遠野物語・怪談は古典に限る

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1お軽と勘平
現代の怪談は「怨念」や「たたり」といった世界からかけ離れているような
気がします。やはり時代なのでしょうか?
中国の古典からとった「牡丹灯篭」や小泉八雲の「耳なし芳一」「雪女」
上田秋成など物語の恐さはまさに体の内側から涌き出る恐怖といえます。

遠野物語の本当の恐さは有名ではない小さなエピソードに隠されています。

ここではそんな昔の怪談などにスポットをあてたいと思います。

みなさん恐い十の物語を語ってください。
今どき「よくわからないもの」の方が少ないからなあ
( ´,_ゝ`)
4あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/11 11:51
2げと
5あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/11 11:51
2げっちゅ
>>4-5
やる気あんのかアフォ
7:03/02/11 11:53
でへへ
8GET!
9:03/02/11 11:54
ちっ!。4(死)げとしちまったぜ。
とりあえず>1から語ってよ
11あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/11 12:39
とりあえず、十の物語なのか遠野物語なのかはっきりさせてくれ。
12あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/11 13:15
雨月物語 うげつものがたり
上田秋成が1768年に完成し,1776年に刊行した読本。
▽9つの短編からできている。おもに中国の怪奇小説や平安時代末期の
『今昔物語』から材料をとったふしぎで,あやしい,ミステリーにみちた
芸術性の高い物語集。
『菊花の約(ちぎり)』『浅茅(あさじ)が宿』『蛇性の婬(いん)』など
は特に有名。

13あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/11 13:23
すれ違いだけど、
今考えると『菊花の〜』って裏で衆道に通じる何かがあるのかと勘繰ってみる。
遠野は怪談じゃねえって
15お軽と勘平:03/02/11 23:37
>>11
わけわからんといわれるかもしれませんが「十の」を「遠野」にかけています。
中国の古典から創造された多くの怪談をUPしたいと思います。
遠野物語からも恐い話をUPします。
>>12
私も上田秋成にははまりました。
>>13
新撰組の沖田総司を例に取るまでもなくそのものです。再開の約束を果たすため
亡霊となって現れる武士を描いた「菊花の約」などが印象的です。
>>14
遠野物語は河童や座敷童、おしら様などが邪道???であって本来の恐さは
山とその近親婚を繰り返した当時の盆地特有のおどろどろしさにあると思う。
そんな中に山人・農民に伝わる怪談がある。
関係ないけど、「十の」と「遠野」をかける、で、

「十の物語 現代ホラー傑作選第3集」高橋克彦編(角川ホラー文庫)

を思い出した。
別に古典怪談本じゃないけれど。
17お軽と勘平 :03/02/14 00:52
怪談といえば四谷怪談を筆頭に牡丹灯篭、番町皿屋敷の三怪談。
八雲の耳なし芳一、雪女、むじななどの三綺譚

遠野は怪談とは一線を隔すが姥捨の地デンデラ野、山人、神隠し
を抜きには語れない。

参考までに以下のページをどうぞ。

http://homepage2.nifty.com/pfruit/mimi/

江戸の名奉行、根岸鎮衛の収集した奇妙な話、愉快な話、味のある話の現代語訳。
幽霊、天狗、狐狸河童、名所珍品、悪女悪党、善男善女、豪傑偉人、賢人愚者、
奇人変人のエピソードが満載!

http://www29.cds.ne.jp/~patata/

幽霊滝 伊藤帯刀の話 八百比丘尼 食人鬼 妬婦水神となる 手無し娘
鏡の精 幽霊に頼まれし事 見るなの座敷

など読んでくれる怪談。これは眠れない。
( ´_ゝ`) 遠野物語の中だと、
       夜に玄関の上の壁にくっついて、
       人を見下ろす男の話が気持ち悪くて好きだった。
昔の角川の文庫版遠野物語の表紙が好きだった。
黒い草原に白無垢着た女の人が疾走する白馬にしがみついてるやたらリアルな絵。
映画版の遠野物語からもってきたんだろうけど、神秘的で(・∀・)イイ!。今も持ってるけど。
元ネタはオシラサマだろうな。
20あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/14 01:08
累ヶ淵はかなり名作だと思う。
21お軽と勘平:03/02/14 01:20
>>18
是非詳しい話を知りたいですね、ひと通り読んだつもりでしたが失念しております。
>>19
その本、是非探してみたいと思います。
>>20
現在の2ch住人のはたして0.1%くらいしか知らないとは思いますが
真景累ケ淵の円朝は珠玉でした。
22あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/14 03:28
>>19
わてもすきやったけど
どう見てもサラブレッドだった罠。遠野の馬ってもっと太足で小型だろ、きっと。
それにしてもオカルト勘平さんてちょいインテリだったのねぇ。ぽっ
>>21
( ´_ゝ`) 要約すると、こんな感じでしょうか。
       男が夜遊びから帰ったところ、家の前に人影があった。
       その様子は、
       >懐手をして筒袖の袖口を垂れ、顔は茫としてよく見えず。
       奥さんのところに夜ばいに来たものと思い近寄ったところ、玄関の方へ向かう。
       追い掛けていくと、男は玄関の戸が三尺ほど開いた所から中に。
       特に不思議とも思わず、戸のうちに手を入れたら、中の障子は果たして閉まっている。
       ここで始めて恐ろしくなり、少し後ずさって上を見たらば、
       >男玄関の雲壁にひたと附きてわれを見下すごとく、
       >その首は低く垂れてわが頭に触るるばかりにて、
       >その眼の玉は尺余も、抜け出でてあるように思われたりと云々。
       79のお話です。
水野葉舟に萌える。
25あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/14 21:03
背筋が寒くなる話募集中

http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/occult/1035538023/
23の話、そのまま映像化できそうな感じ。
その後男はどうなったか、妻は何も知らずに寝ていたのか、気になる。
山人の話が好きだな。>遠野物語
微妙に訳の分からないところがリアルな感じ。(w
占いオババが娘の婿を気に入らなくて罠にかけて殺そうとする話が
よくまとまっててスキ。・・・ってこれ遠野物語であってるよね?
29あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 03:02
>>28
そんなのあったっけ?
婿が馬だったら、オシラサマみたいだけど。
30お軽と勘平(こぴぺ):03/02/15 09:27
柳田國男『遠野物語』六三。
小国の三浦某と云ふは村一の金持なり。今より二三代前の主人、まだ家は貧しくして、妻は少しく
魯鈍なりき。この妻ある日門の前を流るゝ小さき川に沿ひて蕗を採りに入りしに、よき物少なけれ

ば次第に谷奥深く登りたり。さてふと見れば立派なる黒き門の家あり。訝しけれど門の中に入りて
見るに、大なる庭にて紅白の花一面に咲き鶏多く遊べり。其庭を裏の方へ廻れば、牛小屋ありて
牛多く居り、馬舎ありて馬多く居れども、一向に人は居らず。終いに玄関より上りたるに、その次の
間には朱と黒との膳椀をあまた取出したり。奥の座敷には火鉢ありて鉄瓶の湯のたぎれるを見たり。
されども終いに人影は無ければ、もしは山男の家では無いかと急に恐ろしくなり、駆け出して家に帰
りたり。此事を人に語れども実と思ふ者も無かりしが、又或日我家のカドに出でゝ物を洗ひてありし
に、川上より赤き椀一つ流れて来たり。あまりに美しければ拾ひ上げたれど、之を食器に用いたら
ば汚しと人に叱られんかと思ひ、ケセネギツ(ケセネ=米稗その他の穀物 キツ=穀物を入れる箱)
の中に置きてケセネを量る器と為したり。然るに此器にて量り始めてより、いつ迄経ちてもケセネ尽
きず。家の者も之を怪しみて女に問ひたるとき、始めて川より拾ひ上げし由をば語りぬ。此家はこれ
より幸運に向ひ、終に今の三浦家と成れり。遠野にては山中の不思議なる家をマヨヒガと云ふ。
マヨヒガに行き当りたる者は、必ず其家の内の什器家畜何にてもあれ持ち出でゝ来べきものなり。
其人に授けんが為にかゝる家をば見する也。女が無慾にて何物をも盗み来ざりしが故に、この椀自
ら流れて来たりしなるべしと云へり。
柳田國男『遠野物語』六四。
金沢村は白望の麓、上閉伊郡の内にても殊に山奥にて、人の往来する者少なし。六七年前此村より
栃内村の山崎なる某かゝが家に娘の聟を取りたり。此聟実家に行かんとして山路に迷ひ、又この
マヨイガに行き当りぬ。家の有様、牛馬鶏の多きこと、花の紅白に咲きたりしことなど、すべて前の話
の通りなり。同じく玄関に入りしに、膳椀を取出したる室あり。座敷きに鉄瓶の湯たぎりて、今まさに茶
を煮んとする所のやうに見え、どこか便所などのあたりに人が立ちて在るやうにも思はれたり。
茫然として後には段々恐ろしくなり、引返して終いに小国の村里に出でたり。小国にては此話を聞き
て実とする者も無かりしが、山崎の方にてはそはマヨヒガなるべし、行きて膳椀の類を持ち来り長者
にならんとて、聟殿を先に立てゝ人あまた之を求めに山の奥に入り、ここに門ありきと云ふ処に来た
れども、眼にかゝるものも無く空しく帰り来りぬ。その聟も終いに金持になりたりと云ふことを聞かず。
63の解説
三浦某の妻が山で迷い、一件の立派な家の前に辿りついた。その家は美しく豊かであったが、
生活の臭いがあるにも拘らず何故か人の気配が無い。女は恐ろしくなって逃げ出し、なんとか無事
に戻って家人にそのことを話すのだが、愚鈍な妻の言う事だから、誰も信じようとしなかった。後日、
女は川で美しい椀を拾っい、それを穀類を量る器に使ったところ、不思議な事に穀類が底をつかな
くなった。それ以降、三浦家は大金持ちになった。女が拾った不思議な椀は、かつて迷い込んだ家、
すなわちマヨイガから流れてきたものであろう。マヨイガに辿りついた者はその家の器物を持ち出し
てもよいとされるが、女が無欲で何も持ち帰らなかったので、自ら女のもとに流れてきたのだろう。

64の解説
三浦某の「少しく魯鈍な」妻は、嫁ぎ先で歓迎されてはいなかっただろう。貧しい家の中で幸福薄
い存在だったと容易に想像される。その妻が椀を手に入れることで家に富をもたらした。家の者は
、ここでようやく妻を愛し、歓迎したのではないか。
 富=幸福では短絡的だが、多く民話の行き着く処でもある。これは貧しい寒村に生まれ育った人間
が富に固執しているわけではなく、富とは願望の象徴ということだろう。
 この場合の『マヨイガ』も同じく象徴ではないのか。『マヨイガ』に招かれ山神に祝福された三浦某の
妻は、こうして家人に愛されるという幸福を手にすることができた。

マヨイガ。山の怪。迷い家、とも。
 遠野地方で山の中に忽然とあらわれる不思議な家。人が山路に迷うと、花咲き乱れる豪華な屋敷
に出会す事がある。それがマヨイガで、この家に行き当たった者は、家の中にある器物など何かしら
持ち出せば、幸福になれる。マヨイガは、その者に幸福を授ける為にその姿を見せるのだ。




 
明治43年に出版されたこの遠野物語の序文には、『この話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり』とある。
柳田國男が民俗学に興味を持つ契機となったこの佐々木鏡石こと佐々木喜善は岩手県遠野の出身で、早稲田大学
在学中に柳田國男と出会っている。『遠野物語』は百十九の逸話から構成され、日本民俗学において非常に大きな
影響を与えた作品である。

『花巻から十数里の道なかばに町場が三個所あるほかは、山と原野がつらなっている。人の住まう事の少ない事は
北海道石狩平野よりもすさまじい』という『遠野』の地名は、アイヌ語の『トオヌップ』であるとする説がある。トオは湖、
ヌップは丘の意。言い伝えによると、遠野はまわりを山に囲まれた平地であるが、昔は湖の底だったという話だ。

 柳田は、マヨイガの伝承が隠れ里から膳椀を借りる「椀貸し伝説」と同じ系統の話であり、著しく古意を存じて居るも
ので、隠れ里の思想に附加するに更に増殖又は無尽蔵の思想を表現する長者伝説の分子を以てして居る、と『伝説
の系統及び分類』に述べている。

 椀貸し伝説と同系とするのは、湖沼の龍神にお椀を借りるという民話からか。或いは、『マヨイガ』が、山人の隠れ里
であるからか。山人は日本の先住民とされる美しい民族であるが、天皇を日本最初の住民とする皇国史観にいわせ
れば都合が悪い存在だ。柳田は山人を民俗学での研究の対象としていたが、民俗学を国家に認めさせるため、民俗
学を立派な学問とするため、後年になって軍と結託して山人の抹殺に力を貸したという。

『マヨイガ』は、死後の世界あるいは常世の国として、また、時間や自然界の概念が微妙な異空間として形容される。
イーハトーヴは遠野物語におけるマヨイガであるといえるし、沖縄のニライカナイ、中国の桃仙郷、チベットのシャンバラ、
ヨーロッパの理想郷(ユートピア)、メキシコのエルドラド、なども、我々が探し続ける『マヨイガ』といえるだろう。
34あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 09:44
冬の遠野は寒いんだよね。でも囲炉裏で聞く婆さんの話は本当にいいよ。

どんとはれ。
35あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 09:47
火葬戦記の『紺碧の艦隊』で大高首相が遠野に泊まった時、サムトノ婆を目撃する
シーンがベタで笑えた。
36お軽と勘平:03/02/15 10:00
寒戸の婆を現代後文に約す。

黄昏(たそがれ)に女や子供が家の外に出ていると、よく神隠(かみかくし)にあうことはどこも同じ。
松崎村の寒戸(サムト)というところの民家で、若い娘が梨の樹の下に草履(ぞうり)を脱ぎ置いた
まま行方(ゆくえ)知れずになりました。
松崎村は○周辺、サムトの婆が二度と戻って来ないように、道に結界を立てたのが□の青笹。
三十年あまり過ぎたある日、親類の人々がその家に集まっているところへ、極めて老いさらば
えたその女が帰ってきました。どうして帰つて来たかと聞けば、皆に会いたくて帰ってきたといい
ました。そしてまた行かなければといい、再びどこへともなく消えてしまいました。その日は風の
烈(はげ)しく吹く日でした。

遠野にはさむとの地名はないので伝承が誤った可能性があります。
37お軽と勘平:03/02/15 10:04
>>最後の文章が抜けました。

それで遠野の人々は、今でも風の騒がしい日には、今日はサムトの婆が帰つて来そうな日だといいます
38春子:03/02/15 10:22
>29
婿さんのことが嫌いなので、オババは暗殺を計画。ちょうどそのころ村
では川の氾濫に悩まされていました。そこでオババは占いで「何時ごろ
どこそこを馬に乗って通る男を人柱にせよ」と村人たちに言いました。
そしてオババは婿さんに用事をいいつけてその時間に馬を走らせました。
婿さんはあえなく待ち構えていた村人に捕えられあわれ人柱に。
これでオババはメデタシメデタシ・・・ところが夫思いの娘は「私も一
緒に人柱になります」と志願し、夫婦人柱になって仲良く天に召されて
しまいました。がーん。・・・というお話。
39あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 13:19
  神の始(はじめ)
 
遠野の町は南北の川の落合に在り。以前は七七十里とて、七つの渓谷七十里の奥より売買
の貨物を聚め、其市の日は馬千匹、人千人の賑はしさなりき。四方の山々の中に最も秀で
たるを早地峰と云ふ、北の方附馬牛(つきもうし)の奥に在り。東の方には六角牛山(ろっこうしさん)
立てり。石神と云ふ山は附馬牛と達曾部(たっそべ)との間に在りて、その高さ前の二つよりも劣れり。
大昔に女神あり、三人の娘を伴ひて此高原に来り、今の来内村(らいない)の伊豆権現の社ある処に宿
りし夜、今夜よき夢を見たらん娘によき山を与ふべしと母の神の語りて寝たりしに、夜深く天より霊華
降りて姉の姫の胸の上に止りしを、末の姫眼覚めて窃に之を取り、我胸の上に載せたりしかば、終に最
も美しき早地峰(はやちね)の山を得、姉たちは六角牛と石神とを得たり。若き三人の女神各三の山に住
し今も之を領したまふ故に、遠野の女どもは其妬(そのねたみ)を畏れて今も此山には遊ばずと云へり。
40あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 13:25
えんや物語ってカッコいいね。
河童の話も聞きたいな。
41あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 13:26
>>40
馬鹿?
42あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 13:29
エンヤage
43あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 14:29
エンヤの歌はいいねぇ。
好きだよ。
44あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 14:41
エンヤコーラ
45あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 14:45
ヨイトマケ
46お軽と勘平:03/02/15 17:19
んじゃまそろそろ日本古来の怪談ばなしにでもねた振ろうかしらん。


なわけで、四谷怪談を熱く語ってくだされませ。
47あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 17:24
>>46
やだぷ
48お軽と勘平:03/02/15 17:27
>>47
じゃボタン動労はどうよ。
49お軽と勘平:03/02/15 18:04
じゃあとりあえず牡丹燈篭からです。これは元は中国の古典

カランコロンと駒下駄の音をさせてやってくる美しい幽霊・お露さんの物語「牡丹燈籠」は元は中国の古典です。

これは元々、明代の怪談を集めた「剪燈新話」の中の1編「牡丹燈記」で、16世紀初めに日本に伝来しました。

それを読んだ、近江六角氏の家臣・中村豊前守の子息中村某が、その中から3編を選んで訳して「奇異雑談集」
を作りました。これが日本でのこの物語の初出で、「女人死後男を棺の内へ引込み殺す事」という題名でした。
現在のものとは登場人物や設定も微妙に違っています。
50お軽と勘平:03/02/15 18:26
中国版『牡丹燈記』

正月十五日・上元の日。家々が門に灯籠を掛けるので、男女がその明かりを頼りに遅くまで出歩く習慣があった。
その日妻に先立たれて一人で暮らしていた喬生という男が下女に牡丹燈を持たせた17〜18歳の娘・麗卿と出会う。

二人は恋仲になり、喬生の家で何度も逢瀬を重ねるが、ある日隣家の翁がのぞいてみると、喬生がきれいな服を着
た髑髏と対座していた。驚いた翁は翌日そのことを喬生に告げる。そんな馬鹿なと答えた喬生ではあったが、念の
ため、麗卿が住んでいるという湖西を訪ねると、なかなかそれらしき家が見つからず、ふと入った湖心寺の西廊の
突き当たりに棺があるのを見つける。そこには「奉化符州判の女麗卿の柩」と書かれていた。

自分が会っていたのが亡霊であったことを知った喬生は護符をもらって門と部屋にかけておいた。すると女の来訪
はなくなった。が、1月ほどして油断して酒を飲み酔って湖心寺の門前を通り過ぎようとした時、そこに突然下女が
現れて彼を中に導き、麗卿の柩の中に入れてしまった。

その後、雲陰の昼や月黒の宵に牡丹灯籠を持つ下女に導かれた麗卿と喬生の姿を見たものがあったが、みな病に
倒れたという。
51魔界一号 ◆jCEeHoY352 :03/02/15 18:48
>>45
ゲンさん、ハケーン
52あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/15 18:50
>>51
0120-333-906〜
53黒衣の男 ◆sYja25eo/U :03/02/16 03:25
>>32
この逸話の発生時期は定かではないけれど、
多くの村落共同体ならば邪な「憑き物」を持ち出されがちな“富の偏り”を、
山神による祝福と社会が解釈していくさまが特徴的だよね。

閉鎖的にならざるを得ない村社会では、
富の総和は常に一定で、偏りが生じた場合、
誰かが損をする=誰かが(不当に)得をする、と見なされるため、
その(不当をもたらした)原因は邪悪なまじないであるとなるものなんだ。

これはひとえに、遠野が産金地帯であり、
それらの採掘・精錬技術が“外”からもたらされたことに起因しているのだけれど、
実際、白見(白望山)周辺では、金や鉄の採掘・精錬が行なわれていたことと、
まさに表裏一体の事情なんだ。

逆に家運の傾きや消失については、
おなじみの座敷童子の引越しが持ち出されていたりしていたよね。
『物語』の18;
「(前略)お前たちはどこから来たと問へば、おら山口の孫左衛門が処から来たと答ふ。
 (中略)さては孫左衛門が世も末だなと思ひしが、それより久しからずして・・・」

この座敷童子、少女あるいは少年としてのモチーフが主流なんだけれど、
真言密教や修験の「護法童子」あたりがルーツではないかと僕は読んでいる、
などなどと言いたい放題・・・。
>真言密教や修験の「護法童子」あたりがルーツではないかと僕は読んでいる、
これはないな。家の精霊が少女少年なのは世界共通だからね。
55お軽と勘平:03/02/16 08:43
三遊亭円朝版・牡丹燈籠
多くの怪談噺で知られる三遊亭円朝は1863年頃、これらの話をベースに「怪談牡丹燈籠」
を制作しました。13編21回に及ぶ長編になっており、敵討ちや別口の女の幽霊も登場します。
以下、その中の元からの牡丹燈籠の部分だけを簡単に述べます。
円朝版『怪談牡丹燈籠』
娘の名前はお露、男の名前は萩原新三郎に変更されています。そしてこの円朝版では、二人は
女が生きている内に出会う設定になっています。
本所柳島の別荘に出養生している旗本の娘・お露のところへ出入りの医者山本志丈が浪人萩原
新三郎を連れてくる。お露は新三郎に一目惚れし、帰り際には手をにぎりあったりした。
しかしこの恋のことで新三郎がくよくよしている間にお露は恋患いで亡くなり、女中のおよね
も引き続いて死んでしまった。志丈からそのことを聞かされた新三郎は済まないことをしたと
嘆き、お露の俗名を書いて仏檀に供え、毎日念仏をあげていた。


やがて、盆の十三日。カラン・コロンと駒下駄の音がする。見ると牡丹燈籠を下げたおよねと
振り袖を着たお露であった。
「おや、およねさん、どうして」
「あら新さん、あなたはお亡くなりになったと聞いたのに」
「そんな、そちらこそお亡くなりになったと聞いたのに」
「いやですよ。そんな縁起の悪いことを」
56お軽と勘平:03/02/16 08:44
こうして、お露とおよねは新三郎のもとを訪れ、逢瀬を重ねるようになった。来訪は7日の及ぶ。
ある夜、たまたま隣に住む伴蔵がのぞくと、なんと新三郎が振り袖を着た骸骨と抱き合っていた。
驚いた伴蔵は翌日そのことを新三郎に告げ、人相見の白翁堂に連れていく。新三郎は白翁堂の
勧めでお露とおよねの墓のある新幡随院の和尚に相談。和尚からお守りの海音如来を貸してもらい、
もらったお札を部屋に貼って女の霊の来訪を防いだ。
その夜またカランコロンと駒下駄の音がして、およねを伴ったお露がやってきた。しかし札とお守
りのため、中に入ることができない。お露は悲しんで、なぜこんなことするんです?と言って嘆く。
しかし新三郎はそれに耐えて震えていた。
愛しい新三郎に会いたいのに会えない。困ったお露は隣の伴蔵を買収することにする。お露は彼に
百両やってお札をはがさせ、海音如来を盗みだしてくれるよう頼むのである。
相手が幽霊とはいえ、百両ももらうと欲に目がくらんでしまう。伴蔵は女房のおみねにもそそのか
されて、お露の希望通り、お札をはがして海音如来を盗み出した。そのため、新三郎はお露の幽霊
に取り殺されてしまう。
ここから円朝の噺は、伴蔵とおみねの夫婦に話題が移っていく。幽霊からもらった百両で二人は店
を始めるが、やがて伴蔵は浮気を責めるおみねを殺してしまう。すると店の奉公人におみねの霊が
のりうつり、伴蔵の悪事をばらしてしまうのである。
57黒衣の男 ◆sYja25eo/U :03/02/16 18:57
>>54
いや、現在広く敷衍している座敷童子のスタイルの根源は、
護法童子の性格と役割が反映されたものであろう、ということだね。
童子という言葉が示すのはなにも子どものことだけには限定しない
(たとえば酒呑童子、茨木童子などはなぜ童子なのだろう)。
中世あたりまでは「メインではなくサブ的存在」として曖昧に使われていたものが、
近世になって、いまの辞書的な意味に分化してきたものだったのではないだろうか。

真言密教や修験での護法童子の存在に非常に似ているのが、
それらより前に成立し権威を誇った陰陽道の式王子や式神なんだけれど、
こと遠野で言えば、現地に残っていた民間宗教の源流は、
護法童子を「物怪調伏」に持ち出した真言・修験であろう、というわけなんだ。
もっとも源流のひとつというわけで、ほかにもルーツはあるのだろうとは思う。

すべての家に“居る・居た”のではないうえに、
村一番にふさわしい富裕の家の富そのものをあらわし、
かつその富の根拠でもあったからなんだけれどね。

オシラサマ、オクナイサマだけでなく、
遠野の家々でも竃神や便所神、厩神など日本各地に見られる家の守り神はいた。
だから僕は座敷童子は単なる「守り神」などではなく、
小松和彦の言う(一部の)家に憑くものとの解釈をとる。

残念ながら、世界共通の家の“精霊”たる少年少女とは、
はたしてなにを指しているのか僕にはわからないけれどね。
>>57
>護法童子の性格と役割が反映されたものであろう、ということだね。

具体的にはどんなところ?
・・・小松和彦が「護法童子と関係ある」って言ってるから彼の著作を読めばいいか。
60あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/19 03:02
隣の家に、よく物を心得た翁が住んでいたが、

「荻原の家に、不思議なことに若い女の声がして、夜毎に
 歌を歌って、笑いあっているが、奇妙なことだ。」

と思って、壁の隙間から覗いて見れば、一体の白骨と荻原
が、明かりの下に向かい合って座っていた。荻原が何か言
えば、その白骨は手足を動かし、髑髏を頷いて、かつて口
があったと思われる所から声が出て、話をしている。
翁は大変驚いて、夜が明けるのを待ちかねて、荻原を呼び
寄せ、

「この頃、夜毎にお客様が見えていると聞くが、どこのどな
たかな?」
座敷童=共同体の間引きルールを破った無戸籍児

座敷童が去ったからその家が没落したのではなく、
その家が没落したから無戸籍児を養えなくなった――

てな説をどこかで読んだことがある。
これが本当なら、一人っ子政策のかの国は座敷童だらけだな。
62あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/19 10:30
>>60
足のある幽霊は「お露さん」だけですかね。
63あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/19 10:51
岡本綺堂の短編集いいよ♪
中国の話らしいけど、なんかあっけらかんとしてる。
ごめん・・・・・・・・・朝霧の巫(殴殺
65お軽と勘平:03/02/19 12:44
女もその蛍のゆくえをじっと眺めているらしかった。
   『なんだか人魂のようですね。』と、女は言った。

岡本綺堂「水鬼」から。大正時代の作品。いいっすね。
66あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/19 20:06
上田秋成といえば『雨月物語』これも中国古典を元に出筆されている。
なかでも「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」そして怖さで言えば「吉備津の釜」
で耳なし芳一の耳を失うどころか・・・で、是非お読みいただきたい。
67あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/19 21:18
『菊花の契り』も中国の引用っぽいよな。
題名だけ見ると、全く違う話を想像できるけど。(w
数秒かかった後にワラタ
69あぼーん:あぼーん
あぼーん
70あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/20 14:05
蛍を人魂に見立てるのは古来からありますね。
和泉式部も貴船詣での際「もの思えばさわの蛍も我が身よりあくがれ出づる
魂かとぞ見ゆ」と詠んでいます。
「あくがる」は憧れるの語源だとも言われていますが。
71:03/02/20 22:27
意味なし芳一のはなし。
72あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/20 22:34
どうも階段と言うと東北地方と言うイメージがある。
で、西のほうが憑き物系のイメージがある。

何故だろう?漏れだけか?
73あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/20 22:47
>72
たぶん
>>36
自分が読んだ文庫本には「松崎村は○周辺、サムトの婆が二度と戻って来ないように、道に結界を立てたのが□の青笹。」
というくだりが無い。なんで?村八分にしたところを改定版?で削除?

自分の読んだのは↓
「黄昏に女や子供の家の外に出ているものはよく神隠しにあふことは他の国々と同じ。
松崎村の寒戸と云ふ所の民家にて、若き娘梨の木の下に草履を脱ぎ置きたまゝ行方を知らずなり、三十年あまり過ぎたりしに、或日親類知音の人々集まりてありし処へ、極めて老いさらぼひて其女帰り来れり。如何にして帰って来たかと問へば人々に逢ひたかりし故帰りしなり。
さらば又行かんとて、再び跡を留めず行き失せたり。其日は風の烈しく吹く日なりき。
されば遠野郷の人は、今でも風の騒がしき日には、けふはサムトの婆が帰って来さうな日なりと云ふ。」
75あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/22 18:56
age
国書刊行会の「江戸怪異綺想文芸大系」買ってる人います?
77あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/24 03:24
あげ
78あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/26 23:01
 
79あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/02/26 23:47
80お軽と勘平:03/02/28 23:17
三遊亭円朝を忘れてはいけません。

晩年は車坂町に住む 「怪談牡丹燈籠」谷中三崎町
「菊模様皿山奇談」根岸
「真景累ケ淵」池之端七軒町 1839.4.1〜1900.8.11。江戸から明治への転換期にあって、伝統的
な話芸に新たな可能性を開いた落語家。本名は出淵次郎吉(いずぶちじろきち)。二代三遊亭圓
生門下の音曲師、橘屋圓太郎(出淵長藏)の子として江戸湯島に生まれ、7歳の時、子圓太を名乗
って見よう見まねの芸で高座にあがる。後にあらためて、父の師の圓生に入門。母と義兄の反対
にあっていったんは落語を離れ、商家に奉公し、転じて歌川国芳のもとで画家の修行を積むなど
したが、後に芸界に復帰。17歳で芸名を圓朝に改め、真打ちとなる。まずは派手な衣装や道具を
使い、歌舞伎の雰囲気を盛り込んだ芝居噺で人気を博すが、援助出演を乞うた師匠に準備してい
た演目を先にかける仕打ちを受けたのを機に、「人のする話は決してなすまじ」と心に決める。
以降、自作自演の怪談噺や、取材にもとづいた実録人情噺で独自の境地を開き、海外文学作品の
翻案にも取り組んだ。生まれて間もない日本語速記術によって、圓朝の噺は速記本に仕立てられ
、新聞に連載されるなどして人気を博す。これが二葉亭四迷らに影響を与え、文芸における言文
一致の台頭を促した。大看板となった圓朝は、朝野の名士の知遇を得、禅を通じて山岡鉄舟に師
事した明治33年8月11日、没。62才
81あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/01 13:03
今。落語は落ち目だし円朝を知る人は2ch住人にはほぼいないだろうな。
82お軽と勘平:03/03/01 13:30
怪談「怪談牡丹燈籠」「菊模様皿山奇談」「真景累ケ淵」

遠野物語 「サムトの婆」「マヨイガ」「座敷童子」「神の始」

上田秋成 「雨月物語」「浅茅が宿」「夢応の鯉魚」「吉備津の釜」
     「菊花の契り」

小泉八雲 「耳なし芳一」

岡本綺堂 「水鬼」
83あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/01 20:46
「怪談・累ヶ渕」が初めて生まれたのは、享保十六年(1731)に江戸市村座というところで上演された
歌舞伎舞台「衣川かさね物語」が最初と言われています。
そこで人気を得て、以降現在に至るまで浄瑠璃、絵双紙、落語、映画の題材として使われています。
それほどなわけですから、「四谷怪談」「牡丹灯篭」「番町皿屋敷」などと同じくらいメジャーな
怪談なのですが、実はあまり知られていません。
おそらく皆さんも知らなかった、あるいは名前くらいしか知らないといった程度でしょう。
では、怪談「累ヶ渕」とはどういった怪談なのでしょうか?
『死霊解脱物語聞書』(しりょうげだつものがたりききがき)という凄いタイトルの本がある。
これは江戸時代に浄土宗の僧、残寿という人が書上げた江戸時代のベストセラーで、江戸時代の
近郊農村でおきた心霊事件をまとめた、「累ヶ渕」が登場するので、この内容を元に説明しよう。

羽生村(現在の茨城県水海道市羽生町)に累(かさね)という女がいた。
彼女は死んだ両親から譲り受けたわずかな田畑で生計を立てており、長い間ずっと独り身だった。
心根が悪く、そのうえ類ないほどに醜い女だったので、いい縁談がなかったのだ。
その醜さを『死霊解脱物語聞書』ではこう記している。「いろ黒く片目くされ、鼻はひしげ、口
のはば大きに、すべての顔の内にはもがざ(疱瘡)のあと、所せきまでひきつり、手もかがまり、
足も片みじかにして、世にたぐいなく恐ろしき」という姿だったのだ。
8483.84kopipe:03/03/01 20:48
牡丹燈籠のお露(浅茅・麗卿,以下同)さんは駒下駄をカランコロンと言わせて
やってくる幽霊です。つまり、お露さんにはしっかり足がある訳で、近年の
日本の大衆文学の中の幽霊として異例の存在です。
この足のない幽霊というのは、一般には円山応挙の幽霊画から始まったとも言
われています。応挙の幽霊画は実際見ると足がない、というより描かれていな
いあるいは見えないという雰囲気です。そこでは足だけでなく下半身があいまい
になっています。人のいろいろな思いが幽霊を生み出しているのであれば、その
思いが上半身に集中するが故に、下半身は比較的イメージが弱くなっているのか
も知れません。
また、祟るとされている四谷怪談・累ヶ淵の幽霊が、しばしば(多分本人たち
の意志に反して)凄惨な姿でイメージされているのに対して、お露は美しい幽霊で、
新三郎は彼女と熱く愛し合います。この辺りが中国伝来の物語とはいえ、また異色
の存在となっています。
心理学的に言えば、基本的に夢などで気味の悪い姿などに見えるものは、心がそれ
を拒否しているためです。
心がそれを許容し始めると相手の姿はだんだん親しみやすいものになってきます。
お岩さんや助さん・累さんが凄惨な姿で見えるのは、それはそれを殺した本人にと
って、なのかも知れません。実際にはお岩さんにしろ、助さん・累さんにしろ、
そんなひどい顔はしていなかったようにも思います。それをひどい顔の女として描
かれるとしたら、これも本人たちにとって不本意極まりないことでしょう。
85あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/01 20:53
東海道四谷怪談 妻を裏切った夫への怨念
怪談 累ヶ渕    親が子を殺める事の報い
鍋島 猫騒動    猫が主の恨みを晴らす
86あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/01 20:56
寄暢園 中国古典小説の花園。めるまが『中国の不思議な役人』は耳袋ファン必読。
座敷浪人の壺蔵 『古典文学から拾った「奇談」「怪談」「変な話」のアヤシイ現代語訳』。

掌上之愉楽 古典からよりすぐった耳よりな話の数々。内容の充実度+精選リンクに感涙。
丑満の刻 怪談の朗読が聞ける……! 
87うちの近く:03/03/01 21:11
紀尾井町と「むじな」
ミレニアムガーデン向かいの弘済会館を下ったところに紀尾井坂、清水谷坂がある。
江戸時代に紀州徳川藩、井伊彦根藩、尾張徳川藩の屋敷があった場所で、明治にな
ってこの三藩の名前を取ってこの町を「紀尾井町」としたというのはよく知られて
いる。(現在の赤坂プリンスホテルが元紀州藩邸・ニューオータニが元彦根藩邸・
上智大学が元尾張藩邸であった。)
赤坂プリンスホテルとニューオータニの間の坂が清水谷坂で明治11年に大久保利通
がここで暗殺されるのである。霞ヶ関にあった自宅から当時の赤坂御所に出仕する
途中の惨劇であった。この谷の上にある紀尾井ビルとこの谷の間にあるに清水谷公園
に大久保利通の殉難をいたむ碑が建てられている。
清水谷坂は突き当りを右折して紀尾井ビル方面に進むが、逆に左折してニューオータニ
方面に進むと紀尾井坂である。
このあたりが小泉八雲(ラフカジオファン―)の「怪談」の中に紹介されている「むじな」の舞台。
その中に「赤坂に紀の国坂という坂があり、・・暗い坂で娘がシュクシュク泣いているの
声をかけると振り向いた顔がのっぺらぼうであった。男が驚いて暗い坂を駆け上がると、
そこに蕎麦屋がいて話し掛けると「こんな顔かい」と振り向いた顔がまたのっぺらぼう、
驚いて坂を駆け下りて逃げていった。」とある有名な話であるが、驚いた男が清水谷の方
へ逃げていく様子が描かれている。
ニューオータニの玄関前前のカギのように曲がった坂を食違見附(クイチガイミツケ)いった。
その坂を降りていくと、お堀を渡り赤坂迎賓館の脇の高速道路と平行に走る坂道に合流する。
ここが「むじな」に出てくる紀の国坂であり、ここで泣いていた町娘に声をかけ、振り向い
たノッペラ坊に驚いた男が駆け上がったところが食違見付けである。
そこにいた蕎麦屋に声をかけ振り向いた顔がまたノッペラで驚き、紀尾井坂から清水谷坂に
逃げていくのである。
デンデラノ(蓮台野)とは昔の姥捨野である。「昔は六十を越えたる老人はすべてこの蓮台野へ
追いやられるの習いありき。老人は日中は里へ下り農作して口を糊したり。近傍にあるダンノハナ
は昔館のありし時代に囚人を斬りし場所なるべしといふ。」(遠野物語111話)。
今でも尚不思議な雰囲気の漂う地である。
近くに水車小屋や遠野の物語を柳田国男に語って聞かせた佐々木喜善の生家がある。
>>87
耳なし芳一が日本人にとって怖く思うのはやはり壇ノ浦という悲劇を
聞いているからだろうと思う。
悲劇は恐怖との裏腹でもあるんじゃないか?
赤間ヶ関阿弥陀寺(今の赤間神宮)に芳一といふ名の盲人が住んでゐました。
琵琶法師としてあまりにも有名であったので、妙技入神の言葉のやうに、平家の亡霊も是非
これを聞きたいと、或夜ひそかに現われて来ました。阿弥陀寺に住んで居る琵琶法師の芳一
は、呼ばれるまゝに、誘われるがまゝに引かれてゆけば、七まがり八まがりの廊下を辿り大
広間に通されました。居ならぶ武士等は威儀を正して待って居り、正面の御廉の中からは
「御苦労であった、壇之浦の合戦を弾奏せよ」との事で、弾奏すれば厳然としてゐた武士た
ちは涙を流し婦人等は嗚咽の声を出して泣いてゐる。芳一は自分の琵琶に半ば陶酔しつゝ其
の曲を終った。「実に今日は満足した、又明日も明後日も、七日七夜は必ず頼むぞ。」と頼
まれて別れをつげて、寺に帰りました。かくて毎夜外出することが続きましたので寺の僧侶
も、ふと気のつく所と成り「是れは不思議だ、盲目の芳一が毎夜琵琶を抱えては出てゆく果
してどこへゆくのであろう……と張り込みして時の来るのを待って襖の蔭からぢっと息を呑
んで見て居りますと、だれも居らないのに一、二言ものを云ったかと思うと、ふと出てゆき
ました。僧侶は直ちにあとをつけたが、ヨウとして姿が見えません。止むなく寺に引返して
参りますと、山の森の中で琵琶の音がけたゝましく聞えるではありませんか!アレあんな所
に芳一が、!と大急ぎに草を分けて馳せ寄りますと、又驚きました。目の前は真暗やみの中
にお墓の前に単座して、一生懸命に弾いている芳一は、此の世の人とも思えぬ形相で、あた
り一面は鬼火がゆれ、其の凄惨なること二た目と見られません。僧侶乍らも身の毛のよだつ
おもいが致しました。之を呼び起し芳一をかゝえて阿弥陀寺の和尚の前に事の一部始終をか
よう〜と申し伝えますと和尚は大層驚いて、「これは平家の亡霊が恨みを以って一人でも彼
の世につれ去ろうとするのだ、今宵は声を出すな、動くな、返事をするな」と固く申し渡し
、身体中に般若心経を書きつゞりました、「さ、是れでお前は安全だ」と申し置いて法事に
出られて行ってしまいました。その夜のこと、いつものように単座していると、又昨夜のよ
うにやって来た気配がする、生ぬるい風と共に足音がピタリと自分の前で止った、「ハテ」
とおもう裡に「芳一」と呼びかけられハッと声をあやうく出そうとして和尚の云う事を思い
出し口をつむんでいるうちに、又も「芳一」と半ば大声に呼びかけられました。然し今度は
、返事も声も聞えませんでした。「今宵は声も、返事も無い、姿すら見えぬ、ハテ如何した
事であろう」とフト見ますと耳だけが闇夜にはっきりと見えました、「せめてもの是れだけ
なりと持って帰ろう」とつぶやき乍ら、鉄の氷のような、つめたい手先で耳を持ったかと思
うと、フイともぎ取っていずれともなく立ち去りました。和尚は今日こそは芳一も無事であ
ったろうと寺に帰って、ふと襖を開けて、驚いた、アッ!と云うたまゝしばらく范然として
いましたが、耳の無いのを見て、「鳴呼全身に経文を書いたが、耳に経文が無かったからだ
」とつぶやき乍ら、命びろいをした喜びに、全山の衆僧総員して、よく亡霊を弔ったという
事でございます。爾来是れを「耳なし芳一」と呼ぶように成りました。

壇の浦合戦に亡びし平家一門の武将を祀るもので七盛塚とも呼ばれ耳なし芳一の伝説地とし
ても殊に有名である。
9289:03/03/02 00:45
90-91はこぴぺだよ。
93あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 01:35
上田秋成「雨月物語」
白峯」−映像的にも凄いものだが、祟徳院の心情吐露を中心とする物語の流れには、
一点の無駄もない。「菊花の約」−命を捨ててまで、守らなければならぬ約束だろうか..
「夢応の鯉魚」−琵琶湖を泳ぎ回る情景は、実に音楽的である。「吉備津の釜」−この恐怖
は、例えばヨーハン・シュピースの「実伝・ヨーハン・ファウスト博士」の対極にあ
94あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 02:06
昔々は「左翼思想の伝道者」、一昔前は「ばななの親父」、最近じゃあ「只のボケ老人」と
まるで坂道を転げ落ちていくような人生の吉本隆明の代表作に「共同幻想論」ってのがあるんだけど
あれって純粋に「遠野物語」の考察&解説として読むと、カナーリ面白いよ。

「すべての国家は、幻想だ」とか言うからおかしな方向に行くんだけどね。
95あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 02:11
良かったら、「共同幻想論」についてもう少し語って
96あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 02:36
>>95
うーん、サヨの手先だと思われても癪なので、思想抜きでね。

例えば「マヨイガ」の話などは、最初に道に迷った奴が見た幻想を聞かされたとして
自分も同じように自分も深夜の山奥で道に迷う事の不安や恐怖を思い起こした場合に
「あるある、そんな感じ!分かる分かるよ!」ってな調子でひとつのストーリーが
いつしか出来上がり、ウン十年経つ頃には
「あの山には不思議な言い伝えがある」ってな前提を持った者ばかりになってしまい
ちょっとでも不思議な(もしくは理解しにくい)現象が起こると
「ああ、あれが伝説のマヨイガかぁ!」となって行く様を社会心理学的に考察したものです。

こう書くと実も蓋も無いみたいだが、そこかしこに遠野独特の風土や
歴史を土壌とした肯定的な視点が、個人的には吉です。

97あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 02:37
遠野物語は、柳田國男によってだいぶ脚色されちゃってますよね。
佐々木喜善のオリジナルの話の方がずっと怖いと思いました。
佐々木喜善の「遠野のザシキワラシとオシラサマ」からひとつ。

栗橋村字砂子畑に、清水の六兵衛というかなり裕福な家がある。
明治30年頃の、旧暦3月16日の夜、大洞犬松という男が、所要があって
この村へ行き、この家に泊まったことがある。その夜は他にも2〜3の泊客
があって、何れも常居方に寝、家人に強いられるままに、ひとり犬松ばかりが
表座敷と奥の座敷との間の処に寝させられた。表座敷には薄暗いランプが
ついていたということである。やがて夜半とも思われる刻限に、奥座敷の床の間
の方で、何者かの足音がすると思って、犬松がひょっと顔を上げてみると、
一人の坊主頭の、小さな老婆が這い出して、自分の寝ている方へやって来る。
はッと思うと、その老婆は低い声でけたけたと笑って、隅の小暗い方へ引き返して
して行く。そうして這い出して来ては、笑声を立てて又引込みそんなことを
2、3度繰返してやるので、堪りかねて夜明け頃に、常居の方へ逃げ出して
来た。朝になってその事を皆に話すと、家の人たちは笑って、この家の座敷には
昔から、ザシキワラシという物がいるのだと、言うたとのことである。
98あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 23:12
「又鬼(またぎ)が山さ籠もって猟をする時は、いろいろど厳しい掟があるあんだ。
特別な山言葉を使うごどになってるし、死火や産火にあだってはいげねえ。
山で女ど会ったら、話してもいけねえったい」
99あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/03 23:17
岩手県、遠野は心の故郷。
今年中にもう一回いって見ます。
10095:03/03/04 00:38
>96
なるほどそういう意味ですか。

以前ちょっと読んでみたときはあんまりぴんとこない本だったんですが、最近対幻想みたいな
ことをふと考えるようになってしまったもんで。
101あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/04 19:53
高校の時部活の遠征で遠野に逝きました
先輩がニューバラソスの新品を盗まれました
あそこには妖怪がたくさんいると思いました
103あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/07 23:44
http://www.tonotv.com/html/livecamera/

遠野のライブカメラ
104あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/07 23:53
昔、悪役で有名だった俳優の成田三樹夫さん(故人)は若い頃
遠野に一週間ほど滞在していたそうです。
あの青白い顔でぶらぶらしている姿は一寸怖い。
105あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/09 22:21
あげ
106あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 02:36
上田秋成『雨月物語』と宋元白話小説

上田秋成(1733〜1809)
4歳で油と紙を売る上田氏に引き取られた(実父母のことは語らない)
5歳で痘を患い、手が不自由になる。病弱の故に自由な、個性をのばせる少年期。
青年期は保養と称して各地の花柳町に出没。養父が心配して塾に通わせる。
20歳頃から漁焉と号して俳諧に遊ぶ。
漢学も修め、朝鮮使節の通訳をしたことも。
30代から浮世草子など書き始める。

三作目が『雨月物語』
刊行は8年後の安永5年(1776)、真淵の国学を学んだ後、医者として開業した頃。
人前で怒ったり、奇怪な言動もあった。しかし和漢の学問を修めた合理主義者。

江戸時代の鎖国──長崎では貿易。中国船は主に江南から往来。
キリスト教関係の図書は除いて、漢籍も輸入。国内でも和刻本を出版。
活字本『東鑑』や絵入り木版本『伊勢物語』(明の絵入り小説の影響)なども出版。
1720年にはキリスト教以外の洋書の輸入も許可。
『雨月物語』の二年前(安永3年)に杉田玄白らの『解体新書』刊行。
封建制度の完成。身分制度や幕藩体制の確立。儒学(朱子学)を国学に。
文芸は町民や下級武士らが中心になって発達。
>>97
童ワラシじゃなくて老婆じゃん!(((;゜Д゜)))ガクガクブルブル
108あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 22:08
>107
おかっぱ頭で可愛らしく家に富を呼ぶザシキワラシのイメージは
柳田國男によって創りあげられたものが多く、実際に遠野の人々に
語りつがれてきたザシキワラシの話というのは不気味なものが多い
様です。

 土淵村字火石の、北川という家の奥座敷に、この家から他へ行っている
叔父が、泊まりに来て寝ておると、神仏を祭ってある次の室の襖のすき間
から、細長い手が出て、自分を招くようであった。その後、この人は海嘯
に遭うて、家屋財産は申すに及ばず、妻子までも失うたのである。
それらの前兆であったろうかと言っていた。

 土淵村字火石、長田某という家の座敷に、ある時家の子供等が、用事が
あって入ってゆくと、長押しの処から細い赤い手が一本下がっていた。
それがちょうど3〜4才の小児の手位で、腕が二尺ほども長く、きわめて
細く蔓物のようであったという。子供等は驚いて叫びつつ、家の人と再び
連立って来てみると、もう何もなかった。その後間もなく大洪水で、同家
では土蔵長屋などを流したのである。

この手を俗に細手長手といって、やっぱり吉凶禍福につれて、人の家に
現れるものとしている。これもザシキワラシの一種だろうと思われる。
109あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 22:16

 井上ひさしの「新・遠野物語」のほーが、
 私の好みでした。

110あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 22:20
遠野物語の映画ってビデオ化されてる?
111あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/10 22:56
>110
されてる。前にレンタルしたよ。
映画版 遠野物語。

映画の中の、白い軍服きた兵隊さんが整列して行進してるシーンで
なんか、泣いてシマタYO・・。

敵軍の兵士が、黒い軍服を着た兵隊は撃てば倒れたけど、
白い軍服を着た兵隊はいくら撃っても倒れなかった・・と話していた

・・という遠野物語の話、思い出した。
されてるのか。探してみよっと。
サントラのLPレコードは持ってんだよね。姫神センセーション。
114あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/11 01:04
>113
姫神いーね。
神々の詩とか好きだったな。
115あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/11 01:20
>67
あの話は、本当にそういう意味合いらしいが、、、、、
116あぼーん:03/03/11 02:28
あぼーん
117間ーだ^−^:03/03/12 19:37
http://hobby2.2ch.net/test/read.cgi/occult/1039622601/l50

山にまつわる怖い話に面白いのがのっている。最後の方。
118あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 20:07
サンカの話じゃないのか?
119あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/12 23:20
サンカについては柳田国男もずいぶんと考察しているみたいだ。
捕手
age
122あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/15 12:34
山にまつわるなら90が一番民話っぽいかも。
>>117
炭焼きのやつ?あれちょっと怖すぎかなぁ
派手すぎっていうか
124間ーだ^−^:03/03/16 15:10
どうやら柳田は、作中に出てくる
『山男』と『山人』とを区別して使用
していて、前者を山岳生活者、後者
をいわゆるサンカ(日本の先住民)
としていたようです。(こんなんでいいのかな?)

to前スレに書き込みがあった。
125見逃してたカキコ:03/03/16 15:14
14 :つる :2000/06/28(水) 13:43
あと、
>どうやら柳田は、作中に出てくる
>『山男』と『山人』とを区別して使用
>していて、前者を山岳生活者、後者
>をいわゆるサンカ(日本の先住民)
>としていたようです。(こんなんでいいのかな?)
これは、「山民」と「山人」じゃないかなあ。(赤坂憲雄)
「山男」は山人になるんじゃないっけ。
126あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/16 15:28
【さすらい地蔵】
神社の端にあり、地蔵というよりは石という感じである。
昔、力比べに使った石で、動かしてもいつもその場所に戻っていたという。
127お駆るたとはんぺん:03/03/18 01:45
円朝のテープが大量に発見されたらしい。
128あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/21 00:26
                __∧ __ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                \ '∀' /< オシラサマ!
                 |/\|   \_________
                
                       ∧∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\   ∧ ∧   ( '∀')< いわていわていわていわて!
   いわて〜〜〜! >( '∀' )   川(((   \__________
________/  ノ川(((   ノノノハ((
               )川ノノハ) ノ川ノノハハ
              ノノ川ハハハ    ‖
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129あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/03/22 09:35
友達に「上遠野」というやつがいまする。
130あなたのうしろに名無しさんが・・・
そいつはオカルトでつか?(w