなだれかかるような女性、路上で肩を組んで歌っている大学生と思しき一団、電信柱の根元にしゃがみ込む若者と背中をさする数人の仲間……
そんなごくありふれた繁華街の光景を横目に僕は駅の方角に向って、液体のように形状の定まらない足を叱咤しながら歩いていた。
前掛け姿の店員が看板を片付けている中華料理屋の前にさしかかった時だった。
自分が進んでいる道と垂直に交差する道が視界の前方にあり、その十字路の上を奇妙なものが歩いているのが見えた。
それは街路灯に照らされているわけでもないのに、ほんのりと光を纏っている。人間のようにも見えるが、妙にのっぺりしていて顔があるあたりは眼鼻の区別が定かではない。そういうものが何体も前方の道を右から左へ通り抜けて行く。
この世のものではないということはすぐに直感した。
元々他人より霊感が強く、幽霊の類にはよく遭遇するのであるが、こうして街なかで群をなしているのを見るのは珍しかった。
ゆっくりと十字路に近づいていくと、その歩いてる連中が行列をなして同じ方向へ進んでいるのが分かった。
その数は十や二十ではきかない。無数の人影がぼんやりと繁華街の夜陰に浮かびながら、そろそろと歩いている。
寒気のする光景だった。
「霊道」という言葉が思い浮かんだ。
蟻が仲間のフェロモンをたどって同じ道を列をなして通るように、なにかに導かれて彷徨う霊たちが通る道だ。
こんな繁華街の真っ只中に……
恐る恐る十字路に出て、行列の向かう方向を窺う。
どこまでもずっと続いているような気がしたが、道の向こうに列の先頭らしきものが見えた。
>>253 まあ決めつけてかかったのは、じゃあ、悪かった。しかし言いたいことは変わらん。それだけ。とりあえずちょっとタイム。
その瞬間だった。列の中からこちらに手を伸ばしてくるやつがいた。
間一髪でその手をかい潜り、距離を取る。
思いもかけない攻撃に、焦って足を挫きかけた。心臓がバクバクしている。
異様に長い白い手が波打つように揺れながら列の中に戻っていく。
周囲の人々は誰もその光景を見ている様子がない。行列を横切ろうとする人はおらず、十字路にさしかかった人も、何気ない歩調で左右に折れていく。
元々そちらに向かう人なのか、それとも無意識に霊道を横切らないように迂回しているのか……
そんな中、彼らの存在が「見えて」いる僕に反応したのだろう。
それでも列から離れてこちらを追いすがってくる様子はない。列に添って進むことは抗いがたい何かを秘めているのか。
体勢を立て直し、道の中心を通る彼らからなるべく離れたままで、その進む方向へ足早に歩を進める。
ぼんやりと光る彼らに横から目をやると、その着ている服がうっすらと見えたり、無表情な横顔や、砕けて開いたままの顎から垂れる血糊、左の肩が落ち込んで鎖骨が覗いている姿などが垣間見えた。
はっきり姿が見えるものや、闇に消え入りそうなものもいて、そんな「見え方」はバラバラで一貫性はなかったがどれも一様に歩を乱さず歩いて行く。
僕は小走りに駆け、ふたブロックほど先でその先頭に追い付いた。
その時に見た光景をなんと表現すればいいのか。
その光景は僕の生涯の中で忘れることのできない輝きを持って、様々な瞬間に幾度となく蘇ることになるのだ。
明かりの落ちた薬局の看板の前で思わず立ち止まり、その横顔に見とれていた。
霊道の一番先端を行くのは女性だった。
白いジャージの上下を着て、ポケットに両手を突っ込み、少し猫背で、睨み上げるように前を見据えて歩いている。
その相貌は怒気を孕んだように白く、眼は……
眼は、そこに映るすべてのものを憎悪し、唾棄し、苛み、そしてそれでいて全く興味を喪失しているような、そんな色をしていた。
苛立ちを撒き散らし、自分を不機嫌にさせたすべてを呪いながら彼女は歩いている。
その後にぼんやりと光る死者の行列が音もなく続く。
僕は息を止めて見つめている。
葬列にも似た荘厳な行進は、夜半を過ぎて狂騒の冷めかけた繁華街の夜の底を行く。
この世のものならぬものたちを従え、そしてそのことに気づいているのかどうかも分からない表情で、振り返りもせずただ前方を睨み据えて彼女は歩き続ける。いったい彼女の何が、まるで誘蛾灯のように彼らを惹きつけるのだろう。
僕はその幻想的な光景に一歩足を踏み出し、通り過ぎようとする彼女に声をかけようとした。
「あの……」
挙げかけた右手が虚空を掻く。彼女は足を止めようともせず、そしてこちらを一瞥もせずに、ただ短く口を開いた。
「後ろに並べ」
そして次の瞬間、彼女は今自分が言葉を発したことさえ忘れたように表情を変えず歩き去ろうとする。
すべてがスローモーションのように映る。
今自分話しかけたものがこの世のものなのか、そうでないのか、まったく関係がない。そんな声だった。そうした区別もなく、ただどちらにも等しく価値がないと他愛もなく信じているような。
僕はその声に従いそうになる。
深層意識のどこかで、彼女につき従う葬列に混ざり、意識を喪失し、個性を埋没させてただひたすら盲目的について行きたいと、そう思っている。
だが、現実の僕は目の前を通り過ぎていく寒々とした列を呆けたような顔で見送っている。
その時僕は、彼女の横顔に涙が流れていくのを見た。
いや、それは涙ではなかった。左目の下、頬の上あたりに仄かに光る粒子が溢れている。それが風に流れる水滴のようにぽろぽろとこぼれては地面に落ちる前に消えていく。その粒子の跡を追って無数の死者たちが光の帯となって進む。静かな川のようだった。
僕はそれに目を奪われる。その情景に自分の感情を表現するすべを持たない自分がひどくもどかしかった。
気が付くと行列は去り、やがて再び繁華街のざわめきが戻ってきた。さっきまでの異様な空気はもうどこにもない。
何ごともなかったかのように酒気を帯びた人々が道を横断していく。
遠くで客の呼び込みをしている嗄れた声が聞こえる。終わりかけた夜の残滓がアスファルトの表面をゆっくりと流れている。我に返った僕は、棒立ちのまま左目の下に指をやる。
もう一度どこかであの人に会うだろう。
そんな予感がした。
また来週
あと、
× 今自分話しかけたものがこの世のものなのか、そうでないのか、まったく関係がない。
○ 今自分に話しかけたものが ―後略
ウニ乙
初めてリアルタイムで遭遇した
261 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/04(土) 23:28:47 ID:xgTYhuMm0
くだんね
面白かった…。
お疲れ様です、途中邪魔してしまってすまなかったです…。
ウニ乙
来週楽しみにしてます
加奈子さんなの!?
ウニを見て今日が土曜であると知る
デスマ進行中の歌丸です
なんか伏線来た感じですね〜
衣服を脱がずにはおられませんな
>>254 お前頭悪いのか?
>お前が
>>235だって事を言ってるだけだろ
ID見れば同一人物かどうか一目瞭然だろ
ID違うのに同一人物と言ってるから自演だと決め付けるな、と言ってるのが理解出来ないのか?
どうしようもない馬鹿だな
自分で「お前が
>>235だって事を言ってるだけだろ 」「俺もそう見えるわけだが 」
って言ってるのに自演関係ない、とかどうしようもない馬鹿だな
それじゃあ聞くが自演決め付け以外の何の意味で上のレスしたのか答えてみろよ
逃げるなよ
>>1より
・sage進行、荒らし煽りはスルーでお願いします。
・このスレでは作品への批判は荒らしと認定していますので、批判はご遠慮ください
・「荒らしに反応する奴も荒らし」というネットのルールを忘れずに。
反応するとその人を荒らしと 認 定 いたします
ウニ乙!!!!!
加奈子さんが好きな俺にとって今年は本当に嬉しい年だ
ウニさん乙です。
加奈子さんなのかなあ。
270 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/05(日) 12:08:16 ID:niW/zRzy0
正直、ウニと赤緑じゃ役者が違うでしょ。もちろんウニの方が上。
赤緑さんはまだまだ語彙力といい表現力といい経験不足なんでない?高校生?
271 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/05(日) 12:44:25 ID:CTKwNXA50
自演乙です
272 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/05(日) 13:24:46 ID:F8lXzL4bO
進歩ねーな
読んでて痛々しいよ
通報されかけたもんなあ
>>267 散々毒づいておきながら、都合が悪くなって初めてテンプレ持ち出して逃亡とかw
>>272 あれ?また自演扱いしてるの?進歩ねーな
ウニ氏乙です!
来週のために明日からまた仕事がんばれます!!
ウニが師匠シリーズスレでやってくれればこんな糞スレ開かなくてもいいのにな。
>>237 赤緑なんて見てないしどうでもいいんだけど、一人称の立場が頻繁に変るのが好きなの?
アニメやゲーム、漫画は視覚で理解できるから勘違いしちゃうのだろうけど、文章では一番やっちゃいけないタブーだよ。
そんな基礎中の基礎ともいえる、一般人でも知ってる常識を知らない奴を褒め称えて何がしたいの?何か貰えるの?
見てないって意見が多い中でNG入れろとか見なくて良いとかどんだけ押し付けがましいんだよ。
新作うpしました→url で十分だろ。好きな奴は自分から見に行くんだし、見たくない奴はスクロールする必要もないじゃん。
今後赤緑の話はスルーするけど、荒れてるのは赤緑とそのザッピング自演にも責任ある事を自覚してくれよ。
一人称がコロコロ変わるのかw
自演ばかりやってるから作品にも影響してんじゃねーのw
スルー、一択
もう面倒くさくなってきた、何コイツ
暇なんだろ。好きでもないもんにこうも粘着するとか、暇以外の何がある
>>277 荒らしなんて見てないしどうでもいいんだけど、自演で立場が頻繁に変るのが好きなの?
アニメやゲーム、漫画は視覚で理解できるから勘違いしちゃうのだろうけど、2ちゃんでは一番やっちゃいけないタブーだよ。
そんな基礎中の基礎ともいえる、一般人でも知ってる常識を知らない奴が煽って何がしたいの?何か貰えるの?
お前氏ねって意見が多い中で偉そうなこと言ってどんだけ押し付けがましいんだよ。
批評書いて見ました→ブログのurl で十分だろ。好きな奴は自分から見に行くんだし、見たくない奴はスクロールする必要もないじゃん。
そんなやつ居ないと思うけど。
今後お前の話はスルーするけど、荒れてるのはお前とその自演にも責任ある事を自覚してくれよ。
283 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/05(日) 18:20:37 ID:CTKwNXA50
自覚なし
一番妬ましい相手をageるふりして他を貶る発言をするのは一石二鳥だね
なんでこんなに必死なの?
逃げたんじゃなくて相手にされてないんだろ、気づけよw
ID真っ赤になったら負け
どのレスを削除依頼すればいいの?
解除キター!
リアルタイムでウニさんの投稿読めて嬉しい!
ウニさんに質問があるんだけど そういうのは受け付けてはもらえないよなぁ…
でも本当嬉しい 勝手にもう更新されないと思ってたから オカ板での夏の思い出になったよ
292 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/06(月) 07:24:58 ID:Q2zFH+O1O
こんなをが夏の思い出って…
おまえ試験管とかビニールハウスの中で生活してるの?
放置すると可哀想だからレスしてやるよ
>オカ板での
~~~~~~~~~~~
>>292 “オカ板での”って日本語が 読めなかったのか?
>>287 相手にするつもりないなら最初からスルーしとけよ
散々相手にしておきながら都合が悪くなったら「相手にして無いだけ」とか恥ずかしくないの?
いいから早く
>>266の質問に答えろよ。
お化けより・・・気持ち悪いです・・・
IDってな、やりようによっていくらでも変えられるんだよ。
もちろん、たかが自演のためにそこまでやっていたらマジモンの基地外だけどな。
もしそうなら診療内科への通院をおすすめするわ。
299 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/06(月) 13:25:04 ID:Q2zFH+O1O
混戦してますねー
もはや誰がダレに対して書き込んでるのか分からなくなってま〜す
300 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/06(月) 13:53:42 ID:lg5YI6VnO
どうでもよすぎる。
くだらないことに執着してる時点で負けよ。
楽しいことに時間使えばいいのに。
そんなことよりウニちゃんのおかげで週末のわくわくが増えた。本、自費出版でもしたら買いに行くのになー。
今週も待ってるね♪
やっぱり一番怖いのは生身の人間だよね
>>296 ん、あんた
>>266の人かな。じゃあ勘違いさせてすまんが俺は
>>287だが、あんたが今までやりあってた相手じゃないよ
本当にもう相手にされてないんじゃない?
師匠シリーズがもし書籍化したら嬉しいなーって思うけど こうやってウニさんが投稿してくれた噺をワクワクしながら読むのが好きだ
本じゃなくネットで読むから余計リアルというか 身近に感じられるなぁ 俺個人的にはなんだけどね
>>300 お前にはどうでもよくてもこっちは自演扱いされてるんだからこのまま終わるわけにはいかないよ
文句言うなら、最初に自演だと断言してたバカに言ってくれ
あと
>>266にな
306 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/06(月) 15:56:59 ID:Q2zFH+O1O
小さいやつらだな
荒らしなら少しは赤緑やメリーを見習えよう
放置した上で削除依頼、これ最強
構うと依頼通らないんで放置必須
でも、自演で一人芝居し出したらどうなるんだろう(ゴクリ・・・
まぁ、たまにキチガイが湧くのもオカ板らしくて面白いw
もはやそういう類いの怪異なのかもなw
310 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/06(月) 18:04:11 ID:lg5YI6VnO
>>305 えー?文句なんかいってないよー。超どうでもよすぎてあんたもその相手も別に一緒なの。
てゆうか
絶対謝罪なんて言いに来ないと思うよ。そんなのにいちいち噛み付いてないであんたも賢くなったら?
はぁせっかくウニちゃんの新作が順調にうぷされてるのに板空気悪すぎ。
>>305 お前いま、自分からつっかかっておいて怒られたら逆切れしてる状態なんだけど自覚ある?
あるならもう黙ってろ。ないならもう更生できねぇよ、黙ってろ。
や〜い怒られてやんの〜
313 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/06(月) 20:51:21 ID:Q2zFH+O1O
なんか言い返したれ
週末が楽しみだね♪
>>310 誰が謝罪しろと言ってるんだ?読解力ないなら書き込むなよ
>>311 >お前いま、自分からつっかかっておいて怒られたら逆切れしてる状態なんだけど自覚ある?
自分からつっかかって?何度言わすんだ?自演自演だと喚いてるバカが始めたことだろ
状況全く把握してないようだな
なんだよ逆ギレって?
バカだから何回も言って聞かせないと理解出来ないのか?
じゃあ何回でも言ってやるよ
自演だと決めつけたレスが発端なんだよ。突っかかってきたのはそいつだ
勝手に自演だと決めつけておいて、それに反論したらお前らのようなバカが絡んできたんだろ
お前こそその自覚ないのかよ?
>>307 削除依頼?
どういう理由で削除依頼出すつもりだ?
自演だと煽っただけで噛み付いてきました,削除してくださいってか?
中傷されたのは俺だ。やたら基地外とか言ってる奴もいるし
早く成仏しろよ
ひでーなこりゃw
眺めてた外野だが、言わせてもらう
作品が流れるからもう止めろ、お前ら全員荒らしと全く変わらん
>>316 「自分のことを棚にあげて」って言葉しってる? もうそれ以上言うことないな、呆れた
>>319 申し訳ないっす…、客観的に見て俺も子供みたいだなと改めて思ったから御暇するわ、汚してすまねぇ
321 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 00:05:47 ID:5RijQLR2O
>>305 あんたも鈍いねー。あんたたちの粘着書き込みが邪魔なの。
作品以外興味ないの。此処にくだらないことを書くな。ねちねち野郎キンモイ。
あーいえばこうゆう。器ちっちゃー。相手に謝罪も訂正も求めないのならば尚更書き込む必要なしでFA。
てゆうかやたら人に噛み付いてこないで。
うん。阿呆らしいからもうウニちゃんきたとき以外書き込まない。ばいばい♪
322 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 00:08:03 ID:5RijQLR2O
あっ、ごめんなさい。
>>315 だった。 ではでは♪
うぜえ。
でもうにたんラブ♪
なんか沸いててうざいなぁ
こんなんじゃ投下する気無くなる
>>324 多分こいつら黙る気ないから、投下しなくてもいいよ
326 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 14:31:57 ID:eD9hbKjIO
ウニが投下すると雰囲気悪くなるんだよな
誰かウニ専用スレたててやれよ
師匠シリーズ専用スレってのならあるよ、ウニが何故そっちに投下しないのかは知らんが
まぁ別にこっちでも良いんじゃない? 最近はウニの投下で荒れるようなこともなくなってきたし
今回こうして雰囲気悪くなったのはウニが投下したからじゃないよ、ウニ投下前から悪かったのが投下後も続いているだけ
メリーを隔離しろよ
>>321 ふー。これほどのバカとは思わなかった
>相手に謝罪も訂正も求めないのならば尚更書き込む必要なしでFA。
謝罪も訂正も求めてない。質問の答を待ってるんだって何回レスしたかなあ?
なんでそれに気づかない?わざとやってるのか?
ただ煽って楽しんでるのか?
さんざん見当違いのレスと誹謗中傷ばかり繰り返してるが、お前人として終わってるよ
バカは書き込むなよ、と心底思ったわ
ちなみに質問は
>>266だ
早く答えろよ。お前が発端なんだからよ
飲み屋の店内で突然喧嘩始めて、店全体の雰囲気を悪くする奴
っているよね
店の外でやってほしいよね
331 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 20:13:50 ID:eD9hbKjIO
ぷっ、表にも出れないくせに…
332 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 20:35:40 ID:Ss8qEkoHO
赤緑は大好きだ。みんな好きじゃなくても別にいいけど好きな人まで批判するなよ。みんな嫌いなわけじゃないだろ
ウニ専用じゃないんだからメリーも赤緑も別にいいだろ
基地外だらけ
なんか久しぶりに来たら面白い状況になっててテュバキュワロウシスww
335 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 21:40:11 ID:eD9hbKjIO
おまえも参加しろよ
約束事はひとつだけ
発言はスレ上げて。
この地道かな努力なくして祭りはありえないから
>>332 赤緑には頑張って欲しいわ。何だかんだ言ってもコンスタントに投下してくれるし。
あと忍の人の続報とお疲れ枯野も待ってる。
おれもメリーさん好き。
339 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/07(火) 23:23:18 ID:eD9hbKjIO
なんでsageるん?
>>332 ここに投下されてたメリーは既出の話を荒らし目的で連投してただけだから、やっぱ駄目だろ
まぁここ数日おとなしくなってくれたようで何よりだが
それ以外のならシリーズ物としてスレに沿ってるから確かにいいだろうね
俺は赤緑大嫌いだからURL誘導だけにして欲しいっていつも思うもん。
そりゃもうテンプレにURLを入れてもいいと思うくらいだのぜ。
>>343 同意!
読みたくないヤツは読まなきゃいいじゃん。
私は赤緑応援してるよ♪
押し付けがましいな
そんなに好き好き大好きならブログ行って応援コメでも書いてやれよw
346 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/08(水) 08:32:53 ID:HoWPG2dRO
おとなしくしてろよウニー
ワシも赤緑好き
大体シリーズ物のスレなんだからさ
黙ってみてろよな
赤緑さんへ
blogのほうにコメントしたのは消されたようなので、こちらに書き込みします。
赤緑さんがご自身の作品だとblogに載せている『嘘つき』は私が投下した話です。
blogから下げて下さい。
349 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/08(水) 11:32:42 ID:HoWPG2dRO
証拠がなくてはね
そんなんウニや師匠だってわからんね
ハハ、ワロス
自分が誰で、『嘘つき』を何時書いて、何処に投下したのか、
それを言わなきゃ始まらんだろw
赤緑憎しの怪文書にしか見えませんよwww
放置しときゃいいのに皆さん必死ですね。
ザッピングシステムは磐石ですか。
今赤緑氏はルータの電源入れなおす作業で大変なんですね。
赤緑のblogってどこ?
今更だが
>>253の指摘ってさ、実はあながち間違ってはいないんだよな
オバケが出てきたらオカルトってんじゃ、さすがに短絡的過ぎる
正直なところ、オレも赤緑氏の作品はブログか同人創作板の方が相応しいと思ってるしね
でもそのケンカ腰じゃ完全にアウト
荒らし認定されて然るべきその態度は反省すべきだと思うよ
355 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/08(水) 13:02:14 ID:HoWPG2dRO
もはや誰がダレにレスしてるんだか…
お前らステキ
ウニ信者或いはウニ本人のふりをして赤緑を叩いて荒らして両方にダメージを与えたいのは理解した
…杜撰だけど
自分が気に入らないからって消えろとかってのはないんじゃないか?
>>356 なんだそれ、どこをどう取ってそうなったのかわからんw 杜撰だなw
359 :
ウニ:2010/09/08(水) 16:51:19 ID:HoWPG2dRO
いや…たぶんそれはオレのことでは?
もっと緻密にやれと叱咤激励かと。
360 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/08(水) 18:49:38 ID:wd9u2XjF0
遅まきながらウニ氏乙!!
3本連続で読めて最高だああー
来週も楽しみにしてる!どんな短い話、小さい話でもいいから投下してくれるのずっと待ってる!
>>330 喧嘩はじめたのは自演決めつけ厨だけどな
取り巻きが必死に責任転嫁してるしタチ悪いよな
362 :
ウニさま:2010/09/08(水) 19:25:30 ID:HoWPG2dRO
オマエら価値の解らぬバカばかりだからな〜、どうしようかな
>>341 俺は赤緑すごい嫌いで投下してほしくなくて、投下するたびに批判してるんだけど
俺からしたら赤緑は荒らしなのか?
荒らしってのはそういうのじゃないだろ
スレに沿ってるからおk、って言うのが間違ってる。甘やかすだけ
>>356 今度はウニ信者のせいにしちゃってるよ・・・・
>>360 いや、もうウニはウニ専用スレに投下して欲しい
投下するたびこんな流れになるのは目に見えてる
あそこは平和だろう
おう・・・、そうか。
367 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/08(水) 20:12:26 ID:HoWPG2dRO
唐突だけど
「呪いの肉面」っていう話があるんだけどさ
それと似た話の都市伝説で「アンジェラの呪いの鼻メガネ」って話を誰か知らないかい?
アンジェラ・アキしか思い浮かばなかった
嫌いだから批判するとか得意げに語る本日の自演君でした
自分の好みじゃないから「ここから出ていけ、投下するな」とか言いながら、
「好きな人もいるのだからNG登録すればいいじゃない」って言われると「押し付けがましい」って…。
無理強いしてるのはどっちよ。
頑なにNG登録しないみたいだし、ただ叩きたいだけ…?
基地外だから仕方ない
それに実際ウニが専用スレに投下するようになって
赤緑がブログ?サイト?に書くようになったら、ここどうなるよ
373 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/08(水) 21:55:51 ID:HoWPG2dRO
実は半年程前に「アンジェラ、俺も男だっ」ていうタイトルのホラー小説シリーズを作ってさ、このスレに投下しようと思っていたんだ。
今晩夜中にでも投下しようと思っていたその日の電車の中で僕は
偶然に、全く偶然にアンジェラよりも一回りもデカい鼻のオバサンに出会ってしまった
僕の前に座っていた彼女の鼻を見ながら
鼻のデカい男はアソコもデカいとか、では女は?
そんな事をつい考えている自分
そして鼻が目的の駅で降りる頃には何故か僕はここに投下する気などとうに失せていた。
そうか。
とりあえず俺はアンジェラ・アキしか出てこなかったからそう書き込んだ。
そしてそのあと何気なくYahoo!のトップページを開いたらアンジェラ・アキがいたんだ。
また自演決めつけ厨が見当違いなレスしてるw
>>373 もうその文章力で、投下しないでよかったな、と言わざるをえない
タイトルがまず酷いw
>>372 え?投稿者がいなくなったら落とせばいいだけの話じゃん
今まで腐るほどスレが消えて無くなった。
どうなるもこうなるもねえよ
ただでさえ投稿が少ないのにここまで続いてることがおかしいのに
>>349-350 その赤緑も洒落怖の話のいくつかを自分が投稿したものだって主張してるんだが
そのへんはお前らどう思ってるんだよ
ブーメラン戻ってきてますよ
379 :
うに:2010/09/08(水) 23:12:13 ID:HoWPG2dRO
おまえら…
泣いて踊りな!
面倒くさいの清みついたなー
>>380 あ、それ元(part1)からなんですよ
スルーが一番
眺めて見てる奴らが一番賢いかもなぁ
>>363 じゃあNG登録にすればいいじゃん。オ・マ・エはww
それともいちいち批判して場の空気を悪くし、
別に赤緑に嫌感情をもっていない輩・他人にまで
少なからず不快感を与えるのが趣味なの?
悪趣味!ばか!ちんかす!素人童貞!死ね!
理屈じゃなくて
「このスレとお前ら(作者読者)を許さない」だから
ただのイチャモン
385 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/09(木) 11:24:56 ID:UkPUiRzqO
もう暴れるのはやめるんだ、ウニくん!
>>384 一体彼(彼女?)に何があったんだ・・・
初代スレ辺り辿ればわかってりするんだろうか。
387 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/09(木) 17:13:41 ID:ZkwOKyyF0
tes
>>349-350 え?赤緑も洒落怖に投下したってタイトル込で告白してたがあれは良いのか?
もちろん証明なんてしてないはずだが・・
389 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/09(木) 19:45:49 ID:UkPUiRzqO
つまり
2ちゃんの韓国的家族主義にはウンザリだと
そう言いたいのですね
ウニ大人
>>386 ここはオカ板だぞ、何か憑いてるからに決まってんだろ?言わせんな恥ずかしい。
391 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/09(木) 20:09:27 ID:UkPUiRzqO
かのじょったんだ
392 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/10(金) 13:56:08 ID:7hES27RRO
ウニさん専用スレが落ちたようなので、誰か立ててプリーズ
師匠シリーズを語るスレがほぼ専用スレなんだからそれ使えよ。
ここは赤緑専用スレなんだから糞レスすんな^^;
348 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/08(水) 11:18:08 ID:fbCQiesjO
赤緑さんへ
blogのほうにコメントしたのは消されたようなので、こちらに書き込みします。
赤緑さんがご自身の作品だとblogに載せている『嘘つき』は私が投下した話です。
blogから下げて下さい。
349 本当にあった怖い名無し 2010/09/08(水) 11:32:42 ID:HoWPG2dRO
証拠がなくてはね
そんなんウニや師匠だってわからんね
350 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/08(水) 11:50:31 ID:k2YNC/lB0
ハハ、ワロス
自分が誰で、『嘘つき』を何時書いて、何処に投下したのか、
それを言わなきゃ始まらんだろw
赤緑憎しの怪文書にしか見えませんよwww
378 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/08(水) 22:31:03 ID:DQWdbCnD0
>>349-350 その赤緑も洒落怖の話のいくつかを自分が投稿したものだって主張してるんだが
そのへんはお前らどう思ってるんだよ
ブーメラン戻ってきてますよ
388 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/09(木) 19:30:47 ID:ldRCT/620
>>349-350 え?赤緑も洒落怖に投下したってタイトル込で告白してたがあれは良いのか?
もちろん証明なんてしてないはずだが・・
397 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/10(金) 20:25:33 ID:7hES27RRO
オレもこのスレにはいくつも投下してるし、盗作だって何度もされたが
ここはそういう所なんじゃないのか?
それを考えるならウニは投下する場をもっと考えるべきでは?
399 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/10(金) 20:46:25 ID:7hES27RRO
オモチャが笑っちゃダメだなー
笑わせないと
____
クズ共が / \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´
>>398 ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
___
/ \
/ノ \ u. \ !?
/ (●) (●) \
| (__人__) u. | クスクス>
\ u.` ⌒´ /
ノ \
/´
>>398 ヽ
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<クスクス / \!??
/ u ノ \
/ u (●) \
| (__人__)|
>>398
/ \
/ ⌒ ⌒ \ 何言ってんだこいつ
/ (●) (●) \
| 、" ゙)(__人__)" ) ___________
\ 。` ⌒゚:j´ ,/ j゙~~| | | |
__/ \ |__| | | |
| | / , \n|| | |
>>402 |
| | / / r. ( こ) | | |
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 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l二二l二二 _|_|__|_
>>402 / ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。
| .:::。゚~(__人__)~゚j もう許してください・・・
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._
404 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/10(金) 22:50:10 ID:7hES27RRO
ウニに投下されるくらいならこのまま不毛なレスで終わらせたいと
八割方の住人が言ってますが
405 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/10(金) 23:09:34 ID:qco08pus0
たてたから
もうこれでオシマイにして。
やっぱ荒らしは自演してんだな
ついでに赤緑とメリーさんのスレも立てろ
赤緑スレはいいかもな
誰か頼んだ
じゃあもうこのスレいらないね
何勝手なこと言ってんだ!今までずぅっと基地街(暗黙の了解)にイラつき殺意を抱きながらもここのスレを読んでうには勿論赤緑が投下するの生きる楽しみの一つと受け止めてるのに、
邪魔するんならおまえが死ねよ死ね死ね死ね!!
まぁ俺は嫌味で言ってるんだが
>>荒らしたりつべこべ云う皆様へ
お願いだから私の楽しみを奪わないで
奪わないで。そうっとしておいて。
私は赤緑の投稿もうにの投稿もその他の投稿も
楽しみにして生きているんです。
お願いです。お願いします。お願いします。
違う意味で怖いじゃん
414 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/11(土) 16:53:34 ID:aqJ1vl4YO
専用スレできたんだからそこ行けばいいだけじゃん
あとはウニに投下してくれるように祈れよ
416 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/11(土) 20:09:07 ID:aqJ1vl4YO
はい
誉めてもらおうなんて思ってませんよ
てへっ
そうか、おぼえておくよ
>>406 また言ってやがる
どこで「やっぱり」と確信したのか言ってみろ
ウニ来ないなぁ…
まぁ、たぶんまた来週って言ってたわけだから確実に来るとは限らないけども…
大学一回生の冬。俺は当時参加していた地元系のオカルトフォーラムの集まりに呼ばれた。いや、正確には見逃していたのかそのオフ会の情報を知らず、家でぼーっとしていたところに電話がかかってきたのだ。
「来ないのか」
京介というハンドルネームの先輩からのありがたい呼び出しだった。俺は慌てて身支度をして家を飛び出す。時間は夜八時。向かった先はcoloさんというそのフォーラムの中心的人物のマンションで、これまでも何度か彼女の部屋でオフ会が開かれたことがあった。
ドアを開けると、もうかなり盛り上がっている空気が押し寄せてくる。
「お、キタ。キタよ。はやく。こい。はーやーく」
みかっちさんという女性がかなりのテンションでこちらに手を振っている。部屋の中にはすでに五人の人間がいて、それぞれジュースをテーブルに並べたり、壁にキラキラしたモールをかけたりしていた。
そしてテーブルの真ん中にはいかにもお誕生日会でございますという風体のケーキが鎮座していて、そのホワイトクリームの表面にはチョコレートソースで「colo」と書いてあるのだ。
なんだ。coloさんの誕生日パーティなのか。いつもは降霊会なんておどろおどろしいことをしているオフ会なのに、今日はずいぶん可愛らしいな。と思ったが、やがてこの人たちを甘く見ていたことを思い知ることになる。
用意されていたローソクがケーキの上に立てられて行くのをcoloさんは一番近い席でじーっと見ている。あいかわらずよく分からない表情だ。嬉しそうにしてればいいのに。
やがてローソクをすべて並べ終え、「じゃあ始めよっか」というみかっちさんの一言で部屋の電気が消された。
暗くなった部屋の中で、真ん中のテーブルのあたりに水滴のような形の光が仄かに揺れている。無意識に数えた。ひとつふたつみっつ……
あれ? 目を擦る。ゆらゆらとしている火の数が、何度数えてもおかしい。十六個しかないのだ。coloさんは同じ大学の三回生で、その誕生日なのだから二十一個より少ないということはないはずだ。
よく見ると真ん中に一つだけ大きなローソクがあるから、もしかしてそれが十歳分とか五歳分なのかも知れないが、それでも数が合わない。五歳分だとしても十五足す五で、二十歳にしかならない。
六歳分? そんな半端な数にするだろうか。
考えていると、歌が始まってしまった。以下、聞いたまま記す。
はっぴですでいつーゆう
はっぴですでいつーゆう
はっぴでーすでいでぃあcoloちゃん
はっぴでーすでいつーゆう
は? なんだそれ。「ハッピー・デス・デイ・トゥー・ユウ」だって?
俺は混乱する。誰かのクスクスという忍び笑いが聞こえる。
「け、消して。coloちゃん。ローソク。消して」
みかっちさんが吹き出しそうになるのをこらえながら言う。
「うん」という声がして、coloさんが真ん中の大きなローソクの火に息を吹きかける。フッと一つの火だけが消える。
わずかな静寂の後、「おめでとー」という声が重なってパチパチという拍手が響いた。そして電気がつけられる。
「デス・デイ、おめでとう。あと十五年!」
みかっちさんがそう言ったあと、お腹を抱えて笑い出した。
ケーキの上には火のついたままのローソクがまだ十五個残っている。なにがなんだか分からない俺は、ずっと硬直していた。
説明を聞くところによると、どうやらこういうことらしい。
coloさんは異常にカンが鋭い女性で、それはほとんど未来予知と言っていいようなレベルに達しているのだが、本人いわく危険度の高い情報ほど基本的には早期に知ることが出来るのだそうだ。
野良猫を撫でようとして引っ掻かれる時には二日前に。カラスに頭を突っつかれるときには三日前に、という具合だ。どうして彼女がカラスに頭を突っつかれなければならないのかよく分からないが、とにかくそういうことらしい。
そんな彼女にとって危険度マックスの情報とは、つまり自分の「死」である。彼女はその日時をすでに知っているというのだ。
それがバース・デイならぬデス・デイであり、今日十六個目のローソクの火が消えたといことは余命があと十六年を切ったということなのだろう。
なぜそんな日を祝うのか理解に苦しむが、親しい友人たちを呼んでデス・デイ・パーティを開くというのが昔からの慣習になっているのだそうだ。
祝えねーよ。
六等分に切り分けられるケーキを見ながら、そう突っ込みたくて仕方がなかった。
わ~い
デス・デイ・パーティーだと!!?!?!?!?
デス・デイ・パーティという恐ろしげな名前とは裏腹に楽しく場は進み、coloさんの手料理やケーキで腹を満たしつつ、「わたしも寿命しりたーい」などというみかっちさんの不謹慎な発言に「本当に知りたいの」というcoloさんの静かな答えが返り、
「あ、うそ」と黙り込んだりということもありながら、とうとう宴もたけなわというころになった。
「はい、じゃあこれからゲームをしましょう」
coloさんがそう言って手を叩いた。みんなが注目する。
「えーと。みんな、今日はわたしのデス・デイをお祝いしてくれてありがとう。そのお返しにスリリングなゲームを用意しました。とっても危ないゲームだけど、きっとみんなならクリアできるよ」
みかっちさん、京介さん、沢田さんという女性陣に、俺、山下さんという男性陣の合わせて五人がそれぞれ顔を見合わせる。
「これから問題を出すから良く聞いてね」
俺たちの目の前でcoloさんが白い紙を取り出し、マジックペンで数字を書き始めた。
X=1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ ……
なんだろう。1の間にマイナスとプラスが交互に入っている単純な数式だ。最後の点々はこれがずっと続くという意味か。
「この永遠に続く数式の解が実は三つあるの。その解Xを三つとも答えてね。ただし、一つでも間違えたらアウト。答えはみんなで相談して代表者が答えてね」
三つ? 三種類も解があるのか? 単純そうに見えて難しい問題なのかも知れない。
数式を覗き込みながらそう考えてると、coloさんがとんでもないことを付け加えた。
「もし答えられなかったら罰ゲームに、さっきみなさんが食べたケーキ。あれに下剤を入れちゃうよ」
はあ? 全員目を剥いた。意味が分からない。もう食べ終わったケーキに今から下剤を?
なんの冗談かと笑おうとした瞬間、以前体験した恐ろしい記憶が蘇ってきた。
種類の違うお札の入った箱を選べというゲームなのだが、coloさんが俺の選択をあらかじめ予知しているというのだ。結局現在進行形の行為が、過去に遡って影響を与えるという事象の不可解さに怖じ気づいた俺は白旗をあげてしまった。
そのゲームと同じ構造だというのか。
もしこの問題を答えられなかったら、その結果を予知した過去のcoloさんがケーキにこっそり下剤を仕込むということか。すでにケーキは食べ終わっているというのに!
味は? 変ではなかったか? 口に残ったケーキの余韻を確かめようとするが、やたらスパイシーだったチキンのおかげで完全に消えてしまっている。
「ちょっと、冗談でしょ。入れたの? 入れなかったの?」とみかっちさんが詰め寄る。他のみんなも真剣な表情に変わった。きっと多かれ少なかれ箱の時の俺と同じような経験をしているのだろう。
「答えたら面白くないじゃない。無理に喋らせようとしたら、失格ね」
ハッとしたようにみかっちさんが手を引く。
なんてこった。とんでもない事態だ。さっきまでの楽しいパーティはどこに行ってしまったのか。当事者のcoloさんは無表情で、なにを考えているのか分からない。
「はい、じゃあ、紙とえんぴつを支給します。頑張ってね」
配られたものを眺めながら、五人は「やるしかないのか」という顔になっていた。
「恨むわよcoloちゃん」というみかっちさんの言葉に、「スリルがあった方が楽しいでしょう」という脳天気な答えが返る。
そしてゲームが始まった。
とりあえず、無限に続くという部分に惑わされてはいけない。式を紙に書き出してからそう考える。単純化するのだ。
高校時代、数学の成績は酷かったが、ここは俺とみかっちさんの現役大学生コンビが頑張るしかない。そう思ってみかっちさんを見ると、沢田さんと二人で「最後がプラス1で終わるのかマイナス1で終わるのか」という論争をしている。いや、終わらないから。
みかっちさんを見限った俺は一人でやるしかないと気合いを入れた。山下さんも一応紙に向かっているが、あまり自信がなさそうだ。京介さんは初めからやる気がなく、煙草を吸いにベランダに出ていってしまった。
とりあえず俺は式を括弧で括り、単純化することにした。そうすると一つめの答えはすぐに見つかった。
X=(1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ ……
X=0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + ……
ゼロを永遠に足し続けるわけだから、Xは0だ。まず一つ。
次は少し難しかった。あれこれいじってみて、ようやくそれらしい形になった。
X=1-(1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ ……)
X=1-((1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ (1-1)+ ……))
永遠の数式の最後を括弧で閉じるのが少し気になったが、多分これが正解だ。大括弧の中が一つめと同じ形になったので、あとは簡単。
紫煙わっふる
支援
428 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/12(日) 00:22:06 ID:+RFBetFrO
支援
429 :
sage:2010/09/12(日) 00:23:05 ID:2FgiuNPC0
うれしいよぅ…ないちゃう
X=1-(0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + 0 + ……)
X=1-0
答えはX=1。これで二つめだ。
とんとんと二つめまで辿り着いたので案外簡単じゃないかと安堵したのだが、ここからが難問だった。
どういじっても、どう括弧で括っても一つめか二つめの形の亜種にしかならず、結局0か1かという答えになってしまうのだ。頭がこんがらがってきた俺は、これまでのパターンをみんなに見せて確認してもらった。
「おい、少年。すごいじゃん。さすが学生」とみかっちさんが褒めてくれたが、あなた俺と同じ大学でしょう。それにやってみて思ったが、これは数学というよりパズルだ。
京介さんが戻ってきてから、俺は全員に同意を得て代表としてとりあえずここまでの答えをcoloさんに告げた。
「0と1ね。正解! あと一つ」
「なにかヒントはないですか」と頼んでみたが、「ない」と実につれない。仕方がないので、全員で知恵を寄せ合い、いろいろ考えてみる。しかし括弧での括り方なんてそれほど多くのパターンはなく、似たような形になるばかりで、どうあがいても0か1かになるのだった。
「発想の転換が必要」と宣言して、みかっちさんが書き出した式も結局なにも変わらなかったし、「他二つが0と1なんだから、その前後じゃないか」ということで、「2かマイナス1」という答えが直感派の間で主流になったりしたが、
裏付けが取れないためGOサインが出ないのであった。
発想の転換が必要だ。その言葉を十回くらい聞いたが、なんの足しにもならなかった。書いた紙が散乱し、下剤の恐怖と戦いながら、殺伐とした空気を吸って吐いて俺たちは考え続けた。
ふと顔を上げるとcoloさんが椅子に座ったまま退屈そうに足をぶらぶらしている。まずいな。そろそろ答えないと。
そんな停滞する場を打開し、答えを導き出したのは意外な人物だった。 手持ちぶさたのcoloさんが腕時計を覗き込んだ瞬間だ。
「わかった」
そんな言葉が部屋に響いた。全員の視線が集まる先にはみかっちさんがいた。「うそ」と沢田さんが言ったが、みかっちさんは人差し指を左右に振って「あたし天才かも」と目を瞑る。
「いい? 発想の転換が必要だったのよ。答えから言うわね。意外や意外、三つめのXの正体はに……」
そこまで言い掛けたみかっちさんの口を誰かの手が塞いだ。疾風のように動いた人物は京介さんだった。
わあい
うれしすぎる…支援
「バカ。勝手に答えるな」
真剣な顔でみかっちさんの抵抗を力ずくで抑える。そして矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「解けたぞ。ヒントは時計だ。沢田さん、coloの口を塞げ」
え? とみんな唖然とする中で、沢田さんが条件反射的にcoloさんの口を塞ぎにかかった。「ちょっと、なに」抵抗するcoloさんの手を俺も一緒になって押さえつける。
京介さんの方はみかっちさんが大人しくなったところで手を離し、部屋にあったタオルを手に取ると押さえつけられているcoloさんの口を覆った。猿ぐつわだ。
「ふぁいふぅおぉ」
突然の暴挙にcoloさんが戸惑いながら訴える。
「これは予知してなかったか? 焦点になっている答えに関わる部分以外は捉えられていないようだな。無理に喋らせようとしたら失格だと言ったが、喋らせないのはかまわないはずだ」
京介さんはゆったりした動きでcoloさんの前に両手を組んで立ちはだかった。
「おまえの予知が本物という前提で話す。いいか。問題は、解Xを三つ答えろという内容だ。一つでも間違えたらアウト。つまりさっきこのバカが答えてしまっていたら失格だったということだ。
そしてその結果を予知したおまえは過去のケーキを用意した時点で中に下剤を仕込む。それでこれから私たちは地獄の苦しみという展開だ。行為が終了しているにも関わらず下剤が入っていたかどうか、食べた後にも分からないのがこのゲームのミソなわけだが……」
京介さんはみんなで綺麗に平らげたケーキの空箱を指さす。
「ミスをしたな。おまえはこのゲームの制限時間を決めていない」
俺はその言葉にハッとした。そうだ。その通りだ。
支援!
「私たちはこれから、『最後の三つめをなかなか答えない』という行動に出る。するとなにが起こるか。分かるな。下剤が効いてくるはずの時間を超過するんだ。何ごともなくその時間が過ぎたら、下剤は入れられていなかったということ。
もし仮に腹が痛み出したら、下剤は入っていたということになるが、私たちはなにもミスをしていない。間違えてもいない、制限時間もない、無理に喋らせようとしていない。そして、腹が痛み出したら未来永劫、絶対に三つめを誰一人答えないことを宣言する。
にも関わらず下剤を入れていたとしたら、これはアンフェアだ。入れられる理由なんてないのだから、論理によって成り立つゲームの根底を崩してしまう。ここまでは私の理屈だ。だが、おまえは今、『それは確かにアンフェアだ』と思ってしまった」
京介さんの力強い言葉につられ、俺も、他のみんなも頷いてしまった。coloさんは表情を引っ込めて反応もしなかった。
「口を塞がれ、これからルールを追加することも出来ないおまえは、結局下剤を入れられない。こちらの勝ちだ」
見事な勝ち名乗りだった。俺たちは感心して思わず手を叩いた。すごい。これこそが発想の転換だ。coloさんの頭ががっくりと落ちた。観念したらしい。これからなにが起こるか理解できたようだ。
下剤が入っていなかったと俺たちが確信できるまで、拘束されるのだ。筆記等によるルール追加もできないように、部屋にあった布類で縛り上げる。その作業は女性陣が行ったのであるが、なんだかいけないものを見ているような気がしてドキドキする。
椅子に座ったまま身体の自由を奪われたcoloさんの目に涙が浮かんだのが見えた。やばい。可哀想になってきた。自業自得なのに。
「で、下剤ってどのくらいで効くの」
みかっちさんの言葉に部屋の中がシーンとする。
たぶん、四、五時間というファジーなところで意見が落ち着き、念のために六、七時間くらい余裕をみることにし、なんだかんだで結局朝まで宴が開かれることになった。
パーティの主役であるcoloさんの目の前で、俺たちは語り合い笑い合いふざけあい、語り合った。
coloさんにメソメソと泣かれたらどうしようと思ったが、変な格好のままあっさりと本人は寝てしまい、俺たちは心おきなく時間をつぶすことができた。
おおお、俺今日バース・デーなんだ すげぇプレゼントだ支援!
後から考えると、とっとと解散するとか、「もうやめよう」と言ってcoloさんと休戦条約を締結するとか、下剤の箱やレシートがあるかどうか探すとか色々やり方があったような気もするし、どうしてcoloさんはこの展開を予知できなかったのかとか、
京介さんの未来予知に関する考え方にも多少の疑問点もあったが、その時の俺たちはそういう細かいことを抜きにして楽しい時間を過ごすことに全力を尽くし、変な角度からの青春をとにかく謳歌していたのだった。
この混沌としたデス・デイ・パーティの顛末に付け加えることが一つ。
夜中の十二時を回ろうかというころ、電話が鳴った。携帯ではなく、coloさんの自宅の電話だ。
眠っているcoloさんをちらりと見てから、京介さんが受話器を取る。
「はい」
相手と二こと三こと会話を交わしてから受話器を置く。そしてcoloさんのところへ行って、肩を叩いた。ゆっくりと彼女は目を開く。
「あの変態から電話。『おめでとう』。以上」
そして京介さんはまたみんなの輪に戻っていく。
俺はそのやりとりを見ていて、なんだか不思議な気持ちになった。はっぴですでいつーゆうと言われても、まったく嬉しそうな様子を見せなかったcoloさんが、初めてニコッと笑ったのだ。
また目を瞑り、眠りにつこうとする彼女を見ながら、俺はふと今日はcoloさんの本当の誕生日だったのかも知れない、と思った。
「ちょっと、あたし、合ってたじゃない!」
腹を痛めることもなく無事に迎えた次の朝、coloさんの拘束を解いて解散となったとき、みかっちさんが叫んだ。出題者であるcoloさんから三つめの答えの説明があったのだ。
X=1-(1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ ……)
このとき、右項の括弧内は最初の式である、
X=1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+1-1+ …… の右項と等しくなるため、
X=1-X
2X=1
X=1/2
となるのだそうだ。ほんとかよ。
「にぶんのいちって、言おうとしたのに。あたし算数得意なんだから」
算数というあたりが信用できなかったが、そういうことにしてあげた。
乙です!!!
乙!
ウニありがとう! 乙!
この残暑の日々が楽しくなりました。ありがとうごさいます。
乙です!
ウニさん乙です!
ドキドキしながら待ってた甲斐があったー。
ずっと気になってたデス・デイ・パーティーが読めてめっちゃ嬉しいです。
444 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/12(日) 00:52:54 ID:74Sz/umKO
ウニちゃんありがとう〜。今からじっくり読みます。
最近、毎週末wktkだよ♪
ウニさん乙です!これから読みます〜
ウニ乙!
くそ、師匠は罪な男だよな...
ウニ乙!
ありがとう
ウニさん、お疲れさま~♪
それから
>>437 おたおめ~
449 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/12(日) 01:20:03 ID:a1OGOwWZ0
ウニさん、ありがとう!
またよろしくお願いします。
デス・デイ・パーティーだと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ウニ乙☆
452 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/12(日) 11:44:46 ID:dt1YIe4+0
うわあああああデス・デイ・パーティーってずっと気になってたけどネットのどこ探しても見つからなくて
読みたくて読みたくて仕方なかったやつだよおおおお
ウニ氏ここ最近の連投マジ乙!
ありがとう
だからなんでこっちにばかり投下するんだよ?
せっかくファンが専用スレ立ててくれてるのになんで無視するかなあ
「なぁ、そろそろ帰ってもいいんじゃないか」
結局今日は体調不良を理由に会社を休んだ。
まんざら嘘というわけでもないのだが。
「えー なんでそう帰そうとするのよー
彼女居ないんでしょ?もちょっといいじゃなーい」
横綱にうりうりされる。いかん。このままでは寄り切られる。
「だいたい、メリーさんて何しに来るんだよ!」
「まぁデリヘルじゃないからこういうのは稀だけどねー」
「くっ・・・ちくしょー!もういいから帰れよ!」
半泣きになりながら叫ぶ。もう恥もクソもない。
「何よー!言われなくたって帰るわよ!バーカ!バーカ!童貞!」
「うるせー!肥満体!メタボリックシンドローム!」
バタン!
あんなメリーさんでも、いざ居なくなると寂しいな・・。
・・・! いかんいかん! 感傷に浸ってたらひょっこり戻ってきそうだ。
はぁ・・・それにしても、とんだ災難だった。
一人の人間の一生のうち、メリーさんが来る確立ってどのくらいなんだろう。
某メリーさんスレを読みながら考える。
もしかして、俺の一生でやっと来たメリーさんがアレで、
そしてもう2度と来ないんじゃないだろうか。
そう考えると物凄く人生が暗く思えてきた。涙も出てきた。
「はぁ・・・メリーさん来ないかなあ、可愛いの」
デッデケデケデケ
「ん? 上司からか・・・明日は出ますって言っとくか・・・もしもし」
「もしもし?私メリーさん」
「え、あ、ちょう(またキタ━━(゚∀゚)━━!!!)」
「今、あなたの家の前に居るの」
頭の中にふと黒い記憶が蘇る。
もしかしてアイツじゃないのか。声は違うようだけど・・・
無言で玄関まで歩いてドアスコープを覗いてみる。
「あれ・・・」
そこには確かに携帯を持っているメリーさんが居た。
今度は・・・可憐な美少女だ。
「お待ちしておりました」 ガチャッ
「えっ!? ビックリした・・・えと・・・おじゃまします・・・」
神はもう一度チャンスをくれた。 今度こそ、今度こそ
あの忌まわしい記憶を振り払って俺にもバラ色のメリーさんライフが訪れる。はず。
〜まともなメリーさんが来ない 第2話〜
彼女を丁重に部屋に迎え入れる。
ふいにベッドの上が大変な事になってるのに気が付いた。
「あ、あ、あ、あ、えーと、ちらかっててごめんね、エヘヘ・・・」
「いえ、私こそ急に来てしまってごめんなさい・・・」
望むところです。
「ま、まぁ座って・・・お茶でも出そうか・・・」
「あ、えと・・・はい・・・お願いします・・・」
彼女はちょこんと可愛らしく座って僕を見ている。
これ。これですよ。これを待ってた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
お茶を出して対面に座る。
「あの・・・いきなり来て申し訳ないんだけど、ひとつ謝らなきゃいけないことがあって・・・」
「え?」
「あの・・・メリーさんルールっていうのがあってね」
その単語を聞いた瞬間目眩が起こり倒れかける
「わっ!だ、大丈夫!?」
「あ、あぁ大丈夫・・・ちょっと寝てないだけさ・・・
んでアレだろ?一晩帰っちゃいけないってルールなんでしょ」
「え、えぇそうなの。 ・・・知ってるの?」
そう。知ってる。 また目眩が起きそうになった。
・・・それにしてもそんなルールがあるなんてスレには書いてなかった。
最近出来たのだろうか。
「ちょ、ちょっといろいろあってね・・・まぁ狭いけどゆっくりしていってもらえたら・・・」
「いろいろありがとう」
好感触。 横綱もこの為の予行演習だと思えばよかったのかもしれない。
「もし寝るんなら、ちょっと今ちらかってるけどベッド使っていいから・・・」
不意に口走ってしまったが、ヘンな意味に取られないだろうかと不安になる。
妙にガッツくことに抵抗がなくなっててやっぱりマイナスだったかも・・・
「あ、ありがと・・・でも出来たらね、朝までお話したいな」
「へ?お話?」
何をガックリしてるんだ俺は。
「うん。私ね、絵を描くのが好きなの。
だからあなたにも描いた絵を見てもらいたいし、
あなたが今まで見た美しい風景のお話なんてしてもらえたら
きっとこれからまたいい絵が描けるな、なんて
・・・あっごめんなさい・・・私のことばっかり喋っちゃって・・・」
いいんです。 大好きです。
「いや、全然いいよ! 俺も、絵は好きだよ」
「ほんとう?」
彼女の表情がぱっと明るくなる。カワイイ。
もう来ないっていったんだから来るなよ。>メリー
じゃなければあぼーんするからコテつけてくれ。
それから朝まで絵の話をした。
彼女が書いたイタリアのなんたら川の風景画とか
中世の偉大な画家の話とかうんたらかんたら
まず絵が好きだってのがウソなので話を合わせるのに苦労したが
ロンドンがフランスの首都だとか言ってしまっても
彼女は笑ってくれた。
ヨーロッパの知識なんてセリエAにベッカムが居るとかしか知らない。
「あら、もうこんな時間・・・」
「ほんとだ 早いね」
物凄く長く感じたがでも彼女の笑顔を見てるのが楽しかったので苦にはならなかった。
「もう帰らなきゃ・・・」
「え、もう帰っちゃうの?」
「えぇ・・・あ、そうだ。そういえば私今度個展を開く事になってね」
彼女は鞄の中をゴソゴソし始めた。
「はい、これ」
手渡されたのは、1枚のチケット
「初めての個展なんだけど、昔お世話になった先生がよくしてくれてね、
街中で開けることになって・・・なったんだけど、緊張しちゃって・・・
もしよかったら、見に来てくれない?
あなたが居てくれたら、安心・・・する・・・から」
「いいいい行くよ!きっと行く!」
むしろガードマンになる勢いで一日君を守るよ。
「ほんと!? ありがとう!」
嬉しそうに笑いながら両手で僕の手を握る。
彼女の手はやわらかくてあったかい。
「へへ・・・お安い御用さ・・・」
俺マジイケメン。
「それじゃあ、会場で待ってるから。約束よ!」
「あぁ、楽しみにしてるから!」
僕らは指きりげんまんをして別れた。
待っててくれメリー。 僕が君の個展を成功させてあげるよ。
個展当日 ・・・開場4時間前。
流石に早く来すぎた。
もし準備してたら手伝ってあげようと思ったのだが
準備はどうも昨日終わってるらしく今日は開場を待つのみだ。
そりゃそうか・・・
デッデケデケデケ
「もしもし」
「もしもし、私。」
「あぁ、おはよう」
不意に肩をぽんぽんと叩かれる
「うわっ!ビックリした!」
「ウフフフw もしかしたらあなたかな、って思ったら、やっぱり」
どうしよう。早く来すぎて恥ずかしいのだが。
「えっと、その・・・準備してたら手伝おうかなー・・・なんてね・・・w」
「ありがと。 今は中でスタッフが休憩してるから、よかったら一緒にコーヒーでもどう?」
願ったりかなったりだ。 少し眠くてコーヒーはありがたい。
「あぁ、そうするよ」
僕らは施錠されているビルの裏口地下駐車場から入って
5階の個展準備室に入った。
「し、失礼します・・・」
「やあ、よく来てくれたね、君がメリーの話してた」
初老の男性がにこやかに歩いてくる。
俺の話?
「あ、あぁそうか、君は知らないのか。まぁコーヒーをどうぞ」
「いただきます」
パイプ椅子に座り、コーヒーを受け取る。
「この人が、私が話してた先生」
「どうも、初めまして。」
「初めまして。」
そういえば絵を描きそうな顔をしている。
「実はね、私も・・・その、「メリーさん」の一族なんだよ」
ボフッ! コーヒーを少し噴出してしまった。
「あ、あぁすまない急にこんな話をしてしまって」
「いえ、いえ、いいんです。なんとなく聞いた事ありますから。
男性のメリーさんもいらっしゃるって。」
ソースは2ch。
「うん。実はそうなんだ。 そして私は彼女に絵を教えてね、
我々が人間の世界に、都市伝説としてではなく、一人一人の人間として
受け入れてもらえるようにとこの個展を開いてみたんだ」
「へぇ、そうなんですか どうりでメリーさんの話も熱がこもってました」
彼女が照れている
「・・・でも、何でまたメリーさんが」
「まぁそれなんだがね、恐らく普通のやり方では、芸術レベルの高い昨今では
そうウケないだろうと、残念ながら考えた。
そこでまずは都市伝説の通り電話で現れて、個展に誘ってみることにしたんだ。
まさかメリーさんが、個展に招待しに来るなんて思わないだろう?」
「え、それじゃあ結構回ったんです?」
「そうだな、彼女だけじゃないが営業ということでここ数週間いくらか」
営業だったのか・・・またまたガックリする。
だが彼女らの夢を応援するというのも悪くないんじゃないか。
気が付くと開場10分前になっていた。
「よし、そろそろ開場の準備するぞメリー」
「はい、先生」
「僕も何か手伝います」
二人が入り口の方へ歩き出したので慌てて後を追った。
大通りから少し入った雑居ビルが会場ということもあり、
ちらほらと客が入ってくる。
メリーと先生は、客に絵の解説をする為に忙しく回っている。
僕はというとすっかりスタッフ気分だ。
お客の誘導から売れた後の棚に次の絵を持っていく手伝いをしたりしている。
「ふぅ、少し休むかな」
昼前になり、することも無くなったので休憩することにした。
会場内で座ってるのもマズいので、準備室の袖口の目立たないところに引っ込んだ。
「はぁー メリーも頑張ってるな〜 ・・・ん?」
何やら後ろの方でひそひそ話が聞こえる。
悪いと解っていながら聴いてしまう。
「・・・それで、どうだ 成績は」
「まずまずといったところですね、今はだいたい8割、残りの客もまぁ大丈夫でしょう」
「そうか、後は・・・あの手伝ってる奴だけだな」
「彼は最後まで残ってるでしょうから、・・・まぁとっておきを」
「フフ、そうだな」
なんだろう。恐らく俺の事だろうけどとっておきって。
「あれー、こんなところに居たんですか?」
不意にカーテンをめくられてドキっとする
「あ、目立たないところに居た方がいいかなって・・・w ははは」
「えと、申し訳ないんだけど、予想以上に絵が売れたんで、
早めに切り上げることにしたんです」
この個展は個展とは銘打っているが今後の活動の為に展示即売会も併せている
なので、絵がなくなれば当然おひらきというわけだ。
「あ、ああそうなの。 よかったね、好評で」
「えぇ。 それで、一日手伝ってもらったお礼がしたいんだけど」
「お礼?」
「うん。 スタッフルームで待ってるわ。」
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
疲れて座ってた足腰に力が急に湧き出る。
一日頑張った甲斐があったというものだ。
僕はスタッフルームに向かった。
「失礼しまー・・・あれ?」
スタッフルームのドアを開けると、電気がついていなかった。
真っ暗ではないのだが、薄暗くてよく見えない。
「誰も居ないのかな・・・?」
カチャッ
不意に電気が付く。 眩しさを手で遮りながら部屋を見渡すと、
スタッフ全員と、先生と、メリーが居た。
そして部屋の中央には何か布を被った大きな物がある。
「お疲れ様ー」
一斉に声をかけられる。僕はまだ眩しさに慣れている途中だ。
「お、お疲れ様です。」
「今日は一日手伝ってくれてありがとう。
それでね、先生と相談したんだけど、次の個展はスイスでやることになったの。」
「そ、そっか・・・すごいね、世界を廻って・・・」
「うん・・・だけどこんなによくしてくれたあなたと別れるのが寂しくって」
嬉しい事言ってくれるじゃ(ry
「それでね、私の描いた最新作をあなたに・・・」
メリーが布をひっぱると、昨日さんざん話していた
「メリーさん」というタイトルの少女の絵が姿を現した。
どこか寂しげで、物憂げだが、美しい少女の絵だ。
「これを・・・僕に・・・」
「ゴホン」
咄嗟に先生の咳払い。
「あー、それでね、メリーの今後の活動の為に、君に協力してもらいたんだ。」
「協力?」
「あぁ、この絵を買って貰えないだろうか。」
「・・・いくらするんですか?」
「最新作の絵でね、各方面でも注目を集めている。
今の市場価格は100万円だ」
「ちょ、ちょっと待ってください、俺そんな金ないんですけど・・・」
「あぁ、君にはよくしてもらったし、特別に半分私が持つ。これでどうだろう
それでも高く感じるかもしれないが、今後メリーが成功すれば
価格はもっと上がるだろう。 投資と思いたまえ」
・・・マズい。なんかマズい。
「あの・・・すいません俺無理です・・・」
言った瞬間、メリーは青ざめて、顔を覆い隠してしまった。
スタッフもざわつき始める。
「き、君、いくらなんでもそれは・・・」
「へ?」
「彼女の絵はまだ公には出回ってないとはいえ絵画界では期待の新星として注目されている。
この会場に展示してあった絵だってウン十万はくだらない。
その中から特別珠玉の絵を破格の値段で譲ろうというのだぞ」
「え、ちょちょ、ちょっと待ってください」
わかった。こいつらエウリアンだ。
室内を見渡す。 ドアは2つあるがキッチリガードされており脱出は容易ではなさそうだ。
気が付くのがあんまり遅すぎたが、気が付いた以上もうここに居る必要は無い。
「さぁ、契約書はこれだ。拇印を押してくれればそれでいい。」
知るか。 もはや絵のことなんてどうでもいい。
メリーが冷ややかな視線をこちらに向けている。
少し惜しい気もするが、彼女の優しさは営業だったのだ。
何も期待することはない。
「ちょっと、ゆっくり見させてもらえますか?」
俺はそう呟くと、絵の近くにゆっくりと寄った。
そして次の瞬間―額縁を両手で掴むと思いっきり振り上げた
「な、何をする!」
先生が慌てて叫ぶ。ちらと扉を見るとガード役も少し慌てている。チャンスだ。
「うおおおおお!!!」
眼を向けていた方とは反対のドアにいきなり走り出し、ガード役に絵を投げつける
「うわっ!」
ひるんだ隙にドアを開け、しゃにむに走った。
「おい、追え!早く!」
後ろからバタバタと走ってくる音がする。
ビルの構造はよくわからないが、とにかく階段を下りて・・・速く・・・!
「待てっ!」
意外に追っ手の脚が速く、入り口までもう少しというところで追いつかれそうになる
くそっ! ここで捕まったら終わりだ!
ドンッ!
ビルを飛び出してすぐ、でかい女にぶち当たった。
「いてて・・・すいません・・・」
「アンタ、こんなとこで何してんの?」
「え・・・? あ!」
服が違ったので解らなかったが、そこに居たのは紛れも無く横綱・・・いや
救いのメリーさんだ。
「な、俺を助けてくれ!」
「は?意味わかんねーし」
首を傾げる彼女の背後に隠れると、追っ手が3人立ちはだかった
「そいつを渡せ」
彼女の背中にしがみつきながらふと考えたが、あの時の追い出し方を思うと
今突き出されてもしょうがないな・・・ 俺はだんだん諦めムードになってきた。
ドンッ!
ビルを飛び出してすぐ、でかい女にぶち当たった。
「いてて・・・すいません・・・」
「アンタ、こんなとこで何してんの?」
「え・・・? あ!」
服が違ったので解らなかったが、そこに居たのは紛れも無く横綱・・・いや
救いのメリーさんだ。
「な、俺を助けてくれ!」
「は?意味わかんねーし」
首を傾げる彼女の背後に隠れると、追っ手が3人立ちはだかった
「そいつを渡せ」
彼女の背中にしがみつきながらふと考えたが、あの時の追い出し方を思うと
今突き出されてもしょうがないな・・・ 俺はだんだん諦めムードになってきた。
「ダーリンに何すんのよ!ボケ!」
一瞬、ごっつい腕が振り払われたかと思うと、追っ手は派手にふっとんで、
地面に叩きつけられた。
「すげえ! さすが横綱は違うな!」
「あ?」
「いや、なんでもないです・・・」
「ったくもう・・・あれ?あいつらいねーんだけど」
「ほんとだ」
気が付くと、倒れていた追っ手は姿を消していた。
「そいやなんであんた追っかけられてたわけ?」
「まぁ、話すと長くなるんだけどね」
無理やり腕を組まされて半ば宙吊りになりつつ俺は答えた
「エウリアンに捕まっちゃってさ・・・」
「プッ!だっせー! やっぱ童貞じゃんww」
まさかそのエウリアンもメリーさんだとは口が裂けても言えない。
「あんたの事だからメリーさんが来たと思ったらエウリアンだったりしてね」
・・・バレてる。
「あ、もうここからは一人で帰れるよ・・・今日はありがと」
「素直に感謝なんて珍しくね? まぁいいわ。楽しかったから。バイバイ!」
こんなに彼女を頼もしく思った事も無かったなと、一人部屋に戻る。
今日は散々な一日だった。 とっとと寝てしまおう・・・
デッデケデケデケ
背筋が凍ったかと思った。
すっかり存在を忘れていた携帯がズボンの中で急に鳴り始めた。
「ん?カーチャン? はぁ・・・なんだろ・・・もしもし」
「もしもし・・・私メリーさん・・・今会場に居るの」
「・・・!」
悪夢はまだ終わってなかったようだ。
「どうして逃げたの?」 プチッ
震える手で携帯の電源を落とす。
デッデケデケデケ
「・・・!?」
電源は入っていない。なのに携帯が鳴っている。
・・・そうだ、出なければいい。出なければ・・・
ガチャッ
「もしもし・・・私メリーさん・・・今会場のビルの裏に居るの・・・」
勝手に通話モードになっている。
気づくのが遅かったと思ったときには既にもう遅すぎたのだ。
何故メリーさんがエウリアンを、ではない。
メリーさんだから、エウリアンをしていたのだ。
「今からあなたのお家に行くから・・・私の絵を持って・・・」
どうしよう、たぶん彼女はこのまま俺の家に直行してくる。
恐らく、信じられないようなスピードで。
さらに、思い出したくない事も思い出した。
先生もメリーさんの一族と言った。
とすれば、スタッフや追っ手の連中も恐らくそうなのだろう。
敵は一人ではないのだ。
俺がメリーさんから逃げた先に現れてもおかしくない。
一体どうすれば・・・
メリーさんから逃げる そんな事は今まで考えた事も無かった。
ただ、メリーさんがウチに来てくれたらそれでいいと思っていた。
今は違う。
本題に戻る。 メリーさんから逃げるにはどうしたらいいんだろうか
電話がかかってくる度にある程度の距離を移動しているようだが
その距離には制限がなさそうだ。
だんだんと間隔が短くなって最後は後ろに居る、というお約束。
・・・ダメだ。少し考えてみたが逃げる方法を思いつかない。
今はとにかくここを離れよう。
やるだけのことをやるしかない。
今さっき帰ってきたばかりな気がする玄関に座り、靴紐を硬く結ぶ。
これからしばらく走り続けるんだ。そう言い聞かせると自然に力が入る。
デッデケデケデケ
携帯が鳴る。
もう半ば諦めて着信ボタンを押す。
「・・・もしもし、私メリーさん。今あなたの部屋の前に着いたわ」
「・・・」
「また、開けてくれると嬉しいのだけど」
俺は無言で立ち上がった。
無論、開ける為ではない。
音を立てないようにドアに近づくと、ドアスコープを覗き込む。
・・・居た。 彼女は何か大きなもの・・・恐らくあの絵だろう。
布に包んだ絵を抱えて立っている。
大きな帽子を被っていて顔はよく見えない。
「居るんでしょう?そこに」
ふいに携帯から彼女の声が聞こえて震えた。
メリーさんの口元がにやりと笑う。
ピッ!
俺は乱暴に携帯の電源を落とした。
ダメだ。こちら側から逃げ出すのは得策ではない。
静かに踵を返すと、土足のまま部屋の方へ、そしてベランダへ出る。
俺の部屋はアパートの2階で、裏手は空き地になっている。
飛び降りようと思えばいけそうだが・・・
ドン ドン ドン
ドアを激しく叩き始めた。
迷っているヒマはない。 しばらくこの部屋には戻れないかもな・・・
「っつあ!」
ほとんど無意識に部屋から飛び降りた。
着地はイメージしてたよりずっとかっこ悪くかつ痛かった。
「っでぇ・・・なんこれ・・・」
足がズキズキ痛む。
それでも、とにかく立ってここから逃げ出さなければ。
痛む足を引きずり、立ち上がる
その瞬間、足に力が入らなくなり俺は前のめりに倒れた。
「まさか・・・」
足首をさすってみる。 ズキズキとした痛みがさらに強まる。
そして変な方向に曲がっているのを見て・・・絶望した。
脱出の第一歩でいきなりしくじってしまった。
華麗な逃走劇とはならず、ここで終わりのようだ。
「立てる?手、貸そうか?」
不意に差し出される白い手。 そちらに手を伸ばしかけたとき・・・
「うわっ!」
手首を掴まれそうになって慌ててひっこめた。
「もう、惜しいなぁ 拇印さえ押してくれたらそれでいいのに」
彼女のもう片方の手には朱肉なのかスタンプケースのような物が見えた。
「誰が買うか! ふざけんな!」
地面にへたり込んだまま怒鳴る。だが無駄な抵抗だと自分が一番理解している。
「めんどくせぇ」
後ろから男の声がしたかと思うと左腕を強引に持ち上げられた
「がっ!痛ぇ! くっそ離せ!」
抵抗を試みてみるも右腕ももう一人の男に掴まれて身動きが取れない
「ホラ、諦めて楽になれや」
手首をつかまれ、スタンプケースに押し付けられる。
「ふざけんな! ここ、こんなの違法だ!」
「そうね。でも返品も訴訟も一切受け付けないわ。ふふっ」
もうダメだ。 俺のだらしなく垂れ下がった手首は契約書の方に伸ばされている
50万、いやそこには100万と書いてある。
この年でそんな金払えるはずもない。
しかし訴えたところで、恐らく彼女らは姿を消しているだろう。
どだい、勝ち目の無い戦いだったんだ。
ひっかかった俺がバカだった。
メリーさんに来てもらいたかった俺がバカだった。
「もういい加減懲りた?」
突然目の前から妖艶な声が聞こえた
〜メリーさん派遣会社 第3話〜
479 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/12(日) 21:02:05 ID:Gsjfhu+e0
イカ臭さが最高潮になりました
>>453 馬鹿かお前
その専用スレが容量過多で落ちて迷惑をかけないように
ウニが気を使ってこっちに投下してるんだろうが
ていうかいくら人気が出ても専用スレを使う、なんて特別に隔離してやる必要もない。
シリーズものならシリーズものスレに投稿するのがまっとうなやり方だろう
容量を気にするならたまにしか投稿しないウニより なんとかさんが自重しればいいんじゃないかな
ウニが専用スレに投下するようになったら、もうそれって、こっちが隔離されたようなもんだよ
憎い!
このスレが!
お前らが!
赤緑が!ウニが!枯野が忍が憎い!!
俺はお前らとこのスレを絶対に許さない!
byメリーさん
んでメリーさんはなんでこのスレを憎んでいるのでせうか?
まあどうでもいいか!
ウニ乙!
遅れ馳せながら、ウニ乙!!
>>458 ぱっと見の1レスだけでも分かるような文体だし、IDでサクッと消せばいいんでない?
忍の人、どうなったのかなぁ…
コテトリは無いけど「メリーさん」をNG登録しとけばスッキリするんだな
容量潰しに関しては、迅速なスレ立てとコピペで対応するんだな
メリーさん、もうコピペ止めるって言ったの信じてたのに><
490 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/13(月) 20:22:17 ID:tKkOL4nIO
ウニというやつの底は知れた
もう興味なくなったから荒らさないよ
491 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/13(月) 21:37:54 ID:/VaqEJwh0
ゴミを分別するのにどんだけ時間かかってるんだよ、カス
前スレでコテつけて書き殴ってた者だけど、続きあるけど、いる?
ウニさん戻ってきたし、もういいかな。
うん、もういいです。
おk
明日まで一応反応見てみるわ。
あとブログにまとめました。興味があったら検索してくり。
赤緑スタイルで投下するって言ってた人だよね?
続きがあるなら読みたい
おいばかやめろ
>>492のように構ってオーラ出す奴はろくなのがいないってわかってんだろ…
次の台詞はこうだ
需要あるみたいなんで投下します
自己責任で以下略
別にいいじゃん。
メリーより100000000000000000000000000000倍マシ!
嘉門!!タツオ!
>>496 別にいいんじゃない? てかそういうスレだし。
メリー以外来いや!
500 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/14(火) 14:35:10 ID:u+6TVE290
500
>>496 これからブログとか携帯サイトに活動先を移すとしても、
一応このスレで書き始めたわけだから
あいさつくらいしとくのが礼儀かな、と思ったわけです。
「師匠」の名前も借りてるわけだし。
心配しなくてもそのうち出て行きますよ。
コテも変えないのでNG登録しているならそのままでおk。
よっしゃ。
需要あるみたいなんで投下します
自己責任で以下略
おお、誰かと思ったらウニじゃない師匠の方か
それ先に言ってよw
スレに沿ってるし問題ないよ
503 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/14(火) 20:49:20 ID:I8A8izYnO
ここらで師匠も交えて真剣に話し合おうじゃないか。
なぜウニはここまで嫌われるのか。
をさ。
>>503 お前らのウニへの嫉妬だろ
ウニの作品面白いし
人気あるからどうしても目立つし
いつまで粘着してるんだよみっともない
好きに投稿させとけよ
505 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/14(火) 21:20:38 ID:I8A8izYnO
ネタどろウニにお題を提供しよう。
お題は
ウーパールーパー
この生き物の特徴は手(足)が短く陸上では動けない。
おまけに鰓呼吸だから声が出ないんだよ。
どうよ。
臭いレス多いね!
>>501 下手だろうと何だろうと全く構わないんだけどお前のような構ってちゃんだけはほんとウザい。
物のを書く奴は読んで欲しいから書くんだよ。
いる?とかどんだけ大物だっつのw
>>501 いちいちお伺い立てて投稿するのはどうも馴れ合いの匂いがする
よって内容の良し悪しに関わらず印象や評価は総じて低くなる
・・・と、考える人もいるから気をつけな
投稿したいなら何も言わずビシッと投稿、くらいの方が好感は持てる
510 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/14(火) 23:24:05 ID:f+skg4ym0
ウーパールーパーは誰でも参加していいの?
まああれだ、
どんなに礼儀正しくしてもつまんない話はつまんないよ
読んで欲しいなら何も言わずに投下するんだな
ここはそういう所だってある程度居る奴なら分かるはず。
話が面白いかどうかも分からないのに
勇気が出ない奴を励ましてやったり催促したりなんて面倒な事するくらいなら「じゃあ投下しなくていいよ」って感じだ
プロの物書きじゃないんだからさ
まあウニ以外は誰が来ても儲に叩かれる訳だけど
結論。誰が書いても叩く奴は出るので書きたきゃ書けばいい
そしてスレは落ちていくのであった…
すいません。急な呼び出しがあって、でかけてました。
↑見苦しかったですね、説明した方がいいかなと思ったんですが…。気にしないで下さい。
自己責任で読んで下さい。警告したので始めます。
"亜利鎖と魔鎖美"
私は一流ゴーストハンターの亜利鎖(ありさ)。
今日は、山の中にある呪われた廃病院跡を探査しに来ている。
ここは市内で有名な心霊スポットで
ネット上では先月「鬼」が出たという噂もある。
実はこれは秘密なのだが
私の所属先で、ゴーストハンターギルドである
幽楽商会(ゆーらしょうかい)からの探査依頼なのだ。
依頼によると、ここは特殊な場所で
夜よりも昼のほうが霊が出易いとのことなので
あえて幽霊の出易い時間帯を選んできた。
今は、午後2時ちょうどだ。
柵のこじ開けられた所を潜り
雑草が生え放題の敷地に入ると
日が照っているのにブルッと寒気がした。
はっ、ヤバイ!
私の右手である"魔眼手"(まがす)が
今日も血に飢えて猛り狂っている。
「ぐうぅ、右手よ沈まれぇ…!!」
私の全霊力を使って無理やり押さえ込まれ
ピクピクと痙攣する右手を
左腕で押さえ込みながら、私は病院に入れそうな所を探す。
まずは1階病室の窓から侵入を試みたが、どこも開いていなかったので諦めた。
気落ちして帰ろうとしていると、正面玄関が開いていることに気付く。
くっ、私としては珍しいミスだ。
だが、一流ゴーストハンターはこんなことで落ち込まないのだ。
正面玄関から堂々と入る。
鬼でも幽霊でも、来るなら来ればいい、
戦闘態勢を取りながら、私は廃病院の階段を上がっていく。
2階のA204、ここだ。
これが今回の依頼の場所だ。
私の上司である上級幽撃師(と書いて"マスター"と読むのだ)によると
ここで死んだ、子供の患者が残していった
"おもちゃの缶詰"が呪われているので、確保して欲しいとのことだった。
窓際の薄汚れたベットの横にある棚に
窓からの日差しに照らされて、キラキラ輝くブリキの箱を発見する。
あった、これだ。よし、これで任務は半分完了だ。
私は、溢れ出る達成感を
「全任務完了までは気が抜けない」ときつく戒めて
素早く病院から脱出し、
門の近くに止めておいた自転車で山道を降っていく。
あとはマスターの元に、このブリキの箱を届けるだけだ。
マスターとは、ネットのオカルトサイトで知り合ったのだが
同じ市内に住んでいることを知ったのをきっかけに、
黒魔術や、日本の神霊などについて等
メールのやり取りをしている内に親しくなり
私が会いたいと言って、市内のファミレスで会ったのだ。
「いやぁ…まさかこんなに若い子とは、たまげたなあ…」
マスターもなかなか若かったが
こんなに霊力がある私が、さらに若いのをマスターは驚いたのだろう。
その時にかなり困った顔をしていたマスターに頼み込んで
私はむりやり弟子にしてもらったのだ。
しかし、それももう1ヶ月半も前の遠い昔の話だ。
ふふふ、その後数々の任務を達成した私は、
マスターから絶大な信頼を得ることに成功して
一流ゴーストハンターの称号も貰い、
さらに先日、幽楽商会の"本拠地"の場所を教えてもらったばかりだ。
そんなことを思い出しながら、自転車で町中を走り抜けていると
その本拠地にたどりつく。
…なんだか今にも潰れそうな古臭い木造の建物だ…。
一言で言ったら、"昭和"って感じだろうか。
そう言えばマスターが言っていた。
見た目は小汚い古物屋だが、それは偽装だと。
中には最新設備の秘密基地があるはずなのだ。
よしっ、久しぶりにマスターに会いに行こう。
最近はマスターも忙しいらしく、一緒に依頼をこなすことも少なくなったのだ…。
意を決して、ガラガラと軋む引き戸を開けて入った。
「マスター!例の場所探査してきました!!」
「あれ、マスターは?」
頭にタオルをまいてマスクをした、背の高いお兄さんが
薄汚れた棚をはたいている所だった。
驚いた顔で
「えっ…?いや、ここ、俺の店なんすけど…」
「えっ…マスターはここが幽楽商会の本拠地だって言ったんです。
早くマスターに連絡してください」
「…ちょっと待って、少し考えるから」
そのお兄さんは暫く腕組をしたあと、
閃いたっ!という顔をして、腕をポンッと叩き、マスターの特徴を尋ねてきた。
「…という感じの顔で、背は普通くらいです」
「…Aの野郎…コロス…」
怖い顔で、何事かボソボソ呟いたあとに
「ところでお嬢ちゃん、よく考えたら今日って平日だよね…
見たところ中学生くらいだけど、学校には行ってるの?」
「行ってません。みんな…本当の私が分からないから人ばかりだから」
「それは、もったいないなぁ…」
お兄さん、私の"冥界への道"(ロードトゥプルートゥ)に
それ以上踏み込まないで下さい。血を見ますよ。
いきなりお兄さんが、商品の中から丸めてある長いポスターを抜き取って
私の頭を叩き出した。
「ちょ、何するんですか!止めてくださいよ!
私の"魔眼手"が黙ってませんよ!」
私の警告にも関わらずお兄さんはポカポカとポスターで
私の頭を叩き続けた。
「ちょっと止めてください!ぐうぅぅぅ右手よ。沈まれぇぇぇ」
お兄さんは指を刺してケタケタと笑った後、ポスターで叩くのを止めた。
どうやら私の霊力に恐れをなしたらしい。
半分笑ったままで、お兄さんは話し出した。
「黙っていたが、君のマスターは用事があって今日は来れない。
しかし、少し楽しませてもらった代わりに、これを貸してあげよう」
ぽーん、と私に紫色のブレスレットを投げてよこす。
落としそうになりながらも、なんとかキャッチする。
「それを"利き腕の逆につける"と面白いことが起こるから、家に帰ったら試してごらん」
途惑っている私を、入り口から押し出しながら
お兄さんは笑顔で「飽きたら、返しにおいで〜」
と言い、ピシャッと店の扉を閉められた。
私はよくわからない展開に呆然としながら、自転車を押してそのまま家に帰った。
その夜のことだ。
私は左手に付けてある、昼間に貰った紫色のブレスレットを
眺めながらため息をついていた。
さっきからずっと身につけているが、面白いことは何一つ起きない。
騙されたのかもしれない…。
「はあ、どうしたら…みんな、私の本当の力を分かってくれるんだろう」
とりあえず何もする気が起きなかったので、いつものように愚痴を言いながら
お気に入りのゴスロリ風の黒ワンピを着て、姿見に映った全身を眺めていると
"私には分かるよ…"
と、どこからか声が聞こえた。
部屋の中を見回していると視線の端で、
姿見の中に映った私の姿が変わっていくことに気付いた。
次第に輪郭や色が歪み、鏡全体が光ったかと思うと
そこには、私と同じものを着て、私そっくりな金髪、碧眼の少女が立っていた。
鏡の中から声が聞こえる。
"私、いま名前が無いのよ。名前を付けてよ"
「どういうことなの…」
つい弱音が口をついてでる。一流ゴーストハンターとしてはあってはならないことだ。
"…驚いたのならごめんなさい。貴女がつけているブレスレットの精みたいなものよ
それより…早く名前をちょうだい…"
とっさに
ま…さ…み……魔鎖美(まさみ)という名前が思い浮かんだ。
それを告げると、女の子は少し不満そうな顔をして
"もう少し、イケてるのは無いの?…ほら、アリスとかスカーレット、モモみたいの"
「いや…私は魔鎖美がいいと思うんだけど…」
女の子はため息を吐いて言った。
"しょうがないわねぇ…じゃあ魔鎖美でいいわ。貴女、名前は?"
「私は亜利鎖。親からつけて貰った名前は捨てたの」
女の子はヒューと軽く口笛を吹きながら
"反抗期ってやつね。誰にでもあるものよ。
私こう見えても長生きだから、何なら話聞こうか?"
と、いきなり鏡から抜け出てきた。
「ああ、私は貴女以外には普通は見えないから心配しないで、
あと飲み食いも必要ないから、食費もかからないわ」
そう言いながら、いつの間にか手元に持っていたリモコンを操作してテレビ番組をザッピングしながら
どこからか持ってきた座布団に座ってリラックスしだした。
「へぇ〜、最近はこういうのが流行ってるのね。まともに出てくるの10年ぶりだからねぇ…。
ああ、そうそう貴女そっくりなのも、お約束みたいなもんだから
私って自分の姿が無いのよ、だから外に出る時は持ち主の形を借りるの」
かなり驚いたが、これも一流ゴーストハンターである私の霊力が招いたことなのだろう。
せっかくなので一晩かけて色々な悩みを聞いてもらった。
魔鎖美はずいぶん経験豊富なお姉さんらしく
たくさんアドバイスをしてくれて、励ましてもくれた。
次の日、揺さぶられて目を開けると、目の前に魔鎖美が居た。
昨日のことは夢ではなかったらしい。
時計を見たらまだ午前7時だった。
学校にいかない私はこの時間はいつも眠っているのだ。
魔鎖美は満面の笑みで
「行こうよ、学校に行こう。私がついてるから大丈夫だよ」
言いながら用意していたらしい制服に、まだ半分寝ている私を着替えさせた。
どこからか、教科書の詰まったカバンも持ってくる。
そのまま私の背中を押しながら、廊下を出てキッチンに向かわせた。
この時間はいつも両親は帰ってきていないか
夜勤明けで寝ているので、朝食はいつも自分で作るのだが、
食卓に入った私は目を見張った。
焼きあがったパンと目玉焼き、ミルクの入った暖かいコーヒーが
すでに用意されていたのだ。
「うふふ、私にかかればこんなもんよ。さあ食べて食べて」
得意気に魔鎖美は言い、食べることを促した。
美味しい…。そう言えば、他人の作ったご飯なんて何年も食べてなかったかもしれない。
やる気になった私は2ヶ月ぶりに学校に行くことにした。
「じゃ、私は一旦消えるけど、ブレスレットさえ付けておけば、いつでも呼べるから」
登校のお膳立てを全て済まして満足顔の魔鎖美は、笑顔で手を振りながら消えた。
意気込んで玄関に綺麗に揃えられていた靴を履き、力強く登校して
校門を潜るまでは良かったのだが、そこで急に力が抜けた感じがした。
敷地内に入ると、何だか笑われている気がしたのだ。
「気のせいだ」と我慢して靴箱に靴を入れ、自分のクラスの前までは何とかたどり着いたが
それは教室の戸を開けると現実のものになった。
静かだったクラスがいきなり騒がしくなる。
「ねー、アレ見てよ」
「うわっ、キモッ」
「よく生きてたね。私だったら恥ずかしくて自殺してるわ」
何人かの女子たちが、私にわざと聞こえるようにクスクスと笑いながら話している
意地悪な男子が耳元で囁いてくる。
「中二病乙wwww」
涙目で机に突っ伏しながら
何だ…いつもと同じじゃない…はあ、学校なんて来なければ良かった…。
それもこれも2ヶ月前に授業中に悪魔召還の呪文を唱えて、失敗したせいだ…。
本の通りにやったのに、何で上手くいかなかったんだろう、
欲張って蝿の王(ベルゼブブ)召還しようとしたのがいけなかったのかな…。
と後悔していた。ふと人の気配がして
突っ伏したまま、顔を上げると
魔鎖美が立っていた。
「私はどうしたらいい?」
穏やかな声で問いかけられる、少し考えてから呟いた。
「…平和な学校生活が欲しい…」
「分かった」
そのまま突っ伏していると、背後でギャッという悲鳴が上がった。
どうやら私の背中から、花瓶の水をかけようとしていた男子の顔に
魔鎖美が思いっきりグーパンチを当てたようだ。
尻餅をついた男子は魔鎖美の姿が見えないらしく、何が起こったのか理解できない表情をしている。
そのまま魔鎖美は教室中を駆け回り
私に嫌味を言っていた子たちの顔を叩いてまわり、足をかけて転ばし
その子たちのカバンや筆記用具などを次々に窓から投げ捨てていった。
教室は大混乱を起こし、他のクラスの生徒も見に来た。
そのまま数分間魔鎖美は暴れまわり
騒ぎを聞いて先生たちが駆けつけてきたところで
ピタッと止めて、何食わぬ顔でクラスメイト達を擦り抜けて私の前に帰ってきた。
「また、何かあったら言って」
そう言って目の前で消えた。
その後クラスメイトたちは、私にかまうどころでは無かったらしく
ずっとみんなさっきの話をしていた。
クラスメイトには誰も魔鎖美が見えてなかったようで、
給食時間の頃には「ポルターガイスト現象」ということで意見が一致していた。
ちなみにあれだけ暴れまわったにも関わらず、傷跡が残るような怪我人は一人も居なかったようだ。
どうしてもっと激しくやらなかったのかな。と思っていると
「だって原因は貴女にもありそうだし、子供にそこまでするのはかわいそうじゃない」
という魔鎖美の声がどこからか聞こえた。
その後も時々、それでもちょっかいをかけようとする子は居たが
その度に、どこかから見えないビンタが飛んできていたので
下校時刻の頃には、私に手を出そうとする子は一人も居なくなっていた。
次の日教室に入ると、皆の目が昨日とは変わっていた。
私を何か怖いものでも見るように避けるのだ。
みんな何となく、昨日のポルターガイストの原因が私であることを理解したようだ。
最初のうちは「とうとう皆にも本当の私の力が分かったんだ!」と鼻高々だったのだが
怖がられて避けられ続けていると、そのうち何だか寂しくなってきた。
これが私の求めていたものだろうか…。
昼休みに、また涙目で机に突っ伏していると
魔鎖美が目の前に出てきた。
「どうやら、友達が必要なようね」
私は涙目で頷いた。
「ふぅ…思春期は複雑だわ。じゃ、放課後まで我慢しなさい。何とかしたげる」
授業が終わって教室を出ると、魔鎖美が待っていた。
手を引かれて、旧校舎の最上階である3階に連れて行かれる。
使用されていない教室の前を通り抜けて、突き当りまで来ると
古臭い木の看板に
汚い字で"オカルト研究会"と書かれているものが立てかけられていた。
知らなかった…うちの学校にこんな部活があったんだ。
「さあ、さあ」
と背中を押す魔鎖美に促されながら、教室の戸を開ける。
申し訳ない、トリップ間違えてました。
つづき↓
「こんにちわ…入部したいんですけど…」
入るなり、上級生らしい女の人に握手を求められた。
「入部大歓迎ですよ!何年生?」
「2年です…」
「良かったあ…新しい人は入ってこないし、
来年部員がけっこう減るから、困ってたのよ!」
部員を紹介された、元気のいい部長と、
おとなしそうな眼鏡の一年女子や、
顔がそっくりな双子の女の子たち
無口なイケメン、人の良さそうなぽっちゃりした男子まで
みんなそれぞれだが、雰囲気は良さそうだ。
「ああ、それから顧問の先生も紹介するね。先生!なんと新入部員です!!」
部長が声をかけた先を見てみると、日当たりの良さそうな奥の机に、
総白髪の髪を七三分けにした、温厚そうな中年の先生が座っていた。
「おや、君はもしかして今学校で話題の
ポルターガイストっ子じゃないのかい?」
私に顔を向けると先生は、椅子から立ち上がって驚いた顔をした。
しまった…そんなに有名になっていたのか…さっそく退部させられるかもしれない。
「……」
冷や汗をかいている私に、近寄ってきた先生は
予想とは裏腹に、私の肩をポンポンと叩いて嬉しそうに笑った。
「はっはっは。将来有望な子が入ってきて、我が部も安泰だ」
それから瞬く間に1ヶ月が過ぎた。
オカルト研究会を通じて、友達ができた私は
休み時間に一人で寝たふりをしなくても良くなった。
放課後も、家で一人でネットでオカルトを調べたり、
黒魔術の呪文書やブックオフで買った自殺マニュアルシリーズを読んでいたのが嘘のように
部活で過ごすことが多くなった。
魔鎖美は相変わらず私の側に居て
朝御飯を作ったりと、毎日の生活をサポートしてくれている。
最近、学校での私が手が掛からなくなって暇なので、
校舎内の人間模様をウォッチングするのが、趣味になったようだ。
「3年担任の○先生と1年担任の○○先生はデキてる」とか
「この間、いじめっ子見かけたので殴っといた」
とか色々と報告してくる。
家に居て暇な時は、ずっとテレビを見たりネットをして人間世界を観察している。
魔鎖美曰く「月並みだけど、人間の方がうちらより深刻だねぇ」とのことだ。
そんな平和な日々が続いた、ある日の放課後、
オカルト研では部員が全員集合して、あるものを覗き込んでいた。
顧問の先生が、古い変色した木で出来たシャモジを持ってきたのだ。
なんでも明治時代からあるものらしく
九十九神(付喪神)と呼ばれる、モノに憑く霊が宿っているとのことだ。
そういうものを収集して除霊をしているお寺の住職から
特別に借りてきたらしい。ちなみにその住職は先生の飲み仲間でもあるそうだ。
その時、たまたま魔鎖美も姿を現して(見えるのは私だけだが)
人垣の後ろからシャモジを興味深そうに見ていた。
一流ゴーストハンターである私には(また引かれても困るので、オカ研では私の力は秘密にしているが)
特別な霊力は感じられなかったが、ふと隣を見てみると
なんだか魔鎖美の様子がおかしくなっていることに気付いた。
独り言をブツブツ呟いている。
「どうしたの?」小声で尋ねてみても
「ナカマ…カ…エセ…ナカ…マ…ワタシノ…ナカマ…タ…スケル…」
と要領を得ない。首を傾げていると
いきなり手を伸ばしてシャモジを取った。
かと思うと、教室の戸を開けて廊下に駆け出した。
私以外の部員には、いきなりシャモジが宙に浮いたように見えたらしく
みんな目を丸くしている。
「うわぁぁぁぁあ」
直後に学校中から生徒や、先生たちの叫び声が聞こえだした。
廊下に出て、新校舎の方を見ると
「きゃはははははははははははははははははははははははははは」
シャモジを持った魔鎖美が、我を忘れたように凄い速さで廊下を突っ走っていた。
その後ろで、嵐のように校庭に舞い上がるテスト用紙
踊りだす給食の食器たち
走り回る理科室の人体模型たち
3倍速の"魔王"が校舎のスピーカーからは流れている。
大混乱だが、もうかなり遅いので生徒がほとんど残っていないのが救いかもしれない。
騒ぎの合間に、頼みの顧問の先生はどこかに消えてしまい、
オカルト研のみんなも、私もどうしたらいいのか分からないでアタフタしている内に
どうやら学校を荒らすのに飽きたらしい魔鎖美は
食器や、人体模型を引き連れて校庭に出て
台座の上で動き出した二宮金次郎像とダンスをしだした。
私は決心して、校庭に飛び出して魔鎖美に近づく。
しょうがない。私の"魔眼手"(まがす)の力を解放するしかないようだ…。
せっかくできた友達に、また引かれるかもしれないが
一流ゴーストハンターである私の義務だ。
「ぐうぅぅ」と右手に霊力を込めていると
向こうの校門の方に大小の人影が2つ見える。
「先生から連絡受けて、来てみたらこれだ」
「やっぱり、暴走したか…、今度こそ人の役に立つんだって粋がってたのにな…」
何やら話しながら2人は近づいてきた。
顔を見れる距離まで来た時に、私はあることに気付いた。
「マスター!!」
あの古物屋の長身お兄さんと一緒に、マスターが立っていたのだ。
久しぶりマスターに会えて私は何だか興奮している。
「ほら、A・ロリコン・マスター。弟子が呼んでるぞ」
お兄さんから背中を押されたマスターはバツの悪そうな顔をして
私の方に歩み寄り
「ちょっと、ごめんな」と
私の左手のブレスレットを、上からマスターの両手で握った。
その瞬間、ピタッと魔鎖美が我に返ったように止まる。
踊っていた食器や人体模型、二宮金次郎も元に戻った。
「あれっ、何してたんだろ私」
「迷惑かけてたんだよ。ほら、もう帰るぞ」
2人には魔鎖美が見えるらしく、普通に会話している。
「またやっちゃったなあ、これでも改心はしてるんだけどね…
どうしてもさ、きっかけがあったら騒がずにいられなくて
これって九十九神の性質なんだよね…」
魔鎖美は言い訳しながらも、かなりうな垂れていた。
「やあやあA君。君の居た頃のオカ研は楽しかったなぁ」
どこに隠れていたのか、オカルト研顧問の先生がいきなり出てきた。
「あ、先生この度はご迷惑かけて申し訳ないです」
「最近寺の飲み会であっとらんが、お母様は元気かね」
「いやぁ、お陰様で…」
「重要OBの君だが、それでもうちの生徒をからかうのは感心できんなぁ」
「本当…もうしわけないっす…」
私は、驚いていた。
あのマスターが何度も頭を下げている…もしかしてうちの顧問の先生は超大物なのかも…。
「できれば、母には内緒にしといて欲しいんすけど…」
「今度、何か面白いものを貸してくれたら考えてもいいぞ…」
ヒソヒソと2人で何か話している。組織の大幹部にしか分からない話なのだろうか。
「ありがとう、楽しかった」
魔鎖美は少し寂しそうな顔をしながらそう告げたあと
古物屋のお兄さんに、私の腕からブレスレットが外されると、
バイバイと手を振って消えた。
今までお世話になったことや、これから一人でやっていくことを思うと、
胸が痛んで泣きそうになったが、
マスターから「またいつでも会えるから」と声をかけられて
私はそれを信じることにした。
何せ一流ゴーストハンターなのだ。そうだ。強く生きていかなければならない。
私は毅然とした態度でみんなと一緒に散らばった食器や、人体模型の片づけを手伝った。
今日の出来事は、2〜3日遅れで
謎のポルターガイスト騒ぎとして地元の新聞が小さく記事にしたのを頂点に
その後、ゆっくりと誰もが忘れ去って行った。
後日、マスターから詳しく話を聞いた。
あのブレスレットは戦前にある華族のお姫様が作り
大事にしていたものであること
それを子孫が大切に受け継ぎ、
ある時、モノにつく幽霊の類の"九十九神"が宿っていたということ。
その九十九神が魔鎖美だったこと。
その品が今回のような問題を何度か起こし
回りまわって、あのお兄さんの古物屋に引き取られたこと。
あの古物屋のお兄さんはマスターの5番弟子ぐらいで下僕のようなものであること。
あの古物屋のお兄さんは幽楽商会的には、使い捨て戦闘員的ポジションなので何も知らなかったということ。
古物屋が汚すぎて、本拠地は移転させたので秘密保持のためしばらくは場所を教えられないと言うこと。
ついでに、シャモジは返したブレスレットと一緒に、古物屋のお兄さんにマスターが命令して引き取らせたらしい。
マスターはまた困ったことがあったら
ブレスレットを古物屋のお兄さんには内緒で貸すから
取りにおいで。と言ってくれた。
だけど、私は、
魔鎖美にはすぐにでも会いたいけれど、
今のところ学校生活は上手く行っているし
また問題を起こして、魔鎖美が除霊されたりでもしたら悲しいので
しばらくは我慢することをマスターに告げた。
了。
乙!面白かったよ!
乙 こっちの師匠シリーズはコミカルで楽しく読める
警告はしてあるんだけどさ、
毎回、読んで後悔するんだよなぁ。
“ゴーストハンター”でまず目が拒否した・・・。
あとでゆっくり読もう・・・
夢の中で、「これは夢だ」と気がつけるのは大抵夢の終わり、
目が覚めてきた頃だ。
ちょうど、今そんなことまで考えられるようになった。
これは、夢だ。
「んん・・・ん・・・」
これまでにないくらい意識がぼんやりする。
いつ寝たのだろう。そして今何時なんだろう。
部屋に日が差し込んでやわらかい明るさに包まれている。
たぶん、朝なんだろう。たぶん。
腰の辺りに重さを感じて手を動かす。
ぱた、ぱた、何も無い。 ぱた、ぱた、何かに当たった。
「あら、大胆なのね」
「うわっ!」
ビックリして飛び起きそうになったが何かが体の上に乗っていて
体がひきつっただけだった
「おはよう」
慌てて目をこすると白いブラウスを来た女がちょうど
俺の腰の辺りに馬乗りになって座っている。
「わっ!」
後ずさろうとするが両膝で腰を固定されていて動けない。
「初めまして。私はメリー。 ・・・「私も」と言った方がよかったかしら?」
「え・・・?」
その一言でだいぶ目が覚めた。
「そんなに怯えなくったっていいじゃない。律儀に電話からの方がよかった?」
そう言いながら胸元に手を添える
「えちょ・・・」
「顔が真っ青よ。 私が気持ちよくしてあげようか・・・な♪」
女はブラウスのボタンをゆっくり上から外し始めた
「やめてくれ!」
ほとんど悲鳴のように叫ぶ。
以前の俺なら、喜んで食いついただろうが、もううんざりだ。
メリーさんには、関わりたくない。
「上等、上等。 それでいいわ」
そう言うと彼女はボタンをそそくさと付け直して
ささっとベッドから降りて、そばにある椅子に足を組んで座った。
もったいないことしたかな・・・と考え始めてしまう。
「その様子だと、もうだいぶ懲りたみたいね」
「へ?」
「ま、いいわ。 コーヒー買って来たからよかったらどうぞ」
机の上には缶コーヒーが1本置かれている。
何が何だかよくわからなくて、ぼんやりしたまま体を起こし、ベッドに座る。
「はぁ・・・いただきます」
プシュッ カコン ゴクッ
うへぇ。ブラックだ。 ブラックは嫌いなのだがおかげ頭もよく覚めそうだ。
「タバコ、いいかしら?」
「あ、あぁどうぞ・・・」
「ありがと」
返事を返す前から彼女はタバコを咥えている。
カチッ シュボッ カチン
「ふー・・・ま、ゆっくりそれ飲んで。それからでいいわ」
何がそれからなんだろう。 だんだん不安になってきた。
(何か忘れているような・・・なんだっけ。
足をケガしたんだっけ、そういや・・・)
足首をさすって見るがどこもケガはしていない。
やっぱりあれは夢だったんだろうか。
「ふー・・・ふふふ、何もしないからそんなに緊張しなくてもいいのよ」
冷ややかに笑いながらこちらを見ている。
タバコの灰が落ちそうだ。
「あ、あのこれ・・・灰皿」
飲み終わったコーヒーの缶を差し出す。
「あ、いいのいいの。持ってるから。そういうマナーは守るほうなのよ、私」
ポケットから携帯灰皿を取り出すと、タバコをそのまま入れてしまった。
「どう?だいぶ目が覚めた?」
「はぁ、おかげさんでなんとか」
「そ。じゃあいいわね」
長い髪をかき上げながら彼女は話し始めた。
「あなた、メンインブラックって映画見た事ある?」
「え、えぇ1も2も見ました」
はぁ?と答えそうになったが無難に答えることを心がけた。
「そう。それはよかった。私ね、あの映画が好きなの。
それで、自分の会社を持ってるんだけど、
その会社名も『MIB』なのよ」
そう言いながら彼女はズボンのポケットから革のケースを取り出した。
「ほら」
差し出された名刺には、独特のフォントで確かに「MIB」と書かれている。
その字体とデザインのせいでキャバクラの名刺みたいに見えた。
「へぇ」
「おっとっと」
受け取ろうと手を伸ばすと、引っ込められてしまった。
「ごめんごめん、別にあげるために見せたんじゃないのよ。
配る為に持ってるんじゃないからあんまり数もないの」
ちぇっ。別にいいけど。
「それで、何の会社なんですか?」
「ん?いい質問ね。それはね・・・」
彼女はまた丁寧に革のケースに名刺を戻す。
「人材派遣会社なの」
「あぁ、今よくニュースで見ますね」
「ちょっと違うわね、あれとは。うちの場合、クライアントは企業じゃなくて個人。
それから利益が目的じゃないの」
「利益が目的じゃない?」
538 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/15(水) 20:36:05 ID:Yh6mt5+K0
「そ」
いつのまにかまたタバコを咥えている。ヘビースモーカーのようだ。
「よくわからないな。何か特殊な派遣なんですか?」
「ふーーー・・・そうね、メリーさんを派遣してる会社なの」
「へぇー・・・」
ぼんやり答えていたが、忘れていた事を思い出した。
それを察知したかのように彼女の目元が笑う。
「ふふ、大丈夫よ。私はあなたをとって食ったり絵を売りつけたりしないわ」
「いっ・・・じゃあ・・・えでもあれは夢じゃ・・・?」
「夢かも知れないし、現実かも知れない。私は別にどっちでもいいけどね」
彼女が俺のところにメリーさんを派遣した。でも一体何のために?
「あなたのところには、あなたの最も嫌いそうなタイプのメリーさんと、
あなたを最も幸せにさせておいて突き落とせるタイプのメリーさんを派遣したわ
もっとも、一人目はあなたを気に入っていたし、あなたもまんざらじゃなさそうだったけど」
「いや、いやいやいや・・・」
冗談じゃない。確かに彼女に助けられてほっとしたが・・・いやいやいや・・・
「でも、何の為にそんなことを?」
当然の疑問を彼女にぶつける
「それはね、まぁゆっくり説明してあげるけど・・・あなたがメリーさんを待っていたから」
「僕が?」
「そう。 『メリーさん』は本来都市伝説。恐怖の対象。
いつ何時も、恐れられていなければいけないのよ。
でも最近は勝手に可愛い少女のイメージを横行させて、
あなたのように期待をしはじめる人間が多くなってきた」
「・・・」
「メリーさんは恋愛や性欲の対象じゃない。
そんな風に見られてると、いろいろ不都合なのよ。
だから、そういう人間のところへ失望と恐怖を与えられるメリーさんを派遣する、
それが私の仕事と私の会社『Mary In Back』
・・・ちょっと今ダジャレっぽいと思ったでしょ」
「や!思ってません・・・」
「公に出るわけじゃないから適当でいいし、洒落で付けたんだけどね」
ずっこけそうになる。この人のペースはよくわからない。
「でも、メンインブラックとメリーインバックは仕事の内容はとても似てるわ」
「え?」
「情報の操作と、隠蔽。それが仕事だもの。
タバコも切れちゃったしそろそろ切り上げるわね」
どうも話は終盤にさしかかってるらしいがよくわからない。
「ちょっと待ってください、どういうことですか」
「あなたはメリーさんに対してもう嫌悪感しか感じてないはずよ。
その変化した部分以外の記憶を全部これから消させてもらうわ。」
そう言いながら細いサングラスをかける。映画のまんまだ。
「ちょ、ちょっと待って」
「だってそうでしょ、メリーさんのイメージダウン・・・本来の存在としては
イメージアップだけど・・・と情報操作の為に、
添い寝や絵売りのメリーさんを派遣してる謎の会社がある、なんて
ギャグでしかないじゃない。だから消すの」
今度はポケットからシルバーのライトを取り出す。アレをするのか。
「ほうら、ここを良く見て、それだけでいいわ」
ふと見なかったりアレの時に目を背けたらどうなるんだろうと思ったが、
何故か視線がライトの先から離れない。
「じゃあ、さよなら」
「ま、これはUSJで買ったお土産なんで使わないんだけどね」
俺はまたずっこけた。
>>"亜利鎖と魔鎖美"
珍走団みたいな名前で読む気が失せる
今日は調子が悪い。
いつもならまだ息を切らさず走ってる地点なのだが、
何故かもう苦しい。
「はっ・・・はっ・・・はぁ・・・」
肩で息をしながら歩いてしまった。
「今日は暑いからかな・・・」
俺はいつもこの時間には決まったトレーニングコースを走る事にしている
体力の向上にもつながるし、こうして何かおかしければ異変を感じ取れるからだ。
「ちゃんと寝てるんだけどな・・・そういや暑苦しいと寝てても
しっかり休めないってテレビで言ってたっけ・・・うーん・・・なんだろ・・・」
まぁ、いいか。
折り返し地点から家までは頑張ってみよう。
それにしても今日は暑い。
〜メリーさん 最終話〜
暑い。 梅雨が明けたのはいいが日差しが照りつける中
スーツ姿で走るのは本当に暑い。
「待ってくださいよぉ〜 せんぱぁ〜い!」
「そんなこと言ってると今日も入れないぞ!」
「そんなぁ〜 もー!」
ぶつぶつ言いながら後をついて来る。
自分のペースを出せばもっと楽に、もっと早く着くのだが
可愛い後輩を置いてけぼりにするわけにもいかない。
ガララッ
「いらっしゃいませー!」
目的地は事務所の近くにある中華料理屋。
昼前には既に混雑して、昼過ぎまで列が途切れない超人気店だ。
幸いうちは他の会社と違って変則的な休憩時間が取れるので
こうして混雑する前にここで昼食をとれる。 走れば、だが。
「はぁ〜・・・あっつー・・・あ、座席空いてますよ、座席」
「はいはい」
「はーやっと座れる〜・・・おじさん炒飯2ね!」
「俺大盛りで」
奥の座席に向かいながらカウンターの向こうの店主に注文を伝えると、
黙って笑顔で頷いた。
最終話というからには二度と来るなよ。
復活するなよ。
>>533 最初引きそうになったけど途中からそういうネタだとわかったw
「それで、女がロッカールームに行くと男の子が座ってて」
運ばれてきた炒飯を頬張りながらまくし立てる。
そろそろクライマックスだ。何も知らない彼女は
興味深そうにこちらを見ながら同じように頬張っている。
「ねぇ、どうしたの? お母さんは?って聞いたんだ すると」
息を少し吸い込む
「お前だ!・・・ってね」
カッと目が見開いたままで動きが止まっている。
この瞬間がたまらない。
「・・・も〜・・・」
「くっくっく」
「先輩の、バガァーー!!」
スプーンを振り回してわめき散らす。
「最後まで聞くお前が悪いんだよ」
対して俺は笑いながら水を飲む。
こうやって毎日彼女と昼食をとりながら、脅かすのが最近の最大の楽しみだ。
「ありがとうございましたー!」
ガララッ
昼食を終えてのんびりと歩いて帰る。
昼休みはまだたっぷりあるので、急ぐ必要もない。
「もー!毎日毎日怖い話ばっかり聞かせるんだから!」
「あんまり怖がるから面白くってさ、ごめんごめん」
手を合わせて謝るが笑いが隠せない。
「夜にトイレに行きづらいのが誰のせいかわかってるんですか!?」
「子供じゃねーんだからよー」
「そーれにしても、ほんといろんな話知ってますね、先輩」
自慢じゃないが、彼女と昼食を一緒にするようになってから
一度も同じ話をしたことが無い。怖い話はオチを知ってたら意味がないのだ。
「昔そういう本を読んでただけだよ」
「へぇ、今も読んでるんですか?」
「いや、今はもうだいたいの話を知っちゃってさ、読んでない」
「ふぅ〜ん、先輩そういうの好きなんですね〜
数字しか信用してないカタブツなのに」
「おいおい、そんな言い方はひどいよー」
「じゃあ、私と数字、どっちを信用してますか?」
「数字」
「ちょっと!」
彼女にツッコまれる。
さて、事務所に戻ったら
彼女の分も資料を整理しておかなきゃいけないな。
彼女、涼子(仮)は極度の怖がりである。
にも関わらず、怖い話が好きで、いつも最後まで聞いてしまって
激しく後悔をする。
聞かなきゃよかった、もう次から聞かない、とは思うのだが
面白そうな話は中途半端で済ませたくない性質である。
「(仮)って何よ!? ・・・じゃなかった
はぁー、今日も怖い話聞いちゃったなー・・・もー・・・」
一日の業務も終わり、先輩の敏男(仮)を職場に残して退社する。
西日がまぶしい。 涼子のアパートは少し道を入った場所にあり、
こういう時間帯にはやたら影が出来る。
「うー・・・いつか先輩に聞いた話を思い出しちゃうなあ・・・」
怖い事を考えないようにと思えば思うほど、
ブロック塀の角の向こうに何か居たりしないだろうかと不安になり、
いい歳してそんなことに怯えている自分が情けなくなる。
「お姉さん」
そーっと角の向こうを覗こうとしていると後ろから声をかけられた。
「っひいいいいい!!!」
「わっ、ちょっ、大丈夫ですか?」
「あれ? あ、ごごごめんなさい・・・」
恥ずかしい。どうしてこんなことしてるんだろう。
振り向くと恐らく占いをしているであろう怪しい格好の男が座っていた。
「なんだかお悩みのようでしたので、ちょっと声をかけたんですが」
「え?」
「ふむ、男性の事のようですね」
やだ。ちょっと、こういうのってぼったくられるのよね、きっと。
「あ、結構ですから、それじゃ」
つかまってしまわないうちにとそそくさとその場を立ち去ろうとする。
「ちょっと待ってください。 500円、500円でどうですか」
帰ろうと思ったのだが、不思議に思ったのと、
何よりさっきの一言がひっかかって立ち止まってしまった。
「ほんとうに、500円?」
「そうです。 こういう仕事はね、1日に一人捕まえて1万ふんだくるか、
さもなければ20人を呼び止めて500円でやるか二通りなんです。
ま、後者はめんどくさいから誰もやりゃしませんがね。
・・・とと、そんなわけですから、どうです占いひとつ」
だんだん乗り気になってしまった涼子は、占い師の前に座った。
「ふぅん、怖がりなのに怖い話が好きで
・・・それで・・・ふむ・・・誰かに毎日脅かされてるんじゃないですか?」
占い師は台本でも読むように喋り続ける。
監視されていたかのような正確さだ。
「そうです・・・」
「おー、当たらなかったらどうしようかと思いましたが、ハハ、失礼」
いたずらっぽく笑う。
「まま、それは冗談ですがね、そしてあなたは
・・・割とその男性がまんざらでもなかったりするんじゃないですか」
ぎくり
「ええまぁ答えなくても結構ですよ。へへ。
それで・・・えーと・・・一度反対にびっくりさせてみたい、
仕返しに・・・ってのもあるし、まさか、と驚かせてみたい・・・と」
「なんだか、心の中を読まれてるみたい」
自分が気づきもしなかった心の中まで当てられて、すっかり感心してしまった。
「へへ、そりゃどうも。 どんな具合ですかね」
「もう完璧にその通りです・・・それでどうしたらいいんですか」
「うーん・・・」
占い師が低く唸り、手を組んで困った表情になってしまった。
「私ぁね、占いはできるけど、怪談はとんと暗くて」
「えぇっ、そんなぁ」
「そうだなー・・・ちょっと待っててくださいよ・・・」
こちらに手のひらで待ったのジェスチャーをすると、二人の間に置かれている
台の中をゴソゴソしはじめた
「こんなの、どうです」
そう言って差し出してきたのは、ぼろぼろになって端の方が破れている一冊の本
表紙にはいかにもというデザインで、「怪奇!都市伝説」と書かれている
「・・・もしかして、占いは500円だけどこの本が1万円するとかじゃ・・・」
「とんでもない!そんなことしやしませんよ!だいたいこの本100円もしませんし
お客待ってる間ね、なんか本を読もうと思って安いこんなのを集めてるんですけどね、
なんつーか・・・ちょっとガラに合わなくて、面白くなくってね。
よかったら差し上げますよ。」
「そういう事なら・・・」
バッグに古びた本を入れる。ふと時計を見る。もう7時半だ。
「あ!もうこんな時間!帰らなくっちゃ!」
財布を取り出しながら席を立つ。
「はい、500円」
「どもども。ま、帰り道気をつけて。何か出るかも知れませんよォ〜〜」
占い師は幽霊のポーズをしながらニタニタ笑う。
「ちょちょ、ちょっと脅かさないでよ!もう!」
帰りながら、バッグの中の本を手に取る。
そういや受け取ってしまったけど、
相手をびっくりさせようとしたらこっちは既にその話をしってなきゃいけないのだ。
当たり前だけど、ひどく難しいことに思われた。
読む前にトイレに行っておこう。
「うぅぅ・・・読むんじゃなかった・・・」
夜中の2時なのにまだ明るい部屋の真ん中で、布団に包まりながら呟く。
「これ・・・思ってたよりすごい怖いぃぃ・・・」
表紙のチープさからは想像できないくらい怖かった。
トイレはガマンしている。
「だいたい、頑張って話覚えても、先輩が知ってたら意味ないじゃん・・・」
昼間の会話が思い出される。
「あーもう寝ようっと・・・トイレ・・・」
本をほっぽり出して寝る前にトイレに行く覚悟を・・・
「丑三つ時だぁあぁぁ・・・」
やっぱりだめそうだ・・・
「ん?」
彼女が何気なく足元を見ると、床に放った本がまだ見てないページを開けている
怖い挿絵や写真だらけの本だが、可愛らしい少女のイラストが描かれている。
「なんだろーこれ・・・? メリーさん?」
メーリさんの ひっつっじっ なんて歌があったな、などとと思いながら読んでみる
「メリーさん怖いよ〜・・・読むんじゃなかった・・・」
結局彼女は朝まで、メリーさんから電話がかかったらどうしよう、と怯えながら
トイレをガマンしつつ起きていた。
性格悪い奴に暇を与えたらこうなるんだな
てか普通に中学生なんだろ
555 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/15(水) 23:23:21 ID:w/AtEG0rO
オマエには二行も書けない文章だと悟った方がいいそ。
[究明(前)]
1/14
高城「はじめまして、桐谷さん」
向かいの席に着いた高城が、にこやかに挨拶してくる。
これまでは遠目に見るだけだったが、彼女はやはり美人だ。
身体のラインがくっきり出るような真っ白いセーターを着ており、その美しい曲線に目を奪われそうになる。
…が、そんなことは問題じゃなかった。
極端な話、彼女が下着姿で現れようと、それに見惚れない自信はあった。
彼女の普段の容姿から、そういった覚悟はしていたからだ。
しかし――ここに汐崎真奈美を連れてくるとは、思わなかった。
これはまったくの計算外だ。
いつの間に、2人に繋がりができたのか…?
顔を合わせたのは汐崎が連れ去られた時だろうが、汐崎真奈美にとって、高城は父親を連れ去った憎むべき相手のはずだ。
高城が上手く言い包めた、という可能性も考えられるが、ここにこうして連れてきたことからして、それは無さそうだ。
2/14
高城が完全に往来会側の人間であるなら、会の人間を連れてきたはずだ。
また、ただ単純に「汐崎を解放したい」と思っている場合も、そうなるだろう。
しかし彼女は、この子を連れてきた。
それは、つまり――
俺「…はじめまして、高城さん」
ずっと黙っている訳にもいかず、挨拶を返す。
俺「それと…」
高城の隣に座った汐崎真奈美に視線を移す…と、彼女と目が合う。
その目は――こちらをジッと見ているその目は、明らかに非難の眼差しだ。
俺「真奈美さんには、本当に申し訳ないことをしました」
俺はテーブルに両手をつき、深々と頭を下げる。
この子には、本当に悪いことをした。
まったく関係が無いのに、巻き込んでしまったのだ。
俺の…目的のために。
真奈美「…」
恨み言の1つや2つ言われるか――もしかしたら引っ叩かれるかとも思ったが、彼女は何も言わなかった。
3/14
高城「桐谷さん、事情を説明してくださる?」
頭を下げたままの俺に、高城が言ってくる。
やはり、こうなったか…。
この構図。被害者と加害者。
いとも簡単に、主導権を握られてしまった。
誰が来ようとこちらのペースで話を進めるつもりが、こちらは何も聞き出せない可能性すら出てきてしまった。
俺「そうですね…」
そう言いながら頭を上げ、高城の顔を見る。
どうせ勝ち誇った顔をしているのだろう…と思ったが、彼女は恐ろしく真剣な眼差しを向けてくる。
俺はその視線を真っ直ぐ見つめ返す。
…どうやら、本気のようだ。
決意に燃える、その目。
彼女は本気でこの件を…自分の手で解決しようとしている。
それなら良い。それなら…
俺はそう思い、話を始めた。
4/14
――あれは、3年前のある日のこと。
久しぶりに掛かってきた、兄貴からの電話。そこで兄貴はこう言った。
「探しているものが見つかった。往来会に入る」
長年の探し物がついに見つかったと言って、俺達は大いに喜んだ。
それは、2人の念願だったからだ。
兄貴は勤めていた会社を辞め、すぐに往来会に入会。
俺も必要なら入るつもりだったが、1人は外部に居たほうが良いだろう、ということで入会はしなかった。
俺と同じく元々霊感のあった兄貴は、広報部に配属された。
兄貴はそこで慎重に行動しながら”それ”の情報を集め、往来会の内情と共に、俺に教えてくれた。
今は力無く、隠居生活を送っている会長のこと。
実権を握っている副会長のこと。
それと、会長の懐刀とも言える本部長…高城沙織のことと、兄貴の上司である、汐崎祐一のこと。
それらの情報をまとめ、”目当てのものは副会長が持っている”と分かったのは、今から半年ほど前の事だった。
俺はそこから更に、慎重に事を進めていこうと言ったが…
「副会長が持っているなら、置き場所の検討はついている」
そう言って兄貴は出掛けていき…それ以来、連絡が来ることは無かった。
テスト
5/14
高城「…探し物が何であるか、言わないの?」
話が切れたところで、高城が口を挟んでくる。
まぁ、当然の疑問だろう。
俺「一応、ね…」
汐崎真奈美をチラと見て、俺は答える。
俺「本部長ともなれば知っているだろうけど、往来会の最高機密になるのじゃないか?それを知ったら――」
高城「別に構わないわ」
俺「…」
構わない。
構わない…?
俺が心配してやったのには、それなりに理由があるのだが…
俺「言っても良い、と?」
目の前に座っている高城をジッと見つめ、聞いてみる。
高城「ええ。今更あんなもの、ね」
俺「…」
あんなもの、か。
…なるほど。
6/14
俺「じゃあ、言おう。良いね?真奈美さん」
真奈美「え?…あ、はい」
何をそんなに?と戸惑った表情をしている。
俺「壷だよ。壷。大きさは…人の頭くらいかな」
そう言って俺は、両手で大体の大きさを形作る。
真奈美「壷…ですか」
俺「そう。高城さんもご存知でしょう?」
高城「えぇ。見たことはないけど」
見たことがないか。
まぁ、だから、だろうな…。
真奈美「それが何か…大事なものなんですか?」
ハテナ?という顔をして尋ねてくる。中々可愛らしい表情だ。
俺「あぁ。とてもね」
真奈美「凄く高価なものとか?」
俺「うーん、それはどうかなぁ…」
俺も実家にあった写真でしか見たことがない訳だが、見た目はそれ程良くなかった。
素人目に見て、骨董品としての価値は無いような気がする。
7/14
高城「特別なものだ、って話よ」
真奈美「特別?って、どんな?」
高城「それは――」
高城が俺を見る。説明して、という顔だ。
まったく…完全に彼女のペースだ。
それなのに嫌な思いにならないのは…彼女の人柄の成せる技だろうな。
俺「その壷は、呪われていてね」
ここは話しておくか。
許された範囲で…。
真奈美「呪い…」
俺「ズバリ言うとね、ある種の人が真上から覗き込むと…霊感が身に付くのさ」
真奈美「え…」
俺「ある種ってのは、霊感が無くて、素質のある人ね」
真奈美「えー…?」
驚いた声を出す真奈美嬢。
真奈美「そんなの、あるんですかぁ?」
高城「…あるのよ。往来会がここまで大きくなれたのは、その壷のお陰でしょうね。優秀な会員を増やすことができたから…」
8/14
真奈美「凄いなぁ…。そんな良い物があるなんて」
高城「…霊感があるのが良い、って言うのなら、良い物かもね」
真奈美「良い物ですよぉ」
良い物。
あれが良い物と言うのか。
…やはり思ったとおりだ。
彼女は知らない。
高城沙織は、真実を知らない。
俺「あれは、元々うちの――桐谷の家に伝わるものでね」
俺は話を戻す。
俺「ずっと昔に…30年以上も前に、うちから盗まれたものなんだ」
高城「盗まれた…」
俺「そ。だから、俺はあれを取り戻したいのさ」
真奈美「盗まれたなら盗難届けでも出して、ちゃんと返して貰えば…」
俺「物が物なんでね。あれの存在を世には出したくない」
真奈美「…」
高城「盗んだのは、副会長?」
高城が聞いてくる。
真っ先に副会長を疑うあたり、よっぽど彼が嫌いと見える。
9/14
俺「いや。盗人さんは往来会とは関係の無い人間さ。どうやら金目の物と思ったみたいで…とっくの昔に死んでいる」
高城「…」
俺「それから色々な人の手を渡って、今の副会長の元にある、ってだけさ」
高城「そう…」
副会長の手に渡ったのが、どういった経緯によるものか。
…俺はそれも知っている。
なぜなら――ある人に、教えてもらったからだ。
しかし、そこまで話すつもりはない。この2人にそこまでは話せない。
それが…約束だから。
真奈美「あの、名刺については…?」
真奈美嬢が聞いてくる。
…そうだ。その話もあった。
俺「あれは、壷を出させるためでね」
真奈美「?」
俺「副会長のジイさん、兄貴のことがあってから警戒心が強くなってね…。今や、壷は金庫の中さ」
10/14
当然俺には、金庫破りなんて芸当はできない。
だから壷とご対面するには、副会長本人に金庫を開けて貰うしかなくなってしまった。
では、どうすれば彼は金庫を開けるか?
どういった時、彼は金庫を開けてくれるか?
…答えは簡単。
壷を使うときだ。
だとすれば、こちらでその機会を与えてやれば良い。
霊感は無いが、素質のありそうな人間。そういったものに興味を持っていそうな人間を、往来会に紹介する。
…そう考えたとき、丁度良い人物がそこに居た。
それが、神尾美加だった。
俺は2人に、そう伝える。
…そうとだけ、伝える。
どうして彼女に思い当たったか。
どうやって彼女のことを知り得たか。
それは――それも、言うことはできない。
この2人に、説明することはできない。
11/14
真奈美「神尾って確か、お父さんが会ったっていう…?」
そう言って、高城に確認する真奈美嬢。
どうやら、名前は聞いたことがあるようだった。
高城「そうね。私も一目だけ見たけど…確かに好奇心旺盛、って感じだったわね」
真奈美「ふーん」
高城「桐谷さん…随分と良い子に巡り合えたものね」
こちらに向き直り、高城が言ってくる。
何かしらの含みは感じるが…まぁ、スルーしておこう。
真奈美「あの、じゃあ、私も…?」
俺「ん?」
真奈美「霊感無いし、興味も…ちょびっとはあるし」
俺「あぁ。まぁ、それもあるけど…」
その通り。それだけの理由です。
…と言ってしまえば話は簡単かもしれないが、ここは正直に言っておこう。
高城の手前もあり、隠し事ばかりはできない。
下手に嘘がバレてしまうと、こちらの立場は更に悪化する。
俺「君の場合は、少し事情があってね」
12/14
怪しげな名刺を渡せば、神尾美加は往来会を訪ねるだろう。それは容易に想像できた。
しかし入会するというところまでは、どう考えたってあり得ない。
ただ単に、「何か変なところ」という認識だけで終わってしまうだろう。
そこで更に、もう一手打つ必要があった。
往来会を訪ねた神尾は、汐崎祐一と会うだろう。
あの名刺があれば、必ずそうなる。
ならば…次は、汐崎祐一に動いてもらう。
彼から神尾に、アクションを起こしてもらう。
そのために――
真奈美「…私に名刺を?」
俺「君に名刺を渡せば、君のお父さんは間違いなく動く。でも往来会は、お父さんに事件の真相なんて、絶対に話さない」
高城「…」
目を伏せる高城。
往来会…ではなく、彼女にとって、汐崎に事件の話をしない理由は1つではなかっただろう。
殺人が行われた事を知られたくない、ということだけでなく…彼を巻き込みたくない、という気持ちもあった筈だ。
13/14
俺「それで、彼は自分で調べるしかなくなる…そうなったら、神尾に話を持ちかけるのは目に見えている。往来会に関係しない、外部の、唯一の関係者だからね」
真奈美「それで、その神尾さんが、更に興味を持って…と?」
俺「そういうこと」
少しいい加減な、大雑把な計画だと思われるかも知れないが、神尾美加には霊感を求める理由がある。
それは、彼女の過去を調べて分かったことだ。
彼女はきっと求める。
必ず、それを望むはずだ。
高城「…勝手ね」
高城がポツリと言う。
まぁ、そう言われても仕方ない。
俺は完全に、俺だけの都合で動いた。それは分かっている。
俺「弁解の余地はありませんね…。兄貴が殺された時点で、こちらも手段は選ばないと決めたので」
高城「復讐のため?それで正しいと思っているの?」
随分と攻撃的だ。
彼女の近況からして…なんとなく、八つ当たりされている気がしないでもない。
赤緑氏乙
14/14
俺「正しくは無いでしょうねぇ…。少なくとも、真奈美さんにとって、俺は間違いなく悪者だ」
そう言って、その相手を見る。
…と、真奈美嬢は何か考え込んでいる。
高城「確信犯って、タチが悪いわね」
…よくもまぁ、目の前で堂々と言えるものだ。
腹を立てるでもなく、少し感心してしまう。
真奈美「あの…」
俺「はい」
真奈美嬢が口を開く。
真奈美「そうまでする理由が、分かりません…。桐谷さんとお兄さんは、何でそこまで?」
俺「…」
真奈美「往来会も、そんな…乱暴すぎると思うんです」
高城「それは、私も思ったわ。いくら、会にとって不利益なことだからってね…」
高城も同調する。
…どうやら、これも話さないといけないようだ。
まぁ、間違った認識を持ったままでいるよりは、マシか。
俺「もちろん、理由はありますよ」
そう言って俺は、更に踏み込んだ話をすることにした。
今度こそ乙・・・・・・書きかけじゃねぇか!!!
赤緑乙ゥ!
ウニ氏に肩を並べられるような書き手が現れれば良スレ化すると思うのになー
喪中氏とかいい線行ってると思ったけど音沙汰無いね…。
「おはよぅございまぁす・・・」
起きてるような寝てるような・・・とにかくぼうっとした感じで
ふらふらしながらなんとか出社した。
「おぉ、おはよう。大丈夫か?」
先輩が苦笑いしながらこっちを見る。
「あんまり大丈夫じゃないです・・・はー・・・」
「どうした、徹夜でもしたのか?」
ぎくり。
「遊びだか何か知らんが、ま、ほどほどにな」
ぽんと肩を叩くとどっか行ってしまった。
あんたのせいだとはまだ言えない。
「うーーー」
全然仕事がはかどらない。文章は読めるのだけど
どういう事なのか頭に入ってこない。
「どうして私こんなことになってんだろー・・・ねみー・・・」
机に頬杖をついて敏男の方を見る。
急がしそうでもなく、しかしてきぱきと書類の山をどんどん捌いてゆく。
そうだ、先輩をビックリさせてやろうと思って・・・
しかし改めて見ているといつも引き締まっていて隙がなさそうだ。
「ましてや怖い話なんかでビックリさせようったってねぇ・・・はぁぁ・・・」
涼子が徒労感を感じ始めた時―
プルルルルル プルルルルル
事務所の電話が鳴った。
「あれ、今・・・」
その一瞬を涼子は見逃さなかった。
敏男は確かに電話が鳴った瞬間に、本当に一瞬だがビクリとした。
「はい、もしもし芽井印刷です あ、はい私です」
しかし何事も無かったかのように敏男は業務を続行している。
「・・・ま、気ぃ張ってる時に急に電話が鳴ったら誰でもビックリするかあ・・・ふぁ〜ぁ」
今日も先輩は残業になりそうだ。
正午。
今日もいつものように二人で食事をする。
ただあんまり眠そうで走れなさそうと判断されたのか
今日は敏男が弁当を買ってきてビルの屋上で食べる事にした。
「はぁー、すいまへーん」
「お前、ほんと眠そうだな」
「そーなんですよー・・・もうー・・・」
口を尖らせながら弁当の包み紙を開ける。
「わぁ、これって」
目の前には輝くおかずがたっぷり入った弁当。
「限定40食デパ地下特製スタミナ弁当。それでも食って昼から頑張れよ」
販売後15分で売切れるとか売り切れないとか。
それをわざわざ買ってきてくれたのだ。
「すいませぇ〜ん、ありがとうございますぅ」
「ま、お前が仕事サボって困るの俺だからな」
「えー ちょっとー」
二人で笑う。
だんだん、こんな気のいい先輩を脅かすのも悪い気がしてきた。
「先輩、あのねー、」
ピリリリリリリ ピリリリリリ
けたたましい着信音。
「先輩?」
敏男の目は大きく見開かれて動きが止まっている
「ん?あぁ、あー、ビックリした。 アラーム止めてなかった」
慌てて携帯を弄りだす。
・・・やっぱり、電話の着信音に妙に怯えている。
ついに見つけたわよ、先輩の弱点
涼子の良心は、弁当箱の中のゴマ粒より小さくなっていた。
午後7時
敏男は今日も一人残業を続けていた。
いつもならもう帰っている時間なのだが今日は涼子があのザマだったので
書類の整理も一苦労だ。
「ふぅー・・・ちょい休むか」
椅子を目一杯倒して体を伸ばす。
ま、あと1時間もあれば帰れるかな・・・
プルルルルル プルルルルル
「わっ!」
突然事務所の電話が鳴り、驚いて椅子から転げ落ちそうになる。
何故かは自分でもよくわからないが、電話の音にはいつも恐怖を感じる。
まぁ、仕事柄電話がかかってくる時は大抵良くない知らせだからかもしれない
それにしても、こんな時間に誰だろう。
「はい、もしもし芽井印刷です」
「・・・」
「もしもし?」
受話器を取るが、反応が無い。
「もしもし?聞こえていますか?」
「・・・」
いたずら電話だろうか?
「もしもーs」
「私、メリーさん」
心臓が飛び出るかと思った。
呼吸が激しく乱れ、めまいがする。
電話の向こうから、確かにそう聞こえた。
メリーさん・・・確か都市伝説の本を読みふけっていた時に
やたら出てきた話だった・・・
それが何故ここまで恐怖心を煽るのか自分でもよくわからないが、
恐ろしくて声が出なくなってしまった。
「今、あなたの街の真ん中に居るの。 会いに行くから」
ガチャッ ツーッツーッツー
「・・・」
受話器を置くと、一人きりの事務所が妙に不気味に感じられた。
メリーさん。 確かあれはこういう話だったな、と思い出す。
「・・・街の真ん中って、よく考えたらヘンね」
涼子は確かに街の真ん中、
中央通のたまたま見つけた公衆電話から事務所に電話をかけた。
「ま、いっか。 先輩、何にも言ってこなかったなぁ」
電話ボックスを出て、自宅へ歩きながら考える。
敏男は電話に対して恐怖を感じているようだ。
だから、電話がらみのメリーさんで脅かしてやろうと企んだ。
とりあえず最初の1回は、まずまずだったのではないだろうか。
パーティグッズ屋で700円で買ったボイスチェンジャーも、
安物ならではの妙な不気味さを醸し出してくれてよかった。
明日の反応が楽しみだ。
翌日敏男は始業時間になっても姿を見せなかった。
涼子が入社してから無断欠勤おろか、休んだのを見たことが無かったので
妙な気分だった。
「おいおい、あいつが休むなんてな。明日は雪か?」
社長も同じことを考えているらしい。
「ほんとですね。もしかして途中で事故にあったとか・・・?」
「うーん、あいつは自宅からバスでここまで来てるからなぁ。
それに何かあれば電話してくると思うんだが、その・・・」
「どうしたんですか」
「うん、電話が繋がらないんだ。ずっと」
二人の間に少し沈黙が続く。
「・・・私、帰りにちょっと寄って様子見てみます。
バスの路線一本変えたらいいだけですから」
「うん・・・そうだな。ちょっと頼む。
だがまずは、今日の仕事だな。彼の居ない分を埋めるのは結構だぞ」
「うわーっ・・・」
結局涼子が退社できたのはいつもより3時間遅く、日もとっぷり暮れた頃だった。
途中で花を1輪買って、バスに乗り込む。
今日は何だか1日静かに感じた。
敏男はあまり喋らない方なのだが、
社員が二人しかいない小さな事務所では無理もないことだった。
朝から何も食べていない。
ずっと布団に潜り込んでいる。
それ以上何もしたくないし、何もできなかった。
デッデケデケデケ
昔使っていた携帯に入っていたメロディが鳴る。
ガチャッ そして勝手に通話が始まる。
「私、メリーさん 今あなたの家の前に居るの」
どこの誰か知らないが頭のおかしい奴が電話をかけてくる。
昨晩からずっと。
携帯の電源を切っても、電池を抜いてもダメだった。
思い切って真っ二つにしてみたが、静かになり少し寝てしまった後
テーブルの上には何事も無かったかのように携帯が置かれている。
そして―
デッデケデケデケデケ ガチャッ
「私、メリーさん。 今あなたの後ろに―」
「やめてくれ!」
ピンポーン
チャイムの音で目を覚ました。
目を開けてみるともう外は暗くなっている。
ずっと布団の中に潜っていたのでいつの間にか寝てしまったのだろうか?
テーブルの上の携帯を開けてみると、着信が4。
3つは会社からで、残りの一つは涼子からで・・・つい2分前かかっている。
「しまった・・・そうか俺携帯を・・・ええもう」
一番上の涼子の項目にリダイヤルする。
「もしもし」
「もしもし、俺。 今日は、えと、すまない」
「いえ、いいんです。それよりお見舞いに来たんですけど、ドア開けてもらえますか?」
トントン
顔を上げるとタイミングよくノックが聞こえた。
「あぁ、分かった今開けるよ」
敏男は眠い目をこすりながらドアを開いた。
ttp://www.null-box.com/cgi-bin/so/No_21724.jpg
「・・・!!」
涼子は思わず両手で顔を覆ってしまった。
放り出されたバッグから小物が地面に散らばる。
家の前に着いたので電話をかけてみたが繋がらない。
チャイムを押しても反応が無くノックをして、
これで何も無かったら帰ろうと思ったら
不意にドアが開いた。
ドアの向こう側では敏男が目を見開いて死んでいた。
後に警察が調べたところによると敏男の携帯にはその日
事務所や涼子からの着信は無かったが80件以上の非通知着信があったらしい。
通夜が終わったあと、ふと涼子は好奇心からやったいたずらを思い出していた。
もしかして、あれがきっかけで・・・ううん、そんな筈は無い。
でもだとしたらどうして・・・
プルルルルル プルルルルルル
涼子の携帯が鳴る。
「あれ?おかしいわね、マナーモードにしてたはずなのに・・・
ひいいいっ!!」
携帯を開いてショックのあまり放り出す。
発信元は敏男の名前を表示していた。
ガチャッ
「もしもし、私メリーさん。 今あなたの先輩の家に居るの」
終
「君は誰だ!」
「私、メリーさん」
「どうして君がケイコの携帯を!」
「知りたいのなら、教えてあげるの」
「君とケイコの関係は何だ!」
「彼女はもう眠ってるの。やすらかな顔で」
「や、やっぱりそうか…前から怪しいと…」
「あなたも、天国へいかせてあげるの」
「天国どころか、もう地獄だよ!」
「今、あなたの部屋の前にいるの」
「ど、どこまでフシダラな女なんだ、君は!」
「フシダラってどういう意味なの」
…
……
………周りは真っ暗で何も見えない…。
その真っ暗な暗闇の中で1人の女の子が手招きをしている。
オレは手招きをしてくる女の子の所へ近づいていくと…いきなり手招きしていた女の子に何処から取り出したのかわからない大きな鋏を出して
ザシュッ!!!
オレの片手をチョン切られた!!
赤マント「え…?あ?」
痛さよりもいきなり手を切られて、頭の中が真っ白で何をされたのかも理解出来なかった。
ポタリ…
と一滴血が滴る…。
その後からドバドバと血が吹き出し止まらない!
その時ようやく気づいた!
赤マント「うわあああああ」
痛さよりも手を切られた時のショックの方が大きかった…。
血は止まる訳もなく、沢山噴水の様に出てくる!!
地面はオレの血で赤く染めた。
手招きしていた女の子はオレを見て楽しんでいるのか、微笑んでいた。
赤マント「うわあああああァァァァァァァァ!!!!!」
ガバァッッッ!!!
オレは叫びながら布団から飛び起きた!
赤マント「ハァ…ハァ……夢か…」
とんでもない痛々しい夢のせいで完全に目が覚め起きてしまった…。
その後はいつも通り仕事場へ行き仕事をする。
いつも通りだ。
仕事している場所は工場なので周りには機械が沢山あり、その中には注意しながらやらないと、大怪我する機械もある。
オレはたまたま見た目からして気をつけないとイケない刃がある危険な機械から横切ろうとした瞬間!!
その機械が動きだし、オレは誰かから強く押され、危うく左手を刃で切るところだった…。
後ろから押した奴を怒鳴ろうと後ろを振り向いたのだが誰も居なかった…。
タイミング良く機械も動きが止まる。
オレは気味が悪くなり…刃の付いた機械から避けて通って行った…。
赤マント「…そういえば!」
オレは何かを思い出した。
赤マント「(刃で手を切るところ…夢の中で見たのと似ていたかも知れない…!)」
夢で手を切った時も左手だったのだ!
赤マント「(あの夢は予知夢だったのかも…警戒しておくか…)」
しかし、それからは警戒をしていたが何も起こらなかった。
〜第一遭遇〜
『私メリーさん、
いま・・・あなたの後ろにいるの・・・』
「えっ、あっ・・・」
チリンチリーン
あ、なんだ、普通の自転車じゃないか・・・。
なんだろう、今の電話・・・。
オレの脇を通り過ぎて行った自転車の女の子は関係ないだろうけど・・・。
それにしても、何だ、今の電話・・・。
まさか、都市伝説のメリーさん?
いやいや、まさかまさか、
きっとクラスの誰かがオレをからかって・・・
でも非通知か・・・、
畜生、だれだよっ!
まぁ、いいか、
それにしても・・・今、通り過ぎてった子・・・、
あの子も高校生くらいかな?
一瞬だけどいい匂いしたな・・・。
〜第二遭遇〜
『私メリーさん、
いま・・・あなたの後ろにいるの・・・』
「あっ? またお前か・・・、いったい誰のイタズラだよ?
オレと遊びたいってのなら歓迎だけどな、自分が誰だかはっきりと・・・」
どうぜ、都市伝説を利用した悪戯だろう、
そう思ってオレは後ろを振り向くでもなく、立ち止まって電話の相手に説教をするつもりでいた。
ところが・・・。
『後ろに気をつけた方がいいと思うの。』
人の話を遮りやがった。
だけど、そんな風に言われれば後ろに注意を払わずにもいられない。
「お前な、人が話してるのに・・・後ろだと?」
ブォォォォォッ!
「うわっ!?」
ちょうどタイミング良く・・・いや、悪く・・・か?
一台のスクーターがオレの脇を掠めて通り過ぎて行った。
変な角度で振り向いたら接触していたかもしれない・・・。
たく・・・こんな狭い道を・・・、
いや、真ん中歩いていたオレも悪いかもしれないけど・・・。
それに、メットで顔は見えないけど、ありゃ女かぁ?
それで、電話は・・・あれ? 電話切れてる・・・。
オレに危ないって・・・警告してくれたつもりだったのかな?
昨日は自転車が通り過ぎて行ったもんな・・・?
〜第三遭遇〜
『私メリーさん、
いま・・・あなたの後ろにいるの・・・』
「・・・またかよ・・・、
今度も後ろから何かがやってくるんじゃ・・・
うわわっ!?」
言った傍からやっぱりだ、
黒塗りでスモークはった車がオレの体、ギリギリ掠めていきやがった。
偶然・・・じゃないよ、な。
「おい! 今のはなんだ?
危険が迫ってる事を教えてくれてるのか!?
だったら、もう少し早めに・・・」
その時、電話口からは、確かに聞こえてきた、
無邪気そうな笑い声が・・・。
『・・・クスクスクス・・・』
その時オレはぞっとした・・・。
まさか、狙われているのか、オレ・・・。
何で・・・どうして・・・?
俺の名は目理伊三。こんな単純な名前なのに作者が思い出すまで三十秒かかった。
それはともかく、今日は市内をパトロールして回っている。
「お、いたいた」
覆面パトカーから降りた俺は、その空間にいた彼女に声をかけた。
「よお、お嬢さん。仕事の具合はどうだい?」
彼女……金の髪をした幼い少女は、目を丸くしてこちらを睨む。
「あなた、どうして私に声をかけられるの?」
「なあに、俺もあんたの……いいや、あんたらのご同類って奴さ」
電話ボックスを中心として、少しズレた位相の空間を作り出す。
純粋なメリーさんに与えられた能力の一つだ。
この能力故に、メリーさんは電話を使いながら誰からも見られない。
「ここらで最近ねえ、若い男の変死体が幾つも見つかってんだ」
そう告げた途端、彼女の目つきが険しくなる。
「……脅すまではいいが、そっから先は『メリー協定違反』のはずだからな。
お嬢さんは死なさないよう、くれぐれも気をつけておくれよ」
それだけ言って立ち去ろうとした俺の背後から、声がする。
「馬鹿ね。『メリーさん』に背中を見せるなんて」
相手の背後をとった瞬間。それが『メリーさん』の能力を最大限発揮できる時。
彼女が鎌を振り上げ、俺の首を狙うのが気配で分かる。
その刃が俺の首を胴と泣き分かれさせようとした瞬間だった。
「ハーイ、ダメよお嬢さん。電話した相手以外の背後をとるのは、協定違反ネ☆」
彼女の影から現れた手が、ずぶずぶと彼女を引きずっていく。
「悪いなあ、姉ちゃん。わざわざ手を貸してもらっちゃって」
影から現れた、もう一人の『メリー』さんに俺は笑いかけた。
「いいのよ。……ああん、若いメリーさんの柔肌。たまんないわあ……。
協定違反の罰を、知らないわけじゃないわよね。うふふふふふ」
「あ、いや、いやなの、ごめんなさい、ごめんなさいいいいいいい!!」
笑い声と悲鳴を残して、二人は影に沈んで消えた。
彼女の名は目理 依散(えちる) 俺の姉だ。
俺よりもずっと『メリーさん』の血を濃く受け継ぎ、メリーさん協会の代表の一人である。
なお、協定を違反したメリーさんがどうなるのかは……俺は知らない。
せっかくだから俺はこの話を投稿するぜ。申し訳ないがまだ何話かストックがあるんだぜ。
ブログに以前の話を掲載しています。Aと師匠とおかん でぐぐれば出るはず。
【登場人物】
A→俺、主役。時には脇役。
師匠→会話中では恥ずかしいので本名のMさんと呼んでいる。
おかん→俺のおかん。つよい。
【その他】
"アレ"→師匠についている怖い何か。魂など霊体を喰う。右肩から出てくる。時々暴走する。
自己責任で読んで下さい。一応警告はしたので始めます。
"高下駄履き"
真夏の午前中だった。俺は暇だったので師匠の古物屋でダラダラしていた。
「俺らってさあ、常に上げ底はいてるようなもんだよな」
「どうしたんすか、いきなり」
「いや、ほら上げ底って疲れるじゃないか、足首とか」
もちろん師匠のいつもの下手な例えだが、
この大男が上げ底なんか履いたことあるんだろうか、と思いながら答える。
「…そうですね。Mさんは足首より右肩のほうが疲れるじゃないですか、どっちかというと」
「真昼間から喧嘩売ってんな…まあ、いいわ」
師匠はクダを巻きながらも、目と手はパソコンに集中している。
俺は生返事だけしながら、寝転がって漫画を読んでいる。
「つーかさ、前から思ってたんだけど、この町って
俺の"アレ"も含めて、化け物多すぎじゃないか?
この間の鬼とか何なの?何度死ぬと思ったか…
結局山の途中までしか追い返さなかったけど、あの先に冥界の入り口でもあんのか」
「それは分からないですけど、色々とあるんでしょ、理由が」
どう考えても何かあるだろう。たぶん。
「知ってるかもしらんけど、仕事で憑き護らしき子と会ったんだよ」
「俺が知るところでは憑き護ってさ、
やばい地域に意図的に配置されるんだよね。ヤンゴトなき人たちによって」
どうやら師匠は、うちの町が霊的な危険地帯ではないのかと言いたいらしい。
「…どうでしょうね」
そんなことより、漫画の続きが気になる。
「あと俺らって、この仕事そこそこ長いけど、
Aのおばさんクラスの(霊力の)人って、普段道端では見かけないよね?
ってか人を顎で使って偉そうにして外に出てこないだろ。
何でふつうに近所のスーパーで井戸端会議してんの?」
町内会長だからかなぁ…。とか関係なさそうな理由しか思いつかない。
「それと、あの小学校に居座るホームレスカッパのことだけどさ、
何で神霊もどきが住宅地のど真ん中に居るのよ。
クソカッパは早く川に帰れよ。ハゲカッパ!」
師匠はわざわざ手を止めて、小学校の方向を向いて罵っていた。まだ恨みが消えていないようだ。
河童神も子供達が夏休みで暇らしいので、
たぶん今日あたり師匠の夢に出てきて、いつもの悪口の仕返しをするだろう。
「とにかく、この町はおかしい。何かあるはずだ」
「そーすね」
そう言われても、普通に住む分には殆ど関係のないことだし、
師匠も言ってみただけで、真夏の暑い中を探しに行く気はなさそうだ。
あと異変を付け加えれば"球体"のこともあるが、それは2人とも意図的に触れないようにしている。
「ところで魔鎖美ちゃんはどうしたのよ、あの後」
「今は夏休みなんですけど、元気に部活に通ってるみたいですよ」
「…霊感の無い子をからかうもんじゃないよ」
「…さーせん、でも色々と成り行きもあったんすよ。大体ブレスレット渡したのMさんでしょ」
「…おk、今後気をつけるわ」
あのブレスレットは、シャモジと一纏めにされて商品棚の上で封印されている。
「……」
「……」
しばらくお互いの作業に集中する。
「…そうだ、上げ底の話をしたかったんだった、さっきしかけたよな?」
師匠が手を休めてこっちに話しかけてくる。
「そうでしたっけ…?」
「あれ、ちがったっけ?まあいいや、とにかく俺らは"霊的な"上げ底を履かされている。
俺は"アレ"によって、お前はその血筋によって」
「上がってるんすかね。むしろお互いかなり下がってませんか?一般性という意味において」
「…そんな気もするが、下げ底じゃなんの話かわからんから、上げ底ということにする」
零感ならこんなヤクザな職につかなくても良かったかもしれない。と思いながら
俺は寝転がったまま漫画の次の巻に手を伸ばす。
「しかし上げ底によって色んなもんが見えるし、感じられるわけだ。
神秘的なものから、見えなくていいものまで」
とは言われても、俺は生まれた時からこれが当たり前の生活なわけで、今更何とも思わないが。
「それを生業にもしている、そのことでの繋がりも出来た。
勿論、それによって様々なものも亡くしたりしている」
俺自身はそれほど亡くしたとは思っていないが、及び知らぬ所でそうであるのかもしれない。
「でな、この上げ底が無ければお互いとっくに何回か死んでいるわけだ」
「そうかもしれせんね」
「しかし、この上げ底が無ければ、そもそも死にそうになったりもしないわけだ…」
「…そうでしょうね」
「上げ底を脱いで見たいと思わないか、というか祓ってみたいと思わないか!」
「…何言ってるんすか、それが出来たら困りませんよ。
それに俺のは、ただの強すぎる霊感なんで祓いようがありませんって」
「駄目元でチャレンジしようぜ!!人生にはチャレンジが大切だ!!」
キラキラした目でこちらを見ている師匠に分からないように、小さく溜息を吐いた。
またこの人の悪いスイッチが入ったようだ。
ぶっちゃけ俺はどうでもよくて、
自分の"アレ"をなんとかしたいだけなのだろう。いつものことだ。
「そんなこと言って、今度は、どこの神社を潰しかけるんですか。
ほんとそのうち、天罰が下りますよ…」
数年前、同じような師匠の思いつきで
数駅向こうの神社の守護者(狛犬っぽい何かだった)とガチバトルになりかけたことがある。
"アレ"持ちの師匠は基本的に神域には近づけないのだ。
「ふっふっふ、そこは私も考えたのだよ。日本には三大神宮というものがあってだな。
そこにはその辺のしょっぱい神社や、クソカッパなどとは比べ物にならない、
力を持ったマジモンの神様が居らっしゃるわけだ」
「まさか…」
「じゃあ、さっそく行こうか。日が暮れる前に」
この人はスイッチが入ったが最後、他人にはまず止められない。おかんを例外として。
そしておかんはいつものごとく仕事で不在だった。
というわけで、師匠の車をかっ飛ばして、一番近い某神宮の近所までやってきた。
山をいくつか越えてきたのだが、
某神宮に近づくほどに、運転している師匠の様子がおかしくなる。
いきなり昭和歌謡を歌いだしたかと思えば、アブナイ独り言を呟いたりして
さらには、当たりそうも無い怪しい予言とかもしだす有様だった。
たぶん"アレ"持ちに、某神宮を守る結界が反応して、呪詛を浴びせているのだろう。
この程度で済んでいるのはもしかすると"アレ"が防御しているのかもしれない。
「明日は、蛙の腹と牛の首が75パーセントの確立でお空に昇るでしょうけけけけけけけけけけ」
とか言い出した師匠の横っ面を、何度も御札ではたいて正気に戻しながら
時には、俺がハンドルを横から奪いながら、
何とか、俺たちは某神宮側の"ある地点"に差し掛かった。
いい加減難所は越えたっぽいし、あとは楽にたどり着けるだろう。
俺は、左頬が真っ赤になった師匠を横目に見ながら、一息ついていた。
ところが、そう簡単にはいかなかった。
詳しくは場所を書けないが、
その"ある地点"の特定の場所に車が近づくと
師匠が強引にハンドルを切ってアクセルを踏み、ユーターンするのだ。
そして、そのまま元着た道を帰ろうとする。
俺は、横からハンドルを取ろうとしたが凄い力で無理だった。
師匠は「身体が勝手に動くんだよ…、これどういうことなの…」と涙目になっている。
運転を変わってもらって、俺がやっても同じだ。
自然に身体がハンドルを切って、同じ地点でユーターンしてしまう。
試しに師匠を少し離れたところに降ろして、
俺一人で車を走らすと、すんなり通り過ぎることが出来た。
どうやら再度"アレ"のせいでまた、何らかの結界に引っかかっているらしい。
師匠も「おーい」とか言いながら歩道を走り寄ってくるが
さっきのハンドルを切った地点付近に差し掛かると、
体がピンっと気をつけの姿勢になって
そのまま回れ右して、5メートルほど戻ってしまう。
何度チャレンジしても同じようだ。それでも必死にこちらに向かおうとして
同じ動作をする師匠があまりにも面白いので、爆笑しながら携帯で動画を撮っていたら
それに気付いた師匠が怒って走り寄って来ようとして、
また、同じように回れ右して戻っていった。
しばらく無駄な挑戦をしたあと、埒が明かないので帰ることにする。
夕陽が差し込んだ車内で、師匠が愚痴る。
「やっぱし駄目かあ…今日はAも居るし、最近善行積んでるからいけると思ったんだけどなぁ…」
俺はその口ぶりから、何度目かの懲りないチャレンジであることを理解する。
「Mさん、もしかして京都とかも行ったことありません?」
あそこは強固に結界が張られているので、"アレ"持ちならそもそも近寄れないはずだ。
「そういえば、子供の頃修学旅行とかで、何度か行こうとしたんだけど、
当日に救急車呼ばれるほどの熱が出たり、
京都から20くらい離れた駅で、荷物が無くなって
さらにサイフやカードも含めた全財産すられてるのが分かって、
しかも家族が急病で危篤状態になって、
どうしても引きかえさないといけない。なんて事もあったなぁ…」
「それ、完全に嫌われてますよ…ってか、そんなに遠くから弾かれるとかどんだけすか」
「ちなみに俺が帰りの電車に乗っていたころには、
サイフも荷物も全部でてきて、家族は完治していたらしい…」
家の前まで連れて帰ってもらい、手を振って車を見送る。
しかし、師匠の動画は面白かった。
あとで顔にモザイクかけてニコ動にでもアップするか。
200再生くらいは稼げるかもしれない。
ちょうど、台所でお茶を飲んで一息ついていたおかんが居たので
調子に乗って、携帯で動画を見せると
最初は「なんだい」とか言いながら笑っていたのだが、だんだん鬼の形相になってきて
凄い剣幕で師匠に電話をかけさせられ、気付いたら、
おかんの目の前に二人で正座させられていた。
「これはなんだい!良く見たら、数体の式神が必死にM君を回してるじゃないか。
それも何度も!あんたら、あれほど神域には迷惑かけるなと…ホント何度言ったら分かるんだい!!」
しまった…俺には分からなかったのだが、結界に関係する式神が映り込んでいたようだ。
しかもおかんには、式神の種類でどこに行ったのか分かったらしい。
「私の時代は、どんなに才能ある人でも厳しい修行を積んだもんだ。
あんたらもとっくに大人だ。私もきついこと言いたくないし、
好奇心を持つなとも言わないけど、
あんたらみたいな、ほとんど才能だけでやってる高下駄履きは、
もう少し自重して貰いたいもんだよ!!!!!!!」
師匠も俺も、うな垂れながら力なく「スワセン…スワセン…」と言うしか無かった。
1時間近く経ったころ、なんとか説教から解放された我々は、
そのまま師匠の古物屋に避難する。
何事もなかったように師匠はパソコンに戻り、
俺は寝転がりながら漫画の棚に手を伸ばす。
「高下駄履きかぁ…皮肉たっぷりだが、上げ底より上手い表現かもしれんね…」
師匠が思い出したように呟いた。
俺もふと、思いついたので訊いてみる。
「ところで15巻まで読んだんすけど、グラ○プラー○牙ってぜんぶで何巻あるんすか」
「ん、100巻以上」
了。
訂正最初の投稿 真昼間から→朝っぱらから
乙。 ストック分も楽しみにしてるぞ。
はい、乙でした・・・。
メリーさんが来る前にw
乙
ノリが軽いホラーっていうのは2chっぽくて好きだわ
ブログブックマークしといた
ウニの師匠シリーズがたまに食う寿司ならAと師匠とオカンシリーズはカレーだわ
新ジャンル「メリーさん」
男「あー・・・最近何も面白いこと無いな・・・」
プルルルルル
男「ん?電話か・・・もしもし」
女「私、メリーさん、今貴方の後ろにいるの。」
男「なんだよ、悪戯か?」
男「・・・!?うわあああ!」
女「私、メリーさん。貴方を殺しに・・・って、もしかして男くん?」
男「お前・・・もしかして、女さん・・・か?小学校で一緒だった・・・」
これが二人の再会だった―――
〜第三遭遇と第四遭遇のはざまに〜
「つーわけで、いたずらじゃなさそうだ、どうもオレを守ってくれる類の電話らしいぞ?」
「でもそのメリーさん・・・てのか?
どうしてわざわざ電話で危険を教えるんだ?」
「そ? そりゃ・・・恥ずかしがり屋じゃねーのか?
それとも・・・直接出てくると自分も狙われてヤバいとか・・・?」
「となるとさ? そもそも何でお前が狙われるの? って話になるんだが・・・。」
結局、謎は解決しない。
最初は自転車・・・そしてバイク・・・そんで昨日は車だ・・・。
なんかどんどん危なっかしくなってる気がするが・・・。
今のところ無事だしな・・・。
でも、昨日の電話の最後の笑い声も気になるっちゃあ、気になるな・・・。
はぁ、強がってはみたけど、
今日も家に帰るの気が重いな・・・。
後ろには注意して歩こう・・・。
〜第四遭遇〜
オレは電話に期待と不安の両方の気持ちを抱いていた。
そりゃ、後ろからバイクや車に襲われてはたまらない。
だが、かわいい女の子の声で危険を教えてくれるとすれば、悪い気がしないものだ。
帰り道、オレはちょくちょく後ろを振り返る。
だが、そうそう、オレを狙ってくる者なんていやしない。
電話の着信も気になるな・・・。
今のところ、何の反応もない・・・。
ようやく、大きな交差点を通り過ぎようと言うとき、
待っていたかのように携帯が鳴りだした。
・・・発信先非表示・・・
間違いない、メリーさんだ!
だが、オレはこの時、冒険心と言うか、好奇心で、昨日までとは違う反応を試そうとしていた。
電話に出るよりも先に危険の存在を!
真っ先に後ろを振り向くが、こっちに迫ろうとする車も何もない、
普通に一般人が歩いてるだけで、車は普通のスピードで、車道を流れている。
携帯は鳴りっぱなしだが、今日は何もないだろう。
・・・ではどんなセリフを吐くんだ?
ようやくオレは電話に出た。
「はい、もしもし? いつもありがとな、今日は何かあるか?」
だが、オレの予想は裏切られる事となった・・・。
『もしもし? 私メリーさん、いま、あなたに向かっているの・・・!』
え・・・どこに・・・あっ!?
右手の交差点から、急に4tトラックが曲がってきた!
それも車道をはみ出し、歩道に乗り上げて!!
勿論、その進路の先には・・・オレ・・・うわあああああああっ!?
彼女はメリーさん。
いわゆる妖怪だが、基本的に人畜無害で、可愛らしい仕草で老若男女問わず、虜にしている。
男性からだけでなく、女性からも恋文を貰った事もある。
そんな可愛い彼女だが、怖い一面を持っている。
それは凶悪犯が現れた時、彼女はそいつを殺しに行くのだ。
「この世にはわからないことがたくさんある。どんな風が吹いても負けない人になろう。それでも弱い奴かならずいるもんだ。」
と着うたが彼女の携帯から流れ、着信があったことを伝える。
「またなの。あれだけ殺ってテレビにも出て、取材にも答えたのに懲りない人種が居るの。」
彼女は溜め息を吐き、凶悪犯に電話を掛けることにした。
今回の凶悪犯は男女問わず三十人殺傷の通り魔だ。
彼女は凶悪犯に電話をかけた。
凶悪犯は何の気まぐれか電話に出る。
「はい。もしもし。どなたですか?」
凶悪犯は呑気にも電話で通常の会話をしようとしている。
「もしもし。私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
「そうか。じゃあ、お前が人質だ!」
凶悪犯は躊躇なくメリーさんをがしっと掴んで、人質にした。
「あなた、死刑と私刑なの。」
メリーさんが包丁をどこからと取り出そうとすると、鬼のような、いや鬼の手がメリーさんの行動を止めた。
「鵺野先生、自重するの。ここはキャラスレじゃないの。創作文芸板なの。」
彼女の冷静なツッコミがぬ〜べ〜に入る。
「しかし、人殺しは見過ごせない…!」
「わかったの。人殺しはやめるの。とりあえず私刑にしておくの。」
「ま、待て…。」
「安心するの。電話で移動するだけなの。」
「どこにだ?」
ぬ〜べ〜は不敵な笑みを浮かべている。
「慌てないで聞いてるの。」
彼女は少しふくれている。
凶悪犯は話に入れないで困惑しているようだ。
彼女が電話をかける。
「もしもし、私、メリーさん。今、検察庁の検事正の後ろにいるの。通り魔をふんじばって、置いて帰るの。バイバイ。」
その後、通り魔逮捕のニュースが流れた。
「俺の出番はなんだったんだ?」
ぬ〜べ〜は扱いの悪さに苦悩した。
こいつ心の病気なの?
これからも彼女は凶悪犯を殺し続けるだろう。
誰かに止められないかぎりは。
これは本当に余談ではあるが、彼女は見た目とは違い処女ではない。
婚約者もいるらしいが、それが作者ではないことだけは確かだ。
でめたし、でめたし。
電話がかかってきた。
プルプルップルプルッ。
お尻をふと思い出した。
そんなことより電話にでないと。
電話に出てみた。
俺「もちもち。」
メリー「もしもし。私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
俺「だからなんなんだよ。自分で自分を「さん」で呼ぶのおかしいだろks。」
後ろを振り返る。
か、かわいい!
――翌日。
楽しいピンク色の夜でちたうへへ♪
糸冬
「私……」
「メリーさん! どこからかけてるんだ!」
「駅前の広場だけど……」
「すぐ行く! 待ってろ!」
「メリーさん! いったいどこにいるんだ!」
「タバコ屋の前。あなたの家に向かってるの」
「すぐ行く! 待ってろ!」
「メリーさん! どこにいるんだ!」
「返す物があるの。玄関のポストに入れておくね」
「だめだ! すぐ行くから待っててくれ!」
「メリーさん! 待っててくれって言ったじゃないか!」
「……ごめんね」
「頼むからもう逃げないでくれよ」
「……今、あなたの後ろにいるの」
「メリーさん! もう離さない!」
あまり知られていない話だが、メリーさんは羊を飼っている。
メリーさんの羊という歌は有名だが、このメリーさんがいわゆる一つの
今貴方の後ろにいるメリーさんと同じである事を知っている人は少ない。
最近は街中に在住するメリーさんも増え、羊を飼わない場合も多いのだが、
それでも拘るメリーさんは羊を何とかして飼っている。彼女もまたその一人だ。
周辺住人から臭いだの煩いだのと苦情は出るが、それでも飼うのをやめて
ジンギスカンにしてしまおう、などとは彼女は思わない。そもそもジンギスカン
向きの羊ではないのだから、大して美味くは無い。いやいや、例え美味かろう
とも喰う事は無いに決まっている。何故なら、メリーさんの羊という歌がある
ように、メリーさんにとって羊はステータスなのだから。
さて、今日も羊の乳をぐいっと飲み干し、メリーさんの一日が始まる。
味は……だが、健康にはいいこの一杯が、メリーさんの日課であるのは
言うまでも無い。
「行ってくるの」
そう言って家を出ようとするメリーさんだったが、ここからまた別の日課が
始まる。メリーさんの羊は、歌にあるようにメリーさんについて来ようとする
のだ。メリーさんの羊が学校についていく。その歌詞の通り、羊はメリーさん
の傍から離れようとしない。いつもの事だ。いつもの事だから、どうすれば
いいかは心得ている。
「私メリーさん。今貴方の後ろにいるの」
瞬間的に羊の背後を取ったメリーさん。羊が声に驚き、目の前からメリーさんが
消えた事にたじろぎ、慌てて後ろを振り返った瞬間、メリーさんは今度は
振り返った羊の背後へと瞬間的に回り、そのままドアを閉めて家を出た。
この一連の動作を繰り返す事で、自然とメリーさんの背後を取る能力が
鍛えられる――彼女が祖母メリーさんから聞いた話だ。もっとも、最近では
羊を飼わずしてメリーさん能力を身につけているメリーさんも多い為、眉唾
物の話ではある。 ドアの向こうから聞こえる羊の悲しそうな声を振り切る
事で、精神的にも鍛えられるという一石二鳥だ、とも聞かされていたが、
どうにもこうにも胡散臭い話ではある。
だが、メリーさんの羊という歌が存在する以上、何らかの意味がメリーさんと
羊の相関関係に存在するのは確かだろう。でなければ、その歌自体が
存在しえないのだから。
今日もそんな事を考えながら、メリーさんは“出勤”する。
「メリーさんのひつじ、メェメェひつじ、メリーさんのひつじ、まっしろね、なの♪」
何となく歌を口ずさみながら、メリーさんは歩き出した。メェメェと鳴く声を聞きながら、
今日は餌を奮発してあげよう、と思いながら。
621 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/16(木) 22:50:33 ID:88ETvkzmO
今日はいったいどうしたのよ?
投下、投下でB29の爆撃か?
前から思っていたけど、誰かが投下するとすぐさま投下する。
赤緑と◆7QPLwJZR/Ypf
乙でした。
次も楽しみに待ってます。
もうガチで精神病だと思う
逆に可哀想になってきた、頑張って生きてほしい
誰にも相手にされないのに、いつまでもこんな内容の話を書き続けるあたり、狂気を感じるよな>メリーさん
赤緑と◆7QPLwJZR/Ypf乙
627 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/17(金) 14:52:11 ID:u4mC8yfC0
なんでこのスレの住人はウニを指示しない人を迫害するの?
>>627 被害妄想ですね。
精神科の予約をお薦めします。
629 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/17(金) 15:39:43 ID:u4mC8yfC0
おまえバカだな
おまえみたいな敏感包茎野郎がいるからみんな面白がってイジクリまわすんだよ。
ウニと赤緑と◆7QPLwJZR/Ypf乙♪
洒落怖でまとめサイトからコピペしてる奴絶対此処の住人だろw
洒落怖にも行ってるんかw 此処の住人じゃねーよ、ホームレスだよホームレスw
コテ名乗ってる時点で奴とは違うだろ
つーか、奴は洒落怖から書き手を奪ってこのスレを許さない!って明言してるんだから洒落怖荒らすことはしないだろう
むしろそれを知ってて洒落怖を荒らして「俺らと同じ憤りを思い知れ」ってやってるとしか思えん
気になるんなら直接荒らしに聞けよ
洒落怖の荒らしとか、スレと関係ない話題出すな
ホントもう洒落怖とか関係ないしどうでもいい…
ただ面白い話が読みたいだけ
>>575 うちも喪中さん待ってるけど来ませんねぇ
文章も読みやすいしストーリーも好みだからまた投下して欲しいな
長いしラノベ調だから好き嫌いはあるけど。
637 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/18(土) 13:47:46 ID:cItdczxy0
知恵オクレ乙
今日はウニくるのか?
639 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/18(土) 17:00:04 ID:1WvC9LTAO
ウニ専スレにな
640 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/18(土) 19:14:00 ID:itqCB1JU0
忍来ないかな。。
,.――――-、
ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、
| | (・)。(・)|
| |@_,.--、_,>
ヽヽ___ノ
ウニうちで出版しねーかな
師匠ってどんな容姿なんだろう
勝手に諸星大二郎の妖怪ハンターのイメージになってる
読んだ事ないけど
スレ違い
ウニちゃん来ないかも・・。まぁ連休中に来てくれたらいいな。
646 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/19(日) 12:02:04 ID:3pfdlyOD0
ウニ専スレにな
648 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/19(日) 16:13:53 ID:wl53QpC8O
ウニ専スレにな
649 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/19(日) 16:47:57 ID:3pfdlyOD0
ウニ専スレに投稿するのは気が引けるからしないって、ウニ数年前に言ってなかったっけ?
とマジレス
凄い巨大な釣り針だな
* ← uni
心が汚れきっている俺にはケツの穴にしか見えない
メリーさんマダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
ウニさん来るかな~
法政大学出版局だな
出版してくれるなら10冊は買う
そして布教する
659 :
ウニ:2010/09/20(月) 06:50:52 ID:fqprZnqiO
どこにも相手にされないからここに投下してるんだろが!
布教とかキモすぎ
薦められて読んでもラノベ程度の反応だろうよ
逆に「こいつこんなもの読んでるのかよ」と思われるだけ
661 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/20(月) 19:12:40 ID:fqprZnqiO
アンジェラメガネを買うと今ならもれなく鼻がついてきます。
こんな程度のコピーしか書けません
662 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/22(水) 22:34:32 ID:8c43elUkO
今週はどんなぱくりを見せてくれるのかな
663 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/22(水) 22:51:27 ID:RgebDrDa0
ここって洒落怖の派生スレですよね?
確かに死ぬほど、怖い噺はありますけど、みんなパクられるのだけはゴメンだということ?
まだまだ未発表の怖い話はありますよ
ちょっと何言ってるのかわかんない
洒落怖の派生スレwwwwwwwwwwww
666 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/23(木) 05:34:27 ID:3dw6CAIiO
ウニはパクリ屋
667 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/23(木) 07:11:21 ID:VszfTLZF0
そもそも師匠の上前ピンはねだろが。
たしかにウニは何も無いところから新たに話を起こすのはできないみたいだな。
どこかで読んだような話ばかりだ、だから新鮮味がまるでない。
同時にスレ住人の身勝手さにワロタ
嫌いなものに粘着するお前の暇さにも笑うよ
669 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/23(木) 15:32:52 ID:3dw6CAIiO
暇だからしてんだろ(笑)
668カコイイ!まともな人も居たんだ此処。
文句だけ滴れてないで、もっと良い話でも書いてみたらいいのに。
書けるなら。プ
671 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/23(木) 15:42:56 ID:3dw6CAIiO
買えよ
何をだ
ポケモンをだよ
言わせんな恥ずかしい
674 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/23(木) 16:52:36 ID:3dw6CAIiO
何色?
675 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/23(木) 17:54:37 ID:XfZq/3i9O
赤に決まってんだろ。言わせんな。恥ずかしい。
はあ?ポケモンは緑だろ?
赤…緑…はて?
[究明(後)]
1/13
時計を見ると、時刻は21時半を過ぎていた。
ここで会ってから、1時間か。
店内には、俺たち以外ほとんど客は居らず、こちらに聞き耳を立てているような怪しい者も見受けられない。
これからする話は、決して往来会の人間に聞かれてはいけない。
…この2人のためにも。
テーブルから、2人の紅茶のおかわりを持ってきた店員が離れるのを待ち、俺は話を始める。
俺「副会長が持っている壷については、まだ秘密があってね」
高城「秘密?」
俺「覗き込んだだけで霊感が身に付くなんて、そんな甘いものじゃないのさ、アレは」
真奈美「どういうことですか?」
俺「アレは、人を殺す道具だよ」
真奈美「え…」
2/13
俺「覗き込んだ人間から光を奪い、殺してしまう。アレは、そういった物なんだ」
それが、桐谷の家に伝わっていた話。
そして、それについて、より具体的な事を聞かせてくれた人もいる。
「その人間の輝きを…人としての大切なものを削り取って、狂わせる」
その人は、そう教えてくれた。
俺「でも…大抵の人間は死んでしまうけど、”素質”があると生き残ることができる」
そんな状態で生き延びることが、はたして良いのかなんて分からないが、それでも死なない人間がいる。
俺「そういった人には、もれなく霊感が身に付いているのさ」
真奈美「…」
俺「半分、死んでいるような人間だけどね」
真奈美「そんな…」
俺「往来会には、そういった人が何人か居るのでは?」
少々酷な質問かも知れないが、急に無言になった高城に聞いてみる。
すると、彼女は少し間を置いてからこう言った。
高城「…居るわね」
3/13
高城「副会長の部下は、ほとんど暗い目をしているわ…」
俺「…暗い目」
高城「えぇ…。あと、外に出て除霊活動をしている中にも数人…。私、何で気付かなかったの…?」
額に手を当てながら、高城が悔しそうに呟く。
真奈美「高城さん…」
気遣うような声を掛ける真奈美嬢。
そんな仕草に、2人の結びつきの強さを感じる。
俺「副会長が壷を手に入れてから――恐らく、往来会の設立と同じと考えて、約20年。その間に、彼は相当な数の人間にそれを使っているだろうね」
高城「そうね…」
俺「それで、何人の人間が命を落としているか…」
高城「…」
再び無言になる高城。
別に彼女を責めるつもりは欠片も無いが、彼女の立場上、そんな形になってしまう。
真奈美「あ、あの…」
そんな空気を察してか、真奈美嬢が口を開く。
4/13
俺「ん?」
真奈美「桐谷さんは、その、それを取り戻して、どうするつもりですか?」
俺「あぁ、それは勿論――割ってしまうつもりだよ」
真奈美「…ですよ、ね」
それは別に、世のため人のため…ではない。
自分のために、だ。
桐谷の家は、あの壷によって呪われている。
家に生まれた人間は、総じて早死にをするのだ。
それも、必ず上から順番に。
自分の”上”の人間が死に、自分の番が来ると、夢を見る…と、親父が教えてくれたことがある。
それは壷の夢で、壷の中で渦巻いているものに、自分が引きずり込まれるような夢だ、と。
原因が壷にあるのなら、それを破壊してしまえば良かったのにと、俺たちは親父に言った。
…しかし、そんなことは当然誰もが考えたことであり、誰もが実行しようとしたことだった。
そして、その結果はいつも同じだった。
親父でさえ――壷の呪いだと俺たちに教えてくれた親父でさえ、昔、壷を破壊しようとしたが、できなかったのだ。
理由を聞くと、急に目の色が変わり、ただ一言こう言った。
「あんなに愛しいものを、壊せるわけが無い」と。
5/13
俺と兄貴が生まれる以前に、桐谷の家からは壷が盗まれていた。
そのために親父は、俺たち兄弟は平気なのだと、信じるようにしていたらしい。
俺たちも根拠は無いが、そう思うことにしていた。
…しかし今から7年前、親父とお袋が事故で亡くなる。
その葬式が終わった後で、兄貴が俺に言った。
「壷の夢を見た」、と…。
俺「――それから、盗まれた壷を探し始めた訳さ」
俺はそう言って、2人の顔を見る。
真奈美「…」
真奈美嬢は、やや深刻そうな顔をしている。
この子には、ちょっと重い話だったかな?
一方、高城沙織は…
高城「あなたになら、それをどうにかできると思っているの?」
…と、質問をしてきた。
この反応の違いは年の功?なんて言ったら、流石に怒るかな。
俺「実際にご対面したことが無いから、正直分からないけど…とにかく、やってみるさ」
高城「…そう」
6/13
きっと、ダメだろう。
俺には壷を割ることはできない。それは分かっている。
俺は既に、夢を見てしまっている。
もちろん、見る前でも同じだっただろうが、その時点でもう、あれには逆らえないと悟った。
…だが、手が無い訳ではない。
とにかく見つけ出して、手元に戻ってくれば良いのだ。
そうすれば、後は――あの人がやってくれる。
俺「俺からの話は、以上だよ」
すっかり冷めてしまった珈琲を飲みながら、2人に言う。
俺「結局、自分の都合と言われればそれまでだけど、これがこちらの事情さ」
高城「…」
真奈美「…」
…無言。
うーん、やはり気が重い。
高城はともかく、汐崎真奈美には到底納得できる話ではないだろう。
彼女は、完全に被害者だ。言い訳がましくならないように話したつもりだが…。
7/13
高城「とりあえず――」
しばしの沈黙を破って、高城が口を開く。
高城「事情は分かったわ。真奈美ちゃんも、納得するしないは別として、事件の背景は理解できたわね?」
真奈美「はい」
返事を聞いて、真奈美に微笑む高城。
いい表情だな…と思っていると、こちらに向き直り、すぐに厳しい顔になる。
高城「それで、桐谷さんはこの後どうするおつもり?」
話を締めに掛かる高城。
やれやれだ。
結局主導権は取り返せず、俺からの話だけで終わり。こちらからは何も聞けず仕舞いだ。
…まぁ、既に大体のことは掴んでいるが。
俺「動くのを待ちますよ。神尾美加が」
彼女は動く。すぐに、必ず。
その時が勝負だ。
高城「そう…。これ以上被害者が増えないように、気を付けてね」
最後に、本心なのか皮肉なのか分からないことを言われ、話し合いはお開きになった。
8/13
――
桐谷「お尋ね者なので、先に失礼しますよ」
そう言って桐谷は席を立ち、簡単な挨拶だけして帰っていった。
…一応、私たちの会計も済ませてくれたようだった。
私「真奈美ちゃん…大丈夫?」
桐谷が帰ってから、黙り込んでしまった真奈美ちゃんに声を掛ける。
真奈美「あ…はい。ちょっと考え込んじゃって」
私「お店、出ようか。車で話しましょう」
真奈美「はぁい」
2人で外に出て、車に乗り込む。
周囲を警戒してみたけれど、これといって怪しい視線は感じなかった。
桐谷も、どこにかは知らないが、真っ直ぐ帰ったようだ。
私は車を出して、真奈美ちゃんの家に向かう。
時計を見ると、時刻は既に23時前だった。
9/13
私「ごめんね、こんなに遅くなっちゃって」
真奈美「いえー、連れてきてくれて、嬉しかったです」
私「なら良かったけど…」
私は散々悩んだ挙句、彼女を連れて行くことにした。
冷静に考えてみれば、桐谷を捕まえても根本的には何も解決しないことは、明らかだった。
それに、真奈美ちゃんにも事件の真相を教えてあげたかった、というのもある。
そして、その結果――
桐谷の動揺を誘うことができ、こちらの望むように、話を聞きだすことができた。
…もっとも、全てではないことは分かっている。
彼の中には、「話してはいけない事」がいくつかあるような様子だった。
その点は少し気になったけど、今はそれでも良い。
初めから、全てを聞き出せるとは思っていない。
真奈美「なんか、桐谷さんも大変ですよね…」
高城「…」
真奈美「結局あの人も、自分の知らないところで大変なことになっていて、助かるためには、あれこれしないといけない状況で…」
桐谷に同情的な真奈美ちゃん。
優しい子だな、と思う。
10/13
真奈美「私達も、今は待つしかないのかなぁ…」
高城「そうね…」
ハンドルを切りながら、真奈美ちゃんの呟きに答える。
往来会の…副会長の秘密を知ってしまった。
こうなった以上、真奈美ちゃんを副会長に近付ける訳にはいかない。
彼は、真奈美ちゃんを気に入っていた。
…素質があるから、と言って。
これは間違いなく、壷に関する素質のことだ。
副会長は、真奈美ちゃんにそれを見せるつもりだったのだろう。
事件の有無に関係なく…。
この件が無ければ、私は何も気付かなかっただろう。
汐崎さんもまた然り。
そうして、誰も知らぬまま…誰も助けられぬまま、彼女は壷を覗き込むことになっただろう。
そう考えると、恐ろしくて…悔しくて、仕方ない。
副会長は、堂々とそんな事をしようとしていた。
…いや、してきたのだ。今まで、ずっと…。
11/13
やがて、真奈美ちゃんの家の前に着く。
深夜だったので、思いのほか早く着くことができた。
私「それじゃ、何かあったらすぐに私か…牧村さんに連絡するのよ?」
真奈美「はぁい。送ってくれて、ありがとうございますー」
そう言って、真奈美ちゃんは車を降り…と。
真奈美「あー…そだ」
シートベルトを外したところで、真奈美ちゃんの動きが止まる。
私「何?」
真奈美「今日の話、牧村さんにした方が良いと思います?」
私「そうねぇ…」
巻き込むことを考えると、言うべきではない。
でも…
私「話すべきね」
真奈美「はーい。了解です」
相談するのに、力になってもらうのに、隠し事をしていてはダメ。
それに、こちらがどれだけ危険な状況かも、知ってもらう必要がある。
12/13
真奈美「で、あのぉ、もう1つ…」
何やらモジモジして、真奈美ちゃんが言ってくる。
私「なぁに?」
真奈美「あのぉ、名前で呼んでも良いですかぁ…?」
私「…?」
名前?
…あぁ。
私「もちろんよ。沙織です、よろしくね」
突然話が飛んだので、何のことか分からなかった。
真奈美「良かったぁ、それじゃ…」
そう言って、真奈美ちゃんは車を降りる。
真奈美「沙織さん、ありがとうございましたぁ」
私「おやすみなさい、真奈美ちゃん」
玄関の前に立ち、満面の笑みで手を振る真奈美ちゃんにさよならを告げ、私は車を出した。
13/13
…良い子。それに、強い子。
帰りの車の中で、そんなことを思う。
父親が捕まってしまい、家に1人。寂しくて、不安で仕方ないだろう。
でもそんな素振りは少しも見せず、私に笑顔を見せてくれる。
汐崎が捕まってしまったのには、私にも原因があることを知っているからかもしれない。
…そう。私にも原因があるのに、あの子は私を好いてくれて、信じてくれる。
私も、あの子が好きだ。
きっと良い関係になれるだろうな、と思う。
でも――。
汐崎さんは、私の事を憎んでいる。
きっと今も、殺したいほどに憎んでいる…。
そう考えると、気分が滅入ってしまう。
もし、全てが上手くいくなら。
彼の気持ちが、こちらに向いてくれたら。
少女趣味と言われそうな、私の夢――好きな人と幸せな結婚をして、幸せな家庭を築けたら…。
この年になって、そんな空想をするとは思わなかったけど、そう考えると心が落ち着く。
これからどうなるか分からないけど、どんな時でも強い気持ちでいられますように…。
私はそう、自分自身に祈った。
赤緑乙
姉貴はそろそろか?
フッ… l!
|l| i|li , __ _ ニ_,,..,,,,_
l|!・ω・ :l. __ ̄ ̄ ̄ / ・ω・≡
!i ;li  ̄ ̄ ̄ キ 三
i!| |i  ̄ ̄  ̄ =`'ー-三‐ ―
/ ; / ; ;
; _,/.,,,// / ヒュンッ
/・ω・ /
| / i/
//ー--/´
: /
/ /;
ニ_,,..,,,,,_
/ ・ω・`ヽ ニ≡ ; .: ダッ
キ 三 三 人/! , ;
=`'ー-三‐ ―_____从ノ レ, 、
――とあるチャットにて――
LINE:メリーさんの羊って、都市伝説のメリーさんと関係あるの?
EXT:突拍子も無い疑問ですね。またどうして?
RANA:羊飼ってるメリーさんでもいた? なわけないかw
LINE:……向かいに住んでる外人さんが、羊飼ってるの。
MAO:写真うpしる!
LINE:勝手に人の写真アップできるか!
MAO:なっとくwww
LINE:で、もし関係あるなら、彼女、メリーさんだったりするのかな、って。
RANA:それ短絡的過ぎない? でも、確かあんたん家って結構街中だったよね?
EXT:そこで羊というのは、確かに違和感を覚えますね。まあ、メリーさんと
メリーさんの羊とは、特に関係は無いのですが。
LINE:あれ、ないんだ?
EXT:ええ。マザーグースって奴ですから。
MAO:はんぷてぃだんぷてぃ!卵野郎キタコレwww
LINE:そうなんだー
EXT:MAOが知ってるというのが意外ですね……まあ、ですから関係ないかと。
RANA:でも、羊飼ってるって凄くない? ペット可のマンションとは言え。
LINE:ちょっと変わった人ではあるよね。でも、何か真面目そうな感じだったな。
純朴というか、信じやすそうというか。
RANA:案外、名前はメリーさんなのかもよ?
LINE:今度話しかけてみようかなぁ、思い切って。
MAO:美人外人さんの写真うpきぼんぬ!
EXT:……きぼんぬは古いぞ。
――とある喫茶店にて――
「そういえば……メリー婆さん、お孫さん、まだアレ信じてるのかい?」
婆さん、と呼びかけられた少女は、明らかに気分を害したようだった。
「婆さんって言うななの」
その声も、姿形も、どこからどう見てもあどけない少女のものだった。
ただ一つ、その目だけは違っていたが。色々なものを見てきた、そんな
深さを持った瞳が、婆さんという言葉を発した男をにらみつける。
「わが孫ながら、あんなに騙されやすいのは心配なの……」
「でも、根性あるよねぇ。こんな街中で羊飼い続けるとか」
「……メリーさんの羊のメリーさんは、ただのメリーちゃんで私達とは
関係ないの……なんて今更言えないの」
困った顔で口元に手をやる少女の姿をした老女に、男はグラスを差し出した。
「ま、仕事の方はうまくやってるみたいじゃないか。この前もオカルト雑誌の
取材を受けてたしね」
「私達取材して何がどうなるか、なの。書けないような事しかやってないの」
「記者さんも色々悩んで、結局書けなかったみたいだけどね」
「やっぱり、なの」
「いつものでいいかい?」
「うん、なの」
グラスに注がれる琥珀色の液体をぼんやりと見つめながら、少女の
姿をした老女は思った。
(こんな“仕事”だもの……癒しになるものがあるなら、その方がいいの)
例えそれが、自分の戯言から来た癒しであろうと、それが癒しである事に
変わりは無いだろう。本当に、何がどう転ぶかはわからないものだ――
そう思うと、自然と彼女の頬は緩んだ。
「乾杯するかい?」
「何に、なの?」
「そうだな……メリーちゃんに、でどうだい?」
「ん。なの」
「じゃあ」
『乾杯』
グラスの打ち合わされる音が、静かな喫茶店の中に響いた――
終わり
――私、メリーさん。今あなたの後ろにいるの。
携帯を取った俺の耳に飛び込んで来た第一声。
それが、かつて友人から聞かされたオカルトであるという事に気付くまで、そう時間は要さなかった。
俺の人生ももう終わりか、そう思う一方で彼女の姿を、一目見てみたいという衝動にふと駆られる。
無理もない事だ。その昔聞いた話が本当なら、後ろにいるのは可憐な少女に他ならないのだから。
この世の終わりに目にするのがそれであるというなら、決して悪い話でもなかろう。
だからこそ、俺は振り返ったのだ。なのに――。
「………いない?」
そこにいるはずの電話の主は、ついに姿を見せる事はなかった。どこを向いても、その姿を認められやしない。
結局俺は命拾いしたのだ。
喜ぶべきはずのこの状況を、けれどどこかで残念に思う俺がいる。
そんな胸のうちを、知らず知らずのうち口ずさんでいた。
――oh メリーさん 突然何処へ消えたのか……。
それは嵐の去った、真夏の夜の話だった。
―――
某バンドの曲を聴いてるうちに、半ば発作的に書き上げてしまった。お目汚しスマン。
メリーさんのひつ○
「メリーさん協会協約第1条『汝、みだりに殺すなかれ』」
女は、淡々と条文を読み上げた。
「メリーさん協会会員番号1645番メリー・キョーラギ。
あなたは、これを破りましたね?」
「み、みだりにって、まだ三人しか……」
金髪の少女が、震える声で返す。
「三人も、です」
黒髪の女性が彼女の言葉を遮った。
「……初犯ですから、比較的軽い刑とします」
タン、と手元の槌を鳴らす。彼女はメリーさん協会の審判員なのだ。
「判決、『メリーさんの棺』」
「ひぃっ!?」
メリー・キョーラギはのけぞった。
「ああああ! 出して、出してなのおおおお!」
棺の中から、悲鳴が聞こえてくる。
『一昼夜、針と刃にまみれた棺の中で眠る』
それは、『都市伝説』であり爆発的な回復力を持つ『メリーさん』のために
定められた刑の一つ。
なお、犬猫に玉葱をやるなど動物に対し過失を行った場合は、
羊に足の裏を舐められる『メリーさんの羊』刑も存在する。
「目理依散記録、っと」
私の名は目理依散。現在は協会の広報部に所属しているメリーさん記者である。
前職は実益を兼ねて行動したら左遷された。
刑事やってる弟には情けないと泣かれた。
「もしもし。わたし、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
「相棒?」
「え?」
「AIBO!」
「え・・・ちが・・・わたし、メリーさ・・」
「この野郎!意 味 不 明なことしやがって!」
「(この人こわいよぅ・・・)」
「速攻魔法発動!着信拒否!月額315円を払って
効☆果 発動!
こいつは電話番号を非通知にしている奴からの着信を何度でも無効にできる!」
「そ・・そんな・・・それじゃ私お仕事ができなくなっちゃ・・・」
「さあいくぜまず一回目!口裂けを墓地に捨て!着☆信☆拒☆否!」
「キャャァッ!」
〜中略〜
「HA☆NA☆SE! 」
「とっくにメリーさんのパケ数は0よ!もう勝負はついたのよ!」
「もしもし、私メリーさん。今日で真マジンガー衝撃Z編が終わってしまうの」
「いやそれこのスレと全く関係ないよね」
「保守代わりなの。あとあなたと私で二代目あしゅら男爵にならない?」
「そんな衝撃のプロポーズ初めてだよ!!」
「衝撃じゃないプロポーズは受けたことあるの?」
「ないけど……。それに俺は君を抱きしめられない運命なんて要らないよ」
「も、もう、やだ恥ずかしいのっ!」
「もしもし……私なの、メリーさんなの……」
「ああ……まあその何だ、気をしっかり持って」
「今川監督の話は噂には聞いていたけどまさかあんなオチなんて……」
「虚無ったり投げっぱなしに定評のあるダイナミック作品に、
続編投げっぱなしに定評のある今川監督……答えは推してしるべし、か」
「でも俺達の戦いはこれからだ!エンドなのはどうでもいいの」
「え?」
「私のあしゅら男爵がああああ!」
「……メリーさん、さては版権キャラと熱愛するスレの
あしゅらとのイチャイチャの作者だね?」
「うん……ぐすっあしゅらたん……」
あぼーんされるだけだって分かってる?
_,,/;;;;;;ヾヾ 、,;;;;;;;;''ヽ_
ノ;_;,-―--''''゙゙ ̄ フ::::;;:'-、
// l、::::::: l、
(ヾ:::l |::::::、::、::::.ヽ,
、ノ:::::.| _,,、 ,、、__ |:::::::::::ゝ::::::>
ゝ:::::::|''=・-`l ト'=・=ー` ヽ:::::::::::ゞ:::ゝ
ヽ.| ` ー ,ヽ::,-;:::;;::/
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| ! , , l_ ノ:/
__| -'ー-ヽ / /`)
ヽ | ,  ̄ __l_/,,-'=i______
__,,\`、_ ー-―' _//='''_-;;;;;;(( oo(( ))
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私ペリーさん。今、浦賀にいるの。
シャカシャカ シャカシャカ
「〜♪」
「・・・」
シャカシャカシャカシャカ シャカシャカシャカシャカ
「〜〜♪」
「・・・・・・」
「そろそろいいかな」
トゥルルルル
「はい、もしもし」
「あら、そんなに早く出なくてもいいのに♪
私メリーさん。今あなたの後ろに居るの♪」
「5分前から居ましたよね」
「えぇっ!?」
「イヤホン使った方がいいのと、あまり大音量で聞いてると耳によくないよ」
「〜♪」
「聞けよ」
「もしもし、私メリーさん。落し物を拾ったの」
「うわっ! な、生首!? メリーさんまさか……」
「違うの! 私は殺してないなの! それに、これは生首の幽霊なの」
「生首の幽霊ー? でも触れるよ」
「でもでも、人間のものじゃないの! その証拠にホラ……」
「(パチクリ)」
「うわっ! 本当だこんな状況なのにまばたきした!」
「とりあえず警察に届けるの」
「警察って……こんなの持ってたら大変なことになるよ」
「大丈夫なの。プロの知り合いがいるの」
〜3分後〜
「というわけで、これが落し物なの」
「あー……」
「(誰だよこのオッサン)」
「これ、うちの若いモンのだわ。なあ、そうだろ、首成?」
「(パチクリ)」
「やっぱ体も無いと話せないのか。ま、すぐに連絡するから。
助かったぜ、メリーさん」
「困った時はお互い様なの。それじゃあね、イゾーちゃん」
「ちゃん付けはやめてくれよ。……ああもしもし、サキか?
私メリー。今、あなたの後ろにいるの」
「き、消えた!? メリーさん今のオッサン誰!」
「……目理伊三ちゃん。昔馴染みの刑事さんで……『メリーさん』なの」
病気だからな
嫌なだけならスルー出来るが実害があるってのがなぁ…
「もしもし」
「もしもし。私メリーさん。今あなたの後に娘が居るの」
「はぁ!?」
「あっ!待って!振り向かないで!」
「何なんだよ」
「えと、その、初めてだから心配で。出来たら車の通らない道を通って欲しいの」
「めんどくせぇな。つか今バイパス渡ってる」
「!! わかりました…お願い、あの子を守ってあげて」
「振り向かずにか?」
「ええ」
ズデッ
「いだっ!」
「!」
「!」
「今、いだっ!って聞こえたけど」
「…っ…」
「おーい。…泣いてんのか?」
「あぁあやっぱりまだ早すぎたのよ私が子どもの頃とは違うものねああぁ」
「落ち着けよ」
「あぁあぁあ…」
「俺がちゃんと家まで連れて帰るから」
「え…?」
「だから、ちゃんと帰った時いっぱい褒めてやれ。
あと、あの子の大好きなハンバーグもな」
「あなた…!」
2日後…
昨日は特に何も起こらなかった…
間戸さんの顔が少し窶れている気がした
本人は元気そうなアピールをしていたが…
気のせいだろうか……
ぼんやりしながら仕事作業をしていた
今日は全く頭が回らない感じ…疲れているのだろうか
別に考え事をしている訳でもなかった……
何度も大あくびをかいて
「コラァ!!」
と上の人から怒られてしまう
余りやる気も出ないまま仕事は終わった
住んでる所へと帰宅し、ご飯食べ→銭湯行って→残っていたビールを飲み→寝ようとした時、
…何処からか
???「……め………ん。」
何か微かに声を聴いた…
???「…め……ち…ん」
ハッキリとは聴こえない
赤マント「(め…ちん?…何を言ってるんだ?)」
???「め……ちゃん」
赤マント「(…めちゃん?……寝言だな…うん。寝言だ!)」
面倒臭いので聴くのは止めた
実際にはさっき飲んだビールの酔いが来たのか…眠気で頭が更に回らなくなってきたからだ
赤マント「駄目だー!…おやひゅみ〜♪」
目を瞑り、周りは暗闇に染まる…
もう2〜3行で見分けられるようになってしまった
ひよこ鑑定士みたいだな
週末だ
ウニさん来てくれるかな
717 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/25(土) 18:40:31 ID:RE2dLmRHO
専用スレにな
祈れば、ゴミはゴミ箱へ、ってな
こちらは赤緑とメリー、他新人で手一杯だから
パクリ野郎は荒れるからくるなよ
>>717 とりあえず、お前をあぼーんにすればいいわけだな
719 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/25(土) 19:13:29 ID:Qq21vkdhO
うむ。
720 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/25(土) 19:14:09 ID:W1YJUkRk0
樹海に行ったとき目の前を一面壁で覆われたことある。上に登ることも左右どちらにいってもひたすら壁が続いていた。
結局そこで寝てしまった。起きたらその壁はなく無事に遊歩道まで戻れた。
あの壁はなんだったんだろうか・・・
それ以来樹海には怖くていってない・
ウニさん待ち
幻覚だ
>>720 面白い話だが、そもそも樹海って怖いだろ
何しに行ったんだよ
725 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 04:54:06 ID:6S9AegXJO
ウニの書き込みがこの板内のあるスレと何気に呼応している件。
師匠スレは問題外。
726 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 06:49:45 ID:6S9AegXJO
ウニは古巣に戻るとさ
727 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 06:56:05 ID:szdLa9bC0
ってかそろそろ自分の国に帰ってくだちゃいな。
>>720 おいおいスレタイ読めないのか?
ここはシリーズ物専用スレだ。単発ものはスレ違い
>>722-723もなぜそれを指摘しないで普通に感想述べてるんだ?
そういう事するからメリーさん野郎が居直ってるのが分からないのか
ダブルスタンダードはいかんぜよ
誤爆だろ。
樹海スレあるし。
メリーさんは病気なので放置汁
731 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 21:10:16 ID:0zPYLM1rO
師匠から聞いた話だ。
大学一回生の春。僕は思いもよらないアウトドアな日々を送っていた。それは僕を連れ回した人が、家でじっとしてられないたちだったからに他ならない。
中でも特に山にはよく入った。うんざりするほど入った。
僕がオカルトに関して師匠と慕ったその人は、なにが楽しいのか行き当たりばったりに山に分け入っては、獣道に埋もれた古い墓を見つけ、手を合わせる、ということをライフワークにしていた。
「千仏供養」と本人は称していたが、初めて聞いた時には言葉の響きからなんだかそわそわしてしまったことを覚えている。
実際は色気もなにもなく、営林所の人のような作業着を着て首に巻いたタオルで汗を拭きながら、彼女は淡々と朽ち果てた墓を探索していった。
僕は線香や落雁、しきびなどをリュックサックに背負い、ていの良い荷物持ちとしてお供をした。
師匠は最低限の地図しか持たず、本当に直感だけで道を選んでいくので何度も遭難しかけたものだった。
三度目の千仏供養ツアーだったと思う。少し遠出をして、聞きなれない名前の山に入った時のことだ。
山肌に打ち捨てられた集落の跡を見つけて。師匠は俄然張り切り始めた。「墓があるはずだ」と言って。
その集落のかつての住民たちの生活範囲を身振り手振りを交えながら想像し、地形を慎重に確認しながら「こっちが匂う」などと呟きつつ山道に分け入り、ある沢のそばにとうとう二基の墓石を発見した。
縁も縁もない人の眠る墓に水を掛け、線香に火をつけ、持参したプラスティックの筒にしきびを挿して、米と落雁を供える。
「天保三年か。江戸時代の後期だな」
手を合わせた後で、師匠は墓石に彫られた文字を観察する。苔が全面を覆っていて、文字が読めるようになるまでに緑色のそれを相当削り取らなくてはならなかった。
「見ろ。端のとこ。欠けてるだろ」
確かに墓石のてっぺんの四隅がそれぞれ砕かれたように欠けている。
「地位や金銭に富んだ人の墓石の欠片をぶっかいて持っていると、賭けごとにご利益があるらしいぞ」
師匠はポシェットから小ぶりなハンマーを取り出してコツコツと、欠けている端をさらに叩きはじめた。
「ここは土台もしっかりしてるし、石も良い物みたいだ。きっと土地の有力者だったんだろう」
「でも、いいんですか」
見ず知らずの人の墓を勝手に叩くなんて。
「有名税みたいなもんだ。あの世には六文しか持って行けないんだから、現世のものは現世に、カエサルのものはカエサルに、だ」
適当なことを言いながら師匠は大胆にもハンマーを振りかぶり、砕けて落剥したものの内、ひときわ大きな欠片を「ほら」と僕にくれた。
気持ちの悪さより好奇心の方が勝って、僕はそれを財布の中に収める。やがて夏を迎える頃にはそんな石で財布がパンパンになろうとは、まだ思ってもいなかった。
「もっと古いのもあるかも」
師匠はその二基の墓を観察した結果、少なくともその先代も負けず劣らずの有力者であり、その墓が近くに残っている可能性があると推測し、再び探索に入った。
しかしこれが頓挫する。
日が暮れかけたころ、沢に向けてかつて地滑りがあったと思われる痕跡を見つけただけで終わった。そこに墓があったかどうかは定かではない。
師匠は悔しそうな顔をして地滑りの跡をじっと見つめていた。
その時だ。僕と師匠の立っている位置のちょうど中間の地面の落ち葉が鈍い音と共にパッと宙に舞った。驚いてそちらを見ると、続けざまに自分の足元にも同じ現象が起きた。
「痛」
師匠が右のこめかみのあたりを手で押さえる。
石だ。石がどこかから飛んできている。気づいてすぐに周囲を見渡すと、果たして犯人はいた。
沢の向こう岸の斜面に猿が一匹座っている。こちらの視線に気づいて、歯茎を剥き出して唸っている。怒っているというより、せせら笑っているような様子だった。
そして地面から手ごろな石や木片を掴むと力任せにこちらに投げつけてくる。遊んでいるというには強烈な威力だ。小さなニホンザルと言っても木から木へ両手だけで移動できる腕力だ。
わーお!
735 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 21:23:51 ID:NiUdrvV70
ウニさんキター!!
いきなり終わりとかびっくりしたけど支援w
僕は身の危険を感じて逃げ出そうとした。
しかし師匠は一言「痛いんだけど」と口にすると、次の瞬間、沢へ向かって駆け出した。
「なんだお前はこらぁ」と叫びながら斜面を滑り降り、ズボンが濡れるのも構わずバシャバシャと水をはねながら沢を渡り始める。
止める暇などなかった。
猿のイタズラにブチ切れた師匠が相手を襲撃するという凄い絵面だ。
猿も沢の向こう側の安全地帯から一方的に人間を攻撃しているつもりが一転、身の危険を感じたのか、掴んでいた石を投げ捨てて威嚇するような奇声を発した後、斜面を登って木立の中へ逃げ込んだ。
師匠も負けじと奇声を発しながら沢を渡り切り、斜面を駆け上って木立の中へ飛び込んでいった。
僕は思わずその斜面の上を見上げるが、鬱蒼と茂った木々が小高くどこまでも続いている。猿を追いかけて獣道もない山の奥へ分け入るなんて、正気の沙汰じゃない。
止めるべきだったと思ったがもう遅い。師匠の名前を呼びながら、戻って来るのをただ待っているしかなかった。
猿なんだぜ。猿。
そんなことを呆然と再確認する。素手の人間が山で猿を追いかけるなんてありえないと思った。
それにあんな深い山の道なき道を走るなんて、崖から落ちたり尖った竹を踏み抜いたり、考えるだに恐ろしい危険が満載のはずだった。
自分も沢を渡り、居ても立ってもいられない気持ちでうろうろと周囲を歩き回り続け、小一時間経った頃、ようやくガサガサと斜面の向こうの茂みが動き、師匠が姿を現した。
全身に小枝や葉っぱが絡みついている。
バランスを取りながら斜面を滑り降りる様子を見た瞬間に、僕は「大丈夫ですか」と言いながら近づいていった。
師匠は「逃げられた」と言って顔をしかめている。
何度か転んだのか服は汚れ、顔にも擦り傷の痕があった。しかし右腕を見た時には、思わず「だから言ったのに!」と言ってもいないことを非難しながら駆け寄った。
師匠は暑いからと上着の袖を捲り上げていたのだが、その剥き出しの右腕の肘から下にかけてかなりの血が滴っているのだ。
新しいタオルをリュックサックから取り出してすぐに血を拭き取る。師匠はその血に気づいてもいないような様子で、いきなり手を取った僕を邪険に振り払った。
初ウニさんです。
支援です。
「なんだおい。大丈夫だよ」
「大丈夫なわけないでしょう」
とにかく傷の様子を確かめようと、もう一度無理やり腕を掴む。
あれ?
傷が……
ない。
顔にもあるような擦り傷くらいしか。
呆然とする。
だったらこの血は?
拭ったタオルにはべっとりと血がついている。見間違いではない。
「大丈夫だって言ってるだろ」
師匠は乱暴に腕を振り払うと捲り上げていた袖を元に戻し、沢を渡り始めた。
僕はしばらくタオルの血と師匠の背中を見比べていたが、やがて「見なかったことにしよう」と結論付けて手の中のタオルを投げ捨てた。考えるだに恐ろしいからだ。
そして「待ってください」とその背中を追いかける。
師匠はまだまだやる気満々で、それから日が完全に暮れるまでにさらに二箇所で墓を発見した。
山歩きに慣れた人の後ろをついて行くだけで僕は息が上がり、「もう帰りましょう」と何度も訴えたが、そんな言葉など無視して「こっちだ」と道なき道を迷わず進まれると、溜め息をつきながら追いすがらざるを得ないのだった。
山道の傍で見つけた最後の墓は墓名もなく、小さめの石を二つ重ねただけのもので、そうと言われなければ気づかなかったに違いない。
師匠は手を合わせたまま呟いた。
「こんな小さなみすぼらしい墓を見るとさ、なんか嬉しくなるな」
「なぜです」
意外な気がした。
「金が無かったのか、縁が無かったのか…… もしかしたら名前も付けられないまま死んだ子どもだったのかも知れない」
「きちんとした墓を建ててもらえなかった人のことが、なぜ嬉しくなるんです」
師匠は静かに顔を上げる。
「それでも、その人がいたという証に、こんな小さな墓が残っている」
苔むした石の台座に線香が二本。煙がゆったりと立ち上っている。師匠は腕を伸ばし、線香に水を掛けた。
「こうして手を合わせる人だって、気まぐれにやってくる」
さあ、帰ろうかと言って立ち上がった。僕も慌ててリュックサックから出したものを片付ける。
帰り道は真っ暗で、持参していた懐中電灯をそれぞれ掲げた。来た時とは違う道だ。師匠は近道のはずだと言う。
足元にも気を付けつつ、師匠の背中を見失わないように見通しの悪い下り坂を慎重に歩いたが、心はさっきの小さな墓に繋ぎ止められていた。
(その人がいたという証か……)
死は死を死なしむ、という言葉がふいに浮かんだ。誰かの詠んだ歌だったか。
人が死ぬということは、その人の心の中に残っているかつて死んだ近しい人々の記憶がもう一度、そして永遠に揮発してしまうということだ、という意味だったと思う。
さっきの墓の主も、きっともうなんの記録にも、そして誰の記憶にも残っていないだろう。
それでも石は残る。
その意味を考えていた。
ぼうっとしていると、師匠の声が遠くから聞こえた。
「おい」
我に返ると、師匠が道の途中で立ち止まり、藪の切れた脇道の方に懐中電灯を向けていた。
「どうしたんです」
横顔が心なしか緊張しているように見える。
「自殺だ」
「えっ」
驚いて駆け寄る。
草が生い茂り、一見しただけは道だと思わないような場所に、誰かが通ったような痕跡が確かにある。
踏まれて倒れた草の向こうに懐中電灯を向ける。師匠と僕の二つの光が交差し、照らし出される先には宙に浮かぶ人影があった。
首吊りだ。
思わず生唾を飲み込む。
窪地の木の下に人がぶらさがっている。
ガサリと音がして、横にいた師匠がそちらに向い動き出す。止める間もなかった。
僕は一瞬怯んだ。ひと気のない夜の山中に、人の形をしたものが人工の明かりに照らされて空中にある、ということがこれほど怖いものだとは。
まだしもぼんやりとした霊体を見てしまったという方がましな気がした。
それでも師匠の背中を追って足を踏み出す。軽い下り坂になっている。青っぽいポロシャツにジーンズという服装がほぼ正面に現れる。その姿が後ろ向きであることに少しホッとした。
さらに坂を下り近づいて行くと、かなり高い位置に足があることに気づく。背伸びをしても靴に手が届かない。
死体のベルトの位置に、張り出した枝が一本。きっとあそこまで木登りをして枝に足をかけた状態から落下したのだろう。
恐れていた匂いはない。春とはいえこの気温の高さだから、二、三日も経っていれば腐敗が進んでいるはずだ。首を吊ってからそれほど時間が経っていないのかも知れない。
だがシャツから出ている手は嫌に白っぽく、血の通った色をしていなかった。
師匠は前に回り込んで、首吊り死体の顔のあたりに懐中電灯を向けている。そして「おお」という短い声を発して気持ち悪そうに後ずさった。
僕は同じことをする気にはなれず、その様子を見ているだけだった。
やがて一頻り死体を観察して満足したのか、師匠は変に弾んだ足取りでその周囲をうろうろと歩き回り始めた。
「下ろしてあげた方がいいでしょうか」
僕はそう言いながらも、あの高さから下ろすのはかなり難しそうだと考えていた。高枝切バサミかなにかでロープを切るしかなさそうだ。
「まあ待てよ」
師匠はなにか良からぬことを企んでいるような口調で、腰に巻いたポシェットの中を探り始めた。
さっきまで見ず知らずの人の小さな墓に手を合わせていた人間と同一人物とは思えない態度だ。この二面性が、らしいといえばらしいのだが。
「お、偉い、自分。持ってきてた」
おもちゃの様な小さなスコップが出てきた。師匠はそれを手に首吊り死体の真下のあたりにしゃがみ込む。
そして右手にスコップを振りかざした状態でくるりと首だけをこちらに向ける。
「面白いことを教えてやろう」
支援!
リアルタイーム!
その言葉にぞくりとする。腹の表面を撫でられたような感覚。
ズクッ、と土の上にスコップが振り下ろされる。落ち葉ごと地面が抉られ、立て続けにその先端が土を掘り返していく。
「こんぱくの意味は知っているな」
手を動かしながら師匠が問い掛けてくる。
魂魄? たましいのことか。
確か『魂(こん)』の方が心というか、精神のたましいのことで、『魄(はく)』の方は肉体に宿るたましいのことだったはずだ。
そんなことを言うと、師匠は「まあそんな感じだ」と頷く。
「中国の道教の思想では、魂魄の『魂』は陰陽のうちの陽の気で、天から授かったものだ。そして『魄』の方は陰の気で、地から授かったもの。どちらも人が死んだ後は肉体から離れていく。だけどその向かう先に違いがある」
口を動かしながらも黙々と土を掘り進めている。僕はその姿を、少し離れた場所から懐中電灯で照らしてじっと見ている。師匠の頭上には山あいの深い闇があり、その闇の底から人の足が悪い冗談のようにぶらさがって伸びている。
寒気のする光景だ。
「天から授かった『魂』は、天に帰る。そして地から授かった『魄』は地に帰るとされている。現代の日本人はみんな、人が死んだあとに、たましいが抜け出て天へ召されていくというテンプレートなイメージを持っているな。貧困だ。実に」
なにが言いたいんだろう。ドキドキしてきた。
「別に『人間の死後はこうなる』ってハナシをしたいんじゃないんだ。ただ、経験でな。何度かこういう首吊り死体に出くわしたことがあるんだ。そんな時、いつもある現象が起こるんだよ。それがなんなんだろうと思ってな」
スコップを振る腕が力強くなってきた。
「同じ首吊りでも室内とか、アスファルトやらコンクリの上だと駄目なんだよな。だけどこういう……土の上だと、たいてい出てくるんだ。死体の真下から」
ひゅっ、と息が漏れる。
自分の口から出たのだとしばらくしてから気づく。さっきまで汗にまみれていたのが嘘のように、今は得体の知れない寒気がする。
「お。出たぞ。来てみろ」
師匠がスコップを放り投げ、地面に顔を近づける。
なんだ。なにが土の下にあるというのだ。
動けないでいる僕に、師匠は土の下から掬い上げたなにかを右の手のひらに乗せ、こちらに振り向くや、真っ直ぐに鼻先へつきつけてきた。
茶色っぽい。なにかとろとろとしたもの。指の隙間からそれが糸を引くようにこぼれて落ちていく。
「なんだか分かるか」
口も利けず、小刻みに首を左右に振ることしかできない。
「私にも分からない。でも、首吊り死体の下の地面にはたいていこれがある。これが場所や民族、人種を超えて普遍的に起こる現象ならば、観察されたこれにはなにか意味があるものとして理由付けがされただろうな。……例えば、『魄』は地に帰る、とでも」
とろとろとそれが指の間からしたたり落ちていく。まるで意思を持って手のひらから逃れるように。
「日本でもこいつの話はあるよ。『安斎随筆』だったか、『甲子夜話』だったか…… 首吊り死体の下を掘ったらこういうなんだかよく分からないものが出てくるんだ」
師匠は左目の下をもう片方の手の指で掻く。
嬉しそうだ。尋常な目付きではない。
僕は自分でも奇妙な体験は何度もしたし、怪談話の類はこれでも結構収集したつもりだった。なのにまったく聞いたこともない。想像だにしたことがなかった。首吊り死体の下の地面を掘るなんて。
なぜこの人は、こんなことを知っているんだ。
底知れない思いがして、恐れと畏敬が入り混じったような感情が渦巻く。
「ああ、もう消える」
手のひらに残っていた茶色いものは、すべて逃げるように流れ落ちてしまった。手の下の地面を見ても、落ちたはずのその痕跡は残っていない。どこに消えてしまったのか。
「地面から掘り出すと、あっと言う間に消えるんだ。もう土の下のも全部消えたみたいだ」
師匠はもう一度スコップを手にして土にできた穴の同じ場所に二、三度突き入れたが、やがて首を振った。
「な、面白いだろ」
そう言って師匠が顔を上げた瞬間だ。
強い風が吹いて窪地の周囲の木々を一斉にざわざわと掻き揺らした。思わず首をすくめて天を仰ぐ。
もいっちょ支援
ハッとした。
心臓に楔を打ち込まれたみたいな感覚。
地面に向けている懐中電灯の明かりにぼんやりと照らされて、宙に浮かぶ首吊り死体の足先が見える。
朽ちたようなジーンズと、その下の履き古したスニーカーが先端をこちらに向けている。さっきまで、死体は背中を向けていたはずなのに。
懐中電灯をじわじわと上にあげていくと、死体の不自然に曲がった首と、俯くように垂れた頭がこちらを向いている。
髪がボサボサに伸びていて、真下から覗き込まないと顔は見えない。
風か。風で裏返ったのか。
背筋に冷たいものが走る。
首を吊ったままの身体は、その手足が異様に突っ張った状態で、頭部以外のすべてが真っ直ぐに硬直している。
風でロープが捩れたのなら、また同じように今度は逆方向へ捩れていくはずだ。
そう思いながら息を飲んで見ているが、首吊り死体は垂直に強張ったまま動く気配はなかった。
その動く気配がないことが、なにより恐ろしかった。
僕の感じている恐怖に気づいているのかいないのか、師匠はこちらを向いたまま嬉々とした声を上げる。
「どっちだろうな」
そう言ってニコリと笑う。
どっちって、なんのことだ。天を仰いでいた顔をゆっくりと師匠の方へ向けていく。首の骨の間の油が切れたようにギシギシと軋む。
「誰かが首を吊って死んだから、さっきのへんなものが土の下に現れるのか。それとも……」
師匠はそう言いながら自分の真上を振り仰いだ。そして頭上にある死体の顔のあたりを真っ直ぐに見る。視線を合わせようとするように。
「あれが土の下にあるから、人がここで首を吊るのか」
なあ、どっちだ。
そう言って死体に問い掛ける。
肩が手の届く位置にあれば、親しげに抱いて語り掛けるような声で。
しえんっ
ウニさん乙です
支援しながら読んでたけど今回も面白い!
師匠w
ウニ、乙。
やはり独特の良さがあるな。
乙っした
750 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 22:05:46 ID:fDnXQZ2IO
ウニさん乙です
毎回楽しみにしてますー
死縁
ウニさん乙でした!
ウニさん乙でした!
加奈子さんの話好きだから嬉しい。
この息の詰まるような緊迫感が良いわー。
ウニさん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
嬉しい〜!
いつもありがとうございます。
755 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/26(日) 22:33:54 ID:72+wqeef0
ウニさん、お疲れさまです。
楽しく読まさせてもらいました。
ウニちゃん〜〜!
うるうる(喜)
ウニさん、初めまして。
感じるがゆえの哀しみ、、、加奈子さん視点は特に読み応えがあります。
秋の夜長にぴったりのお話をありがとうございました。
お疲れさまです。
最初から今夜は終わり噴いたwwwwww
そんな感じの短編もぜひお願いしたい。
やっぱ読ませるなぁ。
乙です。
思った物が描けていないって不安?
そう言う時もあるよ。
ウニ乙!
魄の茶色い液体に、匂いはないのかのう?
魂に近いはずのエーテルにも、匂いはないのかのう?
一レス目のメル欄見てびっくりしたわwwww
ウニ乙
763 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/27(月) 00:10:19 ID:quj5dHZS0
パンツぬいだ
ウニ乙!!!!
あ〜これで1週間頑張れるわ
765 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/27(月) 02:00:34 ID:/Rtjn7dB0
ウニさん
師匠シリーズ大好きです。
毎週お願いします!!!!!
766 :
ベニヤ板:2010/09/27(月) 10:56:08 ID:QuC7uZ1Y0
「え〜と、元気でしたか。……多田さん」
なんだか面映い。ここ数日、砕けた仲間同士の掛け合いしかしてなかったので、口が滑らかに動かない。
元気だとその人は言った。
以前より少しふっくらしたようだ。髪の毛も伸ばしている。なにより、あの真摯で鋭かった眼差しが柔らかくなっている気がする。
(『なぞなぞ』より引用)
登場する人たちと取り巻く空間を勝手に頭のなかで作り上げて僕(達)は既に読んでいる。物語ということだ。
そこには決定的には入り込めるわけがない。自分なら…という形で恋愛感情の兆しを見出したとしても。書かれたものなのだから。
師匠にとっての師匠。「僕」にとっての京介。そして、こんな想像をしている月並みな自分をすこし笑ってみる。
で、皆さん、この多田というひと、かつて髪が短くて、眼差しがいまよりも鋭かった女の人。僕らが既知の誰かなのだろうか…。
こうして、馬鹿な僕はウニ氏の紡ぎだす物語にもうすこし余計な入り込み方をちょっとしはじめている。
たぶんお前以外はみんな大体わかってるよ<多田さん
768 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/27(月) 11:56:35 ID:zIweDeWg0
ウニ氏乙ー!!
ここんとこちょくちょく来てくれて嬉しい!!
あー幸せ
しかし上から死体に覗き込まれるイメージしながら読んでたせいで頭からそのイメージが離れない・・・
『もしもし…私メリーさん…今貴方の家のm(ワンワンワン!!!)ひぁっ!?な、何!?っあっやっ嫌ぁぁぁあ!やめっ!?くるなぁ〜〜ッッ!(ワン!!ワンワン!!!)』
ウチの番犬は頼りになるなぁ、と感心しつつ俺は玄関に向かうのであった
差出人不明の方から封筒が届いた
メリーさん「これ、誰からなの?」
疑問に思いながらも封筒を開けてみると折り畳んでいる一通の手紙が入っていた
メリーさんは気になり折り畳んでいる手紙を開いてみた…
その手紙には矢印の先端に黒い点が1つあり「今日、此処へ来て下さい」と描かれた地図だけが描かれていた
メリーさん「誰かの悪戯かしら?」
始めは疑っていたが、とりあえず地図に描かれた所へ行ってみる事にした…
目的地に着いたのだが、地図に描かれた場所は、電信柱の下で周りは家しかないただの細い道
電信柱に付いた蛍光灯が切れ掛かっており、周りは薄暗くなったり明るくなったりとチカチカ光って不気味な所だった
メリーさん「あ!」
メリーさんは電信柱に貼ってある始めに届いた同じ封筒に気付いた
封筒を電信柱から剥がし、中身を見るとまた一通の折り畳んだ手紙が一枚
メリーさんはその手紙を読んで見ると…
また地図と矢印が描かれただけ……
ではなく、地図の絵の下には、
「中身を見ずに、足もとに置いてあるブシを揺らさづ持つて矢しるしの所え」
と、明らかに始めに届いた手紙とはまた、別の人物が書いたのであろう汚い字で書いてあった
メリーさん「…随分…酷い字ね…」
誤字と汚い字に呆れる顔をしたメリーさんの足元にはそれらしき黒いブツが置いてある
ブツといっても黒い箱で横が30cm位はある少々重たい箱
メリーさん「きっとコレのなのね」
メリーさんは、書かれていた通りにブツを拾い上げ、嫌々ながら揺らさない様に両手で矢印の所へと運んで行った…
運んでいる時…メリーさんは、ふと思い出す
メリーさん「(あれ?そう言えば……今日…、私誕生日だったんだっけ?)」
今日は自分の誕生日だった事を思い出し、何だか嬉しくなってきた
ふわっ
メリーさん「冷たっ!」
メリーさんの鼻の上に冷たい何かがふわりと降ってきて…
空を見上げると
メリーさん「…雪だ」
まるで、雪がメリーさんの誕生日をお祝いしに来てくれた様に見えた
メリーさんは「ハッ!」、と黒い箱(ブツ)を見て気が付いた
メリーさん「(もしかして…この箱って…私のバースデーケーキかプレゼントが入ってるんじゃあ…)」
メリーさん「(今日、私の誕生日だし、黒い箱を揺らしちゃいけないのは壊れやすい物が入っているからで、封筒(手紙)の宛先人は私の誕生日を祝ってくれる人…でしょうね。フフフ…わざとビックリしとこっ♪)」
推理してしまい、メリーさんの顔が嬉し笑いで笑みを見せた
しかし、そのまま着いて知っていた顔をしていたら祝ってくれる人に申し訳ないし、雰囲気がぶち壊しになる
メリーさんは、分からなくて、着いてからビックリする事にした
メリーさん「〜♪」
ルンルン気分で軽やかに歩くメリーさん
歩くスピードが早くなっていた
漸く地図に描かれていた目的地に着くと目の前には、ごく普通の一軒家が建っている
一応地図を確かめ、間違いない事が分かると、メリーさんはその家のインターホンを鳴らす
メリーさん「(知らなかった振り…知らなかった振り…)」
自分に言い聞かせている間に
???「はーい。どうぞー」
と家の主でだろうか、入って良さそうな返事が来た
メリーさん「…お邪魔しまーす」
メリーさんはゆっくりと玄関を開けて中へ入って行った
家の中は暖かく、雪が降り冷えてきていた体を、暖かさがメリーさんを包み、体を暖めてくれる
………誰かが現れてもいい筈だが…
……誰も来ない
奥では複数の人の笑い声と騒ぎ声が聴こえる
メリーさん「(皆で私を驚かせようとしてるのね…)」
そう思い、そのまま声の元へドアを開いて入って行くと…
パンパンパーン♪
一同「メリークリスマース♪」
皆がメリーさんに向かってクラッカーを鳴らす
メリーさん「え!?!?」
……予想と違かった
誕生日を祝ってくれるのだと思っていた
メリーさんは自ら皆に
メリーさん「今日…私の…誕生日で……呼んだんじゃないの?」
一同「……………え?………」
数秒間…時間が止まったかの様に静まり返り硬直してしまった
一同の中の1人、クリスマスパーティーを誘った張本人『エンジェル様』がメリーさんに
エンジェル様「え、えっとー?……誕生日…だったの?」
メリーさんは頭をコクコクと立てに振った
メリーさん、エンジェル様「「…………。」」
暫くまた無言の空気になった時、メリーさんの口が開いた
メリーさん「…私の(プルプル)…私の誕生日で呼んだんじゃ(プチッ←堪忍袋の尾が切れた)無いんかァァァァァァァ!!!!」
その後
メリーさんは、やけ酒ならぬやけケーキを食べまくり…
メリーさん「ギャー!!……た、体重が…」
…○キロ太ってしまい(現在○4キロ)
それ以来、メリーさんはクリスマスが嫌いになってしまったとさ
遅れましたが、改めまして「創作板、メリーさんスレ」一周年(越え含み)おめでとうございます
あと、早いけど
『メリークリスマス』
時は12月25日。所謂クリスマスというやつである。
町は華やかに彩られ、賑やかになっているが万年一人身の私にはなんら関係ない。
むしろ言わせて貰おう。
憎悪だ。どこもかしこもカップルカップルカップル。幸せそうな面をしてどこへ行く。
メリークリスマスメリークリスマスメリークリスマスうるさいんだよ。ここはどこだ、日本だ。キリストを祭りたいならローマにでも行ってくれ。
例え冬至で柚子湯に入ることはあってもクリスマスにケーキなぞ絶対に食わないぞ。今日は平日ナリ。
町を歩けばサンタ服に着替えた女性の方々。寒くないッスカ、恥ずかしくないッスカ、年考えろよプギャー。
など毒づきながら歩いているとぶるぶるとポケットに入れた携帯が震え始めた。非通知表示された画面を少し見つめたあと通話ボタンを押す。
「私、メリーさん。い」「間に合ってます」
糞、個人攻撃までするのかサンタクロース。そんなに私を殺したいか。精神的に。かつてどこかの英雄が戦った日本引きこもり協会という組織が
あったらしいが俺は世界サンタクロース協会と戦わなきゃいけないのか。なんて運命だ。
再び携帯が鳴る。同じく非通知。通話ボタンを押す。
「私、メリーさん。一人しかいないからね」
「へぇ、今どこにいるの?」
「えっとね……秋田!」
「なまはげぇ」
通話を切る。というかここは東京だ。一体どこから向かっているんだ。
いつも通りコンビニに入り、弁当とビールを一本レジに持っていく。
「いらっさいませ」
なんともやる気に溢れない言葉だ。ふと店員と目が合う。そして悟る。ああ、そうか。
すっと右手を差し出す。店員は迷うことなく左手を出して、強く握手を交わす。
「アリガトーゴザイマシター!」
覇気に満ちた言葉を聞きながら、店を後にする。再び携帯がぷるぷる。
「わt」「我輩はメリーである。名前はまだない」
「メリーって名乗ったじゃん! あ、今埼玉だからもう少しまtt」「ださいたまぁ」
通話を切った後、電源を落とそうか悩んだが仕事の電話が来ると困るのでつけとくことにした。
それにしても人が多い。お前ら、早く家に帰って楽しい食卓でも囲めよ。
普段はちょっと寂れてる商店街も人がごったがえし、芋を洗うがごとくといった呈を成している。
荒波人波を押しのけ、普段の三倍の時間をかけて商店街を抜ける。
もちろんその間、子どもの泣き声叫び声笑い声をフルコーラスでお送りさせてもらってます。うるさい。
子どもは昔から嫌いだ。行動に意味はなく、言葉に道理はなく、結果は常に自己のため。
成人になるまで所詮動物だ。むしろ首に縄でもつけてペットにすればいい。というか子ども産むな。害悪だ。
脳みそを悪意で満たそうとしていると再び携帯が震えた。
「警察にいいますね」
「待ってタンマタンマ! なんでそんなに私の話を聞いてくれないの!」
「生憎メリーと名のつくものには殺意しか沸かなくてね」
商店街前の横断歩道。青が点滅している。押しのけそこのけ急いだものの寸前で赤になってしまう。
隣には姉妹だろうか。おそろいの服を着た子どもがやんややんやとはしゃいでいる。
手にはプレゼントで貰ったのだろう。包装紙に包まれた四角い箱を持っている。
母親らしい人も両手に荷物でおとなしくしなさいと口でしか言えないようだ。
「ひどいなぁ。もう。ひどいなぁ」
「で、何用かな。もうこれ以上いたずら電話されると困るんだけど」
「いたずらじゃないよ。ほら、前を見て」
言われて前を見る。道路上にはさきほど子どもが持っていた箱がぽてんとタイミングよく落ちた。
「あー!」
子どもが飛び出す。おや、タイミングよくトラックが。親は手を離せない。
なけなしの金で買ったコンビニ弁当とビールが宙を舞う。携帯も自分の前を飛んでいる。
子どもの服を右手で掴み、後ろに引っ張る。さらに一歩踏み出し、その足を軸に地面に落ちた箱を回転しながら左手で取り
子どものほうへと投げる。ここまで来れば誰でもわかる。私はそこで体制を崩した。
トラックは止まらない。地に尻を着きかけた体は再び宙を舞う。
しばし空中遊泳をしたあと地面に叩きつけられる。追撃に携帯が胸に落ちてくる。
だから子どもは嫌いだ。危険を顧みず、平気で自殺行為をしてくれる。
「もしもーし、聞こえる?」
耳元まで跳ねてきた携帯から聞こえる声。残念ながら返事はできない。
「私、メリーさん。今、あなたを迎えにきたの」
ぼんやりとした視界に赤色が入ってくる。ただその赤色だけ妙にくっきりとしている。
クリスマスは嫌いだ。まともなサンタクロースが来やしない。自分を見て、赤色が笑っている気がする。
「君も赤くてサンタみたい」
『私メリーさん。今新スレにいるの』
そのわけのわからない電話がかかってきたのは、僕が布団に入って
ようやく眠りに落ちた頃で、当然ながら僕はその電話によって叩き起される
事になり、寝ぼけた頭で必死にその電話の意味を理解しようとしていた。
メリーさん。それは、都市伝説として有名な存在だ。トイレの花子さんや、
百キロババアなんかと同じ、本当に存在するかどうかは疑わしいのに、
誰もがその存在をまことしやかに他人に伝える、そういう存在。
その存在からの電話が、今まさに僕にかかってきているのだ。
そこまでは、なんとか理解できた。
……でも、いわゆるメリーさんのセオリーとは、その電話は違った。
新スレとは、一体なんだ?
『パソコン、持ってないの?』
メリーさんの声が、電話越しにではあるが、わずかに沈んだように
感じられた僕は、慌てて本の山の中にうもれていたノートパソコンを
掘り出し、そのスイッチを入れた。
元々機械に弱い僕は、大学に進学する際に買った、当時としては
最新の機能を持ったそれをずっと眠らせるままにしていたのだけれど、
幸いと言うべきか否か、久しく電源をつないでいなかったそれも、
内蔵電池に残っていた電力で何とか起動した。
『ありがとう、なの』
なぜお礼を言われたのかはわからなかったけれど、僕はどういたしまして、
と答え、次の言葉を待った。程なくして、メリーさんは次なる指示を僕に
与えてきた。
『2ちゃんねるにアクセスして欲しいの。創作発表板という板があるの』
2ちゃんねる? ……聞いたことはあった。悪名高い、誹謗中傷と荒らし
の巣窟だと言われる、それでも日本で一番の大きさを誇る、掲示板群……。
僕は検索によって、何とかその目的の場所へとたどり着いた。
創作発表板。そこはそういう名前の掲示板のようだった。創作し、それを発表
する為の掲示板。そこで僕は、メリーさんに言われるよりも速く、あるキーワード
を使って検索をかけていた。
そのキーワードとは――メリーさん。
そうして出てきたのは、まだレスポンスが一つもついていないトピックスだった。
私メリーさん2。それがそのトピックス――2ちゃんねる風に言うならば、
スレッドの――名前のようだった。
絵でもSSでも何でも、メリーさんに関する物ならば何でも書き込んでいい、
そういうスレッドのようだった。
『私は、そこにいるの。そこにいるけど、見えないの。だから……』
メリーさんは言う。
『貴方に……貴方にも、私を見えるようにして欲しいの』
……趣味で小説を書いていたのは、高校二年の頃までだ。大学受験に
備えてその趣味をやめて、もう何年にもなる。もう、ずいぶんと小説なんて
書いていない。
でも……。
僕にできるのは、そのくらいだと、そう思った。それしかできないと。いや、
それをしなければいけないんじゃないか、と。
『お願い、なの』
何故かはわからない。都市伝説からの電話。それ自体が夢でも見てるんじゃ
無いかと、そう言われれば頷いてしまうような状況で、それでも僕は全く電話
の向こうから聞こえる声を疑おうと言う気にもならず、そしてこの"私メリーさん2"
スレッドにまでたどり着いた。たどり着けた。
ここに……この中に、彼女はいる。
僕がここに書けば、彼女は見えるようになるのだ。彼女の存在は、他の人にも
認識できるようになるのだ。
何故かはわからない。
でも、僕は、確かに思った。
書こう、と。頼まれたからではなく、自分が彼女の為にそうしたいから、だから
書こうと、そう思った。
少し、時間がかかるけど……それでもいいかな?
『ありがとう、なの』
電話の向こうの声が、心なしか弾んだような気がした。
目を覚ませば、数年の間埃をかぶりっぱなしだったノートパソコンに電源が
入っていて、電池残量が少ない事を知らせるランプの点滅が目についた。
一体、僕はいつこのパソコンの電源を入れたんだっけ?
そう思ってモニターを覗き込むと、そこには一つのサイトが表示されていた。
2ちゃんねるの、創作発表板。
……ああ、そうだ。僕は確か昨日、誰かから電話を貰って――
「私、メリーさん」
その声が聞こえたのは、僕がそんな事を考え始めた、その瞬間だった。
耳の真横で、まるで背後から抱きしめられ、囁かれるように聞こえたその
声は、確かにこう言った。嬉しげな、弾んだ、可愛らしい声で。
「今――貴方の後ろにいるの」
都市伝説。民話。神話。怪談。そんな風に称される物語に登場する存在は、
総じて一つの特徴を持っている。
それは、人の認識によってその存在を維持する力を得る、という事。
人がその存在を信じれば、人がその存在を現実のものと認識すればする程、
彼らはこの世界に確たる存在として在るのである。
これは、そんなお話――――――
終わり
「へえ、メリーさん次スレ立ったんだ」
いつもの様に部屋に篭って、2ちゃんねるを巡回する。そこへお約束のごとく、非通知で電話が掛かってきた。
「わ、わたし、めりーさんっ!いま、あなたのうしろにいるのー」
幼い子どもの声だった。しかし、確かメリーさんは15、6の少女だったと記憶している。
ただの子どものいたずらか。だがまあ、少しくらいは相手をしてやってもバチは当たらないだろう。
「メリーさんってさ、段々近づいて来るもんじゃなかったっけ?いきなり後ろに来てもいいのかい?」
少しいじわるな質問。
「う……じゃ、じゃあね、いま“ちり”にいるのー。そこからだんだん近づいていくのー!」
一気に地球の反対側までワープしちまったよ、この子。やはりメリーさんには瞬間移動能力があるのだろうか。
「そうかそうか、じゃあ来るの待ってるよ」
俺はそう言ってから電話を切った。
程なく電話が掛かってくる。非通知だ。
「いまあなたのうしろにいるのー」
「もしもし、どちらさまですか?」
わざととぼけてやる。
「あ、ごめんなさい、わたしめりーさんなのー、うしろにいるのー」
メリーさんが謝っちゃったよ。なんか段々面白くなってきたな(からかうのが)。
「だからすぐに近づいてきちゃダメなんだって。徐々に徐々に近づいてこないと。」
「わ、わかったのー。いま“ゆーらしあ”にいるのー」
範囲が広すぎて分かんねえよ。
「ユーラシア大陸のどのあたり?」
「えっと、えっと、かんばんがあるけど、なんてかいてあるのかわからないの……」
外国の人形だが、日本の都市伝説だからなあ。
「うん、じゃあ場所が分かったらまた電話して」
「え、え?ちょ、ちょっとまっt」
ぷつん。つーつー。
途中で電話を切ってやった。メリーさんが必死になって、自分が今、どこにいるのかを探し回っている姿が目に浮かぶ。
2時間ほどして、また電話が掛かってきた。
「もしもし、めりーさんなのー。いま“ぷさん”にいるらしいのー」
らしい、とは。ちゃんと調べたのか。えらいぞ、メリーさん。
「それで、次はどこに来るの?」
「……そろそろうしろにいっちゃだめ?」
「まだだめ」
「うー、わかったのー。」
承諾すんなよ。
「じゃあ次の場所についたらまた電話してくれよな」
「うん、りょうかいなのー」
ガチャン。
電話の前で全裸待機。いや、別に悪い意味はないぞ。風呂に入ってただけだからな。
お、掛かってきた。
「もしもし、めりーさんなのー」
俺の指摘のお陰か、初めに自分の名前を名乗るようになった。
「今はどこにいるんだ?」
「えーっと、おしろから北に70 西に40のばしょなのー」
なんでドラクエやってるんすか、メリーさん。
「いいか、そこには地雷が埋まってるから、絶対に足元を調べるんじゃないぞ」
「え?こ、こわいのー。わかったの、ここはしらべないようにするのー。ろとのしるがみつかったら、またでんわするのー」
ガチャン。
……いや、はやく近づいてきてください。全裸待機は正直寒いんです。
そのまま待機すること30分。ようやく電話が掛かってきた。
「もしもし、めりーさんなのー。いまあなたのおうちのまえにいるのー」
おお、ようやくメリーさんらしくなってきたぞ。ここでそのまま電話を切るってのが、定石だよな?
ガチャン
プルルルル
「もしもし、めりーさんなのー。いきなりきるなんてひどいのー。じょうしきがなってないのー」
メリーさんに説教されてしまった。
「ごめんごめん。それで、今はどこ?」
「いまはあなたのへやのまえまでいくところなのー」
耳を済ませると確かに、コツン、コツン、と足音が聞こえる。
「うわー、こわい(棒読み)。」
ガチャン
プルルルルル
間髪入れずに掛かってくる。これぞメリーさんだ。そろそろ後ろに来る頃か?
「もしもし、めりーさんだけど、そろそろうしろにいってもいい?」
「いや、聞くなよ」
「だ、だって……」
やばい、涙声になってる。
「も、もう後ろ来ていいよ。よく頑張ったな、メリーさん」
「え、えへへ。じゃ、じゃあ、いうの、
いま、あなたのうしろにいるのっ」
バッ
言われた瞬間に振り向いた。
だが後ろには誰も立っていなかった。当然といえば当然か。まあでも、楽しませて貰ったよ。ありがとう、めr
「ここなの、ここにいるのー」
目線を下に。確かにそこには金髪蒼眼の女の子がいた。声相応のサイズだったため、気付かなかったのだ。
「ごめんごめん、ちびっちいから気づかなかったよ」
「ぷー、まったくもってしつれいなのー」
ぷくーと頬を膨らまさて抗議する。
メリーさんを観察してみる。
真っ赤なドレスに赤い靴が人形みたいでかわいい。いや、人形か。
よく見ると、きちんと鎌も持っていた。(サイズの)サイズは雑草を刈り取るやつによく使う、小さな物だったが、使い方次第では十分凶器になりうる。
「こらこら、女の子がこんな危ない物を持ってちゃいけません。これはぼっしゅーします」
ひょい、と取り上げる。
「あ、かえしてなのー。それがないとめりーさんじゃなくなるのー」
メリーさんの言葉はスルー。少し背伸びしてタンスの上に乗っている荷物の上に鎌を置く。メリーさんはぴょんぴょん飛び跳ねているが、届くはずもなかった。
>>766 ???なぞなぞの子持ち女が、本気で誰だかわからないと言ってるの・・?
わざと?つーかその引用文モロだし。
795 :
ベニヤ板:2010/09/28(火) 00:07:37 ID:8Yuft6Ih0
あのお、物語に対する思い通りにはままならない自分なかの軋みを言ってみたかっただけなの。
あるいは、こんな簡単に訳もなくいつものメンバーが顔を揃える都合の好さを腐してみたかっただけ。
現実は散らばってまとまらなくって「賽の河原」みたいなもんでしょ。離れてしまったら二度と会えない。
でしょ。もう諦めてしまってるでしょ。現実には。
赤子を抱くこの人が、あの京介で、この先その関係性のなかでなにも起こらず、そのまんま。なんて我慢できますか。
勝手に想いをその架空の登場人物に抱いてる。それを支えに読んでいる。だってえのに、それが「空振り」、なんて口惜しいですよ。
796 :
ベニヤ板:2010/09/28(火) 00:11:16 ID:8Yuft6Ih0
泊めてもらったときに、生理の鉄臭い匂いに言及するの、覚えてますか?
鮮やかな女性の描写でした。ありありと想像できました。一人の女性を。
797 :
ベニヤ板:2010/09/28(火) 00:25:20 ID:8Yuft6Ih0
それに感応する「僕」がいないのには、首を傾げてしまう。
山のむこうの小学校の淡い存在としての教員と思念が交流するように、
それなりの人には抑えきれない思いが普通は寄せられるように、
此処にもそんな普通の葛藤があってしかるべきだろう、と思いはじめてる。
おばけ話の火遊びのような際物の面白さをとっくに越えてるんだもの。ウニさんの語る世界は。
無職童貞友達いません
まで読んだ
まじでオカルト
まあ、オカルト板だからねぇ・・・w
ウニさんは女性かな?
ウニさん、本当にありがとう。
辛い時や苦しい時に、たくさん師匠シリーズに救われた。
跳ぶ とか、もうプリントアウトして持ち歩いている。
おおげさかもしれないけれど、人生の支えです。
>>802 >おおげさかもしれないけれど、人生の支えです。
こういうヘドが出るような馴れ合いはすんなよ。まじでキモイ
何が苦しい時に助けられた、だよ
そんなタイプの小説じゃねーだろ。どんだけ浅い人生なんだお前
誰が何を支えにしたって人の勝手。そっとしておけば?
他人にいちゃもん付けるのが
>>803の支えなんだろ
ウニさんの後はきついけど、あえて俺は投稿するぜ。
自己責任で読んで下さい。警告したので始めます。
"友達 前"
そいつは、ずっと目覚めないはずだった。
俺は17の時に、そいつの魂を"アレ"に喰わせてしまった。
もちろん、そうするつもりはなかった。
たまたま、発動したところにそいつが居ただけだ。
そいつとは、幼稚園からずっと同じで
友達の少ない俺にとっては、唯一の親友、と言っても差し支えないくらいだった。
スポーツ少年で社交的なそいつとは、性格や背格好こそ違うが
話せば、お互いの考えていることが殆ど分かるほどに通じ合っていた。
あの日も、
不良やタチの悪い教師にやたら絡まれまくる俺を
そいつが、いつもみたいに庇おうとしただけだった。
人気の無いところで囲まれてボコボコにされている所に
彼が駆けつけたとき、
すでに精神的に限界に近いほど磨耗していた俺は
いつもみたく"アレ"を制御することが出来なかった。
気が付いたら、
そこにいた全員が地面に崩れ落ちていて、
その中にはそいつも居た。
俺は、何が起きたか理解すると共に、沸きだしてきた
強烈な自責の念や恐怖に混乱し、叫びながら駆け出して、
二度とその場に戻る事は無かった。
グシャグシャの制服で、茫然自失と街角をさまよっていた時
何度か、街頭テレビから短く、
俺が起こしたことの「結果」についてのニュースが流れていたが、
俺が"殺した"彼らは、生物学的には何の問題なく生きていて
外傷も痕跡も、目撃者すらまったく出ないままに
謎の事件として処理されつつある。ということをどこの局も伝えていて
俺のせいに"すら"してもらえない様子だった。
学校側は、俺が何度も被害者たちと小競り合いを起こしていたことも
事件の直後に失踪したことも知っていたはずだが
お決まりのパターンで口を閉ざした。
それから、忙しく月日は経ち
おばさんや当時クソガキだったAにも出会い
"アレ"に関わる様々な揉め事も、少し落ち着いていた大学2年の夏、
散々悩んだ挙句、意を決し
俺は、初めてそいつの病室を訪ねた。
代表して…と言うとおかしく聞こえるかもしれないが
元々他の犠牲者とは親交が無く、あまり良い思いでもないので
少なくともそいつに謝ることで
全てに何らかのケジメを付けたかったのかもしれない。
ベッドの側でリンゴを剥いていたそいつの母親は
3年ぶりに会う俺を
自分の子供に再開したように驚き、喜んで迎えてくれた。
予想外の歓待に、しばらく途惑って声も出なかったが、
そんなこちらの様子などお構いなしで
涙ぐみながら、当時の状況を語りだす彼女の様子を見ていると
次第に落ち着いてきてもいた。
どうやらそいつの母親すらも
俺が関わったとは微塵も思っていないようなのだ。
「この調子なら、この世に居る誰も、
俺の罪など気付いてはいないのだろう。
これはもう、過ちを許されたことと同じではないのか」
というバカな考えすら頭を過ぎった。
彼が昏睡状態になってからのここ数年の状況を
一通り話し尽くし、涙で崩れた化粧を直しに母親が出て行くと
気分の良くなった俺は、寝ているそいつに話しかけた。
「許してくれたのか…ありがとうな」
この世の全てに話しかけたつもりで、そう述べて
綺麗に、八つに切り分けられたリンゴを取ろうと屈むと
ふと、目の前に人影が出来ていることに気付く。
頭を上げると、
そいつが、ベットから上半身を起こし
憎しみのこもった表情でこちらを睨んでいた。
「そんなわけねぇだろ」
そんな、まさか…驚いて何も返せずにいると
畳み掛けられる
「死ぬまで苦しみ続けろ」
許してくれ…と言おうとするのだが
口が渇ききっていて、声が出ない。
苦しんでいる俺をそいつは、
侮蔑を含んだニヤニヤとした表情で眺め回し、
おもむろにこちらに手を伸ばすと、
リンゴに添えてあったはずの果物ナイフを差し出してきた。
「みんなバレてんだよ下衆が…。お前の大罪は世界中の既知だ」
「それが嫌なら、これで死ね。今すぐ死ね」
目の前が歪んでいく、上下がゆっくりと入れ替わりがら、風景の色を巻き込んで左右に回転していく
その狂った視界の中、そいつの顔とギラギラと光るナイフの刃だけが
はっきりとした輪郭を保っている。
「そういえばお前は"アレ"に憑かれてるから、死ねないんだったよな」
いつの間にかベットから立ち上がっていたそいつが、俺の右肩辺りに手を伸ばす
「それは嘘だ。ただの都合のいい言い訳だな」
「お前は」
一呼吸置いてから、怒鳴るように喋りだす
「お前は!!俺に真の意味で謝ろうとは思っていない!!!
"アレ"の主は"まだ"お前だ!!!お前が主導権持ってんだよ!!
本当にその気があんのなら、お前の命の2、3個なんて簡単だろ!!!」
「きいてんのか?あ!!どうなんだ!?」
そいつは俺の右肩からゆっくり手を下に這わせて、右手までたどりつかせると
その手に果物ナイフを握らせ、丁寧に一本ずつ指を閉じていく。
打って変わって、媚びたような猫なで声で静かに囁きだす。
「そうだな…俺を食った"アレ"に、お前自身も喰わせるのも何だ。一つ提案がある」
「簡単なことだ。お前はそのナイフで、軽く、自分の喉元を突けばいい。
あとは俺が、その柄を両手でおもいっきり押してやるよ」
「絶対に突き抜けさせてやろう。"アレ"が守ろうと関係ない」
「さぁ、早くやれよ。手伝ってやろう…」
震えが止まらない、今にも足元が崩れそうだ
俺は…俺は…
……
気がつくと、全ては元通りになっていた。
そいつもベッドで寝たままだった。
…白昼夢を見ていたのか、
生前のそいつは、"アレ"のことを知らないはずだ。
"アレ"の中に混ざったそいつの魂が、元の身体に戻りたくて荒ぶっていたのか…
それとも…
俺の湿った右手には、果物ナイフがしっかりと握り締められていた。
その刃には、さっき取ろうとしたリンゴの欠片が突き刺さっていた。
果肉からよく磨かれた刃に汁が滴って、それがポツリ、ポツリと床に落ちている。
暫くその様を呆然と眺めていたが、ふと我に返り
慌てて、リンゴをデニムのポケットに突っ込み
ナイフを皿に戻すと、計ったようなタイミングで母親が帰ってくる。
俺は、リンゴを一欠けら頂いたことと、
話せて良かったことの、2つの謝意を手早く伝えてから
足早に病院を立ち去った。
それからまた忙しく月日は経ち、俺は大学を無事に卒業して、
Aのおばさんの家業を手伝って稼ぎながら、なんとか閑古鳥鳴く古物屋を営んでいた。
…あの後も俺は、Aやおばさんには知らさないまま
そいつの病室へと、何度も見舞いに行っている。
何年も通い続けるといつの間にかそれは、
俺なりの夏冬の恒例行事のようになっていた。
また彼から同じように責められるかもしれないのは怖い…怖いが、
白昼夢で彼が俺に突きつけた問いに、まだ答えが出ていない。
どうしても行かざるえないのだ。
病室に入り、
そいつの母親が居れば、窓際に飾る季節の花を手渡したあとに、
近況などについて短く言葉を交わす、
居なければ彼女が用意してくれている、空の花瓶に水を入れ、花を挿す。
そうしてから少し、そいつとも話をする。
時々あのナイフが、果物皿の上に置かれていることもある。
窓から差し込む光に反射して、見せ付けるように刃をギラギラと輝かせ、
俺を監視するそれを、横目に
「命の恩人んとこの糞ガキに、彼女が出来てウザイ」とか
「素人経営の古物屋の景気がどうだ」とか
必死に話すことはいつも、どうでもいいようなその時の
個人的な時事ネタが殆どだった。
最後はいつも
「生きていてすまん。また、逃げずに来るからな」
と、ベッドに横たわるそいつに、一礼してから帰る。
あの時、白昼夢でそいつは俺に「死ね」と言った。
それが真に彼の望んだことなのか、そして、現実だったのかただの幻だったのかも分からない。
ただ17のあの時から、他でもない"俺が"どこか心の隅でそれを望んでいるのも事実だ。
あんなに、怖い思いをさせられた病室に定期的に通い
そいつに話しかけ続けるのは「本当にそうすべきなのか」という問いの、
持続的な確認作業のつもり、でもあった。
そして、何のリアクションも返ってこない今のところ、
運の良いことにそれは、
否定され続けているように思えていた。
そいつは、ずっと目覚めないはずだった。
了。
需要ないです
新手のスタンド使いか!
"アレ"って言われてもな・・・。
まぁ何から何まで伝わるものがない。 精進だね。
816 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/28(火) 20:17:45 ID:VK1cxI69O
おまえモナー
ナニ言いたいの〜
内容は置いといて、読みづらいな
アレとかそいつとか彼とかもそうだし、改行の仕方もなんか変
7QPLwJZR/Ypf 乙。 後編はいつ頃ですか?
819 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/28(火) 21:07:53 ID:VK1cxI69O
完璧なもの読みたいなら本屋いけよ
まあ、判んないなら“メリーさん”と同じ扱いにしておけばいいわけで・・・
後編で伏線回収でそ。
「それで?俺に何のようだ?」
「え?え、と……」
訳を聞こうとしたら、メリーさんはバツが悪そうに俯いた。
「ん、どうした?」
「あ、あの、
めりーさんって、どんなことをすればいいの?」
なんという衝撃発言。
「それ知らないでここに来たの?」
「うん…ごめんなさいなの……」
ますますシュンとするメリーさん。さて、どうしたものか。
素直に役目を話すという選択肢は当然除外だ。俺が殺されるからな。
ふむ、せっかく2ちゃんねるを見ていることだし、ここは一つ、安価に頼ってみるか。
というわけで、どうする?>>
俺を殺すとか、物騒な回答はなしな。
「メリーさんはな。世界中の人々に愛を教えるためにいるんだ」
優しく諭すように言う。この子には血に塗れた生き方をして欲しくなかった。
「あ、い?あいってなんなのー?」
だがこう返されてしまうと、毎日2ちゃんに入り浸り、何もしていない俺は、何も言えなくなる。
「ごめん、俺にも、詳しくはわからないんだ」
「おにいさんにもわからないの?じゃあめりーさんはどうすればいいの?」
やばい、墓穴を掘ったかもしれない。また安価を……いや、ダメだ。ここは自分で何とかしないと……
「まあでも、全然分からないってわけでもないから、分かる範囲で教えてくよ」
せいぜい虚勢を張ることにした。メリーさんの顔がとたんに明るくなる。
「わかったのー。よろしくおねがいしますなのー」
その笑顔が眩しすぎて、俺には直視出来なかった。
「えー、こほん、愛って言うのはだなあ」
「うんうん」
「えーと、」
「あいってなんなの?」
「あい、って、いうのは……」
ごめん、愛って何ですか?このいたいけな少女に、俺はなんて教えればいいんだ?
>>30 「おにいさん、さっきからぱそこんでなにしてるのー?」
「愛っていうのはな、誰かに優しくすること。誰かを助けることだ」
「……よくわからないけど、とりあえずひとだすけをすればいいの?」
「うん、そうだ」
安価に間違いはない。
「わかったの。じゃあまずはおにいさんをたすけるの!」
「お、おう、」
とはいったものの、俺今のニート生活で特に不満はないしなあ。
あ、また安価するか。>>次の有効レス
あー、だめだわ、安価って、癖になるな。
「振り向かないことさ」
歯をキランと輝かせて答える。
「???」
メリーさんは非常に困惑している。
「どういう、ことなの?」
「つまりな、どれだけ女が追いすがってきても、決して振り向かない。それが男の美学にして、愛なのさ」
メリーさんに背を向けて語る。
「めりーさんは、おんなのこなの。」
メリーさんの冷めた視線が痛い。少し冷静になってみると俺も相当イタイ。
「うん、そうだな。ちょっと調子乗った。えっと、愛って言うのはな。」
「…………」
メリーさんが真剣な眼差しでこちらを見つめる。俺も真剣に考えなくてはいけない。
愛、愛とは何か。
ほらきたwww
「……あ」
浮かんできたのは、母親の顔だった。そして理解した。
「分かった。愛ってのはな、気遣いのことだ。その人と、自分を思いやる心のことだよ」
「……よくわからないの」
メリーさんは不満そうで不安そうな顔をしていた。
「そりゃそうさ。一言で言い表せないのが愛ってもんだからな」
ってダメだダメだ。このままだとどんどん堕落していく一方じゃないか。
「俺はいいからさ、他の困ってる人を助けに行こう」
「うーん、わかったの。じゃあたすけにいくのっ」
外へ飛び出そうとするメリーさんを引き止める。
「マテマテ、今日はもう遅いから明日探しに行こう」
メリーさんはコクリと頷いた。
さて、そうなると、メリーさんを家に泊めるってことになるのか。
べ、べつにこれが狙いだったわけじゃないからな。
メリーさんを俺の布団に寝かせ、自分はソファに寝転ぶ。疲れていたのか、すぐに眠気は襲ってきた。
「……ゃ、…て…ぃ、」
メリーさんの声で目が覚めた。時計を見ると夜中の2時だった。
「おい、」
声をかける。メリーさんは、泣いていた。
「……ぁ、おにい、さん」
「大丈夫か?」
首を大きく横に振るメリーさん。キラキラと雫が零れる。
「いやなの、おいてかないで、ひとりに、しないで……」
ああ。
そうだったんだ。
この子も、メリーさんだ。メリーさんがメリーさんになる大元は、持ち主に捨てられたという過去の恨みからだ。このメリーさんもきっと、愛し愛された者に、捨てられたのだ。
もちろん、持ち主の側にも事情はあったのだろう。だが、人形にとっては、“捨てられた”という事実だけが残る。
「大丈夫。大丈夫だ。俺が付いてる」
メリーさんをしっかりと抱きしめる。メリーさんに体温はなかったが、暖かかった。
しばらくメリーさんを抱きしめたまま眠ると、彼女は穏やかに寝息を立て始めた。
微笑む彼女の、涙の後を拭ってやり、俺も眠りに落ちた。
「おはよう、メリー」
今日どこへ行くかを考えながら、メリーさんに声を掛ける。
「……?」
メリーさんが、いない。
「メリー?メリー!」
名前を叫ぶ。うるさいと、壁を蹴られて、自粛した。
「どこいったんだ……?」
部屋の中を、探した。隅から隅まで、必死になって探した。
「どこに、行ったんだよ……」
メリーさんは、どこにもいなかった。
ふと、机に目をやる。紙切れが一枚、置いてあった。
めくってみると、幼い子ともが書くような字で、
『あいが わかった』
と、書いてあった。
「わたしめりーさん。いま、あなたをぎゅーってしてるの!」
こうですね。わかります。
前半の萌えが凄まじすぎて、それと比してって事もあるんだろうけど、
後半ちょいとgdgdだったのは確かに感じちゃうな。
でも、それを補ってあまりある萌えを頂戴したので、
俺は大満足だよw
「もしもし、わたしメリーさん。今、あなたの家の前にいるの」
『……』
「……?」
『……こんばんは、この電話の持ち主の彼女です』
「あ、はい」
『急に家まで来るなんて、随分仲が良さそうですね』
「あ、いえ」
『知ってます?――狼は……羊を食べるんですよ』
「すみません間違えました」
「私メリーさん。あなたの後ろは私に任せるの」
どすっ
「ごめんなさいなの、次はきおつけるの;;」
まったくしょうがないなあ
次からは殺さないように気をつけろよ?
「分かったの。殺さない程度に気をつけるの」
う、後ろは初めてだから優しくしてね?
どすっ
「大丈夫なの。ゆっくり、埋めていくから、心配いらないの」
「ほら、どんどん入ってくの。
ほんとうは一思いにやったほうが痛くないけど、殺さないように、やさしく、だと、加減がむつかしいの」
うにゅーなのー
>>806 乙 ま、いろいろ言われても気にすんなよ 後編の投下待ってるぞ
さすがにこれだと前半だけでは訳分からんなw
後編で溜飲が下がるのを期待してるぞ!
>ウニさんの後はきついけど、あえて俺は投稿するぜ。
ウニ以外は全員保守要員だろ。
ウニが毎週の様に書いてる時に、しかも投下して大して立たないうちに無駄打ちするなよ。
ネタがあるならウニが来れない時に投下出来る様に温存するのが利口。
>>847 よくもそんなことが言えるな
保守要員?せっかく投下してくれた作家陣に謝れや
ウニファンには何を言ってもダメ。
こういうのが居るから、ウニには専用スレに言って欲しいんだよな。
ウニがここに投下してくれるのは、それ自体は嬉しいのだけど、
それに付いて来るファンが最悪。
自分が書いた訳じゃないのに、他人と比較して悦に入ってるなんてなぁ…。
確かにそうだよな
ウニさんが頼んだ訳でもないのに過剰に持ち上げたり、他の作品と比較して貶めるのは間違いだ
純粋に作品を投稿する人やそれを楽しみにしてる人に失礼
851 :
本当にあった怖い名無し:2010/09/29(水) 19:48:39 ID:KYYG3s+MO
中国並みの自演乙!
>>847 何コイツ何様?
楽しみにしてる人も居るんだよゴミ野郎
中学生なんだろほっとけ
田舎の続きが読みたいよ・・・ウニさん。。。
また自演自演うるさいバカが湧いてきた
しかし実際ウニと赤緑以外コテトリと話の内容が結びつかないわ、自分…
みんなちゃんと分かってるの?
ぶっちゃけ 分 か っ て ま せ ん w
トリップだけだとどうもな、話みて「ああ、あの人か」って感じ
いや、トリップなんて覚えられないって
トリップだけの人はコテつけてくれるとありがたいかな〜なんて
大体最初の一行くらいで「○○の人です」って書いてくれてるから何となく、ああこの人かと思う。
それがないときは数行読んでやっと思いだすって感じかな。
どういう人だか分かりやすいコテ付けてくれると確かに助かるかも。
"ウニさんの後にあえて投下するぜ" ってw
もしもスレが落ちたって、後からでも師匠のまとめサイトに
行って読めばいいからまぁいいけど。。
この人ドMにゃにょかにゃあ・・
上の幾つかのレス何か自演臭ぽい感じがするし・・・
何か初めてヤダって思ったよ><イメージダウン
カッパやつくも神よりは読めそう、とは思った。
それでも面白いといえるかは疑問符が付くが。
掴みはオッケー、といえるのかな?
カッパや付喪神と違って割と真面目な話だからな
そういうのが好みって奴には割と評価良いのか?
俺はカッパとか付喪神の奴も面白かったけどな
ふぁ〜あ(あくび)
まあシリーズ物だと正しく引っ張れるからなw
作者には焦らす楽しみもあるだろう
自演ってめんどくさいことじゃないのか?それをわざわざやるの?
だんだんメリーが文を刻んでくるようになったから見分けにくくなったw
掴みおkじゃないし・・ウザイ。
てかだんだん厚かましい。
あ、便所スリッパ 何たらのシリーズ人ね。
ふぁ〜あ(あくび)
危機一髪
1/1
手足の短い俺は陸上で身動きがとれない!
はやく水中に戻らなければ!
えら呼吸の俺は、声を出すことすら出来ず必死でもがいた。
手足は短すぎて地面を蹴ることが出来ない。
水の際までほんの数センチ。
俺の頭一個分。
その距離は一向に縮まらず時間だけがすぎていく
動悸がますます早くなる。
誰か助けて。
体をくねらせ、石の上を少しでも移動しようとするが思い通りの方向へ進まない。
しっぼと体を使い、全力でもがくうちに俺は裏表ひっくり返った。
絶望。
もはやこれまで
酸素を急激に消耗した俺の体に異変が起こっていく
短すぎる手足は痺れ、唯一地面に触れた長い尻尾はもはや意思とは関係なく小刻みに震える
首の周りにあるウーパーが痙攣しはじめた。
さよなら師匠。
そう心の中で呟いた瞬間
地面の石とウーパーの間から摩擦力が消えた。
高速で痙攣するウーパーが、石との間に空間を作りリニアウーパールーパー状態になった
結果俺は助かった。
しかし、それいらい二度と陸地に上がろうとすることはなかった。
あともがいてるとき幽霊出た。
※書き忘れましたが背面式です
メリーは品切れか?
初日
夜、2ちゃんを見てると電話がかかってきた。
『私メリーさん。…どこにいて欲しい?』
「…は?」
いたずら電話か?
突然の事に俺が思わずマヌケな声を返すと、メリーと名乗った女の声は、
ちょっとだけ怯んだ様子で聞き返してきた。
『だ、だから、どこにいて欲しいの?』
「いや、意味わかんないです」
正直、意味分からん。
どこにいて欲しいってどういうことだ?
確か都市伝説とかでよくあるメリーさんの話は…
『……い、家の前でもいいなら、そう言ってくれれば行くけど…?』
そうそう、家の前に来てそれから徐々に近づいてくるとかそんな話だったな。
でも俺は興味がなかったので、そっけなく返事を返してやった。
「いや、どこにもいて欲しくありません」
『そ、そういうワケにいかないの…どこにいて欲しいか言って』
「帰ってください。っていうかあなたの家にずっといてください」
『…いじわる』 ガチャン
2日目
俺が日課の2ちゃん巡回をしていると、電話がかかってきた。
『私メリーさん。…あなたの家の前に行ってもいい?』
「またアンタですか…」
またこのいたずら電話だ。
今日は昨日よりも質問が具体的になっているな…
でも、こんな時間に来られても迷惑だしな。
『ねぇ、聞いてるの…家の前に行ってもいい?』
「いやです。帰ってください」
『そんないじわる言わないで…ね、ちょっといるだけだから』
「ちょっと家の前にいて、次は家の中に入ってくるんだろ?」
意地悪そうなトーンでそう言ってやる。
事実だから否定できまい。
『う…分かりました…帰ります』
「もう電話しないでね」
『…』 ガチャン
3日目
俺が例によって2ちゃんを見ていると、また電話が鳴った。
『私メリーさん。…今からあなたの家の前に行こうと思ってるんだけど…』
おぉ、随分進歩したなぁ。
ちょっと感心した俺は、つい油断してこう言ってしまった。
「しつこいな、警察呼ぶぞ」
メリーさんは警察の単語に反応し、ビビリまくった声で返してきた。
『けいさ…いや、そそそそれはちょっとやめて欲しいかな〜って…』
「じゃあ帰れ」
『はい…クスン』 ガチャン
それ以後、メリーさんからの電話はかかってこず、ちょっと寂しく思う俺であった。
「もうちょっとからかって遊べばよかったな…」
日も暮れてしばらく。俺は電話をかける。既にかけなれた番号。短縮ボタン一発だ。
「はぁい、もしもし、私めりぃさぁん」
電話の向こうから、甘ったくるとろけるような声が聞こえてくる。
「……はいはい、私もメリーさん。今あなたの後ろにいるの」
いつも通りの受け答え。そして俺は、その女の後ろに立った。
「えへへ、お帰りなさぁい」
しなだれかかってくる部下、咲の、ハチミツ色の頭を軽く叩く。
いや、今は部下であって部下ではない、という方が正しいか。
「えへへー、メリーちゃあん、パパ帰ってきまちたよー」
何故なら、彼女は産休中だからだ。
「男だったらどうするんだ……」
俺はため息一つこぼして、ネクタイを緩めた。
俺の名は目理 伊三。警視庁第零課に所属する刑事である。
そして……もうすぐ、パパになる。
「あ、目理さん、じゃなかった、あなた、えへへ」
咲は自分が俺と結婚できたことが相当嬉しいらしい。ちょっとは落ち着け。
「あーはいはい、何だ何だ」
「カシマさんから出産祝いが届いてます」
カシマ、それは殺人鬼殺しである指名手配犯である。
何度も出会っては取り逃がしている、俺の積年のライバルとでも言うべき存在のジジイだ。
「送り返せ!!」
「えー、可愛いのにー、このリカちゃんのドールハウスー」
「余計気味が悪いわ!!」
なお、彼の娘があの噂に名高い『三本足のリカちゃん』である。
まだ書いてるんだね
あぼーんしてるのに
884 :
本当にあった怖い名無し:2010/10/02(土) 14:17:39 ID:8S1w17fqO
おまえもな
お前もな…?
お前もな…!
887 :
本当にあった怖い名無し:2010/10/02(土) 18:01:38 ID:8S1w17fqO
ネタどろぼー
今夏休みだっけ?
>>729 彼女は足を止めようともせず、そしてこちらを一瞥もせずに、ただ短く口を開いた。
「後ろに並べ」
ウニスレと誤爆orz
ふぁ〜あ
ふぁ〜あ
ふぁ〜あ
ふぁ〜ふぁ
ふぁ〜ふぁん
ふぁいふぁん
ふぁんふぁ〜あああ
あくび厨うざい
ふう〜ん
あふ〜ん
ウニを始め、作品が読みたいよー
[求める理由]
1/13
「――では、あちらでお待ちください」
往来会本部。
再びここを訪れた私は、待合いのスペースに行き、名前を呼ばれるのを待つ。
以前は北上と一緒だったけど、今日は1人。
汐崎さんと会ってから、どうしようかとしばらく悩んでいたけど…やっぱり、来てしまった。
「霊感が身に付く」
普通の人に言われたのなら怪しくて信じる気にもならなかったけど、汐崎さんの話なら信じられる。
舞さんの忠告を無視することになっちゃうけど、私には舞さんの知らない事情がある訳で…。
ただ…気掛かりなのは、古乃羽の事。
きっと、怒るだろうな。本気で怒られそう。
古乃羽は私の事情を知っているけど、それでも許してくれないかもしれない。
それが、今日まで悩んでいた理由。
古乃羽に心配を掛けるような事は、したくないとは思っている。
でも私は、自分の力で先に進みたい――
2/13
受付「神尾様」
私「はい」
大学での午前の講義が終わってから来たので、時刻は13時過ぎ。
以前と違い、今日は他に待っている人は1人も居なかったので、私はすぐに名前を呼ばれる。
…まぁ、前回もすぐに呼ばれたけどね。
受付に行くと、そこにはスーツ姿の男の人が来ていた。
それを見て、あれ…?と思う。
汐崎さんじゃない。
一応、汐崎さんの名刺を出して、お話を伺いに来ました、って言ったのだけど…会えないのかな?
男「それでは、こちらに…」
私のそんな思いとは関係なしに、その男は名乗りもしないで、私を建物の奥へと案内してくれる。
まったく、無愛想な人。なんか…どこかで見たような暗い目をしているし、ちょっと不気味な感じ…。
男「どうぞ」
やがて男は応接室――前回と同じ部屋だ――の前で立ち止まり、そう言って扉を開けてくれる。
私「あ、どうも…」
何となく恐縮しながら中に入ると、そこには1人の初老の男性が待っていた。
3/13
「夏目川と申します」
部屋で待っていたその人は、そう名乗った。
初老…と言ったけど、近くで見ると結構な年にも思える。
きっと、60代後半くらいかな…?
勧めてくれた椅子に座り、名刺を貰う。
これで往来会の人の名刺、3枚目だなぁ…なんて思いながら、それを見ると…
「往来会 副会長 夏目川吉次」
私「副会長…さん?」
夏目川「えぇ…まぁ、やらせて貰っています」
うわわ…?
なんかいきなり、お偉いさんが出てきた?
私「えっと、あの…」
夏目川「神尾さんには、以前にも来て頂いたそうで」
私「あ…はい。神尾美加です…はじめまして」
そう言いながら、私は座ったまま背筋を伸ばし、ペコリと頭を下げる。
夏目川「ハハハ…まぁ、そう固くならずに」
私「はぁ…」
4/13
夏目川「あいにく、汐崎は外に出ていまして」
私「あ、そうなんですか…」
むー…やっぱり。
ここに来る前、携帯に電話をしたけど繋がらなかったのよね…。
夏目川「本会についてのお話を、ということでしたので…それなら私の方で、と」
私「…」
それでいきなり、副会長さん?
お偉いさんがこんなとこで出てくるなんて、他に誰か居ないの?
何か、変な気が…
…んー、でも、これはこれで良いかも?
往来会の話を詳しく聞くなら、こういった人も良い気が…
夏目川「…誰か、他の者を探して参りましょうか?」
私「え?…あぁ、いえ。お話を…お願いします」
せっかく来てもらったのに、お偉いさんじゃ嫌だから他の人で、ってのは失礼よね。
私はそう思い、副会長さんと話をすることにした。
5/13
私「あの、以前お聞きしたのですけど、こちらには霊感の無い方もいらっしゃるとか」
唐突ながら、私はさっそく、聞きたかった霊感についての話を始める。
夏目川「何人か居ますね。特に、事務の方に」
私「それは――」
コンコン
…おっと。扉がノックされ、お茶を持った女性が入ってくる。
女性「失礼します」
入ってきたのは、この前とは別の人だ。
牧村さんの話では、確かその人が”目”を置いていったとか言っていたけど、今日はそういった事はしない、って事なのかな?
女性「失礼しました」
その人はお茶を置き、そそくさと出て行く。
夏目川「…で、何でしょう?」
私「あ、えっと…そういった人って、霊感を持つことを望まなかった人なのですか?」
夏目川「…と、仰いますと?」
お茶を一口飲み、にこやかに聞き返してくる副会長さん。
その仕草や喋り方は若々しく、見掛けとはかなりのギャップがある。
リアルタイムでみれるとわ
つC
楽しみ
6/13
私「こちらに入会してから霊感が身に付いた、という方も居るとお聞きしたので…」
夏目川「もちろん、居ますね」
私「でも、全員が持っていないということは、何か理由とか…条件とかあるのかな、って」
夏目川「…あぁ、なるほど」
もし何か、「こんな人は絶対に無理」って条件があるのなら、先に知りたい。
望んだ人全てに身に付くなら一番良いけど、そんなに簡単なものとは思っていないもの。
夏目川「条件は…当然、ありますね。誰でもという訳にはいきません」
私「…」
やっぱり…。
うーん、これはダメなパターン…?
夏目川「でもご安心を」
私「?」
夏目川「神尾さんは大丈夫。素質は十分にありますよ」
7/13
私「あ…本当ですか?」
おっと、意外。
こういうのは、からっきしダメだと思っていたのに。
夏目川「えぇ、問題ありません」
人の良さそうな笑顔で、そう言ってくる副会長さん。
その表情に何となく引っ掛かるものを感じたけど…考えすぎね。
夏目川「実は、結構多いのですよ。霊感を求めて…という方」
そうだろうなぁ、と思う。
そういうものに憧れる人って、きっと沢山居るわよね。
私の場合、憧れとはちょっと違うけど、そういった気持ちはよく分かる。
夏目川「軽い気持ちで…と言っては失礼かもしれませんが、単なる憧れだけで来られる方は、まず無理です」
私「…」
なんだか、心を読まれたように言われる。
夏目川「ですが、今の神尾さんのように、しっかりとした目的を持って来られた方なら、問題ありません」
私のように。
私の…
…私がどんな目的を持っているか、知っている?
8/13
私「あの…」
夏目川「はい」
私「私の…その、目的を?」
私は思った疑問をぶつけてみる。
夏目川「…私も長年、こうした仕事をしていますからね。大体、分かるものなのですよ」
私「へぇ…」
伊達に副会長はやっていない、ってことかな?
それくらいの事…私みたいに単純な人間の考えなら、簡単に分かってしまうのかもしれない。
夏目川「ご自分の切実な願いを叶えるために、霊感を求め、多くの方がこちらに来られます」
淡々と話し出す副会長さん。
夏目川「そういった方々の中で、最も多い願いというのが…神尾さんと同じ願いでして、それは――」
切実な願い。
最も多いという、切実な願い。
…そうかも知れない。だって、他にどうしようもないもの…。
夏目川「死んでしまった人に会いたい、話がしたい、というものなのです」
…私には、会いたい人がいる。
それは、優理ちゃんや佳澄だけじゃない。
私が一番会いたい人。それは、私の――
9/13
――
中学1年のとき、2つ年上の、3年生の先輩に恋をした。
先輩は、カッコイイわけでも、勉強ができるわけでもなかった、普通の人。
私の周りの友達は、みんな「何で?」って言っていたけど、古乃羽だけが分かってくれた。
その人は今思ってみても、15歳とは思えない、落ち着いた雰囲気を持った”大人”の人だった。
告白は、私の方から。
彼は凄く驚いていたけど、すぐにOKの返事をくれた。
初恋って訳じゃなかったけど、誰かと付き合うのは初めてで、それは相手も同じだった。
告白も上手くいって、これから恋人同士の幸せな時間が…と思いきや、彼は3年生。
…つまり、受験生。
勉強ができる方でもなかったから、親の意向もあって”良い高校”を目指していた彼は、毎日のように塾通い。
平日に会える時間は限られ、まともに会えるのは土日だけ。
しかしその土日も、模試だのなんだので徐々に…という有様。
会うのは毎日、メールも電話も毎日、って恋愛を望んでいた私にとって、これはちょっと辛かった。
何しろ、私の周りの子たちは、みんなそういった恋愛をしていたから。
10/13
そんなだったから、古乃羽にはいつも愚痴をこぼしていた。
雨月君と付き合うまで、恋愛には興味が無さそうな古乃羽だったけど、彼女には随分と励まされた。
彼の方も、空いた時間は私のために使ってくれて、受験が終わるまで、とお互いに言い聞かせながら、なんとかその時期を乗り切ることができた。
…でも。
今思うと、当たり前のこと。
受験が終わり、彼が高校に入ると、会える時間は更に減ることになった。
“良い高校”で勉強についていくには、遊んでいる暇がない…という、そんな理由だった。
きっとこんなことはよくある話で、本人たち以外には、つまらない話。
でも本人たちには、辛い話。
周りの子から、彼氏とどこに行っただの、何をしただのという話を聞くと、私は羨ましくて仕方がなかった。
「別れた方がいい」「もっと他に良い人がいる」「何組の何とか君が、美加のこと…」なんて、色々と言ってくれる子も居た。
でも、別れるのはイヤだった。
私は彼が好きで、彼も私が好き。…なのに別れる?
そんなのはドラマの中だけの話で、私に起きることじゃない。
自分がそんな風になるなんて、恋愛経験の乏しい14の私には、受け入れ難いことだった。
11/13
そんな風に過ごしていた、ある日。
融通を利かせてくれない彼――と思っていた。最低…――と、ついに大喧嘩をしてしまった。
大喧嘩と言っても、勿論、私からの一方的な攻撃。
恥ずかしくて、その内容なんて言えない。
とにかく私は、その日、久しぶりに会えた彼に対して不満を爆発させた。
散々勝手な文句を言って、最後に大嫌いと言い放ち、私は家に帰った。
もし今の私がその場に居たら、胸ぐらつかんで引っ叩いてやりたいところだ。
それから2日間、意地を張った私は、彼への連絡をしないでいた。
そして、何だか不安な気持ちになってきた3日目になって、彼にメール。
…彼からの返信は無し。
代わりに、彼のご両親からの返信。
そこで私は、彼が事故死していたことを知った。
事故があったのは、私が八つ当たりをした、翌日のことだった。
12/13
きっとこれはよくある悲しい話で、私は知らない間に、悲劇のヒロインになっていた。
それから数日間、どうやって過ごしていたのか、よく覚えていない。
家から出る気にならず、学校は休んでいた。
でも、一日中何をして過ごしていたのか、記憶に無い。
覚えているのは、辛い気持ちだけ。
ただずっと辛くて、もう生きていける気もしなくて、死んでしまいたかった。
今までで、あの時が一番、死に近い場所に居たと思う。
でもそうしなかったのは、私にそんな勇気がなかったのと、古乃羽が居てくれたからだった。
…と言っても、私と同い年で子供だった古乃羽が、私を上手く諭すような事を言ってくれた訳じゃない。
ずっと学校を休んでいたある日、古乃羽が私のお見舞いに来てくれた。
それまでに何回か、友達みんなで来てくれていたけど、その日は古乃羽1人だった。
私はそのときに、彼女に全てを話した。
彼が亡くなる前の日、私が彼に言ったことを、初めて人に話した。
今までに、その話をしたのは古乃羽にだけだ。
支援
13/13
話を聞いた古乃羽は…大声で泣き出した。
文字通りの号泣で、見ていた私も、自分の境遇を改めて思い出し、一緒になって泣いた。
私の部屋で、2人で抱き合って泣いて…そのまま泣き疲れて、寝てしまった。
それで目が覚めたら、気分スッキリ――
…なんてことは、もちろん無い。
泣きすぎてか、ちょっと頭が痛かったくらいだ。
ただ――、私の横で、私の手を握ったまま寝ている古乃羽を見たとき、もし私が死んじゃったら、古乃羽はどうなっちゃうんだろう、と思った。
それだけで、私は救われた。
きっと、他の人にはあまり分かってもらえる気持ちではないと思う。
でも、命って何だろう、生きるってどういうことだろう、なんて事を考えるようになっていた私には、それだけで十分だった。
…オカルトに興味を持つようになったのも、その頃から。
古乃羽の趣味だったオカルトの世界に、私が入っていった理由の1つは…やっぱり、彼のこと。
もしかしたら、もう一度会えるかも…なんて、そんな考えがあった。
いつかその方法に巡り合えた時、私は迷わずに手を伸ばすつもりでいた。
そしてやっと…今、そのチャンスが来た。
ふぁ〜あ
赤緑乙。
赤緑2
348 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/08(水) 11:18:08 ID:fbCQiesjO
赤緑さんへ
blogのほうにコメントしたのは消されたようなので、こちらに書き込みします。
赤緑さんがご自身の作品だとblogに載せている『嘘つき』は私が投下した話です。
blogから下げて下さい。
349 本当にあった怖い名無し 2010/09/08(水) 11:32:42 ID:HoWPG2dRO
証拠がなくてはね
そんなんウニや師匠だってわからんね
350 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/08(水) 11:50:31 ID:k2YNC/lB0
ハハ、ワロス
自分が誰で、『嘘つき』を何時書いて、何処に投下したのか、
それを言わなきゃ始まらんだろw
赤緑憎しの怪文書にしか見えませんよwww
378 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/08(水) 22:31:03 ID:DQWdbCnD0
>>349-350 その赤緑も洒落怖の話のいくつかを自分が投稿したものだって主張してるんだが
そのへんはお前らどう思ってるんだよ
ブーメラン戻ってきてますよ
388 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/09(木) 19:30:47 ID:ldRCT/620
>>349-350 え?赤緑も洒落怖に投下したってタイトル込で告白してたがあれは良いのか?
もちろん証明なんてしてないはずだが・・
そろそろ、暇なメリーが来るころか
メリーは作家投下後に荒らすのがセオリー
てか上のコピペがそうだろ
本格的に患ってるなあ
1000を勝ち取れば、もしくは
ひょっとして人生が思い通りに行くのではないか
と、うつつを抜かす今日この頃。
なんだよ!メリー!
こおゆう時に限ってあと74レスあるじゃんか!
早く埋めれよ。
役立たず!!!
メリー 迷惑をかけるだけで、本当に役に立たないな
可哀そうな奴だ
数日こない間に名前欄が変わっておるwwメリー野郎、そこまでひどかったのか…
930 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/10(日) 22:22:09 ID:dr6UuZrb0
初めて投下するからいろいろお見苦しい所あると思うけど、暇つぶしにでもなれば嬉しい。
高校当時の先輩とのお話。
先に言っておくと、師匠シリーズに多大な影響を受けているけど、基本的には実体験を下敷きにしています。
先輩がいた。
いや、学生なら誰だって上級生はいるし、広義には人生の先輩だってたくさんいるだろう。
とにかく、先を行く人がいた。
もちろん単に学年が上なだけでなく、人生の先輩ではあったけどまたそれだけではない。
彼は、俺のオカルト道の先を行く男だったのだ。
ご存知だろうあのシリーズに影響を受けていた俺は、勝手に師弟のように思っていたが、その関係は、先輩の失踪をもって終わる。
その頃は、全盛期とも言えるオカルト関係の最充実期間だった。
その最初の話をしようと思う。
出会いは、高校に入学してすぐだった。
だが当時の俺は、オカルトの類を全く信じていなかった。
中学の頃は行き過ぎなくらいハマっていたが、それは誰もが一度は罹患するというあの病気のせいであり、完治した俺は再発を恐れるあまり逆を行こう逆を行こうとしていたからだ。
そう、冷静になって考えてみればオカルティックでマイナーな知識を持っていたところで別に格好良くないのだ。
知識は未だ脳内のどこか隅っこに鎮座していたが、もうそれをひけらかすことは無いだろうと思っていた。
中学の頃のことは無かった事として、今度は上手くやろうと心に決めて高校に入学したわけだ。
一月も経たない頃だったと思う。
桜の花が全部散って、そろそろ葉桜になってきた頃だから、恐らく四月の終わりくらいだったはずだ。
その日、俺はいつもより早く家を出た。
別に理由があったわけではない。ただ早く目が覚めただけで、たまには人のいない時間に登校してみるのも面白いかと思っただけで。
案の定誰ともすれ違わなかったし、校門坂を登った先には、朝練の連中すらいない無人のグラウンドがあった。
少し気分良く玄関に入り、靴箱から靴を取り、自分の教室である一年三組を目指して廊下を歩こうとした時、非常口の外、非常階段の下に光る何かが見えた。
金属光沢を放つ円錐状の物体、注視すれば時折見える釣り糸のような物。
それはどこか上の方からぶら下がっていた。
931 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/10(日) 22:27:56 ID:dr6UuZrb0
「フーチだ」
押しやったはずの超自然系知識が瞬時に引き出される。
要するに振り子なのだが、これはいわゆるダウジングアイテムで、気とかオーラとか、そういうものを探る時に使う物だ。
俺の作った物は手に持って使うタイプの短い物だったが、それはもっと長く、地面すれすれまであった。
朝の白い日光を浴びて、円錐の先が地面を指している。
よく考えれば、それをフーチと決めつけるには早すぎたような気がするが、不思議と妙な確信があった。
教室を通り越して、廊下の端にある非常口に向う。
心臓が少しだけ早まった。気がする。
非常口まであと数メートルというところで、フーチが揺れた。
俺が作った物は、どんな曰く付きの場所でもピクリともしなかったのに。
揺れの正体を確認すべく非常口から外に出る。
風は、無い。
釣り糸の先は非常階段の踊り場だった。
一階上がった所からぶら下がっている。
心臓の音が元に戻った。
漠然と、その先がどこか人のいないスペースへ続いていて、見えない何かがそれを揺らすことをイメージしていたから、あまりにも普通なその現実に少し落胆した。
「おい、上がってこいよ」
踊り場から声がかけられた。男の声。
言われなくてもそうするつもりだった。
赤く塗られた塗装が、所々剥げた階段をカンカンと踏み鳴らし上がって行く。
二階には一人の男がいて、階段から下を眺めていた。とても退屈そうに。
「お前、あれが何かわかったんだろ」
あれ、とはフーチのことだろう。
用途まで知っているが、なんだか恥ずかしくて「少しは」と答えた。
「じゃあ、あれは見えたか。さっきの」
今度のあれ、は良くわからなかった。
さっき?俺がこっちに向ってくる途中になにかしたのだろうか。
黙っているとその男はようやくこちらに顔を向けた。
「見えなかったのか。揺れただろ、フーチが」
俺は少しイラついた。
そんなもの、この男が上から揺らしたに決まっている。
フーチの先は踊り場の床にセロハンテープで貼り付けてある。糸を触るなりなんなりすればいくらでも揺らせるはずだ。
頭がおかしいか、かつての自分のように何かに酔っているに違いない。
「あなたが揺らしたんじゃないんですか。それとも本当に」
幽霊でも見えるんですか。それを言う前に男に遮られる。
「おい、見てみろ。下だ。ほら」
男と並んで下を見る。
フーチがぐるぐると円を描いている。
「え」
俺はもちろん男も糸には触れていない。しかもフーチは時折ピタっと止まるのだ。斜めにピンと糸を張って。
「やっぱり、見えないか。見えるんじゃないのか」
何も見えない。不可解な動きをする金属片があるだけだ。
もっとよく見ろ、と男が指を指す。
「見えません。何も」
ちっ、と舌打ちをした後、男は思いついたように
「目を瞑ってみろ」
と指示を出した。
素直に従う。
さっきまで見ていた光景が一瞬まぶたに映る。
まぶたの裏に残影、すっと消えるその輪郭。
その中には、いるはずのない猫がいた。フーチを触る、猫のシルエット。
白黒というよりもっと、エンボス加工されたような視界の中で、猫の色までわかる。
はっと目を開ける。
「見えたんじゃないのか」
「・・・・・・猫ですか」
男が肩を掴んだ。
俺は驚いて男の顔を見る。
その目には、得体の知れない喜びが溢れていた。
「お前、新入生だろ。俺は三年。なあ、友達になろう」
それが、先輩との出会いだった。
今では会うことも出来ない先輩との、濃い紫色に輝く思い出の期間。
俺はこの日から、いろいろなモノを譲り受け、いろいろなモノを失う日々を送るが、その時はただ、純粋にあこがれて追いかけていた。
「いつだって気付くのは手遅れになってからだ」
先輩が悔しそうに言っていたのを、俺は手遅れになってから理解できるようになったのだった。
自治スレで何が議論されてるかわかってるのか?
LRが大幅に変更されてしまうとどうなるか、今までの広義のオカルトな範疇が
板違いとして削除されやすくなってしまう。
決まった後で文句言っても遅い。↓ の自治スレを覗いて意見を投じてほしい。
こういった流れを許していていいのか????
179 : ◆FFLmM2S2Jo :2010/10/10(日) 14:17:57 ID:l+hJlonX0
>>176 板違いのスレが乱立しているからです
政治系 願掛け呪詛系 霊視系 雑談系 宗教系 個人占有系などなど
>オカルト板にあっても問題ないものばかりに見える。
上記の板違いのスレが乱立してる状態は大問題ですね
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1286621937/ オカルト超常現象板 自治スレッド 25
けっこう好きだ
えーと……エロゲの主人公ですか?
普通におもしろいな
師匠シリーズがどうしても離れないけど、
学生の体験記だとみんな似たような感じになっちゃうんだろうなぁ
>>928 こいつどんだけ馬鹿なんだ?
まさかメリーのせいで議論が始まったと思ってるのかな?ww
酉とか初めてつけたよ・・・・・・。
夕べ先輩の話を投下したもんです。
外はお祭りで騒がしいけど、俺は暇なのでまた投下します。
師匠シリーズをパク・・・に習って、時系列をバラバラに投下していきたいと思います。
暇つぶしにでも読んでください。
「肝試しに行きましょう」
俺は先輩のアパートに乗り込んで、開口一番そう言った。
高校一年の秋、未だ残暑のきつい頃だった。
先輩はきょとんとしている。
「珍しいな。お前が俺を誘うのか」
そうなのだ。
いつもいつも先輩の無茶に付き合わされる形でいろいろ巻き込まれてきたが、今日は違う。
ことの経緯は単純だ。
中学からの同級生、同じくオカルトマニアの知人がいる。
ハナヤマというのだが、そいつが面白い話をしてくれた。
「峠にさ、未開通のトンネルあるだろ。あそこ、いたぜ」
峠、というのは学校のすぐ近く、俺たちが華麗峠と呼んでいる場所だ。
華麗と言う字は本当は違うのだが、華麗さのかけらもないその峠を皮肉ってそう呼んでいる。
そこに、確かにトンネルはある。
未完成のまま、舗装すらされずに工事が頓挫したトンネル。
俺たちが生まれる前からあったんじゃないだろうか。
一応立ち入り禁止になってはいるが、不良や暴走族なんかがしょっちゅう入っていた。
「でもお前、あそこ行った事あるだろ。そん時にいなかったのかよ」
そもそもあそこは噂に名高い心霊スポットだ。
先述の不良や暴走族も、肝試しと称して中を荒らしているらしい。
もちろん、町内一のオカルトフリークを自称していた(不思議なことにお互いそう言って譲らなかった)俺たちも何度か訪れたことがある。
「まあな。けど昨日さ、夜通ったらいたんだよ、結構すごいのが。あの人誘って行ってこいよ」
たまたま通ったというのは恐らく嘘だ。
こいつの家は逆方向だし、たまにそういう場所を見に行きたくなる気持ちはすごくわかる。
この話は前提として、ハナヤマの霊感が本物であることが必要なのだが、その点は安心できた。
なにせあの先輩のお墨付きだ。
俺は、たまには先輩を驚かせてやろうなどと、今にして思えば非常に無謀な事を考えて、放課後突撃したのだった。
「で、今夕方なんで、もうちょっと待って日が落ちてから行きましょう!」
珍しくやる気に満ちていた俺をなだめる様に、先輩は落ち着いて言った。
「夜は駄目だ。行くなら今・・・・・・いや、もっと早い時間がいい。昼間とか」
俺ははっきり拍子抜けした。
夜の世界に恐れをなしたとでも言うのだろうか。
腹の内に夜そのものを飼っているようなこの人が。
「なんでですか。肝試しってのは夜暗くなってから行くもんでしょう。雰囲気とか、いろいろありますし」
先輩は黙って首を振る。
「・・・・・・じゃあいいです。俺だけで行ってきますよ」
立ち上がろうとする俺を手で制して、先輩は一旦口を開き、あー、とかうー、とか言ってまた閉じた。
何か言うのを躊躇っているらしい。
まさか本当に怖いんじゃないだろうな、と今まで憧れていた先輩の地位が下がり始めた頃、ようやく一言出てきた言葉。
「見えないよ」
意味がわからず首を捻った俺を見て、続ける。
「夜じゃあ見えないんだ。少なくとも今の俺は。お前達なら夜の方が見えるだろう、お前達だけで行くならそれでいい」
わけがわからない。
お化け、幽霊は夜出る物と相場が決まっている。
それにこの人だって今まで散々「夜」にそういうものを見てきたはずだ。
「どういうことですか」
先輩は自嘲気味に笑う。
「考えてもみろ。昼は見える物が見える時間。夜は見える物が見えない時間だ。昼、当たり前のように見える物は、夜は見えなくなるんだよ」
「つまり・・・・・・?」
新しい作家さんktkr
支援します
「つまり、俺にはそういう連中が、お前達人間と同じくらいにはっきり見える。だから、夜はもっとヤバいヤツじゃないと見えなくなるんだ」
理解するのに数秒を要した。
え、それは、つまり。
「俺が今まで見てきた物は、本来お前程度じゃどう足掻いても見えない物だ。俺と一緒だから見えた」
「お前や、例えばハナヤマが騒ぐ程度の物は、そこらを歩いてても見えるんだ。だから多分、夜は見えない」
「夜は、見えない物こそ見える時間だからな」
例えば、お菓子の空き箱や、外を歩く人間。自転車や猫、そういう物質と、本来物質と呼べるのかどうかわからない異形。
それが同じ密度で見える。だから、夜は見えない。
夜は、本来見える物が消え、見えない物こそ見える時間だから。
「まあ、もう少ししたら昼も夜も関係なくなる気もするけど、今は見えない。また今度、もっとヤバい所に行こう」
今日はもう帰れ、と手を振られた。
素直に従い、アパートの前に停めてあった自転車にまたがる。
既に日は沈みかけていた。
俺は華麗峠に向ってみた。
一応舗装してあるが、ところどころひび割れている上り坂を登る。
頂上付近にトンネルがある。
片方は、開通した立派なトンネル。
少し外れた所、未舗装の道の先に件のトンネルがあった。
自転車を降り、手で押して近づいてみる。
日は殆ど沈み、トンネルの奥は暗く、闇しか見えない。
何か見えないかと首を延ばしたが、その奥にはただ、暗闇だけが、広がっていた。
良いね
支援
あ、投下する時に何レス中のいくつかって書いた方がいいのかな。
さっきの話は上の3レスで終わりです。
多分一日暇なので今日中にもう一話くらい投げるかも。
これからよしなにお願いします。
またウニまがいの文体マネッコ作家気取りか・・・
オリジナリティゼロでウニファンとしては嫌悪感覚えるレベルだわ
お前がそうなだけで、他の人は何も思ってないから
そういうスレだしいいんじゃね?
アンチや自治厨が沸くのが一番良くない
つまりウニマネじゃない赤緑他色々の方がスレ違いなんだ?
わくてか
お前京極シリーズ読んだことないだろww
>>945 乙
特に決まりはないけど、どこで話しのラストなのかがわかるようにしてるれると読みやすいと思う
1/3とかじゃなくても一番最後に「終わり」とか書いてくれるだけでも良いし
>>946 その通り過ぎて何も言えん。参った参った。
けどまあ貴重な暇つぶしなのでしばらくやめる気も無いです。
いつかそれなりに面白くなる予定なので、悪いけど長い目で見てやってください。
で、本日二つ目の投下。
俺が三年に上がった月だったと思う。
家と学校の間に幼稚園がある。
そこは延長保育とやらをやっていて、五時までの間、両親が働きに出ている子供を預かってくれるのだ。
俺自身そこの卒業生であり、延長保育利用者だったから知っている。
五時までとなると、優秀な帰宅部である俺の下校時間とかぶったりして、時折子供を迎えに来た母親なんかを見かけるのだが。
今日は、そこに先輩がいた。
「なんでこんなとこいるんですか」
自転車を降りて先輩に話しかける。
先輩は去年高校を卒業して、大学に進学していた。
確かにここは通り道だったはずだが、足を止める理由が無い。
先輩は園児の中の一人を見ながら言った。
「あそこ、ほら。いるだろ、髪の短い子。砂場に」
確かにいる。
男の子のようだが、一心不乱に砂で山を作っている。
周りにはまだ数人の園児が残っていたが、みんな思い思いの事をしていた。
「あー、五時手前くらいになってくると結構退屈なんですよね。人数必要な遊びもできないし、みんな一人遊びしたりするんですよ」
俺は、いつもより迎えが遅くなる時の、少し寂しい気持ちを思い出していた。
「いや、そんなことどうでもいいんだが」
先輩はそんな俺の郷愁を一撃で粉砕した。
「ほら、お前も見えるんじゃないのか。あの子、砂山作りながら砂場の向こうをちらちら見てる」
確かに、彼は時々思い出したようにブランコの方を見ている。
今ブランコの利用者はいない。
「右側だ。右のブランコの、横。ていうか後ろ」
確かに視線はそこにひかれているようだった。
俺はブランコの形がくっきり残るまで注視してから、ぎゅっと目を瞑った。
「あ、あれ女の人ですかね」
先輩考案、霊感の低い俺でもある程度のモノなら見える方法だ。
まぶたに映った影には、髪の長い女性がいた。誰もいないはずの空間に。
「えっと、これはつまり?」
先輩が何を見ていたのかわかった気がする。
「そう、あの子にも見えてる。面白いぞ、これは」
おまけしても爽やかには見えない二人組みが幼稚園児を眺めるのはまずい気がしたが、それよりも好奇心が勝った。
「俺より見えるんですかね。最近結構なんていうか、センサー良くなったつもりだったんですけど」
嘘は無かった。
先輩と出会ってから二年、それはいろんな体験をして、少しならそういうモノが見える、感じるようになってきていた。
さらに言えば、先輩と一緒にいると強制的に感覚が開かれるのだ。
ある程度、自分の領分を超えたモノでも見えるようになる。
しかし、そんな俺でもすぐは見えないあの女を、五歳にもならないだろうあの子が見えているのだろうか。
「まあ、才能だからな。経験値を積めば確かに強化は出来るけど、その最低ラインが高いヤツってのはいるもんだ」
俺もそうだったと呟いて、先輩はまた観察に戻る。
「そもそも、子供の頃は誰でも広い感性を持ってる。なんでも違和感無く学ぶ為にな」
先輩の解説が始まろうとした時、僕らの後ろを車が通りすぎた。
園の駐車場に白い軽が止まる。
中からはスーツの女性が出てきた。
「お、彼の御母堂かな。見つけて喜んでるぞ」
男の子を見ると、砂山作りをやめてこちらに走って来ている。
「お迎えですね。はしゃいじゃってまあ」
この年代の子供には、親は絶対なのだ。
従っていれば絶対に安心できる存在。
人生を預けてもかまわないほど。
俺は自分の子供時代を思い出してすこし暖かい気持ちになった。
が、やはり先輩はそれを吹き飛ばす。
「さあ、彼はどうするか。母親にあの女の事を話すかな?それとも黙っているか」
なるほど、先輩はそれが見たかったのだ。
俺にも見える程度のモノならいくらでも見えているはずの彼が、何故ここにいたのか。
幽霊そのものではなく、それを見た子供の反応が気になっていたわけだ。
「お、母親が保育士に挨拶に行ったぞ。先生に言うかな。・・・・・・ああ、言わなかったみたいだな」
母親と男の子が俺たちのそばに停められた車に戻ってくる。
じっとそれを見ているのも気まずくて、俺は目を逸らした。
先輩は逸らさなかったようだ。
母親が不審そうにこちらを見てくる。
「可愛いお子さんですね」
先輩がそう言って会釈したが、なんとなく逆効果な気がした。
母親は無言で会釈を返すと、気味悪そうに子供を乗せて帰っていった。
「・・・・・・どう思われましたかね、俺ら」
ねえ、先輩、と言おうとして、先輩を見ると。
驚いた。先輩は腹の底から不快であるような顔をしている。
「これで一つの可能性が閉じた。あいつらのせいで、大人のせいで」
どういうことだろう。
おとなしく解説を待つことにした。
「あの子は多分過去に言ったことがある。『あそこに女の人がいるよ』『男の人がおいでおいでしてるよ』『死んだ猫が帰ってきたよ』」
先輩は苦そうに言う。
「親にか、それとも保育士にか、他の大人か・・・・・・誰かに言ったはずだ。自分に見えている物がその人には見えていないのが不思議で」
その先はなんとなく理解できた。
「それを、その人たちは、否定したんですね」
今度は泣きそうな顔をして、先輩が頷く。
「子供にとって、大人は絶対で、全ての判断は彼らじゃなくその周囲の大人が下す。彼の貴重な才能は、彼の本当に見える世界は、否定されたんだ」
子供は、不思議な物や変わった物を見ると、すぐ大人に報告する。
あの子は、母親が保育士に挨拶している時、確かにブランコの方を見た。
そして、しばらく見つめた後、首を振ったのだ。
何も見えない、何も見ていないと。
あの子が何を考えたのか、それは想像できる。子供にとって、大人からの否定は・・・・・・。
「あの子は恐らく、自分がおかしいのだと思い込んでいる。そして見えている物を“見なかった”ことにする。そして見えなくなる。いつか、本当に」
なんだかとても辛そうに見えた。
「俺もそうだった。否定され、拒絶された。俺も、そうだったんだ」
先輩は時々、その感情をコントロールできなくなるようだった。
特に、なんと言えばいいのか、同じように『見える』人に関しては、それが顕著だった。
「・・・・・・でも、先輩。先輩はそれでも見えるじゃないですか。あの子もそうなるかもしれませんよ」
慰めよう、と思ったのかも知れない。
俺は諦めるなと、そういう意味の言葉を選んでいた。
「そんなわけがないんだ。あの子は俺と違う。俺は、違ったんだ」
帰る、とそう呟いて、先輩はとぼとぼ歩いていった。
その後姿は、とても寂しそうで、少し歪んで見えた。
この話を、後日、知り合いの占い師にしたことがある。
これはその時の話。
「なんで世の中に、幽霊の見える人間が少ないか、考えたことはありますか」
タロット占いをしながら、彼女・・・・・・タケナカさんは言った。
「そりゃ、才能の問題だから・・・・・・でしょうか」
Non、と言って、カードを一枚めくる。
「子供には、見える子、とても多い。だけど、大人はそれがおかしいと言う。だから、見えなくなる。殆どの人がそうです」
また一枚、カードをめくる。
「例えば、君のように、後から見えるようになれば、それを制御したり隠したりすることも出来る。子供は、出来ない」
またカードをめくる。
「後から見えるようになる人なんて、殆どいない。周りにとても強い人いない限り。だから、結果は、殆どの人に見えないとなります」
なるほど。
俺のように、誰かに引き摺られる例と、才能として見える人。
才能のある人は多いが、それを自分から潰してしまうから、少ない。
・・・・・・大人に、否定されたから。
「でも、先輩もそういう経験あるって言ってました。あと、もう一人。あいつも多分幼少からのはずです」
タケナカさんはにこりとして、またカードをめくった。
「ハナヤマさんに関してはわかります。彼女、とても頭が良い。上手くやってきたと思います。そういう人です」
もう一人、というのは確かにハナヤマのことだ。
中学からの同級生で、同じオカルトマニア。
霊感は先輩のお墨付き。
「でも」
タケナカさんのカードをめくる手が止まる。
「あの人は、多分違います。彼は、自分を否定したその世界を、また否定した、んじゃないでしょうか。だから、あそこまで強くなってしまった」
どういうことだろう。
理解は出来ていなかったが、先輩が以前言っていた言葉が何故か浮かんで消えた。
『俺に両親はいない。死んだんだ、二人とも』
まさか。いくらなんでもそれは。
「彼はとても強い。けど、すごく脆い。私達ではとても支えられないほど強く大きいのに、枯れ枝のように脆い。だから」
最後のカードをめくった。
タケナカさんはそのカードをそっと手で隠す。
・・・・・・だから、その時は。支えるのは、君の役目です。
先輩と子供 終
乙
そろそろ次スレの時期か?
>>960 けっこう、面白いよ。
ちょっと儚げなところがいいな。
個人的には結構好きだな
次も期待してます。乙
なんか最初の方読んでイマジナリーコンパニオンの話思い出したわ
>>960 予想よりも面白い。
よく出来てる。
ただ、当然だがウニに影響を受けてるのが鼻につく。
意識的に似せようとしてるんじゃないのは判るんだが、
使いこなせていない。
たぶん、ウニの影響を捨てたほうが面白いよ。
まあ、ウニに憧れてます!同じ様になりたいです!ってのが見てとれる文だよな
ただいくらウニの背中を追って真似してもウニにはなれないから諦めろ、としか……
でも俺、お前の話嫌いじゃないぜ……///
面白ければそれでいいよ
969 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/12(火) 00:30:37 ID:SmDdoDi20
>>960 まとめサイト管理人ですが
転載してまとめていいですか?
>>969 本物?
まとめサイトのシリーズ物転載してい〜い?
無駄にだらだら話が長い赤緑より、
ずっとおもしろいし文章も上手い。
是非続きを投下して欲しいと思う。
出よ、メリー!!Щ(゜д゜)Щ
そして私に1000をお渡しなさい!!!
あ、因みにコレ私と渡してのをね、ry
974 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/12(火) 11:13:07 ID:zLs9o8HUO
おはようございます。
携帯からだと半角#が見つからなくて酉の打てない先輩の話を書いた者です。
賛否両論覚悟してましたが、思ったより賛が多くて驚きながら平伏しています。ありがとう。
ウニ氏のパクりは自覚しています。というより最初に読んだシリーズ物が師匠シリーズだったため、シリーズとはそうした物だという認識がありまして、つい寄ってしまう感じです。
じわじわ自分のやり方を探して行きますので今の内はご容赦ください。
転載についてはご自由に、むしろ転載先にこんな駄文が載っていいのだろうかと思うくらいです。
で、私現在絶賛稲刈り中なのですが、あまりにも退屈なので携帯から一つ話を投下しようと思います。
暇つぶしにでも読んでください。
この話は、二年の秋の話だ。
俺の実家は農家だ。
それも米農家。
米農家にとって秋とは、ズバリ収穫期であり、不本意ながらも長男の俺は、忙しい学業の合間を縫ってせっせと稲刈りに従事していたのである。
そこに先輩からメールがあった。
『見せたい物があるから来い』
俺は悩んだ。
多分面白い物だと思う。だが、俺は今稲刈りの途中だ。
確かに退屈極まりないのだが、放り出すわけにもいかない。
悩んだ末、返信は『今稲刈り中につき後日』にした。
暇な大学生と違って忙しいのだ俺は。
メールが途切れ、携帯をしまって、籾袋を軽トラックに乗せる仕事を再開する。
暫くして、田んぼの向こう、農道を歩く見覚えのある人物に気付いた。
麦藁帽子、首にタオル、ゴム長靴というテンプレートな農業ルック。
本人が生白くなければ、だが。
何故か満面の笑みの先輩がいた。
「よう。おばさんに場所聞いてな。手伝いに来た」
来なければ良かったのに。
いや、別に先輩は嫌いじゃない。むしろ尊敬しているが、この場にはあまりにも不似合いだし、恐らくまた質の悪い事を言いやがるだろうから。
「……何もたくらんで無いですよね」
975 :
こんな毎日投下して大丈夫なんだろうか:2010/10/12(火) 11:16:20 ID:zLs9o8HUO
一応確認してみる。
「勘繰るな。単純に稲刈りって見たこと無くてな。見たかったんだ、一回」
そういえばそうなのかも知れない。
先輩は中学までどこか都会に住んでいたらしい。
実家が農家って話も聞かないし、純粋に好奇心から見に来たんだろう。
多分。
「面白いもんでも無いですよ。昔ならともかく、今は稲刈り機でがーっとやっちゃいますから、風情もクソも無いし」
先輩は驚いた顔をしている。
「……鎌でやるんじゃ無いのか」
今度は俺が驚いた。
「終わりませんよ、鎌じゃ」
「だって、あの鎌で刈ってるの、お前の爺さんだろ」
「アレは稲刈り機が入れないようなところだけです。角とか、入口の前とか」
先輩は神妙な面持ちで「知らなかった」と呟いた。
それから先輩は、あまりない体力と腕力をフルに使って手伝ってくれた。
ちなみに籾袋が大体40kg。先輩にはギリギリの重さだったようだ。
以下、先輩の呟きと返答。
「俺も田んぼ買おうかな」
答え:田の売買が出来るのは、届けられている農家の家長のみ。長男あるいは父親。
「なんだ、貝がいるぞ。川から水引いてるのか」
答え:それはジャンボタニシ。害獣。川じゃなくて池。
「ヨーコがこれより重かったら抱き上げるの
976 :
変な所で切れた:2010/10/12(火) 11:19:48 ID:zLs9o8HUO
「ヨーコがこれより重かったら抱き上げるの無理だな」
答え:知らん。ちなみにヨーコとは、先輩の大のお気に入りの女性で現在熱烈求愛中。彼女もまた不思議な人だが、彼女の話はまたいずれ。
まあ、時折苦笑がもれたが、それでも一人より楽だったので、淡々と作業していた
しかしある時、先輩の視線がある一点で止まったのだ。
「あ?……あー」
稲刈り機の少し先、これから刈る稲の辺りをじっと見ている。
嫌な予感がした。
「何かいます?」
残念ながら俺には見えない。
先輩は決まり悪そうに頷いた。
「お前に見せたい物があるって言っただろ。アレ、実は持って来てるんだが、憑いてたヤツも一緒に来てたみたいだ」
説明している間に稲刈り機が進み、視線のある辺りに差し掛かる。説明している間に稲刈り機が進み、視線のある辺りに差し掛かる。
「あっ、あっ、あ……あーあ」
何事か起きたようだがやはり見えない。
「え、何ですか何なんですか」
問いただすも、軽く笑って流される。
仕舞いには
「まあ、もし混ざっても大丈夫だろ。そんなに強い奴じゃないし」
と宣った。
俺はそれ以上聞かなかった。
せっかくの新米が食べられなくなりそうだったから。
嫌〜な気分の俺とは対称に、先輩は帰りに乗った軽トラの荷台が気に入ったようで、とてもはしゃいでいた。
また乗せてくれと言われたが、金輪際ごめんだと思った。
977 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/12(火) 11:21:40 ID:zLs9o8HUO
後日。
籾の乾燥・脱穀が終わり、手伝ってくれたお礼に一袋どうだと先輩に言ってみた。
すると先輩は
「いやあ、流石にアレ混じりの米を食う勇気は無いなあ」
と爽やかに断った。
とりあえず、即日ヨーコさんに告げ口しておいたが、後のことは……知らない。
先輩と稲刈り 終
GJ
自慢していいぐらいの才能はあるよ。
ほんとうに惜しいのは影響を受けすぎな点だが、
そこの部分が根幹になってるとも思えるし、
書きたいまま突き進んでくれないか。
書くのに飽きる頃には自分のスタイルが手にはいるだろう。
>>977 乙です
上に同じく才能あると思う
これからも投下よろしく
ただいま稲刈り初日終了しました。
あれですね。褒められると面映いですね。
少し思ったのですが、話のネタは尽きないのですが、投下間隔はどのくらいなもんがいいでしょうか。
自分、恐らく他の作者様方より圧倒的に暇なので、書いてすぐ投下すると一日一本程度の速度になってしまいます。
しかしあんまり投下すると他の作者様方や読んでる方に迷惑かな?と思ったりして、ちょっと悩んでます。
>>980 書きためては、週1〜2のペースで投下がいいんじゃないかな。
あんまり頻繁だと、食傷気味になると思うよ。
まあ、はじめはある程度続けて投下でもいいかもしれないけどね。
>>981 書きためて一気に投下だと連投規制にひっかかって大変だろうし
読む方も一気に3話も4話もまとめて読むのは大変じゃない?
書いてすぐ投下でいいと思うけど
>>980 ガンガン投稿してくれ。
ウニ待ちの間のいい暇つぶしになるから。
時系列はウニの真似してバラバラにしなくてもいいんじゃないの?
バラバラにすることによって意味があるならいいけどないなら
時系列順の方がわかりやすくていいからさ。
週一くらいで
やっぱり週一くらいがいいですかね。
何話も一気にっていうのも、恐らく相当な数になってしまうので無理かなと思います。
とりあえず、週に三つくらいで、じわじわ減らしていく感じにしようと思います。
他の作者様方の降臨待ちにでもしてください。
>>983 時系列ですが、まあ好みの問題なのですが、「あ、あの時出てきた話だ」っていうのが好きなんです。
先に概要というか、こういうことがあったよっていうのを出しておいて、後からその話が出てくるとテンションがあがるわけです。
まあそういう演出のためだと思ってください。そのうちもっとハッキリ意味のある話を投下するつもりでもあります。
とりあえず、次レス来るまでおとなしくしていようと思います。
いろいろと失礼しました。
できれば固定ハンドル欲しいかも
トリップの適当な文字の羅列だとだれだかわかんにゃい
固定ハンドル=名前、ペンネーム
>>985 無理に減らさなくてもいいんじゃないの?
邪魔になるほど他の作品が多く投稿されてるわけじゃないし話しが書けたら投稿してもらえると嬉しい
名前は稲男にでもしておけ
素敵な名前を貰いました。
どうせそんなに投下ないから投げてもいいよって方もそれなりにいらっしゃるようですね。
許されるなら一日一本くらいの間隔で投げたいんですが、流れ見つつ、とりあえず二日に一つ投げる感じで・・・・・・。
新スレも立ったようですし、これからもよろしくお願いします。
という埋めレス。
992 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/12(火) 20:48:00 ID:N9+mA4Z3O
毎日書いて!
あー、また慣れ合いが始まった
作家様は信者に持ち上げられて嬉しいんだろうがいい加減にしとけよ
つーかどうせまた古参作家気取りが名前変えて投下してるだけだろ
新規(のつもり)で投下したあとの信者とのやりとりがいつも一緒だからバレバレなんだよ
994 :
自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/12(火) 21:43:48 ID:N9+mA4Z3O
ごめん
別に毎日でいいだろ。
ただ、叩く奴も必ず現れるので構わないようにな。
淡々とアップしてくれると助かる。
書きたいままに書くというのは大事だと思うから。
どっちにしろ毎日というのはそう永く続かないから。
毎日書いのも自由だし、それをやめるのも自由。
996 :
梅:2010/10/12(火) 23:58:10 ID:NHGajbu20
239 名前: 枯野 ◆BxZntdZHxQ Mail: sage 投稿日: 2010/08/21(土) 02:14:52 ID: K36XqKfnP 「一方通行」 1/2
俺の従弟が通っていた高校の近くに公園があった。
古くからある神社の裏手の高台に細長い敷地を持ち、
県道に面した側にブランコと滑り台がこじんまりとあるだけで、
もっぱら土日のゲートボールや夕方の犬の散歩に使われる広場である。
学校から一度坂を上り、公園の辺りで下り始めて私鉄の駅に出る。
そのため、彼らはよく学校脇の酒屋の様なコンビニの様な店でジュースや菓子を買い込み、
公園にたむろしては今週のジャンプやマガジンの内容について語り合ったり、
他愛のない追いかけっこをしたりして遊んでいたらしい。
ある時、そんな調子で遊んでいるうちに日が暮れて来た。冬の初めだったと言う。
男ばかりでそんなことを気にする者はなく、
皆学ラン姿なのに「色鬼する者寄っといで」などと騒いでいる。
風邪気味だった従弟は缶コーヒーを手にブランコに腰掛け、
ゆらゆらと揺れながら黒い人影が薄暮の中でぎゃーぎゃーとはしゃいでいるのを眺めていた。
すると公園の向こう側、神社の森がある側の道路にも黒い人影があることに気付いた。
ブランコは県道に背を向ける格好なので、仲間たちが駆け回っている広場の向こう、
ドウダンツツジの植え込みを挟んで細い道がある辺りまではかなりの距離がある。
赤紫色の夕暮れの中、人影が男か女か、若いのか老いているのか、それすらも判らない。
ただ黙々と列になり歩いて行く姿が見える。
道の向こうは不法投棄避けの高いフェンスがある。公園の短い辺とは言えそこそこの長さを、
フェンス沿いに連なって歩く人々が切れ目なく続くのは何だかおかしい。
従弟は暫くその列を見守っていたが、そっと立ち上がって公園の奥へと向かった。
997 :
梅:2010/10/13(水) 00:00:02 ID:1dJpHFOJ0
240 名前: 枯野 ◆BxZntdZHxQ Mail: sage 投稿日: 2010/08/21(土) 02:17:03 ID: K36XqKfnP 「一方通行」 2/2
植え込みがある所まで10m、5m、たそがれの中でも
何となく相手の姿が判って来る距離まで来ても、一人一人の個性が見えて来ない。
影は影で、ただ黒い人の形をしていた。それが左から右へ一列に歩いて行く。
しかし、良く見ると影は右に行くに従ってだんだん薄くなっている様な気がした。
「トモ!ピザまん買いに行こーよ!」
不意に呼び止められて振り返ると、白いマフラーをターバンの様に巻いた
訳の判らない姿の友人がぶんぶんと両腕を振り上げていた。
見れば他のメンツも巾着袋やらジャージの上着を変な格好に被っている。
急に緊張感が途切れて息を吐く。
いつの間にか息を止めていたらしい。
ハッとして背後の植え込みを見ると、距離は1mくらいまで縮まっていた。
その向こうに黒い人影はなかった。
その後卒業まで何度もその公園で遊んだが、そんなものが見えたのはその一度だけだった。
ちなみに、昼間にその道を歩いて確かめてみたところ、
細い道は民家のブロック塀で行き止まりになっていたそうだ。
ただ左から右へ。
一列に歩いていた黒い人達は、一体どこへ向かって行ったのだろうか。
998 :
梅:2010/10/13(水) 00:01:59 ID:1dJpHFOJ0
263 名前: 枯野 ◆BxZntdZHxQ Mail: sage 投稿日: 2010/08/21(土) 02:45:33 ID: K36XqKfnP 「刑場跡にて」 1/2
俺の従妹が劇団もどきのサークルにいたことがある。
もどき、というのは大掛かりな公演などをやらず、
ネットに朗読劇などを上げるのが主な活動内容だったからだ。
このサークルに籍を置いていた頃、親睦会と称して心霊スポット巡りをしたそうだ。
別にホラーの朗読をやっていた訳ではない。
今考えるとちょっとどうかと思うが、
有名なバトル漫画の戦闘シーンをラジオドラマ風に演じたり、
やたら独白の多い少女漫画を朗読したり、そんな遊びをするサークルである。
取材とか役作りとかではなく、どうやら主宰の趣味だったようだ。
そんな親睦会で、印象に残った場所がいくつかあると彼女は言う。
その話をしたい。
従妹の名前は仮に美保としよう。
薄曇りの春の日、一行が訪れたのは刑場跡だった。
行く前にイメージしていた程広い場所ではなく、
街中の、道路に挟まれた川の中州の様な僅かな空間。
外から見ると、古い街でたまに出会う稲荷社や地蔵堂の敷地の様だった。
賑やかに中に入って行く主宰以下仲間たちを見送って、
美保は何だか進む気になれなかった。
怖いとか気持ち悪い感じはしないが、
はしゃぐ一行を見てむしろそっちに呆れて乗り気になれない。
仕方なく2メートル程入って両脇に背の高い木が立っている場所に立ち止まり、
ああだこうだ言いながら奥へ進む背中を眺めていた。
ふと、頭上で音がした。
右側の木の上で、生木がキーコキーコと軋む音。木の葉がざわめく音。
風は殆どないから、鳥でもいるのかもしれない。
美保が何の気なしに音がした方向を見上げると…
常緑樹の青々とした梢に、黒ずんだ素足がにょっきりと生えていた。
999 :
梅:2010/10/13(水) 00:03:59 ID:1dJpHFOJ0
264 名前: 枯野 ◆BxZntdZHxQ Mail: sage 投稿日: 2010/08/21(土) 02:47:59 ID: K36XqKfnP 「刑場跡にて」 2/2
見間違いかとよく目をこらすと、脛から下の脚の上には黄ばんだ灰色の着物、
黒っぽい男帯、厚みのない薄い肩、袖から覗くこれまた黒ずんだ手、
重なり合う葉のあいだあいだに、着物姿の小柄な男であろう姿があった。
全体に彩度を落とした様に、全てが暗くくすんだ色合いだ。
男の足が乗っかっている辺りの枝が不自然に揺れて音を立てているが、
実際に人が乗っているにしては音は小さく、枝もしなっていない。
奇妙な光景だった。
彼女は基本的にそう言ったモノをしげしげと見たりしないことにしている。
こちらが見えていると悟られたら、都合の悪い事態が発生する場合がままあるからだ。
だが、その時は何だか呆気にとられて、爪先から頭の天辺まで眺めてしまった。
いや。
ちょっとよれた襟のあわせまで、確認した。
その上は見えなかった。木の葉の影が黒ずんだ肌色と重なって、顔は見えない。
どのくらいぼんやりしていたのか、賑やかな一行が戻って来た。
相変わらずきゃっきゃとはしゃいでいるが、そういえばこんな狭い場所なのに、
奥に行った彼らが騒ぐ声は不思議と聴こえていなかった。
昼食を食べに行こうと盛り上がる仲間たちの後ろについて刑場跡を出て、
入り口のところで振り返って手を合わせた。
見れば、少し離れた場所でもう一人手を合わせている仲間がいた。
木の上にはもう誰もいない様だった。
1000 :
梅:2010/10/13(水) 00:05:58 ID:1dJpHFOJ0
元スレがまだあったから貼り
1000なら平和なスレになる〜
1001 :
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千本目の蝋燭が消えますた・・・
新しい蝋燭を立ててくださいです・・・