1 :
本当にあった怖い名無し:
立たないから立てた
こっちでおk?
4 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 21:02:35 ID:ZgLdYxFC0
きた?
こわいいいいいいいいいいいい
6 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 21:03:23 ID:fXAAzJQq0
うんこしてくるから
8 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 21:03:38 ID:cUL6V3qx0
どっちだwww
9 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 21:04:02 ID:KavpD+gE0
11 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 21:05:26 ID:RYs9xlFY0
オツ!
りょうかーい
13 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 21:06:26 ID:bxWgoGj/0
で、どこで配信してんだ?
早くしろゆ、夜があけっちまうぜ
みなさん、本スレは語り部と進行係以外書込み禁止ですよ!
まだまだ俺たちの夜は始まったばかりだ!
百物語先生の次回作にご期待ください!
【語り部ルール】
○語る内容は実話っぽければ創作でもOKです。(※コピペは不可)
ただし、創作話は百物語が終わるまで創作であることを明かさないでください。
○不思議体験もOK。心配なときは受付用スレで訊いてみてください。
→(受付スレURL)
◯『読んだら呪われる、死ぬ』等、自己責任系の話はご遠慮下さい。
○差別的な内容を含む話も、投下をご遠慮願います。(荒れ防止の為)
◆◆投稿までの流れ◆◆
1.投稿する文章をまず、メモ帳等に書き起こします。(※コピペですぐに投稿できる状態にしておいて下さい)
2.投稿文が2レス以上になる場合は名前欄or本文に(現在のページ→)1/2(←総ページ数)を記載して下さい。
3.題名はあってもなくてもかまいませんが、●●文章の終わりには必ず【完】を入れて下さい●●
4.受付・業務連絡スレにてエントリーをお願いします。
→(受付スレ
http://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/occult/1213796101/)
受付時よりHNおよびトリップの記入をお願いします
*トリップの付け方:名前欄に #好きな文字列 (#は半角数字)
(例)百物語#100物語 → 百物語◆0RMolF8aAM …書き込むとこういう表示になります。
ちなみに表示された文字列(↑この部分)をコピペして書き込みをすると ◇0RMolF8aAM と表示されます。
トリップの文字列は忘れないよう、晒さないようにしましょう。
5.エントリー表にHNが記載されれば受付完了です。本スレにて進行役の指示がでるまでお待ちください。
*一度に複数話の受付は混乱を招く為、ご遠慮いただいております。一回につき一話ずつのエントリーでお願いします。
*受付順番をとばしての予約もお受けしておりません。(あくまで1.2.3→という形式での受付とさせて頂きます。)
6.本スレで進行役に誘導されたら、いよいよ話の投下です。
他の人が書き込んでいる途中で話を投下しないよう、●●書き込む前に必ず更新チェックをして下さい●●
「あまり恐くないかも」等の前置きは必要ありません。書き起こしていた文章をコピペで一気に投下しましょう。
●お経リンク集●
不動明王真言 FLASH
ttp://www.naritasan.or.jp/faith/shingon/ 般若心経音声 FLASH
ttp://jin.zen.or.jp/~sato/bunko/oto.html 光明真言 FLASH
ttp://www.kongohin.or.jp/recite2.html ●ちょっとしたお守り作成法●(過去スレから抜粋編集してくれた誰かに感謝!)
カッターでもペーパーナイフでも何でもいいから、剣の形をした物を用意。
日本酒をかけて、流水でしっかり洗って、水分が飛ぶまで拭う。
このとき「(自分の名前)の名において**と名付ける」といった感じで、名前をつけること。(名前は何でも良い)
この方法で作ったお守りは、捨てることになったらちゃんと感謝してあげて下さい。
なるべく古くて、かつ自分が信用できる(安心できる)刃物に名前付けたほうが効き目あり
守り刀は、鉄鋼関連が良いらしく、亜鉛合金や真鍮など卑金属は良くないそうです。
●肩が重いな、と感じたら…?道具不要の簡単な祓いの方法●(イノ ◆eTvJnGSoX6 氏提供 感謝!)
1.手を「熱く、ピリピリするような、しびれる感じ」がするまで高速でこすり合わせる。
2.「シャ!」と鋭く言いながら、肩のゴミを払うように、その手で払い去る。何回やってもok。
日本刀で切り下ろすような裂帛(れっぱく)の気合で(強く推奨)。
※シャ、は「しゃ血」なんかに使われる「しゃ」です。
汚れや悪いものを振り切る、拭い去る、というような意味合い。
3.周りが気になるなら、「気になる部分」がまとまって、
上空高くに吸い込まれていく様をイメージして終了(これは別にやらなくてもいい)。
※一番大切なのは「気合」だそうです
「またか」 1/2
私はトイレが怖い。
恐らくトラウマなんだと思う。
前回の百物語でも書いたが、「トイレの花子さん」らしき人(でいいのか?)と友達になってしまっているから。
でも、いい大人なのでまさか連れションなんか出来る筈も無く、大体は頭の中で下らない事を考える様にしてやり過ごす。
そして「長居したくないトイレ」は雰囲気で分かる。
そこがいくら綺麗だろうと、出来立てピカピカだろうと、慌しく用を足し、ベルトも半分締めた様な状態でトイレを飛び出す事になる。
「長居出来るトイレ」ならそれこそ本とか持ち込んじゃってかなりゆっくりする。
しかし稀に「長居出来るトイレ」だったはずの場所が「長居したくない(というか出来ない)トイレ」に変わる事がある。
一瞬で肌にぞわぞわ感が走り、私はトイレから飛び出す事になる。
前置きが長くなった。オチを言おう。
「トイレの花子さん」遭遇二回目。
しかも会社のトイレ。
会社の女子トイレなんか、ストレスを抱えた若い女性しか入らないから元々「長居したくないトイレ」だった。
でも先日、残業中にトイレに入ったら突然話しかけられた。
ド ● ● ● U○U○U
ア
●=洗面台 ○=個室
私は右端の個室にいた。
で、突然「お疲れ様です」と言われた。
「またか」2/2
最初、アメリカンジョークの
個室A「やぁ」
個室B「…?やぁ」
個室A「元気だったかい?」
個室B「えぇ、まぁ…」
個室A「…後でかけ直すよ、隣の個室にいちいち返事する馬鹿がいるんだ!」 な話かと思い、返事をしなかった。
そしたらご丁寧に私と彼女(でいいのか…?)の間の壁を「コンコン」とノックして
「こんなに遅くまで大変ね」と仰られる。
仕方ないので「まぁ仕方ないですよ。仕事ですからね」と答えて、トイレのドアを開けた。
こんなに親しげに話してくるのだから、きっと普段から割りと親しくしている人だと思っていた。
私がトイレのドアを開けた瞬間、彼女は「そうですね」と言った。
しかし左側の個室には誰もいない。
誰かがドアから出ていったという事も無い。
そしてぶわぁ、と体中に広がる鳥肌。
あぁ、またですか。またなんですね。このビル新築したばかりなのに、やっぱり何かいるんですね。
そして私はまだトイレの花子さんのお友達なのか…?
【完】
一本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY さん ありがとうございました…
ξ
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第 二話
徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQさん お願いします…
『建物(1/2)』
私が小学校の低学年だった頃。
いつものように授業が終わり、学校からの帰り道を一人で歩いておりました。
すでに自宅が見えており、もう100メートルも歩けば帰り着くというところ。
何の理由があったわけでもないのですが、ふと、左手側を見ました。
遠方に山が見え、中腹辺りには建物があります。
白い壁に囲まれており、距離が遠いため詳細は分かりませんが、一番目立っているのが
巨大なパラボラアンテナ。電波望遠鏡のようなその巨体(と言って、実際に電波望遠鏡を見た
事は無いのですが)を取り囲むように、白い壁やら、建物やらが建っておりました。
それを視認した後、私はまた前方を見ました。
そこで浮かぶ疑問。
……なんだ、あれ?
昨日まで、そんな建物、そこには無かったはず。いつの間にあんなものが建ったんだろう。
足を止め、また左手側を見ます。
……そこにはもう、何も無く。
ただ木が生えているばかりの山が、いつもの様に見えておりました。
さて、あの建物は一体なんだったのか。
あれから二十年近くが経ちますが、そのような建物が建つという話は聞きません。
ましてここは、四国の、何の変哲も無い田舎町。巨大なパラボラアンテナを建てても、
使い道が無いように思います。
そしてもう一つ、私は何故、それから目を逸らせてから、違和感を感じたのか。
……やはり、見てはいけないものだったのでしょうか。
(完)
二本目の蝋燭が消えようとしています……
徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQさん ありがとうございました…
ξ
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第 三話
ヨシオ様 お願いします…
29 :
影虎 ◆OTL/VNUGLY :2008/08/22(金) 21:30:07 ID:xWLnFyo+0
ヨシオ様代理投稿 「無題」1/2
深夜0時過ぎ
友人の家で酒盛りする事になって、
チャリ乗って一緒に家へ向かってたんだ
友人の住んでいるところは
どちらかというと田舎の奥まった方
最近開発されて、出来たばかりの空き家や空き地がいっぱいある
友人も最近越してきた。
その住宅街は綺麗で明るいんだが、途中妙な雰囲気のある神社と小さな川があって結構怖い
当然、夜遅いので辺りは超静か。
外出してる人なんていない
その頃は結構はっちゃっけてたんで(w)
友人と近所迷惑にならん程度にギャアギャア喚きながらチャリをこいでた
そんな感じで住宅街を中程進んだところで、人がいるのに気付いた。
直ぐにしゃべるのを止め、チャリをこぎつつ横目でその人たちを監視する。
20代くらいの若い女の人。
70代くらいの細身の爺さん。
それと3、4人の40代くらいの男の人達が薄汚れた白いワゴン車を取り囲んでいた。
一人の男がドアを開けて、女の人がそこに乗ろうとしている。
その後ろに並ぶように爺さんがいた。
みんな、無表情で黙りこくっていて
すごく異常な光景だった
こんな時間にチャリで自分らがすぐ横走ってても誰一人目もむけなかった
ヨシオ様代理投稿 「無題」2/2
なんだか見てはいけないものを見てしまったように思えて、
慌ててチャリの速度を上げようとしたら
普段楽天的な性格の友人が強ばった表情をしながら俺を追い抜いた。
住宅をすり抜けて、
40mくらい離れたところで我慢出来ずに口を開いた
「今の・・何だったのかな」
「新居見に来てたのかも・・・」
「こんな時間に?それに、車停まってたとこ空き地の前だったよ?」
「え・・じゃあ近所の人が親戚の集まりとかで車置いてたのかも」
「だからってあの雰囲気は異常だろ・・」
「・・うん」
季節は二月
そういえばあの人達は薄着だったなと思い出す
「そいや○○(俺の名前)、気付いた?」
「え、なに?」
「あの女の人、妊婦さんだったね・・・」
「・・・・・」
その後飲む気なくなって
友人ん家で明るくなるまでゲームしてた
急に産気づいて、車で病院へ行くところだったんじゃないとかも話し合ったけど、
思い出す限りあれは臨月のお腹ではなかったし、
それに何より、あの雰囲気がそれとは明らかに違っていた。
結局あの人たちが何者だったのかはわからないけど、
それ以来夜中に外出歩くのをやめた
オチがなくてスマソ
完
三本目の蝋燭が消えようとしています……
ヨシオさん ありがとうございました…
ξ
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第 四話
吉国さん お願いします…
吉国様代理投稿 仕事中体験した「50代男性」
95年春建設会社の営業の私はあるダムの建設工事の全体会議に参加する為、夜の内に現場に向かいました。
家から100km以上程離れた山奥のなので夕食後に出発し現場で朝まで寝ようと思っていたからです。
雨の中工事用道路を車で登り現場に着いたのは午前零時頃、少し読書をして寝る前にトイレに行こうと濡れるのを覚悟で車を出ました。
懐中電灯の明かりで周りを見渡すと、20m位離れた現場事務所の奥に草むらが在り
そこへ向かう途中、草むらの向こうの人影に気が付きました。
人影も此方に向かって来ます、工事関係者だと思い声を掛けましたが返事は無し
懐中電灯で顔を照らそうと思い光を上げかけると、「ケケケ」とか「キャキャキャ」って感じで笑いながら走ってきます。
逃げた私が先に車に入り鍵を掛け人影を見ると、男性で年齢は50代位、黒い長靴に作業ズボン、Tシャツは汚れて灰色
その親父は私の車のボンネットに上がると笑いながら暴れまわり、フロントガラスを蹴り始めました。
と、ここで私は気を失い、朝 現場監督に起こされました。ボンネットもガラスも被害は無く
スラックスと下着を替えそのまま会議に出席したのですが。
昼休憩で上記の草むらへ行くと足跡が2組、
前夜の雨で流された靴跡の中で私の靴と長靴の跡がくっきり残ってました。
【完】
四本目の蝋燭が消えようとしています……
吉国さん ありがとうございました…
ξ
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第 五話
4コ卵◆hcYOhjUtjg氏 お願いします…
4コ卵◆hcYOhjUtjg様代理投稿 【千コ卵】
父の勤務先に現場の若い人用の寮があったそうなのですが、ある時期、幽霊騒ぎがあったそうです。
夜になると、寮の外で人が歩くような音がするのに、誰か来たのかと思って出て見ても誰もいない、ということでした。
その話を聞いた怖いもの知らずの現場監督が、幽霊なんかいるかい!そんなら俺が確かめてやる、と言って
ある晩一人でその寮に泊まり込んだそうなのです。
夜になって雨が降り始め、何も出ないのでウトウトしだしたところ、突然外でじゃりっ、じゃりっと
土を踏む音が聞こえ始めました。
はっとして起き上がろうとしたところ、お約束のように金縛りに。
やがて音はどんどん近づいてきて、とうとう現場監督が寝ているそばの窓に女性の影が映って…
というところで、監督は気を失ってしまいました。
あの豪放磊落な監督が失神するなんて…ということで、会社としてもお祓いの一つでもするべきでは?という話になり、
社長がどこかから『拝み屋さん』を連れて来ました。
そのお祓いの方法は『千コ卵』と言って、卵千コを祭壇に積み上げて祈る、という何とも奇妙な方法だったそうです。
蛇の祟りか何かだったのでしょうか?
後になってその話を母から聞き、
『卵はその後どうしたの?捨てたの?そんな卵、呪いがかかってそうでいくら何でも食べられないよねー(笑)』
と訊ねたところ、
『もう何度も弁当に入れてるわよ。』
と言われてしまいました。
それから暫くの間、夜中に外の物音が気になって眠れなかった
のは言うまでもありません。
-終わり-
五本目の蝋燭が消えようとしています……
4コ卵◆hcYOhjUtjg氏 ありがとうございました…
ξ
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第 六話
あさがお ◆Asagao.7R2氏 お願いします…
「金縛りに遭ったことのない者が語る金縛りについて」
私は金縛りに遭ったことがないので、金縛りがどういうものなのかよくわかりません。ただ友人が
話すには、やはり何も出来ず、声を出すことはおろか息さえまともにできず、苦しくて恐ろしい、ということ。
そしてその状況もまた人により様々で、例えばただ動けなくなるだけで、とにかく苦しいだけ、
という人もいれば、天井に何かが見えるという人もいます。そしてそれが親戚の霊だったり
する人もいれば、何か恐ろしい、大きな顔が見えるという人もいるようです。
そういえば、私の兄弟もよく金縛りに遭うみたいです。いちど金縛りに遭っているところに遭遇しましたが、
とにかく苦しそうに唸っており、大きな声で呼びかけても反応がまるでないのです。
やはり何も出来ない状態になってるのでしょう…。もし私が金縛りに遭ってしまったら、この恐怖に
耐えられるのでしょうか…
ちなみに先述の親戚の霊が見えた子なんですが、霊が見えた当日にその親戚が亡くなったらしいです。
【完】
六本目の蝋燭が消えようとしています……
あさがお ◆Asagao.7R2氏 ありがとうございました…
ξ
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第 七話
・ヨシオ氏 お願いします…
ヨシオ様代理投稿 「無題」1/2
あれは確か去年の夏の百物語だったかな
右手に携帯と数珠、
左手には御守り(安産祈願のw)握って
超ビクビクしながら、電気とTV付けて部屋超明るくして一人でROMってたんだよw
朝方になってようやく百話終わって、
何も起きなくて良かったなぁー、さぁてもう外も明るいし寝ますかーって
電気とTV消して床に着いて数分、ようやく眠りかけた時、
「スイマセン」って、か細い男の声がして
次の瞬間、布団の中からTシャツをさっと捲られた
すぐに飛び起きて電気つけたけど、
怖がってよいのやら笑ってよいのやらで
眠気が覚めて、結局その日ようやく寝れたのがAM10時だった
で、友達から電話来て、
結局14時くらいに起きたんだよ
ヨシオ様代理投稿 「無題」2/2
あれは確か去年の夏の百物語だったかな
右手に携帯と数珠、
左手には御守り(安産祈願のw)握って
超ビクビクしながら、電気とTV付けて部屋超明るくして一人でROMってたんだよw
朝方になってようやく百話終わって、
何も起きなくて良かったなぁー、さぁてもう外も明るいし寝ますかーって
電気とTV消して床に着いて数分、ようやく眠りかけた時、
「スイマセン」って、か細い男の声がして
次の瞬間、布団の中からTシャツをさっと捲られた
すぐに飛び起きて電気つけたけど、
怖がってよいのやら笑ってよいのやらで
眠気が覚めて、結局その日ようやく寝れたのがAM10時だった
で、友達から電話来て、
結局14時くらいに起きたんだよ
眠いから、「あー、はいはい、うんわかったー」って適当に返事して
電話終わったら目覚めちゃって、リモコンに手伸ばしてTVつけたのよ
付けたとこがCMでさ、
チャンネル変えて画面が変わる瞬間 「 し ね 」 って、幼い子供の楽しそうな声が聞こえてマジでビビったわ・・
流石に怖かったから友達に電話しまくって恐怖を和らげたけど、
その後バイトで気分悪くなって倒れちゃったから(寝不足のせいかもしれんけど)
やっぱり何か来たのかもしれんね・・・
折角の夏休みだったけど、
それから休み中ずっと数珠付けて生活してましたww
完
七本目の蝋燭が消えようとしています……
・ヨシオ氏 ありがとうございました…
ξ
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第 八話
吉国氏 お願いします…
吉国様代理投稿 「交通事故」
戦後、警察署に奉職していた祖父の体験
昭和30年代 新潟の県北にも車が見え始めていた頃。
夜間、自損による交通事故が発生しました。
祖父と部下が現場に到着しすると救助を求める声がします。
急ぎガラスの割れた助手席を覗くと上半身だけの男が救助を求めていました。
救急車が到着する前に男は息絶えたのですが、下半身は車から30mも離れたところに倒れていたそうです。
【完】
八本目の蝋燭が消えようとしています……
吉国氏 ありがとうございました…
ξ
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第 九話
4コ卵◆hcYOhjUtjg氏 お願いします…
4コ卵◆hcYOhjUtjg様 その2【隅っこが怖い】 1/3
ちょうど今頃の季節、父が九州・博多へ出張に行った時のことです。
急な出張で事前にホテルの予約が出来なかったらしいのですが、運悪く近くで大きなイベントがあって、
なかなか空いたホテルが見つからなかったそうです。
そこで地元に住む友人を頼って、ようやく宿泊先を紹介して貰いました。
紹介された宿はホテルではなく、古い旅館でした。
ずいぶん古いな…と感じたそうですが、通された部屋はとても広く『ひょっとして一番良い部屋かも?ラッキー!』
などと暢気に喜んでいたそうです。
夜も更け、そろそろ寝るか…ということになり、TVとエアコンを消して布団に潜り込みました。
本当はエアコンは消したくなかったそうなのですが、タイマーの設定方法が分からず、
一晩中つけっぱなしにするわけにもなぁ、と思って消してしまったのでした。
ところが布団に入って間もなく、どういうわけか、部屋のある一カ所…足を向けている方側の隅っこが気になって
眠れなくなってしまったそうです。
4コ卵◆hcYOhjUtjg様 その2【隅っこが怖い】2/3
部屋の隅から漂ってくる異様な気配。
その場所が気になるけれども、怖くて見ることが出来ない。
布団を頭からかぶって何とか眠ろうとしましたが、季節は8月、汗びっしょりになって、とても眠るどころではありません。
涼を取るための手段を考えましたが、エアコンはリモコンが壁に作り付けになっているタイプで、
スイッチを入れるためには布団から出なければなりません。
更に布団に戻る際に、『気になる隅っこ』の方を向かなければならないので、怖くて無理。
窓にはなぜか簾が括りつけられて、開かないような状態になっていたそうです。
迷ったあげく、結局猛ダッシュでエアコンのスイッチを入れ、目を閉じて
また猛ダッシュで布団に潜り込んだらしいのですが、わずかな瞬間に例の『隅っこ』に何かの影がいるのが見えてしまったそうなのです。
父は外が明るくなるのを待って慌てて部屋を飛び出し、宿を紹介してくれた友人が迎えに来てくれるまでロビーで時間を潰し
たそうです。
友人はその旅館の馴染み客らしく、父が前夜のことを話すと、旅館の人に父が泊まった部屋について聞いてくれました。
旅館の人がしぶしぶ話してくれた話はこうでした。
4コ卵◆hcYOhjUtjg様 その2【隅っこが怖い】3/3
父の宿泊した前日、隣の部屋に宿泊していたグループがいました。
夜通し麻雀をしていたそうなのですが、その中の一人が突然気分が悪いと言って倒れ込んでしまったそうです。
後で分かったことによると、その人は心臓が悪かったらしいのですが、グループはその人を隣の部屋…
つまり父の泊まった部屋に寝かせ、そのまま麻雀を続けてしまいました。
結局その人は誰にも気づかれぬまま、亡くなってしまったそうです。
そしてその人が寝かされていた場所こそ、父が気になって仕方がなかった例の『隅っこ』だったのです。
いくら部屋がいっぱいだったからと言って、人が亡くなったばかりの部屋に泊めるなんて!
とその友人が文句を言ってくれたおかげで宿代はタダになったとか。
ちなみにその旅館、大昔は『遊郭』だったそうです。
-終わり-
九本目の蝋燭が消えようとしています……
4コ卵◆hcYOhjUtjg氏 ありがとうございました…
ξ
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第 十話
吉国氏 お願いします…
吉国様代理投稿 「日本刀」1/2
子供の頃この話を聞き私は耳をふさぎ泣いていたそうです。
去年帰省した際もう一度ちゃんと話を聞きたかったのと、私の子供にも聞かせたかったので祖父に願い再度、話してもらいました。
祖父が旧制新潟高等学校への受験を控え、兄弟のいない仏壇部屋で、受験勉強をしていた時の話です。
ある日の夜半、受験勉強をしていると後ろの方がザワザワするのですが振り返ってみると何も無い。
受験勉強をすると又ザワザワする、振り返えると何も無い、何度も繰り返すうち
「勉強の疲れによる精神作用」と判断した祖父は、気にしないことに決め勉強を続けました。
しかし次の日も次の日も同じことが続きます。果ては、休養日と決め早寝遅起した日の夜にも・・
さすがに気味が悪いが他に勉強が出来る部屋が無く、仕方なしに仏壇部屋での受験勉強を続けることにしました。
でもその日は、仏壇部屋の押入れにしまってある、日本刀を勉強台の脇に置いておくことにしました。
この刀は、祖父の叔父が、日露戦争に従軍した際持って行き五体満足で除隊出来たと言う刀で
曽祖父が大事にしていた刀でした。
吉国様代理投稿 「日本刀」2/2
その刀を脇に置き勉強を開始しました。12時を過ぎた辺りから毎晩続くザワザワ・・・
鞘ごと掴みサッと振り返るとそこには、5人の武士が鎧を身に着け車座に座り、
車座の真ん中で鎧を着た一人の武士が舞を舞っているようでした。
6人とも何処かに怪我をしていて舞を見つつ泣いていたそうです。
舞が終わり順番に何かを言った後、自害して行き、6人とも自害した後いつもの仏壇部屋に戻っていたそうです。
体が自由になった祖父は、曽祖父を起こしに行き一部始終を語りました。
曽祖父はまず「そういうことも有る」と言い「刀とはそういうものだ」とも言ったそうです。
後日、曽祖父本家と分家総出で新潟市のある寺に行き供養を済ませ、刀も寺に置いてきたそうです。
刀の由来は、高祖の父(祖父の曽祖父)が西南戦争に警視庁抜刀隊の隊員として従軍した際持ち帰った刀で有る事から
明治以前の事は分からず、刀については、曽祖父と祖父の叔父が残念がっていたそうです。
【完】
十本目の蝋燭が消えようとしています……
吉国氏 ありがとうございました…
ξ
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第 十一話
4コ卵◆hcYOhjUtjg氏 お願いします…
4コ卵◆hcYOhjUtjg様代理投稿 【真ん中の子供】1/3
以前、ちょっとだけ自転車通勤をしたことがありました。
自分が乗るようになると、それまで気にも止めていなかった他の自転車乗りの人達の姿が、急に目につくようになりました。
それで気がついたのですが、幼稚園くらいの子供を伴走させているお母さんを時々みかけるのです。
そのくらいの歳なら面白がって自転車と競走する子もいるかもしれませんが、
真夏の炎天下に汗まみれで死にそうな顔をしながらヨロヨロ自転車について走る子を見かけるたびに、
『あれって虐待じゃないのかなぁ…?』と思わずにはいられませんでした。
そんなある日、通勤の途中で見かけた自転車の親子連れ。
前籠に1才くらいの幼児、後ろの荷台には5才くらいの女の子、そして自転車について走る3才くらいの女の子。
3人の子供は姉妹なのでしょうか?上の二人は幼稚園の体操着のようなおそろいの服を着ていました。
見た瞬間あれっ?と思いました。
一番上のお姉ちゃんが走るならまだ分かりますが、走っているのは真ん中の子です。
荷台に座ったお姉ちゃんは、ニコニコしながら妹?と手を繋ぎ、
妹の方は繋いだ手を頼りに引き摺られるようにして走っているのです。
4コ卵◆hcYOhjUtjg様代理投稿 【真ん中の子供】2/3
心配になって暫くその家族の自転車のすぐ後ろを付いて走ったのですが、公園脇の遊歩道を200メートルほど走ったところで
繋いだ手が離れてしまいました。
お姉ちゃんの方は、楽しそうに『あ〜、離れちゃうよ〜〜』と笑って手を差し伸べますが、
どんどん自転車と女の子の距離は離れ、やがて女の子は走るのを諦めて立ち止まってしまいました。
汗びっしょりで肩で息をしているその子を残して、自転車は止まることなく、先へ進んで行きます。
その子に声をかけようか、暫く迷ったのですが、朝で人通りも多かったし、
お姉ちゃんも妹がついて来てないことが分かっているし、きっと母親もすぐ気づいて自転車を止めるだろう…と
言い聞かせてその場を離れてしまいました。
何より母親らしき人が一度もその子を振り返ることもせず、自転車のスピードを緩めることもなかったのが恐ろしかったので
す。
後になって声をかけなかったことを後悔したのですが、その話を姉にしたところ、
同じような経験があると言ってこんな話をしてくれました。
姉が自分の夫や子供達と一緒に家族旅行に行った時のこと。
4人でバイキング式の朝食をホテルのレストランで楽しんでいると、後から小さな男の子3人を連れたお父さんが
向かいのテーブルにやって来ました。
子供達はみんなお揃いの地味な柄のアロハシャツを着ていて、一目で兄弟ということが分かったそうです。
何故かお母さんらしき人は一緒ではありませんでした。
4コ卵◆hcYOhjUtjg様代理投稿 【真ん中の子供】3/3
子供達をテーブルに待たせると、お父さんは子供用の椅子を二つ持って来ました。
当然下の二人の子のために持って来たのだと思ったら、座ったのは一番上の子と一番下の子。
あれっ?と思い、姉は気になってチラチラそちらを見ていたらしいのですが、
その後も父親は、料理を上と下の子だけに取ってやり、真ん中の子には食事も取らせず全く無視しているのです。
真ん中の子は誰にも声をかけて貰えず、椅子に座ることもなく、ただ寂しそうにテーブルの周りをウロウロしています。
姉は、虐待??いやいや、先にお母さんとご飯を食べていたのかも…と、なんとか良い方に考えようとしたそうです。
席が近かったこともあり、その場では姉は黙っていたそうなのですが、レストランを出た後で夫に
『さっきのあれって虐待かしら?』
と話を振ったところ、夫はキョトン…。
『えっ、気がつかなかった?隣のテーブルで、子供3人連れたお父さんが…』
『子供3人?子供は2人しかいなかったよ?』
姉以外の家族には、子供は2人しか見えなかったそうなのです。
姉が絶対もう一人居たと言い張っても、
『あんなに近い場所で長い時間居合わせたんだから、見間違うはずがない』
と全員に口を揃えて言い返されたとか。
姉に『あんたが見た自転車の女の子も、案外他の人には見えてなかったんじゃない?』
と言われ、確かに3才くらいの女の子が結構スピードの出ていた自転車に数百メートルも
伴走するというのもおかしいような気がして来ました。
でも、霊だった、と思いたいだけかもしれません。
もしあの子達が生身の子供だとしたら…
そっちの方が恐ろしいと思いませんか?
-終わり-
十一本目の蝋燭が消えようとしています……
4コ卵◆hcYOhjUtjg氏 ありがとうございました…
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第 十二話
吉国氏 お願いします…
吉国様代理投稿 「日露戦争」
祖父の叔父が日露戦争に行った時の話。
当時は、部隊間・前線と司令部の連絡は、有線で行われていて、砲撃によりしばしば寸断され、
伝令を使い司令部から前線部隊へ、命令伝達や前線の状況を司令部に報告したりしていたそうです。
彼(祖父の叔父)も新発田連隊付の伝令将校として司令部と前線を何度も行き来したそうです。
夜間も戦闘が継続したそうですが、伝令として両軍の死体を避けながら走っていると、
体が半分吹き飛ばされた者・頭に下顎しか乗っていない者・前進焼け爛れた者など
確実に死亡していると思われる兵が閃光に照らされる暗闇の中を徘徊しているのを何度も見たそうです。
一度、徘徊する頭の半分無い兵をよく見ると、彼の従卒(身の回りの世話をする兵)だった某だと気付き
凝視していると、某の方も彼に気付き「大尉殿、大尉殿」と残った片目から涙を流しながら
彼に近付いて来て手を掴むと彼を導きました。
そこには某の死体が有り、某は背中に弾の抜けた後しかない死体があったそうです。
戦後、金屋村という所の某の家に行き、遺髪を渡し彼の見た某の立派な死に方を伝えたそうです。
【完】
十二本目の蝋燭が消えようとしています……
吉国氏 ありがとうございました…
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第 十三話
枯茶 ◆QecdIjob3g氏 お願いします…
【013/100】
『悲しい手』
1/3
数年前の夏、新婚の友人が嫁さんの田舎に帰って経験したことです。
友人の嫁さんには兄弟姉妹が多く、甥や姪がいっぱいいて名前と顔が覚えきれないぐらいだったそうです。
お小遣いをあげるとき、出て行くお金が半端じゃなかったと苦笑いで言ってました。小料理屋で飲みながら
そのときの話しを聞いていたのですが、ふと友人の顔が曇って、実はこんな事があったんだがどう思う、と
話し出しました。ビールのジョッキを丁度おかわりしたところで、まだ酔ってるようでもありませんでした。
庭先で花火をやることになって、大勢の甥・姪がにぎやかにしていたそうです。上は高2で下は保育前、
それぞれお互いに面倒みながら楽しく準備していて、田舎暮らしで育つのも中々いいもんだななどと思って
その光景を眺めていたそうです。そんな時に、ひとりの女の子がシクシク泣き出しました。お気に入りの花火が
自分に回ってこなくてすねているのか、女の子のお姉さんもまわりのいとこ達も困ったようにしています。
しかしわがままで泣き散らしてるのじゃなくて、本当に悲しそうにすすり泣いているのです。そこで友人はその
女の子の姉妹を連れて、近くの店まで花火の買い足しをすることにしました。
2/3
女の子の姉妹と友人は手をつないで、歌を歌いながら夕方の道を浴衣で歩いたそうです。はにかむような
笑顔になった少女を右手に、少女のお姉さんを左手に握って、友人は少し安心しながらゆっくり歩いていました。
すると道端から突然、蛙が飛び出しました。小さな緑色のアマガエルだったそうです。そして次から次へとそれが
飛び出してきて、すぐに十匹ぐらいの集まりになりました。最初はびっくりしてた少女も、歓声をあげて蛙に近づいて
いきました。小さいひざを折り曲げて蛙を観察しています。
しかし友人はすぐに妙な事に気づきました。目の前で小さな背中を見せている少女とは、ついさっきまで手をつな
いでいたはずなのに、それが振り払われる感触もなく離れていったことです。では右手に今握ってるものは何?
と右側を見ると、涙の跡をほほに残した少女がいました。顔かたちはそっくりで、でも笑い顔にはなっていない
悲しげな表情のままです。友人は左手の少女のお姉さんを見て、つないだ手を少し振ってみました。お姉さんは
仕方ないねえ、というおませな表情をしましたが、友人の右手の方を見ても何も言いません、気づいてないようです。
いったいどういうことだろうと、日常の見当識を失ってしばらく茫然としていたと友人は言います。
やがて蛙を見てた少女も右手に戻ってきて、三人で歩き出しました。そのとき涙の跡の少女は、蛙の少女と
重なり合うように溶け込んでいったそうです。このとき初めて友人は体に震えがきました、が、黙っていたそうです。
3/3
あとで親戚の人達から聞いた話だと、蛙の少女には姉のほかに双子の姉妹がいたのだけど、何年か前に事故で
亡くなったのだそうです。それ以来、蛙の少女は口数が少なくなり静かな独り言が増えた。健気に振舞ってはいるが、
どこか内気な様子になり、はかなげに感じられて、折に触れ周囲の涙をさそってるとのこと。
でも友人が言うには、みんなで花火をしている時の少女は、泣き顔と笑い顔の二重写しから、とっても楽しそう
な笑顔に変わっていったということです。友人は3杯目のビールを待つ間、遠くを見つめるようにしてため息をつき、
「今になって、本当にせつなく思うのは・・・」と語りだしました。
「あの少女が蛙を見に駆け出したとき、俺の手に残ってた小さな手が・・・」友人は自分の手を見つめています。
「びくっとして心細そうに俺の手を握ってきた・・・小さな指で・・・。」運ばれてきたビールをその手で受け取りました。
「あのすがりつくような感触が忘れられん。」そう言って、ビールをぐいっとあおりました。
言葉を失くして友人の話を聞いていた俺は、一言こういうのが精一杯でした。「でも・・・幸せそうでよかったよな。」
友人はさびしそうに笑いました。「うちの2歳になる娘な。このごろ一人遊びの中で『お姉ちゃん・・・』っていうんだ。」
−完−
十三本目の蝋燭が消えようとしています……
枯茶 ◆QecdIjob3g氏 ありがとうございました…
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第 十四話
吉国氏 お願いします…
吉国様代理投稿 「馬の警官」
祖母から聞いた話。
祖父が日本の警察から出向で朝鮮総督府高等警察課(単身赴任)にいた頃、祖母と叔父叔母たちは、
祖父の職掌上 「全羅道 茂朱」と言う田舎の外れに居を構え、現地人に裁縫や料理を教え、
孤児を引き取ったりと忙しく過していたそうです。
そんなある日、村出身の警官が馬で村に入ってきました。
彼の話によると
・馬賊がもうそこまで来ている
・茂朱警察署員も向かってきているが間に合わない
・馬賊の構成人数は、これこれでこうである
・署員が到着するまで死守されたし
との事、村の男は火打ち式猟銃を、馬の警官・祖母や叔父達は祖父のライフルを持ち警官の指示の元、
村の外塀・内塀を盾に馬賊に応戦しました。
村人が1人亡くなり叔父も左足に銃創を受けましたが、馬賊は、村を諦め散っていったそうです。
やっと到着した茂朱署員が言うには、
「何の連絡もなしに防備できたのは何故か?」
「貴村民は、いつも銃を携帯しているのか?」との事。
村の代表が馬の警官の話をすると、
「道中、彼の死体を発見しトラックに積んである」
と言われ、村人がトラックの中を覗くと“馬の警官”の死体が頭と胴体別々に置いてあったそうです。
戦後祖父が作らせた、彼の位牌が今でも叔父の家の仏壇においてあります。
【完】
十四本目の蝋燭が消えようとしています……
吉国氏 ありがとうございました…
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第 十五話
ねこ ◆wnkrgVCnXg氏 お願いします…
『キャンプ場にて』 1/2
私が小学5年生のとき、市内のキャンプ場でテントを張り一泊する
という林間学校のようなものがありました。
夜、私のテントから10メートルほどの距離にある男子のテントの上を、
大きな青いシャボン玉のようなものが、ふわふわと飛んでいるのを
友人が見つけました。
「男子が懐中電灯かなんかで遊んでるのかな?」
「でもさ、光って球体にはならないよね」
「じゃあ・・・人魂?」
などと話していると怖くなり、テントの中に隠れました。
すると、その直後土砂降りの雨が降ってきました。
テントは危険だということで、生徒は全員管理棟のような建物に
移動することになりました。
女子は会議室、男子は部屋が足りないので廊下や階段に寝ることに
なりました。
『キャンプ場にて』 2/2
部屋に入ると、私を含む同じテントにいた6人で丸く座り、怖い話を
始めました。
(もうすぐ私の番だ)と思っていると、目の端に白いものが見えました。
窓の外に何かあるのかと見ると、白いワンピースを着た女の人がゆらゆら
揺れながら立っています。
土砂降りなのに濡れてない・・・しかもここは3階で、人が立つような
場所はないはずです。
(うわ〜見ちゃった〜)と思っていると、私の向かいに座った子も
窓の外をチラチラ見ていて、私と目が合うと困ったように笑いました。
白い服の女の人は、「早く寝ろ!」と入ってきた先生に気を取られた
一瞬の間に消えていました。
次の日、帰る道すがら窓の外を見ていた子に女の人の話をすると、年齢や
服装、髪型などが一致したのでゾッとしました。
そして、とどめの一言。
「あの人が揺れてたのはさ、あそこの木で首吊りしてたからだよ」
テントの上を飛んでいた人魂は、あの女の人だったのでしょうか?
【完】
十五本目の蝋燭が消えようとしています……
ねこ ◆wnkrgVCnXg氏 ありがとうございました…
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第 十六話
吉国氏 お願いします…
吉国様代理投稿「磐越道車道」
磐越自動車道のトンネル工事が沿線のいたるところで行われていた頃。
現場にバックを忘れた現場監督が、建設途中のトンネルに戻ってきました。
その現場は事故が多く「型枠」がはずれ骨折する者、パイプですねを打つ人などがいました。
工期も遅れ、監督もなんとなく作業員全体の雰囲気がおかしいと思っていたそうです。
その発電機の止まり明かりの無いトンネルの中は暗闇で、ヘルメットのライトを頼りに
300mほど先の資材保管庫(プレハブ)へ向かいました。
半分を過ぎた辺りから「ワーー」と歓声とも耳鳴りとも聞こえる音が聞こえ始め、怖いながらも進んで行くと、
とつぜん「バババ」大量の爆竹を鳴らしたような音がしました。
びっくりした彼は、持てる力の限り車に向かい走り、車に駆け込むと現場を後にしたそうです。
後日、ふとしたことから原因が分かりました。トンネル入り口の山の掘削場に苔むした岩を作業員が見つけ、
裏返してみるとそこには戊辰の役での戦死者32名の名前が彫ってありました。
掘削中に気付かず碑のあった山ごと削ってしまい、滑り落ちたまま放置されていた様です。
急遽、慰霊祭が行われ滞り無く落成を迎えることがました。
この話は慰霊祭に参加した際、私が監督から聞いた話で戊辰の役と無関係では無い私は、
悲しい気持ちになったのを覚えています。
監督は磐越道開通後、妻子を残し行方が分からなくなり十数年たった今「死亡認定」されています。
【完】
十六本目の蝋燭が消えようとしています……
吉国氏 ありがとうございました…
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第 十七話
徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQ氏 お願いします…
『夜釣り』
この春の送別会の時、お世話になった係長さんから聞いた話。
その人は釣りが趣味で、特に夜釣りにハマっているそうで。
こんな話をしてくれました。
その日も、四国の某所の岩場にて釣り糸を垂らしていたそうです。
天気は快晴、時刻は深夜。空には月が見え、風も無く、波は穏やか。
良い気分で釣り糸を垂らしていると、漁船が一隻、すーっと近付いてきました。
……おかしい。エンジンの音がしない。それに、電灯の類も点いてない。
前述しましたが、波が穏やかな日のこと。
そして場所的に、船が流されてくるとは考えにくい。
月明かりを頼りに、よく目を凝らして船室の中を見ようとしてみますが、どうしても、
中に乗っている人は見えなかったそうです。
その人は、そそくさと荷物を纏めると、相変わらずゆっくりとした速度で海の上を進んでくる
漁船を尻目に、その場から立ち去りました。
それ以外に色々気味の悪い所にも行ったけれど、やはり釣りはやめられない、とのこと。
趣味人は強し、といったところでしょうか。
(完)
十七本目の蝋燭が消えようとしています……
徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQ氏 ありがとうございました…
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第 十八話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
「追いかけっこ」
仕事帰りにふらりとドライブに出掛けた。
4月の事。ふと満開の桜を見たくなり、隣の市のS神社(桜の名所)まで向かった。
時刻は21:00をとうに過ぎ、誰もいない。道路沿いの街頭がぽつん、ぽつんとあるのみ。
最近買い換えた携帯電話で桜の写真を撮ろうと試みる。
辺りが暗いせいか、今時オートフォーカスがついていないせいか上手く撮影出来ない。
黒すぎる黒に、ほんの一つ二つ薄桃色の丸が写っただけだった。
その帰りに、墓地の前を通った。
小さい頃母から良く聞かされた、人魂が出る墓地の前。
仮に人魂が出たってこちらは車。アクセル前回で逃げ切ればいいと恐怖心を押さえ込み車を飛ばす。
墓地の前を抜けて、一安心して何気なくバックミラーを見た。
いる。
薄桃色の球体がついて来ている。
私はパニックになり、そこから自宅まで一度もバックミラーを見ずに逃げた。
それ以来。
夕方、または夜暗くなってから車に乗る時、私は音楽を大音量でかけている。
それに合わせて結構な大声で歌う。明らかに変な人だが、怖いよりマシだと思っている。
だって、あの日に見た薄桃色の球体がついて来ている。車に乗る度ついて来ている。
最近では自宅近辺に近付けば近付く程恐ろしさが募る。
エンジンを切ってから荷物を抱え、キーを取り、ドアを開け玄関まで猛ダッシュだ。
多分、もう少しで追いつかれると思う。
だってあの時撮った写真の丸が増えている
【完】
十八本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 ありがとうございました…
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第 十九話
笑う猫氏 お願いします…
笑う猫様代理投稿 「秋田大飢饉」1/2
天保4年の晩秋、夜も更けた頃、この南村に異形の者が迷い込んできた。
ふらふらとさまよい歩くその躰は人であるが、頭部はまさしく牛のそれであった。
数人の村人がつかまえようとしたその時、松明を手にした隣村のものが十数人現れ、鬼気迫る形相にて
「牛追いの祭りじゃ、他言は無用」
と口々に叫びながら、その異形の者を捕らえ、闇に消えていった。
翌日には村中でその話がひそひそと広がったが、誰も隣村まで確認しにいく者はいなかった。
また、その日食うものもない飢饉の有様では、実際にそれどころではなかた。
翌年には、秋田藩より徳政令が出され、年貢の軽減が行われた。
その折に隣村まで行った者の話によると、すでにその村に人や家畜の気配はなかったとのことだった。
それ以後、近づく者もおらず、今は久しく、その村を知るものはいない。
笑う猫様代理投稿 「秋田大飢饉」2/2
重苦しい雰囲気の中で宿の主人は話し終え、そそくさと後片づけのために席を立った。
役人はその場での解釈は避け、役所に戻り、調査台帳をまとめ終えた頃、懇意にしていた職場の先輩に意見を求めた。
先輩は天保年間の村民台帳を調べながら考えを述べた。
大飢饉の時には、餓死した者を家族が食した例は聞いたことがある。
しかし、その大木のあった村では、遺骸だけではなく、弱った者から食らったのであろう。
そして生き人を食らう罪悪感を少しでも減らすため、牛追いの祭りと称し、牛の頭皮をかぶせた者を狩ったのではなかろうか。
おまえの見た人骨の数を考えるとほぼその村全員に相当する。
牛骨も家畜の数と一致する。
飢饉の悲惨さは筆舌に尽くしがたい。
村民はもちろん親兄弟も、凄まじき修羅と化し、その様はもはや人の営みとは呼べぬものであったろう。
このことは誰にも語らず、その村の記録は破棄し、廃村として届けよ。
この言葉を深く胸に受け止めた役人は、それ以後、誰にもこの話は語らず、心の奥底にしまい込んだ。
「 完 」
十九本目の蝋燭が消えようとしています……
笑う猫氏 ありがとうございました…
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第 二十話 は しばし、お待ちください…
第 二十話
プリスマ氏 お願いします…
75 :
プリスマ:2008/08/22(金) 22:32:59 ID:G93wp+Lq0
「閉まらずのトイレ」
父が通っていた中学校の話。
その中学校の男子トイレには、ひとつだけ使用不可能な個室トイレがありました。
別にいわくつきというわけではなくただ単に故障していただけなんでしょうが、
そのトイレは「開かずのトイレ」ならぬ「閉まらずのトイレ」と呼ばれていました。
誰も使わなかったので鍵をかけられることがなかったためにそんな名前が付けられたそうです。
ある日の休み時間、父のクラスメートがクラスに入ってくるなり、「閉まらずのトイレに人が入っている!!」と言ってきました。
そのトイレが、故障していることはみんな知っていたので、面白がって父と友人数人で見に行くことになりました。
行ってみると確かにトイレのドアが閉まっていました。
みんなで、「ここでしても流せねーよwwwwwwww」「コイツ誰だろう?」みたいな話をしていると、鍵が開いて中から人が出てきました。
その恰好が、真夏にもかかわらず、帽子、コート、手袋、ズボン、マフラーの全身黒づくめで、物凄い目でギロッと睨んだ後、トイレを出て行きました。
みんなで「誰だ?」みたいな話をしていると、一人だけ様子がおかしい奴がいました。
そいつは、最初に『閉まらずのトイレに人が入っている』と言っていた奴です。
どうしたのかと聞いてみると、彼は震えながら話し始めました。
実は、あのトイレには誰かがいるはずがない、と。
彼はみんなをからかってやろうと思って、閉まらずのトイレの内側から鍵をかけて、トイレの壁を登り隣の個室から出たそうです。
では、一体あの個室から出てきたのは誰だったのでしょうか?
その後、しばらくしてそのトイレの鏡が外されたそうです。
終
二十本目の蝋燭が消えようとしています……
ブリスマ さん ありがとうございました…
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第 二十一話
暫定まとめ人 逝きます…
第21話 【T岳】 1/2
飲み会で聞いた話。
「T岳って、知ってるよな?2000mもなくて、高山植物も豊富だし、ロープウェイもあるし、
スキー場もあるところ。最近だと岩登りでも有名らしいな。きれいな山だし、人気あるんだよ。
地形とかも、沢が多いところも、気をつけていれば初心者にも登りやすいし、面白い。
けど、な。あれ、結構、人を呑み込んでいるんだよ。7〜800名位だったかなあ。びっくりするだろ?
エベレストですら、登山者なら200人も飲んでないのに、だぞ。
だから素人に冬のT岳はお勧めしない。夏に行け。」
「いやぁ、山登りは狂おしく遠慮いたしますwww 自分は高原で温泉派なんでwww」
「ならいいけどな。俺が山登り好きだってのは知ってるよな?技術も体力も専用の装備も勿論ある。
そういう訳で、冬に行ったわけだ。 でもなあ。天気チェックして、ビバークポイントとか
万全の準備はしたのに、天候急変した挙句、ホワイトアウトした。
ま、緊急避難はしたさ。だけど雪はどんどん激しくなってくるし、ヤバイかな?と思ったら…
足首、いきなりつかまれたんだよ。」
「さすが、”救難活動最後の砦”、小松救難隊ですな。」
「松本まで、切符四枚…松本まで…、って違うわい!
遭難届出す前から救難隊に足首つかまれたら誰だってびっくりするわ!
とにかく、足首つかまれたんだよ。
で、必死で振りほどこうとしたんだけど、なにやっても外せない。
こいつ、って思って目線を向けたら、さ。無いんだよ。」
「無い?何が?」
2/2
「感触は間違いなくある。なのに、
…自分の足は見えるのに、つかんでいる手がどうしても見えないんだ。
しかも、これが冷たい手ならまだしも、暖かいんだよ、その手。男の手。
で、だんだん、だんだん眠くなってきて…
ヤバイ、寝るな自分、と思っても体が温まってきて、瞼が重くなってきて。
ああ、もう寝るな、意識も、朦朧として、混沌として、少し寒くて、
…無意識に腕を組んだ。
そうしたら、急にトイレに行きたくなったんだよ。しかも切羽詰りまくり。
冬山で下手にトイレはできんから、慌てて足首の辺り 振り払った。
眠気も飛んだから、すぐに下山したんだけどな。
あん時寝ちまってたら、と思うと身が震えるよ。」
「なんで腕組んだら意識戻ったんだろうね?」
「あー、帰ってから見たら、お前さんにもらったお守りを、胸ポケットに入れてたよ。」
「そうだ。あのお守りにまつわる、もう一つの山話があってだな……」
その話はまた、次の順番の時に。【了】
二十一本目の蝋燭が消えようとしています……
暫定まとめ人 終了…
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第 二十二話
赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI 氏 お願いします…
80 :
赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI :2008/08/22(金) 22:39:32 ID:GXa4Wwn00
第 二十二話 【登っ下さい】 1/2
去年の夏、友人と2人で奥多摩へハイキングに行きました。
途中でハイキングコースを外れて獣道を登って行ったのですが、1本の木に張り紙がしてあったのです。
【登っ下さい 賞金あげます→】
「なんだコレ?てが無い、てが抜けてるよ、登っ下さいになってる、でも面白そうだな、行って見るかW」
友人が笑いながら僕の顔を見たので、僕も頷き→の示す方角へ登ることにしました。
しばらく行くとまた木に貼り紙がしてありました。
【あと30メートル ガンガレ→】
「ガンガレって、これ貼ったのは2ちゃんネラーかW」
さらに進むとまた貼り紙が「あと10メートル→」
やがて「おめでとう、ゴールだよ、賞金の1万円進呈→」の貼り紙を通り抜けると、平らな丘に出ました。
丘の正面にはゴールの貼り紙がしてある1本の木があり、その手前の地面には青いシート敷かれあった。
そのシートの横には立て札があって、「落とし穴危険」と書いてある紙が貼られていた。
それにしても何だかその場所は臭かった、何か肉が腐ったような臭いがした。
何か嫌な感じがした。
問題はゴールと書いてある紙が貼られた木だった。
その木の幹にはロープが巻き付けられていて、ロープには手錠がかけられていた。
手錠のもう一方の輪には人間の手首が付いていたのです。
しかもその手首は下に垂れ下がっているのではなく、どう見ても空中に浮いてるように見えた。
そしてその指の間には1万円札が差してあった。
81 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 22:41:07 ID:JeK+ILpI0
VIPからきますた
82 :
赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI :2008/08/22(金) 22:44:06 ID:/BL945Ee0
【登っ下さい】 2/3
僕たち2人は青いシートの横を通り、ゴールの木の真ん前まで近よりました。
その手首は本物ソックリに見えました。
浮遊しているトリックが何なのかは分かりません。
「さすがは2ちゃんネラー、タチの悪いイタズラをするよな」友人が呟きました。
その時、僕は誰かに見られているような気がしました。
強い視線を感じたのです。
何かとても不安な感じがしてココに居たらダメだという感覚に襲われました。
「でもこの1万円札は本物みたいだぞ、遠慮なく貰っておこう」
そう言って友人が万札を抜いた瞬間、「うわぁッ!」友人が短い悲鳴をあげた。
今でもその時、何が起こったのか分かりません、瞬間的な出来事でした。
いつの間にか最初に浮遊していた手首が消失して、その代わりに友人の手首が手錠に繋がれていたのです。
僕はサバイバルナイフを取り出して幹のロープを切ろうとしました。
ところがそのロープは特殊な素材でできているのか、全く切れないのです。傷1つ付かなかった。
「下に降りて警察を呼んでくる」
「頼むわ」とションボリして友人が答えました。
別府からきますた
84 :
赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI :2008/08/22(金) 22:46:06 ID:/BL945Ee0
【登っ下さい】 3/3
僕が友人に背を向けて青いシートを通り越したあたりで
「ウワアアアアアーッッッ〜」という物凄い絶叫が背後からしました、友人の声です。
振り返ると友人が消えてたんです。
そして手錠の輪の中には友人の時計をはめた手首だけが残ってました。
地面と平行に浮遊しながら切り口からは血が滴り落ちてた。
僕はパニックを起こしてその場から走って逃げました。
途中、木々の間から笑い声が響いた
「てがないよ〜ヒャヒャヒャヒャッ〜」
地獄の底から発せられたかのようのガラガラ声。
僕は獣道を転がるようして下山しました。
友人の家族にも警察にもこのことは言えないでいます。
言えば僕が殺人犯として逮捕されるのがオチだからです。
友人は今でも行方不明のままです。
【完】
二十二本目の蝋燭が消えようとしています……
赤井太郎 ◆VMdQS8tgwI 氏 ありがとうございました…
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第 二十三話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
「夜道」
割と最近の話だ。
普段、最寄駅から家までは車で通勤しているのだが、その日はたまたまバスで来ていた。
帰りもバスの予定だったが、思ったより帰宅が遅くなり、終バスは行ってしまっていた。
徒歩20分程度の距離だし、たまには歩くのもいいかと思い、街頭の殆ど無い暗い夜道を歩いていた。
ちなみに、住んでいる所が結構な田舎の為周りは田んぼだ。
蛙の声しか聞こえない夜道をひたすら歩いていくと、ふと違和感を感じた。
何の音なのか…はっきりしないが、何か音が近付いて来る。
敢えて表現するなら「こつ、こつ」という音だった。
女性が履くヒールの音とも違う。
その「こつ、こつ」は次第に「かち、かち」に変わった。そして「かきん、かきん」に。
金属質な音に不安を覚えて辺りを見回すが何も無い。もちろん、誰もいない。
ちょっと足を速めると、その音が私の後ろ5m位をずっと、ついてくる。
急に恐ろしくなって思いっきり走り出すと、その音も、ついてくる。
「かきん、かきん、かち、かち、かち、かち、こつこつこつこつこつこつこつこつ」
駄目だ逃げられない。思い切って振り向いた。
あちこちが壊れた自転車がそこにあった。そして私の真横をすぅっと通り過ぎて行った。
それを目で追うと、丁度T字路だった為左に曲がって、そのまま田んぼの畦道をずぅっと、走っていった。
明かりが無いので、すぐに見えなくなった。音だけが遠ざかっていった。
チェーンが外れかかっていた。誰も乗っていなかった。ペダルも回っていなかった。
何故、誰も乗っていない自転車が動いていたのか。謎のままだ。
追いかけられてばかりである。
【完】
二十三本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 ありがとうございました…
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第 二十四話
徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQ氏 お願いします…
『某バス乗り場』
母親が先日、語ってくれた話。
ある日、母親の職場の友人が、大阪に遊びに行きました。
(大王四神紀? とかいう韓流ドラマのプレミアムイベントで、ヨン様が来たのだとか)
徳島から大阪に行く時は、よく高速バスが使われます。
その友人も、例に漏れず、某高速バス乗り場から出かけていきました。
数日後、帰ってきた友人はヨン様の思い出を楽しそうに語っていたのですが、ふと、こんな
事を言ったのだそうです。
「あ、Bちゃん、私の使った高速バス乗り場、あそこちょっと気味が悪いのよ!
あなた来週あの乗り場使うんでしょ? 良かったら見てきて!」
このBさん、年の頃はまだ二十歳のアルバイトさんなのですが、『色々なものがよく見える人』だそうです。
職場でうめき声が聞こえる、人が壁の中に消えた……等々、体験談は事欠かないんだとか。
Bさんも、翌週に同じように高速バスを使って大阪に行く予定だったので、
「じゃあ、ちょっと見てきます」
そう言って了解し、大阪へと旅立ちました。
……翌週。帰ってきたBさんは、開口一番、こう言ったそうです。
「……居ました。足だけが、沢山」
以来、私は何があろうと、その乗り場は使わないことに決めています。
(完)
二十四本目の蝋燭が消えようとしています……
徳島ヴォルティス@@サポ ◆K6QUBu7wQQ氏 ありがとうございました…
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第 二十五話
石原 ◆qW/OVfUbJo氏 お願いします…
霊を飼う男 1/3
まだ幼稚園に通ってた頃の話。
たしかその日は、同じ園に通っているママさん連中とでダイエーに買い物に出かけにいっていた。
ダイエーに着くと母親が服を見に行くってんで、オレたち子供はオモチャ売り場で待たされることになった。
オモチャ売り場の一角には自由に遊べるスペースみたいな所があって、退屈しない。
ただオモチャの魔力には勝てなかったらしく、
オレは途中から鬼ごっこをほっぽりだしてプラモデルコーナーの方に足を運んでいた。
で、目を輝かせてプラモを物色していると隣りに変な大人が立っていることに気づく。
背広を着た顔の青白い人。
いや、そいつはガンプラの箱とか持ち上げてたから幽霊ではないと思う。
ただ日曜日なのにサラリーマンの恰好をして、背中に小さな女の人をおぶっているのが不思議だった。
霊を飼う男 2/3
背中の女はマリモみたいな爆発した髪をしていて、ゴボウみたいに痩せこけた腕を男の首に巻きつけている。
オレはすぐにその女が幽霊だと悟った。
小さい時は普通にそういうものが見えていて別に恐怖はなかった。
むしろ親切心で「オジサン、背中に人がいますよ」って背広の男に声をかけた。
すると、男は意外にもこっちを見てニコッと微笑んだ。
でも微笑んだだけでその場から離れていってしまった。
オレはなんか知らないが喜んでるからいいかって感じでまた視線をプラモに向けた。
母親はまだ迎えにこなかった。
オレはさすがに退屈して、ベンチに座って目の前に置かれたテレビを見ていた。
当時は何故か延々とキョンシーが流されていた。
それ見てたら横から異様な視線を感じる。見ると、さっきの男が立っていてもちろん女の腕も見えた。
こっちが振り向くとまたニコッと笑って隣に座って来る。
オレはその時なって男が誘拐犯みたいに見え出してきて、怖くなった。
でもなんか逃げれないような雰囲気に押されてその場に固まってしまった。
男はオレの顔を覗き込むと「知ってるよ」と低い声で声をかけてきた。
で「これでしょ?」とか言って、背中の女をブラブラ揺さぶる。
あまりにもあっけらかんとしてやるのでオレは「幽霊、怖くないんですか?」って聞いた。
霊を飼う男 3/3
そしたらそいつ
「こうするとね。おっぱいが当たるんだよ。気持ちいいんだよ」とか言って
ニヤニヤ笑い出した。
「え?」
わけがわからない。
幽霊だぞ。幽霊は怖がるものだろと子供ながらつっこみたかった。
でも当時は大人の口から「おっぱい」なんて単語を聞くだけでひどく不気味で
恐怖に身を固めることしかできなかった。
男はさらに「声が聞こえるんだよ。聞いてみなよ」と
グゥッと青白い顔を近づけてくる。オレは「いいです」ってなんとか声を絞って断ると
必死に逃げて友達たちのいる近くの遊び場に飛び込んだ。
それからようやく母親が迎えに来て恐怖から解放されたんだが
男が物陰からずっとこっちを監視しているのがわかってたから
結局、誰にも言えずじまいだった。
了
二十五本目の蝋燭が消えようとしています……
石原 ◆qW/OVfUbJo氏 ありがとうございました…
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第 二十六話
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws氏 お願いします…
「ニュース」1/1
今棲んでいる部屋で、たまに変な体験をすることがある。
耳元でボールペンが転がる音で目が覚めたり、
天井の隅から「チッ」という声のような音が聞こえたり。
まあどれも大した内容ではないのだが。
半年ほど前のこと。
その日は疲れがたまっていて、机でレポートをまとめながらうとうとしていた。
ぼんやり聞いていたテレビから、9時のニュースが流れ出したのを機に30分ほど仮眠をとることにした。
座椅子を倒し浅い眠りについたが、すぐに耳元においてあった携帯が鳴り出した。
目覚ましに設定してあったアラームが鳴り出したと思って時間を見ると、9時。9時?
はっとテレビを見ると、9時のニュースをやっている。
しかもよく見ると寝る前に流れていたものと全く同じ内容で、頭の中は「???」で一杯。
おかげで眠気も覚めたので、改めてレポートに取り掛かり何とか仕上げることができたのだが、
あの日、やっぱりタイムスリップしたんだろうか。
【完】
95 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/22(金) 22:55:40 ID:d6vJweNR0
VIPから来ます田
二十六本目の蝋燭が消えようとしています……
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws ありがとうございました…
ξ
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第 二十七話 暫定まとめ人、逝きます
【 山、友達 】 1/2
飲み会で聞いた話。
「山の中で、1週間ほど仕事をした時の話なんだけどな。仕事の内容自体はおいておくが、
ま、ある程度の期間と範囲をこなす必要から、集団になる訳だ。
勿論、潤いなんざこれっぽっちもない ム ッ サ イ !!(←注:力説)集団だぞ。
その中で一人、ちょっと変わった奴がいた。仕事は普通、集中する仕事だと有能な位だったが、
なんつーか、まぁ…無口、なんだが…いや、職人気質とかじゃなくて…精神異常とか、
境界性なんたらとかそういう変わり方でもなくて…とにかく変わってる奴だった。
そいつを青森、としておくな。
山の中の仕事、ある程度の班に分かれてやったんだが…ある日の上がりのとき、気づくと
青森がいないんだ。
班、と言っても団子状態で動いているわけじゃない。青森がいる場所は転落の危険はない所
だった。雑木林みたいな感じを思い浮かべてくれりゃいいよ。電力さんみたいに身軽じゃないと
いけないような場所じゃ、決してない。耐久力さえありゃ。
とは言え、ほっとく訳にはいかんから、全員で探したさ。知ってのとおり、山の日は釣瓶落とし。
それでもギリギリまで探して…なお見つからん。かと言って仕事を止めるわけにもいかん。
一応、報告はして 数日、仕事→捜索、と続いて皆さすがにクタクタになった。
「一人で山、下りたんじゃねえの?」ってことになって…
仕事にも障(さわ)りが出るし、捜索打ち切りにしよう、って話になったんだ。
そしたら、さ。次の日の、早朝だよ。妙に鳥が騒ぐから起き出してみたら、
寝泊りしている場所からすぐのところに、そいつがボーッと突っ立ってる。
山に迷ったのか、なんて言いながら皆で取り囲んだんだが、様子がおかしい。
…そこ、なんで「あっちょんぶりけ」をするかな。
お前がおかしいのは十分理解してやるから、いいから人の話を聞け。
2/2
皆が口々に状況を聞いたんだが、どこか遠くを見るような目で、ボソボソッと
「作業中、伸ばした手の先も見えないような霧が掛かったのでその場から動かないように作業していた。」
ってことを説明して…その説明中、「ひひひひっ、ひひっ…」って…
何かひきつれたように何度も笑うんだ。
霧なんて、その日は出ていなかった。朝もや位はあったがな。訳もなくゾッとしたよ。
数日経ってるのに、居なくなってからすぐに戻ったような風体(ふうてい)、
あー…野郎が数日風呂に入らないとすげぇ臭(にお)いになるのは判るだろ?
目が痛くなるような臭(くさ)さって奴だ。
それがない。持っていた携帯食料も減ってない。ひげも、伸びていない。
それからは仕事はきちんとして、仕事自体はつつがなく終了したよ。
だけど、な。そいつ、晩飯のあとにふと気がつくと、散歩なのかどうかは知らんがいなくなって、
また戻ってきたり、【何か】と話をしていたりしていたよ。
こっちが話しかければ普通に答えが返ってくるが、目が…死んだ鯉のような、
(舟盛の魚をさして)ちょうどこんな目だったよ。
もしかしたら、山に取り込まれたのかもな。
その作業の後、地上に戻ってしばらくして、青森と会社と連絡が取れなくて…
俺が見に行ったけど、住んでいたアパートは引き払われていたよ。天涯孤独だって 話だったから、
実家に帰ったわけでもないし、どこ行ったんだろうな。
ああ、そうそう。お前さんがくれた例のお守り、帰ってきたらなくなってた。すまんな。
途中までは確かにあったんだが…
…あれ…見なくなったのは…いや…
…あいつが居なくなってから…だな。」
【 了 】
二十七本目の蝋燭が消えようとしています……
暫定まとめ人 終了…
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第 二十八話
あさがお ◆Asagao.7R2氏 お願いします…
「その交差点は呪われているのだろうか?」
我が家の近くにある交差点。信号つきの交差点。そこの一角に、家を建てるのによさそうな土地が一筆。
日当たりもそこそこよく、周辺施設もそれなりに整っており、なかなか良い土地…なのだが、
今のところそこに家が建つことはない。理由は簡単、そこに突っ込む車が後を絶たないから。
なので現在もそこは畑のまんま。車が突っ込みそうな角のところには交通安全を促す看板が立つ。
(ちなみに私もその交差点でバスに轢かれかけたことがある。無意識のうちにバスのほうに向かって
歩いていたそうだ。リア消のころのお話)
見通しがよく、交通量もそれほど多くなく。それでも年に2〜3回はそこに車が突っ込むなどの事故が
起きるのである。何かが衝突する音が起こるたび、周辺住民は外を確認し、そして
「 ま た あ そ こ か 」
と言わんばかりに事故現場を目の当たりにする。そしてそのたびにこんなことが囁かれるのである。
「やはりこの交差点は何か呪われているのではないか」
実際、事故現場を見る限り、何かに吸い込まれるようにその土地に突っ込んだと思しきものが
何件もあったのだ。まるでこの土地に何かがいるのかのように。いつしかそこは「魔の交差点」と
言われるようになった。だが幸い、私が知る限りでは今まで死亡事故、重体事故は起こっていなかった。
そう、数ヶ月前までは…
数ヶ月前、まだ夜中のこと。何かが爆発したような、そんな音で私は目覚めた。外に出ると、
いつもの場所で、また事故が起こっていた。二人乗りバイクと乗用車の衝突事故。そして今回は
今までとは違っていた。バイクの後部座席に乗っていた女性が、頭を打ち付けたまま全然動かなく
なっていたのである(後に聞いた話では、既に心肺停止だったとか)。そして数日後、その女性は
若くして帰らぬ人となってしまった。この事故は当事者の不注意によるものと言われてはいるが、
だがそれだけではすまない、何か強大な力がかかっていたかのようにも思える。場所が場所だけに…
そして数ヵ月後、現在。今のところあれから例の交差点では事故は起こっていない。だが、先の事故で
亡くなった女性がもし成仏できてなかったとしたら…悲劇は繰り返されてしまうのだろうか…。
【完】
102 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:06:03 ID:G93wp+Lq0
二十八本目の蝋燭が消えようとしています……
あさがお ◆Asagao.7R2 氏 ありがとうございました…
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「夜道」
割と最近の話だ。
普段、最寄駅から家までは車で通勤しているのだが、その日はたまたまバスで来ていた。
帰りもバスの予定だったが、思ったより帰宅が遅くなり、終バスは行ってしまっていた。
徒歩20分程度の距離だし、たまには歩くのもいいかと思い、街頭の殆ど無い暗い夜道を歩いていた。
ちなみに、住んでいる所が結構な田舎の為周りは田んぼだ。
蛙の声しか聞こえない夜道をひたすら歩いていくと、ふと違和感を感じた。
何の音なのか…はっきりしないが、何か音が近付いて来る。
敢えて表現するなら「こつ、こつ」という音だった。
女性が履くヒールの音とも違う。
その「こつ、こつ」は次第に「かち、かち」に変わった。そして「かきん、かきん」に。
金属質な音に不安を覚えて辺りを見回すが何も無い。もちろん、誰もいない。
ちょっと足を速めると、その音が私の後ろ5m位をずっと、ついてくる。
急に恐ろしくなって思いっきり走り出すと、その音も、ついてくる。
「かきん、かきん、かち、かち、かち、かち、こつこつこつこつこつこつこつこつ」
駄目だ逃げられない。思い切って振り向いた。
あちこちが壊れた自転車がそこにあった。そして私の真横をすぅっと通り過ぎて行った。
それを目で追うと、丁度T字路だった為左に曲がって、そのまま田んぼの畦道をずぅっと、走っていった。
明かりが無いので、すぐに見えなくなった。音だけが遠ざかっていった。
チェーンが外れかかっていた。誰も乗っていなかった。ペダルも回っていなかった。
何故、誰も乗っていない自転車が動いていたのか。謎のままだ。
追いかけられてばかりである。
【完】
104 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:09:21 ID:G93wp+Lq0
第 二十九話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
105 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:12:37 ID:G93wp+Lq0
二十九本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 ありがとうございました…
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第 三十話
せんこ ◆lPNVStsJp2氏 お願いします…
「足」
私が高校生のときの学校祭での話です。
タダで昼食が食べられるということで、食堂を手伝う係をしていました。
食堂の二階は合宿用の部屋になっていて、厨房の横に二回へと続く階段があります。
忙しい時間帯も終わり、階段の横にある食器置き場で少し休憩していました。
ぼんやりしていたとき、階段のほうから微かにコツ・・・という音が聞こえた気がして、そちらへ振り返りました。
人間の足首から下、サンダルを履いた足だけが
コツ・・・コツ・・・と音をたて二階へ上っていきました。
白い階段に黒い女物のサンダルが妙に映えていました。
それを見た瞬間ゾゾゾっと鳥肌が立って、私の目はその足に釘付けになりました。
足は、そのまま2段ほど上ってフッと、まるでCGのように消えました。
怖かったのですが、まだ昼間の2時だし幽霊なんて出るわけない、絶対に見間違いだ、と自分に言い聞かせて、そのまま仕事
に戻りました。
それから一月ほどたったある昼休み。
私が食堂で見た足のことなんてすっかり忘れている頃、茶道部の友達からある話を聞きました。
「茶道部がやってる食堂に女の幽霊が出るって1年生の間で噂になっててさ、詳しいことは知らないんだけど
毎回毎回昼の2時くらいに出るんだって。」
直感的に関わってはいけない、と思い、追求はしませんでしたが、
きっと私が見たあの足も、その幽霊の物なんだと思います。
107 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:18:41 ID:G93wp+Lq0
三十本目の蝋燭が消えようとしています……
せんこ ◆lPNVStsJp2 氏 ありがとうございました…
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第 三十一話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 お願いします…
【近所の空き地】
我が家の近所に、もう何十年も家が建たない、空き地があります。
大して広くありません。一般的な2階建ての家が建つ程度の広さです。
そこは、近所では非常に有名な場所で、そこに家を建てて住んだ人は、必ず、「見る」そうです。
詳しくは知りませんが、母の話によると、テンガロンハットだったか、シルクハットだかをかぶった老人が、ふすまをすり抜けて出てきたこともあるらしい、との事。
…実は本当に怖いのは、何故、その場所で、噂になる程の怪異が起こっているのか。その理由なのですが…。
…最初に住んでいた住人は、火葬場で働いていたらしく…
…遺体を焼く際に、焼け残ったか、事前に外したかで残った、指輪等の貴金属を、回収しては、売り払って稼いでいたそうです…。
現れる「ありえない者」は、品物の持ち主の魂か、遺品を受け取れなかった遺族の念か…。
…本当に怖いのは、幽霊なのでしょうか…それとも…。
「完」
109 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:22:52 ID:G93wp+Lq0
110 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:25:31 ID:G93wp+Lq0
三十本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 ありがとうございました…
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111 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:26:59 ID:G93wp+Lq0
第 三十一話
マツリ ◆rr07IS1hMw氏 お願いします…
" 広い池 " 1/3
聞いた話。
「昔、俺が若い頃に住んでいた場所での話だよ。
小高い山々の間を抜けていくと、道脇に神社さんと、広い池がある。
ガイドブックにも載ってるし、イベントも行われるような所。
怪異が起こると言われている場所も市内には在るが、そこはそんな噂もない、
すっきりした場所で、渋滞があまりないこともあって自分は好んでその道を使ってたんだ。」
星がキィンと澄んだ音を出しそうなくらいの冬の夜中。しぃんとして、他に通る車もない。
いつものようにその池の脇を通ると、ハンドルを取られた。
「車の運転には自信がある。なんせ、プロの下(もと)で徹底的にしごかれたからな。」
すかさず退避措置を取るが、グイグイと池のほうに引き寄せられる。道路状況によるものじゃない。
「なんぞ…仕方ないなあ。」一人ごち、往来の邪魔にならない場所に車を止め、
道脇の神社さんに一通りのご挨拶をした後、池に向き直り、対峙(たいじ)する。
印(いん)を組み、経文(きょうもん)を唱え、行(ぎょう)を行う。
自分に縁(えにし)のある神仏絡みだったので、適切な処理をしてその日は終了。
数日後。彼女を助手席に乗せてその道を運転すると、池に向かってその神仏の真言を唱え拝む彼女。
「よく判ったな?」
「電波受信は慣れてますよ?wアマ無線三級持ってるしw…ってまあ、冗談だけどね。」
そんな他愛無い会話。
2/3
さらに数日後。
彼女が家に来る予定だったのに、なかなか来ない。日はとっぷりと暮れている。
さすがに心配になり、迎えに行くことにした。いつも来るルートを逆に辿り、探すがいない。
携帯電話もつながらない。
焦る。昼寝で寝過ごしているだけなら良いが。
ペダルをこぐ足に力が入る。まもなく大通り。
夜だというのに、いつにない人だかり。
赤いパトランプが回る。サイレンが響く。カメラのフラッシュ。
路上に散らばるガラスの破片。黒く変色した路面の一部。大きくフロントのひしゃげた車。
…事故。
まさか。まさか。まさか。
「あれ。」
気がつけば、見慣れた風景。いつもお参りする、大きい神社さんの前。
彼女の家 − 大きい神社 − 大通り − 俺の家 − 池、単純に言うと、こんな位置関係。
「パニックでこんな所まで来ちまったのか?…修行が足りんな。とりあえず、戻らないと。」
自転車を方向転換し、鳥居の方に視線をやれば、そこには彼女が。
「おまっ…!何でこんな所にいるんだ?!うちに来る言(い)うてたろうが!今何時と思ってるんや!」
「あ、ああああ!何でここにいるん?助かったよー!」
半べそかいて子供のようにしがみついてくる彼女。
落ち着いてから話を聞くと、いつものように [ お参りしてから家に来る ] という行動を取り、
参道まで戻ろうとしたら、何度歩いても同じ場所に戻ってしまったらしい。
夜の神社とは言え、その時は「とっても暖かくてほんわりしていた」から恐怖は感じなかった
らしいが、それでも異界から戻れなくなるのでは、と不安になる。
化かされた時にはタバコを喫(の)むと良い、という話があるが、彼女も俺もタバコを吸わない。
仕方ないから、ミルクケーキ(注:加糖練乳にカルシウムを加え板状にした菓子)を
取り出して、一度お供えしてからかじっていたところ、俺の”におい”がしたらしい。
「汗臭くってすまんの。お前が来(こ)んから心配で走り回ったからな。」
「におい、っても嗅覚によるものじゃないよ。存在が発する雰囲気…みたいなもの…かなあ」
においの方向を見れば、そこには今までなかった、いつもの見慣れた参道が延びており、その先に俺がいたらしい。
ミルクケーキをお供えした摂社を見てみれば、池で呼ばれた神仏のお社。
「守って、もらってたんだなあ。…しかしミルクケーキ。」
「…タバコって、ある種の神様仏様には失礼でしょ?ミルクも生臭(なまぐさ)かもしれないけど、甘いお菓子だからいいかなと。」
その日以外、大きな神社さんに夜中参りしても不思議なことは起こらなかったらしい。
「…さて、と。そろそろ帰らないとうちの【山の神】が怖いからなw二次会で失礼するよ。」
「山の神を守る山ノ神…ペトリョーシカ(注:ロシアの入れ子人形)山ノ神状態ですなwお疲れ様。」
115 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:32:38 ID:G93wp+Lq0
三十一本目の蝋燭が消えようとしています……
マツリ ◆rr07IS1hMw 氏 ありがとうございました…
ξ
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プリスマ:2008/08/22(金) 23:35:01 ID:G93wp+Lq0
第 三十二話
水妄想 ◆2nGALdxPuM氏 お願いします…
支援
探している(1/2)
随分と昔ですが、群馬県のある湖に友人と二人で旅行に行った時の事です。
湖畔の古い旅館の旧館は、翌日から団体客が入るそうで、その日の泊まり客は
私たち二人だけでした。
旅館の従業員さんも夜になると帰ってしまうとかで、本当に夜には誰もいなく
なってしまいました。
「大浴場も貸し切りだね〜!」と最初の内は大喜びだったのですが、夜が更けて
くると、広い旅館内を静けさだけが支配して、だんだん怖くなってしまいました。
広い旅館に二人きり、というのがそう思わせている要因なんだと思い、とにかく
その場はさっさと寝てしまう事にして床につきました。
夜中の何時頃でしょうか、私は寝苦しさに、ふと目覚ましました。
隣の布団では、友人が寝息をたてて寝ています。
何となく灯りを感じで窓の障子に目をやると、外から懐中電灯でこちらを照らす
人がいるようでした。
割と至近距離からのようで、懐中電灯特有の影というか、二重丸のような明かりが
障子にはっきりと映っていました。
懐中電灯は、障子の上をなでるようにグルグルと照らし続け、私はなんだか気味が
悪くなりながらも、目を離すことができませんでした。
「う・・うう〜ん・・」といううめき声が聞こえたので友人を見ると、なにやら
うなされていました。
あわてて「どうしたの?!」と声をかけましたが起きる様子はなく、その内また
スースー穏やかな寝息に戻ったので、私もそれ以上気にしませんでした。
そのうち外から障子を照らしていた懐中電灯の明かりもどこかへ去り、眠かった
ので私もそのまま眠りました。
探している(2/2)
翌朝、窓を開けてみてハッと気が付いたのですが、この部屋は3階で、しかも
窓の外はすぐ湖で誰も外には立つことは出来ない構造になっていました。
友人にうなされていた事を聞いてみましたが、「きっと悪い夢でも見てたんでしょ?!」
と、全く覚えていない様子でケロッとしていました。
朝食の時に女将に昨晩の事を話したら、一瞬顔が曇りましたが、
「まぁ怖い夢をご覧になったのねぇ」と一笑され、結局はぐらかされたような
気分のまま、宿を後にしました。
その日の午後、桜の名所と言われる公園で、その公園の管理人さんから
「どこから来たの?」と話しかけられ、色々と話す内に昨晩の話になりました。
そして、その人から聞かされ話ですが。
私たちが泊まった前の年に、その湖で親子の乗ったボートが転覆して子供が
湖に落ちて亡くなったそうです。
そして、助けようと飛び込んだ父親もまた還らぬ人になったとか・・・・。
友人は管理人さんの話を聞くと青くなり、実はうなされている時に金縛りに
あっていたのだと言いました。
誰かが上にのし掛かってきて、すごく苦しかったそうです。
翌朝訊ねた時になぜ知らないフリをしたのかは、金縛り体験が初めてだった
ので、それを認めたくなかったからそうです。
あの懐中電灯の明かりは、何かを必死で探しているようでした。
父親の霊が、自分が死んだことに気が付かずに子供を捜して続けてるような、
そんな気がしました。
【完】
120 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:40:09 ID:G93wp+Lq0
三十二本目の蝋燭が消えようとしています……
水妄想 ◆2nGALdxPuM 氏 ありがとうございました…
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第 三十三話
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws氏 お願いします…
「肝試し」1/2
小学生の頃の話。
夏の夜に子ども会で墓地で肝試しをやったことがある。
歩いてたどり着いたその墓地は坂に広がっていて、中央を緩やかな階段が伸びていた。
その階段のふもとがスタートで、上りきったところがゴールというコースだった。
肝試しが始まってしばらくして、順番が回ってきた。
二人一組だったがペアになったやつがかなりの怖がりで、手を握っていたのだがその手がかなり震えている。
そこまで怖がられると、ペアを組んだこちらとしては逆に醒めていくというもの。
最初は雰囲気に呑まれてびくびくしていたが、階段の中盤に差し掛かる頃には周囲を見物する余裕も出てきていた。
ふと、ある墓石に目が止まった。
いや、墓石がどうというのではなく、墓石の影に誰かが居る。
目を凝らして良く見ると、子供のようだ。
モンペのようなものを履いている子供が、かくれんぼをしているように、
足だけ墓石からはっきり出して隠れている。
何だろう、やっぱり幽霊かな?と隣のやつに聞こうと思ったけど、
相変わらずがくがく震えてるので黙っておくことにした。
それ以降は何事もなく、自分達を含めて全員が無事ゴールできた。
最後に大人子供皆で階段を下っている時、あの墓石と子供のことを思い出して、
近くにいた大人の一人に、「あそこで幽霊見たよ」と言った。
相手の顔は覚えていないので、気を引こうとして嘘をついてるな、と思われたのか、
それとも、これはヤバイ、と思われたのか、今となっては分からない。
ただ、その夏限りで子ども会で肝試しは開かれていない事だけは確かだ。
「肝試し」2/2
時は巡ってつい最近のこと。
「昔肝試しやったの覚えてる?」
と当時ペアを組んだやつに、話を振ってみた。
「何のこと?」
「小学生の時にさ、子ども会でやったじゃん。ほら真ん中に階段のある墓地でさあ」
「覚えてない」
怖がっていたのを思い出されたくないのかと最初は思ったが、相手はどうやら本気で覚えてないようだった。
変だなあと思い、そいつと別れた後、当時居たと記憶している親達や友達に片っ端から聞いてみたが皆覚えていないという。
自分は幽霊のこと以外にもいろいろはっきり覚えているのだが。
心の奥では釈然としないものを感じながら、それでもああやっぱりと思っていた。
件の墓地をあれからずっと探しているのだが、未だに見つけられていないから。
【完】
123 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:43:12 ID:G93wp+Lq0
三十三本目の蝋燭が消えようとしています……
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws 氏 ありがとうございました…
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プリスマ:2008/08/22(金) 23:47:11 ID:G93wp+Lq0
第 三十四話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 お願いします…
【亡くなった叔父さん】
私の叔父さんは、数年前に亡くなりました。
私にいつも笑顔で接してくれる、優しい叔父さんでした。
叔父さんは亡くなる数ヶ月前から、鬱病のようなものを患っており、嫁である叔母さんに色々と文句を言う等、少々異常な行動が目立っていたようです。
そして、ある日の夜、叔母さんの家から電話がありました。…叔父さんが、家から居なくなったとの事でした。
叔父さんの家では畑を持っており、その脇には小さな物置があったのですが、一度、叔父さんが「その物置で首を吊って死にたい」と口にした、という話を聞いた事があり、叔母さんと、私の両親が探しに行きました。
夜も遅く、仕事もあった為、私は自宅に残り、その日は寝ました。
その日、私の夢に、その叔父さんが出てきました。
叔父さんは、私にお小遣いを渡すと、「お父さんとお母さんには内緒だよ。」そう言いました。
それだけの、短い夢でした。
次の日、話を聞くと、やはりその物置の中で、叔父さんは亡くなっていたそうです。
叔父さんは、最後の最後まで、優しい叔父さんでした。
「完」
126 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:54:25 ID:G93wp+Lq0
三十四本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 ありがとうございました…
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第 三十五話
白比丘尼(しらびくに)氏 お願いします…
白比丘尼様代理投稿 「訪問者」1/3
母子家族で母と二人きりで暮らしていた17歳の雨の夜の話です。
夜中の3時ぐらいに「ピーー」と玄関のチャイムが鳴りました。
母と話していた私は「こんな遅くに誰だろね」なんて言いつつ、インターフォンをとると女性の声で、
「あの…あの…突然すみません…。今晩、あの…泊めて頂けませんか」と言われました。
いきなりの事に「え?」と聞き返すと
「…あの…私近所のマンションに住んでまして、あの…私会社をクビになって…
あの…もう住む所がなくて…だから泊めて頂きたいと…」
母が私に代わってインターフォンで話はじめてくれたので、玄関の窓越しに訪問者を見てみると女性が一人立っています。
顔はもうどうみても50代なのに金髪の長髪。
白い帽子をかぶっていて、明るい緑のブラウスに赤地に白の水玉のふわっとしたスカート。
右手にはたくさんの物が入った紙袋を持っていました。
その様子をみた私は母に
「玄関に来てる人、絶対変!怖いからもうやめよう!相手にしないで『駄目です』っていって断ろう!」
とまくし立てました。
そしたら母は「ははははは」と笑って
「この雨の中、傘もなく歩いてきたんだって。傘だけでも貸してあげよう」
と言うじゃありませんか。
私はもうその人の外見をみてるので泣きたくなって、こういう事にだけは度胸がある母をうらみました。
白比丘尼様代理投稿 「訪問者」2/3
私はリビングで玄関の様子を伺っていたんですがしばらくすると
「家には入れられません!帰ってください!」
と母の怒鳴り声が聞こえました。
玄関ではガチャガチャガチャガチャ!!とチェーンの付いた扉を無理やり開けようとする音と、
閉めようとする母が出す音が大きく響き渡り、17歳の私を泣かせるだけの迫力がありました。
やっとバタン!と玄関が閉まる音がして、母がふぅふぅ言いながら部屋に帰ってきました。
「あの人、やっぱり○○(私の事)の言うとおりだね。頭おかしいみたい。怖かったでしょう、ごめんね。」
と母が言うので、
「なんかされたの?大丈夫??」
と聞き返しました。
すると母はまた笑って
「いやいや、全然大丈夫。今日はもう寝なさい」と。
しかし、この話をしている最中にまた玄関のチャイムが「K_00K_00K_00K_000」と物
凄い勢いで鳴り始め、今度は玄関のドアがドンドンドンドン!!と叩かれました。
玄関の音は30分ぐらいで止みましたが、それ以来しばらくは夜中のお客さんは怖くて怖くて仕方ありませんでした。
白比丘尼様代理投稿 「訪問者」3/3
その夜の出来事から5年後、私は一人暮らしを始める事になりました。
明日から新しい部屋で暮らす事になった晩に母と話をしていて
「そういえば、あんな事があったね。私怖くて怖くてめっちゃ泣いた記憶がある(笑」
と話したら、母が
「うーん、あれだけで怖がってるようじゃ大丈夫かしらね、一人暮らし。」
というので、「あれだけで?」と聞いたら母が言うには。
私ね、あの時あなたが物凄い怖がってたから、言わなかったけど、まずあの人ね、雨が降ってる中歩い
てきたっていったのに、全然雨にぬれてなかったのよ。
で、左手にバットを持ってたの。しかも、あの人、男の人だったよ。
私が腰を抜かしたのは言うまでもありません。
「なんで警察呼ばないの〜!!!」と言ったら
「なんだか逆恨みされそうじゃない、家はもう知られてるし」と。
みなさんも夜中の来客にはお気をつけください。
_完_
130 :
プリスマ:2008/08/22(金) 23:59:44 ID:G93wp+Lq0
三十五本目の蝋燭が消えようとしています……
白比丘尼(しらびくに)氏 ありがとうございました…
ξ
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第 三十六話
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 お願いします…
131 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:01:40 ID:tpXTUrdZO
【マンホール】1/3
マンホールって怖くね?
だって、「人の穴」だぜ?
なんかオカルティックな響きじゃん。いや、マジで「人の穴」だぜあれは。
なんて語るのはオレの人生の師であるJ先輩。色々な仕事を転々としていて人生経験の豊富なそのJ先輩は、そんな感じでマンホールの中に潜る仕事をしていた時に体験した話を語り始めた。
マンホールの中に潜って点検だのなんだのをする。そんな陰気な仕事に就いて三日目の事だったそうだ。
新人って事で仕事の先輩といつも一緒に行動してたらしいんだが、その先輩が急に来られなくなったとかで、その日J先輩は他の助っ人さんが来るまでマンホールの前で待機していたんだそうな。
時刻は朝の五時頃。人通りの少ない東北のド田舎の国道の真ん中に立ち尽くしてるのは、とてつもなくうらさびしい。
目覚めのブラックコーシーでも買ってこようかな、なんて考えながら助っ人さんを待っていたそうな。
132 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:02:43 ID:tpXTUrdZO
2/3
で、まぁ、想像して貰えば分かる通り助っ人さんって言ったら本来非番の人だ。朝の五時、仕事も無いのに起きてる人なんてまずいない。
一応連絡は付いたみたいだけど、急な話だから助っ人さんが到着するのはかなり時間がかかるだろうってのは、J先輩にも分かった。
だからその時間を有効活用しようと思って、J先輩は一人でマンホールの中に潜る事にしたんだと。
早いとこ仕事に慣れたいってのと生まれ持った出世欲が、J先輩をその場に縛り付けて置かれる事を許せなかった云々。そんな訳でマンホールに一人で降りていったんだそうな。
ヘッドライトつけて、梯子降りて、着水。頭の中にだけ存在するサブマシンガンを構えて、気分はドイツ辺りの特殊部隊。
これからルビコン計画を発動する!とかほざきながら、下水の中をじゃばじゃばとやんちゃに歩き始めた。
本当ならわざわざ下水になんか入らなくても、脇を歩けばいいものを仕事の先輩が居ないからってやりたい放題。まさに悪ガキ。
133 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:03:48 ID:tpXTUrdZO
3/3
そうやって特殊部隊ごっこをしながら二つくらい角を曲がった時、“そいつ”を見たんだと。
最初は西瓜が浮かんでると思ったらしい。丸くて、ツルツルして、しましまだったから。
でも、それが西瓜じゃないってのは直ぐに分かった。
水面から出てる上半分。ヘッドライトの光に浮かんだのは、薄い茶色のぶよぶよした表面。そして、ヘッドライトに反射するようにチカチカ光る二つの目。
ぶくぶくっ、て、それの周りが泡立った。
ざばぁっ、て、それが立ち上がった。
最後まで見る勇気なんかへたれのJ先輩には無かった。
速攻Uターン。特殊部隊っつうか敗残兵みたいにうろたえながら、必死こいてマンホールから這いずり出たそうな。
で、ほうほうのていで逃げ帰ったJ先輩は勿論翌日に辞表を届けた。
いやぁ、マジで「マンホール」に「マン」が居るとは思わんかったわ。
J先輩はそんな感じで話を締めくくった。
でもさ、それって本当に「マン」か?本当に「ヒューマン」なんか?なぁ、どうなん?
134 :
プリスマ:2008/08/23(土) 00:06:43 ID:G93wp+Lq0
三十六本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 ありがとうございました…
ξ
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135 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/23(土) 00:08:28 ID:qIuNs0lLO
ポニョだな
136 :
プリスマ:2008/08/23(土) 00:13:51 ID:QoQnRl6J0
第 三十七話
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 お願いします…
「危ない!」
会社で聞いた話。
Yさんが同僚と釣りにいったそうだ。
それもわざわざ、県をひとつ跨いだ北の方へ。
その日はとにかく暑く、日差しも強く、普段デスクワークの彼らはすっかり日焼けしてしまった。
そして高速に乗って帰る途中の事。
「すぐ前にさぁ、車がいたんだよ。ずっと」
「なのに運転してる奴が車間距離詰める詰める。なんか急に向こうが減速した感じでぶつかりそうになったんだ」
「だから俺、『危ねぇッ!!』って叫んじゃった」
「そしたらさ、みんなぽかーんってこっち見てる訳」
「で、『Yさん何言ってるんですか?』とか言われて、それで俺初めて『あぁ見ちゃった』と思ったよ」
「だって前みたら、さっきまでいた赤い軽自動車いねぇんだもの」
彼らは「まさか白昼堂々恐い事が起きるとは思っていなかった」と口を揃えて言っていた。
その後、同乗していたEさんが高熱を出して会社を休んだ。
Eさん曰く、
「熱も高いし真夏だしで熱いはずなのに、顔だけが寒かった」と言っていた。
行楽帰りの怪にはご注意を。
【完】
138 :
プリスマ:2008/08/23(土) 00:16:26 ID:QoQnRl6J0
三十七本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 ありがとうございました…
ξ
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第 三十八話
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws氏 お願いします…
「トンネルの話」1/2
以前ボーイスカウトに属していたことがある。
詳細は省くが、その頃に顔合わせたことも無い人たちと合宿のようなことをやった時の話。
その夜は親睦を深めるためか、公民館ような建物の2階の、20畳くらいある部屋に皆で雑魚寝をしていた。
自分はそこで知り合った人と話していたが、日が変わるころには座を囲んでいた皆が眠りに落ちていた。
自分も寝るかなと周りを見渡すと、2,3のグループが話している程度だった。
その中で、一番近くに居たグループが怪談話に興じていたので、何とはなしにそちらのほうに耳を傾けていた。
「犬鳴峠ってあるじゃん?」
「ああ、あの」
「あそこに肝試しに行ったことがあるんだ。そん時の話しようか」
「本格的だなw」
「茶化すなwえーと、俺と兄貴と俺の友達と兄貴の彼女で犬鳴トンネルに肝試しに行ったわけよ。
夜遅かったから、流石に旧道のほうは行けなかったけどな」
「このチキンめw」
「うるさいwで、新道のトンネルを一回通りぬけたけど、まあ何も起こらなかった。
でUターンしてもう一度トンネルに入ると、向こうから乗用車がやってきてトンネルの中ですれ違った。
それだけで何も起きずトンネルを抜けたので、またトンネルに入った。
乗用車とすれ違ってトンネルを抜ける、戻ってトンネルに入…ろうとして友達がポツリと言ったんだ。
『さっきの車、その前にすれ違ったのと同じ車じゃなかったか』
そういえばそんな気がしたけど、兄貴の
『もう一回トンネルに入れば分かるんじゃないか』
の言葉にみんなOKして突入したら」
「したら?」
「やっぱり乗用車とすれ違っ」
「トンネルの話」2/2
その瞬間、窓に車のヘッドライトの光の丸がさああっと横切った。
喋っていた奴も聞いていた皆もそれにビクッとしたが、
「びびったw」「何か出たのかと思ったw」
等々、軽口を叩き合っていた。
ただ話の腰を折られた所為か、怪談会はそれでお開きになった。
自分もそれを機に寝ようと思ったのだが、あることが気になって中々寝れなかった。
2階の窓に車のヘッドライトがはっきり写ることがあるんだろうか?
【完】
141 :
プリスマ:2008/08/23(土) 00:21:27 ID:QoQnRl6J0
三十八本目の蝋燭が消えようとしています……
名無しのオプ ◆jsR6FcQCws氏 ありがとうございました…
ξ
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第 三十九話
負け犬 ◆LosingwcPc氏 お願いします…
「病院の階段にて」 (1/2)
岡山市内の、新幹線高架沿いのとある病院での体験。
夜になってから「祖父が緊急入院した」との知らせを受けて駆けつけた。
幸い大した事は無かったのだが、時計を見れば既に午前零時過ぎ。
無論、大阪方面の新幹線はもう走っていない。
致し方無く、会社に連絡を入れる事にした。
携帯電話を使おうとしたのだが、無論、病院内ではご法度。
そこで、3階から、階段で1階ロビーに出る事にした。
階段に出ると、足音が響いている。
トッ、トン、トッ、トン、と、片足を庇うような、足音が。
「エレベーターを使えばいいのに」
そう思いつつ、1階へと駆け下りた。
「病院の階段にて」 (2/2)
さて。
夜勤の管理職に状況を伝えて、翌日遅刻する事の承認を得ると、祖父の病室へと戻る。
再び、さっきの階段を上る事にした。
まだ、足音が響いている。
さっきよりもずっと大きい。
・・・なのに、人の気配は全く感じられない。
馬鹿な、もうすぐそこまで来ている筈なのに・・・?
私は思わず、踊り場で立ち止まった。
トッ、トン、トッ、トン、トッ、トン・・・、トトッ、トトッ、トトッ・・・、トッ、トン、トッ、トン、トッ、トン・・・
足音だけが、私のすぐ側を通り抜けて行った・・・。
今は、その病院は山陽道の近くに移転してしまい、その場所にはもう無い。
【完】
144 :
プリスマ:2008/08/23(土) 00:25:50 ID:QoQnRl6J0
三十九本目の蝋燭が消えようとしています……
負け犬 ◆LosingwcPc氏 ありがとうございました…
ξ
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プリスマ:2008/08/23(土) 00:29:58 ID:QoQnRl6J0
第 四十話
グレゴリー ◆yNuURBcNkQ 氏 お願いします…
廃屋 1/2
ついこの間のお盆のことなんだけど、休みが取れたので友達と山にドライブに行った。
その山に、結構地元じゃ有名な廃屋があるんだけど、いい機会だから見にいくかってことになった。
友達の車で、山道を登ること数十分。
廃屋が見えてきた。友達は山道の脇に車を止めて、おれたちは外に出てみることにした。
廃屋は、草が茂る山の、結構上の方にあって、とてもじゃないけど登って探検なんてできなさそうな
ところにあったんだ。
友達は記念にと写メをとっていた。おれも取った。
廃屋 2/2
下から見上げるだけの廃屋探検も終わって、おれたちは車でまた山道を下っていた。
そのとき、友達が、
「しかし夏だよな。よくあんなとこまで登るよ」
と言った。おれは意味がわからなくて、
「なにが」
と聞いた。
「あそこ、人いたじゃん、結構」
「いねえよ!」
おれを怖がらせようと思ってるんだろうなと思った。そしたら友達は運転中なのに、びっくりした
顔でおれのほうを見て、
「いたって。あの窓から人が見えたろ」
「いねえよ、おれたち以外車だって通らなかったじゃん」
おれがそう言うと、友達ははっとしたみたいで、道のはじに車を止めて携帯を取り出した。
「絶対いたって。だって写メ取ったし!」
言いながら友達は携帯をいじって、それから固まった。
おれも自分の携帯を確認したが、そこには見上げるアングルでの廃屋が写っていた。
もちろん人なんて一人もいない。
友達の携帯を覗くと、やっぱりおれの携帯の写真と同じような写真だった。
おれ「どんな人だったんだよ」
友達「普通の人だよ。男も女も混じってさあ」
で、そんな会話をしておれも友達も気づいたみたいだった。
あんなやぶの中、夏の格好で歩いていけるはずがない。
その廃屋への道なんてないのは、地元の人間なら誰でも知っているはずだった。
けものみちとかも多分ないんじゃないかと思う。
友達はその後も始終、絶対いたって、と繰り返していた。
完
148 :
プリスマ:2008/08/23(土) 00:33:27 ID:QoQnRl6J0
四十本目の蝋燭が消えようとしています……
グレゴリー ◆yNuURBcNkQ 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十一話
うめ2 氏 お願いします…
150 :
うめ2:2008/08/23(土) 00:39:53 ID:m8PDj1p50
入れ歯
ネットで知り合いから聞いた話。
そいつの近所で、老人が孤独死していたそうだ。木乃伊化していて、ちょっとだけ
ニュースでも報道されたらしい。
ただ、ニュースでは、その老人の周囲に、なぜかものすごい数の入れ歯が置かれて
いたという話はされなかった。
二十個とか三十個くらいの入れ歯があって(これはソースによって数が違う)、ま
るで魔よけみたいに木乃伊化した布団のまわりに幾つもの入れ歯が「外向き」に配置
されていたという話。
しかも入れ歯が一つ一つ「あきらかに別人のもの」だったらしいんだが、警察だと
公式発表はなし。
なぜかマスコミも報道自粛して、よく地元の警察署の人が通う飲み屋から、どうも
その噂が漏れたらしいけど真相は不明。
地元では諸説流れたらしいけど、なんか御祓いとかして、いまはその家は更地になっ
てるそうな。
【完】
151 :
az ◆CdcNSgwAiM :2008/08/23(土) 00:41:43 ID:tgxRk/Dr0
四十一本目の蝋燭が消えようとしています……
うめ2 氏 ありがとうございました…
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第四十二話
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 お願いします…
「ホテルの怪」
前回、前々回と私は「ラブホテルの怪」という話を投下している。
今回はラブホテルではない、普通のビジネスホテルであった話。
私の職場があるS市は政令指定都市でもある為、ビジネスホテルも数多くある。
その中でも珍しく、温泉の出るホテルに泊まった。
オサレを意識しているのか何なのか、大浴場はやたらと暗かった。
間接照明がふんだんにあるものの、肝心の足元が見辛く一度転んだ。
すりむいた膝を抱えて大きい湯船に沈んでいると、背後の小さい水風呂に誰かが入る様な音がした。
私一人しか入ってなかったはずだがな?と思いつつ振り向くと、薄暗がりの水風呂ににぼんやりと黒い物が沈むのが見えた。
心の中で「見なかった見なかった見なかった」と唱えていたら、水風呂の隣のサウナの扉が開く音がした。
反射的に振り向いて後悔した。
サウナに扉にはめ込まれたガラスに黒い手形がついていた。
びしょびしょの体で大浴場を飛び出し、部屋まで逃げたのは言うまでもない。
【完】
四十二本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十三話
ほうこ ◆lPNVStsJp2 氏 お願いします…
「お別れ猫」
私が小学生のときに体験したすこし不思議な話です。
私の住んでいた地域には猫が集まるいわゆる「猫屋敷」があります。
私は猫が好きなので、ちょくちょくその屋敷へ訪れていたのですが、
私のことがよほど嫌いなのか、全く近寄らせてくれません。
それでも猫たちが可愛いので雨の日も風の日もめげずにせっせと通っていました。
そんなある日、どんな食べ物を持っていてもこちらを見向きもしなかった、とくにお気に入りの白猫が
何ももっていない私に近寄ってきてくれたのです!
ついに報われた! 嬉しくて嬉しくて、その白猫をなでまわしまくっていました。
その翌日。近所の商店に行った帰り道、なんだか遠回りしたい気分で、いつもとは違う道を帰ることにしました。
結構入り組んだ道だったのですが、分岐路のたびにこの道を通らなければ!と思い進んでいきました。
徐々に自宅の方向から離れていってしまいましたが、とくに気にしませんでした。
そのまま15分ほど歩くと、道の端になにか白いぼろきれのようなものが落ちています。なんだろう、と思い近寄ってみました。
見た瞬間、凍りつきました。
ぼろきれのようなものは、車に引かれて、無残な姿になったあの白猫だったのです。
うつろな瞳が、私のことを見つめているように感じられて、なんだか涙が出てきました。
そして、悲しいのと同時に、私は感じました。
昨日私に近寄ってきてくれたのは、いつも猫屋敷に通っていた幼い私に、この白猫なりに別れの挨拶をしてくれたんだ、と。
おわり
四十三本目の蝋燭が消えようとしています……
ほうこ ◆lPNVStsJp2 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十四話
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 お願いします…
156 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:51:13 ID:Kciij6DJO
【蝋燭】1/4
今年もオレはこの百物語に、自前の蝋燭を持って参加しているんだぜ。今年は変な事起きなきゃいいが……。
で、蝋燭っつう事でこないだ秋葉行った時に体験した妙な出来事をちょいと報告するわ。
高校の時の友人が東京に居を構えている。地元組のオレは農村に籠もっているのに耐えきれないんで、夏はそいつのアパートに赴きささやかな東京ライフを満喫するのが、毎年の恒例となっているんだ。
で、今年も行ってきたんだわ。
一日目は酒飲んでVIP見てグダグダして終わり。二日目は秋葉行ってエロゲ物色してイリュージョンではぁはぁして終わり。
で、問題の三日目。また秋葉行ったんだけど、オレのリクエストでその日は「ツンデレ喫茶」に行こうって事になった。
恥ずかしながら小生、田舎ヲタな手前未だこの歳にして「ツンデレ喫茶」なるものは経験した事が無い。
入店直後に水かけられるのか?やっぱりツインテールなんか?やっぱり必要以上にどもるんか?
期待に胸が膨らむ。
157 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:52:14 ID:Kciij6DJO
2/4
そんな訳で始まった「ツンデレ喫茶ツアー」。
しかし、ああいうのは探せば探す程になかなかどうして見つからないもんなのな。
いい加減二人とも歩き疲れて、「次にメイド喫茶かツンデレ喫茶かそれらしいのが見えたら、とにかくそこに入ろうぜ」という事に。
果たして長い旅路の果てにたどり着いたのは電気街の裏通り、地下へと続く階段の先に店を構えるメイド喫茶であった。
いらっしゃいませ御主人様。入店一番にメイドの調教がなってないのにオレのフラストレーションはマスタースパーキン。
二人、むっつりしたままアイスコーシーを頼んで壁際のテーブル席へ腰を下ろす。
なんだよいらっしゃいませって。嘗めんなブス、なんて小声で愚痴りながら何となく店内を見渡す。
ジャズが流れるお洒落なメイド喫茶。天井にジントニックの瓶なんか下げちゃって。イケメン自重とか下らない冗談を言ってたんだ。
店内はガラガラ。オレらの他には二、三人ぐらいしか居なかった。
158 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:54:02 ID:Kciij6DJO
3/4
ふと、隣のテーブルに目がいく。一人がけのテーブル。イスは無い。なのに、まるで客席みたいに並んでる。テーブルの上には一本の蝋燭。ガラスケースに入ったそれは、そこいらで売ってそうな安っぽいもん。インテリアだとしても、なんだかちゃちい。
調教のなってないメイドを呼んで、聞いてみた。
この蝋燭って何ですか?
あ、御主人様、それだけは絶対に触らないで貰えますか?
なんで?
いえ、とにかく触らないで下さいね。
いや、なんで?
火が消えたら、落ちるんです。
何が?
さぁ。
はぁ?
私も存じ上げません。
は?
ただ、「落ちる」としか聞いてません。先輩がそう言ってました。
ガラスケースのてっぺんには、空気穴が空いている。触るな。つまりは消すなって事か?腑に落ちないけど、これ以上聞いたらうざい御主人様になっちまう。アイスコーシーを手早く片付けて、煙草を吸いながらぼうっとまた店内を見渡していた。
159 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 00:56:20 ID:Kciij6DJO
4/4
やっぱり気になる。視線は自然とさっきの小さなテーブルへと向かう。
何のことは無い、サイドテーブルのような外見。その上の、ガラスケースに入った蝋燭。
よく見ると、テーブルの足の周囲が他の床よりなんだが窪んでいる。
そんな重いのか?そう思ってテーブルに手をかけ、引っ張ってみる。簡単に引けた。
御主人様、さっき言いましたよね?
あ、すんません。
……行ってらっしゃいませ。
なし崩し的に会計を済ませ、地上の空気を目一杯吸い込む。
なぁ、次こそは「ツンデレ喫茶」行こうぜ。
二人、煮え切らないまま歩き出した。
四十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十五話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 お願いします…
【 成仏 】 1/1
じいちゃんの昔話。
出張先で人の気配を感じて、夜に目が覚めた。ふと目を動かすと、枕元に人がいた。
いわゆる、兵士のような格好をしている。
「誰だ?」と尋ねると、何かボソボソと話しているような音が聞こえる。
「聞こえん。」「…私は…行かなければなりません…○○に…」
しばらく聞いていて、どうも先(さき)の戦(いくさ)の若い兵士のようだ、と感じた。
狭いシングルルームのベッド、男に見下ろされているのはあんまり気分の良いものではなかった。
しかたなく起き上がる。卓上には晩酌にしていた純米吟醸酒、塩、手付かずのおにぎりがあった。
そいつの前に酒、塩、にぎりの米部分をちぎり、
「お前の気持ちはよく判った。だが、太平洋戦争は終わったんだ。もう家族の下へ
帰っていい。どうせ俺たちも、戦が始まったら靖国神社に行くことになるさ。
だから、それまで 家族の下(もと)へ戻っていて大丈夫だ。次の戦が始まるまでゆっくりして来い。
俺らがそっちに逝ったら、その時はよろしく頼む。今度の休みにでも、靖国で会おう。」
と語りかけ、手を合わせた。
しばらくして、空がぼんやり明るみかけた頃、その兵士の幽霊は「ありがとう…」と
言いながらうっすら消えて無くなっていった。
その後、ひいじいちゃんの実家に行ったときにアルバムを見ていたら、その幽霊に
雰囲気の似た、笑顔の少年がひいじいちゃんと共に写っていたそうだ。
「今の日本は武力抗争はしてなくても、じわじわ侵略されている真っ最中だから、
戦争中っちゃ戦争中なんだけどな。変態新聞社騒ぎとかが起きてるのもその一環さね。
お前ら若いもんがもっと確(しっか)りせにゃいかんぞ。」
じいちゃんは未だに矍鑠(かくしゃく)としていて、8月と12月には靖国神社へお参りを欠かさない。
終
四十五本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十六話
◆ChC8N5VHp. 氏 お願いします…
1/2
現在、私は都内に住んでいますが、ちょうど2年前までは大学の関係で某県内に住んでいました。
もともと霊感めいたものは中学生のときから感じていたのですが、それほど印象に残るような経験もなく、
自分でもそんなことは忘れかけていた大学2年のころ…。
某県に来て1年目、最初に借りていたアパートが最寄りの駅や大学から離れていたうえ、
自転車を2回も立て続けに盗まれ嫌気がさしていた私は気分転換も兼ねて引っ越す決心をしました。
今度住む所は絶対に急行の止まる駅の近くでオートロックのマンション、
しかも新築などと勝手な妄想を膨らませつつも、
そんなとこ住めるわけねーだろと自分につっこみ入れたりしてたのです。
が、なんと2,3日後にほぼ思い描いていた物件があっさりと見つかってしまいました。
しかもケーブルテレビが完備、近くにコンビニと、
マンションから半径5〜60メートルのなかで大体のことはできてしまうと、
本当に夢のような環境を私は7万円で手にいれることができたのでした。
しかし、今考えると疑問に思えることも結構ありました。
隣が病院ということもありますが、もともと、そのマンションは賃貸物件ではなく分譲物件だったらしく
バブル以降に建てたせいもあってか売れ行きはよくなく、結局は賃貸物件にしてしまったらしいのです。
にもかかわらず、各階には、かなりの空き部屋があったように思えました。
入居当日、そんなことは一切気にせず私は友人と2人で一気に引っ越しを完了させ、
夕方には友人も帰宅、私は一人でテレビを観ながら夕食をとっていました。
観ていた番組は怪奇特集のようなもので、再現フィルムを流していました。
で、そろそろそのフィルムもクライマックスを迎えようとしたと同時に
テレビ以外の全ての電化製品がストップしてしまったのです。
呆気にとられた私は今現在自分の置かれている状況がまったく理解できず、
しばらく茶碗を持ったままじっとテレビをみつめていました。
その後すぐにブレーカー等を調べてみましたが特に問題はありませんでした。
ただ、取り替えたばかりの蛍光灯が既に切れており、
なによりもテレビだけが映っていたというのも納得しがたいことでした。
2/2
その日以来、さまざまな現象が起きはじめました。
金縛りは当然のようにほぼ毎日なり、日がたつにつれ事態はどんどんエスカレートしていきました。
金縛りが生活の一部となったある日、私はソファーでうたた寝をしてしまいました。
そうするといつものように金縛りにかかってきました。
気にもしないでそのままうたた寝に興じていた私はその日に限り電話が鳴っているのに気付いたのです。
こんな時電話してくれても出れるわきゃねーだろと思いつつも、
この日は何故か反抗して体を動かしてみたくなりました。ところが、なんとかながらも動くんですよ!
そして電話口にでた私を待っていたのは、「ヒヒヒヒ・・・ヒヒヒヒ・・・」
すすり泣くような笑っているような何とも形容しがたい女性の声でした。
ものの2,3秒のことでしたが今でもはっきりと覚えています。
その後もロフトから蹴落とされそうになったり、足をひっぱられたり、
急にのしかかられたりということが頻繁に続いたのですが何故か出ていく気にもなれず、
とりあえずは友人にすすめられて毎日お水をお供えはしていました。
気分的には楽になりましたが、相変わらずその手の現象は延々とつづき、いよいよ卒業となり私は上京することになりました。
既に引越先は一か月半まえに決め、あとは引っ越すのを待つのみとなったある夜、ついに出ました…。
仰向けになって寝ているといつものように金縛りになりましたが気にせず寝ていると
耳元で誰かがしゃべっているように思えたのです。
何気なく目を開けてみると、もう鼻と鼻がぶつかるくらいのとこに凄い形相をした
髪の長い女の人が私を睨みつけていました。
さすがにその時は心底恐怖を感じ、すぐに目をつぶり心のなかでお経を唱えていました。
気がつくと汗だくで朝をむかえていました。
現在、そのような現象はもうほとんどおこらず平和に暮らしておりますが、
あの当時わたしの隣の部屋の入退居が異常に激しかったのも今となってはうなずけます。
【了】
最後の段が蛇足としか言いようが無い
四十六本目の蝋燭が消えようとしています……
◆ChC8N5VHp. 氏 ありがとうございました…
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第四十七話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 お願いします…
【作り話が呼んだ…】
小学校の修学旅行で、長崎へ行った時の事です。
ホテルで、就寝時間近くになり、担任の先生がその旨を伝えに部屋へやって来ました。その時、先生は、開いていたカーテンを見て、面白そうに言いました。
「皆はカーテン閉めないのか。」
そして、先生は、ある話を語り始めました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
何年前だったかな…あの事故があったのは。皆と同じで、修学旅行でこの部屋に泊まった生徒達がいたんだ。夜になって、その生徒達が、部屋でふざけて遊んでいたんだって。
そうしているうちに、一人の生徒の上に部屋の布団を積み重ねて、その上に他の生徒が乗って遊んでいたんだって。いじめじゃなくて、本当に、ふざけてやってたそうだよ。
そしたら、布団の下にいた生徒が、動かなくなって…確認したら、窒息してなくなってたんだって。
…それ以来、修学旅行の一団が泊まると、楽しそうな雰囲気につられて、その生徒が窓から覗く顔が映るそうだよ…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その話を聞いた私達は、怖がって半泣きになりながら、慌てて寝ました。
…その日の夜中…。
「う、うわぁ!ああああああああ!」
同室の友人の、物凄い悲鳴で、目が覚めました。誰かが電気をつけると、その友人は部屋の隅で、泣きながら震えていました。それは、尋常ではない怖がり方でした。
部屋の誰かが先生を呼びに行ったらしく、先生が慌てて駆け込んで来ました。
…怖がっていた友人に話を聞くと、「窓に顔が映った」との事。
先生は「俺の作り話が怖かったのか、悪かったな。」そう言ってなだめました。そう、先生の話は、作り話でした。
しかし、友人は取り乱したまま、一向に落ち着く気配がありません。
仕方がないので、先生がホテルの人を呼びに行きました。ホテルの方は、部屋に到着すると、私達に話を聞きました。
友人が「見た」ものの話をすると、ホテルの人が言いました。
「ああ、またですか…」
…実は、私達が泊まっていた部屋で、数年前に生徒が一人亡くなる事故があり、夜になると、窓に顔が映るという報告が何件かあるとの事でした。
…先生の作り話は、偶然にも、その事故を言い当てていたのでした…。もしかすると窓の顔は、作り話に呼ばれて…。
「完」
四十七本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十八話
けい ◆6FDNQyHaxM 氏 お願いします…
「初めての金縛り」 1/2
3年前の9月の話です。
その日は部活の大会前日で、友人(A)がうちに泊まりに来ていました。
県外への遠征で朝5時出発だったのですが、2人なら寝坊することもないだろう、と思ったのです。
自分は普段どおりベットで、Aは座椅子でタオルケットをかけて寝ていました。
夜中(何時ぐらいか分かりませんが)、人が歩く気配がして目を覚ましました。
しばらくするとトイレの水を流すような音がしたので、
「ああ、Aがトイレ行ったのか」
と、その時は納得しました。
そしてAが部屋に戻ってきた瞬間、突然金縛りが起きました。
それまで金縛りというものを経験したことのなかった自分は、一気に眠気が覚めてパニックになりました。
身体は全身が攣ったかのように動かない。動かそうとしても押し付けられる感じがする。
目を瞑ろうとするけど、今閉じたらやばい気がする(一種の強迫観念のようなものだったと思います)。
遠くで地鳴りがすると思ったら、いきなりベットが揺れ始める。まるで地震のように。
2/2
何がなんだか分からずに必死にもがいていたのですが、ふとさっきの人の気配がしました。
Aかな?と思ってなんとか気配の方を見ると、ベットの傍に黒くてぼやけた影が立っていました。
さすがにこれはAじゃない、何かやばい、と感じて目を閉じようとしますがやはり閉じることができません。
2〜3分ほどそのまま見つめていたと思います。
急にその影がはっきりし始めて、気付くと見知らぬ女性が自分を見下ろしていて・・・
その後は覚えていません。
朝4時ごろ、今度こそ本当にAがトイレに行って、自分も起きました。
Aに、「お前夜中トイレに行った?」と聞いたけどAは行かなかったそうです。
「なんかうなされてたみたいだけど大丈夫?」と言われたので金縛りのことを話すと、
「ふーん。そういえばうちではしょっちゅう黒い影とか見るな。1人ここに持ってきてしまったのかもなw
まあ、寝ぼけてたんじゃね?w」と言われました。
それ以来、3ヶ月に一回くらいのペースで金縛りにあいます。
その時は必ず、地震が来たわけでもないのに部屋が揺れて、
そしてベットの傍には黒い影が立っています。
【完】
四十八本目の蝋燭が消えようとしています……
けい ◆6FDNQyHaxM 氏 ありがとうございました…
ξ
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第四十九話
水琴窟 ◆FMYPc6cKQE 氏 お願いします…
-喪服の行列-
10年ほど前、Kさんの実家は改築しました。
古い家は完全に取り壊し、新しい家を建てたのだそうです。
風水の本などを参考にしながら、Kさんのご両親があれこれ考えて建てたのですが
Kさんは「その割には、あまりうまくできてないんですけどね」と、笑いながら私に
話してくれました。
新築後、三ヶ月ほどたった頃のことです。
Kさんのお母さんが「昨夜、変な夢を見たのよ」と言い出しました。
お父さんとお母さんは、1階の南側の部屋で寝起きをしていて、その部屋にはご先祖をお祀りした
仏壇が置いてあったそうなのですが
お母さんが見た夢は、その仏壇に向かって、北の方角から、大勢の喪服姿の人々が歩いてくるという
不気味なものだったそうです。
その人々は老若男女様々で、見知った人は一人としていない…
一様に黒い喪服を身に纏い、列をなしてただ歩いてくる。
その顔は皆無表情で、終始、無言だったそうです。
彼らは次々に、仏壇の中に消えていったそうです。
その後、Kさんの実家で、何か変わったことがあったという話はなかったそうですが
「それって、Kさんのご先祖様だったんでしょうかね…?」と訊いてみたのですが
Kさんは、あれはご先祖様たちの行列である、という、それ以外の可能性については
敢えて考えないようにしているんです、と、答えてくれたあと、こうしめくくりました。
「だって、考えてみてくださいよ。
もしもそれがご先祖様じゃなかったら…そっちの方が怖いでしょう?」
174 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:23:00 ID:QoQnRl6J0
四十九本目の蝋燭が消えようとしています……
水琴窟 ◆FMYPc6cKQE 氏 ありがとうございました…
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第 五十話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
「へんないきもの」
祖母から聞いた話。
いつもの様に畑仕事をしていると、ふと何かの視線を感じた。
後ろを向くと、へんないきものがこちらを見ている。
猪位のサイズで、尻尾と鼻は豚、体は灰色の毛むくじゃらで、足は狸の様。
頭は猿の様な色で耳は無く、目は山羊、口は裂け、牙が生えていた。
よだれをだらだら垂らし、「ヴー…ヴー…」とうなりながらこちらへ来る。
しばらく、睨み合ったそうだ。
ふと、その変な生き物が「ヴオっ!」と一声鳴いた。
それと同時に我に帰り、腰に下げていた蚊取り線香入りの缶を思いっきり投げつけた。
人間を燃やす様な嫌な臭いが充満し、そのいきものは山へと消えた。
私は怖い。いつか家に来るのではと。
【完】
176 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:25:27 ID:QoQnRl6J0
五十本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 ありがとうございました…
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第 五十一話
うめ2氏 お願いします…
177 :
うめ2:2008/08/23(土) 01:26:31 ID:m8PDj1p50
29800円
これもネットの知り合いから聞いた話。
東京近郊の某県に、へんなアパートがあった。
小学生くらいの子供が何人もすんでいて、目つきのやたら悪い親みたいなのがいるんだ
けどたまに折檻してるのか子供の悲鳴が聞こえる。
児童虐待じゃないかって、たまに児童相談所の職員らしい人もくるんだけど、なんか押
し問答で結局、なかに入れない。
ただ、たまにどうみてもグラサンとコートとかの怪しい人とか、なぜかリムジンみたい
な車がそのアパートの前でとまる。
普段は滅多になかの子供がでてこないんだけど、たまたま、小学校低学年くらいの、顔
が腫れた女の子に、近所の主婦の人が遭遇した。
その人はだいぶ前から「このアパートはおかしい」と思っていたので、おもいきってそ
の女の子に「大丈夫」と声をかけたら、女の子がにたって笑って、
29800円だよ
それがなんの値段かわからないし、君が悪くなって、主婦の人はアパートの子供と関わ
るりをやめた。
いつのまにか、アパートからは子供たちもいなくなって、目つきの悪い人もいなくなっ
たんだけど、いまでもたまに近所に、
「29800円てここですか」と不審な男の人が尋ねてくるらしい。
なんとなく、話を聞いて、ある種のとてもいやな想像はできたけど、近所では結局、そ
の話は完全にタブーだそうな。
【完】
178 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:28:03 ID:QoQnRl6J0
五十一本目の蝋燭が消えようとしています……
うめ2氏 ありがとうございました…
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第 五十二話
◆qYEA7rCfag氏 お願いします…
【背後】(1/3)
深夜過ぎまで、課題をこなしていた時の話です。
その日の夜も、最近恒例になっていた土砂降りでした。
普段は虫の鳴き声が聞こえるのですが、当然、それもありません。
雨音が聞こえてくる中、PCのキーを打つ音だけがカタカタと鳴っています。
ふと、画面から目を離して伸びをすると、背後が気に掛かりました。
何も居ないと、頭の片隅で分かっては居るんです。
それでも一人暮らしの性か、気になってしまうと居ても立ってもいられません。
「あー疲れたなー」と、わざわざ声に出して後ろを振り返りました。
___________
| □ |押| ○が私、その前にある■がテーブルです。
| |し| 脇にある□はTVで、■の連続が壁になります。
| ■○ |入|
| ___|れ|
| |■■■■■■
|___  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|台所 | 廊下
|____|______
勿論、そこにはちゃんと閉められた押入れの襖があるだけです。
何となく安心した私は、ついでとばかりに廊下にあるトイレに立つことにしました。
【背後】(2/3)
確か……あの時は廊下の電気が切れていました。真っ暗だった記憶があるので。
それで台所や居間の電気をフルに付けて行ったのですが、どこか及び腰だったと思います。
前日に呪怨を見た所為か、向こうの暗がりから顔が覗いているような錯覚もありました。
そして、また別の話になるのですが、この廊下は私は元より、お客にも気味悪がられます。
廊下を歩いていると口は一文字、目をかっと見開いた男性に肩を掴まれる感覚に襲われるのです。
この話には蛇足ですが、そういう雰囲気のある家だと思って頂ければ……。
上記のような感覚に襲われつつも、なんとか用を足して居間に戻ります。
もうその頃になると静かな部屋で作業など出来る訳も無く、TVの電源を付けました。
時間も時間だったので目ぼしい番組などやっておらず、古い映画をつけておくことに。
内容もコメディタッチだったので、雰囲気を払拭するには打ってつけでした。
……が、それからすぐのように雷が鳴り始めたのです。
最初のうちは音も遠く、若干ビクつく程度で済んでいました。
しかし悪いことは重なるもので、激しい雷鳴の後、電気が消えてしまったのです。
また、電気が消える瞬間に「バチンッ」という強い音が聞こえていました。
作業で使っていたのがノートPCでしたから、バッテリーのおかげで暗闇にはなりませんでした。
しかし、気になるのは電気が消えた時の「バチンッ」という音です。
雷鳴とは別に、何かが弾けるような音が聞こえたのですが……と、嫌な想像に至ります。
「もしかしたらブレーカーが落ちたんじゃ?」
しかしブレーカーを直すには廊下に出なければいけないので、当然、そんな勇気はありません。
すぐに復旧するだろうと待ってはみたのですが、十数分ほど待ってもそのままだったと記憶しています。
【背後】(3/3)
暗闇でジッとしているのも限界で、仕方なくノートPCの明かりを頼りにブレーカーを直しに。
廊下に出るとすぐに何かの気配を背後に感じましたが、これは皆さんも経験があると思います。
大抵は気のせいですむのですが、先のような「男性」の映像がチラついて気がきじゃありません。
何事もなくブレーカーまで辿りつくと、やはり落ちています。
少し乱暴にスイッチを上げると、ようやく居間の方から明かりが漏れ、TVの音声が聞こえてきました。
やれやれ……と居間に戻ったのですが、TVの電源が入っていません。
普通、電源を消さずに元からTVを切った場合、元をつければTVは起動します。
そうでなくともブレーカーを上げた直後にTVの音が聞こえたので、付いたことに間違いは無い筈ですが……。
困惑しつつも、TVの電源をつけようとTVに歩み寄りました。
ついで、そのせいで気付いたことがあります。
私がトイレに立つ前、襖が閉まっていることを確認していたのですが、この時、襖が半分ほど開いていたのです。
ベランダ方面の窓ならいざ知らず、襖やドアを半開きにする事はまず有りえません。
結局この日は、雷鳴を聞きつつ、TVの音量をあげて徹夜となりました。
勿論、半開きの襖には朝まで近づけませんでした。
廊下にいる「男性」が、暗闇に乗じて押入れの中に隠れたと考えると……怖いですから。
【完】
182 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:31:37 ID:QoQnRl6J0
五十二本目の蝋燭が消えようとしています……
◆qYEA7rCfag 氏 ありがとうございました…
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第 五十三話
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 お願いします…
183 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 01:34:26 ID:Kciij6DJO
【便所紙】
その…なんていうか……下品なんですけどね。…うん〇こ、の話なんですよ。
さっきさ、我慢出来なくてうん〇こ、しに行ったんですよ。
オレの部屋、二階。便所は一階。
真っ暗な階段を降りて、真っ暗な渡り廊下を歩いて、真っ暗な便所に到着。
我が家の排泄機構は未だにぼっとん。それじゃダサいから、上に洋式便座のフェイクを乗っけて形だけヨーロピアンにしてある。
個室の中は豆電球。一日中灯ってる豆電球。でも今日に限ってついて無い。
ここでつけたら負けかな、と思った。だから真っ暗闇の中、うん〇こした。
すっかりすっきりして、トイレットペーパーに手をだしたら、なんかヌルッとした。
感触的にヌルッとした。
うわっ、カエルか!?
いや、違う。便座紙が湿ってる。マジかよもう梅雨開けたぞ。
仕方ないから予備の真新しい便所紙を出してそれで尻を吹いて退室。そそくさと二階へ。
蝋燭の明かりの中、煙草をつけようとして手元に目がいって、そいで気付いた。
オレの手、何で髪の毛絡まってんの?
184 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/23(土) 01:37:51 ID:IRmJFvCW0
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|r-==( 。);( 。)
( ヽ :::__)..:: }
,____/ヽ ー== ; ほほう それでそれで?
r'"ヽ t、 \___ !
/ 、、i ヽ__,,/
/ ヽノ j , j |ヽ
|⌒`'、__ / / /r |
{  ̄''ー-、,,_,ヘ^ |
ゝ-,,,_____)--、j
/ \__ /
| "'ー‐‐---''
185 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:44:47 ID:QoQnRl6J0
五十三本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 ありがとうございました…
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第 五十四話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk氏 お願いします…
【 内線電話 】 1/2
得意先のファッキンなミスで、急な残業になったことがある。時刻は午前零時を過ぎていた。
周りの人はもう帰って、自分ともう一人の同僚とで必死になっていた。
「腹減ったなあ。なんか買ってくるわ。」と、同僚が席を立つ。
自分はひたすら仕事を片付けていたところ、他の席で内線が鳴った。
同僚からかと思って取ったが、何も聞こえなかったので切った。
しばらくして、他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。
他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。
他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえない。他の席で内線が鳴る。代理で取る。聞こえな…否(いな)。
電話が遠いが、かすれたような息遣い。「ヒュー…ヒュー…ヒュー…ゼイ…ゼイ…」あたかも喘息のような。
あれ…?そういえば、何故、電話が鳴るんだろう。
外線なら、留守電に切り替わっているから着信することはない。第一、音が違う。
…さっきから、内線の鳴る席が近づいて来ていないか?
…さっきから、なにかが来ていないか?
…床が、なにかの動きにあわせて、軋む音がしていないか?
2/2
自席の、内線が鳴る。
伸ばした手が震えている。ぷるぷる震えている。意を決して受話器を取り上げ、
「いい加減にせんかゴゥルァァァァァ!!こちとら納期が迫ってんだアホンダルァァァァ!
悪戯する暇あるんなら手伝わんかぁぁぁ!とりあえず用紙補給でもスペルチェックでも何でもしろやぁぁぁ!
手伝わなきゃ滅(めっ)すぞ WRYYYYYYYYYYYYYY(ウリィィィィィィィィィィィイィィィィイ)!!!!」
と、噛んで含めるかのように優しく諭した所、息遣いが泣いているような音に変わった。
「泣いた位でごまかせると思ってんのか甘ったれんなゴラァァァァァァ!!
腕立て100回でもしてろバカ野郎!!!!文句があるならヴェルサイユへいらっしゃぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
…ふと気づくと、鳩が豆鉄砲食らったような顔した同僚が目の前にいた。
「いやぁ…迫りくる内線、っていう怪談は聞いていたけど…その現場見たけど…幽霊に巻き舌で怒鳴るお前が一番怖い…。」
それ以来、残業をしても何も起きなくなったらしい。午前零時を過ぎてから迫る内線、
というのは残業した人たちの間では暗黙の了解で「起きていない」ことにされていたらしいのが、ピッタリ止まったとのこと。
…その後、1階下のフロアに怪異現象が移ったとか、移らないとか…
188 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:48:15 ID:QoQnRl6J0
五十四本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk氏 ありがとうございました…
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第 五十五話
不動 ◆V5OnBvuVPk氏 お願いします…
土建屋の社長さんから聞いた話。 1/2
今から数年前、公共事業の受注がごっそり減り同業者が次々と廃業してゆく、そんな時期。
このままでは会社がもたない。そう思った社長は県内の仕事だけではなく、県外の仕事も請けることにしたのだという。
丁度、隣県まで国道が開通した事もあり、隣県の仕事を請け負った。
仕事の内容は『住宅用地の造成』雑木林を切り開いて更地にする、何という事はない仕事である。
隣県の現場までは車で数時間かかる距離にあり、仕事終わりに帰ってこれる距離ではない。
そこで、現場近くにプレハブを建て現場事務所兼宿泊所としていた。
地元の仕事が全く無い訳ではなく、かといって人員をさけるわけでもない。
幸い、重機は仕事をこなせるだけ揃っており、社長は地元での仕事をこなしていた。
着工から数週間、現場事務所の電話が鳴った。
「社長! 大変です!」
電話の相手は現場事務所を任されている現場監督だった。
しかし、妙に慌てているようだった。
とにかく慌てる現場監督を落ち着かせ、話を聞いた。
現場事務所が全焼だ、という。
詳しく事情を聞くとどうもおかしいのだと言う。
出火当時、現場事務所内には誰も居らず、火の気も無かった。
ありえない火事だった。
しかし一度請け負った以上、やめてしまう訳にも行かず「暖房を付けっぱなしにしていたんだろう」という事にして工事を再開した。
それから更に数週間後、また、事故が起こった。
重機が倒れた。
運の悪い事に重機に乗っていた作業者はキャビンに挟まれて、腰の骨を折る重傷。
普通、重機というものは45度まで傾かないと倒れないように設計されている。
無論、地面が液状化していたら倒れるだろうが、現場は只の平地。例え45度まで傾いていたとしても、重機が45度になる前に滑って落ちるはずなのだ。
重機が壊れ、工事の目処が立たなくなり、工事の中止をせざるを得なくなった。
社長は自ら現場に出向き、撤収の作業を行っていた。
そこで、近隣住民と話す機会があったそうだ。
「あー・・・やっぱりね。あそこの木、あるでしょ。あそこねぇ、数年前に女の人が首吊って亡くなってるんだよね・・・。」
完
191 :
プリスマ:2008/08/23(土) 01:51:37 ID:QoQnRl6J0
五十五本目の蝋燭が消えようとしています……
不動 ◆V5OnBvuVPk氏 ありがとうございました…
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第 五十六話
シムラ ◆DreCPnUqGg氏 お願いします…
1/4
この話に出てくる人物の名前は基本的に仮名です。
少女の名前は実名ですが。
「胸・・・触って欲しいの」
これは、俺が小学校5年生の時の話です。
俺のクラスには、窓際の一番後ろの席に、お寺の住職の娘だと言う
薄幸で大人しめな一人の少女が座っていました。
いつも、薄い青色のワンピースを着た、他の同級生と口をきいてる所を
一度も見た事が無い、そんな少女でした。
ある日、委員会の活動が長引き、16時を過ぎた頃に教室にランドセルを取りに戻ると
その少女が、窓際の席に座ったまま本を読んでいました。
他には教室に誰も居ません。
俺「何・・・してるの?」
少女「本・・・読んでるの。」
一瞬驚いた表情を見せた後、いつもの幸薄そうな表情でこちらを見つめる少女。
本なんか、家に帰ってから読めば良いのに・・・と思いつつ机の脇にかけてあったランドセルを
取ろうとした時、その少女は、席を立ち・・・こっちに近付いてきました。
少女は、俺の目の前に立つと、ワンピースの胸元のボタンを外し始め・・・
俺「な、な、な、何、やってるんだよ?」
少女「あのね・・・シムラ君に・・・・・・あの、ね・・・恥ずかしいんだけど・・・お願いがあるの。」
少し俯き、赤面した表情でそう呟く少女。
2/2
少女は、ワンピースの胸元のボタンを外し終えると
少女「あの・・・ね・・・胸・・・触って欲しいの・・・。」
俺だって、小学校5年生・・・そりゃ、異性の胸に興味が無い訳はありませんでした・・・が、突然
そんな意味の解らない申し出をされたら驚きます。
俺に向かって胸をさらけ出しながら、目をつぶって、小さく体を震わせている少女
俺は、その少女が冗談や遊びでそういう事を言っている様には思えず
俺「・・・いい・・・の?」
少女は、コクンと小さく首を縦に振りました。
体を震わせている少女の、まだ真っ平らと言える貧乳に手を添え、そっと撫でる俺・・・。
その時から始まり、約半年の間、一週間から二週間に一度、放課後の教室で俺は
その少女と二人きりになり、少女の胸を愛撫する日々が続きました。
6年生になってからはその少女は同じクラスにいませんでした。
多分違うクラスになったんだろう・・・そう思っていました。
大学生になった頃、ふとその少女の事を思い出し、あの少女は何故あんな風に胸を触らせたんだろうと思いました
俺は、あの少女に好かれていたんだろうか・・・と。
間違えた
>>193の2/2は2/2じゃなくて、2/4です
3/4
大学を卒業する少し前、今から数年前ですが小学校の同窓会がありました。
5年生の時同じクラスだったその少女と再会できるかも、そう思って同窓会に行った俺は驚きました。
「宮本佳子(みやもとよしこ)さんは?」
少女の名前を口にして、来てるのかを聞いた俺に
同級生1「誰、それ?」
同級生2「そんな名前の子居たっけ?」
同級生3「誰だ、それ?」
同級生が皆、その少女の事を覚えていないのです。
俺「ほら、あのお寺の住職の娘の・・・」
と、同級生3に俺が言いかけた瞬間、そのお寺の近くに住んでいた同級生4に、俺は腕を引っ張られ
同級生4「ちょっと来い」
と、他の人が居ない所に連れて行かれました。
そこで同級生4から聞かされた話は、実に驚く物でした。
同級生4「お前、佳子さんが見えたんだな・・・。」
俺「どういう事だ?」
同級生4の意味の解らない発言に、俺は疑問系でしか言葉を返せませんでした。
何でも、同級生4が言うには、俺達が小学校5年生になるよりも10年近く前
そのお寺の近くの家で火事があり、その家に住む夫婦と、その夫婦の一人娘で、当時小学校5年生だった少女が
焼け死んだそうです。
4/4
その家の夫婦は、そのお寺の檀家であり、お寺の裏にあった、お墓に
その家族の遺骨は埋葬されたそうです。
俺「その焼け死んだ娘が、まさか。」
同級生4「宮本佳子という名前だったそうだ。」
更に聞くと、俺達が小学校5年生の時使っていた5年2組の教室は、その
宮本佳子さんが5年生当時在籍していたクラスの教室だったそうです。
同級生4「子供の頃・・・近くのお寺の墓場に、夜中になると薄青色のワンピースを着た
少女が走り回ると言う噂を聞いてたけど・・・。まさか、教室にも現れていたとはな。」
同級生4が子供の頃に聞いた噂と、俺が教室で遭った佳子さん・・・。
もしかして、佳子さんは死んだ後、お墓に住み着き、何年もの間毎日、学校に通ってたのかも知れません。
それも、死んでから10年経っても、ずっと同じ教室に。
もしかしたら、彼女は今でも墓場と学校を行き来しているのかも・・・。
そして、偶々佳子さんの存在に気付いた俺が、佳子さんに気に入られたのかも知れません。
同級生4からそういう話を聞いて驚きました。
ただ、あの時触れた佳子さんの胸の感触は、幽霊だとは今でも思えません。
完
197 :
プリスマ:2008/08/23(土) 02:09:13 ID:QoQnRl6J0
五十六本目の蝋燭が消えようとしています……
シムラ ◆DreCPnUqGg氏 ありがとうございました…
ξ
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第 五十七話
影虎 ◆OTL/VNUGLY氏 お願いします…
「誰?」1/2
祖母から聞いた話。
我が家は旧い街道沿いにある。
今は少し奥に引っ込んだが、戦後しばらくは本当に街道にはみ出す様に家があった。
そして我が家は田舎である。
今は交通機関の発達により大して苦ではない坂道も、当時は峠扱いされている程急な坂だった。
道はぬかるみ、山は深い。
日が暮れてから街道に入ってしまった人は、大体我が家の軒先で雨露をしのごうとしていた。
「軒先で眠らせてくれればいい」という人たちを、曾祖母は家へあげ、風呂を沸かし、飯を食べさせていた。
そんな人たちは食事中などに「どこそこから来て、どこそこへ行く途中なんです」と話してくれる。
その話を聞くのが、当時10歳やそこらの祖母の楽しみだった。
ある日、泊まっていった人は少し変わっていた。
髪も、長い髭も真っ白で、白装束を着ている。そしていつも杖を持っていた。
幼い祖母には仙人に見えたそうだから、恐らく80歳前後だろうと思う。
その人も、軒先で眠りかけていたのを曾祖母が見つけて家に上げた。
しかしその人は、自分がどこの誰で、どこから来てどこへ行くのかを一言も言わなかった。
ただ朝になると「ありがとう」とだけ言って去っていった。
それから、半年に一回位のペースで来る様になった。
来れば何某かの面白い話(祖母はもう忘れてしまったらしいが)をし、次の朝には去っていく。
「誰?」2/2
それが、祖母が22歳の時に嫁に行くまで続いた。
祖母が嫁にいき、そして6年後に嫁イビリに耐えかね離婚するまで一回も来なかった。
腹の中に私の母を抱えたまま帰ってきた祖母は、少しして私の母を産んだ。
その後、仙人の様な人が一回だけ来た。
そして祖母をじっと見つめ、こう言った
「あんたには神様がついている。だから心配する事はない」
そしていつも通り、次の朝に「ありがとう」と出ていった。
それきり見ないそうだ。
当時は誰も不思議に思わなかったが、我が家に初めて来た時に80歳だったとしても最後に来た時には98歳だ。
そんな老人が一人で峠を越えてどこぞへ行くだろうか?
しかも、その18年間老人は年を取った様にはみえず、いつまでも80歳前後の見た目だったそうだ。
その老人が誰だったのか、未だに分からない。
祖母は、「神様はあの爺様だった」と信じている。
【完】
五十七本目の蝋燭が消えようとしています……
影虎 ◆OTL/VNUGLY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第五十八話
水妄想 ◆2nGALdxPuM 氏 お願いします…
霊媒体質の友人が、二人揃って我が家に泊まっていった翌日の話です。
夜遅く仕事から帰って、とても疲れていたのでシャワーを浴びて、すぐに
ベットに入りました。
たぶん明け方だったと思いますが、ものすごい金縛りで目が覚めました。
あいつ等!連れて来て置いて帰ってくれたな、と気が付きましたが後の祭りです。
部屋中が重苦しい淀んだ空気に満たされて息苦しく感じ、なんとか金縛り
から逃れようとしていたら、低い話し声が聞こえてきました。
というか、私に向かってなにやら話しかけて来ている感じ。
何を言っているのかなかなか聞き取れなくて、一生懸命神経を耳に集中
させていると・・・
苦しそうな老婆の声で「・・に・・・を・・投げ・・られて・・・!」
と言うのが解ったので、思わず「え?何?」と声に出して聞き返してしまいました。
なんで声が出たのか不思議なんですが、とにかく大きな声が出てしまい、自分でも
ビックリしました。
すると、私の問いに答えるように
「・・嫁に甲冑を投げつけられて・・●□▲※(この後聞き取れず)」
と今度はハッキリと聞こえました。
その後もブツブツと言っているのですが、何度繰り返されても
「嫁に甲冑を・・」の部分しか聞き取ることはできませんでした。
とにかく鬼嫁について延々と私に愚痴っているような、そんな感じを受けて
(ああ、本当に大変だったんですねぇ・・)と本気で思った瞬間、金縛りが
解け、同時に淀んだ空気も消えていました。
ソレを連れて来ただろう友人に「いったい何を連れて来てくれたんだ!」と怒ったの
ですが、私の話しを聞いても笑うばかり。
まあ、確かに甲冑を投げる鬼嫁の図を想像すると、怖いより笑えるのですが、
投げつけられた老婆の気持ちはいかばかりかと・・・
私に散々愚痴ってスッキリ成仏してくれたのならいいのですが。
五十八本目の蝋燭が消えようとしています……
水妄想 ◆2nGALdxPuM 氏 ありがとうございました…
ξ
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第五十九話
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 お願いします…
203 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 02:20:19 ID:Kciij6DJO
【帽子】1/2
帽子が怖い。
オレの人生初の彼女は、そう残してオレの元を去った。
は?ざけんな。デムパか?帽子怖いってなんだ。怖いのは饅頭だけだろバーロー。
納得がいかない。そんなイミフな台詞だけで別れられたんじゃ、こっちの気が収まらない。
そんな訳で、オレはストーカー並みの根気と興信所並みの手回しを行い、元カノの友人とついに接触する事に成功した。
近くのガストで待ち合わせて、席についてスイーツを頼む。単刀直入に聞いた。
帽子怖いって何なのさ。あんたあたしの何なのさ、と。
だがなかなか話たがらない元カノの友人。
きんきんに冷えたストロベリーパフェが頭に回ってきたのも合わせて、オレのイライラはマッドマックス。
声を荒げるのは流石に不味いから、心底不機嫌な顔で問い詰めると渋々話し出した。
〇〇君(オレ)が、Y子にあげたハットあるじゃん?
ああ、そういや誕生日プレゼントとかいって渡したっけ。こないだクロネコヤマトがオレの家に届けてきやがったけどな。
204 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 02:21:17 ID:Kciij6DJO
2/2
それがさ、なんか、あのハットがなんかイヤなんだって。
はぁ?ざけんな。1万のハットだぞ?わぁ、超可愛いー。一生大事にするねー(はぁと)とか言ってやがりませんでしたか?ありゃ嘘か?童貞だと思って馬鹿にしてたんか?童貞嘗めんなや。
ううん、別にハットを貰った事が気に食わなかったとかじゃなくてさ……。
じゃあ何ですか。
なんかね、ハットがかじるんだって。
かじる?何を?
頭を。
は?
血、でたって。
……。
そういや最後に会った時、あいつ、頭に包帯巻いてたな。
そういや最近、頭が痛いんだよな。
五十九本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 ありがとうございました…
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第六十話
毒苺 ◆m4FfOBrUGg 氏 お願いします…
「お参り」
友人と二人で花火を見に行くため車通りの少ない道を走っていました。
その道は周りも暗く私達の車だけが走っている状態
私は助手席に座っていたので周りの景色を見ていたらふと小さな神社がある事に気がついた。
夜9時も近いのに灯籠と提灯がついていて神社の脇に白いセダンが止まっているのがみえた
境内では男の人が熱心に参拝中。
こんな時間に珍しいなと思いつつ運転していた友人にそのことを伝えた。
「こんな神社でお祭りかな?賑やかなのじゃなくて地味なやつ。ほら時々あるじゃない」
「…どこで?」
「運転してて気がつかなかった?今通った神社の…」
「やめて!!!!」
「えぇ?なんで??灯りもついてたし、車も止まってた。男の人がお参りしてたよ?」
頭の中が疑問でいっぱいになったのでそんな質問を投げかけていたが
友人は黙々と猛スピードで運転に集中していた。目的地につき後、もう一度問い直したところ
「車もなかったし、灯りもついてなかった。むしろ真っ暗だったの」
いや、おかしい。私はちゃんと見た。むしろ不思議な光景なので見間違えるはずがない。
でも逆に怖がらせてしまって申し訳ないなと思ったので謝ったらひと言。
「実はちょうどあんたがその話をしたときに私は男の人の怒鳴り声が聞こえたの。」
【完】
六十本目の蝋燭が消えようとしています……
毒苺 ◆m4FfOBrUGg 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十一話
うめ2 氏 お願いします…
208 :
うめ2:2008/08/23(土) 02:25:41 ID:m8PDj1p50
愚麗斗地獄
これは個人的に体験した話です。
昔、インターネットが一般的になる前に、パソコン通信というのがありました。
その最大手がニフティサーブで、そこではCBといういまのチャットみたいな機能が
あったのです。
おいらはそこの「B2」というところの常連だったのですが、ある日、変な奴がきま
した。
そいつは「愚麗斗地獄」という名前で、「殺す」「死ね」とか危険ワード連発。
みんな呆れて放置したけどおいらはなんか興味もって話きいていたんです。
そしたら「いらいらして人殺したい」、「弟にプロレス技かけてるけどつまんね」、
などなどの暴言。
でもたまに「普通」になるときがあって、近場の女の子がデートとかしたんですが、
「なんかハンサムだけど恐かった」という話で。
そいつのことを忘れていて、一年くらいたったあとに「神戸の例の事件」が起きたの
です。
名前のセンスとか、年齢とか、いろいろと完璧に一致するのですが、報道だと「彼」
はパソコン通信はやっていなかったとか。
でもそのころに流行始めたインターネットでは、「酒鬼xx」というHPを見たとか
目撃情報が。
真相はヤブのなかですが、いまでもいやーな気分になるのが、
「そんなに殺したいなら勝手に人とか殺せよ」
と冗談のつもりでおいらが書き込んだことです。
【完】
六十一本目の蝋燭が消えようとしています……
うめ2 氏 ありがとうございました…
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第六十二話
夜歩き ◆TaMs2P7CR2 氏 お願いします…
「挨拶」
自分の体験した話。
小学生の頃、○君というクラスメイトが交通事故にあった。
その日は、偶然○君の近くに住んでいる子と遊ぶ約束があり、
遊んでいる最中に「そうそう、○君帰りに車にぶつかったらしいよ」と言う話を聞き、
大丈夫かなー、明日学校来られるかなー、お見舞いに行かなくちゃなー、
と、小学生らしくそれくらいの心配しかしていなかった。
その晩夢を見た。
小学校の校庭でいつものように休み時間ドッジボールをする自分たち。
そこへ担任に伴われてやって来る○君。
「みなさん、突然ですが○君は今度、遠くへお引っ越しする事になりました」
えー、何で、どうして、と騒ぐクラスメイト。
「本当に急で御免ね」と済まなそうに言う○君。
「今度遊びに行くからさ、住所教えてよ」
多分、自分が言った言葉に、○君が応える。
「うーん、でも、みんなが来られないくらい遠くなんだぁ……」
そこで、目が覚めた。真夜中だった。
もう其の先は予想がつくと思うけれど、
○君はその事故で本当に遠くに行ってしまっていた。真夜中に、独りで。
その話も、翌日どこに入院してるのかなーと言いながら登校した朝に、
泣きはらした顔の担任から聞いた。
予め彼の事故を聞いていたから、見た夢なのかもしれないが、
あれは、○君が別れの挨拶に来てくれたのだと今も思っている。
【完】
六十二本目の蝋燭が消えようとしています……
夜歩き ◆TaMs2P7CR2 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十三話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 お願いします…
第63話 ]]]]]]]]] 壁 [[[[[[[[[ 1/2
ある倉庫に、妙に分厚い壁がある。
物理的に巨大なモノに圧迫感はつきものだが、それだけではなくザワつく感じがあった。
「ここ、人柱でも埋めたの?」と冗談めかして聞いた。
「人柱じゃないけどね。昔使ってた壁の上から壁作ったから。…話、聞きたい?」
ここの倉庫、拡張したの知ってるよな?
うん、昔から使っていたけど手狭になったから拡張工事、したんだよ。
で、そこの壁壊そうとしたら…壊れない。物理的に壊したら壊れるはず、なんだけど。
羽田空港の大鳥居、将門の首塚。そう、あれと同じような現象が起きたんだってさ。
壊そうとすると、工事関係者が怪我したり亡くなったり。機材が横転して亡くなったり、
後日機械に巻き込まれて頭がミンチ状態になったり。
ああ、現場が弛(たる)んでいるのか、あるいは環境によるものって可能性は勿論、
捨て切れなかったけどね。
ま、その気になったら資料室の資料調べてくれればいいんだけどさ。
その資料自体、扱う担当者に怪異がおきまくった曰(いわ)くつきw
2/2
で、困ったうちの社長が、かんしゃく起こして
「よっしゃ、お前の気合はよく判った!壊さないでやるが、うちも社員とその家族の生活と命預かってる!
そのためにもこの倉庫の拡張は必要不可欠!よって、お前を礎(いしずえ)にして壁on壁を作る!」
ってタンカ切って、ついでに神主の首に縄つけてひきずってきてお祓いさせて、
それからはとりあえず工事は順調になった。
壊そうとしなければ、大丈夫だよ。壊そうとしなければね。
ただちょっと、なんとなくシットリヒンヤリして、モワモワした感じがするだけだし。
呼ばれなければ大丈夫さね。
ん?そこを居心地良く感じると、持っていかれるそうだよ。何をかは知らん。
何なら試してみるかい?
ああ、先日泥棒が忍び込んで悪さ仕掛けたらしいんだけど、朝、早出の人間が見つけたときには
骨、折れて暴れていたなあ。
何か言葉にならないような言葉でワメいてたけど、どうも壁壊そうとしたみたいだな。
ツルハシじゃ無理だよ。
壁はせいぜい欠けた位だったけど、色々ぶちまけてくれたおかげで後の片付け、
変なニオイがついて大変だったけどな。
ああ、そいつ?たぶんもう来れないんじゃないかな。
ウツボ船(ぶね)で海でも渡ってこない限りねw
[了]
六十三本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十四話
ひまわり ◆jDMsnyaMW. 氏 お願いします…
215 :
ひまわり ◆jDMsnyaMW. :2008/08/23(土) 02:36:57 ID:Zzi4ubrJ0
第64話 『アオキガハラ』
1/2
樹海に「入った」ことあります?そう、アオキガハラです。
遊歩道ではなく、もちろん、奥地です。
もともと不可侵な場所ではあるけれど、そこに興味をひかれて
頻繁に訪れたことがあります。
樹海は不思議な場所、自殺名所、というイメージが皆さんにはあると思いますが
自分の中では、自殺体を見つけたいとか、霊を見たいとかなオカルト的要素よりも
探検というアウトドア趣味のほうが強いので、
遭難するかも、という怖さはあるものの、オカルト的な怖さはありませんでした。
ところが。。。
そんな私にも、ときどき理屈では説明できない出来事もあるのです。
216 :
ひまわり ◆jDMsnyaMW. :2008/08/23(土) 02:39:45 ID:Zzi4ubrJ0
2/2
たとえば、遊歩道を歩いていると、むしょうに入りたくなる(逸れたくなる)道があり、
そこを辿ってみると、そこには、遺留品やときには御遺体を見つけてしまうこともありました。
ときには、ある夜に通りかかると、かすかな何かの臭いがする。
翌朝、もういちど、確かめてみると、その道とは呼べない奥で、死後1年以上の白骨体。
このくらい月日がたってしまうと、さすがに、死臭などは発しないはずなのに
あの、臭いはいったい。。。
、、、ここにいるよ、、、というサインだったのでしょうか。
あるときは、事前にここで亡くなった方がいた情報を得て、
その場所を通りかかったときは、手を合わせながら、思わず同情している自分がいました。
その後、GPSロストを繰り返し、
2回ほどその方が亡くなった所にどうしても戻ってきてしまったときは、少し怖い感じもしたのですが・・・
なんとか帰還したその深夜、原因不明の発熱。
なぜか、直感的に感じました。「ツイテキタ」と。
ごめんなさい。私は何もしてあげることはできません。ついてこないでください。
朝まで、そう願いながらうなされていた自分がいました。
樹海は、大自然が素晴らしい場所だけれど、
自殺問題も切っても切り離せない場所なので
やはり、このような出来事もあるのでしょうね。
アウトドア志向の自分でも、ときどき、
いろいろと説明のつかない怖さを感じる、やはり不思議な場所です。
【完】
六十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ひまわり ◆jDMsnyaMW. 氏 ありがとうございました…
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第六十五話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
明美 ◆Yl50WwcdEE様 代理投稿
タイトル無し 1/2
私の職場にAという男がいました・・・
その男は社交的で明るい人間で、誰からも好かれていました。
ルックスもよく、仕事も出来るので社内の人気も高く、職場で一番の美人と付き合っていました。
いつもみんなの中心いるA・・・
そんなAに私は少しだけ惹かれていました・・・
ある日、私が廊下を歩いてるとAが隅でうずくまっていました。
体調でも悪いのかな?と思い、「どうしたの?」と声をかけ、Aがこちらを向いた瞬間、私は思わず叫んでしまいました。
なんとAの眼が真っ赤になっていたのです!
白目だけでなく瞳の色まで血のように赤くなっており、その顔はまさにホラー映画の悪魔のようでした。
Aは「絶対に喋るなよ!絶対に喋るなよ!」と必死の形相で叫ぶように言った後、どこかへ走っていってしまいました。
私は今見た光景が信じられず、その場から凍りついたように動くことができませんでした。
その日から翌日、何事もなかったかのようにAは普通に出勤し、仕事をこなしては時々ジョークを飛ばして周りを笑わせていました。
眼も普通の人間の目に戻っていました。
(多分最近疲れてるから見間違えたんだろうな。瞳が赤くなるだなんて、そんなことあるわけないじゃない。)
と、私は自分で自分を納得させていました。
しかしAをよく見るとどこかやつれた表情をしていました。
(きっと働きすぎで疲れてるんだろうな。かわいそうに。)
2/2
三日後の朝、私は携帯の着信音で眼が覚めました。
「こんな朝早くから誰〜?」と思いつつ電話にでました。話を聞いて、私は驚愕しました。
Aが殺された
Aが住んでいた部屋は血まみれになっていて物はひとつのこらず引き裂かれていた
Aの肉体はグチャグチャでミンチ状になっており、骨はめちゃくちゃに折られ、遺体は人間の原型を留めていなかった。
駆けつけた警察も「こんなにひどいものを見たのは初めてだ」と言っていたそうだ。
そしてその遺体には、、、、、、、、、、、、
大量の動物の毛が付着していた・・・・・・
Aは明るい人当たりの良い顔とは違う裏の顔を持っていた。
人気のない公園で野良猫の腹を生きたまま切り開き、そこに塩酸をかけて叫び苦しむ猫をいたぶって楽しむAの姿を近隣の住人が目撃している。
Aは小さいころから猫や犬、小動物を虐待していた。
Aの親はそれを知っていたが、特に注意をすることもしなかったそうだ。
この怖ろしい事件を何かの圧力が加わったのか、マスコミは報道しなかった。
この事件の一ヵ月後、Aの父親は会社が倒産し、莫大な借金を抱え、それを苦に自殺。
母親は寿命にしては早すぎる謎の突然死をとげた。
Aの恋人は会社をやめ、その後どうなったのかは誰も知らない。
Aを殺した犯人は未だにわかっていない・・・・・。
完
六十五本目の蝋燭が消えようとしています……
ひまわり ◆jDMsnyaMW. 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十六話
dai ◆fttv274lpQ 氏 お願いします…
221 :
dai ◆fttv274lpQ :2008/08/23(土) 02:45:38 ID:DjzdQpvm0
「引っ掻く」
夜遅くレポートを書いていた時の話。
壁
|
| 私
|| ̄ ̄|
|  ̄ ̄
|
右側を部屋の壁にくっつけた長机に向かい、レポート用紙を
フラストレーション込めたペンでひたすら引っ掻いていると
ガリガリ……ガリ……
誰もいないのに、すぐ真横の壁を爪で引っ掻く音がした。
壁の向こうは外だ。
【完】
六十六本目の蝋燭が消えようとしています……
dai ◆fttv274lpQ 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十七話
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 お願いします…
223 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2008/08/23(土) 02:49:02 ID:4zKYlt9k0
「お前のじいちゃん」1/2
俺の従弟の智宏は、天然と言うか、ちょっと空気を読まない男だ。
ガンオタでゲ−オタのヤツが、いつもの様に友達の家に遊びに行った時の話。
少し時間は早かったが、住宅街のど真ん中で、
真夏の陽射しの下時間を潰すような場所もないので、智宏はさっさと門をくぐった。
勝手知ったるなんとやらで庭を横切り、
インターホンのチャイムが鳴るか鳴らないかのうちに玄関の戸を開けた。
…ら、そこに白髪に白い顎鬚をたくわえた、立派な老人が立っていた。
こりゃまずいとさすがの智宏も頭を下げて、「あ、おじゃまします。」とだけ言った。
黙って睨み付ける老人の横を抜けて階段を駆け上がると、
上がってすぐの友達の部屋に飛び込んだ。
「なあなあ!お前のじいちゃんカッコイイな!」
224 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2008/08/23(土) 02:50:33 ID:4zKYlt9k0
「お前のじいちゃん」2/2
友達にとっての、その日のヤツの第一声はそれだった。
怪訝な顔をする友達に、玄関で会った老人のことを興奮気味に話す。
「ねえねえ、あの軍服本物!?」
そこまで言って、友達は初めて口を開いた。
「…うち、じいちゃん家にいないんだけど。」
言われてみれば、広い家には友達と兄弟しかいない。何か事情があるのだろう。
しかもじいちゃん、多分旧日本軍の、結構偉い人の格好(原文のまま)。
「軍服って言ったらあの人かなぁ……」
友達に連れられて、智宏は普段入った事のない仏間に通された。
「あの人?」
指差されて見ると、長押の上にずらりと並んだ古い写真の中に、さっきの老人がいた。
「俺も良く分からんけど、曾じいちゃんの兄弟かなんかだよ。」
もちろん、とっくの昔に亡くなっている。
そう言われて、智宏は初めてゾッとしたと言う。
何だか昔の映画みたいに色褪せた感じの人だったなぁと後になって思ったそうだが、
そんな事はその場で気付いて欲しい。
日本軍コスの生きたおじいちゃんがいる家って言うのも、それはそれで怖いけど。
【完】
六十七本目の蝋燭が消えようとしています……
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 ありがとうございました…
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第六十八話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
白狐火 様 代理投稿
『追って来る者』 1/2
当時高校一年だった俺は、海辺の我が家から友人宅へ向かう
べく歩いていました。時刻は午後九時をまわっていたでしょう
か。 住宅地とはいえ街灯も疎らで薄暗い海岸近くの生活道路
に、俺以外の人影は全くありませんでした。 と、後ろから足
音が聞こえてきました。何気なく振り返ってみると、10メー
トル程後方に男がいます。一見して、それほど若くないことだ
けはわかりました。
足音が早くなり、その男がどんどん近づいてきました。(追い
越すんだな)と思っていると、その足音は1メートルほど後方で
歩を緩め、俺にぴったりと追従する形になりました。 細い路
地ならともかく、そこは幅員5メートル程もある道です。明ら
かに意図的なその行動に、当時既に武道の有段者だった俺も、
相手の真意を質すことはおろか、振り向くことすらできなくな
っていました。 そのまま10メートルも歩いたでしょうか、
後ろの男が再び早足になると、息がかかるほどに密着してきま
した。
『追って来る者』 2/2
この後の事を書と予定調和臭くなるので気がひけるのですが、
事実なので書きます。
密着されて俺の恐怖が最高潮に達した瞬間、角を曲がって1
台のバイクが近づいてきて、俺の前に止まりました。「よ〜お
、久しぶり。」それは中学時代の友人でした。 その時初めて
目前の異様な状況に気づいたその友人が「え?誰?何?どうし
たの?」と素っ頓狂な声を上げると同時に、男は不自然に顔を
背けると、海岸方向に走り去っていきました。
横田めぐみさんが連れ去られたとされる場所から数キロ地点の海岸
線で、彼女が失踪してから数ヶ月後に体験した実話です。
【完】
六十八本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic 氏 ありがとうございました…
ξ
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第六十九話
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 お願いします…
229 :
枯野 ◆BxZntdZHxQ :2008/08/23(土) 02:56:15 ID:4zKYlt9k0
「神隠し」
オタ友の松岡は京都の出身で、時々不思議な話を聞かせてくれる。
古い家の中の奇妙な現象、今でも晴明の逸話よろしく呪物が埋まっている場所、
深泥池の裏側に廻りこもうとすると、いつも雨が降り出して行かれない…、
ぱっと書き出してみても、そんなエピソードが思い出される。
そんな松岡がまだ小さかった頃、少し怖い事があったと言う。
真夏の夕方、一人川べりで遊んでいた松岡の所に、白っぽい着物の女性がやって来た。
女は白くてのっぺりした顔で、目が狐のように釣り上がっていた。
松岡は女に手を引かれて、バス通りへ歩いて行ったと言う。
通りへ出ると、松岡の良く知らない方角へと、女は歩を進める。
バス停より遠くへ行ってはいけないと言い聞かされていた松岡は、
急に怖くなって、その女の手を振り払って逃げたそうだ。
家に帰り着いて暫くは、女が追って来るような気がしてとても怖かった。
しかしやはり子供なので、一晩寝れば、怖かったことなどすっかり忘れてしまっていた。
だが実はその日、近所では松岡と同じ年頃の女の子が行方不明になっていた。
松岡が白い女に連れて行かれそうになってから3日後、
いなくなっていた女の子が見つかった。
少女は神社の境内、それも3日間、何度も探された場所にいた。
大きな石灯籠の、灯りを点すその空間に。
ぴったりと嵌め込まれた女の子は泣きもせず、ただぼんやりとそこにいたそうだ。
それだけ話した後、女と事件の関係は分からないが、もしも逃げ帰らなかったら、
そこにいたのは自分だったかもねぇ、と松岡は困ったような顔をした。
【完】
六十九本目の蝋燭が消えようとしています……
枯野 ◆BxZntdZHxQ 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十話
◆ChC8N5VHp. 氏 お願いします…
1/4
祖父が子供の頃の話。
祖父は子供の頃、T県の山深い村落で暮らしていた。
村の住人のほとんどが林業を営んでおり、山は彼らの親と同じであった。
そんな村にも地主が存在しており、村の外れにある大きな屋敷に住んでいた。
地主は林業を営むわけでもなく、毎日をのんびりと暮らしていた。
まさしく牧歌的な暮らしの村であるが、村特有のルールも存在していた。
そのルールというのが
「毎月3日は髪取り師以外は地主の家に近づいてはならない」
「屋敷に来る客人に声をかけてはならない」
というものだった。
毎月3日の朝に村外から数名の人間が訪れては、夕方には帰っていく。
物心付く前からそのルールを教え込まれていた祖父は、何の疑問ももたずにルールを守り続けていた。
2/4
ある日、村の外から一人の男が流れ着いてきた。
その男をAとする。
男は村のはずれにある屋敷から、少し離れた場所に勝手に小屋を造り住み着いたそうだ。
村人たちは不審人物であるAに誰がこの村のルールを説明するのかを会議し、祖父の父親(B)がその役をする事になった。
Bは早速Aの小屋へ赴き、この村のルールを説明した。
このルールを破れば、大変な事になるので必ず守って欲しいと念をおした。
俺が不思議に思ったのが、なぜ村から追い出さなかったのかだが、祖父曰く
「村の人間の半数が流れ者なので、追い出すという考えがなかった」
だそうだ。
3/4
話を戻す、AはBの説明を聞き、ルールを守る事を了解した。
そしてAが訪れてから最初の3日が訪れた。
この日も20代の男女と40代の男一人が村へとやってきた。
3日にやってくる者はみな、身なりもよく良家の出である品をもっていたそうだ。
この村に何故村外の者が訪れるのか。
その秘密は「髪寄りの法」にある。
この髪寄りの法とは、人間にかけられた呪いや付き物を落とす術であり、この村の地主がその術を代々受け継いでいたらしい。
術はその名の通り、髪の毛に邪念を寄せ取り除くというもの。
しかしその髪を取り出す場所は被術者の腹部から取り出される。
その髪を山へ封印にいくのが、地主から洗礼をうけた髪取り師である。
その日もいつもと同じように時間が流れ、屋敷の裏口にそっと置かれた包み紙を髪取り師が持ち、山へと封印にいった。
だが、村に来て日の浅いAは村のルールは聞いていたがそれを無視し、屋敷の側の雑木林からその様子をうかがっていた。
Aは髪取り師が持ち去った包み紙に、何かいいものが入っているものだと考え髪取り師の後をつけた。
髪の封印場所は山の中腹に建てられた祠であり、この祠の管理も髪取り師の仕事であった。
Aは髪取り師が祠の中に包み紙を入れ、山を下りたのを確認すると祠のなかからそれを取り出した。
中を確認すると血で濡れた一束の髪の毛。Aはその髪を放り出し逃げ出した。
その次の日、Aの小屋が燃えた。
Aは小屋から逃げ出し無事であったが、不審に思った地主がAを呼び出した。
Aは昨日の事を話さなかったらしいが、地主にはAについているモノが見えていた。
地主は、死にたく無ければ、お前が髪取り師を受け継げ。
それを拒否すれば命はない。と。
Aにすごむが、Aはそれを拒否。その日の内にAは村から追放された。
4/4
それから数日後、地主の屋敷が全焼し一家が死亡した。
その焼け跡からはAと見られる遺体も発見された。
村人はAが放火し、そのまま逃げ遅れたのだろうという結論になった。
さらに数日後、髪取り師が祠に行くと、祠は完全に破壊され中にあった髪もすべて持ち去られていた。
真相は不明だが、村人たちの話ではAは祠を破壊し、髪をもって屋敷にいった。
髪の呪いや邪念が一気にたかまり、屋敷炎上を引き起こしたんじゃないかという事になった。
地主がいなくなってからは、村外の者からの収益もなく次第に村がさびれていきやがて捨て村となっていった。
それ以来、祖父は髪の毛に対し強い恐怖を覚えるようになったとツルツルの頭を撫でながら話してくれた。
【了】
七十本目の蝋燭が消えようとしています……
◆ChC8N5VHp. 氏 ありがとうございました…
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第七十一話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
白比丘尼 様 代理投稿
『雨夜の出来事』 1/2
母子家族で母と二人きりで暮らしていた17歳の雨の夜の話です。
夜中の3時ぐらいに「ピーー」と玄関のチャイムが鳴りました。
母と話していた私は「こんな遅くに誰だろね」なんて言いつつ、インターフォンをとると女性の声で
「あの…あの…突然すみません…。今晩、あの…泊めて頂けませんか」と言われました。
いきなりの事に「え?」と聞き返すと
「…あの…私近所のマンションに住んでまして
あの…私会社をクビになって…あの…もう住む所がなくて…だから泊めて頂きたいと…」
母が私に代わってインターフォンで話はじめてくれたので、玄関の窓越しに訪問者を見てみると女性が一人立っています。
顔はもうどうみても50代なのに金髪の長髪。
白い帽子をかぶっていて、明るい緑のブラウスに赤地に白の水玉のふわっとしたスカート。
右手にはたくさんの物が入った紙袋を持っていました。
その様子をみた私は母に「玄関に来てる人、絶対変!怖いからもうやめよう!
相手にしないで『駄目です』っていって断ろう!」とまくし立てました。
そしたら母は「ははははは」と笑って
「この雨の中、傘もなく歩いてきたんだって。傘だけでも貸してあげよう」
と言うじゃありませんか。
私はもうその人の外見をみてるので泣きたくなって、こういう事にだけは度胸がある母をうらみました。
私はリビングで玄関の様子を伺っていたんですがしばらくすると
「家には入れられません!帰ってください!」
と母の怒鳴り声が聞こえました。
玄関ではガチャガチャガチャガチャ!!とチェーンの付いた扉を無理やり開けようとする音と、閉めようとする母が
出す音が大きく響き渡り、17歳の私を泣かせるだけの迫力がありました。
『雨夜の出来事』 2/2
やっとバタン!と玄関が閉まる音がして、母がふぅふぅ言いながら部屋に帰ってきました。
「あの人、やっぱり○○(私の事)の言うとおりだね。頭おかしいみたい。怖かったでしょう、ごめんね。」
と母が言うので、
「なんかされたの?大丈夫??」
と聞き返しました。
すると母はまた笑って
「いやいや、全然大丈夫。今日はもう寝なさい」と。
しかし、この話をしている最中にまた玄関のチャイムが「ピーーピーーピーーピーーー」と物凄い勢いで鳴り始め、今度は玄関のドアがドンドンドンドン!!と叩かれました。
玄関の音は30分ぐらいで止みましたが、それ以来しばらくは夜中のお客さんは怖くて怖くて仕方ありませんでした。
その夜の出来事から5年後、私は一人暮らしを始める事になりました。
明日から新しい部屋で暮らす事になった晩に母と話をしていて
「そういえば、あんな事があったね〜私怖くて怖くてめっちゃ泣いた記憶がある(笑」
と話したら、母が
「う〜ん、あれだけで怖がってるようじゃ大丈夫かしらね、一人暮らし。」
というので、「あれだけで?」と聞いたら母が言うには。
私ね、あの時あなたが物凄い怖がってたから、言わなかったけど、まずあの人ね、雨が降ってる中歩いてきたっていったのに、全然雨にぬれてなかったのよ。
で、左手にバットを持ってたの。しかも、あの人、男の人だったよ。
私が腰を抜かしたのは言うまでもありません。
「なんで警察呼ばないの〜!!!」と言ったら「なんだか逆恨みされそうじゃない、家はもう知られてるし」と。
みなさんも夜中の来客にはお気をつけください。
「 完 」
七十一本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic 氏 ありがとうございました…
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第七十二話
◆qYEA7rCfag 氏 お願いします…
【タブー】
あなたの後ろには誰も居ません。
それを信じて疑わないようにして下さい。
怪談とは不思議なものです。
意識しなければ怖くないと知っていても、何故か意識してしまうのです。
逆に、意識してしまった怪談は、もうそこに存在すると言えます。
怪談とは言わば恐怖心の塊であって、心霊現象とは関係の浅いものも多くあります。
髪を洗っているときに背後に女性が立ちませんか?
廊下を歩いている時、恐ろしい形相をした男性が肩を掴むイメージは?
夜の帳が下りた今、窓から何者かが覗いていませんか? ドアの隙間は? 襖は?
台所の暗がり、そう……天上付近からあなたを凝視している目はありませんか?
あなたの足元に誰か潜んでいませんか? 段差ごとの死角から、何か見えませんか?
何かが立てた物音を聞いて「もしかして誰か居る……?」と思ったことはありませんか?
怪談話においてのタブー。
それは、決して想像してはいけないということです。
先の例としても想像してはいけないのです。
想像は創造に転じ、それは呼び寄せる口実にも成り得ます。
だから今、あなたの背後から視線を感じても、決して振り返ってはいけないのです。
【完】
七十二本目の蝋燭が消えようとしています……
◆qYEA7rCfag 氏 ありがとうございました…
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第七十三話
石原 ◆qW/OVfUbJo 氏 お願いします…
鬱男と気狂い女 1/4
大学に通っていた頃の話。
キャンパスライフっていうとすげー明るい話みたいに聞こえるが
オレにとって大学生時代は地獄だった。
ようするにマジメ学生だったんだな。
友達を一人も作ろうせず、サークルの変に明るい雰囲気も敬遠していた。
毎日、家とキャンパスを往復するだけの日々。
都会の一人暮らしも手伝って、日に日に性格は暗くなり
あまりにも人としゃべらないので口が開かなることもままあった。
そんなオレが唯一、交流したと言える存在がいた。
そいつは、安アパートを出た所にある長い昇り坂によく出た。
乳母車を引いた髪の長い女で、婆さんみたいに乳母車を押しながら
坂の上から降りてくる。
オレが坂を登って行ってすれ違う時になると、
女は急にこちらの顔を覗き込んで
「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
と声をかけてくる。
で、その乳母車を見ると・・・何も無いんだわ。
汚い毛布が敷いてあるだけで、赤ちゃんの姿は見当たらない。
こっちがビックリして無言でいると、女は「ね?」と笑って
そのまま通り過ぎていく。
その微笑んだ時の釣り上がり焦点の合わない目、動物のように出した舌は
どう見ても正常な人間のものには見えなかった。
つまり、そういう人なんだな、と。
何か悲劇があって、頭の回路がおかしくなった人なんだなとこっちは勝手に解釈していた。
鬱男と気狂い女 2/4
その日も、オレは陰鬱な気持ちで家を出た。
いっこうに友達はできず、授業もつまらない。その時はネットやる金もなくて本ばかり読んでいた。
「クソ・・・死ね・・・クソ・・・死ね」
そう口ずさんで歩くのが日課だった。世界のみんながオレを憎んでいるような気がした。
そんな精神状態の折り、例の女がやってきた。
坂ですれ違う。女は言う。「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
オレはその時、どうにでもなれ!って感じだったので強く言ってやった。
「赤ちゃん?そんなのいませんよ。狂いそうなのはあんただけじゃないんですよ」
女はひどく驚いたようでそわそわしだしたが、最後には今にも襲いかかってきそうな剣幕に変わっていた。
しばらく睨み合った後、女はそのまま坂をくだって行ってしまった。
オレは思った。
「狂人でも幽霊でもいい。殺れるもんならなら殺ってみろ」
頭がおかしくなっていたのは女だけじゃなかった。
それからオレと女のバトルは始まった。
なんと女は次の日、ちゃんと乳母車に赤ちゃんを乗せてきた。
薄汚い毛布の上にチョコンと乗った小さな幼虫の死体。
女はフフフと笑ってこっちに迫ってきた。「かわいいでしょう?」
オレはヒヒヒと笑って返してやった。「つまらない冗談ですね」
それが悔しかったのか女の行動は日に日にエスカレートしていった。
幼虫からミミズ、ミミズからゴキブリ。ゴキブリからネズミの死体。
カラスの死体を乗せてきた時には、さすがに遠くからでも臭いが漂ってきて鼻が曲がりそうだった。
でもオレは負けるつもりはしなかった。
化け物に負けてたまるかというわけのわからない反骨心もあったが
実は頭のおかしい女と出会うのが何よりのたのしみに変わっていったのだった。
鬱男と気狂い女 3/4
恋・・・だったのかもしれない。
正直、その時の自分が何を考えていたのか思い出すことができない。
ただ何日も何日も誰とも話さず、安アパートの中でじっと本を読むしかなかった日々の中で
唯一会話のできる女とのやり取りは、あまりにも刺激的だったんだと思う。
例え両目が釣り上がり、髪がボサボサで、口のひんまがった不気味な化け物だったとしても
この世にたった一人の「女」ならば、オレにとっては特別な存在だった。
ただ心配事もあった。
死体のことだ。最初は虫の死体だったが、だんだんと形が大きくなっていき、
今では小動物の死体にまでエスカレートしていた。
「このままじゃ、いつか本当に赤ん坊の死体を連れてくるんじゃないか」
翌日、オレがいつものように坂を登っていくと、やはり向こうから女が降りてきた。
長い黒髪を振り乱し顔を痙攣させながら乳母車をキコキコ押してくる。
オレはさすがに怖くなって逃げようと思ったが、意を決して敵と相対した。
女は言う。「見てください。かわいい赤ちゃんでしょう?」
オレは恐る恐る乳母車の中を除き・・・・・・それから安堵した。
乳母車の中には、赤ん坊の人形が置かれていた。
さすがに本物の死体を持ってくることはできず、偽物を取り繕うしかなかったようだ。
女はオレに馬鹿にされるのかと思ったのか静かにうつむいていた。
しかしこの時、オレはこう言おうとしていた。「付き合って下さい」
今から考えると気味の悪い話だ。
いくら孤独で死にそうだからといって、どこの誰とも知れない、
狂人か幽霊かもわからないようなものに告白するなんて・・・。
鬱男と気狂い女 4/4
だが、この告白は失敗に終わった。
「あの・・・付き」
まで言いかけた後、女の背後から子供が顔を出し「キャッキャッ」と笑ったのだ。
青白い肌をした妙な雰囲気の子供だったが、母親がこれなのだから遺伝だろう。
「子持ちだったのか・・・」
オレはげんなりしてその場に立ちつくしてしまった。
何も言えず呆然としていると、女は気まずそうにして前に進みだした。
はっとしたオレはあきらめきれず、背後から女に声をかけた。
「なんだ。お子さんいるんじゃないですか。今までスミマセンでした」
「え?」
その時、振り返った女の普通に驚いた顔が今でも記憶に焼きついている。
それからオレは彼女と会うことはなかった。
ただ安アパートから出る時、大家さんから
アパート周辺を徘徊していた女が狂気のあまり自殺した、という話を聞いた。
昔、男に騙され無理やり子供を堕ろされたために、気が触れてしまったということだ。
これが彼女だったとしたら、あの青白い子供はいったい誰の子だったんだろうか・・・。
了
話が重複していたので、話数訂正を行います。
七十二本目の蝋燭が消えようとしています……
石原 ◆qW/OVfUbJo 氏 ありがとうございました…
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第七十三話
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 お願いします…
73話 [ 金縛り ] 1/1
「出張での話だけど。そこは昔の激戦区で、当然兵士の幽霊の目撃談とかもあるわけだ。
ちょうどシーズンで、同僚と二人、ツインルームになったんで、
仕事→接待→爆睡、というお約束コースを辿ったんだ。
そうしたらさ。真夜中に暑くて目が覚めた。
そんな筈はないんだよ。クーラーガンガンに掛けて寝てるんだから。
クーラーが壊れたか?と思って起き上がろうとしたら起き上がれない。
あー、脳みそだけ起きてるな、って思ったさ。何か人の気配もしたけど、脳みその錯覚だと思った。
その気配が、俺の顔を覗き込んだ。人の顔じゃない。
土佐衛門を初めとして、色んな死体を仕事で今までに見てきた。
でも、そういったモノじゃない。
膨らみきった水ヨーヨー一杯に血走った目が広がったような顔持った、日野日出志の漫画に
出てきそうな感じの奴が、生臭い匂いとともに近づいたと思ったら壁に思いっきり引きずられた。
必死で抵抗しようにも、体は動かない。
おかしいだろ?臭いがするんだぞ。壁に体がめり込んだ感触がして。
同僚は起きる気配もしなかった。
ああ、俺は、もう駄目だ。フラグなんざ立ててないのに畜生。
と思ったら、
「 ぼ ひ ッ 。」とコマンド「big/ blue」辺りで指定したい位の大きさのマヌケな音がして、
俺は解放された。
正体?屁だよ、屁。同僚の屁。音もすごかったが、その後、な。
さんざん飲んで食った後だったから、臭いがすごすぎて、どっちみちしばらく寝られんかったよ。
人類からそんな屁が創造されるなんて、怖すぎるだろ?」
[終]
七十三本目の蝋燭が消えようとしています……
しましまのごろごろ ◆lhM8WiMBbk 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十四話
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 お願いします…
248 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 03:28:00 ID:Kciij6DJO
【指】1/2
指が落ちてた。細くて色白の、指が道端に落ちていた。
拾って、ポケットに閉まった。
家に帰って引き出しに入れた。飯を食って、風呂に入って、ベッドに入って、考えた。
あれはどんな人の指なんだろうか。
男だろうか?いや違う、あの細さと肌の色は女のものだ。美人だろうか。多分、美人だろう。
爪にマニキュアは塗って無かったから、きっと化粧っ気の無い人なんだろう。素朴な感じの着物が似合う大和撫子だろうか。
そう考えたら、頬がにやついてきた。
それと同時に、なんだか虚しくなった。
だって、あの指、どう見てもプラスチックだったんだもの。
いや、待て、別にオレはネクロフィリアでもないし無論吉良でも無い。ちゃんと死体以外の穴に突っ込んで童貞は捨てた。クイーンはマジでリスペクトしてるけどね。
明日同僚を脅かしてやろうと思って、拾っただけだよ。
まぁ、そんな計画も同僚の気のない返事でおしゃかよおしゃか。
ふーん。いい大人がどこのデパートのマネキンをぶっかいてきたのかな?だってさ。
うっせーマジで拾ったんだよバーカ。もうお前には見せてやんねー。見たいっつっても見せてやんねー。
249 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 03:29:06 ID:Kciij6DJO
2/2
そんな出来事があったのが一年前。
こないだ、郵便受けを見たら妙なチラシが入ってた。
ゆびをはやくかえしてくださいはやくゆびかえしてゆびかえしてはやくゆび
全部ひらがな。ミミズののたくったような字。デパートのチラシの裏に書き殴られた差出人不明のメッセージ。
最近、ドアチェーンに鋸かなんかでつけられたっぽい傷があるのを見つけた。
もうちょっとで、千切れそう。
早いとこ新しいのに変えないと、なんかマズそうな気がするんだが。大丈夫だよな。
七十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十五話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 お願いします…
【い も う と】
俺には2つ下の小学生の妹がいる。別に仲が悪いわけでは無い普通の兄妹だ。
妹が小学生の頃の、ある嵐の晩の話。俺は部屋でネットを見ていた。風が強いな、そう思っていると、ついに停電が起こり、家中が真っ暗になってしまった。
ブレーカーを確認するが、落ちていない。どうやら、配電線がどこかで切れたようだ。
そうこうしているうちに、誰かが泣きながら俺のそばにやってきた。
暗闇でよくわからなかったが、どうやら妹のようだった。怖くなって俺の近くに来たのだろう。
俺はそんな妹を、多少バカにしたものの、暗闇の中ですすり泣く妹を見ているうちに、いたたまれなくなってきた。
仕方がないので、妹を部屋へ連れて行き、寝かしつける事にした。
安心したのか、妹はわりとすぐに眠ってしまったようだ。それを確認すると、起こさないように気をつけながら、部屋へ戻った。
翌朝、電力が回復しているのを確認すると、妹の様子を見に部屋へと行った。
…妹がいない。
…そうだ。よく考えてみれば、妹は2日前から、修学旅行に行っていたんだった。
…じゃあ、俺のそばにやってきたのは誰だ…?
「完」
七十五本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU 氏 ありがとうございました…
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第七十六話
◆100mD2jqic 氏 お願いします…
彼岸花 様 代理投稿
『蛇の祟り』
あれは今から5年ほど前の秋,たしか10月頃だったと思います。私
は和歌山県中部の某村のある池の埋立工事に仲間たち10人ほどで出向くこと
になりました。この池のある場所は奥深い山中でしたが,それでも近くにはい
くつかの小さな集落がありました。実は,この工事はいわく付きでした。地元
の村人たちが反対しているにもかかわらず,ゼネコンが強行に埋立を推し進め
ようとしていたのです。このゼネコンは私が所属する会社の親会社であり,や
っかいな仕事を私たちに押しつけて来たのでした。
村人の話によるとこの池は「蛇池」と呼ばれ,昔から不思議な言い伝えがあ
るということでした。その伝承の内容はこうです。昔,池には人間の数倍もあ
る大蛇が住んでいたそうです。ある年,村が飢饉におそわれたときに,村の若
い娘が「私はどうなってもいい。どうか村を救ってください。」と蛇神様に祈
りながら,入水したのでした。すると,みるみる池の一部が干上がり、あたり
を跳ねまわる魚を捕まえて食べることで,村人は何とか飢えをしのぐことが出
来たのでした。そしてその後はこの辺りでは日照りというものが起きたためし
が無いのだと言います。ですから,今でも村の住民は池を埋め立てると必ず祟
りが起きると信じているようでした。
私はその噂を恐れながらも仲間達と作業を進めました。数日経って一人の従
業員が体調を崩したので,大阪府下の自宅へ帰しました。さらに数日後,私が
工事の報告のために久しぶりに大阪府下南部の本社を訪れたとき、妙な話を耳
にしました。この前に帰った作業員が病院に行ったところ、彼の胸や腹,さら
に背中や腕にはまるで蛇に締め付けられたような痕があったのだそうです。
「完」
七十六本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic 氏 ありがとうございました…
ξ
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第七十七話
ゆい ◆HgP/Cz.fFY 氏 お願いします…
あまりにも胡散臭い話だとは、自分でも思うのですが……小さい頃の話です。
その女の子に会ったのは、幼稚園に上がる前だったと思うので3〜4歳の頃。
白い着物に赤い帯を締めた、サラサラの髪のとても綺麗なお姉さんだった。15歳くらいだったんじゃないかなと、後で思った。
一人で庭で遊んでいたら、そのお姉さんがどこからかやってきて(←3歳の頃の記憶なのではっきり覚えていない)
「一緒に行こう、すてきな所へ連れて行ってあげる」とかそんなようなことを言われて、ほこほことついていってしまった。
親は私が、いなくなったと血相変えて探しまわったらしい。
夕暮れ時に半泣きの母親が走ってきて、ものすごく怒られたのは覚えている。
さすがにうろ覚えなので後で聞いた話だが、母が私を見つけたのはかなり遠くの空き地で
とても3歳児が歩いていけるような距離ではなかったらしい。(何か乗り物に乗った覚えは無い)
私はずっとお姉さんといっしょにいたような記憶があるのだが、私は一人で、けろっとして遊んでいたそうだ。
正月でもないのに着物姿の女の子なんか滅多にいるものじゃないと思うのだが、母はそんな女の子は見ていないと言う。
その後、県を移動する距離の引越しをした。
小学校2年生くらいの頃、学校から帰ってくる途中、またあの時のお姉さんに会った。
3歳の時たった一度会っただけの人だけど、何しろ綺麗な子だったし、あの時と同じ白い着物と赤い帯という姿だった。
その時は少し立ち話をしただけで、さよならをした。
お姉さんとは会ったのは、その2回きり。
で、それからさらに数年たって高校生になった私は、ある少女漫画を友達から借りた。
白い着物に赤い帯をした美少女吸血鬼が主人公の、オカルト?ホラー?系の漫画だった。
漫画なので主人公はちょっと個性的な髪型で、衣装は着物を洋服っぽくにアレンジしたようなデザインだったし
「お姉さん」が着ていたのは普通の着物だった(はず)なので、共通しているのは
白い着物に赤い帯というアイテムだけなのだけど、その漫画を見た瞬間、あのお姉さんを思い出した。
「小さい頃、こんな女の子に会ったことがあってねー」と、漫画を貸してくれた友達に話したところ
彼女は何だか妙な顔をして、翌日今度はアニメの雑誌を持って来てくれた。
そのマンガは当時アニメになっていて、出演したある声優に曰く
「○○(主人公の名前)って本当にいるんですって。私の友達が会ったって言ってた」……とのこと。
その話を聞いた監督だか脚本家だかは「あれは創作! ○○が実在したりしたら、僕は気絶するよ」と言ったらしい。
さすがにもう顔もおぼろげになってしまったけど、私の記憶にあるのは「ものすごく綺麗な、白い着物姿の女の子」。
声優の友人が、どんなモノに会って「○○」と思ったかは書かれていなかった。
都市伝説や現代怪談系の話を少し調べてみたけど「白い着物と赤い帯の少女」のそれらしい話はまだ見つけられない。
もしかして幽霊?とも思ったけど、ベタなイメージのそれにしては帯がやたら鮮やかに赤かった気がする。(派手な幽霊がいたっていいけど)
ただ、もし本当に声優の友人が会ったのがあのお姉さんで、もしそれが本当に○○のような存在だったとしたら
彼女は、3歳の私をどうするつもりだったのかと。
あの日、もし母が私を見つけていなかったら私は一体どうなっていたのだろうと。
でも、頭を撫でてくれて手をつないで歩いてくれたお姉さんは、とても優しかったし。
そういえば、あの手が温かかったか冷たかったかも、もう覚えていないな……と、今気が付いた。
【完】
もし、そんな女の子に会ったことがあるという方いらっしゃったらどこかのスレにでも投下してくださると大変嬉しいです。
七十七本目の蝋燭が消えようとしています……
ゆい ◆HgP/Cz.fFY氏 ありがとうございました…
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第七十八話
毒苺 ◆m4FfOBrUGg氏 お願いします…
「無題」
ある日、友人数人で呑んでいるときに
酒の肴がほしいよね、ってことで某投稿系の映像集を見ていた
「この映像を見た方は何かが起こる可能性があります」
そんなテロップが流れたが怖いもの見たさが先行しもちろん直視。
友人と「みた?」なんて笑いながら楽しんでいた。
「怖くてみれないよ」と言ってる友人にこんな感じだったよと脅かしながら。
数年後、その時にいた友人にふと思い出したかのように言われてゾッとした。
「あのあと事故おこしたよね?あの映像見た後だから怖かったのよ
しかも映像見たって言ってた二人だけが事故起こしてたし…」
そういや、私は交通量の多い交差点で右折車に思いっきり突っ込まれ3週間通院。
友人は山道を走っていたらカーブを曲がりきれずガードレールに突っ込んで入院したな。
みなさんも気をつけてください。興味津々で怖い物に近づくと同じ目にあうかもしれませんよ
【完】
七十八本目の蝋燭が消えようとしています……
毒苺 ◆m4FfOBrUGg氏 ありがとうございました…
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第七十九話
蕨 ◆grZCWCboXg氏 お願いします…
262 :
蕨 ◆grZCWCboXg :2008/08/23(土) 03:54:25 ID:/76O1pUN0
「そのままの家」1/2
高校の頃、仲間内で神秘・心霊スポット巡りが流行った事があった。
市内の山にある神社や、もう使われていない修験場で写真を撮ったり
霊が出るという墓地を夕方歩いたりした。
だが特に霊感が強い人間が居る訳でも無いのに
そう簡単に不思議なものを見たりそれらしい写真が撮れる訳もなく
いつも心霊ツアーは只の遠足のような物で終わっていたのだ。
そんな時仲間の一人が、家族から古い事件を聞きつけてきた。
曰く「あの山に、一家心中があった家がそのまま残っているらしい」
という事だった。
そこは古い神社や墓地があるような山とはいえ、市街地に近いため
市営住宅やアパート、果ては私立校の校舎があるような環境なので
そういう家があったとしても、言われなければ判らない。
「それらしい」ポイントを巡っても何も無かった事だし
怖いもの知らずな年頃でもあり、早速行ってみようという話になった。
学校を終えてその場所に着くと、丁度夕方の薄暗い時間。
住宅街から少し離れた、見晴らしの良い場所にその家はあったが
事件の事を知らなくても、そこは異様に感じられた。
暗いとか、おどろおどろしいとか、家が朽ちかけているとかいう訳ではない。
むしろ平屋だが広く、大きなガラス窓は日当たりが良く、住みやすそうで
広めの庭の芝が生え放題になっている以外に、荒れたという印象は無い。
異様なのはただ一つ、硬く閉じられた鉄門に
過剰なまでにぐるぐると巻きつけられた有刺鉄線だった。
壁の上にも有刺鉄線が張り巡らされ、まるで昔のドラマの刑務所のよう。
その門のこちら側から覗き込むと、家庭用の小さなブランコと
幼児用の自動車型の乗り物が、まるで住人がちょっと旅行に行っているだけの様に
そっくりそのまま放置してあった。
2/2
自分は怖気づいたが、肝の太い仲間の一人が
唯一有刺鉄線の無い生垣から中に進入を試み、ブランコの横をすり抜け入っていく。
そしてそろそろと玄関に近づき、無謀にも鍵穴から中を覗き込むと
一転して真っ青な顔をして戻ってきた。
何か出たのかと聞く自分達に、彼は青い顔でこう答えた。
「玄関に靴があったんだ。男物と女物と子供靴。多分住んでた人のがそのまま並んでた」
後に調べた所、やはり心中したのは両親と幼い子供で
今あの家は親戚が管理しているらしい。
家を壊すのもお金がかかるし、事件が事件だけに買い手もつかない為
進入禁止にだけして、そのままにしてあるのだろう。
あんな明るい家に住んでいた一家が何故自殺したのかは判らないし
きちんと祀られているのか居ないのかも判らない。
霊を見た訳でも、変な音がした訳でも、死体を見たわけでも無い。
だが、未だにたまにあの時の光景を思い出す事がある。
朽ちるか、壊されるかするまで、あの家の日常は
あそこに写真のように切り取られたまま、あそこに在り続けるのだろうか。
引っ越してしまった今、あの家がどうなったのか確認する術は無い。
【完】
七十九本目の蝋燭が消えようとしています……
蕨 ◆grZCWCboXg氏 ありがとうございました…
ξ
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第八十話
朦朧 ◆sZMOg20d0E氏 お願いします…
【足跡】
高校三年の時の話です
自分は剣道部に所属していて、電車通学ということもありよく道場で時間を潰していました
仲間との雑談に花が咲きいつも帰る電車を逃してしまった。
次の電車を待つために最低限の灯りだけをつけて時間を潰していました
道場全ての電気をつけていると用務員がその灯りに気づき来ることがあるため
電気は男子更衣室のみつけていました
仲間と挨拶を交わしてから数十分後、
突然『ミシッ』という音が道場の奥−柔道用の畳が敷かれている所から聞こえてきました
誰かいるのか?と思いすぐに配電盤に近づき電気をつけました。
が当然誰もいません。不思議に思いましたが古い道場だ、風で軋んだのかもしれない。
そう思って道場の電気を消しました。数分後また『ミシリ』と篭もっていますがはっきりとした音が聞こえました。
ですが自分はまだ違うかもしれないと思い電気をつけませんでした
しかし段々とその足跡は自分に向かってくるように音が大きくなってきました。
畳を踏むような篭もった足音『ミシリ、ミシリ、ミシリ、ミシィ』
柔道用の畳と剣道用の木板の区切りまで足音が来たのが感覚的にわかりました。そして『ギィ』と木の板を踏む音
自分は何を思ったか背後まで来るのを待ってやると思いました。
『ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ、ギィ』
その足音が聞こえるたびに鳥肌がたってきます。足音はもう自分の2m近くまで来ていました
鳥肌どころか体中が泡立ち、もうダメだ!!と思い配電盤までパッと動き電気をつけました
電気がつき足音が聞こえた所を見ましたが何もいません
これ以上いる気にはならなくすぐに荷物を整え道場から出ました
後日この話を同じく電車通学をしている同期に話しましたら、そいつは昼その足音に遭遇したと話してきました
【完】
八十本目の蝋燭が消えようとしています……
朦朧 ◆sZMOg20d0E氏 ありがとうございました…
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第八十一話
スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us氏 お願いします…
「百物語」1/2
子供の頃の出来事。
俺と兄貴は昔から、怖い話が大好きだった。
ある年の夏、百物語の本を買って貰い喜んだ俺たちは、実際に二人でやってみようと思い立った。
勿論大人は参加してくれないし、夜中に友達を招く訳にもいかないので、二人で交互に本を読むことにした。
蝋燭は親に頼んでみると、案外あっさり買って貰えた。
場所は家の隣の作業小屋。家の仕事で使っている場所なので、広さはかなりある。
で、いざ挑戦!と、二人で蝋燭を立て始めたまでは良かったが、
いかんせん蝋燭が小さ過ぎ、百本どころか半分立て終える頃には、初めの一本が燃え尽きる始末www
あまりにお粗末な展開に笑うしかなく、この話はその後も機会があるごとに、笑い話として披露していた。
2/2
それから十年ほど経った頃。
この話を二人でするのは初めてではないのだが、この時に限って、話している内に段々と、お互い首を傾げることになった。
小さな蝋燭はあっという間に燃え尽きた。
記憶の光景に間違いがなければ、最後辺りに点けた蝋燭は、ほんの数秒しか持たなかった。
いくら小さいといっても、十秒も持たないなんてことがあるだろうか。
しかし、当時の俺達は見る間に燃え尽きる蝋燭に、大喜びしていただけだった。
なぜおかしいと思わなかったのか。
なぜその後何年も疑問を抱かなかったのか。
今になって、とても不思議に思う。
269 :
スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us :2008/08/23(土) 04:06:16 ID:0KyHG90G0
-完-
八十一本目の蝋燭が消えようとしています……
スノーフのお嬢さん ◆AOGu5v68Us氏 ありがとうございました…
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第八十二話
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU お願いします…
【窓ガラスの人影】
友人宅に泊まりに行った時の話。
その日は、その家の友人を含め、4人で過ごしていました。
夜9時頃。友人宅のすぐそばにある大学へ遊びに行こう、という話になり、全員で行く事にしました。
その大学は、敷地そのものは夜間も開放してある為、敷地内へ入るのは容易でした。
私達は構内の自動販売機で飲み物を買い、周辺を少し散歩しました。
建物のガラスに自分達の姿が映っているのが見えた私達は、そのガラスに向かって、変な踊りをしたりしてげらげら笑っていました。
…突然、背後に男性が現れました。何の前触れもなく、本当に突然。
驚いて背後を見ても、誰もいません。でも確かに、ガラスには私達以外の男性が映っていました。
…いや…。
…その男性は、背後ではなく、実はガラスの向こうにいたのでした。
…全身が半透明の姿で…。明らかにこの世の者ではないと、すぐに分かりました。
そうしているといきなり
「ううぅう゛ぅおおぉおぉおお゛お゛…」
不気味なうめき声を上げながら、そいつがこちらに寄ってきたのです。私達は一目散に逃げました。
…200m程走って振り返ると、そこには誰もいませんでした。
その大学で過去に何かがあったという話は聞いた事がありません。
男性が何者だったのかは、今でも謎のままです。
「完」
八十二本目の蝋燭が消えようとしています……
テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 ありがとうございました…
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第八十三話
バイブ1993 ◆TTtxpqNzhE氏 お願いします…
273 :
バイブ1993 ◆TTtxpqNzhE :2008/08/23(土) 04:27:48 ID:3pxT6F3W0
昔、田舎の曾祖父の家に泊まりに行った
そこは綺麗ではないが田舎のわりには広く大きな家だった
とにかく部屋の数が多いその家はその分いわくつきの部屋も多数あった
その中の一つにドアを開けたらすぐ目の前に壁がありそれ以上進めない部屋があった
まああまり不思議に思わなかったが曾祖父に「夜は絶対あの部屋に近づくな」と言われていたので少し興味があった
子供のした事だし許してくれるだろうと思い俺は夜あの部屋に近づいた
それが間違いだった
俺はその部屋を何のためらいもなく開けた
やっぱり壁か・・・と思い振り向いてもう寝ようと思ったとき「奴等」はいた
「奴等」は笑っていた
俺は朝まで気を失っていた
何をされたかも覚えていない
ただ一つ覚えているのはやけただれた皮膚、おぞましい顔で俺の方に迫ってくる「奴等」だけだ
完
八十三本目の蝋燭が消えようとしています……
バイブ1993 ◆TTtxpqNzhE氏 ありがとうございました…
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第八十四話
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 お願いします…
275 :
ららら:2008/08/23(土) 04:29:15 ID:c6BOe6xy0
私が風俗嬢をやり始めてから、ちょうど半年くらいの時でした。
その日は用事があって、いつもより少し遅い夜9時から出勤。その日は珍しくお店に入って即指名が入ったんです。
慌てて控え室から部屋へ向かうと一人の男性がいました。
どうやら見た事のない初めてのお客さん。見た感じ歳は30歳手前くらいの若い感じの人。
忘れ物をしたので、「ごめんなさい!すぐ戻ります!」とお客さんに伝えて控え室に戻り、忘れ物を取り部屋に戻ったら、さっきとは違う男の人が・・・いつも指名してくれる常連さんでした。
「えっ・・・」
「あれ?さっきの人は?」と聞いてみると?
「さっきの人?今日は俺が始めてじゃないの?」
・・・とまったくわからない様子。事情を説明すると、その常連さんが部屋に入った時には誰もいなかったというんです。
全身が凍ったように寒くなってプレイも集中できませんでした…。
276 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:30:59 ID:Kciij6DJO
【ヤンデレ】1/4
みんなはヤンデレ好き?
そうか、大好きか。
オレもだぁい好き。ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD、誰か貸してくれねぇかな。いやマジで。
なんて言ってられるのは、多分、直にヤンデレを体験した事が無いからだと思うんだ。
オレの人生の師であり数々の女を転々としてきて人生経験豊富なJ先輩の友達のA先輩が、こんな話をしてくれたんで紹介したいと思う。
東京に住んでた頃。若さにかまけてキャバ嬢に手を出したんだって。おぉいちょっと待ってよ。そっからもうバッドエンドフラグビンビンじゃん。ビッグマグナムビンビンじゃん。
ちょっとは考えろよA先輩。とか突っ込んだわけ。
仕方ないだろ。だって東京だぜ。トキオだぜ?空飛ぶんだぜ?若かったんだぜ?赤い彗星だぜ?アズナブルだぜ?
そりゃあ過ちぐらい犯すよ。アナルも犯すよ。
先輩は、大真面目な顔でウィスキーを煽ったっけ。
277 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:32:17 ID:Kciij6DJO
2/4
んで、話の続き何だけど。
ある日、そのキャバ嬢が浮気してるっぽいって噂を同僚から聞いたんだって。
ちなみにA先輩、ドナルドの下で働いてんたってのはここだけの話。
んでま、当のA先輩は、相手を束縛したくないのが僕の愛。来る者拒まず去る者追わずさ……。なんてエセニヒル気取ってたんだそうな。きめぇ。
でも、その噂がA先輩の耳に入っちゃったってのが、キャバ嬢には何故か分かっちゃったんだ。女のかんとか第六感とか、車輪眼とか使ったんか知らんけど。
謝ってきたそうな。むっちゃ謝ってきたそうな。ラブホの回転ベッドの上で、土下座でがん謝りだったそうな。ティッシュの山の中でむちゃくちゃ謝ってきたそうな。
私、もう絶対に浮気なんかしないから許して。お願い、私を一人にしないで云々。
あっ君(A先輩)が居なかったら私生きていけない。あっ君に捨てられるなら死んだ方がまし云々。
あっ君は許した。エセニヒル気取って、醜い本音はハートのジッパーで隠してキャバ嬢を許したんだそうな。
278 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:33:43 ID:Kciij6DJO
3/4
でも、キャバ嬢は納得しない。
嘘、そんな簡単に許される事じゃない。なんて言い出したかと思いきや、いきなり自分の手首に噛み付いた。
これには流石のあっ君も驚きを隠せない。慌てて引き剥がして、なんとか宥めて服着せて。
キャバ嬢曰く、あっ君が罰を与えないなら私が自分を罰するとか。
あぁ、なんと健気な子か……そんなんじゃ済まされない。
それからもキャバ嬢は浮気を繰り返す。繰り返す度に、自分の体を傷つける。
A先輩も余りに目に余るキャバ嬢の行動に、頬の一つ二つぶってやったんだが、それじゃまだ足りないとかぬかして最終的には包丁まで取り出したそうな。
浮気と自傷行為以外が無ければまともな子だった、とA先輩は語る。
それでも浮気の頻度は増え続け、その度にキャバ嬢の生傷も増えていく。
耐えきれなくなって、別れを告げようと思ったそんなある日、A先輩の携帯に一通の着信。メール。キャバ嬢からのメールだ。
ごめんなさい、また私浮気しちゃいました。今度こそは許してくれませんよね?
279 :
ASIAN ◆cnH487U/EY :2008/08/23(土) 04:35:06 ID:Kciij6DJO
4/4
何と返信をしていいか困ったそうな。
別れたい。けど、そんな事言ったら自殺するんじゃないか。
悶々としたまま、その日は家に帰った。
家に帰って、ビール飲んで、オナニーしながらテレビつけたらしい。
飛び降り自殺があったとか、テレビがほざいてる。
まさか。と思ったそうな。でも違った。男だった。
なんだよビビらせんなバーロー。悪態をついた瞬間、メール着信。キャバ嬢から。
そっか、そうだよね、私が悪いんじゃないよね。あっ君の言うとおり、私を誘惑したあいつが悪いんだよね。きっと私とあっ君の仲を裂こうとする性根のねじ曲がった奴なんだよね。そういう奴は死んだ方がいいよね。死んだ方がいいよね。死んだ方がいいよね。
句読点、漢字変換、字面の上では理性的なメールに心底恐怖した。
返信なんて送ってないぞ、と。あっ君の言うとおりって何だ、と。死んだ方がいいってちょ、おまっ。
何が何だかわからなくなって、頭が混乱して、その日の内に荷物まとめて不動産屋へゴートゥーヘブン。
アドレスも変えてマンションも変えて。それ以来そのキャバ嬢とは会ってないそうな。
八十四本目の蝋燭が消えようとしています……
ASIAN ◆cnH487U/EY氏 ありがとうございました…
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第八十五話
zar ◆zJYORZSm4M氏 お願いします…
第85話 「永遠に続く死の鎖」 1/4
さて、僕自身も怖いし、本当は余り語りたくない話なんだけど、去年も参加したので(81話)今年も話してしまおう。
僕が聞いた断片的な話を時系列で追ってみたいと思います。これも本当の話です。少し長くなるけど聞いて下さい。
話は今から50年くらい前から続いている。僕の良く知っている、ある人の父親をAとする。
Aの実家では奇妙な事に、精神疾患を遺伝的に持つ人間が稀に生まれてくる家柄で、
実家の離れに納屋があるのだが、その「二階」にあたる部分になぜか狭い和室が存在した。
そこに精神疾患を持つ「Aの叔父」にあたる人間が隠されるように、閉じ込められるように生活していた。
そしてこの「Aの叔父」にあたる人間が最終的に癌に侵され、自殺したと聞いたのは随分後の話である。
「Aの叔父」にも家庭はあったらしいが、晩年は完全に一人きりになり、死んだ後の納骨さえ拒否されたらしい。
この辺の事情は知らないが、随分嫌われていたようだ。この頃Aの父親の体の一部に奇妙なできものが出来る。
それは握りこぶし程に大きくなり、目も覆いたくなるような異形のものになってしまった。
実際僕も写真でみたことがあるが、生まれつきでなければかなり奇妙なものだった。
今から40年程前。中学生頃にAはある事件を起こす。
Aの村では大騒ぎになったと聞いているが、なにをしたのかは具体的には知らない。
Aは訳もわからないことを言っていたらしい。思えば彼の心も既に病に侵されていたのかもしれない。
そしてAの行動パターンが次第に「Aの叔父」に似ていく。
そして今から10年程前。
Aは酷いアルコール中毒だったりもしたので、実家に帰っても煙たがられていた。
Aもいい年だったので家庭は持っていたが、そんな人間だったのでまもなく妻と子供は出て行った。
彼の娘は精神的な病を患っていたので、息子(当時17位)だけが彼の元に残った。
それからまもなくAの父親は死去する。Aの父親の奇妙なできものは巧妙に隠され、遺体には見当たらなかった。
そのことについては誰も触れなかった。その後Aの母親が入院することになる。
入れ替わるようにAの背中の部分に奇妙なピンポン玉位のこぶが浮き出てくる。
そしてそれから二年程時間は流れていく。
2/4
8年程前。ある日Aの息子はそれまで何年も寄り付かなかった「Aの母親」の病院にほんの気まぐれで
見舞いに行くことにする。住んでいた所からは随分距離があったので、いい時間になってから病院に着いた。
そしてAの息子はそこで祖母が癌に侵されていることを知らされる。着いた時には意識不明で、
足はまるで木の棒のようにパンパンに膨れ上がってうなされていたという。
その場にいた叔母(Aの姉妹)に、「Aの事を宜しくねっておばあちゃんがいってたわよ」と聞かされるが、
正直Aの息子はAを嫌っていたのでどうでもいいと思いながら聞いていた。
そして事件は起こる。Aの母親が突然苦しみだし、そしてそのまま他界してしまったのである。
Aの息子は呆然とし、「あんたが来たから死んだ!!」などと叔母などに激しく罵られる事になる。
Aは冗談じゃない、俺のせいじゃないと怒り、そのまま帰ってきて葬式にも出なかった。
実際彼はほんの気まぐれで行っただけであり、それを責任問題にされてはたまらなかったのだろう。
Aは喪主を務め、その後すぐ仕事をなくす。
Aはそのまま家に寄り付かなくなり、そのまま姿をくらます。
Aの息子は受験を控えていたが、突如住む家と、全財産を失いホームレスになる。
6年前。Aの息子はその後日払いの仕事や、バイトなどでなんとか金を稼ぎ、
風呂なしのアパートを借りてギリギリの生活をしていた。
彼は頭のいい人間で国立医大などに合格していたが、Aが恐らくブラックになっていたのか、
教育ローンなども組めずにそのまま夢を断念することになる。
Aに関しては死んでいても構わないとさえ思っていた。
ある日彼が眠っていると突如息が出来ないほど胸が苦しくなった。
目を開けると死んだはずの祖母が彼の胸を押さえつけて凄まじい形相で
「Aを頼むと言ったじゃないか!!!!」
と怒鳴った。何度も何度も胸を押さえつけられ、Aの息子が
「わかった、わかったから!!!!」
と言うと気配がさっと消えた。
それから随分後になって、その頃ホームレスになったAの父親が誰も住んでいない実家に帰り、
実家を放火して全焼させ、刑務所に入っているらしい事を人から聞くことになる。
3/4
3年程前。Aの息子はまだ貧乏なまま、ギリギリの生活を続けていた。
出所したAが彼の家を訪ねてくる。彼はドアも開けずにAを追い払った。
その後何度もAは訪ねてきたがその度に冷たく追い払い続ける。
彼は自分の未来と、家族を奪ったAを生涯許すつもりはなかった。
その後Aは生活保護を申し出たらしくその件で福祉事務所から連絡がきたが、それも無視した。
そして二年程前。
Aの息子は自分の生活に限界を感じ始め、酒の量が増えていった。彼は人に迷惑をかけるような飲み方はしないが、
もともと頭の非常にいい人間だったので、見ていて痛々しい程に追い詰められていた。
彼に少し話を聞く機会があって、上記のような話を断片的に聞きだした。
今はどうなのか、と聞くと、最近変なんだと言った。
「誰かに何時も見張られているような気がするんだ。そしてそれは自分に死が訪れるまで付きまとうんじゃないか。」
と彼はいった。しばらくして、彼の体には突如湿疹が出始めた。
そしてその後彼の両腕が丸太のように突然パンパンに膨れ上がり曲がらなくなってしまった。
病院で検査を行うも異常はなし。その腫れは直ぐに直ったが、湿疹は広がっていた。
一年程前。
その湿疹の後を見せてもらった。酷いなこれは・・・と思ったが、それよりも気になったのは彼の
右肩の部分に奇妙なできものが出来ていることだった。
Aの事を聞いてみた。最近は彼のことはまったくなにも知らないらしい。死んだんじゃないか。
と彼は言いながらふと窓を見た。僕も釣られてそっちを見てしまった。
少しだけ開いた窓の隙間から白っぽい人間の様なものの目がこちらをじっと見ていた。
Aは無表情のままこちらを見て、諦めたように首を振って笑った。そして僕は最悪の展開を悟った。
恐らくこの「できもの」は次のターゲットの証なんだ。
その人物が不幸な死を遂げるまで付きまとうんだ。
そしてそれは連鎖的に、人から人へ永遠に付きまとう死の鎖なんだ。
今それが彼についているんだ。
僕はその事実を伝えられなかった。そして彼は会社を辞めて何処かへ行ってしまった。
4/4
今彼がどうしているのかわからない。
生きているのか、死んでいるのか。伝えればよかったのか、伝えなくてよかったのか。
もうこんな事は忘れよう、と僕は思った。
僕の勘ではあの「死の鎖」は恐らく彼の叔父に端を発している。そして、彼の親族、あるいは
血縁関係にあるものにしか伝染しない。だからもう僕には関係ないし忘れよう。
と思っていた。今この長くなった文章をまとめてる最中にふと気付いた。
僕の左手の薬指の外側に変なイボが出来てるな。タコってこんな所に出来ないよね。
って書いていたら外で誰かが階段を登ってきた。隣の部屋に入ったな。
隣は空き部屋なんだけど。(午前3:23分)
あれ、出て行った。(午前3:27分)
なんか変な笑い声聞こえるんだけど。夏休みだから?(午前3:49)
なんだろう、本当はもうちょと続くんだけど、背中の寒気が止まらないのでこれちょっと書くの止めます。
ごめんなさい。
[完]
八十五本目の蝋燭が消えようとしています……
zar ◆zJYORZSm4M氏 ありがとうございました…
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第八十六話
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 お願いします…
286 :
ゼロ ◆naWRBNLE6s :2008/08/23(土) 04:54:03 ID:kgzb8S7sO
第86話「人魚?の影」
1/3
今から20年程前、熱海某所に家族旅行に行った時の話。
実家から三時間程掛けて熱海に到着し、宿泊予定の某有名ホテルに着いた。
宿泊先のホテルに着くと、まずはそのホテルにある大浴場に行くのが我が家のルール。
荷物を部屋に置いてすぐ、親父と弟の三人で大浴場へと向かった。
287 :
ゼロ ◆naWRBNLE6s :2008/08/23(土) 04:56:00 ID:kgzb8S7sO
2/3
そのホテルの大浴場は最上階にあり、眼下には海が見えるという大浴場。
ちょうど誰も居なかったので、弟と二人で浴槽を泳ぐ。
親父は身体を洗いに行った。
一頻り泳ぎ少し疲れた俺は、浴槽の縁に座って休んでいた。
弟は相変わらず泳ぎ、親父は身体を洗ってる。
その時、何故か出入口のドアの方に視線が行ったんだよね。
ただ、ふっ、と。何か感じたとかじゃなくただ、ふっ、と。
出入口のドアは化粧ガラスっていうの?片面が薄く白く塗装されててるあれ。
あそこに、何かの影が通り過ぎていったのを、見た。
288 :
ゼロ ◆naWRBNLE6s :2008/08/23(土) 04:59:19 ID:kgzb8S7sO
3/3
多分ドアの奥、つまり脱衣場に居た何かの影が映ったんだろう。
その形容しがたい、やたら上半身がでかくて
足が二本生えた形の影が何なのか、その時は解らなかったんだけどさ…
数年後。
俺はUMAの類いが好きだから、それ系の本は見掛けたら必ず目を通すんだけど。
ある時見た写真にその影の正体がいた。
人魚っているよね?
上半身が人間で、下半身が魚のアレ。
それの逆バージョンの写真があるんだけどさ。
その逆バージョンがまさにその影そのまんま!
その写真自体コラだ偽物だ言われてるけど、
あの時見た影は正しくそれだった。
【完】
八十六本目の蝋燭が消えようとしています……
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 ありがとうございました…
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第八十七話
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 お願いします…
【斬る】 1/2
俺の友人に見える奴が居る、祓い等もできる奴だ。
そいつに教わって物に気を溜める方法を教わった。
どうも俺が作り易いのは殺気であるらしく、
そいつを数千円で買った小太刀の模擬刀に込める作業(傍から見たら目を閉じて刀持ってる危険人物)をよくしていた。
そんなある日、俺の自室に変な気配があった。
まぁ俺は見える奴じゃないので別段気に留めて居なかったが、
その日を境に眠ってるときに変な圧迫感があったりして、
その内金縛りに変わって不眠の日々が続きました。
2/2
取り敢えず自分じゃ良く解らんのでその友人に相談してみた。
友人曰く「実際にその場で見ないと解らないから、3〜4日後くらいに見に行く」とのこと。
で、そいつが来る前日の晩に異変が進行した、というか詰めに入ったんだろう。
いつもは動けないだけか+気配(目は開くけど相手は見えない)何だがその日は首絞めてきやがった。
流石にこれには俺も焦った。だが体は動かないからどうしようもない。
それでも必死に動こうとしたら右手が僅かに動いて上記の刀に当たった。
もうその後はとにかく必死で刀を掴もうとして何とか掴めたので、鞘ごと見えないそいつを殴りつけた。
そいつの気配が少し離れると同時に体に自由が戻ったが如何せん興奮状態だった為だろうか、
咳き込みながらも鞘から抜いてその気配のする所を一薙ぎしてやった。
何かを斬った手応えを感じた。
その後、友人が来るまで刀を握ったまま夜通し座ってた。
翌日友人が来て昨夜のことを話したら何か一人で納得してやがった。
どうも俺の部屋、しかも昨日俺が気配を感じた所に真っ二つに切断された女の生霊が死んで(状態的には死が適切だと言われた)たらしい。
それで一連のことは元凶が無くなった為始末がついたらしかった。
もう相手は生霊を飛ばしてなくて、残りカスが暴れてただけだったんだと。
そして死体は放っておけば自然に消えるとも言われた。
因みに、友人曰く刀は半分憑喪神状態になってて、高位の護身刀らしい。
今も傍らに居てもらっています。
[完]
八十七本目の蝋燭が消えようとしています……
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 ありがとうございました…
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第八十八話
蕨 ◆grZCWCboXg 氏 お願いします…
「落ち着く先」1/3
先年、祖母が亡くなった後の話です。
100歳近かった祖母は、大腸癌だったが高齢にも関わらず奇跡的に手術でき
手術の後家に戻り、結局自室の介護ベッドの上で亡くなった。
医師の話によると、癌というよりは全体的な老衰死で
最後はゆっくりと心臓が止まって亡くなったそうだ。
確かに苦しんだ形相はして居なかったが、むしろ亡くなる前後より
癌の手術後どんどん動けなくなり、脳の機能も一気に低下していき
記憶も人格もあやふやになり、狂気と正気の時間を行き来していた時期のほうが
本人も周囲も苦しんでいたように思う。
自分は、母と二人で祖母の面倒を昼夜交代で見ていたので
祖母が死んでしばらくは、ふとした瞬間に呼ばれてる気がしたり
寝ていると祖母が出てくる夢を良く見た。
夢に出てくる祖母は、自分に謝っていたり、母の体調を気遣っていたが
何故かいつも遺体と同じ顔色をしていた。
身内が死ぬのは初めてだった為に、その印象が強烈に焼きついたのかもしれない。
2/3
そしてある時、また夢を見た。四十九日が終わって、しばらくしての事だ。
寝ていた自分は、いつもの様に祖母に呼ばれた。
祖母は生前のように介護ベッドに寝ていたが、何故かベッドごと半透明だった。
そして「寂しいんだ」と言った。
「寂しいって、なんで?」
「誰も来なくなって寂しいんだ」
確かに、四十九日に祖母の部屋にあった祭壇を片付けた後は
位牌は茶の間の仏壇に収められ、以前のように家人や親戚が出入りする事も無かったし
祖母は寂しがりで、寝たきりになってからは用がなくても
昼夜問わず自分や母を呼ぶ事が多かった。
夢の中の自分は何故か、祖母が亡くなっている事を理解しており
「寂しいっていったって、いつまでもそこで寝てる訳にも行かないでしょう?」
もう祭壇も片付けちゃったから、もう誰も来ないよ。
位牌もあるんだから、そっちに行かなきゃ駄目だよ」と答えた。
「おれは脚が悪いから動けないし、起きられないんだ」
「死んだんだから、もう動けないってことないでしょ?
ほら、連れてってあげるから向こういこうよ」
祖母は以前から足が悪く、一人では起きも歩きも出来ず
手術後は自分で寝返りを打つことすら出来なくなっていた。
それにしても、夢の中にしろなんで死んだ後は動けると言ったのか、自分でも判らない。
生前のように起き上がらせてやり、手を引っ張ると祖母は起き上がった。
「ああ、動けるなぁ」
「そうでしょ?動けないって思ってただけだよ」
自分は祖母に肩を貸し、茶の間に連れて行った。
何故茶の間に連れて行けばいいと思ったのかも判らない。
母が「四十九日過ぎたら仏は位牌に入るんだよ」と言ったせいかもしれない。
茶の間の障子を開けると、母が座ってTVを見ていたが
こちらには気付かないようだった。
「ほら、ここだよ」と言って仏壇を指し示すと、肩に縋っていた祖母はすうっと消え
そこで自分も目が覚めた。
後に聞くと、母はその時間茶の間でTVを見ていたそうだ。
そして、その後あれほど立て続けに見ていた祖母の夢をぱったり見なくなった。
本当に自分が祖母を収まる先に連れて行けたのか、只の夢かは判らないが
少なくともあれ以来、自分の中の祖母は落ち着く先に落ち着いたんだと思う。
【完】
八十八本目の蝋燭が消えようとしています……
蕨 ◆grZCWCboXg 氏 ありがとうございました…
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第八十九話
S.S ◆qF.oPZJZ2.氏 お願いします…
297 :
S.S ◆qF.oPZJZ2. :2008/08/23(土) 05:11:59 ID:UX7eJihqO
第八十九話「写真」
中学二年生の頃、山梨県に自然教室に行ったときのことです。山中のコテージに、各クラス男女に別れて10人程が泊まりました。
最終日の夕食前。私は友人の悪ガキと遊んでいましたが、少し奥に行くと井戸を発見しました。その井戸にはフタがしてあり、赤い字で何か書いてありました。
「登るな。危険!」
異様な不気味さとリングが流行っていたこともあり、友人と騒ぎました。子供だった私たちはフタの隙間から石を投げ入れたり、心霊写真を取ったりしていました。
その日の深夜2時。最終日ということでほとんどの人が寝てしまっていました。私は3人の友人と話に夢中になっていたのですが、あることに気付きました。
コテージが揺れているのです。ガタガタ…ガタガタ…怖くなった私たちは布団にくるまっていました。
深夜3時を周り、揺れが治まりました。安心した私たちは布団を剥ぎました。その瞬間!
ガラガラ!!
コテージのドアが開いたのです。
翌日、見回りしていた先生に聞いても誰もいなかったとのこと。しばらくしてから担任の先生に、実はコテージの近くの井戸で昔自殺した人がいたという話を聞きました。男性だったそうです。
性別は聞く前からわかっていましたけどね。
何故かって?
写真の友達の横に写っている顔は明らかに男性でしたから。
[完]
八十九本目の蝋燭が消えようとしています……
S.S ◆qF.oPZJZ2.氏 ありがとうございました…
ξ
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第九十話
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 お願いします…
そんな伝説持ちだったとはwww
ラストに話と芸風合ってるじゃまいかwww
300 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 05:34:15 ID:kgzb8S7sO
第90話「飼い猫が来た」
1/4
二年前の話。
俺は、東京生まれ東京育ち、言わば江戸っ子である。
東京から出ず、そのまま一生を東京で過ごすんだろうと思っていた。
が、とある事情で三年ほど前から関西の某県で暮らしている。
ついこの間、菓子博があった県。
とある事情は話に関係ないから省くが。
三年前の2月1日、今住んでいる場所に着いて早々、母からメールが来た。
実家で飼っていた猫が、亡くなったとの事。
俺の実家は俺が出た時点で四匹の猫を飼っていたんだけど、
亡くなったのは一番長く飼っていた、俺が可愛がっていた猫。
名前は「みーちゃん」と言う。
301 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/23(土) 05:34:37 ID:YwUdmSF20
大丈夫かこっち?あげ
302 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 05:44:40 ID:kgzb8S7sO
2/4
みーちゃんは、茶虎の至って普通の猫で。
一緒に寝ようとしても、抱っこしようとしても
すぐに嫌がって逃げてしまう、そんな猫。
けど、意思の疎通?が出来た。
例えば。
俺が外から帰ってきて廊下を歩いていると、みーちゃんが脱衣場のドアの前にいる。
何か言いたげに上目遣いでこちらを見る。
そんな時、俺は
「みーちゃん、こっち行きたいの?」
と聞く。
するとみーちゃんはにゃあ、と鳴く。
ドアを開けるとみーちゃんは、一目散に脱衣場にある洗面器に飛び乗り、
また上目遣いでこちらを見るから、俺も
「みーちゃん、水飲みたいの?」
と聞くとにゃあ、とまた鳴くから、蛇口を捻り水を出してあげる。
そんな事がしょっちゅうあった。
とても可愛がっていた猫の死を聞いて、素直に泣いた。
死因は多分老衰?だったと聞いたが、俺が地元出る日も、変わらず水をあげていたのに。
きっと、俺が出ていくまで頑張ってくれていたんだと思う。
後日、火葬する際遺体から採取した毛を送ってもらい、
地元出る時に買っていたお守りに挟んで、それからの日々を送った。
303 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 05:55:48 ID:kgzb8S7sO
3/4
必死に仕事して私生活も徐々に安定してきた、
来て丁度一年後の2月1日、深夜の事だった。
その頃仕事内容が少し変わって、覚える事やる事が多くなり
職場と家の往復のみ、常にヘトヘトな毎日を送っていたから、
前日も帰ってきて夕飯を済ませ、軽く呑んですぐに床に着いた。
明日もまたハードな1日が待っている、そう思うと
気持ちが興奮してしまい、身体はとても疲れているのに、眠れなくなってしまった。
気が付けば既に日を跨いでいる。
もう少しお酒呑もうか?等と考えていると、
突然金縛りにあった。
金縛りってのは何回やっても怖いもので。
身体的な原因でなるものも、霊的な要因でなるものも
何回やっても怖い。
なってすぐ、今回はどっちだろうと考えながら、身体に力を込めて
いつも通りに金縛りを解除しようとした。
が、何故かその時は金縛りが解けなかった。
冷や汗が出る
304 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 06:08:57 ID:kgzb8S7sO
4/4
すると案の定、布団の上に何かがポトン、と音を立てて乗っかった。
位置は右足付近。
何かが覆い被さる(何故か老婆が多い)のは何回かあったけど、
今まで体験した事のない現象にかなりの恐怖を感じ…なかった。
初めての現象なのに、何故か恐怖を感じない。
逆に懐かしい感触だな、と思っていた。金縛り中に暢気な事だが。
布団の上に乗っかったそれは、人が金縛り中なのをいいことに、
布団の上をポンポンポンポン跳び跳ねる。
まるで自分の存在を気付かせる様な。
自分が来てやったんだ、みたいな。
金縛り中だから跳び跳ねるそれの姿を確認する事は出来ない。
身体は相変わらず動かないけど、辛うじて声は掠れながらも出る。
だから、泣きながら必死になって、
なるべく穏やかに、昔呼んでた様に一言だけ、呼んであげた。
「みーちゃん」
「にゃあ」
いつもの愛らしい鳴き声を残して、それの気配は消えた。
みーちゃんの、一周忌の日の話
九十本目の蝋燭が消えようとしています……
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 ありがとうございました…
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第九十一話
◆100mD2jqic氏 お願いします…
『赤いワンピース』 1/2
もう10年以上前、バイトの同僚(当時30代)から聞いた話です。
彼女はその日友人と2人で、札幌近郊のとある山へ行っていたそうです。
山といっても小さな、一般人が気軽に山菜など採りに入れるような山ですが
短い夏を一斉に謳歌する北海道の植物達、その生命力をなめてはいけません。
ワッサワッサと生い茂る草を、木の枝葉を、避けながら引っ掛かりながら
山道をひぃこら進んでいた時のこと。
「?」
何か音が聞こえた気がした。
人の声のようにも思えたが、もしもヒグマの唸り声だったら…!
少々焦りながらそちらの方角を見遣ると、チラッと一瞬赤いものが見えた。
髪の長い女性のようだった気がする。赤いワンピースか何かを着た。
それにしてもすごい声だったな。あんな格好だし足もハイヒールみたいな、
山歩きには適さない靴だったのかもしれない。それでコケたのかも。
「ねぇねぇ、今の聞こえた?」友人に尋ねてみる。
「あーなんか聞こえたねー」
「見た?赤い服着た女の人っぽくなかった?」
「えー、何も見てないよー。女の人だったの?」
残念。あの派手な格好を話題にしようと思ったのに。
九十一本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic氏 ありがとうございました…
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第九十二話
・マイペット氏 お願いします…
『赤いワンピース』 2/2
その後、他の人間の声を聞くことも、姿を見ることもなく、もちろん
ヒグマに出遭うこともなく、2人は無事何事もなく山を下りたそうです。
翌日。
朝のニュースを見ていた彼女は驚きました。
昨日行ったあの山で女性の焼死体が見付かった、と報じられているのです。
そういえばあの声は、最初ヒグマかと思ったほどすごい声だった。
ワンピースか何かだと思ったあの「赤い服」は本当に服だったか?
実はあの方角は崖などになっていて、だから声も姿も一瞬だったのでは?
いや、もしかしたらあの時あの女性は既に死んでいたのかもしれない。
だから友人には見えなかった−霊だったのではないだろうか。
「真相はわからないけどねー。今思い出してもゾワッとするよあの声」
そう語ってくれた彼女。
ですが私は、ちょっと怖い点に気付きました。
ニュース報道はあくまで『焼死体が発見された』と報じられていただけで
『焼身自殺の可能性』には触れていなかったのです。
もし、彼女の見た女性が、今まさに死んでいこうとしている瞬間だったなら。
その女性に火を放った人間が、同じ時間、同じ山の中…いや、それどころか
彼女達2人のすぐ近くにいた可能性が…。
【完】
309 :
マイペット:2008/08/23(土) 06:11:59 ID:w+kqgFi/0
「黒い物」
つい最近、祖母の家で母が金縛りにあったと言ってきた。
その金縛りというのは、体が動かなくなり、しばらくすると
お腹の上に黒い物が。のしかかってきて顔の中に、吸い込まれるように
入っていくというものだったといいます。
そして、次の日の朝母の顔が、殴られたようになっていました。
そして今までの事を、祖母に言うと、祖母もまったく同じ体験をしたこと
があるというのです。
どうしてこんな事が起こるのだろうと考えていたとき祖父の言っていた
言葉を思い出してゾッとしました。祖母の家の土地は、
むかいにある、お寺の土地の一部がはいっているのです。
母と祖母が体験した事は、お寺の祟りなのでしょうか?
それとも別の何かなのでしょうか?
深追いするのは怖いので本日はここで終わりにします。
【完】
九十二本目の蝋燭が消えようとしています……
マイペット氏 ありがとうございました…
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第九十三話
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 お願いします…
【ヒトダマ】
これは俺の爺さんが国民学校生だった頃に体験した話。
爺さんが子供の頃、俺が住んでいる所は藪と田んぼの田舎だったらしい。
そんで、爺さんが行ってた学校と自宅の間には墓があって、
爺さんその横を通って行き帰りしてたらしい。
そんなある日の夕暮れ、何時もの様に下校して墓の横を通った時、
墓石の上で何かがフワフワしていたらしいんだ。
「なんぞ?」と思ってじっと目を凝らして見るとどうやら何かが燃えている。
爺さん曰く「あれは間違いなく火の玉だった!」と。
で、ガキだった爺さんビビっちまって凝視したまま固まってた。
そしたらいきなり『ビュッッッーーーーーーーーーーーッッ』っと
空高く一直線にそれはもう刹那の速さで上昇していったそうだ。
それと同時に爺さん緊張が解けたのか全速力でヤブ道抜けて家まで帰ったらしい。
この話を話した後、
「いやぁ、アレには驚いた。
多分、”ジン(字は解らない、だがリンではない)”が燃えてたんだろうな。
今じゃ火葬ん時に一緒に燃えるが、昔は土葬やったからなぁ〜。」
ってのたまっておられましたよ。
[完]
九十三本目の蝋燭が消えようとしています……
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 ありがとうございました…
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第九十四話
・テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 お願いします…
【聲(こえ)】
私が高校生の頃の話。
部室で、私の友人、後輩、いつも集まるメンバーで語り合っていました。
私が帰り支度を始めた頃。後輩の一人が、携帯に留守番電話が入っている事に気付きました。
何だろうと思いながら留守電を聞く後輩。すると突然
「うおぉ怖えぇぇ!」
そう言いながら、あわてて携帯を耳から話しました。
「おい、どうした(笑)」
私が聞くと、「先輩、怖いですよ(笑)!」そう言いながら、私に携帯を差し出してきました。
私もその留守電を聞きました。留守電には…
数秒の無音の後、子供の、小さな声で、
「……おかぁさぁん……」
ゾッとしました。
悪戯か間違い電話だと、そう信じています…。
「完」
九十四本目の蝋燭が消えようとしています……
・テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 ありがとうございました…
ξ
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第九十五話
蕨 ◆grZCWCboXg氏 お願いします…
「磨りガラスに映る何か」1/2
父方の親戚の話です。
そこは、自分からすると判らない、祖母の妹の夫の母の…みたいな遠い親戚も
田舎独特のコミュニティに含まれているような土地柄。
昔ながらの山間の農村そのもので、幼い頃一度しか行った事は無いけれど
道端にある古い幟の立った祠を見て「八つ墓村みたいだなぁ」と思ったのは憶えている。
そんな中、70そこそこの女性の親戚(仮にAさん)が闘病の末に亡くなった。
良くある話だがその人は長男の嫁と折り合いが悪く、かなりやり合っていた事は
あまり近くない親戚の自分にも聞えてくる程だった。
亡くなる原因の病は胃の病で、死ぬ直前は殆ど何も食べられなかったらしい。
Aさんの通夜が終わり、葬式が済み、客が帰った後。
田舎の葬式だけに、やたらと人が多く来るので終わった後はぽっかりと
空洞のようにひっそりとするらしい。
山間だけに、夜中も街灯で明るいという事はなく
一歩家を出ると、都会暮らしには想像がつかないほど異様に暗い。
昔の家なので基本的に和室に障子で、家中の障子が
真ん中にグラデーション状の磨りガラスをはめ込んだ戸になっている。
茶の間と、昔ながらの板の間の台所は隣接していて
茶の間からガラス越しに台所が見えるそうだ。
2/2
葬式というものは意外と家族はする事がなく、手持ち無沙汰になるものだが
そのお嫁さんも、夜に茶の間でぼーっとしていた。
すると、亡くなったAさんの部屋の方から、スーッ…スーッ…という
足袋の擦るような足音が聞えてきた。
嫁さんが台所の方を見ると、磨りガラス越しに髪を振り乱したAさんが
おひつの中から手掴みでご飯を食べている姿がおぼろげに見えたそうだ。
これは、一緒に居た親戚のおばさんにも同じものが見えたらしい。
周囲から聞く話だと、若い頃に散々Aさんと揉めていたお嫁さんは
Aさんが病を得て寝込んだ後に、その鬱憤を晴らすような行動をしていたらしい。
食べたくても食べられないAさんの前で、わざとご飯を食べる、といったような。
お嫁さんが見たAさんが本物だとして、お嫁さんに祟るより
台所のご飯を無心に食べていた、という行動が、何故か自分には非常に哀しく感じた。
【完】
九十五本目の蝋燭が消えようとしています……
蕨 ◆grZCWCboXg氏 ありがとうございました…
ξ
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第九十六話
・グレゴリー ◆yNuURBcNkQ氏 お願いします…
5階
友達の話なんだけど、そいつが住んでるのは4階建てのマンションの、405号室なんだ。
エレベータがないマンションで、部屋に帰るには階段を昇らなきゃならない。
一番上の階だから、そいつはいつも階段が終わるのを目印にして昇ってたんだって。
その日もいつもと同じように、階段を昇ってたんだそうだ。
階段が終わって、廊下を進んで、5番目の部屋の前について鍵を差し込んだ。
ところが、鍵が回らなかったんだそうだ。
確かに一番上まで昇ったはずなのに、おかしいなと思って部屋番号を確認したら、
505って書いてある。
そのマンションに5階なんてないのに。
怖いというより、妙な気分になって、何度も鍵を回そうとしたけどやっぱり回らない。
仕方がないから、階段を一階分だけ降りて、今度はちゃんと405号室の前に来た。
鍵を差して、まわすと、かちっと鍵の空く音がしたんだって。
ちゃんとドアも開いて、自分の部屋だった。
変だなって思ったけど、どうしようもないから、その日はそれで部屋に戻ったんだ。
次の日、仕事にいく前に階段を確認すると、階段は4階でちゃんと終わってたんだって。
5階に行ったのはそれっきりだそうだ。
完
九十六本目の蝋燭が消えようとしています……
・グレゴリー ◆yNuURBcNkQ氏 ありがとうございました…
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第九十七話
万夜 ◆NMnaoT1HrA氏 お願いします…
【ピンポンダッシュ】 1/3
ある夏休み、夜中にパソコンをしていて時計を見るとちょうど1時。
さあ寝るかと思い、立ち上がった瞬間『ピンポーン』とチャイムが鳴った。
背筋がゾクっとした。誰だってこんな深夜にチャイムが鳴ったら驚くだろう。
慌てて暖かい布団に頭から潜り込んだ。
しかし『ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン』となおもチャイムは鳴り響く。
最初は布団に篭りながら無視していたが、だんだん恐怖よりも怒りの感情のほうが大きくなっていった。
(うるせえよ) 心の中でそう呟きながらチャイムを鳴らしてる奴の顔を確認するため
居間の壁についている玄関モニターの前に行った。
このモニターは玄関付近から突き当たりのエレベーターまでを映すことができる。
(どんな奴なんだろ) モニターのスイッチを押すとエレベーターまでの廊下を含めた玄関付近が映し出された。
チャイムはまだ鳴り響いている。
だが玄関付近には誰もいない。
(え、なんで!?)と思ったのもつかの間、突如チャイムが鳴り止んだ。
静寂がモニターの前に立ち尽くす俺を包み込む。
数十秒ほどボーっとモニターの画面を見ていたその時、画面の中で変化が起きた。
俺の部屋(706号室)よりエレベーターよりの隣の部屋(705号室)のドアが勢いよく開けられたかと思うと
住人のおじさんが何か叫びながら出てきたのだ。そしてしばらくして不思議そうに辺りを見渡すとまた部屋に戻っていった。
この異様な光景を目の当たりにした俺は不思議に思いながらも結局睡魔には勝てず布団に戻り眠ってしまった。
2/3
次の日、1階のエントランスホールで
昨夜モニター内で不審な様子を見せていた705号室のおじさんと管理人さんが深刻そうな顔で話しているのを見かけた。
「どうかしたんですか?」と事情を尋ねると、
おじさんは疲れた顔をしながら
「いやそれがな。 昨日夜1時ごろやったかな、寝ようと思ったんや。
そしたらチャイムが『ピンポンピンポンピンポンピンポン』うるさくてな。布団入っても寝られへんのや。
だから止めさせようと思って「誰じゃ五月蝿いわ!!」って叫んで玄関のドア開けたんや。
そしたらな誰もおらへんのや。辺り見回しても誰もおらへんからあれ?おかしいなーって思ってんけど。
その時、低い男の声でな。
『ゴンニヂハ』
って聞こえたと思うとすぐにエレベーターのほうに向かって
『ダダダダダダダダダダッ』って勢いよく走っていく足音が聞こえてん…。」
おじさんは誰もいないことを不思議に思いながらも、チャイムが止んだので布団で眠ってしまったのだが
今日になってだんだんと怖くなり管理人さんに相談したのだという。
「イタズラじゃないんですか?実は…」と俺も昨夜体験したことを話そうとすると
管理人さんはそれを遮り困ったような顔でこう言った。
3/3
「実はねえ…昨夜の件だけど…苦情があったのは今Sさん(705号室のおじさん)が話してくれた1つだけじゃないんだよ」
(…え?)ドキっとした。
管理人さんは続けて言う。
「今朝方のことなんだけどこのマンションの1階から11階まで各階の住民達から苦情があったんだ。
チャイムが五月蝿い、変な声が聞こえる、どうにかしろってね。しかもどれも時刻は深夜1時前後…。」
事が起こったのは深夜1時前後らしい。ほとんどの住民は寝てる時間だ。
だけど偶然起きてる住民もいないことはないだろう。
現に俺だって起きていたんだから。
でも偶然起きているそれらの住民の部屋で偶然チャイムが鳴らされることなんていうことがあるのだろうか。
仮にもここはマンションだ。廊下からは部屋の中は判断しづらい。
だが起きていた住民達がチャイムを聞いていたということは…。
俺は心の中で結論付けた。
あの夜、1階から11階まで全ての部屋のチャイムが鳴らされたのだ。しかも深夜1時前後という僅かな間で。
姿が見えない何かの手によって。
おそらくあの晩、俺も勇気を出して玄関のドアを開けていたら聞いていたのだろう。
『ゴンニヂハ』という声を――。
―完―
九十七本目の蝋燭が消えようとしています……
万夜 ◆NMnaoT1HrA氏 ありがとうございました…
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第九十八話
◆Nz6ToYHZIo氏 お願いします…
第九十八話「鳩の話」1/4
友人が近所で聞いた話。
近所の公園の近くにある夫婦が住んでいた。
旦那は動物が好きだった。
公園にいる鳩に餌をあげることを日々、日課としていた。
妻は動物が嫌いだった。
旦那が公園にいる鳩に餌をあげることをあまりよく思ってなかった。
ある時、旦那が出張で一週間ほど家を空ける事になった。
仕方なく旦那は妻に公園の鳩に代わりに餌をやってくれるよう頼んだ。
妻は心の中では嫌だったが、旦那の頼みなので仕方なく引き受けた。
2/4
旦那が出張に行った初日、妻は群がる鳩に怖がりながらもきちんと餌をやった。
「ぽっぽー」と鳩は喜んだ。
次の日、動物嫌いと面倒臭さも手伝って妻は鳩に餌をやらなかった。
「ぽっぽー」と公園から聞こえたがあまり気にしなかった。
また次の日、餌をやっている人は他にもいるだろうと思い、妻は餌をやらなかった。
「ぽっぽー」と公園から聞こえ、悪いなとも思ったがすぐ忘れた。
また次の日、餌をやらなかった。
泣き声は聞こえなかった。その事も手伝って妻はすっかり気にも止めなかった。
3/4
また次の日、餌をやらなかった。
夜寝ている時に窓の外から「ぽっぽー」と聞こえた。
妻は寝ぼけながらも、まあいいやと思った。
旦那が戻る前の日、やはり餌をやらなかった。
妻が夜寝ている時にどこからか「ぽっぽー」と聞こえた。
妻はまた、まあいいやと思ったが、もう一度「ぽっぽー」と聞こえた。
自分の寝ている部屋の中からだった。足元のほう。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の足に何か乗った。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻のふとももを何かが上ってきた。
自分が餌をやらなかったから鳩が仕返しにきたと思った。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の下腹部に何かが上ってきた。
自分が餌をやらなかったから死んだ鳩が仕返しにきたと考え始めた。段々怖くなってきた。
4/4
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の腹部になにかが更に上ってきた。もう怖くて目をきつく閉じ開けられなかった。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の胸に重みがかかった。やはり目を開けられなかった。
何かは更に上ってこようとしたので、妻は意を決して目をあけてみる事にした。
もう一度「ぽっぽー」と聞こえた瞬間勇気を振り絞って目を開けてみた。
すると、
そこには知らない男の頭部だけが自分をまじまじと見つめていた。
[完]
九十八本目の蝋燭が消えようとしています……
◆Nz6ToYHZIo氏 ありがとうございました…
ξ
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第九十九話
あさぎ ◆/OMy2/7irg氏 お願いします…
第九十九話【かくれ鬼】
1/3
私がまだ小学校に上がったばかりの頃の話です。
その頃に住んでいたのは、漁村と農村が一緒になったような田舎でした。
今みたいにゲームとかネットとかもろくにない時代。
子供たちは自然の中で遊び回るのが普通でした。
ちょうど今頃の季節。
夏の終わりが近付いて、夕立の多い時期の事。
その日も私は二人の同世代の友達A・Bと一緒に、海辺の松林で戯れていました。
木登りをしたり、追い掛けっこをしたり、他愛もないお喋りをしたり…
その辺りは殆ど人の来ない、私たちだけの秘密基地みたいな場所。
だから、見慣れない女の子が松林の間から、じーっとこっちを窺っている事に気付いた時には、少し驚きました。
その子は同い年くらいで、大人しそうな雰囲気。
長いおさげ髪を結んでいたピンクのリボンが可愛いかったのを覚えています。
彼女は『マナ』と名乗り、夏休みで祖父の住むこの町に来たと言いました。
大人しいながらも気さくな少女で、歳も近かった私たちはすぐに仲良くなれました。
やがて話にも飽き、一緒に遊ぼうという流れに。
Bの提案で、かくれ鬼をする事になりました。
かくれ鬼というのは、かくれんぼに鬼ごっこが組み合わさったようなものです。
鬼が100数える間に他の参加者は隠れ、鬼がみんなを捜す。
かくれんぼは見付かった時点で負けになるが、かくれ鬼では見付けられた者が走って逃げる。
鬼がそれを追い掛けて、隠れていた者が鬼にタッチされたら負け。
今度は負けた者が次の鬼になり100を数え、鬼だった子は隠れる側に回る…そんな遊びです。
2/3
まずジャンケンで負けたAが最初の鬼になり、かくれ鬼が始まりました。
でも、何度繰り返してもマナだけ見付かりません。
段々おかしいと思い始め、私とAとBは遊びを中断してマナを捜し始めました。
三人掛かりで捜すのだから、マナもすぐに見付かるはず。
…でも、いくら捜してもマナは見付からなかりませんでした。
あらかじめ決めてあった隠れる範囲を超えて捜しても、マナはいない。
軽く二時間は捜したと思います。
そうこうしているうちに雲行きが怪しくなり、激しい雷鳴と共に大粒の雨が降り出しました。
仕方なく私たちはマナに聞こえるように大声で叫びました。
「マナ、かくれ鬼おしまいだよ!雨降ってきたから私たち帰るよ!マナも早く帰りなー!」
二、三回繰り返しましたが、返事はありませんでした。
後ろ髪を引かれる気持ちはありましたが、私たちは帰宅する事に。
とはいえ慣れない土地で迷子になっているかも知れないマナを放ってはおけず、私たちはそれぞれの親にいきさつを話しました。
親たちはすぐに町内会の連絡網でマナがどこの家の子かを調べつつ、一方で現地の捜索に当たったようでした。
でも…マナは見付かりませんでした。
迷子のままという話ではなく、マナという子がどこの子なのかも不明だったのです…
4日後、私とAとBは親から『マナちゃんは帰ったよ』と伝えられました。
あの日はかくれ鬼の最中に雨が降り、みんな帰ったと思って帰宅した。
そして昨日、別の県にある自宅へ帰った、という話でした。
子供心にも何か腑に落ちない気はしたが、その件はそれで片付けられてしまいました。
もちろん、それは子供向けの方便。
実際にはマナは見付かっておらず、マナという子に心当たりのある人すら見付かっていなかったそうです。
親族などからの届出もなく、警察も通り一遍の捜索をしたのみ。
最終的には、私たちの狂言だったのではないかという話で片付けられてしまったそうです。
まぁ、そういう真相はかなり大人になってから母から聞いたのですが。
『マナ』とは、一体何者だったのでしょうか?
3/3
時は流れて私は故郷を離れ、就職も無事済ませました。
すでにマナの事は記憶の彼方で埋もれてしまっていた…そんな頃。
GWに小学校の同窓会があるというので帰省した私は、その席で久々にAとBとの再開を果たしました。
そこで偶然マナの話題が出たのですが、Bが怯えたような顔になり、急に「この話やめようよ」と言い出したのです。
理由が分からず、私とAはどういう事かとBを問い詰めました。
渋々ながら話し始めたBが言うには、『マナが来た』らしいのです。
Bが高校生の頃、あの日と同じような夕立の午後に部屋でうたた寝をしていたところ、金縛りに。
すると、ぴちゃぴちゃという足音が段々近付いてきて、ひどく冷たい小さな子供の手がBの肩を掴んだそうです。
薄目を開けると、そこにはあの日のマナがBの顔を覗き込んでいて、
「 B ち ゃ ん 見 ぃ 付 け た 」
と言った、と…。
「悪い冗談やめてよー」と笑い飛ばしたAに、Bは真剣な顔で首を振りました。
「本当の話だよ。それに…次はAちゃん、って言ってたんだから」
これにはさすがのAも顔をこわばらせました。
Bはそれから私に向き直り、「その次は多分あんただよ」と言い放ちました。
固まる私の肩をぽんぽんと叩きつつ、Aは無理矢理に笑い飛ばしながら否定の言葉を探しました。
「でもさぁ、かくれ鬼はタッチされた人が次の鬼になるルールじゃん。マナが次も鬼って変じゃない?だからないよ、私んとことか来ないって!」
でも…かくれ鬼のルールとか関係なく、マナはただかくれ鬼の形式を使って私たちの所へ来ようとしているだけなんじゃないだろうか…
多分、三人とも同じ事を考えていたと思います。
でも、その場は「そうだよねー」などと無理矢理笑い飛ばしました。
深刻に考えれば考えるほど怖かったから。
その年の夏の終わりに、Aからメールが来ました。
「マナが来た。Bの話は本当だった。」
ピンクのリボンを飾ったおさげ髪の少女は、次に私の所へ来ると言ったそうです。
あれから二年が経ちますが、マナはまだ私の所へは来ていません。
この時期、夕立が降るたびに私は怯えているのです… 【完】
九十九本目の蝋燭が消えようとしています……
あさぎ ◆/OMy2/7irg氏 ありがとうございました…
ξ
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第 百 話
ジジイ ◆c7mNR5EDjs氏 お願いします…
1/4
第百話 「 家 」
あまり大きな声では言えないことですが、私の実家の下は墓場でした。
墓場と言ってもみなさんが思う墓場ではなく、古墳でした。
家を建てる時に、土台を作るために掘り起こし気づいたのですが、
勾玉や鏃(ヤジリ)、土偶などたくさんの古代の物品が掘り出されました。
通常、古墳などが出土してしまった場合は、市や県などにその旨を伝え
研究的な事柄も含めて、しっかり調査などされた後に家を建てられる、
もしくは、重要なものであれば代替の土地へ移動させられる…ということらしいのですが
うちの両親は、そんなことしていたらいつまで経っても家が建たない!ということで
出土した物はとりあえず自分たちで保管して、出てきた古墳は埋め立て
そのまま家を建ててしまいました…。
そんな事もあり多少の遅れはありましたが工事も無事に終わり家が建ちました。
そして、私たち家族はその家へ引越し住むことになりました。
2/4
やはり新築の家はとても快適でした。
私にも念願の自分の部屋ができ、当時中学生だった私は本当に上機嫌でした。
長男だった私は、6畳出窓付きの二階角部屋クローゼット有りという家の中でも
一番いい場所を自分の部屋として使うことを許され、当時本当に喜びました。
しかし、住み始めてすぐ私は毎夜金縛りに合う様になりました。
金縛りという現象はしっていましたが、聞くと体験するでは大違いです。
姿は見えない誰かが、いつも自分の寝ているベッドの周りで苦しそうな咳払いをし、
うめいているのです。
うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ…。ゴホゴホッ!うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ……。
数日我慢してはみたものの怖くて堪らなくなった私は思い切って
両親にそのことを話しました。
しかし、両親はそんなこと歯牙にもかけず、寝ぼけて夢をみたんだろ?の一点張りでした。
私の訴えはあっさり流され、私はその夜も自分の部屋に寝なければならない…と
思うと怖くて怖くて、本当にイヤだと訴えました。
すると、父が「なら、一階の客間に布団をしいて勝手に寝ろ」という案を出してくれたので
私はもう渡りに舟でその案に飛びつきました。
そしてその夜は和室の客間に布団を敷いて寝ることになったのです。
まさかその部屋で起こることの方がより恐怖であるとは、その時はまったく思いもせずに…。
3/4
和室の客間は十数畳という広さで、そこに布団を敷いて一人で寝てみると
さすがにちょっと怖い感じはしましたが、あんな化け物が出る部屋で寝るよりは
全然マシ!と私は一人そこに寝ました。
夜…。私はふいにガタガタいう物音で目が覚めました。
もう目が覚めた瞬間にわかりました。
また金縛りです。
そして、私が寝ているすぐ横2メートルくらいにある襖(ふすま)が中からガタガタ揺れているのです。
「あぁぁぁぁぁ…」と思いましたが、動くことも出来ず、目を背けることも出来ず
私はその襖をただ目を見開いてみていました。
すると、襖は激しくガタガタガタガタ言いながら少しずつ開いていきます。
そして、襖が半分くらい開いた時でしょうか…。
中から、にゅっと指が出てきて開いている襖の端を掴みました。
そしてその手はゆっくりと襖を開いていきます。
襖からその襖を開けている何かの顔が少しずつ覗いてきます。
バサバサの髪の毛、頭、片目、鼻…。
私はあまりの恐怖に本気でジタバタして、「うわああああああああ」と叫びました。
声が出ました。
と、同時に金縛りも解けて私は布団から跳ね起きました。
私が自分の布団の上で呆然と立ち尽くしてると、
私の声を聞いた家族が私の寝ている客間へ殺到しました。
私は今見たありのままを話しました。
ですが、もちろん信じてもらえませんでした…。
4/4
次の日から私は歩いて500メートルくらいの距離にある祖父母の家に泊まる事になりました。
すると、詳細は省きますが、私が祖父母の家に泊まりだして一週間もしないうちに
家族全員が奇怪な体験をし、しっかりとしたお払いを受ける事になりました。
家族、家、土地をお払いをし、庭にお社みたいな物を作り、
私たちは私たちの前にその土地に眠っていた何かを祀りました。
そして…それ以降、目立った奇怪な出来事は一切起こっていません…。
…ですが、今でも雨が降ると玄関から二階の私の部屋の前まで
びしょびしょに濡れた何かが歩いて来た様な水が滴り続けています。
家族は誰も、何も、言いません。
ですが、確かに今でも何かが家にいるのです。
【…完?】
ジジイ ◆c7mNR5EDjs氏 ありがとうございました…
ξ
┌┴┐
ij ll ijij
|ij ij
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これで 最後…
ついに百本の蝋燭全てが消えました……
さあ 鏡をご覧なさいませ
あなたの背後に 何かが映っておりませんか?
…本当に見えないのですか?
ぴったりと…あなたに寄り添っておりますのに………
338 :
本当にあった怖い名無し:
みんなおつかれ〜