誰かが3つの語句を挙げたら誰かがそれを使って怖い噺を作る。
そしたら誰かが怖いとか怖くないとか普通とか氏ねとか言う。
その繰り返し。
殺してほしいほど憎い奴
いるでしょ??
日ごろの恨みを、書きまくろう!!
3 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/19 17:38
あ、それいいですね。何処まで押し通せるかわからないけどやってみます。
ありがとうございます!
●注 意
・書き込む前に、自分の行動も果たしてDQNでなかったかよく考えましょう。
・煽りや遊んで厨は完全放置。構う人もDQN・厨房です。
(透明アボーン等ができる人は推奨)
・カチンときても、書き込む前に一呼吸置きましょう。
んでは、嘴・扇子・ダウンタウンでおながいします。
俺はいつも通りテレビを見ていた。
ダウンタウンのつまらないバラエティだ。
年々こいつらつまんなくなっていくな、と思ったときだった。
コンコン・・・コンコン・・・
それは突然聞こえてきた。
どうやら、俺の部屋の窓から聞こえてきているようだ。
カーテンを閉めているから外は見えないが、ゴミでも飛ばされてきたのだろう。多分。
コンコン・・・コンコン・・・
また音がした。
しかも、ノックをしているかのように規則正しいリズムで。
そんな馬鹿な! ここは7階だぞ!
何かの聞き間違いに決まってる!
だが! コンコン・・・コンコン・・・コンコン・・・コンコン・・・
音は鳴り止まなかった。
恐る恐るカーテンの隙間をのぞいてみる。
すると、そこには鳥の嘴らしき物が見える。
カラス位の大きさの鳥だろうか? それが嘴で窓をノックしているのである。
7 :
にぬすねふり ◆/ZND3AP. :02/07/19 19:19
普通
何だ・・・鳥か・・・
安心したら、急に腹が立ってきた。
俺は鳥を追っ払う為に窓を開けた。
「うわぁぁぁぁぁっぁぁぁ!!!!!」
俺は情けない悲鳴を上げた。
そこには確かにカラスがいた。
唯一つ、他のカラスと違ったのは、そいつは「女の顔」をしていたのだ!
部屋の中で腰を抜かしていると、そいつは中に入ってきてこう言った。
「センス・・・カエシテ・・・」
な、何を言っているんだこいつは!
情けないが、俺は変なうめき声を上げて、ただただ怯えている事しか出来なかった。
「センス・・・カエシテ・・・」
センス?何を言っているのかがサッパリ分からない。
センス・・・せんす・・・・・扇子!?
俺は思い出した。
先日、近所の鹿島神社に行ったときのことだった。
俺はそこで綺麗な扇子を拾ったのだ。
鹿島神社が描かれているのだろう。
それはとても艶やかな色使いで、いかにも高貴な雰囲気を発していた。
気が付くと俺はそれを自宅に持って帰ってしまったのだ。
俺は慌てて、机の引き出しから扇子を取り出した。
そして、カラスの前に置いて「ごめんなさい。ごめんなさい。」
と繰り返した。
気が付くと、目の前からカラスと扇子は消えていた。
いくつかの黒い羽を残して。
テレビではダウンタウンがつまらない話を繰り返していた・・・
9 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/19 19:20
10 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/19 19:21
鹿島神宮とカラスの関係は?
それがあればよろしかったかと…
つまらん
気が付けばレス付いてるし・・・
いや、あくまで創作なんで細かいツッコミは勘弁してけろ。
実は鹿島神社には天狗がいると言う話をつけるか悩んだんだけど、
つけたほうが良かったかしら?
お題に固有名詞を使うのは非常に難しくなるので
極力避けたほうがよいと思いました。
一ヶ月ほど前、アーカムという街に赴いたことがある。
表向きはどこにでもあるダウンタウンのようだったが、港より西側の地区はまるでスラム街のようだった。
そんな場所に行きたくはなかったが、仕事の都合でどうしても出かけなくてはならかなったのだ。
当時の私は骨董屋を営んでおり、ある富豪からの依頼で買い付けに行くこととなったのである。
その富豪が金払いの良い上得意でなければ、即座に断っていただろう。
目的の店を探すのに半日を費やした。
この街は妙に閉鎖的で、私のような余所者には係わりを持ちたくないらしい。
そしてどこを歩いていても、常に誰かに観察されているような気配を感じていた。
店の場所は、自力で探し当てたようなものだ。
古びた扉を開けると、老猫の悲鳴のような音がした。
中には陰鬱な雰囲気を漂わせた老人が居た。
「何しに来た……」
老人は、くぐもった声で言った。どこを見ているのか解らないようなウツロな目で、じっとこちらを見ている。
私は富豪から預かった書簡を手渡し、こう言った。
「扇子を……、扇子を頂きたい。そういえば解ると伺っております」
扇子と聞いた瞬間、老人の表情がこわばった。老人は震える手で書簡を開け、中の手紙を読みはじめた。
たった数行しか書いてない手紙であったが、老人はたっぷりと時間をかけて何度も読み返した。
そして、おもむろに立ちあがると、店の奥から奇妙な扇子を持ち出してきた。
その扇子を手渡す際、老人は念を押すように言った。
「お前さんに忠告しておくが、けっしてこの扇子を使うんじゃない。いいな、絶対に使ってはいかん。解ったな?」
宿に帰った私は、扇子を取り出していた。
鳥の羽根で作られた扇子のようであったが、どんな鳥を材質にしたのか解らない。
今までに見たこともないような手触りで、妙に生暖かく、妙な湿気を帯びていた。
それはまるで、まだ生きているかのような錯覚を漂わせていた。
私は好奇心に勝てず、老人の忠告を無視して扇子を使ってみた。
扇子で身体を扇ぐと、全身がゾクゾクとした。部屋の温度が急激に下がったような感じだった。
扇子が引き起こしたのは風ではなく、狂気だったようだ。
部屋の隅々から混沌が這い出し、瞬く間に漆黒に閉ざされた。泥のように闇がまとわりつき、呼吸が苦しくなった。
その時、私は「テケリ・リ!」という悲鳴にも似た鳴き声を聞いた。
私はその鳥のような生き物が、この扇子の材料である羽根の持ち主であると直感した。
その生き物は夜毎に私の背後に現れ、卑しい嘴で私の精神をついばみ続け、そして今も……。
こういうスレこそ良スレだと思うんだがなぁ。
下がりまくりだもんで、僕が題を出そう。
「裏返し」「電柱」「さつま芋」ね。
>>14,15
アーカムと扇子はちょっとミスマッチかな。
とかエラそうでごめん。
>>18 スマソ。他に思い浮かばなかった。
ダウンタウンもちょっとズルかったですな。(笑
昔の外国の大金持ちの奥さんがヒラヒラとさせているような、
羽根扇子をイメージしてみたんだが……。
願望age
俺はいつも通りテレビを見ていた。
さつま芋のつまらないCMだ。
ふと、テルミのことを思い出したときだった。
バチバチ・・・バチバチ・・・
それは突然聞こえてきた。
どうやら、俺の部屋の外から聞こえてきているようだ。
カーテンを閉めているから外は見えないが、T1000でも飛ばされてきたのだろう。多分。
バチバチ・・・バチバチ・・・
また音がした。
しかも、スタンガンの素振りをしているかのように規則正しいリズムで。
そんな馬鹿な! ここは7階だぞ!
何かの聞き間違いに決まってる!
だが! バチバチ・・・バチバチ・・・バチバチ・・・バチバチ・・・
音は鳴り止まなかった。
恐る恐るカーテンの隙間をのぞいてみる。
すると、そこには高所作業車らしき物が見える。
人ひとり乗る位の大きさの籠だろうか? それで電柱補修工事をしているのである。
22 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 19:24
23 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 19:48
良スレage
私が小学生の頃、Nというガキ大将が近所にいた。
友人達はみんなNに逆らうことができず、なんでも言うことを聞いていた。
もちろん、私もその例外ではなかった。
Nの命令で、近くの畑からさつま芋を盗んだことがある。
当時はまだ戦争が終わったばかりで、みんな貧しかった。
盗んださつま芋は、すべて私達の胃袋の中へと消えていった。
悪いことだと知ってはいたが、Nの命令だと思うことで、どんな悪いことでも出来たのだ。
Nは蝦蟇をいたぶるのが好きだった。私達はいつも、Nのために蝦蟇をたくさん捕まえた。
Nは尻にストローを差して蝦蟇を膨らませたり、電柱に五寸クギで貼り付けにしたりしたものだ。
ある夏の暑い日、妙に大きな蝦蟇を発見した。身体中に傷があり、片目はつぶれていた。
Nは平然と私に命令した。
「蝦蟇の皮を剥げ!」
私は蝦蟇を手に持ったまま、硬直していた。Nも怖かったが、この蝦蟇も怖かったのだ。
いらいらしたNは私から蝦蟇をうばいとり、あざやかな手つきで蝦蟇の皮を剥いだ。
蝦蟇は痛々しい姿だったがまだ生きており、Nの隙をついて逃げ出してしまった。
私はしばらく、その蝦蟇の姿が忘れられなかった。
数日後、Nが私に言った。
「毎晩あの蝦蟇が夢に出てくるんだ。たくさんの蝦蟇を引き連れて、お前の皮も剥いでやると言いながら」
しばらくして、Nが死体で発見された。
身体中がまるで裏返しにでもなったかのように、ピンク色の内蔵をぶちまけていた。
そして夏がくるたびに、友人が一人ずつ、同じように死んでいった。
昨晩、とうとう私の夢の中にもその蝦蟇が……。
25 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 20:01
>>15 >部屋の隅々から混沌が這い出し、
>卑しい嘴で私の精神をついばみ続け、
上の文章がなければなぁ・・・
ちょと、鼻白んだよ。
でもよかたとオム。
26 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 20:03
27 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 20:19
「昨日、尾張町で、馬が犬の仔ォ産んでね」
「馬が、犬の仔ォ産んだ?」
「はァ」
「尾張町いうたら、銀座の四丁目や」
「四丁目です。あの十字路のねー」
「そゥら、珍しいなァ」
「はァ、ボクもはじめて見ました。もういっぱい野次馬が集まってね」
「そらそうやろう」
「電車は停まる、ね」
「ふんふん」
「バスは停まる。自転車は停まる。荷車は停まる。人は重なる」
「大勢集まったやろゥ」
「飛行機ーは、これはね」
「飛行機がどうしたんや」
「飛行機は、これは上を飛んでいきましたがね」
「当たり前や、停まったら落ちるがな」
「えらい騒ぎやった」
「それで、どうしたン」
「なにがー?」
「いやね、馬が犬の仔を産んだんやろ」
「ーどこで?」
「どこでって、今いうたやないか」
「ー誰が?」
「誰がて、しっかりせい。銀座の尾張町で」
「はァんー?」
「はァん、て、馬が、犬の仔ォ産んだ」
「違うがな、馬が犬の仔ォ踏んだンや」
「あ、犬の仔ォを、踏んだンか」
28 :
ダヌル・ウェブスター:02/07/20 20:19
電柱の影で裏返しのシャツを着たさつま芋が女を喰ってた。
30 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 21:18
予言、美少女、世界の鍵
で、おねがいします。
31 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 21:45
イイ!! アゲ
普段降りる駅をとばして見知らぬ町にやってきた。
駅前のうどん屋に入ると店主が無言でこちらを見つめる。
こんな時間に入ってきた客を不審に思うのか、
店主は壁にかけたテレビから目を外し私の顔を無遠慮にねめまわす。
私は煮しめたようなメニューを手に取った。
○予言・・・520円
○預言・・・880円
○余弦・・・980円
「じゃあ一番上の予言をもらおうかな」
ギブアップ
33 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/20 23:47
続き
「お客さン、それ女性限定なンですよ」
「・・・ああ、すまなかったね」
私はカバンから錠剤を出しコップの水で手早く飲み込んだ。
すぐに私はうらびれた中年から美少女と呼んでも差し支えない
妙齢の女性へと変換された。
「最初からそうしてよ」
店主は愛想よくそう言うと厨房で料理に取りかかった。
手持ち無沙汰に化粧直しを始めた私の目の前にすぐに予言が差し出された。
「お待ち」
割り箸を割り、予言を読み始める。
またギブアップ
35 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 00:07
創作文芸板で3題噺スレがある。そのやりかたを取り入れてみては、と提案
・話を作った人が、次のお題3つを提示
・お題は単語。文は不可。固有名詞、下ネタっぽいお題はなるべく出さない。
・カキコ時間差で同題の話をUPしてしまった時は、先にUPった人のお題優先
てな感じの基本ルールだった気が。こっちでも使えるノウハウだと思うのだが
36 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 00:09
38 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 00:20
お題は
じゃあ仕切りなおしで、
「水槽」「図書館」「夏休み」
これで御願いします。
お題を出す人間の腕の見せ所です。
41 :
◆EzDvCifk :02/07/21 00:44
私は中学校の教師だ。
そして今は夏休み。
うちの中学校は部活動などは盛んではないため
夏休みともなれば、学校に顔を出す生徒など皆無に等しい。
そういう私は、休み中暇なので
学校に来てインターネットなどをして遊んでいる。
他の先生すらめったにこないから・・・
ネットも飽きたので、本でも読もうかと
図書館へ行くことにする。この中学校には
別棟として、立派な施設図書館がある。蔵書はかなりもので
中学生が読むには相応しくないものまであったりする。
当然、誰もいない。
色々と本を物色していると、ふと視界にあるものが入る。
窓辺にぽつんとある水槽だ。中には真っ赤な金魚が一匹。
それ以外は何も入っていない。
結構大きな水槽なのに、小さい金魚が一匹だ。
なんとなく不自然な光景である。
ふと、水槽と金魚をみて思ったのだが
えさはどうしているのだろう?もう夏休みに入ってから半月くらい経つ。
図書館の係員がえさをやりにきているのだろうか?
42 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 00:58
>41 いやん、面白そう
あたしは今日もお気に入りのトートバックを肩にかけ、ルーズとちょっとヒールの
入ったローファーで放課後、街を歩く。もちろん、制服のスカートはソッコー
ウエストをくるくる折り曲げて短くしてから腰にカーディガンを巻く。
メイクにもネイルにも気合を入れる。今日はベリーピンク。
あたしはそこらにいるフツーの女の子だった。周りがちょっとは「かわいい」と言ってくれる
し、男のコによく声かけられるから、口には出さないけど少し美少女気取りだった。(ハズ;
いつものようにぶらぶらしてると、誰かに呼ばれるような気がして、周りを見た。
知り合いは誰もいなかった。
気のせいだろうと思って、広場のベンチに座って、メールをし始めた。
? また誰かに呼ばれているような、落ち着かない感じがした。
ゴメソ。ヘンなタイミングで割り込んじゃった。しかも30さんのお題で・・・
これ以上書かないほうがいい?
46 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 01:12
気になるから書いて。
半端に終わられるとすっきりしない。
続きプリーズ!
48 :
んが@わりこみ:02/07/21 02:21
誰もいないのに、気持ちが悪い。どこから来るんだろう。この感じ。
今度は、上から誰かによ張りたような気がした。 上?
よく晴れた空が広がっている。ただそれだけ。そのとき、空からキラッと目に何かが飛び込んできて、
慌てて右手で目をかばった。目がヒやっとした感触して、右の手のひらに、冷たくて硬い感触がした。
その感触はホンの一瞬で、手のひらを見てもそこには何も無かった。
あれから数年後、あたしは占い師になっている。あのときあたしの目に飛び込んできた「何か」はやがてあたしに未来
を映像で感じ取る能力をもたらした。一人一人の小さな未来ははっきりと。そして、いつも感じている大きな未来は・・・・・
もし、それがはっきりと分かったら、あたしは予言者になれるだろう。
漠然と、いつも感じている大きな未来は、何かとてつもないような、この世のものではない全く発想の異なる何かで・・・・
時間とともにもどかしいほどちょっとずつ見えて来る未来の予感。
あたしの右手から身体に入りこんだもうひとつの「何か」がその鍵を握っている。今分かるのは、それだけだ。
あの時誰が何のためにあたしを「上から」呼んで、あたしに「何か」をもたらしたのか多分ずっと最後まで分からないんだろう。
あたしが鍵を握っている未来は、まだ始まったばかりだ。
長くて遅くてスマソ
49 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 03:25
age
51 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 11:22
age
52 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 12:53
お題はまだかよ。
>>35が言ってたところからルールコピペ
お約束
1:前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
2:小説・評論・雑文・通告・??系、ジャンルは自由。官能系はしらけるので自粛。
3:文章は5行以上15行以下を目安に。
4:最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。
5:お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。
6:感想のいらない人は、本文もしくはメール欄にその旨を記入のこと。
2.3.6は関係ないとして、題が出てないときは5でいいんじゃねーの?
補足 あっちではハンドルスペースか文冒頭に「お題1」「お題2」「お題3」
と入れてた。わかりやすくて便利かもしれん
糞スレに流されてるなage
55 :
41 ◆EzDvCifk :02/07/21 13:37
41です。すいません、遅れましたが続き書きます。
ちょっと気になり、水槽を覗き込んでみる。
水槽には、本当に金魚一匹で糞すらない。
もしかして、糞を食べて飢えを凌いでるのだろうか・・・
ちょっと可愛そうになり、職員室から昼飯用にと買った
パンを持ってきて、ちぎって与えてみた。
物凄い勢いで、パンに食いつきパクパクと食べている。
やはり、お腹が減っていたんだな・・・
そうして、私は夏休みの間毎日、金魚にエサを与えるのが
日課となっていた。
エサをやっていて、分かったのだが
エサが欲しいときは、胸びれをパタパタと動かすことだ。
また、お腹がいっぱいになった後は、水槽の中から
感謝を表すように、じーっと私の方向を向きながら
尾びれをパタパタとずっとさせている。
なんとなく、愛情に似たものが金魚から感じるような気がする。
エサをやり続ける、そんなある日
図書館に入り、いつもの窓辺に向かったのだが
いつもの場所に水槽がなく
割れた水槽のガラスと水槽の枠、そして水が床に滴っていた。
私は愕然とした。
いったい何故、こんなことに・・・
56 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 13:59
57 :
41 ◆EzDvCifk :02/07/21 14:01
しかし、よく見ると
そこには金魚の姿はなかった。
水を失った金魚が体を動かして移動でもしたのだろうか?
わたしは急いでそこらを探してみた。
しかし、金魚の姿を見るけることは出来なかった・・・
もう諦めて、割れたガラスなどもそのままにして
帰ろうとしたとき、図書館の奥の方からピチャっという音がした。
よく考えれば、奥の方まで金魚が移動できるはずもない。
そこで引き返せばよかったのだが、あの金魚を失うわけにはいけない
とただ単純な思考から、体は図書館の奥、音がした方向へ向かっていた。
書棚の影に何かがいた。
金魚ではなかった。
人だった。
いや、正確には人ではなかった。
完全な裸体の女性がそこにはいたのだ。
顔は美しい女性の顔で、多少赤みがかってはいるが体もまた美しい
女性のものだった。
しかし、腕には魚類の胸びれに酷似した物がついていた。
そして、お尻のあたりには、長い尾びれに酷似したものがついていた。
それは真っ赤なひれであった。
まさしくそれは、あの金魚であると私は直感的に思った。
しかし、この人外の者を見て、驚愕し逃げ出す気持ちは起こらず
ただその姿に見とれていた。
その女性は、私を凝視しながらパクパクと口を動かしている。
潤んだ瞳と頬が赤らんでいるのが分かる。
「人の姿となり私に会いにきてくれたのだ」
となんとも馬鹿げた童話のような事をその時は
胸を高鳴らせ思ったものだ。
しかし、彼女のある仕草を見て
現実に引き戻され、いままでの気持ちは一瞬のうちに恐怖に塗り替えられた。
彼女は私を異様な目つきで凝視し
その胸びれのついた腕をパタパタと動かし始めたのだ。
わたしは、そこから逃げ出していた。
図書館の入り口には鍵を掛けた。
それ以来、中学校にはいっていない。
しかし、夏休みも今日で終わり。
わたしは明日が来るのが恐ろしいのである。
---- 終了 ----
(・∀・)イイ
ところでお題は?
>>58 あ、また投稿してみたいので
どなたかお題を出していただけないでしょうか?
60 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 14:07
(・∀・)イイ!
61 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 14:09
>>59 お約束
1:前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
とりあえずなんでも適当に3個書けばいいだろう。
62 :
41 ◆EzDvCifk :02/07/21 14:17
では
お題1 : 線香花火
お題2 : 風鈴
お題3 : 猫
で御願いします。
「線香花火、風鈴、猫」
小学校に上がる前、私は毎年お盆の季節には祖母の家に遊びに行っていた。
ある年、一人で家の裏を流れる小川で遊んでいると、一人の女の子がこっちを見ていることに気がついた。
見知らぬ子だったが、そこは子供同士、すぐに仲良くなりひとしきり一緒に遊んだ。
夕方を過ぎ、あたりが暗くなった頃、
「ねえ、ウチでもっと遊ぼうよ」
女の子に誘われその子の家に行き、晩御飯までご馳走になった。
食事のあと、縁側で線香花火をしていると、かすかにきこえてくる音に気づいた。
・・・チリン・・・チリン
「なんの音?」
私が聞くと、女の子は、
「風鈴だよ。聞いたことない? ほら、あれ」
彼女が指差す先にはネコの首が吊るされていた。
小さな赤い舌に鈴がぶら下がっているのが見えた。
彼女は続けて言った。
「晩御飯に出た残りだよ」
次のお題
「携帯電話」「ガムテープ」「チャット」
で御願いします。
64 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 16:07
しまった。
書いたのに先を越されてる。
ゆっくり書きすぎたか。
66 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 16:11
67 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 16:14
夜の散歩をするってスレを知ってる?
このオカ板にあるスレなんだけどね。
昨日の夜のことなんだけど家のクーラーが故障してしまい、とても寝付けそうにない。
それであのスレを思い出して涼みに散歩に出かけることにしたんだ。
少しでも涼しくなることを祈り、、、
夜の世界は神秘的な闇に包まれていた。
風が吹き、木が鳴き、風流にどこかで風鈴が鳴っている。
いつも見慣れた風景もまったく別の物のような感覚だ。
しばらく、歩いていて気づいたことがある、もう回りに家はなくなっているのに風鈴の音はまだ響いている。
「チリーン、チリーン」
それどころか僕のすぐ後ろから鳴っているように感じる。
「チリーン、チリーン」
どこまで歩いても風鈴の音はついてきた、僕は急に怖くなって振り返ってしまった。
68 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 16:15
そこには1匹の白い猫がいた。
首には黄金色の鈴がついている、風鈴だと思っていたのはこの鈴だったらしい。
「やれやれ、人騒がせな奴だな、、、」
僕は猫の方を見てそう言った。
「ニャーン」
猫は僕を見て鳴いた。
その瞬間不思議な感覚をいだいた、どこかでこの猫にあったことがある、、、
確かに見覚えがあった、可愛げのない鳴き声、輝くような白い毛、そして僕がつけてやった首輪。
間違いなくその猫は僕が子供の頃に飼っていたシロだった。
「やっと思い出したか」
そんなことを意味するようなニヒルな笑いをうかべシロは急に走り出してしまった。
「シロ!!!」
僕は急いで後を追った。
ところがシロは曲がり角に差し掛かったところで線香花火のようにその姿を消してしまった。
「シロ!!シロ!?」
僕は必死に辺りを捜索した。
しかし、20分ほどしてやっと気が付いた。
シロはもう死んだじゃないか。
シロは僕が生まれる前からずっと家に住んでいた。
僕にとってはペットというより友達や兄貴に似た存在だった。
しかし、いるのがあたりまえだったはずなのにシロは突然姿を消した。
僕とシロでは時の流れ方が違いすぎたのだ、僕が少し成長する間にシロはお爺さんになっていた、、、
ある日、学校から帰って僕を出迎えたのは悲しそうな親の顔と大事な親友を失う悲しみだった。
最初は毎日のように墓参りをしていたが、だんだんその回数も減ってきた2日に一回、1週間に1回、そして実家を出てからは1年に1回行くか行かないか。
時間は悲しみを薄れさせ非日常を日常に変えていった。
もう、シロのことを思い出すこともないと思っていた。
そんなことを考えてるうちにいつのまにか僕は自分のボロアパートに着いていた。
あいかわらず部屋は暑くて気持ち悪かった。
窓を開けても風は入ってこない。
ベッドに横になり今日あったことを考えているとふいに一陣の風が吹いた。
「チリーン、チリーン」
あの鈴の音が鳴った。
しかし、そこにはシロの姿はなかった、そこには少しでも涼しくなるようにと僕が飾った風鈴が鳴っていた。
ふと風鈴の横にあるカレンダーに目がいった。
7月20日その日はシロの命日だった。
そうか、シロは自分のことをすっかり忘れている不甲斐ない俺に自分のことを思い出させにきたのか、、、
考えてみればもう5年も墓参りには行ってなかった、今度のお盆はシロの墓参りに行くことにしよう。
翌日、クーラーを見るとコンセントが抜けていたのが原因だったらしい。
いちいち嫌がらせをするのもあいつらしい、普通に部屋に出てくりゃいいじゃないか。
----------------完----------------
69 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 16:19
70 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 16:25
┌─┐
|も.|
|う |
│来│
│ね│
│え .|
│よ .|
バカ ゴルァ │ !!.│
└─┤ プンプン
ヽ(`Д´)ノ ヽ(`Д´)ノ (`Д´)ノ ( `Д)
| ̄ ̄ ̄|─| ̄ ̄ ̄|─| ̄ ̄ ̄|─□( ヽ┐U
〜 〜  ̄◎ ̄ . ̄◎ ̄  ̄◎ ̄ ◎−>┘◎
72 :
◆EzDvCifk :02/07/21 17:23
私は中学校の教師だ。
最近では、女生徒漁りも飽きてきて
インターネットの出会い系サイトに入り浸っている。
この間、なかなか面白いサイトを見つけた。
チャットなのだが、「電話OK!」というボタンがあるのだ。
これは、話が合ったりして、電話してもいいよという場合
Web上から事前に登録しておいた携帯電話番号に
電話を掛けるというボタンなのだ。
女性限定ではあるが、試用期間中で電話代は今のところタダ
なので、使えるだけ使うつもりだ。
ただ、電話したら男性だったということもあったが・・・
今日はどんな子が釣れるだろうか。
レイコという子とチャットをして、[電話Ok!」
までこぎつける事ができた。
嘘でなければ、家も近いようだし気合が入る。
早速、電話をしてみる。
こちらは、ディスプレイに内蔵の音声入出力スピーカーが
付いているのでディスプレイに向かって話すのだが。
「もしもし?○○だけど。電話してみたよ。」
「こんばんわ♪ちょっと待ってね、今家に向かっているから。」
なかなか可愛い声だ。高校生かな。
ん?家に向かっている??
「あれ?PCの前にいるんじゃないの?」
「あは、もうちょっとで着くから待っててね♪」
ふと、ディスプレイを見ると
チャットの書込みで
「もうちょっとだよ (^o^)/」
とレイコが書き込んでいる。
モバイルなのかな?でも、歩きながら??
確かに電話からはカツカツと歩いている音が聞こえる。
73 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 17:25
75 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 17:27
__ ________
./σ. || タイ人イイ! ||
//' iヾヽ ||⌒ ミ | /||
|| i i ヾ ヾ ゚ ||Д´;) !!||. .//||
|| i i ヾ ゚ ⊂.ノ ||//. .||
|| i i ゚! ヽヽ || ||/ ||
|| '.°゚ ゚ . || || ||
|| i. ノハヽヽ゚ || || ||
||9( ;´D`;)──| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|l───
□/ ( )_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ
∽___/(__)__)ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ
=( )¬l /_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ_ノ
/~~^~ ヾ||シ ~^^~~~~~ ~~~~~'、~~~~ ~~~ /
__ ________
./σ. || || ||
//' iヾヽ || || /||
|| i i ヾ ヾ ゚ || ||. .//||
|| i i ヾ ゚ || ||//. .||
|| i i ゚ ヽヽ. || ||/ ||
|| '.°゚ ゚ .
|| i ゚ 彡 ⌒ ミ
||9 l ── (`Д´;)<妻はマグロ!タイ人(・∀・)イイ!
□/ /_ノ /)/ノ
∽___/_ノ ノハヽ⌒⌒) ) )) カクカク
=( )¬l / ⊂(;´D`; )つ∪
/~~^~ ヾ||シ ~^^~~~~~ うわぁ〜ん!!
76 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 17:27
>>74 続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて続き書いて
77 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 18:00
不貞腐れてる67を晒すスレは此処ですか?
「歩きながらパソコンでチャットしてるの?モバイル?」
などと問いかけたてたら
「つぅぅーーいたぁ♪」
と携帯電話から返事があった。
そして、玄関なのかドアを開ける音。
タンタンタンと階段を駆け上がるような音が聞こえてきた。
「家に入ったらゆっくり話しようね。待ってるから」
「うん、ずっとお話してようね♪」
今度は、「ビィーーー」という音が聞こえてきた。
なんだ?聞いたことある音だ。
「ん?何の音?」
「ガムテープの音だよ〜♪」
「ガムテープ?何をしてるの?」
「だって、先生まともに話してくれないからさぁ」
何のことを言っているのだろう。
というか、俺が先生なんて一言も言ってないぞ。。。
「ねぇ、レイコちゃんどうして俺が先生だって・・・」
「だから、こうやって逃げれないようにするの♪」
電話からは絶え間なくビィーービィーと音が聞こえる。
まさかと思い、玄関に行き覗き窓を覗いてみる。
すると、にこりと笑い、こちらを見返している女の子が見えた。
ガムテープを貼りドアを塞いでいるようだ。
その子には見覚えがあった。うちの学校の生徒だ。
数度遊んだことがあるのを思い出した。
俺が弄んだことへの報復なのだろうか。
それにしても、ドアをガムテープで塞ぐなんて幼稚な考えだ。
急に冷めて一言、「早く帰れ、もう来るなよ。」と言い残して
チャットも終了し、PCの電源も切りそのまま寝てしまった。
次の日、朝早いチャイムの音で起こされた。
チャイムの主は警察官であった。
恐らく、誰かがドアを塞いでいるガムテープをみて通報したのだろう。
全然、知らなかったとでも言えばいいと思いながら
鍵を外し、ガムテープも剥がされたであろうドアを開けた。
警察官は言う。
「朝早く申し訳ございません。ドアをテープで塞がれていると言う通報を受けまして。」
やはりそうだ。
「それで、テープをこちらで剥がさせていただいたのですが、
これに思い当たることはございませんか?」
とドアを指差している。
その指につられ、ドアを見た。
「○○中学校教師、○○△△。このドアの向こうの住人です。わたしはこの人に
強制的に陵辱されました。そして、妊娠してしましました。わたしはもう生きていくことが
できないので、○○公園の○○で命を終わらせます。」
と書かれていた。
「ガムテープの裏にマジックか何かでかかれてあってそれがドアに転写されたようです。」
その後、その警察官と共に警察署まで行き
○○公園で見つかった、レイコの死体を確かめさせられた。
死後、1週間程だそうだ・・・
この様なことがあり、中学校も強制的に辞めさせられ
マンションも引き払った今ではあるが
行く先々で、不自然に色々なところに貼られたガムテープを見る。
わたしはそれを決して剥がす事をしない。
80 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 19:01
良スレage
話を思いついて書こうとすると
もう誰かに先を越されてる……
67と同じ状況だな。
83 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 20:20
なんとなく書いたんで、おそおそだけど。
「携帯電話」「ガムテープ」「チャット」
ある深夜、いつもの面子とのチャットも飽きたので、ぶらぶらと色々な部屋を冷や
かしていて、最後に「本当に怖がりたい貴方へ」というタイトルの部屋に入った。
顔ぶれは部屋主であるchemical、そのチャット仲間らしいTOMO、一見らしいがチャ
ット慣れしてるっぽいo-chan、その他数名といった感じだった。
chemical : ○○駅の1番線の公衆電話の右端の電話帳の下にブツ仕込んでるんで
TOMO : なに仕込んだんよ?(w
chemical : 現地で確認したら?
o-chan : あのー、それって僕が見たらまずいです?
chemical : 別に。誰でも早いもの勝ち
TOMO : あー、俺、明日仕事早いから無理じゃん(w
o-chan : お、チャンス。んじゃ、見られたら、明日報告しますね
TOMO : あいあい。あ、でも、ROMってる人に横取りされるかもよ(w
次の日特に用もなかったので、ひやかしがてら○○駅に行ってみた。件の公衆電話
を見ると、丁度、学生っぽい感じの女性が電話帳の下を見ようとしているところだ
った。(おお、どんぴしゃかー)と思って、少し離れた場所から見ていると、どう
も様子がおかしい。彼女は電話帳の下からなにか取り出してそれを見て呆然として
いる。気になって近づいていって何気なく様子を見ると、どう見ても尋常ではない
表情。ええいままよ。
「どうしました?具合でも悪いんですか?」
「え?いや、あの、ここにこんなものが…」
彼女が差し出したものを見て、ぞっとした。千切れた猫の耳?
「昨日、インターネットのチャットで、ここにブツ仕込んだ、っての聞いて、興味
あったんで見に来たんですよ。そうしたら…。こんなの、おかしいですよね?」
彼女の声は震えている。無理もない。その後、ひょっとしてこれを仕込んだ奴に見
られてたかも知れないから怖い、という彼女と携帯電話の番号を交換して別れた。
その夜、どうにも気になったので、昨日の部屋を探してみた。あった…。怖かった
が仕込んだ奴の動向が気になったので覗いてみた。
o-chan : ガムテープでべたーって貼り付けてあったんで剥がすの大変でしたよー
(笑)
chemical : 関係ない人がたまたま電話帳使うかも知れないから念の為にね
o-chan : しかし、あのCD-Rすごいですね。心霊写真心霊ビデオてんこもりじゃな
いですかー
chemical : だろ?結構自慢の一品。見終わったらコピーしても良いんで、またどっ
かに仕込んで報告してよ
TOMO : 良いなー。次こそ俺取るぞー
え?
その時携帯が鳴った。
お題出てないみたいなんで。
「機関車」「野球」「蜂蜜」
しまった。癖で文字数で改行してる(笑)
直前で、チャットの部分の整形だけはしたんだけど、行末は考えてなかった。
ちと恥ずかし。
誰かが先に書いていても臆せず書いてしましょう。
傑作が生まれる可能性を信じてage
86 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/21 20:37
Xしましょう
○しまいましょう
失礼しました
甘い匂いがした。
私はその匂いの元をたどり、周囲を見回した。
「・・・・・・」
誰もいない。
客室にある椅子に座っているのは私だけだ。
過疎路線を走る機関車に興味を引かれるのは、私のような鉄道マニアくらいのものだろう。
先程一度車掌らしき人が見回りにきただけで、それ以外にはまったく人影らしきものは無い。。
(気のせいか)
匂いの原因をそう結論付け、私は読んでいた本に再び目を落とした。
たったった・・・
足音――
私は再び顔をあげ、辺りを見回した。
いつの間にか、隣の席に野球帽を被った少年と、その母親らしき女性が座っていた。
(いたんだな、他の客が・・・)
私の視線に気づいたのだろうか。少年が私の側に寄ってきた。
『どこ行くの?』
「・・・ん? 私か?」
目深に被った帽子のせいで、少年の顔は見えない。
(・・・そういえば)
私はどこにいくんだろう。
――物思いに沈んでいた時間はほんの一瞬だったはずなのに。
『久しぶりね』
いつの間にか、その女性は、向かい合わせになった座席の、私の前に座っていた。
ああ・・・そうだ。
彼女の懐かしい笑顔と、蜂蜜のような甘い匂いで、私は全てを思い出した。
『あなた』
そうだった。思い出したよ。
その為に、私はここに来たんだった・・・。
私は二人の差し出した手をとり、ゆっくりと瞳を閉じた――。
「お客さん?終点ですよ?お客さん……?
……おい……誰かすぐに医者を――――――――――」
やば・・・激しく後悔かも・・・。
こんなんでもオッケーなんでしょうか?
駄目ならスルーしてください。
>>88 次のお題を御願いします。
ここはすぐ下がってしまいますね。
あんま需要ないのかな、このスレ・・・
>>89 良スレだと思いますよ。少なくとも俺は。
ただ、ちょっと敷居が高い感じがするのかもしれない。
俺もドキドキしながら書き込みましたから(w
それでは、次のお題は、
掃除機、時計、カーテン
の三つで。
わたしも良スレと思う。
…思うんだけど、創作怪談よりも、実話(調)怪談の方が人気のあるご時世
やからねぇ。
でも、週末とは言え、三日でこんだけの作品出るんやから、結構繁盛なのかも
レス数はあんまし伸びてないけど(笑)
まぁ、ものがものだけにマターリいくのがええんかも。
まじ面白い。良スレ!安芸!
93 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 01:05
(・∀・)イイネ!!
ageとく。
94 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 01:22
95 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 01:23
96 :
94ではない者:02/07/22 01:29
掃除機をかけていたら風でカーテンが舞って掛け時計に
引っかかった。引っ張られて壁から外れた時計は何も知らない
主婦の頭にグシャッ・・・倒れた主婦の頭から流れ出る鮮血を
スイッチが入ったままの掃除機がいつまでもジュルジュルとススっていた
一味違う意味でコワッ!
こないだ仲間のSのとこに遊びに行ったのよ。
カギが開いてたから勝手に中に入ったら
凄まじく汚ぇの。
なんか、泥棒でも入ったんか?とツッコミたくなるくらいに。
しょうがないから、掃除してやろうと思って掃除機かけてたら
ノズルの先に当たるものが。
壊れた腕時計。
その時、ふと窓の外に視線を感じたのよ。
で、窓見たらカーテンが閉まってて。
「?」と思いつつ、カーテンを思いっきり開け放ったのよ。
血まみれのSが窓にへばりついてた。
凄まじい形相で。
あとで聞いたら、なんかあいつ拉致されてたみたい。
近所の人で見た人がいたらしい。
そういえば、最近怪しい奴らとつるんでたみたいだし……
Sは、未だに行方不明。
「電球」「ライター」「シャンプー」
でよろしく。
99 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 02:18
主婦の由美はある事に気付いた。
リビングのカーテンが長いのだ。
ついこの間買ったマンションの家具の幾つかは備え付けで、カーテンもその一つだった。
その真ん中辺りの丈が長くて、20cmほど床にかかっており、掃除をするときに掃除機が吸ってしまうのだ。
調べてみるとカーテンレールが大きくたわんでいるのに気付いた。
丈が長いのではなく、かけられる位置が低かったのだ。すぐに管理人に直して貰う事にした。
「前にお子さんのいる家族が住んでいたもので、子供がぶら下がって遊んだりしたんでしょうねえ」
彼はそう言って帰っていった。
翌日、昼過ぎに掃除をしていると、新しく取り替えたはずのレールがたわんでいるのに気が付いた。
なんとなく管理人を呼びづらく、下からぐいぐい押して自分で直してみた。
翌日、具合が悪く家事も出来ずにリビングのソファで寝ていると、時計が2時を告げて少ししてから
レールが音を立ててたわんだ。昨日のでは足りなかったのだと思い、今度はプラスチックの1m定規を
真ん中に接着剤で固定してみた。これは丈夫だから平気だろうと、また寝ることにした。
翌日、昼過ぎに料理教室から帰ってきた由美が急いで掃除をしようとしていると時計が2時をつげた。
そしてしばらくすると・・・。ギシギシ・・・バキッ!定規が折れてレールがたわんだ!
急いで管理人を呼んでまた新しいものに変えてもらった。恐ろしくて夫に電話して事情を話し帰ってきて
欲しいと告げたが夫は笑って相手にしてくれなかった。その夜帰ってきた夫に由美が文句を言うと、
夫は拙宅買った家が気に入らないのかと由美を怒鳴りつけて寝てしまった。
翌日、土曜日で休みの夫に、由美は朝からカーテンの怪異を話し続けた。まるで相手にせず怒鳴り続ける夫に
由美も怒鳴った。「もうすぐよ!2時になったら分かるんだから!」
「いい加減にしないかっ!!」夫は由美を殴りつけ出て行こうとした。由美は包丁を取り出し夫を突き刺した。
その瞬間時計は2時を告げた。夫はよろよろと後ずさり、倒れこむ体を支えようとカーテンにつかまった。
夫の体重を受けてカーテンレールは・・・。
警察が去った後、管理人はたわんだレールを見ながら呟いた。またか・・・と。
100 :
94=99:02/07/22 02:20
15行以内ってのを見逃してて、長いのを書き終わってから急いで書き直したら
文体も何もおかしくなっちまいました・・・。時間もかかったし。
次のお題は
>>98さんのでお願いします。
>>100さん
15行というのは創作文芸板の方でのルールらしいので、
こちらは「怖い話」という制約上、長さは気にしないで
いいと思います。
一応これまで出た決まりを整理します。
・話を作った人が、次のお題3つを提示
・お題は単語。文は不可。固有名詞、下ネタっぽいお題はなるべく出さない。
・カキコ時間差で同題の話をUPしてしまった時は、先にUPった人のお題優先
・補足 ハンドルスペースか文冒頭にお題があると分かりやすい
という感じです。
次のお題は
>>98さんの「電球」「ライター」「シャンプー」です。
感想などもあるとよいですね。
昔、家の近くに取り壊されてない古いボロッちい家があった。
よくあるよね、そういう当然無人の取り壊されてない家が。
好奇心旺盛なころに何人かの友人と一緒にその家の中を探検したんだ。
中はあまりに暗かったので懐中電灯をつける。
歩くたびにギシギシと音をたてる床、吊り下げられた裸電球。
三十分くらい探索してると、友人のうちの一人のたかしが薄汚いジッポライター
を見つけた。
「これ火ぃつくかな?」ライターの火はちゃんとついた「おお!ついたついた」
たかしはなぜかそのライターを気に入ったようで、そのまま持って帰った。
たかしは学校でもライターを持ってきては、時折たばこを吸うわけでもないのに
ライターの火をつけて、その火に見入っていた。
それから3週間後、探索したボロい家は火事で焼失した。
たかしは段々行動や言動がおかしくなっていった。
一人ライターの火をつけてブツブツ独り言を言っていたり、授業中に突然わけの
わからない叫び声をあげたりするようになる。
一人ライターの火をつけてブツブツ独り言を言っていたり、授業中に突然わけの
わからない叫び声をあげたりするようになる。
たかしはクラスでも変人扱いされ、俺達もたかしと距離を置くようになった。
ある日俺達は一つの結論にたっした「たかしがおかしくなったのはあのライター
のせいだ」体育の授業で俺達はたかしの目を盗んで、たかしの服のポケットから
ライターを取り出した。そして俺は近くの川にそのライターを捨てた。
「これでたかしも正気をとりもどすはずだ」次の日の夜、俺は風呂に入り頭を洗
っていた。すると後からガタッと物音がする。お母さんだと思ったが、いきなり
後から首をしめられた。「ライターはどこだ!どこへやった」たかしの声だ。な
んとか抵抗しようとするがシャンプーが目に入って目が開けられない。「川だ!
近くの川に捨てた!」するとたかしは一目散に風呂場を出ていった。
親と姉が異変に気付き俺のもとへ駆けつける。とりあえず俺は「大丈夫…なんでも
ないよ」といいその場を見繕った。
そして次の日、近くの川でたかしが水死体になって発見された。
次のお題
「蜘蛛」「街灯」「花」
106 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 03:20
「電球」「ライター」「シャンプー」その2 1/3
そのウワサを聞いていても経ってもいられなくなり、Kの住む部屋へと急いだ。
「おーい、いるか?」
風呂上りのKはトランクス一丁の姿で俺を出迎えた。
「なんだよ、血相変えて。電話くらいしてから来いよ。」
「したけれどもお前出なかっただろ?」
「ああ、俺シャンプーしてたのかな?聞こえなかったよ。」
こっちがこれほどまでに焦っているのに、Kの呑気さがもどかしい。
「どうでもいいからさ・・・・それよりも、あのホテル、ついに取り壊しが決まったらしいぞ」
「何?」
Kの表情がかわった。
107 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 03:21
「電球」「ライター」「シャンプー」その2 2/3
それからしばらく後、俺達は車に乗ってあの場所に向かっていた。
用意したものは懐中電灯、軍手、アーミーナイフ、ロープ、ビニール袋。
これだけ用意したら充分だろう。
このあいだはいきなりの出来事だったから、何も準備していなかったが・・・
アレはほんの出来心からのことだったんだ。
ナンパして心霊スポット探検についてきた、カワイイ女子高生を、つい、はずみで・・・
いや、あれは不幸な事故だった。
初対面であんな暗い場所についてくるってことはOKってことだろ?
しかもこっちは男二人だぜ??
なのにいざというときに抵抗するなんて。
「やめて!」
彼女はそういうと俺達を振り払って逃げようとした。
すすりなく彼女、でも衝動はおさまらず、
最初はK、次は俺・・・・・
あんまりシクシク泣くので黙らせようとちょっと強めにビンタしたら
いきおいですっとんで、どこかにアタマをぶつけたらしい。
白目をむいてうなると、そのまま動かなくなっちまった。
おいおい、マジかよ!
どういうことだよ、まったく!!
焦った俺達はその部屋にあったベッドの下に彼女を隠すと
とっとと逃げ出した。
「新聞でもテレビでもニュースになっていない。別の場所に動かすなら今しかないな。」
運転席のKはそうつぶやくとタバコを咥えた。
まわりに車はとまっていなかった。幸いにもここに来たのは俺達だけらしい。
以前あんなことがあったからか、黒々としたホテルの姿には恐怖を覚える。
「ヨカッタな、また誰にもみられずに済む。」
そういうとKはニヤリと笑った。
このことにケリがついたら、もうこいつとのつきあいは止そう。
第一俺は気乗りしなかったんだが、Kがヤレるヤレるいうから・・・。
「さ、急ごうぜ。」
懐中電灯の明かりだけを頼りにあの部屋を探す。
「キキョウの間・・・・たしかここだったな。」
「匂いとかするんじゃねーのか?」
「バカ、イヤなこと言うなよ。」
俺は声を震わせながら遅れて部屋に入った。
108 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 03:22
「電球」「ライター」「シャンプー」その2 3/3
Kは懐中電灯を天井に向けて置いた。あの出来事があった部屋が照らされる。
もしあの瞬間にもどることができるのなら・・・・後悔でいっぱいだ。
Kはベットの下をのぞきこもうとかがみこんだ。
その瞬間、懐中電灯の電球がパリンと割れて、あたりは暗闇につつまれた。
俺はパニックに陥った。
「おいおい、マジかよ!!どーゆーこと!!」
「バカ、慌てんな、偶然だって!!」
Kの冷静さが憎かった。
「もう俺帰るわ、こないだだってイヤだったんだ!!」
「いーから落ち着けよ、もう後にはひけねーんだよ!!」
そう叫ぶと、Kはポケットをゴソゴソとさぐっているらしい。
しばらくするとチンと音がし、オイルの匂いとともに明かりが戻ってきた。
Kはライターを片手にベットの下をふたたびのぞきこんだ。
「・・・・・・・・・・・オイ。」
しばらくのぞきこんでいたKが力なく俺を呼んだ。
「お前もこっち来いよ・・・・」
「何だよ、俺みたくねーよ!!」
「いいから・・・・見ろよ。」
魂の抜けたような声でKがまたなおも言う。
Kはのぞきこんだままの姿勢で動かない。
俺はため息をつくと、青ざめた死体をみる覚悟をしてから
Kの横にはらばいになって、限られた隙間の中を覗き込むと・・・・・
「待ってたわ。」
ライターのほのかな明かりに照らされて、あの子が物凄い笑顔を浮かべていた。
髪の毛は顔にへばりつき、蝋のように青白い顔をして、笑っている。
そして血のこびりついた紫色の唇をゆっくりと動かすとこういった。
「お帰り。」
リアルタイム更新キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━ !!!!
110 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 03:27
どっちも((((;゚д゚))))コワー
次のお題は
「蜘蛛」「街灯」「花」
の三つですね。
「電球」「ライター」「シャンプー」
夜、風呂に入っていた。シャンプーをしていると突然電球が消えた。
「うそーっ」
思わず小さく叫ぶ。やたら心細い中、手探りでシャンプーを流して、風呂場の戸を開ける。真
っ暗だ…。ブレーカー落ちたのか停電だかわからないけど、家の中のすべての電気が消えて
いる。冷静になれば、電球が切れただけで、風呂場がなにも見えなくなるほど暗くなる訳がな
い。適当に身体を拭いてパンツを履いて、そこで、ふと、ブレーカー落ちじゃなくて停電だった
ら外の様子も見たいよな、と思い直して、シャツとズボンも履いた。闇の中手探りで玄関の配
電盤に向かう。二年も住んでる家なのに、こうなると右も左もわからない。
…かさかさ…かさかさかさ…
なにか変な音がする。真っ暗な中ではかなり不気味だ。
「ゴキブリかな。最近、バルサンしてないし」
声に出して自分に言い聞かせる。
途中で蹴躓きそうになったりしつつも、どうにかこうにか玄関に着いた。そこまで来て、明かり
になるものがない事に気づく。しまった、懐中電灯でも探さなきゃと思ったが、ズボンのポケッ
トにライターが入ってるのを思い出した。念の為に着ておいたのはラッキーだった。ポケットに
手を突っ込んだ途端、耳のそばで「た、す、け、て」とか細い声が聞こえた…ような気がする。
ひっ、と自分の息を飲む音が他人事のように響く。気のせい、気のせい、気のせい、最近、嫌
な事が多くてストレス溜まってる中、こんな事があったから神経が過敏になってるのさ。心の中
で思ってるのか、声に出してるのか良くわからなくなる。さっきのかさかさいう音もまた聞こえる。
「えーい」
これは確かに声を出して勢いをつけて、ライターを擦ってその頼りない明かりの中、やっぱり落
ちていたブレーカーを上げる。途端に部屋に明かりが戻る。かさかさいう音も止んだ。もっとも、
なんでブレーカーが落ちたのかちょっと腑に落ちないのだが、深く考えると気味が悪いのでや
めた。
そして、さっきの声が気になったので、自分の部屋の様子を見た。彼女は昼に殺した時のまま
なので、ほっと安堵の溜息を吐いた。
あかん、いまいち。
112 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 03:33
電球 ライター シャンプー
加奈子は ごく普通のOLである。
たまたま見た心霊特番のせいで なにか感覚が研ぎ澄まされていた。
ちょっとした物音にも 敏感になっていた。
疲れもあってか 早く寝るために
なにか気にしながらも シャワーを浴びることにした。
勢いよく流れるシャワー。
鏡に映る自分に怯えながらもシャンプーを 手に取った。
その瞬間である。
バンという音と 共に電球が切れた。
半ば 半狂乱になりながら加奈子はバスルームを飛び出した。
明かりになるもの 明かりの代わりになるもの
加奈子は 手探りで必死に探した。
そうだ。ライターがある。
あった。加奈子はライターで火をつけた。
すると 加奈子の目の前には 見知らぬ女性の姿が・・・。
それと同時にボンと音がするのを加奈子は聞いた。
後日 近所のおばさんがウワサしていた。
またあったんだね。ガス爆発事故。
怖くないな。
終電を乗り過ごして駅前でタクシーを待っていた。
ふと見ると、ロータリーの外れ、ちっぽけな街灯の下に花売りの少女が立っていた。
なかなか現れないタクシーに業を煮やし、軽い酔いも手伝って私は少女のところへ
ふらふらと近づいていった。少女はとても長い髪をしていた。顔の半分は髪に覆われて
見えないほどだ。
「こんばんはお嬢さん。こんな夜中まで大変だねえ」
「おじさんこそ、お仕事お疲れさま」
少女は酔客のからかいにも手馴れている様子だった。
少女の抱えている籠には見たことのない花が並んでいる。これだけの花が残っている
ところを見ると売れ行きはあまりよくないらしい。
「おじさんにその花見せてくれるかな」
「どうぞ」
少女は微笑み、私は花を一輪受け取った。
と、花を持った指にチクリと小さな鋭い痛みが走った。
「イテ・・・。これバラかい?」
「違うけど・・・どうして?」
「いや、なんでもないよ」
花を少女に返し、指先を眺めるとプツリと小さな穴があき血がにじんでいた。
少女は私の指を見つめると、
「・・・ねえおじさん、宿り蜘蛛って知ってる?」
微笑みながら言った。
「ヤドリグモ? さあ、知らないけど」
少女はとてもうれしそうに続ける。
「このクモはねえ、オスは花の蜜を吸うの」
「でもねえ、メスは違うのよ」
「メスは、動物の血を吸うの。吸うだけじゃなくて、そのときに卵も産み付けるのよ」
「産み付けられた動物がどうなるか分かる?」
「卵っていっても1個じゃないわよ。何千の卵なの。それが体の中で孵るの」
「体の中で大きくなってその後出てくるの」
「どこから出てくるかわかる?」
私は少女の異様な饒舌に飲まれ、なんとも返事を返せなかった。
少女は微笑みながら長い髪をかきあげた。隠されていた顔の半分が見える。
少女の目は、目のあるべき場所は、ぽっかりと真っ黒な空洞になっていた。
街灯がジジジ・・・と音を立て、消えた。
↑は「蜘蛛」「街灯」「花」です。
次は「バケツ」「絨毯」「留守電」で御願いします。
自分でルール守ってないし・・・ごめんなさい。
「蜘蛛」「街灯」「花」
バイト帰り、家の近くまで来た時の事だった。ここらは街灯が少なくて暗いので、大の大
人の僕でも時々怖い気分になるのだが、その街灯が突然翳ったのだから堪らない。
「わっ」
と叫んだ途端、街灯は元通りに明るくなり、そして、僕の足元になにかがボトリと落ちた。
見るとそれは大きな蜘蛛だった。
「ああ、蜘蛛が街灯の影になったのか」と独り言を呟くと、
「ええ、驚かせちゃったみたいで、ごめんなさい」
返事が聞こえた。まさかと思って蜘蛛を見つめると、
「はい。わたしですよ。ほら、証拠に足を二本上げますね」
本当にそうした。
「へー。珍しいね。あ、ひょっとして、僕の声にびっくりして落ちちゃったのかい?それだっ
たらこっちこそごめんよ」
「あははは。実はそうなんです。お互い様って事ですね」
「みたいだね」
暫くお互いに人間社会と蜘蛛社会の情報交換をしたり、雑談をした。そして、それがひと
区切りした時、彼は、
「実はわたしはもう長くないみたいなんです。多分、明日の朝までには死ぬと思います。
そこでお願いがあるのですが、わたしを花のそばに埋めてくれませんか?」
「君は花が好きなの?」
「ええ、でも、今日までは生きていくのに精一杯でそれどころじゃなかったので、せめて死
んでからはずっと花を見られたらと思うのです」
「わかった.。引き受けるよ」
だから、今日という彼の命日に、わたしはこの彼の亡骸を埋葬した花壇に墓参りのつもり
で来ているのだ。
えー、やっちゃいました(笑)
117 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 04:06
>>116 夜中にホノボノしたよ。
蜘蛛のキャラがカワイイ。
あー、116の本文の最後の「わたし」→「僕」です。
ケアレスミス。
119 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 04:09
>>114少女の目的が気になるな・・・蜘蛛の手先か?
いろいろ想像させられて楽しい。
120 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 04:34
「バケツ」「絨毯」「留守電」でっす。
バケツの水がみるみるうちに濁っていく。
これだけがんばっているのに、絨毯はキレイにならない・・・。
私は汗を拭くと、気分を落ち着かせるために、何か飲もうとキッチンへと向かった。
ヤカンを火にかけていると電話が鳴った。誰だろう。
でもこんな気分の、しかも取り込んでいる時に電話に出る気なんかしない。
ピーッ
留守電に切り替わった。
「・・・・・掃除しても無駄だよ。」
そう一言だけ言うと、留守電は切れた。
「ヘンなの。」
私はそうつぶやくと、沸いたお湯で紅茶を入れた。
葉っぱがひらくまでの間三分間待っていると、また留守電がなった。
ピーッ
「・・・・・どんなにやってもキレイに落ちないよ、掃除しても無駄だよ。」
私は手にしたカップを取り落とした。その声には聞き覚えがあったからだ。
とたんに背後の空気が重くなった。ゾクゾクする。
まさかと思って振り返る。こんな現象、テレビや映画の中だけの話では・・・
誰かがゆっくりとキッチンに入ってくる。
そこには髪を振り乱して、血塗れになった、夫の不倫相手がいた。
バカな!心臓がとまったのはちゃんと確認したし、第一死体はもう海へと投げ捨てたのに・・・・・!
彼女はぽたぽたと水滴を垂らしながら近づいてくる。
ピーッ
また留守電が鳴った。
「・・・・・私の血は、どんなにやってもキレイに落ちないよ。無駄だよ。」
あーすいません、もうお題出してよろしいでしょうか?
もうみなさん寝ちゃったのかな
アウアウアー(泣)
ちょっとコンビニ行って来ますので、お題書いとくです。
「蝋燭」「記念写真」「長靴」
くちょう、また一歩遅れた(笑)
「バケツ」「絨毯」「留守電」
今日は帰れそうもないなぁ。外はバケツをひっくり返したような大雨だ。帰って帰れ
ない事はないが、これじゃ傘をさしたところでずぶ濡れ。第一、もう日付が変わる寸
前という時間。会社に泊まるのは良くある事で慣れてるから、無理して帰るくらいな
ら泊まった方がマシだろう。ただ、留守電になにか入ってないか気になったので、
それだけ確認して今日は寝る事にした。
トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー…
留守電に切り替わらない。セットし忘れたのかなぁ、しまったなぁ、と思い、切ろうと
したその時、
ガチャ、「はい、石川です」
明らかにわたしのものではない声が聞こえてきた。しかし、石川はわたしの名だ。
「もしもし?」
咄嗟に受話器を戻していた。心臓がばくばくいっているのが聞こえる。なんだ?一体
誰?
凄い偶然だが、たまたま同じ名前の人のところに間違い電話をしたに違いない。もう
一回かけたら普通にわたしの家にかかって留守電になる筈。頭ではそうわかってい
ても、この今わたしたったひとりしかいない状態の中、かけ直す勇気はとてもなかっ
た。なんとも言えない不安を覚えながらわたしは無理に眠った。いつもなら、部屋の
明かりは消すのだが、今日ばかりはそれも出来なかった。
朝になった。睡眠時間は充分の筈なのに、眠りが浅かったせいか寝不足な気分だっ
たが、雨はからっとあがり、朝日が射す事務所の中にいると、いい加減落ち着いてき
て、昨日の自分の怖がりっぷりに苦笑する余裕も出て来た。顔を洗ったりコーヒーを
飲んでいる内に、出勤の早い面々が徐々に出勤して来ると、不安は完全に消えて、
まだ始業時間になっていない今の間に、昨日結局出来なかった留守電の確認をしよ
うという気になった。
トゥルルルルー、トゥルルルルー、トゥルルルルー、ガチャ、「はい。石川です。今出て
いますので、ピーッという発信音の後、メッセージをお願いします。ピーッ…」
普通だ。普通に繋がる。それはそうだ。やっぱり昨日のは凄い偶然だったんだ。暗証
番号を入力すると、メッセージの再生が始まった。最後のメッセージに驚いた。
「あー、真吾です。浩二君、さっきうちに電話しましたか?なんか、すぐ切れた電話あっ
て、ナンバーディスプレイに浩二君の番号出てました。少し心配だったので、念の為電
話します」
時間は0時2分。昨日わたしが電話をかけた少し後になる。真吾ってのは、わたしの従
兄弟の石川真吾。なんだ、無意識に、たまに電話する真吾の番号をかけてて、(当然
ながら)同じ苗字言われて勝手にパニクっただけか。わかってみれば馬鹿馬鹿しいも
んだね。
…「浩二君の番号出てて」?それにあいつに職場の番号なんか教えてない…
どさっ、受話器が事務所の安物の絨毯の上に落ちる音が、まるで遠くの事のように聞
こえた。
アカン。無理矢理ネタくってるから、粗製濫造傾向。
>>116 今ディスプレイに蜘蛛がコンニチワしたんだけれども、なんだか嬉しかったっす。
「蝋燭」「記念写真」「長靴」
わたしが大学の卒業旅行である国に行った時の事です。国の名前はちょっとここでは
言えません。ごめんなさい。昼、市内の観光の時に、同じグループのK子は、前から欲
しかったというブーツを買って大はしゃぎになってました。
「値札に日本語で『長靴』って書いててさー。そりゃ間違っちゃいないけど笑うよねー」
「へー。やっぱり、日本人、お得意様だから、そーゆーので気ぃつかってるのかな?」
ホテルに戻って夕食を食べた後、K子は、
「ちょっと、あたし、今日買ったブーツ早速履いて、外出てみよっかなー。現地のかっこ
良い青年にナンパされたりしてー」
「えー、よしなよー。ツアコンの人も、『ここは観光地ですが、夜は意外と治安が悪いの
で、外出しないようにして下さい』って言ってたじゃない」
「あんなの脅しだよ。万が一なにかあった時、向こうも責任あるから」
「でもさー」
「なんなら、R奈も一緒に行く?」
「んー。やめとく。どうしても行くんなら、気をつけなよ」
「わかってる、わかってる」
でも、K子はその夜外に出て、二度と戻って来ませんでした。警察の捜索でも見つから
ず、生死はわからないが絶望だろう、という事になりました。わたしはもっと強くとめれば
良かったと後悔しましたが、今更どうしようもありません。日本に帰って来た時は、みん
な泣きそうな顔でした。マスコミに取材された人もいるみたいです。当時結構騒がれたの
でひょっとして覚えている人もいませんか?あの事件です。
それから三年ほどしたお盆あけに、職場の人たちの何人かがその国に行ったとかで、
みんなに向こうで取った記念写真を見せていました。わたしも正直そんな思い出がある
ので見たくはなかったのですが、付き合いで見ていると、なにやら不気味な写真が何枚
かあるのです。わたしがそれを見てぎょっとしていると、旅行に行った人のひとりが、
「ああ、それ?それ、××の蝋人形館の写真。すごいリアルでしょ?」
「あ、蝋人形なんですかー。なんか凄いんでびっくりしちゃいました」
「Yったら、大声で『蝋人形って蝋燭みたいに燃えるんですか?』とか言うから、恥ずかし
かったんだから」
「あー、それは言わないってー」
旅行組は雑談状態になりました。でも、わたしはそれどころではなかったのです。なぜ
なら、その蝋人形の写真の一枚がK子にそっくりだったのです。いえ、それだけならとも
かく、あのK子が買ったのと同じブーツを履いていたのですから…
都市伝説風、で。
「ブーツ」→「長靴」、「蝋人形」→「蝋燭みたいに」、卑怯な感じ炸裂。
次のお題、「木琴」「おはじき」「聖書」でお願いします。
あ、でも、俺だったら、もっと巧く「蝋燭」「記念写真」「長靴」消化したの書けるぜ、って方
いたら、それもお願いしたいような…。
実際、今回のお題の使い方は自分でもちと不満なんで。
えー、116が意外と好評なようでありがとうございます。
全然怪談ちゃうし、ファンタジーやん、って事で、正直こーゆー
のは駄目かなー、と思ってたんですが。
実は、多少パクり気味でして、M・R・ジェイムスだかの作品で、
主人公が割と普通にみみずくとかと話をしているのに、憧れて
書きました。
結構蜘蛛好きなんで、丁度良いや、という訳です。
まぁ、ちゅーても、主人公が動物と普通に話す、って以外は
パクってないので、剽窃とかじゃないです。
<「木琴」「おはじき」「聖書」で作ってみますた。> 1/2
あれ?もう俺の話す番?
んーとね、これは俺が小学生の頃に起きた話ね。
三年生の頃。
通ってた小学校の校舎が老朽化して立て直すっ、いうからく楽しみにしてたんだけれども
どこからともなく取り壊す予定の旧校舎に幽霊が出るって噂が流れ出したんだ。
四十年前、ドロボウって疑われたことを苦に、音楽室から飛び降り自殺した女の子がいたらしいんだけれども
今になってその子の幽霊がでるようになったっていうんだ。
図書館の新聞の縮刷版で調べたりしたんだけれども、確かにあったんだよね、それにあたる記事。
こりゃーもうホンモノでしょ、ってことになって
塾の帰りに、みんなで幽霊を見にしのびこもうってことになったんだけれども・・・・
夜の旧校舎は怖かったね。木造だったから廊下歩いているとギシギシ音がして。
音楽室から飛び降りたワケだから、音楽室にみにいかなきゃーってことになって。
4Fにあったから怪談のぼっていかなきゃならないわけよ。
もー誰が先に行くかでモメにモメたね。
結局「魔よけだ!」っていって聖書と御札を用意していたオレが一番前になっちゃって。
ビンボウクジひいたわけだけれども、
やっぱ仲間の手前があるから、つとめて怖くないフリを装ったよ。
そして音楽室の前の踊り場まで来たときに。
ポロン、ポロン
何かを叩く音がすんのよ。
もー、みんなビビりまくって
座り込むやつ、泣き出しそうになるやつ・・・・
でも一応俺、その中ではリーダー格だったから
「よし、み、見に行こう!!」って強がりいっちゃって
音の正体を確かめに行くわけよ。
ま、いま思うとあの時に呼ばれていたんだと思う。
<「木琴」「おはじき」「聖書」で作ってみますた。> 2/2
ガクガクになりながら音楽室の前まできて
そうーっと、ドアをあけると
ポロン、ポロン、ポロン・・・・・・
女の子が一人で木琴叩いているの。
なんだか寂しそうだったな。
俺もう金縛りみたいになっちゃって、ずーっと動けないでいた。
しばらくするとその子、こっち見てニッコリ笑ったんだ。
なかなかカワイイ子だったよ。そして心からの笑顔だったと思う。
こっちを向いて何か言いかけたんだけれども、今思うと俺はやはりガキだったね、
急に怖くなって、持っていた聖書やら御札やらをかかげみたんだ。
急に女の子の笑顔が曇って
スーっと消えていったんだ。
あとから一人だけ俺にくっついてきたヤツがいたんだけれども、
そいつが「やった!悪霊退散だ!」って言ったことを覚えている。
んで、もう次の瞬間には金縛りがとけて、ワーッと叫んで全員逃げ出したんだけれども
用務員さんにみつかってこっぴどく叱られたな。
その用務員さんは事件のことを直接は知らないんだけれども、前任の人から聞いていたらしい。
可哀相な事件なんだからそんな遊び半分で興味をもつな、って叱られた。
そしてみんなにお茶を入れてくれた後に、
まだものがない時代におはじきを盗んだって疑われた、女の子の話をしてくれた。
数ヵ月後の発表会で、木琴の演奏するのを楽しみにしていた女の子の話を。
俺たちは心から反省して、ごめんなさいって言った。
でも何で今になって出てきたんだろう?
用務員さんは説明してくれた。
旧校舎のすぐ下の花壇に小さな慰霊碑があったんだけれども・・・・・
立替でそれが今なくなっているということを。
それからしみじみといった。
「いっつもワシが行くときには音は聞こえるんだけれども姿がみえなくってね、
きっと同じくらいの年の子達がたくさんきて嬉しかったんじゃないかな?」
数ヶ月後、四年生になった俺たちは小遣いを出しあい、移転された慰霊碑にお花とおはじきをお供えした。
今でも時々行ってるよ。
寂しがらせちゃ気の毒だからね。
お題途切れてる隙に、83以降で特に気になった作品の感想書こうかな。
>>96 すごい。怪奇短文。やけに魅力的。ただ、後少しだけ推敲したら、もっと
スタイリッシュな作品になってたかも。
>>98 ちょっと舌足らずな気分。例えば、窓の外を見た後の主人公のリアクションの
説明がないのが不自然。でも、実体験風な作風は良い感じ。
>>99 繰り返す因縁もの。巧い。書き直し前のを見たいけど、消しちゃってますよね?
>>114 被害者が加害者になって繰り返されるパターン?ダークな雰囲気が良いです。
えーと、これ以外の方々の作品も、「駄目じゃん」ってのなくて、なにやら、
このスレレベルたけーって感じです。
って書いてるうちに
>>127がー。
和み系でかなり好みです。その後、「見る」事が出来たかの説明があると
嬉しかったです。
はーうー
ほとんど83さんとワタクシメとのキャッチボール状態・・・
他にも見ている方いらっしゃったら、是非お願いします〜
私もずっとROMっておりますたので。
ちなみに「おぉ!」と思ったのは
>>15、
>>41、
>>111、
>>114、
>>116 さん達ですた。
↑特にクトゥルーには脊髄反射してしまうのでふ。
他の皆様もお疲れ様ですー
ではダンナ起こして弁当つくらねば・・・・
あ、お題のほうは
「魚」「血」「エッチング」でお願いします。
ではでは。
48の感想も書いてー。
【喝】とかでもイイから(T_T)
>>131喝!でもこれはお題が厳しかったね。短文では書ききれなかったんだと思う。
話は面白げなんだけど、不可解さが怖さに繋がってない。
未来に「何か」が関わっているなら、その未来に恐怖を感じさせたほうが(・∀・)イイ!!と思う。
「何か」に乗っ取られるような王道でも「何か」に怪奇が付いて回るものでもいいし。
せっかく予言っていう面白いものがあるんだからそれをどんでん返しに利用したりね。
偉そうなこと言ってごめんよ。、
個人的にこの娘さんの口調気に入ったんで普通に続き読みたい。
133 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 12:49
>>130書こうと思ったけどエッチングの意味がわからねえヽ(`Д´)ノ
検索してみると、なるほど女性には一般的なのかも。
主婦の方が書いたと思うと
>>120が段違いにコワー。
朝ごはんに不倫相手で作った目玉焼きとか出てたりして・・・。
>132
ありがとう。確かに全然恐くないね。 自分の死んだ時の映像が見える、とか
核戦争で地球が滅びる、とか恐そうな終末の予言とかにするとありきたりになっちゃうから、
逆にわくわくさせる終わりかたにしてみた。
でも、続きまで考えつかないねえ。予想される続きは読んだ人の分だけ三者三様かな。
ま、私は作家には向いてないな・・・
135 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 14:21
メチャ遅レスですが、「蝋燭」「記念写真」「長靴」でユキマース
また七月が来る。
私は色あせた記念写真を手にとって眺める。
蝋燭の明かりの中、彼らが浮かび上がる。
ヨッチン、セージ、ブーヤン・・・・・・
相変わらず57年前のまま、10歳のままで時間が止まっている。
そして・・・この長靴を履いている子供は、誰だろう?
見覚えがない・・・・・
それにこんな子いたっけ?
「いたよ」
耳元で声がする。
「みんなを置いて、こいつだけ先に逃げたんだよね。非国民だよ。」
そこにはいつのまにか、写真の長靴の子供が来ている。
「待ち合わせの時間に一人で遅れてきたんだ。途中警報が聞こえてきたからって
自分だけさっさと壕の中に隠れてさ。みんなは心配してこいつをぎりぎりまで待っていたっていうのに。」
子供はそういうと私の正面にまわりこんだ。薄汚れた格好をした、痩せこけた子供だ。
「ヨッチンはアタマがはじけて死んだ。セージは両足がもげたまま、『痛ぇよう、痛ぇよう』っていいながら
最後まで苦しんだ。戻って助けてやりゃヨカッタのにさ。
ブーヤンにいたってはどうなったかはとうとうわからなかったね。あんなに怖がりだったから、
きっとおっかねぇようっていいながら死んでいったんだろうな。」
その子供は切れ長の目をますます細めてニヤニヤ笑った。癪に障る笑い方だ。
私は俯いて目をそらした。禍々しいものを感じる。それにしても、この子供は一体・・・・
「テルオー」
後ろから子供の声がする。これは・・・忘れることの出来ない、セージの声。
「テルオー、迎えに来たよ。」
「こっちむけよ、テルオ。」
ヨッチン、それにブーヤンまでも。
そんな馬鹿な!みんなあの夏の日に空襲で死んだはずじゃぁ・・・・
136 :
あなたのうんこに名無しさんが・・・:02/07/22 14:22
私は振り向こうとして顔を上げたが、目の前のニヤニヤ笑いを見てハッとした。
これは・・・・振り向いてはいけない。
これは、罠だ。
この子供の仕掛けた罠なのだ。
「ちぇ、テルオってば、ツキアイ悪いよな。」
「ケチケチしないでこっち向けよ。」
「なぁー、テルオ、俺たちだってば。」
振り向かなくてもわかる。そこには無惨な姿になった三人の親友達が
私を連れにやってきたのだ。
都会っ子の私に虫の取り方を教えてくれたヨッチン。
木登りにさそってくれたセージ。
そして怖がりのくせに隣村のガキ大将にとられた長靴を、必死になってとりもどしてきてくれた
弱虫のブーヤン。
みんな。済まない。
済まない、許してくれ。
改めて目の前の子供を見る。
子供の顔からは不吉なものは消え、無邪気な笑顔があるのみだった。
「みんな待っているよ、行こう?」
私はうなづいた。そして彼らがちっとも怒っていなかったことを知った。
すべては私の罪悪感と恐怖心が勝手に作り出したものであり、何よりも
幼い日の友情がどれだけ純粋なものであったかを思い出した。
私はゆっくりと振り向いた。
そこには懐かしい日々のままの親友達が迎えに来てくれていた。。
私は駆け出した。
体がとても軽くなり、そしていつのまにか足にはあの長靴を履いていた。
みんなのところに、ゆこう。
「お父さん、お父さん?」
翌朝息子夫婦が気がついたときには、老人は微笑を浮かべたまま旅立っていった後だった。
手にはかけがえのない仲間四人でとった写真を握り締めながら。
137 :
あなたのうんこに名無しさんが・・・:02/07/22 14:25
あっしはアッフォだし
部屋の隅まで這っていって歴史の本調べる余裕もないほど暑いので
歴史的な間違いどっかでしてるやも知れぬ。
それに昔の子供のあだ名で「ブーヤン」ってアリ?
などのつっこみはしないであげて。オレの為に。
>>129褒めてもらえて嬉しいです。最初に書いたのは繰り返しの恐怖による新婚の幸福の崩壊を
書こうとし過ぎて冗長になってたので、変な文を修正すれば
>>99の方が完成度高いかも。
>>99で「翌日、」を繰り返した辺りに名残が残ってます。コピペ多用したので・・・。
最初に書いた奴は、由美が何かあるんじゃないかと調べて行くうちに、前に住んでた
家族は父親が家族を殺して、刺された子供がカーテンにつかまって・・・。ということを知り、
管理人と夫に言う。管理人(初登場時に善人として書いた)はのらくらと追求をかわし、
業を煮やした夫婦はそのままそこを出て行こうと、荷物をまとめるために部屋に戻る。
その時2時になり由美は不意に夫に刺されてカーテンに掴まり、死ぬ。
で、管理人が「子供の居ない新婚なら大丈夫かと思ったんだが・・・。もう4回目か・・・」
と呟いて終わるって話でした。正体の解らない因縁より管理人の怖さが中心でした。
139 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 16:46
誰かか居てくれるのを期待してあげ。
お題は「魚」「血」「エッチング」
俺はエッチングを知らないので書きようが無い・・・。
140 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 17:15
141 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 17:17
「魚」「血」「エッチング」
俺は魚。金目鯛。
こいつは恋人のキャッチャーミット。左利き用だ。
いつも一緒だ。
昨日は一緒にたこを焼いた。キャッチャーミットだから当然方角が気になるわけだ。
東がいいの、と俺にささやいた。そして俺の第23鱗を黄緑に刺激した。
今日は鶴を織っている。鶴は生理中だ。
鶴を織る彼女を描く。正確に直角二等辺三角形を切り抜いた。
鶴から流れ出る経血は、二人の大脳に達する以前に凍り付いてしまうことだろう。
それでもいいのかい?
明日俺は親になる。きっと不義の子だろう。
腐食する銅版は黙すのみ。最後に受けた球はカーブ。
142 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 17:21
>>141 エッチングがないような・・・
「腐食する銅板」かな。難しいですね。
144 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 19:27
2時間かかって書いたのを読み直してたら…
封印確定厨房小説ですた。
145 :
◆EzDvCifk :02/07/22 21:48
みなさんエッチングで悩んでいるんでしょうか?
確かにちょっと難しいお題かも。
「魚」 「血」 「エッチング」で書いてみました。無駄に長いです。
8月31日。夏休み最後の日。課題はすべて終了済み。やることがない。
友人はすべて課題にかかりっきり。暇。
そんなわけで何をするわけでもなく、あたしは一人街をぶらついていた。高校生活最初の
夏休みの締めくくりがこうとは……少し悲しい。
気分を変えようと、探検がてら普段あまりいかない通りを歩くことにした。
おいしそうなケーキ屋さんと、センスのいいアクセサリーショップを開拓することに成功
し、気を良くしたあたしはさらに奥の通りへと進む。
一軒のお店の前であたしは足を止めた。綺麗なグラスがたくさん並んでいる。この間、雑
誌の特集で読んだ記憶がある。
<エッチンググラス>
確かそんな名前だ。
「いらっしゃいませ」
その声でふと我にかえると、あたしはいつのまにかお店の中に入っていた。
「気に入ったものがあった?」
「え?あ、いや……」
突然だったため、うまく切り替えせず、うろたえてしまう。
声の主は女の子だった。あたしと同い年ぐらいだろうか。肌の白い、綺麗な子だ。
その子はくすっ、と笑うと
「ゆっくり見ていって。何せ初めてのお客さんだし」
「……初めて?」
「うち、今日がオープン初日なの」
「そうなの?」
確かにお店の中にはあたし以外のお客さんはいない。お言葉に甘えて店内をゆっくりと見
て歩いた。綺麗にカットされたエッチンググラスにすっかり虜になってしまっていた。
「エッチングに興味があるの?」
「興味というか……凄く綺麗だし」
「ありがとう」
「え?これって、あなたが作ってるの?」
「いくつかはね。今手に持ってるのはそうだよ」
「そうなんだ……」
「あとは、あっちの絵とかもあたしが作ったんだよ」
彼女が指差したお店の奥には壁一面に版画が飾られていた。
「凄い……」
大小さまざまな紙に写された様々な風景。そのどれもが細部まで丁寧に描写されていた。
「これもエッチングで作ったんだよ」
「こんなに細かくガラスに彫るなんて凄い根気だね」
その感想を聞いて、彼女はふふ、と笑った。
「ちがうよ。これは銅版を使ったの」
「え?」
「銅版に線を書いて、それを腐食させるの。それにインクをつめて刷るの。これもエッチ
ングなんだよ」
「へぇ……」
彼女の説明を聞いているうちにふと、すべての版画にある共通点があることに気づいた。
「全部赤いインクで刷ってるんだね」
「……これはね、証なの」
「証?」
「そう、自分が作ったんだ、っていう唯一無二の証」
「でも……赤いインクだけで証になるの?」
「私にしか作れないインクなんだよ」
そう言って、彼女は左手をあたしの目の前に差し出した。魚の模様の入ったリストバンド。
その隙間から白い布が少しはみ出していた。
一瞬の間をおいて、あたしの頭の中にいやな想像が浮かんだ。
「……どうしたの?顔、真っ青だよ」
彼女の声であたしは現実に引き戻された。しかし、頭の中に浮かんだものは消えてはくれ
ない。いや、徐々に大きくなっていくようだ。
版画一枚一枚から、生臭い臭いがする。違う、これは幻覚だ。黒味を帯びた赤いインクが
徐々に垂れ下がっていく。違う、これも幻覚だ。口の中に錆びた鉄の味が広がっていく。
違う、違う、チガウ……。
突然、激しい吐き気に襲われた。
ここにいてはいけない。吐き気をこらえ、あたしはお店から飛び出した。
後ろから彼女の声がわずかに聞こえた気がする。しかし立ち止まることなく、走り続けた。
そこからの事はよく覚えていない。気がつくとあたしは自分の家の前にいた。吐き気はま
だおさまらない。口の中に広がる"血"の味……。
あたしは、家に駆け込むと、そのままトイレに向かい、何度も吐いた……。
最悪の夏休み最後の思い出を胸に抱えたまま、あたしは学校に行った。
始業式前のHR。先生の話もまったく聞こえないまま、あたしは机にうつぶせていた。
クラスの男子が何かひそひそと話をしている。
「……という訳だから、みんな、仲良くな」
「よろしくお願いします」
<終>
151 :
にぬすねふり ◆NINURUYA :02/07/22 22:06
152 :
にぬすねふり ◆NINURUYA :02/07/22 22:07
終わってなかったのか・・・(またやってしまった)
153 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 22:13
>146−149
は48の娘さんの話を書いた人?
「魚」「血」「エッチング」
週末にエッチングをするのがわたしの趣味だ。その為に家の一室を工房として改
装したぐらいだ(といってもそんな大袈裟なものではない)。その日作っていたのは、
ある写真集に写っていたヨーロッパの古い屋敷を題材にしたものだった。古雅な雰
囲気の漂う、しかし、ちょっと暗鬱な感じの屋敷なのだが、妙に心惹かれるものが
あった。時間を忘れて制作に没頭して、やがて完成が見えてくるに従って、「これは
結構な傑作になるのではないかな」と、わたしにしては珍しく変な自信を感じた。
「いたっ」
そういったつまらない事を考えたりしていたせいか、手を滑らせて、鉄筆を勢い良く
左手の親指に突き刺してしまった。こんな事は初めてだったので、しばらく呆然とし
てしまったが、気づくとだらだらと結構激しく血がしたたっていた。慌てて手近にあっ
た人絹で傷を押さえて、救急箱のおいてある居間に行き手当てをした。工房に戻っ
てみると、銅板は一面血まみれになっていた。傷が痛むので、取り敢えずその血を
拭って、仕上げは明日にする事にした。
次の日、もうほぼ完成していたその作品に最後の腐蝕をかけ、仕上げ工程を施し
た。あんな事はあったが、予想通りなかなかの出来栄えのような気がする。わくわく
しながら刷ってみた。やはり、あの屋敷の雰囲気を存分に表現した作品だと思えて、
大いに満足を覚え(まさに自画自賛だが)、額に入れて玄関脇に飾る事にした。
そして、その翌日仕事から帰って来て、玄関で明かりのスイッチを入れてお気に入
りのこの銅版画を見たのだが、ちょっとあれっと思った。屋敷の扉が少し開いている
ように見えるのだ。わたしは閉じた扉を描いたつもりなのだが。まぁ、腐蝕か刷りの
加減でそんな感じになってしまったのだろうと、深くは考えなかった。
だが、次の日、再び見ると、明らかに扉は開け放たれていた。しかも、そこから白い
手のようなものが…。全身総毛立つ思いで、わたしは咄嗟にその額を裏返して見え
ないようにした。そして、しばらくして落ち着いてからもう一度見たのだが、やはり絵は
変化したままだった。わたしは少し考えてから、額から銅版画を抜き取って、火をつ
けて燃やした。そして、原版も気になったので、工房に確認しに行った。それが何故
か血まみれになっているのを見て、わたしは慌てて工房から飛び出し、気味が悪くて
かなわなかったので、その日は家を出て、ホテルに泊まった。
翌日、まさか飛び出したまま、という訳にもいかないので、取り敢えず、職場に欠勤の
旨連絡し、日の光に勇気づけられ家に帰った。そして、大急ぎで業者に連絡を取り、
なんとか今日中に銅板を処分出来る目処がついた。業者が来る事になっている時間
の少し前、血まみれのまま銅板を渡す訳にもいかないので、怖くて堪らなかったが、
銅板の血を拭く事にした。しかし、どうなっているのかはとても見られなかったので、
なんとかそれを見ないよう必死になって目をそらしつつ拭き終えた。やがて、業者が
来たので、銅板を渡したのだが、
「えらく怖い絵ですねぇ。扉から変な人が出て来てるなんて、ホラー映画かなにか?」
聞きたくもない事を愛想良く喋られてしまった。わたしは、ええ、まぁ、とか適当に相槌
を打つ事しか出来なかった。
あれ以来、わたしはエッチングはやめてしまった。工房も再び改装して、(特にいらな
いのだが)書斎にした。そして、さすがに一年もすると、思い出すとぞっとするが、かと
言って毎日なにか不安で堪らないという状態は脱した。そんなある日、何気なく立ち
寄った雑貨店で家に飾るようなアクセサリーを見ていたのだが、ひとつの小振りな銅
製の魚の置物に目を惹かれた。それに手を触れようとした途端、突然、左手の親指
にずきんっと痛みを感じた。そして、その魚の置物の目から血がひと筋流れた。わた
しは、逃げるようにその店から出た。
勘に過ぎないのだが、あの魚の置物は、例の銅板が鋳直されたものの一部なのでは
ないだろうか。そして、今、わたしが怖くてならないのは、いつかあの銅板が鋳直され
て出来た十円玉や銅線に気づかず接触してしまうのではないだろうか、という事だ。
いいよ!
158 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 22:38
俳句や短歌と同じように
出来るだけ短くそぎ落とした文字量の中に
3題を入れて、怖い文を作る人がすごいと思う。
本文長くなっちまったので、別で156の言い訳しよっと。
ええ、M・R・ジェイムスの「銅版画」のパクリですね
(決して、見る度に振り向いてくるビデオの、ではない)
あれは、エッチングやなくて、メゾチントだったと思うけど。
今回は、前の蜘蛛のやつより、あからさまなパクリ。
一応、いじってはいるんだけど、ね。
高校の工芸の時間だかで、エッチングやったんで(と
いっても、めんどい工程は先生がやってくれる、ってゆー
甘あまなもの)このお題で懐かしい気分になったり。
>>158 そそそ。
出来たら、わたしももっと短くまとめたいんだけど、今一歩詰め切れない
のが筆力の乏しい哀しさ。
>>153さん
いえ、初投稿です。というより今日このスレ見つけた新参者です。
>>154さん
俺で良いんですか?じゃあ「CD」「タバコ」「湿気」でおながいします
↑は自分です。
エッチング・・・意外と知られていないものなのですねー
っていうか、ただ単に「額縁」とか「工芸品」としたほうがよかったかな・・・・
失礼しました。
何か言葉の響きにホラーっぽいものを(勝手に)感じたものなので・・・・
ところで次のお題のほうは141さんから出してもらうことになるのかな?
↑あ、タイミング悪し。146さんすません。気にしないで下さい。
>>120さん
いえ、俺もその点が気になってたんで。
141さんが来てくれればそちらを優先していただきたいと。
そうすればまた書けるし。
>>166 いや、デムパではないだろ。かなり技巧的な文章だぞこれは。
普通に読み終わるとなんか周囲が澱んでいるような錯覚に陥るな。
170 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 23:16
>>169 それが電波文のコワイとこなんでないのかい?
171 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 23:17
173 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 23:24
>>169 最後の「腐食した銅版」がかなり残念。やはり「エッチング」で詰まったと思われ。
自動作文なんじゃないの?それにちょっと色つけたような感じ。
175 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 23:36
誰でもいいから次書いてYO!
「CD」「タバコ」「湿気」
引っ越してみてその部屋が異様にじめじめした感じなのに驚く。
下見の時はそう感じなかったのだが。
エアコンをかけて涼しくはなったが、じめじめしたまま。
まぁ、家賃安いんだし、我慢出来ない事もない、と思い、CDを聴く事にする。
壁薄そうなのを考えて音量抑え目で。
ぼけーっとしていると、CDの音が飛ぶ。
ん?また飛ぶ。
止めて、盤面を見る。
別に汚れも傷もない。
念の為、軽く盤面を拭いてかけ直す。
やはり飛ぶ。
しかもさっきとは違う場所で。
デッキの方かねぇ、と考え、飛ぶのがうざいので、止めて、タバコを吸う。
湿気のせいかジジッジジッとヤな燃え方。
ふと、その煙が変な方に流れてるのに気づく。
エアコンの風とも関係ないようなとこ。
場所動いてもそこに流れる。
何気なくそこに近づいていくと、煙は元から備え付けだったベッドの下に向かって流れている。
気になって、ベッドの下を覗く。
なにか紙みたいなものが剥がれそうになっている。
剥がして見てみる。
お札…。
湿気たお札の糊が駄目になったのか。
突然、部屋のじめじめした感じがなくなる。
そして、ぱつっと音がするので驚いて振り向くと、さっき確かに電源を落とした筈のCDコンポの電源が入っている。
スピーカーから、ざざざっという雑音の中、男のうめき声が。
慌てて部屋を飛び出す。
ごめん。文体実験失敗。流石になんなんで、次のお題はほかの方にお願いします。
177 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 23:51
いやいや、文体はこれでいいと思うよ。
お題出して。
178 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/22 23:51
>>176 ちょっとオチ弱すぎ・・・フリからオチへもっと簡潔に収束していくような感じがいいと思われ。
んー、人いるけど、止まってるみたいなんで、177で言われてもいるんで、
お題出しますね。
「ラテン」「ヨーグルト」「つまようじ」
>>178 ですね。書き急ぎ過ぎました。反省。
「ラテン」「ヨーグルト」「つまようじ」@
ボンゴやコンガといったラテン打楽器の音がこだまする。
「ここはどこだ」まわりを見渡すと1000人はいるであろう群衆の中にいた。
群集は誰一人しゃべりもせずじっと前を見据えている。
群集が見ている方向に目をやると、大きな祭壇の上に一人の男が立っている。
「なぜ僕はこんなところにいるのだろうか」
いろいろなことを考えている間に二人の男が祭壇の上に立っている男に近寄っていく。
二人の男は祭壇の男に白い、ヨーグルトのようなものを全身に塗って祭壇から降りて
いった。
「ここはどこなんだ。一体何をやろうとしているのだ。」まわりにいる人に聞いてまわ
った。しかし返答はない。
そうこうしているうちに、また一人の男が祭壇の上にのぼり、祭壇の男に近づく。
その男はたいまつの炎にあぶられていた剣をとり、次の瞬間剣を祭壇の男に突き刺した
祭壇の男は血を吹き出しながら倒れる。
倒れた祭壇の男にもうひと突き加えると、男は祭壇の男の心臓をえぐりだし、その心臓
を高々と空に掲げた。
いままで一言も言葉を発しなかった大群衆は叫び声をあげる。
まさに地鳴りのような大声。僕はだんだん気が遠くなってきた……。
「ラテン」「ヨーグルト」「つまようじ」A
ふと気をとりもどすと、もはや祭典の夜は終わっていた。
まわりの群集はもういない、あさもやが立つ祭壇の上には6〜7人の人だかりが出来て
いる。
近づいてそっと覗いてみると、台の上には血まみれの男が横たわっている。
まわりの人は涙を流しながらじっと男の死体を見つめていた。
ひとしきり泣くと人々はつまようじのようなもので刺して、男の内臓を取り出す。
そして壷のようなものに入れて、抱えてもっていった。
若い女性が泣きながら、男の亡骸の横にそっと木彫りの人形を置いた。
そして僕は現実世界に引き戻された。
貧乏旅行で泊まったメキシコの安ホテル。
寝起きと同時に僕は弟のおみやげにと思い、古い雑貨屋で買った木彫りの人形をリュ
ックから取り出す。
木彫りの人形はどこか夢で見た祭壇の男に似た雰囲気があった。
あの若い女の人が彫ったのだろうか。
この人形には大事な人を失った無念さ、悲しみが込められていたのか……。
次のお題 「地下室」「足音」「帽子」
落とすことの出来ないラテン語の試験に遅刻しそうな彼は部屋を寝癖のまま飛び出した。
学校までは走って10分。急げば間に合うはずだと混乱した頭で考える。
と、道で何やらしている女がいる。
小汚い身なりで道に座り込み、ヨーグルトの容器を持ちそれを一心不乱に食べている様子だ。
通りすがりざま女を横目で見ると、女はつまようじでヨーグルトをすくっては口に運ぼうとしている。
つまようじで食えるかよバカ。
彼はそう思い、思わず苦笑をもらしてしまう。
女がこちらを向き、彼と目があった。
女は突然立ち上がり、彼の肩を押さえると、手に持ったつまようじをぷすりと彼の目に突き立てた。
激痛の中、彼の脳裏に試験のために暗記したラテン語の諺が浮かび上がった。
quieta non movere・・・触らぬ神にたたりなし。
ちょっと遅かったですね。
久しぶりに来て見れば、凄いレス付いてるなぁ・・・
驚き。
お題 「地下室」「足音」「帽子」
坊主、よく聞いておけよ。
地下室に入ると、自分のではない足音がする時があるだろう?
ない? まあ、いいから続きを聞け。
その足音はだんだんと自分の方に近づいて来るんだよ。
勿論、音もはっきりと聞こえる位大きくなってくる。
地下室には自分しかいないはずなのに、一体どこから・・・と不安になってくる。
そのうちなぁ、だんだんと人影が見えてくるはずだ。
それは緑色の帽子を被り、貴族の服を着た骸骨なんだよ。
そいつはお前さんに語りかけてくるんだ。
その話を最後まで聞くと、お前さんはあの世に連れて行かれてしまうんだよ。
そう、そいつは死神なのさ。
そう言うと、骸骨は僕の首を剣で刎ねた。
短編でまとめてみましたがどうですかね?
それでは次のお題行かせてもらいます。
「国道」「雨音」「サボテン」でお願いします。
国道に降りて行く階段には、赤錆が浮いていた。
「…間違いない」
僕はゆっくりと後ずさりして、踊り場から身を引いた。
「2年前のままだ…」
2年前の同じ日、僕はこの建物にいた。一人の少女と一緒に。
しかし、ここを出る時は一人だった。
今でも手にのこる感触、あの痙攣する白い頸…
窓際には少女が育てていたサボテンが残っている。
しとり、しとり。
干涸びたサボテンが水を吸って、
見る間に、血のような紅い花をつけた…
「国道」「雨音」「サボテン」
梅雨もとうにあけたってのに、しとしとと雨が降って、変な日だね。こういう日、
俺、思い出す事があるんだ。
それは、去年の春先…三月に入ったとこだったかな、次の日休みだったんで、
夜、ぶらーっと気の向くままにドライブしてたんだ。
何処に行くの?こんな雨の中 どんな言葉待ってるの?…
ちょっと前に出たばっかりのお気に入りのCDかけて、どこ行くって訳でもなく、
国道とばしてたんだよね。で、あれどこになるんかな、割と田舎な感じのとこな
んだけど、走ってる時に、腹減ってきてさ。最近はあれだよね、昔と違ってそん
なとこでも少し走ったらコンビニ見っかるから楽チンだよね。で、車停めようと
したんだけど、なんか駐車場は塞がってるわ、手近なところも路駐されてるわ
で、えらい離れたところに停める羽目になったのよ。そんで、おにぎりとかお茶
とか買ってたんだけど、そんな時に限ってぱらぱらぱらーっと雨音聞こえてき
ちゃってさ。しょうがないから、しばらく店先で降り止むの待ってたんだよね。で
もさ、降りは静かなもんなんだけど、やむ気配とか全然ないの。なんか、待っ
てんのも馬鹿馬鹿しくなってさ。店とか家とかの軒伝いに車まで戻る事にした
訳。「春雨じゃ濡れて参ろう」って誰の言葉だっけとか考えたけど、まぁ、俺も別
に風流人って訳じゃないんで、足早気味に出来るだけ濡れないよう濡れないよ
うに車の方に向かおうとしたんだけど、途中で裏道あってさ、なんかそっちの方
が軒とか広いの出てて濡れ難そうに見えたから、そっちから回り道する事にし
たんだよね。で、後少しで、車戻れそうってとこで、足になにかゴンッて当たっ
てさ。なんだ?と思って見たら、ちいさい植木鉢が倒れてたの。倒れてるの戻
してみると、それ、俺が前から欲しいなぁ、と思ってたやつだったんよ。あー、で
もパクっちゃいかんよな、流石に、って思ったんだけど、周り見てもさ、どう考え
てもこんなとこに置いてるの変な感じなんだよね。だから、強引に、捨ててる、
って解釈して拾ってきちゃったんだわ。いや、捨ててるにしてもすごい不自然だ
ったんだけどさ。で、今でもウチにそれあるんだけど、今度見に来る?かわい
いよ、たまに餌やるだけで良いし。え?餌ってなんだ、って?あ、そういや、うつ
ぼかずらだって言ってなかったっけ。
「あ、斎藤さん、こんなとこいたんですか?早く戻らないと、主任かんかんですよ」
なに言ってんだよ、休憩だよ、休憩。すぐ戻るよ。ったくサボってんじゃないって
の。サボってんじゃーよ。なぁ?
ホント、ごめんなさい(笑)
「国道」「雨音」「サボテン」でございますー
国道沿いの3Fの部屋の窓から外を見下ろす。
雨が激しくなっていく中、ピカピカ光る看板が見える。
『サボテン園まであと3km』へぇ、そんなものが近くにできたんだ。
「サボテン園、雨が止んだらいってみようか。」
ベットの上でぐったりとした様子の彼女は、口をつぐんだままかぶりを振る。無理もないか。
「何か食べたいものはない?」
また弱弱しく首を振る。喋るのもおっくうなくらいらしい。
「つかれているんだろう、お休み。」
彼女は目を閉じる。真っ青な顔色。急に愛しくなってそっと髪を撫でる。小さなため息。このまま眠ってしまうだろう。
それじゃ、今のうちに用を済ませておくか。
私は一人で外出する。融通をきかせてくれる昔馴染みの医者のところへ。そこでちょっと手に入れたいものがあったのだ。
目当てのものを首尾よく持ち帰り、私はドアをあけてあっと驚いた。彼女がいない。彼女の体がおかれていたくぼみを触
ると、まだぬくもりがある。私が戻ってくる直前までいたのは間違いない。でもどうやって?開きっぱなしの窓からは雨音
がする。私は急いで駆け寄る。
下の国道にはもう人だかりが出来始めていた。私は舌打ちする。あんなにかわいがってやったのに、
ちょっと手荒くしたくらいで怯えやがって。ダメだダメだ、他のを探そう。ま、今はここから逃げ出すことが先決だ。
私は必要なものをまとめると、慌てて廃ビルからとびだした。人の垣根の隙間から横たわる彼女が見える。なんと、手錠が
かかっていない。そしてようやく、どうやって彼女が窓まで行くことができたのかを理解した。彼女は手錠をしたほうの手を
自分で喰いちぎって、窓までいく自由を手に入れたのだ。あの実験の後シーツをとりかえないままにしておいたので、そこら
じゅうにべったり血がついてても私は不思議に思わなかったのだ。
まったくもって、してやられたり!
サボテン園の点滅する照明のなか、血塗れの彼女の口元がニヤリと笑ったような気がした。
83さん・・・・ゆうべ世界まるみえ!テレビ特捜部、見ましたね・・・
(私も見ますた。)
191 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/23 11:45
別れた場所は国道沿いのホテルの駐車場だったのだ
彼女は忘れないでねとつぶやくと
私にサボテンの鉢をくれた
感情のある植物だから大事にして、私だと思ってかわいがってねと
その後の言葉は雨音にかき消されて聞こえなかった
私は頷いたが、その後すぐにそれを捨てた
別れた女から貰った物など邪魔なだけだ
二、三日後に彼女が首を吊ったと知った
妊娠していたらしい
私はそのニュースを呼んで苦笑した
妻帯者だとわかっていながら付き合うような、寂しがり屋の女はこれだからイヤだ
新聞を閉じると、目の前のいつもの朝の風景の中に、捨てた筈のあのサボテンを見つけた
いや種類が同じなだけだろう
でも気分が悪い
妻に聞くと、上の子が幼稚園から貰ってきたらしい
私はあとでこっそり捨てた
鉢が見当たらなくなって子供が騒いだが、それを無視した
翌日、妻が代わりにといって、園芸店から同じものを買い求めてきた
私にはどれも同じものとしか思えぬ
平静を装って、ほう、見せてごらんなどといいながら
鉢を手にして、わざと取り落としたフリをした
なかなか破壊的な音をたててくれたのは小気味よかったが
まっぷたつに割れた鉢の中からは
小さな胎児がはみだしていた
>>190 み?
ここ数年、まったくと言って良いほどTV見てないんですよね。
どんなんだったんです?
シンクロニシティってくらいの偶然だったら面白いな(そんなスレも昔
ありましたな)
グリセリンも結晶化しちゃうかも。
今度は129以降ので、特に気になったのの感想書こうかな。
>>135-136 こーゆーの弱い。どうも、懐かしい子供時代を回顧、ってのが
わたしのツボっぽい(歳か)
>>146-150 最後が、ラブコメみたいなんが素敵(笑)ヤなガールミーツガールだ。
>>182 格言ネタ好き好き。
短いのにお題が巧く道具に使われてて出題側としては嬉しいです。
>>189 病気の彼女を看病するええ話、と思わせて…、巧い。
手首噛み切ったら死ぬ気もするけど、そのツッコミは野暮か。
>>191 いやぁな話。関係ない筈のサボテンが…って理不尽さが良い。
昨日風邪っぽくて書けなかった、自分で書いたのの補足というか
言い訳。
>>156 えっと、怪奇現象を惹き起こした原因は、「血」じゃないです。
「屋敷」の方が原因。
血ぃついたくらいで怪奇現象に見舞われるんなら、もっと荒っぽい作業の
あるような芸術家とかは大変(笑)
ただ、屋敷が原因、ってのを、具体的に書くと、ますます「銅版画」の
パクリになっちゃうのと、長くなり過ぎる感触があったので、最初の方で
匂わす程度に留めました。
>>188 昔、「らくごのご」(関西ローカルかな)の三題噺で、落ちにはもって
いけないわ、お題まだ使い切れてないわ、で、結局、ベタな地口で
しめて、首ひねりながら苦笑して下がっていく桂ざこばにリスペクト(笑)
実は初手に落ち考えついてからの犯行。
お題止まってるから出しときますね。
「かき氷」「花火」「百物語」
夏っぽいのでまとめました。
196 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/23 15:12
「かき氷」「花火」「百物語」
怖がりの癖に怖い話が大好きな性格は、二十歳を越えても変わらなかったようだ。
夕涼みのために二階の窓辺に席を移すと、幼馴染のFは早速怪談を始めた。
盆休みで久しぶりに帰郷した私を、近況報告を交わしたと思ったらいきなりこれだ。
百物語の集いで仕入れてきたというその話は、たわいもないものばかりだったが、
はいりこんで語っているので、カキ氷を食べながら大人しく傾聴することにした。
ひとしきり語り終えると、Fは私にも話せと促してきた。
「一つあるんだけれど、ありふれた話だし怖くないと思うよ」と言ったが、
それでも良いから話せという。
「ある友達が、スキーに行って遭難しかけた時、雪女に会ったんだそうだよ。
殺されそうになったけれど、誰にも話さないという条件で赦してもらった。
でも、彼はその秘密を、誰彼構わず話して聞かせているんだ。
雪女の復讐に会って殺されたりしないのかと思うけれど、
案外平気で生きているようだよ」
私の言葉が途切れた時、カキ氷の中から、小指ほどの芋虫のようなものが
這い出してきた。頭を捻じ曲げ、私の顔を睨みつけるような仕草をする。
「冬になったら覚えておけ、そう言いたいんだろう。
お生憎様、私の住処には雪は降らないし、雪山には一生近づかないさ」
うごめくものは、私の方ににじり寄った。
霜柱のような手足が生え、一瞬女の形になったように見えたが、
暑苦しい大気に押し潰されるように溶けていき、カキ氷の器からこぼれて
恨めしそうに水になった。
夏祭りの花火が窓いっぱいに広がった。
私はカキ氷を一さじすくい、熱い舌の上で溶かした。
怪談好きの幼馴染は、テーブルの上の水溜りを黙って見つめていた。
>>196 こういう話、大好きです。
頭の良い主人公がとても良い感じですね。
では、次のお題をお願いします。
お題
「プール」「パパイヤ」「釣り」
199 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/23 18:10
「プール」「パパイヤ」「釣り」
「釣れますか?」
私がそう聞いたのは、悪趣味な好奇心からだった。
「いやぁ。なかなかです」
中年の男は、水面を眺めたまま言った。安物の帽子にジャケット、クーラーボックス。
釣り竿だけがやたら立派だが、まあおおむね、平凡な釣り人スタイルと言えた。
……ここが公営プールでなければ。
他の客たちは我関せず、と、この頭のおかしな男から距離を取っていたが、
いろいろあってちょっとむしゃくしゃしていた私は、からかい半分に声をかけたのだった。
「あぁ。また食われた」
男は竿を上げ、がっかりした口調で言う。異様に太いテグスの先には、異様に大きな針がある。
そばのクーラーボックスを開けると、中から「エサ」を取り出し針につけ、ふたたび
誰もいないプールに投げ入れた。
「何でパハイヤなんです?」
私は男に問いかけた。 そう。男がエサとしてつけていたのは、切り分けられたパハイヤだった。
まあ、頭のおかしい奴が、今さら何をやろうと驚きはしないが、どう答えるかには興味があった。
「好きだったんですよ。パハイヤ」
男は言った。
釣り糸がはりつめる。
「去年、ここで溺れたうちの娘が。……おっ、来た!」
引き寄せられる釣り糸には、ぶくぶくに膨れた何かが、しっかりとしがみついていた……
次のお題は「三輪車」「かげろう」「浮き輪」でお願いします
200 :
ミスチル・白木:02/07/23 18:14
愛は かげろう
.ノ′ } 〕 ,ノ .゙'┬′ .,ノ
ノ } ゙l、 」′ .,/′ .,ノ _,,y
.,v─ーv_ 〕 〕 .| .il゙ 《 ._ .,,l(ノ^ノ
,i(厂 _,,,从vy .,i「 .》;ト-v,|l′ _,ノ゙|.ミ,.゙'=,/┴y/
l ,zll^゙″ ゙ミ .ノ .il|′アll! .>‐〕 \ _><
《 il|′ フーv,_ .,i″ ||}ーvrリ、 ¨'‐.` {
\《 ヽ .゙li ._¨''ーv,,_ .》′ ゙゙ミ| ,r′ }
\ ,゙r_ lア' .゙⌒>-vzト .ミノ′ 〕
.゙'=ミ:┐ .「 ./ .^〃 :、_ リ .}
゙\ア' .-- ,,ノ| 、 ゙ミ} :ト
゙^ー、,,,¨ - ''¨.─ :!., リ ノ
〔^ー-v、,,,_,: i゙「 } .,l゙
l! .´゙フ'ーv .,y ] '゙ミ
| ,/゙ .ミ;.´.‐ .] ミ,
| ノ′ ヽ 〔 ミ
} } ′ } {
.| .ミ .< 〔 〕
.{ \,_ _》、 .{ .}
{ ¨^^¨′¨'ー-v-r《 〔
パパイヤをパハイヤって書いてる……何考えてたんだ自分……鬱……
お題 「三輪車」「かげろう」「浮き輪」
ほら、1年前、俺バイクでヘマやって東芝林間病院に入院してたじゃん。
そこの病院にさ、男の子が入院してたんだ。
小学校2年生位かなぁ・・・、何でも、もう3年近く入院していたらしいよ。
血液再生不良症候群?とかいう難しい名前の病気でさ、
血液が作り出せない病気に掛かってたんだって。
見た目には全然健康そうなのに、いつ死んでもおかしくなかったらしいよ。
何か知んないけどその子に懐かれちゃってさ、病室が違うのによく俺の所に遊びにきてたんだよ
その子の病室には浮き輪とか三輪車があって、「早く治して外で遊ぶんだ」って、よく言ってたなぁ。
虫が大好きでさ、俺が退院した後も図鑑とか持っていってあげたよ。
何か俺も弟が出来たみたいで嬉しかったし。
特にする事もないからちょくちょく顔を見せに行ってたのさ。
ちっちゃい子のくせに、カブトムシとかクワガタよりもカゲロウが好きでさ、
本人曰く「あの透明な羽と黄緑の体が綺麗なんだ」そうだ。
んでさ、いつものように病室に顔を出しにいったんだ。
そしたら、名札が無くなってて、勿論病室に荷物も無かった。
看護婦さんに聞いたら、5日前に容態が急変して亡くなってしまったって。
ショックだったねぇ・・・ 前に見たときには元気だったのにねぇ・・・
俺、気づいたら家で泣いてたよ。
んで、病院で住所聞いてさ、その子のうちにおまいりにいったんだ。
それで、一昨日がその子の一周忌だったから、電話してお墓の場所聞いてお参りにいったのよ。
厚木霊園なんだけど、あそこ意外と遠いね。
聞いた場所に行ってみたら、お墓が黄緑色なんだよ。
なんじゃこりゃ?と思って近寄ってみたら急に強い風が吹いてさ、その黄緑色がどんどん剥げて飛んでくんだよ。
よく見たらウスバカゲロウがびっしりついてたんだよね。
それこそお墓の裏の所までびっしりと。
ああ、こいつカゲロウになったんだなぁ・・・って思ったよ。
風に乗って飛んでいくカゲロウが、まるで黄緑色の道が天に昇ってく様だった・・・
よく考えてみれば、何で病室に三輪車と浮き輪があるかな・・・
もしかして、やっちまいました?
次のお題、「卵」「カミュ(ブランデーね)」「窓枠」
「三輪車」「かげろう」「浮き輪」
あれは、いつの事だったのだろう。よく思い出せない。多分、夏の事だったと思う。
暑い暑い夜だったから。わたしがいつものように荷物を運んでいる時だった。突
然、なにかが上をよぎった気配がした。わたしは思わず荷物を落として、上を見
上げた。半透明な羽をもった美しい方が飛び去っていく後姿が見えた。月の光が
射して、それはそれは美しかったのだ。
それからというもの、わたしは、あの方の姿を忘れた事はない。いつかまた、きっ
とあの方に逢えるに違いないと思いながら、毎日毎日働き続けている。
今日も暑い…。こんな暑い日は、あの時の事を思い出す。だが、今は昼だ。
荷物を取りに向かっていると、向こうの方から、「きゃっきゃっ」という声が聞こえ
てきた。気になったのでそちらを覗きに行った。途中で仲間に「そっちは危ないみ
たいだぞ」と言われた気がする。だが、ぼんやりと聞き流した。暑かったせいかも
知れない。やがて、人たちが水を掛け合いながら、遊んでいるのが見えてきた。
ちいさい人はなにか円盤を腰につけている。「浮き輪」というらしい。昔彼らがそ
う呼んでいるのを、うっすらと覚えている。わたしと彼らは違うんだ。そう思うとな
にか嫌な気持ちになる。お腹が空いた時の気持ちと似ているような違うような…。
考えながら、ゆっくりとわたしは彼らの方に近づいていったのだが、その時、足を
取られて、ころんだ。はっと気づくと、足元の砂がさらさらと崩れつつ流れている。
わたしは、その流れに向かってゆっくりと滑り落ちているのだ。慌てて、流れに逆
らって這い上がろうとした。駄目だ。足のかけ場がないから、どうしても滑っていく…。
滑り落ちる先を見てみた。そこには醜悪な姿をした化け物がいた…
女の子がTVの主題歌をハミングをしながら、三輪車を走らせている。自分がウス
バカゲロウの巣を踏み潰した事に、彼女は気づかなかった。
あちゃー、書いてるうちに、ウスバカゲロウネタ使われちゃいましたな。
205 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/23 20:10
206 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/23 20:57
>>204 うすばかげろう(成虫)にあこがれるアリさんがうすばかげろう(幼虫)に
つかまっちゃって、そのあと巣もろとも・・・ってことですよね。
(自分アホなんで確認させてくだされ。)
蜘蛛もかわいかったが、このアリさんもサラリーマンみたいでイイ。
>>206 うい。そういうこってす。
最後は「ウスバカゲロウの巣を」じゃなくて、「蟻地獄を」にしたかったん
ですよね。
でも、それしちゃうと、「かげろう」が文章で出てない事になるし、ほかの
ところでも巧く事出す事が出来なかったんで、泣く泣くああなりました。
まぁ、これも三題噺の醍醐味(いや、腕のなさ、では…)
しかし、流石に書いてる途中で、「また虫ネタかよ。わしゃファーブルかっ
ちゅーねん」と思ったものの、シートン動物記は、幼少の頃そこそこ読んだ
ものの、ファーブル昆虫記は、殆ど読んでない罠。
「卵」「カミュ」「窓枠」
起きてからしばらくして、今日が母親の命日だという事を思い出した。むかついたので、
仕事サボって酒を飲む事にした。カミュを生で二三杯飲んだら、悪酔いしてきた。腹が
立って、トイレでゲロった後、もう一回寝た。途切れ途切れな夢をいくつも見て、うなさ
れて目醒めた。夢の中で、母親が得意だった卵料理を食ってるシーンがあったのを思
い出すと、またむかむかしてきた。気分が悪かったので、風に当たるつもりで窓をあけ
ると、もう夕方だった。八階から下を見ると、買い物帰りらしい女が歩いている。西日
がぎらぎらと眩しい。すげぇむかついたので、窓枠のとこに置いてあった枯れたポトス
の植木鉢を叩き落した。ビンゴ!
次のお題、「シーソー」「コバルト」「ハウス」
「シーソー」「コバルト」「ハウス」
ぼくとたけしは夜おそくにハウスをこっそりにげだした。
せんせいがぼくたちをとてもおこるからだ。
ぼくたちは「みなしご」だから、わるいこだってせんせいは言っていた。
ぼくとたけしはまっくらな中、公園へいってシーソーであそんだ。
けれどたけしはとても軽いからじゅんばんにあがったりさがったりできない。
「ねえ、ぼく、これといっしょにのるよ」
たけしはごみばこに入っていた四角いてつのはこをみつけてきた。
そして、あそぶのにもつかれたぼくたちはそのままベンチではこをはさんで寝た。
つぎのひ、ぼくもたけしもあたまがとてもいたくなった。
つぎのひ、たけしのかみのけがたくさん抜けた。
つぎのひ、からだじゅうにくろいぶつぶつができた。
つぎのひ、きもちがわるくてずっとねていた。
つぎのひ、ぼくのつめがぜんぶはがれた。
つぎのひ、たけしのゆびがとれちゃった。
「ねえ、ハウスにかえろうか・・・」
たけしがかいぶつみたいなかおで言った。
「うん・・・でもぼくあるけないし・・・」
ぼくはどろどろになっちゃったじぶんのりょうあしを見てかなしくなった。
「こんなになっちゃって、またせんせいにおこられるかなあ」
たけしはそう言ってうごかなくなった。
〜ニュース〜
放射線医療機器輸入販売業者からコバルト60を利用した医療機器が盗難され、5つの
うち4つは発見、確保されたが残る1つが未発見のまま。この機器は四角い箱状の容器に
放射性物質コバルト60を密閉したもので接触などにより被爆の可能性がある。
症状は、頭痛、吐き気、皮膚に黒い斑点ができる、ひぶくれ、ただれたやけど状の外傷
全身の骨のきしむような痛みなどで、髪の毛が抜けるなどのもの。
つぎは「新聞」「ハイヒール」「換気扇」でおねがいします
ああ・・・
X「痛みなどで」
○「痛み」
ですね・・・。失礼しました。
211 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/23 23:15
「風がふく時」みたいだ。
朝、新聞で別れた妻が死んだことを知った。自殺だった。
子供を事故で亡くし、その後別れたのだった。
記事を読み終えると電話が鳴った。
「カエシテカエシテカエシテ・・・・」
受話器からは妻の声が切れ間無く聞こえてくる。
受話器を置くと、電話線を引きちぎり電話をゴミ箱に投げ捨てた。
会社に出る気にならず、居間でTVのスイッチを入れた。
ワイドショーの司会者は画面の中からこちらをじっと見つめ
「カエシテカエシテカエシテ・・・」と言った。
TVは窓から投げ捨てた。
手持ち無沙汰になり、外に出ることにした。
しばらく歩いて公園まで来ると子供が一人で遊んでいた。
ベンチに座って一服していると、その子はこちらを向き
「カエシテカエシテカエシテ・・・」と言った。
その子は下水工事中のマンホールの中へ放り込んだ。
遠くまで行こうと思い、駅に向かった。
電車を待っていると、前に立っている赤いハイヒールを履いた女が
「カエシテカエシテカエシテ・・・」
と呟いていた。
丁度電車が着いたので、その女を線路に突き飛ばした。
電車に乗りそこなったので家に戻ることにした。
帰る途中、すれ違う人々は皆
「カエシテカエシテカエシテ・・・」
と妻の声で呟いていた。
家に戻っても
「カエシテカエシテカエシテ・・・」
と妻の声が聞こえる。タンスの隙間から。電源の入っていないコンポから。
換気扇から。浴槽から。トイレから。
アイスピックで耳を突き刺した。
それでも頭の中には声が響いてくる。
マンションの屋上から飛び降りることにした。
次の日、通りすがりの人が植え込みの中に落ちている携帯電話を拾った。
呼び出し音が鳴り、耳に当てた。
「カエシテカエシテカエシテ・・・」
213 :
◆ifJNivas :02/07/23 23:50
いやはや、まったく皆様レベルが高い。
レスは伸びないけど、秀スレですね。
>>212の方
お題をお願いします。
スマソ、忘れてた。
図書館、夢、自転車でおながいします。
215 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 00:09
おかしな夢を見た。
暗い図書館の中。
机に向かって、髪の長い少女が本を読み漁っている。
何の本を読んでるの?
「あ、これ?あなたのこれまでの人生が書かれているの」
僕の…今までの人生?
「そうよ。でも、あなたまだ若いから
読む量が少なくて助かったわ」
何でそんなもの読んでるの?
「裁判のためよ」
裁判?
「死後の裁き、て知らない?」
そこで目が覚めた。全くもっておかしな夢だ。
時計を見ると、既に8時過ぎ。まずい、遅刻だ。
あわてて自転車に飛び乗り、全力で漕ぎ出す。
と、そこで僕は昨日の夢の意味を理解した。
しかし、その時にはもう僕の身体は
トラックに弾き飛ばされ、
地面に叩きつけられる寸前だった。
「携帯電話」「亀」「悲鳴」
でよろしく。
やっと書けたよ。
「図書館」「夢」「自転車」 1/2
子供の頃、自転車に乗ってあてもなく走っていると、このまま、どこまででも行
けると思った。おばあちゃんの住んでいる隣の××市、一番都会な(ってその
時は思ってた)△△県、そして、テレビで見たアメリカ、フランス、スイス…。で
も、隣町まで行くと、もうどきどきしてた。そして、隣の隣の町(別の校区になる)
の直前まで来たら、いつも、「もう遅いから」って帰ってた。まだ隣町までしか
戻ってないのに暗くなり出したら、怖くて怖くてたまらなくて、どうにか家の近く
まで来ると、ほっとした。そして、明日こそは、絶対にもっと遠くまで行くんだ、
って思った。でも、結局、次の日も同じとこで引き返してたんだ。ある日、やっ
ぱり隣の隣の町の前から引き返してる途中に、「今は時間がないから、もっと
大人になって、遅くまで家を出ててもお母さんに怒られないようになった時に、
行こう」。そう考えて、次の日からは、そんなところまで自転車では行かないよ
うになった。
中学や高校の時も、時々その事を思い出したんだけど、ひとりで苦笑いする
だけだった。
そして、いざ大人になってみると、そんな「時間」なんてない事に気づいた。い
や、ない事もない。ゴールデンウィークやお盆休みだってあるんだから。でも、
その間ずっと自転車に乗り続けても、あの時思ってたみたいにどこまでもは行
けない、って事に気づいてしまったから。
ある日、調べものがあって、隣の隣の町の図書館まで行く事になった。いつも
なら、電車に乗って行くんだけど、朝シャワーを浴びながら昔の事を考えたて
たら、なんだか、無性に自転車に乗って行きたくなってきた。物置に高校の時
に買ってもらった自転車が仕舞いっぱなしになってるのを思い出したので、ほ
こりまみれになりながら出してみた。赤錆が浮きまくってて、ちょっとキーキー
いうけど、タイヤに空気を入れたら、まだ走れそうな感じだった。いざとなったら、
乗り捨てて電車に乗っても良いんだし。
久し振りに乗る自転車は、なんか気持ち良かった。風を切る感触なんて、すっ
かり忘れてた。でも、日頃の運動不足のせいで、汗だくになる。だけど、それも
なんだか楽しかった。タオルでその汗を拭い拭い、走り続ける。
ずっと走ってて、まだ図書館に着かない事に気づいた。なんだか随分長い事
走ってた気がするのに。腕時計を見ようとした。あれ、ない…。確かに朝つけ
てきた筈なのに。
「図書館」「夢」「自転車」 2/2
「あれぇ、敏樹じゃねぇが。どうしただ?突然」
聞き覚えのある声に、そっちを見ると、××市のおばあちゃんだった。え?と
思って辺りを見ると、確かに××市のおばあちゃん家の前だった。いくらなん
でもそんなに走った覚えはない。途中に山だってある。あ、そっか、夢なんだ、
これ。そう気づいたけど、おばあちゃんに会うのは(夢の中とは言え)久し振り
だったから、折角だし、もう少し状況を楽しむ事にした。
「まぁ、自転車なんが乗って来たんか?汗まみれでねが。ちょうこっちさ来で、
冷たい麦茶でも飲みんせ」
「うん、そうするわ」
相変わらずおばあちゃんは、世話焼きだ。ちいさい頃は随分おばあちゃん子
だった。今でも、おばあちゃんは大好きなんだけど、ついつい足が遠くなってい
た。
「久し振りだねぇ。今日は泊まっていぐんか?」
「あー、今日はちょっと、ぱっと思いついて来ただけで、明日も仕事あるから泊
まれないわ」
「そっが…」
おばあちゃんがすごく残念そうにしてるんで、
「あ、でも、今度のお盆休み絶対来っから、な?」と付け加えた。
「あ、そだそだ。これ、こないだ、掃除してたら出てきだんけど、俊樹にやるで」
そう言って差し出されたのは、古めかしい懐中時計だった。
「おじいが、俊樹さやれ、言うてたんじゃけど、なくしてしもうてたで。丁度ええが
ら、今日持ってぐとええ」
受け取って開けてみると、まだちゃんと動いてる。すごい骨董ものだ。
「わー、ありがとー。大事にするで」
しばらく話してから、「ほだ。もうそろそろ帰らなイカンで…」
「絶対、お盆さ来るんで」
「うん、絶対来るがら」
夢の中の事とは言え、本当にそうしようと思った。
手を振りつつ自転車に乗って走り出す。どの程度走ったら目が醒めるんだろう、
と思ったら、いつの間にか目が醒めた。ほらね。
二度寝しちゃったみたいだ。もう外は暮れかけている。やれやれ、調べ物はまた
今度するしかないな。だけど、今何時なんだろ。枕元のいつも腕時計置いてると
ころに手をやって、それらしいのを掴むと、やけに重い。見るとおばあちゃんに
貰ったあの懐中時計だった。
とうとう、二レスに分けなきゃ書けないよ、とほほ。
方言は、ちょー適当なんで、スマソ。
219 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 03:15
「携帯電話」「亀」「悲鳴」
「悲鳴が聞こえるんですよ」
刑事の取り調べに、行きずりの通行人18人を轢き殺した男は言った。
「最初は半年前。水族館で魚を見ていると……一匹の海亀がこっちに泳いできて、
ぱっくり口を開けて……悲鳴を上げたんです。
恐怖と恨みと絶望がたっぷり混じった悲鳴……けど、まわりにいた他の人たちは誰も悲鳴に気づかなくて。
それからしょっちゅう悲鳴を聞くようになったんです。TVがラジオがカーステレオが携帯電話が
子供が大人が男が女がことあるごとに同じ悲鳴を上げるんですよ。
悲鳴は耳にこびりついて、どうしようもなくなって、誰かのいやがらせだと思って、
ならその誰かを殺すしかないって思って、車で人ごみに突っ込んで、
それでもみんなが上げるどの悲鳴でもなくって、お願いですから刑事さん悲鳴を上げるのをやめてください!」
弁護士は精神錯乱による無罪を主張したが、世論と裁判官はそれを認めなかった。
死刑が執行される直前、男は恐怖と恨みと絶望がたっぷり混じった悲鳴を上げ続けたという。
次のお題 「ひまわり」「ぬかるみ」「風鈴」でお願いします
「携帯電話」「亀」「悲鳴」
「でさ、海亀のスープ、って話知ってる?」
「えー、知らなーい」
「わたしも知らない。どんな話?」
「ええっとさ…」
「遭難中に、人肉スープを海亀のスープだって言われて飲んだ船乗りが、帰って
から本物を飲んだから気づいて、自殺する話でしょ?」
「う…」
カラオケも疲れてきて、でも、終電までまだ多少時間あるから雑談モードに入った
のだが、さっきから、このK美という女は、人の話の腰を折ってばかりいる。一体
なんなんだ。大体、人数合わせだか、ほかの女の子の引き立て役なのか知らな
いが、この女は、別に誰かと喋ろうってのでもなく、歌うの勧めても頑なに断るは
で、なにが楽しくてコンパに来たんだかわかりゃしない。挙句雑談に入ったらこれ
だ。決して顔はブスってのじゃなくて、どっちかというと整った方だとは思うんだが、
性格ブスの一種か。この女のせいで場は盛り下がりまくりだ。俺は、こうなったら
突っ込まれないように、適当に作り話をする事にした。
「相手が自分の事好きかどうかわかるメールってのがあってさ」
「へー、どんなの?」
「…」
K美が口を開くような気がしたので、一気に畳み掛ける事にした。
「タイトルも本文も両方、『いとしかしこし』ってだけ、ひらがなで書いて送るんだ。
そうして、相手からもおんなじのが返って来たら、大好き。それ以外のが返って来
たら、まぁまぁ脈あり。なんにも返って来なかったら、脈なし」
「へー」
微妙な反応…。しょうがないから、もうちょっと付け加える事にした。
「だけど、これ、もし、相手が自分の事嫌いかも知れなかったら、やめといた方が
良いんだ。もしもそうだったら、なにが返って来たとしても、自分が死んじゃうの」
「へー、そうなんだー。怖いねー」
どうも外したらしい。
その後、T子とAに携帯番号とメルアドを教えたんだけど、こっちにも教えてくれ、
って言ったら、「あー、こっちから電話かメールするからー」。駄目っぽい。
家に帰って玄関に入った瞬間、メールが来た。携帯電話を見ると、「件名 : いとし
かしこし」。んだよー、あんな事言ってたけど、そう来るんかー、めちゃかわいい事
するじゃん。そう思って、早速、同じのを返した。
「ぎゃーぁぁぁぁぁあぁああぁ」
突然、凄まじい悲鳴が響き渡った。怖くなって、布団をひっかぶって、寝るに寝ら
れないままいると、隣の部屋の方からどたばた音がして、やがて救急車が来たり
の大騒ぎだった。朝になって、学校行くのに玄関を出ると、大家さんがいて話しか
けてきた。
「昨日の夜、ここのF原K美さんが、なんか、発作起こして亡くなっちゃってねぇ」
「らくごのご」のオカ板版?
あの番組見なきゃ、「つるべ」ってすごい、とは思わなかったなろうな。
うちのひまわりはおもしろい
おおきなおくちがついていて ひのでとともにけらけらわらう
ふうりんのおとでくねくねおどる くるくるまわる
ぼくのきらいなだいくんも おおきなおくちでたいらげちゃった
はたけにはあかいぬかるみがたくさん
つきのひかりがじゃまするまえに おつちをたくさんかけなくちゃ
うちのひまわりはおもしろい
何かいまいちですいません。
次は「入道雲」「布団」「雫」でお願いします。
沈んだのであげ
225 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 19:06
「入道雲」「布団」「雫」
二十年くらい前になりますかね。その頃、羽振りの良かった事もあって、有名な
避暑地に別荘を買ったんですよ。バブルってやつですかね。今から思えば随分
な無駄遣いでした。毎年、夏になると、仕事の合間合間に行く事にしてました。
ある年の夏―その年初めて行く時でした―いつも別荘に行く時一緒の飼い猫の
ミコが珍しくむずかるんですね。まぁ、その時は、機嫌の問題だろう、ぐらいで深
く考えなかったんですが、後から思えば、なにかを感じてたんですかねぇ。
それで、別荘の近くにある管理事務所に寄って鍵を受け取りに行ったんですよ。
ちょっと驚きましたね。管理人―四十過ぎの痩せた男なんですが―が見るから
に青褪めて憔悴しきった様子なんです。去年までは活力的な感じの男だったの
に、ですよ。心配になって、「失礼ですが、お身体の具合でも悪いのですか?」っ
て訊いたんですが、「いえ、全然。ただ、昨日飲み過ぎましてね。二日酔いです
よ。はははは」と返ってきました。そんな感じでもなかったんですが、それ以上言
うのも失礼じゃないですか。だから、もう鍵を受け取って別荘に向かいました。
別荘に着くと、もう日は沈んでいました。疲れていたので、シャワーを浴びて、軽
く夕食を食べて、その日はすぐ寝ました。起きてみると、実に爽やかな朝なんで
すよ。もう、朝食を食べる時間も惜しくって、早速散歩に出る事にしました。こう、
都会と違って空気がうまい中を、若者たちがテニスをしているのや、真っ青な空
ににょきにょきと大きな入道雲が育っているのを眺めながらの散歩は、なにもの
にも替え難いですな。そうこうしているうちに気づくと、日が結構高くなって、流石
に少し汗ばむ感じになったのと、朝からなにも食べていないせいで空腹を感じた
ので、一旦別荘に戻る事にしたのです。
別荘に戻ると、ミコの姿が見えない事に気づきました。心配になって、いくつか部
屋を見ていくと、寝室でベッドの掛け布団がもぞもぞしているのを見つけました。
ミコは、良く家でもそういう事をするのが好きな子なので、てっきりそうだと思って
布団をめくってみたんですね。そうしたら…そこにあったのは、女の首でした。紫
に腫れ上がり、目をかっと見開いた若い女の首だったのです。しかも、どうしても、
それから目を逸らす事が出来ないんですよ。金縛りとかいうものかも知れません
し、蛇に睨まれた蛙といったところだったのかも知れません。どのくらいそうして
いたのかわかりませんが、随分長かったような気もしますし、一分もなかったよ
うな気もします。やがて意識が朦朧としてきたんですね。でも、こんな時に意識を
失ったらどうなるかわかったもんじゃありません。必死に意識を保とうとするんで
すが、どうにも駄目なんです。その時でした。「みぃぎゃー」凄い声が聞こえたん
です。そうすると、女の目からつぅーとひと雫涙が零れたかと思うと、じわぁっと消
えていったんです。「みぃやぁあ」今度は甘える感じの声です。はっと振り向くとそ
こにはミコがいました。やれやれ、白昼夢でも見ていたのか、と思ってベッドに目
を戻したんです。そうしたら、あの女の涙が零れたところだけ、濡れているのが
わかりました。
ええ、大慌てで荷物をまとめて、逃げ出しましたよ。それから一週間くらいしてで
した。あの別荘の管理人が若い女との痴情のもつれで、女を絞殺して、遺体を
山に埋めていた、ってニュースになったのは。お陰でわたしも警察に色々訊か
れたり大変でした。なんでも…あのベッドの上で女を絞め殺したそうです。そこ
でひと晩寝たのかと思うと堪りませんね。
当然、別荘は二束三文で手放しました。その後、十年くらい経ってからホテルが
建ったと人伝てに聞きましたが、二三年で潰れて、経営者は一家心中したそう
です。
苦しい「雫」の使い方。
実は「零れる」を「雫れる」と勘違いして終盤で間違いに気づいたので訂正。
危なかった。
次のお題は、「人形」「学校」「小麦粉」でお願いします。
首の表現が結構良い感じです。
次の作品お待ちしてます。
汗 いとこ 自転車
228 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 20:22
「人形」 「学校」 「小麦粉」
僕が中学生3年生の頃。
いつもの長くてつまらない授業を終え、ちょうど部活も休みで親しい友達と友達の家で遊びにいくことに決めたんです。
まず自分の家で着替えなどをして友達の家に行こう。と決めていました。
家について教科書などを机に整理していると、教科書が足りないことに気がつきました。
「あれ?忘れてきちゃったのかな?今日の宿題あの教科だったのにな」
僕はしょうがなく友達に電話して、学校にとりに行くことにしました。
学校へつくと、部活動で走っているのであろう掛け声が聞こえてくる。
そして校内へはいって自分の教室へ向かいました。
「はじめて放課後に学校へくるな〜。」
そんなことをつぶやきながら階段を上がっていました。
そして、いつもとは違う異変に気づきました。
「あれ・・・?吹奏楽部の音楽が聞こえないぞ・・・?変だな?」
そう、吹奏楽はほぼ毎日あるはずでした・・・・・今日もあったはずなのですが・・・
なんかで休みになったんだろうな、と呑気に考えながら階段を上り、教室の前まで来ると目の前にはなぜか
教室があるはずなのに壁がありました。
「あれ〜?これじゃあ忘れ物取れないよ・・・・」
僕は侵入者が中へ入らないように放課後はこうしてあるのかと思っていました。しかし、はじっこに
「小麦粉は殺人鬼だ」
と書かれていました。不思議でしたが僕は笑いながら
「えぇ〜小麦粉がねぇ〜?」
つぶやきました。そしてふと右手のほうを見ると・・・・・なんと五月人形らしきものがなぜか落ちていました。
なんだろう?と手にとって見ると人形の首がボロッと落ちて中から小麦粉が吹き出てきました。
「わぁぁぁ」
驚いて人形から手をさはなすと、僕の背後から冷たい感じで「ヒャヒャヒャ小麦粉は殺人鬼だよ・・・・」という声がしてきました。
「わぁぁぁぁ!!!」
ずーっと流れるその声に恐怖で身を縮めた僕の横に人形の首がありました。思わず目をると、人形の目がギロリとこちらを向き、
「小麦粉は殺人鬼だよ・・・・ヒャヒャヒャ・・・・ハッハッハッハ!!」
なんと人形はそう喋ったのでした。
「やめて、やめてくれええええええ!!」
そう叫ぶとふっと目が覚めました。
「ゆ、夢か・・・・学校の中で眠ってたのか・・・・」
そう思うと苦笑いがでてきました。そう、教室の前で眠っていたのです。
「さぁ、忘れ物、忘れ物・・・」
教室の中に入った僕は、どんどん下へ落ちていく感覚に襲われました。
教室は、なぜか床が抜けていたのです・・・恐怖に襲われながら自分の下の方をみて、目を見開きました。
「小麦粉は殺人鬼だ」
そこには血が滴ったようにそう書いてあるのです。あまりの恐怖に声も出せない僕は、その文字がだんだんと近づいてくるのを見ていることしかできませんでした。
終わり
次は「肝試し」「土」「水」の三つでお願いします
229 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 20:28
訂正・・・・
したから二行目「思わず目をる」=「思わず目をやる」
です。失敬。
230 :
ニバス ◆ifJNivas :02/07/24 20:58
お題 「肝試し」 「土」 「水」
「はい!分かる人手ぇ挙げて〜♪」
はいはいはいはいと手を挙げる生徒たち。
「それじゃぁ、しんじ君!」
「えとー、土と水だと思いますっ!」
「はいよく出来ました〜、そうですね!」
「野菜を育てるのに必要なものは、栄養たっぷりの土と綺麗な水です〜」
はい!と1人手を挙げる生徒がいる。
「ん?たけし君、他に何かある?」
「おじいちゃんは、肝試しが大切だって言ってました!」
「たけし君うちは農家だったよね、どうして肝試しが大事なのかな?先生に教えてもらえる?」
「うん、おじいちゃんは人を怖がらせるのがホントに上手いんだ!」
「びっくりして、倒れちゃうくらいなんだよ!」
「おじいちゃんは、脅かした後、血を全部抜いて野菜に与えるんだ!」
「だから、うちのトマトはあんなに真っ赤で美味しいんだよ〜!」
得意げにたけし君は言う。
231 :
ニバス ◆ifJNivas :02/07/24 21:08
次のお題
「 便器 」 「 沼 」 「 朝 」
でお願いいたします。
232 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 21:18
>>227 ここは「前の人にもらったお題で最初に話を作った人が次の話のお題を出す」
というルールでやっているのですよ。
くーぱくさんも創作に参加されてはいかがですか?
233 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 21:40
小さいころの話。
僕はよく町の外れにある沼に釣りに行っていた。
フナが結構釣れる場所なのだが、どういうわけかいつも人がいなかった。
まあ、おかげでいつも入れ食い状態だったんだけど。
その日も朝早くから沼に出かけた。当然、人っ子一人いない。
いつものように、釣り針に餌をつけ、水面へ放る。
待つまでもなく、早速ヒットした。
引き上げようとするが、これが異常に重い。
竿が折れるんじゃないか?と思っていた矢先、
サバァッ
水面から、鱗でびっしり覆われた腕が飛び出してきた。
やがて、水面からぬらりと光る眼が。
その時点で既に僕は逃げ出していた。
どれくらい走ったろう。
急に腹が痛くなり、僕はその場に立ち止まった。
見回すと、簡易トイレがあった。
いてもたってもいられず、中に駆け込んだ。
便器から、先ほどの腕が
ぬっと突き出していた。
「虹」「ねじりはちまき」「ブーメラン」で
よろしく。
234 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 21:47
「便器」「沼」「朝」
「たすけてっ・・・!」
朝・・・
排便がイヤでならない。潔癖性とか、そういったことではない。
自分の垂れ流した便が、どこへ行くのか想像せずにはいられないからだ。
特に和式便器というのは自分の便をどうしても見てしまうため、排便できない。
小さい頃、老人はこう教えてくれた。流れた便は近くの沼に流れていく。
深い深い沼には今まで流したみんなの便が沈んでいる。だから近づくな、と。
「だからダメだっていったのに」
沼には大量の便が沈んでいるのだ。だから近づいてはいけないのだ。
「たすっ・・・ごぶっ」
沼には大量の便が沈んでいるのだ。だから近づいてはいけないのだ。
朝・・・
排便がイヤでならない。便は沼へ流れていくのだ。
沼には友人が沈んでいるのだ。
「耳かき」「煙突」「手首」
236 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 21:51
「虹」「ねじりはちまき」「ブーメラン」
お題はこちらですね。
それにしても、結構被るもんですねぇ・・・。
237 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 21:58
>>234 生々しいな。コワイというよりイヤな話だな。
238 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/24 22:42
>>234 う○こするたびに、目の前で溺れた友人が・・・いやだなあ
漏れも朝はウ○コするし、便器、沼。お題が全部有機的につながっていてなかなかいいっす
「虹」「ねじりはちまき」「ブーメラン」
え?どうしてそんなに怖がるのかわからないって?
そっか、そうだよね、普通はむしろ喜ぶよね。
昔ね、僕の家は、おかあさんが早くに亡くなっちゃって、僕、おとうさん、おばあ
ちゃんの三人暮らしだったんだ。おばあちゃんってのが、こう、昔な人でさ。運
動会の日とかなんか、ねじりはちまきにたすきがけで、「孝広頑張るんせ。わし
も気張ってお弁当さ作るで」とか言って、僕以上に気合入ってたりするの。その
格好で応援来たりするから、友達とかにからかわれて大変だったんだから。
でも、僕はおばあちゃんが大好きでね。大体、おばあちゃんだから、孫の僕に
甘いじゃない。それに、おとうさんは仕事で家出てる事が多かったしね。
おとうさんが久し振りに帰って来た日なんだけど。「孝広、これ、前から欲しい
言うてたから、買って来たで」って、なにか箱くれたの。開けてみたら、なんか、
変なでっかい手裏剣みたいなんが入ってる。
「おとうさん、これ、なんね?」って聞いたら、
「ブーメラン欲しい言うてたじゃろ」
「えー、こんな形のブーメランじゃないー」
「お店の人が、最近はこういう形のが普通で、こっちの方が投げ易いし戻り易
いんですよ、言うてたんじゃ」
「えー」
しばらくごねてたんだけど、「そだにうるそぉ言うんなら、捨てで来るき、後でな
ん言うても知らんぞ」とか言うなら、しぶしぶ納得したんだよね。
で、次の日、原っぱでそれ投げて遊んでたんだけど、やっぱ、子供だね、投げ
てるうちに楽しくなって来て、夢中になって遊んでたの。夕前になった時に、
「孝広ー、もうすぐご飯出来るき、もう帰るどー」、おばあちゃんの声だ、って思
った時に手元が狂って、あさっての方向にブーメランが飛んでったの、で、くくく
くーって曲がって、見失った途端、斜め後ろで、ごっ、って大きくて鈍い音がした
んだ。振り向いたら、おばあちゃんが倒れてた。
結局、色々あったんだけど、僕が幼い事もあるから、ころんで頭を強く打った結
果亡くなった、って事になったんだよね。
でもね、思い出すんだよ。瀕死の身体で「孝広、大丈夫じゃ。ちっと血ぃ出とるけ
んど、大丈夫じゃ…」って、ずっと呟いてるおばあちゃんの事。その頭からほと
ばしり出た血しぶきに一瞬虹がかかった事。
インチキ方言第二段。
次のお題は、折角だから、234さんの「耳かき」「煙突」「手首」でいきましょう。
「虹」「ねじりはちまき」「ブーメラン」
深夜。タクシーの中。
お客さん、この橋知ってます?
虹の大橋っていうんですよここ。
神奈川県の自殺の名所。自殺が多いだけにやっぱりいろいろあるんですよ。
フェンスを下から手がつかんでたとか。
写真を撮ると必ず霊が写るとか。
でね、もう3年ぐらい前になるんですけど、
大学生のカップルが肝試しに来たんです。もちろん夜中ですよ。
あんなとこ昼間だって遊び半分にいっちゃあいけないですよホント。
で、そのカップルなんですけど、
橋の真中あたりまで来たときに人が立ってるのに気づいたんです。
さえない中年の男で、フェンス越しに下をぼーっと眺めてたんですって。
すわこれは霊か、ってカップルも肝をつぶしたらしいですけど、
よく見れば足もあるし身なりは背広だし足元には遺書らしき封筒も置いてある。
これは自殺者だってんで彼氏の方が止めにはいったんです。
ところがその瞬間に男が飛び降りてねえ。
何の因果かその男は首を吊ろうとしたらしくてね、ロープが、こう、シュルシュルっと。
タックルしようとした彼氏の頭に巻き付いちゃったんですねえ。
万力でねじりはちまきを一気に締めるようなもんですよ。
ロープがぴーんと張ったと思ったら、頭が、こう、グチャッと。
トマトみたいでしたねえあれは。
彼女の方はもう半狂乱ですわ。泣き叫んで彼氏に駆け寄ろうとして。
そしたら飛び降りたはずの男がふわっと戻ってきてねえ、
ブーメランていうんですか?とんでったのにまた戻ってくるアレ。
あんな感じですわ。
で、彼女の足首を、こう、がしっと。
で、ニヤリと笑って、また、下にね、彼女つかんだまま、ひゅーんて。
え? なんでそんな詳しく知ってるんだって?
だってその飛び降りた男、アタシですもん。
次は「台風」「ひげ」「時計」で御願いします。
遅かったか・・・。
ここ創作文芸の丸パクリかと思ってたんだけど違うみたいね
話創るのって時間掛かるからかぶるのは仕方ないと思うけど
いちいち「お題は>>_で」みたいにレスしなおすと興が削がれるから
創る人が黙って前のお題使えばよくない?
あと創作なんだから直後に訂正いれるのもやめない?
推敲してから書きこもうよ
とちょっと思ったり
193以降の気になった作品。
>>196 こういうの見ると、「くそう、観測史上最大の寒波とかが来て
やられちゃえ、主人公」とかな、ひねくれたものを覚えます(笑)
>199
愛する娘(脳内補完)に釣り針かけるなよ(笑)
ラスのひき加減好きです。
>212
伝染する呪いネタ。半角が良い。
>>230 血まみれ農園、素敵っ。
死体とかを肥料に使う話は割とツボ。
>>234 ぐぅ、なぜか、スカトロ画像を間違って開いたようなショックだ(笑)
でも、中盤の匂わせ加減(ものがものだけに(おい))は巧い。
>>242さん
>あと創作なんだから直後に訂正いれるのもやめない?
>推敲してから書きこもうよ
僕もそう思いました。以後気をつけます。
>>242 > あと創作なんだから直後に訂正いれるのもやめない?
> 推敲してから書きこもうよ
> とちょっと思ったり
極めてご尤もなんだけど、慎重に推敲してても、誤字脱字はスルー
しちゃう事もあるのも事実。
プロの校正ですら、たまには(ひどいとこだとしばしば)やっちゃう事も
あるぐらいだし。
ちゅー訳で大目に見てつかぁさい。
駄目?
と言いつつ自分自身は書き流した後、さらっと一回だけしか推敲
しないのだが(手抜き)
よし!後から誰か回収してサイトを作ろう!
と言ってみるだけのへたれ(w
俺も気をつけるっス。まだ一回しかかいてないんですが(w
しかしこのスレ結構期待されてるんだねぇ。
>>246 ちょっと回収してみたいと思ってます。
このスレ自体、感想とか書き込める雰囲気じゃないみたいなので
CGIとかで、感想書けるようにしたいですね。
>>234 ものすごい巧くないか?無駄のない短い文章で話の骨格がリアルに想像できるし、
>>238が言ってるけどお題の無駄遣いが全くない。怪異は出てきてないけど日常に
潜む錯誤や思いこみの恐怖。
しばらくうんこする時思い出しそうだな。ナイスカイダン!
>>248 え?ウソコするたびに沈めた友達が出てきてこわいっていうんじゃないの?
234解説キボンヌ
>>247 あ、応援しますね。頑張って下さい。
そっち方面弱いんで、駄作を量産するくらいしか応援
出来ないですけど…(それって、整理の邪魔じゃん(笑))
>>249 野暮だとは思うんだけど、わたしの234の解釈。
老人は、主人公が、危ない沼へ近づかない為の警告として、
「便が沼に流れている」と嘘を吐いた。
(「人攫いが来るから、日が暮れるまで遊んでちゃいけないよ」
って感じやね)
ある日、友達に沼を見に行こうと誘われる。老人の言葉を
信じていた主人公は断るのだが、友達は強引に主人公を
沼まで連れて行った。
しかし、そこで足を踏み外した友達、「たすけてー」と主人公に
助けを求めるのだが、老人の警告に縛られている主人公は
友達がそのまま沈んでいくのを見守る事しか出来なかった。
それからというもの主人公は、朝トイレの度にその事を思い
出して、これが友達の元に流れて行くのか、と憂鬱になる。
大雑把にこんな感じかな。
沼で実際になにがあったかは、勿論、読者各人の解釈に
任せられてると思うので、そこら辺は色々妄想逞しゅうして
下さい。
風呂上りに窓のところに腰掛けて外を眺めていたんだよね。
昼の三時から風呂に入るなんて贅沢は学生にしかできんよなあ、なんて思いながら。
洗い流したばかりの汗がまた肌に滲み出すこの感覚もまた一興だなあ、とかね。
それでふと銭湯の煙突が目に入ったわけだ。
年寄りが一番湯に浸かってるんだろうか、マイナスドライバーなんて嫌な話もあった。
とかどうでもいいようなことが頭に浮かぶ。
おや?
てっぺんになにかいるな、鳩か?それにしちゃ小さいような…
手首?
距離が結構離れているからはっきりとは確認できないが、どうもそれは手首なんだよね。
手首が、こう指を開いて煙突のてっぺんに踏ん張ってるの。
またけったいなもんがいるな、とじっと見つめていたらその手首風に煽られて煙突に落ちていったよ。
待ってたら煙突から煤まみれで這い出てくるかな、とも思ったけどバイトあったんで出掛けちゃった。
その話バイトでしたら「なんか障りがあるから注意しろ」とか言われたけど、別に、ねえ。
手首見ただけだし。
帰ってきたら何故か耳かき無くなってたけど関係ないっしょ? 障りでもなさそうだし。
でもあの手首が今度は耳かき持って煙突にいたらそれはそれで面白い、とは思う。
253 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/25 01:24
ハンド君だ〜♪
「台風」「ひげ」「時計」
台風が近づいている、とかで酷く蒸し暑い日だった。外に出ると、どんよりと
した曇り空、風が渦巻くように絡んでくる。どこかからか、ばたんばたんとト
タンがたわむような音が聞こえる。家を出た時はそんなつもりではなかった
のだが、なんとなく行きつけの散髪屋に行こうかという気になった。店に入る
と、電気が半分ほど消されていて、誰もいなかった。不審に思っていると、
奥から見覚えのない若い男が濡れた手を拭いながら出て来た。
「あ、お客さんですか?」
「ええ。台風来てるから、今日は店じまいです?」
「あ、ああ、そのつもりだったんですけど、折角だから、お客さんだけやりま
すよ」と言いながら電気をつけた。
「あのー、おやじさんはどうしたんです?」
「ええ?あ、父は、昨日から体調が悪いから、治るまで、わたしが臨時で店
見る事になったんですよ」
「あ、そうなんだ。それじゃ、お願いしようかな」
「ちょっと待って下さいね」
そして、彼は、入り口のドアに「閉店」の掛札をして、準備を整えた。道具の
場所を把握しきっていないようで、多少、手際の悪い部分があったが、腕は
良いようだった。
「おにいちゃん、うまいね。これなら、おやじさんも後継ぎ出来て安心だ」
「はははは。わたしなんてまだまだですよ。いつも父に怒られてます」
「でも、おやじさんに息子さんがいるなんて知らなかったなぁ。いっぺんくらい
話してくれたら良いのにね」
「…まぁ、父から見たら一人前じゃないから、話したくないのかも知れません
ね」
「でも、今回みたいに、いざとなったら頼るのは息子さんなんじゃない。やっ
ぱり腕買ってるんじゃないの?照れて言えないだけで」
「だと良いんですけどねぇ。あ、お客さん、顔あたります?」
「お願いするよ」
やってもらったものの、こっちの方は腕はそれほどでもないようだ。もっとも、
こっちの顔がひげが濃いのと、吹き出物跡だらけで、お世辞にも綺麗な肌じ
ゃないせいもあるのだろう。おやじさんは、それでも巧くあたってくれるので、
ここをひいきにしている訳だ。
「いたっ」喉元に痛みが走る。
「あっ、す、すみませんっ」
「いいよ、いいよ。吹き出物ひっかけたんだよね」
「みたいです。すみません。すぐバンドエイド持ってきますんで」
その後は、思いなしか、彼の手が震えているような気がして、内心はらはら
したが、特にどうという事もなく終わった。
「あ、お代は結構です。怪我させちゃったんですし」
「気にする事ないよ。ほかの散髪屋で、しょっちゅうやられてたよ」
「それじゃ、二千円で良いです」
「うん、それじゃ、そういう事にしようか」
時間が気になったので、壁の時計に目をやった。だが、ない。ふと視線を落
とすと、下に落ちていた。割れたガラスが散っている。
「あ、さっき、お客さんが来る少し前に。止まってるのに気づいて、電池替え
ようとしたら落としちゃって。店じまいした後片付けるつもりで。お見苦しいと
ころお見せしちゃって」
「そうなんだ」
「はい。ありがとうございました」
「うん。あ、おやじさんに、お大事に、って木村が言ってたって伝えておいてよ」
「え?ええ、はい。わかりました」
外に出ると、冷房の効いていた店内と違って、むぅっと暑い。まったく、こんな
に蒸し暑いと、どうにかなりそうだ。
パクリまくりやね(汗)
次のお題は、「やまびこ」「たき火」「コード」で、お願いします。
255 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/25 10:25
「やまびこ」「たき火」「コード」で作ってみますた。
私はそのやまびこの正体を知ってしまったのです。
だから髪の毛は真っ白になって、十歳以上も老けてしまいました。
先生、お願いです。遠くの病院に入院させるだなんていわないでください。
あの閉鎖病棟は、山の中の水のおいしい、空気のきれいなところにあるんですよね?
そんなのまっぴらです。
山の中は、おそろしい。
周囲をうっそうと茂った木に囲まれているので、勝手を知らない人間はなかなか抜け出せないのです。
そう、私は遭難して一週間ばかり、山の中をさまよいました。
木の実を食べ、沢の水を飲み、たき火のそばで眠り、なんとか命を永らえて戻ってきたのです。
でも、そうできなかった人もいる・・・
あれはパーティからはぐれて四日目のこと。
上空の捜索のヘリコプターに気づいた私は、無駄だとわかっていながら、大声で叫んだのです。
「ここにいるぞぉ!」って。
私の必死の声は谷中に響き渡りました。
「ここにいるぞぉ」「ここにいるぞぉ」「ここにもいるぞぉ」
?
私はもう一度叫んでみました。
「ここにいるぞぉ」「ここにいるぞぉ」「後ろにいるぞぉ」
おかしい。
他にも遭難者がいるのだろうか?
響いてきた声の通り、後ろを振り向きました。
すると、そこにいたのです。
私と同じ遭難者と思われる、腐乱死体が。
いきなり彼のそばに落ちている、携帯用ラジオの再生ボタンがひとりでに入りました。雑音がきこえ、そのあと
「いっ・・・しょに・・・つれ・・て・・・か・・・えって・・・く・・れ」
と、とぎれとぎれの、しわがれた声が・・・・。
私はラジオを手にとりました。
中の電池からは茶色い液がたれてきて、もちろんコードも抜けています。
濁った瞳が、私を祈る様にみつめています。
それからのことはよく覚えていません。恐怖のあまり頭のおかしくなった私は
その新しくできた道連れを背負いながら、歌い、わめき、山の中をさまよい歩きました。
幸いにも山菜取りに来た人に発見され、なんとか救助されましたが・・・
なんでも骨の見えかけている指が、しっかりと私の肩に食い込んでいたので、外すのに一苦労だったそうです。
山の中は、おそろしい。
周囲をうっそうと茂った木に囲まれているので、勝手を知らない魂さえもなかなか抜け出せないのです。
256 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/25 10:30
>>188じゃ、偶然だったのですね。たまたま食虫植物についてやっていたので・・・・。
そんでは次のお題を出させてください。
えーっと
「オルゴール」「玄関」「青空」
どぞ〜
保守あげついでに。
「オルゴール」「玄関」「青空」
大学のときの話です。
夏休み明けから友人のFが学校にぜんぜん来なくなったので、
心配した僕と友人のBで、Fのアパートに様子を見に行きました。
真夏の抜けるような青空の下、セミの声がやけに神経に障りました。
アパートに着き、ドアをノックしFを呼びますが中からは何の返事もありませんでした。
新聞受けには新聞や郵便物が溜まっていて長い間部屋を空けているような感じでした。
そのまま帰るのも落ち着かなかったので、試しにドアノブを回してみるとすっと回りました。
Bが部屋に入り、「F〜、いるのかおい?」と中を伺いました。部屋の中は真っ暗なようでした。
Bは「ちょっとおじゃましますよ〜」と言って部屋に上がりました。
すぐに、「あれ? F、お前いるんなら返事しろよ」と、Bの声が聞こえました。
僕も部屋におそるおそる上がりました。玄関を閉めるといっそう部屋は暗くなりました。
Fはベッドに座り、暗い部屋の中でテレビを見ていました。
B「おい、お前なにやってんの?」
F「ん・・・。テレビ見てる」
B「いやそうじゃなくてさ。学校いいの?来なくて」
F「うーん。部屋出れないんだよね」
B「?」
と、ベッドの上に置かれていた古めかしいオルゴールが、ポロン・・・ポロン・・・と音を立てました。
F「あ・・・。来たみたい」
B「へ?」
そのとき玄関のチャイムが鳴りました。
B「お客さんかな?」
F「彼女来た」
B「なんだよ。お前彼女いたんか」
F「うん」
チャイムは鳴り続いていました。
B「出なくていいのか?」
F「勝手に入ってくるよ」
しかし待てど暮らせど誰も部屋には入ってきません。チャイムは鳴り続いています。
僕とBは顔を見合わせ、Bが「しょうがねえなあ」と言って玄関に向かいました。
僕もBのあとを追いました。
Bが「はいはい今出ますよっと」と言いながらドアを開けました。
そこには誰もいませんでした。チャイムもぱたっと止まりました。
「なにこれ」
Bがあっけに取られた顔で僕を見ました。
Bは部屋のほうを向き、「おい、なにが彼女だよ。誰もいねえぞ」と言いました。
部屋の奥からFの声が聞こえました。
「上にいると思うよ」
僕とBはその場で同時に上、つまり天井を見上げました。
天井で、真っ白い顔をした長い髪の女がニヤリと笑って僕たちを見ました。
外では抜けるような青空の下、セミの声が響いていました。
次は「ピアノ」「メガネ」「ごみ袋」で御願いします。
258 :
◆CRASH/NU :02/07/26 00:20
「どうぞ、上がってよ」
「おじゃましま…て、汚ぇな、お前の部屋!
ごみ袋だらけじゃねぇか!」
「まあ、適当にどかして座ってよ」
「つったってなぁ……あれ?なんだこのCD?
『ピアノソナタ集』?
何のギャグだよ、これ?」
「ああ、それ?彼女のだよ」
「え、お前彼女出来たのか?
じゃあ、部屋の掃除くらいしろよ!
スゲェ臭いぞ、この部屋!」
「うん、もうじきするつもりだよ」
「そっか〜……で、可愛いのか?」
「うん。メガネかけててさ、結構可愛いんだ」
「へぇ。じゃあ、今度会わせてくれよ」
「いいよ、何なら今でも。
彼女、そのごみ袋の中に入ってるからさ」
「コンクリート」「ヘルメット」「盆踊り」でよろしく。
259 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/26 02:12
「コンクリート」「ヘルメット」「盆踊り」
ある小学校の校庭で、恒例の盆踊り大会が催された。
「痛っ、あのすみません、ここの盆踊りって毎年こうなんですか?
僕、転校生の父兄で、事情が良くわからないんですが、
太鼓の音にあわせて、やぐらの上から小石が降ってくるんですけど。
しかも、踊っている皆さんは各自ヘルメットを取り出してかぶり始めてるんですけど」
「そうか、君は知らないのだね。やぐらの上に登ってごらん」
彼がやぐらに登ると、太鼓の音がぴたりと止んだ。
そこには、バチを振り上げた姿のまま静止している二宮金次郎像があった。
コンクリートでできたその肘はひび割れ、ほとんどのカケラを失っている。
太鼓を叩く衝撃ではじき飛ばしてしまったようだ。
「これが、我が校の七不思議の一つ、
”ひとりでに動き出し盆踊りの太鼓を叩く二宮金次郎”だよ…」
次は「クリーム」「コウモリ」「コックリさん」でお願いします。
あー、遅いわ、長くなっちまったわ、なんだけど。
「コンクリート」「ヘルメット」「盆踊り」 1/2
夏休み入って間もなく、俺と、浩平、隆司の三人は中免を取った。わざわざこんな
時期に取ったのは、「市内の盆踊り大会はすげぇかわいい子が一杯来るらしい」
って噂を聞きつけて、なんとか間に合うように大急ぎで取った結果だ。お陰で色々
遊び損ねたようだが、なぁに、こんな田舎の大根相手にしてる暇があったら、かわ
いい子狙わにゃ嘘っしょ?で、そん時に足なかったら冴えないじゃないの。
当日、俺たちは昼過ぎに地元を出た。少し走ってから、「どこでやってるのか誰か
知ってるんだよな?」って浩平が訊いてきた。俺は知らない。隆司を見ると、首を
振った。おいおい、誰も知らないのかよ。ちょっとだけ揉めたんだが、結局、向こう
着いてから誰かに訊きゃ良い、って事で収まった。市内に入った頃には、もう既に
日が沈む寸前だった。思ってたより時間を食った。とりあえず、駅行って駅員に訊
いてみる事にした。
「え?盆踊り大会?とっくの前に終わってるよ」
「へぇ?」情けない声が出る。
「あ、ひょっとして、市外の人?」
「ああ、そうだけど…」
「あー、やっぱりー。あのね、市内の方は市外と違って、新盆でやってるんだよね。
だから、一ヶ月くらい前にもう終わってるんだ」
「はぁ?そんなの知らねぇよ…」
「また、来年でも来てよ」
駅員が薄笑いでそう言ったので、かちんと来たが、それを察したのか、浩平が、
「よせよ。こんなとこで。それより今から急いで引っ返したら、大分遅くなるけど、ま
だ終わってないだろ。そうするしかねぇべ」と言った。こういう時に冷静な浩平がい
るのは助かる。
しかたがないから、浩平の言うように、引き返す事にした。ところが、半分くらい戻
った時だった。先頭を走っていた隆司がいきなり止まったかと思うと、ヘルメットを
脱いできょろきょろしだした。俺たちも止まって、なにごとか訊くと、
「なぁ、祭囃子聞こえねぇか?」
「…確かに聞こえるな。割と近いっぽいな、しかも」
「あっ、あれじゃねぇか?」
隆司が指差した先には、こんもりしたちいさな山があり、その中腹少し上ぐらいに、
既に日の暮れた中で明かりがくっきりと見えた。
「なぁ、今更戻ったってどうせあんまし期待出来ねぇし、それならいっそあそこに行
ってみないか?」
「…そうだな」
「そうすっか」
「コンクリート」「ヘルメット」「盆踊り」 2/2
その山の階段になってるところの下にバイクを停め、後は階段を登った。少し登る
と開けた場所に出て、夜店が一杯出ている。
「ふぅん結構にぎやかじゃん」
「盆踊り会場、もっと上みたいだぜ」
はぁ〜、ドラりドラりの…
登ってみると、確かにそこで盆踊り大会が開かれていた。俺たちは、女の子の物
色の為にしばらく様子を見ていたのだが…いたのだが、見ているとおかしな事に気
づいた。みんな笑っていない。無表情なまま淡々と盆踊りをしているのだ。それに、
盆踊りの曲目がやたらと古い。
「…なんか、おかしくねぇか?」
「おかしいよな」
「ああ」
気味が悪くなったので、帰る事にして階段を降りていると、
めちゃんこ、めちゃんこ、めっちゃ…ブツッ
唐突に盆踊りの音楽が止まった。俺たちは誰からともなく走り出した。途中の夜店
が出ていたところに来ると、今度は明かりが全部消えた。パニックになって、盲滅
法走り抜けた。転んで階段を一気に何段か転げ落ちたり、なにかに触られたよう
な気がして、思わず悲鳴を上げちまったり、どうにか下のバイク置いてるところに
辿り着いた時は、全員傷だらけの泥だらけだった。そして、ほうほうの体で、地元
に帰り着く事が出来た。
祟りとかが怖かったので、次の日、近所の寺の住職のところに行って話したら、場
所から想像するに、多分○○寺だろう。檀家も結構いて、催し事の会場なども気
安く提供したりしていたので、なかなか評判だったんだが、不祥事を起こして夜逃
げをしたせいで、今でも、宙ぶらりんになってる仏様がいるようだ等々…。最後に
お前たちの気が緩んでいるから、そんなのに引き込まれるんだ、と説教された。
後日、隆司がそんなのは信じられなかったので、ひとりであの場所に確かめに行
ったら、確かに、○○寺と書かれていて、寺の方は、コンクリートの土台ぐらいしか
残っておらず、墓場も墓石がドミノ倒し状態になっていたり、散々な荒れようだった
らしい。俺には、あんな目に遭って、確認に行ける(しかも、ひとりで)隆司の方が
信じられなかったが、その武勇伝のお陰でやつは、学校で一目置かれる存在にな
った。そのせいで、後でまた酷い目に俺たちは遭うんだが、それはまた別の話。
「死霊の盆踊り」って一発ネタで短くするつもりだったのに…。
しかも、ありきたりな話だよね、申し訳ない。
最後、引っ張ってますけど、続編の予定とかは(無論)ないです。
>>256 えっと、256=120さん?
まぁ、食虫植物は、なんとなく趣味です。
やつらのあのアグレッシブさが好き(ウツボカズラは、受身な気も)
「まさか、最後の地口がかぶってたとか」と少しだけびくびくして
ました。
そうなると、たださえ寒いのに、余計に寒くなるからね(汗)
「クリーム」「コウモリ」「コックリさん」
一ヶ月くらい前の放課後なんだけど、クラスの女子何人かが、コックリさんやっ
てたんだよね。で、ぼけーっと見るともなし見てたら、そいつらと仲の良い広瀬
ってやつが風邪ひいてるんだけど、治すにはどうすれば良いですか?とか訊
いてんの。そしたら、生クリームが良いってな馬鹿っぽい答えが返って来たみ
たいなの。普通そこで、それはいくらなんでも…って思うじゃない。ところが間
に受けて、「帰りに買って、お見舞いに持って行こう」とか言ってんの。やれや
れ、と呆れてたんだけど、次の日になったら、広瀬、登校してきてさ、「持って
来てもらった生クリーム、思い切って飲んでみたら治ったんでびっくりした」だっ
てさ。コックリさんやってたやつら、「やっぱり、コックリさんはすごい」って大騒
ぎ。
なんだか悪戯したくなってさ、その日の放課後、そいつらがまたコックリさんや
ろうとしてる時に、混ぜてくれ、って言ったんだよね。ちょっと胡散臭そうな目で
見られたんだけど、「広瀬の風邪が治ったからびっくりした。俺もやってみたい」
とか適当な事言ったらオッケーだった。でもさ、あれ、すごいね。確かに動くん
だわ。もっとも、前にテレビでやってたみたいに、微妙な筋肉の無意識の動き
だと思うけど。それで、いくつか質問があってさ、その間、俺大人しくしてたんだ
けど、「ペットを飼いたいんだけど、なにを飼ったら良いか?」って質問あった
時に、「これだっ」って思ってさ。バレないように誘導したんだよね、「コウモリ」
って。そしたらそいつ信じ込んで、「嫌だけど、コックリさんが言うなら、そうする
しかない」だとか、変に悲愴な決心してやんの。笑い堪えるの大変だったんだ
から。
ところが、そっからが変なんだよね。そいつが、最初は渋々飼ってたのに、段々
コウモリ好きになったのはともかく、徐々に周りでもコウモリ飼うのが流行りだし
てさ。気づけば学校全体で競うように飼い始めたの。まさか、休み時間に友達
にコウモリ自慢とか聞かされるとは思わなかったよ。で、今日なんだけど、テレ
ビ見てたらさ。いつの間にか全国的にコウモリ飼うの流行ってるとか言うからビ
ビッたよ。アイドルの粉浜祥子出て来て、「すっごくかわいいんですよ。慣れると
手に乗ったりするし」とか言うし、司会まで、「良いですね。僕も飼おうかな」なん
て言うの。なんかすごい嫌な気分になったんだよね。なんて言うか、「ひょっとし
て、流行り廃りってこういうので決まってるのかな」って考えちゃってさ。
最初になんも考えないで、台詞主体で書いたら、(全角約35文字折り返しくらい
で)80行くらいになっちゃったんで、なんぼなんでもと、リライトしました。
どうも、台詞主体にすると、遊んじゃって長くしちゃう癖あるみたい。
まぁ、それ以外にも、本筋から外れた部分をついつい書いちゃう癖もあるけど。
次のお題は、「再生」「天使」「茶」で、お願いします。
264 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/26 07:30
「再生」「天使」「茶」です。
占いをやってくれる喫茶店があるというので、行ってみた。最近ちょっと良くない事が続くので・・・・
まぁ、見てもらおうというわけだ。
「ふむ・・・・。」
50歳くらいの化粧の濃いオーナーは水晶玉を見てつぶやいた。
「羽が生えていて・・・天使、の形をしているね。」
「天使?」
私は嬉しくなった。天使がついていてくれるんだったら安心だ。きっと昨日彼にフラれたのは
もっと素敵な人に出会うためだろうし、三日前職場の部署代えでサエナイところにとばされたのも
きっと何かわけがあるんだろう。先週おばあちゃんが亡くなったのは・・・・寿命だろう。
「ほら、みてごらん。」
私も水晶玉をのぞきこんでみた。不思議なことに、そこにはフワフワとした白い羽を生やした
美しい生き物が見える。動くたびに揺れる金髪、涼しげな青い瞳、これこそ将に天使。
「うわぁ、キレイなんですね。はじめてみました。」
「見かけはね。」
オーナーは不機嫌そうにそう言い放ったが、私ははしゃいだ気分のままだった。
「想像してた姿と一緒。ひょっとしてミカエルかな?ラファエロかな?」
「そんなわけないでしょ。」
オーナはため息をついた。
「天使の姿はしているけれども、天使とはいってないよ。よく見てごらん。」
すると水晶玉の姿に変化があらわれた。その天使の姿の生き物はニヤっとわらうと大きく
のけぞり、喉のあたりから何本もの触手のようなものが生えてきた。その触手の先には沢山の
顔がついており、それがうねうね動きながら皆何か叫んでいる。
「な、何これ!!」
「再生しそこなった魂だよ。火葬場なんかにいくとよくウロウロしてるヤツ。」
オーナーは立ち上がった。そして驚きと恐怖で何もいえない私に指をつきつけた。
「あんた、最近誰か親しい人亡くなってるね?そのとき拾ってきちゃったんだよ。」
それでは次のお題は
「鈴虫」「トンネル」「香水」で、お願いします。
>>262さん
びくびくさせてしまった様で失礼しました。
思いがけない暑中見舞いを差し上げてしまったようで(笑)
「鈴虫」「トンネル」「香水」
庭では鈴虫が音色を奏でている。
この季節になるといつも思い出す。
子供の頃、友達と鈴虫を取りに行った時のことだった。
直ぐ近くにお化けトンネルがあるから、肝試しをやろうと誰かが言い出した。
結局、鈴虫の入った虫篭を片手に、皆でトンネルに入ることになった。
昼間でも薄気味悪い所だったが、夜になるといっそう怖さがましていた。
トンネルの中間あたりについた頃だろうか、しくしくと女の人がすすり泣く声がした。
前方を見ると、浴衣を着た女の人がうずくまって泣いている。
「でたー!!!」と言って皆は逃げ出したが、僕は不思議と立ち尽くしたままだった。
突然、虫篭の鈴虫が音色を奏で始めた。
すると、女の人はすすり泣くのを止めてこちらを見た。
「良い音色ね」、女の人は僕に話し掛けてきた。
その目は涙で濡れているけど、口元には少しだけ微笑みが浮かんでいた。
「お姉さんはここで何をしているの?」
「道に迷っちゃって、ここから出る事が出来ないの。」
「じゃあ僕が外まで連れて行ってあげる。」
何でそう思ったのかは今でも分からない。
ただ、そうしなきゃいけないと言う義務感が僕に湧いていた。
僕は女の人の手を握ると、出口に向かって歩き始めた。
女の人は香水をつけているのだろうか、とても良い匂いがした。
黙々と歩き続けて数分後、僕たちはトンネルを抜けた。
「ここからなら道は分かるよね。」
僕がそう言うと、女の人は僕にこう言って消えた。
「ありがとう・・・」
後に残ったのは、僕と音色を奏でている鈴虫、そして、女の人の香水の匂いだった。
後日聞いた事だが、昔トンネルで倒れてなくなった女の人がいたそうだ。
なんでも、鈴虫の音色を鑑賞する途中の出来事だったらしい。
今でも、僕は鈴虫の音色を聞くと、女の人がつけていた、あの香水の匂いがしてくる気がするのだった・・・
たまには後味がいい話で。
次は「桜」「日本酒」「鬼」でお願いします。
何かこてこての題ですな。
「桜」「日本酒」「鬼」
「これは…本物だね」
「古本屋」は、静かにそう言うと、俺がある寺から盗んできた「もの」を卓に置
いた。
「やっと、本物ひけたか。最近は紛い物掴んでばっかりだったからな」
「そりゃ、あんたの仕事がうまく進んでるって事じゃないかい?」
「そうかねぇ…ところで、こいつの『産地』はどこだい?」
「ちょっと待っとくれよ」
彼はいつものように、風水盤の上に置いた水晶球(さっぱりわからない取り合
わせだが、彼によると、これが一番信頼出来るらしい)を神妙に覗き、「東の方
…山…あまり高くないね…うん、見覚えあるね。ん?桜…山桜か…ふぅん…」
俺に言ってるだか独り言だかわからないが呟くと、近くの本棚から古ぼけた本
を引っ張り出して、繰り出した。
「ええっと、どこだったかねぇ。ここじゃないし、ここ…違うな。ああ、ここか。知っ
てるよな、ナベさんも」
「古本屋」が示した場所は、ここから結構遠いある山だった。そこの神社の所
有地になってる森に一本生えている山桜が、こいつの故郷らしい。
「遠いな…」知らずため息が漏れる。
いかにも登山客な格好で、通常の登山ルートを外れて、件の山桜の前に来た。
そして、リュックを下ろして、中から例の「もの」を取り出した。ポットに入れて来
た日本酒をどぼどぼとかけると、それは酒を吸収し、干からびていた外見が、
見る見る生々しい肉色を帯び出す。俺は、かすかな脈動すら感じるそれをそっ
と土の上に置き、懐から元は日本刀だったナイフを取り出して、勢いよくその
「腕」に突き刺した。ナイフの刃の下で、それはしばらくびくっびくっと震えていた
が、じきに収まり、そして、さらさらとした灰のような粉になった。その上から、さ
っきの残りの酒をかけると、粉は土に紛れた。
「この木の股から生まれた鬼よ。再び、ここに帰れ」
寺社に保管されている、鬼の腕や河童のミイラ。大概は作り物だが、中にはこ
ういった本物がある。河童ぐらいなら良いが、鬼の腕ともなれば、万が一予想
外の復活をしてしまった時、洒落にならない。だから、俺は、そういう危険な本
物を回収して(と言うと聞こえが良いが、要は偽物とすりかえて)、こうして処分
している訳だ。
俺は、余った日本酒をちびちびやりながら下山した。有給が切れてたから仮病
で休んだは良いが、明日係長やかましいだろうなぁ、と考えつつ。やれやれ。
インチキジュヴナイル風。
「桜」「日本酒」「鬼」
いつものように、夜の町をぶらぶらしている時だった。仕事帰りらしいひとりの女
性とすれ違った。ひと目惚れと言うのだろう、わたしは彼女に強く惹きつけられた。
だから、彼女の後ろをこっそりと追った。華やかな容貌なのだが、決して派手で
はない、品がある。わたしは、彼女を「秋桜の君」と呼ぶ事にした。やがて、秋桜
の君は、マンションに入った。彼女が集合ポストの中を確かめている時に、わたし
はさり気なくその後ろを通り、どのポストを見ているかを覚えた。そして、そのまま
自然にエレベーターに乗り、先に適当な階のボタンを押して、彼女を待った。少し
遅れて乗って来た彼女は「すみません」と言い、8階のボタンを押した。まるっきり
警戒していないようだ。実に危なっかしい。その後、わたしは8階に行き、部屋の
場所を確かめて、下に戻った。彼女の部屋が見える場所を探し、ゆっくりと待つ
事にした。
0時過ぎに彼女の部屋の明かりは消えた。わたしは余裕を見て、2時になってから、
再びマンションに入った。彼女の部屋は当然鍵がかかっている。だが、こんな鍵
はわたしにはなんでもない。部屋に入り、彼女の寝室を探す。そこで彼女はちい
さな寝息を立てて眠っていた。ふとベランダを見ると、コスモスの鉢が置いてあっ
たので、わたしは微笑んだ。そして、わたしは懐から注射器を取り出し…。
家に帰ったわたしは、早速注射器の中身を、とびきりの日本酒と混ぜて飲んだ。
素晴らしい、実に素晴らしい味だ。残念ながら処女ではないが、まぁ、それは現代
では贅沢な注文だろう。今を生きる吸血鬼には、そういった妥協も必要だと、君も
思わないかい?それでは、わたしはこの酔い心地をもうしばらく楽しんでから寝る
事にするよ。おやすみ。
なんか、もう一本浮かんだから。
次のお題は、「鏡」「馬」「笛」で、お願いします。
「鏡」「馬」「笛」
「馬蹄石って知ってる?」
唐突に彼女が言った。
「ばてい……せき?」
「そう、馬蹄石。馬のようなヒヅメの跡が、石に刻まれてるの」
「知らないなぁ。何かの伝説?」
「じゃぁ、今度の休みに見に行こうよ」
そんな訳で、彼女と旅行に行くこととなった。
ローカル線に揺られること五時間、辿りついたのは寂れた山間。
ハイキングに行くような軽装で出掛けたことを後悔したのは、その一時間後。
妙に健脚な彼女は、どんどんと深い森の中を進んでいく。
もう一歩も歩けないと確信したとき、彼女が言った。
「ほら、ここよ」
鬱蒼とした森が一部だけ途切れ、明らかに人工的な奇岩が一つ存在していた。
「昔、映画でこんな石版を見たことがあるなぁ」
違う点を挙げるならば、真ん中に大きくUの字型の切れ込みがあることと、地面に斜めに寝かせてあること。
黒曜石のような石版は鏡を磨いたように滑らかで、ボクの姿を鈍く反射していた。
「この板の上に寝転んでみて」
彼女に促されるまま、僕は仰向けになる。
「ふふ。そこはねェ、生贄を捧げる台なのよォォォー」
その瞬間、彼女は獣のような素早さでボクの喉笛を切り裂いた。
U字型の溝に効率良く血液が溜まり、彼女はそれをピチャピチャと音を立てて啜り始める。
緩慢な意識の中で気付いたのは、彼女の足にあるヒヅメ……。
久しぶりに来てみましたが、みなさん凄いですな。ボクのは駄作で申し訳ないっす。
えー、次のお題は、「洞窟」「爪」「ガラス」でおながいします。
271 :
◆CRASH/NU :02/07/27 02:08
友人と肝試しに廃墟となった洋館へ行った。
既に住人がいなくなって相当の年月が流れているようで
中の荒れ具合は凄まじかった。
瓦礫の山に足を取られながら進んでいくと、
一つの部屋に人の気配。
そっと中を覗き込んでみると、髪の長い女性が
こちらに背を向け、なにかごそごそとやっている最中だった。
何でこんなところに、女の人が……?
そう思いながら様子を伺っていたとき。
ジャリッ
友人の一人が、うっかりガラスの破片を踏んでしまった。
その音を聞きつけ、女が振り返った。
血しぶきが顔を斑に染め、鬼のような形相。
一瞬のあと、女はこちらにズンズンと近寄ってきた。
恐ろしくなり、皆一目散に外へと逃げ出した。
僕は洋館を飛び出すと、近くにあった洞窟に逃げ込み、息を潜めた。
どれくらいの時間がたっただろう。
全く何も起こらず、辺りは静まり返ったままだった。
あぁ、助かったんだ。
そう思ったとき、頭上からガリッと何かを引っかくような音がした。
見上げると、先ほどの女が爪を岩肌に突き立て
天井にはりついたまま逆さまに僕を見下ろしていた。
「嫁」「ビール」「貯金箱」でよろしく。
272 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/28 04:10
tpo
(´Д`;)tpoって何だよー
はっきりいってこのスレ好きだぜ
276 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/28 12:40
じゃあ、ageるか。
277 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/28 15:58
「嫁」「ビール」「貯金箱」
「今日午後八時頃、・・・」
遅くなってしまった。
車、全然進まないな。さっきは驚いたな。
疲れた。身体の節々が痛む。
ビールの買い置きはまだあったろうか。
それにしてもあついな・・・
そういえばビール券をもらったとか言ってたな。買ってあるのか。
小銭あったかな。五百円玉はあったな。
イヤいかんな。アレに入れたいからな。50万円貯まるのは一体いつになるのか。
一万円崩すのイヤだな。
それにしたもあついな・・・
50万円貯まったらどうしようか。
どうせ旅行だな。海外にでも連れて行くか。海外なんて新婚旅行以来だしな。
もっともいつになる事やら。
それにしてもあついな・・・
「・・・正面衝突し、大破、炎上しました」
「この事故で乗用車を運転していた男性が死亡、・・・」
遅くなってしまった。
車、全然進まないな。さっきは驚いたな。
疲れた。身体の節々が痛む。
ビールの買い置きはまだあったろうか。
それにしてもあついな・・・
「蝉」「兄」「校庭」
>>277 内容かなりく良いんですけど、「ビール」以外のお題が暗喩でしか
出されてないですよね。
普通は三題噺の時は、お題は必ず無理からでも明示しないと
いけないと思うんですよ。
ただ、今までで決まったルールの中で、「お題を明示しなければ
いけない」とは、確か出てなかったと思うんで、微妙ではあります。
夏厨さん、よかったら、そこらへんの見解お願いします。
>>277 読み応えというか、味がある。何回か読んでしまう。
もしかして
>>234さん?構成といい微妙な難解さといい似てるような気がしたもので・・・
違ったらスマソ。
>>278 それもそうですね。私的には段落ごとに三題が自然にふられているのが巧いのかと思ったりもしましたが・・・
>>278 確かにそうね
嫁、貯金箱って陳腐な感じのする言葉だけどだからって遠まわしにして話作るように
なったらなんでもありになっちゃうものね
あえて難しいお題を出してそれに挑戦する、って方が面白いかもね
277は意欲的だとは思うけどね
ついでなんで、244以降の気になった作品。
>>252 お題の使い方とか強引だとは思うんだけど、何故か心惹かれました。
>>257 さらっと会話でまとめたなかなかの佳作だと思います。
>>264 見た目綺麗な不浄霊背負って浮かれてる馬鹿女ナイス(笑)
流氷の妖精クリオネ、捕食の時怖いぞ、ってのを何故か連想。
>>266 ええ話や。ええ話な幽霊話はかなり好きです。「心霊ちょっといい話」
スレも大好き。
>>271 ちと文章が荒れてるように思います(友人の表現関係)。ご注意を。
CRASHさんの作品、良いのが多くてお気に入りなので、敢えて
指摘させていただきます。えらそうで、すみません。
>>277 巧いです。「ははぁ、なるほどねぇ」と唸りました。苦言は呈しましたが、
暗喩加減も洒落てると思います。佳品なのは間違いないです。
蝉が鳴いているのででかけてくる。
そういって兄は家を出た。
私は兄の背中を見つめていた。網も篭も持たずに蝉をとりにいくのだろうか。
兄と私は年が離れていたから、あるいはこの人なら素手で蝉を捕まえられるのかも知れないと無邪気に考えた。
その頃の私には珍しく兄を追って出なかったのは何故だったか。
今となってはさだかでないが、おそらくたいした理由もなかったのだろう。
兄はそれっきり戻らなかった。不思議なのはそれ以来両親だけでなく町の人も兄の友人も誰一人として
兄の事を口にしなくなったのと、今日まで私自身自分に兄がいたことをすっかり忘れていた事だ。
私はいなくなったときの兄と同じ年齢になっているのだ。
茶の間でなにか音がする。弟だ。夏休みなので朝からテレビにかじりついているのだ。
「蝉が鳴いているので出かけてくる」弟に声をかける。
「どこへいくの?」こちらを見ずに弟が聞く。
どこへいくんだっけ、私はすこし考えて「校庭へ」と小さく答えた。
だが弟はもうテレビに夢中で返事をしなかった。
引き戸をあけ外に出ると蝉がけたたましく鳴いていた。
次は「煙草」「トンネル」「額縁」でお願いします
283 :
◆CRASH/NU :02/07/29 00:50
親父の書斎で蔵書を漁っていたとき、いきなり壁に掛かっていた額縁が落ちた。
しょうがない、元に戻してやるか。
そう思い、額縁を戻そうと壁に近寄ると、小さなボタンが。
押してみたら、隠し部屋に続く通路が…なんて、安っぽいミステリー小説だよなぁ。
そう思い、何気なくスイッチを押すと、
なんと本当に脇の壁がスライドし、隠し通路が現れた。
通路は天井がアーチ状になっていて、さながらお手製のトンネルといった感じだった。
全く、親父の奴、家の中に何造ってんだか……
そう思いながらも、通路の先に何があるのか気になり、中へ足を踏み入れた。
やがて通路は分厚い鉄扉に突き当たった。
閂を外し、扉を開けたが中は真っ暗だった。
手探りで壁面のスイッチを探し当て、オンにした。
地獄絵図だった。
鎖につながれた裸の男女が、ざっと見ただけで20人はいた。
殆どが血まみれで、両耳の無い者、
右手と左手が付け根から切断されている者、
両目をくりぬかれ、頭頂部を切り開かれ脳が露出しかけている者…
中には原型を留めないほどあちこちを切り裂かれ、肉の塊になっている者までいた。
目の前の惨状とむせ返る血の匂いで吐き気を催し、身をわずかにかがめた瞬間
ブン
頭上を何かが掠めた。と同時に、煙草の匂い。
その匂いには嗅ぎ覚えがあった。
振り向くと、親父が鉈を持ち構えて僕を冷ややかに見下ろしていた。
「鍵」「エアコン」「脱臭スプレー」でよろしく。
なぜだろう・・・。いつからだろう・・・。
部屋に生臭い匂いがたちこめる。
毎日毎日脱臭スプレーを部屋にかける。
しかし匂いはなかなかとれない。
ねずみの死体でもあるのかと思い、部屋中やまわりを探る。
しかし何も出てこない。
せっかく苦労して見つけた最高の部屋なのに。
梅雨も終わり、暑い日々が続く。
明日も朝早いというのに、暑苦しくて寝られない。
エアコンでもかけるか。
エアコンのスイッチを入れてベッドに横たわる。
エアコンからは涼しい空気が流れる。
しかしそれは何ともいえない不思議な冷気に変わる。
ゾッとする。そしてふとエアコンの方へ目をやる。
送風口から人の手がニョキニョキと出てくる。
次に頭が、体が、顔がただれて額からは骨が見える。
その女性は半身を出し、請うように私に言う。
「おねがい・・・鍵を開けて・・・」
朝、目が覚める。エアコンは止まっている。
あれは夢だったのだろうか、なんとも薄気味悪い夢だ。
次の日、同僚の部屋から腐乱死体が見つかり、同僚が逮捕された。
何年にも渡って同僚が一室に拉致監禁していたようだ。
エアコンは引越し祝いとして、その同僚からもらったものだった。
次は「井戸」「漬物石」「夕やけ」でよろしく。
あううー、超おそおそだよ。しかも長い。
「煙草」「トンネル」「額縁」 1/2
わたしは、まぁ、いわゆるところの「売れない作家」といったところなのだろう。こ
こ数週間、知り合いの別荘をご厚意で貸してもらって、そこで創作に励んでいる。
というと聞こえが良いが、正直、どうにも筆が進まないで困っている。アイデアが
ない訳ではない。筋もおおまかにだが頭の中に出来ている。ところがいざ書いて
みると、どうも違う。自分の才能のなさにため息を吐く。こんな夜は、つい昔の事
を思い出す。十年前、あの誘いを断らなければ…、後悔してないつもりでも、思
い出してみると、少しひっかかるものがある。駄目だ、駄目だ。気晴らしにドライ
ブをしてみる事にした。思えばここに来てから、買い出し以外で車に乗っていな
い。良い気分転換になるかも知れない。
いつも買い出しに出る方とは反対の道を選ぶ。ここらへんの土地勘はさっぱりな
いので、迷子になるかも知れない。だが別にいついつまでに戻らなければいけな
い、といった風に決まっている訳ではない。気楽なものだ。夜の峠道は対向車ひ
とつなく、なかなかに気分が良い。少し寂しい感じがするのも事実だが。
道がふた手に分かれている。片方はすぐトンネルになっている。何の気なしにト
ンネルの方を選んだ。随分長いトンネルだ。こういうのを走っていると、距離や時
間の感覚が薄れた不思議な気分になる。いかんいかん、こういう時にほかの車
がいたら、洒落にならない。気を引き締めた時に、出口が見えてきた。抜けてし
ばらく走ると、道は行き止まりになっていて、そこに古い洋館といった感じの建物
があった。
「煙草」「トンネル」「額縁」 2/3(汗)
気を惹かれて、車を降りて館の前まで行ってみた。離れたところからでは古びて
いるように見えたのだが、近づいてみると、細部細部になにやらいただけない飾
りつけがされている。趣味が悪い。引き返そうと考えたのだが、扉のノッカーがほ
かの飾り物と違って、なかなかに品が良かったので、どんな音がするのか気にな
った。気づくとついノッカーを叩いていた。悪い癖だ。こういう時についやってしまう。
まさかノッカーを叩いて逃げたのでは子供の悪戯になってしまう。しばらく待ったの
だが、返事がない。そっと手を当てるとほとんど力も入れていないのに、すーっと
扉は開いた。少し慌てたのだが、既に中の様子は見えた。広い玄関ホール、階段、
そして、正面の…あっ。
「どなたですかな?」
大声が響いた。声の方を見ると、ひとりの男がいた。そして、覚悟を決めたわたし
は、非礼を詫び、少々話をする事にした。
やはり広い応接間で、自己紹介をする。わたしは、偽名を用いる事にした。そして、
彼は、わたしの予想通りの答えを返してきた。彼は自分の事を、「知っていると思
うが、作家だ」と言った。わたしは自分の事は、「雑誌の隅に載ってるつまらない物
書きだ」と言った(これは、そんなに嘘でもない。実際そんなような仕事もしている)。
彼が、口の端をにやりと歪めた気がしたので、試しに言ってみた。
「あなたのような作家になりたいと憧れているんですけどねぇ」
すると、彼は、そうだろうそうだろうという風に満足げにうなずきつつも、口だけは、
「ははっ、それほどでもないですよ」などとそれらしい事を言った。
「煙草」「トンネル」「額縁」 3/3
本棚に目をやった。二段ほどが彼の著作で埋まっている。わたしは立ち上がり、
その中の適当な一冊を引っこ抜き、「あ、これ好きなんですよ。久し振りに少し読
んでみたいので、拝見しますね」と言いながら、適当なページを繰った。思った以
上につまらない。シリーズキャラらしきものを適当に動かしているだけ、といった印
象だ。あとがきを見ると、シリーズ九作目らしく、ほかにも(少なくとも)二三のシリ
ーズを持っているようだ。後二冊ほど拾い読みしたが、どれも似たり寄ったり。作
品の質もしかり、内容もしかり、だ。無意識にポケットに手をやり、煙草がないの
に気づいた。忘れてきたようだ。
「よろしかったら、おひとついかがですかな?」
やたらと豪華な(かつ悪趣味な)葉巻ケースを開けて勧められる。なるほど、金持
ちは違う。丁重に断って、本も戻し、もうしばらくだけ、雑談をした。いや、彼の、
なになに賞を受賞しただの、だれそれのパーティに招待されただの、の自慢話を
聞いた、というべきか。飽き飽きしたので、白々しく時計を見て、「あ、随分長居を
してしまって。お忙しいでしょうに、お邪魔しました。そろそろ失礼する事にします」
「はははは、いやいや、君との話は面白かったよ。また良かったら来てくれたまえ」
自慢話を聞いてもらえたので本気で言ってるんだか、社交辞令なんだかさっぱり
わかりゃしない。どのみち二度と来るつもりもないから一緒か。
そして、その洋館を出て、車に乗った。少々心配だったが、トンネルを見つけて、
それを抜けた。路肩に車を止めて後ろを見る。やっぱり、そこにトンネルなんかな
い。ただの一本道だ。なるほど、あの時の誘いに乗っていれば、わたしはああなっ
た、という事か。ああいうつまらない作品を惰性で書いて、それを読者が惰性で買
って、それで満足出来るような。そして、悪趣味な洋館に悪趣味なインテリア、極
めつけに自分の肖像を額縁に入れて玄関ホールに飾れるような。
助手席に忘れていた煙草をくわえ火をつけた。なんだか、帰ったら良いものが書
けそうな気がした。
「井戸」「漬物石」「夕やけ」 1/3
僕がこの出来事に最初に触れたのは、いつも通り、高校の同級生金井の家
に遊びに行った時だった。金井との雑談をしていると、彼の小学四年になる
弟の話になった。なんでも、その前日、彼の弟はいつものように、学校から帰
ってすぐに外に遊びに出たのだが、家に帰って来たかと思うと、いきなり金井
の部屋に飛び込んで、抱きつかんばかりの勢いでこう言ったらしい。
「にいちゃん、俺、幽霊見た言うたら信じるか?」
一笑にふせないような表情だったそうだ。どうしたのか訊ねた金井に、彼の弟
は震えながらこんな話を語ったらしい。
彼(金井弟)は、友人数人と隣町にある幽霊屋敷と評判の家に忍び込む事に
した。ところがいざ忍び込んだのは良いのだが、友人の兄から聞いた情報と
は違い、家の出入り口はすべてふさがれていたのだ。彼らは手分けをして、
どこか入れそうなところはないかを探した。彼はひとり庭の方にまわった。雨
戸もなにもしっかりと閉ざされて手のつけようがない事がわかった。ふと目を
転じると、井戸があった。興味をそそられて近づくと、ふたがしてあったが、軽
い気持ちで叩いてみると、意外な事にあっさりとふたは割れてしまった。当然、
彼はそこを覗いたのだが…そこにあったのは顔だった。井戸の中は暗いのに
なぜかはっきりと見えたそうだ。驚いた彼は一目散に逃げ帰ってきたらしい。
「なんや。そんなん目の錯覚やろ。なんか井戸に白いもんが浮いてたんかも知
れんな。それだけやろ」
金井はそう言ったのだが、弟はそれでは納得出来ず、それからずっと妙にび
くびくしているらしい。
「小四にもなって、昼日中から幽霊やないよな。でも、えらい怖がってるから、
今度、俺ちょっと確かめに行こ思ってるや。大田も一緒に行くか?」
「やめとくわ」苦笑しながら答える。いつの間にか結構遅くなっている事に気づ
いたので帰る事にした。
「あ、大田君、これ持ってき」金井のお母さんに漬物の入ったタッパーをもらう。
「いつもすみません」
「ええて、ええて、そんな大したもんやないんやし」
「いえいえ、家族も喜んでます。それじゃ失礼します。さようなら」
「井戸」「漬物石」「夕やけ」 2/3
それから一週間くらいした日の朝だった。金井から電話があった。取った途端、
彼はまくしたてるように、
「大変やっ。弟が行方不明になったんやっ」と言った。
「えっ?」
「なんや知らんけど、昨日帰って来てから様子変やったんやけど、朝になった
ら、どこにもおらんのや。夜寝る時までは確かにおったのに」
「警察とかにはもう言うたんか?」
「ああ、もうおとんが連絡したんやけど…。大田。大田も、もし弟見たらすぐうち
に連絡くれな」
「わかった。両親とかにも言うとくわ」
「頼むわ」
結局、見つからないまま、弟が行方不明になってから一週間後に、金井はは
じめて登校してきた。いつもの快活な金井からは想像出来ないなんとも沈鬱な
雰囲気だった。周りも事件を知っているだけに声をかけ辛い。学校が終わっ
て、俺は金井と一緒に帰った。道々、彼は自分から事件の事を言い出した。
「…行方不明になる前日な。あいつ、また家で震えてたんや。それも前の時の
比やない。ずっと誰か近くにおらんと不安みたいやった。どうしたんや、って訊
いたらな。学校終わって友達と遊んだ帰り道、ひとりで家の近所まで来たら、
路地の向こうに誰かおったらしい。顔とかは夕やけの逆光なっててわからんか
ったけど、怖なって、引き返して違う道で帰った来た言うんや。そんで、その誰
かが、前に井戸で見たやつに違いない、追っかけて来たんや、って怯えててん。
まぁ、勝手に怖がってるだけやろ、とは思ったんやけど、あんまり怖がってるか
ら、俺、あいつと一緒に寝たる事にしたんや。寝てたら途中で目が醒めてな。
あいつ部屋出るところやってん。でも、トイレやろ思て、そのまま寝なおしたん
や。ところが、起きたらおらんねん。おとんたちと一緒になって、家中探したけ
ど、どこにもおらへん。そんで、警察に探してもろてるんやけど、今のところ手
がかりもないらしい…」
「井戸」「漬物石」「夕やけ」 3/3
「前言うてた、幽霊屋敷、とかは?」
「うん、それも言うたから、探したらしいんやけど、やっぱりおらんらしい。井戸
も見たけど、涸れててなんもなかったて」
「そっか…」
「なぁ、大田、今から俺んち来おへん?」
「え?そんなん…いや、今、家ん中大変なんちゃうん?俺行ったらアカンやろ?」
「いや、おかんも、久し振りに大田君に遊びに来てもらい、こうずっと沈んどる
雰囲気やと堪らんわ、言うてた。な、頼むわ。俺もなんや息詰まりそうやねん」
「…わかった。それやったら、行くわ」
そうは言ったが、彼の家に行っても当然会話は弾まなかった。金井のお母さん
も無理して明るく俺を迎えてくれたけど、複雑そうな表情がにじみ出ていた。す
ぐ帰る訳にもいかず気まずい時間が過ぎていた。突然、悲鳴が聞こえた。
「おかんやっ」
「みたいやな、どうしたんやろ」
慌てて、階段を駆け下りると、店側から出て来たらしい金井のお父さんと会っ
た。
「なぁ、今、おかんの悲鳴聞こえたよな?」
「ああ。あいつ、裏の倉庫の方行ってるはずや。行こ」
倉庫に着くと、戸は開け放たれていた。中を覗くと、金井のお母さんが倒れて
いた。横には漬物石が転がっている。すわっと思って駆けつけるが、別に外傷
もなく失神しているだけのようで、ほっとした。
「ひぃ」
後ろで息を飲む音が聞こえた。振り返ると、金井が、開いた漬物樽の前に立
ち竦んでいる。何事かと、僕と金井のお父さんは樽の中を見た。そこには緑色
になった…
すみません。最近どうも全然短く出来ないです。
次のお題は、「飛行機」「おもちゃ」「左利き」でお願いします。
冗長というものはそれだけで読者を選定する
>>291 整合性を気にしすぎでわ?
わかんない恐怖というのもありますし、最小限の文章で書いてみたらどうでしょう。
294 :
◆CRASH/NU :02/07/30 00:10
「私の私の彼は〜左利き〜♪」
昔流行った歌が、電器屋のテレビから流れている。
見回すと、そこは私が少年時代を過ごした町そっくりだった。
どういうことだ…? 何故私はここに居る…?
さっきまで、出張先へ向かっていたはずなのに……
前のほうに、おもちゃ屋が見える。
私が中学に上がるときには既に潰れていた店だ。
間違いない。ここは私の生まれ育った町だ。
最近仕事が忙しく、ゆっくりする暇が無かった。
ああ、悩みの無い少年時代に戻れたらなぁ…
気がつくと、そんなことばかり考えていた。
では、これはどういうことなんだ?
夢? それとも…本当に過去に戻ってこれたのか…?
惣菜屋からは、コロッケのいい匂いがする。
ふと空を見上げれば茜色。 夕日がやけに眩しい。
時間を見ようとし、私は腕時計に目を落とした。
………?
時計の文字盤が、粉々に砕けている。 どこかでぶつけたか?
そう思っていると、文字盤に液体が滴り落ちてきた。
私の頭から流れる血だった。
唐突に思い出した。
私が乗っている飛行機は、山中に墜落したんだ。
では、これは死ぬ間際の、記憶の走馬灯………
「トランペット」「黄昏」「大団円」でよろしく
こないだの日曜の朝、土手の上で煙草を喫っていたんです.
そしたら今時すごい長さの長ラン着た学生が二人やってきて殴り合いを始めたんです。
履いてる下駄脱いで殴ったり、どこに落ちてたんだか丸太持ち出してきたり。
なんだかすげえなあって見てたら突然二人とも斜面に上がってきて寝転ぶんですよ。
私には聞き取れませんでしたがどうやらニ三言葉を交わしてね。
その直後大声で笑い始めたんです。「がっはっは」とこうですよ。
面食らっているとどこからかトランペットが聞こえてきましてねえ。
どこか調子の外れた、でも何だか味のある音でねえ。
しかも朝の十時なのにあたりが黄昏てるんです。こう赤くね。
川に映った夕日がきれいだったなあ。
ああ、そう学生ね、学生。彼等ひとしきり笑ってからむっくり起き上がってね。
こう、がちーっと握手するわけですよ、まさに大団円。
んで肩組んで下駄鳴らしながら去っていきました。ええ。
私びっくりしちゃってねえ、もう一本煙草喫って、気付いたらもう周りは明るいし、
トランペットも聞こえなくなってましたけど、あれなんだったんですかねえ。
不思議だなあ。
次は「ボンド」「灰皿」「錠剤」でお願いします
296 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/30 22:52
>295、ワケワカランが面白い…
とぼけた味がある。なんか好きだぁ。また書いてね。
298 :
◆CRASH/NU :02/07/30 23:59
最近、なんかヤバイ気がするのね。
この間も道歩いてたら植木鉢が落ちてくるし。
横断歩道歩いてたら、信号無視の車に轢かれそうになるし。
夫婦喧嘩してる家の前通りかかったら、家の中から物が飛んできてて
その中のガラスの灰皿が頭に当たりかけるし。
マンホールに落ちそうになるし。
金物屋の包丁が、足の近くに落ちてきたりするし。
これが、ここ2日の間に全部起きてるわけよ。
で、寝れなくて家の庭で煙草吸ってるときに
ふと物置のほうが気になって近寄ってみたんだけど。
そしたら、壁にボンドで止めてある、ズタズタになったワラ人形。
その顔の部分には、僕の顔写真。
何なんだかなぁ。
寝れないので、睡眠薬なんか買ってみたりしたんだけど、
この錠剤に手違いで劇薬が混じってるんじゃないか
なんて疑ってみたりなんかして。
「路上」「栓抜き」「ガス」でよろしく。
>>298 なんか呪いによるアクシデントが喜劇みたい
文章から間一髪で避けてる図が想像できてしまうからかな
>>299 Σ(゜Д゜)
そうか、いっそのことマンホールから落とすべきだったか!
失敗したなぁ。
去年の春のことです。
路上に「壷」というか「瓶」というか、とにかくヘンな物が落ちてたんです。
見たところ、結構古いものらしいんで、「高く売れるかも」と思い、
家に持ち帰ったんです。
部屋に戻ってじっくり眺めてみると「ソレ」の口には栓がしてあったんです。
取りあえず台所からナイフを持ってきてこじ開けることにしたんです。
まあ、栓抜きの代わりです。
開けようとすると、鼻がムズムズしてきたんです。
そう、春の名物花粉症です。
うんざりしながらも「ここは一発、盛大に・・・」とか思ったモンで、
辺りにはばかることなくカマしました。
「ハ、ハ、ハクショ〜ン大魔王・・・・
ゴメンナサイ、モウシマセン。
302 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/07/31 21:07
>>301 面白いかつまらんかはともかくとして、
次のお題は?
くだらないことでageんなボケ!
猿
じゃあ
「猿」「ボケ」「くだらない」で。
あ、僕は
>>301さんじゃないですよ。
まあ、ストップするのもなんなので、代わりに出させてもらいます。
もし
>>301さんが帰ってこられたら、物凄い勢いで謝りますんで勘弁してください。
あのね、次のお題は「路上」「栓抜き」「ガス」なのね
前のお題を使ってお話作って新しいお題を出すの
あう! すんません・・・
で、お題は「猿」「ボケ」「くだらない」でヨシですか?
>>301はネタ話だったので、「路上」「栓抜き」「ガス」のままでいいと思われ。
「路上」「栓抜き」「ガス」
夜。男は近所の山まで車で来た。車を停めると、トランクからホースを取り出す。
そして、それをマフラーにつけ、助手席の窓を少しだけ開き中に入れる。ガムテ
ープで窓の隙間を目張りして、エンジンをかける。そう、彼はここに排ガス自殺
をしに来た。駐車場は共同だし、人気のない路上を探してやるのも気後れがし
た。だから、少し前までやっていた仕事の関係で、勝手を知っているここに来た。
ここらへんは、本当に人が来ない。彼が仕事していた時も、昼でこそ二三人地
元の人に会った事はあるが、夜にはたったひとりとも会った事がない。だんだん
排ガスの臭いがきつくなってきて、意識がぼんやりとしてきた。ふとバックミラー
のところでかすかに揺れている猿のマスコットが目に入る。「そういえば、これ、
あいつに貰ったんだよな…」やがて、彼の意識は真っ暗な中に…
ガシャンッ
大きな音がして、なにかがばらばらと彼の身体に降りかかった。冷たくて新鮮な
空気が流れ込み、彼は意識を取り戻した。フロントガラスが割れて、粉々になっ
た破片が車内に散らばっている。いぶかしく思って、半身を起こした彼の左手に
なにかが触れた。見覚えのない錆びた栓抜き。彼はよろよろと車外に出て、叫
んだ。「誰だっ。誰かいるのかっ」返事はない。真っ暗でなにも見えない。彼はヘ
ッドライトをつけた。少なくともその明かりの中には誰もいなかった。フロントガラ
スはほとんど完全に砕け散っている。もう排ガス自殺の実行は無理だとわかっ
た。すると、突然彼はなんだか無性におかしくなってきた。「くだらない事で死ぬ
なって事かねぇ」声を上げて笑った。まだ頭がふらふらするが、ヘッドライトの明
かりの中、崖の方に近づいた。町の光が見える。彼は少し涙ぐんだ。帰ろう、そ
う思った。「おいっ」背後から声がした。振り向くと誰かがいた。しかし、逆光と涙
でほとんど見えない。その人物が腕をふるように見えた。途端に彼の頭に痛み
が走った。「落ちろ、ボケッ」彼の身体はぐらりと揺れ、宙を舞った。
ちと遊んでみました。まぁ、話としちゃ、「死ねば良かったのに」の亜流だけど。
次のお題、「レコード」「指」「テープ」でお願いします。
311 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/02 17:53
空sage
312 :
ニバス ◆ifJNivas :02/08/03 00:19
取りあえず上げます。
現在、HP立ち上げ待ち状態です。
おお!
俄然やる気がでてきますな
314 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/03 01:58
「レコード」「指」「テープ」です。 1/2
徹夜明けの帰り道に、異様ないでたちの女とばったり出くわす。額には出血した後があり、血液が凝固している。
着衣は乱れて、すえた臭いがした。手に何かもっている。いやなのがきたなぁと思い足早に通り過ぎようとしたのだが、
女はすれ違いざまに私を指差し、「おおお、おおお!」と叫ぶと、飛び掛ってきた。
異様な女は危険な女だった。かかわってはならないと逃げるわたくし。しかし女は追いかけてくる。学生時代は陸上部で
鳴らしたものだが、もう十年以上経っている。追いつかれて屈辱を感じるわたくし。女は後ろから覆いかぶさってきた。
負けるものかと背負い投げをきめるわたくし。女は拍子抜けするほどあっけなくすっとんでいった。そしてぴくりとも
動かない。さすがにこりゃまずいかなって、近づいてみるわたくし。すると女はニヤリと笑い、
「運命、宿命、運命、宿命」と壊れたレコードのように繰り返しながら、そばに落ちていた石か何かでもって、心配していた
わたくしの額にかなり強い衝撃を何度にもわたってあたえる。
315 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/03 01:59
2/2
急を襲われたのと恐怖とでしばらく動けなかったわたくしであったが、やがて反撃にでる。この失礼極まりない女の顔面に
グーで正義の一発をいれる。さすが、男の力。女はぶっ倒れる。そして最後の力を振り絞って、何故かわたくしに
にぎりしめていた一本のカセットテープを差し出す。とにかくこの場から離れようと思い、そのテープをひったくるように受け取る。
女はいやな笑みを顔に張り付かせながら、ゆっくりと痙攣した後に体をつっぱらせると、今度こそ動かなくなった。
誰にも見られませんように、と神様とかに祈りながら、全速力で家に帰るわたくし。
家に帰って厳重に鍵をしめ、気になるテープをデッキにほうりこむ。そして流れてきた内容をききながら鏡をみる。
あっちゃー傷は深いぞなどと思いながら手当てをしようとしたら、テープが聞き捨てならないことをいった。怪我の手当てなど
ほっぽったまま、思わず巻き戻しをして聞き入るわたくし。何度も何度も巻き戻してしまうわたくし。
巻き戻しながらもテープの劣化が怖くなり、ダビングまでしてしまうわたくし。ダビングしたテープに聞き入りながら、
自分の使命がやっとわかったわたくし。気がつくとテープを聴き始めてから、もうだいぶ経っていた。次の次の次くらいの、
新しい夜明けが来ていた。そろそろ時間だ。
よっこいしょと立ち上がると、オリジナルのほうのテープをもって外出するわたくし。
目的は人探し。その人に期待することは二つ。
ひとつは、このテープの内容を聞かせるべき運命の相手であること。
もうひとつは、このテープを聴いてしまったわたくしをちゃんと殺してくれる宿命の人であること。
それではお題を出させて下さい。
「コレクション」「暖炉」「にわか雨」
>>312ニバスさん
宜しくお願いします。
317 :
「コレクション」「暖炉」「にわか雨」 ◆CRASH/NU :02/08/03 02:17
「これ、もう処分しちまうか…結婚することだし」
レイジはそうつぶやくと、暖炉に火をつけた。
苦笑しながら。ちょっと鬱になりながら。
しかも、外はにわか雨。なるほど、鬱にもなるはずだ。
四つの段ボールが目の前にある。
段ボールの中には、彼が大事に抱えたコレクションが入っている。
路上で手に入れたときもあった。
二時間待って手に入れたときもあった。
「わが青春の、一ページだな…」
かわいた笑いを自嘲気味に発しながら、それらを暖炉にくべていく。
あっという間に、コレクションは炎に包まれていった。
目玉─それが、彼のコレクションだった。
思わず遊んじゃった。
「包丁」「地団駄」「スライディング」でよろしく。
318 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/03 02:45
「包丁」「地団駄」「スライディング」です。
「これ、ヤマモト君のおはかにそなえてあげてください。」
ぼくの差し出したプラモデルをヤマモト君のお母さんはフンといってほうり投げた。
ぼくは慌ててスライディングして受けとろうとしたけれども、プラモは玄関の敷石に当たって壊れてしまった。
でもぼくは文句が言えなかった。 だってヤマモト君はぼくと一緒に遊んでいて死んだんだ。
ぼくが頭を上げると、鬼の顔をしたヤマモト君のおかあさんが、包丁をもって立っていた。
そしてとても低い声で
「今から実験しにいくよ、ついておいで。」
と、いった。 ぼくは怖くて逆らえない。ぼく達はヤマモト君が溺れ死んだ貯水池に向かった。
貯水池につくとヤマモト君のおかあさんは
「木に登れ」
といった。ヤマモト君が上って、枝から池に落ちた木。ぼくはイヤだったが、包丁が怖かったのでしぶしぶ上った。
「もっと高く上れ、もっと先まで!先まで!」
ヤマモト君のおかあさんは、大声でわめいて、とても怖い。これ以上先に行くと枝が折れてしまう。
ぼくは木の枝につかまって震えていた。
「登れ、登れったら!!」
ヤマモト君のおかあさんは地団太を踏んで悔しがっていたが、そのうちぼくの登った木をゆすりはじめた。
おばさん、ぼくもヤマモト君みたいに溺れて死ねばいいと思っているんだ!!
振り落とされないようにしがみつきながら下の貯水池をみると、水面にわっかができ、そこからヤマモト君がすーっと
浮かび上がってきた。そして死に物狂いのぼくと目があうと、ニッコリと笑った。
これ、このあいだの百物語のときに創作したハナシを作り変えたモノです。
一人称で語ったせいか、事実と思って「あなたは悪くないんでしょ?」と心配してくださった
方がいらっしゃったのを過去ログで知ったのですが・・・すいません、これ造りバナシです。ウソッコです。
ご心配おかけしました。
それではお題です。宜しくお願いします。
「ブリキ」「亀裂」「造花」です。
>>317お見事です。ここまでキレイにまとめていただけると、お題を出したほうも
なんだか嬉しいです。
「包丁」「地団駄」「スライディング」
A氏は一人前の寿司屋を目指して修行中の身である。
「なにやってんだバカ! 巻きもまともに切れねえのか!」
「すいません!」
今日も今日とて兄弟子に叱られ小突かれ一人河川敷をとぼとぼ歩いていた。
「才能ねえのかなあ俺・・・」
懐から愛用の包丁を取りだししげしげと眺めるとこれまでの苦労が脳裏に浮かぶ。
自分の長年の苦労を思い、彼は地団太を踏み悔しがった。
そして、
「やってられるか!」
そう叫ぶと包丁を闇雲に放り投げてその場を走り去った。
翌日。
「オーライ、オーライ」
河川敷で野球を楽しむ子供が大きなフライにヘッドスライディングで飛びついた。
なかなか起きあがらない彼を訝しげに覗きこむ友達。
彼の右目にはざっくりと鋭い柳包丁が突き刺さっていた。
次は「隣人」「カレンダー」「ブランコ」で御願いします。
ああ・・・
遅かった。
でもスレが生き延びていてちょっと嬉しかったです。
322 :
通りすがり:02/08/03 02:58
「包丁」「地団駄」「スライディング」1/2
「最近まさやん来ないね」
「塾とか行かされてんじゃないの?ほらあれ、ゆとり何とかで」
「ウチのかあちゃんも、最近おれにうるさく言うよー。塾どう?てさー」
その日も僕らは、公園でサッカーの練習中。
僕は哲治のスライディングをなんとかかわして、ゴールを決める…はずだった。
「あっ!」
力一杯蹴ったボールは、変なカーブを切って、角にあるあばら屋に突っ込んでいってしまった。
「おい、あれ包丁ババアの家だよ、マジやべえよ」
「あのボール新品なんだぜー!!」
包丁ババアっていうのが、あの家には住んでいるそうだ。
一度「うるさい!うるさい!」と大騒ぎして、公園で遊んでいた子供を包丁で斬りつけたことがあるんだって。
その子は、両腕を切られて、死んじゃったって話だ。
「どうしようか…」
「みんなで行って、謝ろうよ」
僕たちは連れだって、包丁ババアの家に行った。
323 :
通りすがり:02/08/03 03:01
ほんとにこんな所に人が住んでいるのかな?と思う位、その家はボロかった。
おまけに変な臭いがする。呼び鈴もない。
「すみませーん!サッカーボールがここに…。どなたかいませんかあ?」
何回か叫んでいると、ガラリ、と扉が開いた。
包丁ババアを初めて見た。結構普通のおばあさんだ。
僕たちは素直に謝った。
「ボール、奥の部屋にしまっちゃったよ?
取ってくるからちいと待ってな」
包丁ババアはそう言うと、奥に引っ込んでいった。
「結構ボールが飛び込んでくるんだねえ」と、哲治。
そう言われれば、そっちこっとに野球のボールやら、サッカーのボールやらが
転がっている。
「あれ?あそこにあるの、まさやんのボールちゃう?」
庭の端のほうに、ちょっと古びたボールがあった。ほったらかしになってた
みたいで妙にボコボコしてるけど、かすかに「まさし」と書いてある。
「あれ?」
「どしたん?こうちゃん」
「ねえ、ボールに穴開いてない?なんか出てるよ」
僕らはボールに近づいてみる…。
まさやんのボール…その穴から
指が出ていた。
僕らは悲鳴を上げて、そこから逃げ出した。
うしろから、包丁ババアが地団駄を踏みながら叫んでるのが聞こえた。
「手ぇ切らせろ! 手ぇ切らせろ!」
長いうえダブっちゃってすみません!!
次は「ウロコ」「鍋」「インターネット」でお願いします。
324 :
通りすがり:02/08/03 03:03
うわ、お題出されてる!!自分カッコ悪すぎ!!
なかったことにしてください…
ちなみに私は106=120=127=189=255=264=314=318なのですが、
ほかのみなさまも結構複数書いておられますよね。
(83さんは旅行でもされているのでしょうか?)
それにしても書き込みって結構同じ時間で集中しちゃったりしますよね(笑)
やっぱり深夜は創作意欲がそそられるものなのでしょうか?
「ブリキ」「亀裂」「造花」
が次のお題と言う事で、よござんすね?
お題の順番を整理してみました。
これが消費されるまで新しいお題を立てるのは控えましょう。
1. 「ブリキ」「亀裂」「造花」
2. 「包丁」「地団駄」「スライディング」
3. 「ウロコ」「鍋」「インターネット」
さあ溜まってまいりました。
あ、間違えた。
2. 「包丁」「地団駄」「スライディング」
はもう出てますね。スマソ
「ブリキ」「亀裂」「造花」
父と母が交通事故で亡くなった。わたしには、兄弟もつきあいのある親族もいない
ので、これで天涯孤独の身の上、という訳だ。葬儀も終わり慌しさが去ってみると、
その悲しさ寂しさは、ひどくわたしの心を苛んだ。たったひとりで住む事になった家
に帰り、自分の部屋に入って、ベッドに寝転んだ。明日からどう暮らせば良いのか、
ぴんと来ない。ふと、本棚の脇の方に飾ってあるブリキの兵隊さんが目に入った。
昔、父が誕生日にくれたものだ。ずっと置きっ放しになっていて、最近特に意識し
た事はなかったのだが、今、それはひどく大切なものに思えた。わたしは起き上
がって、それを手に取ってみた。見ると、古くなったせいか、亀裂が入っているの
に気づいた。そして、そこからなにかがはみ出していた。丸めた紙片のようだった。
それを取り出して広げてみると、そこには確かに父の筆跡で「なぜ生まれてきたの
だ。望まれない子供め」と書いてあった。思わずよろめいて机に手をついた拍子
に、そこに置いてあった花瓶が落ちて割れた。その花瓶には母が作ってくれた造
花が挿してあったのだが、その花の裏側に、薄い色合いだがはっきりと「死ネ」と
書いてあるのを見つけた。
「隣人」「カレンダー」「ブランコ」
僕が小学校三年生の頃。学校から帰って、遊びに出ようとした時に、同い年くらい
の男の子と鉢合わせしそうになった。学校が違うのか一度も見た事がない子だっ
た。すぐに意気投合して、一緒に近所の公園に行く事にした。ところが、途中で、見
た事もない広くて綺麗な公園を見つけた。幼かった僕は、へぇ、新しく出来たんだ、
と、別に不審にも思わず、そこで遊ぶ事にした。先に言った公園と違って、滑り台
もちゃんと滑るし、ブランコも錆びたりしてない。僕は夢中になって彼と遊んだ。しば
らく遊んだ後、彼の家に行った。ここらへんではあまり見ない古びた広い家だった。
そこでかくれんぼをしたりして遊んだ覚えがある。
一週間ほど彼とばかり遊んだのだが、その次の日彼には会えず、そして、それか
ら二度と会えなかった。例の広い公園や彼の家を探した事もあるが、どうしても見
つからず、また誰に訊いても、そんな公園や家はここらへんにはない、と言われた。
それから十数年、僕は大阪に出てひとり暮らしをしている。テレビで、僕と似たよう
な体験をした人を紹介していた。不思議な事もあるもんなんだ、と思った。考えてみ
ると、あの公園にしろ、彼の家にしろ、彼といる時にほかの人と会った記憶がない。
コンコン。ノックの音がした。
「はいー、どなた?」
「あ、今度隣に引っ越してきた日下と申します。引越しのご挨拶に参りました」
今時律儀な人だねい、と思って、ドアを開けて驚いた。「彼」なのだ。成長はしてい
るが、間違いない。
「あっ」向こうも気づいたようだ。
ふたりで再会を喜び合って、昔の話をしたのだが、しかしどうも噛みあわない。彼
は当時の僕と全然違うところに住んでいたと言うし、彼の家で一緒に遊んだ事はな
くて、僕の家で遊んだ事になっている。試しにお互いの家の特徴を話し合うと、どち
らも合っているようだ。僕の家のトイレにかけていた僕のお気に入りのアニメのカレ
ンダーの事まで言われたのでびっくりした。例の公園の事を言うと、彼も僕と会え
なくなってから探したが見つからなかったという。結局、なにがなんだかわからない
が、僕は良き隣人に恵まれたと言えるのだろう。それからは昔からの親友としてつ
きあっている。
これで、現在のお題は、「ウロコ」「鍋」「インターネット」ちゅー事で。
で、281以降で気になった作品。
>>282 この手のは普通親子で繋げるんだろうけど、兄弟だけにこれ以上の
連鎖がないっぽいのが残念。主人公からは弟以外の人物に繋げば
良かったかも知れません。
>>284 イメージ的になかなか素敵です。
>>295 訳わかんねぇー(笑)でも嫌いじゃない。
>>298 深刻そうな状況でゆるい主人公が良い味です。出来ればこのまま
きわきわで人生を全うしてもらいたい(笑)
>>314-315 (元陸上部だけに)バトンを受け取ってしまった訳やね。
>>317 やられたっ(笑)328読むまで気づかなかったです。あ、一応最終行に
不自然さは感じたんだけど。
>>318 ああ、元話リアルタイムで読みました。で、ちとログでも見るかと、Janeで
保存してたログ開いたら、丁度その話のところが開きました。偶然とは
言え、結構マジビビり(笑)
>>323 なぜかオバQのカミナリさんを連想。最後がちと乱暴ですけど、結構良い
ように思います。
>>312 ごくろうさまです。期待しています。
>>325 > (83さんは旅行でもされているのでしょうか?)
んー、
>>292-293というご意見もあったので、文長くなる病治療中
ってとこです。
連続書き込みスマソ。
336 :
「ウロコ」「鍋」「インターネット」 ◆CRASH/NU :02/08/03 19:49
「闇鍋OFF会をしよう」あるインターネットのサイト内での告知。
何か面白そうだったので、参加することにした。
自己紹介を済ませ、電気を消すといよいよ闇鍋の開始である。
暗闇の中、食材を鍋に放り込み、煮えるのを待つこと約15分。
「じゃ、食べるとしますか」
ホストの声で、皆一斉に箸を鍋に入れた。
「うわ、なんかサラミ丸ごと一本入ってる!」
「これ、異様に硬い…て、カツオ節すか?」
「何かぬるぬるして掴みにくいんですけど…」
「誰ですか!?インスタントラーメン1個丸ごと入れたのは!?」
とまあ、あちこちから色んな声が飛び交う。
で、僕はというと……何なんだ、これ??
表面はウロコで覆われている。…魚?ウロコぐらい取ってほしい。
で、意を決して口に入れてみる。
……ゴムの様な触感に、植物っぽい味。あまり美味くない。けど、何とか完食できた。
「食べたんだね」
背後から突然の声。誰!?
食後、訊いてみる。
「あの、ウロコのついた食材、何だったんですかねぇ?」
みな、首をかしげる。あれ?
「ひょっとして、誰も心当たり無い、とか?」
するとホストの人が一言。
「いいじゃない、細かいことは。楽しかったんだし」
………ま、いいか。
■「キノコ」「時間」「闇の中」でよろしく。
父「おまえ生まれる前のことも覚えてるんだって?」
子「うん」
父「お腹の中ってのはどんな感じだった?」
子「真っ暗な闇の中で、時間の経過もわからないようなとこだったよ」
父「暑かったり寒かったりは?」
子「暑くもなく寒くもなく・・・。お腹の中は、多分秋だったんじゃないかな」
父「なんで秋?」
子「たまに下からキノコが生えてきたもん。
大きいのやらと小さいのやらたくさん種類があったみたい」
次は「ひしゃく」「カラオケ」「壷」で御願いします
昔、きのこを食べて大きくなるTVゲームが流行ったんですが
(皆さんも一度はやった事があるのではないでしょうか)
その当時の話です。
少年はいつものようにゲームをしていました。
少年の親は共働きで、夜遅くまで帰ってきません。
その時、電話がなりました。「ジリリー、ジリリー、ジリリー」
3回なって切れました。
「あっ、ママだ。」
その家では、家の近くのスーパーに母親が着くと
スリ−コールをするのが決まりでした。
少年はゲームを片付け、勉強をするふりをしていました。
5分、10分と時間が経っていき、ふと思いました。
「ママを驚かしてやろう。」と。
スリーコールから30分以内には、いつも帰ってくるので、
急いで隠れました。
隠れた場所は両親の寝室のタンスの中でした。
しかし、待てども待てども、母親は帰ってきません。
闇の中で、少年は不安になりました。
「おかしい。おかしい。」
頭の中で反芻し続けました。
あまりにも遅いので、いったんタンスの外に出ることにしました。
開けた瞬間、そこで見たものは、まばゆいばかりの光でした。
そうです。朝になっていたのです。
後に聞いたところによると、
母親が帰って来たときには、TVゲームが散乱しており、
息子は友達の家に遊びに言ったんだなと思っていたそうです。
しかし、あまりにも遅いので、友達の家に電話をかけ、
どこにもいないことがわかると、父親と一緒に外に探しに行き、
最終的には警察に行ったそうです。
そして朝、母親が一人で居間にいる時、寝室で「ガタッ」という音がし、
不審に思い、行ってみると、息子が居たそうです。
ただ、そのタンスは母親が、いの一番に探した場所でした。
なにしろ、母親はそのタンスの見覚えがなかったのです。
「ひしゃく」「カラオケ」「壷」
今年の四月の事やねんけど、友達何人かとカラオケ行く約束してたんよね。
んで、待ち合わせ場所行こ思て、家出てちょっと歩いたら、道の脇になんか古い
壺が落ちてたんよ。
その日ゴミの日やったから、ゴミ袋いくつかと一緒にぽつんとね。
粗大ゴミの日とちゃうんやから壺はあかんやろー、って興味覚えたから近づいて
みると、これが、なんやええ壺なんよ。
いや、別に壺の事なんか詳しゅうないから、焼きがどうとか色合いがこうとかは
わからんねんけど、なんや知らんやけに魅力的な感じやの。
(家近いし持って帰ろうかな。いや、邪魔か。うーん)
ほんで、何気なく蓋取ってみたんよ。
したらね、変な煙みたいなんがぶわっと出て、ついそれ吸い込んじゃったの。
途端に息出来んくなってね。吐けるんやけど、吸われへんの。
その場でぶっ倒れて、もがくいてたんやけど、全然治らへん。
(あかん、俺死ぬ)思た時、声が聞こえてきたんや。
「なんとか間に合いましたね」
その声が聞こえたら、急にふっと息が吸えてな、助かったーってので一杯やったね。
「危ないところでした。これからは見知らぬものには気をつけなさい。では」
あっ、って周り見ても誰もおらへんし、壺なんか影も形もないんや。
ただ、あの声どっかで聞き覚えがあったんよ。
でも、それが誰だったかわからへん。
だーれやったかなー、って首捻りながら歩いてたんやけど、近所のお寺の前通った
時、思い出したね。
ちっちゃい頃、俺とか同級生、このお寺でよぉ遊んでたんやけど、そん時に時々
聞こえてた声やねん。
でも、聞こえた時に周り見てもほかの人おらへんし、絶対に同級生の声の聞き間違い
でもないねん。
そやけど、不思議にその声には安心出来たんよ。
友達に遅れるって電話してから、お寺ん中入ったら、丁度その日八日やったんやね。
だから、仏像にひしゃくで甘茶かけながら、(さっきはありがと。誕生日おめでとうな)
って心の中で言うたら、「ありがとう」ってやっぱりあの声で聞こえたね。
カッポレ、カッポレ、甘茶でカッポレ、とね。
次のお題、「ネックレス」「エスカレーター」「怪談」で、お願いします。
344 :
、「ネックレス」「エスカレーター」「怪談」 ◆CRASH/NU :02/08/04 16:58
PM6:00。とあるファーストフード店にて。
A「なあ、東階段の話知ってるか?」
B「何?パンチラスポットかよ?」
A「違うって、アホ。最近女子たちの間で広まってる話だって」
C「ああ、首にネックレスつけた女が現れる、てやつ?」
A「そう、それ。夕方になると現れて、ボーっと突っ立ってるんだってよ」
B「なんだそれ?変質者か?」
A「学校側もそう思って警備員に確かめるように依頼したんだって。
で、何日かして警備員も見たらしい」
B「それで?」
A「で、警備員は当然訊くわけだよな、『何してるんですか?』て。
そしたらその女はこう答えたんだって。
『私も、ここに、入りたかった………』
よく見たら、首のネックレスは、荒縄だったんだってよ。
で、女はそのままフッと目の前で消えたらしい」
C「ほら、俺らの学校っていわゆるエスカレーター式ってやつで
一旦入れば大学まで進めるわけじゃん?
けど、入るのってすんごい難しいじゃない。
で、何年か前に入学しようとした女の子がいたらしいのよ。
けど、受験に失敗。落ちちゃったんだって。
で、彼女の家族はみんな彼女が受かる、って信じて期待かけてたんだって。
けど、それに応えられなくて、彼女は悩み悩んだ挙句
近くの公園のトイレで首吊っちゃったんだって。
で、それ以来…てやつ」
B「………」
A「まあ、よくある怪談話だよなぁ」
B「………」
C「どうしたB?まさかビビってんの?」
B「……それ、多分俺の姉ちゃんだ…………」
「命令」「ダンプカー」「鉄砲」でよろしく。
345 :
「命令」「ダンプカー」「鉄砲」:02/08/04 21:49
友達から聞いたんだけど、ちょっと前までダム建設現場で
働いていたんだって。
やっぱりダムの工事なんていったら、山奥だから1ヶ月ほどの契約で
現場に隣接する仮設住宅に他の作業員と寝泊りしてたんだって。
まぁ、そんな不便な場所だから、給料はよかったらしいよ。
ある日、作業員がブルドーザーでダンプカーを通すために山道を拡張してたら、
古い石の祠みたいなのが山の土砂に埋もれていたのを削り出しちゃた。
なんていうか、その石の祠って、山の中に半分埋もれていたらしくて、
道からだと大きな石があるほどにしか見えなかったらしいよ。
実際、うちの友達も現場が騒がしくなって、休憩する口実に見に行って初めて気づいたらしいからね。
だけど、やっぱり、祠とか昔の骨董価値ありそうな物って、発見したらお役所の手続きとか、面倒なんだって。
それで、山奥だってこともあって、現場監督は祠を強制撤去する命令を出したんだ。
会社としては、祠を役所に手続きを取ったりするより、作業員の口封じ分の上乗せ金を
払うほうが安上がりだと踏んだんだろうね。
祠なんて見つかったら、一応神仏を祭ってあるもんだし、それなりの敬意を払って移動とか
するべきとこなんだろうけど、その監督、心霊とかまったく信じない人だったから、
祠に使われていた石は全部解体して、山道の脇に祠と一緒に放置してたらしいよ。
そんな神様を侮辱するようなことしてたから、祠を移転した翌朝から現場では有り得ない事故がおき始めたんだって。
まず初めに、祠の目の前の山道で土を持ってきていたダンプカーが横転して、山の斜面を50メートル以上も落ちて運転手が即死したの。
翌日からは死人は出なかったんだけど、作業員の骨折とか打撲とか些細な事故で
山を下山しなくてはいけなくなったらしいよ。
友達もセメント運んでる時に足の骨を折って、麓の病院で治療受けたんよ。
作業員に事故が続くんで、その監督は作業員の総入れ替えを会社にしてもらったんだって。
祠のことを知らない人に任せれば、工事ははかどると思ったんだろうけど。
でも、総入れ替えをして間もないうちに、その監督さん、山で猟をしていた人の流れ弾が頭に当たって即死したんだって。
でも、それが不思議なのは猟をしていた人は現場から15キロも離れた所で鹿を撃っていたって、
新聞に載ってたんよ。そんなに遠くまで撃てる鉄砲なんて、うち信じられんわ。
あんた、うちの話、信じてない?
でも、これ本当なんよ。
うちがこの病院で働く前は、山の診療所でおじいちゃんの手伝いしとったんよ。
それで、担ぎ込まれた作業員の人から、この話聞いたんよ。
その時の新聞もちゃんと取ってるんだからね。
「蓮の花」「神社」「ペットボトル」でお願いします。
「蓮の花」「神社」「ペットボトル」
あ、あなたもアレ祈願ですか?はい?アレってなんだって?ああ、知らんとお
参りしたんですか。え?なんの事か聞きたいって?良いですよ。
二年くらい前なんですけどね。ここらへんに、ブラックロータスやら名乗ってる
暴走族がいて、毎晩毎晩ぱーぱーぷーぷー鳴らして走り回って迷惑かけと
ったそうです。それで、ある日、そいつらがこの神社に忍び込んで、ご神体
に悪戯したらしいんですわ。蹴ったかなんかして少しへこんでて、ペンキもか
けられたらしいです。まったく罰当たりなもんです。そうしたら、あれですわ。
えらいもんで、次の日、そのひとりが路上に転がってたペットボトルを踏んで、
こけて即死ですわ。なんでも、おじいさんが事故現場の近くの蓮池で、蓮の
花が咲いとる、思たら、そのこけた奴の肉片がそこまで飛び散ってた、とか
で、相当派手にこけたみたいですな。それ以外でも、家が火事になったりと
か父親の会社が破産したりとか、ほかの奴らにも色々あって、結局じきにそ
の暴走族解散したそうです。
それからは、この神社、暴走族退治のご利益がある、と噂になって、全国か
らお参りに来るようになったとかで、わたしもその口ですわ。実際、結構ご利
益あるそうですよ。知り合いもお参りしたら、その当日、近所の暴走族が大
事故起こしてふたりほど死んだそうですわ。え?気分が悪くなったから帰る?
そうですか、大変ですな。お気をつけて…
次のお題、「頭痛」「冷蔵庫」「靴べら」でお願いします。
「頭痛」「冷蔵庫」「靴べら」1
頭痛が止まない。
近所にある古屋敷、その2階の窓から髪の長い女性がこちらを見ていた。
その女性と目が合った瞬間から、何故か頭痛が止まなくなった。
薬を飲もうが、横になろうが、頭痛は止まなかった。
理由はわからなかったが、原因はあの女性だと私は確信していた。
大きな取っ手に手を掛けると、扉は何の抵抗もなく大きな音を立てた。
目の前に広がる闇。そしてとてもホコリっぽい空気。
やはり、長い間人が住んでいないのは本当らしい。
懐中電灯を灯してみると、中は意外と狭かった。
心細さを補う為だろうか、私は玄関に置いてある大きな金属製の靴べらを手にとった。
見かけよりは全然軽い。これなら、いざというときには武器になるだろう。
あの女性がいた部屋を目指して、階段を上っていく。
お約束どおり、一段一段足を掛けるたびに大げさな音が屋敷内にこだまする。
頭痛は益々酷くなるばかりだ。
その部屋が近づくたびに痛みが増していくような気がする。
まるで危険を知らせるアラームのように。
「頭痛」「冷蔵庫」「靴べら」2
そして、とうとうあの部屋の正面にたどり着いた。
取っ手に手を掛けて回してみる、
が、ガチャガチャと音がするだけでドアは開かなかった。
私は靴べらの先を隙間に差し込むと、反対側をぐっと押した。
メキメキメキッ!!!と悲鳴のような大きな音を上げて、ドアは開かれた。
明かりを部屋の中へ向ける。
部屋の中にはボロボロになったベット、スタンド、そして何故か小さな冷蔵庫が置いてあった。
電気が通っているのだろうか、冷蔵庫からは独特のモーター音がする。
静かな部屋にその音だけが静かに響いていた。
女性は確かにその窓からこちらを見ていたはずだ。
だが、部屋の中には誰もいない。
頭痛は何も考えられない程に酷くなっている。
私は冷蔵庫を開け放った。理由なんか必要なかった。
中には大量のビン。そして、ビンにはカプセルがぎっしりと詰まっている。
蓋を開けて、次々と口の中へ流し込む。本能がそう命じていた。
気が付いたときには、空のビンが一つ転がっていた。
「頭痛」「冷蔵庫」「靴べら」3
しばらくの間は呆然としていた。
頭痛はいつの間にか治まっていた。
ふと目線をドアの方に向ける。
そこには、あの女性が微笑み携えてこちらを見ていた。
妖しい口元に濡れた目線、そして何とも艶めかしい肌。
彼女は後ろ手にドアを閉めると、私の方に近づいてくる。
もう、何も考える事はできなかった・・・
窓から差し込む光で目が覚めた。
私はあのベットで横になっていた。
あの後何があったのか、全く思い出せなかった。
相変わらず、部屋の中では冷蔵庫の音が静かに響いている。
気になって中を覗いて見たが空になっていた。
空きビンの一つすら見つからない。
床には靴べらが置いてあるだけだ。
多くの謎を残したまま、私はその古屋敷を後にした。
結局、女性は二度と私の前に現れる事はなかった。
いつの間にか、屋敷は取り壊されていた。
あれから変わった事はただ1つ。
私が男性として機能しなくなった事だった。
オチがイマイチですね。
>>336 後味悪ッ! すんごい印象に残りました。
>>334 こちらもなんか後味悪いですね。自分の身内が幽霊として目撃されたら嫌ですね。
>>347 83さん、そんな神社があったら今にでも駆け込みますよ。ええ。
次のお題。
「太陽」「灰色」「点滅」でお願いします。
352 :
「暗闇」「血」「死神」:02/08/05 09:17
目を覚ます・・・
朝だと思いカーテンを思いっきり開けた・・・・
暗闇・・・・
窓の外は暗闇だった・・・
時計を見れば午前2時・・・
不思議に思いながらも、もう一度布団に潜り目を閉じた・・・・
目を覚ます・・・・
あれから・・・どのくらい寝たのだろう?・・・・
・・・今は朝を迎えているのだろうか?
真っ暗な部屋の中を見渡し・・・ベッドから降りた
・・・玄関の扉からは黄金色の朝日が差し込んでいる
!!!!・・・
・・・・扉の隙間から赤々とした・・・血のようなものが溢れてくる
・・・ためらわず扉を開けてみた
・・・・ここは・・・ドコ?
目の前ではひとではない真っ黒な影がわたしを見つめている・・・
手には黒光りする大きな鎌・・・・・死神か・・・
・・・・なぜ、、わたしを見つめている?
鎌がじわじわとわたしを追い詰める・・・・
この恐怖に逃げ場はあるのだろうか?・・・・・
語り部六さん。ゴメソ。次のお題って俺が書かなきゃいけなかったんだよね?
小学校5年生くらいの時に、授業で太陽の観察ってのがあった。
肉眼で太陽を観察すると失明するかもしれないから、プラ板に黒いマジックを塗った、
太陽鏡(そういう名前だったと思う)を各自作って出来た者から校庭で観察を始める
ことになってた。
クラスのガキ大将が黒いマジックでなくても、太陽は観察できると主張し、
彼だけ灰色のマジックで太陽鏡を作っていた。
僕も作り終わって校庭に出てみたんだけど、担任が教室の工作グループを見てることもあって
誰もまじめに太陽の観察ノート書いてなかった。
で、校庭で飼育小屋を見に行ったりしてるうちにガキ大将のグループが騒ぎ始めて、
とりあえずみんなで彼の所に集まったんだ。
ガキ大将が言うには、彼の作った灰色のプラ板だと太陽が点滅して見えるという。
最初は彼も黒いプラ板と同じように見えてるんだと思っていたらしいが、
自分の板だけ太陽が点滅するので、それを自慢してるうちに騒ぎが大きくなったらしい。そんな事言われたら、誰でもガキ大将のプラ板使ってみたくなるわけで、
交代でクラスの子は彼のプラ板を貸してもらった。
僕も借りたんだけど、黒いプラ板で見た時みたいに白い点となって光っていたのが、
一定の間隔で光ったり消えたりした。
355 :
「太陽」「灰色」「点滅」:02/08/05 19:09
そうやってプラ板で遊んでるうちにその日の授業は終わったんだけど、
その次の日からガキ大将は欠席して、程なくして担任から彼の一家が引っ越して
彼は他の学校に移ったと知らされた。
実験をした翌日に僕も灰色のプラ板でガキ大将が作ったのと同じ太陽鏡を作ったんだけど、
灰色のプラ板を使って太陽を見たらわかると思うが、点滅どころか太陽が点として
わずかに確認できるだけだった。
彼の太陽鏡で見たときのようにまぶしい光もなかったから、なんか不思議だ。
そのクラスのほとんどが彼の太陽鏡を試してるから見間違いとは思わないし、
懐疑的だった生徒も点滅を見てるんで、彼が作った太陽鏡でしか太陽は点滅しないんじゃ
ないかとおもう。
次、「煙突」「袴」「さつまいも」でよろしく。
「煙突」「袴」「さつまいも」
僕は弟の剛が好きだった。
年は離れていたけれど、せがまれればいつも一緒に遊んであげた。
剛は折り紙が苦手で、やっこさんの袴を何度教えても折れなかった。
だから僕がいつも折ってあげた。
剛はふかしたさつまいもが大好きだった。
だからおやつがさつまいものときはこっそり分けてあげた。
剛は名前がつよしのくせに泣き虫だったから、
「それじゃつよしじゃなくてよわしになっちゃうぞ」
と、僕は泣きそうになる剛をいつも元気付けた。
その剛が、夏休みの最初の日に町で一番高い煙突から落ちて死んでしまった。
友達に「よわしだよわしだ」とからかわれて、
意地になって登った剛は、突風にあおられて落ちて死んでしまった。
お母さんは剛が死んだことを認めたくないのか、
おやつに必ずさつまいもを出して、剛の分までお皿に乗せてテーブルに置いた。
そして決まって僕にこう言った。
「ねえ剛が袴を折ってって言ってるわ。お兄ちゃん折ってあげてよ」
僕は何も言わずに袴を折って剛の皿の横に置く。
「よかったねえ剛。袴がないとかわいそうだもんねえ」
そしてお母さんはやっぱり必ずこう言った (下へ)
(続き)
お母さんには剛が見えているんだろうか。
そのお皿の前には剛が座っているんだろうか。
昨日、その答えが分かった。
夜遅く、寝ている僕の耳元で声がした。
「・・・ちゃん。・・ってよお。・・・んだよお」
飛び起きた僕は、そこに剛がいることに気づいた。
剛はもう剛じゃなかった。
両手がちぎれ、腰から下はぐじゃぐじゃにつぶれて何か気持ちの悪いものがぶらさがっていた。
剛は口か鼻か目か区別のしようのない、顔の真中にある穴からこう言っていた。
「お兄ちゃん・・・。はかま折ってよお。ぼくのはかま、なくなっちゃったんだよお」
ああ・・・、剛は確かにやっこさんだ。
手もなく、足もない、やっこさん。
僕は剛のために泣きながら袴を折ってあげた。
僕は弟が大好きだったから。
次は「鏡台」「横断歩道」「ビデオテープ」で御願いします。
友人から一本のビデオテープを渡された。
テレビ局に勤めてる彼は、時々編集前のテープを見せて番組のヤラセやネタばらし
を教えてくれる。
もちろん絶対に口外しないと言う条件付で。
そのビデオテープもそうしたものの一つだと思っていた。
「コレ、ちょっと見てくれないか。」
いつもとは違い、そう言った彼の顔は少し青ざめて見えた。
「何が映ってるんだ?」
「まあ、自分で確かめてみな。」
ほどなく彼と別れて自室でソレを観賞することにした。
内容は大したものでは無かった、というか全く期待はずれのものだった。
深夜に撮ったと思われる交差点。映っているのはたまに通る車や横断歩道。
ただそれだけが延々と収められていた。
次の日、彼から電話があった。
彼が話し出すより先に口に出していた。
「お前か。何なんだ?あのビデオ?何も映って無かったけど。」
「そうか・・・取りあえず、会えないか?」
「ビデオのことか?」
「詳しいことは会ってから話すよ・・・」
近所の喫茶店で待ち合わせ、もう一度同じ問いをした。
「なんなんだ?あのビデオ。」
「心霊番組をやることになってさ、スポットにカメラを置いて朝まで撮影することになったんだ。
「ふーん。でも何にも映ってなかったぞ?」
「それが、俺が最初にチェックした時には確かに映ってたんだ。
横断歩道の上に白っぽい影が。それでもう一度今度はスタッフ全員で確認することになった。
だが、そのビデオには何も映って無かった・・・」
「お前の目の錯覚じゃないのか?」
「まあ、最後まで聞けよ。俺もそう思って、その日は家に帰ったんだ。
ついでにお前にも確かめてもらおうと思ってな。
で、家で鏡台にふと目を向けると、その隅に映っていたんだ・・」
「何が?」
「例の白い影。しかも鏡台だけじゃなくて、風呂場の鏡やガラスみたいに光を反射するもの全部だ。」
「・・・・・」
「それが、今日になると鏡に映る白い影が消えていた。そのかわりに今度は横断歩道にいるんだ。
ビデオから鏡に、鏡から横断歩道に。段々近づいてきてる・・・俺、どうしたらいいんだ?」
「・・・仕事で疲れてるんだろ。取りあえず帰って休め、な?」
そう言って彼を帰したその夜、電話がかかってきた。
彼は横断歩道で信号無視の車に撥ねられ、今しがた息を引き取ったということだった。
「煙草」「客」「地下室」でお願いします。
360 :
「煙草」「客」「地下室」:02/08/06 02:11
大阪のプランタンの近くのバーでバーテンやってんやけど、
わしの勤めとる店、禁煙やねん。
酒で商売してるのに煙草は駄目なんて、おかしいと思わん?
ある日、そのことをオーナーに聞いたんや。
昔は家の店も禁煙やなかったんやて。
でも、ある時期から店で煙草吸うお客さんが煙が人の形になる言うて
気味悪がり始めたさかい、オーナーも悪い噂広められるん嫌がって
お払いできる人呼んだんや。
祈祷師さんが言うには地下室は霊が溜まり易いんやて、そんでもって
直前に大きな火災があって、その浮かばれへん霊たちが煙草の煙を線香と
間違えて店に来とったらしいんや。
その一件があって、わしの店は禁煙になったんや。
オーナー曰く、「金持ってへん幽霊なんぞに流行られても困るわい」やて。
煙草吸えへん分わしの店は空気が綺麗やし、酒のうまさと清潔感で勝負するから、
健康志向の女の子にも人気があるんやで。
今度ひまあったら、寄ってみてや。
「エッフェル塔」「凱旋門」「蝋燭」でお願いしまっす。
361 :
「エッフェル塔」「凱旋門」「蝋燭」 ◆CRASH/NU :02/08/06 02:39
凱旋門賞を生で見たい!
そう思った競馬狂の俺は、フランス行きの飛行機に乗っていた。
寝ようかと思ったら、外は雷の嵐。
おいおい、無事に着くのかぁ?
それでも構わず寝る俺って、図太すぎるよなぁ……
目覚めると、飛行機はすでに着陸していた。
乗客は俺以外誰もいない。おやまあ。
昇降口は開いていたので、降りることに。
おお、これがあのパリの…て、何これ!?
町は一面焦土と化している。あちこちから黒煙がたちこめている。
訳が分からん。どうなってんの?
はるか遠く、エッフェル塔がまるで蝋燭細工のように
ぐんにゃりと折れ曲がっている。
その時、俺の足元に新聞がひらひらと舞い込んで来た。
思わず手に取り、日付を見ると…
2039.9.28
…て、俺一体どこに来ちゃったのよ!?
「サンオイル」「小麦粉」「マシンガン」でよろしく。
読み直して思った。
「蝋燭細工って何よ…蝋細工だろ、俺よ……」
眠いと駄目駄目だね。
1/2
ビーチでうつ伏せになり肌を焼いていると、何か湿った物が背中の上に降ってきた。
顔を上げると、ばっくりと割れたスイカを手にした小学生ぐらいのガキが、口に含んだ種を、
こちらに向かって飛ばしているところだった。
「おい!」
とりあえず脳に浮かんだ罵声を口にし、俺は体を起こした。ガキはそれに怯むことなく、
「マシンガン〜」と間延びした声で叫ぶと、もう一度口から種を飛ばし、さっさと逃げていった。
「わぁ、ほくろがいっぱい」
横で寝ていた裕美がこちらの背中を見て、可笑しそうに笑った。ついさっきナンパした女だ。
どうやら幼いのは顔だけではないらしい。
俺は立ち上がると、ごった返す海水浴客をよけながら、海の方へ歩いていった。
早く背中に付いた物を洗い流したかった。
本当なら今のガキを追いかけて殴り飛ばしてやりたいところだったが、あまり女の前でかっかするのもかっこ悪い。
「ったく、保護者はどうしたんだよ」
俺はひとり、ぶつぶつと文句を言いながら、海水に体を浸した。
陽で熱せられた肌が驚いて、きゅっと締まるような感じがした。
ビーチに戻ってくると、裕美がサンオイルの小瓶を片手に、「あっちに行かない?」と岩場の方を指差してきた。
「あそこ、いい場所なのよ」
言われなくとも知っている。大きな岩に砂浜が遮られ、その向こうは人気もない。
女連れの時にはいつも利用させてもらっている場所だ。
怒りを紛らわすにはもってこいだ。俺は彼女の手を取り、早速そちらへ向かった。
2/2
岩の向こうには、案の定人の姿はなかった。俺は持ってきたシートを平たい岩の上に敷くと、
裕美を座らせようとした。
「いいから、寝て」
彼女はそう言うと、自分の代わりに俺をうつ伏せに寝かせた。どうやら本当にオイルを塗るつもりらしい。
まあいい。そういう遊び方もアリだろう。
「私ね、ここ、毎年利用してるの」
「そうか」
割と遊んでいるようだ。そんなことを思いながら言われたとおりにうつ伏せになり待っていると、
背中に冷やりとした物がかかった。それから彼女の両手が皮膚の上を滑り始める。
だが、それは期待していた心地よい感触とは程遠いものだった。
「おい、おまえ何塗ってんだよ!」
「あ、動いちゃだめ」
裕美は慌てて俺の頭をぐいと押さえつけると、もう片方の手で俺の背中を激しく擦った。
俺はようやく異変に気づいた。背中がねばつき、異常なまでに熱を帯びている。
彼女の手が滑るたびに、神経を直に削がれるような痛みが襲ってくる。
「よう太、小麦粉!」
裕美が叫んだ。同時に足元から「爆弾投下〜」という間延びした声が響き、俺の背中にどさどさと何かを降り注がせた。
「もう、もっと丁寧にやらなきゃだめでしょ。ここはいいから、パパとママを呼んできて」
立ち込める粉に噎せ返りながら、俺はガキの遠ざかっていく足音を耳にした。
何てことだ。家族連れだったのか。
場違いな感想を抱きながら、俺の意識は次第に朦朧としていった。
「塩をして 皮剥いて 小麦粉まぶして よく焼こう♪」
裕美の楽しげな歌声が聞こえる。
初投稿長文お目汚しスマソ
次のお題は「トランプ」「雨合羽」「手紙」でお願いします。
366 :
「トランプ」「雨合羽」「手紙」:02/08/06 20:38
ゴールデンウィークに休暇が取れなかったから、先月三日ほど休みをもらって
実家に帰ることにした。
山間の小さな村だから、誰かが帰郷すればすぐにその噂は村中に知れ渡る。
二日目の夕方、親は村の会合に出かけていて、俺は一人で座敷に寝ころんで
小説を読んでいた。
「お兄ちゃん遊ぼうよ」
ふと縁側を見ると小学校か幼稚園に通うような年の子供が立っていた。
見慣れぬ子だったが、俺みたいに帰郷している人の子かなと思って声を掛けた。
「僕は何処の子だい?トランプでもして遊んであげるから、中に入って来なさい。」
俺は畳から半身を起こし、その子に笑顔で話しかけた。
でも、その子はちょっと俯いて、「お家には入れないよ」と寂しそうに言った。
「ん?どうして?」
「神さんに怒られる」
取り留めの無い返事に俺は困って、ふと空を見上げた。
「なんだか雲行きがおかしいな。
おかんが濡れると困るから、傘でも持って迎えに行かないといけないな。
君も一緒に役場まで歩こうか?家まで送ってあげるよ。」
その子は小さく頷いた。
雨雲に備えて雨合羽を着て、黒い時代物の紳士傘を一本持つと、役場へと
俺たちは歩き出した。
歩いている間中、その子は黙り込んでいたので、ろくに彼の事を聞き出せなかった。
役場に着いて中に入ろうとすると、その子は玄関にいたいと望んだので、
俺だけ悪寒に傘を渡しに行った。
傘を渡すついでにその子の事をおかんに聞いても、今村に帰っているのは俺だけらしくて、
過疎化が進んだ村にそんな幼い子はいないと否定された。
おかんを玄関まで連れてきたら、その子はいなくなっていた。
村に帰っている間に、その子を見たのはそれきりだった。
後日親から手紙が来て、実家の隣の家の息子が俺が帰った日に東京の家で一家無理心中を
したことが記されていた。
その息子の遺書に「死んで両親の元に返ることが情けない」とあった。
俺が見た者は、その息子の幼い時の姿なのか、その息子が子供を連れて実家に帰っていたのか
定かではない。
じゃ次、「1ダース」「葬式饅頭」「日本手ぬぐい」でお願い。
368 :
、「1ダース」「葬式饅頭」「日本手ぬぐい」 ◆CRASH/NU :02/08/07 01:01
久々に田舎に帰省したときのこと。
相変わらず何にも無い農道をぶらぶら散歩していると
葬式の列に出くわした。
俺の田舎では、火葬場まで人が棺桶を担いでいく風習があるんだけど
その時遭遇した葬列は、なんか異常に棺桶の数が多い。
ざっと見ても1ダースはあったと思う。
しかも、異様なことに、参列者は皆真っ白な日本手ぬぐいを
頭からすっぽり被っている。何だこりゃ?
非日常的な光景に呆気に取られていると、先頭を歩いていた爺さんが
「戦だっけのう。みんな死んじまったっけのう」
とブツブツ言いながら俺の脇を通り抜けた。
身動きもせず突っ立っていると、一人のばあさんが俺に何か包みを手渡した。
それに一旦目を落とし、ふと顔を上げると、葬列は消えうせていた。
はて?
家に帰り、母に今日葬式あったか、と訊くと、無い、との答え。
大体からして、火葬場自体別の場所に建造されてて、
俺が見た葬列が向かった先の火葬場は、既に取り壊されているらしい。
え?じゃあ、あれ一体何?
俺の手元に残ってる葬式饅頭は、一体何なのよ??
■「流木」「エコー」「視線」でよろしく。
■「流木」「エコー」「視線」
散歩がてら水槽に飾る流木を探してみることにした。
熱帯魚飼育も始めてみると楽しいものだ。
川べりを歩きながらよさげな流木を物色する。
お、これなんかいいんじゃないか。
灰褐色のそれは手にとって眺めてみると意外なほど軽い。
ためつすがめつするうちに背中に視線を感じた。
小さな女の子がじっとこちらを見ている。
なんだろうか。
すたすたと女の子は歩み寄ってきてこう言った。
「それ、どうするの?」
持ちかえって水槽に飾るんだよ。
「すいそう?」
そう、おさかなの入っている水槽に飾るの。
「じゃあおかあさんもさびしくないね」
ふと周りを見渡すとそこには大小さまざまな同じ色の流木が。
「それは・・・たぶん足だと思うな私」
女の子の声がエコーとなって頭の中で反響した。
次は「ワイシャツ」「新聞」「マンホール」で御願いします
370 :
「流木」「エコー」「視線」:02/08/07 03:02
僕のじいちゃんの家は、海の近くにあって、子供の頃は夏休みになると毎年遊びにいっていた。
じいちゃんは朝僕を連れて浜辺に散歩に出かける。
台風の後なんかには、浜にいろんな物が打ち上げられて、僕らは流木を集めて焚き火をしたりした。
「いいか。浜で拾ったものは絶対うちに持って帰っちゃなんねえぞ。」
どうして?僕が聞くと、
「海はたまぁに変なもんを投げてよこすからなぁ。」と、じいちゃんは煙草を旨そうに吸いながら、しわしわの手で僕の頭をなでながら笑う。僕はじいちゃんが好きだった。
そのじいちゃんも今はいない。
嵐の朝一人で海岸を散歩してて行方不明になったんだ。
みんなは、波にさらわれて死んだんだろうと言ったけど、死骸は上がらなかった。
371 :
「ワイシャツ」「新聞」「マンホール」:02/08/07 03:36
何気ない朝、シャワーを浴びてワイシャツを着込み、新聞を片手に手早く作った
朝食を一気に空っぽの胃に流し込む。
いつもと変わらない平凡な一日の始まりのはずだった。
バス停までの道に出るまでは。
アパートからバス停までは徒歩10分の道のりだ。
いつも通り、鞄を手に道を歩いていると、何かに思い切りつまずいて前のめりに
派手に転んでしまった。
とっさに頭をかばうためにために手を伸ばしたために、手の平から手首にかけて
激しく擦りむいてしまった。
おでこもひりひりするから、そこも擦ったのだろう。
足元を見れば外れたマンホールの蓋が転がっている。
前を歩いていた女子中学生たちが、こちらを振り返ってくすくす笑っている。
朝から大きな音を立てて転ぶリーマンはさも滑稽だっただろう。
擦り傷のある顔で出勤なんか出来ないから、急いで家に帰り傷口に消毒をして
バンドエイドを張ると会社へ向かった。
バス停までの直線の道に出ると、なんだか大通りの方が騒がしい。
大通りまで歩いて、その惨事に驚いた。
バス停の前は肉片と血溜まりが所々にあり、その真ん中にトラックが横転していた。
警官の話だと、対向車線のトラックが突然バス停に突っ込んだらしい。
おそらく居眠り運転だろうと見物人は言っていた。
肉片の中に先ほど見かけた中学生のセーラー服があるのが目に入った。
もし、あの時マンホールの蓋に躓いていなかったらと思うと、おでこや手の痛みは
感じなくなった。
「伝書鳩」「護身刀」「コンビニ」でお願いします。
まだ学生だった頃、浮浪児を一人、酔った勢いでマンホールに突き落としたことがある。
日頃の鬱憤を晴らしたい――。理由はそれだけだった。
そんなどうしようもないことのために、道の隅で新聞に包まっていた何の罪もない人間を殺したのだ。
私は思わず眉をひそめ、薄汚れたワイシャツの上から羽織った新聞紙を、胸の前で合わせた。
通勤中にそのまま逃げ出し、下水道に入ってから三日が経つ。
もういい加減疲れていた。家も、会社も。
まさか自分がこんな立場になるとは、思ってもみなかった。
下水道は暖かい。冬場は寒いから、当分ここにいよう。
そう思った時だった。暗い闇の奥で、何かが動く気配がした。
何だろう。私はポケットに入れっ放しになっていたライターを取り出し、火を灯してみた。
そこには数メートルにまで成長した全身真っ白な男が仁王立ちになり、暗く燃える目でこちらを睨みつけていた。
出遅れた上にこんなのでスミマセソ
373 :
「流木」「エコー」「視線」:02/08/07 05:26
今年の夏、僕は十年振りに一人でじいちゃんの家に行った。
浜辺の様子もすっかり変わってしまい、なんとなく寂しい気持ちで波打ち際を歩いた。
と、波が足下の濡れた砂の上に何か残していった。
「エコー」の文字が見てとれる。
じいちゃんの愛飲の煙草だ。
(きっとじいちゃんがくれたんだ…。)僕は懐かしさで胸がいっぱいになり、煙草を拾い上げた。
パッケージは海水でぐっしょり濡れていたけれど、中の煙草は奇跡的に残っていた。
僕はそれをジーンズのポケットにしまって砂浜を後にし、今日はじいちゃんの家に泊まることにした。
374 :
「流木」「エコー」「視線」:02/08/07 09:24
じいちゃんの家には今は誰も住んでいないが、近所の人が管理してくれているとかで、あまり荒れてはいなかった。
僕は畳の上にカビ臭い布団を出して寝転んだ。
いつのまにか寝入ってしまったらしく夜になっていた。
どのくらいたったのだろうか。
ふいに視線を感じて僕は飛び起きた。
(誰か覗いている?)障子に月影がさして部屋の中はぼんやりと物の形がわかる暗さだ。じっとしていると部屋の隅から、カサカサと微かな音がする。
視線はあいかわらず僕の後ろ辺りから感じる。
(なんだ?)
カサカサという音は動いているようで、僕は背後からの視線を気にしつつ、音のするほうへ目を凝らした。
376 :
「流木」「エコー」「視線」:02/08/07 13:20
ポケットにしまったはずのエコーの煙草のパッケージが、畳の上に落ちている。
音はそれがたてているようだ。
僕は立ち上がってパッケージを手に取った。
中に煙草ではない感触がある。
「?」逆さにして振った。
畳の上に何かが落ちた。
(虫?)黒い、たくさんの脚がある大きな虫が…。
虫がこちらを見上げて…。
「?!」
虫はじいちゃんの顔をしていた。
じいちゃんの顔をして僕を見上げた。
「……持って帰っちゃいかんと言ったろが……」
背後の視線が言った。
僕は海が嫌いになった。
長文失礼。
「猿」「睡眠」「わらべ歌」でお願いします。
次のお題は「伝書鳩」「護身刀」「コンビニ」になります。
>>376 ルールなんです。すいませんね。
378 :
「伝書鳩」「護身刀」「コンビニ」:02/08/07 21:23
ここ十年ほどで、コンビニの普及は日本全国に広がった。
よほどの僻地でもない限り、どこの町へ行ってもコンビニの一つや二つは見つかる。
この町にも昨年コンビニが出来たので、隣町に買い出しに行く必要もなくなった。
市街地にあるやつは24時間営業らしいが、ここのは夜12時に閉まる。
町人口がほとんど年寄りなので、それでも不自由はない。
他の町のと変わっていることと言えば、コンビニが神社の隣にあり、神主の息子夫婦が
経営していることだ。
商売繁盛の恵比寿さんを奉っている神社だからか、コンビニには恵比寿グッズを売っている。
ある日のこと、真夜中近くなって、夫婦が店を閉めようとしていた時、覆面の男が
出刃包丁を握りしめてコンビニに駆け込んだ。
小さな田舎のコンビニだから防犯カメラなんて付けてなかったし、客層も大半が神社の
氏子さんなので別にその必要も感じていなかった。
覆面の男は店の勘定を整理していた息子を手早く用意してきたロープで縛ると、
店の奥の休憩室へと包丁をちらつかせながら連れて行った。
奥さんは、休憩室で息子さんが終わるのをお茶を入れながら待っていたので、
ドアを開けて覆面の男が乗り込んで来た時にびっくりしてご主人用の湯飲みを
落として割ってしまった。
奥さんも後ろ手にロープで縛られ、二人は休憩室の床に置き去りにされた。
男は金目の物を物色しに店へ戻って行った。
電気を消された休憩室の隅で、夫婦は寄り添っていたが、クルックー、クルックーと
鳩の鳴く声が聞こえる。
ふと主人が顔を上げると開いた天窓に、1羽の鳩がとまっているのに気付いた。
主人と目が合うと、鳩は何やら光る物を床に落として飛び立った。
店主は窓の下まで這っていくと、その金属の物体が小刀だと知り、それを口にくわえて
婦人の元まで這い、お互いのロープを小刀で切り始めた。
「おい、車の鍵を出せ」
不意に休憩室の電気が付き、眩しさに戸惑う夫婦に覆面の男が叫んだ。
主人が小刀を構えているのを見ると、男は驚き逃げてしまった。
神社へと向かっていた駐在所の警官が、夜中にコンビニから飛び出してきた怪しい
覆面の男を見かけ取り押さえた。
後日談だが、鳩が持ってきた小刀は実は警官の祖母が、昔神社で結納を挙げた際に
清めてもらった護身刀であった。
真夜中に死んだ祖母の部屋で物音がする事を不審に思った警官が、護身刀の鞘が
畳の上に転がっているのを発見した。
クルックーという鳴き声の方に首を回せば、鳩が全開の窓枠に止まり刀を片足で抱えている。
警官と目が合うと、鳩は神社の方へと飛び立った。
彼はそれを見て、神社で何かあったのかと思い、鳩の後を追って神社の近くまで来ていて、
そこで覆面男にばったり出くわしたのだという。
神社には、土鳩はたくさんいるが、そんな伝書鳩のような鳩は飼っていないので、
これはたぶん恵比寿様のお使いだと意見が一致した。
この一件以来コンビニでは、防犯用にこの事件の内容を書いた張り紙を自動ドアの横に
貼って、神社の御利益を宣伝している。
「樹海」「ウミガメ」「富士山」でお願いします。
381 :
370.373.374.376:02/08/07 22:58
ご迷惑かけてすいません。
携帯からの書き込みはやはり無謀でした。
見るだけにしまふ。
>>381 次からそれを明記して
そうすれば皆待ってるから
携帯からだってことを
384 :
「樹海」「ウミガメ」「富士山」:02/08/08 21:59
2ちゃんの存在を知って以来、オカ板はたまにチェックしてるが、最近の
樹海探検スレとかウミガメスレとかおもしろいんで最近は毎日のように見てる
昨日、死ぬ程洒落にならない話スレに富士山に登ったときの話を書き込もうと
思ったらエラーになって、2、3度試したんだが書き込めなかった
さっきもやってみたんだが、なぜだか書き込めない
また後でやってみるけどさ
「スイカ」「かき氷」「水死体」でお願いします
385 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/08 22:38
四万十川でかき氷を食べていたら、川上のほうから水死体がドンブラコと流れてきました。
その顔面は青白くふやけていて、まるでスイカのようでした。遠い夏の日の思い出です。
「なんでも鑑定団」「宝くじ」「遺伝子」でお願いします
386 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/08 22:49
「なんでも鑑定団」「宝くじ」「遺伝子」
なんでも鑑定団を見ていた。寝ころんでいた。
島田伸介! アゴとか長いな!
突き刺さるくらい長いな!
寝ころびながらアゴを避ける。間一髪! ボクシング経験がものを言う。
アゴは伸びた。伸介のアゴは伸びた。
0.2ミリメートルの間隙は一瞬で失われ、アゴはアゴにとらわれた。
しまった! やられた!
伸介は慎重だった。微妙に尿意を催す媚薬をまず注入し、そして、
そしてついに遺伝子をアゴからアゴへ挿入しはじめたのだ!
伸介の遺伝子! 伸介の遺伝子が! アゴが!
その時!
弟は慌てていた。
「兄ちゃん! 宝くじ当たった! それからじいちゃん死んだ」
「N極」「空瓶」「バタフライ」
うえー、おそおそだー。
「スイカ」「かき氷」「水死体」
去年さ、俺、向こうの磯で釣りしてたんだけどね。
急にすごいひきが来たの。
で、なんじゃー?って思いながら引き上げたらさ…人だったの。
もうぐずぐずに腐ってる水死体。
うわって思わず手を離して、竿ごと持ってかれちゃった。
ただ、その死体がしぼんだスイカのビーチボールを抱えてるのがやけに目に
焼きついたんだよね。
それで、怖くなったから家帰ったらさ。
もうオカンが凄い剣幕でさ。「あんたっ、どこ行ってたん!?えらい探したんやで!」って。
いや、だって、俺釣りに行くって言ったしさ、携帯だって持って出てるのくらいわかる
だろうから、電話しろよ、って思いながら(こーゆー時にオカンに理窟言っても無駄だ
ってわかってるし)話聞いたらさ、あの事件の事だったのよ。
そうそう、家族で田舎に帰省した親戚の妙子ちゃんが、高波に飲まれて行方不明に
なったあれね。
それで思い出したんだけど、妙子ちゃんが去年うちに来た時にスイカのビーチボール
あげたんだよね、余ってたから。
でも、訳わかんないよね。
妙子ちゃんが行方不明になったのって日本海側。うちは太平洋側。
流される訳ないし、第一時間が合わない。
それに、なんで腐ってたのか。
単なる偶然とも思うんだけど、すごい偶然だよね、それじゃ。
昨日、海の家でかき氷を食べながら、従兄が言った話だ。
単なる与太話だと思った。
身内の不幸をネタにするなんてたちが悪いとも思った。
そう、今日、あの娘の面影を残したその水死体に足を捕まれて、危うく溺れそうになる
時までは。
83さんがきてくれて安心しました。
あー、ちと、ウミガメのスープと十文字前後に浮気してました。
十文字前後最初は良スレの予感だったんだけどねぇ。
敷居が低過ぎるのも拙いみたい。
ある少女が妊娠した。
まだ幼かった彼女は周囲への発覚を恐れ、またおろす勇気も出せず、それを隠し通した。
その結果、お腹の子供は取り返しのつかないところまで育ってしまった。
少女は死を選んだ。場所は自殺の名所として名高い富士の樹海。
しかし、うまくはいかなかった。暗い樹々の中で、突如激しい陣痛が彼女を襲ったのだ。
少女は子供を産んだ。まるでウミガメのように涙を流しながら。
その時産まれたのは女の子だった。その子は少女の乳を吸い、自殺者の肉を喰い、すくすくと
育った。そして迷い込んだ者と交わり、子を産み……
その営みが生態系の一部となり、今なお繰り返されているのだという噂話を、私は思い出した。
作りごとだと思っていた。こうして夜の樹海で、一糸纏わぬ少女を見るまでは。
富士山を訪れたついでに樹海を散策し、道に迷って遭難した挙句のことであった。
少女はまだ幼かった。どう見ても十歳かそこらだ。まだ子供を産む時期ではないだろう。
なのに、なぜ私をじっと見ているのか。
……そうか。肉がほしいのか。私はようやくそのことに気づいた。
だが、それはこちらも同じである。遭難してから一週間。救助隊も来ず、手持ちの食料は尽き、
もう歩く気力もほとんどない。放っておけば死ぬだけだ。
私は覚悟を決めると、残された力を振り絞って少女に躍りかかった。細い首に手をかけ、
ぎゅうぎゅうと締め上げる。
やがて少女は動かなくなった。私は早速、そのだらりと垂れ下がった柔らかい腕に齧り付き、
肉を喰い千切った。
周囲に何者かの気配を感じたのはその時だった。
私は顔を上げ、そして息を呑んだ。
樹々の間から大勢の子供達が顔を覗かせ、飢えた瞳をぎらぎらと輝かせていた。
そう、樹海のウミガメはしっかりと繁殖していたのだ
さらにおそおそ。失礼しました。
「N極」「空瓶」「バタフライ」
地元の路地歩いてたんだよね。
したら、すてんと転んでやんの。
思わず周りきょろきょろしちゃうよね、誰も見てないかどうか。
ほんで、足元見たらラムネの空瓶。
んだよ、誰だよ、こんなとこにこんなものうっちゃっとく馬鹿はよー、って思いながら見たら、
なんか変なのよ、それ。
普通、ラムネの瓶に入ってるのってビー玉じゃない?
ところが真っ黒な鉄の球みたいなのが入ってんの。
レアもん?とか思うじゃない。
で、持って帰っていじくってて、なんとなく磁石近づけたんだよね。
ところがさ、どの向きから近づけてもN極がその球に向くの。
おいおいおい、これ、レアもんどころか、あれ?たまにSFとかに出て来るモノポールってやつ?
ツレが工大の院生してるから、そこ持って行こうとした訳よ。
で、家出た直後に黒づくめのMIBな男にバタフライナイフでご機嫌に刺されて、この様と。
でも、あれだよね、いざとなると言えないもんだね。
「なんじゃこりゃぁ」って。
アカン、387の従兄の口調と一緒じゃん。
えー、次のお題、「丘」「雨」「暗号」でお願いします。
393 :
「丘」「雨」「暗号」:02/08/09 05:46
去年の夏休みに田舎の従兄弟の家に遊びに行ったんだけどさ、その時におもしろい話を
聞いた。
従兄弟の家から東に一つ丘を越えると旧国鉄時代に使われていたトンネルがあるんだが、
雨が降る日には決まってそのトンネルの中に白い物が現れるらしい。
ヨモギを取りに行った人が数人それを見たという。
田舎だし、何もすることがなかったから従兄弟とその友人に誘われてそのトンネルを見に
行くことになった。
その日は曇り空で雨は降りそうになかったけど、蒸し暑い夕方に従姉妹の母親が止めるのも
聞かず俺達はトンネルへと向かった。
背の低い草の生い茂る丘を越え、蔦の絡まった石造りのトンネルが見えてきた。
中を覗き込むが向こう側は見えない。
従姉妹の友人が持参したマグライトを付け、俺達はまだ残っている錆びた線路を歩き出した。
これが子供達なら、さながら「スタンド・バイ・ミー」と言うべきか。
夏の暑い盛りに、2、30代の汗だくの男が3人では、そういった風情も出ない。
394 :
「丘」「雨」「暗号」:02/08/09 05:49
ひんやりとしたトンネルの中をしばらく歩くと、向かって右側の壁に
何やら光る暗号みたいな文字がぼんやりと青白く浮かんでいる。
従姉妹がその文字に触れると、横の壁がスッと自動ドアのように開いた。
石畳の壁なのに、だ。
従姉妹の友人が扉の中を照らすが、長い通路があるだけで、その奥まで
は見渡せない。
俺達はその場で呆然としていたが、通路の奥から大勢のがやがやと言う声が
迫っているのに気付くと、誰からとなく入り口の方へと駆け出した。
見てはいけない物を見てしまったというか、知ってはいけない事を知ってしまった
不快さで、その日のことは誰にも話さなかった。
ただ一人、従兄弟の母親は俺達の尋常ではない様子に幽霊でも見たと思ったのか、
神社でお払いをすることを勧めてくれた。
俺達が見たものは、お払いなどで済むものではないので、俺は毎日の仕事をして
帰ったら寝るという単調な生活の中でその一件を忘れ去るにまかせていた。
昨日、従兄弟の母親から電話があり、従兄弟が2日前から行方不明だと
知らされた。
彼が最後に記した日記に、もし彼が失踪したら俺に「あの光に気をつけろ」
と伝えるよう書かれていたので、電話した次第だと言う。
従兄弟の友人も1週間前に釣りに出かけるといって、それっきり音沙汰
がないことも知らされた。
395 :
「丘」「雨」「暗号」:02/08/09 05:52
なぜだかわからないが、俺は不安だ。
携帯だって机の上にあるし、オートロックのドアに守られた部屋にいる。
何も心配することはないはずだ。
でも、もしもの時のことを考えて、こうやってネットの掲示板に書き込んでいる。
もし、このまま、俺の身に何かあれば、誰かが気付いてくれるだろう。
誰かが部屋のドアをノックしている。
朝の6時前だというのに誰だろう。
とりあえず、この書き込みは済ませておこう。
それじゃ、次は「インコ」「ラムネ」「掛け軸」でお願いします。
396 :
満月ポン ◆Pon/Ye4Q :02/08/09 06:01
「丘」「雨」「暗号」(遅れてすみません)
それはある蒸し暑い夏の日のことだった。
その日は、朝からシトシトと雨が降っていて、夏の青空にはほど遠い陰気な雲
が町全体を包み込んでいた。家族の誰もが口を開くことはなく、いつも陽気なお
ふくろが特に沈んで見えた。
「おふくろ、いったいどうしたんだよ、そんなに沈んじまって ・・・」
「・・・」
「なんで無視するんだよ、まったく」
その後、親父や妹に話しかけても返事は帰ってこなかった。
「どうなってんだ、いったい・・・」
なぜか今日は体の節々が痛む。
「あの程度のツーリングで疲れがたまるとは、俺も歳かな・・・」
などと思いながら遅い朝食をとろうとダイニングに足を向けたその時、ふと気
付いた。昨日の記憶がないことを・・・確かツーリングで遠出し、少し道に迷っ
て城下町を見渡せる小高い丘の当たりで休憩をとったところまでは覚えている。
その後の記憶がない・・・なぜだろう。
「このところ残業続きだったからきっと疲れているのだろう」
と自分に言い聞かせようとしたが、得体の知れない不安は少しも晴れなかった。
そうこうするうち、段々頭も痛くなってきた。これでは朝食どころではない。自
分の部屋に戻って少し眠ることにした。
(つづく)
397 :
満月ポン ◆Pon/Ye4Q :02/08/09 06:03
ウトウトし始めた頃だろうか、誰かが耳元で叫んでいる。
「おーい、マモルー」
「お兄ちゃんー」
「・・・ったく誰だよ、うるせーなぁ、人がいい気持ちで眠ってるのに」
目を開けると、そこには親父とおふくろ、妹が涙ぐみながら俺の顔をのぞき込
んでいた。気が付くと、俺の口には人工呼吸器の管が入れられ、全身は包帯でグ
ルグル巻きになって病院のベッドに横たわっていた。そして、傍らにいた医師ら
しき人物が口を開いた。
「峠は越えたようです。もう大丈夫でしょう」
「え・・・?」
俺は事態が飲み込めなかった。
ツーリング、全身の痛み、頭痛、丘・・・記憶の断片をまるで暗号を解読する
ように辿りながら、ついに事の次第に思い至った。
「そうだ、俺は事故ったんだ!」
「そして俺は今まで夢を見ていたんだな」
(つづく)
398 :
満月ポン ◆Pon/Ye4Q :02/08/09 06:05
3日後、何とか喋られるようになった俺は、そばにいた看護婦に話しかけた。
「あのー、すいません。うちの家族の者に会いたいんですけど・・・」
すると、その看護婦は急に顔を曇らせ、やがて意を決したように語り始めた・・・
「あなたのご家族は皆さん亡くなられました」
「・・・・?!」
「あなたとご家族は4人でツーリングの途中、事故に遭い、あなただけが助かっ
たのです。ほかの皆さんは残念ながら・・・」
後で事故処理を担当した警察官に聞いたところ、丘にあるドライブインから国
道に出た刹那、トラックと衝突し、親父とおふくろが乗っていた単車は2人もろ
とも丘の上から転落して即死、俺は妹を後部座席に乗せ運転していたが、妹は座
席から跳ね飛ばされ、後続車両に轢かれて即死だったらしい。幸い俺だけがガー
ドレールに全身をぶつけ一命を取り留めたということだ。
「では、俺が見た親父やおふくろ、妹の姿はいったい・・・」
「俺を死の淵から生き返らせようとして・・・」
あふれ出る涙がとまらなかった。
(おわり)
百鬼徒然袋 『トイレに居たのは誰』
親父はいつもトイレが長い。
しかも決まって俺がトイレに行きたい時に入ってる。
いい加減にして欲しいもんだ。
寡黙な親父は俺の事が嫌いなんだ。
進路の相談だって全部母親任せだし、子供の頃から遊んでくれたことなんてほとんど記憶にない。
俺はもともと素晴らしい人間だからこうしてまっとうに育ったが、場合によっては非行に走ったっておかしくなかった。
連れはそんなやつらばかりだったし。
でも俺は薬も暴力もしない健全な男になってやったんだ。
ある意味捻くれて親父を見返したのかもな。
学校が終わって連れと渋谷をぶらついて、家に帰ったのは9時頃になった。
今日は親父とお袋が夫婦で旅行に行ってる。
家には誰も居ないから彼女でも連れてこようかと思ったが、親がうるさいからとか言って断られた。
ドアを開けて中に入ると玄関に親父の革靴があった。
なんだ、旅行行かなかったのかよ。
「ただいまー。お袋居るのー?」
廊下にあるトイレには電気が付いていた。
どうせまた親父が入っているんだろう。
素通りしてリビングに行った。
電気も消えていて誰も居なかった。
「おーい。おやじー、お袋はー?」
返事はない。
いつもこんなだ。
もう知らねえ。
買ってきたコンビニ弁当を温めて、TVを観ながらメシを喰った。
メシも喰い終わり、TVも終わったので自室のある2階に上がろうとした。
階段の横のトイレはまだ電気が付いている。
ゴンゴンゴン!
「おやじー!いい加減出ろよー。中で本読む癖直せよー。教育に良くないと思わないのかよ」
返事はなかった。
異常とも思えるトイレの長居だが、親父に関しては普通だ。
休みの日なんか半日居座ったこともある。
もう知らねえ。
2階にもトイレはあるから部屋に戻るついでにそっちで用を足した。
部屋に戻ると携帯が鳴った。
こんな遅くに誰だ。
「ガーガーガー」
「あれ?もしもし」
「もしもし。元気してる?寂しくない?」
「お袋ぉ?なんだよどこ行ったんだよ早く帰ってこいよ」
「どこって旅行に行くって言ったじゃない」
「だって親父家に居るぜ?またトイレに篭ってるんだよいい加減にしろって」
「なに言ってるのよ。お父さんも一緒よ」
「はぁ?玄関に親父の皮靴があるぜ?」
「革靴なんか履いてきてないわよ。スニーカーよスニーカー。あんたもバカね」
「じゃあトイレには誰が居るって言うんだよ。電気付けっ放しで...あ!」
「お父さんまた電気付けっ放しで出たのね。もう電気代の無駄って何度も言ってるのに」
「なんだよじゃあ俺はひとりで騒いでたってわけかよ」
「あなたももう17なんだから、もう少し落ち着きを持つようにするのよ」
「わかったわかった。俺は大丈夫だよ」
「それから女の子は大切にすること。なにか悩みがあったらしっかりお父さんに相談してね」
「なんだよそれ。親父なんかどうでもいいよ。お袋にちゃんと話はしてるだろ。今更なに言ってんだよ」
「お父さんはあなたのこととっても心配してるのよ。これからもお父さんと仲良くしてね」
「はいはいわかりました。明日帰ってくるんだろ?」
「ガーガーガーブチ」
切れてしまった。
それから1階に降りてトイレのドアを開けるとやはり誰も居なかった。
微かにお袋の香水の匂いがした。
そしてまた電話が鳴った。
寡黙な父親からで、2時間前お袋が交通事故に遭い、今さっき亡くなったという連絡だった。
あ、お題があったのか。
ごめんなさい。
さらに遅れて
1/2
ノストラダムスの大予言。意味不明な言葉を暗号のように読み解くと、そこに恐るべき予言が現れるという
代物である。
まさかタカシがこんなものに興味を持っていたとは、夢にも思わなかった。
僕は彼の書棚に並ぶ数冊のノストラダムス本を見て、眉をひそめた。このいかがわしい本共は、彼のイメージと
あまりに懸け離れていた。
――ファインダーから覗くと、そこに真実の世界が見えるんだ。
カメラを手に物静かな口調で呟いたタカシ。
――僕は真実の世界に行ってみるよ。
そう言って突然行方を晦ましたタカシ。
僕は何か行方を知る手がかりはないかと、彼の部屋を探し回った。そしてこの本を見つけたのである。
今さらノストラダムスでもないだろうに。僕はそう思って目線をずらした。
書棚の下の方に、数冊のアルバムが収まっているのが見えた。
開いてみると、それはすべて彼の撮った写真で埋め尽くされていた。一枚一枚、日時と場所が丁寧に添えられ、
巻を追うごとに時が進み、それが高三の夏で唐突に途切れている。
そうだ。受験に打ち込みたいから写真はしばらく休む――。彼はあの時そう言って、寂しそうに笑ったのだ。
それ以降の写真がないということは、実質写真は卒業したのだろう。
僕は彼が撮った最後の写真を見た。雨に濡れる町を高い所から見下ろすようにして撮ったものだった。
2/2
だが、一つ引っかかることがあった。確かこの年は水不足が起きた年だ。雨はほとんど降らなかったのではないか。
そうだ。少なくともこの日付が示すところの、七月の頭には降ってない。
不審に思って撮った場所を見ると、小さな字で「あの丘」とだけ記してあった。
僕には思い当たる場所が一つだけあった。町の北に位置する小さな丘である。頂上に公園を作ろうと工事の手が
入ったまま途中で放り出された上に、斜面が急なので、あそこに行く人間はほとんどいない。
それがタカシの撮影スポットになっていたというのか。
改めてアルバムを見ると、同じ場所で撮ったと思われる写真が他にも多くあった。いずれも何の変哲のない
風景写真である。だが、これがタカシの言う「真実の世界」なのだろうか。
僕はその丘に行ってみることにした。途中でフィルム付きの簡易カメラを買い、時折ファインダーを覗きながら
登っていく。そこから見える世界は、特にいつもと変わりはなかった。
やがて僕は頂上に着いた。あの写真と同じ光景が眼下に広がっていた。
――もう一度写真を撮ってみる。
一昨日留守電に入っていたタカシの声が思い出された。
――そして……僕は真実の世界に行ってみるよ。
僕もまた、その世界を見たかった。
僕はゆっくりとカメラを掲げ、ファインダー越しに町を見下ろしてみた。
そこには三年前に滅び、瓦礫の砂漠と化した町が、どこまでも広がっていた。
1/2
炎天の下、裏通りを歩いていると、一軒の駄菓子屋が目に留まった。都会ではなかなか見られない光景である。
珍しさも手伝い、私はそこでラムネを一瓶買い求めた。
店を出ると、足元から「アリガトウゴザイマシタ」という甲高い声が聞こえてきた。何だろうと見下ろすと、
路上に置かれた鳥かごの中から、一羽のインコがこちらを見上げて、忙しなく首をかしげていた。
喋れるのか。たいしたものだ。
私は思わず笑みを浮かべて、それから冷えた炭酸で喉を潤しつつ、再び道を歩き出した。
しばらく行くと、今度は古道具屋があった。
何か面白い土産でも見つかるだろうか。私は瓶を片手に、中へと入った。
店内には埃の臭いが立ち込めていた。とりあえず近くにぶら下がっている掛け軸を眺めながら瓶に口をつけると、
「オキャクサン、ココデノミクイハヨシトクレ」と、またもや例の甲高い声が聞こえてきた。
店の奥に目をやると、やはりカウンターの上に鳥かごが置かれており、中からインコがこちらをじっと見つめて
いた。その横には、ここの主と思しき老人が、無表情な顔で座っている。
「お客さん、ここで飲み食いはよしとくれ」
老人は抑揚のない声で言った。
私は慌てて瓶を下ろすと、すいませんと詫び、それから表に出て、残りわずかだったラムネを飲み干した。
2/2
「コノヘンジャミカケナイカオダネ。ドコカラ?」
「この辺じゃ見かけない顔だね。どこから?」
インコに少し遅れる形で、老人が訊ねた。
「東京から。旅行中なんですよ。一人旅」
私はそう言って、場を明るくしようと無理やり笑顔を作ったが、老人は相変わらず無表情なままだった。
どうにも気まずい雰囲気である。これは冷やかさずに、何か買っていった方がいいかもしれない。
余計な気を遣いつつ周りを見ると、隅の棚に一枚百円の小皿が積まれていた。さほど悪い品でもなし、
これでいいだろう。
私はその中から適当に三枚選ぶと、カウンターに持っていた。
「サンビャクジュウゴエンデス」
やはり老人よりも先に、インコが言葉を発した。
金を払って皿を包んでもらい、店を出ると、背中越しに「アリガトウゴザイマシタ」と甲高い声が聞こえた。
なんだ、この辺はこんな店ばかりか。私は苦笑し、蒸し上がった道を宿へと戻っていった。
客が行ってしまうと、インコはその首をクルリと老人の方に向けた。
「オマエ、ハヤク『アリガトウゴザイマス』グライオボエロヨ。ニンゲンッテノハホント、アタマノワルイ
イキモノダナ」
飼い主の罵声が通じてか、老人は無言のままかくんと首をかしげた。
もはや怪談じゃなくなってますね。すみません。
次のお題は「蕎麦」「スズメバチ」「白髪」でお願いします。
407 :
「蕎麦」「スズメバチ」「白髪」:02/08/09 22:41
去年の8月に、田舎のおばあちゃんの家へお母さんと帰ったときの話。
お昼に白髪のおばあちゃん手作りのざる蕎麦を食べて、家の裏にある
山へセミ取りに行った。
妹も一緒に山へ入ったんだけど、その妹が木の上に小さな白い蛇を発見した。
都会育ちの僕たちには蛇は珍しく、妹にねだられて僕は蛇を捕まえることにした。
ちょうど木の下に手頃な岩があったので、岩に足を掛けて虫取り用の網で
蛇を捕まえた。
虫かごに入った蝉を逃がし、白蛇をかごに入れた。
かごの中にいる体長10センチほどの白い蛇に、僕たちは得意になって
おばあちゃんちにと向かった。
山道を下っていると、どこからか、ブーンという音が聞こえる。
はじめは藪蚊か何かだと思ったけど、それにしては羽音が大きい。
「痛っ!」
振り返ると、数歩後ろを歩いていた妹が膝を抱えて座り込んでいる。
妹の左の膝が異様に腫れている。
僕にはどうすることも出来ず、「痛いよ〜」と泣き出す妹の手を取り、
僕たちは家へ帰った。
「あ〜、これはスズメバチに刺されたんだねぇ。ちょっとの間は痛むけど、
薬を塗っておけば、すぐに腫れはひくよ。」
そう言って、おばあちゃんは妹の膝に薬を塗ってくれた。
妹のことが一段落したので、僕は改めておばあちゃんたちに山で捕まえた
白蛇を見せた。
「ど、どこでその蛇捕まえたんだ!!」
蛇を見るなり、おばあちゃんはびっくりして言った。
僕と妹は、おばあちゃんの入れ歯も取れそうな勢いにびっくりした。
おばあちゃんによると、白蛇は山の守り神だと伝えられているので、むやみに
その山で蛇を捕まえてはいけないらしい。
数分説教された後、僕はおばあちゃんに連れられて蛇がいた場所へと向かった。
「あの木の枝に蛇がいたんだよ。」
僕が枝を指さすと、おばあちゃんは足下の岩を見て言った。
「これは、昔の道祖神だねぇ。もしかしたら、裕太が捕まえたこの蛇は、
この道祖神様の眷属かもしれないねぇ。」
「眷属?」
「神様のお使いをする生き物のことだよ。それじゃ、裕太、この岩の前に
蛇を放そうねぇ。」
おばあちゃんはそう言うと、虫かごを逆さにして白蛇を岩の前の地面に
落とした。
蛇は、僕たちが見守る中、岩の後ろの藪へと素早く消えていった。
次のお題は、「えびせん」「うちわ」「蚊取り線香」でお願いします。
410 :
、「えびせん」「うちわ」「蚊取り線香」:02/08/10 02:52
(その1)
ある日、えびせんを喰いながら頭を洗ってたら、いきなり停電になった。ドライ
ヤーが使えないので、仕方なくうちわで頭を乾かすことにした。当然ベープ蚊取り
マットも使えないから、数年前に買ったままの蚊取り線香を取り出し、火をつける
ことにした。ちょっと湿っていたが何とかうまく火がついた。何本かのろうそくを
灯しながら、頭を乾かそうとしたが、なかなか乾かない。そこでより強くうちわを
あおぐや否や、ろうそくが倒れ、周りの物に引火しはじめた。
ゼミの教授や図書館から借りてきた考古学の専門書や歴史書、作成途中のレポー
トに、西田夏の写真集。周りは燃えやすい物ばかりである。
「や、やばい、早く消火しなければ!」
しかし、とっさの時には思うように体が動かないものである。火は見る見るうち
に広がってゆく・・・
「と、とにかく西田夏の写真集だけは守らねば!」
必死の思いで写真集を火の手から守ったものの、気が付けば、火はアパートの部
屋全体に燃え移っていた。
「や、やばい、アパートは燃えてもいいが、西田夏だけは・・・」
おれは西田夏を抱きしめ、サンダルを引っ掻け決死の思いで窓をぶち破り、なん
とか脱出に成功した。しかし、深夜だったため、アパートの他の住人は非難に遅れ
たみたいで、何人かが逃げ遅れたようだった。
「ああよかった、西田夏が無事で・・・」
と俺が安堵したのもつかの間、おりからの台風21合の接近で、あたりは暴風にさ
らされ、火は見る見るうちに延焼していった。このままでは市全体が燃え尽くすの
も時間の問題だった。
「や、やばい、町は燃えてもいいが西田夏だけは・・・」
411 :
、「えびせん」「うちわ」「蚊取り線香」:02/08/10 02:53
(その2)
火の勢いは弱まることなく、ついにS市の約85%を焼き尽くすに至った。これが
8年前に起きた有名なS市の大火である。警察や消防署の調査で出火元や原因が調
査されたが、結局判らずじまいであった。家族を失った人、家や財産を失った人は
かなりの多数にのぼる未曾有の大惨事となった。しかし、そのなかでひとり胸をな
で下ろしている若者がいた。
「あーよかった、西田夏が助かって!!」
次は「六法全書」「しょうゆ」「パチンコ」でお願いします
334以降の気になった作品 1/2
>>336 ええんかいっ、と思わず突っ込む(笑)
暫くしたら、身体に異変がありそう、とか想像させられるのが良い。
>>337 し、下ネタやー(笑)
>>338-341 謎のタンスが発生してたの?ちと謎い。
そこらへんの処理を巧くしてくれてたら良かったかと。
>>348-350 因果関係はさっぱりわからないけど、不気味さ出てます。
>>354-355 懐かしい実験(観測か)ですな。
ガキ大将(及び一家)に、なにがあったのかを想像するとなかなか面白いです。
>>356-357 嫌だけどええ話。泣けます。
>>360 大阪ぽくて良いです(笑)やっぱ、災い転じて福となす精神が商いです。
>>363-364 救いのない「注文の多い料理店」ですな。
姉弟の描写が良いと思います。
>>369 女の子が幽霊なのか、狂ってるのか。面白いです。
334以降の気になった作品 2/2
>>370,373,374,376
かなりわたし好みです。携帯からの書き込みでこれ書けちゃうだなんて、
すごいかも。是非また書いて下さい。
>>384 実際の書き込み調怪談ですね。なかなか雰囲気出てます。
>>391 生態系出来てるとはー。実際問題ではあり得ないけど、えらい怖いです。
>>403-404 逆「首吊りの丘」って感じ。ええ話なところも逆。ノストラダムスの予言が
実現してしまったif世界のお話になるのかな。
>>405-406 いやー、立派な(広義での)怪談でしょう。
インコに支配された町ってのは面白い発想だと思います。
>>410-411 買い直せよっ(笑)割と好きなノリです。
414 :
「六法全書」「しょうゆ」「パチンコ」:02/08/10 05:52
上京して、もう5年になる。
都内の大学は出たものの就職先が見つからず、かといってこのまま地元に
帰るのもつまらない。
親には就職しているとごまかし、バイトで生活費を稼ぐ日々を送っていた。
今月はパチンコで大負けしてしまい、あと一週間どうやって食費を切り出すか
思案にくれていた。
台所には、米と調味料はある。
冷蔵庫を開けると、大根と卵が一つ残っていたので、ご飯にしょうゆを掛け、
卵ご飯にする。
大根の煮付けは明日にしよう。
満たされない腹を抱え、布団に寝転がる。
警備のバイトまではあと一時間あるから、目覚ましをセットして眠りにつく。
目を閉じて体を休めていると、鼓膜に突き刺さるようなキーンと言う音が
始まった。
目を開けたくても、体が動かない。
金属音は次第に音量を上げ、俺の脳にじんじん響く。
首が勝手に左に向く。誰かに引っ張られているという感じではない。
が、抵抗することもできない。
まぶたへの圧迫が取れ、俺は目を開けた。
首の向きがちょうど布団から本棚を見上げる格好になり、
俺の目が本棚で青白く光る本を捉えた。
電気を消した部屋で、青白く背表紙が光り、黒い「六法全書」の文字を俺は見た。
「!!!」
声にならない悲鳴を上げ、俺の体はびくりと痙攣する。
それと同時に、不快なキーンという耳につく音もやみ、俺は体の自由を取り戻した。
部屋にいるのが怖くなり、手早く服を着ると早めにバイト先のビルへと向かった。
バイトから帰って一息つくと、本棚の六法全書を恐る恐る取り出した。
サークルで一緒だった法学部の先輩が卒業する時に俺にくれたものだ。
商学部だった俺には必要のない品だったが、2年間の付き合いを忘れないようにと
くれたものだった。
俺は、六法全書のカバーをはずし、裏表紙を開いた。
懐かしい先輩の名前、自宅の住所と電話番号が書き込まれている。
俺は時計を見た。
まだ朝の7時前だ。他人の家へ電話するには早すぎる。
しかし、俺は妙な胸騒ぎがして、携帯のボタンを押した。
「潮干狩り」「ゲソ」「日傘」でお願いします。
416 :
「潮干狩り」「ゲソ」「日傘」 ◆CRASH/NU :02/08/10 15:10
休日を利用して家族で潮干狩りに来ている。
とは言っても、私はもっぱら見物役なのだけれども。
日傘の下、ビール片手にゲソ足をつまみながら、
妻と息子が潮干狩りをしているのを眺める。
空は快晴。潮風が心地よい。
ここのところ忙しかったから、心の洗濯にもなる。
来てよかったなぁ。
すぐ隣に頭から血を流した着物姿の女が立っていて、
さっきからずっと私を睨んでいる、
という点を除けばね。
■「バランス」「高層ビル」「爪」でよろしく。
417 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/11 06:12
あげときます
418 :
「バランス」「高層ビル」「爪」:02/08/11 11:51
去年の秋、仕事の出張でサンフランシスコのホテルに泊まった。。
本来なら火曜日に帰る予定だったのだが、例の高層ビルに飛行機が突っ込んだ
テロのおかげで空港が閉鎖されてしまいアメリカで足止めを食らっていた。
いつ取れるかもわからない航空券はアメリカの子会社の人が手配してくれることに
なっているので、つかの間の有給休暇を味わっていた。
その日はユニオン・スクエアのCheese Cake Factryで昼飯を食べ、会社の人と共に
「STOMP」というミュージカルを見に行った。
ミュージカルを見た後、会社の人がサンフランシスコで一番夜景が綺麗だという
丘に車で連れて行ってくれることになった。
曲がりくねった薄暗い山道を登ると、小さな駐車場が見えてきた。
山道の辺りは真っ暗なのに、駐車場だけが眩しいほどの照明で照らされている。
夜間の犯罪防止のために駐車場のライトは工事現場なみに明るい。
空きスペース待ちの車さえあるほど、街から溢れてきた若者で一杯だった。
駐車スペースがないのを確認すると、俺達の乗った車はその駐車場の中を
一周して通り過ぎた。
会社の人はその駐車場より夜景が綺麗な穴場に連れていってくれると言う。
駐車場から坂道を1、2分下り丘を半周した頃、会社の人は車を止めた。
山道の緊急時に用いられる空き地だった。
たしかに照明で照らされた頂上の駐車場よりは辺りが暗いので夜景が映える。
「どうです?アメリカでの生活は?」
「料理はうまいし、最高です。」
「ここ、僕のお気に入りの場所なんですよ。」
「さっきの駐車場より、静かでいいですね。ジョーもここに彼女と来るんですか?」
「まぁ・・ね。」
そんな会話をジョーと英語で交え、俺達は日本のこと、会社のこと、文化のことなどを
話し合った。
日本では飲みに行くのが外交手段になっているが、ここアメリカでは会社の付き合いは
私生活抜きでするのが常識なんだと、ジョーから学んだ。
ジョーはサンフランシスコ育ちの気さくなフランス系アメリカ人で日本に興味があり、
日本人の俺にいろいろ教えてくれる。
初めての海外だったので、ジョーの好意は有難かった。
「瞑想なんてされますか?」不意にジョーが話題を変え、車のヘッドライトを消した。
「僕はZENを習っているんです。仏教徒ではありませんが、座禅は毎日やっています。
心を落ち着けるのにいいですし。」
ジョーは意外なところで、そこらの日本人よりも日本人らしい。
「ここも、私の瞑想の場なんです。」
そう言って、ジョーは車のシートを倒すと、手を合わせ目を閉じた。
「僕なりに禅にヨガを取り入れたスタイルなんです。10分間、あなたもやりませんか?」
10分という間を車の中で持て余すのも嫌なので、俺はジョーに従った。
アメリカ式ZENを経験するのも悪くない。
シートを倒し、俺はジョーの真似をして手を合わせ目を閉じる。
数分経っただろうか、急に手首に何かが触れる感覚があり俺が目を開くと
ジョーが俺の手首を紐で縛っているところだった。
「ジョー!?}
「動くなっ。畜生、静かにしてればすぐ終わるんだよ!」
俺の体の上に圧し掛かるジョーを防ごうと、俺は自由な両足でジョーに蹴りを入れた。
脇腹に俺の膝が入り後ろに仰け反るジョーを尻目に、どうにか助手席のドアを開けバランスを
崩しながらも車外に転がり出た。
坂道を転がるように逃げ、偶然通りかかったカップルに助けを求めた。
それからの展開は目まぐるしく、ポリスが来て調書を取り、俺は病院に運ばれて
手首の擦り傷や車から逃げ出したときに付いた太ももの痣などの写真を撮られた。
相当な握力で握られたらしく、両手の甲にはジョーの爪のせいで青い筋状の痣が出来ていた。
翌日、俺は平静を保って警官と共に子会社を訪ねたんだがジョーは欠席していた。
2日後、チケットが取れたので日本に帰国したのだが、後で子会社から日本の本社に
連絡が入り、ジョーと名乗る人物は子会社には在籍していないと知らされた。
ちと、長すぎましたな。駄文の上長文ですみません。
次は 「台風」「こけし」「扇子」でお願いします。
「台風」「こけし」「扇子」
わたしは台風一過の青空の下、庭の掃除にとりかかった。
久しぶりの激しい台風だったせいか様々なものが散乱している。
空き缶、木の枝、屋根瓦、ゴムホース・・・
ゴミ袋を片手にそれらを拾い集めていく。
どこかで見かけたような気のする高価そうな扇子を拾ったとき、
その下に何か小さい丸いものが埋まっているのがかすかに見えた。
「なにかしら?」
引っ張り出そうとするが深く埋まっているのかびくともしない。
しゃがみこみ周りの土をどけてみると、小さなこけしの頭だった。
更に掘り進んでみると、そのこけしが持ちあがらない理由がわかった。
地面に埋まったこけしは、ひからびた指でしっかりとにぎられていた。
そのとき、夫が庭にやってきた。
わたしはあわててこけしを元のように埋め、扇子を手に言った。
「ねえ、これ。お母さんの扇子じゃない?」
「ああ・・・ほんとだ」
夫は遠い目で続ける。
「おふくろもどこに行っちまったんだか・・・」
「・・・もう3年になるわね」
「完全にボケちゃってたからな」
「そうね・・・」
「大事にしてたこけしは、きっと持って出たんだろうな」
夫の声を聞きながら、わたしは3年前のことを思い出していた。
ボケていた義母も、大事にしていたこけしは死んでも放そうとはしなかった。
仕方無しにそのまま埋めてしまったけれど。
ふと思った。
義母は自分が埋まっていることを扇子で知らせたかったのかもしれない。
・・・でも残念だったわねおかあさん。
わたしは心の中でクスリと笑い、義母を埋めた上の土を念入りに踏み固めた。
次は「蝉」「温度計」「ダイエット」で御願いします。
423 :
「蝉」「温度計」「ダイエット」:02/08/12 01:28
死国を見て以来お遍路に興味を持ち、いつか四国88カ所巡りをしてみたいと思っていた。
今は夏休みで、まとまった時間もあることからバイクで1週間ほどの予定で
寺を巡ることにした。
島根からはるばる瀬戸大橋を渡り、香川の札所に着いた。
映画みたいに逆打ちをするつもりはなかったのだが、最終札所の方が近かったので、
逆に回ってみようと決めた。
さすがに遍路道は山沿いを縫っているのでバイクでもきつい場所もある。
茹だるような暑さの中、蝉の声を聞きながら寺を巡っていた。
こう毎日、炎天下の下で石段を登っていれば、ダイエットにもなるだろう。
数日後、俺はとある宿坊に泊まっていた。
山奥で過ごす夜は涼しい。
温度計が部屋にないので気温がわからないが、クーラーも扇風機もいらないくらいの涼しさだ。
昼間の寺巡りで火照った体をビールで潤す。
テレビのない生活が続き、早寝早起きの習慣が付き始めていた。
どれくらい眠ったのだろうか、不意に目が覚めた。
暗闇に目が慣れると、俺の枕の横に座っている老婆が見えた。
真っ白いお遍路用の着物を着て正座をしている。
老婆の数珠を持った手を合わせ目を閉じて、ブツブツ呟いていた。
しばらくすると、その老婆は煙が空中で拡散するように消えてしまった。
翌日、宿坊の亭主にその老婆のことをさりげなく聞けば、昔この宿を出て次の札所に向かう
途中で行き倒れになった人が俺が話した人相がそっくりだという。
次の札所までの道は今までよりも険しいので、あなたの旅の無事を願って現れたのでは
と亭主は励ましてくれた。
「キリン」「ポップコーン」「水たまり」でお願いします。
「キリン」「ポップコーン」「水たまり」
いつまで家に閉じこもっているつもりなのという妻の言葉に追い出される
ように動かぬ足を無理矢理動かして家を出た。娘を亡くして以来の久々の
外出で蛍光灯に慣れた私の目は日光に悲鳴を上げている。どこへいくあても
ないままふらふらと歩きつづけ気がつけば娘との最後の思い出の場所となっ
た動物公園へたどりついていた。ああここで娘がポップコーンをこぼしたっ
けああここで娘がキリンを見て怖がって泣いたっけと娘のことばかりが思い
出されいたたまれなくなった私はベンチにふらふらと腰を落とし流れる涙を
拭こうともせずぼんやりと通りすぎる人たちを眺めていた。人波がとぎれふ
と気付くとこの晴天にもかかわらず小さな水たまりが目の前にある。そこか
ら娘が顔を半分だけ覗かせ私を見つめている。どうして池に落ちた私を助け
てくれなかったのと娘のからっぽの目が訴えている。風呂場でも洗面所でも
台所でもどこでも水のあるところ娘は現れて私をじっと見る。おそらく死ぬ
までこの目から逃れることはできないだろう。私は立ちあがりあてもなくふ
らふらと歩き出した。
次は「エレベータ」「教科書」「トンカチ」で御願いします
その日は講義が午前中だけだったので、夜まで寝ていた。
ボサボサの髪に手をやりながらベットから起きあがったところで、
明日はレポートの提出日だったのを思い出した。
慌ててパソコンを立ち上げネットで収集した資料をワードで開いて
鞄を漁るが肝心のノートと教科書がない。
何十分か家捜しをして、部室に教科書を忘れてきたことに気づいた。
私が大学に着く頃には時計は10時を回っていた。
部室の合い鍵を先輩宅に取りに行っていたので、遅くなってしまった。
12時までは校内に入れるのだが、一部の校舎は施錠がされているため
エレベーターで一度二階に上がり、そこから渡り廊下で部室の隣にある
校舎へと回り道をしなければならない。
静まり返った校舎に私のスニーカーの音だけが響いていた。
誰とも会うことなく、校舎を出て部室へ向かう。
カーン カーン カーン
トンカチを生木に叩き付けているような音が聞こえてきた。
校舎と部室のあるバラックの間には小さな物置がある。音は、その物置から
聞こえてきているようだ。
暗闇で一人居た堪れなくなり、部室まで小走りで行き、教科書とノートの入った
袋を抱えて校舎まで走った。
「高木〜、たぁかぁきぃぃぃぃ〜〜〜」という声を聞きながら。
夏休み前にその物置から野球バットに打ち付けられた藁人形が出た噂を聞いた。
一つ目の藁人形には、「高木信彦」と現役野球部員の名が書かれていたのだが、
もう一体、何も書かれていない藁人形が足の部分を滅多切りにされた状態で見つかったらしい。
次のお題は「ラーメン」「温泉」「嗅ぎタバコ」です。
427 :
「ラーメン」「温泉」「嗅ぎタバコ」 ◆CRASH/NU :02/08/13 00:12
「お兄さん、よそから来た人?」
ある地方の町でラーメンを食べていると、横の席の男に声をかけられた。
「そうですけど?」と答えると、
「今夜泊まり?宿のあてはあるの?」と聞いてくる。ははあ、客引きか。
「いえ、ぶらっとそこら辺の宿にでも飛び込もうと思ってね」と答えると、
「じゃあ、丁度いい。近くにいい温泉宿あるのよ。
地図描いたげるからさ、行ってみなって」
男は半ば無理やり地図を描いてよこした。
「きっと気に入るよ。あ、そうだ。これでもやりながら行くといいよ」
別れ際に男は小さなマッチ箱のようなものを渡した。
中には茶色の粉末。匂いから察すると嗅ぎタバコのようだ。
試してみる。身体がふわふわ浮き上がる感じ。なかなか気に入った。
嗅ぎタバコをやりながら、教えられた道をぶらぶら歩く。
それにしても遠いな…。あとどれ位歩けばいいんだ?
ふとそう思い、近くの交番で訊いてみることにした。
するとお巡りさん、変な顔をしてこう言った。
「変な冗談、よしなさいよお兄さん。
この地図の場所、温泉なんかじゃなくて火山口だよ。
自殺でもする気?」
■「ネギ」「チェーンソー」「アクロバット」でよろしく。
428 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/13 10:52
「ネギ」「チェーンソー」「アクロバット」
便所で一人、孤独を楽しんでいた。
訪問者は何度かベルを鳴らし、果てはドアを叩きはじめた。
ドアを開けると、友人が慌てていた。
「見たッ・・・!! 見たッ・・・!!!」
面倒な奴だ。
「ネギッ!! ネギかじっとったッ・・・!!」
体中にネギの破片をかぶっていた。追い返した。
煎餅布団で一人惰眠を貪っていた。
ドアが鈍い音で鳴ってそれを中断させた。
訪問者は再び友人だった。
「ちぇ・・・チェーンソーもっとった・・・・」
首筋に血がにじんでいた。追い返した。
眠れなくなり一人、六回目の「シベ超」に挑戦していた。
三度ドアが鳴った。ドアの向こうに立つ友人の右手はおかしな角度に曲がっていた。
「あ・・・アクロバット・・・二回転半・・・やられた・・・」
刺した。そのまま動かなくなった。
「バッヂ」「エール」「桃」
429 :
「バッヂ」「エール」「桃」:02/08/14 03:57
ロンドンのパブに夕方ふらりと立ち寄った。
カウンターに座り、旅の疲れを癒せるようなうまい酒はないかと聞いた。
少し禿げかかった初老のマスターが、1パイントのジョッキに黒ビールを樽から酌み、
私の前に置いた。
ロンドン・プライドという、地ビールだそうだ。
ちなみにイギリスでは熟成させないビールのことをエールと呼ぶ。
地ビールではなく、地エールと書くべきか。
少し苦味とほのかな酸味が、暑さに乾いた喉に心地よい。
2つ左の席に、マスターと同年齢の男が座った。
背広を着て杖を携帯している。典型的なイギリス紳士といった風情だ。
マスターは老紳士と目が合うと骨董級のバーの棚から小振りのボトルを取り出し、
氷で割って老紳士に出した。
「それは、何という酒ですか?」見慣れぬボトルに興味を抱き、私はすかさず尋ねた。
「これですか?これは・・・別に銘柄はありません。近くの農村で作られたものです。」
「ちょっと拝見してもいいですか?」
「どうぞ。」
私はマスターからボトルを受け取った。
ラベルに酒の名前はなく、ただ桃の絵が描かれている。
蓋を開け、匂いを嗅ぐと微かに桃の香りがした。
「隣の人と同じ物を頂けませんか?」私はマスターにボトルを返すと尋ねた。
「すみません。あいにくこれは商品ではありませんので。会員限定の飲み物です。」
その時、隣の男がこちらを見てにやりとした。
「会員になりたきゃ、このバッヂを手に入れるんだな。」
隣の男は私に背広のバッヂを見せながらそう囁いて、一気にグラスの残りを開けると席を立った。
ミツバチが四葉のクローバーを抱えている図柄のバッヂだ。
「あれは、どこで手に入るのですか?」
「もし、あなたに資格があれば会員の方から連絡が入るはずです。」
マスターはテーブルを拭きながら私に答えた。
今、私は念願の桃の香りのするブランデーを飲んでいる。
どうやって、バッヂを手に入れたかはここには書けないが、この酒はイギリス独自のものではなく、
世界各地の名のある酒場にはたいてい置いてあるとだけ言っておこう。
それから、バッヂの図柄だが、私がミツバチだと思っていた昆虫はハエであった。
何故ハエがクローバーを抱えているのかと聞かれるなら、それは教えられない。
この文章を読んでいるあなたが会員になる資格を持っているのなら、近くの老舗のバーで桃の絵が描かれたブランデーのことを聞いてみるといい。
この酒が飲めるか飲めないか、バッヂの図柄が何を示すのかは、あなたの運と能力次第だ。
幸運を祈る。
「地下鉄」「ホットドッグ」「噴水」でお願いします。
これ、私が実際に体験した話なんですが。
もう数年前になりますかね・・・。
私、友人と"地下鉄"の構内にある喫茶店で待ち合わせしてたんですよ。
外側に向いたガラス張りのカウンター席に座って
ちょっと冷えた"ホットドッグ"をかじりながら
「なんだよアイツ。遅ぇなー。」
と思いながら、目の前を通る通行人を
目だけ動かして追ってたんですね。
いくらなんでも、そろそろ来るだろうと思って。
するとね。
なんか奇妙な事に気付いたんですよ。
待ち合わせしていた喫茶店ってのが、そんなに大きくない店なんですね。
そう・・・。10人も入れば満員ってかんじですかね。
でも、その日は時間も遅かったんで
店内には私を含めて3人程度しかいなかったのに
私がカウンター席から外を見ていると・・・。
目の前のガラスに10人近くの人間が反射して移ってるんですよ・・・。
乱反射とかでは無く、あきらかに動いている人間が・・・。
振り向いて確かめようにも振り向けない(振り向きたくない)し
もう冷や汗が"噴水"の様に出ましたよ。
あれって一体、何なんだったんでしょうね・・・?
「メガネ」「便座」「校長」でお願いします。
433 :
「メガネ」「便座」「校長」 ◆CRASH/NU :02/08/15 03:27
今日、新しい校長が赴任して来た。
メガネをかけた、見るからに神経質そうな人物だ。
上手くやっていけるのかな…?
不安になると、腹の調子までおかしくなってくる。
僕はトイレに駆け込んだ。
行方不明になったはずの前校長。
彼が、便座の上に正座して僕をじっと見つめていた。
■「カプセル」「フリスビー」「肉」でよろしく。
今、何話ぐらいうpされてんの?
知らんうちに100話とかいってたらやだなー
■「カプセル」「フリスビー」「肉」
「かわいそうだけど・・・。ね?」
ママの言葉に納得したわけではなかったけど、他にどうしようもなかった。
ポチはもう息をするのも苦しそうで、これ以上苦しむポチの姿を見たくなかった。
最後のごちそうにと買っておいた肉に劇薬のカプセルを埋めた。
「ポチ、ご飯だよ」
僕は涙をこらえ、笑顔を作ってポチのお皿に肉を置いてあげた。
ポチはそれが毒だと分かっていたのかもしれない。
けれど、ポチはうれしそうに肉を食べて、そして眠るように死んでいった。
僕はポチの亡骸を眺めながらぼんやりとポチとのことを思い出していた。
ポチを拾ってきたときのこと。
あのときポチはフリスビーで遊んでいたっけ。
僕に撫でられると大喜びで叫んでいたポチ。
服を脱ぐのを嫌がったポチ。
いつまでたっても逃げ出そうとしたポチ。
何度も僕の子供を妊娠したポチ。
「・・・埋めてあげないとね」
ママがぽつりと言った。
そうだ、ポチの骨はポチのおかあさんに送ってあげよう。
僕はそんなことを考えながらずっしりと重くなった18歳の女性の死体を抱きかかえた。
次は「花火」「万引き」「ボールペン」でおねがいします。
437 :
「花火」「万引き」「ボールペン」 ◆CRASH/NU :02/08/16 04:12
「これは一体どういうことかねぇ?」
文房具店のバックヤード。机に向き合う店員2人と少年1人。
テーブルの中央にはボールペンが置かれている。
「まったく…ボールペン1本買う金も無いのかい?」
中年の太り気味の店員が半ば詰る様な言葉を吐き捨てた。
少年はじっと俯いたままである。
「…ともかく、金を払わず店を出た時点で立派な万引き行為だ。
家に連絡するよ、いいね?」
初老の店員が身を乗り出した。
少年は答えられず、目を伏せていた。
「ほら、電話番号言いなって。連絡しようが無いだろうが」
中年店員は苛立ちのあまり声を荒げた。
「ったく、手間かけるんじゃねぇぞ、あんまり!」
そのとき、少年は顔を上げた。
10分後。少年は悠然と店から出てきた。
またやっちゃったな。まあいいや、いつものことだし。
バックヤードには、破裂した花火のような姿の店員が2人、
血の海と化した床に転がっていた。
■「ジェットコースター」「ブレーキ」「砂袋」でよろしく。
438 :
「ジェットコースター」「ブレーキ」「砂袋」:02/08/16 06:47
「やっぱり行くのか・・・」
俺は聞いた、奴は1度頷くとすぐに車を走らせた。
奴の実家は山中にある豆腐屋で配達がてら習得したドラテクはかなりのもので、
走りの凄さはこの近辺の走り屋なら誰でも知っているぐらいのものであった。
奴の助手席に乗った男に一度聞いたのだが、ジェットコースターなんかは比べ物にならないらしい。
そんな奴に挑戦をしてくるのはもはや他府県の走り屋だけになっていた。
そしてその日は隣県で有名な走り屋との対決であった、奴は敵のホームである峠に単身乗り込むのだ。
奴の凄さを知っている俺はいつもなら笑って見送るのだがその日はなぜか胸騒ぎがした。
しかも奴も何かしらの違和感を感じていたようで、その日の俺たちは重い空気を感じていた。
行けるものならついて行きたかったが、GSでのバイトの日だったのでそれは叶わなかった。
その夏は近年には無い猛暑で毎日暑かったのだが、その晩だけは何か冷たい空気であった。
そしてGSでの夜勤が終わる頃に1本の電話が入った、奴と俺共通の友人からだ。
439 :
「ジェットコースター」「ブレーキ」「砂袋」:02/08/16 06:48
内容は奴の死を知らせる電話だった。なんでもコーナーに猛スピードで突っ込んでしまったという事だ。
そこは元々事故が多い場所で、ショックを緩和する為の砂袋が置いてあるのだが奴のスピードでは何の意味も成さなかったらしい。
そして妙な事にブレーキ痕が全く無かったと言うのだ。嫌な予感が的中してしまった・・・電話を切った後も動けなかった。
深い悲しみとついて行かなかった後悔の念に駆られ立ちすくんでいると聞き慣れた奴のAE86の音が近づいてきた。
そして俺のいるGSに入って来たのだ。驚くことにそれは奴だった。
「負けちゃったよ」奴が照れくさそうに言った。そう言った奴は紛れもなく奴でありそこに存在していた。
カストロール独特の臭い、エンジンの熱、全てがそこに存在していた。
俺はさっきの電話がイタズラだったのかと思い、喜びがこみ上げてきた。
騙された怒りなど存在しない、一度俺の中で死んだ奴が俺の目の前にいる、こんなに嬉しいことは無い。
「おいおい、負けた俺の前で何嬉しそうな顔してるんだよ」奴は軽く俺につっこむ、いつものノリだ。
俺はさっきのイタズラ電話の事を話した、すると奴の表情が急に暗くなり顔色も悪くなってきた。
「そうか、お前もう聞いたんだな。なら、俺はここにいる訳にはいかない、俺の事忘れないでくれな」
そう言い放つと奴は走り去ってしまった、そこには何の臭いも熱も残っていなかった。走り去っていく音すらも・・・
よく怪談話にあるけど死んだ後お別れを言いに来たってやつだろうか、あの暑かった夏の出来事は今でも鮮明に覚えている。
出来ればもう少し奴と話がしたかった。だけど奴にも事情があったのだろう、俺を選んで来てくれたってだけでも嬉しい。
そして俺は毎年8月16日になるとあの峠のあのコーナーに花を添えに行っている。
■「スイカ」「漫才」「スキー場」でおながいします。
保守あげ
442 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/18 03:10
定期age
誰か作品を批評する人はいないの?
単なる書きっぱなしですか?
>443
スレよく読もうね
俺な、スイカ相手にどつき漫才練習してたねん。あれ、たたくといい音するやろ。
ほんでな、ぽーんと叩いたらやりすぎて割れてもうて。
あーあかん思て見たら、「なにすんねん」ってほざきよって。
で、良く見たらなんかスイカの奴、緑のスキー帽かぶった生首になっててな。
こっち見てにやりと笑いよって。
瞬きしてるまにまたスイカに戻ったけど、あの時は肝冷やしたわ。
去年スキー場で木に衝突して頭かちわって死んでもたやつらしいんやけど、
何で今ごろでてきたんかなあ。
やっぱ夏が旬なのかも知れんな、奴らは。
■「消しゴム」「ハンガー」「駅」でおながいします。
450 :
「消しゴム」「ハンガー」「駅」:02/08/19 04:52
ある暑い夜、俺はアパートで友人とビールで一杯やり、酔った勢いで無謀にも
ドライブに出かけた。行き当たりばったりで適当に高速道路から一般道に降り田
舎の暗い道を走っていた。そこはポツリポツリと農家があるような田舎の県道だっ
た。
まだ酔いが残る中、そろそろ家に戻ろうと思い、高速の入り口を探していた時
だった。川沿いの急カーブを曲がったところで電柱に激突している車に遭遇した。
俺達が車を止めて事故車を覗くと運転席でグッタリしている男性が見えた。頭か
ら血を流していたものの、俺達の呼びかけには微かに反応することはできた。
俺が車から男の人を引っ張り出そうとし、もう一人が携帯電話で警察を呼ぼう
としていると、農家のおっちゃんといった格好の中年男性が現れてこう言った。
「ええよ、儂が警察を呼んだげるさかい、あんたらは早よ行き。そんな酒の匂い
をプンプンさせて警察と会うたらろくなことにならんさかいな。あの男の人は儂
が引っぱり出しといたるから」
俺達は押しの強いおっちゃんに内心感謝しつつ事故現場を離れた。その後しば
らく車を走らせたが高速の入り口を見つけられず、小さな無人駅の前にあった、
案内地図を確認すると、どうやら高速の入り口は逆方向のようだった。そこで、
またもと来た道を引き返すことになった。かれこれ事故を見てから3時間は経ち、
夜が明けて、あたりはすっかり明るくなっていた。
(つづく)
先程の事故現場に差し掛かると、まだ車が電柱にぶつかったままで、男性も閉
じ込められたままなのを見て驚いた。脇に軽トラックが止まっていて農家風のお
ばちゃんが携帯電話で警察に電話をしているところだった。
俺達が狐につままれたような顔をして佇んでいると、そのおばちゃんが事情を
説明してくれた。
「ああ、車が跳ね飛ばしたみたいなんよ。車の方は電柱にぶつかって運転手は死
んでるみたいやわ。跳ねられたほうもアカンみたいやね」
「えっ、跳ねられた方?」
俺の声におばちゃんは川の方を指差した。俺達が指差された方を見ると、明け
方にここで話したはずの中年男性が、並木の枝に全身から血を滴らせながらぶら
下がっていた。まるでボロぎれがハンガーに掛かっているような光景だった。そ
れを見るなり、俺達はいっぺんに酔いも吹っ飛んでしまった。
出来るものなら、消しゴムで消してしまいたいひと夏の思い出だ。
(おわり)
次のお題は、「夏バテ」「新車」「タコ焼き」でお願いします。
452 :
「夏バテ」「新車」「タコ焼き」:02/08/19 06:38
大学1年の春に免許を取得して以来ペーパードライバーだった北白川ウメ子さんは、大学4年の
夏、ついに念願の新車を買い、運転を再開しました。
ウメ子さんは恋人の鬼ヶ島弥之助さんを助手席に乗せて練習をしていたので、デート気分も加わ
り毎日楽しく運転することができました。
ある晩、鬼ヶ島さんのタコ焼き屋の仕事が長引いてしまい、夜12時頃からの練習になりました。
車を走らせてしばらくすると、このところ夏バテ気味の鬼ヶ島さんが居眠りを始めました。仕事で
疲れているんだと思ったウメ子さんは、鬼ヶ島さんを寝かしたまま走ることにしました。
すると道に迷ってしまい、気がつくと一ヶ月ほど前に交通事故があった道に出ました。一人暮ら
しのOLが深夜にひき殺されたのです。まだ犯人はつかまっておらず、OLの幽霊が出ると噂になっていました。
ウメ子さんは、どうしても迷い込んでまた事故現場に戻ってくることを3回くり返したところで
恐ろしくなり、鬼ヶ島さんを叩き起こすことにしました。見ると鬼ヶ島さんはウンウンうなされて
います。ウメ子さんが強めに肩をゆすると、
「うわあああぁぁぁぁぁーーー!!」
と叫びながら弾けるように起き上がりました。そしてフロントガラスを見つめながらブルブル震
え始めました。ウメ子さんがフロントガラスに目をやるとそこには血まみれの女性が顔をガラスに
擦りつけて恨めしそうに中を覗いていたのです。
「見・つ・け・た〜」
車の中に低い声が響きわたりました。ウメ子さんは気を失いかけましたが、横で鬼ヶ島さんが気
が狂わんばかりに泣き叫ぶので、自分がシッカリしなくてはと、なんとか家まで辿り着きました。
そして翌日、鬼ヶ島さんはひき逃げの犯人として自首したのでした。
次は「遠足」「スニーカー」「恋人」でヨロシク!!
453 :
「遠足」「スニーカー」「恋人」 ◆CRASH/NU :02/08/19 19:19
街は多くの人でごった返していた。
携帯電話を片手にあくせく歩くビジネスマン。
大声で笑いながら通り過ぎていく高校生と思われる集団。
腕を組んで楽しげに喋りあう恋人たち。
それを横目で眺めながら、俺は信号を待っていた。
と、不意に背後からスニーカーの足音が聞こえてきたかと思うと
目の前を何かに塞がれ、俺の視界は闇に包まれた。
「だ〜れだ?」
聞き慣れた声。間違いなく、美香の仕業だ。
いつもの挨拶代わりの悪戯。だが、俺はその声に返事できないでいた。
「ねえ、だ〜れだ?わかんない、とか言わないでよ」
答えられないんじゃない。もう少し、この状況に浸っていたいだけなのだ。
脳裏には、美香の姿を容易に思い浮かべることが出来る。
ショーウインドを眺めた後、上目遣いに俺を見る美香。
散歩がてら公園に弁当を持ち込み、「遠足みたいだね」と笑う美香。
朝目覚めると隣で寝息を立てている美香……。
「美香、だろ?わからないわけねぇじゃんか」
闇が消え、俺は振り返った。が、そこに美香の姿はなかった。
俺の顔は、涙で濡れていた。
もう、あれから3年経ったんだな。
俺は持っていた花束に目を落とした。
カサブランカ。美香が好きだった花だ。
信号が青に変わり、俺は歩き始めた。
この花を、美香の墓前に供えるために。
■「格闘」「ペットボトル」「野良犬」でよろしく。
454 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/19 20:28
>>452 ちょっと待て。
その登場人物名はなんだ(w
456 :
「格闘」「ペットボトル」「野良犬」:02/08/20 09:01
サークルの飲み会の後、ほろ酔い気分で駅のベンチで、ペットボトルのミネラル
ウォーターを片手にウトウトしていると、目の前で千鳥足の足元のおぼつかない労
務者風の中年男がスッとホーム下に転落した。
「あっ・・・!!」
俺は立ち上がってホーム脇まで駆け寄った。見ると男が線路の上でうつ伏せに倒
れていた。俺はとっさに飛び降り、男を立たせようとしたが、俺も酔っぱらってい
るせいか力が入らない。
「おーい、誰かきてくれーーっ」
俺が大声で呼んでも、ホームには乗客はおろか、駅員さえ一人もいなかった。そ
うこうするうち電車が近づいて来るのが目に入った。俺は慌てて男を引きずり起こ
そうとした。俺には格闘技の心得があり、いつもなら楽に抱えられるはずが、どう
いうわけか男の体は異様に重く、ビクとも動かない。そして気がつくと電車が目前
まで迫ってきていた。
あと10メートル、5メートル、3メートル、1メートル・・・もうダメだ!
「うわああぁぁぁ・・・・・!!!」
「お客さん、気を確かに!」
その声で正気に戻ったとき、俺は駅員に羽交い絞めにされていた。
その駅員が言うには、俺は今まさに通過電車に飛び込もうとしていたらしいのだ。
電車が通り過ぎてふと前を見ると、先程の労務者風の男が反対側のホームの片隅に
立って、野良犬が威嚇するような目で俺を睨み付けていたが、スーッと消えるよう
にいなくなり、同時に耳元で声がした。
「もう少しで道連れにできたのに・・・」
次は、「高校野球」「仲間」「故郷」でおねがいします。
457 :
「高校野球」「仲間」「故郷」:02/08/20 12:21
10年ぶりに高校時代のクラス会へ出席することになった。去年30歳になったばかりだが、ま
るで10代に戻ったようなウキウキした気分で、故郷への夜行列車に飛び乗った。
ホテルの会場で懐かしい仲間達と近況を報告しあい、昔話などで盛り上がるうちに、ある女性の
ことが話題に上った。彼女はいわゆるいじめられっ子だった。暗めで地味で友人もなく、クラスメ
ート全員からいつも無視されていた。そんな彼女が前回のクラス会に出席したことに俺達は驚いた
ものだった。かといって、彼女は別段変わった様子はなく、高校時代のままに誰とも話さず会場の
片隅に一人ポツンと座っていた。
「さすがに今回はもう来んやろうなぁ」
俺は数人の同級生とそんなことを話していた。そこへ幹事役の筋袋玉吉さんが緊張した表情で、
俺を手招きした。彼は高校野球のチームメイトでキャプテンも務めていた俺の親友だ。
会場の隅にあるソファに座ると、筋袋さんは話し始めた。
「同窓会の連絡が往復ハガキで届いたやろ。でも何人かが引っ越しとって消息がつかめへんかった
んやけど、その中に例の彼女もおったんよ。そんでも何とか連絡先がわかって、電話で直接クラス
会の連絡を入れたんや。そんなら、お母さんが出てな、彼女は自殺したって・・・」
「大人になっても職場とかでいじめられとったんかなぁ」
俺がそう言うと筋袋さんは首を振った。
「自殺したのは卒業式の次の日らしいわ。遺書には、いつも一人で寂しかった、と書いてあったそ
うや」
「そ、そんなら、10年前のクラス会に出てた彼女は・・・」
俺はそう呟くと、心を静めるために震える手で煙草に火をつけた。幹事の筋袋さんも煙草に火を
つけ、煙を吐き出してから再び口を開いた。
「そ、それでな・・・受け付けの参加者の欄に、彼女の名前があるんや・・・」
次は「裁判所」「ガム」「腕時計」でヨロシク!!
458 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/21 01:35
upge
家の近くの裁判所にな、ユーレイが出るねん。怖いでー!
ある日にな、俺と悪友の2人でその裁判所に行ったんや。
俺らは緊張を和らげるためにガムを噛んでてん。そんなら、
なにやら足音がすんねん。腕時計みたら2時や。そんで足
音が俺らの背後で止まってん。思い切って後ろを振り向い
たら、そこに立ってたんや!
柳ユーレイが。
次は「競馬場」「渋滞」「偶然」で、ある。
460 :
「競馬場」「渋滞」「偶然」:02/08/21 05:36
今日は東京競馬場で天皇賞が開催される。俺は愛車のアリストで府中へと向かった。
しかし、渋滞に巻き込まれ、着いた頃には全レースが終了していた。
確か去年も渋滞に巻き込まれ、着いたのが夜中だった。その前の年も、そして3年前も。
不可解だ、これは単なる偶然なのだろうか・・・
それとも、福岡から車で行くことは、そんなに無謀なことなのか・・・
次は「相対性理論」「議院内閣制」「寝小便」でおねがいします。
461 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/21 20:18
.
462 :
「相対性理論」「議院内閣制」「寝小便」 ◆CRASH/NU :02/08/22 00:22
「では今日は相対性理論について熱く議論しようと思います」
「異議有り」
「異議を認めます」
「関係ないんですけど、ずっと前息子に
『議院内閣制について教えて』て尋ねられて
答えられなかったんですよねー」
「それについては保留とします」
「何いきなり仕切ってんの、あんたは?」
「まったく、おしめの取れないガキめ」
「寝小便直ってないらしいからな」
「いくらなんでも、それは飛躍しすぎた発想でしょう」
「俺の意見に文句があるなら、拳で語れ!」
「まあ、落ち着け。ウノでもしようぜ」
「議論する気が無いなら帰れ」
「ところで、この議論て何の為にあるんですかねえ?」
「いいじゃないですか。
だって、死んだ後ってのは結構暇じゃないですか。
こうして集まって何かしてないと、時間を持て余してしまう……」
■「ベロ」「鈴」「恨み」でよろしく。
僕が高校三年生のときだったかな。
夏休みに仲のいい友達と勉強会やってたんですけど、ちょっと息抜きに肝試しでも
しようってことになって。
で、近くに廃屋があったからそこでやろうって話になったんですよ。
懐中電灯持ってそこの廃屋に入りましたよ。
天井からベロのように垂れ下がったベニヤ板とか、仏間にずらりと並んだ写真とかに
びっくりしながら進んでいくと、どこかでチリーンと鈴の音がするんですね。
「おい、変な音立てるなよ」「立ててね―よ」なんて小声で言い争って、そのうち誰
かが「原因調べようぜ」っていったんですよね。
それで、音が聞こえてきた方に懐中電灯を向けると、そこの壁に「恨み」って書いて
あったんですよ。
いや、だからといって何かあったわけじゃないですが、そんなわけで廃屋探検は
ちょっとご辞退させていただきます。
■「胡椒」「参考書」「水溜り」でお願い
高校三年の冬の事なんだけど。
当時、俺、ちょっと無理めな大学が第一志望だったから、受験勉強で毎日一時
二時当たり前状態だったのよ。
その夜、十一時過ぎだったかな、ひと段落にして夜食食べる事にしたの。
自分でラーメン作ってさ。
胡椒かけたら、どぶっと出たね。
瓶に残ってた三分の二くらい全部。
あわれ、ラーメンの表面には大量の胡椒と中蓋が浮いてたよ。
やった事ある人わかると思うけど、あれって結構呆然としちゃうよね。
「嘘だろーぉ」思わず声出たね。
なんか開けっぱなしになってた参考書を閉じたりとか訳わかんない現実逃避した
後、しゃあない捨てるか、と目ぇ戻したら、なんか普通なの。
普通の状態、胡椒も中蓋もどこにもない。
どころか胡椒の瓶そのものもない。
なんのこっちゃ、勉強し過ぎで疲れてるんかなぁ、と思ったね。
そのラーメン、胡椒なしだったから、ちょっと寂しい味だったのを覚えてる。
で、次の日の朝、家出たら玄関先に水溜り出来てたんだよね。
雨降っただなんて、ちっとも気づかなかった。
その真ん中になにかあるのに目がいってさ。
中身ぶちまけられた胡椒の瓶だったね。うちのと同じやつ。
久し振りに気楽に書いてみました。
因みに忙しかった訳じゃなくて、サボってただけ(笑)
次のお題、「お店」「氷」「七転八倒」でお願いします。
そんで、413以降の気になった作品 1/2
>>418-421 実話風というか都市伝説風というか。
怪異とかは全然起こってないけど、ちょっと面白いです。
>>422 義母の現状を匂わすに留めるともっと面白かったかも知れません。
でも、良い感じの雰囲気です。
>>423-424 逆打ちは関係ないのねー(その関係で出たって訳でもないみたいだし)
ちょっと良い話。
>>427 良いなぁ、かなり好き。男の正体とか考えると面白い。
>>433 なぜトイレでー、なぜ正座ー。簡潔で変な感触がナイス。
>>436 うわぁ、嫌ぁな話だ。
ただ既出な話とネタのツボ(だと思う)が被ってるのが残念。
413以降の気になった作品 2/2
>>438-439 頭文字Dリスペクト〜。
死んだ事を知られてたらもういられない、ってのは面白いと思います。
>>450-451 親切な幽霊(なんてタイトルの怪奇小説もありますが)の話はもろツボです。
ただ、嫌な思い出扱いされてるのが不憫です(笑)
>>452 既に指摘されてるネーミングセンスと良い、勢いで押し切ったお話ですね。
嫌いじゃないです。
>>456 ホームに落ちた人を助けようとして一緒に死んじゃったあの事件モチーフかな。
あとひと捻りあると傑作になってたかも。
>>434 知らんうちにいってたみたいです(笑)
最初の方で仕切り直しとか入ってたり、お題関係ない話あったりするんで、
正確なカウントは難しいですが。
>>443 まぁ…。
書くのと批評するのって興味が違うからね。
スレ趣旨として、別に「お互い研鑚しよう」ってんじゃないんで、しかたがないかと。
>>446で、わたしが批評してるように書かれてますが、ちょっと違うかも。
わたしは、個人的なお気に入りの感想を書いてるだけで、基本的には批評は
してないです(苦手なのよ)
468 :
450-451:02/08/22 19:43
>>466 レスありがとうございます。
これ一見「親切な幽霊」の話に見えますが、実は幽霊がドライバーを見殺しにする
話なんですよ。で、最後に主人公の「俺」がそのことを悟ったために、いやな思い
出になってしまっているんです。
469 :
、「お店」「氷」「七転八倒」 ◆CRASH/NU :02/08/23 00:07
ある夜。
歯が痛くて七転八倒していた時、彼女からの電話。
何か買ってこようか?の問いに間髪いれず
「氷!氷買ってきてくれ!」と叫ぶように俺は答えた。
少しして、また彼女から電話が入った。
「ねえ、お店閉まってるよ。どうしよう?」
ああ、これだから田舎のコンビニは…と嘆いていると、
「あ、氷売りのおじさんが来た。買ってくるね〜」と電話が切れた。
こんな真夜中に氷売り……?
まあ、氷が手に入るならいいか…
俺は彼女と氷を頬を押さえながら待った。
彼女は来なかった。
それ以来、彼女はぷっつりと消息を絶ったままである。
虫歯が治った現在でも。
■「真夜中」「銀」「咆哮」でよろしく。
>>468 あ、ホントだ(汗)
主人公の発見時点でもう運転手も死んでた、と勘違いしてました。
誤読して、すみません。
んでは修正感想。
幽霊が直接的な祟り方(?)じゃなくて、知恵を使った祟り方をする点で
面白いと思います。
471 :
すっポンぽん ◆Pon/Ye4Q :02/08/23 12:13
みなさん文才あるなぁ〜。うらやましいっす。
472 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/23 22:47
ageっか
ところで、このスレをまとめてサイト立ち上げるって話
どうなったんだろう…?
474 :
ニバス ◆ifJNivas :02/08/24 01:23
>>473 ちゃんと作ってますよ。
全ログをまだまとめきっていませんが。
スレッド終了時にとも思ったのですが、もう上げた方がいいかな?
>>474 いいんじゃない?
他のスレのサイトも、スレの進行とサイトの更新
並行してるみたいだし。
ちょっと忙しいので、今すぐとはいかないですが
近日中にここにURL載せる事にします。
その時は、よろしくお願いいたしますです。
・
保守
479 :
ニバス ◆ifJNivas :02/08/25 20:42
>>479 拝見しました。
タイトルバナーかっちょええ(笑)
いやぁ、2ちゃん以外で見ると、新鮮な気分になりますな。
ログ回収、大変だと思いますが、頑張って下さい。
>>479 サイト開設乙っす。
見やすくて非常に(・∀・)イイ!
頑張って更新していって下され。
こっちも頑張って話創っていくんで。
>>479 スレ立て冥利に尽きます。
ありがとうございます。
今仕事が忙しすぎてあまり書きこめませんが、
これからも皆様の傑作及び私の拙作をよろしくお願い致します。
484 :
すっポンぽん ◆Pon/Ye4Q :02/08/26 08:51
「真夜中」「銀」「咆哮」
取引先での仕事を終え、少し遅めのランチを取ろうと行きつけの洋食屋へ向かおうとした時だった。なにやら頭上からひらひらと白いものが舞い降りてきた。
「8月なのに雪か?」
不思議なことに、周りは誰一人気付いていない様子だ。
私は呆気にとられて上空を見上げた。
いや、違う。雪にしては色が・・・これは灰だ!
そう思った刹那、あの時の記憶が蘇った。
そう、決して忘れられない記憶、いや、忘れてはならない記憶。
ついに来た! この日が・・・
私はすぐさま車に乗り込み、あの場所へと向かった。約束を果たすために・・・
銀色の車体を揺らしながら名神道を西へ。そして山間部の県道へ。
いつの間にか真夜中になっていた。しかし、約束の地はいっこうに姿を現さない。
遂にガソリンも尽きた。
しかし、私は行かねばならないのだ。
車を捨て、ひたすら歩く、歩く、歩く・・・
あたりは真っ暗で、時折獣の咆哮のような得体の知れない音が耳にとどいた。
どれだけ歩いただろうか、気が付くと目の前に小さな建物が現れた。
お食事処の看板が掲げてある。
「助かった、しばらく休んでいこう」
私は扉を開けた・・・
その瞬間、あたりの情景が一変した。
「ああ、これは・・・」
そう、それはあのときの情景とそっくりだった。忌まわしくも懐かしいあの風景だ。
そして私は一歩前へ踏み出した、その時・・・
後頭部に激しい痛みを感じた。頭から生暖かいものが流れ落ちた。
目の中にも流れ落ち、周りの景色が真っ赤に染まった。
どうやら鈍器のようなもので殴打されたらしい。私はどうすることも出来ず、膝から崩れ落ちた。最後の力をふり絞って振り返ると、そこには、あいつがいた!
「なぜだーーーーーーーっ!」
次は「パソコン」「クーラー」「食パン」でお願いします。
「パソコン」「クーラー」「食パン」
そもそもその日は朝からヤな感じだった。朝はパンとオレンジジュースって決
めてるんだけど、バターとイチゴジャムをこってり塗った食パンを、さぁ食おうと
したら、ポトリと落とした。カーペットの上に。勿論塗った方下にして。
お陰で朝飯はジュースのみだ。
会社に着いてから、パソコンで資料をまとめていたんだけど、昼前に、一旦保
存するか、と思ってCTRLキーを押した瞬間に画面が青くなった。
それまで、ほかのショートカットでCTRLキーなんて山ほど押してたのに、なぜ
このタイミングで。
結局、それをやり直したり(一度入力した文章を入れ直すほどむなしいものは
ないよね)なんやかやで、七時くらいには帰れるつもりだったのに、終わってみ
れば九時過ぎだった。
やれやれやれ、ぐったりだ、と思いながら家のドアを開くと…なぜか涼しかった。
しかも電気ついてる。クーラーも電気も確かに朝消して出たはずなのに…と考
えてたら、奥から穴あき包丁を握ったステレオタイプな泥棒が出てきた。そして、
「動くなよ。動いたらぶっ刺すからな」
普通に考えれば、こっちは玄関で、相手とは距離あるんだから、そんな脅し無
視して外に飛び出しゃ良いよね。だけど、あれだ。蛇ににらまれた蛙とでもい
うか、咄嗟にそんなまともな判断出来ないもんだよ。
で、泥棒がこっちに近づくのを見守ってるという実に間抜けな状態になったん
だけど、そいつがテーブルの脇を通ろうとしたら、すてんっと転んだんだ。感じ
としちゃ、スケート場で転んだみたいな漫画のようなこけ方。そして、そのまま
ピクリともしない。
おそるおそる傍に寄ってみると、白目剥いてるそいつの足の裏には、バターと
イチゴジャムがべったりついてた。
朝、時間なかったんだよね。
うーん、(マーフィーの法則から)冒頭のシーンだけ浮かんだのを無理から
膨らましたら、ありがちな話になってしまった。
次のお題は、「近道」「ちらし」「チェーン」でお願いします。
486 :
、「近道」「ちらし」「チェーン」 ◆CRASH/NU :02/08/27 00:02
今日朝起きたら、8時をとっくに過ぎていた。
始業時間は8時半。
普通に登校してたら間違いなく遅刻だ。
しょうがないので、近道の細い路地を通ることにした。
しばらく進むと、壁に一枚のちらしが貼ってあった。
見ると、「世にも珍しい、見世物小屋」の文字が。
出席日数がヤバイのは確かだが、これに興味を引かれたのも確かだ。
どうやらすぐ近くの建物らしい。
ちょっと考え、「ま、1限目くらい捨ててもいいか」の結論に。
ちらしの案内に従って進むと、1軒のプレハブ小屋にたどり着いた。
ドアをそっと開けて中を覗くが、暗くてよく見えない。
思い切って中へ足を踏み入れると…中に誰かがいる。
近づくと、そこには右腕と左足を切り取られた女が床に這いつくばっていた。
思わず悲鳴をあげそうになった瞬間、腕に冷たい感触。
手錠のようなチェーンが腕にがっちりはめられていた。
状況が飲み込めないでいると、背後から低い声で
「分かったね。次はお前がこの役目をやるんだよ」
■「歯車」「ワイヤー」「ガソリン」でよろしく。
487 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/28 20:10
age
>>ニバスさん お疲れ様です。拝見させて貰いましたが、凝った作りでかっこいいです。
お題 「歯車」「ワイヤー」「ガソリン」
うちの近所には時計塔がある。
もう数年前から動いていないそうだ。
何でも、歯車の一つが壊れたとか。
修理するにも、奥の方にある歯車らしいので、取り替えることも難しいらしい。
結局、そのまま手付かずになっている。
ある日、いつも通りに暴走族が通りかかった。
迷惑そうな目で、俺はそいつらを見ていたんだ。
すると、先頭にいた馬鹿の頭が、何の前触れも無くスポーンと飛んでいった。
あたりに響く怒号、そして悲鳴。
転倒したバイクからはガソリンがもれ出ているのか、
周囲にはとても脂くさい臭いが充満している。
結局、近所の受験生がノイローゼになり、
くる時間を見越してワイヤーを張ったそうだ。
ついでに言うと、馬鹿の頭は何故か見つからなかった。
その日から時計塔は動く事を再開した。
まるで栄養補給でもすんだかのように。
俺は確かに見ていたんだ。
馬鹿の頭が、時計等の窓の中へ飛んでいった瞬間を。
次のお題は、「悪夢」「微笑み」「ゼリー」でお願いします。
久しぶりに書き込みましたが、やっぱり面白いですね。
490 :
「悪夢」「微笑み」「ゼリー」 ◆CRASH/NU :02/08/28 23:27
彼女が俺に駆け寄ってくる。
俺は彼女の体を抱きとめ、口づけ
しようとした。
が、出来なかった。
彼女の眼、鼻、耳、口からピンクのゼリー質の液体が
途切れることなくどくどくとあふれ出していたから。
俺が身を引こうとすると、彼女はがっちり俺の体を抱き締め
放そうとしない。
眼前には、顔をぬらぬらと光らせ微笑を浮かべる彼女の顔が。
「ねえ、キスしてよ」
そこで眼が覚めた。夢だった。
俺は恐怖心にかられ、隣で寝ている彼女を揺り起こした。
「う…ん、どうしたの?」
眠たげに振り向いた彼女の眼からは
ピンクのゼリー質の液体が………
悪夢は、まだ終わらない。
■「バドミントン」「リーグ戦」「罰ゲーム」でよろしく。
491 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/30 00:46
aogeba
492 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/08/30 23:48
誰も書かないな。
ageてみるか
493 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/01 01:15
ホント、誰も来ないな…
踊るか
494 :
ニバス ◆ifJNivas :02/09/01 22:50
保守上げついでに
>>83 さん
ありがとうございます。
最近スレが落ちそうで危ないですが
また、創作の方お願いします。
>>ぼっこし屋 さん
ありがとうございます。
ちょっと字が小さいかなとも思っていますが。
更新頑張りますね。
>>夏厨 さん
ちょっと時間かかるかもしれませんが更新頑張りますね。
これからも傑作がいっぱいでるといいですね。
スレ最近伸びてないみたいですが。。。
>>語り部六 さん
違うHPの使いまわしですが (w
ありがとうございます。
これからも創作の方お願いします。
sageほしゅ。
497 :
「バドミントン」「リーグ戦」「罰ゲーム」:02/09/03 10:24
あれは10年前、高校のバトミントン部の合宿にいった時のことである。
この合宿では1.2年生部員参加のリーグ戦が恒例行事となっている。このリーグ戦
は、秋の新人大会の校内予選もかねている。ただ、このリーグ戦で最下位になると
恐ろしい罰ゲームが待っていた。
我がバトミントン部は全国大会の常連校で県内では屈指の強豪校で名を馳せている。
県内外の有力選手が集まってきていて、校内予選といえども勝ち抜くのは至難の業
であった。中学時代、全くの無名選手であった俺にとっては大会出場など夢のまた
夢であった。それよりも、いかにして最下位を免れるか、それが最大の課題だった。
しかし、あろうことかその日体調がおもわしくなく最下位になってしまったのだ。
ああ、なんたる不覚、恐ろしい。あまりにも恐ろしい・・・
あれは罰ゲームというよりも拷問に近い。しかし、30年以上続く部内の伝統だから
拒否することもできない。俺は覚悟を決めて罰ゲームに臨んだのだった。
あれから10年。あの罰ゲームに臨んでから俺の人生は大きく変わってしまった。
その罰ゲームとは・・・
それは、50代の男性顧問教師と一晩ベッドを伴にさせられることであった!!
それ以来、俺いや、あたしはクセになってしまっちゃったのよウフッ・・・
あたしのこんな性癖を目ざめさせていただいたあの先生には感謝しなくっちゃね!
今ではオカマ倶楽部のNo.1よ。あなたも今度うちのお店にいらっしゃってね(ハート)。
次は「通勤ラッシュ」「鼻毛」「ふりかけ」でお願いします。
sage
499 :
「通勤ラッシュ」「鼻毛」「ふりかけ」:02/09/04 20:00
先週末に行き先も決めずにふらりと車で日帰りのつもりで旅に出た。
朝9時頃に家を出たんだが、休日だったので通勤ラッシュもなく、快適なドライブを
楽しんでいた。
街の喧騒から出来るだけ離れたくて、時間の流れが緩やかな田舎へと向かっていた。
2時間ほどドライブを続けていると、住宅の数よりも田畑のほうが目に付き始めたので、
偶然見つけたコンビニで昼用の弁当とお茶を買い、道路の先に見える山を目指した。
大学生の頃に友人とキャンプに来た場所が、その山を越えた場所にあったことを思い出し、
そこで昼飯にしようと決めた。
夏休みも終わりに近づいていたためか、絶好のキャンプ地にもかかわらずキャンプ場の
駐車場には私の車を除けば、プレートのない錆びた乗用車が山の斜面すれすれに放置されている
だけだった。
木の生い茂る山の中の駐車場に一人というシチュエーションはあまり気持ちのいいものではない。
だが、家族連れや学生が押し寄せるキャンプ場に一人でいることを考えると、その日はなんだか
私がその場所を貸切で使っているような気がして、一人の時間を誰にも邪魔されないことが
ありがたかった。
これでもし先客がいたなら、キャンプ場に一人で来ておにぎりを頬張る30過ぎの私は
変に思われたかもしれない。
軽く昼飯を済ませると、少し眠くなってきたので昼寝をすることにした。
眠っていると、いきなり鼻に激痛が走り、目が覚めた。
目を開けると、どこからか現れた手が私の鼻毛を引っ張っているではないか。
突然のことに眠気も吹っ飛んで、とっさに体を捩りその手から身を守るようにした。
よくよくみれば、小学校高学年か中学生くらいの少年が運転席の窓から手を入れている。
「おい、やめろ!」
ニヤニヤと笑っている少年に私は腹が立ち怒鳴った。寝入り端を起こされたことも癪に障っていた。
少年はフフッと笑うと助手席のビニール袋を指差した。袋には私が食べ残したおにぎりが入っている。
「なんだ?これが欲しいのか?」
少年は私を一瞥すると、窓から体を伸ばすようにして手を入れ、意表を付かれた私をよそに
ビニール袋を引っつかみ、そのまま走り去った。
突然のことに私は少し呆気にとられたが、年端のないガキにからかわれたことに腹が立ち、
車外に飛び出した。
「???」
少年が去って間も無く私も車から出たのに、彼の姿は何処にもなかった。
駐車場からキャンプ場までは見渡せるし、県道へ向かって走っても私のいる場所からは
見通しが利く。
騒がしいセミの声の中暫し呆然としていたが、気味が悪いので早々に立ち去ることに決めた。
山を越え、コンビニが見える辺りまで引き返した時、大学時代の友人がキャンプで語ったことを思い出した。
ーキャンプ場がある森は、昔から狐がでるー
何処からか現れた少年も不気味だったが、本当の恐怖は帰宅したときに味わった。
自宅の車庫に車を入れて、ふと、後ろの席を見ると、空き缶やらお菓子の袋などが散乱していた。
それも、公園のゴミ箱をひっくり返したような量で。
中には、弁当ガラやふりかけの袋なんかも混ざっている。
せっかくの週末だというのに、車の掃除をすることになるなんて思いもしなかった。
迷信だとばかり思っていたけど、狐の存在はこの事を期に信じるようになった。
次は、「アルコール」「アンコール」「トリコロール」でお願いします。
P.S.
最近、このスレ見てなかったんだけど、前みたいな勢いなくなってきましたね。
こんな感じの文でよかったら、また書きますのでよろしく。
>>494 「クリーム」「コウモリ」「コックリさん」のジャンプ先が
変ですよ?
「アルコール」「アンコール」「トリコロール」
ライブハウスってアルコールの種類少ないのが辛いね。ぺこんぺこんのプラ
スチックのコップにハーパーソーダってなんだか検尿みたいだよなぁ、とか嫌
ぁな事考えながら、恵の待ってるとこまで戻った。客は、まぁ、並入りといった
ところ。今日は恵ご贔屓のインディーズミュージシャンのライブを見に来た。
間もなく開演した。オカルト仕立て、とでもいうのだろうか。舞台の上は、おど
ろおどろしい感じのセットが組まれている。良く見るとちゃちいのが、インディ
ーズの哀しさ、か。
メンバーは、リーダー(B)のロートが赤ずくめ、一番人気のGのブラウが青ず
くめ、他は全員黒ずくめ。楽曲的には耽美な感じか。BとDrは結構巧くて、Vo
も癖があるけどなかなか歌唱力あるようだ。Gは、下手でもないけど普通。
MCも、悪くない。Drが会場が大阪だからってサブめなギャグ飛ばしたのもご
愛嬌のうちだろう。ブラウは寡黙なキャラ、ってポジションのようだ。それでも、
やたら歓声が飛ぶ。良くわからん。
ライブが終わって、上のような感想を言うと、恵も大体同意見で、ブラウは人
気あるけどあんまり好きじゃなくて、Drのファンらしい。おっさん顔だったんだ
がな、Dr。どうも、恵の趣味は渋い。
「しかし、アンコールに入った時、上から白装束の男が逆さ吊りで出て来たの
はビビッたよ。ほかの人特にビックリしてなかったけど、あれ、恒例の演出な
の?ああ、トリコロールなんだ、って思ったけど」
「え?そんなのなかったよ」
「またまたー」
「ないってば」
その後は、「あった」「なかった」でちょっと喧嘩になった。ただ、後で考えると、
あれやるには、彼、開場前からずっと上でスタンバッとかなきゃいけないし、
第一、ライブハウス側がそんな危険な演出、許可するとも思えない。
しばらくして、恵から、例のバンドのGが交通事故で死んだ事を伝えられた。
一年後、件のバンドはGに新メンバーを加入して、メジャーデビューした。ヴァ
イスという白ずくめの男だった。彼の顔が、一年前に見た逆さ吊りの男にそっ
くりなのは、思い過ごしなのだろうか。
無理矢理一レスに収めたら、えらい読み難いね。
次のお題、「焼け焦げ」「タブー」「あやとり」でお願いします。
505 :
、「焼け焦げ」「タブー」「あやとり」 ◆CRASH/NU :02/09/05 23:20
「本当に、このままあの場所に行くんだな?」
暗闇の中、雑草を踏み分けながらKがボソッと訊ねてきた。
あの場所……それは俺たちの間でタブー視された存在だった。
「あれから20年以上も経ってるんだ。
そろそろすっきりさせてもいい頃だろ」と俺は返した。
そう、20年以上前。小学生の頃だ。
いつも一人であやとりで遊んでたYを俺たちはイジメていた。
そして、あの日。
町外れの小屋に俺たちはYを連れ込み、いつものようにイジメていた。
しばらく蹴ったり殴ったりしていると、Yは動かなくなってしまった。
(殺してしまったか………?)
さすがに青ざめた俺たちは、証拠隠滅とばかりに
小屋に火を放つとそのまま逃げ帰ってしまった。
それ以来、俺たちは小屋の近くに行くことすらしなかった。
Yは行方不明扱いになって現在に至っている。
小屋は、あの時と同じ場所に建っていた。
一つ違うのは、焼け焦げた小屋の残骸になっているという点。
まさか、取り壊されもせず残っているとは思わなかった。
恐る恐る小屋に近づく。と、柱に何やら張り紙が。
手にとって読むと、子供の字で
「やっと来たね。待ってたんだよ」
■「ビール瓶」「乱闘」「太陽」でよろしく。
■「ビール瓶」「乱闘」「太陽」
路地裏からまた喧騒が聞こえる。
「やれやれ、またか。」
彼はボランティアで地元の自警団に所属している。
こういったトラブルの処理も彼の役目の一つである。
だが、彼が目にしたものはいつもとは違う物だった。
倒れているチーマー達。
そして、それらに群がっている黒装束のモノ。
こいつらは変な機械を使って、チーマー達の血をせっせとビール瓶らしきものに注ぎ込んでいる・・・
何の前触れもなく、彼の頭に衝撃が走る。
彼の視界は、今まさに太陽が沈もうかとしているかの様に真っ赤だった・・・
次の御題、「愚者(フール)」「カフスボタン」「幸福の樹」
でお願いします。
まだ私が戦場ジャーナリストをしていた頃、ある一人の傭兵に出会った。
彼は「愚者(フール)」の異名を持つ兵士で
その名が示す通り、銃弾が飛び交う戦場を、
まるで平和な草原を歩くかのように無防備で突き進むのだ。
当然、銃弾は食らうし地雷にだって引っかかる。
が、どんなに重傷を負っても彼は死なず、
翌日にはその傷が跡形もなく治っているのだ。
「不死身の愚者」の噂は瞬く間に広がり、味方兵士は
彼の身に着けているものを、お守りに、と奪い合った。
彼のコートのカフスボタンは一つ残らずちぎり取られていた。
彼は何故戦場にいるのか?
「時々夢に見るんだ。俺の死に場所を…」
彼は私との会話の中でそうつぶやいた。
硝煙が立ち込める中、屍の山を突き進むと一本の大樹が生えている。
その木に近づくと、彼の身体は光の粒になって飛散する。
その瞬間─夢の中でだが─彼は至福感に包まれるのだそうだ。
「いつか、きっと、たどり着けると信じてる」
あれから30年。彼は未だに戦場に身を置いているのだろうか?
それとも、もう彼自身の「幸福の樹」を見つけ、
光の中を浮遊しているのだろうか……?
■「赤い壁」「仮面」「マッシュルーム」でよろしく。
509 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/07 02:01
学祭の出し物で俺達のグループは心霊ビデオを出品することに決まり、
ブレア・ウィッチ第三弾と洒落込んで六甲の山中にビデオカメラを持ち込んだ。
本気で幽霊なんか撮影する気はなかったから、適当に木の陰とか人の顔らしく映っている
部分を後で編集して使おうと思っていた。
ユネスコを写そうという話も出ていたのだが、あまりにも有名な心霊スポットなんで
俺達で新しいスポット探しをすることになった。
キャンプ好きの友人から聞いたんだが、獣道はたいがいそこを通る動物の生活の場に繋がっている
らしい。たとえば、水飲み場である池や小川、もしくは動物の住処などだ。
仮に俺達が辿っている道が人が使っていたのだとしても、その先には廃墟ぐらいあるだろうと
楽観的に考えて歩いていた。
車を止めた車道から30分ほど歩くと、西洋風のレンガ造りの廃墟が見えてきた。
獣道もそこが終点とばかりに廃墟の前で途切れていて、ガラスの割れた玄関が俺達を迎えていた。
レンガ造りの赤い壁は、ほとんどツタに覆われている。もしかすると戦前からあったもの
なのかもしれない。そんなことを考えつつ、俺達はビデオを構えて中に入った。
玄関を入ると正面の壁やや右寄りの場所に般若の面が飾ってあり、先行だった友人Kは、
悲鳴を上げたために他の仲間からからかわれていた。
必死で弁解するKを置き去りにして、俺達は廃墟を探索した。
湿気ているのか、廃墟の中はカビのような匂いが漂っている。雑菌を吸わないようにと俺を含めた
何人かは持参したタオルで鼻と口を覆った。
地下への階段があったので、ペンライトを持参したIが降りようと提案し、俺とFが降りることになった。
地下に降りると、ブーンという音がどこからか聞こえてくる。もしかしたら、電気が通っているの
かも知れない。Fが壁にあったスイッチを入れると電気がついた。
気味悪く思いながらも、階段の前の扉を開けた。
俺達は一瞬グリーンハウスか何かに足を踏み入れたような錯覚に陥った。
部屋の床はキノコで埋まっていた。スーパーで売っているシイタケやシメジよりも何倍も
大きいキノコだ。
「マジックマッシュルームだ!」
怪しげなクスリに詳しいIはキノコの一つを手に取ると、そう断言した。
「おーい」と俺達を呼んでいるKの声が階上から聞こえてきたので、いったん一階に戻ることにした。
階段を上がるとKは相変わらず玄関にいた。
「さっきから調べていたんだが、この般若の面、なんか変なんだ。」
Kはそう言って仮面を壁から引っ張ったが、壁に掛けられた面はぴくりとも動かない。
いきなり何を思ったか、Fが踵を上げて壁の般若をじっくりと観察し始めた。
俺達は彼のただならぬ様子にF見守っていた。
「般若の目にレンズが入っている。防犯カメラかもしれない。」
冷静なFの声に俺はさっきのマッシュルームを思い出した。その場にいた俺達は真っ先にと
玄関を飛び出し、獣道を走り出した。
汗だくになりながら、なんとか車まで戻ると俺達は無言で車を出した。
行きつけの喫茶店に入り、やっと落ち着くことができた。
皆で話し合った結果、学祭での心霊ビデオの出展はあきらめ、代わりに匿名でドキュメンタリー
ビデオを出展することに決まった。題は今のところ「潜入!麻薬製造基地!」になっている。
「サラダ油」「せっけん」「焼きそばパン」で、お願い。
513 :
「サラダ油」「せっけん」「焼きそばパン」 ◆CRASH/NU :02/09/09 15:47
うちの母ちゃんは、よく言えば倹約家だが、
悪く言えば、はっきりいってセコい。
風呂場の小さくなったせっけんを、新しいせっけんにくっつけて
使うのは、まだ節約の一環としよう。
揚げ物を料理するのに使ったサラダ油を濾して、
再利用するのは……まあ、嫌だけどいいとしよう。
でもなあ、母ちゃん…
頼むから、隠してある親父の遺体の処理の過程で
もったいないからってミンチにした肉をパンに挟んで
「はい、焼きそばパン」と嘘ついてまで
俺に食わそうとするのだけはやめてくれ。
■「メロン」「ロンドン」「ドンピシャ」でよろしく。
お題「メロン」「ロンドン」「ドンピシャ」
ロンドン橋落ちたー♪
ウォーターメロンが好きな私。
狙っていたあの子をドンピシャで捕まえちゃった。
今日も口元を真っ赤にしてウォーターメロンを食べてるの。
バリバリバリと食べているの。
ロンドン橋落ちたー♪
次のお題、「泣き虫」「紫煙」「ダイエットペプシ」でお願いします。
彼は昔、パープルヘイズという名の暴走族で、総長をしていた。
彼の特攻服の背中には、ぶっとい字で、紫煙と書かれていた。
ガキの頃は、泣き虫で有名だったあいつが、いまでは泣く子も黙る
筋金入りのワルである。
ある日、突然やって来た刑事に、彼は連れて行かれてしまった。
背中の文字が目立ちすぎて、なにかあるたびすぐ通報されてしまうのだ。
俺はなんで目立つんだ?。
不思議に思った彼は、僕に聞いた。
でかくて目立ってんのは背中の文字じゃぁなくお前のでかい腹なんじゃ。
2、3発殴られる覚悟で言ってやると、そうかなぁ。と言いながら、
とぼとぼ帰っていった。左手には、ダイエットペプシが、握られていた。
2リットルボトルだった。
(蚊取り線香)(ステアリング)(ジンジャーエール)
で、お願いします。
517 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/12 21:13
age
518 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/12 21:30
(パソコン)(インターネット)(携帯電話)
520 :
蚊取り線香・ステアリング・ジンジャーエール ◆CRASH/NU :02/09/13 00:20
深夜の国道。俺は愛車で疾走していた。
時速100km/hオーバー。爽快な気分だ。
と、黒い物体が路上に転がっているのが視界に入った。
とっさにハンドルを切り、何とか回避。どうだ、この絶妙なハンドリング。
しばらく走り、喉が渇いたので自販機の前で停車した。
好物のジンジャーエールを購入し、車に戻る。
ドアを開けて真っ先に目に入ったのは
豚をかたどった陶器と、その中で煙を吐き出している蚊取り線香。
な、何だこりゃ?誰が?いつの間に?
半分パニックに陥っていると、背後から妙に明るい声で
すまんねえ、置き忘れて行ってたよ。
この辺りは、蚊が多いからおちおち路上で横にもなれない…
え?と背後を振り返ると、そこには闇があるばかり。
再び車内に目を戻した時には蚊取り線香は跡形もなく
消え去っていたのは、言うまでも無い。
■じゃあ
>>518のお題でよろしく。
521 :
すっポンぽん ◆Pon/Ye4Q :02/09/13 17:06
「パソコン」「インターネット」「携帯電話」
夏のボーナスでパソコンを買った。
高速のCPUをもつ最新型のノートパソコンだ。
早速、回線を繋いでインターネットのHPを閲覧することにした。
俺は恐がりだがオカルト系のサイトを見るのが好きだ。まぁ、怖いもの見たさってやつかな。
そこでオカルト・怪談系のサイトを検索してみると、あるHPに目が止まった。
『決して見ないで下さい・・・』と書かれている。
「どれどれ、おもしろそうだな」
トップページを開くと、真っ黒な背景に赤い文字で『後悔します、決して見ないで下さい』と書かれていた。
「見るなと言われれば見たくなるのが人間ってもんでしょうが・・・」
と一人でぶつぶつ言いながら、躊躇せずEnterをクリックしてしまった。
すると、画面が突然乱れたかと思うと、モニタ一杯に能面のような顔が現れた!
「な何だぁこりゃ?」
一見しただけでは男か女か判別できないような顔だったが、下に「のりこ」と書かれているところから、おそらく女だろう。真っ白で表情がなく生きているのか死んでいるのかわからない。
俺は気持ち悪くなって他のサイトに行こうと思ったときだった。
能面女の真っ赤に充血している目がパッと見開き、不覚にも視線を合わせてしまったのだ。そして、ニヤッと笑ったかと思うと、スピーカーから曇ったような不鮮明な声が聞こえてきた。
「あ な た の こ と が 気 に 入 り ま し た・・・」
「うわっ、何なんだよいったい。趣味の悪いサイトだな!」
俺は思わずパソコンの電源を落としてしまった。
不可解なことが身の回りで起こったのはそれからだった。
一日中、誰かの視線を感じるようになった。得体の知れない、まとわりつくような視線だ。
数日して変なメールが届いた。差出人の名前は「のりこ」
いったい誰だろう、と思いながらつい開けてしまった。するといきなり、あの能面女がモニタ一杯に現れた!
そして、赤い文字で
「さ み し い、会 い に 来 て・・・」
と書かれてあった。
「ひぇ〜、ど、どうして俺のメアドがわかったんだよっ?!」
俺は震える手でそのメールを削除した。「のりこ」からのメールは毎日送られてきたが、俺は開かずに削除した。
すると今度は無言電話がかかってきた。受話器からは、こちらの様子を窺うような微かな息づかいだけが漏れてくる。
「いい加減しろっ、誰だお前は!」おれは思わず受話器を叩きつけた。
それからまた数日後、決定的な恐怖を味わうことになる。
仕事から帰宅すると、部屋の様子がおかしい。灰皿とかテレビのリモコンなど、物の配置が微妙に違っているのだ。誰かが無断で俺の部屋に入ったような感じだ。
すると突然部屋の電気が消えたかと思うと、パソコンに電源が入りモニタにあの能面女が現れた!
「ど う し て 会 い に 来 て く れ な い の・・・」
「うわぁ〜!」
錯乱状態に陥り、買ったばかりのパソコンを床に叩きつけた。
部屋に入ったのは能面女だったのか?
俺は引っ越しを決意した。
引っ越して数ヶ月、あの女の気配は消えた。そしてそのこともすっかり忘れてしまっていたある日、俺の携帯電話が鳴った。
出ると、聞き覚えのある不鮮明な声が聞こえてきた。
「や っ と み つ け た・・・」
次は、「辞書」「世界の七不思議」「冒険」でお願いします。
お題「辞書」「世界の七不思議」「冒険」
行きつけの酒場のマスターの証言
「俺の辞書に『諦め』という言葉は無い、ってよく言ってたよ・・・」
親友の証言
「ああ、最高の相棒だったよ。いろんな冒険を共にした。奴は本当の冒険家だった・・・」
妻の証言
「本当にいい人でした・・・。まさか自分が世界の七不思議の一つになるなんて・・・」
変わり果てた彼を前にして、妻はそう語った。
彼を救う手立ては、未だ見つかっていない。
次のお題「行進曲」「木造」「流星群」でお願いします。
524 :
「行進曲」「木造」「流星群」 ◆CRASH/NU :02/09/14 02:19
不意にピアノの音が響いた。
木造の廃校舎の中。
当時天体部に所属していた俺は、ペルセウス流星群の観測合宿に参加していたのだが
あいにくこの日の雲量は9。平たく言えば「曇天」であり、
流星観測などほぼ不可能な状況だった。
仕方ないので、合宿所の近くにある廃校で肝試しをしよう、ということになった。
さて、ピアノの音が微かではあるが俺の耳に飛び込んできた。
耳を澄ましてメロディを追ってみると、何やら聞き覚えのある曲。
「トルコ…行進曲?」Mちゃんがボソッとつぶやいた。
「…聴こえる?」俺の問いに頷くMちゃん。
前を歩いていた先輩たちもその音を聞いたらしく、皆沈黙していた。
校舎の中は木の床がきしむ音と、消え入りそうなピアノの音だけが
鳴り続けていた。
と、急にMちゃんが耳を押さえてしゃがみこんだ。
「いや〜!何?何なのぉ〜!?」
俺はMちゃんの傍らにしゃがみこみ、どうしたのか訊ねた。
「ピアノに合わせて歌ってるのよ!
ものすごく大勢の子供たちが!!」
■「ギムレット」「トランプ」「名刺」でよろしく。
525 :
ギムレット・トランプ・名刺 ◆BmdkSchQ :02/09/14 02:46
行き着けのスナックで飲んでいる時のことだった。
私は一人で飲むことが多い。何も語らず、隣の客の話を聞くのが好きだ。
いつものようにギムレットを頼み、右隣の若いカップルの会話を聞いていた。
友人が行方不明になったとか、そんな話だ。のりことかいうストーカーがとうとか
暗い話題だ。
「お一人ですか」
左隣に座っていた女が、私に声をかけた。
「お一人なら、お話でもしませんか」
女は中年だったがなかなかの美人だったこともあり、私はそれに応じた。
しばらく他愛も無い世間話をしていたが、女は突然真顔で切り出したのだ。
「あたし、病気でもう長くないんです。これ、貰ってくれませんか」
女が差し出したのは、年代物のランプだった。
「これは元々私の祖父のもので、持っていると幸運になれるんですよ」
私は断ったが、女は無理矢理に近い形でランプを押し付けたのだった。
それから、奇妙なことが起こるようになった。
夢の中で、いつもランプの精が現れるのだ。
526 :
ギムレット・トランプ・名刺 ◆BmdkSchQ :02/09/14 03:00
ランプの精と言っても、アラジンのような大男ではない。
貧相な子男が願い事をしてくれと頼むのだ。
子男は律儀に名刺をくれた。ランプの精、田中太郎とある。
私は特に何も願う気はない。元々物事に執着が無く、満足も不満も無いのだ。
女性を抱こうにも、私はEDだし、金が欲しいか問われても、ギャンブルもしなければ、
結婚もせず身内もいない私は何かに困るわけでもない。
「頼むから何か願ってくれ」
隣の客の会話をしっかり聞けるようになりたいね。
夢の中で私はそう願った。すると、不思議なことに飲みに行くたびに、会話を鮮明に聞き取れるようになった。
ランプをくれた女性とは、それから会うことはなかった。
それから何十年かがたった。
私はランプの夢を見た。田中太郎は、私に頭を下げていた。
「あんたみたいな人は初めてだ。願い事はもういいのかい?」
私は田中太郎を困らせようと思った。
キミの願いを叶えてあげよう。
「もっと願いごとをしてくれる持ち主が欲しいよ」
私は行き着けの飲み屋に入って、あの女と同じように隣の客にランプを渡した。
最後に、次の持ち主も願いごとをしないようにと祈った。田中太郎の悔しがる姿を想像
しながら、私は永遠の眠りについた。
次のお題は「お守り」「眼鏡」「ラフランス」でお願いします。
>>525 「ランプ」じゃなくて「トランプ」だと思うんだけど…
茶々入れてスマンです。
528 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/15 16:58
ageee
毬藻。
530 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/16 03:38
阿寒湖
531 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/16 13:34
そりゃアカン!
ニバスさんお疲れ様です。
あまり書き込めていないのが申し訳ないです。
宣伝上げ。
534 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/18 16:10
ほしゅほしゅ
535 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/18 16:11
536 :
「お守り」「眼鏡」「ラフランス」 ◆CRASH/NU :02/09/19 01:01
全くついてない。
それもこれも、あのお守りを貰ってからだ。
旅行好きのTがジャマイカ土産にくれたもので、
なんでも現地の呪術師がこしらえた代物なのだそうだが…
正直、加護じゃなくて呪詛目的のマスコットじゃないかと
疑ってしまった程だ。
・社員旅行の集合場所に行く途中に事故渋滞に巻き込まれる。
・バスに乗り込むときに転倒、眼鏡の蔓がへし折れる。
・バスの中で酒盛りしてた連中がこぼしたビールをまともに浴びる。
・農園で食べたラフランスに中り、腹を壊す。
・財布を落す。
…………
折角の社員旅行は、かくのごとく散々であった。
締め括りにとばかりに、帰路途中で寄ったサービスエリアで
置いてけぼりを食らうという、最大級のオマケつきで。
何がお守りだ。俺は心の中で毒づいた。
ともかく、どうやって帰ろうかと思案していると、サービスエリアのTVが
ニュースをやっていた。
「今日5時過ぎ、○○自動車道サービスエリア付近で
バスや大型トレーラーなど4台が衝突する事故があり、
乗客など15人が死亡、42人が重軽傷を負う惨事と……」
映像を見た。見覚えのある風景。見覚えのあるバス…
さっきまで、俺が乗っていたバスだった。
■「ベータ」「試作」「禁句」でよろしく。
537 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/19 23:04
アガペー
538 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/20 21:13
穂禅
539 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/21 18:29
捕手
hossyu!
hosyu
542 :
語り部六 ◆1p9svnFc :02/09/24 00:08
■「ベータ」「試作」「禁句」
世界に初めて人造人間が誕生した。
その名は「ベータ」。
どの人間よりも優れた身体能力、頭脳を持ち、
世界の良君主として立たせようと全ての人は願った。
ところが、試作の段階でバグが混ざってしまったのか、全ての人類を滅亡させるという暴挙に出たのだ。
こうして人類は絶滅の危機に瀕した。
しかし、この状況を打破した人間がいた。
唯の男の子である。
男の子はベータに対してこう言ったのだ。
「人殺し!」
ベータはそれを聞いたとたんに自滅してしまった。
彼にとっての禁句は根本的なものだったのだ・・・
「ちょっと待て!それって矛盾していないか?」
「そう、それこそがオカルトなんだよ・・・」
次のお題「100万粒の涙」「反射光」「遠吠え」でお願いします。
えーと、名前が「ベータ」つーのはちょっと反則ぎみでは?
(反則っていうときついですけど)
「試作品だったから『ベータ』」とかが盛り込んであればいいんだと思います
■「百万粒の涙」「反射光」「遠吠え」
当社の新作ネックレス「百万粒の涙」に偽物が混ざっているですって?
そう、またそんな言い掛かりをつける方が来たの。
え?反射光テストでクリスタルの純度を調べたいんですって?
いいわ、工房へお通しして、ご自分でテストして戴いて頂戴。
まったく、どこのコンペティションに出しても優勝するものだから、
負け犬の遠ぼえみたいに言い掛かりをつけにくる人が引きも切らないわ。
でも、ああいう方々のおかげでこのネックレスがここまですばらしいものに
なったのだから、お気の済むまでテストして戴きましょう。
……そう、反射光テストを装ったあの装置でクリスタルを見ることに
よってしか、最後の仕上げをすることはできないんですもの。
角膜で反射してクリスタルに届く光で、見事に磨きがかけられるけれど
装置を操る人は失明してしまうのよね。
今回の方も、納得のいくまでよくご覧になって、ご自分の角膜で
隅々まで光を反射して戴きたいわ。
あの方の涙は何色になってクリスタルを彩るのかしら。
楽しみだこと。
次のお題 「陳さん」「旧東ベルリン」「横綱」
545 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/25 04:26
歩首
546 :
すっポンぽん ◆Pon/Ye4Q :02/09/25 08:59
かつて、無粋なコンクリートの壁がベルリンを東西に分断していた頃の話である。
旧東ベルリンに美味しいポトフを出すことで有名な店があった。
しかし、その店のシェフはドイツ人ではない。陳さんと呼ばれる中国人だった。
実はその陳さん、アメリカ国籍の日系人でCIAが送り込んだスパイだったのだが・・・
ところで、この陳さん少々変わった趣味があったようだ。
それは『人肉料理』!!
当然ポトフの材料となるソーセージにも人肉が使われていた。
つまり、この陳さん、レストランで諜報活動しながら、趣味の人肉料理で一稼ぎし
ていたということらしい。どういうパイプがあったのか、東側に粛正された人間の
死体が、陳さんの店に横流しされていたらしく、ポトフの材料には事欠かなかった
ということだ。
ところが、ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一されると、死体の横流しの事
実が発覚し、陳さんの立場も危うくなった。ところが、自分の身の危険を察知する
ことに長けていた陳さんは、逮捕される寸前に国外に脱出することに成功し、行方
をくらました。
それで、その陳さん、今何処にいるか気になりませんか?
実は日本にいたんですよ!T・Kと名前を変えてね。
○○市で「横綱」というちゃんこ料理店を出してますよ。
肉団子やつみれの美味しいことで有名らしいです!
その店ができてから、周辺の病院の死体安置所から死体が消えたりするらしいですが・・・
次は「レンタカー」「地図」「絶望」でお願いします。
547 :
すっポンぽん ◆Pon/Ye4Q :02/09/25 09:01
546は「陳さん」「旧東ベルリン」「横綱」のお題について書いたものでした。
保首
549 :
「レンタカー」「地図」「絶望」 ◆CRASH/NU :02/09/26 23:03
「ごめん、道間違っちゃったみたい…」
助手席で彼女が、きまり悪そうに言った。
「はぁ?ちゃんと地図見てたんだろ、お前?」
俺は思わず激昂した。
当然だろう、こんな山道で迷子になっているんだから。
わざわざ今日のためにレンタカーまで借りたっていうのに…
見回しても、見えるのは木々だけ。元来た道に戻ろうにも
道幅は狭くUターンすらままならない。
勾配がきつい道のため、バックも危ない。はっきり言って、絶望的だ。
わざと大きく溜息をつく俺に彼女が
「ねえ……この辺でも、別にいいんじゃない?」
と提案したが、即刻却下した。
大体からして、「湖がいい」と言ったのは彼女の方だ。
それを、道に迷ったから変更なんて……格好がつかない。
やれやれ、おちおち心中も出来やしない。
■「マトン」「火遊び」「キック」でよろしく。
550 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/09/28 08:46
・
551 :
すっポンぽん ◆Pon/Ye4Q :02/09/29 14:56
「マトン」「火遊び」「キック」
目が覚めた。だが何かがおかしい。目を開けているはずなのに、何も見えない。
濃い霧の中にいて視界が利かないという感じだ。それに何も聞こえない。ここは
いったい何処だ?
しかも、昨日(正確には昨日かどうかさえわからないが)の記憶があいまいだ・・・
確かチョットした火遊びのつもりで見知らぬ女と一晩を伴にしたんだっけ。そし
て次の朝、ある男に渡してくれと小さな箱を預かった。それでその男に会いに行
くため新幹線に乗ったところまでは覚えている。そうそう、途中で車内のトイレ
に入ったんだった。マトンの肉が腐ったような異様な臭いのするトイレだ。
そのあとの記憶を懸命に思い出そうとしていたその時、誰かが自分の体に触れた!
思わず「あっ」と声を上げた、いや上げたつもりだった。だが声が出ないのだ。
いったい、どういうことだ!
どうやら俺はベッドの上に寝かされているらしい。起きあがろうとして上体を起
こそうとしたとき気付いた・・・
「な、ないっ・・・俺の両手両足がないっ!」
院 長「あの患者に身内の者はいないのかね」
婦 長「はい。両親はすでに亡くなっていて、兄弟や親戚の方もいないようです」
院 長「うむ。それで、経過はどうなんだね」
担当医「なんとか意識だけは回復したようです。だけど、意識が戻らなかった方
が本人には良かったかも知れないですが」
婦 長「四肢切断に三重苦ですからねぇ。・・・生きているのが不思議なぐらい
です」
院 長「まぁ、自業自得ってもんだろう。しかし、いつまでもこんな患者をうち
で預かるわけにもいかんからなぁ・・・いっそのこと、死亡したことに
して人体実験に使うか」
3日後の新聞記事
『新幹線の自爆テロ犯死亡―先日、新幹線のトイレ内で爆弾を爆発させ、大惨事
を引き起こした元キックボクサーの自爆テロ犯・中川太一郎容疑者が昨夜収容先
の○○病院で死亡した・・・』
次は「陸上競技」「秋雨」「理論」でおねがいします。
揚げ
554 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/02 08:36
挙げ
555 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/04 02:06
agaeaa
556 :
「陸上競技」「秋雨」「理論」:02/10/04 05:05
スポーツの秋。オフシーズンを目前に迎え陸上競技の大会も大詰めだ。
俺は100mの世界記録保持者。記録はなんと8秒台!
この記録は理論上人間の能力を遙かに超えるものらしい。そこで世界陸連も怪しんでしつこく抜き打ち的なメディカルチェックやドーピングテストを仕掛けてくる。もちろんボロは出していない。
しかしこのところ秋雨が続いて調子が悪い。なにやら雨に濡れると、俺の疑似細胞が微妙な化学変化を起こし本来の能力を減退させるとか。それでも9秒台半ばの記録は出せるが。
まあ、しょせん俺はアンドロイドCP−Ωの試作品にすぎないってわけだ。
次のお題は「悪臭」「日常」「恐怖」で
557 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :02/10/05 00:09
「悪臭」「日常」「恐怖」
本当の恐怖とは、日常の何気ないところに潜んでいるものです。
これからお話しするのは、私が数年前に体験した恐怖です。一つ聞いて下さいま
すか?
いつ頃からか、自分の体が悪臭を放つようになった。
それは突然臭うようになったのではなく、徐々に臭いがきつくなってきたらしい。
自分ではわからなかったのだが、勤務先の同僚にそれとなく言われて初めて気が
付いた。そのうち自分でも臭いを感じるようになり、それからは毎日、朝晩シャ
ワーを浴びるようになった。しかし、体臭はいっこうに治まる気配がない。むし
ろきつくなる一方だった。特に髪の毛が酷い。朝に洗髪しても昼頃にはベタつい
てくる。これでは外出することもままならず、自室に引きこもるようになってし
まった。
そして時々、自分の意識が飛ぶ。意識が飛んでいる間、自分とは別の人格が姿を
現すらしい。このことは同居していた家族に言われた。
原因(らしきもの)は意外なところから判明した。
自宅マンションの屋上にある貯水槽の定期点検をした検査員が、貯水槽内で人間
の死体を発見した。その死体は死後1年近くも経過しており、身元はおろか年齢
性別も不明。体の大部分は液状化して貯水槽内の飲料水と混濁していたというこ
とだ。ということは、1年もの間、私はその水をシャワーで浴び、飲んでいたと
いうことか・・・
よくわからないのは、マンションの住人の中で体の異変を起こしたのは私だけだ
ということだが。
それ以後、私は水を飲むのが怖くなった。シャワーを浴びるのさえ恐ろしい・・・
ついに私は精神を病み、精神病棟に入院することになってしまった。今思えば、
あの死体は霊魂と伴に飲料水に溶け込み、私の体を乗っ取ろうとしていたのかも
しれない。いや、そうに違いない。
意識障害は前にも増して頻出するようになった。どうやら私の体が完全に支配さ
れるときが近づいてきているらしい。そこで、私が私でなくなる前に、私という
存在を証明するため、現在入院先の精神病棟からこの手記を書いているのです。
ところで、あなたのマンションの貯水槽は大丈夫ですか?
次は「プロレス」「学生」「定期券」でお願いします。
559 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/05 01:46
お、おぇっ…(;´Д`)
560 :
「プロレス」「学生」「定期券」 ◆cBCRASH/NU :02/10/05 03:12
俺が大学生の頃、同じ学部にえらい貧乏な奴がいたのよ。仮にYとしておく。
飯食うのもやっとで、住んでいる所だって家賃1万円のオンボロアパート。
ただ、大学から20kmも離れているもんだから、自転車で通うのも不可能なため
電車通学を余儀なくされてたわけ。
んで、俺がたまたまYの家に遊びに行った時の事。
夜明かしでYの家で遊んで、翌日大学に一緒に行く事になったんだけど、
改札でYが定期券出したら、駅員が怪訝そうな顔をするわけよ。
Yは足早に改札を抜けようとしたんだけど、駅員がYの肩を掴んで
「お客さん、困りますよ」て言うわけ。
そう、Yのやつ1年も前に期限切れになった定期券で大学まで通ってたんだよね。
俺もその時改めて「ああ、Yって本当に貧乏なんだなぁ」てしみじみ思ったね。
それはともかく、こんな事が大学に知れたら停学処分になりかねない。
で、Yはパニックのあまり、信じられない行動に出たのよ。
何と駅員にプロレス技を掛けたのよ。しかも、投げっぱなしジャーマン。
正直Yにそんな力があるなんて、この時まで知らなかったよ。
ぐったりした駅員を放っといて、俺とYは改札から脱兎の如く逃げたね。
まあ、その駅は小さかったこともあって俺たち以外に誰もいなかったから
その場はめでたしめでたし(なのか?)だったんだけど、
後で新聞に「駅員暴漢に襲われて死亡」の記事が載ってたのを見たときには
正直背筋が凍りついたよ。まさか、死んでたなんて……
その一件以来Yは大学まで長い道のりをひーこら言いながら
自転車で通ってたんだけど、ある日踏切で事故に遭って死んだんだ。
目撃者の話では、Yは警報機を無視して線路のど真ん中に自転車のまま入り込み
そのまま電車に轢かれたそうなんだ。
しかも、その場所は、件の駅のすぐそばの踏切だったんだ。
偶然の一致かもしれないけど、Yのやつ高い無賃乗車罰金取られたもんだよな、と
俺は一人思ったもんだよ。
皆も、電車にはきちんと金払って乗るように、な。
■「猿」「武者修行」「スイカ」でよろしく。
561 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/05 03:13
最近アホな寄稿を見つけてさ・・・
御巣鷹の日航ジャンボ123便墜落事故の話なんだけど。
http://www.cwo.zaq.ne.jp/yurari/s001.html 自衛隊の標的機が当たって言い張ってるんだよね。
520名もの大切な命を奪われ、未だ遺族が健在の
デリケートな事故を、三流ドラマの事件に仕立上げて
あらこれ興味を惹こうとするその根性が許せない。
520名の御霊に申し訳なくて、涙が止まらないよ・・・
みんなでよ〜く言い聞かせてやってくれ。
562 :
「猿」「武者修行」「スイカ」 ◆vLPon/Ye4Q :02/10/05 07:48
俺は某劇団の若手俳優。将来の夢はハリウッドで活躍することさ。
だけど演技はいまいちなんだよねぇ。そこで、劇団の主宰が武者修行に行って来
いって俺に渇を入れたんだよ。だけど、修業先を聞いて呆れたね、なんと○○猿
軍団だとよ・・・俺の演技は猿以下かよっ!でも主宰の言うことにゃ逆らえない
からしぶしぶ承知したわけさ。
そんでもって、修行初日。まずは舞台の袖で猿どもの演技?を観察することになっ
た。内容は猿が人間の生徒に扮して給食を食べるっていうたわいの無いものだ。
出されたのはなぜかスイカだった。
「普通、猿といえばバナナだろーが?」
とか思いながら注目した。しかし、連中の演技はスプーンを使って人間が食べる
格好を真似ながらも、やはり猿がガツガツ食っているという感じだ。
「なーんだ、猿そのものジャン。全然うまくねーよ。こんなの見て修行になるの
かよ」
しかし舞台が終わってから俺を驚かせることが起きた。
なんと、猿の中から人間が出てきた・・・
舞台の猿は着ぐるみの中に入ったコビトの役者が演技していたのだった!
つまり、猿が人間の真似をしていたのではなく、人間の真似をする猿を人間が演
じていたのだ。
なるほど、主宰はこのカラクリを知っていて俺に修行をさせようとしたわけか・・・
次は「ストレス」「寝坊」「大失態」でお願いします。
563 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/06 19:30
なんか3,4人だけで書いているような気がするが・・・
だって、誰も書かないんだもの……
566 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :02/10/08 06:32
みんなウミガメの方へ行っちゃったみたいだね・・・
そんな事はありませんよ。
ネタがうかばないだけです(泣
夏休みの間はちょこちょこ書いていたんですけどねぇ。
もうしわけない。
目が覚めて、俺は驚愕していた。
時計の針は既に10時を指している。ヤバイ……寝坊だっ!
ここのところ、過度のストレスからだろうか、不眠症になりかけていて
慢性的な睡眠不足に陥っていたことは確かである。
昨夜も、ようやく寝付けたのが夜中の3時ごろである。
だが、寝酒を飲みすぎたのが良くなかったのかも知れない。
余りにも深く寝入ってしまっていたのだ。
慌ててテレビをつける。
……まずい、これは大失態だ。
今回の件で、恐らく俺の信用はガタ落ちだ。
これから先、仕事の依頼が来るかどうかさえ怪しい。
テレビでは、某国の大統領が飛行機のタラップを
悠々と降りてくる姿が生中継で放映されている。
今回、俺の狙撃によって暗殺される筈だった男である。
あらやだ。次のお題入れるの忘れてたわ。
■「故障」「胡椒」「呼称」でよろしく。
>>567 六さんお久しぶりです。
ウミガメの方はすっかりご無沙汰になっています。先月結構ハマって入り浸って
いたんですけど、通話料金の請求書見たら・・・(泣
うちの回線、まだADSLじゃないんですよ。最近は怖くてウミガメスレには行けません。
「故障」「胡椒」「呼称」
みなさんは「故障」とはなにかご存知ですか?
こしょう ―しやう 【故障】
(名)スル
(1)機械や身体などに不調が生じて、円滑に働かなくなること。「エンジンが―
する」「強行軍で体に―をきたす」
(2)事態の進行をさまたげるもの。さしさわり。「風紀上―ある文字/社会百面
相(魯庵)」
(3)さしさわりがあると申し立てること。異議。異論。「何の彼のと、―を云つて
/婦系図(鏡花)」
ははん。なるほど。
辞書の定義ですね。
それでは「故障」と呼称されるところの状態の説明にはなっているかも知れませ
んが、「故障」そのものの説明にはまったくなっていませんね。
わたくし、この間、ふとした悪戯心で某電機会社の修理センターに忍び込んだん
ですけどね。
みなさん、一所懸命、持ち込まれた機械を振って、中から粉を出していましたよ。
出した粉は掃除機みたいなので吸い込んでるんですが、どうしても吸いきれない
分があるみたいで時折大きなくさめが聞こえます。
こっそりその粉を持ち帰って調べたんですけどね。
ええ、胡椒でしたとも。
白・黒・粗びき、種々混ざり合っておりました。
これ、ホントのお話。
だから、説明書にも口を酸っぱくして、「分解するな」と書いているんですね。
おしさしぶりで、なんじゃこりゃ。
次のお題、「チューブ」「アンダーグラウンド」「地下鉄」でお願いします。
メトロとかサブウェイを入れなかったのは良心だとしておいてください。
467以降の気になった作品(1/2)
>>488 351のコメントも考え合わせ、これ書かれた日とかも珍走で迷惑しましたね?
(日頃の恨みかも知れないけど)
>>511-512 わははは、確かに実際にその立場になったら、「ちょーやべーよー」だ。
>>513 それをやきそばパンと言うからには、ミンサーから出したままをパンに挟んだ
のかしらん。(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル
>>520 なぜか、蚊取り線香といえば、高確率で、蚊遣り豚を連想しますな(笑)
>>523 具体的に彼がどうなったのか書かないのグッド。
そりゃ、確かに七不思議扱いされるよな状態じゃあ救助手段も浮かばないわ
なぁ。
>>525-526 お題間違いだけど、妙な感じで好きだなぁ。
まぁ、流石に大概はなんぼ無欲な人でもランプの精いたら濫用するとも思う
けど、世の中にはこんな人もいるかもなぁ、と。
>>546 趣味なのかよっ(笑)
何故か明るいノリが吉。
467以降の気になった作品(2/2)
>>549 うわー、さえねー、でも、実際にありそー(笑)
こゆのに限って崖から転落とか大事故するも奇跡的にふたりとも生還。
「ふー、危なかった」とか、「いや、あんたら死にたいんちゃうん?」みたいな
事態になりそう。
>>551-552 ひょっとしたら、我が身にもふりかかるかも知れない人生の落とし穴、って感
じですな。
どんな人体実験に使われるか、ほんの少しだけ匂わすと面白いかなぁ。
匂わせ過ぎると下品になっちゃうんだけど。
>>557-558 なかなか面白いテーマやね。
「飲み水が臭うと思ったら貯水タンクに死体が…」「身体を乗っ取られる」
どちらも定番だけど、組み合わせが良い。
紙幅に余裕あったら、乗っ取られる過程をじわじわ描くと良い短編になりそう。
勿論、読み手的に、事実そうのような、単なる主人公の妄想とも思えるような
感じで、水を絡めたエピソードを入れていくとかなり良さげ。
sage HOSH
577 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/11 21:28
age
578 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/12 21:39
・
579 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/13 22:48
止まってるね。
580 :
「チューブ」「UG」「地下鉄」 ◆cBCRASH/NU :02/10/13 23:07
ちょっと前まで、アンダーグラウンドサイト、いわゆる「アングラ」ってやつに
はまってたんですよね俺。
けど、ある事件を契機にしてスッパリ足を洗ったんです。
今から1年くらい前でしょうか。
その日も俺は、いつものようにアングラサイト巡りをしてたんです。
で、その中の一つのサイトのトップページにこんな文章があったんですよ。
「命の保証はしません。覚悟のある方だけご覧下さい」
けど、こんなの脅し文句にすらなりませんし、ただのジョークだろうと思い、
おもむろにリンク先をクリックしたんですよね。
……赤い背景に貼り付けられた写真。それをみて俺、衝撃を受けましたよ。
そこには全身にチューブを差し込まれたこの国の指導者の姿が写ってたんですから。
けど俺、その日のテレビニュースで、この指導者が某国の首相と握手してるのを
しっかりと見てるんですよ。あれ?じゃあ、これ何よ?
何だか怖くなって、すぐにブラウザ閉じて、回線も切りましたよ。
その2日後、地下鉄で電車を待っていたときなんですけどね、
電車がホームに到着する直前、何者かに背中を勢いよく押されたんです。
危うく線路上に転落しそうになったんですけど、隣の人の腕に咄嗟につかまって
なんとか難を逃れたんですけどね。
それ以来、なんだか俺見張られてるみたいなんですよ……何者かに。
で、至った結論があのサイトの写真を見たせいじゃないか、てことなんですけどね。
どうも俺アクセスログしっかり取られたらしいです。
多分口封じのために俺をつけ回してるんじゃないか、て思うんですよ最近。
あの写真が何だったのか……今でも判りませんし、詮索する気も起きません。
あ、そこのあなた。これからあなたが行くサイト、本当に大丈夫ですか?
クリックする前に、注意書きにちゃんと目を通した方がいいと思いますよ。
■「焼却炉」「芋」「ブローチ」でよろしく。
相方寝取られる。
これ一番のオカルト。
582 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/14 22:52
?
583 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/16 22:19
人は時として保守をする。
「焼却炉」「芋」「ブローチ」
うちの中学に、「用務員のおじさんは焼却炉で猫を焼き殺している」という噂があっ
た。この用務員のおじさんというのが、小柄で短足、ずんぐりむっくりの体形、ほお
にひっつれた傷跡があり、無口で愛想も悪い、と、なんとはなく不気味な印象を与え
る人物なのだ。だから、そんな根も葉もない噂が広まっのだろう。
ある日の放課後、部活の最中に、わたしはちょっとした用事で用務員室に行った。
部屋に入ると、おじさんは屈みこんだ体勢から、はっとわたしの方を見た。おじさん
の前で、毛色の褪せたやせこけた黒猫が皿からミルクを飲んでいた。その首にはブ
ローチがついていた。
なんでも、昨日裏門で拾って、あんまり可哀相だから、こっそり飼う事にしたらしい。
バレるとクビになるから内緒にしてくれ、と頼まれたので、わたしは快諾し、その代
わり、時々この猫を見に来る許可を得た。
それから、わたしはちょくちょく用務員室に猫を見に行った。猫は大事にされている
ようで、段々身体にも張りが出て来ていた。わたしは、先の噂はやっぱり根も葉もな
いものだったのかと思った。
一ヶ月くらい経って、またわたしが用務員室に猫を見に行くと、猫の姿はなかった。
「今日来たら、いなくなっててね。どこ行っちまったのかねぇ。いなくなると寂しいもん
だよ」
「そうですか…」
「ああ、折角来たんだから、これ食べるかい?焼却炉で焼いたんだけど」
そう言っておじさんは焼き芋をくれた。猫がいないと会話も弾まないので、わたしは、
それをぼそぼそと食べていた。半分ほど食べたところで、ふと焼き芋の断面からな
にかが覗いているのに気づいた。引っ張り出してみると、それは…ブローチだった。
あの猫がつけていたブローチ…。わたしはとっさにそれをポケットに隠して、「もうお
腹一杯になったから」と言って部屋を出た。そして、それから二度と用務員室には行
っていない。
あれから十年くらい経ったが、いまだにどうして焼き芋の中から、あのブローチが出
て来たのかはわからない。
うーん、自分で書いてても、どうして出て来たのかわからんし(笑)
次のお題は、「キタキツネ」「ネガ」「ガム」でお願いします。
586 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/21 04:51
帆善
587 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/23 17:37
hossyu
588 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/25 01:49
喪主
589 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/27 03:08
補修
一人で北海道旅行にいったときのこと。
あの北海道のどこまでも続く単調な道を飛ばしているとき、
眠気には気を使ってガムなんか噛んでたんだけどさ。
ついつい速度を出していた。
急にツレがこれなくなったせいで、一人でレンタカーを
飛ばしているのにちょっと自棄になっていたのかも。
キタキツネの親子が視界に入ったときはもう遅く、
反応するよりも前に車に衝撃が伝わってきた。
慌てて車を止め、まだ助かるかも知れないんで、戻ってみる。
…駄目だった。
どうしていいかわからないけど、他に車がくる気配もないし、
このまま放っておくわけにはいかないので、とりあえず
道路のわきに埋めておくことにした。
こんなとこまで来て一瞬で2つも命を奪ってしまったことに
対する申し訳なさ。一人でいる寂しさ、怖さ。
だんだん暗くなってる見知らぬ土地での寒さとか
、色んなものが溢れてきて泣きながら埋めた。
埋め終わって手を合わせるとそこを後にした。
それから3日ほどの旅行中、不思議な気配を感じるようになった。
足に纏わりつく感じや 夜中、歩き回るような音。感じる視線。
それ以上エスカレートしないようなので放っておいた。
無事に予定を終え、帰る途中またキツネが道路に飛び出してきた。
慌ててブレーキを踏みハンドルを切り 車はスピンしたが、
今度はよけられたようだ。
ほっと思って車を立て直すより、外に出てみると一匹に見えたキツネ
だったが、私の後ろ辺りからコギツネが走り出してきて合流し、
こちらを一度見て二匹は林に消えていった。
ひょっとして私を連れて行く気だったのだろうか。
その後、私についていた気配も視線も消えてしまった。
地元に帰り、旅行中撮った写真を見ると、やはりと言うか
私に纏わりつくコギツネとそれを離れて見るオヤギツネがいた。
キツネの表情からは恨んでる様には思えなかった。
彼らを埋めながらあまりに泣くもんだから、心配してついてて
くれたのか。
供養代わりに天気のいい日にネガは燃やした。
でも写真はこっそりとってある。
次のお題は「パソコン」「デジカメ」「フランスパン」で
593 :
83「パソコン」「デジカメ」「フランスパン」:02/10/28 00:10
おととしの事なんだけどね。
煙草買いがてらぶらぶら近所を散歩してたら、パン屋からすげぇ良い匂いしてきた訳。
なんとなく入店。
や、腹減ってなかったんだけどさ。冷やかしもなんだから適当なパン買って出るかぁ、とか
考えてたら、焼きたてフランスパンに釘づけられましたね、ええ。
勢いで買って帰ったよ。
昔からちょっと憧れてたんだよねぇ、こう一本丸々なフランスパン持って歩くの。
でも、あれ。いざ家に戻るとさ。いらないんだよねぇ、フランスパンなんて、こんなに。
俺、ひとり暮らしだし、米食派だし。
数日後、結局全然減らないもんだから、パン粉にする事にしたんだ。
おろし金でざりざり削ってると楽しくなってね。
気づいたらパン粉てんこ盛り。全部パン粉にするつもりじゃなかったんだけどねぇ。
って言うか、こんな大量のパン粉使おうと思ったら揚げ物どんだけ作らにゃならんやら。
とりあえず、てんこ盛りのパン粉はちょっとした壮観だったんで、記念(?)にデジカメで撮影。
その後、一部を残して冷凍庫に投入。
んで、俺、ホームページ持ってるのよ。まぁ、仲間内ぐらいしか来ないけど。
だから、「こんな阿呆やらかしましたー」みたいな感じでその画像アップしようとパソコン立ち
上げたんだけどさ。
アップ前に確認したら、変なの。パン粉が写ってない。「はぁ?」だよね。
撮る時にブレたのかなぁ、って思ったけど、なんか悔しいから冷凍庫からパン粉出して撮り
直そう、って考えたんだ。
で、冷凍庫開けたらね。パン粉が影も形もないと来る。「はぁあ?」だよね。
「幽霊パン」ですか?って感じ。
これでさ。そんなパン屋なんか存在しなかった、とか、間もなく潰れた、とかだったら、お話
としてまとまるんだろうね。
ところが今でもばっちしそのパン屋は営業してる。
今日、前日にそこで買ったアンパン食おうとしたらどうしても見つからないから思い出した
出来事。
どうもまた似たようなパターンで書いてしまった。
次のお題、「殺虫剤」「蚊帳」「便所」でお願いします。
しかし、最近、ここ書く人いないねぇ。
寂しい限り。
595 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/31 01:16
a
596 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/31 05:25
小学生のころ、うちの家の隣の公園のトイレからはえが大量発生した。
ボットン便所の中からむちゃくちゃ発生してるようで、うちの中にまで
入ってきて大迷惑だった。
町役場に電話してなんとかしてもらうように頼んだんだけど、2、3日対応しても
らえなかった。
ある夜のこと、寝ているとふと目が覚めた。時計を見てもまだ夜中。
「なんでこんな時間に目が覚めるんやろ」と思って蚊帳の外を見ようとした。
と、蚊帳の外側にびっしりと蝿がはりついてた。
「うわ」って思って、枕元にあった殺虫剤(っていっても蚊避けのスプレー
だけど)を蚊帳一面に向かって吹きつけた。蚊帳から飛び立つ蝿。
けれども、一部分だけ、蝿が飛び立たなかった。
まるで両手のひらの形のように、二つ蝿がなにかに押さえつけられるように
飛び立たずに蚊帳の外にとまっていた。気味が悪くなってそこに集中的に
スプレーを吹きつけた。と、その部分が蚊帳の外から押さえられるような
感じでググっと盛り上がった。怖くなって、叫び声を上げて蚊帳から飛び出し、
親の部屋にむかった。「寝ぼけてるんだろう」と笑われたが、怖くて
部屋には戻れず、小学生6年だったのに母親の布団の中で一緒に寝た。
次の日、役場の人が来てくれたのだけど、大騒ぎになった。
近所の家の痴呆のおじいちゃんが変わり果てた姿でボットン便所の
底に沈んでいた。
597 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/10/31 05:31
次のお題。
「すきま」「爪」「こたつ」
小学校四年のときの冬休み。
遊びに行った親戚の家で、イトコとこたつに入っていた。
もう十二時過ぎていたけれども、休みだから多めにみてもらえた。
でもやっぱり眠くなる。
うとうとしたところで
「わっ!」
ふくらはぎを妙な感触が走った。手の爪でさわーっとなで上げられたようだ。
「もう、せいちゃん!」
何するんだよ、と怒ろうと思ったが、イトコはずうずうしくも寝たふりをしている。
よし、それなら仕返しだ。
こっちも同じことしてやれ。
意気込んでこたつぶとんをちょっと持ち上げたところ、
そのすきまから誰かがこちらの様子をうかがっていることに気づいた。
えー、それでは次のお題です。
「忘れ物」「廃屋」「ポケット」で、お願いします
600 :
「忘れ物」「廃屋」「ポケット」 ◆cBCRASH/NU :02/10/31 21:33
俺達はその日、地元で有名な心霊スポットへ肝試しに行った。
昔は診療所だったらしいのだが、そこの医師が精神に異常をきたして自殺し
以来買い手も付かないまま放置され、廃屋に成り果てたのだという。
廃屋の中には、当時の医療道具や備品などが遺されたままであった。
とはいっても、俺達のような侵入者のせいで、どれもこれも滅茶苦茶に壊され、
建物の中はまるで台風が通り過ぎた後のようであった。
一通り中を見て回り、「さぁて帰るか」ということになり
廃屋の外へ一歩踏み出したとき。不意に背後から声が響いた。
「忘れ物だよ……」
逃げた。全員が、猛ダッシュで。
明るい場所までたどり着いたところで、ようやく俺達は走るのを止め
その場にへたり込んだ。みな、激しく息を切らしている。
「何なんだよ今の?誰かいたかぁ?」
「俺たち以外に誰もいなかっただろ?」
「じゃあ、アレ誰の声よ?」
「知るか。俺が訊きてぇよ」
などと言い合っている最中、ふと俺の頭に疑問がよぎった。
(そういえば…「忘れ物」て何のことなんだ……?)
とその時になって、俺はジーンズのポケットが膨らんでいるのに気付いた。
おかしいな?何も入れてなかったはずなのに……。
思いながら、中の物をつまんで、ポケットの中から引っ張り出した。
血まみれの、親指だった。
ふと自分の左手を見ると、指は4本しか付いていなかった。
■「マシンガン」「耳かき」「電車」でよろしく。
601 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :02/11/02 01:26
最近、ネタが思い浮かばん・・・age
マシンガンのように喋る女。電車のようにがなる男。
もう、うんざりで逃げ出してきた。まだ耳に残ってるかんじ。
いくら掻き出しても出てくる赤いグズグズ。
私の耳は無くなって
まだ掻き出したり無い。
そうだ、貴方のでもいいから。
■「駅」「雨」「天つゆ」
たり無い、は 足りないで。
申し訳ない。
ここ好きだったので書いて見たけど、難しい。
いくら夜だって、ポエマーチック過ぎ。
伝聞として人に語らせた方が怪談ぽくてよかったかな。
604 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/02 04:32
とある県の県庁所在地にあるS駅のホームには、立ち食い蕎麦屋がある。
いつもは時間潰しの客で賑わうその店も、雨の日になると何故か独りも客が寄り付かなかった。
その店の親爺に話を聞いたところ、
雨の晩になると、店で出す蕎麦つゆに血が混じるように見えて仕方ないらしい。
作り置きの天つゆも、嘗めてみると鉄の味がするという。
はっきりした原因は分らないのだそうだが、
とある雨の晩にあった飛び込み自殺が原因だ、という噂が
まことしやかに語れれていた。
血しぶきがホームの屋根まで濡らし、吹込む雨に混じって
建物の奥深くまで紅色に染まったという。
次は「本屋」「ガス管」「植物」
「本屋」「ガス管」「植物」
滅多に行かないような場所にある本屋というのは、入ってみると目新しい品が置いてあったりするわ
けで、その日も僕は「本の種」なるものを手に入れて帰宅した。といっても、特に買い求めたという
わけではない。少々値の張るでかい本を一冊レジへ持っていったら、店主がサービスで一粒だけ付け
てくれたのだ。
「これは本の種といいましてねぇ、実の代わりに本が生るのですよ」
若いのだか若くないのだかよく分からない奇妙な風貌の店主は、そう言ってから「何が生るかは育て
方次第ですが」と付け加えた。
そんなわけで植えてみることにしたのだが、植物を育てるなど初めてのことである。どれぐらいの大
きさになるのかも分からず、とりあえず庭の日当たりのいい場所に植木鉢を置いて、様子を見てみる
ことにした。
芽は数日で出た。どう見ても、ごく普通の草の芽だった。担がれたのかもしれない――そう思いなが
らも、せっかく生えてきたものを枯らすのも可哀想だったので、がんばって育ててやることにした。
周囲の雑草をむしったり、葉の裏の紙魚を駆除したりしているうちに、本はどんどん育っていった。
そしてとうとう自分の植木鉢だけでは納まりきらなくなったのだろう、その根をめきめきと周囲に伸
ばし、庭の土から直接養分を吸い始めた。そのころには、本はちょっとした樹木のようになっていた。
何が気に入ったのか、本の成長は止まらなかった。やがて大木と化した本は、とうとうその重みでガ
ス管と水道管を破裂させた。もっともこれは、管の真上に植えてしまった自分にも非があるのだが。
その後近所からの苦情もあって、本は切り倒されることになった。
鋸を入れられている最中、わっさりと繁った葉の中から、何かがぽとりと落ちてきた。拾ってみると、
それは育ちかけの実の一つだった。表面には「最新版完全百科事典 −あ−」という文字が見て取れた。
本はでかけりゃいいってもんじゃない、というのが、その日僕が得た教訓だった。
「バス」「積み木」「豆腐」
弱った…。週末に趣味の山歩きをしていたのだが、もろに道に迷ったようだ。
地図を見ても、自分が今どこにいるのかさっぱりわからない。そうこうしてるうちに日が
暮れてきた。
「野宿…は拙いよなぁ。なんも防寒具とか持って来てないし」
しかたなく歩き続けるが、まったく目処が立たないまま、とうとう真っ暗になってしまった。
遠くに明かりが見えた。
近づくと民家だった。
どんどんっ「すみませーん。道に迷ってしまったんですが」
「あらあら、はいはい」
出て来たのは、切れ長な目の美人だった。まさかこんなところでこんな美人に会うとも
思わなかったので、少しどぎまぎしてしまった。
「あ、あの、近くのバス停の場所とか教えてもらえると…」
「あー、もう最終出てしまってますよ。折角ですからうちに泊まっていきなさいな」
「え?でも、ご迷惑でしょう?」
「大丈夫ですよ」
遠慮したところで、確かにほかになにか当てがある訳でもない。ご厚意に甘える事にし
た。
質素だが、なかなかに美味しい夕食をご馳走になり、久し振りに見た五右衛門風呂に
入った。そして、しばらく雑談をしてから床についた。
目が醒めると、彼女はいなかった。怪訝に思い、床から出て一歩足を踏み出した。
「痛っ」
積み木が落ちていた。それを踏んづけてしまったのだ。
はっと気づくと、廃屋にひとりで佇んでいた。
訳がわからないまま、台所の方に行くと昨日食べた豆腐の味噌汁の残りだけ鍋に入
っていて、それ以外人のいた気配がない。ただ、書置きがあった。
「最近は滅多に人が来ないので、久し振りに楽しかったです。また来て頂きたいので、
馬糞のご飯や肥溜めのお風呂はやめておきました。是非またいらして下さい。狐」
最初、これとおんなじような感じで「猫岳の猫」「いにしえの魔術」をパクッたの
書いたら、あまりにパクり過ぎになったので、書き直し。
次のお題、「数珠」「ハイエナ」「木の葉」でお願いします。
609 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/04 20:07
あげてみる
576以降の感想 (1/2)
>>580 「この国の指導者」…、外国舞台なのか、はたまた未来の日本(独裁政治?)
なのか、妙にひっかかる表現が想像を膨らます。
>>590-592 猫とか轢いても、物だと思って無視しろ、ってやつですな。
結局、良い話だったか、嫌な話だったのか、は解釈次第という事で。
>>596 痴呆老人の死体から発生した蝿が起こした怪異、って事か。
しかし、痴呆老人が数日(以上)行方不明なのに、その事に関して語られない
のが、「実は老人の家族が…」とか嫌な妄想かきたてられて良い感じ。
>>598 シンプルに実話系怪談。実際、実体験として語れそう。
皮膚感覚に訴えるところがグー。
576以降の感想 (2/2)
>>600 超有名なあの話かと思いきや。なぜ「忘れ物」なのかが気になる。
「病院に来たら手術しなくちゃ駄目だよ。忘れてもらっちゃ困るなー」ってな感じ
なのか。
実は、主人公が気づかずに切断してしまった指を渡してくれた親切な霊なのかも
(ありえねー(笑))
>>602 「耳かき」が直接出てないですね。
音恐怖に憑りつかれた人(霊?)に遭遇した「貴方」。
耳かきを振りかざして襲いかかってくる様を想像すると、微妙に怖面白い。
>>604 都市伝説風。
ちとあっさり過ぎかも。
>>605 ファンタシーやねぇ。
でも、なにやら寓話的なものも感じる。
結構好みな感じ。
612 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/06 02:48
「数珠」「ハイエナ」「木の葉」
今年も彼らのやってくる時期になった。
お爺様が寝たきりだったときに散々ほったらかしにしておいたくせに
いよいよ危なくなってきたと思ったらハイエナのように群がってきた。
遺産は全て、私が無事相続したのに未だにやって来る。
「なんでコノ家があんな小娘の物になるんだ!」
「そうだ家だけじゃない、だいたい長男の俺が…」
「お兄様!またそんな事言って自分ばっかり!」
声が外まで聞こえてくる。
私は数珠を持ち障子を開け放ちながら叫ぶ。
「いい加減にしなさい!貴方達なんてもうどこにもいないくせに!」
ざわっと庭に木の葉が舞い、静かになる。
部屋には誰もいない。
それにしても折角化けて出たのに、
恨み言を言うより財産に固執するなんてあの人達らしいんだろう。
そんなに意地汚いから、私の作ったお菓子を食べて死んでしまったのよ。
次は「星座」「布団」「湯呑み」で。
「星座」「布団」「湯呑み」
仕事から帰った時にはもう日付は変わっていた。
上着だけはいでネクタイゆるめて、万年床になってる布団にぶっ倒れる。
こう毎日毎日0時にからむくらい仕事をしていると、ほかの事一切がなにもかもどうで
もよくなってしまう。
(今日、木曜だから…金曜出て…土曜出て…日曜は…昼ぐらいまで出ないといけな
いっぽいなぁ…)
自分のため息にびっくりする。
(このまま寝ちまいそうだ。着替えないとなぁ。だるいなぁ。ああ、なんか寝る…)
「星が奇麗だよ」
突然、そう聞こえたような気がして、ばっと身を起こす。
誰もいる訳がない。
そう、いる訳がない。
ベランダへの窓を開ける。切れるように寒い。でも、それも悪くない。
空を見上げると、本当に星が奇麗だった。
煙草を一本吸い終えて、部屋に戻ると、テーブルの湯呑みにコーヒーが湯気をたてて
いた。
あの声は空耳だったのかも知れない。コーヒーも(考え難いが)ベランダに出る前に
作ったのを忘れていたのかも知れない。
全部気のせい。
多分そう。
「12月の星座が一番素敵だね」
あの人はもういない。
そう、もういない。
でも、少なくとも今日は笑って寝られるような気がした。
うえー、キザっぽいね、どうも(笑)
次のお題は、「駅」「弁当」「大学」でお願いします。
615 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/09 18:07
今年もとうとうこの季節がやってきた。
各大学の選手が魂を削ってまで競い合う、
そう駅伝の季節なのだ!
そして、私にとってもここが正念場。
弁当屋のせがれとして、頑張る時なのだ!
今もここに山とつまれた、我子にも等しい弁当達。
これを全て売り捌くのだ!
頑張る・・・ドンガラガッシャーン!!!・・・・・・
「知ってる?あそこの弁当屋のせがれさん、山と積んだ弁当に潰されて亡くなっちゃったんだって。」
「知ってる知ってる。でもさ、弁当の中身、全部空だったらしいよ。」
お題 「駅」「弁当」「大学」でした。
なんか無理矢理でしたね・・・
次のお題 「振り子」「騎士道」「錆」でお願いします。
そいや、ニバスさんのHP全然更新されてないねぇ。
>>615 Yes(笑)
こないだ、夜中に散歩してたら、オリオン座が奇麗な季節になってる事に気づいて、
そしてお題に「星座」が来てたので、これだっ、と。
まぁ、元だと、「…だと僕をドライブへと誘った」だけど、さすがに使い辛かったので
改変。
まぁ、TMらしー未練たらたら泣き言節(笑)が主題になってしめたものかと。
六さん(ここ的に)お久し振りー。
>>618 まぁ、ここも一時の白熱振りなくなってるからねぇ。
あるいは、ニバスさん忙しいのかも知んないし。
9月から2ヶ月で100ちょっとなんで、このペースでいくと、1000までいくのに後半年
くらいかかろうかという計算か。
年末年始で盛り上がるかが勝負(なんのよ)かも。
620 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/13 23:07
ほ
621 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/15 01:58
・
622 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/16 03:58
>>619 お題を出した方も同じことを考えていたりしてな。
最近仕事帰りに星を見るのが楽しみ。
>>234 激しく遅レスなのだが、気になっていたんで。
私は沼に沈んでいるであろう友人に
自分の便が堆積していくのは恐ろしい。
新しいタイプの恐怖だと思った。
624 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/17 00:51
・
625 :
勲一等旭日大綬章:02/11/17 10:01
次のお題は「蟯虫」「回虫」「サナダ虫」でおながいします。
お題をだしたいのなら
>>617のお題を書いてから。
お題をこなしたものだけが次のお題をだせるのさ。
627 :
勲一等旭日大綬章:02/11/17 19:11
628 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/18 21:09
・
「なんだこりゃ」
資料に借りてきた本のひとつを開くと、そこには数々の振り子が描かれていた。
「『騎士道とその探求』ってタイトルでこりゃねーんじゃねぇの…なになに…」
拙いラテン語の知識を駆使してどうにかこうにか拾い読みしてみると、
「この振り子群の運動、それぞれの連関が描く意味。それを読み取る事が出来れば
真の騎士の栄光を得る」
なんのこっちゃ。しかし、妙に気をそそられる。時間はあるし、幸いパソコンにこの手
の物理モデルを再現出来そうなソフトが入っていたのでデータを入力してみた。
「うわぁ、振り子たくさんあって、しかもそれらが回転台と歯車で複雑に動かされてる
から死ぬほど重いなぁ。…てんでバラバラに動いてるようにしか見えんぞ、しかし」
30分ほど眺めていたが、結局訳がわからない。ふと思いついて振り子の軌跡を記録
するように設定してみた。
ぼーっとモニタを見ていたせいでいつの間にか寝てしまったようだ。再びモニタに目を
やると画面一杯が振り子の軌跡で埋め尽くされていた。いや、わずかに埋められてい
ないところが筋状に…これは文字か?
ぶぅぅん、かちっ、んぶぅぅん、変な音を立てて画面が揺らぐ。
突然、背中に寒気が走った。とっさに本体の電源を叩っ切った。
しかし、モニタが暗転する一瞬前、なにか目のようなものが…
ひゅーぅん、がりがりがりがりがり…
なっ?電源を再投入したが、BIOSすら起動しない。ケースを開けてみて驚いた。内側
が一面錆びついている。
「どうなってんだよ…」
後日色々調べてみた。あの本の著者である貴族は悪魔崇拝のかどで処刑されてい
た。そして、あの時振り子の軌跡の埋め残りで綴られた言葉は悪魔への呼びかけの
文句。
考えてみると、あの仕掛けを実際に作るにはかなり精密な細工を必要とするし、また
振り子の軌跡を記録しようと思いついてもそうは気軽に出来ないだろう。
しかし、現代ではパソコンの中で割と簡単に出来てしまう。
ほかにもこういった一種の暗号はあるのかも知れない。迂闊にそれを再現しようなど
と思う人間がもう出ない事を祈りたい。
大苦戦。
えらいお題だよ、実際(笑)
「斬るなら俺を斬れ!!!俺の命で済むなら・・・安い物ッ!!」をネタにしようかな、と一瞬
心傾いたけど、それもなぁ、と思ったので、強引にでっち上げ。
次のお題は「楽譜」「得点」「20年前」(←「二十年前」「20年前」等、表記はご随意に)で
お願いします。
結構楽なお題だと思ったのですけど・・・
私ってズレてるんですか?ねぇ?ねぇ?
>>631 わたしだけかも知んないっすけどね。
こう、ぱっとイメージが浮かんじゃったんですよ、振り子時計をバックにマクシミリアン
アーマー着た騎士が「この剣の錆びにしてくれるわっ」とか言ってる図が。
これがきつい。
最初にこうこてこてなイメージが浮かんじゃうと、別の考えようとしてもこれがちらついて
考えがまとまんなくなっちゃうんですよねぇ。
お題同士の相性が良い時って、そんな感じ。
素直に繋いじゃったのの印象が強くてどうも辛いす。
いっそまったくバラバラのお題を力技でやっつけちゃう方がまだ気が楽かなぁ。
まぁ、そーゆーのを無理から捻るのも、決して嫌いじゃないんですけど(笑)
もう出来たものが面白い面白くない二の次で(駄目じゃん)なんとかして素直には
繋がないぞ、と。
ところが、捻りに捻ったつもりが結局陳腐な事になっちゃったりして。
やっぱ三題は奥深くて面白いす。
>>633 陳腐というが十分面白かったよ。
パソコンがネットに繋がっていたらと思うと怖いね。
635 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/21 19:27
>>634 せっかく書き込んだんならageとこうぜ、保守の意味も込めて。
636 :
「楽譜」「得点」「20年前」 ◆cBCRASH/NU :02/11/23 03:55
「はい、え、13番の土野倉怪太郎さんでした〜。
え、得点はあんまり伸びませんでしたけどね、え、でもね、いい歌声をね、え、聴かせて頂きました」
「では、次の方です。エントリーナンバー14番。月丸要一さんです」
(パチパチパチ)
「え、月丸さんはですね、え、歌ではなくてバイオリンでのエントリーですが」
「はいそうです。私にとってバイオリンを弾く事は、歌うことと同じですから」
「では月丸さん、今回演奏される曲目は一体何ですか?」
「はい、実はですね、今から演奏する『コキュートス』という曲は昔私が書き上げた曲なんです」
「何か、曲にまつわるエピソードでもありますか?」
「もう20年前になりますでしょうか。当時音大を出たばかりの私は毎日偉大な音楽家になる事を夢想していたんです。
そんなある日、私は夢を見たんです。
目の前に、角を生やして全身毛むくじゃらの男が、バイオリンを弾いている夢です。
一通り弾き終えると、彼はバイオリンを肩から外してこう言ったんです。
『一度だけだ。この曲を弾けば、お前は注目を浴びることが出来る。ただ、一度だけだぞ』
目覚めた私は、夢の中で聞いた曲を、そっくりそのまま譜面に起こしました。
そして、机の引き出しにしまい、以来今日まで封印し続けたのです」
「はあ……で、何故また今日その曲を演奏することに?」
「実は……私ガンに冒されてまして、既に手遅れに近い状態なんだそうです。
けど、このまま死んでいくのは口惜しい。死ぬ前に、一度でいいから世間をあっと言わせたい。
そう思って、今回応募したんです」
「はあ、なるほど……え、では準備整いましたのでね、え、早速演奏してもらいましょう。
それでは皆さん、え、しばし聴き入ることにしましょう。月丸要一さんで『コキュートス』」
数分後、演奏は終わったが、スタジオの中から拍手が巻き起こることはなく
場内は水を打ったようにシンと静まり返っていた。
その数日後、週刊誌の表紙にはこんな見出しが載っていた。
「死を呼ぶ曲!?素人参加の番組を見た者が、続々と死亡!スタジオ内も死屍累々!」
■「狩人」「筋肉」「丸焼き」でよろしく。
■「狩人」「筋肉」「丸焼き」
筋肉隆々たる狩人が得物
奇しくもその丸焼きを喰らう者は存在しない
・・・ズルかったですかね?
次のお題「涙」「琥珀」「理由」でお願いします。
639 :
ルゥ ◆1twshhDf4c :02/11/25 01:31
「涙」「琥珀」「理由」
今日、十二月三十一日は私にとって人生最良の日だ。
隣のベッドでは、琥珀色の瞳の生まれたばかりの坊やが、すやすやと気持ちよさそうに寝息を立てている。
急いで病院に駆けつけてくれた夫のロベルトも、満面の笑みで坊やの顔を覗き込み、「よくがんばったね、咲乃」と優しく私を抱きしめてくれた。
初めて坊やを腕に抱いたとき、私は幸せで一杯になり、目には涙が溢れてきた。
私が嬉し涙を流したのは、前の……私たちのかわいいレディーが駄目になってしまったとき以来だ。
まだ傷が癒えず、虚ろな日々を送っていた私たちを立ち直らせてくれた坊やは、当に救世主だった。
ロベルトがどうしてもはずせない仕事がある、と帰ってしまってからしばらくして、ドアをノックする音が部屋に響いた。
「どうぞ、入ってきて」
ドアがゆっくりと開く。
私は部屋に入ってきた顔の青白い人物を見て、少しぎくりとした。
「おめでとう、咲乃」
その人物は高校時代からの親友の倫子だった。
「さっきロベルトさんにそこで会って、赤ちゃんが今生まれたって聞いたの。本当におめでとう」
「ありがとう……倫子」
親友からのお祝いの言葉は本当にうれしかった。
しかし実を言うと、私は儚げに微笑む倫子が気の毒であり、同時に少し気が引ける思いもあった。
高校時代、私たちは何でも行動をともにしたが、最悪な出来事に関しても、同じ境遇だった。
私の流産の半年後、倫子もまた流産してしまったのだ。
640 :
ルゥ ◆1twshhDf4c :02/11/25 01:32
……それ以来、子供の生めない体になってしまったという私との唯一の相違を除いて。
「わぁ、可愛い坊や。ロベルトさんにそっくりね。あっ、でもこの口元は咲乃に似てるかな」
倫子の声で、私は現実に引き戻された。
「ロベルトに似てるでしょう。今は寝てるから分からないだろうけど、琥珀色の瞳が特にそっくりなの」
確かに倫子は気の毒だったが、今は何より坊やが生まれた喜びが一番だった。
「そう……、名前はもう考えたの?」
「まだ検討中。いろいろ迷っちゃって」
私が母親独特の笑みを漏らすと、倫子は一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐににこりと微笑み、何か木の植えてある鉢らしいものを私に差し出す。
「そうそう、忘れるところだった。これ、お祝い。いろいろ迷ったんだけどね」
私は倫子の差し出すもの見て、不審そうな顔をしたらしい。
倫子はすぐにそのプレゼントの理由を説明しだした。
「何でこんなイトスギみたいなありふれたような木を送るのって思うでしょう?これ、今日の誕生花なの。他の誕生花に比べてパッとした感じじゃないけど、結構素敵なエピソードが残ってるのよ」
「へぇ……、ありがとう。ところで、花言葉は何なの?」
珍しく倫子は、いつもの様に陰のある弱弱しい微笑ではなく、愉快そうに笑う。
「それはねぇ……、ヒミツ。自分で調べて御覧なさいよ」
「うん。楽しみに取っとくわ」
そのときの私は知る由も無かった。
私との面会の直後、倫子が自殺してしまったことを。
しばらくは、倫子の自殺の知らせは、私の元には届かなかった。
私にその知らせが届いたのは、年始の三が日が過ぎて、すぐのことだった。
641 :
ルゥ ◆1twshhDf4c :02/11/25 01:32
年始に縁起がよくないということと、子供を生んだばかりの私の体をいたわったロベルトの判断だったらしい。
私は驚き、とても悲しんだが、倫子が自殺してしまった訳が分からなくも無かった。
もし、私と倫子がまるっきり反対の立場なら、私もそうなっていたかもしれない。
それからしばらくは、可愛い坊やの子育てと倫子が死んでしまった悲しみで、あのイトスギの花言葉を調べることはすっかり忘れてしまっていた。
ある日、坊やをベビーカーに乗せて散歩をしている途中に、本屋の前を通りかかったとき、一つのポスターが目に留まった。
それは「366日の誕生花の本 ただいま好評発売中」と書かれたポスターだった。
私は何かに取り付かれたように、ふらふらと本屋に入った。
外は丁度、示し合わせたように、厚い雲が空を覆い始める。
そして、大粒の雨が降り始めた。
私は迷わず、「366日の誕生花の本」を手にとって、ゆっくりページをめくり始めた。
色とりどりの花……、美しい花言葉……。
ようやく、十二月三十一日「イトスギ」のページにたどり着く。
花言葉は……。
そこで私は我に返った。
慌てて、ベビーカーの方を見ると、そこにはさっきまでいたはずの坊やの姿が無い。
私は、火がついたように書店を飛び出した。
「私の坊や……可愛い坊やはどこ?」
どこを走っていたのかはわからない。
私は、ただ当ても無く坊やを探して方々を彷徨っていた。
気がつくとそこは、倫子の家の前だった。
日ごろから倫子が自慢していた庭のイチョウの木の隣には少し大ぶりのイトスギの鉢がおいてある。
しかし、葉はすっかり、削がれてしまっていた。
本来、美しく杵細かい葉があるはずの場所には、変わりにあるものが刺さっており、一つのオブジェと化していた。
「坊や……、坊や……、いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
イトスギの花言葉は……「死」。
642 :
ルゥ ◆1twshhDf4c :02/11/25 01:37
な……長くてすみません。
一応、呪いってことで書いたんですけど、何かサスペンスっぽいな……。
次のお題は「アルト」「ティッシュ」「太陽」でお願いします。
643 :
「涙」「琥珀」「理由」:02/11/25 02:14
俺はいわゆる引きこもりを7年間続けている。
2ちゃんねるにはよく来るけど、このスレへの書き込みは初めてです。
引きこもった理由は忘れた。
まあ、みんな興味ないだろうしね。
当初は、親父と弟がやっぱり男だし、いろいろ言われてウザかったな。
でも、しょせん親父は実の父親じゃないし、
弟は当時暴走族で、やっぱりろくなもんじゃなかったから聞く耳もたねーって感じ。
今では俺に意見を言う人間なんて誰もいなくなったです。
オフクロはオフクロで泣いてばっかで、俺の召使い状態。
お涙頂戴悲劇のヒロイン気取って、無力で哀れな人間を演じている。
今日、そのオフクロから弟の所に2人目の子供が無事生まれたと聞いた。
病院に行くから昼飯は自分でチンして食べるように、だって。
数年前に出来ちゃった結婚をした弟の相手は、モー娘の石川梨華に似ていた。
もっとも、結婚式を病欠した俺としては数回しか会ったことがないんだけど、
その美人の奥さんと息子のために、
かつては悪の限りを尽くした弟も今は真面目に働いているらしい。
長男の名は「琥珀」。元暴走族だから難しい漢字が好きなのだろう。
この琥珀が俺を異様に怖がる。
てゆーか、俺の部屋を怖がる。
トイレとか、たまに部屋を出ると廊下の向こうに琥珀が立っていて、
俺の方をじぃっと睨んでいたりする。
ある日、弟が部屋の扉をノックした。当然開けたりはしない。
弟は「琥珀が兄貴の部屋に女がいるって言ってんけど」と怒鳴る。
そんなはずはない……
次のお題は「ラーメン」「掛け軸」「ソープランド」でお願いします。
やべえ、ダブった!!ごめんね。
次のお題はルゥさんの「アルト」「ティッシュ」「太陽」で。
645 :
「アルト」「ティッシュ」「太陽」:02/11/25 02:55
俺はいわゆる引きこもりを7年間続けている。
甥の琥珀が俺の部屋に女がいる、なんて言うものだから、
家族が部屋に押しかけてきた。
いるわきゃねぇーだろ!!
無視するつもりだったが、そうもいかなくなり、部屋の戸を開けて誤解をといた。
押しかけてきた中に弟の奥さんもいた。やはり、かわいい。
彼女に汚い部屋を見られて正直なところ少し動揺した。
俺はこの女を空想の中で何度も犯している。
そして、その日の夜もまた彼女をオカズにした。
部屋を出て、トイレでティッシュを流した。
そして、きちんとティッシュが流れたことを確認して、部屋に戻ろうとした時だった。
真っ暗な廊下に戸を開けっぱなしの俺の部屋から光が射し込んでいる。
その俺の部屋の中、こたつの向こうに人が立っていた。
制服を着た中学生(!?)の少女。
その右手にはアルト・リコーダーを握っている。
萌え萌えだ。いや、そうじゃない。なんで?
部屋の中のはずの彼女の周りには、
太陽に照らされた草原の風景がぼんやりと映っている。
その時、俺は人を呼ぼうとは考えなかった。
何でも一人で背負いこむ性格だから引きこもっているのだ。
ただ、少女が消えるまで、動けずに立ちすくむことしかできなかった。
義務は果たしたよね。
今度こそ、お次のお題は「ラーメン」「掛け軸」「ソープランド」でお願いします。
>>639 うぇぇ、なんか怖げな雰囲気が漂いまくりですな。
怖いというか、破滅の影が見えるというか
「志村後ろー!」といいたくなるような。
イトスギ…そんな不吉な花言葉のものまで
誕生花になってしまっているのですね。
>>643 書けるときでいいから、この兄ちゃんの連載路線をこっそり期待。
文の砕け方が好みだ。
しかし「琥珀」という名前を子供に付けたということで、
浮かびあがる弟のイメージ像は凄まじいな(笑)
>>636 生放送だったんか!
しかしその前の振り子とパソコンの話といい、テレビと呪われた曲といい
文明の利器ってオカルト的なものにガード弱いのかもね。
もしくは無茶苦茶相性がいいか。
コキュートスって聞いた人が発狂しちゃうヤツ?
>>637 怖そうな雰囲気なんだけど、短くて私にはよくわかんなかった。残念。
比喩なのか?なんなのか?
ここは1つ、狩人は人間ですか?(笑)
(すんませんたまにお世話になってるのが嬉しくて)
あ。
「涙」「琥珀」「理由」、さらっと書いて最後の一行がどうしても決まらなくて(まぁ、
そこだけが決まってないという訳でもない)悩んでたらふたつもっ(笑)
しくったなぁ。
まぁ、折角だから、晒すかなぁ。
「涙」「琥珀」「理由」
「ねぇねぇ、見て。こんなの買っちゃった」
「あ、虫入り琥珀…」
「ジュラシックパーク見た時から欲しかったんだよねー。思ったより安かったから衝動
買い〜」
「これ…」
「ど、どうしたの?突然泣き出したりして」
「やっと、やっと、見つけた…」
「え?」
彼女は琥珀をぎゅっと抱き締めたかと思うと、煙のように消えた。
しばらく呆然としていたけれど、琥珀の方は消えていない事に気づいた。
見ると、中の名も知らない虫の目のところに気泡らしきものが出来ていた。さっきまで
はなかった…と思う。確信はないけれども。
丁度それはその虫の涙のように見えた。
理由がわかったような、わからないような。
いつの間にか泣いていた。
そんで612以降の感想(1/2)
>>612 「殺してんのかよっ」と思わずツッコミ(笑)
幽霊は、実在(?)してるのか、「私」の妄想なのか。
後者だとすると、はたから見るといきなし数珠持って庭の方に叫ぶ相当サイコな人だ。
>>616 謎だー(笑)
何故弁当の中身が空だったのかは永遠のミステリーなんでしょうか?
>>636 えーと、なんか、実際の番組のパロディです?
司会者の喋りに記憶があるよなないよな…。
夢の男は、悪魔なのかパン神なのか。
その番組の録音なりがあるのかが気懸かり。
>>637 シンプル過ぎ(笑)
その路線だと、和歌っぽく(狂歌?)まとめると面白いかと素人考え。
>>639-641 ああ、確かにサスペンスっぽいですね。
倫子の自殺と赤ん坊の死との間に時間がある事からやっぱり呪いだとわかりますが。
呪いだという暗示というか隠喩をくどくならない程度にもう少し混ぜると良かったの
かも(ただ、今でも良い感じ出してるんで、それは蛇足かな、という気も)
ロベルトという名前からはどうしてもキャプ翼のあの人が…(笑)
612以降の感想(2/2)
>>643 良い雰囲気出てます。
ただ、ちと落ちがシンプルかなぁ、という気もしますが。
まぁ、雰囲気勝ちでおっけーかと。
>>645 (事情が事情だけに)ちょいと書き急ぎで文荒れてるかなぁ、と。
ただ、こっちは落ちの余韻が非常に良い感じ。
646さん言うようにもし今後シリーズ化するのなら、個人的には、弟が「そりゃ俺も昔は
馬鹿やってたけどさ」みたいに主人公の神経を削るトークをしてくれると嬉しいかなぁ。
遅レスなど。
>>622 そうかもねー(笑)
最近死ぬ程寒いけど、その分星が奇麗なのは世の中良く出来てるかも。
>>623 あー、その話は当時もかなり評判になりましたねぇ。
実にこういや〜な不思議ーな雰囲気が確かに凄い。
連続レスすみません。
起きて新着チェックしたら(最近的に)沢山書き込みあったので、ちとはしゃぎ気味(笑)
現在のお題は「ラーメン」「掛け軸」「ソープランド」となっております。
男ののオヤジは修理に出していた掛け軸を受け取った帰りに殺された。
掛け軸は倒れた親父のそばには見当たらず、
物取りの犯行という事になった。
掛け軸自体、そんなに高価なものではなかったが、今にも消え入りそうな
美しい女の見返る姿を男はぼんやり覚えている。
当時小学生だった男も今ではサラリーマンになってそれなりの稼ぎがあり、
給料日にはソープランドに行っちゃったりなんかするのだが
ソープの帰りにラーメン屋に寄った時にそれを見つけた。
隣の席の小汚いじじいが掛け軸を持っていたのだ。
親父を殺した犯人はまだ見つかっていない。
人のいる所で騒ぎ建てるのは良くない。
男はじじいの後をつけることにしたが、じじいが人気のないほうに行くにつれ
どうしようもない憎悪が溢れてきてしまい我慢できずに
そばに落ちていた大き目の石で殴りかかった…!
653 :
「ラーメン」「掛け軸」「ソープランド」2/2:02/11/25 17:35
「…結局、そのお爺さんも掛け軸を買ったばかりの
何にも関係ない人だったんですけどね。
ええ、持ち主の血を吸わずにはおられない、
そういういわくつきの掛け軸なんて言われてまして。
そのお爺さんで丁度99人目だったんですがね。
絵が生き血を吸う、そんなことあるわけがない。
どうです話の種にお1つ」
この店主は私が信じない人間だと思って
いわくを話すことによって購買意欲をそそるつもりのようだ。
「いや、断るよ」
普段なら私も面白いとばかりに買うのだが、この見返る女の顔、口から滴る血
どれも生きてる以上にイキイキとしており、
なぜだか、手元に置くには遊びが過ぎるように思えた。
見せを出るときに艶っぽい女の声で「後一人なのに」
惜しいことをしたかなぁ。
次は「黄薔薇」「自転車」「笑顔」で
654 :
コワヒィ ◆CHwaratayo :02/11/25 21:24
セミの鳴き声。風鈴の音。照り付ける太陽。続く長い坂道
気だるい夏の光を感じながら、私は友人の家へ向かい自転車を押していました。
あと少しで家に着くな」
書き途中で「書き込む」を押しちゃいました(汗
続き書きますね・・・
セミの鳴き声。風鈴の音。照り付ける太陽。続く長い坂道
気だるい夏の光を感じながら、私は友人の家へ向かい自転車を押していました。
少し気分が悪かったので急ごうと早足で坂道を進むとふと脇にある電柱にある物が置いてありました。
黄色い薔薇。ひまわりのような黄色い薔薇。
恐らく意味的には交通事故にでも会った人への弔いの花でしょう。
絵的にはおかしい図ではありません。しかし、私の心に何かが引っかかるのです・・・。
「浩也!!」不意に誰かが叫びました。
後ろを振り向くと黄色い薔薇を持った若い女性が笑顔で私を見ていました。
当然私の名前は浩也ではありません。恐らく勘違いでしょう。私がその事を伝えようとした時。
「浩也、やっぱり生きていたのね!そうよ・・貴方が死ぬはず無いわ・・・」
女性はそう言いつつ私に近づいてきました。私は一歩も動けません。
「さぁ、浩也!帰りましょう!?私たちの家へ・・・」
腕を掴まれました。女性は不気味な笑顔でこちらを見ています。
しかしソレよりも怖かったのは、彼女は頭から血を流していたのです。そして私は叫びました。
「お、おい!。なんだか知らないけど俺は浩也なんて名前じゃない!!
人違いもいいかげんにしてくれ!手を離してくれよ!」
そう言って手を無理やり振り解き、自転車で逃げました。
20mほど走り後ろを振り向くと、彼女はすでにいませんでした。
きっとからかわれてたのだろう、と思うことにしました。思いたかったのです。
656 :
「黄薔薇」「自転車」「笑顔」2/2:02/11/25 22:04
その後友人にこの体験を話すと、友人は噂話を話すようにこう言いました。
「10年ほど前、あそこで自転車と自動車の衝突事故があったんだよ。
それで自動車は無傷だったんだけど自転車に乗ってた恋人同士、俺達ぐらいの年齢だったと思う。
ともかく前に乗ってた男は即死。後ろの女は一命を取り留め入院生活。それから1年経って
女がやっと退院したんだ。でもねその女、黄色い薔薇を事故現場に供えてそのまんまそこで自殺。
たしか道路に飛び出して車に跳ねられたんだよ、ほぼ即死、二回もおんなじことすんなよなぁ?。
で、ともかくお前が見たって言ったのはその女の霊だったんじゃないのか?」
友人の話が終わると沈黙が続きました。セミの鳴き声はうるさいぐらいに続いています。
私には良くわからない、彼女が浩也さんを見つけて何がしたかったのか。何処に帰りたかったのか。
恐らくソレが解る頃には夏が過ぎるでしょう。そして私はこの出来事を一夏の陽炎のせいにしてしまう。
ただ、1つだけ解る事は、恋人を追って自殺した彼女は今も浩也さんを探して歩きつづけているという事だけです。
>>654のスレ汚しスマソ
次は「クッキー」「ウォークマン」「車輪」でお願いします
657 :
「クッキー」「ウォークマン」「車輪」 ◆cBCRASH/NU :02/11/25 23:14
まったくお前等は……電車に乗るときのマナーくらい知らねぇのかよ。
そこのMDウォークマン聴いてる大学生風の男。
音漏れてんだよ、ヘッドフォンから。音下げるか、じゃなきゃ聴くの止めろ。耳障りだ。
それと、クッキーボリボリ食いながら雑談してる女子高生たち。
はっきり言って、うるさい。周りに迷惑だよ。
ついでに、ボロボロこぼしてんじゃねぇよ。電車のマナー以前の問題だぞそれ。
注意してやりたい。でも、出来ないんだなぁこれが。
何てったって、俺今身体が無い状態だからさ。
俺の身体は、ついさっき電車の車輪に巻きこまれてバラバラになっちまったからな。
……おい、運転手。居眠りしながら運転してんじゃねぇ。
停まるはずの駅、たった今通過しちまったぞ。お前も勤務態度改めろよな。
せめて俺を轢いた事ぐらい気付けよ。
■「灯台」「モットー」「暮らし」でよろしく。
>>646 >コキュートスって聞いた人が発狂しちゃうヤツ?
いやいや、「コキュートス」は適当につけた曲名だったりして。
>>83 パン神か……確かに近いイメージは、頭の中に描いてたかも。二本足だけどね。
それと、なんかの番組のパロディではないっす。
どっかで聴いたことあるような口調?気のせいですよ気のせい……。
659 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/26 00:10
>>648 琥珀と言っても三者三様色々ありますね。
琥珀といえば自分はウィスキーしか浮かばんかった。
琥珀と気泡のイメージが、綺麗です。
>>655 後追いまでしたのに会えないなんて哀れですな。
相手がこの世にいない以上彷徨いっぱなしなんでしょうね。
ちょと悲しい。
>>657 随分爽やかで(笑)いい奴だし。
恨みつらみもでないほどあっという間だったのですねぇ。
>>658 あ、あの曲ではなかったのですね。
私もうろ覚えなので…。
「灯台」「モットー」「暮らし」
今日も灯台が海を照らしている。
ここで暮らし始めて、もう二年くらいになる。
昨日はパットが息子を連れて来た。
ちっとも俺にも彼女にも似ていない。
そんなものなのかも知れない。
今日はリズのところに行こう。
「いい男は沢山の女と寝なきゃいけない」これが俺のモットーだ。
家から出て、すいとひと掻きして灯台の光で輝く海面の方に上がる。
リズとの情交を考えて、歓喜でえらがひくついた。
気まぐれにクトゥルフ風味。
次のお題は「喧嘩」「火事」「蕎麦」の江戸っ子三点セット(適当)でお願いします。
662 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/27 00:02
な、なんか急に活気が出てきたぞこのスレ!
火事と喧嘩は江戸の華!
どいたどいたどいたどいた!!
蕎麦も江戸の粋♪
「死ね」っていう?個人的には1の最初の文章が
最高だと思うのだが
次のお題
「パラソル」「えこひいき」「秋葉原」
オカ板的666GET
はじめましてだ、ゴルァ。
ここって簡素のスレあるの?
それとも、作品と簡素のミックススレなの?
メールでいいから教えれくらはい。
過去スレ見ろ!…はっ!
感想スレは多分なかったと思うよ
だからウカウカしてると感想書き込む隙がないぜ
>>664 氏ねとかいう。
その繰り返し。
私も1の文章好きじゃ。
■「パラソル」「えこひいき」「秋葉原」■
あれは一昨年の夏のことです。
修学旅行で沖縄に行った僕たちは当初からの計画通り、自由時間を海辺で
すごすことにしました。僕たちの班は、僕を含めた仲の良い5人と、もう
ひとり成績優秀なSの6人構成でした。Sは友達も少なく、半端になって
しまって僕たちの班にくじ引きで回ってきたのです。海でひとしきり遊ん
だ後、一人ビーチパラソルの下で本を読んでいるSを友達がからかいはじ
めました。
「お前休みっていえば秋葉原行ってんだってな」
Sは不愉快そうに無言で本に目を向けています。
「スケベなゲームとかやっぱ買ってんの?」
Sは無言でした。
「なんだよこいつ」
Fが急に怒り出して(キレるというやつです)、
「おい、こいつ砂に埋めちまおうぜ」
と言い出しました。
(続く)
(続き)
普段から成績優秀なため何かと先生たちにえこひいきされていたSです。
みんなも悪乗りして暴れるSを押さえつけて、顔だけ残して砂に埋めてし
まいました。Sは無言で僕らをにらみつけ、体をよじって抜け出そうとし
ますが、相当に重いらしく砂はかすかにこぼれるばかりでびくともしません。
「顔だけ日焼けするのもかわいそうだな」
Fがニヤニヤしながらそう言い、パラソルを横倒しにしてSの顔を隠して
しまいました。そうして、僕たちはまた海へ行き、遊び始めました。
しばらくしたあと、別の班の友達たちがやってきました。彼らの先頭にたっ
て走ってくるKは手にパラソルをもっていました。Kは走りながらパラソル
を持ちかえると、「さあブブカ選手世界記録へ挑戦です!」と叫んで思い切り
パラソルを砂浜に突き立てました。そう、僕たちが埋めたSの真上でした。
・・・Sは僕たちが海で遊んでいる間に行方不明になったことになりました。
そのことを聞いたときのSの両親の顔が今でも忘れられません。この場を借り
てS並びにSのご両親に謝罪したいと思い、書き込みました。
B県立G高校 2000年度卒業生より
次は「スリッパ」「遮断機」「コインロッカー」でお願いします。
671 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/11/29 05:06
お、久しぶりの1さんだ!
そこまで割りと細かく書いてあるのに
突き立った瞬間の細かい描写がないから
音とか叫び想像しちゃったよ。コワー。
細かく書かれるよりも途中で突き放されるほうが想像するものか。
しかし、こういうとこに書き込むときって(多分2chのようなところだよね?)
謝罪より吐き出したいからだと思う。
あげとくぜ。
道楽蟹さんはお元気かな?といってみるテスト
不思議な話も結構好きなので。
丘から写真を撮る話がよかった。
>>672 元気なのですが、
ただいま卒論真最中でして。(;´Д`)
「スリッパ」「遮断機」「コインロッカー」
カーンカーンカーンカーン…
遮断機が下りていく。僕は特に急いでもないけれど、ダッシュで走り抜ける事にした。
反対側から渡って来ていたサラリーマン風の男とすれ違う瞬間、コートの裾に違和感
が。
えっ、と走りながら裾のポケットに手をやる。そこにはなにも入れていなかった筈なの
に、なにかちいさな、固いものが入っている。
踏切を渡り終えて、振り向く。
男は踏切のど真ん中に立ち止まって、こちらを見ていた。
その腕や脚があり得ない曲がり方をしているのに気づいた。
電車が少しもスピードを緩めず走り過ぎる。その後にはもう誰も、なにもいない。
もう一度ポケットに手をやる。そしてそのなにかを取り出す。鍵…どこかのコインロッ
カーの鍵。
視界の隅をなにかがちらちらする。そちらを見てもなにもない。
気味が悪いので、そのちらちらするものから逃げるように道を選ぶ。しかし、視界の
ちらちらは消えない。
いつの間にか駅の裏側のコインロッカーが並ぶ人気のないところに来ていた。その
前には女がいる。
その顔は青黒く変色して白目を剥き、涙と洟と涎が垂れている。
スリッパを履いている事に気づき、視線を上げると顔はなく、視線を下げると足もない。
女は消えた。
コートのポケットから鍵を出す。同じ番号のロッカーにその鍵を挿して回す…カチャッ
…開いた。
中には、ただ一枚の写真。遊園地を背景に幸せそうな一家の写真。
踏切の男。腕や脚は自然な角度。
さっきの女。ごく普通の顔。パンプスを履いている。
そして、ちいさな子供。幼い頃の僕とそっくりの。
思いつきで書き始めると、なにやら在り来たりな様に。
推敲でえらい苦労した割にゃ、まとまり悪いし。
もうちょっと考えてから書くべきだったか。
次のお題は「米」「ターンテーブル」「ポンプ」でお願いします。
今日も日没とともに作業を追え、顔を洗うためにくみ出しポンプに向かう。
東京でターンテーブル回してちょっとは名も知られていたが
親父が倒れてからは田舎に戻って米を作ってる。
流石にこの田舎では刺激にかけるが、充実感に満ちており、
都会に居たあの頃に戻りたいとは思わない。
思えばあの頃は少しばかりの人気に溺れ増長してた。
付き合ってた女はいたが それでも女は抱き放題だったし
好き勝手やっていた。
あいつ俺の浮気を止めるためか、子供が出来たなんて言い出して
それがうざくて、捨てるようにして別れたんだっけ。
丁度その頃親父が倒れて田舎に戻ってそれ以来音信不通…。
そういえば、あの時なんで俺は子供が出来てないなん
て思い込んでたんだろうか?
やはり俺だけはへまをしないという思い上がりか。
本当に子供はいなかったんだろうか。
もし本当にいたとして、それからどうしたんだろう。
そろそろ生まれて…?
考え事をしながら水汲みポンプを押す。
なにかが引っかかっているらしく押し切れない。
普段だったら壊れてしまうと困るのできちんとみるのだが、
考え事をしていて虚ろな俺は押し切れるまで何度も力を加える。
鈍い音とともにレバーは押し切れ、
水とともにでてくるちいさなちいさな指。
おりょ。
676さん、次のお題書いてねー。
おお、すまん。
なにか忘れていると思いつつも寝ちゃったよ。
次のお題は
「飛行機」「うどん」「ジャズ」でお願いします。
679 :
「飛行機」「うどん」「ジャズ」:02/12/02 01:40
あの夏、沖縄行きのフェリーに乗った。
港に降り立つと、黒いような青空が強烈な陽射しを陸と海とに放っている。
そいつがすべての色という色を極彩色に染め上げている。
猛烈に暑い。愛車(バイク)を走らせても熱風を浴びているようだ。
沖縄は外国の匂いがする。
だからバイクもアメリカンが似合う。
それもところどころメッキが剥がれた使い込んだヤツがいい。
風に波打つさとうきび畑でメットを脱ぐ。
自分とバイクの影が異様に黒い。
煙草に火をつけると、超低空で米軍の飛行機がノイズを叩きつけるようにして通り過ぎた。
那覇の郊外、二方が開け放たれた民家風の食堂で琉球ソバを食べた。
これは内地のうどんともそばともラーメンとも違う代物で、
しいて言うなら台湾ラーメンから香草を抜いて豚肉を入れたものに近い。
店のオバちゃんに今夜の宿の話を聞いた。
「あそこに泊るのか? もっとイイとこあるさぁ」オバちゃんは優しく親切だった。
680 :
「飛行機」「うどん」「ジャズ」:02/12/02 01:56
父は沖縄を捨てた人間だった。
第二次大戦後、沖縄はアメリカになり、そして日本に戻された。
しかし、今でも真っ白な入道雲はアメリカンサイズだし、
美しい海も日本離れしている。
今夜の宿と決めていた「岬荘」という古い民宿でチェックインを済ます。
実際は岬よりビーチに近いのだが、
沖縄にはこのような安直なネーミングの宿が多いようだ。
夜まで時間があったので、さびれたその町で開いているバーを探した。
店の前にバイクを停め、中に入るとジャズがかかっている。
とりあえずビールを頼む。冷えたビールで行き返り、
店内を観察すると、壁の色が青で窓枠にアメリカの酒が並んでいた。
内地より遅い夕暮れ、宿に戻った。
酒の力でシャワーを浴びる間もなく、すぐに眠ってしまった。
681 :
「飛行機」「うどん」「ジャズ」:02/12/02 02:18
夜中に一度起きてシャワーを浴び、またビールを飲んで寝た。
そして2時半頃、外の騒がしさに目を覚ました。
廊下の方ではない。雨戸の外、庭の方だ。
「本当に来たか」と思った。
この民宿は古い民家をそのまま使っている平屋立ての作りで、
シーズン中にのみ使われる。宿の人間がいるのは少し離れた新館だった。
外は暴風雨に備えた背の高い石垣で囲まれている。
数十人という人間がその石垣の内と外にあふれ、何やら騒ぐ声がする。
ドンドンと雨戸を叩く音もする。
部屋の柱や壁のあちこちからピシリと何かが裂けるような音がする。
「今、雨戸を開けたら、俺はタイムスリップできるのではないか!?」
近くで立て続けにドーン、ドーンと爆発音がした。振動で屋敷が揺れる。
女の人の悲鳴が聞こえる。子供の泣き声が聞こえる。
この宿の話を聞いたのは、ネットのオカルト板でのことだった。
夏のある期間に泊まると戦争体験ができる、と書いてあった。
682 :
「飛行機」「うどん」「ジャズ」:02/12/02 02:35
俺はその話が真実か、悪質な冗談かを確かめるため、
そして、真実なら雨戸を、その扉を開けるためにここに来た。そのはずだった。
でも、結局は布団をかぶってその地獄が去るのを待つことしかできなかった。
そうなのだ。
あの時、雨戸を開けても誰もいなかったに違いない。
しかし、たとえ誰かがいて、アチラの世界に行けたとしても、
戦争は地獄でしかないのだ。
翌朝、宿を出てバイクに荷物を載せる際、
シートの上に季節はずれの桜の花びらが1枚乗っかっていた。
ふと、死んだ父のことを思い出していた。
長くなってごめんなさい。
次のお題は「タクシー」「こたつ」「クリスマス」で。
683 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/04 18:20
ho
「タクシー」「こたつ」「クリスマス」
クリスマスの朝、取り乱した様子の松井さんから電話があった。しかし、さっぱり要領
を得ない。どうやら息子の明君がどうかしたようだとだけはわかった。
わたしは診察鞄を持って松井家に向かった。タクシーの中、色々考える。ご亭主は単
身赴任で、奥さんと中学生の明君のふたり暮らし。明君は今年の初めぐらいから登
校拒否で部屋に閉じこもっている。まさか…嫌な予想が頭を掠める。
松井家に着き、明君の部屋に行ったわたしは絶句した。背中から腹へ太い杭が貫通
して、明らかに絶命している彼がそこにいた。
不思議なのは、死体から血が点々と続いているのだが、それが部屋の真ん中にある
こたつの方に向かっていて、そこで突然に消えているのだ。
奥さんは気が動転していたので、わたしが警察に連絡した。
驚いた事に結局この件は自殺という事になった。死亡推定時刻には奥さんはパート
先のセールのため外出していて、第三者の目撃証言もある事。また物とり等の入っ
た形跡もない事。そして彼の日記に「死にたいが、自殺をすると皆に迷惑がかかる。
それが気懸かりで出来ない。突然車にでも轢かれてしまいたい」と書かれていたので、
他殺を装うために杭に向かって後ろ向きで跳んだのだろう、と判断されたらしい。
実際は、謎の猟期事件とするのを嫌ったのだろうが。
後日、その日記を見せてもらった。最後は12月24日付になっている。
「今日はクリスマスイブだ。サンタがいるというのなら、僕へのプレゼントに死を願う」
サンタ…暖炉…こたつ…ははっ、そんな馬鹿な。
馬鹿な、とは思うのだが…。
うーん、良いの浮かばなかったんで、お茶濁し気味。
ごめんね>前の人
次のお題は、「募金」「健康」「手袋」でお願いします。
686 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/06 16:59
ほ
保守兼ねの652以降の感想(1/2)
>>652-653 やっぱ、男としちゃ、ひょっとして100人目御礼で美味しい目に遭えるかもっ、って
少しだけ期待しちゃうよね(笑)
しかし、考えてみると、この店主なんでその爺さんで99人目なんてわかるんだろ。
駄法螺か伝聞かあるいは…。
地味に怪しい人物だ。
>>655-656 後追いしても再会出来ず、結局血迷った自縛霊になっちゃう、とは切ないねぇ。
>>657 実生活でも思っててもそう言えない訳だけど、言うに言えない状態になると歯痒い
だろうね(笑)
>>663 江戸っ子とは言え、流石に大雑把過ぎ(笑)
>>669-670 さらっと破局が描かれてるのが味あり。
しかも、これが行方不明になる、って事は明らかに死体遺棄を含めた証拠の
隠滅が行われてるのに、それをうやむやにしおらしく反省したような態度。
良い感じでむかつき作品です(誉め言葉)
652以降の感想(2/2)
>>676 恐らくポンプなんか毎日使ってるんだろうから、その日に物理的か霊的に
仕込まれたんでしょうな。
丁度回顧した時にやられたタイミングから見て…あるいは、それは偶然なのか。
>>679−682
父と怪異の絡み加減が薄いよな気はするけど、リゾート!な感じの沖縄風景と
その悲惨な過去のコントラストはええ感じ。
長くなる時は、出来れば(PCの)メモ帳とかに書いてそっからコピペしてって連続
書き込みするとそんなに間の時間空かなくて良いかと。
後、タイトルとかに1/4を入れるか、書き込みの最後に「(続く)」「(完)」等つけると
わかり易くて吉。
そう言えば前に携帯から書き込んだ強者がいたのを思い出した(笑)
689 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/09 20:15
hosyu
690 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/11 21:56
uysoh
691 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/13 20:22
どうかな。
■「募金」「健康」「手袋」
それは駅前で何となく目に付いただけだった。
誰も見ないような死角に一人の老人が立っていた。
いや、老人かどうかもよくわからなかった。
何しろ、顔ですらでかいマスクで隠されて、
なおかつフードをかぶっているので容貌がよくわからなかった。
その人は首からこんなボードを下げていた。
「健 康 募 金」
興味本位で近づいた僕に、この人はこう言った。
「貴方の健康を募金してはくれませんか?」
「健康を募金っていどういう事ですか?」
「そのまんまです。難病に苦しんでいる子供達に、自分の健康をおすそ分けするんです。
これで何人もの子供が救われているんですよ。」
「な、何を言っているんですか?」
「自分が少し不健康になるだけで、若い命が助かる、とても素晴らしい事ですよ。
私なんか少し募金しすぎちゃいましてね・・・」
そう言って、老人?は手袋を取って見せた。
そこには・・・
寄付を募金に変更するのは無理がありました・・・
次のお題 ■「国境」「流星」「限界」でお願いします。
694 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/16 23:15
補修
695 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/17 20:07
あげっ!
流星を見るためにこの南の島にやって来た。
さすがにそれだけのためではなく、こういう風なところに旅行しようと思っていたところ
に、同僚から今回の流星観測の「穴場」としてこの島を教えてもらったのだ。
ホテルに着いたその日の晩が丁度流星の観測される日だった。
ボーイにチップを渡しながらガイドとかいないのか訊くと、彼はやれやれと言うのと、し
めたと言うのが複雑に絡んだ表情で、「それなら、わたしやります。さっき別の日本の
方にもガイド頼まれたので、ご一緒で良かったら」と訛りのきつい英語で返された。
集合時間になって、梨本というその男と合流し、こんなところで滅多にいない日本人
観光客が同じガイドの世話になる奇縁なぞを駄弁りながら目的のビーチに向かった。
ビーチと言っても実に狭いもので、椰子?の木が乱立していて、あまり見晴らしが良
さそうではなかった。しかし、かの臨時ガイド君が言うには、ここが一番マシらしい。
やれやれ、「穴場」と聞いて来たのに、「マシ」と来たもんだ。
「向こうの方が見易いんやないか?」
梨本が少し開けている方を指差しながらそう言った。
「あっちは駄目。あそこに線あるでしょ?絶対に越えちゃ駄目」
「なんでや?」
「国境だから。危ない」
渋々納得して、ホテルから持って来たビールを飲みながらだらだらと時間を潰す。そ
して、そろそろ目的の時間に…。
「あ、始まったよ。早く早く」
ガイド君の声でその指の先の空を見る。なるほど、光の筋が見える。
実物は初めて見たのだが、想像していたのよりは随分しょぼい。しかも、丁度椰子の
木の方に出たので、葉っぱの間から見える空間にも限界がある。しかたなく、少しで
も見え易い場所を探して頭を振ったりちょこちょこ移動したり苦戦していた。
「あっ」どさっと砂浜に倒れる音がした。音の方を見ると梨本が仰向けにころげている。
どうやら、後ずさっていて蹴つまづいたらしい。
「いや、はははは…」
「いけない!早くこっちに!」切羽詰ったガイドの声。
再び見ると梨本の身体はあの線を越えている。途端、たーんっという音と共に彼の頭
ははじけ飛んだ。
なんか、いい加減且つネタ割れ早そうなんになっちゃったなぁ。
次のお題「切手」「コイン」「蝶」でお願いします。
ひゃー、age忘れ。
折角だから、
>>692感想。
ええ感じです。
少し「Y氏の隣人」を彷彿(よりも少しダークな感触があるけど)
これ、別に「寄付」じゃなくて「募金」でそんなに問題ないように思います(確かに「金」
じゃないけどね(笑))
699 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/19 04:21
hoshu
700 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :02/12/20 21:56
ホシュ
吉岡にはちょっとした能力があった。
人の趣味というか、その人が一番興味をもっているものが
直感で感じ取れるのだ。
「なあなあ吉岡、あそこのおっさんは?」
交差点のところにいる、40代くらいのいかにもサラリーマン
といった風情の男。腕時計を見ている。
「ああ、あの人はね、切手の収集が趣味みたいだよ。中学生
の時から、もう20年以上、1万枚以上集めてるみたい」
「へぇ。じゃああの娘は?」
茶髪にルーズソックスの女子高生だ。
ケータイをせわしなくいじってる。
「なんか意外だけど外国のコインとか集めるのが好きみたい
だよ。小学生の頃にたまたま拾ったコインが珍しいもので、
それからなんとなく集めてるみたい」
「へぇ、意外だね。じゃああの子は? 右側のほう」
中学生くらいの男の子が友達と並んで歩いてる。
「あの子はね、昆虫の標本作るのが好きみたいだよ。
蝶々が特に好きらしい。部屋中標本だらけだよ」
「へぇ。最近珍しいね。じゃあ、あの人は?」
少し雰囲気の暗い感じの、眼鏡をかけた青年。
20代半ばくらいだろうか、いや、もう少し上かもしれない。
この寒空の下でなぜかうちわを手にもっている。
「・・・あの人は・・・・・」
吉岡の言葉が続かない。
不審に思って彼の顔を見ると、彼は異状なほど狼狽している。
「おい、どうしたんだよ?」
「・・・・・・・・」
返事がなかった。
直前まで上気していた顔が今度はひどく青ざめている。
「・・・によって・・・だかよ・・・」
彼が何かつぶやいた。しかし聞き取れない。
「なに? 何だよ。どうしたんだよ」
「そんなはずは・・・・なんで・・・・」
それっきり彼は黙ってしまった。
体が小刻みにふるえている。
彼のそんな様子をこれまで見たことがなかった。
今は何を聞いても無駄だと思った。
翌日。
だいぶ平静を取り戻したらしい吉岡に昨日の男のことを聞いた。
吉岡にはその男の部屋の様子が見えたらしい。
きれいに片付けられた部屋。整理された本やビデオ。
男の一人暮らしには似つかわしくない整頓された部屋。
ただその部屋の壁はあるもので一面覆われていた。
1ミリの隙間もなくはりつけられた。
おびただしい数の。
その全てが満面の笑みを浮かべている・・・
モー娘。保田圭のポスター。
その光景は彼の理解をはるかに超えていた。
吉岡はうつむき、唇をかみしめるように
昨日と同じ言葉をつぶやいた。
「よりによって保田かよ・・・」
昨日よりも小さな声だったが、今度は聞き取ることができた。
おわり。
思ってたより8倍くらい難しかったよ・・・。
長くなってごめんなさい。
次のテーマは「ゲーム」「こけし」「歌手」で。
・・・いいじゃないか保田好きでも
706 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/21 19:31
707 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/23 21:13
ho
こけしというのは「子消し」が語源で、口減らし(食糧難や貧困の為に
やむを得ず行った子殺し)や中絶など、事情により殺さざるを得なかった
子供の霊を慰めるために作ったものが民芸品として根付いたと言われている。
とある歌手が、PVの撮影のためにある地方の旅館にスタッフと一緒に
宿泊していた。しかし天候不良のため撮影がままならず、その日は
一日旅館の中で過ごすことになった。
退屈した歌手が何か面白いことはないかと言うと、スタイリストの一人が
「皆でゲームをやりませんか」と言い出した。
そのスタイリストは偶然にこの地方の出身で、面白い土地の風習を
知っていると言う。こけしを使って亡くなった子供の霊を呼び寄せ、
色々と質問していくという、こっくりさんに似たもので、
それはゲームというよりもちょっとした降霊術だった。
ゲームが始まり、その場にいる者達が自分にはいい恋人が出来るかとか、
いつ結婚出来るのかとか、くだらない質問をして盛り上がっていた。
しかし、その歌手が質問する段階になると、こけしが指し示す
文字は「おかあさん」はじめは笑っていた歌手も、何度質問しても
「おかあさん」という文字しか示さないので、段々と歌手の顔色は
蒼白になっていった。そして、「こんなばかばかしいのやってられない!」と
叫ぶと、起こって途中で部屋を出て行ってしまった。
次の日は幸い天候にも恵まれ、無事にPVの撮影も完了してスタッフは
東京への帰途についた。忙しいスケジュールの中、スタッフも小さな旅館で
起こった奇妙な出来事のことなどすっかり忘れて何事も無く日々が過ぎたかと
思われるある日のことである。
その歌手が生出演で歌番組に出演した。
しかしその歌手の出演中に視聴者から、テレビに変なものが映っているという
問い合わせの電話が殺到した。だがテレビ関係者が番組収録後にフィルム
チェックを行ったが、おかしなものは映っていなかったという。
だが奇妙なのは、全国各地から寄せられた電話の内容が、ほぼ一致
していたという点である。
歌っている歌手の腰の辺りに、赤ん坊のようにも見える肌色の肉塊と、
細長い紐のようなものが巻き付いていたというのだ。
この話を関係者は押さえ込もうとしたがマスコミに嗅ぎつかれ、
その歌手がデビュー前の中学生の時に妊娠し、堕胎していたことが
わかった。それを報じられた歌手は、ビルの屋上から飛び降りて自殺した。
なんとも後味の悪い話である。
しかしこの話には後日談があり、とある音楽番組の編集作業を行っていた
エディターがフィルムに妙なものが映り込んでいるのを発見した。
ある女性歌手が歌っている背後に、ぼんやりとした人影が立っていたのだ。
その部分拡大すると、先に自殺したあの歌手になんとなく似ている。
しかも、腹の部分にはもう一人、小さな人間のような顔も確認できた。
勿論この部分は編集でカットされたが、業界人の間ではTV 界に良くある
怪談として、今でも伝わっている。
うーん、怪談と言うよりなんか普通の話になっちゃいましたね。
次のお台はクリスマスということで、
「クリスマス」「ごちそう」「人込み」とか
どうでしょうか。他にお台を考える人がいたら、
別のやつでもいいです。
いや、面白かった。つかコワ。
ぉぃ
12月25日、クリスマスの夜。
ボストンバッグを抱えた貧相な男が、異様にギラギラした目で人込みの中に身を置いていた。
男はバッグに耳を当てるような格好で立ち尽くしていたかと思うと、
不意にその表情が愉悦で歪んだ。
その瞬間、バッグの中のプラスチック爆弾が炸裂した。
聖なる夜が舞い降りた街角は、阿鼻叫喚の地獄図へと変じた。
高層ビル。その屋上に二つの人影。
両者とも、牡牛のような角と鋭い爪、巨大なコウモリの羽を有している。
「いや〜、見事やなぁ。こうまで見事やと胸がスカッとするわぁ」
「スカッとするねぇ」
「それにしても、今日みたいな日は簡単に心に取り憑けるなぁ」
「簡単やねぇ」
「何と言ってもクリスマス。寂しさの余り、世間の賑わいに嫉妬しとる人間が
ぎょうさんおるからなぁ」
「ぎょうさんおるねぇ」
「何にしても、これだけの死人が出たんや。魂も吸い取りやすいでぇ」
「吸い取りやすいなぁ」
「今夜はごちそうや」
「ごちそうや」
■「お歳暮」「指」「ハンマー」でよろしく。
お歳暮が届いた。
初めてのお歳暮。
妻を持ち、子供が出来て
家庭を守るためには、
社会とうまく付き合うことが必要だ。
その社会が正しかろうと、正しくなかろうと、とりあえずだ。
お歳暮などもらった日には、
まさに自分がその社会の一部云々…まあいい。
お歳暮だ。
中を開けた。
指が入ってた。
最近別れた愛人のみたいだ。
子供が出来て忙しくなったんで
別れてもらった女のだ。
どうしよう。
嗚呼頭痛がする。
ハンマーで叩かれたみたいにヒドイ。
社会でうまくやっていくのは大変だぁ〜
「お歳暮」「指」「ハンマー」
でした。そのまんまやんか!
最後の「ハンマー」が
非常にお粗末に使われてて、
自分でも笑えました。
つぎ、
「貞淑」「パソコン」「北海道」
717 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:02/12/26 06:04
>>714 関西弁の掛け合いが(・∀・)イイ!
>>715 最後の一行にワロタw
なんか中編もいいけど、こういうサクッとした短編もいいね。
718 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :02/12/27 21:25
今日(正確には昨日)電車内であった出来事です。
僕、電車内で本読むのとか苦手なんで、
いつもそれとなく考え事とかしてるんですけど、
今日はちょうどこのスレのこと思い出して、
確か「貞淑」「パソコン」「北海道」のお題で
2、3日止まってるんだよなーとか思って、
今日夜チェックして新しいお題がでてなかったら、
僕が書き込んでやろうかなって思って
上の3つのお題でずっと話考えてたんです。
で、ある駅(ちなみに白山駅)で女子高生の2人組が乗ってきて、
僕の前に立ってたんですけど、
そのうちのひとり(右側)が「北海道の親戚がさー、なんかパソコン
買ったとかいってさ、メール送ってきたんだよねー」とか話し始めたんです。
いきなりお題が2つも飛び出したんで、僕もびっくりして、
もうその娘たちの会話に釘付けでした。
もし「貞淑」が飛び出しでもすれば、怪談は作れないけど
とりあえず書き込むネタになるなーって思って。
しかもその右側の娘こんなこと話し始めたんです。
「その人ってさ、今30ぐらいなんだけどさー、なんか
高校時代から付き合ってた人と、こないだ結婚したんだよねー」
おおいっ! まさにそれだよ。「貞淑」!
もうちょっと言いかえてみてくれ!とかひとり心の中で
熱くなってしまいました。
そのあともずっと祈り続けたんですけど、
なかなか「貞淑」という言葉は出てきません。
てゆうか日常会話で、しかも女子高生が使う言葉でもないし、
あーもうちょっと、いいとこの奥様とかだったらなーとか、
でもそういう人はこんな電車乗らねえしなーとか思いつつ、
それでもずっと女子高生(主にしゃべるのは右側)の話聞いてました。
で、彼女たちが乗ってきてから4つ目か
5つ目の駅(ちなみに新大前駅)で停車してドアが開くと、
2人が人をかき分けて降りていこうとしたんです。
ああー結局出ずじまいかよーってちょっとガカーリしてると、
その右側の娘がぼそっとつぶやきました。僕の方をちらっと見ながら。
「使うわけねーだろ」
・・・マジ怖かったよーッ!!
次のお題は「深夜番組」「ハト」「信号」
でどうでしょう。
「大阪府のP.N.待ち待ちモンキーさんからのお手紙です。
『去年の10月に友人が亡くなりました。まだ彼は27歳の若さでした。お互い忙しかった
のでたまにしか会いませんでしたが、ふた月一くらいで一緒に飲んで、恥ずかしいで
すけど「将来の夢」とか語ったりしていました。
そんな彼が突然発作に見舞われて、そのまま帰らぬ人となってしまいました。丁度久
し振りに飲みに行った一週間後の事です。
その生前の彼と最後に会った時に、「えらく顔色が悪いな」とは思っていたのですが、
「最近とんでもなく忙しくて、今から年末が思いやられるよ」なんて言っていたので、そ
のせいかと思っていました。
店を出た後、いつもは、「じゃっ」とか言ってさらっと別れるのですが、その日に限って
彼は自宅でもう少し飲もうと言うのです。
それで数年ぶりに彼の家に行くと、前にはなかった鳥かごがありました。
「可愛いだろ?ハト。なんかペットショップ行った時にひと目惚れしちゃってさ」
彼の葬儀が終わり、僕は家族の方にお願いしてそのハトを譲ってもらいました。彼の
体調不良の信号を見逃した僕が彼のメッセージをせめて少しでも読み取れるかも知
れないのは、あの時に彼が何故か細々と説明したハトの世話の仕方ぐらいのような
気がしたからです。
今年の1/1になった瞬間です。一件のメールが届きました。
「A Happy New Year! ハトのことありがとう」
差出人はもう解約している筈の彼の携帯のメールアドレスでした。
今年もひょっとしたら、彼からメールが来るのではないかと少し楽しみにしています』
やー、ええ話ですねー。もうスタッフみんなでだだ泣きですよ…」
僕の書いた葉書が読まれた。でも、それは嘘。
遠いところの事のように深夜番組は進行し、新年のカウントダウン。
0になった瞬間、メールが来た。差出人を見る。
馬鹿、一年遅いじゃないか…。
最近忙しくてROMってたけど、久し振りに書いてみました。
こんな時間帯を狙ってた訳じゃないけど、折角なんでなんとか今年中にと大急ぎで
一発書きの推敲なし。
次のお題は「門松」「節」「特番」でお願いします。
724 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/02 14:10
節子の家に遊びに行った
玄関を見ると門松が飾ってある
早くお正月特番見なきゃ
725 :
「門松」「節」「特番」:03/01/02 19:30
門松の先で目を突いた。ブシュ〜と飛び散る血潮が、降り積もった雪の上に降り注ぎ、
紅白の美しいコントラストを作り出す。門松は目に突き刺さったままだ。手を離すと、
門松はドスンと落下して、その後眼球がポロリンとこぼれ落ちた。
彼は冷静を装いつつ門松の節をぬいて、獅子おどしを作り始めた。
これが30年ぐらい前に観たある特番の内容だ。誰か覚えてない?
次は「年賀状」「雑煮」「お年玉」で
726 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/03 23:42
お年玉・・・貰う立場の時は良かった
727 :
「年賀状」「雑煮」「お年玉」:03/01/05 00:34
「もしもし、佐藤、新年おめでと〜」
「おう、金田、生きてたか」
「ぼちぼちな。年賀状出し忘れたから電話した」
「これは御丁寧なことで。雑煮食った?」
「まだ。てゆーか、俺、モチ食えねーし」
「お年玉もらった?」
「そんな年じゃないだろ。お互いに」
「いや、俺は死ぬまでもらうつもりだが」
西暦200×年、NTT長野の職員の会話
「また幽霊電波だわ」
「どこから?」
「東京方面」
「旧首都圏は放射能汚染で猫の子一匹いないはずなのにな」
「人はいなくなっても電波は残るってか。21世紀のホラーだね」
次は「成人式」「晴れ着」「桜」で
728 :
「成人式」「晴れ着」「桜」:03/01/05 02:33
「しかし、あれだね。アメリカがあの国にやったことって、
第2次大戦前の日本にしたのと同じでしょ」
「それで戦争起こしちゃうあの国もあの国だけどね。すぐ負けちゃうし」
「でも、大義名分もなく『やられたからやり返す』ってのはスッキリしてるよね」
「有言実行『攻撃されたら地球を壊す』(笑。地球はオマエの私物かよ(笑」
「ヒロシマ・ナガサキに、トーキョー、オーサカ、オキナワ……もう切りがない」
「実はあの地味な国家元首が渋谷系ギャル軍団を見ちゃったらしいんだな。
それで一言『焼き尽くせ』と(笑」
「それで原爆(笑。1000万人が灰になった(笑」
「罪だね〜(笑」
「あれって成人式の日だったよね。羽織袴や晴れ着でピカドン」
「それでも浜崎あゆみは生き残った。“あゆは永久に不滅です”」
「似てない。巨人は全滅だし(笑。メジャーに行った松井の判断は正しかったな」
「ところで、あれ以降、東京周辺は1年中桜が咲いてるって聞いたけど、マジ?」
「『桜の下には死体が埋まっている』。1000万人分なら何年でも咲き続けるだろう」
やっぱり2番煎じはいけないね。
次も「成人式」「晴れ着」「桜」でお願いします。
(^^)
今日子は、この間のお花見の写真をアルバムに入れていた。
桜満開の元、飲みつけない日本酒で頬を桜色に上気させている写真。
入れ終わり、ぱらりと前のページを操る。
成人式の写真。
スーツ姿の今日子が振袖姿の仲間たちと一緒に写っている。
「面倒だったんだけど、おかあさんが折角だから着ろ着ろってうるさいからさ」
友人たちの言葉。今日子もそう言われていた。
しかし、半ば意地になって結局スーツで行った。
式の途中、気づくと少しだけ羨ましい目で彼女たちを見ていた。
今、こうやって「思い出」として振り返ってみると、「二度とない事なんだし、やはり晴れ
着として着ておけば良かった」と後悔が頭をもたげる。
ぱらり、もう一ページめくる。
「ん?」
桜色の振袖を着た今日子の写真が一葉ある。
訳がわからない。そんな写真はあり得ない。
しかし、場所はどう見ても会場だった市民会館。周りの雰囲気も成人式当日。
そしてもうひとつ奇妙なのは、一緒に写っている女性を今日子は知らない、という事。
だのに、写真の中では、まるで旧知の仲のように親しげだ。
気になったので、一緒に成人式に行った友人たちに訊いてみた。
誰も知らない。
「えー?別の日の写真じゃないの?あんたあの日スーツだったじゃん」
仮にそうだとしても、写真の人物がわからない事に変わりはない。
気持ち悪いなと思いながら捨てるのもはばかられるので、とりあえず元のところに戻
そうとアルバムを取り出そうとした。
棚にきっちり入っていたので、一緒に隣のアルバムがずり出て来た。
そして、自然に開いたページの古びた写真。あの謎の女性が写っている。
キッチンの母親のところに行き、慌てた様子の今日子に不審そうな母親に訊ねた。
「おかあさん。これって…誰?」
「あら。あばあちゃんの若い時の写真ねぇ。どうしたの?こんな写真出して」
今日子は、この写真では色はわからないけれど、この振袖は桜色だろうと思った。
ちょっと舌っ足らずな文章になったかな。
反省。
言い訳としては、三人称久し振り、ってのがありまして(笑)
書いてて、「ん?一人称臭くなってねぇか?(汗)」と混乱しちゃったり。
次のお題は「七草」「オートミール」「爆竹」でお願いします。
699以降の感想(雑談含み)(1/2)
>>701-703 なにで来るかと思ったら、まさかモーネタとは(笑)
モー娘。全然知らない人なんだけど、保田圭がこの手のネタ(よりによって…的な)に
使われがちなのは何故か知ってたり(こんな認識で良いのか(笑))
>>708-710 時代の流れや、嫉妬・羨望なんてのに事欠かない業界だろうから、こういった連鎖
しちゃう怨念ってテーマは似合いますな。
>>714 悲惨なのに、掛け合いで滑稽な感じがおされですな。
とゆーか、自爆してんだよね、この犯人。
めさいやーんな感じなのに、一瞬ほのぼの系に思えてしまうとこが怖い。
>>715 あやうーい綱の上を歩いてる雰囲気の主人公の性格描写が良い感じ。
あ、使い道に困ったお題を無理から消費するのは、基本です(笑)
>>718 ネタはでっちあげるもんす(笑)
699以降の感想(2/2)
>>719-720 あー、これ巧いなぁ、好み。
生活密着型な描写が、実話系怪談っぽくてナイス。
>>724 その尺で、怪談要素入ってたら天才だったのに(笑)
>>725 なんか、人体切断しっぱなしショーみたいな特番だ(笑)
何故獅子おどしなんでしょう(笑)
真面目に情景を想像すると、かなりすごいね。
>>727 年明け早々某国から核のお年玉、っつ設定なのね。
その瞬間の携帯の使用率を想像すると、いくつかは幽霊電波なんかになっても
そう不思議じゃないよなぁ、って気に確かになる。
>>728 無茶だなー(笑)
最後の、一千万人分の栄養で咲き続ける桜、ってのはなかなか魅力的。
734 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/08 23:33
・
735 :
「七草」「オートミール」「爆竹」:03/01/11 18:16
わたしは夕食の仕度をしながら、昨夜の主人の言葉を思い出す。
「ああ、人肉入りのオートミールが食べたいなぁ」
主人は最近よくそんなことを口にする。
「人肉って誰でも一回は食べてみたいもんだろ。
きっとうまいと思うな。今日七草だろ。適当に草も入れてさ」
「やだ、あなた。何言ってるのよ」
「やっぱりイメージ的には若い女の子なんかが一番良さそうだな。
オレはユッケも好きだけど、こっちの方がずっとうまいだろうな」
「怖いこと言わないでよ」
「よくホラー映画とかで、ほらゾンビとかが生きた人間の血肉を求めて
とかってあるじゃん。あれ分かるなぁ。やっぱうまいんだよなー」
「・・・・・・・」
「長いひも状の爆竹なんか飲み込ませて、口から出た導火線に火つけてさ、
パンパンパーンって体内ぐちゃぐちゃにしてから食べたりすると、
また格別にうまそうだな。ふふふっ」
「・・・・・・・」
「ピヒョォーーーー!」
お湯が沸騰したことを知らせるやかんの音で我にかえった。
包丁をにぎった手が中空をさまよっていた。
あわてて、長ネギを切る作業を再開するが、
その手はまたすぐ止まってしまう。主人のことを考えずにはいられない。
736 :
「七草」「オートミール」「爆竹」:03/01/11 18:17
決して完璧な夫とは言えなかったが、あんな気持ちの悪いことを
平然と言う人ではなかった。
いつからだろうか、主人が変わってしまったのは。
「いつから」?
・・・それはわたしが一番知っている。
わたしが彼を殺してからだ。
確かに首を絞めて殺したはずなのに、殺したはずだったのに、
翌朝彼は普通に朝食を食べ、普通に会社へ出かけていった。
あの日から主人はおかしくなった。
「いやあ、まさしく食わず嫌いってやつだな」などと言って
これまで口にしなかった生肉をおいしそうに食べるようになった。
人間の肉が食べたいと笑いながら話すようになった。
食べたいと話しているうちはまだ良いのだ。
今の彼なら・・・今の彼には自分の欲望を抑える術がないように感じた。
「ただいまー」
彼が帰ってきた。
「あ、あなた、おかえりなさい・・・」
「うん、ただいま」
「あ、す、すぐ食事の用意するわね」
「ああ、今日はいいや。外ですませてきたから」
わたしは震えが止まらなかった。
次のお題は
「隣人」「海岸」「手術」でお願いします。
上の話考えてる時に浮かんだ他のネタ。
お題とは関係ないけど、誰か読んで↓
私は小さい頃からやってみたいことが2つあった。
あんまりおおっぴらには言えないが、
人を拳銃で撃ってみることと人間の肉を食べること。
私はついに長年の夢を実行に移すことにした。
どうせなら2つ一緒にすませてしまおう。
公園のホームレスに金を払って家に呼んだ。
闇ルートで手に入れた拳銃を男の腹部めがけて2発。
見事命中。想像以上に爽快だ。
それから私は痛みにもだえる男を横目に見ながら
自分のくすり指を切断して口に運んだ。
738 :
「隣人」「海岸」「手術」 ◆cBCRASH/NU :03/01/11 20:16
最近寝不足だ。原因は、僕が住んでいる部屋の隣人。
毎晩毎晩女を連れ込んでは夜通しエッチしてるので
絶え間なく喘ぎ声が聞こえてきて、寝れやしない。
文句を言おうかと思ったが、その隣人は強面。
そんな容姿の人に苦情を言う勇気は小心者の僕には無く、
思わず海岸まで走って「バカヤロー!青春のバカヤロー!」と訳の判らない怒声を上げてしまったほどだ。
え、「耳を愉しませてくれてありがとう、だろ?」だって?放っといてよ。
ともかく僕は、1週間以上にわたって碌に眠れずにいて困っていたわけ。
で、今日僕会ったんだ、隣の彼に。でっかいボストンバッグを持ってたよ。
あれ、旅行かな?と思ったんだけど、向こうからこう挨拶された。
「いやぁ、参ったよ。盲腸になってさ。手術やらなんやらで一週間入院してたんだ」
外見とは裏腹に気さくな口調で話しかけてきた彼。なんだ、結構いい奴っぽいじゃん。
……て、あれ?一週間いなかったわけ?
じゃあ、毎晩聴こえてきていたあの声、何??
■「梅干」「リチャード」「井戸水」でよろしく。
>>735-736 どんでん返し落ちかと思いきや、最後の夫の台詞で、とても味のある形に仕上がって
いますね。
かなり好きです。
もう一つの話も、一本とられた感じがしました。
740 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :03/01/12 10:15
「梅干」「リチャード」「井戸水」
2206年10月6日(月)・曇り
今日、俺達のクラスに交換留学生がやってきた。リチャードというらしい。
さすがに我々日本人とは違って、背が高く足も長い。羨ましすぎるぜ。
2206年10月9日(木)・晴れ
昼休み、リチャードが俺の食っている弁当を珍しそうにのぞき込んできた。
そして、ご飯の真ん中にのっかっている直径3pぐらいの赤い物を指さして、
「それは一体なんだ?」と聞く。「梅干しという日本固有の伝統的な食べ物
だよ」と答えた。するとリチャードは興味を示し、ぜひ食わせろとせがむ。
まぁ、俺もそんなに好物なわけでもないからいいか、と思い箸でつまんで渡
してやった。「でもこいつ、あまりの酸っぱさにビックリするだろうな・・・」
と内心ほくそ笑みつつ、梅干しをほおばるリチャードの反応をうかがった。
しかし意外にも「うまい、うまい」を連発。変わった奴だ・・・
2206年10月10日(金)・快晴
昨日、あまりにもうまそうに梅干しを食うので、タッパに入れて持ってきて
やると、リチャードは感激してムシャムシャと夢中で食い始めた。「おい、
おい日本人でもそんなにいっぺんには食わんぞ」とあきれながら見ていると、
タッパに一杯つまっていた梅干しをあっという間に平らげてしまった。
ホントに変わった奴だ。
741 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :03/01/12 10:17
(つづき)
2206年10月14日(火)・曇り
リチャードの様子がおかしい。皮膚が赤くなり至る所にブツブツができている。
昨日からかゆくて仕方が無いという。水道水でも飲んだのだろうか?彼らの
国の留学生は、日本の水道水が体に合わず、必ずホームスティ先の電動ポン
プで汲み上げた井戸水を飲料水として利用していた。しかし、リチャードは
水道水は飲んでいないと言う。いったいどうしたのだろうか・・・
2006年10月15日(水)・曇りのち雨
今日、リチャードが学校を休んだ。相当具合が悪いらしい。放課後見舞いに
いったが、リチャードの変わり様を見て驚いた。まぶたが腫れ上がっていて、
体全体がただれていた。彼自慢のコバルト色の髪の毛も白く変色していた。
彼は「だいじょうぶ、きっと慣れない環境で疲れが出たんだよ」と、心配す
る俺に強がって見せた。しかしただ事ではないと感じた俺は医者に行くよう
に勧め、彼のホームスティ宅を後にした。
2006年10月17日(金)・雨
今日登校すると、担任から悲しい知らせを聞かされた。リチャードが昨晩亡
くなったということだ。死因はアレルギー性のなにやら難しい病名だった。
俺はその時、あの梅干しが原因だと直感した。そして、他の惑星からやって
きた者にむやみに地球の食べ物を与えたことを後悔した。誰にも看取られず
この遠い星でひとり死んでいったリチャード・・・本当にゴメンな。
次のお題は「海外旅行」「新聞」「万年筆」で
742 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :03/01/12 11:28
訂正・・・
>>741で15日と17日の日記の年が2006年となっていますが、もちろん2206年の間違いです。
743 :
「成人式」「晴れ着」「桜」:03/01/13 00:53
以前、中国に「猫節」なるものがあると聞き、探しに行ったことがある。
海外旅行といえば聞こえは良いが、
あの国は東側沿岸部の発展が嘘のように、内陸部は濃厚に貧しいアジアだ。
サービスも悪ければ食べ物もマズい。埃っぽいし猛烈に暑い。
古新聞に包まれた慢頭を食べながら、得意の北京語で猫節の情報を尋ね歩く。
猫節とは、日本で言えばカツオ節。猫の食用ミイラのことだ。
中国では足がついてて食べないのは机だけ、と言われていて、
そのため、食べられない機械などは通常「机」と表記される。
例えば飛行機は飛行机、パソコンは計算机という風に。
しかし、韓国で犬食いが禁止されたように、中国でも緘口令が出ているのか、
腕時計にライター、万年筆を差し出しても、その話をしてくれる人は少なかった。
上海から上陸して未解放区(外国人立入禁止地区)に入り、砂漠化した山岳地域を、
これ以上進んだらチベットだという辺りでようやく有力情報をゲットした。
中国人になりすまして乗ったバスが、砂漠の真ん中のスイカ小屋で停車した。
日本の高速道路で言うところのサービスエリアだ。
簡素な土塗りの小屋とただ転がってるだけのスイカ(飲み水の代わり)、
あとは屋根も仕切りもない便所と主人のボロ自動車とボロキレのついた枯れ木の山。
ただそれだけのサービスエリア。
やがて、バスは目的のマオ族の村に着く。
マオ族の人々は、自分たちの祖先は中国皇帝が飼っていた猫だと信じているという。
そして、村の裏の方にはやはりボロキレを着た枯れ木が山になって転がっていた。
枯れ木は人間の子供の形をしていた。
上の話、半分は実話なんですよね。
困ったものだ。
次は「地図」「日本庭園」「ゴシップ」でお願いします。
訂正…
>>743の題名は「海外旅行」「新聞」「万年筆」が正解です。
なぜか前に投稿したのに変わっていたのよね?? 不思議よね??
困ったものだ。
ついでだけど、ここに来る人って、みんなレベル高いよね。
「もう、二十年にもなるのね…」
淑子は社員旅行で来た京都の風景を見ながら呟いた。
二十年前、淑子は将来有望な若手の医師と婚約をしていた。
しかし、彼は出張先のこの京都で、身元不明の精神異常の女性に絞め殺されたのだ。
当時はかなり世間を騒がせ、彼の身に関する様々なゴシップが飛び交い、淑子も随
分苦しめられた。
今の職場の人間は、淑子がまさかあの事件の淑子だとは知らない。いや、若い人も
多い。事件そのものが忘れ去られてしまっているのかも知れない。
だから、その殺人の舞台になった日本庭園がコースに入っているのもしかたがない
のだろう。淑子はこんな事で周りに過去を思い出されるのは嫌だったので、あえて反
対をしたりしなかった。
入り口でパンフレットをもらい、ぞろぞろと歩く。ある場所で淑子の足がぴたりと止まる。
ここが、ここがあの事件の…。あんな事がなければ…。あの女はなぜ…。
がたんっ。
突然の音にびっくりする。見ると、部屋に飾っていた額が落ちている。くくっていた紐
がほどけた跡があった。「刻之巡」そういう絵らしい。
我に返ると、みんなは淑子が立ち止まった事に気づかなかったのか、あたりには誰も
いなくなっていた。どうしよう…。
パンフレットに載っている地図を見ながらどっちに行けば良いのか考えてた。丁度分
岐点のようになっているところなのでさっぱりわからない。
ひそひそと声が聞こえる。陰になったところに男がいる。団体を見なかったか訊こうと
そちらに近づいた時…淑子はそれが「彼」である事に気づいた。二十年前そのままの。
まさか…まさか…ふらふらとそちらに近づいていくと、「彼」は身も知らぬ若い女とじゃ
れあっていた。
ポケットに入れた手がさっき無意識に拾っていた紐に触れる。淑子は「彼」に飛びか
かり、その紐で力一杯絞めた。絞めた。絞めた。若い女は悲鳴を上げて逃げた。
淑子は、留置所から若かりし自分に宛てて手紙を書いた。
しかし、その手紙の内容は常軌を逸していたために、当時の彼女に届けられる事は
なかった。
風呂入ってたら思いついたんだけど、なんか藤子Fの短編のパクりっぽ…。
次のお題は、「暗号」「暗合」「鮟鱇(「あんこう」とか「アンコウ」とか表記はご自由に)」
でお願いします。
748 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/13 04:37
‖+|
‖ ̄
‖ ツカマエロー!!
./| ̄ ̄ ̄| ○_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.∧_∧ | .|: 東京 :| (゚Д゚ )__<また千破矢が逃げたぞ ゴルァ!!
( ´Д` )| .|. 精神 :| | づ/ \_________
ミミ皿皿皿皿皿._) (_皿...|: 病院 :| 皿皿l ̄ ̄ ̄l皿皿皿_
ミミ彡ミ 田 田./ . `、 | /| 田 田 田 田 :|
ミミミミ彡 /,r| r‐、い| / | :|皿皿皿皿皿
ミ彡ミミミミ [.| | .| {ニ }/.|/ | 田 田 田 田 :| |
ミミミミ巛彡. {_} | `‐'i" | .| :|田 田 田│
ミ彡彡ミミミ /"ヽ-、 .|./| ̄ ̄ ̄ ̄| | │
ミミミミミミ彡ミ二. | .| ヽ .| _| ╋:‖ | ̄ ̄| :| ̄ ̄| |田 .三. │
| ::;;:;;; 三≡| |λ {ll|..:| :┌─‖ |┐ _,:| :| ._:| |_三二 │
| ;;:;::;;;;;;;;;;: | | mn_ ヾ._リ_:| _ _| ‖ |│_| :|__| | || . │
|二二二二二二.{ .7. .. l,,,,,|_____..|.Π.‖_|;;;;;;;;;;;|_|;;;;;,;;;,;;|__| ̄  ̄ │
734以降の感想
>>735-736 殺したと思ってたけど死んでなかった?いや、死んだのに生き返った?ってな感じの
方がおいしいかも。
最後が匂わしで終わってるのがグッド。
>>737 (番外)
わはははは。
これ、好き好き(笑)
確かに最初の方で、「食うのにホームレス選ぶなんて物好きだなぁ。普通それなら
OLとか女子高生狙うだろー」って考えただけに、「やられたー(笑)」って感じ。
>>738 やぁ、そうなると、ホントに「喘ぎ声」だったのか、ってのか興味深いすねぇ。
枕元でハトが「くっくっ。くっくっ…」の話みたいな考えだけど。
>>740-741 あー、日記の日付が遠未来だから、「こりゃ普通じゃないな」と身構えてしまいました。
もったいない。
>>743 ははぁん。こりゃ巧い。
昔は(下手して現在も)、その枯れ木を「猫節」として売って飢えを凌いでたんじゃ
なかろうかとか想像しちゃう。
750 :
すっポンぽん ◆vLPon/Ye4Q :03/01/13 05:47
>>749 >あー、日記の日付が遠未来だから、「こりゃ普通じゃないな」と身構えてしまいました。
>もったいない。
おっしゃるとおり、書き込んでから「こりゃマズかったかな」と後悔しました。まぁ、久しぶりの投稿としてはまずまずの出来だったんじゃないかな。
751 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/13 05:55
>>745 そんなにレベル高いかなあ。僕もいくつか書いてるけど、僕のよ
うな文章ドシロウトの作品も堂々と載ってるし。でも確かにプロ
さながらの出来の作品もありますね。結構怖いのもあるし、でも
みんながみんな上手じゃなくても全然いいと思う。僕だって、そ
んなこと全然気にせず書いてるし(恥ずかしいからどれとは言わ
ないけど)。このスレ良スレだと思う。人の作品を読むのはすご
い楽しいし、自分でネタ考えるのもいい。なんか最近また少しず
つ書き込みが増えてて、このスレファンとして嬉しいよ。てゆう
か僕がこのスレ知ったのってつい最近なんだけどね。オカルト板
しょっちゅう見に来てたのに全然知らんかった。これからも暇を
ぬって作品書き込みたいと思ってるんで、みなさんよろしくね。
747 :83 :03/01/13 04:35
風呂入ってたら思いついたんだけど、なんか藤子Fの短編のパクりっぽ…。
次のお題は、「暗号」「暗合」「鮟鱇(「あんこう」とか「アンコウ」とか表記はご自由に)」
でお願いします。
新作誰かよろしく。お題が埋もれてたので拾って見た。
754 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:11
あんごう【暗合】アンゴウ
期せずして互いに一致すること。「偶然の−」
「美幸、これうまいよー」
後ろから貴俊の声が聞こえ、美幸は思わず口元がゆるむ。
追加の野菜を切り終えて、美幸がこたつへ戻ると、
「これほんとうまいよ」と貴俊がまた繰り返した。
腕をふるった手料理をほめられて嬉しくないはずはない。
「でしょう?惚れなおした?」
「ああ惚れた惚れた。ねぇこれ何の魚?」
「鮟鱇よ。鮟鱇。これ鮟鱇なべだよ」
「へえ、鮟鱇か。初めて食べたかも」
口いっぱいににほおばりながら話す貴俊はまるで子供のようだ。
755 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:12
「あっそうだ。鮟鱇で思い出したけどさ」
何かを思いついたように貴俊が傍らのカバンをまさぐる。
「今日友達がさ、これ解けるかとか言って暗号みたいなの
もってきたんだよ」
(何よ鮟鱇から暗号って。もう料理ほめるのは終わり?)
「えー何何?見せて」
心とはうらはらに美幸もさも興味ありげに手を伸ばす。
貴俊から手渡された紙片には、数字やらひらがなやら
アルファベットやらが羅列されていた。
美幸は思わず目を見開く。それに見覚えがあったのだ。
まぎれもないその暗号は美幸自身が作って、
ネットの匿名掲示板に書き込んだものだった。
もう1年、いや2年くらい前だろうか。
いろいろな人が暗号を書き込んで、それを解いて楽しむという
掲示板に、無い知恵をしぼって考えた暗号を書き込んだのだ。
その時、「現役女子大生です」と書いたら、
「おまえネカマだろ」と言いかえされたことも思い出した。
しばらくは毎日のように、自分の暗号が解かれているか楽しみで
掲示板をのぞいていたのだが、そのうちあまりにも反応がうすいのが
さみしくて、いつしかその掲示板をのぞくのもやめてしまっていた。
ずいぶん懐かしい感じがする。あれから解いた人はいたんだろうか。
756 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:13
「ねえこれ、その友達は解けたの?」
「いや、あいつも解けなかったみたい。なんか物理の用語かなんか
使って解くらしいんだけどね」
物理じゃない。元素記号よ。
美幸は誰かに解いて欲しくて、ヒントを書き込んだことも思い出した。
もしかしてまだ誰も解けてないのかな?
それとも何人かの人は解いたのかしら?
「まあ、いいや。せっかくだからなべ食べようよ」
貴俊は紙片をほっぽりだして、また鍋に箸を伸ばす。
暗号のことを話そうかとも思ったが、別に大した内容でもないし、
美幸もそれ以上何も言わなかった。
「てゆうか。ほんと料理うまくなったよね、美幸」
よほどなべが気に入ったのか、貴俊はまた料理を誉め始めた。
「前はさとても食えたもんじゃなかったもんな。特にほら
あのミネストローネ、あれは最悪だったなぁ」
「えーひどーい。てか貴ちゃんて、私の料理まずいとか言って
平気でのこしてたよね。あれもひどいよ」
「だってまずいものはまずいんだもん。でもこれはすごいうまいよ」
「私も初めて作った割にはよくできたと思うよ。なんか魚屋さんで
見つけておいしそうだったから、なんとなく買っちゃった。
で、うち帰ってから、あわてて料理の本ひろげてさー。でも
おいしくできてよかった」
757 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:15
「でもさ、美幸、さっきから箸すすんでなくない?」
「あ、うん、実はさちょっと体調よくなくて。ごめんね」
「え、そうなの?だいじょぶ?」
「うん。夕方までは普通で、てゆうかむしろ調子よくて
浮かれ気分だったんだけどね・・・」
貴俊が心配そうにのぞき込む。
「でも、うん、たぶん大丈夫。ほんとごめんね。でも貴ちゃんが
料理いっぱい誉めてくれるから、ちょっと良くなってきた」
「そんなんで治るなら、いくらでも誉めるよ。まずくても
誉めてあげるよ」
「もう、ひどーい」
「でもほんと。貴ちゃん私の料理こんなに食べてくれたの
初めてかもしれないね。あっそういえばさー。雑誌の占いにさ
今日願い事がかなうかもって書いてあったんだ。きっとこれかも」
「美幸前から料理うまくなりたいって言ってたもんなー」
「うん、良かったー。これでまた鮟鱇なべ作れるよ」
758 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:18
「ねえ全然関係ないけどさ。そのネックレスどうしたの?」
唐突に訊かれて、別にやましいものではないのに一瞬言葉が
でなかった。
「あ、ああ、これね、なんか内なるパワーを高めるとかいう石
なんだ。ほら、おまじないとかのグッズ扱ってる店流行ってんじゃん。
そこで買ったの」
「へえ。女の子ってそういうの好きだよな。さっきの占いとかも」
「私は特にそういうの好きだもんね。でも占いってね、信じてる人
しか当たらないんだよ。だから自分に不利な結果がでたら
信じなければいいの」
「それ勝手だなー。ははは」
「ほんと勝手だよねー」
759 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:20
しばしの沈黙をきっかけに、貴俊がまた暗号の書かれた紙片を手にとる。
「今ふと思ったんだけど、ねえ、これってもしかしてさ。元素記号
とか使って解くんじゃないのかなあ」
ずっと考えていたのかしら?と美幸がいぶかしがる横で
貴俊はビール片手に次々と暗号を解いていく。
「えーと、水素は原子番号1だから・・・」
「確か鉄はFeだったから・・・」
暗号は解き方さえつかめば、解読は時間の問題。
貴俊はあっという間に暗号を解いた。
『この暗号を解いた者はその日のうちに死ぬ』
「なんだこれ?何これ、単なるいたずらか?」
美幸は自分の作った暗号の答えを改めて思い出していた。
暗号を解いた人をちょっと驚かせようと考えた答えだった。
今考えると、我ながら悪い趣味だったと反省した。
「こんなの気にすることないよ。ほら占いと一緒。信じなければ
関係ないよ」
「そうだよな。明日あいつに自慢してやろ」
760 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:21
「まさかそんなことになるなんてね」
通り沿いのオープンカフェ。向かいに座った恭子の言葉に、
美幸も頷く。
「警察の話によるとね、鮟鱇であたることもごくまれにあるん
だって。鮟鱇がなんか毒のある生物をエサとして食べたときに、
その毒が鮟鱇の体に残るんだって。でもほんとにごくまれ、
数万匹に一匹あるかないかなんだってさ」
「そこまでいくと、もう運だよね。どうしようもないよ」
「うん」
「貴俊くん、運がなかったんだよ。仕方ないよ。元気だしなよ」
「うん、でもさ恭子、私実はそれほどショックでもないのよ」
「そりゃそうでしょ。だってあんた本命は健司くんなんでしょ」
「うん。しかもそろそろ貴俊うざくなってきてたとこだから。だから
多少はショックだったけど、でもちょっと嬉しかったかも」
「それより、その美幸の作った暗号が怖いよ。美幸変な能力あるん
じゃないの。ほんとに貴俊くん死んじゃうなんてさ」
「まさか、そんなはずないじゃーん」
「でも美幸、きっとなんかすごいんだよ。だってそのなべ美幸も
食べたのに大丈夫だったんでしょ?」
「てゆうか、私体調が悪くてほとんど食べなかったから」
「えーすごいラッキーじゃない?」
「うん、ほんとはあのなべ健司と食べるために用意してたのに、
あいつドタキャンでさ。しかも夕方になってから。それで仕方ないから
貴俊呼んだけど、なんかやっぱりショックであんま食べれなかった。
ま、結果オーライって感じかな。貴俊とも別れられたし。あはは。
あの占いの願い事ってのはきっと貴俊と別れることだったんだなー
占い信じてて良かったー」
「ねえ美幸今日これから健司くんと会うんでしょ」
「そうだ。もうそろそろ行かなくちゃ。じゃね、恭子。
今日は気分がいいから、おごってあげる」
美幸は颯爽と財布をとりだしてレジに向かった。
761 :
「暗号」「暗合」「鮟鱇」:03/01/14 00:23
(やっぱり貴俊より健司だわ)
運転席でタバコをふかす健司を見て美幸は思った。
「なんだよ、じろじろ見て?オレの顔になにかついてる?」
「ううん。別に」慌てて視線をそらす。
「あっそうだ。そういえばさー。先週、友達にこれ解いてみろよ
って言って、暗号の問題渡したんだけどさ」
健司の言葉に思わず、美幸は思わず顔をあげた。
「なんかそいつと連絡とれなくなっちゃってさ。ま、そんな
親しいやつじゃなかったから、どうでもいいっちゃどうでも
いいんだけどさ」
なんて偶然。まさか暗号を渡したのが健司だったなんて。
美幸は二人が知り合いであることも知らなかったのだ。
(案外世の中せまいものね)
「んでさ、そん時渡した暗号。さっきやっと解けたんだよねー」
「え?」美幸の顔がこわばる。
「おいおい、どうしたんだよ。怖い顔して」
「ううん、何でもな・・・」
言葉を言い終える前に、美幸の視界に猛スピードの大型トラックが
飛び込んできた。
美幸はふと、今日の占いが気になった。
「暗合」が直接本文に入って無くて、ちょっとズル。
でもタイトル+テーマってことで。
長いうえに、てか長くなっちゃったせいで
焦点ズレまくりですこし残念。
次のお題
「メロンパン」「秘密基地」「影」でどうぞ。
ミステリー板からやってきました。
こんな良スレがあったんですね。一気に読んでしまいましたよ。
それで僕なりの感想を書かせてもらいます。
>>735-736 最後のセリフでなかなか味わいのある作品に仕上がってますね。ただ、ラストの
一行は蛇足かと。ご主人のセリフだけで終わった方が余韻が残って良かったので
は。あと、殺人犯の「わたし」にとっては、殺したはずの主人が翌朝から平然と
フツーに生活をしている方が、もっと恐ろしいことだと思うんだけど、どうなん
だろう。
>>738 不思議系の作品ですね。声の主が幽霊であったとしても、それが喘ぎ声だったと
いう点で結構笑えます。作中の「僕」が毎晩その声を聞いてオ○ニーでもしてい
たらもっと笑えたかも(失礼しました)。
>>740-741 う〜ん、切ない作品ですね。出足がほのぼのとしていただけに余計にそう感じま
した。それにしても文章が抜群にうまい。読んでいて思わず引き込まれました。
交換留学生が実は異星人だったというのもなかなか良いアイデアです。ただ、83
氏が言うように、年代の表記はなかった方が良かったですね。その点はかなり惜
しまれます。
>>743 枯れ木っていうのは実は子供を乾燥させたもので、それが猫節の正体と解釈して
いいのでしょうか?中国の未開部族だったら本当にありそうでコワ〜っ、と思っ
て読み終えたら、半分実話だと知って、うわぁ〜って感じです(w やはり実話
に勝るものは無いですな。
>>746 「彼」を殺した精神異常の女性というのは20年後の淑子だったってことですか。
そして、「彼」の横にいた見も知らぬ若い女というのは20年前の淑子? だとす
ると、その20年後にも再び同じことが・・・う〜ん、無限ループの世界ですな。
なかなか面白い作品です。ところで、「刻之巡」という絵の落下が当該ループ現
象を暗示していると解釈していいのでしょうか。
>>754-761 この作品では、数万分の1の確率で訪れる偶然ともいえる災難と、その災難を喜
ぶエゴイズム丸出しの現代女性の怖ろしさがうまく表現されています。こういっ
たことは実際に自分の身にも降りかかる可能性があるわけで、幽霊より怖いかも。
ただ、作品全体が冗長なため、かえって作品に潜む恐怖の密度が薄められてしまっ
ているのが残念です。
765 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/14 06:12
763さん
せっかくだから何か書いてってよ。
ミステリー風味のやつ。
>>765 いやぁ〜、僕は専ら読む方が専門でして、とても作品を書く自信なんてありませんよ。でも書きやすいお題が出されたら一度挑戦してみたいです。それにしても力作が結構ありますね。下手なミステリ作品を読むより面白いですよ、このスレ。
>>763さん
>>746は「かれの横にいた見知らぬ女」は
淑子ではないと思うのよ。
淑子ではないから淑子は婚約者の首を絞めたと思う。
>>767 うわぁ〜、そうでしたか。いやお恥ずかしい。読みが浅かったぁ〜。
だとすると、その見知らぬ女がまた20年後に、見知らぬ女とじゃれあっている「彼」を殺してしまうのかな。
それとも、無限ループと全く関係ないお話なんですかねぇ?
作中の「刻之巡」という絵の存在からループする話かと解釈したんですが、早とちりだったのか。
>>763 いや、ループはしてるんですよ。
淑子と彼氏は婚約者だった。
淑子はその場にいなかったが、婚約者は京都に出張に行って死んでる。
多分婚約者が死んでからの20年間、淑子は婚約者のことを思って
ひっそり暮らしてきたのでしょう。
>今の職場の人間は、淑子がまさかあの事件の淑子だとは知らない。
のところにあの頃とは苗字も違う〜などとかいてないところからの推測ですが。
「刻之巡」であの時にいってしまい、浮気している婚約者を見て殺してしまったと。
そして、何も知らない当時の淑子は20年間、婚約者のことを思い過ごして
20年後にここへ来てしまうのではないでしょうか。
文章下手なんでよくわかんなかったらゴメン。
あと、ちょっと粘着してるように思えたらゴメン。
一度ここでていろいろ解釈して語ってみたかったんだ。
>>769 >淑子はその場にいなかったが、婚約者は京都に出張に行って死んでる。
うわぁ〜本当だ。彼は淑子の目の前で殺されたんだと誤解してました…(^u^;
彼は未来からタイムスリップしてきた淑子に殺されてしまう。だけど、その現場
には当時の淑子はいなかった。彼を殺した淑子からの手紙は当時の淑子には届け
られなかった。だから、当時の淑子は自らの手で彼を殺したこと(殺すこと)を
知らないまま20年間彼のことを思い続ける。しかし、「刻之巡」で20年前にタイ
ムスリップしてしまい、またも彼を殺してしまう、ということですかね。納得。
771 :
あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/15 21:38
ほしゅ
「おとうさん、おとうさん。これー。これ買ってー」
この連休の日曜、妻に頼まれたお使いで近所のスーパーに行った。娘に店で物をね
だられるのは久し振りで、少し頬が緩む。
「どれ?…あ、あ、うん。メロンパンか。うん、うん、良いよ。ママには内緒だよ」
折角のおねだりを断れない。嫌悪感から冷汗をかきながらレジまでカゴを持っていっ
た。なるだけ「ソレ」を見ないように。
そもそも、原因は私が小学生の頃にさかのぼる。
私は特に仲の良かった友達と四人で秘密基地を作った。
場所は近所の林にある沼のほとり。「わざわざそんなところに」と思われるだろうが、
その周辺は住宅地として開発が進み、人目につかないところなどほとんどなかったの
だ。そして私たちは「秘密」基地であるからには、人目につかない事を望んだ。
やる事はお定まりの持ち寄ったお菓子を食べながら漫画をまわし読んだり、虫を捕ま
えて大きさを競ったり、誰が好きだのや怪談でだべったり。特に怪談は場所的に雰囲
気が出ていたように思う。
ある日の放課後、私は駆け足で秘密基地に入った。
「よし。一番乗りだな」
一番乗りはなんとなくその日の主導権を握れるような黙約になっていた。
視界の隅で影が動いた。
びくっとそちらを見ると…机代わりの空き箱の上にメロンパンが裸で置いてあった。
(ん?昨日あんなの持って来た奴いなかったよなぁ。誰か先に…来てる訳ないしなぁ)
気になって手を伸ばした途端、そのメロンパンは私の指に噛みついた!驚いて咄嗟
に腕を振り回すと、それは丁度足元に落ちた。混乱した私は無我夢中でそれを踏み
にじった。
落ち着いてから見ると、それは真っ白な亀だった。しかし、その白色は血の赤に染ま
り、黄色がかった内臓らしきものがはみ出している。
私は逃げ出した。血のついた靴が怖くて途中で脱ぎ捨て、靴下はだしで家に帰り、親
にこっぴどく叱られた。
ほかの仲間がその事に触れないのが不思議だったが、それからまもなくそこも宅地
開発される事になり、どのみち私たちは秘密基地を卒業する事になった。
以来、私はメロンパンを(そして、亀も)見るのも嫌になったのだ。
いつもながら落ちよぇえー(笑)
でも、とってつけたような因果応報とか絡ませるのも嫌だったもので。
しかし、感嘆符久し振りに使った気がする(意図的に避けてるんだけど(出来れば
疑問符もあまり使いたくないんだけど、精進不足でついつい頼っちまうなぁ))
次のお題は、「糖」「酸」「炭」でお願いします。
750以降の感想(と雑談)
>>750 ですね。筋自体はなかなか面白いように思います。それ故の「もったいない」発言、
という事で(笑)
>>751 玉石混交万歳(笑)
昔の投稿小説誌の作品をチョイスした短編集とか見ると、こう「なるほど、この人は
その後プロ作家になれないはずだよなぁ」みたいな微妙な佳品(?)とか、ほんのりと
好き。
>>754-761 良くも悪くも頭の良い女が、自分の作った呪い(?)に自分でハマる、ってのは好みな
展開だなぁ。
の割には占いを気にする、という性格描写が落ちに繋がるのもええ感じ。
>>763さん
769の方の読みが、一応わたしの企図した内容っすけど、言われてみれば、彼の
死後独身のままいた、とかまともに描写してないすな。
我ながら舌足らず過ぎ(笑)
が、それよりも、
> だとすると、その見知らぬ女がまた20年後に、見知らぬ女とじゃれあっている「彼」を殺してしまうのかな。
これが、えれぇ魅力的で、精神異常(と見なされた)の女→淑子→見知らぬ女→…
ってな、シフトしていく無限ループで書けたら、なかなか凄いのが出来てたよなぁ、
と考える次第(尺的にちゃんと描写するの大変だろうけど)
あ、それと、いつか書いて下さるの楽しみにしときますね(笑)