八十六本目の蝋燭が消えようとしています……
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 ありがとうございました…
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第八十七話
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 お願いします…
【斬る】 1/2
俺の友人に見える奴が居る、祓い等もできる奴だ。
そいつに教わって物に気を溜める方法を教わった。
どうも俺が作り易いのは殺気であるらしく、
そいつを数千円で買った小太刀の模擬刀に込める作業(傍から見たら目を閉じて刀持ってる危険人物)をよくしていた。
そんなある日、俺の自室に変な気配があった。
まぁ俺は見える奴じゃないので別段気に留めて居なかったが、
その日を境に眠ってるときに変な圧迫感があったりして、
その内金縛りに変わって不眠の日々が続きました。
2/2
取り敢えず自分じゃ良く解らんのでその友人に相談してみた。
友人曰く「実際にその場で見ないと解らないから、3〜4日後くらいに見に行く」とのこと。
で、そいつが来る前日の晩に異変が進行した、というか詰めに入ったんだろう。
いつもは動けないだけか+気配(目は開くけど相手は見えない)何だがその日は首絞めてきやがった。
流石にこれには俺も焦った。だが体は動かないからどうしようもない。
それでも必死に動こうとしたら右手が僅かに動いて上記の刀に当たった。
もうその後はとにかく必死で刀を掴もうとして何とか掴めたので、鞘ごと見えないそいつを殴りつけた。
そいつの気配が少し離れると同時に体に自由が戻ったが如何せん興奮状態だった為だろうか、
咳き込みながらも鞘から抜いてその気配のする所を一薙ぎしてやった。
何かを斬った手応えを感じた。
その後、友人が来るまで刀を握ったまま夜通し座ってた。
翌日友人が来て昨夜のことを話したら何か一人で納得してやがった。
どうも俺の部屋、しかも昨日俺が気配を感じた所に真っ二つに切断された女の生霊が死んで(状態的には死が適切だと言われた)たらしい。
それで一連のことは元凶が無くなった為始末がついたらしかった。
もう相手は生霊を飛ばしてなくて、残りカスが暴れてただけだったんだと。
そして死体は放っておけば自然に消えるとも言われた。
因みに、友人曰く刀は半分憑喪神状態になってて、高位の護身刀らしい。
今も傍らに居てもらっています。
[完]
八十七本目の蝋燭が消えようとしています……
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 ありがとうございました…
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第八十八話
蕨 ◆grZCWCboXg 氏 お願いします…
「落ち着く先」1/3
先年、祖母が亡くなった後の話です。
100歳近かった祖母は、大腸癌だったが高齢にも関わらず奇跡的に手術でき
手術の後家に戻り、結局自室の介護ベッドの上で亡くなった。
医師の話によると、癌というよりは全体的な老衰死で
最後はゆっくりと心臓が止まって亡くなったそうだ。
確かに苦しんだ形相はして居なかったが、むしろ亡くなる前後より
癌の手術後どんどん動けなくなり、脳の機能も一気に低下していき
記憶も人格もあやふやになり、狂気と正気の時間を行き来していた時期のほうが
本人も周囲も苦しんでいたように思う。
自分は、母と二人で祖母の面倒を昼夜交代で見ていたので
祖母が死んでしばらくは、ふとした瞬間に呼ばれてる気がしたり
寝ていると祖母が出てくる夢を良く見た。
夢に出てくる祖母は、自分に謝っていたり、母の体調を気遣っていたが
何故かいつも遺体と同じ顔色をしていた。
身内が死ぬのは初めてだった為に、その印象が強烈に焼きついたのかもしれない。
2/3
そしてある時、また夢を見た。四十九日が終わって、しばらくしての事だ。
寝ていた自分は、いつもの様に祖母に呼ばれた。
祖母は生前のように介護ベッドに寝ていたが、何故かベッドごと半透明だった。
そして「寂しいんだ」と言った。
「寂しいって、なんで?」
「誰も来なくなって寂しいんだ」
確かに、四十九日に祖母の部屋にあった祭壇を片付けた後は
位牌は茶の間の仏壇に収められ、以前のように家人や親戚が出入りする事も無かったし
祖母は寂しがりで、寝たきりになってからは用がなくても
昼夜問わず自分や母を呼ぶ事が多かった。
夢の中の自分は何故か、祖母が亡くなっている事を理解しており
「寂しいっていったって、いつまでもそこで寝てる訳にも行かないでしょう?」
もう祭壇も片付けちゃったから、もう誰も来ないよ。
位牌もあるんだから、そっちに行かなきゃ駄目だよ」と答えた。
「おれは脚が悪いから動けないし、起きられないんだ」
「死んだんだから、もう動けないってことないでしょ?
ほら、連れてってあげるから向こういこうよ」
祖母は以前から足が悪く、一人では起きも歩きも出来ず
手術後は自分で寝返りを打つことすら出来なくなっていた。
それにしても、夢の中にしろなんで死んだ後は動けると言ったのか、自分でも判らない。
生前のように起き上がらせてやり、手を引っ張ると祖母は起き上がった。
「ああ、動けるなぁ」
「そうでしょ?動けないって思ってただけだよ」
自分は祖母に肩を貸し、茶の間に連れて行った。
何故茶の間に連れて行けばいいと思ったのかも判らない。
母が「四十九日過ぎたら仏は位牌に入るんだよ」と言ったせいかもしれない。
茶の間の障子を開けると、母が座ってTVを見ていたが
こちらには気付かないようだった。
「ほら、ここだよ」と言って仏壇を指し示すと、肩に縋っていた祖母はすうっと消え
そこで自分も目が覚めた。
後に聞くと、母はその時間茶の間でTVを見ていたそうだ。
そして、その後あれほど立て続けに見ていた祖母の夢をぱったり見なくなった。
本当に自分が祖母を収まる先に連れて行けたのか、只の夢かは判らないが
少なくともあれ以来、自分の中の祖母は落ち着く先に落ち着いたんだと思う。
【完】
八十八本目の蝋燭が消えようとしています……
蕨 ◆grZCWCboXg 氏 ありがとうございました…
ξ
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第八十九話
S.S ◆qF.oPZJZ2.氏 お願いします…
297 :
S.S ◆qF.oPZJZ2. :2008/08/23(土) 05:11:59 ID:UX7eJihqO
第八十九話「写真」
中学二年生の頃、山梨県に自然教室に行ったときのことです。山中のコテージに、各クラス男女に別れて10人程が泊まりました。
最終日の夕食前。私は友人の悪ガキと遊んでいましたが、少し奥に行くと井戸を発見しました。その井戸にはフタがしてあり、赤い字で何か書いてありました。
「登るな。危険!」
異様な不気味さとリングが流行っていたこともあり、友人と騒ぎました。子供だった私たちはフタの隙間から石を投げ入れたり、心霊写真を取ったりしていました。
その日の深夜2時。最終日ということでほとんどの人が寝てしまっていました。私は3人の友人と話に夢中になっていたのですが、あることに気付きました。
コテージが揺れているのです。ガタガタ…ガタガタ…怖くなった私たちは布団にくるまっていました。
深夜3時を周り、揺れが治まりました。安心した私たちは布団を剥ぎました。その瞬間!
ガラガラ!!
コテージのドアが開いたのです。
翌日、見回りしていた先生に聞いても誰もいなかったとのこと。しばらくしてから担任の先生に、実はコテージの近くの井戸で昔自殺した人がいたという話を聞きました。男性だったそうです。
性別は聞く前からわかっていましたけどね。
何故かって?
写真の友達の横に写っている顔は明らかに男性でしたから。
[完]
八十九本目の蝋燭が消えようとしています……
S.S ◆qF.oPZJZ2.氏 ありがとうございました…
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第九十話
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 お願いします…
そんな伝説持ちだったとはwww
ラストに話と芸風合ってるじゃまいかwww
300 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 05:34:15 ID:kgzb8S7sO
第90話「飼い猫が来た」
1/4
二年前の話。
俺は、東京生まれ東京育ち、言わば江戸っ子である。
東京から出ず、そのまま一生を東京で過ごすんだろうと思っていた。
が、とある事情で三年ほど前から関西の某県で暮らしている。
ついこの間、菓子博があった県。
とある事情は話に関係ないから省くが。
三年前の2月1日、今住んでいる場所に着いて早々、母からメールが来た。
実家で飼っていた猫が、亡くなったとの事。
俺の実家は俺が出た時点で四匹の猫を飼っていたんだけど、
亡くなったのは一番長く飼っていた、俺が可愛がっていた猫。
名前は「みーちゃん」と言う。
301 :
本当にあった怖い名無し:2008/08/23(土) 05:34:37 ID:YwUdmSF20
大丈夫かこっち?あげ
302 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 05:44:40 ID:kgzb8S7sO
2/4
みーちゃんは、茶虎の至って普通の猫で。
一緒に寝ようとしても、抱っこしようとしても
すぐに嫌がって逃げてしまう、そんな猫。
けど、意思の疎通?が出来た。
例えば。
俺が外から帰ってきて廊下を歩いていると、みーちゃんが脱衣場のドアの前にいる。
何か言いたげに上目遣いでこちらを見る。
そんな時、俺は
「みーちゃん、こっち行きたいの?」
と聞く。
するとみーちゃんはにゃあ、と鳴く。
ドアを開けるとみーちゃんは、一目散に脱衣場にある洗面器に飛び乗り、
また上目遣いでこちらを見るから、俺も
「みーちゃん、水飲みたいの?」
と聞くとにゃあ、とまた鳴くから、蛇口を捻り水を出してあげる。
そんな事がしょっちゅうあった。
とても可愛がっていた猫の死を聞いて、素直に泣いた。
死因は多分老衰?だったと聞いたが、俺が地元出る日も、変わらず水をあげていたのに。
きっと、俺が出ていくまで頑張ってくれていたんだと思う。
後日、火葬する際遺体から採取した毛を送ってもらい、
地元出る時に買っていたお守りに挟んで、それからの日々を送った。
303 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 05:55:48 ID:kgzb8S7sO
3/4
必死に仕事して私生活も徐々に安定してきた、
来て丁度一年後の2月1日、深夜の事だった。
その頃仕事内容が少し変わって、覚える事やる事が多くなり
職場と家の往復のみ、常にヘトヘトな毎日を送っていたから、
前日も帰ってきて夕飯を済ませ、軽く呑んですぐに床に着いた。
明日もまたハードな1日が待っている、そう思うと
気持ちが興奮してしまい、身体はとても疲れているのに、眠れなくなってしまった。
気が付けば既に日を跨いでいる。
もう少しお酒呑もうか?等と考えていると、
突然金縛りにあった。
金縛りってのは何回やっても怖いもので。
身体的な原因でなるものも、霊的な要因でなるものも
何回やっても怖い。
なってすぐ、今回はどっちだろうと考えながら、身体に力を込めて
いつも通りに金縛りを解除しようとした。
が、何故かその時は金縛りが解けなかった。
冷や汗が出る
304 :
ゼロ ◆ZMEH0UITvg :2008/08/23(土) 06:08:57 ID:kgzb8S7sO
4/4
すると案の定、布団の上に何かがポトン、と音を立てて乗っかった。
位置は右足付近。
何かが覆い被さる(何故か老婆が多い)のは何回かあったけど、
今まで体験した事のない現象にかなりの恐怖を感じ…なかった。
初めての現象なのに、何故か恐怖を感じない。
逆に懐かしい感触だな、と思っていた。金縛り中に暢気な事だが。
布団の上に乗っかったそれは、人が金縛り中なのをいいことに、
布団の上をポンポンポンポン跳び跳ねる。
まるで自分の存在を気付かせる様な。
自分が来てやったんだ、みたいな。
金縛り中だから跳び跳ねるそれの姿を確認する事は出来ない。
身体は相変わらず動かないけど、辛うじて声は掠れながらも出る。
だから、泣きながら必死になって、
なるべく穏やかに、昔呼んでた様に一言だけ、呼んであげた。
「みーちゃん」
「にゃあ」
いつもの愛らしい鳴き声を残して、それの気配は消えた。
みーちゃんの、一周忌の日の話
九十本目の蝋燭が消えようとしています……
ゼロ ◆naWRBNLE6s氏 ありがとうございました…
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第九十一話
◆100mD2jqic氏 お願いします…
『赤いワンピース』 1/2
もう10年以上前、バイトの同僚(当時30代)から聞いた話です。
彼女はその日友人と2人で、札幌近郊のとある山へ行っていたそうです。
山といっても小さな、一般人が気軽に山菜など採りに入れるような山ですが
短い夏を一斉に謳歌する北海道の植物達、その生命力をなめてはいけません。
ワッサワッサと生い茂る草を、木の枝葉を、避けながら引っ掛かりながら
山道をひぃこら進んでいた時のこと。
「?」
何か音が聞こえた気がした。
人の声のようにも思えたが、もしもヒグマの唸り声だったら…!
少々焦りながらそちらの方角を見遣ると、チラッと一瞬赤いものが見えた。
髪の長い女性のようだった気がする。赤いワンピースか何かを着た。
それにしてもすごい声だったな。あんな格好だし足もハイヒールみたいな、
山歩きには適さない靴だったのかもしれない。それでコケたのかも。
「ねぇねぇ、今の聞こえた?」友人に尋ねてみる。
「あーなんか聞こえたねー」
「見た?赤い服着た女の人っぽくなかった?」
「えー、何も見てないよー。女の人だったの?」
残念。あの派手な格好を話題にしようと思ったのに。
九十一本目の蝋燭が消えようとしています……
◆100mD2jqic氏 ありがとうございました…
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第九十二話
・マイペット氏 お願いします…
『赤いワンピース』 2/2
その後、他の人間の声を聞くことも、姿を見ることもなく、もちろん
ヒグマに出遭うこともなく、2人は無事何事もなく山を下りたそうです。
翌日。
朝のニュースを見ていた彼女は驚きました。
昨日行ったあの山で女性の焼死体が見付かった、と報じられているのです。
そういえばあの声は、最初ヒグマかと思ったほどすごい声だった。
ワンピースか何かだと思ったあの「赤い服」は本当に服だったか?
実はあの方角は崖などになっていて、だから声も姿も一瞬だったのでは?
いや、もしかしたらあの時あの女性は既に死んでいたのかもしれない。
だから友人には見えなかった−霊だったのではないだろうか。
「真相はわからないけどねー。今思い出してもゾワッとするよあの声」
そう語ってくれた彼女。
ですが私は、ちょっと怖い点に気付きました。
ニュース報道はあくまで『焼死体が発見された』と報じられていただけで
『焼身自殺の可能性』には触れていなかったのです。
もし、彼女の見た女性が、今まさに死んでいこうとしている瞬間だったなら。
その女性に火を放った人間が、同じ時間、同じ山の中…いや、それどころか
彼女達2人のすぐ近くにいた可能性が…。
【完】
309 :
マイペット:2008/08/23(土) 06:11:59 ID:w+kqgFi/0
「黒い物」
つい最近、祖母の家で母が金縛りにあったと言ってきた。
その金縛りというのは、体が動かなくなり、しばらくすると
お腹の上に黒い物が。のしかかってきて顔の中に、吸い込まれるように
入っていくというものだったといいます。
そして、次の日の朝母の顔が、殴られたようになっていました。
そして今までの事を、祖母に言うと、祖母もまったく同じ体験をしたこと
があるというのです。
どうしてこんな事が起こるのだろうと考えていたとき祖父の言っていた
言葉を思い出してゾッとしました。祖母の家の土地は、
むかいにある、お寺の土地の一部がはいっているのです。
母と祖母が体験した事は、お寺の祟りなのでしょうか?
それとも別の何かなのでしょうか?
深追いするのは怖いので本日はここで終わりにします。
【完】
九十二本目の蝋燭が消えようとしています……
マイペット氏 ありがとうございました…
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第九十三話
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 お願いします…
【ヒトダマ】
これは俺の爺さんが国民学校生だった頃に体験した話。
爺さんが子供の頃、俺が住んでいる所は藪と田んぼの田舎だったらしい。
そんで、爺さんが行ってた学校と自宅の間には墓があって、
爺さんその横を通って行き帰りしてたらしい。
そんなある日の夕暮れ、何時もの様に下校して墓の横を通った時、
墓石の上で何かがフワフワしていたらしいんだ。
「なんぞ?」と思ってじっと目を凝らして見るとどうやら何かが燃えている。
爺さん曰く「あれは間違いなく火の玉だった!」と。
で、ガキだった爺さんビビっちまって凝視したまま固まってた。
そしたらいきなり『ビュッッッーーーーーーーーーーーッッ』っと
空高く一直線にそれはもう刹那の速さで上昇していったそうだ。
それと同時に爺さん緊張が解けたのか全速力でヤブ道抜けて家まで帰ったらしい。
この話を話した後、
「いやぁ、アレには驚いた。
多分、”ジン(字は解らない、だがリンではない)”が燃えてたんだろうな。
今じゃ火葬ん時に一緒に燃えるが、昔は土葬やったからなぁ〜。」
ってのたまっておられましたよ。
[完]
九十三本目の蝋燭が消えようとしています……
妖刀 ◆WslPJpzlnU氏 ありがとうございました…
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第九十四話
・テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 お願いします…
【聲(こえ)】
私が高校生の頃の話。
部室で、私の友人、後輩、いつも集まるメンバーで語り合っていました。
私が帰り支度を始めた頃。後輩の一人が、携帯に留守番電話が入っている事に気付きました。
何だろうと思いながら留守電を聞く後輩。すると突然
「うおぉ怖えぇぇ!」
そう言いながら、あわてて携帯を耳から話しました。
「おい、どうした(笑)」
私が聞くと、「先輩、怖いですよ(笑)!」そう言いながら、私に携帯を差し出してきました。
私もその留守電を聞きました。留守電には…
数秒の無音の後、子供の、小さな声で、
「……おかぁさぁん……」
ゾッとしました。
悪戯か間違い電話だと、そう信じています…。
「完」
九十四本目の蝋燭が消えようとしています……
・テンプレ0/0 ◆tbxFW3dsZU氏 ありがとうございました…
ξ
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第九十五話
蕨 ◆grZCWCboXg氏 お願いします…
「磨りガラスに映る何か」1/2
父方の親戚の話です。
そこは、自分からすると判らない、祖母の妹の夫の母の…みたいな遠い親戚も
田舎独特のコミュニティに含まれているような土地柄。
昔ながらの山間の農村そのもので、幼い頃一度しか行った事は無いけれど
道端にある古い幟の立った祠を見て「八つ墓村みたいだなぁ」と思ったのは憶えている。
そんな中、70そこそこの女性の親戚(仮にAさん)が闘病の末に亡くなった。
良くある話だがその人は長男の嫁と折り合いが悪く、かなりやり合っていた事は
あまり近くない親戚の自分にも聞えてくる程だった。
亡くなる原因の病は胃の病で、死ぬ直前は殆ど何も食べられなかったらしい。
Aさんの通夜が終わり、葬式が済み、客が帰った後。
田舎の葬式だけに、やたらと人が多く来るので終わった後はぽっかりと
空洞のようにひっそりとするらしい。
山間だけに、夜中も街灯で明るいという事はなく
一歩家を出ると、都会暮らしには想像がつかないほど異様に暗い。
昔の家なので基本的に和室に障子で、家中の障子が
真ん中にグラデーション状の磨りガラスをはめ込んだ戸になっている。
茶の間と、昔ながらの板の間の台所は隣接していて
茶の間からガラス越しに台所が見えるそうだ。
2/2
葬式というものは意外と家族はする事がなく、手持ち無沙汰になるものだが
そのお嫁さんも、夜に茶の間でぼーっとしていた。
すると、亡くなったAさんの部屋の方から、スーッ…スーッ…という
足袋の擦るような足音が聞えてきた。
嫁さんが台所の方を見ると、磨りガラス越しに髪を振り乱したAさんが
おひつの中から手掴みでご飯を食べている姿がおぼろげに見えたそうだ。
これは、一緒に居た親戚のおばさんにも同じものが見えたらしい。
周囲から聞く話だと、若い頃に散々Aさんと揉めていたお嫁さんは
Aさんが病を得て寝込んだ後に、その鬱憤を晴らすような行動をしていたらしい。
食べたくても食べられないAさんの前で、わざとご飯を食べる、といったような。
お嫁さんが見たAさんが本物だとして、お嫁さんに祟るより
台所のご飯を無心に食べていた、という行動が、何故か自分には非常に哀しく感じた。
【完】
九十五本目の蝋燭が消えようとしています……
蕨 ◆grZCWCboXg氏 ありがとうございました…
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第九十六話
・グレゴリー ◆yNuURBcNkQ氏 お願いします…
5階
友達の話なんだけど、そいつが住んでるのは4階建てのマンションの、405号室なんだ。
エレベータがないマンションで、部屋に帰るには階段を昇らなきゃならない。
一番上の階だから、そいつはいつも階段が終わるのを目印にして昇ってたんだって。
その日もいつもと同じように、階段を昇ってたんだそうだ。
階段が終わって、廊下を進んで、5番目の部屋の前について鍵を差し込んだ。
ところが、鍵が回らなかったんだそうだ。
確かに一番上まで昇ったはずなのに、おかしいなと思って部屋番号を確認したら、
505って書いてある。
そのマンションに5階なんてないのに。
怖いというより、妙な気分になって、何度も鍵を回そうとしたけどやっぱり回らない。
仕方がないから、階段を一階分だけ降りて、今度はちゃんと405号室の前に来た。
鍵を差して、まわすと、かちっと鍵の空く音がしたんだって。
ちゃんとドアも開いて、自分の部屋だった。
変だなって思ったけど、どうしようもないから、その日はそれで部屋に戻ったんだ。
次の日、仕事にいく前に階段を確認すると、階段は4階でちゃんと終わってたんだって。
5階に行ったのはそれっきりだそうだ。
完
九十六本目の蝋燭が消えようとしています……
・グレゴリー ◆yNuURBcNkQ氏 ありがとうございました…
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第九十七話
万夜 ◆NMnaoT1HrA氏 お願いします…
【ピンポンダッシュ】 1/3
ある夏休み、夜中にパソコンをしていて時計を見るとちょうど1時。
さあ寝るかと思い、立ち上がった瞬間『ピンポーン』とチャイムが鳴った。
背筋がゾクっとした。誰だってこんな深夜にチャイムが鳴ったら驚くだろう。
慌てて暖かい布団に頭から潜り込んだ。
しかし『ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン』となおもチャイムは鳴り響く。
最初は布団に篭りながら無視していたが、だんだん恐怖よりも怒りの感情のほうが大きくなっていった。
(うるせえよ) 心の中でそう呟きながらチャイムを鳴らしてる奴の顔を確認するため
居間の壁についている玄関モニターの前に行った。
このモニターは玄関付近から突き当たりのエレベーターまでを映すことができる。
(どんな奴なんだろ) モニターのスイッチを押すとエレベーターまでの廊下を含めた玄関付近が映し出された。
チャイムはまだ鳴り響いている。
だが玄関付近には誰もいない。
(え、なんで!?)と思ったのもつかの間、突如チャイムが鳴り止んだ。
静寂がモニターの前に立ち尽くす俺を包み込む。
数十秒ほどボーっとモニターの画面を見ていたその時、画面の中で変化が起きた。
俺の部屋(706号室)よりエレベーターよりの隣の部屋(705号室)のドアが勢いよく開けられたかと思うと
住人のおじさんが何か叫びながら出てきたのだ。そしてしばらくして不思議そうに辺りを見渡すとまた部屋に戻っていった。
この異様な光景を目の当たりにした俺は不思議に思いながらも結局睡魔には勝てず布団に戻り眠ってしまった。
2/3
次の日、1階のエントランスホールで
昨夜モニター内で不審な様子を見せていた705号室のおじさんと管理人さんが深刻そうな顔で話しているのを見かけた。
「どうかしたんですか?」と事情を尋ねると、
おじさんは疲れた顔をしながら
「いやそれがな。 昨日夜1時ごろやったかな、寝ようと思ったんや。
そしたらチャイムが『ピンポンピンポンピンポンピンポン』うるさくてな。布団入っても寝られへんのや。
だから止めさせようと思って「誰じゃ五月蝿いわ!!」って叫んで玄関のドア開けたんや。
そしたらな誰もおらへんのや。辺り見回しても誰もおらへんからあれ?おかしいなーって思ってんけど。
その時、低い男の声でな。
『ゴンニヂハ』
って聞こえたと思うとすぐにエレベーターのほうに向かって
『ダダダダダダダダダダッ』って勢いよく走っていく足音が聞こえてん…。」
おじさんは誰もいないことを不思議に思いながらも、チャイムが止んだので布団で眠ってしまったのだが
今日になってだんだんと怖くなり管理人さんに相談したのだという。
「イタズラじゃないんですか?実は…」と俺も昨夜体験したことを話そうとすると
管理人さんはそれを遮り困ったような顔でこう言った。
3/3
「実はねえ…昨夜の件だけど…苦情があったのは今Sさん(705号室のおじさん)が話してくれた1つだけじゃないんだよ」
(…え?)ドキっとした。
管理人さんは続けて言う。
「今朝方のことなんだけどこのマンションの1階から11階まで各階の住民達から苦情があったんだ。
チャイムが五月蝿い、変な声が聞こえる、どうにかしろってね。しかもどれも時刻は深夜1時前後…。」
事が起こったのは深夜1時前後らしい。ほとんどの住民は寝てる時間だ。
だけど偶然起きてる住民もいないことはないだろう。
現に俺だって起きていたんだから。
でも偶然起きているそれらの住民の部屋で偶然チャイムが鳴らされることなんていうことがあるのだろうか。
仮にもここはマンションだ。廊下からは部屋の中は判断しづらい。
だが起きていた住民達がチャイムを聞いていたということは…。
俺は心の中で結論付けた。
あの夜、1階から11階まで全ての部屋のチャイムが鳴らされたのだ。しかも深夜1時前後という僅かな間で。
姿が見えない何かの手によって。
おそらくあの晩、俺も勇気を出して玄関のドアを開けていたら聞いていたのだろう。
『ゴンニヂハ』という声を――。
―完―
九十七本目の蝋燭が消えようとしています……
万夜 ◆NMnaoT1HrA氏 ありがとうございました…
ξ
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第九十八話
◆Nz6ToYHZIo氏 お願いします…
第九十八話「鳩の話」1/4
友人が近所で聞いた話。
近所の公園の近くにある夫婦が住んでいた。
旦那は動物が好きだった。
公園にいる鳩に餌をあげることを日々、日課としていた。
妻は動物が嫌いだった。
旦那が公園にいる鳩に餌をあげることをあまりよく思ってなかった。
ある時、旦那が出張で一週間ほど家を空ける事になった。
仕方なく旦那は妻に公園の鳩に代わりに餌をやってくれるよう頼んだ。
妻は心の中では嫌だったが、旦那の頼みなので仕方なく引き受けた。
2/4
旦那が出張に行った初日、妻は群がる鳩に怖がりながらもきちんと餌をやった。
「ぽっぽー」と鳩は喜んだ。
次の日、動物嫌いと面倒臭さも手伝って妻は鳩に餌をやらなかった。
「ぽっぽー」と公園から聞こえたがあまり気にしなかった。
また次の日、餌をやっている人は他にもいるだろうと思い、妻は餌をやらなかった。
「ぽっぽー」と公園から聞こえ、悪いなとも思ったがすぐ忘れた。
また次の日、餌をやらなかった。
泣き声は聞こえなかった。その事も手伝って妻はすっかり気にも止めなかった。
3/4
また次の日、餌をやらなかった。
夜寝ている時に窓の外から「ぽっぽー」と聞こえた。
妻は寝ぼけながらも、まあいいやと思った。
旦那が戻る前の日、やはり餌をやらなかった。
妻が夜寝ている時にどこからか「ぽっぽー」と聞こえた。
妻はまた、まあいいやと思ったが、もう一度「ぽっぽー」と聞こえた。
自分の寝ている部屋の中からだった。足元のほう。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の足に何か乗った。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻のふとももを何かが上ってきた。
自分が餌をやらなかったから鳩が仕返しにきたと思った。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の下腹部に何かが上ってきた。
自分が餌をやらなかったから死んだ鳩が仕返しにきたと考え始めた。段々怖くなってきた。
4/4
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の腹部になにかが更に上ってきた。もう怖くて目をきつく閉じ開けられなかった。
また「ぽっぽー」と聞こえた。妻の胸に重みがかかった。やはり目を開けられなかった。
何かは更に上ってこようとしたので、妻は意を決して目をあけてみる事にした。
もう一度「ぽっぽー」と聞こえた瞬間勇気を振り絞って目を開けてみた。
すると、
そこには知らない男の頭部だけが自分をまじまじと見つめていた。
[完]
九十八本目の蝋燭が消えようとしています……
◆Nz6ToYHZIo氏 ありがとうございました…
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第九十九話
あさぎ ◆/OMy2/7irg氏 お願いします…
第九十九話【かくれ鬼】
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私がまだ小学校に上がったばかりの頃の話です。
その頃に住んでいたのは、漁村と農村が一緒になったような田舎でした。
今みたいにゲームとかネットとかもろくにない時代。
子供たちは自然の中で遊び回るのが普通でした。
ちょうど今頃の季節。
夏の終わりが近付いて、夕立の多い時期の事。
その日も私は二人の同世代の友達A・Bと一緒に、海辺の松林で戯れていました。
木登りをしたり、追い掛けっこをしたり、他愛もないお喋りをしたり…
その辺りは殆ど人の来ない、私たちだけの秘密基地みたいな場所。
だから、見慣れない女の子が松林の間から、じーっとこっちを窺っている事に気付いた時には、少し驚きました。
その子は同い年くらいで、大人しそうな雰囲気。
長いおさげ髪を結んでいたピンクのリボンが可愛いかったのを覚えています。
彼女は『マナ』と名乗り、夏休みで祖父の住むこの町に来たと言いました。
大人しいながらも気さくな少女で、歳も近かった私たちはすぐに仲良くなれました。
やがて話にも飽き、一緒に遊ぼうという流れに。
Bの提案で、かくれ鬼をする事になりました。
かくれ鬼というのは、かくれんぼに鬼ごっこが組み合わさったようなものです。
鬼が100数える間に他の参加者は隠れ、鬼がみんなを捜す。
かくれんぼは見付かった時点で負けになるが、かくれ鬼では見付けられた者が走って逃げる。
鬼がそれを追い掛けて、隠れていた者が鬼にタッチされたら負け。
今度は負けた者が次の鬼になり100を数え、鬼だった子は隠れる側に回る…そんな遊びです。
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まずジャンケンで負けたAが最初の鬼になり、かくれ鬼が始まりました。
でも、何度繰り返してもマナだけ見付かりません。
段々おかしいと思い始め、私とAとBは遊びを中断してマナを捜し始めました。
三人掛かりで捜すのだから、マナもすぐに見付かるはず。
…でも、いくら捜してもマナは見付からなかりませんでした。
あらかじめ決めてあった隠れる範囲を超えて捜しても、マナはいない。
軽く二時間は捜したと思います。
そうこうしているうちに雲行きが怪しくなり、激しい雷鳴と共に大粒の雨が降り出しました。
仕方なく私たちはマナに聞こえるように大声で叫びました。
「マナ、かくれ鬼おしまいだよ!雨降ってきたから私たち帰るよ!マナも早く帰りなー!」
二、三回繰り返しましたが、返事はありませんでした。
後ろ髪を引かれる気持ちはありましたが、私たちは帰宅する事に。
とはいえ慣れない土地で迷子になっているかも知れないマナを放ってはおけず、私たちはそれぞれの親にいきさつを話しました。
親たちはすぐに町内会の連絡網でマナがどこの家の子かを調べつつ、一方で現地の捜索に当たったようでした。
でも…マナは見付かりませんでした。
迷子のままという話ではなく、マナという子がどこの子なのかも不明だったのです…
4日後、私とAとBは親から『マナちゃんは帰ったよ』と伝えられました。
あの日はかくれ鬼の最中に雨が降り、みんな帰ったと思って帰宅した。
そして昨日、別の県にある自宅へ帰った、という話でした。
子供心にも何か腑に落ちない気はしたが、その件はそれで片付けられてしまいました。
もちろん、それは子供向けの方便。
実際にはマナは見付かっておらず、マナという子に心当たりのある人すら見付かっていなかったそうです。
親族などからの届出もなく、警察も通り一遍の捜索をしたのみ。
最終的には、私たちの狂言だったのではないかという話で片付けられてしまったそうです。
まぁ、そういう真相はかなり大人になってから母から聞いたのですが。
『マナ』とは、一体何者だったのでしょうか?
3/3
時は流れて私は故郷を離れ、就職も無事済ませました。
すでにマナの事は記憶の彼方で埋もれてしまっていた…そんな頃。
GWに小学校の同窓会があるというので帰省した私は、その席で久々にAとBとの再開を果たしました。
そこで偶然マナの話題が出たのですが、Bが怯えたような顔になり、急に「この話やめようよ」と言い出したのです。
理由が分からず、私とAはどういう事かとBを問い詰めました。
渋々ながら話し始めたBが言うには、『マナが来た』らしいのです。
Bが高校生の頃、あの日と同じような夕立の午後に部屋でうたた寝をしていたところ、金縛りに。
すると、ぴちゃぴちゃという足音が段々近付いてきて、ひどく冷たい小さな子供の手がBの肩を掴んだそうです。
薄目を開けると、そこにはあの日のマナがBの顔を覗き込んでいて、
「 B ち ゃ ん 見 ぃ 付 け た 」
と言った、と…。
「悪い冗談やめてよー」と笑い飛ばしたAに、Bは真剣な顔で首を振りました。
「本当の話だよ。それに…次はAちゃん、って言ってたんだから」
これにはさすがのAも顔をこわばらせました。
Bはそれから私に向き直り、「その次は多分あんただよ」と言い放ちました。
固まる私の肩をぽんぽんと叩きつつ、Aは無理矢理に笑い飛ばしながら否定の言葉を探しました。
「でもさぁ、かくれ鬼はタッチされた人が次の鬼になるルールじゃん。マナが次も鬼って変じゃない?だからないよ、私んとことか来ないって!」
でも…かくれ鬼のルールとか関係なく、マナはただかくれ鬼の形式を使って私たちの所へ来ようとしているだけなんじゃないだろうか…
多分、三人とも同じ事を考えていたと思います。
でも、その場は「そうだよねー」などと無理矢理笑い飛ばしました。
深刻に考えれば考えるほど怖かったから。
その年の夏の終わりに、Aからメールが来ました。
「マナが来た。Bの話は本当だった。」
ピンクのリボンを飾ったおさげ髪の少女は、次に私の所へ来ると言ったそうです。
あれから二年が経ちますが、マナはまだ私の所へは来ていません。
この時期、夕立が降るたびに私は怯えているのです… 【完】
九十九本目の蝋燭が消えようとしています……
あさぎ ◆/OMy2/7irg氏 ありがとうございました…
ξ
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第 百 話
ジジイ ◆c7mNR5EDjs氏 お願いします…
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第百話 「 家 」
あまり大きな声では言えないことですが、私の実家の下は墓場でした。
墓場と言ってもみなさんが思う墓場ではなく、古墳でした。
家を建てる時に、土台を作るために掘り起こし気づいたのですが、
勾玉や鏃(ヤジリ)、土偶などたくさんの古代の物品が掘り出されました。
通常、古墳などが出土してしまった場合は、市や県などにその旨を伝え
研究的な事柄も含めて、しっかり調査などされた後に家を建てられる、
もしくは、重要なものであれば代替の土地へ移動させられる…ということらしいのですが
うちの両親は、そんなことしていたらいつまで経っても家が建たない!ということで
出土した物はとりあえず自分たちで保管して、出てきた古墳は埋め立て
そのまま家を建ててしまいました…。
そんな事もあり多少の遅れはありましたが工事も無事に終わり家が建ちました。
そして、私たち家族はその家へ引越し住むことになりました。
2/4
やはり新築の家はとても快適でした。
私にも念願の自分の部屋ができ、当時中学生だった私は本当に上機嫌でした。
長男だった私は、6畳出窓付きの二階角部屋クローゼット有りという家の中でも
一番いい場所を自分の部屋として使うことを許され、当時本当に喜びました。
しかし、住み始めてすぐ私は毎夜金縛りに合う様になりました。
金縛りという現象はしっていましたが、聞くと体験するでは大違いです。
姿は見えない誰かが、いつも自分の寝ているベッドの周りで苦しそうな咳払いをし、
うめいているのです。
うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ…。ゴホゴホッ!うぅうぅぅぅ…うぅうぅぅぅ……。
数日我慢してはみたものの怖くて堪らなくなった私は思い切って
両親にそのことを話しました。
しかし、両親はそんなこと歯牙にもかけず、寝ぼけて夢をみたんだろ?の一点張りでした。
私の訴えはあっさり流され、私はその夜も自分の部屋に寝なければならない…と
思うと怖くて怖くて、本当にイヤだと訴えました。
すると、父が「なら、一階の客間に布団をしいて勝手に寝ろ」という案を出してくれたので
私はもう渡りに舟でその案に飛びつきました。
そしてその夜は和室の客間に布団を敷いて寝ることになったのです。
まさかその部屋で起こることの方がより恐怖であるとは、その時はまったく思いもせずに…。
3/4
和室の客間は十数畳という広さで、そこに布団を敷いて一人で寝てみると
さすがにちょっと怖い感じはしましたが、あんな化け物が出る部屋で寝るよりは
全然マシ!と私は一人そこに寝ました。
夜…。私はふいにガタガタいう物音で目が覚めました。
もう目が覚めた瞬間にわかりました。
また金縛りです。
そして、私が寝ているすぐ横2メートルくらいにある襖(ふすま)が中からガタガタ揺れているのです。
「あぁぁぁぁぁ…」と思いましたが、動くことも出来ず、目を背けることも出来ず
私はその襖をただ目を見開いてみていました。
すると、襖は激しくガタガタガタガタ言いながら少しずつ開いていきます。
そして、襖が半分くらい開いた時でしょうか…。
中から、にゅっと指が出てきて開いている襖の端を掴みました。
そしてその手はゆっくりと襖を開いていきます。
襖からその襖を開けている何かの顔が少しずつ覗いてきます。
バサバサの髪の毛、頭、片目、鼻…。
私はあまりの恐怖に本気でジタバタして、「うわああああああああ」と叫びました。
声が出ました。
と、同時に金縛りも解けて私は布団から跳ね起きました。
私が自分の布団の上で呆然と立ち尽くしてると、
私の声を聞いた家族が私の寝ている客間へ殺到しました。
私は今見たありのままを話しました。
ですが、もちろん信じてもらえませんでした…。
4/4
次の日から私は歩いて500メートルくらいの距離にある祖父母の家に泊まる事になりました。
すると、詳細は省きますが、私が祖父母の家に泊まりだして一週間もしないうちに
家族全員が奇怪な体験をし、しっかりとしたお払いを受ける事になりました。
家族、家、土地をお払いをし、庭にお社みたいな物を作り、
私たちは私たちの前にその土地に眠っていた何かを祀りました。
そして…それ以降、目立った奇怪な出来事は一切起こっていません…。
…ですが、今でも雨が降ると玄関から二階の私の部屋の前まで
びしょびしょに濡れた何かが歩いて来た様な水が滴り続けています。
家族は誰も、何も、言いません。
ですが、確かに今でも何かが家にいるのです。
【…完?】
ジジイ ◆c7mNR5EDjs氏 ありがとうございました…
ξ
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これで 最後…
ついに百本の蝋燭全てが消えました……
さあ 鏡をご覧なさいませ
あなたの背後に 何かが映っておりませんか?
…本当に見えないのですか?
ぴったりと…あなたに寄り添っておりますのに………
338 :
本当にあった怖い名無し:
みんなおつかれ〜