1 :
本当にあった怖い名無し:
2かも
今度は落とさないでね・・・てな程度にのんびり行きましょう
第四部の最後の御題はたぶん
「クリスマス」「時計台」「文字盤」
じゃあ書いてみます
5 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/24(日) 04:01:34 ID:EQWLRJGn0
応援するww
しかし季節外れなお題だなー
「クリスマス」「時計台」「文字盤」
クリスマスイブ、私は時計台の前で彼を待っている。
初めてのことだ。私が誰かとクリスマスを祝うなんて。
私はずっと独りだった。友達は居た。男友達も居た。だけど恋人は居たことがなかった。
二十代後半までそうしていると、そのことが当たり前に思えてきたし、
きっと死ぬまでそうなのだろうと思うようにもなった。
その私に恋人が出来た。ふたつ年下の、会社の同じ課の後輩だ。
彼は控えめだった。
男は先輩に対してさえ相手が女であれば上位に立ちたがるのだと思っていた。
実際これまでの私の経験では、うまく隠しているつもりの人が多かったが、全てそうだった。
けれど彼は違った。とても生真面目で、仕事にも雑談にも礼節を心得ていた。
周りの女子社員は彼を真面目すぎて面白くないと噂したが、
私は彼に好意を持った。もちろん恋心ではなく、立派な人だと思っただけ。
私は彼と仕事で組むことが多くなった。
上司には人の相性を見抜く眼があったのだろう。私と彼は息が合っていた。
不思議と信頼感のようなものがあったのだと思う。
週の半ばは二人で取引先や仕事先へ行くようになって数ヶ月たっても、
彼と私は仕事だけの関係だった。
冬のある日二人で九州へ出張した際、取引先の人に誘われて飲みに行った。
九州の人は実に男性的だった。が、素直でもあったようだ。
――はじめは女と組まされる男なんてろくでもないと思っていた。
と話し始めた。
しかし私が優秀であると気付いたという。
あっけにとられている私の前でその人は彼に、しっかり勉強させてもえるだろうと言った。
彼は答えた。
「ええ、尊敬しています」
彼の私に対する評価を聞いたのは初めてだった。
クリスマスイブ、僕は彼女の元へ向かっている。
初めてのことだ。僕が誰かとクリスマスを祝うなんて。
僕には恋人は居たことがなかった。いつしかそれが当たり前に思えていた。
その僕に恋人が出来た。ふたつ年上の、会社の同じ課の先輩だ。
彼女は理知的だった。
実に丁寧に接してきた。
年下の男にそのような態度を取れる女性が居るとは思わなかった。
人付き合いが苦手な僕は仕事上の付き合いしか彼女と出来なかったが、
僕は彼女を尊敬したし、好意も持った。
だから仕事で彼女と組まされるようになった時はうれしかった。
実際、彼女との仕事はしやすかった。
仕事でよいところを見せることに集中できたからだろうか。
しかしそれだけに、良い仕事相手以上にはなり得なかった。
冬のある日、九州へ二人で出張したときに事情が変わった。
取引先の人に誘われて飲みに言ったときに、
彼女を尊敬していると僕が言うと、彼女は顔を赤らめた。
「尊敬だなんて・・・」
飲みつけない焼酎で酔いすぎたのか、初めて見た表情に押さえが利かなくなったのか、
僕は口を滑らせた。
「いや、本当に矢野さんは・・・」ここまで言って止まった。
人が見ている前で言うことではない。
そのあとビジネスホテルへ向かう途中で彼女にその言葉の続きを訊かれた。
僕は今言うしかないと思った。
今ならもしダメでも、酒のせいでバカな事を言ったと誤魔化せる。
私はどうしてもさっきの言葉の続きが聞きたかった。
今訊くしかないと思った。
そして思ったとおりの言葉だったなら、次は私から言わなければならない
きっと彼は仕事仲間に好きだなんて言えない人なのだろうから。
私のほうから、私はそういう真面目なところが好きになったのだと伝えよう。
それから私たちは恋人になった。
そしてクリスマスイブの夜に「初めて」のデートをする約束をした。
会社の人間にばれないように退社時間は30分ずらすことにした。
私は腕時計を見ながら彼を待っている。
子供の頃に読んだ少女漫画とは違うけれど、確かに心が弾んでいる。
きっと私たちはうまくやれる。
きっと二人でずっと生きていける。
きっと彼は私の理想の人なのだ。
彼を待つこの時間さえ楽しくてたまらない。
どれだけ待たされてもきっとそう。
笑顔のまま待っていて、彼を迎えられるはず。
私はきっとこうして彼を待ち続けるのだ。
この先も、結婚してからも、年老いても。
それを考えるとうれしくてならない。
ふと時計台を見上げると、腕時計とずれていた。
少し考えたが、私は腕時計とそれを合わせないことにした。
どちらが正しいかわからないし。
あ、彼が見えた。
僕は腕時計を見ながら彼女の元に向かっている。
心が弾む反面、底の方に淀む不安がある。
自信が無い。
彼女のような女性は僕の理想だけれど、僕は彼女にとってどうだろうか。
僕たちはうまくやれるのだろうか。
彼女の元へ急ぐ時の気持ちがこんなものだとは知らなかった。
だんだん足が遅くなりそうなのをこらえる。
ああ、彼女が見えてきた。
綺麗な笑顔だ。
僕は不意に恐ろしくなった。
これからもずっとこうなのだろうか。
彼女にどう思われるかを恐れながら生きていくのか。
彼女のそばにいるときにはそんな不安は感じないのに。
そう思った。
いちいち考えないためには、待ち合わせなんてものはすぐに済ませたほうがいいのだ。
僕は彼女に笑顔を返し足を進めた。
そのとき何かが起こった。
彼がこちらに気付いて笑顔を返してくれた。
楽しい待ち合わせのクライマックス。
私は彼に手を振る。
私の夫となった彼に。
彼が奇妙な顔をした。どうしたのだろう。
今日言うつもりだった、私の下腹部のかすかな変化に気付いたのだろうか。
彼が目を見開いている。
娘のために選んだ服に見とれているのだろうか。
彼が驚いている。
市販の白髪染めでなく、美容院で綺麗に染めなおした髪にだろうか?
彼が何か言った。
子供が独り立ちしてもなお毎年のクリスマスを、
あのときのデートのようにしてくれるやさしい彼が。
彼が走りよってきた。
私は彼に手を伸ばす。
長い人生をずっと一緒に生きてきた最愛の彼に。
彼女が手を振った。違和感。
彼女は僕の目の前で唐突に老けていた。
老け続けていた。
ある瞬間からその隣に子供が居た。
ひとり、ふたり、彼女の老いに合わせて成長しやがて消えた。
そのころには彼女は初老の婦人になっていた。
「なんなんだよ・・・」
あと数メートルの距離を走った。
彼女が手を伸ばしてきた。左手だ。その手をつかもうとして僕は気付いた。
彼女の時計の文字盤に目が吸い寄せられた。恐ろしい勢いで回っている。
だから僕はその手を引っ込めた。
僕は彼女に触れなかった。
僕の目の前で見知らぬ老婆が倒れた。
おしまい。
次の御題は
「財布」「鏡」「親友」で
13 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/25(月) 00:47:57 ID:ye4yOifF0
hosyu
小・中学校からの友人であるU子の異変に気付いたのは、ある雨の朝のこと
でした。
「最近、なんかついてない」と私に不満をぶつけながら、しっとりと濡れた
身体をスポーツタオルで拭いていた彼女の首筋に、うっすらと痣のようなもの
が見えたのです。その痣は、彼女の首を点々と取り囲むように浮かび上がって
いました。
「何これ、SM?」
「うわっ! 何だろこれ……もぉ〜」
この時は彼女も寝ている間に偶然ついたのだろう、くらいの軽い気持ちでい
ました。
しかし、痣は一週間経っても消えるどころか、ますます濃くはっきりと染み
出してくる始末。彼女はそれを必死になって隠そうとしました。季節は梅雨を
迎えようとしていましたが、彼女の首にはマフラーが巻かれました。
すると今度は、その痣の部分から沁みるような痛みを感じ始めました。
ここにきてようやく彼女は病院に向かいました。しかし、原因はなんだかわ
からず、気休めとしか思えない塗り薬を渡されて帰ってきたそうです。既に痣
はひとつにつながり、彼女の首を一回りすると背中の方に垂れ下がるように続
いていました。
あまりに痛々しい彼女の姿に、声をかける者も減っていった頃、U子は「あ
なたは私の親友だから……」と、私にこんな話を打ち明けました。
それは例の雨の日の十日ほど前のこと、彼女は家の裏にある山で蛇を殺した
そうです。そしてその蛇の死骸の一部を、財布に仕舞い込んだと告げました。
「何でそんなことしたの!?」
と私が聞くと、
「だって、白くて綺麗な蛇だったから……金運アップするかなぁって……」
そう言って、彼女は安物の財布からレモン色のセロハンのかけらを摘み出し
ました。
「ねえ、これって白蛇の祟りかなぁ?」
そのかけらはよく見ると、うっすらとウロコ模様がありました。
「わかんないよ。分かんないけど、それちゃんと始末した方がイイよ」
「そっか、やっぱりそっか……」
そして少し考え込んだ後、突然、
「ありがとね!」
と言って、彼女は放課後の教室を出て行くと、それっきり学校へ戻ってきま
せんでした。
後にU子の両親から聞いたところによると、痣は彼女の顔にまで達し、それ
を見た彼女は家中の鏡を叩き割ったそうです。今は実家の方にいるとも言って
いましたが、世間からは心の病にかかって入院しているのでは? と囁かれて
います。
それと、教室を飛び出したあの日、彼女は両手を泥だらけにして帰ってきた
そうです。
いったい彼女は、蛇の皮をどう始末したのでしょうか……?
というわけで、次は「猫」「海」「地下室」で。
17 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/27(水) 11:21:05 ID:RW/2YuLx0
age
18 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/29(金) 09:37:35 ID:yktbkALj0
このスレはもうだめかもわからんね・・・
19 :
15:2005/07/29(金) 13:50:40 ID:J6sTn979O
オカ板で怪談を創作したいなら、洒落恐でこっそり
うpするしかないのかね。
20 :
本当にあった怖い名無し:2005/07/31(日) 16:31:11 ID:+QFdAlNt0
あげ
Rが失踪する半年前のことだ。
深夜、俺とRはとある廃墟へいつものように探索に出かけた。
Rが言うには、
「とにかく、すんげぇモンが見れるぞ」
とのことで、俺はやけにはしゃいだRの後をついていった。
ひと気のない林に囲まれた建物は、どうやら昔はホテルをしていたらしい。
今ではどこにでもある、別段何の変哲もないただの廃墟に見えた。
「なにか出るの――」
「シッ!」
Rは俺の言葉を遮ると、押し殺した声でこう言った。
「いいか、死にたくなかったら絶対、ぜったい音たてんなよ」
笑おうかと思ったが、俺は素直に頷いた。それを見たRはニヤニヤと薄ら笑
いを浮かべた。
中に入ると、Rは真っ先に地下を目指した。
奥へ進むにつれ、強烈な臭いが漂ってきた。それは廃墟に付きもののカビや、
埃や、下水や、食べ物が腐った臭いを何百倍にも濃くしたような酷いシロモノ
だった。胃から甘酸っぱいものがこみ上げそうになる俺に、タオルで口元を隠
していたRが、すかざずコンビニの袋を渡した。
「ここに全部吐け、ぜったいこぼすなよ」
俺はその上品な申し出に従い、中に吐いた。
廃ホテルの地下はリネン室や調理場などがあり、裏口と繋がっていた。どう
やら異臭は調理室から漂ってきているようだった。
調理室の前までくると、Rは「マジすんげぇぞ」とボソッと言い中を照らし
た。
あたり一面、血の海だった。
反射的に俺は、袋の中に二発目のゲロをした。
懐中電灯の光は、無数の猫の死骸をたどりながら、奥にある大型冷蔵庫を指
した。
「あそこに隠れるぞ」
「は?」
「時間ねぇからはやくしろ」
Rの言っている意味が分からなかったが、俺は強引に連れ込まれた。
むせかえるような血と腐肉の臭い、絞られるような胃の痛み、ガタつく身体
と戦っていると、なにか気配がした。
冷蔵庫の中から覗くと、人魂のようなものが調理場に入ってくるのが見えた。
近づくにつれそれが、フードの中から漏れたヘッドランプの灯りであること
が分かった。
身体がさらに強張った。
調理場に来たそれは、壁に掛けられた包丁を手にした。別の手には猫をぶら
下げていた。
その猫を流し台に置くと、慣れた手つきで後ろ足から前足にかけて腹を割い
た。
どろりと、中身が漏れた。
さらにそれは何度か包丁を入れると、パーカーを下ろした。
長い髪。
女だった。
女はおもむろにその肉片を口に運んだ。
クチャクチャ、クチャ……という音だけが室内に響いた。
女は生のまま内臓をほおばっているらしい。
そこでようやくRの言っていた「すんげぇモン」というのが、これのことだ
と気付いた。
30分ほどの食事が終わると、女は急にわめき出した。
あんたのせいだ。とか誰かに怒鳴っているようだったが良く聞き取れなかっ
た。
その声は疲れ切った印象とは裏腹に、子供のようだった。
ヒステリーはさらにエスカレートし、女はボロクズとなった猫を反対側の壁
に叩き付けた。
俺は思わずうめいてしまった。
「――ッ!?」
ギラギラとした女の目がこちらを睨んだ。
包丁を持った女がずんずんと向かってくる。
逃げ出そうとする俺をRが押しとどめた。
女は手前で止まり、そこにある猫の死骸に怒鳴った。
「お前がバカにしたのかぁぁっ!!」
腐りかけた猫の頭を勢いよく蹴飛ばす。
頭は俺たちが入っている、大型冷蔵庫のドアにぶつかり跳ね返った。
ようやく怒りが収まった女は、ごそごそと身を揺らすと、包丁を戻し、フー
ドを被り直すと来た道を帰っていった。
「もう大丈夫だろ」
女が出て行ってから10分ほど経った頃、Rがつぶやいた。
俺は1秒でもこんなところに居たくはなかったが、Rは「慌てるな」と咎め
た。
「ほら、見てみ」
さらに、先ほど女がごそごそしていた場所を照らしてみせた。
そこには血を拭き取ったであろうティッシュが散乱していた。
Rの楽しげな態度に、俺は心底呆れた。
27 :
本当にあった怖い名無し:2005/08/03(水) 22:58:44 ID:i/0wfsrl0
その日以来、俺はRを避けるようになった。
さらに俺は半年ほど、ひとりっきりになるとどこからか聞こえてくる、猫の
鳴き声に悩まされた。
それが聞こえなくなったのは、あの廃ホテルから3,4kmのところにある
民家で、16歳になる娘が両親を殺害して自殺するという、凄惨な事件が起き
た後だった。
動機はよく分からなかったが、16歳の娘は高校に入ってすぐ、家に引きこ
もるようになったそうだ。
そしてその事件後、Rは行方不明になった。
* * *
長いうえに、微妙にお題と違ったりしてスマソ。
次は「キャンプ」「お守り」「足」。
28 :
「猫」「海」「地下室」:2005/08/03(水) 23:15:29 ID:vXWOilMB0
1/2
公園で遊んでいた女の子を攫ったのはペットの犬を亡くした
からだった。
家の地下室で飼いはじめたものの、ちっとも懐かないので
目を潰してみた。
すると少女はすっかり従順になり、ペットとして相応しい態度
をみせはじめたのだった。
食事は一日2回。仕事に行く前と帰った後に与えた。
出入り口は一つだけ。私が現れそして消える、鍵の掛かったドア。
少女に名前はない。私はペットに名前をつけない。
2年が経った。
ふと思いついて地下室の壁に羽目殺しの窓を打ちつけた。
もちろんただの飾りだ。向こうには何もない。
少女にはこういった。
「窓の向こうは海だよ」
5年が経った。
精神安定剤として与えたペットの猫を抱えて少女はいつも窓の
前に座る。
そして猫に窓の向こうの海のことを嬉しげに囁くのだ。
聞こえるはずのない潮騒を聞きながら。
29 :
「猫」「海」「地下室」:2005/08/03(水) 23:17:39 ID:vXWOilMB0
2/2
私はいつものように地下室のドアを開け、そして内から鍵をかけた。
ふりかえると少女が手で顔を覆って泣いていた。
猫が逃げてしまったといって泣いていた。
私は硬直した。猫がいない。
部屋はシンプルだ。隠れられる家具などなにもない。
ただ一つのドアの鍵は私しか開けられない。
そして確かにそれは今まで閉まっていた。
少女の手をつかんで、なぜ猫がいない、と問い詰めた。
すると、窓の向こうへいってしまったと、あたしが海のことを
あんまり話すから行ってしまったのだと少女は泣くのだった。
私は羽目殺しの窓を調べた。
やはり開いた様子などない。開いたとしてもただ壁があるだけだ。
そして壁の向こうは地中なのだ。
ではなぜ猫がいない。
私は苛立って少女の髪をつかみ、耳元に口をよせた。
「いいか、窓の向こうに海なんかありはしない」
そして秘密をすべてぶちまいた。
「この部屋の外にはなにもない」と。
だから猫がどこかに行くはずはない。なのになぜいない。
私は執拗に問い詰めたが、少女は泣くだけだった。
私はまさかと思いながらも地下室の外を調べるためドアに向かった。
鍵を開けてノブを回す。
開かなかった。そんなはずはない。
体当たりを繰り返すうち、私は不思議な感覚に襲われていった。
この部屋の外には何があったっけ・・・・
ドアは部屋の飾りのように微かに揺れ続けた。
30 :
28:2005/08/03(水) 23:20:02 ID:vXWOilMB0
スマン・・創作中にかぶった。
次のお題は
>>27のでお願いします。
31 :
27:
>>30 おかまいなくー。
それにしても1週間も放置されてたものが、
急に被るなんてそれはそれで((;゚Д゚))ガクブル