ウォール街ラウンドアップ
9日の米国株式相場は大幅に続伸した。同日午後公表された3月18〜19日開催の連邦公開市場委員会
(FOMC)の議事要旨が「想定したよりも利上げ時期について景気に配慮した内容」と受け止められたためだ。
売り込まれていたフェイスブックが7%上昇。ナスダック総合株価指数が年初の水準を回復した。
だが議事要旨は「米連邦準備理事会(FRB)の情報発信手段のうち、最も市場参加者の誤解を招きやすい」
(バンクオブアメリカ・メリルリンチ)との指摘もあり、先行きは不透明だ。FOMC声明や議長会見に比べ、
少数意見や非投票権者の主張などを意識的に網羅するからだ。
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FRBは1月以降、量的緩和第3弾(QE3)を通じた毎月の証券購入額を100億ドルずつ削減し、
4月は550億ドル。このペースでいけば10月のFOMCで残った150億ドルをまとめて削って、
QE3は11月にも終了する段取りだ。
イエレン議長は先月のFOMC後の記者会見で、QE3終了から利上げ開始までの期間を「6カ月程度」と例示した。
最短なら2015年4月のFOMCで利上げ転換がありうる。とはいえ「利上げ開始」は前回が04年まで
さかのぼる大仕事だ。雇用と物価に加え金融市場の反応も見極める必要があり、FRBにとっては正念場。
だが足元では珍現象が起きている。FRB理事の「人手不足」ともいうべき事態だ。
「金融政策や市場、銀行規制にまたがる豊富な知見。我々はジェレミーの存在を惜しむことになる」。
イエレン議長は3日の声明でこう語った。ジェレミー・スタイン理事がハーバード大学に復職するため、
5月退任を申し出たからだ。
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FRBの理事ポストは議長を筆頭に7つ。全員がFOMCにおける政策決定の投票権を有し、
議長を政策決定や理論で支える役回りだ。
ところが現時点でオバマ大統領が指名したフィッシャー副議長候補とブレイナード理事候補の議会承認手続きが
すんでいない。昨年8月に退いたデューク理事の後任候補は指名されてさえおらず、7枠のうち事実上、
イエレン議長とタルーロ、パウエル両理事の3枠しか埋まっていない。
http://www.nikkei.com/article/DGKDASGM1001K_Q4A410C1MM0000/