福島第1原発事故をめぐり、米原子力規制委員会(NRC)が発生翌日の昨年3月12日に、原発から半径50マイル(80キロ)圏の
避難勧告を検討していた。当時、日本の避難指示は20キロ、屋内退避は20〜30キロだった。
米政府が実際に勧告したのは16日だが、事故直後から日本の想定を大きく上回る避難を準備していた。
NRCの会議録から判明した。NRCは避難勧告後も、事故拡大を恐れ首都圏を含む
100〜200マイル(160〜320キロ)へ拡大することも議論。17万人とされた在日米国人の
安全確保に向け、あらゆる可能性を検討していたことが浮かび上がった。
12日(米東部時間)の会議録によると、出席者が「100%の炉心溶融が起きる場合、
50マイル圏の在日米国人を避難させないといけない」と発言。予防措置として、
カリフォルニア州など西海岸での放射線量測定を始めるよう米国土安全保障省に要請することも提案された。
>>2へ続く
(中日新聞)
2012年3月13日 09時05分
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14日は、三陸沖で展開中の空母「ロナルド・レーガン」に続き、米軍横須賀基地(神奈川県)でも
通常値を上回る放射性物質が検出されたことが報告され、首都圏への影響が議論になった。
16日の電話会議で、NRCのヤツコ委員長が「最悪の場合、3つの原子炉と
最大で(1〜6号機の)6つの使用済み核燃料プールが制御不能だ」と指摘。
出席したNRC、海軍の幹部らが同意し、米政府に50マイル圏の避難勧告を進言することを決めた。
勧告後の会議で、4号機の燃料プールの水が空っぽで、放射能漏れはより深刻との見方が根強く
「東京にも影響が出る」など避難の拡大を求める意見も。別の会議では、燃料損傷の具合や気候などで、
放射性物質の拡散が100〜200マイルに及ぶ予測が示され、その賛否をめぐり激しい応酬があった。
その後、プールに水があることが確認され、議論は収束した。
17日の会議では、米政府が用意するチャーター機は大使館職員と民間人が半分ずつで、
15分おきに運航。民間人はエコノミー運賃を支払うことなどが話されていた。
NRCの会議録は福島事故発生から10日間の会議や電話でのやりとりなどを記録した
3千ページ以上の内部文書で先月下旬公表された。日本は詳細な議事録を作成しておらず、
今月になって出席者のメモなどを基にした議事概要を発表したのみ。
(おわり)